【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part7

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381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2025/12/06(土) 17:44:32.71 ID:uEbCv5Jo0
【極限検証】しっこグビグビ人間/人間は何リットルまで尿を飲めるのか!?
https://www.youtube.com/watch?v=mdaD4tI35qU
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/06(土) 17:53:24.37 ID:+B8a96s6O
>>380
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/06(土) 17:56:01.98 ID:6hxO7weCo
>>380
384 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/06(土) 18:12:13.68 ID:1YDuLDNn0
クロシュ(…………)

クロシュ(一人……取り残されて、泣くよりも……みんなで一緒に溶けちゃった方が……良い気もする……)

クロシュ(でもそれは……あの子自身が、決めることかも……)

クロシュ(…………)

クロシュ(わかんない……。どうしたら……)



迫る白い影のスライム「」――

淫魔の幼女「――」



クロシュ(あ……もう、間に合わな――)


↓1コンマ
01-20 ???
21-50 間に合わなかった
51-80 フラナが間に合った
81-95 姉妹
96-00 一族
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/06(土) 18:16:12.19 ID:bnd9xlUxO
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/06(土) 18:17:47.79 ID:6hxO7weCo
急にコンマさんがデロデロに……!
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2025/12/06(土) 19:27:51.68 ID:ZZ8MfVXuo
『楽天カップ/ストームランダー
&ミニゲーム』[12/6]
▽攻城戦TPS/Warlander新作
「ストームランダー」β版
×よしなま×みゃこ
×よしひさ(館山5人衆/鈴木義久)
(17:58〜)

https://www.twitch.tv/kato_junichi0817
388 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/06(土) 20:53:34.05 ID:1YDuLDNn0
 ギュンッ!!!!


クロシュ「!!」


 ドンッ!!


淫魔の幼女「ひゃっ」コテッ


フラナ「間に合った――!」


 ドチャッ
 デロデロ―


溶けるフラナ「とは、言えないわね……」デロロ…


クロシュ「フラナ、さん……!!」

聖女「フラナさん!! まさか、そんな……!!!」

淫魔の幼女「あ……え、ぇ……?」


溶けるフラナ「……魔力による抵抗は無意味……少なくとも、今すぐこの融解に対抗する術式を組み上げるのは不可能ね……」デロデロ…グググ…

聖女「フラナさん!! いけません、今あなたが溶けてしまったらこの国は……!!!」

溶けるフラナ「うるさいわね……私だって溶けたくて溶けるわけではないわ……。でも……ふふ、そんなに怖くないのよね……。母上もいるし、フレメアもいるから……もうこの国は、大丈夫って信じられる……」デロデロ…

クロシュ「フラナさん……!!!!」

溶けるフラナ「クロシュ……イリスのやつに伝えておいてくれるかしら……? 本日をもってあなたはバイオレット道場を卒業、今後も精進するように、って」デロデロ…

クロシュ「う、うん……!!」

溶けるフラナ「それと……母上とフレメアに、ごめんなさい、後を頼む、永久に愛している、と……」デロデロ…

クロシュ「うん、うん……!!」

溶けていくフラナ「そしてクロシュ……! あのクロシュヴィアをどうにかできるのは……たぶん、あなたしかいないわ……。でもあなたはデロデロの提唱者であり、今なお迷い続ける幼き求道者……。何を為すか、どうしたいか……その答えは、あなた自身が探すのよ……!!」

クロシュ「うん……!!」

溶けていくフラナ「ふっ……それで、もしこの世界のことを……ちゃんと好きだって、思えるなら……。いえ……やめておきましょう……。さっきあなた自身に探せと言ったばかりだもの……。誘導はしないべきね……」

クロシュ「……?」

溶けて消えゆくフラナ「ふふっ……やれることは、やったわ……後は、皆に―――……」シュウウウ―

クロシュ「あ――」


溶けて消えるフラナ「」シュウウウ――


クロシュ「フラナ、さ……」


  シュウウウン―――……


 ▲魔族国臨時指導者フラナ・バイオレットが星に溶けました
389 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/06(土) 20:54:41.46 ID:1YDuLDNn0
クロシュヴィア「フラナ・バイオレット………いきなりこんなビッグネームに溶けてもらえたなんて……幸先がいいね……」

聖女「クロシュヴィアさん……!! なぜ、突然このようなことを……!!?」

クロシュヴィア「突然……? 聖女ちゃんも……デロデロの教えは、知ってるよね……?」

聖女「……!!」

クロシュヴィア「今こうしている間にも……この世界では、おびただしいほどの悲しみが生まれているの……。全てを救うには……こうするしか、ないから……」

フメイ「でも……溶けたくないやつも、いる……!!」

クロシュヴィア「そうだね……。でも……これ以上苦しみたくも、悲しみたくもない子たちだって……この世界には大勢いるの……。デロデロはただ、甘い終わりをもたらすだけ……。溶けちゃえば……楽になれるの……」

クロシュ「クロシュヴィアちゃん……」グググ…

クロシュヴィア「クロシュちゃんは、ものすごく優しいから……。それをわかっていながら、デロデロを拒む人の我儘まで、聞いてあげちゃうんだよね……。それは……とても尊い心……。だけれど……」スッ

