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【モバマス】LiPPS「虹光の花束」
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401 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:27:40.53 ID:/4fWADIj0
美嘉「あたし達もウカウカしてたら追い越されちゃうかも...頑張らないとね」
P「美嘉の言う通り、アイドル業界っていつどっから超新星が現れるかわかんねえからな」
「周子と奏も、明日のオーディション、気を付けていけよ?ウチはなんだかんだ指名とかコネで来た仕事も多かったし、他のCランクアイドルよりオーディションを経験してないんだから」
周子「大丈夫だって、今のあたし達、向かうとこ敵なしじゃない?明日のオーディションだってかるーく決めて見せるよ。ねっ奏ちゃん...?」
P「だからそうやって油断してると.......聞いてるか周子?」
周子「いや、奏ちゃんが...」
402 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:28:19.84 ID:/4fWADIj0
P「奏?そう言えばさっきから全然喋らな...おいおいなんだその皿の量」
奏「くっ...流石に限界...でもこれだけ弾数があれば、きっと....」
美嘉「うわっ!奏ちゃん流石にこれは食べ過ぎじゃない!?顔色悪いし明らかに無理してるでしょ!」
奏「いいの...これくらいしないと、きっと、当たってくれないから....」
美嘉「当たるって一体...」
周子「...まさか奏ちゃん、びっ○らポンの為にそこまで...?」
P「びっ○らポンの何がお前をそこまで駆り立てるんだよ...」
しかし奏ちゃんの検討虚しく、結局何一つ当たらなかった...
奏「なんでよ...」
403 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:29:26.14 ID:/4fWADIj0
速水奏のウワサ
・びっく○ポンは宿敵らしい
404 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:30:54.93 ID:/4fWADIj0
突然だけど、ロトカ・ボルテラ方程式というものをみなさんはご存じだろうか
いや、引用したあたしも詳しいことは覚えてないんだけどさ.....まあ餌と捕食者は常に波打つように増減し続けて安定することはないって、そんな感じの話
...そう、ロトカ・ボルテラ方程式の様に、どんな勢いも決して上がり続ける事はない。
必ず、どこかで落ちるタイミングがある。
でもそんなの、方程式云々が無くたって18年も生きてきた間にとっくに気づいていた。
というか、そんな事は誰だって気づく常識の様なものなんだろう
でも、あたしは慢心していたのかもしれない
初めてのオーディションを突破してからずっとブレーキをかけてこなかったからか、あたしはそんな常識をすっかり忘れていた
破竹の勢いだって、竹を割った鉈が地面に落ちれば止まるのだということを
405 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:35:27.73 ID:/4fWADIj0
1位 トライアドプリムス ★×27 010プロ
2位 NO TITLE ★×13 WESTプロ
3位 デュアルフルムーン ★×3 811プロ
・
・
・
・
406 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:36:18.74 ID:/4fWADIj0
Chapter8 「Know Maiden,The Bigocean 」
407 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:37:12.08 ID:/4fWADIj0
奏「...惨敗、だったわね」
周子「......」
P「...ッ、すまない!俺も、どう指示すればいいか分からなかった」
奏ちゃんの言う通り、Cランクに上がって初めてのオーディションで、あたし達は惨敗を喫した
オーディションを甘く見ていたわけじゃない。そのはず。
だけど、どこか楽観視していたのかもしれない
デュアルフルムーンは今まで負け知らずの無敗ユニット
だから今回だって、この勢いのままもっともっと突き進める。
...そういった、油断はあったのかもしれない
でも、今日の対戦相手を見て、あたしはまだまだ井の中の蛙だったことに気付いた
408 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:38:05.12 ID:/4fWADIj0
周子「トライアドプリムスは...正直、別次元だった」
奏「そうね...私達が取れた★は、まだ心に余裕をもてていた第一審査の3つだけ。その後は...」
第二審査...ううん、第一審査の途中から焦りを感じた私達は、その後調子を崩しまくり。
結局、最初の数分以降審査員の目があたしたちに向くことはなかった
409 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:40:55.41 ID:/4fWADIj0
P「010プロダクション...アイドル業界において最大手の一角の事務所...事務所内で選抜が行われるような厳しい環境だ。だからこそ、そこで育つアイドルは皆一線級の魅力を持つ...」
「でも、010プロだけじゃない。2位のWESTプロのユニットも、トラプリには及ばずとも俺たちじゃ相手にならないほどの実力だった。トラプリに差をつけられようと、焦らず自分たちのペースを維持できていた。そしてきっとこのランクには...」
奏「これ程のレベルのアイドルが山のようにいるのでしょうね...」
周子「.....」
P「周子、あまり気を落とすな、まだまだこれから」
周子「分かってる、大丈夫だよPさん」
「まだ一度負けただけ、まだアイドルそのものが終わったわけじゃないものね」
P「お、おう...大丈夫みたいだな」
奏「私も、今回のオーディションで自分の反省点が見えたわ。そこを直して、次はきっと勝つ」
P「よし、じゃあ事務所に戻って反省会しよう。荷物纏めとけ」
Pさんに言われた通り、帰り支度をしようとしたら....
410 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:41:35.05 ID:/4fWADIj0
???「P君、久しぶりですね」
P「えっ...貴方は!?」
P「...お久しぶりです、ちひろさん」
411 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:43:58.21 ID:/4fWADIj0
周子「Pさんの知り合い?」
P「まあな、010プロに再就職したとは聞いてたけど...もしかしてトラプリのプロデューサーに?」
ちひろ「いいえ、ただの事務員です。ただ今日はトラプリを担当しているプロデューサーが他の現場の対応で忙しくて、たまたま手が空いていた私が送迎をすることになったの」
P「そう、ですか.....」
ちひろ「早苗ちゃんから貴方が担当している子の話をちらっと聞いたわ、なかなか面白い子達じゃない」
P「ありがとうございます...それじゃ俺たちは反省会があるのでこれで。行くぞ、二人とも」
奏「あら、いいの?折角久しぶりに再会したんなら少しくらい話していっても」
P「いや、いい」
ちひろ「つれないですね...まあいいです。じゃあ帰る前に一つ、トラプリの皆から811プロに会いに行くなら伝えてほしいと一つ伝言を預かってます」
「『次に会える時は、期待してる』って」
周子「!」
412 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:45:02.39 ID:/4fWADIj0
ちひろ「正直、今日は経験不足が目立ったけど、最初の数分の間は彼女たちも何か感じるものがあったようです。だから、これからに期待してるそうですよ?」
周子「そう...なんだ」
奏「なら、ありがとうって伝えておいて。きっと次は貴方たちをもっと楽しませられるよう、自分自身を鍛え上げていくわ」
ちひろ「分かりました、伝えておきますね。それじゃあ」
そう言って、ちひろさんは立ち去っていった
P「俺たちも行くぞ、ちゃんと宣言通り、次は勝てるように、な」
周子「...うん!」
413 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:46:05.59 ID:/4fWADIj0
今日、あたしはアイドル業界という海の広さを知った。
でも、まだ知ったのは広さだけ
井戸の中を飛び出したばかりの未熟なあたしは、まだ海の恐ろしさを知らなかった。
この大きな海に対して、自分がどれだけちっぽけな存在なのかを、あたしはまだ知らなかった
今にもあたしを飲み込まんとする荒波にどうやって抗えばいいのか、あたしは分からなかったんだ
414 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:46:47.60 ID:/4fWADIj0
周子「ん...朝?」
いつもの餡子の甘い匂いで、あたしは目が覚めた
家の和菓子屋の伝統の餡子、今朝もお父さんが仕込んでいるのだろう
.....いつもの、餡子?
