七尾百合子は空想から恋する

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6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 20:13:11.34 ID:KwRwNAaZO



 百合子が俺に対して好意を向けてくれている事は(何故か自宅にいるくらいだし)分かりきっていた。
 そして俺も、百合子に対して好意を向けていないと答えるのは嘘になる。
 尚且つ今なら、俺からの想いを伝えなくてもキスが出来るのだ。
 都合が良過ぎて、逆らう必要性は全くない。

「……百合子、一回ストップ」

「……え、あっ……はい……」

 流石にストップをかけた。
 なあなあで流れに流されるのはズルい事だ。
 そんな状況でこんな年下の唇を奪うくらいなら。
 きちんとするべき事はするべきだろう。

「……流石にダメ、でしたよね……す、すみません……」

「いや、そうじゃなくて……うん、百合子」

 改めて、両腕を背中に回して百合子を抱きしめる。
 本当はもっと百合子が成長して、その時にきちんと伝えようと思っていたが。

「俺、百合子の事が好きだよ」

「……それは、演技の練習としてのアドリブですか……?」

「演技の練習って事にしたくないから一回止めたんだよ」

 恥ずかしくて、変に誤魔化そうとしてしまう。

「……ようやく、言ってくれましたね……」

 ぎゅぅぅっと、百合子の抱き着く力が強くなった。
 それから、彼女の声が涙に混じる。

「……こんな、ふうに……貴方から言って欲しくて……でも、演技の練習なんて……嬉しくて恥ずかしい反面っ……寂しかったです……」

 そのまましばらく、二人で抱きしめ合っていた。
 胸元にある百合子の頭を撫でながら、俺もまた溜息をつく。
 もしこれで俺が断られていたら、多分立ち直れなかっただろう。
 そんな不安を、百合子はずっと抱えて過ごしていたのだ。

「ありがとう、百合子」

「……夢じゃないんですよね……?私が想い描いた空想(ゆめ)じゃ……ありませんよね?」

「あぁ。間違いなくフィクションだよ」

「……ふふっ。こちらこそありがとうございます、プロデューサーさん。これから一緒に恋しますよ!」

 少しずつ、百合子がいつもの調子を取り戻してきた。
 良かった、百合子はやっぱり少し暴走気味な笑顔の方が似合っている。
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