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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【3頁目】

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873 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/27(木) 00:54:00.98 ID:FRXUlxyNO

陽乃も独りよがりにならずにきちんとみんなやれることやってる感じでようやく一つのチームに慣れた気がするな
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/27(木) 06:12:48.09 ID:akQVKU99O

あとは杏たちを行かせた後どのタイミングで諏訪を脱出するかだな
875 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/27(木) 21:14:16.33 ID:x02yumYuo

では少しだけ
876 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/27(木) 21:15:42.09 ID:x02yumYuo

1日のまとめ(諏訪組)

・ 白鳥歌野 : 交流有(過保護ね、一緒に外食、怖くなる、住民の処遇、陽乃を説得、特殊、時間、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)
・ 藤森水都 : 交流有(一緒に外食、怖くなる、住民の処遇、陽乃を説得、特殊、時間、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)
・ 土居球子 : 交流有(死なれても困る、模擬戦、一理ある、暇な時、一緒に外食、怖くなる、住民の処遇、陽乃を説得、特殊、時間、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)
・ 伊予島杏 : 交流有(死なれても困る、模擬戦、一理ある、暇な時、一緒に外食、怖くなる、住民の処遇、陽乃を説得、特殊、時間、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)
・   九尾 : 交流有(四国襲撃、九尾なら、杏達に任せる、諏訪周辺をつぶす、最速)

√ 2018/09/01 まとめ

 白鳥歌野との絆 55→63(普通) ※特殊交流3
 藤森水都との絆 70→78(良好) ※特殊交流7
 土居球子との絆 60→70(良好) ※特殊交流2
 伊予島杏との絆 76→86(良好) ※特殊交流4
   九尾との絆 68→70(良好)
877 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/27(木) 21:46:06.64 ID:x02yumYuo
√ 2018年 9月2日目 朝:諏訪


まだ、朝とも言えない4時頃

陽乃は目覚ましの音もなく目を覚ます。

陽乃「ん……」

歌野達も起きていない中、水都の布団だけが空になっているのが見えた。

テーブルの方にも、窓際にもいない。

陽乃「人に寝ろとか言っておいて」

自分はただの人間のくせに、

陽乃よりもずっと早く起きて、どこかに出ている。

いや、どこかではない。

陽乃「……まったく」

布団を自分の分だけまとめて、

畳むのは後回しにして、身支度を整える

部屋を出て左に曲がり、突き当りをさらに曲がる

参集殿から繋がっている、斎館へ向かう
878 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/27(木) 22:15:17.37 ID:x02yumYuo

棚には一人分の着替えとバスタオルが用意されていて、

浴室からは、入浴中の音が聞こえる。

ただ入浴しているわけではないだろう。

扉を軽くたたく

陽乃「一人でやるのは危険だって、話したはずだけど」

ばしゃんっと水が跳ねる音が聞こえて、静まり返る

少しの沈黙ののちに、浴室特有のくぐもった声が返ってきた。

水都「やっておいた方が良いと思って」

陽乃「神託は来ないわよ」

水都「神託がなくても、やっておきたいんです」

陽乃「伊予島さん達の無事を祈ってるって? それなら沐浴じゃなく水垢離の方にしなきゃだめよ
    貴女、浴槽に水を貯めて浸かっているだけでしょう? それじゃやり方が間違ってるわ」

水都「そ、そうなんですね……」
879 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/27(木) 22:36:42.79 ID:x02yumYuo

陽乃「まぁ、穢れているよりはいいわ」

沐浴……禊を行っておくのは決して悪いことではない。

水垢離という、祈りのために行う行為とは別になるが、

この後に、儀式として巫女舞を行うなどするのなら、むしろ正しい。

陽乃「で、いつ起きたの?」

水都「……30分くらい前、ですね」

水都は少し申し訳なさそうに言って

水都「ぱっと目を覚ましちゃって……そのままこっちに来ちゃいました」

陽乃「私より先に起きるなんて異常だわ。貴女こそ、体調崩すんじゃない?」

水都「私が崩すのはいいんです。ただの巫女ですから」

陽乃「……」

水の中で動く音がする。

滴り落ちる音、排水溝に飲み込まれていく音、水都の深い吐息

黙っていると、いろんな音が聞こえてくる

水都「……すみません。よくないですよね」



1、さぁ? 私は別に
2、白鳥さんとしてはよくないと思うわ
3、そうね。
4、中に入る
5、何も言わない

↓2
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/27(木) 22:38:47.15 ID:OCW+qBXe0
2
881 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/27(木) 22:39:09.80 ID:pGfa5oyrO
4
882 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/27(木) 23:17:39.80 ID:x02yumYuo

陽乃「……」

棚の方を見て、バスタオルなどが一式予備であるのを確認する。

普段から、禊のためにこの場を利用することの多い水都や陽乃の分に始まり、

楽をしようと考えた球子の分まで、ある程度の予備がしまわれている棚。

自分たちしかいないからと言って、やや自由が過ぎるだろうか。

陽乃「まぁ……」

服を脱いで、畳んで収める

代わりに、白衣を身に纏う

水都「……久遠さん?」

会話が途切れたからか、確認するように水都が名前を呼ぶ。

それに答えず、応えのように扉を開けて中に入っていくと、

水都は顔を上げて、すぐに、陽乃に背中を向けた

陽乃「何してるの?」

水都「く、久遠さんこそっどうして……」

陽乃「日課よ」

水都「私が出てからでも……」

陽乃「そんなに時間があるわけでもないから」

水都「……そう、ですよね。すみません」

陽乃「そんなに照れる必要はないと思うけど」
883 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/27(木) 23:38:14.31 ID:x02yumYuo

陽乃に背中を向けたままの水都を一瞥して、さっと水を浴びる

冷たい水が、肌を流れていく。

ついさっきまで温もりに包まれていた体への、刺すような刺激

体の内側から外側へと湧き出るような熱量を感じながら、

それを二回、三回と繰り返して。

陽乃「……ん」

流し終えてから、浴槽にたまった水に触れる。

陽乃「いつもより水温が高いわね」

水都「あっ……」

水都は肩を震わせて、ゆっくり陽乃へと振り向いた

水都「すみません……自分しか使わないと思って、ちょっとだけ」

陽乃「……別にいいわ。このくらいなら大差ないから」

水都「……」
884 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/28(金) 00:02:26.16 ID:B9Ff/cJYo

水都「……しばらく、一緒に沐浴をするのもなくなりますね」

陽乃「そうなの?」

水都「土居さんたちがいなくなる分、久遠さんも歌野んも警戒する必要があるじゃないですか。
    今までと違って、あえて陽動するわけですし……襲撃への警戒は強める必要がありますよね?」

陽乃「警戒は今までだってしっかりしてたでしょう? 大して変わらないわ」

陽乃は常に参集殿にいたし、

歌野は隔日で控えていたりした。

球子達の部分を陽乃がカバーするだけ。

今までと何一つ変わらない。

もちろん、襲撃があった場合はその対応をしなければならない。

たった2人で。

それによる疲労も考慮して、水都は時間が無くなると考えているようだ。

水都「……ありがとうございます」

陽乃「何よ急に」

水都「諏訪のみんなを、見捨てずにいてくれたじゃないですか」
885 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/28(金) 00:02:53.92 ID:B9Ff/cJYo
では途中ですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/28(金) 00:15:19.46 ID:4cfe1NkBO

今作のみーちゃんはメンタルが超強化されてて精神面で頼もしいよなぁ
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/28(金) 00:16:44.04 ID:LbnXZ7p70

諏訪来てから陽乃が前よりずっと優しくなったのほんとみーちゃんのおかげだよな
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/28(金) 01:38:40.62 ID:k87VISWtO

陽乃の物腰も柔らかくなったし本当に助かる
889 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/28(金) 23:39:21.59 ID:B9Ff/cJYo

すみませんが、本日はお休みとなります
明日は、可能であれば早い時間から
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/28(金) 23:41:20.55 ID:KsULZKMxO
乙ですー
891 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/29(土) 21:22:18.63 ID:TvXvk1u/o
では少しだけ
892 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/29(土) 21:22:51.23 ID:TvXvk1u/o

