安価とコンマで異世界転生!その13

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1 : ◆UEqqBEVZVY [saga]:2026/01/18(日) 19:22:35.41 ID:NZ5ulhjk0

〜前回までのあらすじ〜
異世界に転生した男は仲間を募り、
世界を救うことを目標に行動する
仲間が突如救世主や魔王の力に目覚めたり、
彼も多くの神を奉ずる教団を創立したりしているが、実際に神の奇跡を代行することができる
お世話になっている図書館の街が帝国との戦争に巻き込まれてしまったことを知った一行は、住民たちの平和を守るために、市長の指示のもと戦っている

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1768731755
2 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/18(日) 19:23:25.22 ID:NZ5ulhjko
試しにキャラクター紹介を作ってみました


・男
主人公であり転生者。
神の声を聞くことができるようになっている。
仲間に対して熱く向き合うが、それは孤独への恐怖の裏返しでもある。

・中華
中華の鉄人。料理が凄まじくうまい。男性。
運命に愛されているのか、救世主であり、魔王であり、現人神でもある。
かなり常識人だが、ナチュラルに感情が重い。

・氷魔
魔法使い。女性。
マップ兵器レベルの超高出力氷魔法を行使できるが燃費は劣悪。
かなり常識人だが、極度の暑がりで猫舌である。また、頭はかなりキレる方である。

・やる気
やる気が取り柄の男(自称)。
本当は忍者の棟梁の跡取りであり、魔王の力もほとんど獲得しているため尋常ならざる強さを持つ。
普段は「?っす」口調だが魔王の力を解放すると不敵になる。

・ぶりっ子
ゆるふわな語尾が特徴的だが内心では結構ドライなことを考えている。女性。
慎重派で、石橋を叩いて渡るタイプ。
男にだけは自分が造られた存在であることを打ち明けている。

・怪盗
怪盗少女。
凄まじいスピードで移動することができる。
かなりノリのいい女の子だが、実はおばあちゃんっ子供である。

・狙撃少女
狙撃手の女の子。
元々は孤児であり、神の依代であったがギルドの一行により解放された。
人並外れた視力を持ち、遠くを見ることができる。
かなり常識人。

・炎魔
元々は邪悪な魔王に与する魔女によって造られた人形であったが、心と魂を手に入れ、不死鳥の力を得ることで独立した生命体となった。
非常に明るい性格で、魔物を倒すことに特化した戦闘能力を持つ。
不死鳥の力によって傷つかず、すぐ再生するチート体質。
3 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/18(日) 20:50:00.51 ID:NZ5ulhjko
怪盗「じゃあ、行ってみましょうか。大体ここがどの辺か分かりそうですし」

狙撃少女「そうですね」


一行は近くにある村へと向かった
降ろされたのは森の中だったが、
すぐにそこへたどり着くことができた


炎魔「お邪魔しまーす」


>>下1……村の様子
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/01/18(日) 21:30:24.06 ID:my70Q50g0
村人「邪魔するなら帰れ」
と、武装・疎開を終わらしていないのか村人たちが慌ててる様子が目に付いた
5 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/19(月) 03:19:28.90 ID:dx1uD1Sxo
本日はここまでです
ありがとうございました
6 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/19(月) 19:33:13.38 ID:dx1uD1Sxo
村は騒がしかった
決して大きな村ではなく、
人々が慌てていることから、
これが活気によるものではなく、
これから避難などを行うためであることは容易に理解できるだろう
であるからして、
村の入口付近にいた村人はこう言った


村人「邪魔するなら帰れ」

炎魔「分かりましたー」


と言って彼女は流れるように出ていく
7 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/19(月) 21:35:45.68 ID:dx1uD1Sxo
男「違うっ!そうじゃないだろ!?」

炎魔「はっ!」


そこまで行動して、
炎魔はようやく流れから戻ってきた


中華「どうやらお取り込み中のようですね」

村人「そうだ」

氷魔「……実は……この村の近くに……街の部隊があると聞いたのですが……」
8 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/19(月) 21:37:29.25 ID:dx1uD1Sxo
村人「あぁ、こっちは避難が遅れちまってな、終わるまで近くで待機してくれてる兵隊さんがいるよ」

やる気「おお、そっすか!」

村人「若いのの中には、加勢してやるって意気込んで武装しとるやつもいるな」

ぶりっ子「まさしく、ですねぇ」

村人「なにがだ?」

ぶりっ子「私たちも、加勢するためにやってきたんですよぉ」
9 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/20(火) 04:10:53.58 ID:SzYMjVnvo
本日はここまでです
ありがとうございました
10 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/20(火) 18:58:02.67 ID:SzYMjVnvo
村人「ほぉ、そうか」

怪盗「それで、まず聞きたいことがあるんですが」

村人「なんだ?」

怪盗「ここって、どこなんですか?」


村人は、なぜそんなことも知らずに来たのかという顔をしている
だが、仕方なさそうに地図を持ってきてくれた
11 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/20(火) 23:52:35.93 ID:SzYMjVnvo
どうやらそこは、
街から南方に十数キロ離れた一つの村のようだった


狙撃少女「この辺りの地形が分かった以上、こうしてはいられません。早く兵士さんたちの元へ向かわなければ」

村人「……お前たち、本当に味方なのか?」

炎魔「はい!どうしてそんなことを?」
12 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/20(火) 23:54:16.76 ID:SzYMjVnvo
村人「だって、怪しいじゃないか。この辺りのことをなにも知らないようだし……」

男「確かに、俺たちは超怪しいな」

村人「まさか、帝国のスパイか!?」


彼がそう口走ってしまったために、
周りにいた村人たちも、一行を見る
疑念の視線が集まり始める


中華「おっと……これは誤解を解かなきゃまずそうだね」
13 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/21(水) 00:12:58.57 ID:D8KZqSQNo
本日はここまでです
ありがとうございました
14 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/21(水) 19:53:31.15 ID:D8KZqSQNo
氷魔「……そうですね……しかし……」


人の疑念を払うというのは難しいものだ
特にそれが村のような閉鎖的なコミュニティの構成員が相手であるとなおさらである


やる気「指令書でも見せるっすか?」

ぶりっ子「アリですねぇ。でも、それこそ村人の中にスパイとかいたら……」

怪盗「どうしましょう?」

男「そうだな……>>下1」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/01/21(水) 22:01:27.20 ID:lQotbQZK0
密命を持っていると思しき帝国兵士数名を捕縛していると言ってみよう
16 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/22(木) 03:52:22.67 ID:AjjBgtvVo
男「密命を持っていると思しき帝国兵士数名を捕縛していると言ってみよう」

狙撃少女「え?」

男「ギリギリ嘘とは言い切れないだろう」

狙撃少女「そ、そうですね……誰が言います?」

炎魔「ここは私に!」


彼女はどんと自分の胸を叩いたが、
一行はみな不安そうな顔をした
17 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/22(木) 03:55:14.95 ID:AjjBgtvVo
男「いや……やっぱり俺がいこう」

炎魔「そうですか?」

男「あぁ」

中華「言い出しっぺだしね」


相談タイムを終えた一行は、村人たちに向き直った


男「俺たちは、密命を受けていた帝国兵士数名を捕縛し……その密書を手に入れている」
18 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/22(木) 03:55:58.33 ID:AjjBgtvVo
本日はここまでです
ありがとうございました
19 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/22(木) 17:51:25.27 ID:AjjBgtvVo
村人「な、なんだって……?」

男「まぁ、実物は市長に渡したが……ともかく、その内容にしたがって俺たちはここにいるわけだ」


彼は余裕そうなポーズをしてみせた


村人「本当なのか?」

男「ああ、この前行った、やつらのキャンプで手に入れたんだ」
20 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/23(金) 02:36:59.99 ID:PTFzt17Io
村人「ううむ……」

男「そして、俺たちの仕事はあなたたちを無事に逃がすことでもある」

村人「それは、兵士たちもそうだろう」

男「そうだ、だがこれから兵士たちは襲撃を受ける……それも、かなり強力な部隊にな」

村人「兵士たちが……我々が、敗北すると言うのか?」


そこにはプライドがあった
戦いを前にして気が立つのは、どんな生き物でも変わらない
21 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/23(金) 02:40:08.03 ID:PTFzt17Io
男「そうとは言っていない」

村人「ふん……」

男(実際、兵たちの衝突より先手を取って動ければ、彼らに勝ちも負けもない……)


危険なムードの中、村長が村の奧からやってきた


村長「なんじゃ、ただでさえ慌ただしいというのに、この上さらにもめ事か?」
22 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/23(金) 03:57:28.44 ID:PTFzt17Io
本日はここまでです
ありがとうございました
23 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/23(金) 20:58:26.67 ID:Svpsu+fNO
すみません遅れました


男「ああ、村長ですか?すみません、お騒がせして……」

村長「一体どうしたというのじゃ?」

男「実は、近くにいる部隊を助けようと思いまして……」

村長「ふむ……それで、あの話をしていたというわけか」
24 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/23(金) 21:00:07.90 ID:Svpsu+fNO
男「はい、どうか場所を教えていただけませんか?」

村長「よかろう」

村人「村長!いいんですか?」

村長「お主も信じておるのだろう、兵士たちは負けぬと」

村人「そうですが……」

村長「ならばこそ、行かせてやればよいではないか。もしこやつらが賊であったとて、彼らは負けぬ……そう信じるのじゃ」
25 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/24(土) 04:41:50.30 ID:1gKGkbPOo
中華「あ、ありがとうございます!」

村長「状況が状況じゃ、わし含めみな心の底ではお主らのようなやつらを認められんでおる」

氷魔「……それでも……信じようとしてくれているのですね……」

村長「あぁ……お主らが探している部隊は北方の雑木林におるぞ」


彼は深緑の森を指した
葉の暗さと樹木の高さによって、
まるで夜のように見える空間だ
26 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/24(土) 04:47:59.93 ID:1gKGkbPOo
本日はここまでです
ありがとうございました
27 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/24(土) 18:58:06.70 ID:1gKGkbPOo
やる気「そっすか!ありがたいっす!」

村長「あぁ、気をつけてな」


一行は迷わずそこへと向かっていった
彼らがやってきた森とはまた異なる、
あまり温かみのない森だった


ぶりっ子「よし、急ぎましょう!」

怪盗「ここのどこに兵士のみなさんはいるんでしょうか……」
28 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/24(土) 22:39:54.18 ID:1gKGkbPOo
そう言いながら、どんどん自然に分け入る
生い茂る草は人を拒絶する森の意志のようだった


狙撃少女「視界が悪いですね、かなり嫌です」

炎魔「死活問題ですもんねー」


その瞬間、上から本当にごく小さな音がした


やる気「っ、なんか来るっす!」

男「え?」
29 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/25(日) 19:27:00.70 ID:S7V2Rvvvo
すみません寝落ちしました


男が間抜けな声を上げた次の瞬間、
樹上より強襲する存在がいた


炎魔「危ないっ!」


炎魔が男を突き飛ばすと、彼が本来いた場所に剣を持った女性が剣を振り下ろしながら現れる


女性「ちっ……」

男「うわっ!?」

中華「だ、誰!?」

女性「>>下1」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/01/25(日) 20:20:33.28 ID:lPXzklrlO
特異点を排除する!
31 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/25(日) 20:39:48.99 ID:S7V2Rvvvo
謎の女性「特異点を排除する!」


彼女の持つ剣は軽く、振り回しやすいタイプのそれだ
着地の衝撃で地面に突き刺さったそれを軽々引き抜くと、男に向かって突進した


男「お、俺かよ!なんなんだ!」

女性「はあぁぁっ!」

男「くそっ!」


素早く振り抜かれた剣閃をどうにか受け止め、
男はぎりぎり体勢を崩さずに立っていた
32 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/26(月) 03:00:44.28 ID:1dTG2DT1o
怪盗「私を放って獲物を振るうなんて、ちょっと油断がすぎるんじゃない?」


だが、彼女の後ろには怪盗が迫っていた
明らかに剣を奪い取ろうとしているのだ


女性「くっ!」


流石に危機感を感じたのか、
彼女は怪盗が手を伸ばす直前に煙玉を地面へ叩きつけた
33 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/26(月) 03:03:24.76 ID:1dTG2DT1o
本日はここまでです
ありがとうございました
34 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/26(月) 19:24:43.86 ID:IRpbiX8OO
危機感を感じたって書いてますが、危機感を覚えたですね……ミスしました


怪盗「煙幕!?」

女性「はっ!」


そして彼女は跳び上がり、
そのまま茂る木々の中へと消えていった
その強い殺意から、次にまみえるときは必ず殺しに来るだろう……と男は直感した


やる気「追うっすか!?」

男「いや、待ってくれ!」
35 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/27(火) 03:41:07.02 ID:mu+BF4lRo
やる気「どうして!」


とりあえず止まった彼だったが、
ほかに消えていった彼女の後を追える者はいなかった


男「分断を狙っている可能性もある……ここでやる気を一人にして、俺たちと別行動になるのはまずい」

狙撃少女「そうですね、一人だけのやる気さんも、やる気さんのいない我々も、安定感がないです」
36 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/27(火) 03:43:11.02 ID:mu+BF4lRo
やる気「……それも、そうっすね」


彼は構えかけた槍を下ろした
慣れない土地、奇襲の恐怖、追える敵
焦燥が高まる要素の多さそのものに対して、
男は強く警戒していた


中華「とはいえ、とっさに逃げた方角にはなにかある可能性が高いよね」

氷魔「……そうですね……わずかに方向が違うかもしれませんが……」
37 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/27(火) 03:43:56.52 ID:mu+BF4lRo
本日はここまでです
ありがとうございました
38 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/27(火) 19:21:59.19 ID:mu+BF4lRo
男「遊軍と合流するあてもない……みんなでそっちに行くことにしよう」

やる気「じゃ、あっちの方角っすね」


一行はやる気の先導の元、方向を変えて歩き始めた


ぶりっ子「また奇襲されたら怖いですねぇ……」

怪盗「特異点って言ってましたけど、なんのことなんでしょう?」
39 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/28(水) 04:27:29.20 ID:FjoKrDGOo
狙撃少女「なにか大きなものの流れにおいて……転換点となるようなもののことを指します」

怪盗「男に襲いかかってたし、じゃあ男がデカいこと成し遂げるってことかな?」

狙撃少女「うーん……あるいは、その『デカいこと』をするものの誕生や育成に関わっていても特異点と言うには十分だと思います」

怪盗「へー、じゃあ必ずしも男がデカいことするってわけじゃないんですね」


その話を聞いていた男は、
黙ってはいられぬとばかりに声を発した


男「だが、俺の夢はビッグだ」
40 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/28(水) 04:46:17.70 ID:FjoKrDGOo
本日はここまでです
ありがとうございました
41 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/28(水) 20:00:56.54 ID:FjoKrDGOo
炎魔「ふふ」

男「おい、笑うなよ!」

炎魔「自信があるんだかないんだか、不思議な人ですね」


思い出したように中華が口を開く


中華「でも、そういう特異点って考えるなら……どっちかといえば市長さんとかのほうがそれっぽくない?」
42 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/28(水) 21:08:50.91 ID:FjoKrDGOo
男「確かに」


特異点、という響きではあまり考えないが、シンギュラリティという言葉に直せばまさにその通りだ、と男は思った


やる気「あ、なんかあるっすね」

氷魔「……様子を窺いましょう……」


一行は息を潜め、近くの草むらに隠れ、
見つかったものを確認した


>>下1……見つかったものとは
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/01/28(水) 23:28:51.62 ID:2KIbtzDK0
スライムの集団
44 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/29(木) 03:40:27.06 ID:eH34yt/Ao
本日はここまでです
ありがとうございました
45 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/29(木) 18:11:56.31 ID:eH34yt/Ao
ぶりっ子「スライム……?」


見れば、獣道を覆い尽くすほどのカラフルな粘液
そう、そこには大量のスライムが居たのである
彼らは移動しており、どこかへと向かっている


怪盗「どうしてこんなところに……?」

狙撃少女「なにか妙ですね」
46 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/30(金) 03:49:40.70 ID:ncfAum/Wo
中華「本当にこの森に遊軍がいるのか、不安になってきたよ」

男「……聞いてみるか」

中華「え?」

男「あのスライムに聞いてみよう。話が通じるかもしれない」


男の提案には、流石に誰もが口をぽかんと開いた
一部のメンバーは露骨に怪訝な表情をしている
47 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/30(金) 04:34:43.91 ID:ncfAum/Wo
本日はここまでです
ありがとうございました
48 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/30(金) 19:47:33.88 ID:ncfAum/Wo
氷魔「……この森……人を狂わせる魔翌力があるのかもしれません……」

やる気「警戒すべきっすね」

男「いや、至って俺は正気だ……もし襲われたらまずいから、バックアップを頼むぞ」

ぶりっ子「ちょっとぉ!?」


彼は隠れている茂みからずいと体を出す
あらゆる生物と会話が可能な能力を持っている男は、
臆することなくスライムに話しかけた


男「この辺りで、人間の軍隊を見かけなかったか?」

スライムA「>>下1」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/01/30(金) 21:40:42.83 ID:xKrZu+4BO
皆スライムになっちゃた。僕は元々ここで暮らしてたスライムだけど
50 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/31(土) 05:21:58.99 ID:8+0cqL4Io
スライムA「皆スライムになっちゃた。僕は元々ここで暮らしてたスライムだけど」

男「へっ?」

スライムA「人間さんならいっぱいいたよ。でも、みんなこんな感じになっちゃって」


どうやら彼が言うには、男たちが探していた友軍が、
全てスライムになってしまったようである


怪盗「と、とんでもない話ですね……」
51 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/31(土) 05:24:14.98 ID:8+0cqL4Io
男がスライムの言葉を仲間に伝えると、
まず怪盗がそれに驚いて茂みから出てきた


男「……困ったな。なにもかも」

狙撃少女「なぜこんなことに……どうやって戻せばいいんでしょう?」


大移動をしていた元人間のスライムたちも、
一行がやってきたのを見て動きを止めた


炎魔「それこそ、この森の魔翌力なんでしょうか……?」
52 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/31(土) 05:27:47.34 ID:8+0cqL4Io
本日はここまでです
ありがとうございました
53 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/31(土) 18:44:54.66 ID:8+0cqL4Io
男「炎魔だったらなんか聖なる力で戻せたりとか……」

炎魔「え、わかんないです。でも無理だったらみんな焼けて消えますよ。一応魔物なんで」


と彼女が言うと、
一面に広がっていたスライムたちの群れが、
炎魔の周りからだけ綺麗に引いた


スライムA「や、やめてね?」

中華「すっごい怖がられてる……」
54 : ◆cUhskXlNTw :2026/01/31(土) 19:57:23.87 ID:8+0cqL4Io
氷魔「……他のスライムは……なにか言っていないのですか……?」

男「うーん……多分、スライムの体じゃ人間の言葉は喋れないし……もちろん、スライムの言葉もよく分からないんだろう」


多くのスライムたちもなにかを伝えようと声を上げていたが、男ですらそれを理解することはできなかった


やる気「そりゃ困ったっすね」
55 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/01(日) 19:16:42.69 ID:b82GdPKdo
すみません寝落ちしました


男「なにか知らないか?なぜ彼らがスライムになってしまったのか……」

スライムA「うーん、そういえば誰かいたような」

男「どんなやつだった!?」

スライムA「本当にちらっと見えただけだから分からないんだ。その後すぐに魔法陣みたいなのが地面に浮かんで……」

男「それで、みんなスライムに変えられてしまったと」

スライムA「うん」
56 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/02(月) 03:54:56.68 ID:FzJURP9Lo
男「……間に合わなかったということか」


彼は俯いた
恐らく、彼らを襲ったのが件の先攻部隊であろうと男は判断したのである


ぶりっ子「これからどうしましょう……」

男「喫緊の課題は、村がまだ安全かどうかを確認することだ」

怪盗「みなさんやられちゃったみたいですし、村の人々の方に敵が向かっていてもおかしくないですね」
57 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/02(月) 03:56:55.95 ID:FzJURP9Lo
男「そして、忘れてはならないのが……スライムと化してしまった彼らだ」

狙撃少女「どうにかして、元に戻す方法を知らなければなりませんね」

炎魔「しかも、本来の目的は敵の部隊の鹵獲ですもんね」

男「あぁ、非常に苦しい状況だ……」


しかし、だからこそやるべきことに全力を出すしかなかった
男は内心で苦しみながらも踵を返し、
元来た方向へと進み始めた
58 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/02(月) 03:59:13.03 ID:FzJURP9Lo
本日はここまでです
ありがとうございました
59 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/02(月) 19:21:08.78 ID:FzJURP9Lo
一行は急いで森の中を戻った
流石に来た道は分かるので、
隠密性などは度外視してとにかく走った


中華「まだ誰にも会わないね」

氷魔「……そろそろ村です……警戒しましょう……!」


そして、森の出口まで一行はたどり着く
先ほどのように茂みに隠れて、
村の様子を窺うことにした


>>下1……村の様子
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/02(月) 20:31:32.79 ID:KuFGtgWw0
まだ平穏な状態
61 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/03(火) 03:24:24.92 ID:fwjQWKVoo
その様子は先ほどと変わらずといった具合であった
まだ何者かが攻め入ってきたようには感じられない


やる気「大丈夫そうっすね」

ぶりっ子「それなら、森に戻りましょう」

男「あぁ、どうにか奴らを叩く方法を考えなくては……」


つとめて冷静であろうと力むほど、
焦りが感じられる口調で話す
62 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/03(火) 03:25:49.89 ID:fwjQWKVoo
本日はここまでです
ありがとうございました
63 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/03(火) 18:59:31.09 ID:fwjQWKVoo
炎魔「私に名案あり」

怪盗「おぉ、なんですか?」

炎魔「私が翔んで、空から索敵すればいいんですよ!」


確かに、敵を発見できる期待値は高い作戦である
だが、男は露骨に嫌そうな顔をした


男「リスクが高すぎる」

炎魔「みなさんは隠れていればいいので、大丈夫では?」

男「そりゃそうだろう。炎魔のリスクの話をしているんだ」
64 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/04(水) 03:10:53.24 ID:kna5FgJjo
炎魔「私にはこの肉体があります」


彼女は宥めるように、炎を静かに昂らせた


男「だが、兵士たちの惨状を見ただろう」

狙撃少女「とんでもないことになっていましたね……」

男「確かに、傷つけられても再生するかもしれない。痛みもないかもしれない。だが、肉体を変容させるような魔術に耐性があるのか……それはまだ分からない」
65 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/04(水) 03:12:55.41 ID:kna5FgJjo
本日はここまでです
ありがとうございました
66 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/04(水) 19:20:02.59 ID:kna5FgJjo
炎魔「……だから、なんだと言うんですか?」

男「っ」

炎魔「あなたは私のことを子供だと思っているかもしれませんが、私だって一人の人間のつもりです!」


彼女は勢いよく男に掴みかかった
別にそれを誰も止めようとはしなかった


男「……勇気と無謀は違うぞ」
67 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/04(水) 19:21:47.07 ID:kna5FgJjo
炎魔「それも、分かっているつもりです」

男「なら、俺の意見として述べるが……俺は炎魔を行かせたくない」


そこで、彼女はにやりと笑って男を離した


炎魔「私は行きたいです。絶対に」

男「なら、止められはしないな……気をつけて行ってこい」
68 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/04(水) 19:25:02.24 ID:kna5FgJjo
炎魔「はい!」


男は一つ大きくため息をついて、
葉陰から大空へ飛び立つ炎魔を見上げた


中華「よかったの?」

男「ガキじゃないんだ」


と彼が呟いた瞬間に、空から声がした


炎魔「空に、なにかいます!?」

氷魔「……え……!?」

やる気「い、一体なにがいるんすか!?」

炎魔「>>下1」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/04(水) 20:57:15.67 ID:AMd0uTz60
「…鳥? こうもり? 獅子の様にも山羊の様にも見えます。猿とも言い難いし大蛇にも見えます!?」
70 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/05(木) 02:01:21.23 ID:2LdUGMzQo
本日はここまでです
ありがとうございました
71 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/05(木) 19:50:41.16 ID:2LdUGMzQo
炎魔「…鳥? こうもり? 獅子の様にも山羊の様にも見えます。猿とも言い難いし大蛇にも見えます!?」


と、困惑した声が聞こえてくる


男「ま、まずい!とにかく降りてくるんだ!」

炎魔「はいぃ!」


男は、常軌を逸したその生物の存在にも驚いていたが、実は炎魔が精神や認知に攻撃をされているのではないかと懸念していた
72 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/06(金) 03:28:03.78 ID:vZpDxu6qo
彼女は力を抜き、垂直落下で降りてきた
もとい、落ちてきた
体質が体質なのでこれでも問題はないのだ


