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シンジ「その日、セカイが変わった」
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1 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 12:53:37.95 ID:zV+SN6BF0
▫️あらすじ
第7使徒イスラフェルへのユニゾン攻撃による撃破から数日後、授業で使用している端末に一通のメールが届いた。開いてみると恵まれない子供達へのボランティアだという。碇シンジは、解答を進めていくのだが……。
アンケートをきっかけにシンジの人生が大きく変わることとなる。
2 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 13:12:43.79 ID:zV+SN6BF0
【ミサト宅 シンジの部屋】
▫️ご意見をお聞かせください
この度は、恵まれない子供達への募金サイトにアクセスしていただき、誠にありがとうございます。簡単なアンケートにお答えいただきますと、提携先企業様から弊社に代金が支払われ、支援団体に寄付させていただきますので、ご協力をお願い致します。
次へ、をクリックしていただくとアンケートが開始されます。
シンジ「――連絡メールだと思ったけど、違ったみたいだ。えっと、恵まれない、子供達か……よし、少しやってみようかな。どんな内容なんだろう……?」カチカチ
設問にお答えください。該当するお答えのチェックボックスをクリックしていただくと、画面が自動的に切り替わっていきます。進みますか?
シンジ「ここで、クリックしたらいいのかな」
1.あなたの性別をお答えください。
シンジ「お、でたでた。男、と」カチ
2.あなたの年齢をお答えください。
シンジ「10代だね」カチ
3.あなたは今、好きな人はいますか?
シンジ「えっ? うーん、いないから、あれ? YESしかチェックボックスがない……? まぁ、ただの質問だからなんでもいいや」カチ
4.好きな人は同級生ですか?
シンジ「今度はYES/NO両方ある。でも、いないってないから答えようがないんだよなぁ……適当にYESで」
5.好きな人がいる。と答えた方に質問です。どのようなところに惹かれましたか? 該当する項目をお選びください。
シンジ「ひとつしか選択肢なかったじゃないか。それとも僕が見落としたのかな……」
・気立てがよかった。
・落ち着いてる雰囲気がよかった。
・優しいところがよかった。
・見た目がタイプだった。
シンジ「うぅん、どれにしてもいいけど、僕が付き合うとしたら……いや、そんなの考えるだけ無駄だ。僕を好きになってくれる人なんかいるわけないし。見た目にしておこう」カチ
6.あなたは、願いが叶うとしたら、その子と付き合ってみたいですか?
シンジ「……まただ。またYESしか選択肢がない。どうなってるんだこれ? 見落としもあるようなインターフェイスじゃないのに」カチ
以上で質問は終了です。
あなたのご協力に感謝します。碇シンジさん。
シンジ「えっ? なんで、僕の名前」
尚、このコンピューターは20秒後に自動的に爆発します。端末を窓から投げ捨ててください。
シンジ「えぇっ?」
カウントスタートします。20、19、18――。
シンジ「いきなりブルースクリーン⁉︎ ……ウィルスサイトだったの⁉︎」
13、12。
シンジ「ノートパソコンから煙? ……熱っ⁉︎ そんな、まさか……?」
自爆までテンカウント、10、9――。
シンジ「う、うそでしょ⁉︎」
5秒前。レッドアラート。
シンジ「ケースが溶けてきてる……⁉︎ この端末、学校でも使うのにっ!!」ガシッ
――……ドォオンッ!!
シンジ「……っ! ぐっ! ……いっつつ。咄嗟に投げだけど、ほんとに爆発するなんて」
ミサト「シンジくんっ⁉︎ 今の音はなに⁉︎」
シンジ「あ、あの」
ミサト「開けるわよ⁉︎」
シンジ「ど、どうぞ」
ミサト「部屋の中に手榴弾でも投げ込まれたの?」
シンジ「僕にもなんでこうなったのか、さっぱり」
アスカ「うわぁ、なにこれぇ。……ところであんた、変な体勢で転がってなにしてんの?」 ヒョイ
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/24(土) 13:16:45.87 ID:TCp1sRHaO
見たことがあるんだけと
4 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 13:21:25.72 ID:zV+SN6BF0
【リビング】
ミサト「シンジくんがアンケートに答え終わったらポップアップがでたのね?」
シンジ「はい。それからあとは、その通告通り20秒後に爆発しました」
ミサト「おかしいわ。エヴァパイロットを狙うにしてもやり方がまわりくどすぎる」
アスカ「アンケートで端末を爆破とかありえる? シンジが嘘ついてんじゃないの?」
シンジ「そんなわけないだろ。僕が嘘をつく必要なんてないよ」
ミサト「……とにかく、私は確認の為、ネルフ本部へ向かうわ。このマンションには、保安部から警備を数名つけておくから。シンジくんとアスカは何も心配しないで」
アスカ「アホくさ。私はバカシンジみたいに引っかからないわよ」
ミサト「それでも用心するにこしたことはないはずよ。シンジくん、これからは無闇にそういうメールを開かないでくれる?」
シンジ「そんな、僕は、善意で……でも、すみません」
アスカ「またすぐ謝る。そういうとこがさぁ――」
ミサト「やめなさい、2人とも。送付されてきたアドレスはわかるかしら?」
シンジ「いえ、たまたま開いたメールですから覚えてません。遠隔操作で爆破なんて可能なんですか?」
ミサト「普通に考えれば難しいわね。アンケートに答えるように誘導され、答え終わるのが合図となるようにあらかじめ仕組まれていたのかもしれない」
シンジ「あ……」
アスカ「やっぱりあんたがまぬけなだけだったんじゃない」
シンジ「そんな言い方しなくたっていいじゃないか……」
アスカ「ふん。だったら問題を起こさないでよね」
シンジ「僕だって、起こしたいわけじゃないよ!」
アスカ「ほんっとにガキね。結果が全てだっつってんのよ。犯罪をやるつもりがなかったなんて言い訳が通るなら警察なんていらない」
ミサト「はぁ……そこまでにして、今夜はもう寝なさい。シンジくんは私の部屋を使っていいから」
シンジ「すみません」
アスカ「よかったわねぇ〜。女の部屋で寝るからって下着を漁ったりするんじゃないのぉ?」
シンジ「いい加減にしろよ! するわけないだろ!」
ミサト「今のはアスカが悪いわ」
アスカ「ちっ、なによ。シンジばっかり」
ミサト「今夜は帰らないと思うから。それじゃ、もう行くわね」
5 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 13:22:45.49 ID:zV+SN6BF0
>>3
立て直しです
現在まとめ作業中です
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/24(土) 13:28:38.97 ID:u2E3cMOHo
>アンケートに答えるように誘導され、答え終わるのが合図となるようにあらかじめ仕組まれていたのかもしれない
前から思ってたんだけどメール自体に爆破システム仕掛けておいてもパソコン本体には爆弾が仕掛けられてなかったら意味ないよね
つまりシンジ君のパソコン自体に細工したことになるからネルフの人間くらいにしか出来ないって考えに行き当たると思う
7 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 13:30:02.60 ID:zV+SN6BF0
【一時間後 リビング】
シンジ「はぁ……どうしてこんなことになったんだろう」
ペンペン「クエ〜」
ガラガラ
アスカ「お風呂、あがったわよ」
シンジ「あぁ、うん、わかったよ」
アスカ「あんた、まだ座ってうなだれてたの。いい加減切り替えなさいよ、うっとうしい」
シンジ「色々迷惑をかけたら申し訳ないって思うのは当然じゃないか」
アスカ「あいかわらず内罰的ね。そういう時は、そもそも爆弾を仕組んだやつが悪いって開きなおるのよ」
シンジ「そんなに、簡単じゃないよ」
アスカ「ぐちぐち悩んでるよりずっとマシじゃない。そんなんだからあんたはダメなのよ」
シンジ「そうなの、かな……」
アスカ「呆れて開いた口が塞がらないわ。あたしにここまで言われて悔しいとか思わないわけぇ?」
シンジ「思ったって、アスカには口でかなわないじゃないか」
アスカ「ぷっ、なによ、諦めてんの?」
シンジ「僕だって、ちゃんとしてるつもりなんだ」
アスカ「ひとりよがりで?」
シンジ「うるさいなぁ。もういいだろ。アスカだって、口ではどうでもいいとか言っておきながら僕に文句ばかり言ってくるじゃないか」
アスカ「あんたがあまりにも情けないからよ。見ててイライラすんの!」ビシ
シンジ「それは僕がよくわかってるよ。僕だって、うまくやりたいって思ってるんだ」
アスカ「無理ね」
シンジ「な、なんでアスカにわかるんだよ!」
アスカ「根本的な問題よ。あんたは悪いと思った、で? うまくやろうとしてるってなにを?」
シンジ「それは……もっと、要領よく、前向きになれるように」 もごもご
アスカ「そこがズレてるのよ。いい? 開きなおるにしてもそれだけじゃただのクズ。人間、なにをやるかで価値が決まる」
シンジ「そうだけど」
アスカ「前向きになったら? その先は? とりあえず目先のことしか考えてないあんたはすぐ壁にぶち当たる。そしてまた悩みだすんでしょ」
シンジ「……」
アスカ「またダンマリ。癖ってのは、簡単に治るものだったら苦労しないのよ。あんたはそこを理解してない」
シンジ「そうかもしれないけど」
アスカ「断言してやるわ。あんたはそう。悔しかったら私を見返すぐらいの根性見せるのね」
ペンペン「クエクエッ」 クイクイッ
アスカ「ん? なに? ペンペン」
ペンペン「クエ〜」スッ
アスカ「なにこれ? 牛乳? くれるの?」
ペンペン「クエッ!」コクコク
アスカ「ありがと」ヒョイ
ペンペン「クエ〜」 ペタペタ
アスカ「それじゃ、私は部屋に行くから。あんたはそうやっていつまでも悩んでなさい」 スタスタ
シンジ「(僕は……)」
8 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 13:37:45.28 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 ラボ】
リツコ「まったく、こんな夜中に叩き起こされるなんて思わなかったわよ」
ミサト「ごみ〜ん。今度なにか奢るからさ」
リツコ「あなた、いつもそう言うけど奢ってくれたの大学の学食以来ないのわかってる?」
ミサト「そうだったっけぇ?」
リツコ「はぁ……。それで? これが爆発したというノートパソコンの残骸?」
ミサト「人を使ってできるだけ集めさせたけど、かなり粉々になっちゃってるのよね〜」
リツコ「ミサト? HDDもこの破片の中のどれかなの?」
ミサト「でへへ。たぶん」
リツコ「帰るわよ」 クルッ
ミサト「ちょ、ちょっと待ってよう!」 ガシッ
リツコ「パソコンの仕組みぐらい理解しているものだと思っていたけど。どうやら私の思い違いだったようね。義務教育からやり直したら?」
ミサト「わかってるってぇ! だけど、その、リツコならなんとかならないかなぁ〜って」
