【テイルズオブゼスティリア】ロゼ「アリーシャがいるなら」

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38 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/27(日) 22:07:35.83 ID:yweB4NBm0
俯いた目が潤んでいるようにも見える。そんな表情にロゼは鋭い痛みを覚えた。

アリーシャがスレイの名を口にするたび、心が遠くなるような、根拠のない不安がまとわりつく。

アリーシャ「私にも黙っていたのは事情があったんだろうと思うけど、」

ロゼ「待てって!あたしの話を聞け!」

アリーシャの肩を掴み、強い口調で黙らせる。しかし相変わらず彼女は目を合わせてはくれない。

ロゼ「あれは通行証の、」

アリーシャ「違うんだ」
39 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/27(日) 22:09:54.86 ID:yweB4NBm0
説明を始めると今度はロゼが遮られた。

ロゼ「なにが?」

ロゼは苛立ちを隠そうともせずに口調に乗せる。

アリーシャ「本当は分かってる。それは私が拘束されていた時の話で、ロゼとスレイが出会ったのがその一年前だと聞いた。スレイは私と会うまで人間には会ったことがない。それにマーリンドで別れてすぐそんな関係になるとも思えなかったし、ロゼは通商条約があるからきっとスレイを通すためにひと芝居打ったのだろうと思ってる」

冷静な見解にロゼは一歩下がった。

ロゼ「そこまで分かってるなら」

ほっと息を吐くが、アリーシャの話し方が公務の時のようになっていることがカンに障った。まだなにか彼女には気がかりなことがあるのだ。
40 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/27(日) 22:11:57.68 ID:yweB4NBm0
少しの間、黙るアリーシャを待つ。

アリーシャ「……でも、その後何ヶ月も会っていない時期があるし、もしかしたらと思うと」

話す声がわずかに震えている。

アリーシャ「本当に二人がそうならどんな顔をしたらいいのか分からなかった」

俯いたまま、アリーシャは苦しげに呟いた。

ロゼ「でもそれは違うって分かってるじゃん」

アリーシャ「そうだけど、そうじゃない」
41 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/27(日) 22:13:26.89 ID:yweB4NBm0
きっぱりと言って彼女は黙ってしまった。

また少し待ってみたが、何も言わないアリーシャにロゼは短気を起こしてしまう。

ロゼ「その話し方、やめてよ」

まるで他人みたいだと思った。

何を言いたいのか察することができないままその態度でいられるのは不愉快だった。目を合わせようとしないアリーシャの顔を無理に覗き込むと、辛そうに唇を噛んでいる姿が見えた。

ロゼが思う以上にアリーシャのスレイへの気持ちが強いことを突きつけられている気がした。
42 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/28(月) 08:09:31.03 ID:TeJL120M0
ロゼ「アリーシャ……」

これが涙をこらえる仕草だと勘付いて、ロゼは体を引いた。

いつもなら軽口でからかうように慰めるのだが、今は胸が痛かった。自分のせいだと分かっていても、どうして彼女がこんな風に苦しんでいるのかは分からない。

ただ悪い方にしか考えられなくて、次の瞬間にはロゼを突き放す言葉が放たれるんじゃないかと思ってしまう。

ロゼも黙り込んでしまい、その理由にアリーシャも気付いたようだった。彼女がぎゅっと拳を握ったのが見えた。

アリーシャ「私は……っ」
43 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/28(月) 09:52:39.02 ID:AzyPXNqW0
口を開いた途端、彼女の目からは涙がこぼれた。

ずっと我慢をしていたはずなのに。無理に喋らせたのは自分なのだと分かっているから、ロゼは何も言えなかった。

涙を拭ってやることすらできずに、これから告げられる言葉をただ聞くことしかできない。

アリーシャ「私は、ロゼを誰にもとられたくない……!」

潰れそうな声を絞り出してアリーシャは顔を伏せた。

ロゼ「ぅえっ?」

間の抜けた声だけが口から出てそのまま思考は停止する。

どこかで聞いたようなセリフだ。
44 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/28(月) 09:54:08.74 ID:AzyPXNqW0
思ってもみない言葉にロゼは困惑してしまって、両手が宙をおろおろと舞う。

ロゼ「えっ、あたし?スレイじゃなくて?」

アリーシャはロゼの反応を見るのが怖いのか顔を上げずに言葉を続けた。

アリーシャ「スレイとどうだとかじゃなくて……いつかロゼが誰かとどこかへ行ってしまうんじゃないかと思ったら、なんか胸が苦しくなって……!」

声を詰まらせながら涙混じりに叫ぶアリーシャに、ロゼははっと顔を上げた。

ロゼ「お、落ち着こ?」

アリーシャの肩に触れるが、それも払いのけられてしまって取り付く島がない。
45 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/28(月) 09:55:39.34 ID:AzyPXNqW0
アリーシャ「おかしいと思うでしょ?ロゼがいなくなるのがこんなに怖いなんて……っ」

もう涙が流れることに開き直ったのか、アリーシャは何度も目をこすって涙を拭う。しかしそれは次から次へと溢れてアリーシャの顔を濡らし続けた。

ロゼ「アリーシャ。目、こすらないで。腫れるよ」

いよいよ心配になってロゼは取り乱すアリーシャにできる限り優しく声を掛けた。

アリーシャ「だって!」

ロゼ「だから、落ち着けっての!」

結局短気を起こして、アリーシャの両手の自由を奪う。

何度か振り払おうとするが、ロゼはその手を離さない。普段のアリーシャはこんなに非力ではない。痛みが伝わってくるようで、ロゼも胸が苦しくなった。
46 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/28(月) 09:56:52.15 ID:AzyPXNqW0
ほどなくしてアリーシャは抵抗をやめて顔を上げた。そして潤んだ瞳でロゼを見ながら弱々しく口を開く。

アリーシャ「ロゼのことが、好きなの……」

時間が止まった気がした。心臓を掴まれて鼓動と呼吸が止まったみたいだ。

とっくに気付いていたけれど、直接彼女の口から告げられたことに衝撃を覚える。何も言い出せなかった自分とは違う。

アリーシャの言葉は全てロゼが思っていたことと同じものだった。しかしこんなふうに言葉にすることはロゼには出来なかった。

口にしたら今の関係が終わってしまうと、彼女はそうは考えなかったのだろうか。そんな疑問が浮かんでくる。
47 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/28(月) 15:49:24.10 ID:AzyPXNqW0
ただ、そんな真摯な態度が羨ましくてロゼは目を細めた。

ロゼ「あーあ、言っちゃったね」

ロゼはアリーシャの手を掴み上げたまま唇を重ねた。

身体がこわばって、アリーシャは石のように固まった。しかし涙はまだ止まっていない。

ロゼ「泣くなって」

唇を離して呟き、また口付ける。

アリーシャ「んっ、ロゼ……!」

今度はアリーシャに反応があった。相変わらず涙は溢れている。

ロゼ「まだ泣いてる」
48 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/28(月) 15:51:11.14 ID:AzyPXNqW0
アリーシャ「ロゼ、待っ……、ろ、ぜ……っ」

何度も口付けを繰り返し、アリーシャはそのたびに甘い声でロゼの名を呼んだ。

潤んだ目と、力なく抵抗する姿。吐息の混じる声。

本当に嫌がっていたならやめるつもりだったのに、拒むような仕草の中に誘う視線がある。もっと続けていいのだと、どんどん理性が奪われていく。

アリーシャ「は……っ、んんっ」

信じられないほどに艶を帯びた女性が目の前にいる。普段の凛とした声色がこんなに化けるとは思わなかった。
49 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/29(火) 12:50:14.32 ID:kuKWrxMJ0
いつのまにかアリーシャを拘束する手を離し、ロゼは彼女の腰に手を回していた。

そして唇を割って舌を差し込む寸前、アリーシャの涙が止まっていることに気が付いた。

ロゼ「やっと泣き止んだ」

興奮した息遣いを気取られないよう、熱を吐き出す。もう少しで後に引けなくなるところだった。

ロゼ「そこ座ってて」

ロゼはベッドを指してアリーシャを座らせると、水差しでハンカチを濡らして手渡した。
50 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/29(火) 12:52:31.22 ID:kuKWrxMJ0
ロゼ「目、赤いよ」

アリーシャ「誰のせいだと思ってるの……」

受け取ったハンカチを両目に当てて、アリーシャは恨めしそうに呻いた。

話し方が戻っていて安心する。いつものアリーシャだ。

アリーシャ「ロゼごめん。困らせちゃった」

鼻をすする音がした。そのかすれた弱い声が可愛らしいと思ったが、アリーシャが気を悪くすると思って口にはしないでおいた。

ロゼ「困ったけど、嫌じゃないから」

ちらりとアリーシャを見る。
51 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/29(火) 12:54:23.93 ID:kuKWrxMJ0
下を向いて目を冷やしているせいでアリーシャからはロゼが見えない。

それをいいことにロゼはアリーシャの髪の毛の先から肩、胸、腰、腿を流し見た。鼓動が早くなっているのを感じてロゼは頭を振る。

だめだ。このままアリーシャといたらまた何かしてしまいそうだった。

ロゼ「明日、ラストンベルを出るの?」

なんとか気持ちを散らそうとアリーシャに話を振る。

アリーシャ「うん。少しでも進んでおきたいから早朝には出るよ」

ロゼ「ペンドラゴからレディレイクに戻るのは?」
52 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 00:37:27.65 ID:/DIFFN/J0
アリーシャが顔を上げた。

