このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【十九輪目】
- 453 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/03(土) 23:51:36.90 ID:Lt99jxq7O
- 乙
やっと久遠さん視点が帰ってきたか…当日までに何とか回復出来るといいなぁ
あと神樹様が陽乃さんの魂のかけらを隠し持ってる疑惑が…?
- 454 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/04(日) 19:29:32.72 ID:/3S4EPj1o
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 455 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/04(日) 19:47:01.28 ID:7kaRdJsMO
- 来てたか
- 456 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/04(日) 19:54:22.10 ID:/3S4EPj1o
-
√ 2月10日目 夕 (病院) ※金曜日
今朝、目を覚ましたばかりの天乃はまだおぼつかない体の感覚に不安を覚えながら
失せてしまった眠気を掘り出そうと意識の中を弄るが、
体を動かすほどの感覚は取り戻せないくせに、
覚醒した意識は痛みと不快感をはっきりと伝えてくるだけで
天乃を眠らせようとしてくれない
天乃「………」
精霊の誰かを呼ぼうにも
声は出ないし頼みの綱の電子パッドも触れることさえできない
意識した言葉をそのまま伝えることが出来ればと思いつつ
あったらあったで便利であり不便なんだろうなと空想する
九尾や夏凜、沙織なら視線で察してくれるかもしれないが
呼べないから、どうにもならない
明後日には神婚の儀もあるというのに
こんな状況でどうにかなるのだろうか
自分の姿を客観的に見ることのできない天乃は最悪の場合を想像して、目を瞑る
無意識のまま連れ出される可能性もあったし
そうならないだけマシなのかもしれないが
指一つ動かせず、呼吸の痛みを恐れてしまう状態では
一歩先か後ろかの違いしかないのではないかと、思う
- 457 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/04(日) 20:16:32.37 ID:/3S4EPj1o
-
神婚儀では、神樹様の世界へと赴くことになる
精神的な交わりとなるであろう神婚は、肉体の状況に左右されることなく対話が可能だろう
そこで神樹様が耳を貸すかどうかは確定ではないけれど
聞く耳を持ってもらえなければ世界が終わることになる
いや、そこは大丈夫だろうと天乃は思う
神樹様の叶えてくれたことは極端だったり、曲解だったり
望んだことではあるが、望んでいなかったことであるとはいえ
銀を失った天乃達の悲しみに応えてくれようとしたり、
代償のない状態へと戻しつつ満開の力を扱える力を貸し与えてくれたり
神樹様は良心的な神々だろう
親の心子知らず……と、
血を分けた家族ですら理解も察することも難しいことがあるのだから
神様が人間を、人間が神様を
完全に理解して応えてくれるとは限らないし、高望みはすべきではない
天乃「………」
もし、神樹様もまた、
人間に対してそのような考えを抱いていたらどうなるだろうか
大赦の嘘ではないという前提にはなるけれど
神婚の儀において天乃が神託で選ばれたということは、
神樹様の合意もなく天乃を差し出すわけではない……はずだが
望みもなく天乃を選んだとしたら、樹の願った神々をも救うということは無理かもしれない
逆に、低いハードルであれば予想以上に良い印象を与えられれば何とかなる可能性もある
……が、それは望みすぎというものだろう
- 458 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/04(日) 22:15:01.55 ID:/3S4EPj1o
-
樹の望みは叶えてあげたいし
出来るのならばそうしたいと思ってはいる
けれど、口にするほど簡単なものではないにも関わらず
考えを歪ませかねないような状況にいる
前向きに考えたいと思う一方で
後ろ向きになってしまいそうな苦痛を感じる天乃は
ため息さえつけない不快感がその背中を後押ししているようで、飲み込む
それでも喉が痛むのだから、どうにもならない
天乃「………」
でも、どうにもならな過ぎて
絶望するほどのものでもないと感じるのだから
中途半端に苦しめられるよりはましなのではないかとさえ、思えてくる
本当なら、神婚の儀までに目を覚ますことさえできなかったはず
でも、目を覚ますことが出来た
ここからどれだけの回復が望めるのかは分からないが
少しでも回復するよう、何もしない方がいいのだろうかと、考える
1、イベント判定
2、眠れるように少し頑張ってみる
↓2
- 459 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/04(日) 22:20:28.75 ID:7kaRdJsMO
- 2
- 460 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/04(日) 22:25:24.19 ID:gtmA3CGz0
- 2
- 461 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/04(日) 22:32:14.56 ID:/3S4EPj1o
-
では短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
若葉「西暦時代は羊を数えていたらしい」
九尾「ふむ……それは違うぞ」
九尾「西暦時代、特に襲撃以降に行われていたのは」
九尾「羊ではなく星屑が空から降ってくる数を数える遊び」
九尾「よく眠れた。という話じゃぞ」
千景「それはただの失神よ」
- 462 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/04(日) 22:47:20.98 ID:7kaRdJsMO
- 乙
意識が戻ってもまだまだ会話すらできなさそうだな…
回復間に合うだろうか
- 463 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 00:13:41.76 ID:46WlQCO4O
- 乙
寝たらまたしばらく起きない可能性
- 464 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/05(月) 20:33:13.20 ID:rxbY/D64o
-
では少しだけ
- 465 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 20:44:56.84 ID:PY435rtQO
- よしきた
- 466 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/05(月) 20:53:17.32 ID:rxbY/D64o
-
なんとか眠ることは出来ないかと、目を瞑る
意識を取り戻したおかげか外してもらうことのできた酸素マスクだが、
