このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二十二輪目】
- 102 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/29(水) 20:07:51.25 ID:MCF7OIhto
-
抱きかかえて指さした先、
天乃のベッドで横になっている風を見た星乃は、明るく答えてくれる
天乃の枕を抱きしめて、横になっている風の手元には
直前まで遊んでいたであろう鈴が転がっていて
寝たというよりは、寝落ちしたのだろうと、天乃は察する
天乃「ありがとうね」
風「ん……」
星乃「ぁぅ〜」
天乃「ふふっ」
星乃と月乃の二人をベッドから抱き上げて、風の傍に寝かせる
風の身体が下手に寝返りを打たないようにと警戒しつつ、子供たちに任せてあげると、
双子は揃って、風の頬をぺちぺちと叩き
髪を触って、引っ張る
天乃「あっ」
風「っ」
星乃「ぁぁぅ〜」
月乃「ぅ〜ぅっ」
星乃が髪を引っ張って、月乃が風の鼻をぐっと指で押し込む
息苦しさか痛みか、
唸るような声を漏らしながら、風は目を開く
- 103 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/29(水) 20:52:57.19 ID:MCF7OIhto
-
風「なに――」
天乃「だめよ」
風「ぇ……?」
風の上げかけた腕を掴んで抑える
寝ぼけた拍子に二人を弾き飛ばされてしまっては困る
それならベッドにあげるなという話ではあるけれど
二人が触りたがったのだから仕方がない
星乃「ぁぁぅ〜っ」
月乃「あぁぉ〜っ」
風「ん……ぁっ」
はっと気づいた風の手を離して微笑む天乃は
まだ風の顔を弄る子供たちを抱き上げて、ベッドへと戻す
流石に、まだ数ヶ月の子供たちをずっと自由にはさせておけない
ちょっぴり風の顔が引っ張られたけれど。
風「……寝てた?」
天乃「ええ」
風「ごめん……寝るつもりは」
天乃「良いわよ。みんなだっているし」
風「でも、精霊がいないのが普通だから」
- 104 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/29(水) 21:13:46.48 ID:MCF7OIhto
-
天乃「そうだけど、さすがにずっと落ち着かないのは無理でしょう? この子達だって寝ていたみたいだし」
風が子供かどうかなんて関係はなく、
疲れは感じるだろうし、気を失うように眠ってしまうこともある
星乃と月乃はおとなしい子で
ベッドの端をよじ登っていくことはまだ出来ないし
子供達も天乃が戻ってくるまでは眠っていたのだ
風が少しくらい……と、休む気持ちになっても咎められることではないだろう
風が寝たときに、子供たちが寝ていたとは限らないけれど
風の手元に鈴が転がっていたということは、
風が眠った後にあやす道具が必要なかったということだろうし……
天乃「この子たちも、風のことは好きだって言ってるわ」
風「それは良かったけど」
天乃「この子たちを寝かしつけてからなんでしょ? 気にしないの」
風「まぁねぇ……ごめん、寝起きであんまり頭働いてないみたい」
天乃「起こさない方が良かったかしら」
風「逆に夜に寝れなくなるから、助かった」
- 105 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/29(水) 21:58:39.69 ID:MCF7OIhto
-
天乃「夜、あまり眠れていないの?」
風「寝れてはいるんだけど……」
ベッドの上の枕を一瞥した風は、
無意識に握りしめていたことに気付いて、手放す
寝不足ではないが、
このベッドの上は特に心が落ち着く
天乃の匂いを感じる布団は、ついつい、目を閉じてしまうのだ
風「天乃の匂いって、毒ねぇ」
天乃「私の匂い……? 臭う?」
風「あーごめん、毒って言っても全く悪いにおいではないのよ……なんというか、まあ、察して?」
自分の襟を引っ張る天乃の手を抑えて、首を振る
毒と言っても、
いい意味でもないけれど悪い意味でもない
上手く言葉に出来ない特殊な意味
もちろんだが、夜での意味とも違う
- 106 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/29(水) 22:29:00.29 ID:MCF7OIhto
-
天乃「家に戻ったらもっとちゃんとしたいわ」
風「今も十分ちゃんとしてるじゃない」
天乃「学生……今も一応はそうだけど、通学していた時とはまるで違うわ」
足が不自由ではあったけれど、身なりはきちんと整えられていた
室内での服だっていつまでも寝間着ではないし
髪に寝癖が残っているなんてことはないし、
今のように真っ直ぐ下ろしている状態ではなく、基本的にはシュシュを用いてのポニーテールにしていた
家族の記憶を失っていた時は知らずにそうしていたが、
その髪型にしているのは、兄がそれを好きだと言っていたからである
今はともかく、元々天乃は兄が好きな可愛らしい妹だったのだ
天乃「退院したら短くしようかしら」
風「短くって、髪?」
天乃「それ以外にあるの?」
風「んー……スカートの丈?」
天乃「馬鹿なの?」
風「冗談よ。じょーだん」
- 107 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/29(水) 22:55:23.90 ID:MCF7OIhto
-
最初のころは肩の辺りを少し過ぎるかすぎないか
ミディアム程度に抑えられていたのだが、
今では肩をだいぶ過ぎてしまっている
長くなった天乃の髪に触れた風は、指先で軽く弄る
風「まぁ、確かに伸びてきてるわね」
天乃「今までに戻すか、もうちょっと短くしようかなって」
風「長くてもいいと思うけど」
天乃「この子達を抱っこしてるとき引っ張られると困るわ」
風「あぁ……さっきのはそれか」
笑ってごまかす天乃の奥、
赤ちゃん用のベッドの上で笑っている双子に手を振る
まだ寝ぼけている数分間
髪をちょっとだけ引っ張られた痛みとも言えない感覚
あれがそうなのかと天乃を見るが、笑うだけだ
風「ショート辺りまで切るつもり?」
天乃「単なる思い付きだから、深くは考えてないけど……似合う?」
手と腕で髪を隠し、短く見せる天乃は風を伺うように見つめる
普段から長い髪の天乃を見ている風としては、短い髪が似合うかどうかと言われると判断に困ってしまう
風「ただショートにするよりはボブとかにしたほうが良いんじゃない? あたしは……長い方が良いと思うけど」
- 108 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/29(水) 23:04:38.49 ID:MCF7OIhto
-
天乃は短くても似合うと言えば似合う
風は長いが、樹は天乃が切ろうかと言ったショートよりも少し長いボブの辺りだ
友奈も髪の長さ的には樹よりも少し長いかどうかという程度
その辺りも踏まえて考えてみると、
ただショートにするくらいなら、ショートボブの方が合うように思う
そして、そうするくらいならボブで良いと思ってしまう
なにより、風は恋愛小説的に思考を働かせる