415 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:49:09.54 ID:/4fWADIj0
周子「あれ、アパートは...あたし、なんでここに?」
周子母「こら周子!あんたいつまで寝てんの!早く起きて下りてらっしゃい!」
周子「お、お母さん、811プロは?なんであたし実家に、上京してアイドルやってたはずじゃ」
周子母「はあ?あんたがアイドル?まだ寝ぼけてるの?」
「早く起きて朝ご飯食べちゃいなさいよ、お母さんお父さんの手伝いに行くから」
寝ぼけてる...あたしが?
周子「全部、全部夢だったの?そんな...いやだ...」
811プロの皆とのつながりも、アイドルとしての思い出も、ちゃんと胸に残ってるのに
それが全部、嘘だったたなんて。そんなの、そんなの!
周子「嫌ぁ!!」ガバッ
416 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:50:01.60 ID:/4fWADIj0
ベッドから飛び起きると、見慣れた壁に見慣れた天井に狭い部屋
あたしのアパートそのままの光景が広がっていた
周子「夢...そうか、あっちが夢...良かった」
でも、もしアイドルやめることになったら...
さっきまでの夢が、現実になってしまう...?
周子「勝たなきゃ...次は絶対....」
417 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:52:10.21 ID:/4fWADIj0
あたし達は経験不足を解消すべく、数日後すぐ別のオーディションへと参加した
前回、自分たちの実力がまだまだ足りていないということを知ったあたしたちは、今回のオーディションに向けてこの数日の間ずっと特訓に励んでいた
オーディションの内容から対策を練り、万全の状態でオーディションへと臨んだ
そのおかげか、デュアルフルムーンは第2審査を終えた時点で★15を獲得していた
2位の★11に大差を付けることはできていないけど、このまま順調に行けば1位を守り続けられるだろう
...でも、油断はしない
拮抗している以上、いつどこで抜き返されるかわからないし、最後まで集中して挑む
今度こそヘマはしない、絶対に負けない
そう、心に決めていたんだ
418 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:52:49.80 ID:/4fWADIj0
だから、なのかな
負けたくない、その一心で、『楽しむ』って事を忘れちゃってたのは
それで、あたしの心にはゆとりってもんがなくなっていた
だから、あんな事態を起こしてしまった
419 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:55:39.02 ID:/4fWADIj0
第三審査中盤に差し掛かる頃、あたし達のすぐ後ろ、2位に食らい付いていたユニットが急にペースを上げ始めた
ウソっ!?まだあんな底力が!?それともここまで隠してたっていうの!?
...ヤバイ、審査員の目が向こうに流れ始めた
このままじゃ...なんとか、なんとかしないと!
そう思い、あたしは少しでも印象を強くしようと少しづつ前へと進み始めた
このまま、何とか逃げ切る!その一心を抱えたまま、最後のアピールへと近づいた、その時
P「ッマズイ!?止まれ周子!」
周子「えっ!?」
奏「きゃっ!?」
周子「しまっ!うわぁ!?」
Pさんの制止する叫び声が聞こえた瞬間、前に出過ぎたあたしは奏ちゃんとぶつかり転倒してしまった
420 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:56:12.36 ID:/4fWADIj0
結局最後の最後で逆転され、あたし達は連敗を喫した
421 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:57:06.66 ID:/4fWADIj0
P「負けた...な」
奏「ごめんなさい周子...私、気づかなく『やめて』」
P「...しゅう『やめて!』」
周子「Pさん、奏ちゃん、気ぃ遣わないで正直に言って...」
「今回の負けはあたしのせい...そうでしょ?」
P「ッ!」
奏「そんなことない...だから、」
P「勝てた、オーディションだった」
422 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/29(金) 23:59:50.48 ID:/4fWADIj0
奏「プロデューサーさん!?」
プロデューサーさん!?何言ってるの!?
これ以上周子の心を傷つけるつもり!?
P「周子、お前は最後勝ちを急いで一緒に奏が躍っていることが頭から抜けてただろ?2位の動向に気を取られ過ぎて焦って、十分なパフォーマンスができなくなっていた。」
「正直なところ、最後の接触がなければ、あのまま逃げ切れた可能性は高い」
周子「ッ!!」
奏「プロデューサーさん!」
周子「!.....ごめん!」ダッ!
奏「あっ、待って周子!」
制止の声も虚しく、周子は走り去ってしまった
423 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 00:01:21.49 ID:PLP4FGKk0
奏「ッ!プロデューサーさん!なんであんな事言ったの!?」
P「...周子が、そう望んだだろ」
奏「でも!なんであんな責めるようなことっ『奏!』!?」
P「もし、逆だったら...お前が失敗した立場だったらって考えろ......」
奏「!」
P「自分の失敗で仲間が負けて、自分が敗因だって痛いほど自覚しちまってるとき...そんな時に、足を引っ張ってしまったその本人に情けをかけられたら、どれだけ惨めな気持ちになるかを考えろ!」
424 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 00:03:40.15 ID:PLP4FGKk0
奏「それは...」
確かに、もし立場が逆で、私が足を引っ張ってしまった周子に慰められたら
...きっと、凄く申し訳なくなって、自分がもっと許せなくなるだろう
P「優しさと甘さは違うんだ...ただドンマイ、ドンマイと慰める為に言った言葉が、余計にそいつを追い詰める刃になることもあるんだよ...」
奏「でも、あれじゃフォローにもなってないわ!」
P「...分かってる、少し言葉を選ばなさ過ぎた。それに今日の周子のミスも、元はといえば俺のミスでもある」
「だから...周子の事は、俺に任せろ。こんなとこで周子を終わらせりゃしないさ」
奏「...わかった、でももし周子がこのまま潰れるようなことがあったら....許さないから」
P「ああ...周子は、俺が責任もって必ず連れ戻す!」
425 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 00:05:53.36 ID:PLP4FGKk0
あのまましばらく必死走り続けた後、あたしは逃げるように自分の家へと帰ってきていた
家の隅で、ずっと動けず、蹲っていた
周子「グスッ...ヒック...あたしの...グスッ」
「あたしの...せいで...奏ちゃん...」
今日の失敗が、頭から離れない
まるで動画サイトのループ再生のように、ずっと、ずっと、頭の中であの瞬間が再生され続けていた
18年の人生、かつて味わったことのない苦しみが、今私の中で回り巡っていた
そんな絶望の中、ドンドンと、煩く玄関のドアを叩く音が鳴り響いた
426 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 00:07:00.74 ID:PLP4FGKk0
P「周子、いるんだろ」
それは、確かに理解不能な苦しみに身もだえるあたしに差し伸べられた救いの声だったけど
その声の主と今、あたしは顔を合わせたくなかった......
to be continued...
427 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 00:12:05.67 ID:PLP4FGKk0
次回予告
これは、罰だろうか
今まで一度だって本気になって生きてこなかった、そんなどうしようもないあたしへの罰
なら......
周子「あたしアイドル、辞めるから」
ねぇ?そうすれば、文句ないでしょ?
次回
Chapter9 「Myself newly」
428 :
◆FuHrdA/9sY
[saga sage]:2019/03/30(土) 00:12:57.88 ID:PLP4FGKk0
Chapter8終了したところで今回はここまで―
明日もまた遅くなりそうです...
429 :
◆FuHrdA/9sY
[saga sage]:2019/03/30(土) 23:23:43.20 ID:PLP4FGKk0
某まとめサイトにまとめられていて有り難いと思う反面、20話超える予定なのに一話ずつまとめていたらカテゴリ検索結果でとんでもなく邪魔なのでは?と思う今日この頃
でも今までどこまで伏線張ったとかを自分で確認するときにとても便利なのは確かなのでやっぱまとめてもらえるのは有り難いです
まだまだ未熟な身ゆえにまとめサイトの方で手厳しい感想もよくいただきますが、すべて真摯に受け止め少しずつ良い作品が書けるように精進していきたいと思います!