視覚を閉ざして鋭くなった感覚には、まだ装着しているような違和感を覚えてしまう
けれど、それを不快に思わないのは、体が慣れているからだろう
天乃「………」
病室の匂い、自動で動かせるベッドの微妙な硬さ、
酸素マスクや注射、すぐそばのナースコール
普通なら慣れないようなもの、一生縁のないようなものまで馴染みを感じる天乃は
鼻で空気を取り込む
鼻での呼吸なら、痛みはそんなに感じない
口の中に溜まる唾液を飲み込むのは苦行だが、吐くよりは楽だ
天乃「……ん」
眠ろうという意識は、
まるでそれを阻むかのように余計なことを考えようとする
もしかしたら考えることで頭を疲れさせて休もうとしているのかもしれないが
しぶといのだろう、中々に疲れる様子も起きるような感じもなく
すぐそばの医療機器の脈拍に耳を傾けていく
- 467 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/05(月) 21:35:04.35 ID:rxbY/D64o
-
一定のリズムを刻む馴染み深い電子音
本来なら一緒に下げられているべき機械は、天乃の横で見張るように佇んでいる
天乃がいつ意識を失って、危険な状態になるのか
もしかしたらならないかもしれないが、
万が一の為にと置かれたまま、繋がれたままなのだ
機械が警告するよりも千景たちに気付いてもらう方が早いような気はするが
それは、だとしても。というところだろう
天乃が自由に動けるのならばともかく、まったく動けないのだから。
天乃「………」
右足が動かせるようになったのは最近で
左足はまだ動かせないし、体の自由が利かないというのもまだまだ馴染みある感覚だ
それでも、眠れる気がしない
暗いのが怖いわけじゃない
でも、このまま飲み込まれてしまいそうな精神的不安がある
それはきっと、
何度も意識を失って呑まれた経験があるからだ
一人が怖いのも、寂しさに弱いのも
多分、そうだ
声を出せない、意思も示せない
その無力感が、嫌になってしまう
- 468 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/05(月) 22:08:21.66 ID:rxbY/D64o
-
このまま目を瞑っていれば眠れるだろうか
怖いことも、嫌なことも、悲しいことも、忘れて
明日の朝になったら目を覚まして、まだ完全ではない声で誰かの名前を呼んで
くだらないことに付き合って貰うのだ
明後日には神婚の儀を行わなければならない
猶予がないのだからふざけていられないと言われるかもしれない
いや、みんななら付き合ってくれるだろうか
目を瞑る
強く、目を瞑る
起きたときに誰もいなくなってしまっていたらどうなるだろうか
そんな、不安を覚える
でも、誰にでもあるはずのそれを吐露する力が、今の天乃には欠けている
声も、手も、足も
これは祟りの力ではなく、天乃自身の力が及ぼした影響だ
だからこそ。
天乃「………」
目を瞑る
眠れるようにと願って
- 469 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/05(月) 22:12:50.61 ID:rxbY/D64o
-
01〜10 九尾
11〜20
21〜30 千景
31〜40
41〜50
51〜60 夏凜
61〜70
71〜80
81〜90 若葉
91〜00
↓1
- 470 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 22:15:44.23 ID:PY435rtQO
- あ
- 471 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 22:17:07.67 ID:2NIg7rRUO
- あ
- 472 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/05(月) 22:40:53.64 ID:rxbY/D64o
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 473 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 22:51:44.05 ID:PY435rtQO
- 乙
休んでるはずなのに心は疲弊していく…
孤独が最大の弱点である久遠さんにとっては生き地獄だな
- 474 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/05(月) 23:03:22.99 ID:gwALHOANO
- 乙
痛ましいな……
- 475 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/06(火) 15:04:28.15 ID:EPHqbQ7zO
- 乙
ここまで弱ってるとこの前の九尾のお酒でもダメなのかねぇ
- 476 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/06(火) 21:05:42.33 ID:PE8RHVouo
-
では少しだけ
- 477 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/06(火) 21:08:06.32 ID:8WoIU3iyO
- あいよ
- 478 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/06(火) 21:36:02.19 ID:PE8RHVouo
-
千景「……心配はいらないわ」
音もなく、姿を現した千景は
無理やりにでも眠ろうとしている天乃に柔らかく声をかけて、目元に手を当てる
僅かに湿る指先
もう少し早く出てくるべきだったかと、悔やまされる
寝ようとしていたからという理由はあるが、言い訳だ
千景「三好さんの代わりにはなれないだろうけれど、傍に居る」
天乃「っ……」
千景「だから、安心して眠りなさい」
焦点のあっていなさそうな目を向けてくる天乃の瞳に影を被せる
明るいも暗いも関係ないとは思うが
目を閉じた暗さと、誰かの空気を感じる暗さ
今の天乃には後者の方がいいだろう
天乃「ぁ……」
千景「無理しないで」
- 479 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/06(火) 22:04:42.00 ID:PE8RHVouo
-
声が出ないのに、声を出そうとする
少しだけ開いた口から零れてくる死にそうな音
言葉よりも先に血を吐きそうな闇の見える口に手を当てた千景は、
自分の唇に左手の人差し指を当てて、「しーっ」と笑う
千景からしてみればあからさまというべきか、あざといというべきか
わざとらしすぎて恥ずかしくなってしまうが
その分かりやすさが天乃には良かったようで
無理にきこうとしていた口を天乃は閉じる
ほんの少し、かすかに動いた口元
笑おうとしたことだけは分かる一方で
それくらいしかわかることは出来ないと、
夏凜には及ばないことを自覚する
もちろん、恋愛感情があるわけではないし
別段、嫉妬しているというわけでもない
けれど、自分のできる限界が天乃の求めることに届かない可能性があるというのは
聊か、もどかしさを覚えてしまう
それっていいことだろうか? 悪いことだろうか?
