安価とコンマで異世界転生!その13

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101 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/17(火) 01:37:32.85 ID:AbZrfLaHo
男「来る!」

化物「ゴボォッ!」


混沌としたその生き物は、
口から気化しつつある汚泥のようなものを吐き出した


やる気「おっと!」

炎魔「わわっ!?」


一行が回避行動を取り、臨戦態勢に戻る
だが、そのとき、近くからさらなる乱入者が現れた
102 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/17(火) 01:39:01.45 ID:AbZrfLaHo
本日はここまでです
ありがとうございました
103 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/17(火) 19:41:31.26 ID:AbZrfLaHo
風を切る音が鋭く響き、
両者の間に一つのシルエットが割って入ってくる


ぶりっ子「ふぅー……ふぅー……」


それは、ぶりっ子だった
やはり、その姿は魔族のそれであり、
角も翼も現れたままである


男「ぶ、ぶりっ子……なのか?」

ぶりっ子「>>下1」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/17(火) 19:46:46.17 ID:wEQhZArw0
当然じゃないですか!? こんな格好、恥ずかしくて今にも倒れそうですよ!?(言いながら股をモジモジさせる)
105 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/17(火) 20:42:56.01 ID:AbZrfLaHo
ぶりっ子「当然じゃないですか!? こんな格好、恥ずかしくて今にも倒れそうですよ!?」


彼女はかつてないほどに赤面しながら、
甲高い声で叫んだ
周りの視線が恥ずかしいのか、
腕や手でデリケートゾーンを隠しながら、
内股でもじもじしている


やる気「あ、あぁ……確かにめちゃくちゃ姿違うっすね。一瞬野生の痴女が現れたのかと」

ぶりっ子「ぶっ飛ばしますよ!?」
106 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/18(水) 04:40:04.11 ID:jmYb+5f2o
ぶりっ子の服装は淫魔特有の、
やけに露出が多く薄手の生地で作られたそれになっているのだ


炎魔「……えっと、とにかく一緒に戦ってくれるんですよね?」

ぶりっ子「えぇ!……でも、炎魔ちゃんはあんまり適当に炎出さないでくださいね!」

男「そうか、今のぶりっ子が食らったら普通に死ぬかもしれないな」
107 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/18(水) 04:41:24.71 ID:jmYb+5f2o
本日はここまでです
ありがとうございました
108 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/18(水) 19:09:01.54 ID:jmYb+5f2o
男の【素早さ】213
化物の【素早さ】211


やる気「さぁて、ぶっ飛ばすっすよ!」

ぶりっ子「とっても屈辱的なんですけど、この姿になって……私は新たな力を得ました!」

炎魔「そ、そうなんですか?」

男(まさか、あの化物にも対抗できるような力なのか?)

やる気「一体、どんなことができるようになったんすか?」

ぶりっ子「>>下1」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2026/02/18(水) 19:35:20.46 ID:Wc0pGj/9O
簡単に言うと魔力を直接操作する力を得ました!例えば、こんな風に!(化物に向かって手を握りしめ、化物が見えない糸に縛られたように藻掻きながらも動きを止める)
110 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/19(木) 03:58:01.47 ID:s+Iyseyno
ぶりっ子「簡単に言うと魔翌力を直接操作する力を得ました!例えば、こんな風に!」


彼女は伸ばした両手をだんだんと握り締めていく
なにをしているのだろうか、
と他のメンバーは思ったが、
それに連動して今にも飛びかかりそうだった名状しがたい怪物がもがき始めたのだ


炎魔「お、おぉ?」

ぶりっ子「ふっふっふぅん……」
111 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/19(木) 04:25:36.99 ID:s+Iyseyno
本日はここまでです
ありがとうございました
112 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/20(金) 18:35:47.95 ID:U0jVHSpHo
すみません昨日は書き込めませんでした


化物「グ、ゴゴッ……!」


なにかに縛りつけられているような動きを見せるそれだったが、
だんだんと動きは鈍くなっていき、
ついには身動きが取れなくなってしまった


男「おぉ……!」

やる気「こりゃすごいっすね、どんな奴でも止められそうじゃないっすか?」
113 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/20(金) 20:36:03.30 ID:U0jVHSpHo
ぶりっ子「ある程度誰にでも効果は出ると思いますよぉ。ここまで効くかどうかは……怪しいところですねぇ」

炎魔「へぇー」

ぶりっ子「あ、炎魔ちゃんには多分めちゃくちゃ効きますよ。こいつより効くかも」


そう言って彼女は動けなくなった怪物を足蹴にした


男「どういうことなんだ?」
114 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/20(金) 20:45:44.61 ID:U0jVHSpHo
ぶりっ子「こいつ、めちゃくちゃ魔翌力出してるんですよぉ。なので、大気中から無理やり出したり、私のものを放ったりしなくても充分な量の操作できる魔翌力があるんですよねぇ」


どうやら、ぶりっ子は魔翌力そのものをある程度近くする能力も得ているようだった


やる気「ってことは、炎魔も?」

ぶりっ子「炎魔ちゃんは魔翌力出てるどころか、肉体そのものが魔翌力で構成されてる部分があるので」
115 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/21(土) 04:05:22.76 ID:NouKxtcno
本日はここまでです
ありがとうございました
116 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/21(土) 18:17:27.58 ID:NouKxtcno
炎魔「ひぃ……」

男「随分便利そうじゃないか」

ぶりっ子「この与えられた服装は最悪ですけどねぇ」


彼女は羞恥であまり感じていなかったが、
普通に考えたら肌寒い服装でもある


やる気「俺っちも欲しいっすね、そういう力……」

男「結局……戻りたいのか?人間に」

ぶりっ子「>>下1」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/21(土) 19:57:16.29 ID:OWlHz9pv0
「当たり前じゃないですか!? こんなんじゃあただの痴女ですよ!?」

青銅の箱が分厚いシスター服を用意してる
118 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/21(土) 20:58:22.97 ID:NouKxtcno
ぶりっ子「当たり前じゃないですか!? こんなんじゃあただの痴女ですよ!?」


彼女は全身を震わせて再び叫んだ


男「意外だな」

やる気「え、ぶりっ子を痴女だと思ってたんすか?」

ぶりっ子「はぁ!?」

男「ち、ちげーわ!」
119 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/22(日) 04:42:11.07 ID:Oh+tPKDuo
ぶりっ子「はぁ、もう!バッグ出してくださぁい!」

男「うわっ」


ぶりっ子は男の持っていた所持品入れをひったくると、
そこから青銅の箱を取り出した


炎魔「あっ、それは」

ぶりっ子「そいっ!」


そして、彼女は勢いよくその蓋を開けるのだった
120 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/22(日) 04:43:17.11 ID:Oh+tPKDuo
本日はここまでです
ありがとうございました
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/22(日) 07:17:16.69 ID:rMj1jq1h0
エス速、立ち直ったんですね
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/22(日) 13:05:12.22 ID:rccBynErO
今日から参加できる
123 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/22(日) 19:57:45.32 ID:Oh+tPKDuo
ぶりっ子「おお、これこれぇ!」


中に入っていたのは、厚手のシスター服だった
彼女は迷わずそれを上から羽織り、
修道女然とした格好になったのだった


やる気「これで捕まることはなさそうっすね」


修道服の下に例の際どい服が隠されているのだと思うと、
それはそれで危険な香りがするなぁ、
と男は思ったが、努めて顔に出さないようにした
124 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/22(日) 23:26:09.57 ID:Oh+tPKDuo
一方、中華たちとゲル生命体とはいまだ睨み合っていた


中華「痛くするからな!後悔するなよ!」


彼が武器を抜くと、他のメンバーも臨戦態勢に入り、
ゲル生命体との戦いが始まった


怪盗「ぶっ飛ばします!」
125 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/23(月) 04:06:11.21 ID:OB4X3pvWo
本日はここまでです
ありがとうございました
126 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/23(月) 18:39:44.78 ID:OB4X3pvWo
怪盗の【素早さ】363
ゲル生命体の【素早さ】80


中華「……とはいえ、物理攻撃は効果が薄そうだ」

狙撃少女「保険のつもりで持っていたしまが、予想外の活躍になりそうですね」


彼女は懐からスパークナイフを取り出した
電撃はよく効くであろうと踏んだのだ
そして狙い澄まし、綺麗なフォームでそれを投げつけた


>>下1コンマ下一桁×3.5×2……攻撃のダメージ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/23(月) 19:43:56.31 ID:7Fx8k2j00
アゲ
128 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 03:41:22.11 ID:IDfh5OwDo
7ダメージ!


それは意外にも早い反応速度で、
肉体を変形させてナイフの投擲を躱した


ゲル「ぐぎぃ……」


だが、僅かにかすってしまった
普通のナイフならたとえ人間であっても支障のない怪我であるが、
電撃が走ることによって、
それは必要以上にダメージを負った
129 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 03:43:10.17 ID:IDfh5OwDo
狙撃少女「思ったよりやりますね」


彼女の口調は冷静だったが、
誰にも見られないようにその下唇は噛まれた


中華「……ここは、大事をとったほうがいいかな」

怪盗「そうですね、油断したらなにされるか分かりません」
130 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 03:44:38.39 ID:IDfh5OwDo
本日はここまでです
ありがとうございました
131 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 18:43:03.45 ID:IDfh5OwDo
二人は同時に振り向いた
その視線の先には、氷魔がいた


氷魔「……氷漬けにしたら……話が聞けないかもしれませんが……」

狙撃少女「承知の上です。まずは勝たないと」

氷魔「……そうですね……」

中華「ぶりっ子や、スライムになったみんなには悪いけど……」


彼女は意を決し、素早く詠唱を行った


氷魔「……究……極……っ……氷……魔法……ッ!」


>>下1コンマ下一桁×10+10……魔法のダメージ
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/24(火) 19:10:48.16 ID:wo3VcD4aO
い
133 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 20:52:29.81 ID:IDfh5OwDo
70ダメージ!レベルアップ!


ゲル「は……!」


肉体操作で攻撃を避けんとしたゲル生命体だったが、
その体積を遥かに上回る氷塊の凝結によって、
その全身は封じ込められることになった


怪盗「相変わらず、とんでもないサイズですね……」
134 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/24(火) 20:57:37.31 ID:IDfh5OwDo
成人男性の平均身長をやや下回る体格のそれは、
高さ八メートルほどの氷塊を贅沢に使って収まっている


氷魔「……ふぅ……ふぅ……」

中華「お疲れ様」

狙撃少女「ひとまず、危機的状況は脱しましたね」

怪盗「他のみなさんと合流しましょう」
135 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/25(水) 18:35:38.82 ID:g/INGbNwo
すみません寝落ちしました
今日は氷魔のレベルアップ処理から行います

氷魔がレベルアップ!

?氷魔の成長テーブル?
01?20で筋力+2
21?40でHP+2
41?60でMP+6
61?80で素早さ+2
81?90で全能力+4
それ以上またはゾロ目で何かが起こる

>>下1コンマ……氷魔の成長
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/25(水) 18:58:17.63 ID:oPgoW26nO
ぬん
137 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/25(水) 20:50:42.11 ID:g/INGbNwo
氷魔の【素早さ】153


四人が行動を開始しようとしていると、
そこにはぐれた残りのメンバーがやってきた


中華「おお、今から探しに行こうかと思ってたところなんだ」

男「そうか?こんだけ目立つ氷があるなら、しばらくここにいればいいのに」

やる気「俺っちらは急に冷気が流れてきて、氷が見つかったからこっちに来たんすよ」
138 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/25(水) 20:59:53.76 ID:g/INGbNwo
氷魔「……ええ……術士と……戦闘になりまして……」

ぶりっ子「ってことは、こいつが?」


彼女はがんがんと氷を叩いてみせる


怪盗「そうですね、見ての通りですが、どうも人間ではなかったようですよ?」

炎魔「本当だ、なんかとろけてる……」
139 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/26(木) 01:06:39.77 ID:fkKzhcy8o
本日はここまでです
ありがとうございました
140 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/26(木) 18:17:36.03 ID:fkKzhcy8o
狙撃少女「しかし……倒しはしましたが」


当然、かけられた術を解除するための方法は聞き出していない


男「これからこいつのこと、どうしようかな」

中華「どう?実は魔法が解けてきてたりしない?」

ぶりっ子「そうですね……>>下1」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/26(木) 19:42:36.30 ID:GHLmP98/o
まだ何の実感もないです
142 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/26(木) 20:48:41.25 ID:fkKzhcy8o
ぶりっ子「まだ何の実感もないです」


その言葉通り、生えてきた角も翼も、
まだ消えてはいなかった


氷魔「……では……対策を練らなければなりませんね……」

やる気「どうすか?こいつ氷から出すっすか?」

男「ま、そうしなきゃ会話できないしな……」
143 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/27(金) 18:59:14.33 ID:ToAssosyo
すみません寝落ちしました


氷魔「……わかりました……『メルティング』……っ」


彼女がそれを行使すると、
巨大な氷は一斉に砕け、溶けた
ゲル生命体は完全に人の形を保たなくなり、
その場に広がった


男「よし来た、氷魔、こいつを受け取ってくれ」


彼は荷物の中にあった氷スライムを、ケースから取り出して氷魔に投げ渡した
144 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/27(金) 19:01:24.56 ID:ToAssosyo
氷魔「……あ……はい……」


魔法の使用によって体が温まっていた______それでも常人の体温より一℃は低いのだが______氷魔は、それを受け止めると自分の顔に触れさせた


ぶりっ子「お、回収するんですねぇ」


男はその空いたケースに、
ゲル生命体をぎちぎちに詰め込んだ
145 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/28(土) 03:24:45.18 ID:7UhDdetfo
男「放っておいたらなにされるか分からんからな」


それはまだ気絶しているようだった
目覚め次第攻撃されるリスクがあったため、
男は容器に閉じ込めることを選択したのだ


怪盗「結局、こいつが目覚めるのを待つんですね」

男「そうなるかもしれないが、その前に確認しておきたいことがあるな」
146 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/28(土) 04:07:57.80 ID:7UhDdetfo
本日はここまでです
ありがとうございました
147 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/28(土) 19:35:12.38 ID:b5ubx46TO
そして一行は、先ほど訪れた場所……
スライムに変えられてしまった兵士たちのいる地点へと向かったのだった


狙撃少女「やはり、まだですね」


ぶりっ子が淫魔のままであるように、
彼らもまたスライムのままであった


中華「となるとやはり、このゲルに聞くしかないのか……」
148 : ◆cUhskXlNTw :2026/02/28(土) 19:37:22.96 ID:b5ubx46TO
男「いや、俺が確認したいことはそれじゃない」

氷魔「……?……」


そう言うと彼は、先ほど会話が成立したスライムAの元へ歩いた


男「なぁ、こんなやつを捕まえたんだが……同じ粘液生命体だし、なにか分かったりしないか?」


と言ってスライムAに、
ケースに入れられたゲル生命体を見せた


スライムA「>>下1」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/02/28(土) 19:42:15.76 ID:hduqxsDn0
僕たち『自然体』と違ってゲル状は『人工物』だよ。もしかしたら元は別の何かだったかも?
150 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/01(日) 03:54:41.00 ID:+hCd2K8no
スライムA「僕たち『自然体』と違ってゲル状は『人工物』だよ。もしかしたら元は別の何かだったかも?」


どうやら、厳密には全く異なる生き物のようだった


男「ふむ、そうか……こいつはスライムとは違って人工的なんだな」

ぶりっ子「片言でしたけど、会話もできましたねぇ」
151 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/01(日) 04:12:55.93 ID:+hCd2K8no
本日はここまでです
ありがとうございました
152 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/01(日) 18:17:08.61 ID:+hCd2K8no
やる気「ってことは……妙な可能性が出てきたっすね」

怪盗「というと?」

やる気「俺っちらはこいつが土着の魔物だと思ってたっすけど……こいつこそが、帝国の差し向けた部隊なんじゃないっすか?」

狙撃少女「なるほど、ありえそうですね」

炎魔「あいつが何らかの方法で帝国に作られた存在である……というわけですね」
153 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/02(月) 05:26:20.82 ID:6lyVq1cYo
中華「なら、市長からもらった兵器使えばよかったなぁ」

氷魔「……どの程度……効いたのかは……未知数ですが……」

男「さて、これからどうしたものか」


選択肢は二つだった
スライムに変えられた兵士たちとそこにいるか、
再び村の様子を確認しに行くかである
154 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/02(月) 05:28:40.59 ID:6lyVq1cYo
本日はここまでです
ありがとうございました
155 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/02(月) 18:23:18.10 ID:6lyVq1cYo
やる気「うーん……どうしたもんっすかね」


と一行が考えていると、
ケースの中に入っているゲル生命体が動き出した


ゲル「あ……う……」

ぶりっ子「あっ!」

怪盗「目を覚ましたみたい」
156 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/02(月) 20:42:08.47 ID:6lyVq1cYo
狙撃少女「ようやくですか」

ゲル「こ、ここは……」

炎魔「あなたは今、ケースに捕まっているんですよ」


ゲル生命体はケース内で伸び縮みしたが、
そうしたことを考慮されているケースなので、
傷つくことはなかった


中華「いいかい、ここの人たちも、ぶりっ子も、魔物に変えられて困っているんだ。どうにか戻せないかい?」

ゲル「>>下1」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/02(月) 20:50:21.90 ID:BFbgRTKH0
無理、だ。呪いは、大魔王様、でも解けない。
158 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/03(火) 02:20:25.35 ID:1FjsxMJUo
ゲル「無理、だ。呪いは、大魔王様、でも解けない。」

男「な、なんだと……!?」


その場に戦慄が走った
聞いていたスライムたちは硬直し、
ぶりっ子の表情も曇った


氷魔「……嘘をつけば……また凍らせますよ……」

ゲル「なんで、嘘、つく?……意味、ない」
159 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/03(火) 04:36:48.15 ID:1FjsxMJUo
本日はここまでです
ありがとうございました
160 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/03(火) 18:16:13.53 ID:1FjsxMJUo
やる気「こりゃ、とんでもないことになったっすよ……」


完全に打つ手がなくなってしまったのだ
特に、これだけの数の兵士がスライムになってしまったというのは、
本人を含めて誰からも受け入れがたいことだろう


ぶりっ子「……大魔王ですか」
161 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/03(火) 20:27:13.71 ID:1FjsxMJUo
彼女は男が持っていたケースをひったくった


男「ん?」

ぶりっ子「あなたが来たも、大魔王とやらの差し金なんですか?」


そして、ケースを覗き込み、
ゲル生命体を睨みつけながら言う
彼の居心地が悪そうなのは、
ケースの狭さだけが原因ではないだろう


ゲル「>>下1」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/03(火) 22:36:54.56 ID:UAJFefsL0
・・・そう、だ
163 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/04(水) 04:03:03.79 ID:WCtaKKbio
本日はここまでです
ありがとうございました
164 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/04(水) 19:54:41.38 ID:WCtaKKbio
ゲル「・・・そう、だ」


つまり、少なくとも直接的には帝国の意向ではなかったということになる
帝国と大魔王が繋がっている可能性はあるが、
ゲル生命体が帝国の専攻部隊である可能性は低いだろう


怪盗「うーん……そうなんですね」

狙撃少女「こいつは帝国とはあまり関係ないんでしょうか?」
165 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/04(水) 21:12:17.63 ID:WCtaKKbio
炎魔「さぁ……」


あれこれと動き回っているうちに、
時間はもう昼下がりだった


男「どうするかな」

炎魔「私がまた索敵しますよ!」

男「だ、だが……さっきも危険な目に遭わせてしまった」

中華「でも、逆に言えばそれで助かるぐらいには、炎魔の危機管理能力があるってことだよ」
166 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/05(木) 19:02:52.18 ID:n78H8JICo
すみません寝落ちしました


氷魔「……炎魔さんなら……大丈夫ですよ……」

男「そうだな……さっき、任せたしな」


お互いの意思確認までしたものの、
やはり男は彼女が心配だった
しかし、そんな彼をよそに、
炎魔は大空に飛び上がった


やる気「なんか見えるっすかー?」

炎魔「>>下1」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/05(木) 19:36:08.07 ID:1Bjbuhad0
…かなり遠くから帝国軍らしい軍勢が三つ。距離は一番近い軍で400キロ
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/05(木) 19:36:51.74 ID:j+XCiO2so
邪気が溜まってるような所が見える
169 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/06(金) 04:21:14.00 ID:SsdYf52qo
炎魔「…かなり遠くから帝国軍らしい軍勢が三つ。距離は一番近い軍で400キロ」


彼女は降り立ちながらそう告げた


ぶりっ子「よ、よんひゃっきろ?」

男(およそ、東京から大阪間の直線距離だな……)

怪盗「相当遠そうですね、時間的には余裕がありそう」
170 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/06(金) 04:55:15.31 ID:SsdYf52qo
本日はここまでです
ありがとうございました
171 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/06(金) 18:21:31.77 ID:SsdYf52qo
狙撃少女(どうやってそんな遠くを見たのでしょう……?)

男「……それなら、この兵士たちを森から出すこともできそうだな」

中華「そうだけど……出して、どうするの?」

男「一旦村に連れていこう。村人たちがどのぐらい避難し終えているか分からないが……もぬけの殻なら、一旦拠点にしてもらえるはずだ」

氷魔「……そうですね……」
172 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/07(土) 04:27:41.33 ID:nJ5K4/TFo
中華「そういうわけで、村に戻るよ!」


彼が手を挙げて合図すると、
スライムたちはのたのたと集まりだした
少し待てば、そこには綺麗な縦列が完成していた


やる気「流石元兵士っすね」

ぶりっ子「スライムの体でも綺麗に並べるんですねぇ」
173 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/07(土) 04:29:42.74 ID:nJ5K4/TFo
そうして、奇妙な行進が始まった
地面を覆い尽くすようなスライムたちが、
一行に先導されて村を目指す


怪盗「うーん、はたから見たら私たちのほうが魔王っぽいですね」

狙撃少女「言えてますね」

炎魔「しかし、どの部隊もめちゃくちゃ遠くにいましたし……もしかしたら、結局捕まえたゲルが専攻部隊とやらだったのかもしれませんね」
174 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/07(土) 04:43:17.62 ID:nJ5K4/TFo
本日はここまでです
ありがとうございました
175 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/07(土) 19:42:07.66 ID:nJ5K4/TFo
氷魔「……聞いてみますか……」


彼女はケースを揺らした
そして、外側から少しだけそれを凍らせて、
中のゲルを脅してみせる


やる気「あんた、帝国と繋がってるんすか?それとも、ただ大魔王の指示聞いただけっすか?」

ゲル「>>下1」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/07(土) 19:54:25.53 ID:V7XAxRJp0
人、げんに、クミする気はな、い。だいま王サマの命令、だ
177 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/08(日) 03:29:38.39 ID:cIasAYKzo
ゲル「人、げんに、クミする気はな、い。だいま王サマの命令、だ」

ぶりっ子「一貫してますねぇ、こいつ」


どうやら、ゲルと帝国に繋がりはないらしい
となれば、ただ魔王の命令で兵士をスライムに変えていたということになる


怪盗「紛らわしいこと命令しやがりますねぇ、大魔王ってのも」
178 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/08(日) 03:44:57.43 ID:cIasAYKzo
本日はここまでです
ありがとうございました
179 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/08(日) 19:47:29.61 ID:cIasAYKzo
狙撃少女「……いや、むしろそれが目的なのでは?」

怪盗「え?」

狙撃少女「帝国との交戦に見せかけて、作戦行動を遂行する……それこそが、大魔王の目論見だったのではないでしょうか」

炎魔「となると、その奥にある目的が気になるところですが……」

中華「ゲルの態度を見るに、本当にただ魔物を増やしたかっただけの可能性があるね」
180 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/08(日) 20:41:09.05 ID:cIasAYKzo
そうこうしているうちに森を抜け、
再び村へと戻ってきた
住人の避難は済んでおり、村はもぬけの殻だった


男「着いたな」

スライムA「ここが人間の村?なんだか寂しいね」

男「本当はもっと人がいるんだ。今はみんな避難してるんだよ」
181 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/09(月) 19:53:22.88 ID:uQtoZZ2ko
すみません寝落ちしました


氷魔「……あ……あなたも……ついてきていたんですね……」


男がスライムと話しているのを見て、
そのことに気付いたメンバーもいた


スライムA「お邪魔だったかな?」

男「いやぁまさか。むしろ頼みたいことがあるぐらいなんだけど」
182 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/10(火) 03:21:01.86 ID:kq9Nhm/fo
スライムA「え?」

男「この兵士たちにさ、スライムの言葉を教えてやってほしいんだよね」


男はずらりと並んだ彼らを手で示す


スライムA「えー……それでいいの?」

男「今のところは人間の言葉もスライムの言葉も喋れないんだ。だが、どんな言葉でも喋れるなら、俺が通訳できる」
183 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/10(火) 04:14:49.55 ID:kq9Nhm/fo
やる気「……というか、負担大きくないすか?」

男「そうだ。だから、嫌なら断ってくれ」


男がそう言うと、スライムはしばらく黙った
そして、言葉を発する


スライムA「……森にいても暇だし、楽しめるうちはいいよ」
184 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/10(火) 04:15:56.65 ID:kq9Nhm/fo
本日はここまでです
ありがとうございました
185 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/10(火) 19:09:10.41 ID:kq9Nhm/fo
風邪をひいてしまったので、本日はお休みさせていただきます
明日にはよくなるかと思います
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/10(火) 21:11:28.69 ID:pRetz4nqo
お大事に
187 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/11(水) 19:01:24.55 ID:BNlbF4cao
男「恩に着るよ」


そう男が言ったのを聞いて、
うまくいったことを他のメンバーは察した


ぶりっ子「よかったですねぇ」

怪盗「次、どうしましょう……ひとまずここにいるしかないんでしょうか?」

狙撃少女「そうですね、距離的に考えて、どれだけ早く行軍したとしても一日程度ではこちらに敵は来ないでしょうし」
188 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/11(水) 21:02:10.87 ID:BNlbF4cao
炎魔「その間、どうしてましょうか」

中華「市長に連絡が取れればいいけど、そうするには若干余裕がないかもね」


ひとまず村を歩き回り、人がいないとはいえ、
あまり迷惑にならないようなスペースを探す


男「……そうだ、さっき恩に着ると言ったが……なにか、して欲しいこととか、欲しいものとかあるか?」

スライム「>>下1」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/11(水) 22:40:01.77 ID:pHgBI6uC0
なら僕も冒険してみたい。みんなといると楽しそうだし
190 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/11(水) 23:52:41.27 ID:BNlbF4cao
スライム「なら僕も冒険してみたい。みんなといると楽しそうだし」

男「……危険だぞ?」

スライム「危険でもなんでも、森の中でじっとしてるよりずっといいさ」


そう言われると、男は困ってしまった
やはり彼は心配性であるので、
本当にそれでよいのかと考えこんでしまったのだ


氷魔「……なんと……言われたので……?」
191 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/12(木) 04:47:28.31 ID:/XUrP9A8o
本日はここまでです
ありがとうございました
192 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/12(木) 19:52:04.47 ID:/XUrP9A8o
男「一緒に冒険したいって」

狙撃少女「いいじゃないですか」

男「まぁ、無下にするつもりはないけどさ……」

中華「それこそ、ケースにでも入れればいいんじゃないの?」

男「……まぁ、そうだな。危ないときはケースに入っていてもらうことになるかと思うが」

スライム「そう?」
193 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/13(金) 04:02:12.77 ID:BmP0Xammo
男「危ないやつは本当に危ないからな」

スライム「……ま、いいよ!ただ守られるだけの存在じゃないってとこ、見せればいいでしょ!」

炎魔「ふふ、そうですね!」


スライムと炎魔は互いに天真爛漫なところがあるようで、さっそく波長が合っているようだった


氷魔「……さ……今晩の夜営を始めましょうか……」
194 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/13(金) 05:18:11.08 ID:BmP0Xammo
一行は村にあった物資を控えめに拝借し、
寄合所を使って簡易的な拠点を作った
時刻はすっかり夜であり、
外に出ているべきではない時間だった


やる気「っし!もう入っていいっすよー!」


火を焚いた室内に、
外で待機していたスライムたちを入れる
スライムであっても、肌寒さは感じるのであろうか
195 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/13(金) 05:26:38.86 ID:BmP0Xammo
本日はここまでです
ありがとうございました
196 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/13(金) 18:55:44.65 ID:BmP0Xammo
寄合所の中におびただしい数のスライムがやってきて、そこら中に広がる
兵士のままであったなら、
この数を収容することは不可能であっただろう


中華「じゃあ、夕飯を作るね。近くに宿があったから、そこの厨房をお借りしようと思うよ」

ぶりっ子「いいですねぇ、でも……」

男「ああ、スライムって腹空くのか?だとして、なにを食べるんだ?」

スライム「>>下1」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/13(金) 19:30:57.32 ID:NGna58+J0
基本は水とか果物とかだよ。虫や鳥獣とかは上位種にならないと消化不全を起こして死んじゃう子もいる
198 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/14(土) 05:31:07.36 ID:pmVbD2keo
スライム「基本は水とか果物とかだよ。虫や鳥獣とかは上位種にならないと消化不全を起こして死んじゃう子もいる」

男「なるほど、そうなのか……それは注意が必要だな」


男はちらりと兵士だった彼らを見た
なんの変哲もないスライムであり、
上位のそれではなさそうだと再確認したのだ


中華「なにか問題あった?」

男「ああ______」
199 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/14(土) 05:33:35.84 ID:pmVbD2keo
本日はここまでです
ありがとうございました
200 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/14(土) 19:13:03.17 ID:pmVbD2keo
男は、スライムから聞いたことを中華に話した


中華「なるほど、それは大切な情報だね」

男「ああ、大丈夫そうかな?」

中華「実際の兵士に出すよりよっぽど楽かも」

男「量の問題か?」

中華「あと、お肉めちゃくちゃ欲しがるからね」
201 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/14(土) 20:51:26.96 ID:pmVbD2keo
それでも一体どうやって食材を工面するのか不思議だったが、
男は寄合所を出ていく彼をただ見送った


怪盗「今日はもう、ゆっくりできそうですね」

狙撃少女「ええ、今日も中々消耗する一日でした」


まだ夕飯までは時間がある


>>下1……なにをする?
1.中華の料理を手伝う
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.スライムと話す
9.自由安価
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/14(土) 21:14:23.42 ID:EaM6iQpR0
8
203 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/15(日) 02:11:05.75 ID:NENSxVFdo
男はスライムの様子を見に行った
彼は早速他のスライムたちを集め、
スライムの言語を指導しているようだった


スライム「これ、棒きれ。分かる?」


兵士たちに、実際にあるものを見せて教えているようだった
彼らも、男にはまだよく聞き取れないものの、
真似をして声を上げている


男「やってるな……ありがとう」
204 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/15(日) 02:12:28.68 ID:NENSxVFdo
本日はここまでです
ありがとうございました
205 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/15(日) 18:47:50.31 ID:NENSxVFdo
スライム「やってるけど……なに教えたらいいんだろう?」

男「え?今やってたじゃないか」

スライム「人間にとって棒きれって大事なの?」


その言葉で、男は彼の質問について理解した
言葉だけを教えようとしているのではなく、
より本質的な、『生きる力』としての言語を、
習得させてくれようとしているのだ


男「違うなぁ。……なるほど、そういうことね」
206 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/15(日) 20:44:49.12 ID:NENSxVFdo
スライム「うん」

男「ならまずは、助けを求めるサインを教えるところからじゃないかな?もしもってとき、大事だ」

スライム「なるほど!」


全身で頷くと、
スライムは助けを求める鳴き声を発し始めた


男「こんな感じなんだな……」
207 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/16(月) 04:10:42.28 ID:NE2Lx5H1o
本日はここまでです
ありがとうございました
208 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/16(月) 19:39:28.21 ID:NE2Lx5H1o
すると、兵士たちもそれを真似し始めた
助けて助けての大合唱であり、
男以外のメンバーはせいぜいうるさいとしか思わないが、
彼にとっては随分と悲痛に聞こえた


