【アイマス】春が来たなら

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130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:23:31.72 ID:VR69VCnVo

春香「…」

雪歩「…」

春香「…ねえ雪歩。少し公園寄って行こうよ」

雪歩「え…」

春香「寒いけど、晴れてるからいいよね?」

雪歩「…うん」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:24:13.82 ID:VR69VCnVo

私達は二人並んで、冬の人気のない公園のベンチに腰掛けた。

そして、少しの沈黙…。
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:24:47.01 ID:VR69VCnVo

春香「…」

雪歩「…」

春香「あのね」

雪歩「ん?」

春香「雪歩は、将来の夢ってある?」

雪歩「え…?」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:25:29.36 ID:VR69VCnVo

春香ちゃんが唐突に言った。

将来の夢、か…。

私は、将来どうなりたいんだろう…?

以前は、こうなりたいという確かな理想があったはずなのに。

今はその理想が何だかボヤけて…。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:26:10.53 ID:VR69VCnVo

春香「私は…。もっともっと輝きたい。アイドルのトップを目指したいんだ」

雪歩「…」


うん。きっと、春香ちゃんならなれる。

華やかで。

周りを巻き込み楽しくする雰囲気があって。

私にないものが、全部あって…。
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:27:21.00 ID:VR69VCnVo

春香「けれどね…」

春香「それは、みんなと一緒じゃないと嫌なんだ…」

雪歩「え…」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:28:01.95 ID:VR69VCnVo

春香「千早ちゃんも、やよいも」

春香「…そして、雪歩」

雪歩「…」

春香「私はみんなと一緒に、最高のステージに立ちたい」

雪歩「…」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:29:05.99 ID:VR69VCnVo

春香「みんなとなら、行ける気がするんだ」

春香「雪歩もそう思うでしょ?」

春香「誰か一人でも、欠けたらダメなんだ…みんなそう感じてるよ」

春香「この4人なら立てる。きっと、最高の場所に…」

雪歩「…」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:30:05.45 ID:VR69VCnVo

雪歩「…春香ちゃん」

春香「ん?」

雪歩「誰か、一人忘れてない…?」

春香「誰か…?誰かって…あ、ぷ、プロデューサーさん!」

春香「そ、そう、もちろんだよ?プロデューサーさんも一緒だよ?」

雪歩「うふふ…」


慌てふためく春香ちゃん、かわいいな…。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:31:02.03 ID:VR69VCnVo

春香「そ、そう。その、みんなで…ね。特に」

春香「特に、雪歩」

雪歩「え…?」

春香「雪歩と一緒に、そこに立ちたいんだ…」

雪歩「…」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:32:16.19 ID:VR69VCnVo

春香ちゃんはまっすぐ私を見つめ、そう言った。

真摯な想いがこめられたその目に押され、

思わず目をそらしてしまう。
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:33:21.98 ID:VR69VCnVo

雪歩「けど、私なんか…」

春香「…できるよ、雪歩なら。私にはわかる」

雪歩「…」

春香「雪歩。そこに立とうよ。私と一緒に」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:34:10.24 ID:VR69VCnVo

春香ちゃんの一言一言が、凍えた私の心にわずかな暖かさを灯していく。

冬の寒さに悴む指先を、その暖かな手で包み込んでもらっているかのように。

けれど、ダメ。ダメなの。だって、私…。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:35:01.43 ID:VR69VCnVo

春香「…」

春香「…あ」

春香「あのさ…」

雪歩「…?」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:35:44.69 ID:VR69VCnVo

春香ちゃんが、何やらソワソワし始めた。

何か言おうとして迷っているの…?

率直ないつもの春香ちゃんらしくない。
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:36:22.04 ID:VR69VCnVo

春香「あ、あのさ。こんな時に言うべきかどうか迷ったんだけど」

春香「雪歩、聞いて」

雪歩「う、うん…」


春香「私、昨日プロデューサーさんに告白したんだ」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:37:16.30 ID:VR69VCnVo

私の心に灯ったわずかな暖かさが一瞬で消え去り、

代わりに凍えるような冷たさが支配した。

…どうして?

