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【鯖鱒wiki】ふたたび坂松市で聖杯戦争が行われるようです【AA不使用】2スレ目
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1 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/07(日) 23:22:43.22 ID:o6ttuLRa0
【坂松市の第二次聖杯戦争、三つのあらすじ】
【御三家であるルゥナは、ランサーと共に家に聖杯を持ち帰る為に聖杯戦争に身を投じる】
【様々な行動を経て親友となった少々森が、敵であるロベルトにさらわれてしまった】
【彼女を取り戻す為にアーチャー、キャスターとの同盟を組んだルゥナは、襲い来るライダーを辛くも撃破したのだった】
【前回のスレ】
https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssr/1599975655/
【こちらは鯖鱒wiki】
https://w.atwiki.jp/ssfate/sp/
2 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/07(日) 23:25:25.83 ID:o6ttuLRa0
【本日はスレ建てして終了】
【しばらくは忙しくなりそうなので……また土日にやれたらと思います。すみません】
3 :
◆6QF2c0WenUEY
[sage]:2021/02/08(月) 19:25:27.70 ID:6uGXAN5r0
【忘れてました。ご指摘ありがとうございます】
【雑談所】
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12368/1604587118/l30
4 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/14(日) 23:19:32.84 ID:fyYtjEef0
「ほーん。負けたのか、ライダー」
明るい部屋の中、骨のサーヴァントは間の抜けた声で返答する
意外なのか。と問われると、カタカタと身体を振るわせてニッカリ笑う
「意外っちゃ意外だな。あれは今回で別格だ」
「一人だけレベルが段違いに高いからな。複数が相手でも無理だろうと踏んでたんだが」
「わからんもんだな。ま、だからこそ面白いってもんか」
一頻り話を終えると、ベッドに眠る少女の顔を覗き見る
安らかな寝顔だが、対称的に骨のサーヴァントは苦々しげに顔を歪めた
「……まあ、それはそれとして。どうしたもんかね。こいつは」
「ん?拐ってきたのはお前だって?細かい事を気にするなよ。カルシウム不足してないか?」
「オレはカルシウム100%のストロングボディだからな。常に優雅たれ。ってな」
「……ん、んぅ」
「おっと……起きそうだな。後はお前さんに任すとするか」
「オレか?オレはまあ……サボりだ」
部屋を出ていく骨は、外に吹く風に流れる様に消えていく
まだ二騎しか落ちていない……まだ、動くべきではないと信じながら
5 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/14(日) 23:20:48.97 ID:fyYtjEef0
「おはようございます!久しぶりっすね姫!」
「……って、少々森はいないんですね?ったく、サボり過ぎだろ!不良か!」
「それだとルゥナも不良になるだろ……」
ライダーは倒した。だが、それが少々森へと手がかりにはならない
曰く、向こうはアサシンの指示によって此方を倒しに来たらしいが……
「……はぁ」
「どうかしましたか!?何か悩み事でも!?」
「あるけど、あんた達じゃどうにもならないし言わないわよ?」
「ふーん……まっ、デリケートな問題そうだしな。行こうぜ縦島」
「嫌じゃーーー!俺は欠乏した姫成分を補給したいんだよーーー!」
「この変態野郎!セクハラだぞそれ!?」
ぎゃあぎゃあと騒がしい二人が退場して、少し思考に余裕が生まれる
少々森を拐ったのはロベルトだ。更に市長は彼との繋がりが存在している
つまり、どうにかして市長をなんとかすれば、自ずとロベルトも出てくる訳で……
「……まあ、それが思いつけば苦労しないわ」
「大変そうだね〜。頑張れ!」「あんたも少しは考えなさい」
ランサーからの軽い声に返答しつつ、どうにかならないかと思案する
黙々とした長考は、肩を叩かれた事で一時中断するのだった
「何よ。あたしに何か……え?呼ばれてるですって?誰によ」
「あら?随分と酷い事を言うのね。私と貴女の仲じゃない」
入ってきた人物は、馴れ馴れしく肩に手を回す
しかめっ面で顔を確認したルゥナは、その意外な相手に驚きを隠せずにいた
「……ティファ!?なんであんたが!?」
6 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/14(日) 23:33:13.47 ID:fyYtjEef0
「ライダーが敗北した?」
時は少し遡り……深夜、禍門邸にて状況を俯瞰するアサシンと市長
彼らはライダーをけしかけて、アーチャー陣営を殲滅せんと目論んでいたのだが……
その表情はあまりにも無情。無関心な声色は、彼の進退は最初からどうでも良かったのだろう
「奴が負ける理由は思いつかないが……大方、令呪を総動員したのだろう」
「ならば、寧ろ好都合か。連中はもう虫の息に近いだろうからね」
「冷静ですね!ライダーは我々の理念に共感を示した同士ではありませんか!」
「いいや。あれは誰かの言葉で動く様な存在ではない……私の宝具も、どこまで効いたものか」
「そこまで悲観する事はありません!次の手は既に打ってありますので!」
「ええ、既にね……!」
不敵に笑う市長の目は笑っている。勝利を確信した表情で、チェスの駒を弾く