男「そういえば……」

スライム「なに?」

男「森に、君の仲間はいるのか?親しい者がいるなら、別れの言葉でも残していったほうがいいんじゃないか」

スライム「>>下1」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/16(月) 19:47:00.19 ID:NPDfeW9K0
親しい仲間なら僕が居なくても気付かないけど、親しいかった『人』なら随分前に『ベリアル』って奴に挑みに行ったきりだよ
210 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/16(月) 20:45:27.44 ID:NE2Lx5H1o
スライム「親しい仲間なら僕が居なくても気付かないけど、親しいかった『人』なら随分前に『ベリアル』って奴に挑みに行ったきりだよ」

男「……そうか」

スライム「どうしたの?」


呑み込むように答えた姿を見て、
スライムは心配したようだった


男「いや、聞いたことがあるんだ、その名前……」

スライム「へぇー」
211 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/17(火) 04:23:34.63 ID:J5KpHPvro
男は、一旦ベリアルについて伏せておくことにした
強大な相手に挑んだのであるから、
恐らくその人物は無事ではないだろう
そして、そのことをスライムに悟られたくはなかったのだ


男「……しかし、スライムってのは仲間意識が希薄なのか?」

スライム「うーん……人間ほどじゃない」

男「あるにはあるのか」

スライム「うん。でも僕たち、どれだけ頑張っても死ぬときはあっさり死んじゃうから。助けるって、現実的な行動じゃないんだよ」
212 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/17(火) 04:24:21.21 ID:J5KpHPvro
本日はここまでです
ありがとうございました
213 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/17(火) 18:17:50.54 ID:J5KpHPvro
男「虚しいな……」

スライム「虫さんに比べれば、贅沢な命だよ」


それからも、男はスライムに付き添って、
兵士たちにスライムの言葉を教え続けた


中華「ご飯できたよ!」

炎魔「やったー!」

中華「流石に配膳には人手がいるから、何人か来てくれないかな?」
214 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/18(水) 04:44:19.13 ID:bCCDc8roo
男「よし、任せろ!」

氷魔「……では……私も……」


三人が宿の厨房に向かうと、
成人男性の身長を越える高さの寸胴があった
もちろん、その幅も成人男性の胴回りよりはるかに大きい


中華「これ、すごいよね。両親のお知り合いの方のお店に何度かお邪魔したことがあるけど、こんなに大きな寸胴はなかったよ」
215 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/18(水) 04:44:58.66 ID:bCCDc8roo
本日はここまでです
ありがとうございました
216 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/18(水) 19:52:12.59 ID:bCCDc8roo
氷魔「……よく……一人で扱えましたね……」

中華「そこはもう意地だね」

男「そういえば、夕飯は汁物なのか?」

中華「ん、シチューにしたよ」


肉を使わずに全員の胃袋を満たし、
かつスライムの消化にもよいものを作る
そのために彼はシチューを作ったのである
217 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/19(木) 03:30:46.09 ID:xIo63L7Uo
氷魔「……凄まじい……作業量になりそうですね……」


どのようにシチューを配膳したらよいものか、
氷魔は途方もない心持ちになってしまった


中華「いやーそうなんだよね……しょうがないから炊き出しスタイルでいこうと思うよ」

男「そうだな、それが一番いい……となると、俺たちがするのは場の設営かな」
218 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/19(木) 03:50:26.02 ID:xIo63L7Uo
本日はここまでです
ありがとうございました
219 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/19(木) 19:50:07.96 ID:xIo63L7Uo
中華「ひとまずそんなとこだよ。よろしくね」


男と氷魔は寄合所に置いてあった机を持ってきて、
宿にある厨房のすぐ外に並べた
常人には耐え難いほどの筋力を要する作業であったが、冒険で鍛えられた二人にはやや面倒といった程度である


氷魔「……終わりました……」

中華「じゃ、あとはみんなを呼んでくるだけだね」
220 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/20(金) 03:37:05.16 ID:ZxG5Ldi0o
やる気「あー、腹減ったっす」


よほど空腹だったのか、
やる気が三人の様子を伺いに宿までやってきた


中華「お、いいところに。みんなのこと呼んできてよ。今日は炊き出しの方式でやるからね」


そう言うと彼は大きな器になみなみシチューを注ぎ、
ごく少量のチーズをかけてやる気に渡した
221 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/20(金) 03:53:17.18 ID:ZxG5Ldi0o
やる気「うっす!食ったら呼ぶっす!」

男「助かる?!」

氷魔「……シチューで足りるのでしょうか……?」


そう氷魔が溢すと、
中華は紙ナプキンをやる気に差し出した


やる気「お、気が利くっすね」

中華「それでよく口を拭けば、もうやる気が食べた後だなんて気付かない。シチューは多めに作ってあるんだよ」
222 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/20(金) 04:06:36.86 ID:ZxG5Ldi0o
本日はここまでです
ありがとうございました
223 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/20(金) 19:13:59.86 ID:ZxG5Ldi0o
それから、やる気はみんなを呼びにいき、
もちろんシチューは二人前食べることにした


男「お、来たか」

スライム「うん、ご飯食べにきたよ」

男「あぁ、これはシチューっていうんだが……一応、食べて問題ないか確認してみてくれ」

スライム「うん!」


>>下1……スライムがシチューを食べてなにか起こったか
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/20(金) 19:15:49.65 ID:5VM0SLI30
おいしー!!
225 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/21(土) 04:57:45.45 ID:HfIVEWIzo
スライムはシチューを食べると、
目を見開いて黙ってしまった


中華「大丈夫?」


そして、そのゼラチン質の体がぷるぷると震え出す
どうしたことかと心配する者たちをよそに、
スライムは叫んだ


スライム「おいしー!!」
226 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/21(土) 05:31:30.94 ID:HfIVEWIzo
本日はここまでです
ありがとうございました
227 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/21(土) 18:00:48.34 ID:HfIVEWIzo
そして、それは跳ねた
垂直におよそ一メートルほど跳んで、
喜びを表現しているのだ


中華「よかったぁ……」

氷魔「……ふふ……中華さんはなに作らせても……一級品ですからね……」

スライム「全然体も変じゃないし、嬉しくて体が勝手に動いちゃった!」
228 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/22(日) 05:03:25.56 ID:TCxNbSc/o
後ろに並んでいた兵士スライムたちも、
その様子を見ていくぶんか安心したようだった


ぶりっ子「じゃあ、みんなで食べましょう!」


皿に注がれたシチューを彼らに渡す


兵士スライムA「……?」


だが、彼らはどうやってそれを食べたらいいか分からないようだった
229 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/22(日) 05:04:09.72 ID:TCxNbSc/o
本日はここまでです
ありがとうございました
230 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/22(日) 20:58:15.69 ID:TCxNbSc/o
すみません遅れました


スライム「こうやって口を広げて……すくうみたいに飲むんだよ!」


と兵士スライムたちにスライムは教えている
食事すらままならない事態の深刻さと、
みんなでなら乗り越えていけるだろうというわずかな安心が生まれた


男「本当に申し訳ないな、色々教えてもらって」
231 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/23(月) 05:03:00.94 ID:B12ob0E9o
スライム「いいんだよ、こうやってしていられるなら」


彼はぴょこぴょこと跳ねて、
あっけらかんとそう言い放った


男「うん?」

スライム「あんまり僕は同族と仲がよくなかったから」
232 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/23(月) 05:05:01.60 ID:B12ob0E9o
実際、かなり変わった性質なのだろうと男は考えた
スライムとは思えないほど思慮分別があるし、
その考え方も革新的である


男「なるほどな……」

スライム「まぁ、みんなの心はスライムじゃないかもしれないけれど」

男「そう思えばそうかもしれない。だが、スライムとして生きていく中で……彼らも変わるだろう」
233 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/23(月) 05:19:22.88 ID:B12ob0E9o
本日はここまでです
ありがとうございました
234 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/23(月) 18:50:04.78 ID:B12ob0E9o
そうして、混乱の中で夕食は終わった
スライムとなってしまった兵士たちの中には、
露骨に消沈したり焦燥するものも現れ始めた
あまりのことに、
理解が追いついていなかった彼らだが、
だんだんと現実を理解して不安に襲われているのだ


怪盗「みなさん、どうにかならないんですかねー……」

狙撃少女「しかし、あのゲルによればどうも呪いを解くのは不可能そうなんですよね」
235 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 04:07:54.43 ID:tAxOaj4To
そう、二人は喧騒の陰______寄合所の裏で話していた


炎魔「ここは、逆転の発想ですよ!」

怪盗「うわっ!?」

狙撃少女「いつからそこに……!?」

炎魔「二人がいないので、探してたんですよ」


彼女が草むらから現れたので、
密やかにしていた二人は驚いた
236 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 04:09:49.73 ID:tAxOaj4To
狙撃少女「……それで、逆転の発想とは?」


だが、好奇心旺盛な狙撃少女にとっては、
炎魔の言葉が今もっとも重要であった


炎魔「彼らはスライムになる術をかけられてしまい、それを解くことはできません。なら、解かなくてもいいんじゃないでしょうか?」

怪盗「はい?」

炎魔「人間になる術を重ねがけすればいいんですよ。もしそんなものがあるなら、ですけどね」
237 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 04:37:32.61 ID:tAxOaj4To
本日はここまでです
ありがとうございました
238 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 18:04:18.22 ID:tAxOaj4To
怪盗「解決、とまではいいませんが……まだ救いのある話ですね」

狙撃少女「とにかく、街に戻ったら市長さんに相談するべきでしょう。その案も含めて……」


と話していると、さらに男が現れた


男「大丈夫か!?」

炎魔「ほへぇっ!?」
239 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/24(火) 18:37:58.79 ID:tAxOaj4To
怪盗「ど、どうしたんですか?」

男「いや、二人がいないから炎魔に探させてたんだが……茂みに入ったきり、出てこなかったからな」

狙撃少女「それは、ご心配を……」

男「敵が既に入り込んでいたのかと、肝を冷やしたよ」

炎魔「すみません、話が面白かったので……」

男「無事ならなんだっていい。今は寝床の設営をしているんだ」
240 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/25(水) 04:14:29.35 ID:byEIbEY/o
本日はここまでです
ありがとうございました
241 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/25(水) 19:47:18.80 ID:byEIbEY/o
男は三人を連れ、全員でスライム用の寝床を用意した
やはりと言うべきか、
寄合所の中はスライム用の寝床でほとんど埋まってしまった


中華「随分窮屈な夜になりそうだね」

氷魔「……ですが……私たちだけ……宿を間借りするというのも……贅沢ですからね……」


男は寝床のことについてぼんやりと考えながら、
寝るまでの時間を過ごすことにした


>>下1……なにをする?
1.中華の料理を手伝う
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.スライムと話す
9.自由安価
242 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/25(水) 19:48:02.91 ID:byEIbEY/o
すみませんミスです
1.は『中華と話す』でした

>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と新技の特訓
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.スライムと話す
9.自由安価
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/25(水) 20:14:55.12 ID:yhMsUqah0
9.ふと青銅の箱に目をやると、箱が鍵穴から器用にストローを差し出してゲルの入ってるケースに差し込もうとしてた
244 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/26(木) 00:54:08.05 ID:ThLsv1dUo
寄合所のスペースを確保するため、
荷物の整理をしようと男は思い立った


男「……ん!?」


そこで男は視界の隅に、なにか動くものを認めた
まさかゲルがケースからの脱走を試みているのでは、
そう思ったが、それは当たらずとも遠からずといった推察であった


男「な、え?」
245 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/26(木) 03:03:41.01 ID:ThLsv1dUo
ケースの近くに置いていた青銅の箱
その鍵穴からゆっくりとストローが伸びていて、
そしてそれはゲルの入っているケースに差し込まれようとしていた


男「どど、どういうことだ!?」


やはり、この箱にはなんらかの意志がある
男はその認識をより強めるとともに、
どたばたと足を動かして、
慌てながらケースを青銅の箱から離したのだった
246 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/26(木) 03:06:31.88 ID:ThLsv1dUo
本日はここまでです
ありがとうございました
247 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/26(木) 18:57:29.00 ID:ThLsv1dUo
やる気「どうかしたっすか?虫でも出たっすか?」


男が激しく動いたのを感じて、
やる気も寄合所に入ってきた


男「せ、青銅の箱が!」

やる気「どうしたんすか?」


男が青銅の箱を指差すと、それは>>下1
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/26(木) 19:21:31.83 ID:GB/YfvNB0
バツが悪いのか音楽を鳴らしている
249 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/27(金) 05:21:19.14 ID:MsxVVYMEo
それは音楽を鳴らしていた
鍵穴から飛び出しているのはストローではなく、
ミニチュアのトランペットになっている


男「……いや、なんでもない」

やる気「ははは、こりゃ面白いっすね」

男「やっぱりこいつは油断ならないな。個人で管理しないとだめそうだ」
250 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/27(金) 05:27:28.49 ID:MsxVVYMEo
本日はここまでです
ありがとうございました
251 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/27(金) 20:13:12.18 ID:MsxVVYMEo
すみません遅れました


それから、一行は就寝時間を迎えた
どうにか寄合所のスペースを確保して、
男性陣と女性陣がそれぞれ別の隅で眠れるようにもなっている


ぶりっ子「ここで寝るんですねぇ……」

男「それから、夜間は交代で起きることにしよう」

怪盗「でも、敵が来るのはどれだけ早くても明日ですよ?」
252 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/28(土) 05:24:18.60 ID:yF3c40Kgo
男「ああ、だがなにが起きるか分からない」

狙撃少女「実際、ゲルに襲撃されたわけですからね……」

炎魔「これだけパーティの人数がいれば、持ち回りでやれば随分眠れそうですしね」


そうして、一行は眠りながら一時間ごとに交代して村の夜警をすることにした


中華「何事もないといいけれど……」
253 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/28(土) 05:27:05.44 ID:yF3c40Kgo
本日はここまでです
ありがとうございました
254 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/28(土) 19:23:23.50 ID:yF3c40Kgo
そして深夜
ぶりっ子が担当する時間帯になった


ぶりっ子「はぁ……夜は冷えますねぇ」


彼女は前任の狙撃少女から交代し、
少しだけ村の中を見回ったあとに、
村の外周を歩いていた


ぶりっ子「んん?」


この村は森と林道に囲まれているが、
彼女は近くの林から違和感を覚えた
注意深くそちらを確認すると、>>下1
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/28(土) 19:42:40.48 ID:lsQOLLI30
一つの光り物が飛んできた
256 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 01:53:45.28 ID:wG08jWpQo
ぶりっ子「ほわぁっ!?」


突如飛来する物体
危機回避能力に長けたぶりっ子は、
見事に身をよじって回避に成功した


ぶりっ子「ちょ、ちょちょちょ!なんですかぁ!?」


それは森の中から高速で飛び出した後、
発光しながら村の方向へと飛んでいく
257 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 01:55:51.88 ID:wG08jWpQo
だが、そこでは終わらなかった
飛行物体は光の軌跡を残しながら軌道を変え、
再び高速でぶりっ子の方に飛んでくる


ぶりっ子「なにぃっ!?」


動きが直線的なので、ぶりっ子は再び回避に成功した
だが、いつまでも避け続けるわけにはいかない
体力の問題もあるし、万が一村に被害が出るのも忌むべきであるからだ
258 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 02:01:32.19 ID:wG08jWpQo
本日はここまでです
ありがとうございました
259 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 18:27:35.88 ID:wG08jWpQo
ぶりっ子「……やるしかない」


突撃を避け、よろけながら可能は呟く
次の突貫にカウンターするつもりで、
彼女は呼吸を整えた


ぶりっ子「ぴゅん太郎ーッ!!」


真正面から発光体を捉え、逆巻く風魔法を叩きつける
お互いのエネルギーが激しくぶつかり合う刹那、
その速度が殺されたことによって、
発光体の輪郭を見ることができた


ぶりっ子「>>下1」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/29(日) 19:13:24.18 ID:jOwKMmKK0
武装した…妖精っ!?
261 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/29(日) 20:50:41.10 ID:wG08jWpQo
ぶりっ子「武装した…妖精っ!?」


彼女はその姿を見た
発光する鎧を身にまとい、剣を構えて突進する、
小さな人型の生命体……妖精であった


ぶりっ子「うあぁぁっ!!」


速度は凄まじいが、
その質量がごく小さかったために、
ぶりっ子の必殺技によって妖精は押し負けた
262 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/30(月) 19:03:11.79 ID:rM1p9lSho
すみません寝落ちしました


そして、妖精は勢いよく近くにあった岩に叩きつけられた
高い金属の音が鳴り、激突の激しさが伝わる


ぶりっ子「な……なんだったの?」

妖精「う……く……」


そのまま力なく墜落した妖精は苦しげにしていた
263 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/31(火) 04:56:12.89 ID:Z5yJhpP8o
ぶりっ子はその近くに寄っていくと、
恐る恐る妖精を掴んだ


妖精「くっ!」


すると、妖精はさらに苦々しい表情になった
理由はなんにせよ、ぶりっ子に対して敵意を抱いている可能性が高い
彼女はそう推察した
264 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/31(火) 05:19:17.82 ID:Z5yJhpP8o
本日はここまでです
ありがとうございました
265 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/31(火) 19:00:26.10 ID:Z5yJhpP8o
ぶりっ子「うーん、どうしましょう」


彼女は逡巡して、とりあえず妖精をシェイクしてみた


妖精「うっ、うううぅぅぅ……!」

ぶりっ子「?」

妖精「おえぇっ!」

ぶりっ子「ひいぃぃ?っ!吐いた!ゲロ吐きやがりました!」
266 : ◆cUhskXlNTw :2026/03/31(火) 19:03:05.48 ID:Z5yJhpP8o
彼女の手には妖精の吐瀉物がでろでろとついた


妖精「……くそっ」

ぶりっ子「あー……ごめんなさいねぇ……?そんなつもりはなくてですねぇ……?」

妖精「………………」

ぶりっ子「あのぉ、なんで私のこと襲ってきたんですかぁ?」

妖精「………………」


妖精は黙秘を貫いている
当然といえば当然だろう


ぶりっ子「どうにかしてお話してもらわないといけないんですけどねぇ……そうだ!>>下1」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/03/31(火) 23:41:57.67 ID:kDc44Uk30
中華に作って貰ったスープとクッキーを渡して観る
268 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/01(水) 03:24:20.54 ID:nKdlEmQEo
彼女は自分が携帯している物品について思い出した
寝る前に、夜中に腹が減ってはいけないと中華が予め夜食を用意してくれていたのだ


妖精「?」


ぶりっ子がスープとクッキーを取り出すと、
妖精は不思議そうに彼女を見た
その際に手を離された妖精だったが、
三半規管がやられていてまともに動けず、
逃げることもできなかったのだ
269 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/01(水) 04:24:29.40 ID:nKdlEmQEo
本日はここまでです
ありがとうございました
270 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/01(水) 19:15:32.98 ID:nKdlEmQEo
ぶりっ子「お詫びの印ってことで……これ、あげますよ」

妖精「……施しは受けない」

ぶりっ子「施しじゃないです。これは謝罪なんですよ……あなたがこれを受け取ってくれないと、謝れたことにならないんですよぉ」


彼女がそう言ってじっと見つめると、
妖精は観念したようで、
ビスケットの隅にかじりついた
271 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/01(水) 19:26:37.35 ID:nKdlEmQEo
妖精「……おいしい」

ぶりっ子「そうでしょうそうでしょう!」


妖精は一口ずつ食べ進めていく
人間が食べれば一口だが、
妖精の体躯なら長く味わうことができるのだ


妖精「うまかったよ」

ぶりっ子「スープもありますよ」
272 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/02(木) 04:55:17.59 ID:P6h2KDPOo
本日はここまでです
ありがとうございました
273 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/02(木) 18:32:24.06 ID:P6h2KDPOo
持ち運びやすいように、
筒状の容器に入れられたスープを差し出した
妖精は一瞬迷ったあと、それに口をつけた


妖精「……ん、うまい」

ぶりっ子「ふふ、美味しそうに飲みますねぇ」


妖精はぶりっ子にも聞こえるほどの大きさで喉を鳴らしながら、スープを飲んでいった
274 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/03(金) 05:07:52.21 ID:SjRxyKXmo
妖精「んく、んん……」


スープは量でいえば当然ビスケットよりもあるため、
妖精はそれをゆっくりと飲んでいく
中華はシチューのようなものも手堅く仕上げるが、
得意なのは今飲まれているような澄んだスープだった


ぶりっ子「繊細な風味が、口の中を覆っていくんですよねぇ。決してしつこくなく、むしろあっさりなんですけど」

妖精「……ぷはぁっ」
275 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/03(金) 05:12:33.14 ID:SjRxyKXmo
本日はここまでです
ありがとうございました
276 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/03(金) 18:20:03.31 ID:SjRxyKXmo
ぶりっ子「空腹は満たされましたぁ?」

妖精「……多すぎるぐらいだ」


妖精は腹をさすっている
口調は変わらないが、
刺々しい印象はかなり減っている


ぶりっ子「……それで、なんで私に襲いかかってきたんですかぁ?」

妖精「>>下1」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/03(金) 20:13:16.31 ID:jVDrj1NO0
逆に聞くけど、淫魔がなんでここに? 襲いに来たにしては優しいし
278 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/03(金) 20:59:45.85 ID:SjRxyKXmo
妖精「逆に聞くけど、淫魔がなんでここに?」

ぶりっ子「あ……」


彼女は自分に生えている角や尻尾を確認した
そういえば、今の自分は魔族に見えるのだということを思い出したのである


妖精「襲いに来たにしては優しいし」

ぶりっ子「うーんなんといいますか、自認は人間なんですけどねぇ……」
279 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/04(土) 04:35:03.75 ID:Dm15lc3wo
妖精「?」

ぶりっ子「今日よく分からない術で無理やり変えられたんですよぉ」

妖精「ふーん……村人たちは?」


妖精は、村人たちがいなくなっていることにも気付いていた
そして、その理由についても分かりかねているようだった


ぶりっ子「実は……」
280 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/04(土) 04:47:34.10 ID:Dm15lc3wo
本日はここまでです
ありがとうございました
281 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/04(土) 18:30:58.98 ID:Dm15lc3wo
ぶりっ子は村人がいない事情についても述べた


妖精「……そんなことが」

ぶりっ子「どうにか人間の姿に戻れれば私も嬉しいんですけどねぇ、まぁ今はそれどころじゃないってことです」

妖精「うーん……」

ぶりっ子「あ、そうだ。妖精さんたちがいる方の森で帝国の部隊とか見かけませんでしたぁ?私たちはその対処のために来てるんですけど……」

妖精「>>下1」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/04(土) 21:33:47.16 ID:nG2tokad0
いっぱいいてうるさかった……
283 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/05(日) 04:08:24.04 ID:bNzqkBKSo
妖精「いっぱいいてうるさかった……」

ぶりっ子「えっ!?」

妖精「どうしたの?」

ぶりっ子「だ、大丈夫だったんですかぁ!?」


衝突が発生してもおかしくないので、
ぶりっ子は大層驚き心配した


妖精「なんとか追い払った」
284 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/05(日) 04:10:41.22 ID:bNzqkBKSo
本日はここまでです
ありがとうございました
285 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/05(日) 19:26:45.88 ID:bNzqkBKSo
ぶりっ子「あ、そうなんですねぇ……」

妖精「最近、この辺りの様子はおかしいな」

ぶりっ子「あのぉ……多分、その追い払ったやつらを捕縛するのが私たちのお仕事なんですけどぉ……」

妖精「捕まえてくれるのか?」

ぶりっ子「まぁ、はい……」

妖精「それは助かる。実はまだ、あいつらはこの近辺にいるかもしれないんだ」
286 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/06(月) 03:59:50.03 ID:e3Q9lfFLo
ぶりっ子「ああ?……だからこんな夜中にうろついてたんですねぇ」

妖精「そう。で、どうみても淫魔なやつがいたから、異変の首謀者かと思って攻撃した」


どうにか和解できたことに安心した彼女だったが、
そこでふと時間について思い出した


ぶりっ子「あ、そろそろ戻らないと……夜警が交代する時間なんですよぉ」
287 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/06(月) 04:27:54.65 ID:e3Q9lfFLo
本日はここまでです
ありがとうございました
288 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/06(月) 18:26:48.45 ID:e3Q9lfFLo
妖精「そうか」

ぶりっ子「明日、またお話聞きたいんですけどぉ……どこに行けば会えますかね?」

妖精「じゃ、これを」


妖精は巻かれた羊皮紙を手渡してきた


ぶりっ子「?」

妖精「地図だ。我々の住処までの道のりが分かるようになっている」

ぶりっ子「ありがとうございますぅ!」
289 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 04:02:34.81 ID:QQDVF0Tto
そしてぶりっ子は村へと戻り、
あったことを手短に報告すると、
交代してすぐ眠りについた


?翌日・陽週月曜日?


男「夜の間は、襲撃とかはなかったみたいだな」

中華「うん、でも幸運だね」

氷魔「……ぶりっ子さんの情報によれば……リスクは十分にありましたからね……」
290 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 04:25:21.32 ID:QQDVF0Tto
本日はここまでです
ありがとうございました
291 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 18:30:29.56 ID:QQDVF0Tto
やる気「じゃ、今日はそいつらの捜索が仕事っすかね!」

ぶりっ子「はいっ!手がかりを持っていそうな妖精さんたちにコンタクトをとるため、地図ももらってきました!」


彼女は昨晩もらったそれを取り出す
そして、寄合所に置かれたテーブルにそれを広げた


怪盗「……え?」
292 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 20:48:08.51 ID:QQDVF0Tto
それは確かに地図であった
しかしながら、その中身は一瞬、
子供の落書きではないかと疑うほどだった


スライム「うわ、なにこれ?」

男「まぁ、下手だな……これは……」

狙撃少女「ふふっ……」

炎魔「わ、笑っちゃ悪いですよ、相手は妖精なんですよ?」
293 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/07(火) 20:49:43.10 ID:QQDVF0Tto
狙撃少女「いえ、すごく分かりづらいのに……ほら、ここ」


彼女は地図の右上を指さした
そこには、東西南北を示す風見鶏のような図が描かれていた


中華「あ、方角は分かるね」

狙撃少女「これはすごく丁寧に書いてあるのが、面白くて……」
294 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/08(水) 02:21:20.99 ID:DPIsi0Hgo
本日はここまでです
ありがとうございました
295 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/08(水) 18:33:44.87 ID:DPIsi0Hgo
男「まぁ……でも行くしかないな」

氷魔「……どんなメンバーで……いきましょうか……?」

やる気「それっすよね。結局この村も守らなきゃいけないっすからね」


帝国の部隊を全員で探しに行った結果入れ違いに、
というのがもっとも恐ろしい事態だった
それを避けるため、一行は話し合って戦力を分けることにしたのだった


>>下1……妖精たちに会いに行くメンバー
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/08(水) 19:41:53.54 ID:0A5V5xdU0
中華、ぶりっ子、炎魔、そして行きたい人挙手
297 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/09(木) 02:37:50.88 ID:SZEBzsdQo
話し合いの結果、中華とぶりっ子、そして炎魔が行くことになった
料理が鍵になるかもしれないということ、
ぶりっ子は昨晩の妖精と面識があるため、
そして炎魔はその好奇心と強さのためだった


男「……じゃ、そういうことで。他に行きたい人があれば手を挙げてくれ」


彼がそう言うと、視界の端でなにかが動いた
298 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/09(木) 02:38:24.04 ID:SZEBzsdQo
本日はここまでです
ありがとうございました
299 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/09(木) 18:06:51.49 ID:SZEBzsdQo
スライム「行きたい!」


どうやら、スライムは妖精に会いにいきたいようだった
しかし、その言葉が分かるのは男だけである


男「……なら、俺も行くことになるか」

ぶりっ子「まぁ、一番強いお二方はここに残るみたいなのでぇ……安心ですねぇ」
300 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/10(金) 03:40:39.19 ID:yXeZ0iFxo
そして、妖精の元へ向かうメンバーは村を出た
途中まで、スライムに変えられた兵士が彼らを見送った


中華「さて、ぶりっ子が外回りをしてるときに妖精に会ったって話だけど……」

ぶりっ子「はいっ、まずはそこに向かいましょうか。地図も、その周辺について記されてる可能性が高いですしぃ」

炎魔「また妖精さんがいたら、それで万事解決なんですがね」
301 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/10(金) 03:45:17.17 ID:yXeZ0iFxo
本日はここまでです
ありがとうございました
302 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/10(金) 19:34:30.49 ID:P26hTL0CO
そして四人と一体は昨晩妖精がいた場所にたどり着いた
しかしそう都合よく妖精がいるということもなく、
そこから本格的に動きを考えることになった


男「地図の方位は正しいから……」

スライム「近くの森に入ってみようよ!」

男「そうだな、それが現実的か。行ってみよう」
303 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/11(土) 05:55:37.32 ID:VFjZFAOho
先日入った森のような、
余所者を拒むような威圧感はそこにはなかった
だが、なにか大きな力が渦巻いているような感覚を覚える


中華「なんだろう、この感じ……」

ぶりっ子「どこまでも綺麗な新緑なのに、全てが物々しいような……」

炎魔「安心できるはずの風景なのに、どうしてこんなに不穏なんでしょう?」

男「これが、妖精の森なのか……」
304 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/11(土) 18:16:41.77 ID:VFjZFAOho
すみません寝落ちしました


一行は、ほとんど頼りにならない地図を見ながら森を歩いた
森にしては風景が開けているのに、
油断すると自分がどこにいるのかを見失いそうになる


中華「うーん、どうしよう?歩けば歩くほどよくない気がしてくるね」

ぶりっ子「妖精に会えればいいんですけどねぇ……どうにかして、おびき出せないですかね?」

炎魔「それなら、>>下1」
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/11(土) 20:03:07.16 ID:XAMXXHfD0
男さんの『声を聴く』能力を使えば良いんですよ!
306 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 03:10:10.20 ID:hHp55+7io
炎魔「男さんの『声を聴く』能力を使えば良いんですよ!」

男「……というと?」

炎魔「耳を澄ませたら聞こえてきたりしませんか!?妖精の声!」


男はあまりそういうことはしたことがなかった
だが、炎魔の柔軟な発想を受けて、
できるかもしれないと思い始めていた
307 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 03:46:17.29 ID:hHp55+7io
本日はここまでです
ありがとうございました
308 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 18:39:45.89 ID:hHp55+7io
男「やってみるか……」


彼は深呼吸をして、心を落ち着ける
そして、耳を澄ませてじっとしてみた


中華「……ど、どう?」

男「少しだが、聞こえる……」

ぶりっ子「どこからですかぁ?」

男「あっちだ、行ってみよう」
309 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 20:55:14.63 ID:hHp55+7io
男を先頭に、森を進む
森の深い場所へとどんどん入り込んでいく
妖精の話し声に交ざって、獣の鳴き声も聞こえ始める


スライム「探検、楽しいね!」

男「ふ……そうだな。おや?」


近くの茂みから声がすることに、彼は気付いた


炎魔「もしかして、そこですか?」
310 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/12(日) 20:58:09.50 ID:hHp55+7io
男「ああ」

中華「じゃあ、声をかけてみようか」

ぶりっ子「取り合ってくれるといいんですけどねぇ」


暫しの静寂の中______男には様々な声が聞こえているが______タイミングを窺い、男は声をかけた


男「もしもし、妖精さん?」


>>下1……どんな反応があったか
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/12(日) 21:51:12.39 ID:PLmgMv090
か細く弱々しい声で反応があった
312 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/13(月) 02:17:24.12 ID:o6R8SGo7o
本日はここまでです
ありがとうございました
313 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/13(月) 19:17:39.01 ID:o6R8SGo7o
妖精「は……はー……い……」


全員が集中していたので聞き取れたが、
それはあまりにもか細い声だった
途切れ途切れで、死にかけなのかと思うほどである


中華「え?大丈夫?」

炎魔「私に任せてください!」
314 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/14(火) 02:10:24.64 ID:WO1m0GQIo
炎魔は両腕を振りかぶると、そのまま茂みに向かって手をかざす
すると、そこはたちまち燃え盛り、
茂みの中から一体の妖精が現れた


