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ハーレム勇者のTSもの7【安価コンマ】

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950 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/06/27(土) 23:53:54.17 ID:g7RKCHulO
次の展開を決めていくぅ!🔥


1、龍人族の未来
2、武神!
3、慈愛の勇者!

↓2でコンマが大きい方で決定〜!
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/06/27(土) 23:55:29.93 ID:NSlAOg0h0
3
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/06/27(土) 23:56:39.56 ID:go9F4mqy0
1
953 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/06/28(日) 00:56:22.50 ID:8uss2kEcO
>>949 た、確かに 何でなんじゃベルさん…😭
そしてもしかしてヨボヨボのおばあちゃんの異名が剣の勇者なのはめちゃくちゃ格好良いのではないだろうか⚔️⚔️


「けえええーーーっ!!」


ソリラ「ふはっ!!鈍い鈍い!」


 鈍い被弾音が若い剣士の腹部に響いた。小柄な老婆の木刀がクリーンヒットし、膝をついて蹲る。


「う、おおおお…ま、参りました…」


「つええ…流石は伝説の勇者」


「理事長って本当に強かったのか…」


ソリラ「素振りからやり直せっ!キシャー!オレを老人だと思って遠慮してるんじゃなかろうなー!一番優秀なやつ、来てみな!」


 老婆とは思えない背筋の伸び方、ブンブンと木刀を振り回したソリラは自身がトップを勤める剣術学園の卒業生に最後の指導を施していた。側近の妙齢の女剣士が耳元で囁く。


「今のした彼が主席です」


ソリラ「なにっ!おい大丈夫か!お前ら、やっていけるのか!」


 卒業生を木刀で一人一人差していくソリラ。魔王軍との停戦が結ばれ100年。それ以外の魔族達が攻めてくることはあるし、スタンピードの危険もある。闘いが生活の一部であることは変わっていないが、自分の若い頃と比べてその実力は心許ないと感じていた。


「お言葉ですが理事長!俺達は斬鉄を会得してます、これは他の国では上級騎士団でやっとの領域」


ソリラ「んなもんオレは8歳のときにはできた!んま、それぞれの道に進んでも毎日剣は振ることだな!」


「卒業生一同、理事長に礼!」


☆☆


ソリラ「な〜。オレ老害かな」


「んふ。口うるさいとは思われているでしょうね。しかしこの学院の卒業生達は多くが素晴らしい活躍をしております、その偉業、そして理事長の実力を考えればむしろ益をもたらしていると言えるでしょう。理事長の世代がヤバイやつらだというのは存じておりますし」


ソリラ「お」


学園の外廊下を歩く老婆と側近の剣士。角を曲がると若々しい褐色肌に着物を身に付けたポニーテールの女性が待っていた。



ウルシ「ソリラさん」


ソリラ「どうしたウルシさん!先日アメリアさんの死に際に集まって以来だから、懐かしくもないな」


954 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/06/29(月) 19:03:08.34 ID:I7RIDC/S0


ウルシ「老婆心ながらアメリアさんの今際の際に立ち会って心配になっちまいましてね。あっしは魔族の惨めな身体ですので老いに実感が無え」


 テーブルを囲んで座りながらウルシが自分の角を撫でる。彼女の見た目は100年前から変わっていない。


ソリラ「オレも100歳超えて随分たつ、たっ。経つけど。全然元気だぜ」


「痰は切れにくいですけどね」


ソリラ「うるせ〜。ウルシさんは最近大丈夫かよ。あんた魔王軍にはいって、ジャポ国は魔王軍の軍門にくだったとか聞いたことあるぞ」


ウルシ「ジャポ国も最近物騒でさ。慈愛の勇者は100年前に死んじまったのが定説。勇者がいない国には他国や魔族も集まってくる」


 敵に囚われ魔族に変化させられたウルシはもはや勇者として認められない。しかし故国を愛する慈愛の勇者は独自の正義に従いジャポ国、そして魔王軍の領地を警邏していた。顔を隠した着物の女剣士は死神として都市伝説として有名になるほど。



ウルシ「今の魔王軍は停戦の契約魔法のお陰で表立って人間と敵対関係にはない、あっしが有事に手を貸すと約束したのでジャポ国の警邏を手伝ってもらってます」


「魔王軍…私たちがその名を聞くことなんて歴史の授業の時くらいですが、お二人は実際に刃を交えているんですよね。畏敬です」


 側近の女剣士もウルシの生存を知る数少ない存在。ぶっちゃけ生きるレジェンドから過去の思い出話を聞いてみたいとは常々考えていた。ソリラはあまり話したがらないのだ。


ソリラ(ベルゼブブにボコられて終わったしな)


ウルシ「たしかに闘気も剣気も衰えてはいません。あっしの心配は杞憂のようだ」


(い、行ってしまうのですか)


 立ち上がったウルシが頭を下げその場を離れようとする。老婆になっても歯が生え揃っているソリラがパスタを頬張りながら尋ねた。



ソリラ「有事ってのは?」


ウルシ「いずれ、魔王軍は神様と闘うらしいです。その時に手を貸せと言われてます」


「な、なんということ!神様に弓引くなど…ウルシ殿。ジャポ国にまで神の怒りが落ちるかもしれませんよ」



955 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/06/29(月) 20:00:58.64 ID:G2JujgpuO

ウルシ「蝿の旦那が言ってましたが、魔族になっちまうと天界的にも人扱いされないらしいでさ。つまりあっしの行動は酔狂な魔族がジャポ国を勝手に肩入れしてるって話でしてね。お国にお咎めはなしです」