- 480 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/06(火) 22:48:45.55 ID:PE8RHVouo
-
少し考えた千景は、ただの向上心だと割り切る
無駄な悩み……か、どうかはともかく
深く悩むことではないと思ったからだ
千景「…………」
気付けば、起きているときの不安定な呼吸ではなく
眠っているときの整った呼吸が聞こえてくる
千景「……まぁ、良いけれど」
これで話をしていたらどれだけつまらない話をしてしまったのかと不安になるが
これだけ近くにいて、声をかけて
それでも眠って貰えたのなら、安心感を与えられたということだろう
千景「でも」
問題はまだまだ山積みだ
体だけでなく、精神的にも疲弊しきっている今の天乃が
神婚に耐えられるのか
いよいよ怪しくなってきてしまったと思いながら、
眠りを妨げそうな天乃の紙を指で払う
閉じた瞼、少しだけ開きそうな唇
やはり痛みか苦しさがあるのか、時折辛そうに顔を顰める
傍に居るだけではどうにもならない状況を前にして、
千景は少し不服そうに、眉を顰めていた
- 481 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/06(火) 22:49:44.49 ID:PE8RHVouo
-
√ 2月10日目 夜 (病院) ※金曜日
01〜10
11〜20 千景
21〜30
31〜40 沙織
41〜50 九尾
51〜60
61〜70
71〜80 夏凜
81〜90
91〜00 友奈
↓1
- 482 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/08/06(火) 22:50:58.80 ID:oUYd/jy8O
- あ
- 483 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/06(火) 23:06:49.43 ID:PE8RHVouo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
満を持しての夏凜
- 484 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/06(火) 23:21:00.53 ID:kKgHCVMhO
- 乙
夏凜きた!
これで勝つる!
- 485 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/06(火) 23:22:40.27 ID:Jb8Gs+9rO
- 乙
ついに久遠さんの最後の希望が…!
やっぱり夏凜ちゃんが隣にいないとな
- 486 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/07(水) 03:56:37.02 ID:4KH/ralEO
- 乙
神婚前に夏凜と話せてよかったな
- 487 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/08(木) 22:07:32.56 ID:pdblGNFso
-
遅くなりましたが少しだけ
- 488 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 22:13:27.85 ID:rqsjOueYO
- やったぜ
- 489 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/08(木) 22:32:08.44 ID:pdblGNFso
-
√ 2月10日目 夜 (病院) ※金曜日
すっかり暗くなった病院の外
廊下から見える暗い世界を見ていた夏凜は、
おもむろに身をひるがえすと、窓とは正反対にあった扉の取っ手に手をかけて、開く
引き戸特有のカラカラという音を出来る限り殺し、忍び込む
後ろめたいことをしているわけではないが
寝ているのなら、起こしてしまうのも申し訳ないと思ったからだ
それならそもそも明日にしたらいいとは夏凜自身も思うけれど
千景から、ぜひ来てあげて欲しいと頼まれれば断れるわけもない
夏凜「…………」
自分では力不足
そう言っていた千景の少し残念そうな顔が、暗い部屋のせいか見えるような気がする
忍んでいるせいか思っている以上に時間のかかった天乃の隣
気を利かせて姿の見えない精霊たちの気配を感じながら、
用意されていた来客用の椅子に座る
夏凜「……まぁ、寝てるわよね」
静かな寝息を立てる天乃を一瞥し、
話せないことよりも、ちゃんと眠っていることに安堵する
- 490 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/08(木) 23:00:39.84 ID:pdblGNFso
-
本来ならまだ目を覚ますはずのなかった天乃が目を覚ました
若葉達は、精霊という立場だからか天乃が目を覚ましたことについて不安を感じ
風達はそれよりも神婚の儀や、その場での戦いについてを心配していたらしい
若葉達の悩みも、風達の悩みも分からなくはないと夏凜は思う
九尾が何かやりそうというのは夏凜も思うし、
今の天乃の状態で神婚の儀は厳しいだろうし、戦いに関しても予断を許さないのは分かっていることだ
だけど。
だけど、だ
夏凜はそうっと、天乃の額にかかる前髪を払う
それはもう、ここまで来たらなるようにしかならない
そして、為せば成るし為さねば成らない
九尾に関しては為せることなどないし
若葉達が考えたように少なくとも天乃の害になるようなことはしないことは確実なのだし、
今回に関しては、大赦の人間がどうこうという問題でもないので、
人に危害を加えたなんて言うこともないはずだ
夏凜「重要なのは、あんたのこと。なのよね」
- 491 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/08(木) 23:17:41.08 ID:pdblGNFso
-
みんながないがしろにしてしまっているというわけではない
当然のように大事にしているし、常に考えているだろう
けれど、山積みになった問題のせいでもっとも単純かつ重要なことに目を向けられていないのか
それとも、精霊がいるから大丈夫だと考えていたのか
もしかしたら前者だろうかと、
天乃の目元に見える微かな痕を指先でなぞろうとした瞬間、
その気配に気づいたのか、閉じていた瞼が開いていく
天乃「…………」
寝起きというよりは、病気に近い不穏さで揺れる瞳
ほのかに光が失われているように見えるのは、ただ暗いだけだと思考が望む
何か言おうとしているのか、痙攣しているかのように震える唇が痛々しさを増す
唇を硬く結んだ夏凜はぐっと息を飲みこんで、
困ったように笑みを浮かべる
悲しさ混じるの笑顔だとは、気付かれないようにと願って。
夏凜「ごめん、起こしたかも」
天乃「………」
夏凜「私は平気よ。元々、そんなに症状は重くなかったから」
天乃「っ」
夏凜「気にしなくても、気に病んだりなんてしてないわよ。運が悪かった……とも、思うつもりはないけど」
天乃の表情や唇
普段の十分の一も示すことのできない天乃の微細な動きからではなく
普段の天乃ならこの時にどんな反応をするのか、何を言いたいのかを考えて、夏凜は答える