???「キュオオォーンッ!!」

ぶりっ子「はっ!」


だが、そんな彼女を追って『それ』は急降下してきた
聞いたこともないような唸り声を上げて、
逆光で見づらいそれが天から駆けずり落ちてくる
73 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/06(金) 03:29:16.43 ID:vZpDxu6qo
本日はここまでです
ありがとうございました
74 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/09(月) 19:41:13.57 ID:cOikTwDmo
すみませんここ数日書き込めませんでした


それは彼女が述べた通りの存在であった
百獣の特徴を持った、辛うじて四足獣と形容するのが限度であるそれは、ついに大地へと降り立った


怪盗「ま、マジでなんなの!?」

???「オォォ……」

狙撃少女「なんでしょう、キメラでしょうか……?」
75 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/09(月) 19:45:35.71 ID:cOikTwDmo
男「くそっ、なんとか言え!お前はなんなんだ!?」

???「ガアァァーッ!」


だが、男の呼び掛けも空しく、
その獣は飛びかかってきた
意志が存在しないか、
会話を試みる気もないということだ


中華「やるしかないのか!」

氷魔「……はっ……!」
76 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/10(火) 04:12:05.20 ID:wPvr/QNVo
やる気「こ、これはっ!」


臨戦態勢を取った一行だったが、
その足元には魔法陣が出現した
直感的に、兵士たちがスライムに変えられてしまったそれであると理解できるだろう


怪盗「まずい、離れないと______」

ぶりっ子「ぴゅん太郎ーッ!!」


彼女は咄嗟に叫び、必殺技を地面に叩きつけた
77 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/10(火) 04:14:00.15 ID:wPvr/QNVo
本日はここまでです
ありがとうございました
78 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/10(火) 19:32:00.82 ID:wPvr/QNVo
怪物に気を取られて魔法陣への反応が遅れた一行だったが、
必殺技によってその効果範囲から弾き飛ばされた


狙撃少女「なっ!?」

炎魔「うわぁっ!」


しかし、詠唱者であるぶりっ子だけは、
その風に乗って魔法陣から脱することができなかった
そして、それは効力を発動し、
ぶりっ子の姿を>>下1に変えてしまった
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/10(火) 19:36:37.20 ID:4bmcowBU0
淫魔『サキュパス:上位種』
80 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/11(水) 05:03:07.40 ID:gY8figaSo
中華「くぅっ……」


中華たちはまとまって近くの茂みに弾き飛ばされた


氷魔「……あ……あれは……!」


そして、氷魔はかつて魔法陣があった場所……
つまりぶりっ子のいる場所を確認して、
その両面を大きく見開いた
81 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/11(水) 05:04:13.03 ID:gY8figaSo
本日はここまでです
ありがとうございました
82 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/11(水) 19:24:18.37 ID:gY8figaSo
ぶりっ子「あ、あれ?スライムになってない……?」


彼女は自分の両手を見て、そのことを確認する
だが、他者から見ればその姿には確かに変容が起こっていた


怪盗「なんですか、あの姿……?」


その頭にはねじれにねじれた角が一対生えていて、
蝙蝠のような翼をも背中より生やし、
目に見えるほどの魔翌力的な瘴気を大気に漂わせていた
83 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/12(木) 19:43:31.92 ID:jskmIz9Oo
すみません昨晩はうまく書き込めませんでした


狙撃少女「も、もしかしてあの姿は……」

氷魔「……えぇ……間違いありません……淫魔の類でしょう……」

中華「そ、そんな!」

氷魔「……しかも……かなり高位のそれです……まだ……人間としての意志があればよいのですが……」


四人が戦いていると、
がさり、と近くの茂みから音がした
84 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/12(木) 19:51:12.40 ID:jskmIz9Oo
怪盗「誰かいます!」

中華「あの怪物が弾き飛ばされたのは逆側だ!となれば、あいつが魔法陣を使用した張本人に違いない!」


彼は迷わず音のした茂みに向かって駆け出した


狙撃少女「ひ、一人では危険です!」

氷魔「……行きましょう……」

怪盗「私が一番乗りです!」


彼らは何者かが逃げ込んだ茂みに飛び込んだ
そこにいたのは、>>下1であった
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/12(木) 22:55:56.42 ID:WqZrIOstO
不自然に青い液体を滴らせた黒ローブの存在
86 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/13(金) 04:06:13.43 ID:aHuZ/zG0o
黒ローブ「!」


そこにいたのは、
黒ローブを纏った、人型と思われる存在であった


中華「おまえか!」

氷魔「……なんでしょう……あれ……」


だが、そのローブの隙間のあちこちから、
見たこともない青く濁った液体が漏れ出している
87 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/13(金) 04:17:27.00 ID:aHuZ/zG0o
本日はここまでです
ありがとうございました
88 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/13(金) 19:18:46.60 ID:aHuZ/zG0o
中華「いくぞ!」

怪盗「ま、待ってください!相手が何者なのかまだ分かりきっていないんですよ!?」

中華「仲間に手を出されたんだよ!?落とし前をつける!」


彼はそう宣言して槍を構えた
その目つきは完全に魔王のものだった


狙撃少女「あまり、突出しないでくださいね!」
89 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/14(土) 02:57:44.54 ID:I64VVc+oo
黒ローブ「あ、うあ」


逃走は現実的ではない距離感だが、
その存在は再び走り出す


氷魔「……おや……?」

中華「もらった!」


リーチに優れた彼の攻撃が、
そのローブを勢いよく刺し貫く
90 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/14(土) 04:11:01.59 ID:I64VVc+oo
本日はここまでです
ありがとうございました
91 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/14(土) 18:33:06.26 ID:I64VVc+oo
だが、中華が覚えたのは言いようもない違和感だった
まるで手ごたえがないのである


黒ローブ「ぶぐぐ……」


そして、そのローブの内からごぼごぼと音を立ててゲルが漏れ出す
それが次第に地面に集まるとともに、
衣服は脱け殻になっていくのだ
92 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/15(日) 05:01:44.76 ID:vyFIR/eso
怪盗「ひっ!?」


ゲルは散らばったのちに集合し、
いびつなスライムのような形状になった
その姿は人間を模倣しようと絶えず蠢いているが、
決して完成せず奇怪な形をとり続けている


狙撃少女「人間どころか、人型の生物ですらなかったようですね」

中華「く……」
93 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/15(日) 05:03:03.11 ID:vyFIR/eso
本日はここまでです
ありがとうございました
94 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/15(日) 19:28:33.27 ID:vyFIR/eso
ゲル「ぐじゅ……」

氷魔「……さて……どうしましょうか……」


氷魔は慎重にゲル生命体の出方を窺っている


中華「おい、お前!変化させられた仲間たちを戻せ!……今ならまだ許してやる」

ゲル「>>下1」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/15(日) 19:58:12.35 ID:/zMxIpANO
ゆるす、なぜ……?おまえもなれば、ひつよう、ない……
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/15(日) 20:32:47.90 ID:le+Hz8SI0
こ、とわる、ダイ、ま、おうさ、まの、めい、だ
97 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/16(月) 04:38:47.05 ID:CZfrSxEWo
ゲル「ゆるす、なぜ……?おまえもなれば、ひつよう、ない……」


それは途切れ途切れに呟くと、
再び魔法陣を発生させた
詠唱はごく短いものであり、
人間的な知性をあまり感じさせない態度とは裏腹に、
深遠な魔術へ深く精通していることが明らかとなる


怪盗「危ないです!」
98 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/16(月) 04:43:56.69 ID:CZfrSxEWo
しかし、流石に警戒していたため、
彼らはそれを避けることができた
全員は最小限に散開し、
ゲル生命体への注意を逸らさない


ゲル「……わ、わからな……い。なぜ、避け……るの?」

氷魔「……恐らく『それ』……巻き込まれると魔物にされてしまう……そういった魔術ですね……」

狙撃少女「やはりですか。……私たちは人間のままでいたいんです。だから、食らうわけにはいきませんね」
99 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/16(月) 04:49:05.75 ID:CZfrSxEWo
本日はここまでです
ありがとうございました
100 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/16(月) 19:16:25.06 ID:CZfrSxEWo
一方その頃、残りのメンバーは奇怪な化物と対面していた


男「くっそ、分断されたか……」

やる気「ま、俺っちがいればどんな相手だろうが余裕っすよ!」

炎魔「おぉ、頼りになるーっ!」

化物「ジュオォォ……」


どんな生物のようでもあるそれは、
明確な敵意を三人に向けていた
101 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/17(火) 01:37:32.85 ID:AbZrfLaHo
男「来る!」

化物「ゴボォッ!」


混沌としたその生き物は、
口から気化しつつある汚泥のようなものを吐き出した


やる気「おっと!」

炎魔「わわっ!?」


一行が回避行動を取り、臨戦態勢に戻る
だが、そのとき、近くからさらなる乱入者が現れた
102 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/17(火) 01:39:01.45 ID:AbZrfLaHo
本日はここまでです
ありがとうございました
103 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/17(火) 19:41:31.26 ID:AbZrfLaHo
風を切る音が鋭く響き、
両者の間に一つのシルエットが割って入ってくる


ぶりっ子「ふぅー……ふぅー……」


それは、ぶりっ子だった
やはり、その姿は魔族のそれであり、
角も翼も現れたままである


男「ぶ、ぶりっ子……なのか?」

ぶりっ子「>>下1」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/17(火) 19:46:46.17 ID:wEQhZArw0
当然じゃないですか!? こんな格好、恥ずかしくて今にも倒れそうですよ!?(言いながら股をモジモジさせる)
105 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/17(火) 20:42:56.01 ID:AbZrfLaHo
ぶりっ子「当然じゃないですか!? こんな格好、恥ずかしくて今にも倒れそうですよ!?」


彼女はかつてないほどに赤面しながら、
甲高い声で叫んだ
周りの視線が恥ずかしいのか、
腕や手でデリケートゾーンを隠しながら、
内股でもじもじしている


やる気「あ、あぁ……確かにめちゃくちゃ姿違うっすね。一瞬野生の痴女が現れたのかと」

ぶりっ子「ぶっ飛ばしますよ!?」
106 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/18(水) 04:40:04.11 ID:jmYb+5f2o
ぶりっ子の服装は淫魔特有の、
やけに露出が多く薄手の生地で作られたそれになっているのだ


炎魔「……えっと、とにかく一緒に戦ってくれるんですよね?」

ぶりっ子「えぇ!……でも、炎魔ちゃんはあんまり適当に炎出さないでくださいね!」

男「そうか、今のぶりっ子が食らったら普通に死ぬかもしれないな」
107 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/18(水) 04:41:24.71 ID:jmYb+5f2o
本日はここまでです
ありがとうございました
108 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/18(水) 19:09:01.54 ID:jmYb+5f2o
男の【素早さ】213
化物の【素早さ】211


やる気「さぁて、ぶっ飛ばすっすよ!」

ぶりっ子「とっても屈辱的なんですけど、この姿になって……私は新たな力を得ました!」

炎魔「そ、そうなんですか?」

男(まさか、あの化物にも対抗できるような力なのか?)

やる気「一体、どんなことができるようになったんすか?」

ぶりっ子「>>下1」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2026/02/18(水) 19:35:20.46 ID:Wc0pGj/9O
簡単に言うと魔力を直接操作する力を得ました!例えば、こんな風に!(化物に向かって手を握りしめ、化物が見えない糸に縛られたように藻掻きながらも動きを止める)
110 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/19(木) 03:58:01.47 ID:s+Iyseyno
ぶりっ子「簡単に言うと魔翌力を直接操作する力を得ました!例えば、こんな風に!」


彼女は伸ばした両手をだんだんと握り締めていく
なにをしているのだろうか、
と他のメンバーは思ったが、
それに連動して今にも飛びかかりそうだった名状しがたい怪物がもがき始めたのだ


炎魔「お、おぉ?」

ぶりっ子「ふっふっふぅん……」
111 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/19(木) 04:25:36.99 ID:s+Iyseyno
本日はここまでです
ありがとうございました
112 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/20(金) 18:35:47.95 ID:U0jVHSpHo
すみません昨日は書き込めませんでした


化物「グ、ゴゴッ……!」


なにかに縛りつけられているような動きを見せるそれだったが、
だんだんと動きは鈍くなっていき、
ついには身動きが取れなくなってしまった


男「おぉ……!」

やる気「こりゃすごいっすね、どんな奴でも止められそうじゃないっすか?」
113 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/20(金) 20:36:03.30 ID:U0jVHSpHo
ぶりっ子「ある程度誰にでも効果は出ると思いますよぉ。ここまで効くかどうかは……怪しいところですねぇ」

炎魔「へぇー」

ぶりっ子「あ、炎魔ちゃんには多分めちゃくちゃ効きますよ。こいつより効くかも」


そう言って彼女は動けなくなった怪物を足蹴にした


男「どういうことなんだ?」
114 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/20(金) 20:45:44.61 ID:U0jVHSpHo
ぶりっ子「こいつ、めちゃくちゃ魔翌力出してるんですよぉ。なので、大気中から無理やり出したり、私のものを放ったりしなくても充分な量の操作できる魔翌力があるんですよねぇ」


どうやら、ぶりっ子は魔翌力そのものをある程度近くする能力も得ているようだった


やる気「ってことは、炎魔も?」

ぶりっ子「炎魔ちゃんは魔翌力出てるどころか、肉体そのものが魔翌力で構成されてる部分があるので」
115 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/21(土) 04:05:22.76 ID:NouKxtcno
本日はここまでです
ありがとうございました
116 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/21(土) 18:17:27.58 ID:NouKxtcno
炎魔「ひぃ……」

男「随分便利そうじゃないか」

ぶりっ子「この与えられた服装は最悪ですけどねぇ」


彼女は羞恥であまり感じていなかったが、
普通に考えたら肌寒い服装でもある


やる気「俺っちも欲しいっすね、そういう力……」

男「結局……戻りたいのか?人間に」

ぶりっ子「>>下1」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/21(土) 19:57:16.29 ID:OWlHz9pv0
「当たり前じゃないですか!? こんなんじゃあただの痴女ですよ!?」

青銅の箱が分厚いシスター服を用意してる
118 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/21(土) 20:58:22.97 ID:NouKxtcno
ぶりっ子「当たり前じゃないですか!? こんなんじゃあただの痴女ですよ!?」


彼女は全身を震わせて再び叫んだ


男「意外だな」

やる気「え、ぶりっ子を痴女だと思ってたんすか?」

ぶりっ子「はぁ!?」

男「ち、ちげーわ!」
119 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/22(日) 04:42:11.07 ID:Oh+tPKDuo
ぶりっ子「はぁ、もう!バッグ出してくださぁい!」

男「うわっ」


ぶりっ子は男の持っていた所持品入れをひったくると、
そこから青銅の箱を取り出した


炎魔「あっ、それは」

ぶりっ子「そいっ!」


そして、彼女は勢いよくその蓋を開けるのだった
120 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/22(日) 04:43:17.11 ID:Oh+tPKDuo
本日はここまでです
ありがとうございました
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/22(日) 07:17:16.69 ID:rMj1jq1h0
エス速、立ち直ったんですね
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/22(日) 13:05:12.22 ID:rccBynErO
今日から参加できる
123 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/22(日) 19:57:45.32 ID:Oh+tPKDuo
ぶりっ子「おお、これこれぇ!」


中に入っていたのは、厚手のシスター服だった
彼女は迷わずそれを上から羽織り、
修道女然とした格好になったのだった


やる気「これで捕まることはなさそうっすね」


修道服の下に例の際どい服が隠されているのだと思うと、
それはそれで危険な香りがするなぁ、
と男は思ったが、努めて顔に出さないようにした
124 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/22(日) 23:26:09.57 ID:Oh+tPKDuo
一方、中華たちとゲル生命体とはいまだ睨み合っていた


中華「痛くするからな!後悔するなよ!」


彼が武器を抜くと、他のメンバーも臨戦態勢に入り、
ゲル生命体との戦いが始まった


怪盗「ぶっ飛ばします!」
125 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/23(月) 04:06:11.21 ID:OB4X3pvWo
本日はここまでです
ありがとうございました
126 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/23(月) 18:39:44.78 ID:OB4X3pvWo
怪盗の【素早さ】363
ゲル生命体の【素早さ】80


中華「……とはいえ、物理攻撃は効果が薄そうだ」

狙撃少女「保険のつもりで持っていたしまが、予想外の活躍になりそうですね」


彼女は懐からスパークナイフを取り出した
電撃はよく効くであろうと踏んだのだ
そして狙い澄まし、綺麗なフォームでそれを投げつけた


>>下1コンマ下一桁×3.5×2……攻撃のダメージ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/23(月) 19:43:56.31 ID:7Fx8k2j00
アゲ
128 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 03:41:22.11 ID:IDfh5OwDo
7ダメージ!


それは意外にも早い反応速度で、
肉体を変形させてナイフの投擲を躱した


ゲル「ぐぎぃ……」


だが、僅かにかすってしまった
普通のナイフならたとえ人間であっても支障のない怪我であるが、
電撃が走ることによって、
それは必要以上にダメージを負った
129 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 03:43:10.17 ID:IDfh5OwDo
狙撃少女「思ったよりやりますね」


彼女の口調は冷静だったが、
誰にも見られないようにその下唇は噛まれた


中華「……ここは、大事をとったほうがいいかな」

怪盗「そうですね、油断したらなにされるか分かりません」
130 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 03:44:38.39 ID:IDfh5OwDo
本日はここまでです
ありがとうございました
131 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 18:43:03.45 ID:IDfh5OwDo
二人は同時に振り向いた
その視線の先には、氷魔がいた


氷魔「……氷漬けにしたら……話が聞けないかもしれませんが……」

狙撃少女「承知の上です。まずは勝たないと」

氷魔「……そうですね……」

中華「ぶりっ子や、スライムになったみんなには悪いけど……」


彼女は意を決し、素早く詠唱を行った


氷魔「……究……極……っ……氷……魔法……ッ!」


>>下1コンマ下一桁×10+10……魔法のダメージ
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/24(火) 19:10:48.16 ID:wo3VcD4aO
133 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 20:52:29.81 ID:IDfh5OwDo
70ダメージ!レベルアップ!


ゲル「は……!」


肉体操作で攻撃を避けんとしたゲル生命体だったが、
その体積を遥かに上回る氷塊の凝結によって、
その全身は封じ込められることになった


怪盗「相変わらず、とんでもないサイズですね……」
134 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 20:57:37.31 ID:IDfh5OwDo
成人男性の平均身長をやや下回る体格のそれは、
高さ八メートルほどの氷塊を贅沢に使って収まっている


氷魔「……ふぅ……ふぅ……」

中華「お疲れ様」

狙撃少女「ひとまず、危機的状況は脱しましたね」

怪盗「他のみなさんと合流しましょう」
135 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/25(水) 18:35:38.82 ID:g/INGbNwo
すみません寝落ちしました
今日は氷魔のレベルアップ処理から行います

氷魔がレベルアップ!

?氷魔の成長テーブル?
01?20で筋力+2
21?40でHP+2
41?60でMP+6
61?80で素早さ+2
81?90で全能力+4
それ以上またはゾロ目で何かが起こる

>>下1コンマ……氷魔の成長
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/25(水) 18:58:17.63 ID:oPgoW26nO
ぬん
137 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/25(水) 20:50:42.11 ID:g/INGbNwo
氷魔の【素早さ】153


四人が行動を開始しようとしていると、
そこにはぐれた残りのメンバーがやってきた


中華「おお、今から探しに行こうかと思ってたところなんだ」

男「そうか?こんだけ目立つ氷があるなら、しばらくここにいればいいのに」

やる気「俺っちらは急に冷気が流れてきて、氷が見つかったからこっちに来たんすよ」
138 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/25(水) 20:59:53.76 ID:g/INGbNwo
氷魔「……ええ……術士と……戦闘になりまして……」

ぶりっ子「ってことは、こいつが?」


彼女はがんがんと氷を叩いてみせる


怪盗「そうですね、見ての通りですが、どうも人間ではなかったようですよ?」

炎魔「本当だ、なんかとろけてる……」
139 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/26(木) 01:06:39.77 ID:fkKzhcy8o
本日はここまでです
ありがとうございました
140 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/26(木) 18:17:36.03 ID:fkKzhcy8o
狙撃少女「しかし……倒しはしましたが」


当然、かけられた術を解除するための方法は聞き出していない


男「これからこいつのこと、どうしようかな」

中華「どう?実は魔法が解けてきてたりしない?」

ぶりっ子「そうですね……>>下1」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/26(木) 19:42:36.30 ID:GHLmP98/o
まだ何の実感もないです
142 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/26(木) 20:48:41.25 ID:fkKzhcy8o
ぶりっ子「まだ何の実感もないです」


その言葉通り、生えてきた角も翼も、
まだ消えてはいなかった


氷魔「……では……対策を練らなければなりませんね……」

やる気「どうすか?こいつ氷から出すっすか?」

男「ま、そうしなきゃ会話できないしな……」
143 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/27(金) 18:59:14.33 ID:ToAssosyo
すみません寝落ちしました


氷魔「……わかりました……『メルティング』……っ」


彼女がそれを行使すると、
巨大な氷は一斉に砕け、溶けた
ゲル生命体は完全に人の形を保たなくなり、
その場に広がった


男「よし来た、氷魔、こいつを受け取ってくれ」


彼は荷物の中にあった氷スライムを、ケースから取り出して氷魔に投げ渡した
144 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/27(金) 19:01:24.56 ID:ToAssosyo
氷魔「……あ……はい……」


魔法の使用によって体が温まっていた______それでも常人の体温より一℃は低いのだが______氷魔は、それを受け止めると自分の顔に触れさせた


ぶりっ子「お、回収するんですねぇ」


男はその空いたケースに、
ゲル生命体をぎちぎちに詰め込んだ
145 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/28(土) 03:24:45.18 ID:7UhDdetfo
男「放っておいたらなにされるか分からんからな」


それはまだ気絶しているようだった
目覚め次第攻撃されるリスクがあったため、
男は容器に閉じ込めることを選択したのだ


怪盗「結局、こいつが目覚めるのを待つんですね」

男「そうなるかもしれないが、その前に確認しておきたいことがあるな」
146 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/28(土) 04:07:57.80 ID:7UhDdetfo
本日はここまでです
ありがとうございました
147 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/28(土) 19:35:12.38 ID:b5ubx46TO
そして一行は、先ほど訪れた場所……
スライムに変えられてしまった兵士たちのいる地点へと向かったのだった


狙撃少女「やはり、まだですね」


ぶりっ子が淫魔のままであるように、
彼らもまたスライムのままであった


中華「となるとやはり、このゲルに聞くしかないのか……」
148 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/28(土) 19:37:22.96 ID:b5ubx46TO
男「いや、俺が確認したいことはそれじゃない」

氷魔「……?……」


そう言うと彼は、先ほど会話が成立したスライムAの元へ歩いた


男「なぁ、こんなやつを捕まえたんだが……同じ粘液生命体だし、なにか分かったりしないか?」


と言ってスライムAに、
ケースに入れられたゲル生命体を見せた


スライムA「>>下1」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/28(土) 19:42:15.76 ID:hduqxsDn0
僕たち『自然体』と違ってゲル状は『人工物』だよ。もしかしたら元は別の何かだったかも?
150 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/01(日) 03:54:41.00 ID:+hCd2K8no
スライムA「僕たち『自然体』と違ってゲル状は『人工物』だよ。もしかしたら元は別の何かだったかも?」


どうやら、厳密には全く異なる生き物のようだった


男「ふむ、そうか……こいつはスライムとは違って人工的なんだな」

ぶりっ子「片言でしたけど、会話もできましたねぇ」
151 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/01(日) 04:12:55.93 ID:+hCd2K8no
本日はここまでです
ありがとうございました
152 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/01(日) 18:17:08.61 ID:+hCd2K8no
やる気「ってことは……妙な可能性が出てきたっすね」

怪盗「というと?」

やる気「俺っちらはこいつが土着の魔物だと思ってたっすけど……こいつこそが、帝国の差し向けた部隊なんじゃないっすか?」

狙撃少女「なるほど、ありえそうですね」

炎魔「あいつが何らかの方法で帝国に作られた存在である……というわけですね」
153 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/02(月) 05:26:20.82 ID:6lyVq1cYo
中華「なら、市長からもらった兵器使えばよかったなぁ」

氷魔「……どの程度……効いたのかは……未知数ですが……」

男「さて、これからどうしたものか」


選択肢は二つだった
スライムに変えられた兵士たちとそこにいるか、
再び村の様子を確認しに行くかである
154 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/02(月) 05:28:40.59 ID:6lyVq1cYo
本日はここまでです
ありがとうございました
155 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/02(月) 18:23:18.10 ID:6lyVq1cYo
やる気「うーん……どうしたもんっすかね」


と一行が考えていると、
ケースの中に入っているゲル生命体が動き出した


ゲル「あ……う……」

ぶりっ子「あっ!」

怪盗「目を覚ましたみたい」
156 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/02(月) 20:42:08.47 ID:6lyVq1cYo
狙撃少女「ようやくですか」