陽乃「別に、そう思ってくれてもいいわ」

水都「否定しないんですね」

陽乃「私が否定したって、貴女達はそう思うでしょ? 無駄な労力を使う気はない」

水都「……そうですか」

水都はやや素っ気ない返しをされても嬉しそうに笑うと

体に馴染んだ水の冷たさを手に受け止めて、顔にぶつける。

水都「そうですね。そうだと思います。久遠さんには何か別の考えがあって、
    諏訪を見捨てないのは、ここに残ってくれるのは……そのついでだとしても」

水都はちいさく息を吐く。

前髪の先から、一滴が水面へと落ちる。

水都「結果的に諏訪に残ってくれたから、否定しても変わらないと思います」

陽乃は思った通りの返しに返事もなく、黙っていて。

水都の周囲と違って陽乃の体の周りはまるで揺れない。

その微動だにしない沈着冷静な様子は、水都がいつもこの場所で見ているものだ。

実際に戦わない水都ですら、これから大きな戦いがあると緊張しているのに

陽乃はいたって、いつも通り。

水都はその堂々とした姿勢に羨望のまなざしを向けて

水都「久遠さん覚えてますか? 前に、放っておいて欲しいって言ったこと」
893 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/29(土) 22:12:04.41 ID:TvXvk1u/o

水都「今みたいな……巫女としての所作を教えてくださいってお願いを引き受けてもらう代わりに
    何か、久遠さんにはお願いありますかって聞いた答えが、それだったんですよ?」

先月のことだ。

それを忘れるほど記憶力に問題は出ていない。

かといって、覚えておくほどのこととも思わない。

いつも陽乃が思っていたことだし、求めていたこと

特別なことではなかった。

水都「あの時は、少し怖かったです」

陽乃「……」

怖かったと言う割には、

怯えているのではなく、申し訳なさを感じる水都の表情

じっとみると、顔を背けられた

陽乃「そう……」



1、覚えてないわ。
2、そのお願い、結局聞いてくれなかったわよね
3、謝らないわよ
4、それが?


↓2
894 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/29(土) 22:12:52.83 ID:fgatdJSUO
2
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/29(土) 22:13:13.22 ID:LgO5Q0QJ0
2
896 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/29(土) 22:47:49.57 ID:TvXvk1u/o

陽乃「そのお願い、結局聞いてくれなかったわよね」

水都「す、少しは久遠さんのこと気にしないようにしてたと思いますけど」

水都はそう言ったが、

すぐに、首をかしげて思い出したように苦笑する。

水都「そういえば、全然だったかもしれません。
    でも、それはあれですよ。久遠さんが御柱に触れてあんなことになったから……」

陽乃「言い訳?」

水都「それは狡くないですか? あのお願いの後だとしても、あんなことがあったら放っておけないよ」

陽乃半分、自分半分

水都のその呟きは水風呂の中に消えていく

水都「久遠さん自身、私たちにかかわってきましたよね?」

陽乃「そうだったかしら」

水都「自分から会いに来たじゃないですか……それで、自分一人で戦いに行くなんて危ないこと言いだして」

陽乃「……そんなこともあったわね」

水都「みんな止めたのに、結局、それ頼りになっちゃいましたね」
897 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/29(土) 23:07:00.17 ID:TvXvk1u/o

陽乃「別に、私じゃなくたって白鳥さんならできるはずよ。それでも、単身でやってもらうけど」

水都「うたのんのこと、信頼してるんですか?」

陽乃「3年間の実績に私の力を貸し与えられるんだから、そうじゃなきゃおかしいってだけよ」

水都「それも、信じてるって言えるような気がしますけど」

陽乃「私は……」

水都はただ、思っていることを口にしているだけだろう。

歌野なら、同じように単独で戦闘しても問題ないと考えている。

そこに実績があり、唯一信頼している自分の力が加わればとは言うけれど、

だとしてもそれはやっぱり "歌野が勝つと信じている" のではないかと。

陽乃は顔を顰めて、すぐに、その感情を鎮める

陽乃「私は誰も信じようなんて思ってないし、信じる気もない」

水都「結果を示してもですか?」

陽乃「頼る気はないから」

水都「でも、頼ってくれたじゃないですか」

水都はそう返して、下を向く。

水都「……頼ったじゃないですか。伊予島さん達のこと」

陽乃「頼ったわけじゃないわ。あの子たちがそうしたいって言うからそうさせてあげるだけ」

水都「……言葉の綾では?」

陽乃「言った本人が使わないのは初めて聞くわね。それ」
898 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/29(土) 23:29:37.22 ID:TvXvk1u/o

水都「事実じゃないですか」

陽乃「そう?」

水都「そうですよ」

陽乃は拒絶することもあるが、

完全な拒絶は、あの1度きり。

それ以外は勝手にしたら? と言ってくれるし、

やや放置気味ではあるけれど、許してくれている。

信頼しないとは言っているけれど、

でも警戒だってそこまで強くしていない。

だけど――信頼しないと言い切る。

行動が、考えが、言葉が、

信頼の上に成り立つものであっても、陽乃はそれを信頼ではないと否定する。

信じる気はないと首を横に振って、認めない。

だから、言葉の綾

もう、ただそういう言い回しをしているだけというか。

水都はそう思って、思わず笑ってしまう



1、そう思いたければ思っていればいいじゃない
2、私はお願いを聞いて、貴女は聞かずに不履行なのは問題よね
3、あまり、調子に乗らない方が身のためよ
4、何も言わない


↓2
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/29(土) 23:31:10.93 ID:LgO5Q0QJ0
2
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/29(土) 23:32:12.00 ID:fcatyV2PO
3
901 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/29(土) 23:57:43.22 ID:TvXvk1u/o

では本日はここまでとさせていただきます
明日は能であればお昼ごろから
902 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 00:04:28.70 ID:7GecOfb/O

みーちゃんの勢いに陽乃さんが普通に押し負けてる感じがする
早く心を開く日が来るといいな
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 01:10:27.79 ID:TT4N8EDyO

陽乃も久遠さんみたいに押しに弱そうだからな
押せ押せ
904 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 18:31:47.53 ID:MOqeND+zo

では少しずつ
905 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 18:34:35.12 ID:MOqeND+zo

陽乃「あまり、調子に乗らない方が身のためよ」

水都「すみません」

水都は素直に、答える。

今までの自分と比べて明らかに積極的になっているのはわかっていたことなのだろう。

少し罪悪感を抱いているような視線が、陽乃に向けられた。

水都「でも、そのくらいじゃないと久遠さんと関われないですよね?」

陽乃「関わらなくていいって話、忘れたの?」

水都「覚えてます」

残念そうに言った水都は、困って顔を顰める

それは覚えている

覚えているから、申し訳ない。

陽乃が起こした御柱の崩壊と、諏訪の神々の力の継承

陽乃にとって不幸なそれがあったからこそ、それをなかったことのように接することができているからだ。

水都「でも、久遠さんはいまや諏訪の神様のようなものですし、巫女である私はつかず離れずでいた方が良いと思いませんか?」
906 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 19:02:03.29 ID:MOqeND+zo

陽乃「そういうのが調子に乗ってるのよ」

水都「でも、久遠さんはそこにいてくれているじゃないですか」

ここには一人で来た。

朝早く……とさえも言えないような早起きをして

眠れないからと、沐浴に来た

なのに、今は陽乃がいる。

呼んでいないしお願いしてもいないけれど、

同じ水風呂に入っている。

陽乃「私の対応が悪かったって言いたいのね」

水都「別にそうじゃないですよ」

陽乃「そうとしか受け取れないわ」

水都「久遠さんには少し積極的な方が良いって、土居さんも言ってましたし」

陽乃「……やっぱり、私の対応が悪かったんじゃない」
907 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 19:10:53.74 ID:MOqeND+zo

水都「え?」

陽乃「甘やかしすぎたのね」

水都「あんまり、甘やかしてはないと思いますよ」

陽乃「貴女のことじゃない」

水都「?」

甘やかしているというには、陽乃の態度はややきつめだ

根気強さがなかったり、

球子からの"積極的に"という話がなければ、早々にリタイアしているくらいには。

だが、放っておいてといいつつ、

好きにしたら、勝手にして、なんて許しを与えていることは、

甘やかしていると言えなくもないだろうか。

水都は話題に対して、まだ穏やかな陽乃を見て笑みを見せる。

水都「なら、土居さんですか?」

陽乃「そうね」

あの時、友達などと騙って接触したのが間違いだった。

それがなければ、球子がこれまで強く接してくることも、

水都に勢いつけさせるような助言をすることもなかったはずだ。

それなら、今、水都は隣にいなかったかもしれない。

陽乃「選択を誤ったわ……ほんと」
908 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 19:25:06.55 ID:MOqeND+zo

疲れた口ぶり、後悔を感じる表情

球子と何かあったのは明白

水都は、そんな陽乃を見て……躊躇って口を閉じる。

そこに首を突っ込むのは、調子に乗るどころか飛び越えているというものだ。

水都「緊張してないんですか?」

陽乃「緊張? なにに?」

水都「この数時間後には、戦いじゃないですか」

陽乃「何があってもやれるって確信があってこそのことよ。それに緊張する方がおかしいわ」

水都「……なにが、あっても?」

陽乃「ええ。バーテックスの数が想定より多かろうと、なにか奇策を用意していようと、何があろうと」

水都「そうですか」

水都は、思わず笑ってしまう。

陽乃にとって当然の答えに対しての水都の笑みは、嬉しさから来るものだった。


1、なにがおかしいの?
2、貴女が喜ぶこと?
3、雑念が多すぎるわよ
4、怒らせたいの?


