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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十輪目】

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102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 22:36:17.95 ID:yjeX3kcNO
乙
神樹様の中でみた陽乃さんは幻?それとも…
とにかく今はみんなと早く合流したいな
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/15(火) 11:18:08.85 ID:Foi31oOtO
友奈たちも心配だけど神樹様は助からなかったのか…?
大赦の人や一般人の描写も力入れてるシリーズだしその辺も気になるな
104 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/15(火) 21:29:07.26 ID:cTJCcbEMo

では少しだけ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/15(火) 21:30:14.29 ID:/aehgA7yO
おk
106 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/15(火) 21:44:01.10 ID:cTJCcbEMo

天乃「友奈のところ、行くわ」

九尾「主様」

天乃「そんな声で呼ばれても、行くわよ」

呆れた声の九尾から目を逸らした天乃は、

状況に反して、やや明るい雰囲気を醸し出す

天乃「だって、友奈も病院行くでしょ?」

九尾「………」

九尾の細められた視線を感じて、

天乃はうっすらと笑みを浮かべると、横目に九尾を見る

天乃「どうしたの?」

九尾「主様という小娘は……」

天乃「あら、こういう話し方って貴女の得意分野じゃなかった?」

九尾「からかっておるのかや?」

天乃「別にそういうわけじゃないけど……」

体が痛まぬように、ゆっくりと

お腹を支えるようにしながら体を起こし、九尾へと体を預ける

天乃「もしかして、すっごく心配してくれてた?」

九尾「……からかっておるな?」

天乃「ううん、感謝してる。ありがと」
107 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/15(火) 21:56:33.80 ID:cTJCcbEMo

九尾「……病弱な主様の方が、妾はありがたがったがのう」

天乃「嫌な主人で悪かったわね」

九尾「本当じゃ」

ふんっと鼻を鳴らした九尾のしっぽがパタパタと動く

言葉とは裏腹の優しさに体を預ける天乃は

ゆったりと、目を閉じて――

天乃「そろそろ病院連れて行ってくれない? 死にそう」

九尾「血が足りておらぬな」

天乃「……分かってるなら、早く」

顔色が悪くなっていく一方で

口元から滴る血が神婚に用いた装束を赤く染めていく

九尾「良かろう。しばし休め」

天乃「うん……頼りにしてる」

九尾「まったく、嫌な奴じゃな」

完全に委ねられた九尾は

悪態をつきながら天乃を包み、霧のように揃って姿を消した
108 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/15(火) 22:12:32.10 ID:cTJCcbEMo

√ 2月12日目 昼  (病院) ※日曜日


01〜10
11〜20 左足
21〜30
31〜40 右手
41〜50
51〜60 右足
61〜70 左足
71〜80
81〜90 左手
91〜00 左目


↓1のコンマ


※被害状況
※範囲内で数値が高ければ高いほど大(例:11(被害小) 20(被害大) )
※HP6割減 被害率60%
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/15(火) 22:13:22.19 ID:/aehgA7yO
たのむ
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/15(火) 22:16:06.04 ID:/aehgA7yO
なんてこったい…
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/15(火) 22:39:37.48 ID:Sz0TA0m2O
まあ対話の方の判定はうまくいったししゃーないな
112 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/15(火) 22:42:18.18 ID:cTJCcbEMo

√ 2月12日目 昼  (病院) ※日曜日


天乃「友奈……」

友奈「………」

友奈は満開を使ったが、

満開の効果が切れた後の精霊による加護の無い状態でのダメージは、

撤退したこともあって負うことはなかった

しかし、それ以前のダメージが重かったこと

撤退の為に無理をしたということもあって、

戦闘中に最も酷使してしまった左足はボロボロだった

一番初めの状態なら、捻挫で済んだかもしれない

けれど、捻挫を庇う歩みは骨折を招き

骨折した状態でのダメージによって複雑化し、その足の酷使は、靱帯までをも損傷させた

それでも、切断にまでは至らなかったのは、

運が良かった。と、言ってもいいかもしれない

その分、急を要した手術で麻酔を使われた友奈は、眠っていて

手当された体は、包帯に包まれている部分を除いても

隠し切れない生傷が、残ってしまっている
113 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/15(火) 22:43:23.92 ID:cTJCcbEMo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


20なら左足切断
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/15(火) 22:52:30.72 ID:/aehgA7yO
乙
なんて心臓に悪い判定なんだ…
どういうわけか左足は久遠さんの時もそうだが色々呪われてるな
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/15(火) 23:15:34.83 ID:Sz0TA0m2O
乙
切らなくて済んだから実質セーフ
116 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/16(水) 22:00:44.09 ID:+jDASqwPo

では少しだけ
117 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/16(水) 22:16:10.68 ID:+jDASqwPo

天乃「こんな、怪我するまで……」

手甲で守られていた手は、比較的傷が浅く、

天乃は自分の左手を布団に沈みこませて包み込むように、友奈の左手に触れる

柔らかな少女の手

生気の温もりは僅かに薄れ

死の淵に立った弱弱しさが、嫌なほどに感じられる

普通の人が見たら、事故にでもあったと思うだろうか

ちらりと聞いたニュースを鵜呑みにすれば、

その可能性は十分にあるかもしれない

そんなことを頭の片隅に置きながら、右手で友奈の前髪を払う

眠る瞳は穏やか、けれど、痛烈さの残る眉間

そうっと頬を撫でると

眠りの中で苦しみから逃れられたのか

ちょっとだけ、落ち着いた寝息がこそばゆく耳に残る
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/16(水) 22:22:32.85 ID:hJxwmn9aO
友奈ちゃん…
119 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/16(水) 22:38:39.67 ID:+jDASqwPo

