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魔女娘「あなたは何ができるの?」サキュバス「うっふーんなこと」
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83 :
◆TEm9zd/GaE
[saga]:2020/06/28(日) 09:03:39.70 ID:LgSQfQLR0
魔女娘は筆記も魔法も試験で高得点を取れるようなキャラじゃない。
ライバル魔女のキャラはそのままだとしても、二人が入学当初に接点を持つなんてストーリーにはなかった。
そこでふと転生前に自称神が言っていたことを思い出す。
イレギュラーが起きたと。確かにそう言っていた。
これが、それか。
ストーリーが……『おつ恋』の世界が変わっているのだ。
私は未だに口論を続けている二人へと近づいた。
ストーリーに変化が起きている。そして、転生前に自称神が、物語をあるべき姿に戻してくれと言っていた。
なんで戻してくれと言ったかは定かではないが、【災厄の魔女】という世界を簡単に破壊できるやつがいる以上、そいつを確実に倒すためにはストーリー通りに事を進めるのが一番だからか。
だったら、私のすべき事は一つ。
私は、二人の仲に割って入って口を開いた。
友魔女「喧嘩は辞めなよ。二人とも仲良くしよ?」
物語に介入し、この世界をより私好みに改造しちゃえ。
やることは『おつ恋』の二次創作みたいなものだ。
それなら生前に『おつ恋』の二次創作で年二回の祭典で壁サーにまで上り詰め、某支部でデイリー一位を頻回に取るくらいには得意中の得意だ。
要は最後に【災厄の魔女】さえ倒してしまえばいいのだろう?
だったら、私は第二の人生、推しに――主人公の親友にして健気で麗しくひたむきな、それでいて儚い『おつ恋』……いや全メディアの中で最かわな魔女娘に幸せになってもらえるよう尽力しよう。
――有り体に言えば、私は魔女娘の限界オタクなのだった。
84 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/14(金) 06:21:07.54 ID:aTc5IdqM0
――――――
――――
――
魔女娘「んん〜よく寝た……」
サキュバス「あらおそよう。体調はどう?」
魔女娘「おそよう……? ってもう夕方か……」
魔女娘「体調も何も……」
魔女娘「……ちょっと待って。私、どうなってた……?」
友魔女「うぅ……くふぁ……もう起きたのかい魔女娘」
ライバル魔女「んん……おはようございます……元気そうですわね。良かった」
魔女娘「はへぇ? ……なんで裸……?」
魔女娘「――って!? 私も裸ぁ!? なんで――」
ライバル魔女「なんでも何も……」
友魔女「その……魔女娘は私達にやったこと覚えてないのかい?」
魔女娘「やっ、やったこと……?」
サキュバス「ヤッたことと言ってもいいね」シュッシュッ
ライバル魔女「今すぐその下品なジェスチャーをお止めなさい。はしたないですわよ、淫獣」
サキュバス「はしたないことをしていたのは貴女たちでしょ。3人で絡まって……ねえ?」
魔女娘「えっ? えっ!?」
魔女娘「――――ぁ……!」カアアア
魔女娘「わ、私なにしてんの――!?」
サキュバス「あ、思い出した?」
85 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/14(金) 06:22:40.81 ID:aTc5IdqM0
魔女娘「思いだしたも何も――なんてこと」
サキュバス「そう慌てるなさんな。ちゃんと合意の上での行為だから」
魔女娘「合意って――」
友魔女「ぅ……まあ、キミを救う為に必要だったし……」
ライバル魔女「ワタクシ達のことを……き、気にする必要はありませんわ! 犬に噛まれたようなものですわ!」
サキュバス「でも、なんだかんだで満更でも無かったよね?」
友魔女「…………うぅ」カアア
ライバル魔女「何を言っていますの?!」
サキュバス「さてと、ご主人様も目覚めたことですし――」
魔女娘「な、なに……? まだするの……」
サキュバス「いや何かすると言うより、しなかったというべきかしらね」
ライバル魔女「む……勿体つけずに教えなさいな!」
サキュバス「いや、キミたち、午後の授業バックレたけど大丈夫かしら、と思ってね」
友魔女「えっ?」
ライバル魔女「あっ?!」
魔女娘「――今、何時!?」
サキュバス「夕暮れに入ったところ」
ライバル魔女「な、なんてことっ!? このワタクシが! 今まで無遅刻無欠席を誇ったこのワタクシがぁ!!」
ライバル魔女「爛れた事をして授業を無断欠席してしまうなんて!」
86 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/14(金) 06:24:07.03 ID:aTc5IdqM0
魔女娘「その……ごめんね。私のせいで……」
ライバル魔女「魔女娘さんが謝ることなんてありませんわ! 悪いのはこの淫獣なんですの! そう、この淫獣! どう落とし前つけてくれる気ですの!」
サキュバス「……君の実家絶対明るいことして貴族になってないよね。脅し文句がカタギじゃないよ」
友魔女「まあまあライバル魔女落ち着いて。やってしまったことは仕方ないよ。事情説明して謝りにいこうか」
ライバル魔女「なんて説明する気ですのよ」
友魔女「魔女娘が体調不良で看病してました、っていうしかないでしょ。嘘ではないわけだし」
ライバル魔女「それしかありませんわね……」
ドア「」コンコン
???「ライバル魔女様いらっしゃいますか?」
ライバル魔女「この声は取巻きさんですわね」
ライバル魔女「おりますわよ」
87 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/14(金) 06:25:20.03 ID:aTc5IdqM0
取巻き「ああ良かった。いらっしゃるのですねライバル魔女様。魔女娘さんの様態は如何ですか?」
取巻き「あ、部屋の中に入ってもよろしいですか」
友魔女「魔女娘のことなんで知って……? ――って、部屋は不味い。私達全員裸!」
ライバル魔女「――実は……ま、まだワタクシたち風邪気味で……ゴホゴホ……だから移したら申し訳ありませんのでどうかそのまま」
取巻き「そうなのですか?」
ライバル魔女「え、ええ……」
取巻き「でしたら申し訳ありませんがドア越しで」
ライバル魔女「そうして頂けると助かりますわ」
ライバル魔女「取巻きさんはどこで魔女娘さんが倒れたのを知ったのですか?」
取巻き「後輩さんです。授業が始まる少し前に教室までやってきて、魔女娘さんが倒れたのでライバル魔女様が看病していると伝えてくれたんです」
ライバル魔女「そうなのですか」
取巻き「ひょっとして友魔女さんもそちらにいらっしゃいますか?」
友魔女「ん、いるよ。その口ぶりからすると後輩ちゃんは私のこと話してないっぽいね。ごめんね心配かけたね」
取巻き「いえ、大事ないのでしたら構いませんよ」
取巻き「あ、そうそう先生から伝言を頼まれていたのでした」
取巻き「後日、午後の講義の補講を行うそうです。それと魔女娘さんの体調が回復せずに明日も休むのなら連絡するように、と」
取巻き「では確かに伝えましたので。私はこれで」
ライバル魔女「ええ、ありがとうございました。お気をつけて帰ってくださいね」
取巻き「ごきげんよう」
ライバル魔女「ごきげんよう」
88 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/14(金) 06:26:11.80 ID:aTc5IdqM0
ライバル魔女「さてと――」
ライバル魔女「もう体調は大丈夫ですわよね、魔女娘さん」
魔女娘「う、うん」
魔女娘「でも、なんで私、あんな風になってしまったの?」
サキュバス「そうね、じゃあそこらへんから話しましょ」
ライバル魔女「ちゃんと事実だけ話すんですのよ!」
サキュバス「わかってるよ。信用ねぇなぁ」
サキュバス「じゃあ心して聞いてねマスター。今のあなたに起こってること。今日みたいなこと何度となく起こるから」
89 :
◆TEm9zd/GaE
[saga]:2020/08/14(金) 06:28:44.63 ID:aTc5IdqM0
――――――
――――
――
――???
取巻き「はい。ライバル魔女、魔女娘、友魔女の三人一緒にいました」
後輩「そう。やっぱりね」
後輩「もう遅いかな……できれば友魔女はこっちに引き入れておきたかったんだけど」
後輩「この馬鹿みたいね」バチン
王子「ウグァっ!!」ビクン
後輩「私みたいなか弱い乙女が小突いたくらいで動くんじゃないよ! 椅子すらまともにできないのか、この馬鹿は!」
王子「も、もうしわけありません……」
後輩「椅子がしゃべるな――汚らわしい……チッ、萎えるわ」
後輩「ああ、そうだ」ニヤリ
後輩「よく友魔女共の様子を見てきてくれたね。ご褒美をあげようね」
後輩「服を脱いで跪け」
取巻き「はい……」パサッ
後輩「いい眺め……顔は上げて……そうそう――」
後輩「うふふ……アハハ――あなたのお顔良い踏み心地だわ」
後輩「そら、お舐めなさい」
後輩「いま、あなたの顔を踏みつけてる私の足を、犬のように惨めったらしく舐め回して私に媚を売るの」
後輩「出来るでしょ……出来るわよね――出来たらもっといい事してあげる。そら……そらそらそらそら――!」グリグリ
取巻き「ぁあ、ピチャピチャ――れろ、ハァハァ……ありがとうございますありがとうございます……レロレロんちゅ、はぁ……後輩さまの足を舐められるなんて、私は幸せものにございます……」
後輩「あは、良いね。サイコー」
後輩「いいよ、合格。ご褒美に今夜も魅了してあげる。精々美味しく戴かれてね」ニヤリ
――
――――
――――――
90 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:08:19.55 ID:3Xb3Zrtm0
――翌朝
魔女娘「ふわあ〜よく寝た」
サキュバス「おはよマスター。おかわりはない?」
魔女娘「おかげさまで昨日みたいな空腹はないよ……けど普通にお腹空いた」
サキュバス「あら、だったら私のことつまみ食いする?」
魔女娘「いい。普通にご飯食べる」
サキュバス「やん、いけずぅ」
魔女娘「……それにしてもまさか私がサキュバスになるなんて……」
サキュバス「やっぱりショック?」
魔女娘「別に。食事の仕方が一個増えただけ」
サキュバス「昨日あんなに取り乱してたのによく言うね」
魔女娘「……まあ、なんとでもなるでしょ。だからもう気にしない」
サキュバス「セックスするのに?」
魔女娘「気にしないの――――」
魔女娘「ほら、学食いくよ。サキュバス云々の話より朝飯前の腹ごなしが私には必要。とりあえずパンにしとこうかな」
サキュバス「腹ごなしってそういう意味じゃないと思うけど……まぁついていきますよ、マスター」
91 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:11:01.67 ID:3Xb3Zrtm0
――学食
ライバル魔女「おはようございますわ、魔女娘さん。朝からいい食べっぷりでわすわね」
魔女娘「ん! んぐんぐ……ぷはぁ、おはよライバル魔女」
ライバル魔女「おかわりなさそうで安心ですわ」
ライバル魔女「……その、あれから、えー……その、アレな気分になったりしていませんか?」
魔女娘「なってないよ。大丈夫。ありがと心配してくれて」
ライバル魔女「そうですか……
もし必要になったら……ち、ちゃんと言うんですのよ! ……昨日約束したんですからね!」
ライバル魔女「遠慮なんかしては駄目ですわよ! ワタクシと魔女娘さんは生涯のライバルなのですから――」
魔女娘「うん……ありがとう――」
サキュバス「ふぅん」ニヤニヤ
92 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:14:18.65 ID:3Xb3Zrtm0
――昨日
サキュバス『――という訳でマスター、サキュバスになっちゃった』
魔女娘『なにそれ――嘘でしょ』
サキュバス『嘘みたいでしょ。でも本当。……私だって驚いてる』
サキュバス『これからどうするかも考えなくちゃいけないね』
サキュバス『サキュバスとしての空腹を長いこと放っておくと、また今日みたいなことになるだろうし』
友魔女『ということは、今日みたいなことを定期的にしなくちゃいけない、と?』
サキュバス『そりゃサキュバスだからね』
魔女娘『……その、特性の同調……っていうのは切れないの?』
友魔女『分からない。聞いたことのないことだから』
ライバル魔女『使い魔との契約を切ればあるいは……』
サキュバス『と、私も思って使い魔契約の魔法陣を確認したんだけど……ほら、これ』
ライバル魔女『なになに……ってこれ解除無効の刻印?! しかも難易度Sのものじゃありませんの、滅多に解けませんわよこれ!? この淫獣なんでこんな手のこんだ細工を――』
サキュバス『私じゃない。いつの間にか書き変わってた』
ライバル魔女『嘘おっしゃい!』
友魔女『まあまあ……とにかく今は魔女娘のことだよ』
93 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:15:21.64 ID:3Xb3Zrtm0
魔女娘『……つまり、これから生きてくには、定期的にえっちなことしてかなくちゃいけないってこと?』
サキュバス『そういうこと』
魔女娘『……ぅわ』クラッ
友魔女『魔女娘!? 大丈夫!?』
魔女娘『どうなるんだよ、これから……』
ライバル魔女『魔女娘さん……』
ライバル魔女『――これからはワタクシが受け止めますわ!』
魔女娘『ライバル魔女……?』
ライバル魔女『貴女が必要だというのなら、身体ぐらい張りますわ』
ライバル魔女『だから、そんなに落ち込まないでください』
ライバル魔女『貴女はワタクシの生涯のライバルなんですのよ。ワタクシに落ち込んでいる姿を見せてはいけませんわ』
友魔女『もちろん私も協力するよ。遠慮なんかしないでよ』
魔女娘『なんで……なんで私なんかのために……』
ライバル魔女『簡単なことですわ』
ライバル魔女『ワタクシにとって魔女娘さんは“なんか”じゃありませんから』
友魔女『そうそう。大切な友達だからね。辛いかもしれないけど、私達がいるからね』
魔女娘『二人とも……』
魔女娘『ありがとう――――』
サキュバス『…………』
サキュバス『え? サキュバスになるのそんなに嫌?』
魔女娘『……』
ライバル魔女『当たり前じゃないですの』
友魔女『まあ、進んでなりたいものじゃないかな』
サキュバス『ひっど……』
――――――
――――
――
94 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:17:36.47 ID:3Xb3Zrtm0
ライバル魔女「そうそう友魔女さんが特性の同調について知っている人に心当たりがあると言っていましたわよ」
魔女娘「本当? 何か分かればいいけど……」
サキュバス「早く私との同調が切れるといいわね」
魔女娘「昨日、サキュバスになるのは嫌だって言われたの気にしてるの?」
サキュバス「べっつに〜」
友魔女「やあおはよう、お三方」
魔女娘「おはよ、友魔女」
ライバル魔女「ごきげんよう友魔女さん」
ライバル魔女「……同調について何か分かりました?」
友魔女「ごめん。話を聞いたけど同調のことは知ってても、それを切る方法までは知らなかった」
魔女娘「そっか……」
ライバル魔女「ところで誰に聞いたんですの?」
友魔女「後輩ちゃん。昨日何か知ったようなこと言ってたし、夜たまたま会ったから聞いたの。まあ成果は無かった訳だけど」
魔女娘「調べてくれただけで十分。ありがとうね」
95 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:20:09.81 ID:3Xb3Zrtm0
モブ学生1「おーい、そっち持っててくれ」
モブ学生2「わあったよ――」
サキュバス「何か騒がしいわね……」
魔女娘「ん、ああ……再国祭が近いから。準備に忙しいんでしょ」
サキュバス「再国祭?」
魔女娘「ああ、知らないか。簡単に言えば建国祭みたいなもの」
サキュバス「だったら建国祭でいいじゃない。わざわざ再国祭なんて名乗らずにさ」
友魔女「詳しい説明いるかい?」
サキュバス「ぜひ」
友魔女「じゃあ話そうかな」
友魔女「昔々……って言う程昔じゃないけど、まだ年寄りの中には覚えている人もいるんじゃないかな」
友魔女「悪い魔女がこの国に攻めてきました。その魔女は一人きりであったのにも関わらず、大勢の国民を虐殺し、国を恐怖の渦に陥れました」
友魔女「その行いから魔女は【災厄の魔女】と呼ばれ恐れられました。【災厄の魔女】のあまりの悪行にこの国に住む人たち全員が【災厄の魔女】に殺される、そこには早いか遅いかの違いしかない。そんな恐れを抱きました」
友魔女「絶望に沈んだ国を救ったのは、当時の王子様と彼の愛した女性でした」
友魔女「ひっ迫した戦闘の末に王子とその恋人は力を合わせて見事【災厄の魔女】を打ち倒したのです」
友魔女「王子は残った国民達と共にこの国を再興し、また国としての形を整えました」
友魔女「その日を再国祭としたのです」
友魔女「って感じかな」
サキュバス「はえ〜【災厄の魔女】ね……酷い人もいたものね」
96 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:24:40.22 ID:3Xb3Zrtm0
ライバル魔女「『この恨み、この無念を決して忘れない――必ずや蘇りこの国の民を全員葬ってくれる』」
サキュバス「突然何言ってんの。頭壊れた?」
ライバル魔女「一々煽らないと気が済まないんですの?!」
ライバル魔女「はぁ……【災厄の魔女】が死の間際に発した言葉ですわ」
ライバル魔女「当時の王族はその言葉と、【災厄の魔女】を風化させないために再国祭を催したのです」
ライバル魔女「再国祭だけではありませんわね。この学園も【災厄の魔女】が復活した際に対抗できるようにという目的で建てられましたの」
魔女娘「まあ死人が蘇ることなんてないんだから、今じゃ再国祭に建国祭以上の意味はないよ」
友魔女「…………」
友魔女「でもさ、蘇ったらどうする。蘇るんじゃなくてもさ、【災厄の魔女】みたいな魔女が出てくるかも」
魔女娘「……その時は伝説みたいに王族がどうにかすればいいんじゃない。まあ、あの馬鹿王子だと返り討ちに遭いそうだけどね」
サキュバス「お祭りかぁ……楽しみね!」
魔女娘「うん。サンドウィッチにカステラ……あとあとフランクフルトとチョコバナナ、リンゴ飴もあるのかな――くふふ、屋台楽しみ。いっぱい食べる」
ライバル魔女「ほんと食べ物のことばかりですわね」
サキュバス「それでそのお祭りはいつあるの、近いんでしょ?」
友魔女「三日後だね。今年もみんなで回ろうね」
ライバル魔女「そうですわね! 楽しみですわ!」
魔女娘「去年はまだライバル魔女は素直じゃなかったから、思うように屋台を回れなかったけど今年こそ――」
ライバル魔女「ちょっと素直じゃなかったってどういうことですの――まるで今は素直みたいな言い方ですわね」
サキュバス「素直じゃん」
サキュバス「それにしてもお祭りが近いのね」
サキュバス「話には聞いたことがあるけどお祭り初めてだから本当に楽しみ」ワクワク
魔女娘「そうなんだ。それじゃ目一杯楽しもう。ワッフル! クレープ!」
サキュバス「たのしもー!」
ライバル魔女「盛り上がっていますけど、祭りはまだ始まりませんわよ」
友魔女「このテンションがいつまで続くことやら……」ヤレヤレ
97 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:36:13.63 ID:3Xb3Zrtm0
――――――
――――
――
――友魔女視点。昨晩。
――今日はなかなかハードな一日だった。
私はお風呂で身を清めながら、そんなことを思った。
ライバル魔女と精気欠乏を起こした魔女娘を救うため、セックスをした。
友魔女「っっっんんん!! ――ぁわっっぁぁあ!!!」
狭いバスルームで手足をバタバタとさせながら、行為のことを思い出して悶た。
悶た。悶える。なんだったら叫びたい。叫んだ。ワキワキとした気分を抑えられそうにない!
