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【勘違いするなよ】能力者スレ【別に助けたワケじゃねえ】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2018/11/03(土) 09:03:57.04 ID:Yt22jEpgO
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。

無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。

【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 

【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。

この世界は「多様性のある世界」です。
完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
コテハン「推奨」です!
基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
スレチなネタは程々に。
スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。

国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。

能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。

前スレ【https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1533607509/】
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1711617334/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:23:40.62 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459420/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:22:39.08 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459358/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/03(土) 10:23:43.87 ID:7W8uN8Hp0
>>1乙ですっ
3 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 14:32:58.17 ID:z86tKygMo
>>1乙です!


まったく、逃げ足としぶとさだけは折り紙付きの連中なんですよ
当局も壊滅のために、いろいろと手を尽くしましたが、何しろここ最近は他に優先すべき案件が多くありましてね

【集まった貴方たちへと語り掛けるのは、水の国の警察官僚の一人。今回の依頼者である】
【眼前のスクリーンに映し出されているのは、ある犯罪集団についての情報だった】

【『スクラップズ』。カノッサ機関No.29、カニバディールを頭目とする盗賊団】
【首領のカニバディールを始め、顔と名前がわかっている主要メンバー15名の写真と主な罪状】
【いずれ劣らぬ異形、かつ凶悪極まる犯行の数々】

【そして、彼らがこれまで起こしてきた複数の事件について。昼の国での二回にわたる大規模テロ】
【紛争地帯や路地裏における殺戮・略奪・誘拐。スナッフムービーの制作と販売。数えきれない件数の窃盗・強盗】
【その他諸々、懲役に換算すれば累計で1000年近くには達するだろう】


風の国でUT事務所に配下二人と共に現れ、返り討ちにされた一件以来、この半年余りは
目立った行動は見られていなかったのですが……。最近になって、奴らの潜伏先の一つが特定されたのです
『泥の街』郊外。この世の掃きだめとも言うべき場所です。奴らの隠れ家としてはピッタリですな

【スクリーンが切り替わる。遠隔から撮影されたらしい、中規模の建造物。見た目は、ただの工場のように見える】

今回、皆さまに依頼したいのは、この施設への潜入・調査です
無論、相応の用意はあります。我々が用意したこのステルス迷彩装置です

身体のどこかに装着していただき、起動すれば完全な透明化が可能となります

カメラも内蔵しておりますので、皆さまはただ施設内をくまなく歩きまわっていただければ
『スクラップズ』の施設内の様子を撮影・記録出来る、というわけです

通信機としても使用できるので、状況に応じて相互に連絡を取り合うことも出来るでしょう

【配布されるのは、小型のバッジのような物体。運命を預けるには頼りなさげだが、迷彩の機能のほどは確かである】
【潜入者たちが、施設内の盗賊どもに自ら攻撃を仕掛けでもしない限りは、まず見抜かれることはないはずだ】


依頼は調査ではありますが、皆さまも腕に覚えがあられるはず
もちろん、その場で『スクラップズ』を殲滅していただいても、一向に構いませんぞ!

確かに、今まで各国の捜査の手をすり抜けて来た奴らですが、それは単に小物ゆえの臆病さからくる逃げ足ゆえ
カニバディールもその一味も、悪党としては所詮三流! 現に、今まで確認されている戦闘の大半において敗走しています
規模も、せいぜいが100名かそこらでしょう。一騎当千の皆さま方なら、何の問題もありますまい! ハッハッハ!!

【そう言って笑う警察官僚。舐めすぎているようにも見えるかもしれないが、事実でもある】
【世界を漂白せんとする『黒幕』。欲望のシステムを牛耳ろうとする『円卓』。並行世界から現れた『虚神』】

【数々の巨大な陰謀・恐るべき組織に比べれば、あまりに貧弱な寄せ集めのゴロツキどもだ。それらを相手にしてきただろう貴方たちなら、問題にもなるまい】
【官僚の言葉を、貴方たちがそのまま肯定するかは個々人によって違うだろうが。ともあれ、依頼は成される。その後、貴方たちは現地へ向かうことになるだろう】

/続きます
4 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 14:34:25.87 ID:z86tKygMo
――――はい。問題なく出立しました。全て滞りなく

‘ご苦労。『スクラップズ』のやっていることがわかれば良し。奴らが壊滅すれば更に良し’
‘失敗したとしても、我々の崇高な理念の障害となる者が消える。どう転んでも損はない’

‘全ては、新しい世界の為だ’

【能力者たちが去った後。警察官僚は、水の国の野党議員の一人とそんな言葉を交わした】
【『黒幕』の末端に属する彼らの浅慮な謀略。それが、今回の発端である】



【ステルス迷彩の機能は確かだ。最悪の治安で知られる『泥の街』も、難なくすり抜けられるはず】
【すぐに、事前に見せられた写真にあった通りの現場にたどり着くだろう。中規模の工場。間近で見ても、外観は何の変哲もない】

【潜入経路は2つ。片方は工場の裏手、『資材搬入口』と表示された大きなシャッター。時折、中型車両がどこからか帰還し、その入り口から中に入っていく】
【開閉に伴う隙は大きく、次の車両の進入についていけばたやすく入り込めるだろう】

【もう片方は工場の正面玄関。監視カメラは設置されているが、不用心にも見張りはいない】
【こちらも、シャッターは開いている。堂々と乗り込むことが出来るだろう】

/突発の探索イベント的な奴です。お付き合いいただける方いらっしゃれば、お願いします!
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/11/03(土) 15:04:42.09 ID:fwFjh18G0
>>3-4

ふーん。ふーーーーーーん。隠れ家とか持ってたんだふううーーーーーん。
水でも流すか火で燃やすかしたら早いんじゃないですかね、知りません、けど……

【集められたその場で少女はかつんかつんと、組んだ腕の先、爪先を打ち鳴らしていた】
【灰青の瞳でじいと食い入るように見やるのは異形の首領の映像。……何かしら、因縁があるらしく】
【そいつばかりをずっと見ていた。彩度の低い瞳に薄ら、昏い閃光が瞬いたような、錯覚】

…………、……まあ、いいです。「やらせて」いただけるなら、それで。

【白い髪の少女。落ち着いた色合いの服装も含めて、迷彩なんて無くても、風景に溶け込めてしまえそう】
【そんな風体の、細く小柄な人物が――けれどここに集められたというのなら、何かしら】
【戦うための能のある人なんだろう。何も怯むことなく装置を受け取って、移動して、工場へ】

【選んだ道は「正面玄関」。何も遠慮することなく、静やかに、足音も立てずに堂々と。内部へ侵入していく――】

//遅くなりました、佳月です!どうぞよろしくお願いしますー
6 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 15:10:12.52 ID:z86tKygMo
>>5
【正面玄関を入れば、まずは簡素で小さなエントランスホールらしき空間に出くわすだろう】
【白い大理石の床。白い壁。来客などないゆえか、受付も何も存在しない殺風景】

【その先に、二手に分かれた通路。潜入者から向かって左、そちらから一人分の足音がする】
【足音の主は、すぐに姿を現した。額の上で頭蓋が断ち切られて剥き出しの脳をカプセルで覆い、さらに頭頂にアンテナを突き立てた男】
【写真にあった主要メンバーの一人、ノーティヒア・ウェーブナーだ】

歩く時にふくらはぎの筋肉は、血液を押し上げる。第二の心臓とも呼ばれるという
心臓とは、即ち筋肉の動きに過ぎない。そのただの筋肉が我々の生命線なら、我々の意志はどこに介在するのだろう

