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【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【5頁目】
- 502 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/09(土) 23:04:36.08 ID:TLlJd/TGo
-
歌野は2号車に戻ると、
バスの最後尾、陽乃のもとへと向かう。
歌野「……久遠さん」
まだ高熱が続いており、時々、血だって吐くこともある。
汗でびっしょりな体は何度か拭いてあげているが、
またすぐに、汗だくになる。
陽乃「っ……」
歌野「大丈夫、終わったわ。襲撃って言うほどのものでもなかった」
余裕余裕。と、歌野は笑顔で語る。
出来る限り小さな声で。
何も話さないのもあれだが、大声は、頭に響きそうだ。
歌野「……」
陽乃の手を握る。
同年代で考えれば、少し大きいだろうか。
歌野「お願い。早く良くなって……」
戦って欲しくはない。
けれど、いつまでも苦しんでいる姿を見ていたくはない。
歌野「元気な貴女を、見ていたいの」
心の中で、宇迦之御魂大神へと祈る。
どうか、陽乃を癒してあげて欲しいと。
- 503 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/09(土) 23:10:00.83 ID:TLlJd/TGo
-
↓1コンマ判定 一桁
1,3 陽乃
2,6 水都
8 九尾
4,9 住民
5 戦闘痕
7 特殊
※ぞろ目 特殊
- 504 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 23:11:22.37 ID:Ve/MPC6OO
- あ
- 505 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/09(土) 23:18:00.18 ID:TLlJd/TGo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
- 506 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 23:32:13.00 ID:e2ffitO2O
- 乙
うたのんがすごい健気だな……
- 507 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/09(土) 23:32:28.50 ID:Ve/MPC6OO
- 乙
うたのんの反動も無視できないどころか下手に使うと陽乃さんよりも早死にしそうで心配だな
襲撃も増えてきたしなんとか陽乃さんを戦線復帰させたいところだけど…
- 508 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 15:12:58.33 ID:0lBQTLRao
- では少しずつ
- 509 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 15:15:15.84 ID:0lBQTLRao
-
歌野「久遠さんは、凄いわ」
陽乃が扱っているイザナミ様の力なんて借りようものなら、
歌野はものの数分で全身から血を流して息絶えるだろう。
陽乃はそれを繰り返して、死にかけながらも生き延びている。
宇迦之御魂大神の力を借りることが出来ている歌野も大概ではあるが、
それはあくまで、陽乃と繋がりがあることを前提としてのものだ。
そうでなかったら、最悪力を借りることは出来なかっただろうし、
借りることが出来たとしても、もっと代償が大きかったかもしれない。
歌野「……自信を持っていい。誇っていい。久遠さんは、間違いなく勇者なんだから」
歌野は、陽乃に寄り添いながら、そう声をかける。
穏やかな寝顔ではなく、
悪夢にうなされているかのように苦しんでいる陽乃の額を、タオルで拭う。
歌野「久遠さ――」
突然、バスが停まる。
急ブレーキではなく緩やかなブレーキだったため、
バーテックスの襲撃を受けたわけではないはずと、歌野は陽乃を一瞥して席を立つ
歌野「ちょっと、出てくるわ」
- 510 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 15:35:41.68 ID:0lBQTLRao
-
しきりになっているカーテンをくぐって、バスの前方へと向かう。
歌野達がいる2号車が先頭になっているため、
前方にバスは見えない。
歌野「何があったの?」
「それが……」
言い淀む住民の1人。
何が起きたのか、判断に困りつつもひとまず出ようとしたのと同時に、
バスの前方の扉が開く。
杏「白鳥さん!」
歌野「えっ……伊予島さん!?」
長い髪はまとまらずぼさぼさに乱れていて、
身に纏う衣服も、あちこち引き裂かれて、赤黒く汚れている。
陽乃を見ていると、満身創痍という言葉が不適切に思えては来るけれど
杏も、傷だらけだった。
杏「話したいことはたくさんありますけど、時間がありません。今すぐ、バスで付いてきてください」
歌野「伊予島さん?」
- 511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 15:37:12.68 ID:WPm3Gn9IO
- ついに合流きたー
- 512 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 15:52:31.28 ID:0lBQTLRao
-
ひっ迫した様子の杏の案内に従ってバスを走らせること数分
滋賀県内にある高校へと、移動する。
本校舎は見る影もなく倒壊してしまっているけれど、
校舎から繋がっている道と体育館はまだ残っており、
杏はその体育館へと、みんなを誘導する。
杏「良くご無事で」
歌野「伊予島さんこそ……」
歌野はそこまで言って、はっとする。
歌野「土居さんは? 見回り?」
杏「タマっち先輩は、重傷で動けないんです」
杏の目が向けられた体育館の一角
かき集めただろうカーテンなどを敷いて作られた簡易なベッドがあり、
そこには、杏以上に傷だらけになっている球子が横たわっていた。
歌野「何が、あったの?」
杏「見たこともないバーテックスから奇襲を受けて……それで……っ」
一瞬だったと、杏は言う。
バーテックスが増えてきたことを警戒してルートを変えた後も、
結局、バーテックスの襲撃は絶えることなく続いて、
その最中に、どこからともなく放たれた一撃を球子が受けたのだと、杏は言う。
その反動で杏と球子はその場所から遠く弾き飛ばされたおかげで追撃を受けずに済んだものの、
暫く、身動きを取ることさえできなかったらしい。
- 513 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 16:10:36.70 ID:0lBQTLRao
-
杏「見えたのは、矢のようなものを放つ凄く大きな個体で……白鳥さん達は襲われずに済んだんですね」
良かった。と、杏は胸をなでおろす。
そんな個体に襲われたらひとたまりもなく、
住民が無事であるはずがないと考えているのだろうけれど。
歌野は、首を横に振る。
歌野「矢の個体は久遠さんが命がけで倒してくれたわ」
杏「え……あっ、そ、そういえば久遠さんは?」
歌野「……2号車の中で眠ってるわ。力の反動で、暫く動けないの」
杏「そう、ですか」
死亡したとかではなく、
力の反動によって伏せっているという話を聞いて杏は少し安心したように声を漏らしたけれど、
まだまだだと、首を振る。
杏「久遠さんなら、あのバーテックスも倒せるんですね」
歌野「でも、今のままでは確実に死ぬわ。強い力を使い過ぎれば、久遠さんだって無事では済まない」
- 514 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 16:27:13.00 ID:0lBQTLRao
-
歌野は苛立ちのようなものを感じさせたが、その気配はすぐにどこかへと消えていく
力不足だ。あまりにも。
宇迦之御魂大神様のお力を借りることで、
普段よりはずっと強い力を使えるけれど、でも、出来ても撃退程度。
倒すには、陽乃に力を使って貰うしかない。
杏「それは、分かってます……でも、あと1体いるんです。サソリみたいな個体が」
歌野「それなら撃退したわ。倒しきれなかったけど、近くにはいないはず」
杏「えっ……」
歌野「だから、移動するなら今の内よ」
杏「……」
歌野「伊予島さん?」
杏「あっ……いえ、すみません……」
神妙な面持ちで、暗く沈んだ雰囲気を醸し出していた杏は、
歌野に声をかけられた途端に、いつもの様子に戻る。
杏「なら、タマっち先輩を寝かせられる場所を――」
歌野「そのことだけど、私がどうにかできるかもしれないわ」
- 515 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 16:47:43.33 ID:0lBQTLRao
-
球子は両腕や両足を骨折しており、
右腕にいたっては、手首から先が無くなっていないことが奇跡のような損傷が見える。
意識はあるが、その痛みから六に動くこともできないといった様子の球子は、
歌野の姿を見つけると、強がりな笑みを見せた。
球子「……なんだ……来ちゃったのか」
歌野「ええ。2人が中々到着していないから心配になっちゃって」
球子「悪い……しくじった」
杏「タマっち先輩は何も悪くないよっ……」
歌野は宇迦之御魂大神様に呼びかけて、
その膨大な生命力を借り受ける。
自分を癒すのではなく、他人を癒す。
歌野の生命力が失われていく一方になり、その分が、球子へと流れ込む。
歌野「っ……」
若草色の光が、広がる。
蛍火のような明かりが辺りに漂い始め、
朽ちた床面などから、小さな命が芽を出していく。
歌野「……っ……」
体が熱い。
今にも失神しそうなほどに、苦しい。
歌野は、口の中に血が滲むのを感じながら、それでも球子を癒すために力を使う。
球子が治れば、また少し、楽になれる。
その為ならこの程度。と、歌野は覚悟を決めていた。
- 516 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 17:14:20.01 ID:0lBQTLRao
-
力を使い始めてから数分で、球子の体は元通りに回復し、
傍にいた杏の体も癒えて……辺りには雑草が生い茂っていた。
歌野「はぁ……はぁ……っ……」
球子の隣に座っていた歌野は、
呼吸を乱し、ぐっしょりと汗をかき、ゆらりと揺れて――
杏「白鳥さんっ!」
水都「うたのんっ」
杏が歌野の体を抱きとめて、水都が傍に膝をつく。
歌野「だ、大丈夫……ちょっと、疲れただけ」
水都「鼻血が出てる」
水都は分かってるとでも言うように笑みを浮かべて、
歌野の鼻の辺りを袖で拭う。
水都の袖は赤く汚れて、一緒に汗も拭ってしまったのか、濡れてしまっていた。
球子「無理、するなよっ」
歌野「このくらいは、無茶でしかないわ」
球子「けど!」
球子は、自分の体が治ったことを実感しながら、
ばつが悪そうに、歌野へと声を荒げる。
自分を治すために歌野に負担がかかるのは、望まないことだ。
歌野「……my self 気にしないで」
自分の為と、そう言う歌野に杏が顔を顰める
杏「久遠さんみたいなこと言わないでください……そんなの、駄目です」
歌野「ふふっ……ソーリー。でも、本当に、1人では限界があったから、戦力が欲しかったの。本当よ」
- 517 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 17:25:06.95 ID:0lBQTLRao
-
緩やかに意識を失っていく歌野を抱きかかえて、
杏と球子は急いでバスへと戻っていく
強力な個体を警戒していたこと
球子が動けない状態だったこと
重なるばかりだった不幸が解消された今、
いつまでも同じ場所に留まっている理由はなかったからだ。
杏「すみません! 不安はあるかもしれませんが、これからは私達も同行します!」
杏は、住民たちにここからは自分たちも守護するといい放って、先導する。
信じて貰えるか不安だったが、
住民たちは誰一人として非難せず、それどころか、杏達を快く受け入れて、
疲弊している歌野達のことは任せて欲しいとまで言う
「伊予島さん達のこと、知ってるからね」
向こうで過ごした時間は、長くはないが短くもない。
だから、みんな知っているのだ。
歌野と陽乃しかいなかった戦力に、球子と杏が加わる。
完成型の前では力不足かもしれないが、
決して、少なくはない戦力だろう。
- 518 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 17:43:50.16 ID:0lBQTLRao
-
√ 2018年 9月11日目 昼:移動�A
↓1コンマ判定 一桁
3 バーテックス 発見
5 バーテックス 襲撃
8 特殊(再判定)
1 陽乃
58 55 進化型
85 88 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 519 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 17:46:07.20 ID:D+lbmd/s0
- あ
- 520 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 18:51:21.37 ID:0lBQTLRao
- √ 2018年 9月11日目 昼:移動�A
バスは、バーテックスの襲撃を警戒して速度を上げて移動したことで
滋賀を抜けて、京都へと入っていた。
現在は途中にあった比較的大きな病院で休憩を取っている。
杏「もう、四国に襲撃があったなんて……」
水都「諏訪を出る直前までは、軽い程度で済んでいたらしいですが」
今どうなっているのか分からない。
乃木若葉、高嶋友奈、郡千景
三人の勇者によって守られてはいるが、
ここ最近見た完成型が出てきていたとしたら、
多少なり被害が出てしまっているに違いない。
球子「完成型のやつは、ヤバいぞアレ。一撃でタマの腕が持っていかれた」
奇跡的に直撃は免れたが楯は一瞬で砕け、手首から先が消し飛びかけたのだ。
通常の状態というのが正しいかはわからないが、
今の球子たちの力では、足元にも及ばない。
それはたぶん、若葉達だって同じことだろう。
陽乃だってイザナミ様の力を使ったからどうにかなっただけで、
そうでなかったら、最初の一撃を凌ぐこともできなかった恐れがある。
- 521 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 18:59:18.73 ID:0lBQTLRao
-
杏「切り札でどうにかなるかな……」
球子「正直、なるとは思えないな」
杏の呟きに球子は首を振る。
勇者に許された、切り札
精霊の力を借り、それを身に纏って強力な力を使うというそれは、
しかし、可能な限り使わないようにするべきだという話がある。
それは、陽乃が常にその状態である可能性があるからだろう。
精霊を身に纏う反動で体が傷ついていく
精神的な作用もないとは言い切れない。
超常的な力である以上、その影響は未知数だ。
しかし、それでさえも力不足かもしれない。
球子「杏だって、あの衝撃波だけでズタボロになったじゃないか」
水都「うたのんも切り札のような力を使って、ようやく撃退できるといった状態だったので、難しいかもしれません」
みんなで力を合わせれば可能性はある。
だが、1人で相手するのは不可能だろう。
- 522 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 18:59:56.44 ID:0lBQTLRao
- では、少し中断いたします
再開は20時ころから
- 523 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 19:19:21.14 ID:dauwPaB3O
- 一旦乙
- 524 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 20:42:55.31 ID:0lBQTLRao
-
球子「そうだ! あれだあれ! 何だったんだ一体……タマの体があっという間に治ったぞ」
水都「あれは、宇迦之御魂大神様のお力です。久遠さんに協力してくれていた神様の1人らしくて、
戦闘面での能力は決して高くない分、生命力だけはいずれにも劣らないって話で」
杏「じゃぁ、どうやってあんな強いバーテックスを撃退したんですか?」
水都「傷ついた傍から回復して無理矢理攻撃し続けて追い返しただけです」
杏「!」
杏は信じられないとばかりに目を見開いたが、球子は少し分かるといった様子で目を伏せる。
全く同じではないにしても、志は似たようなものがある。
死に物狂いで守るのは陽乃だってそうだし、
命懸けで守りたいものがあるというのは、球子だって同じだった。
球子「そんな力を使って何ともないわけがないよな……」
水都「土居さんが気に病む必要はないですよ。うたのんが悪いんです……無理しないでって言っても、このくらいは平気だって」
杏「久遠さんのそばにいると、感覚が狂っちゃいますよね」
- 525 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 21:01:53.84 ID:0lBQTLRao
-
杏の困った笑いが少しだけ響く
無茶は当たり前
下手したら無理だって日常茶飯事な陽乃の生き方。
身も心もすり減らし続けるあれは、
基準にするには度が過ぎているだろう。
杏「白鳥さんも暫くお休みが必要だろうし、私とたまっち先輩でどうにかしないとだね……」
球子「って言ったってなぁ」
砕け散った楯は、
球子が回復したのに合わせて復活してくれたが、
力不足なのは変わっていない。
完成型さえ出てこなければ。というのはあるけれど、
進化型だって、多数出てきたら手に負えない
さっきまでは、勇者が二人いるだけだった。
逃げるも自由で、身軽だった。
しかし、これからはそうもいっていられない。
球子「やれることをやれる限り、最大限やるしかないか」
杏「ううん。それ以上にやらなきゃ駄目だと思う。四国が襲撃を受けているなら、ここから先はもっと、厳しい道のりになると思うから」
- 526 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 21:36:22.12 ID:0lBQTLRao
-
球子「若葉たちが全滅させてくれてないかなぁ……」
杏「完成型を作るために、初期個体の多くを消耗してはいるだろうから……どうだろう」
四国の方にも完成型が出ていたら――
それが考えられる中で最も最悪な話になるが、
若葉たちは杏達と違って、神樹様のそばにいる
その力を強く与えて貰えるため、杏達よりは善戦するだろうし、
負傷しても治療を受けられるというのは心強い
なにより、良く体を休めることが出来る。
水都「完成型の1体は久遠さんが討伐、もう1体はうたのんが撃退したので、しばらくはいないと思いたいですね」
居たら困ると三人が口をそろえる。
切り札以上の力を使えるのは、陽乃と歌野
杏と球子は四国に戻るまでは無理だ。
水都「頑張ったんだから……」
杏「本当、凄いです」
球子「あとは任せろっ!」
そう声をあげた球子は、
しゅんっと声を落として、目を逸らす。
球子「自信がないけどな」
杏「たまっち先輩ってばっもうっ」
球子「……強くなりたいだろ? あんずだって」
杏「それはそうだけど……」
四国にたどり着くことさえできなくて、
球子は重傷で、強力な個体がいて……ずっと動けないのではないかと絶望さえしかけたから。
杏「でも、それはそれ。これはこれだと思う。気持ちだけでも強くいたい」
杏は、くっと唇を噛んで答えた。
- 527 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 21:42:45.71 ID:0lBQTLRao
-
√ 2018年 9月11日目 夕:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
1 バーテックス 発見
9 バーテックス 襲撃
8 特殊(再判定)
5,4 陽乃
91 99 進化型
19 11 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 21:45:05.45 ID:jKiAiBvEO
- あ
- 529 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 22:13:18.50 ID:0lBQTLRao
- √ 2018年 9月11日目 夕:移動�@
時折浮遊感を感じては、がたんっと落ちる。
そんな悪路を走っている感覚が背中を打つ中、陽乃はゆっくりと目を開く。
まだ体の節々は痛みで鈍く、動かせる気がしないが
意識ははっきりとして来ている。
陽乃「っ……」
すぐそばには、歌野がいる。
気を失うまで感じられていた姿かたちとは少し異なって、
同じように疲弊しているように見えるけれど、手は歌野に握られている。
陽乃「ぁ………」
まだ喉は本調子ではないようで、歌野のことを呼べない。
陽乃は言葉を飲み込んで、どうにか横を見る。
歌野からは力を感じる。
今まで陽乃から歌野へと流していくだけだったはずだけれど、
今は、歌野から力が流れ込んできている。
それも穢れの薄い、温もりを感じる力だ
- 530 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 22:40:38.20 ID:0lBQTLRao
-
陽乃「……」
普段の歌野の力ではない
明らかに、何か別種のものが混じっていると、陽乃は感じ取って顔を顰める。
きっと、九尾が何か余計なことをしたのだろう
陽乃「っ……」
今は、何時で、何日なのか
そして、どこにいるのか。
歌野がここにいるということは、きっと、バスは2台とも大丈夫なはず
体は動かないし声も出ない。
歌野「ん……」
歌野も疲れているようで、
繋がっている手から力は流れてくるけれど、微弱だ。
1、歌野に声を流す
2、九尾を呼ぶ
3、大人しくしておく
4、イベント判定
↓2
- 531 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 22:42:42.51 ID:jKiAiBvEO
- 4
- 532 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 22:43:54.49 ID:D+lbmd/s0
- 4
- 533 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 22:50:29.82 ID:0lBQTLRao
-
01〜10 九尾
11〜20 歌野
21〜30 水都
31〜40 杏
41〜50 球子
51〜60 女子高生
61〜70 九尾
71〜80 球子
81〜90 歌野
91〜00 杏
↓1のコンマ
- 534 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 22:52:13.09 ID:jKiAiBvEO
- あ
- 535 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/10(日) 22:55:38.00 ID:0lBQTLRao
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 536 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/10(日) 23:05:07.16 ID:jKiAiBvEO
- 乙
絶望的状況を乗り越え無事二人と合流できて本当良かった
それにしても怪我で立ち往生こそしたけどこの段階で蠍座から生き延びたり切り札のリスクを警戒したりと今作の杏たち中々優秀だな
- 537 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/11(月) 06:04:36.43 ID:33h8PnHLO
- 乙
あとはひたすら四国を目指すだけだな
- 538 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 21:54:34.64 ID:aplH2Jg7O
- では少しだけ
- 539 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 22:02:54.48 ID:aplH2Jg7O
-
九尾『ようやく目を覚ましおったか』
陽乃『……九尾』
どこからか聞こえてくる声は九尾のもので、
陽乃は、少し遅れて名前を呼ぶ。
陽乃『なにか、あった……?』
九尾『そうじゃな。主様が気にしておった小娘2人が、先刻合流したぞ』
陽乃『2人って、伊予島さん達?』
九尾『うむ』
それ以外にないという九尾に陽乃は驚いた様子もなく、「そう」と呟く
驚いてはいるけれど、
それを表に出すだけの余力がまだなかった。
九尾『幸い、何事もなかったようじゃ』
陽乃『そんなわけないでしょ。遅れた理由があるはずだもの』
九尾『主様が打倒したバーテックスから逃れるために身を潜めていたそうじゃ』
- 540 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 22:46:22.63 ID:aplH2Jg7O
-
陽乃『あぁ……なるほど』
陽乃はあのバーテックスを撃破することが出来たが、
簡単だったとは思っていないし、
それを恐れて身を潜めていたからって、それを貶したりもしない
むしろ、通常の力で生き延びていたことは称賛さえできる。
あのバーテックスは遠くから狙いすましてくる凶悪な個体で、
距離的にまともに戦えるのは杏だけだが、
普段の杏では、それに対抗しえる力がない。
そして、球子の楯で防げるような攻撃でもなかった。
陽乃『良く生きてたわね……』
九尾『うむ。まぁ、1人は死の境を彷徨ったという話じゃったが、今は主様と白鳥歌野の代理を務めておる』
陽乃『何事もなかったって、嘘じゃない……土居さんかしら』
呆れたように言った陽乃は、
それほどの怪我をしたのなら、杏よりは球子の可能性が高いと考えて、思う。
そもそも、
杏が死にかけていたら、冷静に状況を判断してくれる司令塔がいない
そうなれば、あのバーテックスから確実に逃げ切るというのは容易ではなかっただろう
- 541 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 23:11:47.64 ID:aplH2Jg7O
-
とはいえ、死にかけているのは陽乃も同じだ。
バーテックスにやられたか
自分でやらかしたかの違いはあるけれど、
身動きが取れなくなったのは同じだ。
今にして思えば、
バスではなく徒歩での移動になっていたら早々に全滅していたかもしれない。
陽乃は、まだ体が鈍いのを感じながら、目を瞑る。
陽乃達のいるバスは1号車の後ろを走っているようで、
先頭を走る1号車からは気を失う前には感じなかった気配を感じる。
2人分の、一般人とはかけ離れた存在感。
それが、杏と球子だろう。
陽乃「っ……」
1、それで。今はどの辺りなの?
2、2人はまだ戦えるの?
3、白鳥さんから妙な力を感じるのだけど
4、貴女なら、私を動けるように出来るわよね?
5、他に何かあった?
↓2
- 542 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/11(月) 23:13:51.75 ID:c7pgxfwiO
- 4
- 543 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/11(月) 23:14:21.20 ID:EtVBG6uQ0
- 4
- 544 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/11(月) 23:19:39.20 ID:aplH2Jg7O
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 545 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/11(月) 23:31:14.04 ID:c7pgxfwiO
- 乙
やっと二人に会えたことだしとりあえず最低限動けて話せるようにはしたいけどなぁ
- 546 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/12(火) 00:33:31.21 ID:S0i7JN0KO
- 乙
もうあとちょっとだよな?
四国に帰ってゆっくり休みたい……
- 547 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/12(火) 23:18:07.97 ID:6bhIm+ovo
- すみませんが、本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
- 548 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 05:47:15.76 ID:4FMvIguqO
- 乙
- 549 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 21:28:50.56 ID:2bx+N+9Lo
- では少しだけ
- 550 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 21:32:20.32 ID:2bx+N+9Lo
-
陽乃『貴女なら、私を動けるように出来るわよね?』
九尾『ふむ……出来ぬわけではないが、何じゃ主様。死にたいのかや?』
九尾は笑うでもなく、陽乃に問い返す。
宇迦之御魂大神様と違って、九尾は回復させることを主としているわけではない。
他の勇者と同様に、治りが早くなるという程度の恩恵しか与えられないのだ。
しかし、陽乃の体が動けなくなっている原因である部分を "誤魔化して" 動けるようにするくらいは可能である。
陽乃が体を治して欲しいと言わず、
動けるように出来るよね。と問う時点で、後者を求めているのは明らか。
けれど、それは体を酷使することになる。
体の治りは遅くなるし、悪化する。
下手をすればさらに怪我を重ねることもあるだろう。
九尾『止めておけ。主様は別に、死に急いでいるわけではないのじゃろう?』
- 551 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 21:50:42.25 ID:2bx+N+9Lo
-
陽乃『それはもちろん……死にたくなんてないわ』
初期個体のバーテックスや、
進化型のバーテックスが出てくるという程度であれば、
歌野……それに、杏と球子が加わるというなら陽乃は少しくらい楽をしてもいいと思う
しかし、完成型と思われる個体が出てきている。
陽乃でもイザナミ様の力を使ってようやくと言った感じで
歌野や杏、球子では対抗しきれない可能性もある化け物
それが現実のものとなった今、
陽乃は悠長に休んではいられない。
出遅れれば、勇者3人の内1人が命を落とすことになるかもしれないし、
ここまで連れてきた人々の多くが犠牲になることもある。
陽乃『私が生きるために必要なことよ』
九尾『愚かな』
死に急いでいるだけだ。
そう言っても、陽乃は "でも今日は死なない" と言うだけだ。
- 552 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 22:37:51.89 ID:2bx+N+9Lo
-
九尾『手は貸してやってもよいが、四国まで生き延びられる保証は出来ぬぞ』
陽乃『……そう?』
九尾『呆けおって』
呆れたように零す九尾
本当にそんな顔をしているのかと考える陽乃の頭に、九尾の声が響く
九尾『諏訪を捨てれば多少、治りも早くなるやもしれぬぞ』
陽乃『またその話?』
九尾『妾の力で誤魔化すよりは、生き残ることもできよう』
ただでさえ、遠く離れていく諏訪の結界を維持しているというのに、
無理すれば、死ぬ可能性が高い
なら、やはり、もう余分な方は切り捨ててしまうべきだ。
九尾はそう考えている
元々、人間の命なんて久遠家を除けば取るに足らないものと考えているから、
残してきた人間なんて、無意味としか思っていない。
1、諏訪を諦める
2、九尾に頼む
3、ならいいわ。今すぐ必要でもないし
↓2
- 553 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 22:40:45.13 ID:WgTmlhAzO
- 3
- 554 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 22:41:05.13 ID:ONV2dRJy0
- 2
- 555 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 23:10:10.06 ID:2bx+N+9Lo
-
陽乃『良いわ。貴女がやって』
九尾『主様』
陽乃『貴女に頼むって、言ってるの』
諏訪を切り捨てれば、確かに治りが早まるかもしれない
けれど、それでは遅いかもしれない。
今日の夜襲撃されたとしたら、治りが速いだけでは間に合わない
明日の朝も、きっと。
陽乃『無理に動く必要がなければ、動かなければいいだけでしょ』
九尾『ふむ……』
大人しくしていればいいというものではないけれど、
そうしておけば、いくらかマシではあるだろう。
とはいえ、大人しくしていられるかどうか。
九尾『無理をすれば本当に死ぬことになるぞ』
陽乃『分かってる』
しかし、今のように何一つできないというのは辛い。
声も出せず、指の一本すら動かせない状態は。
陽乃『ちゃんと、分かってるから』
九尾『……まったく、主様は理解のできぬ娘じゃな』
- 556 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/13(水) 23:11:41.77 ID:2bx+N+9Lo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 557 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/13(水) 23:27:18.76 ID:xZesmpLBO
- 乙
なるべくどころか絶対に諦めない陽乃さん
体は既にボロボロな上これで諏訪を見殺しにしたら精神持たないだろうしなぁ
- 558 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/14(木) 00:35:53.56 ID:42WmQg52O
- 乙
まあ合流したんだから3人に頑張ってもらおう
- 559 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 21:17:06.31 ID:TL0k6/jso
- 遅くなりましたが、少しだけ
- 560 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 21:18:55.48 ID:TL0k6/jso
-
陽乃『貴女が人のことを理解なんて……する気がないくせに』
九尾『くふふっ』
九尾の笑い声が聞こえる。
肯定と言わんばかりのその声は、
偽りではなく、少しだけ楽しんでいるようにも感じられた。
九尾『主命とあらば、致し方があるまいな』
一瞬、声が途絶えたかと思えば、
どこからともなく九尾が陽乃の上に跨るような形で姿を現す。
狐ではなく女性の姿の為、
九尾本来の毛色を表す長い黄金色の髪が、陽乃の頬を擽る。
陽乃『どうしてそこなのよ』
九尾「そこに娘がおるからじゃ」
陽乃の傍らで、手を握ったまま伏せっている歌野
体を悪くする姿勢のまま眠って動かないからか、
仕切られた空間の床面積はほとんど占有されているらしい
- 561 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 21:32:32.15 ID:TL0k6/jso
- 九尾「主様。妾は治してやるわけではないと忘れるでないぞ。"治ったようにみせかける"だけじゃ。よいな」
陽乃『分かってるってば』
何度も注意してくるのは、陽乃が言っても無駄な人間だと考えているからだろう。
人間はともかく陽乃のことは多少、理解してきているのかもしれない。
陽乃『それでも必要なことなのよ』
必要がなければ、大人しくしていればいい
杏と球子、それと歌野にバーテックスは全部任せるのは、諏訪でもしていたことだから。
その頃と大して変わりはない。
嫌な話、慣れていることだ
陽乃『小言は良いから、早くして』
九尾「急くな急くな」
九尾は呆れながら、陽乃へと体を下ろしていく。
長い髪が陽乃の顔を囲い、それなりの膨らみが陽乃の胸元を押しつぶして
真偽不確かな九尾の体温が感じられる。
陽乃『……必要なことなの?』
九尾「うむ」
九尾は嘘っぽく答えると陽乃と体を重ねていき、
九尾の熱がじわじわと広がるにつれて、まるで動く気配のなかった陽乃の手足がぴくんっと反応する。
陽乃「っ……きゅ……きゅう、び」
かすれ声しか出なかった喉も、
痛みも不快感もなく、声が出るようになった。
陽乃「九尾……」
九尾「……ふむ。もう暫くじゃ。数刻も待てぬほどではあるまい」
やり方はおかしいけれど、陽乃の望みを叶えようとはしてくれているようだ
- 562 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 21:59:27.29 ID:TL0k6/jso
-
九尾が言う通り、少し経ってから陽乃の体は動くようになった。
重さも痛みも感じない。
苦しんでいたのが嘘のように、何一つ違和感がない
陽乃「……さすがね」
陽乃は歌野に握られっぱなしの右手を一瞥すると、
左手で数回握り拳を作っては開いて、息をつく。
喉の不快感もなさそうだった。
陽乃「完治したみたいだわ」
九尾「何一つ正常なところなどあるまいに」
陽乃「それはそうだけど、気分の問題よ」
九尾「ふむ……まぁよい。それと、可能な限り早く体を治したいならば、極力その娘の傍におると良い」
九尾は歌野を指さす。
眠っている歌野の体は傷1つないけれど、
口元を拭ったであろう袖と、
顔が伏せられているシートの一部には、赤いシミ汚れが出来ている。
陽乃「……私の過剰な力を受けてるの?」
九尾「いや、むしろ主様の力を補っているというべきであろうな。
ただでさえ消耗しておるのに、阿呆な主様は諏訪を切り捨てぬという。
そんな状態ではいつまでたっても、体が治ることなどあり得ぬ」
- 563 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 23:48:37.50 ID:TL0k6/jso
-
陽乃「……そう」
歌野から力が流れ込んできているのは、ずっと感じている。
それが陽乃に害を及ぼすようなことはなく、
むしろ、気分的には悪くはないことも。
どうして歌野がそんなことが出来るのか、陽乃は分かっていないけれど。
陽乃「白鳥さんに何かした?」
九尾「妾は何も与えてはおらぬ」
陽乃「貴女は、ね」
あえてなのか、
なにかがあると思わせぶりな返答をする九尾を一目見て、
陽乃はまた、歌野へと目を向ける。
陽乃「一緒にいるのは、あまり好きじゃないのだけど」
九尾「主様の意思に反してでも、小娘は付きまとうやもしれぬが」
陽乃「……でしょうね」
陽乃の体を癒せないとしても、
水都や歌野は傍にいたがったりするし、
そこに大義名分が加わったなら、いない理由がないからだ。
陽乃「まぁ、検討はしておくわ」
- 564 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/16(土) 23:52:07.28 ID:TL0k6/jso
-
√ 2018年 9月11日目 夕:移動�A
↓1コンマ判定 一桁
3 バーテックス 発見
5 バーテックス 襲撃
7 球子 杏
9 歌野
53 33 進化型
35 55 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 565 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/16(土) 23:53:20.06 ID:CeYFk8hIO
- あ
- 566 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 00:04:41.24 ID:T5Q/VnYko
-
短いですがここまでとさせていただきます。
明日はお昼ごろから再開予定になります。
- 567 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 00:12:51.68 ID:9+HazX1XO
- 乙
擬似的とはいえ会話ができるくらいには回復したみたいだな
ただ今度は最近ずっと力を使い続けてるうたのんが心配になってきたけど…
- 568 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 00:18:56.89 ID:0YCAHQ+WO
- 乙
とりあえずうたのんと一緒にいて回復を図るべきだな
- 569 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 13:28:17.50 ID:T5Q/VnYko
- では少しずつ
- 570 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 13:41:54.39 ID:T5Q/VnYko
-
√ 2018年 9月11日目 夕:移動�A
杏達が合流したことで必要以上に探索をする必要はなくなったこと。
そして、速度を落としていてもバーテックスの襲撃の頻度が増えてきていること。
負傷者の数が多いこと
それらもあって、バスはそれなりの速度で走っていたらしい。
陽乃が無理矢理体を治してからはじめての休憩では、すでに、神戸にまで来ていた。
陽乃「……早いわね」
「久遠さん!」
陽乃「っ!」
陽乃がバスから降りるや否や1号車から降りてきていた女子高生が気付いて声をあげる。
その憩いのまま飛びつこうとしてくるのを、手で制して。
陽乃「まだ本調子ではないの。止めて頂戴」
「そう、なの? そう、だよね……ごめん。つい」
陽乃「……」
陽乃は偽っているだけで酷くボロボロな状態だが、
彼女達もまた、体のいたるところに傷を作っている。
陽乃「貴女も大人しくしていれば?」
「このくらいなら、全然平気だよ。久遠さんも白鳥さんも……これ以上の体でも、無理して戦うでしょ?」
陽乃「一緒にしないで」
「してないよ。できないよ。全然……違うから」
- 571 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 14:03:03.61 ID:T5Q/VnYko
-
彼女は、申し訳なさそうな笑みを浮かべる。
陽乃達勇者と、ただの少女である彼女達とでは、大きく違いがある。
彼女はそれを痛感させられてしまったし、
同じだなんて、口が裂けても言えない。
同じ女の子……だったなら、
陽乃達は、逃げ出していたかもしれない
あるいは、
女子高生達はバーテックスに立ち向かっていたかもしれない。
少しは出来ることを尽くそうとしたけれど、
それもできずに、終わったのだ。
「久遠さんも、白鳥さんもさ。無理しすぎだよ」
陽乃「無理しないとどうにもならない世界が悪いのよ。私は悪くないわ」
- 572 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 15:04:12.52 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃はそっぽを向く。
本当に、世界が悪い……何もかも、全部
あの日に始まらなければ何事もなかったのだから。
陽乃「1号車に2人がいるんでしょう? 私よりそっちに構ったら?」
「球子ちゃん達は私達がこうやって近づかなくても平気みたいだし」
陽乃「おせっかいは必要ないって?」
「違う。向こうから話しかけてきてくれたりするってこと」
けれど、陽乃は違う。
相手から近づかないと、近づいてこようとはしない。
近付けば突き放すし、
近付かなければ、それっきり。
そういう人だから、周りが近づいていくだけだ。
陽乃「そう。よかったじゃない」
1、杏と球子と交流
2、歌野と交流
3、水都と交流
4、九尾を呼ぶ
5、私とはもう関わる必要はないでしょ?
