男「そこは重要事項だ!!」天使「い、今、確かめます!」

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102 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/06/30(土) 21:29:15.87 ID:SPyAV0cI0

〜寝室〜

男「せっかくなので、いつもとちょっと違う体位で」ヨイショ

天使「え?僕が上に?」

男「実は対面騎乗位やってみたかったんだよね」

天使「…僕の体の下に男さんが…なんか不思議、男さんはいつもこんな視点だったのですね」

男「天使は基本的にマグロ、いきなり動けと言っても無理だよな」

天使「ま、マグロ…??」

男「まず準備を…よし、半勃ちの俺のちんこを…お前の股間に押し付けて」

天使「は、はい…手で支えて、と…」

ムニュ

男「おっほ」

天使「…うわ、いきなり、カチカチになっちゃいましたよ」

男「手で支えていいから、擦り付けて?」

天使「こ、こうかな…んっ…」ズリ

ズリ…ズリ…クチュ…
103 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/06/30(土) 21:32:27.08 ID:SPyAV0cI0

天使「…っあ、自分の手だけだと、なんともないのに…」ピクン

天使(男さんの…だと思うと…)

男「…滑りが良くなって来た、続けて」

天使「んっ…んっ…」クチュ…ヌリュ…

男「あっという間に濡れちゃって」

男「天使、そのまま俺のを…お前の中に入れてよ」

天使「…え、ええ…どうやって…?」ハァ…ハァ

男「腰を浮かせて、もっと…そうそう、そして、俺のちんこの真上で…くぱぁして、くぱぁ」

天使「くぱぁ…?確か…こう、でしたっけ…」モゾモゾ

くぱぁ…

男「そう…いい位置だ、そのままゆっくり腰を落として」

天使「は、はいっ…」ハァ…ハァ…

クチュ

天使(あ、先っぽが)ビクッ

…にゅる…ずぶぶ…

天使「あああ…入るぅ…」
104 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/06/30(土) 21:34:36.73 ID:SPyAV0cI0

グチュン

天使「や…あ、一気に…奥まで…っ」ガクガク

男「くふぅ…半月ぶりの感触、きもちぃ…そのまま、動いて…」

天使「は、はい…動きます…」

ずりゅ…ぬち…

天使「んっ…ああ…じょ、上手にできています…か…?」ハァハァ

男「…ああ、上手だ」

男「俺も…腰、浮いちまう…っ」グイ

ずぶん…ゴリュッ

天使「あ、ああ…また奥にっ…!!」ブルブル

おっぱい「たゆん…」

男「あ…」

女天使「あふ…っ、男さん…」ハァハァ

男「挿入中に変化するとはなあ」

男「尻と太腿に弾力がある分、チビ形態より動きやすいと思うぞ?」

天使「が…頑張ります…」ハァハァ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/30(土) 23:24:17.08 ID:ZBLYMLs/O
こんな天使うちにもきてくれないかな
106 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/06/30(土) 23:45:35.99 ID:SPyAV0cI0

天使「あふ…う、あふ…ああ、あんっ…」グッチュズブグッチュズブ

男「ん…調子がつかめて来たかな…いい感じ…うっ」

おっぱい「たゆんっ…たゆんっ…」

男「…絶景…」

天使「はあぁ…あふ…男さ…あふっ…」グッチュズブグッチュズブ

男「天使、お前の中、とろっとろ…なあ…少し、前屈みになれる…?」

天使「はふ…え…こ…こう…ですか?」ヌリュ

こりゅ…

天使「…あっ、あ!?」ビクビクッ

男「クリ擦れて、気持ちいいだろ…?」

ガシッ

天使「ひゃ、お尻、掴んじゃやあ…!!」

男「ほら…この状態で尻を揉みしだかれたら…クリも膣も、捏ね回されて…っ」グニ…グニュ

天使「や、やだ、ああ!や、それ…らめ、ぃやなのぉ…!!」ビクゥ

きゅううう…ぐぷちゅっ

男「うお、膣が纏わりついて、うねって…すげ…」
107 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/06/30(土) 23:53:48.60 ID:SPyAV0cI0

男「…すげ、う、おおっ…!!」

どびゅっびゅるびゅるるる…びゅくびゅくっ

天使「熱いぃ…っ、や、やら、また、あ、あれ来ひゃう…!!」ブルブルッ

ぷしゃっ

天使「ひぃん…い、い、いっちゃういやあああああ…」ガクガクガク

翼「ばささっ…」

ぷしゃ、ぷしゃああ…

天使「う…うう…男さんの上で…あふ…あの変な水を…うう…」プルプル

ちょろろ…ぽた…ぽた…

男「…やっぱ俺、溜まってた…すっげ濃いの…いっぱい出た…」ゼーゼー

天使「はぅ…あふ…ご…ごめ、なさい…男さん…ず、ずぶぬれ…」ハァハァ…

男「…いや、むしろ吹かせるつもりで、挿入しつつのクリ同時責めを…すまん…」

天使「ふ…吹かせるつもり…も、目的だった…?」ハァ…ハァ…

男「はいそうです」テヘヘ

天使「…ば、ばか…男さんの…ばかぁ…」グシュ…ポロポロ

男「あああ、泣くな泣くな…悪かったって」オロオロ

男(…つーか、まだ結合したままなんだが…どうしよう…)

……
108 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/06/30(土) 23:56:31.46 ID:SPyAV0cI0
ここまで…また後日
109 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 17:54:54.40 ID:Tes3l4Iy0

〜翌朝・大学〜

女「男くん、おはよ…今日はお昼一緒に食べよ、天使ちゃんの愛妻弁当見せてね!」

男「見せるのはいいけどやらんぞ、いつも俺の隙をついてつまみ食いしやがって…ところで、友は?」

女「実家から急に呼び出しがあって、それで休むって…」

男「え、でも義兄さんが帰宅するのって今夜遅くだろ?」

女「義兄さんの件じゃないみたい、でも友くんも詳しい事情は聞かされないままで…とにかく来いって」

……

男「友から、あれから連絡あった?」

女「ううん…連絡来ないって事は、大したことじゃないか、重大な事態か、どっちか両極端な気がする…」

男「きっと前者だろう。リア充を絵に描いたようなあいつの家に何事か起こりようがない」

女「…うん…とりあえず、お昼にしよう」

……

男「ったく、あいつやっぱり見るだけじゃ終わらなかった!」カラカラカラカラ

男 「安い肉でも美味しく作れるミルフィーユカツ2切れも掻っ攫うとか、悪魔か」ゴシゴシゴシゴシ

男「しかし、格闘技やってる奴は素早さが違うのかね…俺も何か始めるかな…」ピッ

男 「ガチムチ天使と比べると、わが身の貧相さが情けなくなるんだよな、時々…」ガボジャーザーズゴゴ…

ガチムチ天使「男さん!!」
110 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 17:57:52.16 ID:Tes3l4Iy0

男「あばばばばばば!?!?!?…て、天使!?おま、ここトイレの個室、俺の排便シーン見てたのか!?」

天使「たった今来たところです…落ち着いて、まずはパンツとズボン上げてくれないと目のやり場が」

男「パンツの中身は見慣れてるくせに…で、どうした、巨大ゴキブリでも出たか」モゾモゾ

天使「ごめんなさい、お弁当にお箸入れるの忘れました!!」スッ

男「…あ、あのな…学食で割り箸もらって、何よりもう食い終わったよ…」

天使「え」

男「お前にとっては急を要したんだろうが、そもそも衛生的に考えてトイレで渡すとか言語道断」ガチャ

天使「そうでしたか…」シュン

男「ま、せっかくだから女に会ってけ」

天使「あ…手は忘れず洗ってくださいね」

……

女「天使ちゃん!!…ミルフィーユカツ、ごちそうさま!!」

天使「え?なぜ女さんが…あれ、友さんはお休みですか?」

女のスマホ「〜♪〜♪」

女「友くんだ…もしもし!?…今こっちに向かっているって、私達にも玄関まで出て来て欲しいって…」

男「よし、行こうぜ…天使もこの際だ、来てくれ」

天使「は、はい?」
111 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 17:59:11.39 ID:Tes3l4Iy0

友「すまん2人とも…ああ天使までいるのか、丁度良かった」

男「丁度良かった?」

女「何があったの?」

友「姪が…朝から行方不明なんだ」

男・女「「!!」」

天使「友さんの…確か、お姉さんの娘さん?」

友「幼稚園バスに乗る所までは姉貴が見送り、下車する所も運転手が見ているし、幼稚園の玄関でも複数の教師や園児が姪に会っている」

友「なのに、教室に入る時には『いなかった』」

女「どういうこと…」

友「職員が校舎内と周辺を探したが見つからず、すぐ姉貴にも連絡が来て、父も出勤を取りやめ二人で幼稚園に向かった」

友「そして、園長と話をして警察を呼ぼうとなったが…まさにかけようとした園長室の電話にかかってきた…」

友「『警察に通報したら子供の命はない』この一言だけ」

男「誘拐か!?」
112 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:03:01.87 ID:Tes3l4Iy0

友「母から俺に連絡が来たのはその直後、自宅に戻って来た二人に話を聞いた」

男「幼稚園のセキュリティが甘過ぎるって話だろうが」

友「俺も最初はそう思ったさ…しかし…有り得ないって姉貴も親父も言うんだ」

友「何より決定的なのは、今日は教師の手で園の一日の様子がビデオ撮影されていた」

友「近々引っ越して行く子に渡す、記念品のDVD用の元になる映像で…姉貴達も見せてもらった」

友「画面の端にかろうじてだったが、確かに姪が、ホールで仲良しの子と話をしているのが映っていた」

友「たまたま、相手の子がよそ見をして、姪から目を離し、カメラ以外は誰も姪を見ていない一瞬ができた」

友「…まさにその一瞬、姪の姿は…そこから消えた」

男「…な…」

友「数秒後に録音されていた撮影者の『あれ、姪ちゃんは?』という声を最後に撮影は中断された」

友「姪と話をしていた子も、驚いた顔で周囲を見回していた…だから、幼稚園が嘘をついているのは有り得ない」

女「消えるのはもっと有り得ないでしょ!?」

友「ああ、有り得ない」

友「だから俺は思った、これは幼稚園や警察や家族…人間がどうにかできる事態じゃないと」

男「…天使なら何かわかるかと考えて…だから俺に会うために大学に来たのか?」

友「はっきりそう考えたわけじゃない、だが…他にどうすれば…誰に相談すればよかったんだ…」
113 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:04:31.78 ID:Tes3l4Iy0

女「…」

男「…天使」

天使「…お話だけで、その時に何が起きたかは僕はわかりません」

天使「しかし友さんの記憶を読んで姪御さんの情報を得れば、彼女の居場所が特定できるかもしれません」

友「本当か!?」

男「記憶なんて読めるか!?」

天使「使える条件は限られています、僕に力を貸して欲しい人間が、そのことを強く望んだ場合しかできません」

友「望んでいるよ、お前しか頼れないんだ!!」

天使「では友さん、ちょっと…頭に…触れさせてください…姪御さんのことを強く思い出して」

友「わ、わかった」

天使「…」ソッ…

男「天使…?」

天使「静かに…生まれて初めて使う力なので、集中しないと…」

天使「…この女の子ですね…100%とは言い切れませんが…かなり狭い範囲で居場所が特定できました」

友「ど、どこなんだ!?」

天使「奇妙なのは、一番信号が強く発せられているはずの場だけ、ぽっかり穴が開いたように見えないのですが」

天使「僕が未熟なだけかと思います、それでも、半径30…いえ、10m以内には相当な自信を持てます」
114 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:05:37.71 ID:Tes3l4Iy0

女「そこはどこなの、天使ちゃん!?」

天使「確か、このあたりは上空から眺めた記憶が…」

天使「△△駅裏…人の出入りのない廃墟…青い屋根…他は赤く錆びていますが、そこだけトタンの青色がかなり残っています」

男「かなり近所じゃないか…グー〇ルマップ…青い屋根…廃工場だ、これか!?」

天使「ええ、そこです、間違いありません」

友「姪の他に誰かいるのか?」

天使「それがわからないので…ごめんなさい…僕ならとりあえず気付かれずに近付けます」

友「…頼む、天使…俺も一緒に」

天使「僕の力では自分ひとりしか瞬間移動できません…友さんを抱えて飛ぶならできますが、瞬間移動より遅くなります」

友「それならすまないが、先にお前だけでも行ってくれ、一刻も早く…俺も後を追う」

男「俺達も、だ…俺達も大急ぎで駆けつける、だから早く!」

天使「わかりました!」シュッ

男「…はええな…よし、行くぞ友!行くぞ戦闘要員!!」

女「それ私かよ」

友「本当にすまない、みんな…」
115 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:10:21.07 ID:Tes3l4Iy0

〜廃工場内部〜

天使「…この建物、異様に空気が重い…直接内部へ瞬間移動することもできなかった」

天使「それに、建物の外ではあんなに子供の存在を強く感じたのに、入った途端…身体の五感だけしか働かなくなった…何故だろう?」

幼女「…だあれ…?」クスン

天使「!姪ちゃん!?」

幼女「…だれ?姪のこと、しってるの?」

天使「…確かに姪ちゃんですね?…僕は、友さんのお友達です、あなたを探しに来ました…」

姪「友おにいちゃんの…!?」

天使「…しっ、静かに…そう、お利口さん、いい子ですね」

天使「さあ早くここを出ましょう、友さんも女さんも、男さんも心配していますよ…もちろん、ご両親も」

天使「さあ、立てますか?僕の手を取って」

姪「…おにいちゃん、てんしさまみたい…」

天使(今日は天界の服だものな…友さんの記憶ではミッション系の幼稚園だったし)

天使(…やっぱり瞬間移動の力はここでは使えないようだ)

天使(緊急事態だから翼を見られても構わないけど、おかしいな…翼を出すことも出来ない…抱きかかえて歩いて出るしかない)

天使「とにかくここを早く出ましょう、ほら、あそこの扉から」

姪「…こわい」キュッ

天使「大丈夫、命に代えても守りますよ」
116 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:13:03.76 ID:Tes3l4Iy0

