【モバマス】LiPPS「虹光の花束」

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722 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 23:10:42.29 ID:s50baoB30
P「それに、美嘉は最初から集中砲火されてたわけじゃなかった。むしろ最初の方は皆に全体的に、特に周子に記者が張り付いてたよな?」

周子「あー...そうだねー。家にも仕事先にも来てたもんね」

P「多分、811プロのイメージを下げれれば誰でもよかったんだ。周子にマークが多かったのはもしかしたら同じアパートに住んでるプロデューサー...俺と一緒に映ってる写真を撮ってネタにするつもりだったのかもしれない」

P「でもウチが少数精鋭なのもあって、なかなか皆隙を見せなくて焦っていたんだろう。実際みんな警戒してたしな」

周子「そこにたまたま美嘉ちゃんを叩けそうなネタが出てきたから、小さくてもそれを引っ張り続けて必死にイメージダウンを狙ったってこと?」

P「まぁ、考えられるとしたらそれくらいだろうな...だがそれでも、やっぱりなんか違和感が残る。人気アイドルを抱えてるとはいえ、業界の中ではコネも資金も小規模のウチをこんなムリのあるやり方で狙い続けた理由もよくわからんし」



周子「.....まっ、どんな理由あれ美嘉ちゃんを傷つけたのは許せないけどね。いつかこの借り、返してやるんだから!」

P「だが気を付けろ。多分この事件、まだ終わっちゃいない」

周子「えっ?」
 
P「出版社には大したメリットもないのに、ここまで無理なリンチを決行したんだ。3つ出版社の裏に、もっとデカい何かが隠れているのは間違いない」

周子「それって所謂、『黒幕』ってやつ?」

P「ああ.......絶対につきとめて、借りは返す」






P(それにしてもこの3つの出版社、確かあの時も....)
723 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 23:12:15.42 ID:s50baoB30
周子「Pさん?」

P「!.......なんだ?」

周子「さっきからずーっと怖い顔してるけど、どしたん?」
 
P「いやなに、出版社にやられたこと思い返すとなんか凄くムカついてきてな」

周子「ふーん....」 

P「それより、仕事に戻るぞ。まだまだ処理できてない案件は山ほどあるんだからな」

周子「はーい」
724 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 23:13:10.36 ID:s50baoB30
ようやく、ようやく、尻尾が見えてきた....

待ってろ...俺は必ずお前を見つけだして、そして.....









  この復讐を、やり遂げる...












to be continued.....
725 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/04(木) 23:15:07.52 ID:s50baoB30
Chapter13が終わったところで、今回はここまで―
実際アイドルと受験生の両立ってめちゃくちゃ大変そうだけど、美嘉ねぇはどっちも妥協しないんだろうなぁと思ったり

シリアス続いたので、次回は箸休め回みたいなのになる予定です
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/05(金) 09:42:08.64 ID:6MUx4rODO
ミスト「Pさんの復讐は、ただの復讐と思ってませんから」
727 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 21:42:53.87 ID:pRX6uZGW0
>>726 「霧が濃くなってきたな...」

Chapter14、投下開始していきます
728 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 21:44:30.81 ID:pRX6uZGW0
美嘉の受験からまた時は流れて2月

もうコートなしでは外を歩けないくらいの寒さになってきたこの季節。世間は女の子の一大イベント、バレンタインが到来していた

もちろん私達もチョコを作ってプロデューサーに送ったけど、こと811プロにおいて2月14日の一番のイベントはバレンタインではない



では、一番のイベントは?

それは....








フレデリカ「みんなー!ボンジュール!」

    


    パンッ!!



『フレちゃん、誕生日おめでとー!』

フレデリカ「わー!サプライズだー♪」







811プロ一番のムード―メーカー、フレデリカの誕生日よ!
729 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 21:45:08.17 ID:pRX6uZGW0




        Chapter14「How to Make Smile」



730 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 21:47:48.01 ID:pRX6uZGW0
フレデリカ「てなわけで始まりましたー!ぱちぱちー♪」

志希「ぱちぱちー♪」

美嘉「始まったって、何が?」

奏「あら?フレデリカの持ってるそれ、カメラ?」

フレデリカ「探偵フレデリカのしるぶぷれ捜査、誕生日特別篇だよー?今日はパパから借りてきたこのカメラで、皆の笑顔をばっちり撮影するんだー♪」


周子「なるほどー、じゃあ今日の依頼は?」

フレデリカ「今日の依頼は....じゃじゃじゃん!P.N『アタシ猫辞めるよ』さんから!」

美嘉(それフレちゃんじゃ...)


フレデリカ「こんにちはフレちゃん、アタシは今あなたの頭の中に直接語り掛けています」

周子(本人だからね)

フレデリカ「早速ですがアタシは今日誕生日です、なのでとてもウキウキしながら事務所へ行くと早速皆がサプライズでお祝いをしてくれました」
     
「それでアタシは朝一番からとてもハッピーな気分になれたので、今度はアタシが皆をハッピーにしたいです!そこで、811プロ皆をハッピーにする方法を教えてください!おねがいしるぶぷれ!」
     
「『アタシ猫辞めるよ』さん!その依頼、確かにこの名探偵フレちゃんが引き受けた―!」


志希「採用されたP.N『アタシ猫辞めるよ』さんには志希ちゃん印のリラックスできる香水をプレゼント―!」

フレデリカ「やったー!ありがとー志希ちゃん!」

美嘉(やっぱりフレちゃんなんだ...)
731 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 21:50:52.51 ID:pRX6uZGW0
フレデリカ「というわけで、今日のゲストは811プロの皆!名探偵フレちゃんが、皆を笑顔にする魔法を街に探しに行くよー!よろしくねー♪」

周子「よろしくー♪あっ、これプレゼントのしゅーこちゃん特性和菓子詰め合わせセットね、自信作だよー♪」

フレデリカ「ワーオ!早速お宝ゲット〜♪じゃあこれは今から皆で食べよっか!」

奏「あら、あなたのプレゼントなのに私達が食べてもいいの?」

フレデリカ「もちろん、だってみんなで食べた方がおいしいもん!というわけで、しゅーこちゃんのダーツ飯出張版!自家製和菓子編だよ!」

周子「ダーツ投げてないけどねー」

フレデリカ「そこで助手のプロデューサー君!」

P「あいよ(全部和菓子と書かれたダーツの的)」

美嘉「プロデューサーさんさっきから喋らないと思ってたらそれ作ってたんだね」

P「急ぎだから手描きだけどな、というわけで周子、いつもの奴よろしく」

周子「はーい、...よっと!」ヒュッ


ストンッ


志希「おー、ナイスBULL!」

周子「どんなもんよ!まぁ、どこ狙っても一緒だけどさ」

フレデリカ「それじゃ、しゅーこちゃんのダーツ飯探偵デリカ出張版、始まるよー!」




『いえーい!』
732 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 21:53:15.82 ID:pRX6uZGW0
フレデリカ「美味しかったねー♪」

奏「ええ、流石和菓子屋の娘ね」

周子「えへへ...皆が喜んでくれたなら何よりだよ」

フレデリカ「てな訳で美味しいおやつで皆ハッピーになったところで、次にいってみよー!」

志希「次はどうするの〜?」

フレデリカ「うん!探偵フレデリカ、ゲストの皆といっしょに街へ皆をハッピーにする魔法を探しに出掛けるよー♪」


P「散歩に行くのはいいけど、お前ら人気アイドルなんだからちゃんと変装して行けよ〜?騒がれたら撮影どころじゃなくなるぞ?」

フレデリカ「え〜!アタシ今眼鏡も帽子もお面も特殊メイクも持ってきてないよー!」
733 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 21:54:23.11 ID:pRX6uZGW0
美嘉「そこであたしの出番だね!というわけで『カリスマ★チェンジ』出張版!はいフレちゃん、プレゼント!」

フレデリカ「わーい!中身はー......わぁ!可愛いワンピースだ!それに帽子と、眼鏡だね!」

美嘉「眼鏡は伊達眼鏡だよー★今週のあたしイチオシコーデなんだー!」
  
美嘉「フレちゃん普段街に出るときも変装とかしないでよく周りにばれてるし、これで普段から少しは隠すように心掛けること!」

フレデリカ「はーい!」


志希「なんか美嘉ちゃんって、あたし達のママみたいだよね♪」

フレデリカ「ママ―!ありがとー!」

美嘉「ちょっ、ちょっと!やめなさい///」


周子「ママ―!あそぼー♪」

奏「ふふふっ!ママは人気ものね♪」

美嘉「もうっ!二人まで!」
734 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 21:58:17.94 ID:pRX6uZGW0
P「んじゃ、行ってらっしゃい」

フレデリカ「んー?プロデューサーも行くんだよ―?」

P「えっ?」


フレデリカ「だって今日のゲストは、811プロ皆だもん!もちろん、プロデューサーもその中に入ってるんだよー♪」

周子「そうだよPさん。ご飯ばっかりじゃなくって、偶には一緒に遊びに行こうよ。この前のカラオケも結局歌って無かったしさ」

P「い、いやいや!変装して行くとはいえ、アイドルとプロデューサーが一緒に遊んでるのすっぱ抜かれたら問題だろ!?特に今はいろいろ警戒しなきゃいけないのに...」

フレデリカ「むー!行くったら行くのー!」

P「駄々こねたってダメなもんはダメ!......ていうかなんだその動き、およそ地球人の動きには見えないんだが」

フレデリカ「昨日見たうえきちゃんのダンスだよー?」

P「うえきちゃんって....えっ?あの商店街の福引でもらったよくわかんないオブジェ?あれ動くの?怖っ....」







奏「......なら、プロデューサーさんも変装すればいいんじゃない?」

P「えっ」
735 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:01:30.83 ID:pRX6uZGW0
奏「美嘉、メイク道具はあるわね?」

