【あんこ】あなたは淫魔に襲われました【ファンタジー】

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35 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga sage]:2020/07/18(土) 22:33:19.01 ID:sEkwVDBYO

とかなんとか言ってたら野暮用ですよ申し訳無い
今日はちょっと難しいから明日にでもまた来ます

それとキャラクタの名前って募集してもいいですか?
無くてもいいけどあったらちょっといいかなって唐突に思いました

まぁでも取り敢えず明日は来ますすみません
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2020/07/18(土) 22:47:13.70 ID:vu90vtJHO
んー、なくてもいいかな
今までのも固有名詞なかったし
相変わらず味があって好きよ
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/18(土) 23:50:05.18 ID:TLM7FfO4o
おつおつ
1がつけてくれるならあってもいい
つづきおまちしてます
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/19(日) 00:39:52.74 ID:VovIc31cO
安直だけど淫魔ならリリスとか
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/19(日) 00:47:38.49 ID:9pxS24tBo
M向けっぽいシチュエーション
淫魔でM向けといえばサキュバス戦記思い出す
40 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/19(日) 19:12:54.17 ID:iDInhXbfO

それならまぁ無くてもいいですね
何か無ければこのままで

あともう少し遅くなってから来ると思いますがトリップはこれで

それからどんな方向に行くかは分かりませんお願いします
41 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/19(日) 19:13:30.30 ID:iDInhXbfO

【下一桁……8:……敗者にどうか服従のキスをお許しください】



忌憚無く、憚り無く、そして衒い無く本心を。

善行には感謝と祝福を、罪には罰を、そして敗者には断罪と赦しが相応しい。

淫魔「よろしい。……さ、男を知らぬ乙女の扉が何処にあるかはご存知? 」

大仰に、殊更芝居がかった仕草はまるで舞い踊る踊り子のようでいて不思議と気品があった。

或いはそう、傅くことで魔術的な契約が為されるというのなら、

その決断と選択にはきっと相応しいそれは魔性と無垢の混じり合う矛盾した粋美。

「……当然、その唇に」

敗者、という語感から推せばそこはきっと秘処、あるいは足の甲。

寝台に昇った演者とすればそれは手の甲だ。

けれど敢えて上唇と下唇の間、心が吐息と共に漏れる深淵に刹那の愛を。
42 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 19:13:58.18 ID:iDInhXbfO

淫魔「それでこそ、ね。…………一差し、あなたを捧げなさいな」

流されに流され無理矢理昂らされた身体は不思議と軽い。

両腕は淫魔の腰と背中に回したまま腹筋だけで上半身を持ち上げる。

寝台に座ったまま対面した彼女は、美しかった。

神の正反対に坐す真性の化け物でありながらその美貌は神域に達する弥終の更に極致。

釣り上がった猫の目が如き真紅の宝玉に見つめられれば、

男ならば皆等しく這いつくばり己の不明を恥じる他無い。

嗚呼、醜くも無様に反抗して詫びの入れようも御座いません、と。

殊更相手を小馬鹿にする意図が有るにせよ無いにせよ、
その紅玉と合わさって口角を僅かに上げる笑みは蠱惑的で、嗜虐的だ。
43 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/19(日) 19:15:25.06 ID:iDInhXbfO

「御名を、お聞かせ願えますか? 」

芝居がかったお姫様には役者ぶった返答を。

「本来ならおしえてあげる義理は無いけれど……そうね、初めての相手、最初で最後の相手だものね」

「最初で、最後……? 」

「精気を吸うだけならば淫夢を見せるだけで良い。
生気を奪うだけなら使い魔を取り付かせるだけで十分なの、私たちって」

「は、はぁ……」

「だから、あなたたち言うところの淫魔というのは本来無垢な愛をこそ……

「愛を、こそ? 」

「いえ、今この場では下らないことね。…………」

「…………ん」



契約は、成された。
44 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 19:15:53.02 ID:iDInhXbfO

一方的で独善的、ただひたすらに上下だけがある。

けれど、そこに否やは欠片も存在しない、合意の上での純然たる契り。

その瞬間だけは何があろうとも死の寸前まで忘れはしないだろう。

周囲の物音は何もかもが、寝台の軋みすら恥じらって。

いつの間にか首に回された華奢でいて確かに暖かい腕も、

胸板で無遠慮に押しつぶされた双つの果実も、

下腹でいきり勃ち泣き声を上げる肉槍を甘く押す秘処の湿り気も。

啜れば幸福感に浸されて死を迎えそうなそんな全ても、束の間頭から吹き飛んだ。
45 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 19:16:26.76 ID:iDInhXbfO

淫魔「____……さ、触れても、いいわよ? 」

「…………はい」

相応しい名だと、信じた。

キスの後、耳元に舞った名は、ただただ相応しい。

思った、のでは無い。それは彼女の名であり、彼女だけに許された称号。

昏く沈んだ暮夜の支配者たる彼女にのみ許された響き。

「んっ……ふふ、私、逃げないけれど、逃がさないから」

獣性を許された従者、或いは下僕を押し倒した美姫がふわりと笑む。

その声が届いたかどうか。

従者といえど根本的には無礼で遠慮の無い獣であるのだ、彼は。

否、彼女の前に立てばどんなに清貧を尊ぶ聖職者とて卑しい淫者に成り下がるのだが。

「ッ……ぁ…………

さして柔軟でもない寝台に押し倒された所為で肺の空気が漏れ出る。

漏れ出た空気を吸おうとして開いた口は彼の主人によって再度封をされた。
46 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 19:16:53.30 ID:iDInhXbfO

淫魔のクセに初めての乙女と宣う彼女のキスはいっそ暴力的。

こちらの呼吸など全て無視し、封殺し、そして反論を許さない。

歯茎を舐られ絡め取られた舌は表面から削られるように吸い上げられる。

それなのに反抗しようと舌先でちょっかいを出せば返されるのは酷く芳しい唾液だった。

下らないことを言えばきっとそれは一雫で一生を遊んで暮らせる程に高価な魔薬の原料となる。

意中の男を籠絡する媚薬にも、反抗的な女を破壊する催淫薬にもなり得るそれはまさに聖水。

そんなものがそのまま、何も手を加えられず、空気にすら触れるのも惜しいとばかりに口腔を満たして、流し込まれる。

圧倒的に華奢な女に組み敷かれキスだけで犯される、そんなことは矜恃が許さないこと、だった。

けれど今は寧ろこれこそが、こうでなくてはならない絶対の主従関係。

そうなれば、主人から与えられた麻薬に頭を侵され身体の自由を半ば奪われるのも致し方無い、泥沼の幸福だ。
47 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/19(日) 19:17:22.90 ID:iDInhXbfO

淫魔「っふぁ……」

「っはぁ……はぁ…………っ」

漸く、解放された。

時間にしてしまえば数瞬の出来事ではあっただろう。

けれど、天上の美姫に直接脳を弄り回され神経の配列を幸福に置き換えられる痛苦的な幸福は時を、曖昧にした。

しかも彼の主人は暴力的で絶対的でありながら、根幹には労わりと癒しがあり、奉仕的でさえあった。

彼の身体を気遣うように這い回る右手と、顎を捕らえて逃がさない左手と。

ある種矛盾したその振る舞いがまた彼の脳を沸騰させ神経を灼き切るが如き快楽を齎す。

48 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/19(日) 19:17:53.66 ID:iDInhXbfO

淫魔「んふ……」

貪られいいように弄ばれた遊び場から名残惜しそうに離れる笑み深い唇。

そこから首筋と胸板に垂れ落ちる銀の橋が美しい。

淫魔「はしたないけれど私もあまり我慢はできない、かな」

そう溢して、彼女は彼の最後の守り、或いは反対に枷となっていた一枚を勢い良く引き裂いた。

同時に、レースに縁取られた赤い下着も紐を解かれ寝台を滑り落ちる。

それはべったりと湿り、硬い木の床に新しい水溜りをつくっていく。

千切れて投げ捨てられた肌着が覆っていたのは凡そ人の世では憧れぬ者のいない逞し過ぎる怒張。

女の奥を殴り付け、屈服させ、自らの欲望を流し込む覇者の肉槍。

それは主人の絶佳に震え、散々に焦らされたことで獰猛にそそり立っていた。

幾ら主人とはいえ、凄絶な程に艶かしく美しい女を前にしてそこは変わらない獣の意志。

それを愛おしそうにさすり少しだけ息を吐いたのは武者震いのようなものか、それとも緊張だろうか。
49 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/19(日) 19:19:17.14 ID:iDInhXbfO

