このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください
【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【2頁目】
- 653 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 15:49:50.13 ID:zO5DXF6Lo
-
九尾が感知してからすぐに、建物の隅から数体のバーテックスが飛び出してくる
合計、7体の白餅バーテックス
進化体の名称はまだ出来ていないし、
単純に白餅で良いだろうか。
陽乃「白餅7個! いける!?」
球子「いけっ……いっ……うにゃっ!?」
杏「く、久遠さっ……」
陽乃「あぁもう……っ!」
乗馬の経験があろうがなかろうが、
九尾の背中に乗った状態で流鏑馬めいたことをしろと言うのは無理がある
足を止めて戦うなら、陽乃が戦えば良い
7匹程度連れていくのも無理ではないが、
それが増え続けるのは避けたい
陽乃「出来るの? 出来ないの?」
杏「っはっ……建物の上っ……せめて一度、滞空時間を作って下さっ……ひゃぁっ!?」
陽乃「九尾!」
九尾「軟弱な小娘共め、捕まっておれ」
より速く、九尾の体が動く
足元のがれきを蹴飛ばし、崩れかけの建物の側面を蹴り上がって
まだ崩れていないビルの屋上へと辿り着く
陽乃「2人とも!」
白餅は後ろからついてきている
お手並み拝見だ
杏「っ」
- 654 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 15:51:40.37 ID:zO5DXF6Lo
-
↓1コンマ判定 一桁
0〜9
※杏の撃破数
※7以上で終了
- 655 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 15:54:59.76 ID:CM/W5uIlO
- あ
- 656 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 15:59:16.00 ID:zO5DXF6Lo
-
↓1コンマ判定 一桁
0〜9
※球子の撃破数
※1以上で終了
- 657 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 16:03:42.64 ID:fDowCT9+O
- あ
- 658 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 16:24:05.24 ID:zO5DXF6Lo
-
杏「………」
九尾の背中の揺れ、体にぶつかってくる風
ただでさえバランスが悪いのに、杏は今日が初めての実践だった。
バーテックスに襲われた経験はあるけれど
それを撃退した経験が杏にはないのだ。
自分の武器を模したものを使っての戦闘訓練を行ったことはある。
それはあくまで木の板だったり、
模擬戦として若葉達ほかの勇者に向けたものだった。
初戦闘。
怖くないと言えば嘘になる。
怖くて、不安で、苦しくて、辛い
けれど……戦えなければ足手纏いだ。
あの日、救われた時と何一つ変わらない
本気で力を使って抵抗すれば振り払えたにも関わらず、
それをせずに抑え込まれ、目の前で陽乃が大人を殴り飛ばすのを見ていることしかできなかったのと何も変わらない
杏「っ……はぁ……」
後悔した。
大人一人を怪我させてでも力を振り絞り、
あの場で立ち上がって、たった一言 "勇者に委ねろ" と言えばよかったと。
そんな後悔は、もうしたくない。
陽乃「跳ぶわよ!」
杏「はいっ!」
ビルの屋上から九尾が跳ぶ
長い胴体をまっすぐ伸ばして、限りなく平坦を保つ。
口にはしない九尾の気遣いに杏は小さく礼を述べて、クロスボウを構えた
- 659 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 17:02:07.84 ID:zO5DXF6Lo
-
狙えば横にも縦にも切り開ける球子の楯……旋刃盤と違って
杏の武器はその射程こそはるかに長いが、一直線に進んでいくだけの代物だ
敵の動きが直線的なら問題ないが、
縦横無尽に逃げ回れる状況では、命中精度という部分に難がある
だから当然――鍛練ではそれを重点的に鍛え上げている
杏「……ふぅ」
九尾が動いているならともかく、
跳躍中の滞空時間なら、偏差射撃はそう難しいことではない。
九尾の体が落下していく、減算
バーテックスが建物の影から飛び出してくる、加算
ほぼ風のない今、計算すべきはそれだけで十分だ
杏「タマっち先輩は私の後にお願いッ!」
球子「お、おうっ!」
球子の攻撃による乱れは、狙いさえも不確かにする
だから、球子には後出しを願いバーテックスの動く先を狙って――連射する
次から次へと、近づいて来るバーテックスに金色の矢が突き刺さり、撃墜していく
一つ、二つ、三つ
躱そうと動くバーテックスをも巻き込んで
杏「タマっち先輩! 一つ!」
球子「まっかっせ――ろぉッ!」
逃れに逃れ、近づいて来る最後の一匹へと球子の旋刃盤が投げ込まれて、直撃する
- 660 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 17:17:37.23 ID:zO5DXF6Lo
-
7匹いたバーテックスはあっという間に砕けて消え去り、
九尾の足が目の前に迫ってきていたビルの屋上へと触れる
杏「っあ――いっ……いったぁぁぁぁ!?」
着地までの滞空による浮遊感
地に足着いた九尾の体を追いかける杏の身体を、
駆け出す九尾の背中が迎え撃った激痛に悲鳴を上げて蹲る杏
球子「ちょまっ――落ちるぅぅぅぅぅぅ!!!」
投げた旋刃盤を受け止める体勢に入っていた球子は
バランスを崩し、足が離れた危機感に叫ぶ口が塞がる前に九尾のしっぽが球子を巻き取る
九尾「喚くな小娘共」
球子「ちょっとは加減してくれよっ!」
九尾「妾の顕現が長引けば長引くほど主様が消耗する。迅速でなければならぬ」
杏「うぅ……っ……く、お、んさんはっ……平気ですか?」
陽乃「戦いでは消耗していないから、まだまだ平気」
杏「それなら、良かったです……っ……」
目元に涙を浮かべる杏は安心したように呟きながら、
九尾の身体に全身を使って抱き着く姿勢のまま顔を伏せる
陽乃「大丈夫?」
杏「暫く、お風呂には入れないかもしれません……」
陽乃「……でしょうね」
- 661 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 17:44:28.21 ID:zO5DXF6Lo
-
あっという間に岡山の瀬戸内市に入り、
通り過ぎて、兵庫の姫路をまっすぐ突き抜けていく
陽乃「戦うときは移動しながらは厳しそうね」
杏「えっと……初めてだからっていうのもあると、思います」
陽乃「それだけ?」
杏「………移動しているものを狙う、偏差射撃については鍛練を積んでいるのでどうにか。問題はその、やはり体の揺れですね」
杏は、
的が動いている状態、自分が動いている状態
その両方が動いている状態
その全てのパターンをどうにかすべく、鍛錬を積んできている
自分の足で走っている場合は、
自分の身体の動きと言うのもあって、体の揺れを調整するのも把握するのも容易だ
しかし、それが他人となると勝手が違う。
意識していない時に上下左右に振られると、当然ながら照準はブレる
狙うのをやめて乱射するというのも手段の一つだが
今回みたいな少数の敵には効果が薄い
杏「でも、慣れればどうにかできると思います」
陽乃「そう……で、貴女は?」
球子「タマは踏ん張りが利かないと難しいな。雑魚は良いけど固い奴には弾かれる」
- 662 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 18:04:09.91 ID:zO5DXF6Lo
-
陽乃「だとすると、やっぱり足を止めた方が良いんじゃない?」
杏「そう、ですね……」
杏は少し考える。
足を止めて対応するのが一番楽だが、
それでは時間を出来るだけかけずに向かうという計画が損なわれる。
なにより、回避を足の速い九尾に委ねておくというのは安心感が違う
敵に奇襲を受ける可能性もグッと低くなるはずだ。
今後も陽乃と共に戦うなら、
この状態での戦いには慣れておくのが吉だと考えられる。
杏「いえ、次は乱射で対応してみます」
球子「タマも戦い方をもうちょっと考えてみるべきか……」
九尾「お主はそのまま投げ飛ばせばよかろう」