↓2
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 19:27:12.96 ID:G/HKcNUPO
3
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 19:28:45.06 ID:cqHj336O0
4
911 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 19:40:48.65 ID:MOqeND+zo

陽乃「怒らせたいの?」

水都「あ……いえ、すみません」

水都は首を振って、否定する。

怒らせたいわけじゃない。

水都「久遠さんが自信を持ってくれているから、私たちも安心できるなと、思って」

水都が嬉しかったのは、陽乃が一切の不安も緊張もなく、

何があろうと間違いなく成し遂げられると言っている分の安心感があってこそだ。

実際に戦っているところを見た覚えはない

だけど、杏も球子も実力に問題はないと言っている。

なにより、諏訪の神様ですら認めた人だ。

そんな人が、自分に任せろと言い、何も問題はないと言い切っている。

ネガティブに考えれば、失敗の予兆ともとれるが、

ポジティブに考えれば、そんなことはない。

水都「今、諏訪にいる人たちはうたのんがいても、不安がないと言えばウソになると思います。
    御柱が崩壊したこともあって、余計に不安になっているだろうし、怖いと思うんです」

陽乃「……私だって、壊したかったわけじゃないわ」

水都「知ってます。ただ、現実はそうなんです。
    結界は壊れていない、歪んでもいない、大丈夫ですって説明で落ち着いたように見えても、不安は拭えません」
912 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 19:59:20.09 ID:MOqeND+zo

陽乃「貴女も不安になった?」

水都「そうですね。申し訳ないですけど……不安になりましたし、怖かったです」

結界を支えている要とも言える御柱の崩壊

襲撃ではなく、

陽乃が触れたことによる崩壊ということ

以前までと違って、結界までも砕けたわけではないため、

多少の抑制はあったが、それでも不安はあった。

水都「でも、神様が久遠さんの力を頼って委ねたって聞いて、大丈夫だって思いました」

陽乃「意味不明ね」

水都「そんなことないですよ。突き放されたこともありましたけど、それ以前から思ってた久遠さんの印象を神様が保証してくれたようなものなので」

陽乃の眉がぴくっと動く。

また怒らせたいのかと言われるかと水都は一息飲む。

水都「とにかく、だからこそ久遠さんの自信がある態度で安心できるんです。
    住民の人たちには、久遠さんの戦いを間近で見せることはできないですけど、でも、勇者の自信は安心につながるんです」

水都は嬉しそうに語って。

水都「私だったら、不安で、怖くて、緊張していると思います。
    それしかない。そう思って陽動作戦に立候補したとしても、今ここにいるのは恐怖と不安を落ち着けるためだったと思います」

陽乃「……そう」

水都「そうなんです。久遠さんがそう思っていなくても、久遠さんが自信を持ってくれているだけで助かります」
913 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 20:03:40.28 ID:MOqeND+zo

↓1コンマ判定 一桁

0,3,9 水都「だから、嬉しいです。感謝しています」
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 20:05:52.03 ID:0FjXhuAAO
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 20:28:22.44 ID:TT4N8EDyO
みーちゃんマジでつよい
916 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 20:39:41.68 ID:MOqeND+zo

水都「だから、嬉しいです。感謝しています」

陽乃「感謝なんて」

水都「久遠さんたちが来てくれるまでは、内心、もうダメだと思っていたんです」

約3年前

諏訪が結界に覆われたころの話になるが、

その時は、いつか準備が整ったら救援が来るという話だった。

なのにこれだけ時間がたっても誰かが訪れることも、

四国との通信で吉報が告げられることもなかった。

だから、もう、限界だと。

水都「住民の人たちもそうです。うたのんが頑張ってくれているからというだけで
    外部からの救助を期待している人なんていないと言ってもいい状態でした」

陽乃「……」

水都「でも、久遠さんたちが来たんです。外界の危険な道のりを超えて、久遠さんがその命を懸けて
    こんな隔離された、最前線に来てくれたんです。うたのんに、私に、住んでいる人たちに、希望を与えてくれたんです」

今にも感涙を流しそうな様子で水都は言葉を紡ぐ。

ああいえばこういうな陽乃も、口を閉じて水都を見る。

水都「だから私も、変わろうと思って……その一歩が、命がけで勇者を連れてきてくれた久遠さんに接することでした。
    もちろん、いろいろと気にかかってた部分があったのもありますけど」

水都は照れくさそうに笑う。

水都「2人が言ってました。久遠さんは大社の反対を押し切ってここに来てくれたって
    たとえ、そこに何か裏の理由があったとしても、来てくれたことには変わりがないから」

だから、ありがとうございます。と、水都は言った。
917 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 21:03:45.71 ID:MOqeND+zo

陽乃「結果的に、貴女達の得になったから裏があろうと関係ないと?」

水都「はい」

陽乃「私が勇者である白鳥さんだけいれば十分だと思っていたとしても?」

水都「だとしても、現実はその思いの通りではなかったみたいなので」

歌野だけいればいい。

そうして体調が戻ったら歌野を連れて出て行く。

なんてことにはならなかった。

だから、陽乃のその返答は水都にとって話半分

いいや、半分ですらないかもしれない。

水都「そのうえ、諏訪の神様が結界を維持させるために久遠さんに代行を求めたりして
    久遠さんは不本意だったかもしれませんが、そのおかげで安心できています」

陽乃が倒れさえしなければ結界には影響が出ないという話。

バーテックスが大挙してきても、やすやすと押し返せそうな陽乃の自信。

水都「感謝してもしきれません……けど、そのお礼を聞くと、久遠さんはまた、放っておいてって言うんですよね?」


1、間違いないわ
2、言ったって無駄でしょう?
3、まずは前の分をどうにかしなさい
4、だったらなに?


↓2
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 21:06:41.04 ID:cqHj336O0
4
919 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 21:07:47.09 ID:0FjXhuAAO
1
920 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 21:48:21.65 ID:MOqeND+zo

陽乃「間違いないわ」

水都「よかったです」

拒絶にもなる、放っておいて欲しいという願い

その予測が間違っていないという答えに対する、水都の笑み。

その意図は解るが、

拒絶される結果になるということを気にしていないかのようで、陽乃は顔を顰める

陽乃「……馬鹿なの?」

水都「馬鹿かもしれません」

冷たくあしらわれたり、

強く突き放されたり、

なのに今もこうしているのだから、馬鹿といえば馬鹿なのだろうと水都は認める。

水都「……」

陽乃は冷たいことがある。

けれど、それも、慣れてしまえば実は温もりがあるような気がしてくる。

突っ撥ねたり、勝手にしてと許してくれたり、冷たいのか何なのか。

水都「私は……」

水都は一度言葉を飲み込んで、小さく笑みを浮かべて。

水都「みんなを守ってくれて、こうして巫女についてのことも教えてくれていますし
    結果論というか、現実をちゃんと見てもやっぱり……私は、陽乃さんが優しくて良い人だって思います」
921 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 22:26:30.24 ID:MOqeND+zo

陽乃「そんな期待されても、私は応える気はないわよ」

水都「期待じゃないです。結果論です」

水都は、あえてそんな言葉を使ってみる。

結果的にそうなっただけ。

でも、だとしたら結果的にそう思えるだけだと返す。

陽乃は怒らせたいのかと言ってくるかもしれないけれど。

陽乃「調子に乗らない方が良いって、言ったばかりよね?」

水都「事実を言ってるだけでも、駄目ですか?」

陽乃「……」

最初に比べると、

だいぶ、強かになったものだと陽乃は水都を見つめる。

最初はすぐに謝ったりなんだりと、弱弱しい印象だった

だが、今に至ってみれば、これである。

陽乃「もう、勝手にしたら?」

水都「今まで通りですね」

陽乃「……そうね」
922 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 22:37:31.55 ID:MOqeND+zo

