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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【2頁目】

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602 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 00:25:09.73 ID:yEi0MtLhO

何はともあれついてきてくれるのは心強いな
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 00:46:44.32 ID:vC19mVtw0

合流して3人で出て行くってのはもう解決として
なんとか次の日までに少しでも体調戻したいな
604 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 15:12:29.49 ID:da4fqDl/o
では少しずつ
605 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 15:14:34.53 ID:da4fqDl/o

陽乃「良いわ。来たければ来なさい」

球子「そう言って、夜中にこっそり出て行ったりとかするんだろ?」

陽乃「しないわよ……ここまで来たらもう、する意味もない」

諏訪遠征に行くことを伝えていた以上、

2人は陽乃が数日以上ここに姿を見せず、

四国内のどこにも見当たらないとなったらいよいよ、外へと出ていくだろう。

たとえ陽乃が本当に出ていったという確固たる証拠がなかったとしてもだ

無駄死にさせないという陽乃の目的は、

陽乃が遠征に行くという話を2人が知った時点で潰えている

陽乃「心配なら、首輪でも手錠でも足枷でも自由にどうぞ」

球子「そんなことするかっての」

陽乃「予定は明日の朝」

球子「早いな」

陽乃「私の現状を考えれば、むしろ遅いと思うけど」

球子「見つかったら何されるか分からないからな……確かに遅いかもしれない」

陽乃「ただ、言っておくけど――」

球子「分かってる。タマ達を守る気はないんだろ? 分かってる……分かったさ。もう」
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 15:15:44.76 ID:7D9/5LRhO
おk
607 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 15:36:33.69 ID:da4fqDl/o

球子はようやく陽乃を押さえる力を抜くと、

気まずそうに顔をしかめて、首を横に振る

陽乃が守るのは無理だと言いたくなる気持ちを身をもって知った。

友達だなんだと言っておきながら、

あの場で庇うことすらできなかった

それは違う、間違っていると

そう叫ぶことさえもできなかった。

球子「そっちに比べれば軽いことかもしれないけどさ……分かったんだ。軽々しく言いたくないっていうのが」

陽乃「そう……」

球子「守ってやりたかったんだ」

陽乃「あそこで庇ってどうするのよ。貴女達まで付け狙われることになるのよ?」

球子「一緒に諏訪に逃げようって話した後にそんなこと聞くなよな」

球子は笑う

もう今更だ

それを聞かれるのも、それを言うのも

球子「でも今度こそ……何があっても、私が守ってやる」

陽乃「またそうやって、軽々しく言うのね」

球子「そんなつもりはないぞ。ほんとに、今度こそ絶対だ」

とても優しい表情を見せる球子

罪悪感と後悔が入り混じったその視線から、陽乃は顔を背けた
608 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 15:49:22.62 ID:da4fqDl/o

球子「あんずの家に行くぞ」

陽乃「馬鹿言わないで」

球子「心配すんな。許可は取ってる」

陽乃「そういう問題じゃ――」

球子「分かるだろ? もう一回、会えるなら会いたいって言われてるんだ」

陽乃の手を取って、立ち上がらせる

押さえつけるほどの力ではないが、

放すまいとしている力強さが伝わる

陽乃「正気とは思えないんだけど」

球子「あの連中よりはずっと正気だろ。どう考えても」

陽乃「あの連中なんて言わない方が良いんじゃない?」

球子「あの化け物って言ったり、役立たずって言ってくる相手でもか?」

気にしてられないだろ?

なんて、球子は茶化すように言うと、少し考えて。

球子「変装できるか?」


1、無理よ
2、まぁ、なんとか
3、だから、行かないってば


↓2
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 15:52:37.90 ID:7D9/5LRhO
2
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 15:53:46.84 ID:zTXokEB5O
2
611 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 16:53:26.61 ID:da4fqDl/o

陽乃「まぁ、なんとか」

球子「無理なら無理って言ってくれていいからな」

陽乃「無理じゃない」

無茶とは言えてしまうかもしれないが

今の身体でも、少しの間姿かたちを誤魔化す程度なら何の問題もない

陽乃「最悪、血反吐はいても助けてくれるんでしょ?」

球子「ふざけんなっ」

陽乃「っ……痛いってば……」

球子「吐くのか? それだけぼろぼろなのか?」

強く手を握られた陽乃の小さなうめき声

本当に痛がっている

球子「あ、悪い……」

陽乃「色々あってそこまで万全じゃないのよ」

球子「……そっか」

球子は陽乃を一瞥すると

ポケットを弄って、スマホを取り出す

球子「じゃぁ、迎え呼ぶか」

陽乃「本気で言ってるの?」

球子「必要なら呼んでくれって言われてるからな。必要だろ?」

陽乃「どうなっても知らないから」

球子「分かってるよ」
612 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 17:09:57.06 ID:da4fqDl/o

球子はささっと連絡を取って迎えを呼ぶ

呼んだのは杏の両親だ

車で迎えに来てくれるとのことなので、時間近くになったら

立ち入りが許されているギリギリのところで合流する予定だそうだ

細やかな段取りを話す球子を横目に、

陽乃は大橋の方へと目を向ける

陽乃「……怪我は?」

球子「怪我?」

陽乃「貴女が伊予島さん庇ったから、めり込んだでしょ」

球子「あ〜……めっちゃ痛かった」

陽乃「痣でも残った?」

球子「痣は出来てないけど触ると痛いな……ちょっとだけど」

陽乃「貴女が割り込むからいけないのよ」

あんずを蹴るふりではなかった

確実に蹴り飛ばすつもりだった

でも、つま先がめり込んだ球子と違って、

足の甲の部分で蹴るというよりもすくい投げるようにするつもりだったのだ

それを球子が割り込んだばっかりに

腹部へと足がめり込む見事な一撃となったのだから、仕方がない
613 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 17:22:44.16 ID:da4fqDl/o

陽乃「そんな調子で、明日から平気なの?」

球子「平気だよ。血反吐吐くほどじゃないし」

陽乃「そう……」

球子「………」

陽乃「なに?」

ただ独り言ちただけなのに、視線を感じた陽乃は顔を顰める

球子はそれでも陽乃を見たままで、

数回瞬きすると、なぜだか笑った

陽乃「なんなの?」

球子「心配した?」

陽乃「穴開けられたいの?」

球子「今のタマの防御力を舐めて貰っちゃ困るなっ!」

陽乃「私の本気も知らないくせに調子に乗らないで」

球子の本気も知らないけれど

あの憎悪に満ちた神の力は、おそらくだが球子たちの扱う神々の力さえも食い破って抉るに違いない

九尾の話が全て事実なら。だが。

陽乃「血の海になるんだから」

球子「ならないから安心しとけって」

陽乃「はぁ……そう思うならそれでいいわよ。別に」

誰の血で染まるか。と言うのを加味しなければ、

間違いないのは、事実だった
614 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 17:24:39.02 ID:da4fqDl/o
√ 2018年 8月8日目 夜:伊予島家

01〜10 大社
21〜30 若葉・友奈
41〜50 杏
81〜90 伊予島両親

↓1のコンマ

※ぞろ目で付近の住民 奇数悪
※それ以外は通常
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 17:26:33.69 ID:cPMtSqR4O
616 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 18:11:35.51 ID:da4fqDl/o
√ 2018年 8月8日目 夜:伊予島家