妖精「も、燃える……」

ぶりっ子「心配いりませんよぉ」


炎魔の炎は聖なるものなので、
決して妖精の肉体を傷つけることはない
むしろ、生命力を分け与えるのだ
315 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/14(火) 03:31:37.23 ID:WO1m0GQIo
本日はここまでです
ありがとうございました
316 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/14(火) 18:32:56.55 ID:T3jaTpsAO
妖精「ふぅ……ふぅ……」


絶え絶えだった妖精の呼吸にも、
だんだんと安定性が帰ってきた


男「大丈夫か?」

妖精「あ……うん……」

中華「どうしてこんな満身創痍になってたの?」

妖精「>>下1」
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/14(火) 19:05:05.55 ID:8G9pfhb9o
ジャバウォックに追われて…
318 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/14(火) 21:38:19.40 ID:WO1m0GQIo
妖精「ジャバウォックに追われて…」

ぶりっ子「じゃば……?」

男「聞いたことがあるな、恐ろしい怪物だ」

炎魔「でも、戦えば倒せますよね!」


と彼女は言ったが、男はそうは思っていなかった
彼の知るジャバウォックとは、
正攻法でぶつかるべき怪物ではないからだ
319 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/15(水) 03:10:58.52 ID:z7VdM/KIo
本日はここまでです
ありがとうございました
320 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/15(水) 18:26:07.96 ID:z7VdM/KIo
中華「あまり派手に動きたくはないけどね。ここにはまだ、帝国の舞台がいるかもしれないんだし」

男「ああ、それにジャバウォックには遭遇しないのが一番だ」

妖精「食べられるかと思ったんだけど……茂みに逃げ込んだら、なんか、来なくて……」

ぶりっ子「そんなことで見失いますかねぇ?」

男「『ジャバウォックが妖精を見失った』から生還できたんじゃなくて、『妖精がジャバウォックを見失った』から生還できたんだろうな」

ぶりっ子「?」
321 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/15(水) 22:27:30.81 ID:z7VdM/KIo
男「やつは認識に巣食う怪物だ。そこにいることをはっきりと認識するほど、完全完璧、無欠の存在になる」

炎魔「ど、どうするんですか、そんなやつ」

男「うーん……かなり厳しい。とにかく、俺たちの目的を一旦果たそう」

中華「そうだね。妖精さんたちが集まってる場所について知ってる?」

妖精「うん……行きたいの?」
322 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/15(水) 22:29:34.41 ID:z7VdM/KIo
妖精も元気を取り戻してきたようで、
その羽で飛ぶことができている


ぶりっ子「あっ、私は自認は人間ですから警戒しないでくださいねぇ」

妖精「え?……うわぁ!!淫魔だぁ!!」

ぶりっ子「だから、違うんですってぇ!」

炎魔「大丈夫です!私が保証しますから!」


妖精とぶりっ子の間に入って、
炎魔がどうにか妖精を落ち着けようとする
323 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/16(木) 01:33:27.75 ID:/BwqPitwo
本日はここまでです
ありがとうございました
324 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/16(木) 19:55:54.57 ID:/BwqPitwo
妖精「……ほんと?」

炎魔「はい!」

妖精「じゃ、着いてきて」


妖精は怪訝な顔をしているが、
とりあえず炎魔の言うことは信じるようだ
一応命の恩人ではあるからだ


中華「なんとかなったね……」


>>下1……妖精の住処はどんな様子か
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/16(木) 22:38:41.52 ID:tulEH0dQ0
多種多様な種類の花がある花畑だったが殆どが踏み潰されている
326 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/17(金) 00:03:21.06 ID:wCAA61d9o
森を進み続けると、ついに開けた場所に出た
そこは花畑……だった場所であった


ぶりっ子「な、なんですかここ……!?」


そこには美しい花々が咲き乱れたいたはずだった
だが、色とりどりのそれらは盛大に踏み荒らされ、
雑然とした子供の落書きのような醜さを放っていた


炎魔「ひどい……」
327 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/17(金) 00:05:57.86 ID:wCAA61d9o
男「どうして、こんな……」

妖精「昨日から、もうめちゃくちゃで……」

中華「昨日?そういえば帝国のやつらが来たとは聞いたけれど」

妖精「あいつらもそうだし、ジャバウォックとか化物もやってくるし……一日で、妖精の住処はめちゃくちゃ」


よく見れば、怪我をしたとおぼしき妖精たちが散見される
相当に凄惨なことが起こったというのは、
想像に難くなかった
328 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/17(金) 01:54:34.56 ID:wCAA61d9o
本日はここまでです
ありがとうございました
329 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/17(金) 18:41:24.34 ID:wCAA61d9o
これでは、自分が怪しまれるのも当然だ……
そう思ったぶりっ子は、シスター服のベールを深く被りなおすのだった


ぶりっ子「ひどい……」

男「……なるほど、そういうことか」

炎魔「どうかしたんですか?」

男「帝国がこちらに向かっている、という連絡があっても遭遇できなかったのは……攻撃対象があの村じゃなかったからだ」

中華「なるほど、妖精の住処を落としにきたってことか」
330 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/18(土) 04:37:43.11 ID:PzFoD0dgo
ぶりっ子「でも、どうしましょう?これから……」

炎魔「帝国は目的を果たしたのか、というところが重要そうですね」

男「ああ、充分ならもう戻ることはないだろうし、果たせずに撃退されたならまだチャンスを窺っているだろう」

妖精「……?」

中華「ああ、ちょっと難しい話をしちゃったね。もう少し奥まで案内してもらえるかな?」
331 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/18(土) 04:50:33.04 ID:PzFoD0dgo
本日はここまでです
ありがとうございました
332 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/18(土) 19:44:50.81 ID:PzFoD0dgo
妖精の案内で花畑の中心まで進むと、白のタイルと、
そこから地下に続いていく階段があった


妖精「この先に女王様がいるよ」

ぶりっ子「そうなんですねぇ、ありがとうございますぅ」

炎魔「早速入ってみましょう!」

スライム「妖精の女王様なんて、想像したこともないなぁ」


一行は階段を下り、妖精の女王が座す玉座へと向かう


>>下1……妖精の女王はどんな人物か
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/18(土) 20:16:58.20 ID:OkbcSui40
少し『少年』の様な顔立ちをしたわんぱくっぽい『娘姿』

「こう見えて『貪欲の王の』時代から生きてるわ!」
334 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/19(日) 03:23:35.80 ID:bsizcrmzo
そこには、未だ踏み荒らされていない、
小ぶりな庭園があった
その中央に玉座は置かれており、
そこに妖精の女王はどっかりと座っていた


妖精女王「ようやく来たよーね」

男「あ、お初にお目にかかります……」


女王とはいったものの、
その姿はあどけなさやわんぱくさの滲む、
どこか中性的でもあるものだった
335 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/19(日) 03:26:39.55 ID:bsizcrmzo
妖精女王「私は分かってたわよ、あなたたちが来ることもね」

中華「え?」


その玉座は人間のそれよりは小さいが、
しかしそれでも彼女には大きすぎた
女王と言われてこそいるが、
まだ王女と呼ぶべき年齢なのではないか、
とこのうちの何人かは思っただろう


妖精女王「それから、私が随分幼く見えてる人もいるみたいだけどね」

炎魔(ぎくっ)

妖精女王「こう見えて『貪欲の王の』時代から生きてるわ!」
336 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/19(日) 04:26:05.75 ID:bsizcrmzo
本日はここまでです
ありがとうございました
337 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/19(日) 19:25:55.39 ID:bsizcrmzo
ぶりっ子「未来予知ですかねぇ?」

妖精女王「ふ……全て聞こえていただけよ!」

男「?」

妖精女王「あなたも同じ力をもっているじゃない」

男「まさか、俺たちの声を全部聞いていたんですか?」

妖精女王「あったり前よ!」
338 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/20(月) 01:47:29.34 ID:wGRNfMsLo
得意げにドヤ顔をキメる女王
なかなか癖の強い人物だと察した一行は、
ややフレンドリーに接することにした


中華「すみません、こんなときに来てしまって」

妖精女王「こんなときだから来たんでしょ?そういうものよ。お茶持ってきて!」


彼女が近くに控えていた妖精に声をかけると、
彼らはバックヤードに引っ込んでいった
339 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/20(月) 03:02:23.47 ID:wGRNfMsLo
本日はここまでです
ありがとうございました
340 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/20(月) 18:03:41.89 ID:wGRNfMsLo
ぶりっ子「お気遣いなさらずに……」

妖精女王「なに言ってるの?私の品位が許さないのよ!」


彼女はそう言うと、突如として玉座ごと高速回転を始めた
なにごとかと誰もが身構えたが、
いつの間にか玉座は椅子とテーブルになっており、回転が止まるとそこに座った妖精女王が手招きしていた


炎魔「す、すごい……どういう技なんでしょう?」
341 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 03:29:56.38 ID:QDAPezkho
妖精女王「聞くのは野暮ってもんよ」


一行が招かれるままに座ると、
すぐにティーポットが運ばれてきた
そして、燕尾服を着た妖精がカップ一つ一つに茶を注ぐ


男「中々大きい御方のようですね」

妖精女王「よく分かってるじゃない。体のほうは、どうも小さいけれど」
342 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 03:33:43.28 ID:QDAPezkho
出されたお茶におずおずと手をつけた一行は、
その味にびくりと身を震わせた
そして、中華だけがその正体に気付く


中華「ハーブティーですね。でも、こんな甘いフレーバーのものは飲んだことがない……!」

妖精女王「ええ、当然。これは妖精たちの技術によって作られる、世界で最も甘いハーブティーですもの」


男と炎魔はそもそもハーブティーの違いが分かるほど種類を飲んでいなかったので、
その説明を複雑な顔で聞いていた
343 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 03:34:13.10 ID:QDAPezkho
本日はここまでです
ありがとうございました
344 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 18:54:38.78 ID:BsFjW8HjO
わずかな時間をゆったりと過ごし、
それから本題に入る運びとなった


ぶりっ子「それでぇ……聞きたいことがあるんですけどぉ」

妖精女王「あら、わざわざまた聞く必要なんてないわ。もう聞いてるもの」


彼女はその力によって、一行が聞きたいことを知っていた


炎魔「では、答えていただけますか?帝国の方々はどこにいるのか……あるいは、みな逃げてしまったのか」

妖精女王「>>下1」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/21(火) 20:01:43.04 ID:bVCLpvaJ0
再度襲撃出来る位置に居るわ。恐らく次の襲撃が本命だからね
346 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/21(火) 23:37:04.10 ID:QDAPezkho
妖精女王「再度襲撃出来る位置に居るわ。恐らく次の襲撃が本命だからね」

男「不躾なことを聞きますが、対策は?」

妖精女王「ないわ。最悪私が戦うけれど、とにかく兵力がないのよ」

中華「ジャバウォックのせいですか?」

妖精女王「ええ、まったくもって厄介なヤツが出てきてしまったわね……」


ジャバウォックの出現に関しては、
流石の女王も予見できていなかったようだ
347 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/22(水) 01:08:17.99 ID:GmcXZd4+o
ぶりっ子「いつ来るんでしょうか、帝国の部隊は……」

妖精女王「分からないわ。だから迂闊に動けないのよ」


彼女は露骨に大きなため息をついた


炎魔「とにかく、仲間を呼んできましょう」

男「そうだな、張り込むべき場所も分かったんだし……」
348 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/22(水) 01:10:17.91 ID:GmcXZd4+o
中華「つまり、やるべきことは三つだ。一つは、帝国の襲撃に備えること。二つめに、ジャバウォックをどうにかすること。最後に、仲間を呼んでくること」


そう羅列されると、状況の厄介さが全員に伝わった
結構能天気なスライムでさえ、
なんとなくそれは分かったのだ


ぶりっ子「……これ、順番とかなくないですかぁ?」

中華「うん、全部今すぐにやらないといけないことだね」
349 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/22(水) 01:24:25.19 ID:GmcXZd4+o
本日はここまでです
ありがとうございました
350 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/22(水) 18:09:03.75 ID:GmcXZd4+o
炎魔「誰がどれをやるか……ってことですね」

妖精女王「先に言っとくけど、私とコイツはジャバウォックの相手できないわよ」


そう言って彼女は男を指した


ぶりっ子「やっぱり、能力の都合ですかぁ?」

妖精女王「そう。認識するほどあいつは強いから」
351 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/23(木) 02:31:17.14 ID:/JNpgALUo
男「じゃあ、誰がみんなを呼びに戻る?」

炎魔「私にお任せください!」

中華「確かに、飛べば速いしすごくいいかもね」

炎魔「では!善は急げといいますし!」


彼女はそこまで言って、翼を広げて地上への階段へ翔んでいってしまった
果たして村までたどり着き、
そしてここまで戻ってくることができるのか、
焦っている彼女にそれを考える余裕はなかった
352 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/23(木) 02:56:52.56 ID:/JNpgALUo
本日はここまでです
ありがとうございました
353 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/23(木) 19:36:18.63 ID:/JNpgALUo
妖精女王「私のお茶会を途中退席ぃ?なによあいつ……」

男「す、すみません。一応俺がリーダーなんで……クレームは俺に」

妖精女王「……はぁ、まぁいいわ。今回は見逃してあげる」

男「ご寛大な措置に感謝します」


ただお転婆なように見えて、
妖精女王は未だ底知れない
彼はその機嫌をなるべく損ねないように振る舞うことにしているのだ
354 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/24(金) 01:41:37.45 ID:Uqk80Sz1o
妖精女王「じゃ、残りの二人がジャバウォックに対処ってことでいい?」

中華「構いませんが……対策なんかはないんですか?」

ぶりっ子「流石に、手強そうなんですけどぉ……」

妖精女王「そうねぇ……帝国のやつらが来るまで調べましょうか」


彼女が指を弾くと、近くの床にさらなる地下への階段が現れる
355 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/24(金) 02:12:58.90 ID:Uqk80Sz1o
本日はここまでです
ありがとうございました
356 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/24(金) 21:14:54.30 ID:Vhf1SVGyO
すみません遅れました


その階段の先には、図書館があった
あまり掃除は行き届いていないようで、
かなり埃っぽい場所となっている


男「ん"っ!げほっ、げほ……」

妖精女王「私たち妖精って、普通は本なんて読まないのよ」

中華「だから入り口を普段から出しておく理由もないんだね……」

妖精女王「そうね、私ぐらいよ?本を読むのは」
357 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 03:08:13.57 ID:y6oBvzeJo
ぶりっ子「ここに、ジャバウォックの手がかりが?」

妖精女王「ええ、多分あるんじゃないかしらね」

男「……確実ではないんですね」

妖精女王「覚えてないわよ、集めた本の内容全部なんて……」


しかし、それも当然だ
市長がいる街のそれには遠く及ばないが、
しかし並の図書館より遥かに大きな空間がそこには広がっていた
358 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 03:17:29.65 ID:y6oBvzeJo
本日はここまでです
ありがとうございました
359 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 19:14:47.36 ID:DcHe6hswO
それから一行と妖精女王は図書館に散った


男「……さて、どこにあるのやら」

スライム「図書館で本を探すのって、難しいの?」

男「いや……別に。よっぽどデカいと話は別なんだけど……ここ、全然整理されてないんだ」

スライム「ふーん……」
360 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 19:17:34.62 ID:DcHe6hswO
男はスライムを頭の上に乗せて、
図書館をひたすらに歩いた
手がかりもなしに本を探そうとすると、
非常に集中力を使う
ものの数分で目が滑る状態になってしまっていた


男「どこだよ……」

スライム「あ、あれじゃない?」

男「ん?」


男はスライムが向いている方の本を取った
そこには『幻獣と伝承』というタイトルの本があった


スライム「どう?」
361 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/25(土) 19:19:10.72 ID:DcHe6hswO
男「……いけるかも!でかしたぞ!」


男はその本を取り、一気に読み始めた
かなりボリューミーな本で、物理的に結構重い


スライム「どう?」

男「これは……」


>>下1……ジャバウォックについて記載があったか(あればその内容も)
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/25(土) 19:51:35.34 ID:VMkWrjY80
「見た」という記録こそあれ明確な姿は不明
見る人によって姿が変わるとも記憶を消去·改変してるとも
363 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/26(日) 03:09:45.12 ID:/ZFvKmmHo
本日はここまでです
ありがとうございました
364 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/26(日) 19:59:07.01 ID:/ZFvKmmHo
スライム「難しいの?」


多くの幻獣には挿絵があったが、
ジャバウォックにはなかった


男「やはり、姿になにか鍵がありそうだな……」


目撃記録や目撃者に話を聞いても、
その正確な姿を掴むことができない存在のようだ
365 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/27(月) 02:00:19.13 ID:uQ7FOQtqo
スライム「でも、分からないんだよね?」

男「あぁ、しかも分からないだけじゃなくて、証言の食い違いもある」

スライム「どういうこと?」

男「見る人によって姿が違う可能性があるってことだな」


近くにあった机に男は本を置く


スライム「そんな生き物がいるんだ!」
366 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/27(月) 02:01:55.96 ID:uQ7FOQtqo
男「……だが、さらに恐るべきは語るべき言葉がなかった者たちだ」

スライム「難しいよ」

男「ごめん。要するに、どんな姿か分からなかったって言ってる人が多いみたいなんだよね」

スライム「え?そうなの?」

男「だが、見たならば覚えているはずだ。つまり、記憶に干渉する力を持っている可能性もあるってことなんだよね」
367 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/27(月) 19:38:43.16 ID:uQ7FOQtqo
すみません寝落ちしました


スライム「そうなの?」

男「そもそも見た姿が食い違ってることもあるらしいし、可能性としてはありそう」

スライム「なるほど!……でも、それじゃあなにも分からないことが分かっただけじゃない?」

男「……否定できない!」
368 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/28(火) 03:13:10.00 ID:uoEVM0Oko
スライム「なーんだ」

男「だが、仮説を立てることができた……ヤツの真の力は、記憶操作だという仮説を」

スライム「そうだね」

男「ということは……その対策ができればいい。仮説が合っているかは分からないが、なにも対策しないよりマシだ」

スライム「確かに?。それで、どう対策するの?」


男は後ろをついてくるスライムに振り返った
そして両手を腰につけて宣言する


男「わからん!」
369 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/28(火) 03:15:44.55 ID:uoEVM0Oko
本日はここまでです
ありがとうございました
370 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/28(火) 21:08:32.36 ID:uoEVM0Oko
すみません遅れました


妖精女王「なによ?」


男が大きな声を出したので、妖精女王がやってきた


男「あ……丁度いいところに。聞きたいことがあったんですよ」

妖精女王「はぁ」

男「記憶を保護する魔法とかあったりしませんか?」

妖精女王「>>下1」
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/04/28(火) 22:08:27.97 ID:GdyJxYxm0
妖精には必要無いから、此処では存在してないわ。
ただ面白がって別個の魔術等を合わせたら別系統の魔法が出来た事なら結構あったけど
372 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/29(水) 03:28:23.56 ID:N6gWb0guo
妖精女王「妖精には必要無いから、此処では存在してないわ。」

スライム「そうなの?」

男「享楽的だからな、忘れたものは忘れたまんまでいいんだろう」

妖精女王「ただ面白がって別個の魔術等を合わせたら別系統の魔法が出来た事なら結構あったけど」


その話は非常に興味深いものだった
わざわざ彼女がそう言うということは、
それで記憶保護……とまではいかずとも近しい魔法が作れるであろうことを示唆しているのだ
373 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/29(水) 03:53:10.16 ID:N6gWb0guo
本日はここまでです
ありがとうございました
374 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/29(水) 19:48:33.93 ID:N6gWb0guo
スライム「へー、ぼくたちみたいだね」

妖精女王「そうね、スライムも別種のもの同士が融合して見たこともないスライムが生まれることがあるわ」

スライム「ぼくの言葉が分かるの?」

妖精女王「あら、男が聞けて私に聞けない道理はないわ」

男「なるほどなぁ。……しかし、どうやって作り出したものか」


簡単にできるようなことでもないだろう
まして彼は魔法の専門家でもないのだ
375 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/29(水) 21:06:33.69 ID:N6gWb0guo
中華「どうかしたの?」


話し声を聞きつけてか、中華もやってきた


男「実は……」


男はここまでの顛末を話した
すると、中華は少し考え込んでから答える


中華「……炎魔さんが氷魔さん呼んでくるのを待ってみない?」
376 : ◆cUhskXlNTw :2026/04/30(木) 19:06:15.68 ID:Nlz+WJINo
すみません寝落ちしました


妖精女王「時間がないわよ、ジャバウォックだってまたこっちに入ってくるかもしれないのに」

中華「うん……だから、僕たちが時間を稼ぐ」

男「……無茶はだめだ」

中華「男がそれ言う?」

男「言ってやるさ。相手はかなり手強い。仲間を失うリスクは許容できない……」
377 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/01(金) 03:34:16.37 ID:cN6RsG+to
ぶりっ子「だったら、これですよぉ」


彼女もまた、話し声を聞きつけてやってきた
そして、その手には巻物が握られている


妖精女王「なに?そのスクロール」

男「そうか!それは……向こうに繋がっているんだな」


それは、書いた内容が対になるもう一つの巻物に反映される巻物だった
378 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/01(金) 04:05:54.76 ID:cN6RsG+to
ぶりっ子「はい、これで氷魔さんにコンタクトをとりましょう」

中華「じゃあ早速……ええと、なんて聞こう?」

ぶりっ子「書面のいいところは、同時にいくつものことが表現できることですよ。会話のように順序立てて一つずつやる必要はないんです」


近くの机に巻物を置くと、
そこに彼女は今起こっていること、
魔法を組み合わせる方法について聞きたい旨、
記憶を保護する魔法の作り方……
とにかく様々な情報や質問を一気に書いていった
379 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/01(金) 04:10:32.57 ID:cN6RsG+to
本日はここまでです
ありがとうございました
380 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/01(金) 19:35:36.84 ID:yG8a6xcFO
妖精女王「向こうは見てるわけ?それ……」

男「分断されたときはよくこれで意志疎通や情報共有をしてる。だから多分確認してくれるとは思うけど……」

中華「いつ確認されるかは分からないよね」

妖精女王「頼りないわね……」

ぶりっ子「便りが来てないですからねぇ」
381 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 05:22:24.86 ID:+TUPXrXho
スライム「すごいアイテムを持ってるんだねぇ」

男「ま、色々あったからな……」

中華「さて、ならやるべきことは決まったね」

ぶりっ子「ですねぇ、いきましょう!」


三人とスライムは図書館中を駆け回り、
様々な魔法の使い方が記された本をかき集める
どんなオーダーが氷魔からなされても応えられるように備えているのだ
382 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 05:51:48.30 ID:+TUPXrXho
本日はここまでです
ありがとうございました
383 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 18:31:50.46 ID:+TUPXrXho
だが、その作業が始まって十分ほどが過ぎたときのことだ
妖精女王は男に声をかける


妖精女王「……来たわ」

男「帝国か……行くしかないな」


女王が帝国の動きを聴いたのだ
男も、確信はないが胸騒ぎのようなものを少し感じていた
384 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 18:33:10.01 ID:+TUPXrXho
妖精女王「そういうわけよ、私たち行くから」


彼女は中華とぶりっ子に離脱を告げる
二人は作業をしながらもそれにしっかりと反応した


中華「うん、そっちこそ無茶しないでよ?」

ぶりっ子「必ず生きて会いましょうねぇ」

男「ああ、約束だ」
385 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/02(土) 18:34:50.08 ID:+TUPXrXho
そして二人が図書館を出ようとすると、
スライムが声をかけてきた


スライム「ぼくも行くよ」

男「え?」

妖精女王「あなたも?」

男「……非常に危険な戦いだ。心意気は買うけど、流石に巻き込むわけにはいかない」

スライム「それでも行きたい!いざとなったらぼくのことは気にしないでいいから……」

男「>>下1」
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/02(土) 18:43:54.54 ID:/BJfMaIX0
君だって大事な宝
387 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/03(日) 01:52:35.59 ID:zy0qUWhSo
男「君だって大事な宝なんだ。……な?」

妖精女王「どうして私に振るのよ!」

男「嫌だろ?この子が死んだらさ……」

妖精女王「……そうね」


意外と素直な反応に男は驚いた


スライム「………………」

妖精女王「私はね、聞こえすぎるのよ!なにもかも!犠牲となった全ての仲間の断末魔が!……だから、もう私にそれを聞かせないで」
388 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/03(日) 04:50:24.50 ID:zy0qUWhSo
本日はここまでです
ありがとうございました
389 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/03(日) 18:24:18.96 ID:zy0qUWhSo
スライム「……ごめんなさい」


スライムはしょげてしまった
物理的に萎むので、男はとても悪いことをした気分になった


男「……いつか君がもっと強くなったら、そのときは一緒に戦おう。約束だ」

スライム「うん……」

男「それに、戦わなくたってできることはある。兵隊は、兵隊だけじゃ生きていけないんだ」
390 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/04(月) 03:16:19.46 ID:ZpzZxhPUo
男はスライムの、人間で言えば肩にあたる部分を叩いた


スライム「分かったよ」

男「いい返事だ。それじゃあ、またな」


男と妖精女王は、
スライムを地下に残して図書館を出た
そして、簡易的な戦闘準備を女王の間で行った
391 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/04(月) 03:41:06.82 ID:ZpzZxhPUo
本日はここまでです
ありがとうございました
392 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/05(火) 00:11:02.78 ID:Ctj5Rj3Bo
すみません夕方から寝てました


男は市長からもらった数々の手榴弾を取り出した
そして、それらの機能について一つ一つ説明していく


妖精女王「はぁ……とんでもないブツばかりね」

男「まぁ、俺たちは妖精と違って悪戯で済ますつもりがないですからね。それより……」

妖精女王「なに?」

男「音響弾って、使っていいんですか?」
393 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/05(火) 03:49:05.10 ID:Ctj5Rj3Bo
妖精女王「……あのね、物理的に耳がいいわけじゃないのよ」

男「ああ、そうなんですね」

妖精女王「あんたもそうでしょうよ……」


男は紹介した兵器を妖精女王にも渡す
彼女は『ピンを抜くだけで爆発する』という点を非常に嫌がっているようだったが、とりあえず受け取りはした


男「さて、行きましょうか」

妖精女王「ええ」

男「……それで、どこから来てるんですか?」

妖精女王「あんたねぇ……」
394 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/05(火) 03:50:09.36 ID:Ctj5Rj3Bo
本日はここまでです
ありがとうございました
395 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/05(火) 18:35:32.99 ID:Ctj5Rj3Bo
男はうんざり気味の妖精女王からの指示に従って、
無残な花畑を出た


男「こっちなんですね」

妖精女王「そうよ」


妖精女王が木々を伝うようにして高速で移動するので、
男はついていくのに精一杯だった


男「何人ぐらいの反応があるんですか?」

妖精女王「そうね……>>下1」
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/05(火) 22:48:55.20 ID:SzK7M+KA0
正面3キロに5人と2時の方角に5人。 分けて行動してるとこを見るとまだ『私』たちの居場所を探ってるわね
397 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 04:59:29.14 ID:7xo7+Zefo
妖精女王「正面3キロに5人と2時の方角に5人。」

男「合わせて十人ですか……どう対応しましょうか?」

妖精女王「分けて行動してるとこを見るとまだ『私』たちの居場所を探ってるわね」


どちらかが派手に動いていれば陽動の線もあったが、
そうではなさそうだった


男「大局はともかく、俺たちと奴らだけで言うなら……こちらがまだ有利ということですね」
398 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 05:02:09.51 ID:7xo7+Zefo
妖精女王「自信家ね」

男「そうでしょうか?」

妖精女王「ええ、五倍の人数差を相手に有利と言いきれる人間はそう呼ばれるものよ」


確かにそうかもしれない、と男は思った
だが、旅路の中で何度も苦難に直面してきた彼にとって、五倍の人数差程度は不利のうちに入らないのである


男「……ま、最近は威勢だけで生きているみたいなところがありますから」

妖精女王「あなた、妖精みたいね」
399 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 05:05:59.49 ID:7xo7+Zefo
本日はここまでです
ありがとうございました
400 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 18:52:08.36 ID:7xo7+Zefo
男「どちらからいきましょうか?それとも、両方同時に攻めます?」

妖精女王「あら、私は軍師じゃないのよ」

男「俺が決めるんですね」

妖精女王「当たり前じゃない。妖精は喧嘩までしかしないのよ。戦争なんかやらないわ」


妖精女王がどれほどの強さなのか、
というのが完全に未知数である以上、
あまり甘えた戦略は通せない……と男は考えている
だが、彼の直感を信じるなら彼女はかなり強いはずなのだ
401 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 23:38:33.42 ID:7xo7+Zefo
男「……ここは確実にいきましょう。二時の方角にいるやつらに襲撃をかけます」


市長からはなるべく生け捕りを命じられている
一網打尽にするよりも、
確保できる身柄をより高い確率で捉えることを、
男は優先したのである


妖精女王「そう。じゃあ行きましょうか」
402 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/06(水) 23:42:56.45 ID:7xo7+Zefo
本日はここまでです
ありがとうございました
403 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/07(木) 18:33:49.87 ID:cSTOiO+Do
男と妖精女王は二時の方角を目指した
ニキロほど進むと、妖精女王が止まる


男「……まさか」

妖精女王「ええ、いるわ……まっすぐに向かってくる」


二人は茂みに隠れ、息を[ピーーー]
すると、男にも迫ってくるその息遣いが聞こえ始めた
404 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/08(金) 03:48:44.77 ID:gt1REo0Po
そして、ついにやってくる五人の兵たちの姿を捉える


男(意外と、妙なところはないな……)


いかにも手練れといった者たちがやってくるのかと男は思っていたが、
少なくとも第一印象ではそのように感じなかった
あくまで普通に兵士のように見えていた


妖精女王「……いつ行くの……」
405 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/08(金) 04:35:39.68 ID:gt1REo0Po
本日はここまでです
ありがとうございました
406 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/08(金) 19:04:40.97 ID:2+1wWI70O
男「……俺が叫んだら、行きます。耳をふさいでおいてくださいね」


彼は深呼吸すると、
一気に様々な手榴弾のピンを引き抜いた
そして、行軍する者たちに投げつける


妖精女王「………………」

男「今です!」


彼らが反応しきる前に、手榴弾たちは炸裂していく
407 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/09(土) 03:37:44.66 ID:VMCjYFnko
催涙弾をもろに食らわないよう、目を閉じて行動する
男にとっては不安なことだったが、
二人とも充分に『聴こえて』いるから、
目を開く必要性は薄かった


妖精女王「これに包めばいいのよね!?」

男「ええ!」


二人は、動けなくなった彼らを麻袋で包んでいく
五人いるうちの四人を、それぞれ二人ずつ手際よく確保した
408 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/09(土) 03:53:29.30 ID:VMCjYFnko
本日はここまでです
ありがとうございました
409 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/09(土) 19:32:16.39 ID:VMCjYFnko
煙幕の向こうにもう一人の影を男が見たとき、
彼は異変に気付いておののいた


妖精女王「……っ!?」


妖精女王も気付いたようで、
男の隣に並び立って警戒している
一人まだ確保されていなかったその兵士の姿は、
だんだんと形を変え、>>下1になった
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/09(土) 20:09:01.66 ID:tgxSZQKJ0
ゲル状のスライムに姿を変えた…いや、戻したと言った方が早い
411 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/10(日) 03:21:52.92 ID:NMImuW2Po
ゲル状のスライムに姿を変えた…いや、戻したと言った方が早い


ゲル兵士「ぐげげげげ……」

男「ま、まさか!」

妖精女王「こいつ、人間じゃないわ!」


正体を表したゲル兵士は、
自分の肉体から粘液を切り離し、高速で射出する
412 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/10(日) 03:23:14.90 ID:NMImuW2Po
男「危ない!」


男が強く妖精女王の手を引くと、
どうにか彼女はその軌道から逸れた


妖精女王「……ふんっ、礼は言わないわよ」

男「いいですよ、そんなことより大切なことがありますからね!」


二人は戦闘態勢に入った
413 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/10(日) 04:30:54.35 ID:NMImuW2Po
本日はここまでです
ありがとうございました
414 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/10(日) 18:55:53.41 ID:NMImuW2Po
妖精女王「……ま、あんなやつひとひねりよ」