つい、数時間ほど前までは自分が見舞われる側だった

なのに、半日も経たずに立場が入れ替わってしまったのは、

少し、嫌な気分になる

任せて欲しいと、友奈たちは言った

任せると、天乃は言った

だとしても、ここまで傷だらけで帰ってこられると

感謝の言葉よりも、後悔が先に出てきてしまいそうになる

でも、生きていてくれたのだ

勇者の切り札である満開を、逃げるためだけに使うという暴挙とも取れる手段を用いながら

生き延びることを、選択してくれたのだから

後悔するのは間違いだろうと、天乃は悔やみの滲む笑みを携えて、友奈を見つめる

天乃「……けほっけほっ」

友奈「…………」

天乃「重傷なのは、間違いなく友奈なのにね」

口を押えた右手が、赤くなっていく

ぽたりぽたりと、また、装束が血塗られて

天乃は困ったように、友奈から離れる

天乃「こんなところ、見せられないからもう行くわね。ちゃんと、休むのよ?」

九尾に聞かれたら主様が言うな。とでも言われそうだ

危うい足取りで出口まで向かった天乃は、引き戸を軽く引いて手放すと

九尾を呼んで、身を委ねた
120 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/16(水) 22:43:27.01 ID:+jDASqwPo
√ 2月12日目 夕  (病院) ※日曜日


01〜10 風
11〜20
21〜30 夏凜
31〜40
41〜50 歌野
51〜60 園子
61〜70
71〜80 樹
81〜90
91〜00 東郷


↓1のコンマ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/16(水) 22:44:58.86 ID:hJxwmn9aO
あ
122 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/16(水) 22:50:38.84 ID:+jDASqwPo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「えっ? 久遠先輩の体に神樹様が!?」

天乃「ちょ、ちょっと! ズボン脱がそうとしないで!」

東郷「神樹様の具合を――」

天乃「ないっ、そこにはないからっ!」


風「あー……」

夏凜「私を見られても困る」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/16(水) 22:59:28.56 ID:P520dTd0O
乙
ベタな発想でワロタ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/16(水) 23:02:55.28 ID:hJxwmn9aO
乙
久遠さん神樹様の力を得たのにあんまり回復できてないな…
そして久しぶりに見たオマケは安定のとーごーせんせーでした
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 07:08:36.43 ID:1YGRH4JcO
乙
やった!とーごーせんせーだ!平和だ!
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/17(木) 15:54:17.06 ID:wjHwrNQJ0
すげぇな、今気づいたけどこのスレ五年も続いてるんだぜ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 18:08:14.35 ID:bVTroBfZO
アニメ一期の最終話前後に始まったからゆゆゆいの倍でゆゆゆ原作と同等の長さだぞ
128 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/17(木) 22:07:50.87 ID:HOyfB2YSo

では少しだけ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 22:08:22.65 ID:/7uZhQ41O
よっしゃ
130 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/17(木) 22:38:17.40 ID:HOyfB2YSo

√ 2月12日目 夕  (病院) ※日曜日


天乃「はぁ……」

瞼は重いけれど、喉が焼けつくような痛みはない

全身がまるで他人のものであるかのようなふわっとした感覚

まだ完全に覚めていないのだと、眠ったままの頭で考える

天乃「……動く、わね」

右手を上げようとすると、一拍遅れて右手が上がる

眠ったおかげで多少なりと回復してはいるけれど

やはり、神樹様の依り代となった影響はまだ残っているらしい

穢れがそうであるように、

神樹様の力もまったくの影響を及ぼさないまでの吸収は出来ないかもしれないと

僅かに震える手を見て思う

問題は、その神樹様の依り代になったことによる影響だ

汗が樹液になる……などということはないはずだが

穢れが天乃に負荷をかけているように

神樹様の力もまた、天乃に何らかの負荷をかける事にはなってくるだろう

穢れと神樹様の力の対消滅などという希望的観測は、さすがにできない
131 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/17(木) 22:49:10.83 ID:HOyfB2YSo

天乃「………」

両手は動くし、右足も動く

それは元々、神樹様の種を宿したことで取り戻したことだが、

神婚に入る前は動かすことのできなかった左足も、動かせる

恐らく、神樹様の依り代となったことで、

身体的な部分に関しては、満足に動かせるようになるはずだ

だとすれば、何があるのだろうかと、天乃は目を閉じる

ゆっくりと、大きく胸を膨らませて、

静かに、息を吐き出していく

少しずつ時間をかけた深呼吸のうちに、力の流れを感じ取る

前々から流れている穢れの力

そして、強みを増した神樹様の力

交わることはないが、衝突することもない力は

牽制しあっているようにすれ違って体を巡る

天乃「……これ」

ふと、目を開く

あげた右手は震えを除けば、異常はない

だが、目を閉じると……違和感がある
132 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/17(木) 23:07:46.36 ID:HOyfB2YSo

