志希「〜激走〜アタシと鬼のアメリカ逃走記」

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75 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:27:00.46 ID:/Jd0/OEOO
紳士淑女多すぎて、レストラン恐ろしすぎなんですが……

東京は怖いところなのね…


>>74 『知』の次は『暴』だからね。ちかたないね。

(ネタが)高まる……溢れるぅぅぅ
76 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:27:58.16 ID:/Jd0/OEOO
ーーーー高給ホテル最上階。
薄汚れたストリートとはかけ離れた、スイートルームのその一室に、志希はいた。

傍らには、鬼。

そして正面に座るのは、蛍光色のエメラルドグリーンに身を着飾った女。

「はじめまして、志希ちゃん。 千川ちひろです」

「はひゅめ、はぐっはひふぇ、んぐっぐっぐっぐ……! はふはふ、もぐもぐ! ……ぱふぁ〜」

顔面全てで飯食らうシキー。
一心不乱にテーブルに広げられた莫大な料理を食べまくる。

77 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:28:25.20 ID:/Jd0/OEOO

品の欠片もなく、しゃぶりつくし、むさぼり食う姿を、鬼は嫌そうに見つめ、対してちひろは笑顔で眺めていた。

「美味しいですか?」

「控え目に言って、サイコーかもかも! ずっと研究室に籠りきりプラスばたんきゅー寸前だったからねー。 涎ずびっ! てカンジ〜♪」

ニコニコと、表情を崩さずちひろは笑う。
鬼は知っていた。
この笑顔の攻撃性。
これから繰り出される舌戦を。

「それは良かったです♪ 志希ちゃんが喜んでくれて私、嬉しいですよ。 わざわざ、真夜中にホテルシェフ達を買収して作らせた甲斐がありました♪」
78 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:28:53.17 ID:/Jd0/OEOO
まず、右フック。
お前の食べている飯は、タダじゃあないぞ。
ドドドド、とオノマトペがちひろの背後に寄り添う。

「へぇーそれはありがたいねー♪ ……ところで、ちひろさんはどうしてあたしの名前を知ってるのかにゃ? 名乗ってナイ、はずだけど〜♪」

「あら。 さっき彼に電話で聞いたんですよ? 変なこと言うのね、志希ちゃん」

「フーン。 ならあたしの勘違いかナー? お兄さんが電話してるとき、あたしの名前は一回も呼ばなかったハズなんだけど……?」

返しの、左ジャブ。
志希の背後にも出現する、ゴゴゴゴってるオノマトペ。

電話をかける鬼の体にしがみつき、アイアンクローもなんのその、匂いを嗅いで嗅いで嗅ぎまくったことが生きた。

恥の勝利。
ちひろが、ちろり、と鬼を見やるが、鬼は素知らぬ顔で目を逸らす。
79 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:29:20.72 ID:/Jd0/OEOO

「へぇ……随分と短い間に仲良くなったのね……♪ ーーーだからと言って、ご飯が天から降ってくるワケじゃないですけど」

「そだね〜。 お金は大事だよー。 ほぃっ」

スパイ映画よろしく、胸の谷間から取り出したるはブラックカード。

限度額なし、天井知らずの、悪魔のカードだ。

続けて放った右ストレートはちひろの笑顔にヒビをいれる。

「追っかけられてたから使えなかったけどー使ってもらう分にはヨユー。 たぁんまりあるから、お好きにどうぞ、ちひろさん?」

「あらあら……。 ……小手先の牽制はやめましょうか。 志希ちゃん」
80 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:29:46.67 ID:/Jd0/OEOO
「無理。 あのクスリは誰にも渡さない」

緩みなど一切ない、覚悟を決めたサイエンティストの素顔。

そもそも試合が成り立たない。
ボクシングは二人が同じステージに立つ勝負だ。

「拷問でもスル? 死んでも喋んないけどね」

「…………」

スーパーマンすら産み出せる、画期的で、悪魔めいた発明品。

志希は自由な研究者だ。
好奇心をそのままに、突き進み、何もかもをかき混ぜる。

だが、研究者としての『誇り』は、だから誰より強いのだ。
81 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:30:14.40 ID:/Jd0/OEOO

「………」

こんな表情〈カオ〉もできるのか、と先刻の絶頂祭りを思い出しながら鬼は感心していた。

正にお手上げ、悪魔にも成せないことはあるものだ、と内心笑いながら鬼は他人事を決め込んでいた。

ここまでは。

「志希ちゃん」

「なに? 例えどんな条件を出されたってーーー」
82 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:30:48.64 ID:/Jd0/OEOO

「彼に四六時中何してもいいし、どんな実験も自由。 貴女の安全を保証させる護衛役、いえ召し使いにさせてあげるけど、だめかしら?」

「その話、乗ったあぁぁぁあああ!」

サイエンティスト、一ノ瀬志希。
しかし欲望に忠実な、マッドマックスであった。

「っておいいぃぃぃぃぃ?! 貴女ナニ言ってくれちゃってるんですかぁ?!」

観客席にいたらいきなり、舞台に立っていた。
ダブルクロスを決めたら、トリプルクロスをもらってたような。
予想外の一撃に、鬼の顎は砕け、あいた口が塞がらない。
83 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:31:14.26 ID:/Jd0/OEOO

「貴女は! いつも! 私を弄んでぇぇええ!?」

「獅子は子を千尋の谷に突き落とすって言うでしょう? この場合はサウザンドリバーかしら?」

「うるさいですよぉぉぉぉおおお! って、何もう既に私を嗅いでるんてすか、このアマ?! 犯しますよ?!」

はすはす神拳百連撃が炸裂しつつ、ちひろは志希に手を伸ばす。

尊い犠牲を伴った、悪魔の契約だ。
84 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:31:41.22 ID:/Jd0/OEOO

