シンジ「その日、セカイが変わった」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

427 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 14:42:10.99 ID:UIql0MwWo
いつも思うけどシンジってよくキレないよな
ミサトは年上だから遠慮があるのはわかるけどアスカにはキレるわ
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 14:46:11.02 ID:sDBKv7HSO
洗濯屋シンちゃん
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 14:51:21.61 ID:Gw2QV2W7O
いまこそ衝動に身を任せて…!
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 15:22:15.66 ID:xqo5cPsDO
衝動のままに家事を!
431 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 15:28:17.90 ID:ygreSJtC0
【数十分後 同リビング】

シンジ「食べたらせめてゴミ箱に……」ガサゴソ ポイッ

アスカ「シンジー! お風呂も洗っといてねー!」

シンジ「コップも洗ってないし、このまま二人で生活していたらどうなるんだろう」

アスカ「ちょっと、シンジ! 聞こえてないのー?」

シンジ「やっとくよっ! ……アスカは雑誌読むの飽きたのか部屋に行っちゃったし」

アスカ「……」ガララ トタトタ

シンジ「ご飯ならまだ」

アスカ「じゃじゃーん!」

シンジ「……?」

アスカ「はぁ、あいかわらずポンコツな反応ね。あんたとのデートに着ていってあげようと思った服よ」

シンジ「あ……に、似合ってるよ」

アスカ「もうちっと嬉しそうにしなさいよ! 気に入らなかった?」クルッ

シンジ「(状況が飲み込めてないからなんだけど)」

アスカ「あんた、どんな格好の女の子が好きなの?」

シンジ「……いや、本当に似合ってるよ。ごめん、こんなにかわいいとは思わなかったから」

アスカ「へ? ま、まぁ、そうよね! 当たり前の反応!」

シンジ「その、ハットにアスカがいつもつけてるヘアバンドの形が浮いて猫耳みたいになってるのが気になるけど」

アスカ「あぁ、ヘッドセットつけたままなの忘れてた」

シンジ「それって気に入ってるの?」

アスカ「髪をまとめるのに便利だからつけてるってだけ」

シンジ「え、でも、それだったらヘアゴムとか」

アスカ「いちいち目ざといわねぇ。……昔ね、ママがこの形で二つ、よくリボン結んでくれたの」

シンジ「あ……」

アスカ「エヴァのパイロットっていう証。それをママに見せたいのよ」
432 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 15:29:08.96 ID:ygreSJtC0
シンジ「お母さんって、どんな人だったの?」

アスカ「……」ギュウ

シンジ「アスカ……?」

アスカ「優しい人だった。私はママが大好きで、笑ってくれるのが嬉しくて、とにかく私を見てほしくて。今でも思い出は大切に胸にしまってる」

シンジ「そうなんだ」

アスカ「でも、ある日全てが変わっちゃった。音なんか聞こえるはずないのに、音を立てて崩れるってこういう時に使うんだなって理解がストンと落ちてくる感じ」

シンジ「なにか、あったの?」

アスカ「わかんない。それでも、ママが喜んでくれるように私は必死で頑張ったわ。笑顔になれるなら、なんでもやろうって思って」

シンジ「……」

アスカ「今日はなんだかおかしい。あんたにこんなこと話すなんて。絶対にないと思ってた」

シンジ「アスカ……」

アスカ「間違っても同情なんかやめてよね、ウソくさいから。みんな、みんな、ウソばっかり。上部だけ取り繕っちゃってさ」

シンジ「……」

アスカ「誰でも自分が一番かわいいのよ。パパだって自分を許せないからとか、相手の為とか。変な理屈をつけて正当化しても、結局はそれ。ウソがない人なんかいない。

シンジ「……」

アスカ「もし、“自分はウソつきじゃない”ってやつがいたとしたら、それがウソ。もしくは、気がついてないだけ。だから、私はなんでも自分で出来るようにならなきゃいけないの」

シンジ「わかった、もういいよ」

アスカ「エースでいなくちゃいけないの」

シンジ「アスカ。もういいんだ」

アスカ「感情の波が押し寄せてくんのよ! 自分でもどうしようもないの!」バンッ

シンジ「(触れちゃいけないことだったのか。でも)」

アスカ「ふぅー……。わかってる、あたしが勝手に話ただけ。あんたは、家事に戻って忘れて。私も忘れ――」

シンジ「忘れないよ」

アスカ「……」

シンジ「そうした方がいいなら、そうする。だけど、大事な話だと思うから」

アスカ「好きにしたら」

シンジ「うん。わかった」
433 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 16:30:03.07 ID:ygreSJtC0
【数時間後 同リビング】

ミサト「見違えるようになったわね〜! やっぱり家庭はこうでなくっちゃ!」

シンジ「普段からちゃんとしておけば、普通ですよ」

ミサト「普通ってのはねぇ、積み重ねるもんがあってはじめて成立すんの。あたしとアスカにとっては普通じゃない、労力を使うお仕事」

アスカ「まぁまぁね、あんた、もぐもぐ、味落ちてんじゃないの」パクパク

ミサト「リスみたいな顔して頬張ってるのはかわいいけど。説得力ないわよ」グビ

アスカ「んぐっ、ごくり、ミサトは肝硬変になるわよ」

シンジ「……」コネコネ

ミサト「シンちゃんは食べないの?」

シンジ「ハンバーグのタネを作っちゃいます。冷凍しておけばあとは焼くだけなので」

ミサト「あらあら。アスカの好物ぅ? よかったわねぇ〜?」

アスカ「ふ、ふんっ」

シンジ「それより、今後どうするんですか」

ミサト「と、申されますと?」

シンジ「生活ですよ。こんなにひどくなってるなんて思わなかったから。野生に帰るつもりですか?」

ミサト「ぶっ、だっはっはっ! ここジャングルじゃないんだけどぉ〜」

シンジ「……」ジトー

ミサト「あ、あら? けっこうマジ?」

シンジ「ミサトさんと……アスカはちょっと理由が違うかもしれないけど。誰でもできることです。やってないだけでしょ」

ミサト「あ、あたしは仕事がちょっち忙しくてさぁ〜」

シンジ「だったら、協力するとかあるじゃないですか。僕がいた頃ゴミ出しをしてくれたみたいに」

ミサト「うっ、そ、そりはぁ、あくまでついでだったからといいますかぁ……アスカ! あんたもだかんねっ!」

アスカ「あたしに責任転換しないでよ。監督者はミサト」

ミサト「いくらあたしに監督義務があると言っても、自分で作るぐらいできるでしょーが!」

アスカ「イヤっ!」

ミサト「そ、そんなキッパリ」

シンジ「そこまでで。改善するには、どちらかがやるしかありませんよ。話合ってルールを決めれば――」

アスカ「あんたが定期的にここへくればいいじゃない」

シンジ「な、なんで僕がっ⁉︎」

ミサト「おっ、ナイスアイディア〜!」

シンジ「ミサトさんっ⁉︎ 冗談ですよね⁉︎」

ミサト「ごめんねぇ〜シンちゃん、私も家政婦雇いたいんだけど、生活が苦しくて」

アスカ「イヤなの? 女二人の花園に入り放題になんのよ? ひとりはおばさんだけど」

ミサト「ほっほぉ〜う? アスカは後でゆっっくり話をするとして。どう? お小遣いになる程度の時給にするから」

シンジ「はぁ……」
434 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 20:21:29.96 ID:ygreSJtC0
【マヤ宅 リビング】

マヤ「遅いなぁ、シンジくん」

シンジ「……」ガチャ バタン

マヤ「あっ、お、おかえり!」

シンジ「あれ? リビングでなにを……」

マヤ「あのね、シンジくん」

シンジ「はい?」

マヤ「遅くなる時は連絡しなくちゃだめでしょう? どこでなにやってたの?」

シンジ「あ、すみません。ミサトさんの家に呼ばれてて」

マヤ「葛城一位のお宅に?」

シンジ「はい、夕ご飯を作りに」

マヤ「えぇ? なんで?」

シンジ「なんでって、その、ミサトさんもアスカも家事をやらないから」

マヤ「それだけの理由で? 自分たちでやらせたらいいじゃない」

シンジ「たしかにそうなんですけど。ほっとけないっていうか」

マヤ「はぁ……そう。ご飯は?」

シンジ「(ラップして置いてある。作って待っててくれたのか……食べてきたけど)」

マヤ「もしかして、済ませてきた?」

シンジ「いえ。ちょうどお腹が空いてたんです、美味しそうだなぁ。食べていいんですか?」

マヤ「よかった。まだだったのね」

シンジ「鞄を置いてきます」

マヤ「手もちゃんと洗ってね?」

シンジ「わかりました」
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 20:25:01.66 ID:4u0/UlWko
なんか女キャラではマヤが一番まともな気がしてきた
436 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 20:42:14.46 ID:ygreSJtC0
マヤ「……」ジー

シンジ「……」もぐもぐ

マヤ「おいしい?」

シンジ「はい、おいしいです」

マヤ「これも食べてみて。得意料理なんだけど」

シンジ「そうなんですか? あむ……うん、大根によく味が染みてておいしいや。いつ仕込んだんですか?」

マヤ「今日。普通は煮込めば煮込むほど味わいがますものだけど」

シンジ「そうですね。短時間でここまで」

マヤ「うん、母さんからやり方教わったの。あなたも将来食べさせる相手ができるだろうからって。そんな相手、まだできる気配すらないけど」

シンジ「お袋の味ってやつですか。いいな、そういうの」

マヤ「あ……シンジくんは司令にそういうの教わった経験は?」

シンジ「なにもありませんよ。父さんとはご存知の通りですし、母さんは生きてることすら知りませんでしたから」

マヤ「そ、そうよね。ごめんね、なんだか重い雰囲気にしちゃって」

シンジ「そんなつもりないですよ。ありのままを言ってる、僕にとっては、それが普通なんです」

マヤ「シンジくんがもうちょっと歳近かったらなぁ」

シンジ「……?」もぐもぐ

マヤ「ねぇ、あのこと、話してもいい?」

シンジ「待ってください……」カチャ

マヤ「(あ、また瞳の色がうっすら赤く)」

シンジ「いいですよ、どうぞ」

マヤ「手紙の内容。期限はいつまでとたしかに書いてなかったけど、いつまでも誤魔化せないと思うの」

シンジ「そうですね」

マヤ「なにか、考え浮かんだ?」

シンジ「ふぅ……正直なところ、なにも」

マヤ「演技じゃだめかな?」

シンジ「それは済ませたということですか? 母さんは確認するかもしれませんよ」

マヤ「どうやって?」

シンジ「わからないけど。どんな手を使ってきてもおかしくないと思います」

マヤ「うーん。ここって監視されてるのよね? 盗聴器だけなのかしら?」

シンジ「どうかな。カメラがあるとしたら、以前のやりとりの時に踏みこんできてもおかしくないと思いますけど」

マヤ「小型化してるし、ありがちな所だと、熊のぬいぐるみの目の中とか。そういうところに隠してるんじゃ?」

シンジ「探しますか? 人力になっちゃいますけど」

マヤ「見つけられればいいけど。天井とか、全部の壁紙をひっぺがすわけにもいかないし……」

シンジ「……どうして、確認を? 見られてるのが嫌だから?」

マヤ「目で見たものは信じる。演技って言ったじゃない?」

シンジ「はい」

マヤ「だから、その、あのね」

シンジ「……」

マヤ「寸前まで、やったらいいんじゃないかって」

シンジ「寸前? それって、どこまで?」

マヤ「や、やだ。シンジくんは、本当にわからなくて聞いてるんだものね……。言わせようとしてるわけじゃない、うん」

シンジ「あの、まさか」

マヤ「そ、そう。その、そ、そそそそそそ挿入する直前まで」
437 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 21:01:05.75 ID:ygreSJtC0
シンジ「……」ポカーン

マヤ「そのっ! あくまで演技よ! 実際にするわけじゃないし! 挿れるのはなし! 太ももに挟んで」

シンジ「ほ、本気ですか?」

マヤ「私だって! 考えたけど! どうしようもないじゃない!」

シンジ「いや、たしかに、方法が浮かばないのはそうですけど」

マヤ「シンジくんは、よく見たら女の子みたいな顔してるし、身体つきだって」

シンジ「マヤさんはそれでいいんですか?」

マヤ「だから、実際にするわけじゃないって……」

シンジ「それでも、身体は密着するわけですし。前に話た時に男が苦手って言ってましたよね」

マヤ「う、うん」

シンジ「いきなりハードル高すぎませんか。僕も慣れてるわけじゃないですよ」

マヤ「勇気をだして言ってるの。このままじゃ。シンジくん、もう一人の誰かを守りたいんでしょう?」

シンジ「そ、それは……」

マヤ「だったら、これしか方法がない。私、イヤだけど、我慢できる、と思うの」

シンジ「やっぱり嫌なんじゃないですか、我慢するってことは」

マヤ「わ、わたしもっ! 踏ん切りをつけなきゃいけないから! もういい歳だし!」

シンジ「は、はぁ」

マヤ「本当に、直前までよ?」

シンジ「それはもちろん、わかってます」

マヤ「いつ、する?」

シンジ「……」

マヤ「台本を用意した方がいいかな? お、犯せって書いてあったし、シンジくんが襲う段取りで」

シンジ「やめましょう、他に方法が――」

マヤ「考えてる時間あるのっ⁉︎」バンッ

シンジ「……」

マヤ「思いつかなかったら⁉︎ そしたら申し訳ない顔して、仕方ないって言ってやるんでしょう⁉︎」

シンジ「……」

マヤ「だったら、せめて勇気が出た時にやらせてほしい。私のペースで。どうにかなるかもしれないって、希望だけをもたせるなんてひどいわ」

シンジ「僕は……」

マヤ「これが、私たちに選択できる“落とし所”なんだよ。失うものはないもの」

シンジ「……」

マヤ「納得、できないよね。苦しいよね。私も一緒。痛いほどわかる。だから、だから、私はシンジくんと肌を重ねる。私のために、自分のためにやって」

シンジ「……わかり、ました」

マヤ「具体的にどうする?」
438 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 21:25:16.08 ID:ygreSJtC0
シンジ「……」ギリッ

マナ「シンジくん、話して。ね?」

シンジ「母さんがどういう意図でこの手紙を渡してきたのか。ある程度、予測がついてるんです」

マナ「そうなの?」

シンジ「はい、といっても文面そのままですけど」

マナ「もしかして、破壊衝動ってところ?」

シンジ「その通りです。あの日、マヤさんを突き飛ばして僕がこの家から出て行きましたよね」

マナ「うん」

シンジ「詳しくは話せませんが、衝動を抑えきれなくて、マヤさんに危害を与える状況だったからです」

マナ「(首を締めてきたのは、そのせい……)」

シンジ「自分の力じゃどうしようもなくて。不定期に波がくる感じなんです。いつくるのか、それはわからない」

マナ「つまり、その解消に私を使えって話ね?」

シンジ「おそらくは」

マナ「ひどい。そんな、私をなんだと思って……!」

シンジ「巻き込んでしまって、すみません」

マナ「待って」

シンジ「はい?」

マナ「その衝動はいつから? 生まれつき?」

シンジ「いえ、最近です。一週間ぐらい前から」

マナ「そ、そんな、うそよね? だったら、シンジくんがここにきたのも、もしかして、全て仕組まれて……」

シンジ「ありえなくは、ありません」

マナ「せ、先輩も協力してるって。わ、わたし、なにも聞いてないのに」

シンジ「……」

マナ「どうして、シンジくんが?」

シンジ「僕もわかることは少ないけど、知っていたとしても話せません。マヤさんは演技を済ませて、母さんを信じさせてさえしまえばいい」

マナ「……」

シンジ「話を続けます。なので、僕が衝動を抑えきれず襲う演技をすれば説得力はでると思います」

マナ「……わかった。私は、思いきり嫌がればいいのね」

シンジ「はい、合意の上ではないという演出が必要です」

マナ「部屋、散らかっちゃうね」

シンジ「そ、そうですね」

マナ「嫌がるのは、たぶん、演技じゃなくて本気でできると思う。シンジくんは平気?」

シンジ「え?」

マナ「私は土壇場になって拒絶感が勝っちゃうだろうから。そのままの私。シンジくんはそうじゃないでしょう?」

シンジ「……」

マナ「一度、はじまったら、途中で躊躇なんかしちゃだめよ。バレたらなんの意味もなくなる」

シンジ「はい」

マナ「今日、やろっか」

シンジ「えっ⁉︎ そ、それは! だって、監視カメラの確認もできてないのに」

マナ「カメラがなくても盗聴器がある。どちらかひとつがあるのは確定してるの。じゃないと、あんなタイミングよくここに諜報部員が来れない」

シンジ「……」

マナ「シャワーだけ浴びさせて。あとは、シンジくんのタイミングにまかせる」
439 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 21:28:08.04 ID:ygreSJtC0
あらら、予測変換でマナと打ってるんでレスしなおし
440 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 21:29:50.31 ID:ygreSJtC0
シンジ「……」ギリッ

