【モバマス】LiPPS「虹光の花束」

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622 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:46:08.01 ID:Bt4dMeta0
美嘉「やばいって、もう完っ全にヤバいって!」

奏「落ち着いて美嘉、焦り過ぎて語彙力が無くなってるわよ」

周子「大丈夫だよ美嘉ちゃん。あたしだって大学行ってないけど何とかなってるし!」

P「いや、お前は大分特殊な例だからな...?」

 「まあ実際、ちょっとでも行く気があるなら大学はちゃんと行っといたほうがいいぞ。後から行っといてよかったってちゃんと思えるから」

周子「経験者は語るってやつ?」

P「そんなところだ。将来の選択肢が増えるって意味でも、単純な経験としても、行っておくに越したことはない」
623 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:46:46.76 ID:Bt4dMeta0
奏「私も来年には通る道だし、他人事じゃないのよね...」

周子「ふーん...まっ、あたしは今さら行く気はないかな。やりたいことは、ちゃんと見つかってるし」

美嘉「あたしは...やっぱり大学行っとかなきゃって思う...将来の事もそうだし、これじゃあたしのイメージ丸つぶれだし!」

P「ギャル路線ならむしろいいんじゃねえのか?『ビリギャル』とか前にあったろ」

美嘉「あたしの路線は『カリスマギャル』でしょ!学業もシャキッとしなきゃダメ!」

  「ていうかそれ最後は東大行く話じゃん!全然頭いいでしょ!」
624 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:48:21.83 ID:Bt4dMeta0
志希フレ「「ただいまー!」」

奏「あら、お帰り二人とも」

フレデリカ「あれれー?美嘉ちゃんどうしたの?顔怖いよー?」

周子「なんか模試の結果が悪かったらしいんよ」

志希「模試―?...あー、そういやセンター来月だっけ?興味ないから忘れてたー」

奏「志希....あなたも高3なんだからちょっとは興味持っておきなさいよ...」

志希「いやー志希ちゃん今更こっちの大学に興味ないし、べつにいいかなって」

周子「まあアメリカの大学と比べちゃあね...」




確かに、MITなんて行ってたんだから今更日本の大学に行く気なんか起きないよね

....待てよ?
625 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:49:22.69 ID:Bt4dMeta0
美嘉「そうだ!志希ちゃん勉強教えてくれない!?特に化学!もうあたし化学の教科書燃やしたいくらいに苦手なの!」

P「その気持ちすげぇ分かる」

志希「いいけど、あたし教えるのは凄いヘタだよ?」

周子「いっぺんやってみたら?志希ちゃん化学は得意分野でしょ」

フレデリカ「志希ちゃん頑張れー!」

志希「うーん...まあやってみるよ。それで美嘉ちゃん、どのあたり教えてほしいの?」

美嘉「えーと、この辺の化学式なんだけど」

志希「あーこれはね....」





30分後




志希「ていう事なんだ...ってアレ?」



美嘉「」チーン


せ、説明が詳細過ぎて、逆に複雑で分からない.......
626 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:51:03.71 ID:Bt4dMeta0
奏「あの...途中から全く分からなかったのだけど」

周子「Pさんとかもう寝てるよ」

P「Zzz......ん、終わったか?」

フレデリカ「ワーオ!志希ちゃんラリホー使えたんだね!」

志希「あー...やっぱりね。あたしパッと見て答えは浮かぶんだけど、それを言葉にして伝えるってのがなんか苦手でさー。多分ほかの教科でも一緒だよ」

  「だからあたしは教師役には向いてないかなー...ごめんね?」

美嘉「ううん、ありがとう志希ちゃん」

志希「でもこの模試の結果ならもっと志望校のランク落とせば合格できるんじゃない?赤点って程のレベルではないし」

P「確かに、最近勉強する暇ほとんどなかったはずなのにここまでは取れてるんだろ?そこまで悲観することではないと思うが」

美嘉「まあ大学に行くだけならそれでもいいんだけどさ....」



そうすれば、確かに大学に行くって『目的』だけは果たせる
けど...
627 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:52:47.16 ID:Bt4dMeta0
美嘉「あたし、この大学のこの科で、どうしても学びたいことがあるの。だからどうしてもここがいい」

   「それに、そうやって妥協する道を選ぶのはあたし嫌なんだ。あたしはいつだって自分に誇れるあたしでいたいから、何事も手を抜きたくないの」

フレデリカ「美嘉ちゃん...なんかカッコイイね!」

奏「ねぇプロデューサーさん、なにか一つくらい教えてあげれる教科無いの?」

P「強いて言えば英語は....ギリギリ平均点足りないくらいだった」

周子「いや足りてないんかい」
628 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:53:24.07 ID:Bt4dMeta0
P「うっせ、そう言う周子はどうなんだよ」

周子「あー...ぼちぼちだったけど、もう忘れてるかなー」

   「それに美嘉ちゃんの高校とあたしの学校じゃ偏差値が雲泥の差だし、そもそものレベルがね...寧ろあたしの方が教えてもらうことになりそう」

フレデリカ「美嘉ちゃんの学校、頭いいもんね♪」

志希「フレちゃんはどう?高校の勉強思い出せる?」

フレデリカ「補修常習犯だったことは覚えてるよー♪」

美嘉「つまりフレちゃんもダメって事か....」




フレデリカ「あっ!フレデリ学なら満点だよ♪」

P「俺も音楽ならいけるぞ!」

奏「どっちも大学受験には必要ないでしょ....」
629 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:55:07.49 ID:Bt4dMeta0
周子「...そうだ!青木さんならどうかな?」

美嘉「!!」


確かに、いつも大人っぽい雰囲気のあの人なら望みはあるかも!


P「何言ってんだ、あの人脳筋だからトレーニング以外の事はてんでダメだぞ。鉛筆転がしてテスト突破してたらしいし」

美嘉「秒で望みが断たれた!」

P「いやぁ、ゴリラが人の学問を理解できるわけないだろ?」

ベテトレ「誰がゴリラだって?」


P「えっ?......」
  「ヒィッ!!いつの間に!?」

ベテトレ「P」

P「あの、お情けを...」





ベテトレ「有罪(ギルティ)」

P「あっ、やめっ、アッーーーーーー!!!」
630 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:56:13.58 ID:Bt4dMeta0
Pだったもの「」チーン

ベテトレ「まったく......」

周子「ていうかベテトレさん、今日は休みじゃなったっけ?」

ベテトレ「そのつもりだったんだが、そろそろ城ケ崎が受験期だったことを思い出してな。だから、城ケ崎の力になってくれる助っ人を連れてきた」

美嘉「ホント!?トレーナーさん、折角休みだったのにわざわざありがとう!」

ベテトレ「気にするな、こういう事は学生アイドルにはよくあることだからな」

奏「それで、その助っ人っていうのは?」



ベテトレ「ああ、入って来い早苗!」

P「....今誰呼んだ!?」
631 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 21:59:21.78 ID:Bt4dMeta0
トレーナーさんの合図とともに、ドアがゆっくり....ではなくかなり大きな音を立てて勢いよく開いた


早苗「やっほー!811プロの諸君!」

  「あたし片桐早苗!警察官やってます!よろしくね♪」


ドアの向こうに立っていたのは、ものすっごいスタイルの良いセクシーお姉さん、片桐早苗さん
後にあたしの家庭教師になる人だった
632 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:00:14.24 ID:Bt4dMeta0
P「片桐さん!?」

早苗「おーすP君久しぶりっ!最近頑張ってるみたいじゃない!」

P「あ、ありがとうございます...じゃなくて、何でいるんですか!?」

ベテトレ「私が城ケ崎の家庭教師をしてもらうために呼んだんだ」

P「美嘉の受験をサポート......えっ、片桐さんが?」

早苗「何よ、なんか文句あんの?」

P「いや...片桐さんって頭良かったんですか?」

早苗「あのねぇ、一応警察官なれてるんだからそれなりに良いに決まってるでしょ。こう見えても地元の高校じゃ特進クラスだったのよ?」

美嘉「特進!?」

P「ま、まじかよ...」
633 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:01:54.39 ID:Bt4dMeta0
奏「というか、片桐さんはプロデューサーさんの知り合いなの?」

P「俺と青木さんの共通の知り合いだよ」

早苗「後、ちひろちゃんもね♪」

周子「そういや、前に警察官の知り合いがいるみたいなこと言ってたね」

美嘉「警察官の知り合いがいるって、プロデューサー何か悪いことしたの?」

フレデリカ「校舎裏でタバコ吸ったり―?それとも学校のガラス割って回ったりー?」

志希「もしかして...怪しい薬でトリップしてたりー♪ハイスクール通ってた時クラスメートがそれで捕まってたなぁ」

P「何もしてないしタバコはむしろ嫌いだ。てか志希のそれはマジで犯罪じゃねえか」
 
  「...まあ、色々あったんだよ」

早苗「そうねぇ、『色々』あったわねえ」





....『色々』?





P「.....とにかく!協力してくれるなら有り難い!どうか美嘉の事、よろしく頼みます。」

美嘉「お願いします片桐さん!!」

早苗「オッケー!お姉さんに任せなさい!」
634 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:02:48.60 ID:Bt4dMeta0
早苗「んじゃ早速...といきたいところなんだけど、その前にもう一つ話しとかなきゃいけないわよね聖ちゃん?」

ベテトレ「ああ...P、今週の『週刊スクープ』を読んだか?」

P「まだです、そういや今日発売でしたね」

奏「週刊スクープ?プロデューサーさんああいう雑誌も読むのね」

P「まあ業界の情勢とか知っとかなきゃいけないからな、芸能関係の記事が載ってる雑誌は一通り読んでるよ」

周子「あたしも一応事務員としての仕事もあるし、Pさんの買ってきたのを読んでるんだ」

   「でも...週刊スクープってゴシップ中心の雑誌じゃなかったっけ?あの雑誌がどうかしたん?」


ゴシップ雑誌って....まさか!?