「クスリの製法はアタシの研究室。 passはshikishikinyannnyannangelringだから♪ 入力ミスすると爆発するから気を付けてね〜」

「はい、わかりました。 それでは契約成立ということでーーー」

握手が交わされるーーーその時、突如ばたり、と志希が倒れた。

「はぁ、はぁ、はぁーー。 何ですか、ついに昇天したんでしょうか?」

「いえ、これは疲労、ですね。 ほら、この寝顔」

余程、張りつめていたのだろう。
温かい食事、久し振りの安全、そしていい匂い。

志希は赤ん坊のように、無邪気な寝顔を晒しながら、眠っていた。
85 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:32:21.38 ID:/Jd0/OEOO

「こうしてると、ただの17歳の女の子ですね……ヘンタイにはとても見えない」

「あら? 気に入っちゃいました?」

「…………悪い冗談ですよ」

くすくす、と笑いながらちひろは出掛ける準備をし始める。

「もう行くのですか? いくらなんでも夜が深すぎますよ」

「FBIも動いてますし、早いにこしたことはないんですーーーよっと。 心配してくれるんですか?」

「……何を馬鹿な」

「うふふ♪ 大丈夫ですよ。 頼りになる『鬼』を新しく雇いますから♪」

「ーーーそれってまさかーーー」

がちゃり、と部屋のドアを開けて、ちひろは鬼に振り返る。

悪戯っぽい笑みを、たたえながら。

86 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:32:55.99 ID:/Jd0/OEOO

「あと、志希ちゃんとは相部屋ですよ♪ そのままだと布団カバーが汚れて、代金が発生するので、お風呂にもいれてあげてくださいね〜♪」

「は? え、ちょ、ま」

「それでは、お邪魔虫は退散退散♪ ぴゅ〜♪」

無情にも扉は閉まり、部屋には男と女が二人。

しかも、遂行難度SSクラスの爆弾の置き土産つき。

「本当に……悪い……冗談です……」

がっくりと項垂れる鬼と対照的に、彼の体を抱き締めて、眠り姫は幸せそうに微笑むのでした。

鬼のーーー明日はーーーどぉっちだーーー
87 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/09(木) 13:34:10.07 ID:/Jd0/OEOO
ここまで。


電車時間長いんだから溜まっても仕方ないね。

スッキリしたので二次面行ってきます。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/09(木) 20:04:57.05 ID:JSsVmnnxO
またなかなかすごい作品が……
いい世界観だ
89 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:06:44.11 ID:GTg18OjgO
落 ち ま し た
ファッキン朝○

紳士は紳士さ売る職につきます。


電車で溜まってるので出します。

しばらく紳士度高め

90 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:07:27.49 ID:GTg18OjgO
どうしてこうなった。
何度自問してみても、答えはでない。

思えば自分の人生は過酷と艱難の連続であった。

生まれてすぐ、親に捨てられた。

理由は知らない。
ただ『タイミング』が悪かったのだろう。
『運が悪かった』それだけだ。

それから男に拾われた。

それがさらに『不運』だった。
男は殺し屋のような、闘いを生業とする戦闘狂で、ペットを飼うような気軽さで彼を拾ったのだ。

何度死線を越えたかわからない。
彼は生きるために、強さを身に付ける他なかったのだ。

そうして日々が過ぎていき、男がある日、より高みを目指すと言って、とある組織へ消えた頃。

彼は弱肉強食の理と、男の口癖を刻んでいた。
91 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:08:05.89 ID:GTg18OjgO

『誰であろうと、俺が〈ヤる側〉だーーー』

自身の運命に立ち向かう、弱さの否定を糧に彼は、『鬼』となったのだ。

『痛み』も『温もり』も捨てて、強くなったはずなのに。

「どうしてこうなった………」

場所は、シャワールーム。

存在するは、鬼と志希。

うら若き乙女の柔肌をごしごしあわあわきれいきれい、するという難易度超Sの任務を受けて、鬼は絶望に瀕していた。
92 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:08:46.44 ID:GTg18OjgO

「………」

安らかに眠る志希を見る。

長く美しい睫、ぷっくらと膨らんだ唇、陶器のように透明な肌、たわわに実った二つの果実、おれそうなほど細い腰、主張するヒップーーー

見れば見るほど美しい。

「く、くぅ………駄目です、直視しては目に毒……! さ、さっさと、終わらせましょう」

鉄の意思と鋼の強さを伴って、鬼は心を無にする。

だが、任務を達成するには乗り越えるべきタスクが多すぎる。

鉄が凹むか、鋼が曲がるか、どちらが先か。

闘いのゴングが、鳴る。
93 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:09:15.91 ID:GTg18OjgO
Mission@ 『脱がせ!』

体を洗うためには脱がねばならぬ。
脱がねば洗えぬ、不可逆反応。

人の身を獣と分ける分岐点、その除外。

「お、落ち着きなさい私、大丈夫大丈夫。 相手はたかが17歳のヘンタイではないですか……た、多少顔が整ってスタイルがいいからといって興奮するわけが……」

言い聞かせるように唱えながら、鬼は志希の衣服に手をかける。

眠る少女の衣服をシャワー室で剥ぎ取るという、とんでもなくマニアックでコアなシチュエーション。
94 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:09:47.55 ID:GTg18OjgO
「ハァーハァーハァー……」

息を荒立てる、客観的に見てヘンタイなオニーさん。

だがそれでも鬼の鬼の手がぬーべーせぬよう、最後の一線は守っていた。

白衣、カッターシャツ、スカート。
ここまでは震える手を抑えつつ、成し遂げた。

(こ、ここまでとは………!)