美嘉「そりゃもちろんあるけど...成程ね!」

周子「そういえば、ウチの衣装保管庫には色々あったねぇ...」ニヤリ

P「えっ、おい、話が見えないぞ...」

志希「まあまあプロデューサー、折角誕生日なんだしフレちゃんのお願い聞いてあげたくない?」

P「そりゃまあ、叶えられる範囲なら叶えてやりたいが.....」

志希「よし言質取れたよ」ボイレコ

P「しまった!」

周子「この業界で油断しちゃだめだよPさん♪」

P「...だが、結局変装ってどうするんだ?どう変装しようがアイドルが男と仲良く歩いてるのは.....」

奏「簡単よ、プロデューサーさんが私達の担当プロデューサーの『男性』だって分からなくすればいいのよ」






P「......おいまさか!」

フレデリカ「じゃあじゃあここで新コーナー!プロデューサー改造計画の始まりはじまりー!」

P「マ、マジかよ...」 
736 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:04:57.91 ID:pRX6uZGW0
三十分後


美嘉「よしっ、メイクも完成....したけど...」

奏「プロデューサーさん、あなた......」










奏「女装似合うわね」

P「うるさい....絶対似合って無い....」


周子「いやいや、ホント似合ってるって。美嘉ちゃんのメイクが上手いのも相まって、元がPさんって分かんないよこれ」

周子「....いやダメだ、笑えるっ......!」

フレデリカ「まさか!プロデューサーが新しいアイドル!?」

志希「あたし達に後輩ができたねフレちゃん♪」




P「嬉しくねぇ...嬉しくねえし...しかも....」











P(メイド服)「しかも!なんでよりにもよってコレなんだよ!」バァアアアーン!!
737 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:06:40.42 ID:pRX6uZGW0
周子「いや、折角だから一回本物のメイドってやつを見てみたくてさ」

P「だからって俺でやる必要あるか!?」

奏「大丈夫よ、ホントに似合ってるから」

P「こんなので褒められてもうれしくねえよ!むしろ悲しくなるわ!」

P「ちくしょう、またこれを着る羽目になるとは........」

美嘉「また、ってことは前にも来たの?」

P「....保管室のコスプレはな、全部俺の知人がスペースに困って押し付けたものか...もしくは俺に着させるためにわざわざ買ってきたものなんだよ...」

美嘉「あー...メイド服は着せられた方だったんだ...」
738 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:07:29.68 ID:pRX6uZGW0
奏「それとプロデューサーさん、しゃべる時気を付けないと声で男ってばれちゃうかもしれないから気を付けた方がいいわよ」

P「あっ、そうか。それはマズいな」

P「じゃあ...これくらいならどうだ?』ウラゴエ

フレデリカ「わー!女の子の声だ!」

志希「凄い!喉にボイスチェンジャーでも仕込んでるの?」

P『普通にちょっと高い声を出すよう意識してるだけだよ。これくらいなら全然大丈夫だが...マジでこのカッコで行くの?』

フレデリカ「もちろん!新しいアイドルも増えたとこで、調査にしゅっぱーつ!みなのものフレちゃんに続け―!」

『おー!!!!!』

P『おー....』











周子「ところでPさん、その声で『おかえりなさいませご主人様』って言ってみてくれない?」

P『誰がやるか!!』
739 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:08:39.04 ID:pRX6uZGW0
P『うう...やっぱり視線が痛い、恥ずかしい...』

奏「まあ、メイド服で街歩く人なんてそうそういないものね」

美嘉「大丈夫だってプロデューサー、まさか周りの人もまさか女装男子だとは思ってないって!」

P『それはそれで男としてどうなんだ俺....』

周子「んじゃ、まずどこ行こうか?」

美嘉「またカラオケでも行く?」

フレデリカ「んー、皆でカラオケは前に行ったし、折角なら別の場所がいいなー?」
740 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:09:44.36 ID:pRX6uZGW0
奏「じゃあ、映画なんてどうかしら?ちょうど今面白そうと思ってた映画があるのよ」

志希「『シネマ・速水奏』も出張版だねー♪」

フレデリカ「いいねー!じゃあ映画館にいこっか♪」

P『ちなみに、その映画はタイトルは何なんだ?』




奏「『シャークタイフーン』よ」

全員(!?)

P『サメ映画って、かなり地雷な気がするが...大丈夫か?』

奏「大丈夫よ、絶対名作だから!」


美嘉(そういえば事務所に置いてある奏ちゃんのDVD...)

周子(やたらB級ぽいのばっかだったような...いや割と面白かったけど)
741 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:10:23.27 ID:pRX6uZGW0
そして視聴後.....




フレデリカ「なんかすっごく面白かったねー!」

美嘉「うん、なんか予想以上に面白かった...」

周子「サメ映画かと思ったら唐突にミステリになったり恋愛映画っぽくなったりしたけど、ちゃんと最後の最後で全部つながったね......」

志希「あたしでも全然展開読めなくてワクワクした!」

P『挿入歌も流れるシーンといい感じにマッチしてたな...流石映画の為に曲丸ごと書き下ろしただけはある...』

奏「ね?面白かったでしょ?」

周子(なんだかんだ、見る目はあるんだよなぁ...)
742 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:11:31.94 ID:pRX6uZGW0
フレデリカ「そろそろ、おなかすいたーん♪」

周子「おっ、しゅーこちゃんのマネ上手いねフレちゃん♪」

フレデリカ「いつも一緒にいるからね♪」

奏「確かにそろそろお昼時ね。どこかでランチにする?」

フレデリカ「あっ!じゃあまた皆でパーティーしたい!鍋パとかタコパとか!」

志希「じゃあ、『ドクター志希の料理は化学!』も出張版!志希ちゃん式闇鍋パーティー!」

美嘉「闇鍋かぁ、やったことないけど面白そうじゃん!」

周子「じゃあそこのデパートで各自材料買ってここに集合しようか、場所は...」

P『確かこの辺にキッチン付きのフリースペースあったからそこ借りるか』

奏「じゃあ決まりね、皆また後で落ち合いましょう」

全員「了解!」
743 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:12:05.38 ID:pRX6uZGW0
数十分後



志希「ただいまー!あたしで最後かな?」

奏「ええ、みんな揃ってるわよ」

周子「フリースペースの予約はさっきPさんが取ってくれたよ」

フレデリカ「じゃあ皆!いざ決戦の地へ、いくぞー!」

全員「おー!」






奏(それにしても...一応闇鍋とはいえみんなお鍋の具を買いに行ったはずなのに)

美嘉(見事に皆違う方向に歩いてったな...結局一度も鉢合わせなかったし...大丈夫だよね?)
744 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:13:33.48 ID:pRX6uZGW0
志希「それじゃあ電気消して...ケミカルショーの始まり始まり―!」

P『じゃあ始めるぞ。各自自分がつかんだものは必ず自分で食べきる事!総員、食材投入!』



ポチャボチャポチャンピチュンズドンボチャアン!!


美嘉「....なんか今変な音なかった?」

周子「気のせい気のせい。じゃあ皆ー、一つずつ何か掴んでって」


P『じゃあ俺から...よっと、割と大きいな』

奏「次は私ね...何かしっとりしてる様な...」

美嘉「んじゃあたしもー...なんかちっちゃいの掴んだ...ていうか豆じゃないこれ?」

フレデリカ「次アタシ―!...なんかぷりぷりしてる!」

志希「あたしも行くよー!...んー?なんか軽いねー?」

周子「んじゃ最後はあたしだねー...おっ、これはアタリっぽい感触!」

P『全員とったな...よし、明かり着けるぞ』
745 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:14:49.80 ID:pRX6uZGW0
美嘉「気になるお鍋の中身は....!?」

美嘉「ちょっ!出汁の色やばくない!?」

P『どれどれ....!?おいなんだこの色!真っ赤な何かと小豆色のなにかでワケわからん事になってんじゃねえか!』

周子「小豆色ってかあたしの入れた餡子だよそれ」

志希「赤いのはあたしのタバスコだねー」

P『二つとも何でいれた!?』

志希「好きだから♪」

周子「意外とぜんざいみたいになって美味しいかもしれんやん?」

奏「鍋の色もアレだけど...お椀の中は....」



P→大根

奏→饅頭

美嘉→小豆

フレデリカ→カニ

志希→マカロン

周子→厚切り肉



美嘉「いやお鍋っぽくないの一杯あるんだけど!?」
746 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:16:28.13 ID:pRX6uZGW0
P『大根は美嘉だな、一番良識あるチョイスだし』

美嘉「おっ、プロデューサー正解★....ていうか、皆が変なもの選びすぎなんじゃない!?」

奏「私のお饅頭は...周子?」

P『いや、それは俺だ』

美嘉「プロデューサーはまともだと思ったのに!」

P「すまん....なんか目についたから食べたくなって....」

フレデリカ「プロデューサーってお饅頭好きだよね。事務所によく置いてあるし」

P『毎回ちゃんと隠してるはずなのになんでお前ら見つけられるの...そしてなんで俺の分まで勝手に食べるの....』
747 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:18:22.92 ID:pRX6uZGW0
周子「フレちゃんのもってるカニはあたしがいれた奴だね」