アリーシャ「二十日後には会談があるからそれまでには」

ロゼ「行ってすぐ帰らなきゃじゃんそれ。ほんと多忙極まってるよね」

アリーシャ「それだけ信頼されているんだと思うから頑張るよ」

困った顔をして笑うアリーシャの様子から、無意味な仕事を押し付けられていた頃とは違い、大切な仕事を任されているのだと知れた。疲れているようで、充実しているようにも見えた。

ラストンベルでは以前からアリーシャの噂が多く流れていた。アリーシャの人気が高いのはロゼにとっても誇らしく思えて、同時に寂しいと感じたこともある。アリーシャが違う世界の人間であると思い知るのが嫌だったのだと、今のロゼにはそれがよく分かる。
53 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 00:39:00.96 ID:/DIFFN/J0
アリーシャが瞼に手を触れる。

ロゼ「平気?」

ロゼはアリーシャのすぐ近くにまで顔を寄せた。

いつもの綺麗な二重だ。まだ赤いがすぐ引くだろう。

普段からこのくらいの距離だったはずなのに今はやはり意識してしまう。

自分の行動を思い返す。アリーシャの顔色を無言で伺ってみるが、いつもと態度は変わりない。ロゼもそれにならって気にしないよう務めた。

アリーシャ「心配してくれてありがとう」

間近で聞こえるアリーシャの声に、気持ちが反応する。
54 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 00:40:27.45 ID:/DIFFN/J0
やはり彼女に目を惹かれて健全な感情ではいられなかった。

アリーシャ「明日は早いからもう寝るよ」

ロゼの理性が切れる前にアリーシャがそう切り出した。

安心が半分、残念という気持ちも半分くらいはあった。

アリーシャ「一方的に喚いてしまったけど、ちゃんと話せてよかった」

こういう時に、恥ずかしい部分を誤魔化さないで言い切る真面目さには、感心するし呆れもした。アリーシャにはあまり得にならないからだ。

それでもこうしたデメリットから国民の信頼が得られるのだとも分かっているから、ロゼはアリーシャを否定したりはしない。
55 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 00:42:06.96 ID:/DIFFN/J0
立ち上がるアリーシャの背を追い、扉の前で声を掛けた。

ロゼ「こっちの仕事が終わったらレディレイクでアリーシャが戻ってくるのを待ってるよ」

するとアリーシャがこちらを向いて満面の笑みを浮かべた。

アリーシャ「うん」

こんな顔をするアリーシャは初めてではないはずなのに、今日は特別眩しく見えた。

ロゼ「それじゃ。おやすみ」

ロゼが手を振ると、アリーシャは自分の部屋に戻っていった。階段を上っていくアリーシャの姿が見えなくなるまで見送ってから、ロゼはしばらく佇んだ。

疲れた気がしたけれど消耗したわけではなくて、むしろ充実した気持ちでいる。
56 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 12:48:52.10 ID:XCpCy5PT0
自室の扉を閉めようとするタイミングで、上の階からガタッと大きな音が聞こえた。そしてわずかに女の人の叫び声が届く。
 
アリーシャの悲鳴だと瞬時に判断してロゼは走り出した。上の階に着くとアリーシャが部屋の前で扉を開いたまま固まっていた。

ロゼ「アリーシャ!どうしたの!?」

すぐに部屋とアリーシャの間に体を割り込ませて彼女を庇う態勢になる。

しかし視線の先には見知った顔。

ロゼ「ライラとエドナ!?」
57 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 12:50:14.43 ID:XCpCy5PT0
エドナ「なにようるさい。宿屋では静かにしなさいよ」

アリーシャが寝るはずのベッドにはエドナが寝そべっていた。

ライラ「てっきりアリーシャさんはロゼさんの部屋に泊まると思っていたので」

ライラも同じように室内でくつろいでいる。

アリーシャ「お二人共なぜ私の部屋を……」

エドナ「女将に聞いた」

この宿屋の女将は以前の事件で憑魔の姿が見えていたくらいには霊応力が高かった。今では天族と会話が出来るほどになっていて、スレイの恩恵を感じる。
58 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 12:52:30.73 ID:XCpCy5PT0
ロゼ「とりあえず二人共戻れ!アリーシャ、気にしないで」

ロゼは二人を引きずり出し、アリーシャを部屋に押し込んだ。

ロゼ「バタバタしてごめんね。ゆっくり休んで。おやすみ」

早口でまくし立てるとロゼはエドナとライラを自室へと引っ張った。そしてアリーシャとの余韻を壊されたロゼは、怒りのままに二人を怒鳴りつけた。

ロゼ「あんたらなにしてんの!」

目を釣り上げるロゼに、エドナはあからさまにめんどくさそうな顔をして見せる。

エドナ「なにって、宿の部屋でふたりきりなんだから好きなようにすればいいのよ」

ライラ「普通はそのまま朝まで帰ってこないと思いますよね」

エドナ「せっかく気を遣ってあげたのに。あなた達、子供じゃないんだから」

ライラ「アリーシャさんの気持ちも考えてあげてください」

ライラと交互に言葉を叩き付けられて、ロゼは言い返せずにいた。
59 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 12:54:40.03 ID:XCpCy5PT0
ロゼ「いやまだそういう段階では……」

彼女たちのいう状況を想像をして顔に熱がこもる。

二人の顔は呆れるなどという段階はとっくに通り過ぎていて、エドナに至っては初めて見るくらいに眉間にシワを寄せていた。
エドナ「あんだけ言わせといて情けないと思わないの?」

ロゼ「なんで内容知ってんの!?今度こそ覗いてたでしょ!」

エドナ「真下の部屋であんな大声で騒いでたら聞こえて当然よ。アリーシャが喚いてた声くらいしか聞こえなかったけど」

ロゼは羞恥心で頭が爆発しそうになりながら、ほとんど逆切れのように叫んだ。

ロゼ「だってしょうがないじゃん!あたしだっていっぱいいっぱいだったんだから!」
60 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 12:56:21.11 ID:XCpCy5PT0
エドナ「アリーシャに聞こえるわよ」

エドナに冷めた声で告げられて、今更ロゼは自分の口を塞いだ。

それと同時に、なんでこんなことになるのかとひどく理不尽な気持ちになってロゼは肩を落とした。

しかし自分とアリーシャを想ってくれているのだと分かっている。

怒ってはいない。疲れはするけれど。

ロゼ「アリーシャはスレイのことが好きだと思ってた……」

今度は上に聞こえないよう声を落とす。

エドナ「そういう時期もあったかもしれないけど、憧れとか尊敬とか、そんなものじゃないかしら。自分自身の思想の励みにしていたところもあると思うわ」
61 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 12:57:40.30 ID:XCpCy5PT0
エドナに言われ、思い出を巡らせてみる。

元々、アリーシャは王族という関わりの薄い相手で、ロゼがスレイの従士になった後も仲間意識を強く持っていたわけではない。だからアリーシャの思い入れはいつも、スレイに向かっているような気がしていた。

エドナ「納得行かないならそれでいいわ。ワタシの主観だけれど、あなたを見る目とスレイを見る目は、それぞれ意味が違っているんじゃないかしらね」

見透かされた気がして、ロゼは言葉を失った。

アリーシャがスレイの代わりに自分を選んだのではないかと、少しだけそんな考えがよぎっていた。

ロゼ「アリーシャはいつからあたしのこと好きだったんだろ」

胸裡にぎごちない不安や葛藤のようなものが残っていて、ロゼは首の辺りをもぞもぞと掻いた。

彼女の気持ちは嬉しいけれど、手放しで喜べないのはどこかで信用できていないからなのかもしれない。
62 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:22:53.66 ID:/DIFFN/J0
エドナ「さあね。本人が自覚したのは今日なんでしょうけど。ロゼも自覚する前から周りに気付かれてたじゃない」

それは前にも言われたので分かっている。始めは理解していなかったが、今は彼女への感情が以前から特別なものだったと思い当たる節はあった。

ロゼ「なんかあたし嫌われるかもとか、すごく余計な心配してたなってちょっと思ってる」

ロゼが言うとエドナは「いまさら?」と長い長いため息をついた。

エドナ「あなたと話してると疲れるわ」

気がつけばライラもいつの間にか姿を消していた。
63 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:26:14.85 ID:/DIFFN/J0

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ミクリオ「まだアリーシャの家に行かないのかい?」

宿屋でだらけるロゼにミクリオが声を掛ける。

ラストンベルでの仕事を終え、レディレイクに到着してから三日が経過していた。

ロゼ「帰ってきてないみたいだから」

屋敷に行かなくても、アリーシャがレディレイクに帰ってきていたら、街の誰かがうわさ話くらいしているだろう。

しばらく仕事が忙しかったので休暇だと思って過ごしている。

ロゼ「体、なまるなあ」
64 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:28:34.42 ID:/DIFFN/J0
すぐ近くにいるミクリオに目を向けると、声を掛ける前に彼の方が口を開いた。