その掌の中で蠢く陰謀に思想を馳せながら、身につけたスーツの襟を正すのだった
7 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/14(日) 23:40:41.32 ID:fyYtjEef0
「……それで?どういう風の吹き回しよ」
「あたし達を殺そうとしたのはあんたでしょうが。ライダーが負けて心が折れたのかしら?」
「そういう貴女こそ。幾つ令呪を使ったの?もしかして、もう無くなったかしら?」
「誰のせいだと思ってんのよ!!」「どうどうルゥナ……」
人目につかない場所に移った二人。ルゥナは目の前のティファを強く詰問する
その剣幕をのらりくらりと交わしつつ、怒りを滲ませるルゥナに言葉を掛けた
「まず、訂正して貰うわ。……ライダーの襲撃は私の指示では無いの」
「アサシンでしょ?けど、あんたとアサシン陣営は手を組んだんなら話は別よ」
「その話は複雑なのだけど……一つ、私から提案するわ」
「ルゥナ。貴女はガイスロギヴァテスの為に聖杯を持ち帰ろうとしているのよね?」
「そうよ。それがどうしたのかしら?」
「聖杯のデータを私に提供するなら……」
「この聖杯戦争の間。ロシュフォール家当主の私が補佐してあげてもいいわ」
8 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/14(日) 23:48:25.18 ID:fyYtjEef0
ルゥナとティファと時は同じくして……
ライダーによって損壊したガイスロギヴァテス前線基地は、復興作業の真っ只中であった
「おーえすおーえす。こっちに持って来たまえ吉田君」
「だから何で俺ばっかりが肉体労働なんだ!?俺はキャスターだって言ってるだろ!?」
「僕だって働いているさ。アーチャーだけでは限度があるからね」
ユーニスの指示で動いているのは、人形をした土の塊。……ゴーレム
えっちらおっちらと土木を運び、基地の修繕に一役買っていたのだった
◆地精(グノーム)
土のエレメンタル。ゴーレムとも呼ばれる疑似生命を助手として使役する。
基本的に身の回りのことを任せるだけで戦闘には向かないが、頑丈であり盾としては優秀。
「こっちはまあいいわね……マスター。向こうに資材を運んで頂戴」
「貴様も来い。人手は多い方が良いからな」
「はひぃいい……何でベルまでえ……」
そして、アーチャー陣営に混じり資材を運んでいるベル。その額には玉のような汗がびっしりと
涙を浮かべながら泣き言を呟く。しかし、それはすぐに終わるのだった
「ん……?誰か来たな。地精は下げておくか」
「私が対応するわ。貴方達は……」
「警察だ!全員そこを動くな!」
「銃刀法違反、及びテロ準備罪の容疑で貴様らを拘束する!」
9 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/14(日) 23:49:26.06 ID:fyYtjEef0
【本日はここまで。また来週に……】
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/02/14(日) 23:54:14.93 ID:zguBXO3vO
乙
11 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/21(日) 23:02:10.23 ID:jcKOkvgC0
【それではちょっと再開】
12 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/21(日) 23:03:05.46 ID:jcKOkvgC0
「むむむ……」
「悩んでるね?ルゥナ」
「当たり前じゃない。簡単にいいですよなんて言える訳無いわよ」
ティファからの支援は一時保留。相手の思惑が判断できない以上、安請け合いは出来ない
聖杯のデータを提供する事は向こうの出方次第では答えてもいいのだが……
「あいつ、何か法外な要求してこないわよね」
「どうだろうね?でも、あんまり悩んでいるとチャンスを逃すよ」
「スパッと決断できる様にならないと。時間は待ってくれないからさ」
「ああもう!うるっさいわね。あんたは!」
「仕方ないよ。オレってそういう聖人だから」
けろりと答えるランサー。その真名をルゥナは思い返す
宝具を開帳する際に堂々と名乗っていたのだ。間違えるはずもない
「……エクスペダイト、だったかしら。コリーがやけにあんたを頼るのも納得だわ」
「そうそう。ルゥナはオレの事知ってた?」
「知らないわよ。っていうか、インターネットの聖人はイシドルスじゃなかったの?」
「ん〜〜〜……ほら、オレって非公式だから?」
「ホントに何であんたが英霊になれたの!?」
きゃんきゃんと騒ぐルゥナを慣れた様にいなす
そうこうしている二人を見つめる二人の影。片割れが頷いた事を確認すると、男が話しかけてきた
「警察の者ですが……ルゥナ・ガイスロギヴァテスさんですね?」
「少し、署の方でお話を伺いたいのですが……」
13 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/21(日) 23:07:44.33 ID:jcKOkvgC0
「……はぁ?誰よ、あんた達」
「坂松警察署から来た。君の家族について話を聞きたい」
「大人しく着いてくれば手荒な真似はしない。早くこっちに」
男女の二人組がルゥナの肩を掴み、有無を言わせぬ迫力で詰め寄る
……人相の悪い連中だ。ルゥナが感じた、直感的な印象はこうだ
男の方は目付きが悪く、まるでヤクザか殺し屋か何か。女に至っては目が完全に死んでいる
警察にしては乱暴な態度だ。それとも実際はこんなものなのか
悲しいかな。人生経験の浅いルゥナには、その真贋の判断がつかなかったのだ
「ん?ルゥナじゃん何してんの?」
「施経!?あんたこそ何してんのよ!」
「いや、俺って電車で通ってるし……こっち、駅の方向だろ?」