マヤ「シンジくん、話して。ね?」

シンジ「母さんがどういう意図でこの手紙を渡してきたのか。ある程度、予測がついてるんです」

マヤ「そうなの?」

シンジ「はい、といっても文面そのままですけど」

マヤ「もしかして、破壊衝動ってところ?」

シンジ「その通りです。あの日、マヤさんを突き飛ばして僕がこの家から出て行きましたよね」

マヤ「うん」

シンジ「詳しくは話せませんが、衝動を抑えきれなくて、マヤさんに危害を与える状況だったからです」

マヤ「(首を締めてきたのは、そのせい……)」

シンジ「自分の力じゃどうしようもなくて。不定期に波がくる感じなんです。いつくるのか、それはわからない」

マヤ「つまり、その解消に私を使えって話ね?」

シンジ「おそらくは」

マヤ「ひどい。そんな、私をなんだと思って……!」

シンジ「巻き込んでしまって、すみません」

マヤ「待って」

シンジ「はい?」

マヤ「その衝動はいつから? 生まれつき?」

シンジ「いえ、最近です。一週間ぐらい前から」

マヤ「そ、そんな、うそよね? だったら、シンジくんがここにきたのも、もしかして、全て仕組まれて……」

シンジ「ありえなくは、ありません」

マヤ「せ、先輩も協力してるって。わ、わたし、なにも聞いてないのに」

シンジ「……」

マヤ「どうして、シンジくんが?」

シンジ「僕もわかることは少ないけど、知っていたとしても話せません。マヤさんは演技を済ませて、母さんを信じさせてさえしまえばいい」

マヤ「……」

シンジ「話を続けます。なので、僕が衝動を抑えきれず襲う演技をすれば説得力はでると思います」

マヤ「……わかった。私は、思いきり嫌がればいいのね」

シンジ「はい、合意の上ではないという演出が必要です」

マヤ「部屋、散らかっちゃうね」

シンジ「そ、そうですね」

マヤ「嫌がるのは、たぶん、演技じゃなくて本気でできると思う。シンジくんは平気?」

シンジ「え?」

マヤ「私は土壇場になって拒絶感が勝っちゃうだろうから。そのままの私。シンジくんはそうじゃないでしょう?」

シンジ「……」

マヤ「一度、はじまったら、途中で躊躇なんかしちゃだめよ。バレたらなんの意味もなくなる」

シンジ「はい」

マヤ「今日、やろっか」

シンジ「えっ⁉︎ そ、それは! だって、監視カメラの確認もできてないのに」

マヤ「カメラがなくても盗聴器がある。どちらかひとつがあるのは確定してるの。じゃないと、あんなタイミングよくここに諜報部員が来れない」

シンジ「……」

マヤ「シャワーだけ浴びさせて。あとは、シンジくんのタイミングにまかせる」
441 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 21:55:30.93 ID:ygreSJtC0
【数十分後 リビング】

シンジ「(昨日、お互いの違いを埋めるって言ってたらかりなのに。マヤさん、焦ってるのかな。不安、なのかもしれない)」

マヤ「シンジくん、あがったよ」

シンジ「あ、はい。僕も」

マヤ「お風呂ためなくて平気?」

シンジ「大丈夫です。食器、洗ってから入りますね」

マヤ「置いておいてくれていいわよ」

シンジ「いえ、悪いですから」

マヤ「わかった。私、今日は警戒警報で疲れてるの。先に部屋にいるね」

シンジ「はい」

マヤ「……」スッ

シンジ「(僕に、できるだろうか。いや、やるしかないんだ。そうしないと、マナが。でも、それすら自分に言い訳してるだけなんじゃ……)」スッ ガタッ

マヤ『躊躇なんかしちゃだめよ。バレたらなんの意味もなくなる』

シンジ「(迷っちゃだめだ。はぁ、こういう時、都合よく衝動がくればな。たった今、アダムの力を使ったはずなのに。……そのせいにしてしまったら、逃げてるだけ、か)」

マヤ『シンジくんのタイミングに合わせる』

シンジ「(最悪なのは、勇気を、覚悟を無駄にしてしまうこと。マヤさんはすごい決断をしてるんだ。それに応えなくちゃ――)」
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 22:14:36.95 ID:+KJPseSDo
ワッフルワッフル
443 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 22:53:13.97 ID:ygreSJtC0
【数時間後 マヤ部屋】

シンジ「(なりきりるんだ。僕はアカデミー俳優。僕は演技賞受賞俳優、よし、マヤさんを……)」スーッ パタン

マヤ「すぅー……すぅー……」

シンジ「(あ、あれ? ね、寝てる⁉︎)」

マヤ「う、うん」ゴロン

シンジ「(いや、きっとこれも演技なんだ。やるしかないんだ……)」

マヤ「うぅーん」

シンジ「寝てるんですか? それなら都合がいいや」

マヤ「ん……あ、シンジくん……もう朝?」

シンジ「起きたんですね。眠りが浅かったのかな」スッ

マヤ「え、時間……まだ、夜?」

シンジ「だめなんです。どうしても抑えきれなくて」ガシッ

マヤ「きゃっ、いたっ、な、なにっ⁉︎ し、シンジく――」

シンジ「騒がないでください!」ガバッ グッ

マヤ「むーっ!」

シンジ「無理なんですよ、もう……だから!」ブチ ブチ

マヤ「むっ⁉︎ むぅぅーっ⁉︎ ぷはっ、きゃああっ! 誰かっ!」

シンジ「ブラ、見えちゃいましたね」

マヤ「いやっ! くっ、このっ!」ガンッ

シンジ「いつっ」

マヤ「(あ、つい膝蹴りしちゃった。でも、予想してた以上に、こ、こわい……!)」

シンジ「……抵抗しても無駄ですよ」ムク

マヤ「ひっ!」ガタンッ ダダダッ

シンジ「逃げても無駄だって言ってるでしょう!」ダンッ ガシッ

マヤ「いや! 手首を離して! だ、誰か助けて!」ガシャンッ

シンジ「前、はだけてますよ。そんな姿を見せていいんですか」むにゅ

マヤ「あっ、嫌、嫌、気持ち悪い! 触らないでっ!! シンジくん⁉︎ 正気⁉︎ なにやってるかわかってるのっ⁉︎」

シンジ「わかってますよ。それでも、無理なんだ……!」

マヤ「なにが無理なのよっ⁉︎ こ、こんなことになるなんて」

シンジ「……」スッ グイッ

マヤ「いやあああっ!!」

シンジ「マヤさん、ピンク色なんですね」

マヤ「(こ、これ、本当に演技⁉︎ シンジくん、まさか本当に……⁉︎)」
444 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 23:12:51.66 ID:ygreSJtC0
シンジ「こわいんですか? そんなにガタガタ震えて」

マヤ「ひっ、や、やめて。もう。今ならなにもなかったことにしてあげるから……!」

シンジ「そんなこと言って。マヤさんもこういうこと好きなんじゃないんですか?」スッ

マヤ「あっ、乳首、やめてっ。つまんじゃ」

シンジ「敏感なんですね。それとも、弱いのかな。もっともっと反応で楽しませてよ」

マヤ「やめっ、てっ! しつこく、しないで」ビク

シンジ「どうしたんですか? 嫌だって言ってたのに」

マヤ「だめ、本当に、あんっ、ちょっと待って! やめてったらぁっ!」

シンジ「(こ、これは、思った以上に、その、やっちゃいけない感が……)」

マヤ「お願い、もうやめてよぉ」ポロポロ

シンジ「……っ! 乳首、たってきてますよ」パク

マヤ「えっ⁉︎ きゃ! あ、ああっ、そんな、うそ、あぁんっ!」

シンジ「(途中でやめちゃここまでが無駄になってしまう。母さんにも、バレる! マヤさん、もう少しですから!)」

マヤ「あっ、舐めないで。やだ、やだやだやだやだ、気持ち、悪い」

シンジ「……」スッ

マヤ「……っ⁉︎ そ、そっちはだめ!」

シンジ「んっ、壊したいんです。だから、もっと悲鳴を聞かせてください」

マヤ「(そ、そんなっ⁉︎ ただ太ももに挟むだけじゃ⁉︎ や、やっぱり、ちゃんと打ち合わせしておけば!)」

シンジ「……」

マナ「あっ、んっ! 舌でころころ転がさないで、んっ!」キュッ

シンジ「はぁ、急に内股になって……そっか。気持ちいいんだ」

マナ「ち、違うわっ! 今のはただ、条件反射的に反応して……! こんなのひどすぎる! 無理やり!」

シンジ「こっちは?」グィッ

マナ「や、やめてっ! パジャマ脱がさないで!」

シンジ「はぁ、はぁっ」

マナ「ちょっ、ちょっと待ってったら! シンジくん!」
445 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 23:31:35.19 ID:ygreSJtC0
シンジ「あつい。熱がこもってる、もしかして、これが濡れてるっていう」

マヤ「そ、そんなはずないっ! 勘違いしないで! 童貞のくせに!」キッ

シンジ「…‥くっ、くっくっくっ」

マヤ「な、なに? なにがおかしいの。あなた、狂ってる……!」

シンジ「誤魔化してるのがおかしいんですよ。ここをこんなにしておいて」

マヤ「(まずっ……もしかして、本当に濡れてきてるかも……なんで? こんなの、理想じゃない。はじめてはもっと、なのに、なんで体が熱く)」

シンジ「ここから、いやらしい匂いしてますよ」くんくん

マヤ「ひっ、なに、やって⁉︎ 嗅がないでよ! このっ! 変態!」

シンジ「自覚させてあげてるんですよ」

マヤ「(やだ、恥ずかしい。やめて、そんなに顔近づけないでぇ……!)」

シンジ「マヤさん、もしかして、マゾの気質あるんじゃないですか?」

マヤ「ば、バカ言わないでよ! 女性は防衛するためにしかたなく愛液を!」

シンジ「そんな話聞いたことありませんよ。僕が知ってるのは発情してるってだけ」サワ

マヤ「ひゃっ⁉︎」ビクゥ

シンジ「こうやって、指でなぞれば、身体は反応する」

マヤ「き、汚い指で……っ! んぁっ! やだったら、そこは、だめよっ」

シンジ「キレイですよ、マヤさんのここ」ボソ

マヤ「はぁっ、んっ、え? あっ!」

シンジ「ここの、先端のところは?」

マヤ「そ、そこはっ⁉︎ クリッ⁉︎ 」ビクゥッ

シンジ「僕に教えてください」

マヤ「んっ、いや、動かさないで、押しつけないでっ! ぁあっ」

シンジ「……」

マヤ「(か、感じる……気持ちっいい。しん、じられ、ないっ! 私、本気で、感じて……っ! ゾクゾクする……!)」
446 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/12(火) 23:53:22.69 ID:ygreSJtC0
シンジ「もう、抑えなくて大丈夫みたいですね」

マヤ「んっ、んっ」ビク ビク

シンジ「顔、よく見せてください」

マヤ「(なに、なんなの、この感覚。なんでこんな。屈辱しかないはずなのに。男なんて……粗暴で、不衛生で……)」

シンジ「目がうるんでますよ。泣いているせいだけじゃないですよね」

マヤ「(なのに……! なんでこんなに興奮してるのよぉぉ……)」キッ

シンジ「まだ睨む元気が……もっとですか? 」

マヤ「あっ、ご、ごめんなさっ、やめっ、あっ。小刻みに動かしちゃ」

シンジ「どうなるの?」

マヤ「い、イキたくないっ! イキたくないの! 止めて!」

シンジ「へぇ」

マヤ「ど、どうしてっ⁉︎ やめてって……っ! 言ったぁっ!」

シンジ「さっきから何度も聞いてますよ。でも、僕は?」

マヤ「ご、ごめんなさいっごめんなさいっ、謝ります! やめてください! 指をとめて!」

シンジ「ほら」

マヤ「(な、なんでこんなにうまく……あっ! 波きてるっ! なにも考えられなくなる!)」

シンジ「イきそうですね」

マヤ「だめぇえぇえ〜〜〜〜っ!!」ビクゥ ビクゥ

シンジ「……」

マヤ「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

シンジ「変態は、どっちですか?」

マヤ「はぁ、へ? な、なに?」

シンジ「僕、中学生ですよ。わかってますよね」

マヤ「そ、そんなの――」

シンジ「じゃあ、イッたマヤさんはなんなんですか? もしかして、普段から[田島「チ○コ破裂するっ!」]してました?」

マヤ「そんな⁉︎」

シンジ「クリトリスだけでイクなんて」

マヤ「そ、それは……その……」

シンジ「隠れてしてたんだ? なにをオカズに?」

マヤ「(ああ、言わないで。そんなに責めないで。言わされちゃうんだ……言うしかないんだ)」

シンジ「マヤさん?」

マヤ「せ、先輩の、こと」

シンジ「リツコさん? お、女ですよ?」

マヤ「だ、だって、男なんて……」

シンジ「(こ、これは知らなくてよかったな)」



447 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 00:14:26.19 ID:xQjA2YmQ0
マヤ「あの……もう、やめてくれるの?」

シンジ「そんなわけないじゃないですか」ヌギ

マヤ「(やっぱり、シンジくん、本当に抑えがきなくなっちゃってるんだ。このまま犯されるの? 悔しい……でも、体の奥が熱い)」

シンジ「ここ、こんなになってるんですよ」

マヤ「……っ! それ、男の人の」

シンジ「見たことないんですか?」

マヤ「その、父さんのはチラッと。でも、反り返ってなかったし! そ、それに、みんなそんなにおっきいの⁉︎」

シンジ「(恥ずかしい)」

マヤ「(あ、あんなのはいるの? でも、無理やりされちゃうんだろうな……想像しただけで、ゾクゾクしちゃう)」

シンジ「足、ひろげてください」

マヤ「い、いやよっ!」

シンジ「今さらですか?」

マヤ「(やっぱり……今日、わたし……)」

シンジ「ベッドに戻りますよ」スッ ヒョイ

マヤ「え? わっ⁉︎ わ、私重いよ! ど、どこにそんな力が!」

シンジ「……今は、なんでもできそうな気がします」

マヤ「(これも、瞳の色のせい? 力まで強くなるの? さ、逆らえない。シンジくんに、私が支配されてしまう)」

シンジ「……」ドサ

マヤ「(今から、無理やり犯される……。反り返ったお、おちんぽで私を貫いて、征服するつもり。泣いても、頭をおさえつけて。声をだしたら、ふさがれて……)」トロン

シンジ「こっちに」ギュ

マヤ「(あっ、男の人の、腕。もっと、もっと汚して。なにもかも考えられないくらい)」

シンジ「マヤさん、大丈夫ですか?」コソ

マヤ「……」ポーッ

シンジ「あの、布団かぶせますから。足を閉じて」コソ

マヤ「はい……」スッ

シンジ「ちがっ⁉︎ 開いてどうするんですか! 閉じるんですよ!」コショコショ

マヤ「はい、足を絡め……たらいいの」ガシッ

シンジ「(うっ! ちょ、ちょっと⁉︎)」
448 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 00:38:15.48 ID:xQjA2YmQ0
マヤ「し、シンジくぅん」

シンジ「んっ⁉︎」

マヤ「もっと、もっと罵ってぇ。私を叱ってぇ」

シンジ「(な、なんなんだよ、これ⁉︎ こんなはずっ⁉︎)」

マヤ「はぇ……どうしたの? うふふ、そんなに戸惑った顔して……あ、そっか。私が変態だから軽蔑してるんだ……そんな目で」

シンジ「マヤさんっ! しっかり!」コソ

マヤ「……? 今から私を犯すんでしょう? んっ」

シンジ「(き、キスっ⁉︎ こ、こんなつもりじゃ)」

マヤ「(ああ、汚い。唾液交換してる。汚い、キタナい。でも、それがいい……!)」

シンジ「んっ、ちゅ、マヤっ」

マヤ「ちゅ、ちょう、らいっんっ、唾液、シンジ、んっ」

シンジ「(アダムのせいなのか⁉︎ なにか他にも⁉︎)」

マヤ「ぷはぁっ、ここ、ほら」シュシュ

シンジ「くっ、マヤさん、握ってこすらないで」

マヤ「軽蔑する? こんな変態なことして気持ち悪いよねぇ」シコシコ

シンジ「ちょ、落ち着いて」グィッ

マヤ「きゃっ! あぁ、やっぱり、犯されるんだ。いいよ、その汚いおちんぽで、さっさとやれば⁉︎」

シンジ「や、やるわけ……」

マヤ「おまんこがわからないの? ぷっ、やだ。さっきは凄いテクだったくせに。やっぱり童貞なんだ」

シンジ「(ど、どうしたら。離れたらバレるし。とりあえず、腕を)」グィッ

マヤ「どうせ抵抗しても無駄なんでしょ⁉︎ どうする気⁉︎ ……私に誘導させる気なの? そんな屈辱。どこまで私を……」スッ

シンジ「……っ? あ、あれ、急に身体の力が」

マヤ「(もっと、もっと、はやく。焦らさないで」

シンジ「(し、しまった。アダムの力を使いすぎた。身体に負担が)」クテ

マヤ「シンジくん……? なに? まさか、私に上に乗れって?」

シンジ「いっ、言ってなっ!」

マヤ「どこまでもひどい……。私、はじめてなのよ? 本当に中学生? この、どS」

シンジ「(口がうまく、まわらない)」

マヤ「し、仕方なくよ。いいわ、私、自分を守るために、やる」

シンジ「(……? 守るため? 正気に戻ったのか?)」ゴロン

マヤ「そうやって、見上げて、私の反応を楽しむんでしょう?」

シンジ「(も、戻ってない! 絶対、戻ってない!)」
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 00:51:49.63 ID:Gx8ClO3co
(思ってたんと違わない…)
450 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 01:12:21.32 ID:xQjA2YmQ0
マヤ「んっ」ヌチ