【わけのわからないことをブツブツと一人呟きながら、ノーティヒアは通路を横切ろうとする】
【服にプリントされた天体に仕込まれた電飾が光り、壁を淡く照らし出す】

【潜入者には見えるだろうか、その壁に施設の簡易マップがある。確認すれば、他の潜入者にその情報を送ることも出来るだろう】
【一時立ち止まって見てみれば、各部屋の名称も確認できるはずだ】


【『資材搬入口』、『正面玄関』、『居住エリア』、『資料室』、『厨房』、『大食堂』といった一般的な名称もあれば】
【『廃の国原生生物メンバー居住エリア』、『食肉加工所』、『標本室』、『資材選別室』、『戦利品保管所』、『クリーチャー製造エリア』といった】
【不穏な気配を纏わせるものもあった。このホールから直接に繋がっているのは2か所】

【ノーティヒアが歩いてきた方角、『資料室』。ノーティヒアが向かう方角、『居住エリア』】
【潜入者はいずれを選ぶか】
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/11/03(土) 15:28:45.94 ID:fwFjh18G0
>>6

………………きっも……こんなんしかいないんですかスクラップズ。
アタマがアレなら部下もアレなんですね、ほんともお、……早速帰りたくなってきた。

【横切っていく異形を見てあからさまに顔を歪めながらも、少女は吹っ切るように前を見て】
【じっと施設の中を観察する。そうして地図を見る。そしてまた――歪めるのだ、表情を】

……………………無駄にきっちり部屋分けしやがって、変なトコ律儀だな、ムカつく……
しかもどう考えてもイヤな予感しかしない部屋名ばっか、食堂とか、逆に浮きすぎてて怖いし……

ここから行けるのは、……ふたつかあ。んー、いきなり人の多そうな居住エリア行くのはな、
いくら迷彩があっても、少し不安だし……こっちかな。……何の資料が置いてあるんだか。

【ひた、と地図に指先を触れて、なぞって――選んだのは「資料室」。やはり足音を立てずに、向かう】
8 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 15:36:43.93 ID:z86tKygMo
>>7
【彼女の感想はあまりに正しい。外見・内面共にグズグズに歪み切った者が大半を占めるのがスクラップズだ】
【それでも、その異形を見てこの反応を返せる辺りは、彼女もJusticeや外務八課で修羅場を潜った精鋭である証拠だろう】

【似合わない几帳面さは、カニバディールの精神の表れか。不穏な部屋名は、未だ底を見せず】
【彼女が向かう先、『資料室』には何の障害もなく入り込めるだろう】


【『資料室』は、何の変哲もない事務所のような場所だった。この異形どもの施設の中では、浮いてすらいる】
【複数の本棚は几帳面に整頓され、上部に資料の区分けが表記されている】
【大半は顧客情報やカノッサ機関内部の活動情報、資材≠フ仕入れ記録や用途の記録、帳簿】
【備品や武装の出入り、使用状況。いずれも、日々事細かに記録されたもの】


【奥には、会議スペースのような空間が見える。複数の長机に、ホワイトボード】
【ボードには、何らかの作業工程の進捗を示すガントチャートが掲示されていた】

【チャートの上部には、『ブラック・ボックス発掘計画』とある。かなり以前からの計画らしいが】
【覗き込めば、ここ最近の公安関連の事件や、虚神に纏わるインシデントの日付に合わせて、工期の遅れが発生していることが読み取れるだろう】


【周辺の本棚や机を調べれば、何かしらの情報はわかるかもしれない】
9 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 15:42:11.02 ID:a10C/xTl0
>>4

【―――――――――】

【一息遅れて、工場の裏手にある『資材搬入口』から侵入する気配が一つ。】
【その人物は小柄であり中型車両の陰にはすっぽりと隠れられる、さらには授けられたステルス迷彩】
【問題なく潜入は完了した。ステルス迷彩をつけつつ侵入者は息を吐き出した。】

―――造作もないな、しかしこのような近代の兵装を使うなど………致し方なしか
まぁ良い、異端がそこにいるならどんな手も使ってどんな事もしてみせよう。

>>7こちらも潜入した、何かあれば言ってくれ》


【その人物は白い外套を頭まですっぽりと被り、そこからミントグリーンのおさげが垂れている】
【ポツリと小さく独り言を呟きながら周囲を見渡し、同じく潜入した人物に対して報告を入れる】
10 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 15:45:45.51 ID:z86tKygMo
>>9
【資材搬入口に乗り込めば、たった今一緒に入ってきた中型車両から二つの人影が降り立つ】

【片方は、オールバックにした鉛色の髪と同色の瞳を持ち、両耳と口元・舌の外周にピアスを付けた男】
【もう片方は、民族衣装・サリーを纏った褐色肌のぼんやりした表情の女】

【事前資料にあったスクラップズのメンバー、首領代理のスカーベッジ・トラーシュと、エレファーナ・スタンプだ】

「ぱお〜ん……スカーさん、お腹空いたよお……」
運んできた資材≠運搬したら、一旦お前の作業は仕舞いだ、それまで我慢しろおぉ! 今日はこの後、ボスの飯が食えるんだからな
「ぱお〜! そうだった! ご飯、ご飯、ボスのご飯〜♪」
わかったらとっとと、身ぐるみ剥がして仕分けの奴らに引き渡せ! こいつらは食肉用だ、遅れたらボスの機嫌が悪くなるぞ!
「はぁ〜い、スカーさん。ほら、早く来てよお〜!」

【機嫌よさげに鼻歌を歌いながら、エレファーナが荷台を開いて太いロープを引く】
【引きずられるように降りて来たのは、数珠つなぎにされた10人ほどの少年たちであった。柄の悪そうな恰好をしているが、今や見る影もなく怯えている】
【猿轡を噛まされ、悲鳴も上げられない彼らをエレファーナが引っ立てていく。傍らでスカーベッジは、搬入口の奥から来た別の一人と話し始めた】

【女子用の学生服に身を包み、ストレートの銀髪をなびかせた、全身真っ青な肌の女。主要メンバーの一人、蓮華院 美鈴】


『お疲れ、スカーベッジ。送信されてきた資材データ見たけど、今回のは小物だね?』

ああ、暴走族のクソガキどもだからなあぁ。せいぜいが、夜の街走り回って、女見つけたら引っさらって
寄ってたかって犯して殺してを、3・4件繰り返したって程度の連中だよ

それに、刑務所長の野郎、今回で取引は最後にしろだとよ! 偉そうに抜かしやがってえぇ……

『またかい? 水の国の刑務所長のほとんどから似たような打診が続いて、とうとう少年刑務所もか』
『まあ、もともと家族が引き取ることが多いから、取引回数は少なかったけどさ』

難癖付けてくる親がいる時ゃ、一家纏めて消してやったこともあったのによおぉ!
『黒幕』どもの影響なんだろうが、もう水の国で犯罪者買うのは無理かもなあぁ……

【愚痴っぽく呟くスカーベッジと、適当に相槌を打つ美鈴が搬入口奥の通路を歩いて奥へ向かっていく】

【その先の道は、二手に分かれている。右は、エレファーナが暴走族を引っ張って消えた通路。矢印と共に『資材選別室』と表記されている】
【左は、スカーベッジと美鈴が歩いていく通路。同じく矢印と共に『居住エリア』と表記されている】

【どちらを選ぶかは、潜入者の自由だ。どちらにせよ、施設の構造上、最終的にはその先のどれをも目にすることにはなるだろうが】
11 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/11/03(土) 15:47:16.07 ID:fwFjh18G0
>>8

…………ほんっとに無駄に几帳面。私のデスクよりきれいでムカつくな……。
会議、会議なんて成立するの……? あの脳味噌出てた人とかも参加するのかな……?