球子「踏ん張りがきかないって言ってるだろ」
陽乃「九尾の尾を使って土居さんを投擲するのはありだと思うけど……」
球子「そうだと思ったよッ!」
今回は数が少なかったお陰で、
多少グダついても難なく対応することは出来ただろう
しかし、
進化体が出現したり、数が増えた場合はそううまくいくとは思えない
不得意な状況での戦闘方法もしっかり考えておくべきだ
- 663 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 18:15:45.55 ID:zO5DXF6Lo
-
31〜40 バーテックス
60〜69 バーテックス
81〜90 バーテックス
↓1のコンマ
※33・66・88で進化体
※バーテックスの場合は再判定
- 664 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 18:17:51.53 ID:+Myakom30
- はい
- 665 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 18:57:21.32 ID:zO5DXF6Lo
-
兵庫を駆け抜け大阪へと入ったはいいものの、
特に観光名所らしきところも何もない地区をまっすぐ走って京都にたどり着く
金閣寺があったであろう方向にも、もはやその影もない
杏「3年間……たったそれだけでこんなにも荒れちゃうなんて」
崩れた建物は多く、
そうなっていない建物も九尾が足場にしてしまえば崩れるのではないかと不安になる
人影なども微塵もない
動物がいるような雰囲気も感じられない
ただ。
球子「空気は悪くないな……キャンプ場とかで感じるような良い空気を感じる」
陽乃「人がいなくなった方が地球には優しいって話?」
球子「ん……まぁ、簡単に言えばそうだな」
ある意味、荒れていたのは今までであり、
これはむしろ、あるべき姿に戻っていっているとも考えられるのではないか。と、3人は感じる
水や土の状態を確かめる気はないが、
空気を信じるなら、それらも良くなっている可能性は十分にある
杏「……人が荒らし過ぎたからバーテックスが現れたとか?」
球子「無いとは言い切れないな……っていうか……いや、何でもない」
- 666 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 19:24:59.55 ID:zO5DXF6Lo
-
京都から滋賀
愛知には入らず、岐阜に入って真っ直ぐ諏訪を目指す
人がいた頃よりも自然が見える世界
建物は崩れ、
雑草が生い茂り、
アスファルトは割れて……微かに緑が見える
そんな街並みを一瞥して、球子は奥歯を噛みしめる。
球子「これなら車よりも早いんじゃないか?」
九尾「小娘2匹がおらねばより早くたどり着けるがのう」
陽乃「そんな速さで動かれたら、私でも振り落とされるわよ」
今でも、振り落とされないようにとそれなりに頑張る必要がある
なのに、今以上に速く走るなんてことになったら
その風圧に耐えられない可能性がある。
早朝に出発して、戦闘を挟んで、今は昼過ぎ
戦闘があった分減速して警戒を強めているからだ。
近くにバーテックスの反応はないが、
遠くにはバーテックスの反応が強く感じられるらしい。
それも、諏訪に近づけば近づくほど多くなってきているという
杏「諏訪への集中攻撃を目論んでいるんでしょうか?」
陽乃「遅かれ早かれ、総攻撃が行われると思うわ」
- 667 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 19:59:46.85 ID:zO5DXF6Lo
-
杏「……あの、久遠さん」
陽乃「なに? お手洗いなら最悪止まっても良いけど」
球子「それ以外止まらない気かよ……」
杏「あ、いえ……それも、あの。そうなんですが」
杏は思わぬ言葉に気恥ずかしそうにしながら、
首を振る。
今したい話はそれではない。
なにより、今はちょっと、辛い。
杏「諏訪周辺のバーテックスを一部叩いてしまうのはどうですか?」
陽乃「自分から戦いに行くってこと?」
杏「そうです。総力戦が行われることが確定しているなら、その戦力を削って負担を減らしてみませんか?」
球子「そうは言うけど、突っ込めばその分敵が来るじゃんか。そうなったら諏訪に入れないだろ」
杏「九尾さんの速度なら、頃合いを見計らって離脱できるのでは?」
九尾「無論可能じゃが、主様が消耗する」
つまりは却下。ということだ
九尾はそんな余計なことをする気はないらしい
1、大丈夫。少しくらい削っておきましょ
2、死にたくないって言ったでしょ。さっさと諏訪入りするわ
↓2
- 668 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 20:01:05.02 ID:+Myakom30
- 2
- 669 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 20:01:29.16 ID:9uHeQKL8O
- 1
- 670 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 20:02:31.33 ID:f/kCLqhz0
- 2
- 671 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 20:36:53.85 ID:zO5DXF6Lo
-
陽乃「大丈夫。少しくらい削っておきましょ」
九尾「主様」
陽乃「大丈夫、少しはね」
陽乃は胸元に手をあてがう
ここに来るまで、ずっと九尾の力を使い続けている
四国を出る前は痛みもなかった体
今は少し、胸の内に違和感を感じる
けれど口の中に血の味はない
血を吐くような兆候も感じられないし、
今しばらくは力を使っても問題ないはずだ
球子「本当に大丈夫か?」
杏「あの、無理をして欲しいわけでは」
陽乃「いずれにしろ、通り道なら叩くだけだわ」
九尾「主様、分かっておると思うが妾を出したまま戦うのは負荷が重いぞ」
陽乃「分かってる」
総攻撃は阻止することは出来ない
だが、総攻撃を延期させたりその戦力を削ぐことは出来る
延期でも戦力減少でもどちらでもいい
総攻撃を乗り越えた後に諏訪を脱出して四国に戻るのが一番いいだろうか。
いや、あるいは。
そのまま諏訪の防衛に努めるというのも悪くない話だ
- 672 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 21:34:32.35 ID:zO5DXF6Lo
-
長野西部、岐阜県側からの長野への進入を試みる
四国のように、付近を広く巻き込んでの強力な結界は発生しておらず、
諏訪湖を含むほんの一部の区画のみが結界によって守られている
岐阜との県境などはもう、守られていない
陽乃「……結界、弱ってるわね」
九尾「三年前に比べればもはやないも同然の状態じゃな」
球子「三年前? 来たことあるのか?」
陽乃「ううん、九尾が感じ取ってくれただけ」
目視では確認できないが、
九尾曰く、四国の結界に似た力を感じるのは諏訪湖の南東の部分だけだという
そこから展開されている微弱な結界によって
どうにか維持されているという状態のようだ
杏「敵が一番多いのは、どのあたりですか?」
九尾「ふむ……やはり結界の要付近じゃな。そこから散っておる」
陽乃「散ってるって、どの程度?」
九尾「数十は下らんな」
数十……十数匹ではない。
極端に言えば、99匹いる可能性もある
陽乃「私も、少しは力を使うから大丈夫ね」
球子「少しだぞ。杏とタマもいるんだ。ちゃんと協力してくれ」
陽乃「期待はしないでおくわ」
- 673 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 21:38:27.54 ID:zO5DXF6Lo
-
↓1コンマ
01〜00
※ぞろ目2倍
※01〜09の場合、+再判定
- 674 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 21:42:05.39 ID:9uHeQKL8O
- あ
- 675 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 22:25:02.61 ID:zO5DXF6Lo
-
バーテックスの戦力の一部を削るための、ルート変更
当初の予定では、
岐阜方面から諏訪大社に直行する手はずだった
しかし、バーテックスの数を減らすとなると、