リツコ「この有様で復元できるわけないでしょ。爆発物のデータは?」
ミサト「あ、それはこっちです、どーぞ」
リツコ「……」ペラ
ミサト「マイクロチップ型の爆弾だと確認されたわ。シンジくんのパソコンにいつ細工したのかしら」
リツコ「素人には手に入らない代物ね」
ミサト「となると、潜入したスパイ? プロの仕業ってわけか」
リツコ「えぇ。わかるのはそれぐらい。証拠隠滅まで完璧だもの」
ミサト「また、接触あると思う?」
リツコ「なんとも言えないわね。必要な情報が揃ったのならもうないのかもしれないし、そうであってもあるとは断定はできない」
ミサト「うーん、相手が見えないし。なにより、犯人の目的がわからないのよねぇ。ちょっと、不気味、かな」
リツコ「他のチルドレンに対しても警護レベルを引き上げることを提案します」
ミサト「なぜ?」
リツコ「質問の内容がアナグラムではないとしたら、好きな相手を特定する為に接触してくるかもしれない」
ミサト「まっさかぁ? 本気でシンジくんの好きな子の情報を知りたいってわけ?」
リツコ「内容を額面通りに受けとるとそうなるわね」
ミサト「……わかった。そんな理由はないと思うけど、備えは必要か」
9 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 13:45:41.68 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 初号機ケイジ】
冬月「やぁ、三年ぶりだね」
「ご無沙汰しております」
冬月「生活に不自由はないか? 困ったことがあれば、なんでも言うといい」
「お気遣い、ありがとうございます。すみません、夜更けに」
冬月「気にしなくていい。老人の朝は早いのでな、ちょうど起きようと思っていた。ところで、話は変わるが碇には、まだ何も言うつもりはないのか?」
「はい……その方があの人にとっても、私にとってもいいんです」
冬月「――しかし、君たちの息子はもう中学生になる。ユイくん自身が、死んでいると思われて平気なわけないだろう」
ユイ「シンジには……いずれ、対面することになります。あの子が、子供達が幸せに暮らせる世界。それこそが追い求める理想ですもの」
冬月「その為に、己を殺してもか」
ユイ「……この初号機も、そしてゼーレも実験材料でしかありません。先生には、ご迷惑をおかけしますが」
冬月「その顔には、君がまだ学生の頃から敵わんよ。碇には、これまで通り黙っておこう」
ユイ「ありがとうございます」
冬月「ユイくん、ひとつだけ確認してもいいかな?」
ユイ「はい?」
冬月「君の生物学者としての信条は、あの日、初号機に取りこまれてからサルベージされるまでに変化はあったのか?」
ユイ「なにも。昔から、いえ、志した時から変わってはいません」
冬月「そうか……それならばいい」
ユイ「先生もお元気で。シンジを、よろしくお願いします」
冬月「あぁ。君の息子について心配しなくていい。もっとも、EVAの中が一番安全だと知っているだろうがな」
ユイ「ふふっ、そうですね。では、失礼します」コツコツ
10 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 14:09:40.60 ID:zV+SN6BF0
【翌日 第三新東京都市立第壱中学校 HR前】
ケンスケ「なんてこったぁっ! ネジがバカになってしまってるじゃないかぁ!」カチャカチャ
シンジ「ケンスケ、部品広げてなにやってるの?」
トウジ「見ての通り、いつものカメラいじりや」
シンジ「調子でも悪いんだ?」
トウジ「さぁなぁ。何回も分解したり組み立てたりで何が楽しいん――」
ケンスケ「この楽しさがわからないだってぇ⁉︎」ガバッ
トウジ「お、おう? なんや、聞こえとったんかいな」
ケンスケ「はぁ……まったく、これだから凡人は。いいかい? 物作りっていうのは技術ひとつひとつの集大成でもあるんだ」
シンジ「うん」
ケンスケ「新しいパーツの進歩は凄いんだぞ! そりゃ、まぁ、同じ技術の進化をなぞっているものだけど。その中で取捨選択をして、自分だけの物をプロデュースするおもしろさ。このロマンがわからないかぁ⁉︎」
トウジ「ぜんっぜんわからん。そら組み立てるチョイスはあるやろけど、市販されてる物であるんなら誰かと被ったりするやろ」
ケンスケ「いいや! そんなのが重要じゃないんだ。自分で作り上げるという達成感! なにものにも変えられないね!」
トウジ「はぁ」
ケンスケ「碇だったらわかるよな⁉︎」
シンジ「ん、えーと、なにかにそこまで熱中できるのは凄いと思うよ」
トウジ「オタクなだけちゃうかぁ?」
ケンスケ「妬みだね! 打ちこめるものがない大衆は僕みたいな人を蔑称を使ってバカにするのさ!」
トウジ「こじらせとるのぉ」
シンジ「でも、いいんじゃないかな」
トウジ「ふん、それはそうとシンジ。今日の放課後、時間あるか?」
シンジ「うん。あるよ」
トウジ「それなら、ワシに付き合ってくれ。寄りたいところがあるんや」
シンジ「わかった。あ、そうだ。ケンスケってパソコンにも詳しいの?」
ケンスケ「ん? まぁ、ある程度なら」
シンジ「実は僕、昨日、授業で使うパソコンが壊れちゃって。帰りに買って帰ろうと思うんだけど」
ケンスケ「あぁ、使いやすそうなのを選ぶのは簡単だけど。でも、学校指定の端末になってるから、新しく発注するしかないね」
シンジ「そうなの?」
ケンスケ「授業で使うドライバとかアプリケーションなりがプリインストールされてるものじゃないといけないっていう決まりがあるからな」
トウジ「ワシらにやらせてくれればいいのに、融通がきかんもんなんやのぉ」
ケンスケ「一括で管理する方が簡単じゃないか。個々に任せると方法がわからない連中もでるだろうし」
シンジ「それじゃ、事務で頼まなきゃ駄目なんだ」
ケンスケ「そうゆうこと。……前の端末の時は、手続きどうやったんだ?」
シンジ「うーん、僕が直接やったわけじゃなかったから。リツコさんが全部用意してくれてたし」
レイ「――碇くん」 スッ
シンジ「あ、どうしたの、めずらしいね、僕たちのところに来るなんて」
レイ「赤木博士から、渡すよう頼まれた。これ、新しい端末。ないと授業に困るだろうからって」 ゴトン
トウジ「いたれりつくせりやのぉ」
レイ「それと、伝言。インターネットへの接続はもうできないようになっているそうよ」
シンジ「そっか、うん、わかった」
レイ「席、戻るから」スッ
シンジ「待って! 重かった、よね? その、持ってきてくれて、ありがとう」
レイ「別に、いい」
11 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 14:24:51.72 ID:zV+SN6BF0
【授業中】
教師「え〜、ですから、セカンドインパクトはこのように巨大隕石の衝突によって」
シンジ「(ん……? ポップアップ? なんだろう?)」カチ
先日は、弊社が行なっている調査に関するご協力をしていただきありがとうございました。つきましては、恵まれない子供達のために引き続き回答をお願い致します。
アンケートを開始しますか?
シンジ「いっ⁉︎」
アンケートを開始する場合は、次へをクリックしてください。自動的に画面が切り替わります。
シンジ「(これって、昨日のと同じ……? インターネット回線に繋いでないはずなのに)」キョロキョロ
可否の有効時間が経過しました。まもなく、アンケートが開始されます。
シンジ「(まだなにも選択してないよ⁉︎)」
1.あなたの好きな人を出席番号で答えてください。
シンジ「(な、なんなんだよ……しかも、また、選ぶしか選択肢がない)」カチ
エラー。回答してください。
シンジ「(ブラウザを閉じられないのか。コマンドキーで強制終了はどうだろう)」カチャ
エラー。試行回数は、残り二回です。
シンジ「(まずいんじゃないの、これ。まさか、また爆破なんて……)」
残り時間をカウントします。
シンジ「(ゆっくり選ばせてもくれないの? ちょっと待って、よく考えるんだ、落ち着いて。深呼吸)」
20秒前。
シンジ「(ふぅ……試行回数があるってことは回避に有効な方法があるのか、それとも、ちゃんと答えるしかないのか。どっちなんだろう)」
15秒前。
シンジ「(そもそも、なんで僕なんだ? ……だめだ。考えてもわかりっこない)」
12秒前。
シンジ「(選ぶしかないのか)」
テンカウントスタート。
シンジ「(いや、でも、どうせ爆破する可能性があるんだ。だって、この端末を操作してる人は証拠を残したくないはず、だよね)」
5秒前。
シンジ「(――決めた。放置だ)」
教師「今のところを、あー、今日は何日だったかな? ……ふむ。では、洞木さん。わかりますかな?」
ヒカリ「はい」ガタ
シンジ「(なにも起こらない?)」
12 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 14:27:12.13 ID:zV+SN6BF0
エラー。試行回数は残り一回です。
シンジ「(そ、そうか、もう一回あったんだ。ってことは、これも放置したらいいのかな)」
警告。回答いただけない場合、教室にいるクラスメイトを狙撃します。左手の屋上をご覧ください。
シンジ「はぁ?」
キランッ
シンジ「(なんだ? キラキラ光ってるの……ん? システムメッセージ更新?)」
おわかりいただけたでしょうか。狙撃翌用スコープに反射している太陽の光です。
シンジ「あ……ぁ……」
残り試行回数は、一回です。
シンジ「(ちょっ、ちょっと待ったっ! ど、どうしたらいいんだ! こんなの!)」
カウントを開始します。
シンジ「(だめだ! 僕じゃ対処しきれない! こうなったら大声を上げて――!)」
不審な動きを見せた時点で、立って授業を受けている女子を撃ちます。残り20秒前。
シンジ「(ほ、洞木さん⁉︎ 見張られてるの⁉︎)」
15秒前。
シンジ「(仕方ない、誰か選ばないと。でも、誰を……)」
残り10秒前。
シンジ「(迷ってる時間なんてない。こうなったら知ってる人の中で誰かを選ぶしか、アスカか綾波か)」
5秒前。
シンジ「(……ごめんっ!)」カチ
教師「よろしい、では席について」
シンジ「(だ、大丈夫だったのかな……)」
2.好きの度合いを次の中から該当する項目を選んでください。
シンジ「(……なんだこれ)」
・彼女のためなら、死んでもいい。
・彼女を愛している。
・たまらなく好き。
シンジ「(どれ選んでも同じじゃないかぁっ!)」
カウントをスタートします。
シンジ「(くそっ! バカにしてる! たまらなく好き、で)」カチ
3.たまらなく好きと選んだので、彼女に向かって消しゴムのカスを投げてください。
シンジ「(アンケートですらないよ……)」
カウントをスタートします。
シンジ「(でも、やらなきゃ。クラスの誰かが狙撃されるかもしれないんだ。僕が、やらなきゃ)」
残り20秒前。
シンジ「(まずは消しゴムのカスを作らないと)」ゴシゴシ
残り10秒前。
シンジ「(僕が選択したのは――)」コネコネ
13 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 14:37:32.31 ID:zV+SN6BF0
アスカ「(ん? なんか髪に違和感が。……なに? ゴミ?)」キョロキョロ
シンジ「……」ポイ ポイ
アスカ「(あんのバカ……っ! なにしてくれてんのよ!)」
シンジ「(ご、ごめんよ)」」パクパク
アスカ「(今さら謝っても遅いのよ! さては、昨日の仕返しのつもり? 上等じゃない!)」パクパク
シンジ「(今日はアスカの好きなハンバーグを作るよ)」パクパク