6、そこまで、大怪我をした人はいないのね
↓2
- 573 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 15:09:01.28 ID:Ha1d7DbkO
- 1
- 574 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 15:10:40.15 ID:cLj40UWEO
- 1
- 575 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 15:44:54.49 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「暫くは私、2号車の方になるから」
「そっか」
しょんぼりとする彼女は、
残念そうに、スカートのポケットをまさぐる。
手に取ったのは画面のひび割れた携帯端末
電源は入るようだが、一部、真っ黒なままだ。
「連絡先交換できても、やり取りできないんだよね」
陽乃「そもそも私、持ってないから」
陽乃は突き放すように言うと、
前方の1号車から杏達が下りてきているのが見えて、目を細める
陽乃「じゃぁ、私はあっちに用事があるから」
「あ、うん……歩いて平気なの?」
陽乃「問題ないわ」
支えようとした彼女に背いて、陽乃は杏達のもとに向かう。
- 576 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 15:58:48.63 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「久しぶりね」
杏「久遠さん!」
球子「……ほんとに陽乃か? 九尾が化けてるんじゃないか?」
杏「えっ」
駆けだそうとした杏の足が止まって、
球子は怪訝そうに陽乃を見つめる。
以前、九尾の力によって化かされた経験があるからだろう
しかし、今回は正真正銘、陽乃だ。
九尾の力が加わってはいるけれど。
陽乃「そう思うくらい死にかけていたのは認めるけれど、私は私よ。疑うなら、バスの中でも見てきたら?」
今は、陽乃の場所に歌野が横になっている。
九尾は詳しく明かさなかったが、
陽乃のよりは重くはないにせよ、
体の内側を押しつぶされるような経験をしたのだろう。
歌野の体にも少なくない影響が出ているのは目に見えていた。
杏「良かったです……久遠さんが生きていてくれて」
陽乃「私に言える立場なの? まさか生きてるとは思わなかったわ」
- 577 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 16:24:58.93 ID:T5Q/VnYko
-
杏「確かに、そうです」
球子「正直死ぬかと思った。いや、死んだと思ったけど……歌野に助けられた。怪我を治してくれたんだ」
陽乃「白鳥さんに、ね。」
歌野から感じたあの力は、治癒系統の力だったらしい。
陽乃だけでなく、球子達にまで影響する力となると、
単に、陽乃の力と言うわけではないだろう。
陽乃「……」
悩まし気に息をついた陽乃は、球子を見る。
球子の体にも、怪我1つない。
陽乃「……宇迦之御魂大神」
杏「久遠さん?」
陽乃「こっちの話しよ。気にしないで」
歌野が借り受けられるのは、陽乃の力
であるなら、久遠家の人間として陽乃を愛おしく思う神々のひと柱である、彼女以外にはあり得ないと陽乃は考える。
陽乃「大体の話は聞いたわ。完成型……って、言いたいところだけど、あの新型に襲撃を受けたんでしょう?」
杏「そうなんです……それで、タマっち先輩が大怪我しちゃって」
球子「陽乃にぶん殴られた経験が活きて、どうにか力は逸らせたんだけどな」
それでも、死なないのが精いっぱいだったと、球子は笑う
- 578 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 16:44:28.60 ID:T5Q/VnYko
-
杏「笑い事じゃないよっ!」
球子「今生きてるんだから、良いだろ」
それに、と、球子は言って
球子「笑わなきゃやってられるかあんなの。何なんだよ」
通常の個体よりも強い進化型のバーテックス
それなら球子や杏でもどうにかできていたが、
あの完成型と思われる個体は、どうにもならないのだ。
球子「大きさも攻撃力も、まるで桁が違ってた」
杏「でも、久遠さんはそのバーテックスを倒せたんですよね?」
陽乃「倒せたといえば倒せたけれど、引き分けのようなものよ」
杏「そのせいで死にかけるほどの反動を受けたのは聞いてます」
だから、戦って欲しいとは言わない
むしろ、戦って欲しくないと思っていると杏は言う。
杏「きっと、私達の切り札も、あれには通用しません」
通用するなら、陽乃の反動はもう少し軽いもので済む。
そうなら、歌野の力でも新型のバーテックスを倒せていたはずだ。
杏「……久遠さんみたいに、もう1つ上の力が必要な気がします」
陽乃「最悪死ぬわよ?」
- 579 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 16:59:32.48 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃の力は特殊過ぎるため、
同レベルの反動があるとは限らないけれど、
それに近いほどの副作用は覚悟する必要があるだろう。
球子「けど、じゃなきゃどうにもならないだろ」
バーテックスは、さらに強力な敵を出してきた。
それはたぶん、陽乃という脅威があるからだ。
しかし、陽乃一人にそのすべてを背負わせるわけにはいかない。
求めなくても、そうしてしまう人だから。
杏「四国に戻ったら、大社に掛け合ってみようと思います」
陽乃「そう」
杏「そこで、あの……可能なら、久遠さんも一緒に行きませんか?」
陽乃「私が? どうして?」
杏は少し考えて
杏「久遠さんも正式に勇者として認めて貰うためにです。このままだと、久遠さんはずっと悪く思われたままですよ」
1、事実なんだから仕方がないでしょ
2、別に良いわよ。そんなの
3、嫌よ。どうなるか分からないんだから
4、掛け合うなんてやめておきなさい
5、無事に戻れたなら、付き合ってあげてもいいわ。1度だけね
↓2
- 580 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 17:01:52.22 ID:dqugTSO30
- 5
- 581 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 17:02:09.66 ID:cLj40UWEO
- 5
- 582 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:09:54.14 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「無事に戻れたなら、付き合ってあげてもいいわ。1度だけね」
杏「本当ですか!?」
陽乃「戻れたらの話よ」
杏「戻れなかったら、どうせ叶わない話じゃないですか」
半分拒んでいるようにも聞こえるけれど、
戻れたら応じて貰えるなら、それは絶対に応じてくれるといってくれているようなものだと杏は思っている。
戻るのも難しいことだ。
それは、良く分かっている。
陽乃も、だからこそそんなことを言ったのだろうから。
杏「私達が新型に襲われたということは、四国もまた、同じく襲われている可能性があります」
陽乃「そうね」
杏「もし、そうだとしたら……」
最悪壊滅しているかもしれない。
若葉たちの誰かが命を落としているかもしれない。
杏「だから、正直可能性は低いかもしれません」
陽乃「そうよ。だから、その全部が何事もなければ応じてあげるって言ってるのよ」
- 583 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:19:42.08 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「四国に被害が出ていたら、私、どうせまた恨まれることになるから」
球子「そんなことあるか?」
杏「私達が抜けたせいだって、思われることはあると思う」
球子「なんだそれ……」
大社は咎めないこともあるだろう。
しかし、人々はどうだろうか。
人柱を拒み、バーテックスの襲撃を引き起こしたとされる久遠陽乃
つい最近、力のない人間を殺め、
拘束されるとなったら、四国からの逃亡
あろうことか、5人しかいない貴重な戦力である勇者の内、2名を道連れにだ。
その結果、被害が出たと言われる可能性は、残念ながら高い
杏「それも含めてって、ことですよね?」
陽乃「そうねぇ」
正直、それを避けるのは無理と言っていい。
陽乃「大社に拘束される気はないから」
あんな思いは、もうお断りだ。
- 584 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:42:50.39 ID:T5Q/VnYko
-
球子「とは言っても、歌野達を連れ帰れば悪いことばっかりじゃないだろ」
陽乃「その功績が、本当に私のものになるって思ってる?」
諏訪に向かったのは、陽乃だけではない。
今ここにいる杏と球子もそう。
そして、諏訪からの道のりには、諏訪を3年間守り抜いた歌野がいる。
杏「……」
答えを躊躇う杏達を見て、陽乃は小さく笑みを浮かべる。
陽乃「私が、その立役者と言われるわけがないでしょう?」
陽乃はただの逃亡者。
それ以下にはなり得るが、それ以上になることはないかもしれない。
陽乃「そもそも、私は私が死なずに済むための駒が欲しいから諏訪に行ったんだし。名声なんてどうだっていいわ」
球子「だとしても、みんなが無事なのは陽乃の手柄だろ」
杏「久遠さんがなんて言っても、それは変わらないと思います」
四国の誰かがなんて言ったって、
諏訪から連れてきたみんなの言葉は変えられない。
陽乃「私が洗脳したことにされそうね」
杏「あり得そうなので、止めてください」
- 585 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:54:21.12 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「けれどまずは、四国につくことを考えないといけないわ」
杏「そうですね」
陽乃達がバーテックスに襲撃される頻度が増えてきている。
四国を手薄にして陽乃達をつぶしに来ていることも考えられるし、
すでに、2体の完成型と思われる新型のバーテックスに襲撃を受けているのだ。
よそのことを考えている場合じゃない。
陽乃「私と白鳥さんも、襲撃があれば手を出すけれど……極力、手を出させないで頂戴」
球子「……珍しいこと言うな」
陽乃「本調子じゃないのよ。死にたくないって言ってるでしょ」
茶化すような口ぶりの球子を睨んで、陽乃は目を背ける。
本調子どころか、
実際の体は動くことも話すこともままならないほどに、壊れている。
だから、仕方がない
陽乃「白鳥さんも似たようなものだから、尽力して頂戴」
球子「それはもしかして、頼ってるのか?」
陽乃「馬鹿言わないで、ただの忠告よ」
- 586 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 18:56:00.61 ID:T5Q/VnYko
-
√ 2018年 9月11日目 夜:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
0 バーテックス 発見
6 バーテックス 襲撃
2 球子 杏
1 歌野
5 水都
06 00 進化型
60 66 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 587 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 19:03:25.82 ID:dqugTSO30
- あ
- 588 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 19:42:46.58 ID:T5Q/VnYko
- √ 2018年 9月11日目 夜:移動�@
夜になっても、バスは走る。
杏達は夜になると休息をとっていたため、
その間も移動できるのはありがたいと、球子が零す。
球子「今まで1人態勢だったのは凄いな」
陽乃「貴女達だって変わらないでしょ」
球子「タマ達の場合は、自分たちのことだけ考えればよかったからな」
何より、少人数だった。
たった2人の為、身を隠すのは簡単で、
逃げ切るのも、完成型を除けば難しくなかった。
陽乃「そう」
球子「それに、タマみたいに楯があるわけでもないし」
陽乃「攻撃は最大の防御って言うし、私はそれしかできないもの」
球子「……脳筋ってことか?」
陽乃「私の筋力が知りたいの?」
陽乃は真顔で握り拳を作って見せる。
一見華奢にも見えるが、その力は常軌を逸している。
同じ勇者の球子でも、直撃は耐えられないだろう
陽乃「実績があるって、貴女知ってるくせに」
- 589 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 20:32:26.63 ID:T5Q/VnYko
-
球子「誇るなよ。そんなこと」
その場には球子もいたため、分かっている。
誇れる内容ではない。
もっとも、陽乃は誇っているのではなく、
自虐しているだけだろうけれど。
球子「……心配してたのか?」
陽乃「はぁ?」
球子「だって、こんなに早く出てくるなんて予定なかっただろ」
球子たちが諏訪を発ってから、約1週間
短いようにも思えるが、陽乃は目を細める
陽乃「貴女達がいつまでたっても四国にたどり着かないから、文句を言われたのよ」
球子「仕方ないじゃないか……あんなやつと鉢合わせするなんて思わなかったんだよ」
無事に逃げられたならそれでよかったが、
初撃を防ぐことさえできなかった。
しかも、そのたった一回で球子が行動不能に陥ったのだから、どうにもならない。
1、鍛え直す必要がありそうね
2、私とどっちが怖いのよ
3、何にせよ、生きているならそれでいいわ
4、貴女達が死んでいたら私の責任になるのよ
↓2
- 590 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 20:36:50.50 ID:a8Rh/IU4O
- 4
- 591 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 20:38:19.33 ID:dqugTSO30
- 3
- 592 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 21:18:24.90 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「何にせよ、生きているならそれでいいわ」
球子「正直に心配だったって言えばいいのに」
陽乃「私の今後は心配だったけど、貴女達は別に」
死んでたら死んでたでそこまでだと思ってたと、陽乃は吐き捨てる。
生きている可能性も死んでいる可能性も
両方とも考えていた。
日が経つにつれて、
どちらかと言えば死んでいる可能性の方が高いのではないかとさえ……。
陽乃「けど、まぁ、寝覚めが悪くはなったと思うわ」
球子「寝覚め?」
陽乃「死んでいるよりは、生きている方が良かった。ということよ」
特に、戦力的には重要だ。
現状、分かっている中では勇者は陽乃を除いて6人しかいない。
歌野を手に入れることが出来たとしても、
その為に2人も犠牲になったのでは、意味がないだろう。
- 593 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 22:04:02.43 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「今までは人手が足りなかったから相手してたけど、これからは住民の相手を頼むわ」
球子「そんなこと頼むなよ……別に悪い人たちじゃないだろ」
陽乃「嫌よ。私が好きじゃないってよくわかってるでしょ」
貴女達と接しているだけで満足してもらいたいものだわ。と、
陽乃は眉を潜める。
陽乃「苦手なの。ああいうの。私は1人で居たいのよ」
球子「そんなこと言って……隣に歌野がいるくせに」
眠っている歌野。
あれからまだ、一度も目を覚ましていない歌野は、陽乃が使っていた座席に横になっていて
陽乃は、そのすぐ隣の余ったところに座っている。
陽乃「これは必要なことだから」
球子「ふ〜ん……必要なことねぇ」
陽乃「そんな顔で見たって、事実は変わらないわ」
本当に、必要なことなのだ
九尾がからかっていなければ。
陽乃「言ったでしょ。本調子じゃないって……白鳥さんの力が必要なのよ」
- 594 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 22:38:32.89 ID:T5Q/VnYko
-
球子「そうか……完成型が出てきたらどうするんだ?」
球子は神妙な面持ちで陽乃に問う。
歌野でも撃退は出来るらしいけれど、倒しきることが出来るのは陽乃だけだ。
そもそも、歌野だって、今は休養が必要な状態
球子と杏だけでは
残念なことに、完成型の相手は出来ない。
かといって、逃げられるかと言えば、そんなことはない。
バス2台、数十人の人々
通常個体ならともかく、完成型が出てきたら終わりだ。
陽乃「貴女達がどうにかしようとは思わないの?」
球子「出来たらするさ。この命でどうにかできることなら、何だってやってやるさ」
だけど。と、球子は首を振る。
球子「そうじゃないだろ。陽乃とは違って、今のタマじゃ死ぬ気でも敵わない」
分かっている。
無理だ。
悪く言えば、無意味だ。
球子「陽乃の力、タマには扱えないのか? それで、陽乃の代わりに戦うことは出来ないのか?」
1、不可能よ
2、死にたいの?
3、私と契約すれば、力を使えるわよ
4、さぁ? 白鳥さんは使えてるけど、貴女達は無理だと思うわ
↓2
- 595 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 22:39:56.59 ID:dqugTSO30
- 1
- 596 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 22:40:10.35 ID:Fv5G3FJOO
- 2
- 597 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 23:48:41.53 ID:T5Q/VnYko
-
陽乃「死にたいの?」
球子「そう言うわけじゃない……」
声を荒げそうになった球子だが、
ぐっとかみ殺したように顔を顰めると、目を逸らす。
杏はもう少しオブラートに包むだろうけれど、
九尾だったなら、どの口が言うのかと呆れていたことだろう。
球子「けど、そうじゃなきゃこれから先やっていけないと思う。杏だって、そう思ってる」
完成型に歯が立たない。
そんな状態で良いわけがない。
たとえ、大きな反動があるとしても
たとえ、この命が燃え尽きるのだとしても
それほどの力を扱えなければ、どうにもならない。
球子「強くなりたいんだ。ならなくちゃいけないんだ。じゃなきゃ、何も守れない……っ」
自分でさえも。
大切な存在さえも。
球子「このままじゃ、全部、壊される」
球子はそう言って、震える右腕をぎゅっと抑える。
楯が一撃で粉砕された感覚が、残っているのかもしれない。
球子「嫌なんだ……嫌なんだっ、絶対っ」
- 598 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/17(日) 23:58:45.19 ID:T5Q/VnYko
-
では途中ですが本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 599 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 00:06:48.72 ID:Hs6hSTgEO
- 乙
タマも重傷を負って挫折しかかったのがトラウマっぽくなってるな…
力を求めるあまりにうたのん共々早死にしそうで怖い
- 600 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 00:34:32.39 ID:OgAdX1uP0
- 乙
まあ原作のこと考えたら力がなけりゃそれこそ死ぬだけだしなあ
むしろ生き残るために全力を尽くしてるともいえる
- 601 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/18(月) 20:58:39.84 ID:cvbx5siso
- では少しだけ
- 602 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/18(月) 21:01:41.08 ID:cvbx5siso
-
陽乃「だから私の力を使いたいって? 馬鹿なんじゃないの?」
球子「馬鹿で悪かったな……」
球子はちょっとだけむくれたように言う。
陽乃の力は禁忌と言うにはあまりにも、被害が大きかった。
もちろん、敵にも甚大な被害を齎すことが可能だが、
自分の身にも、大きな傷を残すことになる。
陽乃を見ていれば、それが決して軽く済まないことは明らかだ。
適性のある陽乃でそれなのだから、
そうではない球子は、1度きりでその命を燃やし尽くすことになる可能性もある。
球子「けど、陽乃だって馬鹿だろ。生きたいって言うくせに、自分が一番死にそうなことしてるんだから」
陽乃「私はやるべきことをやっているだけよ。貴女とは話が違うわ」
球子「そうか? なら、陽乃はみんなを助けたいって思ってるってことだな」
陽乃「そもそも、貴女が私の力を使うなんて出来ないと思うけど」
歌野が使えるのは、陽乃が諏訪の神々の代行として歌野に授ける役目を担っているからだ。
それがなかったら、歌野も使うことは出来なかっただろう。
- 603 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/18(月) 21:21:34.72 ID:cvbx5siso
-
球子「……話逸らしたな」
陽乃「とにかく、無理なものは無理よ。別の方法を探す方が賢明だわ」
自分の力をもっと極めていく……ことが出来るのかは分からないけれど、
力を理解して、使い方をより洗練されたものにしたり、
杏のように、大社への直談判のようなことをするとか。
やれることは、色々とある。
その中の何が実るかは分からないが。
陽乃「私の力が使えるとしても、それは近道でしかないわ。強くなるにも、死ぬことにもね」
球子「だとしても、強くなれるなら……タマはそれを選びたい」
球子は右腕を庇う。
歌野が治してくれて、怪我はしていないのに。
まだ、震えるほどの痛みを感じる
現実は、その痛みが教えてくれている。
球子「だから、もし、タマが死んだら杏のことを守ってやってくれないか?」
陽乃「……本気で言ってる?」
球子「冗談で、言うわけないだろ」
刺し違えてでも勝てるならそうするが、きっとできない。
だけど、力の限りを尽くして、1度くらいはその命を守ってやることは出来るだろうから。
球子「本気だ」
そのあとは、全部、まるっと陽乃に投げてやると、球子は笑って言った
1、嫌よ
2、それは貴女の役目でしょ。責任は持つべきだわ
3、死ぬなら勝手に死になさい。私は関係ないわ
4、貴女、強くなれないでしょうね
↓2
- 604 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 21:23:49.53 ID:Wwn5T2MxO
- 1
- 605 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 21:25:42.87 ID:TqndPYWBO
- 4
- 606 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/18(月) 21:55:34.60 ID:cvbx5siso
-
陽乃「貴女、強くなれないでしょうね」
球子「なっ……っ……」
いきり立った球子だったが、
眼下に見えた歌野のおかげか、ぐっと堪えて歯噛みする。
怒鳴り声をあげなかっただけで、
その表情には怒りが感じられる。
球子「なんで、そう言い切れるんだ」
陽乃「何でって……今の貴女は私と正反対だもの」
球子「けど――」
陽乃「勘違いしないで欲しいのだけど」
陽乃は球子を冷めた目で見ると、
ふと息を吐いて、傍らで眠る歌野へと目を向ける。
これならまだ、歌野の方がずっとマシだ。
いいや、歌野の方がはるかに強くなる可能性を秘めている。
陽乃「死んでも守るだなんて……最も無様な死に方だわ」
球子「っ!」
陽乃「まさか、それが美徳だとでも?」
声を荒げない分、
陽乃の胸倉に掴みかかった球子は、その目を細めて、陽乃を睨む。
それが立派ではなかったとしても、無様だと言われたくはない。
陽乃「貴女はどうして伊予島杏を守るのよ。看取って貰う為に守っているの?」
- 607 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/18(月) 22:15:05.63 ID:cvbx5siso
-
球子「そんなわけないっ……けど、タマが、弱いから」
通常個体なら圧倒できる
進化型にも対抗できるし、十分に戦うことが可能だ。
けれど、その上にはどうにもならない。
手も足も出ないし、楯は打ち砕かれた。
球子「タマに与えられたのは、剣でも鎌でも矢でもなく、楯だった。でも、それが砕かれたんだぞっ」
陽乃「だから?」
球子「っ……だからっ、タマが死んだ後のことも考えなくちゃいけないんだっ」
陽乃「そう。けど、間違ってるわ」
陽乃は淡々と、口を開く
陽乃「あの子を守る貴女が死ぬということは、あの子も死ぬってことよ」
球子「そうならないように陽乃が守って欲しいって言ってるんだ」
陽乃「目の前のものしか殴れないこの手で?」
陽乃は右手で握り拳を作って、球子に見せる。
陽乃の力は確かに強い。
完成型だって、撃ち抜くことのできる力を持っている。
けれど。
陽乃「……あの子のそばにいられるのは貴女でしょう?」
- 608 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/18(月) 22:33:50.73 ID:cvbx5siso
-
陽乃「私にあの子は守れない。私のこの手は、あの子には届かない。私はそれを、痛いほど知っているの」
守れるものは確かにある
けれど、どうしても守ることが出来ないものも、確かに存在していた。
どれだけ強い力を持っていたとしても、
この手は結局、手でしかないのだ。
だから。
陽乃「本気で伊予島さんを守りたいなら、貴女は死んでも守るんじゃなく、死ぬ気で生きるべきよ」
球子が生きている限り、杏の傍らには球子がいる。
球子がいれば、杏は守られている。
しかし、球子がいなくなってしまったら、身近で守ることのできる存在はない。
球子「……」
球子の手が胸倉を手放して、
座席に腰を下ろした陽乃は小さくため息をつく。
陽乃「どうするかは貴女に任せるわ」
球子「出来るって、思うか?」
陽乃「知らないわよそんなこと。責任を押し付けてこないで」
出来るだなんて無責任なことは言わない。
陽乃に分かるはずがないからだ。
陽乃「それを決めるのは、貴女であって私じゃないもの」
- 609 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/18(月) 22:35:28.05 ID:cvbx5siso
-
√ 2018年 9月11日目 夜:移動�A
↓1コンマ判定 一桁
4 バーテックス 発見
9 バーテックス 襲撃
7 球子 杏(陽乃無し)
8 歌野
3 水都
94 99 進化型
49 44 完成型
- 610 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2021/10/18(月) 22:35:45.13 ID:swxzqmDv0
- たまにはエロい展開もあっても良いかと思いますよ?
ここR-18設定だしね?
- 611 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 22:36:20.05 ID:d5rwSyYYO
- あ
- 612 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 22:36:51.05 ID:yqdH0FwWO
- あ
- 613 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/18(月) 22:41:46.00 ID:cvbx5siso
-
少し早いですが、本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 614 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 22:53:27.14 ID:Cp9XDZ1AO
- 乙
すっかり打ちのめされて自棄になってるタマ…
陽乃さんの厳しくも優しさもある説得でなんとか立ち直ってくれるといいなぁ
- 615 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 22:53:45.19 ID:d5rwSyYYO
- 乙
なんとか生き残って欲しいなあタマにも
- 616 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/19(火) 23:29:25.63 ID:tF1fGbgKo
- すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は出来れば通常時間から
- 617 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/19(火) 23:33:21.26 ID:KNOw42kWO
- いつも乙です
- 618 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/20(水) 21:44:42.10 ID:fiz91vD5o
- では少しだけ
- 619 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/20(水) 21:54:35.07 ID:fiz91vD5o
- √ 2018年 9月11日目 夜:移動�A
夜間に走行する際は、基本的に休息を挟まないことになっている。
運転手には頑張ってもらうことにはなるけれど、
観光用のバスであり、通常のバスに比べれば寝苦しさは軽減されるため、
住民たちはその場で眠っていたりするからだ
全員が全員、心地よく休めているかと言えばそうでもないが。
水都「球子さんは……1号車の方に?」
陽乃「ええ」
走行中のバスの窓から飛び出して、専行する1号車の方に逃げて行った球子
陽乃との話もあって、居心地が悪かったのだろう。
陽乃「貴女も行きたければ行っていいのよ」
水都「私にどうしろって言うんですか……」
球子や陽乃が走行中のバスから飛び出せるのは勇者だからでしかない。
命に係わる何かがないなら、
勇者ではない生身の人間がそんなことは出来ない。
水都「それに、今のうたのんは放っておけないです」
陽乃「無理をし過ぎたのよ。しばらくしたら目を覚ますと思うけど、私と似たようなことになってるわ」
- 620 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/20(水) 22:10:18.07 ID:fiz91vD5o
-
陽乃は良く吐血するが、
それは体が悪いのではなく、力を使ったことによって内側から蝕まれている影響だ。
球子達の言う切り札というものが同様の症状を齎すのかは分からないけれど、
少なくとも、陽乃の力は体への負担が大きい。
それと同じように歌野も血に汚れていたこと
そして、にも拘わらず外傷の類が見られないという異質さが、それを思わせた。
陽乃「貴女、止めなかったの?」
水都「うたのんが、止まってくれると思いますか?」
陽乃「……どうかしら」
それを知るのは親しい間柄のようで、
陽乃はとぼけて目を逸らす。
水都はそれを知ってか知らずか、小さく笑った。
水都「うたのんは止まりません。陽乃さんが無事だったら、頼って温存したかもしれないけど……」
陽乃「私が呑気に寝てたのがいけないって?」
水都「そっ、そんなこと言ってませんっ」
- 621 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/20(水) 23:30:18.45 ID:fiz91vD5o
-
陽乃「私は思ってるけれど。だって、一切気づかなかったわけだし」
九尾から話を聞いて知っただけで、その時に意識はなかった。
歌野がどれだけ命を張らなければならなかったのか。
お荷物2台
そして、その他大勢の人々
それと、意識のない役立たず。
陽乃「私だったら躊躇なく置いていくけど、白鳥さんにはできないでしょ」
水都「そうですね」
躊躇なく置いていく人が意識を失うほどに力を使わないとか、
いつもの舌先三寸だとか、水都は飲み込んで、頷く。
前半部分には同意の言葉はないが、
後半に関しては、同意見だった。
水都「でも、球子さん達と合流出来たおかげで少し出来ましたし、休むのは悪くないことだと思います」
水都はそう言って。
水都「陽乃さんも、休んだ方が良いんじゃないですか?」
1、休み過ぎたのよ
2、白鳥さんが邪魔なのよ
3、なら、1人にして頂戴
4、それもそうね
↓2
- 622 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/20(水) 23:34:50.23 ID:y6bb05rc0
- 2
- 623 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/20(水) 23:34:53.47 ID:LA/9WY3/O
- 4
- 624 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/20(水) 23:35:06.73 ID:3qaXsIfAO
- 1
- 625 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/20(水) 23:46:23.37 ID:fiz91vD5o
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 626 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/20(水) 23:55:48.45 ID:U80kl238O
- 乙
うたのんも自分のことを後回しにしがちそうなだけに力の反動による悪影響が心配だなぁ
- 627 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/21(木) 02:03:00.69 ID:sXGsFlX3O
- 乙
みーちゃんが唯一の癒しだな
もっと絡み増えて
- 628 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/21(木) 21:45:35.69 ID:T0B8y1xTo
-
では少しだけ
- 629 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/21(木) 21:56:08.37 ID:T0B8y1xTo
-
陽乃「それもそうね」
水都「……疲れてるんですか?」
陽乃「たまには意見が合うことだってあるでしょ」
訝しんではいないけれど、
心配そうな表情を見せる水都に、陽乃は突っ撥ねるように言う。
九尾の力のおかげで今は何も問題なく見えているし、
陽乃自身も、まったくの負荷を感じていない
けれど、実際は力を借りる以前のボロボロな状態。
休めるときに休むべきというより、
少しでも回復するように常に休んでいるべきだ
陽乃「……」
水都「何かあったら起こすので、安心して休んでください」
陽乃「貴女は休まないつもり?」
水都「普段、休ませて貰ってるので」
陽乃達が頑張っている間、
水都だって、まったく何もしていないわけではないけれど、
バーテックスと戦ったり、神経をすり減らしながら警戒しているのと比べたら、大したことはしていないと思っているのだろう
- 630 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/21(木) 22:53:36.55 ID:T0B8y1xTo
-
陽乃「貴女は貴女で休んでもらわないと、この子が目を覚ました時にうるさくなるんだけど」
陽乃の目線が歌野へと下がったのを見て、
水都は確かにと、僅かに眉を潜める。
けれど、こればっかりは引く気はなかった。
水都「うたのんに怒る権利はないです」
陽乃「そう」
歌野はみんなを守るためにそうせざるを得なかったのだろうから
情状酌量の余地はあるはずだと陽乃は思うが、
あえて、それを口にする気はなかった。
陽乃「けど、貴女はただの一般人ではないってことを忘れないで頂戴」
水都「分かってます」
陽乃「分かっているなら、休めるときに休んでおくべきよ。
貴女の巫女としての能力はどうであれ、今ここで神託を受ける可能性があるのは貴女なんだから」
- 631 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/21(木) 23:41:05.37 ID:T0B8y1xTo
-
陽乃としては、別段、神託などどうだっていい話だが、
重要なことがないとも限らない為、無視は出来ない
陽乃も併せて受けることとなった新型バーテックスについての神託は間違っていなかったし、
信頼を置くことは出来ないにしても、
聞く耳を持つべきだろう。
陽乃「まぁ、貴女がどうしても体力を無駄にしたいというなら好きにしても良いけど」
水都「……眠くなるまでは、起きてます」
陽乃「好きにしなさい」
陽乃はそう言い放って、背もたれに背中を預けて目を瞑る
旅行用の大型バスというのが功を奏して、ある程度リクライニング出来るので、休むのに問題はなさそうだ。
九尾の力のおかげだけれど。
水都「陽乃さん」
陽乃「……なに」
水都「おやすみなさい」
水都の声は、少し、弾んでいるように感じた
- 632 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/21(木) 23:47:06.61 ID:T0B8y1xTo
-
√ 2018年 9月12日目 朝:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
0 バーテックス 発見
6 バーテックス 襲撃
1 球子 杏(陽乃無し)
3 歌野
5 水都
60 66 進化型
06 00 完成型
- 633 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/21(木) 23:48:13.09 ID:o291eJrQO
- あ
- 634 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/21(木) 23:48:16.46 ID:KxQE6hloO
- あ
- 635 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/21(木) 23:52:59.45 ID:T0B8y1xTo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であれば少し早い時間から
- 636 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/22(金) 00:05:13.63 ID:2NSMGTh6O
- 乙
今回の陽乃さんは珍しくそこまで刺々しくなかったけど何か心境に変化が出てきたのだろうか
欲を言えばもう少し仲良くなってくれるといいんだけども
- 637 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/22(金) 00:09:44.62 ID:8pfWJngZO
- 乙
もっともっと仲良くなって欲しいよ
せっかく4人いるしね
- 638 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/22(金) 06:48:40.72 ID:vdJh49PVO
- 乙
今のみんなとの絆値はどのくらいなんだろう?