あんなことになるとは思わなかった。なんて言い訳のような言葉もなく

軽率なことをしてしまったと

もう少し思慮深く行動を起こすべきだったと

ただ真っ直ぐに、杏の両親は謝罪を口にした。

陽乃がいることが知られないようにと気を付けながら、

もう一度、家へとあげてくれた

陽乃「むしろ、巻き込まれた側なのに」

自業自得とは言ったが

陽乃がこの家に来ることさえなければ、そんな行動を起こすことだってなかった

初めから、ここに来さえしなければ。

諏訪でもそうなるのではないだろうか

陽乃が来たせいで均衡が崩れ

何か取り返しのつかないことになるのではないか

そんな不安が胸を過る

陽乃「……はぁ」

諏訪の守りが強固になることで

今度は四国が攻められるようになる可能性もある

そうなったら、いるはずなのにいない2人が欠けた3人で乗り越えなけばならない

諏訪と四国で3人ずつと考えれば、ちょうどいいかもしれないが
617 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 18:37:59.39 ID:da4fqDl/o

陽乃が諏訪に行くことについては、若葉が知っている

陽乃が諏訪に行くと言って姿をくらましたのなら、

同じように姿が見えなくなった二人も諏訪にいったのではと推測してくれるかもしれない

けれど、最悪の場合

そう、万が一死人が出た事も考えて

2人にも事前に伝えておいて貰う方が良いだろうか。

伝えた相手―おそらくは若葉―に止められる可能性があるが、

それでも2人は行くと言って聞かないはずだ

陽乃「……っ」

首を振る

そんなのはまるで、信じているみたいで不愉快だ

陽乃「んっ」

血を吐きそうになったりはしないが、

まだ少し体が重い感じがする

明日の朝に出発するのだから

もう寝てしまうのも、一つの選択だろう


1、もう休む
2、九尾
3、球子・杏
4、伊予島両親
5、イベント判定

↓2
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 18:45:15.17 ID:OBv7ZIQPO
3
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 18:47:40.19 ID:Frfjoky90
4
620 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 19:24:09.43 ID:da4fqDl/o

陽乃「……明日の朝には、出ていきます」

「部屋から出るのは難しいと思うけれど、ほとぼりが冷めるまでここに居てくれてもいいのよ?」

「そのほとぼりが冷めるまでどれくらいかかるか分からないだろう」

「そうは言うけれど……」

陽乃「大丈夫ですよ。私にも、やらないといけないことがあるので」

四国には居られないから向こうに行く。

本心ではそうだけれど、

正直に言っても、杏の両親はこの家を居場所だと言ってくれるだろうから、言わずにおく

2人は気にしない

けれど、陽乃を部屋に軟禁状態にしておいたからと言って安全なわけじゃない

足音1つでもバレるときはバレてしまう

お風呂の回数、お手洗いの回数

足音、漏れてくる声

そこから推測されて、押し入られたりなんだり。

伊予島家が被害に遭わないとは限らない

「……今回は、本当に申し訳ないことをしてしまったわ」

陽乃「いえ、分かっていたことなので」

「分かっていたとしても、傷口を広げるような結果になってしまったことは非常に申し訳ない」

謝って済むことではないと前置きしつつも、

2人はまた、頭を下げた
621 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 19:47:29.77 ID:da4fqDl/o

陽乃「その……」

「あぁ、娘から話は聞いているよ」

母親の方は何を言うのかを察して顔を伏せるように目を背けてしまったが、

父親の方は穏やかな表情で頷く

「諏訪の方に行くという話だろう?」

陽乃「ええ、まぁその……」

「無理を言った。と、2人から聞かされたんだ」

陽乃がお願いしたわけでも、

無理強いしてきたわけでもなく、

寧ろついて来なくていいと言われていた事も両親は聞いている

諏訪への遠征

それが、かつての旅行のようなモノではなく

命懸けの作戦であることも聞いている

「もちろん、私達からも考え直すようには言ったよ。だけど、それでも行くと2人は言っていてね」

2人が二度と会えなくなるかもしれないのに

父親は困ったものだと言いたげに笑みを浮かべて、

すぐに、また普段の表情へと戻る
622 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 19:58:57.24 ID:da4fqDl/o

「遠征に必要な食品等は、私たちの方で用意させて貰ったよ」

陽乃「そんな」

「大事な事なんだろう?」

諏訪に行くのも、そのための準備も

しなければならないことだから、

出来る限りの支援はしてあげたいと、父親は言う

陽乃「………」

2人が諏訪遠征に行きたいと言い出したのは、

言ってしまえば陽乃が行くといったからだ

陽乃がそう言いだしさえしなければ、

球子と杏が諏訪に行くだなんて言わなかっただろう。

陽乃は別れを惜しむ母親と、

比べて普段通りな父親の両方に目を向ける

守れるだなんて約束はできない

本当に死なせるかもしれない

そうなれば、そうしたいと言い出した原因である陽乃のせいではないだろうか。



1、すみません。私のせいで
2、約束はできませんが、可能な限り無事に送り返します
3、支援だけで十分です。ありがとうございます
4、どうなっても、私は責任とれません

↓2
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 20:04:28.76 ID:Frfjoky90
1
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 20:09:00.26 ID:OBv7ZIQPO
1
625 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 20:56:15.50 ID:da4fqDl/o

陽乃「すみません、私のせいで」

「いや、それを言うなら私たちのせいでもあるだろう?」

陽乃「いえ……諏訪遠征は昨日の件がなくても元々計画していたので」

その時点ですでに、2人はついてくる気だった

昨日の件があって断固とした意志になったのだとしても、

無かったとしても、2人は同じくらいに強情だったと思う。

それはやっぱり、陽乃のせいだ

陽乃「私が諏訪に行くことを教えなければ良かったんです」

「それは、ダメだと思うわ」

「2人が知らなければ君一人だった。と言うことなら、それこそ許しがたいことだと思うよ」

母親も、父親も

2人そろって厳しい表情を見せる

「娘を贔屓するわけではないが、杏一人とっても君に恩を感じているんだ。なのに、人知れず出ていくのは恐ろしい」

三年前に救われたっきりで

それ以降、顔を合わせるどころか名前も聞かない

そんな疎遠な状態であったならいざ知らず

同じ寄宿舎で生活し、顔を合わせたりしていたのなら、

やっぱり、何も言わずに姿を消して欲しくはないはずだ

「なにより、たとえ君が何も言わずに諏訪へと旅立つのだとしても、きっと誰かが気付いていただろう」
626 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 21:19:40.70 ID:da4fqDl/o

「なんと言えば良いか……」

父親は困った様子で母親を見る。

代弁してくれること期待するその視線に、

母親は小さく笑って、ため息をついた

「久遠さん……ううん、陽乃ちゃん。そんなに、全部を自分で背負おうとしなくてもいいの」

陽乃「私は、別に……」

「陽乃ちゃんは、いつも自分が責任を負う前提で考えているんじゃない?」

諏訪遠征に2人が参加すること

昨日のボランティア活動のこと

両親がちゃんと知っているのはそのくらいしかないけれど、

でも、そのたった二つだけでも強く感じる

常に、その責任を考えている。

何かがあったとき、それが自分の手に負えることなのかどうか

真っ先にそれを考えて

過去の経験からだろう……難しいと判断している

「陽乃ちゃん一人で手に負えないのは当たり前のことなの。だって、ほら、貴女の手はまだこんなに小さいんだもの」

陽乃「……」

一回りほど大きな杏の母親の手が、陽乃の手を包む

勇者とは呼ばれず、化け物だと呼ばれ

ただただ責任だけを追及され続けている目の前の少女は、ただただ、少女なのだ。

「信じられる人を見つけて、頼って、一緒に一つずつ成し遂げていけばいいの」

陽乃「っ……」

「あんなことがあった後で信用がないのは分かるけど。でも、まずは……危険な旅に同行したいって2人を信じてあげて。ね?」
627 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 22:41:41.89 ID:da4fqDl/o