そう推したいしている魔女娘と、セックスしたのだ!
まさか前世含めた初体験が一番の推しキャラ、魔女娘とだなんて――!
サキュバス様々だ。ほんとヤッホー!
友魔女「――ふぅ……」
シャワーを冷水にして頭からかぶる。
それだけで火照った身体は幾分か冷静になった。
思考に湧いたイレギュラーの名前にそうせざるを得なくなったのだ。
――サキュバス。
『おつ恋』の中には出てこなかったキャラクター。
殆どのキャラが本編ストーリーと性格が違っているが、こいつはそもそも存在さえしなかった。
果たしてイレギュラーの一言で片付けてしまっていい存在か。
ただのえっちな奴だったら放っておいても良かったが、『催眠』なる嫌らしい特技を持っているのが気にかかる。
『催眠』がどこまで通じるのか分からないが、他人を思い通りに操ることに制限のないチート能力だったら放って置く事などできない。
私だけではなく魔女娘にも危害が加わるかもしれないから。
さてどうしたものか。使い魔契約は簡単には切れない状態。まさか殺すわけにもいかない。
そう思いつつお風呂から上がり、パジャマを着た。
後輩「あ、先輩! お邪魔してます。お風呂に入っているようだったのでお部屋で待たせていただきました!」
自室へと戻った私を待ち受けていたのは不法侵入者だった。
98 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:37:32.74 ID:3Xb3Zrtm0
友魔女「なんでいるの?」
後輩「先輩に会いたくなって」キュルン
後輩「あ、そうそう駄目ですよ先輩。いくらここに女子しかいないからって、入浴中に部屋の鍵かけてないのは。怪しい人が勝手に部屋に入っちゃいますよ」
そりゃ、お前のことだろうが。
そう喉元まで出かかったがなんとか堪えたが、胡乱げな視線を向けることまで我慢できなかった。
後輩もそれを分かって尚大げさに首を振った。
後輩「やだな先輩。もっと肩の力抜いてくださいよ。ただおしゃべりしに来ただけですよ」
人好きのする笑顔を浮かべた後輩は、そのままの表情で。
後輩「使い魔との特性の同調について聞きたくないですか?」
友魔女「……」
狙いは何だ。こいつの狙いは――。
後輩――イレギュラーという点ではサキュバスと同様。
そもそも後輩なんてキャラは『おつ恋』に出てきていない。
私は知らないんだ。こんなキャラ。
最初は私がヒロインとしての役割を放棄したため、それを代わりに行うキャラとして湧いてきたのだと――所謂世界の強制力によって生み出されたキャラだと思っていた。
実際に王子然り、他の攻略対象とよろしくやっているのは確認済みだ。
だが、今日のことでその考えに疑惑の念が生まれた。
それが使い魔との特性の同調。
『おつ恋』を手垢まみれになるまで遊び尽くした私が知らなかった要素。
それを後輩ちゃんは知っていた。
本人が言ったようにゲーム外の知識を偶々知っていた可能性もある。
しかし、私の胸中に浮かんだのはもう一つの可能性。
友魔女「そうだね。後輩ちゃんとは一度話したいと思ってたところだしね」
――後輩も転生者なのではないか。
99 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:38:46.83 ID:3Xb3Zrtm0
undefined
100 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:40:16.13 ID:3Xb3Zrtm0
例えばだ。私が前世で死んだあとに『おつ恋』の完全版設定資料集なるものが出ていて、その中に使い魔との特性の同調の記述があって、後輩はそれを読んでからこの世界に転生してきたのではないか。
もしくは、特性の同調なる要素がDLCで追加されたか。いや、それなら素直に続編が出た可能性の方が高いか……。
もしもそうなのだとしたら――
友魔女(『おつ恋』のこと語りたい――!)
もともと『おつ恋』二次創作に人生捧げてた身としては、『おつ恋』語りが出来なくて燻っていたところだ。
それもこれも『おつ恋』のことを知っている人がいないからだ。そりゃそうだ。だってここが『おつ恋』の世界そのものなんだもん。
久しぶりにオタ活できそうで震える!!
後輩「……どうしたんですか……」
突然オタクの血が騒ぎ出したせいでワキワキとしだした私を不審に見つめる後輩ちゃん。
いけない。少し落ち着かないと。
前世でも『おつ恋』熱が暴走して何人のリアル友人をドン引かせたか。
ここは慎重に……。
だけど、転生者かどうかなんてどう聞こう……。
まさか馬鹿正直に、君も一回死んで転生したの? なんて聞けるわけがない。
違ったら私ただのイタイ人だ。もしくは宗教に勧誘していると勘違いされるかも。
別に後輩ちゃんにどう思われてもいいが、魔女娘に話が伝わって頭おかしいと思われるのは絶対イヤだ!
せっかく今まで本性を隠してクールで友達思いのキャラを貫いて来たのに、こんなことで不思議ちゃんキャラに転向したくない。
ここはオタクしか分からない符号で話しかけるか……?
オタクかパンピーかを見分けるおあつらえ向きな質問を一つ知っている。
よし! そうと決まれば早速……。
101 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:41:27.67 ID:3Xb3Zrtm0
友魔女「ねえねえ後輩ちゃん、攻めの対義語って何?」
後輩「……突然なんですか」
友魔女「いいからいいから。攻めの対義語言ってよ。ね?」
後輩「………………攻めの対義語は守りじゃないんですか?」
友魔女「ん……ああ……そうだね。そうそう」
友魔女「話って何だっけ。使い魔との特性の同調の話だっけ」
友魔女「後輩ちゃんはなんで知ってたの」
後輩「ちょっと待って! 何で今度はテンションガタ落ちなんですか?!」
後輩「え? 私何か間違えましたか?! 間違えましたかっ?!」
友魔女「ううん、後輩ちゃんは何も間違えてないよ。私が勝手に舞い上がって、勝手にから回っただけだから」
友魔女「特性の同調について話そうか」
後輩「ほんと、何なんですか…………」
102 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:42:43.47 ID:3Xb3Zrtm0
納得できていないのがひしひしと伝わってくるが、私も期待を裏切られたのだ。許してほしい。
そんなこんなで、やっとこさ話は本題へと進んだ。
後輩「まあ、特性の同調に関しては名前の通りですし、昼に話した通りですよ」
友魔女「私もそれは体験したよ。魔女娘、本当にサキュバスみたいだった」
まさに天にも昇るような気持ちというものをリアルに体験した。
意識がなくなる直前、魔女娘が元気になったのを安堵したのと同時に、これ死ぬのでは……とひそかに思うほどだった。
推しの上で腹上死するのならそれはそれで幸せ、というのは置いておいて。
友魔女「特性の同調って切れるものなの? ほら、教会でお祈りしたら状態異常が治るみたいな、そんなノリで」
後輩「……教会にそんな力ありませんよ」
後輩「申し訳ないですけど、同調の解除方法は知らないですね」
後輩「多分ですけど使い魔が死んだら同調は切れます。試したことないから分からないですけど……どんな状態でも生きてさえいれば、同調は続くと思います」
友魔女「そっか……」
103 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:43:41.83 ID:3Xb3Zrtm0
さすがに使い魔を殺すのは抵抗がある。幾ら胡散臭いサキュバスだからと言っても変わらない。
それはきっと魔女娘とライバル魔女も同じだろうから、二人にわざわざ言う必要もないか。
後輩「じゃあ私はそろそろ帰りますね」
友魔女「え? もう帰るの? 本当に、同調について話に来ただけ?」
他に何があるんですか、と人好きのする笑みを浮かべながら後輩は私の後ろを通り過ぎた。
後輩「おやすみなさい。良い夢を」
そう言ってあっさりと部屋から出ていった。
後輩「なんだったんだ……?」
閉まったドアを呆然と見つめる。
後輩「――――!」
瞬間、訪れる戦慄。
それに気づいて愕然とした。
――私、素を出しすぎていなかったか。
私はこの学園に入学してから猫をかぶり続けていた。
魔女娘やライバル魔女の前ではもちろん。名前も知らないモブの前でもだ。
104 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:45:15.83 ID:3Xb3Zrtm0
だけど、今の私はなんだ。
メタ発言ばかりしてなかったか……。
猫をかぶり続けていたのは、おかしな奴に思われたくないからって理由もあるが、もう一つ大切な理由がある。
それは【災厄の魔女】を倒すため。
ヒロインとしてのロールは降りた私だが、【災厄の魔女】を打倒するという役割だけは降りていない。というか、【災厄の魔女】はこの物語の主役である私以外に倒せないはず。
展開が変わりすぎて、いつ誰がキャラクターとしての役割を失ってもおかしくない。
例えばヒロインでなくなった私のように。ライバル魔女だって原作から立ち位置が大分変わっているし、愛しの魔女娘にしたってそう。
ちょっとしたことでキャラクターの役割が変わってしまう。
私から【災厄の魔女】を倒すという役割がなくなってしまったら、設定上誰も【災厄の魔女】を倒せなくなってしまう。
それは困る。困るからこそこの世界を好みの展開に変えつつも、私――友魔女の性格だけは変えないように、つまり【災厄の魔女】打倒の役割を失わないよう注意して行動してきたのに……。
友魔女「なんで今更……こんなミスを……」
しばらく呆然とその場に立ち尽くした。
105 :
◆TEm9zd/GaE
[saga]:2020/08/20(木) 17:47:30.15 ID:3Xb3Zrtm0
――後輩視点
何が起こってる。
あいつはあんなに馬鹿じゃなかったぞ。
確かに世間知らずで夢見がちな性格をしていたが、もっと警戒心が強かったし、少なくとも突然訳のわからないことを言い出すような不思議ちゃんでは無かった。
幾ら動きやすいように過去を改変したからと言って、あいつに関しては後に制御しやすいように改変は加えていない。
そもそもだ。催眠が効くのもおかしかった。
先程の会話の中で、弱みを握れたらいいな、どうせダメだろうけど……くらいのダメ元で本心を晒す催眠をかけたら、見事にかかった。
普通に比べたら効き目は弱かったが、それでも効果が無いのと弱いのとじゃ話が違ってくる。
まあ、催眠がかかったおかげであいつが前回とは違うと気づけた訳だが……それはともかく。
――加護が弱まりつつあるのか……。
加護が弱くなったり無くなるんならいい。
だが、無くなった加護が他の奴にかかったら……。
そしたら、私が長いことかけて積み上げてきた計画が全てパーになる。
【女神の加護】はあいつに――友魔女に持っていてもらわなくては困る。
友魔女「ちっ――――加護がまだ残ってる内に再国祭で仕掛けるしかないか」
私は足早に夜の廊下を駆けた。
――
――――
――――――
106 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/08/20(木) 17:58:23.01 ID:3Xb3Zrtm0
>>105
ミス
――後輩視点
何が起こってる。
あいつはあんなに馬鹿じゃなかったぞ。
確かに世間知らずで夢見がちな性格をしていたが、もっと警戒心が強かったし、少なくとも突然訳のわからないことを言い出すような不思議ちゃんでは無かった。
幾ら動きやすいように過去を改変したからと言って、あいつに関しては後に制御しやすいように改変は加えていない。
そもそもだ。催眠が効くのもおかしかった。
先程の会話の中で、弱みを握れたらいいな、どうせダメだろうけど……くらいのダメ元で本心を晒す催眠をかけたら、見事にかかった。
普通に比べたら効き目は弱かったが、それでも効果が無いのと弱いのとじゃ話が違ってくる。
まあ、催眠がかかったおかげであいつが前回とは違うと気づけた訳だが……それはともかく。
――加護が弱まりつつあるのか……。
加護が弱くなったり無くなるんならいい。
だが、無くなった加護が他の奴にかかったら……。
そしたら、私が長いことかけて積み上げてきた計画が全てパーになる。
【女神の加護】はあいつに――友魔女に持っていてもらわなくては困る。
後輩「ちっ――――加護がまだ残ってる内に再国祭で仕掛けるしかないか」
私は足早に夜の廊下を駆けた。
――
――――
――――――
107 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/09/14(月) 08:25:00.17 ID:EK1XIJvq0
【食べる専門の人たち】
魔女娘「はぁ仔牛ちゃんうま」モグモグ
サキュバス「朝からステーキ……」ヒキ
ライバル魔女「本当に仔牛のステーキが好きですわよね」
魔女娘「ん。私死ぬときは仔牛のステーキに埋れて死ぬの」
ライバル魔女「……脂でベトベトになりますわよ」
友魔女「あはは、脂のおかげで死んでも暫くはお肌テカテカだね」
サキュバス「そういえばマスター食べてばかりだけど、自分で料理とかするの?」
魔女娘「しない。料理する時間があったら、ご飯買ってその分食べる」
サキュバス「なんともまあ……らしいっちゃらしいか。お二人さんは?」
ライバル魔女「したことありませんわね。幼少の頃より専属のシェフがおりますの。わざわざワタクシがする必要もありませんわ」
友魔女「私は昔はしたよ。孤児院に住んでたから当番制だった」
サキュバス「昔は?」
友魔女「今は国から補助が出てるから、そのお金で外食が多いかな。楽だし」
サキュバス「友魔女はともかく二人は料理する必要ができたらどうするの」
魔女娘「大丈夫。大抵のものは火を通せば美味しくなる」
ライバル魔女「ふふん。ワタクシを誰だと思っていますの? ワタクシですわよ! その気になれば料理なんて一瞬でマスターしてみせますわ!」
サキュバス「……ねぇ、友魔女ちゃん今度料理教えてくれない? もしもの時にこのままだと火を通しただけの肉と、ご飯と言えない物体を食べさせられることになるわ」
ライバル魔女「ちょっと!? それどういうことですの!?」
友魔女「あはは、やる気があるなら今度教えるよ」
魔女娘「いいじゃん火を通したお肉美味しいじゃん。ねぇ仔牛ちゃん」モグモグ
サキュバス「そのステーキだって香辛料で味付けしてあると思うけど……少なくともただ焼いただけじゃないと思う……」
魔女娘「…………」モグモグ
魔女娘「ああ、おいし」
サキュバス「もう……」
108 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/09/14(月) 08:27:40.93 ID:EK1XIJvq0
【初めての授業】
教師「――と、このように魔法のレジストを行うには反属性の魔法を同程度の力でぶつけるか、同じ魔法を相手より強くぶつける必要がある訳だ」
サキュバス「なんだか不思議な光景ね」
魔女娘「何が?」
サキュバス「こうやって大勢の人が同じ方向を向いて、同じようにペンで紙に文字を書いてる。おかしいじゃない」
魔女娘「そう? ……まあ、そう言われるとおかしいかもね」
サキュバス「でしょでしょ」
サキュバス「人間ってもっと無秩序なものだと思ってた」
魔女娘「…………」
サキュバス「自分の欲望に忠実で。自分だけ良ければ他は気にしなくて。
――好き勝手。人間ってそんなイメージだった。でも少なくともここにいる人たちは違うね。ルールを守ってその中で生活してる」
魔女娘「私にとってサキュバスは性に奔放で人を弄ぶ。好き勝手ってイメージはサキュバスの方が強い」
サキュバス「ふふっそうね。その通りだわ。だってそうやってしか生きられないんだもの」
サキュバス「でも人間にはいろんな人がいる。こうやって勉強している人。その人たちに教える人。学校を出たらもっといろんな人がいるんでしょうね。勤労に励む人。何もしてない人。悪事を働く人」
サキュバス「そのカテゴリーの中にも色んな人がいるんでしょう。真面目な人、怠惰な人、優しい人、怖い人、友達思いの人」
サキュバス「人間にはこうやって生きなくてはいけないなんて、そんなカテゴライズはないのね」
サキュバス「人間は何だって出来るし何にだって成れる。この光景を見てたらね、そう思ったの」
魔女娘「………………」
魔女娘「随分と飛躍したね」
サキュバス「そうねぇ……でも本心よ」