「蝿というのは…」


ソリラ「ベルゼブブだろ」



「ベルゼブブって…本当にいるんですね」


ウルシ「あっしは人間的には大分罰当たりな女ですので、ある日突然死んでも気にしないでくだせえ」


 バサッと激しい羽の音が上空に響いた。小柄なレッドドラゴンがウルシを迎えに来ている。


ソリラ「ラブの子供?」


ウルシ「はい。かわいいやつでして5匹も生みましてね!」


大ジャンプでレッドドラゴンの背中に乗る。そのまま高速で飛び立つ姿をソリラ達は見送った。


「なんというか、まるで死を恐れていませんね。理事長の時代の勇者は皆そうなのでしょうか」


ソリラ「いやぁ、オレたちも死ぬの怖いし。ウルシさんのあれはほら、マモン配下の件のやつだろ」


「マモン配下。もう数十年も最重要壊滅対象に指定されている人間と魔族の混成集団ですよね」


ソリラ「勇者が身動きしにくいのも、そのせいで勇者の称号を断って数が激減してるのも自分の責任だってウルシさん言ってた」


「?どういうことですか。あのマモン配下の勇者特効はウルシ殿が関係しているのですか、それがなぜ死を恐れないことに繋がるのですか」


ソリラ「チョコ食べたいチョコ」


「理事長会話を面倒くさがらずにっ」



956 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/06/29(月) 20:19:48.67 ID:G2JujgpuO
ウルシはどこへいくのかぁっ🍜🍜🍜

1、魔王城で幹部会議
2、ロアちゃんとMチャンネルコラボ配信


↓2でコンマが大きい方で決定〜!
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/06/29(月) 20:22:29.13 ID:vT5sa4MQ0
1
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/06/29(月) 20:22:33.44 ID:3uqkV3vh0
1
959 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/06/30(火) 00:18:43.70 ID:/9QfSAo/0


バサッバサッ


ウルシ「…」


愛刀の長ドスを握りながら片膝をついて座るウルシを乗せたレッドドラゴンが暗雲立ち込める魔物領地を飛ぶ。今では人間領地の冒険者たちはほとんど魔物領地に立ち入ることはない。その理由も実力も不足しているのだ。


「ゲギャーーーーーーーー」


大口を開けた巨大な魔鳥がレッドドラゴンに襲いかかる。ドラゴンに向かっていくだけの実力の持ち主!


ウルシ「むん」

バツン


神速の居合いが炸裂し、刃圏の数倍の斬撃が魔鳥を真っ二つに切り裂いた。墜落する亡骸を置き去りにしてドラゴンは進む。


☆☆


 魔王城の中腹にたどり着くウルシ。着地し、レッドドラゴンの頭を撫でると主の意図を理解し飛び去っていった。


「ウルシ様お疲れ様です」


ウルシ「どうも。リンさんが呼んでるらしいですね」


 兵士の魔族が出迎えると、その奥からさらにギャル忍者魔族カエデが現れた。


カエデ「ウルシチャンウェイウェイウェーーイ☆」


ウルシ「カエデさん、ぎゃるの感じが巡りめぐって100年前位に戻りましたね」


カエデ「ギャルのトレンドは輪廻するからね〜☆」


銀髪ロングストレートに蒼メッシュが入っている褐色肌のカエデ。その姿は100年前とほとんど変わらないが、この数十年会う度に見た目が変わっていた。パラギャル、姫ギャル、ヤマンバギャル、ネオギャルなどを経て、再び現在のギャル像に戻ってきたのだ。


カエデ「月刊ギャル魔族に連載持ってる身としてはトレンドに敏感にならないといかんし!んじゃ、リンチャンのところに案内するよ〜☆」


960 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/06/30(火) 23:15:26.90 ID:lew0VUi/O
5.もしもアグネアとアルマの淫紋がずっと誰にも気付いて貰えず終いだったら(3スレ目の465辺りのIF)
不眠不休による死亡や精神崩壊防止の為気持ち良くなったりイケばイク程睡眠を遥かに上回るほどの体力の回復向上、健康状態において体調が良くなり精神も強くなる効果付き
ただしこの純粋な体力の向上や健康状態の向上、精神強化は地獄である筈の淫紋地獄を心地良く虜にさせるのが真の目的
961 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/06/30(火) 23:55:32.55 ID:/9QfSAo/0


 なれた様子でウルシがカエデと肩を並べて進む。魔王城への出入りは数えられないほどしており裏道も知っている。


カツン カツン


ウルシ「定例会議とは少し期間がずれてますね」


カエデ「アタシも知らされて無いんだよね。予想ではそろそろ闘いが近いとかそんな感じだと思う☆」


ウルシ「確かにこの100年間、魔王軍の皆さんは鍛練を積んでいる印象でした。あっしも触発されるほど。大幹部が勢揃いしていた頃と同等の戦力を目指してるんでしたね」


カエデ「アタシ大幹部?とか知らないからさ〜ピンと来ないす☆」


ニケナ「ふひ。流石に全盛期の七つの大罪3体と龍人族の長を内包していた頃と比べては分が悪いと言わざるを得ない」


カエデ「おっすおっすニケナチャン!会議室行く所?」


 エルフのニケナも魔族となったカエデも、100年前から姿が変わっていない。世代交代が早い人間とはまるで別の時間を生きているようだった。


ウルシ「今人間軍と闘ったら、あっという間に負けちまうかもしれませんね。停戦の契約魔法が値千金でさ」


ニケナ「それはどうですかな〜。世代が変わることで技術が継承されていくのが人間の強み。陽の目を見ていない実力者がいるかもしれませんぞ」


ニケナ「それに、契約魔法に血判を刻んだ化物2人は生きてるらしいではないですか」


☆☆


962 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/01(水) 00:18:28.09 ID:Q8SuHKsk0