風「急にバッサリ落とすのってさーなんか失恋したっぽくない?」
天乃「どうして?」
風「気分転換とか、今までの自分を変えたい―とか。ほら、一気に短くするのって一新するみたいじゃない?」
天乃「言われてみれば……でも、私失恋してないわよ?」
風「それは分かってるけど、あたしは長い方が良いのっ」
ベッドの上、散りばめられた長い髪
月夜の妖艶な輝きに満ちる細い命ともいわれる無数の線は、とても綺麗だった
だから、どうしてもというなら止めないが
どうしてもというわけではないのなら、今まで位が好ましいと風は言う
天乃「そう……じゃぁ、風は今まで位の私が好きなのね」
風「……ん」
- 109 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/29(水) 23:12:17.21 ID:MCF7OIhto
-
風「それで、友奈に何か言われたの?」
天乃「ううん、特に」
風「退院したいですとか言ってなかった?」
天乃「出来たらしたいって言ってたけど、無理はさせられないでしょ?」
子供達と同じ部屋で安静にすることで
出来る限り面倒を見てあげたい
友奈はそう思っていたけれど、さすがに退院させられる状態ではない
天乃「私の料理……そうそう、東郷のぼた餅が食べたいって」
風「そうねぇ、軽食としてなら持参できるかも。あとで聞いてみとく」
天乃「お願いね」
風「任せといて。東郷にも言っとくわ」
確かに久しぶりに……と風は悩むように言って、頷くと
久しく口にしていない味、思えば恋しくなるものね。と、腹部を擦った
1、それと、お料理当番どうする?
2、ねぇ、風はみんなに嫉妬したりする?
3、友奈から聞いたのだけど、エッチの後だと恥ずかしいものなのね
4、……ありがとうね。風
↓2
- 110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/04/29(水) 23:14:17.91 ID:6qu3VBSfO
- 3
- 111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/04/29(水) 23:18:12.18 ID:nDtICq2H0
- 3
- 112 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/29(水) 23:33:08.72 ID:MCF7OIhto
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/04/29(水) 23:51:00.84 ID:6qu3VBSfO
- 乙
久遠さんのポニテは兄貴の好みだったのね
そういや今頃実家の久遠家はどうなってるのだろうか
- 114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/04/30(木) 00:15:14.64 ID:tNkABF2nO
- 乙
またお料理の話もしたいな
- 115 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/30(木) 21:49:57.05 ID:4ZKZ5IPNo
-
遅くなりましたが少しだけ
- 116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/04/30(木) 21:57:40.26 ID:deHNGzZ/O
- かもん
- 117 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/30(木) 22:52:44.72 ID:4ZKZ5IPNo
-
天乃「友奈から聞いたのだけど、エッチの後だと恥ずかしいものなのね」
風「は……え、えっちのあと?」
余りにも唐突な話に思わず素っ頓狂な声を漏らした風に、
天乃は冷静に考え込むように首肯する
友奈の話ではエッチの後の恥じらいが可愛らしいだとか
その分、幸せそうだとも言っていたけれど。
天乃「エッチの後、みんなに話すんでしょう?」
風「そ、そんなこと言ってた……?」
天乃「言ってたけど」
言ってなくてもそのくらいは分かってたわよ。と、
天乃は少し恥ずかしそうに首を振る
みんな天乃の関係者だ
それも、肉体的な意味で
だから、それを話されても仕方がないとは思う
天乃「確かにしたと、ベッドの上では愛らしいものだけど、みんなの前でもそうだとは思わなかったわ」
- 118 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/04/30(木) 23:05:20.58 ID:4ZKZ5IPNo
-
天乃「次の日とか、私の名前だけで恥ずかしがってるって聞いたわ」
風「何に言ってんのよ友奈……」
天乃「思い出して真っ赤になっちゃうんでしょう?」
友奈には確かめてみたいと言ったけれど、
思えば、園子はとても可愛らしかったように思う
いつほんわかとしていて
例えるなら柔らかい園子も可愛いけれど
それ以上に、何とも言えない可愛らしさがあった
性欲がある
実際にあるが、からかい五割増しで言ってみただけで気絶するくらいには
あの時の園子は可愛らしかった
嬉しそうに、照れくささの見える笑顔を浮かべている天乃に
風はそういえば園子が……と、察する
風「園子が見せてた通り。結構、刻み付けられちゃうもんなのよ」
- 119 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/01(金) 00:08:12.35 ID:Q68/5gS8o
-
世界のどこかには参考にした資料のほんの一握りのように
そうではない人もいるかもしれないが
少なくとも風達は天乃に好意を抱き、愛しているからこそその行為を行う
それゆえに、身にも心にも深く染み込んでくる
まだ結婚したわけではないけれど
蜜月の付き合いは、その字に違わずとても甘いのだ
風「すぐに忘れられることでもないし、ね」
天乃「そう……」
風「逆に天乃は忘れられる? 抱いた感触、キスした感触、漂ってた匂い、合わせるたび、這わせるたび、重ねるたび聞こえた音」
天乃「………」
想いを馳せるように、身をくねらせながら、風は呟く
正直今だって忘れているわけではない
一度口にしてしまえばじんわりと感じるし
そこに天乃がいるならば、ちょっぴりつまみ食いをしてしまいたくなる
もちろん、理性があればそんなのは思うだけだけれど。
風「あたしは忘れないわよ。と言うか、あたし達は忘れられないわよ」
天乃「私だって、別に忘れてるわけじゃ……ない」
- 120 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/01(金) 00:08:50.04 ID:Q68/5gS8o
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日はできれば通常時間から
- 121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/01(金) 00:19:21.78 ID:ObrqH8smO
- 乙
風先輩のターンも来るかな?
