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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【2頁目】
- 753 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 18:01:57.18 ID:FPyLwFj9o
-
九尾の影が離れてから、
歌野が陽乃のもとに来るまで、時間はほんの数十分しか掛からなかった。
陽乃「九尾……また余計な事……」
自然の声に満ちていた病院の外が急激に騒がしくなり、
病院の中にまでその喧騒は広がって、
そうして――なぜか、水都が歌野の腕を掴んで病室へと引っ張りこむ
水都「連れてきたよ!」
歌野「み、みーちゃんったら……一体全体、どうしたの?」
驚きに戸惑い、肩で息をする歌野と、
凄く張り切っている、諏訪の巫女である藤森水都
水都は陽乃の方を見てとても嬉しそうに手を振っているけれど、
陽乃は、初対面だ
陽乃「えぇっと……」
水都「初めまして、藤森水都です!」
歌野「みーちゃん……なんか、変よ? 大丈夫、えっと……何かあった?」
陽乃「……私が呼んできてってお願いしたの」
とっても元気な水都を一瞥した陽乃は、
困惑を隠せない歌野へと目を向けて、ため息をつく
どれだけの付き合いがあるのかは知らないけれど
藤森水都と言う人物の言動に、白鳥歌野が違和感を覚えているのだとしたら
それはきっと、間違っていない
歌野「呼んできてって……」
陽乃「九尾。貴女、藤森さんの観察不足だわ」
水都「え〜? そうかな? うたのんと二人きりの時はこんな感じだったと思うんだけど」
歌野「ノーよ! 全然違うわ!」
水都「そっかぁ……でも、連れて来れたから、オッケーだよね?」
呼ぶこと自体は容易とは、よく言ったものである
- 754 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 18:16:16.52 ID:FPyLwFj9o
-
お茶らけた様子なのは、本当に藤森水都なのか
それとも九尾の悪ふざけなのか、
頭を痛めているような歌野を見た陽乃は、後者だと察して首を振る
陽乃「九尾、もういいから戻って」
水都「何か必要なことがあったら、呼んでねっ!」
そう言い残して、
瞬く間に消えうせる水都を横に見た歌野は、呆然として
おもむろに、陽乃を睨む
歌野「みーちゃんは? 本物のみーちゃんはどこ!?」
陽乃「家にいるか、どこかのお店にいるか、お手洗いか……とにかく、どうにもなっていないはずよ」
歌野を呼んできてとは言ったけれど
こんなやり方をされては、話がこじれるどころの問題ではない
陽乃「大丈夫だから、ほんとうに」
歌野「………」
歌野はしばらく疑わしそうな目をしていたが、
少し考えこんで、軽く頷いてくれた
厳しい表情は、変わらないが。
歌野「あれが、えぇっと……久遠さんの力なの?」
陽乃「私と言うより、私の精霊……って言えばいいかしら。その力ね。惑わすことに長けているのよ」
若葉達がされているように、神々からの加護とは言えない為、
一先ずは精霊として説明する。
ひなたは神獣の類と言っていたので、神の御使いと言っても良かったかもしれない。
- 755 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 18:31:22.30 ID:FPyLwFj9o
-
歌野「……体は、もう?」
陽乃「万全とは言えないけれど、話すくらいは問題ないわ」
長々と話し続けると、
また喉の奥に違和感を覚えて吐血するかもしれないけれど
そう易々と血を吐いたりはしないはずだ
……たぶん。
陽乃「朝のうちに面会に来ると思っていたけど、来なかったから呼ばせて貰ったんだけど……平気?」
歌野「ん〜……平気、と、言えば平気。かしら。色々やりたかったこともあったけど」
そう零した歌野は、
別に久遠さんに会いたくなかったわけじゃない、と、首を振る。
歌野「昨日の夜、目を覚ましてもまだ予断を許さない状態だって言うもんだから、早くてもお昼の方が良いと思ってたの」
陽乃「そう……まぁ、別に来なくても良かったんだけど」
歌野「そんなわけにはいかないわ……久遠さんも、勇者なんでしょ?」
陽乃「さぁ? 戦う力はあるけど……勇者かどうかは微妙なところね」
歌野「え?」
1、それで、これからはどうするの?
2、現状を教えてくれる?
3、私、四国には戻るつもりはないわ
4、ここは、守っていけそうなの?
5、私を戦力として数えるのだけはやめて頂戴
↓2
- 756 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 18:43:11.09 ID:QKq5+CeuO
- 1
- 757 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 18:45:20.96 ID:slGjnfDG0
- 2
- 758 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 19:06:13.52 ID:FPyLwFj9o
-
陽乃「とりあえず、現状について聞かせてくれる?」
歌野「そうね……簡単な説明になっちゃうけど……」
土居さん達に説明したのと同じような話になると前置きした歌野は、
今の四国の現状について、改めて陽乃に話して聞かせた。
元々は4つだった結界の御柱も、今は2つまで減少し、
すでに結界は諏訪湖の東南の一帯を守るのがやっとの状態であること
住民の規模は数十人程度と非常に少ないこと
襲撃は日に日に厳しさを増してきており
近々3つ目の御柱も破壊されてしまう恐れがあること
外部との連絡は、勇者が用いる通信設備でのみ可能であること
それもやや不安定になりつつあること
今は自給自足でどうにか生活を続けていることなど、
四国と比べて、非常に厳しい現実にあることを、歌野は話してくれた。
どうにか明るくしようという声色ではあったが、
その瞳が陰っているのを陽乃は見逃さなかった
陽乃「ならやっぱり、ここの維持は難しいのね」
歌野「ええ。みんなが協力してくれたとしても、日に日に力が衰えていっているらしいから……たぶん」
陽乃「ここで死にたいって人はいるのかしら」
歌野「必ず助かる保証があるわけじゃない。助かっても、すべてを捨てていかないといけない。それが嫌だって人は、やっぱりいるわ」
今なお生きている人の中には、
この地で、大切な人を喪い、弔っている人もいる。
どうせ死ぬなら、そんな相手の眠る場所でともに眠りたいと願うのは、
無理もない話だと歌野は思う。
- 759 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 19:06:48.11 ID:FPyLwFj9o
-
では少し中断いたします
再開は21時頃からを予定しています
- 760 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 19:23:35.09 ID:slGjnfDG0
- 一旦乙
流石に諏訪に残るのは無理そうだな