【妙な感想ばかり浮かんでしまうのは、ここが異形の巣窟だから。内心でそう言い訳しつつ】
【とりあえず本棚に並ぶ資料の背面をざあっと眺めて、何か手に取るべきものがないか】
【探していく。ブラック・ボックスとやらの話も気になるが、それだけでは何もわからないから】


>>9

≪……あ。お疲れ様です。白坂佳月と申します。正面から侵入して、今は資料室……? に、います≫

【報告に返す言葉は曖昧。資料の内容をじっくり読むまでには至っていないらしい】
【何か気に留めておくべきものがあるというなら、声をかけておけば、少女はそれを探すだろう】
12 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/03(土) 15:49:10.20 ID:QGYZltBN0
>>3>>4

【ふたりの女が、寡然として立ち尽くして彼らの言葉に耳を傾けていた。 】
【一人は、長い銀髪の女であった。黒い外套を纏った、ひどく背の高い女。 ─── 冷たく儚げな横顔は、その輪郭さえ朧であり】
【だがどこか焦燥に震えるようでさえもあった。顔の右半面を覆う長い前髪が揺れた。晒された左眼を忌々しく眇めていた。結んだ瑞々しい唇を堪えるように歪めていた】
【 ─── 頭痛でも堪えているのだろうか。掌の硬骨を目許に押しやって、塵労を示す形で首を振った。吐き出されるのは、仄暗い嘆息。】


「 ……… どうにも、」「虫の居所が悪いわ、ね。」
「 ──── デイジーカッターでも、ブチ込んでやれば、済みそうなものを ……… 。」


【月経的な苛立ちを隠すこともない振舞に、付き添う黒髪の女は敬遠じみた表情で相手を見上げた。 青い目をした眼鏡の女】
【 ─── やや高い背丈を、この場には不似合いな/然し本質としてどうしようもなく似合ったゴスロリに覆い隠し、脚元は気まぐれな黒いピンヒール】
【何より白い左手の薬指に、銀色と一点の赤を輝かせていた。 ─── 結局のところ、やはり彼も漏らすのは嘆息であり】
【対手の憂鬱に関しては理解していた。執行の頓挫、伴侶の難局、故も知らぬ幻覚。まして今回の目標は個人的な仇敵であった。ならば憤懣も貯まろうという物であるなら】


『うわ、おっかな。』『向こうとしては首ィ持って帰ってほしーんでしょ。口車に乗ったげよ、ね?』


【いずれにせよ彼女らはオーダーを受け入れた。 ─── 『性能いいな。ウチの熱光学迷彩と後で比較試験しよっかな』】
【潜入はごく恙無く進んだ。黒髪の女はライフルを、銀髪の女はハンドガンを携え、その両方にサプレッサーを装着し】
【 ─── 差し当たっては、所属の同じ人間が、先に向かっている目標を選んだ。『正面玄関』、のち『資料室』へと】
13 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 15:58:59.78 ID:a10C/xTl0
>>10

【現れた三人のメンバー、中には情報にあった幹部の姿も見える。】
【連行されていく少年達の姿に眼を細めて思案しながらも、ひとまずは様子を伺うのみに留める】
【そして分かれ道までいけば一度立ち止まり、今後起きうる事を想定する。】

―――、どうやら水の国は噂通りの腐敗具合らしいな。囚人とはいえ所長が売り飛ばすとは。
それにこいつら人肉≠食べているのか…!?なんという冒涜、許されるはずもない。

>>11

《こちらは搬入口から入って進んでいる。どうやら拉致されてきた人々が運び込まれたようだ》
《犯罪者のようだが捨て置けない。頃合を見て騒がしくなるかもしれないが―――先に謝っておく。》

《―――それと、水の国におけるカルト教団関係の資料があればピックアップしてくれ》


【どこか幼さと厳格さが同居する声で通信する、先に謝っておくのも含めてどうにも堅物のようだった。】

【通信を切れば白い外套の侵入者は『資材選別室』方面へと進む。】
14 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 16:09:56.97 ID:z86tKygMo
>>11
>>12
【暗部たる正義組織、外務八課。その精鋭が三人。スクラップズの危機に、盗賊どもはまだ気がつかない】
【資料室まで、アリアとミレーユも何の障害もなく辿り着くだろう。三人で手分けして、捜索することになるだろうか】


【本棚に収められた書類の中でまず目を引くのは、『虚神』と書かれた区分けのものだろうか。異世界の神々に関わるインシデントの経緯や】
【INF財団という組織についての断片的情報などが見て取れる。調査は、芳しいとは言えないようだ】

【カゲツがそれらを手に取っていけば、複数の情報が手に入るだろう】
【『神話生物リスト』と称された名前の羅列。INF-001・グランギニョルを筆頭に並ぶ虚神たち】
【レッド・ヘリング、シャーデンフロイデ、ジャ=ロの名は、横線で消され『消滅』と書き加えられている】

【ロールシャッハ、スナークの名の下には複数の詳細情報が書き込まれている】
【スナーク。またの名を病魔イル=ナイトウィッシュ。人間への強い憎悪。インシデント・信仰の工場における遭遇時の状況について細かく】
【ロールシャッハ。現状、最重要警戒対象。水槽に浮かべられた脳。悍ましきその目的】

【ロールシャッハの項目には、旧市街ストックホルムでの調査記録も添えられている】
【元INF財団職員の成れの果てとの遭遇。向こうの世界のパソコンからの情報。ロールシャッハの財団の軽視】
【そこから付随して、<harmony/plan>は向こうの世界における、ロールシャッハへの対抗手段だったのでは、との考察についても】

【それらリストの名前の中で、ただ一つ。INF-002・鵺。その名だけが、苛立たし気なぐちゃぐちゃとした線で塗られ】
【その横に、こう殴り書きされていた。『そんな未来など、最初からなかった』】


【外務八課に属するカゲツならば、組織から聞いている情報が大半だろうが】
【有用なのは、ストックホルムでの調査記録くらいだろうか。彼女の同僚であるアリア、ミレーユ、タマキと思われる外見特徴と共に】
【その場に居合わせた人物のことも記録されていた。外務八課以外では、SACRILEGEのギンプレーンとディー】

【そして、彼女の親友、夕月もその場にいたことがわかるだろう。カゲツの上司、後藤が水の国最高議会の議員】
【イスラフィールと会っていたことを察知していれば、その辺りの事情も呑み込めるだろうか】
【その場合、議員とカニバディールに何らかの関係があったのかという、疑念も生まれるかもしれないが】


【その隣には、『黒幕』と称された区分けに、複数の資料が並んでいたが、『虚神』の棚より明らかに量が少ない】
【『黒幕』に属する者たちで、名前がわかっているもの。婦警・曽根上ミチカ。ケイ・ガーヴェイ。詳細不明の六罪王・ロジェクト】

【最後の一人、嵯峨野 鳴海という名は二本線で消され、隣に『ロールシャッハに成り代わられた』と書かれ】
【下には、スクラップズが潜入したらしい<harmony/group>のビルにおける、調査記録も発見できるだろう】


【めぼしい最後の棚には、『敵対者リスト』と書かれた資料。並ぶはいくつもの名前と組織名。敵に回す相手が多いのは当然か】
【自警団や警察。UTにJustice。そして、外務八課の名もあった】

【流石に、外務八課のメンバーについては多くは掴んでいないらしい。また、カゲツの名も元Justiceの項目に振られている。彼女の現在の所属は掴んでいないのだろう】
【名がわかっているのはアリアのみ。その隣には、先のストックホルムで目にしたタマキの外見的特徴。距離感からして、おそらく同じ八課メンバーとの推測】

【その下には、夕月の名の横にその伴侶、名前不明、性別は骨格と肉の形からして男、と記されている】
【アリアにとって重要なのは、その下にある名前だろう。蜜姫かえで。元サーペント・カルト】