陽乃の手を包んでいた母親の手が、今度は陽乃の頬へと触れる

本当の娘のように

強い愛情を感じるその優しい手つきに、

陽乃はゆっくり、目を閉じる

「ちゃんと、帰ってきてね」

陽乃「……厄介ごとに巻き込んだ張本人ですよ」

「巻き込んだんじゃない。自分から首を突っ込んだの。何かがあったとしてもそれは、陽乃ちゃんのせいじゃない」

絶対に大丈夫と言う保証はなく、寧ろリスクの高い行いだった

それを両親から誘い、

陽乃は自分には責任が取れないと念押ししていた

なのに、

何かがあったら自分のせいだなんて考えてしまっている

「だから」

これを言ってもいいのかと、母親は少し迷う

その迷いを感じ取ったのか、

控えていた父親が、陽乃をまっすぐ見つめた

「まだ数日の付き合いだ。信頼を置くことも難しいかもしれない。それでも、キミさえよければ……ここを帰る家と思って欲しい」

陽乃「……私はお二人の子供でもないのに」

「そんなこと、気にしなくてもいい」

杏の両親はあんなことがあってもまだ、陽乃を信じてくれている

受け入れてくれている

頼って欲しいと、迎え入れてくれている

陽乃は唇を噛んで……首を振る

それでも、両親の優しさは揺らがない

「今は助け合って生きていかなければいけない時だ。キミにしかできないことがあるように、私たちにしかできないこともある」

それだけだよ。と

父親は限りなく優しい声で、言った
628 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 22:44:01.44 ID:da4fqDl/o

√ 2018年 8月9日目 朝:


01〜10 若葉
23〜32 千景
67〜75 大社
ぞろ目 特殊

※そのほか通常


↓1
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 22:47:23.82 ID:3kSRXyo0O
630 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/21(日) 22:51:06.09 ID:da4fqDl/o

では本日はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


1日のまとめは明日
9日目朝は遠征出発で固定
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/21(日) 23:02:58.94 ID:Ed7N8PzoO

伊予島家が奇跡的に無事だったおかげでほんの少しだけ希望が見えてきたのは大きいな
そしていよいよ出発だけど遠征ってどんな感じに進めてくのか気になる
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 00:09:49.79 ID:jzgy1I5TO

最後の最後に大社とか千景の追撃きたらヤバいなって思ってたけど何もなくてよかった
633 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 19:54:34.26 ID:N25V4BBPo
では少しだけ
634 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 19:55:07.15 ID:N25V4BBPo

√ 2018年 8月9日目 朝:瀬戸大橋


まだ人々が寝静まっているであろう早朝、

点々と雲は見えるものの

幸いと言うべきか、十分に晴れていると言える空模様を眺める

大社を警戒したが、姿は見えない。

若葉達勇者もこの場所にはいないようだ。

球子「流石に、寝てるんじゃないか?」

陽乃「乃木さんは起きてるわ。上里さんも」

杏「分かるんですか?」

陽乃「私じゃなくて、九尾がね」

九尾は、陽乃を除けばもっとも強い繋がりとして上里ひなたを選んでいる。

ひなたが何か行動を起こせば伝わるし、何かひなたに伝わってきたらそれもまた九尾へと筒抜けになる

スマホを後ろから覗き見している。と言うと非常に犯罪的なものだが、

実際にそんな状態だ。

今、ひなたはもうすでに起きている。

久遠陽乃捜索の助力と言う建前で若葉と連絡を取り合える状態にある為、

若葉からそのことの報告は受けている

受けた上で、隠している。

九尾曰く、

例の神託が陽乃による何らかの介入があった可能性も考えているというのだから、手強い。
635 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 20:03:30.63 ID:N25V4BBPo

球子「で、予定ではどのくらいで着くんだ?」

杏「真っ直ぐ突っ切るにしても生存者を探したりしていくなら、最低でも5日くらいかな」

陽乃「人手が足りないわ。生存者がいても置いていくしかない」

球子「出来もしないこと言うなよな」

陽乃「別に、貴女がいなくたって――」

杏「ま、まぁまぁ! そこまでにしようよっ! タマっち先輩も挑発しないで」

球子「挑発って言うか、事実だろ。生存者がいたらどうするんだよ。本当に置いていけるのか?」

球子は真剣な表情で陽乃を見上げる。

生存者を置いて行かなければならない本当の理由は、陽乃が戻れないからだ。

正式な遠征であれば、生存者救助のための一時撤退だとでも言えるだろう。

だが、今回は正式ではないし陽乃は追われている身だ

そんな状態で戻るのは突っ切るよりもリスクがある。

球子「その置いていった人を、また自分が殺したって背負うんだろ?」

陽乃「見殺しにしたって意味では事実だと思うけど」

球子が言っていることはもっともだ

陽乃は偶然見つけた生存者を放置して平然としていられるほど冷徹な人格をしていない

寧ろ、それを気に病んでいくタイプだ

身体はどうとでもなったとしても、心が持たない

出来るなら、見つけた生存者は保護して助けたい。

けれど、出来ない

たとえば岡山で生存者を見つけたら、諏訪まで連れていくのか。

そんなことをしたらどれだけの時間がかかるか。
636 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 20:10:42.17 ID:N25V4BBPo

球子「別に、夏休みの間にたどり着くとか戻るとか考えなくていいんだから、どうしたいか考えればいいんじゃないか?」

陽乃「足手纏いを増やすのが嫌なのよ。それで死ぬのは私かもしれないんだから」

杏「……なら、行きは生存者を探さずにただ全速力で突っ切って2日。帰りに捜索はどうですか?」

陽乃「場合によっては諏訪からの連れ出しがあるんだから却下。行きも帰りも捜索しない」

球子「本気か?」

陽乃「嫌なら一人で探せばいいんじゃない?」

球子「それで大丈夫なのか? 自分は」

陽乃「………」

自分は。と、訊ねてくる球子を睨む。

いるかも分からない生存者を気にしているようで、

今気にしているのは陽乃のことかのような口ぶりだ

まるで、勇者らしくもない。

陽乃が受けている被害を目の当たりにして、迷ってしまったからだろうか。

陽乃「そもそも、勇者の力を使えば早ければ1日で到達だって可能なはずだけど」

球子「死ぬ気かよ。タマ達が平気でもそっちが辛いだろ」

杏「極力接敵を避け、適度に休憩を挟みつつ、一直線で確実に辿り着くことを目的とするならやっぱり2日くらいかかると思います」
637 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 20:24:02.41 ID:N25V4BBPo

