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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十七輪目】
- 53 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 21:56:39.59 ID:Qfk+R1QP0
- 5
- 54 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 21:56:42.47 ID:au7YpnifO
- 4
- 55 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/05(水) 22:14:05.32 ID:OpTLoZANo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
歌野と交流
- 56 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 22:24:07.90 ID:zmZFEEN6O
- 乙
久遠さん完全復活までの道のりは長いなぁ…
天の神との戦いには間に合うのだろうか
- 57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/05(水) 22:28:51.34 ID:nCwxbxODO
- 乙
取り敢えずはみんなに頑張ってもらうしかないな
- 58 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 20:16:20.34 ID:G84SdBlho
-
では、少しずつ
- 59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 20:20:18.41 ID:8lNLFCsjO
- かもーん
- 60 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 20:51:14.99 ID:G84SdBlho
-
天乃「ねえ、歌野。今平気?」
何もない空間に向かって、声をかける
いるかどうかわからないから
居なければただの独り言になってしまう
歌野「いるわよ、久遠さん」
呼びかけてから数分
どこからともなく姿を見せた歌野は、少し困った表情を浮かべていた
何か困ったことがあったから、出てくるのに時間がかかったらしい
歌野「……なんというか、樹ちゃんがあそこまで言うとはノーシンキングだったわ」
天乃「そうね。どんどん、しっかりした子になっていってると思う」
気づいてはいたし、時折そのしっかりした一面を見せてくれるから
もう、驚くほどのことではないけれど嬉しく思う
しかし、それと同時に
あの初々しい感じのままではいることができないような環境に引きずり込んでしまったのかもしれない。と
風が考えていそうなことを感じる
歌野「今思えばあんな諦めるようなこと、樹ちゃんが認めるわけがなかったわ」
天乃「そうなの?」
歌野「久遠さんは、どんとのう。だったかしら」
- 61 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 21:13:58.16 ID:G84SdBlho
-
あれは天乃が寝込んでいるときの話だったか
歌野自身が話したわけではないが、
樹は言ったのだ「頑張っている人の隣で、もう駄目だなんて口が裂けても言えない」と
樹たちにとっては、
消滅する可能性がありながら歌野達の力を使うなどというのは諦めたようなものだ
たとえ、歌野達がそんなつもりがなかったとしてもだ
結果的に天乃の願いをかなえられないのなら、ダメだ
歌野「樹ちゃんはベリーストロング。もちろん、単純なパワーじゃなくてね」
精神的な部分において、
勇者部の中でも随一な部分にまで成長しつつある
元々弱弱しいい部分の強かった樹が
天乃のために、歌野達のために、
自分に自信が持てるようになろうと頑張ってきたからこそだろう
歌野「本当に、樹ちゃんたちなら倒せるかもしれないわ」
天乃「天の神を?」
歌野「イエス。神様さえも」
- 62 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 21:51:55.95 ID:G84SdBlho
-
おだてているわけでもお世辞でもない
本当に、そう思えてくるのだ
こんなにも絶望的な状況なのに
奉火祭へと介入して巫女のみんなを救い、
神様相手には【なせば大抵なんとかなる】の精神で挑む
勇者部五箇条
ごく普通のことだったり
ちょっぴり適当なことを書いているように思えるけれど
でも、適度に抜けているような内容というのが
言葉通り適しているのかもしれないと歌野は思う
歌野「天の神を倒せたら、壁の外のヘルワールドも元通りになったりするかもしれないわね」
天乃「あぁ、そうね。確かに」
考えてはいなかったけれど
天の神はバーテックスの親玉であり、
外の世界を作り替えた張本人でもある
それを倒すことができれば元通りになるというのは、ない話ではない
1、外の世界が元通りになったら、諏訪に行きたい?
2、樹にあんなこと言わせたんだもの、頑張らないとね
3、ねぇ、水都さんは穢れの影響どう? 最近は問題ないように感じるけれど……
4、ねぇ歌野。陽乃さんがどうしてみんなの魂を込めたのか分かる?
5、ねぇ歌野。もう二度と自分たちが犠牲になるような提案はしないで
↓2
- 63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 21:53:53.50 ID:8lNLFCsjO
- 1
- 64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 21:58:08.63 ID:STWZz8KU0
- 1
- 65 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/06(木) 22:09:06.47 ID:G84SdBlho
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
運良くすべてがうまく終わった後のその後の話
- 66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 22:28:17.23 ID:8lNLFCsjO
- 乙
うたのんも驚く樹ちゃんの成長
あと卒業旅行に諏訪に行く番外編とかも面白そう
- 67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/06(木) 23:11:13.09 ID:t+CHw8vwO
- 乙
新婚旅行でもいいぞ
- 68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 13:02:07.35 ID:GfMSCdRuO
- 外の世界滅んでるからそういう気分にはなれないのでは?