ゲル「こ、ここは……」

炎魔「あなたは今、ケースに捕まっているんですよ」


ゲル生命体はケース内で伸び縮みしたが、
そうしたことを考慮されているケースなので、
傷つくことはなかった


中華「いいかい、ここの人たちも、ぶりっ子も、魔物に変えられて困っているんだ。どうにか戻せないかい?」

ゲル「>>下1」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/02(月) 20:50:21.90 ID:BFbgRTKH0
無理、だ。呪いは、大魔王様、でも解けない。
158 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/03(火) 02:20:25.35 ID:1FjsxMJUo
ゲル「無理、だ。呪いは、大魔王様、でも解けない。」

男「な、なんだと……!?」


その場に戦慄が走った
聞いていたスライムたちは硬直し、
ぶりっ子の表情も曇った


氷魔「……嘘をつけば……また凍らせますよ……」

ゲル「なんで、嘘、つく?……意味、ない」
159 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/03(火) 04:36:48.15 ID:1FjsxMJUo
本日はここまでです
ありがとうございました
160 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/03(火) 18:16:13.53 ID:1FjsxMJUo
やる気「こりゃ、とんでもないことになったっすよ……」


完全に打つ手がなくなってしまったのだ
特に、これだけの数の兵士がスライムになってしまったというのは、
本人を含めて誰からも受け入れがたいことだろう


ぶりっ子「……大魔王ですか」
161 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/03(火) 20:27:13.71 ID:1FjsxMJUo
彼女は男が持っていたケースをひったくった


男「ん?」

ぶりっ子「あなたが来たも、大魔王とやらの差し金なんですか?」


そして、ケースを覗き込み、
ゲル生命体を睨みつけながら言う
彼の居心地が悪そうなのは、
ケースの狭さだけが原因ではないだろう


ゲル「>>下1」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/03(火) 22:36:54.56 ID:UAJFefsL0
・・・そう、だ
163 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/04(水) 04:03:03.79 ID:WCtaKKbio
本日はここまでです
ありがとうございました
164 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/04(水) 19:54:41.38 ID:WCtaKKbio
ゲル「・・・そう、だ」


つまり、少なくとも直接的には帝国の意向ではなかったということになる
帝国と大魔王が繋がっている可能性はあるが、
ゲル生命体が帝国の専攻部隊である可能性は低いだろう


怪盗「うーん……そうなんですね」

狙撃少女「こいつは帝国とはあまり関係ないんでしょうか?」
165 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/04(水) 21:12:17.63 ID:WCtaKKbio
炎魔「さぁ……」


あれこれと動き回っているうちに、
時間はもう昼下がりだった


男「どうするかな」

炎魔「私がまた索敵しますよ!」

男「だ、だが……さっきも危険な目に遭わせてしまった」

中華「でも、逆に言えばそれで助かるぐらいには、炎魔の危機管理能力があるってことだよ」
166 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/05(木) 19:02:52.18 ID:n78H8JICo
すみません寝落ちしました


氷魔「……炎魔さんなら……大丈夫ですよ……」

男「そうだな……さっき、任せたしな」


お互いの意思確認までしたものの、
やはり男は彼女が心配だった
しかし、そんな彼をよそに、
炎魔は大空に飛び上がった


やる気「なんか見えるっすかー?」

炎魔「>>下1」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/05(木) 19:36:08.07 ID:1Bjbuhad0
…かなり遠くから帝国軍らしい軍勢が三つ。距離は一番近い軍で400キロ
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/05(木) 19:36:51.74 ID:j+XCiO2so
邪気が溜まってるような所が見える
169 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/06(金) 04:21:14.00 ID:SsdYf52qo
炎魔「…かなり遠くから帝国軍らしい軍勢が三つ。距離は一番近い軍で400キロ」


彼女は降り立ちながらそう告げた


ぶりっ子「よ、よんひゃっきろ?」

男(およそ、東京から大阪間の直線距離だな……)

怪盗「相当遠そうですね、時間的には余裕がありそう」
170 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/06(金) 04:55:15.31 ID:SsdYf52qo
本日はここまでです
ありがとうございました
171 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/06(金) 18:21:31.77 ID:SsdYf52qo
狙撃少女(どうやってそんな遠くを見たのでしょう……?)

男「……それなら、この兵士たちを森から出すこともできそうだな」

中華「そうだけど……出して、どうするの?」

男「一旦村に連れていこう。村人たちがどのぐらい避難し終えているか分からないが……もぬけの殻なら、一旦拠点にしてもらえるはずだ」

氷魔「……そうですね……」
172 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/07(土) 04:27:41.33 ID:nJ5K4/TFo
中華「そういうわけで、村に戻るよ!」


彼が手を挙げて合図すると、
スライムたちはのたのたと集まりだした
少し待てば、そこには綺麗な縦列が完成していた


やる気「流石元兵士っすね」

ぶりっ子「スライムの体でも綺麗に並べるんですねぇ」
173 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/07(土) 04:29:42.74 ID:nJ5K4/TFo
そうして、奇妙な行進が始まった
地面を覆い尽くすようなスライムたちが、
一行に先導されて村を目指す


怪盗「うーん、はたから見たら私たちのほうが魔王っぽいですね」

狙撃少女「言えてますね」

炎魔「しかし、どの部隊もめちゃくちゃ遠くにいましたし……もしかしたら、結局捕まえたゲルが専攻部隊とやらだったのかもしれませんね」
174 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/07(土) 04:43:17.62 ID:nJ5K4/TFo
本日はここまでです
ありがとうございました
175 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/07(土) 19:42:07.66 ID:nJ5K4/TFo
氷魔「……聞いてみますか……」


彼女はケースを揺らした
そして、外側から少しだけそれを凍らせて、
中のゲルを脅してみせる


やる気「あんた、帝国と繋がってるんすか?それとも、ただ大魔王の指示聞いただけっすか?」

ゲル「>>下1」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/07(土) 19:54:25.53 ID:V7XAxRJp0
人、げんに、クミする気はな、い。だいま王サマの命令、だ
177 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/08(日) 03:29:38.39 ID:cIasAYKzo
ゲル「人、げんに、クミする気はな、い。だいま王サマの命令、だ」

ぶりっ子「一貫してますねぇ、こいつ」


どうやら、ゲルと帝国に繋がりはないらしい
となれば、ただ魔王の命令で兵士をスライムに変えていたということになる


怪盗「紛らわしいこと命令しやがりますねぇ、大魔王ってのも」
178 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/08(日) 03:44:57.43 ID:cIasAYKzo
本日はここまでです
ありがとうございました
179 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/08(日) 19:47:29.61 ID:cIasAYKzo
狙撃少女「……いや、むしろそれが目的なのでは?」

怪盗「え?」

狙撃少女「帝国との交戦に見せかけて、作戦行動を遂行する……それこそが、大魔王の目論見だったのではないでしょうか」

炎魔「となると、その奥にある目的が気になるところですが……」

中華「ゲルの態度を見るに、本当にただ魔物を増やしたかっただけの可能性があるね」
180 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/08(日) 20:41:09.05 ID:cIasAYKzo
そうこうしているうちに森を抜け、
再び村へと戻ってきた
住人の避難は済んでおり、村はもぬけの殻だった


男「着いたな」

スライムA「ここが人間の村?なんだか寂しいね」

男「本当はもっと人がいるんだ。今はみんな避難してるんだよ」
181 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/09(月) 19:53:22.88 ID:uQtoZZ2ko
すみません寝落ちしました


氷魔「……あ……あなたも……ついてきていたんですね……」


男がスライムと話しているのを見て、
そのことに気付いたメンバーもいた


スライムA「お邪魔だったかな?」

男「いやぁまさか。むしろ頼みたいことがあるぐらいなんだけど」
182 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/10(火) 03:21:01.86 ID:kq9Nhm/fo
スライムA「え?」

男「この兵士たちにさ、スライムの言葉を教えてやってほしいんだよね」


男はずらりと並んだ彼らを手で示す


スライムA「えー……それでいいの?」

男「今のところは人間の言葉もスライムの言葉も喋れないんだ。だが、どんな言葉でも喋れるなら、俺が通訳できる」
183 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/10(火) 04:14:49.55 ID:kq9Nhm/fo
やる気「……というか、負担大きくないすか?」

男「そうだ。だから、嫌なら断ってくれ」


男がそう言うと、スライムはしばらく黙った
そして、言葉を発する


スライムA「……森にいても暇だし、楽しめるうちはいいよ」
184 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/10(火) 04:15:56.65 ID:kq9Nhm/fo
本日はここまでです
ありがとうございました
185 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/10(火) 19:09:10.41 ID:kq9Nhm/fo
風邪をひいてしまったので、本日はお休みさせていただきます
明日にはよくなるかと思います
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/10(火) 21:11:28.69 ID:pRetz4nqo
お大事に
187 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/11(水) 19:01:24.55 ID:BNlbF4cao
男「恩に着るよ」


そう男が言ったのを聞いて、
うまくいったことを他のメンバーは察した


ぶりっ子「よかったですねぇ」

怪盗「次、どうしましょう……ひとまずここにいるしかないんでしょうか?」

狙撃少女「そうですね、距離的に考えて、どれだけ早く行軍したとしても一日程度ではこちらに敵は来ないでしょうし」
188 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/11(水) 21:02:10.87 ID:BNlbF4cao
炎魔「その間、どうしてましょうか」

中華「市長に連絡が取れればいいけど、そうするには若干余裕がないかもね」


ひとまず村を歩き回り、人がいないとはいえ、
あまり迷惑にならないようなスペースを探す


男「……そうだ、さっき恩に着ると言ったが……なにか、して欲しいこととか、欲しいものとかあるか?」

スライム「>>下1」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/11(水) 22:40:01.77 ID:pHgBI6uC0
なら僕も冒険してみたい。みんなといると楽しそうだし
190 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/11(水) 23:52:41.27 ID:BNlbF4cao
スライム「なら僕も冒険してみたい。みんなといると楽しそうだし」

男「……危険だぞ?」

スライム「危険でもなんでも、森の中でじっとしてるよりずっといいさ」


そう言われると、男は困ってしまった
やはり彼は心配性であるので、
本当にそれでよいのかと考えこんでしまったのだ


氷魔「……なんと……言われたので……?」
191 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/12(木) 04:47:28.31 ID:/XUrP9A8o
本日はここまでです
ありがとうございました
192 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/12(木) 19:52:04.47 ID:/XUrP9A8o
男「一緒に冒険したいって」

狙撃少女「いいじゃないですか」

男「まぁ、無下にするつもりはないけどさ……」

中華「それこそ、ケースにでも入れればいいんじゃないの?」

男「……まぁ、そうだな。危ないときはケースに入っていてもらうことになるかと思うが」

スライム「そう?」
193 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/13(金) 04:02:12.77 ID:BmP0Xammo
男「危ないやつは本当に危ないからな」

スライム「……ま、いいよ!ただ守られるだけの存在じゃないってとこ、見せればいいでしょ!」

炎魔「ふふ、そうですね!」


スライムと炎魔は互いに天真爛漫なところがあるようで、さっそく波長が合っているようだった


氷魔「……さ……今晩の夜営を始めましょうか……」
194 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/13(金) 05:18:11.08 ID:BmP0Xammo
一行は村にあった物資を控えめに拝借し、
寄合所を使って簡易的な拠点を作った
時刻はすっかり夜であり、
外に出ているべきではない時間だった


やる気「っし!もう入っていいっすよー!」


火を焚いた室内に、
外で待機していたスライムたちを入れる
スライムであっても、肌寒さは感じるのであろうか
195 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/13(金) 05:26:38.86 ID:BmP0Xammo
本日はここまでです
ありがとうございました
196 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/13(金) 18:55:44.65 ID:BmP0Xammo
寄合所の中におびただしい数のスライムがやってきて、そこら中に広がる
兵士のままであったなら、
この数を収容することは不可能であっただろう


中華「じゃあ、夕飯を作るね。近くに宿があったから、そこの厨房をお借りしようと思うよ」

ぶりっ子「いいですねぇ、でも……」

男「ああ、スライムって腹空くのか?だとして、なにを食べるんだ?」

スライム「>>下1」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/13(金) 19:30:57.32 ID:NGna58+J0
基本は水とか果物とかだよ。虫や鳥獣とかは上位種にならないと消化不全を起こして死んじゃう子もいる
198 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/14(土) 05:31:07.36 ID:pmVbD2keo
スライム「基本は水とか果物とかだよ。虫や鳥獣とかは上位種にならないと消化不全を起こして死んじゃう子もいる」

男「なるほど、そうなのか……それは注意が必要だな」


男はちらりと兵士だった彼らを見た
なんの変哲もないスライムであり、
上位のそれではなさそうだと再確認したのだ


中華「なにか問題あった?」

男「ああ______」
199 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/14(土) 05:33:35.84 ID:pmVbD2keo
本日はここまでです
ありがとうございました
200 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/14(土) 19:13:03.17 ID:pmVbD2keo
男は、スライムから聞いたことを中華に話した


中華「なるほど、それは大切な情報だね」

男「ああ、大丈夫そうかな?」

中華「実際の兵士に出すよりよっぽど楽かも」

男「量の問題か?」

中華「あと、お肉めちゃくちゃ欲しがるからね」
201 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/14(土) 20:51:26.96 ID:pmVbD2keo
それでも一体どうやって食材を工面するのか不思議だったが、
男は寄合所を出ていく彼をただ見送った


怪盗「今日はもう、ゆっくりできそうですね」

狙撃少女「ええ、今日も中々消耗する一日でした」


まだ夕飯までは時間がある


>>下1……なにをする?
1.中華の料理を手伝う
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.スライムと話す
9.自由安価
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/14(土) 21:14:23.42 ID:EaM6iQpR0
8
203 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/15(日) 02:11:05.75 ID:NENSxVFdo
男はスライムの様子を見に行った
彼は早速他のスライムたちを集め、
スライムの言語を指導しているようだった


スライム「これ、棒きれ。分かる?」


兵士たちに、実際にあるものを見せて教えているようだった
彼らも、男にはまだよく聞き取れないものの、
真似をして声を上げている


男「やってるな……ありがとう」
204 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/15(日) 02:12:28.68 ID:NENSxVFdo
本日はここまでです
ありがとうございました
205 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/15(日) 18:47:50.31 ID:NENSxVFdo
スライム「やってるけど……なに教えたらいいんだろう?」

男「え?今やってたじゃないか」

スライム「人間にとって棒きれって大事なの?」


その言葉で、男は彼の質問について理解した
言葉だけを教えようとしているのではなく、
より本質的な、『生きる力』としての言語を、
習得させてくれようとしているのだ


男「違うなぁ。……なるほど、そういうことね」
206 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/15(日) 20:44:49.12 ID:NENSxVFdo
スライム「うん」

男「ならまずは、助けを求めるサインを教えるところからじゃないかな?もしもってとき、大事だ」

スライム「なるほど!」


全身で頷くと、
スライムは助けを求める鳴き声を発し始めた


男「こんな感じなんだな……」
207 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/16(月) 04:10:42.28 ID:NE2Lx5H1o
本日はここまでです
ありがとうございました
208 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/16(月) 19:39:28.21 ID:NE2Lx5H1o
すると、兵士たちもそれを真似し始めた
助けて助けての大合唱であり、
男以外のメンバーはせいぜいうるさいとしか思わないが、
彼にとっては随分と悲痛に聞こえた


男「そういえば……」

スライム「なに?」

男「森に、君の仲間はいるのか?親しい者がいるなら、別れの言葉でも残していったほうがいいんじゃないか」

スライム「>>下1」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/16(月) 19:47:00.19 ID:NPDfeW9K0
親しい仲間なら僕が居なくても気付かないけど、親しいかった『人』なら随分前に『ベリアル』って奴に挑みに行ったきりだよ
210 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/16(月) 20:45:27.44 ID:NE2Lx5H1o
スライム「親しい仲間なら僕が居なくても気付かないけど、親しいかった『人』なら随分前に『ベリアル』って奴に挑みに行ったきりだよ」

男「……そうか」

スライム「どうしたの?」


呑み込むように答えた姿を見て、
スライムは心配したようだった


男「いや、聞いたことがあるんだ、その名前……」

スライム「へぇー」
211 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/17(火) 04:23:34.63 ID:J5KpHPvro
男は、一旦ベリアルについて伏せておくことにした
強大な相手に挑んだのであるから、
恐らくその人物は無事ではないだろう
そして、そのことをスライムに悟られたくはなかったのだ


男「……しかし、スライムってのは仲間意識が希薄なのか?」

スライム「うーん……人間ほどじゃない」

男「あるにはあるのか」

スライム「うん。でも僕たち、どれだけ頑張っても死ぬときはあっさり死んじゃうから。助けるって、現実的な行動じゃないんだよ」
212 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/17(火) 04:24:21.21 ID:J5KpHPvro
本日はここまでです
ありがとうございました
213 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/17(火) 18:17:50.54 ID:J5KpHPvro
男「虚しいな……」

スライム「虫さんに比べれば、贅沢な命だよ」


それからも、男はスライムに付き添って、
兵士たちにスライムの言葉を教え続けた


中華「ご飯できたよ!」

炎魔「やったー!」

中華「流石に配膳には人手がいるから、何人か来てくれないかな?」
214 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/18(水) 04:44:19.13 ID:bCCDc8roo
男「よし、任せろ!」

氷魔「……では……私も……」


三人が宿の厨房に向かうと、
成人男性の身長を越える高さの寸胴があった
もちろん、その幅も成人男性の胴回りよりはるかに大きい


中華「これ、すごいよね。両親のお知り合いの方のお店に何度かお邪魔したことがあるけど、こんなに大きな寸胴はなかったよ」
215 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/18(水) 04:44:58.66 ID:bCCDc8roo
本日はここまでです
ありがとうございました
216 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/18(水) 19:52:12.59 ID:bCCDc8roo
氷魔「……よく……一人で扱えましたね……」

中華「そこはもう意地だね」

男「そういえば、夕飯は汁物なのか?」

中華「ん、シチューにしたよ」


肉を使わずに全員の胃袋を満たし、
かつスライムの消化にもよいものを作る
そのために彼はシチューを作ったのである
217 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/19(木) 03:30:46.09 ID:xIo63L7Uo
氷魔「……凄まじい……作業量になりそうですね……」


どのようにシチューを配膳したらよいものか、
氷魔は途方もない心持ちになってしまった


中華「いやーそうなんだよね……しょうがないから炊き出しスタイルでいこうと思うよ」

男「そうだな、それが一番いい……となると、俺たちがするのは場の設営かな」
218 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/19(木) 03:50:26.02 ID:xIo63L7Uo
本日はここまでです
ありがとうございました
219 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/19(木) 19:50:07.96 ID:xIo63L7Uo
中華「ひとまずそんなとこだよ。よろしくね」


男と氷魔は寄合所に置いてあった机を持ってきて、
宿にある厨房のすぐ外に並べた
常人には耐え難いほどの筋力を要する作業であったが、冒険で鍛えられた二人にはやや面倒といった程度である


氷魔「……終わりました……」

中華「じゃ、あとはみんなを呼んでくるだけだね」
220 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/20(金) 03:37:05.16 ID:ZxG5Ldi0o
やる気「あー、腹減ったっす」


よほど空腹だったのか、
やる気が三人の様子を伺いに宿までやってきた


中華「お、いいところに。みんなのこと呼んできてよ。今日は炊き出しの方式でやるからね」


そう言うと彼は大きな器になみなみシチューを注ぎ、
ごく少量のチーズをかけてやる気に渡した
221 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/20(金) 03:53:17.18 ID:ZxG5Ldi0o
やる気「うっす!食ったら呼ぶっす!」

男「助かる?!」

氷魔「……シチューで足りるのでしょうか……?」


そう氷魔が溢すと、
中華は紙ナプキンをやる気に差し出した


やる気「お、気が利くっすね」

中華「それでよく口を拭けば、もうやる気が食べた後だなんて気付かない。シチューは多めに作ってあるんだよ」
222 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/20(金) 04:06:36.86 ID:ZxG5Ldi0o
本日はここまでです
ありがとうございました
223 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/20(金) 19:13:59.86 ID:ZxG5Ldi0o
それから、やる気はみんなを呼びにいき、
もちろんシチューは二人前食べることにした


男「お、来たか」

スライム「うん、ご飯食べにきたよ」

男「あぁ、これはシチューっていうんだが……一応、食べて問題ないか確認してみてくれ」

スライム「うん!」


>>下1……スライムがシチューを食べてなにか起こったか
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/20(金) 19:15:49.65 ID:5VM0SLI30
おいしー!!
225 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/21(土) 04:57:45.45 ID:HfIVEWIzo
スライムはシチューを食べると、
目を見開いて黙ってしまった


中華「大丈夫?」


そして、そのゼラチン質の体がぷるぷると震え出す
どうしたことかと心配する者たちをよそに、
スライムは叫んだ


スライム「おいしー!!」
226 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/21(土) 05:31:30.94 ID:HfIVEWIzo
本日はここまでです
ありがとうございました
227 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/21(土) 18:00:48.34 ID:HfIVEWIzo
そして、それは跳ねた
垂直におよそ一メートルほど跳んで、
喜びを表現しているのだ


中華「よかったぁ……」

氷魔「……ふふ……中華さんはなに作らせても……一級品ですからね……」

スライム「全然体も変じゃないし、嬉しくて体が勝手に動いちゃった!」
228 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/22(日) 05:03:25.56 ID:TCxNbSc/o
後ろに並んでいた兵士スライムたちも、
その様子を見ていくぶんか安心したようだった


ぶりっ子「じゃあ、みんなで食べましょう!」


皿に注がれたシチューを彼らに渡す


兵士スライムA「……?」


だが、彼らはどうやってそれを食べたらいいか分からないようだった
229 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/22(日) 05:04:09.72 ID:TCxNbSc/o
本日はここまでです
ありがとうございました
230 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/22(日) 20:58:15.69 ID:TCxNbSc/o
すみません遅れました


スライム「こうやって口を広げて……すくうみたいに飲むんだよ!」


と兵士スライムたちにスライムは教えている
食事すらままならない事態の深刻さと、
みんなでなら乗り越えていけるだろうというわずかな安心が生まれた


男「本当に申し訳ないな、色々教えてもらって」
231 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/23(月) 05:03:00.94 ID:B12ob0E9o
スライム「いいんだよ、こうやってしていられるなら」


彼はぴょこぴょこと跳ねて、
あっけらかんとそう言い放った


男「うん?」

スライム「あんまり僕は同族と仲がよくなかったから」
232 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/23(月) 05:05:01.60 ID:B12ob0E9o
実際、かなり変わった性質なのだろうと男は考えた
スライムとは思えないほど思慮分別があるし、
その考え方も革新的である


男「なるほどな……」

スライム「まぁ、みんなの心はスライムじゃないかもしれないけれど」

男「そう思えばそうかもしれない。だが、スライムとして生きていく中で……彼らも変わるだろう」
233 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/23(月) 05:19:22.88 ID:B12ob0E9o
本日はここまでです
ありがとうございました
234 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/23(月) 18:50:04.78 ID:B12ob0E9o
そうして、混乱の中で夕食は終わった
スライムとなってしまった兵士たちの中には、
露骨に消沈したり焦燥するものも現れ始めた
あまりのことに、
理解が追いついていなかった彼らだが、
だんだんと現実を理解して不安に襲われているのだ


怪盗「みなさん、どうにかならないんですかねー……」

狙撃少女「しかし、あのゲルによればどうも呪いを解くのは不可能そうなんですよね」
235 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 04:07:54.43 ID:tAxOaj4To
そう、二人は喧騒の陰______寄合所の裏で話していた


炎魔「ここは、逆転の発想ですよ!」

怪盗「うわっ!?」

狙撃少女「いつからそこに……!?」

炎魔「二人がいないので、探してたんですよ」


彼女が草むらから現れたので、
密やかにしていた二人は驚いた
236 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 04:09:49.73 ID:tAxOaj4To
狙撃少女「……それで、逆転の発想とは?」


だが、好奇心旺盛な狙撃少女にとっては、
炎魔の言葉が今もっとも重要であった


炎魔「彼らはスライムになる術をかけられてしまい、それを解くことはできません。なら、解かなくてもいいんじゃないでしょうか?」

怪盗「はい?」

炎魔「人間になる術を重ねがけすればいいんですよ。もしそんなものがあるなら、ですけどね」
237 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 04:37:32.61 ID:tAxOaj4To
本日はここまでです
ありがとうございました
238 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 18:04:18.22 ID:tAxOaj4To
怪盗「解決、とまではいいませんが……まだ救いのある話ですね」

狙撃少女「とにかく、街に戻ったら市長さんに相談するべきでしょう。その案も含めて……」


と話していると、さらに男が現れた


男「大丈夫か!?」

炎魔「ほへぇっ!?」
239 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 18:37:58.79 ID:tAxOaj4To
怪盗「ど、どうしたんですか?」