どうして、今そんな話をするの?春香ちゃん。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:38:32.89 ID:VR69VCnVo

春香「雪…」

雪歩「…そう。おめでとう、春香ちゃん」


不思議と、自分でも驚くくらいに平静な声が出た。
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:39:31.71 ID:VR69VCnVo

春香「雪歩…?」

雪歩「うふふ、気付かないと思った?やだなー、春香ちゃんは」

春香「雪歩、あの…」

雪歩「そのくらいわかるよー。だって、親友だもの」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:40:20.48 ID:VR69VCnVo

春香「聞いて、雪歩」

雪歩「だいたい、春香ちゃんってプロデューサーと一緒にいる時」

雪歩「ずっとニヤニヤしっぱなしなんだもん」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:41:13.34 ID:VR69VCnVo

春香「ねえ、雪歩」

雪歩「あーあ、プロデューサー、春香ちゃんに取られちゃったなー」

雪歩「けど春香ちゃんとプロデューサーなら、まあお似合いかな」

春香「雪…」

雪歩「じゃあ、寒いから私そろそろ…。これ以上のおノロケ話はごめんですぅ」


ベンチから立ち上がり、私はその場を立ち去る。
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:42:36.97 ID:VR69VCnVo

春香「…ねえ、雪歩!待ってってば!」

雪歩「…」


春香ちゃんが追いかけてくる。

逃げるように、私の足がだんだん早くなる。

お願い、春香ちゃん、追いかけてこないで…。


…今の私の顔を見ないで、お願い!
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:43:32.68 ID:VR69VCnVo

春香「雪歩!」

雪歩「嫌っ!」


掴まれた手を振り払い、私は走り出す。

ほほを熱いものが伝った。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:44:20.75 ID:VR69VCnVo

春香「ま、待って雪歩!…あっ」


走りながら私は思う。

全部捨ててしまおう。

アイドルの仕事も、春香ちゃんへの想いも。

事務所を辞めて、全部投げ捨ててしまおう。

きっと、私は耐えられない。

幸せそうな春香ちゃんと、プロデューサーさんの姿に…。
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:45:17.30 ID:VR69VCnVo

春香「雪歩っ!」

雪歩「嫌っ、離してぇっ!」


春香ちゃんが私に追いつき、強く私の手首を掴む。

私は、その手を必死に振りほどこうとした。
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:45:57.00 ID:VR69VCnVo

春香「離さないよっ!」

春香「だ、だって…」


春香ちゃんは大きく息を吸い込むと、

周囲に響くような大声を張り上げた。


春香「私、雪歩の事が好きだからっ!」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:46:54.04 ID:VR69VCnVo

その言葉に、一瞬私の全てが止まった。

心臓までもが、その鼓動を止めてしまったかのようだった。
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:47:40.58 ID:VR69VCnVo

雪歩「…し」

雪歩「親友、としてでしょ…」

春香「ううん、違うの!」

春香「友達として、じゃなくって、そのっ…」

雪歩「…」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:48:35.02 ID:VR69VCnVo

春香「…ねぇ、雪歩。何か、誤解してない?」

春香「プロデューサーさんに告白っていうのは、ね。その…」

春香「ゆ、雪歩の事が…。友達以上に、その、好きだ、って事を、ね…」

雪歩「…」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:49:37.48 ID:VR69VCnVo

止まっていた心臓の鼓動が、再び動き出す。

そして今までの分を取り返すかのように、徐々にその早さを増していく。
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:50:17.96 ID:VR69VCnVo

春香「どうしたらいいのかわからなくって、プロデューサーさんに、ね…」

春香「…相談したんだ。プロデューサーさん、最初はビックリしてたけど」

春香「結局、何て言ったと思う?」

春香「当たって砕けろだって。命短し恋せよ乙女、だって」

春香「全く、人事だと思って…。こう見えても、けっこう悩んでたんだよ?」

雪歩「…」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:51:27.65 ID:VR69VCnVo

春香「…けどね。それで何だか吹っ切れて」

春香「今日、雪歩に告白しようと思ったんだ」

雪歩「…」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:52:32.86 ID:VR69VCnVo

今の私の心臓は、普段の倍以上の速さで動いていた。

これ以上早く動いたら、壊れちゃいそう…。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:53:04.65 ID:VR69VCnVo

