【モバマス】LiPPS「虹光の花束」

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201 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:08:06.97 ID:n3qMAkef0
カメラマン「ではカウント入りまーす!3、2、1、スタート!」




志希「始まりました、宮本さん。この度はお世話になります。一緒に頑張りましょう。」

フレデリカ「一ノ瀬さん、こちらこそよろしくお願いします。楽しみましょう。」

志希「わーい!楽しもうねー!」

フレデリカ「イエーイ!」
202 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:08:47.12 ID:n3qMAkef0
志希「それでそれでー、今日のフレちゃんはどんなフレちゃんなの〜?」

フレデリカ「今日はねー、この町の人気のスイーツを紹介する新人アイドルフレデリカなんだよー♪」

志希「わぁ奇遇ー!あたしもとれたてピチピチのアイドルとして、気になる香りをリサーチするんだー♪」

フレデリカ「すごーい!こんなに気が合うなんてアタシ達、まるで双子だねー♪」
     「てなわけで、この番組は仲良し双子アイドルのあたし達が!」

志希「素敵なスイーツを画面の前のキミたちの視覚野にお届けするよー!よろしくねー!」

フレデリカ「よーし!じゃあ志希ちゃん、早速お店を探すよー!」

志希「はーい!探し物は志希ちゃんのギフテッドなお鼻におまかせー!」
  「ハスハス...あっちからいい匂いがするー!」

フレデリカ「すごーい!名探偵志希ちゃんだね!」

志希「じっちゃんの名にかけて!ってやつだね♪」
  「それじゃあ気になるあの香りを目指してレッツゴー!」
203 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:09:56.61 ID:n3qMAkef0
P「とりあえず出だしは大丈夫そうですね」

D「ああ、開幕のあの挨拶は驚いたが、中々どうして引き込まれる」
 「そしてフワフワとした会話のようで、その中にきっちり今日の趣旨をしっかり盛り込んでいる」
 「もしかして、君が会話の内容を指示したのかい?」

P「いいえ、あれは彼女たちの完全なアドリブです」

D「なんと!」
 
P「もしかしたらあの子達には、最初から台本なんて必要なかったのかもしれませんね」
 「だってあの子達、めちゃくちゃプレッシャーかかる状況のはずなのに、しっかり笑って楽しめてますもの」

D「確かに、彼女たちならこの状況を変えてくれるかもしれない」
 「頼むよ二人とも、どうか撮影を成功させてくれ...!」
204 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:11:13.64 ID:n3qMAkef0
志希「フレちゃんあれ見てー!変な看板!」

フレデリカ「すごーい!たい焼きが空泳いでるよー!」

志希「毎日毎日僕らは鉄板の〜♪上で焼かれていやになっちゃうよ♪」

フレデリカ「ところがどっこい!なんとここのたい焼き、鉄板使わないで作ってるんだってー!」

志希「なにそれー!どんな化学反応なんだろ?あたしすっごく興味あるー!」
  「というわけでー...おじさーん!ここのたい焼きってどうやって作ってるのー!?」

鯛焼き屋「おう、ウチのたい焼きはな....」
205 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:12:58.32 ID:n3qMAkef0
鯛焼き屋「......てな感じで作った記事でアイスを包んでるんだ。つまり、鯛焼きならぬ鯛冷やしってワケ!」
    「というわけでお一つもってけ!」

志希「わーい!ありがとー!」

フレデリカ「おじさん、メルシー♪」

鯛焼き屋「ところでそっちのお嬢ちゃん、よくあんな昔の歌知ってたな。俺がまだ若い頃に流行ったんだよ、懐かしいなぁ」

志希「昔ママが歌ってたんだー♪」
  「ママ、たい焼きがすごく好きだったからよく買ってきてくれて、その時によく歌ってくれたんだー!」

フレデリカ「志希ちゃんのママは、歌が大好きだったんだね!」

鯛焼き屋「なるほどねぇ、お嬢ちゃんにとっても思い出の歌ってワケか」

志希「『も』ってことはおじさんも?」

鯛焼き屋「ああ、俺も昔この歌を聞いてね.....」

206 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:14:09.09 ID:n3qMAkef0
D「よし!店主との会話も上手く弾ませているな」
 「というか一ノ瀬君、とても歌が上手いね!本当に新人か!?」

P「これは嬉しい誤算ですね。想像以上にいい拾いものをしました」

D「P君、君にはもしかして幸運の女神でもついているのかい?」

P「...ええ、そうかもしれません」
207 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:15:12.84 ID:n3qMAkef0
その後も、あたしとフレちゃんの撮影は順調に進み、最後の目玉スイーツの紹介に入っていた

クレープ屋「えーというわけでですね、この『漢のスーパーバニラヨーグルトクレープ』は明後日から3日間限定で...」



これで撮影は無事終了、その場の誰もがそう確信した






その時だった
208 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:16:36.03 ID:n3qMAkef0
あたしの鼻があの『匂い』を嗅ぎつけた

今まで何度も嗅いだことのある『匂い』

それを嗅ぎ取るのはいつも、あたしにとって都合の悪いとき
あたしに敵意を向ける人間から発せられる匂いだった








___ヤバいッ!?
209 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:18:37.77 ID:n3qMAkef0
DQN1「オイオイお前らよぉ?誰の許可取ってこんなとこで撮影なんてしてんだ?」

DQN2「ここは俺たちの縄張りなんだよ、クソ邪魔だからさっさと失せろや!」

クレープ屋「な、なんですか貴方たちは!」

DQN1「なんだテメェ...?俺たちになんか文句あんのか!?」

クレープ屋「ひっ....」






まずいね、これ...


このままこの男たちを放置すれば収録は台無しだし、かといって追っ払うことも...
一応持っておいたあの薬を...ダメだ、追い払うどころじゃすまないグロテスクな光景をお茶の間に届けることになっちゃう
それにそもそも、こんなとこカメラに入っちゃったらもうどの道修正効かないんじゃ...

...もうっ!こんな時に限ってあたしの頭は役に立たないんだから!





....えっ?


志希「フレちゃん....?」
210 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:19:30.92 ID:n3qMAkef0
P「しまった!」

D「な、なんだあいつらは!何で撮影場所に入ってこれたんだ!?ちゃんと撮影の邪魔が入らないように見張りがいたはず...」

P「兎に角止めないと!」




D「...いや待て!」

P「なんでですか!?今すぐ止めないと撮影が!」

D「分からん!だが宮本君が何かサインを出している!」

P「サイン?あれは...OK?それに目線要求?」
 「大丈夫だから見てろ...って事か?」

D「宮本君、一体何を....?」
211 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:20:21.40 ID:n3qMAkef0



大丈夫だよプロデューサー、アタシにお任せ!

だってアタシは、皆を笑顔にする為にアイドルになったんだから♪

もちろん、ここにいるみーんなを、ねっ!
212 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:21:45.32 ID:n3qMAkef0
フレデリカ「ではここで!今最も熱いパリジャンで賞のお二方に〜...じゃじゃーん!こちらのクレープをプレゼント!」

DQN2「ああ?なんだお前?てかパリジャンってなんだ?」

DQN1「よくわかんねぇけど、なんかカッコイイ響きだな」
    「...いやいや!流されねえぞ!そもそもココは俺たちの縄張りなんだから...」

フレデリカ「なら許可を取れば大丈夫なんだよね?じゃあダイジョーブ!これを食べたら絶対許可を出したくなるから♪」

DQN1「ああ!?わけわかんねぇこと言ってんじゃ『ガレット・デ・ロワー!』フゴッ!」

DQN2「おいてめぇなにして『カリソン・デラーックス!』ぐおっ!」
213 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:22:22.55 ID:n3qMAkef0
DQN1「もぐもぐ...」

DQN2「これは...」









DQN1&2「「美味いッ!!!」」
214 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:23:24.83 ID:n3qMAkef0
DQN1「口に入れた瞬間ヨーグルトの酸味とバニラアイスの甘み、それにブルーベリーソースが絶妙にマッチして酸味と甘みが互いの魅力を高め合っているッ!」

DQN2「それにこのとてももちもちとした生地が噛むたびに食欲を掻き立てる!まさかこの生地、米粉!?」

クレープ屋「あっ、はい!その通りでございます」


DQN1&2(クソッ...こんなの、こんなの!)