白い影のスライム「」モニョッ
白い影のスライム「」モニョッ
白い影のスライム「」モニョッ

クロシュヴィア「きっと……わたしの、最大の敵になる……。だから……こうして、今お迎えに来てあげたの……」

白い影のスライム「」モニョッ
白い影のスライム「」モニョッ
白い影のスライム「」モニョッ

クロシュ「……!!」ググ…

フメイ「取り、囲まれた……」グググ…

白い影のスライム「」モニョッ
白い影のスライム「」モニョッ
白い影のスライム「」モニョッ

クロシュヴィア「大丈夫……。わたしの中で、永遠の安寧に身を委ねて―――……」スッ

白い影のスライム「」ピョンッ
白い影のスライム「」ピョンッ
白い影のスライム「」ピョンッ


クロシュ(……間に合わない……)

クロシュ(溶けちゃえば、いい……? クロシュヴィアちゃんの、言う通り……)

クロシュ(でも……)

クロシュ(フラナさんと、約束した……。イリスさんと、フリューゲルさんと、フレメアさんに……伝えなきゃ、いけないこと……)

クロシュ(わたし自身が……考えること……)

クロシュ(まだ……まだ、終われない……!!)グッ


 ラティアの大盾「」ガシン!!
 守護結界「」シュインシュイン!!

白い影のスライム「」ベチッ
白い影のスライム「」ベチッ
白い影のスライム「」ベチンッ…モニャニャ


フメイ「クロシュ……!!」

淫魔の幼女「クロシュちゃん……!!」

聖女「大きな盾と、結界……!?」

クロシュ「んゅ……!!」グググ


クロシュヴィア「クロシュちゃん自身の力に依らない、盾の結界……。この土壇場で、よく最適解を導いたね……。でも……」スッ


 守護結界「」シュインシュイン…


クロシュヴィア「長くはもたないよね……ベスティアの結界にそっくりだもん……」
390 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/06(土) 20:55:37.57 ID:1YDuLDNn0
クロシュ「……!」グググ…

フメイ「クロシュ、気球を出せる……!? フメイが飛ばす……!!」ググ…

クロシュ「フメイちゃん……! でも、フメイちゃんも……!!」グググ

フメイ「ここでやらなきゃ、みんなやられる!!」

クロシュ「……わかった!!!!」


クロシュヴィア「させない……みんな、突撃して」スッ


白い影のスライム「」ピョンピョンベチッ
白い影のスライム「」ピョンピョンベチッ
白い影のスライム「」ピョンピョンベチンッ

 守護結界「」ギギギギ…バシュウン――

 モニョモニョポン!!

気球クロシュ「〜〜…!!!」モニョニョニョ…!!!!

フメイ「みんなクロシュに乗り込んで!!!!」

聖女「はい! さあ、あなたも……」

淫魔の幼女「えぐ、えぐ……うん……」エグエグ


フメイ「出すよ……!! えやあああっ!!!」カッ!!!!


ジェット気球クロシュ「〜〜〜!!!!」ボシュウウウウウッ!!!!


クロシュヴィア「逃さない……!!」ビュオオオオオッ!!!!


白い影の風スライム「」ビュオオオオッ
白い影の風スライム「」ビュオオオオッ
白い影の風スライム「」ビュオオオオッ

 ベチンッ ベチンッ

ジェット気球クロシュ「〜〜〜〜!!!!」モニャニャニャニャ!!!!


淫魔の幼女「わっ、わああああっ!!」

聖女「風に乗って白い影のスライムさんたちが、体当たりしてきてます!!」

フメイ「うぐうううっ……!!!! クロシュ、耐えて……!!!!」ゴオオオオッ


ジェット気球クロシュ「――」

 カッッッッ!!!!
 不滅の炎ジェット「」ゴオオオオッ!!!!

ジェット不死鳥クロシュ「コケコッコォォォォ!!!!」バシュウウウウウウッ!!!!


クロシュヴィア「……!!? あれはクローディアの炎……!?」

クロシュヴィア「……」

クロシュヴィア「逃げられちゃった……。まあいっか……」

クロシュヴィア「クロシュちゃんの力の大部分は……デロデロにできたもん……」


 ▲クロシュヴィアから敗走しました

 ▲白い影のスライムに叩かれ、力と装備と道具の多くが星に溶けました

 ▲デロデロ抵抗中に無茶をしたことでフメイちゃんの力も大部分が星に溶けました

 ◆
391 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/06(土) 20:56:56.35 ID:1YDuLDNn0
少し早いですが本日はここまで。次回、敗残スライムたち編からとなります

楽しく愉快な休暇を過ごしていた矢先、突然のクロシュヴィアの急襲によって甚大な被害を受けたクロシュたちと魔族国。魔族国は何名かの市民と指導者のフラナ・バイオレット氏を失い、クロシュとフメイも深手を負って敗走することとなった。
クロシュヴィアの目的はただ一つ。世界全てをデロデロに溶かして永遠の平和を――甘き終わりをもたらすこと。それは提唱者たるクロシュ自身が最も知っていることであり、かつ理解できることでもあった。そして、クロシュヴィアが性急に事を運ぼうとする理由もまた――
力を失って敗走せしあかちゃんスライムにできることなど、あるのか―――