- 122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/01(金) 07:56:02.35 ID:t4c6COaCO
- 乙
- 123 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/01(金) 22:56:56.33 ID:Q68/5gS8o
-
すいませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
予定としては20日目終了後に、エピローグと考えております。
- 124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/01(金) 23:10:14.27 ID:upEdz6wnO
- 乙です
三周目も遂にエピローグかー
まさかほぼ丸四年の大作になるとは…
- 125 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 01:01:55.20 ID:E9RlOIbRO
- 乙
え!?もう終わるの!?
いろいろまだ久遠さん達の日常見たかったなあ
- 126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 01:17:18.58 ID:4m2ZW5QpO
- 結婚式とか見たいけどどうなるかな
- 127 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 15:22:36.03 ID:+MZz+i4to
-
では少しずつ
- 128 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 15:33:53.32 ID:+MZz+i4to
-
天乃は呟くように答えると、自分の胸に触れる
押せば沈む感触
風達の触れられた記憶と、風達のそれに触れた記憶
身体はもちろん、心にだってその記憶は強く残っている
天乃「ちゃんと覚えてるわ……でも、なにかしらね」
風「なにって?」
天乃「どんな風だったのかを口に出されるのは恥ずかしいのだけど、それをしたこと自体を恥ずかしいとは思わないのよ」
だから、風達がそういう話をしていたと言われると羞恥心に触れるものがあるけれど
天乃自身は、その行為をしたということに恥じらいを感じない
風、友奈、東郷、樹、園子、沙織、悪五郎
そして……夏凜
助力と言う点では九尾もだろうか
みんなとのことが染み込んだ体は、自分で触れるたびに想起する
あの時はこうだった。と
目を閉じ、思い出して……ふと、風を横目に見る
天乃「私、今どんな顔してる? 真っ赤に、なっちゃってるかしら」
- 129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 15:41:34.86 ID:oAcLGAQbO
- きてたー
- 130 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 16:02:28.66 ID:+MZz+i4to
-
風「どんな……って」
質素な患者衣に覆われつつも膨らみの見える胸元
ベッドに下ろされた腰、筋肉の落ちてしまった少し細身の太腿
長く伸びたさらさらと艶のある桜色の髪
妖艶に上がる唇、橙色の瞳は生気に満ちた輝きがある
それはとても幸せそうで
それはとても――
風「きれい……」
天乃「綺麗?」
風「あっ、いや……幸せそうに見えるわね……」
天乃「なに慌ててるのよ」
取り繕うような風の慌てた仕草に、天乃は思わず笑う
綺麗も可愛いも
散々言ってきたことだし、言われてきたことだ
それが本心ではなかったとは言わないけれど、
無意識にこぼれ出てしまう本心は、存外に照れくさいものなのは分かる
- 131 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 16:24:44.03 ID:+MZz+i4to
-
天乃「私が聞きたかったの赤いかどうかなんだけど」
風「へぇっ! ぁっ、あーそうだったっけ」
天乃「そんなに調子狂わせるような顔だった?」
風「どちらかと、言えば」
風は頬を掻いて頷く
天乃と同じように、束ねることを放置した長い髪が
肩から滑り落ちて、布団へと垂れる
はたから見て幸せそうだと感じられる微笑みは、
恋をしている立場からしたら、美しいものだ
風「……大人に、なった」
天乃「一応、こう見えて母親だもの」
まだ15歳ではあるけれど、
あと数ヶ月もしたら16歳になるし、二児の母だ
ただでさえ少しずつ大人になっていく時期に、大きく前進せざるを得なかった
天乃「大人っぽいのなら、それは良いことだわ」
- 132 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 16:55:50.46 ID:+MZz+i4to
-
天乃「風だって、これから大人になっていくでしょ?」
風「天乃はその先を行ってるのよ」
天乃はいつだって、みんなの先にいる
風が大人になれば、天乃はおばさん……とはならないけれど。
元々の境遇もあって、
天乃の身体は子供みたいでも、精神的には成熟している
きっと、そこに追いつくことは出来ないだろうと、風は思う
これから緩やかになっていく
天乃が無理をしなくてもいい世界で、笑っていていい世界
それでも天乃は先にいる
風「可愛いと綺麗の差って、意外にこういうところにあるのかもねぇ」
天乃「じゃぁ、私はもうかわいいって言って貰えないのね」
風「それはない」
天乃「そう?」
風「あたし的には楽しんでるときの笑顔は可愛いと思うし、幸せそうなときが綺麗だと思う」
意外な……というのはその部分だ
理屈はないし、理由もない
ただ、幸せになる難しさを知ったから、それが尊いものだと気づいたから……綺麗だと思うのかもしれない
- 133 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 17:31:24.42 ID:+MZz+i4to
-
風「……あたしはだけど」
天乃「そうねぇ、友奈は幸せそうでもまだまだ可愛いわ。園子だって」
天乃はそう言いながら、自分の子供を見る
まだ幼い赤子である星乃と月乃
言葉で幸せとも楽しいとも言えない歳ではあるけれど
嬉しそうだと感じられる笑顔は、とても愛らしい
天乃「だから、大人になって幸せだと思えた瞬間の笑顔が、綺麗だって言えるのかもしれないわ」
風「友奈達はまだ子供?」
天乃「まだ可愛いから、子供ね」
適当にでっち上げた考えで比較する二人は
何となく苦笑して、笑い声を零して
何事かと声を上げる双子に、「かわいいって話よ〜」と、難しいことを囁く
天乃「あと一年……友奈は難しいかな」
風「樹は?」
天乃「樹は、大人びてる……もしかしたら私のせいかも」