- 639 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/23(土) 21:06:54.79 ID:rPx1ku4co
-
1日のまとめ(諏訪組)
・ 白鳥歌野 : 交流有(戦闘痕、イザナミ、守るべきものを)
・ 藤森水都 : 交流有(戦闘痕、イザナミ)
・ 九尾 : 交流有(悲劇の主人公)
√ 2018/09/10 まとめ
白鳥歌野との絆 84→85(良好) ※特殊交流4
藤森水都との絆 90→90(良好) ※特殊交流8
九尾との絆 77→77(良好)
鬱積 10%
- 640 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/23(土) 21:15:13.19 ID:rPx1ku4co
-
1日のまとめ(諏訪組)
・ 土居球子 : 交流有(無事に戻れたら、生きているならそれでいい、死にたいの? 強くなれない)
・ 伊予島杏 : 交流有(無事に戻れたら)
・ 白鳥歌野 : 交流無()
・ 藤森水都 : 交流有(それもそうね)
・ 九尾 : 交流有(貴女なら、頼む)
√ 2018/09/11 まとめ
土居球子との絆 70→72(良好) ※特殊交流2
伊予島杏との絆 86→87(良好) ※特殊交流4
白鳥歌野との絆 85→85(良好) ※特殊交流4
藤森水都との絆 90→92(良好) ※特殊交流8
九尾との絆 77→78(良好)
鬱積 6%
- 641 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/23(土) 22:42:21.96 ID:rPx1ku4co
- √ 2018年 9月12日目 朝:移動�@
諏訪を出てから約4日
当初の予定では京都の辺りにたどり着けていれば良い方だったが、
度重なる襲撃によって移動を早めたりしている為か、
休憩地点の傍らには、姫路城跡が見えていた。
場所は兵庫県姫路市、四国へと続く、瀬戸大橋までもう暫くと言ったところだ。
陽乃「だいぶ、見えてきたわ」
杏「そうですね……諏訪に来る前に見た景色と、変わっているところもありますけど……」
勇者が戦った形跡はないが、
バーテックスが通って行ったであろう被害が見える。
球子「そうか?」
杏「四国襲撃の為に、大移動したのかな……ほら、あの辺り崩れてなかった気がする」
球子「よくそんな細かいところ覚えてるなぁ」
警戒してたからと杏が言うと、
球子は全く覚えてないと首を振る。
陽乃「四国周辺に溜まってないと良いけど」
大量のバーテックス
来る途中に見たのは諏訪周辺でだが、
その逆になっていないことを願いたい。
以前は陽乃と球子、そして杏の3人の勇者だけだったけれど、
ここには多くの住民がいる。
突っ切るのは難しいだろう。
- 642 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/23(土) 23:13:16.96 ID:rPx1ku4co
-
球子「やっぱり、まだまだ本調子ではないってか?」
陽乃「初期個体のバーテックスなら別に何の問題もないわ」
進化型であっても、
九尾の力で十分に殲滅できるはずだ。
だが、それは陽乃の力を借りている歌野でも問題はなし
四国に近づいたなら球子と杏でもどうにかなるだろう。
問題はやはり、完成型だ。
陽乃「完成型が1体でも、1撃は撃たれる」
球子「……だろうな」
完成型を見つけたなら免れる可能性はあるけれど
完成型を含む軍勢に襲撃された場合は避けられない。
以前は陽乃が撃ち落として対処したが、
遠距離型の完成型が出てきた場合の被害は計り知れない。
最悪、住民が全滅することもある。
- 643 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 00:16:08.47 ID:fnR7GMORo
-
杏「四国に近づくにつれて、段々と力が増してるように感じるけど、完成型はまだまだ難しいだろうし……」
球子「難しいって言うか、無理だ」
杏「気を引くくらいが限界かな」
住民から、自分達へ。
ターゲットを変更させるくらいが関の山
何の力もない住民たちより、
ちまちまと脇を突いてくる勇者の方が煩わしいに違いない。
球子「とにかく、こっから先はより一層警戒しなきゃいけないな」
どこから襲撃を受けるか分からない。
通常個体も、群れれば脅威になり得るし、
その群れが進化型になればより脅威となって、
それが完成型にまで成れば、さらに一段と厳しいことになっていく。
陽乃「……」
通常個体が人類根絶の為に生み出されたとすれば、
進化型はそれに抗う勇者を討つ為に生み出されたといえるだろう。
であれば、完成型は? と、
陽乃はそこまで考えて眉を潜める。
完成型がいずれ産まれていたとしても、陽乃の力のあまり、早まった可能性が高い。
1、完成型は私に任せて、貴女達は住民を守りなさい
2、貴女達、もっと強くならないと役に立たないわ
3、完成型は、私を殺すために出てきたのかもしれないわ
4、貴女達の切り札ってどの程度なの?
5、歌野・水都と交流
↓2
- 644 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 00:25:35.90 ID:tCutdnMbO
- 1
- 645 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 00:27:18.50 ID:ZgHgYM1YO
- 1
- 646 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 00:39:53.27 ID:fnR7GMORo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
- 647 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 00:46:45.01 ID:ZgHgYM1YO
- 乙
いよいよゴール目前まで来てるのか
ただ完成型だけは現状陽乃さんしか対応できないし致し方ないのが辛いな
- 648 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 02:09:24.48 ID:z+yIgGE5O
- 乙
まああんだけ運悪く連続で遭遇したんだからそんな会うもんでもないかなって思ってる
- 649 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 14:45:36.40 ID:fnR7GMORo
- では少しずつ
- 650 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 14:58:09.18 ID:fnR7GMORo
-
陽乃「完成型は私に任せて、貴女達は住民を守りなさい」
杏「でも――」
球子「そうだな。そうするしかない」
杏「タマっち先輩?」
球子「どう考えてもタマ達じゃどうにもならないって言うのはこの前分かったからな。
出来る奴に任せるのも、必要なことだろ?」
杏「タマっち先輩が久遠さんにそんなこと言うなんて思わなかった……」
球子「何だと〜っ!」
馬鹿にしやがって〜と、
球子は茶化すような声で言いながら杏の頭をぐりぐりと弄る。
球子「タマだって、ちゃんと考えてるんだ」
陽乃「……」
昨日の夜にした話は、とても真面目なものだった。
いつもの球子らしくなく、
とても、弱気な姿。
今は潜めているそれを見せられた陽乃としては、不思議にも思わないけれど。
杏だって、諏訪を発ってからの数日間で一つや二つの球子の知らなかった姿を見てきたのだろう。
その表情は、少し影がある。
杏「そうだね。タマっち先輩」
- 651 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 15:14:46.77 ID:fnR7GMORo
-
杏「でも、久遠さん一人でって言うのは駄目だと思います」
完成型を倒せるのは陽乃一人だが、
倒しきることは出来なくても、
撤退させるくらいのことなら、歌野にもできるという話だ。
杏「白鳥さんを同伴させてください」
陽乃「どうして貴女があの子を出すのよ」
杏「適材適所です」
どちらにも多大な負担のかかることではあるものの、
その二人が共闘するなら、被害はより最小限に抑えられる。
それは、陽乃と歌野の体への反動もだ。
杏「私とタマっち先輩が約束できるのはせいぜいが進化型
けれど、白鳥さんだって久遠さんに匹敵するかもしれないほどには力があります」
陽乃「……だから連れて行けって? 今のあの子の状態を忘れたの?」
杏「1人1人で戦えば無理をしなければいけないのは久遠さんも白鳥さんも同じはずです」
その結果には大きな差があるが、
2人とも無理を必要としていることは間違いない。
杏「だから、2人で協力して欲しいんです。無茶はする必要があるとしても、今までのように死に際まで行かずに済むかもしれません」
- 652 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 16:03:18.10 ID:fnR7GMORo
-
陽乃「私と白鳥さんが対抗手段持ってるとして、それを二手に別けて温存するべきとは考えないの?」
杏「ないですね。温存できる余裕がないので」
どちらか1人が欠けても今後が非常に厳しくなるが、
最優先hまず間違いなく、強力な力を持っている陽乃だ。
完成型を倒しきるだけの力を持っている陽乃を失わないためには、
戦い慣れているうえで、杏達よりも強い力を持っている歌野との共闘がベストだと杏は考える。
被害を最小限に抑え、
万が一連戦になったとしても戦うことのできる状態が望ましい。
杏「それと、久遠さん達には完成型に集中して貰って、私とタマっち先輩で通常個体や進化体を相手にしたいと思ってます」
陽乃「私に、貴女達を信じろと?」
杏「……はい」
陽乃「……」
杏の声に力強さは感じない。
少し、無理しているようにさえ感じる。
球子はやっぱり不安なのか、陽乃が目を向けると
目線を下げてしまう。
通常個体なら2人でどうにでもなる。けれど、進化体まで問題なく倒しきれるだろうか。
それに慢心して背中から1撃を貰いなどしてしまえば、総崩れだ
1、無理ね
2、ならせめてもう少し自信を見せて頂戴
3、話にならないわ
4、私は私のやることやるだけよ
↓2
- 653 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 16:13:13.85 ID:RAPxYlQXO
- 2
- 654 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 16:14:48.20 ID:qo1cPGeoO
- 4
- 655 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 16:51:28.10 ID:fnR7GMORo
-
陽乃「私は私のやることをやるだけよ」
球子達を信じるも信じないもない。
歌野に関しては、色々と深いつながりが出来てしまったし、
力も陽乃と似たようなものの為、
それなりに頼ることにもなってしまうかもしれないけれど、
それはそれ、これはこれだ。
やることに変わりはない。
陽乃「私が信じようが信じまいが、貴女達も貴女達のやることをやればいいのよ
口であれこれ言うより、やって見せてくれた方が良いわ」
球子「……まぁ、そうだな」
球子は小さく笑って。
球子「やれることはやりつくすさ。そのうえでタマ達はただ、陽乃と歌野を信じて防衛に徹していればいいんだ」
そうだろ? と、球子は杏に問いかける。
自信に満ち溢れたものではない。
諏訪を出るまでの強さを削がれたかのような、弱弱しさ
杏もそれが分かっているから、不安がぬぐい切れていない。
陽乃「……」
完成型の襲撃によって瀕死に陥った土居球子
守り切れなかった球子はもちろん、
その時に何一つできなかった杏もまた、ただでさえ無かっただろう自信を完全に失ったのかもしれない。
- 656 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 17:10:40.17 ID:fnR7GMORo
-
陽乃「四国から離れている以上、貴女達が本来の力さえ出せていないのは仕方がないわ」
杏「それはそうですけど……」
戻ったところでどうにかなる相手ではなかった。
きっと、切り札を使ったって。と、杏達は考えている。
確かに、九尾の力に匹敵するだろう切り札を使っても、
完成型を倒すにはまだ力不足なのは陽乃も分かっている。
陽乃の力を警戒して出してきたのなら、それでも仕方がないことだ。
陽乃「正直、私はどうでもいいのだけど……」
陽乃は少し離れた場所で休息をとる住民たちを一瞥する。
歌野はまだもう少しと言った状態だが、陽乃も回復したように見え、
杏と球子という2人の勇者も加わったことで、落ち着きを取り戻しつつある人々。
しかし――
陽乃「勇者がそんな状態だと、住民が騒ぎかねないのよ。迷惑だわ」
球子「っ」
陽乃「勇者なら勇者らしくしていなさいよ。ここまで来たんだから、せめて、辞めるなら四国に戻ってからにして頂戴」
その場合、あの約束はなかったことにするけど。と、
陽乃はちゃっかり言う。
強くなるための直談判
勇者を辞めるなら必要のないことだ。
杏「わ、分かってます。大丈夫です……2人だったら駄目だったかもしれないけど、今は、久遠さんと白鳥さんがいてくれるから」
2人は心強い味方だと、杏はどうにか笑みを浮かべて見せた。
- 657 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 17:28:07.06 ID:fnR7GMORo
-
球子「陽乃って、なんか千景に似てるな」
陽乃「止めて、冗談じゃないわ」
陽乃はそこまでの気はなかったが、
向こうは本気で殺しにきたりもしていたのだ。
何か事情があるとしても、
あんなにも容赦のない人と同じとは言われたくないと陽乃は顔を顰める。
杏「ひなたさんが言うに、口下手ってことです」
陽乃「これでも口は上手い方なのよ」
杏「……確かに、久遠さんは口が上手いかもしれません」
無意識的な口下手なのではなく、
意識的にやっているのなら、口が上手いというのも頷ける。
陽乃は言葉こそキツいものがあるが、それだけだ。
杏「私、もっと頑張ります」
球子「……タマも頑張るぞ。うん、頑張るからなっ」
陽乃「なによ。期待してるとでも言えばいいの?」
陽乃の面倒くさそうな物言いに、
杏と球子は言ってくれるのならと零したが、
陽乃は結局、言わなかった。
- 658 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 17:29:29.42 ID:fnR7GMORo
-
√ 2018年 9月12日目 朝:移動�A
↓1コンマ判定 一桁
5 バーテックス 発見
8 バーテックス 襲撃
2 住民
7 歌野
1 水都
58 55 進化型
85 88 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 659 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 17:32:11.68 ID:SJ6NGp+pO
- あ
- 660 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 17:39:55.33 ID:fnR7GMORo
- 規模判定
↓1コンマ
01〜00 ※低〜高
- 661 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 17:43:32.32 ID:etJOI8n30
- あ
- 662 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 18:16:48.34 ID:fnR7GMORo
- √ 2018年 9月12日目 朝:移動�A
九尾『主様、来るぞ』
九尾からの警告に少し遅れる形で、陽乃達の乗る2号車のバスが停車する。
運転手は1号車のバスが……と不安そうに漏らしたが、
陽乃や、車内から外を見ていた住民の一部は何が起こっているのかを察知して声をあげる
「勇者様っ、怪物が!」
陽乃「……っ」
見える範囲、感じ取れる限り
軍勢は中小規模でしかない。
完成型はおろか、進化型もいないような戦力。
また、様子見で戦力を送り込んできたのか
それとも、疲弊させるべく、少しずつ襲撃を重ねていこうと考えているのか。
陽乃「貴女達はバスから出ない……いえ、騒がないで大人しくしていて」
水都「こっちは任せてくださいっ」
2号車は、自力で動けない人が多くいる。
逃げろといっても無駄だ。
そんなバスに同乗する、巫女である水都は陽乃を力強く見つめて。
水都「うたのんが目を覚ましたらすぐに向かわせます。だから、無理はしないでください」
陽乃「そう、無理する状況でもないわ」
- 663 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 18:58:18.03 ID:fnR7GMORo
-
水都に2号車と歌野を任せて、外へと出る。
杏「久遠さん!」
すでに迎撃に出ている杏と球子が、
その遠距離武器を駆使して、次々に通常個体のバーテックスを打ち落としていた。
杏「通常個体なら私達で対処可能です! 久遠さんは万が一討ち漏らした場合に対処お願いします!」
出来るのなら、その必要もなくしたい杏だけれど、
慢心は出来ない。
万が一にでも討ち漏らしが発生した場合に、被害が出るのは避けたい
だから、要請する。
球子「っとぉぉぉぉぉりゃぁあああああああッ!」
球子が全力で楯を投擲し、
広範囲を一気に削りとって、比較的近い位置にまで近づいてきている個体を、
杏が撃ち落としていくといった戦い方。
中小規模とはいえ、数としては莫大なそれを、2人はどうにか、凌いでいる。
1、手を貸す
2、杏の作戦に従う
↓2
- 664 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 18:59:30.51 ID:puAdjB9pO
- 2
- 665 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 19:00:03.35 ID:etJOI8n30
- 1
- 666 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 19:29:04.05 ID:fnR7GMORo
-
陽乃「九尾」
九尾「……主様」
陽乃「少しくらいなら平気よ」
イザナミ様ではあるまいし、
ほんの少し力を使った程度で死にはしないと、陽乃は苦笑する。
分かっている。大嘘だ。
九尾が誤魔化してくれている身体は、その力を解除した瞬間に崩れ落ちる。
バーテックスを殴った腕はより傷つくだろうし、
もしかしたら、半ばから変な方向に折れ曲がるかもしれない。
場合によっては、先がなくなる可能性もある。
けれど、万全を期すためには、必要なことだ。
陽乃「少しだから」
九尾「動けぬままの方が、よかったやも知れぬな」
陽乃「そうね。そうかもしれないわね」
九尾の姿が消えて、力が満ちていく
戦闘服へと一瞬のうちに着替えた陽乃は、何度か握り拳を作って頷く。
いつも通りの感覚だ。
陽乃「……さぁ、行くわよ」
- 667 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 19:30:03.80 ID:fnR7GMORo
-
↓1コンマ
01〜00 ※陽乃の反動
※杏・球子、住民の被害は確定で0
- 668 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 19:33:11.00 ID:UlZ+if4MO
- あ
- 669 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 20:04:03.52 ID:fnR7GMORo
-
陽乃が戦線に加わったことで、
通常個体のみの軍勢は瞬く間に消滅していき、
あっという間に、殲滅が完了した。
中遠距離を得意とする球子と杏
その攻撃の合間を縫いながら駆け抜け、翻弄し、
隙を見ては殴り飛ばし、蹴り飛ばし、囮を務める陽乃。
近距離が得意で、力も強く狙われやすい陽乃が最前線に出ることで、
球子と杏が狙いやすく、殲滅力をより上げたのが要因と言えるだろう。
しかし――
球子「あんまり無茶するなっ」
陽乃「……なによ」
球子「敵は通常個体だけだったんだから、陽乃が前線に出る必要は無かったはずだっ」
陽乃「その方が手っ取り早いと思っただけよ。実際、手早く終わったでしょう?」
杏「それはそうですけど、強い反動を受けてからまだ日が浅いのに……」
杏達は、不満なようだった。
- 670 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 20:25:00.71 ID:fnR7GMORo
-
陽乃「別にこのくらい、大したことないわ」
杏「ですが……」
陽乃「敵が少ないからこそ、短期決戦に努めてすぐに離れるようにするのが最適だと思うけど?」
杏「その意見には賛成ですけど、でも、温存するのも大事です」
バーテックスの数が少ないのは、様子見や、囮
あえて油断を誘う作戦だったりすることもある。
そこに時間をかけてしまうと、増援が来たりして追い込まれてしまうこともあるため、
早急にその場から逃げるべきだ。
杏はその考えを否定する気はない。
杏「相手の狙いが勇者を疲弊させることが狙いだった場合、久遠さんが力を使って消耗した時点で相手の作戦勝ちになってしまいます」
断続的に襲撃し、力を使わせて疲弊させ
満を持して完成型などを送り込んでくる……なんてことをされでもしたら、一気に崩されてしまう。
陽乃「そうならないようにしたらいいだけでしょう?」
杏「でも、久遠さんの力には――」
何かを言いかけた杏の目が、見開かれる。
すぐそばにいた球子の表情までもが驚愕に染まって、
陽乃「……?」
陽乃は、頬を伝っていく涙のような感触に気づいて指で拭う。
- 671 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 20:30:35.02 ID:lQ65xP4kO
- ダメだったか…?
- 672 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 20:32:20.95 ID:fnR7GMORo
-
陽乃「え……」
触れた指先は赤く染まっていて、視界がだんだんと濁っていく
陽乃「ぁ……っ……ぶっ……」
杏「久遠さん!」
全身の力がふっと途絶えて、陽乃はその場に崩れ落ち、
受け身も取れなかった体に強く衝撃が加わって、思わず喘ぐ。
口の中に広がる、血の味。
陽乃「ちょ……っと……」
杏「久遠さんっ、しっかりしてくださいっ」
すぐに杏に抱き上げられるが、
殆ど体の感覚がなく、薄紅色の視界の中で杏の顔がとても近い位置にあるという程度しかわからない。
陽乃「嘘……でしょ……」
まさかここまでとは思わなかったと、陽乃は薄れる意識の中で歯噛みする。
使ったのは九尾の力だ
それも、本気でではなく、軽い程度のもの。
けれど、それでも意識を失うのは、十分だったのだ。
- 673 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 20:37:49.09 ID:fnR7GMORo
-
√ 2018年 9月12日目 昼:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
4 バーテックス 発見
9 バーテックス 襲撃
1 住民
2 歌野
8 水都
7 杏
49 99 進化型
94 44 完成型
※それ以外のぞろ目は特殊
- 674 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 20:40:00.19 ID:lQ65xP4kO
- あ
- 675 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 20:55:56.82 ID:fnR7GMORo
-
戦闘規模判定
↓1コンマ
01〜00 ※低〜高
※ぞろ目の場合、進化型追加
- 676 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 20:57:18.14 ID:etJOI8n30
- あ
- 677 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 21:29:32.33 ID:fnR7GMORo
-
※極小規模の為、被害なし
√ 2018年 9月12日目 昼:移動�@
球子「じゃっまっだぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
球子の全力で投げ飛ばされていく楯は、
向かい来る複数の通常個体を真っ二つに引き裂いて、消滅させる。
球子「次ッ!」
杏「今ので最後だよ!」
楯が戻るや否や、振り被った球子の腕を抑えて杏が首を振る。
殆ど間を置くことなく行われた襲撃だったが、
規模はさっきよりも小規模。
球子と杏の二人でなら、難なく対処できる程度だった。
しかし、連戦ということもあって、
2人の額には汗が浮かび、肩での大きな呼吸が目立つ
杏「タマっち先輩はこのまま2号車に、私が1号車を担当する」
球子「りょーかい!」
素早く指示を出し、
バスに戻ってすぐ、運転手に声をかける。
杏「今すぐバスを出してください!」
「わ、分かりました!」
中小規模からの、極小規模の襲撃。
杏「……急がないと、大変なことになる予感がする」
- 678 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 21:40:27.93 ID:fnR7GMORo
-
陽乃の症状は治まっているが、意識不明
歌野は体こそ傷1つないが、意識不明
正直に言って、状況は最悪だった。
今のような小規模の襲撃ならどうとでもなるけれど、
ここに複数の進化型や、完成型が加わるとなると絶望的な戦況に陥ってしまう。
四国に近づくに連れて力が戻りつつあるといっても、
完成型には歯が立たないのは変わらないし、
物量で押し切られれば確実に死ぬ
杏「……っ」
しかし、陽乃が目を覚ましたところでどうにかなるとは思えない。
いや、なったとして、杏は陽乃が無事で済むとは思えなかった。
全力を出さず、温存して戦っているのは明らかだったのに、
血を流して倒れ、そのまま意識不明にまで陥った陽乃
九尾は何も語らなかったが、
もしかしたら、感覚を鈍らせて無理矢理に動いていた可能性もあると杏は考える。
でなければあれは説明がつかない。
杏「私達が、弱いから……」
だから、任せてくれない
だから、信じてくれない
だから――
杏「痛っ」
無意識に噛みしめてしまった唇の痛みに、杏ははっとする。
杏「やれることを、やらなくちゃ……」
今戦えるのはたった2人の勇者
心なんて折れてはいられないと、目元を拭った
- 679 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 21:46:33.61 ID:fnR7GMORo
-
√ 2018年 9月12日目 昼:移動�A
↓1コンマ判定 一桁
0 バーテックス 発見
5 バーテックス 襲撃
2,7 歌野
3,8 陽乃
※それ以外のぞろ目は特殊
- 680 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 21:49:03.76 ID:lQ65xP4kO
- あ
- 681 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 22:01:44.62 ID:fnR7GMORo
-
√ 2018年 9月12日目 昼:移動�A
「……えっと、今この辺りかな」
杏「ありがとうございます」
そこまで見慣れていない地図のため、
現在地を1号車の乗っている男性に教えて貰った杏は、そこから瀬戸大橋までの距離を確認する。
残りは約150km程度の距離
バスはそれなりの速度を出しているが、
最大でも60kmが限度で、それも常にとはいかないし、
場合によっては遠回りをしなければならないルートもあるため、時間はかかってしまう。
杏「私は外に出ます。気にせず運転をお願いしますね」
「……勇者様は屋根上が好きなのか?」
窓から外を覗き、
アグレッシブにもそのまま外へと出て行った杏を横目に見た運転手は困ったように呟く。
「一言言ってくれるだけ、ありがたいが」
何も言わずに窓から飛び出していく勇者もいたためか、
軽くぼやいて、運転に集中する。
- 682 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 22:14:27.11 ID:fnR7GMORo
-
杏はバスの屋根に上ると、落ちないように気を付けながら武器を構えて、周囲を見渡す。
バーテックスが接近すればすぐに迎撃に移ることが出来るし、
バスの行く手を阻む遮蔽物が壊せるものなら、あらかじめ壊して無理矢理にでも通ることが出来る。
少しでもリスクを減らし、
かつ、最短で安全圏であるはずの四国に逃げ込むには、それしかないと考えたのだ。
杏「久遠さんが出てこなかったのを温存と見るか、余力がないとみるか……」
杏はバーテックス側の策略を読もうと、頭を働かせる。
中小規模の襲撃、そして、ごく小規模の襲撃
先遣隊である最初の襲撃は、現状の戦力を確認するために行ったものだとして、
次の襲撃は、それによる勇者側への被害状況の確認や、連戦による消耗狙いの可能性がある。
杏は、自分ならその2つのための派兵をしていると、息を飲む。
杏「……次は、最初よりも多くなるかもしれない」
杏と球子の応戦によって、第二派の襲撃は難なく撃退された。
連戦による消耗は果たせたが、状況を探り切れなかった相手は、
それよりも多い軍勢を送り込んで消耗を狙い、あわよくば殲滅しようとしてくることだろう。
杏「急がないと」
- 683 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 22:17:58.57 ID:fnR7GMORo
-
イベント判定
↓1コンマ判定 一桁
0 九尾
2 陽乃
4 歌野
7 水都
9 住民
他は球子
※ぞろ目は特殊
- 684 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 22:18:31.72 ID:etJOI8n30
- あ
- 685 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/24(日) 22:25:34.95 ID:fnR7GMORo
- 少し早いですが、本日はここまでとさせていただきます。
明日は可能であれば通常時間から
陽乃起床
- 686 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/24(日) 22:34:09.81 ID:lQ65xP4kO
- 乙
陽乃さんは毎度復活こそ早いけど運の悪さがあまりにもどうしようもないな…
本人も想定外だったとはいえ今回は流石に杏とタマに謝んないと
- 687 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/25(月) 06:14:14.83 ID:X084IXrkO
- 乙
杏たちもなんとかここを乗り越えて欲しいなぁ
- 688 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/26(火) 22:01:24.85 ID:iPm5zUt6o
-
では少しだけ
- 689 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/26(火) 22:06:51.37 ID:iPm5zUt6o
-
陽乃「ぅ……っ……」
体がまるで動かない。
九尾に誤魔化して貰う前よりも、
より一層重苦しく感じる空気と、体
声も出せそうになく、呻くので精いっぱいの陽乃の視界には、バス車内の天井が見える。
天井が異様に高く見え、端には座席の一部が見えているため、
きっと、バスの床に横たわっているのだろうと陽乃は察する。
その割には背中は痛くないし、固くもない
もっとも、その感覚さえ、今は失っているだけかもしれないが。
九尾『愚か者め』
陽乃『……仕方がないじゃない』
九尾『妾は言うたはずじゃぞ』
陽乃『そうね』
九尾は何度も無理はするなと言っていた。
だから、無理はしていないつもりだったけれど、
力を使うこと。
それ自体が、多大な負荷のかかる無理だったようだ
- 690 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/26(火) 22:46:10.27 ID:iPm5zUt6o
-
陽乃『あの後、どうなったの?』
九尾『主様は二号車じゃったか。その中に運ばれておる。ほれ、体を起こせば傍らに白鳥歌野が見えるはずじゃ』
陽乃『起こせないのを知ってて言うの止めて……悪かったとは思ってるから』
見ろと言われて見られるような体の状態じゃない。
九尾もさすがに腹が立ったようで、意地悪を言ってくるようだ。
いや、意地の悪さは元々だったかもと陽乃は思うが、
この様子だと、もう一度誤魔化してはくれないだろうなと、目を瞑る。
陽乃『それで? あれ以降襲撃は?』
九尾『一度あったが、何も問題はない』
陽乃『怪我も?』
九尾『うむ』
陽乃『また、貴女が何かしたんじゃないでしょうね』
歌野が宇迦之御魂大神の御力を使えるのは偶然ではない。
ましてや、陽乃が力の供給をしきれない状態でどうにかなることではないし、
何もなく、歌野がそれを得るなんてないはずだと陽乃は考えていた。
陽乃『貴女が白鳥さんを唆したんでしょう?』
あの日、陽乃にそうしたように。
- 691 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/26(火) 23:17:51.23 ID:iPm5zUt6o
-
そして、それと同じように球子達にも何かしたのではないかと陽乃は思ったが、
九尾はそれは笑って一蹴する
九尾『してやる理由がない』
陽乃『白鳥さんになら、あるって言うの?』
九尾『少なからず繋がりがあるからこそじゃ。でなければ利用価値もあるまい』
九尾はそう吐き捨てるが、
九尾のことだ、使い捨ての道具程度の扱いはするだろう。
歌野の扱いがそのようにも思えるけれど、
きっと、それとは別だ。
陽乃『貴女、白鳥さんも気に入った?』
九尾『いいや』
陽乃『……そう?』
陽乃は宇迦之御魂大神の力を使ったことはないが、
宇迦之御魂大神より、九尾の方が戦闘におけるパワーバランスとしては上になることくらいは分かる。
九尾は特殊だが、宇迦之御魂大神もまた特殊でその力は回復力に特化しているからだ。
借りるなら、九尾の力であるべきだと陽乃は思う。
宇迦之御魂大神では、戦い方が大きく限られてしまうだろうから。
だが、九尾が気に入ったわけではないのなら、反動が大きくある可能性もあるし、無理は出来ない。
1、白鳥さんに力を貸してあげてもいいのよ?