ミクリオ「訓練には付き合わないぞ」

ロゼ「まだ何も言ってないけどなんでよ」

尋ねてもミクリオはめんどくさそうな顔をするだけだった。

ミクリオ「ザビーダに頼んだら?」

ロゼ「やだ。あいつは強くて話にならん」

決してミクリオが弱いなどとは考えていないが、長く生きているだけあってザビーダには一対一で勝てる気がしない。

それにザビーダはエドナと一緒に霊峰レイフォルクに行っている。聞くまでもなく、親友の墓参りである。
65 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:29:54.18 ID:/DIFFN/J0
訓練の相手としてふとアリーシャを連想する。蒼き戦乙女に師事しただけあって彼女は強い。

ロゼ「騎士姫様か……」

宿屋にいつまでも引きこもっても仕方がないので、ロゼはキャラバン隊に顔を出すことにした。今は別行動をしているが、彼らもレディレイクに来ている。

宿屋を出て滞在場所に向かう途中、突然街が騒がしくなった。

人波に任せて大通りに向かうと、すぐに護衛の兵士とアリーシャの姿を見つけることはできた。街の人に手を振ったり声を掛けたり、移動ばかりの長旅だったのにアリーシャは民に疲れた様子を見せない。

こんな有り様では自分の家に帰るだけでも一苦労だろう。屋敷に行くのは明日でもいいかもしれない。
66 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:31:29.78 ID:/DIFFN/J0
そう思って踵を返す瞬間、

アリーシャ「ロゼ!」

名前を呼ばれて振り返ると、アリーシャが馬を降りて駆け寄ってきた。

人混みの中なのによく見つけたものだと感心する。

アリーシャの姿を見るのはラストンベル以来なのに、彼女の様子に違和感はない。彼女の気持ちを知って以降も、何も変わっていないのだ。

ロゼ「……あたし、馬鹿だなあ」

今までもアリーシャはこんなに好意を向けてきていたのかと、胸の奥から温かいものが込み上げた。全く気付かなかったどころか、彼女の気持ちを疑ってすらいた。そのやましさをかき消すほどに嬉しかった。
67 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:33:07.64 ID:/DIFFN/J0
きっと自分も同じような顔をしている。仲間達が呆れる気持ちがなんとなく分かった気がする。

ロゼが軽く両手を広げると、アリーシャはその意図を察してその腕の中に飛び込んだ。

ロゼ「おかえり、アリーシャ」

アリーシャ「ロゼ。ただいま」

愛しさに頬をすり合わせる。本当は柔らかくて温かい感触を手放したくなかったが、すぐに体を離して向かい合う。

アリーシャ「王宮に報告をして夕方までには戻るつもりだから。良かったら天族の方々も一緒に屋敷に招待したい」

ロゼ「今ザビーダとエドナが外に出てるんだ。だから気を遣わないで。疲れてるんだから帰ったら今日は休みなって」

よく見れば顔色があまり良くない。単純に疲れているのだろう。やっと自宅に戻るのに天族なんて呼んだらアリーシャが気を張ってしまう。
68 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:35:04.25 ID:/DIFFN/J0
アリーシャ「ダメなの?」

ロゼ「ダメとかじゃなくて。あたしが色々引き連れて行ったらあんたを余計疲れさせるっしょ」

心配して言っているのに、アリーシャは眉を下げて不満気に口を尖らせた。

ロゼは、仕方ないなと息を吐いた。

ロゼ「じゃあ、あたしだけでもいい?」

アリーシャの顔に笑顔が戻った。

何故か初めてスレイを通して話した頃の堅苦しい態度を思い出し、ロゼは小さく吹き出した。

あの時はこんなふうに人懐っこく笑う人だなんて思ってもいなかった。そしてそれを可愛いと思うことも想像していなかった。
69 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:37:01.86 ID:/DIFFN/J0
アリーシャ「どうかした?」

ロゼ「どうもしないよ。夕方までに行けばいいのね」

アリーシャ「うん。もし私がいなくても侍女には伝えておくから先に待っていて」

ロゼ「はいよ。まだ忙しいんでしょ」

離れた場所で待つ衛兵を見やると、アリーシャもその視線を追い、公務の顔に戻った。

アリーシャ「早く終わらせてくるから」

ロゼ「いってらっしゃい」

ロゼが手を振ると、アリーシャは王宮の方へと歩き出した。

その背中を見送り、ロゼもその場を離れる。そしてほとんど暇つぶし目的でキャラバン隊に顔を出した後、ロゼは宿屋の自室に戻った。
70 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:39:28.32 ID:/DIFFN/J0
そこではライラとミクリオが二人で天遺見聞録を見ていた。ミクリオは探究心から、ライラは昔の旅を懐かしんで読んでいたのだろう。

ロゼ「ねぇ、あとでアリーシャの家に行くから夕飯いらな、おいやめろその顔」

ついにか、という声が聞こえてきそうなふたりの表情に先手を打つ。

ミクリオ「じゃあ今日はあっちに、いたっ、ライラなにす……」

ライラ「ロゼさん、遅くなりそうならお風呂に入ってきたらどうです?」

ロゼ「ん?ああ、そうだね、ちょっと早いけど時間ならあるし」

妙な小競り合いを不審に思いながらも、流されるまま同意する。

ミクリオを置き去りにしてロゼとライラは大浴場に向かった。
71 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:41:08.07 ID:/DIFFN/J0
ロゼ「あのさあ、あたしってそんなに分かりやすい?」

早い時間の大浴場には他には誰もいなかった。

おかげでロゼが独り言を言っているように見えても気にしなくて済む。

ライラ「何か悩みごとでも?」

ロゼ「悩みってほどじゃないけど、あの子、分かりやすいから見てて恥ずかしい」

ライラ「かわいらしいじゃありませんか」

ロゼ「それあたしにも言ってる?」

ライラ「ええ」

威嚇のつもりで放ったロゼの言葉を、にっこりと笑って打ち返すライラ。
72 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:42:52.02 ID:/DIFFN/J0
顔が熱くなるのはのぼせたからだと言い聞かせ、ロゼは肩まで浸かった体を起こした。

ライラ「嬉しくないんですか?アリーシャさんの気持ちや態度」

ロゼ「聞くなって。どうせ分かってんでしょ」

ちらりとライラを見ると、彼女は満足そうに笑っていてなんだか悔しい。どう答えるかも彼女の思い通りなのだろう。

身近に感じていても彼女は何百年、おそらくそれ以上、この世界を生きてきた。ロゼとは経験値が遥かに違うはずだ。

ライラ「ロゼさんは考え過ぎるのは向いてませんし、難しく考えない方がよろしいかと」

ロゼ「その通りなんだけど、バカにしてる?」
73 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/30(水) 23:44:19.89 ID:/DIFFN/J0
ライラ「いえそんなつもりは!」

慌てて首を振るライラ。

ロゼ「ライラは好きな人いないの?ザビーダとかノルミンとかによく口説かれてるよね」

ライラ「ロゼさんはあの方々を恋愛対象として考えますか?」

ライラが生気のない目をロゼに向けた。

ロゼ「あたしが悪かったわ」

ロゼはため息混じりに告げて、また肩を湯船に浸けた。
74 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:00:14.20 ID:Vysv1cnD0
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宿屋を離れたのは約束よりもまだ早い時間帯だった。

どのくらいの時間に行っていいものかと考えて、とりあえずは明るいうちにアリーシャの屋敷に向かうことにした。

ロゼ「そういや、アリーシャん家に何しに行くんだっけ」

貴族街への階段をのろのろと上りながらロゼはぼんやりと考えた。

もちろん誘われたからだが、今まで彼女の屋敷に呼ばれた時には何をしていただろうと空を仰いだ。

今までは必ずと言っていいほど用件があった。何かを頼まれたり頼んだり、手土産を持って行ったり。

ロゼ「いつもアリーシャが頼みごとしてくるし、ないならないであたしがお土産を……」

ロゼは階段の途中で立ち止まり、顔を片手で覆った。
75 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:02:38.26 ID:Vysv1cnD0
ロゼ「アリーシャもあたしもおんなじことしてんじゃん」

お互いに会うための言い訳を繰り返していたことにやっと気が付いた。

深呼吸をしてロゼはまた歩き始める。今はとにかくアリーシャに会いたかった。

アリーシャの屋敷に着いて衛兵と話し始めると、テラスにいたアリーシャがこちらに手を振った。

ロゼ「もう帰ってたの?」

アリーシャ「思ったより早く解放してもらえたよ」

テラスに上り、アリーシャと向かい合うと彼女はすぐに目を逸らしてしまった。

そのまま背を向けて屋敷内に案内される。
76 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:08:23.28 ID:Vysv1cnD0
広いテーブルについて料理が出来上がるまでの間、少しだけ雑談をした。

周りを見ながら、相変わらず豪勢な家だとロゼは思った。ここに来るたびに内装や置物に感心して、商売根性からつい品定めをしてしまう。

そしてこういう時にも、アリーシャとは住む世界が違うんだと再確認する。

ロゼ「アリーシャ、ほんとに頑張ってるもんね」

運ばれてきた食事に手を付けながら、ロゼはぽそりと呟いた。心の中でとどめておくはずがつい漏れ出てしまう。

アリーシャ「なんのこと?」

ロゼ「全部。お姫様で政治家で騎士で女の子で。全部うまくやっててすごいよ」

そう言うと、アリーシャの目がほんの少しだけ曇った。
77 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:09:29.35 ID:Vysv1cnD0
アリーシャ「うまくはできてないよ。まだまだ悔しい思いをすることもあるから。ロゼは導師で世界を救った一人。セキレイの羽の頭領で。その、あとは、女の子としても魅力的だと思う。私にとってはロゼの方こそすごいって思ってるよ」

