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【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十輪目】

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 21:40:57.23 ID:/Ft6Pe47O
立て乙
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/06(日) 21:44:46.19 ID:k8OGxPeOo

友奈「満開を使って逃げたら……なんていわれるかな」

若葉達は、怒るだろうか

夏凜達は、呆れるだろうか

そして、今ここには居ない天乃が知ったら……なんていうだろうか

友奈「戦わないと、駄目かな」

勇者ならば、戦うべきだと友奈は思う

隠してきた力を使って、逃げる?

そんなのは、勇者じゃなければ英雄でも何でもない

友奈「久遠先輩」

声が聴きたい

包み込んで欲しい

答えを教えて欲しい

勇気が欲しい

逃げる勇気、戦う勇気

自分が向かってもいいのだと言う、絶対的な信頼に触れたい
4 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/06(日) 21:59:40.93 ID:k8OGxPeOo

友奈「………」

満開なんて大それた力を使っていても、

結城友奈という少女が戦っていることに、変わりはない

神々しい力があろうと、

空を覆う敵は、それを容易に突破してくる

今までのように守ってくれる力はない

かすり傷一つで、想像を絶する痛みを伴い

爆風に巻き込まれただけでも

今はまだ残っている四肢の一つや二つは失う覚悟が必要だ

もう二度と、天乃に触れることも

一緒に歩むことが出来なくなる未来を受け入れる決心が必要だ

友奈「逃げる私を、久遠先輩はどう思いますか? 戦う私は、どう思いますか?」

聞いて答えてくれたら

どれだけ救われるかと、友奈は儚げに笑みを浮かべる


1、若葉と合流して撤退
2、攻撃を仕掛ける
3、一人で撤退

↓2
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 22:01:19.03 ID:UeUdx1Qs0
1
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 22:02:12.97 ID:/Ft6Pe47O
1
7 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/06(日) 22:07:54.36 ID:k8OGxPeOo

友奈「久遠先輩は……きっと」

友奈は入り組んだ深部から外に出ていくのを控え、踵を返すと

最期に聞こえた爆発音を思い出して、その場所を目指して飛ぶように跳躍する

満開の力をもってすれば、

多少の飛行能力も得られるだろうが、

今ここで飛んでも、殺してくださいと言うようなものでしかない

友奈「若葉さん……」

逃げることを、恥だとは思わない

生きるためだ、生き残るためだ

大切な人たちの、叶えたい願いのための逃走だ

それを馬鹿にする人も、悪く言う人も、

この戦いの場には居ない

天乃はきっと、満開を使ってまで撤退しようとしたことを知ったら、

無理をしたことには怒っても

逃げ出したことは絶対に咎めることはない

むしろ、それで戦いに行くことを許さないだろうと友奈は信じた
8 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/06(日) 22:14:00.77 ID:k8OGxPeOo

天乃はそういう先輩だ

勝利することよりも、

生き残ることを優先するような勇者だ

もちろん天乃なら、生き残るとはつまり勝利なのだが。

友奈「満開するまで無茶したことは、怒られちゃうよね……」

でもいい。

それでいいのだと、友奈は苦笑する

友奈「東郷さんに言ったら、変な風にとられちゃうかもしれないけど」

怒られたい

ビンタされてもいい、怒鳴られてもいい

正座もする、勉強もする

鍛錬だって、どれだけ長距離だろうと罰則分は絶対に走り切ろう

怒った声でも、聞くことが出来るのなら

その怒りに、謝罪が出来るのなら

それだけできっと、十分だと思うから。
9 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/06(日) 22:19:31.91 ID:k8OGxPeOo

爆発したと思われる場所の下部にたどり着くと、

その周辺を見渡した友奈の視界に、

根に寄り掛かるボロボロの装束の勇者が目に留まった

友奈「若葉さん!」

若葉「友奈……」

友奈「若葉さん、大丈夫ですか?」

若葉「ああ、まだ問題ない」

精霊だからか、

左腕を庇うようなしぐさを見せている若葉だが、

友奈のような出血は見当たらず、思っているよりも深刻なダメージは負っていないように見える

だが、精霊である若葉が腕を庇っている時点で、

予想以上の被害だと判断すべきだろう

若葉「ゆ――」

友奈「撤退します!」

若葉「な……なんだと……?」

満開をした友奈が戦いに行くとばかり思っていた若葉は、

瞬く間に困惑の色に塗れた表情で、友奈を見る

若葉「仕掛けるんじゃないのか?」

友奈「久遠先輩は、そんなことしたら絶交しかねないです」
10 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/06(日) 22:29:09.30 ID:k8OGxPeOo

これが傷つき、満身創痍になった体を動かすためなんかではなく、

戦いの最中、好機を見出すための満開であったならば

天乃も見逃してくれたかもしれない

だが、残念ながら友奈はボロボロになった体を動かすための満開

友奈「私……もう限界なんです」

若葉「………」

満開の装束は、

力によって形成されているおかげで、

満開以前のダメージは反映されていない

にもかかわらず、すでに所々に血が滲んでいる

真横からの爆発で酷いダメージを負ったのだろう

腹部は下腹部のあたりにまで血が流れ、

足の付け根の部分からは、装束を抜けて血が流れ出てきてしまっている

若葉「……分かった」

友奈「ごめんなさい」

若葉「いや、満開を使っての撤退は天乃なら喜ばないが褒めるはずだ。よく突撃しなかった。ってな」

それに、

抜けた穴は千景と風が埋めてくれることだろう

戦力低下の心配はいらないと、若葉は友奈を慰めた
11 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/06(日) 22:32:27.38 ID:k8OGxPeOo

