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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十七輪目】

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1 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 17:37:00.42 ID:8ClIDT+Io

このスレは安価で

乃木若葉の章
鷲尾須美の章
結城友奈の章
  楠芽吹の章
―勇者の章―

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的

東郷家、犬吠埼家への挨拶と伊集院家の説得
元気な子供を産む
進路決定
結婚式
全員生存


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
基本的には9月14日目が最終

※勇者の章に関しては、9月以降も続きます


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
※ストーリーによってはHP0で死にます


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに

前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1468417496/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1472477551/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1477053722/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1481292024/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1484833454/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1488104860/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1491918867/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【九輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1495544664/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499086961/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1503148550/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1507900727/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1512897754/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1517577349/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1523885099/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1532355674/
2 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 18:29:38.89 ID:8ClIDT+Io

√ 12月2日目 夜(病院) ※火曜日


01〜10 友奈
11〜20 
21〜30 
31〜40 園子
41〜50 
51〜60  おやすみ
61〜70  沙織
71〜80 
81〜90 
91〜00 夏凜

↓1のコンマ 

※おやすみはこのまま翌日に移行
 体調判定は飛ばします
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 18:41:58.60 ID:nWK+Ps1IO
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 18:44:19.31 ID:8Qqla1gWO
オヤスミー
5 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 19:19:39.67 ID:8ClIDT+Io

√ 12月2日目 夜(病院) ※火曜日


夏凜「…………」

樹「夏凜さん、寝ないんですか?」

夏凜「ん? 一応、隣のベッドだからもう少し見とく」

樹「そうですか……」

夏凜「何かあった?」

静かに寝息を立てる天乃、細く伸びた白い手を握る夏凜

呟きとともに流れるような視線を向けた樹の表情は影があって

夏凜はためらわずに声をかけた

樹「THE TOWER……塔の正位置です」

夏凜「それ、樹のタロットカードってやつよね?」

樹「はい。それで何気なく占ってみた結果、塔の正位置でした」

塔の正位置と言われても

タロットカードに詳しくない夏凜には何が言いたいのか分からない

樹も当然、それが分かっているからか、

引いたであろうカードを夏凜の前で取り出す

樹「塔の正位置は、急激な変化や人生に大きな影響を与えるような喪失など、あまり良くない意味を含んだものです」
6 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 19:40:42.44 ID:8ClIDT+Io

夏凜「さっき何気なくって言ってたけど……」

樹「はい。一応、私達……久遠先輩達みんなの今後を占った結果です」

塔のカードは、

人間のエゴイズムのようなものを現し、

それを打ち砕く雷はまさしく勇者部が受ける可能性のある天罰とされている

これはいわゆる、バベルの塔。と呼ばれるものだ

それゆえに、悪くとらえられがちなカードではあるが、

これには決して悪くはない意味も含まれている

それは、この結果を与えられた者次第ではあるのだが。

樹「このカードには、さっき言った意味のほかに、人生に大きな影響を与える転機。ターニングポイントという意味もあります」

夏凜「まさしく私達ってわけだ」

樹「はい。ですが、きっとこのカードはそれ以上の意味を持つんじゃないかと私は思っています」

夏凜「それ以上の意味……?」

樹は軽くうなずくと、

塔のカードをもとに戻して、息を吐く

これは自分の考えだ

だから、言うべきではないという自分の一歩引いてしまう弱さ

その自分に、樹は心の中で「大丈夫」と声をかける

今はもう、自分が自分であることを誇りに思うことのできる心があるから

樹「もしかしたら、私たちは先に進むかどうかを考える必要があるんだと思います」

夏凜「先って、樹……まさかあんた」

夏凜の驚く表情にまっすぐ向き合い、樹は頷く

樹「神樹様に守られ、外に出ていくのを止めるか、加護を抜け、本当の意味で踏み出すか。決断する時が近いのかもしれません」
7 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 19:50:19.99 ID:8ClIDT+Io

1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(神罰)
・   犬吠埼風:交流有(神罰)
・   犬吠埼樹:交流有(私たちの考え、神罰)
・   結城友奈:交流有(神罰)
・   東郷美森:交流有(神罰)
・   三好夏凜:交流有(神罰)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流有()
・   藤森水都:交流有()
・     郡千景:交流有(神罰)
・ 伊集院沙織:交流有(神罰)
・      九尾:交流有(神罰)
・      神樹:交流無()


12月02日目 終了時点

乃木園子との絆  86(高い)
犬吠埼風との絆  109(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  97(とても高い)
結城友奈との絆  116(かなり高い)
東郷美森との絆  128(かなり高い)
三好夏凜との絆  150(最高値)
乃木若葉との絆  99(かなり高い)
土居球子との絆  44(中々良い)
白鳥歌野との絆  44(中々良い)
藤森水都との絆  36(中々良い)
  郡千景との絆  46(中々良い)
   沙織との絆  128(かなり高い)
   九尾との絆  69(高い)
    神樹との絆   ??(低い)
8 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 19:57:28.59 ID:8ClIDT+Io

√ 12月3日目 朝(病院) ※水曜日


01〜10 園子
11〜20 
21〜30 
31〜40  友奈
41〜50 
51〜60  夏凜
61〜70  東郷
71〜80 
81〜90 
91〜00  若葉

↓1のコンマ 
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 20:00:23.29 ID:8Qqla1gWO
10 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 20:22:06.10 ID:8ClIDT+Io

√ 12月3日目 朝(病院) ※水曜日


天乃「あ……頭が痛くない」

それもそうだ

夕方に眠ってから、夜に起きることもなく

そのまま朝を迎えてしまった

それでいつもより早く起きているとかならともかく

いつもの時間よりも遅いのだから、

それだけ、精神的にも疲弊していたということなのだろう

天乃「…………」

誰かに握られていた右手へと、目を向ける

布団の中に入っていた温かさもあるが

夜、誰かが握ってくれていた感触も確かにあって

天乃「……夏凜、かな」

ちょっぴりかさついた、努力を感じる夏凜の手

きっとそうだと、天乃は右手を左手で覆うように、胸元へと持っていく

天乃「ふふっ」

対処法があるとはいえ、

神罰……祟りがあるという不安はぬぐえていないし、

その先への不安もまだまだあるが、

少しだけ、心が安らぐような気がする
11 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 20:35:06.14 ID:8ClIDT+Io

天乃「それにしても、私の血……ね」

それで誓約を行うと九尾は言っていた

どのように行うのかまで話してはいなかったけれど

説明を省いた辺り、

何か準備が必要なほどのものではないということだろう

もしくは、

一番重要なのは天乃の体調だったか。

天乃「なにをするのかしら」

誓約を行う。というのがヒントになるかもしれない

であれば……

そっと、唇に触れる

誓約、婚約どんな違いがあるのかまで、

天乃は細かく知っているわけではないが

昨日の友奈たちの反応の通りならば、そういうことなのかもしれない

天乃「なんかちょっと、ドキドキするわね」


1、勇者
2、精霊
3、イベント判定


↓2
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 20:42:00.59 ID:8Qqla1gWO
3
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 20:43:15.58 ID:9RdkRxAM0
3
14 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 20:55:04.79 ID:8ClIDT+Io

√ 12月3日目 朝(病院) ※水曜日


01〜10 風
11〜20 若葉
21〜30 東郷
31〜40 球子
41〜50 友奈
51〜60 夏凜
61〜70 歌野
71〜80 園子
81〜90 沙織
91〜00 樹

↓1のコンマ 
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 21:09:24.84 ID:8Qqla1gWO
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 21:10:15.16 ID:8Qqla1gWO
17 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/02(日) 21:30:29.91 ID:8ClIDT+Io

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

・樹のタロット「塔の正位置」はワンオラクルで実際に引いたカードを採用
・クロススプレッドでは、最終結果「運命の輪の正位置」


夏凜「いうようになったじゃない、樹」

樹「それもこれも……久遠先輩がいたから。です」

夏凜「ほんと厄介だわ。天乃は」

樹「そうですね。でも、みんなのために一番つらい思いをしてくれたのも、久遠先輩ですから」

夏凜「知ってるわよ。だから付き合ってあげんのよ。どんだけ高い理想にだって天乃が望むなら」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 21:45:43.03 ID:8Qqla1gWO

原作の悪夢…ただでさえ見ててキツかったのにそれをさらに×6ってなんて鬼畜な…
久遠さんは出産に専念しないといけないとはいえ勇者部は大丈夫だろうか
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 00:27:04.67 ID:yPWEij9+0

久遠さんが6人を一人ずつ救出するのも見たい気もするジレンマ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 07:01:25.94 ID:+SSbSYsPO

手の感触だけで夏凜とわかる久遠さんの愛らしさ

クロススプレッドは最終結果が言葉通りならケルト十字ってやつかね10枚くらい使うやつ
それで運命の輪の正位置が事実ならタロットスゲーよ
他の結果も知りたいわ
21 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/03(月) 20:02:04.44 ID:L1iKrreco

では、少しだけ
22 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/03(月) 20:26:47.80 ID:L1iKrreco

√ 12月3日目 朝(病院) ※水曜日


沙織「良かった。元気そうだね」

天乃「沙織……私」

沙織「三好さんにお休みのキスされたと思えばすやすや寝ちゃって、朝まで起きないんだもん。心配したよ」

むしろさせすぎちゃったのかな。と

沙織は悪くはないのに、申し訳なさげな苦笑いを浮かべる

笑ってこそいるけれど、

昨日の夜起きなかったのは心配させたはずだ

また、穢れなどの影響で苦しんでいるんじゃないか

しばらく目を覚まさなくなってしまうんじゃないか。と

天乃「…………」

沙織「九尾さんが疲れがたまっていただけだから明日にでも起きるって言ってたからさすがにそこまで心配してなかったから平気だよ」

天乃「でも、夏凜はそばにいてくれたのよね?」

沙織「んー……結構遅くまでいたかな。そばにいるって言った手前離れたくなかったんだと思う」

天乃「やっぱり……」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 20:39:07.53 ID:4uA4hnsvO
さすが旦那や
24 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/03(月) 20:49:06.30 ID:L1iKrreco

ぐっと手を握る天乃を一瞥した沙織は、

なぜだか嬉しそうに笑って、「分かるよね」とつぶやく

みんなも努力しているし鍛錬している

それでも、必死にがっばってきた期間の長い夏凜の手は、

みんなよりも努力の跡がある

それを分からない天乃ではない

沙織「久遠さんにもやることができたわけだから、ゆっくり体を休めてね」

天乃「やることができたって言っても、血を分けるだけでしょう?」

沙織「んー……そう簡単な話じゃないと思う」

天乃は出産で体力を持っていかれているか

出産間近の緊張感などで体力が削られていたりすることだろう

そんな状態で血を持っていかれる挙句、

恐らくだが、力も持っていかれることになるはずだ

出産と誓約による体力と力の消耗は

正直に言って致命的なことだろう

沙織「もしかしたら、一番つらいことになるかもしれない」

天乃「それでいいわ。ううん、そうじゃないと割に合わないと思う」
25 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/03(月) 21:14:41.68 ID:L1iKrreco

沙織「また久遠さんはそういうこと言う」

天乃「だって――」

沙織「久遠さんは確かに寝てることが多いよ? ずっとベッドにいて無力に感じるかもしれないよ?」

でも、その分頑張ってたはずだ

自分が傷つくことも厭わずに、

世界のため、みんなのために尽くしてきたはずだ

それをさんざん、みんなで言ってきたというのに

沙織「休んでいいくらいに久遠さんは頑張ったんだから、つらいことはもうしなくていいんだよ。本当は」

しなくていいし、させたくない

けれど世界は理不尽だから

望みをかなえるためにはまだまだ苦しまなければならない

沙織「それに、そんなこと言ってると三好さんに怒られるよ?」

天乃「なんで夏凜が出てくるのよ」

沙織「一番、影響がありそうだから?」

楽しんでいるような表情で言う沙織をちょっぴりにらんで

天乃はため息をつく

こういう時の沙織は、茶化して返すだけだ


1、それで、天の神が出てきたときの勝算はあるの?
2、そういえば、沙織のお父さんは何も言ってきてないの?
3、みんなにだけ頑張らせているだけで、精神的には辛いのよ
4、全部終わったら何でもしてあげるから、ちゃんと、戻ってくるのよ?


↓2
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 21:17:06.05 ID:4uA4hnsvO
4
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 21:19:20.24 ID:aGh98Vtm0
1
28 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/03(月) 21:43:59.67 ID:L1iKrreco

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「勝算はあるの?」

沙織「え? だって戦い終えたら子供も生まれて心なくエッチし放題だよ?」

天乃「えっと……一応してる、わよね?」

沙織「まだ3割のエッチ力だよ。10割のエッチ力は妊娠するやつ」

天乃「もう産みたくないんだけど」

沙織「産まぬなら、孕ませてよね、久遠さん」ニコッ


夏凜「酷い、それはひどすぎるでしょ……あんた」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 21:58:31.71 ID:4uA4hnsvO

さおりんの変態トーク久々に見たw
戦いが終わったらしばらくイチャイチャしたりえっちしたりな平和な日常も見てみたいな
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 23:03:45.49 ID:yPWEij9+0

ひと段落したらいちゃいちゃ三昧だな
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 06:59:14.41 ID:9dDv7RMsO
確かにモチベーションは段違いだな
スパロボ的に言えば気力200で常時魂、不屈、根性、必中、閃きがかかりそう
32 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/04(火) 20:09:58.76 ID:DONV1PRxo

では少しだけ
33 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/04(火) 20:30:35.26 ID:DONV1PRxo

天乃「それで、天の神が出てきたときの勝算はあるの?」

沙織「みんなで協力すれば、大丈夫だよ」

思う。とは付け加えない

それは自分の考えを述べるとき使うし、思いを述べるときに使うものだが

今の答えは、確定させておくべきだ

いや、確定しているのだから、わざわざ不安要素を付け加える必要はないだろう

沙織「西暦の勇者、二年前の勇者、そして今の勇者。各世代の力を終結させるんだからね」

負けるわけがないよ。

たとえ、敵が神様であったとしても

畏れなければ、集った人の力は神にも匹敵させることができるはずだ

沙織「そもそも、神様っていうのは人の信仰心がなければその力を維持できないんだよ」

忘れ去られてしまったら終わってしまう。消えてしまう

だから、神様というのは人の信仰心―関心―によってな立っているという話が良くある

天の神の存在とその強さを前にすると、

そんなのは創作でしかないと言いたくなってしまうが

過去の人々の畏れ、それを知る大赦に畏れ

それが力を与えているのだと考えれば、多少は辻褄もあう

沙織「だから、畏れなき勇者たちの力は神を打ち破る。その手に希望がある限り、勇者は負けない」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 20:41:18.36 ID:sJV3YMngO
かっこいい…
35 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/04(火) 21:17:02.94 ID:DONV1PRxo

天乃「ずいぶんと、自信たっぷりに言うのね。私が心配するから?」

沙織「信じてるから。だよ。久遠さんだって、不安なのはみんなが無理をする事であって、負けることではないよね?」

天乃「……沙織とは違うわ」

本当に信じているのなら、

天の神に勝てるのか。なんて問いかけはしないだろう

それだけ、精神的に不安になってしまっているだけなのかもしれないが

信じ切れているのか、わからない

それがまた不安になりそうで

沙織「久遠さんは絶賛ネガティブ祭り開催中なんだね」

天乃「……そうね。考えること考えること、全部悪い方向に考えやすいみたいなのよ」

沙織「三好さんに一緒にいて貰ったほうが良いんじゃないかな? まぁ、あたしとかでもいいけどね」

天乃「そういうこと言わないで。足手まといになってるって、悩みそう」

沙織「そっか……」

天乃の状態を察してか沙織は悲しそうに言うと微笑む

自分の状況を掴めている辺り、

まだ完全に落ち切ってはいないという安心感があったからだ

沙織「不謹慎だけど、弱ってる久遠さん可愛いよね」

天乃「何言ってるのよ、貴女らしく……らしい、わね。うん」
36 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/04(火) 21:43:37.79 ID:DONV1PRxo

沙織「こう……押し倒したらいつもと違って驚いたりしないんだけど、なんかこう、罪悪感がわきそうな顔しそう」

天乃「それを本人に言うの?」

沙織「えへへ」

困った表情こそするが、顔を赤くはしない

何言ってるのよ。と

ちょっぴり怒ったような反応はしなかった

沙織「あれだよね、したいならしたらいいじゃないって、ちょっと冷たい感じで言うの」

天乃「無理やりされるのは、嫌よ」

沙織「まぁ、したいって言えばさせてくれるもんね」

無理やりする理由がない

それに、無理やりするという部分に関しては、

天乃にも―自分にも悪い部分がないとは言えないとはいえ―思い出したくはないような経験がある

それを知っていて、強引な手を取るほど関係は悪くない

沙織「でも、元気になったらいろいろやってみたいことがあるんだよね」

天乃「そうね、ちゃんとお話もしないといけない相手がいるし、ちゃんと、やるべきこともあるから」

沙織「………うん、そうだね。そうだよ」
37 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/04(火) 22:10:05.14 ID:DONV1PRxo

本当は違うことを考えていた。なんて言えない

ちゃんとわかってはいるけれど、

今はまた別の、ちょっとした特別なことを考えていたし、言おうとしていた

でも、ネガティブな考えばかりになってしまうと言っていたのに、

ちゃんと、ネガティブじゃないことを考えられているのだ

余計なことは言えなかった

沙織「やりたいことやろう。一杯やろう。そのために、みんなで頑張ろう」

ちょっとの無茶くらいなんてことはない

だからって、無理しすぎて深追いだけはしないように。

沙織「だから久遠さんも、ちゃんと療養してよね」

天乃「しないほうがよさそうな気がする」

沙織「……理解が早いね」

にやりと。笑って見せて沙織は言う

沙織「でも残念だけど、療養して貰っちゃうからね」

何なのよ。もう。と、天乃は困った表情で、

でも、嫌悪感は全く感じられなくて

一際嬉しそうな笑みを、沙織は浮かべた
38 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/04(火) 22:11:47.62 ID:DONV1PRxo

√ 12月3日目 昼(病院) ※水曜日


01〜10 
11〜20 若葉
21〜30 
31〜40 
41〜50  球子
51〜60 
61〜70 
71〜80  歌野
81〜90 
91〜00  九尾

↓1のコンマ 
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 22:14:02.51 ID:sJV3YMngO
40 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/04(火) 22:25:58.10 ID:DONV1PRxo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「…………」

風「ん? 東郷、ぼーっとしてどしたー?」

友奈「東郷さん、新しいエッチなこと考えるよりも学校の準備したほうが良いよ」

東郷「違うの友奈ちゃん。ただ、久遠先輩に自分で満開してみてほ――痛っ」ベシッ

夏凜「今日体育あるらしいから体操服用意しておいたわよ」

東郷「体育倉庫……」フッ


樹(あぁ……東郷先輩の我慢が限界のようです)
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 22:36:55.50 ID:sJV3YMngO

天の神との決着の後も家の事とかでもう一悶着ありそうな予感
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 23:11:11.11 ID:7uRLL9/iO

結婚式とかいろいろあるしな
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 08:15:55.44 ID:49qnYZe5O

久遠さんが自分で満開(意味深)したらヤバイわ
東郷達が頼めばしてくれるだろうけど…ヤバイわ
44 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/05(水) 20:24:42.38 ID:OpTLoZANo

では少しだけ
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 20:26:31.50 ID:zmZFEEN6O
よしきた
46 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/05(水) 20:47:13.55 ID:OpTLoZANo

√ 12月3日目 昼(病院) ※水曜日


天乃「感じ取れなくなるのも不憫なものだわ」

普通の子には、神樹さんの力などを感じ取ることができないとはいえ、

元々できていたことができなくなると、とても不憫に感じてしまう

みんなが戦う必要がなくても

精霊の姿を感知できないため、一人きりの寂しさが増す

今までは、部屋には自分一人でも

精霊の姿を感知出来ていたからこその安心感があったのだと

今更ながらに思う

天乃「奉火祭はみんなが阻止してくれる……お祖母ちゃんはどう思うのかしら」

天乃たちにとっては勝利を確信できる方法だが、

大赦にとっては不確かで、不安しかないものだろう

300年前だって、2年前だって

勇者は決して勝てたとは言い難い

むしろ、敗北した、見逃してもらった

そう言うほうが正しいだろう
47 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/05(水) 21:21:01.36 ID:OpTLoZANo

天乃「お祖母ちゃんが何を言っても、奉火祭を阻止したことを後悔はしない」

でも、悪いことだとは思う

犠牲にしなければならないということは悪いことだと言えるが、

祖母の言った、子供の我儘で左右されていい世界ではないというのも理解出来る

銀や過去の勇者や巫女たちが命がけで守った世界を守るべきだ。という言い方ではなかった

それらの犠牲があったからこそ続けることのできた世界を

身勝手な理由で途絶えさせられないという責任感を感じるものだった

天乃「……怒るかしら」

祖母にとっての悪手であることは確かだが

九尾は、祖母のやり方を妨害できることを楽しんでいるように見えたし

九尾の反応を見れば怒りを通り越してあきれ果てるかもしれない

天乃「……はぁ」

胸元に手を当てながら、大きく息を吐く

あと半週ほどで奉火祭が行われ、

今まで以上にない神樹様と大赦に対しての反逆を行う

まだ在庫のあった神樹様の種とは違って、

奉火祭は妨害をすることになるため、取り返しがつかない

それを分かっていて行うため、成否にかかわらず立場が危うくなる

天乃「これで世界を救えなかったら、大変なことになるんでしょうね」
48 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/05(水) 21:42:43.37 ID:OpTLoZANo

もちろん、みんながそんな結末を認めるわけがないことは分かっている

天乃だって、そんなことは認められない

自分の命を救うためである以上、

自分の我儘で乱した以上、

失敗してしまった。なんていう結果は絶対にダメだ

そんなことになるくらいなら……

天乃「……その力は、私にはないわ」

子供が産まれたとしても

しばらくは力が使えるようにはならない

それこそ、神樹様の種を使って体調を戻してからになることだろう

そうでなければ、無理やり力を使うことになるため

最悪の事態は避けられない

最も、そうしなければならない時点で最悪の事態なのだが

天乃「駄目ね、結局」

沙織はああいっていたが、心のどこかではやっぱり、不安なのだ


1、精霊
2、イベント判定


↓2
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 21:48:06.80 ID:au7YpnifO
2
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 21:50:22.04 ID:zmZFEEN6O
1
51 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/05(水) 21:52:20.06 ID:OpTLoZANo

1、九尾
2、千景
3、球子
4、若葉
5、歌野
6、水都


↓2
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 21:56:14.74 ID:zmZFEEN6O
6
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 21:56:39.59 ID:Qfk+R1QP0
5
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 21:56:42.47 ID:au7YpnifO
4
55 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/05(水) 22:14:05.32 ID:OpTLoZANo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


歌野と交流
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 22:24:07.90 ID:zmZFEEN6O

久遠さん完全復活までの道のりは長いなぁ…
天の神との戦いには間に合うのだろうか
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 22:28:51.34 ID:nCwxbxODO

取り敢えずはみんなに頑張ってもらうしかないな
58 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 20:16:20.34 ID:G84SdBlho

では、少しずつ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 20:20:18.41 ID:8lNLFCsjO
かもーん
60 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 20:51:14.99 ID:G84SdBlho

天乃「ねえ、歌野。今平気?」

何もない空間に向かって、声をかける

いるかどうかわからないから

居なければただの独り言になってしまう

歌野「いるわよ、久遠さん」

呼びかけてから数分

どこからともなく姿を見せた歌野は、少し困った表情を浮かべていた

何か困ったことがあったから、出てくるのに時間がかかったらしい

歌野「……なんというか、樹ちゃんがあそこまで言うとはノーシンキングだったわ」

天乃「そうね。どんどん、しっかりした子になっていってると思う」

気づいてはいたし、時折そのしっかりした一面を見せてくれるから

もう、驚くほどのことではないけれど嬉しく思う

しかし、それと同時に

あの初々しい感じのままではいることができないような環境に引きずり込んでしまったのかもしれない。と

風が考えていそうなことを感じる

歌野「今思えばあんな諦めるようなこと、樹ちゃんが認めるわけがなかったわ」

天乃「そうなの?」

歌野「久遠さんは、どんとのう。だったかしら」
61 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 21:13:58.16 ID:G84SdBlho

あれは天乃が寝込んでいるときの話だったか

歌野自身が話したわけではないが、

樹は言ったのだ「頑張っている人の隣で、もう駄目だなんて口が裂けても言えない」と

樹たちにとっては、

消滅する可能性がありながら歌野達の力を使うなどというのは諦めたようなものだ

たとえ、歌野達がそんなつもりがなかったとしてもだ

結果的に天乃の願いをかなえられないのなら、ダメだ

歌野「樹ちゃんはベリーストロング。もちろん、単純なパワーじゃなくてね」

精神的な部分において、

勇者部の中でも随一な部分にまで成長しつつある

元々弱弱しいい部分の強かった樹が

天乃のために、歌野達のために、

自分に自信が持てるようになろうと頑張ってきたからこそだろう

歌野「本当に、樹ちゃんたちなら倒せるかもしれないわ」

天乃「天の神を?」

歌野「イエス。神様さえも」
62 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 21:51:55.95 ID:G84SdBlho

おだてているわけでもお世辞でもない

本当に、そう思えてくるのだ

こんなにも絶望的な状況なのに

奉火祭へと介入して巫女のみんなを救い、

神様相手には【なせば大抵なんとかなる】の精神で挑む

勇者部五箇条

ごく普通のことだったり

ちょっぴり適当なことを書いているように思えるけれど

でも、適度に抜けているような内容というのが

言葉通り適しているのかもしれないと歌野は思う

歌野「天の神を倒せたら、壁の外のヘルワールドも元通りになったりするかもしれないわね」

天乃「あぁ、そうね。確かに」

考えてはいなかったけれど

天の神はバーテックスの親玉であり、

外の世界を作り替えた張本人でもある

それを倒すことができれば元通りになるというのは、ない話ではない


1、外の世界が元通りになったら、諏訪に行きたい?
2、樹にあんなこと言わせたんだもの、頑張らないとね
3、ねぇ、水都さんは穢れの影響どう? 最近は問題ないように感じるけれど……
4、ねぇ歌野。陽乃さんがどうしてみんなの魂を込めたのか分かる?
5、ねぇ歌野。もう二度と自分たちが犠牲になるような提案はしないで

↓2
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 21:53:53.50 ID:8lNLFCsjO
1
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 21:58:08.63 ID:STWZz8KU0
1
65 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 22:09:06.47 ID:G84SdBlho

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


運良くすべてがうまく終わった後のその後の話
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 22:28:17.23 ID:8lNLFCsjO

うたのんも驚く樹ちゃんの成長
あと卒業旅行に諏訪に行く番外編とかも面白そう
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 23:11:13.09 ID:t+CHw8vwO

新婚旅行でもいいぞ
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 13:02:07.35 ID:GfMSCdRuO
外の世界滅んでるからそういう気分にはなれないのでは?
記念にいく場所ではないよ
69 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 20:55:36.49 ID:e6mL/GNLo

では、少しだけ
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 21:11:52.66 ID:6WCCScKaO
はいよー
71 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 21:32:03.41 ID:e6mL/GNLo

天乃「外の世界……」

外の世界が元に戻ったなら、

どんな世界になっているのかは、わからないけれど

もしも元通り―死んでしまった人は戻らないだろうが―になったら

歌野は諏訪に戻ることを望むのだろうか

そんなことを思って、歌野を見る

天乃「外の世界が元通りになったら、諏訪に行きたい?」

歌野「えっ?」

天乃「歌野と水都の故郷でしょ? 諏訪は」

歌野「それは、そう。だけど……」

天乃「もしも世界が元に戻ったらの話よ」

歌野は諏訪で勇者として戦っていたのだ

その結果を知っているとはいえ、

さすがに、喜んで見に行きたいような光景が広がっているとは思えない

すべて元通り

でもそれは景色だけだろう

道行く人は一人もいない

天乃「もしかしたら、火が消えるだけかもしれないしね」
72 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 22:08:16.38 ID:e6mL/GNLo

火が消えるだけでは、記憶で見た崩壊した街並みは変わらない

あの惨状が広がっているだけかもしれないのだ

歌野も、本来そのつもりで言ったのだろう

少し表情を暗くしたものの

振り払うような仕草を見せて、困った笑みを浮かべる

歌野「そうね。リターンする必要があるわ。ゴーイングマイホーム」

いや、違う

歌野「マイ農場が待っているわ」

どうなってしまっているのか想像に易いが

歌野は努めて笑顔で言う

手入れのし甲斐がある

また、1から歩むと考えればいいスタートかもしれない

諏訪どころか、昔の武将のように一県の長になれるかもしれない

そこまで考えて、

歌野は「あれ……?」と、声を漏らす
73 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 22:50:10.88 ID:e6mL/GNLo

天乃「どうかしたの?」

歌野「もしかしたら、スペシャルに最高な方法を思いついたかもしれない……」

天乃「?」

天の神を倒す方法を今の話で思いついたのなら凄い

だが、違うだろう

では何を思いついたのか

天乃が問うよりも早く、

歌野は自分自身の頭の中で吟味を終えて、口を開く

歌野「もしも壁の外がクリーンになったら、建国するのはどう?」

天乃「えっ?」

歌野「そうすれば、何のしがらみもなくなるわ」

衣食住の問題が大きすぎる気がするのだが、

食に関しては、農業を発展させればなんとかなるだろう。という考えなのか

いずれにしても

天乃「それは……それこそ、最終手段じゃない?」

奉火祭を妨害したことで

世界をすくったとしても大赦からは嫌われてしまうかもしれないし

平和な世界を壊した―時間の問題だったが―として

一般の人々から忌み嫌われてしまうようになるかもしれない

そうなった場合の、逃げ道

天乃「本当、それは最終手段でお願いしたいわ」
74 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 22:53:11.33 ID:e6mL/GNLo

√ 12月3日目 夕(病院) ※水曜日


01〜10 園子
11〜20 
21〜30 
31〜40  友奈
41〜50 
51〜60 
61〜70  九尾
71〜80 
81〜90 
91〜00  夏凜

↓1のコンマ 
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 22:57:30.02 ID:hfpN5xnG0
76 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 23:18:42.26 ID:e6mL/GNLo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子「建国?」

樹「国民全員に久遠先輩の血が流れてるのかな?」

夏凜「たしかに」

東郷「つまり、近親……」チラッ

風「こっちをみるなこっちを」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 23:29:44.06 ID:6WCCScKaO

久遠さんなら性格的に崇められたりされるのは嫌だろうし
小さな村とかで自由に暮らす方が向いてそう
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 23:32:31.83 ID:0hk4iSAWO

崇められるのが嫌→身近な存在でいたい→つまり誰でも抱ける姫様(意味深)
79 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 20:19:30.98 ID:Ouwni6xho

では、少しだけ
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/08(土) 20:22:38.92 ID:TFbRU2p1O
おk
81 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 21:04:37.04 ID:Ouwni6xho

√ 12月3日目 夕(病院) ※水曜日


園子「天さん、ぎゅー!」

天乃「ん、んん?」

園子「ぎゅー」

両手を差し出して、ニコニコと笑みを浮かべる園子は

学校から帰ってきた着の身着のまま

外の寒さを物語っている冷気が制服から感じられる

天乃「寒かったのね」

園子「えへへ」

手袋をしていたであろう手も、

部屋にいた天乃からしてみれば、触れると冷たい

天乃「おいで」

その手をきゅっっと握って、引く

優しくしようとしなくても

今の天乃には引き倒すほどの力はない

園子のもう片方の手が乗っかったベッドが軋りと音を立てる

近づく園子は天乃の体を押さないようにと気を付けながら

導きにしたがってぬくもりに触れる

園子「ゅー」

天乃の首元

体を冷やさないようにと少し厚みのある患者衣の中に

園子のくぐもった声が吸収されていく
82 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 21:28:36.82 ID:Ouwni6xho

天乃「外、寒そうね」

園子「んー外の熱に耐えるために、冷やす必要があるんよ」

結界の外

天の神による灼熱の地獄

それに耐え忍ぶために、冬の寒さがより厳しくなっていっているのかもしれないと園子は言う

冬場でなかったら、どうなっていたのだろうか

いや、夏場などであれば、神様の集合体ではあるが、大樹である神樹様の力が少しは強まっていたかもしれない

天乃「……なんて」

園子「ん〜?」

天乃「なんでもないわ」

腕に抱かれ、密着したまま。

呆けたような反応を見せる園子に天乃は微笑みながら、答える

天乃「神樹様が頑張っていなかったrあ、今頃夏日になっていたかもしれないわね」

園子「そうなったら二回目の夏休みなんよ」

本来は冬休みになる部分を、夏休み

けれど、そんな異常気象になった場合、

恵を下さる神樹様に何かがあったのではないか。と

人々が不安になってしまうことだろう

大赦が頑張って隠ぺいを図ろうとしても、

自然の猛威はさすがにごまかすことはできないだろうから。

そう考えれば、冬というのは不幸中の幸いだったかもしれない
83 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 21:50:54.75 ID:Ouwni6xho

天乃「それで? 何かあったの?」

園子「ん〜ん。ただ温まりたかっただけ」

天さんあったかいから。と、

園子はより密着するように、天乃の体へと腕を回す

それでも締め付けるような力が入ってこないのは、

園子が子供に負荷がかからないように気遣っているからだろう

子供がいるから。

遠慮がちになるのだろう

天乃「……それは、違う」

園子「え?」

天乃「あ、ううん。変なこと考えちゃって」

園子「大丈夫?」

天乃「大丈夫」

子供は天乃や園子たちだけじゃない

力を貸してくれた悪五郎達みんなの希望だ

それなのに、悪く思うわけにはいかない
84 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 22:18:48.15 ID:Ouwni6xho

しかし、子供がいることで園子たちが我慢しているのは事実だ

天乃自身も、出かけることや学校に行くこと

色々と我慢しなければならないことがあるのだから

関係的な意味ではなく、他者の体として扱わなければならない園子たちは

それ以上に我慢していることだろう

もっとも、性的なことに関しては、

そこまで我慢してはいなかったけれど。

それも、最近は控えめだ

出産が近づいているということもあって

体力を消耗させすぎないようにしてくれているのかもしれない

天乃「…………」

園子「天さん?」



1、エッチなこと、したくならないの?
2、我慢させてごめんね
3、全部終わったら、園子はどうしたい?
4、思ったけれど、私は結局みんなが助からなければ助からないのよね


↓2
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/08(土) 22:22:36.62 ID:EKwOIFIn0
1
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/08(土) 22:22:42.70 ID:SD81j4Pro
2
87 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 22:49:51.39 ID:Ouwni6xho

では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から


園子「確かに、私だけじゃなくみんな我慢してるんよ。天さんを孕ませたいって!」

天乃「……えっ?」


夏凜「んな機能ないんだけど」

上里「大丈夫ですよ。IPS技術さえあれば同性であろうとも子供を作ることはできますから」

夏凜「は? え? 誰!?」

上里「ふふっ、通りすがりの巫女です」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/08(土) 22:56:31.46 ID:TFbRU2p1O

そのっちはタイミングの関係で唯一いまだにえっちできてないからなぁ
あと久遠さんの体力的にせめて孕ませる側にさせてあげて…
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 00:11:27.78 ID:NQbnSadQo

産んだ後の初夜は回数的に園子が相手になるんだろうか
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 00:19:38.05 ID:YtzDXD690

まず種入れるうんぬんの関係の方が先になりそう
91 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 14:05:38.57 ID:wuDQwzd3o

では少しずつ
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 14:06:17.82 ID:MVPVJhWdO
よっしゃ
93 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 14:57:56.66 ID:wuDQwzd3o

天乃「……我慢させてごめんね?」

園子「我慢?」

天乃「ほら、子供の件とかあるでしょ? だから園子にはいろいろ我慢させてるんじゃないかなって」

園子「確かに、わっしーたちが出来て、私ができてないコトもあるし、我慢してることはあるんよ」

出かけたいし、いちゃいちゃしたいし

まだできていないエッチなことだってしてみたいと思う

天乃の体のためにも必要なことだという話なのに

出来るようになったかと思えば、

今度は天乃ができなくなってしまった

園子「でも、こうして一緒にいられるだけで充分。満足してるんよ」

東郷……鷲尾須美と違って、

二年間の記憶を失くしたわけではない天乃は、

園子に会いに行こうと思えば会えないわけではなかった

それでも、やるべきことが多く、

触れ合う機会は極端に少なかった

だから友人たちと一緒にいることがあまりできなかった園子としては、

一緒にいることができるというだけでも満足できる

むしろ、普通の人にとっては当然なことが

園子にとっては貴重なものであり、これ以上を望んでいいものかと。迷ってしまいさえする
94 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 15:37:06.36 ID:wuDQwzd3o

園子「それに、別にエッチなことがすべてじゃないんよ」

したいかしたくないかと言えばしたいけれど。

そういいつつ園子は目を逸らす

ゆっくりと息を吸い込んでいくと、温まった天乃の匂いがする

看護師による丁寧な介護のかいあって清潔な匂いなはずなのに

どこか、食欲に似たものを刺激する甘い匂いを感じる

それはきっと、好きだからだ

恋をしているからだ

それを感じるだけで、寂しさを感じなくなる

園子「むふー」

天乃「園子?」

園子「んふふ」

天乃「ちょ、ちょっと……?」

わざとらしい園子の鼻息が首元をくすぐる

満足げで、でもちょっぴりいたずら心が含まれていそうなくすぐったさ

天乃の困った反応にも、園子は「むふぅ」と変な声を返す
95 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 15:57:51.74 ID:wuDQwzd3o

天乃「貴女が今してることは、エッチなことじゃないわけ?」

園子「匂いを嗅ぐくらいは、エッチじゃないんよ」

天乃「そうかしら……」

抱き合うくらいなら

嬉しい時や感情が高ぶったときなんかに

誰だってやることはあるだろう

けれど、抱きしめた相手の匂いを嗅ぐなんて言うことをするだろうか

いや、しないからと言って

それがエッチなことだと考えてしまうのは

早計というよりは、雑なかんがえかもしれない

ただ

天乃「んっ……ちょ、園子……」

もはや吸い付くような密着感で

すんすん。すんすん。と

鼻を鳴らすことが普通の行為だとは……いえない

天乃「くすぐったい、くすぐったいのっ!」

園子「もう少しだけ」

離れようとした天乃の体を抱きしめて、鼻を埋める

胸元に埋めないのは、園子に残ったたった一つの良心
96 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 16:41:08.60 ID:wuDQwzd3o

園子「これでも、我慢してるんだけどなー」

天乃「うぅ」

園子「そういわれたら抵抗できない天さんは、やっぱり受けなんよ」

天乃「受け?」

園子「何でもない」

力を抜いて、されるがままを受け入れようとする天乃に

園子笑ってごまかす

本当に優しいし、甘い

なんでも好きなことをさせてくれる

だから、我慢をすることが難しいのだ

したいといえばさせてくれるから

してといえば、考えてくれるから

園子「だから、好きなことをするのは全部大丈夫になってからでいい」

天乃「良いのに、痛いことととかじゃなければだけど」

園子「フラグは立てたくないんよ」

少しはやり残したことがある方が、

生に執着できるだろうから

園子「……生よりも性かも」

ぼそりとつぶやいた園子の声は、天乃の耳には届かなかった
97 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 16:59:36.18 ID:wuDQwzd3o

√ 12月3日目 夜(病院) ※水曜日


01〜10 東郷
11〜20 
21〜30 
31〜40  若葉
41〜50 
51〜60 
61〜70  夏凜
71〜80 
81〜90 
91〜00  園子

↓1のコンマ 
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 17:00:18.52 ID:P/QtxNDWo
ほいさ
99 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 17:38:27.61 ID:wuDQwzd3o

√ 12月3日目 夜(病院) ※水曜日


また一日が終わる

みんなに阻止してもらうことを決めたとはいえ

いや、そう決めてしまったからこそ、その日が来る怖さがある

みんななら大丈夫だろう。

そう思う気持ちと

万が一のことがあったらという不安

否応なく不安が増す今は、時間が過ぎるのが早い

天乃「学校に行くのが怖い、帰ってきてくれたのがうれしい」

完全に翻弄されてしまっている胸の内を呟きながら

天乃はゆっくりと瞬きをする

体が重く、眠気がある

このまま目をつむれば眠れるが

起きたときに、誰もいなくなっているのではという不安が募る

天乃「やってられないわ」

本当に、弱くなってしまっている
100 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 18:03:58.60 ID:wuDQwzd3o

夕方、園子に触れてより強く実感することになったが、

戦いに出ていたころの力が全くない

いざという時は自分の力を使うだなんて言っているが

その力がどこにあるというのだろうか

樹海の根と根の間を飛んだだけで息切れを起こしてしまう

その間を飛びきることができずに落ちてしまう

そんなレベルの貧弱さを感じる

天乃「……筋力、落ちたかしら」

鍛錬を全くしていないせいで、

一次るしく衰えてしまったのは確かだし、

子供を作ったことによるつわりで酷く消耗したこともあり

天乃の体は限界に来てしまっているということだろう

はたして、すべてを終えた後で普通に生活することができるのだろうか

天乃「足も、耳も、味覚も……色々、無くなっちゃってるから」

神樹様の種ですべてが元通りになってくれればいいが

全部が元通りになる。というのはさすがに望みすぎていることだろう


1、眠る
2、イベント判定
3、勇者
4、精霊


↓2
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 18:12:40.56 ID:P/QtxNDWo
2
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 18:29:26.64 ID:legxq+y5O
1
103 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 18:43:02.79 ID:wuDQwzd3o

では、少し中断します
再開時、40%イベント判定

再会は20時頃を予定しています
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 18:51:57.44 ID:MVPVJhWdO
一旦乙
リハビリ間に合うかな…
105 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 20:40:38.36 ID:wuDQwzd3o

では、また少しだけ
106 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 20:42:51.65 ID:wuDQwzd3o

√ 12月3日目 夜(病院) ※水曜日


01〜10 友奈
11〜20 
21〜30 
31〜40 
41〜50  園子
51〜60 
61〜70 
71〜80  東郷
81〜90 
91〜00  夏凜

↓1のコンマ 
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 20:56:34.08 ID:YtzDXD690
108 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 21:12:08.87 ID:wuDQwzd3o

友奈「…………」

みんなの眠るベッドを加工すべてのカーテンが閉め切られた病室は

昼間に見るときよりも狭く見え、

そのうえ、入ってくるのは月明りだけと暗く独特の雰囲気が感じられる

そんな中を、友奈はこっそりと忍び足で進む。

冬場の寒さも気にならないくらいに、温まった体の熱を吐き出すように息を吐く

友奈「はぁ……ふぅ」

それでも、収まらない胸に手を宛がって、足を止める

病室の一番奥、天乃のベッドの正面

遮るカーテンを掴もうと伸ばした手は、空中で止まった

友奈「く……」

声をかけるべきだ

その普段の考えが先に喉から出ていこうとしたのを、制止する

止まった手を動かしてカーテンを掴み、

天井の滑車が音をたてないようにと細心の注意を払いながら、顔を覗かせる

友奈「……ん」

ベッドの上で、静かに寝息を立てる天乃の姿を目視して頷き、

上を見てカーテンの根元を確認し、手前に引いていく

横に引けば音が鳴る、雑に引けば音が鳴る

だから、滑車を静かに淵へとひっかけて音を殺し、出来た隙間から、中へと入るのだ
109 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 21:42:53.57 ID:wuDQwzd3o

友奈「えへへ……なんだか悪いことしてる気分」

親に黙って学校をさぼったような感覚

だが、ドキドキとしているのはそれが理由ではないだろう

友奈「……久遠先輩」

天乃「ん……っ……」

お腹が大きいからか、

時折、苦しそうな声を漏らしては、また普通に戻る

こんな姿を見せられては、

夜這いらしくエッチなことをする気分もそがれてしまう

もっとも、友奈は別にそれが目的で来たわけではないのだが。

友奈「……東郷さんは、どうするかな」

淫らなことと言えば東郷の名前が挙がる

そのレベルには知識がって手を出す東郷だけれど

さすがに、今の天乃の姿を見て襲うようなことはしない

友奈「よね?」

自信は、なかった
110 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 22:04:55.46 ID:wuDQwzd3o

けれど、東郷だって別に性に乱れくるっているわけではない

そういう言動が激しいことは残念ながら友奈にも否定はできないけれど。

友奈「そのちゃんは、護国思想がそのまま久遠先輩に置き換わったようなもの。って言ってたけど」

東郷の護国への入れ込み具合はとても深いし強い

それを基準に考えれば、

天乃が必要だという性的な知識への深い入れ込み具合も納得できる

東郷はのめり込んでしまったらとことんはまっていってしまうタイプなのかもしれない

そう考えると。と、友奈は頬を掻く

友奈「久遠先輩が居なかったら、東郷さん……私、だったのかな?」

あの強い情熱というか、愛情を向けられるのは嫌ではないが

多少解るようになってくると

大変だろうなぁ。と、友奈は自分自身に思う

きっと、何も変わらないままの自分だったら

自分の一つ一つの言動が及ぼす影響など、考えも及ばなかったことだろう

友奈「……久遠先輩がいてくれたから、私は……私はネガティブなこともちゃんと考えたうえで考えられるようになったんです」

妊婦であること二よって、大きめのサイズである天乃のベッド

その使われていない部分が入れる大きさかを確認し、

友奈は布団をめくって潜り込む

冷気に冷えた体が温まっていく

天乃のまだしっかりと生きている熱を感じて

好きだと解る匂いを感じて

友奈は満足げな笑みを浮かべて、天乃の腕を胸に抱く

友奈「久遠先輩も同じ……だから、きっと、一人は嫌。だと思うから」

せめて一緒にいられる時くらいは、誰かがいる安心感を与えてあげたいと

そう、友奈は心に秘めて、目をつむる
111 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 22:06:16.73 ID:wuDQwzd3o

√ 12月4日目 朝(病院) ※木曜日


01〜10 東郷
11〜20 
21〜30 
31〜40 
41〜50  夏凜
51〜60 
61〜70 
71〜80  園子
81〜90 
91〜00  風

↓1のコンマ 


※空欄は友奈
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:11:20.90 ID:P/QtxNDWo
ほほ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:12:08.20 ID:YtzDXD690
114 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 22:23:03.99 ID:wuDQwzd3o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「ふふっ、友奈ちゃん可愛い」

東郷「でも……」

東郷「淫乱だなんて……友奈ちゃん。あとで教育的指導が必要ね」

夏凜「やめ――」

東郷「もちろん、夏凜ちゃんもね」ニコッ

夏凜「ぃっ!?」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:29:19.31 ID:YtzDXD690

久遠さんしんどそうだから早く子供産まれて欲しいなあ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:31:06.36 ID:NQbnSadQo

12月入ったしそろそろ陣痛始まりそう
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:37:42.07 ID:yWPa4DWwO

すごくヒロインしている友奈ちゃんかわいい
118 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 20:20:38.52 ID:9EyUnt38o

では少しずつ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 20:26:37.19 ID:gVtrKDfEO
いえす
120 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 20:44:36.50 ID:9EyUnt38o

√ 12月4日目 朝(病院) ※木曜日


天乃「ん……ぅん?」

いつもとは違う、朝だった

暖房器具がお休み中の肌寒さはなく、むしろ、暑いくらいに感じる布団の中

昨日話していたことが現実となって

天候が急変したのかと体を起こそうとしたところで、

右腕がうまく動かせないことに気付く

機能を失うとか、悪い理由ではないことはすぐに分かった

友奈「ん……」

天乃「あら?」

枕に乗るか乗らないかのところに広がった赤い髪

静かに寝息を立てる愛らしい口元がかすかに動いて

腕にしがみ付いてくる

夜は一人だったはずなのに、いつの間にか潜り込んできていた友奈だ

制服に着替えた後、布団のぬくもりに引き寄せられた。というわけではないらしい

天乃「……まったく」
121 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 21:05:54.77 ID:9EyUnt38o

言ってくれれば、普通に受け入れるのに

わざわざ寒い中夜這いしてくる友奈は、それほど我慢していたのだろうか

園子は満足してると言ってはいっていたけれど

友奈たちまでそうだとは限らない

天乃「そうよね……」

沢山頑張っているのに、

お触り厳禁だなんて、我慢ならない

食べるのが好きなのに、

食べないダイエットをしているような状態なら、なおさら

天乃「自分を食べ物に例えるのは、なんだか変な気分だけど」

性的な意味で……なんて

東郷みたいな言い方をするなら間違いではないかもしれない

だけど、友奈はそれが目的で来たわけではなさそうだった

服装は一切乱れていないし、そういったものは全く感じられない

天乃「一緒にいたかったのかしら」

園子と違い、友奈は二年間一緒にいることができた

けれど、それでも一緒にいられるだけで充分だと感じてくれているのだろうか
122 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 21:32:00.86 ID:9EyUnt38o

天乃「……でも」

その気持ちが何であっても、

こうしてそばにいてくれることが天乃は嬉しかった

温かい、熱いほどに温かい

だからきっと、冷めてしまう寂しさは惨いほどに重い

天乃「友奈……」

今、この腕に感じる熱が

唐突に失われてしまうことがある

それが、今の世界

今まで天乃がいた世界であり、今はもう、踏み入ることのできない世界

友奈に抱かれていない左手が、震えているのが見える

天乃「っ」

それは、怖いからだ

一瞬のうちに奪われてしまうのが当たり前であることを

天乃は良く、知っているからだ


1、友奈を抱きしめる
2、友奈を起こす
3、イベント判定
4、嫌、だからね?