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/06(土) 22:50:09.82 ID:GkXJfKruo
おつでした
平和が儚く散ってしまった…
フラナさん、最期まで良い先生だったな、どうか安らかに……
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/06(土) 23:25:47.01 ID:nZvHiH6AO

平和なユーシリア探検から一転してコンマが腐ってしまわれた
運命賽案件じゃないからまだセーフのはず…!
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/06(土) 23:59:09.31 ID:uq7fJyGro

フリューゲルこれ親友が娘殺しって心中凄そう
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/07(日) 08:41:39.96 ID:plmn4o6o0
おつ・・・
フラナ考案者ですがこの展開はやっぱつれぇわ・・・
でもまだ希望は残されてる・・・よね?
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/07(日) 14:40:39.98 ID:pACGuCzGO

なんかとんでもない事になったな。<<390の「力と装備と道具の多くが星に溶けました」と書いてあったけど、まさか運命賽や会心賽も消えたということなのかな?
397 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 17:51:44.34 ID:19zHOAxN0
平和とは儚いものなのかもしれません。しかしながら、全てがデロデロに溶ければ永遠に揺らぐことのない平和が訪れるという意見もあります
フラナ先生は良い先生でしたが、クロシュヴィアさんの不意打ちめいたデロデロ攻撃には対処できなかったようです。なおデロデロ化は苦痛を伴わないため、実際それは救済であるという考え方もあります。フラナさんは痛みや苦しみを感じることなく安らかに溶けることができたように思われます

ユーシリアではキャッキャと楽しく探検していたクロシュたちでしたが、実際コンマが急激に悪くなったのは確かかもしれません。コンマとはいつも理不尽なものです
そして実のところ運命賽が転がる案件ではなかったため、フラナ先生の存在が不可逆的かつ永久的に失われたとはまだ言い切れない段階かもしれません。状況を注視していくのが良いでしょう

クロシュヴィアは友達想いなところがあるそうですが、フラナさんのことを友達の娘だとは特に意識していなかったようです。そして実のところフラナさんら姉妹が生まれたときクロシュヴィアちゃんは風になっていたため、バイオレット家の家庭事情を知らない可能性もあります。どちらにせよデロデロになるのは良いことなので問題なし、と考えるかもしれません
なおフリューゲル氏は精神的にデロデロかもしれません。おいたわしいことです

フラナ氏は淫魔の幼女ちゃんを守ってデロデロになりましたが、クロシュヴィアちゃんに言わせればデロデロになるのは良いことだそうです。苦痛に満ちた死を迎えるのに比べればデロデロ化はまだだいぶ良いかも、とリリーツィア氏も思っているそうです
しかしながら上の方でも書いた通り、運命賽が転がっていないことを踏まえると、まだフラナ氏の運命は潰えていないと言えるかもしれません。それは実のところ、急にデロデロになってしまった魔族国スライムちゃんや魔族の子供くんにも言えるでしょう
なおデロデロ化は良い運命なのだから覆す必要がなく、運命賽が転がらないのも当然である――という意見もあります

力と装備と道具の多くは星に溶けましたが、持ち物の全てが星に溶けたということではありません。その辺りはおいおい判明していくこともあるかと思われます。注視していくのが良いでしょう
398 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 17:52:11.42 ID:19zHOAxN0
―朝
 集落の診療所

 チュンチュン

クロシュ瓶「!」モニョッ!

クロシュ瓶「……?」キョロキョロ

 スタスタ

魔族の医者「目が覚めたようだな、クロシュ」スタスタ

クロシュ瓶『イーシャさん……! えと、フメイちゃん、聖女さんたち……!!』モニャニャ

魔族の医者「聖女と淫魔の子については大事ない。フメイは大きく消耗していたが命に別状はなかった。安心すると良い」

クロシュ瓶『……ん…』モニョ

魔族の医者「スライムの君ならば、自分の体の状態がわかるはずだ。少し自分の体調を確かめてみると良い」

クロシュ瓶「……」


クロシュ(……みんなからもらった……たくさんのものが……見当たらない……)

クロシュ(………お腹の容量も……すごく、減った気がする……)

クロシュ(……あれ? でも、今すぐデロデロになりそうな感じは……もう、ない……?)


魔族の医者「そこに気が付いたか。それについては君もよく知っている、ある人物の尽力によるものだ」


 パタパタパタ!!


妖精「クロシュ!! 気が付いたの!?」パタパタパタ!!

クロシュ瓶『わ……! 妖精さん……!』

 *

妖精「そう。私がクロシュの体に、デロデロ化を阻害する結界を張ったの。即席だから過信は禁物だけどね」

クロシュ瓶『ありがと、妖精さん……!!』

妖精「……うん。ただしこれは阻害するだけで完全に防止できるわけじゃないから、その瓶から出て活動する時は十分に気を付けて」

クロシュ瓶『うん……! えと、じゃあ、みんなも無事……?』

妖精「……」

魔族の医者「……集落スライム、黄色スライム、灰色スライムは、間に合わなかった。セイン、フレア、アイスも危機的状況だったが、妖精の結界によりなんとか一命をとりとめている」

クロシュ瓶『……』

妖精「……クロシュとフメイが軽症だったのは、不死鳥の羽根の加護があったからだと思う。でも……」

 煤けた不死鳥の羽根「」プスプス…

クロシュ瓶『!?』モニャッ!?

