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【艦これ】提督「安価とコンマで学校生活」清霜「その9!」【安価・コンマ】

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320 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/26(土) 08:30:55.17 ID:pntYT13e0
温泉から書き込みー
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/30(水) 15:25:52.82 ID:O3pPKS6DO
322 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/12/31(木) 10:38:58.83 ID:9Dc9hxmY0
不知火「……っ」フルフル…

不知火(……落ち着け、落ち着くのよ、私。まだ、全てを結論付けるのは……)

私がまだ意識を失っていて、悪夢に魘されている可能性を完全に否定することは出来ない。

頬をつねったところで、仮に明晰夢なら痛みを感じても不思議ではないかもしれない。

半ば現実逃避とも言える強引な理屈だけれど、そう考えるしか……心が持たないと思ったから。

不知火「……っ!」グッ…!

震える手を握り締めながら、私は固く決意する。

悪夢だろうと、本物の怪奇現象だろうと……この際、それは関係無い。

提督君との関係がリセットされてしまったというのなら……もう1度、恋人になれば良いのだから。

不知火「提督君……」

不知火(絶対に、元の関係に戻ってみせる……!)


――数日後・有名私立中学校


不知火「それで、あの……」

提督(12)「………」

提督(何だ、こいつ……入学して以来、ずっと話しかけて来やがって……)

私はまず、"最初"よりも積極的に提督君と交流しようと考えた。

あの時はしばらく眺めているだけで、話しかける勇気が出なかった。

けれど、今は違う。1度は提督君と恋仲になったことによる自信が、私に勇気を与えてくれたから。

提督「……なぁ」

不知火「……何ですか?」

提督「どうして俺ばかりに話しかけるんだよ。同性の奴らは無視してまでさ……」

不知火「……貴方には、理解して貰えると思ったからです」

提督「……?」

不知火「孤独の辛さを」

提督「……っ!」

不知火(……私には、数年分の"思い出"がありますから)

"当時"、いえ、この時期なら"今"の出来事か。とにかく、私は提督君から色々な身の上話をして貰った。

そのお陰で、"今"の提督君の心理状態なら……本人と同じくらい把握している。

提督君がどうすれば心を開いてくれるかは、おおよそ判断がつく。

提督「………」

不知火「………」
323 :短くて申し訳ございませんが、今回はここまでです。 ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/12/31(木) 10:40:20.97 ID:9Dc9hxmY0
提督「……お前も、孤独だったのか?」

不知火「……はい。昔から目つきが悪いせいで、人々から怖がられ避けられて来ましたから」

不知火「貴方だけだったんです。私の顔を見ても、普通に接してくれたのは……」

不知火("当時"も、"今"も……本当に、凄く嬉しくて……)

時が巻き戻った"今"でも、やはり提督君は私を見ても驚く素振りさえ見せなかった。

それが私にとっての希望だった。提督君が"あの時"と変わっていないだけでも安心出来た。

後は私の行動次第で、元の関係に戻れる可能性が高いことが分かったから。

提督「………」

提督(こいつの表情、声色……これは、孤独を経験した人間にしか分からない……)

提督「……そうか。俺と同じなんだな」

不知火「………」

提督「実は、俺も……」

不知火(よし、このまま上手くいけば、再び提督君と友人に……)

グニャリ…

不知火「う……」フラッ…

不知火(ま、また……!?どうして、このタイミングで……)

提督「……おい、大丈夫か?」

ついさっき感じた不快感が襲い掛かり、私は立っていられないほどの眩暈を感じる。

視界が歪み、まるで私だけが世界から引き剥がされるかのような感覚さえ抱く。

不知火(どう、し……て……)

目の前で、私を心配そうに見つめてくれる提督君が……ぼやけて見えなくなっていく。

五感さえまともに働かなくなり、それでも何とか提督君へ手を伸ばす。

彼から離れるのが嫌だったから。また戻されるのが嫌だったから。それだけは避けたかったから。

不知火「ぅ、ぁ……」スッ…

不知火(提督、く――)

けれど、あの怪奇現象……あるいは、この忌々しい悪夢は……無慈悲に、私へ牙を剥いた。









パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/31(木) 11:43:59.50 ID:FbpFqPvy0
乙でしたー
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/31(木) 12:26:01.71 ID:01FUqR78o
良いお年をー
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2020/12/31(木) 14:42:32.59 ID:Eslt8Gva0
病まと「まだだ、まだ笑うな」
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/01(金) 21:34:56.80 ID:zq4D2/di0
もしかして、歴代最長の回想になってる?
328 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/06(水) 19:01:30.13 ID:cG2QISTh0
少し心身の調子を崩してしまいました。
申し訳ございませんが、回想を含めた本編の更新はしばらく難しくなりそうです。
それでも、出来そうだと思った場合は少しずつ投下するか、無理そうな場合も定期的に連絡致します。
長らくお待たせしてしまい、重ねてお詫び申し上げます。今しばらくお時間を頂けると幸いです。
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/06(水) 20:05:53.98 ID:LpnQLpVu0
御自愛下さい
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/06(水) 20:07:05.22 ID:9H1ovetho
報告ありがとうございます
お大事になさって…
新年もよろしくお願いします
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/07(木) 01:01:40.27 ID:tXYlt5fe0
ご報告ありがとうございます
ご自愛くださいませ
332 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/09(土) 23:15:15.53 ID:iqwOTXWB0
それからというものの、提督君との関係を深めようとする度に例の眩暈が起こり、その度に時が巻き戻された。

数時間前や数日前なら良い方で、酷い場合は1年近く前まで巻き戻ってしまうことも珍しくなかった。

ある時は提督君と友人になれたタイミング。ある時は提督君に"初めて"声をかけたタイミング。

まるで神が私をあざ笑うかのように、何度も時が巻き戻されてしまう。


――"XX回目"

――不知火家


不知火(12)「………」

不知火(どうして、なの……提督君と仲良くなろうとすれば、必ずと言って良いほどに……)

私だけが記憶を継承した状態で時が巻き戻る日々。

そして、どれだけ提督君と交流しようとしても……その努力を水の泡にされてしまう。

20回を超えた時点で、私はこの状況が自分の悪夢である可能性を捨てた。

これほど長い間、明晰夢を見続けるはずが無い。すなわち、この忌まわしい現象は……現実ということになる。

不知火「………」

不知火(あり得ない……でも、実際に何度も起こっている以上……そう、考えるしか……)

時が巻き戻る度に、私の精神はすり減っていった。すり減らないはずが無かった。

『次は時が巻き戻らないかもしれない』と信じ、苦労して提督君と仲良くなったとしても、現象が起これば他人の関係に戻ってしまう。

毎回、提督君から『こいつは誰だ?』という目を向けられるのが……辛くて、悲しくて、堪らない。

不知火母「……不知火?」

不知火「………」

不知火母「学校で何かあったの?最近、家の中でも顔色が……」

不知火(……この問いかけも何度目かしらね)

不知火「……大丈夫」スタスタ…

不知火母「あっ、不知火……」

不知火(こんなこと、相談するだけ無駄に決まってる……)

何度も時が巻き戻ってしまう。その原因を突き止めて、未来へ歩みたい。

こんなことを告げれば、良くて学校でのストレスを心配されるだけ。

最悪の場合、心の病気を疑われてしまう。もっとも、その事実さえ無かったことになってしまうけれど。

不知火祖母「……ぬいちゃん、どうしたんだろうねぇ」

不知火母「私にも分からないの。何度聞いても『大丈夫』としか言わなくて……」

不知火祖母「ふむ……」
333 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/09(土) 23:17:02.22 ID:iqwOTXWB0
――1時間後・不知火の部屋


不知火「………」

不知火(一体、どうすれば……)

こうして自室で頭を抱え込んだのも、もう何度目だろうか。

いくら1人で頭を巡らせたところで、打開策等出るはずもないだろうに。

不知火「提督区……提督君……」

コンコンコン…

不知火「………」

不知火(どうせまた、お母さんが様子を見に来ただけ……このパターンは、何度も……)

不知火祖母『ぬいちゃん、入って良いかい?』

不知火「……え?」

不知火(お、おばあ……ちゃん……?嘘、こんなこと、今まで1度も……)

"今まで"なら、私の様子を見かねたお母さんが部屋を訪ねて来るはずだった。

そして、今まで通りの会話をして……何も進展せず、時間が巻き戻る恐怖に怯えながら眠るだけだったはずなのに。

不知火祖母『それとも、今は誰とも話したくない?』

不知火「……そんなこと、ない」

ガチャ…

不知火祖母「……ぬいちゃん」

不知火「………」

不知火祖母「……私達には、話せない悩み?」

不知火「………」

"今まで"の私なら、適当に返事をして会話を終わらせただろう。

話したところで、理解なんて得られるはずないのだから。

不知火(……でも、おばあちゃんなら)

今でも魔法の存在を信じているおばあちゃんなら、非科学的な超常現象の話でも……真剣に聞いてくれるかもしれない。

もちろん、全てを打ち明けることは出来ないけれど……それでも、話してみる価値はあるかもしれない。
334 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/09(土) 23:17:52.81 ID:iqwOTXWB0
不知火「……実は」