男「おお!そうなんですか」

妖精女王「ええ……」


ゲル兵士は再び肉体を射出してくる
以前戦ったゲルのように、
魔術を使うタイプではなさそうだった


男「……それで、どんなことができるんですか?」

妖精女王「>>下1」
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/10(日) 21:03:15.67 ID:X1na3FL9o
物を本の中に閉じ込める魔法よ
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/10(日) 21:08:53.11 ID:QsXK23lq0
全ての植物や樹々、風をそよ風から暴風まで操る事も小動物や草食獣を操る事も可能よ。特に『呪い』の類なら解呪出来なくとも緩和ぐらいできるわよ!
言いながら突風を使い、ゲルごと敵を切り裂いた
417 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/11(月) 04:58:05.03 ID:mEktbgAQo
妖精女王「物を本の中に閉じ込める魔法よ」


彼女がそう言うと、魔法陣が展開された
ピラニアが喰らうように、本が現れては飛んでくるゲルを綴じ込んでいく


男「すごいっ!」

妖精女王「じゃ、バックアップお願いね」


そう言うと、妖精女王は少し力んで指パッチンをした
418 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/11(月) 05:05:48.06 ID:mEktbgAQo
本日はここまでです
ありがとうございました
419 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/11(月) 19:14:08.29 ID:mEktbgAQo
ゲル兵士を挟み込むように、巨大な本が現れた
そして、それは彼をもまた綴じ込もうとする


ゲル兵士「ぐっ!!」


だが、簡単に閉じ込められるほど甘くはなかった
彼は両腕でそれぞれ両側のページを押し、潰されないように踏ん張っている


男「なるほど、そういうことですね」
420 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/12(火) 03:11:15.45 ID:Thoqbya1o
妖精女王「いいから早くなさい!」

男「……上級風魔法っ!」


男が魔法を放つと、風の塊がゲルに衝突する
すると、それに押されて彼は踏ん張ることができなくなり、本に綴じ込まれてしまった
人間ほどのサイズだった本はすぐに縮まり、
文庫本ほどのサイズになる


妖精女王「便利だけど、これあまり戦闘向けじゃないのよね」
421 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/12(火) 03:24:17.97 ID:Thoqbya1o
本日はここまでです
ありがとうございました
422 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/12(火) 19:03:33.29 ID:ho2lLQmRO
男「……そうですかね?」

妖精女王「だって、あの程度の魔物にも抵抗されてしまうじゃない」

男「結構強いほうだと思うんですけどね……」


男がちらりと既に拘束した兵たちに目をやると、
ばたばたとしているのみで、
ゲル状になったりはしていなかった
兵士の中に魔物が紛れていたということなのだろう
423 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/13(水) 03:31:25.84 ID:IGsR+i5Mo
妖精女王「これからどうするの?」

男「派手にやりましたから、他の部隊が来るかもしれません。あるいは、引き揚げたかもしれませんけど……」

妖精女王「で?」


前置きを聞いているのではなく、
なにをすべきか聞いているのだ
そう言いたげな顔だった


男「この場を離れるのが得策かと。彼らを運ぶ必要はありますが」

妖精女王「わかったわ」
424 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/13(水) 03:34:49.13 ID:IGsR+i5Mo
本日はここまでです
ありがとうございました
425 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/13(水) 18:16:37.87 ID:IGsR+i5Mo
男「その本、対象を出したりしまったりできるんですか?」

妖精女王「一応できるわよ、相手によるけれど」


彼女は拘束された兵士たちを、
まとめて一冊の本に綴じ込めた


男「相手に?」

妖精女王「封印魔術には莫大な魔翌力が必要なの。お分かり?けれど、この技はそれを擬似的に踏み倒しているのよ」
426 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/14(木) 03:30:58.73 ID:nPrLnl0ao
男「へぇ……擬似的にってことは、なにか制約が?」

妖精女王「ええ、封印しっ放しならよいけれど、解放するときにかなりの魔翌力を要求されるわ」

男「それは、普通に封印しようとするときよりもってことですかね」

妖精女王「ええ、封印に必要な分、解放するときに必要な分、そして封印の踏み倒しの利子がまとめてやってくるの」

男「……しかし、やはり封印がタダなら戦闘向きな気がしますけど」
427 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/14(木) 03:43:37.48 ID:nPrLnl0ao
移動を開始すると、妖精女王は続きを話し始めた


妖精女王「そうね、妖精は飽きたらなんでも放っておくものだから、気にしないでしょう」

男「?」

妖精女王「でも、コンパクトにまとめられる術があるなら……その解除も戦闘に活かしたくなるのが人間でしょう?」


彼女はそう言うと懐から一冊の本を取り出した
そして解呪をしてみせると、その場にぼとぼとと大量のナイフが落ちた
428 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/14(木) 03:44:23.15 ID:nPrLnl0ao
本日はここまでです
ありがとうございました
429 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/14(木) 19:05:52.05 ID:nPrLnl0ao
男「うわっ」

妖精女王「武具や兵器の出し入れが自在なら、戦いはもっと楽になるのよ」

男「……でも、制約によって、それを主軸にして戦うことはできないってことですね」

妖精女王「そ。……でも、後悔はしてないのよ、これ使うことにしたのはね」


彼女は気丈に笑った
430 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/15(金) 03:42:02.10 ID:op66FN+ro
男「しかし、そうやって本にしておけるなら……大きく退避する必要はないかもしれませんね」

妖精女王「ふぅん」

男「こちらも身軽に動けるなら、焦った別動隊を叩くこともできるでしょう」

妖精女王「そのために、場所が分からないと困るのね?」


彼女は物分かりよさそうに返事をしたが、
その表情はややうんざりとしていた


男「まぁ、そうですね」
431 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/15(金) 03:59:48.83 ID:op66FN+ro
本日はここまでです
ありがとうございました
432 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/15(金) 19:42:06.30 ID:dvJRP1ENO
妖精女王「女王を顎で使うとは、随分と大物ね」

男「すみません、でもあなたの力が必要なんです」


突然女王は黙って、そしてしばらくして声を発した


妖精女王「……上よ」

男「え?」

妖精女王「だから、上よ」


男が焦って見上げれば、そこには>>下1がいた
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/15(金) 19:48:02.08 ID:qgYqMyL6o
ジャバウォック
434 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/16(土) 04:26:51.20 ID:VOtBqc3Uo
そこにいたのはジャバウォックだった
男はそれを見た瞬間から、
凄まじい違和感と恐怖と頭痛に苛まれる


男「あ、あぁ……」

妖精女王「悪いけど私、ここじゃ[ピーーー]ないわ」

男「え……」


その声に反応して彼が妖精女王を確認すると、
彼女は自分自身の封印術で本に綴じ込められてしまった
435 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/16(土) 04:46:50.09 ID:VOtBqc3Uo
本日はここまでです
ありがとうございました
436 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/16(土) 19:01:55.10 ID:VOtBqc3Uo
深紅の一冊へと変わってしまったその姿に男はうろたえるが、注意が逸れた瞬間に空から咆哮が聞こえる


ジャバウォック「びょおぉぉぉぉ!!」


彼には、獣がそこにいるように見えたが、
次の瞬間にはそれが大空に埋め込まれた無数の眼球に見えていた
目を閉じれば蛇のような機械を感じ、
とにかくそれが迫ってきているということが感じられた
437 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 03:47:58.31 ID:ijZUFf1Ao
男「くっ!!」


彼はとにかく自分の感覚を遮断しようとした
それを感じることは、
自分の脳内を直接かき回されることと同義であるからだ


男「はぁ、はぁ……」


どちらとも分からない方向に走る
木にぶつかり、根にこけそうになりながら、
ひたすら逃げる
438 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 05:22:14.18 ID:ijZUFf1Ao
だが、しかしそれから逃れることはできない
足音は大地を伝い、彼の感覚に届く
耳をふさいでも咆哮はその隙間を抜ける


男「速い……!」


その息遣いと臭いが、間近に迫る
そして、意識すればするほど彼は苦しむ


男「うぐ、ぐぐぐ……」
439 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 05:23:33.01 ID:ijZUFf1Ao
本日はここまでです
ありがとうございました
440 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 18:24:03.37 ID:ijZUFf1Ao
だが、それでも彼は諦めなかった
必死に己の感覚を遮断しようと努め、
うずくまってでも逃れようとした
男は妖精がしていたように、近くの茂みに転がり込む
すると、辺りは不気味なほど静かになった


男「……?」


男は不思議に思ったが、
目を開けることはできなかった
辺りを探ることもしようとはしなかった
ただ怯えて、ひたすらに身を縮めていた……
441 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/17(日) 18:53:41.15 ID:ijZUFf1Ao
次第に、なぜか彼の意識は朦朧としていった
だが、それに抗うには感覚をはっきりさせないといけないため、いっそ気絶してしまうと考えた
そして、意識が闇に溶けてゆく……


男「はっ!?」


男は突然意識が完全に覚醒した
そこは彼も見慣れた場所、本来祭壇からしかアクセスできない、神々のいる場所だった
442 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/18(月) 04:36:18.04 ID:JRoJ6Vavo
本日はここまでです
ありがとうございました
443 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/18(月) 20:06:19.83 ID:JRoJ6Vavo
すみません遅れました


少女神「なんとか助かったみたいですね」


砂浜にふんぞり返っているのは、少女神だった


男「ひどい目にあったよ」

少女神「感謝の一つもないんですか?」

男「……あ、まさか?」
444 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/18(月) 20:09:00.28 ID:JRoJ6Vavo
少女神「治すこともできれば悪くすることもできます。祟り神としての性質もありますから……ね」


彼女が権能で働きかけ、
男の嗅覚や聴覚機能を著しく低下させることによって、ジャバウォックの力から逃れさせたのだった


男「助かったよ。危うく殺されるところだった」

少女神「あとは、帝国の兵士たち……男が捕まえてないやつらに見つからなければいいんですけどね」
445 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/19(火) 03:09:55.02 ID:SRRRzDbPo
男「……なぜ俺はここに入れたんだ?」


向こうを見ると、海神や地母神、商売神が海辺で戯れている
やはり、いつも彼が入っている精神世界だった


少女神「理由はいくつもあるよ、ものすごい荒療治の修行で神への適合を高めたのが一番大きいけど」

男「あぁ……」


彼は雷に打たれたりしたときのことを思い出した
自分からはたらきかけるだけでなく、
神の側からも男に接続しやすくなっているのだった
446 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/19(火) 03:42:48.43 ID:SRRRzDbPo
本日はここまでです
ありがとうございました
447 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/19(火) 19:28:23.72 ID:djEKszeLO
少女神「男を依代にして、誰か一柱が随行していたけれど……もう、必要なら誰でも呼べちゃう」


それに気付いてさえいれば、
もっと楽にことは済んでいたかもしれない
男はそう思ったが、やはり結局、
神の力を借りるためには膨大な魔翌力が必要だと思い出し、ままならなさに思わず笑いがこぼれた


男「ふ……」

少女神「随分余裕そうじゃない」

男「まさか」
448 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/20(水) 01:42:01.91 ID:jsr9z3gKo
少女神「それで、誰か力を借りたいのはいるの?」

男「少なくとも、今は君だな」

少女神「媚びたってなんも出さないわよ」


男はもう少し波打ち際の風に浸っていたいと思った
だが、頃合いを見て現世に戻らなくてはならない


男「ま、またあいつに絡まれたらよろしく頼むよ」
449 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/20(水) 03:13:15.69 ID:jsr9z3gKo
本日はここまでです
ありがとうございました
450 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/20(水) 18:28:30.48 ID:jsr9z3gKo
少女神「女王も神もパシリですか、いい根性してますね」

男「信頼してるだけだよ」


男はそう言うと、その空間への精神的な接続を絶った
目覚めると、茂みの中にいる


男「はぁ……参ったな」


ジャバウォックからはどうにか逃れられたようだったが、依然として状況は苦しいままだ
451 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/21(木) 02:36:58.54 ID:13slVmsNo
彼は隠密を保ちながら茂みを出ると、
逃げる最中で散乱した本たちを集めた


男「……どうすりゃいいんだ」


妖精女王は本になってしまった
本の封印を解くための方法は彼には分からず、
もし知っていたとしてそのためには莫大な魔翌力が必要だった


男「……とにかく、退くか」
452 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/21(木) 02:44:27.20 ID:13slVmsNo
本日はここまでです
ありがとうございました
453 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/21(木) 19:32:20.63 ID:13slVmsNo
一方そのころ、炎魔は元々村に待機していた面々を連れて森を進んでいた


炎魔「まさか、森で合流できるなんて!」

氷魔「……巻物を通じて……連絡があったので……」

やる気「しっかし、相当入り組んだ状況になってるようっすね」

怪盗「妖精たちがいて、帝国がいて、ジャバウォックもいる。下手に動けば足元をすくわれそうですね」
454 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/22(金) 18:36:01.86 ID:qni9jtbvO
すみません寝落ちしました


氷魔「……まずは……妖精たちの住処に向かわなくては……」

炎魔「はい!多分こっちです!」


そうして、四名は無残なことになった花畑に到着したのであった
時を同じくして、そこにはボロボロになった男も現れた


男「……みんな!来てくれたのか」

やる気「遅くなって申し訳ないっす!それより、どうしたんすか!?そんな満身創痍の状態で……」
455 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 04:01:19.04 ID:atcYu2hmo
男「満身創痍ってほどじゃない。心は疲れたが、体はまだまだ動く」

怪盗「とにかく、一旦休みましょう!妖精女王の玉座に行けばいいんですよね!?」

炎魔「はい!」


男は強がったが、仲間たちはそれを聞き入れなかった
それどころか担いで運ぼうとまでしてきたので、
男は最後の意地でそれだけは振り払って空の玉座へと戻った
456 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 04:02:54.06 ID:atcYu2hmo
そして、氷魔はそのまま地下の図書館へと入っていった
残りのメンバーは一旦玉座の近くに集まる


炎魔「そういえば、女王さんは?」

男「……これだ」


男は、女王が封じられている本を出した


やる気「……ど、どういうことっすか?」
457 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 04:05:13.92 ID:atcYu2hmo
本日はここまでです
ありがとうございました
458 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 19:24:44.54 ID:atcYu2hmo
男は妖精女王の能力と、これまでの顛末を説明した


怪盗「でも、ジャバウォックに会っても生き残れたんですね!」

男「まぁな……頭が割れそうだったが」

炎魔「それより……もう一部隊はまだ残っているんですよね」

やる気「もう退いた可能性もあるっすけど、どうっすかね……」
459 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 21:48:32.25 ID:atcYu2hmo
男たちが休んでいる間に、
氷魔は図書館の二人と一匹に合流した


中華「氷魔さん!」

氷魔「……失礼……お待たせ致しました……」

ぶりっ子「いえ、むしろ思ったより早くきてくれて助かりますよぉ」

氷魔「……私も……専門外の魔法については詳しくないのですが……精一杯頑張りますね……」
460 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/23(土) 21:55:45.69 ID:atcYu2hmo
本日はここまでです
ありがとうございました
461 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/24(日) 18:50:16.79 ID:EwNRVgBko
すみません
本日は頭痛がひどいのでお休みさせていただきます
申し訳ありません
462 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/25(月) 18:17:44.96 ID:7byKmVC9o
それからしばらく休み、男は体力を回復させた
妖精女王に仕えている者たちが、
備えてあった薬などを持ってきたのである
ただ、妖精の気質というべきか、
その量は決して多くはなく、
また効用の怪しいものも少なからずあった


男「……ふぅ……おい」


彼は仲間たちがもってきた道具袋を叩き、
それから一つのケースを取り出した
463 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/25(月) 18:43:27.91 ID:7byKmVC9o
ゲル「……なんだ」


そこに収まっていたのは、
狭そうにしているゲル生命体だ


男「……お前、大魔王を裏切る気はないか?」

ゲル「あり、得ない。大魔王様、裏切る?」

男「そうだ。俺の推測が正しければだが……お前、もう大魔王に見捨てられてるぞ」
464 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/26(火) 03:14:46.24 ID:IZCVct0Co
ゲル「?」

男「お前……相当我が強いタイプだからな、扱いづらくて適当にされてんのさ」

ゲル「ありえない。采配は、完璧」

男「……まぁ、ある意味そうかもしれない。だが、今日俺がどんなやつらと戦ったか知ってるか?」

ゲル「知る、わけない」
465 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/26(火) 03:35:34.70 ID:IZCVct0Co
本日はここまでです
ありがとうございました
466 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/26(火) 18:59:53.96 ID:IZCVct0Co
男「お前と同じさ、ゲル生命体だよ」

ゲル「……そう」

男「あいつらは帝国の兵に化けてやがった。だが、人間の兵だっていた」

ゲル「ゲルと、人間、が?」

男「そうだ。お前の信じる大魔王様とやらは、がっちり人間と手を組んでるってこったな。じゃなきゃ混成部隊なんて無理だ」

ゲル「………………」
467 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/27(水) 03:38:54.19 ID:Ql7p/Vpho
男「……こっちには、統率されたゲルとジャバウォック……つまり、正体不明の怪物がいた」

ゲル「ああ」

男「お前も、奇妙な生き物を飼っていたな。ある意味、ジャバウォックとそっくりだ。なにかのようであり、なにでもない」

ゲル「大魔王様、から、与えられ、た」

男「……だが、アレは確かに強かったがジャバウォックの比じゃない。ここに進攻してきてる奴らとお前、なんだか似ているようで少し違う」
468 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/27(水) 04:17:31.95 ID:Ql7p/Vpho
本日はここまでです
ありがとうございました
469 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/27(水) 19:06:50.17 ID:Ql7p/Vpho
ゲル「あの、生き物、か」

男「お前は忠誠心を体よく利用されただけだ。大魔王が今回の進攻をするにあたって、実験動物のような扱いをされたんだ」


男はケースの中にいるそれを見つめる
それはみちみちに詰まって少しも動かない
ただ、言葉を発するときに震えるのみだ


ゲル「それでも、いい。大魔王様の、ため」

男「見上げた忠誠心だ、だかな、お前は決してヒトに与することはないと言った。だが、今回の作戦は人間との合同作戦だ」

ゲル「………………」

男「お前の考えを、あいつは裏切ったんだ。それでもまだ大魔王に仕えたいと思うか?」

ゲル「>>下1」
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/27(水) 20:48:56.53 ID:S0q3kxGX0
……正直に言うと分からなくなってきてる
471 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/28(木) 03:43:03.66 ID:YNxUaoTRo
ゲル「……正直に言うと分からなくなってきてる」

男「お前、いくつだ」

ゲル「いくつ?」

男「年齢だ……何年生きた?」


これは人間らしい考え方なのだろう、と彼は思った
年齢なんてわざわざ気にも留めないような存在はこの世界に数多くいるためだ


ゲル「……ほとんど、生きてない」
472 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/28(木) 04:01:07.64 ID:YNxUaoTRo
本日はここまでです
ありがとうございました
473 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/28(木) 19:05:44.92 ID:YNxUaoTRo
男「やっぱりか」

ゲル「それが、なに?」

男「別に俺たちにつけとは言わない。だが、お前はもっと色んなことを知るべきだ」

ゲル「知ってる。いっぱいの知識を、頭に入れられている」


ゲルは魔術の類に秀でていた
そして、その理由こそが造られる際にプリインストールされていた知識なのだ


男「そういうことじゃない」
474 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/29(金) 02:30:35.47 ID:fCNi+V94o
ゲル「なに?」

男「色んなやつと知り合って、色んなところに行って……そうしないと分からないことがある」

ゲル「………………そう」

男「俺も、偉そうに語れるほどじゃない若造だけどな」


男はこの世界で活動していく中で、
様々な考え方に触れることの価値と、
それが育む思慮深さや賢さを感じていた
特に炎魔に対して過保護ともいえる態度を取ることもあったが、それは幼さゆえに彼が大切にしているそれらをあまり知らないからだった
475 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/29(金) 02:34:17.08 ID:fCNi+V94o
ゲル「どう、して欲しい、の」

男「別に、強いていうなら大魔王に従うのをやめろってぐらいだな」

ゲル「なにも、しないこと?」

男「違う。なにをしたいのか、お前自身で考えるんだ。沢山考えて、それで大魔王が正しいと思うなら止めもしない」

ゲル「どうしたら……」


その生き物は、自分で行動指針を決めるということを経験したことがないようだった
だが、下手に口を出すことは、大魔王がしたように考えを歪めてしまう
そう思った男は、なにも言えずにいるのだった
476 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/29(金) 19:47:02.94 ID:cU68gpFYO
すみません寝落ちしました


男「あぁ……やらなきゃいけないことがあるんだった」


男が立ち上がっても、ゲルはなにも言わなかった
彼はふらつく体を重力に慣らすようにして、
地下の図書館へと下っていくのだった


やる気「男、大丈夫なんすかね……」

怪盗「怪我はないのにあそこまでボロボロにされるなんて、一体なにがあったんでしょう?」
477 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/30(土) 05:14:41.86 ID:HqiuPVSjo
それからしばらくして、男は戻ってきた
先ほどまでのようなふらつきはなく、
しっかりとした顔つきに戻っている


男「……よし、本格的に動こう」

狙撃少女「本格的に?」

男「敵の部隊は二つ、一つは倒したがそのときに目立ちすぎたしジャバウォックにも襲われた」

やる気「もう一つの部隊は、男の動きに完全に気付いてるってことっすね」
478 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/30(土) 05:24:36.09 ID:HqiuPVSjo
本日はここまでです
ありがとうございました
479 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/30(土) 20:09:07.98 ID:HqiuPVSjo
すみません遅れました


男「攻める気があるなら、確実にここに来る。全力で備えるんだ」

炎魔「もし、来なかったら?」

男「やつらが来るにせよ、来ないにせよ、最優先でやりたいことがある。まずはそれをしてから考えたい」

怪盗「なんですか?」

男「妖精女王の復活だ。彼女の力は戦力としても有効だが、この領域を保つために、戦闘がなかったとしても復活させなければならない」
480 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/30(土) 21:53:21.53 ID:HqiuPVSjo
狙撃少女「なるほど、それほどまでに凄い方なのですね」

男「ああ」

やる気「見当はついてるんすか?やり方の……」

男「ああ、抜け目のない人だから俺にも分かるよう、情報を残しておいてくれた」


男は、妖精女王が自らを封印した赤い本を取り出した


炎魔「そこに封印されてるんですよね?」
481 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/31(日) 00:22:54.84 ID:PMGCygSSo
男「それだけじゃない。他に封印のため使われた本の数々は、妖精たちの悪戯で中身がダメになった本だったが……これは違う」


男は本のうちの一つのページを開いた


狙撃少女「これは!」

男「ここには予め、彼女の手書きで封印の解き方が記されているんだ」

怪盗「私も読んでみていいですか?」
482 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/31(日) 00:28:33.80 ID:PMGCygSSo
男「いいが……このページ以外は読まないでおいてくれ」

怪盗「え?なんでですか?」

男「これ、多分妖精女王の日記帳なんだ……見られたくないであろうことが書いてあるかも」


そして、そう忠告する男の態度から、
少なくとも彼はあまり知るべきでないことを知ってしまったのだと、その場にいる面々は察するのだった
483 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/31(日) 00:43:32.64 ID:PMGCygSSo
本日はここまでです
ありがとうございました
484 : ◆cUhskXlNTw :2026/05/31(日) 18:41:42.82 ID:PMGCygSSo
怪盗「まぁ、覗き見は私の主義に反するのでしませんよ」


彼女は流れるような動きでそれをひったくると、
開かれていたページの中身を読み始めた


炎魔「うーん、惚れ惚れするようなスリの技術っすね」

怪盗「スリって言わないでください!私は高潔な怪盗のつもりなんですからね!」

炎魔「まぁまぁ、それより封印はどうやったら解けるって書いてあるんですか?」

怪盗「えーそうですね……沢山の魔翌力が必要ですね。あとは……>>下1」
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/05/31(日) 20:49:20.68 ID:I+/h3K9A0
高度な魔法使いや魔導士、退魔術に優れた術師など…
486 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/01(月) 04:17:36.08 ID:/4A8pvavo
怪盗「高度な魔法使いや魔導士、退魔術に優れた術師など…」

狙撃少女「え、揃えられるんです?」

男「……信じるしかないぜ」


男はただにっこりと笑った
不気味なほど屈託のない笑顔だ


狙撃少女「な、なんですか?具体的に言ってくださいよ」
487 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/01(月) 04:38:19.25 ID:/4A8pvavo
本日はここまでです
ありがとうございました
488 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/01(月) 19:20:28.75 ID:/4A8pvavo
男「まぁ魔法に関しては氷魔を全面的に頼るとして……退魔術についてだな」

炎魔「そうですね、そんな術師みたいな人いませんよ?」

男「いや、炎魔だろ」

炎魔「え!?」

男「魔に一番強いのは間違いなく炎魔じゃないか」


そう言って、男は彼女の両肩をがしっと掴んだ
一方の炎魔の表情は曇っている
489 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/02(火) 03:09:06.62 ID:NcE9I/THo
炎魔「そんな、大きな責任……私に?」

男「責任なんてない」

怪盗「はい?」


笑って言い放つ男に、怪盗は怪訝な顔になる
炎魔もぽかんとしてしまっている


男「俺がリーダーだ。そしてこれは俺の采配だ。他の誰にも責任は取らせない」
490 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/02(火) 03:17:22.61 ID:NcE9I/THo
やる気「……で、実際のとこうまくいかなかったらどうするんすか?ノープランじゃないっすよね」

男「もちろんだ!」

狙撃少女「ふむ……まぁ確かに、男さんなら最終的にどうにかしそうですね」


盛り上がる三人を見て炎魔も勇気を出した
出かけたかすれ声を呑み込んで、
ちゃんとした発声をする


炎魔「私……やります」
491 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/02(火) 03:38:23.62 ID:NcE9I/THo
本日はここまでです
ありがとうございました
492 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/02(火) 19:56:33.77 ID:NcE9I/THo
男「そう言ってくれると思ってた。じゃあ、詳しいやり方はこのページに書いてあるから読んでおいてくれ」


彼は炎魔に赤い本を手渡した
炎魔は卒業証書を渡される学生のような顔で、それを受け取る


怪盗「氷魔さんは内容を知ってるんですか?」

男「ああ、もう知っている」
493 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/03(水) 00:36:30.96 ID:/QnzEH3xo
男は炎魔にそれを託し、地上へと出ていこうとする


やる気「どこ行くんすか」

男「野暮用だ、ぼちぼち帰ってくる」

やる気「超危険じゃないすか?」

男「大丈夫だ、まだあいつらの声は聞こえないからな」


ジャバウォックに一度認識を破壊されかけてから、
鼓膜を無理やり広げられたかのように、
彼は以前よりは『声』が聴こえるようになっていた
494 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/03(水) 04:37:44.12 ID:/QnzEH3xo
やる気「ふーん……まぁひとまず納得してやるっす」

男「悪いな、別にみんなを信じてないわけじゃないんだ」


そして、男は地下を出た
そこにいた者たちはなにも言わず、
ただその背中を見送るのだった


怪盗「外になにかあるんでしょうか?」
495 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/03(水) 05:06:49.98 ID:/QnzEH3xo
本日はここまでです
ありがとうございました
496 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/03(水) 18:32:52.12 ID:/QnzEH3xo
一方その頃、地下のさらに地下、図書館で


中華「……あれ、スライムがいない」

ぶりっ子「ええっ?」

中華「まぁ、多分上に行ったんじゃないかな……」


そんなことを話していると、氷魔が声を上げた


氷魔「……これです……!!」
497 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/04(木) 04:12:33.38 ID:OxTcWndJo
ぶりっ子「どうしたんですかぁ?」

氷魔「……ついに……記憶を保護する魔法について分かりました……!」


元々中華とぶりっ子はむやみやたらに手がかりを探していた
だが、氷魔は全て自分に任せるように言うと、
とてつもなく分厚い十冊ほどの本を読むという作業に入っていたのだ


中華「おお!……ちなみに、その本は結局なんだったの?」
498 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/04(木) 04:14:37.00 ID:OxTcWndJo
本日はここまでです
ありがとうございました
499 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/04(木) 19:09:18.55 ID:dngom+ifO
氷魔「……大魔法辞典です……まさか……こんなところにあるとは……」

ぶりっ子「めちゃくちゃ色んな魔法が載ってそうですねぇ」

氷魔「……あくまで……情報しか載っていません……記載されている魔法が使いたければ……別途個別の魔導書を用意する必要があります……」


大魔法辞典の利点とは、すなわちその網羅性である
かつて存在したあらゆる魔法が効果や発案者、
魔導書のタイトルまで判明している限り事細かに記されているのだ
魔導書が存在しない魔法についても、
一応出典としてその魔法があったことを伝える文献が引用されている
500 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/05(金) 02:42:43.82 ID:YWCH6yGJo
中華「つまり、どの魔導書が必要なのかが分かったってことだね」

氷魔「……あればいいんですが……精神強化の魔導書と……あと『楔』の魔導書……」

ぶりっ子「楔ぃ?」

氷魔「……はい……どうやらここには……古い魔導書も……少なからずあるようなので……期待できます……」

中華「とりあえず、さっき使えそうな魔導書を片っ端から集めたときに精神強化の魔導書は取ってたよ」


テーブルの上に積まれた魔導書をひっくり返し、
中華はそれを取り出した
501 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/05(金) 03:44:41.43 ID:YWCH6yGJo
本日はここまでです
ありがとうございました
502 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/05(金) 18:07:54.51 ID:YWCH6yGJo
ぶりっ子「急いで探しましょう!……というか、ここにあるんでしょうかぁ?」

氷魔「……古い本が多いですから……それでこの蔵書量なら……分の悪い賭けではないかと……」

中華「よし、急いで探そう!」


といったふうに、三人は解決の糸口を掴むことができた
男以外のメンバーも後に合流し、協力して探すことになるだろう
503 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/06(土) 05:57:33.53 ID:1GfsNxDho
そして男は、森の中を歩き回っていた


男「……おーい」


彼は地べたに転がる石ころのうち、
一つをおもむろにひっくり返した


妖精「わぁっ!?」

男「おっと、別に驚かせようってんじゃないんだ」
504 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/06(土) 05:59:20.75 ID:1GfsNxDho
そこには妖精が隠れていた
彼はそれを探り当てるコツを掴んでいたのだ


男「俺たちは今、ここを襲ってくる連中と戦っている」

妖精「ふーん」

男「だが、それには君たちの力も必要なんだ」

妖精「へー」


まるで気のない返事である
しかし、それこそが妖精の気風なのだ
505 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/06(土) 06:06:10.51 ID:1GfsNxDho
本日はここまでです
ありがとうございました
506 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/06(土) 18:48:25.86 ID:1GfsNxDho
妖精たちは今しか見ていない
面倒くさそうだな、
と思っているのは誰の目にも明らかだ


男「君たちの女王が封印されてしまっている。解くためには助けがいるんだよ」

妖精「え!?女王様が!?」

男「そうだ」


だが、流石に長い年月を統治してきただけあり、
妖精たちも彼女を慕っているようだった
507 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/07(日) 03:21:06.83 ID:2GGl01L2o
妖精「みんなを集めないと!」

男「そうだ、俺が集めるからついてきてくれ」

妖精「分かったよ!」


ここはつい妖精の自主性に任せてしまいたくなるのが人情であるが、それは愚策だ
その最中になにか別のことに気を取られたり、
他の妖精から別の話題を振られたら、
すぐにでも事態の深刻さを忘れてしまうのである
508 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/07(日) 03:56:20.32 ID:2GGl01L2o
本日はここまでです
ありがとうございました
509 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/07(日) 18:37:58.58 ID:2GGl01L2o
そうして男が妖精を集めていると、
彼はついに周りから聴こえる生命にゆらぎを感じた
帝国の部隊かジャバウォックが接近しつつあるのだと彼は想像する


男「……よし!女王様の住処まで引き返すぞ!」

妖精たち「おーっ!」


号令して走り出せば、妖精たちもついてくる
蛍の群れのような美しさがそこにはあった
510 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/08(月) 04:49:24.25 ID:tsSlaKMNo
男はなるべく妖精たちを急かした
軍隊のみが来るならばまだしも、
ジャバウォックが来て集めた妖精たちを散り散りにされてしまっては全てが裏目だ


男「おい、どっか行っちゃだめだぞ。うまいもん食いたいだろ?」

妖精B「……うまいもの」


はぐれそうになる妖精に声をかけ、
食事などで注意を引きながら連れていく
511 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/08(月) 05:29:12.41 ID:tsSlaKMNo
本日はここまでです
ありがとうございました
512 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/08(月) 18:59:41.79 ID:tsSlaKMNo
男が花畑に帰ってくると、
敵の気配はより濃密になっており、
すぐにでも攻めてきそうであると彼は感じた


炎魔「あっ!」

男「炎魔じゃないか!」

炎魔「随分たくさんの妖精を連れてきましたね」


たまたま外にいた彼女は、戻ってきた男にすぐ気付いた
513 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/08(月) 19:01:54.01 ID:tsSlaKMNo
男「あぁ、少し骨が折れる仕事だった」

炎魔「この子たちに女王を復活させてもらうんですね!」

男「その通りなんだけど……ちょっと悠長にしていられないかも」

炎魔「へぇ?」


まず聞かなければならないことが彼にはあった


男「記憶を保護する魔法についてなんだけど、あれはもう完成したの?」

炎魔「>>下1」
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/08(月) 21:58:36.24 ID:5idKEbDI0
は、はい! 一つ目が出来ていま二つ目の魔法を急ぎ製作してます!