【その下には、あの病室でカニバディールが行った尋問の記録と共に、こう殴り書きされていた】
【『最悪の味』。『クズ肉』。『存在自体が食肉への冒涜』。『敵対は確実。発見次第、抹[ピーーー]べし』】

【そこから、さらにサーペント・カルトの項目をも参照すれば。彼女らは知るだろう】
【オフィウクスのうち、二人の死に直接間接、カニバディールが関与し。うち片方、サビクと呼ばれた少年を】
【直接に手に賭けた挙句、冒涜者に遺体を売り飛ばした事実を】

【有用な情報はこのくらいか。奥にもう一つ扉。表記は『標本室』、『クリーチャー製造エリア』】
15 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 16:19:15.38 ID:z86tKygMo
>>13
【まさに、この世界全体に蔓延する腐敗の気配がそこにあった】
【『黒幕』の陰謀は、皮肉にもその一端にブレーキをかける役割も確かに果たしていたらしい】

【正確には、人肉を消費するのは首領以下、一部メンバーのみだが、この場では重要ではないだろう】


【『資材選別室』は、タコ部屋のような広い部屋だった。複数の下位構成員が、買い取られた犯罪者たちを】
【あるいは殴りつけ、あるいは押さえつけ、その身ぐるみを剥ぎ取って裸にし、所持品を全て奪い取り】
【それらを、的確かつ正確に分類していく。無慈悲かつ手慣れた作業工程】


【やがて、全裸にされた暴走族たちが再び縄打たれて、連行されていく】
【隣には、『戦利品保管所』がガラスの向こうに見えるだろう。盗賊行為でも結構な割合で私腹を肥やしているらしい】

【高価な物品や札束、銃火器類などの武器など、あらゆる物が種類分けされて、保管されていく】
【その気になれば、盗賊から盗むという芸当も出来そうだが、高潔なアンゼリカは良しとしないだろうか】

【先の暴走族たちをはじめ、連れていかれる者たちは『居住エリア』の方へと引き立てられていく。後を追うのは簡単だろう】
16 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/11/03(土) 16:30:34.75 ID:fwFjh18G0
>>13

≪……。……そうですか、いえ。謝ることなんてないです。私でも同じことをします≫
≪カルト。承知しました――「蛇」に限定しなくても、いいんですよね?≫

【少しの間を置いたのは、呆れからか。否、彼女も怒っているのだ、通信機越しに】
【次いで訊くのは、「カルト」の範囲――よく耳にするサーペント・カルト以外のものも、集めるべきかどうか】


>>12>>14

……あ。アリアさん、ミレーユさん……お先してます、どうも。
調子悪いんですか? なら無理して来なくっても、……えっと、いえ、なんでもないです。

【後から合流する二人を見て、小さな音量で声を掛けつつ――アリアから何かを察したらしい】
【ひゅっと引っ込めるような動作で本棚に向き直って、一冊一冊、手に取り始める】

(……。……異形の悪党軍団でも、虚神の存在は許容できないのか。まあそうか)
(困るもんな、自分たちがぐちゃぐちゃにしたい世界を、先にそうされたら――腹立ちますよね、そりゃあ)

【頁を捲りながら目を細めて――「鵺」のところの乱雑な線を見て、首を傾げる】
【彼女は知らなかった。あの場でジャ=ロが殺した少女の名前を。その子が、この世界で、どう在ったのかも】
【だから他人事の感覚で読み進める。そうしていくうち――夕月の名を見て、眉を顰める】

…………ミレーユさん。ミレーユさん? ここ、夕月さんの名前があるんですけど。
私の見間違いですかね。だってあの人、今はあなたに保護されて――外に出てないはずですよねえ?

……ま。今はいいか。通信機の向こうの人のご依頼を遂行しないと、
…………最近のカルトなんて、蛇教以外にあったっけ? まあいいけど……

【ぱたん。虚神関連の資料はひとまず置いておく。アンゼリカから賜った、カルト教団の資料探しに興じながら】
【――――「黒幕」の資料に目をつける。無意識に手を伸ばす。読む。そして、】


………………………………あれ? 婦警、……曽根上ミチカ、……、外見的特徴、
あれ、あれ…………、……どうして、これ…………「くるるさん」と、いっしょだ………………。

【あからさまな動揺を見せる。目を丸くして、その場に固まって。……移動しようという気には、なれていないらしい】
17 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/03(土) 16:32:39.74 ID:QGYZltBN0
>>11>>14

【それなりに顔見知りのメンバーとも合流すれば、手当り次第に情報を窃取することを選んだ。 ─── 虚神、黒幕、敵対者。あまり目ぼしい知見は得られなかったが】
【中には特筆すべき観点からの考察も見て取れた。特にロールシャッハに対する一連の推測は彼女らの思考にも有用であった】
【 ─── イスラフィールと呼ばれた議員との関係性についても、興味深く。然らば、視覚バッファに映像記録を保存しておく】


『 ……… ねェ。ボクの女装、ヘタになった?』「黙ってなさい。」


【そうして彼女ら自身の身辺調査が為される頁に指を進めるならば ─── 存外に身の上は漏れているようだった。然して何より、】
【続いた記述こそが肝要でありまた致命的であった。幽かな歯軋りの音。ならば全て黙然と読み進められていく。それが終われば】



「 ─── そぉ。そういう事だったの。」「 ………… ふうん。へえ。ふふっ。」
「随分と舐めた真似してくれるじゃあない。」「 ───── 殺すわ。」

『おい今キレんなよ。派手にやるのは後になってからだ。逸るな』



【徐に、銀髪の女 ─── アリアは、呟いた。ひどく冷たい声。酷薄な声。冷酷な声。手に持っていた資料の束を放り捨て、】
【有無を言わせぬ足取りにて「標本室」へと向かおうとする。忿怒を育む所作に似ていた。ハンドガンのスライドを引いて】
18 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 16:36:19.13 ID:a10C/xTl0
>>15

まるで工場だな、醜悪な姿に眼が行きがちだが中々どうして良く考えられている
こうして潜入を許してはいるが今まで自警団や警察の眼を逃れてきたのも納得だな―――。

【みぐるみを剥がされていく犯罪者達を見つめながら、一瞬過去の自分自身がフラッシュバックする。】
【だがすぐに気を取り戻し、一度首を振ってから『戦利品保管所』を眺める。】
【「ここは破壊した方が良さそうだが、ひとまずは先に進むのを優先した方が良いな」と判断する】

【そして後を追うように『居住エリア』の方へと進んでいくだろう。】

>>16

《とりあえず蛇教≠ニやらが中心で構わない。そちらの捜査に支障が出ない程度に宜しく頼む。》
《こちらには『戦利品保管所』と称した盗品保管庫がある。映像データを後で送るから警察組織に所属するそちらで記録してくれ》
19 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/03(土) 16:41:12.38 ID:QGYZltBN0
>>16

【 ─── 威圧的な背丈から、冱つるような青い隻眼が、一ツ佳月を睥睨した。誰かを殺すと決めた人殺しの目。】
【やめといた方がいいのに ─── と言いたげに、疎ましげなミレーユの視線。然して向こうからも一ツ、切り込まれるなら】
【『 ……… 色々あって。』判然としない言葉尻。どこか罪悪感を孕んだような、青息吐息の独白。それでも、】


『 ─── おいおいキミもなんか見っけたの ……… ?』『勘弁してくれよホント、ボク一人じゃバックアップにも限界あるって、 ……… 。』


【 ─── 一先ずは、動揺に足るだけの真実を得てしまった少女に、ミレーユは付き添うようだった。アリアなら一人でも如何にかなるだろうという、酷い信頼】
20 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 16:44:23.05 ID:z86tKygMo
>>16
【カルトについては、蛇教のものについての資料しか見つからないだろう】
【壊滅前について記された古い資料ばかり。過去に彼らが起こした事件についてはわかるだろうが、それ以上の収穫はなさそうだ】