DQN1&2「認めるしかぁ...ないじゃないですかー!!」
215 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:25:30.40 ID:n3qMAkef0
フレデリカ「やったー大成功!やったね志希ちゃん!クレープ屋さん!」

志希「えっ、あぁうん!やったね!」

フレデリカ「じゃあ最後にしっかりこのクレープを紹介しないとね!」
     「てなわけで!反抗期のお子さんも、ぎっくり腰のおじいちゃんも、彼女にフラれたそこのあなたも!」
     「食べたらたちまちみーんなハッピー!『漢のスーパーヨーグルトクレープ』は明後日から3日間限定で発売するよー!」
     「これは並ぶしかないよね志希ちゃん!」

志希「うん!寝ぼすけなあたしも早起き朝一で駆けこまなきゃね!」
216 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:26:24.42 ID:n3qMAkef0
フレデリカ「じゃあ最後に!今日の撮影でお世話になった皆の為に、一曲歌っちゃおうか!」

志希「じゃああたし、アレがいい!」

フレデリカ「アタシもー!じゃあ志希ちゃん、クレープ屋さん、それに撮影に協力してくれたパリジャンのお二人にスタッフさん達も♪皆準備はいーかなー!」

スタッフ一同「えっ?」

DQN1&2&クレープ屋「「「俺(私)たちも?」」」

フレデリカ「もちろん!みんなで歌った方が楽しいもん!」
     「ねっ?志希ちゃん」

志希「そうだね、みんなで楽しく歌っちゃおう!」
  「というわけでこの番組を作り上げた皆で歌っちゃうよー!『およげ!たいやきくん』!」
217 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:27:03.15 ID:n3qMAkef0
すごいよフレちゃん!

撮影の邪魔しに来た人まで仲間に引き込んで、スタッフ一同も巻き込んで大合唱!

こんな光景、あたし全然知らなかった!すごい!

こんなに分からなくて興味が尽きない事なんて今まで無かった!








これが...これがアイドルなんだ!
218 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:28:35.99 ID:n3qMAkef0
D「いやー素晴らしい!キミたちのおかげで無事撮影は成功だ!」


撮影が終了した後、Dさんはすぐ私達の所に来て私達を称賛してくれた


フレデリカ「えへへー!ありがとー!」

P「ああ、二人ともよくやってくれた、特に最後よく持ち直した!」

志希「うん、あの時のフレちゃんは凄かったよ」
  「それに比べて、あたしはどうすればいいのか分かんなくて役に立てなくて...ごめんなさい」
219 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:29:09.40 ID:n3qMAkef0
フレデリカ「ううん、そんなことないよ!」

P「ああ、寧ろとても役に立ってくれたぞ志希は」

志希「えっ?」


あたしが、役に立った?


...でもあたし、何にもできてない
むしろ危うく撮影を失敗させるところだったのに...
220 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:31:01.30 ID:n3qMAkef0
フレデリカ「アタシ、ホントは今日一人で撮影することになったって聞いて、ほんとーに心細くて、それに初めての仕事出すっごく緊張しててどうしよー!ってなってたの」
     「でも、そんなとき志希ちゃんが駆けつけてくれて、ずっと隣で一緒にお仕事してくれたから、不安な気持ちぜーんぶ吹っ飛んじゃった!」
     「...きっと、あたし一人じゃお仕事、大失敗しちゃってたと思う。だから」

     


     「ありがとう志希ちゃん、これからもアタシと一緒にお仕事して欲しいな!」




志希「フレちゃん...!」

D「そうだ、君たちはこれからもっと活躍するだろう!」
 「またいつか、アイドルとして大きく成長した君たちを撮らせて欲しい!頼めるかな?」

志希「...分かった!任せて!」

P「よしっ、じゃあ改めて」
 「811プロへようこそ、志希!」

志希「こっとこそ!あたし、アイドルの全部を追及するから!」
  「だから、もっといっぱいアイドルの楽しさを教えてね、プロデューサー!」
221 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:32:19.23 ID:n3qMAkef0
DQN1「あの〜....」

D「おや、君たちは...」



あれは...さっきの不良たち?

もうあの匂いはしないけど...大丈夫かな?

また何か吹っ掛けに来たのか、と一応警戒したあたしだったけど...







DQN2「その....」

DQN1&2「本当にすみませんでしたアァー!!!!!」


一同『えっ?』
222 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:33:13.04 ID:n3qMAkef0
DQN1「俺たち、この撮影を潰すよう金でやとわれて、それでこんなことをしてしまって」

DQN2「俺たちマジでバカでした!本当にすいません!」

DQN1「お詫びに、俺たちにできることなら何でもします!ホントに!」






...この人達、さっきとはまるで別人だ

嘘をついてるようには見えないし...本当にフレちゃんによって改心させられちゃったの?

ていうか、『金で雇われた』ってことは...
223 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:34:22.86 ID:n3qMAkef0
P「『なんでも』、かぁ...言ったな?」

DQN1「ハイ!覚悟はできてます!」







P「じゃあ...この二人のファンになってやってくれ」

DQN1「えっ?」

P「この子達、これからトップアイドルになる予定なんだけど、その為にはファンの応援が必要不可欠だからな。」
 「キミたちがファン第一号になって、二人のアイドル活動をさせてやってほしい」
 「お前らも、それでいいよな?」

フレデリカ「もちろん!」

志希「応援よろしくねー!」

D「まあ結果的に大成功に収まったからね、私からも咎めるつもりはないよ」

DQN1&2「あ、あ...」







      「ありがとうございますーーーーーー!!!!!!!!!」
224 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:36:19.97 ID:n3qMAkef0
DQN1「俺、二人の出る番組全部見ます!」

DQN2「俺も、イベントとかあったら絶対駆けつけます!」

P「ありがとう。じゃあその思いに答えられるように、こっちも頑張らないとな」





P「...ところで、君たちを雇ったっていう人っていったい?」



そう、お金で雇われたって事はあたしたちを嵌めようとした黒幕がいるって事に他ならない
一体誰が、何のために....?
225 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:37:30.15 ID:n3qMAkef0
DQN「それは...あっ!あいつです!」

スタッフ?「!!」

D「彼は...見張り役の!」

見張り「チッ!」

P「あっ、待て!」


逃げ出す見張りをプロデューサーが追いかける


見張り「誰が待つかっての!」





走りながら見張りは懐から何かを取り出した

あれは...っ!
226 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:39:24.22 ID:n3qMAkef0
志希「プロデューサー!避けて!」

P「何っ!?...うおっナイフ!?」

見張り「へっ、あばよ!」

P「しまった!クソッ!」



プロデューサーは間一髪避けれたけど、その隙に見張りは瞬く間に走り去っていってしまった...
227 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:40:45.44 ID:n3qMAkef0
D「逃げられてしまったね...」

フレデリカ「プロデューサー大丈夫!?」

P「ああ、なんとか間一髪で避けれたよ。ありがとう志希」

志希「よかった、怪我とかないみたいだね」

P「ああ、だがあの野郎、今度見つけたら絶対とっ捕まえて...『トゥルルルル!!!』なんだ、電話?」
 「もしもし、ああ周子?奏も一緒か、どうした?」







周子に奏...?
それって確か、あのモニターに出てたアイドル!?
228 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:41:52.09 ID:n3qMAkef0
P「フレデリカの撮影?大成功、いや超成功だよ!撮影を成功させただけじゃなくてな!」
 「祝勝会?ああ、いいぞ...わかった、じゃあ駅の近くのサ○ゼな。予約とっといてくれ」
 「ああ、違う違う、5人で取ってくれ。何故か?まあ後でわかるさ、それじゃあ宜しく」ピッ

フレデリカ「なになにー何の話?」

P「周子と奏が初仕事成功記念に祝勝会しようってさ、喜べ!俺の奢りだ!」
 「さっきの事はひとまず忘れて、楽しむとしよう!」

フレデリカ「わーい!ゴチになります!」

志希「5人で予約ってことはあたしも行っていいの?」

P「勿論だ!あいつら驚かせてやろうぜ!」
 「早速行くぞ!ついてこい!」

フレ志希「「ハーイ!」」
229 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:43:24.71 ID:n3qMAkef0
...でも、まだ気になる謎があたしの頭の中には残っていた





       




         あの見張りの人はなぜ『全くの新人であるあたし達を狙った』んだろう?