- 134 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 18:15:13.96 ID:+MZz+i4to
-
風は濁した天乃を一瞥する
樹が大人と言うのは同意だし、天乃が原因と言うのも納得の話だ
奥手と言うべきか、人見知りと言うべきか
そんな状態だった樹が、今や前面に立って動くことが出来る
それは天乃に恋をしたからだろうし、その天乃が酷く自己犠牲的な人だったから……でもあるだろう
風「歌野も一役買ってると思うけどね。ほら、歌野って樹と対照的な感じにフレンドリーだから」
天乃「歌野が拍車をかけたというべきかしら」
風「みんなのおかげね〜」
せいとは言わず、おかげと笑う風は
まだ、人付き合いの苦手だった樹を思い、今の樹を思い
その成長をより強く実感して、感慨深く笑みをこぼす口元を縛る
風「ありがと」
天乃「……それは私が言うべきことよ」
風「ん〜……いや、あたしが言うべきことでしょ」
1、風にも樹にも凄く感謝してるわ
2、そう、かしら
3、大したこと、してあげられてないと思うけど
4、……妹想い、ね
↓2
- 135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 18:29:20.62 ID:oAcLGAQbO
- 1
- 136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 18:34:41.66 ID:rvXvIPro0
- 4
- 137 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 19:04:41.14 ID:+MZz+i4to
-
天乃「……妹想い、ね」
風「当然でしょっ」
風はそう言って胸を張る
風の感謝、言うべきは自分だろうと思うし
そこまで感謝されるようなこと0が出来たという自負はない
けれど、風が言うのなら、それは素直に受け取っておくべきだろう
天乃「このままだと、樹の方が先に姉離れしちゃうんじゃない?」
風「えっ……」
天乃「樹だったら、そんな顔しないもの」
バーテックスと戦っているときよりも深い絶望に陥ったとでもいうような顔を見せ、
嘘でしょ……と、零す
そんな姉と比べて、妹の方は落ち着いているはずだと天乃は見る
風も樹も天乃と一緒に暮らす
結婚もするわけで、つまりは離れる要素が無くなるのだが
それでも自然と以前よりもべったりとはならなくなるはずだ
その分、天乃に来るけれど。
天乃「卒業して学校では会えなくなるんだから、少しくらい慣れないと」
- 138 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 19:21:08.26 ID:+MZz+i4to
-
風「そのくらいは平気よっ、全然っ」
天乃「卒業したら勇者部に入り浸ること禁止って言われても?」
風「何それそんなこと言ってたの!?」
天乃「言ってないけど……」
風は一応、受験する
結果次第では一年間みっちりと勉強する必要があるわけで
その場合、OBとはいえ勇者部に行っている場合ではないのではと思う
風もそれは分かっているはずだけれど
そんな気はさらさらないのかもしれない
天乃「大丈夫なの?」
風「なにがー?」
天乃「勉強」
風「……成せば大抵なんとかなるなる」
天乃「五箇条……今は六箇条よね。それを怠惰に使わないようにしなさい。旧部長」
風「はーいはい。オッケー」
ニコッと笑って指でOKを示す風は
そこはかとなく歌野に毒されているのでは……と、思わざるをえなかった
- 139 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 19:55:44.61 ID:+MZz+i4to
-
風「もちろん、妹想いなあたしだけど部長にしたのは贔屓じゃないわよ?」
天乃「それは聞いてる」
風「それでー? 天乃はどうするのよ」
天乃「どうするって? 何かあったかしら」
進路に関しては一年間は少なくとも子育てに集中することにしている
結婚式だってみんなが落ち着き、ちゃんと適性の年齢になるまではしない
挨拶はやはり、改めてしようと思っているけれど
天乃だけがどうするかを判断する事ではない
考える天乃に、風は「副部長のこと」と、呟く
風「副部長のことは決めなくてもいいの?」
天乃「必要かしら」
風「んー人数的には要らないかもしれないけどね……」
天乃「あってもいい?」
風「天乃の後継者的な意味で、あっても良いんじゃないって思うかな」
- 140 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 20:14:49.38 ID:+MZz+i4to
-
以前までは、勇者部は勇者に無関係な生徒を入れることは出来なかった
天乃に惹かれての入部希望はもちろん、
今までの活動に憧れて……と言うのも含めてだ
しかし、これからは断る理由はない
来るものも出るものも拒無必要がないし、その裁量は部長に一任される
今後、人が増えてくるかもしれないし
もしかしたら増えないかもしれないけれど。
それを考えれば、とりあえずは副部長を任命してもいいだろう
風「みんな、誰が指名されるんだろうって期待してるわよ?」
天乃「どうせ夏凜が指名されるって思ってるの間違いでしょ?」
すーっと目を逸らす風で察して、目を逸らす。
だれが任命されるのか、ではなく夏凜が……
というなら夏凜を指名しても特に問題はおこらないはずだ
そもそも指名しなくても問題はないけれども
1、副部長は要らないでしょ
2、任命は樹に任せるわ
3、夏凜で良いんじゃない?
4、後で話したほうが良いかしら
↓2
※4は後ほど、みんなのところへ
- 141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 20:16:53.73 ID:rvXvIPro0
- 4
- 142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 20:18:42.81 ID:oAcLGAQbO
- 4
- 143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 20:19:59.03 ID:R0zhx/NtO
- 4
- 144 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/02(土) 20:23:43.35 ID:+MZz+i4to
-
では、少し中断いたします。
22時頃に再開予定です。
- 145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 20:26:04.55 ID:oAcLGAQbO
- 一旦乙
- 146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/02(土) 23:58:49.46 ID:WwjJL1OVO
- 今日は終了?