シンジ「(本当にはいっちゃ……! さ、さきっぽが)」

マヤ「こ、こわい、こわいよぉ」ポロポロ

シンジ「や、やら……!」

マヤ「あっ、い、いたっ」ヌチュ

シンジ「(くそっ、やっぱり呂律がうまくまわらない!)」

マヤ「んっ……あっ、いつっ、あ、あぁ」ググッ

シンジ「(動け、動け、腕を動かしてマヤさんをどけないと……!)」ググッ

マヤ「あっ! し、シンジ、くん? なにして、足」

シンジ「(よ、よし、もうちょっと)」

マヤ「だめ! 足が踏ん張れなくなる! やめて! ま、まさか、はやくしろって⁉︎」

シンジ「(違うよ!)」

マヤ「きゃっ⁉︎」ツルッ ブチュン

シンジ「……っ!」

マヤ「か、かはっ!」プルプル

シンジ「(え、う、うそだろ)」

マヤ「(は、はいっちゃった)」

シンジ「(女の人の中って、こんな……!)」ピクッ

マヤ「う、動かないでっ!」グィッ

マヤ「きゃんっ! う、うごっいちゃ、くっ、いたっ」

シンジ「(は、はやく抜かないと)」

マヤ「言っても無駄なのね。動けばいいの……? さっさとっ、だして、終わりにっしてっ」ヌチュヌチュ

シンジ「うっ、はぁっはあっ」

マヤ「(やっぱり、凄く痛い! お腹の中にはいってるのがわかる。私、あんなに嫌だった男をくわえこんで)」

シンジ「ま、マヤっ」

マヤ「はぁっはぁっ、んっ、気持ちよく、なんかっ、ないっ」

シンジ「腰、ふり、すぎ」

マヤ「(こんなに、つらい……あれ? でも、なんかフワフワしてきたような。シンジくんのおちんちんの形がよくわかって……)」

シンジ「ぐぅ」

マヤ「はぁっはぁっ、満足? 私の膣にいれて。これが見たかったんじゃないの」

シンジ「(中がウネウネしてて……締まる)」

マヤ「(き、気持ちいっ。……気持ちいい? 指で触ってるのとはまた、全然違う、なにこれ。こんなの、知らない)」

シンジ「(動けぇぇっ!)」

マヤ「あっ、やめっ、下からっ突き上げないでっ! あっんっ、んっんっんっ」

シンジ「(そ、そうじゃないって!)」

マヤ「(入り口、感じて。こ、この子。私を、女にしようとしてる? シンジくんのおちんちんの形を覚えさせようとしてるの?)」

シンジ「ぐっ!」

マヤ「だめ、だめ。今、イかされたら。だめよ、戻れなくなっちゃう!」

シンジ「(そんな、押しつけちゃ)」

マヤ「は、激しくしちゃ……!」

シンジ「(してるのはマヤさんですよ!)」

マヤ「いく、いく、いっちゃうぅぅぅ〜〜」
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 01:18:44.56 ID:fVIls569o
マヤさんどんだけ淫乱なのw
男嫌いなのに自慰までしてるし
452 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/09/13(水) 01:29:16.86 ID:xQjA2YmQ0
【ネルフ本部 執務室】

冬月「やはり、衝動は抑えきれなかったか」

ユイ「……」

冬月「どうした? 指を眉間に当てて。キミが望む結果だろう」

ユイ「いえ。人選を間違えたかなと」

冬月「……?」

ユイ「わかりませんか? 伊吹二尉は喜んでます」

冬月「そうなのか?」

ユイ「会話を聞く限りですが。無理やりだったのは最初だけで後半は様変わりしている」

冬月「そうは聞こえなかったが」

ユイ「電波障害が起こったので、なにか企んでいるのではと思っていたのですが……」

冬月「ならば、計画的だと?」

ユイ「それは杞憂だったようです。私にとって計算外だったのは、伊吹二尉の性癖です」

冬月「……」

ユイ「アレは、男を嫌っているようで男を待っていたんですよ。はぁ、どうしたものかしら」

冬月「想定外の事態というのは理解した。サードチルドレンは契約を守ったことになるぞ」

ユイ「まぁ、私の気が変わったといえば済む話でしょうけどね」

冬月「しかし、女とはそういうものか? その、いやよいやよも好きのうちというが」

ユイ「先生。女性について理解がなさすぎです。言った通り、単なる性癖です。セックスしたら好きになるタイプですね、彼女は」

冬月「そんな者は男だけだと思っていたが」

ユイ「女に性欲がないと?」

冬月「そうは言っていない。だが、しなくてもいい生物だとは思う」

ユイ「気持ちよくない経験をしている場合など個人によりますけど。セックスが好きな人は好き。男女、同じ条件ですよ」
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 02:27:37.04 ID:X983fqXEO
部屋が汚くなった時点で保護者として適正なしと判断、アスカも移されそうなもんだがなあ。
あとハウスキーパーぐらいアスカでも払えるだろうよ

あ、18禁部分は笑えてよかったです
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 03:01:26.45 ID:U3j6dzeSO
ミサトとマヤさんどっちが良いかと言えば
そりゃマヤさんだわな
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 07:57:33.89 ID:wVXjDLgDO
ふぅっ
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 10:21:56.93 ID:KevBnbIuo
それにしてもこのオペレーター、ノリノリである
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 10:37:03.67 ID:9RRYtRTco
これはもう付き合うしかないw
しかしアスカとマナはシンジが歳上の女に寝取られたと知ったらどんな顔するだろうな…
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 11:48:12.93 ID:xQjA2YmQ0
冬月「よく、わからん」

ユイ「(そんなだからその歳で独り身なのよ)」ジトー

冬月「なにかね?」

ユイ「いえ。今後を検討しなおさなければいけませんね」

冬月「この手段にこだわる必要はなかろう」

ユイ「指示した意図は、シンジが自分で手を下すことにあったのです」

冬月「しかし、キミはアダムのせいだと書いていたではないか」

ユイ「例えそうであっても、割り切れたり開き直れる性格ではありません。“アダムのせい”というのは、自分への言い訳として、ジワジワと蝕んでいきます」

冬月「やつが行動を起こしたのに変わりはない」

ユイ「罪悪感が薄くなってしまう。喜ばれては」

冬月「……」

ユイ「むしろ“良かった”と思わせるきっかけを与えてしまいます。相手は望んでいた、これから挽回すればいい、と」

冬月「面倒な」

ユイ「思い通りに行きませんね。ふぅ、失敗してしまったのかもしれません」

冬月「キミが自分の非を認めるのか。めずらしいな」

ユイ「勘違いしないでいただきたい、やり方についてではありませんよ。あくまでも、人選についてです」

冬月「では、別の女を当てがうか」

ユイ「反省点を踏まえ、慎重に動かなければならないですね。次は、更にシンジと薄い関係の者を選ぶか……」

冬月「伊吹二尉とサードチルドレンにこれまで接点はほとんどなかったはずだ。性癖についてまで調べるのか?」

ユイ「必要であれば。シンジには、自分の手で誰かを傷つけ、取り返しのつかない事態に陥ってもらいたい」

冬月「やつの成長、魂の浄化か。穢れを知った時、アダムが本当の意味で目覚める」

ユイ「――ひとつ、案を思いつきました」

冬月「聞こう」

ユイ「セカンドチルドレンを使いましょう」

冬月「やれやれ、付き合いきれんな。……まかせる。使徒はどうする? こちらのタイムスケジュールにないが」

ユイ「昼間の件ですか。それならば、誰の仕業か見当はついています」

冬月「……? もしや」

ユイ「タブリスでしょうね。あちらはしばらくやりたいようにさせておきます」
459 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 12:26:57.93 ID:xQjA2YmQ0
【翌日 マヤ宅 】

シンジ「(結局、あれから三回も)」

マヤ「う、うぅん」

シンジ「(マヤさんが上になったまま。はぁ……凄かったな。絡みついて。アダムになにか、別の力、魅惑してしまうとかあるのかな……。綾波に確認しないと)」

マヤ「シンジくん……私、あのまま」

シンジ「あ、マヤさん。起きました?」

マヤ「うん。その、もうおさまった?」

シンジ「(大丈夫そうだ。電波を遮断して話をしなくちゃ……あれ、感覚が。力が使えない? なんで?)」

マヤ「……」ギュゥ

シンジ「あの、マヤさん? どうして、抱きついて」

マヤ「やっぱり、いつものシンジくんに戻ってる」

シンジ「はい、そうですよ。よかった。マヤさんも正気に」

マヤ「私、シンジくんどころか、自分自身についてなにもわかってなかったみたい」

シンジ「え?」

マヤ「そ、その、き、気持ちよかった、の。昨日、シンジくんとひとつになって。今は解放されたって気分」

シンジ「は、はぁ」

マヤ「今まで、私、男を生理的に受け付けられなかった。でも、思い返してみれば元からそうだったわけじゃなくって。いつからだろう、高校、大学と勉強ばかりしてたから縁がなくて」

シンジ「……」

マヤ「いいかなと思う人はいたって前に言ったの覚えてる?」

シンジ「はい」

マヤ「でも、拒絶感が強かった。こわかったんだと、思う。他人に踏み込まれるとどうしていいかわからなくて、微妙な空気に耐えられなかった。そう過ごしてる内に、男なんていらないと思いだして、不潔だからとか理由づけして――」

シンジ「……」

マヤ「在学中に提出した論文が先輩の目に止まって。そこからまた自立した女性への憧れを強くしていって」

シンジ「そう、だったんですか」

マヤ「先輩がかっこいいなぁって思った。寂しかったから、私。男の中で孤独でも凛としてる姿が、輝いて見えた」

シンジ「……」

マヤ「昨夜、最中にわかっちゃったんだ。私、白馬の王子様を待ってただけなんだって。嫌悪感をこじ開けてくれる人を」

シンジ「えっと」

マヤ「抱きしめて」

シンジ「は、はい」ギュゥ

マヤ「安心する……。先輩を想って、お、[田島「チ○コ破裂するっ!」]してたって言った時、引いた?」

シンジ「い、いや、その」

マヤ「ほ、ほんとの話なの。たまに、してて。また、抑えきれなくなったら、言って?」

シンジ「へ?」

マヤ「次は、もっとうまく、できると思う。今は、そのまだ入ってるような感じがするから、すぐには、無理だけど」

シンジ「ま、マヤさんっ! あのっ!」

マヤ「幸せ……。私の幸せってこんなことだったんだ」

シンジ「(ま、まぁ、いいのかなぁ?)」
460 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 12:30:24.38 ID:xQjA2YmQ0
コマンド発動してるんでレスしなおし
461 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/09/13(水) 12:31:52.64 ID:xQjA2YmQ0
【翌日 マヤ宅 】

シンジ「(結局、あれから三回も)」

マヤ「う、うぅん」

シンジ「(マヤさんが上になったまま。はぁ……凄かったな。絡みついて。アダムになにか、別の力、魅惑してしまうとかあるのかな……。綾波に確認しないと)」

マヤ「シンジくん……私、あのまま」

シンジ「あ、マヤさん。起きました?」

マヤ「うん。その、もうおさまった?」

シンジ「(大丈夫そうだ。電波を遮断して話をしなくちゃ……あれ、感覚が。力が使えない? なんで?)」

マヤ「……」ギュゥ

シンジ「あの? どうして、抱きついて」

マヤ「やっぱり、いつものシンジくんに戻ってる」

シンジ「はい、そうですよ。よかった、正気に」

マヤ「私、シンジくんどころか、自分自身についてなにもわかってなかったみたい」

シンジ「え?」

マヤ「そ、その、き、気持ちよかった、の。昨日、シンジくんとひとつになって。今は解放されたって気分」

シンジ「は、はぁ」

マヤ「今まで、私、男を生理的に受け付けられなかった。でも、思い返してみれば元からそうだったわけじゃなくって。いつからだろう、高校、大学と勉強ばかりしてたから縁がなくて」

シンジ「……」

マヤ「いいかなと思う人はいたって前に言ったの覚えてる?」

シンジ「はい」

マヤ「でも、拒絶感が強かった。こわかったんだと、思う。他人に踏み込まれるとどうしていいかわからなくて、微妙な空気に耐えられなかった。そう過ごしてる内に、男なんていらないと思いだして、不潔だからとか理由づけして――」

シンジ「……」

マヤ「在学中に提出した論文が先輩の目に止まって。そこからまた自立した女性への憧れを強くしていって」

シンジ「そう、だったんですか」

マヤ「先輩がかっこいいなぁって思った。寂しかったから、私。男の中で孤独でも凛としてる姿が、輝いて見えた」

シンジ「……」

マヤ「昨夜、最中にわかっちゃったんだ。私、白馬の王子様を待ってただけなんだって。嫌悪感をこじ開けてくれる人を」

シンジ「えっと」

マヤ「抱きしめて」

シンジ「は、はい」ギュゥ

マヤ「安心する……。先輩を想って、お、[田島「チ○コ破裂するっ!」]してたって言った時、引いた?」

シンジ「い、いや、その」

マヤ「ほ、ほんとの話なの。たまに、してて。抑えきれなくなったら、言って?」

シンジ「へ?」

マヤ「次は、もっとうまく、できると思う。今は、そのまだ入ってるような感じがするから、すぐには、無理だけど」

シンジ「ま、マヤさんっ! あのっ!」

マヤ「幸せ……。私の幸せってこんなことだったんだ」

シンジ「(ま、まぁ、いいのかなぁ?)」
462 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 12:36:30.02 ID:xQjA2YmQ0
sagaでもだめなんだ
テスト

オ ナニー
463 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 12:42:02.14 ID:xQjA2YmQ0
18禁板なのになぜこのような仕様に
よく見たら昨日のオ ナニーの台詞もそうなってるみたいなんで以降は半角スペースとかあけます
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 12:56:07.70 ID:ijrQkaM3o
よく見たら1.8禁だったとか

乙!
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 13:16:49.21 ID:AqIrgWhGo
お、なにーって俗語っぽいし自慰とかマスターベーションにするとか
難しい言葉使った方がエヴァっぽいし

冬月のコメントがいちいちまともで笑う。かつて好意を持っていた相手とはいえ内心引いてそう
466 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 13:30:20.84 ID:xQjA2YmQ0
【マヤ宅 リビング】

シンジ「腰大丈夫ですか?」

マヤ「う、うぅん……大丈夫じゃないかも。腰よりも、歩く時、痛いかな。してる最中はホルモン分泌するから緩和され、今は冷静になって痛みがぶりかえしてる、なるほど」

シンジ「……」

マヤ「これが膜を破った状態なのね。あ、ごめんなさい。つい癖で。知識はあったけど実体験を元に改めて分析しちゃって」

シンジ「いや、いいですよ。ご飯は食べれます? なにか作りますか?」

マヤ「体調が悪いわけじゃないもの。食欲はあるわよ。……そうね、簡単なお料理でかまわないなら、お願い」

シンジ「目玉焼きとスクランブルエッグ、どちらがいいですか?」

マヤ「目玉焼き。あ、ちゃんと黄身は焼いて?」

シンジ「わかりました」ガタ カチ

マヤ「ねぇ、シンジくん」

シンジ「はい?」カンカン パカッ

マヤ「あのさ、変なこと聞いてもいい?」

シンジ「どうぞ」ジュー

マヤ「シンジくんって、ほんとに、童貞だったの?」

シンジ「ぶっ」

マヤ「だ、だって。あの、責め方とか、指使いとか。してほしいところにこれ以上ないタイミングできたっていうか」

シンジ「したことありませんよっ!」

マヤ「そ、そうなんだ」

シンジ「はぁ……」

マヤ「(ということは、才能? せ、セックスの才能があるってこと?)」

シンジ「醤油ですよね?」

マヤ「え? あ、う、うんっ!」

シンジ「ヨーグルト、食べます?」カチャカチャ

マヤ「うん、食べる」

シンジ「……」

マヤ「(中学生、かぁ……。はぁ、せめて高校生だったらなぁ……)」

シンジ「ご飯にします? それともトースト?」

マヤ「トースト」

シンジ「はい」ガサ

マヤ「(両親は、ネルフ総司令。経歴は共に博士号を取得。まだ中学生……男としてみると、発展途上だけど。家事全般は完璧、自主性はあるし浮気の心配もなさそう。良い家庭を築けそうよねぇ……。マコトくんやシゲルくんよりも……うぅん、こ、これ以上ない、優良物件?)」

シンジ「……」ジュー

マヤ「(問題は、やっぱり私の歳、よね。倫理的な話じゃなくても、シンジくんが成人する頃に、私は三十路近い。遊びたい盛りに私を見たままでいてくれるかしら……でも、シンジくん、誠実な対応してくれるし)」

シンジ「出勤は何時から?」

マヤ「(待って、何考えてるのよ。昨日は、抑えられなかっただけ。でも、シンジくんが、私の扉を開けてくれて……)」ドッキン ドッキン

シンジ「マヤさん?」

マヤ「(思いだしたら恥ずかしくなってきた。き、昨日、この子と……征服されて、気持ちよかったぁ)」トロン

シンジ「あの」

マヤ「シンジくぅん」

シンジ「……?」

マヤ「ちゅう、し――」

シンジ「はい?」

マヤ「……え? な、ななんでも、ないですぅ」
467 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 13:33:51.17 ID:xQjA2YmQ0
>>465
それはいい案ですね、そうします
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 15:06:20.97 ID:WtlshlmDO
マヤ完落ちwwww
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 15:30:10.28 ID:oCXVNbn7o
やはり師弟は似るか・・・同じように親子も
シチュは明らかに違うが
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 16:20:29.48 ID:cJFSnR9Ho
恐ろしいことに気付いたが、ユイの見立てが悪かったせいで
アスカが次の被害者になるってことだよなこれ