230 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:44:21.21 ID:n3qMAkef0
そもそもフレちゃんは今日の番組がアイドルとしての初顔出しの無名アイドル
あたしに至っては本当にたまたま居合わせただけのイレギュラーだ


そんな新人を、こんな最初から潰しにかかる理由って一体何?
アタシ達じゃなくて、この番組か、もしくはこのテレビ局が狙い?
それとも、スタッフの誰かを...?







...まあ今は情報が足りないし、プロデューサの言う通り一端忘れて楽しむとするかにゃー

サ○ゼならきっとピザもタバスコもあるよね❤
231 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:45:46.98 ID:n3qMAkef0
P「というわけで、仕事の成功と新しく入ってきた超新星にー!」

全員「かんぱーい!!」




周子「いやーそれにしてもびっくりだねー。まさかフレちゃんの初仕事中に新しい子がスカウトされるなんて」

志希「改めまして、一ノ瀬志希だよ。アメリカ帰りのふつーのjkです!よろしくー!」

奏「ええ、よろしく志希」

周子「アメリカ帰りってどゆこと?」

志希「小学生の時にダッドを追ってアメリカに住んでたんだー。んでそっちで飛び級して大学まで行ってたんだけど、つまんなくなったから日本へ帰ってきて高校生やってるんだー」
232 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:47:06.09 ID:n3qMAkef0
周子「へー、飛び級って事はもしかしてめちゃくちゃ頭いいの?」

志希「多分ねー、ギフテッドって言われてたし」

奏「ギフテッド...先天的に高度な知的能力を持つ人の事だったかしら?」

周子「なにそれすごい!」

P「志希は向こうの大学ではなんの勉強を?」

志希「ケミカルだよー!日本語的には、ばけがくってやつね」

P「ばけがく...化学反応...補修...うっ頭が...」
 「この話はやめようか(真顔)」

フレデリカ「なんかトラウマを刺激しちゃったみたいだね〜♪」

周子「いや自分で聞いたんじゃん...」
233 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:48:21.56 ID:n3qMAkef0
周子「そうだ、あたしと奏ちゃんの紹介まだだったね」

志希「知ってるよー、デュアルフルムーンでしょ?」

奏「あら、知ってたのね」

志希「結構前にすっごい報道されてたからねー...それにしても」

周子「えっなに...ちょっとちょっと、近いよ志希ちゃん」

志希「やっぱ二人ともいい匂いするねー♪流石モニター越しであたしにアイドルに興味をもたせただけはあるね!」

奏「私達が?」

志希「そうだよー、日本に帰ってきてからあたしが初めて興味をもったのが奏ちゃんとしゅーこちゃんだったんだ♪」
  「だからあたしはデュアルフルムーンのファンなんだよー!サインちょうだーい!」

奏「そうだったの...ふふっ、間近でファンですって言われると恥ずかしいけど、やっぱり嬉しいわね」

周子「そうだねー、応援してくれる人がいるってのは、やっぱ励みになるわ」
234 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:49:23.78 ID:n3qMAkef0
フレデリカ「あたし達も今日ファンができたんだよ!すっごく嬉しかった!」

P「これからもっと増えていくさ、番組も高視聴率間違いなしだろうしな」
 「奏と周子も、うかうかしてられないぞ?」

奏「そうね、もたもたしてるとあっという間に追い抜かれちゃいそう」

周子「あたしたちも、そろそろDランク昇格を目指さないとね、美嘉ちゃんにも追いつきたいし」

P「そのころには美嘉も昇格してるかもしれないけどな」

周子「そうしたら、また追いつくまで追いかけるよ」

奏「ええ、また一緒にライブしたいものね」

P「よしっ、人数も増えたことだし、今後は皆ランク昇格を目指して頑張ろう!」

全員『オー!!』
235 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:50:46.36 ID:n3qMAkef0
周子「....ところで志希ちゃん、その真っ赤なピザ、なに?」

志希「志希ちゃん特性タバスコピザだよー。美味しいよ?」

周子「いやそりゃ流石に「ホント!?一切れちょうだい!」フレちゃん!?」

フレデリカ「パクッ!......................................」

奏「...フレデリカ?大丈夫?」









フレデリカ「」チーン

周子「フ、フレちゃああああああああああああああん!!!!!」

P「み、水ー!水を誰か早く―!」

志希「にゃははーー♪...美味しいんだけどなぁ」
236 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:51:39.52 ID:n3qMAkef0
塩見周子のウワサ

・クリームたい焼きを買ってきたPと戦争になったらしい

237 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:52:59.95 ID:n3qMAkef0
その後、あの番組はローカル番組としては屈指の視聴率をたたき出し、志希とフレデリカは一気に注目を浴びすぐにEランクへ昇格した

私と周子も負けずにそれまで以上に仕事に打ち込んだ結果、ついにDランクに昇格!

そしてそれに呼応するかのように志希とフレデリカも目覚ましい成長を遂げている

私達がお互いに高め合うことで事務所も活気づいてきたと、プロデューサーも喜んでいたわ


でも、アイドルの階段はまだ始まったばかり、まだまだ満足できないわ

これからもプロデュースよろしくね?プロデューサーさん!
238 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:54:04.58 ID:n3qMAkef0
莉嘉「お姉ちゃん、大丈夫?」

美嘉「大丈夫だよ、急にどうしたのさ?」

莉嘉「だって、お姉ちゃん最近ほとんど休めてないし、辛そうだし...」

美嘉「大丈夫だって!あたし体力はあるし!」

莉嘉「でも!」

美嘉「それに、あたしが家族を守らないといけないんだから、あたしがやらなきゃいけないんだから...」
  「安心して!莉嘉は絶対あたしが守るから」


  「...あっ!そろそろ行かなきゃ!じゃあね莉嘉、ちゃんと宿題やりなさいよ?」

莉嘉「うん、行ってらっしゃい...」
239 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/26(火) 23:54:49.95 ID:n3qMAkef0
莉嘉「お姉ちゃん...やっぱり大丈夫には見えないよ...」

莉嘉「あたしじゃ、お姉ちゃんの力にはなれないの....?」

莉嘉「なら誰か、誰でもいいから...お願い...」








お姉ちゃんを...助けて!








to be continued....
240 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 00:03:36.91 ID:r2vXNL6c0
次回予告!

大変!ジョウガサキ王国のミカ姫が大魔王カナデに攫われちゃった!
しかもお弁当も忘れていっちゃった!このままじゃミカ姫がお昼抜きになっちゃう!

そんな事はさせないとミカ姫の妹、リカが立ち上がった!

リカ「お願い!案内して!あたしお姉ちゃんが家に忘れていったお弁当を届けなきゃいけないの!」

今、リカ姫頼れる仲間と一緒に、冒険の旅へ一歩踏み出した!

次回!

Chapter6 「Please help my sister!!」

リカ「次回もお楽しみに!」

ミカ「いや、絶対ウソ予告でしょコレ!?」






なお、本編は予告と一部内容が異なる場合がございます
241 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/03/27(水) 00:05:12.46 ID:r2vXNL6c0
Chapter5が終了したとこで今回はここまででー

次回はまた明日の夜

ちょっとしたら前回と今回のあらすじまとめと補足も投下します
242 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/03/27(水) 00:30:19.39 ID:r2vXNL6c0
Chapter4のあらすじ及び補足(長いですが別に読まなくても大丈夫です)

・Chapter4 「Come on New Stars!」
そりゃあCool属性二人だけだと来る仕事偏っちゃうよね
ということでPはアイドルの増員を決意!
あとなんか美嘉は疲れているらしい

フレデリカ「名刺は拾った」
そしてPのスカウト作戦は大失敗
そりゃあんちゃん、グラサンに帽子スタイルじゃ怪しいでしょ...
811プロ自体も話題になったとはいえ所属はEランクが二人だけだしもっといい事務所ありますよね...