リン「次のライブの衣装や曲を決めていきますよ!」


ウルシ「なんだすっ飛んで来て損しやしたぜ」


ミルル「ミルルの魅力で客どもを悩殺〜♡きゃははっ」


エリカ「モームの戯れ言から始まったアイドル活動が軍事費調達のメインを締めるようになるなんて100年前は思わなかったわね〜!」


 ここは魔王軍メインの円卓ではなく、ベルゼブブガールズの会議室。立派な二本の角を携えた天才エリカは相変わらずエナドリをストローで啜りながらニベルコルを見た。


ニベルコル「お父様とルーシー様はお出掛け中ですわ!ほらミルル、口にクリームついてましてよ」


ミルル「わぶぶ」   


 ミルルの口をティッシュで拭うニベルコルは立派な姉の姿だった。魔王軍最高幹部であるベルゼブブガールズの内、この姉妹とニケナ、ツバキ、アルカネット、エリカはマジカル☆フライガールズというアイドルユニットとして100年以上活動しており、その知名度はジャポ国等オリエンタル地方を中心に凄まじかった。ほとんどのファンは彼女たちが魔王軍の幹部で危険極まりない存在だということは知らない。ビジュアルに釘付けなのだ。


アルカネット「おうウルシ!お前も手伝って貰うで〜。ウチら沢山人間どもや魔族から資金やアーティファクトぶん奪ってやらなあかんねん」


 ウルシ「ジャポ国じゃオタクらを推しすぎて破産した方までいるんですぜ」


ツバキ「きゃははぁ!それって自業自得じゃんな〜♡ま、拙者が可愛すぎてゴミどもが狂うのもわかるけど〜」


ミルル「ツバキ第150回総選挙で最下位だったんですけどwぷぷ〜!!」


ツバキ「んだぁクソガキ〜」


カエデ「あれももう何回もやり過ぎて意味の無い順位になってきてるよね。人間どもは世代交代してるから楽しく投票してるけどさ」


リン「顧問は今日は来ません。ティアさんリオンさんも美食探究のため不参加ですので、今いるメンバーで会議を始めますよ」


ウルシ「あっしは帰ってもよろしいですかね」


リン「駄目です!ライブのことだけではなく、人間界の情報も聞かせて貰わなければなりませんからね」

963 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/02(木) 15:49:21.77 ID:o1sGAmTJO


☆☆


アルカネット「っはー!アメリアとシア死んだん?厄介なやつらどんどん消えていくやん」


ツバキ「アルおばスナックを床に溢してんぞ〜!」


ニケナ「100年前のメンバーは寿命を迎える頃合いですな。ふひ。人間にしては長生きですが」


エリカ「カミラもちょっと前に死んだし、極消滅魔法も私の専売特許ね!」


リン「極消滅魔法はカミラが優秀な弟子たちに伝授しています。しかも技術体系を効率化し無駄な魔力消費を抑えることに成功したと聞いていますし、むしろあなた追い越されかねませんよ」


エリカ「なんですって!天才である私と同じように魔力消費を最小限にできるようになったというのかしら」


ツバキ「ジーニアス(笑)」


ミルル「ギフテッド(笑)」


エリカ「あんたら〜っ」


カエデ「アタシら元人間だから同世代が死んでくのマジレア☆」


 ウルシにより勇者パーティの情報は魔王軍に伝わっていた。しかしそれは停戦状態の今、その情報でどうこうしようというよりは話のタネにしているだけだった。


ミルル「ミルルソイツらのこと知らないけど〜。100年間でミルルたちスッゴく強くなったし今なら闘っても余裕なんじゃない〜♡」


リン「余裕というかほとんど老衰で死んでるのですよ」


ミルル「いやもしソイツらが若かったらの話」


リン「やつらが若いということは我々も100年前ということですよ」


ミルル「だからさ〜!タラレバでさ〜!!」

964 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/02(木) 16:35:05.48 ID:o1sGAmTJO

 リンが意地悪をしている横でアルカネットが指折り数えていた。


アルカネット「えーと。魔王城ひ攻め込んできたやつら大分死んだよな。ひーふーみー。ミーニャのやつは若返っとるけど」


ニベルコル「アルカネット様10以上数えられたのですわね!」


アルカネット「舐めとんかて!8の段までラクショーやで」


ニケナ「顧問も不老の呪いで変わりませんぞ。あれで魔族ではないというのだから恐ろしい」


ツバキ「ミルおばは?」


アルカネット「あいつはよくわからん」


☆☆


 ウルシを加えた謎の駄弁り会議は3時間で終わりを迎えた。次のライブではニベルコルだけマイクロビキニということで決定!


ニベルコル「何でわたくしだけですの!」


アルカネット「一人だけエロイ格好した方がよりエロイんや!じゃんけんの結果には従わなあかんで!」


ツバキ「乳首はみ出る位のバカ水着用意してやっかんな〜☆!」


ミルル「ファンどもにこの際乳首吸わせてあげなよお姉さま〜♡♡きゃはは」


ニベルコル「淑女として痛恨ですわ〜っ…!」


ウルシ「しかしマジカル☆フライガールズ以降も色んなグループが後追いというか、二匹目のどじょうを狙いましたが長続きしませんでしたね」


ニケナ「人間のグループはそもそも旬が短いですからな。ふひひ。敵ではないといわざるをえない」


リン「魔族のグループも敵ではありません、なぜなら我々は魔王軍幹部。脅してやれば弱小魔族等恐れおののきます」


ウルシ「魔族も脅してるんですか!そりゃあ蝿の旦那の意思に反するのでは」


リン「殺しはしませんからモーマンタイです」


965 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/02(木) 16:39:24.95 ID:o1sGAmTJO
次の展開を決めていくぅ!🔥


1、龍人族の未来
2、武神!
3、蝿と弓神!