とんだとばっちりじゃね?尻拭いやん
471 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 16:20:46.11 ID:xQjA2YmQ0
【ネルフ本部 発令所】

リツコ「朝一番で例のプロトタイプが到着するわ。すぐに検証をはじめたいからデータ収集の準備をしておいて」

マコト「おっ、早速ですか。やけに行動がはやいですね、戦自」

リツコ「技術力を固辞するチャンスですもの。最近あそこ、良いところないから」

マコト「ネルフは目の敵ですよ。この前、厚木基地へ視察に行った時だって――」

マヤ「おはようございます、すみません。遅れました」

リツコ「定刻より十三分の遅れね。いつも五分前行動を怠らないよう指導しているでしょう、社会人失格よ」

マヤ「申し訳ありません」

シゲル「こわっ、遅刻は俺もしないようにしなくちゃ」

リツコ「組織に準ずるにあたり、時間を守れないのはご法度。余裕を持って行動をできる、全ての基本だからです」

マコト「まぁ、もうそれぐらいに」

マヤ「すみませんでした、みなさんにご迷惑をかけてしまい……」

シゲル「まぁ、誰にだって寝坊ぐらいあるって」

マコト「これから準備をするところだったんだ。アプリケーションのインストール手伝ってくれるかい?」

リツコ「はぁ……学校のクラブ活動じゃないのよ、ネルフは」

シゲル「了解しておりますとも」

マヤ「本当に、すみません。以降、ないように努めます。あの、今日のスケジュールは」

マコト「ライフルの試作品が到着するみたいだよ」

マヤ「ポジトロンライフルですか。はやいですね」

マコト「同じこと言ってる。必要な部品はこっちで組み立てるんですか? それとも既製品が?」

リツコ「三分割にバラして輸送されてるはず。こちらで行う分には細かい作業を除かれていると考えていい」

シゲル「発射実験は、しなくていいんすか?」

リツコ「MAGIのサポートで威力は理論値で算出してあるけど、精密性に細かい誤差が生じる。忙しくなるかもしれない」

マコト「使徒が潜伏しているようだし、間に合えばいいんですけどねぇ」

リツコ「まずは、装備するにあたり現存するエヴァに最適か否か、そこから計算をはじめましょう。みんな、作業にとりかかって」
472 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 16:48:58.80 ID:xQjA2YmQ0
【第壱中学校 HR前】

ケンスケ「またな! トウジ」

シンジ「おはよ――」

トウジ「おっ、センセか。今日はちぃとばかし遅かったの」

シンジ「もう帰るの?」

トウジ「妹の見舞いや。午前中だけな」

シンジ「サクラちゃん? ……そうだっ! 手術は⁉︎」

トウジ「うまくいったで。それに関してはシンジのおかげや、ほんま感謝しとる」

シンジ「終わってた?」

トウジ「つい先日な。なぁ〜んも心配あらへん。お医者様のお墨つきや」

シンジ「よかった。でも、どうしてわざわざ学校に? 電話連絡でいいよね?」

トウジ「あぁ、新聞配達が終わって暇やったからな。職員室によったあと、ケンスケとダベッとっただけや」

ケンスケ「そーゆうこと。そういうところは神経図太いよなぁ、僕ならまっすぐ家に帰るけど」

シンジ「そっか。気をつけて」

トウジ「おうっ! また見舞いにきたってくれ!」

シンジ「もちろん」

トウジ「ほななっ!」タタタッ

シンジ「(サクラちゃん、手術がうまくいったんだ……はぁ、よかった。肩の荷がひとつ降りた)」

ケンスケ「よいせっと」ゴト

シンジ「ケンスケ、それって――」

ケンスケ「ふっふーん! よくぞ聞いてくれました! 見よっ! この美しい曲線美!」

シンジ「カメラ、なんだね」

ケンスケ「ただのキャメラじゃないぞ! なんと! ワンシャッターで秒間60連写が可能なレスポンスになってるんだ! これなら、ピントの合わせずらい霧島も……! ぐっふっふっ!」

マナ「私がどうしたの?」

ケンスケ「わぁっ⁉︎」バッ

マナ「なに、なに隠したの?」

ケンスケ「い、いいいっいや? なんでも……」

マナ「どうせカメラでしょ?」

ケンスケ「ぎくぅ!」

シンジ「ケンスケ、声に出てるよ」

マナ「無駄だと思うけど」

ケンスケ「な、なんで?」

マナ「私、写真にうつらない幽霊なの」

ケンスケ「……は?」

マナ「ぷっ、あははっ、冗談だよ。本気にした?」

ケンスケ「な、なんだ。冗談か」

マナ「ふふっ、あのね、相田くん」

ケンスケ「……?」

マナ「私の写真撮ってるのわかったら、バラすよ?」ニコッ

ケンスケ「……」ゴクリ

シンジ「ケンスケ、諦めなよ」

ケンスケ「はぁ……いい商売になるのに。とほほ」
473 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 17:08:02.68 ID:xQjA2YmQ0
マナ「あの、シンジくん――」

レイ「……」ガララッ

シンジ「あ、綾波!」タタタッ

マナ「っと」

ケンスケ「……」ニヨニヨ

マナ「なに?」

ケンスケ「いやぁ? なんかことあるごとにシンジに声をかけようとしてるように見えてさぁ」

マナ「それが?」

ケンスケ「なんでも」ニヨニヨ

マナ「ふぅ……相田くん」

ケンスケ「ん? なんだぁっいてぇっ⁉︎」

マナ「そういう邪推はいけないと思うの」ギリギリ

ケンスケ「いだっ! ちょっ、なんで、僕がこんな目に!」

マナ「ごめんなさいは?」

ケンスケ「だって、事実だ、ろっ!」

マナ「ご・め・ん・な・さ・い・は?」

ケンスケ「ご、ごめんくさい!」

マナ「よし、よく出来ました」パッ

ケンスケ「なんだよ、一体。惣流といい霧島といい、顔がかわいいやつはすぐに暴力を。これじゃあ、碇は綾波に――ひっ⁉︎」

マナ「……」ニコニコ

ケンスケ「無言の笑顔はやめろ!」

マナ「こういう男の子の扱い慣れてるんだ。前の学校の友達で。まだ時間あるし、ちょっと、体育館裏いこっか?」

ケンスケ「や、やだよっ! いだ! いだだっ! 耳引っ張るっ」

マナ「……ね?」ニコニコ

ケンスケ「い、碇っ! た、たすけっ! もがっ⁉︎」

シンジ「……?」キョトン

マナ「あ、碇くーん! 相田くん借りるねー!」

シンジ「あぁ、うん」

ケンスケ「(そりゃないだろ! 友の窮地を見捨て……いや、あの顔はわかってないんだ!)」

マナ「行こう?」ニコニコ

ケンスケ「(し、シンジ〜〜〜っ!! ヘルプミ〜〜〜ッ!!)」ズルズル
474 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 17:35:24.64 ID:xQjA2YmQ0
シンジ「綾波、おはよう」

レイ「おはよう」

シンジ「今、時間ある?」

レイ「なに?」

シンジ「早急に確認したいことがあって。例のやつ」

レイ「わかった。屋上に行く?」

シンジ「いや、頻繁に二人で抜け出すのはあんまり良くない。変な噂を立てられても、綾波が困るだろうし。ぼかして話そう」

レイ「碇くんがそうしたいなら」

シンジ「その、今やってる“ゲームの話”なんだけど。綾波もやってるんだよね?」

レイ「ええ」

シンジ「装備で最近、手につけるやつとったんだ。それの効果でわからないというか、疑問に思うのが」

レイ「なに?」

シンジ「魅惑したり、催眠にかけたりだとか、そういう効果ってあったりするの?」

レイ「……?」

シンジ「その、僕に……じゃなくて、えぇと、プレイヤーに夢中にさせるとか」

レイ「ないわ」

シンジ「え、ないの?」

レイ「そんなものは存在しない。干渉できるのは限られてる。他のプレイヤーに対してじゃない」

シンジ「(他のプレイヤー……って、他の人間ってことだよな。それだったら、マヤさんはずっと正気だった?)」

レイ「それだけ?」

シンジ「あっ! いや、もうひとつ! 途中で効果が使えなくなっちゃったんだ。原因がわからなくて。使おうとしても、なにも感じない」

レイ「手、かして」

シンジ「あ、うん」

レイ「……」スッ ニギ

シンジ「どう?」

女子生徒A「わぁ、朝から手を握ってるぅ」

女子生徒B「恋愛って楽しいのかな」

シンジ「あっ! えっと! ごめん! なんか手相、僕が見ようとか言っちゃって!」キョロキョロ

レイ「原因がわかった」

シンジ「……! どうして?」

レイ「まだ不完全なのが一番の理由。コレは生まれたばかりの胎児と同じ。これから成長要素がある」

シンジ「成長?」

レイ「育成。プレイヤーが自分の身体の一部として定着させ、装備もまた、安定していく」

シンジ「衝動の波がくる理由と似たような話?」

レイ「あれは装備の個性。……いわゆる“呪われた装備品”」

シンジ「(つまり、アダムの衝動はこれから先もどうにもならなくて、同化が進めば使えないようには……不安定にならないのか)」

レイ「碇くん。昨日、なにかあった?」

シンジ「えっ? ど、どうして?」

レイ「これもひとつの段階手順だから。こうなるには、衝動を抑えるきっかけがあったはず」

シンジ「でも、昨日はそんな兆候はなにも……」

レイ「無意識という言葉がある。もしかしたら、碇くんが自覚してないだけかも。学校が終わったら私のマンションに寄って」

シンジ「なにか話が?」

レイ「……」コクリ
475 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 18:25:45.80 ID:xQjA2YmQ0
【授業中】

教師「あー、セカンドインパクト以降、このような社会情勢の動きになったわけであります。私はその頃、根府川に住んでましてね――」

シンジ「(生まれたばかりの、胎児、か。生命が誕生したばかり。産声をあげた赤ん坊ですらないんだよね、キミは)」ピピッ

『ねっ、今日終わったら、用事ある? M/K』

シンジ「(端末に、通信?)」キョロキョロ

マナ「こっち、隣だよ」コソ

シンジ「どうやって? この端末、オフラインになってるはずなのに」

マナ「コマンドプロンプトからシステムをちょっといじっちゃった。上書き。えへへ、驚いた?」

シンジ「まずいよ。ログは残るんじゃないの?」

マナ「いくつか余計な手順を加えるけど、そういうのは得意分野。戦自で叩きこまれたから」

シンジ「大丈夫なの?」

マナ「私にまかしといて。それでどう? 終わったら、時間ある?」

シンジ「今日は、ちょっと」

マナ「誰かと、約束?」

シンジ「うん、先約が」

マナ「アスカ?」

シンジ「そうじゃないよ」

マナ「そっか、わかった。ごめんね、無理言って」

シンジ「どんな用事だったの?」

マナ「うぅーん、昼休みなら、時間ある?」

シンジ「うん、それなら大丈夫」

マナ「話を聞いてほしくて――」

教師「今日は偶数の日ですから、えー出席番号順だと、碇さん、答えなさい」

シンジ「え?」

教師「ん? どうした? 端末に問題が表示されとるだろう」

マナ「(あっ、やばっ!)」カチャカチャ ターンッ

シンジ「えっと、その」ピピッ

マナ「(シンジくんごめん! 今切り替えた!)」

教師「おいおい、これは簡単な問題だぞ」

女子生徒D「クスクス、これわからないんだ?」

マナ「……!」キッ

女子生徒D「な、なによ?」

シンジ「あ、Aです。答えはA」

教師「ふぅ、よろしい。次からはもっとはやく解答できるように」

シンジ「ふぅ……」

マナ「シンジくん、ごめんね」

シンジ「先生に見られてるから、もう一度、回線開いてくれる?」コソ

マナ「う、うん、いいけど」カチャカチャ

シンジ「……」カチャカチャ

『僕は気にしてない。マナが当てられなくてよかった。S/I」

マナ「あ……」

シンジ「……」ニコ

マナ「(どうして、そんなに優しくしてくれるの)」
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 20:41:48.63 ID:ffvb1rPrO
シンジの手を汚させるならカヲル殺ればいいんじゃ?
477 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 21:53:57.69 ID:xQjA2YmQ0
前スレと今スレで大きく書き直してるポイントはそこなんですよ
端折って説明しますが前スレではシンジがカヲルを手にかけてまして、今スレではヒロイン達の出番を目一杯増やし違う展開にしています
478 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 22:16:09.53 ID:xQjA2YmQ0
【ネルフ本部 食堂】

シゲル「今日はなんにすっかなー。カツ定食もいいし、カツ丼も捨てがたいし」

マコト「カツばっかだな、お前」

シゲル「うめーだろ?」

マコト「卵とじかそうじゃないかの違いしかなくないか」

シゲル「ノンノン、カリッとしてるか、ふわっとしてるか。大きな違い」

マコト「なんでもいいからさっさと決めろよ。食券販売機の後ろに並んでる列が見えてるだろ」

シゲル「はいはいっと」ピッ

マヤ「うどん、ひとつ。お願いします」

シゲル「おっ、あれは」テクテク

マヤ「……」

シゲル「よっ、マーヤちゃん」ポンッ

マヤ「なに?」

シゲル「あれ? 意外だなぁ、すっげー嫌な顔されると思ってたんだけど」

マヤ「期待してたの? そういう趣味が……」ススス

シゲル「い、いやいやっ、違うってぇ。俺に気安く肩に手ぇ置かれるのいつも嫌がってるだろ」

マヤ「あぁ。なんだ、そういう」

シゲル「もしかしてこれって俺に脈あり?」

マヤ「天変地異が起こってもないわよ」

シゲル「きっつー。今はそうかもしれないけどさぁ、ある日突然変わるなんてこともあるもんだぜ?」

マヤ「ないわね。私、青葉くんみたいな人嫌いだもの」

シゲル「おやまぁ。はっきりと」

マヤ「それに、今は恋愛とかしてる暇ないし――」

シンジ『マヤさん』

マヤ「(や、やだ、なんでシンジくんの顔が)」

シゲル「そうかねぇ、恋はいつだってしていいと思うけどなぁ」

マヤ「そう思うなら勝手にしたらいいじゃない」

シゲル「なら、今度、俺とデートしねぇ?」

マヤ「お断り」

シゲル「なんでだよ。相手いないんだろ?」

マヤ「いるわよ、私にだって、相手」

シゲル「へぇ、誰?」

マヤ「教える必要ない」

おばちゃん「はい、お待ち! うどんね!」

マヤ「ありがとうございます」スッ テクテク

シゲル「ちぇ、黙ってりゃかわいいのになぁ」

おばちゃん「ちょっとあんた、しつこい男は嫌われちまうよ?」

シゲル「その内芽がでるかもしれないっすよ。カツ丼お願いしまーす」

おばちゃん「気がつかないのかい? あれはね、恋してる女の顔だよ」

シゲル「は?」

おばちゃん「いやぁ、マヤちゃんは良い子だからねぇ、ようやく春がきたってか。ほら、食券だしな。お邪魔虫」

シゲル「ひ、ひどくねぇすか?」スッ

おばちゃん「デリカシーのない男の扱いにはこれぐらいでちょうどいいのさ」ヒラヒラ
479 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 22:52:00.10 ID:xQjA2YmQ0
ミサト「だあーっもう! また負けたぁ」

マヤ「葛城一尉。隣、いいですか?」

ミサト「とほほぉ。これで今月も節約生活かぁ」ションボリ

マヤ「あの、葛城さん」

ミサト「あによ?」ギロッ

マヤ「えっと」

ミサト「あらぁ、マヤちゃんじゃなぁ〜い! めずらしいわね! 食堂であたしに声かけてくるなんて」スポッ

マヤ「音楽でも?」

ミサト「あぁ、これ? 違う違う! そんなもんたいして聴かないもの!」

マヤ「隣、座ってもかまいませんか?」

ミサト「どーぞどーぞ! 汚いところですけど」

マヤ「失礼します。あの、音楽じゃないならなにを?」コト

ミサト「ラジオ。夏競馬って予想が難しいのよねー」

マヤ「け、競馬?」

ミサト「そぉ。たまにしかやらないんだけど。息抜きにねん」

マヤ「は、はぁ」

ミサト「すっかりはずしちゃった。これで今月も苦しくなっちゃうなぁ」

マヤ「不謹慎じゃありませんか?」

ミサト「へ?」

マヤ「昨日、シンジくんが遅く帰ってきた理由を聞きました。葛城一尉のお宅に伺ってたって」

ミサト「夕ご飯作ってもらっちゃったのよー。シンちゃんの手料理はもう食べた? アスカにして絶品だって評判よ〜?」

マヤ「そうじゃなくって。パイロットですし、あまり遅い時間に帰宅させるのは。ホームヘルパーを雇ったりされたら……」

ミサト「そうしたいのはやまやまなんだけどさぁ。シンジくんに時給払う方が安く済むのよねぇ」

マヤ「そんなに相場高いですか?」

ミサト「セカンドインパクト前はけっこう繁盛してたみたいだけど。今って人手不足らしくって。足元見た値段設定してんの」

マヤ「それでも、パイロットの金銭はネルフの管理下にあるので要求できませんけど、葛城一尉は私より高給取りですし」

ミサト「まぁねぇ。その点については否定できませんけども。シンジくんがなにか言ってた?」

マヤ「あ、いえ。私はただ、パイロットの保安上の問題を指摘しただけで」

ミサト「んー、そうね。それなら、あたしが送るってうのはどう?」

マヤ「それなら」

ミサト「よし、それじゃ問題ない? きつねうどん、おいしそうね」

マヤ「まぁ、食堂のおばちゃん上手ですから。話は戻りますけど、シンジくんの――」

ミサト「ねぇ、マヤちゃん」

マヤ「え、はい。なんでしょうか」

ミサト「シンジくんとなんかあったの?」

マヤ「へ?」

ミサト「やけに気にするなぁと思って。深い意味はないのよ? ただ、これまでマヤちゃんとシンジくんって必要以上に接点なかったじゃない?」

マヤ「あっ、そ、それは」

ミサト「一緒に住み始めてから、なにか?」

マヤ「い、いえっ、なにも」

ミサト「……?」

480 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 23:20:57.93 ID:xQjA2YmQ0
【第壱中学校 昼休み 体育館裏】