↓2
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 21:33:40.67 ID:gVtrKDfEO
1
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 21:34:34.33 ID:tjBfyrzD0
4
125 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 21:45:57.59 ID:9EyUnt38o


ぞろ目 または01〜10

↓1のコンマ 
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 21:48:04.76 ID:biOUFnrjO
ぬぬ
127 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 21:58:18.70 ID:9EyUnt38o

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



東郷「久遠先輩も、女の子なんですよね」

風「………」

東郷「性的な意味ではないですよ? さすがにここでそんなことは言いません」

東郷「だから友奈ちゃん、お願いね」

夏凜「朝弱いんじゃなかったっけ。友奈」

東郷「あっ」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 22:10:50.90 ID:gVtrKDfEO

出産近いのもあって久遠さんのそばに1人いてあげないと精神もたなくなってきたな…
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 02:33:54.28 ID:0mlkdbf00

添い寝ローテーション組まなきゃ
130 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 20:09:03.82 ID:jQZL/ljxo
では、少しだけ
131 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 20:35:20.56 ID:jQZL/ljxo

天乃「嫌、だからね?」

自分でも、情けないと感じてしまうほどに弱弱しい声だった

心が弱り切っている以前の問題だ

自分が請け負うことは多々あっても、

ここまで任せっきりになってしまう経験など希薄で、

任せていることの危険性を熟知しているからこそだというのもわかる

だけど、それ以前に天乃は弱かったのだ

天乃「友奈……」

友奈「ん……ぅ」

声をかければ反応する

しがみ付く胸がより密着してくる感覚が、

心臓が動いているのを伝えてくれる

あの日三田、もう二度と開くことのない閉じた瞳とは違う

だが、そうなる可能性は、ある

耐えきれない感情が瞳からあふれ出していくのを、震える左手で止める

こんな状態ではだめだ、

安心させられない、万全の状態にさせられない

心に隙を作らせてしまう

天乃「こんな、ボロボロだなんて……」

そんな思いもむなしく、溢れるものは溢れていく

止めたいと思う心以上に、流したいと思う気持ちの方が強いからだ
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 20:40:22.96 ID:mNAL9phgO
久遠さん…
133 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 21:00:27.79 ID:jQZL/ljxo

流れていく涙が、ぬぐった手によって弾かれて、

一滴だけが、友奈の頬に落ちていく

天乃「っ……」

頬に落ちたそれは拭うよりも早く流れ落ちて消えてしまう

まるで、瞬きした間に奪われてしまう命のように

ネガティブが過ぎているそんな考えが浮かび上がる最中、

右腕に抱き着く力が強くなった

友奈「……天乃先輩」

天乃「!」

友奈「……特別ぅ」

ぎゅぅぅっと、友奈の力が強くなっていく

大きくはない胸だけれど、その柔らかさがクッションになって痛みはない

どんな夢を見てるのか、天乃とは正反対に幸せそうな表情を浮かべる友奈は腕に頬をくっつける

天乃「…………」

友奈「んにゅ……ぇへ――っ!?」

すりすりと寄って来ていた友奈は、

袖に目元をかすめられてか不意に顔を上げて、辺りを見渡す

友奈「はぇ……天乃しぇんぱい?」

しがみ付いていた影響と、寝ぼけているせいで出てきた間の抜けた言葉

数秒間の呆然自失といった沈黙が流れ、

次第に定まっていなかった焦点が合い始めて、瞼が二度三度忙しなく動く

友奈「ぁ……あっ!」

夢……というよりは、

寝ぼけた自分の言葉を覚えているのだろう

瞬く間に真っ赤に染まった友奈はベッドの上に座り込んだまま、俯いてしまった
134 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 21:19:47.37 ID:jQZL/ljxo

友奈「ち、違います……違うんです!」

天乃「違う……?」

友奈「今のは、そのっ、なんというか、えっと、その、雨で洗濯物がぁって言っただけで!」

天乃「降ってないけれど」

友奈「あぅっ」

そもそも、友奈たちは洗濯物を干していない

干していないのだから、

今この段階で雨で洗濯物が。なんていう発言はそもそもおかしい

いや、夢の中でそういう場面に出くわしたというのなら話も変わるけれど。

天乃「……なんだって?」

友奈「それは、その……」

天乃「ん?」

友奈「……な、名前で呼びました……はい」

今まで久遠先輩。と、苗字で呼んでいた友奈にとっては、

名前で呼ぶという特別感は夢にまで見るものだったのかもしれない

あるいは、それに憧れているのかもしれない
135 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 21:42:31.57 ID:jQZL/ljxo

天乃「風のことは、風先輩のくせに」

友奈「風先輩は、その……」

違うのだと、友奈は言う

風のことを下に見てるとか、同類に見ているだとか

そういった分別をつけているわけではなく。

そう、同じくらいに長い付き合いであるはずなのに【久遠先輩】から変わることがなかったのは

初めからずっと、友奈にとっては特別だったからだろう

東郷と同じように車椅子で、家族の記憶もなく、耳だって片方聞こえない

そんな状態でも、天乃は明るさを損なってはいなかった

誰よりも明るく、何よりも力強く見えて、

隠れてしまっていた背中ははるかに大きく見えた

自分の手には届かないようなものにさえ思えた

悪と戦う正義の勇者というものではなない勇者のように感じていた

だがそれと同時に、踏み込むことへの怖さがあったのかもしれない

東郷の失われた二年間に対しても、友奈は触れようとはしなかった

東郷やその家族が「良いから」と言っても、

友奈の性格からすれば、頑張って手掛かりを探そう。そう、踏み出してもおかしくはないのに

それは、友奈がまだ東郷とも天乃とも出会っていなかった頃の、ほんの些細なケンカによるものだ

踏み込むことのできない一線、常に前を向く姿勢その両方ともがそれによるもので

だから、友奈は誰よりも近くにいながら車椅子の隔たりから先には進めなかった

友奈「……久遠先輩は、久遠先輩なんです。ずっと遠い、ずっと大きい。私には手の届かないような人なんです」
136 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 22:05:16.48 ID:jQZL/ljxo

その憧れであったからこそ、

特別であったからこそ、あの時に踏み出すことができたのだろう

天乃「でも、私達付き合っているのよ?」

友奈「そう、なんですけど……」

ちょっぴりシリアスな空気もつかの間

天乃のはっきりとした一言に友奈は身を縮めて、頬を掻く

恥ずかしさからかいた汗が指先に吸い付いた

友奈「その……す、する、じゃないですか」

天乃「なにを?」

友奈「っ……け……ん」

ぼそりと

天乃の耳でさえ聞き取れないほどの小声でつぶやいた友奈は、

きゅっと唇を結んで、天乃を見る

友奈「けっこん……したら苗字が変わるって、東郷さんが言ってたから……」

天乃「……あぁ」

友奈「それなら呼べる間は、久遠先輩って呼びたいなって……」

憧れであり、馴染んだ呼び名

だからこそ、それは友奈にとってとても、特別なものなのだ


1、じゃぁ、友奈とは結婚するのやめようかしら
2、そっか、じゃぁ私も結城さんって呼ぼうかしら
3、そっか。そうなのね……なら、仕方がないわね
4、別姓でもいいんじゃないかしら。呼び名くらい
5、そこまで特別な思い入れがあるなんて、恥ずかしいわね

↓2
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 22:08:00.83 ID:mNAL9phgO
3
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 22:09:17.07 ID:4m8XHXdP0
5
139 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 22:18:25.80 ID:jQZL/ljxo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「そんな友奈ちゃんにいいお話があるわ」

友奈「え?」

東郷「えっちする時だけ下の名前で呼べばいいのよ!」

友奈「余計にエッチな感じになりそう///」カァァ

東郷(友奈ちゃん可愛い)
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 22:38:05.92 ID:mNAL9phgO

天乃先輩と聞くと一作目の友奈ちゃんを思い出した
アニメよりも先にヒロイン化した友奈ちゃんの話をやってたなぁ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 22:52:54.60 ID:jw+Vs2MsO

結婚したら全員久遠さんに!
誰が一番ゴロ悪そうなのか
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 23:10:24.01 ID:IKemdwpWo

1周目のHAPPYENDはほんといい文章だったよなぁ
愛の伝達棒……
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 13:23:46.54 ID:PPYwgN8GO
久遠さんの境遇はヤバイけどな
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 15:13:52.82 ID:w6oWctX5O
最初の頃は九尾や西暦組の支援も死を回避する手段もないというハードモードだったというね
今も状況こそ深刻だけどまだ恵まれてる方じゃなかろうか
145 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 20:23:16.49 ID:ACix+QkZo

では少しだけ
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 20:28:42.82 ID:7WJzdYlXO
あいよ
147 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 20:56:33.58 ID:ACix+QkZo

天乃「そこまで特別な思い入れがあるなんて、恥ずかしいわね」

天乃も、自分の名前に関しては嫌いなわけではない

むしろ与えられた立場として、好きではある

しかし、友奈はきっとそんな天乃よりもこの名前に思い入れがあって、好きなのだ

照れくさそうに笑みを浮かべる天乃だが、

その目元には涙の跡があって

友奈は、うれしい笑みを浮かべることはできなかった

今の天乃は嘘が付けるような状態ではないが

友奈に限ってはそもそも、嘘が付ける性格ではないからだ

友奈「……だから、そんな大好きな人を独りぼっちになんて絶対しません」

天乃「っ」

友奈「悲しませたりなんて、したくありません」

天乃の頬に手を触れさせ、指先で優しくなでる

もう流れていない涙を、さかのぼって拭うように

友奈「でも、久遠先輩が嫌なことを私たちはこれからするんですよね」

その、罰です。

友奈はつぶやいて、額と額をくっつける

天乃が悲しければ、友奈も悲しい

それが自分によるものであれば、胸もより強く痛む

だから、罰だ
148 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 21:38:01.34 ID:ACix+QkZo

友奈「でも、だから、だからこそ……」

これ以上に嫌な思いはさせたくないと思う

今でさえ痛い心がそれ以上に痛む苦しみ

自分の心の痛みでさえ、危ういのだ

それ以上に辛い思いをするであろう天乃はどれほどか

考えるだけで、絶対にダメだという思いが強くなる

友奈「私たちはやり遂げます。絶対です。絶対にです」

奉火祭を阻止するだけじゃない

その先のこと、すべてをだ

勇者部はもちろん、精霊たちも、この世界に生きるすべての人々も

すべてを、救って生きていく

友奈「だから、大丈夫です」

そこにある絶対的な自信は、

大赦や神樹様ですら認めるほどの絶対的な強さを持つ人が、

ずっと、自分たちのことを引っ張ってくれていたからこそ

その背中を追い求め、ひたすらに歩んできた努力があるからこそ

そんな人でさえ、自分たちと変わらない少女であると知ったからこそ。

友奈「後は、任せてください」

天乃「んっ」

軽く、唇を重ね合わせる

それは誓い……だから、確かめるように、離れてすぐに、もう一度紡ぐ

友奈「私たちは、久遠先輩と一緒に、ここまで来たんですから」
149 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 22:00:57.66 ID:ACix+QkZo

天乃「友奈……」

確かに、劣る部分があるだろう

完全に補えるほどの力はないかもしれない

けれど、それを補うためのチームだ

それができるほどの鍛錬はしてきた

友奈「だから、大丈夫なんです」

天乃「貴女も、変わったわね」

友奈「こんな私にしたのは久遠先輩ですから、責任……は、もう取ってくれてますよね」

どういう意味で言ったのか。

えへへっと無邪気に笑う友奈に聞く必要もなく

天乃は「変わったわね」と、苦笑する

でも、嫌な気はしなかった

暗い気持にはならなかった

変わったと感じるからこそ、

そこに秘めた可能性は、何よりも大きかったからだ
150 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 22:02:13.52 ID:ACix+QkZo

√ 12月4日目 昼(病院) ※木曜日


01〜10 
11〜20 若葉
21〜30 
31〜40 
41〜50 千景
51〜60 
61〜70 
71〜80 球子
81〜90 
91〜00  水都

↓1のコンマ
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 22:03:06.13 ID:7WJzdYlXO
152 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 22:18:18.78 ID:ACix+QkZo
では、ここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から


東郷「責任……えっ、友奈ちゃんも子供が!?」

東郷「どうやったの! どうやって久遠先輩の子供をっ!」

東郷「私も孕みたいわっ!」

東郷「……為せば大抵何とかなる」

東郷「まさか!」


風「はいそこー! 五箇条を淫らなことに使わない!」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 22:28:27.47 ID:7WJzdYlXO

弱気な一面を見せる事が多かった分、久々に友奈ちゃんらしい友奈ちゃんを見れた気がする
あととーごーせんせー必死過ぎるw
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 22:48:30.12 ID:zomSf7tjo

何気若葉様との交流久しぶり……かな?
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 01:29:34.52 ID:wiMIRxV50

若葉も嫁なのに最近は嫁らしい絡みがないからな
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 06:57:34.63 ID:m8v1HBAYo
コンマに恵まれて無かったからなぁ…
それはそうと来週末で4周年とか控えめに言って凄い

開始
1 ◆QhFDI08WfRWv 2014/12/22(月) 22:27:22.35 ID:ujzyfikCO

現行
152 ◆QhFDI08WfRWv saga 2018/12/12(水) 22:18:18.78 ID:ACix+QkZo
157 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/13(木) 20:15:13.80 ID:15SJArMBo

では少しだけ
158 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/13(木) 20:41:20.71 ID:15SJArMBo

√ 12月4日目 昼(病院) ※木曜日


勇者部のみんながいないお昼時

何を思っているのだろうか

じっと窓から外を眺め続ける天乃を、、若葉は陰の中から見守る

もの言いたげに動く唇

現実との境目たる境界線の上で踏みとどまってしまった足

行くか行かぬか

迷う若葉はふと、息を吐いて一歩踏み出す

天乃たちのいる現実と、若葉たちの潜む精霊の世界

領域の外から出てきた若葉の出現は唐突だったろうし

窓ガラスにその姿は映ったはずだ

けれど、天乃は眉一つ動かすことはなくて。

若葉「……天乃」

天乃「…………」

若葉「その――」

気まずさに忍び足な若葉の声を閉ざすように、天乃が振り向く

天乃「いまさら何よ、馬鹿葉」

若葉「なっ」

見えたのは、不満、聞こえた声は不機嫌だった
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 20:58:45.26 ID:ywRMSmZdO
来てたか
160 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/13(木) 21:00:25.27 ID:15SJArMBo

若葉「出会い頭にそれはないだろうっ」

天乃「そう?」

そうなの? と

明らかに聞いてはいないトーンで口にした天乃は、

若葉から視線を流して、ため息をつく

何を考えているのか探るのが難しく感じそうなものだが

別段、隠そうとしていないらしい

天乃「精霊の力を使うのに賛同してたからあえて距離を置いたは良いけれど、樹達がみんなやる気になっちゃってどうしようもなくなったわけではないの?」

若葉「それは」

天乃「独りぼっちで寂しく震える子ウサギちゃんを見ていて自分たちは何をしようとしたのかと罪悪感に居た堪れなくなって学校に行かなかったんじゃないの?」

若葉「うっ」

天乃「いざ休んだは良いけれど合わせる顔がないだなんて出てくるのためらってたんじゃないの?」

若葉「せ、精霊のことを感知できるようになったのか!?」

天乃「やっぱりそうだったのね」

誘導された……と、若葉は頭の中で思って半歩退いたが、

天乃は「謀ってない」と断言する

天乃「だから馬鹿葉って言ったのよ。信じられない」
161 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/13(木) 21:07:37.52 ID:15SJArMBo

若葉「す、すまない……だ、だが決して天乃に嫌な思いをさせたかったわけじゃないんだ!」

本心から、天乃を思っている

だからこそ、救いたいと思っているわけだし

だからこそ、つらい決断もするべきではないだろうかとも考えた

自分たちのことも残したい、守った世界の平和さを感じてほしい

その気持ちは嬉しいが、やはり、精霊だから

本来生きている人に比べれば、その存在は捧げるに易いと思ったから

けれど。

天乃「そんなこと、知ってるわよ」

若葉「…………」

天乃「みんなそうでしょ。みんな……貴女達も、友奈達も。一緒でしょ」

思う気持ちが強いからこそ

この身を捧げてでも……という考えに走りがちになってしまう

無謀な賭けに出ようとしたりもしてしまう

天乃「だから、質が悪いの」

自分がそういうことをやっていたから、良く分かる

理解ができる、気持ちがわかる

だから、強く否定をすることができない
162 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/13(木) 21:32:31.29 ID:15SJArMBo

天乃「でも、何度も言っているけれどそんなことさせるつもりはないわ」

若葉「そう、だな……ここまで来ても私達の力を使うとは言わない以上、どこまで追い込まれても使わないだろう」

困った主人だ

本当に、大変な主人だ

若葉は二度ほど繰り返しながら、苦笑する

その在り方が、

勇者部に無茶をさせることに繋がっていることも理解している―友奈たちはそうと認めないが―から

反論の隙も無い

それが分かっているなら使うべきだと言ったら、

勇者部からも強くバッシングを受けることになるだろう

最終的には、力を使い果たして再び出会うであろうひなたにでさえ

きっと、「あれはさすがにないです。若葉ちゃん」と、呆れられてしまうことだろう

若葉「……天乃」

天乃「なに?」

若葉「もしも世界が元に戻って、でも、私たちが見たあの世界のままだったら……」
163 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/13(木) 21:42:48.58 ID:15SJArMBo

少し、ためらう

精霊としての力を使い果たそうというものではない

だが、危険かもしれない、心配させるかもしれない

こんな場面で言うべきではないかもしれない

けれど、最終決戦を前にそれぞれが思いの丈を打ち明けていく中で

自分だけ隠しているというのは、聊か微妙な気分で。

若葉「酷なことを言うかもしれないが……私達西暦の勇者だけで世界を巡らせては貰えないだろうか」

天乃「え?」

若葉「本当なら、みんなで。と言いたいところだが現実問題そうはいかないだろう。だが、かといって、解放された土地を放置はできない」

だから、誰かが見に行く必要がある

そしてそれは、過去の世界を知る者として、自分たちがすべきであると、若葉は言う

若葉「それだけは、許して貰えないだろうか? 沙織を通じて連絡は怠らないし、ちゃんと帰ってくるつもりだ。だから、すべてが終わったら、そうさせて貰えないだろうか?」

平和な世界は土地の開放によって揺らぐだろう

だから出ていくというわけではない

これは、勇者として。若葉がやりたいことなのだ


1、それこそ、勇者部みんなで行けばいいじゃない
2、なによ。まさか歌野が言ってたみたいに国造りする?
3、……そっか。そう、それが、若葉のやりたいことなのね
4、平和を実感してほしいから……だったのだけど。貴女はそうしたいのね


↓2
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 21:43:36.33 ID:wiMIRxV50
1
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 21:45:47.74 ID:0/Kr/MKuo
2
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 21:48:11.67 ID:ywRMSmZdO
4
167 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/13(木) 21:54:25.11 ID:15SJArMBo

ではここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思います
再会は明後日、できれば早い時間から



東郷「ウサギって、性欲が強いらしいわ」

夏凜「あっちはまじめな話をしてるんだけど?」

東郷「まじめな話、動物の中でウサギの性欲は随一らしいわ」

東郷「つまり、久遠先輩は兎少女という破廉恥な衣装が似合うと思うの」

東郷「兎は耳が敏感ですけど、久遠先輩はここが敏感なんですね。とか責めてみるのもいいわ」


友奈「すっごくまじめな顔でとってもえっちなこと言う東郷さんが一番似合うと思う」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 22:02:23.77 ID:wiMIRxV50

真面目な話(真面目な話とは言っていない)
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 22:03:24.54 ID:0/Kr/MKuo

と、東郷さん的には真面目な話だから…
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/13(木) 22:16:13.26 ID:BUWUDD6cO

破廉恥な衣装…とーごーせんせーにも似合うと思いますハイ
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/14(金) 13:14:09.72 ID:wOu/WgVZO
久遠さんはただハレンチなだけって衣装はアンマッチだと思う
172 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/15(土) 20:53:00.19 ID:Qn6v1KkNo

では、少しだけ
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/15(土) 20:57:14.79 ID:lRG4e7p7O
よっしゃ
174 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/15(土) 21:40:24.50 ID:Qn6v1KkNo

天乃「なによ。まさか歌野が言ってたみたいに国造りする?」

若葉「歌野が言ってたのは半分冗談みたいなものだろう……」

国造りなんてそう簡単にできることではないし、

やっていいことでもない

けれど、バーテックスから世界を解放するなんてことを成し遂げたのだ

放棄されてきた広大な地区の一角を戴いてしまう……なんてことも許されるかもしれない

もちろん、過去から今までのすべての勇者や巫女たちの尽力あってこそのものであり、

自分たちだけで取り戻したわけではないのだが。

若葉「出来ても、集落程度で収まるんじゃないか?」

自分たちだけで行くと考えれば、完全にその程度だ

もしも天乃や勇者部が外の世界での生活を呼び掛けたらどうなるだろうか

崩壊した外の世界と、まだ残っているこの世界

どちらを選ぶかはやってみなければ確証はないが、

さすがに、ついていく。という考えはなかなか出ないことだろう

天乃についていきたいと言い出すような若年層はいるかもしれないけれど

親の気持ちを考えれば、まず無理だ

若葉「それに、天乃の場合は国よりも子供を作ることになるんじゃないか?」

天乃「どうしてよ、この子たちを産んだらもう、そういうのを許す気は――」

若葉「東郷は……東郷は天乃が思っている以上に本気でその技術を復活? させようとしているんだが」
175 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/15(土) 21:51:54.04 ID:Qn6v1KkNo

ただの研究者魂でなければ

たんなる破廉恥な思惑での本気さではない

それができることによって、

天乃や勇者部の交際やその先に進むことでの批判になりうる理由

その弊害を払拭できるようになるからこそ、本気で取り組もうというのだ

……下心も多少はあるのかもしれないが。

若葉「伊集院家とて、優秀な血を得られるなら文句は言わないだろう」

天乃「ここまで来たら、血筋なんて気にしてられないと思うけど」

若葉「いや、案外無視できなくなるかもしれない」

天乃「なぜ?」

若葉「世界を救った勇者の血。だからだ。私達の血族がいい例になるかもしれない」

崩壊した世界、消えてしまった神樹様

人々はきっと不安になることだろう、恐れを抱くことだろう

そこに、神樹様の御力を借りて世界をすくうことのできる勇者の子孫などが力の一旦を示しでもしたら、

不安をぬぐうために信仰の対象にだってなりかねない

最終的には、世界が元通りになっていくであろう数十、数百の年月の間に、

大赦のような大きなものにだってなることも夢ではないかもしれない

天乃「大赦が残っていれば、そうはならないと思うけれど……でも、そうね。沙織のお父さんはそういう考えも持ちそうだわ」
176 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/15(土) 22:06:22.28 ID:Qn6v1KkNo

若葉「そう考えれば、天乃の国造りという歌野の話も冗談にはならないな」

やろうとするのなら。だ

天乃は神樹様の力で勇者になっていた勇者部と違って、

神樹様が力を使い果たしたりしてしまった後の世界でも力を行使できるだろう

そこで力を示したらどうなるか。

生き残るために踏みとどまるのではなく

生きるために前進しようと声をかけ、切り開くことのできる力を示したとしよう

守ることができる力があることを示したとしよう

ついてきてくれる人はきっと……

若葉「いや、やはりそれはダメだな」

天乃「それはそうでしょ」

若葉「そもそも、私は賛同はしてないからな?」

否定するように言う若葉は苦笑いの奥で、再度否定する

それは天乃の負担が大きすぎるのだ

体的にも、精神的にも

だから、国造りなんて言うのは冗談で終わらせてしまったほうが良い
177 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/15(土) 22:48:29.70 ID:Qn6v1KkNo

若葉「それはそうと、冗談ではないんだ。私は」

天乃「やっぱり?」

若葉「必要なことだと思う。もちろん、天乃が言いたいだろう別に私達ではなくていいはず。というのも一理あるが……」

なにも、若葉たちが出ていかなくたって、

この世界には勇敢な人もいるし、

国が主導でそういった組織を再編成して何とかしてくれるかもしれない

だが、もしも倒したはずの天の神の力が残っていたら?

それによって星屑が存在している地域があったら?

それを考えると、やはり自分たちであるべきであるという考えは譲れない

もちろん、安全が確認できたら国に任せるつもりだ

若葉「一応、考えてみてくれないか? 別に深く悩まなくていいからな? ただ……そう……単身赴任するみたいなものだと思ってくれ」

天乃「……それ。結構悩むやつ」

実際にどうなのかはまだ、大人ではない天乃にはわからないけれど

相手をどれだけ思っているのかで変わるだろうが

天乃にとっては、深く悩まなくていいものではない。

残るか、ついていくか真剣に悩むものだ

若葉「すべてが終わったからってすぐにいくわけじゃない。落ち着くまではそばにいるから」

そういって若葉は笑みを見せた
178 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/15(土) 22:49:41.97 ID:Qn6v1KkNo

√ 12月4日目 夕(病院) ※木曜日


01〜10 沙織
11〜20 
21〜30 
31〜40 夏凜
41〜50 
51〜60 
61〜70 風
71〜80 
81〜90  東郷
91〜00 

↓1のコンマ
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/15(土) 22:50:52.98 ID:lRG4e7p7O
180 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/15(土) 23:19:16.60 ID:Qn6v1KkNo

では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から



若葉「東郷は別に、下心だけでやっているわけじゃないんだ」

風「えっ?」

東郷「何ですかその反応……心外です」

風「てっきり、下心しかないものだと」

東郷「下心じゃありません、本能です」

夏凜「煩悩でしょ」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/15(土) 23:37:32.23 ID:lRG4e7p7O

本当にIPS的な技術が復活したら今度は久遠さんが孕ませる番になるのだろうか…
天の神との戦い後は勇者の血を巡る物語に発展しそう
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/15(土) 23:37:59.68 ID:ZBjBl6150

久遠さん魅力的だからしょうがないね
183 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 13:18:13.15 ID:NDkYgzUco

では、少しずつ
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 13:29:12.18 ID:3H5IjlkGO
かもーん
185 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 13:55:39.19 ID:NDkYgzUco

√ 12月4日目 夕(病院) ※木曜日


天乃「……今日は、そんなに悪くない」

重い眠気もないし、体のだるさも軽い

布団から出した手を何度か握っては開いて、確かめる

込められる力はまだまだ弱い

悪くない状態でも貧弱なままの自分を実感して、息を吐く

今の自分にできるのは待つことだけ

若葉の望みに対してだってそうだ

二児……しかも双子の赤子の母親が、

壊れた世界に出ていくなど出来るはずがない

連れて行くなんて出来るわけがない

ただでさえ補助が必要なのに、外になんて

天乃「言えるわけ、ないよね」

連れて行ってほしいと。

精霊だけで行くなんて

それこそ、危険だなんて。

天乃を連れていく以上に危険なことはないのだから
186 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 14:27:22.15 ID:NDkYgzUco

若葉はすべてが終わった後も、落ち着くまでは一緒にいると言っていた

だから、落ち着いた後

問題が無くなったら一緒に行くと言い出すのは、どうだろうか

とっさに。

そう、とっさにうまい返事をすることができなくて、

歌野の言葉を借りての冗談を述べて逃げたけれど

天乃「ダメね、まるで現実味がない」

いまだに、若葉の望みを叶えた上での言葉は見つからない

もっとも、若葉の望みのみを考えれば、

答えることはとても簡単なのに。

天乃「見送って、あげるべきなのかもしれないわね」

若葉達の望みは一度、断ち切った

それも、天乃の望みのためにだ

それにもかかわらず、

救い終えた後の世界での望みまで断ち切るなど

していいことではないのかもしれない

天乃「全部が終わった後のこと……ね」

みんな考えている

すべてが終わった後にどうしていたのか

何をしていたいのか

けれど、自分はまだ何も考えられてはいないのだと

まだ、手元に残っている白紙の進路希望調査票を見つめ、ため息をついた
187 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 14:27:51.65 ID:NDkYgzUco

1、勇者
2、精霊
3、イベント判定

↓2
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 14:40:25.47 ID:3H5IjlkGO
3
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 14:41:59.55 ID:G5gxhuOeO
3
190 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 14:50:39.15 ID:NDkYgzUco
√ 12月4日目 夕(病院) ※木曜日


01〜10 夏凜
11〜20 風
21〜30 友奈
31〜40 樹
41〜50 東郷
51〜60 球子
61〜70 沙織
71〜80 園子
81〜90 千景
91〜00 九尾

↓1のコンマ
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 14:52:05.52 ID:G5gxhuOeO
192 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 15:33:34.32 ID:NDkYgzUco

√ 12月4日目 夕(病院) ※木曜日


球子「また、若葉に余計なこと言われたのか?」

天乃「球子……」

球子を一瞥した天乃は、

首を横に振ってそれを否定する

若葉が余計なことを言ったのではない

自分が余計なことを考えようとしてしまっているだけだ

天乃「若葉は自分が何をしたいのか。それを話してくれただけ」

球子「そっか」

天乃「…………」

球子「こういうとき……」

杏が居れば、何かいい言葉を投げかけられるはずだ

正しい行動を起こせるはずだ

そう考えて止まってしまった口を、堅く結ぶ

球子「だから悩んでるのか?」

天乃「うん」

球子「天乃が嫌だって言えば、若葉はいかないでくれると思うぞ」

天乃「そうね。そうでしょうね」
193 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 15:52:24.62 ID:NDkYgzUco

若葉は自分の望みを語ったってくれたが

あれは天乃に対しての願いみたいなものだ

こうさせて欲しい、こうする許可が欲しい

そんな願いだ

だから、天乃が一言それはダメだと言ってしまえば、

そうか。と、受け入れてしまうだろう

これは自負ではなく、事実だ

だからこそ、悩む

天乃「でも、全部が終わったらそれこそみんなの自由であるべきだと思うのよ」

球子「…………」

天乃「若葉は私から離れるっていうけど、でも、それは精霊としてってわけじゃない」

以前話したように、

精霊としての力を返し、この世界から消えてしまうようなことは一言も言わなかった

ひなたに会いたい

その思いがあるはずなのに。

天乃「あくまで私の願いを聞いたうえでの願いなのに、付け加えて我儘を言うだなんて、最低だと思わない?」
194 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 16:53:47.66 ID:NDkYgzUco

自嘲的な笑みを浮かべる天乃に、球子は口を閉ざす

球子にも、

ここで楽観的なことを言うことは間違いであることくらい、わかるからだ

そんな深く考えなくてもいい

そう言ったところで、ではどうしたらいいのか。という言葉は思いつかない

だから、球子も天乃の気持ちに同調して、自虐的な表情を浮かべてしまう

球子「天乃……」

天乃「球子?」

球子「出てきておいて、ごめんな。楽観的過ぎたかもしれない」

天乃「そんなことないわ」

球子「そんなことある。天乃にかけてやれるうまい言葉が、見つからない」

ただ出てきて、茶化して

無駄に深刻な表情をさせてしまっただけ

球子「タマは、ダメだな」


1、上手い言葉なんていらないわ。そばにいてくれるだけでいい
2、ねぇ、球子はどうするの? 若葉の誘いに乗っているの?
3、そんなことないわ。難しく考えないからこそ、浮かぶ答えもあるはずだわ
4、ううん。私も少しは球子みたいな考え方ができるようになるべきかもしれない

↓2
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 16:59:11.74 ID:G5gxhuOeO
2
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 17:00:07.52 ID:VxuN/q0e0
4
197 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 17:40:41.03 ID:NDkYgzUco

天乃「ううん、いい加減。私も少しは球子みたいな考え方ができるようになるべきかもしれない」

球子「タマみたいにか?」

天乃「ええ」

球子が常に楽観的な考え方しかしていないとは思っていない

けれど、深く悩むだけではない考え方を

いつかはそうしなければならないと思っていたそれを。

今度こそ。

それこそ、もう、戦いを終えるのだから

少しは子供みたいな考えができるようになっても、良いのではないのだろうか

一言一言に夢を込めて、希望を添えて

理屈や道理を蹴っ飛ばして理想を述べる

でも、それはもうやってるのよね。と、

天乃は苦笑して、球子へと目を向ける

球子のような考え方と、天乃が今やっているような我儘を述べるようなことはイコールではない

天乃「どうしたら、良いのかしらね」

球子「どうしたらって、なにを」

天乃「球子みたいに考える方法」

今まで生きてきた中で、

一度もしたことがないわけではないはずなのに

どうすればそうできるのか、天乃には考えつかなかった
198 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 18:17:53.45 ID:NDkYgzUco

ただまっすぐに、ポジティブな考え方

かといって、悪い考えをしないわけでもない

そういう点で言えば、

球子の考え方と同じように、友奈の考え方も見習うべきだろう

天乃「私には、無邪気さがないのかもしれないわね。あるいは、無垢さ」

球子「無垢さで言ったら、勇者部はみんななくなりかけてるんじゃないか?」

天乃「……まぁ、そこは大人になっていくんだもの。仕方がないわ」

球子「ずいぶんと早送りだったけどな」

誰かさんのせいで。

そう呟きつつ天乃へと目を向けた球子だが、

そらされた視線は追わずに、笑う

けれど、もしかしたら今の天乃の言葉こそが真実なのではないかと、思う

大人になっていく

だから無邪気さが損なわれ、無垢さがかき消され

そういった考えを持てなくなってしまう

つまり、天乃はそうなってしまったのだ

本人が自覚するよりも先に

そんな考えが持てなくなってしまうほどに
199 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 18:37:03.88 ID:NDkYgzUco

球子「そんな大人びた天乃がタマと同じ考え方がしたいなら、まずは……そう、元気になることだな!」

天乃「元気にって、今は――」

球子「そこだ、そういうところ」

今は何もできない

今は誰かの手を借りることでしかどうしようもない

足手まとい、迷惑

だからそんなことを考えてなんてられない

球子「そうじゃない」

そうじゃないんだ。と、球子は言う

自分に言えることなんて大した意味もない

もっといい考え、良い言葉

できる人、言える人なんてほかにいくらでもいることだろう

だが、今の天乃に声をかけてやれるのは自分なのだ

球子「だったら元気にならなきゃ。とか、言えばいいんだ」

天乃「…………」

球子「なんもかんも、元気が大事。元気がなければいい考えなんて浮かばない。だろっ?」

球子は笑顔で言う

それがあまりにも笑顔だから、

天乃は「そういうものなのね」と、受け入れたように、微笑んだ
200 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 19:05:46.45 ID:NDkYgzUco

√ 12月4日目 夜(病院) ※木曜日


01〜10 友奈
11〜20 
21〜30 
31〜40 風
41〜50 
51〜60 
61〜70  園子
71〜80 
81〜90 
91〜00  夏凜

↓1のコンマ
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 19:27:12.78 ID:G5gxhuOeO
202 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 20:15:21.74 ID:NDkYgzUco

√ 12月4日目 夜(病院) ※木曜日


天乃「とりあえずは元気になること……確かにそうだわ」

正論だ

出産に備えなければいけないし、

元気がなければ何もできはしない

足が動くとしても、何ができるとしても。

元気の良さがなければ空回り

天乃「……そういう、考え方。かな」

元気があろうがなかろうが、

目の前の問題を何とかすべきだと考えて、猪突猛進

そんな考えしか持てていないから

浮かぶ考えも浮かんではくれない

天乃「まずは元気よく。そうね……元気に……」

ここでなれたらいいな。と、

考えてしまうのはきっと、大人になってしまったからかもしれない

天乃「でも、ここで落ち込んでいたらダメなのよね」

すべては子供のためなのだから

そう考えれば、この苦しみも耐えられるものだろう
203 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 20:39:56.37 ID:NDkYgzUco

子供としての無邪気さがもう、取り戻せるものではないのなら、

せめて、大人としての無邪気さを手に入れるべきだ

天乃「まぁ、そんなものがどんなものかすらわかっていないのだけど」

またそんなことを言って。と

自分の無意識に呆れた想いを述べる

もはや反射的な考え方ということだろう

自分の意志でどうこうできる話ではない

もっと根本的なところで変えなければいけない

それをしてくれるのは、誰だろうか

天乃「なんて、こんなところまで誰かを頼ろうなんて」

それはさすがに甘えすぎというもの

大人になんてなれていない

でも、子供ではない

天乃「……子供でいられなかった、大人にもなりきれなかった、半端者ね」


1、勇者
2、精霊
3、イベント判定

↓2
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 20:51:08.52 ID:6qumbtLCO
3
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 20:52:22.22 ID:VxuN/q0e0
3
206 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 21:08:29.60 ID:NDkYgzUco

01〜10 園子
11〜20 樹
21〜30 水都 
31〜40 千景
41〜50  風
51〜60  友奈
61〜70  夏凜
71〜80  東郷
81〜90  九尾
91〜00  沙織

↓1のコンマ
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 21:13:32.52 ID:6qumbtLCO
208 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 21:36:50.06 ID:NDkYgzUco

友奈「久遠せんぱーい」

天乃「あら、どうかしたの?」

友奈「えへへ」

照れくさそうに笑う友奈は、

今日も来ちゃいました。と、無邪気な笑顔を浮かべて見せる

昨日の夜には夜這いして

今日の夜には、普通に姿を見せた

昨日の夜もこんな顔をしていたのだろうかと思うと、

淫らな行為を覚えてしまった勇者部にも

まだまだ無邪気さや無垢さが残っているのではないかと思う

いや、昨日の夜這いは決して淫らな思いはなかった。という話だったっけ

天乃「ふふっ」

友奈「な、なんで……顔に何かついてます? あれっ?」

天乃「ううん、そういうわけじゃないの。ただ、可愛くて」

友奈「ふぇっ!?」

天乃「ほんとう、可愛くてね」
209 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 21:59:27.44 ID:NDkYgzUco

顔を真っ赤にして、じりじりと後退りする

でも、決して天乃の視界からは出ていかない

最後の一歩を後ろに下げることはない

褒められた嬉しさという羞恥心を感じながら、

友奈はきゅっと唇を結んで足早に天乃の領域内へと入り込む

友奈「ずっ、ずるくないですかっ!?」

天乃「なにが狡いのよ」

友奈「だって」

天乃「本当のことを言っただけでしょ?」

友奈「うっ」

ううぅ……と、文句を言おうにも言えない友奈の頑張ったうめき声が零れる

恥ずかしいけれど嬉しくて、嬉しいけれど、恥ずかしい

そんな様子の友奈はやっぱり、可愛らしいのだ

友奈「く、久遠先輩だってかわいいですよ! それに、きれいです!」

天乃「あら、嬉しい」

ふふふっと笑うと友奈は不満だったようで。

友奈「そ、それにっおっぱい大きいです!」

変な方向に全力疾走した
210 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 22:12:15.02 ID:NDkYgzUco

天乃「友奈は胸も可愛らしいわよね」

友奈「あぅっ」

天乃「でも、私はそんな友奈のことも好きよ」

これからの未来、

成長期がやってきて、身長だけでなく胸が大きくなっても

天乃は友奈を好きだという気持ちに変わりはない

子供であろうと大人であろうと、大きかろうと小さかろうと。

好きになったのは友奈であって、その容姿だけではないのだから

天乃「それに、友奈は脱いだ姿は綺麗よね。筋肉の付き方とか、うどんを食べすぎたちよっぴりの柔らかさとか」

友奈「っ」

天乃「白いから、細いから、だから綺麗じゃなくて。外で遊ぶ活発さに色づいた肌だって、綺麗だと思う」

友奈「な、なんで……なんでこんな話になってるんですか……っ」

ギブアップとでも言いたげに

高ぶった感情からか涙を流しかけている友奈の訴えに、

天乃は「可愛いからでしょ?」と、止めを刺す


1、おいで、一緒に寝ましょ
2、ほんと、貴女が羨ましいわ
3、来てくれて嬉しいわ
4、それで、可愛い可愛い私のお嫁さんはどうしてここに来たの?


↓2
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 22:13:58.52 ID:xO1y4D37o
4 なんで来たのかなぁ…?
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 22:14:28.10 ID:6qumbtLCO
4
213 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/16(日) 22:32:15.00 ID:NDkYgzUco

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「あとえっち」

東郷「胸が弱い」

東郷「髪がさらさら」

東郷「エッチよりもキスが好き」

東郷「実は抱きしめながらキスしてあげるともっと感じやすい」

風「まじで!?」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/16(日) 22:39:34.18 ID:6qumbtLCO

ここの所落ち込みっぱなしな久遠さんだったけどポジティブに考える事で少し元気になったかな
あと久遠さんのおっぱいに興味津々な友奈ちゃんかわいい
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/17(月) 00:07:43.76 ID:z5FeavhrO

毎日でも会いたくなるからねしょうがないね
216 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/17(月) 20:05:46.04 ID:6yinSHbgo

では、少しだけ
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/17(月) 20:13:14.03 ID:+jNxwtg4O
おk
218 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/17(月) 20:29:49.91 ID:6yinSHbgo

天乃「それで、可愛い可愛い私のお嫁さんはどうしてここに来たの?」

友奈「もうっ、またっ」

天乃「言われるの嫌?」

友奈「嫌ではないですけど……」

恥ずかしいです。

ぼそっと呟く愛らしさに天乃は微笑む

弄っているつもりはない

本心で、可愛らしいと思う

だから……

天乃「ふふっ、それで? 本当にどうしたの?」

友奈「あっ、はっはい……」

ポリポリとほほを掻く。

話の前の戯れのせいか、目を合わせてくれない

そんな友奈は「えっとですね」と、切り出す

友奈「さ、寒い……じゃないですか」

天乃「そうね」

友奈「今朝は、あったかかったから……」

天乃「一緒に寝たいって?」

友奈「……はい」
219 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/17(月) 21:07:19.83 ID:6yinSHbgo

東郷もいるのに……なんて、言うのは友奈には悪いだろう

東郷がいるのは分かっている

解ったうえでここに来てくれたのだ

それは今朝にも話してくれたことが、理由

天乃「物好きね。今朝の今夜だなんて」

友奈「仕方ないじゃないですか」

仕方がないじゃないですか

そう繰り返しながら向けてきた目は、本気の瞳

照れくささこそ残っているが、

友奈の豊かな表情は心を現して微笑む

友奈「……知っちゃったんだから、仕方がないじゃないですか」

天乃「っ」

友奈「責任、取ってください」

自分で言いながら、だんだんと赤みがかっていく顔色は臨界点を超えて

ぅあぁぁぁっと、うめき声を漏らしながら友奈の体は崩れていく

友奈「なし、なしです! 今のは無しです!」

天乃「責任なら未来永劫取ってあげるわよ?」
220 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/17(月) 21:44:20.92 ID:6yinSHbgo

天乃「それとも、私じゃ不満?」

友奈「そ、そんなことないです」

天乃「なら、良いじゃない」

友奈「良いですけど……」

嬉しいですけど。

自分の発言を思い返せば、膨れ上がる恥じらいにどうにかなってしまいそうになる

それを隠せるのなら、

嬉しそうに次から次へと語ってくれる天乃の口をふさいでしまいたくなる

とても、温かくなれる方法で。

それはきっと、

明日かもしれない、明後日かもしれない

もしかしたら、今からかもしれないという緊張感を

解きほぐしてくれることだろう

友奈「あんまり言われると……エッチなことしたくなるので、やっぱり駄目です」

天乃「体的には、もう大人って感じなのね。友奈」

友奈「…………」
221 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/17(月) 22:12:16.03 ID:6yinSHbgo

友奈「ま、まだ……子供です」

エッチなことはしたけれど

その味を覚えてしまったけれど

まだ、残しているものがあるから子供だと

友奈は小さな声で否定する

友奈「……久遠先輩が、貰ってくれるまでは、子供です」

天乃「ふふっ、それは責任重大ね」

天乃の手で大人になりたい

そう宣言した友奈の向けられていない顔を見つめて、

天乃は笑みを浮かべる

天乃「そこで立っていたら寒いでしょ? 入ってきなさい」

友奈「えへへっ、お邪魔しますっ」

捲った布団、開けた隙間

入って来る嬉しそうな表情を見せる友奈に、天乃は何も言わなかった

やっぱり駄目です。ついさっきそういった友奈の表情が一瞬陰ったのを認めていたとしても。

そこを突くのは、無意味だ

頼りがいのある、立派に見えた友奈もまだ子供、そう、子供

まだまだ頼り頼られていかなければ、躓いてしまいそうなほどに危なっかしい

天乃「……似た者同士」

友奈「えっ?」

天乃「ふふっ、勇者になった友奈って、髪の色は私と同じよね」

勇者の時とは違う、

愛くるしい表情を見せてくれる友奈の優しさを受けて、天乃はそう、誤魔化した
222 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/17(月) 22:13:05.17 ID:6yinSHbgo
√ 12月5日目 朝(病院) ※金曜日


01〜10 風
11〜20 
21〜30 
31〜40 夏凜
41〜50 
51〜60 
61〜70  沙織
71〜80 
81〜90 
91〜00  園子

↓1のコンマ
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/17(月) 22:14:31.96 ID:wU7eFlJN0
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/17(月) 22:15:10.46 ID:+jNxwtg4O
225 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/17(月) 22:29:08.31 ID:6yinSHbgo

ではここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みをいただくことになるかと思います
所用でしばらく平日は厳しくなるかもしれません



東郷「私の方が大きいわ」

風「天乃はあの身長のくせにあの大きさっていうのが最高なのよ。大きさだけで語れるものじゃない」

東郷「万理あります」

園子「否定しないんだね……」

東郷「久遠先輩の良さを否定することに意味があるの? いえ、ないわ!」

東郷「言えないだけに!」


友奈「という経緯で」

天乃「何やってるのよ、本当に」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/17(月) 22:48:13.27 ID:wU7eFlJN0

師走は忙しいよね
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/17(月) 22:54:50.28 ID:+jNxwtg4O

言うて勇者としてはよろしくないのかも知れないけど友奈ちゃんレベルのえっちな事であれば年相応だと思うな
あ、とーごーせんせーは自重してください。
228 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/19(水) 20:36:17.41 ID:+hFUsdgYo

では少しだけ
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/19(水) 20:38:04.35 ID:wHwg4c9/O
やったぜ
230 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/19(水) 20:48:07.52 ID:+hFUsdgYo
1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流有(夜這い、嫌だ、可愛いお嫁さんの理由)
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流有(国造り?)
・   土居球子:交流有(球子のような考え方を)
・   白鳥歌野:交流有()
・   藤森水都:交流有()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


12月04日目 終了時点

乃木園子との絆  86(高い)
犬吠埼風との絆  109(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  97(とても高い)
結城友奈との絆  119(かなり高い)
東郷美森との絆  128(かなり高い)
三好夏凜との絆  150(最高値)
乃木若葉との絆  99(かなり高い)
土居球子との絆  46(中々良い)
白鳥歌野との絆  44(中々良い)
藤森水都との絆  36(中々良い)
  郡千景との絆  46(中々良い)
   沙織との絆  128(かなり高い)
   九尾との絆  69(高い)
    神樹との絆   ??(低い)
231 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/19(水) 21:05:49.80 ID:+hFUsdgYo

√ 12月5日目 朝(病院) ※金曜日


園子「天さん……あ、起きてる」

天乃「起きてたらダメだった?」

園子「ううん、そんなことない」

ひょっこりとカーテンの隙間から顔を覗かせた園子は、

天乃のすぐ横でまだ寝息を立てている友奈を一瞥すると、

お邪魔だったかな〜。と、笑みを含んで呟く

天乃「大丈夫よ。そろそろ、起きなくちゃいけない時間だろうし」

園子「……天さん、体の方は問題ない?」

天乃「それも大丈夫」

心配ないと笑みを送る

実際、妊娠中の体の重みや苦しさこそあるが、

それ以外の辛さは感じなくて、嘘のように快調だった

妊娠初期などであればまだそれも普通だったかもしれない

けれど、今は違う

それが分かっているから、それが心配だから

ここ最近の勇者のみんなはよくよく朝から姿を見せるのかもしれない
232 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/19(水) 21:16:23.50 ID:+hFUsdgYo

園子「今月だよね? 大丈夫なのかな」

天乃「つわりのように重なったら悲惨なことになるかもしれないわね」

園子「冗談にならないんよ……」

天乃を襲ったつわりの症状は、

その期間を凝縮した殺意さえ感じられるようなものだった

それなのに、

つわりを超えるであろう痛みを与える陣痛の症状まで重なったら

あるいは、経産婦のようにその一つ一つのスパンが短く来てしまったら

初産の天乃にとっては耐え難い苦痛だろう

それはたとえ、勇者を経ていたとしてもだ

園子「わっしー曰く、夜から朝の時間帯が統計的に高いらしいって」

天乃「なるほど……友奈の二日連続の夜這いもそれが理由?」

園子「ゆーゆはまだそれを聞いてないと思うから、違うんじゃないかな〜」

不安そうな表情から一転

ニコニコと、そしてなにより楽しそうな声色で言う園子は、

友奈の幸せそうな寝顔に指を伸ばして、引っ込める

園子「ゆーゆはただ、天さんと一緒にいたいだけだと思う」

寒いし、なにより……安心する

理由を舌の上で転がして、飲み込む

園子「私も夜這いしちゃおうかな〜」
233 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/19(水) 21:38:56.92 ID:+hFUsdgYo

天乃「夜這いなんてしなくても、断ったりしないわよ」

園子「のんのん! 夜這いはバレるかもしれない恋のスリルと、されると思ってない無防備な寝顔を楽しむものなのさ〜」

受け入れられるかどうかは二の次なんだぜ!

そう、ビシッと決めて言い放つ園子の高いテンションに置き去りにされて、

天乃は思わず苦笑する

天乃「するって話したら無防備になんてなれないじゃない」

園子「ハッ!?」

天乃「ふふっ、もうすぐクリスマスだしサンタさんを待ってる必要がありそうね」

園子「間違っても脱ぎたてホヤホヤな靴下を置いといたらダメなんよ」

天乃「不衛生だものね」

園子「ちが……いや、そうなんよ。うん、そう」

天乃がサンタを信じていないことはともかくとして

天乃の脱ぎたての靴下など置いてあったら

我先にと手にしそうな人も中には居るから……とは言わずにさらりと流す

園子「それでね、天さん」

天乃「改まってなに? もしかして、誰かそばに置いておこうかって話でも始めるの?」
234 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/19(水) 22:10:55.77 ID:+hFUsdgYo

園子「話が早くて助かっちゃうよ〜」

天乃「精霊のみんながいるのに」

それでいて、園子たちには学校がある

在宅ならともかく病院にいるのだから

授業を犠牲にしてまでそばにいる必要はない

もちろん、うれしくはあるけれど。

天乃「陣痛のこととか、奉火祭の件とか色々あって心配してくれてるのは分かるけど、学校があるでしょ」

園子「私は勉強なら十分できてるんだぜ!」

天乃「でも、念願の学校生活。でしょ?」

園子「お願いっ、久遠せんぱ〜いっ」

きらきらとした目で、訴える

ふざけているのか、求めているのか

分かりやすいものも

園子がやっていると不思議と曖昧で分かりにくくなる



1、だ〜め。学校に行きなさい
2、あんまり関われなかったから寂しいの?
3、何が目的なの?

↓2
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/19(水) 22:11:47.52 ID:wHwg4c9/O
3
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/19(水) 22:12:29.64 ID:c+3xK2ef0
2
237 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/19(水) 22:36:04.38 ID:+hFUsdgYo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「久遠先輩の脱ぎたての靴下……?」

東郷「興味はあるけれど、そこまで争うようなことでもないわ」

東郷「純粋な気持ちで脱いだ靴下を性的に弄ぶなんて下劣にも程があると思うの」

東郷「そもそも、久遠先輩は黒タイツかスパッツ派よ」

園子「だからこそ、今の靴下は貴重なんじゃないかな〜」

東郷「……さすがねそのっち。一理あるわ」

風「こら園子! なんで嗾けるかなぁっ」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/19(水) 22:38:27.71 ID:IHUGHH7b0

もう産むまで秒読み感あるな
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/19(水) 22:46:43.55 ID:o+57xGa9o

お嫁さんの出産には立ち会いたいよな
辛いときそばにいたいってのもあるんだろうが
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/19(水) 22:50:47.31 ID:wHwg4c9/O

おねだりそのっち可愛い
それはそうとクリスマスも近いのか…産まれるとしたらその辺かな
241 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/20(木) 21:12:26.17 ID:FZFjPOGSo

では、遅くなりましたが、少しだけ
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 21:30:02.81 ID:rCxfRDlQO
来てたか
243 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/20(木) 21:34:31.51 ID:FZFjPOGSo

天乃「どうしたのよ……あまり関われなかったから寂しいの?」

園子「それは……」

少し、考える

考えてから、首を振った

園子「少しもないと言ったら嘘になる」

つい先日も甘えたばっかりだ

それで否定したって滑稽にしか感じない

やりようによっては……ツンデレの演出もできるだろうけれど。

園子「でも、そうじゃない。それだけじゃない」

天乃「……真剣な顔、するのね」

園子「天さんにとっては、ううん。天さんにとっても私達の学校生活や将来はとても大切なことだと思う」

自分の生活なんかよりよっぽど、大切にしてくれている

進学できるかどうかとかではなく

今、そうすることがどんな影響があるのかだったり、

障害に足を止められたなら進むことができる手助けをしてくれたりだとか。

たとえ自分の足を止めてでも助けようとしてくれる

園子「でも、それと同じくらい……もっと、も〜っと天さんのことが大切なんだ」
244 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/20(木) 21:51:15.54 ID:FZFjPOGSo

園子「それに、家族として付き合っていく中で子供が産まれる瞬間なんて、私たちにとっては貴重なんよ」

大切にしないわけにはいかない

何よりも優先しないわけにはいかない

いつか、本当に同性であっても子供が作れるようになるかもしれない

けれど、今はまだできない

だから、自分たちにとって唯一無二であるこの瞬間を、

これからも続いていく学校生活を優先して見逃すわけにはいかなかった

それに何より、精霊がいるとはいえ、一番つらいであろう時期にのんびりと学業にいそしむ気にはなれない

園子「だから、傍に居させて」

傍に居たい。ではなく、居させてと園子は求める

目を見ても、園子はそらさない

普段のほんわかとした空気は隠しきれていないけれど、

それでも本気であることだけは伝わってくる

園子「この二年間、頑張ってくれた分を返したい」

天乃「そんなこと言われても」

返してもらうようなことなんてしてはいない

あくまで、自分の責務としてやってきただけ

園子が感じるような恩を売った覚えはない

けれど、それを言ったところで押し問答は避けられないだろう
245 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/20(木) 22:03:32.10 ID:FZFjPOGSo

天乃「…………」

そこに銀はいないけれど、

また、学校に行くことができるようになった

東郷や友奈、夏凜

樹に風と沙織……そして、ちょっぴり特別にご先祖様である若葉

みんなと一緒に通うことができるようになったのに

それを中断してまで、一緒にいてくれようとする

自分にはそこまでの価値はない……とは、口が裂けても言うことではない

待望の学校よりも、天乃のこと

出産といった特殊なことがあってこそかもしれないが

少なくとも今の園子にとっては揺るがない事実

天乃「どうしても?」

園子「どうしても」

天乃「…………」

ダメと言えば、渋々それを受け入れてくれるだろうけれど……


1、今日だけよ?
2、明日明後日お休みなんだから我慢しなさい


↓2
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 22:07:03.96 ID:rCxfRDlQO
1
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 22:09:24.16 ID:hg5GMT510
1
248 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/20(木) 22:50:20.76 ID:FZFjPOGSo

では、ここまでとさせていただきます
明日はお休みいただくと思います

再開は明後日、通常時間から


天乃「仕方がないわね……今日だけよ?」

園子「やったぜ!」

風(甘い)

樹(明日以降も断らなそう)

東郷(やっぱり、受けね)

友奈(ここで抱き着いたら私も残れるかな……?)
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 23:01:42.64 ID:rCxfRDlQO

そのっちと出産直前久遠さんのイチャイチャタイム来るか…?
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/20(木) 23:24:54.95 ID:bI4mnNhN0

押しに弱い久遠さん
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/22(土) 11:40:06.01 ID:WFeYUx7wO
今日でくあゆシリーズ4周年おめー
ここまでずっとほぼ毎日投稿から感じる>>1の原作と久遠さんへの愛が凄いなぁ
252 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/22(土) 20:46:17.45 ID:f/ozvoZ4o

でh、本日も変わらず進めていきます
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/22(土) 20:54:27.10 ID:bxK1TAFpO
かもーん
254 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/22(土) 21:06:44.88 ID:f/ozvoZ4o

天乃「はぁ……もう」

ため息をつくだけで、園子の目がきらめいたのが分かる

生真面目さを演出しようとしていた雰囲気が崩れ去って、

隠し切れていない嬉しさを感じる

それはみんなよりも長い付き合いだからこそ、かもしれない

天乃「仕方がないわね、今日だけよ?」

園子「今日だけ〜今日だけ〜」

ゆらゆらと体を揺らしながら真似て言う

今日だけでも許可がもらえれば、明日も明後日も休み

結局三連休……三連久だ

天乃「分かってるとは思うけど、今の私には貴女のそのテンションについていくだけの余裕はないからね?」

園子「付いて来させるつもりなんて毛頭ないんよ」

むしろ、自分が止まるのだ

寄り添うのだ

そのために、ここに残りたいといったのだから

無理させてしまったら本末転倒である

園子「天さんの傍に居られるだけで、そのっちは満足であります」

天乃「……友奈のこと、踏まないでよ?」

ぎしりとベッドに足をかけた園子に一言注意する

沈んだ方向へと傾く友奈を覆う陰の主は「大丈夫」と、笑って天乃の肩に触れた
255 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/22(土) 21:52:23.40 ID:f/ozvoZ4o

園子「えへへ」

天乃「?」

限りなく近い距離にいるにもかかわらず、

園子はキスをするでもなく、怪しい笑い声をこぼすと

自分の下で寝息を立てる友奈を一瞥する

園子「なんだか、いけないことしてる感じがする」

天乃「確かに、園子との関係が違っていたならそうかもしれないわね」

園子「ゆーゆが寝ている隙に、その横でちゅーするシチュエーション。どう?」

天乃「どうって……なに?」

答えようがない

友奈とだけの関係だったらもちろん断るだろうけれど

それでも。と迫られて断れるのかどうか、今でこそ自信をもって断ると言えるが

以前の自分ならばどうだろうかと、天乃は考えて園子を見る

天乃「そういうのは、良くないわ」

園子「こうしたのは天さんなのに……とかいうと一回位は体許してくれそうな危うさがあるよね、天さん」

天乃「馬鹿なこと言わないの」

園子「そんなことは、誰にもさせるつもりはないけど」

関係を持ち合うと決めた仲以外の誰にも、絶対に

それはたとえ神様が相手であろうと変わらない

園子「天さんは私たちの……でも」

みんなのもの。ではないのだから
256 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/22(土) 22:16:33.71 ID:f/ozvoZ4o

園子「にぼっしーが目を光らせてるだろうし」

天乃「起きてた?」

園子「起きてた」

園子は夏凜に対してのものなのか、

夏凜とを隔てるカーテンに目を向けながら耳元で囁く

一瞬視界の外へと消えて戻ってきた園子は満面の笑みを浮かべていて

そのまま、離れる

天乃「あら、しないの?」

園子「……誘うなよ。襲っちまうぜ?」

格好良さをイメージして、いつもよりも低めの声

きりっとした瞳と、斜めに駆け上がる眉

にやりと持ち上がる口元

けれども、園子は園子で

天乃「はいはい。可愛い可愛い」

園子「ゆーゆの時と露骨に態度が違うっ」

天乃「友奈は狙ってないもの」

貴女は狙いすぎ

はっきりとしたダメ出しに、園子はしょぼん。と、口に出した
257 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/22(土) 22:30:11.92 ID:f/ozvoZ4o

√ 12月5日目 昼(病院) ※金曜日


01〜10 
11〜20  大赦
21〜30 
31〜40 
41〜50 
51〜60  夕海子
61〜70 
71〜80 
81〜90  天さんは陣痛に苦しむ。しばらくお休み
91〜00 

↓1のコンマ
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/22(土) 22:32:47.82 ID:MHVG3cm6O
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/22(土) 22:34:32.82 ID:MHVG3cm6O
アチャー…
260 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/22(土) 22:57:14.56 ID:f/ozvoZ4o

ではここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から
【久遠天乃は勇者である】は気づけば四周年ですが、もうちょっとだけ続きますので、よろしくお願いします