最も狙われている諏訪大社の付近からは入れない。
寧ろその真逆
諏訪湖北側から侵入するのが一番だ
そこなら敵も手薄なはずなので
総攻撃を行う際の戦力を削りつつ、
こちら側に被害を出さない絶妙な戦況になる
最も、本当にそうなるかは賭けだ
球子「バーテックスの数は?」
九尾「ふむ……そう多くはないな」
杏「……そう、でしょうか」
鉢盛山の麓の影に隠れつつ、様子を窺う
陸地や、建物に張り付いているように見える白餅の数々
埋め尽くしているそれらは数えていられない
陽乃「準備は出来てる? 最悪、ここで死ぬ可能性もあるって思っておいて」
球子「死ぬかもなんて思いながら戦えるかよ」
球子は首を振って、陽乃を見る
球子「勝てなくてもいいけど、生きていたいじゃんか」
杏「今回は勝てないと困るけど……でも。そうだよね。死ぬかもしれないけど、でも生き残れるって信じましょう」
陽乃「そう……まぁ、死んでも責任は取らないから勝手にしなさい」
陽乃は素っ気なく言い捨てて、胸を押さえる
まだ平気、まだ大丈夫
深く息を吐いて――九尾の背中に跨る
陽乃「行くわよ!」
- 676 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 22:35:14.31 ID:zO5DXF6Lo
- ↓1コンマ判定 一桁 球子
↓2コンマ判定 一桁 杏
0〜9
※ぞろ目倍
- 677 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 22:36:06.40 ID:9uHeQKL8O
- あ
- 678 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/23(火) 22:41:17.18 ID:f/kCLqhz0
- あ
- 679 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 22:47:14.71 ID:zO5DXF6Lo
-
球子 ⇒10
杏 ⇒8
39−(10+8)=21
- 680 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 23:24:21.74 ID:zO5DXF6Lo
-
せっかくの奇襲と言う利点を活かさない理由はない
中・遠距離の攻撃可能な球子と杏に先んじて仕掛けさせる
球子「頼むっ、タマをぶん投げてくれ!」
九尾「回収はせぬぞ」
球子「してく――」
球子が反応するよりも早く、
九つの尾の一つが球子の身体を巻き上げて、背中から引き摺り落とす
投擲に備えて力を蓄える九尾の尾は、
背中に跨るよりも酷く揺れ動く
その勢いが頂点に達する寸前に、がくんっと下がって――
球子「ぬおぁぁぁぁぁぁ!」
九尾は前足でブレーキをかけると、
身体をぐるりと回転させて、横向きに球子の身体を放り投げる
叫びながら消えていく球子
それを見ることなく九尾は投げた勢いをそのままに体を回してまた駆け出す。
球子「ぅ……ぉぁっ……」
投げ出された体は空気に押しつぶされ、
圧迫される肺から酸素が逃げ出してしまう
腕と足がもぎ取られるような感覚が伝わってくる
苦しい、辛い、痛い……苦しい……苦しい……
意識が消えそうなほどの勢いをその身に受けながら
それでも球子は歯を食いしばって、楯を構える
球子「がふっ……ふっ……ふーっ……ん゛っ」
楯を掴み、息を吐いて、吐いて、吐いて
身体の中から空気が抜けたまま、心臓の動きを止め、息を止め
力の全てを構える右手に集中させ――
球子「ぶっっっっとべぇぇぇぇぇッ!」
九尾によって生み出された勢いをその一投に含めて、バーテックスの大群へと投げ込む
- 681 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/23(火) 23:43:55.07 ID:zO5DXF6Lo
-
陽乃「動いたわよっ、伊予島杏!」
杏「!」
九尾の身体から投げ出されないように必死にしがみ付いていた杏が顔を上げる。
はるか上空の赤い光が瞬き、一筋の星が流れ落ちて――
バーテックスの密集地を爆発させる
もちろん、球子の攻撃によって爆発したわけではなく、
建物や地面を粉砕したが故の爆音に似た轟と粉塵が舞っただけだが
それでも、それなりの数のバーテックスが吹き飛び、圧殺され、叩ききられた
その奇襲を受けて、白い球体上のバーテックスがぞろぞろと空中に散らばっていく
杏「はぁ……っ……」
空に広がりつつあるバーテックスへと
今度は杏がクロスボウを向け、狙いを定めることなく乱射する
陽乃「九尾……真っ直ぐ!」
九尾「うむ」
杏と球子の奇襲攻撃によって、
半分に近いバーテックスが消えていく
それでもまだ視界を埋め尽くすばかりの数いる
そして諏訪は今まで、それ以上の襲撃を受けてなお健在なのだ
陽乃「諏訪の勇者……白鳥歌野さん。ね」
九尾「主様!」
陽乃「分かってるってば」
- 682 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 00:03:01.60 ID:jDukJghDo
-
空から球子が降ってくる
九尾は回収しないと言っていたけれど、
このまま駆け抜ければ無事に球子を回収することができるだろう
陽乃「伊予島さん、土居さんを回収するために真っ直ぐ駆け抜けて」
杏「久遠さんは?」
陽乃「まだ残ってるバーテックスがいるから、殴りに行くわ」
杏「久遠さんっ!?」
上に投げ出された球子、九尾に跨ったままの杏
2人は遠距離からの攻撃が可能なため、
安全地帯からでもバーテックスの撃退が出来る
だが、陽乃はそうではない
その拳を叩きこむのが、普通の戦闘スタイルだ
だから――九尾と杏を先に行かせて飛び降りる
陽乃「九尾、5分!」
九尾「たわけ! 三つじゃ!」
言うだけ言って走り去っていく九尾を一瞥し、
陽乃は胸を押さえる
陽乃「ちょっと痛いけど……まだ、平気」
1、全力で戦う
2、中くらいの力で戦う
3、加減して戦う
↓2
※それぞれ討伐補正有
※それぞれ陽乃の体調判定追加
- 683 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:05:53.04 ID:7nveebhUO
- 3
- 684 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:09:56.87 ID:PLjZzSiQO
- 2
- 685 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 00:14:19.84 ID:jDukJghDo
-
↓1 コンマ判定
1桁+2桁
※ぞろ目はさらに倍
- 686 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:17:03.00 ID:mqlKCH9IO
- ゾロ目出したいな
- 687 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:19:50.11 ID:Gc14lahSO
- このゾロ目はひょっとしてオーバーキル?
- 688 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:23:41.46 ID:7nveebhUO
- 0という可能性も
- 689 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 00:24:36.77 ID:jDukJghDo
- ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
(10+10)*2=40
バーテックスの残数(21)超過のため終了
- 690 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:34:15.35 ID:mqlKCH9IO
- 乙
やったぜ
やっぱり久遠さんはつえーや
- 691 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:34:31.13 ID:Gc14lahSO
- 乙
陽乃さん圧倒的な戦闘力だな…
杏とタマも活躍してサクサク進めてるのもいいね
- 692 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 00:37:20.15 ID:7nveebhUO
- 乙
圧倒的じゃないか!