とりあえず現状完成しているChapter20を投下するまではエタラず投下できるようになんとか時間を作れるよう努力しようと思います
それでは遅くなりましたがChapter9、投下していきたいと思います
430 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:25:13.42 ID:PLP4FGKk0
周子「帰って、帰ってよ...今は一人にして」
P「そりゃできない相談だ。女の子が一人で蹲って泣いてるのを見過ごすわけにゃあいかない」
周子「やめてよ!今は...誰とも顔合わせたくない!合わせられないよ...」
P「じゃあ、扉越しでいい。お前が泣き止むまでここにいるから、ちょっと話そうぜ」
周子「うるさい!話すことなんてないよっ!」
P「そんなことないだろう、そんなに泣きじゃくって、何もないなんてことはない」
周子「ないったらないんだから!」
431 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:26:21.84 ID:PLP4FGKk0
P「じゃあ話してくれるまででここで待つ」
周子「やめてっ!帰って!なんであたしにそこまで構うのさ!」
P「俺がお前のプロデューサーだからだッ!」
周子「...じゃあ、あたしアイドル、辞めるから...それならもう、Pさんはあたしとは無関係でしょ?」
P「ダメだ」
432 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:28:45.67 ID:PLP4FGKk0
周子「えっ?」
P「お前がアイドルをやめるのは、俺が認めない」
周子「そんな、前と言ってることが違うじゃん!あの時はダメだったらスパッとやめていいって!」
P「...周子、俺はさ、自分がプロデュースする子には、『アイドル』になったことを後悔してほしくないんだ。どんな子でもいつかはアイドルを引退する日が来る。その時に、俺はお前たちに『アイドルやってて良かった』って言ってほしいんだ」
「アイドルになったことを後悔しないために、結果的に辞めるしかないんならしょうがない。その時は俺も背中を押すさ。でも、今アイドルをやめたら周子、お前は絶対アイドルになったことを後悔するだろ?それを分かってて認めることは出来ない」
周子「後悔って、あたしは!」
P「なんだ?」
周子「...あたしは、怖いの。また失敗するのが、奏ちゃんや、皆の足を引っ張っちゃって、そのせいで負けるのが」
「そうやって、オーディションに勝てなくなって、皆から見放されるのが、すごく怖い...!こんな恐ろしさ、今まで生きてて感じたことないよ...だから、そんな未来が来る前に、あたしはここで歩くのをやめるの」
P 「................」
周子「それに、アイドルだってなり行きで流されてやってただけで、本気でやりたいわけじゃない!そんな適当な奴と皆が一緒に仕事していいわけないじゃん!」
「だから...こんなテキトーなあたしなんてほっといて、さっさと消えてよ!」
「お願い...お願いだから...」
433 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:29:22.30 ID:PLP4FGKk0
P「お前らしくねぇな」
434 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:30:15.40 ID:PLP4FGKk0
周子「...はぁ?」
P「負けるのが怖いとか、足引っ張るのが怖いとか、いつもの気まぐれ自由人な周子らしくないってんだよ」
周子「あたしらしく...ない?」
P「なあ周子、ちょっと外出て来いよ。あの時みたいに、そこの公園で星でも見ながら話そうぜ」
「ていうか、出てこないんなら出てくるまでここに居座るぞ」
周子「P、さん...女の子の部屋の前に居座る男とか、それすっごい変態だよ.....」
P「そうだな、だから通報される前に早く出てきてくれ」
周子「...分かったよ」
435 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:31:11.08 ID:PLP4FGKk0
====公園====
Pさんと一緒に、あたしは公園のベンチに座って、Pさんが買ってきた缶コーヒーを口にしていた
P「懐かしいなぁ、あの時、お前このベンチで寝転がってたんだよな」
周子「そんなことも、あったね....」
436 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:32:33.78 ID:PLP4FGKk0
〜〜〜半年前〜〜〜
やばい...もう東京にいられるお金がない
お見合いが嫌で東京に逃げてきて一週間、もう貯金ほとんど使っちゃった
これからどうしよっかな...おとなしく帰って言われた通りお見合いする?
...結局、それが一番いいのかもしれない
そのまま流されて実家継いで、親に決められた人と適当に過ごすのも悪くはない選択肢なんだろう
437 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:34:15.89 ID:PLP4FGKk0
周子「でも、なんだかなぁ...」
そういう人生を生きる上で、あたしがあたしである意味はあるんだろうか?
生まれてから一度も本気になったことなんてなくて、ただ流れに身を任せてゆるーく生きて、ゆるーく死ぬ
なあなあの人生にふと嫌気が刺していた頃、『働かないんならお見合いしてウチ継いでくれ』って迫られて
別に実家が嫌いだったわけじゃないんだけど、知らない人と結婚前提に付き合うってのが気に食わなくて、つい親と喧嘩しちゃった
そうしたら『じゃあ本気出して自分の道探して来い!!』って追い出されて、とりあえず溜まってたお年玉とかバイト代をかき集めて東京へ来て...
でも、そう簡単に運命の出会いなんてあるはずもなく、やりたいことも見つからず普通に東京で遊んで過ごして一週間、とうとう宿代も厳しくなってきた
もう! 東京ってなにもかも高いもんばっかなんだから!
でも、お金ないから大人しく帰るって選択肢も取りたくないなあ...
438 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:35:12.68 ID:PLP4FGKk0
周子「バイト探してとりあえず延命...住所不定の家出娘なんて雇ってくれるとこないかぁ...」
所詮一人で生きる力のないあたしは、自由に生きることなんてできないんだろうか
周子「まあいいや、取り合えず今日はここで野宿して、また明日考えよう」
公園の硬いベンチに不満を抱きつつも、仕方ないと割り切って眠りに付こうとしたその時
???「若いくせにこんな深夜に公園で寝るなんて、どんな不良かと思えば....なかなか別嬪じゃないか」
あたしの眠りは、帽子とサングラスで顔を隠した不審者に妨げられた
439 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:37:36.40 ID:PLP4FGKk0
周子「んあ?お兄さん誰?」
正直すっごく怪しいし、こんな夜中に女の子に声かけるとかほぼ不審者でしょ
...でも、不思議と悪い人ではない...様な気はする
P「ああ、失礼。俺はこういうもんでね。ほれ、名刺だ」
周子「ん...芸能事務所811プロダクション、社長兼プロデューサーP?」
P「そうだ、しかもその名刺、作ってから初めて渡した1枚だ。大事にしてくれよ」
周子「ふーん...それで?お兄さんはこんなかよわい女の子なしゅーこちゃんに何の用なの?」
P「そりゃもちろん、スカウトさ。しゅーこちゃんって言ったか?」
「アイドル、やってみないか?」
440 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:39:18.63 ID:PLP4FGKk0
周子「アイドル?」
アイドルって、あれやんな
テレビとかでよく見る、ステージとかで歌って踊るお人形さんみたいにキレ―な人達
それを、あたしが?
P「ああ、ウチこの前できたばっかの事務所で、まだ所属アイドル0人なんだ」
周子「それであたしにアイドルになって欲しいって事?」
アイドルかぁ
そこまで興味があるわけじゃないなぁ...
周子「別にあたしじゃなくてもいいんじゃない?」
P「そうはいかない、君からはアイドルの才能を感じるからな」
周子「才能?」
P「ああ、一目見て思ったよ」
周子「ふーん....」
なんか、ナンパっぽいセリフやなー...褒められて悪い気はしないんやけど...
食い扶持が向こうからやってきてくれたのは有り難いけど、でもなぁ...