天乃「神樹様の力……かしら」

感じる違和感は、目には見えない力の流れだ

元々ある穢れの力が

天乃の体の中から湧き出ている泉のようなものであるのだとすれば

神樹様の力は、外側に漂う空気

天乃「………」

穢れを抑え込むかのごとく際限なく体に流れ込んできている

もしかしたら、神樹様の力が染み込んだこの土地そのものが

穢れにとっての天乃であり、神樹様の力にとっての源なのかもしれない

だとすれば、戦闘による被害がその延長線上として体を弱らせている可能性もある

そこまで考えた天乃は、

神樹様がどのようなものだったのかを考えて、息をつく

天乃「神樹様……そう、そうよね」

神樹様は世界だった

その世界の依り代となったのだから

土地が荒れれば、体調に影響が出てくることだってある

それが、神樹様を受け止める代償と言えるかもしれない

天乃「私、このまま不老不死になりました。なんてことは、無いわよね?」

神様の依り代となったことで、

人間ではなく神に近しい存在となってしまっていたら

そう思うと、まったく、喜べるものではない

神樹様の置き土産としては、申し訳ないが迷惑だ



1、九尾
2、歌野
3、千景
4、水都
5、イベント判定


↓2
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 23:09:10.97 ID:/7uZhQ41O
2
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 23:11:21.20 ID:IvFLta8n0
4
135 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/17(木) 23:25:40.38 ID:HOyfB2YSo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば、通常時間から



九尾「神樹を取り込んだことで不老不死じゃと?」

九尾「何を世迷言を」

九尾「元々、穢れの影響で半神化した数年前から何もかも止まっておるじゃろうが」

樹「でも胸は大きく……」

東郷「やっぱり人の希望が詰まってるのね!」

園子「わっしーが気力に満ち溢れてて何よりだよ〜」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 23:35:56.07 ID:/7uZhQ41O
乙
最大の難関は抜けたけどまだ不安要素はしぶとく残ってるな…
ところで久遠さんの主砲に装填されてる希望はまだ出せるのだろうか
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/18(金) 00:50:54.57 ID:kUwbEKygO
乙
主砲生えてたら手の震えより一番最初に違和感覚えるだろ!いい加減にしろ!
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/18(金) 05:53:37.78 ID:vF3RyiZYO
乙
久遠さんの体液が樹液になったら悪い虫が群がりそう
139 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/19(土) 21:57:35.15 ID:rRwKnzNao

遅くなりましたが、少しだけ
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/19(土) 22:04:52.22 ID:jdxZECzlO
よしきた
141 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/19(土) 22:55:46.98 ID:rRwKnzNao

天乃「……藤森さん、出てこられる?」

天乃の力についてであれば、九尾に聞くべきかもしれないが、

神樹様の力も含まれるとなると、豊穣の力を継承している歌野か水都の方がいいと、

天乃は水都に声をかける

水都「は、はいっ」

天乃の状態を心配してか、やや緊張した声で出てきた水都は、

出てきた傍から、天乃の手を取って、握る

天乃の体から感じる穢れの力

それとは別の、なじみのある神樹様の力

際限なく流れ込んでいく神樹様の力を

少しだけ、自分の方へと取り込んでいく

水都「神樹様の力が、強いですね」

天乃「分かる?」

水都「久遠先輩、みんなに力を分けてから回復しきってないんですよ」

それくらいは分かってますよね。と

水都は困ったように天乃の汗を拭う
142 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/20(日) 00:02:40.14 ID:6r0W8pfoo

力を回復しきる前に取り込んだことで、

今はどちらかと言えば神樹様の力が勝っている状態だと、水都は言う

水都「体の不調もそれが原因だと思います」

天乃「土地の被害が影響してる可能性は?」

水都「そうですね……」

神樹様の力を借りている勇者の傍に居た経験はあるが、

当然ながら、神樹様の力そのものを宿している状態など初めてだ

だが、巫女として神樹様とのつながりを持っていた水都は、

少し考えて、頷く

水都「神樹様自身だと考えれば、その可能性はあるかと」

天乃の本来の精霊である水都だが

巫女と神樹様とのつながりに似たものを、今の天乃に感じているからだ

神樹様自身を取り込んだこと

神樹様の力が天乃の力を上回っていること

それが影響し、人としてではなく、神様としての存在になってしまっているからだろう

それゆえに、神樹様が本来担っていた戦闘の影響までもが、

天乃の体に出てきてしまっているのではないかと、水都は考える
143 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/20(日) 00:27:57.27 ID:6r0W8pfoo

水都「久遠さんの場合、神様の力との親和性が高すぎるんですよ」

天乃「穢れの影響?」

水都「それ以前に、久遠家代々の巫女としての力だと思ってます」

久遠家は、

天乃や初代の陽乃などが勇者として戦っていたが、

そもそも、久遠家は巫女としての家系だ

それもあって、神様を降ろす器として適任で、

天乃の場合、受け入れることのできる力の容量が他の比ではないために、

余計な部分今で、その影響が出るようになってしまっているのだ

水都「大地の衰えが久遠さんに大きく影響することになるとおもいますが、その逆で、助けにもなりますよ」

大地が潤えば、天乃も元気になる

それなら、穢れによって蝕まれていた分を補っても余りあるし、

今までのように穢れで寿命を削られていくことに怯える必要もなくなる

デメリットはあるが、メリットもある

良いこと尽くめよりは安心できると、水都は軽く笑いながら呟く

水都「それと、不老は分かりませんが、不死ではないかと」

天乃「……聞いてたのね」

水都「聞いちゃいました」
144 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/20(日) 00:38:23.71 ID:6r0W8pfoo