妖精「……かなり力を使い果たしちゃってる……。まだ完全に火が消えたわけではないけれど、もう前みたいには使えないかも……」

クロシュ瓶『……』モニョニョ…

 ◇
399 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 17:52:55.88 ID:19zHOAxN0
―集落の診療所
 病室

 コンコン ガチャッ

クロシュ「……!」トコトコ


フメイ「あ、クロシュ……!」

ベッドに伏せるアイス「……」zzz

ベッドに伏せるフレア「……」zzz

ベッドに座るセイン「……クロシュ。良かった、無事に目が覚めて」


クロシュ「セインちゃん……フメイちゃん……」

セイン「僕たちなら大丈夫だ。妖精がかけてくれた結界のお陰で、なんとか保てている」

クロシュ「……うん」

フメイ「フメイたち、セインたちより軽いみたい……」

クロシュ「……うん」

セイン「……すまない、こんな体たらくで」

クロシュ「んーん……! セインちゃん、いつも、がんばってる……!! だから、えと……お互いさま……!!」

セイン「……ありがとう」

 ◇

―集落の広場

 ヒュオオオオオ――…

クロシュ「……」

 ――集落のスライム『〜〜♪』モニョモニョ キャッキャ
 ――黄色スライム『〜〜!』モニョニョ ピョンピョン
 ――灰色スライム『〜〜』モニョモニョ

クロシュ「……」

クロシュ(魔族国の、みんなと……フラナさんだけじゃ、なくて……)

クロシュ(……世界中で……スライムのみんなが……デロデロに、なってるんだ……)

クロシュ(………)

クロシュ(こっち側に、残されたわたしたちは……さびしい、けれど……)

クロシュ(……みんな……クロシュヴィアちゃんの中で、溶け合って……しあわせ……?)

クロシュ(…………あれ……?)

クロシュ(クロシュヴィアちゃん……星に溶けるって……言ってた……?)

クロシュ(えと……どういうことだろ……?)


聖女「クロシュさん」スッ

クロシュ「わ! 聖女さん」

聖女「良かった……お目覚めになられたのですね」

クロシュ「うん……」

聖女「………もうご存知かと思いますが……今、世界中でスライムが姿を消しているそうです」

クロシュ「……」

聖女「そして代わりに……各地で白い影のスライムが出没するようになり、大きな被害を出しているのだとか……」

クロシュ「……!」

聖女「………どうすれば……クロシュヴィアさんを、止められるのでしょう……」

クロシュ「……」

 ◇
400 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 17:54:03.13 ID:19zHOAxN0
―???

 空に浮かぶ白い光「」ユラユラ

 地上に瞬く無数の光「」チカチカ


クロシュ「……」キョロキョロ

 シーン…

クロシュ(……ここにも……スライムさんたちが、いなくなっちゃった……。みんな……もう、星に溶けたのかも……)

クロシュ(…………あれ?)



  遠くに見える大きなデロデロ「」デロデロ



クロシュ(……あのデロデロ……前は、なかったかも……。あの方角は……)



ブラッド「クロシュ!」モニョッ

クロシュ「わっ! ブラッドちゃん!」モニョッ

ブラッド「一体何が起きてる!? なんでおまえは無事なの!?」モニョモニョ!

クロシュ「え、えと……」モニョニョ…

 カクカクシカジカ―

 *

ブラッド「伝説スライムのクロシュヴィア……あの白い奴の仕業ってこと」

クロシュ「うん……。ブラッドちゃんは……だいじょうぶ……?」

ブラッド「当たり前でしょ。溶けないように自分を維持するくらい――」

 デロデロ…

ブラッド「!!」デロロ…

クロシュ「わわ……! えと、ちょっと待ってね……妖精さんの結界……おすそわけ、する……!」

 *

 モニョモニョ…モニョモニョ…ポン!

ブラッド「……!」

クロシュ「……えと……どう……?」

ブラッド「まぁ……ちょっとは楽になったんじゃないの」

クロシュ「んへへ……」

ブラッド「………礼は言わないよ。おまえが勝手にやったことだし」

クロシュ「うん」

ブラッド「……本当に調子狂うやつ……。おまえ、これで元気になったあたしがおまえの知ってる人間とかを殺したらどうするの?」

クロシュ「え……!? え、えと……やめて、ほしい……!」

ブラッド「……アホでしょ、おまえ」

クロシュ「んゅ……」

ブラッド「まあいいや。この結界が必要なうちはなるべく大人しくしといてやる」

クロシュ「わ……!」

ブラッド「おまえの方も、簡単に溶けんじゃないよ。スライムがあたしとおまえとクロシュヴィアのアホだけなんてのもつまらない」

クロシュ「うん……! ブラッドちゃんも、おきをつけて」

ブラッド「はいはい」

 ◆
401 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 18:02:01.35 ID:19zHOAxN0
―集落の診療所