フレデリカ「だから気に入った」ドン
P「 採 用 !」

ベテトレさんを怒らせたりしながらもなんやかんやでフレちゃん初仕事ゲット!
そして撮影現場に現れたもう一人の星の正体はっ!?
志希「志希ちゃんって呼んでねー♪」

『宮本 フレデリカ』
フランス人と日本人のハーフな小悪魔系アイドル
テキトーに見えて他人への気配りが上手なパリジェンヌである
彼女がPが落とした名刺を拾ったのは彼女の持つ幸運ゆえか、それともPの方が幸運だったのか...

『一ノ瀬 志希』
アメリカ帰りの帰国子女なギフテッドアイドル
街のモニターで見たデュアルフルムーンの姿に興味を持ちアイドルになるきっかけを探していた
匂いを嗅ぐことで探している人を嗅ぎ分けたりある程度人の感情を読み取れたりとやたらチートな嗅覚を持つ

「ディレクター(D)」
811プロを気にいりフレちゃんにテレビ番組の仕事を回した
割と便利なので多分また出る
243 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/03/27(水) 00:50:57.40 ID:r2vXNL6c0
Chapte5のあらすじ及び補足(長いですが別にry)

・Chapter5 「Golden Perfume」
P、志希の申し出にあっさり乗る。P君詐欺とか気を付けてね
それよりフレちゃんと共演するはずだった番組のメインが急病で来れなくなった
延期も出来そうになく窮地に陥っていたがここでP、急遽数分前にスカウトした志希を代役として投入
途中でDQNによる妨害が入るもフレデリカのコミュ力&アドリブ力の高さで無事収録を成功させる
撮影後、改心したDQN達は雇い主が撮影現場に人が入ってこないように見張っていたスタッフであることを暴露
すぐにPが追いかけるも取り逃がしてしまう
そして志希は新人である自分たちが狙われたことに違和感を抱くのであった

志希フレF→E かなしゅーE→D
そして莉嘉は姉の様子が明らかにおかしいと気づき始めているようで...?

サブタイの意味は黄金の香り、金髪パリジェンヌのフレデリカとギフテッド香りのスペシャリスト志希によって作られた世界は、黄金の様に煌く香水の様

『DQN1&2』
イメージは漫画で見るようなリーゼントのチンピラ
だがフレデリカにより見事に改心してしまい、志希フレの大ファンになった
でもごめんね、多分もう出ないよ

『見張り?』
番組スタッフになりすましてDQN達を使い番組を妨害しようとした張本人
もし志希というイレギュラーがなければ彼の目論見は成功していたかもしれない
また逃げ足も速く、Pの追跡をいとも簡単に振切ってしまった
なぜ番組の妨害を使用としたのかは不明

なお、本物の見張りは後でトイレから簀巻きにされた状態で発見された模様
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/27(水) 08:39:26.30 ID:gCnYwgyaO
敵対勢力出すことでしか物語の起伏作れないのって萎える
245 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/03/27(水) 17:15:39.26 ID:r2vXNL6c0
23時ごろから投下する予定でしたが、Chapter6ちょっと長くなりすぎたので前後編に分けて一旦今から前編の方を投下します
後半は21時から23時あたりのどっかで投下開始予定です
246 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:17:42.10 ID:r2vXNL6c0
志希とフレデリカの番組放送から一か月


アイドルランクがDに上がった私と周子は今までより更に大きな仕事やオーディションを受けることができるようになった
雑誌では私の写真が見開き1ページ使って乗るようになったり、ローカルではなく全国区の番組に出たりと、Eランクの時より数段レベルの高い仕事も多くなってきた





プロデューサーさん曰く、Dランクはデビュー後のアイドルの一番最初の山場であるらしい。

仕事のレベルが格段に上がるここからどうプロデュースしていくかがそのアイドルの今後に強く関わるとか


それに、あれから志希とフレデリカもものすごい勢いで成長を遂げてきている

だからこそ、これからの仕事は更に気を引決めていかないと

ファンにも、事務所の皆、私を支えてくれている人達の為にもカッコ悪い姿は見せられない







それに、美嘉にも。
247 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:20:46.12 ID:r2vXNL6c0
1週間ほど前、美嘉のアイドルランクがCに上がった事が発表された

やっと追いつけたと思ったら、すぐに先に行かれて、私の心にはいろんな感情が生まれた

おいて行かれて悔しいとか寂しいとか、そう言うのももちろんあったけど、それ以上に「嬉しい」と思った

超えるべき目標であって、私がアイドルを志した「原点」である彼女がどんどんアイドルの階段を駆け上がっていくこと

そのことに私は、まるで自分の事のように嬉しくなった。


そしてその気持ちをみんなに話したら....





志希「奏ちゃんは美嘉ちゃんの大ファンなんだねー。あたしも、奏ちゃんと周子ちゃんがDランクに上がったときそんな感じだったもん!」



と志希に指摘された
248 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:22:20.95 ID:r2vXNL6c0
大ファン...そうね!自分の事じゃないのにこんなに嬉しくなれるんだもの!
きっとそれがアイドルを応援するファンというものなのね


私のファンも、私が昇格したときは志希と同じような気持ちを抱いてくれたのかしら?

なら私も、ファンを今の私のようにもっと喜ばせられるようにこの道を突き進まないとね

周子も同じ気持ちらしく、あの時の言葉通り再び追いつくために、普段ののんびりとした雰囲気からは想像できないほど真剣に、かつ楽しんで仕事をしてるみたい

私も、美嘉にまた追いつくために走り抜けなきゃ!

その思いを胸に、私は今日も『アイドル・速水奏』として仕事へと向かった








...ちなみに、件の志希はレッスンの休み時間中に失踪したらしく、プロデューサーさんが血眼になって捜索中らしい
249 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:24:28.52 ID:r2vXNL6c0
レッスン中の失踪は志希の習性みたいなもの

本人曰く、大抵の物事への興味が3分しか持続しないかららしい。
でもその興味が続いてる間は、事務所の中でも随一のセンスを見せつけてくる。いわゆる「天才型」というやつなのでしょうね。
失踪しても誰かが迎えに行けばおとなしく諦めるあたり、特別レッスンが嫌なわけじゃないと思う
だからこそトレーナーさんも普段は志希が失踪しても怒りはするけど、捜索はプロデューサーさんに任せてそのまま他の子のレッスンを続けていた






けど今日はトレーナーさんの機嫌がとても悪かったらしく

P「ヤバイ...このままじゃ青木さんが地球割るぞ....!!」

ってプロデューサーさんが焦っていたり、事務仕事をしてた周子が何かから逃げるように目の前の書類に向かっていたり...

私はそんなプロデューサーと周子の焦り具合を見て、戻ってきた時志希は無事で済むのか少し不安になった....
250 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:25:49.87 ID:r2vXNL6c0
今日の仕事は、いつも以上に気合を入れなくてはならない

何故なら...



奏「美嘉!久しぶりね」

美嘉「あっ奏、今日はよろしくね★」


久々の美嘉との共演、それに美嘉がCランクに上がってから初めて生の城ケ崎美嘉を間近で見られる日だから。


奏「まずはCランク昇格おめでとう!私も自分の事みたいに嬉しいわ」

美嘉「ありがとー★奏のほうも順調みたいじゃん」

奏「ええ、すぐにまた追いついて見せるわ、その為にも今日の仕事、お互い頑張りましょうね」

美嘉「.....うん!」
251 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:27:09.65 ID:r2vXNL6c0
レッスンから失踪して、とりあえず気ままに歩くこと数十分

街中であたしは面白そうな女の子を見つけた

ターゲットローック!と、なにやら地図とにらめっこしているその女の子にあたしは声をかける






志希「ねぇねぇキミ、イイ香りするねー!どうしたの?」

金髪の女の子「あっ、そこのお姉さん!この『ユニVSスタジオ』って場所分かりますか!?」

志希「ん〜どれどれ〜?」



このスタジオどっかで聞いたような...