ただ一つ目の魔法が厄介で、皆んなに掛けることが出来るんですが術師本人の魔翌力が爆大に必要で、
最悪2日3晩は眠りに着くと…
515 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/09(火) 04:57:30.72 ID:7kmH61QEo
本日はここまでです
ありがとうございました
516 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/09(火) 19:50:05.44 ID:7kmH61QEo
炎魔「は、はい! 一つ目が出来ていま二つ目の魔法を急ぎ製作してます!」

男「一つ目?」

炎魔「あ、なんか二つの魔法をかけ合わせることで完璧に記憶を守るみたいです。でも、一つ目だけでかなり影響はシャットアウトできるみたいですよ!」

男「そうか!そりゃいい!」


だが、喜ぶ男に対して炎魔は複雑そうな顔をしていた
喉に小骨が居座っているときのような表情だ


炎魔「ただ一つ目の魔法が厄介で、皆んなに掛けることが出来るんですが術師本人の魔翌翌翌力が爆大に必要で、最悪2日3晩は眠りに着くと… 」
517 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/10(水) 18:36:25.21 ID:ya1FOX0wo
すみません寝落ちしました


男「ふむ……まぁそれは受け入れるしかないな」

炎魔「え、どうするんですか?」

男「俺が使う」

炎魔「でも!」

男「そもそも、そんな魔法まともに使えるのなんて俺か氷魔かのどっちかだろう」
518 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/10(水) 18:39:35.03 ID:ya1FOX0wo
炎魔「そうかも、しれませんが……」

男「もう一つの魔法がどうなるかは分からない。しかも、これからも戦いはある……戦力として、あいつは絶対に必要だ」


男は、自分が戦場に与える影響をごく小さなものと考えている
信仰心あるものを集め、おおっぴらに神の権能を借りるぐらいのことでないと、さしたる力にはならないと考えているのだ


炎魔「っ……分かりました……」

男「無責任かな?」

炎魔「いえ……」
519 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/11(木) 02:34:51.91 ID:qrOg+ZMRo
男「よし!それなら早速取りかかろう」

炎魔「お手伝いします!」

男「みんな、こっちだ!」


男は妖精たちを地下への入り口の付近に誘導した
いかに体積の小さい妖精といえど、
女王の間に大群で入ることは厳しいのだ


炎魔「本当にすごい数ですね……じゃあ、私が様子を見ておきます」
520 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/11(木) 02:48:33.86 ID:qrOg+ZMRo
本日はここまでです
ありがとうございました
521 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/11(木) 19:47:04.05 ID:Ee/8sZ8+O
だが、そのとき轟音が響き渡る
花畑の隅で黒煙が上がっており、
爆発があったこと……すなわち、
敵が攻めてきたことは明らかであった


男「くっ!ま、間に合わなかったか……!!」

炎魔「み、みなさんに知らせないと!」

男「あれだけの音だ、言わんでも気付いてるだろう。それより、予定変更だ!」
522 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/11(木) 20:43:25.96 ID:qrOg+ZMRo
すると、
事態を察知して仲間たちが下から上がってきた


中華「大丈夫!?」

男「それはこれから決まる!氷魔、炎魔と一緒に妖精女王復活の儀式をしよう!」

氷魔「……分かりました……いけますね……炎魔さん……」

炎魔「もちろん!私はずっとここで練習してたんですよ!」

523 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/12(金) 20:00:17.81 ID:zBKbydSuO
すみません寝落ちしました


氷魔は珍しくにやりと微笑むと、
早速儀式のための詠唱を始めた
彼女の手には赤い本が握られている


炎魔「では、私も……!」


彼女は全身から炎を迸らせ、
氷魔を______本を囲っていく
それだけでなく、儀式らしい踊りもまた始まった
524 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/13(土) 04:41:03.32 ID:YrdEWDqlo
男「よし!みんなの魔翌力を集めるんだ!」


男は妖精たちに号令をかける
すると、魔翌力の奔流は目に見える形となって、
炎のヴェールと一体化していく


中華「すごい!」

氷魔「……まだ……です……!」

やる気「ま、まずいっす!」
525 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/13(土) 04:44:00.47 ID:YrdEWDqlo
みしみしと氷魔の肉体は軋んでいた
妖精たちの魔翌力を集めてもなお、
妖精女王の復活には足りなかったのだ
術式は貪欲に魔翌力を求め、最も近い術者である氷魔を根こそぎに破壊しようとしている


ぶりっ子「くっ……!」

怪盗「……あっ」


絶望が押し寄せる視界の隅に、怪盗は押し寄せる他のものを見た
それは形ある絶望ではなく、
また帝国の部隊でもなかった
526 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/13(土) 04:55:38.09 ID:YrdEWDqlo
本日はここまでです
ありがとうございました
527 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/13(土) 18:55:46.52 ID:YrdEWDqlo
スライム「連れてきたよ?!」


男だけでなく、スライムもまた妖精たちを集める仕事をしていた
その到着を待たずに儀式を始めるしかない状況であったが、スライムがなんとか間に合ってきたのだ


男「最高だっ!みんなで魔翌力を注ごう!」


スライムと連れてこられた他の妖精たちも、
協力して魔翌力を注ぎ込む
528 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/14(日) 04:43:51.92 ID:tE5v9HxXo
氷魔「……っふう……」


彼女にかかる負荷もかなり軽くなったようだった
よくない汗をびっしょりとかいてこそいるが、
慣れない儀式的な舞を要求される炎魔のほうが苦しんでいる


狙撃少女「頑張ってください!炎魔さん!」

炎魔「は……はい……!!」
529 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/14(日) 05:18:23.91 ID:tE5v9HxXo
本日はここまでです
ありがとうございました
530 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/14(日) 18:36:49.50 ID:tE5v9HxXo
集結する魔翌力によって、
炎の幕は火柱となって燃え盛る
そして、その煌めきが最高潮に達したとき、
一行の足元に巨大な魔法陣が現れた


中華「うわっ!?」

やる気「でかっ!なんすかこれ!?」

氷魔「……あとは……引きずり出すだけです……!!」
531 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/15(月) 05:04:37.04 ID:A0TDo7yBo
彼女は滝のような汗を流しながら、
自身の魔翌力を地面に叩きつける
すると赤い本が輝き、一つのページが開かれる


炎魔「帰ってきてください!」


そして、ページの隙間から妖精女王の姿が現れる
光を纏ったそれは勢いよく飛び出し、
魔法陣の収束とともに現世へと帰還したのだった


ぶりっ子「やりましたねぇ!」
532 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/15(月) 05:05:21.47 ID:A0TDo7yBo
本日はここまでです
ありがとうございました
533 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/15(月) 18:44:20.19 ID:A0TDo7yBo
妖精女王「はーっはっはっは!完全復活よ!」


花畑に高笑いが響く


妖精C「……じょ、女王様?」


だが、一行を含めその場の多くのものはただ困惑していた
彼らの知っている妖精女王の姿ではなかったのだ


>>下1……どんな姿だった?
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/15(月) 20:04:10.06 ID:YLWDQd5Z0
10メートル近い巨大な女性
535 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/15(月) 20:46:00.27 ID:A0TDo7yBo
その姿は見上げざるを得ない、
あまりにも巨大なものだった
約10メートルの女性が、そこにいた


怪盗「でかあぁぁぁ?っ!!」

妖精女王「女性にでかいとは失礼ね!」

狙撃少女「でかいとか、そういうレベルなんでしょうか、これ……」

炎魔「これ、封印の解除にちゃんと成功してるんですか!?」
536 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/16(火) 03:34:12.47 ID:Tuw1j5rGo
妖精女王「あったり前じゃない!これが私の本当の姿なのよ!」

男「じゃあ、さっきまでの姿は……?」

妖精女王「封印術に頼って、争いらしい争いもなく暮らしてたから、だんだん自分の力を抑えるようになってたみたい」


そして、悠久の時を経て妖精女王はあの妖精サイズになっていったのだった
妖精の中にはかつて大きかった頃の彼女を知っている者もいるようで、懐かしそうに頷いている


中華「予想以上の戦力かもね」
537 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/16(火) 03:35:05.57 ID:Tuw1j5rGo
本日はここまでです
ありがとうございました
538 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/16(火) 19:59:36.94 ID:Tuw1j5rGo
男「いや、まずい。これじゃ目立ちすぎる!早く記憶を保護するための魔法を使わないと!」


大きな変化が起これば、またジャバウォックがやってくると男は恐れていた
サイズが大きくなったとしても、
妖精女王は結局のところその怪物には無力なのである


氷魔「……す……すみません……今は体力が……」

男「ああ、無茶するな!俺がやる!」
539 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/16(火) 20:56:20.32 ID:Tuw1j5rGo
氷魔「……し……しかし……」

男「リスクは承知だ……唱え方のメモとかあるか?」

氷魔「……えぇ……あります……」


彼女は不本意そうな顔で、男にメモを手渡した
男がそれを確認しようとした瞬間、
彼の肉体は急激に上昇した


男「なっ……」

妖精女王「私に任せなさい!」


浮かび上がったのではなく、
妖精女王が掬い上げたのだった
540 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/17(水) 01:50:41.31 ID:lNlUXalVo
本日はここまでです
ありがとうございました
541 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/17(水) 18:51:08.62 ID:lNlUXalVo
男「しかし、この魔法には莫大な魔翌力が必要で……」

妖精女王「大丈夫よ、多分私なら足りるわ」

氷魔「……確かに……以前よりも遥かに高い魔翌力を……妖精女王さんからは感じます……」

やる気「完全復活って、そういうことだったんすね」


そもそも彼女の復活に凄まじい魔翌力を要したのも、
本来の彼女が持つ圧倒的な力ゆえだった
542 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/18(木) 03:05:15.17 ID:aS3H2EhZo
男「では、任せました」


彼は妖精女王の言を信じ、
氷魔から預かったメモを手渡した


妖精女王「あら、意外とシンプルな魔法……」

ぶりっ子「でも、みんなにかけないといけないんですよぉ」

妖精女王「えぇ、問題ないわ。いくわよ!」
543 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/18(木) 03:24:46.25 ID:aS3H2EhZo
本日はここまでです
ありがとうございました
544 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/18(木) 19:47:50.32 ID:aS3H2EhZo
すると、妖精女王はすぐに詠唱を始めた
しかもその詠唱はたどたどしい
つまり完全には覚えておらず、
カンペを読みながら喋っているようなものだ
恐ろしいことに、そのように詠唱すると『無駄』が発生して必要な魔翌力量は増える


氷魔「……!?……」


だが、それでも妖精女王は詠唱を続けられた
規格外の魔翌力が、その肉体には宿っていたのだ
545 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/19(金) 04:50:15.44 ID:5nsQHqbSo
妖精女王「安らぎを!」


詠唱を終え、彼女が叫べば、その場にいる者の精神に簡易的な保護が施された


怪盗「効果は……出てるんでしょうか?」

狙撃少女「確かめる方法がないですね。とにかく、妖精女王さんを信じましょう」


休んでいる暇はなく、帝国の部隊はもはや視認可能な距離にまで迫っている
546 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/19(金) 04:52:51.87 ID:5nsQHqbSo
本日はここまでです
ありがとうございました
547 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/19(金) 19:30:45.08 ID:sg/A0+CqO
炎魔「て、敵が来てます!」

男「応戦だ!魔法の心得がある者は第二の精神保護魔法の開発を続けてくれ!」

氷魔「……わ……分かりました……」

中華「行こうか」

やる気「そっすね、気持ちよく暴れるとするっすよ!」

ぶりっ子「私は中ですかねぇ」


戦場に出る者は持ち物を氷魔やぶりっ子に託し、
堂々と敵に向かっていった
548 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/20(土) 04:23:38.51 ID:opWsXpDpo
怪盗「どのぐらいゲルが紛れてるんでしょうかね」

狙撃少女「撃てば分かることです」


そう言って彼女は狙撃に入ろうとした
だが、男はそれを制止する


男「待て、今回は市長から敵の確保を命じられているんだ」

炎魔「そういえばそうでしたね」
549 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/20(土) 04:38:11.44 ID:opWsXpDpo
本日はここまでです
ありがとうございました
550 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/20(土) 18:26:04.16 ID:opWsXpDpo
中華「堂々と手榴弾投げていいのかな?」

やる気「う?ん……引きつけられると楽なんすけどね」

怪盗「まぁ最悪手榴弾使わなくても生け捕りにできればいいですし、どうにか手加減して戦うという戦術もありますよ」

男「そうだな……」


決断までに時間はなかった
どのように敵の部隊と戦うのか、男はすぐに決めなければならない

>>下1……どう戦うか
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/20(土) 18:44:38.65 ID:JGgxdf3l0
冗談半分に青銅の箱に「敵勢力を無力化出来ないか?」と聞いてみる

青銅の箱は「しょうがないな」と言いたげに、催眠ガスを箱内に精製する
552 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/21(日) 04:42:37.70 ID:xDSt67h4o
ひとまず、正面から手榴弾を投げ込むのがもっとも堅実な選択だと男は判断した
だが、ダメ元で彼は、氷魔たちに渡さずに持っていた青銅の箱に話しかける


男「敵勢力を無力化できないか?」


そう聞いたが、当然返事はない
そもそも口など付いていない
馬鹿なことをしたな、と彼は思ったが、次の瞬間には箱ががたがたと震えた
553 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/21(日) 05:20:59.89 ID:xDSt67h4o
本日はここまでです
ありがとうございました
554 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/21(日) 18:59:05.08 ID:xDSt67h4o
すると、その箱の隅からガスが漏れ出す
ゆっくりと重厚に出るその様子は、
まるで彼の要求に対するため息のようだった


炎魔「なんですかそれ?」

男「ガス……?」

狙撃少女「願って出てきたものなら、悪いものじゃない可能性が高いですね。利用してみませんか?」

炎魔「で、でも……この箱はとんでもない物体ですよ。投げて奪われでもしたら……」
555 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/22(月) 02:55:08.77 ID:eKzqKTvoo
男「いや、それなら問題ない」

中華「どうするの?」

男「俺が合図したら、諸々の手榴弾を投げてくれ」

やる気「……分かったっす!」


すると男は地面に箱を置くと、
それを片足で踏みつけて固定した
なんだか意志がありそうなので、
流石に悪いかと思って靴は脱いでいる
556 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/22(月) 03:31:46.23 ID:eKzqKTvoo
本日はここまでです
ありがとうございました
557 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/22(月) 18:48:26.94 ID:eKzqKTvoo
男「いくぞ!上級風魔法っ!」


男はそのまま足で箱を開き、
もう片足で固定したまま暴風を放った
箱から溢れ出すガスが、
凄まじい勢いで敵の部隊に向かっていく


怪盗「おお……」

男「今だ!手榴弾を投げろっ!」
558 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/23(火) 04:30:25.87 ID:7J/E0Vfro
ギルドの仲間たちは、合図に従って手榴弾を投げた
突如ガスが押し寄せたため、敵の部隊は動揺する
しかし彼らも精鋭である
それを吸わないようにしつつ、
仲間たちと身を寄せあった


狙撃少女「せいっ!」

炎魔「そりゃあっ!」

中華「ええぃっ!」


だが、そこに手榴弾が飛び込んでくる
559 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/23(火) 19:31:01.94 ID:lgLNra5LO
すみません寝落ちしました


次々に炸裂し、五感を痛烈に刺激する手榴弾たち
そのいずれかがそれぞれの部隊構成員に効力を発揮し、一気に無力化することに成功した


男「みんなで投げると、ここまで効果があるんだな……」


男がやったときは完全ではなく、
ゲルが反撃を試みたが、
今回はそうしたこともなかった
560 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/24(水) 03:26:37.33 ID:q7rON0WCo
怪盗「ここは私の出番ですねっ!」


彼女は息を止め、薄目になって倒れた者たちへの元へと向かっていった
あっという間に、抱えていたずた袋へと、部隊の者たちが押し込まれていく


やる気「流石、手早いっすね」

怪盗「おっ?」


彼女はその袋から、かちり、という音を聞いた
561 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/24(水) 03:32:03.51 ID:q7rON0WCo
本日はここまでです
ありがとうございました
562 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/24(水) 18:08:06.13 ID:q7rON0WCo
それはただの袋かと思われたが、
その音とともに口の部分が絞られ、
巾着のように捕縛対象を包み込んだのだ


狙撃少女「市長は細工を仕込んでいたんですね」

男「なるほど、ちゃんと捕まえるとこうなるのか」

中華「そういえば、別の部隊を捕まえたって言ってたけど……」

男「こうはならなかったな。まだ余力があったのか、俺が入れるのが下手だったのか……結局妖精女王が全部封印しちゃったんだけど」
563 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 02:30:21.79 ID:28OkrhVbo
そう呑気に話している一行だったが、
地下からがたがたと音がすることに気付く


やる気「なんか、トラブルなんすかね?」

妖精女王「私はもうそこに入れないから、確かめようがないわ」

怪盗「んー……行ってみましょうか」


一行は階段を下り、
妖精女王の玉座があった場所まで行った
しかし、そこは当然もぬけの殻で、変化はなかった
564 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 02:40:24.52 ID:28OkrhVbo
男「猛烈に嫌な予感がしてきた……!」


男は駆け出し、さらに地下へと下りていく
すると、図書館への入り口が閉まっていた


狙撃少女「こ、これは!?」


それだけではなく、その扉は凍りついていた
もはや普通に開けることなどかなわないほどに、
がっちりと凍てついている


炎魔「絶対、氷魔さんがやったんです……でも、どうして!?」
565 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 02:45:11.97 ID:28OkrhVbo
本日はここまでです
ありがとうございました
566 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 19:04:46.93 ID:28OkrhVbo
中華「ここを封鎖したかった……そういうことだよね?」

男「……いるんだろうな」

炎魔「え?」

男「裏をかかれたんだ。どうやったかは知らないが、ジャバウォックがいるんだ」


それは、地下に侵入していた
単に奇襲のためなのか、あるいは一行の策を見抜いていたのかは定かではないが、
地中を進み、
ジャバウォックは地下図書館に強襲をかけていたのだ
567 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/25(木) 19:08:27.85 ID:28OkrhVbo
やる気「……困ったっすね」

男「持ち物も、ほとんど氷魔や同じくこの中にいるぶりっ子に預けてしまったしな……」


その扉を無策に破ることは、全滅を意味していた
ある程度精神にプロテクトをかけることに成功しているとはいえ、不完全なのだ
状況の打破が不可能なほどの絶望ではないが、
苦しい状況であるというのは確かだ


怪盗「あっ……」


だが、怪盗は扉の外にバッグが置かれているのを見つけた
わざわざそれだけは外に出したのであるから、
なにか重要なものが入っているに違いないと、そう彼女は思った
そして、素早くそれを開ける
そこには>>下1が入っていた
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/25(木) 19:19:37.10 ID:YhzdBsCZ0
多種多様な魔法薬
569 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/26(金) 03:52:30.88 ID:t22ZbM8Qo
本日はここまでです
ありがとうございました
570 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/26(金) 18:25:58.99 ID:t22ZbM8Qo
そこには多種多様な魔法薬が入っていた


狙撃少女「魔法薬?」

男「……俺たちはこれを知らない。ということは……氷魔たちはこれを作っていたんだ」


だが、いちいちラベルを貼るような時間はなかった
そもそも、効能は彼女らが説明できるはずだったので、その必要すらなかった
だが、今では効果の分からない薬が複数そこにあるだけだった


中華「……飲もう」
571 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/27(土) 02:53:59.40 ID:2G0BjRuVo
男「……そうだな、迷っている時間はない」

やる気「早く助けに行かないと、っすね!」


いちいちそれらを確かめるわけにはいかないのだ
氷魔やぶりっ子は、変な副作用を起こしたり効果が出ないよりはじっくり悩んでほしいと思ってそれを残した
しかし、彼らにとっては二人を助けられなければ意味がないのだ


怪盗「また妖精女王さんを頼れればよかったんですけどね」

狙撃少女「今の彼女には狭すぎます」
572 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/27(土) 03:11:37.02 ID:2G0BjRuVo
本日はここまでです
ありがとうございました
573 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/27(土) 19:40:41.55 ID:2G0BjRuVo
改めて彼らは魔法薬を見る
赤・青・白・黒の四種類のものがあった


炎魔「さて、どれを飲みましょうか」

男「そもそも、混ぜ合わせて飲むものの可能性もあるが……」

中華「でも、薬を作る目的は決まってたんだ。混ぜて飲む必要があるなら、もう混ぜてるはず」

やる気「あるいは、これ全部混ぜて飲まなきゃいけないってんなら不自然じゃないっすね」
574 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/27(土) 21:01:14.03 ID:2G0BjRuVo
男「……とりあえず飲む。そうしなきゃ始まらん」


そう言うと、男は空の容器にすべての魔法薬を少しずつ注いだ


怪盗「え!?あ、危ないですよ!?」

男「こういうときぐらい体張らせてくれ。じゃ、飲むぞ……」


そして、男はそれをぐいっと飲み干した


>>下1……どんな効果が現れた?
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/27(土) 21:17:15.80 ID:gfKpcsmiO
一次的な不死化(受けた傷も瞬時に塞がる)
576 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/28(日) 03:03:14.58 ID:0BRgeNBRo
本日はここまでです
ありがとうございました
577 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/28(日) 18:33:12.05 ID:0BRgeNBRo
そして、男は目を見開いた


狙撃少女「大丈夫ですか!?」

男「……っく!こりゃすごいな……頭にがつんと来る!きつい酒飲んだときもこんな衝撃はなかった……!」

炎魔「それより体調ですよ!」


冷や汗すら流す彼を、その場の誰もが心配した


男「体調か……かつてないほどだ。こんなにも全身に力が漲るのは初めてだ!」
578 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/29(月) 04:35:46.06 ID:Cu4EQ8aZo
中華「おお!精神は保護されてる感じはある?」

男「……分からない。多分ないかも」

やる気「そっすか……」

男「でもいける気がする。精神が保護されてなくても勝てるような気がする」

怪盗「……これ、すごく気が大きくなるだけの薬だったりしません?本当に大丈夫なんですか?」

男「いや、効果はある。今日ジャバウォックから逃げるために散々転げ回って擦りむいた傷が一瞬で完治したし」
579 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/29(月) 05:38:13.93 ID:Cu4EQ8aZo
本日はここまでです
ありがとうございました
580 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/29(月) 18:59:23.30 ID:Cu4EQ8aZo
炎魔「ふーん……?」


彼女は男を覗き込むように見た


男「……な、なに?」

炎魔「いえ、なんでも?なんだか私に似ているような気がしたんですが……多分気のせいです」

狙撃少女「……では、私も飲みましょうかね」


彼女は白いものと黒いものを混ぜ、それを飲み干した

>>下1……どんな効果が現れたか
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/06/29(月) 19:14:20.27 ID:BJcPEvX00
なんか、いつもよりもずっと遠いところがはっきり見えた。感覚を表現しきれないが、炎魔と同じような視力が上がったような気がする(ただ男と炎魔以外の人の背後に寄り添うように誰かいるのも見えた)
582 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/30(火) 02:37:33.28 ID:aVToHXREo
男「どうだ?」

狙撃少女「………………」

中華「だ、大丈夫!?」


飲み干した彼女に男が感想を求めても、
彼女は無言で虚空を見つめるだけだった


狙撃少女「……はっ!」

やる気「お、おぉ!現世に帰ってきたっすか!?」

狙撃少女「いや、別に幽体離脱してたわけじゃないんです。ただ、あまりにもよく見えたので」
583 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/30(火) 04:22:04.99 ID:aVToHXREo
本日はここまでです
ありがとうございました
584 : ◆cUhskXlNTw :2026/06/30(火) 19:29:06.21 ID:BzXhMl3GO
怪盗「な、なにがです?」

狙撃少女「遠いところがはっきりと見えたんです。確か、炎魔さんもすごく視力がよかったと思いますが……」

炎魔「え?あ、そうみたいですね」

狙撃少女「ええ、多分あなたが見えている世界に近いものが見えたのだと思います。……これが幻覚剤でなければ、ですが」


彼女はどこか困惑もしている様子でよう語った


男「その口ぶり、なにか妙なものが見えたみたいだな」
585 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/01(水) 01:51:07.47 ID:Vyb1OFheo
狙撃少女「……あなたと炎魔さんの後ろに、誰かいました」

男「背後霊!?」

中華「うーん……加護なのかな?男は神様と繋がりがあるし、炎魔さんは不死鳥と繋がりがあるよね」

男「どうかな……この薬のせいな気もするけど」

中華「でも、炎魔さんは飲んでないでしょ?」

男「……そうだな」
586 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/01(水) 01:51:37.25 ID:Vyb1OFheo
本日はここまでです
ありがとうございました
587 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/01(水) 18:36:57.13 ID:xrJbtQK6O
やる気「なんであれ、多分こいつは飲んでも大丈夫な薬っすね」

怪盗「そうですね、精神保護のような効果はまだ確認されてませんけど……」

男「いや、問題ない。多分俺は精神も大丈夫だ」


あまりにも自信満々なので、本当に大丈夫なのではないかと他の面々も思い始めている


狙撃少女「確かに、これは魔法薬というよりもはや霊薬の類かもしれませんね」
588 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/02(木) 02:13:00.73 ID:Zuh2+vC/o
男「そういうわけで、炎魔。この氷を溶かしてくれ」

炎魔「え!?お一人で行くんですか!?」


彼は武器を持ち、すっかり臨戦態勢だ


男「もちろん。もし不安なら、他のみんなも薬を飲んで参戦してくれ」

炎魔「ですけど……」

男「やってくれ。炎魔」
589 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/02(木) 02:55:17.45 ID:Zuh2+vC/o
本日はここまでです
ありがとうございました
590 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/02(木) 18:34:14.61 ID:Zuh2+vC/o
高圧的な口調ではないものの、
有無を言わさない強い意志がそこにはあった
すぐにでも仲間を助けにいきたいという、
焦燥と仁愛が強く滲んでいる


炎魔「死んだら、許しませんからね」

男「地獄まで叱りに来てくれよ」

炎魔「くっっ……!」
591 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/03(金) 03:44:46.60 ID:Ucm8MgDJo
男「そんな怒るなよ、冗談だからさ」


複雑ないくつもの怒りをおぼえた炎魔を男は宥めようとする
彼女はその怒りを炎にして扉に叩きつけたのだった


炎魔「……どうぞ」

男「悪いね、後で埋め合わせはするから」


そして、男は素早く扉の向こうに入り込み、
すぐにそれを閉めた
592 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/03(金) 04:20:58.15 ID:Ucm8MgDJo
本日はここまでです
ありがとうございました
593 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/03(金) 19:55:49.90 ID:fPhoIo1qO
男がその部屋に入ったとき、
最初に感じたのは凄まじい雑音だった
部屋全体を謎の騒音が包んでいたのだ


男「どこにいるんだ、二人とも……!」


その視界には、ただ荒れた書架が映っているだけだった
仲間を探すため、彼は図書館内に駆け出した


>>下1……地下図書館の様子
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/03(金) 21:14:02.99 ID:eeT5HAF/0
一目で広範囲に攻撃がされたと分かるほど、荒れていた。

そして攻撃をしたと思われる怪物『ジャバウォック』が苦しそうに横たわってた
595 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/04(土) 03:31:30.62 ID:RSOVoxOio
そこは破局的活動の跡だった
広範囲に渡ってなんらかの攻撃がされたのが分かるほどには、本棚や机が破壊されている


男「……っ!」


しかし、その攻撃を加えたのは氷魔やぶりっ子ではないだろう
魔法的な破壊ではなかったのだ
では誰がやったのかといえば、目の前に横たわっているとおぼしき『それ』だろう
そう男は推察した
596 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/04(土) 03:33:32.66 ID:RSOVoxOio
男「ジャバウォック……!」


記憶の保護がある程度かかっているからか、
揺らぎこそあれその姿を捉えることができていた
それは、苦し気に見えた
少なくとも万全の状態ではないことは確かだった


男「……今しかない、か!」


じっと見ていると、だんだん脳髄が痺れてくるのを彼は感じていた
やはり強力なその能力は無効化できていないのだ
597 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/04(土) 03:34:19.62 ID:RSOVoxOio
本日はここまでです
ありがとうございました
598 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/04(土) 18:57:49.19 ID:RSOVoxOio
男「はあぁぁぁ……!」


男は剣を抜き、力を込める
少しだけ聖なる炎がその身から出たが、
彼自身はそのことに気付いていなかった


男「でりゃああっ!!」


そして、彼はそれを勢いよく貫いた
手ごたえは確かにあり、予想外に固かった
599 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/05(日) 03:52:11.69 ID:aQt6Ow5to
突き刺されたそれは、あっさりと砕けた
そして、だんだんとその精神への干渉が緩んでいく


男「……なに……!?」


つまり、彼はジャバウォックの正体を見ることができたのだ
そして、それはまさに驚くべきものだった


男「生き物……じゃないのか?」


それは機械であったのだ
600 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/05(日) 04:15:29.36 ID:aQt6Ow5to
本日はここまでです
ありがとうございました
601 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/05(日) 19:02:31.65 ID:aQt6Ow5to
破損し、ショートし、
それは小規模な爆発を繰り返している


男「……そういうことか」


異様な雑音______恐らく、催眠効果のある______はそのスピーカーから響き、
奇妙なガスのようなものも、
キューブ型のその胴体の両脇から発散されていた
人間の記憶と認識を混濁させる魔術的毒物と、
それを効果的に散布する兵器
ジャバウォックの正体とは、最悪の科学兵器だったのだ
602 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/06(月) 01:55:44.66 ID:jq+HCMQmo
男「……なにか妙だな」


彼はいくつかの嫌な予感を感じとっていた
ジャバウォックは無力化できたと判断した彼は、
まだここにいると思われる仲間を探すことにした


男「!」


彼がそれに背を向けた瞬間、
一際大きな破裂音が響いた
それと同時に、別の気配を感じることとなる
603 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/06(月) 02:03:24.75 ID:jq+HCMQmo
本日はここまでです
ありがとうございました
604 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/06(月) 19:53:34.92 ID:jq+HCMQmo
男「な、なんだ!?」


急いで振り向くが、そこには誰もいない
だが、ジャバウォックだったもののボディには大きな穴が開いている


男「なにかが飛び出したのか!?まさか……!」


彼が天井を見上げると、>>下1が打ち上げられていた
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/06(月) 20:12:01.23 ID:DBzGCLF50
転送用魔法陣(ジャバウォックを転送できる程度の大きさ)
606 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/06(月) 22:14:28.62 ID:jq+HCMQmo
打ち上げられていたのは、魔法陣そのものだった
それは凄まじい魔翌力を発すると、
破損したジャバウォックをそのサークルの中に取り込み、どこかへと転送させてしまった