- 761 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 21:41:56.54 ID:FPyLwFj9o
-
陽乃「そういう人もいるのね」
歌野「久遠さんは、違うの?」
陽乃「違うかもしれない」
陽乃に残っている大切な人は、母親だけしかいない。
母親は四国に骨を埋めることになるだろうけれど、
陽乃は特別、そうでなければいけないだなんて思わない。
あんな場所に骨を埋めたくない
あんな場所で自分のお墓を立てたくない
自分のいなくなったあとのそれが、ハンマーでたたき壊されてしまいそうで。
そうなったら、一緒に眠るかもしれない母が可哀想だ
陽乃「ひっそり、どこかで朽ち果てるのも悪くないって思ってる」
歌野「そんな、怖いこと言わない方が良いわ」
陽乃「本気よ」
歌野「………」
陽乃「そう、まじまじ見つめても。本気なのは変わらない」
- 762 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 21:49:58.01 ID:671IIM9qO
- お母さんまでいなくなったら本格的にヤバい…
- 763 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 22:28:54.38 ID:FPyLwFj9o
-
歌野の視線は訝しむようなものではなく、
とても心配してくれているものだった。
陽乃が演技派の少女でなければ、
今浮かべている笑みは本物だということになる。
本気で、
人知れず朽ち果てることを考えていると言うことになる。
それは、あまりにもあんまりだ。
陽乃「そんな顔、させるつもりはなかったのだけど」
歌野「久遠さん……」
陽乃は優しい勇者を一瞥して首を横に振る
その優しさは、有難迷惑だった
歌野「久遠さん。諏訪防衛の戦いは、基本的に私達で対応するわ」
陽乃「なるほど……私の力のことも聞いたわけだ」
歌野「使えば使うほど蝕まれていくって言ってたのだけど」
陽乃「事実よ」
歌野「だったら、何か大きな戦いでない限り久遠さんは戦わないで欲しいの」
- 764 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 23:04:23.99 ID:FPyLwFj9o
-
陽乃「2人に言えって言われた?」
歌野「ううん……久遠さんの惨状を見て聞いた」
陽乃が着ていた服を血塗れにし、それでもなお吐血している姿を見た
その始まりを目撃してしまった住民の話を聞いたりもして
それがどれだけ酷いものであるのかを知った
あれは、些細なことで起こっていい現象ではない
陽乃「あのおじいさん、トラウマになってたりしない?」
歌野「ええ、大丈夫だったけれど……凄く心配していたから目を覚ましたって教えたら凄く安心していたわ」
凄く、凄く。
それがもしも、四国の人だったなら。
陽乃が吐血しての入院は吉報で、
回復してしまったことは凶報となったことだろう。
歌野は小さく笑って、陽乃の震えている手を握る
歌野「私も……凄く心配したわ。もちろん、みんなも」
陽乃「私、貴女にとってのヒーローか何かなの?」
歌野「どういうこと?」
戸惑う歌野から目を背けて、目を閉じる
陽乃「ちょっとだけ、貴女が小説のヒロインの立場に思えただけ」
歌野「あははっ、なにそれ! 久遠さん、ユニークね!」
- 765 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 23:45:13.89 ID:FPyLwFj9o
-
歌野はとても明るい性格だった。
球子に通じるものがあるほどの賑やかさ
けれども、いや、球子もそうだが
陽乃のことを気遣って、大騒ぎと言うレベルには達しない
歌野「お願いね」
陽乃「いずれにしても、暫くは何にもできないわ」
手を握り返せないし、
ベッドから降りて歩いていくこともできない
それだけ衰弱しきってしまった体
意識があって、言葉を発せて、温かくて、中身が綿以外のもので。
そんな違いがあるだけの、人形のような何か。
なんて……言ったら怒られるだろうか。
陽乃「大人しくしておくから安心して」
歌野「治ってもよ」
陽乃「……それは、あなた達の頑張り次第だと思うわよ」
陽乃はそう言って、小さく息を吐く
そんな、疲れを感じる陽乃を歌野は優しく見守る
歌野「さっきの、良く分からないけど……でも、久遠さん達は私たちのヒーローだと思うわ」
独りで守らないといけなかった3年間
ずっとこのままで、最終的には壊されてしまうのではないかという不安が無いと言えば嘘になる。
だから
歌野「来てくれて、嬉しい……ありがとう」
歌野は気遣いではなく本心で、そう言った。
- 766 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 23:47:04.32 ID:FPyLwFj9o
-
√ 2018年 8月10日目 昼:諏訪
01〜10 球子
41〜50 杏
81〜90 水都
↓1のコンマ
※それ以外は通常
- 767 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/27(土) 23:48:07.99 ID:671IIM9qO
- あ
- 768 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/27(土) 23:53:35.15 ID:FPyLwFj9o
-
ではここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから
- 769 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 00:02:27.54 ID:G4/m29cSO
- 乙
うたのんの暖かい言葉を聞くと諏訪の人たちを是が非でも助けてあげたくなるなぁ
それにしても先祖も子孫もベッドの上で満身創痍な場面が多いこと多いこと
- 770 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 06:41:18.61 ID:cUdHBzkQO
- 乙
四国をあんな場所と呼ぶとは相当トラウマになってるな
- 771 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/28(日) 17:33:14.63 ID:iWKJhhBSo
-
では少しだけ
- 772 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/28(日) 17:33:56.76 ID:iWKJhhBSo
- √ 2018年 8月10日目 昼:諏訪
連行されてきていた歌野も畑の手入れの続きをしなければいけないと席を外して、また一人
もしあれならほかに人が来るまで一緒にいてくれると言ってはいたけれど、それは断った
他にやることがあるなら、そっちを優先して欲しいと言ったのは陽乃だ。
歌野は優しい
球子たちと同じように、陽乃を気遣ってくれている
でもだからこそ、
陽乃にはそれが重かった
その優しさを与える理由に、自分が値するだけの何かを差し出せるとは思えない