2、あまり、唆さないで
3、ねぇ、もう一度動けるようにして貰えるかしら
4、じゃぁ、貴方のお気に入りは上里さんだけなのね
↓2
- 692 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/26(火) 23:20:51.54 ID:5mCoOpkz0
- 3
- 693 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/26(火) 23:21:00.39 ID:DifXHmrTO
- 3
- 694 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/26(火) 23:26:32.48 ID:iPm5zUt6o
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 695 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/26(火) 23:44:43.53 ID:6X6wt78SO
- 乙
うたのんがずっと寝込んだ状態を見るに下手に力を貸したら負担が更にキツそうだしなぁ…
陽乃さんもだけどしばらく無理厳禁だな
- 696 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 00:38:21.98 ID:2IW1/IjLO
- 乙
流石に九尾もキレるんじゃなかろか
- 697 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/27(水) 20:20:12.62 ID:E6/TiC6po
- では少しだけ
- 698 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/27(水) 20:25:53.83 ID:E6/TiC6po
-
陽乃『ねぇ、もう一度動けるようにして貰えるかしら』
九尾『ふっ』
陽乃『……なんで鼻で笑うのよ』
小馬鹿にする九尾の反応に陽乃は不満を感じさせたが、
九尾はそれでも改めて……喉を鳴らして笑う。
九尾『妾は主様のような愚か者ではないからのう。2度も温情をくれてやる気はない』
陽乃『……仕方がないじゃない。あそこまでだなんて思わなかったんだから』
九尾に注意され、
杏達にも止められていながら参戦したあげく、意識不明に陥った陽乃。
笑われるのは当然だろうし、咎められるのも当然だろう。
九尾『次こそ死ぬぞ。それが望みとでもいうのかや?』
陽乃『……そんなわけないじゃない』
九尾『ならば大人しくしておれ』
陽乃は諏訪の結界を維持するために力を消耗し続けており、
諏訪から離れれば離れるほどより消耗することになっていくため、
その分、回復力が著しく低下している。
そのうえで、本来なら動かすことなんて出来ない体を酷使していたのだから
勇者でなければ死んでいてもおかしくない状況だった。
- 699 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/27(水) 20:45:49.00 ID:E6/TiC6po
-
九尾『主様はあまりにも己を軽んじておる。よもや、己自身を悟れぬわけではあるまい』
陽乃『分かってるけど』
九尾『けど。とはなんじゃ、けどとは』
呆れるばかりと言った様子の九尾の声
心の中でむっとする陽乃だが、全面的に悪いのは自分であることは分かっている為、
それを口にはせずに、目を開く
バスの天井が見える。
時折揺れることもあるためか、視界の端に見える座席の一部から手がずるずると落ちてくる。
九尾が嘘をついていなければその手は歌野のものだろう。
陽乃『何か問題がありそうなら、戻してくれるんでしょう?』
九尾『そうせざるを得ない状況ならば致し方あるまい』
動けば死ぬだなんて言っていられる状況じゃなくなった場合には、
もう一度動けるようにすることはあるだろうが、
そうでない限りは、四国に辿りつくまではそのまま回復に努めさせると九尾は言う。
死ぬとさんざん忠告したにも関わらず戦いに出て出血と失神したことを掃討、根に持っているようだ
- 700 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/27(水) 21:45:01.90 ID:E6/TiC6po
-
陽乃『それで、私の回復の頼みの綱の白鳥さんはどうなの?』
九尾『ふむ……初回で力を使い果たすほどに消耗したからじゃろうな。落ち着くまで時間がかかっておる』
陽乃『大丈夫なの?』
陽乃の方が時間はかかっているが、
陽乃は自分自身の力の反動によるものの為、多少は慣れもある。
だが、歌野は間接的に陽乃と同等の力を使っているというだけで、
体を蝕むほどの影響は初めての経験のはず。
それをいきなり使い続けたとなると、相当な負荷がかかったはずだ。
しかし、九尾は少し考えるような間を置くと
問題はないと、応えた。
九尾『身体のみならず、精神も摩耗して眠っているだけじゃ。もうじき目を覚ますじゃろう』
陽乃『……嘘じゃなければ良いけど』
九尾『信じずとも構わぬぞ。妾はのう』
九尾はくつくつと笑う
だからこそ信憑性に欠けるのだが、それを言ったところで九尾は改めないだろう。
陽乃『……はぁ』
後々、球子達にどやされるだろうなと陽乃は憂鬱に、目を瞑った。
- 701 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/27(水) 22:01:51.71 ID:E6/TiC6po
-
√ 2018年 9月12日目 夕:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
6 バーテックス 発見
1 バーテックス 襲撃
3,9 歌野
0 球子
8 杏
- 702 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 22:02:33.64 ID:9gSPyTtSO
- あ
- 703 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/27(水) 23:00:33.69 ID:E6/TiC6po
- √ 2018年 9月12日目 夕:移動�@
陽乃「……」
身動きできない以上、バスの車内にいるのは酷く退屈だ
声を出せるわけでもない為、
本当に、ただゆっくりと療養するしかないといった状態。
せめて片手でも自由なら、
本の一冊でもあればと思えるけれど、それもできない。
1号車では煩わしいほどに周囲に人がいたのに、
賑やかさこそ不要ではあるが、
細やかな雑音でもあればと思うときに、何もないのだから困る。
しかし、九尾に声をかけることは出来る。
歌野が元気なら、歌野にも可能だ。
水都に関しては……難しいけれど。
1、九尾を呼ぶ
2、歌野に声をかける
3、球子達を呼んで貰う
4、水都を呼んで貰う
5、イベント判定
↓2
- 704 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 23:01:47.29 ID:9gSPyTtSO
- 5
- 705 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 23:02:06.25 ID:ONbtgPeg0
- 3
- 706 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 23:02:25.65 ID:HXjNozJcO
- 2
- 707 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/27(水) 23:12:35.19 ID:E6/TiC6po
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 708 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 23:21:13.90 ID:9gSPyTtSO
- 乙
やむを得ないが四国到着まで絶対安静か…
できれば動くのは無理でも会話くらいはさせてあげたいけど
- 709 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 06:54:43.98 ID:CFYoQGUnO
- 乙
今さらだけど陽乃や歌野の使った力って切り札みたいな精神汚染とかはないのかな?
- 710 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/28(木) 21:14:16.34 ID:U1G/cYPGo
- では少しだけ
- 711 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/28(木) 21:18:14.69 ID:U1G/cYPGo
-
寄るなと言うくせにいざ何もないと呼び出しをかけたりするのなんて
陽乃自身、面倒くさいとは思うけれど。
あんなことがあった後なのにもかかわらず球子たちの誰もいないというのが不安だった。
体の状態的によりどころがないと不安なのではなく、
真っ先に罵倒でもしてきそうな彼女達が何もアクションを起こしてこないからだ。
その鬱憤がたまりにたまっているのではと思うと、
後々がより面倒くさそうで。
陽乃『九尾、お願いがあるんだけど』
九尾『同じ過ちは繰り返すつもりはないぞ』
陽乃『過ちって……』
つながりを辿って声をかけると、
九尾はすぐさま拒絶の姿勢を感じさせる
陽乃『土居さん達を呼んで欲しいのよ。次の休憩の時で良いから』
九尾『ふむ……』
九尾は一拍置いて、「そのくらいなら」と、承諾してくれた。
- 712 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/28(木) 22:15:42.38 ID:U1G/cYPGo
-
九尾は言った通り、
道中での休息の際に球子達に声をかけてくれたようだ。
球子「……酷い状態だな」
杏「諏訪での久遠さんの状態と比べると、だいぶ軽いけどね」
球子「そりゃそうだけど、十分酷いって」
敷布を敷き詰められている最後尾のバスの床
そこに横たわる陽乃は、身動き一つできずに球子達を見つめている。
杏が見てきたのは血反吐を吐いてもがき苦しんでいる姿なので、
そのくらいは普通と感じているのかもしれない
杏「本調子じゃないって言ってたのは、本当だったんですね」
球子「走り回ってたと思ったら、急に、あんなことになって……ほんと、何やってんだ」
杏「タマっち先輩ってば……」
球子「気遣う必要なんてないぞ、杏」
こういうのは、甘やかすから駄目なんだと球子は言うけれど、
杏は困ったように笑って、一番甘やかされてないと思うと、陽乃を見つめる
- 713 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/28(木) 23:08:54.43 ID:U1G/cYPGo
-
杏「体の方は怪我とかはなさそうでしたけど、やっぱり、反動のせいですか?」
球子「そうだって言ってるぞ」
杏「……久遠さんにあとで怒られるよ」
陽乃が顔を顰めているのを見た杏が球子に忠告する
陽乃は今、話すこともままならない為か、球子は好き勝手に言う。
後で何か言われること、されることは覚悟の上なのだろう。
杏に注意されても、球子は謝罪もなくて。
球子「命を捨てるようなことをした陽乃が悪い」
文句があるなら言ってみろ。と、
むしろ挑発するような球子は、けれど、陽乃の身を案じているような表情を見せるけれど
どちらかと言えば怒っているのは球子のようだった。
球子「あのくらいなら、タマと杏だけで問題なかったはずだ。
そんなに、タマ達のことが信じられないのか? そんなに、タマ達は弱かったのか?」
杏「タマっち先輩っ」
球子「杏だって、気になってるだろ? なんで、わざわざこんなことになる無理をしたのかって」
杏「それは」
1、答えない
2、信じられないから
3、命を預ける気がないから
4、肯定する
5、文句でもあるの?
↓2
- 714 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 23:11:12.89 ID:mbsFChLlO
- 4
- 715 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 23:11:34.50 ID:8YmUIOogO
- 4
- 716 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/28(木) 23:21:55.86 ID:U1G/cYPGo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 717 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 23:33:32.81 ID:mbsFChLlO
- 乙
陽乃さんも自分に非があるという自覚があるはずだから今回は素直に頭下げた方がいいと思うんだけどなぁ
- 718 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/29(金) 00:48:55.28 ID:qWDorLuIO
- 乙
そろそろマジで反省しよう
- 719 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2021/10/29(金) 02:31:21.66 ID:OZa+M+GE0
- VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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- 720 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/30(土) 06:30:13.91 ID:SbtPN98EO
- アニメ三期ついにのわゆ来たと思ったらまさかのあのシーンからか…
なおさらこっちでは早く仲良くなって助けてやりたい
- 721 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 17:34:21.46 ID:5P/F18CEo
- では少しずつ
- 722 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 17:42:30.15 ID:5P/F18CEo
-
陽乃「ぅ……」
何を言おうにも、呻き声しか漏れない。
しでかしたことを考えれば言われるがままでも仕方がないことではあるけれど、
球子達は答えを求めている。
これが歌野だったのなら、
このまま話すことが出来なくても伝わるのだが。
陽乃『九尾』
九尾『また面倒なことを』
陽乃『いいから、このくらいは許して頂戴』
前回の裏切り……とも言える行為もあったし、
前向きではない九尾の反応も分かるけれど、
口を開くにも、今は九尾の力が必要だ。
九尾は恨み言を呟いたりはしなかったが、
ため息とともに、九尾の力が流れ込んできた。
九尾『人間を説き伏せるのなら、力を貸してやってもよいぞ』
陽乃『冗談は力だけにして』
- 723 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 18:20:47.29 ID:5P/F18CEo
-
球子「陽――」
陽乃「……ええ、そうよ」
陽乃は小さく息を整えてから、声を出す。
2回目ともなると、変に掠れたりしていない声が出せるらしい。
九尾の力は治すのではなく、治ったように錯覚させるだけ。
体に引っ張られる頭を、逆に、頭で体を引っ張っているだけでしかない。
思考さえ奪われなければ、どうにでもなるのかもしれないと、陽乃は企みを飲み込む。
陽乃「貴女にしては良く、分かっているじゃない」
球子「嫌な言い方だな」
陽乃「だってそうでしょう? 私がどうして貴女達を信頼できるのよ。
どうして、そうして貰えると思うほど、自分に自信があると胸を張ることが出来るのよ」
球子「っ」
陽乃「貴女が自分で言ったんでしょう? 自分は弱いって。ほかでもない私に」
- 724 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 19:05:13.04 ID:5P/F18CEo
-
球子「そう、だけど……けど。陽乃が言ったんじゃないか。見せてくれって」
陽乃「あぁ、そうね」
球子「なのに、見せる暇もないのはちょっとズルいんじゃないか?」
陽乃「……見せる暇をあげられるほど、私の余裕がないのよ」
一転攻勢
そこまではいかないものの、
陽乃は素直に答える。
陽乃「貴女達を信じていない。信じられない。あのまま任せても良いといえるほどの余裕がない。見ればわかるでしょ
本調子じゃないなんて嘘。ほんとは、こんな体だったのよ」
本調子じゃないといえるほど、調子は良くなかった。
指先一つ動かすことは出来ず。
顔を動かすこともできない。
陽乃「たとえ、貴女達が弱いとしても。貴重な勇者を欠くわけにはいかない。その可能性を無視するわけにはいかない」
- 725 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 19:45:04.17 ID:5P/F18CEo
-
杏「……動かないんですか? 体」
陽乃「指先一つね」
球子「話せはするんだな」
陽乃「まさか。ここまでの体で正常に会話が出来るわけないじゃない」
九尾の力は話すことにしか作用していないようで、
苦笑しようにも、体がまるで反応してくれず、頬が引き攣る
陽乃「これも九尾の助力があってのこと……でも、駄目ね。思っていた以上に反動が大きかった」
下手に戦うことなく、
日常生活を送るだけだったなら、大丈夫だっただろう。
けれど、正常な体だとしても多少は反動のある力だ
今の体に、それは死にに行くようなものだった
球子「こんな体なら、少しくらいいいじゃないか……信じられなくても、少しは、自分のことを考えたって」
杏「久遠さんはもう少し、自分を大切にするべきです」
陽乃「したからこうなったのよ」
杏「してたらならないです」
球子「なるわけないだろ」
陽乃「……」
2人は睨むように、陽乃を見つめる。
1、それもそうね
2、悪かったとは、思ってるわ
3、なったからこうなってるんじゃない
↓2
- 726 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/31(日) 19:46:54.81 ID:XLew39e60
- 2
- 727 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/31(日) 19:47:03.12 ID:bywg79duO
- 2
- 728 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 20:34:14.96 ID:5P/F18CEo
-
陽乃「悪かったとは、思ってるわ」
杏「これで思っていてくれなかったら、本気で怒りますっ」
陽乃「ご立派なことね」
球子「いっつもそうだ。陽乃はタマ達を……」
陽乃「……なによ」
球子「上手い言葉が浮かばないんだよっ」
球子はフイッと顔を背ける。
自分の頭の中に言葉があっても
それを相手に伝えることが出来ないもどかしさからか、歯を食いしばっている。
杏「タマっち先輩、帰ったら本を読もうよ。いいセリフが思いつくかもしれないし」
球子「……考えては、おく」
これは読む気はないなと思う陽乃に、杏が困った笑みを見せる。
同じ考えのようだ。
杏「久遠さんはいつも、遠いんですよ。全部、まるで他人事みたいに受け流そうとしてる」
- 729 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 20:57:16.24 ID:5P/F18CEo
-
杏「私達がこうやって怒ってても、ハイハイ。って、受け流してるように感じるんです」
陽乃「……否定はしないわ」
ちゃんと聞き入れているなら、
陽乃が今こうして伏せっているわけがないからだ。
受け止めて、考えて
正しく行動していれば苦痛は少なく済むことだろう。
にもかかわらず、陽乃は最も辛く苦しく
何よりも厳しい道を自ら率先して選んでいく。
周りがそれを改めるように言っても、まるで聞こうとはしない。
杏「生きたいって言うのに、死に急いでしまう。諏訪での生活でも、それは変えられなかったんですか?」
陽乃「死に急いでいるわけではないわ。ただ……ただね。何度だって言うけれど、私は自分以外、信じたくないのよ」
陽乃は、笑いきれない表情を歪ませて、杏に目を向ける。
陽乃「貴女達が自分は大丈夫って言って、たとえそれが真実だと頭が分かっていても、信じたいとは思えない」
杏「……四国で、散々な目に遭ったからですか?」
陽乃「ふふっ……さぁ? どうかしら。
誰かを信じ、誰かに頼り、そうして傾いた分だけ、まっすぐに立っていられなくなるものだと思う」
球子「陽乃っ」
陽乃は目元に涙を浮かべる。
それに気づいているのは、陽乃以外の2人だけだ
陽乃「私、きっと次は死ぬわ。貴女達を信頼して、その果てに失うことがあったら、私は間違いなく死を選ぶから、誰も信じたくないの」
- 730 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 21:23:12.42 ID:5P/F18CEo
-
球子「失うって言うのは、死ぬことも含まれてるのか?」
理性より、感情が前に出るタイプの球子は、
その言葉そのまま受け取ると陽乃は思っていたが、そうではないらしい
陽乃「貴女、意外と賢いわね」
球子「……なんだよ」
むっとする球子をよそに、陽乃の目は杏へと向く
杏は驚いたような表情で、手元にはどこからか出したハンカチがあった。
陽乃「なに?」
杏「私達が強くなれば、失う不安も少しは和らぎますか?」
陽乃「なれると思ってるの? 大社が応えてくれるかしら」
球子は、そう思っていなかった。
それにも限界があって、
いずれ自分は死に、杏を守れないだろうと考えていた。
けれど、杏は大社に相談して何か方法がないか探ろうとまで考えている。
強く慣れるとすれば杏の方だろうか。
杏「その為に、久遠さんには是非にも無事に四国にたどり着いて欲しいんです」
- 731 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 21:38:19.82 ID:5P/F18CEo
-
杏はハンカチを握りしめて一部分を人差し指と親指の間から差し出すと、
優しく、陽乃の目元を拭う。
杏「強くなりますよ。今は、まだ頼りにならないですけど」
球子「杏……なれると思うのか?」
杏「体を強くすれば力がつくし、戦術を扱えればより安全な戦いができる。
自分の武器の特性を理解して、100%……あるいはそれ以上の戦い方を身に付ければ、神樹様の力に限りがあってもできることはあると思う」
球子「それでどうにもならない敵がいたじゃないか」
杏「でも、あれにだってどこか脆い部分があるかもしれない」
球子と杏は一撃で吹き飛ばされたため、
戦いになってすらいなかった。
たった一回の攻撃で戦闘不能に陥るほどの力に、
超常の力抜きで抗うなど、到底無理な話のはずだ。
しかし、杏は諦めていない
杏「白鳥さんが来てくれなかったら、そのままタマっち先輩は死んでて、私一人になってたと思う」
球子「杏……」
杏「その時からずっと、考えてるの。タマっち先輩が死んでいたかもしれないって
それは、タマっち先輩以外の誰にでもあり得ることなんだって」
杏は唇をかみしめて顔を顰め
それでも、瞳だけはしっかりと前を見据えているように陽乃には見えた。
杏「でも、私が頑張ればそうならないかもしれない。この最悪の時代をどうにか潜り抜けられるかもしれない。
誰一人も欠けることなく、取り戻せるかもしれない」
陽乃「無謀な話だわ」
杏「そうですね。だから、最初はその手伝いを頑張っているんです。無謀なことを成し遂げようとしている勇者に助力して
いつの日か行う無謀なことのための、貴重な経験にしようと思ってます」
- 732 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/10/31(日) 22:10:02.79 ID:5P/F18CEo
- すみませんが、本日は所用の為ここまでとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
- 733 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/10/31(日) 22:35:56.81 ID:jUGFgnb2O
- 乙
陽乃さん今までで一番自分の正直な気持ちを外に出してた気がする
あとタマと一緒に大変な目にあったはずの杏のメンタル強くて心強いなぁ
- 734 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/01(月) 00:13:49.91 ID:vTpdD7EfO
- 乙
みんな成長しないとな
陽乃に関してはむしろここで倒れてよかったかもな
一番成長しないといけない気がする
- 735 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/02(火) 20:27:07.21 ID:BGNoHvu5o
- では少しだけ
- 736 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/02(火) 20:30:09.39 ID:BGNoHvu5o
-
陽乃「……」
杏は本気だと、陽乃は感じる。
目を細めても杏の瞳は揺らいだりせずに陽乃を見返して
その"無謀な先駆者"が誰のことを指しているのか明らかにしていた。
陽乃「私はやりたいことをやって、出来ることをやっているだけ。死なない程度に」
球子「死にかけてるやつが何言ってるんだ。やりたいことやってるだけだろっ」
杏「しかも、それが諏訪から生存者を連れ帰るなんて勇者でも出来そうにないことなんだよね」
まだ調査さえされていない、バーテックスが蔓延っている結界の外に出て行き、
生存が確認されている諏訪へと向かい、
そこにいた生存者の大多数を引き連れての四国への帰還
やろうとする勇者はいるだろう。
しかし、それを実行に移せるかは別の話。
周りが止めるし、何より、犬死になる未来しか見えないことだ。
どれだけ緻密に計画を練ろうと、無計画と言われるほどのこと。
陽乃「私の目的はあくまで、生存率を上げるために諏訪の勇者を戦力に加えることであって、それ以外は荷物よ」
杏「でも、重いからって途中で捨てたりしないじゃないですか」
- 737 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/02(火) 20:41:53.61 ID:BGNoHvu5o
-
高いお金ではなくても、お金を出したりなにか代価を払って手にしたものなら
手放すのは惜しいと感じるものはいくらでもある。
けれど、諏訪の人々はそうではない。
悪い言い方をすれば、押し付けられたものに過ぎない。
命が懸かる状況では、真っ先に見捨ててしまうのも無理はないものだ。
杏は陽乃を、悲しそうに見つめる
杏「でも、久遠さんはあえて命懸けでそれを守るんです」
陽乃「そ――」
杏「それは違う。なんて、この場にいる誰にも通用はしません」
明らかに危険な何かを拳1つで叩き伏せ、
大怪我を負いながらも敵へと向かい、
ただでさえ巨大な異形の怪物のさらに大きな化け物を打ち倒した。
杏達がそれを聞いたのは、諏訪の人々からである。
杏も球子も
そして、諏訪の人々も。
陽乃がどうしようもないほどに、他人を守ってしまうことはもう、分かっていることだった。
杏「知ってますか? まだ私達が合流していない頃、意識を失った久遠さんを白鳥さんが連れてきたとき、諏訪の方々が大騒ぎだったそうです」
- 738 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/02(火) 21:26:21.62 ID:BGNoHvu5o
-
粗暴な口ぶりで、付き合いは悪い。
自分のことを最優先だなんだといいながら、
命の危機が迫る強敵を前に逃げ出すことなく、それどころか、
過去の言葉が本心なら見捨てるべき多くの命を守っていた。
疑う余地はない。
気にかけない理由がない。
恐ろしいほどに、勇猛果敢な少女のことを。
陽乃「知らないわ」
杏「そう、ですよね」
倒れていた時のことなんて知るわけがない。
話を聞けばすぐにわかることだが、陽乃はそういうことをする性格ではないからだ。
杏は少し考えて、口を開く。
杏「ここでなら、久遠さんが嫌な扱いをされることは絶対にないって断言できます」
陽乃「貴女の言うそれこそが、私が好まないことだって分かってもらえると助かるのだけど」
杏「……大丈夫です。久遠さんがいて、白鳥さんがいて、タマっち先輩がいて、私がいる。四国よりも戦力がありますから」
誰も死なない。
誰も欠けない。
だから誰も裏切ったりはしないと、杏は言いたいのだろう。
- 739 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/02(火) 21:27:58.64 ID:BGNoHvu5o
-
√ 2018年 9月12日目 夕:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
9 バーテックス 発見
2 バーテックス 襲撃
4、6、8 歌野
1 住民
※それ以外のぞろ目は特殊
- 740 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/02(火) 21:29:38.45 ID:j/XHOvyMO
- あ
- 741 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/02(火) 22:29:42.45 ID:BGNoHvu5o
- √ 2018年 9月12日目 夕:移動�@
バーテックスの襲撃頻度が上がってきていたこと
そして、陽乃と歌野が倒れつつも、
杏や球子が合流したことで余分な捜索活動が必要無くなったことや
戦力に余裕が出てきたこともあり、
出発時とは比べ物にならない速度で、バスは移動することが出来ている。
そのおかげで、朝に姫路城付近だった陽乃達一行は、
すでに、兵庫県に入ることが出来ていた。
ここから、通常の状態なら2時間程度で四国に入ることが出来るが、
当然、無理な話だ。
陽乃「四国が以前の諏訪の状態だと仮定しておいた方がよさそうだわ」
陽乃は目を細める。
四国は諏訪と同じように襲撃を受けている状態。
そしてその影響かは分からないが、
近付くにつれて襲撃される頻度が増えてきている。
場合によっては、諏訪の時以上の軍勢を突破しなければならない可能性がある。
1、歌野について
2、陽乃について
3、九尾と交流
4、水都を呼ぶ
5、イベント判定
↓2
- 742 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/02(火) 22:31:26.27 ID:j/XHOvyMO
- 5
- 743 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/02(火) 22:32:02.03 ID:xBaU2PR00
- 5
- 744 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/02(火) 22:39:15.92 ID:BGNoHvu5o
-
↓1のコンマ
※ぞろ目で特殊
01〜10 杏
11〜20 球子
21〜30 九尾
31〜40 歌野
41〜50 水都
51〜60 住民
61〜70 特殊:悪
71〜80 歌野
81〜90 水都
91〜00 襲撃
- 745 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/02(火) 22:40:21.73 ID:j/XHOvyMO
- あ
- 746 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/02(火) 22:58:42.88 ID:BGNoHvu5o
-
では少し早いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
歌野起床
予定上では13日朝に四国
完成型2回、戦闘7回(先行含む)
- 747 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/02(火) 23:05:44.58 ID:j/XHOvyMO
- 乙
一時はどうなることかと思ったけど全員無事でやっと四国への長旅が終わりそうだな
あとは今の陽乃さんが向こうでどんな扱いになるかが気になるけど
- 748 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/03(水) 00:19:27.59 ID:K1XiW5XBO
- 乙
四国までたどり着けたか……
あとはうたのんになんとか回復させて貰えたらなあ
- 749 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/03(水) 02:03:19.00 ID:UTibgaXD0
- 乙
結構長いあいだ四国空けててタマと杏は不在だし(しかも四国側からしたら生死不明)
結構原作と似たような状態で四国放置だったけど陽乃が一身に受けてた批判とかが残った勇者のほうに行ってそうで千景とか闇堕ちしてないか心配
- 750 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/03(水) 21:44:26.31 ID:Nhu0Gdmwo
- では少しだけ
- 751 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/03(水) 21:52:28.03 ID:Nhu0Gdmwo
-
陽乃「ん……」
九尾とは違う別の声が内側に響いて来て、陽乃は目を開く。
自分が意識を失っていたことに戸惑う声。
陽乃の視界の端で垂れていた薄い掛布団がずるずると動いて、陽乃の方に落ちてくる。
歌野「ぁれ……寝ちゃっていたのね……」
視界は布団で塞がってしまったけれど、歌野の声と体を起こした音が聞こえた。
陽乃「……体の方は、痛みがなさそうね」
歌野「えっ?」
歌野の驚いた声がすると、暫くして陽乃の体を覆っていた歌野の使っていた掛布団がめくられる。
ようやく視界が確保された陽乃は目の前に見える歌野をじっと見つめて。
陽乃「貴女、身に余る力を使ったでしょう」
歌野「ええ……久遠さんの力の一部以上の力を借りたわ」
陽乃「その反動で意識を失っていたのよ。感覚的には寝落ちしたように感じるだろうけど、一歩間違えれば死んでいたわ」
歌野「分かってる。けれど、そうする他なかったの。そうしなくちゃ、私は誰も守れなかった」
- 752 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/03(水) 22:12:06.03 ID:Nhu0Gdmwo
-
歌野「……久遠さんも目が覚めてよかったわ。宇迦之御魂大神様の御力なら癒すこともできるといっていたけど、本当だったのね」
陽乃「ええ。まぁ……とはいえ、見てわかるとおりだけど」
歌野「体、動かないの?」
陽乃「ちっとも」
杏と球子だったら誤魔化しもしたかもしれないが、歌野に対しては特別、隠したりはしない