男「ここだな。天使は…まだ中か、くそ、俺のスマホ持たせるべきだったか」

女「きっと天使ちゃんなら大丈夫…それより…ここに警察を呼ぶべき?」

友「…犯人に知れたらまずい…天使を信じよう…」

?「あなた達、ちょっと」

3人「「「!?」」」

?「くだくだ説明している時間はないわ、百聞は一見に如かず!」

男「…な、翼のある女達…こいつら、別の天使!?」

金髪「あの子を受け入れたあんた達なら驚いている時間は無駄!あたし達は修業中の天使の偉大な恩師!!」

茶髪「些細な事態では修業中の天使には我々も干渉できませんが、今回ばかりは緊急事態なのです、どうか協力願います」

黒髪「…」

金髪「だから説明はいいから!男さん!この剣を持って中に突入して!女さんはこの杖!友さんはこの鎖!」ジャラ

男「剣以外は鉄筋と自転車のチェーンだが」

金髪「人数に合わせて現地調達したの!全部あたしらの法力を注入しているから大丈夫!」

茶髪「説明している時間はありませんが、私達がこの中で戦う事は出来ないのです」
117 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:15:18.40 ID:Tes3l4Iy0

茶髪「しかし貴方達3人の安全は保証しますから、どうか…天使を助けてください」

女「天使ちゃんを…どういうことよ!」

茶髪「中にいるのは恐るべき天使の敵です。私達でも直接対峙は困難、ましてや修業を始めたばかりのあの子ではどれだけ危険な相手になるか」

友「…そんな、中には小さな子供が、俺の姪がいるんだ」

金髪「子供なら大丈夫、あいつら人間に『直接』手は出せないから!早く!あんた(男)の天使がどうなってもいいの!?」

男「…!!」ダダッ

女「男くん!?」

友「男!」

金髪「…行ったか」

茶髪「金ちゃんの強い押しが役に立ったわ…」

黒髪「…」

茶髪「私達はここに控えていましょう…願わくば、無事に出て来れますように…」
118 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:18:17.66 ID:Tes3l4Iy0

〜3人が到着する少し前〜

天使「足が動かない…いったい、この人物は…?」

?「ごく微弱な下級天使の波動をこのガキから感じたので攫ってみたが…見事にかかったな」

天使「あなたは…何者…」

姪「お、おにいちゃん…」ギュウウ

天使「こ、この子には手を出さないで…すぐ外に出してあげてください…」

?「なあに、俺は人間の肉体には直接危害を加えることはできないから、安心しな」

?「ただ…ここでこれから起こることを見届けてもらうだけさ」

天使「!?」

?「しまい込んだままじゃ窮屈だろ?『羽根を伸ばさせて』やるよ」指パチン

ばささっ

天使「翼が勝手に…!」

姪「!!」

?「嬢ちゃん、さっき『天使みたい』と言ったが、みたいどころか『本物』さ」

?「ただし…教わったような、なんでもできる万能な存在じゃないんだ…この下っ端天使は、な」

姪「…ほんものの…てんしさま…」
119 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:20:35.75 ID:Tes3l4Iy0

?「嬢ちゃんはちょっとどいてもらおうか」ヒョイ

姪「やだあっ…!」ジタバタ

天使「や、やめろ!!…う、手も足も動かせない…!!」

?「何もしねーって…ほれ、ここに座ってな…ただ、見ててもらうだけさ」ポテッ

?「ちょうど壁を背にしているな、防御のつもりだろうが…こっちも作業が楽になるね」

?「…さてと…天使の翼…ここが骨だから…肉がついているのはこのへん、ふむ…」ツツ

天使「さ、触るな…」ゾワワ

天使(翼を指でなぞられているだけなのに、すごく不快だ…気持ち悪い…)

?「見な、こっちはここで拾った金槌、こっちは駅の裏で拾った犬釘…古いから、ちょっと磨いて尖らせてあるが」

天使「な、何を」

?「まずは右ね」

ガンッ

天使「…!!」

姪「きゃあああ!!」

?「血は噴き出たが声は出ねえか…せっかくだ、もう少ししっかり打ち込んでやろう」

ガンッガンガン

天使「あああああ」
120 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:25:29.63 ID:Tes3l4Iy0

?「見た目そっくりな鳥の翼とはまるで構造が違ってて…無理な姿勢や不自然な形でも痛みを感じない造りになっているので、簡単に負傷しないとか」

?「そうやって傷が付きにくい代わりに、傷付いた時はとんでもない激痛らしいな、お前らの翼は」

天使「…や…やめ…やめ、て…」

?「どうだ、釘の味は?右の翼を穿てば左も差しだせ、ってね」

ガン…ガン…ガン

天使「あ、あがぁ…」

姪「…」ガクリ

?「ガキはもう早や気絶しちまったか…まあいい、充分ショッキングな光景を目に焼き付けただろ」

?「天使の血か」ヌチャ

天使(なんだ…僕の血を自分の両手に塗り広げて…眺めてる)

?「…へえ、修行期間に入ったばかりの、ほんのガキ天使か」

天使「!?」

?「…くくく、傑作だ…神の試練とやらは『相変わらず』いい加減だなぁ、おい」

天使「き、記憶を…血液から、記憶を読んで…!?」

?「…は、はは…ははははは!しかもガキのくせに…とんでもねえ天使だな!!」

天使「…!!」ゾワゾワッ

?「試練だけなら仕方ないと言い訳できるが、その後も人間のチンポで涎垂らしてよがってるド淫乱じゃねーか」

天使「う…あ、ああ…」ガクガク
121 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:28:54.92 ID:Tes3l4Iy0

?「こんないやらしい子には、お仕置きだ」指パチン

ググ…ッ

天使(羽根が勝手に閉じて、身体が持ち上がる…!)

?「足が浮いたな、無駄にでかい図体を翼で…この骨で釘にかかる体重を支えられるかな?」

ミシミシ…パキッ…

天使「ぐ」

?「左側の骨が折れたか、意外と軽い音だね」

ズル…ブチブチブチィ

天使「ひい…」

?「身体がずり落ちて、釘から骨に沿って肉が裂けてちまった…どれ、左右のバランスを取って、右は俺の手で」

ベキベキ

天使「あああああああ」

?「おっと、力加減間違えて2箇所折っちまった…ついでだ、こっちの肉も少し裂いてやろう」

ギリ…ミチミチ…

天使「…ひぎぃ…」

?「これでも気絶しないか、しぶといな…未熟な精神に比べて肉体が頑丈過ぎるようだな」

天使「…な…ぜ…あな…た、は…」
122 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/01(日) 18:32:42.05 ID:Tes3l4Iy0

?「おい坊や、まだ俺が人間だと思うか?ただの人間に天使が傷付けられるか?」

天使「…」

?「認めたくないんだろ、目の前の現実を…地上に降りるまで、天界でぬくぬく大切に育てられた天使の小僧…」

天使「…い、いや…やだ、怖…い、怖い…」ガタガタガタガタ

?「…お前は…どうしたら女の姿になるのかね」

天使「!!」

?「最終的には翼も手足ももぎ取る予定だったが、『あれ』を見たら少し惜しくなった」

?「1回でもお前のオマンコ味見させてくれたら、解放してやるよ」

天使「…こ、子供は…先に子供を…」ガタガタ

?「この状況で強がるか…どっちにせよ人間のガキに何も用はない、そのうち誰かが見つけてくれるさ」

?「それよりお前を女にする方法だ…もう少し血に触れて、記憶の細かい所を読むか…」

?「傷口を広げて…噴き出たばかりの新鮮な血を」

グジュ…ブチブチ…メリッ

天使「…」ガクリ

?「ようやく気絶したな」

ガチャ…ドバターン!!

男「天使いいいいいいい!!!!」
123 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/07/01(日) 18:34:08.83 ID:Tes3l4Iy0
気が付けばガチムチのリョナになってた。ごめんね
今度こそまた後日
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 22:31:05.06 ID:Rw3HBng2O
乙 
このまま二度と飛べないみたいなことにならないのを祈る
125 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/02(月) 22:24:17.16 ID:2ZSsFs/b0

?「人間だと!?気配に気づかなかっ…加護の力…天界がもう動いたか、ちっ」

友「姪!!」

女「姪ちゃ…天使ちゃんっ!?」

男「え」

天使「…」

女「…翼がズタズタ、血まみれ…ひどい…」

男「…うわあああああああああああああああ!!!!!!!」

?「ん…こいつ、天使の記憶で見た…」

男「貴様あああああ!あいつに何をしやがったあああああああ!!」

?「ああ、面倒だな!人間には手を出せん」

ブンッ!

?「ちっ、天界の剣を出鱈目に振り回しやがって」ヒョイ

?「ここは退くか…その前に、仕上げ…っと」指パチンパチン

天使「」ビクン!

天使「…」ガク…

?「呪いをぶっかけてやった…普通の傷じゃ、他の天使がすぐ治療できちまうからな」

?「おい人間の小僧…俺はお前らの言う『悪魔』だ」
126 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/02(月) 22:25:46.67 ID:2ZSsFs/b0

男「悪…なっ!?」

自称悪魔「もっと知りたきゃ外で待ってる腰抜けどもに聞け、じゃあな」

スッ…

男「き、消えた…!?」

釘「ボロリ」

天使「」グラ…

女「天使ちゃん…!」ガッシリ

女「…お、重っ…」ズッシリ

友「…姪…怪我はないようだが…」

女「友くん、早く姪ちゃんを外へ…男くん…こっち手伝っ、手伝え!」ズル

男「はっ…て、天使っ…!」ダッ

女「外に運ぼう…天使ちゃんの先生達が待ってる」
127 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/02(月) 22:27:21.65 ID:2ZSsFs/b0

〜廃工場の外〜

茶髪「建物を覆っていた瘴気が消えた…でも、この近付いてくる瘴気は?」

黒髪「…!」

金髪「ちょ、あの子…!」

女「ふうはあ…に、逃がしちゃった、あの怪しい男…っ」

茶髪「すぐに追い払えただけでも充分です…子供さんは無事ですね?」

友「あ、ああ…気を失っているが、怪我はなさそうだ…」

金髪「うわーー、何これ…全ての傷に『呪い』をたっぷり擦り込まれているじゃない!」

男「え…?呪い?」

金髪「天使専用の呪いだから、あんた達人間は何も感じないの…黒ちゃん、手当を!」

黒髪「…」コク

茶髪「待って、ここでは無理…まずは全員どこかに瞬間移動しないと」

金髪「どこかって一か所しかないでしょ、あたしがいつも覗k…見守ってた男さんの部屋!!」

……

〜男のアパート〜

金髪「どう、黒ちゃん…?」

黒髪「…」
128 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/02(月) 22:29:13.75 ID:2ZSsFs/b0

金髪「…うん、傷口の応急処置は済んだって…翼は収納して…体内で修復が済むまで出さないように」

金髪「このあと必ず熱が出るけど、傷の毒素を浄化して肉や骨を繋ぐ際の作用だから、放置するしかないからね」

子供天使「…」グッタリ

女「え…天使ちゃんが小さく…子供の姿?」

金髪「この体の方が少しでも早く回復するのよ、省エネとかエコモードとでも言えばいいのかしら」

女(…この状況で不謹慎だけど、可愛い…いつもの姿もマッチョ可愛いけど)

男「なあ、あいつ悪魔と名乗っていたが…あんた達は知ってるのか?」

金髪「…説明は茶ちゃんの役目だけど、奴の狙いは修行中の天使、そして昔、あたしらと関わった相手」

金髪「基本的には『遊びで』嫌がらせを仕掛けて来る奴だけど、今回は…数十年ぶりの大きな被害…だね…」

男「…くそ…なんで…こいつなんだよ…」

黒髪「……」

茶髪「大丈夫、女の子はどこも無傷」

茶髪「でも…天使が傷めつけられる場面を見て、それが強い恐怖として残っている」

友「ど、どうにかならないのか?」

茶髪「記憶を消去しましょう、強い恐怖の記憶を」

友「頼む、頼みます…」
129 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/02(月) 22:34:04.01 ID:2ZSsFs/b0

茶髪「攫われた時の記憶も、友達と話していたらいつの間にか廃工場にいた、という内容だった」

茶髪「そこから先を丸ごと消せば、恐ろしい記憶と共に誘拐犯の顔も忘れるけど…それでもいいかしら」

友「警察がどうにかできる相手じゃないんだろ?それなら、それでいい…」

茶髪「…終わり…明朝まで目を覚まさないようにしてあるから、このままお母さんの所へ」

友「ありがとう…天使は…、…っ!?」

友「…男、これが…お前の言う子供の姿の天使なのか」

男「…ああ」

女「友くんは姪ちゃんを連れてすぐ帰った方がいい」

友「…そうするよ…男…天使、すまない…」

金髪「巻き込まれたのは女の子の方みたいだけど」

友「そうであっても天使は姪を助けに向かってくれた、頼んだのは俺だ」

女「ご家族にはどう説明するの?」

友「廃工場で倒れている所を見つけた、と話すよ」

友「無理あるかもしれないけど、連れ込む所を見た目撃者がいたと…お前達も現場にいなかった事にしてほしい」

男「わかった」

友「…男…ごめん、助けに来た天使の事も姪は忘れてしまうが…辛い記憶は思い出させたくない」
130 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/02(月) 22:38:52.72 ID:2ZSsFs/b0

男「天使も姪ちゃんが苦しむことは望まないよ」

女「こっちは…まかせて?大丈夫…天使ちゃんには男くんがいる」

友「ああ…女、頼んだ」

ガチャ…パタン

茶髪「2人とも、そっちはどう?」

金髪「ひどいの、骨が三か所も折れて肉が二か所大きく裂けて…ああ、ぞーっとする!」ブルブル

茶髪「…よく助けが来るまで頑張ったわね…遅れてごめんね…」ナデナデ

男「俺達はよくわからないけど、天使の翼が傷つくのはそんなに重大なのか?」

金髪「人間だったら…即死じゃないけど致命傷になりかねない部位の内臓損傷みたいなもん」

男「た…助かるのか…?」

金髪「今はどっちとも断言できないよ」

男「…っ」ギリッ

金髪「しかも刷り込まれた呪いが陰湿な性質(たち)でね」

金髪「傷の治りを遅らせながら体力を削るの、本人の回復力との追い掛けっこだね」

女「あの悪魔とやら…許せない」

茶髪「呪いを可能な限り吸い取るしかないわ…私達3人で分割すれば、かなり軽減できるはず」

黒髪「…」コク
131 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/07/02(月) 22:39:30.82 ID:2ZSsFs/b0
つづくし
132 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/03(火) 21:02:55.69 ID:tBqMuE4Z0