マナ「これ、よかったら」パカッ

シンジ「サンドイッチ? マナが作ったの?」

マナ「うん、前回ははりきりすぎちゃって。量が、その、ね」

シンジ「ありがとう」

マナ「一緒に食べよ、えへへ。あ、そこの石段に座ろうよ」タタタッ

シンジ「うん」

マナ「ごめんね、簡単なので」スッ

シンジ「気にしないでよ。こうして作ってきてくれてるんだし」

マナ「私、こんな風に自然に学校生活送れるなんて思ってなかった。全部、シンジくんのおかげ」

シンジ「僕は、なにも」

マナ「そうなんだよ? ネルフにバレて、シンジくんが助けてくなかったら……今頃。だから、凄く感謝してるんだ」

シンジ「僕は、自分にできることをしただけだよ。それに、この生活をいつまで続けられるか」

マナ「気づいてる。いつかは終わりがくるもんね。任務を無事完遂できても、帰還命令がでればそれまで。私は戦自。シンジくんはネルフだから」

シンジ「それに、マナの友達も……」

マナ「うん。私がここにいる意味は、友達のため」

シンジ「……」

マナ「それも全部含めて、任務という枷をはずしてくれたシンジくんに感謝してるんだ。今はもう、なるようになっちゃえっ! って開き直れてる」

シンジ「そうなんだ」

マナ「頼れる人がいるのといないのってこんなに違うんだね。単独潜入って思うとこわかった……」

シンジ「……」

マナ「精一杯、取り繕って笑顔ふりまいて、なんでもないって自分に言い聞かせて。チルドレンに計算して近づかなきゃって内心、必死だったの」

シンジ「……」パク モグモグ

マナ「今は、一人じゃないよ。私」

シンジ「マナが計算でそうしてなければね」

マナ「へ?」キョトン

シンジ「冗談だよ」

マナ「ぷっ、あははっ、シンジくんも冗談言うんだ」

シンジ「うん」

マナ「私ね、シンジくんに色仕掛けしようとしてたの」

シンジ「へぇ」

マナ「あっ、なに? その興味ないって感じ。私、かわいくない?」

シンジ「そうは言ってな――」

マナ「ねぇ……ドキドキしない……?」ズィッ

シンジ「ま、マナ?」

マナ「シンジくん……こうやって近づいても、なにも感じない……?」スッ

シンジ「いや、えーと」

マナ「ぷっ、だめ、笑っちゃう」

シンジ「からかわないでよ、もう」
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 23:24:17.06 ID:OfhPw5cqo
大人の女を知っちゃったら中学生とか子供にしか見えないだろうな
482 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/13(水) 23:39:31.13 ID:xQjA2YmQ0
マナ「あの、それで話っていうのは――」

シンジ「情報がほしいの?」

マナ「(やっぱり、わかってたのね)」

シンジ「一度も伝えてないから。そろそろ話さなきゃいけないと思ってたんだ」

マナ「ごめん。なんだか、催促してるみたいで。これじゃ、計算って思われてもしかたないね」

シンジ「マナが聞いてくる前に僕が言うべきだっただけだよ」

マナ「……」グスッ

シンジ「なにが聞きたい――」

マナ「どうして? どうしてそんなに優しくできるの? 私、利用してるのに変わらないんだよ。やってることと言えば、このサンドイッチだけ」ポロポロ

シンジ「あ……」

マナ「いなくなっちゃうんだよ? 最低な女だと思わないの? なんの見返りもないのに」

シンジ「……」

マナ「シンジくんなら、いいよ」

シンジ「へ?」

マナ「もっと、要求してきても。戦自の情報がほしい? それとも、私を使って――」

シンジ「そんなことはしないっ!」

マナ「……」ビクッ

シンジ「僕がしたいようにしてるだけだから。マナは気にしないで」

マナ「気にするよっ! 無償の優しさなんだもんっ!」

シンジ「マナだって、優しいじゃないか」

マナ「違うの! いたたまれないからラクになりたいだけ! だからっ、私はっ!」ポロポロ

シンジ「なにかしてないと気になるって言うなら。僕はもうもらってる」

マナ「え? なにを?」グスッ

シンジ「友達になれたし。それで充分だよ」

マナ「そんなのっ、私だって、もらってるよ」

シンジ「……」スッ

マナ「シンジくん」

シンジ「あんまり泣いてちゃ、目が腫れちゃうよ。ハンカチ」ポン

マナ「ありがとう……」スッ

シンジ「え、あの」

マナ「どうしよう、私、ムサシとケイタを救う目的できたのに、シンジくんの為になにかしたいって思いだしてる」

シンジ「えぇと」ポリポリ

マナ「でもね、あの二人にも、こうやって手をつないだりしたことない」

シンジ「そ、そうなんだ」
483 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/14(木) 00:13:33.45 ID:XT8+GniQ0
マナ「恋人つなぎっていうんだって。指と指を絡めるの」

シンジ「……マナは、吊り橋効果にかかってる」

マナ「え?」

シンジ「切迫した状況だから。僕に恩を感じて、僕しかいないって思い込んでるんだと思う。いつも以上に頼り甲斐があって見えたり」

マナ「そ、そんなっ! 私! 本当にっ!」

シンジ「この任務が無事終われば、向こうの日常に帰れる。そうしたら遠い思い出みたいになるんじゃないかな」

マナ「違うもんっ! そんなんじゃない!!」

シンジ「答えは、そうなった時にわかるよ」

マナ「(だって、シンジくんみたいな同年代がいるっ⁉︎ この人、自分の価値をわかってない!)」

シンジ「今は、生き延びること。それに集中しよう。それがマナ自身、友達の為にもなるから」

マナ「……っ!」グッ

シンジ「なにを知りたいの?」

マナ「(悔しい。どうしたら伝わるんだろう……)」

シンジ「マナ?」

マナ「ふぅー……。戦自が必要としてる情報は、ネルフの人事に不審な点はないか。なにか、ある?」

シンジ「あるよ。だけど、全てはまだ教えられない。周辺調査はすすんでるの?」

マナ「もう一人、潜入してるの。そっちでも洗ってると思うんだけど……」

シンジ「え?」

マナ「ごめんなさい、誰かは私も教えられない」

シンジ「わかった。無理がないように小出しにしよう。ネルフという組織について、どこまで把握してる?」

マナ「表に出てる一通りは。知りたいのは、裏だから」

シンジ「だったら、参謀である副司令。冬月っていう名前なんだけど、彼に相当の発言力があるっていうのは?」

マナ「どれくらい?」

シンジ「そうだね、人事に口出しできるぐらい」

マナ「え? でも、ネルフは直接的に関われないでしょう? さらに上層組織が存在しているはず」

シンジ「だからだよ。怪しい点を見つけたって報告するんじゃだめかな」

マナ「どうして見つけられたのか、経緯が必要だわ」

シンジ「僕に聞いたと言えばいい。マナは色仕掛けをしようとしてたんだろ? そういう目的で」

マナ「あ、たしかに……」

シンジ「僕と距離が近づいてる。作戦は順調だ、ただし、核心に辿り着くのはまだ時間がかかりそう。こういうのはどう?」

マナ「うん! いいかも!」

シンジ「うん、そんなところかな」

マナ「早速、今夜連絡してみるね」

シンジ「またなにかあったら言って」

マナ「今夜、アスカのところにまた行くの?」

シンジ「昨日に作りおきしてあるから行かないよ」

マナ「作りおき? なにそれ?」

シンジ「あぁ、アスカと、ミサトさんっているんだけど。僕たちの上官にあたる人。その二人、一緒に住んでるんだけど、家事全般なにもしないから」

マナ「へぇ、それでシンジくんが? 大変だね。同じパイロットなのに任務が別って。アスカってそんなに優遇されてるんだ?」

シンジ「あ、いや、これは、任務じゃなくて」

マナ「へ? ま、まさか……」

シンジ「そう、まぁ、普通の、こと」
484 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/14(木) 00:39:14.28 ID:XT8+GniQ0
【教室】

マナ「はぁっはぁっ」キョロキョロ

アスカ「それでさぁ――」

マナ「……!」ズンズン

ヒカリ「へぇ、そうなんだ。あれ、マナ。どうした――」

マナ「アスカぁっ!」ブンッ

アスカ「なに、え?」

マナ「このっ!」バチンッ

アスカ「きゃ!」ガターン

ヒカリ「ま、マナっ⁉︎ いきなりなにやって⁉︎」

アスカ「……」ツゥー

マナ「なに考えてるのよ!」

ヒカリ「アスカ、鼻血……!」

アスカ「……」ムクッ ユラァ

シンジ「はぁっ、はぁっ、マナ、待っ――……アスカっ⁉︎」

アスカ「言いたいことがあんならさっさと言いなさい。遺言は聞いてあげる」

マナ「シンジくんは奴隷じゃないのよ! あんた自分勝手すぎでしょ!」

アスカ「……」チラッ

シンジ「ちょ、ちょっと待ってよ! 二人とも!」ダダダッ

アスカ「あんたにあんたとか言われる筋合いないわよ。演技もここまでくればたいしたもんね」

マナ「アスカが勝手に思ってるだけでしょ?」

アスカ「言っとくけど、先に手をだしたのあんたの方だからね」

マナ「上等よ。黙ってやられると思ってんの?」

アスカ「はっ、とんだ猫かぶりだったわけね。いいの? ファンが減るわよ」

シンジ「ち、違うんだ! 僕は別になんとも思ってなくて」

アスカ&マナ「シンジ(くん)は黙って(なさい)!!」

シンジ「……」

アスカ「最初からどっかソリが合わないんじゃないかと思ってたのよねぇ〜。いい機会だわ」ポキポキ

マナ「あら、奇遇ね。私もそう思ってた。エリートだっていつも鼻にかけてさ、嫌みったらしいたらない。存在するのは雑兵のがいてこそじゃないの?」

アスカ「それこそ負け犬の発想よ。いくら束になっても代わりのきかないのがエリート。雑に扱われないもの、読んで字の如くね」

マナ「……っ!」キッ

アスカ「やけに反応するじゃない? あんた、身分の低い雑兵?」

マナ「どうしてそうなのよ! あんただけが特別だと思ってんの⁉︎」

アスカ「はっはーん。思ってんじゃないの。事実! そうなの! っよ!」ブンッ

マナ「くっ!」ブンッ

シンジ「二人とも! だめだったら!」ダンッ
485 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/14(木) 01:08:29.93 ID:XT8+GniQ0
アスカ「ちょっ!」

マナ「し、シンジ――」

アスカ「(無理っ!)」

マナ「(止められないっ!)」

シンジ「うぐっ」バチーーンッ

アスカ「あー」

マナ「だ、大丈夫っ⁉︎」

アスカ「見事に決まったわね」

マナ「て、手加減ぐらいしたら⁉︎」

アスカ「あんたも思いっきり振りかぶっておいてなに言ってんのよ」

マナ「私のせいにする気っ⁉︎」

アスカ「単細胞」

マナ「なんですってぇっ」

ヒカリ「少し落ち着きなさいよ! 今は、碇くんを」

シンジ「いっつ」ムクッ

アスカ「ふん、あたしは謝らないわよ。シンジが勝手に飛びこんできただけじゃない。事前に黙ってろって忠告したし」

マナ「なんて言い草」

シンジ「はぁ、いいんだ。アスカは」

マナ「平気? シンジくん」

アスカ「加害者のくせによくそんなマネできるわねー。プライドないの?」

マナ「……!」キッ

シンジ「二人とも、聞いて。僕は、前にも言ったけど、喧嘩するのに否定はしない。やりたいなら、やればいい」

アスカ「……」

マナ「……」

シンジ「マナが怒ったのは、僕のことを心配してくれたんだ。アスカにいきなり、その、ビンタしたのはマナが悪いけど。それがきっかけ」

マナ「シンジくん……」

シンジ「仲悪くなる原因が、僕だなんて嫌だよ。もちろん、二人はそうじゃないって言うんだろうけど」

アスカ「当然ね、きっかけはきっかけ。その程度で壊れる友情ならいつかはそうなる」

シンジ「うん、それも、もっともだと思う。だけど、僕がいなかったらとも、僕は思うんだ。ボタンのかけ違いなだけなのに」

マナ「……」

アスカ「はぁ」ポリポリ

マナ「アスカ、とりあえず、今日は」

アスカ「その点については同意。しらけちゃったし」

マナ「いきなり、はたいて、ごめん」

ヒカリ「……」ソワソワ

アスカ「謝罪はいらない。いつか、やり返すから」

シンジ「(人間関係って難しい。どうするのが一番よかったんだろう、喧嘩させた方がよかったのか)」

ヒカリ「碇くん、保健室いく? アスカは?」

アスカ「私はいい」

シンジ「僕も平気だよ」

ヒカリ「両頬にキレイなモミジができあがってるけど」

シンジ「え?」

アスカ「ぷっ、くっくっくっ、マヌケヅラ」
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 01:53:40.29 ID:DCpfEGtoo
最近ペースがよくて嬉しいどす
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 02:50:34.17 ID:Qk6kLKuzo
さりげないヘルパー事情は嬉しい。
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 08:13:22.24 ID:2OhPpwWIO
部屋が汚いぐらいで監督能力なしと判断されるなら原作でも解消されとるわな
パイロットも給料もらってる場面ないし
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 19:05:00.17 ID:3aGdIRl3O
誰かが家事を担うならって黙認されてただけでは?
パイロットの衛生状態が冒されるなら上が黙ってるとも思えん
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 20:24:16.06 ID:QHuEBgjlO
>>489
シンクロテストの結果が全てだぞ
不衛生、衛生的にかかわらず数値落ちなけりゃいい
ゲンドウがそういう方針
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 20:36:21.62 ID:tS2Wyyh2o
アスカの態度は確かに酷いけど言いなりになるシンジにも問題ある
そもそも第三者のマナが話もせずいきなり殴るのはルール違反。アスカの煽りがかっけー
492 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/14(木) 20:53:02.80 ID:XT8+GniQ0
チルドレンの衛生面について書かせてもらいます

まず前提としてチルドレンの給料面と衛生管理について原作内でなにも言及されていません

・衛生管理面を理由に解除する場合
原作アニメ、漫画、両方にミサトのズボラな性格上、辻褄が合わなくなります
・パイロットのシンクロ数値重視で解除する場合
アニメ版19話以降のアスカのスランプ時に同居解除などの対応策を模索せずにそのまま放置したのでこれも違う

公式で見解が公開されていませんので黙認していたなど様々な考察の余地があると思います
実際、そこらへんを突っこんで解釈をしている二次創作物を読んだことがあります

自分個人の見解はパイロットはどうでもよかったんじゃないかなと
碇ゲンドウは「初号機さえあればいい」「パイロットを“補填”」と原作内で明確に発言していますし、サードインパクトを起こす際に必要だったのはシンジじゃなく初号機なんです
初号機がダミーを拒絶したので起動するのにシンジが必要になってしまいましたが、これを抜きにして考えると
使徒撃退に対する対抗策、つまり繋ぎの戦力程度ぐらいしか考えてない、と解釈しています

当二次SSではそこらへんはざっくりでいいと思ってるので詳しい理由づけはしません
このSSの世界ではそういうものだと思って読んでいただけると幸いです
493 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/14(木) 21:35:13.92 ID:XT8+GniQ0
【放課後 教室】

アスカ「あー終わった終わったぁ」

ヒカリ「本当に大丈夫? 痛くない?」

アスカ「平気よ。転んだ拍子に鼻打っただけだし」

ヒカリ「マナったら、どうしていきなりあんなことしたんだろう」

アスカ「大方シンジがあたしの家に料理作りにくるのが気に入らなかったんでしょ」

ヒカリ「え? 碇くんが?」

アスカ「そ」

ヒカリ「なんで? ユニゾンの時に一緒に住んでたじゃない。今は別々に暮らしてるの?」

アスカ「そういやヒカリは知らなかったんだっけ。なんやかんやあって、シンジは別のとこ。あたしはミサトのとこのまま」

ヒカリ「そうなんだ。でも、近いんでしょ?」

アスカ「住んでるとこ? そうねぇ、バスで30分ぐらい?」

ヒカリ「……」

アスカ「どしたの? ヒカリ」

ヒカリ「あの、それって。無理やりじゃないよね?」

アスカ「そんなわけないじゃない。あいつがオーケーしたからそうなってんのよ」

ヒカリ「(嫌でも、断りそうにないからな。そっか、マナが怒ったのってそういう理由)」

アスカ「なに考えてるかわかる。嫌だとか無理なら断るべきでしょ。それでもやれって言ったわけじゃないし。本人の自己主張の問題よ」

ヒカリ「うぅーん」

アスカ「シンジだって得がないわけじゃないわよ? あたしの顔を拝める口実ができたんだからさぁ」

ヒカリ「そ、それは。学校でも……」

アスカ「ま、なんにせよ当事者同士で合意が済んでるなら外野は黙ってろって話。第三者があーだこーだ言うと話が大きくなるしこじれる。はっきりした態度を示さないシンジが悪いわ」