美嘉「もしかして...何か811プロの悪い噂書かれてたりとか!?」

ベテトレ「いや、そう言うわけでは無いのだが...」

美嘉「あれっ、じゃあ何で?」
635 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:03:25.85 ID:Bt4dMeta0
ベテトレ「見てもらった方が早い...これだ、この記事」




 

 『369プロ、賄賂の実態!!』

 『WESTプロのあのアイドルに熱愛報道!?』

 『456プロの人気アイドル、不正だらけだった!?』








奏「......ほとんどのページが、アイドルとか芸能事務所の不祥事の記事ね」
636 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:04:22.90 ID:Bt4dMeta0
志希「でも、ゴシップ雑誌ならこれが普通なんじゃない?」

周子「いや、いくらなんでも記事がアイドル関連に偏り過ぎだよ。いつもならもっと政治家とか芸人とかの記事も多いもん」

   「それに、ゴシップ中心なだけで専門ではないからね。普通のニュース記事だってちらほらあるはずなのに....今回はそれがマジで一つもない」

フレデリカ「369プロにWESTプロ、それに456プロかー.....どっかで聞いたような気がするなー?」

美嘉「そりゃあ何処も有名な事務所だし、聞いたことくらいはあるでしょ」

フレデリカ「うーん、そうかなぁ....?」









P「...全部、iDOL MOVIE BIGBANGに参加した事務所だ」

全員『!!』
637 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:05:40.59 ID:Bt4dMeta0
ベテトレ「その通り。だが参加した全部の事務所が取り上げられている訳じゃないようで、この3つの事務所以外に関する記事はなかった」

     「だから確実にiDOL MOVIE BIGBANGへの参加が理由で狙っているとまでは言えないが...」

早苗「一応、用心した方がいいわね。最近カメラ持ってうろつく不審者が多いって話も聞くし」

奏「そうね...私達も隙を見せないように気を付けましょう」

  「それにしても、自分と関係ないものでもやっぱりこういう人を貶める記事は、あんまり見てて気分いいものではないわね...」

周子「綺麗なことばっかの業界じゃないって、分かっちゃいるんだけどね....やっぱこういうの書くやつはちょっとムカつくかな」






志希「........」

フレデリカ「志希ちゃん、これって」

美嘉「どうしたのフレちゃん?」

フレデリカ「んー、この雑誌ってどこの出版社が出してるのかなーって見てたんだけど」

奏「えーっと......『阿苦都苦出版』って書いてあるわね。これがどうかしたの?」





フレデリカ「アタシ達、あのパーティーでこの出版社の人と会ったんだ」
638 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:08:18.32 ID:Bt4dMeta0
全員『!?』

P「何だと!?」


志希「うん、確かここに...あった」


志希ちゃんのポケットから一枚の名刺が取りだされた


志希「これ、パーティーであたしがぶつかっちゃった男の人が落としていったんだ」

奏「....確かに、阿苦都苦出版って書いてあるわね」

P「阿苦都苦出版っつったら業界じゃ悪印象しかない出版社だ。そんな出版社がどうやってあの会場に入った?警備員もちゃんといたし、まず門前払いされるはず...」

フレデリカ「んー...わりと堂々と歩いてたよー?」

周子「んなアホな!だってあのパーティーはホントに沢山業界の偉い人達が集まってたんだよ?そんな場所をゴシップ雑誌の記者が堂々と歩けるわけが....」









志希「....そうだ!思い出した!」
639 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:09:30.74 ID:Bt4dMeta0
志希「....そうだ!思い出した!」

美嘉「思い出したって?」

志希「あの時ぶつかった人、どっかで嗅いだ覚えのある匂いだと思ってたんだけど、やっと思い出した!」
   「あたしとフレちゃんの初仕事の時だ!」


フレデリカ「!」

P「もしかして、あの時の偽見張りか!?」

志希「そうだよ、あの人と匂いが同じだった!」

美嘉「その見張りって、確か志希ちゃんとフレちゃんの仕事中に悪い人送り込んで邪魔しようとしたってやつ?」

志希「うん、思い出してみれば背格好とかもよく似てた。ずっと前の事だし、すぐに興味失くしたから忘れちゃってたけど...」
640 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:11:04.02 ID:Bt4dMeta0
フレデリカ「あの人、阿苦都苦出版の人だったんだねー。でも、だったらなんであの時はテレビ局でスタッフやってたんだろー?」

周子「それにさー、なんであの時阿苦都苦出版は、まだデビュー前で世に出てなかった志希ちゃんとフレちゃんを狙ったん?」

   「仮にネタが欲しくて自作自演で撮影を失敗させても、デビュー前の新人の失敗なんて大したスクープにならないよね?」

P「....分からない、だがさっきの名刺のおかげで、いくつかはっきりしたことがある」

  「今回被害にあった事務所は、間違いなくiDOL MOVIE BIGBANGへ参加したことがきっかけで阿苦都苦出版に狙われた」

  「そして....今回は無事だったが、一度狙われたことがある以上ウチも今後狙われる可能性が高い」

奏「今まで以上に警戒しろって事ね...」

P「そういう事だ。とりあえず皆今日はもう予定ないからこれで解散とするが、帰り道には十分気を付けるように」

全員『はーい!』


早苗「美嘉ちゃんはあたしと一緒に試験勉強ね。とりあえず現状の成績を確認しておきたいから通知表とか見せてもらえる?」

美嘉「はい、じゃあ家まで付いてきてもらえますか?」

早苗「分かったわ、あとそんな固い言葉使わなくていいわよ、皆もね」

美嘉「そう?分かったよ早苗さん」
 
P「あと青木さん、休みなのに悪いんですがついでにこれからの予定についてお話できますか?」

ベテトレ「ああ、いいだろう」
641 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:12:24.88 ID:Bt4dMeta0
     〜〜〜〜〜〜事務室〜〜〜〜〜〜〜

ベテトレ「話の前にP、一ついいか?」

P「なんです?」

ベテトレ「...本来入れない場所に阿苦都苦出版が入り込んでいたということは、その場に集まった誰かが協力していたということ....」

     「それはお前も気づいていただろう?なぜ言わなかった」




P「...あの子達に、余計な疑念を持ってほしくないんですよ」

ベテトレ「疑念?」

P「それを口にしてしまえば、あの子達は今回逆に被害を受けなかった事務所に疑念を持つ。その事務所の所属するアイドルとオーディションで戦う時、決して良くない影響を及ぼすでしょう」
 
  「...特に、今回無事だった事務所の中にはあの子達のライバル...トラプリが所属する010プロもあります」
642 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:13:26.15 ID:Bt4dMeta0
ベテトレ「成程な...いや、そういう理由ならいいんだ」

P「どういう理由だと思ったんです?」

ベテトレ「言わなくても心当たりはあるだろう?」

P「..........」

ベテトレ「なあ、P」




     
     


     お前はまだ、自分を許せないのか?
643 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:14:48.70 ID:Bt4dMeta0
P「...今はあの子達の事以外考える余裕はありません。だからもっとまじめな話をしましょうよ」

  「これからどういう風にレッスンを組んでいくか、美嘉の受験もそうですし、スケジュールちゃんとすり合わせとかないと」

ベテトレ「....そうだな」







P......いつかお前を縛るその鎖が、断ち切られることはあるのだろうか?

もし、それが出来る人間がいるとしたら...




ベテトレ(あの子達だけ、だろうな...)
644 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:15:51.84 ID:Bt4dMeta0
早苗「んじゃあたし達は先に帰るわ、皆またねー♪」

美嘉「またねーっ★」

周子「お疲れー」

フレデリカ「お勉強頑張ってねー♪」


軽い挨拶を交わし、美嘉と早苗さんが去っていった



さて...と

私達は私達でできることをしないとね
645 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:17:22.45 ID:Bt4dMeta0
奏「皆、これから少し時間ある?」

周子「まあ、今日は皆もう仕事終わったから大丈夫だけど...さっきの記事の事?」

奏「それもあるけど、その前に美嘉の合格祈願に近くの神社へお参りに行って置きたいなと思って」

  「ほら、やっぱり美嘉の為にできる限りの事はしてあげたいじゃない?」

志希「さんせー!」

奏「あと、その後はやっぱり阿苦都苦出版の事について、皆で対策を練っておきたいわね」

  「美嘉が受験に集中できるよう、降りかかる火の粉は私達が払えるようにしておきましょう」

周子「そうやねー、同じアイドル仲間としても、811プロの看板事務員としても、できる限りのサポートはしておきたいな」

フレデリカ「皆でおしゃべりするのー?じゃあお参り行ったらまた前みたいにしゅーこちゃんの家で鍋パしようよ!」

周子「おっ、いいねぇ。じゃあまた材料買って帰ろっか」






志希「鍋パ?そんなのした事あったっけ?」

奏「前に貴方がプロデューサーさんと一緒にトレーナーさんの説教を受けてる間にやったのよ」

志希「トレーナーさん、説教...うー...思い出そうとすると頭が...」

周子「あの時の事、よっぽどトラウマになっちゃったんやなぁ....」
646 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:18:31.45 ID:Bt4dMeta0
   =========城ケ崎家============


美嘉「ただいまー!」

莉嘉「お姉ちゃんおかえりー!...って、そっちのお姉ちゃんは?」

早苗「どうも!今日から美嘉ちゃんの家庭教師になった片桐早苗よ」

莉嘉「早苗ちゃん...あー!この前学校に交通安全講座しにきてたお姉さん!」

美嘉「あれ?莉嘉知ってたんだ」

早苗「あの学校の生徒さんだったのね。覚えててくれてありがとー!」

莉嘉「お姉さんの講座面白かったよ!ああいう講座っていつもつまんないって思ってたからびっくりしちゃった!」
   「あっ、あたし城ケ崎莉嘉!お姉ちゃんの妹やってます!」

早苗「莉嘉ちゃんね、よろしく!」

美嘉「早苗さん、そろそろ...」

早苗「そうね。じゃあ莉嘉ちゃん、お姉ちゃんの事応援してあげてね!」

莉嘉「うん!二人とも頑張ってね」
647 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:19:54.97 ID:Bt4dMeta0
  ===========美嘉の部屋============

えーっと、確かこの辺に...あった!