441 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:40:10.62 ID:PLP4FGKk0
P「ところで...なんでこんなとこで寝てたんだ?家帰らないの?」
周子「家からは追い出されちゃったー。ホテル代もなくなっちゃったし、今日はここで野宿しよっかなぁて」
P「なっ!?家なし!?」
周子「そっ、だから悪いけどアイドルなんてやってる暇ないし、他をあたってちょーだいな」
折角声をかけてくれたお兄さんには申し訳ないけど、あたしみたいな遊び人にはアイドルなんて向いてない
そう思ってさっさと断ろうとした...のだけど
442 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:41:26.80 ID:PLP4FGKk0
P「...じゃあ、住むとこあればアイドルになってくれるか?」
周子「えっ?」
P「俺の今住んでるアパート、ちょうど隣の部屋の人が引っ越して空室になってんだよ。ウチでアイドルやってくれるんなら大家さんに紹介するし、頭金も肩代わりしてやるよ」
周子「....マジ?」
アイドルになれば、とりあえず住むとこが手に入る...?
めっちゃくちゃいい条件、だけど...
443 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:44:02.70 ID:PLP4FGKk0
周子「でも、アイドルって売れるまで収入安定しないし、そもそも売れるかわかんないでしょ?頭金肩代わりしてもらっても、収入なけりゃその後がなぁ...」
P「なら、ついでに事務員としても雇うよ。それならアイドルとして目が出てない時期も普通に生活するくらいはできるだろう」
「ウチ今ホントに俺しかいないからさ。事務仕事が溜まりに溜まるわで、ちょうどそっちの方の人手も欲しかったところなんだよ」
周子「ホント?ちなみにお給料はどのくらい?ホントに生活費出せるくらい貰えるの?」
そう尋ねると、お兄さんはスマホで何やら計算を始めた
P「そうだな...東京の今の相場よくわかんないけど、大体こんなもんかな?」
周子「どれどれ...えっ!?高っ!?」
すごい...街で見たバイト募集の倍はあるじゃん!
444 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:45:21.62 ID:PLP4FGKk0
P「金の卵を捕まえるならこれくらいは必要経費さ。折角可愛く生まれたんだし、どうせならあの星みたいに一発綺麗に輝いてみたくないか?」
周子「星?こんな都会に星なんて...あっ」
お兄さんが指刺す先には、確かに一つだけ光る星があった
P「ああいうの、一番星って言うのかな?こんな都会でも見えるもんなんだなぁ」
ビルの青い光に負けずに一つだけきらきらと輝く星
そんな我儘な星を見てると、なんだか背中を押されてるみたいで
"もっと自分に挑戦して生きろ"って、発破をかけられてる感覚になった
『アイドル』かぁ
ちょっと試してみても、いいのかもしれないな......
445 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:46:38.23 ID:PLP4FGKk0
P「ダメだったらダメだったで、スパッとやめてもいいからさ...ちょっと試してみないか?」
住むとこ見つけて、お給金良くて、ワンチャンアイドルになれる、か...
ちょっと胡散臭いような気がするけど、これは...受けない手、ないな
一応ダメそうだったら辞めてもいいって言ってくれてるし、とりあえずの延命処置としてならこれ以上ウマい話もないだろう
周子「分かった、あたし、アイドルやってみるよ。よろしくねお兄さん。Pさんって名前であってたっけ?」
P「おう、君は...」
周子「塩見 周子。周子でいいよ、あたしもPさんって呼ぶからさ」
P「わかった、じゃあさっさとアパートの契約いくか。こんなとこで所属アイドルに寝てもらわれたら困るしな」
周子「了解!口利きよろしくね」
446 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:48:18.01 ID:PLP4FGKk0
〜〜〜現在〜〜〜〜
周子「あの時はホントに、アイドルとして輝いてる今の自分が想像できなかったなぁ」
P「でも、今こうしてメジャーアイドルとして頑張ってる。それはもう夢物語じゃなくて、事実だ」
周子「うん。でもそんなの、たまたま上手くいってただけで...あたし、適当だから、本気でアイドルやってなかったから...」
447 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:49:59.70 ID:PLP4FGKk0
P「...ところで周子、これ見てくれないか?」
周子「なに?...カメラ?」
P「ああカメラだ、でも見てほしいのは中身の方」
中身の方...?
映像って事?
P「んじゃ、再生するぞ...ほれ」
Pさんがボタンを押すと同時に映像が流れ始める
これは...ウチのレッスン室?
レッスンしてるのは...志希ちゃんとフレちゃんだ。うわキツそー!二人とも息死んでんじゃん!
美嘉ちゃんも青木さんと協力して志希ちゃんとフレちゃんにアドバイスしてる。美嘉ちゃん、先生役似合ってるなぁ。あたしたちの中で一番経験豊富だろうし、適任なんやろなぁ
凄いなぁ、いつも以上に皆気合入ってる
皆本気で、次のオーディション狙いに行ってるんだ...
448 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:51:54.04 ID:PLP4FGKk0
しばらく見ていると、3人がレッスンを中断してカメラに近よってきた
美嘉『やっほー周子ちゃん★アタシ達のレッスン見てくれた?』
志希『見ての通りあたし達、今地獄の猛特訓で死んじゃいそうでーす...青木さんと美嘉ちゃん、すっごくキツいんだから』
フレデリカ『プロデューサーさんにも、このままじゃオーディション合格ははキビシー!って言われちゃった』
志希『でも、無理だとは言われなかったからさ...それならあたし達、周子ちゃんに追いつくために頑張らなきゃって思えるんだ』
フレデリカ『だから、周子ちゃんはこの先であたし達を待っててほしいな♪周子ちゃんと同じ目線で一緒に仕事するのが、今のアタシの目標だから!』
449 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:53:17.02 ID:PLP4FGKk0
美嘉『周子ちゃん、061プロの時、あたしは周子ちゃんに助けられたからさ...だからあたしも先輩アイドルとして、周子ちゃんの支えになってあげたい』
『それに、奏ちゃんも』
美嘉ちゃんが奏ちゃんの名前を呼ぶと、カメラが死角にいたらしい奏ちゃんを映した
カメラに映った奏ちゃんは、他の皆と同じくらいレッスンに集中していた
奏ちゃんがカメラの方へ向き直る
奏『周子、私、またあなたが先走っちゃってもフォローできるよう...ううん、そんなアクシデントすらパフォーマンスに変えて見せるわ』
『貴方がちゃんと安心して背中を預けられるよう頑張るから...だから、待ってて』
『ほら、プロデューサーさん、貴方からも』
すると、カメラが奏ちゃんの手に渡されて、映像には今まで皆を撮影していたらしいPさんが映る
450 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:54:57.14 ID:PLP4FGKk0
P『周子、確かに今日の負けはお前の焦りから出たミスが敗因だ。でもあのミスも、元はといえば俺のせいだ』
周子「Pさん.....?」
P『俺は今までお前らを上に上にと押し上げることばかりで、お前らに経験を積ませるのを怠った。最初のオーディション以来、危ない橋を渡らせず、負ける経験ってのを積ませてこなかった。だから、いざ負けた時にそれを引きずらせてしまったんだな』
『本当に、すまなかった。俺もプロデューサーとして成長することを誓う、だから』
『俺に、もう一度、いや一度だけなんていわずに最後まで、『アイドル』の塩見周子の姿を見せてくれ』
待ってて...か
みんな、あたしが帰ってくるって信じてくれてるんだ...
こんなあたしの事も、信じてくれてるんだ...!
451 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:56:14.51 ID:PLP4FGKk0
周子「皆...」
P「なあ周子、さっきも部屋の前で話した時も思ったけどさ、本気でやってなかったってのはぶっちゃけ嘘だろ?」
周子「え?」
P「あのアパート防音しっかりしてないからさ。前にトラプリに負けて以来、ずっと聞こえてきてたよ」
「お前が泣きじゃくる声も、事務所から帰ってきた後も必死に歌って練習してたことも」
周子「!!」
P「負けることが怖くなったのは、お前が本気でアイドルやってたからだよ」
あたしが...本気だった?