「そんな事よりも……その二人、まさかルゥナの知り合いだったりするのか?」
割り込んできた施経は、二人の顔を怪訝そうに眺めている
その様子に不快感を覚えたのか……男はルゥナを強引に掴みかかり……
「とにかく来い!貴様の仲間は全員捕まっているんだからな……!」
「はぁ!?何よそれ!ていうかあたしを引っ張らないで!痛いってば!」
「知りたいなら……早く私達と一緒に……」
「待ってくれよ!警察がそんな乱暴な事してもいいんですか?」
「黙れ!もういい、ここで一息に……」
女は冷静に話しているが、男は苛立ちを隠せていない
懐から何かを取り出す。それにルゥナは見覚えがあった。確かアーチャーの……
「……ルゥナ!伏せて!」
14 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/21(日) 23:14:30.15 ID:jcKOkvgC0
「!?」
「きゃっ!?」「うおっ!?」
ランサーが男の腕を蹴り上げる。手から落ちたのは黒光りする拳銃だった
突如姿を表した、時計を模した男に施経は混乱し、ぱくぱくと口を動かしている
「な、ななんだよこいつ!?」
「それは後で説明する!……何するの!?」
ルゥナの鋭い怒気も何のその。ランサーは二人を注意深く観察し続けて
「くそっ、“サーヴァント”を出すとは……!」
「“ランサー”の敏捷は規格外に近いと聞いた。ここで争うのは得策じゃない」
「やっぱり……君達、ただの警官じゃないね?」
ランサーの指摘に男は顔を歪める。その隣の女は冷静に、施経に向けて弩を突きつける
未だに状況が飲み込めていない彼を掴み、まるで盾にするかの様に前へと突き出した
「うわぁ、人質って事?止めてよそういうの」
「なら私達の話を聞け。言うことを聞かなければ手荒な真似をしたい」
「したい。……ってやる気満々じゃない!」
「ん〜〜〜……しょうがないなあ。付いていくからその子を離してくれない?」
「ふん」「おおっ!?」
ドン。と強く突き飛ばされ、思わず地面にへたり込む
約束は守れと言わんばかりに後ろのパトカーを示す。あれに乗れと言いたいのだろう
「……な、なあ?ルゥナ、何が起きてるんだ?」
「それはまた今度に話すわ。今はさっさと逃げなさい」
「そうもいかない。その小僧にも着いてきて貰わないとなあ?」
「マジかよ……」
断ったら殺される有無を言わさぬ迫力に思わず頷く施経
こうなってしまえばルゥナもどうこう言える筈もなく。黙ってパトカーに乗り込むのだった
15 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/21(日) 23:17:19.44 ID:jcKOkvgC0
「ううむ、これはこれに……」
「アーディー君!街の被害状況はどうなっているかな?」
「建物とかの被害は甚大だけど……人的被害はほとんど無いみたい」
「避難指示が的確だった事や、避難場所を充分に確保出来ていた事が理由なんだけど……」
「……怪しいよね。まるで最初から何が起こるか知っていたみたい」
教会の中、ライダーの起こした嵐の事後処理に奔走していた
そうしている内に気づくのは、まるで周到に用意されていたかの様に配置された避難経路
全てはあの市長の掌の上……その事実が、明確な形となってのしかかる様な気がした
「……失礼するわ。監督役はいるかしら」
「む?私が監督役だが……君は、確か」
「そう!私のマスター。フェリシアよ。アンタ達に用があるんですって」
「えっと……用って、何?」
「……ライダーは、恐らくアサシン陣営の思惑に乗せられて動いていたはずよ」
「それはルール違反ではないから問題は無い。けど、私が離れたからライダーに頼った」
「考え過ぎでは無いか?だとしても、君には」
「そ、なーんも罪はない。けどね、どうしても何かやりたいんだってさ」
「止めなさい、セイバー!」
頬を染めて振り払う。しかし、セイバーはニヤニヤとした笑いを止める事はなく
「だからさ、何かやらしてあげて。そうすれば少しは気が紛れると思うから!」
「私は……!ただ話を……!」
「そうか!ではこの資材のチェックを頼もう!」
「積もる話は幾らでもある!作業の合間にでも話してあげようではないか!」
なし崩しに作業を手伝う羽目になってしまったフェリシアを、微笑みながら見守るセイバー
その顔に浮かんでいるのは戦士としての顔ではない。紛れもない母性が見えていた
16 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/21(日) 23:17:54.48 ID:jcKOkvgC0
【本日はここまで。また次回に……】
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/02/21(日) 23:32:13.04 ID:lxTZBfEJo
おつう
社会戦はランサーも得意そう
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/02/22(月) 00:17:27.16 ID:2g66FqGuO
乙
19 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 22:11:34.09 ID:0EHi7vZa0
【ぼちぼちと再開していきます】
20 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 22:13:10.62 ID:0EHi7vZa0
閑静なアパートの部屋の中で、二人の男女が向かい合っていた
とはいっても、この二人の関係は……誘拐された者と、誘拐犯の知り合いなのだが
「……なんか、君もごめんな。あいつに付き合わせちゃって」
「あ、これ麦茶だけど……いる?」
「む。ん、むう。……いい」「そ、そっか」
誘拐された少々森は、特に拘束などされずに部屋のベッドにごろんと寝転ぶ