隠したところでバレるだろうし、それなら、初めから素直に教えておいた方が良いからだ。
陽乃「貴女が眠っている間に襲撃があったのよ。で、ちょっと油断してこうなったの」
元々体は動かなかったのに、
九尾の力を借りて無理した結果が、このざまである。
余計に悪化して、指一本動かせない。
本来なら会話もままならないところだが、
そこは九尾の力でどうにか話せるようにしているだけだ。
歌野「……ごめんなさい。久遠さんには無理させたくなかったのに」
陽乃「謝られたって、困るわ」
歌野が戦えなくなるきっかけを作ったのは、
完成型を無理やりにでも倒すための手段を講じたからに過ぎず、その判断は陽乃がしたものだった。
その結果、陽乃が戦闘不能に陥って歌野が1人で戦うことになっため無理をする必要が出てきてしまったのだから
1、ただ、無理はしないで。貴女に死なれると水の泡だわ
2、神様は普通以上に反動が大きいのよ。無理をするものじゃないわ
3、力を使い過ぎない方が良いわ
4、貴女には、私のそばにいて貰うわ
↓2
- 753 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/03(水) 22:14:49.91 ID:9NIrCHQM0
- 2
- 754 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/03(水) 22:15:04.83 ID:ucR2HnRXO
- 2
- 755 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/03(水) 22:40:50.86 ID:Nhu0Gdmwo
-
陽乃「神様は普通以上に反動が大きいのよ。無理をするものじゃないわ」
歌野「身に染みたわ」
歌野はそう言って困ったように笑う。
俗にいう、ゾンビアタックのような戦い方しかできなかった歌野
壊れていく傍から無理矢理に回復させるその戦い方もそうだし、
誰かを癒すために力を使うのも、それなりに死に物狂いだった。
歌野「けれど、必要なの」
陽乃「……どうしても?」
歌野「ええ」
完成型に対抗するには必要不可欠
そして、誰かを助けるのにも、無くてはならない力だったと歌野は思っている。
それがなければ完成型に敗北していただろうし、
どうにか逃げ切った先で杏達に出会っても、球子を救うことは出来なかっただろう。
歌野「私が遭遇した海老とか蠍みたいな形をした個体は、猛毒を持っていたし……瞬く間に体が侵されて、使い物にならなくなる。あれは、普通の勇者では間違いなく致命傷だったわ」
陽乃「そんなのもいたのね。私の穢れとどっちが強いかしら」
歌野「間違ってもそんな勝負しないで」
陽乃「しないわよ。死にたくないし」
- 756 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/03(水) 22:55:39.32 ID:Nhu0Gdmwo
-
歌野はそうよね。と言うと、
少し間をおいてから「久遠さん」と囁くように言って、手を握る。
歌野「……無断で力を借りたのは申し訳ないと思ってるわ」
それもただの力ではなく、
宇迦之御魂大神様と言う、神様の力だ。
陽乃「私にお願いしたところで借りられる力ではないし、別にいいわよ」
歌野「そうなの?」
陽乃「当たり前でしょう? 私ならともかく、間接的に繋がりがあるだけの貴女が無理矢理力を引き出すことなんて不可能よ」
それでも歌野が力を使うことが出来たのは、
宇迦之御魂大神様が歌野に力を与えることを承諾したからだ。
そうでなければ、歌野は力を使えない。
陽乃「貴女が諏訪で農業に携わっていて、それに対して強い想いがあったからこその賜物でしょうね。宇迦之御魂大神様に気に入られてるわ」
歌野「好きでよかったって、心から思ってる」
歌野は頬を赤らめて、とても嬉しそうに言う。
食物の神で、農業の神としても知られる宇迦之御魂大神様
だから、九尾は歌野を唆したに違いない。
歌野「久遠さんを、助けられるわ」
- 757 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/03(水) 23:01:24.05 ID:Nhu0Gdmwo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 758 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/03(水) 23:13:20.55 ID:TSF77CZkO
- 乙
確かに回復戦法のおかげでみんなを救えたのはあるけど…
陽乃さんと思考回路がだんだん似てきたせいかそのうち無理が祟ってうたのんが最初の犠牲者になりそうで心配だな
- 759 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/04(木) 00:27:13.51 ID:5XwbHuUbO
- 乙
うたのんを助けてうたのんにも助けてもらおう
- 760 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/05(金) 23:01:21.15 ID:8TUZIwHwO
- 今日も休載だろうか…
- 761 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 02:02:21.89 ID:xlGC5M8UO
- 忙しいんでしょう
ここでも長くやってて更新速度早いし気長に待とう
- 762 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/06(土) 21:58:37.39 ID:IMEoJBh9o
- では少しだけ
- 763 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/06(土) 22:00:17.63 ID:IMEoJBh9o
-
歌野を戦力に加えて、生存率を上げるという当初からの目標を考えれば、
歌野のその考えは願ったりかなったりな話だ。
しかし、それでは困る。
陽乃「神様は普通以上に反動が大きいと言ったはずよ。死ぬつもり?」
歌野「そんなつもりは無いわっ」
陽乃「結果的に死ぬと言っているのよ。私がそうするのと貴女がするのでは話が違うの」
陽乃はそう言って、歌野を見つめる。
普通に体が起こせるまで回復している歌野と、寝たきり状態の陽乃では全く説得力のない話にはなってしまうが、
それは扱う力の重さが原因であって、
同じ力を使った結果であれば、陽乃の方が症状は軽く治りは早いだろう。
歌野がもしもイザナミ様の御力を借りていたとしたら、モノの数秒で死に至ることだろう。
陽乃「私が出来ているから貴女もやるなんて言うのは、不可能よ」
歌野「そこまで慢心したりしないわ。久遠さんがとっても遠い人だっていうのは、良く分かっているつもりよ」
- 764 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/06(土) 22:23:38.03 ID:IMEoJBh9o
-
陽乃「貴女が精力的に私の生存率を高めてくれることには感謝するけれど、それで犬死されるのはお断りだわ」
歌野を戦力に咥えようと考えていた時は、まだ完成型が出現していなかった。
進化型が明らかに過程のように見えていたけれど、
それ以外には予兆もなかった
だけど、今はそれが出現し、陽乃でさえイザナミ様の力を必要とし、
戦闘経験が豊富な歌野でも、陽乃を通して神様の力を借りられなければ今頃食い殺されていたかもしれない。
球子と杏も今の力では太刀打ちできないため、
歌野が増えたところで実質、戦況は悪化したと言えるだろう。
にもかかわらず、歌野がむやみやたらと命を削ってしまうのは無駄でしかない。
陽乃「土居さん達の戦力差から察するに、乃木さん達も完成型には歯が立たない可能性があるし、その場合は私と貴女しかいないのよ。分かる?」
いずれはどうにかなる力を得られるかもしれない。
ただ、それは希望であって、まだ絶対ではない。
それなのに歌野が命を落とせば、残りの負担はすべてが陽乃に回る。
歌野「だったら、久遠さんも自分を大切にして」
陽乃「だから私と貴女ではそもそも――」
歌野「命が1つしかないのは同じだわ! いいえ、そもそも久遠さんは自分の能力に頼っていつも先陣を切って行ってしまうから一番死にかけているじゃないっ」
むしろ悪い方だわ。と、歌野は辛そうに言う。
歌野「久遠さんが死んでしまったら私も力を失う可能性が高いのよ。分かって……もう、久遠さん一人の命じゃないのよ」
1、なぁにそれ。私と貴女の子供でも産まれてくるのかしら
2、ちゃんとわかってるわ
3、……そうね
4、一蓮托生、ね
↓2
- 765 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 22:27:41.36 ID:G7/WqXDHO
- 4
- 766 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 22:28:01.83 ID:+UYpepDl0
- 3
- 767 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/06(土) 22:43:36.80 ID:IMEoJBh9o
-
陽乃「……そうね」
歌野「ええ、そうなの。No久遠さん、Noフューチャーよ」
陽乃がいなければ未来はないと歌野は冗談のような言い方をするけれど、
今のところ、完成型を倒せる陽乃がいなければ話にならないのは事実。
望みは薄いけれど、
球子達にも完成型に対抗する手段があって欲しいと思う一方で
それもやはり、同じように命を削る手段になるのではという懸念もある。
歌野は宇迦之御魂大神様に認められている為、比較的反動が軽い方だ。
だが、そうではない状態で力を扱うのなら、
球子達はたったの一度でも、陽乃がイザナミ様の力を使うほどの反動があるかもしれない。
陽乃「リスクばっかりだわ」
歌野「何か心配事?」
陽乃「心配事しかないわよ……まず、体が動かないところから」
歌野「それは、久遠さんが無茶してしまうからいけないのよ」
まさしくその通りだったが、
歌野は困ったように笑って、少しずつ力を送るから。と、陽乃の手を握った。
- 768 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/06(土) 22:51:47.81 ID:IMEoJBh9o
-
歌野から流れてくる力は、宇迦之御魂大神様の力。
生命力を膨大にまで高めてくれる上、傷を癒す力がとても強いものだ。
そのおかげで、陽乃の体は少しずつ癒えていくのだが、
傷は多く、力を打ち消してしまう力が陽乃にはあるということもあって、
球子にした時のようにすんなりとはいかない。
とはいえ、1週間かかるはずだった傷が3日程度で治ったり、
3日ほどかかる予定だったものが1日で治癒できると言った大幅な短縮は見込める。
もちろん、歌野が無理をすればその限りではないが、
歌野が疲弊しないようにと考えると、そのあたりが限界だろう。
陽乃「あまり、力を使い過ぎないようにしなさい。病み上がりなんだから」
歌野「……いつも思うことがあるんだけど、言っていいかしら」
陽乃「言わなくても聞こえてるけれど、なに?」
歌野「それ、他人に言えないと思うわ」
陽乃「自覚はしてるわ」
たちが悪い。と、声が聞こえた気がしたが、
陽乃は反応せずに目を閉じる。
もちろん、たちが悪いのだって自覚していた。
- 769 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/06(土) 22:52:34.18 ID:IMEoJBh9o
-
√ 2018年 9月12日目 夕:移動�A
↓1コンマ判定 一桁
3 バーテックス 発見
8 バーテックス 襲撃
1 住民
6 九尾
※それ以外のぞろ目は特殊
- 770 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 22:52:50.42 ID:xlGC5M8UO
- あ
- 771 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/06(土) 22:58:26.39 ID:IMEoJBh9o
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
- 772 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 23:06:06.49 ID:y0Eribv7O
- 乙
陽乃さんが無茶しないためには若葉たちも強化が必要だろうけどどうすればいいのか…
あと振り切ったのかいつの間にか判定から完成型や進化型が消えてるな
- 773 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 00:19:30.26 ID:Ja788/pSO
- 乙
まあここまで来たら戦力の手薄な四国行くよね
- 774 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/07(日) 21:30:52.46 ID:+lApLILzo
- 遅くなりましたが、少しだけ
- 775 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/07(日) 21:33:01.77 ID:+lApLILzo
-
√ 2018年 9月12日目 夕:移動�A
あと数時間もすれば夜になる。
夜になればバスは休憩なしで走ることになるので、まただいぶ距離を稼ぐことが出来るだろう
最後の襲撃からまだ数時間
今のところ再度の襲撃は行われていないが、
夜に襲撃される可能性はある。
襲撃を受け始めた四国に近付きつつある今、安全な場所はもうない。
陽乃「……貴女も外に出てきていいのよ」
歌野「良いわ。久遠さんと一緒にいる」
陽乃「ここから先、明日の朝まで外に出られないのよ?」
戦闘がある場合は別だけれど、
殆どの場合、障害物の除去は球子と杏が遠距離から可能となったため、歌野に出番はない。
けれど、歌野は小さく笑って、良いわ。と繰り返す。
- 776 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/07(日) 22:17:55.27 ID:+lApLILzo
-
歌野「外の空気は窓を開ければ吸えるし、今は久遠さんの体を癒す方が大事なことだわ」
歌野が持つ宇迦之御魂大神様の力
陽乃を癒さなければならないわけではないけれど、
そうしないと、完治までにかなりの時間がかかる。
戦力的にも陽乃を遊ばせている余裕はない。
もちろん、そんな理由がなくても歌野は陽乃を放ってはおけない。
今は、歌野が使っていた場所に陽乃が横になっている。
陽乃から歌野、そしてまた陽乃へと戻った。
陽乃「……ここ、白鳥さんのにおいがするわ」
歌野「えっ!? ぁ、ご、ごめんなさい……」
陽乃「私も似たようなものよ」
歌野「……四国に着いたら、温かいお風呂に入りたいわ。久遠さんが動けなさそうだったら、私が手伝うわ。良いでしょ?」
陽乃「さぁ?」
四国にたどり着いてから、そんな自由があるのかどうか。
歌野達は労われるだろうけれど、陽乃は。
陽乃「そうできたらいいわね」
1、歌野が戦った完成型について
2、四国到着後について
3、先に大社に行かないといけないの
4、四国が滅んでるかもしれないし
5、イベント判定
↓2
- 777 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 22:19:20.09 ID:YDSEqtjxO
- 3
- 778 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 22:20:22.81 ID:7mo/FwYi0
- 5
- 779 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/07(日) 22:53:14.34 ID:+lApLILzo
-
↓1のコンマ
01〜10 水都
11〜20 球子
21〜30 杏
31〜40 九尾
41〜50 住民
51〜60 球子
61〜70 特殊:悪
71〜80 バーテックス
81〜90 住民
91〜00 九尾
- 780 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 22:54:16.64 ID:Ja788/pSO
- あ
- 781 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 22:54:40.38 ID:ebE+ZSatO
- あ
- 782 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/07(日) 23:34:05.65 ID:+lApLILzo
-
陽乃「今、どの辺りを走っているんだったかしら」
歌野「岡山市だって聞いたわ。普通ならもう2時間も経たずに四国につくことが出来るって話よ」
陽乃「ええ。そうだったわね」
今からでも全力でバスを走らせ、四国に向かってしまうべきではないだろうか。
バーテックスに気づかれる可能性はあるけれど、
勇者が4人いれば、通常個体の襲撃くらいはどうにでもなるし、
進化体なら、まだ平気だ。
歌野「不安なことでもあるの?」
陽乃「完成型……貴女、倒したわけじゃないのよね?」
歌野「撃退が精いっぱいだったけど……完成型との戦闘では私もっ」
陽乃「違うわ。完成型はどこに逃げたのか気になるの」
倒しきれなかったのだから、バーテックスはまだ残っているのは当たり前だ
今向かっている方向に逃げたわけではないのは分かっている
そして、現在進行形で襲撃を受けているであろう四国
逃げた完成型が歌野を含む一団を探して彷徨っている場合でも
そうではなく、四国襲撃に移った場合でも
このバスは、挟み撃ちに遭う可能性があるのではないだろうか。
陽乃「もう一度、完成型と戦闘になる覚悟をした方がよさそうだわ」
歌野「また、無理をするの?」
陽乃「死なない程度にね。心配は要らないわ」
- 783 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/08(月) 00:12:08.06 ID:bEOTtUhdo
-
歌野「そんなこと言って……いつも、運よく死なずに済んでいるだけなのに」
完成型との戦闘ではかなりの深手を負ったが、
基本的にはバーテックスの攻撃ではなく
自分の力の反動によって陽乃は傷ついている。
歌野はそんな陽乃の手を優しく握って力を送りながら、
困ったように笑って。
歌野「その時は、私も連れて行ってね」
陽乃「悪いけれど、心中のお誘いはお断りするわ」
歌野「そうじゃなくて、戦うときはって話よ。もうっ……クレイジーだわ」
陽乃が動けないのをいいことに、
むにっと頬を摘まんだ歌野は呆れたように、絶対にね。と言う。
歌野「貴女を守るのが、私の役目だから」
陽乃「大それたことを言ってくれるじゃない」
一番死にやすい役割を引き受けるという歌野
陽乃は茶化すように言って、そして――
九尾『主様!』
陽乃「!」
九尾の叫びが聞こえた瞬間に、バスのすぐ近くで大きな爆発が起こった
- 784 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/08(月) 00:15:03.06 ID:bEOTtUhdo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 785 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 00:19:25.60 ID:Jd01jGKnO
- 乙
到着目前にしてまたもやヤバそうな急展開が…
陽乃さん今の状態で乗り切れるだろうか
- 786 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 00:28:28.81 ID:0+I41oA6O
- 乙
めちゃくちゃ気になるところで終わってしまった
なにが起こったのか気になって他のこと手をつかないぞ
- 787 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 02:23:17.48 ID:96AtBj300
- 乙
考えようによっちゃここ最近陽乃もみんなと話してちゃんと反省してってしてるし
そろそろいい加減に今こそ皆で力を合わせて戦うってのをするにはいいころ合いかもしれない
陽乃もうたのんもボロボロだし勇者の力的な成長じゃなくて内面の成長を経るにはいい機会だと思う
- 788 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/08(月) 23:10:26.65 ID:bEOTtUhdo
- 遅くなりましたが少しだけ
- 789 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/08(月) 23:16:03.50 ID:bEOTtUhdo
-
陽乃「急に何なのよ……っ!?」
爆発の振動によってバスが激しく揺れた影響で歌野を下敷きにしてしまった陽乃は、
当然、指先一つ動かせないまま、苛立たしそうに怒鳴る。
そんな陽乃を歌野はどうにか抱き上げて椅子に座らせようとしたところで……また、爆発が起こった。
距離は少し遠いが、確実にこちらを狙っているもののようだ
陽乃「九尾、状況!」
九尾『あ奴らが現れおったぞ主様、襲撃じゃ』
陽乃「襲撃ってバーテックス? どこに潜んでたのよ」
休憩地点とする際、周囲の探索は怠っていないはずだった。
陽乃と歌野はそれを行える状況になかったものの、
球子と杏がそれを代わりに行ったはずだ。
それが甘かったと言われれば、叱責するだけでは済まないが……九尾もいてその体たらくはあり得ない。
九尾『辺り一帯から急激に数を増やし、一気呵成に厄介なものを作り上げおった』
- 790 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/08(月) 23:40:53.46 ID:bEOTtUhdo
-
話すよりも見て貰う方が早いと判断したのか、
九尾の力が一気に流れ込んできて、体が動くようになっていく。
陽乃「っ……」
歌野「久遠さん?」
陽乃「大丈夫だから、さっさと行くわよ」
歌野の腕を払いのけてバスから飛び出ると
勇者服に着替えた球子と杏が必死に敵の迎撃に移っているのが見えた。
球子は近づきつつある初期個体の迎撃をしていて、
杏はそれとは別の何かを懸命に撃ち落としているが、落としきれずにいくつかが付近で爆発する。
杏「久遠さんっ、白鳥さんっ!」
球子「説明している時間はない! 皆を連れて逃げてくれ!」
杏は振り返る余裕すらなく、球子はかなり慌てた様子で怒鳴る。
杏が撃ち落とす炸裂段のような何かを放つ、巨大なバーテックス
今まで見たことのない形から察するに、あれもまた完成型の1つであることは間違いなかった
しかし、球子達が逃げろと言うのには別の理由がある。
それは……もう1つ、巨大な物体が陽乃達のいる場所に向かってきていたからだった。
- 791 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/08(月) 23:50:22.65 ID:bEOTtUhdo
-
四国方面から向かってきた初期個体の集合体である爆弾のようなものを飛ばしてくる完成型
それとは別に、陽乃達が来た方向から向かってくる、針のようなものが見える尻尾のある完成型
ここには2体の完成型が集まりつつあるということだ。
今はまだ近距離を主体とするバーテックスが近づいてきていない為、
球子と杏だけでもどうにかなっている。
だが、完全に挟み撃ちされる形となったら逃げだすことは出来なくなってしまうし、
たった2人ではどうにもならない。
つまり、ここで2人を置いていけば、2人は確実に死ぬだろう。
しかし、陽乃は満身創痍で、歌野は病み上がり。
完成型2体を倒しきれるかと言えば……そうとはいえなかった。
杏「殿は私達が努めます。お二人は逃げてください……そして、万全な状態で立ち向かえるようにしておいてください」
球子「行けッ!」
だから、唯一対抗できる2人を温存し、万全の状態でいつか敵を取ってくれることを願って球子と杏は陽乃達に逃げるように言う。
陽乃と歌野さえ守れれば
その2人が万全な状態になりさえすれば……完成型が2体いようと、どうにかなると信じて。
歌野「久遠さん……」
歌野は陽乃を見て首を振る。
歌野は見捨てたくないようだが、陽乃が逃走を受け入れてしまったら、従うしかない。
1、逃げる
2、逃げない
3、球子と杏に逃げるように言う
↓2
- 792 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 23:52:06.38 ID:PfB5zZ6h0
- 3
- 793 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 23:52:12.19 ID:9V+tS9dXO
- 3
- 794 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/08(月) 23:53:54.89 ID:bEOTtUhdo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 795 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/09(火) 00:01:22.66 ID:VZvAPFbjO
- 乙
ここまで来て史上最大級のピンチだな…
完成型が二体もいる以上、イザナミ様に全てを懸けるしかないか
- 796 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/09(火) 00:07:36.13 ID:wgft7cq8O
- 乙
イザナミ様ぶっぱだと1体倒してぶっ倒れて終わりだろうなあってのが見えてるからなあ前回よりすでに身体ボロボロだし
うたのんいるしなんとか協力して打開する奥の手はないのか
- 797 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/09(火) 23:08:46.23 ID:z7UjNqy7o
-
すみませんが本日はお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
- 798 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/09(火) 23:11:30.51 ID:hnxo5SK2O
- 連絡乙ですー
- 799 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/11(木) 22:35:12.05 ID:p87iv82/o
- 遅くなりましたが少しだけ
- 800 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/11(木) 22:42:21.83 ID:p87iv82/o
-
陽乃「私達が逃げたってどうしようもないわ。貴女達が逃げなさい」
球子「何言ってんだ!」
陽乃「手で直接触れずに迎撃できる貴女達と、近づかなければならない私達。防衛で最も有効なのはどっちかしら」
今まさに全身全霊で迎撃に集中している2人に考えている余裕なんてないことは分かっているけれど、
考える必要もないことだからこそ、陽乃は意地悪く言って、歌野へと目を向ける。
陽乃「貴女は残るしかないわよ」
歌野「言われなくても」
球子「なにふたっ……っ、このぉぉぉぉッ!」
次から次へと飛んでくる爆弾と、その合間を縫うように近づこうとしてくるバーテックスの猛攻
ギリギリのところで2人はさばいているが、限界も近いことだろう。
陽乃「荷物がなければ守る必要がない。守る必要がなければ、避ければいい。殴るしか能がない私達のメリットはそこにある」
杏「……久遠さん」
杏や球子は、ある程度その場に留まっておかなければ安定性が著しく減少することになる。
けれど、その分遠距離からの攻撃を行うことが出来、比較的安全に防衛が可能となっていて、
それが移動することが可能なバスなら……逃げながら迎撃さえ可能と言うことになる。
陽乃「どうするの? 貴女達は、私に " 協力 " するの?」
- 801 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/11(木) 22:54:43.09 ID:p87iv82/o
-
球子「んなこと言ったって、そんな体で戦えるのかよっ!」
陽乃「それなりには」
完成型1体くらいなら、今の陽乃でもどうにかなる。
もっとも、あとのことを考えなければという話にはなってしまうけれど、
今回は全かと違って歌野もいるのだから、以前よりは酷くならないかもしれない。
杏「なら、どうにかしてあの遠距離攻撃を仕掛けてくる方を私達が引き付けるので、もう一体……お願いできますか?」
歌野「大丈夫?」
杏「何とかなるかと」
陽乃と歌野が参戦することで、
通常個体のバーテックスも戦力を陽乃達の迎撃へと回すしかなくなるだろうから負担は大幅に減少するだろうし、
そうなれば球子の手が空きやすくなる。
それを有効活用さえできれば……生存率は大幅に上がるだろう。
以前球子の楯を貫いたほどの突貫力は遠距離攻撃を仕掛けてくる方にはないからだ。
- 802 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/11(木) 23:28:00.22 ID:p87iv82/o
-
杏「久遠さんたちに全部任せる気はありません。協力と言うなら、私達が囮をやります」
陽乃達をただ置き去りにするのではなく、
遠距離型のバーテックスが釣れるまでは何があっても陽乃達に控えて貰い、
その後に、陽乃達がもう一体の針を持つ完成型と戦うという流れだ。
陽乃達は遠くから迎撃することが出来ない為、ただ延々と爆発物を撃ち続けられればじり貧になる。
だからこそ、
それに対抗できる杏達がその完成型に対する囮役を引き受け、
陽乃達には適材適所で、中近距離であろう敵を相手取って貰おうと杏は考えているらしい
杏「それがだめなら、駄目です」
陽乃「……なるほど」
それ以外の作戦は受け付けない。
あくまで、完成型は1体ずつ相手しようということのようで。
陽乃が歌野に目を向けると、歌野は頷く。
今こうしている間も、攻撃は続き、距離は近づいている。
1、分かったわ。それでいい
2、断る
↓2
- 803 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 23:30:05.77 ID:vEWLaN4kO
- 1
- 804 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 23:30:16.39 ID:qlMn/KxYO
- 1
- 805 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/11(木) 23:50:01.98 ID:p87iv82/o
-
陽乃「分かったわ。それでいい」
杏「……ありがとうございます」
杏は少し申し訳なさそうに言うと、球子に目を向けて頷く
杏「タマっち先輩っ、思いっきり投げて!」
球子「っおおおおおぉぉぉあぁぁぁぁぁぁッ!!」
杏に従って、球子は全力で楯をぶん投げる。
向かってきていた初期個体のバーテックスを切り裂き、そして、
射出されていた爆発物に接触して弾かれ、球子の手元へと戻ってくる。
杏「もう一回!」
球子「んぐぅぅうううう!」
杏はその間に、陽乃と歌野に待機場所を指示してから、
住民が全員バスに戻っていることを確認し、一瞬だけ躊躇って球子の楯が戻った瞬間に矢を乱れ討つ
杏「タマっち先輩!」
球子「わかった!」
爆発物の迎撃と通常個体の迎撃
それを一時的に球子に一任し、
ダメージが与えられないとしても、射程が長くギリギリ完成型へと攻撃が届く杏がチクチクと挑発を行って、バスと一緒に逃げ出す。
陽乃「……釣れた」
決して強くはないが、煩わしいほどに攻めてくる杏に狙いを定めた遠距離型のバーテックスが体の向きを変え、追う姿勢を見せる。
もう一方、一度は歌野に撃退されたバーテックスはまっすぐ追い詰めに向かってきているのが見えて、歌野は深呼吸する。
歌野「今度こそ」
陽乃「ほどほどにしておきなさいよ」
今回で確実に倒すと意気込む歌野に、陽乃は宥めるように呟いた。
- 806 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/11(木) 23:52:00.43 ID:p87iv82/o
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 807 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 23:58:44.98 ID:vEWLaN4kO
- 乙
やっと陽乃さん含めて一つのチームとしての戦いになってきたな
あとは次は死ぬと言われた陽乃さんの体がどこまで持つかが気になる
- 808 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 00:12:08.29 ID:tN3z6yGkO
- 乙
ようやく一つになって戦う時がきたな
長野行ってきた分の成長の集大成だと思う
- 809 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/13(土) 23:33:34.26 ID:X4LXasN7o
- すみませんが本日もお休みとさせていただきます
明日は、可能であればお昼ごろから
- 810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/13(土) 23:36:41.89 ID:y20uVysMO
- 乙です
お昼再開楽しみに待ってます
- 811 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 16:52:58.58 ID:cNiKisEko
- では少しずつ
- 812 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 16:53:28.32 ID:cNiKisEko
-
歌野「久遠さんっ、あの針は掠めるのも危険よ。絶対に当たらないようにして」
陽乃「毒がなくてもあんなの受けたくないわ」
陽乃達が相手をする予定の蠍のようなバーテックスは、尾の先に鋭利な針を持っているため、
かすっただけでも、人間の体なら腕が吹っ飛んでもおかしくはない。
だが、歌野は一度戦って生き残った。
撃破ではなく、長時間戦闘による粘り勝ちでの撃退だったこともあって、
どのような攻撃パターンがあり、その攻撃にはどんな危険性があるのかも分かっており、
あのバーテックスと戦ううえで歌野ほど力強い味方はいないだろう。
陽乃「貴女は私のバックアップをお願いね。後ろから指示を頂戴」
歌野「後から? そんなことっ!」
陽乃「貴女なら、全部分かっているんでしょ」
歌野「ええ……でも!」
陽乃「私を死なせたくないなら、向こうがどう動くのか先手を取って教えて」
陽乃はそう言って、自分の頭を人差し指で軽く突く
陽乃「有効活用するわよ」
- 813 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 17:56:48.05 ID:cNiKisEko