あっ、この事務所今日の奏ちゃんの仕事先だ!
確かプロデューサーが昨日奏ちゃんに行き方を教えてたなー

えっと...確かあの交差点を曲がって...
よし、覚えてるね。
252 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:28:41.43 ID:r2vXNL6c0
志希「うん、ここなら分かるよ」

女の子「ほんと!?お願い!案内して!あたしお姉ちゃんが家に忘れていったお弁当を届けなきゃいけないの!」

なるほどねー
まああたしも次いでに奏ちゃんのお仕事見てみたくなったし、助けてあげようかな♪

志希「いいよー♪」

女の子「ほんと!?ありがとう!..ってお姉さんよく見たらどこかで見たような...というか志希ちゃんって...えっ!?
   「もしかしてお姉さんって、一ノ瀬志希!?」
253 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:29:50.90 ID:r2vXNL6c0
志希「おや、アタシのこと知ってるの?」

女の子「前にテレビのスイーツ特集でフレちゃんと一緒に出演してたの見たの!あれからあたしフレちゃんと志希ちゃんのファンなんだー!」

志希「へー、キミあたしのファンだったんだ!こんな所でファンと会うなんて、あたしもアイドルとして成長してきたって事かにゃー?」
  「っておっとっと、つい話し込んじゃったね。キミのお姉ちゃんがお腹を空かせないように、急いでお弁当届けに行こうか」

女の子「うん!案内よろしく!」

志希「はーい!志希ちゃんに着いておいでー...えーっと」
  「キミの名前聞いてなかったね。なんて呼べばいい?」

莉嘉「城ケ崎莉嘉だよ!莉嘉って呼んでね!」



えっ、城ケ崎?
それって...





志希「もしかしてお姉ちゃんの名前って、美嘉?」

莉嘉「うん!自慢のお姉ちゃんで、あたしの一番のアイドルなんだから!」





...これは、面白そうな香りがするね〜♪
254 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:31:03.71 ID:r2vXNL6c0
P「あいつ...マジでどこ行きやがった...このままじゃ事務所が青木さんにぶっ壊されちまうぞ...」
 「あっ、すいませーん!この写真の子見かけませんでした?」

 「....あっちに小さい女の子と歩いていくのを見た?ホントですか!?ありがとうございます!」
 「さて、あっちは...もしかしてあいつ、奏の仕事見に行ったのか...?」
255 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:31:56.95 ID:r2vXNL6c0
私の分の撮影は無事終了し、いよいよメインの美嘉の撮影が始まった

今回の特集は「ギャル系ファッション特集」

美嘉の人気の影響で今女子高生の間でこういったコーデが流行っているらしく、その流行に乗っ取って練られた企画らしい

既に自分の分の撮影が終わった私達は帰っていいと言われたけど、私は美嘉から技術を学ぶため撮影を見学させてもらっている

それにしても、やっぱり美嘉は凄いわね

流石今をときめくカリスマギャル、カメラマンさんの要求すぐさま答え、今回のギャルコーデともマッチして普段以上に輝いてる








....けど、何故?

さっきから何かが引っかかる

スタッフさん達は気づいていないみたいだけど、私はずっと美嘉に小さな、だけど無視できない違和感を感じていた
256 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:34:15.57 ID:r2vXNL6c0
結局、その違和感の正体に気づかないうちに美嘉の撮影が終わった

奏「美嘉、お疲れさま」

美嘉「奏ちゃんもお疲れー、今日のあたしはどうだった?」

奏「流石美嘉ね、コーデも似合ってたしいつも以上に輝いて見えたわ」
 「でも...」

美嘉「?」

奏「美嘉、もしかして何かあった?」

美嘉「えっ、なんで?」

奏「いえ、なんかちょっとだけ違和感を感じたっていうか...」

美嘉「そうだった?でもあたしは元気だし大丈夫だよ★」


そう言って笑う美嘉からは、さっきの様な違和感は感じられない
杞憂、だったのかしら...?
257 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:35:02.61 ID:r2vXNL6c0
そんな時だった


莉嘉「あっ!お姉ちゃんいた!」

志希「やっほー奏ちゃん、失踪次いでに奏ちゃんに会いに来たよー」

美嘉「えっ!?莉嘉!?」

奏「あら志希じゃない、プロデューサーが貴方を探してるみたいよ」




志希が美嘉の妹を連れてやってきたのと




P「はぁはぁ...志希!やっと見つけたぞ...」




その志希を追ってプロデューサーさんがやってきたのは....
258 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:36:35.00 ID:r2vXNL6c0
莉嘉「お姉ちゃん、お弁当忘れてたよ。はい!」

美嘉「マジで?ありがとう莉嘉!お姉ちゃん危うくお昼抜きになるところだったよー」

奏「美嘉、こんなに可愛い妹がいたのね。お弁当を届けに来てくれるなんて、とってもいい子じゃない」

志希「莉嘉ちゃんっていうんだ♪あたしのファンなんだって!」

P「へぇ、良かったじゃないか!プライベートでもファンに会えるなんて」

美嘉「はは...まあでも、結構いたずらっ子なのが困りものなんだけどね...」


そう言いつつも莉嘉をみつめる美嘉の目は優しい








でも、その逆に莉嘉はとても不安そうな顔をしていた
259 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:38:15.47 ID:r2vXNL6c0
莉嘉「それで...今日はいつ帰るの?」

美嘉「今日は遅いし、多分終電逃しちゃうから今日は事務所に泊まっていくかも。明日も早いしね」

莉嘉「...お姉ちゃん、やっぱり最近働きすぎだよ」

美嘉「大丈夫だって、心配しないで」

莉嘉「でも!お姉ちゃんここ一か月くらいほとんど休んでないじゃん!」
  「流石にあたしだってわかるよ!こんなの絶対普通じゃない!」

奏「えっ?」

P「なんだと...?」









確かに美嘉はここ最近テレビや雑誌で見ない日はないほどの活躍をしてるけど、そんなに?
いくらなんでもそれじゃ体調を崩すと思うのだけど



もしかしてさっき感じた違和感は...
260 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:39:24.05 ID:r2vXNL6c0
志希「ハスハス...なるほどー」
  「過労死寸前の人がよくさせてる匂いがするよ、それに大分ストレスも溜まってるみたいだねー」

美嘉「匂いって...気のせいだよ。あたしは大丈夫だから、本当に心配しないで...」

奏「美嘉...でも!」

美嘉「ごめん!次の仕事行かなきゃだから先行くね!」

莉嘉「あっお姉ちゃん!」







そう言って、美嘉はスタジオから足早に立ち去った

残された莉嘉ちゃんは、更に表情を曇らせ、目に涙を浮かべている
261 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:40:40.80 ID:r2vXNL6c0
奏「莉嘉ちゃん...」

莉嘉「...ねぇ、奏ちゃん、志希ちゃん、それに二人のプロデューサーさん」
  「お姉ちゃんね、最近いつもアイドルなのに辛そうにしてて、でも...」

  

  「奏ちゃんや周子ちゃんとのお仕事の話だけは楽しそうに話してたの」
  「この前の志希ちゃんやフレちゃんの番組見た時も思った、きっと811プロのアイドルは、どんなに苦しんでる人でも笑顔にできるんだって!」
  「だから、お願い、お願い!」








 

             「お姉ちゃんを、助けてください!」







262 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:41:17.95 ID:r2vXNL6c0





             Chapter6 「Please help my sister!!」






263 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:44:15.77 ID:r2vXNL6c0
P「わかった!」


プロデューサーさんは、誰よりも早くそう答えた


莉嘉「ホント!?」

P「ああ!美嘉は今ままでウチのアイドルたちにとても良くしてくれていたし、そんな美嘉が苦しんでるって話を聞いたら流石に見過ごせない」

奏「ええ、美嘉のファンとしても見過ごせないわ」

志希「あたしはあんまり美嘉ちゃんとは関わり無かったけど、あたしのファンであるキミの頼みなら断れないにゃ〜」

P「そうだ。美嘉のファンの為にも、そしてその美嘉のファンの中の一人としても、絶対に彼女を助けて見せる」


プロデューサーさんの言葉に心の中で激しく同意する
私達の為にも、美嘉と、美嘉を支える人達の為にも放っておくわけにはいかない

何より...莉嘉ちゃんの泣き顔をこれ以上見たくはないしね







莉嘉「みんな...ありがとう!」





その時、やっと私は莉嘉の笑顔を見ることができた
うん、やっぱりファンには笑顔でいてほしいものね
264 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:45:55.87 ID:r2vXNL6c0
P「というわけで、美嘉を助けるために彼女の情報が欲しい」
  