球子「道中のバーテックス全部潰していく方が休憩が増えるって考えれば、最低3日、最大は……7日か?」

陽乃「そんなことしたら私、途中で力尽きると思うけど」

主に自滅で。

そんな陽乃を一瞥し、杏が小さく手を上げる

杏「では、仕方が無いので捜索は諦めて諏訪に直行。夜の休憩を挟んで2日目の到着を目標に行きましょう」

勇者としては生存者を探したい気持ちがある。

だが、自分たちの身の安全も保障しきれていない状態で

今もなお隠れ潜むことが出来ている生存者を無理矢理に連れ出すメリットが見当たらない

外の世界で隠れて生きていけているなら、

もうしばらく、それを維持して貰っておくのがベストな選択だ。

杏「久遠さんの力は強い分、負担が大きい……ですよね?」

陽乃「ええ」

球子「なら普通の白餅と戦うならタマと杏だけ。やばいのが出てきたら頼む」

陽乃「油断は――」

杏「してません。だからこその温存です」

球子「肝心な時に血反吐吐かれたら困るんだ」

球子の呟きには、一理ある。

白餅……おそらく、白くて丸い体を持つバーテックスのことだろう。

あれの次、進化体とされているモノが出てきた時に陽乃がもう戦えませんは言えない。

球子「なんか、車とかで移動できたらいいのになぁ」

杏「免許は仕方ないにしても鍵もガソリンも何もないだろうし、無理だよ」

道だってきっと、荒れ果てている

陽乃「車……あ……道中を2人に任せられるなら……」

球子「ん?」

移動は陽乃……九尾に任せてしまえばいい。

以前、乗せて諏訪まで行くことができると言っていたし、

その際は戦闘の懸念があると言う話だったはず。

それを球子と杏……遠・中距離専門の2人に委ねてしまえば、

移動しながらでも十分に対応できるのではないだろうか。

陽乃「足は、九尾がいるわ」
638 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 20:38:59.16 ID:N25V4BBPo

九尾の足なら、人間どころか勇者にだって負けない速さで駆け抜けていくことが可能なはず。

そのうえで、敵との遭遇したとしても立ち止まらずに遠・中距離の攻撃で対応していくことができるなら、

2日も掛からず、1日どころか半日で踏破することだって可能かもしれない。

もちろん、道中で対応しきれない数のバーテックスに囲まれたりしたら大変な事になるが、

その時は止まって対応したらいい。

その頻度と、疲労度合いによっては2日かけたって何の問題もない。

杏「九尾さんを呼んでる間、久遠さんは大丈夫なんですか?」

陽乃「戦うよりは軽いわ」

球子「そもそも乗せてくれるのか?」

陽乃「どうかしら……貴女はお腹の中にいて貰うことになるかも」

球子「へぇ〜狐にもお腹に袋あるのかー」

陽乃「ええ。胃袋がある」

球子「待てっ、死ぬだろそれッ!」

吠える球子をしり目に、

陽乃はふっと息を吐いて胸元を押さえる。

死にかけた一昨日の夜

約2日経って、胸やけのような感覚もない

この状態なら、九尾を呼んでおくくらいは問題が無いはずだが。

杏「体調に不安があるなら、時間をかけてでもいいので普通に行きましょう」


1、九尾を呼ぶ
2、呼ばない


↓2
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 20:42:08.39 ID:6WmpSPfM0
1
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 20:43:26.32 ID:sKN+TC3HO
1
641 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 21:45:36.55 ID:N25V4BBPo

陽乃「九尾、お願いできる?」

『小娘を喰ってよいのか?』

陽乃「ダメ」

陽乃の足元から影が伸びる

球子の影と陽乃の影が繋がって、

球子の足元の影が狐の口のように開いて――

球子「ぬわぁぁぁぁっ!?」

不意を突いて実体化する影は瞬く間に大きな狐の形を作り出し、

球子の体を飲み込んだかと思えば、

牙のような歯で球子の服を咥えこんでいる

球子「なっ、なん……やめろぉっ!」

九尾「お主は胃の中に収めよ。と言うのが我が主の命じゃ」

球子「やめろっ死ぬっ! 死ぬからっ!」

止めてくれと叫ぶ球子をよそに、

陽乃は九尾の身体を見上げる

四つ足の状態で標準的な建物一階の天井に接しそうな大きさの九尾

子供三人なんて、簡単に乗せられそうだ

陽乃「伊予島さん、馬に乗ったことはある?」

杏「ない、ですけど……」

ちらりと、球子を見上げる杏

ずり擦りと服が脱げ始める球子の叫びを聞き届けて

杏「まずは、タマっち先輩を降ろしてあげてください」
642 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 22:33:12.51 ID:N25V4BBPo

陽乃「それで九尾、頼めるかしら」

九尾「ふむ……よかろう」

陽乃「この二人も乗せて平気?」

九尾「主様が望むならば致し方あるまい」

そう言って九尾は屈んでくれたけれど

それでもかなり高い位置にある

球子「毛を毟ってやるからなっ」

九尾「喰い殺すぞ小娘」

陽乃「投げ飛ばすわよ」

球子「なんだよ……なんだよぉっ!」

杏「私が後ろから持ち上げてあげるから……」

球子「そういう問題じゃなぁいっ!」

喚き散らす球子をよそに、

一足先に九尾の背中へと上がった陽乃は、自分の胸に触れる

力を使っている感覚はあるが、

まだ大丈夫そうだ

杏「ほらっ、タマっち先輩! 急ごうよ」

球子「ぐぬぬ……もう少し優しくしてくれたって良いじゃないかっ」

陽乃「そうしてあげる理由がないもの」

2人が九尾の背中に上った野を確認した陽乃はそう言って、九尾の首筋を撫でる

陽乃「お願い。私を諏訪に連れて行って」

九尾「振り落とされるでないぞ」

九尾は言うや否や、駆け出す

自転車なんて比にならないほどの早さで駆け出す勢いに、3人は九尾の体に縋る

かなりの距離があるはずの瀬戸大橋は、あっという間に過ぎていく
643 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 22:42:59.98 ID:N25V4BBPo

11〜20  バーテックス
41〜50  バーテックス
81〜90  バーテックス

↓1のコンマ

※ぞろ目 人
※バーテックスの場合は再判定
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 22:44:46.17 ID:yWy3eSjVO
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 22:46:50.33 ID:8O6NXwWcO
きたか…
頼むぞ杏タマコンビ
646 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 22:54:29.86 ID:N25V4BBPo

↓1コンマ

01〜99

※コンマ=バーテックスの数
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 22:56:28.07 ID:6WmpSPfM0
648 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/22(月) 22:58:13.99 ID:N25V4BBPo

ではここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから

バーテックス7体
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 22:59:14.36 ID:8O6NXwWcO

よかったよかった
肩慣らし程度だな
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/22(月) 23:09:45.30 ID:yWy3eSjVO

この数ならパパッと片付けて先に進めそうだな
あとなんとなく陽乃さんが心を開き始めてきた感じがして嬉しい
651 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 15:27:50.49 ID:zO5DXF6Lo
では少しずつ
652 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 15:28:33.58 ID:zO5DXF6Lo

陽乃「ん……」

全力で走る九尾

その背中に跨る娘3人

狐の体は、馬のようになだらかな背中をしていない。

走るときも、

後ろ足が前に出る際に背中の部分が盛り上がったりもして、

少なくとも人を背中に乗せるような構造をしていないし、乗り心地は最悪だ。

球子「ぬわぁぁぁぁああああああっ!?」

杏「痛っ……っあっ!?」

陽乃「下手に喋ると舌を噛むわよ」

振り落とされかねない勢いに叫ぶ球子

身体が浮いたかと思えば、股座を九尾の背中に直撃する杏

そんな2人の前で平然としつつ、

降りた後が怖いと自分の擦れ具合を気にする陽乃

九尾「主様っ!」

陽乃「どうしたの?」

九尾「異形共の気配がある。数は少ないが――真っ直ぐ向かってきておる」

球子「てってき……敵かっ!?」

杏「うっ……うぷっ……」

陽乃「バーテックスだけど、対応できるの?」

球子「タマにまかせタマ……うぉぁっあ゛っ!?」

不安しかない。
653 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 15:49:50.13 ID:zO5DXF6Lo