男「……くっ」


相当破壊したため、
少なくともすぐに修理されることはない
だが、ジャバウォックはそれを差し向けた何者かによって回収されてしまったのだ


男「さて、どうしたものか……」
607 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/07(火) 01:18:53.72 ID:bg00mEV1o
本日はここまでです
ありがとうございました
608 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/07(火) 19:00:04.26 ID:UQE/lHeUO
そこには、魔法陣を描くための台座が残っていた
今も魔法陣は有効である
だが、男にとってはそれをどうこうするよりも、
とにかく今は仲間を探すことが先決だった


男「氷魔!ぶりっ子!いるかー!」


彼は可能な限りの大声を張り上げて、
図書館の中を探し始めた


>>下1……二人は見つかったか(見つかったのなら、どのようにして見つかったのかも)
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/07(火) 19:20:37.50 ID:giMT26E+0
…見つからない。如何に図書館が広くとも余りにも静か過ぎる!?
610 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 01:40:14.35 ID:fwMwrh3Do
男「……嘘だろ……」


彼はひたすらに探した
途中から仲間たちも来て、図書館を探し回った
だが、それでも見つからなかったのだ
図書館は確かに広いが、
探すにあたって十分すぎるほどの時間をかけた
どれだけ耳を澄ませても、
探し人の呼吸音すら聞こえなかった


中華「男……」


男は、この世界に来てからかつてないほどに、精神を抉られた
その場にへたり込み、項垂れ、動かなくなってしまったのだ
611 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 01:44:12.63 ID:fwMwrh3Do
やる気「男さんがこんなになってるの、見たことないっすね……」

炎魔「……っ!」


軽い気持ちでその顔を覗き込んだ炎魔は、
ぎょっとして飛び退いた
その目は開かれ、瞬きもせず、
しかし眼球は不規則に動いていた


怪盗「ど……どうしましょう……?」


皆の発話は切れ切れで、図書館の不気味なほどの静寂が割り込んでくるのだった
612 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 03:04:27.93 ID:fwMwrh3Do
本日はここまでです
ありがとうございました
613 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 18:27:36.99 ID:fwMwrh3Do
狙撃少女「最もそれらしい可能性としては……やはり、あの向こうですか」


彼女は、先ほど使用された魔法陣を見た
図書館から通じている場所といえば、
厳重に氷で閉ざされていたはずの入り口を除いてはここしかないのだ


男「そう、だな……」


彼は、ゆらりと立ち上がった
つい一分前よりは、まだ余裕のある顔つきに戻っている
614 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 23:50:59.43 ID:fwMwrh3Do
中華「行くつもりなんだね」

男「……恐らく、あれは向こうからも帰ってこれるタイプの魔法陣だ。まずは様子を見たい」

やる気「へっ、人殺しそうな顔してるっすよ?絶対確認だけして帰ったりしなさそうっす」

男「どうだろうな」


彼は短くそう言って魔法陣へと歩き出した


中華「……いや、待ってくれ」
615 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/08(水) 23:52:13.46 ID:fwMwrh3Do
本日はここまでです
ありがとうございました
616 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/09(木) 18:52:21.68 ID:emLLid3Xo
そして、中華はそれを塞ぐように立った


男「?」

中華「無茶をするつもりなら、通せない」

男「だから、ちょっと見て戻ってくるだけだからさ……」

中華「これは、友人として言っている。……分かってくれるかい?」

男「……しょうがないな」
617 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/10(金) 03:23:17.52 ID:G+giKLDEo
狙撃少女「友人、ですか」


彼女は、自分と男とはどのような関係なのだろうかとふと考えた
そして、他のギルドメンバーともどのような関係なのか、と


男「そうだな……ふふ、そうか」

怪盗「なにを今さら……私はとっくに友人だと思ってましたけどね」
618 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/10(金) 05:03:03.68 ID:G+giKLDEo
本日はここまでです
ありがとうございました
619 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/10(金) 19:55:04.82 ID:F1vHeN2GO
男「……よし、やっぱりみんなで行こう」


その表情から、必要以上の強ばりが消えた
そして、彼は魔法陣の前まで走っていった


炎魔「はい!」

中華「ああ」

やる気「最初からそうしてりゃよかったんすよ」
620 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/11(土) 00:42:52.81 ID:Etyh2Q8wo
怪盗「そういえば、妖精女王さんに報告しなくていいんですか?」

男「……そうだな、ジャバウォックが去ったことは報告しておかないと」


一行は一度そこを出て、
外にいる妖精たちの元へと向かった
そこにはただ一人妖精女王のみがいた


妖精女王「待ちわびたわ」

狙撃少女「えっと……ジャバウォックは倒しましたよ」
621 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/11(土) 00:47:38.29 ID:Etyh2Q8wo
本日はここまでです
ありがとうございました
622 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/11(土) 19:29:36.07 ID:Etyh2Q8wo
妖精女王「ええ、聴こえてたわ」

中華「他の妖精たちはいないようですが……」

妖精女王「私に地べたに座らせるつもり?すぐに椅子を作るよう命令したわ。今ごろ木を切り倒してはずよ」

やる気「ほぇー……しかし、妖精女王さんほどのサイズが座れる椅子、今日中にできるといいっすね」

妖精女王「そりゃ無理よ。妖精は気まぐれで飽きっぽいもの。十年以内に完成したら早いほうよ」
623 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/12(日) 03:35:01.77 ID:JsnTrr0so
めちゃくちゃに聞こえるが、
毅然とした態度と種族全体としての特性への寛容さが、彼女を絶対の女王たらしめているのだ


怪盗「それでですね……」


そして、怪盗はこれから魔法陣の向こう側に行くことを告げた


妖精女王「行かないって選択肢はない顔してるし、別に止めはしないわ」
624 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/12(日) 04:51:44.07 ID:JsnTrr0so
本日はここまでです
ありがとうございました
625 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/12(日) 18:54:40.20 ID:JsnTrr0so
狙撃少女「ええ、誰に言われようとも、もう退くことはできません」

妖精女王「けれど」

男「?」

妖精女王「一つだけ、忠告しておくわ」


単純にサイズが大きいので以前より威厳があり、
思わず一行も緊張してしまう


中華「な、なんでしょう」

妖精女王「>>下1」
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/12(日) 21:06:53.05 ID:RwWV7cEk0
貴方たちの手元の『箱』、もう一度調べてみなさい
627 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/13(月) 02:10:27.46 ID:b+12AYtUo
妖精女王「貴方たちの手元の『箱』、もう一度調べてみなさい」

やる気「箱……あれっすか」


そのときは男が持っていた、青銅の箱である
たびたびその力に助けられてはいるものの、
自立した不審な行動が目立つため、
あまり頼らないようにしていた物体である


男「……調べる、か」

怪盗「どうやるんでしょう?」
628 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/13(月) 19:36:28.26 ID:b+12AYtUo
すみません寝落ちしました


狙撃少女「鑑定ができる人なんていませんしね……」

男「もしや……」


彼はその箱を目の前に持ってきて、
じっとそれを見つめた


中華「どうしたの?」

男「聴いてみよう、俺の能力で」


彼はそう宣言すると、青銅の箱に耳を当て、
精神を研ぎ澄ませた


>>下1……なにが聞こえたか
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/13(月) 19:58:42.87 ID:nPJAoCM80
「背負っていけ」と声がする
630 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/14(火) 00:27:57.85 ID:26gYMSDNo
「背負っていけ」


箱はそう言っているように聞こえた
聞き間違いかとも思ったが、
やはりそう言っているだろうと思い直した


妖精女王「うむ……」


男が妖精女王にアイコンタクトをすると、
彼女も小さく唸った
彼女にもその声は聞こえているのだった
631 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/14(火) 01:59:57.45 ID:26gYMSDNo
本日はここまでです
ありがとうございました
632 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/14(火) 19:04:01.08 ID:L3Hfwt4BO
そうした事情があり、男は箱を背負い、
一行は再び魔法陣の前へと戻ってくるのだった


やる気「全員で、絶対生還するっすよ」

怪盗「言われなくても!」

狙撃少女「では、入りましょうか」


全員が魔法陣の中に立つと、それは起動した
一行の肉体は転送されていく


>>下1……転送先はどこか
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/14(火) 19:39:05.15 ID:PFhEO8JE0
大魔王ベリアルの住んでいる城の、南西に位置する『塔の2階』
634 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/15(水) 01:28:42.21 ID:7/zwCOHQo
男「ここは……?」


そこは石造りの建物の中だった
周囲にある壁はぐるりと一行を取り囲んでおり、
そこが円柱形の構造物であるということが分かるだろう


中華「おっ」


そこにはまだ、破損したジャバウォックがあった


男「ああ、それがジャバウォックの正体だ」
635 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/15(水) 01:31:36.23 ID:7/zwCOHQo
やる気「しっかし、なんかここ空気悪くないすか?」

炎魔「魔翌力が含まれてるみたいです。瘴気のように空間に散らばってますよ」

怪盗「なるほど、やる気さんは随分敏感なんですね」

やる気「まぁ、鍛えたところではあるっすね」


ひとまずの脅威はなさそうだったが、
そこには氷魔やぶりっ子の姿もない
男はどうしたらよいのか考えていた
636 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/15(水) 02:32:58.44 ID:7/zwCOHQo
本日はここまでです
ありがとうございました
637 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/15(水) 18:38:17.01 ID:7/zwCOHQo
男「この部屋のどこかに、隠れられる場所はないか?」

狙撃少女「そうですね……木箱がありますよ」


部屋の片隅に、木箱がいくつか置かれていた
そこに入って息を潜めれば、
少なくとも視覚でものを知覚する生命体の認識からは逃れられるだろう


男「よし、みんなで隠れよう」
638 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/15(水) 18:40:33.48 ID:7/zwCOHQo
中華「どうして?探索しないのかい?」

男「下手に動きたくない。氷魔やぶりっ子も、おそらくはここに飛ばされてきたな、というのは考えられるだろ?」

やる気「そっすね」

男「いない、ということは______二人がどのような状態で飛ばされたかにもよるが______連れ去られたとみるべきだろう」


なにかの弾みで転送されてしまっただけなら、
自力で探索をしている可能性もあった


怪盗「なおさら探さないとまずくないですか?」
639 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/15(水) 18:43:18.98 ID:7/zwCOHQo
男「捕虜になっている可能性も高い。人質にされないためにも、絶対に見つからないことが重要だ」

狙撃少女「……分かってきましたよ。このジャバウォックが鍵なんですね?」

男「まさしくそうだ。やつが転移したということは、ここに転移すれば直る見込みがある……つまり、少なくともこいつを回収するやつがいるということだ」

炎魔「そいつを不意打ち、ってわけですね」

男「ああ、情報を引き出したいところだな」
640 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/16(木) 01:15:30.17 ID:bAHSbWgno
本日はここまでです
ありがとうございました
641 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/16(木) 19:15:43.41 ID:novTxndFO
中華「じゃあ、早速隠れようか」


一行は急いで部屋の片隅にある木箱を開けた
そのうち一つには細かな機械部品が入っていたが、
気にせず入って時を待った


やる気(……誰か来た!)


しばらく待てば、部屋に何者かが入ってきてジャバウォックの元へ向かう
木箱の隙間から外を覗けば、やってきたのは>>下1だった
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/16(木) 19:26:11.81 ID:r7tBjIWU0
AI姉妹に見えるが、その2人とは明らかに違う『生命体』だった(不死身持ち)
643 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/17(金) 03:25:50.20 ID:ABjbX8zHo
市長?「……では、回収しましょうか」

AI妹?「そして改修だ」


一行は目を疑った
そこにいたのは、彼らもよく知る姉妹によく似た存在だったのだ
だが、決定的に違うところがある
彼女らはあくまでAIであるため、機械的な肉体をしているが、今回現れた二人の肉体は有機的だったのだ


炎魔(生命力がありすぎます。どういうことでしょうか……?)
644 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/17(金) 04:25:24.58 ID:ABjbX8zHo
本日はここまでです
ありがとうございました
645 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/17(金) 19:33:47.59 ID:GZQMRckWO
狙撃少女「はあぁっ!」


狙撃少女は木箱から体を出すと、
あらかじめ準備してあったライフルで市長に似た生命体の脚を撃った


市長?「くぅっ!?」


すると、それは転んだ
痛みを感じるということは彼らにも分かったが、
一切血は出なかった
646 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/17(金) 23:38:50.45 ID:ABjbX8zHo
AI妹「何者だ!?」


彼女は右手から光の玉を連続で射出し、
狙撃少女の隠れていた木箱を破壊する
なんとか彼女は横に飛び出し回避、
同じ箱に隠れていたやる気はそのまま跳び上がりつつ、攻撃に転じる


やる気「はあぁっ!!」

AI妹「むっ!」


だが、彼の振り回した槍も、彼女がその手に作り出した紫色の光の棒によって受け止められた
647 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/18(土) 00:23:31.51 ID:/v7UlPrKo
本日はここまでです
ありがとうございました
648 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/18(土) 20:02:27.59 ID:/v7UlPrKo
すみません遅れました


やる気「防がれた……っすか」

AI妹?「……何者だ、貴様ら……!」

やる気「そりゃこっちが聞きたいぐらいっすね」

AI妹?「ふん、人間に教えることなどないわ!」


彼女は紫の発光する棒を回転させ、
勢いよくやる気に向かって叩きつけた
649 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/19(日) 03:29:34.45 ID:DIMfSz+do
市長?「助太刀します!」


ふらりと立ち上がった彼女は、
もう一人とともにやる気へ襲いかかろうとする
だが、そこに飛び込んできたのが男と中華だ


男「おっと!滅多なことはするなよ!」

中華「ごめんね、こんな暴力的なことしたくないんだけど……」
650 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/19(日) 03:46:33.19 ID:DIMfSz+do
本日はここまでです
ありがとうございました
651 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/19(日) 20:51:59.19 ID:DIMfSz+do
すみません遅れました


男と中華は不意を突き、動こうとする市長のような生命体を拘束する


AI妹?「なにっ!?」

やる気「じゃ、答えてもらうとするっすかね。お前たちは何者っすか?」

AI妹?「……くっ!」

やる気「痛い思いはさせたくないっす。答えて欲しいっすね」

AI妹?「>>下1」
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/19(日) 21:03:43.30 ID:8BWy48CK0
…私たち『5人』はAI市長たちよりも、ここ数年で製造され『次世代型』だ
653 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/20(月) 01:40:46.28 ID:pL5T4huWo
AI妹?「…私たち『5人』はAI市長たちよりも、ここ数年で製造され『次世代型』だ」


よく似ている理由は実にシンプルで、
『製造元』が同じなのだった
そして、その設計思想もまた同じなのである


炎魔「五人も……随分と沢山作ったみたいですね」

市長?「イノベーションは、まず作らなければ生まれませんから」
654 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/20(月) 01:47:27.52 ID:pL5T4huWo
AI妹?「ちなみに私は五女だ」

市長?「私は四女です。しかし……造られた順番とは反対ですね」


五女が最も早く造られ、
その次に四女が造られたのだ


男「なるほどな……しかし、次世代型っていうなら、あいつらより『改良』されててもおかしくない。情を差し挟まず、俺たちを攻撃するようになっているかと思ったが」

五女「……私は最もAI市長たちに近いので。親しみとか、そういうものを感じる機構はほぼそのまま残っているのです」
655 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/20(月) 02:33:08.14 ID:pL5T4huWo
本日はここまでです
ありがとうございました
656 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/20(月) 19:44:45.91 ID:pL5T4huWo
中華「運がよかった、ってところだね」


みな、気になっていることはいくつもあった
二人を創造したのは何者なのか?
ここはどこなのか?
なんの目的で二人は造られているのか?
だが、それよりも聞かなければならないことがある


やる気「ここに、氷魔とぶりっ子……女の子が二人来てるはずっす。彼女らはどこに?」

五女「>>下1」
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/20(月) 19:57:51.72 ID:JU8AtdAi0
?来てるわけないわ。私たちもこの子の回収に来てるのにここにいないとおかしいわよ
658 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/21(火) 03:56:57.73 ID:eE79q/yjo
五女「?来てるわけないわ。私たちもこの子の回収に来てるのにここにいないとおかしいわよ」

怪盗「……どういうことですか?」

五女「侵入者の報告もないし、逃げ隠れできるような場所は城内にはない。それに、ジャバウォックの回収に来るのは規定事項だったの」

狙撃少女「来てるはずもないし、場所を知るはずもない、ということですね」


男は彼女の声に耳を澄ませたが、
嘘をついているようには聞こえなかった
もっとも、その能力が集積された情報の権化たる彼女に有効なのかは分からないが
659 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/21(火) 03:59:27.80 ID:eE79q/yjo
本日はここまでです
ありがとうございました
660 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/21(火) 19:07:42.05 ID:+hbILxypO
炎魔「まさか、ここにも来ていない……?」

男「だとしたら、どこに消えたんだ?」


男は二人を睨みつけた
そこには縋るような悲痛さと疑念が籠っている


四女「知らないことには、答えようもありません」

五女「そうだ。残念だが……」

四女「……ぐぅっ!?」
661 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/21(火) 19:26:27.84 ID:a0Fos7oYO
突如、市長によく似た存在……四女が苦しげな声を上げた


五女「貴様ら、都合が悪くなれば人質を……!」

中華「ち、違う!どうしたの!?」

四女「あ、脚……脚部に侵入されています!」


見れば、不死身ゆえに再生を始めていたその脚部の傷に、ゲルが侵入していた
多くの持ち物と共に氷魔やぶりっ子に管理させていた、あのゲルがいたのだ
662 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/22(水) 01:57:25.32 ID:djQDUcomo
本日はここまでです
ありがとうございました
663 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/22(水) 18:31:09.81 ID:djQDUcomo
それは瞬く間に体内へと完全に入り込んだ
そして、痙攣し、のたうち回り、
全身をバネのように動かして立ち上がった


やる気「ゲル!?い、一体なにを……!」

ゲル四女「……す、ばらし、い。これがヒトガタの肉体」

五女「くそっ……!」

ゲル四女「不死身の力、そして……たく、さんの……機能」
664 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/22(水) 18:35:05.56 ID:djQDUcomo
怪盗「そ、その体から離れなさい!」

ゲル四女「断る……ます」

炎魔「だったら、無理やり引き剥がすまでです!」

ゲル四女「では、この体、試して、みよう」

五女「おい、危険だ!貴様ら離れろ!」


それに向かい、臨戦態勢をとった一行に五女は忠告した


狙撃少女「なにかあるんですか?」

五女「姉上の肉体には>>下1機能が備わっているんだ!」
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/22(水) 19:34:45.13 ID:lJE0Vibu0
「『自己放電システム』があるから多分s」

言い終わらないうちに突然姉の方から放電反応が発生し、ゲル体は焼失した
666 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/22(水) 21:05:58.29 ID:djQDUcomo
五女「姉上の肉体には『自己放電システム』があるから多分s_______」

男「うわっ!?」


言い終わらぬうちに四女の肉体は激しい放電反応を始めた
荒れ狂う電流が光条となって迸り、
あたり一体を電撃で無差別に穿ち始める


四女「が、ががががががが……」


泡立つような音が彼女の全身から発生する
667 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/23(木) 01:41:23.05 ID:ooiAb8d1o
本日はここまでです
ありがとうございました
668 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/23(木) 18:55:47.98 ID:ooiAb8d1o
そして、全身から水蒸気が立ち上る
しばらくまた痙攣した後、四女は倒れ込んでしまった


中華「……お、終わったのかな?」

五女「あぁ……なんてことだ。全身がめちゃくちゃにショートしてしまっている……」


痛ましいその姿に、五女はショックを受けているようだった
人間だったらまず死んでいるだろうというほどには焦げている
669 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/24(金) 04:22:01.66 ID:jIwRmiBKo
やる気「修理しなきゃいけないもんが増えたっすね……」

五女「……くそっ、貴様らは疫病神だ」

怪盗「今のはデリカシーなさすぎですね」

やる気「っす……」


五女は怒りと憎しみを一行に向けていた
実際には、彼らはなにもしていないが、
しかし四女が傷ついた理由は彼女にとって必要だった
670 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/24(金) 04:30:20.19 ID:jIwRmiBKo
本日はここまでです
ありがとうございました
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/24(金) 15:09:25.60 ID:oK6zWNid0
おつー
672 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/24(金) 19:08:20.59 ID:jIwRmiBKo
ここで、男は目の前の惨状よりも思考に自分のリソースを割いていた
あのゲルがいたということは、
すなわちそれを管理していた氷魔とぶりっ子もここに来たということだ
そのことを理解した男は、それでも二人を見ていないという五女の発言との矛盾に悩んでいた


男「……どういうことなんだ」

五女「いいから早く姉上のボディを渡してくれ。戦術的価値以前に、暴発や破裂などを起こしてもおかしくない」

狙撃少女「そう、ですね……まず彼女の修復を優先するのでしょう?」
673 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/25(土) 18:54:29.22 ID:p0uPJeqqo
すみません寝落ちしました


五女「当たり前だろう」

炎魔「……渡しましょう」

やる気「敵っすよ?」

炎魔「でも、話は通じます。いつか分かり合えるかもしれません。その芽をここで摘みたくないんです」


彼女はそう言うと、四女の肉体を掴み、
五女の方へと運び始めた
674 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/25(土) 19:02:41.65 ID:p0uPJeqqo
四女「がっ……!」


一つ目の誤算は、四女の放電は不完全だったこと
まだ放電しきっていなかった彼女は、残りの放電を一気に行った
二つ目の誤算は、その電流がジャバウォックに直撃してしまう位置にあったことだ


炎魔「ぐぅぅ……!?」

五女「あぁっ!」

炎魔「わ、私なら大丈夫ですっ、死ぬことはないのでっ……!」
675 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/25(土) 19:22:06.78 ID:p0uPJeqqo
そして、三つ目の誤算は生命力をもたらす炎魔の炎が自己再生のためにばら撒かれたことである
全ての誤算は、恐るべき一つの事象に帰結していく


ジャバウォック「ンガガガガガ……!!」


それは中途半端に再起動してしまったのだ
過度な電力と損傷によってその機能は歪められ、
露出させられていた転移魔法陣が再び起動する
出力も規格外に向上しているため、
それは部屋全体へと広がり、五女すらも範囲内に収めてしまう


五女「なっ______」


想定外の事態に彼女が驚いているうちに転移が発動
一行と二つの生命体、そしてジャバウォックは>>下1へと転送されるのだった
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/25(土) 19:28:38.01 ID:mkINyMhl0
どこかの水中
677 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/26(日) 05:08:31.75 ID:nuUasW0Vo
本日はここまでです
ありがとうございました
678 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/26(日) 18:43:31.88 ID:nuUasW0Vo
そこで、一行のほぼ全員と五女は意識を失った


やる気「ぶはぁっ!?」

炎魔「や、やっと起きました!」


それから数時間後、やる気が目を覚ました
固い床の上にいた彼は居心地悪そうに上体を起こす


やる気「……い、一体なにがあったんすか?」
679 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/26(日) 18:52:27.04 ID:nuUasW0Vo
炎魔「どうも私たち、水の中に転送されたみたいなんですよ」

やる気「はぁ」

炎魔「で、全員見事に感電して……私だけどうにか助かったので頑張ってみなさんを掬い上げました」

やる気「命の恩人じゃないっすか!こりゃもう足向けて眠れないっすね!」


彼がちらりと横を見ると、床の上に仲間たちがずらりと寝かされていた
まるで魚を干しているかのような、奇妙な光景である
680 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/27(月) 02:02:24.09 ID:cnDVW6fVo
炎魔「仲間として、当然のことをしたまでです!」

やる気「……しかし、臭いっすね」

炎魔「え?」

やる気「俺っちら、下水に飛ばされたんじゃないすか?この感じ……」


辺りは薄暗く、石造りの下水道の水の中から、
炎魔はどうにか全員を運び出したのだった


炎魔「多分そうですね……ここ、どこなんでしょう」
681 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/27(月) 02:02:55.64 ID:cnDVW6fVo
本日はここまでです
ありがとうございました
682 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/27(月) 19:36:49.04 ID:cnDVW6fVo
「あ?っ!!」


突如下水道の奥から叫び声が響き渡る
何事かと二人が振り向けば、そこにいたのは______


ぶりっ子「来てたんですね!!」


______いなくなっていた、ぶりっ子だった


炎魔「こ、ここにいたんですね!?」

やる気「よかったっす……!」
683 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/28(火) 02:24:53.63 ID:5QtumwAmo
ぶりっ子「正直、今生の別れかと思いましたよ」

氷魔「……どうしたんですか……あっ……!」


そして、ぶりっ子と同じく下水道の向こう側から氷魔が現れた
二人は一度ベリアルの居城に飛ばされたのち、
再びジャバウォックの転送魔法陣を起動したことによってそこに移動していたのである


男「ん……んん……?」
684 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/28(火) 02:26:54.37 ID:5QtumwAmo
本日はここまでです
ありがとうございました
685 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/28(火) 19:02:28.31 ID:5QtumwAmo
やる気「あ、男も起きたっすね」

男「おお……あの世ってのは随分臭いし薄暗いんだな……」

ぶりっ子「いやいやいや!死んでないですよぉ!?」

男「え……?」

氷魔「……ちゃんと……私たちは合流できたんですよ……」

男「よ……っ、よかった……!」


彼は嬉しさのあまり泣き出した
686 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/29(水) 01:56:27.77 ID:13pXT9hJo
それからしばらくして、
他のメンバーたちも起き始めた
どうにか洗濯魔法で臭いが取れないかと考えるものもいたが、そもそも汚水しか近くにないので諦めざるを得なかった


中華「五女と四女は?」

怪盗「いないですね……」

炎魔「ええっと、掬いきれませんでした。下流に流されていったはずです!」

狙撃少女「死なれたら後味が悪いですね……」

炎魔「それはないと思います、多分不死なので」
687 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/29(水) 04:10:21.15 ID:13pXT9hJo
本日はここまでです
ありがとうございました
688 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/29(水) 19:23:41.05 ID:13pXT9hJo
再開を喜びあっていると、
下水道の入り口のほうから小さな足音がする
一行がそちらを確認すると、
少年が一人、入ってきていた


男「おお、丁度いいところに」

少年「……?」

男「ここがどこの街か知らないか?旅の者なんだが、迷ってしまってね……」


と、かなり無理のある言い分で男は位置情報を聞き出そうとし始めた


少年「>>下1」
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/29(水) 21:26:51.64 ID:ZYWpLQ8A0
おじちゃんたち、見ない格好だけど迷ったんなら急いで都市から逃げなよ。此処は明日には国王軍と革命軍の決戦場になるよ
690 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/30(木) 05:19:13.22 ID:oneTE9Hbo
少年「おじちゃんたち、見ない格好だけど迷ったんなら急いで都市から逃げなよ」

中華「逃げる?なにかあるのかい?」

少年「此処は明日には国王軍と革命軍の決戦場になるよ」


ここは相当に内政が拗れている街だ
国王が実権を握っているということは、
少なくとも図書館の街に帰ってこられたという可能性はない


氷魔「……大変なときに……来てしまったようですね……」
691 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/30(木) 05:24:13.01 ID:oneTE9Hbo
本日はここまでです
ありがとうございました
692 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/30(木) 19:01:14.94 ID:oneTE9Hbo
男「忠告、感謝するよ」

やる気「しっかし、じゃあなんでそんなときにこんなとこに来たんすか?」


少年こそすぐに避難すべき人間であると考えられるだろう
しかし、彼はここで街の外へ逃亡するでもなく、
下水道へとやってきているのだ


少年「……>>下1」


1.下水道に大切なものがある
2.ここに身を隠して復讐したい相手がいる
3.下水道から街を出るつもり
4.自由安価
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/07/30(木) 19:32:38.48 ID:Cz+t4/Uj0
4.…暮らしてたんだよ。俺は戦場孤児だから頼れる大人が居ないんだ
694 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/31(金) 02:50:15.22 ID:7lKxiFxyo
少年「…暮らしてたんだよ。俺は戦場孤児だから頼れる大人が居ないんだ」


彼は冷めた目で、そう呟くように言った


狙撃少女「そうだったんですか……!」

少年「……?」

ぶりっ子「大変でしたねぇ……!」

怪盗「二人のシンパシーと庇護欲がとんでもないことになっているのを感じます!」
695 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/31(金) 02:51:22.97 ID:7lKxiFxyo
本日はここまでです
ありがとうございました
696 : ◆cUhskXlNTw :2026/07/31(金) 18:07:43.28 ID:7lKxiFxyo
男「しかし、となると……結構長いこと、内戦をしているんだな」

少年「それが、なにか?」

男「いや……終わらせてやりたいな……と思ってね」

少年「……おじちゃん、吟遊詩人?」

中華「え?」

少年「夢のある『だけ』の話をするからさ……」
697 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/01(土) 02:30:59.89 ID:ExRIsHmUo
彼の目には絶望と諦念のみがあった
自身の境遇もこれからのことも全て受け入れて、
希望を持たずに生きていくことを、
そのごく若い年齢の少年は決めているのだ


男「……まぁ実際、俺たちにも用事はある。やらなきゃいけないことがある」

氷魔「……そうですね……市長さんの元に帰らないと……」

男「だから、可能な範囲でやらせてもらおうかな。完全な嘘つきじゃないってこと、証明できたら嬉しい」

少年「……ふーん」
698 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/01(土) 02:38:24.68 ID:ExRIsHmUo
本日はここまでです
ありがとうございました
699 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/01(土) 18:42:15.40 ID:ExRIsHmUo
一行は少年に一旦の別れを告げて、
下水道の外へと出ていった
そこには病的なまでに真っ白のレンガで作られた街並みが広がっている
人の気配はなく、みな家の奥底に引きこもっているか、この街をとうに脱出してしまっているであろうと窺える


やる気「さて、どうするっすか?」

ぶりっ子「まずはここの地理的な位置を知るしかないんじゃないですかぁ?」


最優先の目標は妖精たちの領域を経由して、
再び図書館の街へ帰ることだった
700 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/02(日) 03:58:56.41 ID:l/1yL5w6o
怪盗「つまり、地図を持ってる人を探せばいいんですね」

狙撃少女「こんなタイミングで地図を持ってここに残ってる方なんて、軍人ぐらいしかいなさそうですね……」

炎魔「でも、それなら出会うこと自体は難しくないんじゃないですか?」

男「すげぇ警戒されるだろうけどな。即襲われるかもしれないし、俺たち臭いし」

中華「そうだよねー……いや本当に、すぐにでも体や服を洗いたいよ。僕にとっては衛生が命なのに」
701 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/02(日) 04:05:35.73 ID:l/1yL5w6o
本日はここまでです
ありがとうございました
702 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/02(日) 19:58:19.25 ID:l/1yL5w6o
炎魔「みなさんは私が殺菌したので、大丈夫だと思いますが……」

氷魔「……気分的な問題ですね……」


街を歩いていると、巨大な広場に出た
外周には放射状にいくつもの道が連なっており、
その中心には一つの噴水がある


やる気「誰かいるっすね」


そして、その噴水の前には>>下1がいた
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/02(日) 21:28:18.98 ID:KGQg0DhI0
吟遊詩人
704 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/03(月) 05:12:42.67 ID:uYr6iSawo
そこには吟遊詩人がいた


ぶりっ子「本当にいる……」

吟遊詩人「おお、この街の方ですか?」


彼は安堵を隠さずに一行へ話しかけてくる


男「いや、違う」

吟遊詩人「そうですか……」

怪盗「どうもここ、明日には戦場になるみたいで……」
705 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/03(月) 05:15:13.63 ID:uYr6iSawo
吟遊詩人「なんと!それはそれは……」

狙撃少女「国王軍がどうとか、革命軍がどうとかって話でしたね」

吟遊詩人「素晴らしい!最高の詩の題材になりますよ!どうかお話をお聞かせ願えませんか!」


彼は一行にぐいぐいと迫ってくる
その臭いも気になっていないようだった


炎魔「いやあその、私たちも来たばかりで、それ以上のことは……」

吟遊詩人「そうでしたか!それはそれは!」
706 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/03(月) 05:19:15.18 ID:uYr6iSawo
本日はここまでです
ありがとうございました
707 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/03(月) 18:24:44.91 ID:uYr6iSawo
彼は意気揚々とその場を去っていった
少年は随分と吟遊詩人を悪く言うものだ、と一行は思っていたが、
確かに彼の態度からはある種の軽薄さを感じ取っていた