陽乃「……ねぇ、高嶋さんは知ってる?」

陽乃「人っていう字はね? 手を取り合うから人という字になったわけではないの」

陽乃「天津飯の気功砲がナッパ……宇宙人に通じなくて、人の限界は気功砲なんだと感じたから」

陽乃「その手の形になったのよ」

友奈「えっ!?」

陽乃「って、郡さんが言ってたわ」

友奈「ぐんちゃんが!?」
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/22(土) 23:03:07.18 ID:br6Xh83Y0

ポジティブに考えれば陣痛がキツイのは出産が近い証拠!
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/22(土) 23:06:01.65 ID:MHVG3cm6O

これからの展開もしっかりと見届けるべ
そしてこのタイミングで陣痛…出産が早まるか?
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/22(土) 23:43:51.57 ID:uyoyO07oo

予定日とかって決まってたっけ?
あと4周年おめでとう
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/23(日) 15:29:46.06 ID:X9vRmawJO
そもそも成長自体が普通のペースじゃないから予定は立ってなかった気がする
265 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 17:36:34.40 ID:uuvJbFQxo

では、遅くなりましたが少しだけ
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/23(日) 17:45:06.31 ID:I3V8K3uAO
あいよ
267 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 18:20:20.14 ID:uuvJbFQxo

√ 12月5日目 昼(病院) ※金曜日


園子「天さんッ!」

天乃「痛っ……うぅぅっ」

笑っていた顔が、歪んだのは唐突だった

何の前触れもない

他愛もない話をしている最中、「痛い」と零した

少し顔をしかめて、ちょっとした筋肉痛だったかのような表情で。

それからはもう一瞬だったかもしれないし、

数分間程度経っていたかもしれない

体を起こしていた天乃は耐えきれなくなって体を丸め、

呼吸をするように、苦しみだした

血を吐くことはなかった

気を失いはしなかった

だからこそ、余計に苦しんでいるように見えてしまう

天乃「その……」

園子「ナースコール、ナースコールは押したっ!」

だから頑張って。

容易く、その言葉を吐くことはできなかった
268 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 19:01:23.81 ID:uuvJbFQxo

破瓜の痛みなど、じゃれ事だったかのような痛みだった

もちろん、男性器などといった―矮小というと失礼に当たるが―限度のある物の介入など、

子供二人がでてこようとしていることに比べれば些末なことだ

体の内側から引き裂かれるような鈍痛

当然ながら体を丸めるなんてことはできないし、

丸められたとしても、内側から生じる引き絞られる激痛は留まることを知らない

園子の名前を呼ぶ声、励ます声

それが、雑音にさえなりかねない、苦痛

痛みに声が掠れて、苦しみに視界が霞む

けれど、不定期に訪れる休息期間が、

意識が途切れることを許さない

痛みに備える休息期間だという人がいるという話ではあるけれど

天乃にとっては、ただのアメとムチだった

天乃「死ぬ……」

園子「しっ、しんじゃだめだよ天さんっ!」

天乃「うぅ……いっ………ぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

休み、激痛

叫んで、呼吸が整う前に、また叫ぶ

だが、それがまだ序の口であることを分かっているのは

陰に潜んでいる九尾だけだった
269 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 19:39:33.51 ID:uuvJbFQxo

園子「どうしよう……天さんが」

「大丈夫です、予定通り……とは言えませんが陣痛が始まっただけですから」

園子「でも……」

「しばらく、看護師が同席しますから」

直接的と言ってもいいほどに、園子は役には立たないと言われたのだと感じた

園子は。ではない、素人が。だ

本来なら、近親者や親しい間柄の人が傍に居てくれるなら、

それだけで頑張れるから。と、看護師も言うことだろう

しかし、天乃は状況が特殊すぎる

だから、園子や夏凜達が一緒にいるだけでは何にもならない

悔しいが、そうならざるを得ない

けれど、担当している看護師はそんな園子の感情をくみ取ったのだろう

今は落ち着いて寝息を立てる天乃の手に、園子の手を導く

「もちろん、乃木さんは傍に居てあげてくださいね?」

園子「っ」

「看護師や医師ができるのは医療サポートまで。生きて終えるという精神的サポートができるのは貴女達だけなの」

だから、傍に居てあげてね

そう繰り返す看護師に、園子は少し困った表情で、頷いた
270 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 19:55:48.37 ID:uuvJbFQxo

01〜10 
11〜20  夏凜
21〜30 
31〜40 
41〜50  夕海子
51〜60 
61〜70 
71〜80 九尾
81〜90 
91〜00  若葉

↓1のコンマ
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/23(日) 20:02:39.96 ID:I3V8K3uAO
272 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 20:51:06.82 ID:uuvJbFQxo

若葉「心配するな」

どこからともなく姿を見せたご先祖様の優しい声に、

園子は浮かない顔を上げて、首を振る

園子「ご先祖様……」

若葉「天乃はいつだって、ちゃんと帰ってきてくれていただろう?」

無鉄砲になる前も、

無鉄砲になった後も

なんだかんだちゃんと帰ってきてくれていた

第一線で戦う最後の日

その時だって、天乃はとてつもない無理はしたけれど

やっぱり、戻ってきてくれた

子供ができて、つわりで酷く苦しんだ時も

ちゃんと、戻ってきてくれた

若葉「その要は、やはりお前たちだろう」

園子「私達……」

若葉「ああ、間違いない」
273 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 21:40:27.06 ID:uuvJbFQxo

天乃が苦しむだろうという覚悟はできていた

なのに取り乱してしまうような自分のことを、要として添えることができるだろうか

いや、出来ない

少なくとも自分なら難しいと、園子は妙に冷静な頭で考えて天乃を見る

だが、それでも天乃は任せてくる人だ

大きな失敗をしていようが、天乃は決して見捨てない断ち切らない

不信感を募らせて信用できないなどと口にすることはない

むしろこう言うだろう

大丈夫。失敗をした後悔があるのなら、貴方はそれを成し遂げられる心があるはず

絶対的な信頼で。

園子「天さんは、私の手を握ってくれているんよ」

若葉「天乃がどのような境遇にあるのかを考えれば、必然だろう」

誰よりも他人に優しく、誰よりも他人を思う

それは銀を失ったからだけでなく

天乃には何も残されたものはなかったからだ

園子は大赦に幽閉され、鷲尾須美は記憶を失って東郷美森となり、家族の記憶は失われた

そんな天乃にとって、今なお続く園子たちとのつながりは、絶対に断ち切りたくはないものだろう

だからこそ……

園子「天さんのチョロさは、そこが原因なのかな」
274 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 21:53:51.42 ID:uuvJbFQxo

ぼそっと出てきた園子のつぶやきに、

若葉は「そういう話だったか?」と、困惑気味に問いかける

園子「……そういう、話なんよ」

痛みと苦しさに喘ぎ疲れて眠るお姫様

力の抜けた手ではあるけれど

それでもしっかり握り返してくる天乃のことを、園子は優しい目で見つめる

こんな人だから、自分に自信が持てないなどと言っていられないのだ

いっつんもそういってたなぁ。と、思わず笑う

信頼に答えたい、思いを裏切りたくない

だから、自分で思う以上に頑張ることができるのだと

園子「頑張って、取り乱さないようにする」

若葉「これからはもっと厳しくなるかもしれない。血を吐くかもしれない。それでも、平気か?」

園子「一番頑張ってる人の隣で、諦めるような考えを持つわけにはいかない」

なるべく諦めない。

なせば大抵なんとかなる

それが、勇者部なのだから

園子「頼りないかもしれないけど、でも――」

若葉「いや、十分頼りにしている」
275 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 22:50:10.91 ID:uuvJbFQxo

眠る天乃の横に座る園子の頭を、軽く撫でる

姉ではないし、母でもない

そんなものを超越した遥か昔のご先祖様である若葉

だからといって、血のつながりを感じることは事実で

子孫が頑張り屋であることも同じくらいに事実だ

若葉「園子は……いや、この時代に生きる皆を頼りにしている」

心強く、頼もしい

自分たちの時代にいてくれたらと思うほどには、救われている

若葉「お前たちなら大丈夫だ。何も心配することはない」

園子「そう、かな」

若葉「ああ。ありがたいご先祖様の御言葉だぞ。信じておいて損はない」

我ながら適当な言い方だったと、若葉は苦笑する

でも、本音なのだから訂正する気はない

園子「ご先祖様かぁ……ご先祖様はどんな人と結婚したのかな〜」

若葉「ん?」

園子「綺麗な人。だったかも〜」

えへへ〜となぜだか嬉しそうな笑顔を見せる園子

反応が遅れた若葉は不意に、「ちょっと待て!」と、声を荒げる

若葉「……乃木家なら家系図が……ま、待て、そんなはずが!」

真相は、園子の笑顔の中へと消えていく
276 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 22:51:14.56 ID:uuvJbFQxo

√ 12月5日目 夕(病院) ※金曜日


01〜10 
11〜20  夏凜
21〜30 
31〜40 
41〜50  友奈
51〜60 
61〜70  風
71〜80 
81〜90  園子
91〜00  東郷

↓1のコンマ
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/23(日) 22:52:40.18 ID:p09y6xH3o
ふい
278 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/23(日) 23:19:42.08 ID:uuvJbFQxo

ではここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から


夏凜「聞いたわよ、陣痛来たんだってね」

東郷(さすが夏凜ちゃん、行動が早い)

友奈(一直線に久遠先輩に話しかけに行ったね)

風(そりゃ、まぁ一番好きですから)

園子(ぐぬぬ……)
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/23(日) 23:31:27.08 ID:4uvHtE1T0

4周年だったか
やっと追い付いた
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/23(日) 23:33:09.88 ID:I3V8K3uAO

結果的に陣痛の時にそのっちが残ってて正解だったのかもね
そして本当にここぞってところで来る夏凜ちゃんのコンマ運よ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/23(日) 23:42:33.71 ID:tYJPj9fVO

しんどそうだな久遠さん
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/24(月) 00:29:53.70 ID:LwwF9wpJo

今回の夏凜はほんとコンマに恵まれてるなぁ
283 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/24(月) 19:32:21.92 ID:pNnetdgxo

では少しだけ
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/24(月) 19:34:27.74 ID:Cdyak6oCO
やったぜ
285 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/24(月) 20:03:07.23 ID:pNnetdgxo

√ 12月5日目 夕(病院) ※金曜日


天乃「ん……っ」

目を産すと同時に動いた手が、何かを握る

握れば握り返すそれは間違いなく誰かの手

良く知っている、男の子っぽい感触

天乃「夏凜……?」

ただの寝起きとは違う、

ぼうっとしてしまう頭でなんとか夏凜の輪郭を掴もうと伸ばした手は途中で捕まって、布団の中へと戻されてしまう

けれど、近づいてきてくれた姿は見間違えるはずもなく、夏凜だった

夏凜「下手に動かないの」

天乃「早退……してきたの?」

夏凜「普通に帰ってきただけ。もう夕方よ」

外の景色よりも先に、夏凜の端末に表示された時間が目に入る

最後に見た時間はお昼ごろ

今はもう、最終下校時刻すら過ぎてしまっていた

夏凜「園子には悪いことしたかも」

天乃「どうして?」

夏凜「さっきまでずっとあんたの傍に居たのよ。ま、これも私の日頃の行いってやつよね」
286 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/24(月) 20:11:24.35 ID:pNnetdgxo

ふふふっと、夏凜は笑って見せると、

布団の中、握られたままの手を握り返しながら、額に別の手を宛がう

夏凜「少し体温は高いけど大丈夫ね」

天乃「……心配させちゃったわね……」

夏凜「別に心配なんざしてないわよ。むしろ、もうすぐ産まれる兆候なんだから喜ぶべきでしょ」

天乃「でも」

夏凜「そりゃ、苦しむあんたにとっては複雑かもしれないけどね」

母親というものは、そういうものだ

子供を産むということは、そういうことだ

一つ、二つ

小さいとはいえど、命を育むのだから

容易なことではないのは至極当然だと言えるだろうし

その苦しさがあるからこそ、母親はそれがどれだけの責任を負うことであるのかを実感する

夏凜「……けど、産むあんたと産まない私では感じ方も違うのよね」

夏凜は男ではなく、女だけれども

当事者ではないという差があるのは性別に関係なく同じだと言う

夏凜「無責任なこと言ったかも」

天乃「ううん、産まれてくるんだもの……その点を喜ばしく思うのは私も同じよ」
287 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/24(月) 20:30:08.10 ID:pNnetdgxo

ただ、そこに不安があるだけで

痛みと苦しみへの恐怖があるだけで。

夏凜「だからこそ、出来る限り傍に居る必要があるのかもね」

天乃「うん」

夏凜「…………」

精神的な支えになるという目的もそうだけれど、

傍に寄り添い、その苦しみと痛みを追い続ける伴侶の姿をその目で見て、感じて

どれだけの責任が伴うことなのかを、客観的にでも感じるべきだから。と、夏凜は心の中で呟く

それができなければ、それをしなければ、伴侶という言葉は欠けてしまうことだろう

夏凜「看護師が常駐してくれるって話は聞いて……ないか」

天乃「そうなのね……みんなもいるのに」

夏凜「いるにはいるけど素人だから仕方がないんじゃない? あんたの場合は特殊だしね」

天乃「えっちなこと、出来なくなっちゃうわね」

夏凜「元々できないでしょ」

陣痛が始まったならなおのこと。

天乃に必要なことだと言っても、

それが結局天乃を苦しめるのだというのなら、無意味だ

夏凜「全部ちゃんと終わってから。存分にやれば良いんじゃないの?」

天乃「赤ちゃんがいるのに?」

夏凜「声出さないでやるしかないわね」
288 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/24(月) 21:04:50.47 ID:pNnetdgxo

夏凜「今度、練習する?」

天乃「何言ってるのよ……えっち」

笑う夏凜の表情が冗談だと語る

だから、天乃も冗談めかして言い返す

笑って見せてはいるけれど、

きっと、疲れを感じる笑みになってしまっている

だけど、夏凜は何も言わない

そんな笑顔をするなとは言わない

疲れてはいるけれど、無理をしてはいないからだろう

それを感じ取ってくれる夏凜は

やっぱり、傍に居てくれるだけで安心する

天乃「……明日も、明後日も。学校は休みなのよね?」

夏凜「そ。だから全員ここにいるわよ。まぁ、何人か出かけることはあるかもしれないけど」

全員で払うなんてことは、

奉火祭が行われない限りしないと断言する



1、じゃぁ……隣にいて
2、ありがと
3、奉火祭、合わせて行ってくるなんてことは、ないわよね……
4、土日が終わったら、学校行くの?


↓2
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/24(月) 21:06:14.26 ID:Cdyak6oCO
1
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/24(月) 21:08:17.37 ID:cQTjp7Ed0
1
291 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/24(月) 21:42:54.15 ID:pNnetdgxo

天乃「じゃぁ……隣にいて」

布団の中の手を引く

意図せず懇願の瞳になってしまう自分の心に感じる羞恥を隠すように、布団が口元にまで登る

寝る前、絵本を求める子供のように

嫌な気になどならない

面倒だとも思わない

ただ、どうしようもなく緩んでしまう頬が心を自覚させる

夏凜「ったく……」

呆れた物言いも無駄

冗談なんて、添えたところで皿の上から零れ落ちていく

胸が躍る、想いが口をつく

飲み込むことなどさせるものかと舌がうるさい

夏凜「あんたはもう、ほんと」

天乃「っ」

夏凜「狡い女だわ」

あざとい

その言葉を言いたくはなるけれど、伝わりはしないだろう

本当に純粋な心でそういう言動をしてみせるのだから、やってられない

普段は大人びた言動を見せてくるのに。

夏凜「そんな顔で言われて……断れるかっての」
292 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/24(月) 22:05:49.82 ID:pNnetdgxo

夏凜「あんたが満足するまで、ずっとそばにいるわ」

天乃「……わがままで、悪いわね」

夏凜「気にすんな。持ちつ持たれつ。そういうもんでしょ」

一生を尽くすと決めたのだから

一生支えてあげようと決めたのだから

我儘の百や二百、なんてことはない

夏凜「元気になってから、恩返しして貰えればそれで充分」

見返りがないのもあれだからと。

言わずとも返されるであろう恩を求めて苦笑する

夏凜「そもそも、今のあんたを放っておくなんて無理な話だし」

天乃「ありがと」

夏凜「ん」

本当はこっちこそありがとう。というべきだ

けれど、それを言うのは恥ずかしくて

きっと、それは必要ないと言われるから、

心のうちに、とどめておく

それは、すべてが円満に解決してから言えばいい

夏凜はその意を示すように、笑みを浮かべて頷いた
293 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/24(月) 22:08:10.74 ID:pNnetdgxo

√ 12月5日目 夜(病院) ※金曜日


01〜10 
11〜20  東郷
21〜30 
31〜40 
41〜50  九尾
51〜60 
61〜70 
71〜80 
81〜90  容赦のない苦痛が天乃を襲う
91〜00 

↓1のコンマ
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/24(月) 22:09:15.72 ID:Cdyak6oCO
295 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/24(月) 22:17:16.08 ID:pNnetdgxo

ではここまでとさせていただきます
今週は平日に行うのが難しいと思いますが、
できれば21時ころから少しだけ



天乃「ところで、端末の待ち受け変えたほうが良いと思うの」

夏凜「気にいってるんだからいいでしょなんだって」

天乃「私が恥ずかしいのっ大体寝顔なんていつ撮ったのよ」

夏凜「いつだって撮れるわよ。あんた無防備だし」

夏凜「それに……子供が産まれたら変える予定なのよ。それまでなら良いでしょ?」

天乃「っ……夏凜の方が、狡い」フイッ
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/24(月) 22:25:44.62 ID:Cdyak6oCO

久々の夏凜ちゃんとのイチャイチャ
なんかうまく表現できないけど夏凜ちゃんの時だけ次元が違う尊さを感じる…
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 08:01:32.34 ID:EzXIv1LpO

夏凜もすっかり大人っぽくなったなぁ
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 13:02:53.40 ID:38A/ZZ4nO
夏凜も色々あったからな…添い寝したら血反吐吐かれて血塗れになったりとか
夏凜だけじゃなくみんながすごく成長してるから安心感ある

なお難易度も上がってる模様
299 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/26(水) 20:10:05.35 ID:PkLSHO2Ho

では、少しだけ
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/26(水) 20:31:05.82 ID:vm5K1zxiO
きてたー
301 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/26(水) 20:31:32.08 ID:PkLSHO2Ho

√ 12月5日目 夜(病院) ※金曜日


天乃「12月に入ってから、もう一週間経つのよね」

夏凜「急にどうしたのよ。鬱?」

天乃「違う」

夏凜「なら……来年の話?」

天乃「同じクラスになれるかしら」

夏凜「それはそれで、ちょっと面白そうではある」

何を言ってるのかと言わずに、話に乗って笑う

公欠扱いにされているし、

特例ということもあって、天乃が卒業できないなんてことは

天乃自身がそれを申し出ない限りおこらないことだろう

夏凜「確か、進路希望調査出してないんでしょ。あんた」

天乃「進路も何も生きるか死ぬかの状況だし、生きたい。としか書けそうにないもの」

夏凜「大丈夫よ。あんたは大丈夫」

夏凜はそういうと、

天乃が求めたわけでもなく天乃の手を優しく握る

二人で入る布団の中、

少しだけ、強い熱が加わった
302 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/26(水) 20:47:37.45 ID:PkLSHO2Ho

夏凜「何があっても、私たちがあんたを守る」

天乃「……だからって、無理はして欲しくないわ」

夏凜「死ぬほどの無理はさすがにしないわよ。それじゃ、本末転倒だしね」

そこまでしないといけないようなことがあるかもしれない

けれど、出来得る限りではなく絶対にそんなことはしない

それでは意味がない、守りたいものを守れないし叶えたいことを叶えられないからだ

夏凜「失って悲しい明日を迎えるくらいなら、みんなで傷ついたとしても笑える明日を手に入れる。それが、私たちの在り方よ」

天乃「……なせば大抵なんとかなるじゃないのね」

夏凜「それもあるわよ。というか、それ前提みたいなところがあるわ」

なせば大抵なんとかなるだろう

だから、魂を燃やし尽くしてしまうようなことにまで手を出すのは控える

たとえそれで、みんなで傷を負うことになるのだとしても。

一人の命が、たった数人のけがで賄えるのなら、十分だろう

夏凜「……生きたい。ただ生きたいんじゃなく、一緒に生きたい」

天乃「夏凜……」

夏凜「あんたがそう思うように、みんなだってそう思ってる」

できるのなら、勇者のお役目をしっかりと終えて

ただの一人の少女として、人間として

寄り添いたい人とともに、老いていきたいと思う

夏凜「だから、大丈夫」
303 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/26(水) 21:04:33.34 ID:PkLSHO2Ho

天乃が不安に思うようなことはない

言い聞かせるように言葉を紡いだ夏凜だったが、

だからと言って、天乃の不安のすべてが拭えるわけではないと分かっているからだろう

苦笑するように笑って、体を起こす

かかっていた布団がズレて、滑り込んでくる冷気に天乃の眉が少し動く

夏凜「大体、私たち全員がお預け食らってるってこと忘れてるわけじゃないでしょ?」

天乃「夏凜だけじゃなく、みんなが?」

多少なりと夏凜もしてくれているとはいえ、

エッチなことを我慢している夏凜が対象であれば、

そうなのだろうとすぐに口にできるが、

みんながお預け食らっているといわれて、逡巡する

けれど、考えてみれば出産が近づいてきたこともあって

みんなもそこまでやれていない

友奈なんて特に触れ合う機会が増えたのに

そういうことは、していない


1、デートのこと?
2、エッチなこと?
3、赤ちゃんのこと?
4、かめやに行くこと?
5、1〜4のどれでもない

↓2
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/26(水) 21:05:20.32 ID:vm5K1zxiO
1
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/26(水) 21:05:30.43 ID:At0L/Uz+O
2
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/26(水) 21:06:05.57 ID:QWW2sjrc0
2
307 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/26(水) 21:38:52.14 ID:PkLSHO2Ho

天乃「……エッチなこと?」

夏凜「否定しにくいけど、今回は違う」

確かに、それでお預けを食らっていることは否定しきれることではないので

完全に間違っているというわけではないのだが、

しかし、ここでは違うと夏凜は首を振る

夏凜「結婚式とか、盛大に楽しむことよ」

全部ちゃんと終わらせて、

みんなで、盛大にお祝いをするのだ

一生に一度、そして、女の子ならばきっと夢見る結婚式なんかは、一番だろう

人によっては別にそこまでではないというかもしれない

けれど、様々な苦難を乗り越えてきた勇者部にとっては、

できて当たり前の文化祭を欠けたまま終えることになってしまった勇者部は

日常の積み重ねである人生の中で一際華々しく映える分岐点だけは絶対にしっかりと行いたいと願っている

夏凜「ま、その前のご挨拶とかね。してない人もいるし」

天乃「……あいさつ回りくらいは、終わらせるべきだとは思ってたけど」

夏凜「夏休み前から激化したんだし仕方がないでしょ。だから」

最後に全員でめいいっぱい楽しめたのはいつだったろうか

夏休みの花火大会、文化祭の一日目……思えばまだ、数えるほどだ

夏凜「でも、エロいこともといえば、エロいこともよね……」

天乃「?」

言葉半ばに耳元へと夏凜は近づく

夏凜「まだ、私達は初めてだし」

天乃「っ!」

夏凜「……ね?」

最初こそ否定したけれど、

夏凜も溜まっていることは溜まっているのだとわかる、一言だった
308 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/26(水) 21:53:01.34 ID:PkLSHO2Ho

天乃「初めてって言われても」

夏凜「なによ怖気づいた?」

天乃「そんなことないわ。ただ……私、夏凜と違って煮干し生えてないから」

夏凜「生えとらんわ!」

天乃「煮干しの食べ過ぎで生えてきたんじゃないの?」

夏凜「んなわけあるかっ」

天乃「私の剣舞見せてやるわとか言って襲うつもりなんでしょ?」

夏凜「健全な意味でなら、いつかのリベンジとして考えてる」

天乃の言葉を拾って、夏凜は優しく笑う

まだ、天乃には勝てていない

ここまで衰えてしまった天乃だけれど

もしも叶うのであれば、

また動けるようになった天乃と

ちゃんとした一騎打ちをしてみたい。そう、夏凜は思う

天乃「……それはいつか。ね」

結婚式を挙げるよりも、エッチなことをするよりも

それはずっと難しいことかもしれない

けれど、そう。いつかできるようになれた時は、と

天乃は頷く

天乃「でも……実際、どうやったらみんなを初めてではなくできるのかしら」

一つ、とても平和的な悩みができた瞬間だった
309 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/26(水) 21:54:19.96 ID:PkLSHO2Ho

√ 12月6日目 朝(病院) ※土曜日


01〜10 
11〜20  千景
21〜30 
31〜40  陣痛
41〜50  風
51〜60 
61〜70  陣痛
71〜80 
81〜90  東郷
91〜00 

↓1のコンマ
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/26(水) 22:01:52.04 ID:vm5K1zxiO
311 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/26(水) 22:22:48.91 ID:PkLSHO2Ho

ではここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思います


東郷「私の出番、ですね」

東郷「さて、同性同士での行い方ですが、様々な方法がありまして」

東郷「やはり道具を使うのが一般的だと思われますが、そんなことはありません」

東郷「やり方次第では久遠先輩の可愛らしいお手てですることもできるのよ」

東郷「そもそも、久遠先輩は意外と手が小さいので簡単です。そう簡単なんです」


風(早口すぎて何言ってるのか聞き取れなかったから何も言ってないってことでいいや)

樹「お姉ちゃん、それはダメだよ」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/26(水) 22:27:22.39 ID:iyMxGbMPO

知識いっぱい東郷さん
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/26(水) 22:33:12.54 ID:vm5K1zxiO

平常運転のとーごーせんせーはともかく
夏凜ちゃんだと多少ムラムラしてることが分かると何故か安心する
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/28(金) 02:21:04.67 ID:DYGnaGsgO
とーごーせんせーのネタがあるが、ぽわわはやってくれるんだろうか
久遠さんのぽわわとか絶対エ□い
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/28(金) 08:22:00.51 ID:C1O9h9yfO
ぽわわって勇者部所属で牛鬼とぼた餅作ってるときのやつだっけ?
久遠さんは味覚無いから…
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/28(金) 23:15:04.20 ID:ksca3MJUO
珍しく連続休載か
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/29(土) 02:19:27.30 ID:lnP5B8rQO
しばらく平日無理って言ってましたし
まあ年末忙しいからな
318 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/29(土) 22:05:20.87 ID:EZsfBCDeo

では、少しだけ
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/29(土) 22:12:27.93 ID:cTCc8k0MO
待ちわびたぞ
320 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/29(土) 22:47:31.62 ID:EZsfBCDeo

√ 12月6日目 朝(病院) ※土曜日


夏凜「んっ……っ……ふぅ……」

いつもと違う、温かい目覚め

すぐ横に目を向けると、愛おしい恋人が穏やかに眠っている

規則正しい生活の夏凜のしっかりと醒めた瞳に映る天乃の姿

夏凜「……ったく」

思わず、ほころぶ。

体だけでなく、心が温まる

このために頑張っているのだと

このために頑張ってきたのだと

夏凜「そういうのでいいのよ。そういうので」

起こさないようにと、優しく指で頬をつく

天乃「ん……」

夏凜「良い夢見てる?」

もう少し見てていいわよ

そうつぶやいて、夏凜は笑みを浮かべる

夏凜「私も、もう少し見てたいから」
321 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/29(土) 23:17:49.06 ID:EZsfBCDeo

夏凜「さて」

昨日の夜に天乃が言っていたように、

12g津に入ってから一週間がたとうとしている

奉火祭を行うことは確実なのに、

いつ実行するのか。それを推測させる程度で断定させない辺り、

用意周到過ぎると夏凜は眉を顰める

もう知られてしまっているとはいえ、

時折沙織が潜り込んでいるというのに、正確な時間が特定できない

防人ならわかるのかもしれないが……残念ながら連絡は取れない

夏凜「まぁ、今日か明日か」

もしくは明後日か

その警戒のために、全員で傍に居てあげることはできない

天乃「ん……凜……?」

夏凜「おはよ」

天乃「ぁ……」

夏凜「そのままでいい。そのままにしておいて」

寝ている間もずっと握り合っていた手

離そうとする天乃を止めて、握る

まだ布団から出ていく気はない

傍に居たいのは、夏凜も一緒なのだ
322 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/30(日) 00:19:03.11 ID:526W/OKxo

天乃「ずっと握っちゃってたのね」

夏凜「傍に居てって、言うほどだったしね」

天乃「……いちいち言わないの」

抗議をしているのに、きゅっと握る

顔を逸らしているのに、表情が分かる

夏凜「ふっ」

天乃「なに?」

夏凜「いや……」

振り向いて顔を見せてくれた天乃のちょっぴり膨らんだ表情に、笑みを向ける

ほんのりと、紅い

その赤さが自分の想像した顔つきが的中していたことを示してくれる

夏凜「くくっ……あんたって、ほんと」

攻められるのに弱いわよね。

そう、口にはしない

ちょっぴり怒った顔を見られるのは可愛らしいから好きだけれど。

からかいすぎても、あれだから

天乃「?」


1、何よ。はっきりして
2、それで、今日はどうするの?
3、このままだと……いいのにね
4、夏凜は別に一緒じゃなくてもいいんだ
5、イベント判定

↓2
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 00:22:56.00 ID:26+9WDWqO
3
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 00:24:13.61 ID:JJO1xwnD0
3
325 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/30(日) 00:36:24.48 ID:526W/OKxo

では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から


東郷「夏凜ちゃんってホント久遠先輩好きよね」

夏凜「まぁ……」

東郷(単純な好きってものでもない感じだけれど)

夏凜「あいつが嬉しそうだと、こっちまで嬉しいのが、良いのよね」

東郷「ふふっ……そうね」

東郷(満面の笑み浮かべるんだもの。相当ね)
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 00:42:58.63 ID:26+9WDWqO

夏凜ちゃんの久遠さん思いに流石の東郷さんも下心無しで思わずニッコリ
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 01:31:33.38 ID:PfJhyqJzO

出産の時が近づいている……
328 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/30(日) 20:28:42.72 ID:526W/OKxo

おそくなりましたが、少しだけ
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 20:46:17.68 ID:gl4DOoNQO
きてたか
330 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/30(日) 21:51:13.61 ID:526W/OKxo

天乃「このままだと……いいのにね」

夏凜「そうねぇ……ま、多かれ少なかれ変わることはあるだろうけど」

今の平和な環境は必ず壊れる

神樹様の寿命が限界で

その恩恵が受けられなくなってしまう以上、

今まで通りというのは難しい

けれど、夏凜は天乃を見つめて微笑む

夏凜「私達は、いつも通りでいられるといいわよね」

天乃がいて、夏凜がいて、友奈がいて、

風がいて、樹がいて、東郷がいて、園子がいて、沙織がいて、

九尾達精霊がいて……

夏凜「まぁきっと、全部終わったら私たちは勇者じゃなくなると思うけどね」

天乃「そうね……そうでしょうね」

夏凜「そうしたら。いや、そうなったら、天乃も勇者としての資質無くなってくれると嬉しい」

天乃「私の力は久遠家由来のものだから、消えることはないわ」

だからこそ、重宝される

だからこそ、畏怖される

それが、神をも殺すことのできる物であれば、なおさら

天乃「でも、戦いからは……引退。かな」
331 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/30(日) 22:39:01.74 ID:526W/OKxo

この力は子供たちに引き継がれていく

でも、出来るのならば子供たちが戦う必要のない世界であってほしい

そうなってほしい

それが叶うかどうかは誰にもわからないけれど。

夏凜「そのために、私たちが今頑張ってるのよ」

天乃「えっ?」

夏凜「アンタの顔見てれば、何を考えてるかくらいわかる」

神樹様の寿命の限界を知って

その対策であると知って

それでも、天乃のためにとそれを妨害したのだ

その責任はとると、ちゃんと約束したのだ

夏凜「大丈夫。向こう300年は、こんなことがないようにして見せる」

天乃「300年なんて謙遜せずに、一生って言ってもいいのよ?」

夏凜「一生じゃ、出来て100年でしょ」

天乃「確かに」

夏凜「だから、300年って欲張っておくのよ」

人の一生は100年程度、負える責任も100年程度

だから、300年と欲張ってみる

天乃の分と、自分の分と

そして……この力を振るうはずだった、三ノ輪銀の分だ
332 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/30(日) 23:25:11.65 ID:526W/OKxo

夏凜「でも、正直な話このままでいるっていうのはさすがに嫌よね」

天乃「どうして? 胸が大きくなりたいとか?」

夏凜「んな願望無いわよ別に」

鍛錬するのに邪魔だし、

あったところで大して役には立たない脂肪の塊だから

そうじゃなくて。と、夏凜は天乃の足に触れる

夏凜「一緒に出掛けたいじゃない。何の気兼ねもなくね」

好きなこと、やりたいこと

足が動かないからとかそんなこと考えずに、

自由に楽しむことができるようになりたい

いや、なってほしい

夏凜「こんだけ頑張ったんだから、神樹様も最後にいいことしてほしいって思わない?」

天乃「……うん」

けれど。

それは副産物で良いと天乃は思う

それよりも、みんなに力を貸してほしい

みんなを守ってほしい

そう思ってしまうこともきっと夏凜には伝わっているのだろう

目を向けてみれば、やっぱり笑顔だった
333 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/30(日) 23:38:33.89 ID:526W/OKxo

√ 12月6日目 昼(病院) ※土曜日


01〜10  千景
11〜20 
21〜30 
31〜40  陣痛
41〜50 
51〜60 
61〜70  友奈
71〜80 
81〜90  陣痛
91〜00  風

↓1のコンマ
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 23:48:06.55 ID:zmyKVGzdo
335 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/31(月) 00:02:09.18 ID:FZfFER+To

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「久遠先輩の足が動けば、いろいろできるものね」

友奈「手をつないだり」

樹「プールとか!」

風「キッチンで並んで料理とか」

夏凜「……鍛錬とか」

東郷「貝合わ――」

沙織「それもいいけど、壁ドンされたい。押し倒されたいよね」
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/31(月) 00:30:31.30 ID:p7yaO/zvO

陣痛を避けるのいいぞ!
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/31(月) 03:47:36.54 ID:h5nFfZ0JO

確かに復活して自由に動ける時間もほしいな…
そう考えるとできれば卒業までじっくり見届けたい
338 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/31(月) 22:36:48.61 ID:FZfFER+To

では、今年も少しだけ
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/31(月) 22:45:47.17 ID:Uife0/sqO
今年ラスト…!
340 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/31(月) 23:33:57.86 ID:FZfFER+To

√ 12月6日目 昼(病院) ※土曜日


夏凜「大丈夫?」

天乃「ええ、大丈夫」

夏凜の気にかけた声に、笑みを返す

朝は順調、でも昼からは体調を崩す……

陣痛に襲われるなんて言うのはあり得る話

だから、片時も目を外すことは出来そうになかった

天乃「友奈達は? 連絡来てる?」

夏凜「特に変わった様子はないって」

天乃「そう……まだ先の話なのかしら」

夏凜「どうだか。そうだとありがたいんだけど……」

きっとそんなことはないという夏凜に、天乃は軽く頷く

神樹様的にもそんな余裕はないし、

さすがに延期することはないはずだ

だったら……

天乃「気づかれないように裏でやっているってことになるわよね」

例えば、夜中。などに
341 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/31(月) 23:54:53.90 ID:FZfFER+To

巫女である沙織達ですら、その情報を掴めないでいるのなら

ただ夜に準備しているというわけでもないはず

少なくとも、天乃やその関係者の誰一人として関わるようなやり方はしていないだろう

そう考えれば、国土亜耶を奉火祭の対象から省きそうなものだけれど

それはそれで動向を察知されかねないからと

省いていない可能性はある

そのうえで、亜耶とつながりのある防人組との連絡を完全に断たせる

そうすれば、情報が伝わってくることはない

天乃「夏凜的には、今日だと思う?」

夏凜「予想がつかないけど、今月中ってのは確実でしょうね」

そんなあいまいなままで放置はできない

だから、友奈と風と東郷

この三人で出かけているのだ

夏凜「兄貴と連絡が取れたらいいんだけどね」

天乃「瞳さんからも連絡は難しいんだっけ?」

夏凜「そっ。前はできたんだけど対策されちゃったらしいわ」

最も、夏凜の兄である以上、

情報が正しく伝わっているのかどうかは怪しいところではあるのだが
342 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/01(火) 00:16:22.39 ID:ADCscLXNo

同じような理由で安芸先生もダメだろうと、天乃は思う

もしかしたら、ずっとかかわり続けているかもしれないが、

東郷たちから聞いた話が事実であるならば、

神樹様の種を奪うことを止めなかったということで、

協力者であるとみなされ、奉火祭からは外されているかもしれない

天乃「……九尾も、さすがに読み切れないらしいし」

夏凜「本当だと思う?」

天乃「協力してくれるって話なんだもの。さすがに嘘はつかないと思うわ」

奉火祭を終えさせてしまえばすんなりいく。のだが、

それでは天乃の望みを叶えられない

それを妥協してしまう九尾ではないはずだ

もちろん、最短で天乃のことだけを考える九尾のことだから

絶対に何もないとは言い切れないのが傷だけれど。

天乃「………」


1、ねぇ、もしも陣痛と奉火祭がかぶったらどうする?
2、ねぇ、夏凜……夏凜も私の力の一部。使えるのよね?
3、常に気を張ってるのって疲れない?
4、神様に呪われるの、本当に怖くないの?


↓2
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 00:19:00.23 ID:L7qRQagUO
2
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 00:20:09.10 ID:r6DhrQ0G0
4
345 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/01(火) 00:27:41.08 ID:ADCscLXNo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

この章に関してはもうしばらく続きますので、
これからもよろしくお願いします
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 00:45:22.87 ID:L7qRQagUO
乙、そしてあけおめですー
この先もまだまだ色々な要素がありそうで楽しみだな
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 00:52:27.66 ID:gx7TQDUTO

あけおめ、今年は勝負の年になりそうだな
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 00:52:34.46 ID:rNMkCFwj0

今年もよろしくお願いします
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 01:22:55.92 ID:8iH4GEy90

まさか久遠さんで年越しするとは
あけおめ
350 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/01(火) 22:06:11.30 ID:ADCscLXNo

すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
できれば明日、通常時間から
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/01(火) 22:12:50.49 ID:DvbOpZx6O
連絡乙です
352 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/02(水) 21:22:42.02 ID:NEHGwuATo

では、少しだけ
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 21:49:25.69 ID:nC6lxQkVO
きてたー
354 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/02(水) 21:52:23.06 ID:NEHGwuATo

天乃「ねぇ、夏凜は神様に呪われるの、本当に怖くないの?」

夏凜「ん? あぁ……そんなこと」

天乃「そんなことじゃないでしょ」

天乃の力を借りれば何とか出来る。と、

九尾による補償がなされているとはいえど、

それが超常的に危険なことであることに変わりはない

同じく神である神樹様の守護があるとは言っても

それと対である神格級の呪いに襲われたら弱った神樹様の守護など軽々く貫いてくることだろう

それで、怖くないはずがない

なのに……夏凜は「そんなこと」と言う

夏凜「怖いか怖くないかだけで言えば、そりゃ、少しは怖い気持ちもあるわよ」

天乃「なら、どうしてそんな」

夏凜「平気そうなのかなんて、聞くまでもないって思わないの? あんた」

神の祟りを前にしてまるで緊張感を感じられない夏凜

その油断にもみられる姿にむっとした表情を天乃は見せるが、

夏凜の態度は変わらない

夏凜「私たちが一番恐れてるのは、アンタを失うことだからよ。あんたの願いが叶わなくなることだからよ」
355 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/02(水) 22:01:54.64 ID:NEHGwuATo

神様に祟られてしまう

確かに、それ単体で考えれば非常に恐ろしいことかもしれない

しかし、それはあくまで過程なのだ

自分たちが望む、天乃が望む

全員が生き残っている未来に向かうための、困難の一つ

であるならば、畏れて竦む理由などない

慢心しないために恐れを捨てはしない

けれども、決して怯むことはない、緊張に震えることもない

生きていくうえで乗り越えなければならない難関なのだから、当然だ

夏凜「だから、神の祟りがあるからって奉火祭を止めない理由にはならない。私たちが私達であれない理由にはならない」

天乃「どうして……そう」

先んじた考え方をするのかと。

その言葉を言いかけた口を閉じる

そう変えたのは、自分だ

自分の生き方が、自分の存在が、みんなを変えたのだ

夏凜「……」

黙り込んでしまった天乃を一瞥し、夏凜は微笑む

夏凜「そもそも、私たちが自分で選んだ茨の道なのよ? 痛いから、怖いから。そんなことで、引き下がるわけないじゃない」
356 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/02(水) 22:17:06.50 ID:NEHGwuATo

そんな痛みなど、そんな苦しみなど、そんな辛さなど

すべてを理解したうえでの選択、覚悟をしたうえでの一歩

茨に傷ついた足は血だらけで、道をかき分ける手は痛々しい

けれど。

夏凜「その先に自分たちの望んだものがある。それなら、痛みにも、苦しみにも、辛さにも勝る力が湧いてくるものよ」

天乃「…………」

天乃は無理をした、無茶をした

自分のことなんて全く考えることなく突き進んだ

それだって、そういう思いがあってこそ進める茨の道

夏凜「アンタの疑問にだけ答えるなら怖いものは怖い。でも、それとこれとは話は別ってこと」

天乃「馬鹿ね……ほんと。馬鹿だわ」

夏凜「そうかもね」

天乃のために淫らなことに全力になる勇者部

天乃のために神樹様に逆らうことも辞さない勇者部

バカばっかりだ。と夏凜は同意する

もちろん、自分のことを含めて

夏凜「けど。好きな奴のためにだからこそ、馬鹿になれるのよ」

天乃「っ」

夏凜「そうさせるだけ想われてること慕われてることを、天乃は誇ってりゃいいのよ」

悩んで、苦しむ

そんな天乃に、夏凜ははっきりと考えを打ち明けた
357 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/02(水) 22:18:03.36 ID:NEHGwuATo

√ 12月6日目 夕(病院) ※土曜日


01〜10  陣痛
11〜20 
21〜30 
31〜40  東郷
41〜50 
51〜60 
61〜70  大赦
71〜80 
81〜90  陣痛
91〜00  樹

↓1のコンマ
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 22:19:34.49 ID:nC6lxQkVO
359 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/02(水) 22:31:29.15 ID:NEHGwuATo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から


東郷「やだ、夏凜ちゃんったらそんなこと言っちゃって、恥ずかしい」

東郷「でも、そうよね……久遠先輩のためだからこそ、なんだってできる」

友奈「久遠先輩がいなかったらどうなってたのかな……」

風「樹のために大赦壊しに行ってたと思う」

東郷「友奈ちゃんのために壁を壊したりしてたかな」


園子(冗談かなー本気かなー……本気だね〜)
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/02(水) 23:05:30.34 ID:nC6lxQkVO

むしろ久遠さんの存在で勇者部の試練の難易度は原作以上に激増してるというね
それでもこれを乗り越えてこその勇者部だとも思う
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 01:34:14.20 ID:Pfj7AFct0

そういやなんとか頑張るとして待機組って嫁じゃ沙織と若葉だけか?
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 11:43:51.85 ID:3vfyaYzjO
呪いで勇者部全員ダウンしたらその二人にがんばって貰うことになるだろうね

そもそも今作での呪い自体原作仕様なのかどうかまだわからないからなぁ
友奈一人でもあれだけ精神ズタズタにされてたのに全員となると…
363 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/03(木) 19:11:51.42 ID:lYpOYhAPo

では、少しだけ
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 19:38:19.89 ID:8sYbGH9rO
かもーん
365 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/03(木) 19:57:01.00 ID:lYpOYhAPo

√ 12月6日目 夕(病院) ※土曜日


天乃「……あら、夕方なのね」

夏凜「何言ってんのよ。ボケちゃったわけ? 若いのに」

天乃「すぐそうやっていうんだから」

酷い人ね。と

天乃は嫌味っぽく呟いて笑みを浮かべると、夏凜から窓へと目を逸らす

もう、日は暮れて暗く

夜に近づきつつある空には太陽と入れ替わろうとする月が見える

天乃「ずっと見えていたのに、見えていなかったってこと」

夏凜「あんたって、本読むの好きだったっけ?」

天乃「それなりには嗜んでいるつもりよ」

夏凜「そっ」

今のはどういう意味なのか。

聞くのは何か違う気がして、頷く

時間の経過を感じ取れてしまっている自分はきっと、

心の半分が、そこに囚われてしまっているのだろう

夏凜「その感じで、陣痛の痛みも忘れてくれればよかったんだけど」

天乃「幸か不幸か、今日はそう言う日じゃなかったみたい」

もしくは、

せっかく夏凜がいてくれるのだからと、

体が気を使ってくれたのかもしれない

だとしたら、迷惑……だと言いたい気持ちが少しだけわく
366 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/03(木) 20:17:50.98 ID:lYpOYhAPo

夏凜「幸か不幸か……確かに、どちらとも言い難い話よね」

天乃が陣痛に苦しむことがなかったからこそ、

こうやって他愛もない話をすることが出来ているし、

勇者部の誰も、気を遣わずに済んでいる

だが、天乃が最もいて欲しい時に一緒にいてあげられない可能性が出てきてしまう

いや、出てくることになる

逆に陣痛に苦しむことになってしまった場合、

客観的に見ている事しかできなかった園子からも伝え聞いているが

その時の苦痛は二度目ということもあって、計り知れないものだろうから

それを味わわせたいなどとは口が裂けても言えない

例えその陣痛が子供を産むための物であるとしてもだ

天乃「夏凜には、そのあたりはっきりしてほしいかなって思うんだけどね」

夏凜「なんでよ」

天乃「だって、子供を産むときも辛いって聞くし」

夏凜「そこはあんたが決めるべきでしょ」

子供を産む痛み

それが来たときに幸とするか不幸とするか

二人は顔を見合わせて、苦笑する

それはもちろん、幸というべきだからだ
367 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/03(木) 20:50:28.33 ID:lYpOYhAPo

夏凜「ま、もしもあんたの子供が産まれるってなったら壁の外であろうと地球の裏側だろうと飛んできてやるわよ」

天乃「軽口で言ったらだめよ? 本気にするから」

にやりと笑って見せる

閉じた瞼の裏にある瞳の本気度は夏凜には見えないけれど

それがただの冗談で言っているだなんて、夏凜は思わない

夏凜「しとけしとけ」

それで、少しでも天乃が安心できるのなら

それを裏切ったことで天乃が少しでも傷つくというのなら

夏凜「約束したら破る気はないわよ」

天乃「…………」

夏凜「どうする?」

まだ一方的な言葉で、約束ではない

けれど、もしも約束する気があるのなら

それを、【三好夏凜の誓い】とするのならば

夏凜は意地でもその約束を果たす

天乃「そうねぇ……」

布団の上、夏凜の手を優しく握って指を絡める

そのまま、流れるように小指だけを結ぶ

天乃「嘘ついたら何が飲みたい?」

夏凜「麻婆豆腐でも一気飲みしてやるわよ」

天乃「千人前だけど……平気?」

夏凜「平気だとでも思ってんの?」
368 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/03(木) 21:07:26.41 ID:lYpOYhAPo

せめて二人前にしなさいよ

そう言う冗談に付き合う夏凜の優しい表情に

天乃はかつて見た、三ノ輪銀の無茶を思い出して苦笑する

あの時は本当に驚いた

勇者だからって何でもできるわけじゃない

なんでも耐えられるわけじゃない

天乃「冗談よ。分かって……一人前で良いわ。もう半分は私が食べるから」

夏凜「あんた、今の体で辛いものなんて」

天乃「産まれた後の話だもの。一人前くらいなら大丈夫でしょ」

でも。と、呟く

天乃「二人前は流石に体に悪いから、ね」

夏凜「……ん」

結んだ小指が、より強く結ばれる

約束、契約、結束

思いを込めて結んで、夏凜は頷く

夏凜「言い出しっぺの法則。そのお約束は運命レベルの決定事項だから、大丈夫」

天乃「何の保証なんだから」

夏凜「さぁ? でも、そう言うのってよくあるでしょ。じゃんけんで負けたら罰ゲームとかいうとその人がやる羽目になるやつ」

天乃「でも、この場合言い出したのって私じゃないの?」

夏凜「……罰ゲーム決めたのは私だし。ま、何とかなるでしょ」



1、友奈達を呼ぶ(外出組)
2、大赦について
3、夏凜の将来
4、約束だからね? ちゃんと、みんなで帰ってくるの
5、イベント判定

↓2
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 21:10:15.58 ID:aZwnfXms0
4
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 21:11:17.77 ID:8sYbGH9rO
2
371 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/03(木) 21:33:20.88 ID:lYpOYhAPo

天乃「……はぁ」

他愛のない話も

愛を囁くような話も

心がとても温かくなれるから

不安を包み込んでくれるから

決して無駄では無いけれど、

これだけの時間があるならと、天乃は息を吐く

天乃「ところで、夏凜は大赦に関してはどう思ってるの?」

夏凜「だんまりな現状? それとも、奉火祭を終えた後のこと?」

天乃「全部ひっくるめて」

夏凜「あんまり広くしすぎるとそれはそれで答えが出しにくくなるっていうか、面倒なんだけど」

天乃「そういう、素直な話が聞きたいの」

素直さなら東郷たちの方が上だろうに

一瞬のうちに浮かんだ本音を押し隠して、素っ気なく返事を返す

もう東郷たちも帰ってきているけれど、

今ここにいるのは自分だし、天乃が効きたいのは夏凜の答え

それに、答えない理由は別にない

夏凜「だんまりな部分に関しては、見逃してあげるからこっちにもちょっかい出すな。的な考えもありそうな気がしなくもない」
372 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/03(木) 21:50:22.61 ID:lYpOYhAPo

夏凜「考えてみれば、私達を封殺するのなんて向こうには簡単な話でしょ?」

天乃「精霊も――」

夏凜「アンタをとっ捕まえて隔離すりゃいいだけって話」

天乃「っ」

夏凜はわざとらしく両手を広げて肩をすくめて見せる

それでも一応、ちゃんとした医療機関に移されるだけで

決して危害を加えるとかぞんざいな扱いを受けるとかいうわけではないと思うが

夏凜達から隔離し、監禁し、居場所も何も一切の情報を渡さず

ひとたび邪魔をすれば二度と会えないようにする。とでも脅しをかければ

夏凜達は手出しができなくなる

この世界中に大赦の息のかかった場所はいくらでもある、資金もある

ありえないような場所に医療施設を隠し持つことだって不可能じゃない

そうなったら、本当に会うことは不可能になるからだ

もっとも、そうしないというよりもそうするほどの悪心はないだけかもしれないが。

夏凜「満開の件を黙ってたり、ダメと言われても奉火祭を行うってことは必要ならそういうことだって大赦はできるはず」

天乃「じゃぁ、大赦はあえてそうしないって?」

夏凜「学校の暴動があったからかもね。自棄になって大暴れされちゃ堪らないし」

だから、こちらは手を出さないのでそっちも大人しくしていてほしい

と、考えている可能性は無きにしも非ずだと夏凜は答えた
373 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/03(木) 22:00:18.43 ID:lYpOYhAPo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「ですが実際、もしも世界を取り戻した場合大赦はどうなると思いますか?」

風「さぁねぇ……多かれ少なかれ説明責任は問われるんじゃないの?」

樹「状態にもよりますが、西暦時代に襲撃されたままの世界なら滅んでいることは事実なので……」

園子「そもそも、世界を覆う壁が消えることになるのなら人間である大赦だけに責任の追及はされないと思うんよ」

友奈「多分、神樹様に最も近かった人たちだからそう言う意味では変わることはないんじゃないかな」
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 22:14:55.18 ID:8sYbGH9rO

久遠さんに何かしようものなら九ちゃんがもれなく神隠ししそう…
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 22:39:52.12 ID:jMHMQTk/O

いろいろ気になることが多いな
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/04(金) 13:17:41.75 ID:l54rEysAO

夏凜ちゃんに夢中で時間が気にならなかった久遠さん可愛い

奉火祭ってたしか全員で行くんじゃなかったか?
樹が残るのはまだ満開が犠牲有りの時だったような…違うっけ
377 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/04(金) 23:38:31.07 ID:3BKVaYHHo

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日、出来れば17時ころから
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 06:49:38.00 ID:NgE5QI8YO
379 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 18:07:19.54 ID:Vw5JGiYIo

遅くなりましたが、少しずつ
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 18:16:50.11 ID:t3tyRT3WO
あいよー
381 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 18:35:56.51 ID:Vw5JGiYIo

夏凜の考えは、確かにありえない話じゃなかった

いや、むしろそれが正しいのかもしれない

祖母の話が事実なのなら、

その思いを信じてもいいのなら、

奉火祭によって犠牲になる巫女の命も大赦は軽んじているわけではない

これしか現状を打破する道はないのだろうかと考え、

そのうえで下した苦渋の決断であるのならば、

これは、絶対に阻まれるわけにはいかないことだろう

そのためなら、天乃を人質として扱うことも大赦は……祖母は厭わなかったはずだ

なのに、今も天乃はこうしてみんなと、なんの邪魔建もされずに過ごすことができている

考えてみれば余りにも、平和すぎる

天乃「……なるほどね、そうね。そうかしれないわね」

夏凜「ネガティブな考えとは言え、ありえないって一概に言えないのが問題なのよね。こういうのって」

天乃「でしょうね……手が出しにくくなっちゃうものね」

それが大切な者であれば、なおのこと。

考えすぎだと言われても、大事な人のことなら念には念を入れたいと思うのが情だ
382 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 19:21:07.85 ID:Vw5JGiYIo

ただ、さっきも言っていたように

天乃を人質に取ったことで勇者部が敵に回ることは確実なうえに自棄になって反抗してくる可能性があるほか、

それが以前暴動を起こしたクラスメイト達にまで伝わりなんてした暁には

大変なことになりました。なんて一言で片づけるのは難しい事態に陥るだろう

神樹様の寿命が尽きるまであと僅か

天の神による侵攻も行われるかもしれない

そんな状況下での内乱など、馬鹿でもやらない……はずだ

もちろん、本当なら勇者部だって大赦の邪魔をするべきではないのだが

それがだれかを犠牲にするやり方なのだから、止めるしかない

邪魔をするしかない

夏凜「奉火祭の後に関しては、知ったことじゃないわね。やらせるつもりなんてないわけだし」

天乃「阻止された後は?」

夏凜「そりゃ、責任はどうとるんだ。なんて詰め寄ってくるかもね」

後はもう勇者がどうにかするしかない。とか言って

残念ながら、単純な話ならそうなるというだけで

実際にはそうなってくれないだろうけれど

夏凜「もしもそうなったとしても、守るわよ。絶対に」

天乃「うん……」

守って貰えるだろうことは天乃も疑っていない

でも、その結果勇者部に何かがあるのではないかと、天乃は少し眉をひそめた
383 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 19:23:04.12 ID:Vw5JGiYIo