歌野は、小規模の戦闘には参加しなくていいと言ってくれた
大規模な……それこそ総攻撃レベルの戦いの為に温存しておきたいらしい
陽乃「過度な期待は困るのだけど……」
総攻撃であっても、
陽乃がいればどうにかなると思われているのだとしたら、
それは誤解だとはっきり断じておくべきだろうか。
全力で力を使えばそれなりの貢献は出来るだろうけれど、
そこまで大きな期待をされても困ってしまう
- 773 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 17:47:13.94 ID:dhmr8vcEO
- きてたか
- 774 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/28(日) 18:36:27.82 ID:iWKJhhBSo
-
諏訪の結界は残り二つ
一つが壊されても、もう一つが壊されなければ完全な侵攻にはならないらしいけれど
一つ壊されたら結界の範囲はまた小さくなる
自給自足の生活をしている諏訪の住民にとって
生活区域がまた狭まるというのは死に直結するような問題だろう
なによりここまで来て
さらにバーテックスの侵攻を許してしまうという精神的なダメージは許容できるものではないと思う
それを考えると、
諏訪の住民は決死の思いで四国に逃げると考える可能性はある
ここで死ぬつもりの人々と
四国に行く人々
そう別れることになったら、歌野はどうするのだろうか
歌野のことだ、自分は諏訪に残り
球子たちに四国に行く人々を護衛して貰おうと考えそうだと、陽乃は思う
- 775 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/28(日) 19:36:08.23 ID:iWKJhhBSo
-
陽乃「……結界は残り二つ、ね」
結界の外を見ても、
ひと固まりだけで40近い数いるバーテックスの一団がかなりの数ある
独りで防衛しきれるような数ではなかったし
あれの半分でも攻めてきていたら結界が持たなかったはず
球子と杏が参戦しても、
結界の一つが破られてしまう可能性はある
時間がない。
はたして、総攻撃までに体の調子を取り戻せるのだろうか
陽乃「結界の要がどうなってるのか知りたいけど……」
知ってどうにかできるとは思えないが、
もし本当に九尾が言うように神様に愛されているのなら、
この地域の神様にも何らかの干渉が出来るかもしれない。
陽乃「諏訪大社……諏訪大社って、祭神は誰だったっけ……」
神社の繋がりで色々と学んだ覚えはあるけれど、
それから離れて3年
色々あって、記憶があいまいだ
自力で動ければ、調べたりもできるが、今は無理だ
1、九尾を呼ぶ
2、休む
3、イベント判定
↓2
- 776 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 19:37:07.44 ID:ymICilyk0
- 1
- 777 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 19:38:02.88 ID:dhmr8vcEO
- 3
- 778 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/28(日) 19:49:00.87 ID:iWKJhhBSo
-
01〜10 九尾
11〜20 球子
21〜30 歌野
31〜40 杏
41〜50 水都
51〜60 看護師
61〜70 バーテックス
71〜80 杏
81〜90 ご神託
91〜00 水都
↓1のコンマ
- 779 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 19:51:06.94 ID:dhmr8vcEO
- あ
- 780 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/28(日) 20:56:38.07 ID:iWKJhhBSo
-
歌野達が作ったという野菜たっぷりな病院食を食べている最中に、扉が叩かれた
「すみません、今大丈夫ですか?」
陽乃「病室を間違えていなければ」
聞き覚えのない声に答えると、
少し間を置いてから、扉が開かれる。
水都「あって、ます……えぇっと、藤森、水都です。久遠さん」
陽乃「藤森さん? 貴女、巫女なのね」
水都「は、はいっ……そうです」
巫女装束を着ているので、
藤森水都と言う少女が巫女であることは、一目瞭然だ
陽乃「何か神託でもあった?」
水都「いえ、その……うたのんから話も出来そうだって聞いたので」
陽乃「なるほどね」
巫女の正装で着たのは、自分が巫女だと分かって貰うための措置だったそうで、
歌野の畑手伝いをしてから
わざわざ一度帰宅して、身だしなみを整えてきたらしい
- 781 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/28(日) 22:34:06.76 ID:iWKJhhBSo
-
陽乃「ついて早々吐血したって聞いて驚いたでしょ」
水都「驚いたなんて話じゃなかったですよ」
陽乃と一緒にいた球子と杏は大慌てで、
最初に陽乃を見たときのお医者様は、
最悪助からない可能性があるだなんていうほどに。
だから、水都も気が気ではなかった。
水都「でも、だからこそ驚きました……あれからたった半日足らずで意識取り戻して、ここまで回復しているんですから」
陽乃「気味悪い?」
水都「いえ、凄いと思いました」
正直に言ってしまえば、異常だ
勇者の回復力は歌野の傍にいる水都は良く分かっているつもりだったが、
だとしても、その比ではない回復力だった。
出血多量によって死んでもおかしくなかったのに
もう、話せるくらいに回復している
それは、確かに気味が悪いと思えなくもない
水都「久遠さんはその回復力が、勇者としての力なんですか?」
陽乃「いえ、違うわ」
水都「誰かを癒す分、自分が傷つくみたいな力とか」
陽乃「全然、違うわね」
- 782 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/28(日) 23:28:04.78 ID:iWKJhhBSo
-
陽乃「もしそんなご立派な自己犠牲特化の力があっても、私は対象外よ」
水都「そうですか……」
そもそも
神々の力は武器に宿る
拳だったり、剣だったり、楯だったり
特定の、超常的な能力を与えるというのは普通ではない
九尾だって、陽乃に与えられた力と言うよりは
九尾自身が持っている力と言う感じだ
陽乃「……この野菜、白鳥さん達が作ってるって聞いたわ」
水都「たぶん、今朝採れた野菜だと思いますよ。新鮮なの食べさせてあげたいんだって、うたのん張り切ってたので」
嬉しそうに話す水都は、陽乃を見て少し迷う
中々上がらない手を震わせて、
どうにか握っているフォークで刺しながら食べている陽乃は
凄く辛そうに見えるからだ
野菜が嫌いというわけではないだろうが……
――カチャンッと、フォークが皿の上に落ちる
水都「あの……良ければ手伝いましょうか?」
1、大丈夫よ。気にしないで
2、じゃぁ、お願いしようかしら
3、そんなことより、神託は受けてないの?
4、貴女、白鳥さんとは仲良いの?