水都「久遠さんは神樹様を取り込む以前から、神様に近い存在だったんです」

身長などがまったく変わらない点については、黙秘を貫くものの

水都は天乃から感じている生命力的な部分が、

他の人々と比べても、力の影響を除いて衰えることがないと続ける

普通なら、歳を重ねていくうちに衰えていくもののはずなのに

天乃は、それが一切感じられない

生命力に衰えがないのなら、

不死でもあるのでは。と、天乃は思うが、

水都は少し難しい顔をして首を振る

水都「穢れの力があるので、不死になることは無いかと」

天乃「老いはしなくても、死ぬのね?」

水都「神樹様の力だけならわかりませんけど、汚れの力があるなら。恐らく」

断言してしまうのはいかがなものかと思いながらも、

水都はそれを口にして、天乃を見る

器として完成するために不老となってしまったとしても、

穢れだけでは、瞬く間に生命力が食い尽くされる

その一方で、生命力を維持できるほどの力が得られている天乃は、

人並か、それよりも少し長く生きることになると、水都は推測する
145 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/20(日) 00:38:55.16 ID:6r0W8pfoo

時間がかかってしまいましたが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば、通常時間から
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 00:46:27.42 ID:6fbNxptQO
乙
不死ではないとはいえ寿命が延びることは吉と見るべきか凶と見るべきか…
とうとうほとんど神様になってしまった久遠さんの運命やいかに
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 07:11:26.82 ID:7NYPeEVSO
乙
久遠さんを嫌ってた大赦の人は手のひらを返すのだろうか
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 10:05:30.97 ID:q+N9jfsQO
乙
見た目中学生の百歳とかになるのかな
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 16:49:36.80 ID:fOoAQ3TlO
乙
ロリババア久遠さんとな
150 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/20(日) 23:49:06.79 ID:6r0W8pfoo

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日もお休みになってしまう可能性がありますが
出来れば通常時間から
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/21(月) 06:04:12.76 ID:rzI8dPqnO
乙
152 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/22(火) 19:51:21.07 ID:f2wksntso

では少しだけ
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/22(火) 19:58:21.14 ID:ULHbnHQLO
やったぜ
154 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/22(火) 20:19:15.33 ID:f2wksntso

水都「ただ、久遠さんはみんなよりも……長く生きることになるかもしれません」

天乃「みんなって、夏凜達のこと?」

水都「はい」

天乃の力と神樹様の力はほとんど同じで、

今は元々不足していた分、穢れよりも神樹様の力が上回っている状態

しかし、

大地より供給される力は、戦いの被害によって弱く

天乃自身から湧き出ている穢れの力の方が、それよりも勝っている

次第に力同士が拮抗し、打ち消しあうようになって、均衡を保つだろう

そうなれば消費と充電を行い続けるバッテリーが急速に消耗していくように

天乃自身が消耗していくことになる

不老の身とはいえ、魂という霊的に重要な要素が消滅してしまうと

流石に、生きていくことは出来ない

それでも、人並か人よりも長く生きていくことになる可能性があるのだから

天乃の体は依り代としての完成度は相当なものだ

普通なら、自分と相反する力を取り入れた副作用で死ぬだろうし

万に一つ入れられたとしても、内部の対消滅で精神的か肉体的に崩壊するだろう

水都「久遠さんは特別です。特別過ぎるんです。人が決して辿り着くことのできない領域にまで、踏み込んでしまっているんです」

天乃「……神樹様を、助けたせいね」

水都「普通は、助ける事なんて出来ませんよ」
155 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/22(火) 20:43:57.83 ID:f2wksntso

笑いながら呟く天乃に、

水都は呆れを交えたため息を混じえて、答える

本当に、普通は不可能だ

それを、みんなに頼まれたからというだけの理由でやり遂げてしまうのだから

天乃は特別という言葉には収まりきらないほど、特例なのだ

巫女であり、勇者であり、穢れた血族

だからこそ。

力に苦しみ、悩み、常人ではありえないほどに早くに寿命を迎えてしまい、呪われた一族だと虐げられて

なのに、

人類が信じ、崇め続けてきた神樹様を救うことが出来た

それがなぜなのか、

水都はただ特殊というだけではない理由があるように思えた

思えただけで、はっきりとは言えないが。

水都「とにかく、久遠さんはもはや神様です。でも、ちゃんと……人ですよ」

天乃「否定しにくいわね。貴女達に言われると」

水都「久遠さんだって、そう認めてくれているじゃないですか」

天乃「だから、否定できないの」
156 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/22(火) 21:05:34.34 ID:f2wksntso

水都や若葉達天乃の精霊

人ならざる者である彼女たちを、天乃は人だと言い切った

その精霊である水都に天乃は人間だと言われてしまうと

天乃は否定することが出来ない

もっとも水都はだからと、そう言ったわけではないが。

水都「久遠さん、少し辛抱してください。しばらくすれば、体調も良くなると思います」

天乃「そういわれてもね……」

水都「結城さんですか? お子さんですか?」

天乃「両方」

水都「結城さんも久遠さんのように療養が必要です」

数日数週間ではなく、数ヶ月というレベルで

リハビリできるようになるまでも

長い時間が必要になってくるだろう

水都「お子さんの方は、今のところは大丈夫ですよ。ただ、久遠さんの母乳が少し、足りてないと思います」

人工乳を呑まないということはないので

空腹に苦しむようなことにはなっていないが、

水都達のように、力まで確認できる存在からしてみれば、

そっちの方がやや不足気味のように感じられるのだ


1、ねぇ、外の世界はどうなってる?
2、現実の神樹様はどうなったの?
3、なら、貴女が絞って持って行って
4、子不幸な母親よね。私


↓2
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/22(火) 21:10:53.94 ID:ULHbnHQLO
4
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/22(火) 21:12:04.63 ID:EXb5C1IG0
2
159 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/22(火) 21:48:29.88 ID:f2wksntso

