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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十九輪目】
- 1 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 16:05:05.95 ID:8lYPOtYoo
- このスレは安価で
乃木若葉の章
鷲尾須美の章
結城友奈の章
楠芽吹の章
―勇者の章―
を遊ぶゲーム形式なスレです
目的
東郷家、犬吠埼家への挨拶と伊集院家の説得
進路決定
結婚式
全員生存
安価
・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります
日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2
基本的には9月14日目が最終
勇者の章に関しては、2月14日目が最終
戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%
※ストーリーによってはHP0で死にます
wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】 不定期更新 ※前周はこちらに
前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1468417496/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1472477551/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1477053722/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1481292024/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1484833454/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1488104860/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1491918867/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【九輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1495544664/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1499086961/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十一輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1503148550/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十二輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1507900727/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十三輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1512897754/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十四輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1517577349/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十五輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1523885099/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十六輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1532355674/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十七輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1543739820/
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十八輪目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1552817368/
- 2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/06/16(日) 16:06:59.81 ID:8lYPOtYoo
- √ 2月6日目 昼 (病院) ※火曜日
天乃「っふ……げほっ……けほっ」
咳に引き摺り出されたように戻ってきた意識
身体の奥底の痛みと、息苦しさ
味覚に染みる血の味を感じて、天乃は顔をしかめる
意識を失ったのだ
それも、園子の時とは比べものにならない、負担によって
天乃「風、東郷……」
園子を除けば、友奈と風と東郷の3人
それで、園子以上の負荷がかかった
あと1人
そんな我儘は許されるだろうかと、握り拳を作るだけで震える手を見つめる
天乃「ぅ……」
ベッドに手をつき、何とか状態だけでも起こそうと、試みる
キシキシと軋むベッド、ビキビキと痛む腕
自分を支える力すら、今は奪われているのだと
天乃は起きるのを諦めて、目を瞑る
その瞬間、額に冷たい何かが触れた
- 3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 16:16:53.17 ID:Es+h+y4aO
- 立て乙
- 4 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 16:19:54.73 ID:8lYPOtYoo
-
千景「無理して起きるのは良くないわ」
天乃「千景……」
若葉「私もいるぞ」
天乃「わか……げほっ……かふっ……ふーっ」
若葉「無理して話さないでくれ」
声をかけてすまない。と、
若葉は申し訳なさそうに言って、天乃の口元を拭う
瞬く間に赤く染まっていくタオルを折って、拭って、また折る
喉の奥を切ってしまったのだろう
呼吸だけでも痛みに顔をしかめる天乃を、千景は優しくなでて汗を拭う
千景「目を覚ますのは早くてよかったわ」
天乃「………」
千景「まだ、お昼よ」
気を失った時間から考えれば、
数時間経過してはいるものの
半日や、一日
長く昏睡状態には陥っていない
ただ、吐血したりしたこともあって、油断は出来ない