教師「こらそこ! 私語は慎む!」
魔女娘「あ、すみません」
サキュバス「怒られちゃったわね。もうお話は止めましょうか」
魔女娘「…………」
109 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/09/14(月) 08:31:05.13 ID:EK1XIJvq0
【使い魔との仲を深めよう】
友魔女「使い魔との交流か……。昨日サボった分の補習がそんなに難しいことじゃなくて良かったね」
黒猫「にゃーん」
サキュバス「にゃーん」
ドラゴン「グルルっ」
友魔女「……訂正。癖あるわ、これ」
魔女娘「使い魔との交流って何するの? 遊ぶだけならわざわざ補習する意味」
ライバル魔女「そんな訳ありませんわよ。使い魔と接して何ができるか理解するんですわ」
友魔女「そうそう。で、レポートにまとめるみたい」
魔女娘「できること、ね……」
サキュバス「そりゃ、あはーんなことよ」
魔女娘「まあ、そうだよね」
ライバル魔女「ふふん! ワタクシのドラゴンちゃんは凄いんですのよ! 空も飛べるし、火も吐ける!」
魔女娘「おまけに美味しいし」
ドラゴン「ガルッ!?」ガーン
ライバル魔女「だーかーらー!! ドラゴンちゃんは非常食じゃないと何度言えば分かるんですの?!」
魔女娘「友魔女の使い魔はどう? 見たところただの猫だけど」
ライバル魔女「ちょっとぉ! まだ話は終わっていませんわよ!」
魔女娘「見かけだけならサキュバスも人間だし。この猫にも何か特別な力があるかも……」
サキュバス「私みたいに擬態してるかもしれないしね」
魔女娘「擬態って?」
サキュバス「羽と尻尾。普段隠してるのよ」
友魔女「わ、生えてきた! どうなってるのこれ?」
サキュバス「ただの催眠だよ。人間に見えるように自分の身体に催眠をかけてるの。私の身体は人間と同じだーって感じで。そうすると私の身体人間と同じになるの」
魔女娘「なんでまたそんなこと」
サキュバス「だって邪魔なんだもん。羽があると仰向けになれないし、尻尾は踏むと痛いし」
ライバル魔女「無視しないでくださる?!」
友魔女「なるほどねぇ。でも黒猫ちゃんにはそういうの無いからなぁ」
魔女娘「まだ分からないでしょ」
黒猫「にゃ」
友魔女「――そうだね。何かあるかもしれないね」
友魔女「ま、かわいいから何もなくてもいいや」
110 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/09/14(月) 08:32:18.89 ID:EK1XIJvq0
ライバル魔女「話は終わっていませんことよ! 魔女娘さん! 大体貴女は食い意地が――――」
魔女娘「そんなに怒るとお腹減るよ」
ライバル魔女「誰のせいだと――」
サキュバス「……なんで彼女はあんなに怒ってるの? ジョークなの分かってるわよね?」
友魔女「多分だけど、ライバル魔女は魔女娘に凄いねって言われたいんじゃないかな。レアな使い魔召喚できて凄いね、短い時間で使い魔のこと理解してて凄いねって具合に」
友魔女「なのに魔女娘はからかってばかりだから思い通りに行かなくてプリプリしちゃってるんだと思う」
サキュバス「なるほどねぇ……子供みたい」
ライバル魔女「な、何言ってますの――! ワタクシはただ不遜至高のドラゴンに敬意を払えと……」
魔女娘「まあちゃんと分かってるから」
ライバル魔女「何がですの!? ワタクシはそんな子供みたいな……」
魔女娘「それもだけど。ライバル魔女が凄いのは知ってるから。凄くあろうと努力していることもね」
ライバル魔女「あ、あう……」
サキュバス「あら照れてら」
友魔女「ライバル魔女のこういう所かわいいね」
ドラゴン「ガウガウ」
ライバル魔女「も、もうからかうのはやめてくださいまし!」カアアア
111 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/09/14(月) 08:34:06.87 ID:EK1XIJvq0
【ただのキス】
サキュバス「じゃ、おやすみなさい」
魔女娘「今度の休みの日にベッド買いに行く?」
サキュバス「なんで? 別に今のままでいいでしょ。スペース余分にあるし」
魔女娘「でも二人で一つのベッドを使うっていうのは……」
サキュバス「私は気にしないよ。それとも私と同じベッドは嫌?」ジッ
魔女娘「うっ……」
魔女娘(やっぱり顔は綺麗……心臓がおかしくなる)
魔女娘「顔が、近い」グイッ
サキュバス「あはは照れてる〜。顔赤いよ」
魔女娘「赤くない」カオソラシ
サキュバス「えー赤いよ。りんごみたい」ズイ
魔女娘「顔、近いって……」ドキドキ
サキュバス「え〜……ふふっ、やっぱり顔赤い」
サキュバス「ねえ、キスしよっか」
魔女娘「……寝言は寝て言うものだよ」ドキドキ
サキュバス「それは夢に見るくらい過激なキスをしてほしいってこと?」
魔女娘「そんなこと言ってな――んっ!?」
サキュバス「んっ――ん、はぁ……」
サキュバス「――。どうだった? ただのキスは」
魔女娘「…………夢に、見そう」
サキュバス「ふふっ、そう? ただのキスなんだけどな」
サキュバス「じゃあ過激なキスをしたらどうなるかな?」
魔女娘「……手加減」
サキュバス「しない?」ガバッ
魔女娘「きゃぁ――」ドサッ
魔女娘(その晩私はサキュバスに美味しく戴かれた)
魔女娘(――後になって聞いた話だが、このときサキュバスは空腹だったそうだ。お腹が空いてるとサキュバスは激しくなる。覚えておこう)
112 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/09/14(月) 08:35:45.25 ID:EK1XIJvq0
【寝言暴食】
魔女娘「すぅ……すぅ……」
サキュバス「寝ちゃった。ふふっ、可愛い寝顔」
魔女娘「うぅ、まだ食べられるよ……」
サキュバス「……? ああ寝言ね」
魔女娘「おいしおいし。もっと……」
サキュバス「はは、寝てても食べてばっかりね」
魔女娘「お肉おいし。野菜おいし」
サキュバス「…………」
魔女娘「お魚おいし。スープおいし」
サキュバス「…………ほんと食べてばっかりね」
魔女娘「えへへ。ステーキちゃん。パスタちゃん。ムニエルちゃん。いっぱいだ」
サキュバス「……ほんとに寝てるのよね?」
魔女娘「チーズも。ウィンナーでフォンデュー」
サキュバス「…………」
サキュバス「全然キスの夢見ないじゃん」
魔女娘「えへへ、シチューにプディング」
サキュバス「…………」
サキュバス(その晩私が寝入るまでマスターはずっと食べ物の夢を見ていました。寝言がうるさかったです)
113 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:05:03.66 ID:OFMyxDMi0
――再国祭当日
サキュバス「うわぁー! すごい人!」
サキュバス「私こんな人の数見たことない!」
魔女娘「あっ! チョコバナナだ! スコーンもある!」
魔女娘「ちょっと手当たり次第に食べてくる!」
ライバル魔女「ちょっと、お二人ともあんまりはしゃいで迷子にならないでくださいませ!」
友魔女「去年も確かこんな感じで迷子になりかけたよね……」
サキュバス「マスター、早く行くましょ!」ワクワク
魔女娘「じゃあ手始めにこの地区の出店コンプリートしよう!」タタタッ
サキュバス「よしきた!」タタタッ
ライバル魔女「ちょ、二人とも話を聞いていて?! ――もう! ワタクシ達も行きますわよ!」タタタッ
友魔女「あ、ちょっと待って――わっと」ドン
モブ「痛えな! 気をつけろよ! 前見て歩け」
友魔女「す、すみません!」
モブ「たくっ」タチサリ
ライバル魔女「大丈夫ですの? 急かしたワタクシが良くありませんでしたわ。怪我はありませんこと?」
友魔女「うん。怪我はないよ」
友魔女「……って、魔女娘は――?」
ライバル魔女「…………あ」
ライバル魔女「言ったそばから迷子ですのぉ!??」
114 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:06:21.69 ID:OFMyxDMi0
魔女娘「うまうま!」パクパク
サキュバス「マスタっマスタっ! こっちのふわふわしたの甘いわ!」
魔女娘「綿飴か、いいね。一口ちょうだい」
サキュバス「はいどうぞ――あーん」ヒョイ
魔女娘「あーん」パク
魔女娘「ん、あま〜い」
サキュバス「……ふぅ食べた食べた。持つものはお金持ちのマスターね。おかげでお腹いっぱい」
魔女娘「ん。少し食休みしようかな」
魔女娘「――あれ、ライバル魔女は? 友魔女もいない?」
サキュバス「あちゃー迷子になっっちゃったか」
魔女娘「もう! 友魔女もライバル魔女も、いい歳して迷子にならないでほしい」
サキュバス(世間から見たら私達が迷子なんだろうけど……ま、いっか)
サキュバス「せっかくだから二人で回りましょ。そのうち会えるでしょうし」
魔女娘「まあ、あっちも子供じゃないし自分たちだけで動けるよね」
魔女娘「よし! ちょっと休憩したらまた出店回ろう!」ランラン
サキュバス「お供するわ!」
115 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:07:33.82 ID:OFMyxDMi0
サキュバス「――――あら?」
ロリ「……ままぁ、どこぉ?」グスン
サキュバス「ねぇ、マスターあれって迷子よね」
サキュバス「子ども一人じゃ危ないわよね。どうしましょ……?」
魔女娘「…………」
魔女娘「どうしたい?」
サキュバス「そりゃ親御さんに送り届けたほうがいいと思うけど。それが無理なら衛兵の所にでも……」
魔女娘「まあ、そうしたほうがいいよね……」
魔女娘「休憩ついでにあの娘のお母さん探そうか」
サキュバス「よし、そうと決まれば!」
サキュバス「へい! そこのキュートなガール! 一人かな。良かったらお姉さんとお茶しない?」
ロリ「ふぇ!?」キョトン
魔女娘「ナンパすな!」バシッ
魔女娘「ごめんね。この人馬鹿なの」
サキュバス「イテテ……馬鹿ってひっど。ただ私は緊張させないように――」
魔女娘「はいはい」
116 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:08:09.82 ID:OFMyxDMi0
魔女娘「君、迷子でしょ。良かったらお母さん探すの手伝おうか」
ロリ「ほんとう? いいの?」
魔女娘「ん。――君ここらへんの子?」
ロリ「うん。時計塔の後ろにね、おうちがあるの」
魔女娘「ってことは、旧市街地の方か」
サキュバス「それってここからどれくらい?」
魔女娘「徒歩で一時間ってところかな」
魔女娘「まあ、最悪お母さんが見つからなくても旧市街まで送り届ければいいか」
魔女娘「……じゃ、お母さん探そうか」
サキュバス「早く見つかるといいね」
ロリ「うん!」
魔女娘「ほんと、見つかるといいね」
117 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:08:52.06 ID:OFMyxDMi0
ロリ「ねえねえお姉ちゃんお姉ちゃん!」
魔女娘「なに?」
ロリ「その服って魔法学園の人のでしょ」
魔女娘「そうだよ」
ロリ「すご〜い! じゃあお姉ちゃん魔法使いなんだ!」
ロリ「魔法見せて! だめ……?」
魔女娘「駄目。人前で見せるものじゃないよ」
ロリ「えぇ……なんで駄目なの?! 見たい見たい!」
サキュバス「いいじゃないマスター。少しくらい」
魔女娘「普段から催眠使いまくってる貴女じゃわからないだろうけど、魔法はおおっぴらに使うものじゃないの」
魔女娘「無闇に使って怪我でもさせたらどうするの。そもそも町中での魔法の使用は禁止されてる」
ロリ「じゃあ人目につかない場所ならいいの!」
魔女娘「いや、そういうわけじゃ……」
ロリ「見たい! ちょっとでいいから〜」
サキュバス「いいじゃん。怪我しないような魔法を使えばいいだけでしょ」
魔女娘「……少しだけだよ」
ロリ「やったー。こっちこっち!」
サキュバス「こら、一人で先に行かないの! ふふっ、喜んじゃってかわいい」
魔女娘「…………」
118 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:10:03.46 ID:OFMyxDMi0
――路地裏
ロリ「もっと奥に行こう。ここだと魔法使ったのバレちゃうよ」
サキュバス「はいはい。それにしても薄暗くて雰囲気あるわね。暗闇から何か出てきそう」
魔女娘「……出てくると思うよ」
サキュバス「え――?」
魔女娘「『シャドウバインド』!」
ロリ「きゃっ――!」ギュルルン
サキュバス「――――! 何考えてるの!? 子どもに拘束魔法なんて!」
魔女娘「――黙って」
魔女娘「この娘のお友達はすぐに出てこい。いるのは分かってる」
「………………」
サキュバス「誰も出てこないじゃない! 早くその子を放しなさい」
ロリ「止めてよぉお姉ちゃん……なんでこんなことするの――ごめんなさいごめんな――」ウルウル
魔女娘「――――」グイッ、ボキン
ロリ「――っっああぁあ! イタイイタイッ。腕がっ! ひぃ……ぅわぁあぁ――――」
魔女娘「【クワイエットゾーン】」ピタッ
ロリ「――――! ――! ――――」シーン
魔女娘「次は反対の腕。その次は両方の足。すぐに大人しく出てくるなら、まだ四体満足で解放できるけど」
「………………」
サキュバス「マスター!」
魔女娘「はぁ……面倒くさい。いいんだよ、私は。別にこの娘の手足を全部へし折っても」
魔女娘「だから早く出てこい」
「………………」
119 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:11:04.68 ID:OFMyxDMi0
魔女娘「ちっ――【解除】」
ロリ「――あぁったすけっ――助けて!」ガタガタ
魔女娘「質問に答えたら解放してあげる」
魔女娘「仲間は何人? あと名前」
ロリ「しらな、しらなぃ……」
魔女娘「そう」グイッ
ロリ「ぎゃあぁっ!!」ボキン
魔女娘「次は右足」
サキュバス「――! マスター!」
魔女娘「……サキュバス、そこから退いて」
サキュバス「いやよ。退くのは貴方の方よ! 拘束を解いてその娘から離れなさい!」
魔女娘「じゃあせめて頭はガードして。あと催眠は私じゃなくて後ろのやつに」
サキュバス「何を言って――うぐぁ」ガツン
???「ロリから離れて!!」
ロリ「お姉ちゃんっ!」
魔女娘「だからガードしてと言ったのに……」
ロリ姉「ごちゃごちゃ言ってないで早く魔法を解け!」
魔女娘「解かなかったら?」
ロリ姉「こいつの腕を砕く」
サキュバス「うきゅぅ……」クラクラ
魔女娘「……せめて気絶してなければな」
魔女娘「はあ……ほら解放」スル
120 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:12:20.78 ID:OFMyxDMi0
ロリ姉「まだだ。有り金全部置いてけ」
魔女娘「やっぱり魔法使い狩りか……」
ロリ姉「はやく!!」
魔女娘「――ほら、ちゃんと拾えよ――――」ビュン
ロリ姉「なっ!? ――アガっ!」ガッ
ロリ「お姉ちゃん!?」
魔女娘「綺麗に顔面にあたったな――っと【シャドウバインド】」
ロリ姉「うっ――」ガシィッ
ロリ「そんな……」
魔女娘「さてと、とりあえず財布は返して貰う」
魔女娘「こいつは……まあいいか――」
サキュバス「ちょっと待って! それは酷くない!?」
魔女娘「あ、起きた」
ロリ姉「なっ!? 嘘だろ。手応えはあったぞ。暫く目覚めないはずなのに」
魔女娘「お生憎とこいつ頑丈でね」
サキュバス「一応人じゃないし。ほら、尻尾と羽」
ロリ姉「人型の使い魔か……くそ、運がねぇ」
サキュバス「……いてて、なんで殴られたの私」
魔女娘「魔法使い狩りだよ」
サキュバス「魔法使い狩り?」
魔女娘「魔法使い……っていうか、魔法学園の生徒は貴族のボンボンが多い上に、まだ魔法使いとしては未熟な奴が多いから、街に出てきた所を狩ってお小遣い稼ぎする輩が一定数いるんだよ。それが魔法使い狩り」
121 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:13:41.28 ID:OFMyxDMi0
ロリ姉「いつからだ――」
魔女娘「何が? 貴女の浅慮ならきっと生まれた時からだと思う」
ロリ姉「……いつから魔法使い狩りだと気づいた」
サキュバス「そう、それ! マスターいつから気づいて――」
魔女娘「最初から。泣き真似してる子どもだなんて怪しすぎ」