↓2
- 783 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 23:30:20.58 ID:dhmr8vcEO
- 2
- 784 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 23:33:12.46 ID:ymICilyk0
- 2
- 785 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/02/28(日) 23:44:35.94 ID:iWKJhhBSo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 786 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/02/28(日) 23:51:36.71 ID:dhmr8vcEO
- 乙
こういう弱っている時こそ人を頼りにして絆を深めるのが大事だな
- 787 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 02:31:55.89 ID:TCokldgN0
- 乙
休まなきゃだしお話しいっぱいできるな
- 788 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/01(月) 20:24:24.83 ID:qnW33cAQo
-
では少しだけ
- 789 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/01(月) 20:25:02.49 ID:qnW33cAQo
-
陽乃「……じゃぁ、お願いしようかしら」
食事を始めてから、すでに数十分経っている
それなのに、まだ5分の1も食べられていない
フォークで刺して口に運ぶだけでも時間がかかるし、
それを咀嚼するのにも時間がかかる
手伝ってくれるというのなら、手伝って貰う方が良い
このままでは、半分も食べられずに終わってしまう
陽乃「迷惑じゃ無ければだけど」
水都「迷惑だったらそもそも言わないですよ」
皿の上に落ちていたフォークを手に取った水都は、
まだ刺さっているサラダを陽乃の方に差し向ける
陽乃は躊躇わずに咥えて、噛みしめる
水都「ゆっくり食べてくださいね」
陽乃「私なんかの手伝いしてて平気なの?」
水都「うたのんには言ってありますし、私、こう見えても巫女なので」
こう見えても何も、
巫女であるのは明白な格好をしている。
陽乃が小学生時代に見た、
友人が着ていたコスプレの巫女衣裳のような物ではない
ほんとうに、ちゃんとした装束だ
水都「久遠さんが完治するまでは、お世話させてください」
- 790 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 20:31:47.21 ID:0E+tKQ8VO
- 久々に尊いシーン
- 791 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/01(月) 20:43:56.58 ID:qnW33cAQo
-
陽乃「本気で言ってるの? 何もできないわよ。私」
着替えも、お手洗いも、入浴も
何一つ、今の陽乃には自力で出来ない
食事だって、かなりの時間をかけなければいけない。
常人離れしている回復力とはいえ、明日には万全と言うわけにはいかないだろう。
伊邪那美命の顕現による身体的ダメージは、2日経っても完治しなかった。
それが治る前に、
上乗せで酷使したことによる後遺症は、どれだけ時間がかかるか。
水都「大丈夫です。それをサポートするのも巫女の役割なので」
陽乃「そう……貧乏くじを引いたわね」
水都「いえ、そんなことは」
水都はまだ子供で、女の子で、陽乃をどうこうできるほどの力もない。
食事を与える、着替えを手伝う……させられて、この程度だろうか。
陽乃は少し考えて、水都を見る
諏訪の勇者、白鳥歌野
諏訪の巫女、藤森水都
勇者が歌野一人であることは聞いていたが、巫女も一人きり。
大社のような組織が無いのが幸いだろう。
水都「私に出来るのは……このくらいですし」
陽乃「このくらいも、私は出来ないけどね」
- 792 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/01(月) 20:51:36.53 ID:qnW33cAQo
-
水都「あっ……っ……すみません」
陽乃「別に謝らなくていいわよ。ただの皮肉だから」
自分に出来るのはこのくらいしかない。
それは諦めと言うよりも、自信のなさの表れだろうか。
水都が嫌味ではなく、
ただ本当に自分にはそれくらいしか役立てないと思っているからこその発言だと分かっているが、
陽乃には、そんなことは関係ない。
事実、陽乃は食事さえまともにできない。
着替えも入浴も……お手洗いにだって行くことが出来ないからそれも手伝いが必要だ
水都「……」
陽乃「2人からどう聞いたのかは知らないけど、私は基本的に役に立たないって思っておいて」
水都「えっ?」
陽乃「到着早々血を吐いて気絶するし、力を使えばまた血を吐くし、治ったと思えばこんな状態だし。ね? 役に立たないでしょ?」
水都「それは……力を使ったからじゃないですか」
陽乃「使えばこうなるんだから、使えない。使えないから使えない。だから、あんまり期待しないで」
水都は陽乃のことを良く知らない
だから、陽乃が自分を気遣ってくれているのかもしれないと思うし、
そうではなく、本当に自分を役立たずだと思っているのかもしれないとも思う
表情から、その判断材料は得られない
- 793 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/01(月) 21:05:09.96 ID:qnW33cAQo
-
水都「でも、久遠さんが二人をここに連れてきてくれたんですよね?」
陽乃「連れてきたというか、付いてきたというか」
水都「どっちでも、ここに来てくれたことに変わりはないです」
ご飯をお箸で摘まんで差し出しながら、水都は言う。
水都「お陰で、もう少しだけ頑張れます」
杏と球子が歌野に協力することで、結界への影響が減らせる
球子と杏は四国の勇者であるため力の根源が違うから、
諏訪の神の力が弱くなっていても、影響がない。
被害0は出来ないかもしれないし、
このまま諏訪を残し続けることが出来るとは思っていない
それでも、歌野一人よりはずっといい
水都「久遠さんって、代償が重い分強い力を持っているんですよね?」
陽乃「普通よりは強いと思うけど……やめてよ? 期待なんて」
水都「………」
陽乃はそう言うが、
一緒に来た杏や球子は一騎当千の力があると言っていた
評価が180度変わっているから
どっちかが嘘を言っているのかもしれない。
だとしたらそれは……
水都は陽乃を見て、箸を運ぶ手を止めた
水都「久遠さん、どうして。そんなに自分を卑下するんですか?」
1、貴女に話すことじゃないわ
2、別に。事実を語っているだけよ
3、期待されたくないし頼られたくもないからよ
4、守れなかったものがたくさんあるからよ
↓2
- 794 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 21:07:27.13 ID:0E+tKQ8VO
- 4
- 795 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 21:10:29.66 ID:63WYk73N0
- 4
- 796 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/01(月) 22:05:07.34 ID:qnW33cAQo
-
陽乃「そうねぇ……」
別に聞かれたからと言って答えてあげる義理はない。
適当なことを言ってもいいし拒否したって良いだろう