小さいとは口か裂けても言えない、そのEighty Threeのバスト。

だが、その山は、自身を覆い隠す靄霧を払われたことで、巨大さを増していた。

登頂する直前、あまりの緊張に山が実際より大きく感じるアレだ。
95 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:10:27.43 ID:GTg18OjgO
(そして! ナニよりも……!)

たかが一枚の布が、これほどまでに♂心をシゴクとは。

薄紫のブラジャーを押し上げる富士山に加え、お揃いのショーツ………。

可愛らしいリボンが添えられた、志希着は、驚くほどの破壊力を持っていた。

(む、無心になれ私……!)

屹立せぬようおのが分身を握り締める。

下半身への血流の流れを絶ったことで、脳に新鮮な酸素が周り、思考がクリアになっていく。

(………ふぅー。 やるなら一瞬! ここに私の培った技術全てを費やす!)

目を逸らさず、ガン見しながら、志希のブラとショーツに手をかける。

アウトの国境をジェット機で爆速領海侵犯しつつ、鬼は命を燃やした。
96 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:10:59.87 ID:GTg18OjgO

(…………。 憤ッッッ!)

激流を制するは静水ーーーー

流れ落ちる水のような自然さで、鬼は脱衣を成功させた。

長く持っていては体に毒。
剥ぎ取る勢いそのままに放り投げた二つの凶器は、天井に張り付き、性なるオブジェと化した。



Mission@Success!


(ふぅーーーー………ん?)
97 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:11:26.15 ID:GTg18OjgO




鬼の目の前に現れた、第2の任務の前に、まず、皆さんに知ってもらいたいことがある。




こんな話がある。



98 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:11:58.07 ID:GTg18OjgO
金髪緑眼のハーフフランスがオークションを受けに来たーーー

そのときの審査員は、紳士だった。

当時、応募者は200人を超えーーーー

後の経済効果として700億円を越える粒揃いだったというーーー


当時の打ち上げ映像に紳士の音声が入っているーーーー

『彼女を確認した瞬間、射精していたんだよ、わたしは!』

当所はタチの悪いジョークとして一笑に付された、酔いどれの言葉だったがーーーー


彼が紳士会〈シンデレラプロジェクト〜如何にしてアイドルと同棲するか〜〉を立ち上げたとき、彼の言葉は異常な信憑性を帯びる。


担当になったんだよーーー


採用理由はあろうことか私情ーーー
99 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:12:34.11 ID:GTg18OjgO
フレデリカ採用から14日目のことだった

事務所の誰もが納得した

8年連れ添った事務員・ちひろも呆れてものが言えなかった

その後、交遊関係を元に割り出された驚愕の真実が事務所を駆け巡ることとなる

フレデリカを愛してやまなかった
この健康な紳士
フレデリカプロデューサーの彼女いない歴ーーーー


実に28年!!
100 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:13:20.36 ID:GTg18OjgO
ーーーーところでこの話は一切、現状とは関係がないーーー
元紳士の恥部を晒しただけだーーー



が、お気付きの方もいるだろう。
そう、チェリーにとって、美女とは存在が性の対象。



ならば、後に世界を席巻するSSアイドル。
一ノ瀬志希の一糸まとわぬ裸体は、いったいどれだけの童貞を殺すだろう?
101 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:14:00.14 ID:GTg18OjgO

(………お、おお)

鬼の人生にはこれまで息をつく間もなかった。

生きるか死ぬか、弱肉強食の世界で生きてきたのだ。

だからこそ、これもまた『タイミング』が悪かったのだろう。

『運が悪かった』のだろう。

(おぉぉぉぉぉぉおおお?!)
102 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:14:28.31 ID:GTg18OjgO





苦しくも鬼はーーー童貞だった。




MissionA『手を出さずに洗え』
103 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 10:16:10.36 ID:GTg18OjgO
ここまで。


まだまだ長く垂れ流しますが、どうぞお突き合いください。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 10:17:13.61 ID:oGeYBrpLo
乙乙
ブッ飛んでて好き
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 10:43:33.84 ID:z764yn9HO
うーんこのアホ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 18:55:50.26 ID:xYtlMNegO
グッジョブ朝○
107 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:00:05.27 ID:oFK9Ifd8o
>>106 なんでや! 紳士入れてくれてもええやろ!


出していきます。
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 20:01:35.90 ID:3fOAocIYO
こい
109 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:01:36.76 ID:oFK9Ifd8o








ーーーありえないなんてことは
ありえないーーー







110 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:02:06.53 ID:oFK9Ifd8o

洗うとは何か。
その起源は古代メソポタミアにまで遡る。

風呂に入り清める。

かつてそれは、1日の汚れを洗い流す物質的な意味と、心の疲れを溶かす精神的な意味があった。

つまりは、『禊』。

そこに他の念が混ざることはなく、神聖さすら宿している。

洗うとは、風呂とは、『聖なる所作』なのだーーーーーだから決してHではない。
111 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:02:36.87 ID:oFK9Ifd8o
ーーーーなどと、心の中で世迷い言を繰り返す鬼の海綿体は血液の凝集を禁じ得ない。

それもそのはず、童貞には志希のぴんと立つ、二つのピタゴラスイッチに興奮を抑えきれないのだ。

(わ、私としたことが、ええぃ、静まれ……! 静まれ……馬鹿めが……!)