不知火祖母「………」

不知火「最近、悪夢ばかり見て……」

不知火祖母「悪夢……?」

不知火「どう、言えば良いか分からないけれど……時間が、巻き戻る夢……」

不知火祖母「……!」

不知火「新しい友達が出来て、仲良くなれたと思ったら……時が戻って、その人と初対面になってしまって……」

不知火祖母「………」

怪奇現象のことは話せなかったけれど、今の私の現象をほぼそのまま告げた。

一応、怪しまれないよう……咄嗟に、悪夢に魘されているということにした。

こんな方法がすぐに思いつくということは、やはり私はまだこの状況が悪夢という可能性を捨て切れていないのかもしれない。

不知火祖母「時が巻き戻る夢、ねぇ……ふむ……」

不知火「………」

不知火(やっぱり、怪しまれたかしら……)

不知火祖母「……昔聞いた、魔導師の話に似てるかもしれない」

不知火「……!」

不知火(魔導、師……)

おばあちゃんの口から告げられた、"魔導師"という単語。

"これまで"の私なら、その話を迷信で片付けていたかもしれない。

けれど、今は……全てが嘘だと、断定することは出来ない。

実際に、超常現象を何度も体験してしまっているから。

不知火「それって、昔よく話してくれた魔法使いのこと……?」

不知火祖母「そうだよ。遠い昔、それはそれは偉大なる魔導師様がいらっしゃったらしい」

不知火祖母「その魔導師様は、時を司る魔法を得意としておって……その力で、人々を災いから守って下さっていたんだよ」

不知火「………」
335 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/09(土) 23:18:35.98 ID:iqwOTXWB0
不知火「それが、関係しているの……?」

不知火祖母「いやいや。あくまで昔、そういうお方がいらっしゃったと言い伝えられて来ただけだよ」

不知火「………」

不知火祖母「ただ、私らもその魔導師様……魔法使いの子孫にあたるから、もしかすると……」

不知火「……!」

不知火(まさか、私に……時を巻き戻す能力が……)

実際、そう考えるだけの現象を嫌というほど経験してきた。経験させられた。

だとしたら、私にそんな能力が眠っていた……等という、出鱈目な話も信ぴょう性が出て来る。

不知火祖母「この時代にも、魔導師様……いや、魔導師様の子孫が生きていて……その魔法の影響を、受けているのかもしれない」

不知火「……え?」

不知火(魔法の影響を、受けている……?)

不知火祖母「これは私のばあさん……ぬいちゃんにとっては、遠いご先祖様に当たる人の話になるかな」

不知火祖母「ばあさんは、かつてこう言っていたんだ。魔法使いの末裔は、魂が共鳴することもあるって……」

不知火「……!?」

不知火(魂が、共鳴……そんな、ことが……)

おばあちゃんの仮説が事実だとすれば、私の身の回りに魔法使いがいて……時を巻き戻す魔法を使用したことになる。

そして、私はその魔法の影響を受けて……いや、魂が共鳴?して……その魔法の余波を、受けているということに……?

不知火祖母「もっとも、私もばあさんも、実例を見たことはないんだけどね」

不知火「………」

不知火祖母「ただ、もしかすると……魔導師様の子孫が、この時代を生きているのかもしれないね」

不知火祖母「そして、ぬいちゃんの魂と少しだけ共鳴して……悪夢という形で、魔法が反応しているのかもしれない」

不知火「………」
336 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/09(土) 23:19:37.75 ID:iqwOTXWB0
不知火祖母「………」ナデ…

不知火「……!」

不知火祖母「何にせよ、辛かったんだね……」ナデナデ…

不知火「………」

不知火祖母「でも、大丈夫。ぬいちゃんには、私やお母さん、お父さんがついてるから」ナデナデ

不知火祖母「悪夢に魘されても、学校で辛いことがあっても……私達が、いつも傍にいるからね」ナデナデ

不知火「……おばあちゃん」

嬉しかった。私の話を、真剣に聞いてくれて……少しだけ、すり減った心が癒された気がした。

同時に、今の出来事も無かったことにされてしまうと考えると……寂しくもあった。

不知火「………」グッ…

不知火(例え、今の話が仮説に過ぎなかったとしても……信ぴょう性のある、可能性を掴めただけでも……)

暗闇だった世界に、ほんの少しだけ……光が差したような気がした。

もし、魔導師が魔法を使っているのなら……いつかは終わりを迎える時が来るはず。

その時まで、諦めずに提督君と親しくなる努力を続ければ……いずれ、また2人で未来を歩める日が来るかもしれない。

不知火「……ありがとう。少し、気が楽になったわ……」

不知火祖母「それなら良かった……」ナデナデ

不知火「……提督君」ポツリ…

不知火(待っていて下さい。私は、諦めません……何度、時が巻き戻ったとしても……)

不知火(もう1度、提督君と仲良くなって……恋人になって、そして……2人で過ごせる未来を、掴んでみせます……!)

先が見えない不安はあった。いつこの地獄が終わるかが分からない恐怖もあった。

それでも、おばあちゃんの話を聞いたお陰で……幾分か、気持ちに余裕が出来た。

私の心に、希望が宿った。現象、いえ、魔法に負けず、提督君との幸せな日々を取り戻すことを誓った。
337 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/09(土) 23:23:18.08 ID:iqwOTXWB0
すみません、名前欄に記載し忘れました。今回はここまでです。
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/10(日) 00:22:01.75 ID:DefMi+zto
おつおつありがとう
ぬいおばあちゃんもありがとう……!
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/10(日) 09:32:01.91 ID:XzMrUFp50
病まとェ……
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/10(日) 10:38:44.60 ID:NUU0+82d0
投稿乙
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/10(日) 21:25:13.17 ID:P0sExUgU0
ぬいは大和の血縁者だった……?
342 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/15(金) 20:41:23.23 ID:EBau4D350
それからも、例の現象は何度も私を襲った。

提督君との関係を進展出来たかと思えば、無慈悲に時が巻き戻ってゆく。

けれど、私は決して諦めなかった。挫けそうになる度に、おばあちゃんの話を思い出した。

"いつか、この現象が終わりを迎える時が来る。その時まで耐え続ければ、私の勝ち"。

そう考えるようにしながら、私は幾度と無く提督君と交流した。そして……


――"XX回目"

――10周目提督家


不知火(14)「私達の関係って……何だと思いますか?」

提督(14)「そりゃ、友人……いや、親友だろ?」

不知火(……ここまで、長かった)

体感で、もう何週間……何ヶ月、いえ、何年過ごしたかさえ……分からない。

けれど、私は諦めなかった。何度も提督君に忘れられる辛さを、歯を食いしばって耐え抜いた。

提督「……ま、まさか違うのか?」

不知火「……っ」ギュッ…

提督「……!?」

不知火(本当に、長かった……!)

何度、心が折れそうになったことか。

何度、心が壊れてしまいそうになったか。

不知火「……親友なんかじゃ、嫌なんです」

提督「え……」

不知火「もっと、先の関係に……恋人に、なりたいんです……!」

提督「……!」

それでも、私は……提督君と元の関係に戻りたい一心で、ここまで頑張って来た。

提督君と、もう一度触れ合いたい……その想いが、私の心を絶望から守ってくれた。
343 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/15(金) 20:42:48.55 ID:EBau4D350
提督「こ、恋人って……」

不知火「……返事」

提督「……!」

不知火「返事を、聞かせて欲しいです……」

本当なら、今すぐにでも提督君を押し倒したかった。

でも、ここで私が誤った行動を取ってしまえば……取り返しのつかないことになりかねない。

だから、私は"あの日"と同じように……提督君からの答えを待つ。

提督「………」

不知火「………」

提督「……正直に言うと、怖かったんだ」

不知火「……!」

提督「もし俺が告白して、今の関係が壊れてしまったら……」

不知火(これは……)

提督「断られるだけなら良い。でも、もし絶交なんてことになってしまったら……俺はまた、孤独になる」

提督「情けないことを言っている自覚はあるが、それでも……不知火との仲に亀裂が入るのが、怖くて堪らなかったんだ……」

不知火("あの日"と、同じセリフ……ということは……!)