今日、杏と球子の二人が四国へと発つ

陽乃はその移動を悟られないよう、そして、道中が少しでも楽になるように

陽動として、諏訪周辺のバーテックスを一掃する手はずになっている。

陽乃の役割は重要だ。

ここで失敗すると後発に響く。

球子と杏の出発ができたとして、

陽乃に被害が及んだ場合、諏訪はもちろん、歌野の戦闘力にまで影響が出る。

陽乃「今まで通り、いつも通り。それでいいのよ」

緊張せず、不安も恐怖もない。

淡々と、バーテックスを屠って終わる。

一人で戦うのは約3年ぶりになるが、今の体の調子を考えれば問題はないだろう。

水都「今日は、お願いします」

陽乃「期待に、応える気はないからね」

頑張ってとも言わず、

軽く頭を下げるように言った水都を一瞥して陽乃は繰り返す。

陽乃「沐浴にしては、雑念が多すぎるわ」

水都「すみません……嬉しかったので、つい」

初めからその予定があったのではなく、偶然

それも、陽乃から近づいてきてくれたことが。と、水都は心の中だけで思った。
923 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 23:02:40.53 ID:MOqeND+zo

√ 2018年 9月2日目 朝:諏訪


歌野「じゃぁ、改めて……準備はいいかしら」

水都との沐浴を終えてから、少し経って

みんなが起き、準備と確認そして朝食を終えた後

ようやくと、歌野が切り出す。

行きの時よりも、やや重装備な杏と球子

普段通りの陽乃、巫女装束に身を包んでいる水都

見回して、一息。

歌野「久遠さん、もしあれなら助っ人を呼んで」

陽乃「必要ないわ。終わるまで絶対に出てこないで」

邪魔だから。と続きそうだが、実際には、陽乃の力の影響を受ける可能性があるからだ。

歌野と結界は、諏訪の神々の代行となっている陽乃の力の影響を受けずに済むだろうが、

杏と球子に関しては受けかねない。

杏「私たちの方も大丈夫です。サバイバル……というか、野宿とかについては、たまっち先輩もいるし」

球子「任せタマえ」

自信満々に言う球子に、杏は軽く笑う。

やや、緊張しているようだ。
924 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 23:17:32.04 ID:MOqeND+zo

陽乃「2人は私が周りを一掃してから出て頂戴。タイミング外して巻き込まれても責任は取らないわ」

球子「怖いこと言うなよ……分かるけど」

杏「大丈夫です」

陽乃「白鳥さんは藤森さんと一緒に行動して」

歌野「申し訳ないけど、わかってるわ」

本当なら、手を貸したい。

けれど、陽乃が全力で力を使うというし、

万が一の保険として控えは必要だから出るわけにはいかない。

水都「私たちは各区の班長に話を通して住民を本宮の方に集めておきますね。何もなければそれでいいですけど……」

陽乃「それでいいわ」

今後のことについてもそうだし、

杏と球子のことなども話しておく必要がある。

杏「四国は任せてください」

歌野「私が言えた義理じゃないかもしれないけど、乃木さんたちをお願いね」

球子「大丈夫だ。どうにかなる」

それより。と、

球子は陽乃を見て。

球子「そっちこそ頼む。扱いは面倒だけど、悪い奴じゃないからな」

陽乃「結界の外に蹴飛ばすわよ。貴女」
925 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 23:27:44.83 ID:MOqeND+zo

陽乃はそういいつつ、深く息を吐いて目を閉じる。

力は十分に満ちている。

四国にいたころとは比べ物にならないほど調子もいい。

これなら存分に力をふるうことができる。

諏訪の神々の恩恵

戦闘面においては、陽乃のデメリットを補って余りあるものだ。

歌野「ふぅ……ちょっとドキドキするわね」

水都「今まで、襲撃されることはあっても奇襲をするなんてなかったもんね」

球子「タマ達は奇襲したことあるぞ」

杏「奇襲……かなぁ?」

今まで通りを装いつつ、緊張を感じる空気。

陽乃は、それでも冷静に目を瞑る。

やることは単純だ。

あとは、力をどう扱うか


1、伊邪那美命の力を借りる
2、九尾の力のみを借りる

↓2
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 23:34:55.47 ID:iEzPZ8OEO
1
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 23:35:22.77 ID:cqHj336O0
1
928 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/30(日) 23:46:06.26 ID:MOqeND+zo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/31(月) 00:01:15.01 ID:gsxSv+K4O

最早否定する言葉が何一つ通用しないみーちゃん強すぎる…
そしていよいよ殲滅作戦だけど伊邪那美命の力の反動は大丈夫だろうか
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/05/31(月) 01:54:28.75 ID:CiA/u1RlO

みーちゃんこれからもグイグイといってほしい
力の方は不安は不安だけどこうなっても諏訪の力で強化されてるから多少は大丈夫なんじゃないかなあ
931 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/31(月) 21:51:06.64 ID:+4S7IN/Jo
では少しだけ
932 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/31(月) 21:52:02.85 ID:+4S7IN/Jo

陽乃「……本気で、つぶしに行ってみるか」

水都「え?」

陽乃「こっちの話」

この万全な状態は、おそらく諏訪限定だ。

ここにいるから、ここがあるから

諏訪の土地と、そこに住む人々の信仰

それがあるからこそ得られる恩恵

向こうにみんなを連れ帰ったところで、

今のように、何をしても問題がなさそうな体にはならないはずだ。

だからこそ、使ってみるべきかと思う。

想像しえない代償を払うことになりかねないが、

ここに多くの戦力を割り振らなければならないという印象をバーテックスに与えられる力の誇示としては、最適。

なにより、今しか使えそうにない力だ。

――伊邪那美命

彼女の力はどれほどのものか。

かの神は死の力を持っていると九尾は言った。

九尾も似た力を持っているが、それなど比にならないほど強い力を持っていると。

水都「陽乃さん?」

歌野「陽乃さん? えっ?」

陽乃は水都の疑問の声にはっとして、笑みを噛む。

陽乃「何でもないわ」
933 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/31(月) 22:04:06.63 ID:+4S7IN/Jo

無意識に目を向けてしまっていたらしい。

場合によっては……いいや、それなりに低くくない確率で陽乃は何らかのダメージを負うことになる。

その結果一番騒ぐのは水都だから、意識が行ったのだろう。

陽乃「白鳥さん」

歌野「は、えっ? 私?」

陽乃「貴女以外にいないでしょ」

なぜか驚く歌野に陽乃は淡々と言って。

陽乃「私の後は貴女がどうにかするんだから、しっかりして頂戴」

歌野「ええ、任せて頂戴」

歌野は戸惑いながら答えたものの、すぐに「あれ?」とこぼす。

斜め下に向かっていた視点が陽乃の方に向く

歌野「え、それだけ?」

陽乃「それだけよ。他意はないわ」

歌野「そう……? ん〜……そっか」

水都「うたのん、何か気になるの?」

歌野「大したことじゃないんだけど……陽乃さんって呼ぶようにしたのね」

水都「あっ、うん」

球子「ははぁ……なるほどなぁ」

自分は少し前からだと、自慢げな球子

私もまだ呼んでいないのにと、陽乃に視線を送ってくる杏

ちょっぴり困った様子でありながらはにかむ水都

これから有事を引き起こそうというのに、緊張感はどこかへと跳ねのけられている。

陽乃「それじゃ、私はもう行くから」

陽乃はそう切り込んで、立ち上がる。
934 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/31(月) 22:11:10.27 ID:+4S7IN/Jo