美嘉「はい早苗さん、通知表」

早苗「拝見させてもらうわね、どれどれ.....」


.....なんかやたら真剣な顔で眺めてる.........
もしかして、やばい...?

美嘉「えっと...どう....?」

早苗「美嘉ちゃん」







早苗「思ったより全然いいじゃない!」
648 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:21:40.41 ID:Bt4dMeta0
美嘉「えっ!?あ、ありがとう?」

早苗「いやー、あのPくんや聖ちゃんが頼んでくるぐらいだからもっと酷い成績なのかと思ったわよ!」



プロデューサーさんにトレーナーさん、一体どんな成績だったのさ....?



早苗「一年次と二年次の成績もかなり良かったみたいだし、期末試験の結果次第では推薦も全然狙えるかも!」

美嘉「ホント!?良かった...」

早苗「でも」

美嘉「?」

早苗「それは志望校が今の場所じゃなければの話、ここを狙ううんだったら正直かなり覚悟を決めないといけないわね」






早苗「でも、不可能じゃない」

美嘉「!!」
649 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:22:36.40 ID:Bt4dMeta0
早苗「幸いこの大学の推薦受験日は他の大学より遅めで12月頭。美嘉ちゃん地頭はかなりいいみたいだし、ここから一緒にスパートかけていけば決して届かない目標じゃないわ」

美嘉「そっか...」
   「ならあたし、頑張るから!よろしくお願いします!」

早苗「もちろん!絶対合格してやりましょ!!」
650 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:23:19.38 ID:Bt4dMeta0
近くの神社でお参りをした後、私達はスーパーでお鍋の材料を買って周子のアパートへと向かっていた

志希「しゅーこちゃんのお家行くのも久々―❤」

周子「前はたこ焼きパーティだったっけ?志希ちゃんとフレちゃんがBランクに上がったときの」

フレデリカ「そうそう!あの時は面白かったねー。志希ちゃんがタバスコ入れたたこ焼きを奏ちゃんが食べちゃって、ファイヤー!だったもんね♪」

周子「それで焦った美嘉ちゃんがお水渡そうとして掴んだものがまた志希ちゃんのタバスコで...ダメだ、思い出すだけで笑えてくるっ....」

奏「あの時はホントに死んだかと思ったわよ...志希、今日はタバスコ使わないでよ?」

志希「んー、それは志希ちゃんの気分次第かなー」

奏「全くもう...」
651 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:24:23.66 ID:Bt4dMeta0
そんな感じで、前回のホームパーティの事を思い出しながら、私達は周子の住むアパートのすぐそこまで歩いてきた



その時



奏「ッ!?」

周子「?どしたん奏ちゃん?」

奏「なんか、妙な視線を感じるわ」

フレデリカ「ホントに?」

志希「ハスハス....ホントだ、なんか嫌な匂いするね」
652 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:25:08.19 ID:Bt4dMeta0
私は後ろを振り返り、視線を感じた方へと目を光らせる
ここで隠れられそうな場所は...



奏「...そこの塀の裏ね!出て来なさい!」

怪しい男「チッ!」スタコラサッサー!

周子「あっ、逃げた!」

フレデリカ「すっごーい、もう見えなくなっちゃったね」


奏「さっきの男、ちらっとカメラを首から下げてたのが見えたわ」

周子「てことは、やっぱりあたし達も狙われてるって事か...」

奏「ここ、プロデューサーさんも住んでるんでしょ?報告した方がいいんじゃない?」

周子「せやね、今から電話で報告してみるよ」
653 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:27:02.27 ID:Bt4dMeta0
P『成程...確かにアパートで俺と周子が鉢合うとことかをすっぱ抜かれるとマズイな......』

  『ほとぼりが冷めるまでしばらく俺は事務所で寝泊まりするよ。報告ありがとな、以後も警戒を怠らないように』

周子「分かった、また何かあったら報告するね。バイバーイ」


フレデリカ「どうだった?」

周子「Pさんはしばらく事務所で寝泊まりするって」

志希「事務所、何気に住み心地いもんね。仮眠室のベッドも結構ふかふかだし」

奏「そういえば志希、偶に研究室に籠って帰らない時あるわね」

志希「そうそう、実験のキリがつかないと段々家に帰るのめんどくさくなってきてさー」

フレデリカ「じゃあ今度、事務所でパジャマパーティーしようよ!志希ちゃんの実験室で!」

志希「おっ、志希ちゃんラボにキョーミあるー?いいねいいねー♪」

奏「実験台にされたりしそうね...」
654 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:27:54.34 ID:Bt4dMeta0
周子「はいはいみんな、外で話し込むのもなんだしとりあえず上がって上がって!」

フレデリカ「はーい!お邪魔しまーす♪」

志希「お邪魔しまーす♪」

奏「ふふっ、じゃあ私は買ってきた野菜切っておくわね」

周子「おっけー、じゃあみんな、お鍋の準備するよー」

志希フレ奏「はーい!」






お鍋が煮えてきたことを確認すると、皆で席に付きそれぞれよそい始めた


周子「じゃあお鍋も煮えてきたところで第....何回だっけ?811プロ会議を始めるよー」

志希「いえーい!」

フレデリカ「どんどんぱふぱふー♪」

奏「そもそも数えるほどやった覚えないんだけど...」
655 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:28:57.93 ID:Bt4dMeta0
周子「というわけで議長の速水奏さん、今日の議題をどうぞ!」

奏「私?まあいいけど....」

 「今日の議題は阿苦都苦出版の対策についてよ。さっきもそれらしき人間に狙われていたみたいだし、早急な対策を用意すべきと考えるわ」

フレデリカ「異議なし!」

志希「同じく!邪魔をされたって借りもあるし、ただただ怯えてるわけにもいかないよね」

周子「それに、このままだとPさんが家に帰れないしね」

奏「あんなのにうろうろされて美嘉の受験に影響が出ても困るわ。それだけは何としても止めないといけない」
656 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:29:47.00 ID:Bt4dMeta0
フレデリカ「んー、でもどうすればいいんだろ?」

周子「手掛かりは名刺だけか...この名刺落とした人に会いに行ってみる?」

志希「アイドルがゴシップ記者に会いに行ったら袋叩きになるだけじゃない?」

周子「だよねぇ...」

奏「...手掛かりというか、ひとつ分かったことがあるわ」

フレデリカ「それって?」

奏「あのパーティー会場は関係者以外は入れなかったはず、そんな場所に阿苦都苦出版は堂々と入り込めていたのよ?」

  「まず間違いなく、パーティーの参加者の中に協力者がいる...おそらく、今週の週刊スクープによる被害を受けなかった芸能事務所からね」
657 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:31:09.72 ID:Bt4dMeta0
周子「映画会社の関係者って可能性は?」

奏「否定はしきれないけど、利害のことを考えると芸能事務所の方が可能性が高いと思うわ」

志希「まあ、芸能事務所が潰れて喜ぶのは映画会社よりも同業者、ライバル企業だよね。あたしもその可能性の方が高いと思うな」

奏「そしてきっとPさんやトレーナーさんもそれには気づいてるはず...でも、私たちに余計な心配をさせないためにわざと言わなかったんだと思う」

フレデリカ「むー.....あたし達のことを心配してくれるのはいいけど、もっとプロデューサーはあたし達を信じてくれてもいいと思うな!」

周子「まあまあ、確かにそんなこと言われたら、オーディションであの企画の参加事務所とかちあった時に相手疑っちゃうかもしれへんし、Pさんを責められないよ」
658 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:35:16.24 ID:Bt4dMeta0
志希「まっ、嫌な気持ちもってオーディションしたくはないよね」

奏「でも....他の事務所からしたら、811プロも容疑者なのよね」

周子「そっか、一応あたし達も今回被害を受けてない事務所だから」

志希「実際は一度受けてるわけだけど、記事になってるわけじゃないからねー」

奏「組織は大きいほど力の代わりに綻びも増える物。でも811プロは一般的な芸能事務所と比べて格段に人が少ない、だからこそ逆に隙が少なくて向こうも手を出しづらいのかもしれないわ」

