【モバマス時代劇】神谷奈緒 & 北条加蓮「凛ちゃんなう」

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43 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 00:53:59.00 ID:3tnS2gIH0
一応ここまで。 続きは昼頃。
作品自体はもう書き終わってるから、心配nothing!!
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 02:23:37.54 ID:MpjPVm8Mo
なつきちは何時の時代でも強いな…
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 02:28:09.33 ID:kx3iJQEk0
一口サイズのいいSSたち
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:07:21.46 ID:3tnS2gIH0

 気分が悪い。

 仕事の後、光はすぐに自宅に戻った。

 あんな殺し方があるか。あんな…。

 顔をミネラルウォーターで洗いながら、光は鏡を見た。

 死人のような目。

 真っ白い肌に蒙古斑がいくつか。

 身体全体も、骨が浮き出るほどやせている。

 ダイブ中毒。薬の副作用だ。

 今日は夏樹が転送してくれたが、

 いつもは一度に錠剤を

半ダース分摂取している。

 まるでアタシが幽霊みたいだ。

 光は苦笑しながら、寝室に向かった。

「おかえり」

 そこには少女がいる。

 少なくとも、光には“そう見える”。

「ただいま、麗奈」

 光は幻像に向かって話しかけた。

 これも薬の影響だと、彼女は考えている。

 麗奈は、光が初めて消去した

 電子空間の住民だった。

そして、そこのプロパイダーの娘だった。

両親の死に呆然とする彼女をよそに、

光は電子空間から脱出した。

そういう風に記憶している。


ある日から、ぼんやりと部屋に

麗奈が現れるようになった。

症状が悪化した今は、ずいぶんくっきりとしている。
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:08:20.01 ID:3tnS2gIH0
「今日は何人殺したんですか?」

「アタシが直接撃ったのは、8人だ」 

 光の答えに対して、麗奈は笑った。

「いいえ、貴女が見殺しにした人も、
 
 しっかり数えなくちゃ」

 子どものような、純粋な笑顔で、

 幻はゆらゆら揺れる。

 光の精神は、彼女によって圧迫されているのか。

 それとも限界の近い精神が、幻覚を見せるのか。

 光は麗奈に、ミネラルウォーターの

 ペットボトルを投げつけた。

 すると、ふっと彼女が消えた。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:08:45.42 ID:3tnS2gIH0
 光は浴びるほど酒を飲んだ。

 未成年であったが、殺人を犯すことに比べれば、

 ささいなことである。

 そして、ばくんと、自分の右肩の関節を脱臼させた。

 以前任務で外れてから、光の関節は緩くなっている。

 自殺をする度胸はない。

 リストカットをするほどハイになることもない。

 これは光なりの自傷、あるいは自罰行為であった。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:09:16.20 ID:3tnS2gIH0
 南条光は、いまは封鎖された阿波で生まれた。

 生まれてすぐにロケート適正を調べられ、

 10歳までに決断を出すように迫られた。

 両親はより上位の楽園へ至るために、

 光に徹底的な“正義心”を

植え付けた。

いや、厳密には悪への憎悪を。

その教育は功をそうし、

 光は迷うことなくロケーターの道を選んだ。

 全て順調だった。

 初任務の、その時までは。

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:09:58.75 ID:3tnS2gIH0
翌朝、二日酔いで頭痛を覚えながら、

 受話器を取った時点で、相手がわかった。

 ごちゃごちゃしたドラムとエレキギターの音が、漏れている。

「こちら、南条」

『どうしてお前が出るんだ』

「…ここはアタシの部屋です」

 向こうから、小さく笑う声が聞こえた。

『良いニュースと悪いニュースがあるんだ。

 どっちから聞きたい?』

 夏樹はもったいぶって言った。

「悪い方から」

『幽霊がまた現れた。

 そんで良いニュースは、難波が死んだことだ』

 これには光も、くは、と声を漏らした。

『…難波はS級だった』

 音楽が止み、真剣な声が受話器から響いた。

『アイツを殺るってことは、少なくともS級

 下手をすればSS級だ。

 光、お前はしばらく引きこもっていた方がいい。

 上に話はつけておく』
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:10:33.92 ID:3tnS2gIH0
「謝りたいけど、相手に許してもらえないとき、