莉嘉「情報?例えば?」

P「何も美嘉も理由なしであんな無理な働き方をしたりはしないだろう、必ず何か理由があるはず」
 「何か心当たりがないか教えてくれないか?」

莉嘉「理由か...それはなんとなく分かるよ」

奏「その理由って?」

莉嘉「半年くらい前にパパが事故にあって動けなくなっちゃって、それを理由に会社をクビになっちゃったの」
  「その時からだよ、お姉ちゃんがあんな風になったのは」
  「多分、自分がパパの代わりに働いてあたし達家族を助けようとしてるんだと思う」
  「パパがクビになったときは、このままじゃ生活費も学費も出せなくなりそうってママもパパもずっと悩んでたし...」

P 「成程、家族の為か...」
265 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:47:06.40 ID:r2vXNL6c0
奏 「でも、それだと少しおかしくない?」
  「美嘉程のアイドルなら、あれ程根を詰めなくても不自由ない生活ができるくらい稼げると思うけど...」

志希「そうだねー、まだEランクのあたしやフレちゃんでも、普通に休みをもらえる上で日本の新卒の平均くらいのお給料もらえてるしね」

P「お前らは今話題性もあるから同じランクの平均よりちょっと高めだとは思うが...それにしたって不自然だな」
 「それに、いくらそういう目的があったってそんな無茶なスケジュール、絶対担当プロデューサーとか事務所が止めるはず」

莉嘉「じゃあ、お姉ちゃんのプロダクションはお姉ちゃんが無理してるの分かってて無視してるの!?」





事務所が無視している...どうかしら
美嘉はあの事務所の筆頭アイドル、だからこそ健康には一番気を使われるはず...

むしろ...
266 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:49:33.14 ID:r2vXNL6c0
奏「むしろ事務所に無理やり...って事もあるかもしれないわね」

莉嘉「そんな!?ヒドいよ!」

P「いや、その可能性も十分に考えられるが...それならそれでまだ疑問が残るな」

奏「どういうこと?」

志希「なんで別の事務所に移らないのかって事だよね?」

P「その通りだ志希」
 「今の事務所にそこまで苛め抜かれてるんならまず真っ先に移籍する手が重い浮かぶはずだ。実際、事務所と方針が合わずに移籍するアイドルの話はそこら中にある」
 「美嘉程のアイドルが手に入るってなら色んなプロダクションが今よりもいい条件で手を差し伸べるだろう、むしろウチで雇いたいくらいだ」
 「移籍したって今の過酷な状況を訴えれば、世間に無責任だって責められることもないだろうしな」
267 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:50:57.79 ID:r2vXNL6c0
奏「つまり、どうしても今の事務所を離れられない理由があるってこと?」

P「恐らく、な。莉嘉ちゃん、何か心当たりはあるか?」

莉嘉「うーん...ごめんなさい、お姉ちゃんの事務所の事はあんまり分からないや...」

P「そうか...大丈夫、気にしなくていいよ」



志希「じゃあ、調べてみるしかないねー」

莉嘉「調べる?何を?」

志希「美嘉ちゃんの事務所も〜、美嘉ちゃん自身も」
  「どっちに原因があるのか分からないし、もしかしたら両方に理由があるのかもしれないからね。今の時点じゃとりあえず両方に探りを入れてみるしかないと思うよ」

P「そうだな、その辺調べ上げて助けるための作戦を考えよう」
268 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:54:26.27 ID:r2vXNL6c0
奏「調べると言ってもどうやって?」

P「そうだな...まあ兎に角美嘉の担当プロデューサーに接触するのが第一だな」
 「スケジュール管理をする立場なんだからまず間違いなく何か手がかりを握ってるはず」
 「そして美嘉自身にも探りを入れる、その為には...」

奏 「その為には美嘉にも、美嘉のプロダクションにももっと近づく必要がある」
  「...プロデューサーさん、頼みがあるんだけど」

P「なんだ?」

奏「私たちに、なるべく多く美嘉と共演できる仕事を取ってきてくれないかしら」
 「そうすれば私達が美嘉から何か聞き出せるかもしれないし、もしかしたら彼女のプロデューサーが仕事を見に来ることもあるかもしれない」

志希「確かに、美嘉ちゃん自身に近づくには一番手っ取り早いね」

P「分かった、お前たちのプロデューサーとして全力を尽くそう」
 「幸い...と言っていいのかは分からないけど、今なら美嘉と共演できる仕事は多そうだしな」
 「他の皆にも協力してもらおう。奏の仕事も終わったし、一旦事務所へ帰ろうか」
269 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:56:02.03 ID:r2vXNL6c0
莉嘉「811プロの事務所!?あたしも行ってみたい!あたしも連れてってよ!」

P「ああ、いいy....!!!!!ゴメン!今日はやっぱダメ!」

莉嘉「えー!」

奏「あら、別にいいんじゃない?」

志希「そうだよ、折角ならファンサービスしてあげようよ?」

P「俺がここに来たそもそもの目的を思い出したんだよ...」
 「今日はとにかくダメだ、連絡先教えとくから何かあったら連絡してくれ」

志希「?」

奏「....あー、そういうことね」

莉嘉「なんかよくわかんないけど...わかったよ」

志希「じゃあまたねー莉嘉ちゃん」

奏「またいつか会いましょう」

莉嘉「うん!またねー!」
270 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:56:47.85 ID:r2vXNL6c0
そして、事務所に帰ってきてようやく私達はプロデューサーさんの言葉の意味を知ることになる










ベテトレ「遅かったじゃないかぁ一ノ瀬...」
271 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 17:57:37.94 ID:r2vXNL6c0
P「手遅れだったか...」

志希「あの、トレーナーさんなんかすごい顔、ってか女の子がしちゃいけない顔してるよ...?」

ベテトレ「ああ...でも今はそんな些細なことどうでもいいじゃないか...なあ?」

P志希「「ヒィッ!!!」」

ベテトレ「どうやらお前には今日のレッスンは退屈みたいだったらしいからな...特別メニューを用意しておいた」

志希「あ、あのーあたし今日はもう帰「らせると思っているのか?」すいません受けますごめんなさい!」

奏「これが、本気でキレたトレーナーさん...」

周子(ガクガクブルブルガクガクブルブルガクガクブルブルブル.......)

フレデリカ「ワーオ、周子ちゃんマナーモードだねー」
272 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:00:13.09 ID:r2vXNL6c0
P「ま、まあまあ青木さん、今日のところは許してやってくれませんか?本人も反省して「何を言ってるんだ?」え?」

ベテトレ「お前にもお仕置きがあるに決まってるだろう?監督不行き届けってやつだよ」

P「そ、そんな!いくら昨日合コン失敗したからって横暴過ぎ...やべっ」

ベテトレ「ほう...P、どうやら本当に死にたいらしいな?」

P「あ、あの、マジですいませんでした、あの、命だけはその、ご勘弁をですね...?」

ベテトレ「ダメだ」



P「...なあ、お前ら、助けて」

フレデリカ「ごめーん今日見たいテレビがあるから帰るねー!バイバーイ♪」

奏「私も、借りてたDVD返しに行かなきゃいけないから...」

周子「Pさん、志希ちゃん...骨は拾ってあげるから」

P&志希「」












その後、3人で事務所を出たとたん後ろから二人の断末魔が上がった

周子「あたし、骨は拾うって言っちゃったけどさ...骨、残るかなぁ?」

明日また、会えるといいわね....
273 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:01:31.48 ID:r2vXNL6c0
ベテトレさんのウワサ

・一向に春が来ないらしい

274 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:02:41.69 ID:r2vXNL6c0
奏「そう言えば二人とも、この後時間ある?二人に話しておきたいことがあるの」

周子「えっ?まああるけど」

フレデリカ「アタシも大丈夫だよー♪」

周子「フレちゃん見たいテレビあるんじゃないの?」

フレデリカ「よく考えたらそうでもなかったから大丈夫だよー。それに、今は奏ちゃんとお話ししたいな♪」

奏「ありがとう二人とも、じゃあとりあえず場所を移しましょうか。この話、あまり人通りの多いところで話したいことではないし...」




こんな街中で話して道行く人に聞かれたら大変だし、何処かいい場所はあるかしら...
275 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:03:34.58 ID:r2vXNL6c0
周子「じゃあ、ウチ来る?ここから近いし誰かに聞かれるって事もないでしょ」