-
陽乃と歌野は互いにつながりが強いため、
言葉にしなくても意志を言伝えることが可能な状態になっている。
歌野が完成型バーテックスの動きから繰り出される攻撃を予見し、
それを陽乃に伝えられれば、陽乃が高確率で攻撃を避けられるようになる
イザナミ様にせよ、九尾にせよ
力を使っている間素こそずつダメージを蓄積していく陽乃は、
敵の攻撃1つ1つが致命傷になりかねない
なにより。
陽乃「白鳥さんには私を連れ帰る義務があるわ」
歌野「倒れること、前提なの?」
陽乃「力を使う以上は避けられない。今の私はそういう体なのよ」
かといって、歌野では倒しきることが出来ない
だから、やらなければならない。
陽乃「私がアレを倒すから、貴女がもう一体を撃退するの。出来るでしょう?」
歌野「駄目よ! 駄目……今度こそ死んじゃうわ!」
1、イザナミ様の力を借りる
2、九尾の力を借りる
3、付いて来られるなら、付いて来なさい ※イザナミ様の力
4、なら、一緒に行く? ※九尾の力
↓2
- 814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 17:58:56.44 ID:vb9Thko+O
- 1
- 815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 17:59:11.07 ID:TTqvlOFm0
- 3
- 816 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 18:50:39.62 ID:cNiKisEko
-
陽乃「いいわ……付いて来られるなら、付いて来なさい」
陽乃がいくら言ったところで
拘束する手段がない以上は、歌野の意志に委ねられる。
歌野は大人しく待っている気はないだろう。
目の届かないところで何度も陽乃に倒れられている経験がある歌野は、
今度こそ、一緒に戦おうとするはずだからだ。
陽乃「ただし、巻き込まれないようにね」
歌野「久遠さん、まさか」
陽乃「今回もイザナミ様の御力をお借りする」
陽乃はあえて、笑顔で言う。
九尾の力よりもずっと反動がある分、遥かに強い力
完成型を確実に屠れるであろうそれを、陽乃は願う
陽乃「かけまくも畏き伊邪那美大神に願い奉る――」
陽乃は神の力をその身に宿すべく、舞を奉納し、祝詞を唱え、
そして、神を降ろす。
陽乃「っ……!」
歌野「久遠さん!」
- 817 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 19:24:39.87 ID:cNiKisEko
-
陽乃「平気……だからっ」
イザナミ様の力を降ろしたその瞬間から、
ただでさえ満身創痍な体に重くのしかかる力の反動に耐えられずふらつき、
歌野に支えられる形でどうにか持ち直した陽乃は、
その体を押し退けて、胸を抑える。
陽乃「時間がないわ。さっさと片付け……っ」
心臓が握り潰されるような感覚
まるで、どこかの臓器を傷つけてしまったかのようにじわじわと熱が広がり、
陽乃は軽く咳込んだだけで、手のひらを赤く染めてしまう。
歌野「っ……分かったわ。短期決着。私も全身全霊で臨むわ!」
歌野は陽乃の体を少しでも癒すために、
あえて、宇迦之御魂大神様の力を最初から借り受けて、装束を身に纏う。
陽乃と同様に反動の重い力だが、
歌野は無理矢理体を癒す性質上、気力さえ持てば倒れることはない。
もちろん、死んでしまったらそこまでだが。
陽乃「私が先陣を切るから、貴女は私に余計な力を使わせないで」
歌野「ええ。絶対、久遠さんを守り抜く!」
- 818 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 19:33:40.16 ID:cNiKisEko
-
↓1コンマ判定 一桁
0,9 持続
4 陽乃 毒
8 歌野 毒
それ以外 陽乃離脱(通常)
ぞろ目 持続
- 819 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 19:35:53.85 ID:H9mbpK0AO
- あ
- 820 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 20:11:42.27 ID:cNiKisEko
-
歌野は宣言した通り
先行して駆け抜けていく陽乃に向かおうとする初期個体を蔓で叩き落し、
薙ぎ払ってその道を守り抜いて。
歌野「久遠さんっ!」
目前にまで迫ってきた陽乃達めがけて尾を振り下ろそうとしたバーテックスの動きを察知した歌野が叫び、
上から来るという心の声を聞いた陽乃は直前で横に回避し――
陽乃「っああぁぁぁっ!」
神をも屠る力を込めた一撃をバーテックスへと叩き込む。
陽乃の拳が撃ち込まれたバーテックスの腹部は爆発したように弾け、
その部分から徐々に蝕まれるようにして崩壊し、消えていく。
陽乃は殴った勢いをそのまま抑えられず、地面を転がってそのまま動かなくなってしまう。
歌野「久遠さ……っ、邪魔っ……邪魔しないでッ!」
倒れてしまった陽乃に群がろうとする初期個体と、歌野に向かおうとするのを阻もうとする初期個体。
その軍勢を、歌野は右手の蔓で薙ぎ払い、左手の拳で殴り飛ばし、
突進を受けても踏ん張って、無我夢中で陽乃へとたどり着く
- 821 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 20:22:22.94 ID:cNiKisEko
-
歌野「久遠さん! しっかり!」
勇者装束はすでに解けてしまっていて、
バーテックスの攻撃を受けていないにもかかわらず、
陽乃が倒れている場には、真っ赤な血が広がっていく。
全身から血を流している陽乃は、歌野の呼びかけに薄く目を開いて。
陽乃「……大声、ださないで……」
歌野「待ってて、すぐ治療をするからっ」
陽乃「い、い……からっ……」
反動による体へのダメージ
球子達につられていったバーテックスを除いて歌野が撃破してくれたため、
この周囲は今のところ安全だと言えるだろう。
だが、今度は球子達の方が危険だ。
陽乃「そんな暇があるなら、戻って……」
球子を一瞬で治療できてしまうほどの力があっても、
陽乃にも効果はあるものの、
神をも殺せてしまう力に打ち消されて、ほとんど効果が出ないのだ。
歌野「でもっ」
陽乃「っ……ごほっ……早くッ!」
- 822 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 20:36:20.37 ID:cNiKisEko
-
話をしている間にも、球子と杏はバスでどんどん離れていく。
速度を落とせば通常個体の捨て身の突撃を受けかねない為、
バスはかなり速度で走っている
その上に乗り、通常個体を迎撃しつつ、完成型の飛ばしてくる爆発物を打ち落とし、
あわよくば挑発を行う2人は、完成型を倒せるほどの力がない。
時間が経てば経つほど追い込まれ、
陽乃達が追いつくことが出来なくなる可能性がある。
歌野「っもう!」
歌野は陽乃を抱き上げると、
回復のために力を流し込みながら、全力で杏達のバスを追いかける。
歌野「少し辛いだろうけど、我慢して」
陽乃「……無理……吐く……っ」
歌野「えっ」
多少の問題は起こったが、
歌野の力をかなり温存した状態で杏達と、それを追いかけるバーテックスに追いついた
- 823 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 21:05:09.73 ID:cNiKisEko
-
歌野「土居さん! 伊予島さん!」
球子「歌野! なんでこっちに――」
球子達を追いかけているバーテックスの背後から追いかける形となっていたため、
奇襲を仕掛けようと思えば仕掛けることもできたはずだが、
歌野はバーテックスの側面を駆け抜けて、球子達との合流を優先した。
そうしなければ、陽乃が助からないからだ。
杏「久遠さんの容体は!?」
歌野「さっきまで意識があったけど、気を失っちゃって……でも、大丈夫。生きてる」
球子「そうか……こっちはあとあのでかいやつだけだ」
杏「白鳥さん行けますか?」
歌野「ええ」
球子と杏の粘りで通常個体が消え、残りは完成型1体
しかし、杏と球子の攻撃ではあのバーテックスには大したダメージを与えられない。
だから、歌野に頼るしかない。
杏「私があの爆弾を一つ残らず撃ち落とすので、白鳥さん。すみませんがお願いします」
球子「タマは……仕方ないっこっちは任せとけ」
歌野「任せたわ!」
- 824 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 21:39:30.05 ID:cNiKisEko
-
近接攻撃が主体の蠍のようなバーテックスと1人で戦っていた時と違って、
遠距離攻撃が主体のバーテックスと、杏の助力を得ての戦い。
歌野めがけて爆発物を撃ちだそうとするが、
その傍から杏が撃ち抜いて爆発させている為、歌野には届かない。
届かないから大きな怪我もなく、歌野は全力でバーテックスを撃退することが出来た。
歌野「……」
今回の完成型も、
歌野だけの攻撃力では討伐しきることは出来なかったが、
蠍のようなバーテックスに比べれば手ごたえはあったと、歌野は蔓を握りしめる。
力を使うことで馴染み、
より力を発揮できるのかもしれない。
だとすれば、回復させるための力も協力になって、
陽乃を治せるようにならないだろうか。
歌野「……はぁ」
四国まではあと少し
だが、ここに来ての完成型による襲撃
陽乃はまた力を使って倒れ、回復するだけの余裕もない。
歌野「もうひと踏ん張り」
- 825 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 21:48:40.24 ID:cNiKisEko
-
√ 2018年 9月12日目 夜:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
3 バーテックス 発見
8 バーテックス 襲撃
5,8 陽乃
※ぞろ目は陽乃
- 826 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 21:50:40.16 ID:TTqvlOFm0
- あ
- 827 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 22:23:13.92 ID:cNiKisEko
- √ 2018年 9月12日目 夜:移動�@
2体の完成型に襲撃を受けるという最悪の状況を脱した歌野達は、
全速力で四国へとバスを走らせていた。
1体を撃破するために力を使い、瀕死の状態の陽乃
瀕死の状態で力を使い、少し治ってまた力を使ってと、
完治する間もなく力を使わなければならないこの状況を一刻も早く何とかしなければならないと考えたからだ。
バスの速度を上げるとそれだけ音が大きくなり、揺れが大きくなり、
バーテックスに再発見される可能性も高まるものの、四国はもう目前だし
なにより、
ゆっくり走らせても発見されるような状況で、
慎重さを選んでいる場合ではなかった。
水都「四国に着いたらまず陽乃さんが絶対安静に出来る場所に連れて行かないと。大社の病院……は、駄目かな……」
歌野「多分」
勇者の怪我に着いて一番知識があるのは大社の息がかかった医療機関なのは間違いない。
しかし、そこに陽乃を連れて行ったら、そこでどのような処遇を受けるのかと思うと、迷ってしまう。
かといって、陽乃が落ち着いて過ごせるような家はない。
歌野「背に腹は代えられない……かしら」
水都「陽乃さんが成し遂げたことは、偉業だよ……勇者だよ。間違いなく。だから、少しは、考え直して貰えないのかな?」
英雄の凱旋だなんて求めない。
ただ、普通に、勇者として迎え入れてあげては貰えないのだろうかと、水都と歌野は傍らで眠る陽乃を見つめる。
- 828 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/14(日) 22:28:14.62 ID:cNiKisEko
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 829 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 22:46:40.35 ID:H9mbpK0AO
- 乙
チームワークのおかげか被害判定とか特になく完成型二体を撃退できたのってこの段階では相当凄い気がする
陽乃さんはこのままだと体調が一生完治しなさそうだけど…
- 830 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/15(月) 00:19:05.03 ID:4dgWsd8ZO
- 乙
相性の悪い蠍を完封した後、残った方にはチームワークで相性勝ちとかあんタマが囮になる作戦完璧だったな
陽乃はしばらくもうまともに活動できないし大赦に対する身の振り方があんタマうたのんみーちゃんにかかってるな
- 831 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/15(月) 12:23:05.75 ID:wJSPR5w4O
- 乙
偶然だろうけど大満開の章では不遇気味な面々がこのシリーズでは大活躍してて嬉しい
- 832 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/15(月) 18:28:18.49 ID:4dgWsd8ZO
- アニメではみんなナレ死だったもんな
みんな活躍してて嬉しい
- 833 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/15(月) 23:00:29.06 ID:5+28DNCwo
- すみませんが本日はお休みとさせていただきます。
明日は可能であれば通常時間から
- 834 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/15(月) 23:10:20.43 ID:gJhQ7j44O
- 乙ですー
- 835 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2021/11/16(火) 11:13:53.15 ID:SteBHHy2O
- おつ
- 836 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/16(火) 22:34:11.15 ID:i9mCHvE8o
- 遅くなりましたが、少しだけ
- 837 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/16(火) 22:37:27.17 ID:i9mCHvE8o
-
水都「あのままずっと、陽乃さん達が来ないままの諏訪だったら、すぐに飲み込まれちゃっていたと思う」
陽乃が深く傷ついてばかりで、
安易に感謝するわけにはいかないけれど、
陽乃が行動しなければ球子達も来てはくれず、
たった一人、歌野だけで諏訪を守り、力尽きて――
水都「本来なら、諏訪に助けなんて来なかっただろうし……」
歌野「久遠さんは周りの反対を押し切って、危険なのも承知の上で諏訪に来てくれた。そうしないといけない、理由もあったけど」
陽乃から聞かされた話しか知らない水都と違い、
歌野は陽乃とのつながりの深さのせいで多くを知ってしまったため、
諏訪に来る最後の一歩を踏み出させた原因も、分かってしまっている。
歌野「でも、久遠さんはずっと諏訪のことを考えてくれていたの。助けに行くべきだって」
水都「陽乃さんがそう言ってたの?」
歌野「ううん。ちょっと、知る機会があっただけ」
- 838 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/16(火) 23:15:14.94 ID:i9mCHvE8o
-
諏訪に生存者がいると、勇者がいると。
そう聞いて、行くべきではないかと進言していた陽乃は、
自分の生存率を上げるための戦力が欲しいという思惑があることもあったが。
蓋を開けてみれば、みんなを救うことに必死だった。
死ぬ気で頑張るだなんて口先だけのものではなくて、
本当に何度も死にかけた。
今だって、また死にかけている。
歌野「もう目の前まで四国が見えてるし、このまま到着したらいいのに」
水都「私の神託を受ける力が、バーテックスを避けるのに役立てばいいんだけど……」
移動中、まったく神託を受けたことがないと
責任を感じているようなそぶりを見せる水都に、歌野は陽乃を見て。
歌野「それはたぶん、久遠さんが倒れているからじゃないかしら。久遠さんに余力がないから、その力で神託を受けるみーちゃんにも影響が出ているのよ」
実際、陽乃の力で勇者として戦っていた歌野は、
陽乃が正常かどうかで戦闘力に大幅に違いが出ることは確認済みだ。
歌野「私達、久遠さんに頼りっぱなし」
宇迦之御魂大神様の力を得てようやく、歌野は陽乃が倒れていても十分戦えるようになったが、
その力も、陽乃がいたからこそのものだ。
歌野「ほんと、何とかしたいわ」
- 839 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/16(火) 23:22:21.95 ID:i9mCHvE8o
-
↓1コンマ判定 一桁
0 球子
3 杏
6 住民
9 九尾
ぞろ目 特殊(悪)
- 840 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/16(火) 23:23:23.83 ID:fT6MyNB90
- あ
- 841 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/16(火) 23:41:41.70 ID:i9mCHvE8o
- 短いですがここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 842 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/16(火) 23:55:41.18 ID:GO7YT5Q6O
- 乙
陽乃さんの過去はそのうちうたのん経由でみんなに伝わりそうだな
- 843 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 00:27:03.39 ID:4wEyJyDmO
- 乙
そろそろ四国かな?
またでてくる可能性がコンマであるとドキドキするな
- 844 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/18(木) 21:45:09.25 ID:2QtH39smo
- 遅くなりましたが、少しだけ
- 845 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/18(木) 21:52:16.28 ID:2QtH39smo
-
杏「やっぱり、私達の攻撃じゃ傷1つつかなかった」
球子「タマの攻撃は届きすらしなかったけど、まぁ、たぶん届いても無駄だな」
球子の楯を砕いた一撃を打ってきたバーテックスは陽乃が相手をしてくれたものの、
それに準じた完成型のバーテックスだったことには変わりがない。
もし仮にあれに球子の楯を貫くだけの攻撃力がなかったとしたら、
その分の力は頑強さに変っていた可能性がある。
その場合はまず間違いなくダメージが通らなかったことだろう。
球子「だからこそ歌野の凄さが分かるし、陽乃のヤバさが分かってくる。あんな、勇者に倒せないやつを一撃でぶっ飛ばせるとか……」
遠くから見ただけだったけれど、
何かが衝突したような音がとどろき、そして、蠍のようなバーテックスが消滅していったのは2人にも見えた。
そのあとに歌野が陽乃をお姫様抱っこして連れてきたのには、酷く驚かされたが。
球子「なぁ、もしもの話……タマ達にもああいう力が使えたらどうなる?」
杏「ああいうって、久遠さんみたいな感じの力?」
球子「それか、歌野みたいな感じのやつ」
- 846 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/18(木) 22:17:18.99 ID:2QtH39smo
-
今の四国組を含めた中でも一番、勇者としての適性が高いはずの陽乃でさえ、
あんなにもボロボロになるような力。
歌野は比較的無事に思えるが、
歌野が借りている神様の力のおかげでしかなく、
その反動はやっぱり相当なものだろうと二人は考えて、息を飲む。
杏「久遠さんが言うには、内側からボロボロになっていくって感じらしいけど……私達はたぶんそれだけじゃないような気がする」
球子「例えば?」
杏「それは、分からないけど」
そもそも、力を借りるということ自体、あんまりよく分かっていない。
今は神樹様の力を借り、
それを武器に宿すことでそれを行使している。
だが、その状態だと問題がない。
歌野の3年間もきっとそうだったはず。と、杏達は考える。
そうでなければ、ここまで無事で居られたはずがないからだ。
- 847 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/18(木) 23:16:23.90 ID:2QtH39smo
-
杏「そもそも、どうして普段の力は平気で、精霊……神様かな。そう言う力はこんなにも影響が出てるんだろう」
球子「そりゃ、神様だからじゃないか?」
杏「でも、久遠さんはともかく白鳥さんや私達は本来、神樹様から力を借りているからそれが理由ならかなりの影響が出てるはず」
球子「神様なのが理由じゃないって言うなら、これか?」
球子はそう言って、自分の楯を杏に見せる。
神様の力を宿し、神器としているその武器は、
勇者にそれぞれ見合ったものがあり、戦うために必要不可欠なものだ。
今はそれを経由して力を使っているが、
そうではなく、自分の身に力を宿したとしたら同じような影響が出るのではないかと、球子は顔を顰める。
杏「どうだろう……神樹様が力を絞ってくださっている可能性もあると思う。私達に影響が出ない範囲で力を使えるようにって」
球子「でも、あれだろ? 切り札みたいなのがあるんじゃなかったか?」
長く離れたわけではないけれど、色濃い時間だったし
全く使ったことのない力のことを、あんまり覚えていないといった様子の球子に、杏は困ったように笑って。
杏「それはまた別、じゃないかな……だけど、どれも何の対策もなしにやってはいけないことだって言うことだけは分かる」
それは、陽乃を見ていれば一目瞭然だった。
つかっている力の強さに違いはあるが、
適性が低ければ低いほど、諸刃の剣になり得るものだ。
杏「もしかしたら、精霊についてはもう、若葉さん達が使ってしまっているかもしれないから、話を聞いてみた方がよさそう」
球子「そうだな……」
- 848 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/18(木) 23:35:12.17 ID:2QtH39smo
-
そのためにはまず、杏達が無事に四国にたどり着く必要があるし、
若葉たちが襲撃を乗り越えて無事で居てくれていることが前提だ。
元々格の違う力を使う陽乃しか倒せず、
その力の一端を使える歌野がどうにか撃退できるといったレベルの敵がいるうえ、
すでに四国付近に出没していたことを考えると、
四国が無傷である可能性は低い。
最悪の場合は、やはり、勇者の内誰かが亡くなっていてもおかしくはない。
杏はそこまで考えて首を振る。
完成型がそう簡単に量産できるとは思えず、
すでに陽乃が2体も撃破したのだから、
現存しているのはあの1体のみで、まだ四国襲撃には参加していないという望みに賭けたかった。
けれど。
球子「ああ。分かってる」
油断はできないという杏に、球子は頷いた。
- 849 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/18(木) 23:36:09.72 ID:2QtH39smo
-
√ 2018年 9月12日目 夜:移動�A
↓1コンマ判定 一桁
9 バーテックス 発見
2 バーテックス 襲撃
4,6 陽乃
1 住民
7 九尾
※ぞろ目は陽乃
- 850 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/18(木) 23:36:53.56 ID:lYzTQh8iO
- あ
- 851 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/18(木) 23:39:58.92 ID:2QtH39smo
-
ではここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
陽乃復帰
- 852 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/18(木) 23:51:24.64 ID:lYzTQh8iO
- 乙
陽乃さん、九尾たちに散々死ぬと言われてるけど何だかんだ生還してて結構タフな気がする
あとは四国の無事を祈りたいところだが…
- 853 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/19(金) 00:31:04.06 ID:1iQFWmSnO
- 乙
最悪勇者死んでるかもしれないのか
ドキドキしてきた
- 854 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 19:30:37.52 ID:mHdUgmjGo
- では少しだけ
- 855 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 19:34:21.08 ID:mHdUgmjGo
- √ 2018年 9月12日目 夜:移動�A
陽乃「ぅ……っ、げほっ……けほっ……ごほっ……」
意識が覚醒したのと同時に、全身から伝わってくる激痛と、
ぐつぐつに煮込まれたかのような内側から湧き上がってくる何かに陽乃はせき込む。
本来なら体を起こしたり横を向いたりするほどのものなのに、
体が微動だにしないせいで咳込んだ傍から喉奥に戻ってきてまた咳込んで、
喉が傷ついたのか、血が滲んだような熱を感じる。
陽乃「ぁ゛っ……ぅ゛……ごほっ……」
歌野「久遠さ――っ! 落ち着いて……大丈夫、大丈夫だからっ」
寝落ちでもしていたのか、
すぐ隣で蹲っていた歌野が慌てて体を起こし、
陽乃の体を横側へと向けて、
血が口元から流れ出ていくようにしてくれる。
陽乃「ぁっう゛っ……ごほっ、げほっ……っ……」
歌野「頑張ってっ、お願い……ちゃんと吐いてっ」
歌野は陽乃の背中を摩りながら支えて、
口から溢れていく泡立った赤い唾液を何度も拭っていく。
- 856 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 19:49:38.61 ID:mHdUgmjGo
-
それから数分間、ずっと咳込み続けた陽乃は、
歌野の介抱もあってどうにか持ち直した。
けれど九尾の助力がない今は話すこともままならず、
光の薄れた、弱弱しい目で歌野を見ることしかできていない。
歌野「久遠さん……無理をし過ぎよ……」
さっきはちゃんと相談してくれたし、
それを受け入れたのは歌野だ。
けれど、陽乃が無理をし過ぎているのは変わらない。
歌野「本当に死んでしまうわ。今だって、私がいなかったら窒息していたかもしれない」
たまたま歌野がすぐそばにいたからいいが、
これが休憩中などで車内に誰もいない状況だったりしたら陽乃はそのまま命を落としていた可能性がある。
最も、こんな状態の陽乃を1人にしておくような勇者達ではないけれど。
歌野「完治するまでは大人しくしてて。その分、私が頑張るから」
- 857 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 20:23:59.63 ID:mHdUgmjGo
-
歌野は一応、完成型とも戦える力を持っている。
とはいえ、歌野も相応の無理は必要となるけれど、
陽乃一人が無理をし過ぎるよりはずっと、軽く済む。
特に、陽乃は力が強すぎるせいで代償が重すぎるのだ。
もちろん、その分完成型と言えど一撃で屠れてしまう為、
言ってしまえば過剰戦力に他ならない。
一般人を守るという理由さえなければ、
陽乃は九尾の力でも完成型と渡り合える可能性は十分にある。
歌野が知らないところで延々と力を使い続けているのも症状のの重さと関係があるが。
歌野「予定では、あと数時間程度で四国に着くわ」
歌野はそう言いながら、
陽乃の額に浮かぶ汗を拭い、
口元を拭って陽乃がまた咳込んだりしないかと様子を見る。
歌野「そうしたら、病院に連れて行こうと思っているんだけど……大丈夫?」
- 858 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 20:40:45.33 ID:mHdUgmjGo
-
歌野がわざわざそれを聞くのは、陽乃を案じてのことだ。
身を案じてのことなら悩むまでもなく病院に連れていくべきだが、
陽乃の場合は大社に関係のある病院でなければ正しい治療はして貰えないし、
その病院でさえ完全な治療が施すことが出来る保証もない。
ただ、病院に入ればその連絡が大社に行き、陽乃は大社に管理されることになるだろう。
だから、歌野はそれを訪ねる。
陽乃の過去のできごとを知っている以上、
ただ治療に専念して貰いたいというだけで陽乃の自由が奪われるようなことをするわけにはいかなかった。
歌野「口では答えられないだろうから……これ。これを見つめて」
歌野はそう言って、ノートを取り出す。
ノートには、
左側に病院に行くと書かれ、右側に病院には行かないと書かれている。
歌野「これを目で追ってくれるだけで良いわ。どっちがいいのか……やっぱり、体を治すには精神面も重要だと思うから」
手術などで治療する必要があるなら選択肢はない
だが、そうではないなら選ぶ権利はある。
1、病院に行く
2、病院に行かない
3、歌野を見つめる
↓2
- 859 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 20:41:57.10 ID:GyA+lB0eO
- 3
- 860 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 20:45:47.12 ID:WZpg7YvW0
- 1
- 861 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 22:33:46.64 ID:mHdUgmjGo
-
陽乃は少しの間歌野を見つめていたものの、その視線をゆっくりと左の方へ向ける。
陽乃から見て左側には病院に行くと書かれており、
歌野は本当にいいのかと確認を取ったが、
陽乃はまた歌野を見て、もう一度左側へと目を向けた。
正直なところ、陽乃は大社に管理されたくはないし、
歌野も大社に任せるのは好ましく思っていなかった。
陽乃の過去を知ってしまったのもそうだし、
仕方がないことだったのかもしれないけれど、
諏訪を完全に切り捨てているような状態だったこともあったからだ。
それでも、陽乃がそれでもいいというなら、歌野は頷く
歌野「分かったわ。そうする」
嫌ではあるものの、
病院が一番、体を治すには最適だ。
だから、それこそ仕方がない。
- 862 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 22:47:27.64 ID:mHdUgmjGo
-
歌野「でも、久遠さんを1人にしたりはしないから」
1人だけ入院なんてさせないし、
1人だけどこかへと移送なんてこともさせない。
大社がなんて言おうと、
傍には自分か巫女である水都を置いて貰おうと思っていると歌野は言う。
歌野「久遠さんは自由が欲しいだなんて思うかもしれないけど、でも、そのくらいはさせて」
陽乃「……」
心配そうに零し、
陽乃の介護を続ける歌野をじっと見つめていた陽乃は、
何も伝えることなく目を瞑る。
今の陽乃には誰かが必要だった。
九尾はもちろん、
それ以外の誰かの力も。
でなければすぐにでも息絶えてしまうほどに弱っている。
特に、歌野の力がなければ、抜け出ていく力の方が多いのではというくらいに回復が追いついていない。
だから、陽乃は甘んじるしかなかった。
- 863 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 23:00:02.71 ID:mHdUgmjGo
-
1日のまとめ(諏訪組)
・ 土居球子 : 交流有(完成型は任せて、やることをやるだけ、手を貸す(悪)、肯定、悪かったと思う、球子達を逃がす、共闘)
・ 伊予島杏 : 交流有(完成型は任せて、やることをやるだけ、手を貸す(悪)、肯定、悪かったと思う、球子達を逃がす、共闘)
・ 白鳥歌野 : 交流有(神様の反動、そうね、付いて来られるなら、病院に行く)
・ 藤森水都 : 交流有(深刻なダメージ)
・ 九尾 : 交流有(もう一度、球子達)
√ 2018/09/12 まとめ
土居球子との絆 72→75(良好) ※特殊交流2
伊予島杏との絆 87→90(良好) ※特殊交流4
白鳥歌野との絆 85→87(良好) ※特殊交流4
藤森水都との絆 92→92(良好) ※特殊交流8
九尾との絆 78→78(良好)
鬱積 12%
- 864 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 23:01:49.84 ID:mHdUgmjGo
-
√ 2018年 9月13日目 朝:移動�@
↓1コンマ判定 一桁
0,5 バーテックス 発見
2,8 バーテックス 襲撃
ぞろ目奇数:悪
ぞろ目偶数:良
※それ以外は四国判定
- 865 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 23:02:40.45 ID:7DMTl5VQO
- あ
- 866 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/20(土) 23:37:00.02 ID:mHdUgmjGo
- 規模判定
↓1コンマ
01〜00 ※低〜高
ぞろ目で完成型
50以上で進化型
70以上で進化型複数 ※一桁の数
- 867 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 23:40:13.70 ID:pLlinM1EO
- あ
- 868 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 23:40:33.46 ID:WZpg7YvW0
- あ
- 869 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 00:09:24.87 ID:2EKvnm/io
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日は可能であればお昼ごろから
- 870 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/21(日) 00:19:29.63 ID:EvswKeUFO
- 乙
最後の最後までバーテックスの殺意高いなぁ…
この調子だと四国に到着したとしても襲撃とか頻発しそうだし陽乃さんの体を治す暇があるか心配
- 871 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/21(日) 00:26:41.53 ID:esMo9N4LO
- 乙
進化型10体?