妖精「つまり――星脈が乗っ取られたの。クロシュヴィアに」

アリシラ「……!!? そんなこと可能なの……!?」

妖精「……実際に乗っ取られてるから、可能だったってこと。具体的な手段はまだ調査中だけど……」

魔族の医者「……世界樹の精霊とは意思疎通が可能なのか?」

妖精「……白影スライムの出現と同時に、世界樹の精霊も姿を消した……。それ以来一度も出てきてない」

魔族の医者「ふむ……。世界樹の精霊の言葉が聞けぬとなると、星脈の状態把握も難しいか」

妖精「そうなんだよ……。世界中の星脈を虱潰しに調査なんてしてたらとんでもない時間がかかっちゃうし……」

アリシラ「悠長にしていたらさらに別の手を打ってくる可能性もあるよね」

妖精「うん。だから急がなきゃならないんだけど……急ぐ為の情報も不足してて……」

 カチャッ

クロシュ「……」トコトコ

妖精「クロシュ!」

アリシラ「体はもう大丈夫なの?」

クロシュ「うん……。えっと……星脈のお話……してた……?」

魔族の医者「いかにも。もしかして何か手がかりがあるのか?」

クロシュ「うん……」

 カクカクシカジカ…

妖精「あ……! そっか、クロシュは星脈を通じて遠くのスライムとお話ができるなんて特技があったんだった!」

クロシュ「うん……。それで……おおきいデロデロが……遠くに、あった……」

魔族の医者「ほう……! では具体的な場所を割り出してみよう!」スッ

 地図「」ポン
 ペン「」ポン

 *

妖精「これは……オリシン王国?」

魔族の医者「恐らくそのようだ」

アリシラ「じゃあそこに、クロシュヴィアたちが……!?」

クロシュ「……わかんない。でも……なにか、ある……とおもう」

 ☆次の目的地はオリシン王国になります

 ◆
402 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 19:49:11.69 ID:19zHOAxN0
―集落 休暇最終日

◇クロシュ[あかちゃんスライム]
武:なし       盾:なし       飾:なし
武:なし       防:なし       飾:煤けた不死鳥の羽根

◇フメイ [バーニングハート]
武:なし       盾:なし       飾:なし
武:なし       防:火鼠の衣     飾:なし

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽の欠片*1    大きな巻き貝      冒険者証(ランク1)
運命賽*1       サボテンドラゴンの花  メルルの帽子
会心賽*1                   暗黒優待券
ステライト鉱石                 
ヒヒイロカネ                  

◯現在の目標
・クロシュヴィアの行方を追う

◯努力目標
・特になし

◯仲間の目標
・特になし

◯経験値
・クロシュ 剣技[03/09] 魔法[06/09] 防御[04/07]
・フメイ  剣技[00/04] 魔法[00/16] 防御[00/09]
……………………………………………………………………………………
403 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 19:52:30.58 ID:19zHOAxN0
 数日後――

―朝
 集落の広場

フメイ「……」チリッ

 火「」ポフッ

フメイ「………」


クロシュ「フメイちゃん! 調子、どう……?」

フメイ「……あんまり。まあ……旅の途中で、取り戻す」

クロシュ「うん……。無理、しないでね……」

フメイ「クロシュこそ……。同化、あんまりできなくなったんでしょ」

クロシュ「なんか……すぐ、疲れちゃって……」

フメイ「戦いはフメイに任せて。前みたいに」

クロシュ「んゅ……」


セイン「……すまない。僕が万全なら……」

クロシュ「んーん! セインちゃんたちには……ここ、守って欲しい……!」

フレア「うん……! クロシュちゃんたちが帰って来る場所は、絶対に守り抜くよ……!」

フメイ「お願い。集落スライムと、黄色と灰色のことは……フメイとクロシュが、絶対、取り戻す……!」

クロシュ「うん……!!」

セイン「頼む……」


アリシラ「セインくんたちの体調管理は私とイーシャさんに任せて! 万が一の時は生命分配で無理矢理生き返らすから!」

魔族の医者「うむ。クロシュとフメイも妖精の言うことはしっかり聞くように。君たちもデロデロの危険から完全に免れたわけではないのだから」

クロシュ「うん……!」

フメイ「わかってる……。妖精、よろしく」

妖精「こちらこそ! あなたたちが一緒だと私も心強いよ、よろしくね」パタパタ


集落の子供「あたちたちも守るよ! クロシュちゃんたちとスライムちゃんたちが帰る集落を!」
 木刀「」ブンブン!

集落の若者「おうよ! 俺たちも鍛えてるから安心して行って来いよな!」
 拳「」シュシュシュッ!

集落の老婆「ほっほっほ、若い者たちには負けたくないのう」
 薙刀「」シュビビビビッ!

アリシラ父「はっはっは、私も子供たちには負けないぞ〜!」
 魔導散弾銃「」ジャキッ!