フレデリカ「周子ちゃんのお家かー!行きたい!」

奏「あら、じゃあお言葉に甘えて部屋、貸してもらおうかな」

周子「じゃあ次いでにご飯食べていきなよ。鍋でもやろう!夏だけど」

フレデリカ「さんせー!」

周子「じゃあ次いでに買い出し寄ってから行こうか」

奏「分かったわ、それじゃ行きましょ」
276 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:04:36.85 ID:r2vXNL6c0
周子の住むアパートの近くのスーパーで材料を買ってから、私達は周子の部屋へと向かった


周子「いらっしゃーい、しゅーこちゃんハウスへようこそ♪」

フレデリカ「わーい!しゅーこちゃんの匂いがするー!」

奏「意外と普通のアパートなのね」

周子「まあねー、でも一人で住むにはこれで十分だよ」
  「それより、お腹もすいたし早速お鍋の準備しましょか」

フレデリカ「じゃあアタシお野菜切ってくるねー!」

奏「私も手伝うわ」

周子「分かったー、じゃああたしはお鍋セッティングしてるね」
  「えーと砂糖とみりんとお醤油....しまった、お醤油切らしてたか」

奏「あら、じゃあ買ってきましょうか?」

周子「いや大丈夫、ちょっと待ってて」

奏「?」


そう言うと周子は鍵を持って外へ出ていった
277 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:05:58.21 ID:r2vXNL6c0
と思ったら1分ぐらいですぐ帰ってきた



周子「お醤油持ってきたよー」

奏「早くない!?」

フレデリカ「すごーい!周子ちゃんってもしかして錬金術師?」

周子「いや?隣のPさんの部屋から持ってきただけ」
  「実はこっそり大家さんに、『P君一人身だからもし体調崩したりしたら面倒見てあげて』って合鍵貰ってるんだよね」

奏「ああ、そう言えばPさんの部屋隣なんだっけ」

フレデリカ「でも、勝手に持ってきちゃってよかったの?」

周子「だいじょーぶだいじょーぶ、前にPさんも調味料とか無くなったら言えば分けてやるって言ってたし」
  「それにPさん、相変わらず料理あんましてないみたいだし。腐らせるより使っちゃったほうがいいでしょ」

奏「でもこれ普通に考えたら泥棒じゃ...まあいいか」



プロデューサーさん...ごめんね?
278 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:06:43.18 ID:r2vXNL6c0
周子「それで、話って何なの?」


煮えてきた鍋の中身をつつきながら、あたしは奏ちゃんに向き合う
多分、あんまり面白い話ではないはず


フレデリカ「お仕事で何か嫌なことあったの?帰ってきてからの奏ちゃん、ちょっと顔色悪いよー?」


フレちゃんの言う通り、事務所に戻ってきてからの奏ちゃんは、どことなくイライラしてる感じがする
お仕事に行ってる間に一体何があったんだろう?


奏「ええ、実はね...」
279 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:08:57.78 ID:r2vXNL6c0
周子「なにそれ!」


あの美嘉ちゃんが、そんなひどい目に合ってるっていうの!?


奏「ええ、でも美嘉を助けようにも何が原因で苦しんでるのが分からないと...」

周子「そんなの、美嘉ちゃんの事務所が悪いに決まってんじゃん!」
  「無理やりだろうと美嘉自身の意思だろうと、美嘉が苦しんでるのに何も対処しないなんてありえないでしょ!」

奏「私もそう思う、でもそれなら今の事務所を離れてさっさと別の事務所へ行くと思わないない?」

周子「それは...確かにそうか...」


あたしも美嘉ちゃんと同じ状況だったら多分移籍を考えるか、アイドルそのものをやめるか
とりあえずそこから離れることを考えるはず...










フレデリカ「なるほど―、つまり!探偵事務所811プロの出番って事だね!」

そんなことを考えていたらいつの間にかあたし達は探偵に転職してしまったらしい
280 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:10:35.35 ID:r2vXNL6c0
周子「まあでも、探偵みたいなことをやらなきゃってことだよね」

奏「そうよ、二人にも美嘉の事情を調べるのに協力してもらいたいの」

周子「分かった、あたしも仕事先とかで自分なりに調べてみるよ」

フレデリカ「名探偵フレちゃんにおまかせあれー♪」

奏「ありがとう、一応プロデューサーさんも情報を集めやすいよう美嘉と共演できる仕事を探してくれるみたいだし、その時は二人とも頼むわね」

フレデリカ「もしかして、あたしも美嘉ちゃんと一緒にお仕事できるのかな!?」

周子「まあそこはPさんのがんばり次第じゃない?今大人気の美嘉と一緒のお仕事なんて、数が多くても取るの大変だろうし」

フレデリカ「そっかー、じゃあプロデューサーがお仕事持ってこれるように応援しないと!」
     「アタシ、ずっと美嘉ちゃんとお仕事できたらいいなーって思ってたから!」

奏「あら、そうなの?」

フレデリカ「うん!だって奏ちゃんと周子ちゃんって美嘉ちゃんの大ファンなんでしょ?」
     「二人がファンになる様な人なんだから、きっとすっごく素敵なアイドルだよ!だからいつか一緒に仕事したいなって思ってたんだ♪」
281 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 18:12:59.62 ID:r2vXNL6c0
周子「...美嘉ちゃんはホントに凄いアイドルだよ」
  「何せ美嘉ちゃんはあたしと奏ちゃん、デュアルフルムーンのルーツだからね、あんなアイドルになりたい!ってずっと目標にしてきたんだ」



あの日のあのライブ、あれは正にあたしの人生をがらっと帰るほどの運命の出会いだった
あの時の美嘉の姿が、てきとー家出娘だったあたしに微かに、だけど確かに目指すべき目標を目標を作りだした


だからこそ...


周子「美嘉ちゃんの事、絶対助けようね」

奏「ええ、もちろんよ」

フレデリカ「それじゃ次の811プロの目標は」







「『美嘉ちゃん救出大作戦』で決定だね♪」
282 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/03/27(水) 18:13:35.26 ID:r2vXNL6c0
一端ここまででー
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/03/27(水) 18:45:42.57 ID:xRPPRvCDO
あずき「あずきの十八番がぁぁぁ……」
284 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/03/27(水) 22:11:00.62 ID:r2vXNL6c0
Chapter6の続き投下していきます
285 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:13:24.41 ID:r2vXNL6c0
宮本フレデリカのウワサ

・108の必殺技があるらしい

286 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:14:09.04 ID:r2vXNL6c0
周子の家で決起集会を行った翌日

志希「レッスン、タイセツ...オシゴト、タイセツ...」

P「青木さんは素敵な人ですあおきさんはすてきなひとですアオキサンハステキナヒトデス......」

奏「えぇ.......」







事務所では二つの死体が転がっていた.......
287 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:15:18.45 ID:r2vXNL6c0
P「あ、奏おはよう...」

志希「オハヨウゴザイマス」

周子「この二人今朝からずっとこんな調子なんだよ、なんか青木さんのお説教終わった後も徹夜だったらしいし」

奏「死んだ魚の目みたいなになってるわね...というか周子、今日はオフじゃなかった?」

周子「そうだったんだけど、なんか昨日のこと考えるとじっとしてられなくてさー。どうせ一人でオフでもやることないし、とりあえず事務所にきちゃった」

P「まあ実際、ちょうど人手が欲しかったところでな。今日の俺の仕事を手伝ってもらうことにした」
288 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:17:26.98 ID:r2vXNL6c0
奏「それで?美嘉との共演、取れそう?」

P「もちろん、早速今日の午後から取れたぞ」

奏「えっ、もう?」

P「今日の夕方美嘉のミニライブが行われるんだが、そのライブのバックダンサーが急病で欠けてしまったらしくてな」
 「そこで、前にもバックダンサーをやった経験がある奏か周子どっちかをゲストとして貸してくれないか、と美嘉の事務所から依頼があったから受けておいた」
 「急な話で事後承諾になっちまったが大丈夫か?」