でも襲撃じゃなくて発見なあたりこちらが先に見つけたってことだし優位に立てるんじゃなかろうか
しかし四国すぐそこなのにこんなにいるって四国マジでヤバいんじゃ……
- 872 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 16:13:48.36 ID:2EKvnm/io
- 遅くなりましたが少しずつ
- 873 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 16:24:24.06 ID:2EKvnm/io
-
√ 2018年 9月13日目 朝:移動�@
瀬戸大橋がもう目の前と言えるほどの場所にまでたどり着いていた陽乃達だったが、
2台のバスは近くにある建物に隠れるようにしながら停車していた。
ここに来てからさらに慎重になった。のではなく、
ここから先にはそうやすやすと進めないような光景が目の前に広がっていたからだ
球子「瀬戸大橋周辺にいる大量のバーテックスをどうにかしないとバスの1台は吹き飛ばされるぞ」
杏「初期個体だけならともかく、軍勢を率いるみたいに進化個体がまばらにいるので、バスを守りながらは厳しいと思う」
歌野「つまり、誰かが囮を務めないといけないってこと?」
杏「単刀直入に言えばそうなります。ただ、問題は昨日のようにバスの護衛が手を出すことは出来ないっていう点です」
昨日の完成型の襲撃の方が危険度ははるかに高いものの、
蠍のようなバーテックスを陽乃が倒してくれたため、
バスを守る勇者が相手をするのは爆発物を射出するバーテックスと、初期個体のみだった。
そのおかげで、気を惹くこともできた。
だが、今回はそうはならない。
進化型は複数の個体がおり、計10体ほど確認されている。
下手に気を引けば守るべき住民の乗るバスが消し飛ばされることになるからだ
- 874 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 16:54:27.43 ID:2EKvnm/io
-
歌野「どうにかあれを回避する術はないかしら」
バスは2台ある。
それを守護し、そのうえで結界の中にまで持ち込むとなる2人は欲しい
だが、ここには4人しかいない。
そのうち1人は死にかけているし、
バスを持ち込むためだけに力を使って貰うなんて出来る状況ではない。
無駄遣いもいいところだ。
かといって、戦わせるわけには――
陽乃「……別に、私が戦っても良いけど」
歌野「久遠さん!」
陽乃「私の力はむしろ、多勢でこそ発揮するものだから」
杏「それは最終手段にさせてください。久遠さんが死んじゃいますから」
球子「って言ったって、どうするんだ? 何かできることはあるのか?」
- 875 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 17:05:34.14 ID:2EKvnm/io
-
バーテックスの集団はある程度密集している為、
各個撃破していくなんて先方は取ることが出来ない。
初期個体の1つにでも見つかれば最後
芋づる式にすべてのバーテックスが反応して乱戦になってしまう。
歌野「私の力を使い果たすつもりで使えば何とかなるかもしれないわ」
陽乃「あら、私の代わりに死んでくれるのね」
寝たきりで、九尾の力で無理矢理話しているだけの陽乃が言えたことでは全くないのだが、
実際、歌野が使い果たすつもりで瞬間的に大きく力を使えば、
完成型のいない軍勢なら壊滅させることは出来るはず。
回復特化とはいえ、曲がりなりにも神の力である以上、強力だからだ。
しかし、そうなれば消耗した分を無理矢理に治癒することが出来ずに歌野は死ぬかもしれない。
今の状態の陽乃が力を使う以上に高い確率で。
歌野「だけど、久遠さんだって死ぬ可能性が高いわ。そんな治りきってない体で……さすがに2度目は無理よ」
球子「だったらタマと杏で囮を務めるしかないな」
杏「……」
球子の発現に杏は答えることなく考え込み、
そして、おもむろに顔を上げて。
杏「若葉さん達を呼んでくるのはどうでしょうか」
- 876 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 17:35:37.10 ID:2EKvnm/io
-
かなり危険な作戦にはなるが、
2人または1人で進み、
バーテックスに発見されないように四国へと帰還して大社に訴えて勇者を派遣して貰う。
杏はその策を1つ目とし、
もう1つ、可能な限り選ぶべきではないとして代案も上げた。
杏「あのバーテックスの軍勢が侵攻を開始するまで待つという手もあります」
歌野「それは断じてノーよ」
杏「……あくまで代案です」
ここに集まってきているのは侵攻を目的としているからで間違いない。
戦力が集まり次第開始し、四国を落とす腹積だろう。
ここまで戦力を集めている理由として考えられるのは、
ある程度戦力を削れたため、一気に畳みかけるつもりだというのが1つ
戦力が中々削れないため、可能な限り揃えてから侵攻するつもりだというのが1つ
どちらもまるで逆の話で、しかし、あり得る話だ。
杏「ここまで消耗し続けた私達でどうにか対応するか、命がけで救援を呼びに行くか。ですが」
3人とも、どうするべきか迷っているようだ
1、呼んだ方が確実でしょ
2、向こうも安否が分からないし、私達で対処しましょ
3、決まらないなら私が出るわよ
↓2
- 877 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/21(日) 17:38:57.78 ID:6EN/tSQs0
- 3
- 878 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/21(日) 17:39:04.19 ID:7X/C2PF3O
- 3
- 879 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 18:05:19.31 ID:2EKvnm/io
-
陽乃「決まらないなら私が出るわよ」
歌野「それはっ」
杏「それなら、私とタマっち先輩、それと白鳥さんの3人で戦いを仕掛けます」
陽乃「……やれるの?」
杏「戦力的にはかなり厳しいのは間違いないです」
元々、多勢に無勢の戦いであり、
ここまで消耗してきている杏達では本来の力を十分に出し切るのは難しい。
だが、四国が近づいたことで諏訪付近に入る頃よりは力を感じられ得るし、
進化型が複数いるものの、戦い慣れしている歌野がいる。
完成型相手では厳しくても、進化型と通常個体だけなら歌野は陽乃に次ぐ過剰戦力と言えるだろう。
それでも、物量に飲み込まれてしまう可能性もある。
杏「でも、希望はあります。目と鼻の先に四国が、神樹様が、若葉さん達がいる。なら、戦闘に気づいて出てきてくれる可能性もある」
球子「なら、ド派手に一発決めるのが良いな」
キャンプファイヤーみたいにと言う球子に、杏は困った顔でそうだけど。と呟く。
陽乃「それこそ私の力を――」
歌野「全てのバーテックスが久遠さんに狙いを定めてしまうからダメよ。本当に駄目だと思ったら出てきて」
- 880 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 18:32:50.18 ID:2EKvnm/io
-
バスは影に隠したまま待機させ、その護衛として陽乃を残す。
戦闘域はバスから多少離れた場所を予定し、
最も近くにいるバーテックスの一団を奇襲して壊滅させ、
そのまま中央突破のように進む。
歌野が最前線で戦い、その援護を球子と杏が行う。
杏は可能な限り四国へと近づき、最悪の場合には一人で乗り込んで救援を求めるつもりだ。
陽乃「私の力を使った方が早いのに」
歌野「それが一番なのは分かってるわ。でも、久遠さんの体が心配だから」
陽乃「……馬鹿ね」
歌野「久遠さんがいつも、していることよ」
自分だっていっぱいいっぱいなのに、
周りよりも一歩先に進んで力を使い、戦いに身を投じていく愚かさ。
それはいつも陽乃がやっていることで、
しかし、今回ばかりは歌野達がそれを担う。
陽乃の体は非常に治りが遅く、前回どころか前々回の分も完治しているとは言えない。
そこにさらに傷を負うのは自殺行為に他ならないから。
歌野「大丈夫。何かあれば真っ先に久遠さんを呼ぶわ。それまでは、私達に任せて」
歌野はそう言って陽乃の手を握り、にこりと笑う。
そして、3人はバスの外へと向かった。
- 881 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 19:12:28.48 ID:2EKvnm/io
-
↓1コンマ判定 一桁
01〜00 バーテックス討伐率
※一桁で被害判定
0、8 被害なし
1、5、3、6 被害小
7、2、9 被害中
4 被害大
※ぞろ目特殊
- 882 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/21(日) 19:17:00.33 ID:dUIqO90jO
- あ
- 883 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 20:41:23.17 ID:2EKvnm/io
-
歌野達はバスから降りると、まず近接戦を行う必要のある歌野が先行し、
そのあとに続いて杏達がバーテックスの方に向かっていく。
進化型は色んな方向に点在しており、
その間を埋めるかのように無数の初期個体のバーテックスが蠢いているといった状態だった。
逃げられるなら逃げたいと言った状況。
杏も球子も緊張に息を飲むが、歌野だけは力強い表情と、歴戦の勇者と言った背中を2人に見せてくれる。
遥かに遠い陽乃という存在
それよりも近いが、ずっと遠くにあるようにも感じる歌野の姿を杏達は追い駆けて。
杏「っ!」
歌野がある程度バーテックスの群れに近づいたのを見て、杏が先制を仕掛ける。
杏はボウガンをバーテックスではなく上空へと向けてひたすらに撃ち放ち、
それが雨のようにバーテックスの軍勢へと降り注いで大量の初期個体を撃ち落としていく。
攻撃に気づいた進化型は、しかし、
その照準が杏へと向かう前に目の前にまで迫って来ていた歌野に叩き伏せられ、鞭打たれて消滅する。
- 884 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 21:21:13.43 ID:2EKvnm/io
-
その奇襲ですべてのバーテックスが反応し、
大量の初期個体が歌野に群がり、進化型が狙いを定める。
杏は四国の方に近づきながら歌野に近づく初期個体を撃ち落とし、
球子は楯を投げ込んで、
歌野を進化型から見えなくなるようにしつつ、初期型を払い飛ばしていく。
歌野はその球子の楯に隠れながらどんどん突き進み、
宇迦之御魂大神様ではなく、通常の力で薙ぎ払う。
通常の力でも、陽乃の力を経由している分強力で、
そこに3年間の戦闘経験が合わされば、杏が考えていた通り圧倒的だった。
歌野「邪魔よッ!」
群がる初期個体を一振りで薙ぎ払い、
二振りで道を切り開き、
三振りで――
歌野「こんなものッ!」
矢のようなものを発生させた進化型の放った一撃を受け流して、
四振り目でその進化型を叩き潰し、完全に消し去ったその足でさらに大群へと突っ込んでいく。
歌野はまるで足を止める様子がない。
多勢に無勢に慣れ切った歌野は、悉くを蹴散らしていく
- 885 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 21:43:30.16 ID:2EKvnm/io
-
だが、それでも10体もいた進化型のいくつかの攻撃が戦場を迸って場を荒らし、
蠢く初期個体のバーテックス達が遠くから仕掛けてくる球子達へと戦力を分断して言ったことで、
完全な優勢だったものがだんだんと追い込まれて行ってしまう。
歌野「くっ……」
一番厄介な進化型バーテックスにまで攻撃が通らない。
通らないせいで強力な攻撃が放たれ、杏や球子にまで影響が出るうえ、
一歩間違えば、バスの方向に攻撃が逸れて被害者が出てしまう可能性がある。
杏「っ……やっぱり数が多いっ」
球子「杏っ! 力を貯めてぶっ飛ばせ! 時間はタマが作ってやるッ!」
杏「それじゃ処理が間に合わないよっ!」
球子は広範囲を攻撃出来るけれど、
一度攻撃が通り過ぎてしまった場所から来られたら対処が出来ない。
それを埋めるための杏の攻撃だ。
それがなくなったら完全に押し込まれる。
歌野「っ」
歌野が諦めて宇迦之御魂大神様の力を使おうかとした瞬間――
「勇者ぁぁぁあああああっ、パァアアアアアアアンチ!」
どこからともなく気合いの籠った声が轟き、歌野が目指していた進化型の辺りに何かが落ちる。
- 886 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 21:53:50.23 ID:2EKvnm/io
-
歌野「な、なに……?」
その衝撃で周辺の初期個体が吹き飛び、
叩き潰され消滅した進化型の代わりに、その場に佇む少女が歌野の目に映る。
友奈「待たせてごめんね! 助っ人に来たよ!」
歌野「高嶋さん!」
友奈「えっと……あれっ? 私を知ってる?」
友奈はまるで見たことのない新しい勇者。
その歌野が自分の名前を呼んだことに驚く間にも、バーテックスは次から次へと襲い掛かってきて。
歌野「細かい話はあとにしましょう! まずは奴らを薙ぎ払うわ!」
友奈「うんっ! 」
歌野が先に動き、続いて友奈が動く。
歌野が蔓を振るって横一閃に薙ぎ払い、
後ろから現れた友奈が拳1つで殴り込み、衝撃波で跳ね除けた個体を歌野が打ちのめし、
開けた道の先にいる進化型を友奈が殴り飛ばす。
杏達の方にも、誰かが向かってくれたようで、一気に押し返していた。
友奈「向こうにはぐんちゃん達が行ってくれてるから大丈夫! 心配しないで!」
歌野「ええ。心配はしてないわ」
諏訪の勇者である白鳥歌野は、
本来は出会うことすら叶わなかっただろう四国の勇者達の姿を見て、笑みを浮かべる。
本当に、やり遂げられたのだと。
- 887 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/21(日) 21:58:57.29 ID:8GH4lQAqO
- これは熱い展開
- 888 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 22:14:36.81 ID:2EKvnm/io
-
友奈たちが助っ人としてきてくれたことで、
歌野達は軽い怪我をする程度で大量のバーテックスをせん滅し、
バスとその乗客たちを四国へと連れていくことが出来た。
友奈「……久遠さん、大丈夫?」
陽乃「生きてたのね、貴女達」
千景「それはこっちの台詞よ。死んだと思ってたわ。全員」
陽乃はもちろん、杏や球子も。
3人とも諏訪に向かったことは若葉から友奈と千景に伝えられていたが、
生きてたどり着けるとは思っていなかったし
生きて戻ってくるとも思っていなかった。
むしろ、千景の場合は陽乃が死んでおけばよかったとさえ思っているようにも感じる。
若葉「良く戻ってきてくれた。よく、連れ帰ってきてくれた」
陽乃「貴女の目は節穴なの? 連れ帰られたのは私だわ」
寝たきりな陽乃と、先ほどの戦いで傷を負っているだけの歌野達。
普通に考えれば、功績は歌野達のものだろう。
千景「貴女が2人を連れて行ったせいで戦力不足になって、襲撃を受けた際に住民に被害が出たわ」
友奈「ぐんちゃんっ!」
千景「ダメよ。ちゃんと言わなきゃ」
千景は止めようとした友奈を遮り、陽乃を見つめて。
千景「貴女のせいだって声が大きいわ。災いだって……やっぱり貴女を捧げた方が良いんじゃないかって」
陽乃「あら、何にも変わってないってことじゃない。平和で何よりだわ」
- 889 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 22:24:39.34 ID:2EKvnm/io
-
千景の嫌味のような言葉にも、陽乃は弱弱しく笑う。
本当に、何も変わっていない。
被害が出ようが出まいが、
この今の状況そのものが久遠家のせいだと言われてきていたし、
なら何も変わっていないと陽乃が言うのも無理はなくて。
杏「とにかく、久遠さんを病院に連れていきます」
若葉「ああ……そうだな」
千景「そうね。そのように大社から連絡が来てるし」
千景はそう言って端末を確認し、陽乃にその端末を見せる。
画面に映っているのは大社からのメールで
諏訪の住民含め、陽乃達を検査のために病院に連れてくるようにと指示が来ているようだ。
バスで避難してきたことも伝わっているからか、
大社からの迎えはなく、そのまま病院へと向かうこととなった。
- 890 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 22:33:43.38 ID:2EKvnm/io
-
√ 2018年 9月13日目 昼:病院
↓1コンマ判定 一桁
01〜10 歌野
23〜27 九尾
34〜40 友奈
56〜60 杏
61〜65 球子
67〜71 水都
81〜85 若葉
↓1のコンマ
※それ以外は通常
- 891 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2021/11/21(日) 22:34:16.19 ID:esMo9N4LO
- あ
- 892 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/21(日) 22:41:16.64 ID:2EKvnm/io
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
四国到着
勇者は現存、陽乃・歌野・若葉・友奈・千景・杏・球子
- 893 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/21(日) 22:49:43.16 ID:8GH4lQAqO
- 乙
久しぶりの若葉たち再登場でついに勇者全員集合か
ここまで来るのに本当に長かったなぁ…
- 894 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/22(月) 00:27:28.94 ID:vj2rK/GrO
- 乙
風向きが良くなってきたな
ピンチからの四国組の救援熱過ぎたわ
- 895 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/23(火) 20:54:01.78 ID:u6Da//LTo
- では少しだけ
- 896 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/23(火) 20:56:59.94 ID:u6Da//LTo
- √ 2018年 9月13日目 昼:病院
数日ぶりに感じる布団の感触
鎮痛剤のおかげで体の痛みこそ問題はないが、安らげるかというとそうでもない。
若葉も友奈も千景も。
四国に残っていた勇者達はみんな無事ではあったが、
生傷は絶えない様子で、
勇者装束を解いた制服姿の時に見えた彼女たちの体には、傷が多かった。
陽乃達が襲撃を受けていると聞いた後も、
何度も襲撃を受けていた可能性がある。
それで、突破できないからと
バーテックスが戦力を補充しているところに陽乃達が到着して。と言ったところだろうか。
陽乃「……はぁ」
四国は安全ではないことは分かっていたが、
ここまで襲撃を受け始めていることを考えると
実は諏訪の方が安全だったのではないか。とさえ思う。
ならここに来なかったのか。と言われれば首を振るが。
- 897 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/23(火) 21:15:58.15 ID:u6Da//LTo
-
病院に来るまでに聞いた話だけれど、
現在のリーダーはやはり、千景が担っている。
大役を任されてはいるものの、
それに緊張しているというわけでもなく、
むしろ、期待されていることに快く引き受けてそれなりに上手くやっているのだそうだ。
サポートとして友奈がついているというのも大きいかもしれない。
そして、ひなたについては、まだ大社のところにいるとのことで
神託を受けてもそれを直接伝えず、
常駐している別の巫女が連絡を受けて伝えているのだそうだ。
名前は何と言ったか。
九尾はまだ会っていないし、気に入るかは分からないが
ひなたと同じ程。とはいかないだろう。
陽乃は入院が必要なため、お見舞いにでも来てくれる人がいないなら、
陽乃はここで一人で過ごすことになる。
九尾なら呼べば、来てくれるかもしれないけれど。
1、ゆっくり休む
2、九尾を呼ぶ
3、イベント判定
↓2
- 898 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/23(火) 21:18:48.80 ID:OPm4kjHtO
- 3
- 899 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/23(火) 21:19:04.58 ID:J/U+TNGP0
- 2
- 900 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/23(火) 21:59:25.33 ID:u6Da//LTo
-
体を休めるなら動くこともできないし眠ってしまった方が良いのだけれど、
無理に眠ることも出来ないと、陽乃は九尾を呼ぶことにした。
九尾は杏達と違って端末を解せずに連絡が出来るため、
すぐに呼ぶことが出来るからだ。
陽乃「九尾、いる? それとも怒ってる?」
ここに来るまで散々無理をしてきてしまったし、
そっぽを向いて傍にはいないのではと陽乃は問いかけてみたが、
九尾はいてくれていたようで、どこからともなく姿を現した。
九尾「休んでおればよいもの」
陽乃「……眠れないのよ」
九尾「妾に子守歌でも歌えと言うかや? 贅沢な娘じゃ」
陽乃「そんなつもりはなかったけど、それも悪くはないわね」
九尾「悪夢を見たいなら、歌ってやろう」
- 901 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/23(火) 22:46:12.19 ID:u6Da//LTo
-
九尾は冗談めかして言うと、
本当に歌うつもりだとでも言うように、陽乃のそばに椅子を立てて座る。
今は怪しまれない為か、
病院内で使用されている看護婦の制服を着た女性の姿をしている九尾
普通の人は、これが人間ではないだなんて気づかないだろう。
九尾「主様はまず体を休めねば話にならぬぞ。望み通り白鳥歌野を連れてきたのじゃ。主様が無理する必要はあるまい」
陽乃「そう、ね」
九尾「本来はその予定じゃろう? 諏訪の勇者を連れ出し、主様の生存率を上げると。ならば、療養を理由に何もせぬ方が良い」
陽乃「そんな理由がなくたって、この状態じゃ何もできないわよ」
九尾「主様の力ではな」
九尾の力でも、
イザナミ様の力でも。
陽乃はそれを使って無理矢理に動くことが出来る。
体の状態は関係がない。
九尾「主様は延々と力を消耗しておる。治るには時間がかかるぞ」
陽乃「……分かってる」
1、新しい巫女とは仲良くできそう?
2、みんなは?
3、郡さんにリーダーが務まると思う?
4、これからどうなるのかしら
↓2
- 902 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/23(火) 22:51:18.51 ID:J/U+TNGP0
- 4
- 903 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/23(火) 22:52:03.92 ID:OPm4kjHtO
- 2
- 904 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/23(火) 23:07:42.66 ID:u6Da//LTo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 905 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/23(火) 23:20:11.93 ID:OPm4kjHtO
- 乙
全治にどれくらいかかるかも気になるけど直談判の件もあるしできればみんなと今後についての相談もしたいなぁ
- 906 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/24(水) 06:51:20.52 ID:aTyMHrUzO
- 乙
新しい巫女さんってもしかして花本さんかな?
- 907 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/24(水) 17:35:18.77 ID:3hOVq+XkO
- うたのんと一緒にいないと回復が捗らないんじゃ
- 908 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/25(木) 23:37:03.81 ID:jt8nY0/uo
- すみませんが本日もお休みとさせていただきます
明日は可能であれば通常時間から
- 909 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/25(木) 23:44:43.90 ID:Qarga7qBO
- 連絡乙です
- 910 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/26(金) 23:31:53.44 ID:E/ZR7d7vO
- この流れは今日も無理そう?
- 911 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/27(土) 21:06:32.68 ID:S0Q1Es0bo
- 遅くなりましたが、少しだけ
- 912 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/27(土) 21:26:28.81 ID:S0Q1Es0bo
-
陽乃「ところで、みんなは?」
陽乃は治療のこともあって早々にみんなから引き離されることになってしまったが、
九尾のことだからどうせみんなの方もこっそり様子を見ていたはずだ。
今は看護婦の制服に身を包む女性として姿を見せているけれど、
別に姿を見せていなくても話は出来るし聞くこともできる。
九尾「娘らなら勇者達の住む寮に向かったぞ。新たに白鳥歌野も加わったからのう。案内もせねばなるまい」
陽乃「伊予島さん達は大社に直談判するって話じゃなかったかしら。私がいないから保留なの?」
九尾「ふむ。今日はひとまずと言った様子じゃったな。主様がいずれにせよ、あ奴らは大社に話すつもりじゃろう」
陽乃「……そう」
陽乃が回復するのを待っているような余裕はない。
下手をすれば数ヶ月かかるかもしれないような状況だから、
完治を待ってなんていたら、
完成型や潰しきることのできない物量を持って蹂躙されてしまう可能性があると
杏達も危機感を覚えている。
陽乃だって、今の状況では抗いきれないのは目に見えていた。
陽乃と歌野はともかく、他の勇者達は少しずつ潰されていくことは免れないと。
- 913 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/27(土) 22:02:31.62 ID:S0Q1Es0bo
-
陽乃「白鳥さんは……まぁ、気にする必要もないわね」
九尾「そうじゃな。主様と違ってあの娘は協調性もある。問題はなかろう」
陽乃「……悪かったわね」
以前は球子もあまり気に入っていないと言った様子だったが、
たくさん話し、諏訪に行き、今では杏と似たようなものだ。
とはいえ、千景は相変わらず陽乃を気に入っていないし、
今では勇者を束ねるリーダーの役割さえ担っている。
今後、上手く関わっていけるという保証はない。
それとは真逆に、歌野は問題がないはずだ。
陽乃乃件もあって、
もしかしたら千景と衝突してしまう可能性も捨てきれないが、
それを抑える理性はある。
陽乃「離れすぎているせいか、今は白鳥さんを感じないし……喧嘩とかしていたら面白いのに」
九尾「ふむ……白鳥歌野はともかく、主様が連れ帰った人間どもは原住民とは相いれぬやもしれぬ」
陽乃「原住民って……でも、どうして?」
九尾「久遠家の悪評はすでに広まり切っておる。今までは控えめだった勇者という存在の活動も秘め事ではなくなり、公のものとなったからのう」
- 914 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/27(土) 22:21:58.47 ID:S0Q1Es0bo
-
バーテックスによる侵攻が終わりではないことが公表され、
それに抗うべく勇者たちが戦っていて、人々を守っていることが知られている。
そうして、その度重なる襲撃による被害が出た。
勇者達への批判は避けられないと思われたが、
四国を守るべき勇者が2人も不在であること、
その原因が陽乃にあることがどこかから漏れたことで、勇者が全員そろっていれば被害は防げたのではないかという話になり、
結局すべてが "あの人物" のせいだとなった。
今回、杏達が戻ったことで多少緩和されたかもしれないが、
その話は、ここに来たばかりの諏訪住民の耳にさえ入るほど大きな声となっていて、
どうしようもなく、耳に入ってしまった。
だが、諏訪から来た人々は陽乃のことをずっと見てきた。
それこそ、目の前で命懸けで戦っている姿も、それによって死にかけている姿も。
そんな人を非難し、あまつさえすべての元凶だといううわさ話を聞かされて、
快く溶け込めるはずもなかったわけだ。
- 915 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/27(土) 22:53:21.02 ID:S0Q1Es0bo
-
陽乃「やっぱり、私のことに注意をしておくべきだったってことね」
あまり深いれされないように一線を引いておくべきだったし、
踏み込まれたら踏み込まれたで、
しっかりと突き放しておくべきだった。
杏の両親もそうだが、
諏訪にいた人々を多く連れてきたと言っても、
四国の中では少数の集まりでしかない。
この中では、弾圧だってされかねないし、
この隔離されている世界で乃無意味な争いなんて、やるだけ無駄なことだ。
陽乃「でもまさか、諏訪の人達は暴動でも起こすとか言ってないでしょ?」
九尾「無論、まだ自由に行動できるわけではないからのう」
諏訪の人々は、今のところ大社が用意した住居に住むことになるそうだと九尾は言う。
その状況で下手なことをしても路頭に迷うことになってしまうから、
暫くは何もないだろうとのことだった
陽乃「暫くは、ねぇ」
少し、不安は残ってしまう。
- 916 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/27(土) 23:14:02.00 ID:S0Q1Es0bo
-
九尾「ところで、主様は白鳥歌野を感じられておるのかや?」
陽乃「えっと……」
歌野達が寮にいるのなら、諏訪で実験したとき以上に距離が開いている。
これだけ開いていると難しいのではと思うが、
九尾がひなたを感じ取れるように、
陽乃も出来る可能性もあると目を瞑ってみると、
いくつか自分から流れ出て言っているのを感じる。
1つは結界を維持するための力で、
1つは水都、もう1つが歌野で、あとは九尾だろう。
その歌野へと繋がっているだろう力を手繰り寄せていけば、
なんとなくだけれど、歌野のことを感じられているような気がしなくもない。
陽乃「たぶん」
九尾「ならば、歌野も呼ぶことは出来るじゃろう。妾のように物理的なことを無視は出来ぬが、会おうとはするじゃろう」
陽乃「それは、遠回しに私の相手したくないって捉えてもいいの?」
陽乃がそう言うと、
九尾は楽しげに笑って、あくまで選択肢の一つだと言った。
- 917 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/27(土) 23:19:04.87 ID:S0Q1Es0bo
-
√ 2018年 9月13日目 夕:病院
↓1コンマ判定 一桁
23〜32 千景・友奈
56〜65 歌野
89〜98 大社
↓1のコンマ
※それ以外は通常
- 918 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/27(土) 23:21:22.54 ID:XsCPWO0KO
- あ
- 919 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/27(土) 23:51:53.21 ID:S0Q1Es0bo
- √ 2018年 9月13日目 夕:病院
諏訪から四国への大移動の際に口にしていた食事よりも味気のない病院食を食べ終えて、
病室から看護婦がいなくなったのを見送ってから、陽乃は息をつく。
陽乃はまだ体を動かすことが出来ない為、全てのことにおいて人の手が必要だ。
今は食事のために体を起こされている状態だが、
起きているベッドを横に戻すことだって陽乃にはできない。
しばらくしたら就寝前の手入れをし、ベッドを戻してくれる人が来るはず。
だが、それまで陽乃は独りだ。
陽乃「何にもできないって、辛いわ」
九尾のおかげで話すことは出来るが、それだけ。
不自由さは相変わらずである。
特別、くだらない内容が流れ続けるテレビをつけてくれているけれど、
退屈なのは変わらない。
これなら本の読み聞かせでもして貰っていた方がまだいい。
精神的には、やや苦々しいけれど。
もう夕方だ。
本来なら面会時間の縛りもあって歌野が来られるとは思えないが、彼女も勇者だ。
特例が許されるかもしれない。
1、休む
2、九尾を呼ぶ
3、歌野を呼んでみる
4、イベント判定
↓2
- 920 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/27(土) 23:53:48.11 ID:XsCPWO0KO
- 4
- 921 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/27(土) 23:54:04.06 ID:gk7T+Hxp0
- 4
- 922 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 00:05:56.82 ID:XMZ9arOEo
- ↓1のコンマ
01〜10 水都
11〜20 杏
21〜30 九尾
31〜40 歌野
41〜50 球子
51〜60 若葉
61〜70 千景
71〜80 友奈
81〜90 大社
91〜00 巫女
- 923 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 00:09:11.39 ID:+ERmi+y8O
- あ
- 924 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 00:14:55.32 ID:XMZ9arOEo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから
- 925 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 00:24:28.85 ID:+ERmi+y8O
- 乙
呼ぶまでもなくうたのん来たな
あと四国に避難しても諏訪の住民のことが気掛かりだなぁ
- 926 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 01:08:22.85 ID:JgtRAWtsO
- 乙
うたのんありがてえな
- 927 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 17:18:03.94 ID:XMZ9arOEo
- 遅くなりましたが少しずつ
- 928 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 17:25:41.54 ID:XMZ9arOEo
-
陽乃が直接呼ぶことが出来るのは歌野と九尾しかいない。
それは、自分の端末を没収されてしまっているからで、
友人とも思っていなかった勇者たちの電話番号が記憶にあるわけもなく、
病院の電話を借りてというわけにもいかなかったからだ。
もっとも、覚えていたところで動くことのできない陽乃にはどうしようもなかったけれど。
そんな中で、少しずつ近づいてくる気配を陽乃は感じて、眉を潜める。
力の繋がりがあるそのぞんざいは、
遠く離れていた場所から少しずつ近づいてきて、
まるで目的地をココとしているように確かな歩みで距離を詰め、
そうして、感じる力が非常に強くなって、声が聞こえるまでになって。
『……ここね』
陽乃の病室の扉が軽く叩かれる。
歌野「久遠さん、入って平気?」
陽乃「……」
『寝ちゃってるのかしら……でも』
歌野「入るわね?」
入らないわけにはいかないと言った様子で入ってきた歌野は、
陽乃の瞳が自分を見ていることに気づいて、困ったように笑った。
歌野「起きてたなら返事をして欲しかったわ」
- 929 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 17:32:56.60 ID:XMZ9arOEo
-
陽乃「面会時間は過ぎていると思うけど?」
歌野「そもそも面会謝絶だって言うから、こっそり忍び込んじゃった」
歌野はそう言って陽乃のそばに簡易椅子を立てて座ると、
陽乃の額にかかっている前髪をさっと払う。
歌野「久遠さん、以前病院を抜け出したでしょ? それも拘束されている状態から」
陽乃「そんなこともあったわね……」
歌野「だから、凄く警戒されているみたい。また逃げるんじゃないか、また問題を起こすんじゃないかって」
どうやってか逃げ出されてしまうと、責任は病院側に問われる。
拘束もしておいたのにと言っても、
何かを怠ったのだろうと言われれば否定はできない。
陽乃が以前逃亡したのはそんな状況だった。
今回は陽乃が完全に動くことのできない状況の為、
やや緩いけれど、他の勇者の手を借りれば容易に逃げ出せてしまうから、
それを警戒しての面会謝絶だったのだろう。
歌野「……勇者の扱いじゃないわ」
陽乃「なによ、怒ってるの?」
歌野「笑い事じゃ――」
陽乃「貴女はもう、知ってたことでしょ。何をいまさら」
- 930 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 17:44:17.39 ID:XMZ9arOEo
-
歌野「駄目よ……そんな」
強く感情をあらわにしてはいないが、
不服がにじみ出ている歌野の一方で、
その被害を受けている当人の陽乃は、余裕と言った雰囲気で、笑ってさえいて。
歌野は膝上の手に力を込めて、固い握り拳を作る。
握られたスカートには深いしわが広がっていた。
歌野「久遠さんは私達にとっては英雄よ。間違いなく、死を待つだけだった私達をここまで連れ帰ってくれたんだから」
道中で完全に倒れ伏してしまったと言っても、
そうなるほどに尽力してくれたからこそで、
その1つでも陽乃が担ってくれていなければ、歌野達は杏達と合流もできずに道中で力尽きていたに違いない。
それ以前に、陽乃が自ら四国を飛び出してくれていなかったら、
歌野達は諏訪で滅びていたはずだ。
歌野「なのに、大社は久遠さんに感謝の一言もない」
陽乃「いまさら何言ってるのよ。私に感謝することなんて、彼らにあるわけがないじゃない」
四国に被害が出てしまったのもそうだけれど、
陽乃の存在が四国に不和を招いているのは間違いない。
統一感はややあるものの、あまり善いものでは無いため大社も辟易しているはず。
残念ながら、当然だと言える。
- 931 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 17:57:15.74 ID:XMZ9arOEo
-
陽乃「私に勇者2人も攫われたなんて醜聞を払拭するために、諏訪への遠征が行われたって話になるし、その功績が貴女達になる。でしょ?」
歌野「……九尾さんから話を聞いたの?」
陽乃「あらかじめ想定していたことよ」
杏達が道中で死亡していれば、その責任を問われ、
生きてたどり着くことのできた歌野達は単なる生還者として英雄視されるし、
そうではなく、全員生きていたなら、
本来の勇者に数えられている杏達が褒め称えられる。
陽乃が原因だという批判は大社の指示ミスであると言われることになるかもしれないが、
幸いにも住民に死者が出たわけではないし、
結果的に勇者を確保できたのだから、
不和に繋がる陽乃に対しての怒りを緩和して、神樹様や大社に対しての信仰心を強められる可能性がある。
陽乃「大社にとって、私の存在はいわば目の上のたん瘤。郡さんもそうだけど、死んでいてくれた方が助かったはず」
歌野「っ……」
陽乃「……厄介ね」
陽乃の言葉が間違いなく本心であることが歌野には分かってしまう。
冗談のような口ぶりで本心を隠しているならそれを指摘できるけれど、
表裏が寸分違わないその卑屈な言葉は、歌野にとっては辛いもののようで。
はっきりと顔に出ているのを見て、陽乃は呟く。
1、それで、何をしに来たの?
2、貴女まで業を背負う必要はないわ
3、その辛気臭い顔止めて頂戴。病人なのよ。私
4、大社からの指示がそんなに不服だったの?