アリシラ母「うふふ、私も負けないわよ〜」
 暗黒の杖「」ジャキッ!
404 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 20:03:06.67 ID:19zHOAxN0
聖女「……あの、ところで本当に、私も同行してよろしいのですか……?」

妖精「うん。というかむしろ聖女の方こそ大丈夫なの? 魔族国の教会とか」

聖女「はい。魔族国教会には父が……原理派の元大司祭が着任致しまして、私はしばらく休暇を頂くことになっていたのです。そんな折にこの騒動がありまして。一応、元大司祭にも事の次第はえてあります」

妖精「それならまあいっか。こっちとても、人間の大人がいてくれるといろいろ融通が効くから助かるんだよね。ロイエ教の神官なら信頼も得られやすそうだし」

クロシュ「うん! 僧侶さんのこと……一緒に、探そ……!」

聖女「はい……! ありがとうございます、クロシュさん。一緒に探しましょう……!」


淫魔の幼女「……聖女さんも、クロシュちゃんも……行っちゃうの……?」

聖女「はい……。でも大丈夫、必ず帰ってきます。あの子たちも連れて……」

淫魔の幼女「……! ねえ……ほんとに、助かるの……? またみんなで、遊べる……?」

クロシュ「うん。クロシュヴィアちゃんのやり方が……わたしと、同じなら……きっと……たぶん……絶対……!」

淫魔の幼女「……ぜ、絶対だよ……約束、だからね……。みんなと、一緒に……絶対、帰って来てね……!!」

クロシュ「うん……!!」


クロシュ(……みんなのことも……フラナさんのことも……きっと、引っ張り出せる……!)

クロシュ(………それが、正しいことなのか……まだ、わかんないけど……。でも……溶けちゃった人のことで……悲しむ人も、いるから……)

クロシュ(まずは……みんな、引っ張り出して……。改めて……デロデロになるか、考えるのも……遅く、ない……!!)

 ☆妖精と聖女が旅の仲間となりました

 *

アイス「………」

クロシュ「アイスちゃん……もう、だいじょうぶ……?」

アイス「ふん……。どうせ……アイス、肝心なときにデロデロになってる……役立たずだもん……」プイッ

クロシュ「アイスちゃん……」

アイス「…………」

クロシュ「…………」

アイス「……」ジワワ

クロシュ「!」

アイス「……黄色たちのこと……ぜったい、ぜったい、とりもどして……」ジワワワ

クロシュ「……うん! 絶対……! 約束……!!」

アイス「…………じゃあ、これ……」スッ

 氷スライムの欠片「」ポン

クロシュ「!」

アイス「……前のやつ……なくしちゃったんでしょ……。今の、アイス……役立たず、だから……」ポロポロ

クロシュ「んーん……!! アイスちゃん……役立たずなんかじゃ、ない……!!!」

アイス「……!」

クロシュ「アイスちゃんの、氷の力で……みんな、一緒に帰る……!!」グッ

アイス「…………うん……」ポロポロ

 ☆アイスから氷スライムの欠片をお借りしました


休暇最終日。この行動終了後、集落を発ってオリシン王国へ向かいます
↓1〜3 自由安価 何をする?
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/07(日) 20:03:59.34 ID:plmn4o6o0
クロシュ、久々に妖精に甘える
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/07(日) 20:06:31.97 ID:KceK/2Mw0
クロシュとフメイとアリシラで一緒にお風呂に入って語り合う
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2025/12/07(日) 20:07:11.17 ID:AUwmaB+lO
吸血鬼親子に謝罪と励ましを書く
408 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 20:46:34.49 ID:19zHOAxN0
―クロシュとフメイの家

クロシュ「……」カキカキ


妖精「あら、クロシュがお手紙なんて珍しいね」

フメイ「最近はけっこう書いてるよ。妖精にも送ってたと思うけど」

妖精「……そうだった。いやまあ……クロシュが手紙を書いてる姿に馴染みがあんまりなかったから……」

聖女「私もクロシュさんからお手紙をもらってました。この半年間ですごく上達しましたよね、クロシュさんの文章」

妖精「あ、それはすごくわかる。初めは普段の言葉遣いみたいなたどたどしいものだったけど、最近はちゃんとしたのが書けるようになってきたもん」

フメイ「ふふ、クロシュはポテンシャルがあるの」


クロシュ「……」カキカキ

 *

フレメア・バイオレットさま、フリューゲル・バイオレットさま

わたしのせいでフラナ・バイオレットさまをデロデロにしてしまい、ごめんなさい。

でも、フラナ・バイオレットさまのことは、かならずデロデロからひっぱりだすしょぞんです。

なのでごあんしんくださいませ。おおがめのこうらにのったつもりになるのが、いいとおもいます。

クロシュより

 *

クロシュ「……ん!」

 手紙「」ポン!