男「いや、二人がいないから炎魔に探させてたんだが……茂みに入ったきり、出てこなかったからな」

狙撃少女「それは、ご心配を……」

男「敵が既に入り込んでいたのかと、肝を冷やしたよ」

炎魔「すみません、話が面白かったので……」

男「無事ならなんだっていい。今は寝床の設営をしているんだ」
240 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/25(水) 04:14:29.35 ID:byEIbEY/o
本日はここまでです
ありがとうございました
241 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/25(水) 19:47:18.80 ID:byEIbEY/o
男は三人を連れ、全員でスライム用の寝床を用意した
やはりと言うべきか、
寄合所の中はスライム用の寝床でほとんど埋まってしまった


中華「随分窮屈な夜になりそうだね」

氷魔「……ですが……私たちだけ……宿を間借りするというのも……贅沢ですからね……」


男は寝床のことについてぼんやりと考えながら、
寝るまでの時間を過ごすことにした


>>下1……なにをする?
1.中華の料理を手伝う
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.スライムと話す
9.自由安価
242 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/25(水) 19:48:02.91 ID:byEIbEY/o
すみませんミスです
1.は『中華と話す』でした

>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.スライムと話す
9.自由安価
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/25(水) 20:14:55.12 ID:yhMsUqah0
9.ふと青銅の箱に目をやると、箱が鍵穴から器用にストローを差し出してゲルの入ってるケースに差し込もうとしてた
244 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/26(木) 00:54:08.05 ID:ThLsv1dUo
寄合所のスペースを確保するため、
荷物の整理をしようと男は思い立った


男「……ん!?」


そこで男は視界の隅に、なにか動くものを認めた
まさかゲルがケースからの脱走を試みているのでは、
そう思ったが、それは当たらずとも遠からずといった推察であった


男「な、え?」
245 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/26(木) 03:03:41.01 ID:ThLsv1dUo
ケースの近くに置いていた青銅の箱
その鍵穴からゆっくりとストローが伸びていて、
そしてそれはゲルの入っているケースに差し込まれようとしていた


男「どど、どういうことだ!?」


やはり、この箱にはなんらかの意志がある
男はその認識をより強めるとともに、
どたばたと足を動かして、
慌てながらケースを青銅の箱から離したのだった
246 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/26(木) 03:06:31.88 ID:ThLsv1dUo
本日はここまでです
ありがとうございました
247 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/26(木) 18:57:29.00 ID:ThLsv1dUo
やる気「どうかしたっすか?虫でも出たっすか?」


男が激しく動いたのを感じて、
やる気も寄合所に入ってきた


男「せ、青銅の箱が!」

やる気「どうしたんすか?」


男が青銅の箱を指差すと、それは>>下1
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/26(木) 19:21:31.83 ID:GB/YfvNB0
バツが悪いのか音楽を鳴らしている
249 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/27(金) 05:21:19.14 ID:MsxVVYMEo
それは音楽を鳴らしていた
鍵穴から飛び出しているのはストローではなく、
ミニチュアのトランペットになっている


男「……いや、なんでもない」

やる気「ははは、こりゃ面白いっすね」

男「やっぱりこいつは油断ならないな。個人で管理しないとだめそうだ」
250 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/27(金) 05:27:28.49 ID:MsxVVYMEo
本日はここまでです
ありがとうございました
251 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/27(金) 20:13:12.18 ID:MsxVVYMEo
すみません遅れました


それから、一行は就寝時間を迎えた
どうにか寄合所のスペースを確保して、
男性陣と女性陣がそれぞれ別の隅で眠れるようにもなっている


ぶりっ子「ここで寝るんですねぇ……」

男「それから、夜間は交代で起きることにしよう」

怪盗「でも、敵が来るのはどれだけ早くても明日ですよ?」
252 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/28(土) 05:24:18.60 ID:yF3c40Kgo
男「ああ、だがなにが起きるか分からない」

狙撃少女「実際、ゲルに襲撃されたわけですからね……」

炎魔「これだけパーティの人数がいれば、持ち回りでやれば随分眠れそうですしね」


そうして、一行は眠りながら一時間ごとに交代して村の夜警をすることにした


中華「何事もないといいけれど……」
253 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/28(土) 05:27:05.44 ID:yF3c40Kgo
本日はここまでです
ありがとうございました
254 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/28(土) 19:23:23.50 ID:yF3c40Kgo
そして深夜
ぶりっ子が担当する時間帯になった


ぶりっ子「はぁ……夜は冷えますねぇ」


彼女は前任の狙撃少女から交代し、
少しだけ村の中を見回ったあとに、
村の外周を歩いていた


ぶりっ子「んん?」


この村は森と林道に囲まれているが、
彼女は近くの林から違和感を覚えた
注意深くそちらを確認すると、>>下1
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/28(土) 19:42:40.48 ID:lsQOLLI30
一つの光り物が飛んできた
256 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 01:53:45.28 ID:wG08jWpQo
ぶりっ子「ほわぁっ!?」


突如飛来する物体
危機回避能力に長けたぶりっ子は、
見事に身をよじって回避に成功した


ぶりっ子「ちょ、ちょちょちょ!なんですかぁ!?」


それは森の中から高速で飛び出した後、
発光しながら村の方向へと飛んでいく
257 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 01:55:51.88 ID:wG08jWpQo
だが、そこでは終わらなかった
飛行物体は光の軌跡を残しながら軌道を変え、
再び高速でぶりっ子の方に飛んでくる


ぶりっ子「なにぃっ!?」


動きが直線的なので、ぶりっ子は再び回避に成功した
だが、いつまでも避け続けるわけにはいかない
体力の問題もあるし、万が一村に被害が出るのも忌むべきであるからだ
258 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 02:01:32.19 ID:wG08jWpQo
本日はここまでです
ありがとうございました
259 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 18:27:35.88 ID:wG08jWpQo
ぶりっ子「……やるしかない」


突撃を避け、よろけながら可能は呟く
次の突貫にカウンターするつもりで、
彼女は呼吸を整えた


ぶりっ子「ぴゅん太郎ーッ!!」


真正面から発光体を捉え、逆巻く風魔法を叩きつける
お互いのエネルギーが激しくぶつかり合う刹那、
その速度が殺されたことによって、
発光体の輪郭を見ることができた


ぶりっ子「>>下1」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/29(日) 19:13:24.18 ID:jOwKMmKK0
武装した…妖精っ!?
261 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 20:50:41.10 ID:wG08jWpQo
ぶりっ子「武装した…妖精っ!?」


彼女はその姿を見た
発光する鎧を身にまとい、剣を構えて突進する、
小さな人型の生命体……妖精であった


ぶりっ子「うあぁぁっ!!」


速度は凄まじいが、
その質量がごく小さかったために、
ぶりっ子の必殺技によって妖精は押し負けた
262 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/30(月) 19:03:11.79 ID:rM1p9lSho
すみません寝落ちしました


そして、妖精は勢いよく近くにあった岩に叩きつけられた
高い金属の音が鳴り、激突の激しさが伝わる


ぶりっ子「な……なんだったの?」

妖精「う……く……」


そのまま力なく墜落した妖精は苦しげにしていた
263 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/31(火) 04:56:12.89 ID:Z5yJhpP8o
ぶりっ子はその近くに寄っていくと、
恐る恐る妖精を掴んだ


妖精「くっ!」


すると、妖精はさらに苦々しい表情になった
理由はなんにせよ、ぶりっ子に対して敵意を抱いている可能性が高い
彼女はそう推察した
264 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/31(火) 05:19:17.82 ID:Z5yJhpP8o
本日はここまでです
ありがとうございました
265 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/31(火) 19:00:26.10 ID:Z5yJhpP8o
ぶりっ子「うーん、どうしましょう」


彼女は逡巡して、とりあえず妖精をシェイクしてみた


妖精「うっ、うううぅぅぅ……!」

ぶりっ子「?」

妖精「おえぇっ!」

ぶりっ子「ひいぃぃ?っ!吐いた!ゲロ吐きやがりました!」
266 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/31(火) 19:03:05.48 ID:Z5yJhpP8o
彼女の手には妖精の吐瀉物がでろでろとついた


妖精「……くそっ」

ぶりっ子「あー……ごめんなさいねぇ……?そんなつもりはなくてですねぇ……?」

妖精「………………」

ぶりっ子「あのぉ、なんで私のこと襲ってきたんですかぁ?」

妖精「………………」


妖精は黙秘を貫いている
当然といえば当然だろう


ぶりっ子「どうにかしてお話してもらわないといけないんですけどねぇ……そうだ!>>下1」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/31(火) 23:41:57.67 ID:kDc44Uk30
中華に作って貰ったスープとクッキーを渡して観る
268 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/01(水) 03:24:20.54 ID:nKdlEmQEo
彼女は自分が携帯している物品について思い出した
寝る前に、夜中に腹が減ってはいけないと中華が予め夜食を用意してくれていたのだ


妖精「?」


ぶりっ子がスープとクッキーを取り出すと、
妖精は不思議そうに彼女を見た
その際に手を離された妖精だったが、
三半規管がやられていてまともに動けず、
逃げることもできなかったのだ
269 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/01(水) 04:24:29.40 ID:nKdlEmQEo
本日はここまでです
ありがとうございました
270 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/01(水) 19:15:32.98 ID:nKdlEmQEo
ぶりっ子「お詫びの印ってことで……これ、あげますよ」

妖精「……施しは受けない」

ぶりっ子「施しじゃないです。これは謝罪なんですよ……あなたがこれを受け取ってくれないと、謝れたことにならないんですよぉ」


彼女がそう言ってじっと見つめると、
妖精は観念したようで、
ビスケットの隅にかじりついた
271 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/01(水) 19:26:37.35 ID:nKdlEmQEo
妖精「……おいしい」

ぶりっ子「そうでしょうそうでしょう!」


妖精は一口ずつ食べ進めていく
人間が食べれば一口だが、
妖精の体躯なら長く味わうことができるのだ


妖精「うまかったよ」

ぶりっ子「スープもありますよ」
272 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/02(木) 04:55:17.59 ID:P6h2KDPOo
本日はここまでです
ありがとうございました
273 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/02(木) 18:32:24.06 ID:P6h2KDPOo
持ち運びやすいように、
筒状の容器に入れられたスープを差し出した
妖精は一瞬迷ったあと、それに口をつけた


妖精「……ん、うまい」

ぶりっ子「ふふ、美味しそうに飲みますねぇ」


妖精はぶりっ子にも聞こえるほどの大きさで喉を鳴らしながら、スープを飲んでいった
274 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/03(金) 05:07:52.21 ID:SjRxyKXmo
妖精「んく、んん……」


スープは量でいえば当然ビスケットよりもあるため、
妖精はそれをゆっくりと飲んでいく
中華はシチューのようなものも手堅く仕上げるが、
得意なのは今飲まれているような澄んだスープだった


ぶりっ子「繊細な風味が、口の中を覆っていくんですよねぇ。決してしつこくなく、むしろあっさりなんですけど」

妖精「……ぷはぁっ」
275 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/03(金) 05:12:33.14 ID:SjRxyKXmo
本日はここまでです
ありがとうございました
276 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/03(金) 18:20:03.31 ID:SjRxyKXmo
ぶりっ子「空腹は満たされましたぁ?」

妖精「……多すぎるぐらいだ」


妖精は腹をさすっている
口調は変わらないが、
刺々しい印象はかなり減っている


ぶりっ子「……それで、なんで私に襲いかかってきたんですかぁ?」

妖精「>>下1」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/03(金) 20:13:16.31 ID:jVDrj1NO0
逆に聞くけど、淫魔がなんでここに? 襲いに来たにしては優しいし
278 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/03(金) 20:59:45.85 ID:SjRxyKXmo
妖精「逆に聞くけど、淫魔がなんでここに?」

ぶりっ子「あ……」


彼女は自分に生えている角や尻尾を確認した
そういえば、今の自分は魔族に見えるのだということを思い出したのである


妖精「襲いに来たにしては優しいし」

ぶりっ子「うーんなんといいますか、自認は人間なんですけどねぇ……」
279 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/04(土) 04:35:03.75 ID:Dm15lc3wo
妖精「?」

ぶりっ子「今日よく分からない術で無理やり変えられたんですよぉ」

妖精「ふーん……村人たちは?」


妖精は、村人たちがいなくなっていることにも気付いていた
そして、その理由についても分かりかねているようだった


ぶりっ子「実は……」
280 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/04(土) 04:47:34.10 ID:Dm15lc3wo
本日はここまでです
ありがとうございました
281 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/04(土) 18:30:58.98 ID:Dm15lc3wo
ぶりっ子は村人がいない事情についても述べた


妖精「……そんなことが」

ぶりっ子「どうにか人間の姿に戻れれば私も嬉しいんですけどねぇ、まぁ今はそれどころじゃないってことです」

妖精「うーん……」

ぶりっ子「あ、そうだ。妖精さんたちがいる方の森で帝国の部隊とか見かけませんでしたぁ?私たちはその対処のために来てるんですけど……」

妖精「>>下1」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/04(土) 21:33:47.16 ID:nG2tokad0
いっぱいいてうるさかった……
283 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/05(日) 04:08:24.04 ID:bNzqkBKSo
妖精「いっぱいいてうるさかった……」

ぶりっ子「えっ!?」

妖精「どうしたの?」

ぶりっ子「だ、大丈夫だったんですかぁ!?」


衝突が発生してもおかしくないので、
ぶりっ子は大層驚き心配した


妖精「なんとか追い払った」
284 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/05(日) 04:10:41.22 ID:bNzqkBKSo
本日はここまでです
ありがとうございました
285 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/05(日) 19:26:45.88 ID:bNzqkBKSo
ぶりっ子「あ、そうなんですねぇ……」

妖精「最近、この辺りの様子はおかしいな」

ぶりっ子「あのぉ……多分、その追い払ったやつらを捕縛するのが私たちのお仕事なんですけどぉ……」

妖精「捕まえてくれるのか?」

ぶりっ子「まぁ、はい……」

妖精「それは助かる。実はまだ、あいつらはこの近辺にいるかもしれないんだ」
286 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/06(月) 03:59:50.03 ID:e3Q9lfFLo
ぶりっ子「ああ?……だからこんな夜中にうろついてたんですねぇ」

妖精「そう。で、どうみても淫魔なやつがいたから、異変の首謀者かと思って攻撃した」


どうにか和解できたことに安心した彼女だったが、
そこでふと時間について思い出した


ぶりっ子「あ、そろそろ戻らないと……夜警が交代する時間なんですよぉ」
287 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/06(月) 04:27:54.65 ID:e3Q9lfFLo
本日はここまでです
ありがとうございました
288 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/06(月) 18:26:48.45 ID:e3Q9lfFLo
妖精「そうか」

ぶりっ子「明日、またお話聞きたいんですけどぉ……どこに行けば会えますかね?」

妖精「じゃ、これを」


妖精は巻かれた羊皮紙を手渡してきた


ぶりっ子「?」

妖精「地図だ。我々の住処までの道のりが分かるようになっている」

ぶりっ子「ありがとうございますぅ!」
289 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 04:02:34.81 ID:QQDVF0Tto
そしてぶりっ子は村へと戻り、
あったことを手短に報告すると、
交代してすぐ眠りについた


?翌日・陽週月曜日?


男「夜の間は、襲撃とかはなかったみたいだな」

中華「うん、でも幸運だね」

氷魔「……ぶりっ子さんの情報によれば……リスクは十分にありましたからね……」
290 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 04:25:21.32 ID:QQDVF0Tto
本日はここまでです
ありがとうございました
291 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 18:30:29.56 ID:QQDVF0Tto
やる気「じゃ、今日はそいつらの捜索が仕事っすかね!」

ぶりっ子「はいっ!手がかりを持っていそうな妖精さんたちにコンタクトをとるため、地図ももらってきました!」


彼女は昨晩もらったそれを取り出す
そして、寄合所に置かれたテーブルにそれを広げた


怪盗「……え?」
292 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 20:48:08.51 ID:QQDVF0Tto
それは確かに地図であった
しかしながら、その中身は一瞬、
子供の落書きではないかと疑うほどだった


スライム「うわ、なにこれ?」

男「まぁ、下手だな……これは……」

狙撃少女「ふふっ……」

炎魔「わ、笑っちゃ悪いですよ、相手は妖精なんですよ?」
293 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 20:49:43.10 ID:QQDVF0Tto
狙撃少女「いえ、すごく分かりづらいのに……ほら、ここ」


彼女は地図の右上を指さした
そこには、東西南北を示す風見鶏のような図が描かれていた


中華「あ、方角は分かるね」

狙撃少女「これはすごく丁寧に書いてあるのが、面白くて……」
294 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/08(水) 02:21:20.99 ID:DPIsi0Hgo
本日はここまでです
ありがとうございました
295 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/08(水) 18:33:44.87 ID:DPIsi0Hgo
男「まぁ……でも行くしかないな」

氷魔「……どんなメンバーで……いきましょうか……?」

やる気「それっすよね。結局この村も守らなきゃいけないっすからね」


帝国の部隊を全員で探しに行った結果入れ違いに、
というのがもっとも恐ろしい事態だった
それを避けるため、一行は話し合って戦力を分けることにしたのだった


>>下1……妖精たちに会いに行くメンバー
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/08(水) 19:41:53.54 ID:0A5V5xdU0
中華、ぶりっ子、炎魔、そして行きたい人挙手
297 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/09(木) 02:37:50.88 ID:SZEBzsdQo
話し合いの結果、中華とぶりっ子、そして炎魔が行くことになった
料理が鍵になるかもしれないということ、
ぶりっ子は昨晩の妖精と面識があるため、
そして炎魔はその好奇心と強さのためだった


男「……じゃ、そういうことで。他に行きたい人があれば手を挙げてくれ」


彼がそう言うと、視界の端でなにかが動いた
298 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/09(木) 02:38:24.04 ID:SZEBzsdQo
本日はここまでです
ありがとうございました
299 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/09(木) 18:06:51.49 ID:SZEBzsdQo
スライム「行きたい!」


どうやら、スライムは妖精に会いにいきたいようだった
しかし、その言葉が分かるのは男だけである


男「……なら、俺も行くことになるか」

ぶりっ子「まぁ、一番強いお二方はここに残るみたいなのでぇ……安心ですねぇ」
300 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/10(金) 03:40:39.19 ID:yXeZ0iFxo
そして、妖精の元へ向かうメンバーは村を出た
途中まで、スライムに変えられた兵士が彼らを見送った


中華「さて、ぶりっ子が外回りをしてるときに妖精に会ったって話だけど……」

ぶりっ子「はいっ、まずはそこに向かいましょうか。地図も、その周辺について記されてる可能性が高いですしぃ」

炎魔「また妖精さんがいたら、それで万事解決なんですがね」
301 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/10(金) 03:45:17.17 ID:yXeZ0iFxo
本日はここまでです
ありがとうございました
302 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/10(金) 19:34:30.49 ID:P26hTL0CO
そして四人と一体は昨晩妖精がいた場所にたどり着いた
しかしそう都合よく妖精がいるということもなく、
そこから本格的に動きを考えることになった


男「地図の方位は正しいから……」

スライム「近くの森に入ってみようよ!」

男「そうだな、それが現実的か。行ってみよう」
303 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/11(土) 05:55:37.32 ID:VFjZFAOho
先日入った森のような、
余所者を拒むような威圧感はそこにはなかった
だが、なにか大きな力が渦巻いているような感覚を覚える


中華「なんだろう、この感じ……」

ぶりっ子「どこまでも綺麗な新緑なのに、全てが物々しいような……」

炎魔「安心できるはずの風景なのに、どうしてこんなに不穏なんでしょう?」

男「これが、妖精の森なのか……」
304 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/11(土) 18:16:41.77 ID:VFjZFAOho
すみません寝落ちしました


一行は、ほとんど頼りにならない地図を見ながら森を歩いた
森にしては風景が開けているのに、
油断すると自分がどこにいるのかを見失いそうになる


中華「うーん、どうしよう?歩けば歩くほどよくない気がしてくるね」

ぶりっ子「妖精に会えればいいんですけどねぇ……どうにかして、おびき出せないですかね?」

炎魔「それなら、>>下1」
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/11(土) 20:03:07.16 ID:XAMXXHfD0
男さんの『声を聴く』能力を使えば良いんですよ!
306 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 03:10:10.20 ID:hHp55+7io
炎魔「男さんの『声を聴く』能力を使えば良いんですよ!」

男「……というと?」

炎魔「耳を澄ませたら聞こえてきたりしませんか!?妖精の声!」


男はあまりそういうことはしたことがなかった
だが、炎魔の柔軟な発想を受けて、
できるかもしれないと思い始めていた
307 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 03:46:17.29 ID:hHp55+7io
本日はここまでです
ありがとうございました
308 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 18:39:45.89 ID:hHp55+7io
男「やってみるか……」


彼は深呼吸をして、心を落ち着ける
そして、耳を澄ませてじっとしてみた


中華「……ど、どう?」

男「少しだが、聞こえる……」

ぶりっ子「どこからですかぁ?」

男「あっちだ、行ってみよう」
309 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 20:55:14.63 ID:hHp55+7io
男を先頭に、森を進む
森の深い場所へとどんどん入り込んでいく
妖精の話し声に交ざって、獣の鳴き声も聞こえ始める


スライム「探検、楽しいね!」

男「ふ……そうだな。おや?」


近くの茂みから声がすることに、彼は気付いた


炎魔「もしかして、そこですか?」
310 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 20:58:09.50 ID:hHp55+7io
男「ああ」

中華「じゃあ、声をかけてみようか」

ぶりっ子「取り合ってくれるといいんですけどねぇ」


暫しの静寂の中______男には様々な声が聞こえているが______タイミングを窺い、男は声をかけた


男「もしもし、妖精さん?」


>>下1……どんな反応があったか
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/12(日) 21:51:12.39 ID:PLmgMv090
か細く弱々しい声で反応があった
312 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/13(月) 02:17:24.12 ID:o6R8SGo7o
本日はここまでです
ありがとうございました
313 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/13(月) 19:17:39.01 ID:o6R8SGo7o
妖精「は……はー……い……」


全員が集中していたので聞き取れたが、
それはあまりにもか細い声だった
途切れ途切れで、死にかけなのかと思うほどである


中華「え?大丈夫?」

炎魔「私に任せてください!」
314 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/14(火) 02:10:24.64 ID:WO1m0GQIo
炎魔は両腕を振りかぶると、そのまま茂みに向かって手をかざす
すると、そこはたちまち燃え盛り、
茂みの中から一体の妖精が現れた


妖精「も、燃える……」

ぶりっ子「心配いりませんよぉ」


炎魔の炎は聖なるものなので、
決して妖精の肉体を傷つけることはない
むしろ、生命力を分け与えるのだ
315 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/14(火) 03:31:37.23 ID:WO1m0GQIo
本日はここまでです
ありがとうございました
316 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/14(火) 18:32:56.55 ID:T3jaTpsAO
妖精「ふぅ……ふぅ……」


絶え絶えだった妖精の呼吸にも、
だんだんと安定性が帰ってきた


男「大丈夫か?」

妖精「あ……うん……」

中華「どうしてこんな満身創痍になってたの?」

妖精「>>下1」
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/14(火) 19:05:05.55 ID:8G9pfhb9o
ジャバウォックに追われて…
318 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/14(火) 21:38:19.40 ID:WO1m0GQIo
妖精「ジャバウォックに追われて…」

ぶりっ子「じゃば……?」

男「聞いたことがあるな、恐ろしい怪物だ」

炎魔「でも、戦えば倒せますよね!」


と彼女は言ったが、男はそうは思っていなかった
彼の知るジャバウォックとは、
正攻法でぶつかるべき怪物ではないからだ
319 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/15(水) 03:10:58.52 ID:z7VdM/KIo
本日はここまでです
ありがとうございました
320 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/15(水) 18:26:07.96 ID:z7VdM/KIo
中華「あまり派手に動きたくはないけどね。ここにはまだ、帝国の舞台がいるかもしれないんだし」

男「ああ、それにジャバウォックには遭遇しないのが一番だ」

妖精「食べられるかと思ったんだけど……茂みに逃げ込んだら、なんか、来なくて……」

ぶりっ子「そんなことで見失いますかねぇ?」

男「『ジャバウォックが妖精を見失った』から生還できたんじゃなくて、『妖精がジャバウォックを見失った』から生還できたんだろうな」

ぶりっ子「?」
321 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/15(水) 22:27:30.81 ID:z7VdM/KIo
男「やつは認識に巣食う怪物だ。そこにいることをはっきりと認識するほど、完全完璧、無欠の存在になる」

炎魔「ど、どうするんですか、そんなやつ」

男「うーん……かなり厳しい。とにかく、俺たちの目的を一旦果たそう」

中華「そうだね。妖精さんたちが集まってる場所について知ってる?」

妖精「うん……行きたいの?」
322 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/15(水) 22:29:34.41 ID:z7VdM/KIo
妖精も元気を取り戻してきたようで、
その羽で飛ぶことができている