ロリ「ウソっ。だって私ちゃんと泣いて……」
魔女娘「しゃくれて無かった。ひっくひっくって。ただ大声を出して涙を流すだけでは泣き真似にはならない。それにサキュバスが話しかけてすぐに泣き止むのもおかしい。それは涙をコントロールしてるやつの挙動」
魔女娘「それに焦ったんだろうね。自分から人通りのない薄暗い路地裏に誘い込むなんて、仲間が闇討ちしますよって言ってるようなもの」
魔女娘「まあ、それら抜きにしても一目で魔法使い狩りだと思ったけどね」
ロリ姉「……なんでだよ」
魔女娘「ロリちゃんから私と同じ匂いがした」
ロリ姉「はあ? 孤児院育ちがお貴族様と同じ? つまんねぇジョークだ」
魔女娘「今は貴族だけどね、昔はスラム街のゴロツキだったよ。精神を壊した娼婦の母親と借金に塗れた賭博師の父親。生まれだけだったら君たちより下じゃない?」
魔女娘「母親が稼げなくなってからは、よく父親と魔法使い狩りしてたよ。丁度君たちみたいに私が暗闇まで連れ込んで父親が襲うって感じで」
122 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:15:41.04 ID:OFMyxDMi0
魔女娘「さてと……何で魔法使い狩りなんて危険なことした?」
魔女娘「身なりはそこそこ整ってる。痩せてるけど栄養失調って程じゃない。臭くない、ちゃんとお風呂も入ってる。ってことは家があるのかな――――孤児院育ちって言ってたか」
魔女娘「遊ぶお金欲しさって感じじゃない。すぐにまとまったお金が必要なのかな。じゃなきゃ魔法使い狩りなんて失敗したら殺されるかもしれないリスキーな真似しない」
魔女娘「……って考えたんだけど、どうだろう?」
ロリ「…………マザーが病気なの」
ロリ姉「ロリっ!」
ロリ「マザーが倒れて、お医者様に見てもらったら国の治療魔術師じゃないと治せないって」
魔女娘「なるほど。治療費か……」
魔女娘「【リキュア】」パァ
ロリ「――ぁ! 腕が……治った!」
魔女娘「他に怪我はない? ついでに治しておくけど」
ロリ「ありが……とう?」
ロリ姉「なんで――!」
魔女娘「市街地での魔法の使用は原則禁止だから、黙っててもらいたくて……そう、これは賄賂みたいな。腕を治すから魔法使ったの言わないでねってこと」
魔女娘「さてと、そのマザーの所に案内して。さっさと行こう。拘束解除してあるでしょ? それともまだどこか怪我して動けない?」
ロリ姉「はぁ――? なんであんたをマザーのところまで――」
魔女娘「ほんと浅慮。そのマザーさんを治してあげるって言ってる。私ならできる」
ロリ「いいの!?」
魔女娘「ん。だから魔法を使ったこと言わないでね」
ロリ「うん!」パァ
123 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:17:00.78 ID:OFMyxDMi0
ロリ姉「信じられるか! お前はロリの腕を折った。マザーにも何するか分からない」
ロリ「でも腕治してもらったよ。ほら」ピンピン
ロリ姉「騙してるだけかもしれないだろ! マザーに何するかわからない! 治したあとに高額な治療費を請求されるかも……」
魔女娘「しないよ、そんなこと」
ロリ「しないって言ってるよ」
ロリ姉「すぐ信じるな!」
ロリ「ひうっ」ビク
魔女娘「しないよ」ジッ
ロリ姉「…………なんでだよ。なんで治そうとするんだ。お前には関係のない事だろ。それに治療魔術師でもないのに魔法を使って治療したらそれこそ違法だろ」
124 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/12(月) 20:18:18.40 ID:OFMyxDMi0
ロリ姉「治療して恩を売って魔法の使用を黙っててもらうより、私達を半殺しにでもして黙らせる方が利口なやり口の筈だ」
魔女娘「別にロリちゃんのことが気に入っただけ。だから治してあげる」
サキュバス「ロリコン……?」
魔女娘「違うわっ!!」
魔女娘「ロリちゃんは腕を折られても仲間のことを売らなかった。その仲間にしたってロリを見捨てて一人で逃げることも出来たのに、それをしなかった」
魔女娘「そこが気に入った」
ロリ姉「…………あああ!! くそっ変な真似したら今度はお前の頭蓋を沈めるからな」
サキュバス「じゃあマスターも変なことできないわね。あれ結構痛いわよ」
魔女娘「そりゃ金属の棒で殴られたら痛いだろうさ」
ロリ「ありがとう、お姉ちゃん!」
魔女娘「お礼はマザーを治してから言って……じゃあ行こう。さっさと治して食べ歩きの続きする」
サキュバス「まだ食欲があるのね。流石マスター……」
125 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/27(火) 22:35:29.40 ID:CiQQIxHc0
undefined
126 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/27(火) 22:36:28.37 ID:CiQQIxHc0
?
ライバル魔女「どこ行きましたの!? あの二人は!」
友魔女「あちこちで噂になってるから、ここらへんには来てたはずなんだけどな」
ライバル魔女「だいたいその噂ですわよ。暴食の嵐って……女性二人組が屋台という屋台の食べ物を食い荒らしているって……淑女のすることじゃありませんわ」
友魔女「まあらしいじゃん」
ライバル魔女「やっぱり魔女娘さんはワタクシが見ていないとだめですわ! 何をするか――」
友魔女「ほんと魔女娘のことが好きだね」
ライバル魔女「そ、そんなことありませんわ!」アタフタ
友魔女「分かりやすいなぁ――あれ?」
127 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/10/27(火) 22:37:18.23 ID:CiQQIxHc0
ライバル魔女「何か見つけましたの?! 魔女娘さん!?」
友魔女「ちがう……」
???「ロリ――! ロリ姉――!」
ライバル魔女「あの方も人を探してらっしゃるのかしら」
友魔女「おい! 少女――」
少女「――……友魔女姉ちゃん……いいところに! ロリとロリ姉見なかった?」
友魔女「見てない。何、迷子?」
ライバル魔女「知り合いですの?」
友魔女「孤児院にいたときの……妹みたいな子」
少女「ロリ達二人が今朝からいないの!」
友魔女「お祭りだからじゃなくて?」
少女「違うの――だって……」
少女「マザーが倒れたの」
友魔女「シスターがっ!?」
少女「うん……それで莫大な医療費が必要になって……孤児院の経営だって余裕がないのにとても払えるような金額じゃなくて。でも治療を受けないと近いうちに死んじゃう」
少女「それであの子達、昨日隠れて二人で相談してたの――祭りに乗じて魔法使い狩りするしかないって……」
友魔女「――――っ」ダッ
ライバル魔女「友魔女さんっ、どこに行きますの!?」
友魔女「私はシスターの様子を見てくるっ。ライバル魔女は悪いけど少女と一緒にロリ達を探して!」
ライバル魔女「友魔女さん――っ!」
友魔女(おかしい――! だってシスターはこの世界のラスボスで――【災厄の魔女】で――こんなのストーリーに無かった! 死ぬなんてことあるはずないんだ――)ダッ
友魔女「確かめないと……目覚めたかもしれない――」バタバタ
友魔女(ただ倒れたんじゃなくてシスターの中の【災厄の魔女】が目覚めたのなら私が処理しないと――私じゃないと出来ないんだから――)ギリ
128 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/11/11(水) 11:20:25.40 ID:kil6Uh7R0
X
ロリ「でねでね、去年孤児院から魔法使いに覚醒したお姉ちゃんがいてね。友魔女お姉ちゃんって言うんだけど……」
サキュバス「あら友魔女の知り合いなの?」
ロリ「お姉ちゃん知ってるの?」
魔女娘「友達」
ロリ「そうなんだ! ねっねっ友魔女お姉ちゃん学園ではどんな感じなの?」
魔女娘「友魔女は……真面目だよ。勉強も出来るし魔法の扱いも上手。そうだね、優等生って言葉が似合う」
ロリ姉「けっ、変わんねぇな。あいつは孤児院にいた頃からいい子ぶりっ子の優等生ちゃんだったよ。……でもよ」
魔女娘「時々おかしい?」
ロリ姉「……なんだお前も分かってんのか」
129 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/11/11(水) 11:21:26.52 ID:kil6Uh7R0
ロリ姉「根拠のない万能感って言うのか……なぁんか鼻につくんだよあいつ。私には出来るだの私にしか出来ないだの……お前は神様かっての」
ロリ「でも友魔女お姉ちゃん魔法が使えるよ。孤児院からはじめての。だから少しは……」
ロリ姉「あいつの勘違いした全能感は魔法が使えるようになる前からあったよ。けっ! 思い出しただけでも腹が立つ」
魔女娘「随分嫌ってる」
ロリ姉「あいつのこと知ってて好きなやつがいるのかよ」
魔女娘「少なくとも私は好きだけど」
ロリ姉「はっ! そうかい気に入らねぇ」
130 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/11/11(水) 11:22:58.39 ID:kil6Uh7R0
ロリ「わ、わわわっ! お姉ちゃんだめだよ! 仲良く、ね?」
ロリ姉「……っ。あいつは……あいつだけはマザーのことを名前でシスターって呼ぶんだよ」
ロリ姉「それに……あいつ時々親の敵でも見るかのような目でマザーのことを見るんだよ……」
ロリ姉「上から目線も、人を小馬鹿にした態度も我慢できる……! だけど、あいつのあの目だけは――」
ロリ「お姉ちゃん――!!」
ロリ姉「あの目をする限り、仲良くなんかできない……」
ロリ「お姉ちゃん…………」
魔女娘「…………。興味ない」
ロリ姉「なに……?」
魔女娘「興味ないよ。――最近、友魔女は命をかけて私を救ってくれた」
魔女娘「それだけじゃない。友達思いで優しいところを知っている。だから私は友魔女のことが好き。お前が友魔女が嫌いって話に興味ない」
131 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/11/11(水) 11:24:14.28 ID:kil6Uh7R0
ロリ姉「……はっ、そうかい。そうだな。その通りだな。お前には関係のない話だった――ついたぞ」
魔女娘「ん。ここか――孤児院」
サキュバス「なんていうか……その……趣を感じる」
ロリ姉「素直にボロいって言っていいぜ」
魔女娘「ボロかろうとそうじゃなかろうと、マザーさんを治せれば関係ない」
メガネっ娘「あっ! ロリとロリ姉! 良かった無事だった! 突然いなくなって心配したんだよ。昨日のことがあったし」
ロリ姉「悪かった。けど、マザーを治療してくれる人を見つけたんだ」
メガネっ娘「本当!」
ロリ「うん! 私の怪我も一瞬で治せたんだ。きっとマザーも良くなるよ」
魔女娘「ん。マザーさんを治療するから案内してくれる」
メガネっ娘「学園の制服……大丈夫なの? 免許のもったひと以外が医行為すると捕まるんじゃ」
魔女娘「言わなきゃバレない」
ロリ姉「……どっちみち国の治療魔術師に払える金はないんだ。マザーを助けるにはこれしか……」
メガネっ娘「…………こっち。ついてきて」
132 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/11/11(水) 11:24:58.27 ID:kil6Uh7R0
――マザーの寝室
マザー「……すぅ……ぅう」
魔女娘「うなされてる。それに顔も白い」
サキュバス「…………これって」
魔女娘「どうしたのサキュバス」
サキュバス「……これを人間がどうやって治療しようとしたのか気になるわね」
ロリ姉「どういうことだよ。――まさか、もう手遅れなの!?」
サキュバス「いいえ、手遅れじゃないわ。なんだったらすぐ治る」
サキュバス「ねぇマスターもこの症状に覚えない? 最近も同じ症状と出会ってるけど」
魔女娘「いや知らない……――ってまさか――!」
サキュバス「そう――精気欠乏よこれ、中度のね」
ロリ姉「何言ってんだよ。分かるように説明してくれ! マザーは……マザーは本当に元気になるのか?!」
133 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/11/11(水) 11:26:18.24 ID:kil6Uh7R0
ロリ姉「何言ってんだよ。分かるように説明してくれ! マザーは……マザーは本当に元気になるのか?!」
サキュバス「……マザーさんはね、淫魔に食べられたんだよ。で、生きる元気を取られた状態」
メガネっ娘「淫魔って……本当に言ってるんですか! 冗談だったら許さないよ!」
ロリ姉「おい、淫魔ってなんだよ。食べられたって……怪我はないじゃないか」
メガネっ娘「そういう食べるじゃない。この人の言う食べるは、性的な意味での食べる……って解釈で合ってるよね」
魔女娘「ええ……サキュバスの言ってることは本当。私も先日マザーさんと同じ症状になった。私の場合もっと酷かったけど」
メガネっ娘「…………………」
ロリ姉「本当か! 何をすれば治るんだ!」
サキュバス「セックス」
ロリ姉「は?」
サキュバス「セックス」
134 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/11/11(水) 11:27:41.89 ID:kil6Uh7R0
メガネっ娘「ロリ姉、この人たちに帰って貰って」
ロリ姉「おう。ふざけるのもいい加減にしろよ。こっちが藁にもすがる思いで、どれだけ……」
サキュバス「本当よ」
メガネっ娘「だとしても、なんでマザーが淫魔に食べられたって言い切れるんだよ。マザーが美人だからうまい事言って強姦しようとしてるんじゃないの」
サキュバス「私も淫魔だからよ。そのまま精気欠乏の状態が続いたらどうなるか知ってるわ。廃人よ」
メガネっ娘「嘘もいい加減に……」
ロリ「でも、このお姉ちゃん……人間じゃなかったよ。……そのいん、魔? っていうのは本当なんじゃない?」
メガネっ娘「……本当?」
ロリ姉「……少なくともパイプで頭を殴ってもすぐに復活する程度には人じゃなかった。そこに関しては信じてもいいと思う。それにマザーが倒れていたときの格好のこと考えると、淫魔っていうのもあながち嘘じゃないんじゃないか……」
メガネっ娘「……ロリ姉がそう言うならそうなんだろうね……でも――」
サキュバス「私達がするのが気になるのなら、貴方たちの精気を補給すればいいじゃない」
メガネっ娘「何を言ってるの……?」
サキュバス「私が近くにいる必要はあるけど、人同士での精気のやり取りは可能だわ」
135 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/11/11(水) 11:29:29.29 ID:kil6Uh7R0
サキュバス「別にすぐに廃人になるわけじゃないから急いで決めなくてもいいけど、時間をかければかけた分だけ障害の残る確率は上がるわ」
メガネっ娘「…………マザー」
ロリ姉「――お前たちは絶対マザーに触るな! それが条件だ」
メガネっ娘「ロリ姉……正気?」
ロリ姉「もう他に手はないんだ。冗談じゃないってんならするしかない」
ロリ姉「そりゃ必死になって探した治す方法がセックスでした、なんて馬鹿にしてるし最初は腹が立ったけど――本気で言ってるんだろ」
ロリ姉「私はマザーを救いたい――それがどんな方法であっても」
メガネっ娘「……分かったよ。私だって同じ気持ちだよ」
メガネっ娘「おい、お前たち嘘だったら承知しないからな」
サキュバス「嘘じゃないって……まあ話が決まれば早い」
ロリ「うん。私も頑張るよ!」
ロリ姉「……ロリは向こうに言ってろ」
メガネっ娘「そうね……今からすることは大人のすることだから、ロリは見ちゃいけないよ」
ロリ「いや! 私もマザーを救うの! それに私、せっくすが何か知ってるよ!」
ロリ姉「おい待て誰に聞いた!」
ロリ「少女お姉ちゃん! 好きな人が出来た時のために覚えておきなさいって」
ロリ姉「あの馬鹿! 今度シメる」
136 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2020/11/11(水) 11:30:13.97 ID:kil6Uh7R0