- 5 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 16:43:15.86 ID:8lYPOtYoo
-
若葉「明日は、休んだ方がいいと思うぞ」
少なくとも、今日このあともう一人。なんていうことは絶対にない
それに加えて、明日も力を渡す行為はしないべきだと、若葉は言う
どうして力を渡す必要があるのかは重々承知しているつもりだし、
天乃の多少に無茶にも目を瞑るつもりではあった
しかし、血を吐くような状態になってなおの無茶は、させられない
その分、勇者部の誰かが無理をすることになってしまう
それは分かっている
天乃「ぅ」
若葉「そう、不満そうな顔をしないでくれ」
天乃「ゎか……」
千景「無理をしないで」
だが、
守ることが出来るかもしれない勇者部の無理と、
守ることなどできない天乃の無理
どちらを止めるべきかは迷わない
- 6 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 17:22:18.51 ID:8lYPOtYoo
-
千景「久遠さんが言いたいことは、良く分かっているつもりよ」
その思いを、その願いを
挫きたいわけじゃない
けれど、止めなければならない
これ以上の無理は、天乃を殺すことになる
守るのが精霊の役目であり、みんなの願いだ
千景「分かっていたはずよ。無茶を重ねればこうなるって」
若葉「千景、それでもやらなければならなかったことだ」
千景「ええ、そう。だから、分かっていたはずなのよ」
天乃「ぇぇ……そうね」
分かっていた
無茶をすれば、体を壊す
身体を壊してなお無理をすれば、命を落とす
だが、このままでは夏凜と樹が非常に辛くなる
1、あと一度だけ、見逃して
2、あと、二人なの……二人だけ頑張れば、終わるのよ
3、今ここで頑張らないで、いつ頑張るのよ
↓2
- 7 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 17:29:06.39 ID:+eG3HsmmO
- 1
- 8 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 17:30:20.53 ID:QcPM7YKj0
- 3
- 9 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 17:42:55.40 ID:8lYPOtYoo
-
天乃「今ここで頑張らないで、いつ頑張るのよ」
千景「十分頑張ったはずよ」
天乃「過去じゃなくて、これからの話」
今まで頑張ったから、もう頑張らなくていい
そんなわけがない
大事なのは、今だ
千景「いいえ、今までも含めた話よ」
天乃「………」
千景「そんなに見ても、変えないわ」
頑張ったから、頑張ってきたから
だから、これからの無茶を許すわけにはいかない
千景「頑張りすぎて、死んで。それで何が残るの?」
天乃「死なないわ」
千景「その可能性がある」
天乃「可能性に……っ……くっ」
千景「……可能性にしか過ぎない? わけがない」
血を吐きそうな天乃を一瞥して、言う
- 10 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 18:41:24.35 ID:8lYPOtYoo
-
千景「自分の痛みにも気づけないような、鈍感なの?」
若葉「それは分かっていることだろう。だが、そうしなければならない理由があるんだ」
千景「……乃木さんなら、そう言うと思ったわ」
かつて裏切り、刃を向けた愚か者
そんな人間を守り、傷つくことを選んだ乃木若葉
彼女であれば、すべき無茶であると判断すると
千景「でも、それで死んだら無意味よ」
若葉「分かっている。だが……それで守るべき者を失ったら、生きている意味がない」
千景「それで死なれたら……いえ、それはないわね」
それで死なれたら生きている意味がない
そう言いかけた口を閉じて、首を振る
生きている意味はある
それの良し悪しは別だが。
千景「乃木さん、貴女は久遠さんを死なせる可能性を選ぶのね」
若葉「妥協案だ」
千景「妥協案?」
若葉「ああ……あと一人、あと一回。その無茶だけは許してやろう」
- 11 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 18:53:59.30 ID:8lYPOtYoo
-
若葉「二人は無理だが、日数的に考えればあと一人くらいは出来るかもしれない」
千景「確かに、明日休むのは当然として明後日休んでもあと一人くらいの時間はある」
二日間の猶予と言うものを考えなくていいのならば
もう少し休む時間を用意できる
そうすれば、より万全にあと一人を救うことは出来る
一人を救うのを諦めるからこそ、より確実に救える
嫌な話だ、皮肉な話だ
だが、それが今だ
若葉「天乃、一人だけ。と言うのならば、私は味方になる」
天乃「…………」
若葉「二人を求めるのなら、千景と同じ答えだ」
申し訳ないが。
そう続けた若葉は天乃を見る
優しく、申し訳なく
若葉「少なくとも今日は休むだろう? 良く考えてくれ」
若葉はそういった
- 12 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 19:03:13.80 ID:8lYPOtYoo
-
√ 2月6日目 夕 (病院) ※火曜日
01〜10
11〜20 園子
21〜30
31〜40
41〜50 夏凜
51〜60
61〜70
71〜80 樹
81〜90
91〜00 東郷
↓1のコンマ
- 13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/06/16(日) 19:06:03.75 ID:caBHvEkC0
- はい
- 14 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 19:50:08.79 ID:8lYPOtYoo
-
√ 2月6日目 夕 (病院) ※火曜日
樹「久遠先輩、お体の方はどうですか?」
天乃「樹……」
ゆっくりと横を向く
うすぼんやりとした視界に映る樹は、
天乃の小さな声に耳を傾け、微笑む
まだ弱弱しい
だけれど、ちゃんと生きている
だから、笑みを見せた
樹「しばらく休めば、問題なさそうですね」
天乃「ううん、少しで大丈夫よ」
樹「また、そういうこと言うんですから」
少しで大丈夫なわけがない
それでも気丈に……無理をする
そんな天乃を困ったように見つめて、
樹は「ダメですよ」と、言い放つ
- 15 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 20:07:13.32 ID:8lYPOtYoo
-
樹「久遠先輩、もう無理です」
天乃「無理じゃないわ」
樹「無理ですよ。もう」
天乃の頬に、触れる
本人は気付いていないのかもしれないが、
平均的な体温よりもずっと熱い
穢れの力が不足して、補給され、
その間の力の乱れが体を蝕んで、補われている分の熱量が体を焼き尽くそうとしている
今回は、大丈夫
しばらく休めば落ち着いて、治る
だが、次は? その次は?