ぶりっ子「あっ、私は自認は人間ですから警戒しないでくださいねぇ」

妖精「え?……うわぁ!!淫魔だぁ!!」

ぶりっ子「だから、違うんですってぇ!」

炎魔「大丈夫です!私が保証しますから!」


妖精とぶりっ子の間に入って、
炎魔がどうにか妖精を落ち着けようとする
323 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/16(木) 01:33:27.75 ID:/BwqPitwo
本日はここまでです
ありがとうございました
324 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/16(木) 19:55:54.57 ID:/BwqPitwo
妖精「……ほんと?」

炎魔「はい!」

妖精「じゃ、着いてきて」


妖精は怪訝な顔をしているが、
とりあえず炎魔の言うことは信じるようだ
一応命の恩人ではあるからだ


中華「なんとかなったね……」


>>下1……妖精の住処はどんな様子か
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/16(木) 22:38:41.52 ID:tulEH0dQ0
多種多様な種類の花がある花畑だったが殆どが踏み潰されている
326 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/17(金) 00:03:21.06 ID:wCAA61d9o
森を進み続けると、ついに開けた場所に出た
そこは花畑……だった場所であった


ぶりっ子「な、なんですかここ……!?」


そこには美しい花々が咲き乱れたいたはずだった
だが、色とりどりのそれらは盛大に踏み荒らされ、
雑然とした子供の落書きのような醜さを放っていた


炎魔「ひどい……」
327 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/17(金) 00:05:57.86 ID:wCAA61d9o
男「どうして、こんな……」

妖精「昨日から、もうめちゃくちゃで……」

中華「昨日?そういえば帝国のやつらが来たとは聞いたけれど」

妖精「あいつらもそうだし、ジャバウォックとか化物もやってくるし……一日で、妖精の住処はめちゃくちゃ」


よく見れば、怪我をしたとおぼしき妖精たちが散見される
相当に凄惨なことが起こったというのは、
想像に難くなかった
328 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/17(金) 01:54:34.56 ID:wCAA61d9o
本日はここまでです
ありがとうございました
329 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/17(金) 18:41:24.34 ID:wCAA61d9o
これでは、自分が怪しまれるのも当然だ……
そう思ったぶりっ子は、シスター服のベールを深く被りなおすのだった


ぶりっ子「ひどい……」

男「……なるほど、そういうことか」

炎魔「どうかしたんですか?」

男「帝国がこちらに向かっている、という連絡があっても遭遇できなかったのは……攻撃対象があの村じゃなかったからだ」

中華「なるほど、妖精の住処を落としにきたってことか」
330 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/18(土) 04:37:43.11 ID:PzFoD0dgo
ぶりっ子「でも、どうしましょう?これから……」

炎魔「帝国は目的を果たしたのか、というところが重要そうですね」

男「ああ、充分ならもう戻ることはないだろうし、果たせずに撃退されたならまだチャンスを窺っているだろう」

妖精「……?」

中華「ああ、ちょっと難しい話をしちゃったね。もう少し奥まで案内してもらえるかな?」
331 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/18(土) 04:50:33.04 ID:PzFoD0dgo
本日はここまでです
ありがとうございました
332 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/18(土) 19:44:50.81 ID:PzFoD0dgo
妖精の案内で花畑の中心まで進むと、白のタイルと、
そこから地下に続いていく階段があった


妖精「この先に女王様がいるよ」

ぶりっ子「そうなんですねぇ、ありがとうございますぅ」

炎魔「早速入ってみましょう!」

スライム「妖精の女王様なんて、想像したこともないなぁ」


一行は階段を下り、妖精の女王が座す玉座へと向かう


>>下1……妖精の女王はどんな人物か
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/18(土) 20:16:58.20 ID:OkbcSui40
少し『少年』の様な顔立ちをしたわんぱくっぽい『娘姿』

「こう見えて『貪欲の王の』時代から生きてるわ!」
334 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/19(日) 03:23:35.80 ID:bsizcrmzo
そこには、未だ踏み荒らされていない、
小ぶりな庭園があった
その中央に玉座は置かれており、
そこに妖精の女王はどっかりと座っていた


妖精女王「ようやく来たよーね」

男「あ、お初にお目にかかります……」


女王とはいったものの、
その姿はあどけなさやわんぱくさの滲む、
どこか中性的でもあるものだった
335 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/19(日) 03:26:39.55 ID:bsizcrmzo
妖精女王「私は分かってたわよ、あなたたちが来ることもね」

中華「え?」


その玉座は人間のそれよりは小さいが、
しかしそれでも彼女には大きすぎた
女王と言われてこそいるが、
まだ王女と呼ぶべき年齢なのではないか、
とこのうちの何人かは思っただろう


妖精女王「それから、私が随分幼く見えてる人もいるみたいだけどね」

炎魔(ぎくっ)

妖精女王「こう見えて『貪欲の王の』時代から生きてるわ!」
336 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/19(日) 04:26:05.75 ID:bsizcrmzo
本日はここまでです
ありがとうございました
337 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/19(日) 19:25:55.39 ID:bsizcrmzo
ぶりっ子「未来予知ですかねぇ?」

妖精女王「ふ……全て聞こえていただけよ!」

男「?」

妖精女王「あなたも同じ力をもっているじゃない」

男「まさか、俺たちの声を全部聞いていたんですか?」

妖精女王「あったり前よ!」
338 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/20(月) 01:47:29.34 ID:wGRNfMsLo
得意げにドヤ顔をキメる女王
なかなか癖の強い人物だと察した一行は、
ややフレンドリーに接することにした


中華「すみません、こんなときに来てしまって」

妖精女王「こんなときだから来たんでしょ?そういうものよ。お茶持ってきて!」


彼女が近くに控えていた妖精に声をかけると、
彼らはバックヤードに引っ込んでいった
339 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/20(月) 03:02:23.47 ID:wGRNfMsLo
本日はここまでです
ありがとうございました
340 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/20(月) 18:03:41.89 ID:wGRNfMsLo
ぶりっ子「お気遣いなさらずに……」

妖精女王「なに言ってるの?私の品位が許さないのよ!」


彼女はそう言うと、突如として玉座ごと高速回転を始めた
なにごとかと誰もが身構えたが、
いつの間にか玉座は椅子とテーブルになっており、回転が止まるとそこに座った妖精女王が手招きしていた


炎魔「す、すごい……どういう技なんでしょう?」
341 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 03:29:56.38 ID:QDAPezkho
妖精女王「聞くのは野暮ってもんよ」


一行が招かれるままに座ると、
すぐにティーポットが運ばれてきた
そして、燕尾服を着た妖精がカップ一つ一つに茶を注ぐ


男「中々大きい御方のようですね」

妖精女王「よく分かってるじゃない。体のほうは、どうも小さいけれど」
342 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 03:33:43.28 ID:QDAPezkho
出されたお茶におずおずと手をつけた一行は、
その味にびくりと身を震わせた
そして、中華だけがその正体に気付く


中華「ハーブティーですね。でも、こんな甘いフレーバーのものは飲んだことがない……!」

妖精女王「ええ、当然。これは妖精たちの技術によって作られる、世界で最も甘いハーブティーですもの」


男と炎魔はそもそもハーブティーの違いが分かるほど種類を飲んでいなかったので、
その説明を複雑な顔で聞いていた
343 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 03:34:13.10 ID:QDAPezkho
本日はここまでです
ありがとうございました
344 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 18:54:38.78 ID:BsFjW8HjO
わずかな時間をゆったりと過ごし、
それから本題に入る運びとなった


ぶりっ子「それでぇ……聞きたいことがあるんですけどぉ」

妖精女王「あら、わざわざまた聞く必要なんてないわ。もう聞いてるもの」


彼女はその力によって、一行が聞きたいことを知っていた


炎魔「では、答えていただけますか?帝国の方々はどこにいるのか……あるいは、みな逃げてしまったのか」

妖精女王「>>下1」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/21(火) 20:01:43.04 ID:bVCLpvaJ0
再度襲撃出来る位置に居るわ。恐らく次の襲撃が本命だからね
346 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 23:37:04.10 ID:QDAPezkho
妖精女王「再度襲撃出来る位置に居るわ。恐らく次の襲撃が本命だからね」

男「不躾なことを聞きますが、対策は?」

妖精女王「ないわ。最悪私が戦うけれど、とにかく兵力がないのよ」

中華「ジャバウォックのせいですか?」

妖精女王「ええ、まったくもって厄介なヤツが出てきてしまったわね……」


ジャバウォックの出現に関しては、
流石の女王も予見できていなかったようだ
347 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/22(水) 01:08:17.99 ID:GmcXZd4+o
ぶりっ子「いつ来るんでしょうか、帝国の部隊は……」

妖精女王「分からないわ。だから迂闊に動けないのよ」


彼女は露骨に大きなため息をついた


炎魔「とにかく、仲間を呼んできましょう」

男「そうだな、張り込むべき場所も分かったんだし……」
348 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/22(水) 01:10:17.91 ID:GmcXZd4+o
中華「つまり、やるべきことは三つだ。一つは、帝国の襲撃に備えること。二つめに、ジャバウォックをどうにかすること。最後に、仲間を呼んでくること」


そう羅列されると、状況の厄介さが全員に伝わった
結構能天気なスライムでさえ、
なんとなくそれは分かったのだ


ぶりっ子「……これ、順番とかなくないですかぁ?」

中華「うん、全部今すぐにやらないといけないことだね」
349 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/22(水) 01:24:25.19 ID:GmcXZd4+o
本日はここまでです
ありがとうございました
350 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/22(水) 18:09:03.75 ID:GmcXZd4+o
炎魔「誰がどれをやるか……ってことですね」

妖精女王「先に言っとくけど、私とコイツはジャバウォックの相手できないわよ」


そう言って彼女は男を指した


ぶりっ子「やっぱり、能力の都合ですかぁ?」

妖精女王「そう。認識するほどあいつは強いから」
351 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/23(木) 02:31:17.14 ID:/JNpgALUo
男「じゃあ、誰がみんなを呼びに戻る?」

炎魔「私にお任せください!」

中華「確かに、飛べば速いしすごくいいかもね」

炎魔「では!善は急げといいますし!」


彼女はそこまで言って、翼を広げて地上への階段へ翔んでいってしまった
果たして村までたどり着き、
そしてここまで戻ってくることができるのか、
焦っている彼女にそれを考える余裕はなかった
352 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/23(木) 02:56:52.56 ID:/JNpgALUo
本日はここまでです
ありがとうございました
353 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/23(木) 19:36:18.63 ID:/JNpgALUo
妖精女王「私のお茶会を途中退席ぃ?なによあいつ……」

男「す、すみません。一応俺がリーダーなんで……クレームは俺に」

妖精女王「……はぁ、まぁいいわ。今回は見逃してあげる」

男「ご寛大な措置に感謝します」


ただお転婆なように見えて、
妖精女王は未だ底知れない
彼はその機嫌をなるべく損ねないように振る舞うことにしているのだ
354 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/24(金) 01:41:37.45 ID:Uqk80Sz1o
妖精女王「じゃ、残りの二人がジャバウォックに対処ってことでいい?」

中華「構いませんが……対策なんかはないんですか?」

ぶりっ子「流石に、手強そうなんですけどぉ……」

妖精女王「そうねぇ……帝国のやつらが来るまで調べましょうか」


彼女が指を弾くと、近くの床にさらなる地下への階段が現れる
355 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/24(金) 02:12:58.90 ID:Uqk80Sz1o
本日はここまでです
ありがとうございました
356 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/24(金) 21:14:54.30 ID:Vhf1SVGyO
すみません遅れました


その階段の先には、図書館があった
あまり掃除は行き届いていないようで、
かなり埃っぽい場所となっている


男「ん"っ!げほっ、げほ……」

妖精女王「私たち妖精って、普通は本なんて読まないのよ」

中華「だから入り口を普段から出しておく理由もないんだね……」

妖精女王「そうね、私ぐらいよ?本を読むのは」
357 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 03:08:13.57 ID:y6oBvzeJo
ぶりっ子「ここに、ジャバウォックの手がかりが?」

妖精女王「ええ、多分あるんじゃないかしらね」

男「……確実ではないんですね」

妖精女王「覚えてないわよ、集めた本の内容全部なんて……」


しかし、それも当然だ
市長がいる街のそれには遠く及ばないが、
しかし並の図書館より遥かに大きな空間がそこには広がっていた
358 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 03:17:29.65 ID:y6oBvzeJo
本日はここまでです
ありがとうございました
359 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 19:14:47.36 ID:DcHe6hswO
それから一行と妖精女王は図書館に散った


男「……さて、どこにあるのやら」

スライム「図書館で本を探すのって、難しいの?」

男「いや……別に。よっぽどデカいと話は別なんだけど……ここ、全然整理されてないんだ」

スライム「ふーん……」
360 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 19:17:34.62 ID:DcHe6hswO
男はスライムを頭の上に乗せて、
図書館をひたすらに歩いた
手がかりもなしに本を探そうとすると、
非常に集中力を使う
ものの数分で目が滑る状態になってしまっていた


男「どこだよ……」

スライム「あ、あれじゃない?」

男「ん?」


男はスライムが向いている方の本を取った
そこには『幻獣と伝承』というタイトルの本があった


スライム「どう?」
361 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 19:19:10.72 ID:DcHe6hswO
男「……いけるかも!でかしたぞ!」


男はその本を取り、一気に読み始めた
かなりボリューミーな本で、物理的に結構重い


スライム「どう?」

男「これは……」


>>下1……ジャバウォックについて記載があったか(あればその内容も)
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/25(土) 19:51:35.34 ID:VMkWrjY80
「見た」という記録こそあれ明確な姿は不明
見る人によって姿が変わるとも記憶を消去·改変してるとも
363 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/26(日) 03:09:45.12 ID:/ZFvKmmHo
本日はここまでです
ありがとうございました
364 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/26(日) 19:59:07.01 ID:/ZFvKmmHo
スライム「難しいの?」


多くの幻獣には挿絵があったが、
ジャバウォックにはなかった


男「やはり、姿になにか鍵がありそうだな……」


目撃記録や目撃者に話を聞いても、
その正確な姿を掴むことができない存在のようだ
365 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/27(月) 02:00:19.13 ID:uQ7FOQtqo
スライム「でも、分からないんだよね?」

男「あぁ、しかも分からないだけじゃなくて、証言の食い違いもある」

スライム「どういうこと?」

男「見る人によって姿が違う可能性があるってことだな」


近くにあった机に男は本を置く


スライム「そんな生き物がいるんだ!」
366 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/27(月) 02:01:55.96 ID:uQ7FOQtqo
男「……だが、さらに恐るべきは語るべき言葉がなかった者たちだ」

スライム「難しいよ」

男「ごめん。要するに、どんな姿か分からなかったって言ってる人が多いみたいなんだよね」

スライム「え?そうなの?」

男「だが、見たならば覚えているはずだ。つまり、記憶に干渉する力を持っている可能性もあるってことなんだよね」
367 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/27(月) 19:38:43.16 ID:uQ7FOQtqo
すみません寝落ちしました


スライム「そうなの?」

男「そもそも見た姿が食い違ってることもあるらしいし、可能性としてはありそう」

スライム「なるほど!……でも、それじゃあなにも分からないことが分かっただけじゃない?」

男「……否定できない!」
368 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/28(火) 03:13:10.00 ID:uoEVM0Oko
スライム「なーんだ」

男「だが、仮説を立てることができた……ヤツの真の力は、記憶操作だという仮説を」

スライム「そうだね」

男「ということは……その対策ができればいい。仮説が合っているかは分からないが、なにも対策しないよりマシだ」

スライム「確かに?。それで、どう対策するの?」


男は後ろをついてくるスライムに振り返った
そして両手を腰につけて宣言する


男「わからん!」
369 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/28(火) 03:15:44.55 ID:uoEVM0Oko
本日はここまでです
ありがとうございました
370 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/28(火) 21:08:32.36 ID:uoEVM0Oko
すみません遅れました


妖精女王「なによ?」


男が大きな声を出したので、妖精女王がやってきた


男「あ……丁度いいところに。聞きたいことがあったんですよ」

妖精女王「はぁ」

男「記憶を保護する魔法とかあったりしませんか?」

妖精女王「>>下1」
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/28(火) 22:08:27.97 ID:GdyJxYxm0
妖精には必要無いから、此処では存在してないわ。
ただ面白がって別個の魔術等を合わせたら別系統の魔法が出来た事なら結構あったけど
372 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/29(水) 03:28:23.56 ID:N6gWb0guo
妖精女王「妖精には必要無いから、此処では存在してないわ。」

スライム「そうなの?」

男「享楽的だからな、忘れたものは忘れたまんまでいいんだろう」

妖精女王「ただ面白がって別個の魔術等を合わせたら別系統の魔法が出来た事なら結構あったけど」


その話は非常に興味深いものだった
わざわざ彼女がそう言うということは、
それで記憶保護……とまではいかずとも近しい魔法が作れるであろうことを示唆しているのだ
373 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/29(水) 03:53:10.16 ID:N6gWb0guo
本日はここまでです
ありがとうございました
374 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/29(水) 19:48:33.93 ID:N6gWb0guo
スライム「へー、ぼくたちみたいだね」

妖精女王「そうね、スライムも別種のもの同士が融合して見たこともないスライムが生まれることがあるわ」

スライム「ぼくの言葉が分かるの?」

妖精女王「あら、男が聞けて私に聞けない道理はないわ」

男「なるほどなぁ。……しかし、どうやって作り出したものか」


簡単にできるようなことでもないだろう
まして彼は魔法の専門家でもないのだ
375 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/29(水) 21:06:33.69 ID:N6gWb0guo
中華「どうかしたの?」


話し声を聞きつけてか、中華もやってきた


男「実は……」


男はここまでの顛末を話した
すると、中華は少し考え込んでから答える


中華「……炎魔さんが氷魔さん呼んでくるのを待ってみない?」
376 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/30(木) 19:06:15.68 ID:Nlz+WJINo
すみません寝落ちしました


妖精女王「時間がないわよ、ジャバウォックだってまたこっちに入ってくるかもしれないのに」

中華「うん……だから、僕たちが時間を稼ぐ」

男「……無茶はだめだ」

中華「男がそれ言う?」

男「言ってやるさ。相手はかなり手強い。仲間を失うリスクは許容できない……」
377 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/01(金) 03:34:16.37 ID:cN6RsG+to
ぶりっ子「だったら、これですよぉ」


彼女もまた、話し声を聞きつけてやってきた
そして、その手には巻物が握られている


妖精女王「なに?そのスクロール」

男「そうか!それは……向こうに繋がっているんだな」


それは、書いた内容が対になるもう一つの巻物に反映される巻物だった
378 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/01(金) 04:05:54.76 ID:cN6RsG+to
ぶりっ子「はい、これで氷魔さんにコンタクトをとりましょう」

中華「じゃあ早速……ええと、なんて聞こう?」

ぶりっ子「書面のいいところは、同時にいくつものことが表現できることですよ。会話のように順序立てて一つずつやる必要はないんです」


近くの机に巻物を置くと、
そこに彼女は今起こっていること、
魔法を組み合わせる方法について聞きたい旨、
記憶を保護する魔法の作り方……
とにかく様々な情報や質問を一気に書いていった
379 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/01(金) 04:10:32.57 ID:cN6RsG+to
本日はここまでです
ありがとうございました
380 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/01(金) 19:35:36.84 ID:yG8a6xcFO
妖精女王「向こうは見てるわけ?それ……」

男「分断されたときはよくこれで意志疎通や情報共有をしてる。だから多分確認してくれるとは思うけど……」

中華「いつ確認されるかは分からないよね」

妖精女王「頼りないわね……」

ぶりっ子「便りが来てないですからねぇ」
381 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 05:22:24.86 ID:+TUPXrXho
スライム「すごいアイテムを持ってるんだねぇ」

男「ま、色々あったからな……」

中華「さて、ならやるべきことは決まったね」

ぶりっ子「ですねぇ、いきましょう!」


三人とスライムは図書館中を駆け回り、
様々な魔法の使い方が記された本をかき集める
どんなオーダーが氷魔からなされても応えられるように備えているのだ
382 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 05:51:48.30 ID:+TUPXrXho
本日はここまでです
ありがとうございました
383 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 18:31:50.46 ID:+TUPXrXho
だが、その作業が始まって十分ほどが過ぎたときのことだ
妖精女王は男に声をかける


妖精女王「……来たわ」

男「帝国か……行くしかないな」


女王が帝国の動きを聴いたのだ
男も、確信はないが胸騒ぎのようなものを少し感じていた
384 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 18:33:10.01 ID:+TUPXrXho
妖精女王「そういうわけよ、私たち行くから」


彼女は中華とぶりっ子に離脱を告げる
二人は作業をしながらもそれにしっかりと反応した


中華「うん、そっちこそ無茶しないでよ?」

ぶりっ子「必ず生きて会いましょうねぇ」

男「ああ、約束だ」
385 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 18:34:50.08 ID:+TUPXrXho
そして二人が図書館を出ようとすると、
スライムが声をかけてきた


スライム「ぼくも行くよ」

男「え?」

妖精女王「あなたも?」

男「……非常に危険な戦いだ。心意気は買うけど、流石に巻き込むわけにはいかない」

スライム「それでも行きたい!いざとなったらぼくのことは気にしないでいいから……」

男「>>下1」
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/02(土) 18:43:54.54 ID:/BJfMaIX0
君だって大事な宝
387 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/03(日) 01:52:35.59 ID:zy0qUWhSo
男「君だって大事な宝なんだ。……な?」

妖精女王「どうして私に振るのよ!」

男「嫌だろ?この子が死んだらさ……」

妖精女王「……そうね」


意外と素直な反応に男は驚いた


スライム「………………」

妖精女王「私はね、聞こえすぎるのよ!なにもかも!犠牲となった全ての仲間の断末魔が!……だから、もう私にそれを聞かせないで」
388 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/03(日) 04:50:24.50 ID:zy0qUWhSo
本日はここまでです
ありがとうございました
389 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/03(日) 18:24:18.96 ID:zy0qUWhSo
スライム「……ごめんなさい」


スライムはしょげてしまった
物理的に萎むので、男はとても悪いことをした気分になった


男「……いつか君がもっと強くなったら、そのときは一緒に戦おう。約束だ」

スライム「うん……」

男「それに、戦わなくたってできることはある。兵隊は、兵隊だけじゃ生きていけないんだ」
390 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/04(月) 03:16:19.46 ID:ZpzZxhPUo
男はスライムの、人間で言えば肩にあたる部分を叩いた


スライム「分かったよ」

男「いい返事だ。それじゃあ、またな」


男と妖精女王は、
スライムを地下に残して図書館を出た
そして、簡易的な戦闘準備を女王の間で行った
391 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/04(月) 03:41:06.82 ID:ZpzZxhPUo
本日はここまでです
ありがとうございました
392 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/05(火) 00:11:02.78 ID:Ctj5Rj3Bo
すみません夕方から寝てました


男は市長からもらった数々の手榴弾を取り出した
そして、それらの機能について一つ一つ説明していく


妖精女王「はぁ……とんでもないブツばかりね」

男「まぁ、俺たちは妖精と違って悪戯で済ますつもりがないですからね。それより……」

妖精女王「なに?」

男「音響弾って、使っていいんですか?」
393 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/05(火) 03:49:05.10 ID:Ctj5Rj3Bo
妖精女王「……あのね、物理的に耳がいいわけじゃないのよ」

男「ああ、そうなんですね」

妖精女王「あんたもそうでしょうよ……」


男は紹介した兵器を妖精女王にも渡す
彼女は『ピンを抜くだけで爆発する』という点を非常に嫌がっているようだったが、とりあえず受け取りはした


男「さて、行きましょうか」

妖精女王「ええ」

男「……それで、どこから来てるんですか?」

妖精女王「あんたねぇ……」
394 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/05(火) 03:50:09.36 ID:Ctj5Rj3Bo
本日はここまでです
ありがとうございました
395 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/05(火) 18:35:32.99 ID:Ctj5Rj3Bo
男はうんざり気味の妖精女王からの指示に従って、
無残な花畑を出た


男「こっちなんですね」

妖精女王「そうよ」


妖精女王が木々を伝うようにして高速で移動するので、
男はついていくのに精一杯だった


男「何人ぐらいの反応があるんですか?」

妖精女王「そうね……>>下1」
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/05(火) 22:48:55.20 ID:SzK7M+KA0
正面3キロに5人と2時の方角に5人。 分けて行動してるとこを見るとまだ『私』たちの居場所を探ってるわね
397 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 04:59:29.14 ID:7xo7+Zefo
妖精女王「正面3キロに5人と2時の方角に5人。」

男「合わせて十人ですか……どう対応しましょうか?」

妖精女王「分けて行動してるとこを見るとまだ『私』たちの居場所を探ってるわね」


どちらかが派手に動いていれば陽動の線もあったが、
そうではなさそうだった


男「大局はともかく、俺たちと奴らだけで言うなら……こちらがまだ有利ということですね」
398 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 05:02:09.51 ID:7xo7+Zefo
妖精女王「自信家ね」