アスカ「(そんなので誤魔化されると思ってるわけぇ⁉︎ ちょっと待ってなさい。やられたら百倍返しにしてやるんだから!)」ゴシゴシ
トウジ「おい、見てみぃケンスケ」こそ
ケンスケ「あぁ、見えてるよ」
トウジ「あいつら口パクで会話しとるで。芸人かいな」
ケンスケ「それだけお互い意思疎通ができてるんじゃないかぁ? さっきから碇がソワソワしてると思ったら……じゃれついていたとは、いやぁ〜んな感じ」
アスカ「(このっ! この!)」ポイ ポイ
シンジ「(消しゴムのカスでよかった。アスカが投げてきてるけど、当てられてもあまり痛くないし)」
双方の距離感は確認いたしました。アンケートへのご協力を感謝します。尚、このパソコンは20秒後にショートします。
シンジ「(ば、爆発じゃないんだ? よかったぁ)」
強い電磁波を発します。電子機器に対する干渉がありますので、できるだけ教室から離れてください。
シンジ「せ、先生っ!」ガタッ
カウントスタートします。
教師「なにかね? 碇くん」
シンジ「あの! お腹が痛くて! トイレ行ってもいいですか⁉︎」
教師「かまわんが、そんなに大声で叫ぶほど急を要するのか?」
女子生徒A「くすくす、なぁにぃ? あれぇ?」
女子生徒B「わ、わらっちゃ、かわいそうだよ。く、くっくっ」
アスカ「はぁ……ダッサ」
残り20秒前。
シンジ「ま、まずい、じゃなかった! すぐに行きたいんです! お願いします!!」
14 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 14:48:32.17 ID:zV+SN6BF0
【男子トイレ】
シンジ「はぁ……パソコンの電源つかなくなっちゃったな。携帯電話は、使えるみたいだ。電磁波はウソだったのかな、しかたない、ミサトさんに報告しておこう」
ピッ プルルルルッ
ミサト「はい?」
シンジ「あ、ミサトさんですか?」
ミサト「あらぁ〜シンちゃんが電話くれるなんて初めてじゃない? 渡した携帯電話、やっと使ってくれたのね」
シンジ「いえ、そんな。持ち歩いてはいたんですけど」
ミサト「あは、そっか。プレゼントした側としては嬉しいわ」
シンジ「それで、新しいパソコンについてなんですけど」
ミサト「あぁ、リツコから? そういえばシンジくん、まだ授業中の時間じゃない?」
シンジ「緊急だと思ったので、電話したんです。実は、また昨日と同じアンケートが」
ミサト「――なんですって?」
シンジ「今度は、質問が終わると爆発じゃなくショートしました」
ミサト「シンジくんに怪我はないのね?」
シンジ「僕は大丈夫でしたけど、質問に答えないとクラスメイトの誰かが狙撃されてたかもしれなくて」
ミサト「脅迫してきたの? なにか、要求されたりした?」
シンジ「いえ、今回も設問があって、回答しただけです。終わると、電磁波か周囲に影響するとシステムメッセージが出たので、先生に嘘をついてトイレにいるんです」
ミサト「そう……よくやったわ、シンジくん。的確な判断よ」
シンジ「この端末、どうしたらいいですか?」
ミサト「ちょっち待ってて。すぐにネルフ関係者を送る。詳しく経緯を聞きたいから、警護がきたら同行して本部まできてもらえる?」
シンジ「わかりました。このままトイレで待ちますか?」
ミサト「そうね……教室にもどるのは、危険かもしれない。五分で到着させるわ」
15 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 14:56:47.59 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 執務室】
ミサト「それで?」
保安部「はっ、我々が到着した頃には、既にサードチルドレンの姿はなく――」
ミサト「そんな報告を聞きたいんじゃないわよっ! その後の消息は⁉︎」バンッ
保安部「し、失礼いたしました! 目下、捜索中です!」
ゲンドウ「作戦課長、どういうことだ」
ミサト「はっ! サードチルドレンよりヒトヒトマルマルに連絡がありました。そこで、保安課の者を使いにださせたのですが……」
冬月「いるはずの場所にいなく、行方不明。つまり、こういうことかね」
ミサト「はい、申し訳、ありません」
リツコ「葛城一尉とサードチルドレンの会話は録音してあります。やりとりはこちらのデータに」
ゲンドウ「……」ペラ
冬月「責任問題だぞ。もしなにかあれば、パイロットを選別するのは容易ではないのだぞ」
ミサト「承知、しております」
冬月「君のクビで済むと思っているのかっ!」バンッ
ミサト「も、申し訳、ありません」
ゲンドウ「アンケートをとったのは、誰の仕業だ」
ミサト「それは……」 ギュウ
ゲンドウ「もう結構だ。一度だけ、挽回のチャンスを与える。保安部の総力をあげてサードチルドレンを探せ。諜報部を使うのも許可する」
ミサト「了解しました!」ビシッ
16 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 15:06:33.94 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 ラボ】
ミサト「サードチルドレン捜索の進捗状況は?」
保安部「現在、中学校周辺において検問を実地中です。また、上空からヘリ5機にて、怪しい車両がないか監視しています」
ミサト「近隣への聞き込みは?」
保安部「200人体制で行っています」
ミサト「本部の第三会議室に特別捜索チームを結成したわ。人員をあと300人増やして」
保安部「了解」
ミサト「報告があればオペレーターに繋いで。それと、諜報部への連絡も。全ての情報をかき集めるのよ、行って」
保安部「はっ!」タタタッ
リツコ「首の皮一枚で繋がったわね」
ミサト「なんとかね」
リツコ「時間の猶予はあまり残されていないわよ。副司令がカンカンなんだから」
ミサト「わかってる。私の失態だわ」
リツコ「連れ去られた足どりについて目星をつけてるの?」
ミサト「シンジくんが自分で離れたとは考えにくい。だとしたら、拉致されたのよ。運ぶための手段が必要だわ」
リツコ「そうね……」
ミサト「端末を操作できると考えられる可能性は? 赤木博士」
リツコ「工場から出荷されて、ネルフに到着してから再度検査を行っています。すなわち、考えられるのは、私の手にある内にがひとつ。レイに渡してからシンジくんの手に渡るまでがひとつ。渡ってからがひとつ、この三つになる」
ミサト「シンジくんに渡してから仕組む時間ある? やはり、内部の人間に破壊工作員が紛れ込んでいたのかしら。たしか、電磁波がでるってシンジくんが言ってたわよね……」
リツコ「こういう場合、辻褄合わせをしようと思うと闇に片足いれるようなものよ。考えるのはひとつずつでいい」
ミサト「つまり?」
リツコ「端末を操作できる状況下にあったのは、授業をしてた教師じゃないかしら」
ミサト「疑わしくは罰せよと?」
リツコ「チルドレンは人類の希望でもあるのよ。個人と天秤にかけるつもり?」
ミサト「……わかったわ。学校関係者、全員に事情聴取を取り行います」
リツコ「念の為、残りのチルドレンを保護しておきなさい」
ミサト「えぇ」
17 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 15:11:28.11 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 女子ロッカールーム】
アスカ「えぇ〜〜〜〜っ⁉︎ 家に帰れないぃ⁉︎」
マヤ「ネルフの中なら、安全だから。コンテナの中で寝泊まりしてもらうけど」
アスカ「狙われてるのはシンジなんでしょ⁉︎ なんで私までとばっちりくうのよ!」
マヤ「攫った目的が、わからないらしいの。もしかしたら、あなたたち他のチルドレンもターゲットになってるかもしれないし」
レイ「碇くんは、大丈夫なんですか?」
マヤ「今は、なんとも」
アスカ「自分の身は自分で守らないからよ。自業自得ってやつね」
マヤ「こら、アスカ、そんな言い方しないの。シンジくんは、クラスメイトを守ろうとしてたみたいよ?」
アスカ「そうなの?」
マヤ「トイレに行ってたらしいじゃない」
アスカ「あぁ……それであいつあんなに慌ててたの」
レイ「赤木博士は?」
マヤ「先輩なら、葛城一尉に協力してる。今頃はプロファイリングチームに協力して犯人の人物像を分析してるんじゃないかしら」
18 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 15:56:59.65 ID:zV+SN6BF0
【第三会議室】
冬月「どうなっている! サードチルドレンが学校からでるまでに目撃者すらいないのか!」バンッ
保安部「授業中を狙われたせいで、生徒への目撃情報が望めません。また、近隣への聞き込みを行なった結果、こちらも人通りの少ない時間帯でして……」
冬月「貴様はもういい! 諜報部! 報告しろ!」
諜報部「はっ! こちらでも同じく足取りを掴もうとしましたが、その時刻に車両を目撃したという情報はありませんでした」
冬月「別の手段でサードチルドレンを運んだのではないのか⁉︎」
諜報部「身長と体重を考えれば、その可能性は多分に考えられます。しかし」
冬月「人ですら目撃情報がないのか!」
諜報部「はい。まだ全世帯への聞き込みは終えていませんが」
冬月「三時間以内に人海戦術で徹底的に探し出せ! 赤木博士、プロファイリングチームに助言を行い、犯人が複数なのかどうなのかもあらゆる面から検討したまえ!」
リツコ「はい」
保安部&諜報部「了解!」
ミサト「副司令が熱くなるのなんて珍しいわね」こそ
リツコ「神経が図太いのは結構。だけど、あなたの落ち度もあるの。さっき、碇司令に釘を刺されたのを忘れたの?」
ミサト「とほほ」
リツコ「万が一、死体にでもなってたら、あなたもコンクリートで固められて海に沈んじゃうわね」
ミサト「や、やめてよ〜……え? ちょっと、やだ、目が笑ってない。マジ……?」
リツコ「危機感を持ちなさい、葛城一尉。今後のためにね」
加持「おふたりさん。今日も仲良くつるんでるな」 ポン
ミサト「うげっ、うっとーしいのがでた」
加持「ツレないね。シンジくんがいなくなったらしいじゃないか」
リツコ「加持くんはなにかわかる?」
加持「間違いなくプロの仕業、としか。それもかなり用意周到に計画されたものだね」
ミサト「あの場で拉致するのが?」
加持「いや、それはどうかね。タイミング次第だったのかもしれない。プロと確信してるのは場所じゃなくやり口だからな」
19 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 16:06:43.19 ID:zV+SN6BF0
ミサト「結局、あんただってわからないんでしょ」
加持「おいおい、そうは言ってないだろう?」
ミサト「えっ⁉︎ なにかわかったの⁉︎」
加持「目撃情報がひとつだけ、ある……この情報がほしいか?」
ミサト「あんたねぇ、ふざけてる場合? シンジくんの安否がかかってるのよ?」
加持「副司令に渡すか、葛城に渡すか、どちらでもかまわないってだけさ」
ミサト「望みはなによ?」
加持「そうだなぁ。海の見える見晴らしのいい展望台でディナーでもいかがかな?」
ミサト「……わかった。それで手を打つ」
リツコ「あら? 私だけ仲間はずれ?」
加持「リッちゃんならいつでも歓迎さ。なんなら、今夜でも、もちろん、二人きりで……」スッ
ミサト「わかったから! はやく教えなさいよ!」
加持「冗談が通じないねっと、まずはこれを見てくれ」ペラ