淫魔「……上になる無礼をお許しください、旦那様? 」

言葉だけは恭しく奉仕的で、そこには強者として獲物を逃がさない蹂躙の徒が君臨していた。

子供の腕程もある赤黒い極太の長槍を捕まえて、自らの濡れそぼった秘処へ宛てがう姿はやはり主人然としていて。

けれどその対比は確実に奉仕する側の弱々しい姿に見えて。

ーー何か、これが契約後最初の選択肢、無言の岐路なのだろうか、なんて。



【従者か下僕か奴隷か、それとも】



高い程痛苦的、低い程愛念的
また数字が近い程シンクロ
0は10

←淫魔(二桁目):“ あなた ”(一桁目)→
50 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/19(日) 19:20:09.18 ID:iDInhXbfO

チッ……低い……

こんな感じでまた来ます
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/19(日) 19:52:00.93 ID:oeSkpFS1o
淫魔いいなこの性格

おつー
52 : ◆cKDALETpQ6 [saga ]:2020/07/19(日) 22:07:46.18 ID:riJACanJ0





………

………………

………………………

53 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:08:26.97 ID:riJACanJ0

【淫魔:1……これ以上無い愛念的な絶頂】
【“ あなた ”:4……かなり愛念的な快楽】




淫魔「あっはっ……なに、これぇ……ッ」

貪欲で暴力的、その全てが女を殺すカタチをしたオスの肉凶器。

反り返った槍は娼婦が思わず泣いて詫びたくなる程に、エグい。

膣道をこれでもかと削りそうなカリ、何本も太い血管が浮き出た刀身。

単純な大きさだけではなくカタチそのものが男らしさを煮詰めて凝縮したような怒張。

それがその殆どを初めてに戦慄くメス穴に突き立てられている。
54 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:09:17.39 ID:riJACanJ0

それなのに、この瞬間何を最も感じるのかといえばそれは痛みではなく愛念的な多幸感の奔流だった。

肉の感覚的に言えば淫魔とはいえ破瓜の痛みからは逃げられないし、

一気に九割方の侵入を許して身体の奥を殴られた衝撃が内臓を直接揺らし電流のような感覚で脳を灼いている。

初めての緊張を殊更に芝居がかって過剰な演技で誤魔化していたツケか、

それともそれなりの時間をかけて淫夢で男を物色するなどという舐めた真似の代償か。

自分を主人と認めた筈の男は暴力的で一方的な行為だけではなく、

ひたすらに慈愛と献身に満ち満ちたゆったりとして、それでいながら激しい情愛を伴う行為で反抗していた。
55 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:09:45.07 ID:riJACanJ0

まずは挿入れた瞬間、耐えた。

広がりきった傘が膣道を通る数瞬、耐えられた。

槍の根本に近い太くなった部分の圧迫、震えた。

粘性の腺液を垂れ流す硬い先端のキス、無理だった。

無理矢理拡げられているのに、それは優しく。

我武者羅に突き通されていても、それは優しく。

絶対に逃がさないという拘束も、それはまだ優しく。

しかし刹那の空白の後、猛った怒張は彼女の最奥を確かに押し潰し、打ち抜いていた。
56 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:10:16.92 ID:riJACanJ0

淫魔「っは…………はぁんっ」

息が、苦しい。

内臓を強く圧迫する感覚が脳髄を揺らし、

またしっかりと存在を主張する太幹の遺物感が神経を細切れにするかのよう。

それでもまだきっと本気ではないのだろう、

従者は従者らしく主人に牙を向けないように耐えているのだ、彼は。

快楽に顔を顰めているのは本当に心から愛おしい。

汗と彼女の唾液でベタベタとした顔に髪が張り付いている様は人間たちのつくった最高峰の彫像が如くあって。

自分の美しさには及ばないけれど、認めてもいいかな、なんて。

いや、認めたからこそ自分の破瓜血を与えたのだからそれでこそ、なんて。

それらは全て千々に千切れて纏まらぬ益体の全く無い戯言。

一言で表してしまえば、情愛だった。

肉欲的な痛苦が、溢れる愛と献身で漂白されて、塗り替えられている。
57 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:10:45.06 ID:riJACanJ0

房事なんてただの食事、粘膜が触れ合うだけの些事。

そんなことを言っていた年上の同族に初めて憐れみを覚えた。

きっと彼女には男を見る目がまるで無かったのだろう。

下らない、路傍の石にも劣る者としか契りを結べなかったのだろう。

それでは、人間たちが言い伝える淫魔像そのものの唾棄すべき魔物ではないか。

だって、こんなにも優しくて激しい矛盾した瞬間が幸せではなくて何だっていうのか。
58 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:11:22.79 ID:riJACanJ0

一人の男になんて縛られたくない。あくまでこちらが主人であちらは道具。

そんなことを宣う見た目だけは可憐な同族には心底からの侮蔑を向けてしまった。

彼女は、ただの淫乱で、私たちの仲間なんかではないのだ。

確かに私たちの種族は男の精気を生命力に変えることができるけれど、

それは相手に与えることもできる相互的な愛の交換なのだ。

それを、ただ貢がれるだけの契約に貶めるなんてそれは自らの堕落と怠惰に他ならない。

幸福への勘違いとパートナーを定められない不幸への無意識的な諦念だ。
59 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:11:48.29 ID:riJACanJ0

深い、深過ぎる程に深遠な絶頂が刹那で彼女を塗り替えた。

あんなにも演技と主従関係の強調で遊んでいる風を装ったのに、意味が無かった。

余裕なんて殆ど破壊されて、吹き飛ばされてしまった。

まだ、初めて咥え込んだだけなのに。

激しく痛め付けることもできるのに、それをしない。

否、ただしないだけのその純粋さにこそ最も激しく痛め付けられる。

こんな、ただ精力の強いだけの人間に、従者に、慮られるだけなのがただ優しく辛い。

琴線を鷲掴まれて、優しく握り潰されるような矛盾して乱れた感情と理性の混ざり合い。

混濁した世界は、優しいのが辛くて、辛いけれど快感で、快感は優しさだ。
60 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:12:15.42 ID:riJACanJ0

「…………暫く、このまま」

淫魔「っ…………」

そうだ、彼はまだ何か動いたわけではない。

主人たる彼女が捕らえて、腰を下ろして、貫かれて、勝手に愛に堕ちて絶頂しただけだ。

きっとこれはちょっとだけ不幸で、最高に幸福感な行き違いと巡り合わせ。

彼女の種族的な体質と、彼の超人的な身体能力が嵌っては駄目なレベルで噛み合ってしまったのだ。

彼程の肉槍で、しかも騎乗位で破瓜を迎えたい女なんて人間にはいないだろう。

けれど、彼女は人間ではなくて、ある種女も男も舐めきっていて、そして主人で。

快楽には滅法強く、それでいて感受性も抜群な身体が激しい痛苦を塗り潰した代わりにそれを快楽に変換したのだ。
61 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:13:02.43 ID:riJACanJ0

淫魔「んっ……いい、から。触れてっ、もいいと約束、したじゃない……っ」

約束は、守らなければならない。

それも、主人がその従者にした契約はすなわち絶対の契り。

お遊びの契約なんかではなかった、今ではそう言える。

そこに魔術的なものや観念的な何かが介在していたわけではない。

そんな無粋なものは無くても、これは契約だったのだ。

何はともあれ、ここで彼の優しさに溺れてしまっては恥知らずにも程がある。

破壊されて塗り潰された感情は兎も角、明滅する意識をはっきりさせるためにも、

そしてこの初めてを一瞬の輝きに終わらせない為にも。
62 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:15:47.52 ID:riJACanJ0

淫魔「ほぅら……こういうのは、如何かしら? 」

敢えて、快楽と行き過ぎた多幸感に濡れた秘処を締め付ける。

それだけで仰け反って喘ぐ従者の表情に仕合わせを覚えた。

もっと、もっと、もっと、もっと!