ロリ「私マザーのこと好きだよ。だから私にもやらせて」
メガネっ娘「でも……」
ロリ姉「後悔しないか?」
ロリ「うん!」
ロリ姉「はぁ……いいよ。だけどちゃんと言うこと聞けよ」
ロリ「やった! ありがとお姉ちゃん!」
メガネっ娘「いいの……?」
ロリ姉「何するか分かってそれでもやるっていうんなら、本人の自由だ。止めねぇよ」
ロリ姉「それに、明らかにおかしい事しだしたら止めればいい」
メガネっ娘「……あなたが止めないなら私からは何も言わないよ」
サキュバス「さてと、それじゃあ始めましょうか」
サキュバス「マザーさんを助けるためにね」
137 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/01/16(土) 12:33:21.35 ID:8TUROl0G0
―――――
――――
――
マザーと呼ばれ孤児院の子どもたちから親しまれている女性――シスターには尊敬すべき養父がいた。
そもそもシスターも孤児院の育ちで、幼き頃から他の子どもたちと共に孤児院で養父の世話を受けていた。
養父は信心深い宗教家で、孤児院が教会を兼ねていたこともあって子供たちに様々な教えを施していた。
曰く、神は苦労を見逃さずそれ相応の幸福を与える。曰く、人を助けることは回り回って自分を助けることにつながる、等々。
敬虔なる神の使徒であった養父のことをシスターは心の底から尊敬し、彼のようになりたいと切に願っていた。
だからこそ、養父が突然亡くなったとき、彼女が自分から孤児院の運営を名乗り出たのは当然のことであった。
当時、シスターは十八歳の誕生日を過ぎたばかり――つまり、国の基準で成人したばかりの歳であったためすぐには国から認められなかったが、それでも折れずに説得した末に国が折れる形で孤児院の運営を任されたのだ。
孤児院そして教会の運営はシスターの想像を超えるほど厳しく、借金も増えていき、何度も挫けそうになった。だが、その都度養父から教えてもらった神のお言葉を思い出し心を奮わせた。
それに子どもたちもいた。
孤児院にいた子どもたちは皆優しく、そんな子らがいたからこそシスターは決して弱音を吐くことなんてなかった。
そして大人になり孤児院を出ていった子供たちが何かとシスターのことを気にかけ支援してくれることが次第に増えてきた。
おかげで孤児院にあった借金を全て返済することができ、運営はなんとか軌道に乗り安定しだした。
余裕はないが、少なくともすぐにでも潰れる危険はなくなった。
それがシスターが四十を過ぎた頃のこと。
138 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/01/16(土) 12:34:05.73 ID:8TUROl0G0
落ち着きだしてみると今度は求婚の申し出が増えだした。町の商人、役人、果ては孤児院を巣立った子供からも結婚を申し込まれたことがある。
シスター自身にもそういった願望が無いわけでも無かったが、自身の歳のことを考えて全てに断りを入れていた。
今更結婚しても……という思いが強かったのだ。
それにまだ孤児院には子供たちがいた。彼ら彼女らを放り出すわけには行かなかった。
そう思ったとき、養父のことを思い出した。
養父もきっとこんな思いだったに違いない。だから自分の幸せを顧みずに、子どもたちの面倒をみれたのだ。
そして現在、子供たちはどんどんと大人になり一人一人巣立っていっている。きっとこれが養父にとっての一番の望みだったのだろう。
そんな養父の気持ちを理解したと同時に……
――ああ、自分はちゃんと養父の後を継げていたんだ。
嬉しくなった。達成感と言ってもいい。
自分はこの気持ちのまま歳を取り、子供たちに囲まれて教会で亡くなるのだ。シスターは漠然とそう思った。それがシスターにとっての幸せで、苦難を乗り越えた自分に神から贈られた祝福だと思いこんでいた。
しかし、幸せは突如として終わりを迎えた。
何の予兆もなく、幸せを壊す爆弾が現れのだ。
――それは一人の少女。
「突然だけど、私に食べられてくれ」
139 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/01/16(土) 12:35:01.54 ID:8TUROl0G0
真夜中、何かに誘われるようにして礼拝堂へと足を運んだシスター。
彼女のことを迎え入れたのは、見たことのない少女。歳の頃は十五、六といったところか。――昨年孤児院を出ていった友魔女と同じくらいの年齢だ。
不法侵入してきた彼女に何も言うことができなかった。
それどころか、なんで自分がこんな真夜中に礼拝堂に足を運んだのかすらも分からなかった。
気づけば礼拝堂にいて、知らない少女が目の前にいた。
まるで悪魔に化かされたかのような――。
彼女を前にして分かったことはただ一つ。
彼女には決して逆らえないということ。
それ程までに、少女は絶対的で不可侵な存在に思えた。
それに気づいた瞬間シスターの中で少女の存在がデカくなった。
その圧倒的なまでの存在感にシスター自身も呑み込まれ、自我が沈む。
シスター「――――あ……」
服を剥ぎ取られ、牙を立てられた。
その牙は甘美な毒だった。
四十余年の人生の中で全く知らなかった過激さへの当惑。身体のあちこちを駆け巡る甘い電流。
それが『快楽』と呼ばれているものだと数瞬遅れて分からせられる。
それは何故か。
触れられた手に、熱に、吐息に――少女から与えられるもの全てに、身体が悦び震えたから。
140 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/01/16(土) 12:35:33.51 ID:8TUROl0G0
少女に触れられた所が、火傷したかのように熱を持ち、思考を狂わせる。
ああ、もっと触れてもらいたい。その乱雑な手で自分も知らなかった自分をさらけ出させてほしい。
欲の大火が身を焦がす。
秘部を拗じられ、嬌声が漏れた。
その先には子どもたちのことも、養父の遺志も、自身の幸せもなかった。
何も考えられなかった。考えたくなかった。
――私は今までこんなに気持ちの良いことを知らずに生きてきたのか。
胸中に渦巻く後悔と、悦び。
その日、シスターは自身の浅ましさを知った。
決して長くはない時間が過ぎた。
教壇の上には衣服の一枚も纏っておらず、あけっぴろげに裸体を晒しているシスターの姿が。
少女はいつの間にか姿を消していた。
白くなったシスターの顔には生気は見られない。
ただうわ言のように、もっと……もっと……と何かを求めて呟いていた。
次第にその声も消えた。
後には精気が抜け気絶したシスターだけが残った。
141 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/01/16(土) 12:36:08.87 ID:8TUROl0G0
意識の再灯火は秘部に流れた甘美な電流からだった。
あれからどれくらいの時がたったのだろう。
意識を失ってもなお、日に日に大きくなる快楽への渇望に気が狂いそうになっていた。
その中で秘所にチロチロと滑らかな刺激が。
たどたどしくも懸命に動くそれはシスターの女としての部分を疼かせるのに十分だった。
次第に意識がはっきりとしだす。
視界に映ったのはよく知った顔だった。
シスター「えっ――?」
ロリ姉「――マザー」
ロリ「やったぁ目が覚めたんだね!」
メガネっ娘「良かった……本当に良かった」
彼女らはシスターが目覚めたことに安堵の表情を浮かべた。
当のシスターは視界に入ってきた光景に口が開けなかった。
よく見知った少女たち。だが、その格好が異様だった。
全員一糸纏わぬ裸体を曝け出していた。
142 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/01/16(土) 12:36:52.56 ID:8TUROl0G0
そして秘部から走る快楽。
視線を自身の下腹部へと下ろすとロリ姉と目があった。
彼女はシスターの足と足の間に挟まるように身を潜り込ませていた。
ロリ姉の顔が秘部に近い。
瞬間、あの日と――己の浅ましさを知った日と、目の前の光景が重なった。
シスター「きゃあぁ――、っ――――!」
悲鳴が出そうになるのを塞がれた。
唇に柔らかい感触。
マウストゥーマウス。悲鳴はロリからのキスによって塞がれた。
突然の熱く柔らかな感触に身を強張らせる。
その隙にロリは口腔へと舌を挿し込んだ。
シスター「ん、んんんっっ――!!」
口の中を滑り気を帯びた軟体に蹂躙される。
舌を絡ませ、歯を舐められ――引き剥がさなくては、と思った頃には口腔を全て舐めとられ、満足そうに微笑むロリの姿が目の前にあった。
シスター「――なんてこと…………」
長年面倒を見続けた少女たち。なんだったら全員のおしめを変えたことだってある。
だのに――
143 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/01/16(土) 12:37:43.43 ID:8TUROl0G0
ロリ姉「ふふふっ、マザーすっごい濡れてるぜ。まだ足りないよな」
メガネっ娘「あっ次は私ね。お胸もいいけど、そこも舐めてみたい」
ロリ「じゃああたしはキスの続き〜」
こんな好き勝手に犯されるなんて。
なんとか抵抗しようとするも身体に力が入らず、なされるがまま。
シスター「やめ――やめなさい! あなた達!」
なんとか言えた静止の声も聞く耳はなく。
身体を這う指と舌は止まることなく激化した。
ロリ「ふふっ」
その中で不意にロリが微笑む。
育て子に犯される絶望に沈む中聞こえた明るい声はやけに不吉に思えた。
ロリ「そんな顔しないで――」
――いや、不吉じゃない。
シスターは既には知っていた。
この身を焦がすような甘い情動を。
身体に刻まれた悦びを。
ロリ「そんな気持ち良さそうな顔してたら、やめられないよぉ」
シスター「――――」
ああ、そうだった。
本当の私はこうだった。
今まで自分を厳しく律してきたが、本心では快楽を求めていたんだ。
ひょっとしたら、彼女達を育ててきたのだって、今日この日のためだったのかもしれない。
144 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/01/16(土) 12:38:11.48 ID:8TUROl0G0
シスター「お、おねがい――」
浅ましい自分に。
もっと――――。
シスター「きもちぃことして……」
瞬間、少女たちの目が変わる。
それはまさしく捕食者の眼だった。
その後、シスターはまた気を失うことになる。
淫魔と化した少女三人が満足するまでおもちゃとされたからだ。
行為後、三人分の愛と抑圧してきたものが満たされたことにより、シスターの顔は満ち足りた表情となっていた。
145 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:36:46.45 ID:JDgNG2z+0
――――――
――――
――
サキュバス「あらら全員寝ちゃった」
魔女娘「……3人とも途中から明らかに性格が違った……何したの?」
サキュバス「別に。ただの催眠よ」
サキュバス「自分のことを淫魔だと思いこむように催眠をかけたの」
サキュバス「そのおかげで淫魔にしか出来ない精気のやり取りもできたわけ」
魔女娘「それは……特性の同調じゃないの?」
サキュバス「少し違う。そもそも契約を結んでなくちゃ特性の同調は起こらないよ」
サキュバス「……まあ、マスターになら言ってもいいかな」
サキュバス「私って特別なの」
魔女娘「…………そう」
サキュバス「あ、軽口だと思ってるでしょ! 本当なんだからね!」
サキュバス「はぁ……マスターは『世界催眠』って知ってる」
魔女娘「……なにそれ。聞いたことない」
サキュバス「だよね。特別なサキュバスだけが使える催眠術だから知らなくて当たり前だけど――正しくは『世界を惑わすほどの催眠』っていうんだけど」
サキュバス「おかしいと思わなかった。マスターだって知ってるでしょ、催眠はそんなに便利なものじゃないって。人のことを操るのは……まあ出来るけど、操れる時間と人数は術者の資質と魔力量に依存してるし、それに催眠じゃ見た目を変えることは出来ない」シッポフリフリ
魔女娘「じゃあ人間に見えるように自分に催眠をかけたっていうのは嘘?」
サキュバス「んにゃ、本当」
サキュバス「私が望んだように事象を改変する――言うなれば世界そのものに催眠をかける。これが【世界催眠】の能力」
魔女娘「――なんでも自分の思い通りに出来るの?」
サキュバス「そうだね。なんだったら世界だって滅ぼせるよ。ま、【世界催眠】は私が認識できることにしか作用しないけどね」
魔女娘「……とんでもないな」
サキュバス「そう。だから特別なの」
魔女娘「…………。その力で死んだ人を蘇らせるのは可能?」
サキュバス「――少なくとも今まで成功したことはないわね」
魔女娘「そう……」
サキュバス「誰か……蘇らせたい人がいるの?」
魔女娘「……ほんと、こういう時デリカシーないな」
サキュバス「あらごめんあそばせ。なにしろ淫獣崩れなもので」
魔女娘「――母親だよ。また会いたいのは」
146 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:38:35.50 ID:JDgNG2z+0
サキュバス「……余りいい人ではないみたいに言わなかったっけ」
魔女娘「確かに娼婦だったし、私の前で客引きするような倫理観の欠片もない人だったけど……」
魔女娘「それでも私の母親だから」
サキュバス「ふぅん……どんな家族だったの」
魔女娘「底辺も底辺。娼婦の母親とツキのない賭博師の父親」
魔女娘「お金もなかったし、住む場所が無い時もあった」
魔女娘「――ある日、母親が廃人になった」
サキュバス「廃人?」
魔女娘「物も言わない。ご飯も食べない。動きもしない」
魔女娘「ただ息をしているだけの状態だった」
魔女娘「母親の稼ぎだけで暮らしていたから、何とかしてお金を稼ぐ必要が出てきた。借金もあったしね」
魔女娘「それでやったのが魔法使い狩り」
サキュバス「やってたって言ってたわね……」
魔女娘「ん。父親と二人でね。数回はうまくいったけど」
魔女娘「所詮ツキのない賭博師のやること。すぐに返り討ちにあった」
魔女娘「父親が半殺しになる様を見て、私も殺されると思った――その時だった。私が魔法に目覚めたのは」
魔女娘「なんとかその場は魔法使いを返り討ちにしたけど……」
サキュバス「まあ、問題よね。貴族のお子様をボッコボコにしちゃったんだもの」
魔女娘「すぐに身元がバレて親の方が報復にやってきた」
魔女娘「……そのとき、そのお貴族様は私に二つの選択を迫った」
魔女娘「養子に来るか。殺されるか」
サキュバス「養子……?」
魔女娘「魔法の才能がずば抜けてたみたい」
147 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:39:05.20 ID:JDgNG2z+0
魔女娘「それに養子に来れば大金を渡すとも言われて、父親は目の色を変えた」
魔女娘「父親は喜んで私をお貴族様に差し出した」
サキュバス「それは……」
魔女娘「別に同情が欲しいわけじゃない。お貴族様になったおかげでご飯もいっぱい食べれるし」
魔女娘「ただ家を出て少ししてから母親が死んだと聞いた。それが……」
サキュバス「気になるのね……」
魔女娘「まあね」
魔女娘「サキュバスは? 家族いないの?」
サキュバス「姉がいたわ」
魔女娘「いた?」
サキュバス「……あら、マスターだってデリカシーないじゃない」
魔女娘「……ごめん」
サキュバス「ははっ、いいよ。ただの軽口だから」
サキュバス「行方不明なのよ。もう十年になるかな。死んだかどうかすらわからない」
魔女娘「そっか……」
サキュバス「――いなくなった人と……また、会いたいわね」
魔女娘「そうだね……」
148 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:39:42.19 ID:JDgNG2z+0
――――――
――――
――
友魔女(よし! 教会まであと少し)
ドゴーン
友魔女「なに今の音??」
???「ギャオオオォッ!!!」
友魔女「あれは――【災厄の魔女】の下僕! やっぱり【災厄の魔女】が目覚めたのか?!」
タスケテーダレカーシニタクナイッ
友魔女「っ! 町が!」
下僕「グルルルッ!!」ドカーン
友魔女「こっちに来るか!」トタタ
下僕「ギャオォン!!!」ギロリ、ドシドシ
友魔女「――違うなこれ」