九尾が感知してからすぐに、建物の隅から数体のバーテックスが飛び出してくる

合計、7体の白餅バーテックス

進化体の名称はまだ出来ていないし、

単純に白餅で良いだろうか。

陽乃「白餅7個! いける!?」

球子「いけっ……いっ……うにゃっ!?」

杏「く、久遠さっ……」

陽乃「あぁもう……っ!」

乗馬の経験があろうがなかろうが、

九尾の背中に乗った状態で流鏑馬めいたことをしろと言うのは無理がある

足を止めて戦うなら、陽乃が戦えば良い

7匹程度連れていくのも無理ではないが、

それが増え続けるのは避けたい

陽乃「出来るの? 出来ないの?」

杏「っはっ……建物の上っ……せめて一度、滞空時間を作って下さっ……ひゃぁっ!?」

陽乃「九尾!」

九尾「軟弱な小娘共め、捕まっておれ」

より速く、九尾の体が動く

足元のがれきを蹴飛ばし、崩れかけの建物の側面を蹴り上がって

まだ崩れていないビルの屋上へと辿り着く

陽乃「2人とも!」

白餅は後ろからついてきている

お手並み拝見だ

杏「っ」
654 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 15:51:40.37 ID:zO5DXF6Lo

↓1コンマ判定 一桁

0〜9

※杏の撃破数
※7以上で終了
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 15:54:59.76 ID:CM/W5uIlO
656 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 15:59:16.00 ID:zO5DXF6Lo

↓1コンマ判定 一桁

0〜9

※球子の撃破数
※1以上で終了
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 16:03:42.64 ID:fDowCT9+O
658 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 16:24:05.24 ID:zO5DXF6Lo

杏「………」

九尾の背中の揺れ、体にぶつかってくる風

ただでさえバランスが悪いのに、杏は今日が初めての実践だった。

バーテックスに襲われた経験はあるけれど

それを撃退した経験が杏にはないのだ。

自分の武器を模したものを使っての戦闘訓練を行ったことはある。

それはあくまで木の板だったり、

模擬戦として若葉達ほかの勇者に向けたものだった。

初戦闘。

怖くないと言えば嘘になる。

怖くて、不安で、苦しくて、辛い

けれど……戦えなければ足手纏いだ。

あの日、救われた時と何一つ変わらない

本気で力を使って抵抗すれば振り払えたにも関わらず、

それをせずに抑え込まれ、目の前で陽乃が大人を殴り飛ばすのを見ていることしかできなかったのと何も変わらない

杏「っ……はぁ……」

後悔した。

大人一人を怪我させてでも力を振り絞り、

あの場で立ち上がって、たった一言 "勇者に委ねろ" と言えばよかったと。

そんな後悔は、もうしたくない。

陽乃「跳ぶわよ!」

杏「はいっ!」

ビルの屋上から九尾が跳ぶ

長い胴体をまっすぐ伸ばして、限りなく平坦を保つ。

口にはしない九尾の気遣いに杏は小さく礼を述べて、クロスボウを構えた
659 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 17:02:07.84 ID:zO5DXF6Lo

狙えば横にも縦にも切り開ける球子の楯……旋刃盤と違って

杏の武器はその射程こそはるかに長いが、一直線に進んでいくだけの代物だ

敵の動きが直線的なら問題ないが、

縦横無尽に逃げ回れる状況では、命中精度という部分に難がある

だから当然――鍛練ではそれを重点的に鍛え上げている

杏「……ふぅ」

九尾が動いているならともかく、

跳躍中の滞空時間なら、偏差射撃はそう難しいことではない。

九尾の体が落下していく、減算

バーテックスが建物の影から飛び出してくる、加算

ほぼ風のない今、計算すべきはそれだけで十分だ

杏「タマっち先輩は私の後にお願いッ!」

球子「お、おうっ!」

球子の攻撃による乱れは、狙いさえも不確かにする

だから、球子には後出しを願いバーテックスの動く先を狙って――連射する

次から次へと、近づいて来るバーテックスに金色の矢が突き刺さり、撃墜していく

一つ、二つ、三つ

躱そうと動くバーテックスをも巻き込んで

杏「タマっち先輩! 一つ!」

球子「まっかっせ――ろぉッ!」

逃れに逃れ、近づいて来る最後の一匹へと球子の旋刃盤が投げ込まれて、直撃する
660 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 17:17:37.23 ID:zO5DXF6Lo

7匹いたバーテックスはあっという間に砕けて消え去り、

九尾の足が目の前に迫ってきていたビルの屋上へと触れる

杏「っあ――いっ……いったぁぁぁぁ!?」

着地までの滞空による浮遊感

地に足着いた九尾の体を追いかける杏の身体を、

駆け出す九尾の背中が迎え撃った激痛に悲鳴を上げて蹲る杏

球子「ちょまっ――落ちるぅぅぅぅぅぅ!!!」

投げた旋刃盤を受け止める体勢に入っていた球子は

バランスを崩し、足が離れた危機感に叫ぶ口が塞がる前に九尾のしっぽが球子を巻き取る

九尾「喚くな小娘共」

球子「ちょっとは加減してくれよっ!」

九尾「妾の顕現が長引けば長引くほど主様が消耗する。迅速でなければならぬ」

杏「うぅ……っ……く、お、んさんはっ……平気ですか?」

陽乃「戦いでは消耗していないから、まだまだ平気」

杏「それなら、良かったです……っ……」

目元に涙を浮かべる杏は安心したように呟きながら、

九尾の身体に全身を使って抱き着く姿勢のまま顔を伏せる

陽乃「大丈夫?」

杏「暫く、お風呂には入れないかもしれません……」

陽乃「……でしょうね」
661 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 17:44:28.21 ID:zO5DXF6Lo

あっという間に岡山の瀬戸内市に入り、

通り過ぎて、兵庫の姫路をまっすぐ突き抜けていく

陽乃「戦うときは移動しながらは厳しそうね」

杏「えっと……初めてだからっていうのもあると、思います」

陽乃「それだけ?」

杏「………移動しているものを狙う、偏差射撃については鍛練を積んでいるのでどうにか。問題はその、やはり体の揺れですね」

杏は、

的が動いている状態、自分が動いている状態

その両方が動いている状態

その全てのパターンをどうにかすべく、鍛錬を積んできている

自分の足で走っている場合は、

自分の身体の動きと言うのもあって、体の揺れを調整するのも把握するのも容易だ

しかし、それが他人となると勝手が違う。

意識していない時に上下左右に振られると、当然ながら照準はブレる

狙うのをやめて乱射するというのも手段の一つだが

今回みたいな少数の敵には効果が薄い

杏「でも、慣れればどうにかできると思います」

陽乃「そう……で、貴女は?」

球子「タマは踏ん張りが利かないと難しいな。雑魚は良いけど固い奴には弾かれる」
662 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 18:04:09.91 ID:zO5DXF6Lo