夏凜「積み重なった結果なわけだしね。天乃だってそう思ってるから、そんな心配してんでしょ?」
無駄だから心配なんて捨てときなさいよ。と、何気なく笑ってみせる
- 492 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/08(木) 23:32:51.08 ID:pdblGNFso
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 493 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/08(木) 23:39:29.80 ID:hR/fqYN0O
- 乙
この一年近く前は車椅子で夏凜ちゃんを圧倒していたとは思えないほど衰弱してるよな久遠さん…
- 494 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/09(金) 03:01:58.81 ID:ZhgHUnUVO
- 乙
少しでも励みになればいいけど
- 495 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/10(土) 21:03:45.20 ID:ylNPBPfRo
-
遅くなりましたが少しだけ
- 496 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/10(土) 21:07:10.82 ID:1MPdWFt4O
- かもん
- 497 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/10(土) 21:44:33.19 ID:ylNPBPfRo
-
夏凜「……ま、それは無理な話よね」
天乃の心配性は今に始まったことではない
自分のことなど全く顧みてはくれず、他人のことを心配する
少しは自分のことを気遣うように。
そう散々言われてようやく自分のことを気にしてくれるようになっただけ
そんな天乃が体調に影響を及ぼす力を渡して気にしないわけがない
死地に向かうことが確定しているみんなのことを心配にならないわけがない
例え、自分がどれほど危険な状況になったとしてもだ
だから夏凜は強制しないし望みもしない
ただ言うだけに留める
今の天乃に対し、さらに追い立てるようなことはしたくない
天乃「………」
夏凜「………」
天乃「………」
じっと、見つめあう
一目ぼれしたとか、何か気になることがあったとか
そんな理由があったわけではなく
ただ、そこに目を向けていただけ
見つめられて恥ずかしいなんて思いはないが、夏凜はおもむろに笑う
- 498 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/10(土) 22:21:53.75 ID:ylNPBPfRo
-
夏凜「別に酸素マスクの跡がついてるわけじゃないわよ」
口の動きは相変わらずなものの
ほんの少し眉を顰めようとしたのを見て、先手を打つ
実際にそう言ったわけではないけれど、そう言いたそうだと、思って。
だから思う、約一年前の勇者部に合流する前の自分だったら
腑抜けているだの、甘いだの、馬鹿みたいだの
否定していたのではないだろうか。と
そもそも、なぜこんなことになったのだと
同僚的な立場……芽吹のように考える
夏凜「最初は、勇者部とかふざけてるのかとか、まぁ……今思えば理不尽に喧嘩吹っ掛けたのよね」
天乃「………」
夏凜「そうそう、天乃と友奈を勘違いしてやらかしたから、あんたにぼこぼこにされたんだっけ」
それで結構な自信を失った……わけではなく。
むしろ徹底的に対抗してやるとか考えて
予定よりも早く転校しようとしたりして……気づけば、勇者部にのめり込んでいて
夏凜「甘いくせに、適当なくせに、ヘラヘラしてるくせに、実力だけはある車椅子の女……だったのに」
天乃「………」
夏凜「入れ込んだのは勇者部じゃなくて、あんただった」
入れ込んだではなく、惚れ込んだ。かもしれない
その自覚があるからか、少しだけ気恥ずかしくなってくる
- 499 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/10(土) 23:13:35.67 ID:ylNPBPfRo
-
夏凜「圧倒的だった」
その背中の遠さも、大きさも。
だが、甘さはただの甘さではないと知った
笑顔は余裕があるからこそのものではないと知った
それでもなお、みんなの前に立とうとする無謀な勇者
夏凜「追うべきものとして、あんた以上はいないと思ってる」
見逃せない、見捨てられない
この目に見えなくなってしまえば、もう二度と映ることがなくなってしまいそうな気がして。
それは憧れか
それとも心配か
きっと、ただ憧れているだけなのだとしたら
今自分を見ているその顔が何を言いたいのか、分かることはなかっただろう
夏凜「してないわよ。私も、みんなも」
今の天乃を見て失望するような人はいない
すでに足が朽ち、それでもなお這いずる思いで己の前を譲らなかった天乃は
そのまま進んでいたら命までも代償として切り崩し、尽き果てていただろうから。
しかも、一線を退いてなお命を危険に晒しているのだ
天乃の歩みが停まろうと、自分たちがその背を追い越せたとは思っていない
夏凜「みんな信じてるのよ。あんたがいつかまた、あの頃のように戻ってくれるって」
天乃「…………」
その言葉に恥じらいはなく、自信がある
自分一人のものではない、みんなの総意だ
言葉を支えるものが、ちゃんとある
夏凜「そこにあるのは無謀じゃなく希望……だから私達は戦えるのよ」
- 500 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/10(土) 23:40:48.37 ID:ylNPBPfRo
-
途中ですがここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼ごろから
- 501 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/10(土) 23:46:36.99 ID:+JinDSaqO
- 乙
夏凜の愛を感じる
- 502 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/10(土) 23:46:51.74 ID:1MPdWFt4O
- 乙
久遠さんの失ったもの…絶対全て取り戻してやりたいな
- 503 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 16:57:25.66 ID:nUvN/mzjo
-
では少しずつ
- 504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/11(日) 17:14:43.88 ID:39OH5a5pO
- きてたー
- 505 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 18:07:26.24 ID:nUvN/mzjo
-
天乃「………」
夏凜「心配するなとは言わないから、信じなさいよ」
悲しそうな顔を見せようとする天乃の頬にそっと触れる