↓2でコンマが大きい方で決定〜!
966 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/07/02(木) 16:45:06.98 ID:RYkIjwFx0
3
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/07/02(木) 16:46:47.98 ID:8h1SUibB0
2
968 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/02(木) 16:51:11.78 ID:o1sGAmTJO
なんじゃと…🔥熱い戦い
仕方ないこのレスのコンマで決めることを許してもらおう
00〜49 3
50〜99 2
969 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/02(木) 23:30:12.12 ID:S5syeA2o0


 アップル王国の最も標高が高い山には3つの名所があった。1つ目が頂上。王都からドラゴンタクシーで数時間で運んでもらえるサービスがあり、時期によっては雲海を見渡せる人気スポット。2つ目がダンジョン。すでに内部が把握されているダンジョンがいくつかあり初心者冒険者の練習に持ってこいで、騎士学園のカリキュラムにも含まれていた。


「「「「せいっはっ」」」」


「突きが温いわ〜!!貴様ら踊りの稽古するためにここにいるのか!」


 そして3つ目が中腹にそびえ立つ立派な道場。ここは星辰赫奕拳という国内最強を吟われる流派の総本山で、格闘職を志す者達が世界中から集まり共同生活を行っている。さながら梁山泊。


「師範!骨が折れました!回復をお願いいたします」


「仕方の無いやつだ」


 魔法が使える師範や専門の回復術師も常在しており、門下生達も骨が折れようと弱音を吐かずさらに自分の肉体を追い詰めることを臨んでいた。それほどモチベーションと才能に溢れた者達が総勢300名武芸に励んでいる。しかも入門試験の際にはその十倍の人数が門を叩くが実際に合格するのは毎年20人前後だ。


「貴様らー!マスターミルカの銅像の掃除がなっとらんわ!やり直せ」


「押忍!」


 その流派の開祖にして生きる伝説と呼ばれているのがバトルマスターのミルカ。かつて魔王城に乗り込んだ勇者パーティの1人でもあり、90年程前に立ち上げた流派を拳1つでここまで高めたバトルマスター。新人門下生の最初の修行は全長10mある若かりし頃のミルカ像を磨き上げること。バカみたいな大きさのバカみたいな像。彼女の自己愛を見るもの全てに印象付ける。


 しかし門下生達は熱心に磨いた。確かに筋肉は使うし、何よりもこの道場からは世界中で活躍する格闘職が輩出されている。それは人間だけではなく知能の高い魔物も含まれている。


「しかし、この像胸デカイな」


「知らねーのか。当時の写真見たことあるけどマスターミルカ本当に爆乳だぜ」


「マジかよ!今も生きてるって聞いてるけど、本当かよ」


「同年代のビッグマザーアメリアも先日亡くなられたしな」


「貴様ら〜!口先の訓練か!?身体を動かさんか!」


「「「押忍っ」」」


970 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/02(木) 23:56:23.48 ID:S5syeA2o0

 師範代の目を盗んでまたしても新人門下生の駄弁りが始まる。


「やっぱり拳だけでやっていきたいよな〜」


「いやぁ、他の戦闘職が長物使う中素手だけは無理があるだろ。素手は緊急避難用だよ」


「闘気を操れるようになれば素手でもいけるんだけどな」


「バトルマスターは、素手も武器術も極めた特別職だから、アップル王国からも全然出ないよな」


「知ってるか。他国では結構バトルマスターって出てるんだぜ、何でアップル王国からは出ないかっていうと、やっぱりマスターミルカの影響なんじゃねえかな」


「俺のじいちゃんも格闘職だけど、昇格試験の時にマスターミルカが試験官だったからバトルマスターになれなかったんだって」


☆☆

ミルカ『あんた一体なんなのよ!癖は消えてない!棒も使えない!私に1発も喰らわせられない!それでバトルマスターになりたいなんて突然メチャクチャは言い出す!かと思ったら不意打ちを狙う!挙句はその不意打ちもバレバレ!あんた格闘職なの!?お次は仕込み武器ときたわ!他の教官があんたを勝手にバトマスに昇格しようとしたんで試したわ!もし試さなかったらあたしまでへなちょこバトマス扱いよ!一体どんな勝算があったのか教えて頂戴!』

「昇格はだめですか」

ミルカ『駄目ぇ!』

☆☆


「じいちゃんが言うには、メッチャクチャに言われたらしい」


「こええなぁ」


ばきっ

「あっ…像の指1本折れた」


「おいおいやばくね」


「いやこれ、元々折れてたのを接着剤で付けられてるわ。後で夜にでも付けておくわ」


971 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/03(金) 00:15:26.69 ID:VL2Ximlj0

「話戻すけど、それって90年とか前の話だろ。今のマスターミルカが許さんとか言っても、脂載りまくり格闘職には敵わないだろ」


「そこはほら、老人への畏敬の念でさ」


「くらーーーっ!!何回言わせれば気が済む!」


「やべえ!」


 女師範代が怒髪天を突く。新人門下生たちはミルカ像から飛び降り、森の中へ駆け出した。


「走り込みに行って参ります!」


「まったくあいつら…ん」


 溜め息をついた師範代が視線を移すと、門がゆっくりと開かれた。今日は使いの者を下界に出してはいない。すると季節外れの入門希望者か道場破りだとアタリをつける。


「い、いや…あれは!」



 しかし格闘職特有の超視力で来訪者を確かめると、顔つきは布で隠しているが体格で分かった。数年に一度だけ顔を出す最高師範!


「アンドロス様!」


 爆発的ダッシュで駆け寄る。アンドロスとはマスターミルカの夫のリザードマンで、かつて魔王軍幹部だった噂もある剣客。失礼を働くわけにはいかない。


アンドロス「久しいな。ここは変わらん、武の臭いがして落ち着く」


「お久しぶりです。申し訳ございません、すぐに全員を集めます」


アンドロス「いや、手紙も出していない故気にすることはない。メールはこの山では繋がらんしな」


 人間態のアンドロスは見た目は100年前と変わっていない。彼はミルカに会いに来たという。


アンドロス「暫く借りるぞ」


「は、はあ。マスターミルカは…いつもの場所にいますが」

972 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/03(金) 00:53:23.09 ID:VL2Ximlj0

 風来坊の格好をしたアンドロスが迷いの無い様子で道場の廊下を進む。ミルカは普段最奥の最高師範室に引きこもっており、そこは師範以上でないと入れない不文律がある神聖なる場所。


アンドロス「そんなことをミルカが言っていたのか」


「い、いえ。マスターミルカはほとんどお話にならないので、自然に決まりました」


アンドロス「ふ。ほとんど話さないか。お前はたしかこの道場15年目だったな」


「はい。10歳の頃に入門し今に至ります」


アンドロス「ならばミルカの姿も見たことはないだろう。良い機会だ見せてやる」


「ほ、本当ですか」


 最高師範のアンドロスが良いと言うならば良いのだろう。女師範代は妙な緊張を感じながら最高師範室の扉に立った。


アンドロス「入るぞ」


(ノータイムですか!)