友魔女「私を狙ってるんだ!」
ライバル魔女「【オーバーノヴァ】!」ドガーン
下僕「グッガァアッ!」ドガーン
ライバル魔女「大丈夫ですの!? 友魔女さん!」シュタッ
友魔女「何で――」
ライバル魔女「貴方って結構顔に出るタイプですのよ! 何があったか知りませんけれど、明らかに冷静さを欠いていた貴方を一人にはできませんわ!」
友魔女「だからついてきたの!?」
ライバル魔女「あら? 余計なお世話でした?」
友魔女「……いや、助かったよ。ありがとう」
ライバル魔女「礼を言うにはまだ早いですわよ」
下僕「グルル」ギロッ
ライバル魔女「なかなか大きいじゃありませんの」
友魔女「……オーバーノヴァが効いてない」
ライバル魔女「そんなこともありますわ」
149 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:40:15.12 ID:JDgNG2z+0
友魔女「――あいつを操ってる奴に心当たりがある! そいつを叩けば多分こいつも消える!」
ライバル魔女「じゃあお互いにやるべきことは一つですわね」
ライバル魔女「ワタクシはコイツを力の限りねじ伏せる。友魔女さんはその隙きに心当たりとやらの場所へ行く」
友魔女「そんな……上級破壊魔法のオーバーノヴァが全く効いてない相手だよ! 応戦するんじゃなくて逃げながら操ってる奴を倒したほうがいい!」
ライバル魔女「そんなことしたら町にどれ程の被害がでるか分かりませんわ。今のオーバーノヴァが効かないんだったらもっと魔力を込めて撃てばいいだけの話。十二分に戦えますわ」
友魔女「でも……」
ライバル魔女「ワタクシを誰だとお思いで!」
ライバル魔女「魔法界の華と呼ばれ、学園生屈指の実力を持ち――なにより」
ライバル魔女「魔女娘さんの生涯のライバルですわよ! こんなところでくたばりませんわ!」
友魔女「……ごめん。すぐ大元を潰してくる」タタタッ
ライバル魔女「あら、その前にあのデカブツ程度いなしてみせますわよ」
下僕「ガルルッ!!」
ライバル魔女「おっと――ここから先へは行かせませんわ」
ライバル魔女「【サモン】!!」
ライバル魔女「折角の初陣ですもの。カッコよく決めますわよ――ドラゴンちゃん!」
ドラゴン「ギャアアアアァァッッッ!!!」
下僕「グゴアァァッッツツツ!!」
150 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:41:28.24 ID:JDgNG2z+0
☓
ドーンドゴーン
サキュバス「なんか外騒がしくない?」
魔女娘「……爆発音?」
サキュバス「戦争でもやってるのかしら。ちょっと見てくるわ」
魔女娘「危ないと思ったら逃げるんだよ」
サキュバス「はーい。……冗談で戦争って言ったけど、本当に起きてないわよね?」
魔女娘「起きてるとしたら戦争じゃなくてテロ」
サキュバス「うへぇ……ま、滅多なことにはなってないでしょ」ガチャ
シスター「う、うーん――」
魔女娘「あ、おきた」
シスター「あなたは……?」
魔女娘「通りすがりの魔法使い。仮免だけどね」
シスター「はぁ……あ、お祈りの方ですか? でしたら聖堂の方に……」
魔女娘「それだけ話せるなら大丈夫そう。覚えてる? 数日寝込んでたみたいだけど」
シスター「数日……? そういえばここ寝室――あ」
ロリ「すうすう」
メガネっ娘「すぴー」
ロリ姉「ぐぅすか」
シスター「なんでこの子達が私のベッドで――。――――あっ!」
シスター「――私、なんてこと……」アワアワ
魔女娘「落ち着いて」
151 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:42:50.81 ID:JDgNG2z+0
シスター「夢……じゃありませんよね」
魔女娘「……思い出したか」
魔女娘「マザーさん。貴女は淫魔に食べられて精気が欠乏している状態でした。その娘達は欠乏分の精気を注いでくれたんです」
シスター「淫魔……? アレは淫魔のせいで……」
魔女娘「そう。だから……」
シスター「嘘よ」
魔女娘「……嘘じゃなくて本当に――」
シスター「嘘よ――! おぞましい……現実なわけありません! あんなことを娘達に……」
ロリ「ん……ふわぁ――あっマザー起きてる! えへへ元気そうだねぇ」
シスター「ロリ……」
ロリ「えへへ、恥ずかしかったけどキスして良かったよぉ」
シスター「――忘れなさい」
ロリ「ふぇ?」
シスター「このことは忘れなさい」
ロリ「えぇ?! なんでぇ? マザーだってあんなに気持ち良さそうだったのに――」
シスター「黙りなさい!」
ロリ「マザー……?」ビク
シスター「あれは悪い夢だったのです」
シスター「……少し一人にさせてください」フラリ
ロリ「ま、マザー……どこに行くの? 病み上がりなんだから安静にしてなきゃ駄目だよ……」
シスター「………………」ガチャ、バタン
ロリ「マザー……」
152 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:44:09.62 ID:JDgNG2z+0
シスター(取り返しのつかないことを……
シスター(あの子達はまだ子どもで守らなくてはいけないというのに……私が……)
サキュバス「あ……」
シスター「――――? 礼拝の方ですか? 申し訳ありませんが本日は……」ヨロ
サキュバス「よかった。目が覚めたのね」
シスター「……貴方もですか」
サキュバス「はい?」
シスター「私は淫魔になんて食べられていません! 何か……そう! 悪い夢を見ていただけなのです! だから……あんなの……嘘」
サキュバス「嘘じゃないけど。記憶が混濁してるのかしらね。貴女は淫魔に食べられて倒れて、あの三人娘に救われた。それは本当のことだけど」
シスター「だから――! それは夢で……」
サキュバス「なんでそんな無かったことにしたがるのよ」
サキュバス「あの子達があなたの事を大切に思ってたからしたことじゃない」
シスター「え……?」
サキュバス「分かってないみたいだから言うけど、あの子達があなたの事を抱かなければ、あなた廃人になって死んでたのよ」
サキュバス「それが嫌だからあの子達はあなたとセックスしたのよ」
サキュバス「それにあの子達じゃなくて私が抱いても貴方を治せた。……けどあの子達は自分たちの手であなたの事を治したのよ」
サキュバス「なんでかは私にだって分かるわ。――あなたのことが大切だったからよ。あなたの事を思っていたから、よその誰かに任せずに自分の体を張って助けたかったのよ!」
サキュバス「その思いを夢なんて言葉で否定するのは、あの子達が可哀想だわ……」
シスター「だとしても――私は……あの子達を汚してしまった」
サキュバス「セックスは汚すことじゃないわ――愛を交わす行為よ」
サキュバス「そりゃ同族の中にはただの食事だと思ってるやつもいるし、人間の中にだって恥ずべき行為だとしているやつもいるわ」
サキュバス「でも、愛してなきゃ自分から身体を捧げるなんてできないわよ。……少なくともあの子達は自分達が汚されたなんて思ってないはずよ」
シスター「……気持ちいいと思ってしまったんです」
サキュバス「そりゃ、気持ちいいことしてたんだから当たり前でしょ」
シスター「……彼女達を気持ちいいことするための道具のように思ってしまうかもしれない」
サキュバス「それは……ないんじゃない? だって、貴女はそんなにも悩んでる。道具だなんだって思うやつはそんなに悩まないわよ」
シスター「でも……いけないことです」
サキュバス「なんで? 好き同士なら当たり前にすることだよ」
153 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:45:49.19 ID:JDgNG2z+0
シスター「なんでって……娘同然の存在ですよ」
サキュバス「実の娘じゃないし。仮に血が繋がってたとしても、お互いに望んでるでしょ――だったら問題なしよ」
シスター「望んでいないですし、そんなこと許されません!」
サキュバス「だれが? だれが許してくれないの?」
シスター「それは……そう、主です。主は婚前の姦淫を許しません。この逸話は御神歴にも記してあります」
サキュバス「倒れた貴方を救ったのは主じゃなくて、三人娘よ」
サキュバス「ねえ。いい加減認めたら?」
シスター「…………――――ぃ」
サキュバス「え?」
シスター「認められる訳ないじゃない!」
シスター「私がこの気持ちを認めてしまったら、養父は……養父の遺志はどうなってしまうのですか!」
シスター「子ども達を立派に育て上げる。その志を養父は生涯やり遂げました! 私はその遺志を継いでいるのです」
シスター「養父の遺志は私の誇りです! 私は! 養父に誇れない自分にはなりたくないのです!」
サキュバス「それが本音か。――って言ってるけど」
シスター「え?」
ロリ姉「マザー……」
ロリ「……マザぁ」ウルウル
メガネっ娘「…………」
シスター「あなた達……」
メガネっ娘「マザーにとって私達は誇りを守るための道具ですか?」
シスター「何を言って……」
ロリ姉「メガネっ娘の言うとおりだぜ。マザーにとって私達はそんだけの価値しかなかったのかよ」
ロリ「マザー……そうなの?」
シスター「ちがっ――」
ロリ姉「だったら――だったらその誇りって重荷降ろせよ」
メガネっ娘「孤児院のマザーとしても、教会のシスターとしてもマザーはもう十分すぎるほど頑張ったよ。――いい加減自分のために生きても良いはずだよ」
ロリ「ねぇマザー……マザーの思いを教えて……」
シスター「………………」
シスター「あの日から……自身の浅ましさを知った日からおかしいのよ」
シスター「まるで篝火みたいな小さな火が、お腹の下にずっと燻って…気を抜くと抑えられないほどの大きな炎になりそうで」
シスター「狂いそうなの。身体が快楽を求めて……求めて――我慢できなくなりそうで……」
154 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:46:45.66 ID:JDgNG2z+0
シスター「今も気をしっかり持たないと貴方達を押し倒してしまいそうで……今までの自分と全く違う。まるで自分が自分じゃなくなったみたいで、怖いのよ……」
ロリ姉「なんだ。そんだけのことかよ」
シスター「そんだけって……」
ロリ姉「そんだけのことだわ――押し倒したかったら好きに押し倒していいぜ」
メガネっ娘「はい。私もです」
ロリ「私も〜」
シスター「なんで…」
ロリ姉「なんでも何も、マザーのことが好きだからに決まってるだろ」
メガネっ娘「私達はあなたの全てを受け入れますよ」
ロリ「だってマザーのことが好きなんだもん! マザーのためだったら何だってできるよ!」
シスター「あなたたち……」
ドゴーン!!
ロリ「わわわっ!! なんの音!?」
魔女娘「サキュバス、音の正体は分かった?」
サキュバス「あ、いたんだマスター」
魔女娘「ずっといたわ。で、音は?」
サキュバス「残念ながらまだ外出てないから分かってないわ」
友魔女「シスタァァァアアアアッッ!!!!」ドガン
魔女娘「友魔女!?」
友魔女「魔女娘っ?! なんでここに……じゃない! シスターっ! 今すぐに下僕を止めろ!」
シスター「なんのこと……?」
友魔女「とぼけるな! お前が【災厄の魔女】の生まれ変わりだってことは分かってんだ――だから――!」
下僕「ゴォオォオオオォ!!!」ドゴーン
友魔女「早くこいつをとめろ!!」
ロリ「きゃあああぁっっ!」
ロリ姉「なんだよ、あれ」
メガネっ娘「壁が……おもちゃの積み木みたいに……」
魔女娘「――っ! 友魔女! あれは何?!」
155 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:47:55.06 ID:JDgNG2z+0
友魔女「【災厄の魔女】の下僕! 操ってんのがお前だってことは分かってんだシスター!」
シスター「ち、違います! 私じゃありません!」
魔女娘「落ち着け、友魔女! 自分がおかしなこと言ってると分かってる?」
友魔女「どいて、魔女娘! そいつを殺せば後ろの怪物は止まるんだ!」
魔女娘「どかない。――あの怪物は私が倒す」
魔女娘「そのあと落ち着いて話を聞くから」
友魔女「倒せるようなものじゃない。足止めしてくれたライバル魔女もやられたんだぞ!」
ライバル魔女「誰がやられたですって――!」
友魔女「ライバル魔女――! 無事だったの!?」
ライバル魔女「ええ! 勝手に負けたと決めつけないでくださいまし! むしろ一回叩き潰して差し上げましたわ!」
魔女娘「じゃあそのデカブツはなに?!」
ライバル魔女「木っ端微塵に叩き潰したら、吹き飛ばした腕から再生して逃げられたのですわ!」
ライバル魔女「で、この怪物はどこの誰が操っているんですの?!」
友魔女「シスターっ!」
シスター「ひっ!?」
魔女娘「違う! この人じゃない!」
友魔女「いいえ、この人が全ての現況なの! 私は知ってるだから!」
魔女娘「友魔女!」
ライバル魔女「……なるほど。友魔女の方の解決策は解決策になりそうにありませんわね」
友魔女「――なんで誰も信じてくれない! あいつが消えれば――」
魔女娘「とりあえずあのデカブツを倒してから話は聞く」
ライバル魔女「狙いは友魔女さんですわ」
魔女娘「だったら――」ガシッ
友魔女「ちょっと! 魔女娘! 私は――」
魔女娘「いいから、一緒に来い。あのデカブツを人気の無いところまで誘導する」
ライバル魔女「ドラゴンちゃんにお乗りなさい! 外にいますから」
友魔女「そんなことしなくても、この場であいつを殺せば――」
ロリ姉「いい加減にしろよ――!」
ロリ姉「マザーを殺すだなんだ……聞いてれば好き勝手言いやがって! お前がマザーのこと嫌いなのは知ってるよ! けどなせめて最低限の育ててもらった恩はないのかよ……」
友魔女「――――魔女娘、手……離して」
魔女娘「友魔女……」バッ
友魔女「――……さい」トタトタ
156 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:49:29.24 ID:JDgNG2z+0
ロリ姉「は?」
友魔女「うるさいんだよ! 名前すらなかったモブ風情が! 私だけしか知らないんだから――私にしか出来ないんだから! モブはモブらしくそこらへんにすっこんでろよ! 邪魔――するな!!」
ロリ姉「なんだと――」
ロリ「――! お姉ちゃん!」グイ
メガネっ娘「ロリ姉――! 下がって!」グイ
ロリ姉「ぅ――わ!!」
魔女娘「友魔女――避けて――!!」
友魔女「なに……?」
下僕「ウゴアアァアァァァ!!」ゴゥン
友魔女「う、そ……」
魔女娘「友魔女――――っ!」
ライバル魔女「ごほっ……ごほごほ――! 土煙が……ごほっ!」
魔女娘「友魔女――友魔女っ友魔女っ――!」
ロリ姉「そんな――」
友魔女「ごほっ……大丈夫……」
魔女娘「友魔女っ!!」
魔女娘「よかった! 怪我は――え?」
ロリ姉「嘘だろ……なあ――嘘って言ってくれ――!」
ロリ姉「マザー――!」
シスター「ぅ……あ、かはっ――」ゴポッ
メガネっ娘「瓦礫に……友魔女を庇って……」
ロリ姉「すげぇ量の血……おい、頼むよ魔法で治療してくれ。……はやく……死んじまうよ」
ライバル魔女「……残念ですが……出血だけならまだしも、腹部の損傷が激しすぎますわ……これは……もう」
ロリ姉「おい! ふざけるな! マザーはさっき寝たきりから回復したばっかなんだぞ――それなのにこんなのって……」
ロリ姉「お前の……お前のせいだ、友魔女ォ――!」
友魔女「なんで、なんで私を庇って……え? なんで死にかけてるの……シスターは【災厄の魔女】で、この世界のラスボスで……こんなことで死ぬはずないのに……え?」
下僕「グゴオオォオオオォぉぉ!」
ライバル魔女「お逃げなさい、友魔女! 追撃がきますわよ!」
友魔女「なんでこいつも消えてないの? 【災厄の魔女】が死んだらこいつも消えるはずなのに……」
友魔女「あれ……なんで……」
157 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:50:53.11 ID:JDgNG2z+0
魔女娘「ちっ――【オーバーノヴァ】ッ!!!」ドゴゴゴンッ
下僕「グオオン!!」ヨロリ
ライバル魔女「……明らかにタフになってますわね。魔女娘さんのオーバーノヴァでも怯む程度ですか」
ライバル魔女「ですが逃げる時間は稼げますわね……友魔女早くこちらへ、外に逃げますわよ。他の皆様も! 建物がもう持ちませんわ」
ロリ「お姉ちゃん、早く逃げよう」