きっと、無事では済まないだろう
樹「私と夏凜さんの二人に力を渡すのは無理ですよ。久遠先輩」
天乃「どうして、そんなことを言うの?」
樹「私達が断らないと、久遠先輩は聞いてくれないと思ったからです」
- 16 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 20:28:24.69 ID:8lYPOtYoo
-
他の誰がなんて言おうと、
天乃は二人を救うために頑張ろうとする
だから、夏凜や樹が断る必要がある
当人から拒絶されれば、
流石に、強行はしなくなってくれる……はずだ
樹「久遠先輩、死んだら駄目なんです」
天乃「その可能性があるのは、二人なのよ?」
樹「私達は、まだ、皆さんがいてくれます」
樹たちが行う戦いは、
勇者部や、若葉達精霊の努力次第で何とかなる
しかし、天乃の戦いはそうではない
努力をしても無意味
それでどうにかなるようなものではない
若葉と似たようなことを言う樹を、
天乃はじっと見つめて……枕に顔を埋める
天乃「みんながいても、どうにもならないことはならないわ」
- 17 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 20:50:24.79 ID:8lYPOtYoo
-
樹「……久遠先輩の体よりは、どうにかなります」
天乃「だからって、無茶をするの?」
樹「だからって、無理をするんですか?」
天乃「………」
樹「どちらかしか、ないんです」
天乃が無理をするか、夏凜達が無理をするのか
夏凜か、樹
そのどちらが無理をするのか
樹「ここに来たのは、お願いのためです。久遠先輩」
天乃の体を押して、自分に目を向けさせて
樹はずきりと痛む胸に手を宛がって、笑みを浮かべる
ここで痛みを見せたら
苦しみを感じさせたら、
天乃が選べるのは一つだけになる
樹「久遠先輩、私のことを……諦めてください」
だから、言う
苦しさと痛みをかみ砕いて、願う
樹「それが、みんなが生き残る最善策です」
- 18 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 21:18:51.18 ID:8lYPOtYoo
-
天乃「ふざっ……げっけっ……っ」
血が溢れ出る
怒鳴ろうと無理をした喉は
閉じかけた傷口を開いてしまったのだ
天乃「けぁ……ぇ……」
涎と交わって薄まった赤色が枕を濡らす
飲み込もうとしても、痛みがそれを許さない
樹「久遠先輩っ」
天乃「ぅ」
心配する樹に手を向けて制し、
垂れるだけだった唾液を何とか飲み込む
天乃「……それは、みんなの?」
樹「みんなの考えです」
傷を心配しながら答える樹を横目に、
口元を拭って、恐る恐る息を吐く
1、二人を、助けたい
2、……樹は、それで平気なの?
3、夏凜は何も言わなかったの?