アリーシャの称賛の言葉に、ほんの少しだけ後ろめたい気持ちを覚えた。ロゼはアリーシャに風の骨の仕事は伝えていない。

元々暗殺の依頼をメインに生活をしてきたわけではない。災禍の顕主を倒しても、戦争の後始末は続く。それぞれの国の混乱が落ち着くまで、依頼を受けるつもりはない。

アリーシャを狙っていた時期があったせいで、負い目もあった。また彼女を狙うような依頼がいつかはあるかもしれない。そう思うと風の骨のことは彼女には言えないでいた。
78 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:11:25.91 ID:Vysv1cnD0
ロゼ「アリーシャ、ごめん。あたしちょっと無神経なところがあるから。深く考えないで喋ってることがあるから気にしないで」

アリーシャが本来は清廉潔白の真面目な性格をしているのはよく知っている。それがどんなに汚れても民のためであれと、気持ちを押し殺していった様子もよく知っている。

簡単な言葉では済ませられないことは分かっていた。

アリーシャ「ロゼ、大丈夫?」

アリーシャが心配そうにロゼの顔を覗きこんだ。

ロゼ「なにが?」

アリーシャ「珍しく考え込んでるから。らしくない」

ロゼ「あんたまでそんなこというか。バカにしてる?」
79 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:12:47.55 ID:Vysv1cnD0
アリーシャ「またそんな言い方して」

ロゼはまた憎まれ口で返してしまっていることに気付いて口を噤んだ。やはり好意を認めてもこんな調子でアリーシャに接してしまうようだった。

食事が終わり、満腹感に心地よさを感じてロゼはめいっぱい伸びをした。

ロゼ「ごちそうさま。やっぱりここの料理美味しいよね」

メニューを思い返しながら、自分では作れないからと手を振った。

アリーシャ「ロゼもなにか作ってくれたらいいのに」

ロゼ「あたしは料理のたびに味付けを注意されるからダメだよ」

アリーシャ「野宿の時はちゃんとしてくれたじゃない」
80 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:14:58.95 ID:Vysv1cnD0
ロゼ「そう?あれ適当だよ。たまたまうまくいっただけでたぶん同じのは作れないと思うよ」

ふたりで声を上げて笑い、同じタイミングで黙る。

侍女が食事の後片付けをしていくのを眺めて、これからどうしようかと悩む空気が流れた。

まだ外は明るく、活動の時間であることが知れた。

ロゼ「もう少し、一緒にいたいんだけど。まだ時間いい?」

先に口を開いたのはロゼだった。

すぐにアリーシャの 目が素直に輝いたので、ロゼは吹き出しそうになった。

ロゼ「アリーシャの部屋にいこっか」
81 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:19:59.65 ID:Vysv1cnD0
席を立ち、アリーシャの案内で彼女の部屋に向かう。

斜め前を歩くアリーシャに距離を感じる。いつもこんな客人のような扱いを受けていただろうかと疑問を抱いて、ロゼは居心地の悪さを覚えた。

部屋に通されて、パタンと閉じる扉の音を合図に空気の流れが止まった気がした。

ふたりきりの空間になぜかロゼは緊張してしまう。

しかしアリーシャを見れば、いつも通りの涼しい顔をしている。

アリーシャ「適当に座ってくれていいから」

言われるまま、ロゼは近くにあった椅子に腰掛けた。

テーブルにはティーセットがあり、寝る前にでもくつろぐために使用しているのだろう。
82 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:23:39.69 ID:Vysv1cnD0
アリーシャは向かいに座ると思いきや、離れた位置にあるソファに浅く腰掛けた。

意外に思っていると、アリーシャが微笑んで口を開いた。

アリーシャ「ロゼ、ありがとう。今まで通りに接してくれて」

頭に疑問符が浮かべるロゼに向けて、アリーシャは続けた。

アリーシャ「ラストンベルでのこと。あの後、嫌われてたらどうしようってちょっと思ってたから」

アリーシャの穏やかな口調に、ロゼは首を傾げて少しの間考え込んだ。そして勢いよく席を立つ。

ロゼ「ちょっと待て!」

アリーシャの近くに寄って、彼女の顔を覗き込んだ。

なぜこんなに離れた場所に座ったのか。なぜ澄ました顔を続けるのか。
83 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:31:17.99 ID:Vysv1cnD0
ロゼ「もしかしてあたしの気持ち、伝わってないの?」

アリーシャ「えぇっ?」

アリーシャは裏返った声を上げて体を引いた。

ロゼ「あんなにキスしたのに?」

アリーシャの頬に手を添えると、火が付いたように彼女の顔が真っ赤に染まった。

アリーシャ「あっ、あれは、ロゼが私を泣き止ませるために………」

ロゼ「そんな女たらしなことしないよ!まさかあたしが誰にでもあんな慰め方すると思ってんのか!」

アリーシャ「だって…… 」

アリーシャがまた泣きそうになるのを見て、ロゼは一歩下がって息を吐いた。
84 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:32:59.94 ID:Vysv1cnD0
ロゼ「あー……いや、考えてみたらちゃんと言ってないわ。ごめん、あたしが悪い」

アリーシャの目をしっかりと見つめると、彼女は恥ずかしそうに顔を背けたがすぐに視線をロゼに戻した。

ロゼ「あたしもアリーシャが好きだよ」

言い含めるように告げると、アリーシャの目から大粒の涙がポロリと落ちた。

ロゼ「結局泣くの?」

アリーシャ「いや、なんかびっくりしてしまって……」

アリーシャが自分で目を二、三度拭うとそれはすっかり止まっていた。

ロゼはアリーシャの隣に座って身を寄せ、やっとたどり着いた距離感に安心する。肩が触れてアリーシャの体温が伝わってくる。
85 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:34:22.79 ID:Vysv1cnD0
きっとアリーシャも同じことを感じているだろうと、落ち着いた気持ちで考えていた。

ロゼ「アリーシャ、キスしていい?」

アリーシャ「もう泣いてないけど」

ロゼ「そうじゃなくて」

鈍い女だなと考えて、自分も同じようなものだと思い直す。

ロゼ「こないだの。分かってなかったんでしょ」

何も好意が伝わってなかったことが不満だった。

もう一度ちゃんとしたキスをしたい。

やっと彼女もその意味に気が付いて目を見開いた。
86 : ◆U8ABys6DMo :2022/03/31(木) 23:35:59.59 ID:Vysv1cnD0
アリーシャ「待って、私、今すごくどきどきしてて……」

目を逸らそうとするアリーシャの頬にロゼが手を添える。

ロゼ「そんなの治まるまで待ってられない」

体ごとアリーシャに向けて、戸惑う彼女に構わず顔を寄せていく。

アリーシャ「ロゼ、待ってって……」

ロゼ「待たない」

目を閉じて唇の感触をじっくり味わう。

前は夢中で口付けていたから、この柔らかさをしっかりと感じるのは初めてだった。

十分にアリーシャを感じたロゼは、一度身を引いた。アリーシャがどんな顔をしているのかもちゃんと見ておきたかった。
87 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/02(土) 22:57:47.52 ID:eXVwzk5o0
ロゼ「大丈夫?アリーシャ」

アリーシャは思ったより落ち着いた様子で、自分の唇に触れていた。

アリーシャ「ロゼの唇、柔らかい」

ロゼ「いまさらなに」

突然の指摘に思わず冷たい言い方をしてしまう。

しかしアリーシャは気を悪くした様子もなくロゼの顔を見ていた。

アリーシャ「ロゼも赤くなるんだ」

ロゼ「なっ!」

咄嗟にロゼは顔を手で口元を隠した。確かに顔が熱い。

アリーシャ「私からもキスしていい?」
88 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/02(土) 23:06:22.78 ID:eXVwzk5o0
アリーシャが下から覗き込んでくる仕草に、胸が高鳴るのを感じた。

ロゼ「……いいよ」

はっきり告げられるとこんなに照れるものかと思ったが、つい先程アリーシャに強引にキスをしたロゼがそれを表情に出すのは憚られた。

アリーシャは顔を近づけて来るのと同時にロゼの胸に手を当てた。

その仕草と伝わる体温に、また鼓動が高鳴る。

唇が触れて間もなく、ぬるりと舌が入り込んでくるのを感じた。

ロゼ「んんっ」

驚いて身を引こうとするが、アリーシャが強引に体を寄せてくる。
89 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/02(土) 23:53:36.38 ID:eXVwzk5o0
逃げることができず、ロゼは口の中にアリーシャの舌が侵入してくるのを戸惑いながら受け入れた。

なめらかな動きに頭がぼうっとしてきて、徐々に戸惑いが薄れると今度は次第に気持ちよくなってくる。

気付かないうちにロゼもアリーシャの動きに合わせて舌を返していた。

交わる吐息が熱い。唾液が絡んで唇が濡れてくるのを感じながら、構わずに続ける。何度か唇をすり合わせていくうちに、口の端からたらりと粘液が溢れた。

息苦しくなってロゼが唇を離すと、垂れた唾液をアリーシャが舌で拭い取る。

お互いに呼吸は乱れ、気が付けばアリーシャはロゼに覆い被さるくらいに身を乗り出していた。

ロゼ「あ、アリーシャ、激しすぎるって……」
90 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/02(土) 23:54:54.09 ID:eXVwzk5o0
ロゼが震える声で呟くとアリーシャが身を引いた。