男「そうでしょうか?」

妖精女王「ええ、五倍の人数差を相手に有利と言いきれる人間はそう呼ばれるものよ」


確かにそうかもしれない、と男は思った
だが、旅路の中で何度も苦難に直面してきた彼にとって、五倍の人数差程度は不利のうちに入らないのである


男「……ま、最近は威勢だけで生きているみたいなところがありますから」

妖精女王「あなた、妖精みたいね」
399 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 05:05:59.49 ID:7xo7+Zefo
本日はここまでです
ありがとうございました
400 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 18:52:08.36 ID:7xo7+Zefo
男「どちらからいきましょうか?それとも、両方同時に攻めます?」

妖精女王「あら、私は軍師じゃないのよ」

男「俺が決めるんですね」

妖精女王「当たり前じゃない。妖精は喧嘩までしかしないのよ。戦争なんかやらないわ」


妖精女王がどれほどの強さなのか、
というのが完全に未知数である以上、
あまり甘えた戦略は通せない……と男は考えている
だが、彼の直感を信じるなら彼女はかなり強いはずなのだ
401 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 23:38:33.42 ID:7xo7+Zefo
男「……ここは確実にいきましょう。二時の方角にいるやつらに襲撃をかけます」


市長からはなるべく生け捕りを命じられている
一網打尽にするよりも、
確保できる身柄をより高い確率で捉えることを、
男は優先したのである


妖精女王「そう。じゃあ行きましょうか」
402 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 23:42:56.45 ID:7xo7+Zefo
本日はここまでです
ありがとうございました
403 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/07(木) 18:33:49.87 ID:cSTOiO+Do
男と妖精女王は二時の方角を目指した
ニキロほど進むと、妖精女王が止まる


男「……まさか」

妖精女王「ええ、いるわ……まっすぐに向かってくる」


二人は茂みに隠れ、息を[ピーーー]
すると、男にも迫ってくるその息遣いが聞こえ始めた
404 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/08(金) 03:48:44.77 ID:gt1REo0Po
そして、ついにやってくる五人の兵たちの姿を捉える


男(意外と、妙なところはないな……)


いかにも手練れといった者たちがやってくるのかと男は思っていたが、
少なくとも第一印象ではそのように感じなかった
あくまで普通に兵士のように見えていた


妖精女王「……いつ行くの……」
405 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/08(金) 04:35:39.68 ID:gt1REo0Po
本日はここまでです
ありがとうございました
406 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/08(金) 19:04:40.97 ID:2+1wWI70O
男「……俺が叫んだら、行きます。耳をふさいでおいてくださいね」


彼は深呼吸すると、
一気に様々な手榴弾のピンを引き抜いた
そして、行軍する者たちに投げつける


妖精女王「………………」

男「今です!」


彼らが反応しきる前に、手榴弾たちは炸裂していく
407 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/09(土) 03:37:44.66 ID:VMCjYFnko
催涙弾をもろに食らわないよう、目を閉じて行動する
男にとっては不安なことだったが、
二人とも充分に『聴こえて』いるから、
目を開く必要性は薄かった


妖精女王「これに包めばいいのよね!?」

男「ええ!」


二人は、動けなくなった彼らを麻袋で包んでいく
五人いるうちの四人を、それぞれ二人ずつ手際よく確保した
408 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/09(土) 03:53:29.30 ID:VMCjYFnko
本日はここまでです
ありがとうございました
409 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/09(土) 19:32:16.39 ID:VMCjYFnko
煙幕の向こうにもう一人の影を男が見たとき、
彼は異変に気付いておののいた


妖精女王「……っ!?」


妖精女王も気付いたようで、
男の隣に並び立って警戒している
一人まだ確保されていなかったその兵士の姿は、
だんだんと形を変え、>>下1になった
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/09(土) 20:09:01.66 ID:tgxSZQKJ0
ゲル状のスライムに姿を変えた…いや、戻したと言った方が早い
411 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/10(日) 03:21:52.92 ID:NMImuW2Po
ゲル状のスライムに姿を変えた…いや、戻したと言った方が早い


ゲル兵士「ぐげげげげ……」

男「ま、まさか!」

妖精女王「こいつ、人間じゃないわ!」


正体を表したゲル兵士は、
自分の肉体から粘液を切り離し、高速で射出する
412 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/10(日) 03:23:14.90 ID:NMImuW2Po
男「危ない!」


男が強く妖精女王の手を引くと、
どうにか彼女はその軌道から逸れた


妖精女王「……ふんっ、礼は言わないわよ」

男「いいですよ、そんなことより大切なことがありますからね!」


二人は戦闘態勢に入った
413 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/10(日) 04:30:54.35 ID:NMImuW2Po
本日はここまでです
ありがとうございました
414 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/10(日) 18:55:53.41 ID:NMImuW2Po
妖精女王「……ま、あんなやつひとひねりよ」

男「おお!そうなんですか」

妖精女王「ええ……」


ゲル兵士は再び肉体を射出してくる
以前戦ったゲルのように、
魔術を使うタイプではなさそうだった


男「……それで、どんなことができるんですか?」

妖精女王「>>下1」
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/10(日) 21:03:15.67 ID:X1na3FL9o
物を本の中に閉じ込める魔法よ
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/10(日) 21:08:53.11 ID:QsXK23lq0
全ての植物や樹々、風をそよ風から暴風まで操る事も小動物や草食獣を操る事も可能よ。特に『呪い』の類なら解呪出来なくとも緩和ぐらいできるわよ!
言いながら突風を使い、ゲルごと敵を切り裂いた
417 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/11(月) 04:58:05.03 ID:mEktbgAQo
妖精女王「物を本の中に閉じ込める魔法よ」


彼女がそう言うと、魔法陣が展開された
ピラニアが喰らうように、本が現れては飛んでくるゲルを綴じ込んでいく


男「すごいっ!」

妖精女王「じゃ、バックアップお願いね」


そう言うと、妖精女王は少し力んで指パッチンをした
418 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/11(月) 05:05:48.06 ID:mEktbgAQo
本日はここまでです
ありがとうございました
419 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/11(月) 19:14:08.29 ID:mEktbgAQo
ゲル兵士を挟み込むように、巨大な本が現れた
そして、それは彼をもまた綴じ込もうとする


ゲル兵士「ぐっ!!」


だが、簡単に閉じ込められるほど甘くはなかった
彼は両腕でそれぞれ両側のページを押し、潰されないように踏ん張っている


男「なるほど、そういうことですね」
420 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/12(火) 03:11:15.45 ID:Thoqbya1o
妖精女王「いいから早くなさい!」

男「……上級風魔法っ!」


男が魔法を放つと、風の塊がゲルに衝突する
すると、それに押されて彼は踏ん張ることができなくなり、本に綴じ込まれてしまった
人間ほどのサイズだった本はすぐに縮まり、
文庫本ほどのサイズになる


妖精女王「便利だけど、これあまり戦闘向けじゃないのよね」
421 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/12(火) 03:24:17.97 ID:Thoqbya1o
本日はここまでです
ありがとうございました
422 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/12(火) 19:03:33.29 ID:ho2lLQmRO
男「……そうですかね?」

妖精女王「だって、あの程度の魔物にも抵抗されてしまうじゃない」

男「結構強いほうだと思うんですけどね……」


男がちらりと既に拘束した兵たちに目をやると、
ばたばたとしているのみで、
ゲル状になったりはしていなかった
兵士の中に魔物が紛れていたということなのだろう
423 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/13(水) 03:31:25.84 ID:IGsR+i5Mo
妖精女王「これからどうするの?」

男「派手にやりましたから、他の部隊が来るかもしれません。あるいは、引き揚げたかもしれませんけど……」

妖精女王「で?」


前置きを聞いているのではなく、
なにをすべきか聞いているのだ
そう言いたげな顔だった


男「この場を離れるのが得策かと。彼らを運ぶ必要はありますが」

妖精女王「わかったわ」
424 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/13(水) 03:34:49.13 ID:IGsR+i5Mo
本日はここまでです
ありがとうございました
425 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/13(水) 18:16:37.87 ID:IGsR+i5Mo
男「その本、対象を出したりしまったりできるんですか?」

妖精女王「一応できるわよ、相手によるけれど」


彼女は拘束された兵士たちを、
まとめて一冊の本に綴じ込めた


男「相手に?」

妖精女王「封印魔術には莫大な魔翌力が必要なの。お分かり?けれど、この技はそれを擬似的に踏み倒しているのよ」
426 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/14(木) 03:30:58.73 ID:nPrLnl0ao
男「へぇ……擬似的にってことは、なにか制約が?」

妖精女王「ええ、封印しっ放しならよいけれど、解放するときにかなりの魔翌力を要求されるわ」

男「それは、普通に封印しようとするときよりもってことですかね」

妖精女王「ええ、封印に必要な分、解放するときに必要な分、そして封印の踏み倒しの利子がまとめてやってくるの」

男「……しかし、やはり封印がタダなら戦闘向きな気がしますけど」
427 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/14(木) 03:43:37.48 ID:nPrLnl0ao
移動を開始すると、妖精女王は続きを話し始めた


妖精女王「そうね、妖精は飽きたらなんでも放っておくものだから、気にしないでしょう」

男「?」

妖精女王「でも、コンパクトにまとめられる術があるなら……その解除も戦闘に活かしたくなるのが人間でしょう?」


彼女はそう言うと懐から一冊の本を取り出した
そして解呪をしてみせると、その場にぼとぼとと大量のナイフが落ちた
428 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/14(木) 03:44:23.15 ID:nPrLnl0ao
本日はここまでです
ありがとうございました
429 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/14(木) 19:05:52.05 ID:nPrLnl0ao
男「うわっ」

妖精女王「武具や兵器の出し入れが自在なら、戦いはもっと楽になるのよ」

男「……でも、制約によって、それを主軸にして戦うことはできないってことですね」

妖精女王「そ。……でも、後悔はしてないのよ、これ使うことにしたのはね」


彼女は気丈に笑った
430 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/15(金) 03:42:02.10 ID:op66FN+ro
男「しかし、そうやって本にしておけるなら……大きく退避する必要はないかもしれませんね」

妖精女王「ふぅん」

男「こちらも身軽に動けるなら、焦った別動隊を叩くこともできるでしょう」

妖精女王「そのために、場所が分からないと困るのね?」


彼女は物分かりよさそうに返事をしたが、
その表情はややうんざりとしていた


男「まぁ、そうですね」
431 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/15(金) 03:59:48.83 ID:op66FN+ro
本日はここまでです
ありがとうございました
432 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/15(金) 19:42:06.30 ID:dvJRP1ENO
妖精女王「女王を顎で使うとは、随分と大物ね」

男「すみません、でもあなたの力が必要なんです」


突然女王は黙って、そしてしばらくして声を発した


妖精女王「……上よ」

男「え?」

妖精女王「だから、上よ」


男が焦って見上げれば、そこには>>下1がいた
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/15(金) 19:48:02.08 ID:qgYqMyL6o
ジャバウォック
434 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/16(土) 04:26:51.20 ID:VOtBqc3Uo
そこにいたのはジャバウォックだった
男はそれを見た瞬間から、
凄まじい違和感と恐怖と頭痛に苛まれる


男「あ、あぁ……」

妖精女王「悪いけど私、ここじゃ[ピーーー]ないわ」

男「え……」


その声に反応して彼が妖精女王を確認すると、
彼女は自分自身の封印術で本に綴じ込められてしまった
435 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/16(土) 04:46:50.09 ID:VOtBqc3Uo
本日はここまでです
ありがとうございました
436 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/16(土) 19:01:55.10 ID:VOtBqc3Uo
深紅の一冊へと変わってしまったその姿に男はうろたえるが、注意が逸れた瞬間に空から咆哮が聞こえる


ジャバウォック「びょおぉぉぉぉ!!」


彼には、獣がそこにいるように見えたが、
次の瞬間にはそれが大空に埋め込まれた無数の眼球に見えていた
目を閉じれば蛇のような機械を感じ、
とにかくそれが迫ってきているということが感じられた
437 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 03:47:58.31 ID:ijZUFf1Ao
男「くっ!!」


彼はとにかく自分の感覚を遮断しようとした
それを感じることは、
自分の脳内を直接かき回されることと同義であるからだ


男「はぁ、はぁ……」


どちらとも分からない方向に走る
木にぶつかり、根にこけそうになりながら、
ひたすら逃げる
438 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 05:22:14.18 ID:ijZUFf1Ao
だが、しかしそれから逃れることはできない
足音は大地を伝い、彼の感覚に届く
耳をふさいでも咆哮はその隙間を抜ける


男「速い……!」


その息遣いと臭いが、間近に迫る
そして、意識すればするほど彼は苦しむ


男「うぐ、ぐぐぐ……」
439 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 05:23:33.01 ID:ijZUFf1Ao
本日はここまでです
ありがとうございました
440 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 18:24:03.37 ID:ijZUFf1Ao
だが、それでも彼は諦めなかった
必死に己の感覚を遮断しようと努め、
うずくまってでも逃れようとした
男は妖精がしていたように、近くの茂みに転がり込む
すると、辺りは不気味なほど静かになった


男「……?」


男は不思議に思ったが、
目を開けることはできなかった
辺りを探ることもしようとはしなかった
ただ怯えて、ひたすらに身を縮めていた……
441 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 18:53:41.15 ID:ijZUFf1Ao
次第に、なぜか彼の意識は朦朧としていった
だが、それに抗うには感覚をはっきりさせないといけないため、いっそ気絶してしまうと考えた
そして、意識が闇に溶けてゆく……


男「はっ!?」


男は突然意識が完全に覚醒した
そこは彼も見慣れた場所、本来祭壇からしかアクセスできない、神々のいる場所だった
442 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/18(月) 04:36:18.04 ID:JRoJ6Vavo
本日はここまでです
ありがとうございました
443 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/18(月) 20:06:19.83 ID:JRoJ6Vavo
すみません遅れました


少女神「なんとか助かったみたいですね」


砂浜にふんぞり返っているのは、少女神だった


男「ひどい目にあったよ」

少女神「感謝の一つもないんですか?」

男「……あ、まさか?」
444 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/18(月) 20:09:00.28 ID:JRoJ6Vavo
少女神「治すこともできれば悪くすることもできます。祟り神としての性質もありますから……ね」


彼女が権能で働きかけ、
男の嗅覚や聴覚機能を著しく低下させることによって、ジャバウォックの力から逃れさせたのだった


男「助かったよ。危うく殺されるところだった」

少女神「あとは、帝国の兵士たち……男が捕まえてないやつらに見つからなければいいんですけどね」
445 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/19(火) 03:09:55.02 ID:SRRRzDbPo
男「……なぜ俺はここに入れたんだ?」


向こうを見ると、海神や地母神、商売神が海辺で戯れている
やはり、いつも彼が入っている精神世界だった


少女神「理由はいくつもあるよ、ものすごい荒療治の修行で神への適合を高めたのが一番大きいけど」

男「あぁ……」


彼は雷に打たれたりしたときのことを思い出した
自分からはたらきかけるだけでなく、
神の側からも男に接続しやすくなっているのだった
446 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/19(火) 03:42:48.43 ID:SRRRzDbPo
本日はここまでです
ありがとうございました
447 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/19(火) 19:28:23.72 ID:djEKszeLO
少女神「男を依代にして、誰か一柱が随行していたけれど……もう、必要なら誰でも呼べちゃう」


それに気付いてさえいれば、
もっと楽にことは済んでいたかもしれない
男はそう思ったが、やはり結局、
神の力を借りるためには膨大な魔翌力が必要だと思い出し、ままならなさに思わず笑いがこぼれた


男「ふ……」

少女神「随分余裕そうじゃない」

男「まさか」
448 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/20(水) 01:42:01.91 ID:jsr9z3gKo
少女神「それで、誰か力を借りたいのはいるの?」

男「少なくとも、今は君だな」

少女神「媚びたってなんも出さないわよ」


男はもう少し波打ち際の風に浸っていたいと思った
だが、頃合いを見て現世に戻らなくてはならない


男「ま、またあいつに絡まれたらよろしく頼むよ」
449 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/20(水) 03:13:15.69 ID:jsr9z3gKo
本日はここまでです
ありがとうございました
450 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/20(水) 18:28:30.48 ID:jsr9z3gKo
少女神「女王も神もパシリですか、いい根性してますね」

男「信頼してるだけだよ」


男はそう言うと、その空間への精神的な接続を絶った
目覚めると、茂みの中にいる


男「はぁ……参ったな」


ジャバウォックからはどうにか逃れられたようだったが、依然として状況は苦しいままだ
451 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/21(木) 02:36:58.54 ID:13slVmsNo
彼は隠密を保ちながら茂みを出ると、
逃げる最中で散乱した本たちを集めた


男「……どうすりゃいいんだ」


妖精女王は本になってしまった
本の封印を解くための方法は彼には分からず、
もし知っていたとしてそのためには莫大な魔翌力が必要だった


男「……とにかく、退くか」
452 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/21(木) 02:44:27.20 ID:13slVmsNo
本日はここまでです
ありがとうございました
453 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/21(木) 19:32:20.63 ID:13slVmsNo
一方そのころ、炎魔は元々村に待機していた面々を連れて森を進んでいた


炎魔「まさか、森で合流できるなんて!」

氷魔「……巻物を通じて……連絡があったので……」

やる気「しっかし、相当入り組んだ状況になってるようっすね」

怪盗「妖精たちがいて、帝国がいて、ジャバウォックもいる。下手に動けば足元をすくわれそうですね」
454 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/22(金) 18:36:01.86 ID:qni9jtbvO
すみません寝落ちしました


氷魔「……まずは……妖精たちの住処に向かわなくては……」

炎魔「はい!多分こっちです!」


そうして、四名は無残なことになった花畑に到着したのであった
時を同じくして、そこにはボロボロになった男も現れた


男「……みんな!来てくれたのか」

やる気「遅くなって申し訳ないっす!それより、どうしたんすか!?そんな満身創痍の状態で……」
455 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 04:01:19.04 ID:atcYu2hmo
男「満身創痍ってほどじゃない。心は疲れたが、体はまだまだ動く」

怪盗「とにかく、一旦休みましょう!妖精女王の玉座に行けばいいんですよね!?」

炎魔「はい!」


男は強がったが、仲間たちはそれを聞き入れなかった
それどころか担いで運ぼうとまでしてきたので、
男は最後の意地でそれだけは振り払って空の玉座へと戻った
456 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 04:02:54.06 ID:atcYu2hmo
そして、氷魔はそのまま地下の図書館へと入っていった
残りのメンバーは一旦玉座の近くに集まる


炎魔「そういえば、女王さんは?」

男「……これだ」


男は、女王が封じられている本を出した


やる気「……ど、どういうことっすか?」
457 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 04:05:13.92 ID:atcYu2hmo
本日はここまでです
ありがとうございました
458 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 19:24:44.54 ID:atcYu2hmo
男は妖精女王の能力と、これまでの顛末を説明した


怪盗「でも、ジャバウォックに会っても生き残れたんですね!」

男「まぁな……頭が割れそうだったが」

炎魔「それより……もう一部隊はまだ残っているんですよね」

やる気「もう退いた可能性もあるっすけど、どうっすかね……」
459 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 21:48:32.25 ID:atcYu2hmo
男たちが休んでいる間に、
氷魔は図書館の二人と一匹に合流した


中華「氷魔さん!」

氷魔「……失礼……お待たせ致しました……」

ぶりっ子「いえ、むしろ思ったより早くきてくれて助かりますよぉ」

氷魔「……私も……専門外の魔法については詳しくないのですが……精一杯頑張りますね……」
460 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 21:55:45.69 ID:atcYu2hmo
本日はここまでです
ありがとうございました
461 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/24(日) 18:50:16.79 ID:EwNRVgBko
すみません
本日は頭痛がひどいのでお休みさせていただきます
申し訳ありません
462 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/25(月) 18:17:44.96 ID:7byKmVC9o
それからしばらく休み、男は体力を回復させた
妖精女王に仕えている者たちが、
備えてあった薬などを持ってきたのである
ただ、妖精の気質というべきか、
その量は決して多くはなく、
また効用の怪しいものも少なからずあった


男「……ふぅ……おい」


彼は仲間たちがもってきた道具袋を叩き、
それから一つのケースを取り出した
463 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/25(月) 18:43:27.91 ID:7byKmVC9o
ゲル「……なんだ」


そこに収まっていたのは、
狭そうにしているゲル生命体だ


男「……お前、大魔王を裏切る気はないか?」

ゲル「あり、得ない。大魔王様、裏切る?」

男「そうだ。俺の推測が正しければだが……お前、もう大魔王に見捨てられてるぞ」
464 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/26(火) 03:14:46.24 ID:IZCVct0Co
ゲル「?」

男「お前……相当我が強いタイプだからな、扱いづらくて適当にされてんのさ」

ゲル「ありえない。采配は、完璧」

男「……まぁ、ある意味そうかもしれない。だが、今日俺がどんなやつらと戦ったか知ってるか?」

ゲル「知る、わけない」
465 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/26(火) 03:35:34.70 ID:IZCVct0Co
本日はここまでです
ありがとうございました
466 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/26(火) 18:59:53.96 ID:IZCVct0Co
男「お前と同じさ、ゲル生命体だよ」

ゲル「……そう」

男「あいつらは帝国の兵に化けてやがった。だが、人間の兵だっていた」

ゲル「ゲルと、人間、が?」

男「そうだ。お前の信じる大魔王様とやらは、がっちり人間と手を組んでるってこったな。じゃなきゃ混成部隊なんて無理だ」

ゲル「………………」
467 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/27(水) 03:38:54.19 ID:Ql7p/Vpho
男「……こっちには、統率されたゲルとジャバウォック……つまり、正体不明の怪物がいた」

ゲル「ああ」

男「お前も、奇妙な生き物を飼っていたな。ある意味、ジャバウォックとそっくりだ。なにかのようであり、なにでもない」

ゲル「大魔王様、から、与えられ、た」

男「……だが、アレは確かに強かったがジャバウォックの比じゃない。ここに進攻してきてる奴らとお前、なんだか似ているようで少し違う」
468 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/27(水) 04:17:31.95 ID:Ql7p/Vpho
本日はここまでです
ありがとうございました
469 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/27(水) 19:06:50.17 ID:Ql7p/Vpho
ゲル「あの、生き物、か」

男「お前は忠誠心を体よく利用されただけだ。大魔王が今回の進攻をするにあたって、実験動物のような扱いをされたんだ」


男はケースの中にいるそれを見つめる
それはみちみちに詰まって少しも動かない
ただ、言葉を発するときに震えるのみだ


ゲル「それでも、いい。大魔王様の、ため」

男「見上げた忠誠心だ、だかな、お前は決してヒトに与することはないと言った。だが、今回の作戦は人間との合同作戦だ」

ゲル「………………」

男「お前の考えを、あいつは裏切ったんだ。それでもまだ大魔王に仕えたいと思うか?」

ゲル「>>下1」
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/27(水) 20:48:56.53 ID:S0q3kxGX0
……正直に言うと分からなくなってきてる
471 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/28(木) 03:43:03.66 ID:YNxUaoTRo
ゲル「……正直に言うと分からなくなってきてる」

男「お前、いくつだ」

ゲル「いくつ?」

男「年齢だ……何年生きた?」


これは人間らしい考え方なのだろう、と彼は思った
年齢なんてわざわざ気にも留めないような存在はこの世界に数多くいるためだ


ゲル「……ほとんど、生きてない」
472 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/28(木) 04:01:07.64 ID:YNxUaoTRo
本日はここまでです
ありがとうございました
473 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/28(木) 19:05:44.92 ID:YNxUaoTRo
男「やっぱりか」

ゲル「それが、なに?」

男「別に俺たちにつけとは言わない。だが、お前はもっと色んなことを知るべきだ」

ゲル「知ってる。いっぱいの知識を、頭に入れられている」


ゲルは魔術の類に秀でていた
そして、その理由こそが造られる際にプリインストールされていた知識なのだ


男「そういうことじゃない」
474 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/29(金) 02:30:35.47 ID:fCNi+V94o
ゲル「なに?」

男「色んなやつと知り合って、色んなところに行って……そうしないと分からないことがある」

ゲル「………………そう」

男「俺も、偉そうに語れるほどじゃない若造だけどな」


男はこの世界で活動していく中で、
様々な考え方に触れることの価値と、
それが育む思慮深さや賢さを感じていた
特に炎魔に対して過保護ともいえる態度を取ることもあったが、それは幼さゆえに彼が大切にしているそれらをあまり知らないからだった
475 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/29(金) 02:34:17.08 ID:fCNi+V94o
ゲル「どう、して欲しい、の」