まだ7時にもなっていない、朝早い時間

二度と帰れないかもしれない戦いの場に行くはずのその姿は、ただコンビニに買い物行くかのように軽やかだった。

杏「久遠さん」

陽乃「今更、止めるのは無しよ」

杏「体に気を付けてください。私たちがいないから、諏訪の神様の恩恵があるからとか、関係なく、一人の人間として気を付けてください」

陽乃「今言うこと?」

杏「一旦、お別れなので」

杏は寂しげに笑う。

杏「久遠さんには元気でいて貰いたいんです」

陽乃「貴女に気遣われるまでもなく私は健康でいるつもりよ。そうじゃなきゃ早死にするだけじゃない」

杏「そう、ですね」

寂しさは残ったまま、でも、どこか嬉しさのにじむ杏の表情。

ここで暫く分かれることになるのが、そんなに気がかりなのだろうか。

陽乃は、思考でとぼける。

そうではないことくらい、わかってしまう程度には人間観察の力があるつもりだ。

陽乃「私を案じるよりも貴女には考えるべきことがあるはずよ。余計なことに使わないで必要なことだけに注ぎなさい」

球子「つまりあれだろ? 集中しろってことだろ? 変な言い方するなって」

水都「心配しないでって言ってるとも取れるけど……」

陽乃「……勝手にして」

陽乃は吐き捨てるように言って、部屋を出る

伊邪那美命の力を借りることは、やはり、言わないでおくべきだ
935 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/31(月) 23:19:58.51 ID:+4S7IN/Jo

諏訪の結界の外にまで来て、陽乃は深く息を吐く。

九尾なら、九尾と声をかければ出てきてくれる。

だが、伊邪那美命はそうとは思えない。

以前出てきたのは、陽乃の要求でなく、彼女の独断だ。

陽乃「……さて」

九尾の時とは違って、一応は本格的な神降ろしになる

失敗は……最悪酷いことになるが、

運よく何もなければ、九尾に変わりを願うしかない

陽乃は諏訪大社から拝借した扇を取り出す。

もっといろいろと拝借したかったが、見当たらなかった。

陽乃「ふぅ」

右手に扇を持ち、ゆっくり開きながら左肩から手先の方へと動かして、

翻しながら、右側へと動かす。

音も何もない、略式の神楽

それがどこまで許されるか。

陽乃「掛けまくも畏き 伊邪那美大神……」

祝詞を唱えながら、一手一手、納めていく

神降ろし――それに応えるように、体からどんどんと力が抜けていくのを陽乃は感じた
936 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/05/31(月) 23:44:31.54 ID:+4S7IN/Jo

陽乃「っ……は……」

九尾を呼ぶのとは比べ物にならない、息苦しさ

諏訪の神々の恩恵があってなお、重くのしかかって、眩暈がする。

陽乃「っ……」

向こうが勝手に姿を現したとはいえ、

一度は呼び出したことのある神

前回よりは負担も軽いはずなのに、

それがまるで感じられない辛さに陽乃は噴き出す汗を振り払いたい気持ちを抑えて、舞いを続ける

途中で止めていいものではない。

私事を優先していいことではない。

巫女神楽の奉納も終わりが近づいたころに、ようやく、それは姿を現す。

まるで、陽乃が苦しんでいるのを傍で眺めていたかのように、

柔らかに、自然に、そこに初めから存在していたかのように

陽乃「っ……」

乱れる息を整えて、陽乃は現れた女性に頭を下げる

陽乃「諸諸の禍事、罪、穢を祓い給え清め給えと白す事を……聞こし食せと恐み恐みも白す」

女性は何も言わない。

ただただ、陽乃を見つめて……陽乃の頬に触れる。

顔をあげさせ、目を合わさせ――溶け込む

陽乃「っあ……ぅ゛っ」

抜け出ていた力が、けた違いに膨れ上がって押し返された感覚

瞬く間に体の熱が上がって、のどが焼けるように痛んで、どこかが切れたのか吐血する
937 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 00:01:04.62 ID:pJHqbQGwo

諏訪の周囲に漂うだけだった白い塊たちが、一斉に向きを変える。

何かしているぞと、遠巻きに見ていた少女の異質さが跳ねあがったからだろう。

見逃してはいけないと、

許してはいけないと、

惹かれたように、導かれたように、

白い粒は一つの大きな塊ともとれるほどに群がって、

諏訪の結界の手前に立つ赤黒い巫女装束に身を包んだ ” 異物 ” へと降り注いで――

陽乃「そうそう……それでいいのよ。それで」

陽乃は、体の中にたまった力を一気に解き放つ。

辺りを埋め尽くしていたバーテックスの白さが消え失せて、黒く染まる。

見えていたはずの太陽さえも見えなくなるほどの暗闇。

朝から夜へと、時が飛んだかのような静寂さに包まれて

ふっっと、陽乃の体から力が抜けて膝をつく

陽乃「っ……あっ、痛っ……」

ごつんっと膝を強打した猛烈な痛みを感じて陽乃は呻いて、顔を上げる。

陽乃「……なる、ほど」

群がっていたバーテックスは影も形もなく消え失せて、

生い茂っていた草木さえも、不自然にその生命力を失って枯れ果てていた。

周囲に死を与える、非常識なほど凶悪な力。

振り返ってみれば、わずかに結界が揺らいでいるのが見えたが、すぐに持ち直す。

体の痛みも、徐々に和らいでいく

陽乃「これは――」

これは間違いなく、勇者の命さえ奪いかねない力だ。と、

改めて自覚すると、ぐらりと体が揺れ落ちて、誰かに抱きかかえられる。

一人か、二人か、三人か

うすぼんやりとした視界の中に、人影が見えたところで陽乃は気を失った
938 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 00:02:49.62 ID:pJHqbQGwo

√ 2018年 9月2日目 昼:諏訪

05〜14 67〜76 水都
27〜36 89〜98 歌野
45〜54 九尾

↓1のコンマ

※ぞろ目特殊
※そのほか通常
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 00:04:15.09 ID:GOwvYtnMO
940 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 00:12:54.21 ID:pJHqbQGwo
√ 2018年 9月2日目 昼:諏訪


陽乃「……」

目を覚ますと、見慣れた景色が映って

視界の端に引っかかっていた時計に焦点を合わせる。

壁掛けの丸い時計

真ん中のあたりにある、月日と曜日の表示を見てみると、

戦いからそんなに時間が経っていないのが分かった。

水都「……約4時間です」

陽乃「ん……」

声がした方向に体を向かせると、

陽乃とは違って、正しく巫女装束に身を包んだ水都がいた。

ややご立腹なのが、表情から見て取れる。

水都「陽乃さんのおかげで、周辺のバーテックスが一掃されたのは、うたのんが確認してくれました。
    伊予島さんたちも問題なく出発して、おおむね予定通りに進んでます」

陽乃「……怒ってる?」

水都「怒ってます」
941 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 00:21:07.67 ID:pJHqbQGwo

水都が言うには、陽乃が力を使ったのとほぼ同時刻、

諏訪は大きな地震に見舞われたそうだ。

その結果、諏訪大社の前宮に合った御柱が倒壊してしまったらしい。

幸いにもけが人などはおらず、

結界の規模などの縮小なども起こってはいないが、

もしかして。と、

焦った歌野達が飛び出してみれば、陽乃がちょうど気を失う寸前だったとのこと。

陽乃「……なるほど」

水都「なるほど。じゃありません!」

陽乃「っ……」

水都「心配したんですよ? 伊予島さん達は陽乃さんがそこまでしてくれたからって、私たちに任せて発ってくれたからいいですが
    本当に、また、酷いことになるんじゃないかって、私……」

水都は、怒鳴ったかと思えば、ぽろぽろと涙をこぼす。

横になっている陽乃を見下ろしているせいか、涙が早く落ちてくる。



1、結界なら、大丈夫だったでしょ?
2、目を覚ましたんだから、いいじゃない
3、もう少し、大丈夫だと思ってたのよ
4、大げさね
5、悪かったわね。想定外だったのよ


↓2
942 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 00:23:57.75 ID:fGfChIErO
下1じゃないんやな
安価下
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 00:24:09.33 ID:JXdvZ6d4O
3
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 00:24:31.55 ID:GOwvYtnMO
4
945 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 00:27:50.52 ID:pJHqbQGwo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 00:33:40.16 ID:GOwvYtnMO

戦闘シーンがコンマ判定すらなく瞬殺とは恐るべし…
諏訪の神様のおかげか反動もなんとかなりそうだな
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 02:11:19.41 ID:JXdvZ6d4O

相変わらずみーちゃんにコンマが吸い寄せられてくな
948 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 21:34:54.90 ID:pJHqbQGwo
では少しだけ
949 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 21:36:02.78 ID:pJHqbQGwo