では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈と若葉撤退前MAP
→https://i.imgur.com/QkLfL0Q.png
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 22:44:38.00 ID:/Ft6Pe47O

攻撃に使えなかったのは痛いけどこの状況じゃやむを得ないしな…
友奈ちゃんは本当に勇気ある決断をしたと思う
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/06(日) 23:45:53.38 ID:xymyUfSjO

これはしょうがないよ
しょうがない
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 07:49:26.87 ID:pJ1HK7viO

友奈ちゃんボロボロだもんなぁ…
CRT入ったら死ぬだろうし撤退はしゃーない
15 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/07(月) 22:10:56.98 ID:mlHOrUUwo

では遅くなりましたが、少しだけ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 22:15:30.63 ID:Mf2bKZK5O
よしきた
17 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/07(月) 22:39:21.03 ID:mlHOrUUwo

夏凜「友奈!」

園子「ゆーゆ……」

友奈が満開を使ったことはすぐに夏凜達へと伝わった

力が迸る光は美しく、

だからこそ、夏凜達にとっては残酷すぎる命の輝きに見えてしまう

思わず叫んだ夏凜と、祈るように呟いた園子だったが

輝きが収まってなお、突出することなく

むしろ、若葉がいるであろう場所へと向かっていくのを感じて、園子が顔を上げた

園子「合流するつもりだ……でも、どうして?」

夏凜「若葉にも切り札を使わせるつもりなんじゃないの?」

園子「ううん、そんなことしてる余裕はないはず」

満開を使ったならば、一直線に攻撃へと転じるべきだ

じゃなければ、大事な場面で時間切れになってしまう可能性があるし

そうなれば、終わりだ

園子「……ご先祖様を回収して、撤退するつもりなんじゃないかな」

夏凜「満開を使って? ありえない」

園子「でも、満開を使っての突撃に、勝てる見込みがないとしたら?」

夏凜「生き延びる為に全力を尽くす……かもしれないわね」
18 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/07(月) 22:57:56.07 ID:mlHOrUUwo

園子の問いに答えた夏凜は、

自分の否定する考えを改めて、息をつく

夏凜「満開を撤退に使うなんてありえないけど、友奈なら……」

いや、天乃と一緒にいたみんなならば、

誰しもがそんなおかしなことをする可能性はあると、夏凜は思う

夏凜「ただ若葉達が撤退するとなると、手数が足りなくなる」

園子「風先輩たちが来てくれるから、その分は補えると思うよ」

夏凜「それは樹の分になるんじゃない?」

園子「二人抜ける方が優先だと思う」

自分の力に自信があるのか

それとも、見向きも不要な存在相手には

当然ながら進路を変えるなんてしなくていいのか

真っ直ぐ神樹様に向かっていく天の敵

園子「いっそ、今みたいな中途半端な位置取りを止めて、ちゃんとした鶴に生まれ変わるべきかもしれない」

夏凜「放射状の攻撃を仕掛けてくる可能性がある以上、下手に統率が取れるのはまずいと思うんだけど」

園子「とはいえ、分断させられたら最悪だよ」
19 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/07(月) 23:09:42.37 ID:mlHOrUUwo

本来ならば、

今孤立する形になってしまっている歌野や樹は非常に危険だ

単独で狙われ、被弾し、

友奈のように執拗に攻撃をされでもしたら、不味い

そう考えて、最低でも二人一組での行動を心掛けていたのだ

それでもなお、抑えきれないから

後方に控えていた風と千景が合流して前線に向かってきているのに

樹が離脱し、友奈と若葉まで負傷退場

そこから全員がバラバラになったらどうなるのか。

運が良ければ、

上手く狙いが分散されて時間が稼げるようになるかもしれない

だけど、運が悪ければ各個撃破で全滅だ

悪いことばかり考えていては前に進めないのは分かっているけれど……


1、園子達で攻撃して気を引く
2、全員散開
3、園子たちが友奈たちの方向に向かう


↓2
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 23:11:18.09 ID:Mf2bKZK5O
1
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 23:17:07.80 ID:gfpqtF0gO
1
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 23:17:31.07 ID:tSS+c0E20
1
23 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/07(月) 23:22:23.46 ID:mlHOrUUwo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


園子達のターン
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 23:30:38.12 ID:Mf2bKZK5O

とりあえず友奈ちゃんたちの撤退まで時間を稼がないとな
あとは夏凜ちゃんたちが被弾しないことを祈るばかりだが…
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/07(月) 23:50:36.15 ID:gfpqtF0gO

久遠さんはどうなってんだろう…
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 08:39:40.98 ID:xT3i8UXTO
1ターン=何分なんだろね
スパロボは1分だけど描写的に5から10分かな
だとすればまだ30分くらいだしヤってる最中(意味深)ではなかろうか
27 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/08(火) 21:35:19.69 ID:lTvuLcwqo

では少しだけ
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 21:51:51.49 ID:HQKYFFUiO
よっしゃ
29 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/08(火) 22:20:09.21 ID:lTvuLcwqo

夏凜「……攻めるわよ。園子」

園子「それしか、無いね」

友奈たちの側に回って、

攻撃の対象を自分たちに変更させると言う手もあるにはあるけれど、

それだと、最悪四人纏めての範囲攻撃をされかねない

それを避けるなら、やはり今この場で攻撃に打って出るほかない

さっきのように様子見なんかをしていたら、

一番弱っている友奈たちが狙われる可能性があるために、

動かないという手は、無い

園子「威力が上がってきてる。気を付けないと、にぼっしーもただでは済まないよ」

夏凜「どの口が言ってんのよ」

園子「この口?」

夏凜「そういう冗談じゃなくて」

園子の腹部に目を向けた夏凜は、

何気なく手を伸ばして、優しく擦る

園子「ひょわぁっ!? な、なんばしよっと!?」

夏凜「……力、残ってないんだから余裕ないでしょ」

園子「……にぼっしー」

夏凜「なに?」

園子「別に? ほんと、天さん以外に興味ないんだねぇ」
30 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/08(火) 22:35:27.61 ID:lTvuLcwqo