 持っていた鍵を使い扉を開き中に入るアンドロス。そして2人の目に入ったのは「カシマ大明神」「カトリ大明神」の掛軸の間に正座する存在!


「即身仏…!?」


 パッと見はミイラにしか見えないそれは、よく見ると目を瞑った老婆だった。格闘職の耳にも呼吸が聞こえない。


アンドロス「ミルカ」


「これがマスターミルカ!?息をしていない…死んでますよ!」


アンドロス「いつものことだ、おい起きてるか」


ミルカ「むにゃ……」


「う、生きている」


口を動かした音が聞こえる。確かにミルカは生きていて、自分達の接近に気がついて目を覚ましているのだ。


アンドロス「いくぞ」

973 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/03(金) 01:11:40.19 ID:VL2Ximlj0


 行くぞと言われても、この状態で一歩でも歩けば骨まで砕け散るような心許なさだった。マスターミルカは当然ながら過去の人なのだ。


「さ、流石に無理では」


アンドロス「3分待てば大丈夫だ」


「そんなラーメンみたいな」


 その時2人の耳に、表の騒がしさが届いた。なにやらバイオレンスの予感!


「なーーにーーがーーーマスターミルカじゃい!!」


「ぐわぁああっ」「うおおおっ」「こ、こいつつよい!」


 2人が扉から顔を出し廊下を見ると、立ち塞がる門下生や師範代をなぎ倒す格闘職の冒険者の姿。アンドロスの目にはかなり洗練された、堂に入っている佇まいに見えた。


「き、貴様…!ただの道場破りではないな」


「当たり前だ〜俺様は10年間実戦で鍛え続け、母国でバトルマスターの称号を得た男よ!冒険者ネームはデスペラード」


 冒険者ネームとはネットの普及に伴い実装された、本名以外で冒険者活動できる機能。実際には自分を印象付けるための戯れの範疇を出ない謎機能で、使わないものも多い。


「デスペラード…聞いたことがある…高名な格闘職だ…なぜこんな真似を!」


「同じバトルマスターとしてマスターミルカに引導を渡してやるってんだよ!死んでるなら死んでるって言えや」


「貴様、我らがグランドマスターに向けてそのような無礼、許せぬ!」


師範が闘気を纏わせた拳を振りかざすがデスペラードはそれ以上の闘気でブロック。反撃の中段突きで吹き飛ばした。バトルマスターの名は伊達ではない。


がしゃあん!!


「ぐはあ」


「はっはー。温い。大体わけわかんねえんだよな。マスターミルカは20年前に若々しい姿で世界中で見かけたとか聞くぜ。そんなわけねえだろ。伝説だけ一人歩きしていい気になられちゃニュージェネレーションの俺たちが生きづらくてたまらん!」


974 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/03(金) 01:28:19.63 ID:VL2Ximlj0


 デスペラードはアンドロスのすぐ後に道場破りとして門を蹴り破ってきたのだ。そして師範連中を次々と撃破しこの場所までやってきた。格闘職のトップであるバトルマスターは模範となるべき存在。道場破りなどして良いはずか無い。


「マスターミルカが俺よりも強けりゃ頭剃ってすぐにでも弟子入りしてやるよ!俺は弱いものいじめしに来たんじゃねえ、バトルマスター同士、同格の試合にきたんだ」


アンドロス「同格とな」


 アンドロスが鼻で笑った。隣の師範代が慌てる。


「アンドロス様。この状態のマスターミルカをどう守…っ」


師範代が背後を見るとミルカが立ち上がっていた。しかし1分前とは違う。伸び放題で身長以上の長さの白髪にブラウンの色が戻りつつある。そして瑞々しさは髪だけではなく、全身の肌にも及びシワが消えていく。筋肉が脈動する音が聞こえる!


ミルカ「…」


「その部屋にいるのか、マスターミルカ」


 デスペラードが大股で駆け寄る。そしてアンドロスは素直に横にズレて彼を通した。狭い最高師範室にバトルマスターが一対一!


ミルカ「……」


「本当に生きてたとは、その年で闘気を放ってるのは褒めてやるぜ。しかし!」


 中腰となり構える。全身から若々しい闘気が吹き出した!


「俺の拳は道場拳法じゃねえ、魔物や他流と命のやり取りで鍛え上げた生きるか死ぬかの戦場の拳だ!」


ミルカ「生きるか死ぬかの戦場の拳……」


 デスペラードの言葉を聞いたミルカが反応した。黒髪をポニテにしている彼の姿を見る。


ドクン ドクン


「あ、あれは何?どんな技ですか」


 師範代がミルカを見ておののく。時間が逆行するようにどんどん若々しく力が漲っていくのが分かる。


アンドロス「俺にも分からん。やつが言うには心臓の操作が奇跡を可能にしているそうだ」


975 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/03(金) 01:44:06.01 ID:VL2Ximlj0


バキバキバキッ!!


「えひゃん!!」


 老婆相手といえど本気で叩くつもりだったデスペラードは腹部を1発蹴り飛ばされ、ボールのように吹き飛び屋根を破壊。道場外の鍛練所に大の字で背中から投げ捨てられた。


ざざざっ!