452 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:57:03.59 ID:PLP4FGKk0
P「周子、オーディションで負けた時、悲しいとか、申し訳ないとかの他に抱いたものがあったろ?それもあの時抱いた感情で一番大きいもの」
「吐き出してみな。言葉にして吐き出せば、少しはスッキリするぞ」
あの時、抱いた感情...
そうだ、あの時、あたしの心をぐるぐると暴れ回ってたもの、あれは....
周子「くやし...かった」
453 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:58:33.10 ID:PLP4FGKk0
周子「初めてオーディションに負けて、自分がまだまだちっぽけな存在だったことに気付いて、自分なら出来ると思ってた自分が恥ずかしくって!でも!」
「それ以上に、悔しかった!あの時もっとこうしておけばなんて事ばかり考えて、ああしとけば勝てたかもしれないって後悔して!」
「生まれて初めて本気になって、その上で負ける側になって...それでようやく分かったんだ...!本気でやって負けたらすごい悔しいんだって、ようやく、分かったの...!」
「あたし、本気でぶつかったのに!全然、全然届かなくてっ!それが、本当に悔しかった!」
454 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/30(土) 23:59:25.70 ID:PLP4FGKk0
P「そうか...でも大丈夫」
「悔しいって思えたんなら...その心がある限り、お前はまだ戦えるさ...」
周子「P、さん.....あたし、あたし....!」
「あ、ああ....うあああああああああああああああああああん!!!!!」
455 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:00:18.18 ID:CV0nZ6Sa0
そうか、あたし、アイドルに本気になってたんだ
やっと、見つけられた....
あたしがあたしらしく生きるための、あたし自身の道を
456 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:02:34.86 ID:CV0nZ6Sa0
Chapter9 「Myself newly」
457 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:03:34.06 ID:CV0nZ6Sa0
P「落ち着いたか?」
周子「うん...ありがと、Pさん」
P「いいんだよ、俺はお前のプロデューサーなんだから」
周子「ねぇ、Pさん。あたし決めたよ。あたし、本気でトップアイドルを目指す。あたしのペースであたしらしく、新しい『塩見 周子』に生まれ変わるから!」
「だから、ちゃんと傍で見てて。Pさんが選んだあたしが、どんな夜空でも輝ける一番星になる所を!」
458 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:05:39.72 ID:CV0nZ6Sa0
次の日からあたしは、本気でアイドル活動に励み始めた
レッスンにも集中して臨んで、色んなオーディションに応募した
もちろん全部に合格できたわけじゃく、負けた時はその都度本気で悔しくなった
でも、その日の内に反省点を考えて、克服できるように努力した
その間事務仕事を任せたPさんは
「だ、大丈夫...必要経費だから...」
と書類の闇にのまれそうになってたけど、あたしがオーディションで合格したときは一緒になって喜んで、落ちた時は一緒にどこがダメだったかを考察してくれた
奏ちゃん達ともお互い助けあって、自分たちの技術を高め合っていった
そんな仲間たちと過ごす忙しく大変な日々が、とても楽しかった!
アイドルになる前、本気になれることがなかったあの頃のあたしには無かったものが、今確かにここにあった
459 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:06:30.03 ID:CV0nZ6Sa0
そして今日、あたしはとある番組のレギュラーを決めるオーディションに参加している
あたしが受ける長寿のグルメ番組は、定期的にクビレースなるもので成績の悪い番組レギュラーが降板させられるのが特徴の番組
今回は、その開いたただ一つの枠を埋めるためのオーディション
これに合格すれば、あたしは遂にテレビ番組のレギュラーの座を手に入れることができる
でももちろん、そのハードルは高い
なにせ今回のオーディションにはあの時あたしと奏ちゃんが完敗したトライアドプリムス
その一角、北条加蓮ちゃんも参加していた
460 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:08:04.20 ID:CV0nZ6Sa0
加蓮「あっ!あんたもしかしてデュアルフルムーンの周子ちゃん?」
周子「おー久しぶり!あたしのこと覚えてくれてたんだね」
加蓮「前のオーディションで結構印象に残ってたからね、途中調子落ちちゃったみたいだけど」
周子「あはは...あの時は見苦しいとこ見せちゃったね」
加蓮「でも...期待通り、今日はあの時とは違うみたいじゃん?」
周子「もちろん!あれから色々自分の事見つめなおしたからね。だから」
加蓮「でも、あたしも本気でトップアイドル目指すからさ」
「今日(も)は絶対、あたしが勝つよ」
周子「...じゃあ」
加蓮「本番で会おうね」
461 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:08:37.03 ID:CV0nZ6Sa0
今回はグルメ番組のオーディションだけど、形式はLIVEバトル形式で行われる
いつもこの手のオーディションの時は指示を出しについてきてくれるPさんは、別会場で行われてる志希ちゃんとフレちゃんのユニット、『レイジーレイジー』の大一番のほうへ行っているからいない
でも、大丈夫。今日まで積み重ねてきた経験と、一緒に過ごした仲間たちとの絆が、あたしの心を支えてくれている
だから今日も、いつも通り
周子「あたしらしく、本気で行くとしますか!」
462 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:12:56.79 ID:CV0nZ6Sa0
第2審査結果
塩見周子 北条加蓮 モブ子1 モブ子2 モブ子3 モブ子4
Da ☆×2 ☆×1 ☆×1 ☆×1 ☆×0 ☆×0
Vi ☆×1 ☆×3 ☆×1 ☆×0 ☆×0 ☆×0
Vo ☆×2 ☆×2 ☆×0 ☆×0 ☆×0 ☆×1
現在合計 ☆×10 ☆×12 ☆×4 ☆×3 ☆×0 ☆×1
第2審査が終わった時点であたしは現在2位、加蓮ちゃんに☆2つ分リードされていて、ちょっとピンチかな
それに、次の審査次第では他の子達にも追い抜かれる可能性もある
なんとかダンスやボーカルでは食らいつけているけど、加蓮ちゃんのヴィジュアル演技は正直あたしとは別次元だ
なんとか☆を1個もぎ取るのが精いっぱい、ダンスやヴォーカルもあたしが抜きんでてるわけじゃない以上、このままだと勝つのは厳しいだろう
463 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:13:31.19 ID:CV0nZ6Sa0
さてどうすっかなっと考えていると、スマホの着信音が小さく鳴り響いた
確認してみると、事務所のLINEグループに一枚の写真がアップされていた
志希ちゃんとフレちゃんのVサイン
そして下のほうにはメッセージが書いてあった
『逆境の時ほど、楽しく笑え!』
464 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:14:02.96 ID:CV0nZ6Sa0
周子「...あはっ!粋なことしてくれるじゃん!」
そうだったそうだった!最初のオーディションの時もそんな事と言ってたね!
周子「しゅーこちゃんのしたことが、悩んだ顔なんてあたしらしくなかったね!」
あたしはあたしらしく、笑ってアイドルを全力で楽しむ!
それが一番大事なことなんだから!
465 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:15:37.79 ID:CV0nZ6Sa0
第3審査、やっぱり加蓮ちゃんのスキルは凄い
特にVi、ここに来て第1第2審査の時とは比べ物にならない程圧倒的なパフォーマンスだ、あたしの今の技術じゃあのレベルの物はちょっと無理かな
だから、Viの星はあげるね、加蓮ちゃん
その代わり....
周子(DaとVoは、もらっていくよ!)
あたしは、あたしのペースで、あたしらしいパフォーマンスを!
弾けろ!あの時誓った夢!本気しゅーこちゃんの魂!