天乃「現実の神樹様は、どうなったの?」

水都「………」

黙り込んで、目を瞑る

あからさまに良くないことを言う前兆の仕草を横目に見た天乃は、

天井を見つめて、水都の次の言葉を待つ

水都「現実の神樹様は、枯れました」

天乃「……そう」

水都「でも、神樹様が失われたわけじゃないですよ」

神樹様は、あの御神木から天乃に移った

それによって、力の失われた御神木は枯れたのだ

その分、天乃に活力が与えられているというだけの話

その体の内に宿った神樹様は、ちゃんと残っている

水都「大丈夫です。久遠さんはちゃんと神樹様を救えましたよ」

天乃「それは、分かってるんだけどね」

内輪的な問題として、

神樹様が死せず天乃の中で生き続けているということについては

体調的な不安があるものの、良しとすることは出来る

だが、現実的な話

神樹様とされてきた御神木が枯れてしまった衝撃はいかほどのものか。

テレビをつければ……いや、ラジオでもその騒ぎは相当なものだろう
160 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/22(火) 22:04:48.94 ID:f2wksntso

人にとって神樹様は重要なものだと天乃は思っていたし

だからこそ、絶対に救わなければならないと思っていた

しかし、その象徴たる神樹様が失われてしまった

それでは、天乃からして救えたといっても

人類から損なわれてしまったということであり、

それは結局、救うことは出来なかったのと同義ではないかと、目を瞑る

さてどうするか。

そう考えたとき、もし人類の精神的な主柱足る神樹様の存在を優先するならば

天乃は自身にその力を宿したことを大赦に伝えなければならない

そうしなければ

神樹様の死は天乃の穢れが引き起こしたものとして断罪されるかもしれない

天乃「あぁ……もう……」

水都「久遠さん?」

天乃「とても面倒くさいことになったわ」

水都「神樹様が枯れたから。ですか?」

天乃「ええ」

考えが間違っていて欲しいと言いたいほどに

確実に面倒なことになると、天乃はため息をついた
161 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/22(火) 22:16:58.66 ID:f2wksntso

天乃「大赦はほぼ確実に、神樹様が枯れたのは私のせいだって考えるわ」

水都「それは……」

天乃「神樹様の依り代になりましたって正直に話して、仮に信じて貰えたとして……どう扱われるか」

水都「面倒くさいって言った理由が、分かりました」

天乃「どう転んでも、私の立場は最悪」

神樹様を殺した大罪人か、神樹様をその身に宿す人類の支えたる神の巫女として崇められるか

どちらにせよ最悪で、面倒で

悪態をつく天乃を見つめる水都は、

その心中お察ししますと心の中で噛みしめて、まだ震えの残る手を握る

天乃「ねぇ、私が人として生きていく方法。どうにか見つけられないかしら」

水都「それ、九尾さんに言えば最短で最低な方法で実現しそうですね」

天乃「そうね……大赦の人間がこの世から消えるかもしれない」

九尾なら大赦の人間全員を殺すか、消すか

どちらも似たようなものだが、その最短で確実な方法で面倒事を消し去ることだろう

天乃「頼っちゃおうかしら」

水都「せめて、もう少し色々手を打ってからにしませんか?」

天乃「春信さんもいるし……少しだけ、考えてみるわ」
162 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/22(火) 22:23:01.40 ID:f2wksntso

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「久遠先輩が久遠先輩じゃなくなればいいのでは?」

天乃「つまり?」

東郷「姓を東郷に変えましょう。東郷天乃、結城天乃も可です!」

友奈「えぇっ!?」


風「東郷ってあんなに馬鹿だったっけ?」

夏凜「天乃と友奈のことでは一番馬鹿だと思うわ」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/22(火) 22:32:51.69 ID:ULHbnHQLO
乙
ここに来ても未だに受難が続く久遠さん…
崇拝か迫害かで自由を奪われるばかりか寿命がのびすぎて勇者部や下手したら双子にも先立たれそうで怖い
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 00:06:01.03 ID:XVrMsbi6O
乙
双子は双子で半分妖怪だから寿命どうなってるかわからない
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 10:31:54.36 ID:+5/LUDCuO
娘の娘に見られることになりそう
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 18:13:11.55 ID:b52bYWjJO
赤嶺ちゃんの使役してる精霊(山本五郎左衛門)は久遠さんの精霊(神野悪五郎)のライバル的存在なんだよね

久遠さん関連ってやっぱ設定おかしいわ(誉め言葉)
167 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/23(水) 21:08:50.56 ID:68Wth3/6o

では少しだけ
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 21:09:21.52 ID:Y/3t6GceO
おk
169 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/23(水) 21:37:10.41 ID:68Wth3/6o