記念にいく場所ではないよ
- 69 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 20:55:36.49 ID:e6mL/GNLo
-
では、少しだけ
- 70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 21:11:52.66 ID:6WCCScKaO
- はいよー
- 71 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 21:32:03.41 ID:e6mL/GNLo
-
天乃「外の世界……」
外の世界が元に戻ったなら、
どんな世界になっているのかは、わからないけれど
もしも元通り―死んでしまった人は戻らないだろうが―になったら
歌野は諏訪に戻ることを望むのだろうか
そんなことを思って、歌野を見る
天乃「外の世界が元通りになったら、諏訪に行きたい?」
歌野「えっ?」
天乃「歌野と水都の故郷でしょ? 諏訪は」
歌野「それは、そう。だけど……」
天乃「もしも世界が元に戻ったらの話よ」
歌野は諏訪で勇者として戦っていたのだ
その結果を知っているとはいえ、
さすがに、喜んで見に行きたいような光景が広がっているとは思えない
すべて元通り
でもそれは景色だけだろう
道行く人は一人もいない
天乃「もしかしたら、火が消えるだけかもしれないしね」
- 72 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 22:08:16.38 ID:e6mL/GNLo
-
火が消えるだけでは、記憶で見た崩壊した街並みは変わらない
あの惨状が広がっているだけかもしれないのだ
歌野も、本来そのつもりで言ったのだろう
少し表情を暗くしたものの
振り払うような仕草を見せて、困った笑みを浮かべる
歌野「そうね。リターンする必要があるわ。ゴーイングマイホーム」
いや、違う
歌野「マイ農場が待っているわ」
どうなってしまっているのか想像に易いが
歌野は努めて笑顔で言う
手入れのし甲斐がある
また、1から歩むと考えればいいスタートかもしれない
諏訪どころか、昔の武将のように一県の長になれるかもしれない
そこまで考えて、
歌野は「あれ……?」と、声を漏らす
- 73 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 22:50:10.88 ID:e6mL/GNLo
-
天乃「どうかしたの?」
歌野「もしかしたら、スペシャルに最高な方法を思いついたかもしれない……」
天乃「?」
天の神を倒す方法を今の話で思いついたのなら凄い
だが、違うだろう
では何を思いついたのか
天乃が問うよりも早く、
歌野は自分自身の頭の中で吟味を終えて、口を開く
歌野「もしも壁の外がクリーンになったら、建国するのはどう?」
天乃「えっ?」
歌野「そうすれば、何のしがらみもなくなるわ」
衣食住の問題が大きすぎる気がするのだが、
食に関しては、農業を発展させればなんとかなるだろう。という考えなのか
いずれにしても
天乃「それは……それこそ、最終手段じゃない?」
奉火祭を妨害したことで
世界をすくったとしても大赦からは嫌われてしまうかもしれないし
平和な世界を壊した―時間の問題だったが―として
一般の人々から忌み嫌われてしまうようになるかもしれない
そうなった場合の、逃げ道
天乃「本当、それは最終手段でお願いしたいわ」
- 74 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 22:53:11.33 ID:e6mL/GNLo
-
√ 12月3日目 夕(病院) ※水曜日
01〜10 園子
11〜20
21〜30
31〜40 友奈
41〜50
51〜60
61〜70 九尾
71〜80
81〜90
91〜00 夏凜
↓1のコンマ
- 75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 22:57:30.02 ID:hfpN5xnG0
- あ
- 76 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/07(金) 23:18:42.26 ID:e6mL/GNLo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
園子「建国?」
樹「国民全員に久遠先輩の血が流れてるのかな?」
夏凜「たしかに」
東郷「つまり、近親……」チラッ
風「こっちをみるなこっちを」
- 77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 23:29:44.06 ID:6WCCScKaO
- 乙
久遠さんなら性格的に崇められたりされるのは嫌だろうし
小さな村とかで自由に暮らす方が向いてそう
- 78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/07(金) 23:32:31.83 ID:0hk4iSAWO
- 乙
崇められるのが嫌→身近な存在でいたい→つまり誰でも抱ける姫様(意味深)
- 79 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 20:19:30.98 ID:Ouwni6xho
-
では、少しだけ
- 80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/08(土) 20:22:38.92 ID:TFbRU2p1O
- おk
- 81 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 21:04:37.04 ID:Ouwni6xho
-
√ 12月3日目 夕(病院) ※水曜日
園子「天さん、ぎゅー!」
天乃「ん、んん?」
園子「ぎゅー」
両手を差し出して、ニコニコと笑みを浮かべる園子は
学校から帰ってきた着の身着のまま
外の寒さを物語っている冷気が制服から感じられる
天乃「寒かったのね」
園子「えへへ」
手袋をしていたであろう手も、
部屋にいた天乃からしてみれば、触れると冷たい
天乃「おいで」
その手をきゅっっと握って、引く
優しくしようとしなくても
今の天乃には引き倒すほどの力はない
園子のもう片方の手が乗っかったベッドが軋りと音を立てる
近づく園子は天乃の体を押さないようにと気を付けながら
導きにしたがってぬくもりに触れる
園子「ゅー」
天乃の首元
体を冷やさないようにと少し厚みのある患者衣の中に
園子のくぐもった声が吸収されていく