更に深く遠く果てしない坩堝へ二人だけで堕ちてしまいたくなった。

二人だけで、誰も、何も存在しない、極地で、ただ。

淫魔「っ……ヤ…………ぁんっ」

ーーけれど正直、腰を振る余裕はまだ、無い。



【崩壊する理性(とプロット)】



1.果実
2.抱き締め
3.抱き締め
4.果実
5.抱き締め
6.抱き締め
7.果実
8.抱き締め
9.果実
0.鷲掴む
ゾロ目.襲撃
63 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:16:27.41 ID:riJACanJ0





………

……………

…………………

64 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:35:38.20 ID:riJACanJ0

【下一桁:2……抱き締め】



「……? 」

何か、しただろうか。

彼の主人たる女が、くたりと彼の胸板に崩れ落ちるように倒れ込んできた。

あまりの痛みに姿勢を保てなくなったわけではないだろう。

何せ、彼女の言葉通りぴったりと閉じ切っていた秘裂からは多めに破瓜の血が流れている。

まさか淫魔が、それも超然とした艶やかな美女が生娘だなどと誰が信じよう。

しかも彼の如き人外染みた肉槍を初めて咥え込むのに騎乗位から始める女が何処にいよう。

そんな、ある種常識的な意識が胸板に落ちた彼女に疑問を投げ掛けたのが一つ。
65 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:36:05.82 ID:riJACanJ0

それから、彼女の見事なまでの果てっぷりだ。

彼はその業物に違わず常人では到底至ることのできない耐性を持ってはいる。

荒淫、という程の暴れ振りだったわけではないがそれなりに経験もしてはいる。

百歩譲って彼が一突き、強引に押し入ったその一撃で堕ちた女もいなかったわけではない。

だがそれは十分にお互いが絡まり合い、前戯を尽くして解した結果だ。

まさか殆ど雰囲気だけで濡れそぼった女が腰を下ろして勝手に登り詰めるとは思わない。

しかもその自称処女は破瓜の聖血が証明してしまっている。



ーー正直よく、分からない。
66 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:38:24.16 ID:riJACanJ0

「ん……ちゅ」

「ん…………っ」

分からない、分からないことだけれど、しかし。

彼女が淫魔であることとか、逸物を締め上げる甘やかでいて激しい快楽は事実で。

力の抜けた彼女が無心で欲しがるのならば、

精を吐き出したい気持ちも滅茶苦茶に突き上げたい欲求も耐えて。

ただ緩く抱き締めてキスを返す。

本当はこのまま突き上げ、この女の肉をグズグズにしてやりたい。

生意気で少しだけ小馬鹿にしたような笑みを二度とできないようにしてやりたい。

けれど、そんなつまらないことよりもきっと大切なことがあって。

それはただ彼女を抱き締めることだと、甘くキスを返すことだとそう思ったのだ。

零れた涙がスッと頬を伝い溢れ落ちて、胸板で汗と混ざり合った。

67 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:46:37.42 ID:riJACanJ0

「う、ごかないの……? 」

「ん……」

暫く軽い、それも初心な少年たちが交わすようなキスを返し合い、何かを確認するように繰り返した。

それが徐々にまた肉欲に満ちた深く、貪るようなものに変わっていって。

どこか心細さを見せるような、捨てられまいとする貌が目の前にあった。

はち切れそうな程に張り詰めた逸物は相変わらず食い千切ろうとするかのような秘唇に食い締められている。

射精してしまおうと思えばそれは簡単に決壊させてしまえそうでは、あった。

どうせ流し込んでしまうのなら好き勝手に動いて高く高く意識を落とすような場所でイき果てたいのも確か。

女を前にしてこんなにも自制したことなどあっただろうか。

不思議と、それが嫌では無い自分という状況に変な笑みさえ溢れそうなときだった。
68 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 22:51:18.75 ID:riJACanJ0

淫魔「もう、良いわ。慣れ、てはいないけれど、うん。これ以上甘やかすのなら、怒る」

怒る、なんて子供っぽいことを言って、ソレは笑った。

「…………ッ」

その笑みが、切っ掛けだった。

淫魔「あっ……! はっ…………んっ……はぅ…………っ! 」

決壊したのは肉体の限界ではなくて、理性の堤。

押し寄せる獣性でもなく、何処にでも転がっていそうな情愛でもない。

想うだけで絶頂し過ぎるが如き意味の分からない衝動だった。
69 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 23:00:53.54 ID:riJACanJ0

緩く抱き締めた腕を彼女の背中に回す。

珠の汗に塗れた背中は滑らか過ぎて恐ろしかった。

まるで神が手ずから捏ね上げ磨いたが如き肌理は触れただけの掌を捕まえて離してはくれない。

淫魔「ぁ……背な、っか! だめっ…………! 」

オープンバックにも程がある淫らな衣装は汗を吸い過ぎて最早意味を成してはいない。

彼女の背中を余す所無く味わいたい、手を滑らせたい、滑る手に悶えて彼の眼前で仰け反る顔を見たい。

思ったときにはもう、手が動いてしまっていた。

淫魔「あ、あぁ……っ」

太腿まで伸びていた夜着をまくり上げるのも面倒だ。

腰を軽く突き上げて彼女の抵抗を無くした後は然程難しくもない。

肩紐に腕を通すのは省略してしまった。

淫魔「結構気に入っっっっ……っふっあっ…………! 」

力任せに破き捨てた夜着はぬめった音を立てて木の床へ、落ちた。

70 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 23:09:08.90 ID:riJACanJ0

「申し訳、無い。……でも、もう耐えられ、ないっ! 」

淫魔「! はうぅんっ! 」

最初は弱く抑えていた抽送を少しずつ、ではなく一気に加速させる。

彼女の顔が苦痛を浮かべていれば止められたかもしれないが、

淫魔が浮かべていたのは紛れも無く女の至福で。

こんなにも悦んでくれるのなら、止めるなんてとんでもないことだ。

豊かな桃尻を鷲掴み逃げ場を奪い激しい抽送を繰り返す。

その一度毎にキュッと締め上げられる逸物への愛撫。

胸板で潰れて早鐘のような鼓動を伝える双つの果実。

切なさと快楽と、灼ききれそうな理性を見せる美貌。

その全てに得も言われぬ愛情が湧き上がる。
71 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 23:21:59.06 ID:riJACanJ0

「もっ、う……無理だっ」

淫魔「わたしもっ、わたしももっ、う……イくっ」

元々登り詰めかけた身体に蠱毒のようなうねりと締め付けはまさに致命的で。

掴んで逃げ場を奪った桃尻の柔らかさも、

抱き締めた所為で更に強く押し付けられ胸郭に汗を塗りたくる豊かな胸も、

何より、華奢な身体を震わせて幾度も軽い絶頂を繰り返す彼女の美しく歪んだ貌に狂わされる。

激しかった抽送はより激しく、苛烈に、けれど有乎無乎の優しさをせめて掻き集めて。

味わう余裕なんてものは無く、ただ無心で腰を突き上げ天を目指す。

どちらかが言葉にしたわけではない。

けれど刹那でお互いが分かってしまった、理性ではなく本能が理解する頂きへの階梯。



ーー登り詰めた先に何があるのかは、知らない。
72 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 23:30:22.59 ID:riJACanJ0

淫魔「っっっっーーーー……………………! 」

「ーーーーーーーー…………っ」

唐突に、言ってしまえば呆気無くその瞬間はやってきた。

片や、最早止め処なく溢れ水溜りさえつくれそうな程の涙で目尻を一杯にして。

此方、既に限界を越えて決壊を抑えながら振りたくる腰に力を込めて。

射精の高い奔流は中々止まらなかった。

波を吐き出し竿を脈動させている間にも、深い絶頂に伴う収縮が精を搾り取る動物の様に肉槍を食い締める。

行き過ぎた快楽は次々に押し寄せ、意識を痛苦にも似た快感で押し流していく。

その絶頂感が永遠に続くような、そんな錯覚さえ与えられる至福の頂き。

淫魔の子宮はしかし、その洪水染みた吐精の圧にも負けず全てを貪欲に飲み干していった。
73 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 23:35:07.20 ID:riJACanJ0

「っ、ふぅ…………」

淫魔「…………………………………………っ」



ーー意識はなんとか、保っている。

たった一回の射精でこんなにも脱力するのも致し方無い快楽だった。

彼女のナカに突き立て欲望を流し込んだ怒張はその張りを弱めつつも、

未だ終わりなど許さないと次を待ち望んで燻っているけれど。

完璧に弛緩して口の端から唾液を溢している淫魔は目の焦点が合って、いない。

「ん……なぁ、おい…………おーい……? 」

淫魔「ぁ……ん…………はぇ? 」



ーーまるで、こちらが悪いことをしたような気がした。襲われたのは、自分なのに。
74 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 23:43:54.96 ID:riJACanJ0