金髪「マジ!?人間は何も感じないけど、あたしら近付いただけで動悸息切れ眩暈を起こすほどの呪いよ!?」

茶髪「だから分け合うんでしょう!?この子はもっと苦しむのよ!!」

金髪「はいは〜い…ま、可愛い教え子のため、腹括るわ」

男「…なんかよくわからんが、それだったら…俺が全部背負っても」

茶髪「だめです、天使専門の呪いですもの…男さん達は離れていてください」

男「う、わかった…」

女「天使ちゃんを囲んで、3人の天使さんが輝いて」

茶髪「…終わったわ」

男「何か変わったようには見えないけど」

金髪「人間にはわからないってば…あー、すっごい肩が重い、頭痛あい…」

茶髪「これでも、私達が天界に帰れる余力だけは残したのよ」

茶髪「男さん、本来ならこの子にかかった呪い全てを取り除きたかったけれど、私達も下級天使…呪いを分かち合うだけで精一杯」

茶髪「どうにか命に別状ない呪いの量にはなりましたが、この地上では回復するまで時間がかかります」

女「貴女達は大丈夫なの?」

金髪「あたし等は天界で体を洗い清めて、一昼夜も休めばすぐによくなるからね…うー吐きそ…」

男「じゃあこいつも天界に連れて帰ってくれ、その方が早く治るんだろ?」

茶髪「無理です、修業中は何があっても天界には戻れない、本人になんの責もなくても」

金髪「って言うか、修業中に天界に戻っちゃったらもう二度と地上に降りれなくなるの…あんたにも会えなくなる」
133 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/03(火) 21:04:28.73 ID:tBqMuE4Z0

男「…!」

茶髪「大丈夫、必ず回復しますから」

女「あいつ、また天使ちゃんを狙ったりは…」

金髪「過去の行動パターンだと、天界の天使が動けばしばらく鳴りを潜めて隠れちゃうの…小心者の卑怯者よ」

茶髪「念のため、私達と入れ替わりで他の天使が警備に訪れるよう、急いで手配します…」

金髪「あ、お家にお邪魔までしないから気遣い無用よ、あたしらよりは場慣れた天使が周辺パトロールしてくれるの」

茶髪「私達3人はまだ年齢も二桁の若輩者ですから…力不足を痛感します」

男(99歳まで二桁だが…いくつなんだよこのねーちゃん達)

茶髪「私達の誰か…も、明後日にはまたここへ来ます、あの『悪魔』についての話もその時に改めて」

黒髪「…」キュ

男「影の薄いお姉さん、何?…俺の手を握ったりして」

茶髪「あの子をよろしく頼みます、って」

男「言われなくても…だから必要以上に心配すんな」

黒髪「…」ニコッ

男「…あんた?」

金髪「さあ、3人手をつないで、っと…天界に帰るわよ、男さん達、またね…うええもう吐くうううう」

女「…行っちゃった」

男(なんだろ、あの黒髪の天使…前にどこかで会った…ような…?)

……
134 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/03(火) 21:07:01.45 ID:tBqMuE4Z0

〜日本上空〜

金髪「あー、バカね、バカバカ、黒ちゃんのバカ!」

黒髪「…」

茶髪「ちょ、金ちゃん」

金髪「呪いを、あたしや茶ちゃんより余分に吸い取ったんでしょ!?3人の中で一番体力ないくせに!!」

金髪「わかってる、あの子のためでもあるけど、男さんが悲しむのが嫌だったんだ!」

金髪「あんたの大切な女(ひと)の生まれ変わりの男さんが!!」

茶髪「金ちゃん…」

金髪「…思い出させればよかったのに…バカなんだから」

黒髪「…」

茶髪「男さんには、あの子と、今の人生を大切にしてほしい、って」

茶髪「だいたい、前世の記憶を勝手に呼び覚ますことは私達にはできないし、許されないわ」

金髪「…そうだけどさあ…」

黒髪「…」

茶髪「…今が幸せだから、もういいって?いい友達が二人もいて、一緒にいてくれるから…?」

茶髪「…だってさ、金ちゃん」

黒髪「…」ニコ

金髪「…ほんっとに、バカ…」

……
135 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/07/03(火) 21:11:00.06 ID:tBqMuE4Z0
またもエロなしごめんなさい。次回は来週(ぐらい)
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/04(水) 23:54:03.64 ID:hzXDv56JO

黒髪めちゃくちゃいい子だな
137 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:00:30.28 ID:l2PvtuKs0

男「…そうだ、バイト先の店長に連絡しとかないと…今日はこいつが行くはずだったんだ」

女「…」

男「天使がこんなんなのによく冷静でいられるとか…思うか…?」

女「ううん、天使ちゃんが元気になったらまた働く大事な職場でしょ、保護者として当然だと思うよ」

男「保護者…か」

男「こんな俺にその資格があるとも思えないけど、ありがとな、女」

天使「…うーん…」

男「!!」

女「天使ちゃ…」

女(おっと…ここは気を利かせて、私は席を外すか…)ソロリ

男「気が付いたのか、天使…」

天使「…あれ…?」

天使「…ここ…どこ…」

男「俺ん家だよ、天使…」

天使「男さ…あ…あの子は…姪ちゃん、は…?」

138 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:02:00.75 ID:l2PvtuKs0

男「ああ、驚いて気絶していただけだ…どこもケガしていないし、助け出されてすぐに友が連れ帰った」

男「今頃は家族みんなと一緒にいるだろうさ」

天使「…無事に帰れたんですね…よかった…本当によかった…」

男「お前が守ってくれたおかげだ、ありがとう」

天使「…僕は…うう…」

男「…苦しそうだな…でも、お前の先生と言う3人の天使が、お前にかかった呪いを軽くしてくれたんだよ」

天使「せ…先生達が…」

男「今日はもう天界に戻ったけど、また来てくれるってさ」

天使「…あれは…あの男…あ…悪魔…は…?」

男「あいつお前にも名乗ったのか」

天使「…いいえ、でも…いくら僕が未熟者の天使でも、ただの人間に…『あんなこと』は不可能なんです…」

天使「天使同士か、悪魔か…そのどちらかの力を借りた人間か、でないと」

天使「天使を拘束して、翼を…へし折って、引き裂いて…なんて真似は…」

男「それは思い出すな」

天使「あの悪魔は、あの子の…姪ちゃんの目の前で、それを…」

天使「あの子は骨が折れる音を聞き、傷から流れる血を見ている、悪意による暴力が行われるのを見ている」
139 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:02:51.34 ID:l2PvtuKs0

男「天使」

天使「僕は姪ちゃんを守れてなんかいない…悪魔に出会う前、守るって約束したのに…僕は…」

男「お前の先生が姪ちゃんの恐ろしい記憶を消してくれたから、それは心配いらない」

天使「僕は…悪魔に何もできなかった…終始、やられっぱなしで…」

男「もう喋るな、考えるな、休め…」

天使「…あの悪魔は…僕の血液から…僕の記憶を読んだ…」

天使「どんな試練を受け…そのあと地上でどう過ごしているか、まで…そして」

男「…」

天使「…どうすれば、僕が女の姿になるのか、って…」ガタガタ

男「…!」

天使「女性体の僕の記憶を見て…翼と手足をもぎ取るのは惜しい、その代わりに…僕を…と…」ガタガタ

男「俺がそんなことさせない!」ガバ

男(…うわ、あっちぃ…ひどい熱だなこりゃ…)

天使「…男さん…怖い…怖いよぉ…」ブルブル

男「大丈夫、俺がついてる…お前を守ってやるから」ギュ

天使「男さ…ん…」カクン

男「…眠った、というか気を失ったか…くそ、あの野郎…」
140 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:03:43.73 ID:l2PvtuKs0

女「天使ちゃん、どう?」

男「あれ、お前いつの間にいなくなってたんだ?」

男「ひどい熱でさ、また意識なくしちまった…放っておくしかないってケバいねーちゃんが言ってたけど」

男「普段ならこいつ汗も自力で処理できるんだが、弱っているせいかそれもできないらしい、汗びっしょりで」

女「…可哀相に…悪魔だろうと何だろうと、あいつに今度会ったら人中に正拳突き叩き込んでやる!」

男「すまん、女…友の彼女なのにこっちに残ってもらって」

女「あまり立ち入ってもねえ…私も男くんも現場にいないことになってるわけだし

女「天使や悪魔が絡むなら、警察だって何も見つけられないだろうし」

男「姪ちゃん…怖い思いしただろうな」

女「友くんにメールで様子を聞いたら、きれいに記憶は消えていたって」

女「姪ちゃん自身も何が何だかわからない状態で戸惑ってはいても、落ち着いているみたい」

女「義兄さんも、急遽だけど一本早い飛行機が取れてもう家に着いてるって」

男「そうか、まずは安心だ」ホッ

女「念のため明日まで入院させるけど、友姉さんが付き添うし、軽い検査と様子見だけだから心配ないって」

女「友くんは先生天使さんの診立てで無傷なのを信用してるけれど」

女「まさかご家族にそれを説明するわけにもいかないからね、友姉さんご夫婦と友くんのご両親の判断で」

男「…色々隠すべき事実が多くて、却って面倒な事態にならないかな?」

女「詳しい話は直接したいって」
141 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:04:27.81 ID:l2PvtuKs0

女「でね、男くんが許してくれるなら、ここへ来ていいか…ってさ」

男「許すも何も…巻き込まれたのは姪ちゃんだろ、悪いのはあの悪魔の野郎なんだから」

男「姪ちゃんと天使を守るためにも可能な限り協力し合おうぜ、って伝えてくれ」

女「ありがと…今夜の男くん、今迄で一番頼もしく見えるなあ」

男「…一人じゃ何もできねーよ、できてねえよ、俺なんて…」

〜一時間後〜

女「…ごちそうさま…私まで天使ちゃんの手料理をご相伴にあずかれるとは」カチャカチャ

男「俺公認は確かに初めてか、いつも俺の弁当から盗み食いしやがって」

男「でも作り置きのおかずも何日も取って置けないからな、お前が食ってくれるなら天使も喜ぶだろ」カチャカチャ

女「あ、食器洗うね…筑前煮、絶品だったわー…私も天使ちゃん嫁に欲しい…」

男「やらんぞ」

ピンポーン

男「誰だ!?」

友「俺だ…友だよ」

男「お前…実家にいなくていいのか?」ガチャ

友「『話せることは』全て家族に話したからな…女から聞いてるだろ?」

男「ああ、今夜は姪ちゃん入院するって?」

友「心配いらない、何より姪自身は元気だから」
142 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:05:06.26 ID:l2PvtuKs0

友「それから義兄も姉貴も俺の両親も、警察沙汰にはしないと決めたんだ」

友「幼稚園の園長にも…無事を伝えて、園の責任も問わない代わりに、この件はそっとしておいて欲しい、と」

女「結局、姪ちゃんに関しては『何事もなかった』だものね」

友「それに、いくら真の狙いは姪ではなかったとは言え、あの悪魔とやらがうろついている限りは…」

男「…不安だよな」

友「だから、ここに天界の天使達が来るなら、俺も繋がりを持っていた方がいいかと思ったんだ」

友「…お前が協力し合おうと言ってくれて、嬉しかった…」

男「」

男「よ、よせやい照れるわい!!///」

友「…天使はどうしてる?」

女「…」

男「…俺は傍にいてやることしかできない、そういう状態だ…ほら」

天使「…」昏々

友「天使…ごめんな」

友「普段は忘れがちだが、俺達よりずっと子供なのに…それがどれほど残酷な事をされたかと思うと」

男「だからもういいって…こいつだってお前の事恨んでない…少しだけ目を覚ました時、姪ちゃんの心配してたぞ」

友「お前も天使も、本当にいい奴だな…」

……
143 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:05:43.36 ID:l2PvtuKs0

あれ…誰だろう…赤い髪の子供天使…

歳は僕とあまり変わらなく見えるけど、天使学校の同期にも近い学年にも、見覚えがない…?

…この天使がいるのは地上のどこかの国、何かの建物の中…人間の宗教の教会かな?

翼を引っ込めて、神父さんに一番近い席に座っている、ああ、人間達もこの子の姿が見えるのか

みんな普通に人間の子供だと思っているようだ

…人々の服装からすると、現代より古い時代らしいな

隅っこに他の人達と離れて、ぽつんと席についている若い女性…高価そうなドレスを着て、仕草もどことなく優雅で

だけど…なんだか…ひどく寂しそう…?

赤髪の天使が近付いて、何かを語りかけている…

女の人が微笑んだ…優しい笑顔、きっと心の優しい人だ…天使も微笑み返している

あ、天使の指輪が光った…試練をクリアしたのか、明日の朝には大人天使になるんだね

…赤髪の天使の記憶が言葉になって、僕に聞こえて来た

『自分の試練は、 この国で10人の人間を笑顔にさせること 』

彼女が10人目だったのか…神父さんが挨拶をしている、みんなそれを聞いて席を立ち、帰り始めた

最後の一人になったあの女性も、ようやく帰り支度を始めた…やっぱり穏やかだけど寂しそうな表情をしている…

赤髪の天使は彼女から目を離せないみたい

気になるよね、あんなにきれいで優しそうな人があんな表情をしていたら…
144 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:06:29.99 ID:l2PvtuKs0

…少し日にちが経ったらしい、赤い髪の青年…天使だ、大人天使になったあの子だ

試練の内容からすると、関わった人達はたまたま男の人が多かったんだろう

天使がいるのは街の中…やっぱり街並みも道行く人々も現代とは違うなあ、100年くらい昔だろうか?