感覚があるのなら手を握ってあげるのも良かったかもしれない
でも四肢は愚か、ほとんど全ての感覚が停止してしまっている今の天乃には
頬に触れても意味があるのかは分からないが、
笑おうとしたり悲しそうにしようとしたり。
他と比べればまだ感覚が残っている方だろう
夏凜「くすぐったい?」
天乃「………」
夏凜「あんたにしては、珍しく正直なんじゃない?」
天乃「………」
夏凜「あんた、寂しいのが苦手なんだったっけ」
別に馬鹿にしてるわけじゃないわよ。と、言っておく
誰にだって苦手なこと、弱いこと、嫌いなことくらいある
天乃は特にそれが顕著だが
失うということを知っている
ただの空白ではなく、喪失を知っている
だからこそのトラウマだ
夏凜「何のためにこの時間に来たと思ってんのよ」
天乃「………」
夏凜「察しなさいよ。出来るでしょ?」
- 506 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 18:48:04.81 ID:nUvN/mzjo
-
天乃「…………」
天乃はゆっくりと、目を閉じる
夏凜がなぜ、この時間に会いに来たのか
体調の回復をしようとしていたから。なんて言ったら
夏凜は怒るかもしれないと、考えてみる
普段なら、苦笑していただろう
そして、夏凜が文句を言って……また笑う
それが今は出来ない
口を動かしているつもりでも、しびれているように動かない
それが少し悲しくなるのだが、
動かせなくても、目の前の人は察してくれる
察してくれてしまう
もしかしたらもう、隠し事は出来ないかもしれない
夏凜「なに?」
天乃「………」
夏凜「言いたくないなら、まぁ、聞かないけど」
目を開けてみると、
夏凜は本当に分かっているのか苦笑いを浮かべながら
仕方がないとでも言いたげに、見つめてくる
- 507 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 19:13:18.79 ID:nUvN/mzjo
-
天乃「………」
手を動かせるのなら、触れたい
声を出せるのなら、願いたい
でも、手は上がらず声は出ない
だけど、触れてくれる。声をかけてくれる
思った言葉に答えてくれる
だから――
夏凜「あと二日だし、出来る限り付き合うわよ」
天乃「………」
夏凜「千景に任せっきりになっちゃってたしね」
天乃「………」
傍に居て欲しいと。
そう、声をかけなくても夏凜は答えてくれる
夏凜「……それに、ここで一人にしたら瞳に怒られるわよ」
なんで一人にしたのか
どうしてそこでこうしなかったのか
色々と。
夏凜「天乃は知らないかもしれないけど、瞳って結構面倒くさいのよ。ほんと、ちょっとしたことで」
天乃「………」
夏凜「だからまぁ、一緒にいてあげる……わけじゃない」
天乃「っ」
自分の意志で、ここに来た
かつては雪辱を果たすため
今は、立てた誓いを果たすために
夏凜「私がいたいから、ここにいる。それだけよ」
- 508 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 19:30:53.94 ID:nUvN/mzjo
-
1日のまとめ
・ 乃木園子:交流無()
・ 犬吠埼風:交流無()
・ 犬吠埼樹:交流無()
・ 結城友奈:交流無()
・ 東郷美森:交流無()
・ 三好夏凜:交流有(自分の意志で)
・ 乃木若葉:交流無()
・ 土居球子:交流無()
・ 白鳥歌野:交流無()
・ 藤森水都:交流無()
・ 郡千景:交流有(代わりに)
・ 伊集院沙織:交流無()
・ 九尾:交流無()
・ 神樹:交流無()
2月10日目 終了時点
乃木園子との絆 106(かなり高い)
犬吠埼風との絆 132(かなり高い)
犬吠埼樹との絆 115(かなり高い)
結城友奈との絆 146(かなり高い)
東郷美森との絆 145(かなり高い)
三好夏凜との絆 170(最高値)
乃木若葉との絆 113(かなり高い)
土居球子との絆 59(中々良い)
白鳥歌野との絆 57(中々良い)
藤森水都との絆 50(中々良い)
郡千景との絆 62(中々良い)
沙織との絆 146(かなり高い)
九尾との絆 80(高い)
神樹との絆 ??(低い)
- 509 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 19:35:16.71 ID:nUvN/mzjo
-
√ 2月11日目 朝 (病院) ※土曜日
01〜10
11〜20 千景
21〜30
31〜40
41〜50 九尾
51〜60
61〜70
71〜80 夏凜
81〜90
91〜00 沙織
↓1
※ぞろ目
- 510 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/11(日) 19:37:08.25 ID:39OH5a5pO
- あ
- 511 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 20:42:17.82 ID:nUvN/mzjo
-
√ 2月11日目 朝 (病院) ※土曜日
神婚の儀、前日
夏凜はすぐ横で眠る天乃を見つめると、微笑む
声を出しても起きなさそうな雰囲気ではあるけれど
起こしてしまうのは可哀想だ
元々静かに寝る天乃だが、まだ声が感じられない
やはり、治りきることは難しいのかもしれない。と
天乃に見られていないことを好機とみて、不安を顔に出す
夏凜「でもまぁ……」
明日は無理でも、
明後日には治っているかもしれない
出来れば明日、出る前には声を聴きたいと思いはするが
無理をすることになるのなら望まない
夏凜「………」
垂れる髪を退けようと手を伸ばして、止める
触れる温もりと、
久しぶりに見る、穏やかな寝顔
どちらがいいかと問われれば、言うまでもなく後者だからだ
- 512 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 21:07:32.65 ID:nUvN/mzjo
-
夏凜「ほんと、黙ってたら可愛いのよね」
もちろん、黙っていなくても。
東郷がいたら「エッチの時も」などと言い出しそうだなんて考えつつ
それを想像できてしまうことに自分の変化を感じる
勇者としてではなく、人として
一人の、女として。
異性が相手ではないことが少し異質なような気もするが
それは考えても仕方がないことだろう
自分を惚れさせてくれる男がいなかっただけなのだから。
そしてそれはきっと、これからも現れることはない
夏凜「あんた以上に、命懸けられるやつじゃないとね」
もっとも、ただ命をかけられるからといって
なびくようなこともないけれど。
夏凜「……感覚、ないんだっけ」
少し考えて、頬ではなく手に触れる
握ってみると、柔らかい
硬直しているわけではないが、筋力も低下している……ように感じる
鍛錬も何もできていないのだから、それも無理はない
夏凜「それでいいのよ。もう、あんたは」
戦えなくてもいい
帰りを待っててくれるだけでもいい
そう思い、もう一つの手を握る手に重ねる
夏凜「あんたは私達の、ヒロインなんだから」
- 513 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 22:21:59.33 ID:nUvN/mzjo
-
天乃はそれで満足してくれないけれど、