4、分かった。でも、貴女を諦めるつもりはないわ
↓2
- 19 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 21:21:07.32 ID:FtPuNuKlO
- 1
- 20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 21:22:54.42 ID:qs0LxU0n0
- 1
- 21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 21:28:51.28 ID:aGtIeMG7O
- そりゃ認めたくないだろうな…でも…
- 22 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/16(日) 21:36:49.82 ID:8lYPOtYoo
-
では、少し早いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
若葉「一人だけなら」
樹「一人だけなら」
風「一人だけなら」
夏凜「一人だけなら」
天乃「……二人を、助けたい」
沙織「死ぬよ。久遠さん」
天乃「それでも、助けたいの」
- 23 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 21:44:42.04 ID:aGtIeMG7O
- 乙
元々の優しさとアクシデントで冷静さを失って二人を助けることに頭がいっぱいになってるな…
樹ちゃんがどこまで粘って説得できるかにかかってそう
- 24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 23:40:58.44 ID:VrtNzP0OO
- 乙
樹の活躍に期待
- 25 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/17(月) 20:38:59.83 ID:hVyj7C0Co
-
では少しだけ
- 26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 20:43:01.69 ID:7ybkHUpaO
- おk
- 27 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/17(月) 20:53:19.55 ID:hVyj7C0Co
-
天乃「私は――」
樹「駄目です」
天乃「っ……」
聞くまでもなく分かるのだろう
樹は、申し訳なさそうな顔はせずにはっきりと言う
ここは退けない
退くわけにはいかない
その力強い意志を感じる瞳を、天乃はぼやけた瞳で見返す
天乃「二人を、助けたい」
樹「駄目です、久遠先輩」
天乃「樹っ」
樹「久遠先輩……駄目なものは、駄目なんです」
天乃に負荷がかかる
それはみんな分かっていたことだ
それを承知の上で、力を分け与えることを承諾した
けれど、やっていいのはあくまで無茶だけだ
無理までさせるわけにはいかない
- 28 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/17(月) 21:22:33.16 ID:hVyj7C0Co
-
樹「私か夏凜さんのどっちかだけなら、時間もあるので大丈夫だと思います」
でも、二人はダメだと樹は思う
力を与える時間はあっても、与えた力を回復する時間がない
それでは、神婚に差し支えるし
それよりも前に命を落としてしまう危険だってある
天乃が戦いに行く樹たちの負担を少しでも減らしたい
みんなが生きて帰れるように万全にしたい
そう思っていることは分かっているし、気持ちは痛いほど理解できているつもりだ
だが、それでも
樹「私たち二人にどうしても力を返したいって言うなら、病院から出ていきます」
天乃「それはダメ……」
樹「駄目と言われても、出ていきます」
天乃「やめてっ」
樹「止めません。荷物はもう、まとめてあります」
天乃「樹っ――っくふぇっ……ぁっあっ……かっ」
強く言おうとして、血を吐く
喉の痛み、舌の熱
こみあげてくる吐き気と不快感
天乃「けほっげほっ……っふ……ふーっ……はっはぁっ……ごぷっ」
強く咳き込めば、悪化して
顎を伝って首回りが赤く染まり、シーツに滴って滲んでいく
- 29 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/17(月) 21:34:32.00 ID:hVyj7C0Co
-
樹「……それでも」
天乃に聞こえるか聞こえないか
そのくらいの小さな声で呟いた樹は、
苦しさからうつむき気味の天乃をまっすぐ見る
口元のガリッっという音
じわじわと広がる熱と痛み
耐え忍ぶように拳を握って、握って、爪を立てる
病院を出ていく。
それを言えば天乃がどう思うのか、どれだけ必死になるのか
今のボロボロの体にだって鞭を打つことになるだろう
だが、それも覚悟のうえでだ
樹「譲歩は、しません……どれだけ苦しんでいても、私を見捨ててくれないのなら、出ていきます」