鬼の握撃にも一切動じぬ、鋼鉄のなまら棒。
ロリータコンプレックスを物的に証明している。

もはや一瞬の猶予もない。
いつなんどき、『今日から一番逞しい〜のだ〜』するかわからない。
112 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:03:10.65 ID:oFK9Ifd8o
(できるだけ素早く! そして無駄なく隅々をーーー!)

取り出したるは、ふわふわタオル。
赤ちゃんのもち肌のごとき肌触りを持つ、この場に相応しき神器。

(ユクゾッ!)

静かなる掛け声と共に、鬼は志希の体を洗っていく。

「これはちひろの裸ちひろの裸ちにろの裸ちひろの裸……」

独り言を呟きながら女の子の体を拭いていくヘンタイオトナ。

逮捕一直線待ったなしの姿を晒しながらも、鬼は一心不乱に攻めていく。
113 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:03:40.27 ID:oFK9Ifd8o
手、脇、うなじ、尻、足。

直視しないように、できるだけ柔らかな感覚が手につかぬように。

ちひろの裸を想像して萎えと屹立を繰り返しながら、鬼は順調にことを運んでいった。


そしてーーーー山場を迎えた。


(残るはこの、コスモ〈宇宙〉とカオス〈混沌〉ーーー)
114 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:04:23.99 ID:oFK9Ifd8o

摘ままねば洗うことのできぬ二大乳頭と、山奥の秘境を求めるがごとく、草花を掻き分け探索せねば洗いきれぬ秘所。

ここを乗りきらなければ、任務達成とは言えないーーー

鬼真面目な性格が、破滅的な思考に拍車をかけていだ。

(なぜ私がこんな責め苦を………くぅぅ……)

うらやまけしからん状況だが、清潔、清廉、清い倫理観を持つ鬼は涙を流し苦しんでいる。

その葛藤は彼の肥大と収縮を繰り返すデモニオからも見てとれた。
115 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:05:08.57 ID:oFK9Ifd8o

(けれど、私は逃げません……! 所詮この世は弱肉強食……私が常に『ヤる側』です……! 誰であろうとも!)

ぶっちゃけ正直なところ後は髪の毛を洗えば、シーツを汚さないという目的は達成されるのだが、童貞力69万の鬼はそこまで頭が回らない。

そして、登破することを、決めた。

(ーーーうすピンク色で、小さく存在を主張する、蕾が二つ)

先端へと手を伸ばす。

陥没ニッポォならば既に詰んでいたが、神も多少の慈悲は持ち合わせていたようだ。

(こ、この蕾を……ええぃ、ままよっ!)

勢いに任せて擦りあげる。
手に残るーーー確かな弾力。
116 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:05:42.12 ID:oFK9Ifd8o
(なんですかこれは……グミのように柔らかかく、ゴムのように張りがある……こ、この世にこんな物体がーーー)

あまりの衝撃にトリップしそうになる鬼。

擦るだけであったはずの両手はいつしか、摘まみーー引っ張りーー弾きーーねじりーー離す。

およそ聖なる所作とはかけはなれた動作。

鬼の手をぬーべーさせるピタゴラスイッチ。

(ま、まずい……! は、離さねば……! しかし、手に吸い付いて離れなーーー)

溺れそうになる鬼。
だが、『聖』を謀った神罰が、不意に訪れた。
117 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:06:19.67 ID:oFK9Ifd8o

「………ん、んぅ……はぁ……」

「〜〜〜〜〜ッッッ!?」

ほんの少し志希から漏れたその声は、沸騰した鬼の脳みそを一気に冷ます。

眠りながらも、快楽の刺激が彼女に覚醒を促しているのだ。

(ば、馬鹿か私はッッッ! 何故起きないなどと盲信を……!)


Cautionーcautionーcautionーcaution

鬼の頭で鳴り響く警戒音。

New mission arrival!
118 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:06:46.86 ID:oFK9Ifd8o







緊急Mission発生
『志希を起こすな』





119 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:07:22.61 ID:oFK9Ifd8o
もはや一刻の猶予もない。

山からは既に下山し、残す大きな難関は秘境探検。

(髪は目を瞑りながらでも洗えます……ですがココだけは……。 ーーーはっーーーこ、これはーーー)

それは、まさに全てを受けとめる母なる海。

エーゲ海の美しさにも例えられる、さざ波ひとつ、海藻一つ浮かぬまっさらな海岸線。

そしてそこには、多くの場合、景観を壊すはずの生モノが違和感なく備えついていた。

いわば、オマーン国際空港。
いわば、マリアナ海溝。
120 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:07:53.05 ID:oFK9Ifd8o
(ーーーー美しい)

ぴったりと閉じられた姿は、恥じ入るビーナスのような淑やかさと、蝶を誘う甘露を併せ持っていた。

(なんなんですかーーーこの胸の想いはーーー)

鬼の心に芽生え始めた『ナニ』か。

それは今まで抱いていた17歳への劣情とは全く異なる、純粋な。

ちくり、ちくり、と胸を挿す感情〈モノ〉。
121 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:08:19.20 ID:oFK9Ifd8o

(こんな想いははじめてです……まるで私じゃない私になるようなーーー)

鬼が惑う。
新たな色の目覚めに。

それはけして睡眠姦に目覚めたわけではなく。

(まさか、これが『痛み』なのですか……)