√ 12月6日目 夜(病院) ※土曜日


01〜10  風
11〜20 
21〜30  陣痛
31〜40  沙織
41〜50 
51〜60 
61〜70  園子
71〜80 
81〜90 
91〜00  陣痛

↓1のコンマ
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 19:32:16.59 ID:t3tyRT3WO
385 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 20:00:34.69 ID:Vw5JGiYIo

√ 12月6日目 夜(病院) ※土曜日


天乃「日曜日……」

気づけばもう、夜になっている

土曜日が終われば日曜日がやってくるのは必然

12月に入って初めての週末、あるいは週初

終わりでありながら始まりであるその日に、大赦は動くのだろうか

天乃は考え、息を吐く

祖母は大人だ

天乃たちよりもはるかに多くのことを経験している

そのうえ、大赦にはほかにも知識が集っている

きっと、天の神に対する対策は考えつかなくとも

子供たちの我儘に対する対策くらいは、何か用意されていることだろう

天乃「普通なら、みんなが出払う平日なのよね」

普通は。

だが、その裏をかいて日曜日に行ってくる可能性もゼロではない

しかし、それを読んだ勇者部の裏をさらに書いてくる可能性もあるわけで。

天乃「後手に回るのは、辛いことが多いわね」

それが有利に働くこともあることにはあるのだが。
386 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 20:37:00.08 ID:Vw5JGiYIo

夏凜「もう21時になのに起きてていいの? あんた」

天乃「そんなに早く寝なくても平気よ」

夏凜「7時間程度寝たほうが良いって話だし、天乃の場合は14時間必要でしょ」

天乃「そんなに寝られるから出してないわよ」

そもそも14時間寝るのならば、

21時に寝ても起きるのは正午手前になってしまう

それはさすがに、体がもたない

天乃「それとも、夏凜が早く私と寝たいの?」

夏凜「言うじゃない、天乃」

ぎしり……と、夏凜の手がベッドをきしませて距離が近づく

天乃の誘うような言葉にも夏凜は余裕の表情で

むしろ、天乃を挑発するように、天乃を見上げるまでに視線を低くする

夏凜「……天乃先輩、そんな余裕がありますか?」

天乃「っ」

びくっと反応する天乃に、夏凜は苦笑する

夏凜「なんて、冗談よ。冗談」

天乃「鳥肌立った」

夏凜「おい」

せめて似合わない。で良いでしょうよ……と、夏凜はぼやく


1、ねぇ夏凜。大赦にはきっと、奉火祭以外の手段がある……気を付けて
2、夏凜は、みんなは私の王子さまだもの。見上げるのは私の役目だわ
3、今日は、一緒に寝てくれるのよね?
4、子供が産まれたら、名前はどうしようかしら

↓2
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 20:41:24.50 ID:t3tyRT3WO
1
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 20:42:17.52 ID:Z1xe1fho0
1
389 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 21:50:20.66 ID:Vw5JGiYIo

むっとした、怒った表情

けれど、本気ではないとわかる優しい雰囲気

失いたくない、大切なもの

天乃は夏凜に気取られないよう、笑みを浮かべる

天乃「ねぇ夏凜。大赦にはきっと、奉火祭以外の手段がある……気を付けて」

夏凜「奉火祭以外の手段……ねぇ。前にも言って無かったっけ。そんな感じのこと」

天乃「ええ。でも、今回は確信があるというか……でも、嫌な予感というか……」

憶測でしか語ることができないのが無念だが、

奉火祭が失敗した場合、大赦は確実にそれを行おうとするだろう

問題は、【それ】が何かわからないという点だ

天乃「ごめんなさい。うまくは言えないけど、嫌なことだとは思う」

夏凜「なにその脅ししかないセリフ」

天乃「…………」

夏凜「……巫女としての勘。みたいなやつ?」

茶化すための言葉にも反応せず黙り込む天乃をじっと見つめ、

夏凜は小さく問いかける

天乃にというより、久遠家には元々巫女としての力が備わっている

それが、天乃によからぬ何かを感じさせている可能性があるのだ
390 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 22:12:56.26 ID:Vw5JGiYIo

夏凜「嫌な予感ね……まぁ、そりゃ……」

奉火祭だって、何人もの巫女を犠牲にしなければならない嫌な手段だ

それでも、奉火祭を選んだということは

もう一つの手段は奉火祭以上に選ぶべきではない何かである可能性が高い

もちろん、奉火祭は何らかの反逆手段の下準備というだけで

その先があるかもしれないけれど。

夏凜「奉火祭が頓挫した場合、取れる手段は強硬手段だけになると思う?」

天乃「多分……勇者の力で押し切るか、神樹様の何かで押し切るか」

あるいは……と

口にした天乃を夏凜は一瞥する

それはない、それはあってはいけない

だが、力さえとりもどせれば勇者のごり押し以上に確実な手段

もしも、神樹様の種の件がその布石だとしたら……

夏凜「ない、それはない」

天乃「でも」

夏凜「無理をしたらアンタが死ぬわ」

天乃「子供が産まれる」

夏凜「っ……でも、それでも、普通……」

産まれたばかりの赤子から母親を奪う

さんざん奪われてきた天乃から命まで奪う

そんなことをさせるような鬼が、いていいわけがない
391 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 22:39:44.79 ID:Vw5JGiYIo

夏凜「ない。あり得ないわよそんなの。考えていいことじゃない」

天乃「だと、良いのだけど……それに私が一番心配してるのは夏凜達なのよ?」

夏凜「私達より、アンタの方が――」

天乃「今回の件で、物は違うとはいえ神様の影響を大きく受けることになるのよ? 分かるでしょう?」

それによって苦しめられることはもちろん、

神の祟りを受け、天乃との誓約を結ぶことになっている

その結果、久遠家の力と神の力

両方に大きく近づくことになる

場合によっては、天乃よりも利用価値があるかもしれないのだ

天乃「死ぬ可能性があるのは、みんなの方よ」

夏凜「だとい……良いわけではないか」

まだ普通に動くことのできる自分たちのほうが良いと、夏凜は思う

しかし、そう単純な話ではない

夏凜「でも、少なくとも確実に死ぬ可能性のある天乃よりはましだわ」

天乃「…………」

夏凜「痛っ! 痛いっ痛いってのっ!」

ふふん。と

すました顔を見せる夏凜の腕を、天乃はぎゅぅぅぅぅっと摘まんだ
392 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 22:40:50.06 ID:Vw5JGiYIo

√ 12月7日目 朝(病院) ※日曜日


01〜10 九尾
11〜20 
21〜30 
31〜40  千景
41〜50 
51〜60  陣痛
61〜70  夕海子
71〜80 
81〜90 
91〜00  陣痛

↓1のコンマ 
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 22:41:44.59 ID:eglGvjc80
394 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/05(土) 22:52:41.39 ID:Vw5JGiYIo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできればお昼ごろから


天乃「っ……ぅ……」

夏凜「なるほど……嫌な予感ってのはこういうことか」

夏凜「天乃」ギュッ

夏凜「大丈夫、私が……ここにいてあげるから」
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 22:57:25.07 ID:eglGvjc80

しんどそう
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/05(土) 23:01:26.51 ID:t3tyRT3WO

ここで二回目の陣痛、それも今度はみんなの前で来たか…
そして余裕がないとはいえ大赦は本当に外道と化してしまうのだろうか
397 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 15:16:35.07 ID:V4Pm01/eo

では、少しずつ
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/06(日) 15:46:14.06 ID:Bc2SgvMkO
はいよ
399 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 16:27:58.69 ID:V4Pm01/eo

√ 12月7日目 朝(病院) ※日曜日


二度目の陣痛は、まだみんなが寝静まっている早朝に起こった

刺し貫かれるような鋭い痛み

飛び上がりかけた体の強い圧迫感に押し出された吐き気

意志に関係なく目元からあふれる涙と、言葉にならないうめき声

天乃「ぁ……かっ……」

死ぬ。と、思った

体の内側から引き裂かれて、子供だけが残る

そんな、ありえない出産になるのではないかと思うほどに、

陣痛による激痛は異常だった

天乃「い゛っ痛っ!」

夏凜「ッ」

僅かに浮いた体がベッドを揺らし、かろうじて動いた天乃の手が夏凜の腕を鷲掴む

その瞬間、夏凜は飛び起きそうになって半身がベッドから落ちていく

夏凜「看護師ッ!」

滑り落ちた右足から左足へと組み換え、床を踏み飛ばしてナースコールを握るように押してすぐに、

病室内に常駐している看護師へと大声で呼びかける

園子たちが目を覚ますだのなんだのは、関係無かった
400 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 16:45:40.35 ID:V4Pm01/eo

天乃「あっあ゛ぅ……うぅぅっ」

夏凜「天乃、大丈夫。大丈夫だか――」

宥めるような夏凜の声を遮るように、天乃の悲鳴が轟く

戦いに明け暮れた天乃でも、耐えがたい痛み

我慢するなんて出来ない苦痛

それを、すぐそばで見守る看護師は腕時計の時間を険しく見つめ、天乃を一瞥する

東郷「何か気になることでもありますか?」

「いえ……今は後にしましょう」

看護師はそういうと、どうしても仰向けになってしまう天乃の体をゆっくりと横向きにさせていく

普通の妊婦なら、腰回りの手当のためにも必要な動作だが、

天乃相手には正しいかどうかわからない

その緊張感からか、看護師の息を飲む音が夏凜の耳に届いた

夏凜「どうすんのよ」

「腰を優しく擦っていてあげてください。それと、仰向けにならないように擦ってあげてください」

ボール状のものでも置いて形作るというのも手ではあるが……

今の体にそれをやってはむしろ悪影響でしかないような気がするので。と、看護師は院内連絡用の端末を手に取る

「久遠さんです……はい、はい……陣痛は……ええ……そうですね」

連絡を取る看護師の表情は、終始険しいままだった
401 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 17:09:18.45 ID:V4Pm01/eo

専属としている医師たちが病室へと駆け付けたのを見送った看護師は、

夏凜と東郷を天乃の傍に残し、ほかの勇者部メンバーを連れ出す

念のため、説明する必要があるからだ

「陣痛の時間が長すぎます」

風「双子だからですか?」

「いえ、双子なら本来は……もちろん、これにも特殊な部分はあるのですが……」

まだ中学生の小さな体ということは、子宮もそれに合わせた大きさなはずだ

そこで双子が誕生したとなると、子宮自体の広がりは腹部を見ても明らかに限界を超えている

そうなっている場合、陣痛自体が通常とは異なって微弱なものとなる可能性が高い

むしろ、天乃の場合はそうならざるを得ないようなコンディションだったはずだ

にもかかわらず、陣痛は普通に起こっていて、破水していない

加えて、陣痛の継続時間が数十秒ではなく数分間と非常に長い

稀にみる……なんて話ではなかった

樹「帝王切開……するんですか?」

「それも視野に入れる必要がありますが、何分特殊で……おそらく、麻酔が使えません」

風「麻酔無し!?」

「ええ。久遠さんの場合、麻酔を使うことで急激に衰弱する可能性があります」

そもそも、元々は元気だったという言葉が嘘のように病弱な体質になってしまっている

そこで、帝王切開のためにと麻酔を投与したら子供しか助からない可能性が非常に高い

だが、それはかねてからのみんなの要望にはそぐわない

だから、麻酔が使えない。と、看護師は言う

無論、現代において麻酔なしでの帝王切開など御法度もいいところなのだが。
402 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 17:24:54.90 ID:V4Pm01/eo

「ですので、出来る限り自然分娩でと……ですが……」

今なお続く天乃の苦痛の叫び

だんだんと叫ぶ声も弱って、枯れて

悲鳴に交じって咳き込んでいる音までも聞こえてくる

友奈「久遠先輩は、助からないんですか?」

「帝王切開を行う場合は、まず助からないと考えていただくことになるかと思います」

園子「今の陣痛を耐えきったら、大丈夫?」

「……先生の診断によりけりですが、今日一日は陣痛に苦しめられる可能性もあります」

もしかしたら、日を跨いでも続くかもしれない

明日も明後日も続くかもしれない

友奈「……久遠先輩に必要なことはありますか?」

園子「ゆーゆ?」

友奈「久遠先輩が少しでも楽になれること。どんなことでもいいです。教えて貰えませんか?」

樹「久遠先輩を死なせたくないんです。ただ、辛い姿を見ているだけなんて嫌なんです」

できることがあるとかないとか、そんなことは関係ない

今の天乃にとって必要なことがあるのなら、それをやるのだ

「そうですね……では、ケアをしてあげてください」

楽な姿勢を取らせたり、マッサージをしたり、汗を拭いてあげたり

水分を取らせたりなど、一通りの介護をしてあげる必要がある

「それと、慌てないことです。皆さんが慌てていたら久遠さんまで余裕がなくなってしまいますからね」
403 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 17:50:48.15 ID:V4Pm01/eo

√ 12月7日目 昼(病院) ※日曜日


01〜10 九尾
11〜20 
21〜30  陣痛
31〜40 
41〜50  夏凜
51〜60 
61〜70  陣痛
71〜80 
81〜90  陣痛
91〜00  陣痛

↓1のコンマ 


※陣痛以外は少し話せる。という程度
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/06(日) 17:55:14.98 ID:Bc2SgvMkO
405 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 18:30:59.62 ID:V4Pm01/eo

√ 12月7日目 昼(病院) ※日曜日


友奈「久遠先輩、体拭きますね」

横になった天乃の裾をめくって、腹部から脇腹、背中へと

友奈はできる限り優しい力でタオルを流していく

大きく膨らんだお腹が動く、胸が動く

そのたびに苦痛に身をよじろうとする天乃を、樹たちが支える

陣痛が始まってからも軽い運動などはすべきだが

それもやはり、天乃には辛いうえに下手に動けば悪化してしまう

何もさせてあげられない残酷さに友奈は表情を険しくさせて、息を吐く

東郷「夏凜ちゃん、平気?」

夏凜「このくらい、なんてことないわよ」

昼になっても、以前のように陣痛が収まってくれる……などということはなく

ひっきりなしに襲う激痛に、天乃はずっと夏凜の腕を握りしめたままで

食い込んだ部分からは少しだけ、血が滲んできていた

夏凜「そんなことより、陣痛の時間少しは短くなったんじゃない?」

風「いや、全然誤差の範囲よ。でも、陣痛の間隔は狭まってきてくれてる……はず」
406 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 18:51:53.48 ID:V4Pm01/eo

樹「本来なら、1〜2分間隔になったらもう十分らしいよ」

沙織「というより、まだ破水もしてないんだよね……」

通常の妊婦にもそれはあることで

そういう場合には、少しだけ穴をあけるといった、

人工破水。というものを行うこともある

だが、天乃の場合は先ほど行った検査結果ではまだ6cmほどしか子宮口が開いていないため、

均衡が崩れた悔過一気に流れ出してしまうかもしれない

それでは、子供が危ない

かといって……

東郷「このままだと、過強陣痛を引き起こす可能性もあるって」

園子「でもわっしー帝王切開はできないよ」

もし、麻酔なしでの帝王切開をやったとして

それが、運よく成功したとして

それで万事解決になるわけではない

沙織「それはそれで、別の症状を引き起こす可能性が高いからね。特に、久遠さんの場合は」
407 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 19:12:06.73 ID:V4Pm01/eo

焦るなと友奈たちは心の中で繰り返す

自分たちが焦っていても何も変りはしない

天乃が救われるわけではないのだから。

天乃「はっはっはっ……はぐっ……ぅっ!」

ぎりっ……と、噛みしめられた歯が音を立てる

呼吸を整えるので精いっぱいで

少しだけ落ち着いた痛みを踏み潰す勢いで猛烈な痛みが襲う

腰から折れてしまいそうな気がする

股が裂けてしまいそうな気がする

このまま、子供が産まれ落ちるのとともに自分の命までも落としてしまいそうな気になる

そんな考えを持つべきではないと

それは分かっているはずなのに、限界だった

でも

天乃「ぐっぅ゛ぅぅぅぅぅぅ」

夏凜「天乃……」

ぐっと、歯を噛みしめる

ぎゅっと、夏凜の腕を掴む

それは天乃にとっての、命綱だった
408 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 19:41:33.99 ID:V4Pm01/eo

風「腰のあたり少しマッサージでも――」

友奈「それなら私がやりますっ」

東郷「友奈ちゃんは、ちょっと」

友奈「えっ」

体を拭いてあげてね。と

東郷は友奈を引き下がらせて、腰に手を触れさせる

友奈は確かにマッサージが上手なのだが

聊か、今の天乃にはそぐわないのだ

東郷「久遠先輩、少しずつマッサージしていきますね」

まずは一声かけて、撫でる

どこを揉むか、押すか

合図をしながら、進めていく

樹「園子さん、飲み物を買いに行きませんか?」

園子「そうだねぇ〜冷蔵庫に水しかないもんね」

沙織「あっ、それならあたしもいくよ。精霊でつながってるから何かあったときにすぐ戻れるから」

天乃のためにとそれぞれで役割を決めて、分担する

少しでも楽になるようにと、願って
409 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 19:48:34.98 ID:V4Pm01/eo

√ 12月7日目 昼(病院) ※日曜日


01〜10 破水
11〜20 
21〜30 陣痛
31〜40 
41〜50 破水
51〜60 陣痛
61〜70 
71〜80 九尾
81〜90 
91〜00 千景

↓1のコンマ 

※空白以外なら本日中 確定
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/06(日) 19:52:59.28 ID:WJyRFiHGO
うおおお
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/06(日) 19:57:09.15 ID:Bc2SgvMkO
ついに出産来るか…!?
412 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 20:56:50.68 ID:V4Pm01/eo

√ 12月7日目 夕(病院) ※日曜日


天乃「はぁ……はっ……はっ……ぁぅ……」

夏凜「頑張りなさい、あともう少しだから」

朝からずっと、苦しめられていて息も絶え絶えの厳しい状況の中

樹たちが買ってきた飲み物を、むせないようにストローで飲ませる

陣痛に苦しむ時間は相変わらず長いが

陣痛の感覚もゆっくりとだが縮まってきている

この調子なら、今日中に生まれる可能性は高い

正直なところ、ここまでひどく衰弱した状態での出産など考えたくはないが

そうならざるを得ないだろう

風「なんていうか、出産ってここまで大変なことだったのね」

樹「久遠先輩は本当に特殊なんだとは思うけど、でも、きっとそうなんだと思う」

人一人、二人

そんなとても大きなことをするのだから

簡単なことではないのは当たり前のことだろう

風「樹ったら知ったようなこと言っちゃって……どこまで先を行くんだか」
413 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 21:17:46.86 ID:V4Pm01/eo

自分が知っているよりもどんどん大人になっていく

そんな樹を横目に、風は深く息を吐き出すと

樹と一緒に、天乃たちを覆うカーテンから出ていく

全員でずっと見ていても仕方がない

それよりも交代制にして長丁場にも耐えられるようにしましょう。という東郷の提案に乗ったのだが

すぐそこで苦痛に呻いているのを知っていて休むのも難しかった

「本当は私達が手を貸すべきなのですが……」

風「いえ、出来ることをやらせてくださいって言ったのはあたしたちですから」

看護師の困った表情に、風は笑みを返す

もちろん、専門的なことはお任せする

何か変化があった場合も交代する

でも、体のケアや寄り添うこと

それくらいのことであれば自分たちがやってあげたいというのが勇者部の意志だった

風「でも、本当に今日産まれるんですか?」

樹「陣痛の感覚は短くなってきてるんですけど……」

「そうですね。陣痛の間隔の短縮に比べて、陣痛継続時間が比例していないので断言は難しいですが」

産婦人科の先生ですら、頭を悩ませています。と、看護師は言う

実際、双子で、過強陣痛気味で、中学生で、妊娠周期も何もめちゃくちゃな妊婦など扱ったことはまずないだろうし

そんな前例は恐らくだが、ない
414 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 21:29:02.80 ID:V4Pm01/eo

樹「……そうですか」

勇者としての力が、複雑にしてしまっている

とはいえ、神樹様の力です。だの、穢れの影響です。だの

大赦所属の霊的医療班ですら半分―もちろん穢れの方―は良く分かっていないのだ

看護師に話したところでどうにもならない

「でも、大丈夫だと思いますよ。この調子で進んでいるなら子供が今日中に産まれる可能性は十分にあります」

問題は、産むための体力が天乃に残るかどうかだと看護師は眉を顰める

これまでの入院生活で天乃は体力が落ちてしまっていて

朝からの陣痛の激痛に耐えた後の出産は本当に命がけになってしまう

しかし、今日は疲れているからまた明日ね。なんて

赤ちゃんには通用しない

「皆さんには、非常に申し上げにくいことなのですが……」

風「そんなことっ」

樹「久遠先輩なら、大丈夫です」

大丈夫なんです。と

樹は天乃たちには聞こえないほどの声で力強く言う

それは確信しているというよりも、そうであってほしいと願っているような声だった
415 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 21:56:34.77 ID:V4Pm01/eo

風「そうね樹……大丈夫」

「……みんなのサポートがあれば大丈夫ね」

看護師は笑みを浮かべて、頷く

だが、現実は甘くない

手厚いサポートがあって、生きて欲しいと願う家族がいて

生きたいというお母さんの願いがあってなお、命を落としてしまう母親もいる

それほどに、過酷なことなのだから

だけれど、無理だというわけにはいかない

死んでしまうと首を振るわけにはいかない

まだ若いからこそ過酷

だけれども生命力はあるはずなのだから

東郷「ふぅ……」

樹「東郷先輩っ」

風「手は大丈夫なの?」

手洗い場から戻ってきた東郷は苦笑いを浮かべながら、手を振る

東郷「まだ疲労感は残ってますが、久遠先輩に比べればこの程度何ともありません」

「あまり、無理はしないでくださいね」

東郷「はい」

きっと、この戦いは夜通し続く

そのために、交代制にしてまで休憩をとることにしたのだ

寝る間を惜しむ程度の無茶はしても、無理はしない

それでは本末転倒だと、東郷は頷いた
416 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/06(日) 22:00:06.43 ID:V4Pm01/eo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から

ここから夜にシフト、出産までノンストップ
ただし久遠さんの体調に関しては判定


九尾「ふむ……産まれるかや」

九尾「難産になるじゃろう」

九尾「これから困難が待ち受けていることじゃろう」

九尾「それでも決めたのは主様らなのじゃ。精進するがよい」

九尾「少しなら、妾も手を貸してやろうぞ」
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/06(日) 22:15:01.53 ID:Bc2SgvMkO

一気に出産まで物語が動き始めたか…
陣痛のシーンが凄く生々しい描写だったなぁ

ところで双子ちゃんの名前は募集するのかな?それとも自動で決まってる?
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/06(日) 22:55:13.66 ID:J96XamO80

穢れもそうだしそもそもが人間と妖怪のハーフだもんなあ
わからないことだらけで難しいね
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 12:25:08.43 ID:VLBDs57XO
何気に双子の誕生日が12/7で樹と一緒になるんだな
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 17:53:25.27 ID:fBLk8fCGO
陣痛描写でも手を抜かない謎のこだわり
そして忘れ去られているいっつんの誕生日
421 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/07(月) 20:37:47.07 ID:AHDigxajo

では少しだけ
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 20:45:12.11 ID:9QcBwNv1O
よしきた
423 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/07(月) 21:09:37.35 ID:AHDigxajo

√ 12月7日目 夜(病院) ※日曜日


天乃「はっはっはぁぅ……ぅぅ……」

夏凜「………」

ひと呼吸にも呻き声の混じる天乃の額に落ちた髪を指で払うと、

ジトっとした汗が指に張り付いてくる

友奈や樹が交代交代で汗を拭いてくれているが、

拭いても吹いても、脱水症状になってしまうのではないかと不安になるくらいに、汗だくになってしまう

沙織「久遠さん、口開けて」

天乃「んっ」

沙織「怖いのは分かるけど、水分は取らないとダメだよ」

少し前に、飲み物を飲んでいる最中に咳き込んで息ができなくなってしまったからか、

天乃は唇を結んで拒否する仕草を見せるが、

沙織はペットボトルに直接差し込んだストローの口を、天乃の方へと向ける

辛くても、苦しくても飲まなければだめだ

朝から食事も何もできていないのに、

水分まで取らなくなってしまったら大変なことになる

夏凜「少しでもいいから飲みなさいよ。子供もアンタも、無事でいるために」
424 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/07(月) 21:49:01.20 ID:AHDigxajo

天乃「ぅ……」

沙織「あ……ごめんね。ちょっと待って」

震える唇で、ストローを挟む

けれどペットボトルの中身は微動だにせず、ストローの中を這い上がっていくような様子もなくて

沙織ははっとしたように謝って一度ストローを加えてごくりと喉を鳴らす

本当はあまりしないほうが良いのだけれど

天乃の体の反応に関係なく流し込むのはさすがに危険すぎる

かといって、飲ませないわけにもいかないのだから、仕方がない

誰に言われたわけでもなく言い訳を心に描いてもう一度天乃にストローを咥えさせる

沙織「そうっとね。ゆっくりだよ」

天乃「ん……ぅ゛っぇっ」

園子「っ! 天さんっ」

こくり、こくり……と

僅かに飲んだところで、また陣痛の痛みが訪れて息が詰まる

飲み切れなかった液体が気管に流れようとして、咳き込む

園子「落ち着いて、落ち着いてね」

園子はすぐに体を横にして、そこからさらに45度ほど傾けて、吐き出せる

天乃「げほけほっぅ゛ぅぅっ」

園子「大丈夫、大丈夫だよ〜」
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 21:59:06.44 ID:velSnFRgo
みんなに母性を感じちゃう
426 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/07(月) 22:04:57.35 ID:AHDigxajo

夏凜「…………」

天乃の視界の外にいる園子を一瞥した夏凜は、

言うか迷った口を開いて、優しく声をかける

夏凜「……休んでてもいいのよ。園子」

園子「平気なんよ。全然」

気丈な返事

それとは裏腹に、辛そうな表情

疲れているからじゃない

天乃の姿があまりにも痛々しくて、心が苦しくなってくるからだ

夏凜「それなら良いけど、無理はするんじゃないわよ」

沙織「我慢しないで出しちゃっていいからね……」

飲み込めずに出てくる唾液を、タオルで拭いながら声をかける

遠慮しなくていい

迷惑だなんて考えなくていい

頼り切っていいからね。と、微笑む

友奈「沙織さん、代わります」

沙織「うん、お願い」

綺麗なタオルをもってカーテンを開いた友奈と沙織が入れ替わる

陣痛に苦しめられてからすでに十数時間

半日以上、途切れることなく続く陣痛の疲労を隠し切れない天乃の姿に、友奈は唇を一度噛んで笑みを作る

これがすべて穢れだったら笑顔にはなれない

でも、これは違う。子供が産まれるのだ

だから……と、友奈はできる限りの笑みを浮かべた
427 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/07(月) 22:15:28.81 ID:AHDigxajo

天乃「はぁっはっ……ぁ……っぐ!」

夏凜「……っ」

天乃の疲弊、憔悴、衰弱

それを直接感じている夏凜は爪痕さえつけることができなくなりつつある天乃の手に手を重ねる

自分の腕から滑り落ちるようなことだけは、させない

天乃「ひぐっ……うぅぅあ゛ぅっ」

友奈「もう少しです。もう少しですよ、久遠先輩……」

嗚咽交じりのうめき声

汗に隠れて流れていく涙をぬぐって声をかける

看護師から聞いた話で、確証がある。とは言われていないが

本来の陣痛の流れにのっとって考えるのならば

陣痛の間隔がしっかりと短くなりつつあるのはもうすぐ子供が産まれる兆候

本来ならいいことなのだが、

天乃の場合は陣痛に苦しめられる時間が長すぎるため

休息時間がほとんど削られてしまっており、厳しさは増すばかりで。

友奈「あともう少しですよ。可愛い子供が産まれてくるんですっ」

それでも、友奈は明るく声をかける

それが一番元気づけられると信じて
428 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/07(月) 22:27:59.97 ID:AHDigxajo

本来なら、陣痛の合間に検査をしたりするべきなのだが、

苦しめられている時間が長すぎて、検査どころではない

調べるべき子宮口の広がりもそうであってくれと願うばかり

さすがの産婦人科の医師も、いざというときのバックアップ体制を念入りに備えるのが限度だった

「……これ以上はお母さんも子供も危険だわ」

沙織「でも、帝王切開するわけにはいかないんですよね?」

「ううん、それはあくまで久遠さんや貴女達の要望に沿うならの話よ。子供だけでも……という話なら別」

酷な話だけどね。と、

悲し気に漏らした産婦人科医を、沙織は見開きかけた瞳で捉える

医師だから、患者の願いを出来る限り叶えてあげたいと思ってくれているのだろうか

少し考え、息を吐く

沙織「すみません」

園子「謝ることじゃないんよ」

沙織「園子ちゃん……もういいの?」

園子「風先輩が代われって」

しっしっという手ぶりをしながら、園子は苦笑いを浮かべる

身体的疲労はないが、精神的な疲れを感じる笑みだった

園子「天さんは頑張ってきたんよ。だから、少しくらい我儘も許されていいと思う」

「赤ちゃんにとって、お母さんは重要よ。ううん、子供にとってお母さんはとっても重要なの……だから、出来る限りどちらも救ってあげたい」

産婦人科医の女性は言いながらカーテンを見つめて、険しい表情を見せる

今のままではそれが難しい。というような表情だ
429 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/07(月) 22:44:03.98 ID:AHDigxajo

産婦人科医の女性は、きゅっと唇を固く結ぶ

その瞬間、何かを覚悟したのだと察して園子が目を見開く

園子「ダメなんよっそれはっ」

「…………」

東郷「そのっち……?」

園子「っ」

園子たちのいる出入り口付近のベッドに座っていた東郷の心配そうな声に、園子は乗り出しかけた体を抑える

天乃たちの意思を尊重したい

そう考えている医師が険しい表情で決断することなど、悪いことでしかない

園子の考えを察しているかのように、産婦人科医の女性は園子を見る

「申し訳ないけれど、母子ともに失うわけにはいかないの。分かって」

ごめんね。と

女性は言いながら伸ばした手を、引っ込める

嫌なことを言っている自分には、悲しそうな園子の頭を撫でてあげるわけにはいかないと思ったからだろう

東郷「するつもりなんですか? 帝王切開」

「このまま、陣痛だけが続くようなら麻酔を使って行うことも検討するわ。親御さんにも連絡は取ってあります」

園子「許可、したんですか?」

「……子供たちが望んでいないのなら同意は出来かねます。と、ですから、ここにいる貴女達の同意があるかどうか。なのよ」
430 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/07(月) 22:46:31.81 ID:AHDigxajo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


もうちょっと苦しみます……
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/07(月) 23:00:47.33 ID:9QcBwNv1O

中学生には重たすぎる決断
久遠さんはもちろん勇者部も辛いよな…
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/08(火) 04:23:49.31 ID:KIKesf5h0

ここまで難産になるとは
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/08(火) 08:24:20.56 ID:cbDkhBThO

久遠家と普通に連絡とれるんだ…って思ったけど連絡くらいはとれるよな
問題は会いに来ないことだ
434 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/08(火) 20:44:25.50 ID:AkijykZ3o

では、少しだけ
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/08(火) 21:04:36.80 ID:jLpMAnBqO
あいよ
436 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/08(火) 21:23:41.21 ID:AkijykZ3o

沙織「あたし達の同意……」

園子「…………」

本来なら、真っ先に否定すべきことだろう

だが、天乃までも危険なら

そう考えて、園子は首を振る

だめだ、それはダメだ

それでは今までと変わらない

勇者部の誰かが犠牲になって、天乃が助かる

そんな、天乃が一番望んでいないことと変わらない

固く唇を結んで、園子は一歩踏み込む

園子「それは、出来かねるんよ」

「久遠さん自身も危険なんですよ?」

園子「それでも……それでも、私たちは夢を掴むと決めた」

だから、止まらない

この不安に、負けるわけにはいかない

園子「久遠先輩は大丈夫」

そう信じてる。

いつだって、どんなに困難な状況だって

天乃は何とか成し遂げてきたのだから

東郷「なせば大抵なんとかなる。それが、勇者部五箇条の一つです」
437 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/08(火) 22:10:14.62 ID:AkijykZ3o

そうは言えども、怖いのだろう

東郷の表情は不安を隠しきれていない

園子も、沙織もだ

何とも言えない複雑な表情だった

沙織「……久遠さん、このままだと死ぬ可能性。あるんですよね?」

「そうねぇ……貴女達には、ちゃんと話しておくべきことよね」

悩ましげな息を吐きながら言う女医は、

ちらりと天乃を囲うカーテンの方へと目を向けて、眉を顰める

不意にぐっと下がった目線は園子達を一周した

「さっきも言ったように、母子ともに失う可能性があるの。つまり、久遠さんも亡くなってしまうということよ」

東郷「…………」

「医者である私の口からそれを言ってしまうのは、貴方達には悪いことだと思うけれど」

帝王切開を行うか否か

その判断をゆだねられてる以上、現実を突きつける必要があった

「このままだと、万が一に自然分娩できたとしても母体への影響は計り知れないものになるわ」
438 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/08(火) 22:37:27.73 ID:AkijykZ3o

ただでさえ、予想がつかない体調の変化と胎内の動きに翻弄されているのに

女医がはっきりと言えてしまうのはきっと、この体調の変化が天乃にとって辛いものばかりだからだ

産後は体を悪くしがちで、場合によっては病気にもなってしまう

そこで悪い状況に転がると言ったらもう、それ以外にはない

「みんなが、久遠さんも子供もちゃんと助けたいって思っているのはね。良く分かっているのよ」

でも。と、女医は口にする

できるのなら付け加えたくない否定

だが、そうならざるを得ないのが今の天乃の状況だった

「……もし、その理想を抱き続けるというのなら、失う覚悟をしてください」

園子「久遠先輩は……天さんは……」

話し声が途切れると、

天乃の苦しみに満ちたうめき声が病室に木霊する

沙織「………」

園子「天さんは……大丈夫なんよ……」

沙織はそうっと、園子を抱き寄せて頭を撫でる

沙織「……分かってるよ。大丈夫だよ……大丈夫」

そう、囁いて心を寄せた
439 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/08(火) 22:43:56.87 ID:AkijykZ3o

√ 12月7日目 夜(病院) ※日曜日


天乃の容態判定


↓1のコンマ 一桁

※1〜0の10段階
※1が最低値  0が最大値
※0に近いほど悪い
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/08(火) 22:44:54.11 ID:jLpMAnBqO
たのむ
441 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/08(火) 22:52:43.06 ID:AkijykZ3o

では、ここまでとさせていただきます
明日は恐らくお休みになるかと思います
再開は明後日、出来れば通常時間から


ぞろ目ですが、ボーナスはありません
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/08(火) 22:59:32.96 ID:jLpMAnBqO

これは奇跡が起きてなんとかなるか…!?
明後日の続きが待ち遠しいなぁ
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/08(火) 23:00:38.60 ID:KIKesf5h0

これが信頼の力か
444 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/10(木) 21:41:56.63 ID:Bs9VRvXko

では、少しだけ
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/10(木) 21:45:43.37 ID:q0uKUYY2O
よっしゃー
446 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/10(木) 22:21:58.28 ID:Bs9VRvXko

もうすぐ日付が変わろうかという、夜遅い時間だった

交代交代で休憩をとっているとは言っても

不安で眠るなんてことはできなかった勇者部の面々にも疲れが見え始める中、

天乃の苦しい声に覆いかぶさるように、何かが噴き出すような音が病室に響いた

夏凜「!」

樹「あっ、ぇっ!?」

周囲に立ち込めるさっきまで感じることのなかった刺激的なにおい

飛び出し続けるウォシュレットに蓋をしたような音

察知した樹が布団をめくってようやく、その正体に気付いた

東郷「破水しました!」

消灯時間もとうに過ぎているなどお構いなしに声を張り上げた東郷は、

自分の手元にあるタオルを一瞥して、カーテンをめくり、

駆け寄ってくる看護師と沙織の姿を認めて、出ていく

東郷「伊集院先輩、お願いします。私は新しく拭きものを用意してきます」

沙織「お願い!」

「犬吠埼さん、ナースコール」

風「とっくに!」

「なら良いわ、待機してるはずだからすぐに来るはず――頑張って」
447 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/10(木) 22:39:40.34 ID:Bs9VRvXko

友奈「破水したって言うことは、もう産まれてくるんですか?」

「破水かどうかは、一応検査してから判断するわ」

ほとんど確定と言ってもいいけどね。と、

女医は少し安心したように答えながらも、落ち着いた様子で応急処置を行っていく

漏れてくる羊水―破水なら―をタオルに吸収させつつ、

東郷の用意したタオルを惜しむことなく使って下腹部の清潔さを保つ

そして、それから5分もしないうちに看護師数人が病室へと入ってきた

「先生!」

「遅い、ストレッチャー用意は!」

「出来てます!」

「恐らく破水してる……完全だけど勢いが強すぎるから注意して!」

数人の看護師で天乃の体をストレッチャーへと移していく

本職の人たちということもあってその手際の良さは流石のもので、

手数が足りていることもあって、友奈たちにはただ見ていることしかできない

ベッドからストレッチャーへと移された天乃は、

もはや掴むほどの力がなかったのだろう、ずっとつかんでいた夏凜の腕を手放す
448 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/10(木) 22:55:13.50 ID:Bs9VRvXko

園子「にぼっしー! ぼうっとしない!」

夏凜「っ!」

気が抜けていたわけじゃない

寝ていたわけでもない

けれど、うまく反応することができなかったのだろう

天乃の手が離れても身じろぎしなかった夏凜へと、園子が強い声を叩きつけた

東郷「立ち合い、誰がするかなんて話し合ってなかったけど、分かるでしょう?」

陣痛の時はまだ、

天乃が夏凜の腕を強く掴んでいたこともあって、広い病室のまま行われた

けれど、分娩に関してはもう、それ専用の分娩室に行かなければならない

当然、そのための医療設備や付き添っていた医師はもちろんのこと、

さらに助産師や看護師など複数人が入ってくるため、勇者部のみんなが来るなんて言うことはできない

だからこそ、みんなは夏凜を見る

天乃がずっと縋っていたのは夏凜だ

きっと、こういう時に一番一緒にいて欲しいのは夏凜だ

そう、思って

「来るなら早く! 置いていくわよ」

言いながらも全く待たずに天乃を連れていく医師

その姿を見て、みんなを見て

困った表情を見せた夏凜は息を吐く

夏凜「あぁもう、分かってる。分かってるわよ! 腕の一本くらいくれてやればいいんでしょ! アンタたちは休んでなさい」

まだ痕の残る腕を一瞥して、夏凜は天乃の後を追う
449 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/10(木) 23:11:08.68 ID:Bs9VRvXko

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日は所用でできない場合がありますが
その場合、明後日土曜日は少し早い時間から

最初の方は恐らく、安価なしでの進行になるかと思います


※本来、立ち合い出産は任意ですが、
  久遠さんの場合は心身共に支えが必要なため夏凜の立ち合いは強制です
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/10(木) 23:15:00.16 ID:q0uKUYY2O

ついに、久遠さん出産の時が来たか
もしコンマで体調最悪を引き当ててたらどうなってた事やら…
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/10(木) 23:48:13.25 ID:rXTgeE5C0

正念場だな
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/11(金) 19:15:10.52 ID:ya5z5TKsO
妊娠と出産にリソース割きすぎてない?
医療系SSだっけ?
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/11(金) 21:47:34.30 ID:wJYO54cw0
一大イベントだし緊張感あるからOKOK
454 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/12(土) 20:49:09.67 ID:3X7C/Fi5o

では少しだけ
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/12(土) 20:55:59.14 ID:qD6Ri7L3O
ばっちこい
456 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/12(土) 21:36:18.08 ID:3X7C/Fi5o

天乃「ふくっぅ……うぅぅぅ!」

「いきんじゃダメよ……まだ、落ち着いて」

天乃「うぅぅっ!」

夏凜「ほら……落ち着けって」

いきむなと。

そういわれてもどうしようもなく力が入ってしまう天乃の手を、夏凜が優しく握る

握られれば無意識にでも感覚が繋がる

力を入れたいという衝動は、綺麗に夏凜の手を握った

夏凜「それでいい。それでいいわよ天乃」

天乃「かっ……っ」

夏凜「痛いときは手を握る。落ち着いたら、私を見て……そう」

大丈夫よ。と

夏凜は開いている方の手で、分娩台からわずかに浮いた背中をさする

夏凜「無理に息を飲まないで、のまないようにしっかり吐いて」

妊娠とはという本を読んだ

出産とはという本を読んだ

樹や東郷たちと一緒に、

インターネットで出産に立ち会うときにすべきことを調べこんだ

それでも9割は役に立たない

慌ただしさを見せる看護師たちの立ち回り、苦しむ天乃

自分があまりにも部外者に思えてならない
457 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/12(土) 23:03:26.30 ID:3X7C/Fi5o

夏凜「……いいわ。その調子」

天乃の瞳が自分を見てくれる

無意識に力が入ってきていた手に、

意識的な緩い力が加わるのを感じる

少しずつ、自分の感覚を取り戻していってくれているのが分かる

夏凜「が……いや、私はここにちゃんといるから安心しなさい」

天乃「はっはっ……ぅっ」

「っ――いきんで! もう少しよ!」

助産師の声に従って、いきむ

天乃の手が、力を入れるために握られる

分娩室全体に響き渡る天乃の絶叫は、

陣痛の苦痛以上に凄まじい

だから、頑張れ。とは言わなかった

天乃なら言わない

自分はその立場にないからと、勝手に言えないと考えるはずだから

夏凜「……天乃」

もう少し。

その思いを、手を握り返すことで伝える
458 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/12(土) 23:54:57.24 ID:3X7C/Fi5o

分娩室の外、

出入り口の前に置かれたベンチに座る子、

壁に寄り掛かる子

集まる勇者部の面々は、

時折聞こえる大きな声に、目を瞑る

もう日は跨いだ

それでも、誰一人としてあくびの一つもしていない

疲れは感じていても、疲れたとは言葉にならない

風「……あぁ、そういえば、ごめんね樹」

樹「なにが?」

風「誕生日……今日……いや、もう昨日か」

誕生日だったのに。と、繰り返す風に、樹は笑みを浮かべる

樹「誕生日は、明日でも平気、来年だってある。でも、久遠先輩の子供が産まれる瞬間は今しかないよ」

だから、気にしない

悪いと思う必要なんてない

やるべきことをやったのだ

優先すべきことを優先しただけなのだ

それに文句を言うほど、樹だってもう、子供ではなかった
459 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 00:08:07.38 ID:t2iC3JIwo

東郷「久遠先輩も、誕生日をつぶしちゃったわねって言いそう」

友奈「あはは……」

困ったように、申し訳なさそうに言う姿が目に浮かぶ

でも、妊娠と出産の痛みからは解放され

可愛い子供も……もしかしたら抱くことができているかもしれない

その喜びは隠しきれていないという表情だ

樹「その時は久遠先輩に一つだけ何でもお願叶えて貰えそうなので、アリです」

東郷「!」

園子「狡くないよ?」

東郷「何も言ってないわ」

沙織「それにしても、みんな良く平気だね。休んでてもいいのに」

風「まぁ、天乃はもちろんだけど夏凜にも頑張らせちゃってるからね。悠長に寝ていられるような状況でもないし」

風の言葉に、みんなが頷く

子供は無事か、天乃は無事か

ベッドに横になったところで気が気じゃないだろう

だから、みんなでこうして集まって

天乃の無事を、願っていた

園子「ミノさん……天さんのことを、見守っていてあげてね」
460 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 00:21:28.32 ID:t2iC3JIwo

では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から

恐らく、明日でひと段落つくかと思います


友奈「子供の名前ってどうなるのかな?」

沙織「久遠家の伝統的には、天地創造に由来する言葉が付けられたりするけど」

樹「双子だから二人とも女の子だったよね?」

風「天地創造ねぇ……」

園子「天の次、朝と夕かな?」

東郷「朝潮と夕雲……!」

友奈「それは東郷さんの趣味だよね……?」
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 00:33:42.48 ID:CxCiDMLnO

天、地、海それに陽(太陽?)と久遠家の名前は中々スケール大きいよな
前者三人は募集してたけど双子ちゃんはどんな名前になるんだろうか
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 03:29:01.22 ID:GzVLRzwQ0

無事に生まれそうでよかった
463 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 18:46:09.93 ID:t2iC3JIwo

では、遅くなりましたが少しずつ
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 19:16:27.43 ID:bIulnuyEO
来てたか
465 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 19:57:54.92 ID:t2iC3JIwo

「運がいいわね……」

じっとりとした汗を看護師に拭われながら、

女医はかみしめる様に呟く

まだ子供が産まれているわけでもないのに何が運が良いのか

夏凜の疑問に応えるように、助産師が笑みを浮かべる

「頭が見えてきてる……もう少しだからね。でも、慎重に」

天乃「っ……うぅ」

一人だけなら、頭が見えてきたのなら緊張感とともに安堵感も増すものだが

双子だとそうはいかない

片方は普通に生まれてきても

もう一人は逆子になってしまう可能性も少なくはない

それに、一人目が産まれたらまた、二人目を産むための陣痛が訪れる

傷ついた子宮をさらに傷つける、苦痛が始まる

夏凜「天乃、天乃……軽く、軽く」

天乃「はっはっ、はっはっ」

夏凜「そう、そう。それでいい」

天乃「んっ……っうぐ!」

「まだいきんじゃダメ! もう少し待って、待って……」

今!

医師の合図に従い、いきむ

ぐじゅりと、聞けばグロテスクな音が聞こえてくる

本当なら聞かれたくないだろう音だって聞こえてくる

でも、夏凜は顔を背けない、耳をふさがない

これは、しっかりと受け止めるべきことだからだ
466 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 20:35:30.69 ID:t2iC3JIwo

「いいわ、うん。その調子」

天乃「っ……」

分娩室に入ってからどれだけの時間が経過したのか

少しずつ、本当に少しずつの動きで、

でも、時間は確実に経過していく

子供は確実に出てこようとしてきている

でも、小さな体に二つの命はあまりにも大きくて、難航してしまう

夏凜「天乃……しっかり……」

長引けば長引くほど、天乃は疲弊する

憔悴しきって……

夏凜「っ」

首を振る

考えるな、思うな、想像するな

そう、心に強く杭を打つ

「大丈夫、大丈夫よ。ゆっくり、ゆっくりね」

看護師たちも、疲れの色が目に見える

医師も、助産師も、みんな疲れが見え始めている

「………っ」

勇者部の面々と病室にいた女医は、

設置された時計を横目に見て、唇を噛む

分娩室に入ってからもう、3時間が経とうとしていた
467 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 21:01:50.34 ID:t2iC3JIwo

「…………」

帝王切開ができたら……と、女医は思う

いや、この場にいる医療関係者の皆が思う

天乃の体に双子はあまりにも負担が大きい

一人が頭からしっかり出てきたとして、もう一人はどうなる

時間がかかりすぎたせいで死産になるリスク

狭い胎内環境によって絡まったへその緒で首を絞められてしまうリスク

度重なる子宮の収縮、押し出そうとする力によって窒息してしまうリスク

だが、ほかでもない天乃たちの要望での自然分娩

であるならば、出来る限りのことは――

天乃「ふくっ……うっっあっあぁぁぁああああああっ!」

「!」

「もういっそ、滑り出てくることができたらいいのだけど」

呼吸は夏凜が導いてくれている

故に、医師である自分たちができることは

子供たちが出て来ようとする動きに合わせていきむようにすること

そのタイミングを確実に合わせていくこと

「久遠さん、いきんで、いきんで! もっと、もっと!」

全力で、声をかける

天乃の意識が途切れないように

少しでも、確実なものとするために
468 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 22:31:32.32 ID:t2iC3JIwo

「もう少し……そう、そう……我慢して」

少しずつ、少しずつ出てくる赤子

母親である天乃と、出てこようとしている小さな命に、頑張れと祈りながら招く

分娩室に入ってから約4時間

ようやく、その時が来た

天乃「っあぁぁぁぁあああっ!」

夏凜「痛ッ!」

一際強く、手が握りしめられる

台座についていた腰が大きく浮き上がる

打たないようにと手を差し込み、

手助けのために、腰の少し上のあたりを圧迫する

痛みに苦しむ天乃の声も、より大きくて

でも、助産師たちの頑張れ。という励ましの声

表情に見える祈りと、喜びがつい先ほどまでとは違うと物語る

「頑張れ! あとちょっと――そう、そう、良い子、良い子ね!」

「良い子よ、良い子」

それは長かった時間が嘘のように、一瞬だった

これまでが何の苦労もなかったかのように、軽やかだった
469 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 22:42:11.11 ID:t2iC3JIwo

「ぁ……」

それは、とても小さな声

けれど、それはとても大きな声

いや、これからきっと……とても大きくなっていく命の声

「ぁ……ぁあ……」

「良かった、ちゃんと声をあげられる……お願い!」

医師から助産師へと

血濡れの赤子が手渡される

優しいタオルに包まれて

何度も入れ替えられた人肌ほどのお湯へと触れる

夏凜「っ……」

ドラマのように、いきなり大きな産声は挙げなかった

でも、元気な子供が産まれたのよ。と

夏凜は天乃へと目を向ける

天乃「はっはっ……はぁ……んっ」

夏凜「あと一人……やっちゃいましょう?」

天乃「か……っぁ……」

簡単に言ってくれるわね

そう、文句を言われた気がして、夏凜は満面の笑みを浮かべて頷く

二人目の子が産まれたのは、それから約二時間後のことだった
470 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 23:08:17.00 ID:t2iC3JIwo

東郷「そのっち! そのっち!」

園子「ふぇ……ふぁっ!?」

東郷「痛っ」

ベンチから飛び起きた園子と起こそうとしていた東郷の額がぶつかり合って鈍い音が響く

自分が眠ってしまっていたことと、打った額とおしりの痛み

戸惑う園子は何度か瞬きをして、目を見開く

園子「てっ、天さんは!」

風「……お疲れ。今はぐっすり眠ってるわよ」

沙織「2人とも……違うか。4人とも今はゆっくり休んでるよ」

風と沙織

年長組二人の安堵した表情に、園子の瞳がゆっくりと開いていく

園子「天さんっ」

東郷「うん……産まれたのよ。ちゃんと」

園子の頭突きで一緒に尻もちをついていた東郷が、園子を抱く

あふれ出ていく感情を抱き合わせるようにして、互いの体に預ける

悲しいからじゃない

嬉しいからこその嗚咽をこぼす二人を風と沙織は見つめ、互いの顔を見合わせて笑った
471 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 23:22:41.54 ID:t2iC3JIwo

樹「友奈さん、久遠先輩の子供が産まれましたよ」

友奈「はっ、わ、私寝ちゃっ――」

樹「大丈夫です。大丈夫ですよ、友奈さん」

友奈「っ」

眠っていたことに焦った友奈は、

樹の優しい声、嬉しそうな表情に頷く

友奈「良かった! 良かったねっ、樹ちゃん!」

ふいに抱き着かれた樹は、

友奈のことを抱きしめ返そうとして、まだ中身の残るコーヒー缶を握る

樹「はい……良かったです」

無理に無理を積み重ねた夜更かしで痛みさえ伴う中

樹はしっかりと、笑みを見せた

若葉「……流石だな」

樹「若葉さん……」

若葉「すまない。任せてしまって」

樹「私たちが頑張るっていたんですし、仕方がないですよ」

むしろ、大赦がこちら側に何かしてこないかどうか

ずっと警戒していてくれたのだ

それを任せてしまったのだ

樹「若葉さん達こそ、ありがとうございました」
472 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 23:27:42.31 ID:t2iC3JIwo

コンマ判定経過日数

1 最小  0 最大


↓1のコンマ 
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 23:29:58.74 ID:bIulnuyEO
474 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/13(日) 23:38:52.02 ID:t2iC3JIwo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から


日を跨ぐ出産から早くも四日後
なお、容態判定で「1」だったので追加判定はありません
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 23:41:01.23 ID:+wc/1bbho
容態判定ナイスすぎる おつおつ
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 23:45:54.67 ID:bIulnuyEO

ようやく険しい道のりを乗り越えたか…出産おめでとう
四日間じゃ足りないぐらいだけどとりあえず久遠さんはゆっくり休んでくれ…
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 23:52:07.94 ID:GzVLRzwQ0

よかったなあホント
478 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/14(月) 20:46:35.63 ID:yY2VYrXAo

では、少しだけ
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 20:48:14.82 ID:H+0wspV/O
よっしゃ
480 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/14(月) 21:27:09.05 ID:yY2VYrXAo

√ 12月12日目 朝(病院) ※金曜日


天乃「ん……」

ゆっくりと、目を開く

口元につけられたマスクとくぐもった感覚

耳に馴染んだ一定のリズムを刻む電子音

自分がいるのが一般の病室ではないというのはすぐに分かった

天乃「っ」

一日半近くかかった出産

その疲労感に加えて、穢れなどの力が一気に持っていかれた天乃はその後に気を失い、

集中治療室へと運ばれたのだ

天乃「………」

あれからどれだけの時間が経ったのか

ろくに動かすことのできない体を起こすのを諦めて、頭を傾ける

天乃「はぁ……ふぅ……」

誰もいない

当然だ

集中治療室は立ち入りさえも容易じゃない

ずっと一緒にいることなんてできない
481 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/14(月) 21:54:04.91 ID:yY2VYrXAo

天乃「っ……」

あと少し

何とか手を動かして、

ギリギリ見える位置にあるナースコールのコードからボタンまで辿り着く

天乃「…………」

ナースコールを押すだけで手が震えるほどの衰弱

でも、意識も記憶もはっきりとしていて

手が動かせるというだけでもまだ運がいい方なのだろうと天乃は思う

最悪の場合、死んでいただろうから

じっと天井を見つめながら、

握りしめていた夏凜の手の感触を思い出す

相当強く握った

死に物狂いで頼った

痛い思いをさせちゃっただろうな。と、

天乃は何を言おうかと、苦笑する

乾ききった喉が、痛む
482 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/14(月) 21:59:16.77 ID:yY2VYrXAo

01〜10 
11〜20 夏凜
21〜30 
31〜40 沙織
41〜50 東郷
51〜60 風
61〜70 
71〜80 樹
81〜90 園子
91〜00 友奈

↓1のコンマ 
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 22:05:34.33 ID:mlobiDV10
484 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/14(月) 22:33:32.81 ID:yY2VYrXAo

沙織「おはよう、天さん」

天乃「ぁ……」

沙織「無理に喋らなくていいよ。喉を慣らさないと怪我しちゃう」

天乃「ん……」

看護師に用意して貰った温かい飲み物を口に含む

熱すぎず、冷たすぎず

喉に不用意な刺激を与えない適温

残念ながら、味はないが

沙織「あれから四日間だよ」

小さく切り出した沙織は、

天乃が目を覚ました喜びの滲んだ瞳を向ける

沙織「四日間も、経ったんだよ」

天乃「…………」

沙織「起きてくれて、良かった」

抱きしめたい

でも、今の天乃は幼子よりも傷つきやすくて、

感情のままに触れるなんてことは出来ない

沙織「良かった」

だから、沙織は一杯一杯の嬉しさを込めて、笑顔を見せた


1、ごめんね、心配かけて
2、赤ちゃんは?
3、まだ、子供がいるような違和感があるわ
4、ふふっ、ほんとにね。でも、もう大丈夫よ

↓2
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 22:39:02.13 ID:H+0wspV/O
1
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 22:40:10.59 ID:1VnHHPS60
2
487 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/14(月) 22:46:59.04 ID:yY2VYrXAo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