- 82 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 21:28:36.82 ID:Ouwni6xho
-
天乃「外、寒そうね」
園子「んー外の熱に耐えるために、冷やす必要があるんよ」
結界の外
天の神による灼熱の地獄
それに耐え忍ぶために、冬の寒さがより厳しくなっていっているのかもしれないと園子は言う
冬場でなかったら、どうなっていたのだろうか
いや、夏場などであれば、神様の集合体ではあるが、大樹である神樹様の力が少しは強まっていたかもしれない
天乃「……なんて」
園子「ん〜?」
天乃「なんでもないわ」
腕に抱かれ、密着したまま。
呆けたような反応を見せる園子に天乃は微笑みながら、答える
天乃「神樹様が頑張っていなかったrあ、今頃夏日になっていたかもしれないわね」
園子「そうなったら二回目の夏休みなんよ」
本来は冬休みになる部分を、夏休み
けれど、そんな異常気象になった場合、
恵を下さる神樹様に何かがあったのではないか。と
人々が不安になってしまうことだろう
大赦が頑張って隠ぺいを図ろうとしても、
自然の猛威はさすがにごまかすことはできないだろうから。
そう考えれば、冬というのは不幸中の幸いだったかもしれない
- 83 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 21:50:54.75 ID:Ouwni6xho
-
天乃「それで? 何かあったの?」
園子「ん〜ん。ただ温まりたかっただけ」
天さんあったかいから。と、
園子はより密着するように、天乃の体へと腕を回す
それでも締め付けるような力が入ってこないのは、
園子が子供に負荷がかからないように気遣っているからだろう
子供がいるから。
遠慮がちになるのだろう
天乃「……それは、違う」
園子「え?」
天乃「あ、ううん。変なこと考えちゃって」
園子「大丈夫?」
天乃「大丈夫」
子供は天乃や園子たちだけじゃない
力を貸してくれた悪五郎達みんなの希望だ
それなのに、悪く思うわけにはいかない
- 84 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 22:18:48.15 ID:Ouwni6xho
-
しかし、子供がいることで園子たちが我慢しているのは事実だ
天乃自身も、出かけることや学校に行くこと
色々と我慢しなければならないことがあるのだから
関係的な意味ではなく、他者の体として扱わなければならない園子たちは
それ以上に我慢していることだろう
もっとも、性的なことに関しては、
そこまで我慢してはいなかったけれど。
それも、最近は控えめだ
出産が近づいているということもあって
体力を消耗させすぎないようにしてくれているのかもしれない
天乃「…………」
園子「天さん?」
1、エッチなこと、したくならないの?
2、我慢させてごめんね
3、全部終わったら、園子はどうしたい?
4、思ったけれど、私は結局みんなが助からなければ助からないのよね
↓2
- 85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/08(土) 22:22:36.62 ID:EKwOIFIn0
- 1
- 86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/08(土) 22:22:42.70 ID:SD81j4Pro
- 2
- 87 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/08(土) 22:49:51.39 ID:Ouwni6xho
-
では、ここまでとさせていただきます
明日はできれば昼頃から
園子「確かに、私だけじゃなくみんな我慢してるんよ。天さんを孕ませたいって!」
天乃「……えっ?」
夏凜「んな機能ないんだけど」
上里「大丈夫ですよ。IPS技術さえあれば同性であろうとも子供を作ることはできますから」
夏凜「は? え? 誰!?」
上里「ふふっ、通りすがりの巫女です」
- 88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/08(土) 22:56:31.46 ID:TFbRU2p1O
- 乙
そのっちはタイミングの関係で唯一いまだにえっちできてないからなぁ
あと久遠さんの体力的にせめて孕ませる側にさせてあげて…
- 89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 00:11:27.78 ID:NQbnSadQo
- 乙
産んだ後の初夜は回数的に園子が相手になるんだろうか
- 90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 00:19:38.05 ID:YtzDXD690
- 乙
まず種入れるうんぬんの関係の方が先になりそう
- 91 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 14:05:38.57 ID:wuDQwzd3o
-
では少しずつ
- 92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 14:06:17.82 ID:MVPVJhWdO
- よっしゃ
- 93 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 14:57:56.66 ID:wuDQwzd3o
-
天乃「……我慢させてごめんね?」
園子「我慢?」
天乃「ほら、子供の件とかあるでしょ? だから園子にはいろいろ我慢させてるんじゃないかなって」
園子「確かに、わっしーたちが出来て、私ができてないコトもあるし、我慢してることはあるんよ」
出かけたいし、いちゃいちゃしたいし
まだできていないエッチなことだってしてみたいと思う
天乃の体のためにも必要なことだという話なのに
出来るようになったかと思えば、
今度は天乃ができなくなってしまった
園子「でも、こうして一緒にいられるだけで充分。満足してるんよ」
東郷……鷲尾須美と違って、
二年間の記憶を失くしたわけではない天乃は、
園子に会いに行こうと思えば会えないわけではなかった
それでも、やるべきことが多く、
触れ合う機会は極端に少なかった
だから友人たちと一緒にいることがあまりできなかった園子としては、
一緒にいることができるというだけでも満足できる
むしろ、普通の人にとっては当然なことが
園子にとっては貴重なものであり、これ以上を望んでいいものかと。迷ってしまいさえする
- 94 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 15:37:06.36 ID:wuDQwzd3o