不知火「……っ!///」ガバッ

提督「うわっ!?」ポフッ

不知火「……嬉しいです///」ギュウッ

提督「お、おい、不知火……?」

不知火「私達、相思相愛だったんですね……!///」

提督君が私に好意を抱いてくれていることが確認出来た瞬間、私の理性は決壊した。

彼を抱き締めつつベッドへ倒れ込む。もう我慢する必要は無い。

早く提督君の体に包まれたい。提督君の温もりに包まれたい。提督君の愛を……全て、注いで欲しい。

不知火「あぁ、長かった……ようやく、提督君と……"また"、こうして……!///」シュルッ…

提督「っ、ま、待て!それ以上は、本当に……!///」

不知火「私の全てを、受け取って下さい……!///」

提督「う、ぁ……///」
344 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/15(金) 20:44:18.90 ID:EBau4D350
それは、私がずっと求めていたものだった。ずっと欲しかったものだった。

まるで欲望のままに動く獣のように、激しく提督君を貪った。

最初は困惑していた提督君も、途中からは私に身を委ねてくれた。

あぁ、この時をどれほど待ち侘びたことだろうか。もう、まともな思考さえ出来なかった。

提督君と肌を重ね合わせる、この幸福感は……思いつく限りの、他の何よりも勝っている。

例の現象のせいで、限界まですり減った心が……提督君で満たされていく。

行為を終える頃には、今度こそ……提督君との未来を、この手で掴み取ることが出来たのだと確信した。


――数時間後


提督(全裸)「すぅ……」

不知火(全裸)「………」

不知火(少し、やり過ぎたかしら……提督君、行為を終えてすぐに眠ってしまって……)

不知火「………」ギュッ…

提督「ん……」

不知火(でも、久々だったから……こうして、提督君と1つになれることが……)

私の隣で安らかな寝息を立てて眠る提督君。私のことを好きになってくれた提督君。

彼の幸せそうな顔を見ているだけで、私も同じ気持ちになる。

不知火「……提督君」

提督「………」

不知火「……///」チュッ…

提督「んぁ……」

彼を起こさないよう配慮しつつ、頬にそっと唇を軽く触れさせる。

もう、二度と離さない。絶対に、この未来を……提督君との関係、時間を……死守してみせる。

不知火「愛しています……この世の、誰よりも……何よりも……///」スリ…

提督「………」

提督(不知火……そこまで、俺のことを……)
345 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/15(金) 20:45:17.00 ID:EBau4D350
あれ以来、例の現象は一切起こらなかった。

最初こそ、今の状況が再びふりだしに戻ってしまったらどうしようと不安に思うこともあった。

けれど、"以前"のように提督君と共に過ごしている内に……その不安も、徐々に無くなっていった。


――約1年後・10周目提督家


不知火(15)「ここは、こうすれば……」

提督(15)「……出来た。やっぱり、不知火の教え方は凄く分かりやすいな」カキカキ

不知火「いえ……」

不知火("かつて"解いたことがある問題ですし……)

受験生になった私達は、"以前"のように提督君の家で勉強した。

ただ、高校卒業レベルの学力を身に付けていた私にとって、高校受験の勉強は比較的楽だった。

そのお陰で、自分の勉強を後回しにして……提督君に勉強を教える余裕が出来たほどだから。

提督「……うっ」

不知火「ここは、この単語や文法に注目すれば……」

提督「あ、そういうことか……よし、こうだな?」カキカキ

不知火「正解です」

提督「よし。この調子なら、俺も不知火と同じ高校へ通えそうだ……!」カキカキ

不知火「……提督君なら、大丈夫です。"必ず"受かりますから」

断言出来るのは、結果を知っているから。"以前"と同じようにやれば、不合格になるはずがない。

まして、"今回"は"以前"よりも提督君の勉強をしっかりと見ている。

これなら、落ちてしまう方が難しいと言えるかもしれない。

不知火「………」グッ…

不知火(不合格になんて、させるものか……提督君は、必ず合格させてみせる……2人で、未来を歩む為に……!)
346 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/15(金) 20:46:51.69 ID:EBau4D350
やがて、私達は中学校を卒業した。私はもちろん、提督君も無事に合格した。

そして、"以前"と同様に……私と提督君は、10周目高校へ入学した。

そういえば、大井さんもいたような気がするけれど……そんなことはどうでも良い。

提督君と歩む時間以外、私にとっては……取るに足らない存在だから。


――約1年後・10周目高校


提督(16)「………」スタスタ…

不知火(16)「………」スタスタ…

目覚めてすぐに準備を整え、提督君の家へ向かい……そのまま、彼と手を繋いで登校する。

それだけで、私はとてつもない幸福に包まれていく。

ついに、私は勝ったのだ。魔導師なのか、その子孫なのか……今となっては、どちらでも良い。

無限とも言える、ループ地獄から……ようやく、抜け出すことが出来たのだから。

不知火「……桜、散ってしまいましたね」

提督「そろそろ初夏だからな……」

こうして、提督君と他愛もない話をすることが出来る。

こうして、提督君と同じ時間を……未来へ続く道を、歩むことが出来る。

提督「……不知火」

不知火「……何ですか?」

提督「今年の夏は、思いっきり遊ぼう。去年は受験で忙しかったからさ」

不知火「……喜んで」ニコ…

不知火(あぁ、これが私の望んだ日常……もがき続けて、足掻き続けて……ようやく、掴めたのね……)

こうして、提督君と"二度目"の青春を謳歌出来るようになった私は……確信していた。

あの現象に悩まされることなく……"本来の時代"まで、時が進んでくれるだろうと。

そして、今度こそ……提督君と"新たな未来"を過ごすことが出来るだろうと。
347 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2021/01/15(金) 20:48:43.87 ID:EBau4D350






























――――けれど、その認識は甘かった。





























348 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/15(金) 20:50:05.82 ID:EBau4D350
グニャリ…

不知火「……え?」フラッ…

提督「……不知火?」

不知火(う、嘘……この、感覚って……)

提督「お、おい、不知火!?大丈夫か!?」ガシッ

不知火「はぁっ……はぁっ……」

視界が裏返る。世界が不気味なほど歪み、気持ち悪い浮遊感が襲い掛かる。

おかしい。今まで、一度も起こらなかったのに。もう起こらないと、信じていたのに。

不知火「うっ、ぁ……」

不知火(どう、して……い、嫌……そんな、ここまで来て……)

提督「しっかりしろ!不知火!まずい、どうする!?とにかく救急車を……」

提督君の声が小さくなっていく。提督君の顔が、急速にぼやけていく。

提督君から感じていた温もりが無くなっていく。体の感覚が無くなっていく。

不知火「て、て……い、と……く……く――」

彼を手放したくない。また赤の他人に戻るなんて、そんなことは耐えられない。

その一心で、私は手を伸ばした。提督君の手を、顔を、体を掴む為に……とにかく、彼から引き離されない為に。

けれど、現象は無慈悲に私を地獄へと叩き落した。また、あの先が見えない迷宮へと引きずり込んでいった。

















パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!
349 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/15(金) 20:51:18.14 ID:EBau4D350
――現在・8周目大学周辺


不知火「……っ」ギリッ…

不知火(あれ以来、私は……ずっと……!)

"あの時"は、高校入学直後に戻っただけだった。だからこそ、少しだけ安心してしまった。

"提督君と恋人になってさえいれば、まだ何とかなる"。

"この程度なら、まだ十分やり直せる"……そう考えたのが間違いだった。

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(やり直すどころか、前より悪化して……)

ようやく掴んだと思った希望を、瞬く間に打ち砕かれてしまった。

むしろ、赤の他人まで戻された方が……マシだったかもしれない。

不知火「………」スタスタ…

不知火(私が経験した絶望なんて、誰にも理解されない……されるはずがない……)

現象だけでなく、私自身の考えが甘いことを嫌というほど理解させられた。

結局、私は負けたのだ。魔導師に、そして……自分の心の弱さに。

不知火「………」スタスタ…

その癖、狙ったかのように……今は、こうして……時が進んでいる。

今まで、何度も私を地獄に閉じ込めておいて……今更、こんな……勝手過ぎる。

不知火「………」ピタッ…

さっき、提督君が私の水着を褒めてくれた台詞も……"最初"と同じ。

こんなところで、"かつて"の思い出を掘り返されたくなかった。

不知火「……うっ」

けれど、同時に……提督君に褒めて貰えた嬉しさを、感じてしまった。

自分の心が、歓喜と絶望で入り交じって……吐き気さえ催してしまう。それ以上に、未だ彼の言葉に影響される自分が嫌になる。

私が提督君の隣に立つ資格は無い。あんな酷いことを言い放ったような女が、彼の傍にいるなんて……許されるはずが無い。

不知火「………」

不知火(提督、君……)
350 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/15(金) 20:52:14.33 ID:EBau4D350
今回はここまでです。ようやく回想パートその2が終わりました。次回からは本編に戻ります。ただ、更新頻度や速度は以前より少なく(遅く)なりそうです。
時系列としましては『不知火が提督と再び交際〜高校入学後に時間が巻き戻ったタイミング』は『大和が大井を殺害した後、8周目提督と暁が交際している様子を見て絶望して再びループしたタイミング』です。

>>341
ややこしい説明及び描写になってしまい申し訳ありません。
不知火祖母の話はあくまでも『不知火は魔法使い(=魔導師や魔法使いを含めた魔族全般)の子孫』というだけで、大和の子孫という訳ではありません。
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/15(金) 23:57:17.04 ID:tqg8HWq0O
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/16(土) 02:12:13.72 ID:+mo6cUTmo
おつおつ
楽しみです
展開は……きついが……
353 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/17(日) 17:50:27.18 ID:iUp7t+080
18:30〜19:00頃開始予定です。
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:37:21.26 ID:M+lpGiU2O
ぬい……

  ぬい……
355 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/17(日) 18:45:15.00 ID:iUp7t+080
始めます。
356 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/17(日) 18:48:00.81 ID:iUp7t+080
〜 8月1週 〜

――10周目提督家・庭


ビスマルク「……はぁ」

ビスマルク(今日1日、あいつがいないというだけで……気が休まるわね)

ビスマルク(まさか、水着を持って海水浴だなんて……信じられない)

ビスマルク「……相手は想像つくけど」

ビスマルク(よくもまぁ、あんな男と一緒に……私なら、死んでもお断りよ。全く……)

「無理だけはなさらないで下さいね?」

「分かってる。でも……」

ビスマルク「……?」

ビスマルク(この声って……)チラッ


7周目提督「このままあいつを……糞親父を放っておけば、また罪の無い企業が倒産させられる」スタスタ…

漣(7周目)「……ご主人様が責任を感じることはありません」スタスタ…

7周目提督「分かってる。僕は別に、潰された企業や失業者を救う為に猛勉強している訳じゃない」

漣(7)「………」

7周目提督「ただ、あいつのやり方が気に入らないだけなんだ。競争で振るい落とされる企業が出てしまうのは、絶対に避けられないことではあるが……」

7周目提督「わざわざ潰す必要の無い企業まで喧嘩を売って、叩き潰すのは……どう考えても、あいつの方針が狂ってるとしか思えない」

漣(7)「………」

7周目提督「だからこそ、僕が変えてやる。あいつの腐り切った方針を、僕の手で正さないと……気が済まない」グッ…!