彼女は興奮気味に頬を染めてロゼをじっと見つめている。

アリーシャ「ロゼもすごくどきどきしてる」

胸に触れた手に力が入るのが伝わってくる。

ロゼ「当たり前だ」

また口調が強くなってしまったが、アリーシャはもうロゼのこんな態度がただの照れ隠しだと分かっているだろう。
 
きっとまだ頬の紅潮も収まっていない。

アリーシャ「さっきは嫌われるのが怖かったと言ったけど、本当はね、少し期待してた」
91 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/02(土) 23:55:55.13 ID:eXVwzk5o0
アリーシャの微笑む目がいつもより大人っぽく感じられた。白い肌が透き通るように綺麗でピンク色に染まる頬が艶めかしく映る。

ロゼ「期待?」

アリーシャ「ラストンベルで、ロゼが部屋に戻った後、ライラ様が来て少しだけ相談に乗ってくれたんだ。ロゼの事は心配しなくても大丈夫、私を大切に思ってくれているからと教えてくれた」

確かにあの後ライラの姿がしばらく消えて、いつの間にかまた戻ってきていたのをロゼは思い出していた。

ロゼ「ライラってそういう人なんだよね」

いつも仲間のことを気にかけてくれている。茶化しながらもヒントを与えて自分で答えを出すのを待っている。
92 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/02(土) 23:57:30.85 ID:eXVwzk5o0
ロゼ「じゃあなんであたしだけじゃなくてみんなも食事に誘ったの?さっきだってあんまりあたしに近づこうとしなかったし」

アリーシャ「ロゼを怖がらせたくなくて」

ロゼ「怖がるって、あたしが?」

アリーシャが体を起こす。ロゼもその動きに合わせて体勢を整えた。

アリーシャ「性的に見られていると知ったら、何をされるかって不安になるかなって」

目を伏せるアリーシャにロゼは疑問符を浮かべた。

ロゼ「嫌なら逃げるか殴り飛ばせばいいじゃん」

アリーシャ「ああ、まあ、そうだね。ロゼならそう言うよね……」

呆れた声が返ってきて緊張感が薄れる。

また無神経なことを言ってしまったようだ。
93 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/02(土) 23:58:53.01 ID:eXVwzk5o0
ともあれ、アリーシャが何を言いたいのかは伝わってきている。

どう反応しようかと考えながら、ロゼは前髪をくしゃっと掴んだ。

ロゼ「ありがと。アリーシャはあたしを想ってくれてるんだよね」

傷付けたくないというアリーシャの優しさがとても嬉しかった。保身ばかり考えて逃げ腰になっていた自分が恥ずかしくなる。

アリーシャ「ロゼも緊張してたから気を遣ったのに」

口を尖らせるアリーシャにロゼは苦笑いをした。落ち着きがない様子はやはり伝わっていたようだった。

ロゼ「違うよ。緊張してたのはあたしがアリーシャに下心を持ってたから」
94 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/03(日) 00:00:08.59 ID:mgMWc/vn0
ソファを立ち、アリーシャに向き合う。

ロゼ「もう遠慮しなくていいよね」

アリーシャ「ロゼ?」

意味を理解できず、アリーシャは不思議そうにロゼを見上げた。

そんな彼女の手を引いて立ち上がらせる。

頬に軽く口付けながら抱きしめて、ロゼはアリーシャの耳元で囁いた。

ロゼ「ベッド、行こ」

ぴくんとアリーシャの体が跳ねるのを感じた。心臓の音が体に響いてくるがどちらのものとも知れない。
95 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:01:34.21 ID:bYRUa6ZQ0
アリーシャから石鹸の匂いと高めの体温を感じる。旅から帰ったばかりだから、汗を流してきたのだろう。

アリーシャ「……うん」

弱々しく、女の子の声でアリーシャが頷いた。

一人で寝るにしては大きすぎるベッドにアリーシャを座らせて、軽く口付けをする。

始めはゆっくりと。段々濃厚にして、ふたりで口内を探り合う。そしてキスを続けながら体に触れていく。

鍛えられた体はもっと固いイメージがあったけれど、アリーシャの体はしなやかで柔らかかった。服の中に手を入れてなめらかな肌の感触も確かめていく。
 お互いに服を脱がせ合って、すぐにどちらも上半身と下半身、それぞれに薄い布を一枚残すだけになった。
96 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:03:20.87 ID:bYRUa6ZQ0
明らかに緊張した様子でアリーシャはロゼを見ている。

ロゼも今までにないくらいに緊張していた。走り回った後みたいに心臓がバクバクと跳ねている。

うまくできるだろうかと考えながら、ロゼはアリーシャのインナーの裾に手をかけた。

ロゼ「いい?」

尋ねるとアリーシャはロゼの手に自分の手を添えて小さく頷いた。

ロゼは思わず喉を鳴らし、ゆっくりと服をめくった。

真っ白な腹が見えて、その先の膨らみがあらわになっていく。小さな突起が見える瞬間、アリーシャがそれを隠そうと手を出してきたがそっと制止する。

ロゼ「見せて」
97 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:04:59.94 ID:bYRUa6ZQ0
するりとめくり上げてその布を奪い取る。形の綺麗な双丘がむき出しになると、ロゼの中で不思議な衝動が湧き上がってくるのを感じた。

一緒に旅をしている間、何度かアリーシャの体を見る機会はあったがこんなにまじまじと見つめたのは初めてだった。

腰のくびれや脚の曲線、肌の柔らかさにアリーシャが魅力的な女性であることを改めて意識する。

アリーシャをベッドに横たわらせて、その上に跨る。恥ずかしがる彼女に合わせて自分のシャツも脱ぎ捨てた。

まるで魅せつけるようで恥じらいを感じたがそれはアリーシャも同じだ。

アリーシャ「ロゼの体、綺麗」

艶めかしい声に鼓動が大きくなるのを感じた。
98 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:06:02.47 ID:bYRUa6ZQ0
視線が上から下へと移動し、じっくりと眺められているのに気付いてさらに羞恥心が込み上げてくる。
 
そしてロゼも同じことをしていることに気付いた。

ロゼ「アリーシャだって」

体を眺めながら所々に小さな傷があるのを見つける。

きっと日頃の訓練や実戦で付いたものだろう。決して生半可に騎士姫なんて呼ばれていたわけではないと知れた。

ロゼにも傷は数えきれないほどにあった。以前、ペンドラゴで重傷を負ったこともあったがそれはライラが綺麗に治してくれた。今思えば大きな傷が残らなくて良かったと思う。アリーシャにもそんな傷がついたりしたら嫌だなとふと考えた。
99 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:07:19.40 ID:bYRUa6ZQ0
ロゼがアリーシャの首筋に唇を這わせると体がぴくんと揺れた。

ロゼ「ほんとはあたし、もっと前からアリーシャに言わなきゃいけなかった。アリーシャが告白してくれるより前にあたしも好きだって思ってたから」

耳たぶを喰んで、耳から首にかけて順番に口付けていく。返答はなかったがロゼは続けた。

ロゼ「嫌われるのが怖くてずっと黙ってて、あたしから告白なんて考えもしなかった。アリーシャが告白してくれて、あたしが、いつからか分からないくらい前からアリーシャを意識してたって気付いたんだ」

アリーシャの手を取り、指を絡めると、彼女は緩やかに握り返してきた。首から鎖骨を舌でなぞるとアリーシャの口から息が漏れた。
100 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:08:37.59 ID:bYRUa6ZQ0
ロゼ「ここが気持ちいい?」

アリーシャ「あっ」

舌でぐりぐりと鎖骨の下を押し込むと声が上がった。初めて聞くアリーシャの高めの声。

絡めた指がロゼの手の甲に食い込んで、素直な反応に気分が高翌揚する。

ロゼ「ごめんね。アリーシャばっかり頑張らせて。気持ち隠しててごめん」

体を起こしてアリーシャの顔を覗き込むと、彼女は微笑んでいた。

アリーシャ「ロゼが私のことを想ってくれてたのはちゃんと分かってたよ。いつも会いに来てくれて、私のことを心配してくれて、不安にさせないようにしてくれてたの、分かってるよ」

ロゼ「そんなの、あたしは分かんないよ。あたしは思うままにアリーシャに接してただけで」
101 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:10:18.55 ID:bYRUa6ZQ0
アリーシャ「きっとみんなは気付いてたよ。ずっと一緒にいる人たちも私と同じことを言うと思う」

少し考えてロゼはがっくりとうなだれた。

確かに彼らはそう言うだろう。分かりやすいと何度言われたことか。

ロゼ「アリーシャだってあたしのこと好きすぎて恥ずかしいくらいなんだけど」

アリーシャ「ええ!?」

悲鳴を上げるアリーシャに、この子も自覚がなかったのかとロゼは苦笑した。

再びアリーシャに被さって体に唇を落としていく。アリーシャも興奮しているのか、時折声を我慢し切れずに息が漏れている。

ロゼ「声、聞かせて」
102 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:12:46.43 ID:bYRUa6ZQ0
鎖骨の真ん中を指でなぞりながらゆっくりと下ろし、柔らかく膨らんだ胸に手を伸ばした。