「……………………」

淫魔「んふ…………Zzz」

朝が、来た。

しかし心地良い疲労感など無く、それどころか何故か身体が嘘のように軽い。

今ならば魔術など使わずとも空を翔ることができそうな程に。

これが、彼女の言っていた” 与える ”ということだろうか。

淫魔「…………んん……Zzz」

「……………………」

しかし、寝惚けているわけにもいかない。

彼女の、昨夜の振る舞いからは想像できないことの他いたいけな寝顔を眺め続けたいわけではなかったけれど。



【……さて】



1.唯一にして最高の絶頂
2.唯一にして最高の絶頂
3.あれから(←桁回)ヤりました
4.唯一にして最高の絶頂
5.あれから(←桁回)ヤりました
6.唯一にして最高の絶頂
7.あれから(←桁回)ヤりました
8.唯一にして最高の絶頂
9.あれから(←桁回)ヤりました
0.唯一にして最高の絶頂
ゾロ目.あれ、そういえば朝陽を見るのって二回目では?
75 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 23:45:45.47 ID:riJACanJ0





………

……………

…………………


76 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 23:53:45.39 ID:riJACanJ0


【下一桁:6……唯一にして最高の絶頂】



淫魔「…………嗚呼」

「何を黄昏ているんだお前。飯が冷めるぞ」

身体が根本から造り替えられたような感覚は未だ続いていて。

今でも空を飛び大岩を一撃で破壊できそうな程に力は漲っている。

けれど、肝心の情報を聞き出したい相手は起きてからずっとこの有様だった。

無理矢理に叩き起こしよく冷えた布で身体に纏わり付く嫌な汗と名状し難い体液の成れの果てを丹念に拭き取った。

その後は何処か虚空から勝手に取り出した薄手のチュニックを着て、この有様。

最初に取り出したのはエゲツ無い切り込みの入った衣服とも呼べぬレース編みの下着だったが、

拝み倒し常識を説き頼むからまともに食事ぐらい食わせろと頼み込んでようやっと、

渋々選ばせた服であるのはこの際忘れることにしなければならない。

77 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/19(日) 23:59:49.43 ID:riJACanJ0

淫魔「まっさかねぇ……いやいや…………有り得無いわこれ」

「有り得無いのはお前の常識だ馬鹿」

物憂げに宿屋が出したスープを掻き混ぜる姿はただそれだけで美しい。

巨匠の人生最後に残した傑作と言っても差し支えない程に彼女は絵になった。

残念な常識力は兎も角としてそれはまさしく昨夜お互いを貪り合って、

ただ一度の深過ぎる絶頂を分かち合った相手である。

「……要らんと言うのなら俺が食べ

淫魔「食べないとは言ってない。主人の食事を奪うなんて躾のなっていない畜生にも劣るわ」

「…………」

耐える、ひたすらに、耐えた。

宿屋の主や他の客から無駄な注目は浴びたくない。

ただでさえ一人客だった筈が見たことも無い美貌の女と食事に降りてきたのだ。

無用の注目は害でしかないだろう。
78 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 00:07:54.99 ID:/OzpEjmy0

「…………で? 説明してくれるので御座いましょうね、我が敬愛すべきご主人様」

淫魔「そういうわざっとらしい飾った言葉、嫌いなの」

「…………」

話が進まない。ついでに蓄積される苛々は止まらない。

彼が自らに更なる忍耐の訓練を課している間に、

漸く掻き回し続けていたスープに口を付け、顔を顰める。

その姿すら美しいのは反則だと思ったが、口には出さない。きっと得意気な顔をされて余計腹が立つ。

淫魔「食べていいわよわんちゃん」

「はいはい。……で? 何故俺はやたらと身体が軽くて今にも踊り出しそうなんだ? 」

79 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 00:13:53.10 ID:/OzpEjmy0

淫魔「んー……まぁ、面倒な話を省いて適当に大雑把に話してあげると愛と性欲の融合パワーね」

「…………」

昨日の晩、美しく蠱惑的で、それでいて幼気で神聖でさえあった寝顔に免じて二回戦に進まなかったことを激しく後悔した。

次があれば三日は腰が上がらずまともに生活できないくらいには責め立ててやろうと心に決めた。

「……俺の知っている限りでは生気を吸い上げるのは淫魔で、人間は吸い取られた後死ぬ筈だが」

さして上手くない二皿目のスープを胃に流し込みながら問いかけを続ける。

人間の伝承ではサキュバスやラミア、夢魔といった数いる淫魔達は皆一様に人間を食い物にする存在である。

一夜、或いは数夜の果てに生命ごと搾り上げ、何処かへと去っていく。

それが彼の、恐らく彼と同様周囲の人間が持つ淫魔観とも言うべきものである。
80 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 00:18:38.51 ID:/OzpEjmy0

淫魔「一概に嘘では無いけれど……んー……」

「お前が昨日口走っていたように、それは相互間で行えるものだと? 」

淫魔「それでも決定権は主人たる私側にあるわけだけれど、そうね」

「……そうかい」

つまり、今の彼は自分の有り余る性欲と彼女の愛欲が合わさって生まれた力に満ちている、と。

取り敢えず化け物染みた力が完全に彼女の眷属となった証では無いようで少しだけ、安心した。

淫魔「私たちの種族って本来は随分と下級なのよね。
あなたたち言うところの魔物の中では例えば戦闘が不得手」

物憂げに、それすら絵画的に。

美しい金糸を指先で弄びながら淫魔がゆっくりと説明を続けていく。
81 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 00:28:39.39 ID:/OzpEjmy0

淫魔「でも、それはあくまで私たちの祖があなたたち人間の祖と口論になって放逐されたときの話」

「十字教の教えでは勝手に家出したことになっているけどな」

淫魔「あっそ」

そこには興味が無いのだろう。今度は指先を自らの金糸ではなく彼の切り揃えた髪へ向けてきた。鬱陶しい。

「邪魔だ暑苦しい。……昔、元始の男はその肋骨から妻となる女を授かった」

淫魔「けれどその前に、神は男と同じく土塊から女を創造していました」

「が、その女は同じ土塊から生まれた男と対等であると主張したのでした」

淫魔「それも当然のことと一時は納得した男でしたが、結局は女を放逐し、
神に頼み込み自らの一部から従順な妻を生み出してもらいました」

「めでたしめでたし。……概ね同じ流れなわけだな、最初は兎も角」

淫魔「もっと細かく話せば違うわよ? 私たちの言い伝えではその部分で一冊だもの」

「はぁ? 」
82 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 00:32:23.85 ID:/OzpEjmy0

淫魔「まず、そうね。同じ土塊から生み出されたとき二人は平原に二人だったわけ」

「あぁ」

淫魔「ね? 分かるでしょう? 」

「……何が? 」

淫魔「何って男女が二人いて他に誰もいなければヤることは一つしか無

「淫魔に学術的な興味を持った俺が馬鹿だったよ」

淫魔「ふーん……ま、聞きたくなればどうぞ。説明しながらあなたの身体に実地で刻み込んであげるから」

「言ってろ」

彼女の話を聞けば聖典の一端を知ることができるかとも思ったがそんなことは無かった。

実に淫魔的ではあるが、それだけだった。
83 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 00:35:55.07 ID:/OzpEjmy0

「まぁ、理由は分かったさ。これからどうするんだ? 」

いつまでも宿屋の食堂で喋り散らかすわけにもいかない。

本来であればこの後はこの街で日銭になりそうな仕事を探す予定であったが、

さすがに一晩閨を共にした女の行き先を訊かぬわけにもいくまい。

とどのつまり単なる社交辞令である。

淫魔「私が決めてもいいの? 」

「? 」

淫魔「?? 」

「???? 」

淫魔「? 私、少なくとも暫くはあなたに着いて行くけれど」

「……ご冗談がお上手ですね、ご主人様」

どうせそんなことだろうとは思っていたが、事実は重くのし掛かる。
84 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 00:41:12.09 ID:/OzpEjmy0

「端的に訊こうか、お前強いの? 」

彼はこれでも一端の冒険者で、鍛えているのは下半身だけではない。

最も得意な得物は片手でも両手でも戦況に応じて扱える長剣ではあるが、

槍も、槌も、二つを合わせたようなものでも武器と呼べる物はそれなりに扱える自信がある。

その彼が請け負う仕事は殆どが荒っぽいものばかりである。

モンスター狩りでも捕獲の為の露払いでも、

或いは人間の盗賊集団を相手にする殲滅戦や偵察であっても。

結局は殺し殺されることが通常営業の生命を賭けた賭博のようなものだ。

勝てば生命を潤す日銭を得、負ければベットした生命ごと全てを奪われる。

ただそれだけだが、彼は人生においてそれしか知らないし、それでいいと確信している。
85 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 00:49:54.87 ID:/OzpEjmy0