周子「だから志希ちゃんとフレちゃんの時もわざわざ無理やり自作自演を...あれっ?でもあの時はまだiDOL MOVIE BIGBANGとか全然関係ないよね?」
   
   「じゃあ、結局なんで阿苦都苦出版は、あそこまでして二人のデビューを邪魔したんやろ?」
659 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:36:46.25 ID:Bt4dMeta0
奏「...それについて、二つ考えられる理由があるわ」

志希「一つは『あたし達じゃなくてテレビ局か番組スタッフが狙われていた』でしょ?あたしも当時それは考えた」

奏「志希の言う通り一つはそれよ。でも...私はもう一つの方の可能性が高いと思うわ。根拠は"女の勘"ってことになってしまうけれど」

周子「んで、そのもう一つの可能性ってのは?やっぱ最初から志希ちゃんとフレちゃんが狙われてたって事?」

奏「いえ、少し違うわ」






奏「狙われていたのは志希とフレデリカ個人ではなく、811プロそのものという可能性よ」
660 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:42:17.76 ID:Bt4dMeta0
周子「811プロ、そのもの?」

奏「考えてみて。まずそもそも、あの時まだ世に出てなかった志希とフレデリカには狙われる理由が薄い。大して話題にできるようなネタにならないから」

  「あのテレビ局自体を狙ったとしても、小さいローカル番組での不祥事ではそこまでのネタにはならない。番組スタッフの誰かが狙われたって言うのも、同じく話題性の面からして考えづらい。
    
  「だとすると、一番考えられるのは811プロそのものを狙ったという可能性よ。理由までは分からないけど、犯人はどうしても811プロを早いうちに潰したかったんだと思う」

周子「なるほど....」




志希「でもさー、それなら最初から話題になってたデュアルフルムーンを狙った方が早くない?」

奏&周子「「あ」」
661 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:43:29.72 ID:Bt4dMeta0
それは...そうね
話題性という理由ならあの時なら私や周子を狙った方が早いわね...


志希「それに、あの時はまだ奏ちゃんと周子ちゃんもEランクで、フレちゃんはFランク、あたしに至っては収録直前にスカウトされたド新人だよ?」

  「そんな弱小プロダクションだった811プロをわざわざ潰しにかかるのはリスクに見合ってなくない?阿苦都苦出版にとってもライバル企業にとってもさ」

奏「た、確かに...」

周子「じゃあ、やっぱりテレビ局が狙われてたのかな?」

志希「うーん、それはそれでやっぱりなんか不自然だと思うんだよねー...」

奏&周子「「うーん...」」



なんだろう、この前に進んでるようで全くその場から動いてる気がしない感覚、すごく不気味....

なにか、もっと別の考えを.....









フレデリカ「皆食らえー!究極オランジェーット!」ボチャン!

奏「....えっ!?」
662 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:44:46.12 ID:Bt4dMeta0
周子「ちょ、ちょっとフレちゃん!今鍋に何入れたの!?」

志希「一瞬オレンジ色のなにかが見えたね」


フレデリカ「皆顔が暗すぎだよー!もっと笑って笑って!」

奏「....そんなに暗い顔してたかしら?」

フレデリカ「そうだよー!アイドルがしちゃいけない顔だったよー!そんな顔してたらファンの人も、それに美嘉ちゃんも一緒に暗い気分になっちゃうよ!」

      「雑誌の意地悪なんて、皆の笑顔で吹き飛ばしちゃえばいいんだよ♪プロデューサーもいつも言ってるじゃん、逆境の時こそアイドルを全力で楽しめって!」

 『!!!』

フレデリカ「あたし達アイドルなんだからさ、あたし達を応援してくれるファンの皆の為にも、美嘉ちゃんを応援する為にも!」

      「そして、ゴシップでいじめられちゃった人達を励ます為にも、あたし達が笑顔で楽しんでアイドルやって、皆をハッピーにしようよ!」
663 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:46:05.26 ID:Bt4dMeta0
志希「...そうだね!あたしうっかりしてたよ、折角パパにもママにもあたしの楽し無姿を見せるって誓ったばっかりなのにさ!」

周子「うんうん!暗い顔で悩むなんて、あたし達らしくなかったわ♪」

奏「ふふっ、ありがとうフレデリカ」

  「811プロの社訓、『全力で楽しめ』...私達、大事なことを見失うところだったわ」

フレデリカ「えっへん!じゃあみんなでさっき入れたあたしのオランジェット食べて笑顔になろ―♪」

全員「おー!」


フレデリカの投入したオランジェットはオレンジの酸味とポン酢の酸味、それに出汁のコクが絶妙なコンビネーションを見せて

見せて....

もの凄く....








 
全員(もの凄く、マズい......)



フランス菓子は、和風出汁のお鍋に入れてはいけないと、思い知った...
664 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:47:39.52 ID:Bt4dMeta0
   〜〜〜翌日〜〜〜


ピピピピピピピ!!!!



周子「ん...もう朝か、おはよー...」


目覚ましを止め、布団から這い出る


周子「んー...目が覚めない、とりあえずお天道様を拝もう...」


日光で身体を無理やり起こそうと何気なくカーテンを開ける


周子「......!?」


....しかし、身体は日光によって温められることはなく、むしろ凍り付いた
665 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:49:42.04 ID:Bt4dMeta0
周子「あの人...」


アパートの外、昨日奏ちゃんが見破った場所に、カメラを持った怪しい男を見つけた

...とりあえず連絡しよう


周子「ぴ、ぽ、ぱ、ぽ、ぱっと」トゥルルルルルル....

P『.....もしもし、周子か?』

周子「うん、おはようPさん」

P『ああ、おはよう...なんかあったのか?』

周子「あのね、またアパートの前にあからさまに怪しい奴がいる」

P『なんだと?昨日の今日でまた来たのか......こりゃ完全に狙われてるな』

周子「みたいだねー、あたし普通に出勤しても大丈夫かな?」

P『いや、怪しい奴がいるって分かってて一人で出勤はさせたくないな...奏と美嘉は学校だしレイジレイジ―はこれから仕事先いかなきゃならないから...青木さんに迎えに行ってもらうからそのまま二人で現場に向かってくれ』

周子「分かった、待ってる」






人気になればこういう事もあるって分かっちゃいたけど
流石にこれは、ちょっと気分が悪すぎるなぁ...
666 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:51:57.90 ID:Bt4dMeta0
=======レイジーレイジーの撮影現場=======

志希「みんなー、今日はよろしくねー♪」

フレデリカ「よろしくしるぶぷれー♪」

イケメン俳優「よろしくお願いします。レイジレイジ―のお二方」

人気芸人「おう、よろしくな二人とも」





今日はレイジレイジ―の二人があるイケメン俳優と今流行りの人気芸人と一緒に街の名所を訪問するバラエティ番組の収録

そして、今は収録前に共演者への挨拶中


ああ、人気アイドルと俳優に人気芸人、いい並びだ

本当に、いい画が取れそうだねぇ♪

決定的瞬間を激写する為に、俺はしっかりとカメラを構える....







P「あのー」

???「!?」
667 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:53:08.94 ID:Bt4dMeta0
P「如何しましたか?これからここで番組の収録が行われるので用がないならはけてもらいたいのですが」

スタッフ?「あ、えっと、俺番組スタッフです」

P「...では、番組スタッフの証明である腕章は?」

スタッフ?「えっ?...あーえっと、さっきどっかで落としちゃったみたいで」

P「そうですか....それは妙ですね」

スタッフ?「えっ?」

P「番組スタッフの腕章なんてものありませんよ、存在しないものをどうやって失くしたんです?」

スタッフ?「えーっと...それは...」




...ちくしょう!ハメられた!
668 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:53:36.00 ID:Bt4dMeta0
ディレクター(以下D)「どうしたんだいプロデューサー君?」

スタッフ一同 ナンダナンダ?

P「どうやら、ネズミが潜り込んでいたみたいですね」

D「...なるほど、君が言っていたゴシップ記者か」

スタッフ?「あ、いやぁ...」

D「誰かこの男をスタッフルームに連れていきなさい」

ガタイのいいスタッフ1「アイアイサー!」

ガタイのいいスタッフ2「おらっ、向こうでお話ししようじゃねえか」

スタッフ?「クソッ!放せ!」






チクショーーーーーーー!!!!!!
669 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:55:08.22 ID:Bt4dMeta0
志希「終わった?」

P「ああ、一応今日は仕事付いてきて正解だったな」

フレデリカ「プロデューサー、ありがとね♪」

P「ああ、だがやっぱ俺たちは阿苦都苦出版に狙われているらしい...」トゥルルルルルル

  「青木さんだ...もしもし?」

ベテトレ『P、そっちはどうだった?』

P「やっぱり潜り込んでました、警戒しといて正解でしたね」

ベテトレ『そうか...実は、こっちにも許可されていない記者が紛れ込んでいた』

P「周子の仕事先にも?アパートに張り込んでたくせに仕事先まで張り付いてやがったのか、いくらなんでもしつこ過ぎるぞ阿苦都苦出版!」


ベテトレ『いや...それなんだが』

P「えっ、何か問題が?」
670 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:55:58.68 ID:Bt4dMeta0
D「プロデューサー君!大変だよ!あの偽スタッフ、阿苦都苦出版ではなかった!」

  「あの記者、須藤華出版の記者だ!」

P「何ですって!?」

ベテトレ『P、実はこっち出捕まえた記者も阿苦都苦出版ではない、極亜久出版の人間だ』

P「極亜久出版に、須藤華出版...!?」.