…だとすると、今の試練の制度が始まって間もない時代か

人間からは姿を見えないようにして、街を飛び回っている

でも鳥や動物は見えずとも気配を感じるんだよね、不思議そうに天使のいる辺りを目で追っている…

あ、教会にいた女の人だ…裕福そうな男性と歩いている

…年頃は離れてるけど父親という感じはしない、肩なんて抱いてニヤニヤしてる…見てて良い気分はしない

赤髪の天使も悲しそうな顔で見ている…

…二人はどこかの家の中に入って行った、天使も諦めてどこかへ飛び去った…

あ、また赤髪の天使の記憶が言葉として、僕に…

『彼女が幸福ならばどんな暮らしでも構わない、でも、ぼくにはとても今のあの人が幸せそうには見えない』
『どうすれば、教会で見せてくれたような笑顔を再び見せてくれるんだろう』

あんなふうに笑える人には幸せでいてほしいんだね、わかるよ…

…僕だって、男さんには幸せでいてほしいもの

そのために自分に何ができるかって、一生懸命考えるよね

きっとそれが、人間に寄り添う下級天使の…僕らの地上での修行…じゃないかな…

……
145 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:07:04.11 ID:l2PvtuKs0

〜翌朝〜

友「…おはよ…男」

男「…おう…」

女「男くんは一睡もできなかったみたいね、無理もないけど…」

男「それでも横になれただけでもよかったよ…すまんな、お前らに看病を替わってもらったりまでさせて」

女「あんたがぶっ倒れて困るのは天使ちゃんだぞ」

友「全く目を覚ます様子もないけど…本当に放っておくしかできないのか?」

男「うん、またあいつの先生とやらが来たら、もっかい話を聞いてみる…それから…とりあえず今日は学校休む」

友「おいおいしっかりしろ、今日は土曜日だぞ?」

男「あ」

女「ひと眠りした方がよくない?天使ちゃんは私らで看てるから」

男「…ごめん…少し休ませてもらうわ」

……

男「ぐごー」

友「しっかし本当に…子供だったんだな…もっと大人びた雰囲気だろうと勝手に思っていたよ」

女「見た目はああだったけど、言動はいつもピュアッピュアだったじゃない」

女「…とは言え13歳ってうちの中一の弟と同い年だし、私もここまで小柄で子供子供しているとは思わなかったわ」

友「人間とは色々と違うのはわかるが、この歳で大変な出来事に遭遇し過ぎだ…」

天使「…」

……
146 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:15:57.37 ID:l2PvtuKs0

赤髪の天使が修行期間に入って2年ほど経った…

当時は素性のわからない人を雇うのは問題なかったみたいだ、いろんな仕事をこなしてお金を稼いでいる

だけど人間に紛れて生活するための必要最低限のお金しか使わないから

時々、田舎町のとある孤児院に匿名で寄付をしているようだ

あの女の人は時々あの裕福そうな壮年の男性と一緒にいたけど、最近は街でも教会でも姿を見ない…

赤髪の天使が買い物をしている…食料品かな、それを持って…どこへ行くんだろう?

…ここは…この街で、暮らし向きの裕福ではない人々が住む一角みたいだ…天使は集合住宅へ向かっていく…

屋根裏部屋かな、小さな窓しかない、薄暗い狭い部屋…ベッドの上に誰かいる…

…あの女性だ、痩せ衰えて…病気なのか、ああ…肺を患っているのか…だから外に出て来なくなったんだ

学校で習った、この時代ではまだまだ不治の病だと

天使はこの人に食べ物を届けに来たんだね、それにしても…お金持ちらしい男性は何をしているんだろう?

もっと良い部屋に住まわせたり、お医者に診せたり…お金があればできるじゃないか

…あ、赤髪の天使の記憶が…

 『あの富豪は彼女を住まわせていた部屋の家賃の支払いをやめ、自分が贈った宝石まで引き上げてしまった』
 『残った貯えで暮らすには、安アパートの、更に一番安い部屋に移り住むしかなかった…』

見捨てたんだ、以前はちやほやしておきながら、病気になったからと見捨てたんだ

 赤髪の天使「昨日もまた、あなたの育った孤児院に、あなたの代わりにぼくの稼ぎを寄付して来ました」

そういう事情か、元々は彼女が寄付をしていた孤児院だったんだ
147 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:18:28.73 ID:l2PvtuKs0
 赤髪「あなたを孤児院から引き取った家があの家でなければ、もっと違う人生もあっただろうに」

 赤髪「あなたの養父母は地位と金を見返りに富豪へ差し出すため、美しく賢い孤児の少女を引き取った」

 赤髪「あなたの美貌はあなたが自由に恋をするためではなく、富豪の気に入るように養母が磨かせたもの」

 赤髪「あなたの教養はあなたが人生を切り開くためではなく、富豪の気に入るように養父が身に付けさせたもの」

 赤髪「夫婦は肺病のあなたの代わりにまた新しい娘を富豪に差し出し、あなたはもはや誰からも顧みられない」

…なんてひどい…

 女性「それでも…あの人達は私を必要として選んでくださったのです…数年の間とはいえ」

 女性「何より、孤児院にいたままではあなたと出会うこともなかったでしょう…私は誰も恨んではいません」

穏やかだけど何もかも諦めたかのような微笑…赤髪の天使が見たかった笑顔はこうではなかったはず…

 赤髪「元気になったら、あなたのことを誰も知らない土地で、ぼくと一緒に静かに暮らしましょう」

 赤髪「ぼくだけは、ずっと…いつまでもあなたの伴侶として、傍らにいます…」

 女性「本当にあなたは優しいのね…私もあなたのお嫁さんになれる夢を…信じてしまいそうだわ…」

 赤髪「夢で終わらせません、ぼくは必ず…」

赤髪の天使、きみは…この人を…

…そして…きみは『誰』?…何が僕にこの夢を見させるんだろう…

……
148 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:19:39.53 ID:l2PvtuKs0
ガラガラ…

中年男天使「…おはようございます、窓から失礼いたします」ヌッ

友・女「「」」

教頭「驚かせて申し訳ありません…わたしは天使学校の教頭…あなた達が会った3人の教官の上司にあたります」

友「…あ、あなたも…天使…なんです…ね…?」

女(どう見ても…いい歳して似合わない天使のコスプレした一般人の冴えないおじさんにしか)

教頭「あの子た…いや彼女たちは吸い取った呪いの影響で今日はまだ静養中なので、わたしが代わりに来ました」

女「彼女たち、大丈夫なの?」

教頭「明日には回復するでしょう、お気遣いありがとうございます」

教頭「この度はこちらの事情に巻き込んで申し訳ありません、特に…友さん、でしたっけ、あなたのご家族まで」

友「なぜ、姪だったのか…あなたにわかるのなら、教えてもらえませんか」

教頭「…過去の行動パターンからの推測になりますが」

教頭「この修行中の天使と面識ある人間の親族という僅かな繋がりで、姪御さんは誘拐されてしまいました」

教頭「奴の狙いは効果的に天使をおびき出し、人質を弱みとして天使を苦しめること」

教頭「その上、純真な人間に一人でも多く神や天使への不信感を植え付けられるなら、尚のこと好都合」

教頭「そのために、天使の繋がりの中から最も無垢でかよわく保護の必要な、幼いお子さんをを選んだのです」

友「くそ…本当に卑怯者だな…」
149 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:21:00.82 ID:l2PvtuKs0

教頭「しかし、天使も悪魔も、我々や奴のような下級の存在は人間を直接傷つけたり命を奪ったりはできないのです」

女「どういうこと…下級とか言っても、人間より色んな能力が使えるんでしょ?」

教頭「…下級の天使も悪魔も、人類が誕生してから生み出された、それぞれ天界と魔界の『新しい』存在です」

教頭「『基本的に』下級天使は人と関わり護り教え導く存在、下級悪魔は人と関わり混乱させ堕落させる存在」

教頭「人間より歴史の古い上級の存在と違って、どちらも人間が滅びれば存在意義を失う生き物なのです」

友「天使ばかりか悪魔までも、人間あってこその…なのか」

教頭「ええ、ですから生み出される際に、人間に様々な影響を与えることはできるが、直接肉体を害する能力…」

教頭「つまり、人間の数を減らす能力は、不要とされたのです」

男「そんなオプション機能みたいな」

友「男、起きたのか」

男「自分ちで知らない奴の声が聞こえてきたらなあ」

教頭「男さんですね…あなたのおかげで、我々の生徒が一人、試練を通過できました…ありがとうございます」

男「いや…その…試練の内容わかってて言ってんだろ?礼はいらんつーかやめてくれ」

男「しかし…そんな理由で心とか色々汚れた俺みたいのじゃなく、純真な姪ちゃんが攫われたのか…」

男「あの野郎ますます許せねえ!」

教頭「しかしもう姪御さんが狙われることはないでしょう」

教頭「過去にも奴が人間を利用した事件はありましたが、警戒が厳しくなれば同じ方法は取らないはず」

教頭「現在、地上の各地で修業中の天使へ警戒発令が出て、監視役の天使も天界から派遣されています」
150 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:24:31.11 ID:l2PvtuKs0

教頭「特に、この天使および繋がりのある人々の周辺は、重点的に監視されているのでご安心ください」

友「あなた達を信用するしかないみたいだな」

男「なあ、早いとこあの悪魔を探し出してとっ捕まえた方が早くないか?」

教頭「…それが、あなた達の前から姿を消した時から、奴の存在が地上から掻き消えてしまったので…」

教頭「悪魔探索のエキスパートの天使達も捜索中ですが、引っ掛かるのは別の悪魔ばかり」

教頭「我々の神と魔界の長の取り決めで、さほど害のない悪魔まで片っ端から捕獲するわけにも行きませんからね」

女「あなた達にも色々事情があるんでしょうけど…害のない悪魔って何…」

教頭「人間の世界が目まぐるしく変化する昨今、露骨な天使いじめや人間への誘惑は『流行らない』とか言って」

教頭「正体を隠して人間社会に入り込み、間接的に人間に影響を与えている下級悪魔は増加の傾向にあります」

教頭「稀に人間の技術や文化の進歩にも繋がるケースもあり、全て悪として取り締まるのは難しいんですよ」

男「天界も魔界もなんだかなあ…って思うけど…ま、あんたに言ってもしょうがない、それより」

男「うちの天使の恩師なら…残りの呪いを少しでも吸い取ってやってくれないか?」

男「あんたの体に影響ない量でいいから、頼む…ほら、近くに来てくれ」

天使「…」

教頭「…可哀相に、修行を始めたばかりだと言うのに」

教頭「できるものなら助けてあげたいのですが…残念ながら、呪いの吸引は一度しかできないのです」

男「え」

教頭「放置しても一定時間が経てば呪いは血流に乗ってしまいますが、呪いを残存する形で吸い取れば処置直後に同じ現象が起きます」
151 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:25:52.37 ID:l2PvtuKs0

教頭「こうなると血流を止めなければ他者は呪いを吸い取れなくなるし」

教頭「血流が止まれば本人の自浄作用も傷の修復も止まる、すると呪いは細胞の死骸を糧に力を増すのです」

教頭「これでは吸引する意味がありません」

男「…そうか…やっぱりこれ以上は手の施しようがないのか…」

教頭「力になれず申し訳ありません…しかし、この子は少しずつですが確実に回復に向かっています」

教頭「迅速に各自の限界まで呪いを吸引した昨日の3人と、この子を心から心配してくれるあなた達のおかげです」

男「前半はともかく後半は俺達に気を遣ってくれてんだろ?」

男「今回の件では人間なんて無力じゃないか」

教頭「いいえ、文字通りの意味です」

教頭「成長期の天使には、他者の愛情だけが地上生物で言うところの『栄養』ですから」

男「…!」

男「知らなかったよ…」

教頭「天使がそれを愛情だと感じ取ることができさえすれば、どのような行為でも間違いではありません」

教頭「男さんの場合も…ほどほどでさえあれば…」

男「」

男「知ってんの!?試練だけじゃなく、俺が天使に何してるかあんたら知ってんの!?」

教頭「修行中の行動は査定の対象のため、『大まかには』天界に把握されています」
152 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:27:39.89 ID:l2PvtuKs0

教頭「概要さえつかめれば済むので、具体的な細かい部分まではいちいち監視していられませんけどね」

教頭「…趣味として細部まで観察している教官もいますがそれは置いといて」ゴニョゴニョ

教頭「とにかく、何か奴に動きがあればすぐお知らせしますから、あまり神経質にならないように」バッサ

友「もう行くの」

教頭「はい、わたしは悪魔の状況と我々の動きを伝える役目で伺いましたから…」

教頭「明日からは時折あの3人の誰かがこの子の様子を見に来る予定です、それでは…」バサバサ

女「窓から飛んでっちゃった」

友「とりあえず…姪については何もかも安心とまで行かなくても、心配がかなり減ったのはわかった」

友「あとは天使さえ元気になればいいな」

男「……」

男「何もかもお見通しだったとは…」ハァァ

女「今更そこを悩んでも…あの教頭先生の言う通り、いたわりつつほどほどであれば…許容範囲…なんでしょ」

友「何事もほどほどは大切…」

男「…信じてもらえんだろうが、血まみれの天使を見てから俺はずっと賢者モードだ」

男「助かるんだったら、元気になるなら、もうガチムチのままでもいい…とさえ思わんでもないかもしれない」

女「そこは言い切ってよ」

……
153 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:31:17.60 ID:l2PvtuKs0

僕を心配する男さん達、そして、懐かしい天使学校の先生の声

早く目を覚まさなくちゃ、もう大丈夫だって皆さんに言わなくちゃならないのに、目を開けられない…



またあの屋根裏部屋…あれから季節が変わった、冬が近づいているんだ

 女性「…私のような助かる見込みのない者にいつまでも関わっていないで」

 女性「これ以上あなたの『修行』の邪魔はできませんわ」

 赤髪「邪魔だなんて、あなたを見捨てるのはそれこそぼくらの神は許さない」

 赤髪「…弱気にならないで、あなたはこうして生きている、ぼくがあなたの命の灯を守ってみせる」ギュ

彼女に正体を明かしたのか…

 女性「私は何もない空っぽの女です、虚しくつまらない人間です」

 女性「見てくれだけが私の価値だったと言うのなら、今はそれさえも失ってしまった」

 赤髪「あなたは育った孤児院への恩を忘れず、顔も知らない孤児達を案じ健やかな成長を願う優しい人です」

 赤髪「それを空っぽだなんて…それに…あなたは今でも美しい」

 女性「…私の伴侶と…言ってくれましたわね…」

 女性「では…たった今、私を…あなたの花嫁にしてくださいますか?」

 女性「夫婦の契りを交わし…抱いてくださいますか…?」

 赤髪「…!」
154 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:32:55.39 ID:l2PvtuKs0

『彼女は不安なんだ、悟ったつもりでも拭いきれない死への恐怖に苛まれている、不安がそうさせているんだ』

 女性「ふふ…やはり、はしたない淫らな女だと、さすがにあなたも軽蔑したでしょう?」

 赤髪「いいえ…あなたが必要としてくれるなら…ぼくはその全てに応えましょう」

赤髪「それが人間あってこその天使という生き物なのです…遠慮なく、ぼくを求めてください…」

女性「赤髪…!」

赤髪「泣かないで…」

『これで、ひと時でも彼女が病を死を忘れられるのならば』

…どうしよう…礼儀として見ちゃいけないのは当然だけど…自分の意志ではやめられないみたいだし…

ごめんなさい、僕、見てしまいます…

 女性「…こんな痩せ衰えた私の体を見ても、あなたは…」

 赤髪「他ならぬあなたに求められ、あなたに触れられれば、ぼくはそれに応じることができます」

『つまりは、求められなければ応じられない、それがぼく達の肉体』
『汚れることを許されない肉体』
『人間に形だけ似せ、隅々まで創造者の意図が行き渡った…言わばよく出来た人形』