 どうすればいい?」

 受話器に耳を当てながら、

 おぼつかない口調で、光は尋ねた。

 夏樹は、しばらく考えてから答えた。

『……謝る姿勢にもよるな。

 許してほしいからなのか

 謝りたいからなのか。

 それで相手の受け止め方も変わるだろ』

 光の視界の端で、血まみれの麗奈が笑った。

 電話が切れた。

「アタシは正義の味方になりたかった」

 吐瀉物にまみれたシーツの匂いを嗅ぎながら、

 光は呟いた。

 麗奈達がくすくすと笑った。

「悪い奴は、コテンパンにして、皆を助けたかった」

 ロケーターがやっているのは、

 どんなに飾っても弱者の虐殺。

 だが、誰かがやらねば、電子空間は

 全てシャットダウンされてしまう。

 こんなとき、家族に相談するのが10代の少女らしかった。

 しかし、光はそうしなかった。

 彼女は最近になって、

 自分が両親に売り飛ばされたことに、

 気づいてしまったから。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:11:05.25 ID:3tnS2gIH0
安斎都は、電子空間の海を泳いでいた。

特定のチャネルには入らず、文字化けした0と1の間を

するすると進んで行く。

彼女は今、失踪ロケーターの捜索を行なっていた。

最近職務の酷薄さに耐えかねて、電子空間に逃げ込む輩が増えている。

都も気持ちはわかる。

はじめは世界を守る仕事だと誇りを持っていたが、

数ヶ月もせずに辞職届を五枚も出した。

すべて却下された。

都が甘美な楽園に足を踏み入れるためには、

契約を取り消すだけの手柄を立てる必要がある。

周りは全くあてにならない。

先輩の木村夏樹は、

「10代なんてただの荒野だ」

などと、からから笑うだけだった。

失踪したロケーター達は、

特定のチャネルには留まらず、

海を泳いでいる時間の方が長い。

都も、同じようにして探す。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:11:49.90 ID:3tnS2gIH0
数列の残滓が身体をすりぬけて、またどこかへいく。

海水はデリートされた空間の破片でできている。

なので、それをすくってスキャンすると、過去に存在した

チャネルの情報が残っていることがある。

なにやら近頃は、現実空間を

汚れた景色をそっくり模倣したチャネルが増えているらしい。

楽園の中に、地獄を創造しているのだ。

都は苦笑した。

持続する快楽すらも窮屈になって、逃れたはずの現実を

電子空間の中に持ち込むとは、本末転倒ではないか。

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:12:56.56 ID:3tnS2gIH0
南条光は、すでに化石になりつつある

 ビデオテープを、デッキに入れた。

 内容は特撮もの。光の趣味だ。

「レッドマ〜ン、レッドマ〜ン、ンフフフ」

 昔は難解なものを好んだが、この頃はシンプルな勧善懲悪

 いや、正義による一方的な蹂躙に偏っている。

 理由は、言うまでもない。

「そうよ、正義はこうでなくっちゃ!!」

 光が振り返ると、ソファに麗奈が座っていた。

「御託を並べて自己弁護をするのは、ただの臆病者。

 正義も悪も、ただ、“そうある”だけでいい!!」

「その通りだ」

 光は同意して、彼女の横に腰掛けた。

 紙コップにコーラを注ぐ。

 すると、それを麗奈が取って、

 ぐびぐびと飲み干してしまった。

「…これは、アタシが飲んだことになるのか」

 まあいいや、と南条はもう1つ紙コップを出した。
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:14:56.24 ID:3tnS2gIH0
「アーう、あ゛ーあー」

 バッドトリップ。

 視界が、世界が、おぼつかない。

 気分が悪い、いや気分がいい時なんてあったか。

 正義の話、そうアタシは、世界が中心の、

 そう、まっすぐ、アタシなんだ。

 その顔は何だ!?その眼は何だ!?その涙は何だ!?

 自分自身の力で光になれるんだ。

 ヒーローが必要なんだ・・・。ヒーローが・・・。

 だってやるしかないだろ?

 テレビジョンが砂嵐に変わる。
 
 光は嘔吐しながら、ベッドに横たわった。

 「ざまあみろ」
 
 麗奈が言う。

「アンタなんて名前?」

 麗奈が尋ねる。

「アタシは…南条、光」

「「通りすがりの、仮面ライダー」」「キャハハハ!! 馬っ鹿みたい!!」

「人殺し!」「ピーマン嫌い?」「お肉ゥ!!」

「滅びゆく弱者に、涙など要らぬわ…」

「白いお部屋に子供が1人、まっくろい犬が2匹。

 でも首輪はひとつしかないの」 
 
 麗奈がいっぱいだ。麗奈がいっぱいて、

 寝室を埋め尽くしている。

 光はうずくまって、耳を塞いだ。

 しかし声は聞こえ続ける。

「許して…」

 そう呟くと、麗奈の1人が、光の頭を撫でた。

「__________?」

声が聞こえなかった。

彼女は、優しく微笑んでいた。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:15:23.25 ID:3tnS2gIH0
光が目を覚ますと、部屋は滅茶苦茶になっていた。