メガネっ娘「ほらロリ姉もはやく――」
ロリ姉「……逃げるんならマザーも一緒だ」
友魔女「……だって……こんなのおかしい……」
ロリ姉「友魔女――!」
友魔女「――……」ビクン
ロリ姉「お前のせいだぞ」
友魔女「わたしの……」
ロリ姉「お前の、その無根拠な自信がマザーを殺したんだ……」
友魔女「だって……だって本当ならシスターが【災厄の魔女】で……全部悪いのはこいつのはずなのに……」
ロリ姉「まだ言うか――」
シスター「だめよ、ふたりとも」ヒューヒュー
シスター「仲良く……しなさい。家族でしょ」
ロリ姉「マザー……!」
シスター「ロリ姉……あなたのその真っ直ぐなところは美点だけれど、少しは折れることも知るべきね」
ロリ姉「やめろよ……そんな遺言みたいな」
友魔女「なんで……なんで私のことを庇った……お前のこと殺そうとしたんだぞ」
シスター「友魔女……あなたが私のことを嫌っているのは分かっていました。……それでも、あなたの年下に対する面倒見の良さ、優しさを私は知っていますよ。自慢の娘と思うにはそれだけで十分」
シスター「……なんで庇った、なんて悲しいこと聞かないでください……あなたは、私のかわいい娘なんですもの」
シスター「例え……ゴボッ……死んだって、あなたのことを守ります」ニコリ
友魔女「――そんな……そんなのって」
ロリ姉「おい! マザー! 駄目だ……駄目だよ! いかないでくれ! お願いだ――いかないで!」
友魔女「私は――私は、ただ……」
シスター「笑ってください。二人とも。私は自分の子供たちに笑顔で送られるのが夢だったんです」
魔女娘「じゃあその夢はしばらく叶わないな――」
魔女娘「【オーバーリキュア】」パアァ
ロリ姉「傷が――!」
シスター「これは……」
ロリ「治ってる――見て、マザーの傷治ってるよ!」
メガネっ娘「嘘――嘘じゃないよね」
ライバル魔女「さすがワタクシのライバルですわね……あれ程の怪我を治せるなんて」
158 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:51:41.40 ID:JDgNG2z+0
魔女娘「立てよ。友魔女」
友魔女「魔女娘……違う……違うの……私は……」
魔女娘「言いたいことはあるし、聞きたいこともある――だけど今は、アイツをどうにかするほうが先!」
下僕「グゴォ――!」
ライバル魔女「動き出した! ――魔女娘さん友魔女さん、はやく!」
魔女娘「いくよ!」グイッ
友魔女「う……うぅ」フラリ
ライバル魔女「大丈夫ですの……?」
魔女娘「大丈夫じゃなくても、あの化け物、友魔女を狙ってるんでしょ。ここにはおいておけない」
ライバル魔女「……やるしかありませんわね。……ほらドラゴンちゃんの背に乗って!」
ライバル魔女「――行きますわよ! お願い、ドラゴンちゃん!」
ドラゴン「グルォオオオン!」バサッ
159 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:53:27.41 ID:JDgNG2z+0
空から見る町の惨状は思わず目を覆いたくなる程だった。
あちこちから上がっている煙。
止まらない悲鳴と爆発音。
そして――
魔女娘「何体いるんだよ――」
数体の下僕が町を破壊していた。
大きさは友魔女を追っているやつよりは小さいが、それでも人の二倍は背丈がある。
友魔女「……下僕は分裂する。何体にも増えるし、倒してもすぐ再生する」
未だ茫然とした友魔女は、淡々とした調子で告げる。
友魔女「倒す方法は一つだけ。召喚者を殺すしかない」
魔女娘「じゃあ、それは無理だ。召喚者が分からない」
ライバル魔女「でしたら直接あの化け物を倒すしかありませんわね」
友魔女「だから無理だって……見たでしょ、単純に強いし、傷を負わせてもすぐに再生する」
ライバル魔女「じゃあ再生する前に倒しきればいいだけの話じゃありませんの」
友魔女「無理だって! 数だってどんどん増えていってる! 私の手じゃ負えないよ!」
魔女娘「友魔女だけじゃない。私もいる」
友魔女「端役に何ができるって?」
ライバル魔女「友魔女さん! あなたちょっとおかしいですわよ!」
友魔女「黙れよ……【災厄の魔女】にやられるためにいる奴が私に口答えするな」
サキュバス「あぁ〜お三方、言い合いそろそろ止めたほうがいいかも」
サキュバスはそう言うと眼下に広がる町を指差した。
魔女娘は何も言わずに指差された方を見る。
破壊が止まっていた。
そして、いつの間にか数十体まで増えていた下僕の全てがこちらを――ドラゴンに乗り宙を飛んでいる魔女娘達を見上げていた。
下僕「グゴォォォォアッ!!!」
下だけじゃない。背後からの雄叫びに鼓膜が震える。
雄叫びの主は先程から友魔女のことを追っている下僕だ。
魔女娘たちがドラゴンに乗って飛んで逃げると、背中から翼を生やして飛行しながら追って来ていた。
その下僕が叫ぶ。
「「「グルォオオオンッッツ!!!」」」
咆哮に共鳴し下にいる下僕も吠えた。
化け物共の咆哮に魔女娘達の身体が震える。比喩でもなんでもなく声による振動で実際に震えているのだ。
サキュバス「こりゃまずい」
サキュバスの頬に冷や汗が伝う。
下にいた下僕の背に翼が生え、一斉に羽ばたき出したのだ。
一直線にドラゴンへと向かって飛んできた。
ライバル魔女「――! ドラゴンちゃん! スピードを――」
魔女娘「いや、今のままでいい」
160 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:54:35.74 ID:JDgNG2z+0
ライバル魔女「追いつかれますわよ!」
魔女娘「迎え撃つんだよ」
そう言うと魔女娘は指先を背後から追ってきている下僕へと向け――
魔女娘「とりあえずお前は一回落ちろ――【オーバーノヴァ】」
下僕の翼が爆ぜた。
飛ぶために必要な部位が突然なくなったことにより、下僕は重力に捉えられた。
町へと落ちる前に魔女娘は再度魔法を発動する。
魔女娘「【シャドウバイト】」
落下する下僕の下に突如巨大で漆黒の顎が現れた。
顔はない。肉食獣を思わせる鋭い牙とそれを覆う口角。
バグリ。
大きく開かれた影の口が下僕を捕食した。
咀嚼され、バキバキとかたいものが砕かれる音が響く。
だがそれも長くは続かない。
不意に影の顎が弾けて消えた。
顎から出てきたのは“三体”の下僕だった。
友魔女「分裂した……ほら無理じゃん」
魔女娘「ドラゴン止めて。合図したら全速で郊外へ」
ライバル魔女「迎え撃つんですのね。やれますの?」
魔女娘「やる」
眼下には四方八方に下僕が。
総数は二十八。
視線を巡らせ、下僕の正しい数と位置を瞬時に把握する。
魔女娘「【シャドウバインド・チェイン】」
イメージするのは首輪。そしてそれを繋ぐ鎖。
犬に首輪を括って制御するように。
魔女娘「どっちが上か教えてやる――」
下僕全ての首に黒い円が描かれる。
その円は一瞬にして質量を持ち首輪となって下僕を縛る。
首輪から鎖が伸びて、それら全てが束ねられ魔女娘の手へ。
魔女娘「【ライトニングボルト】」
バリリリリッ!!
鎖を伝って紫電が走る。
下僕共は突然の感電に悲鳴にならない悲鳴を上げる。
魔女娘の握る鎖が重くなる。
数体の下僕が飛んでいられなくなったのだ。
それを身体強化の魔法を使って握り続ける魔女娘も見事なら、ものともせず滞空するドラゴンも素晴らしかった。
魔女娘「ライバル魔女! お願い――!」
ライバル魔女「ドラゴンちゃん! まっすぐ全霊で羽ばたきなさい!」
暴風爆発。
許しを得たドラゴンは雄叫びを上げると、力強く翼をはためかせた。
風とともに下僕を引き連れ、最高速度で前へと進む。
ぐんぐんと前へ。景色が目まぐるしく変わる。
やがて人の気配のない開けた土地へとたどり着いた。
161 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:55:54.87 ID:JDgNG2z+0
魔女娘「ありがとう」
鎖を手放し、下僕を地面へと放り投げた。ドシンと重たい音がして土煙が上がる。
ドラゴンはそこから少し離れたところで地面に着地した。
魔女娘「これで全力で叩ける!」
カッカッカッ!
地に降り立った魔女娘は、数回踵を踏み鳴らす。
魔女娘「【オーバーフィジカルブースト】【オーバースピードソニック】【オーバーリジェネルーター】」
最上位の身体強化の重ねがけと自動回復で準備完了。
眼前で蠢く異形の化け物共に狙いを定める。
腹の底に力を込めて、精魂を四肢に漲らせ――――思いっきり地面を踏み込んだ。
ドッ――――!
踏み込みと同時に空気の爆ぜた音が鳴り響く。
加速――加速! 加速!
下僕目がけて目にも止まらぬ速さで駆け抜ける!
魔女娘「【スターダストメテオ】!」
流星となって敵に突っ込む。
メテオの名を関する通りのインパクト。
たまらず下僕共は散り散りに吹き飛んだ。
衝撃が下僕共を駆け巡り、数体の下僕は身体を維持することができず塵となってボロボロと崩れ去った。
【スターダストメテオ】。
限界ギリギリまで引き上げられた身体能力が可能にする亜音速の体当たり。自爆特攻の大技。威力だけなら【オーバーノヴァ】より幾段も上。
それだけにまともに撃ったら魔女娘だって無事で済まない。
だが、そのための自動回復。
空気との摩擦で焼け焦げた肌が瞬時に回復し、反対に曲がった両腕と肉が裂け骨の見えた両足も一瞬で元に戻った。
魔女娘「……十八体――結構残った」
カッカッカッと再度踵を踏み鳴らす。
魔女娘「とりあえずあと2回。やろうか」
暴力が吹き荒れる。
下僕達はなす術なく着々と数を減らしていった。
二度の衝突の後、辺りは一面更地となっていた。
そこに立っていたのは――
魔女娘「ん。全部消えた」
無傷の魔女娘だった。
破壊の限りを尽くした魔女娘は晴れ晴れとした顔でドラゴンの元へと戻る。
彼女を出迎えたのはあんぐりと口を開けている友魔女。
ライバル魔女は一度目の突撃で下僕を蹴散らした時までは当然といった顔で見ていたが、躊躇うことなく自爆技を連発する様を見て、口角を引つらせ若干引いていた。ドラゴンでさえ顔をそらして目を合わせないようにしていた。
友魔女「な――なっ――」
魔女娘「……ま、こんなもん」
友魔女「こんなもんじゃなくて! なんで下僕を倒せるの!?」
魔女娘「あの化け物共に大した強さは無かった。……いや強かったけど私ほどじゃなかった」
魔女娘「ライバル魔女だってあの化け物を抑え込むことができたって言うし。ライバル魔女にできるなら私にだってあの化け物を倒せる」
ライバル魔女「学園生でアレを倒せるのはワタクシか魔女娘さんくらいでしょうね」
魔女娘「ん。それくらい強かった」
162 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/02/14(日) 09:56:30.70 ID:JDgNG2z+0
友魔女「でも再生は!? なんで復活しなかったの?!」
魔女娘「あの手のやつは修復不可能なくらい粉々にすると再生してこない」
友魔女「じゃ、じゃあまさか本当に……」
魔女娘「ん。倒した」
友魔女「そんな……」
ライバル魔女「……とりあえず町へと戻りましょうか」
魔女娘「そうだね。……町についたら話聞かせてね、友魔女」
この時四人の雰囲気は弛緩していた。
倒しきったと……下僕共を全て倒せたと思いこんでいた。
黒い霧が渦巻く。
そして、一陣の風が吹きすさぶ。
最初に異変に気づいたのは友魔女だった。
友魔女「やっぱり……」
ポツリと漏らしたその言葉。
友魔女「やっぱり私の言ったとおり――!」
諦念と絶望に……ほんの少しの喜びを織り交ぜ。
友魔女「あいつは倒せない!」
風が凪ぎ、霧が晴れた。
そこにいたのは――
下僕「――――――――ッオ!!!!」
巨大。圧倒的なまでの大きさ。
先程まで友魔女を追ってきたやつとは比べ物にならないほどに。
存在感と威圧感。さながら城だ。
ライバル魔女「再生しましたわね……」
魔女娘「ん」
ライバル魔女「どうしますの……?」
魔女娘「決まってる」
下僕を見上げる。
その強大さにさしもの魔女娘も肝を冷やしていた。
果たして勝てるかどうか。
だが、引く気はない。
あいつは友魔女を――友達を狙っている。
それが分かっているからこそ引くわけにはいかなかった。
魔女娘「また倒す!」
ライバル魔女「ええ! 今度はワタクシも手を貸しますわ!」
第2ラウンドの始まりだった。
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
:2021/06/03(木) 13:37:05.01 ID:wReSWhMEO
あげ
164 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/06/17(木) 08:04:17.55 ID:LIbRpXZ60
魔女娘「【オーバーノヴァ・フォーマルハウト】」
今日一番の爆音。
星の生まれる爆発。それと同等の爆発を受けても下僕はビクリともしていない。
思わず舌打ちの一つでもしたくなるが、そんな余裕はない。
下僕が魔女娘目がけて腕を振り下ろした。
ライバル魔女「【オーバーアースウォール・ハード】」
魔女娘と下僕の間に巨大な壁が現れる。
ゴウンっと固いもの同士がぶつかる特有の音が響く。
長くは持たない。壁の方がミシミシと軋み、積み木で作った壁のように簡単に崩された。
ただしそのおかげで魔女娘は下僕からの攻撃を余裕を持って避けることができた。
だがそれだけ。そこから攻撃に転じられない。
戦況は劣勢。
こちらの攻撃は通らず、あちらの攻撃はガード不能。おまけに一撃でも喰らえば致命必死。
魔力だって無限にあるわけじゃない。魔力だけじゃない集中力だって切れる。
現に魔女娘はまだなんとか戦えてはいるが少しバテてきていた。
ジリ貧。
魔女娘とライバル魔女の胸中には焦りが生まれ始めた。
焦りは二人の戦いを見守っていたサキュバスにもあった。
サキュバス「――――」
実はサキュバスにはこの状況を好転させる手が一つだけあった。
だがそれをすれば必ずバレる。――自身を縛っていた闇に気づかれる。
気づかれればまた闇の中に連れ戻されてしまう。
サキュバスの中に迷いがあった。
せっかく召喚されるという抜け道で自由を得たというのに、みすみす自由を手放すというのか。
まだ出会って数日の人のために。
サキュバス「――違うだろ」
思い起こされるのは召喚されてから今日までの記憶。
厄介な使い魔を召喚したせいで死にかけたというのに、その後も変わらず一緒に笑い合ってくれたマスター。
誰かと話をするだけでも楽しくて――心をときめかせた毎日。
未知の体験、見たことのない風景。
生きてきて今までで一番楽しかった。
彼女達と一緒にいたから楽しかった。
数日とか知り合った日数は関係ない。
サキュバス「好きなんだ――マスター達のことが」
失いたくない。
失いたくないから、覚悟を決めた。
165 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/06/17(木) 08:07:14.85 ID:LIbRpXZ60
サキュバス「マスター! 今から【世界催眠】でその化け物を無力化するから、一撃で仕留めて!」
大声で主人へと告げる。
それと同時に自身にかけていた催眠を解いた。
羽としっぽがクルリと翻る。
身に纏った服も姿を変え、布地の面積が極端に減る。
上と下、紐のような太さの黒い布で大事なところをかろうじて隠すのみで肌の殆どを見せていた。
これが淫魔としての本領を発揮するための正装。
催眠の本質は誘惑だ。
相手に自分のことを魅力的に見せなくては催眠の効きは悪くなる。
【世界催眠】とて同じこと。
淫魔の正装には催眠をかけやすくする能力がある。
つまり今のサキュバスは十二分に催眠の力を行使することができるようになっていた。
下僕含めこの場にいる全員がサキュバスに目を奪われる。
淫魔の正装が持つ誘惑能力のせいだ。
サキュバスは下僕を見上げる。
敵は強大にして圧倒的。
サキュバス「――違う」
強大さも。威圧感も。
再生能力も。馬鹿力も。
五感も。筋力も。知能も。
サキュバス「違うでしょ――」
りーん。
鈴の音が鳴り響いた。
いや、鈴の音が鳴った幻聴。
鈴の音なんか鳴ってない。
サキュバス「必要ないわ、あなたには――」
地面が波紋を描く。
いや、波紋を描いた幻覚。
地面は波紋を描いていない。
下僕「――――――――?」
だが、下僕には鈴の音も聞こえていたし、波打つ地面も見えていた。
サキュバス「――あなたは何もできない木偶の坊」
下僕「――ぁ?」
強大さも。威圧感も。