フメイ「書き終わった?」

クロシュ「うん!」

妖精「じゃあ風の精霊に頼んで出してあげる。お〜い」

 ヒュルルルル――

聖女「……! 風が……!」

フメイ「……あ、聖女は見えないんだ」

聖女「はい……。でも、そこにいるのはわかります。存在を感じるというか……」


風の精霊『じゃあ持ってくよ〜』

クロシュ「うん……! おねがい、します……!」

風の精霊『は〜い』

 ビュオオオオッ――

 ◆
409 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 20:47:44.27 ID:19zHOAxN0
―魔族国
 バイオレット魔法店

 クロシュからの手紙「」ペラッ

フリューゲル「……」クスッ

フレメア「はあ〜、ようやくあのバカフラナが消えたと思ったのに……。これじゃしばらくしたら生き返りそうじゃん……」

フリューゲル「……ふふ。嬉しそうね、フレメア……」

フレメア「はあ? そんなわけ――」

 フレメアの口元「」ニヤニヤ

フレメア「っ……!? ち、ちが……」

フリューゲル「……私は……嬉しいわ。きっとあの子なら、成し遂げてくれるって……信じられるもの……」

フレメア「……ふうん。お母様、あのスライムのことけっこう買ってるんだ」

フリューゲル「ええ、もちろん。あの子は私たちを助け出した……本当の勇者だもの……」

フレメア「まあ実際大したやつだとは思うけど。ていうかそれより、クロシュヴィア?ってスライムのことはいいの?」

フリューゲル「……全然良くないわ」

フレメア「全然良くないんだ……」

フリューゲル「……でも、彼女にも彼女の正義がある……。それもわかっているつもりよ。今は引き続き……魔族国の立て直しと、白影スライムの迎撃体制構築を急ぎましょう……。フラナが生き返った時に、国がデロデロになっていたんじゃどうしようもないわ」

フレメア「それはそれで面白そう」


↓1コンマ お返しの品
01-60 マナポーション
61-85 ブラッドワイン
86-95 反魂丹
96-00 カニミソ
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/07(日) 20:49:14.93 ID:pACGuCzGO
411 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 21:08:22.55 ID:19zHOAxN0
 ☆後日バイオレット家の方々から返事が届き、反魂丹*1を入手しました

 ◆

―夜
 集落 共同浴場

 カポーン…

アリシラ「ふう……。明日から、このお風呂を沸かすのも一苦労だねえ……」

フメイ「……あ、そっか……。普段はフメイがぱぱっと沸かしちゃうから……」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

アリシラ「まあなんとかなるよ、なんとかなる」

フメイ「うん……」

アリシラ「…………今度は……ここで、フメイちゃんたちを待つことになるなんてねえ……」

フメイ「……一緒に来る?」

アリシラ「ううん。ちょっと今は患者が多すぎるから、私みたいな見習いでも診療所に常駐してないとやばいんだよね。セインくんたちも今は落ち着いてるけど、一時は本当に危なかったんだから。私がいなくなったらイーシャさんが過労死しちゃう」

フメイ「……うん」

アリシラ「ふふ……一緒に来て欲しい?」

フメイ「……別に、大丈夫。妖精も、聖女もいるし……。今度の旅は……みんなを救う旅だから」

アリシラ「ああ〜……それはやっぱりちょっと羨ましいなあ。私たちの旅はさ、世界を滅ぼすのが目的だったじゃん。どっちかというと悪役だったもんね」

フメイ「………まあ……そうかも」

アリシラ「ふふ……今度は、世界を救うダークヒーローだね」

フメイ「……なんでダークヒーローなの?」

スライムクロシュ「〜〜?」モニョニョ?


↓1コンマ
01-90 良い湯でした
91-00 吸収魔法の因子を獲得
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/07(日) 21:09:36.54 ID:1oDPfM5cO
はい
413 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 22:05:50.07 ID:19zHOAxN0
―夜
 クロシュとフメイの家

 お宿の妖精の織物「」

 フメイとアリシラの人形「」

 絵画『世界樹の光を巡る旅の仲間』


妖精「あ、これ私たちの絵!」パタパタ

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

妖精「こうやって飾ってくれてたんだ……。なんだか嬉しいなあ」

スライムクロシュ「〜〜」モニョニョ

 モニョモニョ スリスリ

スライムクロシュ「〜〜♪」スリスリ

妖精「わ、どうしたのクロシュ」

スライムクロシュ「〜〜♪♪」モニョニョ

妖精「なあに、また私と一緒に旅できるのが嬉しいの? ふふ、このあかちゃんスライムめ!」ナデナデ

 モニョモニョ キャッキャ スリスリ ナデナデ


聖女(妖精さんに甘えて戯れるクロシュさん……! かわいい……眼福です……)ニコニコ

フメイ(……聖女、なんかすっごいニコニコしてる……)

 ☆久しぶりに妖精さんに甘えて満足しました

 ◆
414 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 22:58:56.14 ID:19zHOAxN0
―朝
 集落の広場