天乃「赤ちゃんは?」

東郷「……ばぶぅ」

天乃「う、うん?」

東郷「……あの、母乳はまだですかばぶぅ?」


風「だめだ! 一週間近く真面目だったせいで東郷が壊れた!」

友奈「そ、そうですね」チラッ

風「友奈、お前もか!」
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 22:54:37.14 ID:H+0wspV/O

コンマ次第で久遠さん死亡も有り得たかも知れないという恐怖…本当に無事で良かった

あと出産によりついにさおりん待望の母乳久遠さん解禁か
…ゴクリ
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/14(月) 23:57:14.33 ID:j5lbsrKfO

次は種使うのか
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 08:14:22.49 ID:j29M9/g7O

ところで最近一日のまとめ見てないけど今どうなってるんだろう?
491 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/15(火) 20:15:07.33 ID:OZ7PMRZpo

では、少しだけ
492 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/15(火) 20:36:35.69 ID:OZ7PMRZpo

天乃「……ねぇ、赤ちゃんは?」

沙織「二人とも元気だよ」

ただ、ベビールームに預けられることになってしまったと、沙織は答える

天乃の小さな体に収まっていた双子は、

残念ながら、普通の赤子に比べて小さいのだ

もちろん体はしっかりしているけれど、

体重は2kg弱、身長は40cm弱と非常に小さい

天乃の体で考えればそれでも十分に成長したと言える

しかし、念のためにとベビールームにて看護師が常に気を配ってくれているのだ

沙織「抱きたかった?」

天乃「うん……それに、一緒にいるものだと思ってたから」

沙織「でも、ついさっきまで眠ったままだったってことも考えてよね」

天乃「ええ、そうね」

赤ちゃんが居たら親心としては嬉しいだろうけれど

でも、夜泣きなどで身体的には非常に負荷がかかる

そもそも、今は集中治療室

赤ちゃん同室はせめて夏凜達のいる一般病棟レベルにまで落ちつけてからだ
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 20:46:53.25 ID:CoslaPO+O
きてたー
494 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/15(火) 21:07:21.91 ID:OZ7PMRZpo

沙織「女の子の双子、可愛いよぉ」

天乃「嫌味?」

沙織「激励だよ。早く会いたければ早く元気になってねって」

根っからの本心での言葉だろう

沙織はニコニコと満面の笑みを浮かべる

いち早く会うには確かにそう、元気になるしかない

だが……万全の状態になるには大分時間がかかる

天乃「種は、使えないの?」

沙織「流石にそんな超回復機能はないよ」

霊的な回復はできる

でも、体まで完治してくれるかどうかは可能性の話

機能を失った両足なども含めれば可能性は低いと言わざるを得ない

沙織「それに、久遠さんの調子が戻ってからじゃないと神樹様の種は使えないよ。覚えてるよね?」

天乃「…………」

沙織「ここまで、来たんだよ」

あと少しなんだよ

そう声をかけながら、身を寄せる

沙織「もう少し、頑張ろう? もうちょっとだけ、我慢しよう?」

お願いだから。

絞りだされた願いに、天乃は小さく笑みを浮かべて「ごめんね」と、答えた
495 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/15(火) 21:34:12.41 ID:OZ7PMRZpo

天乃「我儘、言いすぎちゃったわね」

今はゆっくり休むべきだ

夏凜達がダメなわけではないけれど

専門としている看護師たちが見てくれている

久遠家だからこその部分もあるかもしれないが

手厚く看てくれている

なら、赤ちゃんは安心だ

早く見たい

早く会いたい

早く抱きたい

そう思うなればこそ

今は母親である自分が健康になることを一番に考える

天乃「母乳をあげるにしても、健康な方が絶対に良いものね」

沙織「そうだよ久遠さんっ、健康なお乳が良いと思う。うん、良いと思うっ!」

きらきらと輝く瞳

待っていましたと言わんばかりの、よだれの滴りそうな口

天乃は思わず身を引いて、苦笑いを浮かべた

天乃「沙織のでは……ないからね?」

沙織「それは分かってるよ。でも、知ってる? 母乳って出そうと思って出せるものじゃないらしいよ」

アタシたちが手伝ったほうが良いと思うよ。と

沙織は表情を全く変えることなく言うのだった
496 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/15(火) 21:47:39.55 ID:OZ7PMRZpo

√ 12月12日目 昼(病院) ※金曜日

01〜10 風
11〜20 東郷
21〜30 
31〜40 夏凜
41〜50 
51〜60 友奈
61〜70 
71〜80 樹
81〜90 
91〜00  園子

↓1のコンマ 
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 21:57:51.43 ID:CoslaPO+O
498 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/15(火) 22:07:16.23 ID:OZ7PMRZpo

ではここまでとさせていただきます
明日は所用でお休みになるかもしれませんが、
出来れば、1日のまとめの方だけ仕上げられればと思います


1日のまとめに関しては抜けていました、すみません
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 23:18:39.07 ID:gTzTcTz7O

まあ何はともあれゆっくり休憩だな
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 23:53:56.56 ID:L/JgVNit0
乙乙
まだ全然問題残ってるけど今のところ3周の中で一番良い感じなのでは?
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 13:05:13.17 ID:eWOaDKpEO

ここから一気に絶望させにくるんだろ知ってる
502 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/17(木) 20:52:06.36 ID:NNWzvBMBo
1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(寂しいの? 今日だけ、陣痛、)
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(隣にいて、エッチなこと?)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


12月05日目 終了時点

乃木園子との絆  89(高い)
犬吠埼風との絆  109(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  97(とても高い)
結城友奈との絆  119(かなり高い)
東郷美森との絆  128(かなり高い)
三好夏凜との絆  152(最高値)
乃木若葉との絆  99(かなり高い)
土居球子との絆  46(中々良い)
白鳥歌野との絆  44(中々良い)
藤森水都との絆  36(中々良い)
  郡千景との絆  46(中々良い)
   沙織との絆  128(かなり高い)
   九尾との絆  69(高い)
    神樹との絆   ??(低い)
503 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/17(木) 20:57:11.54 ID:NNWzvBMBo
1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(このままだといいのにね、神罰への畏れはないの?、大赦について、気を付けて)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


12月06日目 終了時点

乃木園子との絆  89(高い)
犬吠埼風との絆  109(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  97(とても高い)
結城友奈との絆  124(かなり高い)
東郷美森との絆  128(かなり高い)
三好夏凜との絆  152(最高値)
乃木若葉との絆  99(かなり高い)
土居球子との絆  46(中々良い)
白鳥歌野との絆  44(中々良い)
藤森水都との絆  36(中々良い)
  郡千景との絆  46(中々良い)
   沙織との絆  128(かなり高い)
   九尾との絆  69(高い)
    神樹との絆   ??(低い)
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/17(木) 21:01:21.72 ID:JZvJmZKuO
まとめキター
505 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/17(木) 21:01:29.48 ID:NNWzvBMBo
1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(陣痛、出産)
・   犬吠埼風:交流有(陣痛、出産)
・   犬吠埼樹:交流有(陣痛、出産)
・   結城友奈:交流有(陣痛、出産)
・   東郷美森:交流有(陣痛、出産)
・   三好夏凜:交流有(陣痛、出産)
・   乃木若葉:交流有(陣痛、出産)
・   土居球子:交流有(陣痛、出産)
・   白鳥歌野:交流有(陣痛、出産)
・   藤森水都:交流有(陣痛、出産)
・     郡千景:交流有(陣痛、出産)
・ 伊集院沙織:交流有(陣痛、出産)
・      九尾:交流有(陣痛、出産)
・      神樹:交流無()


12月07日目 終了時点
※12日目に移行

乃木園子との絆  94(高い)
犬吠埼風との絆  114(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  102(とても高い)
結城友奈との絆  129(かなり高い)
東郷美森との絆  133(かなり高い)
三好夏凜との絆  157(最高値)
乃木若葉との絆  104(かなり高い)
土居球子との絆  51(中々良い)
白鳥歌野との絆  49(中々良い)
藤森水都との絆  41(中々良い)
  郡千景との絆  51(中々良い)
   沙織との絆  133(かなり高い)
   九尾との絆  74(高い)
    神樹との絆   ??(低い)
506 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/17(木) 21:38:07.26 ID:NNWzvBMBo

√ 12月12日目 昼(病院) ※金曜日


もう12月も半ばに差し掛かろうかという日

お昼であっても、室内であっても

布団の外に出ている肌は、肌寒さをどうしても感じてしまう

ここが一般病棟だったらもっと寒さが厳しかったのか

それとも、暖房はご自由に。として貰えていたのか

天乃はそんな他愛もないことを考えながら目を瞑る

暇なことを退屈に感じられるのは

今が幸せだからこそだろう

子供ができてからは本当につらいことばかりだった

産まれるときも、とても辛くて苦しい思いをさせられた

けれど、だからこそ

こういった時間の尊さを、大切さを、有難みを

より強く感じられるのだ

天乃「……はぁ」

とはいえ、誰も来ないのはいささか寂しかった
507 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/17(木) 21:45:46.08 ID:NNWzvBMBo

陣痛に苦しめられているときは、園子がいてくれた

夏凜が傍に居てくれた

その二人以外にも、勇者部のみんながいてくれる病室に居られた

なのに、

子供が産まれてすぐに意識を失って、四日間も眠って

そのせいで集中治療室入院となり、

簡単に会うことは出来なくなってしまった

もっとも、このまま安静にしていて

体調も回復に向かっていくなら、

ほんの二、三日でここから出られるだろう。という話ではあるけれど。

天乃「九尾達なら、呼べるかしら?」

勇者部のみんなはまず無理だが、

精霊である九尾達ならば、

この部屋に出てくることは出来るはずだ


1、精霊を呼ぶ
2、イベント判定
3、母乳が出るかどうか念のため確かめておく


↓2
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/17(木) 21:50:26.59 ID:OQo8f1cI0
3
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/17(木) 21:51:03.01 ID:JZvJmZKuO
3
510 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/17(木) 22:03:03.48 ID:NNWzvBMBo


01〜10  勇者
61〜70  見られちゃいけない人に見られる
91〜00  看護師

↓1のコンマ 

それ以外は、問題なし
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/17(木) 22:04:32.02 ID:JZvJmZKuO
512 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/17(木) 22:18:17.84 ID:NNWzvBMBo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「……はっ!」ガタッ

友奈「どうしたの?」

東郷「久遠先輩のところに行けというお告げがきたわ!」

友奈「沙織さんから話を聞いて夏凜ちゃんが行ってるから大丈夫だよ」

東郷「……ところで友奈ちゃん、久遠先輩の練習としておっぱい揉む?」

友奈「ん〜……今は良いかなぁ」


樹(……今は?)
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/17(木) 22:26:26.51 ID:JZvJmZKuO

久々に久遠さんのちょっとえっちな展開になりそうで期待
あと見られちゃいけない人って誰だったんだろうか…
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/17(木) 22:32:43.07 ID:WH5OpgCiO

巫女を救う方で勇者部の方はそのうち忙しくなるのかな?
515 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/18(金) 22:00:10.05 ID:kwd0Gn1vo

遅くなりましたが少しだけ
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/18(金) 22:04:48.12 ID:krpldFZXO
かもーん
517 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/18(金) 22:36:52.95 ID:kwd0Gn1vo

天乃「……そういえば、沙織は出そうと思って出せるわけじゃないって言ってたわよね」

とても乗り気な沙織は協力的なところはとても助かるのだが

何をされるのか分からないところが、少し困ったもので。

天乃「悪い子ではないのだけど……」

東郷とは別のベクトルで一生懸命なところがある

そもそもの原因は中に入っている猿猴だけれども……

もしも猿猴がいなくなったら興味が無くなるのだろうか

性的欲求はなくなるが、好意はあるのか

好意さえもなくなってしまうのか

一人で考えると不毛になりそうな考えに流れていく頭を振って、息を吐く

まだ力のそこまで入らない腕を上げて、服の上から胸に触れる

天乃「……確か、揉むと良いのよね」

優しくと意識しなくても優しすぎる手の力では

揉むというよりも摘まむというレベルの貧弱な感覚しかない

加えて、東郷達曰く性的感度の高い部位の一つであるため、

それによって下腹部に熱がこもってしまうのではないかという怖さが、さらにやり辛さを増す
518 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/18(金) 22:58:20.34 ID:kwd0Gn1vo

天乃「っ……」

脇腹の方で結ばれている紐をほどき、

薄いシャツに包まれた胸を露出させる

子供ができる前からも体つきに対して大きく豊満さのあった胸は

終盤に差し掛かりつつあったとはいえ、胸の成長時期を直撃した妊娠だったためか

二回りかそれ以上に膨らんでしまったようにも見える

もちろん、母乳が抜けきれば小さくなってくれるはずなのだが

成長期にかぶってしまった以上、元通りになることはないだろう

天乃「えっと」

薄いシャツも捲って、素のままの乳房をさらす

空気に触れて肌寒さに固くなった乳頭は母乳を出してくれるような気配はない

出そうと思って出せるものではないという沙織の言葉は嘘ではなかったのだと、

天乃は今更ながらに思って――

夏凜「何してんの?」

天乃「っ!」

誰かが来るかもしれないということを、完全に失念していた
519 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/18(金) 23:39:02.95 ID:kwd0Gn1vo

天乃「えっ、あっ、これはっ」

慌てて下ろそうとしたシャツは胸につっかえて、落ちない

二度三度ぐいっ、ぐいっと引っ張って

近づいてきた足音に諦めたともいえる落ち着いた心でシャツを下ろしきる

隠したところでもはや弁解の余地はあまりない

天乃「……違うの」

夏凜「別に隠すようなことでもないでしょ。見慣れたもんだし」

天乃「それとこれとは違うのっ」

紅い顔でちょっぴり怒ったように言う

そんな、愛らしく思ってしまう天乃を一瞥した夏凜は

「確かに違うわね」と同意して、天乃の着る患者衣を引く

夏凜「あんた、そこ弱いんだから止めておきなさいよ」

子供を産んでからまだ四日しかたっていない

体の感覚……特に、腹部以降安定していない天乃は、

性的興奮を覚えてしまったら大変なことになってしまう

せめて、カテーテルが必要なくなってから。と、注意する

天乃「でも、母乳が出ないと困るでしょ?」

夏凜「それで体削ってたら元も子もないっての」
520 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/18(金) 23:49:49.71 ID:kwd0Gn1vo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から


樹「……妊娠すると大きくなる?」

風「樹、それはちょっと」

東郷「任せて樹ちゃん。1年……いえ、2年で何とかして見せるわ!」グッ

沙織(久遠家の血ってだけならお兄さんでもいいけど)

沙織(それとこれとはまた別の話だしね)
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/18(金) 23:56:58.95 ID:krpldFZXO

久遠さんがさらに巨乳化しても動じない夏凜ちゃんマジイケメン
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 01:17:41.16 ID:UT5HTCYfO

つっかえて降りないTシャツで笑った
523 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/19(土) 20:23:20.22 ID:/fll5Loso

では少しだけ
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 20:25:32.51 ID:42aG6jELO
あいよ
525 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/19(土) 21:21:15.49 ID:/fll5Loso

夏凜「とにかく、暫くは大人しくしておくこと」

天乃「でも、私の子供の場合私の母乳じゃないと危険じゃない?」

夏凜「今のところは大丈夫」

そう言った夏凜は少しだけ眉を顰める

病院であることも幸いして、

生後間もない赤ちゃん用のミルクも用意することはできているし

一応、それを飲んでくれている

だが、それでいいのか悪いかは何ともいえなかった

夏凜「でも、そこは確認しておくべきだったわ。ごめん」

天乃「ううん。九尾は何も言ってないんでしょ?」

夏凜「言われてみれば、最近見てないわ」

何やってんだかね。と夏凜は不思議そうに呟く

天乃「九尾のことだから、私の子供について何か言ってきそうなのに」

夏凜「そう? 九尾の場合あえて何も言わないで何か起きてから干渉してきそうだけど」

天乃「……そうかしら?」
526 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/19(土) 21:48:29.22 ID:/fll5Loso

天乃が関わっていなければ傍観者に徹することも解るけれど

天乃が深く関わっている以上、

最初から強く干渉してくる可能性の方が高い

けれど……

天乃「私が寝込んでいたから、九尾は傍に居てくれたのかもしれないわ」

夏凜「……なるほど」

軽く笑った夏凜は、

何もない空間を誰かがいるかのように叩く

夏凜の手は空気を払うだけ

天乃の目にも誰にもいない

でも、何となく、本当にいるような気もした

夏凜「赤ちゃんは看護師も医師もいる。でも、あんたは独りぼっちになるしかなかったし、そりゃそうか」

天乃「私の母乳は普通だと思う?」

夏凜「なにそれ……味見でもして欲しいの?」

天乃「そういうわけじゃないけど」

天乃の膨らんだ乳房

興味を待たざるを得ないものを前にして、

夏凜は「冗談よ」と、頭を振る

夏凜「ま、なんにせよ。私たちにとっては普通なんじゃないの?」
527 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/19(土) 22:09:55.53 ID:/fll5Loso

天乃「夏凜ってば、またそういうこと言ってくれるのね」

優しいというべきか、卑怯だというべきか

少なくとも夏凜に謀った考えはないだろうと苦笑する

夏凜が卑怯なら、

自分に好意が向けられることなど……と

今までのほとんどの好意を無碍にしてきた自分は何なのかと。

天乃「双子だから、余らないかもしれないけど余ったら分けてあげてもいいわよ?」

夏凜「何言ってんのよ、ほんと」

欲求不満なの?

困ったというより、

本気で心配そうにする夏凜に、

天乃はそうなのかな。と曖昧に答えて胸に触れる

そうじゃない

きっと不安なのだ

夏凜には酷い姿を見せてしまったから

自分は今もなお、夏凜にとっての女で居られているのかと

天乃「夏凜……」

夏凜「なにそんな変な声出してんのよ、今、不安になるような話してた?」
528 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/19(土) 22:21:53.18 ID:/fll5Loso

そんな、変な声が出ていただろうか

不安に見える表情をしてしまっているだろうか

天乃は考えて、苦笑する

天乃「沙織は喜んでたのよ? 母乳が出るって」

夏凜「母乳母乳って、簡単に言うけど簡単じゃないのよ?」

天乃「流石、夏凜も調べてくれてるのね」

夏凜「ついでよ。ついで」

別に下心とかじゃないからね! と、

知ってか知らずか、夏凜は照れくさそうな表情で否定する

でもきっと。

天乃「私のためであることには、変わりなかったり?」

夏凜「あんた……事実じゃなかったら自意識過剰よ。それ」

天乃「ふふっ。沢山いるもの。少しくらいは自信があってもいいでしょ?」

夏凜の好意は変わらない

淫らな思いを抱くことがないのだとしても、そこは変わらない

そう、天乃は思って笑みを浮かべる


1、ねぇ夏凜。今も私のことを女として見れる?
2、夏凜はもう少し、エッチなことを求めてもいいと思うの
3、調べたなら、何も知らない私を手伝ってくれるのよね?
4、やっぱり……夏凜がいてくれてよかったわ


↓2
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 22:26:34.52 ID:42aG6jELO
1
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 22:27:03.21 ID:F1IqvPy50
2
531 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/19(土) 22:37:03.25 ID:/fll5Loso

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば昼過ぎ位から



東郷「久遠先輩のお誘いよ、夏凜ちゃん!」

友奈「……? 何言ってるの?」

東郷「な、何でもないわ! 気にしないで友奈ちゃん」

樹「……黙っておくので、全部取り外してくださいね?」ボソッ

東郷「……はい」
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/01/19(土) 22:39:09.19 ID:2CIK/pWD0
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 22:43:53.33 ID:1fOY/TElO

体力がそれなりに戻ったらすぐ誘い受けしてしまう久遠さん
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/19(土) 23:02:04.72 ID:42aG6jELO

夏凜ちゃん本当に久遠さん大好きだなぁ
535 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 15:12:15.61 ID:HoTlj3f7o

では少しずつ
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 15:19:09.84 ID:Z+cbnmsmO
いえす
537 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 15:58:12.28 ID:HoTlj3f7o

天乃「夏凜はもう少し、エッチなことを求めてもいいと思うの」

夏凜「前にも似たようなこと言ってなかったっけ?」

天乃「子供だって、産まれたのよ?」

夏凜「だからこそ、アンタの時間は子供のためにあるべきなんじゃないの?」

確かにそうだ

新生児には母親が必要だ

母親の時間を一番費やさなければならない時期だ

それは正論なのだけど

天乃「子供の時間が大事なのは分かってる。でも、そうじゃなくて」

夏凜「もっとエロいことしろって?」

天乃「……うん」

夏凜「なら、まずは体を治しなさいよ」

自分が何を求めているのか理解はしているのだろう

目を逸らして頷く天乃に、夏凜は困った笑みを浮かべて言う

目を覚ましたとはいえ、まだまだ体はボロボロなのだ

性的な行為を求められてもやろう。とはならない
538 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 16:13:55.16 ID:HoTlj3f7o

天乃「体が治ったら、してくれるの?」

夏凜「そういうの、反応に困るから止めて欲しいんだけど……」

体も心も

妊娠と出産でとても傷ついてしまったがゆえの弱気の発言

それは夏凜も良く分かってはいるのだが

天乃「本当は嫌?」

夏凜「ぐっ」

天乃「嫌なの……?」

夏凜「っ」

懇願する瞳、甘える声

見上げてくる表情はたとえその意思がなくともやってしまいそうにさえなる

大丈夫だよ。と

今からでもやりましょう。と

けれど、夏凜はぐっと唇を噛む

夏凜「時と場所をえらべっつってんの」

天乃「……卑しいって、思った?」

夏凜「別に? ただ……あんたはもう少し、自分がエロいってことを自覚したほうが良いと思った」

淫らなことはできないけれど

弱っているから強い力で抱くこともできないけれど

唇を重ねることくらいは、出来た
539 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 16:20:29.83 ID:HoTlj3f7o

√ 12月12日目 夕(病院) ※金曜日

01〜10 若葉
11〜20 
21〜30 
31〜40 千景
41〜50 東郷
51〜60 
61〜70 樹
71〜80 大赦
81〜90 
91〜00 友奈

↓1のコンマ 
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 16:26:44.80 ID:Z+cbnmsmO
541 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 17:04:24.08 ID:HoTlj3f7o

√ 12月12日目 夕(病院) ※金曜日

いつ以来だろうか

そう考えこむ必要があるほどに姿を見せてこなかった大赦が、天乃のところを訪れた

相も変わらず神官の装束に身を包んだ大赦関係者は、

一緒に来た看護師を下がらせ、天乃の傍で頭を下げる

「久遠様は祝詞を捧げられることはお嫌い、でしたね」

天乃「……ええ。何をしに来たの?」

「無事、ご出産為されたという話を伺いましたので」

本来ならばすぐにでも姿を見せるはずだったと神官は言うが、

やはり、天乃が気を失ってしまったことで延期になっていたらしい

今朝目を覚ましたという一報を受けて、訪ねてきたのだ

「お二人とも、小さいながら元気な赤子でした」

天乃「私がまだ見れていない子供を見るなんて狡いんじゃない?」

「致し方ないことです。久遠様の血が流れているお二人にはその力も受け継がれている。無視することはできません」

天乃「…………」

「現状、力によって蝕まれているご様子はなく、普通の赤子と何も変わりませんでした」

その点はご安心ください。と、

安心できる要素の少ない言葉を、神官は告げた
542 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 17:28:03.97 ID:HoTlj3f7o

「久遠様も、お変わりがなく――」

天乃「皮肉を言いに来たのなら帰って」

「そのようなことはございません」

天乃「それで? 私の体を検査するの?」

「はい。それも用件の一つになります」

子供を産む前と産んだ後

天乃の体にある霊的な力はどのように変化したのか

大赦から奪った神樹様の種を使うか使わないかという問題もあり、

確実に見ておかなければならないことだった

天乃「大赦は私達が神樹様の種を使うことに肯定的過ぎるんじゃないの?」

「その件に関しては、三好様方にもお話させていただいております」

天乃「私に使うほうが有用だって話でしょう? それでっも、協力的過ぎるんじゃないかと言っているの」

「つまり、我々には裏があると?」

天乃「いつもそうでしょう? 貴方達は」
543 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 17:48:57.33 ID:HoTlj3f7o

仮面に阻まれて実際に表情をうかがい知ることはできないが、

それでも、図星をかすめるくらいはしたのだろう

天乃の確信を得ている視線を受けて、神官は黙り込む

満開の件を友奈たちに伝えていなかったり、

天乃に対していくつもの手を講じてきたり、

大赦はいろいろと厄介なことをしてくる

もちろん、大赦は大赦で考えあってのことだと分かっている

だからこそ、裏があると言えてしまう

天乃「私の神樹様の力を取り込ませることで何を得られるの?」

「…………」

天乃「せめて、反論するくらいはしたほうが良いと思うわ」

かたくなに答えないというのもまた

ある意味では答えだからね。と、天乃は努めて明るく言う

「……申し訳ありませんが、反論も何も我々。いえ、私にはできることはないのです」

天乃「貴方はただの中継地点ということね」

「久遠様の調査をし、検査結果を伺い報告するのが私の務めですので」


1、お祖母ちゃんは? 何か言ってない?
2、安芸先生……同じ神官の安芸さんはどうしたの?
3、なら、貴方はどう思う? 私に神樹様の力を与えることで得られる情報はどんなこと?
4、じゃぁ、他愛ない話にしましょう。貴方に恋人はいる?


↓2
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 17:51:00.96 ID:Z+cbnmsmO
3
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 17:52:09.30 ID:yqJEnn2g0
1
546 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 18:12:34.75 ID:HoTlj3f7o

天乃「お祖母ちゃんは? 何か言ってない?」

「いえ、何も伺ってはおりません」

それ以前に、この神官は祖母と会うほどのものではない

ただの報告役

天乃に誑かされようと、何の毒にも外にもならない程度の存在

春信や、瞳、見張りとした芽吹など

次から次へと天乃側についてしまうからこその対応だろう

だから、祖母の言葉は一つも聞いていないのだ

いや……

天乃「興味がない。のかしらね」

久遠家の力を継承する存在としては興味があるが

孫としての興味は抱いていない

そんな愛情も抱いてはいない

無理もない、さんざんなことをしてきたのだから

「神樹様の寿命のこともあり、大赦はあまり余裕がないのです。そのようなことはないと思います」

天乃「そう、励まされてもね」
547 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 18:24:27.28 ID:HoTlj3f7o

会ってみなければわからない

でも少なくとも、今抱くのはその疑念

確かに子供の意見ではあったが、

歴代の英霊たちが眠るあの場所でのあの言い方は

きつかったと天乃は思う

もちろん、世界を担う大赦の上層にいる人間の意見としては

間違っていたとは言えないけれど

でも、周りに大赦の人間がいないなら

少しくらい、身内としての言葉をくれてもよかったのではと思う

天乃「会わせてもらうことってできる?」

「私には、何も言うことはできません」

天乃「でしょうね。言ってみただけよ」

「…………」

無関心そうに言った天乃だったが、

その呟きにはしっかりと寂しさが込められていて

神官は少し考えて、口を開く

「私はお話を伺い、伝えるのがお役目です。久遠様のその要望もお伝えする程度なら可能ですよ」
548 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 18:43:37.27 ID:HoTlj3f7o

それが祖母まで伝わるとは言えないが

それでも、心のうちに止めておくだけなのよりはましだろう

なにより、まだ子供でありながら子供を産んだのだ

敵対しているような間柄であっても

何もないというのは、辛い

天乃「そんなこと言って平気なの? クビにならない?」

「お役目から逸脱していなければ、問題ないと思います」

天乃「そうね……」

瞳や春信は今もお役目から外されたりしていない

もっとも、瞳は主としていた天乃の送迎任務はなくなってしまったが、

今も、勇者部の送り迎えなどの対応を行っている

天乃「なら、伝えておいてくれる?」

「お任せください」

天乃「…………」

天乃は愛想笑いを浮かべる

祖母だけではない、久遠家の家族の誰も会いに来ていない

興味がないわけではないと思う。そう信じたいと思う

でも、それなら

こういう時くらいには会いに来てほしいと、思った
549 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 18:52:30.55 ID:HoTlj3f7o

√ 12月12日目 夜(病院) ※金曜日

01〜10 千景
11〜20 
21〜30 東郷
31〜40 
41〜50 樹
51〜60 
61〜70 園子
71〜80 
81〜90 友奈
91〜00 

↓1のコンマ 
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 19:29:45.33 ID:mJFiSEJxO
551 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 20:22:49.06 ID:HoTlj3f7o

√ 12月12日目 夜(病院) ※金曜日


夜になると、朝以上に人気が無くなる集中治療室

聞こえてくる馴染み深い電子音は心地よくさえ思えて

天乃はゆっくりと目を瞑る

四日間も寝ていたということもあって、

丸一日起きているというだけでも疲労感は重く

今すぐにでも、眠ることができそうなほどだった

でも、それを許すほど世界は甘くないらしい

九尾「主様」

天乃「九尾……?」

九尾「うむ。平気そうじゃな」

いつもの女性の姿で現れた九尾は、

眠そうに中途半端な天乃の瞼、覆いそうな前髪をさらりと払う

見せる微笑みは、

本当の肉親のようにも感じられる優しいものだった
552 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 21:31:25.21 ID:HoTlj3f7o

九尾「主様、一つ聞いておきたいことがあるのじゃが、良いか?」

天乃「……今じゃなければだめなの?」

九尾「ふむ……」

天乃を見れば、ゆっくりとした瞬きをしていて

だんだんと、瞼の開いている間隔が狭くなっていっているように感じる

今すぐにでも眠りたい

いや、意思に関係なく眠ってしまいそうな姿を、九尾はただじっと見つめて

九尾「もう少し頑張ることは出来ぬかや?」

天乃「貴女って……ほんとう……」

無茶を言うわね。と、天乃は小さく呟く

夏凜とも話した、赤ちゃんのことだろうか

それとも、祖母や久遠家のことだろうか

今にでも眠りに落ちそうな頭で、考える


1、お願い、明日でもいい?
2、手短にお願いできる?
3、夏凜に、話しておいてくれない?
4、やっぱり、私の母乳じゃないとダメなの?


↓2
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 21:43:06.81 ID:yqJEnn2g0
2
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 21:45:11.88 ID:lJdWTW9kO
2
555 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 22:23:44.88 ID:HoTlj3f7o

天乃「手短に……お願いできる?」

九尾「うむ、手短に済む」

疲れ切った天乃の反応に、九尾は優しく答える

そこで優しさを見せるのなら

今すぐにでも寝させて欲しいと、思いながら

九尾「主様、奉火祭のことは覚えておるかや?」

天乃「奉火祭……?」

九尾「その反応、寝ぼけているわけではあるまい?」

はっきりとしない頭で、考える

考えて、言葉を飲み込んで

何かにたどり着く前に、九尾の手が頭に触れた

九尾「力を貸すと決めた以上、妾は主様の道を阻むことはせん」

天乃「九尾……?」

九尾「手遅れになるのは好ましくあるまい」

流れ込んでくるのは、九尾の力

神樹様による干渉を打ち消してしまう力

九尾はわずかに苛立ちを感じる声で言うと、

天乃の瞼を閉じさせる

九尾「主様が目を覚ました以上、憂いは断たれた。明日より始めるぞ」

天乃「きゅ――」

流れ込んでくる力に飲み込まれて、

天乃は瞬く間もなく、意識を失った
556 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/20(日) 22:33:56.16 ID:HoTlj3f7o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



東郷「奉火祭?」

九尾「もうすでに身は投げられた」

九尾「主様が目を覚ました以上、主らが動かぬ理由はあるまいな?」

夏凜「……良く分からないけど、ただ事ではなさそうね」

九尾「いかにも。主様の願いを反故にするような状況じゃな」

九尾「じゃが、妾が主様に加担すると決めたのじゃ。そうはさせぬと知らせてやろう」
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 22:46:05.00 ID:lJdWTW9kO

次はとうとう奉火祭編に突入か
みんな無事にいてくれ…
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/20(日) 22:56:12.16 ID:mJFiSEJxO

風雲急を告げる展開だな
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 06:56:21.81 ID:zuH2pyoQO

久遠さんが起きてから一度も奉火祭に触れなかったのはこれが理由か…

夏凜ちゃんの言うエロさを自覚すべきって話に同意してる場合じゃなかった
560 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/21(月) 20:27:25.00 ID:0t78Mfl3o

では、少しだけ
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 20:29:28.66 ID:IwYegZHZO
よっしゃ
562 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/21(月) 20:40:52.14 ID:0t78Mfl3o

天乃を昏倒させた―不可抗力ではあるが―九尾は、

目を瞑った天乃をじっと見つめて、息を吐く

九尾「出産を早めおったな……」

幸いにも、体の小ささゆえの未熟さはあれど

危険な状態での出産にならなかったが、

場合によっては赤子だけでなく、天乃にも多大な悪影響があったことだろう

九尾「妾は卑しい女じゃからな。主様に苦労を掛けた分、しっかりと手を出させてもらう」

くつくつと、

電子音と小さな寝息だけが聞こえていた部屋に笑い声が溶けていく

天乃のすぐ傍に居た九尾はその笑い声が消えるよりも前に姿を消す

残された天乃は、静かに眠る

穢れと神樹様の力

二つの力に苦しめられている様子は、なかった
563 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/21(月) 20:56:04.02 ID:0t78Mfl3o

九尾「というわけじゃ、お主らにも手を加えさせてもらう」

東郷「というわけ。と、言われても……」

にわかに信じがたい話です。と、東郷は呟く

勇者部にとっては、天乃が最優先事項

その天乃の出産があったせいで他がおろそかになってしまうのも無理はなかったことだろう

だが、巫女を犠牲にする奉火祭のことを完全に忘れてしまっていると言われて、

そうだったんだ。と、頷くのは難しい

友奈「でも、九尾さんが久遠先輩のことで嘘つくとは思えないよ」

風「それには同意ね。色々やらかすけど、天乃のことに関しては本気だし」

良い意味でも悪い意味でも

だが、それはつまり最も心強い味方でもあるということでもある

姉の言葉にしなかった考えをくみ取った樹は、「そうだね」と笑みを浮かべた

樹「九尾さんがそうされたっていうなら、そうなんだと思う」

沙織「えっと、無駄を承知で言うけど、その根拠はあるかな?」

あえて。

沙織は肯定的な意見に逆らって反論を述べる

時間がないということは分かっているはずなのに、

無駄だと言いつつ否定的なことを問う沙織へと、全員の視線が集まった
564 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/21(月) 21:22:27.07 ID:0t78Mfl3o

沙織「九尾さんが久遠さんのためなら本気だって言うことには同意するよ」

それは間違いないからね。と、表情を変えずに続けながら全員を見渡す

沙織の言葉を待つみんなの口はまだ閉じたままだ

沙織「でも、九尾さんは久遠さんに対して本気なのであって、勇者部に関してはその他大勢と変わらないよ」

園子「今は、そうとは思えないんよ」

沙織「そうだね。でも、ある程度の無理難題を押し付けてくることに変わりはない」

天乃が無事でさえいるのならそれでいい

九尾の考え方は基本的にそれだけを追い求めている

勇者部がどれだけ傷つこうと、

大赦や一般人がどれだけ犠牲になろうと

その一点だけが守られていれば良しとする傾向にある

だから、信じていいのかと問いかける沙織に、夏凜が口を開く

夏凜「たとえそれが断ち切られる蜘蛛の糸であるのだとしても、私たちは登らずにはいられないわよ」

沙織「落ちたら痛いよ?」

夏凜「落ちたら落ちたでその時に考えればいいじゃない。そんなこと」

夏凜ははっきりとした拒絶を見せると、

どこか呆れたような笑みを浮かべて沙織を見つめる

夏凜「嘘でも本当でも天乃が嫌がることを見逃せないし、私達に手を出したら誰が一番不幸になると思ってんのよ?」
565 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/21(月) 21:34:57.82 ID:0t78Mfl3o

呆れるほどに。

呆れるしかないほどに、天乃が傷つくことになるだろう

それがより明確で、確実なものとなった今、

九尾が勇者部を罠にはめるようなことはあり得ない

もちろん、茨の道ではあるのだろうが。

少なくとも、天乃にとって無意味なことだけはさせないはずだ

沙織「覚悟は、出来てるんだね?」

園子「さーちゃん……もしかして」

沙織「あたしは、九尾と似たような力があるから」

だからね。と、少し申し訳なさそうに呟く

沙織「変わった事だけは分かってた。でも、久遠さんが万全じゃないと手を打てないから何も言わなかった」

それなのに。と、沙織は九尾へと目を向け、

どこか不満気に眉を顰めて、そっぽを向く

風「根拠がどうとか言ってたわよね、沙織」

沙織「うん」

風「天乃を慕ってない人が、いつまでも天乃に付いてくるわけがない。それが、根拠」

良くも悪くも天乃のためを思っている

だからこそ、今の天乃が最も好まないであろう勇者部を失うような結果にはしないという信頼がある

無理難題でも、それこそ、蜘蛛の巣の代わりにしっかりとした九つの尾を垂れてくれるだろうというほどに

友奈「奉火祭……どうなっているかわからないけど、間に合うんだよね? それなら、何とかしよう」

嘘なら嘘で何もなくてよかったと笑えるから

本当なら本当で、救えてよかったと笑えるから

友奈「笑うために、九尾さんを私は信じるよ!」
566 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/21(月) 21:49:33.10 ID:0t78Mfl3o

事の重大さを知らずに明るく言う友奈を九尾は、もの言いたげな瞳で見つめてはいたものの、

声のない笑みを浮かべるだけに止めて、息を吐く

九尾「主らを失することで主様が苦しむことなど理解しておる」

それゆえに、

本来ならばこのまま忘れさせていてもよかったのだ

けれど、天乃の望みは違う

勇者部の望みも違う

だからわざわざ、天乃の回復を待ってこうして話を持ち掛けたのだ

九尾「主様の望みを忘れたわけではあるまい?」

東郷「ええ」

九尾「なれば、迷うことはあるまい」

夏凜が言っていたように、

嘘か真かどちらにしても

天乃の望んでいない結果をもたらす可能性があるのならば、動く

九尾の問いに、全員が黙り込む

もちろん、答えられないからではなく、答える必要さえないからだ

九尾「妾が小細工を打ち消してやる。刻限は近いぞ。行動に移せ。愚かなる娘共」

煽りか、意地悪か

九尾の不敵な笑みは病室に木霊して

勇者たちを微睡へと誘っていく
567 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/21(月) 21:53:46.44 ID:0t78Mfl3o

√ 12月13日目 朝(病院) ※土曜日


13日の行動パート


1、夏凜達勇者部視点
2、久遠さん視点 


↓2

※2の場合、勇者部の命運はコンマ判定にゆだねられます
※1の場合、場合によっては難易度が跳ね上がります
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 21:56:13.09 ID:IwYegZHZO
1
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 21:57:11.31 ID:vcwcuX6n0
1
570 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/21(月) 22:11:03.80 ID:0t78Mfl3o

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


千景「いよいよね」

千景「難易度はベリーハード、エクストラ、マニアックから選べるわ」

千景「クリア特典は久遠さんとのエッチなことよ。やる?」

東郷「久遠先輩とのマニアックな性行為ができるって本当?」ガラッ

千景「貴女は耳の編集技術が高すぎると思うわ」
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 22:20:29.32 ID:IwYegZHZO

ついに勇者部の巫女救出作戦実行か
出来うる限り被害は最小限に、そして何よりも命大事に…!
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 00:39:13.24 ID:7YGe7v6a0

まあ久遠さんやれることないし無駄にストレスかかりそうだもんなあ
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 07:05:19.05 ID:cNo7dpG1O

今回の夏凜ちゃん絶対に頭良いよね
574 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/22(火) 20:30:41.22 ID:Qni/NNkDo

では、少しだけ
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 20:35:26.03 ID:FumJAgxqO
かもん
576 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/22(火) 20:52:53.39 ID:Qni/NNkDo

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(もう少しエッチなことを)
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(赤ちゃん)
・      九尾:交流有(奉火祭)
・      神樹:交流無()


12月12日目 終了時点

乃木園子との絆  94(高い)
犬吠埼風との絆  114(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  102(とても高い)
結城友奈との絆  129(かなり高い)
東郷美森との絆  133(かなり高い)
三好夏凜との絆  159(最高値)
乃木若葉との絆  104(かなり高い)
土居球子との絆  51(中々良い)
白鳥歌野との絆  49(中々良い)
藤森水都との絆  41(中々良い)
  郡千景との絆  51(中々良い)
   沙織との絆  135(かなり高い)
   九尾との絆  74(高い)
    神樹との絆   ??(低い)
577 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/22(火) 21:24:27.77 ID:Qni/NNkDo

√ 12月13日目 朝(病院) ※土曜日


友奈「…………」

勇者部の面々は、

示し合わせたわけでも、アラームをかけたわけでもないのに

全員が全く同じ時間に目を覚ました

眠っている間に浸透した九尾の力は、

奪われていた大事な記憶、救うべき人々の命を思い出させて

友奈は昂る感情をぐっと抑え込んで息を吐く

大赦がそうし向けたのか

神様による、厚意なのか

いずれにしても、怒って変えられることなんてないからだ

友奈「奉火祭……止めないと」

東郷「止めるというよりは、終わらせる。になりそう」

沙織や九尾から伝えられた情報が事実なら、

すでに奉火祭は行われていて、

巫女の命も刻一刻と削られて行っていることだろう

止めるんなんて生易しいことではない

完全に、ぶち壊しにする必要がある

そしてそれは、天の神に対しての強い反逆にもなる
578 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/22(火) 21:46:10.83 ID:Qni/NNkDo

夏凜「壁の方までは瞳が車で連れて行ってくれるって」

風「理由話したの?」

夏凜「いや……何が起こってるかわからないだろうし」

瞳と連絡を取った夏凜は、

何が起きているのかは言わなかったが、

奉火祭というキーワードだけは使った

だが、それに対する反応は無知そのもので、

瞳が何も知らない状態なのは明白だった

九尾は瞳に対しての力を使うことはできると言っていたが、

勇者と違って一般人に等しいうえに、一応は大赦に勤務しているのだ

協力をしてくれるのなら無理に伝える必要はないというのが夏凜の考えだった

もちろん、場合によっては協力するからこそ真相を伝えるべきだとも思うが。

樹「それなら、ここから勇者の力で頑張らなくてもいいんですね」

九尾「別に、妾が連れて行ってやってもよいがな」

園子「九尾さんが協力的だと……やっぱりちょっと怖いんよ〜」

ニコニコと。

冗談ぽく言った園子は「天さんをお願い」と、言う

園子「私たちは全員で行かないといけないと思う。きっと、外は大変な状況だから」
579 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/22(火) 22:03:58.56 ID:Qni/NNkDo

可能なら、若葉達精霊は温存として置いていきたいが、

奉火祭を壊しに行く勇者部はきっと盛大な歓迎をされることだろう

それが分かっていて温存できるほど、今の勇者部に余力はなかった

前のように不死に等しい力があるならば別だが、

それはもう、失われた過去の話

今の勇者は守ってもらえるのにも限りがある

けがを負うようなことはできる限り避けたい

だから、一応は非戦闘員としての立場にある九尾には残ってもらうのだ

もちろん、沙織にも

風「さて、と……それじゃ行きますか」

樹「久遠先輩には何も言わなくてもいいの?」

沙織「アタシが言うのもあれだけどまだお休み中だからね……仕方がないよ」

東郷「起きるのを待って遅れたなんて、口が裂けても言えませんし」

園子「帰ってきたらただいまって言えばいいんよ。ちゃんと、笑顔で」

神罰、神の祟り

それがあると分かっている今、それがどれだけ難しいことかという自覚はある

それでも、みんなが無事ならば言えるから

だから今は、自分たちの欲求よりもすべきことを優先する
580 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/22(火) 22:23:21.99 ID:Qni/NNkDo

九尾「ふむ……行くならばこれを連れていくがよい」

夏凜「これ……?」

九尾の手は何かを持っているような形をしているが、

夏凜の目にも、誰の目にもそこには何もない

だが、何かがあるような感じがすると園子は呟く

園子「なに?」

九尾「火明命という主様に仕える精霊の一体じゃ」

友奈「火明命……?」

聞きなじみのない言葉に友奈は府議そうな顔をしたが、

九尾の言い方からして察したのだろう

東郷は「天の神側のですか?」と、口を開いた

九尾「いかにも。天の神……その上位とされている神と同種の力を備えた精霊。主らを確実に導いてくれるはずじゃ」

姿は見えない

でも、確かに感じる力を、夏凜はその手で受け取る

夏凜「頼むわよ。天乃のために」

そして、勇者部は病院を発つ

天乃の望みのため、救われるべき命を救うために
581 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/22(火) 22:24:23.28 ID:Qni/NNkDo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


火明命ようやくの出番
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 22:32:40.52 ID:FumJAgxqO

火明命、実は前作からいたけど中々活躍の場がなかったもんなw
その切り札的な力でみんなを守ってやってくれ…!
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 23:16:17.55 ID:OxUV/ELIO

そういや沙織と若葉ってどうすんだろ
留守番?
584 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/23(水) 21:05:06.29 ID:W+GzUTfFo

では、少しだけ
585 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/23(水) 21:08:45.98 ID:W+GzUTfFo

今回の樹海難易度

最低1 最大0(10)

コンマ判定↓1

※デフォルトで+3
※ぞろ目ならデフォルト±0
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 21:10:09.62 ID:3BJo7Xn3O
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 21:10:17.31 ID:R+NLtyLbO
たのむぞ
588 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/23(水) 21:43:36.22 ID:W+GzUTfFo

世界を囲う壁の外

煉獄に包まれた世界は吸い込む空気でさえ、

肺を焼き尽くすのではないかと恐ろしくなるほどの暑さだった

漂う無数の星屑たちと、ひと際大きなバーテックスの成り損ない

風化し、崩れ去っていく風貌の亡骸は敵意を感じさせることはないが

その不気味な威圧感は勇者部の皆に息を飲ませる

夏凜「……火明命?」

そんな中、九尾から手渡された力の流れを感じた夏凜が導かれるように顔を上げる

足の踏み場などないかのように燃え盛る獄炎

そのところどころから延びる火柱の終着点に、夏凜の視線は留まった

園子「あれは……なんだろう?」

東郷「率直に言うなら黒い穴ね……」

園子の疑問と、東郷の呟き

見たことのない光景に、さすがの二人もそれ以上のことは言えないのだろう

観察するように眉を顰めたものの、言葉は続かなかった

樹「沙織さん達なら、わかったのかな」

風「九尾くらいは連れてくるべきだったかもね」
589 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/23(水) 22:20:57.53 ID:W+GzUTfFo

若葉「いや、むしろ連れてこなくてよかったというべきだな」

千景「活路は私達で切り開くわ。勇者部は全力で向かいなさい」

先駆けとして、殿として

勇者部が巫女を取り戻いに行くための礎となることを決めた天乃の精霊である若葉達

その中の一人、球子は自分の武器を手に、悩まし気な表情を浮かべる

球子「本当に良いのか?」

夏凜「なにが?」

球子「帰理のことだ。行きはタマのこれを本気で使えば送り出せる。でも、帰りは……」

園子「えへへ〜たまっちは心配してくれてるんだねぇ」

でも、大丈夫だよ〜と、園子は笑う

巫女を連れて帰ること前提の園子たちは当然ながら―連れていなくてもだが―歩いて帰ってくるなんてことは不可能だ

そのため、向かうために球子の力を借りて力を温存し、

帰りは園子の満開を用いて帰ってくるというのが今回の取り決めだった

だが、満開を使えば園子を守ってくれる力は失われてしまう

それ以降は、本当の意味で命がけの戦いになってしまう

だからこそ、球子は確認をしてくれたのだ

樹「園子さんは私たちの命を守るために力を使ってくれる。そのために消費した力の分……ううん、それ以上に私たちが頑張りますから」

友奈「勇者部五箇条ひとーつ!」

風「なせば大抵ーっ!」

園子「なんとかなーるっ!」

心配と、不安

打ち消すような高らかな声が、地獄に木霊した
590 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/23(水) 22:22:29.13 ID:W+GzUTfFo

では、短いですがここまでとさせていただきます
明日は所用でお休みとなりますが
可能であれば、本日作成予定だったマップを展開します
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 22:34:09.07 ID:R+NLtyLbO

原作に比べれば支援に恵まれてるし難易度もある程度は抑えられて今のところは大分ツイてるかもな
あとは生きて帰ってくることだ…頑張れ勇者部
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/23(水) 22:48:04.59 ID:XaoKvSn7O

幸先はいいな
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/25(金) 21:46:32.58 ID:C5ac0rLXO
マダカナー
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 07:11:21.21 ID:x/HaYUjBO
昨日も休みだったか
595 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/26(土) 21:01:15.33 ID:BSitUnUzo

すみません
昨日は所用でお休みとなりましたが、本日は少しだけ進めていきます
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 21:02:23.38 ID:u5QEXfngO
待ってたぞー
597 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/26(土) 21:06:59.75 ID:BSitUnUzo

戦闘用
初期値
結界外マップ:https://i.imgur.com/ayOQxSJ.png
598 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/26(土) 22:08:32.52 ID:BSitUnUzo

球子「分かった……それなら仕方がないな」

ここまで来たのだから

止めることなんて無駄だと分かってはいたけれど

確かめる必要なんてないと明白だったけれど

球子は改めて覚悟を聞き、強く頷く

球子「だったら、後はもう……頑張れ」

命の大切さを知っていて、

守ることの難しさを知っている

それでも、たった一人の少女のために尽くそうとする意志

その礎となれるのなら、

過去の挫折も、今ここにいることにも

きっと意味があったのだろう

千景「……土居さん、私たちがここで終わる理由にはならないことを忘れないで」

球子「っ」

千景「雇い主の願いだから。守ってあげるわ」

園子「……家に帰るまでが遠足。それを忘れたらダメなんよ」

球子「分かってる」

球子はもう一度頷くと、旋刃盤を振り上げる

球子「こい――輪入道!」

急激に巨大化した武器は周囲にいた星屑を容易く屠った
599 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/26(土) 22:29:10.60 ID:BSitUnUzo

球子「乗れ!」

東郷「お願いします」

友奈「タマちゃん、若葉さん達も、みんなも無理はしないでね」

歌野「ノープロブレムよ、結城さん」

大物もいるには居るが、数は少ない

殆どが何度も戦い、因縁もある今では星屑と呼ばれる小物たち

数が多いのは脅威だが、

歌野達だって一人ではないのだ

そしてなにより、神樹様ではない強い力を借り受けている

慢心はしないが、恐れもしない

樹「行ってきます」

千景「行くならさっさと行きなさい。土居さんの開いた活路が無駄になる前に」

球子「いっくぞーっ!」

巨大な旋刃盤を手にした球子は、

その大きさと小柄さに釣り合わない勢いで旋刃盤を放り投げる

樹たちの驚きは置き去りにされて消えていく

群がる星屑をものともせずにただ突き進んでいく己の武器を眺める球子は、

満足そうに笑う

球子「……頑張れ」
600 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/26(土) 22:52:32.14 ID:BSitUnUzo

若葉「さて……どれくらい頑張れる?」

球子「無論、死ぬまで。だな」

千景「死ねないものね」

くすっと笑いながらつぶやいた千景は、

自分の鎌をくるりと回して臨戦体制へと移行する

歌野は自信たっぷりに言っていたけれど、

今と昔では敵の強さだって変わっている

何より、自分たちが強くなっていたとしても、人数的には西暦よりも少ない

もちろん、歌野からしてみれば充実しすぎていると言えるほどなのだろうが。

千景「……白鳥さんは、尊敬に値するわね」

歌野「ホワイ? なぜ今?」

千景「今、そう思ったからよ。他意はないわ」

当然、フラグを立てるつもりもない

若葉「千景! 楽しく話すなら帰ってからだ――来るぞ!」

巫女の救出へと向かった勇者部

そして活路を開き、守らなければならない西暦の勇者たち

それぞれの戦いが始まるのだった
601 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/26(土) 23:18:00.11 ID:BSitUnUzo

では、短いですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から

勇者部パートに移行
戦闘はオート、勇者部パート終了後に判定
残存敵勢力を全滅するか無視するかは選択
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 23:40:00.00 ID:u5QEXfngO

みんながいれば負ける気がしないな
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 00:17:15.66 ID:MvB9UHhj0

ここまでは順調
604 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/27(日) 22:05:17.58 ID:fjKH5m4so

では少しだけ
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/27(日) 22:31:48.89 ID:bECBIhhbO
来てたか
606 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/27(日) 22:37:35.86 ID:fjKH5m4so

勇者部のみんなが入り込んだ黒い穴

所謂ブラックホールの行きつく先は、暗くも明るい不思議な世界だった

風「これ……」

明るく見える粒子のようなものは液体で

液体なのに、水ではない

犠牲になろうとしている巫女たちの記憶らしき断片のようだと、園子は呟く

樹「私たちの中から記憶が消えたのは、これが原因なんでしょうか?」

東郷「記憶と存在の概念を結合し、記憶を抽出することでそもそもの存在を認知させなくした……と?」

風「理屈は良く分かんないけど、あんまり長居するべきじゃないってことだけは分かるわね」

東郷「…………」

ここにある記憶達は、もしかしたら自分のものだったかもしれない

選択肢の一つとして存在していたことを考え、表情を暗くしてしまう東郷の方を、友奈が軽くつかむ

友奈「大丈夫だよ。東郷さん」

東郷「友奈ちゃん……」

園子「そうだよ〜わっし〜」

東郷「そのっちも……」
607 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/27(日) 22:58:10.98 ID:fjKH5m4so

友奈と園子

二人とも自分の考えに気付いてるというわけではないかもしれない

けれど、その言葉は確かに東郷を勇気づけてくれるものだった

東郷「そうね、ええ……そうだわ」

自分は何をしにここに来たのか

滅入ってしまいそうな考えを振り払い

持ち込んだ強い意志を再燃させて瞳に力強さを取り戻す

東郷「ごめんね、弱気になって。行こう」

友奈「うんっ」

夏凜「……火明命の力が強くなっていってるわ」

樹「何か変わっているようには、見えないですけど……」

でも、夏凜さんには感じられるんですね。と、樹は続ける

天乃の力に最も近い夏凜だからこその感覚

それを信じない理由はなかった

夏凜「こっから先がやばそうね……みんな、気を引き締めなさいよ」

風「ん……って、そういうのは部長のあたしが――」

園子「早い者勝ちなんよ〜」

気を引き締めて。

でも、極端にはならずにいつも通りの調子で

勇者部は先へと進んでいく
608 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/27(日) 23:24:59.21 ID:fjKH5m4so