ミサト「なにこれ? 搬入業者の日程表? ……購買へパンの仕入れが行われてるわね」
加持「調べを進めていっても怪しい人影の姿が見えない。あえて人の往来の少ない時間帯に犯行に及んでいるからな」
ミサト「それが?」
加持「葛城。完全犯罪というのは、いかに逃げ切るかが目的じゃない。いかに気がつかせないがかキモなのさ」
リツコ「業者に扮していた?」
加持「この時間帯に目撃されず、かつ不自然じゃない外部からの侵入ルートは限られている。ま、そう考えるのが妥当だろうね」
ミサト「業者の出発時刻は?」
加持「パートのおばちゃんによると、いつも通り昼休み前には作業を終えて帰ったそうだ。時間にしておよそ二十分にも満たない。ただし、帰る前に男子トイレに寄ったそうだがね」
リツコ「怪しいわね」
加持「まだなんとも言えないがな。ろくな目撃情報がない以上、これが現時点での有力な情報になる」
ミサト「うぅん……でも、弱いわね」
加持「行動に結果はつきものだ。なにかしらほころびを見つけてその小さな隙間から目星をつけていくしかない」
リツコ「加持くん、警察官にでも転職したら?」
加持「よしてくれよ。ネルフは元々技術畑の人間の集まりだからな。保安部や諜報部の連中が場慣れしてない分、多少は俺に慣れがあるっていうだけさ」
ミサト「とりあえず、業者に連絡をとって担当していたドライバーを確認してみる」
加持「こっちでも引き続き調べてみるよ。最悪の事態だけは避けたいんでね」
リツコ「それは、シンジくんの安否?」
加持「両方さ。用意周到に進めたプロの犯行で、身代金の連絡がないとしたら……雇い主が、いや、やめよう。憶測の域をでない」
ミサト「シンジくんは人類の希望を担うパイロットよ。彼の安否を最優先事項とします」
加持「りょーかい」
20 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 16:32:29.95 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 コンテナ内】
アスカ「こ、こんな場所で寝泊まりしろっていうの?」
マヤ「一時的な処置だから……個室だとここしかなくて」
アスカ「家具は⁉︎ ベットは⁉︎」
マヤ「職員が使ってる布団ならあるわよ? 歯ブラシとか必要なものがあれば言ってくれたら買い出しも」
アスカ「こんな空調もきいてないような倉庫で寝泊まりなんて嫌よ!」
マヤ「なら、仮眠室に……」
アスカ「それはもっと嫌! 職員が使ってるってことは不特定多数ってことでしょ⁉︎ 不衛生よ!」
マヤ「その気持ちわからなくもないけど」
レイ「私の部屋は?」
マヤ「レイは隣のコンテナ。大丈夫そう?」
レイ「問題ありません」
アスカ「ちっ、なによ? ポイント稼いでるつもり? これだから優等生気取りは」
レイ「別に。そんなつもりじゃない」
アスカ「こんな無機質な空間の中で不満がでないわけないじゃない! あたしを悪者にしようって魂胆なんでしょ⁉︎」
レイ「……」
アスカ「なんとか言ったらどう⁉︎」
レイ「いつも通りだもの。私の部屋、これと変わらないから」
アスカ「はぁ? あんたんとこってこんな感じなの?」
レイ「ええ」
アスカ「信じらんない。自分でなんとかしたらいいのに」
レイ「どうして?」
アスカ「過ごしやすい環境を作るのは当たり前でしょ。毎日自分が寝泊まりするんだから」
レイ「寝れればいいんじゃないの?」
アスカ「無関心もここに極まれりね。好きなグッズとかそういうのないわけぇ? 寝るだけにしたってねごごちがいい枕とかお気に入りがあるものでしょ?」
レイ「よく、わからない」
アスカ「はぁ……それで? 何日ここで寝ればいいの?」
マヤ「少なくとも、今回の事案に折り合いがついて、安全が確認されるまでは」
アスカ「えぇ⁉︎ それって、わからないんじゃない!」
マヤ「まぁ、その……」
アスカ「あのねぇ! 先の見えない不安ってのもあるんですけど⁉︎ エヴァパイロットのそこらへんの精神安定はどうしてくれるわけ?」
マヤ「むっ。薬なら、先輩に言えばもらえるわよ」
アスカ「どいつもこいつも! そんなの言ってるんじゃないわよ!」
21 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 16:42:27.33 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 ラボ】
リツコ「チルドレンの様子はどうだった?」
マヤ「レイは大丈夫そうです。アスカは……」
リツコ「まぁ、文句がでるでしょうね」
マヤ「そうですね……」
リツコ「不自由には変わりがないもの。人はリラックスできる場所を求める。自分の部屋というものは、好きにしてもいいという空間でもあるのよ」
マヤ「気を使っちゃいますもんね」
リツコ「そうね。加えて私達女性は巣作りをするという本能でもあるけど。はい、コーヒー」コト
マヤ「先輩、シンジくんの件はなにか進展ありそうですか?」
リツコ「いいえ。まだなにも。上層部は可及的速やかに事態の解決を試みて人材を投入しているけれど、足取りが掴めないのよ」
マヤ「端末に爆弾が仕掛けられてたんですよね? そこからなにか掴めないでしょうか?」
リツコ「難しいわ。元になる端末は、こちらが気がつく前にバラバラになるまで爆破されている。いつ仕組まれたか、内部の人間が噛んでいるとしても容疑者は、数万人の技術者にのぼる。外部から潜入した工作員という線も捨てきれない」
マヤ「パイロットを狙うなんて、信じられません」フーフー
リツコ「警護の意識が低かったみたいね。普段から気をつけてはいた。しかし、網をかいくぐれるプロにとっては施錠ですらなかったのかも」
マヤ「シンジくん達がいなければ人類は滅んでしまうのに」
リツコ「その日暮らしをしている者にとっては、明日人類が滅びようが関係のない人達だっているのよ」
マヤ「理解、できません」
リツコ「考えすぎないほうがいいわよ。理解できないものはいつまでたっても理解できないまま終わることも多いから」
マヤ「無事だと、いいですね……」
リツコ「さて。今頃はなにしているのかしらね、シンジくん」
22 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 16:59:52.61 ID:zV+SN6BF0
【第三新東京都市第壱中学校 放課後】
トウジ「なんや、学校中がえらいごったがえしとるのー」
ケンスケ「碇、いなくなっちゃったしな」
トウジ「また使徒やあるまいなぁ」
ケンスケ「いや、使徒だったら学校にネルフの人達が来ないんじゃないか? 避難警報も放送もないし」
トウジ「せやかて、綾波とゴリラ女は昼休み前に呼びだされていなくなってもうたやないか」
ケンスケ「うーん」
トウジ「なんかあったんやろか?」
ケンスケ「僕たちが考えてもわからないさ……そういやさ、碇に用事あったんじゃないのか?」
トウジ「妹がお礼を言いたいから一度連れてきてくれってうるさいからのぉ」
ケンスケ「あぁ、トウジが碇を殴って怒られたっていう例の」
トウジ「エヴァのパイロットちゅーのは、ヒーローなんやと。ま、ワシ達の生活の守ってくれとんのは事実やしな」
ケンスケ「僕でよかったら行こうか?」
トウジ「お前が行ってなにすんねん? ま、まさか、オタクなだけやなくて、ロリコン?」
ケンスケ「バカなこというなよ!」
トウジ「じゃあかあしい! 妹にお前は絶対に近づけへんぞ!」
ケンスケ「偏見だね! そうやってオタクを変な趣味と結びつける誇大妄想だ!」
トウジ「見た目からして怪しいと思っとったんじゃ!」
ケンスケ「なんだと⁉︎」
ドンッ
ユイ「あら、ごめんなさい。まわりをよく見てなくって」
ケンスケ「お、おい。トウジ」
トウジ「あ、すんまへん」
ケンスケ「あの、すいません。僕たちこそ」
23 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 17:02:45.44 ID:zV+SN6BF0
ユイ「いいえ、気にしないで。それよりもなんだか騒がしいわね?」
トウジ「なんか、ネルフから人がぎょーさんきとるみたいです」
ケンスケ「職員室にご用ですか?」
トウジ「こらケンスケ! 美人だからって抜け駆けすな!」
ユイ「ふふっ、ありがとう」
トウジ「い、いえっ! 滅相もありません!」
ケンスケ「顔真っ赤にしててよく言うよ」
ユイ「忙しそうだし、また日を改めようかしら」
トウジ「たしかに、今やと取り次ぐの時間かかりそうですもんね」
ユイ「それじゃぁ、私はこれで……お友達と仲良くね?」
トウジ&ケンスケ「は、はいっ!」ビシッ
トウジ「……はぁ〜。べっぴんさんやったの〜。誰かの母親やろか」
ケンスケ「どこかで会ったような……」
トウジ「あないな美人なお姉さまを会ったら忘れるわけがないっ!」
ケンスケ「いや、似てるっていうか……」
トウジ「あん?」
ケンスケ「あ⁉︎ そうだよっ! 綾波だ! 綾波に顔立ちが似てるんだ!」
トウジ「そうかぁ? 綾波とは髪の色も」
ケンスケ「いいや! 盗撮をしている僕は被写体のパーツを鮮明に思い出せるんだ! 間違いないね!」
トウジ「また変な特技を」
ケンスケ「綾波の母親かな?」
トウジ「いてもおかしくはないが」
ケンスケ「他人の空似なのかな。似てると思ったんだけどなぁ」
トウジ「しかし、ぐふふ。ええ匂いやったな」
ケンスケ「トウジぃっ! ぶつかったのは肩か? ここなのかぁ?」 スリスリ
トウジ「わわ、さわんな! 残り香が薄れるやろ! ぺっぺっ!」
ケンスケ「ツバとばすなよ!」
24 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 17:12:06.88 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 シャワールーム】
アスカ「つめたっ! もぉ、なんで湯の加減が一定じゃないのよ!」
レイ「……」ゴシゴシ
アスカ「おまけにこいつと一緒になにが楽しくて」
レイ「音、反響してうるさい」
アスカ「悪かったわねぇ! うるさくて!」
レイ「石鹸、使う?」
アスカ「使う!」
レイ「あなた、碇くんが心配じゃないの?」
アスカ「……少しはね。そういうあんたは心配なの?」
レイ「よく、わからない。死ぬってこわい?」
アスカ「あたしはこわいというより嫌。ただ、まぁ、世の中には自[
ピーーー
]る人だっているのは子供でも知ってるしさ、こわくない人もいるんじゃない?」ゴシゴシ
レイ「碇くんは、死ぬのがこわい?」
アスカ「あいつは自分のことだけでいっぱいいっぱいだもの。きっとこわがるんじゃない?」
レイ「そう……」
アスカ「バカシンジはもうちょっと頼りがいってものがあればいいんだけどさぁ」
レイ「どうして?」
アスカ「守ってもらいたいって思うのは、女なら誰しも持ってる幻想じゃない。自分でやろうと思えば何だってできる。けど、頼れる人がいると安心するもの」
レイ「安心……」
アスカ「ま、ガキシンジには無理な注文ね」
レイ「……」
アスカ「それに、私たちはパイロットなんだから。死ぬ覚悟はしておくべきよ」
レイ「あなたは、死んでもいいの?」
アスカ「だからぁ、そうじゃないんだってば。私はやりたい夢がたくさんある。だから死ぬのがこわいんじゃなくて、嫌なの。でも第一線で戦うのは、私たちでしょ?」
レイ「えぇ」
アスカ「心構えの問題よ。死と隣合わせだからこそ、そうなってもおかしくないと考えていなくちゃ」
レイ「でも、碇くんは、今はエヴァに乗っているわけじゃないわ」
アスカ「……」
レイ「使徒が相手じゃない。ヒトが相手だもの」