テレビは壊れ、ビデオはテープが千切られている。

フィギュアの大半が、五体が不満足になっている。

身体中が汗でびっしょりだった。

シャワーを浴びよう、そう思って寝室から出ると、

玄関の鍵が開いている。

まさか、この雨の中、

自分は外に出たのだろうか。

光は、バスタブにpH調節薬と

たっぷりのお湯を注ぎ、身を沈めた。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:15:52.27 ID:3tnS2gIH0
木村夏樹は単身でダイブを行なっていた。

掃除ではなく、幽霊探しのためだ。

彼女は犯人の目処をつけはじめていた。

現在、生身電子にかわからず、

人々の大半は識別用のチップを埋め込まれている。

例外は、違法な空間で“産まれた”子ども。

どこぞの変態技術者によるものか、

電子空間での生殖によって、

擬似的な精神プログラムが発生するような

チャネルが最近見つかっている。

仮にそのプログラムが、ロケート能力を持ち、

現実空間での身体を構築できるとしたら?

識別コードにも反応せず、ロケーターの殺害後は、

再び電子の海に消える。

奇々怪々な仮説だが、いかんせん自分達の能力や

機器からの流血を考えると、不可能とも言い切れない。

これが正解だとすると、かなり厄介だ。

特に、増殖などされた時には手に負えない。

わらわらと現実空間に這い出してきた日には、

ロケーターは1人残らず殲滅されるだろう。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:16:28.06 ID:3tnS2gIH0
 南条光は、部屋の片付けを始めた。
 
 壊れたものを全て窓の外に放り投げる。

 テレビも、ビデオも、フィギュアも、汚れたシーツも。

 一度誤って、自分が落ちそうになった。

 その時は、麗奈の1人が身体を支えてくれた。

 他の麗奈は舌打ちをした。
 
 それから光は、PCの前に立った。

 ラムネのような錠剤をばりばり噛み砕きながら、

 モニターに手を当てる。

「光の…オーロラ…身に纏い〜」

 光が口ずさむのに合わせて、

 彼女の身体が青い粒子に変わっていった。

 ダイブ。

 
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:17:11.12 ID:3tnS2gIH0
 光は膨大なチャネルが、パルスの紐帯によって

 蟻の巣のように連なっている風景を幻視した。

 その中では、皆だらしない顔をして、

 快楽を享受している。

 ひどく退廃的だった。

 ただ生きているだけ。

 こんなやつらの生活を担保するために、ロケーターは……。

 光の中に、ふつふつと昏い怒りが込み上がってきた。
 
 「アンタは、この愚民どもの犬なの?」

 麗奈がふよふよと、そばを漂っていた。

「ちがう…とは言えないな」

 光は肩を落として、返した。

 大義はある。しかし、それは自分で掲げたものではない。

「アンタの正義は、どこにある?」

 光はすぐに答えることができなかった。

 正義とは、悪の相対によって生じるもの。

 逆もまた然り。

 ゆえに価値観、

 厳密には“決定的な悲しみや痛み”を

 共有できない世界では、正義も悪も存在しない。

 全てが他人事で、虚像に過ぎないからだ。
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:17:56.45 ID:3tnS2gIH0

「…この世の悪の前にある」

 光は皮肉った。そんなものはどこにもない。

 電気信号に対する反射装置と化した人類に、

 難解すぎる概念だ。

「それじゃあやっぱり、光は正義の味方になれるわ!!」

 麗奈はけらけら笑って、電子空間の星々に手をかざした。

 そして、手をぎゅっと握ると、

 指の間から光の粒子がはらはらと散った。

「麗奈…?」

 光は呆然とした。これも幻覚か。

 A級ロケーターに、こんな真似はできない。

 いやSS級でさえも。

「今アタシは、けちなロケーター殺しから、

 人類の天敵になった…。

 ねえ光、これでアンタは戦える?」

 麗奈はまた笑った。

 こんな、悲しそうに笑う少女を、

 光は知らなかった。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:18:29.25 ID:3tnS2gIH0
 現実空間に戻ると、部屋が血と錆にまみれていた。