男「別に、強いていうなら大魔王に従うのをやめろってぐらいだな」

ゲル「なにも、しないこと?」

男「違う。なにをしたいのか、お前自身で考えるんだ。沢山考えて、それで大魔王が正しいと思うなら止めもしない」

ゲル「どうしたら……」


その生き物は、自分で行動指針を決めるということを経験したことがないようだった
だが、下手に口を出すことは、大魔王がしたように考えを歪めてしまう
そう思った男は、なにも言えずにいるのだった
476 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/29(金) 19:47:02.94 ID:cU68gpFYO
すみません寝落ちしました


男「あぁ……やらなきゃいけないことがあるんだった」


男が立ち上がっても、ゲルはなにも言わなかった
彼はふらつく体を重力に慣らすようにして、
地下の図書館へと下っていくのだった


やる気「男、大丈夫なんすかね……」

怪盗「怪我はないのにあそこまでボロボロにされるなんて、一体なにがあったんでしょう?」
477 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/30(土) 05:14:41.86 ID:HqiuPVSjo
それからしばらくして、男は戻ってきた
先ほどまでのようなふらつきはなく、
しっかりとした顔つきに戻っている


男「……よし、本格的に動こう」

狙撃少女「本格的に?」

男「敵の部隊は二つ、一つは倒したがそのときに目立ちすぎたしジャバウォックにも襲われた」

やる気「もう一つの部隊は、男の動きに完全に気付いてるってことっすね」
478 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/30(土) 05:24:36.09 ID:HqiuPVSjo
本日はここまでです
ありがとうございました
479 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/30(土) 20:09:07.98 ID:HqiuPVSjo
すみません遅れました


男「攻める気があるなら、確実にここに来る。全力で備えるんだ」

炎魔「もし、来なかったら?」

男「やつらが来るにせよ、来ないにせよ、最優先でやりたいことがある。まずはそれをしてから考えたい」

怪盗「なんですか?」

男「妖精女王の復活だ。彼女の力は戦力としても有効だが、この領域を保つために、戦闘がなかったとしても復活させなければならない」
480 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/30(土) 21:53:21.53 ID:HqiuPVSjo
狙撃少女「なるほど、それほどまでに凄い方なのですね」

男「ああ」

やる気「見当はついてるんすか?やり方の……」

男「ああ、抜け目のない人だから俺にも分かるよう、情報を残しておいてくれた」


男は、妖精女王が自らを封印した赤い本を取り出した


炎魔「そこに封印されてるんですよね?」
481 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/31(日) 00:22:54.84 ID:PMGCygSSo
男「それだけじゃない。他に封印のため使われた本の数々は、妖精たちの悪戯で中身がダメになった本だったが……これは違う」


男は本のうちの一つのページを開いた


狙撃少女「これは!」

男「ここには予め、彼女の手書きで封印の解き方が記されているんだ」

怪盗「私も読んでみていいですか?」
482 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/31(日) 00:28:33.80 ID:PMGCygSSo
男「いいが……このページ以外は読まないでおいてくれ」

怪盗「え?なんでですか?」

男「これ、多分妖精女王の日記帳なんだ……見られたくないであろうことが書いてあるかも」


そして、そう忠告する男の態度から、
少なくとも彼はあまり知るべきでないことを知ってしまったのだと、その場にいる面々は察するのだった
483 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/31(日) 00:43:32.64 ID:PMGCygSSo
本日はここまでです
ありがとうございました
484 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/31(日) 18:41:42.82 ID:PMGCygSSo
怪盗「まぁ、覗き見は私の主義に反するのでしませんよ」


彼女は流れるような動きでそれをひったくると、
開かれていたページの中身を読み始めた


炎魔「うーん、惚れ惚れするようなスリの技術っすね」

怪盗「スリって言わないでください!私は高潔な怪盗のつもりなんですからね!」

炎魔「まぁまぁ、それより封印はどうやったら解けるって書いてあるんですか?」

怪盗「えーそうですね……沢山の魔翌力が必要ですね。あとは……>>下1」
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/31(日) 20:49:20.68 ID:I+/h3K9A0
高度な魔法使いや魔導士、退魔術に優れた術師など…
486 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/01(月) 04:17:36.08 ID:/4A8pvavo
怪盗「高度な魔法使いや魔導士、退魔術に優れた術師など…」

狙撃少女「え、揃えられるんです?」

男「……信じるしかないぜ」


男はただにっこりと笑った
不気味なほど屈託のない笑顔だ


狙撃少女「な、なんですか?具体的に言ってくださいよ」
487 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/01(月) 04:38:19.25 ID:/4A8pvavo
本日はここまでです
ありがとうございました
488 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/01(月) 19:20:28.75 ID:/4A8pvavo
男「まぁ魔法に関しては氷魔を全面的に頼るとして……退魔術についてだな」

炎魔「そうですね、そんな術師みたいな人いませんよ?」

男「いや、炎魔だろ」

炎魔「え!?」

男「魔に一番強いのは間違いなく炎魔じゃないか」


そう言って、男は彼女の両肩をがしっと掴んだ
一方の炎魔の表情は曇っている
489 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/02(火) 03:09:06.62 ID:NcE9I/THo
炎魔「そんな、大きな責任……私に?」

男「責任なんてない」

怪盗「はい?」


笑って言い放つ男に、怪盗は怪訝な顔になる
炎魔もぽかんとしてしまっている


男「俺がリーダーだ。そしてこれは俺の采配だ。他の誰にも責任は取らせない」
490 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/02(火) 03:17:22.61 ID:NcE9I/THo
やる気「……で、実際のとこうまくいかなかったらどうするんすか?ノープランじゃないっすよね」

男「もちろんだ!」

狙撃少女「ふむ……まぁ確かに、男さんなら最終的にどうにかしそうですね」


盛り上がる三人を見て炎魔も勇気を出した
出かけたかすれ声を呑み込んで、
ちゃんとした発声をする


炎魔「私……やります」
491 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/02(火) 03:38:23.62 ID:NcE9I/THo
本日はここまでです
ありがとうございました
492 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/02(火) 19:56:33.77 ID:NcE9I/THo
男「そう言ってくれると思ってた。じゃあ、詳しいやり方はこのページに書いてあるから読んでおいてくれ」


彼は炎魔に赤い本を手渡した
炎魔は卒業証書を渡される学生のような顔で、それを受け取る


怪盗「氷魔さんは内容を知ってるんですか?」

男「ああ、もう知っている」
493 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/03(水) 00:36:30.96 ID:/QnzEH3xo
男は炎魔にそれを託し、地上へと出ていこうとする


やる気「どこ行くんすか」

男「野暮用だ、ぼちぼち帰ってくる」

やる気「超危険じゃないすか?」

男「大丈夫だ、まだあいつらの声は聞こえないからな」


ジャバウォックに一度認識を破壊されかけてから、
鼓膜を無理やり広げられたかのように、
彼は以前よりは『声』が聴こえるようになっていた
494 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/03(水) 04:37:44.12 ID:/QnzEH3xo
やる気「ふーん……まぁひとまず納得してやるっす」

男「悪いな、別にみんなを信じてないわけじゃないんだ」


そして、男は地下を出た
そこにいた者たちはなにも言わず、
ただその背中を見送るのだった


怪盗「外になにかあるんでしょうか?」
495 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/03(水) 05:06:49.98 ID:/QnzEH3xo
本日はここまでです
ありがとうございました
496 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/03(水) 18:32:52.12 ID:/QnzEH3xo
一方その頃、地下のさらに地下、図書館で


中華「……あれ、スライムがいない」

ぶりっ子「ええっ?」

中華「まぁ、多分上に行ったんじゃないかな……」


そんなことを話していると、氷魔が声を上げた


氷魔「……これです……!!」
497 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/04(木) 04:12:33.38 ID:OxTcWndJo
ぶりっ子「どうしたんですかぁ?」

氷魔「……ついに……記憶を保護する魔法について分かりました……!」


元々中華とぶりっ子はむやみやたらに手がかりを探していた
だが、氷魔は全て自分に任せるように言うと、
とてつもなく分厚い十冊ほどの本を読むという作業に入っていたのだ


中華「おお!……ちなみに、その本は結局なんだったの?」
498 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/04(木) 04:14:37.00 ID:OxTcWndJo
本日はここまでです
ありがとうございました
499 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/04(木) 19:09:18.55 ID:dngom+ifO
氷魔「……大魔法辞典です……まさか……こんなところにあるとは……」

ぶりっ子「めちゃくちゃ色んな魔法が載ってそうですねぇ」

氷魔「……あくまで……情報しか載っていません……記載されている魔法が使いたければ……別途個別の魔導書を用意する必要があります……」


大魔法辞典の利点とは、すなわちその網羅性である
かつて存在したあらゆる魔法が効果や発案者、
魔導書のタイトルまで判明している限り事細かに記されているのだ
魔導書が存在しない魔法についても、
一応出典としてその魔法があったことを伝える文献が引用されている
500 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/05(金) 02:42:43.82 ID:YWCH6yGJo
中華「つまり、どの魔導書が必要なのかが分かったってことだね」

氷魔「……あればいいんですが……精神強化の魔導書と……あと『楔』の魔導書……」

ぶりっ子「楔ぃ?」

氷魔「……はい……どうやらここには……古い魔導書も……少なからずあるようなので……期待できます……」

中華「とりあえず、さっき使えそうな魔導書を片っ端から集めたときに精神強化の魔導書は取ってたよ」


テーブルの上に積まれた魔導書をひっくり返し、
中華はそれを取り出した
501 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/05(金) 03:44:41.43 ID:YWCH6yGJo
本日はここまでです
ありがとうございました
502 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/05(金) 18:07:54.51 ID:YWCH6yGJo
ぶりっ子「急いで探しましょう!……というか、ここにあるんでしょうかぁ?」

氷魔「……古い本が多いですから……それでこの蔵書量なら……分の悪い賭けではないかと……」

中華「よし、急いで探そう!」


といったふうに、三人は解決の糸口を掴むことができた
男以外のメンバーも後に合流し、協力して探すことになるだろう
503 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/06(土) 05:57:33.53 ID:1GfsNxDho
そして男は、森の中を歩き回っていた


男「……おーい」


彼は地べたに転がる石ころのうち、
一つをおもむろにひっくり返した


妖精「わぁっ!?」

男「おっと、別に驚かせようってんじゃないんだ」
504 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/06(土) 05:59:20.75 ID:1GfsNxDho
そこには妖精が隠れていた
彼はそれを探り当てるコツを掴んでいたのだ


男「俺たちは今、ここを襲ってくる連中と戦っている」

妖精「ふーん」

男「だが、それには君たちの力も必要なんだ」

妖精「へー」


まるで気のない返事である
しかし、それこそが妖精の気風なのだ
505 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/06(土) 06:06:10.51 ID:1GfsNxDho
本日はここまでです
ありがとうございました
506 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/06(土) 18:48:25.86 ID:1GfsNxDho
妖精たちは今しか見ていない
面倒くさそうだな、
と思っているのは誰の目にも明らかだ


男「君たちの女王が封印されてしまっている。解くためには助けがいるんだよ」

妖精「え!?女王様が!?」

男「そうだ」


だが、流石に長い年月を統治してきただけあり、
妖精たちも彼女を慕っているようだった
507 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/07(日) 03:21:06.83 ID:2GGl01L2o
妖精「みんなを集めないと!」

男「そうだ、俺が集めるからついてきてくれ」

妖精「分かったよ!」


ここはつい妖精の自主性に任せてしまいたくなるのが人情であるが、それは愚策だ
その最中になにか別のことに気を取られたり、
他の妖精から別の話題を振られたら、
すぐにでも事態の深刻さを忘れてしまうのである
508 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/07(日) 03:56:20.32 ID:2GGl01L2o
本日はここまでです
ありがとうございました
509 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/07(日) 18:37:58.58 ID:2GGl01L2o
そうして男が妖精を集めていると、
彼はついに周りから聴こえる生命にゆらぎを感じた
帝国の部隊かジャバウォックが接近しつつあるのだと彼は想像する


男「……よし!女王様の住処まで引き返すぞ!」

妖精たち「おーっ!」


号令して走り出せば、妖精たちもついてくる
蛍の群れのような美しさがそこにはあった
510 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/08(月) 04:49:24.25 ID:tsSlaKMNo
男はなるべく妖精たちを急かした
軍隊のみが来るならばまだしも、
ジャバウォックが来て集めた妖精たちを散り散りにされてしまっては全てが裏目だ


男「おい、どっか行っちゃだめだぞ。うまいもん食いたいだろ?」

妖精B「……うまいもの」


はぐれそうになる妖精に声をかけ、
食事などで注意を引きながら連れていく
511 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/08(月) 05:29:12.41 ID:tsSlaKMNo
本日はここまでです
ありがとうございました
512 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/08(月) 18:59:41.79 ID:tsSlaKMNo
男が花畑に帰ってくると、
敵の気配はより濃密になっており、
すぐにでも攻めてきそうであると彼は感じた


炎魔「あっ!」

男「炎魔じゃないか!」

炎魔「随分たくさんの妖精を連れてきましたね」


たまたま外にいた彼女は、戻ってきた男にすぐ気付いた
513 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/08(月) 19:01:54.01 ID:tsSlaKMNo
男「あぁ、少し骨が折れる仕事だった」

炎魔「この子たちに女王を復活させてもらうんですね!」

男「その通りなんだけど……ちょっと悠長にしていられないかも」

炎魔「へぇ?」


まず聞かなければならないことが彼にはあった


男「記憶を保護する魔法についてなんだけど、あれはもう完成したの?」

炎魔「>>下1」
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/08(月) 21:58:36.24 ID:5idKEbDI0
は、はい! 一つ目が出来ていま二つ目の魔法を急ぎ製作してます!

ただ一つ目の魔法が厄介で、皆んなに掛けることが出来るんですが術師本人の魔翌力が爆大に必要で、
最悪2日3晩は眠りに着くと…
515 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/09(火) 04:57:30.72 ID:7kmH61QEo
本日はここまでです
ありがとうございました
516 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/09(火) 19:50:05.44 ID:7kmH61QEo
炎魔「は、はい! 一つ目が出来ていま二つ目の魔法を急ぎ製作してます!」

男「一つ目?」

炎魔「あ、なんか二つの魔法をかけ合わせることで完璧に記憶を守るみたいです。でも、一つ目だけでかなり影響はシャットアウトできるみたいですよ!」

男「そうか!そりゃいい!」


だが、喜ぶ男に対して炎魔は複雑そうな顔をしていた
喉に小骨が居座っているときのような表情だ


炎魔「ただ一つ目の魔法が厄介で、皆んなに掛けることが出来るんですが術師本人の魔翌翌翌力が爆大に必要で、最悪2日3晩は眠りに着くと… 」
517 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/10(水) 18:36:25.21 ID:ya1FOX0wo
すみません寝落ちしました


男「ふむ……まぁそれは受け入れるしかないな」

炎魔「え、どうするんですか?」

男「俺が使う」

炎魔「でも!」

男「そもそも、そんな魔法まともに使えるのなんて俺か氷魔かのどっちかだろう」
518 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/10(水) 18:39:35.03 ID:ya1FOX0wo
炎魔「そうかも、しれませんが……」

男「もう一つの魔法がどうなるかは分からない。しかも、これからも戦いはある……戦力として、あいつは絶対に必要だ」


男は、自分が戦場に与える影響をごく小さなものと考えている
信仰心あるものを集め、おおっぴらに神の権能を借りるぐらいのことでないと、さしたる力にはならないと考えているのだ


炎魔「っ……分かりました……」

男「無責任かな?」

炎魔「いえ……」
519 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/11(木) 02:34:51.91 ID:qrOg+ZMRo
男「よし!それなら早速取りかかろう」

炎魔「お手伝いします!」

男「みんな、こっちだ!」


男は妖精たちを地下への入り口の付近に誘導した
いかに体積の小さい妖精といえど、
女王の間に大群で入ることは厳しいのだ


炎魔「本当にすごい数ですね……じゃあ、私が様子を見ておきます」
520 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/11(木) 02:48:33.86 ID:qrOg+ZMRo
本日はここまでです
ありがとうございました
521 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/11(木) 19:47:04.05 ID:Ee/8sZ8+O
だが、そのとき轟音が響き渡る
花畑の隅で黒煙が上がっており、
爆発があったこと……すなわち、
敵が攻めてきたことは明らかであった


男「くっ!ま、間に合わなかったか……!!」

炎魔「み、みなさんに知らせないと!」

男「あれだけの音だ、言わんでも気付いてるだろう。それより、予定変更だ!」
522 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/11(木) 20:43:25.96 ID:qrOg+ZMRo
すると、
事態を察知して仲間たちが下から上がってきた


中華「大丈夫!?」

男「それはこれから決まる!氷魔、炎魔と一緒に妖精女王復活の儀式をしよう!」

氷魔「……分かりました……いけますね……炎魔さん……」

炎魔「もちろん!私はずっとここで練習してたんですよ!」

523 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/12(金) 20:00:17.81 ID:zBKbydSuO
すみません寝落ちしました


氷魔は珍しくにやりと微笑むと、
早速儀式のための詠唱を始めた
彼女の手には赤い本が握られている


炎魔「では、私も……!」


彼女は全身から炎を迸らせ、
氷魔を______本を囲っていく
それだけでなく、儀式らしい踊りもまた始まった
524 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/13(土) 04:41:03.32 ID:YrdEWDqlo
男「よし!みんなの魔翌力を集めるんだ!」


男は妖精たちに号令をかける
すると、魔翌力の奔流は目に見える形となって、
炎のヴェールと一体化していく


中華「すごい!」

氷魔「……まだ……です……!」

やる気「ま、まずいっす!」
525 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/13(土) 04:44:00.47 ID:YrdEWDqlo
みしみしと氷魔の肉体は軋んでいた
妖精たちの魔翌力を集めてもなお、
妖精女王の復活には足りなかったのだ
術式は貪欲に魔翌力を求め、最も近い術者である氷魔を根こそぎに破壊しようとしている


ぶりっ子「くっ……!」

怪盗「……あっ」


絶望が押し寄せる視界の隅に、怪盗は押し寄せる他のものを見た
それは形ある絶望ではなく、
また帝国の部隊でもなかった
526 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/13(土) 04:55:38.09 ID:YrdEWDqlo
本日はここまでです
ありがとうございました
527 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/13(土) 18:55:46.52 ID:YrdEWDqlo
スライム「連れてきたよ?!」


男だけでなく、スライムもまた妖精たちを集める仕事をしていた
その到着を待たずに儀式を始めるしかない状況であったが、スライムがなんとか間に合ってきたのだ


男「最高だっ!みんなで魔翌力を注ごう!」


スライムと連れてこられた他の妖精たちも、
協力して魔翌力を注ぎ込む
528 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/14(日) 04:43:51.92 ID:tE5v9HxXo
氷魔「……っふう……」


彼女にかかる負荷もかなり軽くなったようだった
よくない汗をびっしょりとかいてこそいるが、
慣れない儀式的な舞を要求される炎魔のほうが苦しんでいる


狙撃少女「頑張ってください!炎魔さん!」

炎魔「は……はい……!!」
529 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/14(日) 05:18:23.91 ID:tE5v9HxXo
本日はここまでです
ありがとうございました
530 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/14(日) 18:36:49.50 ID:tE5v9HxXo
集結する魔翌力によって、
炎の幕は火柱となって燃え盛る
そして、その煌めきが最高潮に達したとき、
一行の足元に巨大な魔法陣が現れた


中華「うわっ!?」

やる気「でかっ!なんすかこれ!?」

氷魔「……あとは……引きずり出すだけです……!!」
531 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/15(月) 05:04:37.04 ID:A0TDo7yBo
彼女は滝のような汗を流しながら、
自身の魔翌力を地面に叩きつける
すると赤い本が輝き、一つのページが開かれる


炎魔「帰ってきてください!」


そして、ページの隙間から妖精女王の姿が現れる
光を纏ったそれは勢いよく飛び出し、
魔法陣の収束とともに現世へと帰還したのだった


ぶりっ子「やりましたねぇ!」
532 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/15(月) 05:05:21.47 ID:A0TDo7yBo
本日はここまでです
ありがとうございました
533 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/15(月) 18:44:20.19 ID:A0TDo7yBo
妖精女王「はーっはっはっは!完全復活よ!」


花畑に高笑いが響く


妖精C「……じょ、女王様?」


だが、一行を含めその場の多くのものはただ困惑していた
彼らの知っている妖精女王の姿ではなかったのだ


>>下1……どんな姿だった?
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/15(月) 20:04:10.06 ID:YLWDQd5Z0
10メートル近い巨大な女性
535 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/15(月) 20:46:00.27 ID:A0TDo7yBo
その姿は見上げざるを得ない、
あまりにも巨大なものだった
約10メートルの女性が、そこにいた


怪盗「でかあぁぁぁ?っ!!」

妖精女王「女性にでかいとは失礼ね!」

狙撃少女「でかいとか、そういうレベルなんでしょうか、これ……」

炎魔「これ、封印の解除にちゃんと成功してるんですか!?」
536 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/16(火) 03:34:12.47 ID:Tuw1j5rGo
妖精女王「あったり前じゃない!これが私の本当の姿なのよ!」

男「じゃあ、さっきまでの姿は……?」

妖精女王「封印術に頼って、争いらしい争いもなく暮らしてたから、だんだん自分の力を抑えるようになってたみたい」


そして、悠久の時を経て妖精女王はあの妖精サイズになっていったのだった
妖精の中にはかつて大きかった頃の彼女を知っている者もいるようで、懐かしそうに頷いている


中華「予想以上の戦力かもね」
537 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/16(火) 03:35:05.57 ID:Tuw1j5rGo
本日はここまでです
ありがとうございました
538 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/16(火) 19:59:36.94 ID:Tuw1j5rGo
男「いや、まずい。これじゃ目立ちすぎる!早く記憶を保護するための魔法を使わないと!」


大きな変化が起これば、またジャバウォックがやってくると男は恐れていた
サイズが大きくなったとしても、
妖精女王は結局のところその怪物には無力なのである


氷魔「……す……すみません……今は体力が……」

男「ああ、無茶するな!俺がやる!」
539 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/16(火) 20:56:20.32 ID:Tuw1j5rGo
氷魔「……し……しかし……」

男「リスクは承知だ……唱え方のメモとかあるか?」

氷魔「……えぇ……あります……」


彼女は不本意そうな顔で、男にメモを手渡した
男がそれを確認しようとした瞬間、
彼の肉体は急激に上昇した


男「なっ……」

妖精女王「私に任せなさい!」


浮かび上がったのではなく、
妖精女王が掬い上げたのだった
540 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/17(水) 01:50:41.31 ID:lNlUXalVo
本日はここまでです
ありがとうございました
541 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/17(水) 18:51:08.62 ID:lNlUXalVo
男「しかし、この魔法には莫大な魔翌力が必要で……」

妖精女王「大丈夫よ、多分私なら足りるわ」

氷魔「……確かに……以前よりも遥かに高い魔翌力を……妖精女王さんからは感じます……」

やる気「完全復活って、そういうことだったんすね」


そもそも彼女の復活に凄まじい魔翌力を要したのも、
本来の彼女が持つ圧倒的な力ゆえだった
542 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/18(木) 03:05:15.17 ID:aS3H2EhZo
男「では、任せました」


彼は妖精女王の言を信じ、
氷魔から預かったメモを手渡した


妖精女王「あら、意外とシンプルな魔法……」

ぶりっ子「でも、みんなにかけないといけないんですよぉ」

妖精女王「えぇ、問題ないわ。いくわよ!」
543 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/18(木) 03:24:46.25 ID:aS3H2EhZo
本日はここまでです
ありがとうございました
544 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/18(木) 19:47:50.32 ID:aS3H2EhZo
すると、妖精女王はすぐに詠唱を始めた
しかもその詠唱はたどたどしい
つまり完全には覚えておらず、
カンペを読みながら喋っているようなものだ
恐ろしいことに、そのように詠唱すると『無駄』が発生して必要な魔翌力量は増える


氷魔「……!?……」


だが、それでも妖精女王は詠唱を続けられた
規格外の魔翌力が、その肉体には宿っていたのだ
545 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/19(金) 04:50:15.44 ID:5nsQHqbSo
妖精女王「安らぎを!」


詠唱を終え、彼女が叫べば、その場にいる者の精神に簡易的な保護が施された


怪盗「効果は……出てるんでしょうか?」

狙撃少女「確かめる方法がないですね。とにかく、妖精女王さんを信じましょう」


休んでいる暇はなく、帝国の部隊はもはや視認可能な距離にまで迫っている
546 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/19(金) 04:52:51.87 ID:5nsQHqbSo
本日はここまでです
ありがとうございました
547 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/19(金) 19:30:45.08 ID:sg/A0+CqO
炎魔「て、敵が来てます!」

男「応戦だ!魔法の心得がある者は第二の精神保護魔法の開発を続けてくれ!」

氷魔「……わ……分かりました……」

中華「行こうか」

やる気「そっすね、気持ちよく暴れるとするっすよ!」

ぶりっ子「私は中ですかねぇ」


戦場に出る者は持ち物を氷魔やぶりっ子に託し、
堂々と敵に向かっていった
548 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/20(土) 04:23:38.51 ID:opWsXpDpo
怪盗「どのぐらいゲルが紛れてるんでしょうかね」