中華「あ」

男「どうした?」

中華「あれ見てよ」


広場がよく開けているので、
そこからは一つの城が見えた
中華はそれを指し示しているのだった
708 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/04(火) 03:38:32.94 ID:i4NHJRvEo
氷魔「……城……ですね……」

やる気「誰かいるとは思うっすけど、市民よりぴりぴりしてそうっすね」

ぶりっ子「確かに、リスクもありますねぇ」

怪盗「でも、状況を進めるためには、やっぱり行くしかないんじゃないですか?」


一行は話し合い、せめて地理だけでも確認するため、
街並みと同じく白磁の城へと向かうのだった
709 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/04(火) 03:41:07.30 ID:i4NHJRvEo
本日はここまでです
ありがとうございました
710 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/04(火) 19:59:33.35 ID:p/q+EnnsO
城へと向かう通りに入り、彼らはしばらく歩いた
戦いがあるのであれば、
城へ至る道は十全に警備されていることだろう
そうした予想を彼らは持っており、
そしてそれは的中することになった


やる気「いるっすね」

男「あぁ……どうしようかな」
711 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/05(水) 03:51:40.10 ID:TOCznV2ho
真っ直ぐ続く道の半ばには、
等間隔でバリケードが置かれていた
しっかりとした鉄板と、それを支える土嚢で作られた、
計画的に作られたであろうバリケードである


狙撃少女「いるって、なんですか?」

男「バリケードの裏に何人も隠れてる」

やる気「あと、路地にも何人かいるっすね」


男は覚醒しつつある『聴く』力で、
やる気は歴戦の勘と驚くべき気配の感知能力でそれを理解していた
712 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/05(水) 03:56:53.99 ID:TOCznV2ho
本日はここまでです
ありがとうございました
713 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/05(水) 19:51:42.88 ID:TOCznV2ho
中華「なにも考えずに出てったら、攻撃されるよね?」

氷魔「……必ずしもそうとは限りませんが……可能性として低くはないでしょう……」

炎魔「なら、私が行きましょうか!?」

やる気「気が引けるっすね……」

炎魔「また子供扱いして……」

ぶりっ子「いやその、肉壁みたいな扱いが心に来るというか……」
714 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/05(水) 19:53:44.93 ID:TOCznV2ho
そうぶりっ子が語ると、
炎魔は頬を膨らませてしまった


炎魔「私はそれでいいって言ってるんですよ!もう私が行きますからね!」

男「あ、おい!」


彼女はすたすたと歩き始めた
そして、バリケードの向こう側に呼びかける


炎魔「すみませーん!旅の者なんですけど、ここがどういう場所なのか教えてもらえませんか?!?」


>>下1……向こうの反応
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/05(水) 20:16:46.95 ID:gU1xdxM20
衛士「明日決戦になる城に無用心に話を掛けるな。革命軍の間者と間違われるぞ」
716 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/06(木) 04:01:18.87 ID:EMBTSVfro
本日はここまでです
ありがとうございました
717 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/06(木) 18:10:08.51 ID:EMBTSVfro
すると、バリケードの向こうから一人顔を出した


衛士「明日決戦になる城に無用心に話を掛けるな。革命軍の間者と間違われるぞ」

炎魔「すみません!でも迷ってしまって……!」

衛士「はぁ……」

炎魔「ここから一番近い村の方角だけでいいので、教えてくれませんか!?」

衛士「北だ、北に行け!」
718 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/06(木) 18:31:47.33 ID:EMBTSVfro
彼は苛立ちの中に優しさを滲ませて、そう叫んだ


炎魔「だ、そうですよ。北に行きましょう」

怪盗「オッケーです!」


戻ってきた炎魔は得意げに報告し、
一行の向かう先は決まった
情報を集めようにも、ここでは場所が悪い
五女や四女、ジャバウォックの残骸など、行方の気になるものはあるが、まずはこの都市を出るのが先決であろう
719 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/07(金) 02:31:51.58 ID:SWDf4XkPo
がらんどうの都市を出て、
一行は街道を北に進み始めた


狙撃少女「本当に有事なんですね」


彼女がそう言ったのは、
道を歩きそれを実感したためだった
いつもなら商人や旅人とすれ違うのに、
そうした人影がまったくなく、
ただ彼らのみが道の上にいたのだ


男「あぁ、迷惑かけちまったな……」
720 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/07(金) 02:32:23.50 ID:SWDf4XkPo
本日はここまでです
ありがとうございました
721 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/07(金) 18:13:38.65 ID:SWDf4XkPo
しばらく歩き、近くにある村へと辿り着いた
衛士は『北に行け』とだけしか言わなかったが、
その理由はシンプルで、
そこにあるのは村ではなかったからだ


中華「これは、村ってより集落だね……」


数軒の家がぽつぽつとあるだけの、
草原にある長閑な場所だった
722 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/07(金) 18:15:41.09 ID:SWDf4XkPo
そのうちの一つの家を、
とりあえず訪ねることにした一行
年季の入ってささくれ立った木製のドアを、
何度か叩いた


やる気「すみませーん!旅の者なんすけど、地図があったら見せてもらえないっすかー!?」


と、声を張り上げて要求する
その家どころか、集落中に響いたことだろう


>>下1……住人の対応(無人も可)
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/07(金) 20:14:33.22 ID:wdrBh+0G0
無人…ところが家具も生活用品もないもぬけのから
724 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/08(土) 01:17:19.54 ID:CCXkaJ26o
すると、引き戸だったのか、扉は軋みながら開いた
その向こうに見えたのは、
あまりにも、なにもない部屋だった


氷魔「……これは……」

ぶりっ子「誰も住んでない……っていうか、引っ越ししたあとぐらい綺麗になってますね」

怪盗「……嫌な予感がしてきましたね」
725 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/08(土) 02:00:36.38 ID:CCXkaJ26o
本日はここまでです
ありがとうございました
726 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/08(土) 18:32:00.56 ID:CCXkaJ26o
それから全ての家を回った一行だったが、
いずれも同じ有様であった


狙撃少女「参りましたね……」

男「無理もないか、戦場の近くの集落ということになるわけだしな」

炎魔「みんな、引き払っちゃったんですね」


無人の集落で、行き場を失ってしまったのである
727 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/08(土) 23:16:09.99 ID:CCXkaJ26o
そうこうしている間に、夜がやってきた
ひとまずは集落で夜営をするしかない、
そう判断した一行だったが、
突如として希望の光が見えた


狙撃少女「あれを見てください」


近くの丘に、いくつもの光が見える
ゆらめくそれらの光は規則正しく動いており、
つまり、そこに人間の集団がいるということを示していた
728 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/08(土) 23:17:38.50 ID:CCXkaJ26o
本日はここまでです
ありがとうございました
729 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/09(日) 19:14:35.68 ID:U8RyXL9/O
中華「……行軍かな」


夜から動き出し、今晩中、ないし明日の朝に動く軍ではないかと彼は予想した


やる気「案外、疎開かもしれないっすよ?」

氷魔「……とにかく……近寄ってみましょう……あまり剣呑な雰囲気でなければ……声をかけたいところです……」


一行は素早く動き、光への距離を詰めていく
思ったよりも遠いので、少しだけ不快に思ったが、
それでも半刻ほどでその構成人員を見てとれるほどの距離までは接近した


>>下1……その集団はどんな集団だったか
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/09(日) 20:10:01.17 ID:KojMXG8Y0
革命軍の先発隊。明日の開戦の為に簡素ながら指令部の築城をしに来た部隊
731 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/10(月) 04:21:43.82 ID:BznZjNeDo
そこにいたのは、軽装の集団だった
しかし、緊張感と使命感を帯びた表情を浮かべており、
それが革命軍に属する集団だと、一行はすぐに理解した


ぶりっ子「……どうしますぅ?」

怪盗「邪魔しちゃ悪いですけど、こっちも必死ではありますよ」

狙撃少女「そうですね、行くあてがないと、いつか野垂れ死ぬかも……」
732 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/10(月) 04:26:48.10 ID:BznZjNeDo
本日はここまでです
ありがとうございました
733 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/10(月) 18:46:13.43 ID:BznZjNeDo
炎魔「すみませ?ん!」


彼女が声を張り上げると、
さらなる緊張が彼らには走った
そして、そこから一人の男性が歩いてくる
精悍な顔つきで、誠実さを窺える


男性「なんだ!」

炎魔「地図持ってないですか?見せてほしいんですけど……」

男性「>>下1」
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/10(月) 22:31:51.80 ID:cgsce6LPO
いいぞ!
735 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/11(火) 02:04:17.43 ID:I5TRHPm7o
男性「いいぞ!」


彼は歯を見せて笑った
その態度は気さくで、
持っていた地図を広げて見せてくれた


炎魔「わぁ!ありがとうございます!」

男性「お前たちも、そこでじっとしていないで来たらどうだ!?」
736 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/11(火) 02:32:57.02 ID:I5TRHPm7o
本日はここまでです
ありがとうございました
737 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/11(火) 19:50:32.68 ID:I5TRHPm7o
彼は一行に向けて大きく手を振り、
それに伴って腰に付けていた赤いマフラーが揺れた


男「いいのか?」

赤マフラー「俺が許す!」


残ったメンバーも、彼に従って丘の上まで向かう
そして、炎魔とともに地図を確認するのだった
738 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/11(火) 19:52:30.91 ID:I5TRHPm7o
中華「……げっ」


中華はそれを見て、忌々しげな声を上げた
現在地はなんと、帝国領の中であったのだ


赤マフラー「どうかしたか?」

中華「い、いえ……」

氷魔「……なんでも……ありませんよ……」


乗り物なしで帰投しようとすれば、
三日はかかりそうだった
739 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/12(水) 03:34:31.16 ID:zepz178yo
本日はここまでです
ありがとうございました
740 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/12(水) 19:48:57.66 ID:zepz178yo
???「ちょっと、なにやってんの!?」

赤マフラー「あん?」


一行の集まっているもとにやってきたのは、
青いバンダナを首にかけた女性だった
眉間に皺が寄っていて、怒っているのが見てとれる


青バンダナ「得体の知れない人たちを、ほいほい呼んで!もし敵のスパイだったらどうするのよ!」

赤マフラー「そんなことないって、大丈夫だろ」
741 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/13(木) 02:03:23.49 ID:ilciAN4+o
やる気「いや、ほんとほんと。俺っちらはただの旅人っすよ」

青バンダナ「どうだか……」


彼女は赤マフラーの彼に比べれば疑り深いタイプである
しかし、それは彼女の猜疑心が強いことを意味しない
赤マフラーの男性の、異様な警戒心のなさが特異なのである


ぶりっ子「悪いことなんてしませんよぉ?」

青バンダナ「状況が状況よ、さっさと縛り上げたいぐらいだわ」
742 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/13(木) 02:06:27.56 ID:ilciAN4+o
赤マフラー「おいおい、こいつらが悪人に見えるってのかよ?」

青バンダナ「知らないわよ」

赤マフラー「見ろよ彼女を、こんな縁起のいい人間がいるか?」


彼は炎魔を指してそう語った
炎の翼を持ち、いつも薄ぼんやりと光るその姿には、
少なからず神聖性があるだろう


炎魔「ふふん!」
743 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/13(木) 19:10:24.82 ID:ilciAN4+o
すみません寝落ちしました


青バンダナ「……邪気は感じないけどさ、魔物じゃないよね?」

炎魔「まさか!では、私の炎に触れてみてくださいよ!」

青バンダナ「え、怖いんだけど……ひょわぁ!?」


炎魔は炎を広げ、青バンダナの彼女にそれを食らわせた
だが、当然火傷はなく、ぽかぽかと暖かいだけだった
744 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/14(金) 02:02:20.40 ID:20qEP7lFo
赤マフラー「な、大丈夫そうだろ?」

青バンダナ「……ふんっ」


彼女は顔を真っ赤にしてそっぽを向く


怪盗「ふふ、なんでしたら、地図を見せてくれたお礼に、あなた方を少し手伝っても構いませんよ?」

赤マフラー「そりゃ悪いぜ……良心が咎めるってもんだ」
745 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/14(金) 02:04:27.32 ID:20qEP7lFo
本日はここまでです
ありがとうございました
746 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/14(金) 19:48:10.48 ID:20qEP7lFo
狙撃少女「あなた方は、革命軍なんですよね?」

赤マフラー「まぁな」

男「どうやら国王軍と争っているらしい……ということは聞いた」

青バンダナ「そうね」

中華「どうしてこんなことになってしまったんだい?まさに決戦前夜って感じだけれど……」

青バンダナ「>>下1」
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/14(金) 19:54:20.48 ID:akZ/ScvG0
…国王が、この国の『魔神』の復活を突然宣言したのが原因よ。その所為で王子たち含む側近も離れてしまったわ
748 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/15(土) 02:06:06.19 ID:uF0CXLPjo
青バンダナ「…国王が、この国の『魔神』の復活を突然宣言したのが原因よ。その所為で王子たち含む側近も離れてしまったわ」

氷魔「……魔神を……!?」

赤マフラー「知ってるのか?」

やる気「まぁ、そこそこ因縁が……」


その魔神の性質や強さにもよるが、
国家存亡の危機と呼んでもよい状態である


ぶりっ子「……でもでも、そんなことしたら戦ってくれる兵士も残らないんじゃないですかぁ?」
749 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/15(土) 02:08:34.70 ID:uF0CXLPjo
青バンダナ「ええ、かなり減ったわ」

怪盗「なら、簡単に攻め落とせそうですね」

赤マフラー「そう上手くことは運ばなかった。宗主国たる帝国が……国王のやり方を支持したんだ」

狙撃少女「なるほど……となると、国王軍の兵士は帝国の増援ってことですね?」

青バンダナ「そうね、半分くらいはそうだと思うわよ」
750 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/15(土) 02:53:12.08 ID:uF0CXLPjo
本日はここまでです
ありがとうございました
751 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/15(土) 19:27:30.09 ID:uF0CXLPjo
狙撃少女「いずれにせよ、物量差で勝てそうなものですが……」

赤マフラー「帝国の兵たちは、まっすぐに、一方向からやってきたわけじゃない」

青バンダナ「革命軍たちが集まっている村や街を襲撃しながら王都を目指したの。突然のことだったから、みんな対応できなかったわ」


国王に着いた者たちは、
みな元から役職や身分のある者たちだった
つまりその素性も明らかであるが、
革命軍は民間からの寄せ集めがほとんどであり、
内部に情報を漏らしているスパイがいても、
その特定が困難であるという弱点を抱えているのだ
752 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/16(日) 03:03:02.27 ID:3V+HzeiQo
炎魔「なんてことでしょう……」

赤マフラー「ま、そういうわけで……長期戦は不利だ。ここらで一気に畳み掛けなきゃいかんってこと」

青バンダナ「……失敗しても、私たちは戦い続けるけどね」


様々な場所と戦争したり、
果ては国内の内乱にまで兵を出せる帝国
そのからくりについては、ほとんどの者が知らない
だが、一行は妖精の領域における一件を経て、
その理由について理解していた
753 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/16(日) 03:33:39.74 ID:3V+HzeiQo
本日はここまでです
ありがとうございました
754 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/16(日) 19:25:09.27 ID:Jr5fradIO
男「すごく手伝いたいが……すごく手伝いたいが……!」

中華「僕たち、帰らなきゃいけないし……」

青バンダナ「手伝うって……あんたら、強いの?」

氷魔「……その点は……謙遜すると……失礼になる程度には……」

赤マフラー「おお、そりゃすげぇな!」
755 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/17(月) 03:25:55.48 ID:JA/a1drSo
やる気「うーん……」

ぶりっ子「でもぉ、ここの国王は要するに帝国とがっちり繋がってるってことですよねぇ?」

青バンダナ「ええ、魔神復活の方針についても、なにかしら寄与しているとの噂よ」

ぶりっ子「だったら、立場的には問題ないんじゃないですかぁ?」


そう言って、彼女は男の方を見た


男「……まぁな。市長だったらどう言うか、それは分からないが」
756 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/17(月) 03:32:42.71 ID:JA/a1drSo
本日はここまでです
ありがとうございました
757 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/17(月) 19:54:20.55 ID:JA/a1drSo
ここで行くか、あるいは帰投を目指すかは、
それぞれのメンバーの中でも意見が割れる、
悩ましい議題であった


怪盗「魔神が本当に復活して、帝国に味方したら……と考えると、ここで止めるべきだとは思いますが」

狙撃少女「どうしましょうか……」


>>下1……革命軍の味方をして帝国領内に残るか、一旦図書館の街に戻るか
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/17(月) 20:12:00.79 ID:Fc789INJ0
帝国領内に残る
759 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/18(火) 02:15:53.30 ID:rTJViH7ho
相談をした結果、一行は帝国領内に残って、
革命軍の味方をすることにした


炎魔「そういうわけで、私たちは味方するんで!よろしくお願いしますね!」

赤マフラー「おう!」

青バンダナ「……はぁ。しょうがないわね」


彼女は疑念が拭えていないが、
しかしそれでも一行を信じることにした
760 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/18(火) 03:17:49.98 ID:rTJViH7ho
本日はここまでです
ありがとうございました
761 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/18(火) 19:29:12.67 ID:rTJViH7ho
そして、一行は指令部の築城に協力することになった
野営には慣れているし、
教団の信徒たちと建造にも取り組んだことがあるため、難なくそれをこなすことができた


男「ふー……もう寝るか?」

中華「水浴びしたい……贅沢を言えば、風呂に入りたい……」

氷魔「……確かに……そうですね……」
762 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/19(水) 01:58:06.00 ID:NBYjXeS9o
青バンダナ「近くに川があるわ。もう夜も遅いけれど……」

中華「しょうがない、冷えるだろうけど、入るしかないかな……」


彼がそう述べた瞬間、男は背中に違和感を覚えた
背負っている青銅の箱が蠢いているのだ
えずき、吐き出すかのように震え、
そこからドラム缶が吐き出された


男「……ドラム缶!?」
763 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/19(水) 03:13:42.69 ID:NBYjXeS9o
本日はここまでです
ありがとうございました
764 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/19(水) 19:47:11.32 ID:NBYjXeS9o
やる気「ドラ……なんすか?」

男「ああいや……ええと……俺の出身地方ではそう呼ぶんだよな」

ぶりっ子「全然見たことないですがぁ……コレ、なにでできてるんでしょう?」


周りの人々の反応を確認し、
男はこの世界にドラム缶がないことを悟った


男「金属だ。……それより!朗報だぞ中華!こいつで身を清めよう!」
765 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/20(木) 02:11:25.05 ID:INK1V4tFo
中華「え?」

男「こいつに水を入れ、温めるんだ。そこに入れば、全身ぽかぽかだ!」

怪盗「なるほど……」

狙撃少女「……これ、金属なんですよね?」


彼女はがんがんと、手の甲でドラム缶を叩いた


男「そうだな」

狙撃少女「……温めたら、すごい熱湯にならないですか?」
766 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/20(木) 02:26:35.83 ID:INK1V4tFo
本日はここまでです
ありがとうございました
767 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/20(木) 19:10:05.73 ID:INK1V4tFo
男「実はそうだ……が、死ぬほどじゃない。人間が入るサイズの安全な容器は、ここにはもうこれしかないわけだし……」

炎魔「私なら、延焼を気にせず温められますよ!」

中華「なんだか、最近炎魔に仕事をさせ過ぎているような……」

炎魔「恩返しだと思ってください!さぁ、水を汲みにいきましょう!」


そんなこんなで、
一行はドラム缶風呂で入浴することになった
設営のためにやってきている反乱軍たちもまた、
交代で入浴することになった
768 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/20(木) 19:13:12.38 ID:INK1V4tFo
そして、夜が明けるまで交代で見張りをすることになった
少なくない数の反乱軍が設営に参加していたが、
それでも一行のうち何人かは見張りをやると主張した


狙撃少女「………………」


そして、狙撃少女もその一人であった
彼女は夜の草原を丘から眺め、
静かに武器の手入れをしていた
時折なにかにインスピレーションを得ては、メモに小説のネタとして記してもいた


>>下1……見張り中になにか起こったか
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/20(木) 19:47:07.67 ID:wmqZPB9Q0
鎧武者たちが
奇襲をかけた
770 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/21(金) 02:31:59.60 ID:yvjlEaYko
狙撃少女「あれは……?」


彼女は暗闇の中に動く影を見つけた
一行のように集落を経由して、
和風の鎧を身につけた者たちが迫ってきていた


狙撃少女「皆さん、敵です」


こちらが敵に気付いている、ということを悟られないため、狙撃少女はあまり騒がずに仲間たちを起こしにいった
771 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/21(金) 02:35:00.99 ID:yvjlEaYko
本日はここまでです
ありがとうございました
772 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/21(金) 18:49:07.23 ID:yvjlEaYko
すぐに仲間たちは起き、戦闘に備えた
そして、狙撃少女は鎧武者たちの来ている方向についても伝えた


炎魔「よし、戦いますよ……!」

ぶりっ子「ダメです。炎魔さんは寝ててください」

炎魔「え、なんでですか?」

ぶりっ子「お風呂のために、ずっと起きて温め続けてたじゃないですかぁ。戦ってるときは当然お風呂には入れないですから今のうちに寝てください」
773 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/22(土) 03:06:21.59 ID:c6TVTf3jo
炎魔「私だって戦いたいです!」

ぶりっ子「狙撃少女ちゃんによれば、敵は人間です。炎魔さんじゃあまり有効じゃない可能性が高いので……やっぱり、寝てて欲しいんですよぉ」

炎魔「……分かりました」


実際、彼女も相当疲れていた
湯加減の調整をしなければならないとき以外は寝ていたが、細切れに睡眠をするのであまり意味がなかったのだ


男「悪いな、せめてゆっくり休んでくれ……」
774 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/22(土) 03:33:52.01 ID:c6TVTf3jo
本日はここまでです
ありがとうございました
775 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/22(土) 19:01:42.49 ID:c6TVTf3jo
丘の地形は崖のようにもなっていて、
勾配の関係で南、西、北からは上っていくことができるが、
東はほぼ垂直で、そこが崖なのだ


革命軍A「例のものを使うぞ!」

革命軍B「ああ、スタンバイしておいた!」


彼らはいくつかの小瓶を持って、
設営された司令部から出てきた
776 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/22(土) 23:56:58.72 ID:c6TVTf3jo
鎧武者たちが丘を上ってくるのを見計らい、
革命軍はそれを丘に向かって投げつけた


氷魔「……縮小魔法……ですか……!」


魔法によって縮められていた小瓶は、
破壊に際して水瓶ほどのサイズに戻った
それとともに粘液が迸り、一気に丘を駆け下りていく


中華「なるほど……」
777 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/23(日) 02:30:55.25 ID:WKGhm41Fo
本日はここまでです
ありがとうございました
778 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/23(日) 18:05:58.24 ID:WKGhm41Fo
すると、それに足を取られて鎧武者たちは転倒する
そこに向かって、革命軍たちは岩を投げつけたり、
矢を射かけたり、魔法で攻撃したりもした


狙撃少女「一網打尽ですね!」


そして、彼女もまた攻撃に参加した
狙い放題の状態なので、
これほど楽しい攻勢もないだろう
779 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/23(日) 18:08:15.04 ID:WKGhm41Fo
しばらく攻撃していると、鎧武者たちは逃げていった
かなりの数の兵が戦闘不能になっており、
革命軍たちは戦果に色めき立った


男「……なんだ?」


だが、喧騒の中に男は異音を聞いた
しかし、丘を見下ろしても敵はいない
空を見上げても三日月があるだけだ


鎧武者「はあぁぁぁーーっ!!」

やる気「な、なにぃっ!?」
780 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/23(日) 18:11:50.28 ID:WKGhm41Fo
なんと、鎧武者の中には崖のようになっている丘の側面を上ってきた者が数名いたのだ
完全に油断していた革命軍たちは、
数人が思い切り鎧武者の斬撃を受けてしまった


赤マフラー「まずい!」


彼は素早く飛び出すと、
徒手空拳だけで鎧武者を一人制圧した


ぶりっ子「ええいっ!」


そして、ぶりっ子も斬りかかられそうになっている革命軍をかばい、剣で刀を受け止めた
混戦が始まろうとする最中、
赤マフラーは拳で鎧武者の鎧を砕いた


>>下1……鎧武者の中身
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/24(月) 05:36:43.66 ID:yvgdHhcP0
獣人のハーフ
782 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/24(月) 19:51:30.41 ID:GvMxuoKMo
獣人ハーフ「ぐぶっ!」


中にいたのは、獣人と人とのハーフだった
顔立ちは完全に人間だが、
耳は人間よりも上についており、
牙や爪は素早く長く伸びる
獣人の血が濃ければ、
毛皮を身につけていることもあるだろう


赤マフラー「獣人?いや、違う。ハーフか……」


鎧が耐えられないほどの威力で殴られた彼は、
思わず血反吐を吐いてしまった
783 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/25(火) 02:04:54.59 ID:4KKlDi/+o
崖を登ってきた者たちはそこまで多くなかったので、
革命軍はどうにかそれを制圧することができた


怪盗「はぁ、はぁ……中身って、獣人とのハーフの方々だったんですね」

狙撃少女「妙に筋力が高かったのも納得です」


彼らは縄で縛られ、丘の隅に転がされていた
784 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/25(火) 03:57:57.08 ID:4KKlDi/+o
本日はここまでです
ありがとうございました
785 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/25(火) 19:15:59.29 ID:4KKlDi/+o
男「……で、取り調べか?」


彼はそのうちの一人の前に座った


青バンダナ「無駄よ。こいつらは私たちの言葉が分からないから」

男「そうなのか?」

青バンダナ「帝国じゃ、ハーフは地位が低いのよ……まともな教育は受けられないし、彼ら独自の言葉はあまりにも私たちのものと違うの」
786 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/26(水) 00:50:20.12 ID:bpKmIfmJo
男「そういうことなら、俺に任せてくれ」

赤マフラー「どういうことだ?」

男「言語を話してくれるなら、俺はなにを言ってるのか分かるからな」

青バンダナ「……?」

中華「まぁ、そういう能力があるんだよね。原理はよく分からないんだけど」


と、中華は二人に説明した
787 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/26(水) 01:31:18.86 ID:bpKmIfmJo
本日はここまでです
ありがとうございました
788 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/26(水) 18:43:20.88 ID:bpKmIfmJo
そして、男は倒れている一人のハーフに話しかけた
彼女は女性で、梟の獣人とのハーフだ
目が常に据わっていて、もこもこの毛皮を持っている
しかし、翼はないようだった


男「こんばんは、聞こえているかな?」

梟ハーフ「……私たちの言葉が、分かるの?」

男「そう思ってもらって構わない」
789 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/26(水) 18:46:25.84 ID:bpKmIfmJo
男は意味の通った言葉として彼女の発話を聞けるが、
それと同時に副音声のように獣人ハーフの言葉の発音も聞こえていた


梟ハーフ「ここらの人でもなさそうなのに……」

男「質問があるんだが……君たちはこの国では地位が低いんだろう?なぜ体制派と敵対する革命軍を攻撃したんだ?」

梟ハーフ「>>下1」
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/26(水) 20:26:38.71 ID:Ky0pqFWr0
国王に『原初の火山』に行くには魔神の存在が必要だから協力しろと言われている。

どうせ地位の低い身なら『故郷』で余生を過ごした…
791 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/27(木) 01:58:21.88 ID:8aGQKt38o
梟ハーフ「国王に『原初の火山』に行くには魔神の存在が必要だから協力しろと言われている。」

男「原初の火山?みんな、分かるか?」


振り向いて、男はそう聞いた


氷魔「……いえ……寡聞にして……」

青バンダナ「私も知らないわ」


梟ハーフ「どうせ地位の低い身なら『故郷』で余生を過ごした…」
792 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/27(木) 01:59:24.41 ID:8aGQKt38o
本日はここまでです
ありがとうございました
793 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/27(木) 19:22:20.11 ID:8aGQKt38o
そう言いかけた瞬間、
一行はなにか強烈な魔翌力が迸るのを感じた


氷魔「危ないっ!」


彼女は素早く魔法を詠唱すると、
梟ハーフの女性を一瞬にして凍結させた


やる気「な……なんすか?今の」

氷魔「……火……風……光の複合魔法です……」

ぶりっ子「……つまり?」

氷魔「……爆破……ということです……」
794 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/28(金) 01:41:47.35 ID:h5itBI1Ro
怪盗「そんな!まさか……!」

氷魔「……恐らく……彼女らには……条件を満たすと爆発する術式が仕込まれています……」

狙撃少女「なんてことを……!」


男はそれを聞いて周りを見渡した
他のハーフたちに爆発の兆候はない
そして、氷魔の言葉は彼らには聞こえていない
幸か不幸か、彼らは自分が突然死するリスクを抱えていることに気付いていないようだ


中華「こういう風に、氷漬けにすれば止められるの?」

氷魔「……ええ……しかし……短時間にそう何度もとは……いきません……同時に大量に……というのも厳しいかと……」
795 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/28(金) 01:55:44.56 ID:h5itBI1Ro
本日はここまでです
ありがとうございました
796 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/28(金) 19:56:14.92 ID:h5itBI1Ro
やる気「解凍していいんすか?」

氷魔「……ええ……」


一行は炎魔法で炙り、梟ハーフの氷を溶かした


男「……すまない。魔翌力の反応を感じたので凍結させた」

梟ハーフ「死ぬかと思ったよ……」

男「キミには、協力してもらいたいことがある。これはキミの仲間たちにも関わることだ。脅すようで悪いが、どうか頼む」

梟ハーフ「くっ……」
797 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/29(土) 02:34:55.90 ID:2EKh/x56o
男と氷魔は、彼女を連れて拠点の裏手に回った


氷魔「……すみませんね……こっそり話すことになって……」

梟ハーフ「私に、なにをする気だ……?」

男「教えなければならないことがあるんだ。どうか落ち着いて聞いてくれ……」


そして、男は獣人ハーフたちには、
爆破の術式が仕込まれていることを告げた
798 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/29(土) 02:59:55.30 ID:2EKh/x56o
本日はここまでです
ありがとうございました
799 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/29(土) 19:17:42.68 ID:2EKh/x56o
梟ハーフ「な、なに……!?」

男「一番の問題は、起爆の条件が分かっていないことだ」

氷魔「……しかし……あなた本人ならなにか分かるかもしれない……そう思っています……」


術式を仕掛けられるからには、
なにかタイミングやきっかけがあるはずだ
そう二人は考えていた


男「なにか、心当たりはないか?術式が起動してしまう条件や、仕込まれたタイミングについて……」

梟ハーフ「>>下1」
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/29(土) 19:28:25.33 ID:0ouIZMbS0
「聖女」から加護をもらっていたがまさか⋯⋯
801 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/30(日) 03:08:18.39 ID:pPngSkgpo
梟ハーフ「「聖女」から加護をもらっていたがまさか?? 」

氷魔「……『聖女』……?」


聞きなれない名に、彼女は聞き返す


梟ハーフ「聖別と称して、全員に加護を与えていく時間があった」

男「確かに怪しいな……まとめてかけられたのか?」

梟ハーフ「一人ずつだ。体のどこかを触られたな」
802 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/30(日) 04:43:09.88 ID:pPngSkgpo
本日はここまでです
ありがとうございました
803 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/30(日) 18:34:01.30 ID:pPngSkgpo
氷魔「……差し支えなければ……場所を……教えていただけますか……?」

梟ハーフ「首の後ろだよ」

男「確認してみようか」


二人は彼女の後ろに回り、
後頭部から肩甲骨にかけてを観察した


氷魔「……よく……分かりませんね……」

男「ああ」
804 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/31(月) 03:43:13.97 ID:MhudIuv5o
そこは特に毛皮が厚くなっていて、
軽く触ってもよく分からなかったのだ