夏凜「急になんの話?」

園子「急にお腹触るのは止めてって話」

夏凜「ごめん」

園子の意外に真面目な声色

意識的ではあったものの、

大して意識せずに触れた夏凜は礼儀にかけていたかもしれないと、

素直に謝って、刀の柄を握りしめる

夏凜「言っておくけど、天乃にしか興味ないわけじゃないわよ」

園子「そうかな〜?」

夏凜「目が離せないって話なら、否定は出来ないけど」

刀を一振り、苦笑を交えて自分の力を再確認

多少の怪我はしてしまったけれど、まだまだ力は残っている

大丈夫。

他でもない自分にそう告げて、園子に目を向ける

夏凜「私にとっての天乃が、園子にとっての私とか言わないでよ?」

園子「少なくとも、今はそうだからここにいるんだけどね」

夏凜「……悪かったわよ。気を付ける」

園子「よろしい! じゃぁ、いっくよーっ!」
31 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/08(火) 22:46:14.47 ID:lTvuLcwqo

夏凜「ちょっ、園子!」

我先にと、槍を構えた園子が突貫していく

友奈たちに気を向けている――と思いたい天の神の力が降り注ぐまでには

多少の猶予があるとはいえ、無策に近い突撃は危険極まりない

けれど、その勢いこそが重要だと言う考えは、夏凜にも理解できる

躊躇いは、必要だが重要ではない

その逡巡は、良くも悪くも明暗を左右する重要な分岐点になり得る

だからこそ、迷いなき一刀を。

例え穿たれても、盾となることのできる園子が先を行く

夏凜「精霊の加護がないって本当に分かってるの……?」

傘のように展開することで盾として機能させることのできる武器を持っている園子だが、

精霊の加護がない以上、守られるべき存在のはずだ

だが、消耗する一方の精霊の加護と、勇者の武器

どちらの方が耐久に優れているのか

少しだけ考えた夏凜は、園子の背中を追う形になった出遅れた自分に歯噛みしつつ、足を速めていく
32 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/08(火) 22:51:34.23 ID:lTvuLcwqo

夏凜→???? 命中判定↓1 06〜00 撃ち落とし 25〜30 ぞろ目・06〜12 CRT

園子→???? 命中判定↓2 06〜00 撃ち落とし 41〜46 ぞろ目12〜21 91〜96 CRT 
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 22:53:07.42 ID:HQKYFFUiO
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 22:54:40.67 ID:3TUwWKPx0
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/08(火) 22:55:05.43 ID:Z/Nxe2RuO

36 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/08(火) 22:58:23.15 ID:lTvuLcwqo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


ダメージ計算開始時、ダメージ次第でHP開示と久遠さん状況
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/08(火) 23:01:23.80 ID:HQKYFFUiO

夏凜ちゃんの無意識なスキンシップに驚くそのっちがなんか新鮮だな
あと気になってた久遠さんパートも期待
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 00:10:13.42 ID:ilNrdomuO

とりあえず攻撃通ってよかったけど攻撃受ける方の判定のが気になるな
39 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/09(水) 21:08:45.32 ID:t/Kjfgifo

では少しだけ
40 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/09(水) 21:18:25.92 ID:t/Kjfgifo

832+1170=2002ダメージ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 21:42:27.64 ID:agI4uWQyO
これで計5000超えのダメージか
42 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/09(水) 22:21:58.44 ID:t/Kjfgifo

夏凜「園子!」

園子「私が先に行く! にぼっしーは続いて!」

夏凜「園子……」

自分の力に自信があって

そして、守りたいと言う気持ちが強いからだろう

夏凜よりも早く駆け抜けていく園子は、

振り返ることなく指示を投げて、さらに速度を上げる

全盛期ほどの力がないとしても、

多くの精霊の力を宿し、最も神に近づいた園子に与えられた天乃の力は、

みんなよりも、多い

その差があるのだろう

天の神の気配の矛先が友奈たちから自分達

そして――園子へと向かっていくのを感じる

夏凜「あとで天乃に怒られろっ!」

園子は何も言わなかったが、

ほんの少しだけ雰囲気が和らいだように夏凜は感じた
43 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/09(水) 22:46:38.59 ID:t/Kjfgifo

園子「天さんに、かぁ……」

夏凜の怒号を背中に受けた園子は、

噛みしめるように笑みを浮かべながら、武器の感触をしっかりと確かめる

頬のように手を緩めたら、敵の猛攻を凌ぎきれない

だけど、怒られる自分の様を思えば

何ともなしに、笑みが零れる

きっと怒られる

夏凜の言うことだ。

園子が何を言おうが、無理をして……と、叱られることだろう

いや、もしかしたら、叱られるよりももっと、酷いことになるかもしれない

そんなことを考えて、考えて。

徐々に色濃くなっていく

天の神の気配にひりつく肌を、宥める

園子「大丈夫。大丈夫だよ……一槍報いるくらいの力は、あるはずだから」
44 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/09(水) 22:55:49.24 ID:t/Kjfgifo