あたし、本気でトップアイドル目指すんだから!こんなとこじゃ止まらないよ!
今日の一番星は、あたしだ!
466 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:17:29.68 ID:CV0nZ6Sa0
志希「プロデューサー、早く早く!」
フレデリカ「周子ちゃんのオーディション終わっちゃうよ?」
P「待て待て、走ったら危ないだろ...ここだ」
志希「見て!もう最後の最後みたいだよ!」
フレデリカ「ホント!?周子ちゃんはどれ...あっ...」
フレデリカ「綺麗...」
志希「凄い、今の、周子ちゃんだよね?」
P「当然だ、俺たちが周子を見間違えるはずないだろう?」
フレデリカ「周子ちゃん、まるでお星さまみたいで...すっごく綺麗だった」
P「周子...ホントに、お前をスカウトできてよかった...」
467 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:19:10.29 ID:CV0nZ6Sa0
最終結果
塩見周子 北条加蓮
Da ☆×5 ☆×0
Vi ☆×0 ☆×5
Vo ☆×4 ☆×1
最終合計 ☆×19 ☆×18
468 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:19:38.53 ID:CV0nZ6Sa0
周子「はぁ...はぁ...」
19対、18
あたしの方が、一つ、多い
...勝った
あたし、加蓮ちゃんに、勝てたんだ!
469 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:20:44.63 ID:CV0nZ6Sa0
周子「やった....やったー!!」
フレデリカ「周子ちゃん!」
志希「やったー!おめでと―周子ちゃん!」
周子「えっ、フレちゃんに志希ちゃん!?なんでここに?」
P「向こうのオーディションが終わった後、周子のオーディションを見に行きたいってゴネだしてな。急いで車飛ばしてきたんだ」
周子「そうなんだ...ありがとう。そして、おめでとう!二人も合格したんでしょ?」
志希「うん!すっごい白熱して、すっごい楽しかった!」
フレデリカ「それに、お友達もいっぱい出来たんだ!みんな凄い子ばっかりなんだよ!」
志希「これできっとあたし達もCランクになれる、周子ちゃんと肩を並べられるよ!」
P「それだけじゃない、美嘉と奏も、無事ドラマのオーディションに合格したらしい」
「一話だけだがエキストラじゃなくて役名のあるちゃんとした役だ。皆、駒を一歩前に進めたな」
周子「そうか...でも志希ちゃん、フレちゃん」
「あたし、もうちょっと先に行くからさ。もう少し、追いかけてきなよ!待ってるから!」
志希フレ「うん!」
470 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:21:13.71 ID:CV0nZ6Sa0
加蓮「あー、お取込み中のとこみたいだけどちょっといいかな?周子ちゃんに会いに来たんだけど」
P「あっ、どうぞどうぞ」
周子「加蓮ちゃん...あたし、ちゃんと加蓮ちゃん達の期待に応えられた?」
加蓮「うん...でも、これはこれでちょー悔しい!だからさ周子ちゃん」
「次はあたしが、あたし達トライアドプリムスが勝つから、それまで待っててよ」
周子「...うん!」
加蓮「それじゃ、またどこかで!」
471 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:22:02.83 ID:CV0nZ6Sa0
P「大物に目をつけられちまったな、周子?」
周子「うん...だから加蓮ちゃんがあたしをちゃんと追いかけたくなるように、もっと頑張らなきゃね!」
「...それと、Pさんにちゃんと言っておかなきゃいけないことがあるんだ」
P「なんだ?」
周子「Pさん!」
あたしをアイドルにしてくれて、本当にありがとう!
472 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:23:02.55 ID:CV0nZ6Sa0
あれから2週間が経った
今あたし達は、事務所でレイジーレイジー昇格パーティをやっている
志希ちゃんとフレちゃんはユニット曲「クレイジークレイジー」のヒットを理由に、二人そろってCランクに昇格
奏ちゃんと美嘉ちゃんも、ドラマの出演やモデルの仕事なんかで着々とファンを増やしてるみたい。それに今度は、ドラマのメインキャラ選抜のオーディションにも出るらしい
そして、あたしは...
473 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:24:25.78 ID:CV0nZ6Sa0
P「では志希とフレデリカ、そして周子のランク昇格を記念してー!」
全員「かんぱーい!」
奏「3人とも、おめでとう」
美嘉「おめでとう!周子ちゃんにはとうとう追い抜かされちゃったね」
P「我がプロダクション初のアイドルが811プロ史上初!Bランクアイドルとなった!」
「Bランクといえばもう一流!知らないほう人間の方が少ないアイドルだ!やっぱり俺の目に狂いはなかった!」
周子「いやーみんな、どうもありがとう!」
志希「あたし達も、この勢いに乗ってまたすぐ追いつくからさ!」
フレデリカ「勢い余ったアタシ達を抱きとめる準備して待っててね、周子ちゃん♪」
美嘉「あたしと奏ちゃんも、次のオーディション絶対合格して追いつくから!」
奏「ええ、だから期待していてちょうだい」
周子「みんな...うん!待ってるから!」
474 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:25:29.16 ID:CV0nZ6Sa0
P「それと、周子に今日はプレゼントがある」
周子「えっ?」
P「外に待たせてるから、会いに行ってやってくれ」
周子「会いに...?分かった」
言われた通り、あたしは(今日の主役なのに)事務所の外へと出た
そこであたしを待っていたのは...
475 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:27:27.97 ID:CV0nZ6Sa0
周子父「周子、久しぶりだな」
周子母「元気に...してたみたいね。良かった」
周子「二人とも....なんで!?」
半年前家出して以来、一度も連絡していなかった両親が、扉の前で待っていた
ずっと連絡をよこさなかったあたしを叱りに来たのだろうか、そう頭によぎった
476 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:28:13.26 ID:CV0nZ6Sa0
周子母「Pさんがね、ずっとあなたのことを教えてくれていたの」
周子父「周子...お前の晴れ姿、テレビで見たぞ。...自分のやりたいこと、ようやく見つけたみたいだな。」
周子母「お父さん、貴方の出てる番組全部録画しててね...本当に、立派になった」
周子父「...あー、一度しか言わないからよく聞けよ」
「周子...お前は、俺たちの誇りだ...」
周子「....お父さん!お母さん!」
周子母「頑張ったわね、周子...」
周子父「ったく、泣き虫なとこまで似るんじゃねぇよ...」
477 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:29:41.88 ID:CV0nZ6Sa0
奏「パーティーも終わってしまったわね」
パーティーが終わった後、私はプロデューサーさんと二人で後片付けをしていた
P「すまんな奏、手伝わせちまって」
奏「いいのよ、周子は両親と積もる話があるみたいだし、他の3人は明日も朝から仕事だからね」
「...ねえプロデューサーさん」
P「なんだ?」
奏「周子を見て、私もアイドルにもっと本気になろうと思えたの。アイドルになって、退屈だった日常に色がついて、心から信頼して、競い合える仲間も手に入れた」
「だから...きっとトップアイドルになって、あなたに復讐するわ」
478 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:30:57.27 ID:CV0nZ6Sa0
奏「周子を見て、私もアイドルにもっと本気になろうと思えたの。アイドルになって、退屈だった日常に色がついて、心から信頼して、競い合える仲間も手に入れた」
「だから...きっとトップアイドルになって、あなたに復讐するわ」
P「復讐?」
奏「そうよ。貴方にこの世界に引きずり込まれて、私の世界アイドル無しでは考えられない世界になってしまった」
「だから、責任を取って私に魅了されてちょうだい、ね?」
P「...なら期待してる。いつか、トップアイドルの『速水 奏』を見せてくれ」
奏「ええ、待っていてちょうだい」
「...ところで、折角自分の心を明かしたんだもの。プロデューサーさんにも一つ質問していい?」
P「いいぞ、何が聞きたい?」
奏「ずっと気になっていたんだけど...」
479 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:31:42.65 ID:CV0nZ6Sa0
奏「プロデューサーさんは、なんでプロデューサーになろうと思ったの?」
480 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:32:12.54 ID:CV0nZ6Sa0
そう問うと、プロデューサーはわずかに沈黙して、口を開いた
P「俺も、復讐....かな?」
481 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:36:06.33 ID:CV0nZ6Sa0
奏「えっ?」
復讐?私と同じく?