春香「変だよね?気持ち悪いよね?女の子なのに、女の子に好きって…」

春香「…でも、もうこれ以上気持ちを隠して友達のフリなんてできそうにない」

春香「…雪歩。お願い、返事を聞かせ…。ううん、返事なんて聞かない」

春香「どんなに雪歩が私の事嫌っても、私は、雪歩を絶対離さないから!」

雪歩「!」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:54:37.65 ID:VR69VCnVo

春香ちゃんに引き寄せられ、思いっきり抱きしめられた。

しばらくそうしている内に。

私の心の中に、徐々に熱いものが満たされ始め。

そして、それは私の目から涙となってあふれ出た。
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:55:23.07 ID:VR69VCnVo

雪歩「春香ちゃん…」

春香「雪歩…?」


春香ちゃんの首筋に、そっと手を回す。

返事なんて聞かない、なんて春香ちゃん。

そんなのダメ。ちゃんと私の返事を聞いて。
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:55:57.90 ID:VR69VCnVo

雪歩「好き…。私も…」

雪歩「友達、としてじゃなくて…」


涙ながらに春香ちゃんにそう伝える。
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:58:16.70 ID:VR69VCnVo

春香「ゆ、雪歩?」

春香「ほ、本当に…?」

雪歩「グスッ…。うん。好きなの、春香ちゃん…。どうしようもないくらい…」

雪歩「私も悩んでた。もし春香ちゃんにこんな気持ち知られたら、嫌われるんじゃないかって…」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 22:59:19.97 ID:VR69VCnVo

春香「…雪歩」

雪歩「春香ちゃん…」



春香「雪歩ーっ」

雪歩「春香ちゃんっ…!」


お互い、きつくきつく抱きしめあう。

この瞬間、時間が止まってしまったように感じた。
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:00:13.83 ID:VR69VCnVo

しばらくして、春香ちゃんがポツリポツリと語りだす。


春香「ずっと、悩んでた」

春香「表面上は、私と雪歩は仲のいい友達…」

春香「けどね。雪歩と遊んで別れたあととか」

春香「だんだん、どうしようもなく寂しく感じるようになって…」

雪歩「…」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:00:49.91 ID:VR69VCnVo

春香「それで、雪歩が誰かのものになっちゃったらなんて考えたりすると」

春香「何だか、急に泣けてきちゃって…」

春香「あ、き、気持ち悪いよね私?雪歩のこと、こんな風に…」

雪歩「…ううん」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:01:31.97 ID:VR69VCnVo

雪歩「だって、私も一緒だもの」

雪歩「こんな想い、春香ちゃんに知られたら避けられるって思ってて」

雪歩「今まで、ずっと隠してた…」

春香「雪歩…」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:02:31.61 ID:VR69VCnVo

春香「…私達、同じ事で悩んでたんだね」

雪歩「うん…」

春香「でも、もうこれで悩まなくていいんだね…」

雪歩「そうだね…」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:03:08.75 ID:VR69VCnVo

雪歩「…それにしても、春香ちゃんはヒドいなぁ」

春香「え…?」

雪歩「そうならそうと、もっとベタベタしてくれば良かったのに」

春香「そ、それは雪歩もでしょー?」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:03:58.14 ID:VR69VCnVo

雪歩「…うふふ」

春香「あはは…」


お互いに笑い合い、そしてふと訪れる沈黙。

やがて、春香ちゃんはこう言った。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:04:55.98 ID:VR69VCnVo

春香「…雪歩は、自分の心は雪って言ったけれど」

春香「それは、違うからね」

雪歩「え…」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:05:30.26 ID:VR69VCnVo

春香「だって、雪歩は私の心をこんなに暖かくしてくれるんだもの」

雪歩「…」

春香「雪歩は、私の太陽なんだ…」

雪歩「…」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:06:06.64 ID:VR69VCnVo

黙ってお互いに見つめあう。

静かな、けれど暖かな沈黙。
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:06:38.91 ID:VR69VCnVo