奏「大丈夫よ。あれからももう一度美嘉と踊るためにってトレーニングは欠かしてないし」
289 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:18:10.80 ID:r2vXNL6c0
志希「あたしは今日はフレちゃんと雑誌の取材だよね?」

P「ああ、頼むから失踪するなよ?」

志希「それはどうかにゃ〜...って言いたいところだけど、昨日の今日だし自重します...」

P「それならいい。フレデリカは別の仕事から直で現場に行くよう言ってあるからそろそろ志希も出発しな」

志希「はーい、身体バキバキだからタクシー使っていい?」

P「さっき呼んだ、てかもう来てるから早くいってこい」

志希「気が利くね〜♪」

P「まあ、あんなの見てたら翌日絶対死ぬのだろうってのは分かってたからな...見てるだけでもキツかった...」

志希「昨日...レッスン...うっ頭が」

奏「ホントに何があったのよ...」

周子「できることなら知らないほうがいいよ、ホント...」
290 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:19:32.92 ID:r2vXNL6c0
周子「それで、あたしはどうすればいいの?Pさんの仕事手伝うんだよね?」

P「これからある所へ営業に向かうんだが、そのときちょいちょいと協力してほしいことがある。詳しくはその都度指示するから、とりあえず着いてきてくれ」

周子「はーい。何か準備とかいる?」

P「そうだな...とりあえず『塩見周子』だってばれない様に変装してほしい。衣装保管庫にいくつか使えそうなものがあるはずだ」

周子「そんな間に合わせで大丈夫なん?溢れるしゅーこちゃんオーラでばれちゃわない?」

P「髪適当なとこで結んで帽子深くかぶって眼鏡かけるだけでもだいぶ分からないもんだぞ。スーツとか学生服とか色々あったはずだからその辺着ればかなり雰囲気違って見えるはずだ」
 「それに、今勢いあるとはいえまだDランク、オーラがどうとか言うのはまだ早いな」

周子「厳しーねーPさん」

P「厳しい世界だからな、引き締めるところは引き締めないと」
291 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:20:26.56 ID:r2vXNL6c0
奏「じゃあ私も今夜のライブに向けて軽く『TOKIMEKIエスカレート』の練習をしておくわ」

P「ああ、13時にはライブハウスに向かってくれ。そこで向こうのプロデューサーから指示があるはずだ」

奏「あら、向こうのプロデューサーも来るの?」

P「そう聞いてる。だから奏」

奏「分かってるわ、探りを入れろって事ね」

P「ああ、だが無理はするなよ」

奏「ええ、そっちの仕事も頑張ってね」
292 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:21:58.42 ID:r2vXNL6c0
      〜〜〜昼下がり、どこかの高級料亭〜〜〜

061社長(以下 社長)「成程...そのライブにウチの城ケ崎君を出演させてほしいと」

P「はい、是非ともお願いしたいのですが...」



全く、社長である私がこんな話に付き合わねばならないとは

まあ仕方ないといえば仕方ない、急な欠員のせいで061P君は今日のミニライブから手が離せないし、城ケ崎君以外のアイドルを担当している下っ端には判断が難しい案件だろう

これも我が社の名誉と金の為だと思って適当に聞き流すとするか
293 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:22:50.17 ID:r2vXNL6c0
P「我々はまだ設立したばかりで知名度も低くアイドルも経験の浅い新人ばかり、後ろ盾の少ない状況で大きなライブをするのは不安があります」
 「そこで、今大ブレイク中の城ケ崎さんをゲストに呼ぶことで少しでも注目を集めたいのです」

社長「うーむ、811プロには前にもお世話になったし協力してあげたいのは山々なんだがね...何分城ケ崎君も今忙しいからね」




嘘は言ってない、城ケ崎君は今我が社の為に全力で尽くしてもらっているからな

別に受けてもいいのだが、どうせ最近やっと最高ランクがDランクになった弱小プロじゃ大した報酬も払えないだろう

それっだったらもっと上のランクの仕事をやってもらった方がはるかに効率がいい
294 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:23:41.39 ID:r2vXNL6c0
P「勿論、無理を言っているのは承知しています」
 「ですので、ギャラはかなり上乗せしまして...これくらいでどうでしょう?」

社長「どれどれ...!?」


た、高い!
DランクどころかCランクでもほとんどないレベルの金額だぞ!?


社長「キミ、もしかして桁を間違えてないかい?」

P「いいえ、間違ってませんよ?このライブが成功すれば、奏はきっとさらに上のステージへたどり着けますからね。このくらいの先行投資は必要経費です」
295 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:26:03.61 ID:r2vXNL6c0
社長「成程...まあここまで熱意を持ってくれているならしょうがない。城ケ崎さんも速水君には仲良くさせてもらってるみたいだし、この仕事引き受けようじゃないか」

P「本当ですか!?ありがとうございます!では早速日程等の打ち合わせを...」トゥルルルルルル...
 「すいません、別の営業先から電話が...少し席を外させてもらいますね」

社長「ああ、構わないよ。職業柄仕方ないからね」

P「申し訳ありません、それでは...」


そう言って電話を片手に811プロのプロデューサーは席を立ち去った
最初は適当に断るつもりだったが、中々お得な話だったじゃないか
気分もいいし良い酒でも注文しようかと思った、その時だった
296 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:26:53.01 ID:r2vXNL6c0
???「あのー、さっきの話ちょっと聞いちゃったんですけど...もしかしておじさん、061プロの方ですか?」


一人の女が私の席に向かってきて話しかけてきた


社長「...?いかにも、私は061プロの社長だが?」

???「えっ!社長!?すごい!あたし超ラッキー!」



なんだこいつ、随分とテンションが高いな
制服姿だし、今時の女子高生というやつだろうか
297 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:28:34.75 ID:r2vXNL6c0
???「あっ、すいません一人ではしゃいじゃって」

佐東「あたし、佐東 円(さとう まどか)っていいます、アイドル志望の女の子だよ」

社長「そ、そうか。それで?君は何か私に用事が?」

佐東「実はあたし、061プロの美嘉ちゃんに憧れてて、いつか同じ事務所で仕事できたらいいなって思ってて」
  「というわけで、あたしを061プロに入れてください!」

社長「いや、というわけでと言われても...」






...でも確かにこの女、良く見るといいスタイルをしているな
肌も白く、顔もいい
...もしかして、すこぶる逸材なんじゃないか?




お?おお!?

今日はツイてるじゃないか!
298 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:30:50.18 ID:r2vXNL6c0
社長「いや...よく見たらなかなか見どころがありそうだね君」
  「そうだな...今日はまだ商談があるからダメだが、後日アポを取って事務所に来てくれ。その時は前向きに検討しよう」

佐東「ホント!?ありがとう社長さん!」

返事を聞いた途端、彼女は私に抱き着いてきた
あっ、いい匂いする...





...ってイカンイカン!811プロのプロデューサー君が戻ってきてしまう


社長「こらこら、離れなさい」

佐東「あっ、ごめんなさい...」

社長「いや、気にしなくていい。でもアイドルになったらこういった行動は控えるんだよ。スキャンダルにつながるからね」

佐東「はーい、じゃあまた今度会いに行くから、その時はよろしくお願いしまーす!」


そう言って彼女は去っていった

いやーしかしいい拾いものだったな

あの子なら城ケ崎君と一緒に我が社に莫大な利益をもたらしてくれるだろう...
299 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:31:30.24 ID:r2vXNL6c0
P「お待たせしました...なんか機嫌よさそうですね?」

社長「そう見えるかい?まあ、君がいい仕事を持ってきてくれたから機嫌はいいほうだね」

P「ありがとうございます。あっ、折角ですし何か飲まれます?お代は私が出しますので」

社長「おっ、いいねえ。じゃあ遠慮なく....」






割の良い仕事に貴重な人材、それにタダ酒とは今日は本当に運がいい日だ!
笑いが止まらないな!
300 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/03/27(水) 22:32:18.27 ID:r2vXNL6c0
一ノ瀬志希のウワサ

・トレーナーさんが天敵らしい

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