人はあまりに美しいモノを見たとき、言葉を失う。

今、それと同じように、鬼は志希の閉じた貝を見つめ、股間の固さを失った。

胸を挿す痛みの起源は、此れほどまでに完成された美に、情けなくも欲情していたという事実。

鬼はヘンタイプレイによって、『痛み』を思い出したのだ。
122 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:08:49.51 ID:oFK9Ifd8o

「もはや……迷いはない……私の行動と心に一点の曇りなし。 すべてが正義だーーー」

心を締め付ける心地よい痛みと共に、鬼は貝を開いていく。

ーーーーくぱぁ。

中には、真珠より尚も価値のある神秘。
女体の妙が、広がっていた。

(心は落ち着いている。 傲りはない。 私は今、使命を遂行しているのだ)

優しく、ガラス細工を扱うように、繊細に洗っていく。

数日間風呂に入れず、カズノコに溜まったカスを、丁寧にほぐし、外す。

指についたそれを鼻に近づけてひと嗅ぎすれば、瞬間、脳に花畑。
123 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:09:26.64 ID:oFK9Ifd8o

(ここは、天国……?)

つん、としたチンチョウ花に似た香りが、甘さにハーモニーを生み出している。

頬を伝う温かいモノ。
鬼の目にも、涙。

(ならばこれは)

栗の実が生っている。
堕ちてしまわぬよう、繊細に優しく擦りあげる。

「ん……あ、ふぁ……くぅ」

(………)

志希の声に艶っぽさが混じる。
だが今の鬼にとっては、心を掻き乱す要因にはなり得ない。

ぴくっぴくっ、と微細な呻きを志希の体があげている。

(あとはこの奥、ですか)

栗狩りが終わり、鬼が挑むのは潜水。
海溝のその奥。

つぷぅーーーと指が沈む。
124 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:09:56.17 ID:oFK9Ifd8o

「なんと暖かい………」

女性の体は体温が高い。
それは他を安心させるための、『母』としての素質。

志希は十二分にその素質を満たし、性なるギフテッドであることも示していた。

知と性、合わせて『知性』。

天は乙女に、二物を与えたのだ。

「ん……? この指先に当たるものは………?」

かりかりっと、指で壁を掃除する中で、唐突に触れたもの。

「これは、まさか」
125 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:10:30.49 ID:oFK9Ifd8o
その通り。
聖母マリアは、『其』を失うことなくイエス・キリストを懐胎したという。

今度こそ鬼は声をあげて泣いた。

童貞が初物に喜ぶ姿そのままに、しかし心は遥か高みに。

ーーーあり得ないなんてことは、あり得ないーーー

「守ろう……いや、〈護ろう〉彼女を………私の命に代えてでも………」

「あっ………」

つぷん、と指を引き抜いて、先程の女神へ触れた感覚を忘れないよう慈しみつつ。
126 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:11:05.48 ID:oFK9Ifd8o

「こんな気持ちは初めてです、志希……ありがとう……」

仄かに芽生え始めた『温かな』ココロ。
聖女の頭を優しく撫でる。

ついぞ不可能と思われた任務は、いまや成された。


MissionAsuccess!
Extra Mission success!
New record!


「後は髪を洗って、終わりですね。 ふふっ終わってみればなんと呆気ないーーー」


鬼は、その時、安心した。
127 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:11:34.49 ID:oFK9Ifd8o



勝ったと、確信し、安堵した。

耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて。

美しくフィニッシュ。


128 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:12:07.76 ID:oFK9Ifd8o







ただし、鬼の『敗北』で、だ






129 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:12:35.04 ID:oFK9Ifd8o

乗り越えたと、思った。
成し遂げたと、思った。

だが、鬼はどうしようもなく『運が悪かった』、いやある意味『運が良かった』というべきかーーー。

「………んぅ、はすはすぅ……」

鬼の匂いに誘われるように、力強くその体を掴み、暴力的な肢体を存分に密着させ、そして。

楽勝だと侮っていた、その艶やかな絹のような髪の毛で、鬼の股座を撫で付けたのだ。
130 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:13:11.97 ID:oFK9Ifd8o
「ッッッッッッ?!」


離れ小島での死闘を成し遂げ、皇帝になったギャンブラーのような爽やかさに包まれていた鬼の心が、一瞬で瓦解する。

女神?
聖なる所作?
馬鹿らしい。

ダイレクトな快楽は人のココロなど容易くぶち壊してしまうのだ。

「くぅ〜〜〜〜〜!」

離れようとしても、志希のしがみつく力が強すぎて叶わない。

むしろ動くたびに髪の毛が擦れ、ますます怒張を固くする。
131 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:13:37.44 ID:oFK9Ifd8o
「こんな、こんなことがあるか……! 私は、護ると決めたのだ……! ここで果ててなど、たまるものか!」

違うものは溜まっているが。
既に小袋はマグマのごとく熱を持ち、噴火寸前。

デモニオに集中するから不味いのだ。

「噴破ッッッ!」

気をまぎらわすため、シャワールームの壁を叩く。

それが、さらに、不味かった。
132 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:14:09.57 ID:oFK9Ifd8o

「…………んぅ? むぇ……?」

快感と、地震にも似た揺れが志希の意識を覚醒へと誘った。

さらに、神の悪戯か。
いや、神の三点責めともいうべきか。

壁から伝わり、天井まで達した振動は、忘れられし『オブジェクト』を刺激した。
133 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:14:49.36 ID:oFK9Ifd8o

「し、志希、こ、これは……!」

「むー………」

二人の目が合う。
瞬間、鬼の頭にすっぽりと、舞い降りた性のオブジェクトがはまった。

ショーツは嘘のように頭に、ブラジャーはサングラスのように眼に。

三度繰り返される、『あり得ないなんてことは、あり得ない』。

考えうる限り最悪のタイミングで、最悪の連鎖。

(わ、私こそが、弱者だった、のかーーー)