再生能力も。馬鹿力も。
五感も。筋力も。知能も。
一瞬にして下僕の全てがなくなった。
赤子ほどのサイズになった下僕が、魔女娘の足元に転がる。
サキュバス「マスター!」
魔女娘「――――!」
サキュバスからの呼びかけにはっと我に返った魔女娘はとっさに魔法を発動する。
魔女娘「【オーバーノヴァ】」
今日だけで何度も放った爆発魔法。
ボンッと小気味いい音がして小さくなった下僕が木っ端微塵に吹き飛ぶ。
166 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/06/17(木) 08:08:48.03 ID:LIbRpXZ60
魔女娘「…………」
ライバル魔女「…………」
再生しない。
蘇らない。
当然だ。サキュバスがそうなるよう望んだのだから。
それこそが【世界催眠】の力。
【災厄の魔女】の下僕を完全に倒した。
サキュバス「やった――」
サキュバスは糸の切れた人形のようにその場に倒れ込んだ
魔女娘「勝った」
魔女娘もその場にへたりこんだ。
ライバル魔女「やりました――やりましたわ!」
魔女娘「わっ……ぷ」
ライバル魔女は歓喜のあまり魔女娘のことを抱きしめた。ライバル魔女の豊満な胸に魔女娘の顔が埋まる。
友魔女「……ありえない」
そんな光景を友魔女は唖然として見つめていた。
友魔女「……下僕を倒せるはずがないんだ……」
167 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:15:54.32 ID:0q//zJcu0
――数日後。学園
ライバル魔女「随分と復興が進みましたわね」
サキュバス「最初は何年かかるかと思ったけれど、この分ならすぐだね。魔法ってすごい」
魔女娘「うん……」
サキュバス「あ、そうそう。食堂に新しいスイーツが追加されたらしいよ。何でも栗のクリームを使ったモンブランなるケーキだって。美味しそうよね」
魔女娘「もう食べた」
ライバル魔女「いつの間に……。まったく魔女娘さんの食欲には脱帽いたしますわ」
魔女娘「そう……」
サキュバス「……」
ライバル魔女「……」
魔女娘「……」
サキュバス「いい加減に元気出したら、マスター?」
ライバル魔女「そうですわよ。貴方が落ち込んでいたからって友魔女さんが部屋から出てくることはありませんわ」
168 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:17:05.23 ID:0q//zJcu0
魔女娘「分かってるし、落ち込んでもない」
サキュバス「でも……」
魔女娘「本当に落ち込んでない。ただどうすればいいか悩んでるだけ」
ライバル魔女「……どうしようもできませんわよ……あんなに人が変わったようになるなんて……」
サキュバス「あれは、医者とかそういうんじゃないと無理なんじゃない? 病気だよ、あれ」
魔女娘「そういう言い方はしないで」
ライバル魔女「……自分のことを特別だと思い込むことはまあ良いですわ。そういう人もいるでしょう。
ですが、まるで今生きているこの世界を作り話のように捉えているのは問題ですわ。物語と現実がつかない子供じゃないのですから」
魔女娘「そういう言い方も嫌」
169 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:18:47.44 ID:0q//zJcu0
ライバル魔女「……ですがどうしようもありませんでしょう。部屋から出て来ず、話しかけても拒絶するのみで会おうとはしない。……今は気にするだけ無駄ですわ」
魔女娘「そんな言い方――」
ライバル魔女「今は、ですわよ。時間を置いて冷静になったらまた話せるようになるかもしれないですし、悪化するようならそれこそ精神科医の出番ですわ」
魔女娘「……でも」
ライバル魔女「――ワタクシだって! ……ワタクシだって友魔女さんとは友達なんですのよ……。何もできなくて歯がゆいと思っているのは同じですわ」
魔女娘「ライバル魔女……」
サキュバス「……よし! 打ち上げしよう!」
魔女娘「打ち上げ?」
ライバル魔女「……何を言っているんですの?」
サキュバス「こうさ暗い話ばっかじゃなくて! 私達あの化け物倒して国を救ったんだから、わぁっとしてもいいんじゃない」
魔女娘「…………。そうだね」
170 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:19:36.79 ID:0q//zJcu0
ライバル魔女「……魔女娘さんがそう言うなら。どこか食べに行きますか」
サキュバス「およ。あっさり納得したね」
魔女娘「サキュバスの言う通りだと思っただけだよ」
ライバル魔女「そうですわね。取り敢えず街に出ましょうか」
サキュバス「お店やってるかな?」
ライバル魔女「やってなければその時はその時ですわ」
魔女娘「とりあえず外へ」
ライバル魔女「ええ行きましょう」
サキュバス「ちょ、ちょっと急がないでよ。そんなに楽しみなの?」
魔女娘「いいから」
171 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:20:34.87 ID:0q//zJcu0
――学園の外
ライバル魔女「ドラゴンちゃんお願い」
ドラゴン「ガウ」
サキュバス「え、ドラゴンに乗るの? 街へ行くのに?」
魔女娘「いいから乗って」
サキュバス「ちょ、押さないで」
ライバル魔女「乗りましたわね。行きますわよ」
ドラゴン「グオオオオォ!!」
サキュバス「きゃあ! 急に何?!」
魔女娘「少し静かに。――【クワイエットゾーン】【インヴィジブルフィルム】」
ライバル魔女「何人いました?」
魔女娘「三人。魔力の質が違った。全員人じゃない」
ライバル魔女「人じゃない……エルフですの?」
172 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:21:27.79 ID:0q//zJcu0
魔女娘「エルフが隠密の魔法を使ったら私でも分からない。……あれは多分淫魔」
ライバル魔女「サキュバスのお仲間ですか……」
サキュバス「どういうこと!? なんで突然――誰から逃げてるの?」
ライバル魔女「逃げてるって分かってるんなら十分ですわ」
サキュバス「十分じゃないですわ!?」
魔女娘「学園にいるときから誰かに監視されていた。そのうち一人が私とライバル魔女にサキュバスから離れるよう暗示……催眠をかけようとした」
サキュバス「え? え?」
魔女娘「催眠は私がレジストしたから問題はない。催眠が効いてないと見るやまたかけようとしてきたから、それに気づいてない振りをしてドラゴンに乗って逃走したって訳」
173 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:22:20.30 ID:0q//zJcu0
ライバル魔女「助かりましたわ。誰かに見られているとは思いましたけど、催眠に対する耐性はありませんでしたから。魔女娘さんに解いてもらえて良かったですわ」
サキュバス「催眠……催眠ってまさこそれって――」
魔女娘「言ったでしょ。多分淫魔って。心当たりは?」
サキュバス「……ある」
魔女娘「あるか……」
ライバル魔女「目的は分かりますの?」
サキュバス「私を連れ戻しに来たんだと思う……」
魔女娘「そう」
サキュバス「――マスター。今まで迷惑かけたわね。けど楽しかったわ」
ライバル魔女「どういうことですの? まるで別れの挨拶みたいな……」
サキュバス「別れの挨拶だよ。バレちゃったから、もう逃げられない。かえらなきゃ」
魔女娘「…………」
174 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:23:48.38 ID:0q//zJcu0
ライバル魔女「馬鹿なことを言うのはおよしなさい。魔女娘さんも何か言いなさいな」
魔女娘「……あいつら全員倒せば帰らなくてよくなる?」
サキュバス「それこそ馬鹿なことだよ。倒せたとしてもすぐ次のが来る。いたちごっこだよ。こっちは私含めても三人しかいないのに無理だよ」
魔女娘「そう――」
魔女娘「――じゃあ全員倒す」
サキュバス「はぁ?! ――話を聞いて……」
魔女娘「――【ライトニングボルト】」バチチ
ライバル魔女「存外に早かったですわね。隠蔽の魔術も見透かしてきますか……」
魔女娘「今ので一匹落とした」
ライバル魔女「じゃああと2匹ですわね」
サキュバス「何やってるのよ――!」
魔女娘「……手放す気はない。それだけ」
ライバル魔女「そうですわ。それにまだ打ち上げしてないじゃありませんか。友魔女も復活したらやりましょう。四人で!」
サキュバス「でも……」
魔女娘「さっき三人しかいないって言ってたけど、違う。私達は三人もいる」
ライバル魔女「ワタクシ達はあの化け物も倒せたんですのよ。淫魔だっていくらでも撃退できますわ」
サキュバス「二人とも……」
175 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:24:51.82 ID:0q//zJcu0
???「中々いい友を持ったな」
魔女娘「だれ――?」
ライバル魔女「いつの間にドラゴンちゃんの上に――!」
???「逸るなよ。お前たちは【魔法を使えない】」
魔女娘「な――? どうなって……」
ライバル魔女「そんな……嘘でしょう。魔法が使えなくなっていますわ……」
???「そこで大人しくしていてくれ」
???「さて、つかの間の自由は楽しかったか、サキュバス?」
サキュバス「長……」
魔女娘「おさ……?」
???「名乗りくらいはしておいてやるか。私は蠱惑を纏い、妖艶を繰り、夜を往く。生をすする淫魔を統べる者――」
零「零のサキュバスという。零とでも呼んでくれ」
零「帰るぞ、サキュバス。よもや嫌とは言うまい。私がどんなやつかお前はよく分かっているだろう」
サキュバス「…………はい。帰ります」
魔女娘「サキュバスっ!」
サキュバス「ごめんね。マスター。長には……【零のサキュバス】には絶対に敵わない」
176 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:25:55.79 ID:0q//zJcu0
零「そういうことだ。大人しく諦めてくれ」
魔女娘「――――かよ……」
零「やめておけ」
魔女娘「諦めるなんてできるかよ!」
魔女娘「――ッ――! このォ喰らえ! ――【オーバーノヴァ】!!」ドゴンッ!!
零「――――なッ!!?」ドガゴンッ!!!
ライバル魔女「直撃――! やりましたわ! 流石魔女娘さん!」
魔女娘「どんな理由かは知らないけれど、サキュバスは返さない。サキュバスが怯えている奴に渡すもんか!」
サキュバス「怯え……?」
ライバル魔女「気づいてないかもしれませんけれど、先程から震えておりましてよ」
サキュバス「そんな……私は……」
魔女娘「――いいから四の五の言わずに守られてて。それともあっちのほうがいい?」
177 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:26:42.66 ID:0q//zJcu0
サキュバス「私は……私は……」
サキュバス「マスターと一緒にいたい。
楽しかったんだ。生まれて初めて誰かと笑い合って……知らない場所に行って、初めてのことをして……マスターと、みんなと一緒だったから楽しかった……戻りたくない――帰りたくないよ……」
魔女娘「分かった。任せろ」
零「……なるほど。特性の同調ですか。同調したサキュバスの【世界催眠】の力で、私の【世界催眠】をレジストしましたね」
魔女娘「無傷か……」
零「いえ、死にかけました。死にかけたので、自分は無傷だと自身に催眠をかけました」
魔女娘「デタラメ。嫌になる」
零「それが世界を惑わす程の催眠――【世界催眠】の力」
零「そんな力を持った輩を野放しにしていいと思いますか?」
魔女娘「ちゃんと訓練すればいいだろ」
零「その訓練の途中だったのです。そいつは」
178 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:27:31.57 ID:0q//zJcu0
零「おまけにサキュバスの【世界催眠】は不安定で不完全。とてもじゃないが市中に出せる代物じゃありません」
ライバル魔女「だとしても……」
零「あなたには言っていません。――同調により【世界催眠】の一端を行使できるようになった、あなたに言っているのです」
魔女娘「…………」
魔女娘「確かに何でもできる力だろうね。世界だって簡単に滅ぼせるだろう」
零「でしたら――」
魔女娘「だけどそれがサキュバスを苦しめていい理由にはならない! ――お前には絶対に渡さない!」
零「……淫魔の魅了にあてられてるな。面倒くさい」
零「もういい――【お前たちはドラゴンの上にいない】」
ライバル魔女「はい? ――って、えええぇ!」
魔女娘「――嘘だろ」
サキュバス「マスタァァア――!!!」
179 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:28:22.32 ID:0q//zJcu0
零「魔法は使えるみたいだからこの高さから落ちても運が良ければ助かるでしょう」
零「さて、トカゲもどきこのまままっすぐ行きなさい。【あなたの主人は私です】。言うことを聞きなさい」
ドラゴン「ガウ」
零「……里に付くまでにあなたの使い魔契約切れれば良いですけど」
サキュバス「ごめんなさい……ごめんなさい、マスター……」
180 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:29:26.56 ID:0q//zJcu0
?
後輩「もっしもーし、生きてますかー?」
魔女娘「……おかげさまで」
ライバル魔女「あいたた……どうなりましたの……」
後輩「空から降ってきたから、私が受け止めました。魔法で」
魔女娘「なんでここに」
後輩「いやーたまたまですよぅ、たまたま」
魔女娘「…………」
後輩「ははっノッてくれませんか」
後輩「本当は先輩達が大急ぎでどこかに行っていたので、何があるのかなぁと思ってつけてきました」
ライバル魔女「つけてってあなた……まあ、今回は助かったから何も言いませんが……」
後輩「あはは……えっと、友魔女先輩がいないのは分かるとして、魔女娘先輩の使い魔さんはどこにいるんですか?」
181 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:30:11.54 ID:0q//zJcu0
魔女娘「っ! いかなきゃ!」
ライバル魔女「魔女娘さん!? 手がかりがないのにどこに行くというのですか。落ち着いてください」
後輩「ええっと……どういうことですか?」
ライバル魔女「……サキュバスが攫われましたの」
後輩「――へぇ……」
魔女娘「早くしないと。サキュバスが……」
後輩「誰に攫われたんです?」
ライバル魔女「……零のサキュバスと名乗っていましたわ……長とも呼ばれていました」
後輩「淫魔の長ですか……」
魔女娘「何か知ってる!?」
後輩「ええ。知っています」
ライバル魔女「本当ですの!?」
後輩「はい。零のサキュバスが出てきたってことは淫魔の里に連れてかれたんだと思います。淫魔の里なら場所分かりますから案内しますよ」
魔女娘「……なんで知ってる?」
182 :
◆TEm9zd/GaE
[sage saga]:2021/10/29(金) 16:30:57.61 ID:0q//zJcu0
後輩「嫌だなぁ先輩。もしかしてなにか企んでるかもしれないって疑ってます? ただ私が勉強熱心なだけで、たまたま場所を知ってただけですよ」
魔女娘「…………」
後輩「それとも私の機嫌を損ねてサキュバスさんの手がかりを捨てますか?」
魔女娘「……お願いだ。案内してくれ」
後輩「分かりました! 魔女娘さんにそう言われちゃ断れないですねぇ〜」
ライバル魔女「それならドラゴンちゃんを呼び戻して……あれ?」
魔女娘「どうした?」
ライバル魔女「どういうことですの……使い魔契約が切れてますわ……」
魔女娘「……【世界催眠】か」
ライバル魔女「どういうことですの!? まさかドラゴンちゃん……」
魔女娘「殺されてはないと思う。多分契約を上書きされた」
ライバル魔女「そんなことできるわけ――」
後輩「できますよ。それが【世界催眠】です」
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