アスカ「それはあんたの言う通り、私たちは、狙われてるのかもしれない」
レイ「使徒が相手じゃなくても、死んで、いいの?」
アスカ「ずぅ〜〜ぇったいに嫌!」パシャ
25 :
◆y7//w4A.QY
[saga]:2017/06/24(土) 17:27:42.67 ID:zV+SN6BF0
【第三新東京都市 繁華街】
ミサト「はぁ、これで何件目?」
マコト「二十件目になりますね、今日だけでですけど」
ミサト「なんで高層マンションばっかりあるのよ! この土地は!」
マコト「仕方ありませんよ。ネルフ関係者が使ってる集合住宅地ですから」
ミサト「人口が多すぎるのよ。いっそN2でもぶちこんでやろうかしら」
マコト「またそんな物騒な」
ミサト「諜報部から業者の件、なにか連絡は?」
マコト「青葉からの報告によりますと、たしかに業者は搬入作業にはいっていました。しかし、正規の者です」
ミサト「えぇ?」 ガックシ
マコト「……シロですね。怪しい点は見受けられません」
ミサト「またふりだしに戻っちゃったじゃない」
マコト「どうします? 近隣への聞き込みを続けますか?」
ミサト「うーん、本部で大規模捜査を実施してるし、私たちがやったところで意味なんてないんだけどねぇ」
マコト「会議室は副司令がいるからこっちに加わったんでしょ?」
ミサト「そうなのよぉ〜。まさに針のむしろって感じ」
マコト「使徒が来ていないのが不幸中の幸いですね」
ミサト「本当にね、ネルフの業務はMAGIがほとんど行ってるから問題ないけど、影響が全くないってわけじゃないし……」
マコト「もし、使徒がきたら」
ミサト「そうならないように一刻もはやく解決しなくちゃ。続き、行きましょうか」
26 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 17:49:28.19 ID:zV+SN6BF0
【第三新東京都市 郊外 廃工場】
シンジ「うっ……」
「気がついた?」
シンジ「(ここは? 真っ暗でなにも見えない)」
「いつまでも寝てるから心配になったわよ」
シンジ「どこですか? ここ。なんで真っ暗なんですか?」
「それは麻袋を被せているせい。あたりも陽が沈んでる時間帯だけど」
シンジ「誰ですか? 僕にどうして、こんなことするんですか?」
「苦しくない?」
シンジ「質問に答えてください」
「あまり暴れると縄が食いこんで痛むわよ」
シンジ「(ぐっ! なんなんだよ! いったい!)」
「もういいの?」
シンジ「えっ?」
「本当はエヴァに乗りたくなかったんでしょう?」
シンジ「……」
「私はその手助けをしているだけ。あなたが望むなら、このまま消えさせる」
シンジ「なに言ってるんですか……」
「大人達の都合を押しつけてしまったんですもの。今までよく頑張ったわね」
シンジ「いったい……」
「あなたが思っている以上に、計画は進んでしまっている。いいえ、エヴァに乗るように仕組まれた時点で、準備は終わっていたの。あとは、スケジュールに沿って進めていくだけ」
シンジ「……?」
「好きにしていいのよ。未来は、あなたが選択するの」
シンジ「わ、わけがわからないよ」
「そうね、ごめんなさい。戸惑いが先にあるわよね」
シンジ「縄を解いてくれませんか?」
「いずれ解いてあげる。ただ、今夜はこのままで。トイレがしたくなったら言いなさい」
シンジ「えぇ⁉︎」
「なにも恥ずかしがることはないのよ」
シンジ「そ、そんな! 嫌ですよ!」
「ふふっ。緊張はあまりしていないようで、安心したわ」
シンジ「……」
「灯台下暗し。先生は気がつくわね、それまで少し、お話をしましょう」
27 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 17:59:44.48 ID:zV+SN6BF0
シンジ「……」
「古い、古い、昔の話。シンジは神話を知ってる?」
シンジ「いえ」
「アダムとイヴは? 知恵の実を食べて、エデンの園から追放された」
シンジ「少しなら」
「似たような話が現実に起こっていたとしたら、と、想像してみた?」
シンジ「そんなの、あるわけないじゃないですか、だって、神話ですよ」
「そうね」
シンジ「聖書だって人の都合で後から書き加えられた項目が多いって、テレビで見ました」
「それも事実。だけど、元となった話は、関連する記載が実在する、死海文書というの」
シンジ「そんなのウソだ」
「よく気をつけてまわりを見てみなさい。ネルフのマークも、使徒という呼称も。それら全てがある点に繋がっていくの」
シンジ「話が突拍子すぎて、わかりません」
「破滅の日が、現実に起こりうると仮定してみて。人類が生き残る為に進められているのが、エヴァに乗らされている理由なのよ」
シンジ「……おかしいよ」
「信じられない?」
シンジ「信じられるわけないでしょうっ! いきなりこんな状況になってるだけでもわけがわからないのに!」
「現代に至るまで、人類が誕生した謎はほぼ解明されていない。これは知ってる?」
シンジ「……」
「研究は進められてるわ。理論で固められて、これなら間違いないという域にまで高めていくけど、それも新しい発見があれば、簡単に塗り替えられてしまう。物理的証拠がないから、その程度でしかないの」
シンジ「僕に、僕にいったい、なにを説明しているんですか」
「真実を知ってほしい」
シンジ「……」
「その上で、あなたがどうしたいのか、判断してほしい」
シンジ「僕は、わかりません」
「わからなくても、生きている以上は、なにかを選んで生きているのよ。物を食べる、何時に寝る、そういった必要な選択肢はありふれてる」
シンジ「それとこれとは、話が……どうして、僕が選ぶんですか?」
「あなたはもうどっぷりと巻き込まれてしまっているから。中心にいると言ってもいいぐらい。最初に仕向けたのは、私」
シンジ「えっ?」
「シンジ、元気に育ってくれて嬉しいわ」
シンジ「だ、誰なんですか?」
「少し、眠りなさい」
シンジ「寝ろって言ったって、今まで……」
「子守唄、いる?」
シンジ「いりませんよ」
「そう。それなら、注射でいいわね」
シンジ「えっ? ……いっ!」プス
「おやすみ」
シンジ「ぼ、僕の質問にまだ答えて……!」
「ゆっくり眠りなさい」
シンジ「う……」 ガク
ユイ「あの人にも、会わなくちゃいけないわね」
28 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 18:16:35.39 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 第三会議室】
リツコ「副司令、こんな時間まで」
冬月「なんだ、君か」
リツコ「報告はいたしますので、そろそろあがられては……ご無理などなさらないよう、ご自愛ください」
冬月「年寄り扱いはしないでくれ」
リツコ「申し訳ありません。お気に障ったのなら」
冬月「いや、かまわんよ……そうだな、たしかに歳に夜更かしは堪える」
リツコ「湯のみが冷たくなっておりますわ。差し支えなければ、淹れ直しいたしますが」
冬月「うん、頼もう」
リツコ「はい」
冬月「君は、赤城ナオコ博士の娘だったね」
リツコ「はい……」トクトク
冬月「親娘でネルフに勤務とは、因果なものだな」
リツコ「私は、ここで働けて誇りを持っております。碇司令と副司令のお側にお仕えできるなんて、光栄ですわ」
冬月「ふん、おだててもなにも出やしないぞ」
リツコ「本心です、どうぞ」コト
冬月「ありがとう」
リツコ「副司令が、サードチルドレンに躍起になっておられるのは、やはり計画のためでしょうか」
冬月「ん?」グビ
リツコ「いえ、気にかかったものですから」
冬月「……それもある。我々には目的があるからな。別の理由は、ある教え子からの頼みでもあるからだ」
リツコ「と、言いますと」
冬月「碇がまだ、学生だった頃の話だが。生物学者を志している女生徒がいてね」
リツコ「それは、あの、失礼ですが」
冬月「君も名前ぐらいは聞いたことがあるだろう。碇ユイ、あの男の妻になった女だ」
リツコ「……」
冬月「不思議な魅力を持つ女性だったよ。掴みどころがなく、それでいて、慈愛に満ちていた」
リツコ「E計画の実験の際に、初号機のコアへ取りこまれたと聞きました」
冬月「それが彼女の望みだったからな」
リツコ「初号機に、ですか?」
冬月「女の考えは理屈ではない。彼女は常に慈愛に満ちていた。しかし、それと同時に、とても頭が良かったのだよ」
リツコ「……?」
冬月「私にも不確定な部分がある。もしかすると、彼女の頭の中では、碇ゲンドウでさえ計画の一部だったのかもしれんな」
リツコ「あ、あの碇司令を手駒に?」
冬月「その通りだ……少し、話すぎたか。老人の戯言だと思って聞き流してくれ」
リツコ「はぁ、それはかまいませんが」
冬月「しかし、要求はまだないのか?」
リツコ「依然として、なんの連絡も。戦自や各国政府が秘密裏に拉致したという可能性が」
冬月「いや、それは考えにくい。パイロットは各国にとっても資産だからな。ゼーレがそれを許すはずがない、得をするとすれば、いや……待てよ」
リツコ「どうかなされました?」
冬月「――女は、理屈で動くものでは」
29 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 18:27:19.18 ID:zV+SN6BF0
【シンジ 夢の中】
男「君の母親は実験中に亡くなった。父親は、妻を殺した疑いがある」
シンジ「違う!」
男「実験の為に、自分の妻を殺したんだ!」
シンジ「違う! ……母さんは、笑ってた……」
ユイ「シンジ……」
シンジ「母さん! どうしていなくなるの⁉︎」
ゲンドウ「シンジ、逃げてはいかん」
シンジ「自分の楽しいことばかりで人は生きてはいけないんだ。逃げたいから逃げてなにが悪いんだよ⁉︎」
ゲンドウ「よくやったな、シンジ」
シンジ「エヴァに乗ればみんなが褒めてくれるんだ! 父さんだって、あの、父さんが、僕を褒めてくれたんだ……」
ユイ「反芻するの?」
シンジ「そうだよ! 思い出せば辛くても生きていける!」
ユイ「シンジ、世の中にはもっと素晴らしい眺めがあるのよ」
ゲンドウ「だが、見るには自分が前に進まなければならない」
シンジ「簡単に言わないでよ。僕には、無理なんだ……」
ゲンドウ「待つだけではなにも得られない。傷つくのがこわいか?」
シンジ「こわい、たまらなくこわいんだ……」
ユイ「殻に閉じこもるのは自分を守る行為ではないわ。追い詰めているだけ」
ゲンドウ「勝ちとれば何ものにも得難い経験になる。そうなった時に、実感できる」
シンジ「ぐすっ、うっ……エヴァに乗っても、楽しくないんだ、僕には、わからないよ……」
ユイ「シンちゃん、顔をあげなさい」
シンジ「母さん」
ゲンドウ「お前の人生だ。お前が選び、お前が決めろ」
シンジ「父さん」
ユイ「しっかりね」
30 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 20:28:20.15 ID:zV+SN6BF0
【翌日 第三新東京市 郊外 廃工場】
シンジ「うっ、こ、ここは?」
ユイ「起きたのね」
シンジ「そうか、僕はまだ拘束されて……」
ユイ「寒くない?」
シンジ「いや。というか、人肌の感触、なんだか、いい匂いが……うわあぁぁっ⁉︎」 ガタン
ユイ「どうしたの?」
シンジ「なんだ⁉︎ これ、抱きしめられてますよね⁉︎」
ユイ「そうね、寒そうだったから」
シンジ「い、いや! いいですよ!」ジタバタ
ユイ「そう?」
シンジ「はい! お願いですから、離れて……!」
ユイ「わかったわ」スッ
シンジ「……はぁ、なんなんですか、本当に」