女性「ああ…富豪様の慰み者として生きていた頃は…んっ…知らなかった…」

女性「心から愛おしいひとと結ばれるのは、こんなに…こんなにも…ああっ…赤髪、私っ…」

『まるで死に至る病に侵されているとは思えないほど…この瑞々しさ、情熱、どこに秘めていたのだろう』
『それともこれさえも、燃え尽きる前の一瞬の輝きなのか』
155 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:37:03.30 ID:l2PvtuKs0

 『彼女は不安なんだ、悟ったつもりでも拭いきれない死への恐怖に苛まれている、不安がそうさせているんだ』

 女性「ふふ…やはり、はしたない淫らな女だと、さすがにあなたも軽蔑したでしょう?」

 赤髪「いいえ…あなたが必要としてくれるなら…ぼくはその全てに応えましょう」

 赤髪「それが人間あってこその天使という生き物なのです…遠慮なく、ぼくを求めてください…」

 女性「赤髪…!」

 赤髪「泣かないで…」

 『これで、ひと時でも彼女が病を死を忘れられるのならば』

…どうしよう…礼儀として見ちゃいけないのは当然だけど…自分の意志ではやめられないみたいだし…

ごめんなさい、僕、見てしまいます…

 女性「…こんな痩せ衰えた私の体を見ても、あなたは…」

 赤髪「他ならぬあなたに求められ、あなたに触れられれば、ぼくはそれに応じることができます」

 『つまりは、求められなければ応じられない、それがぼく達の肉体』
 『汚れることを許されない肉体』
 『人間に形だけ似せ、隅々まで創造者の意図が行き渡った…言わばよく出来た人形』

 女性「ああ…富豪様の慰み者として生きていた頃は…んっ…知らなかった…」

 女性「心から愛おしいひとと結ばれるのは、こんなに…こんなにも…ああっ…赤髪、私っ…」

 『まるで死に至る病に侵されているとは思えないほど…この瑞々しさ、情熱、どこに秘めていたのだろう』
 『それともこれさえも、燃え尽きる前の一瞬の輝きなのか』
156 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/15(日) 01:38:03.64 ID:l2PvtuKs0
 赤髪「…ほら、あなたの生命は輝いている…言った通りでしょう…だから、ぼくの伴侶として、これからも…」

 女性「…私、生きているのですね…あなたがそれを、私に教えてくれる…あ、はあぁ…っ」

 『よく出来た人形は、人間との交わりに快楽を覚え、絶頂まで達する』
 『女天使であれば濡れて相手を受け入れ、孕みもしない偽の子宮は精液を吸い上げさえする』

 女性「赤髪、私…もう、これ以上は…あ、あああ!」

 赤髪「いいんです、このまま…ぼくも、もう…あなたに…あなたの中にっ…」

 『男天使であれば、勃起した性器で相手を突き上げ、粘度だけ似せた偽の精液を胎内に注ぎこむ』
 『…いずれの性別であっても、天使の体液と人間の体液が触れ合えば、ただの清浄な水に変わってしまう』
 『まるで、最初から何事もなかったかのように』

 女性「はぁっ、んん…お願い…お願い、です…もう少し、このまま…抱きしめていて…ああ…」

 赤髪「…勿論です…あなたの気の済むまで、ぼくの腕の中に、いてください…」

 『あなたはぼくを感じ、ぼくはあなたを感じ、ひとつになって上り詰めた瞬間は確かにあったのに』
 『ぼくはあなたを汚すことはできない、あなたにぼくは汚されない』
 『虚しくてつまらない生き物なのは…天使であるこのぼくだ…』



天使とは、虚しくて、つまらない生き物…

そう考えたらそうなのかもしれない、だけど…

だけど…

……
157 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/07/15(日) 01:39:35.68 ID:l2PvtuKs0
>>154はなかったことに。おやすみなさい。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 04:30:24.42 ID:Fk3Lwsh10
おつです
こんな面白いSSを見逃していたとは…続きも楽しみにしております

…筋肉青年状態とエッチする時はいつか来るのだろうか…
159 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 00:48:07.13 ID:A5YrKQm60

天使「…あ…」パチ

男「天使っ!?」

天使「…男さん…女さんと、友さんも…」

友「天使、姪はもう心配いらないよ…ありがとう」

天使「友さん…僕は…」

友「いい、いいから…それより早く元気になってくれ、な?」ニコ

天使「…ふえっ…」グシュ

女「おでこの冷却シート替えるね?」ペリ

男「どんな気分だ?少しは楽になったか」ナデ

天使「…夢」

男「ん?」

天使「夢を、ずっと…見ていました…」

女「どんな夢なの?」ペタ

天使「…それが…今は内容まで思い出せないのですが…何だか…」

天使「…悲しい、夢だったような…」

男「なら思い出さなくていいんじゃね?そのまま忘れちゃえ」

男「元気になってもまだ気になるなら、よほど暇な時に思い出せばいいだろ?今はやめとけ」ナデナデ

天使「男さん…」

天使(髪を撫でる男さんの手…やっぱり少し恥ずかしいけど…落ち着くなあ…)
160 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 00:50:59.06 ID:A5YrKQm60

天使「そうですね…今は、考えるの…やめます…」コトン

天使「…すー…」

女「眠っちゃった」

男「まだけっこう高熱だからな…天使の体温、どう計ればいいんだろ?」

友「平熱は知ってるのか?」

男「人間とだいたい同じだと思う、俺の皮膚感覚だと」

友「」

友「…そ、そう…だよね…お前は知ってるよね」

男「うーん、体温計どこに差せば…犬や猫なら肛門だが…」

友・女「「やめとけ」」

友「自分と同じでいいだろ、同じ体型なんだし」

女「天使ちゃんおとなしく眠ってるだけだし、脇に挟んであんたが腕を押さえておけばいいでしょが」

男「それもそうか…静かに眠ってるだけだからこそ、少し試してみたくもあった…」

女「てめぇどこが賢者モードだゴラァ」

友「気持ちはわかるがおちつけ女、病人の前」

友「しかし…天使は確かに回復しつつあるようだし、男も…この分なら心労でぶっ倒れそうにもないな」

女「本当だよ!もう金輪際、男くん単独の心配はしてやらん」

友「と言うわけで、一旦俺らは帰ろうと思う…また明日来るよ」

女「え」
161 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 00:52:52.90 ID:A5YrKQm60

友「大丈夫、教頭さんの話、聞いてたろ?今の天使にはさすがの男も変なことできないだろ、な?」

女「ま、まあ…確かに…」

男「本当にお前達には助けられた、ありがとう」

男「あともう少し助けてもらうとは思うけど…今日のところは家で休んでくれ」

友「ああ、また明日な男…ほら、行くぞ女」

女「ちょ、ちょっと待って」バタバタ

女「天使ちゃん、また来るからね…!」

ガチャ…パタン

男「…」

男「女が怒るのも仕方ない」ハァ

男「姪ちゃんのことも、天使の容態も、昨日に比べたらずっと安心要素が増えて」

男「緊張感が少し緩むと同時に『天使が元気になったらエッチしてえ』という気持ちがムクムクと…」

男「確かにどこが賢者モードか」

天使「…すー…すー…」

男「…でもな、どっちも本心なんだよ」

男「お前が元気になるなら何もいらんって気持ちも、またお前とエッチしたい気持ちも」

男「なんなんだろうなあ、これって」

男「お前は俺の、俺はお前の、なんなんだろうなあ…」

……
162 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 00:54:24.85 ID:A5YrKQm60

〜天界…天使学校の教官の宿舎〜

茶髪「金ちゃん、気分は?」

金髪「あー、だいぶ良くなったわ…あんたこそどう?」

茶髪「私もよ、明日には地上に降りられると思う」

金髪「…で…黒ちゃんは…」

黒髪「…」グッタリ

茶髪「吸引した呪いを抜く処置の最中に倒れちゃってね、それから眠りっぱなし」

金髪「やっぱり、ひ弱なくせに大量に吸い取るから…この部屋に寝かせておくだけでいいの?」

茶髪「処置は済んだから、私達より1〜2日遅れで回復するって」

金髪「それならいいけど…男さんの所には教頭先生が行ってくれたみたいだね」

茶髪「ええ、警備が強化された件も含め、こちらの状況も伝えてくれるはず」

金髪「全く…『黒ちゃんの時』に上が今くらい動いてくれたら、こんな事態にもならなかったのに!」

茶髪「仕方ないわ、あの時もあの悪魔はすぐに姿を消してしまったんだもの」

金髪「あれから30年だよ、その年月かけて探索を続けていたら、とっくに見つかっていたよ…」

黒髪「…」昏々

黒髪(…ピアニストさん…)

……
163 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 00:56:44.96 ID:A5YrKQm60

〜黒髪天使の夢…〜

黒髪「お茶入りました…ピアニストさん」カチャ

ピアニスト「ああ、ありがと…ごめんね、新聞記事に没頭してて気づかなかったわ」ガサ

黒髪「気になる記事、ありました?」

ピアニスト「えへへ…もう未練なんかないはずなのにね」バサ

『資産家令嬢、音楽学校の元同級生と結婚…将来は資産家の後継者に?』

黒髪「この方は…?」

ピアニスト「私と令嬢と、結婚相手の男性…3人とも同じ音楽学校の同期でね」

ピアニスト「で…私と、この彼は当時の恋人同士で…卒業と同時に婚約もした仲なの」

黒髪「え」

ピアニスト「私と彼は音楽を仕事にしたくて音楽学校に進んだけど、彼女は…お嬢様のたしなみ…だったのかな」

ピアニスト「それは別に構わないけど、彼女は少女の頃に親が決めた婚約者に不満があったらしく」

ピアニスト「…その上、私の彼を気に入っちゃったみたい」

ピアニスト「ま、色々あって、結果的に略奪…略奪婚されちゃいました…こんなところ」

黒髪「略奪…つまり」

黒髪「大勢の手下を引き連れて襲い掛かり、ピアニストさんを武力で脅して、彼さんを拉致して奪い取った…?」

ピアニスト「いやいやいや…略奪というのは例えで…うーん、なんと言ったらいいやら…」

黒髪「え、ち、違うのですか…?」
164 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 00:58:39.24 ID:A5YrKQm60

ピアニスト「…」クス

ピアニスト「あっはは…なんかね、もう本当に、本当にどうでもいいわ…」

ピアニスト「私にはあなたがいる、当初の予定とは少し違ったけど、ピアノを弾いて生活できている」

ピアニスト「それから、もうひとつ」

黒髪「?」

ピアニスト「私の曲をあなたが歌った、あの録音テープ…送り付けた先のレコード会社の社長さんが乗り気でね」

ピアニスト「すごく小さい会社で、枚数も少ないけど、レコードにして売り出してくれるって…」

ピアニスト「今日、その手紙が来たのよ」

黒髪「ほ…本当ですか!?」

ピアニスト「ええ、これもあなたのおかげ…感謝のハグしちゃうぞ」ギュ

黒髪「いいえ、ピアニストさんがいっぱい頑張ったからです…!」ギュ

ピアニスト「…やっぱり黒はいい匂いがする…微かだけど、お爺ちゃんの田舎のオレンジ畑の、花の香りそっくり…」

ピアニスト「私、最初に出会った日は鼻風邪ひいてて気付かなかったけど…これがあなたの香りなのね…」

黒髪「…天使は自分ではこの匂いがわからないんです…ピアニストさんが知ってくれて、嬉しい」

ピアニスト「ふふ、あなたは本当に私の幸運の天使…これからも一緒にいてね」

黒髪「はい、ピアニストさんの望む限り…!」

……
165 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 01:00:27.65 ID:A5YrKQm60

黒髪「…」パチ

茶髪「黒ちゃん!」

金髪「あ、あたしの声、うるさかった?」

黒髪「…」モゾ

茶髪「まだ起き上がっちゃ駄目」

金髪「…ん?夢を見ていたって?…あのひとの…ピアニストさんの夢?」

茶髪「…呪いを受けた影響か、それとも、当時の記憶を思い起こされたせいかもね…」

茶髪「あなたの美しい声を壊した、あの時と同じ悪魔に…!」

金髪「っちょ、そんな怖い顔しなくてもいいじゃん茶ちゃん」

金髪「とても懐かしい、幸せな、いい夢だったって…」

黒髪「…」

茶髪「…やっぱりあの子が心配?」

茶髪「大丈夫、教頭先生が様子を見に行ってくださってるの、あと私か金ちゃん、どちらかが明日会いに行くわ」

金髪「黒ちゃんがあれだけ呪い吸引してくれたもの、きっとすぐ元気になるよ」

金髪「…あと、あの時は渋ってごめんね?」

黒髪「……」

茶髪「金ちゃんが駄々こねるのは子供の頃からだし、文句言いながらやることはやるから、気にしてない、って」

金髪「意外とハッキリ言う時は言うのよね、黒ちゃんて…」

……
166 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/07/16(月) 01:01:31.34 ID:A5YrKQm60
読んでくれる皆さんありがとうございます
「現在の」黒髪天使の声はめっちゃ小さくて人間には聞き取れません
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 01:06:33.24 ID:/ZRvpMRx0
おつです!
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 12:25:41.11 ID:FtR9sosJ0
おつ
169 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 18:23:24.39 ID:O1sRzDlJ0

…赤髪の天使だ

あれから外の風景はますます寒々として、女の人は日々衰弱しつつある

彼女を診たお医者達は、首を横に振るばかり…

赤髪天使の記憶によると、正体を明かした時から一緒に屋根裏部屋に住んでいるらしい

赤髪の働いたお金で住処を移ることも検討したけれど、実現しなかった

貧民街以外の、もっと小奇麗な借家の家主達は皆、重い肺病患者の入居を拒んだそうだ…

 『彼女は病気の悪化にも関わらず、ほぼ数日おきにぼくを求めた』
 『苦痛と迫る死を忘れるため…いや、むしろ、自分がまだ生きていることを実感したいがため』
 『ぼくに、自分が生きている証を刻み付けたいがため』
 『…ぼくも彼女の余命を縮めるとわかっていながら…彼女を拒みはしなかった』

 女性「はあっ…その腕で、もっときつく抱き締めて…そして、もっと…もっと私の深くへ来て…ああん…」

 赤髪「…んうっ…、ほら…これ以上はないほど、深く繋がっていますよ…わかりますね?」

 女性「あああ…嬉しい…私の奥深く、あなただけが届いてる、触れているの…!」

僕たち下級天使には、いくら年齢や経験を重ねても、人間の病気を治すまではできない

もちろん、寿命を延ばすなんてあり得ない

生まれつき『癒し』の素質に秀でた者は、修行から数年で他者を癒す能力を習得もできるけれど

せいぜい一時的に肉体の苦痛を和らげ、眠りが必要ならば一晩よく眠れるようにする程度

 『自分の能力を磨いて駆使することも、人間界に存在するあらゆる方法を試すことも許されているけれど』
 『それを 超えようとすること は許されない』

…僕たちにできることは限られている、もどかしいよね、赤髪…こんなにも、きみは彼女を助けたいのに…
170 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 18:30:06.13 ID:O1sRzDlJ0

…また数日が経った…

昼間だけど、彼女はぐっすり眠っている…お医者に眠り薬を処方してもらったのか

赤髪、どこかに出かけるの?あれ、それは…

 赤髪「相手が相手だ…一応、持って行くか」

天界の剣…そう言えば学校で教わった

僕らが受ける、地上での試練から修行に入る制度、開始した初期のうちは天使学校も試行錯誤で

護身用に、というより護符のような意味合いで、地上に降りる天使達に天界の剣を持たせていたとか

でも、ある事件が起きて、剣を持たせるのをやめた代わりに監視を強化した…これは授業ではなく上級生から聞いた

剣を自分以外には見えないようにして、背中に背負い…そんなもの持って、どこへ行くんだろう…

…彼女を部屋に残して…



町はずれの森…人の気配はない…降り立った赤髪は、誰かを待っているようだ

誰かが歩いて来る…でも…あれは、人間じゃない…

…!!