春香「…雪歩」

雪歩「春香ちゃん…」


春香ちゃんが、真っ直ぐな瞳で私を見つめてくる。

私も、真っ直ぐその瞳を見つめ返す。

そしてその瞳が、だんだん近づいて…。
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:07:04.86 ID:VR69VCnVo

そして、ふっと目を閉じると。

春のような暖かさが、私の唇に重ね合わされた。










180 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:08:00.44 ID:VR69VCnVo

翌日の収録スタジオ。

プロデューサーと春香ちゃん、そして私でスタッフさんに頭を下げて周って。

再収録の時がやってきた。

今日は、失敗しないよね…。

春香ちゃんと一緒だから、大丈夫だよね…?
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:08:48.82 ID:VR69VCnVo

春香ちゃんが、こちらを元気づけるように見つめてから

頑張ろ、と声をかけてスタンバイに入る。

一瞬、昨日の感覚を思い出してドキドキしてしまった。

やがて曲のイントロが静かに流れ出す。
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:09:23.65 ID:VR69VCnVo

春香ちゃんのあとに私のパートが来るんだよね…。

音程外さないようにしなきゃ、しっかり声出さなきゃ…。

そんな事で一杯の私の心に、歌い出した春香ちゃんの歌声がふと入り込んできた。
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:10:21.12 ID:VR69VCnVo

愛の想いを歌った優しいラブソング。

春香ちゃんの想いが乗せられているような暖かさ。

まるで、私に語りかけてくるよう。


…そうか。

何も難しく考える事なんて、なかったんだ。
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:11:14.21 ID:VR69VCnVo

私もそれに答えるように歌い出す。

会話に答えるように自然に。

こんなにリラックスして歌うのなんて、初めて。
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:11:50.60 ID:VR69VCnVo

春香ちゃんが話しかければ私が返す。

私が話しかければ春香ちゃんから返ってくる。

いつもの、遊びにいって楽しく交わす会話と変わらない。
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:12:29.90 ID:VR69VCnVo

サビに入り、二人で共に今の気持ちをのせて歌う。

春香ちゃんの気持ちが伝わってくる。

私もそれに答える。

暖かで強い春風が吹いているよう。

私はそれに乗って空を飛ぶ気分。

ああ、歌って、こんなに気持ちがいいものだったんだ。
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:13:18.29 ID:VR69VCnVo

夢中になって歌う内に、やがて曲は静かに終わっていった。

ああ、もっと歌っていたい。

曲が終わるのが残念なんて、こんな気持ちになったのは初めて。

私は心地よい余韻にひたっていた。
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:14:20.14 ID:VR69VCnVo

「…?」


私はふと異変に気づいた。

スタジオがシーンと静まり返っている。

いつもならスタッフさんのOKでーす、またはカットでーすという声が

すぐに響くのに。
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:15:32.38 ID:VR69VCnVo

パチ…パチ…


戸惑っていると、スタッフさんの一人が拍手を始めた。

そして…。
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:16:22.74 ID:VR69VCnVo

パチパチパチパチ…


スタジオの中にいた全員が、私達に拍手をし始めた。

ど、どうしたんですか…?

こんなのって、今まで初めて…。
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:17:26.54 ID:VR69VCnVo

スタッフ「はーい、OKでーす」


思い出したように、スタッフさんの声がスタジオに響く。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:17:56.71 ID:VR69VCnVo

スタッフ「お疲れ様でしたー。チェック入りまーす」

雪歩「え…」

春香「やった、雪歩!1発でOKだよ?」

雪歩「ほ、本当に…?本当に1回でOKですか?」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:18:32.72 ID:VR69VCnVo

スタッフ「ええ、バッチリOKでーす」

雪歩「やったぁ、春香ちゃん!」

春香「やったね、雪歩!」


信じられなくって、思わず春香ちゃんの手を取る。

そのまま子供のように飛び上がってはしゃいでしまった。
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:19:41.58 ID:VR69VCnVo