狙撃少女「撃てば分かることです」


そう言って彼女は狙撃に入ろうとした
だが、男はそれを制止する


男「待て、今回は市長から敵の確保を命じられているんだ」

炎魔「そういえばそうでしたね」
549 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/20(土) 04:38:11.44 ID:opWsXpDpo
本日はここまでです
ありがとうございました
550 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/20(土) 18:26:04.16 ID:opWsXpDpo
中華「堂々と手榴弾投げていいのかな?」

やる気「う?ん……引きつけられると楽なんすけどね」

怪盗「まぁ最悪手榴弾使わなくても生け捕りにできればいいですし、どうにか手加減して戦うという戦術もありますよ」

男「そうだな……」


決断までに時間はなかった
どのように敵の部隊と戦うのか、男はすぐに決めなければならない

>>下1……どう戦うか
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/20(土) 18:44:38.65 ID:JGgxdf3l0
冗談半分に青銅の箱に「敵勢力を無力化出来ないか?」と聞いてみる

青銅の箱は「しょうがないな」と言いたげに、催眠ガスを箱内に精製する
552 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/21(日) 04:42:37.70 ID:xDSt67h4o
ひとまず、正面から手榴弾を投げ込むのがもっとも堅実な選択だと男は判断した
だが、ダメ元で彼は、氷魔たちに渡さずに持っていた青銅の箱に話しかける


男「敵勢力を無力化できないか?」


そう聞いたが、当然返事はない
そもそも口など付いていない
馬鹿なことをしたな、と彼は思ったが、次の瞬間には箱ががたがたと震えた
553 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/21(日) 05:20:59.89 ID:xDSt67h4o
本日はここまでです
ありがとうございました
554 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/21(日) 18:59:05.08 ID:xDSt67h4o
すると、その箱の隅からガスが漏れ出す
ゆっくりと重厚に出るその様子は、
まるで彼の要求に対するため息のようだった


炎魔「なんですかそれ?」

男「ガス……?」

狙撃少女「願って出てきたものなら、悪いものじゃない可能性が高いですね。利用してみませんか?」

炎魔「で、でも……この箱はとんでもない物体ですよ。投げて奪われでもしたら……」
555 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/22(月) 02:55:08.77 ID:eKzqKTvoo
男「いや、それなら問題ない」

中華「どうするの?」

男「俺が合図したら、諸々の手榴弾を投げてくれ」

やる気「……分かったっす!」


すると男は地面に箱を置くと、
それを片足で踏みつけて固定した
なんだか意志がありそうなので、
流石に悪いかと思って靴は脱いでいる
556 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/22(月) 03:31:46.23 ID:eKzqKTvoo
本日はここまでです
ありがとうございました
557 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/22(月) 18:48:26.94 ID:eKzqKTvoo
男「いくぞ!上級風魔法っ!」


男はそのまま足で箱を開き、
もう片足で固定したまま暴風を放った
箱から溢れ出すガスが、
凄まじい勢いで敵の部隊に向かっていく


怪盗「おお……」

男「今だ!手榴弾を投げろっ!」
558 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/23(火) 04:30:25.87 ID:7J/E0Vfro
ギルドの仲間たちは、合図に従って手榴弾を投げた
突如ガスが押し寄せたため、敵の部隊は動揺する
しかし彼らも精鋭である
それを吸わないようにしつつ、
仲間たちと身を寄せあった


狙撃少女「せいっ!」

炎魔「そりゃあっ!」

中華「ええぃっ!」


だが、そこに手榴弾が飛び込んでくる
559 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/23(火) 19:31:01.94 ID:lgLNra5LO
すみません寝落ちしました


次々に炸裂し、五感を痛烈に刺激する手榴弾たち
そのいずれかがそれぞれの部隊構成員に効力を発揮し、一気に無力化することに成功した


男「みんなで投げると、ここまで効果があるんだな……」


男がやったときは完全ではなく、
ゲルが反撃を試みたが、
今回はそうしたこともなかった
560 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/24(水) 03:26:37.33 ID:q7rON0WCo
怪盗「ここは私の出番ですねっ!」


彼女は息を止め、薄目になって倒れた者たちへの元へと向かっていった
あっという間に、抱えていたずた袋へと、部隊の者たちが押し込まれていく


やる気「流石、手早いっすね」

怪盗「おっ?」


彼女はその袋から、かちり、という音を聞いた
561 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/24(水) 03:32:03.51 ID:q7rON0WCo
本日はここまでです
ありがとうございました
562 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/24(水) 18:08:06.13 ID:q7rON0WCo
それはただの袋かと思われたが、
その音とともに口の部分が絞られ、
巾着のように捕縛対象を包み込んだのだ


狙撃少女「市長は細工を仕込んでいたんですね」

男「なるほど、ちゃんと捕まえるとこうなるのか」

中華「そういえば、別の部隊を捕まえたって言ってたけど……」

男「こうはならなかったな。まだ余力があったのか、俺が入れるのが下手だったのか……結局妖精女王が全部封印しちゃったんだけど」
563 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 02:30:21.79 ID:28OkrhVbo
そう呑気に話している一行だったが、
地下からがたがたと音がすることに気付く


やる気「なんか、トラブルなんすかね?」

妖精女王「私はもうそこに入れないから、確かめようがないわ」

怪盗「んー……行ってみましょうか」


一行は階段を下り、
妖精女王の玉座があった場所まで行った
しかし、そこは当然もぬけの殻で、変化はなかった
564 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 02:40:24.52 ID:28OkrhVbo
男「猛烈に嫌な予感がしてきた……!」


男は駆け出し、さらに地下へと下りていく
すると、図書館への入り口が閉まっていた


狙撃少女「こ、これは!?」


それだけではなく、その扉は凍りついていた
もはや普通に開けることなどかなわないほどに、
がっちりと凍てついている


炎魔「絶対、氷魔さんがやったんです……でも、どうして!?」
565 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 02:45:11.97 ID:28OkrhVbo
本日はここまでです
ありがとうございました
566 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 19:04:46.93 ID:28OkrhVbo
中華「ここを封鎖したかった……そういうことだよね?」

男「……いるんだろうな」

炎魔「え?」

男「裏をかかれたんだ。どうやったかは知らないが、ジャバウォックがいるんだ」


それは、地下に侵入していた
単に奇襲のためなのか、あるいは一行の策を見抜いていたのかは定かではないが、
地中を進み、
ジャバウォックは地下図書館に強襲をかけていたのだ
567 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 19:08:27.85 ID:28OkrhVbo
やる気「……困ったっすね」

男「持ち物も、ほとんど氷魔や同じくこの中にいるぶりっ子に預けてしまったしな……」


その扉を無策に破ることは、全滅を意味していた
ある程度精神にプロテクトをかけることに成功しているとはいえ、不完全なのだ
状況の打破が不可能なほどの絶望ではないが、
苦しい状況であるというのは確かだ


怪盗「あっ……」


だが、怪盗は扉の外にバッグが置かれているのを見つけた
わざわざそれだけは外に出したのであるから、
なにか重要なものが入っているに違いないと、そう彼女は思った
そして、素早くそれを開ける
そこには>>下1が入っていた
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/25(木) 19:19:37.10 ID:YhzdBsCZ0
多種多様な魔法薬
569 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/26(金) 03:52:30.88 ID:t22ZbM8Qo
本日はここまでです
ありがとうございました
570 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/26(金) 18:25:58.99 ID:t22ZbM8Qo
そこには多種多様な魔法薬が入っていた


狙撃少女「魔法薬?」

男「……俺たちはこれを知らない。ということは……氷魔たちはこれを作っていたんだ」


だが、いちいちラベルを貼るような時間はなかった
そもそも、効能は彼女らが説明できるはずだったので、その必要すらなかった
だが、今では効果の分からない薬が複数そこにあるだけだった


中華「……飲もう」
571 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/27(土) 02:53:59.40 ID:2G0BjRuVo
男「……そうだな、迷っている時間はない」

やる気「早く助けに行かないと、っすね!」


いちいちそれらを確かめるわけにはいかないのだ
氷魔やぶりっ子は、変な副作用を起こしたり効果が出ないよりはじっくり悩んでほしいと思ってそれを残した
しかし、彼らにとっては二人を助けられなければ意味がないのだ


怪盗「また妖精女王さんを頼れればよかったんですけどね」

狙撃少女「今の彼女には狭すぎます」
572 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/27(土) 03:11:37.02 ID:2G0BjRuVo
本日はここまでです
ありがとうございました
573 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/27(土) 19:40:41.55 ID:2G0BjRuVo
改めて彼らは魔法薬を見る
赤・青・白・黒の四種類のものがあった


炎魔「さて、どれを飲みましょうか」

男「そもそも、混ぜ合わせて飲むものの可能性もあるが……」

中華「でも、薬を作る目的は決まってたんだ。混ぜて飲む必要があるなら、もう混ぜてるはず」

やる気「あるいは、これ全部混ぜて飲まなきゃいけないってんなら不自然じゃないっすね」
574 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/27(土) 21:01:14.03 ID:2G0BjRuVo
男「……とりあえず飲む。そうしなきゃ始まらん」


そう言うと、男は空の容器にすべての魔法薬を少しずつ注いだ


怪盗「え!?あ、危ないですよ!?」

男「こういうときぐらい体張らせてくれ。じゃ、飲むぞ……」


そして、男はそれをぐいっと飲み干した


>>下1……どんな効果が現れた?
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/27(土) 21:17:15.80 ID:gfKpcsmiO
一次的な不死化(受けた傷も瞬時に塞がる)
576 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/28(日) 03:03:14.58 ID:0BRgeNBRo
本日はここまでです
ありがとうございました
577 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/28(日) 18:33:12.05 ID:0BRgeNBRo
そして、男は目を見開いた


狙撃少女「大丈夫ですか!?」

男「……っく!こりゃすごいな……頭にがつんと来る!きつい酒飲んだときもこんな衝撃はなかった……!」

炎魔「それより体調ですよ!」


冷や汗すら流す彼を、その場の誰もが心配した


男「体調か……かつてないほどだ。こんなにも全身に力が漲るのは初めてだ!」
578 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/29(月) 04:35:46.06 ID:Cu4EQ8aZo
中華「おお!精神は保護されてる感じはある?」

男「……分からない。多分ないかも」

やる気「そっすか……」

男「でもいける気がする。精神が保護されてなくても勝てるような気がする」

怪盗「……これ、すごく気が大きくなるだけの薬だったりしません?本当に大丈夫なんですか?」

男「いや、効果はある。今日ジャバウォックから逃げるために散々転げ回って擦りむいた傷が一瞬で完治したし」
579 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/29(月) 05:38:13.93 ID:Cu4EQ8aZo
本日はここまでです
ありがとうございました
580 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/29(月) 18:59:23.30 ID:Cu4EQ8aZo
炎魔「ふーん……?」


彼女は男を覗き込むように見た


男「……な、なに?」

炎魔「いえ、なんでも?なんだか私に似ているような気がしたんですが……多分気のせいです」

狙撃少女「……では、私も飲みましょうかね」


彼女は白いものと黒いものを混ぜ、それを飲み干した

>>下1……どんな効果が現れたか
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/29(月) 19:14:20.27 ID:BJcPEvX00
なんか、いつもよりもずっと遠いところがはっきり見えた。感覚を表現しきれないが、炎魔と同じような視力が上がったような気がする(ただ男と炎魔以外の人の背後に寄り添うように誰かいるのも見えた)
582 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/30(火) 02:37:33.28 ID:aVToHXREo
男「どうだ?」

狙撃少女「………………」

中華「だ、大丈夫!?」


飲み干した彼女に男が感想を求めても、
彼女は無言で虚空を見つめるだけだった


狙撃少女「……はっ!」

やる気「お、おぉ!現世に帰ってきたっすか!?」

狙撃少女「いや、別に幽体離脱してたわけじゃないんです。ただ、あまりにもよく見えたので」
583 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/30(火) 04:22:04.99 ID:aVToHXREo
本日はここまでです
ありがとうございました
584 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/30(火) 19:29:06.21 ID:BzXhMl3GO
怪盗「な、なにがです?」

狙撃少女「遠いところがはっきりと見えたんです。確か、炎魔さんもすごく視力がよかったと思いますが……」

炎魔「え?あ、そうみたいですね」

狙撃少女「ええ、多分あなたが見えている世界に近いものが見えたのだと思います。……これが幻覚剤でなければ、ですが」


彼女はどこか困惑もしている様子でよう語った


男「その口ぶり、なにか妙なものが見えたみたいだな」
585 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/01(水) 01:51:07.47 ID:Vyb1OFheo
狙撃少女「……あなたと炎魔さんの後ろに、誰かいました」

男「背後霊!?」

中華「うーん……加護なのかな?男は神様と繋がりがあるし、炎魔さんは不死鳥と繋がりがあるよね」

男「どうかな……この薬のせいな気もするけど」

中華「でも、炎魔さんは飲んでないでしょ?」

男「……そうだな」
586 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/01(水) 01:51:37.25 ID:Vyb1OFheo
本日はここまでです
ありがとうございました
587 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/01(水) 18:36:57.13 ID:xrJbtQK6O
やる気「なんであれ、多分こいつは飲んでも大丈夫な薬っすね」

怪盗「そうですね、精神保護のような効果はまだ確認されてませんけど……」

男「いや、問題ない。多分俺は精神も大丈夫だ」


あまりにも自信満々なので、本当に大丈夫なのではないかと他の面々も思い始めている


狙撃少女「確かに、これは魔法薬というよりもはや霊薬の類かもしれませんね」
588 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/02(木) 02:13:00.73 ID:Zuh2+vC/o
男「そういうわけで、炎魔。この氷を溶かしてくれ」

炎魔「え!?お一人で行くんですか!?」


彼は武器を持ち、すっかり臨戦態勢だ


男「もちろん。もし不安なら、他のみんなも薬を飲んで参戦してくれ」

炎魔「ですけど……」

男「やってくれ。炎魔」
589 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/02(木) 02:55:17.45 ID:Zuh2+vC/o
本日はここまでです
ありがとうございました
590 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/02(木) 18:34:14.61 ID:Zuh2+vC/o
高圧的な口調ではないものの、
有無を言わさない強い意志がそこにはあった
すぐにでも仲間を助けにいきたいという、
焦燥と仁愛が強く滲んでいる


炎魔「死んだら、許しませんからね」

男「地獄まで叱りに来てくれよ」

炎魔「くっっ……!」
591 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/03(金) 03:44:46.60 ID:Ucm8MgDJo
男「そんな怒るなよ、冗談だからさ」


複雑ないくつもの怒りをおぼえた炎魔を男は宥めようとする
彼女はその怒りを炎にして扉に叩きつけたのだった


炎魔「……どうぞ」

男「悪いね、後で埋め合わせはするから」


そして、男は素早く扉の向こうに入り込み、
すぐにそれを閉めた
592 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/03(金) 04:20:58.15 ID:Ucm8MgDJo
本日はここまでです
ありがとうございました
593 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/03(金) 19:55:49.90 ID:fPhoIo1qO
男がその部屋に入ったとき、
最初に感じたのは凄まじい雑音だった
部屋全体を謎の騒音が包んでいたのだ


男「どこにいるんだ、二人とも……!」


その視界には、ただ荒れた書架が映っているだけだった
仲間を探すため、彼は図書館内に駆け出した


>>下1……地下図書館の様子
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/03(金) 21:14:02.99 ID:eeT5HAF/0
一目で広範囲に攻撃がされたと分かるほど、荒れていた。

そして攻撃をしたと思われる怪物『ジャバウォック』が苦しそうに横たわってた
595 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/04(土) 03:31:30.62 ID:RSOVoxOio
そこは破局的活動の跡だった
広範囲に渡ってなんらかの攻撃がされたのが分かるほどには、本棚や机が破壊されている


男「……っ!」


しかし、その攻撃を加えたのは氷魔やぶりっ子ではないだろう
魔法的な破壊ではなかったのだ
では誰がやったのかといえば、目の前に横たわっているとおぼしき『それ』だろう
そう男は推察した
596 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/04(土) 03:33:32.66 ID:RSOVoxOio
男「ジャバウォック……!」


記憶の保護がある程度かかっているからか、
揺らぎこそあれその姿を捉えることができていた
それは、苦し気に見えた
少なくとも万全の状態ではないことは確かだった


男「……今しかない、か!」


じっと見ていると、だんだん脳髄が痺れてくるのを彼は感じていた
やはり強力なその能力は無効化できていないのだ
597 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/04(土) 03:34:19.62 ID:RSOVoxOio
本日はここまでです
ありがとうございました
598 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/04(土) 18:57:49.19 ID:RSOVoxOio
男「はあぁぁぁ……!」


男は剣を抜き、力を込める
少しだけ聖なる炎がその身から出たが、
彼自身はそのことに気付いていなかった


男「でりゃああっ!!」


そして、彼はそれを勢いよく貫いた
手ごたえは確かにあり、予想外に固かった
599 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/05(日) 03:52:11.69 ID:aQt6Ow5to
突き刺されたそれは、あっさりと砕けた
そして、だんだんとその精神への干渉が緩んでいく


男「……なに……!?」


つまり、彼はジャバウォックの正体を見ることができたのだ
そして、それはまさに驚くべきものだった


男「生き物……じゃないのか?」


それは機械であったのだ
600 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/05(日) 04:15:29.36 ID:aQt6Ow5to
本日はここまでです
ありがとうございました
601 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/05(日) 19:02:31.65 ID:aQt6Ow5to
破損し、ショートし、
それは小規模な爆発を繰り返している


男「……そういうことか」


異様な雑音______恐らく、催眠効果のある______はそのスピーカーから響き、
奇妙なガスのようなものも、
キューブ型のその胴体の両脇から発散されていた
人間の記憶と認識を混濁させる魔術的毒物と、
それを効果的に散布する兵器
ジャバウォックの正体とは、最悪の科学兵器だったのだ
602 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/06(月) 01:55:44.66 ID:jq+HCMQmo
男「……なにか妙だな」


彼はいくつかの嫌な予感を感じとっていた
ジャバウォックは無力化できたと判断した彼は、
まだここにいると思われる仲間を探すことにした


男「!」


彼がそれに背を向けた瞬間、
一際大きな破裂音が響いた
それと同時に、別の気配を感じることとなる
603 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/06(月) 02:03:24.75 ID:jq+HCMQmo
本日はここまでです
ありがとうございました
604 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/06(月) 19:53:34.92 ID:jq+HCMQmo
男「な、なんだ!?」


急いで振り向くが、そこには誰もいない
だが、ジャバウォックだったもののボディには大きな穴が開いている


男「なにかが飛び出したのか!?まさか……!」


彼が天井を見上げると、>>下1が打ち上げられていた
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/06(月) 20:12:01.23 ID:DBzGCLF50
転送用魔法陣(ジャバウォックを転送できる程度の大きさ)
606 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/06(月) 22:14:28.62 ID:jq+HCMQmo
打ち上げられていたのは、魔法陣そのものだった
それは凄まじい魔翌力を発すると、
破損したジャバウォックをそのサークルの中に取り込み、どこかへと転送させてしまった


男「……くっ」


相当破壊したため、
少なくともすぐに修理されることはない
だが、ジャバウォックはそれを差し向けた何者かによって回収されてしまったのだ


男「さて、どうしたものか……」
607 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/07(火) 01:18:53.72 ID:bg00mEV1o
本日はここまでです
ありがとうございました
608 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/07(火) 19:00:04.26 ID:UQE/lHeUO
そこには、魔法陣を描くための台座が残っていた
今も魔法陣は有効である
だが、男にとってはそれをどうこうするよりも、
とにかく今は仲間を探すことが先決だった


男「氷魔!ぶりっ子!いるかー!」


彼は可能な限りの大声を張り上げて、
図書館の中を探し始めた


>>下1……二人は見つかったか(見つかったのなら、どのようにして見つかったのかも)
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/07(火) 19:20:37.50 ID:giMT26E+0
…見つからない。如何に図書館が広くとも余りにも静か過ぎる!?
610 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 01:40:14.35 ID:fwMwrh3Do
男「……嘘だろ……」


彼はひたすらに探した
途中から仲間たちも来て、図書館を探し回った
だが、それでも見つからなかったのだ
図書館は確かに広いが、
探すにあたって十分すぎるほどの時間をかけた
どれだけ耳を澄ませても、
探し人の呼吸音すら聞こえなかった


中華「男……」


男は、この世界に来てからかつてないほどに、精神を抉られた
その場にへたり込み、項垂れ、動かなくなってしまったのだ
611 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 01:44:12.63 ID:fwMwrh3Do
やる気「男さんがこんなになってるの、見たことないっすね……」

炎魔「……っ!」


軽い気持ちでその顔を覗き込んだ炎魔は、
ぎょっとして飛び退いた
その目は開かれ、瞬きもせず、
しかし眼球は不規則に動いていた


怪盗「ど……どうしましょう……?」


皆の発話は切れ切れで、図書館の不気味なほどの静寂が割り込んでくるのだった
612 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 03:04:27.93 ID:fwMwrh3Do
本日はここまでです
ありがとうございました
613 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 18:27:36.99 ID:fwMwrh3Do
狙撃少女「最もそれらしい可能性としては……やはり、あの向こうですか」


彼女は、先ほど使用された魔法陣を見た
図書館から通じている場所といえば、
厳重に氷で閉ざされていたはずの入り口を除いてはここしかないのだ


男「そう、だな……」


彼は、ゆらりと立ち上がった
つい一分前よりは、まだ余裕のある顔つきに戻っている
614 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 23:50:59.43 ID:fwMwrh3Do
中華「行くつもりなんだね」

男「……恐らく、あれは向こうからも帰ってこれるタイプの魔法陣だ。まずは様子を見たい」

やる気「へっ、人殺しそうな顔してるっすよ?絶対確認だけして帰ったりしなさそうっす」

男「どうだろうな」


彼は短くそう言って魔法陣へと歩き出した


中華「……いや、待ってくれ」
615 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 23:52:13.46 ID:fwMwrh3Do
本日はここまでです
ありがとうございました
616 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/09(木) 18:52:21.68 ID:emLLid3Xo
そして、中華はそれを塞ぐように立った


男「?」

中華「無茶をするつもりなら、通せない」

男「だから、ちょっと見て戻ってくるだけだからさ……」

中華「これは、友人として言っている。……分かってくれるかい?」

男「……しょうがないな」
617 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/10(金) 03:23:17.52 ID:G+giKLDEo
狙撃少女「友人、ですか」


彼女は、自分と男とはどのような関係なのだろうかとふと考えた
そして、他のギルドメンバーともどのような関係なのか、と


男「そうだな……ふふ、そうか」

怪盗「なにを今さら……私はとっくに友人だと思ってましたけどね」
618 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/10(金) 05:03:03.68 ID:G+giKLDEo
本日はここまでです
ありがとうございました
619 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/10(金) 19:55:04.82 ID:F1vHeN2GO
男「……よし、やっぱりみんなで行こう」


その表情から、必要以上の強ばりが消えた
そして、彼は魔法陣の前まで走っていった


炎魔「はい!」

中華「ああ」

やる気「最初からそうしてりゃよかったんすよ」
620 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/11(土) 00:42:52.81 ID:Etyh2Q8wo
怪盗「そういえば、妖精女王さんに報告しなくていいんですか?」

男「……そうだな、ジャバウォックが去ったことは報告しておかないと」


一行は一度そこを出て、
外にいる妖精たちの元へと向かった
そこにはただ一人妖精女王のみがいた


妖精女王「待ちわびたわ」

狙撃少女「えっと……ジャバウォックは倒しましたよ」
621 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/11(土) 00:47:38.29 ID:Etyh2Q8wo
本日はここまでです
ありがとうございました
622 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/11(土) 19:29:36.07 ID:Etyh2Q8wo
妖精女王「ええ、聴こえてたわ」

中華「他の妖精たちはいないようですが……」

妖精女王「私に地べたに座らせるつもり?すぐに椅子を作るよう命令したわ。今ごろ木を切り倒してはずよ」

やる気「ほぇー……しかし、妖精女王さんほどのサイズが座れる椅子、今日中にできるといいっすね」

妖精女王「そりゃ無理よ。妖精は気まぐれで飽きっぽいもの。十年以内に完成したら早いほうよ」
623 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/12(日) 03:35:01.77 ID:JsnTrr0so
めちゃくちゃに聞こえるが、
毅然とした態度と種族全体としての特性への寛容さが、彼女を絶対の女王たらしめているのだ


怪盗「それでですね……」


そして、怪盗はこれから魔法陣の向こう側に行くことを告げた


妖精女王「行かないって選択肢はない顔してるし、別に止めはしないわ」
624 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/12(日) 04:51:44.07 ID:JsnTrr0so
本日はここまでです
ありがとうございました
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