- 693 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 20:43:54.66 ID:jDukJghDo
-
では少しだけ
- 694 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 20:46:28.54 ID:jDukJghDo
-
陽乃「ふぅ……っ……」
陽乃が自覚している本気としては、二通りある。
一つは、九尾の力を用いた身体強化を最大限まで行うこと。
血の一滴、取り込む酸素、髪の先から爪の先まで。
久遠陽乃と言う人間を形成するすべてに力を流し込んでいく戦い方だ
それをすると外側だけでなく内側にまで力が巡る為、かなりの力を得られる
けれど、吐血は免れないし意識の混濁や消失が起こる。
もう一つが九尾ではない力、伊邪那美命の御力を借り受けること。
ただ、これに関しては未知数としか言いようがない。
九尾ですら抗うことのできない強力な死の力
間違いなく九尾より強いが、それがどのような効果を発揮するのかは分からない。
ただ姿を見せているだけで吐血し、瞬く間に気を失うほどの負荷がかかる力だ
その力を持って戦うなら、死の覚悟は必須
陽乃「はぁ……」
それは出来ない
それをするのは今ここではない
であれば、確実に生き延びるための戦い方を選ぶ。
九尾の力を身に纏い、ゆっくりと握り拳を作る
陽乃「ふぅ……っ、げほっ……」
喉は痛むが、血は吐いていない
まだ平気だ。何も問題ない
視界も良好、霞んでいない
足元を確かめて、バーテックスを見上げた
- 695 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 20:55:22.96 ID:jDukJghDo
-
白餅と言いかえたバーテックスの軍勢は、
空から落ちてくる球子ではなく、眼下に見える陽乃の方を向いている。
一匹残らず陽乃へと向き、しかしながらむやみやたらと突撃してくることもない。
まるで、陽乃が触れてはならない天敵であると学習しているかのように。
陽乃「っ……」
割れたアスファルトを踏みしめて、摺り足気味に下がっていく右足に力を籠める
踵が低く上がり、つま先に力が上乗せされていく
強く、強く
陽乃「はぁー……」
敵を前にしてもなお、冷静に。
穏やかに、強く
陽乃は5分と言ったが、九尾は3つと言った。
猶予はたったの3分間
残った敵は目視が正確なら21
1分で7体叩ければ、確かに3分で終えることが出来る
陽乃「時間がないの……来てくれないのなら、こっちから行かせて貰うわ」
地面を抉るように蹴りだして、すぐそばのビルの側面を足場にさらに高く飛び上がる
数秒前まで見上げていた白い巨躯を見下ろすこともなく、体をひねって――
陽乃「ふっ!」
バーテックスの身体に踵を叩きこむ。
- 696 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 21:05:57.02 ID:jDukJghDo
-
白餅のように潰れて歪んだ体はそのままねじ切れて真っ二つに割れ、消えていく
バーテックスに仲間意識があるのかは定かではないが、
すぐ横に居た同類が消え去ったことを察知したのだろう、
目らしきもののない、口だけの表面を陽乃へと向けるが――
陽乃「っ!」
陽乃は後ろにいたバーテックスに蹴りこみ足場として、正面のバーテックスを殴り飛ばし
突撃してきたバーテックスを蹴り潰して、体をひねり、上から落ちて来ていたもう一つの個体を殴り飛ばす。
足場が減り、落ちていく陽乃を追いかけるように白い体が迫ってくる
地面に落ちた瞬間からあれが降ってきたら、流石の陽乃でも無事では済まない
しかし、落下しないという方法は存在しない。
陽乃は当然空を飛べないし、足場になってくれる建物もなければバーテックスもいない。
だから――潔く落ちて、すぐに受身を取って体を回し、バーテックスの落下軌道から外れる
陽乃「かふっ……ふっ……」
九尾の顕現と、戦闘での力の利用
徐々に体が蝕まれていくのが分かる不快感と痛み
咳き込みそうになる喉の奥にはじわじわと鉄臭さが滲んでいるような錯覚を覚える
それでも陽乃は、拳を握り、足場を踏みしめて前を向き、
人間の言葉を理解しているとは思えないが、
陽乃は苦笑交じりにバーテックスを見上げる
九尾がくれた3分
その残り1分半くらいを生き延びることが出来たら、褒美に身体を齧らせてあげてもいい
なんて。
陽乃「まだあと1分以上あるし……耐えきれたら、私のことを食べても良いわよ?」
そんな挑発をして、
向かってくるバーテックスを殴り飛ばし、蹴り潰し、叩き潰して――
陽乃「ほら、もっと口を開かなきゃ」
バーテックスの口のような器官に手を突っ込み、引き裂く
九尾が球子と杏を乗せて戻ってくるころにはもう、バーテックスは跡形もなく消滅していた
- 697 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 21:16:23.05 ID:csA3/lWCO
- つよい
- 698 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 21:17:23.36 ID:jDukJghDo
-
杏「久遠さんっ!」
陽乃「あんまり大声出さないで」
杏「なら出させないでくださいっ……戦うならまだしも、一人であんな大量のバーテックスを相手にするなんて」
球子「って言ってもタマがいるにもかかわらず、あいつら見向きもしなかったしな……」
空を飛ぶことも出来ない勇者が空中にいるというのは、
敵にとってはこれ以上ないほどにねらい目と言うべきか、最高の的のはずだった。
楯を持つ球子は突撃を防ぐのも容易く、空気抵抗を持たせられるという意味でそれなりに有利
かつ、楯を下にして落下する隕石爆撃めいた突貫技も出来なくもない。
だとしても、ほとんど無防備に近い状態だったのだ。
なのに、バーテックスは陽乃に釘付けだった。
その姿をあるのかも分からない視界に捉えたまま、陽乃が動き出すまで動くことすらなかった
杏「でもっ、それならそれで引き付けて連れてきてくれるだけで良かったのにっ」
遠距離攻撃かつ、連射可能な杏と
中距離かつ、それなりの広範囲を攻撃できる球子
その一方で、体一つで戦わなければならない陽乃は手数が圧倒的に足りない。
にもかかわらず、あの数に立ち向かい、陽動するでもなく殲滅してしまったのだから
陽乃の身を案じる杏としては気が気ではなかったらしい。
杏「久遠さんは確かに強いです。あの数なんて気にもならなかったと思います。でも、万が一もあるって、分かってくださいっ」
陽乃「だから5分……九尾のせいで3分だけって時間制限したでしょ。その間だけ私が戦う。残ってたら私一人では厳しかったってだけで、殲滅出来たらそれで終わり」
杏「っ……武器があるわけじゃないんですよっ?」
球子「あんずっ、落ち着け」
- 699 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 21:29:53.28 ID:jDukJghDo
-
球子は前のめり気味に陽乃へと迫る杏の肩を掴んで、
自分の方へと引き寄せるように引っ張る
球子「あんずらしくないぞ。もっとわかりやすく言ってやれ」
杏「分かりやすく……?」
球子「そんな回りくどく言って "ごめんなさい" とか "分かった" とか言ってくれると思うか?」
陽乃「回りくどくなくても言わないけど……」
球子「ほらな? だからもう、とりあえず言いたいこと言っとけ」
球子は困ったように笑いながら、杏の身体を押す。
揺れた体はまっすぐ伸びて、
もう一度、その視界に陽乃を映した
杏「単刀直入に言います……力を使いすぎないでください」
陽乃「この戦いを提案したのは貴女よ。伊予島杏」
杏「はい。でも、私とタマっち先輩がいるから、倒しきるほど力を使う必要はなかったはずです。それこそ、半分倒してあとは任せるって言って欲しかった……」
陽乃にとっては、些細な事だろう。
たった20匹程度の敵だ。
準備運動にも満たないような容易い戦いだったかもしれない。
でも、それでも疲労は蓄積する。
陽乃「私はそんなに貧弱じゃないわ」
杏「でもっ……無理をしたら血を吐くことだってある。気を失っちゃうことだってある。だったらっ……必要ない時は最小限でいてくださいっ」
お願いしますと杏は願う。
1、死なないためには、常に最善を尽くすこと。手を抜くなんて死にたがりのすることだわ
2、はいはい。考えておいてあげる
3、馬鹿なこと言わないで
↓2
- 700 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 21:31:12.19 ID:csA3/lWCO
- 1
- 701 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 21:33:59.70 ID:pzoP6hMm0
- 1
- 702 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 21:53:11.64 ID:jDukJghDo
-
陽乃「死なないためには、常に最善を尽くすこと。手を抜くなんて死にたがりのすることだわ」
杏が死んでほしいと思っているなら話は別だ。
けれど、話を聞く限りでは杏はそんなことなど毛頭考えていない
寧ろ、死んでほしくないからこそ物申している。
球子は顔をしかめたが、反論はしない。
いや、出来ないが正しいだろうか。
何も言わない杏を見ると、球子は口を開いた
球子「そりゃそうだ。油断大敵……だったっけ」
杏「でも、久遠さんの場合は力を使うこと自体が死にたがりに通じているのでは?」
陽乃の言葉に一理ある。
だがそれでもと、杏は首を横に振った。
化け物相手に手加減するのは死にたがりの愚行
けれども陽乃の力は身を滅ぼす諸刃の剣
杏「……久遠さんが戦わなくていいくらいに強くなればいいですか?」
陽乃「そうね……私が戦わなくてもいいならそれが一番ね」
陽乃の力は最終兵器
バーテックスと戦うのはほかの勇者5人に任せて、
陽乃は進化体に備えて温存……なんてことが出来るのが理想だろうか。
杏「久遠さんの代わりを、諏訪の勇者様が担うことは出来ないかな……」
球子「次元が違うからなぁ……でも、普通のあの、白丸いバーテックス相手なら出て来なくても問題なくなるんじゃないか?」
- 703 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 22:15:05.39 ID:jDukJghDo
-
杏「なら、是が非でも諏訪から四国に移送したいな……」
陽乃「諏訪の生存者がそれを望まないと無理だと思うけど」
球子「ん〜……交渉次第だろ。たぶん」
球子はそう言って、バーテックスがいなくなった周辺を見渡す。
ついさっきまでバーテックスが住処としていた場所。
球子の爆撃にも似た一撃によって多くの建物が倒壊したが、
それがなくても荒れ地となっていた長野の町
四国に比べて酷く小さく、貧弱と言われた結界
いつ壊されるかも分からない結界の中にいるよりも、
辿り着けさえすれば、今しばらく生きていくことのできる四国に行きたいという人は少なからずいるはずだ。
いや……そうとは、限らないだろうか?