あれは…あいつだ…廃工場で出会った悪魔だ…!!

駄目だよ赤髪、そいつに近付いちゃ駄目…逃げて、修行に入って2〜3年のきみでは剣があっても敵わない!!

…そうか、この夢は…僕の血流に乗った『呪い』が見せているんだ

呪いは悪魔が自分の血から作ると聞いた、血に残る記憶…きっと悪魔が赤髪に目を付け、密かに見張ってた記憶…

……
171 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 18:34:04.71 ID:O1sRzDlJ0

〜翌日、男のアパート〜

男「友と女は午後から来てくれると連絡があった」

男「姪ちゃんは昨日のうちにどこも異常なしで退院できたらしい、本当に良かった」

男「あれからまた天使は目を覚まさない、姿も省エネモードの子供天使のまま」

男「熱は初日よりは下がってるんだろうけど、38度台後半をキープしたまま」

男「もちろん脇で計ったからな?」

男「…すべすべでプニプニ柔らかい脇だった…気持ち良さそうな…」

男「…天使が半泣きで訴える、『…くすぐったい、くすぐったいよぉ、男さん…!』」

男「俺は、『へっへっへ、これが脇コキだ、ほれほれぇ!』って…」

男「……」

男「…俺って、いよいよもって最低だ…」ガックリ

金髪「はろー、男さん♪」フリフリ

男「」

金髪「んー、なんとか回復に向かってるみたいね…眠りが深いのは気になるけど、ま、寝る子は育つ」ボヨン

男「ちょちょちょ、ケバい先生、天使の枕元にしれっと陣取ってんじゃねえ、瞬間移動か!?」

金髪「しー、声でかい…恩師が生徒を見舞って何が悪いのさ」
172 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 18:42:48.40 ID:O1sRzDlJ0

金髪「それにケバいとか失礼な…あたしのこの正に黄金色に輝く髪、天界でも屈指の美しさよ?」ファサ…

男「同じ金髪でもうちの天使とはえらい違いだな、あんたのはキンキラキン…」

金髪「地上の光だと派手さが目立っちゃうかもねー」ボヨン

金髪「でね、この子の鶏のヒヨコみたいな色は生まれたての天使に多いんだけどね」

金髪「地上に降りる歳でも、大人天使になっても濃い色にならず保っているのはけっこうレアなのよね」ボヨン

男「…」

金髪「何、胸が気になる〜?」ボヨヨン

男「お、一昨日会った時は、そんなんじゃなかったと思うけど…」

金髪「あの時は念のため、3人とも服の下に鎧つけてたの…地上であれは重かったわあ」ボヨン

男「うちの天使も結構ボリュームあるけど、あんたまで行くと、ちょっと…下品…」

金髪「あっはっは、男さんマジ失礼〜単に好みの問題だってば」

男「…今日はあんた1人なのか?黒髪のおねーさんとか…」

金髪「…」

金髪「何よ、男さんやっぱりあーゆー清楚なタイプがいいの〜?」ボンヨヨヨン

男「そ、そりゃ好みで言ったら…じゃなくて、あんたホントに何しに来たんだ!?」
173 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 18:48:33.30 ID:O1sRzDlJ0

銀髪の女性?「黒髪天使はまだ寝込んでいる、茶髪天使は看病で残った」シュバッ

男「」

金髪「げ」

銀髪の女天使「初めまして、男さんとやら…私は天使学校の校長、この度はあれこれ面倒かけている」

男「また瞬間移動か…昨日のおっちゃんの更に上司か」

男(このひと女…だよな?でもガチムチ天使と同じくらい身長あるし、服装も今まで会った天使達と違う、それに…)

男(…頭の上に、光る輪っかがある…そう言えば、うちの天使や他の先生達、輪っかあったっけ…?)

校長「上級天使を見るのは初めてだろう…頭の輪が気になるか?下級天使達にもあるんだぞ?」

校長「通常、地上光の下では波長が人間の可視域の外にあるだけだ」

男「そ、そうなの?でもこの通り、頭の上には何もないんだけど」スカスカ

校長「当然だ、『光』そのもの、物質ではないからな」

金髪「…なぜ…校長先生が…」

校長「今回はお前たちのような若い教官の単独行動は危険だが、あの2人は来られない」

校長「何より、素行に何かと問題のあるお前だ、ここらで私が直々に指導しなおしてやらんとな!!」

金髪「うへえぇぇ…」

男「あんた教師らしくないと思ってたらやっぱり問題教師なのか」
174 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 19:53:20.85 ID:O1sRzDlJ0

校長「私はあの話を男さんにする、お前はこの子を看てろ」

金髪「言われなくったって…」ブツブツ

校長「そういう態度がいかんのだ!」

金髪「はいいいい!!」ビビッ

男(おっかねー…)

校長「さてと…教頭から色々聞いていると思うので、今日は進捗状況をお伝えしよう」

校長「例の悪魔の行方だが…なかなか見つからない理由が少し、わかったよ」

男「ほ、本当に!?あいつが捕まらないと心から安心できないんだ…早く見つけてくれ」

校長「そう急くな」

校長「地上で活動する下級悪魔は天使の修行のように期間が限定されているでもなく、魔界の監視も基本的に放任だが」

校長「奴は100年ほど前、魔界の宝物庫から魔術書を大量に盗み出し地上へ逃げた」

男「魔術書」

校長「書と言っても見た目は巻き物だな」

校長「1つにつき1回しか使えないが、魔族であれば自身の本来の能力を超えた魔法でも、読み上げるだけで使用できる」

男「…やばくないっすか?」
175 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 19:56:08.64 ID:O1sRzDlJ0

校長「ずさんな管理下に置いていたくらいだから、殺傷能力や物理的破壊力は殆ど無いものばかりだと言う」

校長「ただ厄介なのは…どの魔法も下級天使の力では全く無効化することができないらしくてな」

校長「正直、我々上級天使でも自分の不得意分野であれば困難だ」

校長「おそらく…隠蔽や逃走の効果がある巻き物を使うことで、天使の捜索から逃れて来たのだろう」

男「要するに、歯が立たないという残念なお知らせなんですね?」

校長「結論を急ぐな…重要なのは、この情報を魔界からもらえた点なのだ」

校長「魔界は奴を100年放置していたが、度重なる過去の事件と今回の件でようやっと腰を上げてくれ…」

校長「捕獲しだい魔界への強制送還と、今後50年間は地上世界に出さない謹慎処分を約束してくれた」

男「…そいつの寿命は?」

校長「比較的若い悪魔らしい、下級天使程度の寿命だが、少なくとも残り200年はあるとか」

男「処罰甘いよ、どんな人道国家だよ魔界…」

校長「もちろん謹慎中は厳格な更生プログラムに従わせるとのことだ」

男「なんだかなあ…」
176 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 20:29:02.85 ID:O1sRzDlJ0

金髪「ヒヨコちゃん…へへ、あんたをこのあだ名で呼ぶのも久しぶり」

天使「…」

金髪「って聞こえないか…これだけ熱があるなら、傷の痛みもまだあるよね…」

金髪「よーし、あたしの得意な、痛みを緩和する癒しを与えちゃおう」

金髪「ベッドに腰かけて、ヒヨコちゃんを抱えて…」ヨイショ

金髪「あたしの癒し、おっぱい枕〜♪」ボヨヨン

天使「…」ポッフン

金髪「茶ちゃんの手かざし、黒ちゃんのソフトハグに比べたら、ちょっと周囲の状況を見極めないとできないけど」

金髪「…あんたがちっちゃい時、ひときわ泣き虫だったあんたを3人で代わる代わる抱っこしてあやしたっけ」

金髪「寝顔は変わらないわー、ほんとあんたは同学年のどの子より幼くて…」

天使「…すやすや…」

金髪「それが今では…試練がきっかけとは言え、男さんの求めに応じ夜の生活を…」

金髪「こんな小さい体と幼い顔でねえ…それにあの女性体」

金髪「この子が女性に固定化したら確かにあんなんだったろうけど、あれがきっと男さんの好みピッタリなのよ」

金髪「理想が服着て現れて裸になった日には、そりゃあ『人間』だもの、発情せずにはいられないわあ」

天使「…ん…むにゃ…」
177 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 22:17:56.03 ID:O1sRzDlJ0

…赤髪天使と悪魔が話をしている…?

 赤髪「…本当に、彼女を助ける方法を知っているんだろうな」

 悪魔「ああ、俺が持っている魔術書の中に、使えそうな物があるんだよ」

 悪魔「…しかし…いいのかい、悪魔と取引をしたと知られたら、ただで済まねえんじゃないのかい、坊や?」

 赤髪「…天界の監視は定時に行われるだけなんだ、その合い間に手早く済ませたい」

当時は今のような、ほぼ常時監視ではなかったんだっけ…

 赤髪「外国で新しく作られた良い薬を手に入れたと…彼女にも周囲にもそう説明する」

 赤髪「とにかく…とにかく彼女を救いたいんだ」

無理だよ…この現場を見られなくても、天界をごまかし通すなんて…そんなこともわからない?

 悪魔「で、見返りは…約束を忘れるなよ?」

 赤髪「ぼくの寿命を300年だったな…でも前に言った通り、彼女の病気が治ったのを見届けてからだ」

 悪魔「わかってるって、寿命の移動も巻き物を使えば一瞬だ…へへ…気前のいい坊やだねえ」

 赤髪「…肺病が治っても、人間の寿命を考えたら…ぼくの寿命も100歳まであれば充分さ」

そもそも…この悪魔の話は本当なの?信用できるの?嘘だよ、こいつはきっときみを…

何もかも、少し考えればわかることじゃないか!



…赤髪…もうそんな判断もできなくなっているの、彼女のために、形振り構っていられなくなったの…?

 悪魔「あったあった、この巻き物だ…」ガサ
178 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 22:26:13.25 ID:O1sRzDlJ0

目を覚まして、赤髪…話に乗っては駄目だ…

 悪魔「天使の体液を万能の治療薬にする魔法…お前さんにはピッタリじゃねえか?」

 赤髪「ど、どういう効果なんだ?」

 悪魔「元々、多かれ少なかれ癒しの力を持つ天使の体液を薬にするのさ、そんなに無理な話じゃねえだろ」

 悪魔「坊やの体液であれば、なんでもいい…あのお嬢さんの体に、どんな方法でもいいからぶち込んでやりな」

 悪魔「…お手軽な方法だと…そうだな、精液を腹の奥深くに流し込んでやっても効くんだぜぇ?」

 赤髪「…!」

 悪魔「『恋人同士』なら一番自然だよな…新薬とやらは膨らし粉でも飲ませとけ、どうだ?」

この顔…ぼくを女にして『味見』したいと言った顔と同じ…天使を、おもちゃにしている時の顔だ…

 赤髪「わ、わかった…頼む、やってくれ」

駄目だ、赤髪、駄目だ…!!

 『もし嘘であれば…天界の剣で斬り捨ててやる…!!』

 悪魔「よし、契約成立…後戻りはできねえ」

悪魔が呪文を読み上げ始めた…ああ、嘘に決まっているのに…

…なんだ、景色が歪んで…?

 赤髪「き、貴様、これは…何をした!?」

 悪魔「ケケケケ…おもしれえ、天使のガキってのは本当にからかい甲斐ある生き物だぜ!!」

 悪魔「最初から、万能薬を作る巻き物も寿命を吸い取る巻き物も持ってねえよ!」

 赤髪「だ、騙したな!?殺してやる!!」シャッ
179 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 22:30:08.48 ID:O1sRzDlJ0

剣を抜いた…!

 悪魔「バーカ、そんなこた想定してらあ…この魔術書はな…!」

 悪魔「てめえを一週間後に飛ばす呪文なんだよ!あばよ!!」

赤髪…!!





 赤髪「…あ…ここは、さっきと同じ、森の中…?」

サク…

 赤髪「…ゆ…雪…?辺りは雪が積もって…周囲の木々も完全に葉が落ちて…」

 赤髪「あいつは、いない…一週間…後…?」

 赤髪「…!!」ハッ

 赤髪「戻らなくちゃ…帰らなきゃ…!!」バサッ

…こんなこと、あの悪魔にとっては単なるいたずらに過ぎないんだろう…

でも…あんなに弱っていた彼女は…あんなに赤髪だけを支えにしていた彼女は…?

 赤髪「町の中も雪が降り積もって…本当に日にちが経ってしまったんだ…」

 中年女「…赤髪さん!!どこに行ってたんだい!?」

 『アパートの住人で唯一、彼女とぼくを心配して声を掛けてくれる人だ…』

 中年女「こんな何日も…あんたの、あんたの奥さんは…!!」
 
180 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 23:21:32.98 ID:O1sRzDlJ0

そうだよ、女の人はどうなった?