【鵺の死を、どこから異形が掴んだのかは定かではない。しかし、異形はそれを知った。何を思ったのか、わかる者はここにはいまい】
【この世界は多くの人が繋がっているが、全てが繋がっているわけではないのだ】

【まさにカゲツが睨んだ通り、先を越されたくないからこそ、スクラップズは『虚神』や『黒幕』を疎んでいる】
【夕月についての、ミレーユとのごたごたは恐らくは後に回されるだろう】


【婦警。何の因果か、カゲツは今までその正体を知らず。この場に留まって読み進めれば、確信は深まるはずだ】
【婦警の行動記録。見回りにかこつけたUTへの脅迫。たんぽぽの孤児たちを人質とした、鈴音への脅迫】

【ギア・ボックスによる特区への潜入記録。病院での異様な光景と、そこでギアの首を持って行った看護師の特徴もまた】
【きっと、くるるのそれを一致するはずだ。彼女が信じるかどうかはわからないが、確かにこの場の資料は告げている】

【来栖くるるは、『黒幕』に与してこの世を脅かす側の一人なのだと】
【これ以上の情報は、この場では恐らく望めないだろう。アリアたちの後を追うか、どう動くかは彼女の判断次第だ】
21 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/11/03(土) 16:48:41.70 ID:fwFjh18G0
>>18

≪…………さっそくひとつ蛇教の情報、共有しますね。幹部のひとり、サビクって人≫
≪金髪碧眼の少年。それが、ここの頭領の手に掛かって死んだらしいんですけど――問題はそのあと≫

≪その死体、どっかに売り払われたみたいです。……きっと何か、「よくないこと」に使われてるんでしょうね≫

【通信機越しにもわかる、ひどく苛ついたような声。ひとつの非道が為されたことを、アンゼリカに伝えた】


>>19

待っ、…………待って、ミレーユさん! アリアさんも、できれば、聞いてほし、……っ、
ふたりとも「婦警」の存在はご存知ですよね、曽根上ミチカ、黒幕の…………

あれ、「ふたり居ます」。今わかりました、それで、えっと、曽根上じゃないほうっ……
――――「来栖くるる」って名前のほう。あれと接触したことがあります! 私と、――夕月さんも!

【「ヤバい、この情報共有しなきゃ、あの人バカだから、あぶない――――」 少女は二人にあわてて駆け寄って】
【しかしアリアが立ち止まってくれないなら。せめてミレーユだけにでも――ぜったい伝えなきゃいけないことだった】
【「あの少女」に関わることだから。ひどく狼狽した顔をして】


>>20

………………ッ、鈴音さん…………「たんぽぽ」、……ああもう、やっぱり!
くるるさんっ、……曽根上の、なんなの……。……、考えてもわかんない、もうここは、いいや……。

【吐き捨てるように呟く。それで、婦警の情報も、アンゼリカの望む情報もないとわかるなら】
【ふらついた足取りでアリアのあとを追う。それしかなくなる、――ひどく頭が痛むけど】
22 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 17:04:54.37 ID:z86tKygMo
>>17
>>21
【『標本室』と『クリーチャー製造エリア』は、ガラス張りの壁で隣り合っていた】
【『標本室』には複数の大型カプセルが並び、謎の液体の中で揺蕩う不気味な怪物たち】
【そして、虚ろな表情で浮かぶ人間たちが並んでいる。文字通りの標本】

【壁には、機械生物の剥製や、剥ぎ取られた人間の皮が複数飾られている。背中から裂かれ、そこから恐ろしく綺麗に剥ぎ取られたもの】
【頭髪までついたそれは、あの生配信で皮剥ぎをやったミレーユならば、その熟練した解体技術の一端を見るだろうか】

【その皮膚には、蛇の刺青がある。スクラップズに殺された、サーペント・カルトのサーヴァントのものだろう】
【その場に立つ複数の下位構成員がボヤきあっている】

サーペント・カルトはうっとおしかったけどさあ、あいつらが活動してる間は資材集めは楽だったよな
だなあ。あいつら、生贄探しに自分から人気ないとこに入ってくるし。路地裏で資材集めしても、サーペント・カルトの仕業と思われるし


【ガラスの向こうには、複数の大型機械が立ち並んでいた】
【せわしなく行き来する構成員たちの中に、写真にあった主要メンバーの顔が二つ】
【スーツ姿に眼鏡の男、ポイゾニック・ジャンキー。鋭い目つきのミリタリーコートの男、レギオルフォン・ゾルダート】

【ポイゾニックは何らかの制御盤を操作し、傍らでレギオルフォンが何らかの薬剤の入った注射器を準備している】

【制御盤の真上、大型機械の更に上には、透明な球体に入れられた全裸の人間が何人か。球体一つにつき、一人ずつ】
【外務八課なら、顔くらいは見覚えのある者がいるだろうか。いずれも、重犯罪によって死刑か終身刑の判決を受けた犯罪者だ】

【レギオルフォンの眼前には、作業台に固定されたやはり全裸の犯罪者が呻いている】


……UTの生物兵器の女は、例のカチューシャのことで人を悪意で歪める行為に怒っていたらしいが
俺たちのやってることも、大して違いはないな

「何言ってんです、レギオルフォン! 自分のことは棚に上げる! これ、ワルの鉄則!!」

【その言葉と同時に、頭上のカプセルが開き、犯罪者たちが大型機械の中に転落する。水音が弾ける】
【ゴボゴボという水音と悲鳴が、やがて獣じみた咆哮に変わっていき。機械の下部から排出された時には】
【爪や牙や触手をめちゃくちゃに組み合わせたような。人間の頃の姿の面影がまるでない、怪物に変わっていた】
【いともたやすく行われる、えげつない怪物製造過程。機械の中には、何が満たされているのやら】

「ま、そりゃそうだ。どうせ、ほっといても死刑や終身刑の奴らだしな。有効活用ってやつか」

【レギオルフォンもそう言いながら、作業台に拘束された男に注射器の中身を押し込む】
【たちまち男の身体が膨らみだし、やがて人間の範疇から外れた異様な肥満体となった】

【レギオルフォンが作業台をそのまま押し転がして、その先の穴に肥満体を放り込む。上には表記『ブロイラーハウス』】
【ガラス張りの階下を除けば、その様はまさにブロイラー。ぶくぶくに膨らんだ異形の人間たちが、粗末なテーブルの上に並べられた、残飯のような食事を貪り続けている】

【そのすぐ隣、壁一枚隔てた部屋では、先ほど機械から排出されたクリーチャーたちが、肥満体たちを貪り食っている】
【ブロイラーとは、クリーチャーの食料にするためのものらしい。全てが、資材とされた人間を循環させた邪悪なシステムだ】

さあて、もう少ししたら行かないと! ボスのご馳走が待ってますよ!!
「ああ。久々に美味い飯にありつけるな」


【言いながら、二人は奥の扉へと歩いていく。その先は先に目にしただろう『居住エリア』に通じているらしい】
23 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/03(土) 17:20:06.24 ID:QGYZltBN0

>>21


『 ──── オーケー、ボクから伝えておこう。 ……… だから、安心していい。』
『推論と整理は戻ってからやろう。ここで今すぐやらなきゃいけない訳じゃないんだ』

【 ─── あるいは佳月の両肩を掴まえもするだろうか。宥めるようにミレーユは言葉を重ねて、真摯に視線を合わせて】
【一先ずは落ち着かせようと試みていた。だが詰まる所、彼もまた幾らか動揺してもいた。 ─── なんとなれば、想い人に関わるが故】
【奇妙な巡り合わせの符合ではあったとしても、今は思索を停止させて、物言わぬアリアの黒く高い背中に従っていく。そして、】