志希「どっちもあんまり面白い話聞かないけど...阿苦都苦出版じゃ、ない?」

フレデリカ「アタシ達を狙ってたのって、阿苦都苦出版じゃなかったの?」






P「...めちゃくちゃ、嫌な予感がする...」
671 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:57:12.41 ID:Bt4dMeta0
授業が終わって、校門から出ると早苗さんがあたしを待ってくれていた


美嘉「あっ、早苗さん!」

早苗「お疲れ美嘉ちゃん、これから仕事でしょ?」

美嘉「そうだけど...早苗さんは?」

早苗「しばらく有給取ってね、美嘉ちゃんに着いて回ろうかなって。ほら、移動中にも英単語とか公式とかくらいは詰め込めるでしょ?」

   「もしかして...おせっかい過ぎかしら?」

美嘉「全然!むしろ助かるよ、ありがとう!」

早苗「なら良かった!んじゃ向こうに車停めてあるから仕事先まで送っていくわ」

   「...それに、最近811プロの周りに怪しい奴がうろついてるみたいだし、一人でいるのは危険だしね。次いでにボディーガードも任せて!」

美嘉「早苗さん...ホントにありがとう!じゃあ早速現場に...」




???「おい、城ケ崎」

美嘉「!!」
672 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 22:59:51.17 ID:Bt4dMeta0
美嘉「先生!?」

早苗「先生?担任の?」

美嘉「うん、そうだけど....」


担任「城ケ崎、お前分かってるのか?もう受験まで時間がないんだぞ?」

美嘉「それは、わかってるよ!」
  
担任「本当か?だがお前の最近の成績の低下は目に余る、いい加減あんなくだらないお遊びなんか辞めて、我が校の誇りある生徒としての自覚を...」

早苗「あーはいはいそこまで!これから美嘉ちゃん大事な仕事があるからまた今度にしてちょうだい」

担任「だ、誰だ貴様は!」

早苗「美嘉ちゃんの家庭教師兼ボディーガードよ」

担任「フンッ!家庭教師なんぞが偉そうに!」

早苗「...言っとくけど、アイドルはくだらないお遊びなんかじゃないから」

担任「なに?」

早苗「外から見たらキラキラしてる世界でも、その裏では血と汗の滲む努力が積み重なってできてんのよ」

   「そして、時には理不尽な悪意にさらされる事もある...それでもたくさんの人を笑顔にする為に前を向いて戦い続ける、立派なお仕事なの」

   「だから....もしそんなアイドルを下らないなんて言うなら...」

担任「な、なんだ...?」
673 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 23:00:40.59 ID:Bt4dMeta0
早苗「シメる」

担任「ヒッ!!!」

   「....きょ、今日は見逃してやるが、いい加減にしておけよ城ケ崎!」
674 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 23:01:24.27 ID:Bt4dMeta0
早苗「チッ、ムカつくわねあいつ」

美嘉「あの、さっきはありがとう早苗さん」

早苗「いーのいーの!美嘉ちゃんもあんな奴のいうこと気にしなくていいからね」

美嘉「うん...ってヤバッ!ロケ遅刻しちゃう!?」

早苗「マジで!?美嘉ちゃん急ぐわよ!フルスロットルで飛ばして必ず間に合わせるから!」

美嘉「うん!お願い早苗さん!」











カシャッ

???(ニヤリ)
675 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 23:01:58.26 ID:Bt4dMeta0
       =======翌日=======


ピピピピピ

周子「んー...朝だぁ...」


....ダメだ、あんま寝れた気がしない
昨日ずっと外から見られてる気がして中々寝つけなかったからなぁ


周子「もしかして今日も...」カララッ


...良かった、いない
昨日スタッフに紛れてたのがばれたから流石に自重したんかなぁ?
676 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 23:02:43.35 ID:Bt4dMeta0
周子「今日は一人でも大丈夫かな...Pさんだ」トゥルルルル

   「もしもし?」

P『周子!今家か?』

周子「そうだけど、そんなに慌ててどしたん?」

P『いいか、今青木さんがそっちへ向かっているから絶対部屋から出ずに待ってろよ!』

周子「えー、今日は記者いないっぽいし一人でも大丈夫だよ」

P『大丈夫じゃねえことが起きてんだ!いいから一人で出歩くな!』

周子「えっ、何?急にどうしたのさ?」

P『詳しいことは事務所で話す!とにかく青木さんと一緒に事務所へ来てくれ!』

周子「わ、わかった」







Pさんがあんなに慌てるなんて、一体何が...?
677 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 23:04:48.20 ID:Bt4dMeta0
学校に行く前に、コンビニに寄って芸能雑誌を買いにきた

プロデューサーたちだけに負担をかけるわけにはいけないし、私自身もちゃんと今の芸能界の情勢をチェックしておかなければいけない

そんな思いで雑誌コーナーの前で商品を見定めていた





その時、私の目はある雑誌の表紙で止まる


奏「嘘でしょ...?」
678 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 23:05:16.92 ID:Bt4dMeta0
美嘉「な、なにこれ...」

なんで、なんでこんな記事が!?
679 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/03(水) 23:05:59.07 ID:Bt4dMeta0





       【城ケ崎美嘉、芸能界引退!?】





To Be Continued.....
680 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/03(水) 23:09:09.53 ID:Bt4dMeta0
Chapter12が終了したところで、今回はここまで―
最初は1スレで収まるやろwwwwwとタカをくくっていましたが、これ絶対収まらないっすね.....

なおこのスレにおいてのLiPPSの学年は

奏  高2
周子 高卒
フレ 短大2
志希 高3
美嘉 高3となっております

少なくとも美嘉の高3設定は公式だったはず.....

681 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/04(木) 01:48:01.41 ID:kP5BecF60
頑張れ
682 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 21:59:09.73 ID:s50baoB30
すっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっごい今更気づいたんですが、>>1に長編って書くの忘れてますね。そりゃ長いって怒られるわ.....

はい、というわけでこの物語は長編です(今更)Chapter13の投下はじめていきます

>>681 ありがとうございます!完結まで頑張ります!
683 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:06:01.81 ID:s50baoB30
  ======811プロ事務所=======

青木さんの車で事務所に到着するやいなや、Pさんに一冊の雑誌を押し付けられた


周子「これ、須藤華出版の『ストーKINGアイドル』?」


確か、プライバシ―ガン無視の記事も多くてあまり業界には良く思われてない雑誌のはず...



周子「....えっ?」

渡されてすぐ、表紙に書かれた内容に目を止めた





美嘉ちゃんが、引退!?
684 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:06:59.94 ID:s50baoB30
周子「Pさん!これってどういう事!?」

P「とりあえず中身を見てくれ。気分悪くなるだろうけどさ.....」


すぐにあたしは中身を開き記事の内容を確認する...



【城ケ崎美嘉が芸能界を引退するとの情報が!】

【原因は成績の低下!?教師と言い争う姿を激写!】

【芸能活動を理由に学校をズル休み!?】





周子「...なんなんこの記事!?」
685 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:08:49.05 ID:s50baoB30
P「昨日、校舎前で担任教師に成績のことについて苦言を言われていたらしい。学校まで張り付かれてるとは...」

周子「だとしても!ただそれだけのことで引退とか勝手なこと言ってはしゃぎたてるなんて、須藤華出版どんだけ暇なのさ!?」

ベテトレ「それに須藤華だけじゃない、他にも...」バサッ

周子「極亜久出版の『週刊文冬』に阿苦都苦出版の『芸能日報』.....どいつもこいつも美嘉ちゃんの記事ばっかり...!」

P「ああ、複数の雑誌が昨日の美嘉の事を取り上げてる」

周子「酷い...こんなの、ただのリンチじゃんか!」

P「ああ、クッソムカつくぜ...」


ベテトレ「そういうわけだ塩見、悪いが今日のレッスンはキャンセルだ。今日は事務員としての仕事に集中してくれ」

周子「分かった、電話対応とか大変そうだもんね」

P「俺は昨日の事を片桐さんに聞いてみるよ。昨日美嘉を学校まで迎えに行ったらしいからな」

周子「分かった。そっちはお願いね」
686 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:10:47.06 ID:s50baoB30
早苗『ええ、写真は本物で間違いないわ。......ごめん、あたしもいたのに、撮られてた事気づかなかった...』

P「いえ、片桐さんは悪くないです。むしろ美嘉を助けてくれてありがとうございます」

早苗『チクショー!もし犯人見つけたら盗撮の現行犯で逮捕してやるんだから!』

P「ははは...でも、また美嘉に悪意を持った人間が寄り付くかもしれません。しばらくボディーガード、お願いできますか?ちゃんと報酬は出しますんで」

早苗『もちろん!むしろやらせて!』

早苗『報酬なんていらないわ!自分の失態は自分で取り戻したいもの。それに、美嘉ちゃんをもうこんな目に合わせたくないし!』

P「ありがとうございます。では引き続きよろしくお願いしますね?」

早苗『任せなさい!」


早苗『......でもP君、この状況って』

P「はい、『あの時』と似ている........」

早苗『もしかして、今回も?』

P「そうかもしれません......ですが、今は美嘉を守るのが最優先です。詳しく調べるのは後にします」

早苗『そう....ならあたしも警察官として、美嘉ちゃんを全力で守るわ!もうこんなこと絶対にさせないんだから!』
687 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:12:05.76 ID:s50baoB30
P「確認取れた、少なくとも写真については本物らしい」

周子「こっちも美嘉ちゃんに電話して確認取ったよ。担任と言い争いになったのは事実だけど、アイドルはやめないから安心してって」

周子「でも美嘉ちゃん、やっぱり辛そうだった...」

P「だろうな...クソッ!見れば見るほどムカつく記事だぜ

P「................ん?」



怒り心頭のPさんが急に固まったと思うと、Pさんは3つの雑誌の美嘉ちゃんの記事を並べてじっくりと眺め始めた



周子「どしたん?」

P「妙だな...」

周子「妙って.....なにが?」
688 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:13:50.26 ID:s50baoB30
とりあえず大丈夫って言っておいたけど、やっぱり周子ちゃんにはばれちゃってるかな?