アリーシャ「ロゼ……っ」

不安げに見つめてくるアリーシャの唇を奪い、優しく乳房を揉んでいく。

唇の間に舌を割り込ませて歯列をなぞる。指が一番先にある小さな突起をつまみ上げると、アリーシャがやっと声を上げた。

口付けたままの悲鳴は脳内に直接響いてくるみたいで、ロゼにも興奮を与えてくる。

どんどんアリーシャの体が愛おしくなって、ロゼは反対側の先を口に含んだ。

アリーシャ「は……あッ、ん」

声が出るのと同時に体も揺れた。舌先で膨らみを押し込んで、何度も転がし、キスをして吸い付いていく。

その度にアリーシャは体をよじって声を抑えようと、慣れない刺激に耐えていた。
103 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:14:03.27 ID:bYRUa6ZQ0
アリーシャの身体が紅潮してきて、ロゼも息苦しさを感じていた。汗ばむほどに体が熱くて、下腹部が疼いている。

同じタイミングでアリーシャが膝をすりあわせた。彼女がロゼ以上の興奮を覚えていることに気付いた。

ロゼはアリーシャの下着に手をかけて、彼女の目を見つめた。

アリーシャもロゼが何をしようとしているのかは分かっているはずなのに、恥じらいで動けないでいる。

ロゼ「アリーシャ。腰上げて」

そう促すとほんの少しだけアリーシャが腰を浮かせた。下着を通すには十分で、ロゼは素早くそれを抜き取り、太腿を撫でた。

ずっと目を伏せたままで何も言わないのは、羞恥心に必死で耐えているからだろう。
104 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/04(月) 21:15:23.94 ID:bYRUa6ZQ0
体を起こして、膝の間に体を割り込ませようとすると、予想通りにアリーシャはそこを手で隠した。

ロゼはアリーシャの手にそっと自分の手を添えて、優しく掻き分けて行く。

反対側の手で膝を開くとアリーシャは固く目を閉じて、両腕で顔を隠してしまった。

羞恥に耐えている姿も可愛くて、もう少し眺めていたかったが、ロゼも自分の興奮を抑えることができなくなっていた。

初めて見るアリーシャの女性部分。赤く充血して花弁は小さく閉じている。透明な粘液が流れ出していて、彼女の興奮状態を物語っていた。

ロゼは指の腹でぬるぬるとした体液を塗り広げて、その濡れ具合を確かめる。

撫でるたびに体が震えてひくひくと花弁が揺れた。触れた場所から熱を感じて理性が時々途切れそうになる。
105 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 21:48:20.34 ID:egBHIxB20
アリーシャ「ろ、ぜ……」

はっと顔を上げるとアリーシャが潤んだ瞳でこちらを見ていた。恥ずかしさと興奮に、どうしていいか分からず戸惑っている。

アリーシャの体を気遣うのを失念していた。ロゼは「ごめん」と小さく呟いてアリーシャの頬を撫でた。

ロゼ「ゆっくりするから。痛かったら言って」

自分でも初めて聞くような優しい声に、アリーシャへの気持ちが隠せないでいることを自覚する。

アリーシャは頬に添えられたロゼの手を取って、愛しげに抱きしめた。その安心した表情を確かめると、ロゼは中指をゆっくりとアリーシャの中に差し込んだ。

アリーシャ「っ……」

息が詰まるような仕草に侵入を止める。

ロゼ「痛い?」
106 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 21:50:34.98 ID:egBHIxB20
ロゼの問いにアリーシャがわずかに首を振る。

アリーシャ「分かん、ない……、でも変な、感じ……」

熱い肉壁がきゅっと締まり、ロゼの指を阻んでくる。

今すぐにでも押し込みたい欲望を抑えながら、アリーシャの頬や唇を撫でた。

ロゼ「力抜ける?息、吐いて」

アリーシャがゆっくりと息を吐くと、下腹部の硬直が解けていくのが分かった。無理のないようロゼはアリーシャの中を進んでいく。

アリーシャ「痛っ……」

指が完全に入りきると、アリーシャが身をよじった。

ロゼ「アリーシャ、辛い?」
107 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 21:53:55.49 ID:egBHIxB20
アリーシャ「大丈夫、だから……」

ロゼ「無理しないで」

指の動きを止めてアリーシャが落ち着くのを待つ。

女である二人には性行為といってもここまでのことしかできない。それでもとても大事なことだと思っている。

ロゼは体の奥深くから愛情が溢れてくるのを感じた。

たまらなくなってアリーシャの唇に舌を這わせた。誘われたようにアリーシャも舌を出してきて、何度も激しく舌を絡めていくと彼女から息と声が漏れ始めた。

触れた下の粘膜からとろりと温かいものが流れ出したのを感じる。中がひくひくと痙攣して、ロゼの指を締め付けている。
108 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 21:55:34.04 ID:egBHIxB20
アリーシャ「ロゼ……、もっと触って……」

腰が僅かに動いた。

衝動的に反応してしまいそうな体を理性でなんとか抑えこむ。

アリーシャの色気の溢れる声のせいで、ロゼは熱い気持ちを燻らせていた。さっきからずっと息苦しい。アリーシャから感じる女の匂いが脳を狂わせてくる。

濡れた瞳でこちらを見るアリーシャをもっと激しく攻めてみたいと思ってしまう。

気持ち悪いくらいに自分の中心が湿ってきているのも分かっている。

めちゃくちゃに指を動かしたいのを我慢して、性急な興奮を吐息で押し出した。

アリーシャ「ロゼ、苦しいの?」

ロゼ「あんたがエロ過ぎんだって」

アリーシャ「ええっ?」
109 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 21:57:46.92 ID:egBHIxB20
ロゼの返答に気が緩んだのか、アリーシャの中に余裕ができたのを感じて、ロゼは肉壁に指を擦りつけた。

アリーシャ「あっ、ああっ」

腰が浮いてアリーシャの声が高くなった。指を動かすたびに呼応する嬌声がロゼの感覚を麻痺させていく。彼女の声を聞いているだけで気持ちよくなってくる。

痛みを感じていないかと、そのままゆるゆると続けていく。

空いた手を胸に滑らせてまた先をいじった。しかしそれに気付かないくらいにアリーシャは下腹部の強い違和感に喘いでいた。

胸の奥が締め付けられる。可愛くて綺麗でいやらしいアリーシャにロゼの意識が奪われていく。

指の動きを緩めないまま、ロゼはアリーシャの体の至るところに吸い付いた。胸も腹も太腿にも、目立たない場所に自分の跡を付ける。
110 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 22:00:22.05 ID:egBHIxB20
体を起こしてアリーシャを眺めると、すっかり彼女も上気し切っていて、ロゼの指に合わせて腰を揺らしている。

ロゼはアリーシャの膝の裏を掴んで、ぐっと押し上げた。

アリーシャ「やっ……ロゼ、だめっ」

女の部分がこちらを向く。愛液が奥から次々に流れ出して彼女の股をひどく濡らしている。きっとアリーシャはこんな姿を見られるのも恥ずかしいはずだったが、ロゼはそれがたまらなく愛おしくてもっとアリーシャを感じていたかった。

指を入れたまま、アリーシャの陰核を包む皮をそっと開いた。

真っ赤に充血して膨らんだそこを唇で咥える。

アリーシャ「ああっ、そこ、っはぁ……!」
111 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 22:02:19.96 ID:egBHIxB20
ロゼはよじる体をしっかり支えてアリーシャが動けないようにするとさらに陰核を舌で攻め立てた。

唾液と愛液を混ぜて、傷付けないよう舌先で転がす。アリーシャの匂いが理性を奪い取り、ロゼは夢中でそこを攻め続けた。

声を出さないようにアリーシャは自分の口元を押さえているが、こもった声はロゼの耳にもしっかり届いている。

ロゼ「ふっ……ぅんっ!」

指の動きを小刻みにしていくとアリーシャの息が短く切れていく。中心からは体液が流れ続けて部屋中に粘りのある水音が響いている。

この水音とアリーシャの悲鳴に近い嬌声が、ロゼの欲望を掻き立てる。

彼女の表情が見られないのが残念だったが、腰をびくびくと揺らしているその反応だけで頭の中がしびれていくように感じた。
112 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 22:03:49.88 ID:egBHIxB20
アリーシャが自分の行為で気持ち良くなっているのがたまらなく嬉しい。

アリーシャ「は、ぁんんっ!」

アリーシャの体が硬直し、腰が何度か跳ねたあとに力なくベッドに沈んだ。

絶頂したのだと分かるとロゼはアリーシャから指を抜いて、一息ついてから彼女の顔を覗きこんだ。

アリーシャは息を切らせて、ほとんど閉じた目をぼんやりとロゼに向けた。

いつもとは違う様子のその姿に、罪悪感が芽生える。よくない感情でアリーシャを穢してしまったような気分だった。

ロゼ「大丈夫?」

気遣いの声を掛けながら、アリーシャに触れるために指の愛液を舐め取ろうとする。
113 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 22:05:26.30 ID:egBHIxB20
 その時、行為を終えて弱っているはずのアリーシャが手をがっしりと掴んできた。
「汚いからだめ!」
「汚いって……」
さっきまで直接舐めていたのに、今更何を言っているのか。