淫魔「まぁ……元々適当な人間よりは強いし、その辺の雑多な種族には負けないくらいだったけれど」

「あぁ、そうか。俺だけじゃなくてお前も生命的に強くなってるって? 」

淫魔「ええ、私たちはそうやって飛躍的に強くなったり補給することのできる生物だから」

「ふぅん……? 」

ヤれば相互に強くなる。補給も自前で可。

なんだ最強か。

「問題はたった一回のあれでどれだけ力を蓄えたか、だな」

彼の場合は身体が異常に軽く疲労感そのものを忘れたような感覚であることだけである。

確かにこのレベルであれば普段よりも快調である、とは言えそうだがそれは鍛錬を積んだからこその結果だ。

特に鍛錬を積んでいそうも無い彼女がいきなり剣を振り回して意味のある動きができるとは思えない。

それこそ、魔術的な許容量や電撃か何かの威力が増す、というのなら分からなくも無いが。

淫魔「そうねぇ……うーん……感覚的には」



【感覚的には? 】



1.人間の小集団への範囲攻撃くらい
2.強めのモンスターならまぁ一撃で
3.人間の小集団への範囲攻撃くらい
4.強めのモンスターならまぁ一撃で
5.人間の小集団への範囲攻撃くらい
6.強めのモンスターならまぁ一撃で
7.強めのモンスターならまぁ一撃で
8.人間の小集団への範囲攻撃くらい
9.強めのモンスターならまぁ一撃で
0.元々バフデバフ盛り盛りの剣士だゾ☆
ゾロ目.小国くらいならまぁ一瞬だゾ☆
86 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 00:50:56.77 ID:/OzpEjmy0

危ねぇ……

取り敢えずどんな方向かは分かりませんがもう少しやります
やりたかったことは大体できた

また良ければよろしくお願いします
ありがとうございました
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/20(月) 01:05:43.56 ID:yUpL/fYTo
おつあつ
まだここではゾロじゃないってコンマ神が
88 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 10:46:02.04 ID:4P7go0JO0





………

……………

…………………



89 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 10:47:23.65 ID:4P7go0JO0

【下一桁:7……強めのモンスターならまぁ一撃で】




淫魔「私、何故着いて来させられたのかしら」

「お前が暫く着いて来るって吐かしたんだろうが」

ついでに戦力としても。一撃で強力な相手を粉砕できるレベルの力を腐らせておくのは勿体無いにも程があろう。

淫魔「あれはあなたの行動する場所の近くにいるってだけで逐一野蛮な殺戮を見学するって意味ではなかったのに」

ーー私、飛べるし。

戯言は無視、呟きも無視、ついでに目の前を飛び回る羽虫を払う。

人目が無くなってからは足がダルいと宣ってふわふわと浮かび出した女は、

買って差し上げたローブも顔が蒸して不愉快だとほざいて今はフードを首に下げている。意味が無い。

その見目はどうしようもないとして見事な金髪は特に目を引く。

だからこそその両方を隠す為のロープだったのだが。
90 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 10:48:56.01 ID:4P7go0JO0

「お前が何をしたいのかは知らんが俺にも大した余裕があるわけじゃないからな」

淫魔「そうね。身体だけは一級品なのに貧相な装い極まって涙が出……下賤な男に犯されるプレイっていうのも悪くないわね」

「…………はぁ」

万事が万事、この有様。

まともな話は長く続くことなど無く、酷いときには二言三言で淫語か淫魔的ジョークに流される。

そうでなくても根本的な性格からがして相手を煙に撒くのらりくらりと躱すタイプなのだ、彼女は。

一晩のまぐわいと半日にも及ばぬ会話で彼は既にその事実を認識させられていた。

せめて昨晩の超然としていて艶かしい、君臨していながら奉仕にこそ喜びを覚える女の十分の一くらいは保っていてほしかった。

淫魔というものが皆こうなのならば、男としては一人寝の夜に寂しく処理をする題目には一生使わないだろう。

顔の崩れ掛かった年増の街娼相手に目を瞑って身を任せた方が余程マシである。
91 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 10:49:38.53 ID:4P7go0JO0

淫魔「あぁ……だる…………そうだ、あなた野外でって経験はあるの? 」

「あったらなんなんだ今はしないぞ変態」

ーーそれは私たちにとって褒め言葉よ。

とかなんとか聞こえた気がしたが、無視。たわごとは無視するに限ると今日だけで嫌という程分からされた。

「今回請け負った仕事は兎に角硬い鎧殻を持つ猪型モンスターの捕獲だからな。
お前の尻にアタックしている間に自分のケツを掘られるわけにはいかない」

淫魔「あっはは……! それ、良いわね。あなた是非こちら側に来なさいな。皆歓迎するわ」

「はいはい、考えておきますよご主人」

淫魔にジョークを褒められるというのは実は最低のセンスを持っている証拠だと思う。

正直自分でも無いな、と思った下ネタから笑い始める女に早くも慣れ始めたことに戦慄もするが。
92 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 10:50:52.99 ID:4P7go0JO0

淫魔「えーと、なんだったかしら……皮の鎧を纏ったマゾ豚を探せば良かったのかしら? 」

「…………探せるものなら探してみろよ」

万が一、否、億が一そんな醜いものをこの深い森で見かけたら腹いせに切り捨ててやるが。

淫魔「あなた、魔術の嗜みは無いの? こう、パーっと探してみた方が早いわよ? 」

「使えなくはないが……どちらかというと戦闘向きだし前衛があまり消耗するのもな」

淫魔「だったら是非使ってみなさい。周りに被害も出さずにエロパワーの試し打ちができるから」

「あ、なるほど」

淫魔「アナル? 」

「終いには拡がり過ぎて戻らなくするぞてめぇ。……確かに今ならかなりいけそうではあるな」

いい加減深い森の中で巫山戯た問答しかできない女と歩き詰めなのにもうんざりしてきたところだ。
93 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 10:51:40.50 ID:4P7go0JO0

彼女の口にする名称は兎も角として実際に何かやってみなくては今後の為にもならない。

どれだけ効果が持続するのか、魔術毎にどれくらいの差が出るのか、疲労や心身両方の負担などなど。

一発のジャブが二発分になりました、では大した意味の無いフレーバーである。

淫魔「まぁ、こゆーい感じだったとはいえたった一度の契りだものねぇ」

フワフワ、フヨフヨ。相変わらず指先で肩甲骨辺りまで伸びた金髪を弄んでいる淫魔。

頭が軽過ぎて浮いているのが通常なのだろう。違和感も特に無い。

無いが、何か一人歩き詰めの自分が馬鹿に見えてくる。

仮に相当レベルで強化されているのなら自分もあれくらいやってみようか。

前衛的な戦闘力に不便を覚えたことは無いのだ。

それならば移動くらい楽にしたとして誰も責めまい。
94 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 10:53:37.51 ID:4P7go0JO0

淫魔「んん……私の調査によるとあなたはーー

調査というよりはただの直感や勘の類いだろう、とは言わないでおいた。

愚痴愚痴と面倒なことこの上無いことが分かり切っていたからである。



【魔術的能力は君どうなのさ】



1.普通の中堅
2.使い手
3.普通の中堅
4.使い手
5.使い手
6.普通の中堅
7.普通の中堅
8.普通の中堅
9.使い手
0.や、ぼくぜんえーしょくなんで……
ゾロ目奇数.破邪
ゾロ目偶数.邪悪
95 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 11:11:30.29 ID:4P7go0JO0

【下一桁:1……普通の中堅】



淫魔「普通ね」

「まぁ……そうだな」

淫魔「下手を打たなければ安定して力を発揮するけれどそれが限界。
あくまで剣技の補助、といったところかしら」

「それで十分だろうよ」

普通とはいってもここまで堅実に鍛錬を積んできたからこその能力である。

殊更称賛される程ではないけれど、逆に馬鹿にされたものでもないと自負している。

「ま、その方がどれだけ上増しされたか分かりやすいだろう?
取り敢えず周辺の状況を把握して大きめの生物を感知したら意識を向けてーー



【で、どうなったの? 】



1.一段階くらい
2.強くはなったかな、くらい
3.一段階くらい
4.一段階くらい
5.強くはなったかな、くらい
6.一段階くらい
7.一段階くらい
8.一段階くらい
9.強くはなったかな、くらい
0.現実は非情である。ほぼ変化無し
ゾロ目.永久なる御力の氷撃。相手は死ぬ
96 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 11:16:06.64 ID:4P7go0JO0