7周目提督「それ以上に、姉さんやジェーナスを苦しませた奴に……7周目企業の社長なんて、やらせてたまるか……!」

漣(7)(ご主人様……)


ビスマルク「……っ」ギリッ…!

ビスマルク(7周目企業……忘れるはずが無い。その企業のせいで、私は……)

ビスマルク「……それだけじゃない」

ビスマルク(どうしてあの子が、この前とは違う男を『ご主人様』と呼んでるのよ……)

ビスマルク(まさか、メイドの掛け持ち……?いや、でも隣の男はあの子を『姉さん』って……)

「あっ、こんにちは!」

ビスマルク「……!?」


漣(4周目)「奇遇ですね!こんなクッソ暑い道端で出会うなんて!」

漣(7)「奇遇って、一昨日も会ってるんですがそれは」

漣(4)「こまけぇこたぁいいんだよ!7周目提督さんもどもです!」

7周目提督「……どうも。相変わらず不気味なほどそっくりだな、2人共」

漣(7)「禿同」

漣(4)「だから古いですって」


ビスマルク「……嘘でしょ」

ビスマルク(メイドの掛け持ちだった方が、まだ現実味があったわね……ここまで姿形が似てる人間が存在するなんて)


↓1ビスマルクのコンマ    調教度:13/50
↓2迅鯨のコンマ       信用度:18/50
↓3不知火のコンマ      未練度:83.5/100
↓4大井のコンマ       依存度:87/100

反転コンマが最大のヒロインと交流します
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:48:55.04 ID:WLY0l8VOO
ぬい
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:49:00.42 ID:Tkm7nbMGo
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:50:13.68 ID:y6T7bBFLo
せい
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:50:25.63 ID:M1p48tRKO
であ
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:50:58.73 ID:M1p48tRKO
ぬいだー
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:51:16.82 ID:Tkm7nbMGo
ぬいぬい、爆追
363 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/17(日) 18:51:51.58 ID:iUp7t+080
不知火は何をしている?もしくは提督と不知火は何をしている?

18:55以降から先着3つまでで反転コンマが最大の安価を採用
ただし18:59までに3つまで埋まらなかった場合、それまでで反転コンマが最大の安価を採用させていただきます

※現在は夏休みですので、高校関係以外のシチュエーションでお願いします。
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:55:00.04 ID:Tkm7nbMGo
提督と海に行ってる
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:56:37.56 ID:M1p48tRKO
ミント、食べ物として認識できるかトーク
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:58:14.84 ID:gV2s5QRpO
流行りの映画見に行く
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 18:58:59.27 ID:SJ/o5njR0
提督に電話しようとしてできないでいる
368 :長くなってしまいましたので、2回に分けて投下します。 ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/17(日) 19:29:51.95 ID:iUp7t+080
――繁華街・アイス屋の前


提督「チッ……」スタスタ…

例によって、肉便器に使う道具がネット通販で売切れてやがった。

肉便器に買いに行かせようにも、アヘ顔で何を言っても反応しないときた。

だからこうして、俺が直々に買いに行く羽目になってしまった。糞が。

提督「にしても暑過ぎるだろ……油断すると熱中症になりかねないな……」

一応、家政婦から持たされた水分補給用のスポーツドリンクはある。

だが、正直あの味は苦手なんだ。出来ることなら飲みたくない。

提督「あぁ……」

提督(でも、このままじゃ暑さで参っちまう……仕方ない。その辺の店でアイスでも食って……)チラッ

不知火「………」モグ…

提督「……!」

提督(あ、あそこにいるのって……)

不知火「………」モグ…

不知火(……味なんて感じない。冷たいという、無意味な感覚だけが伝わって来る)

不知火(家族から『家に籠りがちでは気を病んでしまう。一緒に出掛けよう』と誘われ、そのまま同行したは良いものの……)

不知火(外にいようが、中にいようが……私の心が晴れるはずが無い。結局、私は家族とは別行動を取ることにした)

不知火(心配してくれる気持ちは理解している。けれど、それが返って辛い……どうせ、私の苦しみなんて……)

提督「……不知火?」

不知火「……っ!」
369 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/17(日) 19:31:06.74 ID:iUp7t+080
不知火(え、て、提督……君……どうして、ここに……この前も、水着屋で出会って……)

提督「えっと……ぐ、偶然だな。その……」

まさか、また不知火と鉢合わせするとは思わなかった。

水着屋の時と同じで、頭がパニックで上手く回らない。上手く言葉が出ない。

不知火の顔を見られた嬉しさと、不知火への未練が同時に俺の心を締め上げて来る。

不知火「……は、はい」

提督「……アイス」

不知火「え……」

提督「アイス、食べてたのか……」

提督(ダメだ、話そうとするだけで声が震えて……)

不知火「………」

不知火(な、何か言わないと……けれど、私が提督君と話すこと自体……許されることでは……)

不知火(とはいえ、無視する訳にも……あぁ、どうすれば……不意打ちで、頭が働かない……)

提督「……っ」

何でも良いから不知火と話したい。しかし、拒絶されるのが怖い。

思考の板挟みで、嫌な汗が噴き出て来る。暑さどころか、冷や汗さえかいている。

提督「……ミント」

不知火「……!」

提督「あ、アイスって、たまにミントが付いてるよな……あれ、不知火は食べる派か?」

不知火「………」

提督「………」

提督(またやっちまった!何聞いてんだ俺は!)

こんな状況でミント!?もっとマシな話題があっただろうが!これでドン引きされたらどうするんだよ!

ただでさえ不知火からの低い評価が、更に最底辺まで下がったら……もう、俺の心が持たないかもしれないのに。

提督「あっ、い、いや、今のは……」

不知火「………」


未練度上昇率判定:この後どうなる?

01〜49:不知火の家族が戻って来て……
未練度上昇:小 ×1.0
50〜98:不知火「……"昔"は、食べていました」
未練度上昇:中 ×1.5
ゾロ目:不知火、涙を流す
未練度上昇:大 ×2.0

直下

未練度上昇数値判定 コンマ一の位×上昇率分上昇

↓2
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 19:32:35.36 ID:MQTXfoFG0
はい
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 19:32:41.26 ID:qPP7P/6/O
ゾロというと低め
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 19:34:29.35 ID:Tkm7nbMGo
大井っち抜きおった…!
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 19:45:44.45 ID:gV2s5QRpO
現実的なとこまできた……
374 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/17(日) 19:47:07.57 ID:iUp7t+080
.::::::::::::::::::::
  ...::::::::::::::::
 . ......::::::::::::
    Λ_Λ...::::::
   /彡ミヽ )ー、::::
  /:ノ:ヽ \::|.::: <長い回想をようやく終えて本編再開出来ると思った矢先に、一気にリーチだなんて……
  /:/::  \ ヽ|.:::
 ̄(_ノ ̄ ̄ ̄\_ノ ̄ ̄


今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
これまで通り、回想パートは少しずつ投下していく予定です。お待たせしてしまい申し訳ございません。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 19:50:39.04 ID:Tkm7nbMGo
>>1心中お察しします……
おつおつです

さあ大井モタモタしてられんぞ〜
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 19:51:41.33 ID:SJ/o5njR0
笑っちゃいかんのだがお疲れ様ですw
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 19:57:06.30 ID:Ea4fcvrYO

無理のない範囲でいいのよ
しかしぬいぬいこれで失恋したらアブゥとかより悲惨じゃないか?
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/17(日) 19:57:26.43 ID:UpMA45T2O
お疲れ様です
乙でしたー
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/20(水) 17:19:02.49 ID:eAd3gNawO
別の子推しでもぬいの回想見てるとぬいを応援したくなるから困る
380 :不知火がリーチになりました。 ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/23(土) 20:09:06.12 ID:Z2i5wYQP0
36→63:遥か昔の話 6×1.5=9 9+83.5=92.5/50 《-- リーチ --》


不知火「……"昔"」

提督「……え?」

不知火「"昔"は、食べていました」

提督「……そう、なのか」

不知火「……はい」

不知火(気が遠くなるほど、"昔"…提督君と、一緒にアイスを食べた時も……こんな、会話を……)

提督「………」

不知火は、俺の変な質問にも答えてくれた。

怪しむ素振りや嫌悪感を見せることもなく、普通に話してくれた。

それだけで、俺はやはり胸の内から喜びが湧いて来るのを感じてしまう。

不知火「………」スクッ

提督「ぁ……」

不知火「………」スタスタ…

不知火(アイスも食べ終えたから、もうここにいる意味は……)

提督「ま、待って……くれ……!」

不知火「……っ」ピタッ

提督「ど、どうして……」

あぁ、俺は何と無様で情けないのだろう。何と未練がましいのだろう。

未だに、不知火と元の関係に戻れるかもしれないという浅はかな思いを捨てられないなんて。

提督「こんな俺に、まだ……話しかけて、くれるんだ……?」

不知火「………」

そんな考えだから、俺は咄嗟に不知火を呼び止めてしまった。

別れを告げた男に言い寄られるなんて、不知火にとって……凄く、嫌だろうに。

それでも、我慢出来なかった。不知火が俺なんかと口を聞いてくれる理由が、知りたかったのだ。

不知火「……提督君、こそ」

提督「え……?」

不知火「どうして、こんな私なんかのことを……」

提督「し、不知火……?」

不知火「……っ!」ダッ

提督「あっ、ま、待ってくれ!不知火……」

今の言葉は、一体どういう意味なんだ?どうして私"なんか"なんて言い方をしたんだ?