-
園子「それに、別にエッチなことがすべてじゃないんよ」
したいかしたくないかと言えばしたいけれど。
そういいつつ園子は目を逸らす
ゆっくりと息を吸い込んでいくと、温まった天乃の匂いがする
看護師による丁寧な介護のかいあって清潔な匂いなはずなのに
どこか、食欲に似たものを刺激する甘い匂いを感じる
それはきっと、好きだからだ
恋をしているからだ
それを感じるだけで、寂しさを感じなくなる
園子「むふー」
天乃「園子?」
園子「んふふ」
天乃「ちょ、ちょっと……?」
わざとらしい園子の鼻息が首元をくすぐる
満足げで、でもちょっぴりいたずら心が含まれていそうなくすぐったさ
天乃の困った反応にも、園子は「むふぅ」と変な声を返す
- 95 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 15:57:51.74 ID:wuDQwzd3o
-
天乃「貴女が今してることは、エッチなことじゃないわけ?」
園子「匂いを嗅ぐくらいは、エッチじゃないんよ」
天乃「そうかしら……」
抱き合うくらいなら
嬉しい時や感情が高ぶったときなんかに
誰だってやることはあるだろう
けれど、抱きしめた相手の匂いを嗅ぐなんて言うことをするだろうか
いや、しないからと言って
それがエッチなことだと考えてしまうのは
早計というよりは、雑なかんがえかもしれない
ただ
天乃「んっ……ちょ、園子……」
もはや吸い付くような密着感で
すんすん。すんすん。と
鼻を鳴らすことが普通の行為だとは……いえない
天乃「くすぐったい、くすぐったいのっ!」
園子「もう少しだけ」
離れようとした天乃の体を抱きしめて、鼻を埋める
胸元に埋めないのは、園子に残ったたった一つの良心
- 96 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 16:41:08.60 ID:wuDQwzd3o
-
園子「これでも、我慢してるんだけどなー」
天乃「うぅ」
園子「そういわれたら抵抗できない天さんは、やっぱり受けなんよ」
天乃「受け?」
園子「何でもない」
力を抜いて、されるがままを受け入れようとする天乃に
園子笑ってごまかす
本当に優しいし、甘い
なんでも好きなことをさせてくれる
だから、我慢をすることが難しいのだ
したいといえばさせてくれるから
してといえば、考えてくれるから
園子「だから、好きなことをするのは全部大丈夫になってからでいい」
天乃「良いのに、痛いことととかじゃなければだけど」
園子「フラグは立てたくないんよ」
少しはやり残したことがある方が、
生に執着できるだろうから
園子「……生よりも性かも」
ぼそりとつぶやいた園子の声は、天乃の耳には届かなかった
- 97 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 16:59:36.18 ID:wuDQwzd3o
-
√ 12月3日目 夜(病院) ※水曜日
01〜10 東郷
11〜20
21〜30
31〜40 若葉
41〜50
51〜60
61〜70 夏凜
71〜80
81〜90
91〜00 園子
↓1のコンマ
- 98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 17:00:18.52 ID:P/QtxNDWo
- ほいさ
- 99 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 17:38:27.61 ID:wuDQwzd3o
-
√ 12月3日目 夜(病院) ※水曜日
また一日が終わる
みんなに阻止してもらうことを決めたとはいえ
いや、そう決めてしまったからこそ、その日が来る怖さがある
みんななら大丈夫だろう。
そう思う気持ちと
万が一のことがあったらという不安
否応なく不安が増す今は、時間が過ぎるのが早い
天乃「学校に行くのが怖い、帰ってきてくれたのがうれしい」
完全に翻弄されてしまっている胸の内を呟きながら
天乃はゆっくりと瞬きをする
体が重く、眠気がある
このまま目をつむれば眠れるが
起きたときに、誰もいなくなっているのではという不安が募る
天乃「やってられないわ」
本当に、弱くなってしまっている
- 100 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 18:03:58.60 ID:wuDQwzd3o
-
夕方、園子に触れてより強く実感することになったが、
戦いに出ていたころの力が全くない
いざという時は自分の力を使うだなんて言っているが
その力がどこにあるというのだろうか
樹海の根と根の間を飛んだだけで息切れを起こしてしまう
その間を飛びきることができずに落ちてしまう
そんなレベルの貧弱さを感じる
天乃「……筋力、落ちたかしら」
鍛錬を全くしていないせいで、
一次るしく衰えてしまったのは確かだし、
子供を作ったことによるつわりで酷く消耗したこともあり
天乃の体は限界に来てしまっているということだろう
はたして、すべてを終えた後で普通に生活することができるのだろうか
天乃「足も、耳も、味覚も……色々、無くなっちゃってるから」
神樹様の種ですべてが元通りになってくれればいいが
全部が元通りになる。というのはさすがに望みすぎていることだろう
1、眠る
2、イベント判定
3、勇者
4、精霊
↓2
- 101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 18:12:40.56 ID:P/QtxNDWo
- 2
- 102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 18:29:26.64 ID:legxq+y5O
- 1
- 103 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 18:43:02.79 ID:wuDQwzd3o
-
では、少し中断します
再開時、40%イベント判定
再会は20時頃を予定しています
- 104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 18:51:57.44 ID:MVPVJhWdO
- 一旦乙
リハビリ間に合うかな…
- 105 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 20:40:38.36 ID:wuDQwzd3o
-
では、また少しだけ
- 106 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 20:42:51.65 ID:wuDQwzd3o