球子「とりあえず、早く結界の方に行くぞ」
杏「そう、だね」
陽乃「ふぅ……」
四国から諏訪までの九尾の顕現
そして、今さっきの戦闘
力を使ったことによる負荷を感じる
球子「ここからは歩くか?」
陽乃「平気よ。気にしないで」
九尾に跨り、球子と杏も同じように引き上げてまた走る
そうして――九尾のおかげで半日程度で結界の中へと辿り着いた
- 704 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 22:20:58.37 ID:jDukJghDo
-
↓1コンマ判定
01〜00 (00=100)
九尾+10、中力+20
※計20〜50でダメージ小
※計51〜70でダメージ中
※計71〜100でダメージ大
※100以上はアウト
- 705 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 22:22:36.68 ID:pzoP6hMm0
- あ
- 706 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 22:27:16.42 ID:7nveebhUO
- あっぶねえ
- 707 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 22:43:25.92 ID:jDukJghDo
-
√ 2018年 8月9日目 夕:諏訪
九尾に跨ったまま入るのはと、
その直前で九尾を隠して歩きで結界の中へと入る
杏「あっ……」
「おや……見ない顔だねぇ……」
諏訪までの道中、人の気配は全くしなかった。
崩れそうな建物、崩れた建物
割れたアスファルト、無造作に伸びた雑草
以前は人がいたはずなのに、
すっかりもぬけの殻となってしまった世界
それらを見てきたからこそ、
ここまで来てようやく、自分達以外の人の声を聞いた球子と杏は思わず涙を零しそうになる
「ま、まさか外から来たのかい?」
杏「はい……えっと、その……ここに勇者様がいると聞いたのですが」
「それなら神楽殿の方に――!」
見たこともない少女たちの登場に共学を隠し切れていなかったおじいさんの目が、より見開く
悍ましいものを見てしまったかのような、血の気が失せていく顔
何なのかと困惑する球子は声をかけようとして――
陽乃「ごぷっ……ぁ……はっ……ははっ」
すぐ後ろで、あからさまにヤバい声が聞こえて、振り返る
口元を押さえる手は真っ赤に汚れて、目元も赤く
空気と共に吐き出されているのか、指の隙間から血しぶきが飛んで……陽乃の体が崩れ落ちる
杏「久遠さん!」
杏の悲鳴にも似た声に、陽乃は何も返せなかった
- 708 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/24(水) 22:45:36.05 ID:jDukJghDo
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
68(コンマ)+30(九尾+戦闘)=98
100は越えていないので死にはしません
- 709 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/24(水) 22:55:30.16 ID:csA3/lWCO
- 乙
陽乃さん早くも倒れてしまったか…
総攻撃翌来るまで絶対安静だな
- 710 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/25(木) 00:23:52.10 ID:E/FBUjIiO
- 乙
まあひとまずは長野でゆっくりしよう
- 711 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 20:34:08.57 ID:M/BybS93o
- では少しだけ
- 712 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 20:34:41.70 ID:M/BybS93o
-
√ 2018年 8月9日目 夕:諏訪
夏の陽射しも傾き始めるころ、
諏訪湖の近くにある病院の一室に勇者が集まっていた。
元から諏訪で勇者として活動していた白鳥歌野
歌野を補佐している巫女である藤森水都
四国から来た伊予島杏と土居球子
そして……諏訪に到着してから体調を崩し、今は眠りについている久遠陽乃
杏は陽乃の傍のパイプ椅子に腰かけ、雲ってしまっている酸素マスクを見つめる
杏「……どうして」
球子「昨日、会ったときからヤバそうだったからなぁ……」
瀬戸大橋の付近にある展望台で陽乃を見つけた時のことを思い出して、球子は首を振る。
あの疲労感が壱日で回復したとは思えない
そこに九尾の顕現と戦闘
そこから休まずに結界内までの移動
それらがまとまってのしかかってきたのだとしたら、
ああなるのも無理はないのかもしれないと球子は考えて、顔をしかめた
陽乃は手で押さえながらも血を噴出して崩れ落ち、気を失って
それでも止まらずに陽乃は口や目から血を流し続けた。
血反吐を吐くと陽乃は自己申告していたが、
まさかあそこまでとは思っていなかったのだ
球子「……切り札だよなぁ」
歌野「……えぇっと、そろそろ話を聞いても良いかしら」
眠ってしまっている仲間を気にする気持ちを察しつつ、歌野は切り出す
- 713 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/25(木) 20:40:00.84 ID:bZyNQFZaO
- うたのん達も来たか
- 714 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 20:43:25.09 ID:M/BybS93o
-
歌野「四国の勇者である乃木さんからこっちに勇者が来るって話は聞いてたけど……何があったの?」
杏「久遠さんに関しては力を使う代償のようなものなので、これと言って大きなことはありませんでした」
道中に生存者は見られなかったこと
点々とバーテックスの存在を確認しており、諏訪湖周辺の一団を潰してきたことを杏は話し、
もし、希望があれば諏訪から四国に全員を護送するつもりもあるということを伝えた。
もちろん、
それなりのリスクがあることと、全員が生きたままたどり着ける保障がないことも含めて。
だが、四国での陽乃の扱いは流石に伝えられない。
歌野「そっか……やっぱり、外はもう」
水都「うたのん……どうする?」
歌野「ん〜……とりあえず私達が勝手に決めて良いことじゃないと思う」
歌野は少し考えて、答える
歌野「それに、もし一人でもここに残りたいって人がいるなら……ここから離れるわけにはいかないわ」
水都「でも……」
水都は言い淀む。
正直、諏訪はもう限界が近い。
4つあった結界の要である御柱も、その内2つがすでに破壊されてしまっている。
歌野はかなり頑張っているけれど、3つ目が破壊されるのも時間の問題だろう。
そして、結界が破壊されれば安住の地は無くなる
出来るならここから出て新しい場所を探した方が良い
昔の神託では、国土を取り戻していけるという話だったけれど、
でも、もう、そんな希望が残されているようには見えない
水都「とりあえず、みんなを集めて四国への移住について話してみよっか」
歌野「そうね、そうしましょう」
病室と言うのもあって、歌野は少しトーンダウンして同意すると
陽乃を見て、目を細めた
歌野「乃木さんからは、とってもデリケートって聞いてたけど想像以上ね。本当に戦えるの?」
杏「一騎当千の力はあるんです。ただ、その分の負荷が重くて無理すると今回みたいになっちゃうみたいで」
歌野「そっか、まぁ回復するまでは安静にしてて貰った方が良いわね」
- 715 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 20:54:48.17 ID:M/BybS93o
-
球子「そういえば、若葉からどんなふうに話を聞いてるんだ?」
歌野「近々、四国の勇者がそっちに行くと思うから、受け入れてやって欲しいって言われたわ」
歌野はなぜだか困った様子で、水都を一瞥する
球子「何か問題があったのか? 来たらダメだったとか」
水都「えっと……そう言うわけじゃないんですけど」
水都も少し困惑した様子で、
小さくため息をつくと姿勢を正して……視線だけは下向きだった
水都「その連絡が今日の定時連絡で来たばかりだったので、数日後かと思ったんです」
歌野「今日出発だから、5日くらいかかるかもって話だったのに当日中でしょ? もう、何が何やら」
球子「あぁ……」
杏「それはそうですよね……」