そのくつろいだ態度からは、拐われたという緊張感は一切無い
緩みきった言動に、誘拐犯の知り合いの青年も苦笑いを浮かべるしかなかった
「……な、なんか拍子抜けするな」
「アイツも帰ってこないし……というか、なんで君を拐ってきたんだ?」
「あ、君って高校生なんだよね?実は俺も……」
『すみませーん!宅配便でーす!』
「……っと。宅配便か。メリッサかな?」
チャイムが会話に割って入る。青年は一度会話を止めて、ドアを開いた
「こんにちはー!早速ですが、頭に手を組んで私に付いてきてくださーい!」
「な!?」「ん。ん……?」
開けた先にいたのは、荷物ではなく拳銃を構えた少女だった
今この場にいるのは二人だけ……青年と少々森は従う他には無かったのだった
21 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 22:16:55.79 ID:0EHi7vZa0
「な、なあ。こいつらって」
「うるさい!黙っていろ」
「……ランサー。これって誘拐よね?」
「そうだね〜。まあオレもいるから大丈夫だと思うけれど」
「大丈夫とかそういう問題じゃないっての!」
男の運転するパトカーの中。施経とルゥナは隣にランサーを挟んで言葉を交わす
サーヴァントを従えている以上、ただの魔術師であろう二人に遅れを取るとは思えないが……
「こいつがネックなのよね。置いてけぼりにする訳にもいかないし」
「る、ルゥナ?何だコレ?ドッキリか?」
魔術師ではない、一般人の施経の前で襲われ、サーヴァントを出してしまった
これは神秘の秘匿に抵触する可能性の高い行為であり、何とかして黙らせなければならない
「ええとね。まあ簡単に言うとオレみたいなのが残り四騎いて、それを倒さないとなんだ」
「ちょっとランサー。勝手に話さないで!こいつは魔術師ですらないのよ!?」
「……魔術師?ルゥナ、それって」
「うるさいって言ってるだろ!黙らねえとここで殺してやる!」
「……あ、渋滞に嵌まった」「なっ!?」
ピタリと動きを止めたパトカー。いつのまにか前後に長蛇の列が出来る
こうなってしまっては彼らも身動きがとれなくなるのは一般人と変わらない様だ
「……なあ、もしかして」
「それって二年前にも合ったりしたのか?」
「………………」
「おい!何を勝手な事を」「あ、渋滞が動きそうだな」
「くそっ!」
22 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 22:25:23.78 ID:0EHi7vZa0
「実はさ……俺の先輩、二年前に行方不明になっててさ」
「けど本当は違う。先輩は何か……変な化け物に食われてた」
「それって多分……その、魔術師って奴らの仕業なんだろ?」
おずおずと話を切り出して、反応を伺う。ある種の確信を秘めながら
「……“心臓喰らい”。人を食う死徒と聞いた」
「勝手に話すな!っくそ。市長に何と言い訳をすれば……」
「市長?……おい!まさか、これって市長の差し金なのか!?」
突如、激昂する施経。その気迫にはルゥナすらも驚き目を丸くする
返答する者は誰もいない。ここにいる誰もが、その答えを知っていたから
「……あんた、市長の事嫌いなの?」
「当たり前だろ!あんな奴……」
「……渋滞が解消したな」「ちっ、余計な手間をかけさせやがって」
「もう騒ぐなよ!次に騒いだら本当に殺す!」
再び進み始めるパトカーの中で、微妙な沈黙が重くのしかかる
賑やかな街中から、どんどんと閑静な住宅街に移っていく
そうして、一つのやや古めのアパートの前で車を停止させた
「……ここか。ここで降りろ」
「わかったわよ。……ていうか、ここどこ?」
23 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 22:35:05.70 ID:0EHi7vZa0
銃を突き付けられ、無理矢理に前へ進まされる
ランサーもいるとはいえ、施経がいる為に一人で逃げる事は出来ない
相手もそれを知ってか知らずか。サーヴァントが側にいるにも関わらず、二人組は冷静に行動していた
「ていうか……ここはどこなのよ」
「黙って歩け!……向こうの首尾はどうだ」
「成功した様だ。そら、出てきた」
「おーい!こっちこっち」
「む、む、うう」「くそっ……!メリッサ、悪い……!」
「な、少々森……!?何であいつが!?」
「それにはちょっと複雑な事情があって……ていうか、あいつは誰よ?」
ルゥナ達の前には、同じ様に銃を突き付けられた少々森と知らない青年
二人はこちらと違い、相手の仲間であろう少女に両手を縛られている……
「それで?まだ来ていないのか?」
「まだ来ていませーん!」「……お、お出まし」
「やあやあお集まりの皆さん!遅れてしまい、すみませんね!」
「何分、職務が多忙でして!今しがた秘書に引き続きをしてきた所なのですよ!」
24 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 22:48:01.73 ID:0EHi7vZa0
「……!」
「ふ……ようやく、我が悲願の成就する時」
「下処理は済ませてある様だね。私が手を下す必要がなくて何よりだよ」
いかにも高級そうなリムジンから、悠々と市長が降り立った
その後ろにはアサシンとロベルト……もはや癒着を隠す気も無いようだ
「っ!?お前、ロベルト!」
「貴様は……いや、既にどうでもいい事」
「いい訳無いだろ!お前のせいで、どれだけの命が奪われたと思っている!?」
「何よ。あいつ……知りあいかしら」
「さあね?それよりも、気になるのは市長の方だよ」
「おや!ガイスロギヴァテスのお嬢さん、元気そうで良かったですよ!」
「嘘つくんじゃないわよこの狸ジジイ!」
にやにやと厭らしい笑みを隠そうとせず、囚われたルゥナをまじまじと眺める
今すぐにでも殴りかかってやりたいが、施経の事を考えると迂闊には動け……
「……おい、どういう事だよ」