 赤髪「…!!」ザッ

 中年女「奥さんはもうあの部屋に…このアパートにいないよ…」

 赤髪「ど、どうして、どこへ行ったんです!?」

 中年女「6日前…あんたが帰って来ないと、アパートの住人達に聞いて回って…」

 中年女「その足で警察に行き、事故に遭った赤い髪の青年はいないかと…あの体で…」

 中年女「部屋に戻って、それからずっとあんたか警察からの連絡を待ちながら、泣いて過ごして」

 中年女「それでも居ても立ってもいられなかったんだろう、4日前の夜…あたしが目を離した隙に」

 中年女「…あんたを探しに外に出て行っちまった…」
 
 赤髪「そ、それで…彼女は今、どこに…」

 中年女「…あの晩、初雪が降っただろう?翌朝、そこの路地で…半分、雪に埋もれて…3日前だよ…」

…あ…ああ…

 『嘘だ、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ…』

 赤髪「ああああああああうわああああああああああああああわあああああああああああああああああ」

なんて…なんてこと…

今の赤髪には…アパートの住人の声も届かない…周囲の音は聞こえない、周囲の風景は見えない…



誰かが、来る…天使、だ…

……
181 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/16(月) 23:23:22.29 ID:O1sRzDlJ0

男「解決までの時間は早まったと…信用していいんですね?」

校長「うむ、ただ心配事は…派遣してもらった魔界の追手は、少しばかり手緩い奴らで…」

男「…追われている奴が一番凶悪なんじゃないの?」

校長「おお、鋭いな…奴は魔界でも異常人格との噂があってな」

校長「基本的に天使への悪質ないたずらを好む変質者であり、時として今回のような残酷な暴力も振るう」

校長「まるで天使を憎んでいるかのような…」

校長「魔界でも奴の逸話は、ちょっとしたサスペンスとして、脚色されてエンターテインメントにもなっている」

男「なんなの魔界なんなの!?」

校長「最近の魔界世論調査では、天界とは本気で和平条約を結ぶべきとの層が、初めて過半数に達したとか」

男「もういいよ…神様も随分いい加減だと思ってたが、この分じゃ魔界の長とやらもかなり適当な奴らしいな…」

校長「神と魔界の長に関わる直接的な話は、人間には詳しく話せないのだ、すまない」

男「なんでもいいけどしっかり頼むよ…俺たちゃお祈りくらいしか出来ないんだから」

校長「信じてくれるだけでもありがたい、全力を尽くす」

金髪「…男さ〜ん…」

男「どうした?天使に何かあったか!?」

金髪「あたしね、あの子を…幼年期に天使学校でやってたみたいに、胸に抱いて語りかけていただけなのに…」

女天使「…すー…すー…」

男「…は?」
182 : ◆cTYQK/.TbSW. [sage]:2018/07/16(月) 23:24:11.03 ID:O1sRzDlJ0
今宵はここまでです
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/17(火) 07:41:28.38 ID:ToIVGZ+R0
おつ
赤髪はどうなるかな
184 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 17:34:48.48 ID:3TOq2raE0

校長「…何をした?」

金髪「だから…胸に抱いて語りかけていただけ…ちっちゃい頃の話とか…」

金髪「立派なイケメン天使になって、頑張ったねとか…あと……」

校長「『あと』?」

金髪「…お…男さんとの夜の生活も頑張ってるね…とか…」

男「おい」

校長「天使の『癒し』は多少の催眠効果を持つが、お前は特にその力が強い、わかっていただろう?」

校長「まして…まだ精神も発達段階の成長途上の子、しかも意識はなく暗示にかかりやすい」

校長「その状態でのお前の卑猥な妄想は、この子に対して性的な行為と同じ影響を与えたのだぞ!」

校長「いわば精神的ワイセツ行為だ、天使学校の教師としてあるまじきにも程がある!!」

金髪「ごめんなさいいいいいいいいい」

男「え…」

校長「…男さん、試練を終えて間もない天使が幼年体に戻ったり、性別が逆転する現象は決して珍しくないが」

校長「その原因はさまざま、個人差がある…この子の場合、監視記録の分析から考えられるのは」

校長「幼年体になる理由は『安心できる状況があっての』精神の動揺によるもの」

校長「更に、幼年体になってから性的な刺激を与えられることで、女性体に変化する…と思われる」

男「せいてきなしげき」

校長「心当たりはおありだろう?」
185 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 17:36:31.38 ID:3TOq2raE0

男「…大あり…というかその…自分でもなんとなくそうかなとは思っていました…が…」

男「天使学校って、教師達って、そんなところまでデータ分析しなきゃならないの…」

校長「稀に人間とのトラブルの原因にもなるからな、対策を講じるためにも必要なのだ」

校長「あなたとこの子は幸い円満なようだが」

男「…もういいっす、天界は何もかもお見通し、今更取り繕う気も起りません…」

校長「気に病むな、教頭も言ってたと思うが、形はどうあれあなたがこの子を愛してくれるのは我々にも喜ばしい」

男「愛して」

校長「ところで…男さん、この家にバケツはあるかな?」

男「は?…バケツ…これでいいですか?」

校長「小さいな、もっと…10リットルくらいの容量のものが2つあれば良いが」

男「ないっすよ、一人暮らしの狭いアパートの掃除ならこんなんで充分です」

校長「…金髪天使に水を入れたバケツを両手に持たせ、しばらく立たせておこうと思ったのだが…反省を促すため」

金髪「おしおきですかあ!?」

男「昭和の小学生…ってか、の○太くんか!?」

校長「…では、石板はあるか?畳半畳を平行に三等分した大きさと厚みで、3〜4枚…あと、そうだな、角材数本」

校長「金髪天使を角材の上に正座させ、腿の上に石を積んで行くのだ」

金髪「」

男「どっちもねーよ、江戸時代の拷問かよ!!」
186 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 17:38:13.82 ID:3TOq2raE0

金髪「…ううう、ただの正座のみとは言え、あたしこんな姿勢慣れてない…ううう」

校長「それだけで済ませてやっているのだ、男さんに感謝しろよ」

男「…子供の姿が省エネモードなら、多少ボリュームのあるこの姿は、怪我に悪影響ないんすか?」

校長「まあ、成人女性化したということは、それだけ肉体も回復してきたという意味だ」

校長「しかし傷が完治して体力も戻るまでは、あの青年形態には戻らんだろう」

女天使「…すや…すや…」

校長「熱や痛みはあっても寝顔は穏やかだろう?容態が悪化した様子もない」

男「…」

男「…さっき『安心できる状況があっての』精神の動揺とか言いましたよね、子供に戻る原因は」

校長「ああ、必ず近くに男さんがいる時でなければ、この子は決して変化しないようだ」

校長「男さんから離れて、何が起こるかわからない人間社会での就労中、そして」

校長「精神的にも大きなダメージを受けた悪魔の襲撃時に、変化しなかったのが何よりの証拠だ」

校長「前者の場合は程よい、後者の場合は異常なまでの、共に緊張状態にあった」

校長「逆に、気の緩みと言ってしまえばそれまでだが、男さんと二人きりでいる時は安心しきっているのだろう」

男「俺と二人きりの時は、安心…」

天使「すー…すー…」

……
187 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 17:40:39.85 ID:3TOq2raE0

赤髪に近付いて来る天使は2人…あ…天使学校の校長先生と、教頭先生だ

校長先生の顔は全く変わらないけど…教頭先生はちょっと若いなあ…100年前なら250歳くらいか

教頭先生の服装は今と少し違って一般教官の恰好をしている、当時はまだ「教頭先生」じゃなかったんだ

校長先生は…あれ…いかつい防具を身に付けて、腰には剣まで…すごい威圧感

確かこの装備は…

 教官(のちの教頭)「…赤髪天使よ」

 赤髪「…?」

 『あれ…外に…アパートの前にいたはず…いつの間にか屋根裏部屋に…彼らの力で瞬間移動したのか』

 赤髪「…先生、それと…あなたは…その装備…そのマントの色、天界治安部隊長…」

 隊長(のちの校長)「その通りだ、初めまして…赤髪天使」

 赤髪「あなた達が来たということは、やはりバレているんですね…」

 赤髪「修行中に失格とみなされた場合は天界へ強制送還、二度と地上に降りて人間と接することは許されない」

 赤髪「さらに、故意に重罪を犯した場合は記憶を消し、別人の天使として魂を再生」

 赤髪「…魂まで完全に『汚れ』天使の資格なしとされれば、魂ごと消滅させられる」

 赤髪「ぼくは結果はともかく悪魔と契約を結んだ、魂の再生か、消滅か」
 
188 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 17:44:49.29 ID:3TOq2raE0

そんな…赤髪は騙されたのに、彼女を助けたい一心、それだけ…

 教官「…君は確かに悪魔と契約を結んだが、その動機と君の年齢を考慮し、処分は強制送還に決まった」

 隊長「再生が妥当とされたところを、この教官が上に懇願してくれた結果だ、感謝するが良い」

 赤髪「強制送還…」

ああやっぱり、教頭先生は昔から優しい先生なんだ…

 『天界に戻り、地上に降りることはなくても、下級天使の仕事は人間と人間の生きる地上を見守ること』
 『彼女の魂が誰かに生まれ変わったとしても、それは既に別人』
 『23年間の生涯で、何かを成して世に名を遺したわけでもない』
 『彼女には血を分けた子孫ばかりか実の親兄弟さえいない』
 『幼い彼女を慈しみ育てた孤児院でも、彼女は院を巣立った大勢いる孤児のひとりに過ぎない』
 『既に彼女の存在を最初からなかったかのように振る舞う養父母とあの富豪は言うに及ばず』
 『高級娼婦という職業の彼女を、世の多くの人々は存在を視界に入れようともしない』
 『これから400歳になるまで、ぼくは彼女を忘れていくだけの地上を見守るのか…』

 教官「…住む人がいなくなれば、この部屋をいずれ人間は片付けてしまうだろう」

 教官「身寄りのない女性だったのだろう?取っておきたい遺品があれば、君が所有して構わないと思う」

 隊長「ああ、その程度の時間は待ってやろう」

 隊長「多くは持てないぞ、厳選しろよ?」

 隊長「遺品か…人間の風習の中でも、特に奇妙なもののひとつだ」

 『奇妙…そうだよな、人が死んでしまった後、遺された、ただのモノなんかになんの意味があるのか』
 『…と、天使なら思うだろう』
 『無生物も不変ではない、人間にとって耐久性ある物質でも下級天使の寿命の間に風化してしまう物もある』
 『ましてや、長い時を生き、これからも長い時を生きる上級天使にとっては…』
189 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 17:47:49.52 ID:3TOq2raE0

確かに、ちょっと校長先生…いや当時は隊長さんのこの言葉は、冷たい印象はあるけれど…

 隊長「君を陥れた悪魔については、他の地上にいる天使達にも注意喚起する」

 隊長「より悪質な行為を増長させれば、更に強硬手段も検討するが…」

 赤髪「…」

 『今回のあいつの行為は、それほど悪質でもないわけか、天界にとっては』
 『結果として人間一人を苦しませ悲しませたあげく死期を早めた、それは取るに足らないと言うのか』

 隊長「結果は残念だったが、こうなった以上、君も天界に戻り易くなったのではないか?」

 隊長「地上に心残りはもうないのだからな」

 赤髪「…!!」

 『彼女の早すぎる死を、あまりに儚い一生を、侮辱された』
 『ぼくは少なくともその時、そうとしか思えなかった、思い込んでいた』

 赤髪「あんたには…あんた達には、取るに足らないガラクタなんだろ?寿命数十年の生涯も、400年の生涯も」

 隊長「ん?何を言って」

 教官「!!」

 シャッ

駄目だ、赤髪!!

……
190 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 17:50:25.93 ID:3TOq2raE0

男「…こいつは、こんな俺を信頼して、自分の全てを預けてくれているのか…」

校長「あなたは、心も開いてくれない相手でも、体を開かせるのは一向にかまわない人間なのか?」

男「う、え!?かかかかっ、カラダを開かせ、って!?」

校長「この子に対し、愛も情もなく、ただ肉欲を満たしたいだけならば、こちらもちょっと考えなければならん」

校長「…しかしその心配は無用だ、それは誰よりこの子自身がわかっている…男さんよりもな」

男「……俺もあけすけに言わせてもらいますけど、いいんですか、この天使と俺は、今後もセックスし続けても」

校長「性行為そのものを理由には、決して修行失格にはならんよ」

男「…俺の寿命が尽きるまでこいつが一緒にいたとして、天使にはその後300年以上の人生…天使生がある」

男「俺との暮らしなんてこいつの一生には短い間だし…あんたに至っては一瞬のようなものだろ?」

男「それに天使の自浄作用」

男「俺がこいつの体を精液まみれにしてやっても、少し経てば勝手にこいつの体はキレイになっちまう」

男「俺との行為なんて短期間セクハラに遭ったようなものだから、こいつの経歴に傷はつかない」

男「取るに足らないからマイナス査定にならないんでしょ、俺の影響なんか」

校長「なんだ、あなたはこの子は失格だと言って欲しいのか?我々にこの子を罰してほしいのか?」

男「そ、そうじゃないです、そうじゃないけど…」

校長「わからんな…うむ、本当に人間とはややこしい生き物だ、次にややこしいのは下級天使だが」

男「ややこしいって…神様が作ったんでしょ、地上の生物」

校長「ああ人間社会に伝わる創世神話か、それはちょっと違うぞ?」
191 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 17:52:57.86 ID:3TOq2raE0

男「へ」

校長「私に言わせれば、どの宗教の創世神話も、現時点での科学の学説も」

校長「どこかしら正しい部分もあるが、全てが事実と一致する話はないのだ」

金髪「…校長…人間にはその話、もっとぼかして話さないとならないのでは…」オロオロ

校長「ん?私だって相手を選んで話をしているのだぞ」

校長「この星に限って言えば、何もなかった星を、まず神は水が溜まりやすくした」

男「この星に限ってってなんなんだよ」

校長「宇宙全体…いや太陽系にまで話を広げると、さすがに男さん相手にも『語れない』のでな」

校長「で…いい感じに水が溜まったところで、頃合いを見て神は生命の素を創って水に放り込み」

校長「『どんなふうに育つか予想もつかない』生命が生きやすいよう少しだけ周囲を整えてやった」

校長「やがてあらゆる生き物達が名もなき生命から生まれ、育ち、広がり、滅び、栄え」

校長「ついにあなた達、現生人類が生まれた」

校長「いずれ知的生物が生まれるのは神と大天使達も以前から予測はしていたし」

校長「いわゆる化石人類達が猿と袂を分かった時点で作られた、新参者の我々上級天使も」

校長「ついにここまできたかと感慨深かった」

男(…いくつなんだよこのひと)

校長「で、現生人類だが…年月が経つにつれ、実に扱い辛く、神も思いもよらぬ行動を取る生き物になって行った」

校長「興味深いが…さすがに神も、従来のように好きなように育てとは言えない状況が現れた」
192 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 17:54:48.93 ID:3TOq2raE0

男「好きなように育てと言えないって…どんな状況」

校長「うーん、そこはっきり言うと人間社会が恐慌状態になりかねんのだ」

男「あんたが話し始めたんだろ」

校長「ここは、真のオーバーテクノロジーの痕跡はまだ人類に発見されていないだけ、とでも言っておくか」

男「」

校長「とにかく、それからようやく人間に似せた下級天使が創られた、というわけさ」

男「…じゃあなんであんたまで現生人類そっくりなんだよ、人間は神の似姿ってやつじゃないの?」

校長「私の…上級天使の今の姿は仮の姿だ、下級天使に見た目を合わせてある」

男「は」

校長「神と大天使は滅多に人前に現れないので、元々の姿で普段から過ごしておられる」

校長「あ、元の姿はちょっと勘弁してくれよ、何万年もこの姿でいるから今更戻るのもおっくうでな」

男「…いや…いいです、想像したくもないです…」

校長「…さっきのあなたの言葉な、人間も下級天使も短い一生だから、我々から見れば取るに足らないと…」

校長「少し前…人間には昔か、状況は違うが、ほぼ同じことを言われたよ」

校長「まだ若い、あなたよりも少し若い、修行中の下級天使にな」

男「…?」

校長「私の、あまりに不用意で、思い遣りのない言葉が原因だった…」

……
193 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 19:57:56.85 ID:3TOq2raE0

剣を向けては駄目だ、赤髪!!