ヒカリ「うん、それは、そうかも」

アスカ「優柔不断って良く言えば優しいんでしょうけどねぇ、ナヨナヨしちゃってさ。ああいうとこ直せば少しは」ボソ

ヒカリ「ふふっ、そうだね。たしかに男らしさとは違うもんね」

アスカ「極端なのは嫌だけどね」

ヒカリ「言えてるぅ」
494 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/14(木) 22:18:37.40 ID:XT8+GniQ0
【第三新東京都市 喫茶店】

マナ「アスカったら遠慮って知らないのかしら。普通、友達だったら、大変そうだな、とか考えるもんでしょ?」

ケンスケ「……」ズゾゾー

マナ「シンジくんの優しさに。甘えてるって自覚がないのよ。ねぇ、そう思わない?」

ケンスケ「なぁ、霧島」

マナ「なによ?」

ケンスケ「なんで僕はここにいて愚痴を聞かされてるんだ? 友達じゃないのか?」

マナ「ジュース奢ってるじゃない。相田くん暇そうだったし」

ケンスケ「(こいつはこいつで碇を特別扱いしてるってわかってない……)」

マナ「頭にかーっと血がのぼったのは悪かったけど。でも! アスカだって悪いわ!」プイッ

ケンスケ「はぁ、めんどくさいことになったなぁ」

マナ「相田くんはシンジくんと仲良いんでしょう?」

ケンスケ「たしかにねぇ、だけど、なんでもかんでもってわけじゃないさ」

マナ「どうして? 友達が困ってるかもしれないんだよ?」

ケンスケ「シンジが本当に嫌なら断ると思うし。まぁ、たしかに断りづらそうな感じするけど。惣流は気が強いからなぁ」

マナ「それに碇くん、ほっとけないって言ってた。ダメな子ほどかわいいって言うじゃない? それに似たような感じで、だらしないアスカが悪い」

ケンスケ「誰が悪いってこだわるよりも、それぞれ悪いところはあるんじゃないか?」

マナ「シンジくんが悪いって言うのっ⁉︎」バンッ

ケンスケ「ちょ、落ち着けよ。とほほ、最初はそんな子だと思ってなかったのに」

マナ「誰が? 私?」

ケンスケ「そーだよ。少し大人びて見えたからな」

マナ「今は伸び伸びしてるからね」

ケンスケ「今は?」

マナ「なんでもない! ……あれ? あそこ歩いてるの、シンジくんじゃない?」

ケンスケ「お、本当だ。よく見つけ――むぎゅ」

マナ「テーブルの下に隠れて!」ガッ

ケンスケ「ええい! 頭から手をはなせよ! 僕はテーブルとキスする趣味なんかない!」

マナ「はやく!」

ケンスケ「心配すんなって、窓際の席と言っても店内なんか見ないよ、というか、なんで隠れるんだ?」

マナ「変な誤解されたら困る」

ケンスケ「はぁ……そうですか。あれ? 一緒に歩いてるのって綾波か?」

マナ「ホントだ。先約って綾波さんだったの」

ケンスケ「碇、急に女の子と縁が増えたっていうか。最近はアスカに、霧島、綾波か。この三人のどれかと一緒だよなぁ……ひっ⁉︎」

マナ「相田くん」ニコニコ

ケンスケ「な、なんだよ」

マナ「シンジくんと綾波さんの関係で知ってること全部話して?」

ケンスケ「い、嫌だよっ! 僕は友達を売るようなマネ!」

マナ「……」ニコニコ

ケンスケ「(す、すまん。碇、僕は負けてしまうかもしれない)」
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 22:30:11.14 ID:Mhqg98oKo
どんどんマナがウザくなっていく
496 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/14(木) 23:04:07.82 ID:XT8+GniQ0
【綾波宅 室内】

シンジ「綾波のところに来るの、久しぶりだね」

レイ「着替えるから、待ってて」ガララ

シンジ「あ、うん」

レイ「……」シュル パサ

シンジ「……? 綾波」

レイ「なに?」スッ パサ

シンジ「ここにあった、父さんのメガネケースは」

レイ「……」スルスル

シンジ「どっか別の場所に移動させたの?」

レイ「もう、必要なくなったから」ガララ

シンジ「必要ない? それって――わぁっ⁉︎」

レイ「……」スタスタ

シンジ「あ、ああああっ綾波っ⁉︎ どうして服きてないの⁉︎」

レイ「碇くん」

シンジ「ちょ、待って! なんで⁉︎ 服きてよ!」

レイ「私がイヤ?」

シンジ「嫌とかそんなんじゃ、状況が突然すぎてわけがわからないよ! とにかく前を」

レイ「必要な儀式」

シンジ「ぎ、儀式?」

レイ「生存、種存、存在。この三つにヒトの本能はわけられる。アダムがなぜ破壊衝動を持つか、わかる?」

シンジ「わ、わからないけど」

レイ「ヒトの概念にとらわれてはだめ。アダムに本能があるとすれば、好奇心。欲求を満たすため、それが突発的発作となって顕著になる」

シンジ「どういう関係があるの?」

レイ「私を壊していい」

シンジ「……っ!」

レイ「昨日、なにがあったの?」

シンジ「そ、それは……」

レイ「いい、今から強制的に呼び覚ます」スッ

シンジ「えっ」

レイ「……」ギュッ

シンジ「あ、綾波っ? ……うっ」

レイ(少女)「リラックスして。なにも考えなくていいわ」

シンジ「き、きみは」

レイ(少女)「アダムと対話しなくちゃ。そう、身体で」

シンジ「だ、だめだ……! そんなこと!」

レイ(少女)「ひとつになる。それはとてもとても気持ちのいいこと。碇くんだって、私とひとつになりたいでしょう?」

シンジ「こんなのっ」

レイ「抵抗すれば魂に揺らぎが生じる。苦痛を伴うツライ思いをするだけ」

シンジ「いいよ……! それでも! 大事なのは僕の意思だ!」

レイ「……」スッ
497 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/14(木) 23:39:05.04 ID:XT8+GniQ0
シンジ「ぐっ、はぁはぁっ」

レイ(少女)「頑固ね」

レイ「どうする?」

レイ(少女)「原子と分子の融合の妨げになってしまう。碇くんの自我が保てなくなってしまうわ」

シンジ「綾波、ちゃんと話をするから」

レイ(少女)「経緯はそれほど重要じゃない。私たちが今日、碇くんをここに招待したのは、アダムの状態が次のフェーズに移行すると判断したから」

シンジ「次の?」

レイ「なにがあったの?」

シンジ「母さんから手紙を渡されたんだ。一緒に住んでるマヤさんを犯せって。それで、昨夜、マヤさんと」

レイ「テレビゲームに例えて話をしている時、碇くんはそういう兆候はなかったと言っていたわ。自分の意思で?」

シンジ「最初は、演技って話だったんだ。でも、途中からマヤさんが積極的で……結局、その、最後までしちゃって。だからアダムにそういう力はないのかと疑問に思った」

レイ「なんにせよ、ひとつになったのね」

シンジ「うん、まぁ」

レイ(少女)「アダムの好奇心を満たす行為は異性に対してじゃないとだめなの」

シンジ「……」

レイ(少女)「複雑な構造、難解な数式。緻密なものを解明するだけならありふれてる。“知恵の樹”の話、知ってる?」

シンジ「うん。旧約聖書だよね」

レイ「蛇にそそのかされて、善悪の知恵を得たアダムとイヴは全裸でいることを恥ずかしいと思うようになり――」

レイ(少女)「イチヂクの葉で陰部を隠した。実際は違うわ。知恵の樹があったのは本当」

シンジ「うん」

レイ「知恵を得て、その目の前にはわかりやすく、女性と男性がいた。だから、好奇心は単純に異性へと向けられたの」

シンジ「そ、そうなんだ」

レイ「お互いを貪るように。いくら続けても飽きることはなかった。神が創りたもうた人体、その神秘に触れ、欲深く望んだ」

レイ(少女)「もっと、もっと、もっとって。終わりのない、新しい発見だらけ」

シンジ「……」

レイ「種を残すため、存在を証明し自己を確立し、群れで生活する十八番目の使徒である人類。ことわりが違う」

レイ(少女)「アダムはいうなれば始祖」

シンジ「よく、わからないよ。なにを言ってるのか」

レイ「碇ユイがどういう思惑で碇くんに指示したのかはわからない」

レイ(少女)「はからずも、アダムは性交で得られる喜びを思い出した」
498 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/15(金) 00:03:41.22 ID:WKrW6Ang0
シンジ「つまり、アダムが目覚めようとしてるってこと?」

レイ「段階があると言ったわ。これからは、衝動の頻度が多くなる」

シンジ「そ、そんなっ! 完全に融合しちゃったら僕どうなるのっ⁉︎」

レイ(少女)「碇くんであり、アダムであるモノ」

レイ「私たちが協力すれば“碇シンジ”という個は残る。その為の私」

レイ(少女)「私たちが望むセカイを教える」

レイ「ヒトの未来。可能性の先になにがあるのか、それが知りたい」

レイ(少女)「アダムとリリスの融合によって作られる新セカイではない。あくまでヒトの意思によって形作られた社会」

レイ「碇くんが消えてしまっては、アダムしか残らなくなる」

レイ(少女)「それでは私たちが望む結果にたどり着けはしない」

シンジ「おかしいじゃないか! だって、それって……! サードインパクトを起こすってことじゃないの⁉︎」

レイ「セカンドインパクトが起こった時点で終焉へと向かっているの。ヒトの科学力ではこの困難を耐えきれない」

シンジ「……っ! で、でもっ!」

レイ(少女)「私と私はあなたというヒトに賭けた。あなたが望むのならなんでもしてあげる」

レイ「あなたが生きられるのならなんでもしてあげる」

レイ&レイ(少女)「私にはなにもないもの。私を捧げたってかまわない」

シンジ「む、むちゃくちゃだ! 僕は嫌だ!」

レイ「碇ゲンドウの死。あの直後、碇くんは夢の中で私に見せられたはず」

レイ(少女)「この世界に蔓延る、ウソ、欺瞞、不完全なヒトの形」

レイ「碇くんは唯一にして、完全な個体となる人類の代表」

レイ(少女)「そして、あなたがセカイを創造する」

シンジ「む、無理だよ、そんな、僕には、無理だ」ガタッ

レイ「あなたは選ばれてしまった」

レイ(少女)「理由なんかないわ。あなたは選ばれたの」

シンジ「……」ゴクリ

レイ「私を使う?」

レイ(少女)「うふふっ、私たちには代わりがいるもの。いくらぶつけてもいいのよ。ヒトの身体では耐えきれないことでも――」

シンジ「い、嫌だ、そんなの、う、うわぁああああっ!!」ダダダッ ガチャ バタンッ!!

レイ「あっ」

レイ(少女)「また逃げた。……大丈夫。碇くんは私たちをきっと頼ってくる。そうするしかないから」
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 01:14:23.01 ID:yYTq7V18o
ワッフル
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 10:05:41.58 ID:nUBOWhagO
よくわからんのだがQみたいに浦島太郎状態になる前に全部知ってしまったシンジってこと?
501 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/15(金) 19:51:16.60 ID:WKrW6Ang0
新劇は設定がテレビシリーズとかとまったく別物というのを一応
それらを除けばそんな感じです
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 08:23:44.84 ID:YBs6za1Eo
まだか
503 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/09/16(土) 20:23:47.93 ID:5QRrjQdb0
【第三新東京市 繁華街】

シンジ「はぁっはぁっ」タッタッタッ

カップル男「うぉっ⁉︎」ドンッ

シンジ「あっ、す、すみませ――」

カップル男「いってぇな! よく見ろよ!」ドゴッ

シンジ「うぐっ」ズサ

カップル女「あ〜あ、なにも殴らなくたって。……中学生じゃん。大丈夫? ボク?」

カップル男「こいつが悪いだろうが。人混みでよ」

シンジ「……」ムクッ

カップル女「短気な性格なんとかしなさいよねぇ〜」

シンジ「すみませんでした」ペコ

カップル男「ち、ったく」

カップル女「まぁまぁ。事故なんだから。ボクも気をつけてね」

シンジ「はい」

カップル男「たこ焼きでも食って帰るか?」

カップル女「なんでデートでたこ焼きなわけ? 炭水化物のかたまりとか」

カップル男「うめぇだろ――うぉっ⁉︎」ドンッ

マナ「大丈夫⁉︎ シンジくん⁉︎」

シンジ「ま、マナ? どうしてここに?」

カップル男「……」プルプル

カップル女「ちょっと、落ち着きなよ」

カップル男「おい、ガキども」

マナ「殴ることないじゃないですか⁉︎」

シンジ「あっ」

カップル男「なんだとぉ? 社会常識知らねーのかよ?」

マナ「いきなり手をあげるあなたに言われたくありません!」

カップル男「俺はなぁ、女にだって容赦しねぇぞ。カミソリのような男だからな」

カップル女「ふるっ。センスが昭和なんですけど」

カップル男「うっせぇっ! お嬢ちゃんよぉ、歯をくいしばれ」

マナ「いやです」

カップル男「な、なに?」

マナ「警察、呼びますよ」

カップル女「ちょっと。もうそれぐらいにしときなってマジで。通行人も足止めて見だしてるし」キョロキョロ

カップル男「警察やギャラリーがなんだっつうんだ! 世の中なめくさってるガキが!」ブンッ

マナ「……っ⁉︎」ギュッ

シンジ「ま、マナっ! ……がはっ」ドサッ

カップル男「おーおー、かわりに殴られるとはねぇ」

マナ「シンジくんっ⁉︎」

ケンスケ「――おまわりさん! こっちです!」

カップル男「げっ⁉︎ まだツレがいたのかよ⁉︎ はやくねぇ⁉︎」

カップル女「もう! だから言ったじゃん!」

警官「こらぁ! なにやってるんだ!」
504 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/16(土) 20:47:49.39 ID:5QRrjQdb0
カップル男「――だから俺は悪くねぇって! 悪いのはそこのガキどもだろーがよ!」

警官「話は交番でゆっくりな」

カップル男「なぁんで俺が⁉︎ 先に仕掛けてきたのこいつらで」

警官「すれ違いざまに肩がぶつかっただけだろう。そうだね?」

ケンスケ「はい! しっかり見てました!」

カップル男「そいつはツレだろう! 公正な判断をしろ!」

警官「ぎゃーぎゃーうるさい。立派な傷害罪にあたる」

カップル女「はぁ……帰ろっかな」

シンジ「あの」

警官「調書を書く必要があるから。キミも同行してもらうよ」

シンジ「いえ、そうじゃなくて。僕も悪かったですから」

カップル男「あ?」

マナ「シンジくん?」

シンジ「お互い様ってことで。その人、離してくれてあげませんか」

警官「そうはいかない。キミ、擦り傷があるじゃないか」

シンジ「ちょっとだけですから」

警官「訴えを取り下げるということかい?」

カップル男「……」

シンジ「はい。それとも罪を犯したことに変わりないなら、そういうの関係ないんですか?」

警官「いや。警察は法を取り締まる番人といわれてるが裁判官や弁護士や検事のような立場じゃない。捕まえるのが専門の仕事だ」

シンジ「はい」

警官「被害届けというものを申請されはじめて動く場合がある。実際に現場を目撃した場合は別だが、喧嘩はその場で示談になることも」

マナ「ねぇ、こういったのはきちんと罰を与えないと。反省するきっかけになるんだよ?」

シンジ「いいんだ。あの、すみませんでした」

マナ「シンジくんっ!」

ケンスケ「はぁ……」

カップル男「まぁ、悪かったな坊主」

カップル女「ここまでの騒ぎにしたのはあんたが悪いの」

カップル男「ちっ」

シンジ「これで、だめですか?」

警察「こっちとしても雑務に追われていてね。いいなら構わないが」

シンジ「だったら、手打ちで」

カップル男「おい、ガキども」

シンジ「はい?」

カップル男「たこ焼き、何味が食いたい」ブスゥ
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 20:56:30.45 ID:sf1Wve5uo
>マナ「いきなり手をあげるあなたに言われたくありません!」

これが究極のおまいう
506 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/16(土) 21:27:38.32 ID:5QRrjQdb0
【近くの公園】