- 147 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/03(日) 00:02:34.87 ID:ikKNgA38o
-
すみません、本日は終了とさせてください
明日はできればお昼ごろから続きをやりたいと思います。
- 148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/03(日) 00:25:36.21 ID:JxCQLxBAO
- 乙です
- 149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/03(日) 03:37:14.60 ID:zmlCIVKiO
- 乙
そもそも勇者部は今の1年の代が卒業の時存続できるのだろうか
- 150 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/03(日) 21:43:28.99 ID:ikKNgA38o
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/03(日) 21:45:27.37 ID:HGoaotwLO
- やったぜ
- 152 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/03(日) 22:45:09.21 ID:ikKNgA38o
-
天乃「あとで話したほうが良いかしら?」
風「それが良いかもね。戻るとき一緒にいく?」
天乃「そうする」
風の誘いに乗って、頷く
友奈以外のみんながいる病室にいって、副部長の話
誰にしようか
みんなが予想しているように夏凜にするのも別に悪い話ではないと天乃は思う
別に裏をかく必要なんてないのだ
天乃「とはいっても、夏凜達が卒業した後も残るいこと前提よね……」
風「そうねぇ」
樹を除けば、みんな三年生になる
つまり、樹以外は来年には卒業するため、
それ以外の部員がせめて4人は増えてくれなければいけない
天乃「今のうちに部員募集する?」
風「天乃が募集すれば増えるでしょ、絶対」
- 153 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/03(日) 22:59:20.49 ID:ikKNgA38o
-
天乃「そうかしら?」
風「絶対」
天乃「………」
断言されると、そう思えてしまいそうなものだが
本当にそうだろうかと、天乃は眉を顰める
ほぼ関わりがなく、しかも休学していたような先輩が声をかけたところで
勇者部に入部してくれるとは思えない
天乃「同じクラスの子ならともかく、後輩は無理じゃないかしら?」
風「そう思ってるのは天乃だけよ?」
天乃「ほぼいなかったのよ?」
風「でも、少なくとも今の一年生は天乃を見てきてるでしょ」
半年程度ではあったが、
それでも天乃を見てきている
中には犬吠埼姉妹のように妹や弟もいるだろうから
姉や兄繋がりで、天乃に興味を持っている子はいるはずだ
- 154 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/03(日) 23:20:50.04 ID:ikKNgA38o
-
天乃「でも、私いなくなっちゃうから……」
風「繋がりを持てるってだけで嬉しいもんよ」
男の子なんかは特に、喜ぶのではないかと思う
以前の天乃は体に障害を抱えていたこともあって
中々に難しい存在ではあったけれど、それでも声をかけられることがあったのだ
けれど……と、考え直す
風「そういえば、子持ちだって公表したんだっけ?」
天乃「ええ……不思議よね。みんな受け入れてくれちゃうんだもの……」
風「受け入れてた……かなぁ?」
まだ中学生の身体である天乃に子供を産ませる
そんなことを大赦がさせたのだとしたら……という点で怒っていたような気がする。と、風は思い出す
風「男子は諦める……か……?」
子持ちと言うのは、さすがにリスクが高いと考えるかもしれない
親だって、子供がまだ子供時点で子持ちの相手と付き合うことを受け入れるとは思えない
愛があれば云々とかそういう次元ではない
- 155 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/03(日) 23:57:21.64 ID:ikKNgA38o
-
風「ま、勧誘はみんなに頑張って貰うってことで良いんじゃない?」
天乃「仕方がないわね……部活の勧誘は入学式のあとだしね」
今の状況で入学式が行われるとは限らないけれど
でも、きっと入ってくる一年生がいるはずだ
その新しい子達を誘うのは、残された者達の仕事
風「その仕事を、夏凜に押し付けちゃいなさい」
天乃「こらこら」
風「樹もいるから大丈夫よ」
天乃「……そうね」
本当に、今の樹ならばとても頼りになる
夏凜と二人で……いや、友奈たちも含めてみんなでやっていけば
きっとうまくいくだろう
天乃[……なんとなく、風が入り浸りたくなるのも分かるわ」
風「でしょ?」
嬉しそうに笑う風に頷いて、子供達へと目を向ける
みんなのところに行くのは、母乳をあげてからだ
- 156 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 00:06:24.96 ID:cVrmtW5ao
-
では、本日はここまでとさせていただきます
明日もできればお昼ごろから
再開時はみんなの病室
- 157 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 00:12:20.52 ID:9c/klGibO
- 乙
クラスのみんなも優しかったよなぁ
後半はほとんど会えなくなった分卒業式には元気な姿を見せてやりたいな
- 158 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 07:41:04.12 ID:avV76FLvO
- 乙
- 159 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 18:12:40.48 ID:cVrmtW5ao
-
では少しずつ
- 160 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 18:18:29.17 ID:ag5VxHNLO
- あいよー
- 161 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 19:02:02.35 ID:cVrmtW5ao
-
夏凜「はー……そんな理由でわざわざ来たの?」
天乃「なによ、来て欲しくなかった?」
東郷「自分に会いに来てほしかっただけですよ、久遠先輩」
夏凜「はぁっ!?」
口を挟んだ東郷に向かって怒鳴るように唸って、
そんなこと言ってないでしょ! と、夏凜は声を張り上げる
向けられた東郷は平然と笑っていて
困ったように笑う樹がふと、天乃に目を向ける
樹「副部長は自分で決まり。みたいな考えだったのではないでしょうか?」
夏凜「い〜つ〜き〜?」
樹「あははっ」
ムッとする夏凜に対して、笑顔のその他
この病室の中に限っては、夏凜が弱いのだろうか?
きっと、天乃が来たからと、これ見よがしに攻撃しているだけだろう
天乃「会いに来たのに……嬉しくないの?」
夏凜「ぅ……嬉しいわよっ! 悪いっ!?」
風「真っ赤になっちゃってまぁ……少し落ち着きなさい」
- 162 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 19:34:36.57 ID:cVrmtW5ao
-
夏凜「ったく……」
天乃「まぁまぁ」
夏凜「ふんっ」
天乃はそっぽを向く夏凜の横に腰かけて、
その体に身を寄せながら、体を揺する
ムッとしてはいるけれど、振り払わないのが愛おしい
天乃よりもちょっぴり大きいだけの体は、
体幹がしっかりとしていて、男の子にも負けない作りになっている
天乃「……ふふっ」
夏凜「何笑ってんのよ」
天乃「別にぃ〜?」
天乃に身を寄せられ、まんざらでもなさそうな夏凜のそれでもそっぽを向く姿勢に、
風達は温かい目を向けて、ため息をつく
園子「それで〜? 副部長は決まってるの〜?」
- 163 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 20:03:11.07 ID:cVrmtW5ao
-
園子の間延びする声に、天乃は考える素振りを見せる
みんなは本気で―きっと本心で―夏凜が副部長になると思っているはずだ
そこであえて別の人を指名するのも、ちょっとだけやってみたくなる
夏凜も文句は言わないだろうし、みんなだってきっと
けれど、今そうであるように、天乃の支えとなってくれているのは夏凜だった
最初は、本当……酷いこともあったが
今ではれっきとした深い仲にまで至っている
天乃「そうねぇ」
小さく呟くと、視線が集まる
さっきまでの雑談のにぎやかさは瞬く間に薄れて消滅する
1、夏凜
2、友奈
3、園子
4、東郷
5、正直……副部長なんていらなくない?