進んでいった先は、先ほどまで居た空間よりも神聖さに満ち満ちていて

その分の禍々しい独特の雰囲気が感じられて。

夏凜「!」

園子「わっわわわっ! 私が飛んでいく〜っ!」

幽体離脱のような現象が全員に起こっていた

火明命の力による庇護下にあっても

その制約を完全に免れるということはできないらしい

夏凜「……そもそも、導くだけだったはずだしね」

孤立する体は霊体となった夏凜達へと細い糸でつながっており、

断ち切られてしまえば永遠に戻れなくなる可能性がある

夏凜「……時間はない。か」

少しずつだが、霊体の一部にはもうすでに危うげな浸食が始まってきており、

先ほどの空間で守られていた部分が影響を受け始めているのだと感じた夏凜は、

同じく、自分の体に置き始めている異変に目を見開く樹達へと声をかけた

夏凜「時間がないわ。幸い、すぐそこで儀式が行われてるみたいだから、ささっと回収して逃げましょ」
609 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/27(日) 23:35:39.12 ID:fjKH5m4so

自分たちに対する影響にばかり目がいっていたが、

奉火祭が行われている現場は今まさに目の前にあった

円盤型の、不可思議な何かにとらわれている六人の巫女

その背後では恐らく霊体の方なのだろう

真っ赤に燃え盛る炎によって、燃やされてしまっている

儀式……生贄

まさしく人柱と呼ぶにふさわしい惨状を前にして

怖気づく者はこの場には居なかった

樹「目の目にいる巫女さんを連れ帰りましょう!」

風「そうと決まれば一気に行くわよ!」

東郷「確実に天の神による干渉はあるはずですが……久遠先輩とエッチなことができると思えば、無問題です」

園子「変わらないね〜」

友奈「それが東郷さんのいいところでもあると思う」

場の空気、事の重大さ

それらを払拭するような明るさで、友奈たちは最大級の反逆を開始する

人類の存亡をかけた奉火祭という願いを挫き、

天の神へと捧げられるはずだった供物を奪い取る

夏凜「……せーのッ!」

みんなが並び、そして……囚われた巫女の体を掴んだ
610 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/27(日) 23:50:39.22 ID:fjKH5m4so

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日は所用でお休みとさせていただきます

再開は明後日、できれば通常時間から
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 00:30:41.03 ID:C9EDLBf50

さてどうなるか
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 00:41:48.44 ID:VSoAgT2zO
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 17:56:45.24 ID:CV5qeFFlO
そういやプリキュアの出産がガチだったけど久遠さんもガチで同じピンク髪だしタイムリーだったわ
あり得ないけどスタッフおるん?って思ってしまった
614 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/29(火) 21:35:12.30 ID:Jmgh7a44o

では少しだけ
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 21:43:00.76 ID:bsjjLwvNO
かもーん
616 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/29(火) 22:14:24.21 ID:Jmgh7a44o

夏凜「ッ!」

円盤型のそれに触れた瞬間、凶悪な何かが流れ込んでくるのを感じた

天乃から請け負った穢れ

それと似て非なる毒々しささえ感じる異様な感覚

触れ続ければ確実に害を及ぼすと本能が感じ取り、身を引きそうになる

けれど、夏凜は強く歯噛みして巫女の体を掴む

放すまで放さない

敵対心をむき出しにしての強引な力に対抗するかのように、

霊体となった体を冒す穢れ……神の祟りは凶悪さを増していく

締め付けられるような痛み

吐き気を催す息苦しさ

それでも夏凜達はその手を休めることはない

傷つくことも、苦しむことも

これからとても大変な目に合うことなど承知の上なのだ

自分の体が穢れに冒され、神罰ともいう祟りに見舞われることも覚悟の上なのだ

自分の体に刻まれていく刻印など、気にすることない

風「こぉぉんのぉぉぉぉーっ!」

少し離れたところで聞こえる風の雄たけび

引かれるようにこもった力で夏凜達は勢いよく……囚われていた巫女を引きずり出した
617 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/29(火) 22:42:19.71 ID:Jmgh7a44o

友奈「っ……」

霊体であるせいか刻印による影響を強く受ける友奈は、

巫女の少女を抱え上げようとして、よろめく

浮遊している状態でなければ昏倒してしまうような不安定な感覚

目を強く瞑って、深呼吸

それでも治らない不快感を飲み込み、体に力を籠める

友奈「っは……はぁ……」

樹「友奈さん……大丈夫ですか?」

友奈「うん……大丈夫っ」

樹の心配そうな声に、友奈は笑みを浮かべる

大変なのは自分だけではない

目の前にいる樹も隣にいる東郷も

夏凜達だってみんなの胸に同じ刻印が刻まれている

痛みと苦しみは……皆同じだ

園子「はぁ……はふぅ〜」

その中でもひときわつらそうな息を吐く園子は、夏凜の方を見つめる

特段、影響を受けているようなそぶりは見えなかった
618 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/29(火) 22:50:23.70 ID:Jmgh7a44o

園子「にぼっしーは、平気?」

夏凜「ん……いや、平気ってわけじゃないけど」

天乃……いや、300年前の陽乃による影響か

思っていたよりは、症状が軽かったのだ

もちろん、その陽乃による加護も永久ではないだろうし

それが失われれば、どれほどか分かったものではない

夏凜「久遠家様様って感じだわほんと」

茶化すように言って、痛む胸に手を当てる

夏凜「とにかく、急いで連れ帰るわよ」

風「そうね……若葉達も心配だし」

東郷「そのっち、本当に良いの?」

園子「うん。ずっと寝てたからね〜その分張り切っていくよ」

東郷の満開でも、移動手段として機能する

それでも園子は自分の力を使いたいと、願い出る

勇者部に殆ど任せてしまったのだから、少し申し訳は貢献したいと

夏凜「霊体が影響を受け始めている以上長居も無駄話もしてられない……まずは体を取り戻してから全速力で撤退」

頼むわよ園子

そう言って信頼をぶつける夏凜に、園子は満面の笑みで頷いた
619 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/29(火) 22:51:56.89 ID:Jmgh7a44o

若葉たちの戦況判定 ↓1


最低 1  最高0

※ぞろ目ならボーナス
※0に近いほど、状況は良
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 23:05:03.53 ID:iMu44H/jO
621 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/29(火) 23:10:44.55 ID:Jmgh7a44o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

戦況は少し悪い
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 23:23:22.48 ID:yhtOXYmcO

頑張れ精霊組
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/29(火) 23:31:23.19 ID:bsjjLwvNO

あとは撤収するだけだな
624 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/30(水) 21:43:21.55 ID:kg48ztdyo

では、少しだけ
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 21:44:33.86 ID:h53tc1c6O
いえす
626 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/30(水) 22:21:13.73 ID:kg48ztdyo

夏凜達救出組がまだ別の世界から戻ってきていない一方で、

天の神の力に満ち満ちた世界に残った若葉達とバーテックスの戦いはかなり厳しい状況だった

天乃がいない以上、力の一時的な消失による休息なんて言うことは不可能だ

ゆえに、全力での戦闘における持久力は非常に心もとない

それに対してのバーテックスは無尽蔵

名の通り星の数ほど湧き出す星屑と、集合体であるバーテックス

終わりがあるとも知れない戦いは、若葉たちの体だけでなく精神的にも疲弊させていく

若葉「……くっ」

軽く躱すことのできた攻撃が避けきれない

防ぎきれた衝撃に体がよろめく

精霊であっても消耗すれば人間のように衰えていく

若葉「夏凜達は……まだか」

千景「向こうがどうなっているのか分からないけれど……場合によっては私達以上に大変な可能性もあるわ」

いえ……大変ね、と

千景は自分の言葉を訂正して呟く
627 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/30(水) 22:42:12.20 ID:kg48ztdyo

千景「戦闘力のない巫女を連れてくるのだから、道中の厳しさは防衛するだけの私達より厳しいはずだわ」

若葉「……分かっている」

分かってるさ、千景

若葉は大きく息を吐き、傷ついた体に力を込めて真っ直ぐ立つ

激しい嫌悪感に襲われそうなぶよぶよと太った丸い塊の蠢き

それを一度視界から消し去って、千景を見る

若葉「弱音を吐くなと言いたいんだろう?」

千景「別に、貴女が人に踏まれて散るような【雑草】なら構――」

歌野「ノーット! 郡さんそれは違うわ!」

クスリと笑う千景に対して反応したのは、

若葉ではなく、歌野だっただ

まさかの横やりに身を引く千景に、歌野は余計に詰め寄る

歌野「ウィードこそ根性ある……というより粘り強いわ! 抜いても抜いても生えてくる!」

千景「っ」

歌野「だからこそ、良い意味で使うべき。雑草がただの邪魔な草みたいな考えはノット! OK!?」

千景「お、オーケーよ……分かったわ」

歌野「でも、邪魔なのは事実なのよねぇ」

千景「……どっちなのよ」
628 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/30(水) 22:52:36.40 ID:kg48ztdyo

球子「悠長に話してる時間はないぞっ!」

若葉「っ……流石に勇者部のようにはいかないか」

千景「あの子たちだって、十分頑張っていてこそだもの」

西暦時代に比べれば、恵まれている部分も多かったことだろう

だがその分の苦労はあった

苦難はあった

それを乗り越えるために力をつけてきたのだ

戦いの合間の気を確かめるような声の掛け合いは、

それがあってこそのものだ

千景「……だからこそ、羨ましく思う」

自分が、愚かだったのだと強く思う

西暦時代、今のような考え方ができていたのなら

きっと、あの時大切だったものは守ることができたはずだからだ

しかし、その後悔は取り消せない

でもだからこそ、今一度その後悔の念に囚われないために

千景はここで、力をふるうのだ
629 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/30(水) 22:53:37.18 ID:kg48ztdyo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


夏凜達の帰還と、マップの修正
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/30(水) 23:13:01.57 ID:h53tc1c6O

西暦組も頑張れ…!
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/31(木) 02:12:44.95 ID:17wYPSPgO

早く帰ろう
632 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/01/31(木) 22:04:30.69 ID:SY3Tqx20o

すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
明日、出来れば通常時間から

一応、戦闘中のMAPだけは出しておきます

→【https://i.imgur.com/T0Xy9UG.png】
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/31(木) 22:10:48.76 ID:jZQ+xQWpO
634 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/01(金) 22:53:41.24 ID:ENC9oRzao

では少しだけ
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/01(金) 23:21:23.74 ID:63VAkNi5O
あいよ
636 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/01(金) 23:44:07.72 ID:ENC9oRzao

若葉「全員固まれ! 各個撃破だけはされるなよ!」

千景「乃木さんが一番突っ走りやすいのだから、貴女さえ一緒なら大丈夫よ」

若葉「良く言ってくれる……っ」

トンッ……と、背中がぶつかる

かつて合わせ、対立した仲間の頼もしい感覚に

若葉は場の緊張感と絶望感にそぐわない明るい声で答える

その昔、ひなたと目の当たりにしたこの光景は絶望的で

対抗しようという気力が根こそぎ奪われるような思いだった

けれど今は違う

絶望的であっても絶体絶命ではない

戦うための力はここにある

戦う理由はここにある

だから、若葉は諦めることはない

若葉「天乃に比べればましだろう?」

球子「どっちもどっちだな。特に、最初の頃の若葉だったら若葉がアウトだな」

若葉「ぐっ」

千景「先陣を切っていくあの危なっかしさ。今の私から見ても、あれはないわね」

若葉「今精神に攻撃しないでくれっ!」
637 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/02(土) 00:39:02.17 ID:/PXjAtcXo

戦闘中にもかかわらず、

茶目っ気のある会話を繰り広げる若葉達は、

群がりつつある星屑たちの動きが一瞬、止まったのを感じ取った

歌野「……わっと?」

千景「ほんの一瞬、鈍った?」

若葉「私達よりも優先すべき何かがあった。ということだろうな」

近づきつつある一団

その一部が唐突に方向転換を試みるのを視界の端に捉えた若葉は、

確信をもって、笑みを浮かべる

若葉「……ここからが本番だ」

行けるか? と、若葉は問う

千景「ええ、問題ないわ」

歌野「巫女さんがいるなら一般人を護衛しながらになるわ。戻ってきた勇者部のみんなもどれくらい傷ついているか……」

でも、やるしかない

頑張るしかない

生き延びるのだと、歌野は武器を握る手に力を籠める

園子「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

それとほとんど同時に、園子の全力の叫びが……何かへと繋がる空間から飛び出してきた
638 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/02(土) 00:43:31.47 ID:/PXjAtcXo

短いですが、時間も時間なのでここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


可能なら、明日で戦闘区域からの離脱
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 00:52:08.10 ID:4DxCYAQnO

これはもう余計な戦闘しない限り勝ち確定か
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 01:08:12.72 ID:1oqKnfrO0

まあ戦力は結構なもんだし作戦も練ったからな
641 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/02(土) 20:31:48.78 ID:/PXjAtcXo

では少しずつ
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 21:12:31.33 ID:dKjsJwWjO
きてたー
643 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/02(土) 21:29:09.92 ID:/PXjAtcXo

夏凜「樹、踏ん張りなさい!」

樹「だい―――じょうぶっ!」

園子の満開は乗り込むことのできる形にはなっているが、

勇者部6人に加え、6人の巫女というのは当然ながら手狭だった

さらに、巫女の意識は戻っておらず踏ん張りも聞かない

夏凜達もそれぞれ巫女を支えようとしてはいるが、

加わる無意識な少女の重みは辛い

それを補うための、樹の力

張り巡らされたテント上の緑色の光が、浮き上がるみんなの足を引き、抑える

風「バーテックスの数は……園子、このままいける!?」

園子「ちょっと難しいかも」

飛び出した瞬間から群がる星屑

視界を埋め尽くすほどの数に園子は無理を言わずに答える

無茶はするが、慢心はしない

ここで強気に出て折れるのは致命的だからだ
644 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/02(土) 22:15:13.30 ID:/PXjAtcXo

東郷「私の迎撃にも限界があります……満開を使えば手は足りますが」

行くべきか、どうか

思案する間にも、時間は流れる

迫る星屑の勢いと数は増し、

突破する難易度も引き上げられていく

若葉たちの力はすぐそこに感じるのに

神樹様の輝きはすぐそばに見えているのに

とても遠い場所のように思えてくる

風「園子、星屑を何とかできれば行ける?」

園子「うん、いける……けど」

風「だったら……ここは、あたしが矛になるッ!」

風は躊躇なく、自分の大きな剣を握る

風の満開は、巨大化するだけであり

東郷や夏凜達と比べれば地味なものだと言えるだろう

だが、それゆえに盾となり、矛となる

園子の満開によって出現した船の全速力に矛が備われば突破できることは確実だ

だが、風を守る精霊の力はなくなってしまう……


1、風の満開で突破する
2、戦闘を行いつつ突破する
3、東郷の満開で突破する

↓2
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 22:31:07.19 ID:dKjsJwWjO
1
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 22:35:31.90 ID:Okt+F9FqO
3
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 22:35:35.82 ID:iWQtwWOP0
3
648 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/02(土) 23:20:23.97 ID:/PXjAtcXo

東郷「待ってください!」

風「東郷?」

東郷「満開は、私が担当します」

友奈「東郷さんっ!?」

東郷「………私が、担当します」

東郷が満開をすることによって、移動要塞が増える

一部の巫女と勇者をそちら側に移すことで、

手狭だった空間が広くなり、対策が取りやすくなる

なにより東郷の砲台は無数にいる星屑に対しては非常にいい手だ

だが……と

風は少しだけ渋る様子を見せ、唇をかむ

それは言う意味のない言葉だと、飲み込んだ

風「分かった。考え込んでる時間はない……東郷、いけるわね?」

東郷「もちろんです。風先輩」

東郷は風のことばに頷き、胸元の勇者のマークに手を宛がう
649 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/02(土) 23:31:59.91 ID:/PXjAtcXo

風の力は言葉通り切り開くための力

今こそ輝けるときかもしれない

しかし、ここで戦いは終わりではない

まだ、続く

その時に道を切り開くことのできる力は重要だ

みんなを守ることのできる力が必要だ

だから、風にはやらせない

東郷「行きます――満開ッ!」

東郷の力強い声に呼応して集う光は船……否、戦艦を形作る

複数の砲台を持ち、

浮遊する迎撃兵装をも兼ね備えた移動要塞

多勢に無勢を覆す、東郷の力

東郷「全砲門前へッ!」

東郷「うちーかたはじめーッ!」

そのすべてが、目の前に広がる障害を一掃する
650 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/02(土) 23:38:13.54 ID:/PXjAtcXo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から


予定:明日で戦闘終了、久遠さんとの交流
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 23:40:51.15 ID:dKjsJwWjO

わっしーとそのっち大活躍の巻
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/02(土) 23:48:49.04 ID:1oqKnfrO0

無事で終わってくれ
653 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/03(日) 20:58:45.09 ID:ASwTcfN9o

遅くなりましたが、少しだけ
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 21:12:11.61 ID:mP/0/OetO
あいよー
655 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/03(日) 21:39:56.99 ID:ASwTcfN9o

若葉「満開か……ッ!」

千景「乃木さんッ!」

若葉「くっ」

園子が満開を使うことは確定事項だったが

それ以外……東郷の満開は想定外だった

使わせてしまったことに歯噛みする若葉への怒号

為すべきことは何か。という千景の視線に、若葉は奥歯を噛みしめて、頷く

満開を使用させたことを悔いるのはいまではない

今はただ、これ以上の満開をさせないこと

満開を使わせることになった勇者の身を守るべきだと、刀を握る

若葉「ここから先は全力で行くぞ――来いッ大天狗ッ!」

千景「行くわよ……伊邪那美!」

歌野「フルパワーなら私も久遠さんから頂いたものがある――フォローミー! 稲荷ッ!」

球子「タマはもう使ったからな……任せるぞ」

耐え忍び、道を確保することから、

全員が抜けていくまでの時間稼ぎを行うだけに戦いがシフトしたのと同時に

若葉達がそれぞれの力を最大限に開放する

元から満開としての強力な精霊を備えていた若葉はもちろん、

天乃との契約時に引き継いだ神の力を使うことのできる千景たちのそれはまさしく、一騎当千の代物だった
656 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/03(日) 22:21:48.15 ID:ASwTcfN9o

死神……伊邪那美の力を受け継いだ千景の武器は、

通常時にも神樹様や勇者、バーテックスを容易に屠ることのできる力を宿している

その瘴気を身にまとう千景は勇者ではなく、死神だった

味方である若葉も、球子も近づくことの許されないような風貌

その横に、歌野が並ぶ

千景「!」

歌野「せめて、タッグを組むわよ。郡さん」

千景「白鳥さん……平気なの?」

歌野「確実にパワーが削られていくのは感じる。でも、ノープロブレムよ!」

ブイッと笑顔を見せる歌野が纏うのは、稲荷神

農業の神たる稲荷から授かる力は繁栄

そして、再生の力

千景の力に拮抗する唯一の力

だからこそ、並ぶ、背中を守る

歌野「一人には、させないわ」

千景「……無理はしないで」

私はもう、一人だなんて思っていないから。と

千景は笑みを浮かべて、大鎌を振るう

千景「1000を産むのなら――1001を屠るッ!
657 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/03(日) 22:35:47.05 ID:ASwTcfN9o

夏凜「東郷! 一定距離まで近づかれた奴らは放置で良いわ! 私たちが対応する!」

東郷「了解!」

友奈「樹ちゃんは支えることに集中して!」

樹「はい!」

風「夏凜は東郷! 友奈は樹、あたしが園子の援護! 行けるわね!?」

武器を持っている夏凜と風が船を動かす東郷と園子を援護し、

樹が巫女を含めたみんなの揺れ動く体を補佐し、

武器のない友奈が最後の砦として中央で樹を守る

逃れることを許さない激流の中を突き進んでいく勇者部

その正面で大爆発が起こる

それは、天乃の力

天乃の力としてここにいる、精霊の力

爆発的に強まった精霊の力が激流とぶつかり合って、押しとどめる

対抗力が弱まった隙に、

園子と東郷の船が速力を上げて――

夏凜「全員衝撃に備えなさい! 後ろで爆破するッ!」

夏凜の武器である日本刀

その爆発の推進力を得た東郷の船は園子の船を押し出すようにして――穏やかな空間へと飛び出した
658 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/03(日) 22:56:46.13 ID:ASwTcfN9o

園子「わぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

若葉「そのまま突っ込んで来い――歌野ッ!」

歌野「オーケーッ! 任せなさい!」

神樹様の作る結界

その樹海と同質の足場に手を触れた歌野は、

稲荷の力を最大限に送り込んで、活性化させていく

押し込まれ、固められたような姿だった根は蠢き、

焼き尽くす獄炎をものともせずに成長し、重なり、連なり、

一本の樹木となって、園子たちの船が辿る道となる

球子「殿は任せろ! そのまま結界の中にいっちゃえーッ!」

東郷「了解! 総員対衝撃体勢! 結界の中まで速力維持! 突撃します!」

園子「いっくぜぇ! 口を開くんじゃねぇ〜舌を噛んじまうぞ〜っ!」

真剣な東郷の掛け声と、茶目っ気交じりの園子の声

二人の声を待っていたかのように、

船は急激に加速し、結界の中へと真っ直ぐ突っ込んでいく

出た先が海で無ければ多大な被害をもたらしていそうな勢い

それを見送り、西暦の勇者たちは嘆息する

勇者部は巫女を連れて撤退した

それでも深追いする理由はあるが、意味はない

若葉「我々も撤退だ!」

若葉の指示に各自が頷き、天の神の怒りを残して――戦いは幕を下ろした
659 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/03(日) 23:07:53.36 ID:ASwTcfN9o

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

東郷が満開を使ったことで戦闘省略
被害は微量
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 23:12:27.35 ID:mP/0/OetO

満開消費が今後どう響いて来るかだな…
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/03(日) 23:53:18.01 ID:+Nyz8gqH0

よかったよかった
662 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/05(火) 06:29:10.62 ID:9LJ5Dfmro

√ 12月13日目 夕(病院) ※土曜日


巫女を救い出した夏凜達は、

満開を使った東郷と園子を除いて軽い検査を終え、病室へと戻ってきていた

夕方ということもあって、起きてた天乃は戻ってきてくれたことを喜びつつも

少し、悲しげな表情を浮かべていた

天乃「二人も満開を使ったの……?」

夏凜「そう。まぁ、精霊を含めれば倍増するけど」

力を消費をすることにはなるが、

時間が経てば回復する若葉達は例外だろう

夏凜「出来れば、園子だけで済ませるはずだったんだけどね」

それでも、精霊による加護を失ってしまう満開を使わせてしまうため、

天乃としては、あまりいいことではないだろうけど。と、

夏凜は内に止めたその考えを飲み込み、小さく息を吐く

流石に、多勢に無勢すぎたのだ

行く先が厳しすぎたのだ

もちろん、甘く考えていたわけではないし、

厳しい戦い、状況になることは承知の上での行動だった

それでも、警戒が足りなかった

警戒していれば対策が練られたかと言われても、反応に困るほどに。

天乃「……二人は?」

夏凜「検査中」

風「意識はあるし、怪我もちょっとしたことなんだけどね。満開を使ったからって」
663 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/05(火) 06:36:48.89 ID:9LJ5Dfmro

天乃「でも、大したことはないのよね? すぐに戻ってこられるのよね?」

樹「それは、大丈夫ですよ」

必ず戻ってこられます。と、

樹は優しい笑みを携えながら、答える

樹達よりも少し精密な検査を行っているだけだ

夜までには戻ってくるか

一日……半日間つきっきりで何らかの影響が出ないかを検査するのだとしても

明日の朝にでも戻ってくることだろう

夏凜「……黙って出て行って悪かったわ」

天乃「本当よ……ほんと、私……」

夏凜「ごめん」

俯く天乃の体をぐっと引き寄せて、夏凜が抱く

頭を撫でるように抱え込み

髪を乱さないように優しく擦る

沙織「……だよね。やっぱり、不安だったよね」

沙織たちも残っていたから大丈夫。なわけがなかったのだ

実際に戦いに行くのは勇者部のみんな

満開を一度使ってしまえば、攻撃を受けすぎれば。

生身で戦うのと同様の状態になってしまうみんななのだ

それをさせる自分が気づかないうちに居なくなってしまっていたのだ

とても、不安だっただろう
664 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/05(火) 06:41:17.21 ID:9LJ5Dfmro

風「あたしたちがいないときから?」

沙織「ううん、その時は普通だった。ううん、逆に普通過ぎたっていうべきかな」

我慢していた

不安を押し殺していた

それを、沙織たちは何もすることはできなかった

大丈夫という言葉は易い

心配ないよ。という言葉は軽い

精霊同士のつながりがあるのだとしても

精霊の目の届かない場所までいってしまうのだから

沙織「でもよかったよ。みんな無事で」

友奈「辛い状況だったけど、でも、みんなが諦めなかったから何とか出来たんだと思います」

二人の満開を必要としたとはいえ、

風や夏凜、樹達みんなの立ち位置は間違いなかった

それぞれができる最善を尽くしtからこそだ

無茶をすれば東郷の満開を使わなくても済んだかもしれないが、

それでは余計な被害が出ていた可能性もある

だから、これでよかったのだと

友奈は自分にい聞かせるように、思った
665 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/05(火) 06:42:17.02 ID:9LJ5Dfmro

では、昨日分になりますがここまでとします
本日は恐らく、お休みになるかと思います

また、今週はお休みをいただくことが多いかもしれませんが、
出来る限り、やっていきます
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 07:35:11.54 ID:XfUIdjjVO
乙です
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 15:52:48.53 ID:xONNm1gGO

あとは呪いの影響がどの程度出るかだな…
久遠さんのメンタルも心配
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 20:50:31.83 ID:qsI0kr1pO
投稿時間無理しすぎてない?
久遠さん並みに無理する姿勢良くない
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/05(火) 22:53:13.39 ID:dcSgVuxvO
まさか朝に来てるとは
670 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/06(水) 20:59:03.77 ID:aIZeNmQ6o

では少しだけ
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 21:00:20.75 ID:2HTt7I8yO
よしきた
672 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/06(水) 21:37:45.97 ID:aIZeNmQ6o

天乃「助けた巫女のみんなは? 意識は戻ったの?」

風「外傷があるわけではないけど、少し時間がかかるって」

沙織「霊的な部分を酷く持っていかれちゃったみたいだからね、普通の怪我より長引くこともあるよ」

霊的な部分が持っていかれるということは、魂に直接干渉されるということ

不可視の部分とはいえ、

確かにあるその影響happyあ限りなく、大きい

だからだろう

自然な口調ではあったけれど、

自分も巫女としての立場もあるからか

身を案じての悲し気な雰囲気を沙織からは感じる

風「で……それが、今は……」

自分たちに課せられている。と、

風は暗に告げて、口を閉ざす

下手に語れば周りにも影響があるという話を聞かされたのだ

赤ちゃんはいないけれど、天乃がいる

悪い目に合わせるわけにはいかない

たとえ天乃が事前に知識を得ていたとしても、

無関係に巻き込む理不尽さ

それが、祟りというものだ
673 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/06(水) 22:00:37.72 ID:aIZeNmQ6o

天乃「今は平気?」

夏凜「いきなりやろうとかそういう気はなさそうだけど、どうだかね」

むしろ、このまま大人しく削れらてくれるなら

それで許してやろう。と言わんばかりだ

もっとも、日に日に影響は強くなり、

こうして話すことさえ難しくなってしまう可能性もある。

はっきり言えることがあるのだとすれば、

祟りに優しいなんてことはあり得ない。ということだろう

天乃「私は別に、すぐにでも提供してもいいのよ?」

樹「影響が弱いなら、むしろもう少しゆっくりするべきだと思います」

祟り……までいかないかもしれないが

同質の穢れに耐性のある久遠家の力

それを分け与えて貰うことで、

祟りの影響を相殺するという九尾の案

だが、

天乃のご先祖様の時代からいる妖狐の案という信頼があるから後回しにするわけではない

双子に力を分け与えてから間もなく、

さらに勇者部六人に力を与えるとなると

負担が大きすぎて、逆に天乃が大変なことになりかねないからだ
674 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/06(水) 22:42:58.61 ID:aIZeNmQ6o

天乃「明日にでも影響出るんじゃないって、私的には気が気じゃないんだけど」

友奈「でも、ここで無理したら危ないです」

天乃「………」

樹「私達も言えたことじゃないかもしれないですけど、命に係わるんです」

祟りも天乃も

下手なことさえしなければ即死に至るようなことはないはずだが

祟りに関しては庇いあうことができる

だが、

天乃に関しては庇ってあげることができない

だからダメなのだと、みんなが諭す

天乃「大丈夫、無理をするつもりはないわ」

天乃はそう言って、困った笑みを浮かべる

自分よりも天乃のこと

そういうのは分かり切っていたことだけれど

もっとも危ない状況でもそういえるのが勇者らしくて、問題だった


1、でもせめて、誰か代表で受けておくつもりはない?
2、壁の外はまだまだ問題があるんでしょう? きっと、また戦うことになるわよ
3、少しでも問題があるようならちゃんと言うのよ?
4、とにかく、満開を使った二人は厳重注意が必要ね

↓2
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 22:50:58.06 ID:2HTt7I8yO
2
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 22:51:30.58 ID:cW1NQJS/0
4
677 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/06(水) 23:04:24.29 ID:aIZeNmQ6o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「……この検査次第では一番に久遠先輩とイチャイチャできるのでは!?」

園子「まず怒られるんよー」

東郷「違うわそのっち」

東郷「久遠先輩のことだから、目が離せないからって寝るときも一緒になるはずよ」

園子「お風呂も〜?」

東郷「そう……お風呂も」グッ
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 23:09:49.22 ID:X4XJ/6c90

みんな溜まってそう
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/06(水) 23:15:33.40 ID:2HTt7I8yO

久遠さんの力での呪いの中和はすぐには厳しいか
そして原作同様うかつに呪いのことを話せないのも辛いな…
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/08(金) 21:34:52.48 ID:PjcCQhKLO
今日も忙しいか…?
681 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/09(土) 19:31:56.08 ID:ADPTBtBIo

では少しだけ
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 19:40:12.39 ID:MK5NG+6QO
待ってたぜ
683 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/09(土) 20:14:28.21 ID:ADPTBtBIo

天乃「とにかく、満開を使った二人は厳重注意が必要ね」

友奈「東郷さんも園ちゃんもみんなのために頑張ってくれたので、あんまり、怒らないで上げてください」

天乃「え?」

友奈「えっ?」

天乃「ふふっ」

天乃の反応が予想外だったのか、

友奈は何か間違ったのだろうかと、不安そうな表情で。

天乃は再度笑みを浮かべると、そうじゃないの。と、優しく続ける

天乃「注意は怒る方じゃなくて、見守る方よ」

夏凜「ダブルミーニングね。ま、天乃の性格からして怒る方はないから心配いらないでしょ」

少なくとも、今の天乃には。だ

以前ならそれもあったかもしれないが

今は満開に体の機能を損なうようなリスクがないし、

無事で帰ってきたのならば怒る理由もないだろう

天乃「あら、怒ることだってあるわよ? 夏凜」

夏凜「怒るより泣くでしょ、アンタは」

天乃「怒る」

夏凜「はいはい」

天乃「ほんとに怒るわよっ、次は、絶対に怒るんだからっ!」
684 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/09(土) 20:38:35.83 ID:ADPTBtBIo

夏凜「はいはい」

天乃「……馬鹿にしてっ」

夏凜は天乃を腕に抱いて、天乃よりもいい笑顔を浮かべる

それぞれ、重いものを抱えることになってしまっているが

だが、決して悪いことばかりではない

いい方向に進めるための、一時的な難所

遥かに高き壁だとでも考えればいい

そんなもの、すぐ横にいる人のためならば。というのが、

勇者部みんなの意志

風「本当は、あたしがやるべきだったんだけど……人数的に東郷の船を使うことになったのよね」

迫りくる星屑を討つための人手

戦闘力のない巫女を守るための人手

その勇者を守るための人手

それらを一気に賄える二隻目の戦艦は、出し惜しみすべき力ではなかった
685 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/09(土) 21:36:00.42 ID:ADPTBtBIo

風「東郷達はできる限り屋内待機がベスト?」

友奈「でも、学校もまだありますよ?」

夏凜「学校か命かって話よ。まぁ、明日の状態にもよるってことで一先ずいいんじゃない?」

明日になって、体調を崩したり、

何か不穏な感覚がなければ

多少の外出くらいならば、してもかまわないだろう

もちろん、細心の注意はすべきだけれど

夏凜「今日は朝から全力だったから疲れたし……」

はぁ。と、

夏凜はあからさまなため息をつく

疲れたのは本音だ

だが、ため息はそれではない

これから厳しくなっていく世界

全てを敵にした世界

そこで、自分たちは生き残れるのかという疑問を、感じたからだ
686 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/09(土) 21:54:10.33 ID:ADPTBtBIo

√ 12月13日目 夜(病院) ※土曜日


01〜10 東郷
11〜20 
21〜30 園子 
31〜40
41〜50 樹
51〜60 
61〜70  九尾
71〜80  友奈
81〜90 
91〜00 夏凜

↓1のコンマ 
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 22:00:50.39 ID:MK5NG+6QO
688 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/09(土) 22:49:48.09 ID:ADPTBtBIo

√ 12月13日目 夜(病院) ※土曜日


勇者の反乱……いや、ここでは奮闘というべきだろう

それによって、6名の尊い巫女の命は守られることとなった

しかし、それゆえに世界は敵になった

天の神率いるバーテックスの軍勢は怒り、与えた祟りを緩めることはしないだろう

世界のためと、苦渋の決断をした大赦は儀式を阻んだ勇者部を快く思うことはない

もしかしたら、救われた巫女たちも

どうしてなのか。自分たちさえ犠牲になれば……と、

天乃の願い、勇者部の行動に反発するかもしれない

だが、それでもだ

それでも犠牲などという結果を天乃は望まない

高望みだと宥められようと、愚かだと侮蔑されようと

その考えを変えることはない

現代にて名を馳せた画家が必ずしも過去、羨望されていたわけではないように

たとえ今、非難されようと、受け入れて貰えなかろうと、

未来で、その時その判断をしておいてよかったのだと言われる方を選ぶ
689 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/09(土) 23:22:19.72 ID:ADPTBtBIo

天乃「賽は投げられた……」

バーテックスは祟りを与えただけで鎮まることはない

きっと、勇者をむしばんでいくことだろう

それに関しては、天乃の力を分け与えることで抑え込む

だが、完全な解決はバーテックス

ひいては天の神を討つことでしか訪れることはないだろう

天乃「天の神はどう進んでくるのかしら」

神は戯れで振ることはあるが、

そこに賽の目という不確定は存在しない

神は己が決めたルールに則り

己が定めた結果と道筋のみを進ませようとする

天乃「……だからこそ、その基準を抜けようものなら淘汰されてしまう」

たとえそれが、人類にとって理不尽であったとしてもだ

感知領域にはないものであったとしてもだ

天乃「………」


1、勇者
2、精霊
3、イベント判定


↓2
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 23:26:19.62 ID:MK5NG+6QO
3
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 23:27:14.57 ID:eaXMqGQq0
3
692 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/09(土) 23:40:14.40 ID:ADPTBtBIo

01〜10 夏凜
11〜20 樹
21〜30 友奈 
31〜40 東郷
41〜50 風
51〜60 園子
61〜70 九尾
71〜80 千景
81〜90 若葉
91〜00 沙織

↓1のコンマ 
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/02/09(土) 23:40:26.88 ID:zk64cxAk0
694 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/09(土) 23:50:12.42 ID:ADPTBtBIo

ではここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から

夜終了後、判定
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/09(土) 23:56:14.07 ID:MK5NG+6QO

久遠さんにとっても勇者部にとっても更なる茨の道に進んで行くな…
あと謎判定が怖い
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 00:23:34.42 ID:CF5UaprL0

若葉と沙織は一応ノーダメージになるのか?
嫁組の中では
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 18:04:16.27 ID:yIA5zdwEO
マダカナー
698 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/10(日) 20:24:03.26 ID:9P22DIFoo

では少しだけ
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 20:27:23.65 ID:uNlmcVvdO
かもーん
700 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/10(日) 21:18:00.74 ID:9P22DIFoo

若葉「……考え事か?」

天乃「若葉……貴女、大丈夫なの?」

天乃の精霊である若葉達は、

勇者部のように力を使った場合に自分たちが存在するための力を大きく消費する

天乃から得られるその力に限りはないが、一日に供給できる量は当然ながら制限がかけられているため、

満開に匹敵する力を使った若葉達が復帰してくるのにはもう少し、時間がかかるはず

それなのに姿を見せた若葉に天乃は困惑しつつ、問いかける

若葉「ああ、なんとかな」

天乃「本当に? 無理してない?」

若葉「大丈夫だ」

ぎゅっと腕を掴んで、身を寄せて

体に触れてくる天乃の不安をなだめるように、

若葉は心配しすぎだ。と、暗に込めた声で答える

若葉「そうやって心配させたくないから、気合で戻ったのかもしれないな」

天乃「気合なんて結局無理するかどうかの心意気よ。多少治りが早まることはあっても、こんなすぐになんて」

若葉「だが、結果はこうだろう?」
701 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/10(日) 21:53:38.79 ID:9P22DIFoo

天乃「本当に平気……なのね?」

へらりと笑う若葉を一瞥した天乃は、若葉の言葉を他所に考え込む

満開による消費は発動した時間にも影響はあるが、

発動した。ということ自体に大量の力が必要な行為だ

ゆえに本来、

少なくとも一日は姿を見せられなくなってもおかしくはなかった

だからこそ心配なのだが、

若葉には無理をしているような様子はない

天乃「……少しでも何かあるのなら、すぐに休みなさいよ?」

若葉「分かっている。その方が、心配もかけるだろうからな」

天乃「分かってるなら明日の朝にするべきだったんじゃないの?」

若葉「そういわれると、私にはあまり会いたくなかった。みたいに感じるんだが……」

天乃「そんな返し。どこで知ったのよ……まったく」

男女というべきか

恋愛における嫉妬の演出として使われそうな言葉と、仕草

それを見せる若葉の奥に、園子を見る

だが、たぶん違うだろう
702 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/10(日) 22:19:20.19 ID:9P22DIFoo

天乃「会いたくないのは今の大赦とバーテックスくらいよ」

若葉「ふふっ、そうか」

少し前までの弱弱しい天乃から、

少しだけ、力強い天乃へと戻っているように感じて、

若葉は嬉しそうに笑みを浮かべる

もちろん、どちらの天乃も好きなのだが。

天乃「それで? 体に鞭打ってまで来たのは無事を知らせるため?」

若葉「それもあるが、天乃の顔を見たかったというのもある」

天乃「精霊の空間からだって見えるでしょ?」

若葉「テレビを見るのと間近で見る違いがあるさ」

それに……と、続ける

若葉「直接なら、天乃に触れることができる」

天乃「……」

若葉「……なんて、ちょっと、おかしかったか」

何も言わない天乃の視線に気恥ずかしさを覚えたのだろう

若葉は顔を赤くして、逸らした
703 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/10(日) 22:30:13.05 ID:9P22DIFoo

天乃「別に、おかしいだなんて言ってないでしょ?」

若葉「だが、あまり似合わないだろう?」

天乃「かっこいいことを言おうとするのは、誰にだって似合わないものだわ」

言おうとするから、演技っぽくなる

言おうとしているから、周到さを感じてしまう

天乃「だから、そのままでいいのよ。若葉は」

無理に格好良くしようとして、恥ずかしそうにする姿は愛らしい

でも、普段の何気ないしぐさに見える凛々しさは格好よく思える

天乃「素のままの貴女が十分、魅力的なんだもの」

若葉「そ、そうか……?」

天乃「ええ。そうやって褒められると照れるところとか、可愛い」

若葉「ぐっ」

照れくさそうな表情

可愛いと言われて、恥ずかしいけれど嬉しくもある

そんな良い複雑さのある雰囲気を感じさせる若葉を、天乃はちらっと見つめる


1、これからもよろしくね
2、若葉。東郷と園子をお願いね?
3、ひなたさんのように、私も若葉ちゃんコレクション作ろうかしら?
4、今回は本当にありがとう、お疲れ様

↓2
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 22:31:16.15 ID:uNlmcVvdO
4
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 22:32:50.71 ID:M9YvNT1R0
3
706 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/10(日) 23:08:29.16 ID:9P22DIFoo

ではここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から


若葉「久しぶりだな……こんな、攻めてくる天乃は」

園子「つまり、ご先祖様は責められるほうが良い。と」

若葉「ぬわっ!? そ、園子!?」

園子「天さんは生粋の受け体質……ううん、凸凹の凹枠確定……それじゃダメなんよ〜」


夏凜「凸も凹もみんな凹でしょうが……」

東郷「いいえ夏凜ちゃん。凹同士でも半身ずらせば大丈夫!」グッ

夏凜「嬉しそうに言うのやめろっ!」
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 23:17:32.34 ID:uNlmcVvdO

久々に若葉のターンが来たか
若葉が意外と責めやすいのか久遠さんがどこか楽しそうだな
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/10(日) 23:26:56.76 ID:CF5UaprL0

全部落ち着いたら若葉が単身赴任状態になっちゃうから今のうちにいちゃいちゃしなきゃな
709 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/11(月) 20:42:07.93 ID:nq3KgyQeo

では、少しだけ
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 20:43:28.70 ID:CmCHEKnrO
よっしゃ
711 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/11(月) 21:19:33.54 ID:nq3KgyQeo

天乃「ひなたさんのように、私も若葉ちゃんコレクション作ろうかしら?」

若葉「なっ……だ、ダメだっ」

天乃「紅くなっちゃって……ふふふっ」

若葉「端末を取り出すなっ、このっ、撮らせないからなっ!」

ばさっ……と

カーテンを使って隠れた若葉を目で追いかけて、天乃は笑う

そうやって逃げるしぐさも愛らしい

ひなたさんはきっと、それも相極まって止められなかったのだろう。と

天乃はひなたの思いを感じて、端末のカメラを起動する

若葉「端末をしまえ、しまわないと出ないからな」

天乃「しまったわ。大丈夫よ」

若葉「ほん――」

カシャリ。

カーテンからひょっこり顔を覗かせた見事な一枚が、

端末に保存される

若葉「あーまーのーっ!」

天乃「しーっ」

若葉「っ」

天乃「みんな寝ているんだから、静かに」
712 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/11(月) 21:54:05.89 ID:nq3KgyQeo

若葉「ぐっ」

天乃「隙を見せた若葉がいけないのよ」

若葉「……まったく」

元気になったと思えばこれか。と

若葉は呆れながらも嬉しそうに笑う

写真を撮られるのも、

快気祝いならばと諦めたのか、

端末を取り上げようとはしない

若葉「元気になってくれてなによりだよ」

天乃「うん……ありがと」

若葉「ただ、精神的に楽になったからって無理をするな。体の方は本調子ではないんだからな」

天乃「分かってる」

普段の天乃からして、そういったことはめったにないが、

嬉しいから、楽しいからと

派手に笑ったりするだけでも血を吐きそうなほどに弱弱しいのが今の天乃だ

些細なことでも、無理はさせられない
713 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/11(月) 22:05:42.29 ID:nq3KgyQeo

若葉「天乃……」

天乃「うん?」

若葉「天乃に出会えて、本当に良かった」

天乃「どうしたのよ急に」

若葉「いや、ようやくここまで来たし礼は言っておくべきかと思ってな」

若葉は照れくさそうにはにかみながら

天乃の顔をちらっと見る

真っ直ぐ見ることができないのは

その心に抱く想いゆえだろう

若葉「この世界に呼ばれ、私たちのしてきたことが無駄ではなかったことを知ることができた」

それに。と、続ける

若葉「果たせなかった想いを、秘め続けた悔いを晴らすことができた」

天乃「若葉……貴女」

若葉「だから、ありがとう」

天乃「……気が早いわよ。馬鹿ね」
714 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/11(月) 22:14:22.53 ID:nq3KgyQeo

これから厳しい道を歩むことになるから

言えるときに言っておこう。という考えなのだろうが

気が早すぎると天乃は困ったように言い返してため息をつく

創作物に散見されるフラグというもののように感じられて

天乃としては、好ましくなかったのだ

天乃「そういうことは全部終わってからにしなさい」

若葉「すまない」

天乃「でも、貴女が良かったのなら……良かった」

本当に大切な人とは離れ離れのままの現世

そこにいることを好ましいと思ってくれている

それは、呼び出した天乃にとっては喜ぶべきことかはわからないけれど

けして、悪いことではないと思わせてくれる大切なものだった

天乃「これからも、よろしくね。若葉」

若葉「ああ、任せてくれ」

若葉はしっかりと答え、頷く

今は勇者ではなく精霊として

天乃のために尽くそう……と、若葉は改めて誓った
715 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/11(月) 22:24:08.27 ID:nq3KgyQeo

√ 12月14日目 朝(病院) ※日曜日


1が最低 0が最大


判定↓1
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:24:38.76 ID:CmCHEKnrO
たのむぞ
717 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/11(月) 22:46:11.69 ID:nq3KgyQeo

では、ここまでとさせて戴きます
明日もできれば通常時間から


6は普通よりも少し、きつめ
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 22:52:30.00 ID:CmCHEKnrO

若葉の優しさが垣間見えた矢先に呪いが…
自分が引いた手前どんな目に会うのか怖いなぁ
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/11(月) 23:03:14.24 ID:lKa4MN4u0

頑張れ勇者部
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/12(火) 22:02:08.81 ID:fJP0W+FgO
今日は休載か
721 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/13(水) 20:50:40.38 ID:1KxjyBXoo

では、少しだけ
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 20:51:39.83 ID:HbajL2NBO
やったぜ
723 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/13(水) 21:38:09.97 ID:1KxjyBXoo

√ 12月14日目 朝(病院) ※日曜日


天乃「……え?」

起きたばかりの頭に響く声は、無理やりに絞り出された力のないもので

聞こえなかったからもう一度。

そう、聞き返すこともできるほどのものであるにもかかわらず、

天乃は小さく驚きの声を漏らすことしかできなかった

それを伝えに来た風は酷く顔を歪めていて、

とてもではないけれど……もう一度話してもらうなんてことが許されるような様子ではない

天乃「…………っ」

強く歯を食いしばった天乃は、今すべきこと、言うべきこと

それを一生懸命に考えて、息を飲む

天乃「風、間違っても戦いに移行だなんて考えないで」

風「…………」

天乃「風、お願い」

風「っ………」

風の握り拳に触れた天乃は、

ギリギリ引き寄せることのできる限りなく弱い力で、包み込む

天乃「ここで無理をしても、何にもならないから」
724 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/13(水) 22:23:39.65 ID:1KxjyBXoo

天乃の言葉に風は頷きつつも、怒りは収まらないといった様子で、目を背ける

つい、さっきのことだ

樹が、エスカレーターの一番上から――転落した。

一番下の階にある売店を使った際、

特別病棟ということもあって、近くのエレベーターではなく、

すぐ目の前にあるエスカレーターを使って二階に上がってから、

別の通路を通って、改めてエレベーターを使う必要があったのだが、

その一番初めのエスカレーターで事故は起きた

一番後ろにいた樹がエスカレーターから先に進もうと足を上げた瞬間にガクンッと、揺れて

そのままだ

一緒にいた友奈たちが手を伸ばす間もなく、落ちていった

樹にはまだ精霊に守ってもらうだけの余力があってなお、

強く体を打ったことによる失神は免れなかった上に

ほんの一瞬手すりを掴んだ右手の爪が痛々しく剥がれていたのが、

祟りの陰険さを、物語っていた

天乃「……みんなが一緒だから若葉達もついていかせなかったのが、裏目に出たわね」

若葉「すまない」

天乃「仕方がないわ、若葉達が悪いわけじゃない」

若葉達だって、東郷や園子の身を守るために傍に居てくれたのだ

責める理由なんて、どこにもない
725 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/13(水) 23:02:10.08 ID:1KxjyBXoo

打ち所が悪ければ死んでしまっていてもおかしくないような状況だったのだ

細かい怪我こそあるが、精霊の力もあって失神で済んだのは幸いだろう

もっとも、精霊の力があったのに……と、嘆くべきかもしれないが。

九尾「それだけ神樹の力が弱っておるということじゃろうな」

天乃「九尾……」

九尾「神樹の力が弱り、祟りを抑えきれなかった結果が今回の事故じゃ」

事故というべきなのかも疑問じゃがな。と

九尾は続けざまに言って

九尾「今回はまだ軽い方じゃな……何かしらの物的な要素が加わっていたら大けがは免れなかったじゃろう」

天乃「……落ちるだけで済んだから大丈夫だったってこと?」

九尾「うむ……例えばそうじゃな。交通事故などではこうはいかなかったはずじゃ」

精霊の守りがあっても貫かれる、砕かれる

その結果、生身の体に多くのダメージが残るため、単なる失神では済まなかったと九尾は答える

九尾「……その場合は最悪、主様の精霊であっても消滅させられる可能性もある」

若葉「私たちが……か?」

九尾「主らとて、魂の依り代にした核というべきものはある。それが砕かれれば当然、元には戻れまい」

普通の戦いでは傷つかないし、

力を使ったからと言って、限度さえ守れば消滅することはまずないが

精霊の力を貫く力が相手ならば話は別だった
726 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/13(水) 23:06:53.14 ID:1KxjyBXoo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

すでに何度かお休みをいただいてしまっていますが、
今月は少々厳しいので似たような状態が続くかと思いますが、出来る限り進めていきます
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/13(水) 23:12:53.45 ID:XSKpnUPBO

さっそく陰湿極まりない呪いが樹ちゃんを…
守りがない東郷さんやそのっちはもっと危ないのでは
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/14(木) 00:28:17.54 ID:0Cos6TnhO

怖いなこれは
729 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/15(金) 23:00:14.09 ID:PSuA56Pto

遅くなりましたが少しだけ
730 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/15(金) 23:54:44.42 ID:PSuA56Pto

若葉「そんな状態だと、さすがに東郷たちを出かけさせるわけにはいかないな」

九尾「今回はたまたまそうだった可能性もあるがのう」

そういった九尾は少し考えこんで、若葉を一瞥する

いい考えが浮かんだ。という表情は浮かばなかった

九尾「そうじゃな……残念ながらそれがよかろう」

天乃「やっぱり、私の血を分けたほうが良いんじゃない?」

九尾「もう少し体調が戻ってからにすべきじゃろう。無理をしても、主様の症状が重くなるだけじゃ」

天乃「でも……」

九尾「主様の身を案じるならば、出来ても一人じゃぞ」

生半可な対処では、

余計なことを……と、天の神による祟りが別の誰かに上乗せされてしまうだけかもしれない

だからもう少し待つべきだと、九尾は繰り返し忠告する
731 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/16(土) 00:20:56.29 ID:mo566dC9o

沙織「こればかりは仕方がないね……」

天乃「沙織っ」

夏凜「樹が目を覚ましたわよ」

意識や記憶に障害はなく、体を動かすのにも問題はない

何らかの障害が残ったりはしないだろうという風に医者に言われたと、夏凜が説明する

それでもいきなり別室からこちらにまで戻ってくるということはできないらしく

今日はとりあえず、別室でひと休み。ということになるらしい

夏凜「風は向こう行ってあげなさいよ。天乃たちは私たちが見ておくから」

友奈「一人は危険なので私も行きますっ」

若葉「それなら私もついていこう。こっちは――」

千景「ええ、任せなさい」

若葉の呼びかけに応じるように姿を見せた千景に若葉が頷く

天乃「一人向こうに残るなら、3人必要だものね」

そうでなくとも

何かがあったときのために、最低3人での行動を義務付けるべきかもしれない
732 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/16(土) 00:34:00.82 ID:mo566dC9o

夏凜「覚悟していたとはいえ、いきなりやられるとは思わなかったわ」

千景「理不尽なものよ……問題はそこじゃないわ三好さん」

夏凜「問題は、神樹様の領域に影響を与えた上に精霊の力も突破してきたことね」

それと。と

夏凜の言葉に別のベッドに横になっていた東郷が口を開いた

東郷「祟りは些細な事故などとして、被害を出してくるという点ね」

天乃「…………」

ほんの些細な不注意だったり、油断が命取りになる

しかも、今回のエスカレーターでの事故で言えば

樹の不注意や油断などなくとも被害が出る事になった

それだけ、強力な力ということになる

天乃「……早く、私の力を分けないと」

夏凜「いっそ、病室から出ないってことも必要になってくるかもね……」

焦りを感じるような天乃のつぶやきに

夏凜は困ったように、つぶやいた
733 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/16(土) 00:35:21.56 ID:mo566dC9o

√ 12月14日目 昼(病院) ※日曜日


01〜10 友奈
11〜20 
21〜30 夏凜 
31〜40
41〜50 千景
51〜60 
61〜70  沙織
71〜80  園子
81〜90 
91〜00 夏凜

↓1のコンマ 
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 00:41:49.67 ID:JgTQCAcWO
735 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/16(土) 00:51:28.14 ID:mo566dC9o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


沙織と交流
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 01:10:32.25 ID:JgTQCAcWO

そういや沙織とは種植えるって仕事も控えてるんだよな
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 08:06:13.26 ID:Wv4pZrzJO

間接的に久遠さんも苦しめる祟り
天の神が久遠さんを焦らせて更に弱らせようとしてる気もする
738 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/17(日) 21:17:13.77 ID:ZuMAZ+zCo

では少しだけ
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 21:18:14.20 ID:OOqJ0N8pO
かもーん
740 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/17(日) 22:03:44.36 ID:ZuMAZ+zCo

√ 12月14日目 昼(病院) ※日曜日


沙織「久遠さん、大丈夫?」

天乃「ええ、大丈夫よ」

他のみんなとい違って、祟りを受けてはいない

だから平気だという天乃に、沙織は「それもだけどね」と、遮った

沙織「久遠さんの場合、精神的に来るでしょ? みんなへのダメージは」

天乃「……それは、そうだけど」

沙織「樹ちゃんがエスカレーターから落ちた、きっとみんなにも何か起こると思う」

天乃「そうでしょうね」

天乃の力を使っても、抑えられるのはその影響だけ

祟りの元凶をつぶさない限り続く

天乃「……もちろん、私は戦いに行かないわよ?」

沙織「それは分かってるし、させないよ」

天乃「なら、どうしたのよ」

沙織「罪悪感、感じてるでしょ」
741 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/17(日) 22:22:45.97 ID:ZuMAZ+zCo