フレデリカ「アタシのはマカロンだよー♪」

志希「このマカロンフレちゃんのかー。ちなみにあたしはー...周子ちゃんの持ってるお肉でーす!」

周子「やったー、しゅーこちゃん大当たり―♪」

美嘉「あたしの掴んだ豆は周子ちゃんの入れた餡子の小豆か...なんか悲しくなる大きさ...」

奏「私のは誰も取らなかったのね...残念」



P『奏の入れたのは...なんだこの赤いの?』

奏「ザクロよ」

美嘉「奏ちゃんもそっち(変なもの)側かー...」
748 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:19:42.64 ID:pRX6uZGW0
周子「それじゃ実食ターイム!皆自分の掴んだものはちゃんと食べる事!」

P『まあ俺は無難なものだから大丈夫だろ...』パクッ



P『....!!!!??!???』

美嘉「ど、どうしたのプロデューサーさん!?」

P「ぢゃいきょんに、でゃいこんにめっちゃタバスコ染み込んでてぇ!カライイイイイイ!!!!」

志希「声戻っちゃったね」

P「こんなの、声変えてる余裕...!水!」

奏「私も...!!!」
 
奏「水!!」

フレデリカ「お饅頭にも染み込んじゃったんだねー」

美嘉「あたしは...うん、小豆一粒だし大したことないね。逆に良かったかも....」

志希「あたしはタバスコ平気だけど、マカロンふやけててびみょー...」

フレデリカ「アタシのカニは....ちょっと辛い、てか辛すぎ!お水ちょーだい!」

周子「そんな中しゅーこちゃんは大勝利するのであった。お肉だからタバスコの辛味もいい感じのアクセントになってるだろうしね」パクッ
  


周子「.....いやダメだこれ、餡子の味が邪魔だわ」

美嘉「自爆してんじゃん...」
749 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:21:21.06 ID:pRX6uZGW0
P『どうすんだよこれ、もう出汁の時点で崩壊しててこの先なに入ってもダメだぞこれ...』

志希「んー、ちょっと待って。この味なら...これとこれを調合して....」

志希「よしっ、プロデューサー食べてみてー」

P『えー...じゃあ奏のザクロを一つ...』パクッ


P『....美味い、だと!?』

志希「へへーん!ドクター志希のケミカルテクニック!出汁の味がいい感じに中和されてるでしょ?」

周子「....ホントだ、お肉美味しくなってる!」

フレデリカ「凄い!志希ちゃんお料理博士だね!」

奏「ええ、これでちゃんと食べられるわ。お手柄ね志希」

美嘉「元凶のタバスコをいれたのも志希ちゃんなんだけどね....」

志希「マッチポンプなんてこの業界じゃよくあることだよ♪よくヤラセ企画とかあるでしょ?」

P『そう言うのとはまた違うと思うんだが...』
750 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:22:35.35 ID:pRX6uZGW0
その後も...

フレデリカ「いっけー!フォンダン・オ・ショコラ!」


ゴロゴロゴロ......カラコーン!


志希「おー!フレちゃんナイスストライク!」


私達はいろんな場所へ行き....

奏「くっ、さっき見たあの技が出れば....」

P『甘いぞ奏』ショーリューケン!

奏「嘘っ、完封負け!?」KO!


皆で色んな遊びをして....

周子「...よっと!」

美嘉「あちゃー、先に落とされちゃった。周子ちゃんビリヤードも上手いんだね!」

周子「美嘉ちゃんも初めてなのに凄いよ、ちょっとやばいと思っちゃった」


そして....
751 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:23:12.78 ID:pRX6uZGW0
======811プロ事務所======



美嘉「いやー遊んだねー!もうこんな時間だよ」

フレデリカ「うん!皆の笑顔、一杯撮れたよ!」

志希「撮れ高すごかったねー!これは最高視聴率間違いなし!」

P「地上波公開されないから...てかさせないから....」

周子「あれ、着替えちゃったのかPさん」

奏「もったいないわね、もっと着ててもよかったのに」

P「勘弁してくれ...」
752 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:26:38.83 ID:pRX6uZGW0
P「.....あっ!そういえば俺からのプレゼントまだ渡してなかったな」

奏「私もね、じゃあ一緒に渡しましょうか」

フレデリカ「やったー!楽しみー♪」



P「俺からはこれだ」

フレデリカ「どれどれ...これって、ワイン?」

P「ああ、今日でフレデリカも二十歳だろ?折角飲めるようになったんならと思って知り合いに良いワインを見繕ってもらったんだ」

奏「あら、じゃあちょうど良かったわね。」

奏「どうぞフレデリカ、私のプレゼントはワイングラスよ。ちゃんと赤用と白用両方あるわ」

フレデリカ「わーい!二人ともありがとー!」

周子「これでフレちゃんも、大人の仲間入りだねー」

P「周子はまた来年な」
753 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:27:38.19 ID:pRX6uZGW0
P「んじゃ皆、今日はもう遅いし早い所帰りなさい。最近この辺不審者の情報も多いし気を付けて帰るんだぞ」

フレデリカ「.....まってプロデューサー。アタシちょっと残ってもいい?」

P「いいけど...何でだ?」

フレデリカ「折角お酒飲めるようになったし、一度プロデューサーと一緒に飲んでみたいかなーって」

奏「あら、良かったじゃないプロデューサーさん、美人から夜のお誘いよ」

周子「勿論断らないよねー?こんな美人と飲める機会、そうそうないよ?」

P「茶化すなって....まあ、いいぞ。でもあんまり遅くならない様にな?」

フレデリカ「やったー!」


美嘉「じゃああたしたちは飲めないし、そろそろ解散しよっか★」

志希「えー、あたしまだまだ遊びたいー!」

美嘉「ダメだよ、JKが遅い時間まで外に出てたら補導されちゃうよ。それに今何かと危ないでしょ?」

志希「ちえー、分かったよママ」

美嘉「ママ言わない!」

奏「じゃあフレデリカ、プロデューサーさん、また明日ね」

周子「ばいばーい」

フレデリカ「ばいばーい!また明日―!」
754 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:29:49.43 ID:pRX6uZGW0
皆が家に帰った後、贈ったワインを抜染し、二つのグラスに注ぐ

自分で贈った物を自分で飲んでもいいのかと躊躇ったが、フレデリカ曰く美味しいものはみんなで分けてこそらしいので、お言葉に甘えて俺も飲むことにした



P「さてと、それじゃあ二十歳の誕生日おめでとう。乾杯」

フレデリカ「乾杯!」

フレデリカ「ゴクゴク....美味しい!」

P「それなら良かった」





P「......いつもありがとなフレデリカ。」

フレデリカ「んー?」

P「テキトーな様にみえて、いつもみんなのフォローしてくれてるだろ?お前のその向日葵みたいな笑顔に、みんな元気貰ってるよ」
755 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:31:37.99 ID:pRX6uZGW0
フレデリカ「そうなの?アタシが皆を元気にできてるなら嬉しいなー♪」

P「ああ、もちろん俺もお前に元気を貰ってる一人だ。ありがとな」

フレデリカ「えへへー!どういたしまして♪」



P「......そういえば、もうそろそろ短大も卒業だよな?ファッションデザインを学んでるって聞いたけど、卒業したらどうするんだ?」

フレデリカ「とりあえずはアイドルを続けつつ、まだまだデザインも勉強する!アタシ、いつか自分のブランド立ち上げるのが夢だから!」

P「そうか、なら俺もその夢に役立てるような仕事を取ってこれるよう頑張るよ。ファッションコンテスト的なやつとか」

フレデリカ「ホント!?ありがとうプロデューサー!」

P「それにしても、ファッションデザイナーか...」



ふと、興味を持った
いつもフリーダムスタイルなフレデリカは、一体何故ブランドを立ち上げる夢を持ったのか



P「そういえば、フレデリカはなんでデザインを学ぼうと思ったんだ?」


ただ純粋な、興味だった


だが、その質問をした瞬間、フレデリカの手が少し固まって、一瞬何かを考えこんだように見えた

...もしかして、聞いちゃいけない事だったか?
756 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/05(金) 22:33:09.45 ID:pRX6uZGW0
しかし一瞬の間のあと、そんな心配とは裏腹にフレデリカは笑顔で口を開いた



フレデリカ「アタシねー?むかーしむかしパリにいた頃は大人しい子だったんだよ?」

P「そう、なのか?」


正直、想像できない
大人しいフレデリカとか、それはもはやフレデリカがモデルのただのフランス人形なんじゃないだろうか?