「まさか、あんたが関わっていたのか?ルゥナや少々森もそうなのか!?」
「ちょっと、急にどうしたのよ?いきなり早口になるんじゃないわよ」
目の前の市長に、憎しみを込めた視線をぶつける施経
その顔を興味なさげに一瞥すると、ため息をつきながら肩を竦める
「やれやれ。まさか貴方がここにいるとは」
「始末するつもりは無かったのですがね。どうしましょうか?」
「俺の質問に答えろよッ!“糞親父”ッ!」
25 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 22:58:59.08 ID:0EHi7vZa0
「……はあ!?」
いきなりのカミングアウトに、言葉を失う
周囲も面食らった様な顔を浮かべて二人を見つめる。当事者の間の空気は対称的だ
「ちょっと待ちなさいよ、あんたの名字は……」
「花村は母親の名字。俺の本当の名前は、“禍門施経”なんだ」
「憂午さんや千呼さん、アキラちゃんとは滅多に会わないけど……!」
「ええ!施経、貴方とこうして会うのも久しぶりですね」
「お前……よくも俺と母さんを!政略結婚の為に捨てやがって!」
「ははは!過去の悔恨は水に流しましょう。親子の再開なのですからね!」
施経の絶叫にも聞く耳を持たず、貼り付けた様な笑みの市長に寒気すら覚える
……本来、魔術師は冷酷な存在である
実の子ですら道具とする。家族は平気で切り捨てる。全ては目指す目的の為に
しかし、少なくとも禍門の家は姉妹を尊重し、寧ろアットホームな雰囲気すら感じられた
それなのに。市長は魔術師ではないというのに
どうして、その魔術師よりも冷酷な判断を平気で下せるのだろうか……?
「くそっ!離せ!」「あ、くそ……!」
掴んでいた男の手を振り切り、囚われの少々森へと駆け寄っていく
「もうお前の好きにさせるか!ルゥナと少々森を離してくれ!」
「花村……あんた」「う、う……」
「何をしてる!撃て!」
「殺っちゃっていいんですか?」
「いいんじゃないか?」
「ああ!止めてください。私に後ろ暗い評判が悪くなりますからね!」
26 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 23:13:23.37 ID:0EHi7vZa0
「お前!少々森を離せ!」
「止めろ!こいつらは君がどうこう出来る様な相手じゃない!」
青年が止めてもなお、施経は食らいつく。今は市長の指示がある為に手出しをしてこないが……
「市長!もう撃っていいですよね〜!」
「まあまあ、好きにさせてあげなさい!親心というやつですよ!」
「………………」
相手の限界や、ロベルトの介入等もあり得る。今すぐにでも施経を離さなければ……
「……あれ?アサシンの奴がいない?」
「ッ!施経!今すぐ少々森から離れるんだ!」
ぱん。と乾いた音が静かに響く
ランサーの叫びとその音はほぼ同時期。そして施経の胸から流れる血
そして倒れ伏す音は、それより一拍遅れていた
「は、あ……!」
「やれやれ。聞き分けの無い子供はこれだから嫌いなんだ」
「正義の味方になったつもりかい?正しい行いをすれば、必ず報われると信じていたかい?」
「……く、……そ……!」
「ありえないだろう。そんな事は」
拳銃を握るアサシンは、冷ややかに施経を見下していた
施経はぴくりとも動かない。続け様に、冷酷な言葉を突き刺していく
「素直に認めれば良かったんだ。自分の無力と無様さを」
「情けないだろう、下らないだろう?君は一時の正義感で、命を無駄に費やしたんだ」
「いつの時代も馬鹿はいる。本当に頭痛がしてくるよ」
27 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 23:23:21.28 ID:0EHi7vZa0
「あん、た……!」
「ふざけんじゃ……ないわよーーーっ!!」
思考が怒りで潰される。叫びで喉がびりびりと焼ける
それすらもアサシンは無視をする。そして、目の前の少々森に問いかける
「せ、きょう……?」
「さて……彼は死んだ。誰のせいかな?」
「だ、誰の……せい?」
「撃ったのは私だ。連れてきたのは市長だ。では、何故彼は連れてこられ、撃たれたのか」
冷たい視線が少女を射抜く。瞳に映るその顔には、感情すらも放棄して
「君のせいだよ。『少々森若子』」
「…………私、の……?」
「詭弁は止めなよ、アサシン。実行した君が一番悪いに決まってる」
「そうだね。けど、彼女に罪は無いとでも?」
「当たり前じゃない……!少々森も、施経にも、罪なんてある訳ないでしょうが!」
「─────莫須有(あったかもしれない)」
28 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 23:31:50.77 ID:0EHi7vZa0
アサシンの放った一言は、ただの詭弁だ
何をどう考えたって、施経も少々森も被害者だ
だから、そんな事はありえないんだ。少々森は何も悪くない──
少なくとも、ルゥナだけはそう思っていた
当の本人の認識は、全く真逆だったというのに
「私、が……殺し、た……」
「私が、私が、私……私、私が」
「そうとも。君はかつて『何万人』と殺した。今更になって被害者だと言うのは遅いんだ」
「皆と仲良くぬるま湯みたいな日常を過ごして暖かい心が芽生えたかい?」
「大切な家族同然の人を失い悲しみという感情を刻み込んだかい?」
「親友と呼べる人間が出来て、まるで本当に人間になったと思っただろう?」
「まだ理解が出来ないかい?教えてあげるよ」
「君は絶対に許されない。この世界にいてはいけない」
「君がどれだけ上手く紛れようと、意味なんて最初から無かったんだ」
29 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 23:35:54.88 ID:0EHi7vZa0
かさ、と何かの音がする
最初は気のせいだと思っていた。それくらいに小さな音だった