弱肉強食の理に従い、この後に起こるだろう惨劇を予感し、鬼はブラに妨げられる視界から目を閉じた。
134 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:15:21.79 ID:oFK9Ifd8o

(ここは、墓場。『私』のな)

社会的抹殺を覚悟しつつ、女神の審判を彼は受け入れーーーーーー


















ーーーーーー不意に、抱き締められた。
135 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:15:50.92 ID:oFK9Ifd8o
「えっ?」

「…………」

一ノ瀬志希。
彼女はこの人類の叡知(注:性的に)とも言うべき状況で、鬼の心を拾ったのだ。

割れそうな、砕け散って二度と戻れぬ不可逆反応へと至るを阻止する。

これこそ、無償の愛……!
種の頂点。
母の領域。

志希は、性なるギフテッドなどを遥かに越えた、聖なるギフテッドだったのだーーー
136 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:16:19.79 ID:oFK9Ifd8o
「く、うぁ……あぁぁぁぁぁああ!」

およそ今まで受けたことがなかった。

こんな熱。
こんな『温かさ』。

胸に生まれた種が、育まれ、芽をだし、蕾となり、花開く。

鬼は、今こそーーーーーー






『愛』を知った。





137 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:17:08.70 ID:oFK9Ifd8o

「護る……貴女を絶対に……護る……!」

志希の豊満な胸に顔を埋めつつ、鬼は想いの溢れるままに任せる。

一日のうちに、『痛み』と『温かさ』、その両方を手にいれ。

その大きさに涙しつつ。

一匹の鬼が、一人の人へと変わる、その第一歩が踏み出されようとしていた。

そして、志希は鬼が歓喜にうち震えるのと対照的に。

実のところ、ただいい匂いを引き寄せただけで、目覚めてすらいなかったし、全て鬼の一人相撲であったのだがーーーー
138 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:17:37.03 ID:oFK9Ifd8o




「にゅふふ……あったかぁい……」




幸せそうに、微笑んでいた。




139 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:18:10.61 ID:oFK9Ifd8o






ーーーMission complete!
Secret Mission success!



『True end が解放されました』





140 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/10(金) 20:20:40.17 ID:oFK9Ifd8o
ここまで。


ほんと、いつも見てくださりアリガトゴザイマス


その視線が、最高の刺激となり、精なるエナジーです


ところでサービスシーンはこれまで。
しばらくシリアルが続く模様


141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 20:29:39.34 ID:LXDWndK/o
ミルク用意しなきゃ
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 21:28:26.04 ID:tY82PkJxo
シリアル(久しぶりに見たその言葉回し…)
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 21:30:33.90 ID:YLDQP/0eo
所々の嘘喰いネタに草
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 23:32:14.00 ID:s3esqsS2O
ジャンプネタも多いな
しかも全体的に古い
>>1は結構いい歳か
145 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:03:53.39 ID:Dt+30eJVo
>>142 古いのか…これからはチャコフ(チャーリーブラウンのコーンフレーク)って言います…


>>144 これでも20代半ばです。
ボーボボ・ミスフル世代と言えば、わかるね?


出します

146 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:04:37.87 ID:Dt+30eJVo

鬼が志希に勝手に母性を感じ、神命をを賭して護る、と自己満足で誓った日から数日後。

ちひろがクスリを手にするまでの間、変態スーツから逃れるためアメリカを転々と移動。

そして二人は今、アメリカ西海岸、Los Angelesに来ていた。

「ーーーはむっ! もきゅもきゅ……んーふわふわのパンとジューシーなミートの化学反応っ。 So perfect♪」

ファイブガイズのベーコンチーズバーガーを両手に持ち、頬がリスのように膨らんでいる。

15種ものトッピング全てが乗ったそのブツは、どう見てもゲテモノだが、本人は幸せ満点。
147 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:05:06.35 ID:Dt+30eJVo

「はふっ、んぐ、んぐ、はれ? ちゅるるるるる、キミは、もにゅ、もにゅ、食べ、ばくっばくっ、くちゅくちゅ、ごくんっ。 ない、げっふぅ〜〜〜の?」

指をべったべたにして、胃の空気を放出。

礼儀作法の欠片もない姿に、清潔を心がける鬼は。

「いえ、あなたの食べる姿を見ているだけで胸が一杯ですよ」

にこにこ、と以前にはあるまじき笑顔で応えていた。
148 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:05:34.51 ID:Dt+30eJVo

「ふぅーん? 視覚じゃ満腹中枢は満たされないと思うケド?」

「気分の問題なんですよ。 こういうのは。 生まれ変わったみたいな清々しさが、腹を満たしているんです」

「そーゆーのってよくワカンナーイ。 ココロは志希ちゃんの専門外だからにゃぁ〜。 分析の余地、ありかも♪ んふふ〜」

「そうですねぇ……私にもココロは、難しい、問題です……」
149 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:06:16.43 ID:Dt+30eJVo

困ったような顔をつくる鬼。

優しさが垣間見えるその表情に、志希は面食らった。

謎のもやが、83の中に生まれる。

「わぉ。 ナニ、それ。 キミの体から今までにない匂いかも。 リオナール? ピラジン? 安らぎの香りっていうか〜誘眠香?」

「何ですか人をお茶っぱみたいに。 私は私ですよ」

「むぅー………えいっ」

ぱっと、鬼の正面から飛び上がり、後ろへと、くるり、一回転して回る。

本来、背後など、無音で立たれれば殴るという動作が、本能レベルで刷り込まれている鬼。

たが、今は本能すらも、志希の抱擁で手にした『熱』が上回っていた。
150 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:06:55.18 ID:Dt+30eJVo