ケンスケ「いやぁ、あのお兄さんも豪気だねぇ! 一人十パックも持たせてくれるなんてさぁ!」ぱくっ

シンジ「うん、そうだね」ガサ

マナ「……」

ケンスケ「食べきれるかなぁ。まぁ、帰って冷蔵庫に入れておけば」

マナ「なんで、あんな風に許しちゃったの?」

シンジ「ん?」

マナ「だって、シンジくんは肩にぶつかっただけじゃない。殴られるなんておかしいよ」

ケンスケ「(惣流に同じことやってるけどねぇ、ま、シンジに関するとなると見境いつかなくなるってのは理解したけど)」

シンジ「悪いと思ってくれたんだよ。だから、こうやって」

マナ「その場しのぎなだけよ! おごって餌付けしてやったからチャラ! 反省はしない! また繰り返すよ⁉︎」

シンジ「……」

マナ「警官がこなかったらどうなってたと……」

シンジ「一方的に痛めつけられてたかもしれないね。でもそうはならなかったよ。今、僕たちはこうしてたこ焼きを食べてる」

マナ「……」

シンジ「展開ひとつ違うだけで、どうなってたかわからないけど……僕に落ち度がなかったわけじゃないし」

マナ「シンジくん……」

シンジ「正解がわからないんだ。なにを選べばいいのか」

ケンスケ「まぁ、シンジは考えすぎなとこあるよ」

シンジ「そうかな」

ケンスケ「霧島もさ。過ぎたことはおしまい。そう割り切らなくちゃ。常に100パーセント正しい判断ができる人間なんかいないよ」

マナ「それは、そうだけど」

ケンスケ「惣流にもさ、ちゃんと話をした方がいいんじゃないか?」

マナ「なんで、いま、そんなこと……」

ケンスケ「それだって次の展開。将来を考えての話じゃないか」

マナ「うぅん」

ケンスケ「“感情”って、厄介だよなぁ。やっちゃいけないってわかってても制御できない」

マナ「見たいから、盗撮するの?」

ケンスケ「うっ! あ、あくまでビジネスだよ!」

シンジ「ぷっ、あはは、そうだなアスカには、落ち着いたら話てみたらいいよ」

ケンスケ「……さっきは、なにを急いでたんだ?」

マナ「綾波さんとなにか?」

シンジ「どうして、それを知って?」
507 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/16(土) 21:43:49.27 ID:5QRrjQdb0
マナ「あっ、えっと、その」

ケンスケ「たまたま一緒に歩いてるとこ見かけたんだよ」

シンジ「そうだったんだ」

マナ「……」ほっ

シンジ「すこし、ショッキングなことを知ってしまって。それで」

ケンスケ「おぉっ! なんだ⁉︎ 綾波になにか隠された事実でもあったのか⁉︎ これはスクープだぞ、ファンクラブの連中に――」

マナ「こぉら」コツン

ケンスケ「いで」

マナ「女の子を詮索してたら本当に嫌われちゃうよ」

ケンスケ「いや、でも。ほしいパーツが」

マナ「お小遣いがほしいなら別の方法にしなよ」

シンジ「これはケンスケにも話することができないんだ」

ケンスケ「ちぇ」

シンジ「(どうせ信じてもらえないだろうし。いや、話すと危険だから。また無関係な人を巻き込んでしまう)」

マナ「あの、私にも?」

シンジ「……ごめん」

マナ「(なにがあったんだろう……)」

ケンスケ「さぁて、そろそろ帰るか。トウジの家によってっておすそ分けでもしてやるかな」

シンジ「あ、それだったら僕のもついでに頼める?」

ケンスケ「いいよ」

シンジ「ありがとう」

マナ「途中まで、送ってくれない?」

シンジ「え? それなら、ケンスケが同じ方向だし」

ケンスケ「僕はトウジに家によるって言ったろ?」

シンジ「あ……」

ケンスケ「(女に恨まれちゃこわいって言うし)」

シンジ「わかった、また明日学校で」

ケンスケ「またな! 霧島! 碇!」
508 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/16(土) 22:08:58.01 ID:5QRrjQdb0
シンジ「……」テクテク

マナ「殴られて、痛かった?」

シンジ「大丈夫だよ、おかげですこし落ち着けた」

マナ「あんなに慌ててるなんて……どうしても、話せない?」

シンジ「うん」

マナ「そっか。……あの、ありがとう。かばってくれて」

シンジ「いいよ、気にしないで」

マナ「シンジくんっていつもそう言うね」

シンジ「……?」

マナ「“気にしないで“って。よく考えたら、それって自分勝手かも」

シンジ「どうして?」

マナ「だって、こっちが気になってることにたいしてもそうでしょう? 優しいけど」

シンジ「僕は優しくなんかないよ。自分のしたいことをしてるだけだから」

マナ「相手が中心にあるか、自分が中心にあるかでそれは違うの。シンジくんから感じるのは、思いやりの気持ち。……あはは、私が良いように考えてるのかな」

シンジ「そんなんじゃ……」

マナ「複雑だよね、人って。同じものでも、捉え方で見てる景色が180度反転する」

シンジ「……」

マナ「シンジくんの、そういうところ、好き、なんだと思う」

シンジ「え?」

マナ「いや、その……ちょっと、いいかなってっていうか。今まで、ガサツな人しかいなかったから」

シンジ「幼馴染の友達は? マナのこと、思いやってくれてたんじゃないの?」

マナ「もちろん。お互いにわかる部分が多いから。阿吽(あうん)の呼吸って感じで……かけがえのない人。でも、なんていうかな、家族みたいな」

シンジ「家族……」

マナ「小さい頃からずっと一緒にいたから。異性としてよりも、いて当たり前の存在になっちゃった」

シンジ「……」

マナ「部隊に配属されて知り合ったのは女の子ばかりだから。……はじめてかも。異性って思える人」

シンジ「僕は……」

マナ「いいの。なにも言わないで」

シンジ「……」

マナ「今は、こうして、はじめての感情があるだけでいい。大切にしたいだけだから――」
509 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/16(土) 22:11:22.96 ID:5QRrjQdb0
ちと間違ったんでレスしなおし
510 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/16(土) 22:12:50.76 ID:5QRrjQdb0
シンジ「……」テクテク

マナ「殴られて、痛かった?」

シンジ「大丈夫だよ、おかげですこし落ち着けた」

マナ「あんなに慌ててるなんて……どうしても、話せない?」

シンジ「うん」

マナ「そっか。……あの、ありがとう。かばってくれて」

シンジ「いいよ、気にしないで」

マナ「シンジくんっていつもそう言うね」

シンジ「……?」

マナ「“気にしないで“って。よく考えたら、それって自分勝手かも」

シンジ「どうして?」

マナ「だって、こっちが気になってることにたいしてもそうでしょう? 優しいけど」

シンジ「僕は優しくなんかないよ。自分のしたいことをしてるだけだから」

マナ「相手が中心にあるか、自分が中心にあるかでそれは違うの。シンジくんから感じるのは、思いやりの気持ち。……あはは、私が良いように考えてるのかな」

シンジ「そんなんじゃ……」

マナ「複雑だよね、人って。同じものでも、捉え方で見てる景色が180度反転する」

シンジ「……」

マナ「シンジくんの、そういうところ、好き、なんだと思う」

シンジ「え?」

マナ「いや、その……ちょっと、いいかなってっていうか。今まで、ガサツな人しかいなかったのもあって」

シンジ「幼馴染の友達は? マナのこと、思いやってくれてたんじゃないの?」

マナ「もちろん。お互いにわかる部分が多いよ。阿吽(あうん)の呼吸って感じで……かけがえのない人。でも、なんていうかな、家族みたいな」

シンジ「家族……」

マナ「小さい頃からずっと一緒にいたもん。異性としてよりも、いて当たり前の存在になっちゃった」

シンジ「……」

マナ「部隊に配属されて知り合ったのは女の子ばかりで。……はじめてかも。異性って思える人」

シンジ「僕は……」

マナ「いいの。なにも言わないで」

シンジ「……」

マナ「今は、こうして、はじめての感情があるだけでいい。大切にしたいだけだから――」
511 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/16(土) 22:49:16.35 ID:5QRrjQdb0
【マヤ宅 リビング】

シンジ「僕がですか?」

マヤ「たまには、人の作った料理食べてみたいって思って。だめ?」

シンジ「かまわないですよ。なにかリクエストあります?」

マヤ「シンジくんの得意なやつがいいかな」

シンジ「得意な……」

マヤ「和でも洋でも中でも。まかせる」

シンジ「わかりました。早速、とりかかりますね」

マヤ「あっ、ちょっと待って」スッ

シンジ「……?」

『今、電波遮断できる?』

シンジ「(紙に書いてるのは……うーん、あまりやりすぎたら怪しまれちゃうだろうし、どうしようかな。……大事な話かもしれない、よし)」

マヤ「……」

シンジ「ふぅ、今度はうまくできたみたいだ。どうしたんですか?」

マヤ「それって、身体に負担がかかるの?」

シンジ「まったくないってわけじゃありません」

マヤ「手短に済ませるね。聞きたいことがあったの。あの、シンジくんのその瞳。もしかして、ネルフに非人道的な実験で……」

シンジ「言えません」

マヤ「聞きたいの。私の意思よ」

シンジ「でも、これ以上知ってしまえば」

マヤ「危険になる。わかれば司令になにをされるか……それは理解してる。でも、それでも、ネルフが裏でなにをしようとしているか……知りたい」

シンジ「突然、どうしたんですか」

マヤ「考えてみた。どうしたらいいかなって。でも、考えても考えてもなにもわからない。与えられた責務に対して、疑問を抱かず、正しいことをしてるってやってきた」

シンジ「……」

マヤ「――空っぽ、だった。仕事に求めてたのは、安心と安らぎ。業務を通して、ちゃんと人並みの生活ができてるっていう安心感を得られてただけ」

シンジ「僕からは言えません」

マヤ「自分で調べる」

シンジ「えっ」

マヤ「シンジくんが教えてくれないなら。そっちの方が危険よ?」

シンジ「そ、そんな……」

マナ「私だって無駄に歳を重ねてるわけじゃないから。こういった狡猾さを身につけてるのよ」

シンジ「……」

マヤ「あなたの力になりたいのよ。シンジくん」

シンジ「僕の、力になりたいから?」

マヤ「ええ」

シンジ「だったら、こうして一緒に住んでくれてるだけで」

マヤ「相手は総司令という立場にいる人。ひいてはネルフという組織そのものでしょう? シンジくんがなにかに抵抗しようとしてる。そんなの見てれば気がつく」

シンジ「……」

マヤ「味方は多い方がいい、それも絶対に裏切らない人。そう思わない?」

シンジ「そう、ですけど」

マヤ「お願い、話して。ネルフはシンジくんに……なにをしたの? どうして赤い瞳なの?」
512 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/16(土) 23:14:38.60 ID:5QRrjQdb0
シンジ「言えません」

マヤ「そう……ふぅーん、わかった。じゃあ」

シンジ「ただ、全てをという意味です。自分で調べないという条件を飲んでくれるなら、どうして赤い瞳になったのかは教えます」

マヤ「わかった。今一番知りたいのってそこだから」

シンジ「次から次に疑問がでてくるかもしれません。そうなったとしてもですよ」

マヤ「……了解」

シンジ「ふぅ……瞳が赤くなってるのは、力を使ってるせいです。なぜかはわからない。力を使うとこうなるとしか」

マヤ「気がついたんだけど。レイに似てるって」

シンジ「(綾波はリリスの魂の容れ物だからねぇ。アダムに頼り力を発動してる状態の僕と……でも、それを話すことはできない)」

マヤ「シンジくん?」

シンジ「すこし、グロテスクなものを見せます」スッ

マヤ「あ、やっぱりその、手」

シンジ「昨日、包帯をとっちゃいましたから。今はもう任意で出し入れできるようになったんですけど、これのせいです」

マヤ「なに、それ? 胎児みたいな形してる」

シンジ「マヤさんが危険な目にあいそうになったあの日。お風呂場で見ましたね、これを」ニギ ニギ

マヤ「ええ」

シンジ「移植されたんです。ほんの一週間ぐらい前。それからしばらくして、力が使えるようになり、発動するときだけ、瞳がこの色に」

マヤ「移植って? 遺伝子操作を行った改造人間のようなものじゃないの?」

シンジ「そんなんじゃありませんよ。僕という個人に別の異物がはいりこんでる状態です」

マヤ「(DNAからいじってるのかと思ったけど、そうじゃないもの調べてたのね、私)」

シンジ「これだけです」

マヤ「待って。それの正体は?」

シンジ「……」

マヤ「そこまで聞いたらいい。お願い」

シンジ「使徒です」

マヤ「なっ⁉︎」ガタッ

シンジ「……」

マヤ「使徒⁉︎ 使徒が手のひらに⁉︎ う、嘘でしょっ⁉︎」

シンジ「本当の話です。だから、人では使えない力が使えます」

マヤ「し、信じられない。人体への影響は? そんなことが可能なの……」

シンジ「僕は僕のままでいられてます」

マヤ「それじゃあ――」

シンジ「質問はここまで。約束でしたよ」

マヤ「……」

シンジ「自分で調べるなんてマネもしないでください」

マヤ「……わかった。約束、だもんね。でも、平気なの? その、本当に、体調とか」

シンジ「今のところは。衝動もそのせいで」

マヤ「使徒の仕業だったの。だから……でも、司令がそう命令して」ブツブツ

シンジ「そろそろつらくなってきました。お話はそれぐらいでいいですか?」

マヤ「ごめんなさい、つらい思いをさせて」
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 00:57:13.20 ID:MU2fcSbCo
オッ
514 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/09/17(日) 05:03:37.74 ID:F3jrjWUV0
【第三新東京都市 弐号機 格納庫】

カヲル「赤く染め上げられた拘束具、まるで道化師。……この子の魂は殻に閉じこもったままなのか」

ユイ「キレイでしょう」コツコツ

カヲル「……」

ユイ「夜更けになんのご用?」

カヲル「アダムから産まれたコレを見にきたくて」

ユイ「あなたにとっては、ただの模造品でしょ? デッドコピーと言うべきかしら。構造について興味があるの?」

カヲル「面白い。そんなところかな」

ユイ「好奇心、ね。アダムの魂、生き写しなだけはある」

カヲル「……」

ユイ「昼間の使徒へは静観の構えとします」

カヲル「なぜ?」

ユイ「バカバカしいからよ。過剰防衛をするのが。あなたのいたずら……火遊びだった? 付き合うのなんて嫌」

カヲル「そうやすやすと騙されてくれないね」

ユイ「人は、使徒だけじゃない。多くの脅威に晒されている。それでも、破滅するとわかっていながら尚、歯車を止められない」

カヲル「愚かだ。使徒というわかりやすい外敵が襲来しても、各地で起こる紛争、代理戦争は止むことを知らない」

ユイ「そう仕向けられてるから。情報操作、プロパガンダをばらまいて意図的に大衆を誘導し、操作している」

カヲル「情報化社会の弊害だね。あらゆる方向性から正しいと思うことは歪められ、また、常に変化し、狂う」

ユイ「13年前、葛城調査隊に発見されてからロンギヌスの槍を使用して……バラバラにされた記憶はあるの?」

カヲル「いいえ。目が覚めたら、というよりも意識があるのはこの肉体の中だけ」

ユイ「シンジの中にある、再構築したアダムは?」

カヲル「そのものだよ。使徒のもつ特殊能力、その中でもとりわけ神に近しい存在であるアダムにとって再生など造作もない」

ユイ「初号機もできるでしょうね」

カヲル「あの紫色の機体はリリスをベースに改修しているんだったね」

ユイ「シンジ同様、初号機も実物に近しいモノよ」

カヲル「しかし、オリジナルのリリスはここの地下奥深くに……」

ユイ「……」

カヲル「――……まさかっ⁉︎ そうか、そういうことか」

ユイ「核心とも言える部分を告げたのには理由があります」

カヲル「……」

ユイ「私達の眼前にいる弐号機パイロットであるセカンドチルドレン。彼女を、殺めてほしいの」

カヲル「あなたの権限を使えば赤子の手をひねるよりも簡単に遂行できるでしょう」

ユイ「シンジに悟られるわけにはいかない」

カヲル「……」

ユイ「あくまで、あなたがやったと思わせる」

カヲル「予定を繰り上げるつもりか」

ユイ「局面を分ける一手。そのひとつを打つ時がきたのです」
515 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 05:32:39.87 ID:F3jrjWUV0
【翌日 ミサト宅 リビング】

アスカ「ふぁ〜ぁ。ねむぅ」

ミサト「どひゃー! 寝坊しちったぁ!」ガタガタ

アスカ「……ごはん、炊飯器」カパッ

ミサト「化粧ポーチどこやったっけぇ! アスカぁ〜! 見てない〜?」

アスカ「んぁ?」

ミサト「だぁ! だめだこりゃ、えーと、ここでもないそこでもない……あった!」

アスカ「間に合うの?」

ミサト「車の中で化粧するわ! 今日は絶対に遅刻できない日なのよ!」

アスカ「遅刻していい日なんてあんの」

ミサト「言葉のあやでしょーが! っと、いけない! 戸締りあとよろしくぅ!」シュタ

アスカ「おかず、おかず」

ペンペン「クェー」

アスカ「ペンペンのも……」

ペンペン「クェッ! クァーッ!」クイクイ

アスカ「はいはいわかったから。慌てなさんなって。食い物は逃げやしない――」

ペンペン「クェー!」コト

アスカ「あんた! その人形どこから……あたしの部屋に入ったのね!」パチン

ペンペン「……クェー」

アスカ「っとに、油断も隙もあったもんじゃない、シャチの群れの中に放りこむわよ」

ペンペン「クェッ⁉︎」ガタガタ

アスカ「ママ? 大丈夫?」ヒョイ

ペンペン「クェー?」

アスカ「これはね、ママからもらった大切な大切な形見なの。いい? わかった?」

ペンペン「クェッ!」ビシッ

アスカ「返事だけはいっちょまえなんだから。本当にわかってんの? ……ペンギンに言うのも変な話か」

ペンペン「クェー!」
516 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 11:08:15.49 ID:F3jrjWUV0
【早朝 下駄箱】