陽乃は水都の動かない手を見て、ため息をつく
水都が手を止めたら、陽乃もお預けをくらってしまう。
陽乃「守れなかったものがたくさんあるからよ」
水都「守れなかったもの……」
水都は繰り返すように呟いて、目を伏せる
勇者である陽乃が守れなかったと言うモノ
自分を卑下するようになるような何か。
水都「………」
陽乃「そんな考えなくても、聞かれたら答えるわよ。早く食べたいし」
水都「へっ? あっ、す、すみませんっ!」
慌てて差し出してくれたおかずを咥えて、軽く噛む
思った以上に慌てさせたのか、
次を摘まんでいる水都を見た陽乃は、早めに飲み込んで
陽乃「たくさん、目の前で死んじゃったのよ……3年前。藤森さんだって経験があるんじゃない?」
- 797 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/01(月) 22:47:19.06 ID:qnW33cAQo
-
水都「それは……」
経験はある。
勇者ではなかった水都は、
目の前で襲われる人々を助ける術を持っていなかった
逃げてくる子供を庇ったりすることはできたけれど、それだけ。
けれど、水都はバーテックスを倒すことなんて出来なかった
自分には元から力の及ばないことだと諦めがついてしまっていた
でも、陽乃は違う。
守れる力があって
それでもなお、目の前で奪われてしまったのだとしたら
それは、どんなにか……
水都はそこまで考えて、歯を食いしばる。
水都は自分の弱さを知っている
いいや、自分の弱さしか知らない
水都「………」
陽乃を見る
腕は上がらず、足も動かない
咀嚼だって辛そうで、飲み物を飲むのだって一苦労
そんな状態にならざるを得ないほどの代償を払う力を持っている陽乃はきっと、
四国の勇者が言うように値千金の力を持っているに違いない
だからこそ、守れなかった後悔は重いのかもしれない。
そんな人に、口出しできるような立場では――ない。
- 798 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/01(月) 23:25:06.65 ID:qnW33cAQo
-
↓1コンマ判定
01〜52 水都「守れなかったからこそ、守れるようになるんじゃないですか?」
※ぞろ目 特殊
- 799 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 23:26:25.46 ID:cpGD6QmfO
- あ
- 800 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/01(月) 23:36:50.99 ID:qnW33cAQo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 801 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 23:52:14.44 ID:12KJDdz/O
- 乙
みーちゃんがまさかの初対面からの自己主張するとは…
あと陽乃さんもだんだん反応が素直になってきた気がする
- 802 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/02(火) 00:29:07.85 ID:X3iVKvi+0
- 乙
よくやってくれた
- 803 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 20:21:31.55 ID:3VSruPD+o
- では少しだけ
- 804 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 20:22:19.94 ID:3VSruPD+o
-
水都にはバーテックスと戦うための力がない
陽乃の痛みを知らないし、苦しみを知らないし、辛さを知らない。
それと同等のものを与えられることだって、きっとない
だから、自分には何も言う資格がないことくらい分かっている。
けれど――
水都「……守れなかったからこそ、守れるようになるんじゃないですか?」
陽乃「貴女――」
水都「分かってますっ! 分かってます……ただの一般人みたいな私が、そんなこと言う資格がないってことくらいっ」
陽乃が何かを言う前に水都は遮る
叫ぶように声を張って、お箸を握りしめて、
顔を上げたいのに……上げられなくて。
あぁやっぱり、自分は弱いと思いながら……吐露する
水都「でもっ……でも……守れなかった後悔があるから、次はもう失いたくないって気持ちになるんじゃないんですか?」
それはたぶん、希望だ。
歌野が見せてくれる、勇者としての力強さ
与えてくれる勇気は野菜を育む空の輝きのように温かく、
水都にとっては、それはこれ以上ないほどに特別だった。
なのに
同じ勇者であるはずの陽乃は、しかし、そんなものは感じられない。
自分の力を信じていない。
役に立たないと切り捨てて、期待しないでと笑って、
自分は何も特別なんかではないと言い切っている。
謙遜なんてものではなく、完全に自分と言うものを認めていない。
それは……水都が自分にしているものと、ほとんど同じものだ
- 805 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/02(火) 20:24:35.58 ID:V+U+FMZiO
- よしきた
- 806 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 20:37:30.85 ID:3VSruPD+o
-
勇者であるはずの人が、
一般人である自分と、何も変わらないなんてそんなわけがない。
多くを守れなかったと陽乃は言った
それが嘘だとは思えない。
それで挫折してしまったのかもしれない。
だとしても――そこで折れては欲しくない。
水都「久遠さんは、本来数日かかるはずの距離をたった半日で踏破させられる力を持っているんです」
それだけじゃない。と、水都は呟く
水都「同行したお二人は、久遠さんに一騎当千の力があると言っていました」
陽乃「そんなことないわ」
水都「あるかもしれないじゃないですかッ!」
陽乃「っ……」
水都がいきり立って、テーブルが揺れる。
危うく飲み物が落ちそうになって、反射的に動いた体の痛みに陽乃は思わず呻く
そんな陽乃を水都は見て、顔をしかめて、首を振る
水都「久遠さんは、私と似てます……色々あって自信がなくて周りからの評価を素直に受け止めることもできない」
なのに、こんなことを言うなんてどうかしている
自分が信じられていないのに、ほかの人には信じろなんてあまりにも勝手だ。
けれど、でも、
同じように感じられるからこそ、水都は願わずにはいられなかった
水都「そんなままじゃ、きっと……守りたいものも守れなくなっちゃう……」
- 807 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 20:47:22.13 ID:3VSruPD+o
-
水都は、守りたくても守れない。
勇者として戦う歌野を水都は守りたい、助けたい
けれど、そうする力が水都には与えられなかった。
向かっていく背中を見送って、
傷だらけで帰ってくる体を支えてあげるくらいしか、自分には出来ない。
その傷の治療も出来ない
歌野が言う、日常の中の一つとしてそこにいることだけが、水都の出来ること。
巫女としての役目なんて、大した内容でもない
だから、思う
水都「戦う力があるのが羨ましいです……守りたいと思えば守れる力が羨ましいです……なのに」
陽乃「………」
水都「そんなに卑屈になっている久遠さんが……妬ましいですっ!」
陽乃「……そう」
陽乃は、偶然力を与えられたわけではない
そこに力を与えてくれる何かがいて、
力を得るか得ないかを選ぶ権利が陽乃にはあった。
選ばなければ死ぬしかなかったのかもしれないが、
それでも、力を得ないという選択は、確かにそこに存在していた。
けれど、陽乃は力を得た
――なぜ?