力があろうとなかろうと、待ってくれているだけの存在でもいい
昨夜は戻ってくれると信じていると言ったが、
それは何も戦線にという話ではない
明日の戦いの結果次第では、戦う必要はなくなるかもしれないが
今まで通りとはいかなくなるだろう
大人はきっと、子供は何も心配しなくていいというかもしれない
だが、大赦が行っているような情報統制は不可能だろうし、
現実が目の前にある
そんな中で変らずにいてくれる存在は大切だ
出かけるときに、行ってらっしゃいと
帰ってきたときに、おかえりと
外での話を聞いてくれて、それに対する言葉をくれて
夏凜「ただの夫婦かっ」
押し殺した声で、叫ぶ
天乃がいるせいでじたばたすることも出来ず
悶絶するような体の熱をごまかすことも出来なかった
- 514 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 22:59:33.00 ID:nUvN/mzjo
-
天乃「………」
夏凜「ぁっ」
天乃「………」
夏凜「……おはよ」
ゆっくり開いた瞳に声をかける
天乃は声を出そうとしたが、やはり、声は出ない
それでも困ったように眉は動き、表情に変化があった
少しずつ、本当に少しずつ回復していっているように見える
勇者としては治癒が遅すぎるかもしれないが
人としてならば、この回復速度も納得がいくような気がしなくもない
夏凜「笑える?」
天乃「っ」
夏凜「ぎこちないわね、その顔」
天乃「………」
夏凜「怒った?」
そんな顔してる。なんて、からかう夏凜に
ムッとして見せたつもりだが、まだぎこちないようで
それでも伝わっているはずなのだが……笑顔は絶えない
1、怒る
2、無視する
3、イベント判定
↓2
- 515 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/11(日) 23:00:28.99 ID:39OH5a5pO
- 1
- 516 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/11(日) 23:04:46.98 ID:pzIBtXsq0
- 1
- 517 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/11(日) 23:06:00.18 ID:KuI2sNP3O
- 1
- 518 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/11(日) 23:08:17.71 ID:nUvN/mzjo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
- 519 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/11(日) 23:18:06.39 ID:39OH5a5pO
- 乙
久遠さん、反応ができる分まだ救いがありそうで良かった…
あと悶絶する夏凜ちゃんかわいい
- 520 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/11(日) 23:19:03.50 ID:KuI2sNP3O
- 乙
やっぱり夏凜との絡みはいいな
- 521 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/12(月) 04:33:48.08 ID:qBBjXa7jO
- 乙
久しぶりの夏凜とのイチャイチャタイムが長くて満足
- 522 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/12(月) 20:16:08.73 ID:XX9BtBIzo
-
遅くなりましたが少しだけ
- 523 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/12(月) 20:19:47.53 ID:vOXbsFIJO
- よしきた
- 524 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/12(月) 20:42:33.71 ID:XX9BtBIzo
-
ムッとする。
ただ、そうしただろうという感覚だけで
実際にそういう表情が出来ているという自信はなかった
というのも、しびれの残る不安を感じるのみで
ちゃんとした感覚を得られているわけではないせいだ
夏凜「やっぱり、怒った」
ぼやけたように感じる視界に映る夏凜は、笑顔だった
怒ったことは分かっているのに
楽しそうに笑いながら、頬に触れてくる
不安のあるしびれは消えないけれど
でも、確かな温もりは感じられる
柔らかいとか、硬いとか
ざらざらしてるとか、つるつるしてるとか、すべすべだとか
細かい感覚の一切が分からないのに
それが夏凜の手だと分かるのは、目が見えているからというだけではないだろう
だから。
夏凜「……あぁ、もう」
天乃「っ」
夏凜「私がからかわれるんだから、止めてよ」
夏凜の指が、頬を撫でる
何度も何度も
だから余計に、押し寄せてくるものがある
- 525 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/12(月) 21:02:29.39 ID:XX9BtBIzo
-
嫌なことばかり続いている中で、
体が一切動かせない不安
一人になってしまう怖さ
それらを体感させられていただろう天乃にとっては、
自分のではない温もりを感じられるのが、気を許させる
それが分かっているから夏凜も強くは言わない
いや、分かっていなくても、強く言うようなことはしない
夏凜「怒ってたんじゃないの?」
天乃「………」
夏凜「いや、まぁ……そりゃ、効果的だけど」
泣けば夏凜が絶対悪になる
そんなことを言いたいと察した夏凜は困ったように呟く
自分のプライドを捨てているように思えるが、
天乃の場合、からかっているように思われるため被害は別にない
けれど、今の天乃は本当に泣いているから
東郷ではなく、風に見られてもなんやかんや言われてしまうだろう
友奈や樹は、言わずとも察してくれるだろうけど
東郷なんかは分かっていても天乃の味方をしてくるから質が悪い
- 526 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/12(月) 21:23:16.68 ID:XX9BtBIzo
-
夏凜「……まぁ、東郷がいてくれた方がいいかもね」
天乃「………」
夏凜「私の代わりじゃなくて、プラスでって意味よ」
東郷がいれば、くだらない会話の相手になってくれる
書庫のような頭の中を、無駄使いしてくれる
そうすれば天乃の心も穏やかになるだろうし、
この場の空気も良くなることだろう
しっかり笑うことは出来ないけれど、笑ってくれるはずだから
天乃「………」
夏凜「ん? あー……どうかしら」
東郷とは仲が良いのか悪いのか
悪ければ仲間として一緒にやれているわけがなく
恋人の一人としての確執やらなんやらで面倒くさいことになっているかもしれない
夏凜「普通に仲が良い。というか、うまく言えないわね」
ただの友人ではしないような会話も多い
戦友という意味ではないそれは、親友と言っていいのかもしれない