その最速到達の理由は、陽乃の九尾だ
瀬戸大橋方面から結界外に出て分かったことだが、
まず車での移動は無理だ
飛行機などでなければ、道中で動けなくなる。
仮に飛行機があっても、軍用のなにがしかでもなければバーテックスに撃墜されかねない
つまり、1日2日で到達するには勇者であっても不眠不休でなければならない
それを、陽乃達は半日で踏破したのだから驚くのも無理はなかった。
杏「それも、久遠さんのおかげなんです。力の一つを使って、ここまで運んでくれました」
歌野「それなら――」
杏「いえ、数人しか運べないと思います。さすがに数十人一度は……」
歌野の言葉を遮って、杏は首を振る
九尾に全員を一度に運んでもらうのは不可能だ
- 716 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 21:07:07.03 ID:M/BybS93o
-
歌野「無い物ねだり。ね。それと周囲にバーテックスが展開してるって言うのが気になるわね」
杏「もしかしたら、総攻撃をしかけてくる可能性もあります」
球子「久遠……ん、陽乃が万全なら、総攻撃だろうと凌ぎきれる可能性はある」
水都「でも、この人は力を使う負荷が重いんですよね? だったら……あてにはできないんじゃ」
水都の言い分はもっともだ
いや、戦力としては十分に宛に出来る
陽乃が本気を出してくれるなら、もしかしたら一人で総攻撃を耐え凌いでくれる可能性だってなくはない。
けれど、その場合は確実に陽乃が死ぬ。
総攻撃において陽乃にどれだけの負担がかかるのかは分からないが、
それでもかなりの重症に陥るのは免れないと言える
球子「昨日、すでに疲れ切った状態だったからなぁ……それがなければここまでじゃなかったと思うぞ」
杏「諏訪への攻撃の程度を知りませんが、通常の襲撃は私たちで対処して久遠さんには総攻撃まで大人しくして貰うべきだと思います」
歌野「今までも私一人だったし、3人に増えるならもうイージーね。それもベリーな」
簡単なことだと歌野は笑って言うが、水都は少し怪訝そうな表情を浮かべていた。
歌野は実力がある
もちろん、実績だって申し分ない
しかし、それでもバーテックスの襲撃によってそれらが破壊されないとは限らないのだ
ネガティブなのは分かっている。
水都「あんまり過信しちゃだめだようたのん。何があるか分からないんだから」
けれど、不安だった
それは杏と球子の二人が戦力として加わってきてくれても拭いきれない。
- 717 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 21:16:30.39 ID:M/BybS93o
-
√ 2018年 8月9日目 夜:諏訪
↓1 コンマ判定
0 00 最悪
1、7、4 お目覚め
3、6、2 歌野
5、9、8 球子
※ぞろ目特殊(00以外)
- 718 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/25(木) 21:18:08.54 ID:bZyNQFZaO
- あ
- 719 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 22:01:45.66 ID:M/BybS93o
-
√ 2018年 8月9日目 夜:諏訪
陽乃「う……げほっ……けほっ……」
目を開くよりも先に、咳き込む
喉の奥から血があふれ出して、
真っ白な枕を汚す代わりに酸素マスクの中を赤黒く満たしていく
身体の内側から感じる熱い痛みは変わらず、
一度咳き込めば、その反動でナイフがより深く刺さったかのように痛みが増す
陽乃「あ゛っ……い゛っ……ぁっ……ごぷっ……」
手が動かない
足も動かない
吐血する体の痙攣だけが、しばらく続いて
すぐそばにあった心拍数を計測する機械がけたたましくアラートを発する
陽乃「っ……こ、こって……」
血の匂い、血の味、霞む視界
自分の居場所でさえまともに理解も出来ないまま、
慌ただしい足音が部屋に駆け込んでくるのをただただ聞いていることしかできなくて。
「久遠さん? 久遠陽乃さん?」
陽乃「ぅ……」
看護師らしき人の呼び声にも、返せる言葉がなかった
- 720 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 22:37:34.17 ID:M/BybS93o
-
目を覚ましてから1時間ほど経過した頃、
医師による処置と検査を終えた陽乃は、体を起こすことが出来るくらいには回復していた。
ベッドから降りた途端に膝から崩れ落ちるくらいには、力を失っているけれど。
「こちらをどうぞ」
看護師から渡されたお茶を飲み、
陽乃はふっと一息ついて、もう一口
「喉の痛みはどう?」
陽乃「少し、痛むけど」
「声も少し枯れているわね……」
看護師は心配そうに言うと、陽乃の前髪の部分を払う
看護師の女性は陽乃よりも二回りほど年上だ
子供がいれば、陽乃と同じほどの年齢でもおかしくない
だからか、看護師の瞳はとても優しいものだった
「声は極力出さないようにね。でも、咳き込むのを我慢したらダメよ?」
陽乃「あり……っ……げほっ……」
「……ごめんなさいね」
話しかけてしまったせいだと、
看護師は申し訳なさそうに陽乃の背中を撫でる
- 721 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 23:14:10.29 ID:M/BybS93o
-
「そうそう。今はまだ万全ではないから、他の勇者様は呼んでいないの」
陽乃「ん……」
陽乃が目を覚ましたことについてはすでに連絡しているのだが
動けない上に長く話せない陽乃を友人に囲ませるわけにもいかない為
早くても明日の面会にして貰うようにしていた。
それで来られないみんなが、
陽乃には会いたくないなんて勘違いされてはと、看護師は説明をする
「だから、安心してね」
陽乃「………」
ここは四国ではなく、長野だ
3年前の大規模な襲来によって
四国から諏訪への連絡手段は勇者間の連絡を除いて、喪失している
そのため、
久遠陽乃と言う人物が一体どのような人間なのか
そして、四国ではどのような境遇にあるのか
そういった情報は一切伝わってきていない
だから……陽乃に対しても敵意も憎悪も、警戒心さえもない
そしてなにより、好意的だ
「あまり無理してはいけないわ」
陽乃はそれに言葉を返すことなく頷く
礼は言いたいけれど、言って咳き込めば心配させるだけだ
「今日はゆっくり寝るのよ? 無理にでも眠らなきゃだめだからね」
そう言って陽乃から離れた看護師の女性は、
出る前にもう一度陽乃に目を向け、手を振って出ていく
本当に、好意的だ
1、休む
2、九尾を呼ぶ
3、体を動かす
↓2
- 722 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/25(木) 23:15:46.95 ID:E/FBUjIiO
- 1
- 723 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/25(木) 23:19:10.32 ID:lpmF/gAP0
- 1
- 724 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/25(木) 23:20:48.71 ID:M/BybS93o
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 725 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/25(木) 23:24:56.76 ID:bZyNQFZaO
- 乙
陽乃さんにとってはやっと楽園にたどり着いた感じがする
あとは元気になってうたのんと対面したいな
- 726 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/26(金) 00:12:43.27 ID:grRhFOLYO
- 乙
今はとにかく体調戻さないとな
- 727 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 20:04:58.62 ID:i2IEf3Bco
- では少しだけ
- 728 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 20:05:37.83 ID:i2IEf3Bco
-
看護師が病室からいなくなると、途端に静かになる
目を覚ましはしたがろくに動く事が出来ず、
また悪化するかも分からないため、