フレデリカ「聞きたい?」

P「えっ?」

フレデリカ「ではではー!パリジェンヌ昔話、『宮本さんちのフレちゃん』のはじまりはじまりー♪」

P「まだ何も言ってないんだが......まあいいか」

興味あるし.....な







to be continued...
757 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/05(金) 22:39:26.99 ID:pRX6uZGW0
Chapter14終了したとこで今日はここまで―。箸休め回とはいえちょっとカットし過ぎたかなとは思った(小並感)

ちなみに、ストーリー上重要じゃないからカットしてるだけで、フレちゃん以外の皆も誕生日パーティーはやってる設定です


あとフレちゃんが成人したように、サザエさん時空ではないのでストーリー中の時間の流れとともに、一部キャラクターは年齢が公式とずれています


・美嘉 17→18

・周子 18→19

・フレデリカ 19→20

など
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/06(土) 11:17:37.47 ID:Ij1OD1qDO
このスレ内で話が納まるかにぃ……
759 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/06(土) 21:20:19.66 ID:eupCA+er0
>>758 多分収まらない....っていうか当初危惧していた年齢制限が怪しくなりそうなシーンすらたどり着くか怪しい....

というわけでChapter15投下していきます。今回は短いです
760 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:24:57.49 ID:eupCA+er0
むかしむかし、あるパリにフレちゃんのパパとママがいました


仕事でパリに来ていた日本人のパパとフランスの出身のママは出会ってすぐに一目惚れをしました

すぐにママとパパは結婚しようと思いましたが、ママのパパ、フレちゃんのおじいちゃんはそれを許してくれませんでした

ママのお家はフランスで有名なお家だったから、テイサイ?とかなんか色々あったんだって



それで結婚を認められず落ち込むママでしたが、パパはそんなママに『何があっても俺が守るから一緒に暮らそう!』とプロポーズしました
パパかっこいー!

そんなパパのプロポーズを受けたママはますますパパにメロメロになっちゃって、ママとパパは一緒に駆け落ちするのでした



そして駆け落ちした先で、二人の間に可愛い女の子が生まれました♪

そしてママとパパは生まれた赤ちゃんに

ママ&パパ「「桃から生まれたから桃デリカ、略してフレデリカ!」」
と名付けました♪



P(どこを略したって言うんだ.....?)
761 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:25:57.60 ID:eupCA+er0
ママとパパはフレちゃんを大事に大事に育てながら、3人で幸せな時間を過ごしていました

その時のアタシは今と違ってあんまりおしゃべりしない大人しい子だったけど、今と同じでママとパパのことが大好きなキュートな女の子だったんだ!







でもフレちゃん5歳になったころ、とうとうおじいちゃんにお家が見つかっちゃいました
762 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:27:02.14 ID:eupCA+er0
ちろんママとおじいちゃんは大ゲンカ!
パパも仲を取り持とうとしたんだけど、おじいちゃんは聞く耳を持ってくれなかったの

結局、ママとおじいちゃんは

『絶縁だー!!!!』

ってなっちゃったの




アタシおじいちゃんにはそれまで会ったこと無くて、その時のアタシにとっては全然知らない人だったんだけどね

なんでかな、おじいちゃんがママを怒る事だけじゃなくて、ママがおじいちゃんに悪口を言うのも、なんかすごく悲しかったんだ





そんなこんなで、ママはもうおじいちゃんのいるフランスには居たくないって思ったんだって

だから宮本さんちは家族みんなでパパの故郷、日本へと渡ったんだー
763 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:28:17.61 ID:eupCA+er0
でも、日本へ渡っても暫くはまだ今みたいな明るい性格ではなかったの
幼稚園の間はまだまだ日本にも馴れてなかったし、色々不安で大人しくしてた...っていうより、ちょっとおどおどしてたかな?


だからかな?フレちゃん、クラスの皆にちょっとだけ避けられてたの
やっぱこっちだとアタシのフランス製の金髪とかおめめとか珍しかったからかな?
それに、パリにいた時からお父さんにちょっとずつ教えてもらってたけど、あの時はまだ日本語でしゃべるのにも馴れてなかったしね



だから、幼稚園ではやっぱりちょっと....寂しかったなぁ
764 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:29:01.50 ID:eupCA+er0
そして、幼稚園を卒園する時だったかなぁ

ママが、アタシに謝ってきたの

『ママの...フランスの見た目のせいでフレちゃんに苦労させて...ごめんね...』って

アタシ、その時本当に悲しかった

幼稚園でアタシに友達が出来なかった事なんかより、ママが辛そうにしてるのが....本当に悲しかった

でも、その時のアタシはまだママをどう慰めればいいか分からなくて。
ただ、『泣かないで』って言う事しかできなかったの....





そんなこんなでもやもやした気分を抱えたまま、アタシは小学生になったの
765 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:32:52.71 ID:eupCA+er0
小学生になってからは日本語で話すのにも馴れてきて、ちょっとずつ友達が作れるように頑張り始めたんだ

避けられない為に嘘の自分を被って、大人しい子じゃなくて、親しみやすい元気な子って思ってもらえるようにね

でも、最初はみんなアタシの事珍しがって話かけてくれるけど、やっぱり急に人と話すのが上手くなるわけじゃなくってさ

結局、段々皆離れていっちゃったんだよね....
766 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:34:30.54 ID:eupCA+er0
そんな感じで毎日を過ごしていた時ね、クラスの男の子が二人がケンカを始めちゃったの

そしたらその二人の友達もそれぞれ喧嘩しだして、大ゲンカになっちゃったんだ

あまりにも大きなケンカだったから、皆止めに入れなくってね

クラスの子が一人先生を呼びに行ったんだけど、向こうでもなんかトラブってたみたいで先生が来るのに時間かかっちゃってたんだ



だから長い間喧嘩が続いちゃってたんだけど、アタシ段々その空気に耐えられなくなっちゃってね


アタシ、別に喧嘩してた子達と特別仲が良かったわけじゃないの

でもなんていうか、周りがどんどん重い空気になる度に、アタシどんどん悲しくなってきて
まるで、ママとおじいちゃんが喧嘩してた時みたいだった...






だから、考えるより先に体が動いちゃったんだ
767 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:35:29.79 ID:eupCA+er0
ケンカを止めようとして、ケンカしてた子達の中に割って入ったんだ

急にアタシが出てきたからケンカしてた子もみんなびっくりして固まっちゃったんだけど、アタシも頭真っ白で飛び込んだからテンパっちゃって

でも、何か言わないととは思ってさ、パニクった頭でなんとか言葉を絞り出したんだけど、その時の言葉がね








幼フレ『はろはろー!そんなキミたちにさわやかパリジェンヌのフレちゃんはいかがー?』


もう、我ながらいろいろ無理があったよねー♪
768 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:38:08.74 ID:eupCA+er0
でも、そんなアタシの無茶振りにケンカしてた子達がツッコミを入れてくれてさ!

そしてアタシも必死にツッコミに対して頑張ってボケ倒してたら、いつの間にか皆が笑顔になっていってたんだよね♪

それを見たら、あたしもすっごく嬉しくなってきてさ.....


その時、やっと気付いたんだ

アタシはたとえどんな人でも辛そうにしてる人を見るのは嫌なんだって
自分だけじゃなくて、皆で笑いあえることが大好きなんだって!

アタシと関わった人が皆ハッピーになってくれれば、アタシすっごくハッピーになれるんだって!
そして、ママがアタシを可愛く産んで育ててくれたからからこそ、アタシは皆をハッピーにできたんだって!




だからアタシは、沢山の人を笑顔にできる、そんなパリジェンヌになりたいって思ったんだ


そしていつか、パリにいるおじいちゃんもアタシが笑顔にしたい。そう心から思ったの!
769 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:39:32.14 ID:eupCA+er0
P「良い話だな...」

フレデリカ「でしょでしょー!これがアタシのルーツなんだ♪」

フレデリカ「沢山の人を笑顔にしたい、いつだってそう思ってるから、あの日プロデューサーの名刺を拾った時、これはチャンス!って思ったんだよねー♪もしかしたらアイドル続けてる内にパリでLIVEとかやることになって、おじいちゃんも笑顔にできるかもしれないし!」


P「成程...だが、結局なんでファッションデザイナーを志したんだ?」

フレデリカ「それはねー....」
770 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:41:08.40 ID:eupCA+er0
そんな感じで将来の目標をゲットしたフレちゃんだったんだけど、その目標をかなえるためにはまず最初に笑顔にしなきゃいけない人がいたの

そう、ママだね!


ママは前にアタシがおフランスな見た目のせいで避けられてるのを悲しんでたから、どうにかしてその悲しみを取り除いてあげたかった

それでどうすればいいかなーって考えてるときにね。あの一件以降仲良くなった友達の一人がお絵かきをしていたの


その子はね、自分がおしゃれな服を着る絵を描いてたんだー
なんか、寝てるときに色んなおしゃれを楽しむ夢を見たから、それを忘れないように絵に描き起こしてたんだって


それを見てアタシはひらめいたの!ママを喜ばせる方法を!
771 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:43:00.29 ID:eupCA+er0
家に帰ったアタシはクレヨンと自由帳を取り出して、自由帳いっぱいにアタシが色んなおしゃれな服を着てる絵を描いて、それをママに見せて言ったんだ!

幼フレ『ママがかわいくうんでそだててくれたから、フレちゃんこんなにおしゃれさんになれましたー♪

幼フレ『さらにさらに〜!おしゃれなフレちゃんはそのおしゃれさでともだちいっぱいつくれたよー!』ってね!


そしたらママ泣き出しちゃって!
でも、泣きながらすっごく良い笑顔で笑って!

『ありがとう』とか、『愛してる』って何度も言ってくれたんだ!