モデルの時から長いこと芸能活動やってきてるし、それなりに修羅場も潜ってきてはいるはずだけど、やっぱこういうの堪えるなぁ...





美嘉「...奏ちゃんから電話だ」ピッ

奏『大丈夫美嘉!?』

美嘉「う、うん。大丈夫だよ」

奏『それならいいのだけれど...ごめんなさい、貴方を守れなかった...』

美嘉「そんな、奏は悪くないよ!悪いのはこんな記事書いてる出版社なんだから!」

美嘉「でも、迂闊だった.....あたし達を狙ってるのは阿苦都苦出版だけじゃなかったなんて...」


奏「美嘉、それなんだけど......今日出た美嘉の記事が載ってる雑誌、少しおかしいのよ。まあそもそもデタラメ書いてるんだからおかしくて当たり前ではあるんだけど...」

美嘉「おかしい?」

奏「ええ、さっき3つの雑誌を並べてみたんだけどね....」
689 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:17:21.79 ID:s50baoB30
P「この3つの記事、出版社は違うのに使われてる写真がどれも全く同じだ」

周子「......ホントだ!映ってる物も角度も全部一緒だね」

P「違う雑誌なのに寸分違わず同じ写真だと...?一枚二枚ならまだしも、これだけの数は有り得ない」

周子「これって、出版社の間で写真を共有したって事だよね。でも、普通そんなことする?」

周子「この出版社達って一応商売敵でしょ?折角手に入れたスクープは、やっぱ自分たちで独占したいものなんじゃないの?」

P「そのはずだ。だが現実に起きている...どういう事だ?」
690 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:18:08.55 ID:s50baoB30
美嘉「3つの出版社が、同じ写真を....」

奏「美嘉、気を付けて。理由は分からないけどこの3つの出版社は今、徒党を組んで貴方を貶めようとしている」

奏「もし何かあったら、必ず私達を頼って。私たちは何があっても、貴方たちの味方だから」

美嘉「うん、ありがとう奏。またね★」




美嘉「...はぁ」





なんでこんなことになっちゃったんだろ.....
691 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:20:06.06 ID:s50baoB30
    〜〜〜〜〜放課後〜〜〜〜〜〜


またよからぬことが無いようにと、あたしを家まで送りに来た早苗さんが校門前で待機しているらしい

最近寒くなってきたし、待たせないようにしないと!

そう思ってあさっさと荷物をまとめて教室を出た、その時だった


担任「待て、城ケ崎」

美嘉「...何、先生?」

担任「お前、やっとアイドル引退するらしいな。ようやく現実に目を向けたか」

美嘉「はあ!?あの記事は事実無根だよ!あたしまだ引退する気はないから!」

担任「なんだと...?お前、まだ寝ぼけているのか」

美嘉「寝ぼけてなんてっ!」



担任「だが、事実アイドル活動のせいで成績が落ちているのは事実だろう?」

美嘉「ッ!」
692 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:20:57.98 ID:s50baoB30
担任「これで大学受験に失敗したらどうする?お前だけじゃない、親にも迷惑がかかるぞ」

美嘉「それは...」


そりゃあ...アイドルだって、ずっと続けられる訳じゃないけど....




担任「全く、これだからアイドルというやつは嫌いなんだ。いつもいつも夢を語るばかりで、現実を目を向けようともしない。そしてそれを見て感化された馬鹿が、同じように現実を見なくなる」
  「.....担任として、生徒の成績低下を見過ごすわけにはいかない。後でご両親に連絡しておく、お前の今後の為に三者面談をすると」

美嘉「なっ!?」

担任「そこで、はっきりと現実を突きつけさせてもらう。お前にも、お前の親にも。」

担任「話がスムーズに進むよう、しっかり親と話しておけ。それじゃあな」




美嘉「.......っ」
693 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:22:51.91 ID:s50baoB30
早苗「お疲れー美嘉ちゃん!...なんか暗くない?大丈夫?」

美嘉「大丈夫...」

早苗「...またあの担任になんか言われたのね?」

美嘉「....うん」

早苗「そっか....よし!とりあえずお家帰りましょう。その間、お姉さんに愚痴っちゃいなさい!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  ======早苗の車==========

早苗「成程ねぇ...あいつ、また美嘉ちゃんをバカにして!」

美嘉「でも、言い返せなかった...あの記事のせいで今もみんなに迷惑かけてるし、このままじゃ家族にも......」
694 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:23:54.11 ID:s50baoB30
早苗「...家に着いたわよ美嘉ちゃん」

美嘉「あっ...ありがとう早苗さん」

早苗「それと美嘉ちゃん、今日のカテキョはお休みね」

美嘉「えっ!?」

早苗「まずは、その悩みにケリをつけてからにしましょ。何事も自分を見失ったままじゃ上手くいかないからね」

美嘉「自分を、見失う....あたしが?」

早苗「ええ、美嘉ちゃんは今自分がどうありたいかを見失いつつある。だからまずはそれをもう一度思い出してみて。美嘉ちゃんにとってアイドルって何なのかを」
  
早苗「大丈夫!答えはすぐそこにあるわ!」

美嘉「えっ?すぐそこって、『じゃまったねー!』ちょっと!」








い、行っちゃった...
695 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:25:04.99 ID:s50baoB30
莉嘉「お姉ちゃんおかえりー!」

美嘉母「おかえりー美嘉...何かあったのね?」

美嘉「えっ....分かるの?」

美嘉母「まあさっき変な電話あったし、それに何年あなたの母親やってると思ってんの。貴方が悩んでることくらいすぐ見抜けるわよ」

美嘉母「とりあえずリビングでおやつでも食べながら話してみなさい。ちょうどお友達も来てるしね」

美嘉「...お友達?」

フレデリカ「美嘉ちゃんお帰りー!」

志希「おかえりー!」




.....えっ!?
696 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:26:09.72 ID:s50baoB30
美嘉「志希ちゃんにフレちゃん!?なんでいるの!?」

志希「雑誌で変な記事書かれて美嘉ちゃん落ち込んでるかなーって思ってさー、フレちゃんと一緒に励ましに来たんだ!」

フレデリカ「でもー、来てみたら美嘉ちゃん学校行っちゃってた♪」

美嘉母「ちょうど貴方が学校行った後に来てくれたんだけど、折角美嘉の事思って遊びに来てくれたのに帰らせちゃうのも申し訳ないでしょ?」

美嘉母「ママも美嘉のお仕事での話聞いてみたかったし、さっきまで一緒にお茶してたのよ♪」

莉嘉「学校から帰ってきたら生のレイジレイジ―がいるんだもん!あたしびっくりしちゃった!」

フレデリカ「美嘉ちゃんのママ、お料理すっごく上手いんだね!お昼ごはん美味しかったー!」

美嘉母「フレちゃんのお菓子も美味しかったわよー!それに志希ちゃんの作ったお料理もおいしかったわ!」

志希「一応、正気のサタデーナイトで料理コーナーやってるからね!」

美嘉「ていうか朝から来たの?二人とも学校は?」

志希フレ「「サボった♪」」

美嘉「えぇ....」
697 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:27:28.41 ID:s50baoB30
フレデリカ「ほらほら美嘉ちゃん、座って座ってー!あたしマフィン作ってきたんだ!食べて食べて〜♪」

志希「自分の家だと思ってくつろいじゃってねー!」

美嘉「いやあたしの家だし....」

莉嘉「それでお姉ちゃん、学校で何か嫌なことあったの?」

美嘉母「もしかして、さっきの3者面談がどうのってやつと関係ある?」

美嘉「...実は」


カクカクシカジカ......