互いに一つのことに命を懸けた戦友であり、
互いに愛する人を持つ身としては。
夏凜「多少言い合いすることはあるけど、あれはあれで助かるのよね」
- 527 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/12(月) 21:56:23.81 ID:XX9BtBIzo
-
夏凜は嬉しそうに笑う
自分で自分の笑顔が分かっているのだろうか
その心に、気付いているのだろうか
天乃はそれを見ながら、何も言わない
言えないのではなく、言う必要がない
夏凜が東郷が一緒に居たらと言うのも頷ける
きっと、賑やかになってくれることだろう
だからこそ、みんながいる病室に戻れることを望む
もっと言えば、みんなと過ごすことのできるあの家に帰りたい
そのためには。
天乃「………」
夏凜「そうね」
天乃「………」
乗り越えなければならないことがある
だからこそ、
こんな場所で挫けているわけにはいかないのだ
- 528 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/12(月) 21:58:54.21 ID:XX9BtBIzo
-
√ 2月11日目 昼 (病院) ※土曜日
01〜10 友奈
11〜20
21〜30
31〜40 九尾
41〜50
51〜60 沙織
61〜70
71〜80
81〜90 東郷
91〜00
↓1
※ぞろ目
- 529 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/12(月) 22:01:43.41 ID:rUGfLnugO
- あ
- 530 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/12(月) 22:17:33.61 ID:XX9BtBIzo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
東郷「確かに、同じ身体を貪った身友ね」
夏凜「貪ったとか止めなさいよ」
東郷「じゃぁ、味わったにしておく?」
夏凜「生々しさが増すんですけど」
東郷「分かった。分かったわ。性ゆ――」
夏凜「何も分かってないんだけどっ!?」
- 531 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/12(月) 22:32:53.39 ID:vOXbsFIJO
- 乙
もうこの二人の関係は恋人とか夫婦とかそういう次元では語れないところに来た感じがするな
そして久遠さんの意識が戻った途端にイキイキし出すとーごーせんせー…
- 532 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/12(月) 23:37:43.02 ID:rUGfLnugO
- 乙
3Pしてたしな
- 533 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/13(火) 20:19:53.54 ID:GFw76cZ0o
-
では少しずつ
- 534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/13(火) 20:30:03.60 ID:dcO2iBFXO
- かもーん
- 535 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/13(火) 20:55:08.13 ID:GFw76cZ0o
-
√ 2月11日目 昼 (病院) ※土曜日
昼になっても夏凜は天乃の傍にいる
明日は全力の戦いになるというのもそうだが、
また天乃を一人にしてしまうのが心配だったからだ
精霊たちが頼りにならないわけではないけれど
千景達は夏凜を頼りにしている
何か用事がないのなら一緒にいてあげて欲しいと、引き留められるだろう
多少、自意識過剰な気もするが
実際にそう言われてここに来たのだから仕方がない
天乃「………」
夏凜「……暇じゃないかって?」
どちらかと言われれば暇だが、入院生活といえば暇なものだ
天乃ほど重度ではないけど入院生活の長い夏凜は
漠然とそんな思いを抱いて、天乃を見る
寝返りのために体を動かす以外ではずっと自分へと向いたままの瞳
以前のようなオッドアイではない橙色の瞳は
とても澄んでいるように見えた
- 536 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/13(火) 21:28:44.33 ID:GFw76cZ0o
-
夏凜「つい最近まで色々大変だったし、明日は全力だし……」
今までの自分ならだからどうした。と
明日のための鍛錬に勤しんでいたことだろう
だけど、鍛錬ばかりが重要ではないと知った
それだけでは決して辿り着くことのできない頂を見た
そんな方便を頭に並べつつ
自分がここに居たいだけだという思いを言葉にはしない
しても天乃が悪くいったりなんだりしないのは分かっているけれど
少し、変な空気になりそうな気がしたからだ
夏凜「良いんじゃないの? ゆっくりしてても」
天乃「………」
夏凜「衰えるほど軟な鍛え方してないわよ」
天乃「っ」
夏凜「大丈夫」
心配そうな顔をしている……ように見える天乃に笑みを見せ、
軽く頭を撫でる
明日の戦いが厳しい分、余裕はないのではないかと天乃は不安に思うだろうが、
たった一日、されど一日
けれどもやはり、心の保養は大切だ
1、みんなのところに行きたい
2、戦いの後は
3、イベント判定
↓2
- 537 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/13(火) 21:30:57.84 ID:dcO2iBFXO
- 1
- 538 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/13(火) 21:31:03.70 ID:Wg4KwJsE0
- 1
- 539 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/13(火) 22:14:24.61 ID:GFw76cZ0o
-
みんなのところに行きたい
今の自分の状態では、我儘だということは百も承知だけれど
明日が大事な日であるなら、多少の無茶は承知で会いに行きたいと思う
その欲求は夏凜にも伝わったようで、
困った笑みが答えだった
夏凜「会いに行くのは無理でしょ」
天乃「………」
夏凜「気持ちは分かるけど」
天乃の気持ちも、
東郷達みんなの気持ちも夏凜は分かっている
けれど、天乃がみんなのところに行くのは無茶だ
今は繋がっている医療機器は外しても問題はないが
いつまた体調を崩すか分からない現状では、
むやみに出かけさせるわけにはいかない
夏凜「友奈たちを呼べばいいんじゃない?」
祟りの影響がある樹は少し怖いが
みんながいれば、問題はないだろう
- 540 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/13(火) 22:35:02.43 ID:GFw76cZ0o
-
夏凜「そう言えば話したっけ? 園子、もう病室戻ったのよ」
まだ多少不安要素はあるが
病室は戻っても問題はないだろうし