そしたらアタシもうれしい気持ちでいっぱいいっぱいになっちゃって!アタシも泣き出しちゃった♪



あの時、アタシは初めて嬉しすぎると涙が出るって事を知って、嬉しくて出る涙、は悲しい涙と違ってとってもあったかくなるって分かったんだー!
772 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:45:19.27 ID:eupCA+er0
フレデリカ「そんな感じでその後もおしゃれな自分を描いてる内に、段々ハマってきて、いつかファッションデザイナーになって自分のブランドを持つ夢を持ったんだ♪」

P「そうだったのか.....」

フレデリカ「いつも元気なフレちゃんもさー、最初は嘘で作った自分だったの。でも、あの時に自分は地味で大人しいホンネより、元気で楽しいウソの方が好きだって分かったの。だから...この楽しいウソの方を、本当にしたいなって思ったんだ」


P「地味な真実より楽しい嘘を...か」

P「そうだな、その方がきっと....正しいんだろうな...」
773 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:46:43.06 ID:eupCA+er0
P「...おっと、ワインも後一杯くらいで無くなるな...ほい、最後の一杯注いでやるよ」



ボトルの口をフレデリカに向ける
するとフレデリカもグラスを寄せてきたので、最後の一杯をグラスに注いだ

フレデリカ「ありがとープロデューサー!」

P「もう大分遅いし、これ飲んだら帰るんだぞ」





そう言うと、フレデリカは少しグラスの中身に口をつけ、グラスを置き

一呼吸おいて、口を開いた



フレデリカ「じゃあさ、アタシも昔話したんだし帰る前にプロデューサーにも質問していい?」

P「質問?...いいけど、何を聞きたいんだ?」
774 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:47:16.99 ID:eupCA+er0




「プロデューサーは、どうしたら心から笑ってくれるの?」




775 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:47:48.72 ID:eupCA+er0




Chapter15 「How can you see your smile?」



776 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:49:47.78 ID:eupCA+er0
P「ッ!」

フレデリカ「アタシ、皆がハッピーなのが一番だからさ。プロデューサーが心の底から笑えて無いのを見るといつも悲しくなるんだよ。だから皆で遊びに出掛けたり、お酒一緒に飲んでお話ししたり、色々試したんだけど、ダメだったねー」

P「そんな事...俺はいつもお前たちのおかげで毎日楽しめてるよ」

フレデリカ「アタシ、地味なホントより楽しいウソの方が好きだけど、楽しくないウソは嫌いだな」

P「......」



フレデリカ「でも、どうしても話したくないんだよね?なら、いいや。アタシもプロデューサーが辛い思いしてまで聞きたいと思わないから」

P「...すまない」

フレデリカ「ううん、大丈夫。だけど...アタシ達みんな、本当にプロデューサーに感謝してるし、みんなプロデューサーの事大好きなの。プロデューサーが辛いのは皆イヤなの」
     

フレデリカ「だから...待ってるね」
777 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:52:20.97 ID:eupCA+er0
フレデリカ「てなわけでまた明日ー、バイバイ」



いつもより少し暗めに挨拶を残して、フレデリカは事務所から出ていった


後には孤独と、静寂だけが残る




P「....コーヒーでも飲むか」



そうか、志希の時もそうだったもんな

フレデリカはあれでいて人の内心見抜くのがとても上手い
だからこそ、俺の心も見抜かれていたのか
778 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 21:57:45.24 ID:eupCA+er0
でも、ごめんな
俺はもう止まれないんだ


真実で苦しむ暗いなら楽しいウソをとる。フレデリカのその考えは、本当に良いものだと思う

でも....俺はそれが選べない。例えどれだけ苦しもうとも、俺が今やっていることが、どうしようもない間違いだと分かっていても
俺は、腐った『真実』を追い求めずにはいられない


例え、お前たちを自分の目的の為に利用して、使い捨てることになったとしても
俺は、納得できる『真実』を手に入れなければならないんだ...!
779 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/06(土) 22:01:05.29 ID:eupCA+er0
ふと空を見上げると、月が出ていない事に気づいた
どうやら今夜は新月らしい


P「夜空に月がないのは、虚しいもんだな...」

















 
P「なぁ、お前もそう思うだろ?」




コーヒーから香る思い出に語りかける

今日も、返事は無い




P「ああ、俺本当に、プロデューサー失格だなぁ...」
 
謝ったとこで許されないのは分かっている
だが、言わずにはいられなかった








P「ごめん、ごめんなぁ。みんな........」


to be continued....
780 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/06(土) 22:06:30.40 ID:eupCA+er0
Chapter15終了。今回はここまで―

フレちゃんの過去については、主にデレステの限定SSRのセリフから色々と妄想を膨らませていって、こうなりました

彼女が日本に来てから今の性格になるまで、本当に色々な事を経験したんだなぁと考えると、なんだか目頭が熱くなりますね


でもフランスにいた頃の大人しめのフレちゃんも割と気になる。絶対かわいい
781 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 20:58:36.42 ID:8V9RddM30
Chapter16投下始めていきます
782 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 20:59:44.24 ID:8V9RddM30
フレデリカ「というわけで、『プロデューサーベロンベロンでげろっちゃえ作戦』は残念ながら失敗しちゃいました...無念!」

周子「んー...早苗さんとか青木さんに連れまわされてたって言ってたし、なんだかんだ肝臓鍛えられてたのかな?」

奏「待って、その作戦初耳なんだけど」

美嘉「あたしも...」

志希「言ってくれたら前に使った自白剤渡したのにー」

美嘉「ダメだよ!?」
783 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:00:12.02 ID:8V9RddM30




      Chapter16 「What identity of the shadow?」



784 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:02:12.76 ID:8V9RddM30
夜も更け、そろそろベッドに入ろうかと考えた所、スマホが周子からのコールを告げた

あの周子が『緊急!』なんて言って集合をかけるから、一体何事かと思ったのだけど...


奏「成程、プロデューサーさんを酒盛りに誘ったのは、そんな理由があったのね...」

志希「ていうか、もしかして周子ちゃんとフレちゃん一緒にいる?」

フレデリカ「うん!今日アタシしゅーこちゃんのお家にお泊りなんだー♪」

周子「あたしも気になってたからねー、Pさんがあたしたちに何を隠してるのか。もしかしたらフレちゃんとの酒盛りで何かゲロってるかもなーって思って、飲みが終わった後フレちゃんにウチまで来てもらえるよう頼んだんだ」
785 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:04:03.38 ID:8V9RddM30
美嘉「プロデューサーの、隠し事?」

周子「そそ。いい加減気になってきたやん?あの人嘘つくのヘタだから、何かあるってのはなんとなく分かるんやけど...何なんやろうね?」

志希「まあフレちゃんの質問に対する反応的に、何か隠しているのは確定していいんじゃないかにゃー?」


プロデューサーさんが私たちに何か隠しているというのは私も感じてはいた
プロデューサーさんは時々、露骨に話を逸らす時があるから


特に....



奏「あの人はいつも自分自身の事を話したがらない...」



もしかしたら私達...プロデューサーさんの事を知っているようで、実は何も知れていないのかしら?
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/04/07(日) 21:04:35.10 ID:nq29o8iho
ハーメルンで書いたほうが受そウケう
787 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:06:16.91 ID:8V9RddM30
美嘉「そういえば...まだあたしが移籍する前の時から感じてたことがあるんだけど」

奏「感じてた事?」

美嘉「プロデューサーって811プロを立ててからまだそんなに時間が立ってないはずなのに、なんか妙に業界に詳しいって言うか、現場に馴れ過ぎてる様な感じがするんだよね」

美嘉「だから前からプロデューサーをやってたのかなって思ってたんだけど....」

周子「でも、Pさん前に担当するのはあたしが初めてって言ってたよ?」

美嘉「そうなの?」

周子「まあPさんが嘘ついてなければやけど...わざわざそんな嘘をつく理由あるかなぁ?」



なぜプロデューサーになったのか、なぜ自らプロダクションを立てたのか
なぜトレーナーさんと知り合ったのか、どうして警察官である早苗さんと知り合ったのか
プロデューサーになる前は一体何をしていたのか...

思い返してみれば、私達はプロデューサーさんの過去を何も知らない事に気づいていく





でも...
私は何か、それに繋がる手がかりを持っていたような...?
788 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:12:07.67 ID:8V9RddM30
美嘉「...っていけない、もうこんな時間じゃん!あたし明日8時からお仕事なのに!」

美嘉「てなわけでゴメン!あたし落ちるね!」

周子「えっ...うわホントだ!もう2時回ってるじゃん!」
  
周子「しゅーこちゃんも明日は午前中からデュアルフルムーンでオーディションあるからお休みしまーす。また明日ー」

フレデリカ「じゃあアタシも寝るねー、ばいばーい!」

奏「あら、じゃあお開きにしましょうか」

志希「あたしも今日は遊び疲れたから寝るー、お休みー」


全員が通話を切ったのを確認し、私も明日に備えるためベッドに入り目を閉じる



プロデューサーさん、きっと気のせいじゃないわよね?

貴方に信頼してもらえてない気がするのは...


ねえ、もし私達がトップアイドルになれるほどの魅力的な女になれたら、貴方は自分の事を全部話してくれる?

そうだとしたら....俄然、燃えてくるけど


プロデューサーさん....いつか貴方に誓った復讐は、必ず果たしたい。でも......



それを果たすとき時貴方は、ちゃんと私達の姿を見てくれるのかしら?
789 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:12:39.31 ID:8V9RddM30
〜〜〜〜〜〜深夜、某芸能事務所前〜〜〜〜〜〜


怪しい男「.......」ニヤリ

ゴソゴソ.........