 外に出ると、アパート、いや区画そのものが、

 赤黒く染まっていた。

 まぼろし、光が言いかけた時、夏樹が現れた。

「無事だったか」 

 そう言う彼女に、光はぺたぺたふれた。

「本物の夏樹さん?」

「アタシ以外アタシじゃねえよ。

 偽物でも見たか?」

 夏樹はからからと笑った。

「正規のチャネルが複数、まとめて消滅した。

 上はカンカンを通り越して、便器に向かって懺悔してる」

 あの風景は幻覚ではなかったのか。

 光は両手を差し出した。

「アタシがやったんだ」

「嘘つけ。お前にそんなことする力はねえし、

 あっても絶対やらないだろ」

夏樹は光の手を、ぶっきらぼうに払った。

62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:19:51.46 ID:3tnS2gIH0
CRISISの会議室で、光は幽霊について報告した。

ある者は眉をひそめ、ある者は愕然とした。

前代未聞のSSS級ロケーター。

電子世界を自由に移動するだけでなく、

チャネルを丸ごと握りつぶしてしまう。

光の話が真実だとすれば、人類の危機である。

「これで皆、“目が覚めた”かな」

夏樹の言葉にロケーター達が苦笑した。

幽霊による虐殺さえも、楽園の住民達には

ちょっとしたスリルの追加でしかなかった。

こわいね、と一言、言ったきり

また快楽に耽っている。

もしかすると、彼、彼女達にとっては

生も死も、すでに曖昧なものなのかもしれない。
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:20:20.30 ID:3tnS2gIH0
これからは、チャネル整理はしばらく休みだ。

各自、全力で幽霊の抹殺にあたってくれ」

統括部の東郷あいの言葉に、一同は曖昧に頷いた。

光は会議室の中にいる麗奈を、そっと一瞥した。

今ここにいる麗奈は、誰にも見えていないようだ。

したがって、彼女は幽霊ではない。

光は、麗奈が複数見えていることを口にしていなかった

なんとなく、話すのが面倒だった。

話したところで、混乱を生むだけ。

そんな自己弁護をしながら、光は部屋を出た。


64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:20:48.21 ID:3tnS2gIH0
家に帰って、ビデオの続きを見るのだ。

もう考えるのはやめた。

相手がSSS級のロケーターなら、

電子空間をジャンプして、

PCからPCへ移動ができるという。

いままさにCRISISにやってきて、

ロケーターを皆殺しにすることなど造作もない。

A級の光など一捻りだ。

かすかに緑色をした雨に、

建物のネオン灯が散って、

外の風景はひどく幻想的だった。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:21:46.89 ID:3tnS2gIH0
 木村夏樹は尾行相手を見た。

 薬の副作用のせいか、ふらふらだった。

 譫言のようになにかぶつぶつ言っている。 

 もう長くないな。

 夏樹はため息をついた。

 A級ロケーターは、S級やSS級の負担を

 減らすための消耗品だ。

 ロクな治療も手術も受けられず、雑草のように死ぬ。

 光は、水たまりにすべてすっ転んだ。

 そして倒れたっきり、起き上がらない。

 どうした…!?

 夏樹が物陰から足を出すと、

 世界が一変した。

 パネルを裏返すように、ぱたぱたと

 景色が入れ替わっていく。

 電子世界に引き摺り込まれた。

 夏樹はホルスターから拳銃を抜いた。

「…はあ?」

風景は一面灰色の、採石場だった。

特撮か。

夏樹が苦笑する前に、地平線から大量に、

おでこの広い少女が押し寄せてきた。

皆、黒一色の戦闘服を着ている。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:23:18.65 ID:3tnS2gIH0
拳銃で撃っていたら間に合わない。

夏樹は左手の指をこめかみに当て、右手を前にかざした。

「デリート」

彼女の声に合わせて空間が抉り取られ、

相手が12名ほど消滅した。
 
空間展開能力を逆用した、空間の強制封鎖。

SS級ロケーターのみ許される能力。

しかし、その負荷は重い。

彼女の瞳から、血が一筋流れた。


「ザコはザコらしくしてなさい」

「雑魚戦闘兵が何言ってやがる」

1人の言葉に、夏樹が返す。

強がってはいるが、デリートは何度も使えない。

「アタシと光の邪魔をしないでよ!!」

「ちょっと、光様はアタシのヒーローなのに!!」

「やろう、ぶっろしてやる」

「きゃあ、じぶんごろし」

肩で息をする夏樹をよそに、彼女達はお互いを攻撃し始めた。

皆、光に対する執着心が強すぎる。

正体のわからない相手に、夏樹は困惑した。

「「「この気持ちは何なのかしら!?」」」」

少女達がぐると一斉に、夏樹の方を見た。

夏樹は肩をすくめながら答えた。

「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:24:31.87 ID:3tnS2gIH0
光が、ロボット配達人からピザを

受け取っていた時、麗奈は現れた。

右肩から流血していた。

「アタシ、光のこと愛してるんだってさ」

「他人事みたいに 」

「今のアタシ達は、まだ他人だったの!