「がはっ…!ごほ…!?」


「こ、こいつは道場破りの」 「なんだこの飛距離」


門下生や師範代達が集まる。完全に横隔膜が痙攣しノックアウトされているデスペラードを見下ろし、その腹部のインパクト跡に注目した。そしてベテラン師範代から歓声が上がる。


「マ、マスターミルカだ!!」


ミルカ「あんたら、励めよ〜!」


道場奥から出てきたのはブラウンの超ロングヘアーを地面に引きずる爆乳美女。どう見ても20代中頃という風貌だ。


「あれがマスターミルカ…!?」「どう言うことだ」「かあちゃんより若いぞ」


ずるずるずる


アンドロス「髪が砂で汚れている。切ってやる」


ミルカ「サンキュー。でもその前に」


 ミルカは横たわるデスペラードに近づいた。彼も他国でバトルマスターと認められるほど武芸に秀でた天才。今の蹴りで自分の防御を貫通する浸透勁の巧みさ、鋭さ、闘気の差を感じとっていた。


「こ、これが……マ、マスターミルカ…っ…」


ミルカ「あんた昔の出来の悪い弟弟子に似てるからちょっと本気だしちゃったわ。ま、その防御力は褒めておく」


 デスペラードの視界で、逆光で暗くなったミルカの顔が笑った。


ミルカ「約束通り、頭丸めて弟子入りね」


「…お、押忍…っ…」


976 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/03(金) 02:14:43.78 ID:VL2Ximlj0

☆☆


ミルカ「はーーー。20年ぶりの酒は染みるわ」


 ミルカは髪の毛を切り、肩にかかるミディアムヘアを揺らしながら最高師範室で食事をとっていた。アンドロスと女師範代が同席している。


「マ、マスターミルカ……先ほどまでの姿は」


ミルカ「あんた誰よ」


「し、失礼しました!私はこの道場15年目の○○と申します。師範代をやらせていただいております」


ミルカ「でしょうね〜♪指定の胴着着てるしね、てことは、少なくとも15年は心臓は止めてたか……んーーーー。20年ね!」


アンドロス「正解。体内時計は流石だが、身体は大丈夫か?」


ミルカ「さっきの蹴り見たでしょ、問題なしよ。寝ている間はメンタルはオルフィアの魔法でコキュートスでピリ姉と話したり模擬試合したりしてるから勘も鈍らないしね」


アンドロス「まったく驚かされる、100年前、寿命30年と言っていた女の姿かこれが」


ミルカ「残り少ない寿命セコセコ節約してたら、こんなことできるようになっちゃって自分でもビックリよ。むしろ回復するなんてね」


「そ、即身仏状態の年数だけ回復するんですか」


ミルカ「ヒイロが言うにはそうみたいね。今回はがっつり寝たし、暫く若々しい身体で活動できるわ!あんたが手伝えって言うから仕方なくこんなことしてるんだから」


アンドロス「ふ。我らの子も待っているぞ」


☆☆


 ミルカとアンドロスが道場を後にする。優秀な師範達がいる以上、自分が居なくても大丈夫だろう。


ミルカ「ていうか、ずっと干からびてたんだから今さらか」


アンドロス「少しは門下生の相手をしてやるんだな」


ミルカ「それあんたが言う〜?今度の闘い生き延びたら存分にしてやるわよ」


アンドロス「サタンは恐ろしい相手だ。確かに、そんな期待はしない方が良いだろうな」

977 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/03(金) 02:19:23.10 ID:VL2Ximlj0
次の展開を決めていくぅ!🔥


1、龍人族の未来
2、蝿と弓神!
3、次の安価へ!

↓2でコンマが大きい方で決定〜!

そして多分レスが余ると思うので、設定とか垂れ流して埋めることになるだろうなぁ!!🤩
978 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/07/03(金) 04:29:13.07 ID:7MSbqToP0
2
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/07/03(金) 04:31:00.69 ID:5creYrpK0
2
980 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/04(土) 00:20:17.15 ID:yOEsAfrO0

 
ベルゼブブ「ルシファー。ついてくることはなかったんだぞ」


ルシファー「何を言う。我が軍の将を一人にできるものか。リオンにも頼まれている」


 ベルゼブブとルシファーが出向いたのは魔物領地の奥の奥、人間領地から最も離れた位置に存在する暗黒地帯だった。ポイント・ネモと呼ばれるその地点は魔族であっても滅多に近付かない場所で空間の歪みが発生する不安定さにより常に雷鳴が轟いている。


ピシャーン


ベルゼブブ「ここに来るのも久しぶりだ」


ルシファー「我々の出逢いの場だな」


 崖の上に立つベルゼブブが空を見上げた。かつてここはそこまで乱れた空間ではなかったが、遥か昔蝿の王はこの場所から天界に攻め込んだのだ。


ベルゼブブ「あの闘いでエウリュノメーもニスロクも死んだ。余には過ぎた者達だった。お前やリン達もな」


ルシファー「私は天使として敵対していたからそやつらの実力はよく知っている」


 黒で塗り潰されている空。かつてベルゼブブは暗雲を割り一瞬だけこの地に天の光が降り注いだ。当然ながら今はその名残の欠片もない。


ルシファー「次もここから攻め込むつもりか」


ベルゼブブ「神相手にどこから攻めようと同じこと。ならばそれも良いかもしれぬ。だが次は正真正銘余の命を賭けた勝負となるだろう」


 ベルゼブブの目的は魔物領地に光をもたらすことだが、それは神の作ったルールを破壊するということ。言うは易し行うは難し。


ルシファー「しかし力を蓄えるつもりだろう?なぜ今ここに来たんだ」


 ベルゼブブには胸騒ぎがあった。アポカリプティックサウンドは想像よりも遥かに近い、そんな絶望的予感。


ベルゼブブ「……」


 ベルゼブブは数日の間ここに滞在するつもりだとルシファーは見抜いていた。こんな時こそリオンに次ぐ副料理長となった自分の出番!かつて魔王として君臨していたルシファーは愛する者への手料理を振る舞うことに幸せを感じていた。


ルシファー「我々には悠久の時間がある。いくらでも付き合うさ。暗黒魔法で新鮮な食材を」


グゴゴゴゴ



981 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/04(土) 00:32:02.26 ID:yOEsAfrO0


ベルゼブブ「!」


ルシファー「天が!」


 ベルゼブブの目の前で天が割れた。自分達の力ではない。警戒を高めるが、雲の隙間からは神々しい光が差した。


パアアアア


ベルゼブブ「陽の光が!こんなことができるのは神々のみ」


ルシファー「見よベルゼブブ」


その割れ目から降臨する何者かをルシファーが指差した。その人差し指が何かに撃ち抜かれたように消滅!