みんなと一緒にいる方が精神的にも落ちお付けるだろうから。と
判断されたためだ
それなら天乃もといいたいところだが、程度が違うため許可はおりていない
夏凜「目を覚ましたことは聞いてたのね」
天乃「………」
夏凜「園子はずっと眠ったままだったし、療養期間も天乃より長かったから」
その分、苦しんだけれど
ちゃんと回復出来たし、力を馴染ませることも出来ただろうから、一概に悪いことだとは言えない
夏凜「あんたは間隔が短すぎたのよ」
一日一人
無理があることも承知ではあったが、それでも十分譲歩した条件だと最初は考えていた
けれど、結果は御覧のありさまだ
夏凜「それでもこれで済んでるんだから……良かったわよ」
天乃「……」
夏凜「別に責めてるわけじゃないから、謝らなくていい」
- 541 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/13(火) 22:37:35.10 ID:GFw76cZ0o
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 542 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/13(火) 22:41:41.96 ID:dcO2iBFXO
- 乙
みんな呼び出したら案外一気に回復したりして
- 543 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/13(火) 22:55:38.62 ID:zGq5Fc2XO
- 乙
もう明日か緊張してきたな
- 544 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/14(水) 22:32:29.53 ID:iyShzT1jo
- すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日、出来れば通常時間から
- 545 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/14(水) 22:37:00.72 ID:wVJbPcPtO
- 乙ですー
- 546 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/15(木) 20:47:49.33 ID:lnGNku7vo
-
では少しだけ
- 547 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 20:49:53.84 ID:YHrNeeMMO
- やったぜ
- 548 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/15(木) 21:13:51.54 ID:lnGNku7vo
-
少しばかり空気が悪くなったように感じた夏凜は、
仕方がないと言いたげな表情で、天乃の頬に触れる
顔色も、表情も
変わりは微妙だが、少しは落ち着いただろうか
緩んだように感じるのは気のせいではないはずだ
夏凜「みんなに会いたいなら、呼んでくるけど?」
話を戻そうと切り出したつもりだったが、ムッとされたように感じて、苦笑する
意地悪なことを言わないで。と、言ったつもりなのだろう
口が動いていなくても、音を発していなくても
分かってしまう
夏凜「若葉達をこき使うのは止めてあげたら? いずれ反抗されるわよ」
天乃「………」
夏凜「まぁ、しないでしょうね」
天乃「………」
夏凜「若葉達なら言わなくてもやるし、言われれば喜んでやってくれるでしょ。心配しなくても」
- 549 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/15(木) 21:28:44.93 ID:lnGNku7vo
-
一度気にしてしまうと、
本当にそんなことは無いだろうかと考えてしまう天乃の心配性
悪く言えば、ネガティブさ
体が弱くなってから増し増しになってきていたそれも
ここまで来ると、本当に? と、沈まない
少しは落ち着いたものになってきている
まだ一年……いや、まだまだ短い関係ではあるが
長さに勝る濃密な機関だったことを考えれば、
培った信頼はその不安を取り除くのには十分なのだ
夏凜「………」
天乃「?」
夏凜「……いや、なんでも」
別に不安ではないし、怒っていないし、特別なんやかんやの思いもない
だけど
だけどもし、【自分の言うことだから】だったとしたらと一瞬でも考えてしまったのが
少しだけ恥ずかしかった
- 550 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/15(木) 21:48:00.25 ID:lnGNku7vo
-
夏凜「で、呼んでもらう?」
天乃「………」
夏凜「っていう話らしいから、お願い」
誰もいない空間へと声をかける
これで本当に誰もいなかったなら
夏凜は少し恥ずかしい子になってしまうが、
その空間が少し揺らいだかと思えば、精霊の一人である千景が姿を見せた
千景「分かったわ。少し待っていて」
夏凜「宜しく」
夏凜の軽い言葉に笑みを見せた千景は、
自分に背を向ける形になっている天乃を一瞥する
夏凜がいるときといないときとでは、空気が違う
呼んできたのは間違いではなかったと、少し安堵して
千景は病室を出て行った
- 551 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/15(木) 22:01:51.48 ID:lnGNku7vo
-
天乃「………」
夏凜「ん? 心配する必要あると思う?」
天乃「………」
夏凜「でしょ?」
みんなはこっちに来てくれるだろうか
そんなことを思っただろう天乃に否定の言葉を向ける
天乃がみんなに逢いたいと思うのと同じように
あるいは、それ以上に
みんなは天乃に会いたいと思っているはずだ
それでも天乃が療養に集中しなければならないという理由で会いに来ない中
会いに来て欲しいと願われれば、
我先にと、会いに来てくれることだろう
夏凜「だから心配しなくても大丈夫」
天乃「………」
夏凜「不安になるなら少し寝てなさいよ。みんなが来たら起こしてあげるから」
優しく告げて、少しだけ抱く
頭を抱え込むようにして……学んだ赤子の抱き方を真似るように撫でた
- 552 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/08/15(木) 22:02:50.70 ID:lnGNku7vo
-
√ 2月11日目 夕 (病院) ※土曜日
01〜10
11〜20 九尾
21〜30
31〜40
41〜50 大赦
51〜60
61〜70
71〜80 九尾
81〜90
91〜00
↓1
※ぞろ目
451.87 KB Speed:0.3
↑
VIP Service
SS速報R
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
スポンサードリンク
荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2026/05/10 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)