アスカ「……?」スッ

ヒカリ「あっ、アスカも今ついた所? おはよう」

アスカ「おはよ」

ヒカリ「手に持ってるのって、手紙? ラブレター?」

アスカ「下駄箱っていうおあつらえ向きのシチュエーションじゃそうなんじゃない? 中身は読んでないけど」

ヒカリ「わぁ、すごいな。あれ? でも転校してきた頃は連日そうだったような」

アスカ「最近はめっきり数減ったわね」

ヒカリ「それ、読むの?」

アスカ「捨てようかと」

ヒカリ「せっかくだし目を通すだけでもしてあげたら? 気持ちがこもってるのに」

アスカ「なんか、呪われそう」

ヒカリ「そう?」

アスカ「顔もわからない相手に想われてるってだけで気味が悪いもんでしょ、普通は」

ヒカリ「アスカはモテてるから。モテない人の気持ちがわからないんですよーだ」

アスカ「ヒカリは得体の知れない相手からもらって嬉しいの?」

ヒカリ「あ、相手によるかな?」

アスカ「ふぅ〜ん」

ヒカリ「恋愛は、してみたいし……」

アスカ「じゃあ、いる? これ」

ヒカリ「なんでそういう話になるのよ! アスカ宛てでしょ!」

アスカ「案外わかんないかも」

ヒカリ「わかるわよ! どう見たら間違えるの!」

アスカ「じょーだんだって」

ヒカリ「もう! 私だって、いいなって想う人、いないわけじゃないし」ボソ

アスカ「なんか言った?」

ヒカリ「ううん、なんでもない。それより、どうするか決めた?」

アスカ「はいはい。読めばいいんでしょ、読めば。こんなの書いてあるのといえば決まり文句よ。どうせお世辞、一目惚れ、告白――」ガサガサ

ヒカリ「読んできちんとお断りすればいいじゃない」

アスカ「……これって……」

ヒカリ「どうしたの?」

アスカ「いつ? いつ下駄箱にいれたの?」キョロキョロ

ヒカリ「アスカ?」

アスカ「なんでもない。ヒカリ、今日の昼休みは一人でご飯食べてくれない?」

ヒカリ「いいけど……大丈夫? 顔色、悪いよ?」

アスカ「平気」グシャ
517 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 19:40:37.66 ID:/iWRPHOj0
【ネルフ本部 模擬体室】

マコト「ポジトロンスナイパーライフルの実機データ、入力完了。仮想敵、スタンバイ」

シゲル「了解。シミュレーションシステム、スキャンのプロセスを335までを省略」

マヤ「……」

マコト「おい、マヤちゃん」

マヤ「あっ、りょ、了解です。データローディング開始します」

リツコ「レイ? 調子は?」

レイ『問題ありません』

リツコ「大丈夫、プログラムの指示通りにやればいい。ディスプレイにターゲットがでたら、射撃ボタンを押して。なるべく早く、できる限り直感的にね」

レイ『はい』

リツコ「テストスタート」

マコト「20秒前、テンカウントよりはじめます」

マヤ「了解」

シゲル「15秒前」

マコト「10秒前……9.8.7.6.5.3……――投影開始」

レイ『……』カチ

リツコ「……? どうなってるの? なにも反応がないわ」

マヤ「待ってください。システムコード、エラー。プログラムが強制終了しています」

リツコ「バグ? エラーコードは?」

マコト「E1056辺りで……」

リツコ「躓く箇所ではないはず」

シゲル「だとすれば、物理的なパーツの劣化かな。コンデンサがショートしているのでは?」

リツコ「メンテナンスは怠らないように言ってあるのに。主要製品ラインの部署に至急、確認をとって」

マコト「了解」

レイ『(電子機器に干渉してる。来るのね、彼)』
518 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 19:57:51.26 ID:/iWRPHOj0
【第壱中学校 教室 昼休み】

アスカ「……」スッ スタスタ

トウジ「なんか今日はピリピリしとらんか。あいつ」

ヒカリ「鈴原……。やっぱり、わかる?」

トウジ「なんとなくなぁ。眉間にこぉ〜んなしわよっせたら誰でも気がつくわい」

シンジ「どうしたの? トウジ。購買のカツサンド売り切れちゃうよ」

トウジ「訂正。シンジ以外はな」

シンジ「なんだよ、いきなり」

ヒカリ「あの、碇くん」

シンジ「……?」

ヒカリ「アスカの、様子がおかしいの」

シンジ「そうなの? 僕は気がつかなかったけど」

トウジ「まぁいっつも顔つき合わしとるからのぉ」

ヒカリ「今朝、下駄箱に手紙があって。それから様子が変なの」

シンジ「手紙?」

ケンスケ「ラブレターかぁ?」

ヒカリ「余計な横槍いれないでよ。うん、なんだか顔色が悪くて」

シンジ「ふぅーん」

ヒカリ「――あの、もしよかったら」

シンジ「……!」キョロキョロ

トウジ「おっ、なんや? ハエでも飛んどったんか」

シンジ「(この感じ。これは、アダムの……)」

マナ「シーンジくん! 一緒にお昼」

シンジ「みんなごめん、僕、ちょっと用事できたから」タッタッタッ

マナ「って……」

ヒカリ「碇くん!」

ケンスケ「なんだぁ、あいつ?」

トウジ「腹でも痛くなったんちゃうか」

マナ「……」シュン

トウジ「ところで霧島さま! そのお弁当はもしかして余ってしまったりするのでしょーか!」

マナ「え? これ?」

トウジ「はい!」

ヒカリ「あ、す、鈴原。もしよかったら」

マナ「あげないわよーだ! べーっ!」

トウジ「そんなご無体な!」

ヒカリ「だから、私の……」

ケンスケ「青春だねぇ」
519 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 20:32:26.81 ID:/iWRPHOj0
【体育館裏】

アスカ「どういうつもり⁉︎」

カヲル「……」スッ

アスカ「見ない顔ね……? 別のクラス? 上級生かしら。どうでもいいわ。この手紙!」ブンッ ポイッ

カヲル「気に入ってくれたかい?」

アスカ「“ママについて知りたければ来い”ですって⁉︎ あんた、何者よ!」

カヲル「その質問でいいの?」

アスカ「……?」

カヲル「この場合、目的と動機。この二つに分けられるんじゃないかな。キミが知りたいのは、ボクが何者であるのか。それを知りたいと?」

アスカ「なに言ってんの、こいつ。……さては、戦自? どうりで見ない顔だわ」

カヲル「ボクの質問にまだ答えていないよ」スタスタ

アスカ「そんな必要ないわ。もう我慢ならない、とりあえず、ママを引き合いにだしたあんたは」

カヲル「……」トンッ ビュ

アスカ「――っ⁉︎ なに、はやっ⁉︎」

カヲル「ここまでノコノコとやってきて減らず口ばかり」ガシッ

アスカ「がっ、かはっ⁉︎」

カヲル「驚いたかい? この肉体は容れ物とはいえ、人間相手ならこの程度。キミは最初の質問で“ボクが何者か”ではなく、“ボクがなにをしにきたのか”を聞くべきだったんだ」ググッ

アスカ「(ぐっ、この力、やばっ、首をしめられ)」

カヲル「そうしたら――キミを殺しにきたと教えて逃げられたかもしれないのに」

アスカ「うっ! ぐっ」ブンッ

カヲル「おっと。威勢がいいね、呼吸もままならないだろうに、膝蹴りとは。はやく苦しみから解放されるよう首の骨を折って――」

シンジ「アスカッ!!」

アスカ「し、ん……」

カヲル「そうか、やはり共鳴したのか」

シンジ「か、カヲルくん⁉︎ な、なにやってるんだよ!」

カヲル「見ての通りだよ、待ってて、もうすぐ終わる」ググッ

アスカ「あぁぁっ、うっ」ミシ

シンジ「や、やめてよ! カヲルくん!」ダッダッダッ ドンッ

カヲル「……」ヨロ

アスカ「げほっ、げほっ、おぇ、おぇえっ」

シンジ「アスカ、大丈夫?」スッ

カヲル「急激に酸素を吸い込むからそうなる。それは賢い選択とは言えないな」

アスカ「ぜぇ、ぜぇ」ギロッ

カヲル「シンジくん、無用な情けは彼女を苦しめるだけだよ。ラクに死なせてあげなくちゃ」

シンジ「どうしてこんなこと」

カヲル「ボクはね、彼女を殺しにきたんだ」

シンジ「……⁉︎ き、キミがなにを、言ってるのかわからない、がはっ!」ズザザー

カヲル「まだ回復するまでに時間がかかる。そうだろ? 惣流・アスカ・ラングレー」

アスカ「……」チラ

シンジ「うっ、ぐっ」

アスカ「蹴りだけであんなに飛ぶもんなのね。シンジがいくらヤワといってもありえない」

カヲル「彼に危害を加えるつもりはなかったんだ、ただ、邪魔だからね」

アスカ「(ちくしょう、足に力がはいらない……!)」グッ
520 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 20:51:41.88 ID:/iWRPHOj0
カヲル「言ったはずだよ」スッ ガシッ

アスカ「あうっ」

カヲル「キミになにか恨みがあるわけじゃない。だから、苦しませずに送ってあげたいんだ」

アスカ「じょ、じょーだんじゃないわ。私は死なない! 死んでたまるもんか!」

カヲル「残念だけど、ここで死ぬんだ。そして、シンジくん。キミは自分の無力さを呪うがいい」

シンジ「あす、かぁっ!」ググッ

アスカ「なにそれ、当て馬みたいじゃない」

カヲル「聞いていた通り。察しは悪くないみたいだね、残念だ」

アスカ「うっ!」

カヲル「……」ググッ

アスカ「(こんな呆気なく、突然、終わり? 私の人生、こんなとこで……)」

シンジ「……!」

アスカ「(こんな、こと、なら、もっといろ、いろ……やっときゃ、よかった。加持さんと)」

シンジ「アスカ……!」ヨロヨロ

アスカ「(――い、しき、視界、ぼや、け……ま、ママァ)」

シンジ「は、離せ!」

カヲル「……っ⁉︎」ピクッ

シンジ「――アスカを、離せっっ!!」ダッダッダッ

カヲル「くっ」パッ

アスカ「うっ」ドサ

シンジ「そこだ!」ブンッ

カヲル「なにっ⁉︎」ドンッ

アスカ「げほっ、げほっ、うっ、げほっ」

シンジ「はぁっはぁっ」

アスカ「し、シン……ジ?」

カヲル「驚いた。まさかこんなにも同化が進んでるとは。……容れ物のボクと、オリジナルのキミ。肉体の差か。まんまとマウントをとられてしまったよ」

シンジ「……」ガシッ

カヲル「それで? 馬乗りになってどうするつもりなんだい?」

アスカ「はぁ、はぁ、うっ、けほっ」
521 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 21:09:34.86 ID:/iWRPHOj0
シンジ「よくも、よくも」ゴス ゴス ゴス

カヲル「……っ! ぐっ、がっ」

シンジ「くっ、クックックッ」ゴス ゴス ゴス

アスカ「ちょ、ちょっと、シンジ」

シンジ「よくも、ヤッタナ! 容れ物の分際デ!」ゴス ゴス ゴス

カヲル「……」ピクッ ピクッ クテ

アスカ「ま、まずい⁉︎ シンジ! やめなさいよ!」

シンジ「取れないんだよ、L.C.Lの血の匂いが!」

アスカ「シンジ! あたしはもう大丈夫だから! それ以上はだめ! シンジったら!」

シンジ「いつもいつもいつも、関係ない人を巻き込んで! なんでいつも僕ばっかり!!」ゴス グシャ ゴス

アスカ「(くっ、足、動け、動け動け動け)」ヨロヨロ

シンジ「もうたくさんなんだ! 誰かが死ぬのは! なんで僕をこんな目に! どうして!!」ゴスッ ゴスッ

アスカ「シンジっ! やめて!!」ヨロリ ドサ

シンジ「はぁ、はあっ……アスカ?」ピタッ

アスカ「そうよ、私よ。大丈夫だから」ほっ

シンジ「いや、違う」

アスカ「……?」

シンジ「ボクは、ダレだ? 僕は、僕は」

アスカ「し、シンジ? あんた、一体、瞳の色……」

カヲル「そのまま衝動に身を任せていればいいのに」

シンジ「……!」ギョ

カヲル「詰めが甘い」グッ

シンジ「がはっ!」

アスカ「う、うそぉっ⁉︎ な、なんで⁉︎ 顔面血だらけなのよ⁉︎」

カヲル「僕にとっては、死はなにもこわくないんだ。生と死は等価値ではないからね。痛みも」

アスカ「こ、こいつ、なんなの」

カヲル「未知の領域だろうね。キミには。だけど、ほら。片割れである彼にとっては――」

シンジ「……」ムクッ ユラァ

カヲル「そう来なくちゃ」
522 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 21:34:24.40 ID:/iWRPHOj0
シンジ「――はぁぁぁっ!!」ズザザー

カヲル「(その調子、勢いに身を任せてるんだ。シンジくん)」

シンジ「うぁぁあああっ!!」ゴンッ

カヲル「っ!」ドガシャァ

アスカ「扉が。て、鉄製なのよ、それ。こ、こんなの、人間の力じゃ」

カヲル「ふふっ」

シンジ「はぁっ、はぁっ」

カヲル「冷静に見ればまだ弱い。それでもアダムの鼓動を脈々と感じる」ガシッ

シンジ「うっ」

カヲル「スタミナの面に課題が残るね。まぁ、それもゆくゆくは解消されるだろうけど。どうだい? 人にして人ならざる者へと変わっていく心境は」

シンジ「き、気持ち悪いだけ、だ」

カヲル「手に有り余る力だから? 使いようによっては、リリンが用いる科学よりも強力だよ」ググッ

シンジ「ぐっ!」ミシ

カヲル「もっとも、今のままじゃ単なる強力なイチ兵士といった程度か。うん、気が変わった」

シンジ「な、なにを……言って」

カヲル「ボクを彼女を[ピーーー]。その目的に変化はない。だけど、過程を楽しもうと思う」チラッ

アスカ「……!」

カヲル「シンジくんが彼女を守るんだ」

シンジ「……?」

カヲル「そこのキミ。今後は僕に殺されないように気をつけて。あぁ、ちなみに誰かに喋った場合は即座に[ピーーー]。ボクには契約があるから」

アスカ「脅し?」

カヲル「事実だよ、これは。試してみるかい? 命がけで」

アスカ「……」

カヲル「三人だけの秘密にしよう。さて、そろそろ騒ぎを聞きつけて人が集まってきそうだ」パッ

シンジ「うっ」ドサッ

カヲル「ボクにもシンジくんの可能性を見せてほしい。ああ、今わかった。ボクはキミに会うために生まれてきたんだね、ええと、ハンカチは、と」フキフキ

アスカ「……」

カヲル「また今度会おう」スタスタ
523 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 21:35:59.52 ID:/iWRPHOj0
コマンドは発動してるんでレスしなおし
524 : ◆y7//w4A.QY [saga]:2017/09/17(日) 21:36:54.40 ID:/iWRPHOj0
シンジ「――はぁぁぁっ!!」ズザザー

カヲル「(その調子、勢いに身を任せてるんだ。シンジくん)」

シンジ「うぁぁあああっ!!」ゴンッ

カヲル「っ!」ドガシャァ

アスカ「扉が。て、鉄製なのよ、それ。こ、こんなの、人間の力じゃ」

カヲル「ふふっ」

シンジ「はぁっ、はぁっ」

カヲル「冷静に見ればまだ弱い。それでもアダムの鼓動を脈々と感じる」ガシッ

シンジ「うっ」

カヲル「スタミナの面に課題が残るね。まぁ、それもゆくゆくは解消されるだろうけど。どうだい? 人にして人ならざる者へと変わっていく心境は」

シンジ「き、気持ち悪いだけ、だ」

カヲル「手に有り余る力だから? 使いようによっては、リリンが用いる科学よりも強力だよ」ググッ

シンジ「ぐっ!」ミシ

カヲル「もっとも、今のままじゃ単なる強力なイチ兵士といった程度か。うん、気が変わった」

シンジ「な、なにを……言って」

カヲル「ボクを彼女を[ピーーー]。その目的に変化はない。だけど、過程を楽しもうと思う」チラッ

アスカ「……!」

カヲル「シンジくんが彼女を守るんだ」

シンジ「……?」

カヲル「そこのキミ。今後は僕に殺されないように気をつけて。あぁ、ちなみに誰かに喋った場合は即座に[ピーーー]。ボクには契約があるから」

アスカ「脅し?」

カヲル「事実だよ、これは。試してみるかい? 命がけで」

アスカ「……」

カヲル「三人だけの秘密にしよう。さて、そろそろ騒ぎを聞きつけて人が集まってきそうだ」パッ

シンジ「うっ」ドサッ

カヲル「ボクにもシンジくんの可能性を見せてほしい。ああ、今わかった。ボクはキミに会うために生まれてきたんだね、ええと、ハンカチは、と」フキフキ

アスカ「……」

カヲル「また今度会おう」スタスタ
525 : ◆y7//w4A.QY [sage]:2017/09/17(日) 21:38:39.12 ID:/iWRPHOj0
ちょっと前まではsagaで大丈夫だったのにダメになってる
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 21:43:34.92 ID:2p0hn3Gao
あれ?sagaで入らない?
もしかして大文字になってるとか?
1189.69 KB Speed:0.3   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)