ベッドサイドモニタが稼働している電子音は相変わらず聞こえているが。
陽乃「はぁ……っ……」
意識していなくても口の中に溢れてくる唾液
それを飲みこむと、動く喉の痛みにえづきそうになる
陽乃「………」
看護師はゆっくり寝るべきだと言っていたし、
処置と検査を行ってくれた医師からも、暫く安静にしているようにと言われた。
そのあとでベッドから降りようとして膝から崩れ落ちたので、
本当に何にもできない
球子達勇者のみんながお見舞いに来ることが出来なくても
陽乃の傍には常に九尾がいる。
姿を出させるのは力をより多く使う必要があるために出来ないが
影の中に潜む九尾と話をするのは可能だ。
とはいえ、それも今は声と喉の調子が悪くて出来ない。
やっぱり寝るしかないかな。と、陽乃は目を瞑る
- 729 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 20:13:31.12 ID:i2IEf3Bco
-
3年前、陽乃は護るために力を得て多くを失い、けれども必死に守れるだけを守った。
まだ小学生の小さな手を伸ばし、
取りこぼしてしまったいくつもの命を目の当たりにして傷つきながら、苦しみながら
それでも、今やれるだけのことをやろうともがいて、もがいて――そうして、生贄になれと捧げられた。
仲の良かった従姉妹が目の前で喰い殺され、庇ってくれた父が殺され、
ただ一人、母だけしかその手の中には残らなかった。
命懸けで母を守り、戻った世界は陽乃を受け入れなかった。
それは、陽乃が多くの命を取りこぼしてしまったからだ。
目の前で頭部をかみ砕かれた女性を救えていれば、
伸ばされた手を取り引き出すことが出来ていれば、
もう少し早くたどり着き、人間を食い荒らすバーテックスが落ちるよりも先に手を打てていれば
きっとそうはならなかったはずだ。
陽乃「っ……」
それは無理な話だ。
出来たかもしれない。なんて話ですらない。
努力と運があっても、それはどうしようもなかった話だ。
たった一人で四国という、一人には広すぎる地を駆けまわっていたのだから。
けれど――化け物を殺せる化け物にはそれが出来たはずだと誰かが言った。
なぜ、どうして、と……恨みが生まれた。
生贄を拒み、母と共に生き残ったことが人類への裏切りとされ、
それこそが惨劇の引き金であると言われ、憎まれ、疎まれ、死を願われるようになった。
- 730 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 20:30:15.39 ID:i2IEf3Bco
-
その一方で諏訪にいる人々はこれからの陽乃が何かをしでかさない限り、
その存在を疎むことも憎むこともない。
けれど、この諏訪という小さな世界はもうじき壊れてしまう。
九尾の力のおかげか
それとも、今すでに満身創痍に陥るほどに身体が神の祟りに冒されているからか
諏訪を守る結界がどれほど傷つき、脆くなっているのかが感じられる。
球子と杏の二人が参戦することによって、
一回一回の襲撃による被害は大幅に軽減されるはずだけれど
だとしても少しずつ傷ついていき、やがて一つ、また一つと御柱は砕けて侵入を許すことになる
正直に言ってしまえば、
陽乃は四国に母を残しているという一点を除いて、戻る理由がない。
一度は許しかけた大社も、人一人殺めたとあってはついに許しておくことが出来なくなっただろうし、
人々に蔓延していた言われもない憎悪はその事実を持って真実となり、陽乃を潰しに来ることだろう。
味方であるべき勇者だってそうだ。
若葉は迷っている
けれども、千景は"殺すべきだった"と激怒しているはずで、
人を殺めた陽乃を、高嶋友奈は止めないわけにはいかないと考えている。
話しが聞きたい。なんて言いながら陽乃の前に現れて立ち塞がり、何が何でも連れ帰ろうとするはずだ
だから、きっと。
願い、叶うのであればこのまま諏訪に永住するのが陽乃にとって最も幸せな道なのだろう。
- 731 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 20:48:38.57 ID:i2IEf3Bco
-
諏訪は陽乃にとって、守るだけの価値がある世界だと言えるかもしれない。
けれど、それを守れるだけの力があると陽乃は思えない。
誰一人として死なせることなく、守り抜くだけの力があるとは思えない。
だから陽乃は自分を勇者とは言いたくないし、人々を守るだなんて口が裂けても言いたくはなかった。
約束しなくても、守れなければ恨まれる
なのに、約束なんてしてしまったらより一層その怒りが強くなるからだ。
医師の男性も、看護師の女性も
みんながみんな陽乃を気遣い、優しく接してくれた。
大社に軟禁されていた時とはまるで違って、一人の人間として扱ってくれていた
それが一変してしまう可能性だって秘めている。
陽乃「ぅ……うぅ……」
陽乃は "守れないのが怖くて" 仕方がなかった
この場所は間違いなく、守っていきたいと思える世界だ。
けれどそれを守ることができなかった時が、たまらなく恐ろしかった。
手のひらを返され、お前のせいだと憎まれ、恨まれ、悪意をぶつけられるのが怖かった。
一度経験してしまった恐怖を、陽乃は忘れられない。
人々から向けられる憎悪と悪意
それの宿った瞳を忘れることが出来ない。
初めから嫌ってくれていれば、それで終わる。
互いに何もなければ、守れても守れなくても傷なんて負わないからと誤魔化せるから。
だから、陽乃は決して人を近づけたいとは思わなかった。
今までも、これからも。
陽乃はそう思いながら、固く目を瞑る
寝よう、寝ようと……必死に、目を閉じ続けた
- 732 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/26(金) 21:03:20.57 ID:embYSk5cO
- 病んでるなぁ…
- 733 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 21:08:01.00 ID:i2IEf3Bco
-
↓1コンマ判定一桁 歌野
↓2コンマ判定一桁 水都
※ぞろ目2倍
※絆値+(初期40)
- 734 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/26(金) 21:08:59.64 ID:embYSk5cO
- あ
- 735 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/26(金) 21:10:13.66 ID:sON9xrkU0
- あ
- 736 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 21:14:54.72 ID:i2IEf3Bco
-
1日のまとめ(四国組)
・ 乃木若葉 : 交流無()
・上里ひなた : 交流無()
・ 高嶋友奈 : 交流無()
・ 郡千景 : 交流無()
√ 2018/08/09 まとめ
乃木若葉との絆 62→62(普通)
上里ひなたとの絆 56→56(普通)
高嶋友奈との絆 52→52(普通)
郡千景との絆 21→21(険悪)
1日のまとめ(諏訪組)
・ 白鳥歌野 : 交流無()
・ 藤森水都 : 交流無()
・ 土居球子 : 交流有(遠征、九尾、戦闘、体調不良)
・ 伊予島杏 : 交流有(遠征、九尾、戦闘、体調不良)
・ 九尾 : 交流有(遠征、九尾、戦闘、体調不良)
√ 2018/08/09 まとめ
白鳥歌野との絆 44→44(普通)
藤森水都との絆 52→52(普通)
土居球子との絆 55→55(普通)
伊予島杏との絆 62→62(普通)
九尾との絆 63→63(普通)
- 737 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 21:19:53.76 ID:i2IEf3Bco
-
√ 2018年 8月10日目 朝:諏訪
01〜10 球子
21〜30 水都
41〜50 杏
81〜90 歌野
↓1のコンマ
※それ以外は通常
- 738 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/26(金) 21:21:26.52 ID:sON9xrkU0
- あ
- 739 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 21:53:50.34 ID:i2IEf3Bco
- √ 2018年 8月10日目 朝:諏訪
一定のリズムを刻む電子音を聞きながら眠り、
その音を聞きながら目を覚ます。