槍を強く握りなおした園子は、

自分の心に優しく語り掛け、怯みかねない体を正して、踏み込む

踏み躙った樹海の根が抉れる

身長のせいか、

長めに持っていた槍の矛先が、少し離れた根をかすめていく

顔は天を仰ぎ、瞳は渦の中央を睨み、

走りこみながらも、

まったく上がっていない息を止め、大きく吐き出す

じりじりと、足元から音がする

手先に引っかかる感触が伝わってくる

来るなら来いと、待ち受けているような静寂がまとわりつく不快感を、飲み込む

園子「………」

夏凜の気配が後ろに迫る

紅蓮の勇者

猛き闘志は紅より蒼く、握る刀に宿すは願い

それを届けるためならば。

園子「少しの無理で、活路をこじ開けるッ!」

園子は勢いよく、無防備に跳躍した
45 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/09(水) 22:57:50.75 ID:t/Kjfgifo

では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

園子と夏凜のターン終了後久遠さん


???? 94,801/100,000
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/09(水) 23:10:57.74 ID:agI4uWQyO

分かってはいたけど天の神の体力が桁外れだな…
久遠さん間に合うのだろうか
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/10(木) 02:13:19.53 ID:uDzQfv2hO

久遠さん間に合うだろうかになればいいけど勇者部間に合うだろうかみたいなことになってたらどうしよう
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/11(金) 23:17:09.57 ID:DMGrAH5xO
休載?
49 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 00:20:41.55 ID:p4Wnhs2uo

この時間なので、本日はお休みとさせていただきます
再開は明日、お昼ごろから
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 06:56:07.50 ID:sLFMePaPO

昼期待
51 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 12:44:55.15 ID:p4Wnhs2uo

では少しずつ
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 12:47:35.14 ID:iwg7Xp8mO
やったぜ
53 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 14:06:07.50 ID:p4Wnhs2uo

園子「数が多い」

一度目、二度目……と

同じような攻撃しかしてきていないが、

その数、その威力はだんだんと増してきている

普通には突破できない数の暴力

バーテックス単体に複数の勇者

その立場が大きく入れ替わってしまっている状況を前に、

園子は力強く槍を握る

園子「すでに、槍は投げられた」

後戻りはしない、出来ない

一直線に穿つだけ

右手を軽く引き、引き絞るように下がってきた矛先寸前に左手を添える

だんだんと速力を失う体に、力が加わっていく

園子「行くよ、どこまでもッ!」

火を纏うように力を纏った園子は、

力によって急激に増していく勢いを味方に、降り注ぐ火の粉を貫く
54 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 14:37:02.82 ID:p4Wnhs2uo

園子「っ!」

精霊の力がないせいか、

押し殺しきれない熱が装束を煤けさせ、

じわじわと肌が焼かれていくのを感じる

にじみ出ていく汗が、額を流れて目に染みる

それでも、園子は目を見開いた

力をより強く、

押し返さんとする爆風に負けじと、槍を握る

今、生きていられるのは銀のおかげだ

こうして、この場に居られているのは、天乃のおかげだ

多くはない、けれど、園子にとってはとても大きな犠牲があったからこそ、

戦う力が残されている

であるならば

園子「見てて、天さん、ミノさん」

添えるだけだった左手で槍を握り、

右手を滑らせ、柄の先に指を添える

手のひらではなく、人差し指と、中指

それで十分だった

園子「通すッ!」

左手で到達点を見定め、右手で放つ

投げるのではなく、射出されるように飛んで行った槍は、

爆発を退けて――神の瞳を破った
55 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 15:41:54.28 ID:p4Wnhs2uo

空が晴れる

まだ空を覆う悪意は多いが、

園子の作った道が、太陽へと続いている

その中央から園子は落ちていく

勇者の武器を手放し、あとはもう落ちていくだけだ

園子「にぼっしーっ」

園子は自分の方を見上げている夏凜に気付いて、

小さく歯噛みするように呟き、歯を食いしばる

身勝手に飛び出していった

それなのに、受け止めようとしてくれる優しさは嬉しい

けれど、だけど。

これは大事な一瞬だ

若葉の見せた希望、園子の作った確実な道

乃木家二代が作り上げた、逃してはならない一瞬

十数階分に達しそうな高さからの落下が、

精霊に守られていない身にとってどれほどのものか分かっているけれど。

園子「私にかまってないで、行って!」

園子は、それでも自分のことは救うなと――叫んだ
56 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 15:54:49.72 ID:p4Wnhs2uo

夏凜「あのバカッ!」

園子よりも数秒遅れた夏凜は、

追いかける足を止め、空を見上げる

紫交じりの淡い装束が風にはためいて

飛び上がったそれは、落ちかけたかと思えば、

灰よりも黒く、黒よりも白い何かに包まれていく

夏凜「天乃の力?」

その力はかつてほどの禍々しさはなく、

なによりも、弱弱しくて

けれども、その手に放たれた一撃は――空を穿つ

夏凜「っ」

貫き作られた道

その中を通って落ちてくる園子を受け止めるべきかと身構えた夏凜だったが、

それに気づいた園子の叫びに、下ろしかけた刀を握りなおす

夏凜「かまうな? 園子を見捨てて、行けって……?」

それが正しい

一瞬の躊躇いが、たった一つの過ちが

救えるはずだったものを、奪い去っていくのが現実だから

迷うことなく、勝つための選択をすればいい
57 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 16:27:52.18 ID:p4Wnhs2uo

刀を握り直す

息を吐いて、迷う自分を振り払う

すべきことは一つなのだから、

迷う必要など、そもそもの話ない

夏凜「……そうでしょ? 天乃」

軽く、問う

答えがないのは分かっているが、

体の中にその一部が流れているおかげか、

孤独を感じることはない

夏凜「あとで、お叱りは受けてやるわ」

勢いよく蹴りだした夏凜は、

すぐに足元へと刀を投げ放ち、爆発させる

その勢いを持って、加速して上空へと向かって――園子とすれ違う

園子「頑張って」

夏凜「良いから、身構えてなさい!」

園子が自分よりも下へと降りていくのを確認した夏凜は、

作り出した刀を一本、力強く投げ放ち、

数秒遅れさせてから、それよりも強い力でもう一本投げる
58 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 16:42:20.71 ID:p4Wnhs2uo