美嘉母「なるほどねぇ.....」

美嘉「あたし、どうしたらいいのかな?811プロの皆にも心配かけて、ママにも莉嘉にも...」

美嘉母「...美嘉」
698 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:27:56.33 ID:s50baoB30

   「貴方、ずいぶんくっだらないことで悩んでるわね」
699 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:29:21.07 ID:s50baoB30
美嘉「えっ?」


美嘉母「あたし達に心配かける?だからアイドル辞める?ちゃんちゃらおかしいわよ。だって貴方、アイドル楽しいし、続けたいんでしょ?」

美嘉「それは...そうだけど、でもそのせいでみんなに迷惑がかかるんなら....」

美嘉母「美嘉、私たちにとって一番つらいのはね、貴方が自分の選んだ道に後悔すること。貴方が自分のやりたいことを笑顔でやれなくなることなのよ」

美嘉母「だから、貴方は貴方のやりたいことを精一杯やりなさい。その為なら誰が何と言おうとママとパパが守るわ!」



莉嘉「そうだよお姉ちゃん!お姉ちゃんはあたしの目標なんだから!」

美嘉「あたしが、目標?」

莉嘉「あたし、将来お姉ちゃんみたいなアイドルになる!だからお姉ちゃんにはあたしが追いつくまでトップで待っててもらわなきゃ困るもん!」

美嘉「莉嘉...」
700 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:30:48.63 ID:s50baoB30
フレデリカ「美嘉ちゃんってやっぱり凄いね!たくさんの人の憧れなんだもん!」
 
志希「うん!莉嘉ちゃんも、奏ちゃんと周子ちゃんも、皆美嘉ちゃんに憧れてアイドルになりたいって思ったんだもんね!」

フレデリカ「もちろん、アタシ達もね♪」


志希「それにさ、迷惑ならあたし達の方がいっぱいかけてるじゃん」

美嘉「えっ?」

志希「あたし達いっつもフリーダム過ぎて、良く皆を困らせちゃうでしょ?でも、そんなあたしたちのフォローを美嘉ちゃんがしてくれているから、あたし達はいつだって安心してあたし達らしくいられるんだよ」

フレデリカ「だから困ったときはお互い様だよ!偶には美嘉ちゃんもあたし達に迷惑かけちゃおー!」

フレデリカ「それに、アタシ達の為に悩んで美嘉ちゃんが遠慮しちゃう方が、アタシ嫌だよ」
701 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:32:29.99 ID:s50baoB30
美嘉母「それに、今病院でリハビリしてるパパもよく言ってるわ。どんなに辛くてくじけそうになったって、美嘉が本当に楽しそうに輝いてる姿を見ているから、何度だって立ち上がれるって」

美嘉母「だから美嘉、安心して私達を頼って、美嘉が心から楽しんでいる姿を、私たちに見せてちょうだい?」


莉嘉「お姉ちゃんいっつも言ってたじゃん!いつだって本気でイチバンを目指すって!だったら遠慮なんてしないでよ!」
  
莉嘉「いつもみたいにお姉ちゃんがイチバン輝いてるんだって、ちゃんとあたし達に見せてよ!その為ならアタシ達、いつだってお姉ちゃんの力になるから!」
702 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:33:39.87 ID:s50baoB30
ああ、そうだ...
今のあたしは、061プロにいた時とは違う
あの時の、苦しみながら他人の描く道を自分の道として歩まされ続けていた時とは違うんだ


『あたし』の背中を守ってくれてる仲間が、こんなにいるんだ
一緒にアイドルとしての道を走り抜けて、一緒にアイドルのトップに立ちたいって、心からそう思える仲間がいるんだ.....


成績とか、ゴシップとか、そんなのどうでもよかった

皆の声に答えたいから、みんなの憧れでありたいから
アイドルを続ける理由なんて、それだけで十分じゃないか

どんな苦難の上でも妥協しないって決めたのは、あたし自身じゃないか!




皆の憧れとして、あたし自身が描いた夢として、一緒に歩いてきた仲間たちと一緒にトップアイドルになりたい


あたしにとって『アイドル』は、世界で一番のあたしになるために、あたし自身が選んだ道


だから、最初から悩む必要なんてなかった

どんな壁を振り切ってでもアイドル続けたい理由が、あたしにはあったじゃんか...!
703 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:36:44.67 ID:s50baoB30
美嘉「みんな......」




涙目になりながらでも決意を固め、一緒に歩いていく仲間に、伝える
あたしはもう、迷わないと





美嘉「ありがとう.......!」
704 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:37:46.48 ID:s50baoB30
美嘉母「そうだ!折角だから志希ちゃんとフレちゃん、今日は泊まっていきなさいよ!美嘉と莉嘉とめいっぱい遊んであげて!」

志希「いいの!?」

フレデリカ「やったー!美嘉ちゃん、莉嘉ちゃん、今夜は...寝かさないぜ♪」

莉嘉「わーい!レイジレイジ―がお泊りだー!やったー!」

美嘉「そうだね!折角だから遊んで行ってよ!」





美嘉「...でも、明日も学校だからあまり遅くはしないでね...?」

志希フレ「「それはどうかな!」」

美嘉「いやホントにお願い...」






でも結局、夜が更けるまで話し込んだ....
705 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:38:39.82 ID:s50baoB30
翌日、授業終わりにママと合流して面談に臨む...はずだったんだけど


美嘉「あれっ、莉嘉ァ!?」

莉嘉「やっほーお姉ちゃん!」

美嘉「えっ、なんで莉嘉まで来たの!?」

美嘉母「実はね...」


   
莉嘉『あたしだってお姉ちゃんをいじめる人に文句言いに行く!』



美嘉母「...って聞かないから、連れてきちゃったのよ。だから3者面談じゃなくて4者面談ね」

莉嘉「だって、昨日の話聞いてめっちゃくちゃムカついたんだもん!あたしだって言いたいこといっぱいあるよ!」

美嘉「だからって...」

美嘉母「まぁまぁ、味方は多いほうがいいじゃない?それじゃ早速教室まで行きましょ!」

美嘉「えぇ....」

ウチの家族は偶に、ホントに凄い行動力になるんだよなぁ....
706 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:39:54.24 ID:s50baoB30
担任「えー...そちらの子は?」

美嘉「あーっと....」

美嘉母「次女の莉嘉です、可愛いでしょう?」

担任「いや、なんで連れてきてるんですか......」

莉嘉「良いじゃん別に!お姉ちゃんの大事な話ならあたしだって聞きたいよ!」

美嘉母「まぁまぁ、話はしっかり聞きますので許してください」

担任「.......まあいいでしょう、では今回お呼び出しさせていたただいた理由についてなのですが...」







担任「というわけでして、もしこのまま成績が下がり続ければ今の志望校どころかランクの低い大学にしか狙えなくなると思われます」

担任「なので娘さんの将来の為にも、アイドルなんて遊びにかまけさせず...」




美嘉母「将来?」

担任「...?なにか?」
707 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:42:01.48 ID:s50baoB30
美嘉母「なんであんたがそんなこと語れるんですか?美嘉の事、何も知らないくせに!!」

担任「!?」

美嘉母「美嘉のアイドルへの情熱も、アイドルを続けるためにしてきた努力も、何も知らない、知ろうともしない貴方が、勝手に美嘉の将来を語らないでちょうだい!」

莉嘉「それに、アイドルは遊びなんかじゃない!志希ちゃんも、フレちゃんも、お姉ちゃんも!皆全力で戦ってるんだ!」

莉嘉「アイドルって、アタシ達が見る部分はキラキラとしたところばっかりだけれど、テレビの裏、見えないところでみんな頑張ってるの!楽しいばっかりじゃない、お姉ちゃんってアイドルやってて苦しんでたことだってあった!でも!皆の憧れになるために、ファンの皆を笑顔にするために、どんな壁があったって本気でぶつかってるの!」

莉嘉「それを、遊びだなんて言わないで!」

担任「な、何を...」





美嘉「.....先生、何を言われてもあたし、アイドルはやめないよ。でも、受験も妥協しないから安心して」

美嘉「どっちかの為にどっちかを捨てるなんて妥協した生き方、あたしはしたくない。いつだってあたしがイチバンだって宣言できるように...あたしは本気で生きたい!」

美嘉「だから、見ててよ。アイドル続けるあたしがイチバンだって、『あたし達』で証明するから!」
708 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:46:26.08 ID:s50baoB30
   ==========翌日、811プロ==========


美嘉「おはよー★」

奏「おはよう美嘉...どうやら、元気出たみたいね」

美嘉「うん、色々吹っ切れた!むしろみんなの方こそ大丈夫?変な奴に付きまとわれたりしてない?」

奏「あの記事が出てからは大分減ったわ。完全になくなったわけじゃ無いけど、とりあえずは大丈夫よ」

周子「電話対応もまあいつもよりは忙しいけど、それでも思ってたよりは大した事ないから安心して」

奏「でも気を付けて、いつも美嘉を学校まで迎えに行くときに、度々怪しい奴を見かけるって早苗さんが言ってたわ」

美嘉「そうなの?じゃああいつらあたしを集中砲火する気なのかな?」

P「大丈夫、何があっても必ず俺たちが守る。もし受験も合わせてキツイようなら、しばらく仕事とレッスンの量も減らすよう調整するが...」

美嘉「ううん、普段通りで...いや、いつも以上に頑張らせて!」




美嘉「あたし、全部妥協しないから!アイドルとして今までよりもっと輝いて、受験も成功させて、『あたしはこれからもアイドル続けていくよー!★』ってファンを安心させなきゃいけないし!」
709 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:49:20.88 ID:s50baoB30
P「そうか...なら遠慮なくスケジュールを組ませてもらおう。だから美嘉、アイドルも学業も全部物にして、自分が思う一番の自分を手に入れろ」

P「もちろん、それを成し遂げるには途方もない労力がかかるが...俺はm」

美嘉「『無茶振りはしても無理な事は言わない』でしょ?」

P「お、おう。その通りだ!」

周子「あららー、キメ台詞とられちゃったねPさん♪」

奏「ふふっ!みんなプロデューサーさんの扱いに慣れてきてるものね」

美嘉「プロデューサーって、結構素直だからねー★」

P「うっさい,,,...だが無理とは言わないが過酷であることに変わりはない。覚悟はできてるか?」

美嘉「大丈夫。だって、あたしはもう苦しんでアイドルをやっていたあの時とは違う。アイドルも楽しくて、いつだって頼れる仲間もいるから!あの時に比べたら全然平気!」

美嘉「だから周子ちゃん、もしまたあたしが引退するとかで電話かけてこられたらこう言っておいて!」


『城ケ崎美嘉はアイドルを辞めたりしない、むしろこれから今まで以上に輝けるアイドルになる』って!