>>22


【仄暗い照明の中に浮かび上がるホルマリン保存の陳列。 ─── やはり、両者ともに、決して良い顔はしなかった。】
【確かに外道になる為に、ミレーユもまた外道の遣り口を学んだ。 ─── 『 ……… 流石って、言うべきなのかな。』ぽつり、呟き】
【それでも思う所が無い訳ではなかった。どこかで何かを間違えていれば、斯く弄ばれていたのは愛しい笑顔であったかもしれず】
【対してアリアは剥き出しの悪意を隠そうともしなかった。 ─── やはりそれもまた個人的な感情に終始してはいたが、それ以上の事を求められはしなかったのだから】


「 ─── 不愉快ね。凄く、凄く、不愉快。」『 ……… それはさ、解るからさ、 ……… ああ、もうッ』


【 ──── 眼前に現れる酸鼻を極めた光景に、ようやく何か言葉を絞り出すように、アリアは一人ごちる。人間を素体とした工場】
【救いようのない罪人であっても、斯様な冒涜的惨劇を創り上げて許されるであろうか。まして必要とあれば、敵対者にも同じ措置を取るのであろうと、想像に難くなければ】
【せめて足音だけは殺した足取りにて、「居住エリア」へ向かおうとするのだろう。必要とあらば最早、戦端を開くことも厭わずに】
24 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/11/03(土) 17:23:40.76 ID:fwFjh18G0
>>4
【普通の能力者の体で依頼を受けたのは見た目は双子に見える少年?少女?の二人組だった】
【どちらも10代前半程度の見た目で、片方はお嬢様のようなフリルのついたドレス、もう片方は飾り気のない執事服を着ている】
【ショートカットで幼い顔立ちは性別を判断できず、髪型まで同じなのにドレスの方は少女に、執事服の方は少年に見える】


ねえ、二つの道が有るみたいよ?どちらの行きましょうか、アレフ?

「お客様。他の方の迷惑にならぬようお気をつけ願います。
……資料室の方に参りましょう。私どもの目的を忘れてはいけません」


言われなくても分かっているわよ、アレフ。
命令外だけど、それでも組織のお役に立てば、ボスも赦してくれそうじゃない?
冴えた思い付きだと思うのだけど。


「お客様――最初から怒られるようなことをなさいませんように。
このカニバディールと言う男の住処、一目で危険物だと言うことが伺えます。
私どももお嬢様も戦闘は得意ではないのですから」


【二人で姦しく話しながら、二手の道を資料室の方に向かって進む――程なく、先に行ったメンバーと合流出来るのだろうが】


// 遅ればせながら参加します!
25 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 17:25:43.39 ID:z86tKygMo
>>18
【アンゼリカの評価は、過分と言うべきか否か。少なくとも、異形どもなりに考えたのは確かだろう】
【彼女の過去を知る者もおらず。ただひたすらに、時間と状況だけが流れていく】

【この場の下位構成員たちが気がつく様子もない。問題なく、『居住エリア』に進めるだろう】


『ぱお〜、スカーさん剥ぎ取り終わったよ〜』
おう、ご苦労。そいつら『食肉加工所』に届けたら、お前は食堂行ってろ

……で、オールドベビー。あのてめえのガキ虐待死させた夫婦の片割れよおぉ
放り込んだのは、いつだった?

「ホッホッホ、確か三日前でちゅよおおおおおお」

【扉の向こうには、妙に薄暗い廊下とガラス張りの大部屋が複数並ぶ空間に出るだろう】
【壁を見れば、居住エリアの中でも特殊な部類、『廃の国原生生物メンバー居住エリア』であることがわかるはずだ】

【大部屋には、見たことのない生物たちがたむろしている。多足の大型昆虫。羽根の生えたナメクジ。鉢植えの下から出した根を脚にして歩く花】
【スクラップズのアジトがある廃の国にて、カニバディールにスカウトされた原生生物たち。見た目は怪物だが、カニバディールの懐柔に応じた知性ある生命体たちだ】
【廃の国に近い環境を整えられ、故郷の如き落ち着く部屋で悠然と寛いでいる】

【話しているのは、またもスカーベッジ。そして、大きな電動ベビーカーの中に収まった赤子ほどの老人】
【主要メンバーの一人、オールドベビー。しわがれた声で醜悪に笑う】


たった三日で、廃人にしちまったのかよおぉ……ゾ=ゾ・スライムの奴ら、消費速度が速くなってきてるなあぁ
水の国からの供給が滞ってるってのに、どうしたもんかねえぇ……

しっかし、連中の生殖≠ヘエグいの何の。流石の俺も、長く見てたくはねえなあぁ……

【スカーベッジの視線の先には、大部屋の中に座り込むやせ細った男。目だけがぎらついて】
【その男は、ブヨブヨと膨らんだ不気味な白い物体を殴り続けている。左右の腕で交互に、ひたすらに】

【そのたびに、白い物体から粘液が飛び散り、周りに飛散する。その中から、何かが湧き出すように現れる】

ぱぱぁ∞ぱぱぁ∞ぱぱぁ∞ぱぱぁ∞ぱぱぁ

【一見して人間の女性。その身長はバラバラ。しかし、全員が同じ顔だった】
【廃の国原生生物、ゾ=ゾ・スライム。人間の男性を催眠にかけ、自身を殴打させることで生気を吸い取り、それを糧に繁殖する生物】
【犠牲になった男、虐待事件の父親はもはや意識を飛ばし、それでもスライムを殴り続けている】

おおぉい、そろそろ止めろジェリー! もうガキは十分増えたろおぉ!!

ぼすぅ∞ぼすぅ∞ぼすぅ∞ぼすぅ∞ぼすぅ

ボスは俺じゃねえぇ!! ジェリー、後でちゃんと教え込んどけよ!!

【男に殴られていた物体が、その言葉に応じるように白い突起を伸ばして、左右に振った】


さあ、そのボスがお呼びだ、もうすぐ飯だぞ。食堂に向かえぇ!
ごはぁん∞ごはぁん∞ごはぁん∞ごはぁん∞ごはぁん

オールドベビー、その抜け殻はブロイラーハウスに放り込んどけ! ブロイラーどものスナック菓子代わりにはなんだろおぉ!
「了解でちゅよおおおおおお」

【スカーベッジの後を、スライムたちがついていき、オールドベビーはベビーカーを操作して部屋の中の男を処理しにかかる】
【このような異形の怪物たちが、この大部屋全てに潜んでいるというのか。その部屋から、いくつもの気配がゾロゾロと出てきて移動し始める】

【それに続いていけば、敵の中枢にも踏み込めるだろうか】
26 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/11/03(土) 17:28:36.70 ID:fwFjh18G0
>>22

………………くらくらしちゃうな。わかりやすい悪党すぎて、一周回って、安心するみたいな……

【虚神も、黒幕も、得体の知れない怪物どもであったからこそ彼女を不安がらせた、けれど】
【スクラップズの「これ」は、あんまりにもわかりやすく、人を冒涜するばかりのものだから】
【なんだか安心すらしてしまう。だって、あんまりにもはっきりと。「こいつらは殺していい」と思えるのだから】

ボスのごはん、ねえ……「前」も思ったけど、なんでこんなに部下から慕われてるんでしょう。
カニバディール。わかる人にはわかるカリスマでもお持ちなんでしょうかね。
……下手したら後藤さんより部下からの人望、厚かったりするんじゃないかな……