 チュンチュン

 精霊の幌馬車「」ポン!
 風の帆「」バサッ

聖女「わあ、綺麗な幌馬車!」

フメイ「馬の姿が見えないけど……」キョロキョロ

妖精「ふっふっふ、これは緑の国で作られた精霊の幌馬車! 暇な精霊たちに運行を手伝ってもらって走るから、馬がいなくてもほとんど自動で移動できるんだよ」

クロシュ「わあ……!」

妖精「ミスティの魔法のソリを参考にした部分もかなりある。速さと安全性についてはあのソリにも引けを取らないはず!」

魔族の医者「最近は魔導機械による自動車の開発も盛んだと聞くが、旅の馬車といえばやはりこのフォルムだな」


アリシラ「クロシュちゃん、フメイちゃん。必ず元気で、帰ってきてね」

クロシュ「うん……!」

フメイ「アリシラも、みんなのこと……お願い」

アリシラ「もっちろん! イカダに乗った気分でいてもらって大丈夫だよ!」

フメイ「不安になってきた……」


セイン「……集落の守りは任せてくれ。今の僕でも、ごく短時間なら悪竜を相手取れる程度の力は出せるから大丈夫だ」

クロシュ「……!? え、えと……無理、しないで……!!」

フメイ「う、うん! そんな馬鹿力出さなくて良いから、体を大事にして……!」

セイン「ああ。もちろん敵の力量に合わせて適切に配分する。万が一強敵が現れた時の話だ」

フレア「も〜……! セインお兄さん、クロシュちゃんとフメイちゃんにあんまり心配かけちゃだめだよ……!」

セイン「……? この集落を脅かされることが最も心配すべき点だと思うが……」

フレア「みんな、セインお兄さん自身のことも大事に思ってるの!!」

セイン「……?? それは、どういう……?」

聖女「ふふ……相変わらずなんですね、セインさん」

セイン「聖女」

聖女「クロシュさんとフメイさんが帰って来る時、セインさんも元気な姿でお出迎えしなきゃだめってことです」

セイン「ああ。半ばで倒れたら守り抜けないのは、わかっているつもりだ」

聖女「……まあ、生きて守り抜く意思があるなら良いと思います……!」


アイス「……ばかクロシュ。死んだら、しょうちしない……」

クロシュ「ん……!」

アイス「………セインのこと……アイスも、みてるから……。むちゃ、しないように……」

クロシュ「……!」

アイス「……クロシュたちも……むちゃ、しないのが、いい……」

クロシュ「んへへ……うん!」

 モニョモニョ…ポン!

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョニョ スリスリ

アイス「……ちょうし、のらないで」ペチッ

 *
415 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 22:59:25.48 ID:19zHOAxN0
―集落 門

 風の帆「」バサッ
 精霊の幌馬車「」ガタンゴトン――


魔族の医者「フッ……君たちに委ねよう。世界の行く末を」

セイン「どうか、無事で……!」グッ

淫魔の幼女「クロシュちゃん……聖女さん……。みんな……元気で、帰って来てね……」

アイス「…………」ギュッ

フレア「アイスちゃん、大丈夫だよ。みんな、きっと……一緒に帰って来るよ」

集落の子供「そうそう! クロシュちゃんたちならぜーったい大丈夫だもん!」

アリシラ「ふふ、本当にその通り。私たちはこの集落を守っていかなきゃね」

集落の若者「よっし、じゃあ今日も畑の世話に行くか!」

集落の老婆「うむ。あの子らが帰ってきた時、腹いっぱい食わせてやらんとな」

アリシラ母「私たちもいつも通りにいきましょう……!」

アリシラ父「ああ。ひとまず私は、淫魔の幼女ちゃんを魔族国へ送り届けるついでに各地の情勢を聞いて来よう」

 *

 風の帆「」バサッ
 精霊の幌馬車「」ガタンゴトン――


  遠ざかっていく集落の門「」


クロシュ「……」グッ

妖精「ふふ、ほんとに良い集落だね。どうか、精霊の加護がありますよう――」

フメイ「……みんな、待っててね。絶対、取り戻すから……!」グッ

聖女「……私も、見つけなきゃ。クロシュヴィアさん……お姉ちゃん……!」グッ


 ――デロデロの巻 序編 完
416 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 23:02:24.41 ID:19zHOAxN0
序編クリアボーナス
↓1コンマ
01-60 運命賽
61-90 ↑+ギロチンガニの鋏
91-00 ↑+会心賽
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/07(日) 23:06:04.52 ID:HUNR/y++o
どうだ
418 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/12/07(日) 23:14:49.73 ID:19zHOAxN0
それでは運命賽の獲得が決まったところで本日はここまで。次回はオリシン王国への旅路編からとなります

クロシュヴィアの目的を邪魔すべくオリシン王国へ向かうこととなったクロシュたち。旅の仲間として再びくつわを並べる妖精と、この度新たに共に行くこととなった聖女。頼りになりそうな二人の加入に沸き立つクロシュだったが、実のところ戦力的にはあまり役に立たない二人でもあり、戦闘におけるフメイちゃんの負担は極大になっていた――
力を失ってよわよわスライムとなったクロシュたちは、平穏な旅路を歩むことができるのか――

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします


また、オリシン王国編の登場人物を水曜日か木曜日の 00:00 〜 23:59 辺りで募集するかもしれません。その場合は前日に告知するかと思いますので、よろしくお願いいたします


また、余談ですが二次創作スレの方も盛り上がっており、いつも面白く拝見させていただいております。こっちのスレよりもだいぶシビアでサツバツな判定にドキドキビクビクします。運命賽がいっぱいあるクロシュさんたちはしあわせかもしれません
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/08(月) 01:33:27.34 ID:7YboOegio
おつ
災いの原因が変わっただけで一般人からすれば状況が全く同じだこれ…
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/12/09(火) 00:14:10.61 ID:IdbWzyudO

アイスちゃんすっかりクロシュにデレててかわいい
フメイちゃんの負担が極大な新パーティの旅も楽しみ
本編とは関係ないけど割と頻繁に入る1のデロデロ肯定意見に草生える
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