P「お疲れ、二人とも。これまでの最高のデキだったぞ?」

雪歩「ほ、本当ですか?そんな…」

春香「もう雪歩、もっと胸張ろうよ」

P「特に雪歩。一皮剥けたな」

雪歩「そ、そんな、私なんて…。はうぅ…」

春香「雪歩ったら。最高だったよ?」


何だかとても恥かしい。
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:20:31.99 ID:VR69VCnVo

P「じゃあ、上がっていいぞ。少ししたら迎えにいくからな」

雪歩「はい!」

春香「はーい、プロデューサーさんあとでヨロシクねー」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:21:02.37 ID:VR69VCnVo

P「…。あの様子じゃ、きっと…」

P「上手く行ったんだな春香。はぁー、良かった…」

スタッフ「Pさん、Pさん」

P「ん?」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:21:48.66 ID:VR69VCnVo

スタッフ「いやー、昨日とは見違えるような出来でしたね」

スタッフ「僕、感動しちゃいましたよ。何か魔法でも使ったんですか?」

P「ん?ああ、いや…」


P「使ったんじゃなくて、むしろ魔法を解いたのかもな」

スタッフ「はぁ…?」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:22:29.20 ID:VR69VCnVo

P「自信のなさや思い込みで、雪歩は今まで本来の力を出せずにいたが…」

P「その悪い魔法を、王子さまのキスで…」

P「ん?この場合王女さま?いやいやそれじゃ違うな…」

スタッフ(…何を言ってるんだこの人は)

P「ま、それはともかくとして」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:23:10.29 ID:VR69VCnVo

P「これからあの二人…。特に、雪歩は伸びるだろうな」

P「春香と肩を並べるかも知れない」

スタッフ「え…?そ、そんなにですか…?」

P「雪歩の潜在的な力は、俺は1番だと思っている」

スタッフ「へぇー…?そこまで彼女を買ってたんですか」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:23:43.59 ID:VR69VCnVo

P「もちろん。765プロはトップを取れる人材を選りすぐったんだから」

P「一見地味な雪歩だって、トップを狙える素質は十分に備わっているさ」

P「音楽を聞く耳を持たない連中には、仲々伝わらんがな…」

スタッフ「ぼ、僕も前から雪歩ちゃんは素晴らしいと思ってましたよ?」

P「調子のいい奴だな君は。ハッハッハ…」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:25:15.17 ID:VR69VCnVo

P「…さーて、そろそろ迎えに行くか。未来のトップアイドル達を」

スタッフ「あ、あのチェックがまだ…」

P「ん?ああ大丈夫。そんなの一発でOKに決まってる。それに」

P「何回撮り直したって、これ以上のものは撮れんさ…」








202 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:25:53.98 ID:VR69VCnVo

(765事務所)

春香「ただいまー」

雪歩「ただいま」

千早「あら?ずい分早かったわね」

やよい「お仕事、もう終わったんですかー?」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:26:45.13 ID:VR69VCnVo

春香「うん!なんと、1発でOK出てさ」

雪歩「ええ、本当に驚きました」

千早「へぇ。春香がいるのに珍しい事もあるものね」

春香「ひどいよ千早ちゃん!?」

雪歩「いえ、本当は…」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:27:24.30 ID:VR69VCnVo

雪歩「今日たまたま私の調子がよくて、春香ちゃんの足を引っ張らなかっただけ…」

春香「雪歩…」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:27:57.53 ID:VR69VCnVo

春香「…雪歩。そんな事言うもんじゃないよ」

春香「今日の収録、私は雪歩から力を貰ったんだよ?」

春香「雪歩が一緒にいてくれたお陰で、今までで最高に楽しく歌えた」

雪歩「春香ちゃん…」

千早(…)
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:28:35.17 ID:VR69VCnVo

春香「だから、これからも私を支えて欲しいんだ…」

雪歩「そ、そんな…」

やよい「ええ、いいと思いますー!」

千早(…ふぅ〜ん)
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:29:11.45 ID:VR69VCnVo

千早(萩原さん…)

千早(…)

千早(…)グッb

雪歩(…??)
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/01/02(月) 23:29:47.46 ID:855iRRiXO
b!
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:32:01.92 ID:VR69VCnVo