水都「少しじゃなくて、しっかりお願いしますね」

天乃が滅ぼしてしまえと言えば、

九尾は迷いなく滅ぼすことだろう

たとえ、ほんの気まぐれ程度でしかない呟きであったとしても

鬱屈とした空気を孕んだ、物憂げな吐露でも

水都「三好さん達がいますし、私達もいますから」

天乃「……分かってるわ」

水都「私達精霊は、久遠さんと一生を共にします。恐らく、お子さんも」

天乃「子供も?」

水都「はい。久遠さんの子であり、神野悪五郎……魔王とも呼ばれるほどの妖怪の子でもある双子は、単刀直入に言えば、半妖です」

半妖であるがゆえに、

人間よりはるかに長い寿命を持っていることは確実だと水都は考えている

赤子である今はまだ判断付けることは出来ないが、

場合によっては、不老に近い性質もある可能性がある

その辺りは、妊娠した段階の天乃の体質のどれだけを引き継いでいるかによるが、

霊的能力を双子で分け合ったことで、一人を考えた場合は天乃に劣ることだろう

しかし、双子それぞれが単体の能力に特化しているとすれば

それのみで考えた場合、天乃を凌駕してしまう可能性が非常に高く

それが双子ゆえの特殊な繋がりによって強く共鳴するのであれば、天乃以上に危険な存在成り得るのではないか。

水都はそんな、胸中に抱く不穏な考えを飲み込む

水都「久遠さんを、独りぼっちにはしませんよ」
170 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/23(水) 22:02:11.80 ID:68Wth3/6o

水都「なので、どうか……何があっても世界を見限ったりしないでください」

天乃「不穏なお願いだわ」

水都「そうですか?」

天乃「まぁ……大丈夫よ。私の子供だもの」

水都「………」

ね? と、笑って見せる天乃を見た水都は、

飲み込んだはずのものを見透かされてしまったのかと、困り顔で笑う

天乃のこと、世界のこと

これからのこと、子供たちのこと

それが、不安ばかりであることを、察して

それでも天乃は大丈夫と言ったのだ

自分の子供だから、大丈夫と。

それは、天乃が自分の神や妖としての部分だけではなく

人としての部分まで、子供たちはしっかりと受け取ってくれると信じているからだ

天乃「きっと、我儘な子になるわ」

水都「双子で我が強い子と弱い子で別れるかもしれませんね」

天乃「でも、強い子は弱い子を一人にはしないの。弱い子は、本当に大事だと思う場面ではしっかりと主張するの」

水都「そう思います」

天乃「名前……考えてあげなきゃ」

水都「そうですね。そのために、今はゆっくり休んでください」

ゆっくりと静まっていく天乃の声

握ったままの天乃の手を撫でるようにしながら、

水都は穏やかに、天乃を見守った
171 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/23(水) 22:12:45.35 ID:68Wth3/6o

√ 2月12日目 夜  (病院) ※日曜日


01〜10
11〜20 東郷
21〜30
31〜40 大赦
41〜50 千景
51〜60
61〜70 園子
71〜80 樹
81〜90
91〜00 風


↓1のコンマ
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 22:15:09.51 ID:Y/3t6GceO
あ
173 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/23(水) 22:30:46.07 ID:68Wth3/6o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


夏凜「天乃の方が長生きする……ね」

九尾「なんじゃ」

夏凜「いや、別に」

九尾「ふんっ女々しいやつじゃな。死ぬまで生きるとでも言えばよかろう」

夏凜「出来ないことを言う気はないわよ。さすがに……そんな無責任なことは言えない」


東郷「死んでも精霊になればいいのでは?」

樹「あの……一応真面目な話をしてるので」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 22:46:19.50 ID:Y/3t6GceO
乙
お別れの日は一作目の時とは立場が逆転するのか…より切ないなぁ

それにしても五郎くんのライバルが本当にゆゆゆいに参戦するのはおもわんかった
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 23:01:04.23 ID:xV9xotrbO
乙
でも久遠さんが神様なら結婚する夏凜達ってもしかして…
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/24(木) 00:17:54.93 ID:BUWdrxcBO
乙
現状公表するかどうかとかやること多いな
結婚式もやらなきゃだし
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/24(木) 08:07:58.96 ID:x/Le1riOO
乙
もう終盤のはずだけどイベントがまだまだあるということは…
…もしや続編フラグ?(期待)
178 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/24(木) 20:57:26.31 ID:DAmpyen9o

では少しだけ
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/24(木) 21:08:51.37 ID:XfrMK8YzO
きてたか
180 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/24(木) 21:37:29.65 ID:DAmpyen9o

√ 2月12日目 夜  (病院) ※日曜日


天乃「………」

目を覚ますと、眠ってしまう前にいてくれた水都の姿はなく、

カーテンから差し込んでいた夕暮れ時の光も今はなく

恐らくは水都がつけてくれたであろう人工の霞んだ光が仄かに部屋を明るくしているだけ

中途半端に眠ってしまった頭痛を感じて、額に手を宛がう

天乃「……ん」

手の震えが、消えている

まだ浮ついた自分のものらしくない違和感は残っているが、

動かそうと思えば問題なく動く程度には、

もう、馴染んできてくれている

天乃「藤森さん……あと、歌野も。かしら」

水都が手を握ってくれている間だけ

力がかなり安定していたことを思い出して、呟く

傍に居てくれていないことだけは不服だが、

流れこむ神樹様の力を一部引き受けて制御してくれていたことを思えば、

ずっと傍に居られないのも仕方がないと、落ち着く
181 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/24(木) 21:53:08.65 ID:DAmpyen9o