陽乃「だとすると、やっぱり足を止めた方が良いんじゃない?」

杏「そう、ですね……」

杏は少し考える。

足を止めて対応するのが一番楽だが、

それでは時間を出来るだけかけずに向かうという計画が損なわれる。

なにより、回避を足の速い九尾に委ねておくというのは安心感が違う

敵に奇襲を受ける可能性もグッと低くなるはずだ。

今後も陽乃と共に戦うなら、

この状態での戦いには慣れておくのが吉だと考えられる。

杏「いえ、次は乱射で対応してみます」

球子「タマも戦い方をもうちょっと考えてみるべきか……」

九尾「お主はそのまま投げ飛ばせばよかろう」

球子「踏ん張りがきかないって言ってるだろ」

陽乃「九尾の尾を使って土居さんを投擲するのはありだと思うけど……」

球子「そうだと思ったよッ!」

今回は数が少なかったお陰で、

多少グダついても難なく対応することは出来ただろう

しかし、

進化体が出現したり、数が増えた場合はそううまくいくとは思えない

不得意な状況での戦闘方法もしっかり考えておくべきだ
663 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 18:15:45.55 ID:zO5DXF6Lo

31〜40  バーテックス
60〜69  バーテックス
81〜90  バーテックス

↓1のコンマ

※33・66・88で進化体
※バーテックスの場合は再判定
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 18:17:51.53 ID:+Myakom30
はい
665 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 18:57:21.32 ID:zO5DXF6Lo

兵庫を駆け抜け大阪へと入ったはいいものの、

特に観光名所らしきところも何もない地区をまっすぐ走って京都にたどり着く

金閣寺があったであろう方向にも、もはやその影もない

杏「3年間……たったそれだけでこんなにも荒れちゃうなんて」

崩れた建物は多く、

そうなっていない建物も九尾が足場にしてしまえば崩れるのではないかと不安になる

人影なども微塵もない

動物がいるような雰囲気も感じられない

ただ。

球子「空気は悪くないな……キャンプ場とかで感じるような良い空気を感じる」

陽乃「人がいなくなった方が地球には優しいって話?」

球子「ん……まぁ、簡単に言えばそうだな」

ある意味、荒れていたのは今までであり、

これはむしろ、あるべき姿に戻っていっているとも考えられるのではないか。と、3人は感じる

水や土の状態を確かめる気はないが、

空気を信じるなら、それらも良くなっている可能性は十分にある

杏「……人が荒らし過ぎたからバーテックスが現れたとか?」

球子「無いとは言い切れないな……っていうか……いや、何でもない」
666 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 19:24:59.55 ID:zO5DXF6Lo

京都から滋賀

愛知には入らず、岐阜に入って真っ直ぐ諏訪を目指す

人がいた頃よりも自然が見える世界

建物は崩れ、

雑草が生い茂り、

アスファルトは割れて……微かに緑が見える

そんな街並みを一瞥して、球子は奥歯を噛みしめる。

球子「これなら車よりも早いんじゃないか?」

九尾「小娘2匹がおらねばより早くたどり着けるがのう」

陽乃「そんな速さで動かれたら、私でも振り落とされるわよ」

今でも、振り落とされないようにとそれなりに頑張る必要がある

なのに、今以上に速く走るなんてことになったら

その風圧に耐えられない可能性がある。

早朝に出発して、戦闘を挟んで、今は昼過ぎ

戦闘があった分減速して警戒を強めているからだ。

近くにバーテックスの反応はないが、

遠くにはバーテックスの反応が強く感じられるらしい。

それも、諏訪に近づけば近づくほど多くなってきているという

杏「諏訪への集中攻撃を目論んでいるんでしょうか?」

陽乃「遅かれ早かれ、総攻撃が行われると思うわ」
667 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 19:59:46.85 ID:zO5DXF6Lo

杏「……あの、久遠さん」

陽乃「なに? お手洗いなら最悪止まっても良いけど」

球子「それ以外止まらない気かよ……」

杏「あ、いえ……それも、あの。そうなんですが」

杏は思わぬ言葉に気恥ずかしそうにしながら、

首を振る。

今したい話はそれではない。

なにより、今はちょっと、辛い。

杏「諏訪周辺のバーテックスを一部叩いてしまうのはどうですか?」

陽乃「自分から戦いに行くってこと?」

杏「そうです。総力戦が行われることが確定しているなら、その戦力を削って負担を減らしてみませんか?」

球子「そうは言うけど、突っ込めばその分敵が来るじゃんか。そうなったら諏訪に入れないだろ」

杏「九尾さんの速度なら、頃合いを見計らって離脱できるのでは?」

九尾「無論可能じゃが、主様が消耗する」

つまりは却下。ということだ

九尾はそんな余計なことをする気はないらしい



1、大丈夫。少しくらい削っておきましょ
2、死にたくないって言ったでしょ。さっさと諏訪入りするわ


↓2
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 20:01:05.02 ID:+Myakom30
2
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 20:01:29.16 ID:9uHeQKL8O
1
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 20:02:31.33 ID:f/kCLqhz0
2
671 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 20:36:53.85 ID:zO5DXF6Lo

陽乃「大丈夫。少しくらい削っておきましょ」

九尾「主様」

陽乃「大丈夫、少しはね」

陽乃は胸元に手をあてがう

ここに来るまで、ずっと九尾の力を使い続けている

四国を出る前は痛みもなかった体

今は少し、胸の内に違和感を感じる

けれど口の中に血の味はない

血を吐くような兆候も感じられないし、

今しばらくは力を使っても問題ないはずだ

球子「本当に大丈夫か?」

杏「あの、無理をして欲しいわけでは」

陽乃「いずれにしろ、通り道なら叩くだけだわ」

九尾「主様、分かっておると思うが妾を出したまま戦うのは負荷が重いぞ」

陽乃「分かってる」

総攻撃は阻止することは出来ない

だが、総攻撃を延期させたりその戦力を削ぐことは出来る

延期でも戦力減少でもどちらでもいい

総攻撃を乗り越えた後に諏訪を脱出して四国に戻るのが一番いいだろうか。

いや、あるいは。

そのまま諏訪の防衛に努めるというのも悪くない話だ
672 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 21:34:32.35 ID:zO5DXF6Lo

長野西部、岐阜県側からの長野への進入を試みる

四国のように、付近を広く巻き込んでの強力な結界は発生しておらず、

諏訪湖を含むほんの一部の区画のみが結界によって守られている

岐阜との県境などはもう、守られていない

陽乃「……結界、弱ってるわね」

九尾「三年前に比べればもはやないも同然の状態じゃな」

球子「三年前? 来たことあるのか?」

陽乃「ううん、九尾が感じ取ってくれただけ」

目視では確認できないが、

九尾曰く、四国の結界に似た力を感じるのは諏訪湖の南東の部分だけだという

そこから展開されている微弱な結界によって

どうにか維持されているという状態のようだ

杏「敵が一番多いのは、どのあたりですか?」

九尾「ふむ……やはり結界の要付近じゃな。そこから散っておる」

陽乃「散ってるって、どの程度?」

九尾「数十は下らんな」

数十……十数匹ではない。

極端に言えば、99匹いる可能性もある

陽乃「私も、少しは力を使うから大丈夫ね」

球子「少しだぞ。杏とタマもいるんだ。ちゃんと協力してくれ」

陽乃「期待はしないでおくわ」
673 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 21:38:27.54 ID:zO5DXF6Lo

↓1コンマ

01〜00

※ぞろ目2倍
※01〜09の場合、+再判定
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 21:42:05.39 ID:9uHeQKL8O
675 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 22:25:02.61 ID:zO5DXF6Lo