【下一桁:9……強くはなったかな、くらい】



「ん、んん……見つけた、かな」

淫魔「それは重畳。マゾ豚だかメス犬だか知らないけれどさっさと捕まえて帰ってヤりましょう」

「まぁ、幸い近いし余裕だろうが……おい」

淫魔「何? 」

「実感できなくはないが大して変わってないぞこれ。
多少鋭敏ではあっても例えば火球を生み出すなら誤差だ」

淫魔「信仰心が足りないのね。もっと私に貢いで崇めなさいな」



ーー下半身に魔力を吸い取られた従者君?
97 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 11:16:33.09 ID:4P7go0JO0





………

……………

…………………

98 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 11:23:36.10 ID:4P7go0JO0

鎧殻猪くんは何事も無く捕獲され深い眠りについたまま工房の集まる地区へと移送されていった。合掌。

淫魔「どうも私、豚って好きになれないのよねぇ……馬の方が好き」

「左様でございますか。……馬とヤったら馬も強くなるのか? 」

淫魔「私がその気になれば或いは。あくまで感情の交換が原則ではあるけれど」

慣れ、というものは恐ろしい。

思考無しで飛び出す自分の言葉が加速度的に彼女側に悪化している。

このままでは正直いつかどこかでボロを出す気がして恐ろしい。

淫魔「でも安心しなさい? 今のところあなたには死ぬまで取り憑いて差し上げる予定だから」

「今朝は暫くとか言ってただろうが」

淫魔「貢物で気が変わったの。従者の贈り物には誠意を持って返さなければならないでしょう? 」

「ばーか。……そこまで高いものでは、ないが」

淫魔「いいのよ、そんなのは。気持ちが大事っていうでしょう? 」

淫魔に正論を吐かれると正義が曲がる気がするが特に異論は無かった。

気持ちは確かに、大事だと思う。
99 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 11:37:20.71 ID:4P7go0JO0

細やかな図柄に目を引かれた銀細工のバレッタ。

美しい金糸の川を纏めればきっと映えるだろう、なんて。

大きな鼾を上げる猪の後ろから一人でぼんやりと歩いていたときに考えてはいた。

早々に宿へと帰り夕食まで寝ているお宣言した彼女ではあるが、

猪を無傷で眠らせて宙に浮かせたまま街の入り口に運んだのは、彼女で。

まぁ、見目麗しい女に贈り物をするのも、喜んでいる顔を見るのも嫌いではなかった。

ある程度以上の蓄えもあるわけだし、多少は報いてやらねばならない、などと変に自分へ言い訳してみたりして。

それが結実したのは今回の依頼主だった馴染みの工房ギルドで、長と近況を語り合っていたときのことだ。

先程出来上がったばかりだという翅を広げた夜蝶の姿が綺麗な銀細工。

アクセントとしてある小さめの月のみ金色に輝いているそれは実に琴線を揺らして止まず。

言い値で、それも誰に渡すのかと絡まれるのも面倒だと吹っかけられた気もする値段で購入した。
100 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 11:47:11.28 ID:4P7go0JO0

正直なところ懐はかなり、傷んだ。

今日の成果をマイナスにしてしまうくらいには。

けれど後悔は、していない。

なにせ、そう、気持ちが、大事だから。

淫魔「んー……こういう綺麗で大切なものを見てると」

「あん? 」

淫魔「壊したり汚したりする背徳感に背を撫でられるものよねぇ……」

「……あ? 」

壊れにくく汚してもいいもの、そう、いっそその辺の石ころでも渡してやればよかったか、なんて。

それが冗談なのは伝わる。変なことは口走るがそれはその場だけの他愛無い言葉。

だから、ひと睨みでこちらも仕舞いにした。
101 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 11:50:08.70 ID:4P7go0JO0

「…………ま、故意じゃないなら、いいさ。また、買ってやるから」

付けるまでは手指で弄び続けて、いざ付けてみてからも何度も手を伸ばして触れてみたりして。

そんな姿を見せられていては、仕舞いにせざるを得ないじゃないか。

しかし、傷付きにくいものなら宝玉にした方がよかったか、

なんて考えた自分はもう終わっているかもしれない。



【で、実際は? 】



1.猪+α
2.猪+α
3.猪+α
4.猪+α
5.猪+α
6.猪+α
7.猪+α
8.猪+α
9.猪+α
0.猪+α
ゾロ目.大都市とか小国が買える
102 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 11:50:44.65 ID:4P7go0JO0






………

……………

…………………


103 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 11:51:13.54 ID:4P7go0JO0

出ないのは出ないで揺り戻しが怖くもあったりなかったり

また来ます
ありがとうございました
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/20(月) 12:34:26.92 ID:fBBuECoeO
おつおつ
引き絞られた弦はなんとやらだぞ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/20(月) 21:13:33.62 ID:hac3bYjno
淫魔とその被害者なのに驚きの甘さ
正直大好物です乙
106 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 21:54:55.39 ID:/OzpEjmy0

【下一桁:0……猪+α】




「さて、取り敢えず夜着しか部屋着が無いという問題は明日解決するとしてだ」

淫魔「んー……」

予定よりも大分早めに依頼を完遂してしまったお陰で日中は自由に動くことができた。

彼は補充しようと思っていた道具、つまり魔術触媒や砥石といった戦闘に使う物資の調達。

アナルは弱くないが朝には弱いと宣った彼女は規模の大きい昼寝。

惰眠を貪っていた牛女は兎も角として実に有意義な時間を過ごし、有意義な時間というものは進みも早いもので。

気付けば夕食も終わり、昨晩と同じ部屋で酒盛りとなっている。

寝台と床を掃除してくれたらしい宿屋の女将には非常に生暖かい視線を頂戴したのだが努めて忘れようと思う。
107 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 21:57:08.74 ID:/OzpEjmy0

「化け物の舌に合うかどうかは分からないが」

淫魔「こんなものでしょう? お酒なんて」

「そうかい」

この女がどれだけ飲むのか知らないが印象的にはアホ程、

というか鯨飲を越えて暴れるのではないか、というのが偽り無い本心である。

そのため自分でも馬鹿らし過ぎて半笑いになる程買い込んできた。

機嫌が悪いよりはボーダーを越えて五月蝿いだけの方がまだマシだとも思った結果である。

「まぁ……いいか、夜はそれなりに長い。手酌で注げ」

淫魔「はいはーい……」

身のある話が聞ければそれ以上は無いし、

見目麗しい女が物憂げに酒を呷る姿を肴にするのも悪くない。




【人魔飲ミニケーション】



←淫魔(十の位)・“ あなた “(一の位)→
酒の強さ。高い程強い(0は10)
108 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 21:59:35.86 ID:/OzpEjmy0






………

……………

…………………


109 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:03:39.86 ID:/OzpEjmy0

【淫魔:7……強い。目の粗いザル】
【” あなた ”:4……あまり強くはない。嗜み】



淫魔「ちょっとあなた、大丈夫? 」

「大丈夫じゃねぇよ……飲み過ぎた。早く寝ろ」

泳いだ目の焦点はどこにも合ってはいまい。

こちらを見ているようで、そして何処をも見てはいない。

これならばいっそ下戸であってくれれば良かった。

それならば寝台に投げ捨てて一人で飲んでもいられた。

淫魔「あなたがそうしている間は私も寝られないわけだけれど」

時刻は飲み始めてから二時間かそれくらい。

陽はとうに落ちていたが彼女にとってそれはまだ真の夜とは呼べない。

彼女の頭はまだまだほぼクリアなままだ。

110 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:09:16.96 ID:/OzpEjmy0

「勝手に寝るか飲むかしていればいいだろうが……。
昨日からこの方ずっとフラフラしてるんだから今もそうしやがれ」

下半身のアレは除いても常人より遥かに大きな体躯で随分と女々しいことを言う男だと思った。

否、女々しいというか、甲斐甲斐しいというか。

朝食のときも面倒臭がり終いには主人と呼ぶ相手に対して露骨に嫌な顔をした。

捕獲依頼だかなんだかを請け負うときも外に立っていろと邪険にされた。

宿で昼食と夕食を摂った際は殆ど朝食の焼き直しだった。

酒を買い込むと飛び出していったときだって好みも聞かず勝手に出て行ってしまった。

けれど、結局はそれらは全て彼女の為であったし、

最後まで無視をしたりすることなく付き合ってくれたのだ、この男は。
111 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:14:26.60 ID:/OzpEjmy0