-
√ 12月3日目 夜(病院) ※水曜日
01〜10 友奈
11〜20
21〜30
31〜40
41〜50 園子
51〜60
61〜70
71〜80 東郷
81〜90
91〜00 夏凜
↓1のコンマ
- 107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 20:56:34.08 ID:YtzDXD690
- あ
- 108 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 21:12:08.87 ID:wuDQwzd3o
-
友奈「…………」
みんなの眠るベッドを加工すべてのカーテンが閉め切られた病室は
昼間に見るときよりも狭く見え、
そのうえ、入ってくるのは月明りだけと暗く独特の雰囲気が感じられる
そんな中を、友奈はこっそりと忍び足で進む。
冬場の寒さも気にならないくらいに、温まった体の熱を吐き出すように息を吐く
友奈「はぁ……ふぅ」
それでも、収まらない胸に手を宛がって、足を止める
病室の一番奥、天乃のベッドの正面
遮るカーテンを掴もうと伸ばした手は、空中で止まった
友奈「く……」
声をかけるべきだ
その普段の考えが先に喉から出ていこうとしたのを、制止する
止まった手を動かしてカーテンを掴み、
天井の滑車が音をたてないようにと細心の注意を払いながら、顔を覗かせる
友奈「……ん」
ベッドの上で、静かに寝息を立てる天乃の姿を目視して頷き、
上を見てカーテンの根元を確認し、手前に引いていく
横に引けば音が鳴る、雑に引けば音が鳴る
だから、滑車を静かに淵へとひっかけて音を殺し、出来た隙間から、中へと入るのだ
- 109 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 21:42:53.57 ID:wuDQwzd3o
-
友奈「えへへ……なんだか悪いことしてる気分」
親に黙って学校をさぼったような感覚
だが、ドキドキとしているのはそれが理由ではないだろう
友奈「……久遠先輩」
天乃「ん……っ……」
お腹が大きいからか、
時折、苦しそうな声を漏らしては、また普通に戻る
こんな姿を見せられては、
夜這いらしくエッチなことをする気分もそがれてしまう
もっとも、友奈は別にそれが目的で来たわけではないのだが。
友奈「……東郷さんは、どうするかな」
淫らなことと言えば東郷の名前が挙がる
そのレベルには知識がって手を出す東郷だけれど
さすがに、今の天乃の姿を見て襲うようなことはしない
友奈「よね?」
自信は、なかった
- 110 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 22:04:55.46 ID:wuDQwzd3o
-
けれど、東郷だって別に性に乱れくるっているわけではない
そういう言動が激しいことは残念ながら友奈にも否定はできないけれど。
友奈「そのちゃんは、護国思想がそのまま久遠先輩に置き換わったようなもの。って言ってたけど」
東郷の護国への入れ込み具合はとても深いし強い
それを基準に考えれば、
天乃が必要だという性的な知識への深い入れ込み具合も納得できる
東郷はのめり込んでしまったらとことんはまっていってしまうタイプなのかもしれない
そう考えると。と、友奈は頬を掻く
友奈「久遠先輩が居なかったら、東郷さん……私、だったのかな?」
あの強い情熱というか、愛情を向けられるのは嫌ではないが
多少解るようになってくると
大変だろうなぁ。と、友奈は自分自身に思う
きっと、何も変わらないままの自分だったら
自分の一つ一つの言動が及ぼす影響など、考えも及ばなかったことだろう
友奈「……久遠先輩がいてくれたから、私は……私はネガティブなこともちゃんと考えたうえで考えられるようになったんです」
妊婦であること二よって、大きめのサイズである天乃のベッド
その使われていない部分が入れる大きさかを確認し、
友奈は布団をめくって潜り込む
冷気に冷えた体が温まっていく
天乃のまだしっかりと生きている熱を感じて
好きだと解る匂いを感じて
友奈は満足げな笑みを浮かべて、天乃の腕を胸に抱く
友奈「久遠先輩も同じ……だから、きっと、一人は嫌。だと思うから」
せめて一緒にいられる時くらいは、誰かがいる安心感を与えてあげたいと
そう、友奈は心に秘めて、目をつむる
- 111 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 22:06:16.73 ID:wuDQwzd3o
-
√ 12月4日目 朝(病院) ※木曜日
01〜10 東郷
11〜20
21〜30
31〜40
41〜50 夏凜
51〜60
61〜70
71〜80 園子
81〜90
91〜00 風
↓1のコンマ
※空欄は友奈
- 112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:11:20.90 ID:P/QtxNDWo
- ほほ
- 113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:12:08.20 ID:YtzDXD690
- あ
- 114 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/09(日) 22:23:03.99 ID:wuDQwzd3o
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「ふふっ、友奈ちゃん可愛い」
東郷「でも……」
東郷「淫乱だなんて……友奈ちゃん。あとで教育的指導が必要ね」
夏凜「やめ――」
東郷「もちろん、夏凜ちゃんもね」ニコッ
夏凜「ぃっ!?」
- 115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:29:19.31 ID:YtzDXD690
- 乙
久遠さんしんどそうだから早く子供産まれて欲しいなあ
- 116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:31:06.36 ID:NQbnSadQo
- 乙
12月入ったしそろそろ陣痛始まりそう
- 117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/09(日) 22:37:42.07 ID:yWPa4DWwO
- 乙
すごくヒロインしている友奈ちゃんかわいい
- 118 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 20:20:38.52 ID:9EyUnt38o
-
では少しずつ