↓2
- 164 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 20:04:43.14 ID:xzFlupoHO
- 1
- 165 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 20:06:09.02 ID:U1jqWP3X0
- 1
- 166 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 20:41:20.85 ID:cVrmtW5ao
-
天乃「夏凜、かな」
夏凜「っ」
風「はーい解散解散!」
パンパンッと風が高らかに手を叩くと
部屋を出ていく……なんていうことはないものの、
布団を引っ張り上げてベッドに横になってしまう
天乃「えっ、なに? なんで?」
東郷「どうせそんなことだろうと思っていたので」
園子「予想通り過ぎてなんもいえね〜ぜ〜」
樹「もちろん、文句があるわけではないので、大丈夫だと思いますよ」
ベッドにふて寝したようにみえる東郷達からの呆れたような声に続いて
樹の困った笑い交じりのフォローが入る
樹は横にはならずに、ニコニコと夏凜と天乃の方を見ている
唯一、副部長選に無関係な部長という立場だからだろう
樹「夏凜さん……いえ、夏凜副部長。至らない点があるかと思いますが、宜しくお願い致します」
- 167 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 21:42:00.46 ID:cVrmtW5ao
-
夏凜「順応性あるわね、樹」
樹「臨機応変、常在戦場。武士たるもの、常に堂々たれって、若葉さんが」
天乃「若葉……」
何を言ってるのか……
そもそも、若干間違っているような気がする。と、天乃は眉を顰める
若葉が間違えたのか、樹が間違えたのか
もしくは、混ざってしまったかだ
夏凜「良いわ。天乃……引き継いであげる」
天乃「良いの? 大変よ?」
夏凜「あんたに付き合う以上に大変な事はないでしょ」
天乃「じゃぁ……別れる?」
口ではそう言いながら、夏凜の腕に抱き着く
別れると言われない自信はあるけれど
でも、自分は別れたくないという、意思を示したくて
夏凜は言葉よりも息をついて、天乃の頭に触れる
夏凜「別れない……決まってるでしょ」
- 168 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 22:00:09.72 ID:cVrmtW5ao
-
夏凜「樹」
樹「はぁ……」
夏凜「私は副部長とか良く分からないけど……部長のサポートをする立場。だと思って全力でやるわ」
だから覚悟しなさい。と、夏凜は胸を張る
恋人を腕に巻きながら
その頭を撫でている姿は、威張ってもまるで威厳がない
流石の樹も間の抜けた反応を見せて、首を振る
あらかじめ決まっていることが明白だった副部長を決めるだけで、
こんなにも甘えている姿を見せられては、拍子抜けしてしまう
樹「解りました。夏凜さんを久遠先輩だと思って頼らせて頂きますねっ」
夏凜「いや、天乃――」
樹「お願いしますねっ?」
にっこりと、樹は笑う
その威圧を感じる要求に、夏凜は頬を掻いて、「はいはい」と答える
目の前で恋人が抱き着いたままなのだ
少しくらいは……嫉妬もされるだろう
- 169 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 22:24:07.80 ID:cVrmtW5ao
-
東郷「ところで、久遠先輩は卒業式には参加出来そうですか?」
天乃「本当に唐突ね……」
あと一ヶ月もない先にある卒業式
本来なら参加できない程に休学してしまっているけれど、
一応は義務教育だし、成績的には問題もない
なにより、大赦による重要なお役目と言うこともあって、卒業は可能だ
天乃「可能なら参加したいわ」
風「可能ならって……参加するでしょ?」
天乃「予定としては参加だけれど……私が出ていったら騒ぎになりそうで」
風「いーじゃない〜最後くらい華々しくいきましょ」
園子「天さんが参加してくれないと、悲しいな〜」
樹「参加してください、久遠先輩」
天乃「ん……」
夏凜「騒ぎが起こったら、何とかしてあげるから……」
- 170 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 22:50:13.34 ID:cVrmtW5ao
-
参加してではなく、
騒ぎになったら何とかしてあげると、夏凜は優しい声で言う
頭に触れていた手が抱き寄せるものへと変わる
夏凜「ちゃんと卒業して欲しい」
天乃「夏凜……」
園子「アツアツだね〜」
天乃「っ」
夏凜「私より先に色々やってんだから良いでしょ」
茶々を入れる園子達に、夏凜はむっとして言い放つ
天乃の体を抱き寄せながら、ベッドへと倒す
天乃「ふぇ……えっ?」
夏凜「どうする? 卒業式……学校の卒業しないなら……別の卒業させるけど」
天乃「べ、別……?」
1、卒業式に出るから止めて
2、……それ、ちょっと気になるわね
3、冗談よ。ちゃんと出るから
4、今、するの?