沙織「ダメだよ、そのままじゃ」

心が潰れてしまう

天乃がみんなに力を分け与えられるようになるのは

あと数日もすれば確実に行えることだろう

だが、元凶を絶つのにはまだまだかかるはずだ

その間、ずっと心に傷をつけ続けていたら、確実につぶれてしまう

天の神がそれを狙って行っているのかどうかは定かではないが

天乃のその目を背けきれない優しさは

ことこれにおいては致命的だと言ってもいい

沙織「久遠さんには難しいことだって分かってるけど」

でも。と、沙織は言う

沙織「あまり思いつめないで」

天乃「………」

沙織「久遠さんは祟りがなくても穢れがある」

心の汚染がその穢れを強めてしまったりすれば、

バランスは瞬く間に崩壊し、天乃は死に至るだろう

あるいは、壊れてしまうか。

沙織「神樹様の種を植え付けるまでは心身ともに絶対安静が必要なんだよ」
742 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/17(日) 22:34:01.77 ID:ZuMAZ+zCo

天乃「それは分かってるわ……大丈夫」

出来る限り、感情的にはならない

樹の事故に怒りと罪悪感を覚えはしたけれど

しっかりと、抑え込んだ

みんなが頑張っているから

みんなに頑張らせてしまっているから

だから、天乃も我慢する。耐える

天乃が壊れてしまえば、すべてが無駄になってしまうから

天乃「……ありがとね、沙織」

沙織「ありがとう、なんて……」

何もできてないよ。と、沙織は申し訳なさそうに呟いた




1、神樹様の種、いつならできる?
2、神樹様の種、少し早められない?
3、いつ祟りの影響があるかとか、察知はできない?
4、東郷と園子のこと、お願いね


↓2
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 22:36:03.76 ID:OOqJ0N8pO
1
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 22:38:03.68 ID:yMbonu320
2
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 22:38:25.64 ID:jeSxBC3k0
3
746 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/17(日) 22:51:44.50 ID:ZuMAZ+zCo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


沙織「神樹様の種を早める……?」

沙織「それはつまり、棒状にしていいってこと……?」

天乃「違う、そうじゃない」

天乃「待って、なんで、なんなの、欲求不満なの?」

沙織「勇者部みんな、欲求不満だよ?」ニッコリ

天乃「元気になったら何でもしてあげるから、今は許してっ」
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 23:02:36.84 ID:OOqJ0N8pO

久遠さんさおりんの勢いで更に墓穴掘ってないか?w
あと久遠さんの復活が待ち遠しいな…
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/17(日) 23:59:59.17 ID:lSTwNM9+0

実際問題どんな方法を取るんだろうか
749 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/19(火) 20:33:44.04 ID:VitUPvqko

では少しだけ
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 20:48:24.91 ID:bzj47nNqO
きてたー
751 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/19(火) 20:51:51.32 ID:VitUPvqko

天乃「ねぇ沙織、神樹様の種を使う時期を早めることはできない?」

沙織「それは……」

天乃「沙織が言いたいことは分かるわ。無茶だって、言いたいんでしょ?」

困った表情

出来るともできないとも言い難い沙織の表情が語るのは

無茶をするなら。という答え

神樹様の種を使うことが出来ないのは

天乃の体が弱っているというのが大きな理由だ

それを多少なりとも無視するなら

今日でも明日でもいつだって使うことはできるのだ

その結果、明日、明後日、深夜

いつ死んでもおかしくなくなってしまうが。

天乃「でも、時間が経てば時間がたつほど被害が増えるし大きくなるわ」

沙織「だからって久遠さんを危険に晒すのはあり得ないよ」

天乃「少しも?」

沙織「これっぽっちも」
752 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/19(火) 21:01:31.48 ID:VitUPvqko

天乃の見せた指の隙間よりも

ずっとずっと小さく、むしろ開いていないのではというほどの人差し指と親指の間

沙織はそれを払って、天乃を見る

困った人だと物語る表情は、理解ができるが故の苦悩もあった

沙織「さっき言ったよね? 思いつめないでって」

天乃「別に思いつめてるからじゃないわ。もちろん、自責の念に駆られたわけでもない」

沙織「ならなんで無茶なこと言うの? みんなが頑張ってるから? 自分だけ楽してるから?」

違うよね。と、沙織は言う

沙織「久遠さんのお願いによって引き起こされてることだから……だよね」

確かに、みんなが頑張っているからとか

自分だけが楽しているからとか

自分の願いによってみんなが傷つく自責の念ではないのかもしれない

けれどそれは結局、無茶だ

沙織「自分のお願いだから、自分も何かしたい。少しくらい頑張りたい……とかだよね」

でも結局、それは無茶だ

繰り返すことになるけど、と、沙織は若干申し訳なさそうな表情で

沙織「それは無茶だよ」

天乃「…………」

沙織「それに、それはやっぱり久遠さんが自分だけがって悪く思ってるからこそ言えることだと思うよ」
753 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/19(火) 21:24:48.64 ID:VitUPvqko

沙織「早く治そうとか、そういう風に考えるんじゃなくて少しでも早く使えない? っていうのはね」

そういうことだとあたしは思うよ。と、沙織は隠すことなく続ける

天乃「そうかしら……」

沙織「久遠さんが極力無茶とか無理をしないようにって自分でも気を使ってるんだろうなって良く分かる」

でも、やっぱり根は変わらないのだ

優しすぎる心は傷つくし、

人を想う考え方はどうしても、無茶な道を選ぼうとしてしまう

天乃が無茶をしたいかしたくないは関係ない

だから、沙織も困ってしまう

天乃「やっぱり、神樹様の種を早く使うには早く良くなるしかないのね」

沙織「つわりとか、陣痛の苦しみと似た苦しみをもう一度味わうなら話は別だけどね……」

しかし、今の天乃にそれを耐えるほどの余力は残っていない

だから、これは言い換えれば無謀だ

沙織「久遠さんには悪いけど、それはさせられない」
754 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/19(火) 21:48:28.55 ID:VitUPvqko

天乃「無茶だって言うけれど、そんなに危険な入れ方をするの?」

沙織「入れ方は簡単に言えば巫女の力を用いて、力がもっとも蓄えられる胎内に収めるだけだよ」

九尾は多少、危うげなことも言ってはいたが、

実際には

巫女の力が借りられるのならば下腹部に腕を突っ込むとか、棒を突っ込むとか

野蛮というか、物理的に危険な方法は要らない

悪五郎の時は、正式な妊娠を行うための儀式めいたものであるがゆえに

ちゃんとした挿入等が必要だった。というだけであり

神樹様の種を植え付けるために男性あるいは疑似的なそれを要する……なんてことはない

もちろん、使ってもいいし

それが神樹様由来の力を秘めた道具であればより確実性も増すのだろうが。

沙織「お腹のところ……もちろん外ね? から植え付けることもできる」

天乃「中と外だとどっちの方が安全なの?」

沙織「どっちの方が安全かと言われるとちょっと困るかな」

天乃「どうして? 何か問題でもあるの?」

沙織「外だと、やっぱり力の逃げ道があるから十分に入らない可能性がある」

その一方で。と、沙織はつづけた

沙織「中だと力の逃げ道がないから過剰になっちゃうことも0とは言えない」
755 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/19(火) 21:56:52.18 ID:VitUPvqko

どちらにしてもリスクがある

だから、体調が万全であることが求められる

その力加減のわずかな誤差

それに適応するだけの力が求められるのだ

しかし、今の天乃にはそれがないからさせられない

沙織「だから、さっきの久遠さんの問いに答えるなら、早く元気になってね? となる」

天乃「早く元気になる……ね」

病は気からともいうし

自分は良くなることが出来るという信頼があれば多少は改善するのも早まるかもしれないけれど

祟りによってみんなが傷つく

その不安、その苦しさがきっと、それを阻む

早く治らなければならない天乃にとって

今の状況はあまり、良くなかった
756 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/19(火) 22:05:35.20 ID:VitUPvqko

√ 12月14日目 夕(病院) ※日曜日


01〜10 風
11〜20 
21〜30 東郷 
31〜40
41〜50 園子
51〜60 
61〜70  わるいこと
71〜80  千景
81〜90 
91〜00 夏凜

↓1のコンマ 
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 22:06:34.48 ID:bzj47nNqO
758 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/19(火) 22:14:59.51 ID:VitUPvqko

ではここまでとさせていただきます
明日は恐らく、確定でお休みになるかと思います
再開はできれば明後日、通常時間から



園子「た、たいへんだー」チラッ

天乃「園子?」

園子「祟りで生えてきちゃったー大変だー穢れを祓って貰わないとー」チラッ

天乃「……それ、偽物よね?」

園子「本物かもしれないよ〜?」モジモジ


夏凜「蹴れば分かる」

園子「それはどっちにしろ痛いかな〜」
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/19(火) 22:23:07.16 ID:bzj47nNqO

やはり安静以外にこの状況を打破する方法は無さそうか…久遠さん辛いだろうなぁ

そしてこのオマケの落差よw
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/20(水) 00:00:43.36 ID:JHN0HaZf0

園子は元気なところを見せてやってくれ
761 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/21(木) 21:12:53.01 ID:VSrNqHqco

では少しだけ
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 21:14:36.52 ID:j3t6YrUPO
あいよ
763 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/21(木) 21:29:54.35 ID:VSrNqHqco

√ 12月14日目 夕(病院) ※日曜日


園子「天さ〜ん」

天乃「園子……? 何してるのよ。ベッドから出てきたらダメでしょ?」

園子「え〜」

天乃「え〜じゃなくて」

何が起こるかわかったものではない

起き上がる賽に寝間着が引っかかって悪い体勢でベッドから落ちるかもしれない

途中で躓いてベッドの角に頭を打ち付けてしまうかもしれない

考えが悪いことばかりだという自覚は天乃にあるが、

それでも、樹のことを考えれば

まだまだ甘いと言わざるを得ないだろう

なにせ、祟りなのだ

物理的なことだけでなく、

病気などで突然苦しめられることだって、ありえるのだ

園子「でも、ずっとベッドにいたってつまらないよ」

天乃「目の前にいるんだから声かければいいじゃない」

園子「目の前に好物を出されて食べずにいられるか、いや、いられるわけがない」

天乃「勝手に自己完結しないの」
764 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/21(木) 22:03:59.47 ID:VSrNqHqco

園子「でもね〜病は気から〜って、言うでしょ?」

天乃「それは分かるわ。分かるけどね」

そんな単純な話ではない

単純ではないから、どんな些細なことにも警戒しなければならないし、

特に用事もないのに安全な場所から出てくる。なんていうことは避けて欲しいのだ

園子「いっつんがあんな目に遭ったってことはおとなしくしててもダメ。積極的に元気になるべきだー! って思うなぁ」

天乃「だからって下手に歩かれると怖いのよ」

園子「確かに、神樹様の力が弱っている今、治ったばかりの私たちの体は脆いというか、弱点かもね〜」

飄々と。

園子はまるで軽いことであるかのように笑いながら言うと、

少し前までは動かすことさえできなかった足をバタバタと動かして

椅子をカタンカタンと揺らす

園子「でも、動かないままでいたらそれこそ弱っちゃうんよ」

天乃「それは……痛いほどわかる」

園子「でしょ?」
765 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/21(木) 22:23:16.99 ID:VSrNqHqco

ずっと寝たきりで

大分弱ってしまった天乃のことを園子は一瞥する

自分たちの体も弱っているとは言ったものの

天乃と比べればまだまだ、可愛いものだと園子は思う

だからこそ、ただじっとしていることがどれほどよくないことなのか

天乃には分かるだろうと分かっていることに、園子は少しだけ自己嫌悪する

園子「ということで!」

天乃「っ……急に大声出さないで」

園子「神樹様の力が弱っている分、天さん成分の補給が急務なのであります!」

天乃「天さん分って……」

園子「天さん分は天さん分だよ〜?」

両手を広げて待ちの姿勢

にっこりと満面の笑みを、園子は見せる

天乃「園子は元気ね」


1、私からはできないから園子からきて
2、エッチなことはできないって言ってるでしょ?
3、あまり無理はしないで頂戴
4、それだけ元気なら要らないでしょ?


↓2
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 22:24:39.01 ID:j3t6YrUPO
3
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 22:26:18.69 ID:KL3s0If20
1
768 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/21(木) 22:40:14.91 ID:VSrNqHqco

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子「大丈夫、天井のシミを数えてる間に終わるよ」

東郷「ねぇそのっち」

園子「ん〜? どうしたの?」

東郷「天井のシミを数えている間に終わるのは」

東郷「天井のシミが数えるほどある汚い家なのか、達するのが早いのかどっちなの?」

園子「わっしーそれは言ったらダメなやつなんよ」
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/21(木) 22:51:04.34 ID:j3t6YrUPO

天さん分の補給…
そのっちは久遠さんをどう堪能していくのだろうか
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 00:14:56.56 ID:jh1r11/L0

火ついちゃいそう
771 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/23(土) 22:40:46.64 ID:wSolSX7Wo

少し遅いですが
昨日できなかったので少しだけ
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/23(土) 22:46:08.97 ID:TIHRMCetO
休載じゃない、やったぜ
773 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/23(土) 23:19:11.18 ID:wSolSX7Wo

天乃「まったくもう……」

仕方がないなぁ。と、

優しい気持ちを込めつつも、呆れたため息

困っているけれど

そのちょっぴり手のかかる元気の良さは、今の心には砂糖よりも甘い

天乃「私からはできないから園子からきて」

園子「えっ!」

天乃「……なに? 自分からは嫌?」

園子「う、ううん……よかですか。飛び込んでもよかですか!?」

ぐっぐっっと膝を準備しつつ、

きらきらとしたまなざしのロケット一つ

発射段階に推移していく園子をじっと見つめた天乃は

ダメに決まってるでしょ。と、受け入れるために広げていた腕をたたむ

天乃「危ないことするならダメ」

園子「飛び込みません、抱くまでは!」

天乃「今、体弱いんだから優しくしてね?」

園子「なんかえっちだねぇ」
774 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 00:57:27.00 ID:LG4VuDgyo

天乃「何がエッチなのよ」

園子「天さんの言動の一つ一つ」

天乃「別に特別なことなんてしてないでしょ」

園子「してないから、エッチなんだけどなぁ」

なぜだかしみじみと言う園子は、

勢いをつけることなくベッドに膝を乗せて、天乃との距離を詰める

ギシリときしむベッドの音

それがまた心地よくて、園子は動きをゆっくりさせる

早く抱きたいけれど、慎重に

もう少し、自分を自分で追い込んで……おあずけ

園子「ごくり」

天乃「変なことしないでよ?」

園子「抱くだけ、抱くだけだよ〜」
775 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 01:09:38.97 ID:LG4VuDgyo

にじり寄って、ぎゅっと抱く

壊れやすい華奢な体を、体いっぱいに触れさせる

大好きな匂いがする

大好きな声がする

とても温かい、心地よいものを感じる

それでも満たしきれないものはあるけれど

それは、我慢。と、園子は心に強く止める

その分、体はより密着して――

天乃「っ」

ぽすんっと、ベッドに押し倒す

園子「これなら、もう少しくっついても平気なんよ」

天乃「甘えん坊ね」

園子「出来なかった分、甘えたいのです」

頑張った分、出来なかった分

園子はその時間、大切なものを取り戻すかのように

ずっと、天乃に寄り添い続けた
776 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 01:12:49.46 ID:LG4VuDgyo

では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から


園子「髪に顔を埋めつつ、胸に手を埋めます」

園子「次に、いったん起き上がっていい匂いだねぇ。とほめてから」

園子「胸に顔を埋めながら抱きしめる」

園子「天さんは優しいから、抱きしめる腕を振りほどいてまで胸に埋めるのを阻まないからね」

東郷「……なるほど」


風「いや、やるかどうかはともかく、東郷は天乃にやらせてあげて?」
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 01:24:58.52 ID:dPvpxsv60

これで久遠さんのメンタルも回復したな
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 05:30:13.39 ID:iU9wGoGMO

下心無しで温かい触れあいってのも良いなぁ
779 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 18:47:26.83 ID:LG4VuDgyo

では少しだけ
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 18:49:11.37 ID:i4/4CQ/KO
いえす
781 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 19:11:21.41 ID:LG4VuDgyo


√ 12月14日目 夜(病院) ※日曜日


01〜10 夏凜
11〜20 
21〜30 園子 
31〜40
41〜50 風
51〜60  わるいこと
61〜70  千景
71〜80 
81〜90  若葉
91〜00 

↓1のコンマ 
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 19:46:55.45 ID:i4/4CQ/KO
783 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 20:30:31.13 ID:LG4VuDgyo

√ 12月14日目 夜(病院) ※日曜日


風「ときどき、園子は天乃の娘みたいに見えるところあるわよね」

天乃「そう?」

風「甘え方というか……言動の子供っぽさがそう感じるのかもしれないけど」

なんかそう見えるのよねぇ。と

風は笑いながら言って、椅子に座ると天乃を見る

子供が産まれて以降、天乃の体調は悪くない

夜更かししたり、激しい運動をするようなことはできないが、

順調に回復して言っているのだろう

表情にも、影は感じられない

天乃「樹は? 樹のところに居なくていいの?」

風「ずっといるのもあれだろうからって、若葉達が代わってくれたのよ」

天乃「精霊なら寝なくていいからって?」

風「あたしは平気って言ったんだけどね……」

樹に害があったのだ

次もないとは限らないと心配して、不安で

寝ないだろう。と、言われたのだ

風「天乃に会って来いって」

天乃「私は精神安定剤か何かなの?」
784 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 20:56:20.98 ID:LG4VuDgyo

くすくすと笑って、天乃は言う

風の表情に樹のことへの不安と恐れはない

精神的な揺れもない

強い覚悟があるのは、樹に何かを言われたからだろう。と、

天乃は感じたからだ

天乃「樹も大丈夫そうね」

風「分かる?」

天乃「貴女が平気そうなんだもの、分かるわ」

風「……そっか」

小さく呟く風は自分の手と手を握り合わせて、息を吐く

樹は、怪我を覚悟していた

気を失っていたのだと言われて、驚くことはなく

受け身取り損ねたもんね。と

訓練のし直しが必要だね。と、

些細なことだったかのように言っていた

笑っていた

風「もしかしたら、樹はもうあたしなんかよりもずっとできた子なのかもしれない」
785 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 21:23:55.57 ID:LG4VuDgyo

天乃「樹だって、いつまでもお姉ちゃんの後ろに隠れているような子じゃないわ」

それはあなたが一番分かっていたことでしょ。と

諭すような優しい声で続ける

天乃「でも、貴女だって立ち止まっているわけじゃない」

後ろにいたのが、隣になっただけ

引いていた手が、支えあう手になっただけ

天乃「どちらが優れているかじゃないでしょ?」

風「……そうだけど」

天乃「何か不満?」

風「………」

別に不満があるわけではない

ただ、樹と比べて自分の覚悟のなさたるや

とてもではないが樹の支えではないような気がする

樹よりも、劣ってしまっているような気がするのだ

風「ちょっと、朝は取り乱しすぎたって自己嫌悪」

天乃「………」


1、でも、ちゃんと抑えられた。でしょ?
2、ぎゅって、する?
3、またそうやって……貴女達は私にさんざん言うくせに、自分のことは責めるのね
4、仕方がないんじゃない? それだけ、樹が大切ってことなんだから


↓2
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 21:28:21.72 ID:i4/4CQ/KO
4
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 21:29:18.33 ID:lKdJTwRN0
3
788 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 22:10:43.84 ID:LG4VuDgyo

天乃「またそうやって……貴女達は私にさんざん言うくせに、自分のことは責めるのね」

風「えっ、いや、これは」

天乃「自己嫌悪、自己嫌悪って」

風「………」

天乃はむっとした表情を見せる

それは怒っているというよりもからかっているようで

茶化しているようで

反論を述べようという気も、削がれてしまう

風「……天乃」

落ち着いた声と、笑み交じりの吐息

風「だから、樹は天乃に会えっていうのかもね」

天乃「えっ?」

ううん。きっと、みんながだ

みんながきっと、天乃に会えと言うだろう

みんながきっと、天乃に寄り添えと言うだろう

それは、自分たちが守ろうとしている尊い存在だからだ

何かひとかけらでもあきらめてしまえば、

二度と、取り戻すことが出来なくなってしまうかもしれないものだからだ

それを守ることが出来ている今は、後悔する必要がないと再確認できるからだ
789 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 22:39:06.58 ID:LG4VuDgyo

風「園子がべったりしたくなるのも分かる」

天乃「えっ、ちょ」

風「少しだけ」

キシッ……と

ベッドをきしませ、風が近づく

園子の時とは違って、受け入れ態勢のできていない斜めった天乃を、

その腕に抱きしめていく

強く、弱く

優しくしっかりと

その間違いない生の温もりを、体と心にしみこませる

天乃「んっ」

風「細く、なったわね……」

天乃「運動してないから」

風「……なら、元気になったら、少しくらい運動したほうが良いわね」

今の細い腕では、抱きたくても抱けない

だから、少しは力をつけなさい。と風は囁く

耳元に感じる天乃の困った反応

でも、受け入れてくれる優しさ

感じる愛情を、強く、抱く
790 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 23:06:29.58 ID:LG4VuDgyo

風「天乃」

天乃「なに?」

風「天乃はみんなの、心のよりどころだと思う」

天乃「そう?」

風「そうよ、そうに違いない」

温かくて、優しくて

でも、叱るときは叱ってくれて

包んでくれる時は包んでくれる

天乃さえ無事なら、

みんなが壊れてしまうことも、疲れ果ててしまうことも

きっとないのだろう

天乃「……どうしたの?」

風「いや……なんでもない」

天乃「辛いときは辛いって言ってもいいのよ」

誰も責めない、誰も悪いなんて言わない

だから、耐えられないときは耐えられないと

そう言っていいのだと、天乃は風の体をそうっと、抱きしめた
791 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 23:11:32.28 ID:LG4VuDgyo

√ 12月15日目 朝(病院) ※月曜日


1が最低 0が最大


判定↓1
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:13:35.42 ID:lKdJTwRN0
793 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/24(日) 23:16:41.72 ID:LG4VuDgyo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

12月後半戦
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:17:16.35 ID:i4/4CQ/KO
12月は久々に延長戦か
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/24(日) 23:21:25.62 ID:i4/4CQ/KO
あと改めて乙
樹ちゃんいい意味で前向きになってて凄く成長してるな
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/25(月) 06:41:16.39 ID:N2gExNLuO

1月に突入するのかと思ったら12月はもしかして1ヶ月分やるのか?
その間毎朝祟りの判定があるとか早く久遠さんが元気にならないと不味いことになりそう
797 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/26(火) 22:33:07.08 ID:EeLYXma5o

では少しだけ
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 22:38:21.77 ID:FPgSfykiO
よっしゃ
799 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/26(火) 22:45:03.31 ID:EeLYXma5o

√ 12月15日目 朝(病院) ※月曜日


何もないところで躓いたり、

危うげな場所にぶつかってしまったり

管理されているはずのお皿がなぜか欠けていて、指を切ってしまったり

ほんの些細なことで

気にしすぎだと言いたくもなるようなことで

少しずつ、みんなが傷つく

単なる偶然なら良いかもしれない

でも、みんなが相次いで怪我をする、しそうになるというのは

悪い予感しか感じられなくて

ちっぽけなことだからこそ感じる、

からかわれている……弄ばれているという感覚が天乃は不快だった

みんなも気にすることはないと口をそろえつつも

この不気味な流れには

元気よく声を発するということも難しかった
800 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/26(火) 23:02:56.36 ID:EeLYXma5o

天乃「ほんの些細な怪我……」

でも、天の神による祟りだと天乃は思う

些細だからこそ怪しいのだ

樹の件があってからのちっぽけな被害

大きいことも小さいことも

偶然のような連鎖的な事故でも事件でも

神の手にかかれば造作もないことなのだと示されているようで。

また悩んでる。と、お叱りを受けてしまうことがないように

天乃はすぐ隣のベッドにいる夏凜にも勘付かれないほどに小さく息を吐く

天乃「疑心暗鬼にさせることが目的……?」

些細なことから大きなことまで

常に不安を抱き、恐怖に怯えさせて精神的な余裕を奪い

いざ戦いの時が来た時の戦力を削ろうという考えでもあるのだろうか

天乃「…………」

見えざる神の謀略を疑いながら、

考えすぎてはいけないと、天乃は半ばに首を振る
801 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/26(火) 23:15:07.10 ID:EeLYXma5o

不安にさせることはともかく、

恐れを抱かせるというのは、神様のような存在には十分に力になり得るもの

大きな被害を与え、小さな被害を与え

気の休まるときを与えないというのはもっとも効率的な戦略と言っていいかもしれない

けれどだからこそ、逆らうべきだろう

考えないようにして、偶然だと割り切ってしまう

しかし……それが許されるだろうか

無視をすることで

それならば……と、樹の時

あるいは、樹以上に酷いことになってしまうのではないだろうか。と

間げないようにすべきだと考える一方で、

不安もまた、大きくなっていく


1、勇者
2、精霊
3、イベント判定


↓2
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 23:19:02.54 ID:4qKM8PpI0
2
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 23:20:37.92 ID:FPgSfykiO
3
804 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/26(火) 23:40:55.75 ID:EeLYXma5o

√ 12月15日目 朝(病院) ※月曜日


01〜10 東郷
11〜20 友奈
21〜30 夏凜
31〜40 樹
41〜50 球子
51〜60  千景
61〜70 歌野
71〜80 沙織
81〜90 園子
91〜00 水都

↓1のコンマ 
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 23:45:57.89 ID:FPgSfykiO
806 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/26(火) 23:52:51.26 ID:EeLYXma5o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

もう一回園子とのフラグ建設
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 23:58:51.98 ID:FPgSfykiO

ここにきて連続でそのっちとの絆強化イベントか
久遠さんの不安を吹き飛ばせるような勢いがほしいところだな
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 00:40:29.75 ID:SpTWowC10

そのっちといちゃいちゃする機会今まで少なかったからな
809 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/27(水) 21:10:09.71 ID:ueB8Ikdmo
では少しだけ
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 21:14:23.32 ID:b7xX1xKXO
よしきた
811 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/27(水) 21:47:33.18 ID:ueB8Ikdmo

天乃「園子……何してるの?」

気づけば、もぬけの殻になっていた正面のベッド

かすかに聞こえるもぞもぞとした布のスレる音に

天乃は確信をもって、声をかける

今更音が止んでも遅い

覗けば見えるだろう金色の髪の持ち主の名前をもう一度呼ぼうかというところで

ひょっこりと、日の出のようにそれは頭を出した

園子「バレたか〜」

天乃「何してるのって、言ったのよ」

園子「立てばぶつかり歩けば躓く……ならば這えばいい!」

なーんて。と

園子はびしっと決めて見せた表情を綻ばせると、

のんびりと溶けた顔をベッドに乗せる

園子「赤ちゃんの目線も経験しておくべきだと思って」

天乃「這ってれば安全に近づけるってだけでしょ? 安静にしてなさいって、言ってるのに」

園子「だって〜」

天乃「だっても建前もなし。ものが落ちてきたり、床にガラス片がおちてる可能性もあるのよ?」

園子「そこまでは大丈夫なんじゃないかな〜?」
812 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/27(水) 22:08:24.27 ID:ueB8Ikdmo

天乃「その油断が命取りになるかもしれないのよ?」

園子「天さんの心配も分かるけど……」

でも。

心配しすぎていても精神が持たなくなってしまうかもしれない。

天の神の狙いはそこであるかもしれないのだ

いや、あるいは心身ともに疲弊させることが目的なのかもしれない

園子は言いかけた口を閉じると、

すっと立ち上がって、転げ落ちることがないようにと椅子に座る

園子「実は、天さんの傍に居ると気分が楽になるんよ」

天乃「またそんなこと言って」

園子「本当っ本当なんよ〜!」

まるでそれが嘘であると白状するかのように慌てて否定した園子は

天さんの力が漏れてるからだと思う。と、それっぽいことを付け加える

園子「天さんの力が漏れ出てるから、それが傍に居る私たちに触れることで癒されてるんよ」

天乃「それでも、離れたらまたけがをしたりするんでしょう? 逆に言えば、そのせいで酷くなることだってあるかもしれないわ」
813 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/27(水) 22:28:04.39 ID:ueB8Ikdmo

園子「天さんは〜も〜相変わらずネガティブがお好きだねぇ」

天乃「別に好きなわけじゃ……」

園子「だったら、悪い方悪い方に考えないで良い方にも考えたほうが良いよ」

一緒にいることで、癒される

祟りによる影響が少しでも軽減される

そういう風に考えたほうが良い

そういった園子は天乃の否定的な雰囲気を感じ取ったのだろう

ちょっぴりムっとする

園子「天さんは私といるの……嫌い?」

天乃「なに言ってるの?」

園子「だって、嫌がってばっかり」

天乃「嫌がってって……園子は、もう……っ」

明らかに分かっていて言っている園子を一瞥する

園子「しくしく」

演技か真か

うるうると潤んで見える眼差しだった


1、心配なのよ、分かるでしょ?
2、おいで
3、本当に、楽になるの?
4、貴女、自分が満開を使ったこと忘れてるわけじゃないわよね?
5、好きに決まってるでしょ


↓2
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 22:30:11.54 ID:HZbcHyxX0
3
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 22:32:22.37 ID:b7xX1xKXO
4
816 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/02/27(水) 22:37:45.67 ID:ueB8Ikdmo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子「甘くないっ天さんが甘くないっ」

園子「怒ってるんよ〜」

園子「もうだめだ〜愛が尽きてしまうぅ〜うぐっ」

園子「わが心のオアシスは枯れたのだ……ばたり」

天乃「まったくもう……園子、ふざけないの」
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 22:51:39.21 ID:b7xX1xKXO

久遠さんのそばが一番安全なのか
力が完全復活するまで一緒に寝てるのも手かな?
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 08:07:21.56 ID:gR+lg2FEO

早く久遠さんに安心を…
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 12:33:50.38 ID:+rEsmVUDO
前々から告知はされてたけど今までより休載率が跳ね上がってて心配だなぁ
今月は大丈夫だろうか…
820 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/01(金) 20:57:33.52 ID:u2FlVGTPo

では少しだけ
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 21:06:15.39 ID:0cehI7byO
かもーん
822 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/01(金) 21:18:23.05 ID:u2FlVGTPo

天乃「園子」

園子「ん……」

天乃「貴女、自分が満開を使ったこと忘れてるわけじゃないわよね?」

園子「天さんが折れてくれなかった……っ!」

天乃「何を言ってるのよ」

呆然と。

驚愕の表情で時が止まったかのように固まってしまった園子へと、

天乃は冷たさも感じる声で言い返す

園子は冗談を言っているような声色ではあったものの、

天乃としては、まじめだった

意地悪だったり、園子のことが嫌いなのではもちろんない

他でもない園子自身の身の安全も考えてのことであるからこそ

その要因となりえることを茶化そうとする園子に対して、

天乃は厳しい態度を見せるのだ

天乃「本当に分かってないの?」

園子「わ、分かってるんよ〜」

天乃「だったらどうして茶化そうとするの? 貴女が危険な目に合わないようにって、言ってるのよ?」
823 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/01(金) 21:38:35.64 ID:u2FlVGTPo

園子「う〜」

天乃「園――」

園子「天さん、お母さんみたい」

天乃「それはそうでしょ? これでも一応子持ちなんだから」

園子「宿題しろ〜勉強しろ〜貴方のために言ってるんだ〜っていう感じのやつだよ?」

多分いっつんなら良く分かるんじゃないかな〜と

間延びする声とは裏腹に

ちょっぴり残念そうにぼやいた園子は目を伏せる

母親であることは確かだ

でも、まだ中学三年生

元々精神的に年上だったものがさらに繰り上げられてしまったことで

より大人の思考になってしまったのかもしれないと思うと

悪いとは言わないが

また遠くに行ってしまったようで、園子としては……寂しかった

園子「天さん、子供心分かってない」

天乃「園子……?」

園子「危険だろうがなんだろうが好きな女がそこにいるんだっ会いに行って何が悪いんだこんちくしょーっ!」

天乃「っ!」
824 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/01(金) 22:06:11.72 ID:u2FlVGTPo

もう我慢できないと、あふれ出る思いの丈を吐露するように叫びに近い声で言い放った園子は

いきり立って椅子を蹴飛ばし、勢い任せに天乃に触れようとしたところで、グッと手を引っ込める

今の天乃は軽い力でも引き寄せられるけれど

それは、壊れやすいということでもあると園子はちゃんと分っているからだ

感情任せだからと言って理性がないわけではない

園子「天さんだって、体が動くなら危険だったとしても無茶するでしょ」

してきたでしょ。と悲しげに言うと、

倒してしまった椅子を元に戻して、ごめん。と自分のベッドに戻っていく

天乃「…………」

分かってないわけじゃない

むしろわかる。分かっている

どれだけの無茶ができるのか、無理を押し通そうとしてしまうのか

だからこそ、その対象である自分がストッパーでなければいけないはず

それなのに……

天乃「……悪いなんて思ってない、私はただ……」

心配なだけ。

しめられたカーテンをまっすぐ見つめて

天乃は心の中で、つぶやいた
825 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/01(金) 22:13:30.86 ID:u2FlVGTPo

√ 12月15日目 昼(病院) ※月曜日


01〜10 東郷
11〜20 
21〜30 夏凜
31〜40 
41〜50 
51〜60 千景
61〜70 
71〜80 友奈
81〜90 
91〜00 樹

↓1のコンマ 
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 22:14:29.85 ID:kbft5All0
827 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/01(金) 22:25:12.19 ID:u2FlVGTPo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「互いを想いあうが故のすれ違い……」

東郷「でも大丈夫ですよ久遠先輩!」

東郷「寝具の上で招き猫していればそのっちに限らず入れ食いです」グッ

天乃「寝具……ベッドの招き猫って何?」

東郷「それなら今から手取り足取り教えますからご安心を」ニコッ


夏凜「なにあれ。詐欺?」

風「嘘じゃないのが質悪いというかなんというか……」
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 22:29:16.71 ID:rkAlgWkL0

久遠さん体力戻らないと何にもできないんだよなあ
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/01(金) 22:35:54.31 ID:0cehI7byO

あの園子の叫びでどれだけ久遠さんのことを想っているのかがよく分かるな
いつか久遠さんが年相応の子供の心を取り戻せる日が来てほしいが…
830 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/02(土) 20:51:48.80 ID:P1lxuur8o

では少しだけ
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 20:59:26.71 ID:GKzytzL+0
よしきた
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 21:01:04.43 ID:FdKBIoz5O
あいよ
833 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/02(土) 22:12:15.25 ID:P1lxuur8o

√ 12月15日目 昼(病院) ※月曜日


精神的な疲弊は、

樹がけがをしたことや、みんなが些細であれ何らかの被害に遭ったことが原因だろう

だが、園子の気持ちを考え切れていなかったのは違う

カーテンの奥に消えてしまった彼女を想い

潰れてしまいそうな痛みさえ感じそうな体への不信感も違う

前者はきっと、子供を産んだことで愛する。という想い自体に変化があって

後者はきっと、少しずつ戻りつつある穢れとそれに呼応しているであろう祟り

それに対する感じきれない畏怖があるからだ

天乃「…………」

自分の言動の一つ一つ

それに対する園子たちの反応

園子が声を荒げて、逃げて行ってしまった後姿が目を閉じても見える

それほど、衝撃的で

それほど、心は不安に満ちていた
834 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/02(土) 22:47:33.02 ID:P1lxuur8o

天乃「私は……私だって……」

園子と同じだ

危ないから来るなと言われても

会いに行きたいと、何とかしたいと

そう思えば自分の身の危険のことなど考えずに会いに行く

天乃「駄目ね……」

少しは強くなれたと思ったのに

もうそろそろ、大丈夫になっていてもいいはずなのに

心の痛みは感情に直結してしまう

天乃「っ」

自分の体に対しては強すぎる力で、胸を抑える

少しでも触れられないだろうか

少しでも和らげられないだろうか

この不安を、少しでも忘れられないだろうか。と
835 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/02(土) 22:59:07.46 ID:P1lxuur8o

園子にも祟りによる影響はある

それは口にしてはいけないことで

どれだけの痛みと苦しみがあっても

外傷的なものでない限り決して他言は許されない代物だ

元気で明るい園子の姿

それが、百パーセントのものであると断言できるだろうか

少なくとも、今の天乃には無理だ

傍に居ることで和らげることが出来る

冗談めかしていた園子の言葉が、冗談であると断言できるだろうか

いや、出来ない

天乃「………」

それを後悔してしまうから

触れたがっていた園子を受け入れてあげれば良かったと

冗談に見せかけていても

普段のように、笑って受け止めてあげられるだけの余裕があったのならと、

心には棘の刺さる痛みが走る


1、勇者
2、精霊
3、イベント判定

↓2
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 23:04:41.86 ID:c1gAvtWF0
3
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 23:06:11.90 ID:FdKBIoz5O
1
838 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/02(土) 23:15:06.20 ID:P1lxuur8o

1、友奈
2、風
3、東郷
4、夏凜
5、樹
6、園子

↓2
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 23:16:20.80 ID:FdKBIoz5O
Ksk
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 23:16:36.53 ID:GKzytzL+0
3
841 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/02(土) 23:54:59.35 ID:P1lxuur8o

ではここまでとさせていただきます
明日はできればお昼ごろから


天乃「どうしたら……良いのかしら」

東郷「不安ですよね」ギュッ

東郷「でも、大丈夫です。大丈夫ですよ久遠先輩」

天乃「っ」ドサッ

東郷「悩みも、不安も……全て、忘れさせますから」
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 00:04:09.12 ID:6n/qM4NmO

ここまで精神が弱りきってるとなると東郷せんせーの手段を試してみるのも手かもしれんな…
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 00:50:09.25 ID:9R3PKc2+O

そのっちと仲直りしなくちゃ
844 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/03(日) 16:18:24.89 ID:jPKxhfVyo

では、少しずつ
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 16:22:36.60 ID:kUx2Zf8RO
はいよー
846 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/03(日) 17:02:12.66 ID:jPKxhfVyo

天乃「体の方はどう?」

東郷「今のところは、問題ありません」

ちょっとした擦り傷

その程度の被害はあったけれど、

祟りの規模としては非常に小さなものだ

樹のように体や頭を強く打つようなダメージを基準に考えるつもりはないが

事故や事件を含まない日常的な日々の中で起こる小さな傷は、

問題ないと言っていいだろう

東郷「久遠先輩も……体の方は調子がよさそうで何よりです」

全盛期と比べれば非常に少女的

だが、それはある意味で当然であり非日常から脱したとも言える

弱弱しいのはまだ、馴染まないが

このままでもいいのではないかと、東郷は心の中に言葉をしまい込む

東郷「ですが……」

天乃「聞こえちゃった?」

東郷「叫んでいましたから。みんなにも聞こえていましたよ」
847 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/03(日) 18:06:38.24 ID:jPKxhfVyo

東郷「そのっちも、何も本気で怒っているわけじゃないのは……」

天乃「うん」

東郷「そうですよね、久遠先輩だってそのっちとの付き合いは長い」

分からないはずがない

それはもちろん、その逆も然り

園子にも、天乃の考えている事くらい分かる

でもそれでも我慢できなかったから叫んだのだ

そこで叫ばせてしまったから

天乃が心に傷を負いかけているということを、

東郷は分かっている

東郷「……久遠先輩の傍に居れば、落ち着く。というのはそのっちの嘘じゃないんです」

天乃「貴女もなの?」

東郷「いいえ。みんなが、です」

天乃「私の持ってる穢れが作用してるのかしら」

東郷「穢れもそうですが……愛が感じられるからですよ」
848 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/03(日) 19:11:03.72 ID:jPKxhfVyo

冗談みたいなことを、東郷はまじめに言う

本気で言っている

穢れが作用していること

天乃の愛が感じられるからということ

全部本当だ

東郷「どれだけのことがあっても、久遠先輩が傍に居てくれるのならば大丈夫だと思える」

努力も、根性も報われるのだと分かる

だから、もっと頑張ろうと思うことが出来る

なによりも……胸の痛みを上書きできる熱さがある

東郷「久遠先輩さえいてくれるのなら、大丈夫なんですよ」

天乃「でも、傷は癒せない」

東郷「祟りは癒せる」

天乃「……」

東郷「……でも、そんな顔をされていたら、癒えるもの癒せない」


849 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/03(日) 19:34:33.88 ID:jPKxhfVyo

東郷「何でも言っているはずです。久遠先輩が、私達のすべてだと」

勇者を続けている理由、努力を惜しまない理由、

無茶をしてしまう理由、どんな困難にだってめげない理由

今こうして話している間にも

刻一刻と祟りによって体が蝕まれていても笑うことが出来る理由

東郷「久遠先輩が笑顔になれないと、私達も笑うことが出来ません」

天乃「……」

東郷は椅子からベッドへと軽やかに身を移し、

天乃へと身を寄せる

東郷「久遠先輩が注意してしまうことも、そのっちが少しやりすぎてしまう気持ちも、どっちも良く分かります」

東郷自身、

動くことが出来る嬉しさも相まって天乃に会いに行きたくなるし

触れたいと思ってしまう

だから全身が動かなかった園子は、自分以上にそういう気持ちが強いだろうことも分かる

そんな園子の自由さに、不安になってしまう天乃の気持ちも分かる

東郷「だけど、少しだけでいいのでそのっちを受け止めてあげてはくれませんか?」

頻度が多いこともあるだろう、強く密着してくることもあるだろう

でも、それは好きだからこそだし

蝕まれていく自分の体を癒し、心を強く保つためのものだから

だからお願いします。と、東郷は言う



1、分かってるわ。分かってるけどね……不安が勝っちゃうのよ
2、そのっちだけでいいの?
3、なら、私のことも何とかしてよ
4、力さえ、ちゃんともどってきてくれさえすれば……

↓2
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 19:36:35.92 ID:kUx2Zf8RO
4
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 19:39:17.48 ID:N2sEmyHgO
2
852 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/03(日) 20:36:54.99 ID:jPKxhfVyo

天乃「……そのっちだけでいいの?」

東郷「え……」

東郷の話を聞いて、問われて

引き出されたのは天乃の笑みと、からかうような台詞

思わず反応の遅れた東郷は、ぐっと息を飲みこむと

考えの読みにくい真っ新な笑みを浮かべる

東郷「そんなわけ、ないですよ?」

天乃「でも、勇者部だけでも6人いるでしょ? 園子みたいな頻度で来られると、体がもたないというか」

休まる時間が無くなっちゃうと思わない?

そう聞く天乃に見せるのは、笑みだ

何を言ってるんですか?

本気で言ってるんですか?

そう問いかけるような威圧感さえ感じられそうな笑み

天乃「東郷?」

東郷「節度は守らせるので大丈夫ですよ。それに……」

一日を朝昼晩で考えれば、3日

一週間もあれば21日もあるということになる

東郷「6人いようが9人いようが、一人2回は久遠先輩を楽しめ……傍に居られます」
853 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/03(日) 20:44:41.31 ID:jPKxhfVyo

天乃「みんなの相手をしないっていうのは冗談だけど……その、変な考え方止めない?」

東郷「確かにそうですね……時間割的に言えば夜が圧倒的にお得……」

天乃「東郷?」

東郷「寝るもよし抱くもよし破廉恥な行為だってしてもいいですし、何より居られる時間が違います」

沙織たちを含めれば、天乃が抱く少女の数は一週間では足りなくなる

だが……

東郷「一日に二人相手にすると言うのは?」

天乃「東郷、落ち着いて」

東郷「くじ引きで決めるんです。一週間の中で誰がどの曜日かをくじ分けして、久遠先輩に相手して貰う」

もちろん、何をするかは個人にゆだねられる

ただ寄り添ってもいいし、何かしたりしてもいい

すべて自由、けれど一週間に一度限定

東郷「どうですか!?」

天乃「どうって……そうねぇ」

まずは、落ち着くことから始めましょうか

天乃は困ったように、そういった
854 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/03(日) 20:45:21.38 ID:jPKxhfVyo

途中ですが、本日はここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から

場合によってはお休みをいただくことになるかもしれません
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 20:57:31.72 ID:0VBeTqvZO

確かにとーごーせんせーの案で嫌なことを忘れられたら元気になりそうではあるかも
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/03(日) 23:49:03.69 ID:GrCTeWLx0

勇者部5人にそのっち沙織若葉……
1週間で足りないじゃん!?
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 15:29:51.71 ID:zPlEGfsJO
若葉は単身赴任だから将来的には1週間で大丈夫大丈夫
858 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/04(月) 21:28:23.36 ID:agnYot0Bo

では少しだけ
859 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/04(月) 21:32:47.99 ID:agnYot0Bo

√ 12月15日目 夕(病院) ※月曜日


01〜10 風
11〜20 
21〜30 樹
31〜40 
41〜50 千景
51〜60 
61〜70 友奈
71〜80 
81〜90 夏凜
91〜00 沙織

↓1のコンマ 
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 21:42:30.31 ID:QBSmjY9UO
861 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/04(月) 22:15:17.90 ID:agnYot0Bo

√ 12月15日目 夕(病院) ※月曜日


天乃「園子……顔見せないわね……」

もしかしたら寝ているだけかもしれないけれど、

求めすぎた罪悪感を感じているのかもしれない

園子はカーテンの奥に引っ込んで以降

まったく物音を立てることなく静まり返ったままだ

天乃「………」

寝ているのだとしても、

苦しみから逃れるためだったとしたら?

そう、思い始めてしまうと

今朝までの積極的な行動力は自分のためにもなっていたのだと

今更ながらに思う

天乃「でも、それは言えない」

それを言ってしまうと、

みんながみんな揃いも揃って我慢してでも顔を見せに来るからだ

苦しかろうが辛かろうが

自分は大丈夫なのだと言いに来るようになってしまう

だから、天乃から求めるわけにはいかない
862 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/04(月) 22:47:01.25 ID:agnYot0Bo

はぁ……と、ため息をつく

ため息をつくと幸せが逃げるというけれど

幸せが逃げているからため息が出ているのだと、天乃は投げやりに考えて目を瞑る

眠ってしまおうか

嫌な考えも、何も

考えずに済むように身を委ねてしまおうか

そんなことを考えて、東郷の言葉を思い返す

冗談みたいなことだったし

東郷は本気に見える冗談のような言い方だった

でも、救いになっていることはきっと……事実だろうし

決してない話でもないかもしれないと、思う

天乃「ただ、私の体がもたないのよね」

一週間が短いとかどうとかではなく

天乃は今簡単に壊れてしまいそうな陶器人形みたいなもので

二人の相手など、していられない

もちろん、みだらな行為をしないならば多少……負担は軽くなると思うけれど。


1、勇者
2、精霊
3、イベント判定
4、休む


↓2
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 22:49:09.48 ID:thCZ3g5LO
4
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 22:51:01.12 ID:ESpHMgFW0
4
865 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/04(月) 23:09:12.28 ID:agnYot0Bo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


再開時にイベント判定
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 23:18:22.94 ID:thCZ3g5LO

まず久遠さんが元気にならないとどうにもならないからな…
今は焦らず体力を回復させよう
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 23:58:13.85 ID:2Dw0U2htO

休むのが先決だな
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 00:47:08.49 ID:OOdSoI+BO

まあ久遠さんの方の大きな一難はさったから寝てりゃそのうち元気になるでしょ
869 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/05(火) 22:06:58.43 ID:OSRFwt2To

では少しだけ
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:10:22.14 ID:appJXCuwO
ばっちこい
871 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/05(火) 22:13:47.08 ID:OSRFwt2To

01〜10 
11〜20 友奈
21〜30 
31〜40  樹
41〜50 
51〜60  風
61〜70 
71〜80 千景
81〜90 
91〜00  夏凜

↓1のコンマ 
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 22:15:51.76 ID:appJXCuwO
873 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/05(火) 22:48:50.24 ID:OSRFwt2To

精霊の空間から姿を見せた千景は、

閉じ忘れのカーテンをさっと締めながら、中に残る

音がならないように椅子に座って、

目を瞑り、微かな寝息を立てる

そんな、小さな子供のような主を眺めて、唇を結ぶ

起きている間、ずっと悩まされる不安から逃れられている時間は

天乃をとても穏やかにさせてくれている

けれど、それはまだ些細―樹は重傷だったが―と言えるレベルに留まってくれているからだ

しかし、祟りを受けてからまだ数日も経たないうちに細かな被害は尽きず

一人の例外もなく襲われていく事態は、いずれ夢にまでその猛威を振るうかもしれない

勇者は怪我を負い、天乃は心に傷を負う

千景「……私はまだ、思えば軽かった」

虐げられて傷ついた心と、

精霊の穢れによって産まれたもう一人の闇の強い郡千景の挑発

自分の心さえ強ければ何とでもなったそれに対し、

何よりもみんなを失うことを恐れていたのに、大事な時な時に守ることのできる力を失って

時間が経つにつれて被害が大きくなるか、重なるかで傷ついていく勇者部を見ているだけしかできない天乃

明らかに天乃の方が精神的に辛いだろうと、千景は思う
874 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/05(火) 23:06:11.96 ID:OSRFwt2To

少しずつだが、天乃は回復傾向にある

こうして夕方から眠ろうとする……眠ったりするのも

取り戻していく力の流れに乱されてしまわないようにと

調律を行うために無意識に体を休ませようとしているからだろう

もちろん、天乃自身は眠気を感じるなどあるだろうが

その原因は疲れなどではなく、そう言った霊的な要素だ

千景「貴女が、今後を左右する」

天乃の回復力次第では、

祟りの影響を最小限に抑えることが出来るし、

樹のような被害に遭わないようにすることだって、出来る

だから、少しでも早く体を良くしてもらわなければならない

神樹様の種を無理やり行使したりするような人はここには居ないけれど

悠長回復を待っていられなくなる可能性だってあり得ない話ではない

というのも、沙織たち曰く大赦内部ではまだ、妙な動きがあるような気がする……というのだ

もしそれが気のせいではないのだとしたら、

つい先日の奉火祭のように

秘密裏に行動しているということから少なくとも、良くないことを行おうとしているということになる

それがあるかないかでまた、対応が代わってくる
875 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/05(火) 23:24:39.91 ID:OSRFwt2To

千景「……でも、無理はさせられないわ」

千景の力を使えば穢れを取り戻させることはできる

神樹様の種を使えばそれに対しての力も取り戻させることはできる

けれどもそれは、荒療治になってしまう

最悪、天乃の命を奪ってしまうことにさえなりかねない

自然回復で力を取り戻させる遠回りな道こそが

もっとも安全であり確実な方法なのだ

もどかしさがないと言えば、嘘になる

けれど……余計なことはしてはいけない

千景「……頑張って、久遠さん」

何もできないけれど

でも、傍に居てあげることくらいはできるから

何も掴むことが出来ないような弱弱しい手を、包んであげることくらいはできるから

千景「死なないで、生きて、頑張って」

頑張れなんて無責任かもしれないけれど

かけてあげられる言葉は、それくらいだった
876 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/05(火) 23:30:38.41 ID:OSRFwt2To

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


千景「寝ていると、本当……」

沙織「する? しちゃう?」

千景「っ!? い、伊集院さん?」

沙織「良いんだよ? しても……誰も怒ったりしないから」

千景「…………」

千景「……しないわ。私はそういう柄じゃない」
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/05(火) 23:38:13.97 ID:appJXCuwO

千景の優しさや願いが久遠さんの力の一部になってくれるといいなぁ
その一方でまたしても大赦が何かやらかしそうで気になる…
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 00:47:10.32 ID:47e2Y0cF0

勇者部の声援が久遠さんの力に!
種使うタイミングは難しいよなあ
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 08:07:34.67 ID:R2vesuNwO
どうやら花結いの章が完結した模様
もし久遠さんが介入してたら基本神様との相性が悪いのもあってただでは終わらなさそう
880 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/06(水) 22:12:56.22 ID:Ns1G9P2ro

では少しだけ
881 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/06(水) 22:14:43.83 ID:Ns1G9P2ro

√ 12月15日目 夜(病院) ※月曜日


01〜10 夏凜
11〜20 
21〜30 若葉
31〜40 
41〜50 九尾
51〜60 お休みのまま
61〜70 樹
71〜80 
81〜90 友奈
91〜00 

↓1のコンマ 
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 22:15:19.85 ID:A4SY4aTuO
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 22:18:50.20 ID:h5EkOyDcO
友奈ちゃんか
884 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/06(水) 22:42:32.60 ID:Ns1G9P2ro

√ 12月15日目 夜(病院) ※月曜日


足音や気配を消すのはいつの間にか手慣れてしまったもので、

こっそりとカーテンをめくった友奈は、中を覗いて天乃の状態を確認する

布団の動きは静かな呼吸の上下だけ

昼間のように体を起こさず、横になっている天乃は起きているかどうか一目ではわからない

友奈「く……」

声をかけようか

ちょっぴり迷って出かけた言葉を飲み込み、

一歩中へと進む

天乃「……友奈?」

友奈「ぁっ」

天乃「大丈夫よ、もう……起きてたから」

起こしたのかと。

申し訳なさの見えた友奈の小さな声に

天乃は眠気の感じる声で返して、布団の中でもぞもぞと動く

体を起こすほどの、気力はなかった
885 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/06(水) 23:00:50.52 ID:Ns1G9P2ro

天乃「……どうかした?」

友奈「大丈夫ですか?」

天乃「大丈夫」

友奈「ベッド動かしますか?」

天乃「ううん、このままで、お願い」

もぞりと布団をずらし、

顔が見えやすいようにして、微笑む

ベッドの上半身部分を動かせば体を起こすことは容易いけれど、

引き摺られるからだが少し、辛い

天乃「ごめんね、来てもらったのに」

友奈「久遠先輩にはできる限り休んで貰うのが一番ですから、平気ですっ」

むしろ、休ませるべきなのに

こうして話させて大丈夫なのかな……と、友奈は思う

独りぼっちでいるよりも

誰かと会話したりして孤独に苛まれないようにするのは

気休め程度には、有効かもしれないけれど。
886 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/06(水) 23:28:53.01 ID:Ns1G9P2ro

友奈「朝ならもう少し大丈夫ですか?」

天乃「?」

友奈「実は、久遠先輩が少し元気になったのなら赤ちゃんとあわせたほうが良い。みたいな話があって……」

母子同室に関しては、

世話はみんながやるから問題がないという話ではあるが

今は祟りによる不幸の影響があるほか、

母乳などを挙げたりする必要があったり、

いつ泣くかも不確かなため負担が大きく、することはできないけれど

顔を見ること、抱くこと位はできる

もちろん、天乃の体調次第では授乳―出るかはともかく―することもあるだろう

友奈「明日、問題がなかったら会いに行くのはどうですか?」

天乃「……私のこと、お母さんだと認めてくれるかしら?」

友奈「大丈夫ですよっ」

天乃の弱気な声に、友奈はぐっと身を乗り出す勢いで答える

友奈「久遠先輩がお腹を痛めて産んだ子供だからっ……私達は、微妙かもしれないですけど」

えへへ……

困ったように笑った友奈は、まだこれからだよね。と意気込みを見せる


1、友奈も一緒に行く?
2、ねぇ友奈、出るかどうか確かめてくれない?
3、みんなが元気になったら、ちゃんと名前も決めてあげないと
4、これからよね。本当

↓2
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 23:30:45.59 ID:h5EkOyDcO
1
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/06(水) 23:31:29.53 ID:uVKL5kQ/0
2
889 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/06(水) 23:51:39.85 ID:Ns1G9P2ro

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈「えっ」

東郷「友奈ちゃん、今搾乳のしおりを造るから一時間頂戴!」カタカタカタカタッ

友奈「え……っ」

東郷「とりあえず、友奈ちゃんは赤ちゃんになり切る練習をしておいてね?」

友奈「なんで東郷さんに頼まないのかだけは分かっちゃった」
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/07(木) 00:00:44.42 ID:G7YYkuFxO

これまた分厚そうなしおりを作りそうなとーごーせんせーェ…
それはともかく久遠さんやっと自分の赤ちゃんと対面できるんだな
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/07(木) 00:01:14.06 ID:cLMZJHgZO

まさかの友奈役得
892 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/09(土) 21:28:18.04 ID:9DkVGB2Yo

では少しだけ
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/09(土) 21:29:49.11 ID:ux5fK2UIO
やっときたー
894 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/09(土) 22:11:11.22 ID:9DkVGB2Yo

天乃「ねぇ友奈、出るかどうか確かめてくれない?」

友奈「あ、はい――えっ!?」

だ、ダメですよ!と、

友奈は反射的な答えをしてすぐに前言を撤回したうえで、

天乃の申し出に首を振る

友奈「それは……あ、あくまで赤ちゃんの、ためのものじゃないですか」

天乃「そうだけど……でも、出るかどうか分からないし」

多少、胸が張る感じはあるが

漏れ出してくるといった限界感は感じない

自分で揉んだりしてもいいとは思うのだが、

あいにく、今の天乃には絞り出すほどの力はない

困ったように理由を話すと、

友奈は何とも言えない困り果てた表情で目を逸らす

友奈「う……」

してみたい気持ちと、ダメだという気持ち

さっきまで優勢だった後者も、事情があるともなれば話は別で。

でも、友奈は悩まし気に目を泳がせた

友奈「な、なんで私なんですか?」
895 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/09(土) 22:26:07.05 ID:9DkVGB2Yo

天乃「……? なんでって、友奈マッサージ得意でしょ?」

友奈「そうですけど……」

でも、エッチなことを基準で考えれば明らかに技術に劣る

その筋の知識を沢山仕入れている東郷や沙織

地味に努力をしている夏凜や樹の方が明らかに適任だろうと友奈は思う

友奈「あ」

思ってすぐに、思い直す

胸に触れるからといって。

もう母乳から離れて久しい年齢の自分たちが母乳に触れるからと言って

必ずしも、エッチなことではないのだと。

少なくとも、天乃にとっては他意どころか性欲的な欲求など皆無で

あくまで赤ちゃんが必要としている母乳が問題なく出るのかどうか

それを知ろうとしているのだと。

そして何より

友奈「あぅぅぅ」

天乃「友奈?」

友奈「……エッチな子でごめんなさい」

自分がまず先に性的な思考で捉えていたことに気づいてしまった
896 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/09(土) 23:05:51.76 ID:9DkVGB2Yo

天乃「そんなあなたにしたのは、私でしょう?」

友奈「そんなことっ」

天乃「あるでしょ」

天乃が微笑むと、

友奈は否定しきれずに口を閉じる

それもそうだろう、否定できるはずがない

もし、友奈が学校でほかの男子または女子とお付き合いをしたことがある。というのであれば、

別の原因もあったかもしれないけれど、違う

それどころか、性的な行為が必要だとみんなに求めていた天乃と

思春期真っただ中に付き合いを始めてしまったのだから

それはもちろん、エッチな知識を持つことになる

天乃からの欲求が性的なことだという考えにも至ってしまう

天乃「もちろん、友奈が嫌ならいいのよ」

困らせたくて言っているわけではないのだ

この要求に答えてくれる人はいる―少なくとも夏凜は絶対に―し、

他のみんなだって別に優しくないわけじゃない

天乃は口にはしないが

必ずしも友奈でなければならないという理由はなかった
897 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/09(土) 23:27:39.56 ID:9DkVGB2Yo

友奈「それは……狡く、ないですか」

天乃「そう?」

友奈「だって……」

分かっていて言っているのだろうか?