園子「にぼっしー!?」

自分を追い抜いた刀が目に見えた園子の悲鳴

察したであろうその声なら、大丈夫

何が起こるのか、ちゃんと分っているはずだ

園子の悲鳴から少し時間が経つと

園子を追い抜いた一本目の刀に、二本目が衝突して、爆発する

その爆風に園子が飲み込まれて、

体が僅かに浮力を得たのを見届けてから、夏凜は前を向く

天乃だけでなく、

園子にも文句を言われるだろうが、

救うためならば、致し方がない

みんなが望む、みんながいる未来を勝ち取るためならば、当然だ

夏凜「あんたの言い分……良く分かったわ」

天乃のことを思いながら、

夏凜は新たに召喚した刀を握り、構える
59 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 17:41:36.80 ID:p4Wnhs2uo

夏凜「もう少し!」

刀をまた一つ爆破させ、すぐに刀を補充

出しておける刀の数に限りはあるが、

力がある限り、出し続けられるようになっている今の力量に、夏凜は眉を顰める

どうせ、天乃の力を借りているからだ。と。

いつか、自分の力で辿り着きたいと思っていた

追い抜きたいと思っていた

でも、今は

夏凜「あんたの力を、借りておくことにする」

迫ってくる星屑に刀を突き立て、

間髪入れずに乗り上げ、そのまま飛びのき、爆発を利用して上へと昇っていく

一つ、二つ

潰した星屑の数だけ、距離が縮まっていく

夏凜「……やっぱり、あんたがいると楽だわ」

黒く染まっていく刀の柄をしっかりと握りしめ、手の届く距離にまで来た天を切り払った
60 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 17:54:51.84 ID:p4Wnhs2uo

勇者たちの攻撃を受け、

空気をひりつかせるような赤さに染まっていく空に背を向け、

着地した夏凜は勢いのままに体を転ばせて、

真っ逆さまに樹海の中へと落ちていく

何度か体をぶつけはしたものの、

大きなけがもなく深部へと逃げ伸びた夏凜は

すぐそばの根っこの部分に寄り掛かる園子を一瞥する

頬や足

露出気味な肌をやけどしている園子だが

裂傷などの傷はなく、星屑に食いちぎられたような形跡もない姿に安堵すると

丸焼きだったよ。と、声が聞こえた

夏凜「ああするしかなかったのよ」

園子「文句は言ってないんよ」

夏凜「かなり不満そうに聞こえたんだけど?」

園子「放っておいてって、言ったのに」

夏凜「放っておいたら、後で天乃に殺されるわよ」
61 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 18:40:07.72 ID:p4Wnhs2uo

実際に天乃がそんなことするわけがないのだが、

夏凜はそう嘯いて、苦笑する

殺されはしないが、確実に怒られる

それこそ、園子が大怪我でもしていたら

取り返しがつかないかもしれない

だからこそ、自分の判断は誤りだとは思わない

夏凜「そろそろ、動きが過激になってくるわ。警戒して」

園子「うん、分かってる」

友奈たちも着実に離れて行っているし、

入れ替わるように、千景たちが向かっている

一度理的には問題がないけれど、

敵の行動が変則的になれば、

また、状況は悪い方に転がってしまうかもしれない

夏凜「天乃……頼むわよ」

耐えることは出来るが、

耐えきることは出来ないかもしれないと、願った
62 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 18:51:20.21 ID:p4Wnhs2uo

判定 ↓1


1〜0

※0に近いほど良
※ぞろ目は
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 18:51:45.29 ID:84lgqY9pO
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 19:01:54.11 ID:84lgqY9pO
さす久遠さん
65 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 20:38:32.89 ID:p4Wnhs2uo

√ 2月12日目  () ※日曜日


夏凜達の戦っている場所を遠く離れ

次元的に隔離された場所にまで潜ることとなっていた天乃は、

それでも繋がりを感じることのできる力を分けたみんなの気配を感じて、呟く

詳細まで把握しきることは出来ないが、

みんなが傷ついていることも含め、大まかなことは、分かる

天乃「陽乃さんは人を信じて、未来を託したわ」

だから。というつもりはないけれど、

天乃も人のことを信じたいとは、思っている

どれだけ、大赦に嫌な思いをさせられても

世界に苛まれてきたとしても

それだけは、捨てられなかった

それは、みんながいてくれたからこそだろうけれど。

天乃「神様がいなくても、人は生きていける。でも、信じられる相手がいないと、人は生きていけないわ」

だからこそ、

神樹様がいなくなっていいなんてことはない

みんながみんな、誰かを信じられるわけじゃない

姿なき万能なる存在は、そんな人々の心の支えにもなってくれる

これから、世界は大きく変わっていく

そこに放り出された人類がどうなっていくのか

神がいるのかいないのかは、とても大きなことだろうと天乃は思う
66 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 20:48:27.41 ID:p4Wnhs2uo