陽乃「私に何があったかも知らないで、羨ましいだの妬ましいだの。そのお気楽な頭の方が私にとっては羨ましいわよ」
- 808 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 21:02:18.24 ID:3VSruPD+o
-
水都「っ」
陽乃の声は、さっきまでのが猫を被っていたのではないかと思うほどに、冷たかった
言葉選びも厳しくて、怒らせたのではないかと水都が震えてしまうほど。
けれど、言っていることは間違っていないと水都は思った。
境遇がまるで違う。
多くの命を守りたくても守れなかったのなら、
それでも……なんて、立ち上がることなんて簡単な話ではない。
なにより、陽乃に何があったのかを水都は知らない。
だから、自分勝手な理想を押し付けてしまう。
水都「……でもっ……私は……」
陽乃「謝罪、しないのね」
水都「え?」
陽乃「ほんの30分足らずで貴女に3回は謝られたものだから、てっきりすぐに頭を下げるものだと思ったのだけど」
陽乃の声色は素っ気ない
知人どころか、どうでもいい赤の他人と話しているかのような感じだ。
水都は少し悩んで、陽乃を見る
水都「だって……久遠さんには自信を持って貰いたいから」
陽乃「どうして?」
水都「それは……」
陽乃「ここまで来たなら躊躇わないでよ」
一度口を閉じたのを見て、陽乃は小さく笑う。
ここで言うのを止めようが止めまいが、もう遅い
それなら言いたいことはすべて言ってしまうべきだ
何度も謝るような性格でありながら、ここまで主張したのだから。
水都「……また守れなかったら辛いじゃないですか」
- 809 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 21:32:19.19 ID:3VSruPD+o
-
血を吐いて気を失う……そんな、命にかかわるような代償を必要とする力を使って
数日かけて来たら良い距離を、半日で突き進んできた。
それだけでなく、
3年前の大災害のことを今でも気に病んで、抱えて、苦しんでいる
陽乃は優しい人なのだろうと、水都は思う
優しいから、忘れられない
あの日に響き渡った悲鳴も、
欠損した身体の一部も
すぐそこにいた人が消え去ってしまうあの光景も
そのすべてを忘れることが出来なくて
それを救えるだけの力が自分にはあったからこそ、諦めることが出来ない
だから、期待して欲しくない
自分がそれに応えてあげられる自信がないから
その人々から伸ばされた手を全て取れる自信がないから
それらが自分の手から零れ落ちていく恐怖を、忘れられないから。
――全部妄想だ。
だけど……。
水都「自信がないと100%の力を発揮できないって聞いたことがあるので……もしそれでまた守れなかったら、久遠さんが辛いと思って」
陽乃「………」
水都「さっき、久遠さんは対象外だって言ってましたけど、久遠さんのそれこそまさに自己犠牲で成り立っている力じゃないですか」
水都は考えて、でも躊躇わない。
言いたいことは、一つだけ。
水都「久遠さんは優しい人だと思うから、これ以上……変な迷い方をして欲しくないんです」
どこまでも壊れていく可能性を水都は知っている。
歌野と出会わなかった自分の末路こそがそれだと、今もまだ恐れている
だから、水都は言う。
水都「その体を無暗に犠牲にしていく姿を、誰も見たくないと思います」
1、言ってること、全然分からない
2、優しい? 私が? まさか……
3、何も知らないくせに、勝手なこと言ってくれるじゃない。
4、そんな人、いないでしょ
5、私、人を殺して逃げてきたのよ
↓2
- 810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/02(火) 21:34:05.77 ID:V+U+FMZiO
- 2
- 811 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/02(火) 21:46:10.25 ID:xZvXvhE50
- 3
- 812 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 23:24:31.27 ID:3VSruPD+o
-
陽乃「何も知らないくせに、勝手なこと言ってくれるじゃない」
水都「っ!」
陽乃「貴女と私が同じ? 守れなかったら辛い? 優しい人? 馬鹿なこと言わないで」
手足が出せないのが辛いが、
寧ろ出せなくて良かったのではと、思う
出せてしまったら、
目の前のテーブルに置かれているものすべてを薙ぎ払っていたかもしれない
陽乃「私はね? 期待されたくないの。分かるでしょ? 手のひらを返されるのが嫌なのよ」
水都「手のひらを返されるって……」
悪い方向ではなく、いい方向に
評価が変わったのを実際に目にした水都は、
陽乃はその逆を経験したのかもしれないと……目を見開く
水都「久遠さん、もしかして」
陽乃「そうね。手のひら返しをくらったわ。自慢にもならないけどね」
水都「そんな……」
陽乃は笑っているけれど、
決して面白い話なんかではない
沢山のものを守れなかった
その結果、手のひら返しをくらったのだとしたら……それは
水都は首を振って、歌野のことを考える
歌野が率いてきた3年間
いつ死んでもおかしくなくて、覚悟をしてて
どんな辛い目に遭っても、人は必ず立ち上がれる。なんて志までも抱いて
だから、きっと。
水都「私達はそんなことしません……何があっても、戦ってくれたみんなのことを、絶対に責めたりしません」
陽乃「あなた一人のそれは、ここに住むみんなの言葉だって言えるの?」
水都「それは……」
言えない。
そんなわけがない
黙ってしまった水都を一瞥して、陽乃は小さく息をつく
そんな保証なんて、どこにもないのだ
- 813 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/02(火) 23:33:02.52 ID:3VSruPD+o
-
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/02(火) 23:45:58.07 ID:V+U+FMZiO
- 乙
陽乃さんのネガティブ思考がみーちゃんよりも遥かに上回ってるな
せめて明確に味方してくれてる人だけでも信じてあげて欲しいけど…
- 815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/03(水) 00:40:54.32 ID:g1HXYBCH0
- 乙
いろんな人にメンタルケアしてもらおう
- 816 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 21:32:39.44 ID:jpagfzUMo
- では少しだけ
- 817 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 21:33:19.40 ID:jpagfzUMo
-
勝手なこと、馬鹿なこと
確かにそうだ
諏訪に構築されている結界の内部に住んでいる全員の言葉を代弁できるような立場でもない。
陽乃は手のひら返しをくらったといった。
煩わしく思って、嘘をついたのかもしれないと水都は頭の片隅に備えながらも、
それを疑ってしまったら……と、息を飲む。
水都「でも……一人くらい、自分の味方がいるって信じてみませんか?」
目を逸らす。
水都自身、まだそれを出来ていない。
唯一の友人で、味方と言える歌野の言葉ですら "歌野がいるから" と切り捨ててしまっている。
でも、それを信じられたら
歌野の言葉を信じて、少しでも自分に自信を持つことができれば
俯かずに、せめて、前を向くことができたのなら。
きっと、何かが変わるはず。
水都「伊予島さん、土居さん、うたのん……それと、私も。少ないですけど……でも、私達は絶対に責めたりしません」
水都は、真っ直ぐ陽乃を見つめる
陽乃の視線が自分へと向けられていても――逸らさない
水都「これは、絶対だって言えます」
- 818 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 22:45:49.94 ID:jpagfzUMo
-
陽乃「………」
水都の瞳は、さっきまでと打って変わって力強い
まるで、覚悟を決めたかのよう
自分の言葉が間違ってはいないと、
みんなを信じているかのよう
陽乃「そう……」
水都「ダメ、ですか?」
陽乃「私が決めることじゃないもの。ダメも何もないわ」
水都「そういうことじゃなくて……」
陽乃が言っているのは、
責めるかどうかについてだろう。
水都が言っていることはそうではないと分かっているだろうに、
あえて、そっちを言う
水都「信じて貰えませんか?」
陽乃「貴女達を?」
水都「はい」
- 819 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 23:40:54.91 ID:jpagfzUMo
-
陽乃はすっかり止まってしまった水都の手を一瞥して、
水都の目を見つめる。
さっきまでは伏せることもあった目は、まっすぐ見つめ返してくる
手のひらを返されるのが嫌だと陽乃が言ったから
そんなことは絶対にしないと、水都は示したいのだろう
そして、それを信じて欲しいと言う
諏訪の人は、陽乃の評判を知らない
生贄となるべきだったことも
そうしなかったから惨劇が起きたと責められていることも
人を殺してしまったことも。
陽乃「……無理よ」
水都「どうして……どうしてもですか?」
今度は、陽乃が目を伏せる
無理なものは無理だと
そう言ったところで、水都は引き下がってくれるだろうか?