【最後の最後のコメントは、同行する二人に聞こえないよう極力音量を絞ったはずだけど。さて】


>>23

……、……できれば早めに伝えてあげてください。夕月さん、今、「たんぽぽ」にいるんでしょう?
あそこに、婦警、行くかもしれないし――そしたらあの人バカだから、曽根上とくるるさん、違うのに気付かないで――

【それから先を紡ぐ前にアリアが先へ行ったから、ぐっと唇を噛み締めて、共に歩みを進めていく。居住エリア】
【表情はずっと浮かないままだった。ずっと最悪を想定してしまうのも仕方のないことだったのかもしれない】
【あの少女は、良くも悪くも人によく懐くから。「くるる」にだって悪感情は抱いていなかった、そこを突かれたらきっと】
27 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 17:36:01.66 ID:a10C/xTl0
>>21

《ッッ―――死して、尚か………何が起きたのかはこのまま調べていけば分かるはずだな》
《情報感謝する。こちらはこのままだと少し騒がしくなりそうだ、一旦通信は切る。其方も気を付けて》

【通信機越しの相手のイラつきが伝播したように、通信機越しのアンゼリカが言葉を漏らす。】

>>25

なん………だ、これは―――。

【さすがに絶句した。もはや存在自体が冒涜ともいうべき空間が目の前に広がっている。】
【異端≠ヌころで片付けられる騒ぎではない。即座にすべてを浄化したい衝動に駆られるがじっと耐える】

【外套のフードをより深く被り、舌打ちをすると異形達に紛れて後についていく。】
【アンゼリカの瞳には、もはや明確な敵意がありこの全てを滅却せねば収まりそうにもなかった】
28 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 17:43:05.17 ID:z86tKygMo
>>24
【新たなる潜入者、カニバディールとは敵対とも味方ともいえない組織の者たち】
【が、それも時間の問題か。カニバディールは、畢竟世の中のほとんどと敵対するに足る男なのだから】

【資料室は、すでに外務八課の面々が通過した後。渡された装置の映像越しに、その痕跡を辿れば】
【先に外務八課が入手した、数々の情報を労せずして手に入れることが出来るだろう】
【姦しい会話も、スクラップズの化け物どもが食堂に集まりつつある今なら、誰にも聞かれることはあるまい】


【資料室にて、外務八課が調べたもの以外に目につくのは、やはりブラック・ボックス発掘計画だろうか】
【外務八課たちが、他の情報を優先したために手付かずのそれらには、廃の国の血塗られた歴史のほんの断片が記されていた】

【かつて、廃の国の支配者層に仕えていた暗殺者一族、ボックス一家。廃の国が、自らの力でほろんだ後も】
【なおその血脈を繋ぎ、今はスクラップズに与する者たち。その一人は、UTに所属し大会にも出場しているギア・ボックス。一族唯一の堅気、と記されている】

【ボックス一家の望み。箱になること。箱を我々が手にする。走り書きされた言葉は、まだ意味不明だろうが】
【少なくともそこには、『黒幕』とも『虚神』とも違う、スクラップズの目論見が滲んでいた】

【今から追えば、潜入者たちと居住エリアで合流することになるだろうか】
29 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2018/11/03(土) 17:46:20.75 ID:mnYEspSE0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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30 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 18:01:37.78 ID:z86tKygMo
>>23
>>26
【そう、まったくもってストレートな悪党たちだ。異形どもにとって、人間など単なる資材に過ぎない】
【仲間内で固まり、そのために他を平然と食い物にする。百戦錬磨の外務八課ですら、嫌悪を示す惨状】

【ミレーユは、異形どものスナッフを参考にしたのかはわからないが。少なくとも、愛する少女を冒涜された復讐と】
【欲望のままに振る舞う異形どものそれとは、決して比べてはならないもののはずだ】
【それにアリアたちの思う通り、敵対者にもこのように振る舞うことは疑いようもない】


【部下たちの忠誠の高さは、懐柔の手口のみならず、部下と自身の命を融合する】
【カニバディールの能力に起因するところが大きいのだろうが。この場ではさほど重要ではないか】


>>23
>>26
>>27
【『居住エリア』は、ちょっとした高級ホテルのような場違いな空間が現れた】
【カーペットが敷かれたホールに、十数名の人間がたむろしている。中には、蛇の頭に人の身体を持った怪人などもいる】
【SFに出てくるグレイタイプの宇宙人のような頭をした男も。かと思えば、気味悪いほど整った顔立ちの、人形めいた女も】

【カゲツが見かけたノーティヒアもいた。相変わらず意味不明な呟きを交えつつも、周囲の構成員らと言葉を交わしている】
【多種多様な見た目とその残虐な所業をよそに、その光景は和気あいあいとして、和やかな空気すら漂っていた】

【やがて、異形どもは移動していく。大きな扉の先へと、めいめい世間話を交わしながら】
【人も異形も、悪党も悪党も、みな等しく。行き先は、『食肉加工所』、『厨房』、そして『大食堂』】
31 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/11/03(土) 18:01:48.02 ID:fwFjh18G0
>>28
【単独行動は危険と言う考えから早めに合流したいところだったけれど】
【それでも二人でちょこまかと動き回りながら、資料をかき集めるのは忘れない】

【先に潜入した者達の中に情報処理に精通した者もいたのだろう】
【時間を掛けることなく情報を得ることが出来ている】


何だかこういうのって火事場泥棒みたいね。
悪いことのはずなのに不思議と癖になりそう。

「他のお客様のものに手を出さないように願います。問題になってしまいますので」

チョコレートは食べたら無くなっちゃうけれど、情報は無くならないもの。
何て地球に優しいのかしら。

「情報は無くなりませんが罪も無くなりませんので。程々にしなければ益々差が開いてしまいます」


そうね、虚神の情報もあんまり、目新しいのは無いみたいだし。
あれ?この発掘計画って言うのは?


「見たところ、虚神のインシデントとは無関係と存じます」


でも一応読んでみない?カニバディールだってどこまで信用できるか分かったものじゃないんだから。


「パグロームと仲良くやっていたと言う点で大抵の人類とは折り合えないかと。類は友を呼ぶものです。お客様も重々お気をつけください」


全く!全然!友達じゃないし!


【念のためと、その計画書のコピーを記録して、居住エリアの方に向かう】
【途中、『標本室』などにも立ち寄ったりもしたが――】


づぇっ!?何これ……趣味が最低過ぎるわ!
今夜から3日くらいお肉食べれなくなりそうだわ!アレフ!ねえアレフ!


【幸いと言うか、メンバーは皆食堂に向かっているらしい。一応なりとも小声で騒ぐ程度の知能は有ったらしく、青い顔をした少女に少年が、背を叩く】


「参りましょう、お客様。低俗な見世物に興味を持ってはなりません」


【そろそろ、他のメンバーとも合流できるだろうか】
32 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 18:06:02.43 ID:z86tKygMo
>>ALL
【潜入者たちは、異形どもに続いて歩いていけば。その場所に出るだろう】


【食肉加工所は、3つに仕切られていた。エリア周囲をぐるりと囲む連絡通路。区切る壁はガラス張りとなっており、加工所内部が覗ける】
【加工所は、さらに2つに仕切られていた。片方は『ダーティ・エリア』。片方は『クリーン・エリア』】

【潜入者が出たのは連絡通路。ガラス越しに、その奥の光景を見ることになるだろう】
【ダーティ・エリアの側に立つ、身長2メートルを超える巨体を灰色の作業着と黒いラバー地エプロン、黒いゴム長靴で包み】
【3つの目玉をギョロつかせる大男こそまさに、スクラップズ首領カニバディールであった】