これじゃあまるで、不知火が俺に悪いことをしているみたいじゃないか。実際には逆なのに。

俺が惨めに、不知火へ付き纏っているに過ぎないのに……

提督「……っ」

提督(不知火……)
381 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/23(土) 20:10:06.80 ID:Z2i5wYQP0
――数分後・繁華街


不知火「はぁっ、はぁっ……」タタタッ…

不知火(どうして……どうして、なんですか……?)

私は提督君に別れを告げた。酷い別れ方をしてしまった。

それなのに、提督君は私に失望するどころか……以前までのように、話しかけようとしてくれる。

そのことが、凄く嬉しくて……同時に、凄く辛い。

不知火「……っ」ズキッ

不知火(この期に及んで、私は……)

あんなことを言ってしまったのに。あんなことをしてしまったのに。

私は、自分の行いを棚に上げて……提督君と、もう一度元の関係に戻ることを望んでしまっている。

不知火(そんなこと……許される、はずが……)

頭では、そう考えていても……感情は違う。

今すぐにでも、提督君に"あの日"のことを謝罪したい。

そして、提督君に……今の気持ちを打ち明けたい。

不知火「………」

不知火(最低ね、私……あんなことがあった後、だというのに……)


――"XX回目"

――約2年前・有名私立中学校までの道


提督(15)「俺達もとうとう受験生か……」スタスタ…

不知火(15)「………」スタスタ…

不知火(どうして、なの……?もう、あの現象は……終わったはずでは……)

幾多のループを耐え抜き、提督君と再び高校へ通うことになったあの日……また、時が巻き戻ってしまった。

最初は入学直後に戻るだけだったから、油断していた。

不知火(あれから、何度も……短い周期で……)

"今回が例外で、流石にまたあのような日々が続くはずがない"。

そう考えていた、自分の考えの甘さを……思い知らされてしまった。

提督「でも、不知火と一緒なら……面倒な勉強だって、耐えられる自信がある」

不知火「………」

不知火(この会話も、もう5回目……)

以前ほど遠い昔へ戻ることはないものの、数週間から数ヶ月の範囲で時が巻き戻ることが多い。

そのせいで、私は提督君と何度も同じ会話を交わすことになってしまっている。

不知火「……っ」ゾクッ…

不知火(ま、まさか、このまま……いえ、流石にそんなことは……)
382 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2021/01/23(土) 20:11:20.53 ID:Z2i5wYQP0






























――――"次こそは、時が巻き戻らないまま新しい日々を過ごせるはず"。


――――そう信じていたけれど……何度も同じ日々、同じ会話、同じ出来事を繰り返させられる。


――――何度も。何度も何度も何度も。


――――数えることを諦めてしまうほどに、何度も。


――――そんな日々を繰り返している内に、私の心は……少しずつ、死んでいった。


――――今までとは違う、短い周期での現象は……私の正気を、じわじわと奪っていった。





























383 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/23(土) 20:12:55.69 ID:Z2i5wYQP0
――"XXX回目"

――10周目提督家・自室


提督「不知火……不知火っ……!///」

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(この行為も、何度目……だったかしらね……)

どれほど提督君と仲を深めようとしても、無かったことにされてしまう。

どれほど提督君と肌を重ね合わせても、無かったことにされてしまう。

どれほど、提督君を感じようとしても……提督君にとって、それは無かったことになってしまう。

提督「はぁっ……はぁっ……!///」

不知火「………」

私ばかりが、想いや苦痛を募らせていく。地獄のような苦しみを味わい続ける。

けれど、提督君はそんなことを知るはずもない。何故なら、時間と共に記憶も巻き戻ってしまうから。

私がどれほど提督君を深く愛しようとしても、提督君にとっては……

不知火「……"付き合い始めたばかり"」ボソッ…

提督「……不知火?もしかして、嫌だったか……?」

不知火「……いえ」

提督「……その、ごめん」

不知火「気にしないで下さい。ほら、膣内で出すんでしょう……?」

提督「いや、流石にそれは……」

不知火「安全な日ですから、お構いなく」

"今まで"なら必ず避妊をしていたが、今はもう……そんなことはどうでも良い。

どうせ、次の瞬間には時が巻き戻るだろうから。避妊をしたところで、無意味なのだから。

提督「……良いん、だな?///」

グニャリ…

不知火「う……」

提督「な、なら……このまま、膣内で……!///」

不知火(ほら、また……行為中に戻るのも、これで……何度目、だったかしらね……)

提督「うぅっ……!///」









パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!
384 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2021/01/23(土) 20:15:34.41 ID:Z2i5wYQP0






























――――最初こそ、提督君と赤の他人の関係に戻るよりはマシだと考えていた。


――――けれど、それは大きな間違いだった。


――――折角恋人同士になっても、すぐに時間が戻されてしまう。


――――それはすなわち、最愛の人との思い出を一切作れないことを意味する。


――――それが私にとって、何よりも辛く、苦しかった。


――――何度も同じ会話を聞かされ、何度も同じ出来事を体験させられる。


――――それが何十回、何百回と繰り返され……私の精神は、既に限界を超えていた。


――――私はいつしか、"今まで"以上の絶望に呑まれていた。





























385 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/23(土) 20:17:15.97 ID:Z2i5wYQP0
――"XXX回目"

――10周目提督家までの道


不知火「………」スタスタ…

提督「……なぁ、不知火」スタスタ…

不知火「………」

提督「最近、元気が無いみたいだけど……何かあったのか?」

不知火「……大丈夫です」

提督「っ!?」ゾクッ

提督(な、何だ!?今の、不知火の声……抑揚がない上に、冷え切っていて……)

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(この会話も、何度目かしらね……)

提督「……俺で良ければ、話くらい」

不知火「……大丈夫です」

提督「いや、でも……」

不知火「何度言えば分かるんですか?」

提督「……っ」ズキッ

不知火「私のことは、放っておいて下さい……」

不知火(どうせ、話したところで無駄だもの……)

不知火「………」スタスタ…

提督「………」

提督(不知火……)
386 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/23(土) 20:19:31.17 ID:Z2i5wYQP0
――10分後・不知火家


ガチャ バタン…

不知火「………」

不知火(……また、やってしまった)

提督君との会話は、その全てを一字一句暗記してしまった。

私が会話内容を大幅に変えない限り、提督君が話す内容から単語まで全てが同じ。

壊れたDVDやBDの映像を見ているかのように、延々と同じ出来事が繰り返される。

不知火「………」

それだけでなく、"毎回"しつこく食い下がる提督君に……私は、苛立ちを感じてしまった。

恋人が、自分のことを心配してくれているというのに。

不知火(提督君は、何も……悪く、ないのに……)

自分でも恐ろしいほどに、冷たい声が喉から出てきてしまった。

今の言葉で、提督君を傷付けてしまっただろう……間違いなく。

不知火「……最低ね、私は」

何の罪も無い恋人相手に、八つ当たりしてしまうなんて。

それがいけないことだと分かっている癖に、我慢することさえままならない。

何度も戻されていたとしても、決してそれだけは……やってはいけないことだと言うのに。

不知火「……っ」ギリッ…

不知火(でも、どうせ今の出来事も……)

何度後悔したとしても。何度罪悪感を抱いたとしても。

例の現象は、容赦なく私を閉じた世界へ叩き落す。

今のような苦痛も、既に数え切れないほどに経験している。

不知火「………」

不知火(こんな酷い私だからこそ、地獄に落とされたのよ……最愛の人へ、理不尽な怒りをぶつけるような奴だから……)

絶望。自己嫌悪。罪悪感。後悔。その全てが、私の心へ蓄積されてゆく。

そして、とうとう私は……この永遠とも言える時間から、"逃れる"ことを考えてしまった。
387 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/23(土) 20:22:07.77 ID:Z2i5wYQP0
今回はここまでです。
時系列としては、大和が8周目提督の弱点や好みを研究する為に何度もやり直しているタイミングです。
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/23(土) 20:27:00.60 ID:7hY+w5w1o
おつおつです
うう…ぬいぬい……
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/23(土) 20:42:04.16 ID:w3KZmyo5O
おっちょこちょいがヒロイン安価で安価指定ミスしたばっかりにこんな事になってるの本当笑う
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/23(土) 21:22:06.21 ID:H5JKfjBt0
ぬいぬいェ……
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/23(土) 23:56:26.43 ID:a5r7Ne2p0
乙でした
392 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/24(日) 19:32:16.00 ID:pixYimXp0
――"XXX回目"

――深夜・不知火家


不知火「………」ギュッ…!