1、無理だからよ
2、どうしてもよ。諦めて
3、じゃぁ……私が人を殺していても、同じことが言える?
4、貴女が何も知らないからよ
↓2
- 820 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/03(水) 23:42:25.45 ID:dD1iaF+3O
- 4
- 821 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/03(水) 23:43:12.83 ID:S0va8D6C0
- 3
- 822 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/03(水) 23:44:16.74 ID:jpagfzUMo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 823 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/03(水) 23:53:55.28 ID:dD1iaF+3O
- 乙
みーちゃんが陽乃さんのために凄い踏ん張ってくれてる…
あとは真実を知ってもなお説得しきれるかだな
- 824 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 01:48:03.42 ID:xHMLsfEnO
- 乙
これからが本番だな
- 825 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 21:36:16.76 ID:W+qS3eyUo
-
では少しだけ
- 826 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 21:36:52.73 ID:W+qS3eyUo
-
正直、驚きだった。
水都は陽乃が眠っているところを見たかもしれないが、
言葉を交わすのは今日が初めてだ。
前知識も何もなく、力を使えば血を吐いて失神する役立たずだと思うべきだった
なのに、水都は執拗に詰め寄ってくる
守れなかったからこそ守れるようになる。なんて言って
羨ましいだの妬ましいだの言って
果てには自分を信じて欲しいとまで言う。
球子や杏も強引ではあったけれど、水都は少し違った強引さがある。
陽乃は溜息をついて、水都を睨む
陽乃「じゃぁ……私が人を殺していても、同じことが言える?」
水都「え……」
陽乃「守れなかったからとか、そういうのじゃなくてこの手で殺してても言える?」
水都「久遠さんが?」
陽乃「ええ。攻撃の流れ弾とかでもないわよ? ほんとうに、私の意思で人を殺したの」
水都「っ……」
嘘だと思いたい
そう思っているのが感じられるほどに困惑している水都
自分の意思で人を殺したと言われては、流石に動揺も隠せない
- 827 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 21:38:04.19 ID:sFO9GHV8O
- かもん
- 828 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 21:52:56.68 ID:W+qS3eyUo
-
↓1コンマ判定
ぞろ目 または70〜80 水都「それでも、責めたりしません」
- 829 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 21:55:41.70 ID:wwJ4KB0Q0
- あ
- 830 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 22:01:39.08 ID:sFO9GHV8O
- みーちゃん快進撃
- 831 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 22:09:41.74 ID:W+qS3eyUo
-
水都「それでも、責めたりしません」
陽乃「は?」
水都「………」
人を殺したのが、本当のことだとして
もしかしたら知っているかもしれないけれど、
球子と杏がそれを知らないとして
それでも水都は信じたいと思った
水都「久遠さんに何があったのかは知りません。でも、だからこそ……なにか、そうしないといけない理由があったんだって思います」
陽乃「無かったら?」
水都「無かったら、久遠さんには自分を代償にするような力なんてなかったと思います」
陽乃「力を得た後に殺したのよ?」
水都「殺すような人じゃないから、勇者に選ばれて……そんな人だからこそ、人のために身を削るような力を与えられたんだと思います」
贖罪の為に、そんな自己犠牲を必要とする力を与えられた可能性だってもちろんあった。
けれど、水都はそう考えない
元から人を傷つけるような人は勇者にはなれないと信じる
水都「信じます」
- 832 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 22:36:24.99 ID:W+qS3eyUo
-
陽乃「っ……」
諦めると思ったのに
言葉を失って、終わってくれると思ったのに
なのに、水都はより一層堂々とした態度で答えた
何も知らない
だからこそ、いい方向に考えたいから信じるって繰り返して
確かに、理由があった。
そうしなければならなかったかはともかくとして
そうしなければ別の、陽乃ではない誰かが傷ついていたかもしれなかったから。
けれど、水都は知らないはずなのだ
球子と杏から聞いていれば
ここに至るまでにそれらしい反応をしているはずだから、絶対に。
なのに。
1、馬鹿じゃないの?
2、私は人を殺したのよ!?