梟ハーフ「では、違うのか?聖女は関係ないと……」

男「いや、逆だろう」

梟ハーフ「どういうこと?」

男「キミたちが獣人ハーフだからこそ、毛深くて目立ちづらい場所に術式を仕掛けたんだろう……と思っている」

氷魔「……確かめる必要がありますね……」
805 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/31(月) 03:45:39.85 ID:MhudIuv5o
梟ハーフ「そうだな、私のものはもう発動してしまったんだろう?」

男「あぁ……誰か一人、向こうから連れてきてくれないか?信頼のおける者で構わないから」


そう言って、男は彼女の拘束を完全に解いた


梟ハーフ「……いいのか?」

男「俺たちはキミたちのために行動しているつもりだ。キミは……それに仇で返すほど不義理なやつには見えないからね」
806 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/31(月) 03:54:44.55 ID:MhudIuv5o
本日はここまでです
ありがとうございました
807 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/31(月) 18:25:32.04 ID:MhudIuv5o
梟ハーフ「丘を上る仲間を、こっぴどく打ちのめしておいてよく言えるものだ」

男「立場ってものがあるからな」

梟ハーフ「ふん……」


彼女はそう言って、獣人ハーフたちが並べられている場所まで向かった
しばらくして、一人の獣人ハーフを連れて二人の元へ戻ってきた


氷魔「……戻ってきてくれて……ありがとうございます……」

梟ハーフ「連れてきた」


>>下1……梟ハーフが連れてきたのはどんな獣人ハーフだったか
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/08/31(月) 19:27:16.19 ID:zggDwF5X0
モグラ型の獣人のハーフ
809 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/31(月) 22:54:22.31 ID:MhudIuv5o
彼女が連れてきたのは、モグラ獣人とのハーフだった
人間と異なるのは、土気色の肌とその手の鉤爪だけだ


土竜ハーフ「……ども」

男「よく来てくれた。事情は聞かされたか?」

土竜ハーフ「え、よくわかんないっすけど」

氷魔「……なら……それでいいです……」
810 : ◆cUhskXlNTw :2026/08/31(月) 22:56:18.37 ID:MhudIuv5o
男「キミは、どこを触られたんだ?」

梟ハーフ「それは聞いておいた。頭だそうだ」

氷魔「……分かりました……頭を……見せてくださいますか……?」

土竜ハーフ「拒否権とか、ないだろ……?」


彼は嫌そうながらも、頭頂部を二人に向けた


男「これは……」
811 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/01(火) 18:55:10.81 ID:j6cw32gho
すみません寝落ちしました


そこには、小さいが紋様が浮かんでいた
魔法陣のような雰囲気で、
よくもまぁこれだけの小さい場所に複雑な紋様を書けるものだ、と男は思った


氷魔「……ありますね……」

男「特定には成功したな。どうにかなりそうか?」

氷魔「……恐らくは……大丈夫かと……」

土竜ハーフ「な、なんの話してんだよ……?」
812 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/02(水) 03:26:59.92 ID:DxVyPF3Go
男「氷魔、頼めるか?」

氷魔「……はい……ていっ……!」


彼女は魔翌力を込めて、頭頂部を軽く叩いた
花弁のような形の氷が紋様のあった場所に形成され、
すぐに砕け散った


土竜ハーフ「な、なんだよ!?なんか冷えてる!?」

梟ハーフ「慌てるな、もう処置は終わった」
813 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/02(水) 03:27:26.55 ID:DxVyPF3Go
本日はここまでです
ありがとうございました
814 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/02(水) 18:59:57.24 ID:DxVyPF3Go
三人は、土竜ハーフに事情を説明した


土竜ハーフ「ええっ!?」

男「慌ててみんなに触れ回らないでくれよ?パニックが起こるからな」

土竜ハーフ「あ、あぁ……」

梟ハーフ「しかし、あの術式……よくこんな簡単に解けるものだな」


彼女はまだ少し疑っているようだった


氷魔「……『バレないように素早くつけること』……『特定条件下で発動すること』……『極限まで小型化すること』……これらの要件を実現するための対価は……それ以外の利便性すべてといっていいでしょう……」
815 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/02(水) 23:27:46.24 ID:DxVyPF3Go
男「脆かった、というわけか」

氷魔「……はい……対極の……氷魔法で刺激すれば……暴発すらせずに……砕けるほどには……」

梟ハーフ「そういうものか」


あまり魔法には明るくないようで、
氷魔の説明を彼女は受け入れることにしたようだ


土竜ハーフ「みんなも呼んできたほうがいいよな、これ?」
816 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/03(木) 02:01:48.22 ID:yRSLSJlpo
男「問題は、氷魔の残り魔翌力だが……」

氷魔「……問題……ありません……相当疲れますが……」

梟ハーフ「……なら、一人ずつ連れてこよう」


そうして、獣人ハーフの二人は、
事情を隠したまま仲間を一人一人氷魔の元へ移動させ、
彼女はそれに応えてしっかりと解呪を行った
全てが終わる頃には、曙光が差していた
817 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/03(木) 19:13:52.23 ID:yRSLSJlpo
すみません寝落ちしました


見張りをしたり、湯沸かしをしたり、解呪をしたり、
様々なことを行ったため、
一行は翌朝の時点でかなり疲労していた


赤マフラー「よし、ギルドのみんなは休んでいてくれ」

中華「でも……」

青バンダナ「あなたたち、ボロボロすぎよ!そんな状態で加勢されても困るわ!」

赤マフラー「……言い方はアレだが、こいつも心配してくれているんだ」
818 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/04(金) 05:21:07.51 ID:mNYWhRUDo
赤マフラー「それに、戦いは攻城戦だ。こちらが優位に立てたとしても、すぐに終わりはしない」

やる気「……つまり、援軍として戦うってことっすね?」

赤マフラー「そのつもりだ。……巻き込みたくはなかったが」


だが、使えるものはなんでも使わなければならない
革命軍はいつでも背水の陣なのである
819 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/04(金) 05:25:57.35 ID:mNYWhRUDo
本日はここまでです
ありがとうございました
820 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/04(金) 18:26:32.21 ID:mNYWhRUDo
青バンダナ「想定外に戦力が増えたのは、あなたたちのお陰、感謝してるわ」


彼女はそう言って獣人ハーフたちを見た
自分たちが捨て駒として扱われていることを知った彼らは、革命軍に加わることを決めたのだった


ぶりっ子「……じゃあ、お言葉に甘えましょうかぁ」

赤マフラー「ああ、頼むよ」
821 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/05(土) 04:18:22.78 ID:DAT+pF1Yo
そして、一行は拠点に備えつけられていた仮眠所で眠ることになった
その間、集まった革命軍の大部分は王城を目指し、
青バンダナを含む十数人だけが拠点に戻った


怪盗「……んっ……」


そして、夕方ごろに彼女は目覚めた
余程の寝相に心配されたのか、
その隣で眠っていた炎魔は縄で寝床に固定されていた
822 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/05(土) 04:31:48.23 ID:DAT+pF1Yo
本日はここまでです
ありがとうございました
823 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/05(土) 19:20:38.31 ID:DAT+pF1Yo
狙撃少女「お目覚めですか」

怪盗「そうですね……やっぱり、昼に寝るのはなんか落ち着かないなぁ」


二人が起きて口を濯いだりしているうちに、
他のメンバーも起きてきた


炎魔「よし、早速行動ですよ!」

男「そうだな、だがまずは状況を整理しよう」
824 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/05(土) 19:22:41.56 ID:DAT+pF1Yo
一行は拠点の中を移動し、
地図の置かれた仮設会議室に赴いた


中華「起きました」

青バンダナ「そう。まぁ寝たと言っていい時間は寝たみたいね」

氷魔「……今の戦況を……教えてください……」

青バンダナ「>>下1」
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/09/05(土) 19:29:33.54 ID:hkQLiuHr0
致命的に不利というわけでは無いが防衛に力を入れざる得ず、中々攻勢に踏み込めないのが現状だ
826 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/05(土) 20:26:13.07 ID:DAT+pF1Yo
青バンダナ「致命的に不利というわけでは無いが防衛に力を入れざる得ず、中々攻勢に踏み込めないのが現状だ」

やる気「ふむ……まさに活躍し時っすね?」

ぶりっ子「私たちが戦場のカンフル剤になりますよぉ」

青バンダナ「……あなたたちは、本当に戦いを恐れていないのね」


その声には、複雑な感情が滲んでいた
少なくとも、彼女は戦いを恐れているようだった


怪盗「慣れただけです」
827 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/06(日) 04:00:50.61 ID:8ShnUSC6o
本日はここまでです
ありがとうございました
828 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/06(日) 18:59:52.21 ID:8ShnUSC6o
狙撃少女「それで、私たちにはどう動いてほしいんですか?」

青バンダナ「そうね……橋に向かってもらおうかな」


彼女は地図の一点を指差した
王城へと向かう最短経路ではなく、
ややそれた大回りなルートの中にそれはあった


炎魔「なんでですか?」

青バンダナ「最短経路の兵力は、はっきり言って拮抗してる。なんなら、兵力をさらに追加すれば押しきれるわ」
829 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/06(日) 19:09:21.94 ID:8ShnUSC6o
男「でも、プールさせてる兵力を使うことになる……ということか」

青バンダナ「そう。もしどこかの戦局が傾いたとき、拠点の防衛に回せる人手がなくなってしまう」

中華「僕らが橋で勝てば、無理をせずとも最短経路の兵力を増やせるということだね」

青バンダナ「ええ、お互いに一番兵力を注いでいないのがここだから……実力者が突入すれば、容易にひっくり返せるはず」


最短経路に一行を突入させ、
大戦果を狙うのではなく、
確実に優位な戦場を確保してから、
その有利を他の戦場に還元する
堅実でチームゲームらしい戦術だった
830 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/07(月) 02:28:53.53 ID:rVvND5z4o
本日はここまでです
ありがとうございました
831 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/07(月) 18:55:01.00 ID:rVvND5z4o
氷魔「……では……行きましょうか……」

青バンダナ「お願いするわ。徒歩になっちゃうけれど……」

やる気「まさか人数分の早馬を用意できるなんて思っちゃいないっすよ。さ、出発っす!」


一行は小さな地図を貰い、目的地に向かって旅立った


ぶりっ子「ちょ、みなさん!?」


一行は誰もが平然と丘を飛び降りるため、
唯一そうしなかったぶりっ子は驚愕した
832 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/08(火) 03:25:55.59 ID:0ofLDc/9o
炎魔「ほら、掴まってください」

ぶりっ子「は、はいぃ」


彼女は炎魔の脚に掴まり、
パラグライダーのようにして丘の下まで降りた
そして、一行は小走りで移動を始めた


怪盗「内乱ほど無益なものはありません!さっさと終わらせましょう!」

狙撃少女「そうですね……かつて共に過ごしていた子たちの中にも、自国の内乱で身寄りをなくした子がおりました」
833 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/08(火) 05:22:58.70 ID:0ofLDc/9o
本日はここまでです
ありがとうございました
834 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/08(火) 18:52:03.20 ID:0ofLDc/9o
一行が橋にたどり着く頃には、夜になっていた
夜中というわけでもないが、暗闇だ
橋の入り口には簡易的なバリケードが作られており、
付近には革命軍の兵士たちが待機していた


炎魔「援軍に来ました」

革命軍A「そうですか、ありがたい……!」

男「まだ決着はついていないようだが、敵などんなものだ?数とか、兵士のタイプとか……」

革命軍A「>>下1」
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/09/08(火) 23:00:31.74 ID:9hCy37Rto
巨大な装甲を纏った兵を盾にして圧力をかけてきている
836 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/09(水) 04:40:14.28 ID:qAFQKonxo
革命軍A「巨大な装甲を纏った兵を盾にして圧力をかけてきている」

中華「なるほど……」

氷魔「……しかし……攻め……という感じではなさそうですね……」

革命軍A「あぁ、だが突破口を見つけなければ、いずれは……」

やる気「なら、俺っちらで切り開くっすよ!」
837 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/09(水) 04:42:45.74 ID:qAFQKonxo
本日はここまでです
ありがとうございました
838 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/09(水) 19:30:57.11 ID:qAFQKonxo
ぶりっ子「ここは作戦を立てましょう。守りをぶち抜く一手を……」

男「どれだけ守りが硬くとも、自然の力には無力だ。海神様の力を借りて、一挙に押し流そう」


そこには川があるため、海ではないが、水なら使えるだろうと彼は考えていた


やる気「海神様の力を使うとみんな……特に男がかなり疲弊するっす。戦いはここで終わりじゃないっすよ」

怪盗「それもそうですが、ではどうします?」
839 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/09(水) 19:37:47.73 ID:qAFQKonxo
やる気「一気に奇襲するっす!夜なら、俺っちらの魔王の力が強く使えるっすから、守りを固める前に落とすっすよ!」

氷魔「……そこまでせずとも……橋の表面を凍らせれば……巨大な装甲を持つ者は……滑ってしまうでしょう……守りは突破できます……」

怪盗「私、スニーキングミッションがしたいです!橋の裏側に張りついて敵陣に潜入、装備や食糧を使い物になりなくしてやりますよ!」

狙撃少女「夜の闇に紛れて敵を狙撃すれば、確実に数を減らし、兵力で守りも突破できるはずです……」

炎魔「み、みなさんすごい作戦を持ってますね……」


炎魔はあまりの血の気の多さに少し引いている
それから一行は話し合い、作戦を決めた


>>下1……一行の作戦(複数選択可)

1.海神に頼る
2.魔王の力で夜のうちに制圧
3.橋を凍らせて重装備を無効化
4.怪盗のスニーキングミッション
5.狙撃少女による狙撃
6.自由安価
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/09/09(水) 20:16:23.97 ID:k0qVl+yK0
3 5
841 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/10(木) 00:38:23.11 ID:gYwaLEMno
使用するリソースと、
リスクを鑑みて一行は作戦を決定した


中華「氷魔に橋を凍らせてもらって、戦況を膠着させながら、狙撃少女に撃ってもらおう」

男「夜目は利くか?」

狙撃少女「任せてください」


彼女は胸に手を当て、決意を込めた視線を男に向けた
842 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/10(木) 03:40:35.06 ID:gYwaLEMno
本日はここまでです
ありがとうございました
843 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/10(木) 18:28:18.04 ID:gYwaLEMno
それから一行は、橋にいる兵たちに作戦を伝えた


革命軍A「なるほど……つまり、堅実に押し込んでいく攻めをすればいいんだな」

革命軍B「戦略か……一昨日までただの農民だった俺が考えるには難しすぎる」


その言葉を聞いて、男たちは気付いた
赤マフラーや青バンダナのような、
指揮官の役割を果たせる人間が、
まだここにはいないのだと
844 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/11(金) 04:11:17.89 ID:gn5UNVeUo
氷魔「……作戦は……指針にはなっても……拠り所にはなりえません……」

やる気「カリスマが必要、ってことっすね」

男「あるいは、強烈なイデオロギーだな……」


そう話していると、中華が声を上げた


中華「僕に任せてほしい」

ぶりっ子「やれるんですかぁ?」
845 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/11(金) 04:18:03.57 ID:gn5UNVeUo
本日はここまでです
ありがとうございました
846 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/11(金) 20:04:00.40 ID:gn5UNVeUo
すみません遅れました


中華「僕には救世主の資格があるからね」

怪盗「あぁ、そういえば……」

中華「……あんまりそれらしいことしないから、忘れられがちだね」


中華は少し悲しそうな顔をした


狙撃少女「なんかごめんなさい……」
847 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/12(土) 03:33:18.65 ID:r3yazLRPo
中華「いいのさ、これから僕が力を示せばいいだけだからね」


彼はそう言うと、改めて兵士たちを集めて作戦を伝え始めた
ただ一行がばらばらに話すよりは、
少なくともよく聞いてくれているように誰もが感じた


炎魔「さぁ、そろそろですね」


夜のうちに動くため、準備は急いで進められた
あとは橋の入り口に張ったバリケードをどかすだけである
848 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/12(土) 19:31:09.40 ID:r3yazLRPo
すみません寝落ちしました


中華「バリケードをどかすと同時に作戦開始。みんな備えてね」


兵たちは口々に了解した旨を告げる


中華「3……2……1……今だ!」


力自慢の者たちが一気にバリケードをどかす


氷魔「……極大氷魔法……っ……!!」
849 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/13(日) 02:20:37.36 ID:4vWEvekto
石橋は勢いよく凍りつく
橋の上で寝ずの番をしていた帝国の兵たちは、
そのまま足と橋とが氷で接着されてしまった


中華「突撃ー!!」


そして、スケートの要領で革命軍の兵たちが橋の向こう側へと突撃していく
帝国の冬は厳しく、そこで農民として暮らしていた彼らは氷の上をバランスよく滑ることもできた
逆に言えば、ほぼ正規軍の集まりである帝国側は氷に足を取られる
850 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/13(日) 02:34:10.05 ID:4vWEvekto
だが、勿論戦術に関しては帝国軍に優があることは言わずもがなだ
次々に橋の向こうからやってくる彼らはファランクスのように身を固め、転倒しないようにしつつ革命軍の突撃に押し込まれないよう耐えている


狙撃少女「……完璧ですね。こうも固まってくれるとは」


夜空に、二つの紅い光が煌めいた
851 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/13(日) 02:39:40.10 ID:4vWEvekto
本日はここまでです
ありがとうございました
852 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/13(日) 20:15:49.23 ID:4vWEvekto
すみません遅れました


炎魔「どうぞ」

狙撃少女「そこですっ!」


その一つの光はマズルフラッシュであった
橋の向こう側にいる、
特徴的な帽子を被った男性を撃ち抜く
恐らく指揮官であろうという読みからだった
耳をつんざく銃声に誰もが一瞬固まる
853 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/14(月) 03:30:01.98 ID:UmZPC+Dao
もう一つの光は、炎魔本人だ
夜空に煌々と不死鳥の炎が照っている
炎魔が狙撃少女を空中へ持ち上げ、
彼女が射撃を行うのである


狙撃少女「ライフルはもう使いました。ここからはパチンコでいきますよ」

炎魔「投下します!」

怪盗「了解!」


狙撃少女は重荷となっていたライフルを地面に向かって落とすと、怪盗が落下地点に素早く飛び込んで回収した
854 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/14(月) 03:37:30.90 ID:UmZPC+Dao
本日はここまでです
ありがとうございました
855 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/14(月) 20:00:21.00 ID:UmZPC+Dao
橋の上で塊になった両陣営が押し合う展開となった
しかし、それは狙撃少女による狙いをつけやすくする効果がある
彼女は上空から次々にパチンコを発射し
帝国兵たちを倒していくのだった


中華「もう少しだ!もう少しで押しきれる!」

やる気「よっしゃあ!押し込むっすよ!」

男「おらぁっ!」
856 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/15(火) 03:25:41.36 ID:oMm75qfIo
狙撃少女「魔法、来ます!」

炎魔「じゃあ動くよ!」



戦局を明確に傾けているのは狙撃少女だった
帝国側もそれを理解しているため、
橋の後方で待機していた魔法使いは革命軍の一般兵ではなく彼女らを狙うことにしたようだ


狙撃少女「お願いします!」


炎球や風の刃が次々飛んでいくが、
炎魔も飛び方をしっかりと練習したようで、
乱暴な動きではあるがしっかりと全て避けている
857 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/15(火) 04:08:25.12 ID:oMm75qfIo
本日はここまでです
ありがとうございました
858 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/15(火) 19:44:39.30 ID:AD3jAvrFO
そして、みるみるうちに革命軍は橋の向こうまで帝国軍を押し込んだ


怪盗「橋の制圧は完了……ってとこですか」


勝利の香りに一瞬気が緩んだところに、
帝国兵の声が響いた


帝国兵A「『例のもの』はまだか!?」

帝国兵B「用意できた!」


帝国軍は橋の向こうに>>下1を用意していたのだ
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2026/09/17(木) 21:32:09.29 ID:rdBUm+hC0
複数のガトリング砲台
860 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/18(金) 18:25:07.52 ID:3bi+N6qoo
橋の向こうから運ばれてきたのはガトリング砲台であった
橋というロケーションは必ず人間が密集する
そうした戦場におけるガトリング砲台は恐ろしい破壊力を発揮するのだ


男「ま、まずいっ!!全員死ぬぞ!」

中華「そ、そんなこと言われても……!」


自分たちで足元を悪くしたため、咄嗟に逃げることはできなかった
861 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/19(土) 03:38:57.06 ID:Jiv5FMk1o
手回し式のガトリングであるため、
発射までには少しの猶予があった
だが、それは逃げることを可能にするほどの長さではない


氷魔「……こうなれば……!!」


彼女が地面に手をつくと、巨大な氷の壁が生まれた


帝国兵B「撃てぇーっ!!」
862 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/19(土) 03:44:53.39 ID:Jiv5FMk1o
本日はここまでです
ありがとうございました
863 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/19(土) 19:13:32.28 ID:Jiv5FMk1o
バリバリとガラスを叩き割るような音が響く
どうにか彼女の壁はガトリングの弾幕に耐えていた
だが、突破されるのも時間の問題だった


男「くっ……支援するぞ!みんな!」

ぶりっ子「は、はいぃ!」


氷魔法が使える他の者も同様に壁を補強した


狙撃少女「……ここは、私が頑張らないと」

炎魔「そ、そうですね……」

狙撃少女「ごめん。重いでしょ……でも、もう少しだけお願い」
864 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/20(日) 03:21:28.30 ID:KtkuHb5zo
炎魔「いえ、そんなことは!」


彼女は体力のある方だったが、
しかし人一人とその装備を抱えて飛行し続けられるほど強靭ではなかった


狙撃少女「……では、安心して撃ちます」

炎魔「はい、そうしてください!」


彼女はガトリングの砲撃手を狙ってパチンコを飛ばす
そして砲撃手を倒すこともできた
だが、手回し式のガトリング銃は一度セットすれば扱いが容易なのだ
あまり時間は稼げない
865 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/20(日) 03:54:03.17 ID:KtkuHb5zo
本日はここまでです
ありがとうございました
866 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/20(日) 19:16:28.55 ID:KtkuHb5zo
狙撃少女「それなら、これで……!」


狙撃少女はガトリングのうち一台に向けて水魔法を込めた弾を撃った
するとガトリング本体を傷つけるのみならず、
中身を湿気らせることができたのだ


炎魔「すみません、もう……!」

狙撃少女「えぇ、一旦下りましょう!」
867 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/21(月) 03:32:45.70 ID:XyISh3L2o
放たれる魔法をどうにか避けながら、
二人は川の近くに降り立った


怪盗「無事でしたか!」

狙撃少女「はい、皆さんこそ……」

男「俺たちも、どうにか退避できた……」


お互いに橋の上に攻め入ると不利だ、
という認識だけもってどちらも橋に入らなくなったのだ
868 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/21(月) 03:54:57.28 ID:XyISh3L2o
本日はここまでです
ありがとうございました
869 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/21(月) 18:10:43.26 ID:XyISh3L2o
そして、橋の入り口で革命軍たちは焦燥するのだった


中華「押しきれなかった、か……すまない、みんな……」


そう中華が詫びると、兵士たちもどんよりとした


怪盗「こらーっ!!」

中華「へっ!?」
870 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/22(火) 03:46:00.04 ID:6Dy4xY2eo
怪盗「あなたがみんなを引っ張っていくんでしょっ!?弱気になったら絶対ダメ!」

中華「そ、そう……だね……」

怪盗「分かった!?」

中華「……あぁ!みんな!僕たちは必ず勝てるぞ!」


少しだけ士気は取り返された
しかし、戦況がよくなったわけではない
悲観的なムードを引きずる者のほうが多かった
871 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/22(火) 03:48:47.59 ID:6Dy4xY2eo
怪盗「じゃ、これ使いますよ!」


怪盗は橋の近くに並べられた、
かつて帝国兵が纏っていた装甲を見せる


氷魔「……いつの間に……」

怪盗「着けててもめちゃくちゃ滑るので、敵がみんなこれを橋の上に放棄してたんですよ」

やる気「にしても、これ全部運んでくるのは相当労力がいるんじゃないすか?」
872 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/22(火) 03:54:25.41 ID:6Dy4xY2eo
本日はここまでです
ありがとうございました
873 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/22(火) 19:09:13.92 ID:6Dy4xY2eo
怪盗「一回全部橋から落として、みんながバタバタしてる間に回収してました」

ぶりっ子「すごい手際ですねぇ」

怪盗「まぁ、盗みは手際が命ですから」

男「……この装甲を、逆に利用しよう、ということだな」


彼は巨大な盾のように、装甲を構えて見せた


炎魔「どうやるんですか?」
874 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/23(水) 03:30:36.81 ID:fJ6kge/Po
狙撃少女「これを利用すれば、ガトリングの弾も防げるはずです」

中華「そうだね。相手がやってきたように、こちらも装甲で固めて押し込もう」

氷魔「……ですがそれは……相手もまた……私たちのように……装甲を攻略できるということです……」

やる気「ま、それならそれでいいんじゃないすか?」

男「橋の上に帝国兵を大量に持ち出さないとさっきの俺たちのような戦略は使えないし、そうするとガトリングも運用不能。お互いに装甲が使えないなら俺たち……ギルドの力で押しきれる」
875 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/23(水) 03:45:18.61 ID:fJ6kge/Po
本日はここまでです
ありがとうございました
876 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/23(水) 19:48:05.29 ID:fJ6kge/Po
中華「よし、それで行こう!もう一度攻勢をかけるぞ!」


兵士たちは戦いへの意欲を取り戻した
装甲には何種類かあったが、
特に巨大なものをソリのようにして、
中型の装甲を構えて突貫する戦術を取ることになった


やる気「よっしゃ、行くっすよ!」

革命軍A「あぁ、任せてくれ!」

革命軍B「派手に暴れてやる!」

氷魔「……いつでも……装甲の裏に……隠れられるようには……しておいてくださいね……」
877 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/24(木) 03:10:09.98 ID:qZsQR2jFo
そして、まるで魚雷のように装甲のソリが飛んでいく
橋の上に向かって、兵士たちの乗ったソリをやる気が力一杯押す
それにより、高い推進力を実現しているのだ


ぶりっ子「速い!」

やる気「よし、俺っちらも続くっすよ!」


帝国軍側も橋の入り口にバリケードを建設し始めていたが、重さと速度が生み出す威力の前にあっさりと粉砕された
878 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/24(木) 03:12:39.83 ID:qZsQR2jFo
本日はここまでです
ありがとうございました
879 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/24(木) 18:39:32.81 ID:qZsQR2jFo
男(この世界にボウリングはあるのだろうか?あるのだとしたら、やる気は相当上手そうだな。いや、カーリングか……?)

怪盗「なにぼーっとしてるんですか!?突撃です!突撃!」

男「あ、あぁ。すまん……」


待機していたガトリング兵たちは、
橋の向こうまで侵入されたためにその照準を移動させる必要があった
誤射も構わず撃ちまくろうとするが、
ほとんどの掃射に対して装甲を構える行動のほうが間に合った
880 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/25(金) 19:56:05.71 ID:xQnzQoDzO
すみません寝落ちしました


そして、突撃してきた兵たちに意識が向いているうちに、一行は続けて橋の向こうへと移動
橋の上部へ設置されていたガトリングを破壊し、
また、橋の奥に設置されていたものも怪盗が対処した


怪盗「おっと!そのガトリングは撃たないほうがいいですよ?大切なパーツをいくつかぶっこ抜きましたからね!暴発しても知りませんよ!」


狙撃少女「……近接戦は苦手ですね、本当に」


やる気や怪盗のようなタイプがいきいきしているのとは裏腹に、先ほどとは打って代わって狙撃少女はやりづらそうだった
881 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/25(金) 23:40:47.93 ID:0jcXpYLho
そして、一行は今度こそ橋を占拠することができた
ガトリングを奪われ、
戦力差をも見せつけられた帝国兵たちは散り散りに逃げていくのだった


男「さて、捕虜をとるか」

中華「食糧にも限界はあるからね、抑止力になる程度だけとろう!」


彼の呼び掛けのもと、
逃げる帝国兵たちを革命軍らは捕縛した
怒りに燃える市民である彼らは、
やや乱暴な扱いをするだろう
882 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/26(土) 02:23:23.34 ID:EW2OGckOo
本日はここまでです
ありがとうございました
883 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/27(日) 20:01:09.49 ID:D7FN4fxEo
先日はアプリかサイトの不調で書き込めませんでした


ぶりっ子「こら!捕虜は大切に扱うんですよぉ?」

革命軍C「だ、だがこいつらは……魔神に与する者たちなんだぞ!?」


彼はそう言って、縛られた帝国兵を乱暴に引き倒した


ぶりっ子「それは……立場の話でしょう?」

革命軍C「なに?」

ぶりっ子「きっとあなただって、この王国で軍人として働いていたら……彼らのように戦ったはずですよぉ」

革命軍C「そんなはずはない!軍人とは、人々のために働く存在のはずだ!」
884 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/27(日) 21:09:14.74 ID:D7FN4fxEo
彼は地面を強く踏みしめた
確かな怒りがそこにはあった


ぶりっ子「彼だって人間です、家族だっているんですよぉ」

革命軍C「………………」

ぶりっ子「家族を養っていくため、戦わなければならないなら……そうする選択肢を、私は責められません……」

革命軍C「だったら!俺はこいつらにどうすれば……」

ぶりっ子「兵士は悪くないです。時代か、指導者か……そういうものなんです」
885 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/28(月) 04:31:36.01 ID:0mTpPOwso
本日はここまでです
ありがとうございました
886 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/28(月) 19:20:59.02 ID:0mTpPOwso
言葉では理解できても、
心という獣がそれを受け入れないようだった


革命軍C「……ちっ!」

ぶりっ子「とにかく、まずはしがらみを忘れて接してみてください。きっと、通じ合えますから」

革命軍C「分かったよ」


彼女がそう話している間にも、
残りのメンバーたちは次の戦場へ向かう準備を進めていた
887 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/29(火) 02:54:04.67 ID:bjzFVSgso
一行の次の動きを決定付けたのは、
一人の獣人ハーフの男性だった


馬ハーフ「ここの兵半分ととあなたたちとで、最短経路の戦場へ!」

男「伝令か」

馬ハーフ「はい、司令部に頼まれまして」


まるで馬のように走るのだが、
骨格は人間と同様である
足には蹄があるが、手にはない
だが、馬の足を模した特別な籠手を身につけることで、馬のように走ることができるのだった
888 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/29(火) 19:45:52.01 ID:bjzFVSgso
すみません寝落ちしました


中華「よし、早速向かおう!」

氷魔「……私たちは……先に向かいますが……兵士のみなさんは……どうしましょうか……」

やる気「残念ながら、徒歩で普通に来てもらうしかないっすね……俺っちらは夕方に起きたっすけど、みんなは戦い詰めっす。かなりハードになっちゃうっすね」


だが、兵士たちの士気は高い
行軍へのマイナスなイメージも、
勝利という美酒の酩酊によってぼやけて見えているのだった
889 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/30(水) 02:04:45.24 ID:ITCd1eaoo
そして一行は次なる戦場を目指した
都合のいいことに、
橋から目的地まではひたすらに平地だった
この地に人々が多く住んでいたのも、
川沿いがなだらかで住みやすかったからであろう


怪盗「……おお、私も男みたいな能力が手に入ったかも」

男「え?」

怪盗「なんだか、向こうの戦場にいる人々の声が聞こえるような気がしますよ!」
890 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/30(水) 02:16:15.85 ID:ITCd1eaoo
本日はここまでです
ありがとうございました
891 : ◆cUhskXlNTw :2026/09/30(水) 19:58:48.25 ID:ITCd1eaoo
狙撃少女「私にも聞こえますよ」

怪盗「えっ!?」

炎魔「それほどまでに激しくやりあってるってことなんですね」

男「遮蔽物もないしな……」


怪盗はそれを聞いて残念そうにするのだった


ぶりっ子「そういえば、私は伝令の方のお話を聞いていなかったんですけどぉ……」

中華「うん」

ぶりっ子「最短経路の戦場、今どんな戦況なんですかぁ?」

中華「確か、>>下1」
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