ユイ「なに、と聞かれても困るんだけど」
シンジ「僕はいったいこれからどうなっちゃうの?」
ユイ「もう少し、時間があるわ」
シンジ「時間って……それに、あなたは誰なんですか? たしか、僕を知ってるみたいな」
ユイ「あなたが、膝の高さぐらいの頃に会ったことがあるの」
シンジ「ネルフの関係者ですか?」
ユイ「ふふっ、そうね。そう言えば間違いではないのかもしれない」
シンジ「僕を攫っても、父さんは、顔色なんて変えませんよ」
ユイ「ええ」
シンジ「僕にはパイロットとしての価値しかありませんから」
ユイ「あなたの父親の話を聞かせてもらえる?」
シンジ「そんなの、聞いて……」
ユイ「知りたいだけ。不器用な人だとはわかっているけど」
シンジ「ぷっ、父さんが、不器用ですか?」
ユイ「あら? 違う?」
シンジ「よく、わかりません。父さんとは僕がまだ小さい時に離れて暮らしましたから」
ユイ「あまり話ができなかった?」
シンジ「そうですね」
ユイ「話そうとはしたの?」
シンジ「ぷっ、くっくっくっ」
ユイ「どうかした?」
シンジ「いえ、綾波というクラスメイトがいるんですけど、同じことを聞かれたので」
ユイ「そう……」
シンジ「どうなんだろう。話そうとはした、んじゃないかな。けど、幼い頃の記憶ですし、その後は、努力が足りなかったのかもしれません」
ユイ「親子でも難しいのね?」
シンジ「他の家庭がどうかなんてわかりません。だけど、父さんは、僕にとって、難しい人です」
ユイ「母親は?」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/24(土) 20:33:08.91 ID:/Y0Or9oSO
はよ
32 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 20:35:53.66 ID:zV+SN6BF0
シンジ「母さんは……ほとんど記憶にないんです。思い出といえることはなにも。ただ、父さんは母さんを今でも忘れてないんだと思います」
ユイ「なぜ?」
シンジ「毎年、墓参りに行ってるから」
ユイ「あなたは、お母さんを恨んでる?」
シンジ「いえ、不慮の事故で亡くなったらしいんです。ただ、かわいそうだな、としか」
ユイ「他人事でしかないのね」
シンジ「実感がわかないんです。母さんがいたというだけで」
ユイ「興味深いわ」
シンジ「え?」
ユイ「あぁ、ごめんなさい。癖みたいなものだから」
シンジ「……」
ユイ「人は、誰しもが個を確立して生きているの。自分が自分であるという証明ね。何事にも二面性があるように、良いところと、悪いところがある。なにかわかる?」
シンジ「自由と、孤独、かな」
ユイ「正解。あなたの母親は、人の孤独に寄り添う永遠の存在になりたかったのよ」
シンジ「母さんが?」
ユイ「えぇ。裏死海文書に記載されている意味を、真に理解しているのは、彼女だけだったんじゃないかしら」
シンジ「う、うら……」
ユイ「昨日の神話の話の続き」
シンジ「また、その話ですか」
ユイ「母親があなたを、そして夫を捨てたことに後悔をしていないとしたらどう思う?」
シンジ「え? だって、事故で亡くなったのに」
ユイ「聞いた話だけが全てではない。あなたを、夫を、愛していた。だけど、罪悪感なく捨てていたとしたら?」
シンジ「まただ。言ってる意味がわかりません」
ユイ「あなたはまだ何も知らない。教えたとしても、理解できる受け皿がないのね。でも、仕方ないのかもしれない。そうやって生きてきたんだから」
シンジ「……」
ユイ「時は残酷ね。個人の都合とはかけ離れた概念で動いている」
シンジ「はぁ」
ユイ「あなたの話に戻しましょう。エヴァパイロットになってよかったことは?」
シンジ「僕は、迷惑をかけてばっかりです」
ユイ「それでも人類を守っているのでしょう?」
シンジ「そう言ってくれます。ミサトさん、職員の人たち。だけど、僕はみんながそう言ってくれてるのに、エヴァパイロットの価値しかないって」
ユイ「自分自身の価値を見つけられないのね」
シンジ「わがままですよね」
ユイ「自分を責めないで、当たり前よ。だけど、エヴァパイロットも含めて、あなたの価値だと思わない?」
シンジ「……」
ユイ「なぜ選ばれたのか、なぜ乗れるのか。それは理由のひとつずつにしか過ぎない。あなたが乗れる、そして、あなたが守っている。その事実を、周囲の人は認めてくれているのよ」
シンジ「やっぱり、僕には関係ない」
ユイ「ジレンマを抱えるのはわかるわ。でも、あなたがあなたを認めてあげなくちゃ。そんな自分でもいいって」
シンジ「そんな、自分でも、いい」
ユイ「ひとつじゃないのよ。あなたが選んだものが正解になる、正解にしてしまうの。誰だって突き詰めれば自分の為に生きているんだもの」
シンジ「そうでしょうか?」
ユイ「自己犠牲で愛する人の為に、なんて建て前を言っても、愛する人の喜ぶ姿が見たい自分の為でもあるでしょう?」
33 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 20:49:54.96 ID:zV+SN6BF0
シンジ「そうかも、しれません」
ユイ「無限の可能性であふれている。だから、選ぶのに迷うし、こわい」
シンジ「もし間違っていたら」
ユイ「良くても悪くても、結果はでてしまう。悪かった場合が、他人を傷つけ、自分を傷つけてしまうのがこわい」
シンジ「う……」
ユイ「だから、なにもしない、というの?」
シンジ「そ、それは」
ユイ「選択のひとつなのよ。シンジ、あなたがなにもしないと決めたの」
シンジ「僕がなにかしたって……」
ユイ「なにかしても、なにもしなくても悪くなるのなら、同じではない?」
シンジ「……」
ユイ「決めたのなら責任を持ちなさい。あなたが選んだという自覚から逃げてはだめ」
シンジ「耐えきれなかったら、どうしたらいいんですか」
ユイ「不安感に? 持ち札は多くないと割り切れる?」
シンジ「できそうもありません」
ユイ「シンジはまだ若いから。でも、こわがっちゃだめよ。歳をとるのはね、可能性を消費しているの。今しかできないと判断したら飛びこみなさい。これなら、言っている意味わかるわよね?」
シンジ「はい」
ユイ「シンジ……」スッ
シンジ「……?」
ユイ「あなたならきっとできる。あなたが持つDNAはそこらの凡人に負けるはずのない、サラブレッドですもの」
シンジ「……」
ユイ「母さんの血筋を信じなさい」
シンジ「なんだか、懐かしい匂いがします」
ユイ「……覚えがある?」
シンジ「なんとなく、そう思っただけで。変ですよね。僕、誘拐されて、相手の顔だってわからないのに、こんな話するなんて」
ユイ「話してくれて嬉しいわ」
シンジ「いえ……」
ユイ「まだ、エヴァに乗り続ける?」
シンジ「ふぅ……すぐには、答えがだせそうもないや。だけど、乗ってみんなが笑顔に……自分の為に僕は乗るべきだと思います」
ユイ「そう」
シンジ「ありがとうございました……あれ、お礼を言うのは、変ですかね」
ユイ「いいのよ」
シンジ「あんまり、考えを話せる人いないから」
ユイ「また会える。次は、麻袋無しで。チクっとするけど、我慢してね」スッ
シンジ「え? いっ! また……⁉︎」プス
ユイ「おやすみ」
34 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 20:59:01.59 ID:zV+SN6BF0
【第三新東京市 繁華街】
ミサト「うぅーん、足がぱんぱん! 結局、ビジネスホテルで夜を明かすなんて」
マコト「今日は成果をあげられればいいですね」
ミサト「そうね、誘拐から身代金の要求がないいままに時間だけが経過すると、生存率が低くなる。目撃情報を得ないと」
マコト「大丈夫かなぁ……」
ミサト「マジにやばいかも」
マコト「シンジくんだけじゃないかもしれませんしね、ひょっとしたら他のチルドレンも」
ミサト「今はシンジくんよ」
マコト「はい、わかってます」
ピリリリリッ
ミサト「日向くん、携帯、鳴ってるわよ」
マコト「青葉からだ。なにか動きがあったのかな」
ピッ
マコト「はい、もしもし……あぁ、葛城さんなら、ここに……うん……なんだって⁉︎ わかった! すぐに本部に戻る!」
ミサト「どうしたの⁉︎ ま、まさか、死体が……」
マコト「違いますよ! って、シンジくんが見つかったのは違ってないですが! 生きてます!」
ミサト「よっしゃあっ!」グッ
マコト「急ぎましょう!」
ミサト「おっけー! 駐車場に私の車があるから! 飛ばすわよ!」
マコト「いっ⁉︎」
ミサト「どうしたの? 日向くん! はやく本部に向かわなくちゃ!」タタタッ
マコト「はぁ、葛城さんって、運転荒いんだもんなぁ……」ガックシ
35 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 21:09:00.19 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ付属病院 202号室】
シンジ「う……うぅん……」 パチ
レイ「起きた?」
シンジ「綾波、アスカ?」
アスカ「はぁ、まったく、人騒がせなやつよねぇ」
シンジ「僕は、いったい」
アスカ「あんたがいなくなったおかげでこちとら大迷惑よ」
レイ「気分はどう?」
シンジ「大丈夫、特になんともないよ。僕は、いつ病院に?」
レイ「二時間前。駅のベンチで寝ていたそうよ」
アスカ「あんた、誘拐されてたんでしょ? 拷問とかされなかったの?」
シンジ「ご、拷問って。そんなんじゃなかったよ」
アスカ「なぁ〜んだ。心配して損した」
シンジ「アスカが、僕を?」
アスカ「あ、あたしは別にっ! ファーストがうるさいからよ!」
レイ「私?」キョトン
アスカ「そうでしょ⁉︎」
レイ「違うわ。心配してたのは、あなた」
アスカ「うぐっ! 気がきかないんだからぁ!」
シンジ「そっか、心配かけてごめん」
アスカ「ふんっ!」
レイ「起きたら、連絡するよう赤木博士に言われてるけど平気?」
シンジ「うん、そうだね、大丈夫だよ」
アスカ「……ん? シンジ、あんたなんか顔つきがすっきりしてない?」
シンジ「そう?」
アスカ「気のせい、よね。なにも食べてないとか?」
シンジ「そんな。たしかに食べてないと思うけど、一日かそこらじゃないか」
アスカ「ま、それもそうか。ならやっぱり気のせいね」
レイ「なにか食事は?」
シンジ「……りんご、食べようかな」
レイ「いいわ」 カタ
アスカ「はっ! 起きたらさっそくいちゃついちゃってさぁ!」
シンジ「アスカ」
アスカ「なによ」
シンジ「変わる意味がわかった気がする」
アスカ「はぁ? 頭でも打ってきた?」
シンジ「よくわからないけど」
アスカ「……どっちなのよ」
シンジ「僕はこわがってちゃいけないんだね」
アスカ「……?」
36 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 21:19:32.46 ID:zV+SN6BF0
シンジ「違う、いけないってわけじゃない。それが、自分の為にも、いつか、誰かの為にもなるんだろうね」
アスカ「や、やっぱり、なにかされてきたんじゃ……」
シンジ「アスカ」
アスカ「人の名前を何度も呼ばなくても聞こえてるっちゅーの!」
シンジ「アスカは、僕とは違う」
アスカ「はぁ」
シンジ「よっと」ギシ
アスカ「ちょっと、いきなり立って大丈夫――」
シンジ「こうしたら、どうなるんだろう」スッ
アスカ「んなっ⁉︎ ふぁんたぁっ⁉︎」
シンジ「アスカのほっぺた、やわらかいね」ムニムニ
アスカ「ふんっ!!」 ブンッ
バチンッ!