警備員「おい!誰だお前!」

怪しい男「!!」
790 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:15:30.08 ID:8V9RddM30
次の日、私と周子の二人、デュアルフルムーンである大型番組のオーディションに挑んだ

毎年この時期に恒例で行われるこの番組は毎回大きな視聴率をたたき出す超人気番組
その分倍率はとても高く、私達の他にも多くの事務所が人気のアイドルを参加させていた

その中にはもちろん、010プロイチオシのアイドルユニットで、私達の良きライバルであるトライアドプリムスも



そんな大一番だからか、今日はプロデューサーさんもサポートの為オーディションに付き添ってくれた

プロデューサーさんが見に来ているのなら、無様なところは見せられないわね
そう周子と意気込み、今の私達の出せる全力でオーディションに挑んだ

そして、そんなアイドル業界の猛者が入り乱れた激しい戦いの結果は....







P「嘘、だろ....?」



1位 トライアドプリムス  ★×45 010プロ

2位 デュアルフルムーン  ★×0  811プロ

2位 NO TITLE   ★×0 WESTプロ

2位 Venus      ★×0  369プロ

2位 NightJuels ★×0  456プロ

2位 キングダムガールズ  ★×0  891プロ

             ・
             ・
             ・
             ・
             ・



圧倒的な力を持って作られた、焼け野原が残るのみだった
791 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:17:30.13 ID:8V9RddM30
周子「こりゃあ完敗、だね...」

奏「ごめんなさいプロデューサーさん、折角見に来てくれたのに...」

P「いや、謝らなくていい。お前らは今回ちゃんと全力を出し切れていた、だが...」


それ以上に、今日のトライアドプリムスは圧倒的だった

私たちだけじゃない、全ての参加者が非常に高いレベルのパフォーマンスを発揮していた

でも...



P「トライアドプリムスは、それを寄せ付けないほど完成されたパフォーマンスだった...」
 
P「正直、次元が違う、そう感じさせられるほどのオーラだった.....だがまさか、全ての星をかっさらっていくとは....」

周子「トラプリの皆、最後に戦った時とは比べ物にならない技術力だったよ」

P「二人とも、あまり気を落とさずに....」

周子「大丈夫、今回はちゃんと自分を出し切っての敗北だから悔いはないよ、次勝てるように頑張るだけ」
  
周子「...ごめん嘘、やっぱりちょっと...ううん、ちょー悔しい。トラプリの皆、一体今回の為にどれだけの練習を積み重ねてきたんやろ...」

奏「それはもう、想像なんてできない程でしょうね」
 
奏「でも...」

P「でも?」

奏「審査中、ちらっとトラプリの方を見た時にね...」
792 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:18:59.92 ID:8V9RddM30
その時、オーディション会場の扉が開き中からトライアドプリムスの3人が出てきた
おそらく番組の打ち合わせが終わったのだろう
彼女たちのプロデューサーらしき人も一緒だ



周子「みんなお疲れさま。今日は完敗だったよ」

トラプリP「君たちは...デュアルフルムーンのお二人ですね。お疲れさまです」

凛「どうだった?今日の私達は」

奏「とても美しかった、正直格の違いを感じさせられたわ...」

凛「そっか、なら良かった」

加蓮「あんだけのレッスン、こなした甲斐あったね」

トラプリP「だがお前ら、いい加減オーバーワーク気味じゃないか?言えば少しは休息を入れてやるが...」

加蓮「ううん、今はあたし達が頑張らなきゃいけない時期でしょ?」
  
加蓮「...010プロダクションの為にも」






...?
プロダクションの為?
793 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:20:35.15 ID:8V9RddM30
トラプリP「いいや、だとしてもだ。お前らに倒れられたらその方がマズイ。やっぱり、今回の番組が終わったらしばらく休みを入れさせてもらう。これからの為にも一旦しっかり体力を回復しておくんだ」

トラプリP「.......それに、これからもっと忙しくなるだろうしな」

加蓮「でも!」

凛「加蓮、ここはプロデューサーのいうこと聞いておこうよ」

奈緒「そうだぞ!ただでさえここ最近加蓮は無茶し過ぎなんだから!」

加蓮「....分かったよ」


トラプリP「じゃあお前ら、下に送迎待たせてるから先に戻っててくれ。俺はまだスタッフと打ち合わせがあるから」

凛「分かった、じゃあまた後でね」

周子「またね皆、次は負けないよ!」

奈緒「こっちこそ!次も勝つからな!それじゃあ...」



加蓮「ちょっと待って」


凛「加蓮?」
794 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:21:49.38 ID:8V9RddM30
加蓮「ねえ奏、周子、聞かせてほしいんだけど」

奏「聞かせてほしいって...」

周子「何を?」


加蓮「....二人はあの噂、どう思ってる?」

奏「噂って...一体何の?」

加蓮「知らない?あたし達010プロが...」

トラプリP「加蓮!」

加蓮「っ!」

トラプリP「それを聞いたら、答えが何にしろ困らせるだけだろう」

加蓮「それは...」
795 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:23:31.57 ID:8V9RddM30
周子「...なんかよーわからんけど、今日の加蓮ちゃん達は凄かったよ」

奏「ええ、今日の貴方たちを見れば、貴方たちがとても素晴らしいアイドルであることはちゃんと分かるから」
 
奏「だから...折角オーディションに完全勝利したんだから、もっと楽しそうな顔を見せてほしいわ」

加蓮「えっ?」 

奏「一緒にオーディション受けたんだから分かるわよ...今日の貴方たちのパフォーマンスは本当に凄かった」
 
奏「でも...ちょっとだけ、辛そうに見えたから」

トラプリP(...この子達、気づいてたのか...)





加蓮「...ありがとう」

奏「いいのよ、でも次は負けないから。覚悟してなさい」

加蓮「ふふっ、望むところだよ!」
  
加蓮「.....って、なんか緊張解けたらどっと疲れが...」

奈緒「加蓮!?...あっつ!お前熱高いぞ!?」

凛「やっぱ無理してたんだね...プロデューサー」

トラプリP「ああ、事務所には連絡しておくから先に病院へ連れてってやってくれ」

加蓮「あはは...ごめんねプロデューサー」

トラプリP「いいってことよ、それじゃお前ら、また後でな」

周子「ばいばーい」
796 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:25:21.82 ID:8V9RddM30
P「ああそうだ、トラプリのプロデューサーさん、この後少しお時間あります?ちょっと話したいことがあるんですけど」

トラプリP「えっ?まあ打ち合わせまでまだ時間は........成程、分かりました。では」



奏「何を話すの?」

P「えっ!?...ああ、お前らは先に事務所に戻っててくれ。」

奏「何を話すのかって聞いてるんだけど?」

P「ちょっと大人の話だよ、お前らにゃまだ早い」


奏「...また、隠し事?」

P「別に、そういうわけじゃ........」

奏「答えて」



マチカドニソノメロディ♪

P「電話?」

奏「私のね、こんな時に一体誰から...!!」

P「どうした?」

奏「いえ、間違い電話だったみたい。切れちゃったわ。それよりもプロデューサー...」
797 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:26:38.72 ID:8V9RddM30
周子「まあまあ!なんか聞いちゃいけない話みたいだし見逃してあげよ?」

奏「....周子がそう言うなら、しょうがないわね」


周子「んじゃ帰ろっか、早く事務所戻ってPさんの分のおやつも食べちゃお?」

奏「あら、いいわね」

P「いやよくないぞ」

周子「いいでしょ?手打ち金替わりって事で」

P「えぇ...分かったよ」

周子「やった!じゃあお先―」

奏「また後でね、プロデューサー」

P「おう、またな。......それじゃあトラプリPさん」

トラプリP「ええ、こんな廊下で立ち話もなんですしあちらで...」
798 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:29:05.94 ID:8V9RddM30
P『まずは今回のオーディション合格おめでとうございます。あの気迫、やはり...』

トラプリP『ええ、『IG』の為にはどうしてもAランクに上がらねばならなかったので』

トラプリP『公になってからではさらに厳しくなりますからね...』

P『やっぱり、IGの開催は本当の事だったんですね』

P『あのIAやIU、WINGと肩を並べるアイドルの祭典......それが、よりにもよって今開催されるとは....』

トラプリP『ウチの事務所の情報網は優秀ですからね、しっかり裏も取れたそうです』

トラプリP『それで、811プロのアイドルの皆さんはどうするんです?やっぱり出場を狙うんですか?』
799 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:29:44.61 ID:8V9RddM30

P『......IGには...出場させる気はありません』
800 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:31:15.28 ID:8V9RddM30
トラプリP『えっ?』

P『今IGに出るのは危険すぎます。それに出場権を手に入れるための時間も足りない。なのにIGの為に期待を押し付け無理をさせれば、取り返しのつかない事になる』

トラプリP『....それでいいんですか?』

P『ええ、無理に目指すものではないですし』

トラプリP『....そうですか』
     
トラプリ『でも、貴方が聞きたいのはIGの話ではないでしょう?』

P『一応、IGの裏を取る目的もありましたよ。でも確かに、本命は違う』

トラプリP『...あの噂の事ですね?』
801 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:32:37.57 ID:8V9RddM30
P『ここ最近、よく耳にしますからね...010プロが、iDOL MOVIE BIGBANGの参加事務所への妨害をしているという噂』
 