ボッ


ルシファー「うぐお」


ベルゼブブ「銀の矢。アルテミスか」


アルテミス「元大天使の薄汚い裏切り者が私を指差すなんて不敬よね!オリオン」


「ウィ」


ピキィーーーーン!!


狩猟を司る女神であるアルテミスが全身を神属性で輝かせ、茶髪のロングヘアーがフワフワと舞い上がる。そして両目はそれ自体が強く光り輝いていた。


ベルゼブブ「ルシファー、指は」


ルシファー「この程度どうと言うことはない」


 ルシファーの人差し指がメギメギと音を立てて再生する。魔力が漲っている上級悪魔は指の欠損位ならば問題なかった。


982 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/04(土) 00:47:05.94 ID:yOEsAfrO0


ルシファー「どういう風の吹き回しだ。神が下界に降りるなど何千万年ぶりだ」


アルテミス「確かにこの私の神々しさはすぐに地上に影響を与えてしまうわ!愛すべき動物達が巻き込まれるのは本意じゃない。私はベルゼブブに会いに来たのよ!」


 空中で停止し、ベルゼブブ達を見下ろすアルテミス。男の性別を失ったルシファーのことなど眼中にないという風情だった。


アルテミス「私が降りてきた理由は分かるわねベルゼブブ!」


 胸を張り鼻息荒く蝿王を見下ろす。自分が忘れられている可能性など万一にもあり得ないと言う感じだった。そして聡明なベルゼブブは当然覚えている。


ベルゼブブ「以前の闘いで致命傷を負わせたと思ってきたが、力を蓄えリベンジに来たか」


アルテミス「そうよ!私が負けるなんてぜったい!ぜーーーーーったいあり得ないんだから!ネバーモアよ!二度とあり得ない!」


パアアアア


ギラギラァアアア


ルシファー「ギラギラと眩しくてかなわん」


アルテミス「しかもベルゼブブあなたは真の姿ではなかった。こんなこと〜許せない!」


 しかし解せない。いかにベルゼブブにリベンジしたいと考えたところで、この数万年間そうしてきたように神が易々と地上に降りていいわけがないのだ。すでに影響力により地割れが始まっている。


ゴゴゴン


ルシファー「まさかリベンジしたいがために神の座を脱してきたというわけでもあるまい」


アルテミス「口の聞き方がなっていないんだからルシファーっ。当たり前じゃない。私は栄光のオリュンポス十二神よ。他の神々の許しを得て来ているわ」




983 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/04(土) 01:53:33.49 ID:yOEsAfrO0


ベルゼブブ「まさか」


 ベルゼブブは合点がいく。胸騒ぎは神々が近付いていたからだ。そして、これはもう自分の希望を通すとか通さないとかの次元の話では無いということ。


アルテミス「ラグナロクよ!エンジェルナンバーである666日後、ギャラルホルンが地上に鳴り響くわ!」


ベルゼブブ「本気か。貴様が愛するという動物達も死滅するぞ」


アルテミス「うう。ぐすっ。そうよね。そうなのよね」


 アルテミスがノータイムで大粒の涙を流した。光り輝く瞳から光り輝く雫が乱反射し鬱陶しい。その精神は当然ながら人間や魔族に計れるものではなかった。


アルテミス「悲しいことだけど、スクラップ・アンド・ビルドよ!薄汚れた魔族達の屍の下から、今度こそ美しい動物達の楽園が始まるのよ!」


キュピーーーーン!!


ルシファー「ふは。私も人間を皆殺しにしようとしたが、世界まるごとまでは思わぬ。魔王より魔王だな」


アルテミス「これ以上、下界で惨めに苦しい思いをするのは可哀想じゃないの。私達の慈悲よ。ぐすっ」


ベルゼブブ「我々がただ死滅を受け入れると思っているのか。貴様はその身に刻まれた余の力を忘れたか」


アルテミス「ふふふ。だから私が降りてきたのよ」


涙をぬぐい改めて目を輝かせる。アルテミスがゴツイ弓を握る力を強めた。


ギギギ


アルテミス「あなたはここで先に消滅させてあげる!そして私のリベンジも果たせて一石二鳥〜!!」


バシュッ!!


984 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/04(土) 23:26:09.77 ID:yOEsAfrO0


ドガガガガガガガガッ!!!


 銀の弓から放たれた神属性の巨大な矢が大地を抉った。ベルゼブブとルシファーは飛び上がり回避したが地平線まで破壊痕が伸びていく。


ドゴーーーーーンッ


アルテミス「下界に降りる時に少しは力が抑えられてるんだけど、地上は脆くて困っちゃうわね!」


魔族、魔物しか基本いない魔物領で神属性の攻撃は危険すぎる。しかもアルテミスはその攻撃をタメ無しで連射可能!


アルテミス「浄化されなさいベルゼブブーーーーー!!」


バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!


ベルゼブブ「ぬうううう!」


 すべての矢をギリギリで躱す。そして一々背後で大爆発を起こし地形を変えていた。


ドゴーーーーーンッ


アルテミス「変身しなさいーーーーー!!それともその姿のまま消滅させられたいかしらっ」


ベルゼブブ(あまりにも強い神属性。矢に触れただけで魔族の肉体は消滅するか)


アルテミス「ほらほらほらほら」


バシュッ!バシュッ!バシュッ!