↓2
- 171 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 22:54:43.15 ID:8JH18P7LO
- 2
- 172 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 22:56:37.53 ID:OLfY1Xh0O
- 2
- 173 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/04(月) 23:03:03.74 ID:cVrmtW5ao
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
園子「卒業とは〜!?」
東郷「童て――」パシンッ
樹「男の子じゃないんですから……」
東郷「そういえば、久遠先輩の回復力なら膜も――」
風「はーいそこまで!」
- 174 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/04(月) 23:14:47.69 ID:3fISZTp1O
- 乙
そういえば夏凜ちゃんずっとキスだけで本番はロクにしてなかったっけ
- 175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/05(火) 07:17:25.62 ID:P2zP3pPVO
- 乙
夏凜が珍しく積極的だな
- 176 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/05(火) 22:53:30.15 ID:CCumAL8Lo
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 177 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/05(火) 23:03:29.97 ID:dhSAFhh6O
- かもーん
- 178 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/05(火) 23:08:21.41 ID:CCumAL8Lo
-
天乃「……それは、ちょっと気になるわね」
夏凜「は……」
天乃「ふふっいつまでもやられっぱなしなわけないじゃない」
ちょっとだけ驚いたけれど。と
天乃は笑顔の裏に焦りを押し隠して、余裕そうに見せる
無理矢理に引き倒されたのには驚いたし、
夏凜が積極的な事にもびっくりだ
けれど、負けていられない
天乃「今の私はね……園子のおかげで攻めることも出来る女なのよ」
東郷「へぇ……」
園子「えへへ……」
少し離れた場所で何か怖い声が聞こえたが、夏凜は天乃を見下ろしたまま……視線を合わせる
じっと、見つめ合う
夏凜「天乃ってみんながやってることが全てだとか勘違いしてるでしょ」
天乃「何の話?」
夏凜「セックスの話」
天乃「セッ――」
夏凜「ほら赤くなった」
- 179 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/05(火) 23:17:36.68 ID:CCumAL8Lo
-
園子を下したと天乃は言っているけれど、
園子は天乃を除いた勇者部の中でも最も弱いのだから、何の自慢にもならない
そもそも、だからと言って天乃が弱いことも変わりはない
天乃「か、夏凜……だって」
夏凜「ただの直喩でしょ。私は別に恥ずかしくないわよ」
天乃「ぅ……」
夏凜「あんたの考えてることなんてお見通しなんだから」
どうせ、からかってやろう。という魂胆だったのだろうと夏凜は苦笑する
夏凜の引き倒し、別の意味での卒業と言う言葉
それに対して強気で行けば主導権を握れる……とでも
それは甘い考えだ
夏凜「調べたんだけど、四十八手って面白い教本があって、これの1から48までをやって卒業。ってことにしようかと思ってるのよ」
天乃「ん……うん?」
夏凜「東郷の研究が完成して、天乃がもしも生やせたなら……童貞の方でもいいんだけど」
東郷「私の研究はそういう方じゃないわ」
- 180 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/05(火) 23:56:31.02 ID:CCumAL8Lo
-
夏凜「……というか、園子ともやったなら、私ともそろそろやっても良いんじゃない?」
天乃「私は、体さえ問題ないならいつでも来てくれていいんだけど」
夏凜「そ……じゃぁ次は宜しく」
天乃「ええ」
夏凜が離れるのに従って体を起こすと、
隠れたはずのみんなが天乃達の方を見ているのが目に入る
恨めしいとかではなく
どこか生暖かさを感じる視線だった
天乃「……なに?」
園子「わざわざこんなところでやらなくても〜」
東郷「違うわそのっち。夏凜ちゃんは久遠先輩は私のものだって独占欲を発揮したのよ」
夏凜「……別に良いでしょ」
樹「若葉さんを含めれば一人六つで卒業ですね」
指折り数える樹の言葉に、風の乾いた笑い声が返る
四十八手とは言うが、あれのすべてをやるのは無理だと、すでに答えは出ているのだ
風「なんていうか、こうやって宣言しないといけないくらいには……天乃の予定ってかつかつなのよ」
- 181 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/06(水) 00:02:58.88 ID:tXJXbZT7o
-
次から次へと、天乃の隣は取られてしまう
だから二人同時に相手をしよう。なんていう話にもなったりするわけで……
夏凜は二人同時相手でもいいが
園子はつまみ食いされたわけだし、自分だって可能ならそうしたいと思ったのだ
夏凜「……嫌なら、良いわよ。別に」
天乃「夏凜……」
アプローチの仕方がうまいとは、残念ながら言えない
けれど、夏凜はみんなの前で攻めてきてくれた
自分が欲しいと、近づいてきてくれた
それは、天乃にとってはとても嬉しいことで。
天乃「……嫌って言うと思う?」
夏凜「かもしれない」
天乃「言わないわよ。大丈夫」
そう言って、天乃は夏凜を引き倒した
- 182 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/06(水) 00:03:34.69 ID:tXJXbZT7o
-
では途中ですが、ここまでとさせていただきます
明日もできれば少し早い時間から
- 183 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/06(水) 00:16:03.85 ID:hBa21cHCO
- 乙
雰囲気的に夏凜ちゃんとはやらない感じと思ってたらここで来るか
あと夏凜ちゃんの口からセックスという言葉が出てくるとは…
- 184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/06(水) 01:51:59.57 ID:ItXZbBqRO
- 乙
女同士で全部できるようなもんだろうか四十八手
- 185 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/06(水) 23:45:09.41 ID:tXJXbZT7o
-
すみませんが本日はお休みとさせてください
明日はできれば通常時間から
- 186 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/07(木) 06:01:16.56 ID:2go8icfTO
- 乙
- 187 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/07(木) 21:46:13.10 ID:u0LWjEa4o
-
では少しだけ
- 188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/07(木) 21:50:53.39 ID:QuUbCZ+pO
- やったぜ
- 189 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/07(木) 22:57:11.22 ID:u0LWjEa4o
-
風「いやいやいや、ここでおっぱじめないでよ!?」
沙織「引きはがしてあげようか……」
天乃「沙織……?」
沙織「それ以外の誰かに見えたのなら、寂しいなぁ」
暫く姿を見せていなかった沙織は、
精霊らしく、どこからともなく姿を見せる