周子「おっけー、まかせとき!」

奏「美嘉、辛いときはいつだって思い出してね。あなたには、どんな時でもあなたの力になりたいと、そう心から思ってる仲間がいるんだって事!」

美嘉「うん!みんなも見ててね!」







全部、あたしがイチバンだって証明してみせるから!
710 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:49:49.95 ID:s50baoB30




    Chapter13 「I'm proud of me」




711 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:50:24.14 ID:s50baoB30
その後、美嘉は今まで以上の量のアイドル活動と受験勉強を見事に両立し、期末試験も最上位へと食い込み見事志望校の推薦を手に入れた

その間、あの3つの出版社は美嘉に対して『現実逃避でアイドル活動をしている』とか『勉学に集中しないのは裏口入学が決まっているからでは』とか勝手な憶測を書き連ねてきたけど
美嘉の堂々とした姿勢と、日に日にアイドルとして成長していく美嘉の姿を見た世間の反応は、むしろ美嘉を応援する方に流れていた




そして今日は、合格発表日...
712 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:52:25.93 ID:s50baoB30
美嘉「ふぅー.....あー!やっぱ緊張するー!」

フレデリカ「大丈夫だよ!美嘉ちゃんの番号は幸運の番号だし!」

志希「そうそう、あたしのスマホのパスコードと同じー♪」

奏「志希、まだ変えてなかったのね...」

志希「だって気が向かないし。それに皆になら見られちゃっても平気だし」

周子「志希ちゃん、嬉しいこと言ってくるじゃん♪」

P「...見ろ!結果張りだされてるぞ!」

早苗「ホントだ!みんな美嘉ちゃんの番号を探せー!たとえドライアイになって目が腐り落ちたとしても見つけるのよ!!」


  『合点!!!』


美嘉「いやいや!そんなに無理しなくていいから!」



いつも通りツッコミを入れ(てしまい)つつも、張りだされた結果を見つめる

あたしの番号は......
713 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:52:59.53 ID:s50baoB30
0532
0536
0588
0652

 ・
 ・
 ・
 ・

0811



美嘉「あった..............」

  




美嘉「あったよ皆!!」

全員『いやったあああああああああああああ!!!!!!!』
714 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:54:48.91 ID:s50baoB30
そんなわけで無事合格を確認したあたし達は打ち上げをしようということになって、その場所をあたしが決めることになった
そしてあたしが選んだ場所は...


美嘉「よーし!久々に思いっきり歌うよー!」

全員「いえーい!!!」


そう、カラオケ!


P「でも、ホントにカラオケなんかでよかったのか?俺の奢りなんだからもっと高いところでも良かったのに」

美嘉「うん、ここがいい!テストから解放されたらやっぱカラオケで思いっきり歌って今までのストレス全部ぶっ飛ばすに限る!」

P「それは凄い分かる」
715 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:56:39.20 ID:s50baoB30
奏「カラオケ.....そう言えばあんまり来たことはなかったわね。中学生の時に家族で来て以来かしら」

志希「あたしもー、友達とカラオケ来るなんて初体験!」

フレデリカ「アタシはよくママとか友達とかと来てたよー!」

周子「へー、何歌ってたん?」

フレデリカ「『ウルトラリラックス』!」

美嘉「聞いたことないなー...」

フレデリカ「えー!?」

P「まあ確かにお前らが生まれるよりは前の曲だから知らないのも無理はない。でも確かにあの曲はフレデリカのイメージと合うな、今度カバーの許可取りに行ってみるか...」

フレデリカ「あと『おふくろさん』も!」

P「ごめんそれはイメージできない」


早苗「それにしても、今のカラオケってタッチパネル一つでビールまで頼めて便利ね!P君の奢りだし飲み過ぎちゃいそう!」

P「えっ?片桐さんは自分で払って下さいよ」

早苗「ひどい!年上を敬いなさいよー!」

P「....冗談ですよ!美嘉の事面倒見てくれたお礼もしたいですし、片桐さんの分も奢りますよ」

早苗「よっしゃー!じゃあとりあえず生中5本!」

P「ちょっとまてとりあえずで5本って何杯飲む気だアンタ」
716 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 22:58:16.85 ID:s50baoB30
美嘉「日曜日はダメダメよ♪もっと愛を鍛えてね♪...わたしだけをずっと愛してみてよ♪」

   デン!
  98.110点!

周子「すっご!?」

美嘉「へへーん!どんなもんよ!」

フレデリカ「美嘉ちゃん『カラオケバトル』出れるんじゃない?」

P「それいいな、今度企画持ちこんでみるか」


奏「そういえば、皆結構歌ったけどプロデューサーさんは?」

志希「そういえば、プロデューサー一回も歌ってないね」

P「えっ!?いや、俺は歌ヘタクソだしさ......それに折角現役アイドルの生歌聞き放題なんだから聞き専でいるよ」

周子「もー、遠慮しないでPさんも歌いなよ!ヘタクソとか皆気にしないしさ♪そろそろ時間だし、最後に一曲行っちゃいなよ」


そう言って周子がマイクをプロデューサーさんに押し付けるけど、プロデューサーは頑なに受け取ろうとしない


ここは...その気にさせてやる必要があるわね

プロデューサーさん実は結構音楽に詳しいみたいだし、一度本人が歌ってるとこを私も見てみたいわ♪

それじゃあ、貴方の育てたアイドルの演技力、見てもらおうかしら?
717 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 23:00:27.53 ID:s50baoB30
奏「ひどい...」

P「えっ」

奏「みんな、プロデューサーの歌が聞きたいのに....私達じゃ貴女の歌を聞く資格はないのね...」ホロリ

P「いやいや!別にそういうわけじゃないぞ!だから泣くなって!」


奏「じゃあ、歌ってくれる?」

P「えっ!?いや、それは..........」




ふふ、私だって人の心を掴むために色々と研究してるのよ
女の必殺、泣き落としで流石のプロデューサーさんも...








...あれ?

プロデューサー、なんだかいつになく本気で焦ってない?

というより...もしかして、怖がってる?
718 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 23:01:22.01 ID:s50baoB30
早苗「.....はいはーい!かたぎりしゃなえ、シメに『気分爽快』でいきまーしゅ!!!!」

周子「うわびっくりした!急に立ち上がらんといてよ早苗さん...」

美嘉「もう完全に出来上がってるね...」

P「えっ、あっ!どうぞどうぞ片桐さん!」

奏「あっ!もう...」

P「悪いな、また今度」

奏「......まあいいわ、今度はプロデューサーさんも歌ってね」
719 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 23:03:39.91 ID:s50baoB30
〜〜〜〜それから1週間後〜〜〜〜〜〜


  =====811プロ事務所=====


P「はい、ウチの城ケ崎を...分かりました!こちらこそよろしくお願いします!」

P「周子、来週フジヤマテレビのクイズ番組に美嘉が出ることになった、ホワイトボードにメモしておいてくれ」

周子「りょーかい。美嘉ちゃん最近引っ張りだこやねぇ」

P「まあなんだかんだで注目されたし、大学受験での逆転劇があの『情熱の夜明け』で取り上げられたからな。」

P「それに受験生の間で空前の美嘉ブームが到来してるらしいぞ?一般受験の受験生たちには美嘉のCDがもっぱら学業向上のお守りみたいになってるらしい」

周子「美嘉ちゃん、ついに学問の神様になっちゃったのかー....」
720 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 23:06:23.70 ID:s50baoB30
周子「それにしてもさー、受験終わってから阿苦都苦出版とかも美嘉ちゃんのデタラメ記事めっきり書かなくなったし、平和になったねぇ」

P「暴れまわってた出版社、割とバッシング貰ったらしいぞ?美嘉の件にしろ、他の事務所の記事にしろやりすぎだって」

P「あと片桐さんからうっすら聞いたんだけど、美嘉の担任もなんか謹慎食らったらしい。なんか美嘉だけじゃなく、他の生徒にもパワハラまがいの事してたんだとか」

周子「へー、因果応報やね」

P「ああ、全くだ!」









P「でも片桐さん、『警告無視したからシメたのよ♪』とか言ってたけど......大丈夫かな?」

周子「......多分それ、あんま詳しく聞かないほうがいい奴だよ」

P「警察官を怒らせると怖いんだな..........」
721 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 23:07:56.15 ID:s50baoB30
周子「まあなんにせよ、一件落着って感じだね。あいつら諦めてくれたみたいでよかったよ」

周子「あいつら受験終わりまで毎日のように美嘉ちゃん相手に勝手な事ばっか書いてたけど、こんなしょーもないネタ引きずるなんてどんだけ暇やったんかな?」







P「.......周子、その疑問は正しい」

周子「えっ?」

P「その通りなんだよ、ゴシップなんて今の世の中山ほどある。でも、今回の美嘉みたいなネタは学生アイドルにはありがちの話で、大して興味を持たれるものじゃない」
 
P「それでも美嘉は知名度があったから多少の反応もあったけど、それもすぐに止んだだろ?」

周子「それは...そうだね。むしろ毎日のように応援メッセ―ジが届くようになってた」

P「あいつらだって暇じゃないんだ、普通こんなネタ長い事引っ張り続けない」

周子「でも、実際あの3つの出版社は美嘉ちゃんのネガキャンし続けたよ?」

P「ああ...写真の共有といい、非常に不自然だ」

周子「んー...どういうことなんやろ?」
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