春香「ね?雪歩…」

雪歩「う、うん…。こ、これからも宜しくね、春香ちゃん」

春香「やったーあ!宜しくね、雪歩」

やよい「うっうー!」

千早(…全く)
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:32:40.33 ID:VR69VCnVo

千早(何が、春香の一番の笑顔は私以外に向けられてるよ)

千早(いつも、春香が最高の笑顔を向けるのは…)

千早(気付いてないのは本人だけ、ってね。…それにしても)
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:33:29.03 ID:VR69VCnVo

千早(二人とも、帰ってくるのが早すぎよ)

千早(折角のやよいとの二人っきりタイムが)ゴゴゴ…

雪歩(ち、千早ちゃん、さっきから何なんだろ…)
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:34:19.66 ID:VR69VCnVo

やがて帰る時刻。

嬉しい事に、今日も春香ちゃんと一緒だ。


春香「それじゃ、帰りますねー」

雪歩「お疲れ様でした」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:35:02.99 ID:VR69VCnVo

P「おーう。帰り道気をつけてなー。あと、明日遅れんなよー」

春香「もう、わかってますよ」

雪歩「本当に?春香ちゃん」

春香「雪歩まで疑うー?」

雪歩「うふふ…」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:35:52.69 ID:VR69VCnVo

二人っきりの帰り道。

いつもと同じようだけど、昨日までとは何だか風景が違う。

隣にいるのは友達じゃなくて、私の愛しい恋人だから。
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:36:22.98 ID:VR69VCnVo

春香「ねーねー、今度の休み、どっか遊びに行こうよ?」

雪歩「そうねー、どこがいいかな?」

春香「うーん、思いっきり楽しいとこ」

雪歩「うふふ…春香ちゃんと一緒なら、どこだって楽しいよ」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:37:06.19 ID:VR69VCnVo

春香「えー?だって、折角の初デートなんだよ?」

春香「いつも行くようなとこじゃない所に行きたいよ」

雪歩「デッ…///」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:37:45.83 ID:VR69VCnVo

雪歩「…そ、そうだよね、私達、こ、恋人同士なんだから…」

雪歩「で、デート…。なんだよね…?」

春香「そう、デートだよデート!だから、いいムードの所に…あっ、と!」

ドンガラガッシャーン

雪歩「きゃあ!?は、春香ちゃん?」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:38:21.04 ID:VR69VCnVo

春香「いたたた…」

雪歩「だ、大丈夫?怪我してない?」

春香「うん、平気だよー、あたた…」

雪歩「ふぅ、良かった…。春香ちゃん、本当におっちょこちょいなんだから」

春香「わ、悪かったねーおっちょこちょいで」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:38:48.13 ID:VR69VCnVo

雪歩「…」

春香「…」

雪歩「うふふ」

春香「えへへ」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:39:26.33 ID:VR69VCnVo

雪歩「…じゃあ、春香ちゃん」

雪歩「はい、手」

春香「わぁ、雪歩優しーい」

春香「…よいしょっ」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:39:52.62 ID:VR69VCnVo

春香「えへへ…」

雪歩「うふふ…」

春香「…」

雪歩「…」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:40:41.74 ID:VR69VCnVo

ふと訪れる沈黙。

やがて、春香ちゃんがまっすぐな眼差しで私を見つめた。
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:41:23.28 ID:VR69VCnVo

春香「…雪歩」

春香「…いい?」

雪歩「…うん」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:41:52.83 ID:VR69VCnVo

私の大好きな、まっすぐな瞳が近づいてくる。

このまま見つづけていたら、吸い込まれちゃいそう。
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:42:25.46 ID:VR69VCnVo

唇を重ねながら、私は思った。

春香ちゃんは、私の心は雪じゃないって言ってくれたけど。

けど、やっぱり私の心は雪。


だってね――――

226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:43:01.45 ID:VR69VCnVo





春が来たならね。雪は、融けちゃうんだ…










227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 23:43:56.24 ID:VR69VCnVo
以上です
カップリングが嫌いな方は申し訳ありませんでした
依頼出して来ます
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 04:04:23.72 ID:9fv0Qkqa0
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/01/24(火) 01:11:04.80 ID:YZjzwuzCo
おつおつ
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