誰に...というか、私と同じ意味の復讐なの?
P「...なんてね。ほんとは、ただアイドルが好きだからってだけだよ。そんな心配そうな目で見るな」
奏「...もう!変なとこでからかわないで!」
P「ははっ!いつものお返しだよ!お前ら事あるごとに俺をからかってくるんだから」
奏「あら、偶にはからかいじゃなくしてもいいのよ?」
P「変な冗談言わないの。...あらかた片付いたし、そろそろ切り上げるか。事務所閉めるから、早く荷物纏めて外出てくれな」
奏「ええ、お疲れさま」
P「ああ、またな」
.....いつか、話してくれるのかしらね?
to be continued....
482 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 00:36:54.88 ID:CV0nZ6Sa0
Chapter9終了したところで今回はここまで
今日はもう遅いので補足等はまたいつか
483 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2019/03/31(日) 09:10:58.88 ID:zSKwHPODO
森きのこに捕捉されていますからね……
正直うらやましい
484 :
◆FuHrdA/9sY
[saga sage]:2019/03/31(日) 23:03:09.42 ID:CV0nZ6Sa0
すいません、明智小五郎見てたら遅くなりました!
いつも纏めてくださる方々に感謝を込めつつChapter10投下していきます
485 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:05:34.60 ID:CV0nZ6Sa0
周子がBランクになってから2ヵ月とちょっとが過ぎた頃
あれ以来事務所の全員のモチベーションにさらに火が付き、一月経つころには私と美嘉はあるドラマのメイン役をやったときの演技が評価され、更に多くの出演依頼を受けていた
それらの仕事が評価されたのか、遂に周子と同じBランクに昇格することができた
レイジレイジ―の二人はユニットの活動だけではなく、それぞれ自分たちの持ち味を活かしたソロ活動にも精を出している
志希は高い歌唱力を活かして新曲、『秘密のトワレ』を発表
その頭が蕩けるような甘く蠱惑的な歌声に多くの人が惹きつけられたようで、CD発売記念の握手会では前代未聞の来場者数を記録したらしい
フレデリカの方は持ち前のトーク力とどんな相手とも仲良くなれるフレンドリーな気質のおかげか、バラエティ番組に引っ張りだこ
その結果、某動画サイトで自身がメインパーソナリティを務めるラジオ番組、『フレちゃん'sティータイム!』が放送開始
毎週数え切れないほどのお便りが届くらしく、ある番組のラジオ特集でも『今最もアツいラジオ番組』として取り上げられ、一躍人気番組になった
486 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:07:38.98 ID:CV0nZ6Sa0
そしてレイジーレイジーとしての活躍も目覚ましく、二人そろって『科学捜査班の女たち』というW主人公のサスペンスドラマの主役の座を二人そろって勝ち取ったわ
その仕事ぶりが影響してか二人のファンの数は2ヵ月前のおよそ倍以上に増加したらしく、つい先日二人ともBランクに昇格!
そして、一足先にBランクに上がっていた周子もその勢いをとどめる事を知らずいろんなところで大活躍している
先日レギュラーの座を勝ち取った「ぐるぐる九十九」では毎回ギリギリのところで自腹を回避する好(?)成績を収める人気レギュラーとしての立場を確立
更にもう一つ、自身が主役を務めるレギュラー番組「シューコちゃんのぶらり遊び旅」も放送を開始し、着々とファンを増やし続けている。
その上ソロ2曲目「Private Sign」も大ヒットして、周子は今や日本中のほとんどの人が知る超有名アイドルになった。
487 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2019/03/31(日) 23:08:10.07 ID:CkC/IaaIo
1
488 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:10:28.97 ID:CV0nZ6Sa0
それに、もう一つ変わったことがあった
今まで私達に熱心に指導を続けてくれていた青木さんが、ついにウチの専属トレーナーとして所属してくれることになったの
この数か月の私達の活動を見ていて再び昔の情熱が再燃したらしく、派遣だった頃以上に厳しく、そして丁寧に私たちに指導をしてくれている
設立して1年経たない内に5人という少人数の小規模プロダクションでありながら、その全員が一流アイドルの証であるBランクに上りつめたモンスター事務所として811プロそのものに取材が来たこともあった
あの時は楽しかったわね
記者さんが開幕早々フレデリカの独特な雰囲気にのまれたり、志希の研究室から得体の知れない何かが這い出てきたり、それにPさんと美嘉が大慌てしたり...そしてトレーナーさんがそんな二人を一喝で沈めつつ、未確認生物を素手で仕留めたり...
色んなみんなの一面が見れて、本当に面白い取材だった
そしてそんなモンスター事務所811プロは今...
489 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:11:20.98 ID:CV0nZ6Sa0
奏&美嘉「「HAPPY SATURDAY!!!」」
奏「というわけで、始まったわ。811プロのアイドル達がお送りする『正気のサタデーナイト!』」
美嘉「明日はみんな大好き日曜日!一週間の疲れを、今日で纏めて解き放っちゃおー!」
811プロ主催の生放送番組、『正気のサタデーナイト』を放送できるまでになったわ!
490 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:11:46.50 ID:CV0nZ6Sa0
Chapter10 「Do you want to go to Hollywood!?」
491 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:12:31.24 ID:CV0nZ6Sa0
[特報!!]
シュウコ「決着をつけよう、カナデ」
[811プロ総出演!!]
カナデ「ええ、この銀河で私と貴方、どちらが正しいのか!」
「カナデエエエエエエエエエエエエエエ!!!」バシュウン!>シュウコ カナデ<バシュウウン!「シュウコオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
銀河歴8100年
ミカ「カナデ総統、ご報告が」
カナデ「なにかしら?ミカ軍隊長」
世界はカナデ総統率いるカナディア連邦によって支配されていた
ミカ「先日支配下に置いたL−1992宙域ですが」
遺伝子操作を受け圧倒的な力を持った、「新世代人類」カナディア連邦の勢力
その脅威に対抗しうる、「旧人類」最後の希望
ミカ「イチバンボシと名乗るレジスタンスに、支配権を奪われました」
\デエエエエエエエエン/
シュウコ&フリッカ
492 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:13:36.65 ID:CV0nZ6Sa0
カナディア兵「なんだこいつ、旧人類の癖にこのスピード!ぐわぁ!」
カナディア兵「なぜこれほどまでの性能のiDOLを...ギニャア!」
シュウコ「この銀河に生きる人間は...みんな自由でいなくちゃならないんだよ」
次々と星を支配から解放していくレジスタンス
しかし、そんな彼女たちに迫る新たな脅威!
シキ「おっと、久々に楽しめそうな子が来たねぇ」
シュウコ「こいつ、強い...!」
フリッカ「シュウコちゃん、先に行って」
シュウコ「そんな、危険だよ!」
再び巡り合う因縁の敵!