 隊長「ちっ、油断した…!」

 ザシュッ

 隊長「…!?」

 赤髪「先生!!」

教頭先生!?

 教官「…」ドサ…

 隊長「な、なぜ私を庇った、鎧も着ていない君が!!」

 教官「…駄目…です…下級天使が…上級天使を、傷付けては…」ゴフ

 赤髪「…あんたもか、先生」

 赤髪「あんたも、天界の上下関係が、天界の規律が、何より大切なのか」

何を言ってるんだ、赤髪!?

 隊長「出血がひどい…くそ、やはり二人だけで来たのは間違いだったか…私には、治癒の術は使えん…」

上級天使様達は僕らより遥かに人数が少なく、持って生まれた能力から完全な分業制だと聞いた…

 隊長「そうだ、赤髪天使!止血くらいはできるだろう、教官の応急処置をしてくれ」

 隊長「そしたら君の罪状が軽くなるよう私からも取り成してやる…どうだ?」

 隊長「…死なせるわけにはいかんのだ…」ボソ
194 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 19:59:56.46 ID:3TOq2raE0

校長先生…

 赤髪「…」

 赤髪「自分の後始末は自分でつける、もうあなた達と話すことはない」バサ

 隊長「逃げても無駄だ、すぐに追手が!!」

 赤髪「教官を助けたければ早く助けを呼ぶか、天界に戻ってください」シュン…

瞬間移動…どこへ行くんだ、赤髪…



教頭先生は今もお元気だから…ここでは命を落とさなかった…

下級天使が上級天使を傷付ければ、いや、敵意を持って武器を向けただけでも重罪

校長先生…隊長さんは油断していたとは言え、防具もつけていた、何より戦闘のプロだろう

先生は…隊長さんじゃなく『赤髪を』庇ったんだ…

…赤髪の記憶…きみはどこへ…

あちこちめちゃくちゃに飛んで…あ…あの森に…

 悪魔「…よう、俺を探してんだろ?」ニヤニヤ

 赤髪「貴様だけは…貴様だけは、殺してやる」

 赤髪「天界の対応は生温い…貴様がのうのう生き永らえていると思いながらでは、残りの一生を過ごせない」

 赤髪「貴様を斬り捨てたら、すぐに天界の追手に捕らえられてもいい、消滅の罰を受けても構わない」

 『むしろ、魂も何もかも消えてしまえるのなら、ありがたいくらいだ…』

195 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 20:03:50.00 ID:3TOq2raE0

赤髪…激しい憎しみと殺意、失望…天界、いや、世界への失望で、きみの心は満たされている…

 悪魔「ケケ、やっぱりお前は天使のくせに激しい気性を内に秘めてると思ったんだよ、面白いよなあ」

 悪魔「お前ら下級天使は、人間や悪魔とも違って、髪の色を見りゃだいたい性格がわかるんだ」

 悪魔「地味な髪色の奴は真面目で、理性が強いか稀に極端な内気か、ま、面白味はないわな」

 悪魔「成長しても鶏の雛みたいな薄黄色の髪は、見たまんま幼稚で間抜けな甘ったれ」

え、僕の髪色?

 悪魔「派手な金色か燃えるような赤毛は感情が激しく、長所は情熱的とでも言うのか」

 悪魔「短所はまるで人間のように、何かのきっかけで理性のタガが外れる」

 悪魔「お前は特別荒っぽい天使のようだ、下級のくせに上級に剣を向けるとは!!ひゃはははは!!」

 赤髪「もう黙れ!!」

 ブンッ

 悪魔「おおっと危ねえ…意外とすばしっこいな」

 悪魔「どうだ、天使に捕らえられても処刑しかないなら、魔界に来ねえか?」

 悪魔「俺も出来心で宝物を盗み出してちょっと帰りづらいが、天使が手土産なら堂々と帰れる」

 悪魔「天界と違って魔界は優しいから、堕天使はいつでも大歓迎だぜ!!」

 赤髪「…くっ…」チャキ…
196 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 20:07:06.57 ID:3TOq2raE0

剣を下ろした、まさか、赤髪…!?

 悪魔「…ほー、話を聞く気になったか…素直ないい子だな」

 悪魔「どうだ、悪魔になったら…お前を排除しようとしている天使どもに仕返しもできるぜ」

 赤髪「…詳しく話せ」

 悪魔「へへへ、そう来なくちゃ…仲よくしようなあ」

悪魔が歩み寄る…赤髪…

剣は…自分以外から見えなくしているが、まだ…利き手に持ったまま…

 悪魔「…このガキ…!?」ハッ

 ズシュッ!

 悪魔「く…そ…その身のこなし、天性のものだなあ…」ゲブッ

 悪魔「…ほんと…下っ端天使にしとくには、惜しいぜ…」ズル…

 赤髪「…やった…か…?」

いや、まだ…魔導書…!?

 悪魔「たまたま盗み出した中にあった、こいつ…」ゴホッ

 悪魔「じゅ、術者が瀕死でなけりゃ使えねえ呪文…まさか本当に使う羽目になるとはな…!」

 赤髪「!!」

 悪魔「最後の手段、『融合』の術…!!」

……
197 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 21:42:00.33 ID:3TOq2raE0

男「…その天使は、あんたとおっちゃn…教頭さんの前から姿を消して、どうなったんです?」

校長「私はまず教頭…当時の教官を助けることを最優先にして、彼を連れ天界へ戻った」

校長「赤髪天使への追手はすぐに地上へ向けられた、しかし…」

男「…見失ったんですね?」

校長「つくづく無能だって顔をしないでくれ」

校長「白い翼のある男と、怪しい風体の男が争っていたのを目撃した人間がいたとも聞く」

校長「…自分を騙し恋人を間接的に殺した悪魔を倒すため、奴に向かっていったのかもしれん」

校長「そして…返り討ちに遭い、殺されたか…」

校長「通常、天使は地上で死ねば、痕跡も残さず消滅してしまうのだ」

男「…恋人の仇、か」

金髪(正座)「…かわいそう、でもロマンチック、愛に生きて愛に殉じたのね…」シクシク

校長「泣くなら黙って泣け」

校長「…後でわかったことだが、赤髪天使は天使学校時代、教官を心から信頼し敬愛していたらしい」

校長「私が不用意な言葉を発さず、教官に説得を任せていれば、赤髪天使を天界に無事送還できただろう」

校長「彼に剣を抜かせたのは私だ」

校長「あの頃の私は、下級天使や人間の感情の機微など、理解しようともしていなかった」

校長「彼らを力で捻じ伏せられる力を持つ治安部隊長の職務に、そんなものの理解は不要だと思っていたのだ」

校長「…治安を乱すものは、いつだって感情なのにな」
198 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 21:43:48.60 ID:3TOq2raE0

男「で…どうして治安部隊長から校長先生に?」

校長「あのことで、私は自分の過ちを痛感した…そして思った」

校長「真の意味で天界を、天使を守るには、感情を心を学ばなくてはならない、と」

校長「この教官に、彼の同僚に、彼等に育てられる子供天使達に、そして…人間達に、学ばねばならない、と」

校長「数年後、天使学校の校長と教頭が高齢のため揃って引退することになった」

校長「教頭には当時の教官の中から最年長の…彼が選ばれるのはわかっていた」

校長「校長は外部から招へいすることになっていたが、私はそれに手を挙げた」

校長「…いつまでかは確約できないが、当分は自分も成長しながら、校長の職務を果たさせていただくつもりだ」

男「…数百万年生きて、まだ伸びしろがあるんだ…」

校長「どんな生き物も、自分で成長するつもりがある限りは成長できるさ」

校長「…は言うものの、まだまだあなた達も下級天使達も、理解不能な行動が多くてなあ…」

校長「時と場合と相手により、有無を言わせない躾も必要だと思うので臨機応変にやって行こうと思う」

校長「なあ金髪天使?」

金髪「ひゃいいいい…」

ピンポーン

男「あ」

友の声「男ー、約束の時間には少し早いけど、昼飯差し入れついでに来たぞー」

女の声「天使ちゃん、大丈夫ー?」
199 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 21:45:55.77 ID:3TOq2raE0

友「…」

女「……」

女天使「すー…すー…」

男「…牛丼美味いなあ」モシャモシャ

友「…男から相談を受けた時、男の推測では子供天使が女性化するきっかけは…」

女「天使ちゃんが悩んでいた件、子供から女性になるタイミングって、いつも…」

友・女「「最っ低…」」

男「だから…今回は俺じゃねえって」

金髪「あたしですー、何もかもあたしが悪いんですー」シクシク

校長「その通り、彼女は教師としてあるまじき行為の罰を受けている最中なのだ」

友「」

女「…こちら様は?」

男「上級天使様、この金髪さんとか、昨日の教頭さんの上司、天使学校の校長先生」

校長「友さんか…この度は、我々の監視が至らず」

友「も、もういいですよ、天使にも、昨日の教頭先生にもさんざんお詫びしていただきましたから」

校長「そうか、度を越したお詫びは却って不快とも聞く、やめておくか」

女(…めっちゃ長身、金属みたいな銀の髪、それに頭に…まさに天使の輪っか…)

校長「お二人がお見えになったばかりで失礼だが、我々はこのへんでおいとましようか、金髪天使」
200 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 21:47:32.54 ID:3TOq2raE0

金髪「や、やった、やっと正座から解放され…」

足「ぐにょ」

金髪「…るっ!?」ドテン

男「天使も足、痺れるんだなあ」

金髪「やだあああああ、何これえええええ」ジンジンジンジン

校長「見苦しい…立って歩けないなら飛ばんか、なんのための翼か」

金髪「うぇい…」バッサ…

校長「それではいずれまた、男さん達…明日はおそらく茶髪天使と黒髪天使が来るはずだ」

校長「…男さん、あの世界創生に関わる話は、他言無用とは言わんが、相手を選びほどほどに、な?」ヒソヒソ

男「わ、わかった…」

女「…また窓から出て行った」

男「来た時は瞬間移動のくせに」

女「しかし…男くんが手を出していないのは信じるとして」

女「…なんちゅう美しさと可憐さ…見事に全部半端なく可愛いのね天使ちゃんの三形態って、ねえ友くん」

友「そ、そうだな…」

男「何緊張してんだよ友」

女「いやーこれは責められない、男ならドキドキするわ」

……
201 : ◆cTYQK/.TbSW. [saga]:2018/07/21(土) 23:05:02.91 ID:3TOq2raE0

融合の術…悪魔の術

戦闘で瀕死になった術者が、最も近くにいる他者の魂や肉体と融合し、相手が狼狽えている間に

相手をまるごと術者の意識の支配下に置いてしまう、浅ましい術…

赤髪天使は、取り込まれて、消えてしまったの…?



 『自分の実力以上の呪文を使えると言っても、所詮は下級悪魔』
 『奴にとっては、完全に使いこなすには少しばかり高度な魔術書だったようだ』
 『…気が付けばぼくは、あの悪魔の体で地面に仰向けに倒れ、悪魔の目で空を見上げていた』
 『赤髪天使の肉体はどこにもなかった、痕跡さえも』
 『逃げよう』
 『天界の追手が赤髪を探しに来る…この姿とは言え、連中に ぼく を見抜かれない保証はない』
 『へえ、おかしいな…追手に捕まっても良かったんじゃなかったか?』
 『違う、悪魔はまだ 死んでいない 』
 『そうだろ悪魔、ぼくに問いかけているお前は、生きているんだろ?』
 『くくく、これはこれで楽しいかもしれんが…天使の坊や、お前はどこまでこの状況に耐えられるのかねえ』
 『狂っちまうよ、お前は、耐えられず狂っちまうよ…遠くない未来さ、断言する』
 『うるさい、黙れ、黙れ…!!』
 『ぼくの天界の剣は、なぜか消えずに、いつの間にか悪魔が背に担いでいた』
 『もちろん俺の外套の内ポケットには、ぎっしりと魔導書が』
 『これらがあれば、追手をかわせる』
 『なあ坊や、生きて生き延びて、天使どもに復讐しようぜえ?』
 『月日が経つにつれわかったが、ぼくは悪魔の気配と天使の気配を切り替えることができるらしい』
 『俺が天使にちょっかいをかけ、天界が動けば、ぼくは天使の気配を纏う』
 『こうすれば悪魔の存在は消えてしまう、ほとぼりが冷めるまでこれで凌げる』
 『そう、貴重な魔導書は節約しなくちゃ』
 『なあ…俺のは結果はどうあれただの悪戯だが、お前はどう考えても天使を憎んでいるよなあ』
 『時には人間まで利用して、修行中の若い天使に、あそこまで残酷な真似ができるんだなあ』
 『ケケケケケ、お前は悪魔以上の悪魔になっちまった、赤髪の堕天使』
 『楽しいな、楽しいなあ!!』

…赤髪…
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