羞恥で目が潤んでいる様子を見てそれ以上口にするのはやめておいた。

アリーシャはサイドテーブルに置いてあったハンカチを取って、ロゼの指を丁寧に拭いた。

気の済むまで任せた後ロゼはそれを預かり、アリーシャの膝を開いた。

アリーシャ「ロゼ!?」

ロゼ「だってそこ濡れたままなの気持ち悪いでしょ」

冷静に言い放って、そこを丁寧に拭いていく。愛液は秘部の周りはもちろんのこと、太腿の内側にも広がっている。

アリーシャ「じ、自分でやるから!」
114 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/05(火) 22:07:25.89 ID:egBHIxB20
抵抗しようとするアリーシャを押さえつける。

ロゼ「あたしがやりたいんだけど」

アリーシャ「もう本当にいいから!」

押し問答をしていると、アリーシャがおもむろにロゼの下半身に目をやった。

アリーシャ「ロゼは濡れてないの?」

ロゼ「別に、あたしは……」

ロゼはぎくりとした。その拍子に腕の力が緩み、アリーシャはそれを見逃さなかった。

アリーシャ「見せて。私もロゼの体、ちゃんと見たい」

アリーシャは体を起こしてロゼを組み敷いた。今度はロゼが押し倒される形になった。

さっき散々揉みしだいた双丘が目の前にあって、不思議な気持ちになる。
115 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 21:54:10.24 ID:K3EPN4Ib0
眼前に迫るそれがまた魅力的に見えた。手を伸ばしかけた時にふっと腰が浮いて、アリーシャがロゼの下着を剥ぎ取った。

ロゼ「ちょっと雑じゃない!?」

流れるような体重移動に羞恥心より先に突っ込みが出る。

アリーシャ「えっ、なにが?」

当の本人はなんとも思っていないようで、ロゼの抗議は彼女の無神経さの前に霧散した。

涼しくなった足の付け根にアリーシャが手を触れた。

アリーシャ「ほら。やっぱりすごく濡れてる」
116 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 21:55:57.26 ID:K3EPN4Ib0
ロゼ「やめてよ……」

分かっていてもわざわざ口にされると恥ずかしい。脚を閉じたくても、間にアリーシャが体を割り込ませていて動けない。

とにかく用だけ済めばそれでいいのだから、恥ずかしい時間を最小限にするため、ロゼは大人しくしていることにした。

アリーシャもロゼが観念したと悟ったのか、満足そうに笑っている。

一通りロゼの体を眺めて、アリーシャは興味深そうにロゼの中心に手を触れた。

形をなぞるように、開いた穴の外側を撫でているのがロゼにも分かる。恐る恐る触れる手付きが焦らしているように思えてもどかしい。

アリーシャ「ロゼのここ、震えてる」

ロゼ「変なこと言わないで…。…ていうか、そんなにじっくり見るな……」
117 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 21:57:43.08 ID:K3EPN4Ib0
アリーシャがロゼの股の間に顔を寄せていく。

ロゼ「ちょっと待って!何する気!?」

アリーシャ「なにって、綺麗にしてあげようと……」

ロゼ「拭けばいいんだって!あんた舐めようとしてるでしょ!」

手で股を覆い隠すとアリーシャが不満そうに口を曲げた。

アリーシャ「ロゼも舐めてた」

ロゼ「お姫様がすることじゃない」

アリーシャ「今更身分差別?」

ロゼの手を引き剥がし、またアリーシャはそこをじっくりと眺めた。
118 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 22:06:50.05 ID:K3EPN4Ib0
きっと何を言っても彼女は引かないだろう。

ロゼ「そういうわけじゃないけど、なんかすごく背徳感が……」

構わずアリーシャがもう一度顔を寄せた時には、ロゼも何も言えなかった。すぐにぬるりとした生温かい感触が秘部の周りと太腿に這い回り始める。

ロゼ「色んなとこ、舐めすぎ……っ」

アリーシャ「だっていっぱい濡れてるから」

ロゼ「うぁっ、やっ、ぁ」

ぴちゃぴちゃと水音が聞こえる。

アリーシャに触れられていると思うと、くすぐったい感覚が段々興奮に変わっていく。

ロゼ「んっ、ぁっ」

ロゼの体が無意識にはねた。
119 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 22:09:05.98 ID:K3EPN4Ib0
中に舌を差し込まれている。

ロゼ「なっ、なんで入れっ……!」

アリーシャ「ここからどんどん溢れてきてる」

舌が離れたかと思ったら、今度は指が入り込んできた。

ロゼ「は……っ、いっ、ぁあっ」

性急な動きに困惑しているうちに行為は進んでいく。

ロゼ「ちょっ……、ぁっ、がっつき過ぎだっ……」

アリーシャ「わかんない、ロゼ……!」
120 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 22:11:12.15 ID:K3EPN4Ib0
余裕のない声が聞こえる。息を乱すアリーシャが興奮しているのが見て取れた。理性がかなり飛んでいるように思える。

ぐりぐりと下腹部の裏を押し込まれるような感覚。

ロゼ「あっ、あッ、ぅんっ、く」

雑な動きに強い痛みがあったが、アリーシャが気付く様子はない。

頭の中までかき乱されているみたいで思考が麻痺してくる。痛みとは違う別の感覚に戸惑い、抵抗が出来ない。どうしていいか分からずに手でシーツを掻きむしっているとアリーシャが指を絡めた。
 
与えられる刺激が止み、ロゼは息をついた。

アリーシャ「ロゼ、爪痛めちゃうよ」
121 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 22:18:00.20 ID:K3EPN4Ib0
アリーシャのぬくもりに固まった手の力が抜けていく。よほど強く握ってしまっていたのか、指先の感覚が鈍くなっている。

アリーシャがロゼの手を持ち上げて、痺れた指先に口付けた。

少しは落ち着いたのか、彼女の動きがさっきよりは緩やかになっている。

アリーシャ「ごめん、なんか、我慢できなくて」

続けてアリーシャは身体に唇を落とし、ロゼの胸の先を口に含んだ。

ロゼ「ん、ふっ……ぁ」

ぬるい感触に背筋がぞわっと震える。また下腹部の奥でアリーシャが動くのを感じて腰がこわばった。

段々と大きくなる水音の中、他人の声みたいにロゼは自分の乱れた悲鳴を聞いていた。
122 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 22:19:16.48 ID:K3EPN4Ib0
その感覚がどのくらい続いたのか、ロゼは体の奥深くからじんわりと込み上げてくるものを感じていた。

下腹部の裏がびくんと痙攣した時、アリーシャが股の間に顔を寄せて、陰核を咥えた。

中を擦る指と、敏感な突起を吸う刺激に腰が浮いてしまう。

ロゼ「あっ、あっ、んんっ、ぅあっ」

視界がぼやける。断続的に与えられる快感に耐え続けたが、徐々に痛みを伴ってきた。

もうこれ以上は無理だと悟り、ぴりぴりと痺れる体をよじってアリーシャの手を掴んだ。

ロゼ「ごめ、ん……もう、限界……」

アリーシャは上気した目でロゼを見上げ、行為を止めた。

奥から指を引き抜かれる感覚に、びくりと腰が震え、ロゼは脱力して動けなくなった。

ロゼ「もー……綺麗にするって言ったじゃん……」
123 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 22:21:44.63 ID:K3EPN4Ib0
息を切らしてロゼは呻いた。

股の間がひどく濡れそぼっているのは触れなくても分かる。恐らくアリーシャの方も同じような状態になっているはずだった。

さっきまであんなにしおらしくしていたアリーシャが、まさかこんなにも理性の効かない生き物だとは思ってもみなかった。

アリーシャ「だってロゼがかわいいから」

ロゼ「アリーシャと違ってそういうの向いてないんだって」

アリーシャ「私だって向いてない」

ロゼ「はぁ?」

呆れた声を上げると、アリーシャは覆い被さる形でロゼに抱きついた。

肌が触れ合って直に熱が伝わってくる。

アリーシャ「ロゼ、好きだよ」

アリーシャの綺麗な声で名前を呼ばれるのが心地よかった。

絡みつくアリーシャの腕に力が入る。それに応えるようにロゼはアリーシャの背中に手を回して強く抱きしめた。
124 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/07(木) 22:23:45.05 ID:K3EPN4Ib0
---------+++++++----------

しばらくお互いの体温を感じているうちに眠ってしまっていたようだ。気が付いた時にはもう夜更けだった。

夜目の効くロゼは、月明かりの中でも十分周りがよく見える。

ベッドを降りようと身を返すと、肩に触れたアリーシャの手に力が入った。

ロゼ「アリーシャ、起きてたの?」

アリーシャ「ん、今起きた……」

ロゼはアリーシャの拘束を剥がそうとするが、彼女は動こうとしない。

ロゼ「服着なきゃ。風邪引くよ」

今の時間はまだそれほど気温は低くはなかったが、朝方は冷えるはずだ。
125 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/09(土) 15:09:07.57 ID:yuIbS2JU0
アリーシャ「ロゼがあったかいから大丈夫」