陽乃「もう少し、大丈夫だと思ったのよ」

水都「そんな軽い気持ちで命を懸けないでくださいっ!」

陽乃「……」

水都「忘れちゃったんですか? あんなに苦しんで、辛そうで、痛そうなことになったこと」

陽乃「忘れてはないけど……でも」

水都「でもじゃないんです」

水都は陽乃を声で押さえつける

でも、だけど、そんなのは聞いていられないと言わんばかりだ

水都「こんな無理をしないといけないほどぎりぎりだったんですか?」

陽乃「使っておく必要があったのよ」

諏訪でしか使えない可能性がある力。

諏訪の土着神というわけではなく、

単純に、普通では陽乃の体が持たない超常的な神の力だからである。

陽乃「私の中にある力だから知らぬ存ぜぬではいられないし、確認しておくべきでしょ?」

水都「なにも、こんな大事な時にしなくたって」

陽乃「今だからこそよ」
950 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 21:53:10.03 ID:pJHqbQGwo

守る必要のある結界は、陽乃の保護下にあって

周りにはほかの勇者が控えていることもない。

万が一力が暴走して、周囲一帯を巻き込んだとしても大きな被害を出さずに済む可能性が極めて高かった。

その目論見通り……とはいかなかったが、

結界内の御柱の倒壊と地震が起こる程度で済んだ。

水都は周りを巻き込む力だと聞いてもやや不満そうだったけれど、

わかりました。と、軽く頷いた。

水都「体はどうですか?」

陽乃「……平気」

水都「声もはっきりしてるみたいで、よかったです」

断続的な枯れた声、寝返りもままならず、すぐに悪化したり、吐血したり

凄惨だった先月の陽乃を思い返してか、水都は物憂げながらほほ笑んだ

水都「でも、二度としないでください。せめて、ひとこと言ってください」

陽乃「言ったら止められるじゃない」

水都「なら、説得してくれたらいいんですよ」

水都は満面の笑みで言う。

昨日のことをそっくりそのまま投げ返せたのが嬉しいのだろうか。

それに対しての定型句を返せば、

また、陽乃と似たようなことを返してくるだろう。

調子に乗るなと今朝言ったばっかりだったはずなのに。

陽乃は少し顔を顰めた。

陽乃「調子に乗らない方が良いわよ」
951 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 22:02:57.39 ID:pJHqbQGwo

水都「今回は、陽乃さんが悪いと思いませんか?」

陽乃「やるべきことをしただけだわ」

諏訪の神々の恩恵があること前提での行為だったが、

結果的には体調も問題がなさそうだし、バーテックスも一掃できた

心配して欲しいと頼んだ覚えはない。

むしろ放っておいて欲しいと願っていたくらい。

勝手に心配して、それは陽乃のせいだというのは理不尽だ。

陽乃「……理不尽」

水都「へ?」

陽乃「こっちの話よ」

随分と振れ幅の大きい言葉だ

かつて受けた理不尽な仕打ちから、今水都から押し付けられている理不尽な責任

どちらも同じ理不尽などと、何とも康寧な話ではないか。


1、私が倒れてから問題は?
2、白鳥さんは?
3、悪いとは思ってないわ
4、定期連絡は?


↓2
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 22:07:04.64 ID:QCnsox1HO
1
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 22:08:01.83 ID:T18sBNc70
2
954 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 22:38:58.84 ID:pJHqbQGwo

陽乃「白鳥さんは?」

水都「うたのんなら、定期連絡してます」

陽乃「伊予島さん達のこと、話すの?」

水都「聞き入れて貰えるかはともかく、連絡はしておくって言ってました」

報連相は大事だ

相談……は、していないけれど。

若葉から大社から派遣されてきた担当の人に変わってしまった通信

陽乃に対する忠告をするが、陽乃達がこちら側にいるという話を信じては貰えていない

陽乃「向こうが襲撃される可能性については?」

水都「それも話すそうです」

陽乃「……」

陽乃の怪訝な表情に水都ははにかむ

気持ちはわかるとでもいうようで。

水都「乃木さんではないので、襲撃のご神託が下っていても知らされていない可能性はありますね」
955 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 23:03:39.73 ID:pJHqbQGwo

こちら側の話が信用されないのは前提

酷い話だけれど、襲撃を受けたなどの話は受けてくれるように感じるが、

陽乃や杏達の件については、話半分。

だから、こちらから情報を提供することより

向こうの情報を仕入れるというのが目的になっている。

しかし、それもままならなそうだ。

陽乃「せめて襲撃があるのかどうかだけでも把握してくれていると助かるんだけど」

水都「うたのんの交渉術次第ですね」

陽乃「そうね」

一度でもひなたさえ引き摺り出せていれば、

九尾とのパスを繋げて神託を受け取ることが出来ていたかもしれない。

陽乃「白鳥さんの交渉術がどうであれ、向こうの担当にそこまでの権限がなければどうにもならないわ」

水都「勇者と接することが可能なくらいには、位が高いと思いますけど」

陽乃「神託は最高機密だと思うから、勇者と接することができるかどうかではないと思う」
956 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 23:52:07.66 ID:pJHqbQGwo

水都「そうですよね……私は独りしかいないから特別なだけですよね」

自分が関われているから誰でも関われている

そう考えていたらしく、傲慢だとでもいうかのように肩をすくめた。

水都「実は、陽乃さんに安静にしていて貰うために、ずっとそばにいたんです」

陽乃「それが?」

水都「でも、体調には問題がなさそうですし……今からでも、通信施設のところに行きますか?」

陽乃「もうすぐ終わりじゃない?」

水都「いつもと違って報告もあるので、まだ終わっていない可能性もあります」

陽乃「で、私に話をしてみろって?」

水都「そうですね……通信の状態もかなり酷くなっていてもしかしたらもう、通信が途切れてしまう可能性さえあるので必要であれば」

陽乃「聞いて貰えるとは思えないし話すこともないのだけど」

上里ひなたを連れてこい。なんて言うだけ無駄だろうから。

力を使って、通信回復を試みてみるのもいいだろうか



1、わかったわ。行ってみましょう
2、通信回復を試みるわ
3、やめておくわ。どうにもならないし
4、九尾を呼ぶ


↓2
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 23:55:37.92 ID:T18sBNc70
1
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/01(火) 23:56:17.74 ID:zRNi7qpbO
2
959 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/01(火) 23:59:40.18 ID:pJHqbQGwo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/02(水) 00:09:51.52 ID:OAsBe+cpO

後々の事を考えながらみーちゃんと相談してるところを見るに陽乃さんの素はかなり真面目だよな
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/02(水) 01:27:49.75 ID:2GDin3s2O

みーちゃんの努力の賜物だなそこは
962 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 20:37:26.05 ID:q+hJpbORo

では少しだけ
963 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 20:37:52.30 ID:q+hJpbORo

陽乃「通信回復を試みるわ」

水都「また力を使うんですか?」

陽乃「反動があるような力を使う気はないわよ」

またむっとする水都に陽乃は呆れたように首を振る。

今の陽乃にとっての脅威は伊邪那美命の力による反動

九尾の力を使うくらいなら何も問題はなかった。

水都はそれでも心配なようで、陽乃をまじまじと見つめる

水都「いつもはそうでも、消耗した今の状態でも同じ保証はありますか?」

陽乃「証明のために力を使えばいいの?」

水都「……そうじゃないですけど」

証明のために消耗させていては、

ならその次は大丈夫なのかと気になってしまう。

陽乃は自分に問題がないと確信があるからいいが、水都の中では勝手に堂々巡りである。

陽乃「貴女から見て私と通信どっちが余裕がないのよ」

水都「それは通信ですけど」

けど。と、水都は渋った。

水都「大事なのは、陽乃さんの方です」
964 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 20:52:53.13 ID:q+hJpbORo

陽乃「はぁ」

水都「本気で言ってるんですよ……?」

陽乃「それはそうでしょ。私がいなくなったら諏訪が終わるんだから」

不満げな水都を一瞥する陽乃の呆れた反応には、

水都もまた深く、顔を顰める

陽乃はどちらかといえば察しが良い

しかし、察したからと言って寄り添ってくれるというわけでもなく。

水都「諏訪の代行じゃなくてもですよ」

陽乃「貴重な戦力だもの。分かってるわよ」

水都「……」

利用価値があるから。

それを大前提とした陽乃の答え。

水都はそうっと手を伸ばして、陽乃の頬をつまむ

陽乃「……なに?」

水都「なんとなく、うたのんの気持ちが分かった気がして」

陽乃「なんなのよ」

水都「こっちの話です」

にこやかな水都の反応は、やはり、さっきの仕返しか

陽乃は目を細めたが、水都は気にせず陽乃の頬を手放す。

水都「……似てるなと」

陽乃「私が? 白鳥さんに?」

水都「どうでしょう?」
965 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 21:07:51.75 ID:q+hJpbORo