- 119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 20:26:37.19 ID:gVtrKDfEO
- いえす
- 120 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 20:44:36.50 ID:9EyUnt38o
-
√ 12月4日目 朝(病院) ※木曜日
天乃「ん……ぅん?」
いつもとは違う、朝だった
暖房器具がお休み中の肌寒さはなく、むしろ、暑いくらいに感じる布団の中
昨日話していたことが現実となって
天候が急変したのかと体を起こそうとしたところで、
右腕がうまく動かせないことに気付く
機能を失うとか、悪い理由ではないことはすぐに分かった
友奈「ん……」
天乃「あら?」
枕に乗るか乗らないかのところに広がった赤い髪
静かに寝息を立てる愛らしい口元がかすかに動いて
腕にしがみ付いてくる
夜は一人だったはずなのに、いつの間にか潜り込んできていた友奈だ
制服に着替えた後、布団のぬくもりに引き寄せられた。というわけではないらしい
天乃「……まったく」
- 121 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 21:05:54.77 ID:9EyUnt38o
-
言ってくれれば、普通に受け入れるのに
わざわざ寒い中夜這いしてくる友奈は、それほど我慢していたのだろうか
園子は満足してると言ってはいっていたけれど
友奈たちまでそうだとは限らない
天乃「そうよね……」
沢山頑張っているのに、
お触り厳禁だなんて、我慢ならない
食べるのが好きなのに、
食べないダイエットをしているような状態なら、なおさら
天乃「自分を食べ物に例えるのは、なんだか変な気分だけど」
性的な意味で……なんて
東郷みたいな言い方をするなら間違いではないかもしれない
だけど、友奈はそれが目的で来たわけではなさそうだった
服装は一切乱れていないし、そういったものは全く感じられない
天乃「一緒にいたかったのかしら」
園子と違い、友奈は二年間一緒にいることができた
けれど、それでも一緒にいられるだけで充分だと感じてくれているのだろうか
- 122 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 21:32:00.86 ID:9EyUnt38o
-
天乃「……でも」
その気持ちが何であっても、
こうしてそばにいてくれることが天乃は嬉しかった
温かい、熱いほどに温かい
だからきっと、冷めてしまう寂しさは惨いほどに重い
天乃「友奈……」
今、この腕に感じる熱が
唐突に失われてしまうことがある
それが、今の世界
今まで天乃がいた世界であり、今はもう、踏み入ることのできない世界
友奈に抱かれていない左手が、震えているのが見える
天乃「っ」
それは、怖いからだ
一瞬のうちに奪われてしまうのが当たり前であることを
天乃は良く、知っているからだ
1、友奈を抱きしめる
2、友奈を起こす
3、イベント判定
4、嫌、だからね?
↓2
- 123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 21:33:40.67 ID:gVtrKDfEO
- 1
- 124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 21:34:34.33 ID:tjBfyrzD0
- 4
- 125 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 21:45:57.59 ID:9EyUnt38o
-
ぞろ目 または01〜10
↓1のコンマ
- 126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 21:48:04.76 ID:biOUFnrjO
- ぬぬ
- 127 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/10(月) 21:58:18.70 ID:9EyUnt38o
-
では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「久遠先輩も、女の子なんですよね」
風「………」
東郷「性的な意味ではないですよ? さすがにここでそんなことは言いません」
東郷「だから友奈ちゃん、お願いね」
夏凜「朝弱いんじゃなかったっけ。友奈」
東郷「あっ」
- 128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/10(月) 22:10:50.90 ID:gVtrKDfEO
- 乙
出産近いのもあって久遠さんのそばに1人いてあげないと精神もたなくなってきたな…
- 129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 02:33:54.28 ID:0mlkdbf00
- 乙
添い寝ローテーション組まなきゃ
- 130 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 20:09:03.82 ID:jQZL/ljxo
- では、少しだけ
- 131 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 20:35:20.56 ID:jQZL/ljxo
-
天乃「嫌、だからね?」
自分でも、情けないと感じてしまうほどに弱弱しい声だった
心が弱り切っている以前の問題だ
自分が請け負うことは多々あっても、
ここまで任せっきりになってしまう経験など希薄で、
任せていることの危険性を熟知しているからこそだというのもわかる
だけど、それ以前に天乃は弱かったのだ
天乃「友奈……」
友奈「ん……ぅ」
声をかければ反応する
しがみ付く胸がより密着してくる感覚が、
心臓が動いているのを伝えてくれる
あの日三田、もう二度と開くことのない閉じた瞳とは違う
だが、そうなる可能性は、ある
耐えきれない感情が瞳からあふれ出していくのを、震える左手で止める
こんな状態ではだめだ、
安心させられない、万全の状態にさせられない
心に隙を作らせてしまう
天乃「こんな、ボロボロだなんて……」
そんな思いもむなしく、溢れるものは溢れていく
止めたいと思う心以上に、流したいと思う気持ちの方が強いからだ
- 132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 20:40:22.96 ID:mNAL9phgO
- 久遠さん…