天乃「っ……はぁ……」

軽く唇を噛んで、深呼吸には満たない中くらいの吐息を漏らす

東郷に見られでもしたら、誘ってるんですかと言われかねない仕草だが

熱のこもった体を少しでも楽にするには仕方がなかった

力と力がぶつかり合っている影響だろう

張り付く肌着から、体温が普段よりも何度か高いと目を瞑る

高熱とまではいかないが、平熱とは到底言えない程度

浅く早くなりつつある呼吸を整え、

また、わずかに深い息を吐いて、唾を飲む

天乃「妊娠しているときよりは、楽だけど」

あの経験がなければ、

これでも弱音を吐いていたかもしれないと、

母の強さはそういうところにもあるのだろうかと、

不安なことから逃れるように、考える

天乃「あの子達……元気、らしいけど」

ほんのわずかしか会えていない

看護師さんに頼んで持って行って貰ってはいたが、

水都が足りないという程度にしか、母乳を与えることも出来ていない

それで母親と胸を張れるのか。と

溜まるだけの母乳による胸の張りを感じて、顔を顰める
182 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/24(木) 22:22:46.02 ID:DAmpyen9o

天乃「名前……」

妊娠中も、産まれた後も

色々ありすぎて、考える暇が全くなかった

忙しいからとはいえ、

産まれてから早くも二ヶ月経過した段階で

名前を決められていないのはいかがなものかと、

天乃は親としての自覚がないのではないかと、思う

天乃「夏凜達に言うと、怒られるかしら」

だが、自分たちも似たようなものだから。と、

天乃だけの責任ではないと言うかもしれない

天乃にせよ、夏凜達にせよ

手一杯で名前を考えてあげられなかったことに、変わりはない

赤ちゃんは赤ちゃん用の部屋が用意されており、

他の子と取り違うことがないようにとネームプレートが必須になってくる

今は、想いの籠った名前が書かれたネームプレートが寄り添う子供たちの中、

取り違い防止目的でしかない、親の名前が書かれたネームプレートに寄り添われているだけだ
183 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/24(木) 22:40:09.40 ID:DAmpyen9o

世界のこと、自分の立場

本当にやるのであれば、みんなとの結婚もある

そして、双子の娘の名前

細かく考えずとも出てくる目先の問題を前に、

天乃は瞑っていた瞼を開いて、誰も座っていない来客用の椅子を見る

親を呼ぶのが早いかもしれない

だけど、そうやすやすと呼べる状況ではなく

その場合の妥協案としては九尾になるのだが。

真っ当な答えをくれるかと言えば、くれない可能性が非常に高いと言わざるを得ない

年齢で言えば風や千景、沙織辺りに声をかけたほうが良いが

引けを取らないほどに良い意見をくれそうなのは樹や友奈だし、夏凜や東郷、園子達だってちゃんと考えてくれるはずだ

天乃「……もしかして、優柔不断?」

誰に意見を求めようか。

それだけで無駄に悩もうとしている自分に気づき、天乃は呆れたように呟いた


1、九尾
2、千景
3、歌野
4、沙織
5、イベント判定


↓2
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/24(木) 22:45:54.68 ID:9/voTmY/0
4
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/24(木) 22:46:42.78 ID:XfrMK8YzO
4
186 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/24(木) 23:04:14.96 ID:DAmpyen9o

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


東郷「名前ですか……」

風「双子定番で言えば、対比だったり繋がりのある名前よね」

友奈「久遠先輩のおうちの場合、海や地を入れたり地理? を使いますよね」

球子「安直に言うなら、月と太陽が対比だけど、それはちょっと違うか?」

千景「それなら、星と空で互いが互いを見ている方がいいように思うけれど」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/24(木) 23:14:54.39 ID:XfrMK8YzO
乙
双子ちゃんの名前もそろそろ決めないとだけど悩ましいな
久々に安価の公募くるかな?
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/25(金) 02:26:48.02 ID:YH6YPSebO
乙
困ったときは嫁に相談の久遠さん
まあ子供の名前だしね
189 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/25(金) 23:39:52.09 ID:0Au3PDiOo

すみませんが本日はお休みとさせていただきます
その分、明日は出来ればお昼ごろから
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/26(土) 00:02:14.23 ID:VM3TXeZgO
乙ですー
191 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/26(土) 16:13:40.59 ID:mczL5ZZjo

遅くなりましたが少しずつ
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/26(土) 16:27:07.76 ID:GtnKp+ZTO
あいよ
193 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/26(土) 17:42:39.99 ID:mczL5ZZjo

天乃「沙織……ねぇ、沙織」

眠っているのなら起こさないようにと、押し殺した声で呼びかける

子供たちのように純粋なものではないが

沙織もまた、妖怪である猿猴の力を受け継いだ半妖

かつ、天乃の精霊として指揮下に入っている

子供たちや、若葉たちよりもやや特殊な立場にある沙織は、

天乃の呼ぶ声を聞き届けてか、

精霊のように、どこからともなく姿を見せる

沙織「思ってたより、悪そうだね」

天乃「……藤森さんから聞いた?」

沙織「うん」

天乃「神樹様なんて助けなくてよかったのに……とか、思ってるでしょ」

沙織「そのせいで体調不良だけど、そのおかげで早死にが回避できるなら、仕方がないよ」

むしろ良かったんじゃないかな。と、沙織ははにかむ

ありえないほど早く死ぬよりは、

多少、人より長く生きてしまう方がいいと、沙織は思う

そう思えるのは、自分たちが精霊なり、半妖であるからだろうが。
194 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/26(土) 18:18:49.57 ID:mczL5ZZjo