これからもっとお互いのことを知らなくちゃ!」

アパートの玄関で、

麗奈はしゅるしゅると服を脱いだ。

光は息を飲んだ。

光のやせ細った身体とは違い、つくべきところに

肉と脂肪がついている。

少女と女性のアンビバレンス。

ふくらみかけでも、強い自己主張をする胸。

きゅっとしなやかにくびれた腰。

つるりと卵のように艶のあるお尻。

肩口の傷にあって、そこから流れる血河が、

なめらかな肌の上をゆっくり流れて、陰部から地面に垂れる。

途方もなく、どうしようもなく、美しかった。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:25:27.71 ID:3tnS2gIH0
「キッスをしましょ!」

ドアを閉じて、麗奈は光に近づいた。

光は抵抗せず、身を任せた。

「あ…駄目。

 キッスしたら、好きになっちゃう」

唇がふれあう直前で、麗奈が身を引いた。

その代わり光のズボンのベルトに手をかけた。

「君みたいな女の子が、こんなことしちゃ…」

そこでようやく、光は麗奈を止めた。

だが実際は、両親を殺められた少女が、その犯人に対して

跪いて媚びるというシチュエーションに背筋がぞくぞくしていた。

背徳感、罪悪感、自己陶酔、怒り。

それらの感情が光の中をせめぎあって、ちくちくと

瞼の裏を刺激する。

「光だってまだ女の子のくせに、

 人をたくさん殺しているじゃない!

 それに、アタシはもう“女の子”じゃないわ!!」

 光の手を振りほどいて、麗奈は手際よく

 パンティを下ろした。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:26:26.30 ID:3tnS2gIH0
「ひゃっ…」

 麗奈の舌が、中に入ってくる。

 こんなことをされたのは、久しぶりだった。

 「あっ、あ」

 光のお尻から背筋にかけて、電流が走った。

 さらに失禁。そこで二度目の絶頂を迎えた。

 その尿すら麗奈はごくごくと飲んで、愛撫を続ける。

 「光、ねえ、気持ち…んんぐ!」

 話そうとした麗奈の顔を、光は自身の陰部へ押し付ける。

 舌が、さらに激しく暴れまわった。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:27:05.46 ID:3tnS2gIH0
 そこから2人はベッドに入って、ナメクジのように交わった。

 光は中毒と快楽でぐったりしていて、

 その身体に麗奈がまとわりついていた。

 震える舌で、光は麗奈の傷口をちゅうちゅうと吸った。

「光、んぅ!! アタシの赤ちゃん…」

 麗奈も震えながら、何度も達した。

 お互いの汗と愛液で、シーツがぐっしょり濡れた。

「アタシは、正義の味方に…なりたかった」

 絶頂して力がふっと抜けると、光は譫言のように呟いた。

 そのたびに麗奈は、光の顔を両手で優しく包んで、言い聞かせた。

「このレイナサマが、光を皆のヒーローにしてあげる」

 光はぼんやり、これって自慰になるのかなあと考えていた。

 部屋では、他の麗奈達が2人を食い入るように見つめていた。 

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:27:43.07 ID:3tnS2gIH0
 安斎都は、奇妙なチャネルを発見した。

 CH555。

 数年前、新人ロケーター達が

 デリートしたはずのチャネルだ。

 報告よりも好奇心が優って、都は侵入した。

 構造物は、高層マンションと、

 そこに併設されたショッピングモールと遊園地。

 きわめて世俗的かつクラシカルな幸せ空間。

 メリーゴーランドに向かう足を引きずりながら、

 都はマンション内に入った。

 警備AIやセキリュティボットもいない。

 というか、人気が全くない。

 都はエレベータで最上階に向かった。

 そこらから階段を下り、

 一階ごと全部屋を確認していく。

 大半は何もない、空っぽの部屋だったが、

 二階の23号室は、他と様子が違っていた。

 部屋の前で、都は女の子が泣く声を聞いた。

 ドアを開けると、中から黒い犬が二匹、

 都に襲いかかってきた。

 よだれを垂らし、目の焦点が合っていない。

 まるで狂犬病にかかっているようだった。

 躊躇わず発砲し、デリートした。

 泣き声は止んでいた。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:28:16.88 ID:3tnS2gIH0
 玄関から正面すぐに、子供部屋があった。