- 133 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 21:00:27.79 ID:jQZL/ljxo
-
流れていく涙が、ぬぐった手によって弾かれて、
一滴だけが、友奈の頬に落ちていく
天乃「っ……」
頬に落ちたそれは拭うよりも早く流れ落ちて消えてしまう
まるで、瞬きした間に奪われてしまう命のように
ネガティブが過ぎているそんな考えが浮かび上がる最中、
右腕に抱き着く力が強くなった
友奈「……天乃先輩」
天乃「!」
友奈「……特別ぅ」
ぎゅぅぅっと、友奈の力が強くなっていく
大きくはない胸だけれど、その柔らかさがクッションになって痛みはない
どんな夢を見てるのか、天乃とは正反対に幸せそうな表情を浮かべる友奈は腕に頬をくっつける
天乃「…………」
友奈「んにゅ……ぇへ――っ!?」
すりすりと寄って来ていた友奈は、
袖に目元をかすめられてか不意に顔を上げて、辺りを見渡す
友奈「はぇ……天乃しぇんぱい?」
しがみ付いていた影響と、寝ぼけているせいで出てきた間の抜けた言葉
数秒間の呆然自失といった沈黙が流れ、
次第に定まっていなかった焦点が合い始めて、瞼が二度三度忙しなく動く
友奈「ぁ……あっ!」
夢……というよりは、
寝ぼけた自分の言葉を覚えているのだろう
瞬く間に真っ赤に染まった友奈はベッドの上に座り込んだまま、俯いてしまった
- 134 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 21:19:47.37 ID:jQZL/ljxo
-
友奈「ち、違います……違うんです!」
天乃「違う……?」
友奈「今のは、そのっ、なんというか、えっと、その、雨で洗濯物がぁって言っただけで!」
天乃「降ってないけれど」
友奈「あぅっ」
そもそも、友奈たちは洗濯物を干していない
干していないのだから、
今この段階で雨で洗濯物が。なんていう発言はそもそもおかしい
いや、夢の中でそういう場面に出くわしたというのなら話も変わるけれど。
天乃「……なんだって?」
友奈「それは、その……」
天乃「ん?」
友奈「……な、名前で呼びました……はい」
今まで久遠先輩。と、苗字で呼んでいた友奈にとっては、
名前で呼ぶという特別感は夢にまで見るものだったのかもしれない
あるいは、それに憧れているのかもしれない
- 135 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 21:42:31.57 ID:jQZL/ljxo
-
天乃「風のことは、風先輩のくせに」
友奈「風先輩は、その……」
違うのだと、友奈は言う
風のことを下に見てるとか、同類に見ているだとか
そういった分別をつけているわけではなく。
そう、同じくらいに長い付き合いであるはずなのに【久遠先輩】から変わることがなかったのは
初めからずっと、友奈にとっては特別だったからだろう
東郷と同じように車椅子で、家族の記憶もなく、耳だって片方聞こえない
そんな状態でも、天乃は明るさを損なってはいなかった
誰よりも明るく、何よりも力強く見えて、
隠れてしまっていた背中ははるかに大きく見えた
自分の手には届かないようなものにさえ思えた
悪と戦う正義の勇者というものではなない勇者のように感じていた
だがそれと同時に、踏み込むことへの怖さがあったのかもしれない
東郷の失われた二年間に対しても、友奈は触れようとはしなかった
東郷やその家族が「良いから」と言っても、
友奈の性格からすれば、頑張って手掛かりを探そう。そう、踏み出してもおかしくはないのに
それは、友奈がまだ東郷とも天乃とも出会っていなかった頃の、ほんの些細なケンカによるものだ
踏み込むことのできない一線、常に前を向く姿勢その両方ともがそれによるもので
だから、友奈は誰よりも近くにいながら車椅子の隔たりから先には進めなかった
友奈「……久遠先輩は、久遠先輩なんです。ずっと遠い、ずっと大きい。私には手の届かないような人なんです」
- 136 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 22:05:16.48 ID:jQZL/ljxo
-
その憧れであったからこそ、
特別であったからこそ、あの時に踏み出すことができたのだろう
天乃「でも、私達付き合っているのよ?」
友奈「そう、なんですけど……」
ちょっぴりシリアスな空気もつかの間
天乃のはっきりとした一言に友奈は身を縮めて、頬を掻く
恥ずかしさからかいた汗が指先に吸い付いた
友奈「その……す、する、じゃないですか」
天乃「なにを?」
友奈「っ……け……ん」
ぼそりと
天乃の耳でさえ聞き取れないほどの小声でつぶやいた友奈は、
きゅっと唇を結んで、天乃を見る
友奈「けっこん……したら苗字が変わるって、東郷さんが言ってたから……」
天乃「……あぁ」
友奈「それなら呼べる間は、久遠先輩って呼びたいなって……」
憧れであり、馴染んだ呼び名
だからこそ、それは友奈にとってとても、特別なものなのだ
1、じゃぁ、友奈とは結婚するのやめようかしら
2、そっか、じゃぁ私も結城さんって呼ぼうかしら
3、そっか。そうなのね……なら、仕方がないわね
4、別姓でもいいんじゃないかしら。呼び名くらい
5、そこまで特別な思い入れがあるなんて、恥ずかしいわね
↓2
- 137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 22:08:00.83 ID:mNAL9phgO
- 3
- 138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 22:09:17.07 ID:4m8XHXdP0
- 5
- 139 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/11(火) 22:18:25.80 ID:jQZL/ljxo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「そんな友奈ちゃんにいいお話があるわ」
友奈「え?」
東郷「えっちする時だけ下の名前で呼べばいいのよ!」
友奈「余計にエッチな感じになりそう///」カァァ
東郷(友奈ちゃん可愛い)
- 140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 22:38:05.92 ID:mNAL9phgO
- 乙
天乃先輩と聞くと一作目の友奈ちゃんを思い出した
アニメよりも先にヒロイン化した友奈ちゃんの話をやってたなぁ
- 141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 22:52:54.60 ID:jw+Vs2MsO
- 乙
結婚したら全員久遠さんに!