「………? 何です?」

「……ぺろり」

「ハぁんっ?!」

突然、鬼の鎖骨を嘗める志希。

予想外すぎて変な声をあげるヘンタイオトナ。

周囲の目が二人に刺さりまくる。

「ちょっ、なにを……! あっ……はうっ……!」

志希の舌は、猫のようにざらついている。

その痛みとも呼べる超刺激を受ける童貞の感覚はいかばかりか。
151 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:07:49.88 ID:Dt+30eJVo

「あむ、あむ、レロレロ、レラレラ、ちゅる、ちゅぅぅぅぅぅ
…………っぽん。
んーこの味は、オキシトシンと〜エンドルフィン……幸せを感じている味だぜっ」

びくんびくん、と体を震わす鬼を尻目に志希は冷静に分析する。

味もみておくのが、志希クオリティ。

「何か、ぽんぽんの下辺りも暖かくなってきたカモ……。 もっとハスペロ……」

ちろ、と鬼を見る。
空イキで、無防備。
152 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:08:20.01 ID:Dt+30eJVo

「……一ノ瀬軍曹、目標に突撃いたします! ぶたのようなひめいをあげろ、おらぁっ!」

「はぁ、はぁ、ちょ、志希、やめ、あ、あはぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」

後の逆レの記念すべき第一回である。

ただし、ファイブガイズ店内なので初回にしては、衆人環視という高度すぎるプレイであった。

「Mom? Dad? What are they doing?」

「Ah....just........playing, don't watch them. Ok? our angel?」

「Hm〜looks like your night playing,..hm」

「?!?!?!?!」
153 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:08:51.19 ID:Dt+30eJVo
両親に手を引かれる娘が、いち早く心の二次性長を迎える被害を生み出す志希と鬼。

台風の目が、その家族の様子を乳首を舐めながら見ていた。

「んぅ〜ちゅぽんっ。 ……なんか、昔を思い出しちゃうな〜……」

「あ、あへ………うっ………ふぅ………」

「ん? なんかイカくさい? でもココロ牽かれるようなーーー」

志希の嗅覚が、生命の灯火を敏感に察知する。

慌てて、果てていた鬼が取り繕う。
154 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:09:26.86 ID:Dt+30eJVo
「気のせいでしょう!」

「わっ?! 急に大声出さないでほしいにゃー。 びっくりして志希ちゃん印のココロフラスコ、落としちゃいそーだったよー。 ガラス製なんだから気を付けてよね、もー」

「こちらのハートは既に砕けてますがね……まったく」

やはり以前と違って怒らない。

鬼の変化に答えを見つけられないまま、志希は頭を1捻り2捻り。

匂いの追求を逃れるため、鬼は話題を逸らす。
155 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:10:06.89 ID:Dt+30eJVo

「貴女に襲われたら、お腹が空きました……。 私もバーガー食べましょうかね」

「あっ! ならあたしも食べる〜♪」

「まだ食べるんですか……」

食の権化に呆れつつ、内股ぎみで鬼は立ち上がる。

やはり人気店、カウンターは混んでいる。

何か話題でもと、鬼は欠片を拾ってみた。

「ーーーーところで、先程の昔を思い出す、とは? 家族連れなど珍しくもないでしょう」

「聞いてたんだ? んふふ♪ 気になる気になる? アタシの成分分析したいカンジ?」

「そうですね……… 貴女のことを、もっと。 知りたい」

またもや予想外。
目を、ぱちぱちくりくり、志希女史。
156 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:10:33.43 ID:Dt+30eJVo

「ほぇ? ホンとどしちゃったのキミ? 夜中にテキトーに人体実験してた弊害? 志希ちゃんギルティのクリミナル?」

「何をやってるんです何を。 ……私は私ですよ。 酸いも甘いも経験した大人です」

同窓会で集まった時に、つい自分の職種をデカく言うあれだ。

とりあえず変質的なプレイの経験値は絶賛溜まり中ではあるが。
157 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:10:59.88 ID:Dt+30eJVo

「わっかんないなー。 謎が謎を呼ぶ大迷宮。………でもわかんない感情も、楽しい? なんかキモチイイ、かも」

「私も、そうですね。 楽しい、かもしれません。 きもちいい、かは……わかりませんが」

不格好というか。
不馴れというか。

女性に対する態度など今まで意識したこともなかった鬼は、初々しく。

だけれど、それは実験に生きてきた志希にとっても鏡を見るようで。
158 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:11:35.36 ID:Dt+30eJVo

「………いい匂いのヒトはやっぱり、いいヒトなのかな」

「え? なんです?」

「アタシさー。 あーゆー親子が羨ましいんだよねー」

唐突に、志希が、語りだす。

列はまだまだ、長く、カウンターは遠い。

「ギフテッドって知ってるよね? ちひろさんから色々聞いてると思うし」

「ええ、まぁ。 大学に飛び級で入れるくらい頭が良いとかなんとか……」

「日本じゃ、そんな認識だよね〜。 けど、当事者のあたしから言うとさーーーー」
159 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:12:06.79 ID:Dt+30eJVo






遅々として、列は進まない。


志希は鬼を見るでもなく、遠くの『何か』を見ながら言った。




160 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:12:33.81 ID:Dt+30eJVo









「ーーーー『呪い』だよ」










161 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/11(土) 18:15:07.11 ID:Dt+30eJVo
ここまでっ。