天乃「っ!」
樹「泣いても駄目です。嫌がってもダメです……」
首を振る天乃に触れようとした手を、引っ込める
ここで触れたら抱きしめてしまう
自分の包み込んだ心をさらしてしまう
駄目なのだ
二人を救うには、あまりにも時間がなさすぎる
何を代価に求められたとしても、その願いを叶えるわけには行かない
それは、たとえ嫌われることになってもだ
樹「あれだけ我儘になってくださいって言ったのに最低ですよね……? 嫌いに、なりませんか?」
- 30 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/17(月) 21:42:13.09 ID:hVyj7C0Co
-
笑う、嘲笑する
天乃が少しでも憤りを覚えてくれるように
勝手にして。と、吐き捨てられるように
知らない。と、無関心になってくれるように
大嫌いだと、救う理由を失ってくれるように
樹「っ」
目を瞑る。
息を飲む。
飛び出しそうな感情を、ねじ伏せる
樹「明日の夜までに決めてください」
天乃「ぅ……」
樹「見捨てるか、失うか」
天乃「いっ」
離れていく手に手を伸ばしても、届かない
空を切った手の落ちたベッドの音に、一瞬立ち止まりかけけれど
樹はそのまま振り返らずに、歩く
呻く声が聞こえても、まるで聞こえなかったかのように、出ていく
- 31 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/17(月) 21:51:34.69 ID:hVyj7C0Co
-
天乃「なんぇ……なんで」
上手くろれつの回らないままに、喘ぐ
握り新た赤いシーツは不快な生温さで
下手に薄められた鉄臭さが鼻を衝く
天乃「なんで……止ぇないのッ!」
そこにいるのは分かる
若葉も、千景も、球子も、九尾も、歌野も、水都も
なのに、誰も出てこなかった
天乃「げほっかふっ……ぅ……ごほっ」
耐え切れなくて、唾を吐くように血を吐き出す
消耗して、憔悴して
起こしていられなくなった頭が枕に落ちて、
意識は勝手に離れていく
ナースコールを押さないといけないのに
それさえも出来そうもないほど朦朧とした中、
ふと現れた黒い影が、ベッドのわきに置かれたナースコールを押す
天乃「いぁ……なの……」
気を失う直前、
助けを求めて伸ばした手を、その影は掴まなかった
- 32 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/17(月) 21:52:39.61 ID:hVyj7C0Co
-
√ 2月6日目 夜 (病院) ※火曜日
01〜10
11〜20 夏凜
21〜30
31〜40
41〜50 東郷
51〜60 九尾
61〜70
71〜80 沙織
81〜90
91〜00 歌野
↓1のコンマ
- 33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 21:53:28.83 ID:VUFRXjPbO
- どうだ
- 34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 21:53:45.24 ID:7ybkHUpaO
- あ
- 35 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/17(月) 22:06:26.49 ID:hVyj7C0Co
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
樹「……ごめんなさい」
千景「喉に負担がかかっただけよ。心配はいらないわ」
樹「でも、千景さん……私っ久遠先輩にっ」
千景「酷いことをしてしまったと思うのなら、成し遂げなさい」ギュッ
千景「生きていれば何度だって、謝ることは出来るのだから」
- 36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/17(月) 22:11:46.07 ID:7ybkHUpaO
- 乙
なんてお互いに辛い展開なんだ…
それでも樹ちゃん本当に強くなったなぁ…流されずによく頑張ったよ
- 37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/18(火) 01:01:05.51 ID:L8rAmQ2CO
- 乙
樹の覚悟がよくわかった
樹助けるのは最終決戦後だな
- 38 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/18(火) 21:28:05.33 ID:CK+aLGCVo
-
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
再開は明日、出来れば通常時間から
- 39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/18(火) 21:30:32.04 ID:1U4OxMfYO
- 乙ですー
久遠さんのメンタルが心配だが果たして…?