陽乃は暫く水都を見つめていたが、

ため息をつくと、さっと目を逸らして自分の手を動かす。

握る力、持ち上げる力、曲げる力何一つ不自由はない。

陽乃「似てないわよ」

水都「え?」

陽乃「以前ならともかく、今は」

歌野と水都、どちらに似ていると誰が言ったか。

思い返した陽乃はそれを不鮮明に否定する。

今は到底似ていない。

陽乃「貴女は代わりに寝ててもいいわよ」

体を起こし、手足の不自由がないのを確認して、服の皴を伸ばす。

私服ではなく、寝間着

着替えさせられたのだろう。

水都「え、そのまま行くんですか」

陽乃「外に出るでもないし、これでいいわ。見るのは白鳥さんくらいだし」

水都「だ、だめですよ! 万が一があるかもしれないですから着替えてください!」

水都が回り込んで陽乃を阻む。

陽乃「……何か企んでるの?」

水都「ないですけど、とにかく、駄目です」

水都は企んでいない

企んでいないが、御柱の倒壊と地震はけたたましい警報の後に起こった災害である。

それ以前に人々を神社に集めていたので人的被害は皆無だったが、問題はそこだ。

参集殿は立ち入り禁止となっているが、境内には人が多い。

焦る水都を陽乃は睨むように見て、渋々と着替えを手に取った。
966 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 21:13:51.39 ID:q+hJpbORo

↓1コンマ判定 一桁

1,4,9 通信終了
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/02(水) 21:19:48.20 ID:TyVoPUIGO
968 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 22:05:25.59 ID:q+hJpbORo

歌野『ですから、何度も言っているようにこちら側にも巫女がいるんです!』

陽乃達が通信施設に向かうと、まだ通信中の歌野の声が聞こえてきた。

口調こそ礼儀を感じるが、声はひどく荒々しい。

苛立っているのを感じるそれに、陽乃の傍らにいた水都が肩を震わせる。

陽乃「……」

歌野『その巫女が神託を受けたんです!』

歌野の言う巫女と言えば水都のことのはずだが、陽乃が振り向くと水都は首を振る。

水都が嘘をついていなければ神託を受けていない

なら、歌野が言う神託を受けた巫女というのは陽乃のことだ。

陽乃がそう言っていた、陽乃の使役している精霊がそう言っていたと伝えるより、

明言せずに巫女という枠を使った方が良いとの判断だろう。

しかし、向こうはそれを素直に受け止めてはいないように感じる。

陽乃「なるほど」

水都「え?」

陽乃「向こうはその神託を受けていないって返答をしたのね」
969 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 22:13:27.80 ID:q+hJpbORo

向こうの巫女が神託を受けたか否かを把握していなければ、歌野からの情報を受け止めて上に伝えるだけでいい

だが、そうはしていない

していれば歌野が声を荒げるはずがないからだ。

なら、どうなっているか。

通信の相手は神託の有無を把握しており、歌野が言う神託が偽りであるのではないかと考えている。

だから歌野が怒鳴った。

陽乃「……私か」

水都「陽乃さん?」

陽乃「こっちの話」

陽乃に何かされたとか、

あるいはそもそも、連絡しているのが陽乃で混乱させようとしていると疑っているのではないだろうか。

四国が襲撃されるかもしれないという重大な話。

それが、諏訪で行われて四国で行われていないというのは確かに奇妙な話である。



1、ノックしてはいる
2、忍び込む


↓2
970 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/02(水) 22:15:18.08 ID:TyVoPUIGO
1
971 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/02(水) 22:18:16.97 ID:TyVoPUIGO
1
972 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/02(水) 22:20:14.74 ID:dR9Y9S110
1
973 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 22:41:48.48 ID:q+hJpbORo

軽く息を吐いて、コンコンコンッっと、三度扉を叩いて引き戸を開く。

和室として作られ、一部を通信用の設備によって作り替えられている部屋

その中央にいる歌野は驚いた様子で振り返っていた。

陽乃「失礼するわよ」

歌野「な、え、みーちゃんっ」

水都「体は問題なさそうだったから」

陽乃は水都と歌野のやり取りを無視して、

通信ようの機械から延びるコード、その終点にあるヘッドセットに目を向ける

歌野の頭から離れたそのヘッドホン構造の部分からは、かすかに声が聞こえる。

四国側の通信担当だろう。

歌野「久遠さん、どういうつもり?」

陽乃「あら、来たら行けなかった?」

歌野「そういうわけじゃ……」
974 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 23:11:59.77 ID:q+hJpbORo

歌野は少し気まずそうな顔をしている。

水都も察して困った表情になっていたが、陽乃はヘッドセットを手に取って半分を耳に当てる。

『勇者様。ご返答ください』

聞いたことのない男の声

若葉でも千景でも友奈でもないし、ひなたでもない。

女性でなく、男性であることに疑問を覚えたが、別におかしなことではないと思い直す。

『勇者様』

歌野「……」

男性の呼び声

歌野は陽乃を見る。

自分が続けるのかそれとも陽乃が変わるのか

どうするのかと問うような視線。

いくら生の声ではないと言っても、

さっきまで聞いていた声と、陽乃の声が違うという判別くらいはできるだろう。



1、杏と球子を送ったことを話す。
2、陽乃のことを通信担当に話す。
3、呪い殺されたいの? と、脅す
4、歌野に任せる
5、何も言わない


↓2
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/02(水) 23:14:00.32 ID:21xZzaypO
1
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/02(水) 23:14:12.94 ID:2GDin3s2O
1
977 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/02(水) 23:17:34.34 ID:q+hJpbORo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
978 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/02(水) 23:37:17.86 ID:eUletyuYO

今の大社の人が陽乃さんとの対話でどんな反応するんだろうか…
あと普段温厚なうたのんがキレ気味で怒鳴るとは結構珍しいシーンでは
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/03(木) 02:04:02.29 ID:QGN7+Dh0O

まあもうこちら側から出来ることこれくらいしかないしな……
980 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/03(木) 22:36:53.31 ID:oGugrJ6Vo
では少しだけ
981 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/03(木) 22:39:17.00 ID:oGugrJ6Vo

陽乃「代わるわ」

歌野を制すように手を差し向けて、マイクを自分の口に近づける。

歌野がいくら言ってもダメだったなら、陽乃が言ったところで変わりはあるのかと疑問ではあるが、

直接、どういう対応かは身に感じておきたかった。

『勇者様? 何か――』

陽乃「伊予島杏と土居球子をそっちに送還したわ」

問題があったのか。そう続きかけた通信手の声を遮る。

『は……白鳥様?』

陽乃「聞いてる? 二人をそっちに送り返したと言ったのだけど」

水都「……陽乃さん」

水都が、普段から接している陽乃とはまるで違う冷たい声

威嚇し、軽蔑し、相手の恐怖心を煽る陽乃の雰囲気に水都は息をのんだ

『藤森水都さん。でしょうか』

陽乃「はぁ……」

会話の内容よりも、相手が気になっているようだ。

顔の見えない相手。警戒するのは解るが、曰く"陽乃はいない"のではなかったか。


1、冷たく接する
2、自分が陽乃だと告げる
3、話を続ける

↓2
982 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/03(木) 22:40:54.94 ID:6pEFNWhDO
3
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/03(木) 22:42:10.14 ID:l3VZzIJm0
2
984 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/03(木) 23:12:11.11 ID:oGugrJ6Vo

陽乃「陽乃。久遠陽乃」

『そんな、まさか』

陽乃「信じるも信じないも結構だけど、ここ半月の捜索で成果は得られたのかしら」

『……本当に、ご本人なのですか?』

陽乃「貴方達にとって災厄以外の何物でもない名を騙るもの好きがいるとでも?」

『……』

通信手からの声が途切れる。

深く考え込んでいるかのような沈黙の後、通信手側からため息のような音が漏れてきた。

『本当に久遠様なのですね?』

陽乃「ご自由にどうぞ」

判断は委ねるという陽乃の姿勢。

一転して、怒っていないし呆れてもいないが、関心もないといった様子の陽乃

水都と歌野は固唾をのんで見守る。

『では、そこには白鳥様はいないと?』

陽乃「さっきまでと声は違うと思うけど、通信じゃ不鮮明かしら」

『……先ほどまでは』
985 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/03(木) 23:23:22.59 ID:oGugrJ6Vo