けれど一回り、二回り。音は重なり響き渡る。これは虫の羽ばたく音
心がゾクゾクと震えていく。この身の毛もよだつ『不穏な羽音』は少々森から聞こえていた
「あ……駄目、駄目。剥がれ、ちゃう……!」
「助、けて……ルゥナ……あ……!」
「あ、ああ!ああぁぁぁ────!!」
「おお……おお!遂に、遂に目覚めるかッ!?」
「ああ、君達!全員此方に来てください。危険なものですからね!」
「何よ……何よ、これ……!」
訳がわからない。この音は?少々森は大丈夫なのか?ルゥナの思考はグチャグチャだ
市長とその手駒の魔術師。ロベルトもアサシンも距離を取る。ただ一人残った青年は、距離を取りつつも少々森から目を離さずに
「少々森……少々森!聞こえないの!?あたしよ、ルゥナ!」
「ルゥナは早く離れて!なんか……ヤバい事が起きそうな気がする!」
「何で……この音は……!」
「確かに倒したはずだろ!?俺と、あいつで間違いなく!」
「なのに……どうしてここに、『姿を変えて』いるんだ!?」
青年の言葉を皮切りに、少々森の姿が変化した
いや……これは『羽化』だ。仮初めの肉体を突き破り、少々森若子の身体を食い尽くす
今までの姿を脱ぎ捨てた、少々森若子という少女の、本当の姿を……
親友と思っていた、ルゥナ・ガイスロギヴァテスの前に曝け出した
30 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 23:40:33.25 ID:0EHi7vZa0
「……何よ、それ」
「冗談なら今すぐ止めて。夢ならさっさと覚めなさいよ」
「ふざけないでよ。あんたはぽけっとしてて、どんくさい少々森でしょうが」
「それとも……こう、呼んで、やった方が、いいって事?」
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ム /: :/ ./,
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///// \//≧== : : : :/: : : : /: : : : :..:|: : : :|: : : : : : : : : :.∧: : : : : : : : :
////////ヽ///, : : : :.‖: : : / : : : : : : |: : : :|: : : : : : : : : : : ∧: : : : : : : :
「……“アバドン”───!!」
31 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/02/28(日) 23:41:31.86 ID:0EHi7vZa0
【キリのいい所で本日はここまで】
【施経がガチ死したかは後日の判定に回します】
【それではまた、次回に……】
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/02/28(日) 23:45:15.67 ID:ogyMVM1a0
乙ー
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/02/28(日) 23:59:56.41 ID:Rihiczgbo
乙
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/03/01(月) 08:16:22.75 ID:9VIpZLQGO
乙
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/03/01(月) 09:44:04.49 ID:kKDhpNVF0
乙
36 :
◆6QF2c0WenUEY
[sage]:2021/03/07(日) 21:35:01.50 ID:p2wOg3vi0
【本日の更新はちょっとなので、このレスで判定します】
【結局、施経はどうなったの?】
12:ガチ
34567:今すぐ病院に
890:割りと軽傷
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/03/07(日) 21:40:14.23 ID:pZU7O7rJo
あ
38 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/07(日) 22:03:00.35 ID:p2wOg3vi0
【コンマ確認。それでは再開します】
39 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/07(日) 22:08:58.00 ID:p2wOg3vi0
──それは、蠢く絶望そのものだった
無機質な複眼は何処を、誰を映しているのかも判別出来ず
外骨格はギチギチと鳴り、不快感と不安を同時に叩きつけてくる
そして、無数に木霊する羽音。心を刻み、頭を蝕む。耳ではなく、心臓が震える根元的恐怖
身体を鳴らし、ルゥナに向き直る。肉体に響く恐れから、思わずぎゅっと目をつぶった
じりじりと近づいてくる、かつて共に過ごした少女。奇怪な音を発てながら、ゆっくりと手を伸ばして……
「ルゥナ!」
「っ!ランサーっ!」
手が届く寸前、ランサーが間に割り込んで来た
いつかは親しげに少々森と呼ばれた存在は、既に呼んだ相手にとっての恐怖の象徴でしかなく
ルゥナの心の奥底が伝わったのかは不明だ、だが……相手は羽を広げ、空へと飛び上がっていく
彼女はそれを、ただぼんやりと。呆然と眺める事しか出来なかった
40 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/07(日) 22:11:27.23 ID:p2wOg3vi0
「……アバドン?」
「そう。それがこの街を襲った災厄の正体」
「ロベルト・エーデルワイスが二年前、呼び込んだ悪魔の名前だよ」
現場へと向かう軽自動車の中で、アーディーの話を聞き取るフェリシア