クリーム色に近い病室の天井を眺めながら、ゆっくりと手先足先へと意識を向けていく
昨夜は上手く伝わりきらなかった感覚も、今は伝わっている
陽乃「っ……」
布団の中から手を出して、顔の前に掲げる
第二関節まで曲げると、震えてしまう
感覚はあるが、力がまだうまく入らないのだ
陽乃「こんなじゃ、戦うなんて不可能ね……」
九尾の力をもってすれば、
こんな感覚なんて無視して戦うこともできるだろう
けれど、その負荷は積み重なって
二度と体が動かなくなる可能性もあるわけで。
今はまだ、そこまでする必要もないだろうと陽乃は布団の上に手を落とす
陽乃「………」
すぐそばのベッドを動かすリモコンを手に取って、上半身を起こしていく
枕を腰のあたりに下げて、支えにする
足を動かすこともできるけれど、骨が軋むような感じがする
冬場の厚い布団だったら、身動き一つ出来なかったかもしれない
- 740 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 22:27:22.76 ID:i2IEf3Bco
-
部屋は昨日の夜と同じように静かだ
ただただ、電子音が聞こえるだけの病室
外から入り込む虫の声はあるけれど、それくらいしかない。
端的に言ってしまえば、手持ち無沙汰だった。
陽乃の手元には本もスマホもないし、
病室にはもはや役立たずとなったテレビが設置されているわけもなく。
そもそも、本もスマホも今の陽乃は持っていられない
陽乃「……」
昨日の夜、看護師の女性は目が醒めた連絡だけはしたと言っていた。
時間と陽乃の容態を見て、昨日は様子を見に来ないようにとも。
なら、朝になったら来てくれるものではないかと思うけれど――
陽乃「別に、来なくていいけど」
諏訪の勇者である白鳥歌野
そのサポートを担当しているらしい、藤森水都
2人にはもう、会ったのだろうか。
どこまで話して、どうなっているのか。
陽乃は考えて、息を吐く。
1、九尾を呼ぶ
2、寝ておく
3、イベント判定
↓2
- 741 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/26(金) 22:35:09.55 ID:sON9xrkU0
- 1
- 742 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/26(金) 22:36:08.65 ID:embYSk5cO
- 1
- 743 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/26(金) 22:57:23.15 ID:i2IEf3Bco
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば、お昼ごろから
- 744 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/26(金) 23:06:12.82 ID:embYSk5cO
- 乙
意外にもうたのんよりみーちゃんの方が絆値高くなるとは…
しかし陽乃さん人どころか自分の力すら信用してなくて精神的に深刻だな
- 745 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 00:16:03.57 ID:X3Q55+lLO
- 乙
相変わらずメンタルが不安定だなあ
- 746 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 13:47:30.95 ID:FPyLwFj9o
-
では少しずつ
- 747 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 13:48:29.45 ID:FPyLwFj9o
-
陽乃「九尾、いるんでしょう?」
横に伸びる影に向かって声をかける
そこには誰もいないけれど、潜んでいる
陽乃「姿を見せなくてもいいから、色々聞かせて欲しいのよ」
枕元の自分の影を撫でると、
ひそかに揺れて、人の形から狐の形へと歪んでいく。
差し込む光がそうさせているのではなく、九尾が混じっている証拠
『良いのかや?』
陽乃「うん。少しくらいなら話しても問題なさそうだし」
『ふむ……まさか主様があそこまで貧弱とは思わなかった』
陽乃「疲れが溜まってたのよ……たぶん。違うの?」
『いかにも』
そもそも、
かの神―伊邪那美命―を顕現させたことによって、陽乃は体の内側がボロボロになっていた。
それをまた陽乃が持つ別の力を用いて強引に治癒能力を高めて癒したのだ。
ただそれだけの身体で、逃亡し、たった一日休んだだけでの遠征
九尾を呼び続け、力を纏って戦ったのだから
運が悪ければ、癒したばかりの身体の内側がまた酷いことになる可能性があった
そして、
その最悪の結果……いや、最悪の一歩手前になってしまった
- 748 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 14:12:08.19 ID:FPyLwFj9o
-
『数日はおとなしくしておく方が良い』
陽乃「そんなに?」
『拳も握れぬ体で、何を成すというのかや?』
陽乃「それはそうなんだけど……」
九尾の声を聞きながら、もう一度手を上げてみる
握りしめるほどの力は出なくて、
球子に押し倒されたときよりもさらに衰弱しているのが分かる
あの時は若葉からの逃走劇なんて言う茶番もあったが
今の状態で窓から飛び出したら受身も取れずに骨折の一つや二つは免れなかったかもしれない。
『昨夜、主様が眠っている間に小娘共が四国への移住を提案しておる』
陽乃「そう……で、答えは?」
『諏訪の娘どもでは決められぬと、言うておったのう』
陽乃「それはそうよね……」
当たり前と言えば当たり前の話だ
歌野がこの場を離れてなお結界が残ったとしても、それを守る人がいなければ容易くバーテックスに食い潰される。
そうなったら、ここに残った人々は殺されてしまう。
だから、歌野は人々の話を聞く
自分が行くからついてこいだなんて、言わない
『良いのかや? あの国に戻る理由など、主様にはなかろうて』
陽乃「お母さんがいるわ」
『あの国に戻るほどの理由では無かろう』
疎まれ、憎まれ、呪われ、虐げられるだけの場所
母がいるというのは、そこに戻るだけの理由にはならないだろう、九尾は考えている。
だが、九尾からしてみれば戻ろうと戻るまいとどっちでもいい
害になる何かしらがあるのなら、排除するだけである。
1、ねぇ。結界はどうにかできる?
2、白鳥さんを呼んでくれない?
3、この体、もう少し早くどうにかできない?
4、みんなが戻りたいって言うなら、戻るしかないでしょうね
↓2
- 749 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 15:05:43.58 ID:EjDNhoNRO
- 2
- 750 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 15:08:05.82 ID:AteTOpZkO
- 2
- 751 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 17:42:40.23 ID:IasRBKWBO
- ?
- 752 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 17:49:34.69 ID:FPyLwFj9o
-
陽乃「ねぇ、白鳥さんを呼んできてくれない?」
『何じゃ。見舞わぬのが気に入らぬのかや?』
陽乃「違うわよ。話、しないといけないでしょ」
球子たちがある程度話してくれてはいるみたいだけれど
陽乃も話しておく必要がある。
球子と杏は陽乃のことについて話していないようだし、
それどころか、四国移住についての話を進めている。
そうするというなら、陽乃にはどうしようもないけれど。
結界についてや、今までの戦い
これからのことなど、
色々と聞いておきたい話もある
陽乃「呼ぶのが難しければ、別に良いのだけど」
『ふむ……呼ぶこと自体は容易じゃな』
陽乃「なら、お願い」
『うむ……よかろう』
陽乃の影が揺れ動いて伸び、
そうして、ゆっくりと薄れて消えていく
478.85 KB Speed:0.5
↑
VIP Service
SS速報R
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
スポンサードリンク
Check
荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)