陽乃「じゃぁつまり、さっきまでは勇者ともわからない誰かと情報のやり取りをしていたってわけね」

『そ、そういうわけでは! 以前から担当させて頂いており、白鳥様ご本人だと認識して――』

陽乃「最初に白鳥歌野以外が、白鳥歌野を名乗っていたとしたらどうなのかしら」

歌野「ちょっと、久遠さん!」

さすがにかく乱のし過ぎだと歌野が口を挟む。

声が向こうに届いてしまったらしく、「白鳥様」と、通信手の声が聞こえた。

当初から歌野ではなかったかもしれないという疑念

それを植え付けてしまったら、今後の通信に支障が出かねない。

いや、あるいは、通信手が疲れているのだと、別の人に変わるかもしれない。

陽乃「分かってるわよ。あまりにも、話を聞いてくれないんだもの」

歌野「だからってこれはよくないわ」

陽乃「……はいはい」

素知らぬ顔で答えた陽乃はため息をつく。

限度くらいは解っている。

陽乃「四国から、久遠陽乃、伊予島杏、土居球子がいなくなっていたことは把握しているでしょう?」

『存じております』

陽乃「三人で諏訪に来ていたのよ。無理だと思っているのだろうけど、本当にね」
986 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/03(木) 23:32:37.64 ID:oGugrJ6Vo

若葉からの報告を受けていたはずだが、

通信の不調などを理由にそれを完全に信じてはいなかった大社

今回のやり取りでも、信じてくれると思っていないが

言うだけは言っておくと、陽乃はつづけた。

陽乃「でも、事情が変わった。白鳥さんが言っているように、こっちよりもそっちが危ないと神託が下ったのよ」

神託などなく、九尾がその可能性が高いと言っただけ。

九尾が神獣として知らせを持ってきたと思えば

神託と言えなくもないが。

陽乃「だから二人をそっちに送り返したの」

『ですが、白鳥様にお伝えした通り我々にはそのような神託は下っておりません。最も巫女としての適性をお持ちである、上里様にでさえ、そのような神託は下っていないと伺っております』

陽乃「なるほど……」

想定内の返し。
神託を受けるべき側が神託を受けていない
だから、その神託は信ぴょう性に欠けている。というのは、決して間違っていない考えだ。
特に、陽乃を警戒しているのならなおのこと。
向こうに、上手く言う方法はあるだろうか

――そもそも、言ってやる必要は。


1、信じなくて結構よ
2、こっちの方が優秀だとは思わないわけ?
3、そうね。実際は " 諏訪の危機は遠のいた " という神託だとしたら?
4、何も言わない


↓2
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/03(木) 23:35:29.77 ID:hRCQGhrHO
3
988 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/03(木) 23:37:07.27 ID:RZZMlcHIO
3
989 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/03(木) 23:38:08.97 ID:oGugrJ6Vo

では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
990 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/03(木) 23:47:48.62 ID:RZZMlcHIO

伝えるべきことをきちんと伝える姿勢を見せていい方向に転がってくれるといいなぁ
これで後で仇で返されたらもうどうしようもないけど
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/04(金) 01:54:44.83 ID:ebOCihHdO

そもそも球子たちすら間に合う保証はないもんな
992 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/04(金) 22:14:44.48 ID:zaoAiUXvo

では少しだけ
993 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/04(金) 22:15:34.70 ID:zaoAiUXvo

陽乃「そうね。実際は”諏訪の危機は遠のいた”という神託だったとしたら?」

『……言い換えれば信憑性が増すと?』

陽乃「むしろ逆。ことが重大だと思ってもらえるようにわざわざそっちが危険だって言っていたのに
   神託が来ていないからありえないって跳ねのけられちゃうんだもの」

陽乃はわざとらしく苦笑する。

その笑い方は、知っている人が聞けば九尾の嘲り笑うようなものに通ずるものがあって、

歌野はやや緊張してしまう。

目の前で通信を代わった陽乃が張るのではなく九尾だったら、どうなってしまうのか。

水都が連れてきたから、陽乃本人であると思いたいけれど、

そもそもから切り替わっていたりしたら、水都でも気づけないのではないだろうかと。

陽乃「その神託の後、諏訪周辺からバーテックスの数が減っているのを確認したし、そっち側に移動しているような形跡も感じられた。
   提示できる証拠はないし、信じなくても結構よ。これはあくまで形式的な報告でしかないんだから」

ほとんどでっち上げである。

神託は誇張で、数の減少もちゃんと確認したわけではないし、形跡なんて調べてもいない。

陽乃が外に出た時、来た時より明らかに数が多いのは感じたが、減ったという印象はなかった。

そんな口から出まかせ状態の陽乃から水都へと視線を移動した歌野は、小さく笑う。
994 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/04(金) 22:26:48.09 ID:zaoAiUXvo

水都「……」

水都は黙っているが、その表情は穏やかだ。

陽乃が九尾である可能性なんて微塵も疑っていない。

陽乃「だけど、私たちは言うだけは言ったわ。取り合わなかったのはそっち。どれだけの損害が出ようが自己責任で処理して欲しいの」

陽乃はそういって顔を顰める。

大社は自己責任とするかもしれないが、民衆は違うだろう。

実際に人を殺めてしまった影響が大きく出てくるはずだ。

やはりあの娘を差し出さなかったからだと、余計に荒れるかもしれない。

それこそ自己責任ではないだろうか。

『本当に諏訪の安全が確保されたと?』

歌野「ええ。諏訪周辺のバーテックスは一掃されました。そこは、諏訪の勇者、白鳥歌野が保証いたします」

陽乃に顔を近づけて、歌野が答える。

瞬時に入れ替わっているだけと思われたら反論の余地もないが、

陽乃が認めるよりは歌野が認める方がまだいいだろうとの判断だ。

『……承知いたしました』
995 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/04(金) 23:03:58.15 ID:zaoAiUXvo

考えるように、通信担当は答える。

歌野が証言しているとはいえ、歌野が陽乃に何かされていないとは限らない。

もちろん、この場にいる誰もそれは疑わないが、

顔の見えない向こう側は、疑わざるを得ないのだろう。

陽乃のことを警戒しているなら、仕方がないことだ。

陽乃「それと二人を帰しはしたけれど、間に合う保証はないから」

『どれほどの時間がかかると?』

陽乃「さぁ? そこは二人の頑張り次第ね」

『……承知いたしました。お伝えいたします』

歌野「通信、調子いいわね」

陽乃「私だから」

向こうからのつながりはともかく、

こっち側からのアクセスは陽乃の力で補強されている。

それでも、十分とは言えない


1、上里さんを呼んで貰える?
2、そっちの勇者の状況は?
3、私の扱いはどうなってるの?
4、終了する


↓2
996 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/04(金) 23:05:06.46 ID:nI0VOlHNO
2
997 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/04(金) 23:07:10.13 ID:gmxgEi/a0
1
998 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/06/04(金) 23:15:36.82 ID:zaoAiUXvo

次スレ
続きはこちら

【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【4頁目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1622816025/
999 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/04(金) 23:16:19.12 ID:nI0VOlHNO
了解ですー
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/06/04(金) 23:58:58.66 ID:BDhqnAdKO
1001 :1001 :Over 1000 Thread
       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       | アパム!アパム!次スレ建てて来い!アパーーム!
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  / ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄| ⌒\⌒\  ||  / ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄|   SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
(´・ω・`) @ 2021/06/04(金) 07:40:02.28 ID:yLUQquRH0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1622760002/

全レスする(´;ω;`)part40 埋められ気味 @ 2021/06/04(金) 07:10:56.72 ID:Y35f7p1zo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1622758256/

酒飲みJJIやBBA酒の海へどんぶらこっこ @ 2021/06/04(金) 04:47:17.16 ID:9KEoKD560
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1622749636/

雲消霧散 @ 2021/06/03(木) 22:58:15.11 ID:cT+7OnOyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1622728694/

エーザツディヴィジョン @ 2021/06/03(木) 20:54:30.17 ID:7Npgws89o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1622721269/

タワーリシチ(総合) @ 2021/06/03(木) 20:41:40.37 ID:6QGuVzgHo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1622720500/

古き良きAA雑談 @ 2021/06/03(木) 20:12:43.85 ID:3rjFeyP6O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1622718763/

【ヒープリ】ダルイゼン「ロスタイム…!?」 @ 2021/06/03(木) 20:08:52.95 ID:qu0vUzVb0
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