〈結〉が先にできたが、道のりが遠い……。


どうぞ、よろしくお願いシーマン


162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/11(土) 18:24:00.25 ID:jU07cdm0O

志希のシリアスは先駆者が凄すぎて難しいだろうけど頑張って
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 02:29:34.07 ID:Kjyu6vCZO
既に新路線を開拓 してしまっている のでセーフ
164 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:12:59.83 ID:xUsdKWMzo
溜めて溜めて溜めて溜めて溜めて溜めて溜めてーーー

フィニッシュ。


それが最も美しい……。


やっと出来上がりました。
自分でも引くほど長くなりましたので、二回に分けて出します。


もう少しだけお付き合いください。
165 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:13:47.84 ID:xUsdKWMzo







『あたしはきっと、白衣に包まれて産まれてきた』





166 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:14:14.29 ID:xUsdKWMzo


これって、いいことだと思う?

赤ちゃんはみんなママの羊水にくるまれて、愛のゆりかごで育つんだ。

だけど、志希ちゃんをくるんでたのは、無機質な白い布。

167 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:14:42.35 ID:xUsdKWMzo
ねぇねぇ!みんな!
世界中のみんな!
ギフテッドってみんなのことを言うんだよ!
最初で最愛のギフテッド!
家族の愛に比べたら、才能なんて。
だってだって。
愛を知覚できないなんて、ギフトどころかルーティング。
アタシが貰った贈り物は、代わり映えのしないくるくる廻るルーチンルート。
あたしに備わるでっかい楔は、そうして何もかもをアタシから奪っていくのでした。まる。
168 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:15:09.13 ID:xUsdKWMzo


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


169 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:15:38.47 ID:xUsdKWMzo
「ギフテッド、天才、ジーニアス、サヴァン。 何でもいいけどつまりは、異常個体なんだよね。 一般ぴーぽーとは一線も二線も画す、三千世界の先の先の鴉ちゃん。 抜きんでた生き物は排他されるデスティニ〜♪ ばうばうばうっ!」

手先で二匹の犬を作り、追いたてるジェスチャー。

「だけど別によかったんだよー。 あたしはあたしの道を行く。 他人なんてカンケーなーい♪」

片方の犬は極寒のふぐりのように、体震わせ、縮こまって、すくんでいる。

「それでさ、キミはどう思う?」

手遊びそのまま、鬼に向き直る。

志希に特別目立った変化はない。
だがその瞳の奧、僅かに灯る黒炎。
170 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:16:15.31 ID:xUsdKWMzo

「どう、とは?」

「ニブいねーそれともアタシがコーフンしてるだけ? 疎外されるっていっても切っ掛けがあるでしょ? ………そだねー。 志希ちゃんひーんと。 神様から1つも2つもプレゼントを貰った女の子を、始めに『羨む』のは、誰でしょ〜♪」

「…………」

始め、とは。
謎々とかそういう類いの問ではない。

もっとシンプルで、元素のような。

鬼は、考える。

「ちくたくちくたくちくたくちくたく♪」

急かすように、口ずさむ志希。

始め、とは。
それはココロを塞ぐのに十分な、ともすれば記憶を封印するだけの威力を持つトラウマ。

初カノにスカトロマニアという核弾頭が備わっていた。

そんなレベルでなくてはならない。
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 22:16:20.88 ID:Kgoy0F/No
溜めて、出す(シティーハンター並感)
172 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:16:55.41 ID:xUsdKWMzo

「………周りには敵ばかり。 自分を助ける友人などなく、孤独が体を、心を責める」

「ちくたくちくたくちくたくちくたく♪」

これは、鬼の人生でもある。

天涯孤独。
育ての親は、親とも呼べぬ。

ジャンケンで負けたら、三回勝負だとか、石が紙に負ける訳がない、とか言い出す子供大人だったから。

彼はまるきり一人の力で生きてきた。

「雨が降る夜、闇の中でよく思いました。 どうして自分がこんな目に。 誰のせいだ。 誰の」

弱肉強食の世界へ放り出したのは、誰だ。
173 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:17:32.67 ID:xUsdKWMzo

「ちくたくちくたくちくたく、ちーん! はい、答えは?」

鬼と志希、二人にとって奇妙な共通点。
チェリーとヴァージン、偶然に偶然を重ねる、悲運だ。

「『親』、ですね」

「ぴんぽんぴんぽーん。 世界で唯一のあたしの味方は、最も近しい敵だったのでした〜。 それにしてもよくわかったね? キミとアタシの共通項、発見しちゃったかにゃ?」

「ええ………どうやらお互いに『運が悪い』」

列が進む、ゆっくりと。

ぱちぱちぱちと、志希は手を叩いて笑う。
174 : ◆4C4xQZIWw7k3 [saga]:2016/06/12(日) 22:18:01.09 ID:xUsdKWMzo

「キミのことも気になるけど、今は志希ちゃんのタ〜ン♪ そう、『始め』。 『始め』はねーよかったんだ〜」

分子式を軒並覚えて、化学反応を覚えて、生み出して、生意気に論文なんて書いたりして。

褒められた。嬉しかった。だからもっと頑張った。

幼く、勉強だけはできたお馬鹿さんは、その『歪み』に気づかなかった。

「近しい人は、違う職業の方がいい。
ホンと名言だよねー。 同じだと色々と、さ……」

弱肉強食の理は世の常だ。

どこの世界でも当たり前に存在し、競走を強いる。

男優の世界でも、出すのと振るのでは雲泥の差。

では、志希の世界は?
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