不知火(……これだけ強く縛っておけば、大丈夫よね)

両親達が寝静まった深夜。私は自室に籠り、ある準備をしていた。

天井に縄を取り付け、それを自分の首に巻き付ける。

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(後は、椅子を蹴り飛ばすだけ……)

これ以上、耐えられない。もう、こんな地獄を見せられたくない。

生きることを許されないというのなら……自ら、命を絶ってしまえば良い。

そうすれば、少なくとも……この閉じた世界から、抜け出すことが出来るから。

不知火「……っ!」ガッ!

ググッ…!

不知火「ぐ、ぅ……ご、ぉっ……」

不知火(お父さん、お母さん、おばあちゃん……親不孝な娘で、ごめんなさい……)

不知火(そして、提督君……こんな、弱くて醜い私で……本当に、ごめんなさい……)

遠のく意識の中、脳裏に浮かぶのは謝罪と罪悪感ばかり。

しかし、同時に……この地獄のような日々から解放される、安堵の気持ちさえ湧いていた。

不知火「……っ」ピクピク…

不知火(ごめん……なさい……)

息苦しささえ感じなくなっていく。目の前が真っ暗になっていく。

自分の命が消えゆくことを、嫌でも認識させられる。

けれど、怖くはなかった。むしろ、生き地獄を味わわされてきたからこそ……早く死んでしまいたかった。

不知火「」ピクッ…ピクッ…

そして、私は……その生涯に、自分の手で幕を――――









パシュウウウウゥゥゥゥンッ…!
393 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2021/01/24(日) 19:33:31.05 ID:pixYimXp0






























――――下ろすことさえ、許されなかった。





























394 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/24(日) 19:34:25.96 ID:pixYimXp0
――"XXX回目"

――有名私立中学校・教室


不知火「………」

提督「それで、さっきの授業の話なんだけどさ……」

不知火「………」

提督「……不知火?」

不知火「……何、で」

提督「え?」

不知火「そん、な……嘘……」

不知火(私は、確かに……首を吊って……)

気がつくと、私は教室の席に座っていた。

それどころか、提督君と共に……昼食を取っていた。

自殺したはずなのに、私は……それを決行する、数日前まで戻っていた。

不知火「あ……あぁっ……」ガクガク

提督「おい、大丈夫か?」

不知火「……っ!」ダッ

提督「し、不知火!?」

不知火(こんなの、あり得ない……!嘘、絶対に嘘よ……!)

あまりの絶望で、私はその場から衝動的に立ち去ってしまった。

この地獄にいる限り、例の現象が発生する限り……私は、死ぬことさえ許されない。

その事実を突きつけられた私は、当然錯乱した。もう、何も考えたくなかった。

不知火(自殺さえ出来ないの!?どうして!?このままずっと、永遠に地獄を生き続けなきゃならないの!?)

不知火「……ああああああああああッ!」

あらゆる負の感情が混ざり合い、私は思わず絶叫してしまう。

廊下にいる生徒が何事かと振り向くが、そんなことを気にする余裕なんて無い。

私は大声をあげながら、無我夢中で学校から……提督君から、離れたかった。

彼を見れば見るほど、自分がこの世界に閉じ込められていることを……嫌でも認識させられてしまうから。
395 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/24(日) 19:36:33.26 ID:pixYimXp0
それからというものの、何度自殺を試みようとしても……その度に時間が巻き戻り、私は強制的に蘇生させられた。

痛く苦しい思いをして、意識を手放しても……次の瞬間には、数日前から数週間前まで戻っている。

ただでさえ限界を迎えていた私の心は……これがきっかけで、ほぼ壊れ切ってしまった。


――"XXX回目"

――不知火家


不知火「………」ハイライトオフ

体はもちろん、思考さえ上手く働かない。何かを考える気力さえ浮かばない。

しばらくの間、私は生きたまま死んでいた。何もせず、ただ自室に籠ることしか出来なかった。

両親や祖母に心配されたが、そんなことさえどうでも良いと思っていた。

不知火「………」

何をやっても無駄。努力しても無駄。自殺しようとしても無駄。

上手くいったとしても、即座に無かったことにされてしまう。

もはや、私は全てを諦めていた。生きるどころか、死ぬことさえ。

不知火「………」

このまま、例の現象が発生し続ける限り……私に未来は無い。

提督君と愛を深めようとしても、その全てが徒労に終わる。

不知火「………」

不知火(……こんなことなら、恋人にならない方が良かった)

赤の他人なら、まだ割り切れたかもしれない。

すぐに諦めがついて、ありもしない希望に縋ろうともしなかったかもしれない。

けれど、恋人だからこそ……私は、ずっと苦しみ続けた。

次こそは、提督君と未来を歩めるかもしれない……新たな思い出を作れるかもしれない、と。

その考えが、私にとって……壮絶なストレス、絶望となり……私の心を壊し続けてきた。

不知火「………」スクッ…

不知火(……もう、終わらせてしまおう)

途方もない時間、苦痛、絶望に打ちのめされた私は……とうとう、最後の希望を捨ててしまった。

提督君と、恋仲でいられること……私がこの地獄で生きる意味を見出していた、唯一の希望を……自ら断ち切ることにした。

いや、もはや私にとって……希望でも、何でもなかった。むしろ、地獄に囚われる鎖に過ぎなかった。

……"当時"の私は、馬鹿なことに……そう考えてしまった。
396 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/24(日) 19:38:16.08 ID:pixYimXp0
――翌日・校舎裏


不知火「………」

ザッ…

不知火「………」

提督「……不知火」

提督(わざわざ、こんな人が少ない場所へ呼び出すなんて……それほど、深刻な話が……)

不知火「………」クルッ…

提督「……っ!?」ゾクッ

不知火「………」ハイライトオフ

提督(え、し、不知火……?何で、そんな……やつれ果てて、真っ青な顔を……)

提督(こんな言い方は、どうかと思うけど……まるで、生きたまま死んでいるかのような……)

不知火「……来て、くれたんですね」

提督「……不知火からの頼みだぞ?断る訳がない」

不知火「……っ」ズキッ…

不知火(やはり、そうですよね……提督君なら、そう言うと思っていましたから……)

不知火(……"今まで"なら、ここで考え直したかもしれません。でも、もう……)

不知火「……そう、ですか。では、今から私が話すことも……」

提督「何でも言ってくれ。お前の為なら、どんなことでも……!」

提督(金が関わることならどうにでもなるし、それ以外のことだって……)

不知火「………」

提督「………」

不知火「……提督君」

提督「……あぁ」

提督(どんなことを言われても、冷静さを失うな……きっと、不知火は俺を信頼してくれているからこそ、大事な話を――)
397 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/24(日) 19:40:14.85 ID:pixYimXp0






























「……別れましょう」


「――え?」





























398 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/24(日) 19:42:01.72 ID:pixYimXp0
提督「……は?し、不知火……今、何て……」

不知火「もう、疲れたんです……」

提督「疲れたって……俺、何か気に障るようなことを……」

不知火「………」

提督「じょ、冗談だよな……?」

不知火「……っ」

提督「……!」

提督(な、何で……そんな、辛そうな顔するんだよ……)

提督(それじゃあまるで、意を決して……俺に別れを告げたみたいじゃないか……!)

不知火「………」

提督「お、俺に何か悪いところがあるんだったら、すぐになおすから!」

不知火「………」

提督「なぁ、不知火……そんなこと、言わないでくれよ……俺達、ずっと……愛し合って……」

不知火「………」クルッ

提督「ま、待ってくれ!」ガシッ!

不知火「………」

提督「せめて、理由を……不知火、頼むから……!」

不知火「………」バッ!

提督「……っ!」

不知火「………」スタスタ…

提督「ぁ、い、行かないでくれ……不知火……!」

提督(言ってくれたじゃないか……!俺のことが、好きだって……!)

提督(その言葉は、嘘だったのか……?全部、まやかしだったのか……?)