- 40 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/19(水) 20:41:24.03 ID:NhsGdkZ/o
-
では少しだけ
- 41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/19(水) 20:45:52.12 ID:Pyd/Mmk/O
- よっしゃ
- 42 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/19(水) 20:50:36.26 ID:NhsGdkZ/o
-
「話すのも駄目」
天乃「…………」
「喉を傷つけるようなことしちゃうからよ」
検査を行った女性医師は、
困ったように言って、電子パッドを持つ天乃を見る
本来なら、大きな声を出さずにいれば落ち着くはずだった
しかし樹達のこともあって無理に話し、
大きな声を出そうとして喉は傷ついてしまって
ただ大きな声を出さない。と言うだけではだめになってしまったのだ
これ以上無理をするなら手術が必要になってくるし
最悪の場合、完全に話せなくなってしまう可能性があると言う
もちろん、勇者の回復力を持つ天乃なら
それでも、時間さえあれば治るだろうけれど
「その電子パッド、壊さないようにね? 簡単に折れちゃうから」
使ったまま寝落ちして
ベッドの上から落ちたり、
身体の下敷きにしたまま寝返りを打ったりしたら、
壊れてしまう可能性がある。と、女性は言って
「辛いだろうけどしばらく我慢。ね?」
天乃『分かりました』
- 43 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/19(水) 21:12:28.25 ID:NhsGdkZ/o
-
天乃『来週?』
「身体の努力次第ね」
天乃『治りは早い方です』
「傷つくのも早いでしょ。貴女は」
せかすように書こうとする天乃の手を制して、
女性医師は少し厳しい声色で言う
大きな声さえ出さなければという話をしていたのに
事情があったにせよ、傷つくようなことをしてしまったのだ
二度目は軽く言うだけでは済まない
「早く治りたかったらとにかく安静にして絶対に喋らないこと。約束できる?」
天乃『分かりました』
「不満そうな顔しちゃって」
笑い交じりに言って、
もう戻っていいわよ。と声をかけると
すぐそばに控えていた大人しそうな少女―千景―が車椅子を引き、連れて行く
二人を見送った女性医師は、
勇者部の子達にも話をしておかないと。と、困ったように眉を顰めた
- 44 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/19(水) 21:36:20.90 ID:NhsGdkZ/o
-
天乃「…………」
千景「…………」
天乃が話せないこともあるけれど
樹を止めなかったことが尾を引いているのだろう
病室へと戻る間の道は沈黙に包まれていて
車椅子の車輪の音だけが、廊下に響く
天乃「………」
いつもなら、
みんなのところに寄る? とでも声をかけるが
話すことは出来ないし
樹のこともあって、それは少し気まずい
殴りこむ勢いでみんなのところに行って
話し合ってもいいのだが……
みんなで決めたことである以上
樹たちの意思は変わらないだろう
1、病室に戻る
2、精霊組
3、みんなのところへ
4、イベント判定
↓2
- 45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/19(水) 21:42:19.35 ID:Pyd/Mmk/O
- 4
- 46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/19(水) 21:43:02.77 ID:r0ozJ/YY0
- 3
- 47 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/19(水) 22:07:58.94 ID:NhsGdkZ/o
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「久遠先輩、ちょっとお願いが」
天乃「……」カキカキ
天乃『なに?』
東郷「コソコソ」
天乃「……」
天乃『えっち!』
東郷「文字のやり取りもいいですね!」グッ
夏凜「あんたってやっぱり凄いわ」
- 48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/19(水) 22:19:00.40 ID:Pyd/Mmk/O
- 乙
しゃべれない久遠さんかわいい
- 49 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/19(水) 23:13:35.14 ID:XLvMJvVNO
- 乙
喋れない久遠さん懐かしいな
- 50 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/20(木) 20:08:50.04 ID:1CUEQbDno
-
では少しだけ
- 51 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/06/20(木) 20:31:12.19 ID:1CUEQbDno
-
天乃『みんなのところに連れて行って』
千景「……本気で言ってるの?」
天乃「………」
明らかに渋った表情を見せる千景を見つめた天乃は、
電子パッドのボタンを押して首を振ると、
書こうとしていた手を止めて、頷く
千景「あの子達はみんなで決めたこと……話しても無駄よ」
天乃『分かってる』
千景「……悪いけれど、今度ばかりは味方にはなれないわ」
天乃『分かってる』
同じものをそのまま見せて、
胸に抱えるようにパッドを抱えながら、次の言葉を書いていく
書き出す手の動きは早く、悩みがない
天乃『樹を止めてくれなかった』
千景「樹に同意件だったからよ」
天乃『連れて行きたくないなら置いて行って良い』
- 52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/06/20(木) 20:35:44.46 ID:9NhXyeU9O
- きてたか
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