P『実際のところ、どうなんです?』

トラプリP『...貴方は、どう思います?私達が不正をしてると思いますか?』

P『ぶっちゃけ、トラプリに関しては無実だと思います。今日のオーディションを見ればあの子達がちゃんと実力で戦ってるのは分かる。そしてあなたの事も、信用できると思ったから話してます」

P『だが...あんた達は無実でも、010全体がそうとは限らない』

トラプリP『そうですか...とりあえず自分たちが疑われてない事を喜ぶべきなのか、それとも事務所の無実を証明できない現状を嘆くべきか...』

P『...何か、社内で怪しい動きとかはありましたか?』

トラプリP『無い、と言いたい所ですが...私も社内全部の事を知れてるわけじゃありません』

トラプリP『それに私が入社する以前、前社長の時の話になりますが...010プロには前にも不正の疑惑が立ったことがありますし』

P『完全にシロとは断定できないって事か...』
802 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:34:13.96 ID:8V9RddM30
トラプリP『しかし最近では、010に疑惑が集中してきています。iDOL MOVIE BIGBANGに参加した事務所で被害を受けていない事務所でしたから...』
     
トラプリP『それに、おそらくこれからもっと...』

P『もっと?どういうことです?』

トラプリP『昨日の夜891プロに不審者が侵入して、警備員に取り押さえられたとの情報が入りました』
     
トラプリP『そして...それが阿苦都苦出版の記者だったと』

P『!!』


トラプリP『この情報は今夜にでも雑誌やニュースで流れるでしょう。更に、いくつかのテレビ局はこれを機に今起きてる事件...[iMB事件]の特集企画を組み始めてます』

P『なんだって!?そんなの大っぴらに報道されたら!』

トラプリP『今回の件で010プロは唯一被害を受けてない事務所.....だからこそ、一番怪しい立場になってしまった』
     
トラプリP『加蓮達も、自分たちの手で010プロは不正なんかしていないって証明すると今まで以上に頑張ってくれてでいたのですが...』

P『正直、疑いを晴らすには厳しいだろうな...』
803 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:35:59.04 ID:8V9RddM30
トラプリP『実際、この疑惑のせいでウチの所属のアイドルの何人かは仕事が減っていて、信用も失いつつあります...このままだと、トライアドプリムスにも...いや、事務所全てのアイドルに悪い影響が...』

P『なんか思い詰めてたみたいですしね。あんたのフォローがなかったら危なかったかもしれません。トライアドプリムスはプロデューサーに恵まれたみたいですね』

トラプリP『いえいえ、いいライバルに恵まれたからですよ。デュアルフルムーンの二人、上手く加蓮を励ましてくれましたし』

P『...あの子達には、この辺の暗い噂は話してないんですけどね...』

トラプリP『......っとと、そろそろ打ち合わせの時間だ』

P『すいませんお時間取らせちゃって』

トラプリP『いえいえ、また811プロの皆さんと会えることを楽しみにしてますよ』

トラプリP『ああ、それと』

P『なんです?』







トラプリP『貴方は、もう少しアイドルを信用してあげてもいいと思いますよ?』

P『えっ?』

トラプリP『....それじゃ、またどこかで』
804 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:36:32.62 ID:8V9RddM30
=====811プロ事務所======


P「ただいま」

周子「お帰りプロデューサーさん」

フレデリカ「おかえりー!」

美嘉「みんな揃ってるよー」

P「もう全員帰ってきてたのか、じゃあこの後はレッスン室で...」


志希「ああ、レッスンはトレーナーさんに頼んで少し待ってもらってるよ」

P「え?なんで?」
805 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:38:48.56 ID:8V9RddM30
奏「プロデューサー、私達いい加減頭に来ているの」

P「頭に来てるって.......俺なんかした?」
 
奏「プロデューサー、これを聞いてもらえる?」ピッ

ピピー...ガガッ!













【P『IGには...出場させる気はありません』】


P「ッ!?
806 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:40:25.24 ID:8V9RddM30
周子「驚いたPさん?」

P「一体どうやってこれを!」

周子「鞄の中見てみ?」

P「鞄?....これは!?」



P「周子のスマホ!?」

周子「実はあの時奏ちゃんにかかってきた電話、あたしからだったんだよねー。んで奏ちゃんには通話状態にしてもらっておいて、あたしは自分のスマホをPさんの鞄にこっそり突っ込んだってワケ」

美嘉「それって061社長にもやったやつ?」

周子「そっ、あの時の経験が生きたねー」


奏「というわけでプロデューサーさん、話してもらえる?あの時私達に隠したこと。もういい加減、蚊帳の外にされるのは辛いわ。だから嫌とは言わせないわよ?」

P「しかし...」

奏「プロデューサーさんが私達の事を思って色んなことを秘密にしてくれてることは分かってる。でもね、今回の事件に関しては私達だって大きな被害を受けてる」

奏「だからこそ、外野にされるのは嫌なの。だからお願い、ちゃんと話してちょうだい」

P「奏....」




奏「お願い、プロデューサーさん」

P「...分かったよ」
807 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:41:39.29 ID:8V9RddM30
P「まずは...iMB事件からか」

美嘉「名前的に、『iDOL MOVIE BIGBANG事件』って意味でいいんだよね?あの企画に参加した事務所のスキャンダルが次々発覚したってやつ」

P「ああ、そのまんまじゃ長いから業界の中では縮めてiMB事件って通称が広まってる」

志希「それで、その事件で被害を受けてない010プロが疑われているって事ね」

周子「被害を受けてないのは891プロもだったけど、それも阿苦都苦出版が侵入したから...」

P「010は唯一被害を受けていない事務所になってしまったって事だ」



志希「確かに、インターネットの情報サイトにはもうその記事いくつか上がっているね」
  
志希「...それと、iMB事件の疑惑についても」

美嘉「ていうか、なんでそんな大事な事プロデューサーは秘密にしてたの?あたし達だって一度狙われてるのに!」

P「それは...」



奏「当てて見せましょうか?私達に010に対して余計な疑いを持ってほしくなかったから」

奏「いえ...もっと言えば、私達に事件の事を考えてほしくなかったから、違う?」

P「ッ!...」

奏「図星のようね」
808 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:43:02.94 ID:8V9RddM30
P「....芸能界はテレビの上で見るような綺麗な世界ばかりじゃない...むしろその分大きな影が潜んでいるんだ。そんな影を引き受けるのが、俺の、プロデューサーという職業の人間が請け負う責務」
 
P「だから、お前たちに安心して明るいところを歩いてもらうために、そういう暗い世界の事は秘密にしていた」

奏「そう...まあいいわ、ずっと前からその辺は予想ついてたし」

P「えっ?」

奏「前にWESTプロや456プロのゴシップ記事が出た時から気づいてたわよ、あの企画の参加者の中に得体の知れない影が潜んでいたことなんて」
 
奏「そして、プロデューサーさんがその事実を隠した理由もね」




※Chapter12
(あのパーティー会場は関係者以外は入れなかったはず、そんな場所に阿苦都苦出版は堂々と入り込めていたのよ?)

(まず間違いなく、パーティーの参加者の中に協力者がいる...おそらく、今週の週刊スクープによる被害を受けなかった芸能事務所からね)

(...多分私たちに余計な心配をさせないために、わざと言わなかったんだと思う)





奏「まあ、大方予想通りだったからiMB事件の情報を秘密にしてたのは見逃してあげるわ」
809 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:44:07.79 ID:8V9RddM30
周子「そもそも隠したところで、どっちみち公に出てしまえば分かっちゃうとこだったしね。ていうかむしろなんでわざわざ隠したん?」

P「いやまあ...あははは...」

奏「大方、私達に事件の事を考えさせるわけにはいかないって考えだけが強すぎて、後でばれるって事なんか頭になかったんでしょ」
 
P「ギクッ!」

奏「....というか、前から気になってたんだけど、プロデューサーさんって妙にこの事件に執着していない?」

P「そりゃあ、美嘉が被害にあってるからちゃんと調べておかないといけないだろ?」

奏「それはそうだけど...本当にそれだけかしら?」

P「...そうだよ」

奏「........まあ、いいわ。じゃあ次の質問」
 




 


「IGって、一体何?」
810 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:45:40.94 ID:8V9RddM30
P「...お前ら、アイドルランク制定の規定でこういうルールがあるのは知ってるか?」
 
P「『通常の手段で昇格できるのはAランクまで』」

周子「いや、初耳だね。でもそれが何か...」


フレデリカ「んー?...でもアイドルランクって、Sランクまであるんじゃなかったっけ?」

周子「あれ?そういえば....」

美嘉「あっ!あたし聞いたことある!確かSランクに上がるには特別なオーディションに合格しなければいけないって」
  
美嘉「でも、そのオーディションがいつ開催されるかは分からないとも聞いたけど...」

奏「...成程、IGは通常のオーディションじゃない...Sランクに昇格するための、特別なオーディションって事ね」

P「ああ、そういう事だ。IG、正式名称IDOL OF GRATESTは、あのIAやIUに並ぶほどの大規模な特別オーディション」




 

 「Sランク認定オーディションだ」
811 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:46:49.04 ID:8V9RddM30
周子「Sランク認定オーディション...」