アスカ「エッチバカ変態っ! 信じらんないっ!」
シンジ「ぷっ、あは、あはははっ、ジンジンして、痛いや」
アスカ「え……? ちょ、ちょっと?」
シンジ「そうだよね。なにかをしたら、なにかが返ってくる。簡単な話なんだ」
アスカ「し、シンジ?」
レイ「碇くん?」
シンジ「くっくっくっ。だめだ、おかしくて、あははっ」
アスカ「ファースト、赤木博士に連絡してはやく精密検査受けさせるべきよ。そうしないなら隔離するべきね。きっと脳になにかされてきたんだわ」
シンジ「ひ、ひどいや、アスカ。あはははっ」
アスカ「急ぐのよ!」
レイ「え、えぇ」
37 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 21:27:31.34 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 第三会議室】
シンジ「失礼します」
冬月「楽にしたまえ」
シンジ「はい」スッ
冬月「災難だったが、無事でなによりだ。検査の結果は問題ないそうだな」
シンジ「すぐに退院できました」
冬月「赤木博士から報告は受けているよ。書類で確認してもいいが、直接話を聞きたくてね」
シンジ「かまいません」
冬月「君は、将棋を打つかね?」
シンジ「あ、いえ……」
冬月「ふむ。山崩しならできるだろう」ガシャカシャ
シンジ「それなら知ってます」
冬月「聞きたいのは、君を誘拐した相手だ。女だったそうだな」スッ
シンジ「はい。声を聞いたので」
冬月「麻袋を被せられ、両手両足を縛られていたと聞いたが?」
シンジ「間違いありません」
冬月「やけにはっきりと答えるな」
シンジ「え……あの、なにか?」
冬月「老人と2人きりでは息苦しいのではないか」
シンジ「……はい、息苦しいです」
冬月「ん?」
シンジ「でも、望んでるのは副司令ですから」
冬月「この席をかね?」
シンジ「はい」
冬月「それは違いない。多少の無礼は許そう」
シンジ「質問に答えるかわりといいますか、ひとつお願いしてもいいですか?」
冬月「めずらしいな、なんだ?」
シンジ「父さんと、少し、話がしたいんです」
冬月「碇と?」
シンジ「はい。母さんのことを聞きたくて」
冬月「なぜかね? もしや、君を誘拐した相手は――」
シンジ「え?」
冬月「いや、なんでもない」
シンジ「誘拐した相手は、誰だかわかりません。ただ、僕を知っていて、小さい頃に会ったとは言ってましたけど」
冬月「やはり、我々は彼女の手のひらで遊ばれていただけなのか」
シンジ「彼女?」
冬月「それだけでいい。碇には会わせてやろう」
シンジ「あ、ありがとうございます」 ホッ
冬月「山崩しはまたにしよう。今なら、多少の時間があるはずだ。ついてきたまえ」
38 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 21:41:14.81 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 発令所】
ゲンドウ「どうした?」
シンジ「あ、あの……」
ゲンドウ「ぐずぐずするな。用件があるならさっさと言え」
冬月「母親について知りたいそうだ」
ゲンドウ「なに?」 ピクッ
シンジ「母さんって、どんな人だったの?」
ゲンドウ「なぜだ?」
シンジ「知りたいって、おかしいかな……」
ゲンドウ「そうではない。なぜ今なのだ」
シンジ「気になったんだ。父さんは、母さんのことを大切に思ってるのは知ってるから」
ゲンドウ「シンジ」
シンジ「なに?」
ゲンドウ「無駄な話に時間を割くな」
シンジ「そ、そんな」
冬月「――サードチルドレン、面白い話をしてやろう」
シンジ「……?」
冬月「ここにいる男はな。昔、私の教え子だった」
シンジ「と、父さんが?」
ゲンドウ「……」
冬月「大学の頃の話だがね。当時からこいつは、一匹狼を気取っていてな。変わり者の類だった」
ゲンドウ「冬月」
冬月「キャンパス内では孤立していたよ。しかし、そんな折に、君の母親に出会った。最初は疎ましそうにしていたな」
シンジ「そ、それで?」
冬月「しかし、ユイ君の態度に、この男の心もやがて氷解していった。いつのまにやら、なくてはならない存在になっていたのだ」
ゲンドウ「過去の話だ」
冬月「やがて、2人は付き合うようになった。男女の仲というやつだ。そして、ユイくんは君を身篭った」
シンジ「父さんって普通に恋愛してたんだ」
ゲンドウ「いいかげんにしろ!」
冬月「碇、もういいのではないか」
ゲンドウ「なんのつもりだ?」
冬月「俺もお前も、やり方を間違えていたのだ。お前は言ったな。ゼーレと死海文書の存在にはじめて気がついた時、俺にこれを世間に公表すると」
ゲンドウ「なぜ蒸し返すのだ」
冬月「ネルフがまだゲヒムだった頃、お前は人が変わったようになって、決意を滲ませて帰ってきた。人類補完計画を遂行するために」
ゲンドウ「冬月、シンジを連れてさがれ」
冬月「ここから見える職員を見たまえ」
マヤ「あ、ここの解析間違ってる」
シゲル「じゃんじゃんじゃかじゃ〜ん♪ いぇ〜い♪」
マコト「はぁ、仕事が終わらない」
ゲンドウ「それがどうした?」
冬月「誰しもが、夢にも思うまい。人類が滅ぶ手助けをしているとはな」
ゲンドウ「滅ぶのではない。人が形を変える為の進化だ。必要な補完だ」
冬月「息子は、お前ではないよ」
ゲンドウ「なにを言っている」
39 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 21:45:36.01 ID:zV+SN6BF0
冬月「認めたらどうだ。お前は息子から逃げている。俺もお前も。いや、ここにいる誰しもが、なにかしらの現実から逃げているのか」
シンジ「あ、あの」
冬月「俺は降りはしない。親子の時間を取り戻せ。破滅の日まで、まだ時間はある」
ゲンドウ「必要ない。思い出は心の中で生き続ける。今はそれでいい」
冬月「素直に受け入れられんか。歳というものは難儀だな。若い発想と柔軟性が羨ましいよ」
ゲンドウ「冬月、今日は休め」
シンジ「父さん」
ゲンドウ「なんだ⁉︎」
シンジ「僕は、幼いころ、父さんから逃げ出したんだ」
ゲンドウ「……子供の戯言には」
シンジ「父さんはあの時、僕に、わからないけど、なにかに失望したんじゃないの?」
ゲンドウ「それは違う。お前が逃げ出したのだ。お前の選択だ」
シンジ「そうかもしれない。父さんは何を選択したの? やっぱり母さんの――」
ゲンドウ「茶番はやめろ!」 バンッ
冬月「碇、今日中の仕事は俺が引き継いでやる。息子と飯でも食ってこい」
ゲンドウ「先生」
冬月「ふん、はねっかえりはあいかわずだな。老人のたまに見せるわがままだ。ここは俺の顔を立てろ」
40 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 22:01:48.02 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 初号機ケイジ】
ミサト「たらりらったらぁ〜ん♪」
リツコ「そこ、踏みはずすとL.C.L漬けの完成になるわよ」カキカキ
ミサト「わかってるってぇ〜」
リツコ「呆れた、相変わらず現金ね。シンジくんに外傷なく発見できたからといって。チルドレンの警護体制見直しを検討しなくていいの?」
ミサト「そんなのはあとよ、あと。左遷もなさそうだし、この喜びを親友と確かめあわなくっちゃ、ね?」
リツコ「リーチがかかっているの、忘れないようにね」
ミサト「実験は明日から再開するの?」
リツコ「えぇ。シンジくんに問題はないし、そうなるでしょうね。そこのアンビリカルブリッジの固定具、締めつけが甘いわよ」
作業班「え! どっちすかぁ⁉︎」
リツコ「二番よ」
ミサト「使徒が相手ならなんとかなるんだけどさぁ。さすがにああいうやり方されるとちょっちねぇ〜」
リツコ「あなた、戦闘訓練も受けているでしょう? 優秀な成績だったはずだけど」
ミサト「小難しい推理は苦手。今回の件では、かたなしだって」
リツコ「そう……あら? あれは、碇司令と、シンジくん?」
ミサト「あらまっ! 本当だ! 2人で歩いてるのなんてめずらしいわね!」
リツコ「なにかあったのかしら?」
ミサト「気になるぅ?」 ジトー
リツコ「ミサト? なによその目は」
ミサト「いんやぁ〜? リツコって碇司令を目で追っかけてない?」
リツコ「……っ! バカなこと言うのはやめなさい!」
ミサト「なんでムキになるのよぉ〜?」
リツコ「あなたがそうやっていつも茶化すからでしょう⁉︎ 私は尊敬しているだけよ!」
ミサト「あらま、本気で怒ってる? ご、ごめん。悪かったわ」
リツコ「まったく!」コツコツ
41 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 22:12:41.20 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 レストラン】
シンジ「……」チラ
ゲンドウ「どうした? お前が希望した会食だ」
シンジ「あ、うん。そうだね」
ゲンドウ「俺の顔色を伺ってないではやく決めろ」
シンジ「はは。父さんでも、わかるんだ」
ゲンドウ「くだらん」
シンジ「だけど、僕は嬉しいよ」
ゲンドウ「……そうか」
シンジ「父さんと、こうして食事できるのは本当に何年ぶりになるだろう」
ゲンドウ「十三年ぶりだ」
シンジ「やっぱり、僕が逃げ出した時からだね」
ゲンドウ「ああ。だが、それ以前の俺は研究に没頭していたからな」
シンジ「父さんがしていた研究ってやっぱりエヴァの?」
ゲンドウ「様々な研究だ。基礎構造に関わっている人員は万をゆうに超えている。俺はそのタスクの一部を担当していたにすぎん」
シンジ「凄いんだね。母さんも……?」
ゲンドウ「ユイは、エヴァに子供達の夢を託していた。シンジ――」
シンジ「なに?」
ゲンドウ「お前にとって母親とはなんだ?」
シンジ「うーん、会ったことのない、人、かな」
ゲンドウ「だが、お前の母親はたしかに生きていた」
シンジ「うん」
ゲンドウ「ユイはかけがえのないものを俺に教えてくれた。俺の心の中で生き続けている」
シンジ「もし、もし今も母さんが生きていたしとたら何かが変わっていたのかな」
ゲンドウ「そんな話はするだけ無駄だ」
シンジ「そうだね、ごめん」
ゲンドウ「俺は、お前に何もしてやれない」
シンジ「えっ?」
ゲンドウ「だが、ユイの願いは、お前に対する願いでもある」
シンジ「父さん、なに言って……」
ゲンドウ「シンジ。二度は言わん。よく聞け」
シンジ「う、うん」
ゲンドウ「俺は父親失格なのだろう。この手は、血で汚れてしまっている。過去を振り返りはしない」
シンジ「……」
ゲンドウ「犠牲が、あまりに多すぎる。俺だけの話ではない、関わってきた者、志半ばにして倒れてきた者たちの願いが託されている」
シンジ「うん」
ゲンドウ「俺は、お前に嫌な思いしかさせていないのだろうな」
シンジ「そ、そんな……」
ゲンドウ「初号機パイロットは、ユイの願いでもあるお前がやり遂げるのだ」
42 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/24(土) 22:23:36.23 ID:zV+SN6BF0
【ネルフ本部 発令所】
冬月「(ユイくん、これでよかったのだろう?)」
リツコ「副司令」
冬月「なんだね?」