先日、子供たちの名前がまだ決まっていない頃
名前の候補の一つを出してくれた時が、まともに顔を見た最後だったと、天乃は思い出す
天乃「それ以外には見えないわ……でも、どこに居たの?」
沙織「ん〜……大赦の方だね。ほら、久遠さんを巫女にするとかいうクソ……じゃなかったクズみたいなことを言ってたから」
東郷「伊集院先輩、ほとんど一緒です」
沙織「ごめんね……猿猴の力を使うとどうしてもそうなっちゃうから」
困ったように言う沙織は、はぁ……とため息をつく
巫女の装束を身に纏っている沙織は、普段よりも猿猴の力を色濃く漂わせている
天乃「何か悪さしたりしてないわよね?」
沙織「深い話を聞くためには伊集院沙織じゃもう駄目だからね。ちょーっとごまかしを」
人差し指と親指の隙間を見せて、沙織は苦笑した
- 190 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/07(木) 23:33:01.05 ID:u0LWjEa4o
-
沙織「今回の神婚と、神々が散り散りになったことでかなり変わっていくみたいだね」
天乃を巫女としてたてようとしたが、
残念ながらそれは天乃が拒否したし、みんなも嫌がるから上手くはいかない
ならばどうするのかと忍び込んでみれば、
少しずつ、西暦時代の形に戻していくつもりらしい
とはいえ、西暦時代にあんなことが起きた以上
完全にそれと同じにするわけにもいかないので、その調整に四苦八苦しているらしい
神樹様に護られる世界から
人が人として生きていく世界へ
その移ろいは、簡単にできることではないようだ
だからこそ、天乃の力を借りたかったのかもしれない
沙織「ただ、久遠さんが巫女に仕立て上げられることは、多分もうないから大丈夫だと思うよ」
天乃「あら、意外ね」
沙織「ほら、久遠さんのお祖母ちゃん。あの人、久遠家代々の穢れを継いでた人だから神婚の時に何も影響なかったみたいで……」
- 191 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/07(木) 23:47:32.95 ID:u0LWjEa4o
-
園子「つまり、おばあ様が天さんを生贄にするな〜って号令をかけたの?」
沙織「それに近いかな……聞いた話だからあれなんだけど」
これ以上、子供たちに重荷を背負わせてどうするのか。
天乃の祖母はそう言っていたらしい
直接的に天乃に手を出すなとは言っていないが
天乃が双子を産んだことは知っている
それも含めて、新しい世界に向かうということもあって、
久遠家の柵を払拭しようと考えたのかもしれない
沙織「あの人も、色々大変だったから」
風「なんか、上から目線ね……いや、わかってはいるんだけど」
沙織の中の猿猴が強まっているのだろう
沙織はどこか不思議な感じで語って、けれど、ふっと唐突にその気配が失せる
沙織「だから、大丈夫」
天乃「そう……お祖母様は家に戻るって言ってた?」
沙織「ううん、言ってないと思う。ごめんね、直接お話しできたわけじゃないから」
天乃「大丈夫、ありがとう」
- 192 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/07(木) 23:49:11.38 ID:u0LWjEa4o
-
すみませんが、短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/07(木) 23:56:31.91 ID:QuUbCZ+pO
- 乙
さおりんと猿猴すごい久しぶりに見たなぁ
そしてあのお祖母様がついにデレるとは…直接話を聞きたかったけどもう時間がないのが惜しまれるな
- 194 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/08(金) 02:23:57.40 ID:IPu1S+UqO
- 乙
終わりが近いのを実感するぜ…・…
- 195 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/08(金) 23:49:45.84 ID:OBU1VO0mo
- 遅くなってしまったので、本日はお休みとさせてください
明日は、可能であればお昼ごろから
- 196 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/08(金) 23:51:19.60 ID:eLB/kchZO
- 乙ですー
- 197 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/09(土) 22:06:50.46 ID:zJVzLAyqo
-
遅くなりましたが、少しだけ
- 198 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/05/09(土) 22:10:33.02 ID:UYbir0dlO
- よしきた
- 199 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/09(土) 23:20:07.41 ID:zJVzLAyqo
-
天乃「結婚式には……どうかしら。来てくれるかな」
沙織「どうかなぁ……」
沙織は渋るように言う
天乃の祖母は、自他ともに厳しい
同性交際だって認めていないかもしれないし
同性結婚なんて、もっと反対しているかもしれない
直接的には何も言って来ないが、ちゃんと異性と付き合いすべきと思っているかもしれない
沙織「まぁ、お祖母様は若干ツンデレみたいなところもあるし。来ないかもね」
天乃「そう……よね」
夏凜「それを言ったら、うちの親だって」
東郷「東郷、鷲尾両家は全然。私が幸せなら……と、言っていますよ」
園子「とっしーに同じく〜」
樹「私も、大丈夫です。お姉ちゃんですし」
夏凜「羨ましい」
- 200 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/09(土) 23:52:55.12 ID:zJVzLAyqo
-
風「あれ? 結婚反対?」
夏凜「久遠の血が穢れてるって考えてんのよ」
春信の手を借りて、ようやく説得した。という状態である夏凜の家は
恐らくではあるが、結婚式に招待したところで来てはくれないかもしれない
だから、羨ましいとぼやく
反対されても、天乃との結婚は変わらない
仲の良かった兄は招待したら来てくれるはずだし、
全員が全員、大反対と言うわけでもない
天乃「また今度、ご挨拶に行く?」
夏凜「止めた方が良い」
子持ちであることは伝わっているだろうし、
変な難癖をつけられてしまうだけだ
夏凜としては、もうあまり関わらなくてもいいのでは。と、思っている
夏凜「どうしてもって言うなら、止めないけどね」
天乃「止めないって、夏凜にも来てもらわなきゃ困るわ」
夏凜「そりゃそうだけど」
- 201 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2020/05/10(日) 00:19:28.31 ID:BBtUgUKto
-
樹「うちは……良いの?」
風「そうねぇ」
天乃「風のところにもいくわよ。もちろん」
風「家とお墓?」
天乃「両方」
犬吠埼家のご両親
今から二年……いや、もう三年前と言ってもいい
天乃達とバーテックスの戦いの被害によって亡くなった二人
天乃はまだ、しっかりとお話を出来ていない
先延ばしになってしまっていたけれど、今度こそ
天乃はそう思って、笑みを浮かべる
天乃「色々な意味で、責任は取らなきゃね」
風「それは良いんだけど……樹を妊娠させる前に、あたしを妊娠させなさいよ?」
天乃「えっ?」
風「東郷が、そういうことできるようにしてくれるらしいから」
東郷「待ってください風先輩! 一番は私では!?」
園子「そういう話じゃないんじゃないかなぁ〜?」
夏凜「園子が一番、落ち着いてるかもしれないわね」
呆れたように呟く夏凜に、
園子は困ったように笑って「いっつんが一番だよ」と、譲った
484.05 KB Speed:0.4
↑
VIP Service
SS速報R
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
スポンサードリンク
荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2026/05/10 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)