嫌ならばいいと言われて、嫌だと言えるわけがない

それは天乃も分かっていることだろう

だが、自分は遠慮しておきますと言っても

他の誰かが代わりにやってくれてしまうということになる

友奈「……東郷さんは、断らないと思います。沙織さん達も、樹ちゃんだって、多分」

少し躊躇するそぶりを見せながらも、

頑張ります! と意気込む姿が目に浮かんでくる

ダメではない、嫌ではない、悪いことでもない

むしろ、求められたことに率先して応えられることに憧れさえする

だけど、もやっとする

友奈がすっと自分の胸元に手を伸ばすその仕草を、天乃は優しく見つめる

天乃「自信がないとダメなのだとしたら、私はみんなのお嫁さん失格になるわね」

友奈「えっ」

天乃「だってこんな状態なんだもの。欲求どころか要求に応えてあげられる自信さえないわ」
898 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/09(土) 23:46:43.07 ID:9DkVGB2Yo

友奈「そ、そんなことないです!」

もやっとした気持ちを押しのける勢いで身を乗り出して、否定する

天乃がどれだけの苦労をしたのか知っている、みんな分かっている

友奈「久遠先輩は精一杯応えてくれてます!」

なぜ応えることが出来ないのかを知っている

友奈「一緒に寝たいって言えば寝させてくれる、お話に乗ってくれるし、つまらない話だって楽しそうにしてくれる」

そして、その応えてあげられないことに罪悪感を抱いてしまうほどに、

欲求や要求以上に供給してあげたいと思ってくれていることも……分かっている

なにより

友奈「本当は戦いたかったのに、私達の為に退いてくれたじゃないですか。それだけで――」

十分なんです。

そう、続けようとした友奈の視界に映る天乃は、優しかった

言葉となって羅列されていく想いを、しっかりと受け止めてくれている姿

それは、憧れ、愛し、恋をした久遠天乃という先輩

天乃「ありがと……でもね。私だってしたいことは沢山あっても我慢して、愛想付かずに一緒にいてくれる。それで十分。なのよね」

友奈「……」

気づけば、友奈が語ったのは友奈自身の悩みに対する言葉で

天乃を想う気持ちが強いからこそ抱いてしまう負の面を、そのより強い想いが説き伏せる

悩む必要なんて、ないのだと。

そうさせる天乃の答えと、表情はやっぱり――狡い

友奈「やります……やらせてくださいっ」

上手くできないかもしれない。そんな考えは、もうなかった
899 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/09(土) 23:51:36.13 ID:9DkVGB2Yo

では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から


東郷「友奈ちゃん、出来たわ! 搾乳のしおり――」

友奈「ごめんね、東郷さん」

東郷「え?」

友奈「私……久遠先輩の信じてくれた私の力で頑張ってみようと思う」

東郷「友奈ちゃん……ううん。私の方こそごめんね

東郷「友奈ちゃんはもう、立派な女性だって言うことを分かってなかったみたい……頑張って」ニコッ


風「良い話?」

夏凜「内容が違ってれば」
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 00:03:33.16 ID:TttTqcIjO

相手が友奈ちゃんだったのもあって優しさを感じるいい話になったなぁ

あとは厳密には違うかもだけど久々のえっちシーンに期待
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 00:03:54.98 ID:6Qtc0+J5O

友奈の本領発揮!
902 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 13:39:15.01 ID:GWxGcd2Mo

では、少しずつ
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 14:29:31.70 ID:vFNoXPysO
久々に昼だったー
904 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 14:51:26.48 ID:GWxGcd2Mo

友奈「そ、それじゃ……失礼します」

天乃「どうぞ」

友奈「………」

双子を妊娠し、出産した母親の体であるはずなのだが、

腹部のたるみや、脂肪の付き具合はそれを感じさせない

むしろ、子供ができる前よりも衰えてしまっているようにさえ、感じる

天乃はそんな友奈の視線を感じて恥じらうよりも、

どこか申し訳なさそうに、嘲笑の笑みを浮かべる

天乃「……エッチな気分には、なれなくなるでしょう?」

友奈「そんなこと、ないですよ」

天乃「嘘」

友奈「本当です」

その衰えに抱くのはどうしても罪悪感が上回ってしまうけれど

決して魅力がないわけではない

そもそも、今回はエッチなことが目的ではないのだ

それは、体がしっかりと戻ってから考えればいい

友奈「始めますね、久遠先輩」
905 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 15:26:13.60 ID:GWxGcd2Mo

母乳が出るのかどうかの確認は、どうしたらいいのか

天乃はマッサージが得意だから選んだと言っていたけれど

残念ながら揉めばいいわけではない

母乳が出るかどうかは母親の体の状態が一番カギになっているが

もう一つ、赤ちゃんの吸い方にも左右される部分がある

となると……当然

友奈「吸うことになる……よね」

天乃「ん?」

友奈「も、持ち上げないでくださいっ」

天乃「でも、吸うんでしょ?」

友奈「そ、そうですけどっ」

初めてであったころから豊満だったバストは、

元々小さな体にはそぐわないものだったが、

妊娠したことによって少なくとも一回り近く……増えた

東郷は大きいがその分、身長も低くはない

その点、天乃は小さな体に大きな胸

対して動いていないにもかかわらず増えない腰回り

その造形は何とも言い難い

なのに、天乃は気にする様子もなく乳房を持ち上げて見せるのだから……エッチだった
906 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 16:11:21.06 ID:GWxGcd2Mo

友奈「えっと」

小さい頃、自分はどんな吸い方をしていたのか

母親はどのように与えてくれていたのか

乳房を目に焼き付け、目を閉じ……連想によって記憶が引き起こされてくれることに期待する

友奈「久遠先輩……お願いをしてもいいですか?」

天乃「ええ、どうすればいい?」

友奈「私のこと、抱いてくれませんか? 赤ちゃんに母乳をあげるみたいに」

天乃「おいで、友ちゃん」

優しく、手に触れる

自分はここにいるのだと導き、

傾いていく体を支えて、自分の体へと倒れるように引く

友奈は赤ちゃんというには大きすぎるが、

身体を横にしてあげれば、胸を吸わせることくらいならできるだろう

友奈「お母さん……」

違う

友奈「ママ……」

心を、戻していく

身体の感覚のほぼすべてをシャットダウンして、

まだ無知で、無垢な時代へとさかのぼらせていく
907 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 16:40:39.57 ID:GWxGcd2Mo

成人した大人ならば困難かもしれないけれど

でも、友奈はまだ、中学2年生

記憶は薄れてしまっていても、その感覚は体に染みついている

天乃「……」

天乃は、母親になったのはこれが初めてだ

どう導けばいいのか分からない

でも、母乳を吸わせるという行為自体は知っている

どこから吸わせるのかもわかっている

だから、それだけを考えて導いていく

友奈「ん……」

鼻先がふにゅりと、潰れる

鼻のすぐ横にちょっぴり固い突起物

目を閉じていても分かるそれをめがけて、口を開く

突起物――乳頭が舌先ではなく、

奥の方に届くようにまずは進んでいく

友奈「ぁぅ……」

まだ、口を閉じない

乳房の一部が舌に触れるようになったら、少し持ち上げるようにして、角度を変える

口蓋に乳頭が触れ、一瞬えずきそうになるのを抑えて右手で乳房に触れる
908 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 16:53:14.97 ID:GWxGcd2Mo

唇を少しずつ閉めていき、

強く吸い付かない程度の状態で下あごが触れる事を感じ取ると、

友奈は目を瞑ったまま、吸う

天乃「んっ」

まずは弱く、準備運動

ピッタりと張り付いた唇から空気は吸えず漏れず、

鼻で呼吸をして、唇を押し揉むポンプのように動かして、

天乃の体に母乳を催促する

天乃「っ……んっ」

友奈「ん……」

手では揉まない

あくまで、支える程度

吸って、吸って、吸って

唇で挟んで刺激して……また、吸い上げる

一つ一つの間隔を少しずつ早めていく

それでも……母乳はなかなかに出てこない
909 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 17:04:36.43 ID:GWxGcd2Mo

友奈「っは……」

天乃「……はぁ……」

友奈「で、出ないですね」

天乃「そう、みたいね……」

ちょっぴり疲れたように見える天乃だが、

それよりも密着する肌の温かさを感じて、友奈の迷いは口を半開きに止める

友奈「………」

自分とではやっぱり、エッチに分類されるのだろうか。

頭では違うと考えていても、体はそう覚えているし感じてしまう

だから、母性よりも性的なリソースに神経が割かれてしまって

母乳が出てこないのではないかと、友奈は精一杯に考えてみる

エッチの時、粗相をしてしまうのではという感覚なのに、出てくるものは違う

それと似たようなものなのではないかと、思う

胸が強い性感帯担っている天乃なら、なおさらだ

聞けば聞くほど、吐息は艶っぽく

揺れる胸、布団の中に隠れた下腹部は秘めたるものを誘惑する

友奈「も、もう少し頑張ってみましょう」

天乃「でも……私……」

友奈「そういう気分になっちゃったときは言ってください。何とかします」

天乃「それじゃ……お願い、するわね?」

任せてください。と、友奈は意気込んで

思い出した母乳の吸い方、赤子の自分の動きをなぞるように――天乃の胸へと顔を寄せていった
910 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 17:18:07.70 ID:GWxGcd2Mo

01〜10 
11〜20 母乳
21〜30 
31〜40 違うほう
41〜50 母乳
51〜60 
61〜70 
71〜80 母乳
81〜90 
91〜00 違うほう


↓1のコンマ 
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 17:21:59.72 ID:JCJjpE46O
912 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 17:55:19.56 ID:GWxGcd2Mo

30分ほど……だっただろうか

ふやけてしまうこと、

偏ってしまうことを気にして左右の乳房を吸い分けながら続けていると、

少しだけ滲むものがあった

初めは友奈の唾液が多く、それが薄れただけのものではないかという疑念もあったけれど、

乳房と乳頭をしっかり拭って、唾液を飲み込んでから続けてみると

少しとろりとした何かが舌の上を流れていく

友奈「っ!」

もう一度、吸う

もう少しだけ強く、吸い上げる

とろりとしていた何かはだんだんと量を増して、さらりとしたものに変わって

求めれば応じる様に流れ出てきてくれるようになっていく

天乃「あっ……だめっ」

友奈「わわっ」

溜まりすぎていたからか

詰まっていただけなのか

友奈が離れても、母乳は溢れ出て……伝い落ちる

ぽたりぽたりと布団――ではなく、

横になっていた友奈の寝間着を汚してしまう
913 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 18:10:24.53 ID:GWxGcd2Mo

友奈「んっ……ペロッ」

天乃「っ……ちょっ……」

友奈「う、動かないでください」

溢れ出ていく白い川を、なめとって辿る

桜色の蕾は味覚的ではない甘美な味わいを舌に染み込ませてくれる

舌から脳に伝わり、体に溶け込む

まるで、初めから自分自身の体の一部だったかのように、

それは友奈の体に馴染む

天乃が動けば、胸が揺れる

胸が動けば、母乳が出てきてしまう

友奈が左の胸を舐めとると、右から流れ出てきていて

右の胸を舐めとれば、左の胸から出てくる

天乃「やっ……んっ」

友奈「今まで、こんなの……」

味わったことないのに、不思議と懐かしい

それはとても温かくて

祟りの熱、その痛みなど容易く忘れさせてくれるような――心地よさだった
914 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 18:22:34.61 ID:GWxGcd2Mo
1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(好きだからこそ)
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流有(母乳)
・   東郷美森:交流有(欲求不満)
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流無()
・   土居球子:交流無()
・   白鳥歌野:交流無()
・   藤森水都:交流無()
・     郡千景:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()
・      九尾:交流無()
・      神樹:交流無()


12月16日目 終了時点

乃木園子との絆  97(高い)
犬吠埼風との絆  117(かなり高い)
犬吠埼樹との絆  105(とても高い)
結城友奈との絆  132(かなり高い)
東郷美森との絆  136(かなり高い)
三好夏凜との絆  162(最高値)
乃木若葉との絆  107(かなり高い)
土居球子との絆  54(中々良い)
白鳥歌野との絆  52(中々良い)
藤森水都との絆  44(中々良い)
  郡千景との絆  54(中々良い)
   沙織との絆  138(かなり高い)
   九尾との絆  77(高い)
    神樹との絆   ??(低い)
915 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 18:33:38.05 ID:GWxGcd2Mo

√ 12月16日目 朝(病院) ※火曜日


01〜10 友奈
11〜20 
21〜30 夏凜
31〜40 
41〜50 九尾
51〜60 
61〜70 風
71〜80 
81〜90  樹
91〜00 

↓1のコンマ

※コンマ一桁判定付与
 →1〜0  判定+1 
※ただし、例外有
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 18:36:54.35 ID:UEmn7uQB0
917 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 18:44:34.04 ID:GWxGcd2Mo

では少し中断します
20時ころまでには再開予定になります
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 19:45:46.55 ID:JCJjpE46O
一旦乙
久遠さん、相変わらずエロくて素敵だ…
919 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 20:22:00.65 ID:GWxGcd2Mo
ではまた少しだけ
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 20:28:27.33 ID:h6csyVv9O
あいよ
921 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 21:01:37.42 ID:GWxGcd2Mo

√ 12月16日目 朝(病院) ※火曜日


天乃「……こうしてみると、赤ちゃんみたいね」

すぐ横ですやすやと眠る友奈の寝顔

頬を突きそうな距離に置いた人差し指で布団をペシペシと踏み固めて、微笑む

穏やかで愛らしい

悪戯をしてみたくなるけれど、

このままじっと眺めていたい気持ちにもなる

天乃「貴女のせい、なんだからね」

天乃を起こした胸の違和感

昨日、友奈が吸いきれなかったあまりだろうか

触れてみれば湿っていて、

洗おうとすれば、また出てきてしまうため

応急処置を施して、パッドをつけるにとどまっている

当然ながら、体の向きを変えることなんて出来はしない

もちろん、嫌ではないし悪いことでもないのだが

天乃「友奈なら、責任とってくれそう」

溢れる母乳の処理

きっと請け負ってくれるだろうと考えて

思い浮かぶ昨夜の友奈の姿に、体は少しだけ熱っぽかった
922 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 21:24:32.01 ID:GWxGcd2Mo

天乃「あんなに、迫ってくるとは思わなかった」

母乳が出始めた後、

何もしなくても溢れてくることに気付いた友奈は、

天乃に動かないようにと言いつつ、さんざんに……楽しんだ

最終的には押し倒され、友奈が満足するまでそれは続いた

友奈はせっかくなので。と言っていたけれど

授乳することで体が感じるようになってしまうのは、困る

天乃「でも、これで赤ちゃんにあげることが出来る」

体調次第では、

赤ちゃんに会いに行くことが出来るという話だった

今の調子なら問題はない

心配だった授乳も行うことが出来る

それなら、会いに行こうか

赤ちゃんのような寝顔を見せる友奈を眺めながら、

天乃は考える
923 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 21:46:41.25 ID:GWxGcd2Mo

話が出たときに深く話はしなかったけれど、

天乃が子供に会いに行くには人の手を借りる必要がある

普段なら、話を持ってきてくれた友奈だったり、

夏凜達を連れて行ったりするものなのだけれど

今の友奈たちは祟りを受けているため、

その影響が赤ちゃんに出ないとも限らない

それをみんな分かっているから、

たとえ、天乃がみんなを置いて看護師に連れていくことを求めても

何も言わないだろうし、仕方がないと考えることだろう

だけど……

天乃「みんなとの血のつながりはなくても……子供、なのよね」

天乃が産んだ、みんなの子供

もしも行くのなら、

出来れば、みんなの中の誰かを連れていきたいと思う


1、誰かを連れていく
2、みんながいけないのなら、諦める
3、看護師に頼んで連れて行ってもらう
4、交流:勇者
5、交流:精霊
6、イベント判定

↓2
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 21:48:24.74 ID:UEmn7uQB0
1
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 21:50:08.57 ID:h6csyVv9O
1
926 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 21:54:04.16 ID:GWxGcd2Mo

1、友奈
2、風
3、東郷
4、樹
5、園子
6、夏凜
7、沙織
8、若葉
9、千景
0、九尾


↓2
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 21:58:50.93 ID:h6csyVv9O
ksk
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 21:59:29.82 ID:UEmn7uQB0
6
929 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/10(日) 22:13:46.35 ID:GWxGcd2Mo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「……思ったのだけど」

東郷「友奈ちゃんは久遠先輩の母乳を飲んだのよね?」

友奈「そうだけど……ダメだった?」

東郷「ううん。ただ、母乳って考え方次第では妊娠できそうって思って」

友奈「そうだね。それが出来たら……嬉しいね」
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/10(日) 22:25:21.29 ID:h6csyVv9O

ついに久遠さんの母乳解禁でさっそく友奈ちゃんを赤ちゃんに変えてしまうとは…これはこれで尊い
そういえば母乳は血液で出来てるらしいけど祟りに対して効果はあるのかな?
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 00:04:43.24 ID:/y9D3qpY0

東郷さんがボケたのに嬉しいねって返しが切ない
932 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 08:05:03.50 ID:7XiJ/V2VO

久遠さんの母乳はある意味蠍座以上の勇者キラーじゃないだろうか
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 09:02:45.93 ID:EueFuSHoO
そりゃ久遠さんの子供欲しいんだもの嬉しいでしょ
久遠さんの母乳には力があるから本能的に求めてしまう…とか普通にありそう
934 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/11(月) 20:53:45.53 ID:Ri1KYW0Wo
では、少しだけ
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 20:58:28.80 ID:m/RjjdzUO
よしきた
936 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/11(月) 21:05:17.66 ID:Ri1KYW0Wo

夏凜「途中まで連れていくだけなら、良いわよ」

天乃「途中?」

夏凜「そ。途中」

本当なら、途中まで連れていくというのも断りたいというのが、夏凜の本心だった

樹があんな目に遭ったのだ

いつ、どこで、自分たちに不幸なことが起こるのか分かったものじゃない

神様の干渉だというのなら、

乗り込んだエレベーターが急速落下する。なんていう惨劇だって否定できない

神の祟りである以上、

常に最悪の想定をしたうえで行動するべきだ

けど、だからと言って天乃のお願いを無碍にするのも気が引ける

だから、途中まで。

夏凜「今の状態の私が子供に会うわけにもいかないでしょ」

天乃「見るだけなら、大丈夫じゃないの?」

夏凜「そうかもしれない。でも、そんな希望的観測で動いて良い状況じゃない」

天乃「………」

夏凜「子供が嫌いとか苦手とか。そういうわけじゃないのは、分かって」
937 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/11(月) 21:15:25.73 ID:Ri1KYW0Wo

夏凜の罪悪感に満ちた表情

そこから紡がれる言葉

天乃は目を向ける事こそなかったものの、

分かっていることを示すように、頷く

夏凜が子供を嫌いなわけがない

口では何かといいながらも、面倒を見てくれる

求められたことに一生懸命付き合ってくれる

そういうタイプであると、天乃は良く分かっていた

夏凜は面倒見が良いのだ

天乃「夏凜でも、抗いきれないものなのね」

夏凜「友奈たちよりは耐性がある程度よ。完全に相殺しきるなんてあんたにしかできないわよ」

天乃「でも、私の血を分け与えたところで相殺しきれないじゃない」

夏凜「力を最大限に発揮できる自分を基準に考えないでよ」

天乃「………」

夏凜「あんたが、悔やむことじゃない」
938 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/11(月) 21:34:30.43 ID:Ri1KYW0Wo

沈み込むような空気を感じ取った夏凜は、ふと、息を吐くように天乃へと声をかける

天乃は本当に頑張ってくれた

いや、今もなお頑張ってくれているし頑張ろうとしてくれている

それでも無力だと、自分の願いのせいだと悔やまれては

祟りなんかに気開始すぎている自分たちがあまりにも小心者ではないかと、

困ったように笑う

夏凜「天乃は十分頑張ってくれたでしょ。そこで楽させてもらった分、私たちが頑張ってるのが今なのよ」

辛く苦しく険しい道のりかもしれないけれど、

それを歩んできた、歩み続けようとしたのが天乃なのだ

それを阻み、道からそれさせたのはほかでもない自分達

であるならば、担われるはずだった労苦が降りかかるのは必然だと言えるだろう

夏凜「だから、ある程度の我慢をする事なんて平気」

外に出たくても、出ない

子供に会いたくても、会わない

天乃と一緒に居たくても、離れておく

耐えきれていない人もいるには居るが

危険を冒すようなことはしていないから、目を瞑る
939 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/11(月) 21:51:59.37 ID:Ri1KYW0Wo

夏凜「無理だろうから、心配するなとは、言わないわよ」

夏凜自身、天乃と立場が逆転していたとしたら

心配しないでと言われて心配しないなんてことは出来ないと考えて、苦笑する

自分でそれなのだ

人一番他人を想わずにいられない天乃が耐えられるはずがない

夏凜「でも、だからって自分が頑張ろうとかそういうことは考えないで」

天乃「そんなこと思ってないわよ」

夏凜「否定するなら目を見て言いなさいよ」

ベッド脇に来ることがあるみんなは椅子に座ることが多く、

横を見れば目が合うのに

椅子に座ることなく立っている夏凜は見上げる必要があって

天乃「……なんか、嫌」

夏凜「なんでよ」

天乃「だって……なんか、変」

夏凜「はぁ?」

天乃「目を合わせて欲しいなら夏凜が椅子に座れば良いんじゃない?」

夏凜「どういう理屈よ」
940 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/11(月) 22:03:48.78 ID:Ri1KYW0Wo

夏凜「それで?」

夏凜は悪態をつきながらも、がたがたと椅子を動かして椅子に座ると

催促するように問う

夏凜「どうするわけ?」

天乃「頑張らない」

夏凜「そっちじゃなくて、赤ちゃんに会いに行く方」

そっちの話の流れだったのに……と

喉元に不満をためつつ、目線の下がった夏凜と目を合わせる

祟りに苦しんでいるような雰囲気を一切感じさせない強い瞳

それがもし、気丈にふるまっているものなのだとしたら……なんて、考えてしまう

今考えるべきなのはそれじゃない

答えるべきなのも、そうじゃない


1、途中まででいいわ。連れて行って
2、せめて顔を見るだけでも見ていきなさいよ
3、母乳飲むのと赤ちゃん見るのどっちがいい?
4、貴女も、無理しないでね?


↓2
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 22:04:37.29 ID:m/RjjdzUO
3
942 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 22:09:23.61 ID:Q3kxr89/0
3
943 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/11(月) 22:24:39.07 ID:Ri1KYW0Wo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子「あぁっと! いきなりの大技を繰り出しました!」

沙織「余裕の表情なのがポイント高いねぇ」

東郷「ですが、夏凜選手はここで引くような選手ではありません……これは反撃が来そうです」

沙織「解説の乃木さんはこの後どう出ると?」

園子「わっしーに同意かな〜」

園子「にぼしは噛めば噛むほどダシが出る……ここまで強く噛みつかれた以上、弾けてもおかしくないんよ〜」
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/11(月) 22:32:57.15 ID:m/RjjdzUO

久遠さんのこと本当に真剣に考えてくれてるなぁ…
一方ここまで意思の強い夏凜ちゃんが蕩けてしまう姿も見てみたい気もする
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/12(火) 06:37:57.68 ID:a4BFPUoVO

夏凜も甘えていいんだぞ?
946 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/12(火) 21:24:05.43 ID:hcGfDloeo

では、少しだけ
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/12(火) 21:25:13.29 ID:VAGo3Km4O
よっしゃ
948 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/12(火) 22:03:49.97 ID:hcGfDloeo

天乃「私は会いに行きたいって思ってるけど……」

夏凜「けど?」

天乃「夏凜は母乳飲むのと赤ちゃんに会うのどっちがいい?」

夏凜「は?」

無意識に近い反応は迫力のある呟きで、

天乃はそんなに怒らなくてもいいじゃない。と、苦笑する

もちん、怒ってないことは分かってる

夏凜「何言ってんの?」

天乃「昨日の夜に友奈が何とかしてくれたから、どうかなって思って」

夏凜「どうかなって思って。じゃないでしょ」

天乃「嫌?」

夏凜「言っておくけど、どちらかっていうなら子供は命にかかわるから母乳選ぶわよ? 私」

天乃「本音は?」

夏凜「本音っていうかできるなら子供に会う方が良い」

何を言ってるのかと

困り顔になっていく夏凜をじっと見つめた天乃は

おもむろに顔を伏せて「そっか」とつぶやく

天乃「夏凜は私よりも子供を取るのね……」

夏凜「何言ってんの?」

天乃「親権は渡さないわ!」

夏凜「ほんと何言ってんのよアンタ」
949 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/12(火) 22:50:57.42 ID:hcGfDloeo

天乃「ノリ悪いわね」

夏凜「アンタが急にわけわからない方向に流れていくからでしょ」

天乃「だって、友奈は喜んでくれたし」

夏凜「だからって急に言われても困るし、もう一つの選択肢があってないようなものじゃダメでしょ」

天乃「困るのね」

夏凜「母乳飲むような歳じゃないんだから当たり前でしょ」

普通は困るもんよ。と

夏凜は悩ましそうに考えながら答える

実際、誰だって妻から母乳飲む? などと言われたら困惑するだろう

何より、夏凜は天乃の出産に立ち会っておりその難しさと凄味を間近で感じた

恋人として見るよりは

一人の母親として見ていてもおかしくない

夏凜「友奈だって、そういう目的では口にしてなかったでしょ?」

天乃「……どうかしら」

夏凜「そういう目的に感じたってこと?」

天乃「目的はともかく……激しかった」

夏凜「何してるんだか」
950 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/12(火) 23:00:26.02 ID:hcGfDloeo

呆れたような笑みを浮かべながらも、

その気持ちは少しわかる。と言いたげにため息をつく

性的な興味を差し引いても

自分達の体でも作られる母乳がどういうものなのかというのは気になるし、

赤子のように咥えていたのなら

少しくらいなら……と、逆行した記憶によって口にしてみたくもなるものだろう

あれは、いつ頃だったかと

あの時に感じたぬくもりは、どういうものだったのかと。

自分の母親ではないにしても

母親であることに変わりはなく、年上

それに、友奈にとっては憧れを抱く存在なのだから

多少、そういった雰囲気に呑まれてしまっても仕方がないと夏凜は思う

だからと言って、激しいのはどうかとも思うが。

天乃「夏凜にだって聞こえてたんでしょ?」

夏凜「そりゃ、隣だし」

天乃「興味わかなかった?」

夏凜「なんでそんなに押してくんのよ……吸われたいの?」
951 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/12(火) 23:09:57.47 ID:hcGfDloeo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「据え乳吸わぬは女の恥!」

夏凜「んなこと言われたって――」

東郷「言い訳無用!」バンッ

東郷「我慢させ続けるだけの理性なんて犬にでも食わせなさい!」

犬神「………」

風「東郷の理性を食ったのはアンタだったの!?」
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/12(火) 23:14:46.10 ID:U/yA1cVt0

衝撃の真実
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/12(火) 23:20:49.81 ID:VAGo3Km4O

まさかの犯人w
それにしても久遠さん、夏凜ちゃん相手だと性的なことに消極的なせいか積極的に誘ってくなぁ
954 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/13(水) 08:02:14.33 ID:cg1qDqjOO

友奈との激しい夜はwikiのオマケでやってくれるかな?
955 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/13(水) 20:48:47.32 ID:2TRn0FuOo

では少しだけ
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/13(水) 21:01:20.23 ID:BcHHSN6zO
きてたー
957 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/13(水) 21:20:39.12 ID:2TRn0FuOo

天乃「別に吸われたいなんて一言も言ってないわよ」

夏凜「いや、今の流れは――」

天乃「かっ、夏凜に後で嫉妬されてもみんなが困るし!」

目を逸らす、顔を背ける

東郷達は自分から向かってくるから、受け止めるか受け流すか

でも、夏凜は違う

天乃から手を伸ばしても、安易に触れようとはしない

それは、何よりも天乃を想うがゆえに。

だから、天乃から寄り添わなければならない

少しだけではなく、大きく、強く

天乃「あとで八つ当たりとか、やきもち妬かれても困るし」

夏凜「やきもちって……」

天乃「分かってる」

困惑を感じる夏凜の呆れがちな呟きを道半ばに残し、

天乃は遮って、嘲笑を浮かべる
958 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/13(水) 21:50:00.23 ID:2TRn0FuOo

天乃「どうせ、夏凜はやきもちなんて焼かない」

夏凜「………」

天乃「夏凜はなんだかんだ優しいし、私のこと考えてくれてるから」

遠巻きに見ているだけでも、満足する

天乃が普通に生きて、普通に楽しんで

ごく当たり前の幸せを享受しているならそれで、満足してくれる

本当に良い子だと思う

とても優しい子だと思う

天乃「手を焼かせることを良しとしないものね」

夏凜「そりゃ、あんたはあんたで手いっぱいだし」

天乃「手一杯……」

夏凜「なに? 言っておくけど胸の話は今してないわよ?」

手に余る大きさを実感する膨らみを見せる天乃の胸元

それに目を向けた夏凜はすぐさま窓の外に目を凝らす

少し曇った空は雨が降ってきそうにも感じた

天乃「今はまじめな話」

夏凜「じゃ――」

なんなのよ。

そう口にしかけた夏凜が服の端を摘まむ力を感じて目を向けると

丁度、ゆっくりと動いた天乃の目と視線が交わる

天乃「それが分かってるなら……もう少し、私の傍に来てくれてもいいんじゃない?」
959 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/13(水) 22:15:19.96 ID:2TRn0FuOo

夏凜「は……ちょ、そんなの」

結構近くにいるでしょ。なんていう考えは

先回りした直観で振り払う

天乃が言いたいのはそんな物理的な距離じゃない

天乃「………」

夏凜「………」

じっと、目を向け合う数秒間

病室にはみんなもいるはずなのに、妙に静かで

目を逸らすのはやっぱり天乃だった

それと同時に、裾を引く子供のような力は消えてしまう

天乃「……余計な我儘よね」

十分よくしてくれている

夏凜が悪いわけじゃない

ちょっとしたことで距離を感じてしまう

離れていくのではと不安に思う弱い心が悪いのだ

天乃「ごめ――」

夏凜「待って」

天乃「っ」

夏凜「それは言わないで……いや、言ってもいいけど、出来れば、言わないで貰えると助かる」
960 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/13(水) 22:52:00.80 ID:2TRn0FuOo

夏凜「アンタは悪くない。ほんと、慰めとか抜きにして、悪くない」

天乃「………」

夏凜「不安にさせた私が悪い」

基本的には行為を受ける側であり、

積極性がないわけではないが、後手に回ることの多い天乃にここまで言わせた

ここまで求めさせた

攻められたい願望もある友奈なんかは

限度はあるけれど、攻められ方の参考にしそうだが

東郷あたりは、「夏凜ちゃん」と

真剣な表情で詰め寄ってきかねない状況だ

夏凜「ただ、私も色々考えてることがあるっていうか……」

それは違うか。と夏凜は困ったように髪を掻いて

人差し指から薬指、三本の指で前髪を挟んで梳く

夏凜「妊娠があって、出産があって、祟りがあって……なんていうのも結局言い訳」

天乃「そんなことないと思うけど……」

夏凜「ううん。言い訳でしょ……どんな障害があろうがアンタを守れるって自信がないのよ」

天乃「夏凜は十分頑張ってくれてるわ」

夏凜「でも、満足はさせられてない」

天乃「それは私の我儘だから」

夏凜「だから我慢する? そんなこと言わずに、目の前にいる奴のこと引っぱたいたほうが良いんじゃないの?」

軽々しく、そう口にする

夏凜「この意気地なし! って」

それは、冗談交じりの本心だった
961 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/13(水) 22:57:12.23 ID:2TRn0FuOo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「……」

東郷「ねぇ夏凜ちゃん」

夏凜「なによ」

東郷「夏凜ちゃんってもしかして、被虐せ――」スパーンッ

夏凜「違うわよっ!」


友奈「……私は最近、東郷さんがそうじゃないかなって思ってるよ」
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/13(水) 23:03:46.10 ID:BcHHSN6zO

久遠さんのみならず夏凜ちゃんも大人っぽくなってきたなぁ
そして相変わらず会話も健全というね
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/14(木) 08:00:20.48 ID:OSQ/ouOEO

今の夏凜の立場って園子に対する久遠さんの立場に似ている気もするな
964 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/14(木) 22:34:57.62 ID:1gM0F58XO
木曜は忙しい?
965 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/15(金) 21:57:50.96 ID:lGAK0Zpvo

では少しだけ
966 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/15(金) 22:02:46.02 ID:LO9CV1heO
かもーん
967 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/15(金) 22:59:32.64 ID:lGAK0Zpvo

天乃「意気地なしって……」

夏凜「だってそう思わない? 祟り、妊娠、出産……そりゃ、理由としては十分だと思うわよ」

でも、理由にできるからって理由にして良いわけではない

注意すべきことである以上、それを一切無視するわけにはいかないが

だからこそすべきことがあるのではないか

だからこそ、出来ることがあるのではないか

壁を理由にして立ち止まっていては出口を見つけることはできない

夏凜「でも私は、だからこそ何とかしてやりたいって思う」

思うべきだった

思っているべきだった

でも、それができていなかった

自分以外にもいるからと、他力本願だった

だからこそ、夏凜は自分で自分が意気地なしだと思う

夏凜「あんたに尽くすって、そう考えてたのにこのザマで……」

天乃「夏凜……」

夏凜「だから、あんたには喝を入れて貰いたい」
968 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/15(金) 23:46:32.17 ID:lGAK0Zpvo

夏凜の手は天乃の手を掴み、頬へと触れさせる

殴ることはもちろん、

叩くこともできない弱い力は指先で頬をなぞる程度に留まって

天乃は困って眉を顰めた

天乃「喝……私が?」

夏凜「最近のあんたは緩いけど、結構気を入れて貰ったことあんのよ?」

天乃「……このまま引っぱたけばいいの?」

夏凜「違う」

天乃「じゃぁ、なんなの?」

夏凜「なんなのって言われると困るのよね」

夏凜は困ったように笑いつつ、楽しそうにする

喝を入れる必要なんてないようにさえ思う

夏凜「頼まれてもアンタはやってくれる。でも、それじゃ意味がない」

戦いに出ているときのように

仲間の為に怒っているときのように

何かに求められたからとかではなく、

本心で出てくる言葉が欲しいと、夏凜は思った

でも、今の天乃にはきっと、それは難しいのだろう
969 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 00:11:42.89 ID:v/3nHc2ro

今までは自分が矢面に立っていた

守られる立場ではなく

守る立場にいたからこそ、言えることがあった

守られる立場になってしまったこと

願う立場になってしまったことで

天乃の中では、夏凜が求めるような一喝する立場ではないだろうから。

でも……と、夏凜は苦笑する

夏凜「正直、さっきのは効いたわ」

天乃「傍に居て……ってこと?」

夏凜「そ……あと、謝られたこと」

よく言われるような気の入れ方ではなかったけれど

それでも、心は強く揺さぶられるものだった

強かったころとは正反対の、弱った心

でも、それはきっと、今の天乃の本心だったから

夏凜「もっと頑張んなきゃって、思わされた」

天乃「頑張るのは良いけれど、無理はしないでね」

夏凜「別に戦ったりする方に頑張るわけじゃないから――」

天乃「っ」

グッ……と、体がベッドの方に押し込まれて

ベッドに密着した体は動かないのに、夏凜との距離は縮まっていく

夏凜「少しくらい、許しなさいよね」

そう言う夏凜の顔は、朱色に染まって見えた
970 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 00:13:11.20 ID:v/3nHc2ro

では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば少し早い時間から


明日の序盤で夏凜交流終了→赤ちゃん
971 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 01:20:50.42 ID:jhbKD+dQO

こんにちわ赤ちゃん
972 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 06:19:23.91 ID:k1wkpHVIO

あまにぼの会話はいつも尊い…
973 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 18:59:11.53 ID:v/3nHc2ro

では少しずつ
974 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 19:00:24.32 ID:FBX33qRsO
あいあいさ
975 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 19:37:10.83 ID:v/3nHc2ro

天乃「夏凜? なにするの? 赤ちゃんに会いに行くんでしょ?」

夏凜「それはやまやまだけどできないって……さっきから言ってるじゃない」

天乃「祟りは言い訳だって言ったのに」

夏凜「流石に、赤ん坊を落とすような理不尽は警戒するでしょ、普通」

だから。と、夏凜は笑う

普段の夏凜がしないような、悪い考えをしている表情だ

夏凜「もう一つの選択……選ぼうかと思って」

天乃「もう一つ……?」

何を言ってるのかと考え、数秒

真面目な話に流されて消えていた発言を引き戻すかのように

夏凜の手が胸元のボタンをはずす

天乃「ちょっ、本気なのっ?」

夏凜「誘っておいて今更言う?」

天乃「だって――」

夏凜「もしかして、私ならしないと思ってた?」

残念だけどという夏凜の瞳は天乃を捉え、

その手は母乳のためのパッドをはずしていく

夏凜「私も多少、興味はあるのよね」
976 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 20:04:38.63 ID:v/3nHc2ro

天乃「んっ」

夏凜「ずっと聞こえてたのよ……」

あの友奈が熱中するほどのもの

友奈だけじゃなく、天乃の声が聞こえた

明らかな、行為の音も聞こえた

たがいに我慢してきたことだからと阻まずに聞きこんでいたそれらは

確実に、夏凜の興味を惹いていたのだ

夏凜「少しだけならいいでしょ? 誘ってきたんだから」

天乃「赤ちゃんと会う時間が無くならない……程度なら」

夏凜「………」

夏凜にされるがままだった天乃は、自分で胸に触れる

ちょっとした圧迫感でも母乳が溢れて、

そのたびに、少しだけ力が抜けるような疲れを感じる

でも、ほんの些細な疲労感は

病床のような重さはなく、むしろ心地よいもので

天乃「っ……ぁっ」

夏凜「っ……は……ちょっと、変な声出すの止めなさいよ」

天乃「だって」

夏凜「友奈の時もそうだけど、あんた弱すぎ」
977 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 20:29:48.70 ID:v/3nHc2ro

天乃「今は母乳があるからっ」

夏凜「あってもなくても、あんたは胸が弱点でしょ」

天乃「う……し、仕方ないじゃないっ」

いつまでたっても、慣れない

それもあるけれど

昨日のように赤ちゃんになろうとしている友奈でさえダメだったのだ

心が寂しがってしまうほど触れ合いのなかった夏凜の乳房への接吻なら、なおさら敏感になるだろう

天乃「……好き。なの」

夏凜「っ!」

呟き程度の細やかな声と、フイッと顔を背ける仕草

想いゆえに傾いたそれはとても愛らしくて

好きにならずにはいられなくて

夏凜「は、破廉恥なこと言ってんじゃないわよっ」

天乃「はれ……はっ……破廉恥なことが好きって話じゃないっ」

夏凜「流れ的にそういう感じだったしっ」

天乃「夏凜が好きってことに決まってるでしょっ、ばかっえっち!」
978 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 20:44:54.63 ID:v/3nHc2ro

夏凜「えっ……はっ、はぁ? 私かあんた。どっちがエロいか教えてやるわよっ!」

天乃「やっ、かっ」

抵抗に動こうとした天乃の手を抑え、

白い筋の流れる乳房を舐める

天乃「んっ」

びくっと、体が震える

押し出されたようにジワリと零れた母乳がまた流れていく

天乃「はっ……はっ……っ」

夏凜「まだ、全然なんだけど」

天乃「待って……ごめんなさい、負けは認める。認めるから」

夏凜「早すぎでしょ、せめて、一回くらい飲ませなさいよ」

天乃「赤ちゃんにあげられなくなっちゃうからっ、かり――」

ぱくっと、咥える

ふにゅりとした感触、勢いに飛び出す母乳

頬の裏に当たり、舌の上を流れて喉の奥へ

天乃「んっ……っあ」

夏凜「っは……は……コクッ」

味気のあるものではないはずなのに

心地よく感じるほどに、美味しく感じてしまう

夏凜「友奈が嵌まったのも……分かるわ」
979 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 21:17:33.72 ID:v/3nHc2ro

夏凜「………」

母乳が体に馴染むのもそうだが、

天乃が性的に見えて情欲をそそるのも要因だろう

もっと味わいたいという気持ちともっとしたいという気持ち

強い気持ちの相乗効果は理性なんて突き飛ばして

その行為に興じさせる

天乃「ばか、えっち……」

夏凜「ごめん」

天乃「赤ちゃんにあげるだけで変な気分になっちゃったらどう責任とるのよ……」

夏凜「授乳が終わったら、エッチに付き合う?」

天乃「…………」

夏凜「……だめか」

天乃「それは前提だもん」

夏凜「なら、あんたが授乳でエロい気分になることが前提ね」

さっと身を引いた夏凜は、

ベッドわきの車椅子のブレーキをはずして移しやすいように移動させる

夏凜「行くんでしょ? 連れてってあげる」

天乃「……ばか」

夏凜「ん? なにか言った?」

天乃「言ってないっ」

その気にさせておいて、自分は勝手にいつも通り

そんな酷いことをする夏凜への罵倒は、届かなかった
980 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 21:50:35.83 ID:v/3nHc2ro

01〜10 大赦
11〜20 
21〜30  
31〜40 
41〜50 兄
51〜60 
61〜70  母
71〜80 
81〜90 姉
91〜00 

↓1のコンマ
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 21:54:22.76 ID:FBX33qRsO
982 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 22:17:33.95 ID:v/3nHc2ro

子供たちのいる部屋の前で止まった夏凜は、

呼んでおいた看護師を一瞥すると、目線を合わせるためにしゃがみ込む

夏凜「天乃にはこれを渡しておくわ」

天乃「これ……?」

夏凜「必要ないとは思うけど、一応ね。取り間違え防止だって、私が代わりに着けてたのよ」

夏凜は困ったように言いながら、

袖に隠れて見えなかった手首からバンドを外して天乃の手首に着ける

天乃「ネームバンド……」

夏凜「出産に立ち会ったからだとは思うけど、普通は天乃が付けるのよ?」

天乃「私には何があるか分からないものね」

夏凜「そういうこと言わない」

天乃「ふふっ、ごめんね。すぐ……かは分からないけど行ってくるね」

夏凜「時間一杯いてもいいわよ。待っててあげるから」

天乃「うん。ありがとうね」

天乃が手を振ると、夏凜も応えて手を振る

部屋の中に入る直前、ちょっと待って。と、

看護師を止めた天乃には、「早く行きなさいよ」と、払う素振りを見せながら――笑う

夏凜「……はぁ」

天乃と看護師のいなくなった廊下に一つ、ため息が零れた
983 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/16(土) 22:22:20.55 ID:v/3nHc2ro

ではここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から



東郷「意気地なし」

夏凜「はぁっ? ちゃんとやったじゃない」

東郷「あそこで止めるなんてやってないのも一緒よ」ジロッ

夏凜「そりゃ、東郷からしたらそうかもだけど普通は――」

東郷「友奈ちゃんだってあの状態からなら完食するわ! 断言します!」バンッ

風「樹だってするわね」ドヤッ


夏凜「あんたもかっ……風!」
984 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/16(土) 22:29:05.85 ID:FBX33qRsO

夏凜ちゃんの陥落に久遠さんの告白と二人とも可愛い過ぎるだろう…
そして我が子との対面か…久遠家もそのうち訪ねてくるかな
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 08:44:43.14 ID:DzhpBdZnO

夏凜でさえも虜にしてしまう久遠さんの母乳恐るべし
986 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/17(日) 16:37:58.80 ID:wcKdG0Rio

では少しずつ
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 16:45:08.87 ID:yGDbVNyzO
どんとこい
988 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 17:31:01.26 ID:OYX6Q2OzO
もうすぐ1000だけど大丈夫?
989 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/17(日) 17:37:47.38 ID:wcKdG0Rio

「こちらですよ」

天乃「……あぁ」

小さな、小さな名前のない双子

取り違うことがないようにとつけられたネームプレートには

久遠天乃。という母親の名前だけが書かれている

「産まれたばかりの時はすごく小さかったんですけど、徐々に成長していってくれてね」

本当によかったわね。と、看護師は優しく声をかける

けれど、天乃は赤ちゃんのケースに触れたまま、答えない

じっと見つめて、動かない

産んですぐ引き離されることになった赤ん坊

ようやく、見ることが出来た

ようやく、会うことが出来た

「……抱かないの?」

天乃「上手く抱いてあげられる――」

自信がない

そう言おうとした口を閉じて、飲み込む

だれだって、初めはそうだろう

自信がないからと避け続ければ自信はつかない

やってみなければ何も始まらない

幸い、看護師もいるのだ

手ほどきを受ければいい

天乃「うん、抱きたい……抱き方、教えて」

「ええ、もちろんよ」
990 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/17(日) 18:06:15.61 ID:wcKdG0Rio

「いきなり二人は難しいだろうから、一人ずつね」

天乃「はい」

「私がこっちの子を抱くから、言う通り、やっている通りにね」

天乃「分かったわ」

ただただの説明なのに、緊張する

これを真面目に聞いて習うかどうか

ちゃんと覚えられるかどうかに

小さな命がかかっているからだろう

「まずは、声をかけてあげるの。名前を考えてあるなら、名前とかね」

天乃「名前……」

「まだ、天乃ちゃんも落ち着かないもんね」

天乃たちが大変だったことは、看護師も分かっている

名前を考える余裕なんてなかったのだ

それでなくても、子供にとって大切な名前を簡単には決められない

「大丈夫。初めは、そんなのものだから。ね」

笑みを浮かべながら声をかける

「お母さんだよ。ママだよって、声をかけてあげましょうか」
991 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/17(日) 18:23:04.78 ID:wcKdG0Rio

天乃「ま……ママ……だよ?」

反応してくれなかったら

嫌がったら

きっと、自分を母親とは認めてくれていない

そんな不安の表れた弱弱しい声

でも、二人は、笑う

赤ちゃんらしい、まだ言葉に満たない声で

嬉しそうに、笑ってくれる

天乃「あっ……」

「……ふふっ、そしたらまずは頭からね」

天乃は手が小さいからと、

掌だけでなく、

手首のあたりもしっかりと使って、首から頭をしっかりと支えさせる

そうでもしないと、首が危ない

「次は、おしりね。足の間から……そう、そんな感じで手を入れて」

看護師の実演と、説明

それをしっかり確認しながら、

天乃は小さな小さなわが子を、腕に抱く
992 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/17(日) 18:50:55.93 ID:wcKdG0Rio

天乃「だっ、抱けたわっ」

「でももう少し」

天乃「もう少し?」

「そう、頭を支えてる方の腕を、こう……動かすの」

見てて。という看護師

頭を支える手はゆっくりと動き、

赤ちゃんの頭が下手に動くようなこともなく

その腕自体を受け皿のようにして抱き込む

赤ちゃんは抱き方が変わったことなんて気が付いていないかのように、落ち着いている

天乃「……そんな動かし方しても平気なの?」

「大丈夫。ゆっくりでいいから、ね」

天乃「………」

最後の、動き

腕の中で嬉しそうな声を上げるわが子をじっと見つめて、

天乃は小さく息を吐く

胸のせいもあって、少し支え辛い

でも、赤ちゃんのための母乳をたくさん作るためだと考えれば、

要らない。とは言えない
993 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/17(日) 19:08:16.40 ID:wcKdG0Rio

そうっと、優しく慎重に

看護師がやっていたように、

赤ちゃんが動きに気づかないほどの些細な動き

天乃「………」

力が弱くなっていて、良かったと天乃は思う

弱いから、緊張してこわばっていても大した力が入っていない

赤ちゃんを支える程度の限りなく弱い力しかないのが功を奏している

天乃「私が、お母さんよ」

軽い

今の天乃でも本当に軽い

けれども、それはとてつもなく重い

柔らかな無垢の笑顔

掴もうと動く小さな手

座っているのなら膝も使えばいい

そんな考えなど浮かばないくらいに、手一杯

でも、愛らしくて、笑みは絶えない

天乃「……」

大切な仲間、力を分け与えてくれた悪五郎を思う心があるがゆえに、

笑みに交じって、涙は溢れてくる

「あぁぅ……」

天乃「っ」

小さな手が、伸びて胸元に落ちる

何度も何度も伸びて、でも、届かなくて胸に落ちていく

それが涙を拭おうとしてくれているのだと天乃は感じて

天乃「大丈夫、ありがとう」

可愛らしい優しさに、笑みを返した
994 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/03/17(日) 19:13:58.41 ID:wcKdG0Rio

【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1552817368/


次スレ
続きは次スレで行います
995 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 19:44:40.97 ID:yGDbVNyzO
了解
996 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 23:07:54.43 ID:YPE39DlvO
では埋めるか
997 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 23:08:38.78 ID:YPE39DlvO
埋め
998 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 23:09:09.18 ID:YPE39DlvO
埋め
999 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 23:09:35.54 ID:YPE39DlvO
埋め
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/17(日) 23:10:05.65 ID:YPE39DlvO
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     ̄7;.ィ::{::::l::l::ljレr=、ヽ,rヘ ゞ-' _,j !|______l____j__    / ̄ ̄ ̄ ̄
     ∠ハ:::ヽハl:{' {!´};リ } 、 ` ̄´   !::::|            |.    | |    |   今度は貴方のお話、読ませてくださいね
      'イ::`:::lヘハヽ.__´/  ヽ_    j___!________|___!__j   .ノヘ.____
      {;.イ/::!:::::::lヘ      く_,)  ,ィ:|      r、   /)!   {
       ' !::::|:::::::|`^ヽ .___ /,ノrー――― ノ } ///)一'
       /::::::!::::::::!:::::::::_r' ー--、fr、|      / '-' / ' /ノ
       イ:::::::!:::::: :ヽ'´:.{    ト.ゝく!___  /      ´/l
       'イ:::;rヘ:::..::. :ヽ:.:ヽ.  |イヘ:;イ     /      _二つ
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酒飲みJJIやBBA アクアマンアーサー アトランティスの王になる! @ 2019/03/17(日) 21:10:30.17 ID:LG2Jcc5O0
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【P5x俺ガイル】八幡「やはり俺の友達は9股するなんてまちがっている」完 @ 2019/03/17(日) 20:32:01.36 ID:+9mh/Azpo
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フィル「……」キョロキョロウロウロ @ 2019/03/17(日) 19:23:31.89 ID:WwhYDvT8o
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貴音(喉にお餅が詰まりました……) @ 2019/03/17(日) 18:34:31.44 ID:BekA1XBk0
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ロビンマスク「自由と!」カレクック「繁栄の弧!」 @ 2019/03/17(日) 18:09:25.20 ID:24ViWVvS0
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【わたてん】ひなた「みゃー姉があおむしになったぞ!」 @ 2019/03/17(日) 17:29:52.65 ID:DOi6D38Jo
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花騎士 SS ナズナ「騎士団の日常です」 安価 コンマも? @ 2019/03/17(日) 16:33:21.87 ID:VbTF1Gd1O
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【P5x俺ガイル】八幡「やはり俺の友達は9股するなんてまちがっている」続 @ 2019/03/17(日) 13:01:02.88 ID:+9mh/Azpo
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