鎧を着込みつつ器用に運転するグレイトは、話を補足するかの様に言葉をかけた
「かつて残存していたマスターよサーヴァントが討伐したと聞いたが……!」
「まさか!人間に姿を擬態し、二年もの間生き延びていたとは!」
「ちょっと待ちなさい。そのバッタ怪人がどうして人間になったのかの説明は?」
「……確かに、アバドンが人間の姿になる瞬間は誰も見てないね」
「そもそも確かにあの時全員がアバドんの消滅を確認したはずだし……」
「あ〜!こんな事になるなら、私のセイバーを旅行に出さなきゃよかった〜!」
何がなんだかわからない現状に、アーディーは頭を抱えるしか出来ない
その隣で思考を巡らせるフェリシアは、一つの疑問を問いただした
「……ねえ。そのアバドンを倒したサーヴァントは何と言う英霊だったのかしら」
「えっとね。マスターは“東生広夢”っていう私のセンパイでね……」
「サーヴァントは、スウェーデンの女王。クリスティーナだよ」
41 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/07(日) 22:16:05.66 ID:p2wOg3vi0
「……恐らくは、そのクリスティーナの持つ剣。美徳の剣が関係しているのかもな」
「アンタの話を聞くに、美徳の剣は七元徳という人間の善性の概念を秘めた武装だ」
「人間の悪意で堕とされた天使が、またヒトの心を取り戻しても不思議じゃないって事だな」
それは、突如現れた。捕らわれていた青年の隣にふらりと浮かぶ異様な骸骨
サーヴァントだ。そう確信する程の霊基だが、そのクラスまでは判別できない
ペラペラと説明をする骨は、まるで何でも知っているかの様な態度
……だが、その素性がわからない。この聖杯戦争で召喚されたサーヴァントは全て把握しているのにも関わらず
「おっと、何でもは知らないな。知っている事だけだ」
「例えばありがたい説法。いい感じのちょうどいい石の見つけ方。スーパーの特売日……」
「ま、ふざけてる場合じゃないな。これは」
「あんた、何をさっきから……!」
「ん?オレに突っかかる暇があるのか?随分と余裕なんだな」
「今こうして言い合ってる時も、あのアサシン共は確保しようと血眼になってるぜ」
「く、痛つ……なんだか、よくわかんねえけど」
「……ルゥナ。行ってくれ!」
42 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/07(日) 22:20:40.96 ID:p2wOg3vi0
「施経……あんた大丈夫なの!?」
「運良く急所を外れてるみたいだな……」
「だけど無理に喋ったらダメだ!傷が悪化するかもしれない!」
青年が施経の肩を担ぐ。いくら軽傷と言えど、放置できる訳もない
それでも施経はルゥナに叫ぶ。痛みすら忘れた様に、思いの丈を叩きつける
「あいつに……言ってやってくれよ!お前は何も悪くないって!」
「だから!……ゲホッ、ゴホッ!」「これ以上はダメだ!……その、後は頼む!」
「……だ、そうだ。声援に答えてやれよ。可愛いヒーロー……いや、ヒロインか?」
「どっちだっていいか。じゃ、よろしくな」
施経を連れて、青年と骨のサーヴァントは部屋に戻る
取り残されたルゥナを案ずるようにランサーは言葉を紡いでいった
「ルゥナ、どうしようか?このまま、少々森を放っておく?」
「オレ達が手を下さなくても、他の陣営が彼女を倒す。そうすればこの街は救われる」
「けど、それでも……君が望むなら、オレが少しだけ力を貸すよ」
「……その言葉、信じるわよ」
「勿論。オレは君のサーヴァントで、最新鋭の聖人だからね」
「行くわよ。一つだけ心当たりがあるわ」
その言葉を最後にして、背後を振り向かずに歩き始める
後ろからではルゥナの顔は見えない。しかし、ランサーは背から一歩下がって歩いていく
……決断の時は近い。その確信だけを背負い込んで
43 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/07(日) 22:22:57.72 ID:p2wOg3vi0
『謎のサーヴァントのステータスを開示します』
┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
≪クラス≫:???
┣━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━┓
【真名】:??? 【属性】:秩序・中庸
┣━━━━━━━┳━━━━━━━╋━━━━━━━┳━┻━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┓
【筋力】:C 【耐久】:EX 【敏捷】:B 【魔力】:A 【幸運】:A+ 【宝具】:EX
┣━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━━┫
44 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/07(日) 22:24:53.40 ID:p2wOg3vi0
【という訳で、本日はここまで】
【また次回によろしくお願いします……】
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/03/07(日) 22:47:19.78 ID:pZU7O7rJo
乙
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/03/07(日) 23:20:37.57 ID:AdDsLWSto
EX2つはつえー
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/03/08(月) 10:02:02.04 ID:TI9ntaRS0
おつおつ ガイコツ状態が全盛期なんてあるのか・・・?