ロゼ「だめ。朝は寒いよ」

ロゼはアリーシャを引き剥がしてランプを灯した。

優しい光が生まれて、ふたりの周りを照らす。

何も纏わないお互いの姿が新しい関係を強調していて、どこか落ち着かない気持ちになる。

アリーシャと目が合うと、彼女も同じ気持ちなのか慌てて毛布を手繰り寄せ、目を伏せた。

アリーシャ「暗いのによくランタンの位置が見えたね」

話を逸らすようにアリーシャが言葉を発した。
126 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/09(土) 15:10:52.89 ID:yuIbS2JU0
ロゼ「野宿が多いからね。暗いところは慣れてるよ」

ロゼもその空気に追随する。

散らばった服を取り、アリーシャに着るように促した。

服の表と裏を探すのにも一苦労しているアリーシャを他所に、そそくさとロゼは服を着る。

アリーシャ「ロゼは不思議だね。服を着る時にあまり音がしない」

ロゼはどきりとした。

意外と人の様子をよく見ているんだなと、思わず視線に力を入れてしまう。

ロゼの夜目が聞くのは暗がりでの活動が多いからだ。足音や物音を消すのも得意だったが、いつでもそうしているわけではない。

暗い場所だから無意識に動きが冴えてしまっているのかもしれない。

ロゼ「夜行性の動物を刺激したくないから身に付いちゃった」

誤魔化すように笑ってみせるが、まるで嘘だったわけではない。
127 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/09(土) 15:12:08.23 ID:yuIbS2JU0
アリーシャは旅の心得の方に興味が湧いたようで、何度か旅の生活について言葉を交わした。

ロゼ「また旅に出たいの?」

アリーシャ「そうだね。少し落ち着いたら遺跡を見て回りたいな」

ロゼ「スレイみたいなこと言うね」

アリーシャが服を着終わるのを確認し、ロゼはランプを消してまたベッドに潜り込んだ。

自然とアリーシャと手を繋いで向かい合う。

アリーシャ「ロゼも行く?」

ロゼ「あたしは遺跡に興味ないし」

アリーシャ「そっか」

ロゼは素っ気ない返答をしてしまってから、無神経な対応をしてしまったかもしれないと気付いてアリーシャの顔色を伺う。
128 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/09(土) 15:13:47.54 ID:yuIbS2JU0
ロゼ「護衛としてなら、行く……」

きまりの悪い気持ちが声に出てしまい、アリーシャがくすくすと笑い始めた。

ロゼ「なに」

アリーシャ「ううん。嬉しい」

アリーシャが繋いだ手をきゅっと強く結んだ。

その仕草に心音が上がったが、ロゼは何もない顔をした。

ロゼ「ほらアリーシャ、寝るよ」

アリーシャ「もう寝るの?」

ロゼ「めちゃ眠そうだけどね」

暗くてもロゼからはアリーシャの閉じかけた瞼が見えていた。

長旅から帰ってきたばかりなのに、ろくに休みもせずにこうしているのだから当然だ。そして体に無理をさせたのも分かっている。

しばらく黙っているとアリーシャの寝息が立ち始めるのが聞こえた。

ロゼ「おやすみ、アリーシャ」

毛布をアリーシャの肩まで掛けると、ロゼはその頬に口付けた。
129 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/10(日) 22:29:35.29 ID:slzqEXV90
---------+++++++----------

シーツの衣擦れの音でロゼは目を覚ました。

ふわりと甘い匂いがして、不思議な感覚に包まれる。 意識がはっきりする前に、ここがアリーシャの部屋だとぼんやりと理解した。

うっすらと目を開けるとベッドを降りるアリーシャの姿が視界に入った。

ロゼ「おはよう」

ロゼがかすれた声で挨拶をすると、アリーシャが振り向いた。

アリーシャ「おはよう。起こしちゃった?」

ロゼ「うん。でもいい時間でしょ」
130 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/10(日) 22:31:09.18 ID:slzqEXV90
外の明るさから人の活動が始まるちょうどいい時間だと予想できた。

体を起こして大きく伸びをしていると、アリーシャが顔をこちらに向けた。

アリーシャ「ねぇロゼ?」

ロゼ「なに?」

神妙な顔をしてアリーシャが問いかけてくる。

アリーシャ「なんか赤いの、いっぱいついてるんだけど」

アリーシャは服をめくり上げて腹や胸の間を見回した。

ロゼ「こら見えてるって」

白い肌を隠そうともしない仕草に呆れた。昨夜の行為を思い出すだけで照れてしまうのに、アリーシャにはそういう感覚はないのだろうかと考える。
131 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/10(日) 22:32:34.14 ID:slzqEXV90
アリーシャ「もうたくさん見たでしょ」

ロゼ「そういうことじゃなくて。誘ってるって言ってんの」

アリーシャ「そんなつもりは……」

そう呟いてすぐにアリーシャは分かりやすく赤面した。自分の体がどれだけ魅力的か気付いていなかったらしい。

アリーシャ「ごめん、気を付ける」

ロゼ「そんなに深刻に言われるとあたしがスケベなだけみたいだな……」

ロゼは嘆息しながらベッドを降りてアリーシャの隣に並んだ。

はだけた隙間からは昨夜ロゼが付けた跡が見えた。
132 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/10(日) 22:33:45.55 ID:slzqEXV90
アリーシャ「ロゼ、なにしたの?」

ロゼ「素で確認されると恥ずかしいんだけど。キスマーク、知らないの?」

簡単に言えば軽い痣のようなものだが、これに多くの気持ちを込めているなんて、彼女は気付いていないのだろう。

アリーシャ「ああ、これが……」

アリーシャは自分の胸元を覗き込み、赤くなったそれをなぞった。

ロゼ「ドレスだとそこ隠せない?」

アリーシャ「ううん。見えないと思う。侍女には見られるけど」

服を整えてアリーシャは顔を上げた。
133 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/10(日) 22:35:21.40 ID:slzqEXV90
ロゼ「えっ、なんで」

アリーシャ「着るの手伝って貰うから」

人に服を着せてもらう経験が子供の頃以来、ロゼにはない。他人の手が必要な服というものを失念していた。

ロゼ「明日着る?」

アリーシャ「うん」

ロゼは頭を抱えた。跡を見た感じだと数日は消えないだろう。

ロゼ「あたし、暴行で逮捕されたりしない?」

アリーシャ「どうして?」
134 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/10(日) 23:22:08.20 ID:slzqEXV90
ロゼ「嫁入り前のお姫様にって」

アリーシャ「王女をなんだと……。恋人くらい誰も何も言わないよ。結婚と恋愛は別でしょ」

淡白な回答を続けるアリーシャにもやもやとした感情が湧いてくる。

ロゼは意味もなく不安を感じていた。

ロゼ「結婚、するの?」

アリーシャ「またその話?しないよ」

アリーシャはうんざりといった顔をした後、ぱっと目を見開いた。

アリーシャ「もしかして前に気にしてたのって、そういうこと?」

アリーシャは縁談の時のやり取りを思い出したようだ。あの時はお互いに気持ちは確かめていなかったので、すっかり忘れていたのだろう。

ロゼ「そういうことだよ」
135 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/10(日) 23:23:46.64 ID:slzqEXV90
思い出すと恥ずかしくなったが、誤魔化す方がもっと恥ずかしい思いをすると分かっていたので開き直ることにした。

アリーシャ「気付かなかった」

ロゼ「アリーシャ鈍いもんね」

アリーシャ「ロゼに言われたくはない」

つい出てくる憎まれ口にアリーシャが半眼で返してくる。もう彼女も慣れた様子だ。

関係が変わってもやり取りは変わらないものだなとロゼは胸の内で安心した。

そんなことよりも、ロゼはアリーシャの言う結婚と恋愛は別だと言い放ったことが気になっていた。お互いに抱く気持ちが恋愛感情なのはもう自覚している。
136 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/10(日) 23:24:57.51 ID:slzqEXV90
気持ちだけで突っ走って、今は何か、悪いことをしている気分だった。

ロゼ「恋人なの?」
アリーシャ「違うの?」

アリーシャの目が驚いている。

ロゼはどうしてもアリーシャの立場が気になってしまっていた。そして王族と自分とでは考えることがなにか違うんじゃないかと思っていた。

以前、ロゼはアリーシャに仲間になれないと思っていたと告げたことがある。その時の感覚に似ていた。

ロゼ「いいの?」

釈然としないロゼの様子が不穏に思えたのか、アリーシャはロゼの髪を心配そうに撫でた。
137 : ◆U8ABys6DMo :2022/04/10(日) 23:26:17.38 ID:slzqEXV90
ふわりと香るアリーシャの温かい匂いに安心感を覚えて、ロゼは目を伏せた。やはり自分はこの子が好きなのだ、と心の底から思う。

アリーシャ「さっきからなんかおかしいよ」

ロゼ「アリーシャの立場の邪魔をしたくないの」

ロゼにはまだ身分の差、政治経済の立場、色々な事情が整理できずにいる。

守ることより壊すことが得意なロゼにとっては見えない不安と戦う術がよく分からない。気持ちが赴くままというだけで許されるとは思えなかった。

アリーシャ「ロゼはそういうの気にしないで」

アリーシャがめんどくさげにため息をついた。

ロゼ「あたしはってなに。それでアリーシャが困ったりするのが嫌なんだって」
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