不知火「………」スタスタ…

提督「う、うぅっ……」ジワッ…

不知火(頼むから、俺を置いていかないでくれよ……俺を、1人にしないでくれよ……)

不知火「………」スタスタ…

提督(そんな……)ポロポロ…

提督「………」ポロポロ…

提督(不知火に、"裏切られた"……あんなに、愛していたのに……あんなに、好きだったのに……)ポロポロ

提督(お前まで、俺から離れて行ってしまうのかよ……あの時の言葉は、嘘だったのかよ……)ポロポロ

提督「うぐっ……こんなの、あんまりだろ……!」ポロポロ

不知火「………」ピタッ…

提督(不知火……何で……くそっ、くそぉっ……!畜生っ……!)ポロポロ…

不知火「……っ」スタスタ…
399 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/24(日) 19:43:51.48 ID:pixYimXp0
――数分後・不知火家までの道


不知火「………」スタスタ…

不知火(これで、良かったのよ……)

ありもしない未来に対し、希望を抱くのは無駄だと分かり切っている。

だからこそ、私は提督君に……別れを告げた。自分から赤の他人の関係に戻した。

こうすれば、私も諦めがつくと思ったから。その方が、お互いの為だと思ったから。

不知火「………」

不知火(提督君には、私なんかより……相応しい女性が、いますから……)

自分の心の弱さに負け、八つ当たりをするような人間なんて……孤独がお似合いだ。

提督君にとっても、何もかもを諦めてしまった私と一緒にいない方が良い。

不知火「……っ」ジワッ…

不知火(いけない……私に、涙を流す資格なんて……ない、のに……!)グシグシ

こんな自分が惨めで、情けなくて、本当に嫌になる。

自ら別れを切り出しておいて、今更未練を抱いてしまうなんて。

これまで、提督君への罪悪感で苦しんできた癖に、この体たらくな自分が許せない。

不知火「………」スタスタ…

不知火(どうせ、今の出来事も無かったことになる……でも、その度に……)

中途半端に希望を信じていたからこそ、私は苦痛を強いられてきた。

この先、何度も時間を巻き戻されたとしても……私はその都度、提督君に別れを告げようと思う。

恋人同士の関係を続けることの方が、全てを諦めて受け入れるより……辛いから。

不知火「………」スタスタ…

不知火(……さようなら、提督君)

これからは、私のような人間のことなんて忘れて……新しい相手を見つけて下さい。

閉じた世界から逃れられない私より、共に未来を歩める相手を探して下さい。

不知火(いつか、提督君が未来という名の幸せを掴めることを……祈っていますから……)
400 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/24(日) 19:46:49.41 ID:pixYimXp0
――数日後・有名私立中学校


不知火「………」チラッ…

提督「………」ハイライトオフ

提督(不知火……不知火……)

不知火「………」

不知火(今回は、長い方ね……いつもなら、もう……)

提督君に別れを告げてから、数日が経った。

これまでなら、既に時が巻き戻っているはずなのに……未だ現象が起こらない。

けれど、どうせ魔導師の気まぐれだろう。こんなことは、"今まで"に何度もあったから。

提督(不知火……不知火……)

モブa「ん?提督、今日は不知火さんと一緒じゃないんだな」

提督「………」

モブa「おーい、聞いてるか?」

提督「……うるさい」

モブa「え?」

提督「お前には、関係ないだろうが……」

モブa「っ!?」ビクッ

モブa(な、何だ、こいつ……今にも、死にそうな顔して……)

モブa「……そ、そうか。ごめん……」スタスタ…

提督「チッ……」

提督(どうせ、俺のことなんてどうでも良いんだろ……他人如きが、俺に関わろうとするんじゃねえよ……)

提督(もう、誰も信用出来ない……いや、信用しない……俺はもう、ずっと……孤独なんだ……)

不知火「……っ」ズキッ…

あの日以来、提督君はクラスメイトや担任に話しかけられても、まともに対応しなくなってしまった。

私のせいで、提督君は……誰に対しても、心を閉ざしてしまった。

その様子を見るのは、心が痛い。かつて恋人"だった"人が傷付く姿を見て、辛くないはずがない。

不知火(……でも、どうせ無かったことになる)

こうして、提督君が苦しんでいることさえ……私の記憶の中だけの出来事になる。

次の瞬間には、また私が提督君と交際している時に巻き戻る。

今は、今だけは……提督君を苦しめてしまった後悔と罪悪感を背負うしかない。

それでも、"今まで"のように……あるかも分からない未来を目指し、足掻く苦痛よりは……マシだから。

不知火「……っ!」グッ…

不知火(そんなことを考えてしまう、自分に嫌気が差す……でも、どうしても……"これまで"の辛さより、全てを諦めた今の方が……)
401 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2021/01/24(日) 19:48:10.22 ID:pixYimXp0






























――――しかし、私の予想は大きく外れることになってしまう。


――――私は、自分の行いを……犯した罪を、深く後悔することになる。


――――自分の浅はかさと、心の弱さと……もう"取り返しがつかない"ことに、絶望することになる。





























402 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/24(日) 19:49:12.05 ID:pixYimXp0
今回はここまでです。上手くいけば、次回〜その次の更新で回想を終えられそうです。
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/24(日) 20:02:06.49 ID:ZENDnEAHO
病まと、屋上
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/24(日) 20:54:48.50 ID:E8iGfmGnO
ぬいぬいが悲劇のヒロインすぎて辛い
にしても霞の安価から病まと、病まとの安価からぬいぬいの安価が出たって考えると凄いよな
霞病まとぬいぬいの安価出した人に今の心境聞いてみたい
405 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/29(金) 21:00:09.95 ID:SBKLlRMA0
――1ヶ月後・有名私立中学校


教師「来週は予定していた通り進路相談だ。ご両親と一緒に、志望校や成績についての相談を……」

提督「………」ブツブツ…

提督(不知火……不知火……)

不知火「………」

不知火(……おかしい。一体、どういうこと……?)

私が提督君に一方的に別れを告げて以来、例の現象が起こる気配が無い。

いや、正確に言えば、数十分から数時間ほど時間が巻き戻る現象は時折起こっている。

けれど、これまでのような……それこそ、数週間から数年単位で巻き戻る現象が全く発生しない。

不知火「……っ」ゾクッ

不知火(まさか……)

今更、魔導師が魔法の使用をやめたとでも言う気だろうか。

そんなはずはない。私は散々、あの現象に地獄を見せられてきた。

こんな、提督君と破局した後に……狙ったかのように、現象が止むだなんて。

不知火(……信じられない。いや、信じたく……ない)

教師「1年なんてあっという間だぞ?自分の将来に関わることだから、真剣に考えるようにな」

提督「………」ブツブツ…

提督(不知火……不知火……)

不知火「……っ!」フルフル

不知火(いや、どうせ……その内、また……巻き戻る、はず……)

頭に浮かぶ恐ろしい可能性から必死に目を逸らす。

もし、何かの間違いで、このまま現象が起こらないままだったとすれば。

私がやったことは、やってしまったことは……全て、無駄になる。

それどころか、自分で自分の首を絞める結果になってしまうのだから。

不知火「………」

不知火(ありもしない可能性なんて、考えるだけ……心配するだけ、無駄だもの……)
406 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2021/01/29(金) 21:01:39.25 ID:SBKLlRMA0































――――――しかし、時間は残酷にも未来へ進み続けた。


――――――どうせ現象が起こるだろうと考えていた、私が愚かだった。


――――――数日、数週間、数ヶ月……時代が前に進めば進むほど、私は恐怖に支配されていった。





























407 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/29(金) 21:03:38.95 ID:SBKLlRMA0
――半年後・不知火家


不知火「………」ハイライトオフ

不知火(……あり得ない。こんな、ことって……)

私は、なんて自分勝手なのだろうか。

あれほど憎んでいた現象を、あろうことか……今は望んでいるだなんて。

不知火(このままでは、私は……提督君と、破局したまま……)

月日が経つにつれ、最悪の可能性ばかりが思考に広がってゆく。

未来を歩めないと諦めた私が、提督君と決別する選択をしたこと。

どうせ時間が巻き戻るからと、全てを投げ出す決断を下したこと。

不知火「……っ!」クシャクシャ

不知火(どうして……どうして、今更……ッ!)

自分の誤った判断のせいで……自分がより一層、苦しむ結果になってしまうなんて。

何故、魔導師は今頃になって現象を起こさなくなってしまったの?

あれほど好き勝手に時間を巻き戻した癖に……何故、このタイミングで魔法を使わなくなってしまったの?

不知火「うっ……ぐぅっ……!」ジワッ…

不知火(どうして、なの……!?じゃあ、私がやったことって……っ!)ポロポロ

枯れ果てていたと思っていた涙が、とめどなく溢れ出す。

"今まで"は、どうせ何をしても時が巻き戻ると考えていた。

故に、取り返しのつかない失敗をしてしまっても……いずれリカバリー出来ると考えていた。

その考えは……甘かった。どうして私は、現象が無限に続くだなんて思い込んでいたのだろうか。

魔導師も人間……いや、確か別の種族だっただろうか。いや、今はそんなことどうだって良い。

魔導師が魔法を行使している以上……いずれは使用を止めるであろうことを、どうして想定出来なかったのだろうか。

不知火「っ、ぁ……うぅっ……!」ポロポロ

声にならない声をあげながら、私は……絶望と悲しみに呑まれ、ただ泣くしかなかった。

自分の心が弱かったせいで、提督君を傷付けて……離れ離れになってしまうなんて。

不知火「うぐ……あぁっ……!」ポロポロ

不知火(提督君……ごめんなさい……ごめん、なさい……っ!)ポロポロ

結局、私はその日……ただ1人、部屋の中で泣き続けることしか出来なかった。

魔導師のことも、情けない自分のことも、とにかく憎くて堪らなかった。

滅茶苦茶になってしまった心を整理するには……こうして、感情を吐き出すしかなかったから。
408 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/29(金) 21:05:36.72 ID:SBKLlRMA0
――数ヶ月後・10周目高校正門前