リツコ「さきほど、碇司令とご子息をお見受けしました」
冬月「ああ。たまにはいいだろう。なに、ただの親子の食事会だ」
リツコ「お、親子の食事……?」
冬月「どこの家庭でも見受けられる、日常的な光景だよ」
リツコ「あの2人にとっては、その、大変、申し上げにくいのですが……」
冬月「言わんとしているのはわかる。だが、誰しもにきっかけは必要だ」
リツコ「は、はぁ」
冬月「俺は手助けをしているだけにすぎん。どうするかは、当事者が決める」
リツコ「今さら、関係の修復などありえるのでしょうか?」
冬月「いつになっても遅いというのはないが、歳をとれば、臆病になる。息子の頑張り次第だな」
リツコ「サードチルドレンは、かなり受け身だと思われますが……」
冬月「ふっ、期待しよう」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/06/24(土) 23:21:36.21 ID:/Y0Or9oSO
44 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/25(日) 14:24:43.91 ID:ydzk62+70
【ネルフ本部 レストラン】
ウェイター「お待たせいたしました。ハンバーグセットとアメリカンコーヒーでございます」コト
シンジ「い、いただきます」 カチャ
ゲンドウ「……」
シンジ「父さん、僕は、やっぱり、父さんと母さんに何があったのかわからないよ」
ゲンドウ「ああ」
シンジ「だけど、母さんの願いも、父さんの願いも、実現したらいいと思う」
ゲンドウ「お前に心配される覚えはない」
シンジ「そうじゃないんだ。僕は、父さんと母さんの息子だから」
ゲンドウ「形だけの親だ。お前が母親に抱いている感情と俺に対する感情になにも違いはない」
シンジ「父さんからしたら、バカみたいな話かもしれないけど、僕は父さんに褒められるためにエヴァに乗ってるんだ」
ゲンドウ「……」
シンジ「父さんはこう思ってるんでしょう? 乗れればいいって。僕にだってわかるよ。そうやって、父さんは切り捨ててきたんだね」
ゲンドウ「そうだ」
シンジ「父さんの手がなにかで汚れていても、命の尊さは変わらない。僕には、今が大事なんだ。だから――」
ゲンドウ「シンジ。会食は一度きりだ。冬月の顔を立てて話をしている」
シンジ「だけど! 父さんが言ったのは本心だったんでしょう⁉︎」
ゲンドウ「……」
シンジ「普段なら絶対に言わない話をしてくれたのを僕は聞いてたよ!」
ゲンドウ「はやく食え」
シンジ「なんでそうなんだよ」
「ご一緒してもよろしいですか?」
シンジ「えっ?」
ゲンドウ「……っ!」ガタッ
「お久しぶり」
シンジ「あ、えっと」
ゲンドウ「ば、バカな⁉︎ そんなはずは!」
「立ち上がってないで席に座ったらどう? 注目を浴びるわよ。碇司令」
ゲンドウ「な、なぜ……っ!」
「シンジ。ハンバーグセットを頼んだの? おいしそうね」
シンジ「あの……?」
ゲンドウ「ゆ、ユイ……君なのか……」
ユイ「シンジ、飲み物は? ジュースはいらないの?」
シンジ「――ユイ? ゆ、ユイって、え、えぇっ⁉︎」
ユイ「あなたの母さんよ」 カタ
ゲンドウ「ど、どうなっている。キミはたしかにサルベージに失敗して」
ユイ「バカね。私はいつもあなたのそばにいたのに。シンジをきちんと育てずになにをしていたの?」
ゲンドウ「お、俺は、キミに会うために」
ユイ「時がくれば会えたのよ。私達の息子が叶えてくれるはずだった」
シンジ「お、お母さん、なの?」
ユイ「そうよ。麻袋無しで会えたわね」 ニコ
シンジ「えぇ⁉︎ ってことは、あの時の人が⁉︎」
45 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/25(日) 14:44:52.17 ID:ydzk62+70
ゲンドウ「初号機のコアはどうなっている⁉︎」
ユイ「それなら心配ないわ。対応策は組んであるから。シンジのシンクロに問題なかったでしょう?」
シンジ「あ、あ……」
ユイ「ハンバーグ、冷めるわよ?」
ゲンドウ「本物か?」
ユイ「失礼ね。なんなら学生時代の恥ずかしい話を列挙してあげましょうか?」
ゲンドウ「……」
ユイ「私はあなた達を捨てたのよ。自分の望みの為に進んで初号機に取りこまれたの、なぜだかわかる?」
ゲンドウ「……」
ユイ「生き続ける限り、孤独感は切っても切れない関係にある。人類補完計画は心の壁を取り除き完全な個体への道標、今さら説く必要はなかったわね」
ゲンドウ「ならば、計画の完遂を待てば……」
ユイ「いいえ、それでは永遠にはなり得ない。私はね、この大地に還りたかったの」
ゲンドウ「……」
ユイ「なんの罪悪感もなかったわ。だって、この大地の土となり、木になり、空気となって、一緒にいるんですもの。始祖、そう呼ばれる存在になりたかった」
ゲンドウ「補完は人をやめるのではない、キミは人をやめようとしたのか」
ユイ「私はこの星と運命を共にして、誰よりも近く、あなた達のそばにいられるのよ? 終わりのない、永遠に」
ゲンドウ「未来永劫など理想だ。種はいずれ滅びる、星にも寿命はある」
ユイ「そうね、それに気がついたからここにいるわけだけど」
ゲンドウ「……」
ユイ「そんな話よりも、あなた。シンジをほったらかしてなにやってるの。さっきのやりとりは聞かせてもらったわ。自分に酔っているつもり?」
ゲンドウ「俺はだな」
ユイ「この子は私達の息子なのよ。あなたの手を、はじめて握ったあの頃の感覚を忘れたの?」
ゲンドウ「……」
ユイ「シンジの言う通り、命は尊いものよ。あなたはこの子から力強い鼓動を学ばなかったのね」
シンジ「(す、すごいな。父さんのこんな表情はもう見れないかもしれない)」
ユイ「シンジ」
シンジ「は、はいっ⁉︎」
ユイ「勉強はちゃんとしてる? 授業の成績はどれぐらいなの?」
シンジ「えーと、中間ぐらいの」
ユイ「あなたは頭がいいはずよ? 私は当然として、この人も学会では天才と言われていたんだから」
シンジ「す、すみません」
46 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/25(日) 14:54:44.01 ID:ydzk62+70
ユイ「勉強のノウハウを教える人がいなかったのね、いえ、学ぶ楽しさ、生き方を」
シンジ「いや、その……」
ユイ「でもね、シンジ。与えられるだけが当たり前だと思わないで。過酷な環境でも、生きて、自分で考えている子供はたくさんいるわ」
シンジ「は、はい」 シュン
ユイ「あなた」
ゲンドウ「なんだ」
ユイ「私は姿を消します。また会いたかったら、父親の背中を息子に見せるのね」
ゲンドウ「今さら俺に父親になれというのか」
ユイ「なにを言ってるの。あなたは血の繋がった父親その人でしょう。浮気をしているの、知っているのよ?」
ゲンドウ「……」
ユイ「シンジ、ハンバーグゆっくり食べなさい。それと、あなたの為に用意してある計画はたくさんあるから。しっかりね」
シンジ「は、はぁ」
ユイ「シンジも私が永遠となるDNAを宿してるんだもの。次の世代へのバトンね」 ニコ
ゲンドウ「お、おい」
ユイ「追いかけてきたら二度と会わないわよ」
ゲンドウ「……」
ユイ「それじゃ、元気でね」コツコツ
シンジ「い、行っちゃった」
ゲンドウ「……」
シンジ「と、父さん」
ゲンドウ「なにも言うな。あれはお前の母親だ」
シンジ「い、生きてたんだね、びっくりした」
ゲンドウ「あぁ」
シンジ「あの、どうするの? これから」
ゲンドウ「葛城一尉を呼び出す。お前もついてこい。それと、ハンバーグをはやく食べろ」
47 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/25(日) 15:12:01.00 ID:ydzk62+70
【ネルフ本部 執務室】
ゲンドウ「冬月」
冬月「どうした? 本日の業務は引き継ぐと言ったはずだ」
ゲンドウ「ユイが生きていた」
冬月「そうか。ふっ、ようやく姿を見せたのだな」
ゲンドウ「知っていたのか、なぜ今まで黙っていた」
冬月「すまなかったな。俺はお前の悩む姿を見て、内心でほくそえんでいたからだよ」
ゲンドウ「……」
冬月「嫉妬していたのかもしれん。それぐらいはこれまでの苦労を計算に入れればお釣りがくるだろう」
ゲンドウ「俺たちの目的が、補完計画の目的がなくなってしまったと同義だとわかっているのか?」
冬月「無論だ。だが、ゼーレによって、補完計画は発動される。それまでは時間を取り戻すといい」
ゲンドウ「ユイの血筋はゼーレそのものだ、委員会が生きていると知れば」
冬月「そういうと語弊がある」
ゲンドウ「これから、どうすればいい」
冬月「子供じゃあるまいし、俺に聞くな。ユイくんは何と言っていた」
ゲンドウ「父として背中を見せろと」
冬月「ならばそうしろ。余計な気を揉まんでいい、お前が背負っている十字架は消えやせんよ」
ミサト「失礼いたします! 碇司令、ご用でしょうか?」
ゲンドウ「……」
ミサト「あら? シンジくんも?」
シンジ「どうも、ミサトさん」
ゲンドウ「シンジ、葛城一尉に不満はあるか?」
ミサト「は、はい⁉︎」
ゲンドウ「どうだ?」
シンジ「いや、ミサトさんはよくしてくれてるよ」
ゲンドウ「そうか」
ミサト「碇司令、いったい、これは」
冬月「碇、過保護はちと違うぞ」
ゲンドウ「レイと同じ扱いではだめか?」
冬月「それでは育たん」
ミサト「ねぇ、シンジくん、なんなの、いったい」
シンジ「いや、あ、あはは」ポリポリ
冬月「気にしなくていい。中年の病気だ」
48 :
◆y7//w4A.QY
[sage]:2017/06/25(日) 15:29:52.10 ID:ydzk62+70
【ミサト宅 リビング】
ミサト「それじゃ〜、シンジくんの帰還を祝してぇ! かんぱぁ〜い!」
ペンペン「クエ〜ッ!」
ミサト「んくんくんくっ、ぷはぁ〜〜っ! くぅ〜〜っ! シンジくんが無事に帰ってきてくれてよかったわぁ〜! 今日は奮発してお寿司よぉ、さ、どんどん食べて!」
アスカ「はいはい」
シンジ「はぁ……」
アスカ「えぇい、うっとうしい! あんたもため息ばっかりつくな!」
シンジ「いいじゃないか、少しぐらい」
アスカ「みんなでワイワイやろうって時に陰気臭いオーラしてる奴がいるだけで濁るもんなのよ! どうせまたくだらない悩みなんでしょ?」
シンジ「くだらないかはわからないけど」
ミサト「まぁまぁ、シンちゃんだってお年頃なんだもの。悩みのひとつやふたつ、あるわよ」
アスカ「私に悩みがないみたいじゃない」
ミサト「アスカはアスカでないとは言わないわ。だけど処理の仕方がそれぞれあんのよ」 グビ
シンジ「アスカ」
アスカ「あによ」 パク
シンジ「アスカって、お母さんと、どう?」
アスカ「やぶからぼうになんなのこいつ」 もぐもぐ
シンジ「いや、別に」
アスカ「だったら聞くんじゃないわよ……ん……⁉︎」
ミサト「……?」
アスカ「は、は、鼻が痛い! つ、ツーンって!」ガタッ
ミサト「大当たりね! アスカが引いちゃったか!」
シンジ「ミサトさん、まさか」
ミサト「そのま・さ・かぁ♪ いくつかは特製ワサビ入りってやつなのよねー! あっはっはっ、シンちゃん見て見て、アスカ、涙目になってる、ぷっ」
アスカ「こんの……っ! し、シンジっ!水、水!」バタバタ
シンジ「う、うん!」
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