 いや、配置を鑑みるに、23号室はすべて子供部屋で占められていた。

 その中を開けると、やはり他と同じで真っ白な空間。

 しかし、都は振り返った時戦慄した。

 内側のドアは、血塗れで、

 無数の引っかき傷があった。

 そして『ME』と、記されていた。

 そのドアを開けると、また別の空間が広がっていた。

 そこには都の後輩ロケーターの死体があった。

73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:28:51.66 ID:3tnS2gIH0
光は、容赦のない暴力によって目を覚ました。

 まず顔面を一発殴られ、次は横腹を蹴飛ばされ、

 ベッドから落とされた。

 卑怯な、悪の組織の襲撃か。

 光がよろよろと立ち上がって、相手を見ると、

 それは同僚の松永涼だった。

「涼さん…一体何が」

「何がだと?

 アタシが聞きてえよ、てめえっ!!

 夏樹を殺しやがって!!」

 鷲色の髪を逆立たせて、涼は激昂していた。

しかし、光にはなんのことだかわからない。

自分が? 夏樹さんを?
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:29:22.43 ID:3tnS2gIH0
「今すぐにぶっ殺してやりてえけど、

 “現実空間に連れてこい”、って命令だからな!!

 半殺しで勘弁してやる。

 処分が決定したら、残り半分を殺してやる!!」

涼は銃弾で、光の両脚を撃ち抜いた。

痛みはなかった。薬のせいだろうか。

ただ、身体がどうしようもなく寒い。 

「頼む、涼さん。止血を…」

懇願する光に対して、涼は刺すような視線をぶつけた。

「人間のふりしてんじゃねえ!!」

どういう意味だ、と尋ねる前に、光の意識は暗転した。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:29:54.70 ID:3tnS2gIH0
松永涼は、ずたぼろにした光を、

いや厳密には、“光を完全に模した電子生命体らしき物体”を

抱えて、空間内をジャンプした。

安斎都はCH555で、生身の南条光の死体を見つけた。

彼女は初任務から帰って来ず、入れ替わっていたのだ。

さらに、木村夏樹が尾行していた光も、

死体としてCRISISに収容されている。

情報的には、どの死体も全くの同一人物。

2人目の南条光は、ダイブ中毒者のバイタルまで

完全に模倣していた。

おそらくこの光を調べても、全く同じ結果が出るだろう。

時折、「麗奈…麗奈」と呟いている。

涼は首をかしげた。

知らない名前だった。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:30:45.59 ID:3tnS2gIH0
使われなくなった会議室で、

光はテーブルに縛り付けられていた。

光は麗奈に問いかけた。

「アタシは、南条光じゃないのか」

安斎都から、状況について簡単な説明を受けた。

その最中、彼女はずっと怪物を見るような目をしていた。

「いいえ!

 アンタは紛れもなく南条光!!」

「情報的には、か」

悲しい思いはしなかった。

空っぽだった。

「一号はどうなったんだ」

「1人目のアンタは、初任務で自分に絶望してしまったの!

 せっかくアタシを助けてくれたのに!!

 ああでも心配しないで、今の光は、

 自殺をしなかった分岐の1つであって、

 偽物なんかじゃない!!」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:31:44.90 ID:3tnS2gIH0
「自分にとって都合のいいアタシを作ろうとしたのか」

「ちがうわ、光。

 これは1人目も、17番目のアンタも、全ての光が願った結果。

 ずっと言っていたでしょ」

 正義の味方になりたい。

 弱者を守り、悪者を倒す。南条光の原風景。

 しかし荒廃した楽園には、殺すべき弱者しかいなかった。

「アタシが見ていた麗奈達も、複製なのか?」

「アタシ何度か、アタシ達に殺されかけたわ!!」

 けらけらと、麗奈が笑う。光は苦笑した。

「光は、アタシとおんなじ

SSS級ロケーターになれるようにしてあるわ。

あるキーワードを呟くとね。

弱くっちゃ、ヒーローは務まらないもの!!」

それを早く教えてくれれば、自分はダイブ中毒に苦しむことは

なかったのでは。

光は半笑いで、麗奈に言った。

「光なら、すぐにキーワードに気づくと思ったの!!」

麗奈はまたけらけら笑いながら、答えた。

光にとってありふれた、当たり前の言葉であるという。

「でも教えてあげない!!