↓2
- 932 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 18:00:03.96 ID:Q+8L+QPBO
- 4
- 933 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 18:01:32.43 ID:5kk8c2Cl0
- 1
- 934 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 18:45:40.09 ID:XMZ9arOEo
-
陽乃「それで、何をしに来たの?」
歌野「何をって……忘れちゃったの? 私がいた方が久遠さんの治りが早くなるって話」
陽乃「てっきり忘れてると思ってたわ」
歌野「忘れるわけないじゃない」
歌野はむっとして否定する。
本当はすぐにでも来たかったが、
色々と話さなければ行けないことや、
面会謝絶だったこともあって、
すぐには来られなかったのだと歌野は言う。
歌野「だから、こうやって忍び込んでまで久遠さんに会いに来たのよ。まぁ……九尾さんの力を借りちゃったけど」
陽乃「でしょうね」
歌野だけでは、ここまで来ることは出来なかったはず。
陽乃が今いる部屋に監視するためのものはなさそうだが、外にはあるはずだし。
もし陽乃のところに誰かが来ているのがばれたら、すぐに人が来るだろう。
歌野「九尾さんも、久遠さんに早く良くなって欲しいって思っているのよ」
陽乃「まさか、治るまでずっとここにいるとは言わないわよね?」
歌野「出来るならそうしたいとは思ってる」
- 935 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 19:08:42.70 ID:XMZ9arOEo
-
歌野はそう言うけれど、実際には難しいのが現実だ。
ここまで来るのも九尾の力が必要だし、
居続けるにも必要だ。
何より、歌野は諏訪からの生還者として重要な立ち位置にいる。
諏訪と違って、自由に行動できるわけがない。
ある程度は大社に制限を受けることは免れないだろう。
陽乃「でもできない。でしょ?」
歌野「ええ。酷い話……だけど、夜は必ず来ようと思うの」
陽乃「夜? なんで?」
歌野「一緒に寝ようと思って」
陽乃「……は?」
何を言っているのかと陽乃が唖然とした声を漏らすと、
歌野は真剣な表情で「本気よ」と言って。
歌野「夜寝るときから、朝起きるまで。その時間が一番久遠さんと一緒にいられるし、見回りを除いて邪魔が入らない」
陽乃「だからって私の貴重な時間を潰そうって言うの?」
歌野「それで久遠さんの傷が癒えるなら」
- 936 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 19:32:31.08 ID:XMZ9arOEo
-
歌野「私も、その時間なら朝こっそり戻れば大丈夫なはずだし、寝ていればいいだけだから楽でしょ?」
陽乃「藤森さんは?」
歌野「みーちゃんならいいって。むしろ、自分にもできたらって言ってた」
陽乃「そう……」
歌野が一緒にいないと水都が不安がるのではないかと言えば引くかと思ったが、
それは難しいらしい。
皆と関わらずにいると協調性がないと思われかねないという話も、
夜ならば気にすることはないと一蹴されてしまう。
歌野「嫌でも一緒にいて貰うけど……というより、一緒にいさせて貰うけど……」
歌野は絶対だといった様子で言うと、
少し残念そうな表情で陽乃を見る。
陽乃「なによ……その、何なの?」
心が伝わってしまうので、
歌野の心がもやもやとしているのを聞いて、陽乃は顔を顰めて問う。
歌野「私と一緒は、嫌なの?」
陽乃「貴女ね……」
もしかしたら自分より面倒な女の子なのではないのかと、陽乃はため息をついて。
1、別に嫌ではないわよ
2、そうだと言ったって、貴女はここに居座るんでしょ
3、勇者の中ではそれなりよ
↓2
- 937 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 19:35:52.00 ID:5kk8c2Cl0
- 1
- 938 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 19:36:03.63 ID:4Q8k0c70O
- 2
- 939 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 20:08:26.04 ID:XMZ9arOEo
-
陽乃「そうだと言ったって、貴女はここに居座るんでしょ」
歌野「……いるけどっ」
ちょっぴりむくれる歌野を一瞥して、
陽乃はため息をつきながら目を閉じる。
歌野はせめて嫌ではないと言われたかったようだけれど、
陽乃はそんなに優しくはない。
というより、そんなに心を許せる人間ではない。
それが分かっていてもといった様子ではあるが、
だから何だというのか。
他に誰もいなかった諏訪ならともかく
ここには杏と球子を除いても数名の勇者がいる
大社があって、多くの人々がいる。
陽乃一人に入れ込む必要はない。
むしろ、そうされたら面倒ごとがさらに増えるだけだ
歌野「久遠さん、面倒くさいって思ってるでしょ」
陽乃「今いる知り合いの中で一番面倒なのは、間違いなく貴女でしょうね」
歌野「えっ」
不本意にも内心が伝わる唯一の勇者
それが面倒くさくないわけがなかった。
- 940 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 20:23:19.80 ID:XMZ9arOEo
-
√ 2018年 9月13日目 夜:病院
↓1コンマ判定 一桁
23〜32 九尾
89〜98 歌野
↓1のコンマ
- 941 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 20:31:36.92 ID:5kk8c2Cl0
- あ
- 942 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 20:41:16.88 ID:XMZ9arOEo
- √ 2018年 9月13日目 夜:病院
歌野は本当に夜を一緒に過ごすつもりのようで、
陽乃のそばの椅子に座ったままだ。
この部屋は個室で、それなりの広さはあるもののベッドは陽乃が使っている一台しかない。
もう一台ベッドを用意して貰うなんて出来ないだろうし、
どうするのかと思えば、歌野は寝袋を持って来ていると鞄から引っ張り出す。
歌野がそんなものを持っているわけはないので、
球子のものだろう。
歌野「ええ。そうなの。土居さん達は事情を知っているから協力してくれるって」
陽乃「……なるほど」
ベッドの横に寝袋を敷いて、そこで寝る予定だそうだ。
歌野「正直、久遠さんと身体的接触をしている方が楽なんだけど、嫌でしょ?」
陽乃「そもそも本当に治りが早くなるのかしら」
歌野「実際に早くなったのに……もう」
そんなに一緒が嫌なの? と、歌野は少し残念そうに言う。
- 943 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 21:16:01.32 ID:XMZ9arOEo
-
歌野が言うには……と言っても、九尾から聞いた話そのままのようだが、
歌野から陽乃へと力を供給することで消耗を上回ることも重要だけれど、
歌野から陽乃、陽乃から歌野へと、
力を巡らせることで、陽乃の体に溜まっている穢れを歌野が肩代わりし、
陽乃には歌野と宇迦之御魂大神様の力が流れることで
少しでも影響を軽減させることも狙いなのだとか。
陽乃「……浄水器?」
歌野「九尾さんと同じこと言うのね。分かりやすく言えばそんな感じだって」
陽乃「それで貴女は大丈夫なの?」
歌野「う〜ん……なんというか、心臓がずきずきするみたいな感じはするわ」
陽乃「その程度で済んで良かったじゃない。普通なら死んでもおかしくないんだから」
陽乃は素っ気なく言うけれど、
歌野に死なれでもしたら本当に困ってしまうので
一応、身を案じている。
歌野もそれを分かっているから、穏やかだ。
歌野「確かにそうだわ」
宇迦之御魂大神様の力で強引に回復しているだけで、
じわじわと毒を飲んでいるような状況だから、最悪死ぬのは間違いない。
- 944 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 21:39:31.88 ID:XMZ9arOEo
-
宇迦之御魂大神様の力があるとはいえ、
歌野は少しばかり堂々としすぎていると陽乃は思う。
長く一緒にいた陽乃があまりにも死に急いでいるから、
少し、感覚がマヒしたと言われても不思議ではないような気はする。
歌野「力の流れが重要だから、感じやすい身体的接触をしておいた方が良いってこと。バスで久遠さんの手を握っていたのもそれが理由よ」
陽乃「つまり義務感でやってるってことね」
歌野「拗ねた?」
陽乃「馬鹿言わないで」
むしろ義務感でただやってくれている方が良い。
歌野は義務感も多少感じてはいるけれど、それ以上に陽乃のことを意識している。
手を握るのも、
動けない陽乃の代わりに汗を拭ったりするのも、
全部好意あってのことだ
歌野「だから久遠さんさえ良ければ、ベッドで寝たいのだけど、それはさすがに嫌でしょ?」
1、嫌よ
2、義務だもの。仕方がないわ
3、良いわよ。別に
4、貴女、少しは自分のことも考えるべきだわ
↓2
- 945 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 21:42:29.74 ID:vyjLDbh6O
- 4
- 946 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 21:42:47.80 ID:OVSGk6Jv0
- 4
- 947 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 21:43:38.09 ID:OT1gsjGYO
- 4
- 948 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 22:38:01.02 ID:XMZ9arOEo
-
陽乃「貴女、少しは自分のことも考えるべきだわ」
歌野「どういうこと? 久遠さんに食べられちゃうとか?」
陽乃「ある意味ではそうね……私の力で貴女の魂が食い殺される可能性があるんだから」
歌野「命を大事にしろってことね」
陽乃「ええ」
分かっているならと陽乃は思ったが、
歌野はやっぱり、首を振る。
陽乃が言えたことではないからだろう。
大移動の時のように戦闘で傷つくわけでもないし、
それと比べれば影響は軽い方だ。
歌野「久遠さんには言われたくない」
陽乃「……でしょうね。けれど、だからって命を捨てられても困るのよ」
歌野「私は捨てる気なんてないわ。ここまで来たんだもの。全力で生きたいと思ってる。でも、それには久遠さんの力が必要不可欠だわ」
陽乃「方便ね」
歌野「かもしれないけど」
陽乃「私への当てつけなの?」
歌野「そんなつもりはないわ。でも、そう思うなら、久遠さんも大事にして欲しい」
- 949 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 23:11:17.28 ID:XMZ9arOEo
-
戦闘ならともかく、
こうして陽乃の体を癒す程度なら、反動はそう強いものにはならずに済む。
歌野「戦いでは極力温存するけれど、久遠さんはそもそも暫く戦わないで」
陽乃「……必要なければ戦わないわ」
移動中と違って、
陽乃と歌野以外にも十分に戦力がある。
進化型や通常個体相手なら確実に後れは取らない。
問題としては完成型だ。
その対策が他の勇者にもできれば平気だし、
そうではないなら陽乃が出る必要がある。
陽乃「私だって死ぬ気はないの。生きたいの。だから、無用な心配だわ」
歌野「……お願いね」
歌野の力は陽乃による恩恵が大きい
それがなくなれば大幅な戦力ダウンは否めないし、
きっと、歌野はそうではなくても心から案じている。
歌野「私も気を付けるから」
歌野はそう言って、陽乃の手を取る。
陽乃がゆっくりと目を瞑ると、
温かい力が流れ込んでくるのを感じられ、安らぎを覚えて。
陽乃「そうして貰えると助かるわ。苦労が水の泡になるから」
陽乃はやっぱり、少しだけきつい言い方をした。
- 950 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/28(日) 23:14:10.80 ID:XMZ9arOEo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 951 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 23:27:28.08 ID:OT1gsjGYO
- 乙
うたのんの思考がどんどん陽乃さんとシンクロしてきてるな
陽乃さんのこと気にし過ぎてうたのんが倒れないように注意しないと
- 952 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 02:02:13.39 ID:ViwfaLqwO
- 乙
しばらくは交流メインでまったりしたいな
- 953 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2021/11/29(月) 21:10:06.26 ID:xqWzWRLr0
- SS速報rだから、エロいシーンはないの?
- 954 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/29(月) 22:37:51.82 ID:IlJYQ/5/o
-
1日のまとめ(諏訪組)
・ 土居球子 : 交流有(帰還)
・ 伊予島杏 : 交流有(帰還)
・ 白鳥歌野 : 交流有(帰還、何をしに来たの?、そうだと言ったって、少しは自分のことも)
・ 藤森水都 : 交流有(帰還)
・ 九尾 : 交流有(みんなは?)
・ 乃木若葉 : 交流有(帰還)
・ 高嶋友奈 : 交流有(帰還)
・ 郡千景 : 交流有(帰還)
・上里ひなた : 交流無()
√ 2018/09/13 まとめ
土居球子との絆 75→78(良好) ※特殊交流2
伊予島杏との絆 90→93(良好) ※特殊交流4
白鳥歌野との絆 87→90(良好) ※特殊交流4
藤森水都との絆 92→95(良好) ※特殊交流8
九尾との絆 78→79(良好)
乃木若葉との絆 62→72(良好)
上里ひなたとの絆 56→66(普通)
高嶋友奈との絆 52→62(普通)
郡千景との絆 21→21(険悪)
※四国勇者+10
※諏訪→四国組+3
- 955 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/29(月) 22:42:51.09 ID:IlJYQ/5/o
-
√ 2018年 9月14日目 朝:病院
↓1コンマ判定 一桁
01〜10 大社
23〜32 千景
45〜54 歌野
67〜76 巫女
↓1のコンマ
※それ以外は通常
- 956 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 22:43:18.74 ID:26cGlaheO
- 千景だけ相変わらず1ミリも動かず険悪なままか…
- 957 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/29(月) 23:10:23.42 ID:IlJYQ/5/o
- √ 2018年 9月14日目 朝:病院
朝、陽乃が目を覚ました時にはまだ歌野がいたけれど、
歌野はそのすぐ後に、寮に帰るからと言って、病室を出て行った。
病室を出たふりをしたりしているようなそぶりはなく、
本当にまっすぐ、丸亀城へと向かっているのを否応なく感じる陽乃は、
また退屈になったとため息をついて。
けれど、それを払うように扉が叩かれた。
歌野は間違いなく帰ったので、歌野ではない。
水都も、球子と杏も恐らく違う。
大社か、もしくは若葉か友奈
その辺りではないかと睨んだ陽乃の推測を裏切って、巫女が姿を見せた。
陽乃「貴女……」
上里ひなたではない。
彼女の代役として、
リーダーである郡千景の補佐として
数いる巫女の中から選ばれた少女。
美佳「お目にかかるのは初めてかと思います。花本美佳。今現在、勇者様のそば付きの巫女としての役割を頂いております」
花本美佳
郡千景を見出し、彼女の巫女とされているのが、彼女だ。
花本美佳は陽乃の前で一礼すると、
すっと顔を上げた。
- 958 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/29(月) 23:30:30.51 ID:IlJYQ/5/o
-
美佳「久遠様の件も、一応、伺っております」
陽乃「……それで?」
彼女からは千景ほどの強い敵意は感じられないけれど、
少なくとも好意的な印象は感じられない。
噂をすべて鵜呑みにしているわけではないだろう。
千景が嫌い、悪評に塗れていて、実際に人を殺めてもいる。
だから彼女の心象が非常に悪いのかもしれない。
美佳「久遠様の容態の確認なども私のお役目の1つですから」
陽乃「なら見ての通りよ。身動き一つできやしない……まさか、貴女が介助してくれるってわけでもないでしょ?」
美佳「それは役目ではないので」
ぴしゃりと言い切る花本美佳は、
酷く冷めた目をしている。
悪意も善意もなく、ただの義務感がそこにあるようで。
陽乃は結局退屈に思えてきてしまう。
- 959 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/29(月) 23:44:49.71 ID:IlJYQ/5/o
-
陽乃「私の体のことなら今話した通りだけど、他に何かあるの? カルテを貰うのに承諾が欲しいって言われた?」
美佳「いえ、それは私のお役目ではないので。ただ、いくつか確認したいことがあって」
陽乃「確認?」
知りたいことなんてもう知りつくされているのではと陽乃は思ったが、
花本美佳は少し考えてから、陽乃があまり突かれたくないことをつついてきた。
美佳「久遠様が人を殺されたというお話は本当なんですか?」
陽乃「……正気で聞いてる?」
美佳「噂をただ信じるのは性に合わないので」
陽乃「だからって本人に聞くことではないと思うのだけど」
陽乃は呆れたように言って、彼女から目を背ける。
何か証拠を映像などで残されていたわけではないだろうから、
あくまで信憑性のないうわさになっているのかもしれない。
嘘をついて、彼女は信じるだろうか。
1、真実よ
2、ただのうわさよ
3、真偽は貴女に任せるわ
4、だとして、何かあるの?
↓2
- 960 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 23:49:09.62 ID:bZYC4X1B0
- 1
- 961 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 23:49:14.30 ID:S+r2G44JO
- 1
- 962 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 23:50:41.77 ID:26cGlaheO
- 4
- 963 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/11/29(月) 23:53:16.62 ID:IlJYQ/5/o
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 964 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 23:59:45.10 ID:26cGlaheO
- 乙
花本さんくあゆシリーズ初登場だけどすごい気まずいな…
下手なことすると九尾に狙われそうだし
- 965 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/30(火) 00:26:18.07 ID:toa2JwE1O
- 乙
くしくも千景はリーダーになって側に支持者もいてって闇堕ちしそうな要素が本編に比べてだいぶ薄くなってるのは良いことっていえば良いことなのかな?
あともう好感度が杏とかみーちゃんとかうたのんとかもう3桁の大台に乗りそうなとこまで上がってたんだな
天乃と違って陽乃が硬派?だから全然気づかなかった
- 966 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/30(火) 03:10:47.47 ID:T6n1Vict0
- 乙
そもそも天乃はすげえモテてたからな……
やっぱり胸の力か
- 967 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/11/30(火) 18:46:51.67 ID:0IY25J+nO
- めっちゃ一緒に居たがってるのに突っぱねてるからでは…
- 968 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/01(水) 21:48:40.69 ID:BqsGTQ+9o
- では少しだけ
- 969 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/01(水) 22:00:15.68 ID:BqsGTQ+9o
-
陽乃「真実よ」
美佳「……随分と、堂々と答えられるんですね」
陽乃「誤魔化したってどうにもならないことだもの」
美佳「いえ、そう言うわけではなく」
美佳は寝たきりでもまっすぐ見つめ返してくる陽乃を見下ろしながら、微かに眉を潜める。
これが何か些細なことだったなら堂々としているのも分かるが、
人を殺したのか。という問いに対しての反応だ。
罪悪感や後ろめたさと言ったものは一切ないのかと、美佳は思って。
美佳「殺人は犯罪です。秩序が崩れ去り、その残骸をどうにか機能させている現代社会においても、重罪であることには変わりありません」
陽乃「ええ」
美佳「久遠様は未成年だから、勇者だから。その罪から逃れられるとお考えなのですか?」
陽乃「別に逃げる気なんてさらさらないし、もしもそうだったなら私は諏訪に引きこもっていたわ」
諏訪への遠征を果たし、諏訪からの帰還も果たしたという久遠陽乃という"化け物"は、
確かに、本人がその気なら諏訪に残り続けることは出来たはずで、だからこそ、逃れるつもりがないという言葉は確固たる証拠に阻まれる。
そのせいか、黙り込んでしまった美佳を見つめて、陽乃は続ける。
陽乃「あれは正当防衛だと思ってるし、忠告もしたのに馬鹿なことしたあの場にいた人々が悪いって、正直に言えば思ってる」
美佳「街の人々はそんな風には考えていませんし、そんな風には伝わっていませんよ」
陽乃「現代社会の最高機関である大社が真実を覆い隠すのに、国民が真実を語るだなんて、本気で思ってるの? だとしたら名に違わないお花畑ね」
- 970 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/01(水) 22:23:49.02 ID:BqsGTQ+9o
-
美佳「そういう態度が、郡様の……いえ、勇者全体を貶めているんです。そもそも、人を殺めていながら正当防衛だなんて――」
陽乃「知ったことじゃないわ」
美佳「っ」
陽乃「私を逆上させたいと思っているなら無駄だし、私が何もできないからと好き勝手言いたいだけなら止めておきなさい」
陽乃はそう言って、美佳の影が映るカーテンへと焦点を合わせる。
カーテン自体のゆがみもあるのだろうけれど、
明らかにそうではないものがそこには混ざっていたからだ。
もちろん、花本美佳に尖った耳があるというなら話は別だが、少なくとも陽乃の目には見えていない。
陽乃「はっきり言っておくけど、私は別に貴女達の評価なんてどうでもいいのよ。誰にどう思われようが、私を阻まないのなら放っておくつもりよ」
美佳「郡様の言っている通り、まるで協調性がないんですね」
陽乃「そんなもの、結界の外に捨ててきたわ」
陽乃は淡々と吐き捨てると、
無意味に音声を垂れ流すだけのテレビを一瞥してため息をつく。
それがスイッチだとでも言うかのように、テレビがぷつりと消えて、美佳ははっとして辺りを見渡す。
美佳「久遠様には、特殊な精霊が傍にいるという話を聞いてはいましたが……本当なんですか?」
- 971 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/01(水) 23:08:23.95 ID:BqsGTQ+9o
-
以前、神社で全員に公表していたため、
そのうちの誰かから話を聞いたのか、それとも大社から直接言われたのか。
後者だったならきつく言われているだろうし、
普通なら警戒して接触してくることすらないはずなのに、
彼女は平然と接してきて、九尾の機嫌を損ねることを平気で口にしている。
陽乃が目までおかしくなっていなければ、九尾は美佳のすぐそばにいる。
監禁されていた際に女性1人を絞め殺そうとしたのを考えれば、
手を出していないのが奇跡といえるだろう。
陽乃「いたとして何か問題があるの? 許しを請われても、私はどうにもできないわよ」
美佳「……その力、他の勇者様にも扱うことは出来ないのかと思っただけです」
美佳は自分の身に危険が迫っている可能性があっても、
淡々とした声色で答えて、陽乃を見つめる。
陽乃が目を細めても、彼女は動じない。
本来は上であるひなたの立場を得られたことで慢心しているようにも感じられないし、
元から、どちらかと言えば冷めた性格なのかもしれない。
1、こう見えても病人だから、休ませてくれるかしら
2、貴女、私のこと嫌いでしょ
3、他の子には無理よ。まぁ、白鳥さんはどうにかできるけど
4、私がいない間、私の情報は探ったりしなかったの?
↓2
- 972 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/01(水) 23:12:22.19 ID:yoBW2oCdO
- 4
- 973 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/01(水) 23:12:40.57 ID:77k0vrUjO
- 4
- 974 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/01(水) 23:27:35.45 ID:BqsGTQ+9o
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば通常時間から
- 975 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/01(水) 23:35:18.39 ID:77k0vrUjO
- 乙
この感じだと花本さんもうたのん達と衝突しそうだな…
どうにか誤解を解く方法はないものか
- 976 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/02(木) 00:10:41.13 ID:AnfGr5egO
- 乙
でもまだ話通じそうだし上手いこと千景との架け橋になってくれないかなって期待もある
- 977 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/03(金) 17:52:54.91 ID:GwhwlJ6N0
- 千景と仲良くしたいけどそもそも千景相手に限らず陽乃自体に壁あるからなあ
天乃みたいに誰かとくっつく姿が想像できない
- 978 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/03(金) 21:50:15.76 ID:5S8KUoQoo
- では少しだけ
- 979 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/03(金) 21:57:14.46 ID:5S8KUoQoo
-
陽乃「私がいない間、私の情報は探ったりしなかったの?」
美佳「当然、久遠様に限ることなく勇者の皆様の情報を収集しました」
美佳は「ですが……」と歯切れ悪く呟く。
美佳「久遠様の情報は、大社ではほとんどすべて抹消されています。実家の場所も家族構成でさえも。久遠様の情報だけが得られなかった」
大社がもともと所持していた各勇者に関する情報
名前や年齢、実家の住所や電話番号、メールアドレス等々
所謂プロフィール的な内容が書かれた資料も美佳は所持している。
だが、陽乃の情報だけが明らかに少なく、
美佳はそれで満足せずに大社が持っていない情報も集めるべく、
連絡を取り合うことのできる友人や、
陽乃と似て神職の関係者……宮司の娘として知り合った人々にも協力を願って、情報収集を行った。
美佳が大社から得た勇者の情報を基に、
その勇者達の地元に可能な限り赴いて貰ったのだ。
美佳「伊予島様のご両親の巻き込まれた事件と、その際に久遠様の起こされたことも伺ってます」
- 980 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/03(金) 22:38:20.79 ID:5S8KUoQoo
-
陽乃「別に面白い話でもなかったでしょう」
美佳「ええ。聞くに堪えない話でした。でも、知る必要はあった話かと」
美佳は努めて冷静な声色で答えると、
僅かに顔を顰めて、陽乃から少しだけ視線が外れる。
美佳「ただ、久遠様についてまともに話を聞けたのは伊予島様のご両親からのみで、それ以外は口を閉ざすか、化物か人殺しか……元凶か。あまり良い話は伺えませんでした」
陽乃「でしょうね」
陽乃が当然とばかりに笑みを浮かべると、
美佳は「はっきりいって異常です」と首を振る
美佳「一番の情報源はインターネットになるほどにです」
陽乃「有名人だから仕方がないわ」
美佳「殺人を犯したとはいえ名が伏せられるどころかニュースにすらなっていなかったのに、個人情報さえ転がってるのが有名税なわけがありません」
陽乃「まぁ、そうだけど」
美佳「知っていますか? ネット上では火事で焼失した自宅と神社は笑い物にされ、行けば呪われる廃屋として弄ばれてもいることを」
- 981 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/04(土) 00:08:02.53 ID:dqRzI2imo
-
陽乃「へぇ……知らなかったわ」
陽乃は対して重要でもないことのように言う。
自分のことが晒されていることは知っていたが、
暫く諏訪にいて、昨日帰ってきたばかり。
それ以前から陽乃の端末は没収されたままだったため、
インターネットなんてほとんど活用できていない。
そもそも端末があるからと言って調べたいとも思わないかもしれないが。
美佳は陽乃の興味なさげな雰囲気に、顔を顰める。
美佳「神々の居られる神社に手を出されて、よく平気な顔をしていられますね」
陽乃「3年も前のことだもの。それに……」
そんな被害なんて気にならない程のものに手を出されてしまったし、
住まう神々は消えてしまったわけではなく、陽乃を依り代にして今も身近にいる。
宇迦之御魂大神様に関しては歌野の方だけれど。
陽乃「私が生贄から逃げたって話は聞いた?」
美佳「……お役目から逃げた、とは」
ぴくりと眉を動かした美佳から目を逸らし、
陽乃は小さく笑う。
陽乃「古くから神職に携わる血筋として、与えられていたお役目というものがあったらしいわ。まぁ、それに従ってあげる義理はないし、奉っていた神々はそれを望んでいたわけではないし」
全くの無意味だったんだけど。と、陽乃は失笑してしまう。
陽乃「その様子だと、そこまでは調べられていなかったのね」
- 982 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/04(土) 00:22:33.65 ID:dqRzI2imo
-
美佳「そうですね……ただお役目を全うしなかったという程度しか」
陽乃「私が本当のことを言ってるとも限らないんだけど」
美佳「嘘をついているようには見えませんが」
美佳は陽乃を観察するように見ながら言う。
陽乃の話も一切聞く耳を持たないというわけではないようだが、
その視線はやや冷ややかなものを感じる。
美佳「久遠様の件は、とにかく悪評しか聞こえてきません。唯一話が聞けるのは勇者の身内だけ」
陽乃「それも、伊予島さんの両親だけでしょ」
美佳「そうです」
美佳は静かに頷くと、
ポケットから取り出した懐中時計を一瞥して一礼する。
美佳「そろそろ時間の為、失礼します。暫く時間がかかりそうですし……また来ます」
陽乃「別に来なくたって恨んだりしないから気にしないで頂戴」
美佳「そういうわけにはいきません。 " お役目 " ですから」
美佳はあえてお役目を強調する。
その皮肉のような口ぶりにも、陽乃は興味なさげな反応を見せるだけだった
- 983 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/04(土) 00:23:36.22 ID:dqRzI2imo
-
√ 2018年 9月14日目 昼:病院
↓1コンマ判定 一桁
01〜10 九尾
23〜32 大社
45〜54 水都
67〜76 襲撃
↓1のコンマ
※それ以外は通常
- 984 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 00:24:45.61 ID:7GV+zGD4O
- あ
- 985 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/04(土) 00:32:17.31 ID:dqRzI2imo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であれば少し早い時間から
- 986 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 00:43:59.27 ID:7GV+zGD4O
- 乙
早く体治してみんなと集まりたいな
- 987 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 00:49:19.51 ID:JEhVnvR8O
- 乙
もう陽乃さんの居場所が杏のご両親か諏訪の人たちのところくらいしかないんだな…
- 988 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/04(土) 21:51:06.01 ID:dqRzI2imo
- では少しだけ
- 989 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/04(土) 21:53:18.69 ID:dqRzI2imo
- √ 2018年 9月14日目 昼:病院
陽乃「退屈に殺されそう……」
歌野が言っていたけれど、陽乃は普通の手段で会いに来ることが出来ない状態の為、
病院の関係者を除くと基本的には誰もいない。
そのうえ、自力で何もできないから、
陽乃は常に退屈だった。
九尾「休んでいればよかろう」
陽乃「熊のように冬眠でもしろって言うの?」
九尾「人間にはできぬが、妾ならさせてやる事もできるぞ」
陽乃「死ぬわよ」
体のつくり上、そう出来るようなものではない。
病院にいれば、延命のような形でどうにかして貰えるだろうから、
実際には死にはしないが。
陽乃「で、どうだった? 新しい巫女は」
九尾「殺してやってもよかったのじゃぞ」
陽乃「……言うと思った」
茶化すでもなく、真顔で答えた九尾を一瞥し、
陽乃は呆れたように呟く
美佳の影に混ざっていた九尾の動きで察してはいたが、
はっきりと言われてしまうと、困る。
新しい巫女が、陽乃のお見舞い後に行方不明になったり死体で発見されたら陽乃が不味い。
- 990 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/04(土) 22:46:07.65 ID:dqRzI2imo
-
陽乃「あそこまで毛嫌いしてくれる子は久しぶりだったから、私は嬉しかったけど」
九尾「主様は阿呆なのかや?」
陽乃「だって、私が求めていたのはああいう人間関係だもの。誰一人として、私のそばにいない……」
九尾「それでいて、退屈に殺されるとは愚かしいものじゃな」
鼻で笑う九尾を陽乃は睨む。片手でも動かせたなら小突いてやることもできるが、
そうもいかない状態の陽乃は、
傍で愉快そうにしている九尾には恨み言を呟くくらいが関の山だった。
陽乃「それはそれ。これはこれよ」
九尾「じゃが、今の主様にはもう切り離せはせぬであろう」
陽乃「楔が打ち込まれた痕は、それが抜けても消えることはないわ。そして、そこにまた新しく付け替えるだけ。ピアスみたいに」
まだ幼い頃、耳がキラキラとしている大人の女性を見て、
自分もやってみたい。だなんて言った記憶がある。
それを聞いた雇い巫女……確か高校生辺りの女性から、
耳たぶを摘まんで、ここに穴をあけるんだよ。と。自分のピアス穴を見せてきて、
痛みが怖くて泣いたことも、陽乃はなんとなく覚えていた。
陽乃「私の意志に関係なく、勝手にねじ込まれたものなんて抜けない。そうする勇気がない」
九尾「主様の生き方には、主様の望みはあまりにもそりが合わぬ。早々に捨て置くべきであろうな」
- 991 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/04(土) 23:18:34.39 ID:dqRzI2imo
-
陽乃「……親しみを持ったって、努力したって、捨てられるときは捨てられるのよ。なのに、どうして身を寄せなければならないの?」
九尾「その方が死なずに済む。と、言いたいところじゃがのう」
普通なら、
人は己の力が及ばない事柄への対処をするために人の手を借りる。
産まれたばかりの赤子が、救いを求めて泣くように。
狐がトラの威を借るように。
しかし、陽乃は人の輪の中心に率先して留まり続けてきたけれど、
人柱として捧げられ、持ちうるほぼすべてのものを奪われ、
友人知人ですら離れて行った。
そんな陽乃に、生きる術の1つだなんて言葉が通用するわけがない。
九尾は困った様子で、ふむ。と唸る。
九尾「妾は無理にとは言わぬ」
陽乃「なら言わないで頂戴」
とはいえ、
陽乃は他人はどうでもいいといったり、
自分の為とは言うものの、結局は人を守るために何度も死にかけている。
九尾はどうしようもないと言った様子で、ため息をついた。
1、他の勇者の様子を見てきて頂戴
2、白鳥さんは上手くやってる?
3、上里さんは呼べないの?
4、勇者を強化しないと、私が休めないわ
5、イベント判定
↓2
- 992 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 23:20:50.33 ID:4rgNOVEC0
- 1
- 993 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 23:21:05.37 ID:7GV+zGD4O
- 1
- 994 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 23:21:06.64 ID:JOnrfy9/O
- 1
- 995 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/04(土) 23:29:09.76 ID:dqRzI2imo
-
では本日はここまでとさせていただきます
明日も可能であればお昼ごろから
- 996 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 23:31:09.14 ID:qErGwP7Y0
- 乙
- 997 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/05(日) 00:07:49.78 ID:/ryCqhKwO
- 乙
陽乃にはもうひとつ殻を破って欲しいけどなあ
- 998 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/05(日) 15:12:55.65 ID:FedYBPuSo
- では少しずつ
- 999 : ◆QhFDI08WfRWv [saga]:2021/12/05(日) 15:16:30.04 ID:FedYBPuSo
- 次スレ
続きはこちらで
【安価でのわゆ】久遠陽乃は勇者である【6頁目】
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- 1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2021/12/05(日) 15:20:15.66 ID:Zw3oiAVWO
- 了解
- 1001 :1001 :Over 1000 Thread
- (ヽ、 _ヽ、 )\ ヽヽ
_ヽ、 ⌒ ヽ、 \\
\ ̄ __ )ノ ヽヽ
∠⌒ / ) ⌒ヽ | |
) / ゙̄- く \ ノノ
/ /ノ^)___)ノl ヽ_//
/ //(/ !_|_| ヽ三ヽ
レヘ |j(/l_/ |ノヽ |──)
ノ (/l_/ /⌒| | | | ! |二 二ヽ
/ |_/__| | | -| | ノノ ノ── 、)
/ `───| | ノ -| | |/(()) ヽ
/⌒) ∧ ヽ/_// /j()ノ_ (()) i
// ノ |_// / ̄ ̄`\ (()) j
(ヘ  ̄ | ヽ \ /
)/(/) / ⌒ |⌒ヽ |\ /i\ /| )ヽ
|/ | ! / | ノ | ( (
)ヽ | / / ( ((| ) ヽ
( ) | / / ヽ| ( )
) ( 、 / ) |ヽ、_ __ ノ ) (
( ヽ (( / /−、| ( ヽ
( ) ) )ヽ ヽ_ノ | | ヽ ノ )
) ( ( ノ ) | | ( ( ( (
(_ ノ )( ( ( / /^) ) ) )
) / / / ( ( _ノ
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.ト、. /ヽ |\ /ヽ /”゙ォv' .// // /
|. ヽ./ | ヽ! .`、/ ヽ,/ ' /_ _
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_ヽ ,llllllllllllllll!' ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,  ̄ ̄ ̄''_,-
\ ,illll!' ,illll!' !!!!lllll!!!!l゙` ,,, ,,, ,r-'''゙ ̄
> ゙゙゙゙' .,illlll゙ lllll| llllllllll!!!!! llll !ll! iiii,, <_.
/_ .,illlll' ,,,,,,,llllll,,,,,,,,,, ,,,iillll!!゙ >
 ̄/ ,llll!!' lllllllllllllllll!!!l_ :ll!!!゙゙゜ <_
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( ⌒ )
l | /
.__⊥_ <こんなおわらせかたじゃあ、
(____) あとがこまるじゃないか!
|_ノ_ヽ ヽ
| 3 | ◎| ̄ ̄6) なんというむせきにんなわしだ!!
( ̄○丶 .|
ヽ_◎__/)
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