沙織「もう時間も時間だし、ゆっくり寝てたほうが良いと思うよ」

天乃「寝ちゃったの」

沙織「じゃぁ、寝るまで無駄話でもする?」

怖い話とか、恋のお話とか

これまでのこととか、これからのこととか

適当に、下らなく

だんだんと落ち着かせるように、ゆっくりと。

本を読み聞かせるみたいな沙織の声

けれど、目が覚めてしまっているせいか

まどろむこともなく、天乃は沙織を見つめる

天乃「無駄話もいいけど、色々……話しておきたいことがあるわ」

沙織「子供たちと、半妖半霊の話とか?」

天乃「ええ」

沙織「確かに、名前を全く考えてないのは、駄目な親だよね」

天乃「言い訳はしないわ」

沙織「それに関しては、あたし達も出来ないけどね」
195 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/26(土) 18:40:40.72 ID:mczL5ZZjo

直接的な血縁関係には―残念ながら―無いが、

それでも天乃の子供であるのなら、沙織たちの子供でもある

であれば、責任は負うべきだ

例えどれだけ理不尽な理由があるとしても

沙織「名前……名前ねぇ」

天乃「思いつく?」

沙織「パッと直感的なのなら」

天乃「たとえば?」

沙織「久遠さんの天とあたしの織で天織―あまり―ちゃん!」

天乃「双子よ?」

沙織「もう一人は、沙と乃で沙乃―しゃのん―ちゃんだね」

直観的と言いつつ、

あらかじめ考えていたようにはっきりと、沙織は言う

どちらも、天乃と沙織の名前を使った名前

沙織と二人きりの関係ならば、

それも悪くはないが、そうではないし、みんなもそれぞれ思うところがあるだろう

それでも、天乃がそうしようといえばそうなるだろうけれど。
196 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/26(土) 19:32:44.99 ID:mczL5ZZjo

天乃「いつから考えてたの?」

沙織「約三年前」

天乃「それって――」

沙織「今回の子供のための名前ってわけじゃない」

そういった関係になる前から、

少しだけ、そういう関係になったとしたら……なんてことは考えていたのだ

天乃と最も親しいとされていたせいか、沙織に声をかける人も少なからずいて

もし、自分がそういう立場になることが出来たら……なんて。

その時期を思い出してか、沙織は照れくさそうに笑って目を背ける

沙織「色々ね、多感な時期だった」

天乃「それで誤魔化せる事じゃないでしょ」

沙織「久遠さん、人が良いから頼めば付き合ってくれるんじゃないかって馬鹿なこと言う人もいたよ」

天乃「そうね……間違ってはなかったかも」

沙織「えっ」

天乃「私は、そういうの断れなかったもの」

特に銀を失って間もない頃の天乃だろう

その後悔と、罪悪感と、喪失感と精神的に負う傷が大きく

頼み込まれれば、まず断らなかった

それが災いしてか、男子生徒との間で夏凜が激高するような事態に陥ることもあった
197 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/26(土) 20:00:18.57 ID:mczL5ZZjo

今更になってもはや言葉もないが

告白をされていながら答えられていない相手もいる

もしかしたらもう悟っているかもしれない

全てが終わってから答えても、遅すぎると叩かれるかもしれない

それは甘んじて受けるべきだが、

受けたら受けたで、またひと悶着あるだろう

天乃「……そのころの置き土産も、なんとかしなきゃ」

沙織「置き土産?」

天乃「返事待ちさせてるの」

沙織「あ……」

呆けた声を漏らして、椅子に深く座り込む

考え込むように額に手を宛がうと

すぐに天乃へと目を戻して、額の手は口元に下がっていく

沙織「あれって断ったんじゃないの?」

天乃「夏凜が突っぱねた男の子とは別よ。女の子」

沙織「………」

天乃「そんな目で見られても困るわ」
198 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/26(土) 21:18:51.68 ID:mczL5ZZjo

軽蔑を感じる目を向けていた沙織は、

笑い交じりのため息をつく

沙織「たらしだよね」

天乃「最近、自覚したわ」

沙織「どうするの?」

天乃「どうすべき……かしらね」

あの後輩の女の子には、

バーテックスとの闘いのことなど

ある程度踏み込んだことまで話してしまった

今回の一件で

それが事実であると証明されたことだし

それがなくとも信じると言っていた彼女は

もしかしたらまだ、諦めていないかもしれない

沙織「久遠さん、問題ばっかりだね」

天乃「寝込んでたんだから、大目に見て」


1、子供の名前を考えたいわ
2、ねぇ、半妖ってどんな感じなの?
3、沙織なら、数ヶ月待たされたらどう思う?
4、友奈はどう? 大丈夫だと思う?
5、若葉は平気?


↓2
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/26(土) 21:20:13.77 ID:GtnKp+ZTO
4
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/26(土) 21:23:21.26 ID:j1/mYdXv0
1
201 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/26(土) 23:15:18.40 ID:mczL5ZZjo

天乃「そっちは何とかするから、子供の名前を考えたいわ」

沙織「難しいよね……」

天乃「ご神託は?」

沙織「久遠さんがくれないと」

沙織が手のひらを差し向けると、天乃はぺしっと弾いて苦笑する

沙織と同学年のはずだが、比べて小さすぎる手

つい最近までは酷く弱弱しかったその力は神樹様のおかげか力強さを取り戻しつつある

弾かれる痛みに思わず顔をほころばせると

天乃の怪訝な表情が沙織の目に映った

天乃「なに喜んでるのよ」

沙織「日常だなあって」

下らない。だからこそ、幸せだと言える

切羽詰まっているときには味わうことのできない浪費感が

沙織には、心地よかった

もちろん、大変なことはまだまだあるが

少しくらいはかまわないだろう

沙織「三好さんが良く言ってるけど、やっぱり……久遠さんには笑っていて欲しいね」
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