バーテックスの戦力の一部を削るための、ルート変更

当初の予定では、

岐阜方面から諏訪大社に直行する手はずだった

しかし、バーテックスの数を減らすとなると、

最も狙われている諏訪大社の付近からは入れない。

寧ろその真逆

諏訪湖北側から侵入するのが一番だ

そこなら敵も手薄なはずなので

総攻撃を行う際の戦力を削りつつ、

こちら側に被害を出さない絶妙な戦況になる

最も、本当にそうなるかは賭けだ

球子「バーテックスの数は?」

九尾「ふむ……そう多くはないな」

杏「……そう、でしょうか」

鉢盛山の麓の影に隠れつつ、様子を窺う

陸地や、建物に張り付いているように見える白餅の数々

埋め尽くしているそれらは数えていられない 

陽乃「準備は出来てる? 最悪、ここで死ぬ可能性もあるって思っておいて」

球子「死ぬかもなんて思いながら戦えるかよ」

球子は首を振って、陽乃を見る

球子「勝てなくてもいいけど、生きていたいじゃんか」

杏「今回は勝てないと困るけど……でも。そうだよね。死ぬかもしれないけど、でも生き残れるって信じましょう」

陽乃「そう……まぁ、死んでも責任は取らないから勝手にしなさい」

陽乃は素っ気なく言い捨てて、胸を押さえる

まだ平気、まだ大丈夫

深く息を吐いて――九尾の背中に跨る

陽乃「行くわよ!」
676 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 22:35:14.31 ID:zO5DXF6Lo
↓1コンマ判定 一桁 球子
↓2コンマ判定 一桁 杏


0〜9

※ぞろ目倍
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 22:36:06.40 ID:9uHeQKL8O
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 22:41:17.18 ID:f/kCLqhz0
679 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 22:47:14.71 ID:zO5DXF6Lo

球子 ⇒10
  杏 ⇒8

39−(10+8)=21
680 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 23:24:21.74 ID:zO5DXF6Lo

せっかくの奇襲と言う利点を活かさない理由はない

中・遠距離の攻撃可能な球子と杏に先んじて仕掛けさせる

球子「頼むっ、タマをぶん投げてくれ!」

九尾「回収はせぬぞ」

球子「してく――」

球子が反応するよりも早く、

九つの尾の一つが球子の身体を巻き上げて、背中から引き摺り落とす

投擲に備えて力を蓄える九尾の尾は、

背中に跨るよりも酷く揺れ動く

その勢いが頂点に達する寸前に、がくんっと下がって――

球子「ぬおぁぁぁぁぁぁ!」

九尾は前足でブレーキをかけると、

身体をぐるりと回転させて、横向きに球子の身体を放り投げる

叫びながら消えていく球子

それを見ることなく九尾は投げた勢いをそのままに体を回してまた駆け出す。

球子「ぅ……ぉぁっ……」

投げ出された体は空気に押しつぶされ、

圧迫される肺から酸素が逃げ出してしまう

腕と足がもぎ取られるような感覚が伝わってくる

苦しい、辛い、痛い……苦しい……苦しい……

意識が消えそうなほどの勢いをその身に受けながら

それでも球子は歯を食いしばって、楯を構える

球子「がふっ……ふっ……ふーっ……ん゛っ」

楯を掴み、息を吐いて、吐いて、吐いて

身体の中から空気が抜けたまま、心臓の動きを止め、息を止め

力の全てを構える右手に集中させ――

球子「ぶっっっっとべぇぇぇぇぇッ!」

九尾によって生み出された勢いをその一投に含めて、バーテックスの大群へと投げ込む
681 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 23:43:55.07 ID:zO5DXF6Lo

陽乃「動いたわよっ、伊予島杏!」

杏「!」

九尾の身体から投げ出されないように必死にしがみ付いていた杏が顔を上げる。

はるか上空の赤い光が瞬き、一筋の星が流れ落ちて――

バーテックスの密集地を爆発させる

もちろん、球子の攻撃によって爆発したわけではなく、

建物や地面を粉砕したが故の爆音に似た轟と粉塵が舞っただけだが

それでも、それなりの数のバーテックスが吹き飛び、圧殺され、叩ききられた

その奇襲を受けて、白い球体上のバーテックスがぞろぞろと空中に散らばっていく

杏「はぁ……っ……」

空に広がりつつあるバーテックスへと

今度は杏がクロスボウを向け、狙いを定めることなく乱射する

陽乃「九尾……真っ直ぐ!」

九尾「うむ」

杏と球子の奇襲攻撃によって、

半分に近いバーテックスが消えていく

それでもまだ視界を埋め尽くすばかりの数いる

そして諏訪は今まで、それ以上の襲撃を受けてなお健在なのだ

陽乃「諏訪の勇者……白鳥歌野さん。ね」

九尾「主様!」

陽乃「分かってるってば」
682 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 00:03:01.60 ID:jDukJghDo

空から球子が降ってくる

九尾は回収しないと言っていたけれど、

このまま駆け抜ければ無事に球子を回収することができるだろう

陽乃「伊予島さん、土居さんを回収するために真っ直ぐ駆け抜けて」

杏「久遠さんは?」

陽乃「まだ残ってるバーテックスがいるから、殴りに行くわ」

杏「久遠さんっ!?」

上に投げ出された球子、九尾に跨ったままの杏

2人は遠距離からの攻撃が可能なため、

安全地帯からでもバーテックスの撃退が出来る

だが、陽乃はそうではない

その拳を叩きこむのが、普通の戦闘スタイルだ

だから――九尾と杏を先に行かせて飛び降りる

陽乃「九尾、5分!」

九尾「たわけ! 三つじゃ!」

言うだけ言って走り去っていく九尾を一瞥し、

陽乃は胸を押さえる

陽乃「ちょっと痛いけど……まだ、平気」



1、全力で戦う
2、中くらいの力で戦う
3、加減して戦う

↓2

※それぞれ討伐補正有
※それぞれ陽乃の体調判定追加
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:05:53.04 ID:7nveebhUO
3
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:09:56.87 ID:PLjZzSiQO
2
685 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 00:14:19.84 ID:jDukJghDo

↓1 コンマ判定

1桁+2桁

※ぞろ目はさらに倍
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:17:03.00 ID:mqlKCH9IO
ゾロ目出したいな
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:19:50.11 ID:Gc14lahSO
このゾロ目はひょっとしてオーバーキル?
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:23:41.46 ID:7nveebhUO
0という可能性も
689 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 00:24:36.77 ID:jDukJghDo
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


(10+10)*2=40
バーテックスの残数(21)超過のため終了
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:34:15.35 ID:mqlKCH9IO


やったぜ
やっぱり久遠さんはつえーや
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:34:31.13 ID:Gc14lahSO

陽乃さん圧倒的な戦闘力だな…
杏とタマも活躍してサクサク進めてるのもいいね
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:37:20.15 ID:7nveebhUO

圧倒的じゃないか!
693 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 20:43:54.66 ID:jDukJghDo

では少しだけ
694 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 20:46:28.54 ID:jDukJghDo