不知火「………」

不知火(……本当に愚かで、無様で、情けないわね……私は)

あれ以来、大きく時が巻き戻る現象は全く起こらなかった。

提督君との関係をやり直そうとも考えたが……出来なかった。

あれだけ酷いことをしておいて、今更「よりを戻しましょう」だなんて……

不知火「……っ」ギリッ…

不知火(そんなこと、言えるはずが……)

教室でも、死んだような表情で俯く提督君を眺めることしか出来なかった。

声をかけようと思っても……自分自身への失望と、提督君に拒絶されるかもしれない恐怖ばかりが浮かび上がる。

不知火「………」ギュッ…

それでも、私は未練を捨て切れず……志望校は、"以前"と同じにしてしまった。。

握り締めた受験票にも、10周目高校の名が記されている。

理由は当然、提督君と同じ高校へ進学しようと考えたから。

不知火「………」ハイライトオフ

不知火(自分で別れを突きつけておいて、こうして……未だに、提督君の後を追いかけるなんて……)

何度、やり直したいと考えただろうか。

そして、その度に……何度、それほどまでに情けない自分のことが嫌いになっただろうか。

こんな人間では、私が何もしなくとも……提督君に嫌われて、当たり前だというのに。

不知火「………」チラッ…

提督「………」スタスタ…

提督(不知火は、確か……ここに行きたいと、先生に……)

提督君の志望校は、座席の位置を利用して……進路希望用紙を覗いておいた。

すると、やはり"以前"と同じように10周目高校と書かれていた。

だからこそ、私は志望校をここに固定した。せめて、同じ高校に通いたかったから。

不知火「………」

不知火(提督君……未だに、貴方に付き纏うような真似をして……本当に、ごめんなさい……)

不知火(それでも、私は……どうしても、貴方のことを……)
409 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/29(金) 21:07:47.02 ID:SBKLlRMA0
――約半年後・不知火家までの道


不知火(16)「………」スタスタ…

"三度目"の受験となれば、ほぼ全ての問題を時間内に解き終えてしまった。

そして、私はもちろん……提督君も、無事に合格することが出来た。

不知火「……っ」ズキッ…

けれど、"一度目"や"二度目"の高校生活とはまるで違う。

私は、遠巻きに提督君を眺めることしか出来なかった。

何故なら、私が彼に話しかけるなんて……言語道断だから。

そして、提督君から罵詈雑言を投げかけられてしまえば……生きていけなくなってしまうから。

「……今日も、良いか?」

「……えぇ」

不知火「……ぁ」

不知火(今の声って……)

いつもはこうして、1人で静かに自宅へ帰るけれど……どうやら、今日は提督君が先に下校していたらしい。

ただ、最愛の人の声と共に……記憶の彼方へ消えかかっていたけれど、辛うじて聞き覚えのある声も耳に入ってくる。

大井(16)「………」ギュッ

提督(16)「……!」

大井「手を繋ぐくらい、別に良いでしょう?例え、カップルじゃなくても……」

提督「……そう、だな」

提督(……右手が温かい。今だけは、不知火への未練から……目を背けられそうだ……)

不知火「………」

不知火(……大井、さん)

声の方向へ振り向くと、提督君と大井さんが手を繋いで歩いていた。

大井さんの言葉を聞く限り、2人は付き合っている訳ではないらしい。

ただ、そうだとしても……今の私には、この光景はどんな拷問よりも残酷だった。

不知火「……ッ!!」ダッ
410 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/29(金) 21:09:08.68 ID:SBKLlRMA0
――10分後・不知火家


ガチャ バタンッ!

不知火「はぁはぁはぁはぁ……うぐっ、ひぐっ……!」ジワッ…

不知火(そんな……提督君が、私以外の人と……)ウルウル…

私は、この期に及んで……どこまで甘ったれていたのだろう。

私から別れを告げられた提督君が、他の女性と親密にならないとは限らないのに。

不知火「……っ」ポロポロ

不知火(しかも、よりにもよって……)ポロポロ

でも、私が本当にショックだったのは……提督君が、別の人と歩いていたことじゃない。

その相手が、提督君の幼馴染である……大井さんだったから。

かつては私が提督君を"勝ち取った"とも言える相手に……私は"奪い返された"。

最愛の人を、よりにもよって……彼と元から親交があった女性に、奪い取られてしまった。

不知火「どうして……どうして、なの……!?」ポロポロ

不知火(私が、何をしたというの……!?どうして、こんな思いをしなければいけないの……!?)ポロポロ

前世で何か大罪でも犯してしまったのだろうか。

そうでもなければ、どうして私がここまで理不尽な目に遭わなければならないというのか。

考えれば考えるほど……辛くて、苦しくて、そして……憎くて堪らない。

不知火「………」ポロポロ

不知火(……いや、私にはお似合いの末路、か)

最愛の人を傷つけておいて、未だに彼に未練を抱くなんて……最低にもほどがある。

これはきっと、私に対する……罰なのだろう。自らの弱さと、提督君を苦しめてしまった……重い罰。

私がすべきことは、例えどれほど辛くとも……提督君の幸せを願うことである。

不知火「……私は、もう……大井さんに、何かを言えるような立場じゃ……ない……」ポロポロ

不知火(それどころか、大井さんに……提督君のことを……)ポロポロ

不知火「……っ!」ギリィ…ッ!

けれど、それは無理だった。頭では理解していても、感情は誤魔化せなかった。

やはり私は、提督君のことを愛している。未だに、彼のことを引きずってしまっている。

自分で彼を傷付けておきながら、それでも……もう一度、彼とよりを戻したいと思ってしまっている。

不知火「うっ……くっ……」

不知火(私は……一体、どうすれば、良いの……?)ポロポロ
411 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/29(金) 21:10:02.42 ID:SBKLlRMA0
――現在・繁華街


不知火「………」

不知火(提督君……)

これまで、私は提督君のことを忘れられなかった。

出来る限り、提督君とは関わらずにいようと思ったけれど……無理だった。

やはり私は、提督君がいなければ……これから先の未来を、歩めそうにない。

不知火「……っ」グッ…

不知火(それが、人として最低な考えだということは……分かっていても……)

既に全く起こらなくなってしまった現象に、今更期待などしていない。

ここから提督君との関係を修復するには……自分で動くしかない。

自らの手で、新たな未来を掴む努力をするしかないのだから。

不知火「……けれど」

不知火(もし、提督君に拒絶されてしまったら……)

"今更どういうつもりだよ。馬鹿にしてるのか?"

"自分から別れを切り出しておいて、都合が良すぎるだろうが"

もし、提督君からそんなことを言われれば……生きる目的や意味を、見失ってしまう。

それが怖くて、未だに動き出せない。最後の一歩を踏み出すことが出来ない。

不知火「………」

提督君が私を許してくれるというのなら。もう一度恋人になってくれるというのなら。

提督君と元の関係に戻れるというのなら……私は、何だってするつもりだ。

土下座でも、行為でも……それこそ、一般人なら嫌がるようなことだとしても。

不知火「……っ」

不知火(それでも、私自身が怖がっていては……どうしようも、ないのに……)

提督君、どうか……こんな私のことを、もう一度助けて下さい。

"あの頃"のように……その優しい笑顔を、また見せて下さい。

不知火(提督君……提督君、提督君……提督君……)ハイライトオフ

こんな、どうしようもなく身勝手な私に……貴方との関係をやり直す、勇気を下さい。

お願いします、提督君……私はもう、貴方無しでは……生きていけそうに、ないんです。
412 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2021/01/29(金) 21:12:07.94 ID:SBKLlRMA0
今回はここまでです。ようやく不知火の回想パートが終了しました(白目)。
次回の更新から本編に戻ります。
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/29(金) 21:17:05.86 ID:msYTzeiio
お疲れ様でした!!
…せっ…!踏み出せっ…!ぬいぬい…!!
本編もよろしくお願いします!
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/29(金) 21:45:47.74 ID:ofexuCzh0
....これ今回ぬいぬいと結ばれてもまともなエンドにならないんじゃねぇか?
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/29(金) 22:25:26.14 ID:93s9oM3+0
迅鯨→ビスマルク→提督・大井・不知火の順番で壊れてそう…
大井と不知火が初めから恋愛自覚を飛び越えてるからドロドロは不可避なんだよなぁ…
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/29(金) 22:25:51.09 ID:0OnhS85KO
プロローグの時点で提督がビス子大井とヤッてるからなあ
不知火とか関係なく誰とくっついても綺麗に終わらなそう
今週と同じくらい人間関係ヤバかった8週目もエピローグで大井と揉めてたし
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/29(金) 23:22:47.33 ID:xgX7WRob0
ビスマルク「どうしてこうなった」
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/29(金) 23:32:07.30 ID:7rs8ndQA0
迅鯨「蚊帳の外にいる方が安全な気がする」
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/01/30(土) 01:27:49.33 ID:8buQFKVY0
プロローグでヤッた事よりも、プロローグ以前にどれだけ提督とのストーリーがあるかが重要じゃないかな?
病まとは初めから好感度は40以上だし、8週目大井は好感度が50になる所で妨害喰らって0まで下がったみたいだし、
今回の不知火と大井も、初めから高感度自体は振り切れてそうだからねぇ
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