フリッカ「こいつは、あたしが倒さないといけない存在なんだ」
シキ「あれぇ?フレちゃんじゃん。ダメじゃん死んだ人間が出てきちゃあ、死んでなきゃさアァ!!」
ミカ「アタシの『Iセント・アニマ』で、銀河の塵にしてあげるよ!」
シュウコ「あんた達が、あんた達なんかがいるからアァ!」
仲間との別れ
シキ「これで終わりだよ!フレちゃんはもう死んだんだ!」
フリッカ「うん、あたしはここで終わり...でも、『あたし達』はまだ続く!」
シキ「....しまっ!?まさかフレちゃん、最初から自爆覚悟で!」
フリッカ「後は頼んだよシュウコちゃん...銀河に、笑顔を」
ミカ「なに、このパワー!?まさかパイロットの感情の増幅をエネルギーに変えるって言うの!?」
シュウコ「あんた達を...カナディア連邦を許さない!」
「行けえ!FULL・ムーーーーーーン!!!!」
493 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:14:03.77 ID:CV0nZ6Sa0
そして銀河戦争は、遂に終幕へと至る
主題歌[ガールズインザフロンティアfeat塩見周子]
シュウコ「これが、FULL・ムーン最後の力!FULL・ムーン99!」
カナデ「面白いじゃない...!」
「貴方を墜として、私は英雄になる!」
「私と、FULL・ムーンL(ライアー)の前にひれ伏しなさい!旧人類!!」
シュウコ「ありったけをぶち込む...いくよ、FULL・ムーン!!!!!!!」
劇場版 銀河戦神シュウコ Last Cinderella
明日、ついに全国ロードショー!
シュウコ「プレゼント付き前売り券で、シュウコ&FULL・ムーンストラップをゲットしよう!」
494 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:14:59.68 ID:CV0nZ6Sa0
周子「じゃあ今日はこの辺で『しゅーこちゃんのダーツ飯』のコーナーもおしまーい。スタジオの二人に返すねー」
美嘉「はーい!周子ちゃんお疲れさま!」
奏「では、今日の放送はこれにて最後となるわ、また来週、お会いしましょう」
奏 美嘉「「HAPPY HOLYDAY!!」」
495 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:15:56.45 ID:CV0nZ6Sa0
〜〜〜〜都内の高級レストラン〜〜〜〜〜〜〜
P「では、『正気のサタデーナイト!!』初回放送成功とその他諸々を記念して!」
全員「かんぱーい!!」
放送終了後、私達はプロデューサーさんに誘われ都内の有名なレストランへ打ち上げに来ていた
美嘉「プ、プロデューサー?メニューに書いてあるの、どれもめっちゃ高いんだけど!?」
奏「一番安い紅茶でも一杯2000円ね。午○の紅茶20杯分くらいかしら?」
P「安心しろ、もちろん全部俺の奢りだ!」
「最近忙しくてお前らがドラマや映画の大役取ったりしても祝えてなかったからな。その分もあわせて今日は豪勢に行こうぜ!」
496 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:16:57.85 ID:CV0nZ6Sa0
周子「やったー!じゃあとりあえずあたしこの甘鯛のポワレ!(6500円)あとこの鴨のポトフも!7000円)」
フレデリカ「アタシ孔牛のローストワインソース(7500円)とイセエビのスープ・ド・ポワソン(3500円)!」
志希「あたし香草とトマトソースのピッツァ!(4000円)」
美嘉「み、みんな遠慮なさすぎじゃない?」
周子「奢りでこんな高級店なんて滅多にないからね。美嘉ちゃんも折角だからPさんに甘えようよ」
P「ああ、今日はホントに遠慮なく頼んでくれていいぞ」
奏「というか、周子は『ぐるぐる九十九』で結構こういうディナーは食べ慣れてるんじゃないの?」
周子「奏ちゃん...たしかにあの番組で美味しいものいっぱい食べてるけど、その代わり毎回心臓が止まりそうな思いしてるんだよ...?」
美嘉「ああ....いつもギリギリだもんね周子ちゃん...」
周子「とうとうこないだおみや代は払っちゃったし、そろそろマジで自腹切るんじゃないかってビクビクしてるよ...」
P「...今日は好きなだけ食え、周子....」
497 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:19:06.51 ID:CV0nZ6Sa0
美嘉「それにしても、あたし達全員でBランク...一流アイドルになれるなんてまるで夢みたいだね」
志希「ホントにねー。最近のアイドル活動はあたしの期待通り、いや期待以上に未知で溢れてておもしろーい!」
奏「私たちならこのままAランク...いやSランクにも昇り詰めることができるんじゃないかしら?」
周子「まあ油断大敵ではあるけど。本気で走ってればきっと全員でトップアイドルも、きっと夢じゃないと思うな」
フレデリカ「そうだよ!みんなと一緒なら、世界中の人達を笑顔にできると思うな♪」
見えてきたトップアイドルという夢に対し、みんな揃って決意を固める
でも、そんな中プロデューサーは少しだけ苦い顔をしていた
498 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:19:59.09 ID:CV0nZ6Sa0
P「あーお前ら、意気込んでるとこ悪いんだが、しばらくはアイドルランクの事は考えないほうがいい」
奏「えっ?」
周子「そりゃまた、なんで?」
P「お前ら、アイドルの引退時の最終ランクで多いのって何だと思う?」
周子「そりゃあ、Fランクじゃないの?駆け出しの時点で芽が出ないってパターン、一番ありそうじゃない?」
P「まあその通り、一番多いのはFランクなんだが...2番は実はBランクなんだ」
美嘉「そうなの?なんか意外、EとかDの方が多いかと思ってた」
P「理由は単純に、BからAへの壁がめちゃくちゃ分厚いから」
志希「分厚いって、どの位?」
P「一説ではFからBまで上がる時の3倍以上の努力が必要と言われている」
周子「3倍!?」
フレデリカ「シ◯ア専用なのかな?」
499 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:21:26.98 ID:CV0nZ6Sa0
P「その壁の分厚さに挫折して失速、そして引退するってパターンが多いんだ」
「だから今はランクの事は一端置いといて、ゆっくり結果を積み重ねていくことが大事って事」
奏「...でも結局のところ、いつも通りアイドルを全力で楽しめって事、でしょ?」
P「まあ、そういう事だな。というわけで明日からも全力で楽しむために、今日はいっぱい食え!」
全員「わーい!」
店員「お会計24万4千円になります」
奏「24万!?嘘でしょ!?」
周子フレ志希「ゴチになりまーす♪」
P「キャッシュで」
美嘉「しかも現金!?大丈夫なの!?」
P「お前らのおかげで事務所も俺も儲かってるからな、全然大丈夫だよ」
だとしても、流石にそんなに落ち着ける値段じゃないんじゃないかしら...
ギャラの配、プロデューサーさんが私達を大分優遇してくれてるおかげで、事務所の取り分はそんなに高くなかったはずだけど...
500 :
◆FuHrdA/9sY
[saga]:2019/03/31(日) 23:22:23.77 ID:CV0nZ6Sa0
打ち上げから一週間、その日の仕事終わりに私達は重大発表があるとプロデューサーさんに集められていた
フレデリカ「重大発表って、いったい何だろうねー?」
美嘉「なんだろう、時期的に銀河戦神シュウコの事とか?中々好評みたいだし」
奏「いきなりロボットアニメに出ろって言われたたときは驚いたけど、なかなか面白い仕事だったわね」
周子「まあ、あたしは事務仕事してるときに書類見ちゃったから何の報告か知ってるけどねー」
志希「なになにー?あたしにも教えて!」
周子「慌てなくともPさんが教えてくれるよ」
「まあとにかく大きな話って事だけは確かかな〜...おっPさん来た」
P「よし、みんな集まってるな。すでに伝えてる通り今から重大発表を行う」
「...時にお前ら、海外旅行に興味はあるか?」
奏「海外旅行?話が見えないのだけど」
志希「もう、もったいぶらずに早く教えて教えてー?」
P「...iDOL MOVIE BIGBANGって知ってるか?」
...!?
それって!?
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