天乃「これからも、見守ってあげて頂戴」

人は愚かだ

争いもするし、みっともない姿をさらすこともある

神々にとってはくだらないことで、滅びの一途を辿ることだってあるかもしれない

けれど、人間はその失敗と過ちから学ぶのだ

過ちから過ちを犯したとしても

それを止めてくれる人がいる

そうではないのだと、諭してくれる人がいる

人は人と関わり続けることで

良くも悪くも変わり、成長し、また失敗と成功を積み重ねて、変っていく

それは、神にとっては疎むべき滅びの種族かもしれない

だけど、陽乃はそうではないと信じて未来を託し、

天乃はその未来を生き、勇者部のみんなと出会って、変っていった

その三百年という長く短い時間

そこに寄り添い続けた神樹様にも、信じて欲しいと、天乃は自分の胸に触れる
67 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 21:36:18.51 ID:p4Wnhs2uo

天乃の体の中に取り込んだ神樹様の種

それを依り代に神樹様の力を取り込んだ

天乃には神をも殺すことのできる穢れの力があるが、

溶け込んでいる神樹様の種を触媒とすれば、天乃の中で取り殺されるようなことにはならないはずだ

天乃「もし、駄目だと思ったら呪い殺してもいいわよ」

どうせ、穢れに蝕まれる身体だ

取り込んだ力による呪いなんて、穢れにかき消されてしまうだろう

もちろん、そんなことがないのが一番だけれど。

天乃「だから、一緒に生きましょう」

今まで、九尾達精霊とともに生きてきた久遠家

実家は神道に通ずる場所だし、神樹様を形成する神々が増えたところで今更だ

軽く、手を握る

踏みしめるような場所はないが、

足を動かすことに違和感はないし、問題はない

神様の世界にいるおかげか、来る前の不調が嘘のように好調だった

天乃「みんなが、待ってるから」

握った拳を解き、どこからともなく呼び出した刀を握って――空間を引き裂く
68 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 22:01:17.48 ID:p4Wnhs2uo

天乃「……足も、平気ね」

出て行った先で力強くかかとを地面にうちつけた天乃は、

まだ、勇者としての力を使っていないにも関わらず、

問題なく足が動かせることを確認して、息を吐く

神樹様に語り掛けていた時点で察しはついていたが、

喉の痛みもすっかり感じられない

それどころか、

かつて、絶好調だったころのようにみなぎってくる力を感じて

もはや、爆発寸前なのではないかと、天乃は苦笑いを浮かべる

刀を一振りすれば、天の神も樹海も

何もかも吹き飛ばせるのではないかとさえ、思えるほどの力だ

天乃「………みんな」

今ここに立つまで、どれだけの時間をかけてしまっただろうか

みんなの力は感じられるが、

酷く弱弱しい力が点々としている

天乃「急がないと」


1、友奈・若葉のところへ
2、東郷・球子のところへ
3、夏凜・園子のところへ
4、樹・歌野のところへ
5、千景・風のところへ
6、まっすぐ、天の神をぶん殴る


↓2
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 22:02:45.31 ID:iwg7Xp8mO
6
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 22:03:17.44 ID:84lgqY9pO
6
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 22:06:05.84 ID:v4+Bo8/G0
3
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 22:13:21.19 ID:NIOeaqXDO
久遠さんがスーパー神樹人になってしまわれた
73 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/12(土) 22:40:17.31 ID:p4Wnhs2uo

では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば、お昼ごろから


久遠さんの全力全開の一撃、ダメージ判定はなし
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 22:47:09.72 ID:iwg7Xp8mO

ついに久遠さん大復活来たー!
ここまで長く苦しめられた分たっぷりと天の神に拳を叩き込もう
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/12(土) 22:55:56.04 ID:84lgqY9pO

スーパー勇者と化した久遠さんの一撃
高奈ちゃん関係のイベなんかあるかなって思ったけどなかったな
76 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/13(日) 22:28:53.30 ID:FCTBXeQfo

遅くなりましたが少しだけ
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/13(日) 22:33:29.89 ID:0/6CJFBYO
かもーん
78 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/13(日) 23:13:49.84 ID:FCTBXeQfo

みんなのことは気になるけれど、

落ち着くことが出来るようにと、天乃は真っ直ぐに天の神を目指す

心配するのは終わった後で良い

怒るのも、抱きしめるのも

天乃「っは」

地を蹴り、反り立つ根を踏み台にしてさらに長く跳ぶ

上に出るか出ないかの絶妙なラインを維持しながら、駆け抜ける

天乃「もう少し」

精霊とはまた違う力での急速的な体の回復のせいか

全力での疾走をわずかに抑え込む体に染み込ませていく

かつてのような全力を

あの時以上に確実な一撃を

自由な足に感嘆することもなく、出しうる速度を極限に近づける

蹴り飛ばした根がミシリと音を立てる

瞬く間に背後に消えていく景色

瞳を乾かす風を斬り払い、焦げ付く嫌なにおいを感じ取る

天乃「……良いわよ。リハビリに付き合って貰うわ」
79 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/13(日) 23:37:11.95 ID:FCTBXeQfo

急激に濁っていく空を一瞥した天乃は、

あえて、樹海の上部へと飛び出して、走る

だんだんと収縮していく雲がひび割れ、禍々しい気配を放つ紅玉を生み出していくのをよそに、

天の神を目指し続ける

来ないなら、辿り着くぞと。

差し迫る脅威など、自分には無関係のごとく堂々とした反逆

天乃「ほら、もっと速く」

産み落とされる傍から飛んでくる火の玉

背中に感じる温かな熱量を借り受けたかのように

一歩前よりも踏み込む足を素早く、力強く蹴り出して前へとと進む

近づかれるよりも近づく

天乃「そう、いい考えだわ」

天乃が向かう方角全域が濁り、紅く、断罪を意図した深紅の光が瞬く

生み出されていた火の玉が焼失し、

天の神の力が一点に集中するのを感じた天乃は、ようやく足を止めた
80 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 00:24:36.27 ID:GXuNv+DOo