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/03/08(月) 21:25:44.66 ID:ti91rc3PO
乙ー
考えられるのは死んでから伝説として最盛期を迎えた鯖とか…?〉骸骨が最盛期
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2021/03/17(水) 10:56:50.21 ID:wMUAASvM0
若しくは死の象徴として信仰されてるから骸骨の姿になってるとかもあるかもしれん
50 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/21(日) 22:20:46.71 ID:GZ/fE0tf0
【ゆっくり更新します……】
51 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/21(日) 22:23:18.71 ID:GZ/fE0tf0
「こっち。付いてきて、ランサー」
「わかった。けど、オレも知ってるよ?」
「……一応、よ」
人通りの減った静かな街を歩いていく。辺りも既に暗くなってきた
目的地は決まっている。あそこに、きっと少々森はいると確信を持って進んでいく
「……ちょっと待って」「え、そこにいた?」
「違うっての!……ちょっとだけ、買い物をさせてちょうだい」
「大丈夫だよ。それが欲しいんでしょ?」
「なら、躊躇ったらダメだ。自分の手で選んで進まないと、後悔する事になるからさ」
「またいつものね……わかってる。わかってるっての!」
自分に言い聞かせる様に、キツく言い返す。懐からなけなしの小銭を手に取ると、近くの自販機へと足を向ける
ガコン。と缶の落ちる音がやけに響く。その音は耳に残ったあの時の……不穏な羽音をかき消してくれた。
二人は黙ったまま進んでいく。細い路地を通り抜け、薄暗い道を掻き分けながら
その先にあるのは、かつての家。……さきちゃんと共に過ごしていた、あの家だった
52 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/21(日) 22:34:15.12 ID:GZ/fE0tf0
「……………………」
どうして、ここに戻ってきたのだろう
自分は許されない。怪物である事はもう皆に、ルゥナにも知られてしまったというのに
人間として……いいや、人間の物真似をしていた頃に、また戻れると思っていたのかもしれない
……もう、どれだけ頑張って擬態を施しても、人間の皮膚を突き破ってしまうのに
「……う、うう」
「うぅあぁあああ……!」
悲痛な現実を認識して、食い縛った口の中から嗚咽が漏れる
その声はもう不吉な羽音ではなく、純真な少女のか細い声色なのに
その事を気づく存在は、もう誰もいなくなってしまったのだと
「やっぱり、ここにいたわね」
「あんたの行き先なんてお見通しよ。伊達にそれなりの時間を一緒にいた訳じゃないし」
「……お帰り。あんたの家なんて、ここしか考えられないもの」
それなのに、どうして
彼女は、ここに来たのだろう?
53 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/21(日) 22:44:59.22 ID:GZ/fE0tf0
「…………」
「ルゥナ。今の少々森は危険だよ」
「擬態も中途半端だし、まだ力を充分には扱えてないみたいだ」
ランサーの指摘はよくわかる。少々森の身体はかつての少女としての肉体に変化していた
だが、一部は強引な負荷に耐えきれなかったのか、中に潜む殻が、所々の皮膚を突き破る痛ましい姿
震えているのは消耗か不安か。それを確かめるべく、ルゥナは一歩、少々森に
「っ……!止め、てっ……!」
「殺し、ちゃう……止められ、ないの……!」
「やだぁ……!もう、誰かを傷つけたく……!」
ガクガクと身体を揺らす。その感情からは悪意をまるで感じない
それだけを確認すると、ルゥナはポケットから何かを取り出す
それは先程、自販機で購入した……少々森の大好きなジュースだった
「あーもう、落ち着きなさいってば!……もう!ハイ!」
「いい?これ飲んでゆっくり話しなさい。これは命令なんだから!」
54 :
◆6QF2c0WenUEY
[saga]:2021/03/21(日) 22:55:19.23 ID:GZ/fE0tf0
「……ルゥ、ナ?」
「それ、あんたの好きなやつでしょ?」
「気分じゃない。とか、そういう事はどうでもいいから。早く飲みなさい」
「どう、して。私は、ずっと」
「ルゥナはね〜ずっと少々森の事を「ランサーはあっち行って!」
路地裏に喝が響き渡る。後は頑張ってね〜と手を振りながら、その姿を霧散させた
……本当にいなくなったかは定かではない。が、これで少々森との一対一の対面が出来る
「……正直、あんたの正体はあたしでもわかる」
「“アバドン”。かつての聖杯戦争で召喚されたイレギュラーで、この街を食い荒らした災害」
「それが、何らかの事情で受肉したのが……」
ここは、敢えて最後までは言わない。ちらりと目をやると、正解と証明する様に頭が垂れる
「元々、少々森若子という人は存在していた」
「だけど、私……アバドンが、砕かれた時、既にその命は亡くなっていた」
「……私が、彼女を、殺した、から」
「私は、完全には消えなかった。偶然か、奇跡かわからないけど」
「彼女の姿と、記憶を受け継いで……この世に、受肉、したの」
ぽつぽつと。途切れ途切れに話していく
その不可思議な話し方は、彼女のボンヤリした性格によるものだと思っていたが……
「……で、あんたはその少々森若子って奴になり済ましていたって訳ね」
「人間の真似をして、人間の生活に溶け込んで……二年間、こうして生きてきた」
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