 自分で道を切り拓いてこそ、アタシのヒーローだもん」

 かすかに温かくなる胸をおさえながら、光は動かない肩をすくめた。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:32:17.88 ID:3tnS2gIH0
 光がCRISIS内に捕らわれてから数日後、

『幽霊殺し』が計画された。

 違法チャネルに、新たなウィルスコードをばらまき、

 住民を歩くモニターとして使う。

 その段階で意識は死ぬが、元々消去するつもりの

 チャネルだったので、誰も気は咎めなかった。

 さらに生け捕りにしたプロパイダーの

 脳髄を利用して、トラップを製作した。

 特定の空間を幽霊が通った際、

 強制閉鎖して彼女を抹消する。

 全国にいるロケーターもクラス問わずかき集めれ、

 皆が日夜、血眼になって幽霊を探した。
 
 楽園の住民達はCRISISと幽霊の攻防を楽しみ、

 それに飽きるとまた別の快楽に耽った。

79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:33:00.81 ID:3tnS2gIH0
縛り上げられたところで血流がとまって、光の身体は

 ひどく痛んだ。

 キーワードはわからない。

 わかったところで、どうすればいいのかも。

 自分は南条光の幽霊、それも偽物の幽霊だ。

 想いも、願いも、意志も贋作。

 光は自身の記憶の海をロケートした。

 どこからが“南条光”の記憶なのか、判別ができない。

 あるいは、全ては麗奈の作った幻か。

 それとも、実は南条光はロケーターなどになっていなくて、

 これは楽園の住民が見る1つの夢に過ぎないのか。

 過ぎ去った幻想(ヒーロー)に

 憧れる少女が見る、悲しすぎる夢。

 光は、自分がどうしようもなく空っぽに感じた。

 しかし、空っぽの心のすみに、麗奈がぽつんとしていた。

光は気づいた。

1人目の南条光と小関麗奈が創造した地獄の中で、

17番目の南条光として。

「そうだ、アタシが、本当に…」

分かっていた。

世界を守るようなヒーローは、自分には無理だと。

南条光は弱くて、不器用で、小さい。

だから、せめて、誰か1人だけでもいい。

その1人の笑顔のために、

立ち上がれるような“南条光”でありたかった。

「本当に謝りたかったのは、麗奈をまっすぐに見なかったことだ」

 ばくんと、彼女の身体の中で音がした。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:33:32.51 ID:3tnS2gIH0
 幽霊は、CH555で観測された。

 トラップは全て解除されたが、

 モニター上は動いていない。

 CRISISのロケーター全員が、CH555へダイブした。
 
 そこは安斎都が発見した時とは一変し、全てが

 灰色の採石場だった。

 小関麗奈は、1人で佇んでいた。

「アタシは、光以外に殺されるつもりはないわ!!」

 彼女は叫んだ。

 しかし、ロケーターの数はあまりにも多い。

 一人一人であれば、麗奈に瞬殺されるような者でも、

 寄り集まれば厄介だった。

 逃げようにも、空間を外から閉じている者がいる。
 
 麗奈は手を、ロケーター達にかざした。

 デリート。

 夏樹のものとは、精度も規模も段違いの一撃。

 しかし相殺された。

 出力を上げてもう一発打つと、ぶしゅと、肩の傷が開いた。

 相手には、それ以上の打撃を与えた。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:34:23.52 ID:3tnS2gIH0
小関麗奈は、血を吐きながらデリートを繰り返した。

脳味噌がすべて口から出てしまったのではないかというほど、

頭が軽くなっている。

視界はもう真っ赤で、ほとんど何も見えない。

身体中の筋肉がちぎれそうなくらい痛い。

こんなに痛くて、寂しくて、ひとりぼっちだった記憶が

蘇ってきて、気持ちが悪い。

だが、ロケーターはまだ何十人も残っていた。

「しぶとい女だ!」

鷲色の髪を揺らめかせて、松永涼が麗奈に迫った。

短距離の空間跳躍。

そして、頭上からの踵落とし。

麗奈はすんでのところで動いた。

しかし、右腕が小枝のようにへし折られた。

「がっ…!」

痛覚信号を遮断した。

再生をする行うためのメモリは、

トラップによって削りきられた。
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:34:54.92 ID:3tnS2gIH0
倒れたところに、安斎都の蹴りが肋に入った。