収縮した力が勢いよく放射されたのが目視で分かる迸る輝き

光線ともレーザーとも何とでも言われそうな赤き神罰を、天乃をは見つめる

天乃「避けたら、神樹様が吹き飛ぶわね」

言ってしまえば残骸のような神樹様だが、

それでも樹海を形成し、

今ある世界に生きる人々を守るための要石のような役割を担っている神々の依り代

破壊されるわけにはいかないと、静かに息を吐く

ゆっくりと右足を前に出し、右手を制止を求めるように突き出す

天乃「本当は、こういうためのものじゃないんだけど」

燃え尽きないようにと体に力を満たし、

突き出した右手に神罰が触れる瞬間に右手を引き、

左足を前に出しながら、左手ですくうように天の神の力を巻き上げていく

力と力の対消滅

それが起こらぬようにと巻き上げる傍から左半身を引き、

天の神の力を引き延ばし、

右半身を前にして右手でさらにすくいあげて余分に力を巻き込んだ瞬間――左足で踏みこむ

天乃「ふっ!」

巻き取った天の神の力をそのままに、左手で撃ち放たれたそれは

天の神の焼き尽くすような怒りと衝突しながら、中空で爆発して消滅する
81 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 00:49:19.96 ID:GXuNv+DOo

天乃「本気を出される前に、急がないと」

攻撃の第二派が放たれる前に、天乃は勢いよく駆け出す

無理やりに攻撃を押し返したが、あれでは足止めをされただけだ

連続してやられれば、防戦一方

夏凜達が手を貸してくれるだろうが、

そうなれば被害が出るのは避けられない

そんなことになったら、力を借りてる意味がない

力を足へと集中し、

脚力以上の全力で駆け抜けていく

神をも殺す力を纏った蹴りに抉られた樹海の根が腐って落ちる

神の依り代となった体に疲労が出始める直前に、目指すべき力へと近づいたのを感じて

間髪入れずに、天高く跳躍する

天乃「っ!」

その瞬間、天の神の中心、瞳のような球体部分が輝き、

強力な一撃が、天乃めがけて放たれた
82 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 01:18:18.79 ID:GXuNv+DOo

当たれば撃ち抜かれる天乃の一撃

それだけはさせまいとする全霊の抵抗

天乃「っ……」

それは、神の力を借り受けた天乃の力さえも凌駕するほどに熱く、

僅かに押し負けて、だんだんと高度が下がって――落ちる

天乃「うぐっ」

神をも殺す力をもってしても

殺しきれないほどに放出される天の神の力

樹海の根に叩きつけられた天乃は、

精霊の力によって軽減されたダメージを受けきって、

立ち上がる

天乃「これだから、神様なんて大嫌いなのよ」

弱り切った神樹様の力

それだけでは、打ち勝てない

ならば、どうすべきかはもう分かっている
83 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 01:35:18.47 ID:GXuNv+DOo

天乃「……私の、私達の満開」

みんなには使わないでと求めておきながら、

自分だけが必要だからと行使するのは少しだけ気が引けると、天乃は苦笑する

これが最後だ。だから、許してね。と、夏凜を想う

天乃の満開は、周囲の力を根こそぎ消滅させる破滅の力

しかし夏凜達に分け与えられた天乃の力はその力を消し去ることなく奪い取って花開く

天乃「行くわよッ!」

信頼によって成り立つ力の譲渡は

神と人の力を織り交ぜて、より強力なものへと昇華させ

再度解き放たれた天の神の力を、天乃はその拳で突き破る

天乃「私達は……勇者部はッ!」

この身に宿るは神の愛

この拳に握るは人の愛

天乃「この名にかけて――終わらせるわけにはいかないッ!」

なれば、打ち破れぬものなど、ない

抵抗を撃払い、神の瞳を穿ちぬいた天乃の拳は、天の神の化身そのものをも打ち砕く

人々の悪意を身の待つような漆黒の輝きは、天の闇を払い除けて一際大きな力を放出させて全てを飲み込む

世界から、神が失われていく
84 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 01:41:22.96 ID:GXuNv+DOo

では、途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば、早い時間から


久遠=永遠ゆえに不滅
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 01:50:55.41 ID:q5GbV70kO

最後は派手にやったなあ
あとはみんなと勝利を分かち合おう
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 04:28:48.73 ID:IxXri6eZO

最後の最後で久遠さん大暴れの巻
このあと神樹様はどうなるんだろうか…
87 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 19:29:56.21 ID:GXuNv+DOo

では少しだけ
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 19:34:58.67 ID:yjeX3kcNO
あいあいさ
89 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 19:47:28.44 ID:GXuNv+DOo

天乃「………」

神樹様が枯れ、散っていくのが横目に見える

天の神の消え去った樹海の空は広く、幻想的で

いつものように散っていく花びらのような瞬きが世界を包み込んでいく

これで樹海は消え、

いつも通りのようで、新しい世界へと戻っていくことになるだろう

天乃「私の体……元に戻ったら動かなくなったりしないわよね……」

力を使った反動

それによる身体機能の喪失は

天乃や勇者部が常に経験してきたことだ

今回に限って言えば、

夏凜達が満開を使おうが身体的な代償は必要なかったが

天乃はその限りではないのが、勇者システムの例外ゆえのデメリット

もしもそうならば、

神樹様の依り代になる以前の状態に戻るだけで終わって欲しいと、

天乃は特に期待なく、思う

神は朽ち、天乃に宿った

自分自身に祈っても、それが叶うかどうかは自分次第

満開を使った今、それはもはや結果を待つだけだ
90 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 20:06:57.03 ID:GXuNv+DOo