3、……嫌
↓2
- 833 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 22:39:10.76 ID:sFO9GHV8O
- 1
- 834 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 22:39:38.52 ID:M75hbQ1E0
- 2
- 835 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/04(木) 22:46:56.15 ID:W+qS3eyUo
-
ではここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
- 836 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 22:56:10.54 ID:sFO9GHV8O
- 乙
あの頑なな陽乃さんを逆に動揺させるとは…
このまま陽乃さんの心を救えるといいな
- 837 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/04(木) 23:04:49.81 ID:M75hbQ1E0
- 乙
みーちゃんとかいうはるのんの精神安定剤
長野に来たかいがあったな
- 838 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 00:56:13.17 ID:h9RbeiYZO
- 乙
対応がめちゃくちゃイケメンで笑った
- 839 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 20:41:59.72 ID:lJdzeDhLo
-
では少しだけ
- 840 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 20:42:27.73 ID:lJdzeDhLo
-
陽乃「私は人を殺したのよ!?」
思わず声を張り上げてしまう
喉を酷使するような感情の昂りに痛みを覚えて、陽乃は顔をしかめる
陽乃「っ……げほっ……っ……げほっ」
水都「久遠さんっ!」
陽乃「触らなっ……けほっ……かひゅっ……」
水都「嫌です……」
もう迷わない。
躊躇う必要だってないと、水都は陽乃の身体を抱きしめる
陽乃の口元を拭った袖口が赤く染まっていく
水都「嫌です……ごめんなさい」
陽乃「っ……けほ……ごほっ」
陽乃の瞳に涙が浮かんでいるのは、咳き込む息苦しさからかもしれない。
けれど――
感情的な叫びは
それを携えた辛そうな表情は
水都にも無視できるものではなくて。
水都「久遠さんのことは、諦めません」
陽乃の背中を擦り、撫でて……もう一方の手でナースコールを押す
大声を出したせいではあるが、血を吐いた以上は呼ぶべきだ
- 841 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 20:53:57.70 ID:Gd//VFq5O
- このみーちゃん強い…
- 842 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 20:59:50.93 ID:lJdzeDhLo
-
陽乃「ぅ……けほっ……」
水都「横になってください」
抱きしめながらベッドを操作して平らにし、
ゆっくりと陽乃の体を寝かしていく
口元を拭って、拭って、血に汚れた肌をきれいにする
陽乃「私……」
水都「良いんです……そんな、無理矢理に一人にならなくても」
人を殺してしまったことなんて、
ここでは言われなければ知ることなんて出来なかっただろうし、
もし四国に逃げ伸びたあとで赤の他人から言われても、信じることだってなかったと思う
だから、自分から言う必要はなかった
なのに、陽乃は自分から言って、叫んで、苦しんで。
それほどまでに人を拒もうとした
それだけ嫌な思いをしたのだと水都は思う
陽乃の希望に沿うなら、離れるべきかもしれないけれど
それではきっと、報われないだろう
――それでいいはずがない
信じてくれる人のありがたみを、水都は知っている
たった一人でも味方がいてくれることの安堵を知っている。
それを受け入れなければどうなるかを知っている。
それは、陽乃がなるべきものではないと断言できる
水都「私は絶対、久遠さんを信じますから」
水都はそう言って、
看護師が到着するまでずっと、陽乃の手を握り続けた
- 843 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 21:28:57.25 ID:lJdzeDhLo
- √ 2018年 8月10日目 夕:諏訪
05〜14 歌野
27〜36 杏
41〜50 球子
52〜61 九尾
↓1のコンマ
※それ以外は通常 (水都)
- 844 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 21:31:37.14 ID:Gd//VFq5O
- あ
- 845 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 22:38:50.47 ID:lJdzeDhLo
- √2018年 8月10日目 夕:諏訪
昼からまた体調を崩した陽乃が目を覚ましたという連絡を受けて、
歌野が陽乃のいる病室へと訊ねてきた。
杏と球子のどちらか
あるいは両方が来るかと思っていたけれど
来たのは歌野だった
歌野「みーちゃん、大丈夫?」
水都「うん。私は全然大丈夫……久遠さんはお話は控えるようにって言われちゃってるけど」
歌野「そう……伊予島さん達は四国の方の現状説明を大人たちに要求されちゃってね。抜けられなかった」
陽乃「別に、聞いてない……」
陽乃の枯れてしまっている声に、歌野は顔を顰める
朝よりも少し、悪いように感じたからだ
歌野「大丈夫?」
陽乃「…………」
陽乃は力なく頷くだけで、目を向けようとはしない。
一緒にいる水都にも目を向けないし、
死に際のように、ゆっくりと瞬きをするだけ。
それが不安になったのか、歌野は一瞬躊躇って口を開く
歌野「良ければ、2人を連れてくるわ……説明も大変そうだったし」
- 846 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 22:57:10.35 ID:lJdzeDhLo
-
陽乃が比較的心を許せるであろう、四国から連れてきた二人。
自分達よりも杏や球子の方が良いのではと考えた歌野の気遣いだろう
けれど、陽乃はうんともすんとも言わずに、
歌野を一瞥して、瞬きする
歌野「えぇっと……じゃぁ、歌とか歌ってあげましょうか?」
水都「うたのんっ、しーっ」
歌野「み、みーちゃん……」
陽乃は大した反応を示してくれないし
水都はちょっぴり騒がしい歌野に困った顔を浮かべる
自分は来ない方が良かったのかも。なんて、
歌野は少ししゅんとして椅子に腰を落ち着ける
歌野「そうね……そうよね。ごめんなさい。静かに休みたいわよね」
陽乃「さっきまで……寝てたのだけど」
水都「でもだからって、起きたりしたらダメですよ」
歌野「………」
朝とは雰囲気の違う水都
陽乃に向ける表情も柔らかい
何があったのか気にはなるものの……ここで聞くのは間違いだろうか。と、首を振る
- 847 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 23:05:58.06 ID:lJdzeDhLo
-
歌野「子守歌だと思って、聞いておいてね」
歌野はそう前置きをして、
小さく、ゆっくりとした柔らかい声で話し始める
歌野「一応、四国に移住できる可能性があることを話したの」
水都「……それで?」
歌野「ん〜……行きたい。って強く思ってる人は少なかったわ」
どうしようもなければ、そうするのも一つの選択肢
けれど、
出来るだけ、ここに残りたい
出来るのなら、ずっとこの場所で生きていきたい
そういう人がほとんどで
まだまだ、諦める気のない人たちばっかりだったと、歌野は小さく笑う
それは嬉しいことではあるけれど、
限界が見えてきているのを察しているからか、喜べるものでもないらしい
水都「そうなっちゃうよね」
陽乃「………」
1、黙っておく
2、休む
3、貴女達は、どうしたいの?
4、馬鹿な人たちね
↓2
- 848 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 23:09:19.22 ID:kuGD92ex0
- 4
- 849 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 23:11:08.31 ID:Gd//VFq5O
- 3
- 850 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/03/05(金) 23:17:37.79 ID:lJdzeDhLo
- ではここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
- 851 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/05(金) 23:30:56.08 ID:Gd//VFq5O
- 乙
諏訪組二人は最初から好感度高めな対応でありがたく感じるな
特に今作のみーちゃんの精神的な頼もしさよ
- 852 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/03/06(土) 00:08:24.50 ID:f0FSxTgFO
- 乙
いい方に風向きが変わってきたな
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