サッカーボールのように、ぽてぽてと、

石の上を転がった。

立ち上がれない麗奈をロケーター達が取り囲んだ。

武器の弾はすでに使い果たしてしまったので、

彼女達は極めて原始的な手段に訴えて、麗奈を消去することにした。

それは、まるで鳥葬のような風景だった。

麗奈の端正な顔は、ぐしゃぐしゃにされた。

目は潰され、髪は引き抜かれ、鼻は折られ、

頰は原型をとどめぬほど腫れ上がった。

もう身体のどこから血が流れているのか、

麗奈自身にもわからない。

このままじゃ、光を正義の味方にしてあげられない。

麗奈は暴力の海嵐の中で、ぼんやりそう思った。

光、ひかる。

声を出す場所も、もう壊れている。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:35:30.01 ID:3tnS2gIH0
だが、名前を呼ぶ声がどんなにか細くても、

ヒーローは、必ず現れる。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:36:04.38 ID:3tnS2gIH0
麗奈を取り囲んでいたロケーターが、ばたばたと倒れた。

ウィルスコードの弾丸を受けていた。

「光、てめえっ!!」

涼は叫んだ。

光は、両手に機関銃を抱えて、ロケーター達を見ている。

どろりとした瞳。ダイブ中毒の末期患者の特徴。

彼女は、A級ジャンパーのまま、ここへやってきた。

「1人の女の子を大勢で嬲る。

 お前達は、悪だ」

ぽつりと呟いて、また機関銃を乱射した。

涼は空間跳躍で躱し、光の背後に移動した。

「くたばれ!」

頭部に向けての回し蹴り。

光はそれを銃身で防いだ。

しかし、機関銃の方が粉々になった。

涼は間髪入れず光に襲い掛かり、押し倒した。

馬乗りになり、顔面に拳を振り下ろす。

光の顔がみるみる腫れ上がっていく。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:36:31.91 ID:3tnS2gIH0
だが、涼の動きは次第に緩慢になっていた。

倒した時に、光のベルトが火を吹いていた。

バックル型拳銃。 

CRISISの武器庫に保管されていたものだ。

「光、…てめえ…夏樹…」

涼の身体が、光の胸に突っ伏した。

SS級も、S級のジャンパーも全滅した。

光が残りのロケーターを見ると、彼女達は

ふっと空間の外へ退避した。

このままチャネルごと強制封鎖する気なのだろう。

しかし光は逃げなかった。

てくてくと、ゆっくりした足取りで、

麗奈のそばに行った。

86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/06/18(日) 11:37:08.35 ID:3tnS2gIH0
数分後、光のPCは咳き込むように、二人分の血液を吐き出した。
 
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/06/18(日) 11:40:45.56 ID:3tnS2gIH0
おしまい
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 12:42:18.49 ID:yRaiNvfwo
マニアックになりすぎてついていけなくなる音葉
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/06/18(日) 12:50:59.13 ID:3tnS2gIH0
読みたい人は読めばいいし、そうじゃない人はエロだけ楽しめるように書いた。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/21(水) 23:05:47.79 ID:mQw1S0D9O
何回読んでも掴み切れん。
・光と麗奈が創った世界の範囲
・夏樹『どうしてお前が出るんだ』
・223号室
・黒い犬2匹
・ME
これが分からん。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2017/06/22(木) 02:19:17.83 ID:irx8UYhT0
一読者の解釈でしかないが
・光と麗奈が創った世界の範囲
何のこと? 夏樹が引き摺り込まれたのは麗奈の作ったチャネルだろう
・夏樹『どうしてお前が出るんだ』
光の部屋とは別の場所に、新しい光のコピーが作られていた?
・23号室、黒い犬2匹、『ME』
麗奈が住んでいたのが23号室で、『ME』は私(麗奈)の部屋?
狂った黒い犬2匹は麗奈の両親で、麗奈は虐待(監禁)されていた?
「白いお部屋に子供が1人、まっくろい犬が2匹。でも首輪はひとつしかないの」
首輪は犬ではなく子供(麗奈)を縛り付けるもの?

キーワードは一度も本文に出てきていないが多分「変身」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 08:25:17.13 ID:/0TzEqgNO
あぁ両親……
犬が中毒症状を呈しているのと、わざわざ「黒い」と指定してるのが気になって。
2階の23号室は普通「223号室」と表すので、223という数字に意味があるかな…?
世界うんぬんは、
・「二人で創った地獄」というニュアンスの表現
・他に地獄という形容が2回(だったかな?)出てくる
・現実を再構築した様なチャネルが作られている
・涼が光を捕縛した所が光の部屋ではなくチャネルの中
なので、光の視点でも現実とチャネルが入り込んでる様です。
夏樹視点があるので全部が二人の創造では無いと思うんですが、
麗奈が絶大な力を持つのは、「現実」も全てチャネルであり、麗奈自身がプロバイダだからだという可能性も考えられます
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