誰が一番ゴロ悪そうなのか
- 142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/11(火) 23:10:24.01 ID:IKemdwpWo
- 乙
1周目のHAPPYENDはほんといい文章だったよなぁ
愛の伝達棒……
- 143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 13:23:46.54 ID:PPYwgN8GO
- 久遠さんの境遇はヤバイけどな
- 144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 15:13:52.82 ID:w6oWctX5O
- 最初の頃は九尾や西暦組の支援も死を回避する手段もないというハードモードだったというね
今も状況こそ深刻だけどまだ恵まれてる方じゃなかろうか
- 145 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 20:23:16.49 ID:ACix+QkZo
-
では少しだけ
- 146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 20:28:42.82 ID:7WJzdYlXO
- あいよ
- 147 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 20:56:33.58 ID:ACix+QkZo
-
天乃「そこまで特別な思い入れがあるなんて、恥ずかしいわね」
天乃も、自分の名前に関しては嫌いなわけではない
むしろ与えられた立場として、好きではある
しかし、友奈はきっとそんな天乃よりもこの名前に思い入れがあって、好きなのだ
照れくさそうに笑みを浮かべる天乃だが、
その目元には涙の跡があって
友奈は、うれしい笑みを浮かべることはできなかった
今の天乃は嘘が付けるような状態ではないが
友奈に限ってはそもそも、嘘が付ける性格ではないからだ
友奈「……だから、そんな大好きな人を独りぼっちになんて絶対しません」
天乃「っ」
友奈「悲しませたりなんて、したくありません」
天乃の頬に手を触れさせ、指先で優しくなでる
もう流れていない涙を、さかのぼって拭うように
友奈「でも、久遠先輩が嫌なことを私たちはこれからするんですよね」
その、罰です。
友奈はつぶやいて、額と額をくっつける
天乃が悲しければ、友奈も悲しい
それが自分によるものであれば、胸もより強く痛む
だから、罰だ
- 148 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 21:38:01.34 ID:ACix+QkZo
-
友奈「でも、だから、だからこそ……」
これ以上に嫌な思いはさせたくないと思う
今でさえ痛い心がそれ以上に痛む苦しみ
自分の心の痛みでさえ、危ういのだ
それ以上に辛い思いをするであろう天乃はどれほどか
考えるだけで、絶対にダメだという思いが強くなる
友奈「私たちはやり遂げます。絶対です。絶対にです」
奉火祭を阻止するだけじゃない
その先のこと、すべてをだ
勇者部はもちろん、精霊たちも、この世界に生きるすべての人々も
すべてを、救って生きていく
友奈「だから、大丈夫です」
そこにある絶対的な自信は、
大赦や神樹様ですら認めるほどの絶対的な強さを持つ人が、
ずっと、自分たちのことを引っ張ってくれていたからこそ
その背中を追い求め、ひたすらに歩んできた努力があるからこそ
そんな人でさえ、自分たちと変わらない少女であると知ったからこそ。
友奈「後は、任せてください」
天乃「んっ」
軽く、唇を重ね合わせる
それは誓い……だから、確かめるように、離れてすぐに、もう一度紡ぐ
友奈「私たちは、久遠先輩と一緒に、ここまで来たんですから」
- 149 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 22:00:57.66 ID:ACix+QkZo
-
天乃「友奈……」
確かに、劣る部分があるだろう
完全に補えるほどの力はないかもしれない
けれど、それを補うためのチームだ
それができるほどの鍛錬はしてきた
友奈「だから、大丈夫なんです」
天乃「貴女も、変わったわね」
友奈「こんな私にしたのは久遠先輩ですから、責任……は、もう取ってくれてますよね」
どういう意味で言ったのか。
えへへっと無邪気に笑う友奈に聞く必要もなく
天乃は「変わったわね」と、苦笑する
でも、嫌な気はしなかった
暗い気持にはならなかった
変わったと感じるからこそ、
そこに秘めた可能性は、何よりも大きかったからだ
- 150 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 22:02:13.52 ID:ACix+QkZo
-
√ 12月4日目 昼(病院) ※木曜日
01〜10
11〜20 若葉
21〜30
31〜40
41〜50 千景
51〜60
61〜70
71〜80 球子
81〜90
91〜00 水都
↓1のコンマ
- 151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/12(水) 22:03:06.13 ID:7WJzdYlXO
- あ
- 152 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2018/12/12(水) 22:18:18.78 ID:ACix+QkZo
- では、ここまでとさせていただきます
明日も出来れば通常時間から
東郷「責任……えっ、友奈ちゃんも子供が!?」
東郷「どうやったの! どうやって久遠先輩の子供をっ!」
東郷「私も孕みたいわっ!」
東郷「……為せば大抵何とかなる」
東郷「まさか!」
風「はいそこー! 五箇条を淫らなことに使わない!」
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