不思議なものだな、と思う。

彼女自身は種族的な特性や身体の相性、それからそもそも目的がパートナーの確保である。

淫夢をばら撒いたり即席の使い魔でそれなりの男を物色して、

目を惹いた男は皆数日から数週間付け回してもみたのだ。

人間たちの言う彼女たち、つまり淫魔と呼ばれる化け物と実際の彼女たちは違う。

少なくとも、彼女の育て親にはそう聞かされたし、彼女自身も今では特にそう思う。

確かに強い人間を隷属させ貢がせていけばその数だけ自らは強大な力を得るだろう。

人間側にとっても元々淫魔とはそういうやつらだ、と認識されているのだ。

ある種そこには決定的な部分で組み違っているにも拘らず確かな噛み合わせが存在している。
112 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:19:29.87 ID:/OzpEjmy0

「ふぁ……」

淫魔「……間抜けな顔ねぇ」

目の前で泥酔一歩手前になり理性を手放そうとしている男もそうであれば理解はできる。

美しい人外の女に抱かれるか抱く代わりに、物を貢ぎ知らず生気とそれ以上の力を吸い取られる。

それはお互いに合意の上であろうし、等価交換でさえあるとも思う。

けれど、何かこの男にはそう簡単に割り切れないものがあった。

あれだけ物色し探し回り、元の意味である“ 男漁り ”以上のレベルで漁った苦労や、

それを元に純潔を与えた男だから、という贔屓目が無いとは言えない。

昨晩にあった劇的な初めての交合が頭にあるから、というのも材料ではあるだろう。

でも、それでも、無性に抱き締めて甘やかして、時々は悪戯で困らせたい欲求から逃れられないのだ。
113 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:23:47.40 ID:/OzpEjmy0

或いはそれが育て親の言っていた真の種族特性、というやつなのかもしれない。

元来が同じ種族で、しかも対等な筈の二人が起源。

加えて私たちは人間の男、というものが存在しなければ自らの力を満足に蓄えることができない。

餌なのだから当然だろう。

いや、これは歴とした共生関係なのだ。

餌派が群を抜いて多く、共生論は酒席での冗談めかした発言程度。

彼女やその育て親のようにお互いの種族、その違いを正しく認識して、けれど人間の生娘と同じ感覚で生きよ。

そんな同族には今まで出会えたことが無い。

それは単にあまりにも重過ぎる種族としての生き方、なんてものを話す機会が滅多に無いことだからなのかもしれないが。
114 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:31:55.20 ID:/OzpEjmy0

淫魔「なんにせよ一生に一つのモノを与えて、
一生に一度しかあってほしくない感動を返されたわけだけれど……ん」

蒸留酒のきつい重みが香りと共に喉を妬いて、体内に滑り落ちる。

いっそ、彼と同じくらい酒に弱ければよかったのに。

それとも、最初くらい酒に弱い振りをしていきなり押し倒してしまえばよかっただろうか。

そういえば男は酒に弱い女の方が好ましく思うのだったか、なんて。

育て親の教えは今でも心の芯にある。

そしてそれは彼女の生きる支柱となって心の臓を貫いている。

淫魔「でも、それだけだとやっぱりつまらないし……というか怖いし」

我ながらこの見た目で生娘は無いと思ったのだ。

何処に並の男よりも高身長で目を引く身体付きの美しい金髪を肩に流す処女がいるというのか。

いるとしたらよっぽど臭いがきついだとか陰湿だとか、実は男だとかそういうレベルの話だ。割と本気でそう思う。
115 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:37:09.42 ID:/OzpEjmy0

淫魔「本当は色々やってあげたかったんだけど……んー」

硬さ一辺倒であろう木卓に突っ伏した寝顔を覗き込む。

いつの間に寝てしまったのか小さな寝起きは暫く起きないぞ、と宣言しているかのように安らか。

やや短めに切り揃えられた黒髪に、この地域では珍しい深黒の瞳。

鋭角に険しさを纏った顔は好みもあるだろうが個人的には美形、と言える。

首から下のゴツさは丹念に鍛え抜かれたもので、

その全身に幾種類もの擦過傷や刀傷、魔術による火傷があるのを彼女は知っている。

そして股間に生えた抜身の凶器は言わずもがな。

こう、改めて寝顔を見ながら昨夜の出来事を想起してみればーー
116 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:43:08.95 ID:/OzpEjmy0

淫魔「…………」

ヤりたい、ハメたい、せめて悪戯、いや、いっそ抱き枕にして眠ってはくれないだろうか。

「…………ふぇ……Zzz」

試しに鼻を摘み上げてみたが効果無し。

起きる気配は全く無い。

淫魔「……………………主人は退屈を持て余しておられる、従者」

広くもない一般的な一人用の部屋に返す者いない。

これはこれで悪くは無い。

この男からは兎も角として彼女からはそれなりに好意がある。

種族的な特性という目に見えない呪縛はあったがそれも自ら縛り己に課したものでさえある。

別に育て親を無視して好みの男を襲ったり気儘に下僕でもつくってしまったとて誰も怒る者などいない。

それでも選んだのは自分の意志で、彼を選んだのも彼女の気持ちだ。

とはいえ、さすがに出会ってほぼ二日目なも拘らず放置されてしまっているこの現状はどうしたものか。

117 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:50:00.51 ID:/OzpEjmy0

淫魔「…………よし」

決めた。やると言ったらやる。彼女は決めたものは必ず成し遂げる女である。

宣言する相手はいないが他ならぬ彼女自身が承認だ。

成せば成る、成さねばならぬのだ、乙女よ。夜は短し。

淫魔「適当に力を流し込んで……うーん…………量が多過ぎて寧ろ制御に力を取られそう」

主人たる彼女の許しも無く酒精に負けて寝こけるとは何事か。

構ってくれないのならば構ってくれるようにすれば良い。

というわけで躾のなっていない従者にはキツめのお仕置きをしなければならない。

淫魔「折角ご奉仕していじめてあげようと思ったのに……今日はあなたが奉仕しなさいね? 」

淡い光、清浄な薄青の靄が彼女の手から流れ、男の身体に纏わり付く。

あとはこれを体内に浸透させてしまえば、終わり。ではなくて始まり。

元が二人分の生気が混ざり合って生み出された力である。

まぁ、忘れ物を返したと言えないことも無いだろう、たぶん。
118 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:52:52.21 ID:/OzpEjmy0

淫魔「ふふ……さて、酒精なんて蹴散らして私の足元にこそ傅きなさい? 」

ーー間抜け面で寝こけるのももう、終わりよ?



【第二夜】



1.酒精の残り
2.普通
3.普通
4.酒精の残り
5.普通
6.普通
7.酒精の残り
8.酒精の残り
9.普通
0.獣
ゾロ目.襲撃
119 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/20(月) 22:53:20.24 ID:/OzpEjmy0






………

……………

…………………



120 : ◆cKDALETpQ6 [saga sage]:2020/07/20(月) 22:54:15.76 ID:/OzpEjmy0

申し訳無いのですが今日はこの辺で
全く何にも進んでいないけど自分だけは楽しい困った

恐らくたぶん明日も来れます
ありがとうございました
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/20(月) 22:56:02.45 ID:UtEkFv9Po
おつおつ
こっちも楽しい
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/07/20(月) 23:04:19.40 ID:hac3bYjno

なるべくしてなった相手というか、お互いベタ惚れなのに表に出さないからもどかしい
123 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:13:28.13 ID:a2XDcgPM0

【下一桁:1……酒精の残り】



「はっ! ……うおっうべあっ?! 」

何か気持ちの良い夢を見ていた気がする。

暖かい草原でただただ太陽の優しい光を浴びているような、そんな夢。

何をするでも無い、誰かに指図されるでもない。望んで何もしないという、ユメ。

それがどうしたことか暗転したと思った次の瞬間には無駄に冴えた頭が現状を正しく認識してしまった。

事は簡単。目の前で口角を上げて笑む淫魔が何がしかをしたのだ。

その結果彼は突然立ち上がった拍子に木卓に膝をぶつけ、転倒。

酒精の残る足元に掬われてそのまま寝台にダイブ、

ではなく縁に背中を強打してズルズルと崩れ落ちた。
124 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:15:02.78 ID:a2XDcgPM0

「おいてめぇ起こすんならせめて文明人らしくだな」

淫魔「主人への奉仕を放り出して酒に溺れる不出来な奴僕が悪いのじゃなくて? 」

ーーそれに私、淫魔だし?