陽乃「ふぅ……っ……」

陽乃が自覚している本気としては、二通りある。

一つは、九尾の力を用いた身体強化を最大限まで行うこと。

血の一滴、取り込む酸素、髪の先から爪の先まで。

久遠陽乃と言う人間を形成するすべてに力を流し込んでいく戦い方だ

それをすると外側だけでなく内側にまで力が巡る為、かなりの力を得られる

けれど、吐血は免れないし意識の混濁や消失が起こる。

もう一つが九尾ではない力、伊邪那美命の御力を借り受けること。

ただ、これに関しては未知数としか言いようがない。

九尾ですら抗うことのできない強力な死の力

間違いなく九尾より強いが、それがどのような効果を発揮するのかは分からない。

ただ姿を見せているだけで吐血し、瞬く間に気を失うほどの負荷がかかる力だ

その力を持って戦うなら、死の覚悟は必須

陽乃「はぁ……」

それは出来ない

それをするのは今ここではない

であれば、確実に生き延びるための戦い方を選ぶ。

九尾の力を身に纏い、ゆっくりと握り拳を作る

陽乃「ふぅ……っ、げほっ……」

喉は痛むが、血は吐いていない

まだ平気だ。何も問題ない

視界も良好、霞んでいない

足元を確かめて、バーテックスを見上げた
695 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 20:55:22.96 ID:jDukJghDo

白餅と言いかえたバーテックスの軍勢は、

空から落ちてくる球子ではなく、眼下に見える陽乃の方を向いている。

一匹残らず陽乃へと向き、しかしながらむやみやたらと突撃してくることもない。

まるで、陽乃が触れてはならない天敵であると学習しているかのように。

陽乃「っ……」

割れたアスファルトを踏みしめて、摺り足気味に下がっていく右足に力を籠める

踵が低く上がり、つま先に力が上乗せされていく

強く、強く

陽乃「はぁー……」

敵を前にしてもなお、冷静に。

穏やかに、強く

陽乃は5分と言ったが、九尾は3つと言った。

猶予はたったの3分間

残った敵は目視が正確なら21

1分で7体叩ければ、確かに3分で終えることが出来る

陽乃「時間がないの……来てくれないのなら、こっちから行かせて貰うわ」

地面を抉るように蹴りだして、すぐそばのビルの側面を足場にさらに高く飛び上がる

数秒前まで見上げていた白い巨躯を見下ろすこともなく、体をひねって――

陽乃「ふっ!」

バーテックスの身体に踵を叩きこむ。
696 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 21:05:57.02 ID:jDukJghDo

白餅のように潰れて歪んだ体はそのままねじ切れて真っ二つに割れ、消えていく

バーテックスに仲間意識があるのかは定かではないが、

すぐ横に居た同類が消え去ったことを察知したのだろう、

目らしきもののない、口だけの表面を陽乃へと向けるが――

陽乃「っ!」

陽乃は後ろにいたバーテックスに蹴りこみ足場として、正面のバーテックスを殴り飛ばし

突撃してきたバーテックスを蹴り潰して、体をひねり、上から落ちて来ていたもう一つの個体を殴り飛ばす。

足場が減り、落ちていく陽乃を追いかけるように白い体が迫ってくる

地面に落ちた瞬間からあれが降ってきたら、流石の陽乃でも無事では済まない

しかし、落下しないという方法は存在しない。

陽乃は当然空を飛べないし、足場になってくれる建物もなければバーテックスもいない。

だから――潔く落ちて、すぐに受身を取って体を回し、バーテックスの落下軌道から外れる

陽乃「かふっ……ふっ……」

九尾の顕現と、戦闘での力の利用

徐々に体が蝕まれていくのが分かる不快感と痛み

咳き込みそうになる喉の奥にはじわじわと鉄臭さが滲んでいるような錯覚を覚える

それでも陽乃は、拳を握り、足場を踏みしめて前を向き、

人間の言葉を理解しているとは思えないが、

陽乃は苦笑交じりにバーテックスを見上げる

九尾がくれた3分

その残り1分半くらいを生き延びることが出来たら、褒美に身体を齧らせてあげてもいい

なんて。

陽乃「まだあと1分以上あるし……耐えきれたら、私のことを食べても良いわよ?」

そんな挑発をして、

向かってくるバーテックスを殴り飛ばし、蹴り潰し、叩き潰して――

陽乃「ほら、もっと口を開かなきゃ」

バーテックスの口のような器官に手を突っ込み、引き裂く

九尾が球子と杏を乗せて戻ってくるころにはもう、バーテックスは跡形もなく消滅していた
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 21:16:23.05 ID:csA3/lWCO
つよい
698 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 21:17:23.36 ID:jDukJghDo

杏「久遠さんっ!」

陽乃「あんまり大声出さないで」

杏「なら出させないでくださいっ……戦うならまだしも、一人であんな大量のバーテックスを相手にするなんて」

球子「って言ってもタマがいるにもかかわらず、あいつら見向きもしなかったしな……」

空を飛ぶことも出来ない勇者が空中にいるというのは、

敵にとってはこれ以上ないほどにねらい目と言うべきか、最高の的のはずだった。

楯を持つ球子は突撃を防ぐのも容易く、空気抵抗を持たせられるという意味でそれなりに有利

かつ、楯を下にして落下する隕石爆撃めいた突貫技も出来なくもない。

だとしても、ほとんど無防備に近い状態だったのだ。

なのに、バーテックスは陽乃に釘付けだった。

その姿をあるのかも分からない視界に捉えたまま、陽乃が動き出すまで動くことすらなかった

杏「でもっ、それならそれで引き付けて連れてきてくれるだけで良かったのにっ」

遠距離攻撃かつ、連射可能な杏と

中距離かつ、それなりの広範囲を攻撃できる球子

その一方で、体一つで戦わなければならない陽乃は手数が圧倒的に足りない。

にもかかわらず、あの数に立ち向かい、陽動するでもなく殲滅してしまったのだから

陽乃の身を案じる杏としては気が気ではなかったらしい。

杏「久遠さんは確かに強いです。あの数なんて気にもならなかったと思います。でも、万が一もあるって、分かってくださいっ」

陽乃「だから5分……九尾のせいで3分だけって時間制限したでしょ。その間だけ私が戦う。残ってたら私一人では厳しかったってだけで、殲滅出来たらそれで終わり」

杏「っ……武器があるわけじゃないんですよっ?」

球子「あんずっ、落ち着け」
699 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 21:29:53.28 ID:jDukJghDo

球子は前のめり気味に陽乃へと迫る杏の肩を掴んで、

自分の方へと引き寄せるように引っ張る

球子「あんずらしくないぞ。もっとわかりやすく言ってやれ」

杏「分かりやすく……?」

球子「そんな回りくどく言って "ごめんなさい" とか "分かった" とか言ってくれると思うか?」

陽乃「回りくどくなくても言わないけど……」

球子「ほらな? だからもう、とりあえず言いたいこと言っとけ」

球子は困ったように笑いながら、杏の身体を押す。

揺れた体はまっすぐ伸びて、

もう一度、その視界に陽乃を映した

杏「単刀直入に言います……力を使いすぎないでください」

陽乃「この戦いを提案したのは貴女よ。伊予島杏」

杏「はい。でも、私とタマっち先輩がいるから、倒しきるほど力を使う必要はなかったはずです。それこそ、半分倒してあとは任せるって言って欲しかった……」

陽乃にとっては、些細な事だろう。

たった20匹程度の敵だ。

準備運動にも満たないような容易い戦いだったかもしれない。

でも、それでも疲労は蓄積する。

陽乃「私はそんなに貧弱じゃないわ」

杏「でもっ……無理をしたら血を吐くことだってある。気を失っちゃうことだってある。だったらっ……必要ない時は最小限でいてくださいっ」

お願いしますと杏は願う。



1、死なないためには、常に最善を尽くすこと。手を抜くなんて死にたがりのすることだわ
2、はいはい。考えておいてあげる
3、馬鹿なこと言わないで

↓2
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 21:31:12.19 ID:csA3/lWCO
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701 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 21:33:59.70 ID:pzoP6hMm0
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