 接近してくるベルゼブブに向けて矢を放ち続ける。近付けば近付くほど密度が濃くなり流石の蝿の王でも接近できない。しかも神の謀略により、放たれた矢の神属性魔力が空気中で分解され散布され、移動を制限する。


シュオオオォオオオ


アルテミス「おびき寄せられたわ!これで終わりよー!」


本命の矢が放たれた。それは直接ベルゼブブを狙わず、横に逸れる。



985 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/04(土) 23:38:27.67 ID:yOEsAfrO0


ベルゼブブ「むっ」


 ベルゼブブは背後に生成された神属性魔力の鏡を見た。矢として放たれた神属性魔力が一度空中に四散し、それを遠隔で別の魔法として発動するアルテミスの高等技術。ナルキッソスの鏡は神属性魔法を反射する。


ピカァアアア!!


アルテミス「成就!!成就!!」


ベルゼブブ「ぬん!」

ガギッ!!


 躱しきれず右足で矢を蹴り上げる。しかし魔族の身体はそれだけで強烈な苦痛と共に蝕まれる。


アルテミス「んふふ!流石ねーーーーー!!でもね、その脚はもう苦痛の塊よね、私の攻撃を躱しきれるかしら!」


 手傷を負わせたベルゼブブにトドメの一撃を放とうとするアルテミス。しかし女神の視力は右足の無事を見た。


アルテミス「あれっ」


ベルゼブブ「こちらの足はもう無い。さらに膨大な魔力で防御している!むん!」


アルテミス「おおっ!?」


 ベルゼブブが両手を前に出すとアルテミスの身体が一瞬硬直した。神にも未知の学問PSI!


アルテミス「なによこの程度!」


ルシファー「はーーーーーー!!」


ルシファーが背後からアルテミスの後頭部を思い切り殴り付けた。隕石の速度で地面に激突!


ドゴァッ!!


アルテミス「〜〜〜〜〜っ!!!」


 
986 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/04(土) 23:49:53.81 ID:yOEsAfrO0


アルテミス「ぬうううう!義足…っ?…ベルゼブブ〜」


 起き上がり蝿の王を見上げる。いかに武闘派女神と言えど七つの大罪二体相手は簡単ではない。


アルテミス「失礼しちゃうわ!私を見下ろすなんて」


ベルゼブブ「ルシファー。やつはもう下界で肉体を維持できない。行くぞ」


 アルテミスの肉体にノイズが走り始めたのを見たベルゼブブが撤退を指示する。しかしルシファーは元大天使としての知見からアルテミスの危険性を危惧!


ルシファー「少し待て!宇宙魔法」


 ほぼルシファーのオリジナルである宇宙属性魔法を発動し、暗雲の割れ目から直径10mほどの隕石を呼び込んだ。それはアルテミスの真下に着弾する。


キーーーーーーーーン

 
アルテミス「なっ」


ドグワァーーーーーーーーンッ!!


 爆風が大気中の神属性魔力を吹き飛ばす。更に音速を超えた隕石の衝撃は100m規模のクレーターを刻んだ。


バキキキキ


ルシファー「ふーーーーー」


ベルゼブブ「流石だ宇宙属性。しかしこれでやったとは思えん」


ルシファー「私もそう思う。しかしこの場は奴も撤退しかないだろうな」


 ズゴゴゴゴォと爆炎を巻き上げる爆心地を見下ろす2人。このまま攻め続けても時間切れで逃げられてしまうだろう。


987 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/05(日) 00:22:58.89 ID:5rXdXODL0
  

 1分足らずの闘いで見渡す限り地獄絵図だった。神々の本気度が伺える。


ズズズ


ルシファー「ベルゼブブ。やつは666日後と言っていたが」


ベルゼブブ「神故、その言葉に嘘はないだろうがあまりにも時間が無い」


 ラグナロク、ティタノマキア、アルマゲドン。呼び方は複数あるが神々による世界の終焉を意味する恐るべきパワーのあるワード。それが間近に迫ってきている。1000万年以上生きてきた彼らにとってそれは明日とも見紛う期間だった。


ルシファー「…」


ベルゼブブ「行くぞルシファー。配下の者達には伝えねばなるまい」


 ルシファーは長い付き合いからベルゼブブが軍門に下ることはないと確信していた。そもそも魔族で唯一神に歯向かったのがベルゼブブなのだ。


ルシファー「ふふふふ、お前が天を獲れベルゼブブ。私は全力で協力する」


ベルゼブブ「そんなつもりはない。しかし、余もその配下もお前も魔族も人間も、神の裁量で滅びるなど受け入れられる筈がない。闘うしかないならばやるのみ」


2人が魔王城へ転移魔法を発動した。ヘンゼルとグレーテルの白い石のように、このポイント・ネモへ向かう際に転移魔法の中継ポイントをいくつも作っておいたため、1日もあれば帰還できる。


バシュン





アルテミス「くぬうーーーーー!!」


 アルテミスが怒りの表情で地面から脱出する。身体のノイズは酷く、すぐにでも天界に戻されるだろう。既にベルゼブブ達は近くにはいない。


アルテミス「また負けたまた負けた!また負けたわ!いや!」


アルテミス「………これは負けてないわ!!だってベルゼブブは逃げたし、私も帰還しなくちゃいけないし!」


アルテミス「そうよねオリオン!」


「ウィ」


アルテミス「覚えてなさい!次こそリベンジを果たして見せるわ!」


988 : ◆DmmDEGkMa3fh [saga]:2026/07/05(日) 00:27:04.29 ID:5rXdXODL0
完!!

くぅ〜疲れましたw(二度目)


勇者がエッチなお姉さんにTSしてエッチな目に合う それだけがコンセプトだったエチエチスレか安価兄貴姉貴達のお陰で最終的に神々の闘いまで飛躍したのぉ(しみじみ) 楽しかったんじゃあ!

見てくれてありがとうございました💪💪💪
989 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/07/05(日) 00:46:01.32 ID:g2L7EnsG0
おつ
990 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/07/05(日) 00:49:10.79 ID:ZcX1LKsq0
乙した
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2026/07/05(日) 13:52:58.97 ID:9+FpZqIu0
完結お疲れ様。
イッチ先生の次回作に期待。
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