都合の良いときにだけ淫魔を自称しやがってからに。

しかもいつの間にやら彼の地位は従者から下僕を通り越して奴僕の位置にまで急降下していたようだった。

主従かどうかは議論の余地が多分に余るがしかし、

女よりも先に寝落ちをかましたのは不覚ながら事実。

情け無いのは確かで申し訳が無いのもそれなりに、三割くらいはある。

それくらい自由に寝させておけと思う割合の方が圧倒的に多いが。
125 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:15:41.54 ID:a2XDcgPM0

「で? なんだっていうんだよ……新しい酒でも買ってっぷあっ

衝撃、というにはそれは軽い着地と、甘やかさに満ち満ち過ぎていた。

淫魔「恐れ多くも寛大なご主人様は奴僕にチャンスを与えようかと考えました」

「んごっ……ん、っふぁっ……っ」

淫魔「古来、成果を挙げ主人に献じた奴僕にはその結果に応じた自由が与えられてきました」

「うぶっ……ひゃかまひぃはぼげっ」

淫魔「しかも、今回の失態は主人たる私の不徳でもありますことから。……ねぇ、まだ続けてほしい? 」

どちらでもいいから取り敢えず降りてほしい、切に。

呼吸はまだ何とかなるとして首が非常に痛い。折れる。
126 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:21:39.00 ID:a2XDcgPM0

淫魔「あぁら失礼……少しだけ楽にしてあげる」

床に尻餅を付き寝台に背中を預けた状態ではあったが彼は常人よりも上背がある人間である。

なので肩は寝台の上に乗っていたし、首も当然寝台の上にある。

しかしこともあろうに自称主人であるところの彼女はその先、顔の上に腰を下ろしたのであった。

呼吸は辛うじて確保されるよう配慮してくれたところだがいかんせん空気と気分が悪い。

腹立たしいことに景色は然程悪くないが、情け無いのでそんな頭の悪い考えは投げ捨てる。

今日は昨晩の真紅とは打って変わって紫の下着なんだな、というのは本当にどうでも良い話だ。

相変わらず男を誘う用途に特化したとしか思えない夜着に包まれた秘処は彼の頭を揺らす匂いで充満していた。

顔の両横で緩く締め付けてくる瑞々しい太腿も大変よろしくなかった。

正座を少し崩した姿勢のために折り畳まれた太腿はけれどただ硬いだけではない。

動物というものは立ったときや逆に足を折り曲げたときなどに筋肉が強張り皮膚も釣られて張ってしまうものだ。

それなのにその太腿は柔らかさを保って、

今は角度的に見えないが膝裏の谷間はそんな場所ですら挿入したくなる程扇情的なのだろう。

しかも嫌味な程滑らかに、神が職工に命じて造らせたかのような陶磁器染みた肌理と人肌が嫌でも興奮を煽る。

ただでさえ呼吸がし難いにも拘らず酒精と合わさって無理矢理昂らされた獣性が鼻息まで荒くさせる始末。
127 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:23:00.27 ID:a2XDcgPM0

淫魔「下着は外した方が好み? それとも布の上からで奉仕する自信がおあり? 」

クスクス、クスクスと。

悪魔というには無邪気で、天使というには淫ら過ぎる揶揄い混じりの笑い声が降り注ぐ。

細めた、試すような目線がただそれだけなのに驚く程背筋を逆撫でして凍らせる。

深く手指を絡ませられて彼女がバランスを取る杖の役目を仰せつかったのか、

左手は既に彼女の右手に絡め取られて使えない。

右手と舌先と、精々鼻先だけで奉仕せよ、というのが麗しき主人の命令なのか。
128 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:23:28.39 ID:a2XDcgPM0

淫魔「上手くできたら、ご褒美も御座いましてよ? 」

ーー行き過ぎれば、毒かもしれないけれど。

言外に匂わされるそれは二夜目にして既に前提条件で。

醸し出されるは妖毒、纏うは邪気、それでもその先の毒液滴る甘やかな快楽に理性が溶かされる、そんな分かりやすい餌。

薄い下着はしとどに濡れて彼を誘っている。それとも挑発しているのだろうか。

「…………」

取り敢えずは、無言で下着に手をかける。

不思議と下品には感じないものの変態性は十二分な紐の姉妹を自由な方の手で解いて、顔に乗った女の尻側に引っ張る。

読めない笑みをした淫魔がご丁寧に腰を浮かせてくれたのでそれには然程苦労しなかった。
129 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:24:29.28 ID:a2XDcgPM0

とはいえ、どれだけご奉仕奉ることができるだろうか。

口と手だけでイかせるテクニックもそれなりにある筈だが冷静に考えてみれば彼は基本的に逸物頼りである。

こんな状況こんな相手に冷静も何もあったものではない気がするがそれは置いておく。埒が開かない。

更に今は丁度口の上辺りに彼女が腰を僅かに浮かせて暗に舐めろと言っているわけで。

太腿の外側から手を伸ばせば陰核には届くだろうが秘裂の奥にまで指を送るには些か難しい筈。

あとは精々がただ仰ぐだけでも目に楽しいぷるぷると揺れる形の良い乳房に届くくらいか。

手を動かせば勝手に察して掴まれている左手も解放してくれる気がする。

実際にはどうせこの状態で四苦八苦する彼を眺めて揶揄いたいだけなのだろう。

別に本気で深く絶頂させてみせよとは言っていないのだ、この性悪女は。
130 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:25:58.81 ID:a2XDcgPM0

「ふぉ……ぼんえ……んっ」

ーーそれならば、挑戦してみたいのが男というものではあるのだが。

淫魔「ふふ……なぁに? 降参する? 」



【そんな選択肢は……】



1.上と下
2.上と下
3.上と下
4.” 核 ”心をつけ
5.上と下
6.上と下
7.” 核 ”心をつけ
8.上と下
9.” 核 ”心をつけ
0.舌先の魔術
ゾロ目.ふふ……
131 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:31:22.56 ID:a2XDcgPM0

【下一桁:1……上と下】



やってやろうじゃないか。

ストイックに鍛錬を積み数多の修羅場を潜り抜けてきた戦士の端くれとしてここは引き下がれない。

得物は両手と舌先とそれから口。

敵は強大で物理的に乗られている。

両手で重量感のある肉厚の果実、舌先で陰核と陰唇を。

酒精が残っていないか昼日中であれば小馬鹿にするか辟易とする流れだったが、

どうにも彼女のペースへ引き込まれておかしくされてしまったようだった。
132 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:38:01.06 ID:a2XDcgPM0

淫魔「んふ……んんっ……っ」

最初は擽ったいだとかそんな感覚だったのだろう。

両手を無遠慮に伸ばして整い過ぎた双丘を持ち上げるように軽く揉む。

わざと淡紅色の天頂には触れずやわやわと、ゆっくりと、登り詰めるように。

同時に舌先はまずやや充血して硬みのある陰核へ伸ばす。

胸を揉み上げるのと同じで焦らすように、唾液を乗せて塗り込むような動きで。

淫魔「いいわよそれ。ええ、その必死な顔にきゅんとくるわっ」

「んぇ……っ…………ゅるっ」
133 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:45:04.54 ID:a2XDcgPM0

耳は、貸さない。

ただひたすらに手を動かし、舌先を操っていく。

馬鹿馬鹿しい気もするが寧ろ今はこれが楽しくなってもいた。

姿勢としては幾分辛いものの眼前には無毛の秘裂と徐々に硬さを増す淫な肉芽があって。

焦らすつもりで先端以外を揉む両手は、

いつしか使命を忘れて汗ばんで滑りの良くなった柔らかさに夢中となっている。

しかも手つきや舌の動きにいちいち可愛らしい反応や艶っぽい呼気を漏らす彼女が楽しい。

顔の両脇に位置する太腿が若干震えてきているのが彼に自信と勢いを与えたのもあった。
134 : ◆cKDALETpQ6 [saga]:2020/07/21(火) 22:53:24.09 ID:a2XDcgPM0

淫魔「っふっ……っ…………先っぽも、触ってよぅ」

遂に彼女の忍耐が限界に達した。

結局いつまでたっても一線は越えずやわやわと揉み解すようにしては、

時々脇側にある乳腺に力を込めて押し込む愛撫は実に効果的だったようだ。

先程まで余裕たっぷりに彼を見下ろしていた彼女は頤を反らせて苦しそうに上を向きながら、

彼の両手を捕まえて自らの胸に強く押し当ててしまった。

「んっ…………ぃぇぉ……ちゅ……」

それでも、触れてはやらない。強く揉んでなんてやらない。

ただのお願いなんか聞いてやっては朝から夕方までの彼と同じ従う者と同じだ。

懇願されても、駄目だ。哀願されれば考えてやるかもしれないが。
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