P「まだあくまで業界の一部界隈だけの噂で公には発表されてないが...もうじき一般にも情報が公開されるだろう」
 
P「010程の力がある事務所が本物だと判断したんなら、間違いない」

志希「んで、そんな大きなオーディションの事をキミは何で秘密にしてたわけ?」

美嘉「そうだよ!そんなオーディションがあるならその為にもっと頑張らないとダメじゃん!」


P「...それがなお前ら、IGの参加資格は来月...3月22日のIG予選開幕までにAランクであることらしいんだ」

奏「あら、だったら尚更Aランクに昇格できるように努力しなければならないんじゃない?」


周子「...あー、そういう事か」

フレデリカ「どゆこと?」

周子「ほら、前に打ち上げやったときプロデューサー言ってたやん。BからAに上がるには、FからBに上がるのにかけた3倍の時間と努力が必要ってさ」
812 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:51:48.05 ID:8V9RddM30
P「ああ、それ程までにBランクとAランクの壁は厚い。実際、Sランク認定オーディションが開催されるときは決まってBランクのアイドル達は荒れる、参加資格のAランクに昇りつめるためにな」
 
P「そして、そのせいで無茶をして怪我したり心が折れたり...そうやって引退してしまうアイドルも多く出る」
 
P「今日のトライアドプリムスくらいの成果を出せればAランクに昇格できるだろうが...実際、かなり無理して身体を壊しかけてただろ?」

周子「まあ、そうだったね」


P「それに、今の芸能界は危険だ....特に、アイドル業界は。きっとIGにも、iMB事件の黒幕が何か仕掛けてくるだろう」

奏「まあ、時期的にあの事件の犯人の本命はIGであってもおかしくはないわね」

P「それに俺は、お前たちを頂上まで連れ居ていける程優秀なプロデューサーじゃない。事務所のサポートも、他の事務所に比べたら虫みたいに小さい事しかしてあげられない。だからこそ、お前たちが無理をして壊れるようなことは絶対にさせたくないんだ」
 
P「それにほら、俺はさ....」
813 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:52:25.60 ID:8V9RddM30



    無茶振りはしても、無理なことは言わないからさ....


814 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:53:38.10 ID:8V9RddM30
奏「成程ね...理解はできたわ」




でも..........

 










『そんなの、納得出来ない!』
815 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:55:04.87 ID:8V9RddM30
P「えっ?」

美嘉「プロデューサー、今のは流石にちょっとムカついたよ」

周子「あたしも。だってそれじゃあまるで、あたし達にはトップアイドルになるのは無理って言ってる様なものじゃん」

P「そういうわけじゃない!ただ今急いで目指さなくてもってだけで...」


フレデリカ「でもそれって、今頑張らなくていい理由にはならないと思うなー」

志希「目の前にすっごい面白いものがあるのに追いかけちゃだめって言うの?それはつまんないよ、すっごくつまんない!」

P「頑張っちゃいけないって言ってるつもりじゃねえよ、でもその為に無理するようなことは!」


奏「プロデューサーさん、私達やっと分かったわ」

P「分かったって...何が分かったってんだよ?」

奏「私達にずっと足りてなかったもの。そして、貴方がずっと抱えていた影、その正体」

P「影?...一体何だってんだよ」
816 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 21:57:54.66 ID:8V9RddM30
奏「ずっと、私達とプロデューサーさんは、一緒に肩を並べて歩いているんだと思ってた」

奏「でも、それは違った。貴方はずっと私たちより少し前の方で一人離れて歩いてる。私達は今までずっと、貴方に本当の意味で信頼されてなかったのね」
 
P「!!」


奏「貴方にとって私達は守るべき存在...でも同時に、守らなきゃいけないちっぽけな存在。だから自分の影...本心を預けることができない」
 
奏「もっと単純に言ってしまえば、私達を舐めてるって事でしょ?」

P「そんな...そんな事!」

奏「無いって言える?私達を守りたいからなんて理由付けて、何にも話していなかったって言うのに」

P「ッ!」


奏「本当は、私達の事を信頼していなかったから、私たちじゃあなたの抱える荷物を背負えないから、だから何もかも秘密にしていたんじゃないの?」
 
奏「だから...IGに出場するのも無理って決めつけて、一人で勝手にあきらめをつけて、何もかも自分だけで抱え込もうとしてる。違う!?」

P「それは...」
 


奏「...いいわ、そっちがその気ならそれでいい。私達は勝手にやるわ」
817 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 22:01:09.00 ID:8V9RddM30
P「勝手にやるって...今のお前らじゃ無理だ!」
 
P「第一、Aランクに上がるにはただ大きなオーディションで勝つだけじゃダメなんだぞ!?今日のトラプリみたいに圧倒的な格の違いで勝たなきゃならないんだ!」
  

周子「でも、トラプリはちゃんと出来たよ。アイドル歴でいったらあたし達と変わんないだろうに」

P「それはそうだが...大規模事務所の010のあの子らとウチじゃそもそも環境が違う!あの子達は下積みの時から、事務所内ですら戦場だったはずだ!」
 
P「プロデューサーだってそうだ!俺とは違ってあっちのプロデューサーはいくつもの困難を潜り抜けたベテランだ!」
 
P「...言いたかないが、お前らとトラプリじゃ用意された物も、経験の質も、初めから違う!特にここまで上のランクまで登ってきたからこそその差の影響が大きくなってる!ホントは今張り合うべき相手じゃないんだ!」


周子「....Pさん、あたし今のPさんが何言ってるか分からないよ。なんでそこまで、あたし達が諦めなきゃいけない理由ばかり並べるの?」

P「分かってくれ...今そこまでする必要は『分からないよ!!』」




周子「今は環境の事を言い訳にして妥協するのが一番楽で賢いのかもしれない。今起きてる事件にも巻き込まれずに済んで安全なのかもしれない。でも、今あたし達は『アイドル』に本気なんだよ!」

周子「それなのに、ライバルは先に進んだけどあたし達には無理だから指をくわえてみてろって?.......本気で言ってるなら、いい加減マジで黙って欲しいんだけど」
818 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 22:03:46.39 ID:8V9RddM30
美嘉「プロデューサーはあたし達のプロデューサーじゃん。だからどんな理由であれ担当のアイドルであるあたし達に、『諦めろ』っていうのはどうかと思うよ」
  
美嘉「というか、そんなにトラプリと張り合ってほしくないなら、何で今までは止めなかったの?」

P「それは....」


奏「今のプロデューサーさんからはあの時...カラオケでマイクを渡されたあの時と同じ何かを感じるわ」

奏「プロデューサーさん、貴方は一体、何を恐れているの?」
 
P「....俺は!お前たちが無理して壊れるところを見たくねえんだ!」
 
P「今IGの為に無理をしたら絶対に苦しむ!そして...それでも駄目だったときに絶望する...心がポキリと折れちまう!そしたら...アイドルになったことを後悔することになる...」
 
P「別にチャンスは今回だけじゃない!わざわざ自分から苦しみに飛び込まなくたっていい!だから!」



美嘉「やらなくていい事か、やるべきことか、それはあたし達自身で決めることだよ!」
  
美嘉「だから...無理だなんて勝手に決めつけないで!あたしは妥協なんてしたくないの!」

P「!!」
819 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 22:04:46.56 ID:8V9RddM30
志希「あたしは、ただアイドルっていう未知の世界を解き明かしたい...そして、パパやママにトップアイドルになったアタシの姿を届けなきゃいけないの」
  
志希「だから、止まってる暇なんかないんだよ。どんなに興味がふらふらして失踪したりするあたしでも、未知への好奇心はいつだって全開なんだから」

フレデリカ「無理かどうかは、無理してるとこを見てから決めてもいいんじゃない?それにアタシ達、ここまで連れてきてくれたプロデューサーにもありがとうって言いたいから」
     
フレデリカ「だから...もっとアタシ達を信用してほしいな?」


P「やめろ...やめてくれ...」

P「俺はもう...あの子の様な子を見たくは....」



奏「『あの子』?」

P「ッ!?」
820 : ◆FuHrdA/9sY [saga]:2019/04/07(日) 22:09:33.54 ID:8V9RddM30
奏「ねぇ、『あの子』って誰の事?」

P「.......」



奏「...意地でも話したくないって顔ね、いいわ」



私はプロデューサーへと一歩踏み出し、ずっと、ずっとずっと貯め続けた想いを吐き出す


怒りも、悲しみも、寂しさも、決意も、全部!
目の前の分からず屋に叩きつける!!





奏「貴方が私達を信頼できないなら、信頼できるようにしてあげる。この一か月で、私達全員Aランクに昇格してみせるわ。」

奏「だから、私たちから逃げないで、ちゃんとその目で見ていなさい」



奏「私達が、貴方に守られてばかりの弱い存在じゃないって事を!私達が蛹から蝶になるその瞬間を!」

奏「その両目に、しかと焼き付けなさい!!」











to be continued...
821 : ◆FuHrdA/9sY [saga sage]:2019/04/07(日) 22:15:08.89 ID:8V9RddM30
Chapter16終了したところで今回はここまでー。IGは原作で言うIUやIAみたいななんかすごい大会だと思って下さい
原作からそのままIAとか使おうとも思ったんですけど、それだとあっちの世界のルールに話を合わせなきゃいけなくてめんどくさかったので.....

>>786
正直書いてて自分でもそう思ってちょっと後悔してます....
でも今更場所変えられ無いので、このままVIPで頑張ります
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