九尾「主様、また無理をしおったな」

ふわりと金色の毛並みが舞って、体が柔らかいものに包まれていく

九尾の声は優しく、どこか呆れたように感じる

天から落ちていく天乃は心配はいらないと、目を瞑って委ねる

天乃「最後の大盤振る舞いよ……貴女、手伝ってくれないし」

九尾「妾が手を出せる領域ではあるまい。向こうで、色々とみてきたのじゃろう?」

天乃「ええ、まぁ……そうね」

九尾「どうじゃった?」

天乃「どうもこうもないわ。霊的な力しか、無かったから」

九尾「ふむ……」

考え込む九尾の吐息

異を唱えたがっていると分かりやすいその仕草

分かっていてやっているのだろうと、

天乃はふっと、息を吐く

天乃「たった一言、聞かれたわ」

九尾「ほう?」

天乃「命を懸けてまで守る価値があるの? って」
91 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 20:37:58.73 ID:GXuNv+DOo

不安定ではあったけれど、

神樹様の空間に介入してきたその人は、

顔を見せることなく、そう問いかけてきた

九尾「価値はあるかや?」

天乃「みんなが、いてくれるから」

九尾「笑われたじゃろう」

あやつはそういう意気地の悪い奴じゃから。と

楽しそうに笑う九尾の少し乾いた笑い声が、耳に残る

天乃「………」

九尾の言う通り、陽乃は笑っていた

とても楽し気に

それこそ、今の九尾のように

それは良かったわね。と、本心だと分かるような声色で言っていた

それを思い出した天乃は

九尾に体を預け切って、九尾に気付かれないように笑みを浮かべる

天乃「ずっと見守ってくれていたんでしょう?」

九尾「なんじゃ、急に。妾は常にいたじゃろう」

天乃「ええ、そうね」

光に包まれて、世界が元通りになっていく

被害がどれほどにまで広がってしまったのか

天乃は考えをその方向へと切り替えて、九尾への言葉を飲み込んだ
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/10/14(月) 21:06:55.15 ID:RkUNHFgJO
荒らし速報

ID: +vAJUinAO、ID: XxAEAIo80、ID:vuMJPVEE0、ID: Ao8Lv9x9O、ID: cJcQzrkpo 、ID: 6ra6liDjO
ID: 89tlEEMSo

以上のIDが他スレにて悪質な荒らし行為をしている事が確認されました。
これ等のIDは荒らし目的のクソ安価を出しますのでご注意ください。
93 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 21:23:53.12 ID:GXuNv+DOo

√ 2月12日目 昼  () ※日曜日

判定↓1


偶数 一人
奇数 合流
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 21:25:31.82 ID:yjeX3kcNO
95 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 21:44:32.03 ID:GXuNv+DOo

√ 2月12日目 昼  () ※日曜日


澄み渡ってはいないけれど、

晴れ間の見える空の下、

その昔、感じたことのある瓦の感触

久しく見ることのなかった中途半端な高さの世界を見つめながら

天乃は、元の世界に戻ってきたことを実感して、息を吐く

天乃「……みんなは」

天乃が持っている力の、本来あるべき満開を使ったせいか

すでに夏凜達との繋がりは途絶えてしまっていて

今、みんながどこにいるのかは分からない

天乃「端末……も、そういえば、ないんだった」

端末を通しての勇者と違い

体に宿す力を使っての変身では端末を使うことはなく

よって、手元にはない

そのうえ、精霊のほとんどが出払ってしまっている今、

身近に居るのは、九尾のみだ
96 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 22:02:39.66 ID:GXuNv+DOo

九尾「久しいのう。昔はよく、登っておったな」

天乃「うん、そうだった」

天乃と九尾が戻ってきたのは、

久遠家の管理している神社の屋根の上

みんなが、普段のように学校の屋上に戻っているのなら

ここまで来てもらうのは、少し難しい

なにより、戦闘でのダメージがあるだろうから、

今すぐにでも病院に行ってもらうべきだ

天乃「ねぇ、みんなの状況は分かる?」

九尾「結城友奈が一番の重傷じゃな。次点で三好夏凜。精霊共は引っ込んでおるから数に入れんでも良かろう」

天乃「……大丈夫なの?」

九尾「三好は問題なかろうが、結城の方は少々危ういやもしれぬな」

天乃「どういうこと?」

九尾「あやつは友奈であるせいか、よくよく狙われおった。傷が深すぎる。ということじゃ」
97 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 22:17:40.09 ID:GXuNv+DOo

天乃「そんっ……痛っ」

九尾「あまり派手に動くと、体を壊すぞ」

九尾の正直な言葉に、

起きかけた体に、重苦しい痛みが響く

九尾「神の依り代足る器ではあるが、残念ながら主様はひび割れておる」

天乃「だ、から……?」

九尾「しばし休む方が良い」

天乃「………」

今すぐにでも友奈のところに行きたい

その考えを分かってか

先手を打ってきた九尾をじっと見つめる

今までのように女性の姿ではなく

妖狐の姿のままの九尾は、真っ赤な瞳を、天乃へと向けた



1、分かってるわよ。とりあえずは病院に戻るわ
2、友奈のところ、行くわ
3、休めばいいんでしょ? なら、しばらくここにいるわ。貴女とも話があるし


↓2
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 22:18:34.32 ID:q5GbV70kO
2
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 22:19:15.56 ID:yjeX3kcNO
2
100 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2019/10/14(月) 22:24:00.31 ID:GXuNv+DOo

ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


友奈接触まで良ければ、判定
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 22:24:52.49 ID:q5GbV70kO

まあ死ぬほど深刻なことにはなってないだろうけどやっぱり心配だからな
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