【異形どもはカニバディールに目礼しながら、連絡通路の先へと歩いていく。カニバディールは手で応じる】


【奥の扉が開き、複数の人影が入ってくる。全裸に剥かれた怯える少年たち。資材搬入口から連れてこられた、暴走族たちだ】
【引き立てて来た作業服の男たちは、下位構成員らしい。カニバディールに10人の少年を引き渡すと】
【ダーティエリアとクリーンエリアの狭間にあるスペースに入り、殺菌された白い作業服へと着替えていく】

【残ったカニバディールは、真剣なまなざしで怯える少年たちを見回し、そして重々しくうなずく】
【口々に命乞いを始める少年たちだが、肉屋は取り合わない。一言も発さず、ただ仕事にかかる】

【――――そこからは、早回しのように一瞬の、されど凄惨な光景が展開されることとなる】
【潜入者たちがどう思おうと、残念ながらここからの小さな惨劇に介入の余地はないだろう】


【傍らのスイッチを太い指が押す。天井に走るレールから、肉吊るし用の太いフックが下がってくる】
【カニバディールは軽々と少年たちを担ぎ上げると、その両足をフックに突き刺し、逆さ吊りにした】
【垂れる鮮血。苦痛の悲鳴。カニバディールは意に介さない。あっという間に10人がただの肉として吊るされた】

【続いて肉屋が取り出したのは、鋭く長い針の束。それを一本ずつ取って、少年たちの背中に突き立てていく】
【慎重な手つきだが、迷いなく。少年たちはハリネズミとなる。零れる涙。カニバディールは容赦しない】

――――心配することはない。その針がツボを刺激して、お前たちの血をあっという間に抜いてくれる
そう長く苦しまなくて済むぞ。……さて

【ようやく口を開いたかと思えば、ただ絶望を口にして。その手が大きな肉切り包丁を取った】
【まるで、撫でるような一閃。ただ数歩歩いただけ。それだけで、固定された少年たちの喉がパックリと裂かれた】
【鮮血が凄まじい勢いで噴き出す。それぞれの少年の下に備えられた口の広い管のようなものが、その血を受け止めてどこかへと流していく】

――――よし。では、ミュージックだ

【少年たちの命が抜けていくのを、じっとりと観察してから。異形は、仕事を開始した】
【ttps://www.youtube.com/watch?v=gNXKuO1JV3M】

【音楽が流れ出す。リズムに合わせてゴム長靴でステップを踏みながら、カニバディールは仕事を始めた】
【まずは、傍らの机の上に並んだナイフ十本。エッジが膨らんだ皮剥ぎ用のナイフだ】
【カニバディールの十本の指が能力によって細長く伸びる。それが十本の指が十本のナイフに巻き付く】

【伸びた指が蠢き、少年たちの背を撫でる。切り込みが入り、そこにナイフが侵入していく】
【そこからわずか三十秒ほど。恐ろしい速度で指が動き、ナイフが少年たちの皮の下を這い回り】
【背中からナイフを抜くと、頭髪をつまんで引いただけで、ズルリと皮膚が肉からはがされた】

【頭髪から、脚まで綺麗に。背中の切込みと、脚に刺さったフックの空けた穴以外は、一切の傷がない】
【相手が死体であるとはいえ、人間業ではない手際だ】

【剥ぎ取った皮膚は、洗濯物のように別のレールから下がったクリップに挟み込まれて吊るされる】
【それらも別のレールに沿って流れていき、部屋の奥へと消えていく】

/続きます
33 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 18:06:42.79 ID:z86tKygMo
>>ALL
【レールに沿ってフックが動き出し、皮膚を失って赤身となった少年たちが、隣のクリーンエリアに運ばれていく】
【二つのエリアの間を通る際、スチームクリーナーによる消毒が成される。四方から吹き付けられる蒸気】
【カニバディールは、エリアの間の部屋に入ると、10秒もせずに白い作業服に着替えてクリーンエリアに現れる】
【白帽子に覆われて額の目は見えず、黒い瞳の両目だけが光る】


【相変わらず音楽に合わせてステップを踏み、それでいて上半身はまったくブレず、真剣そのものの瞳で肉たちを見る】
【少年たちの喉を裂いた肉切り包丁が再び握られ、同じように前をただ通り過ぎるように歩く】
【その一瞬で、少年たちの首は落とされ、下のコンベアの上に着地。エリアの奥で処理作業をする下位構成員たちの下へと運ばれていく】

【その間も、フックが一定速度で動き続け、止まることはない。ゴム長靴で軽やかなステップ。続いて縦に包丁を振り下ろす】
【少年たち、だったものの腹が裂けた。その頃には、肉屋はゴム手袋を装着している。腹の切り口を押し開き、手を突っ込む】
【両手が霞むほどの速度で行き来し、みるみるうちに肉の中から臓器が取り出されていく。それらも頭部と同じく、下の滅菌消毒角済みコンベアの上へ】


【音楽も後半に差し掛かる。ひと際大きな包丁を取り出してきたカニバディールが、肉に向けて縦に刃を振り下ろす】
【股から首の断面まで、一直線。ブレのない正確な軌道で、少年たちの残骸は正中線で両断され、枝肉となった】

【ステップは止まらない。即座に肉をフックから取り外し、大型の作業台の上へ】
【手に取るのは、片刃の包丁一本。再び、肉屋の手が霞む】

【縦横無尽に包丁が振るわれ、あるいは回転するように、あるいは切込みを入れて途中で止める】
【正確無比な角度と力加減。肉屋の本業たる加工、脱骨作業。骨から肉を剥がすのではなく、肉の中から骨を抜き出すような精密さ】

【音楽はクライマックス。どうやって食うか迷う地獄の鬼を描く歌詞。それに乗せて、10人分の肉はみるみる処理されていき】
【曲の終了と同時に、カニバディールが包丁を手の中で一回転させた。少年たちの喉を裂いてから、音楽をかけて演奏が終わるまで、約五分少々】

【たったそれだけの時間で、10人もの人間を、そのまま肉屋の店先に並んでいても違和感のないような、ブロック肉に加工してのけたのだ】
【悪党としては三流でも、肉屋としての腕前は一流らしい。自身の仕事の成果を満足げに確認するカニバディールの下へ、部下の一人がやってくる】

ボス、厨房の方も粗方終わりましたよ。後は、この肉だけですね

ご苦労。これは焼肉に使おう。大皿に盛り付けておけ
ああしかし、やはり自分の意志で人殺しをした人間の骨格筋は良い……。この色、うっとりするな……

【呟きながら、カニバディールはクリーンエリアの奥の扉へと歩き去る。部下は、肉の回収を始める】
【奥では、剥ぎ取られた皮膚や臓器、落とされた頭部や抜かれた血液を解体・保全作業している下位構成員たち】
【輸血用血液や移植用臓器、人体収集家向けのコレクション。スクラップズの主要収入源の一つとして、哀れな犠牲者たちはこの世から消えていく】


【吐き気を催す解体作業の見学が済めば、連絡通路の先の扉が見えるだろう】
【表示は、『厨房』『大食堂』となっている】
34 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/03(土) 18:24:06.55 ID:QGYZltBN0
>>26


『 ─── あの人、放任主義だかんね。こんな風に面倒見て欲しくないって言ったら、嘘になる ─── やっぱ嘘じゃないかも。』
『 ……… 分かったよ。おさげのヘラヘラした婦警見っけたらブッ殺せばいいんでしょ?』『大丈夫。ボクが守るから』


【どうやら存外にミレーユは耳聡いようであったらしい。綴られる応答は、同意とも否定とも取れない曖昧な心象。】
【 ─── 頼もしげに応える無自覚な甘い声は、少女を檄する為のものであったとして、矢張り尽きせぬ傲慢さだった。それでも、】
【ただ熾烈な手段を選ぶのであれば、確かに彼は適任でもあるのだろう。 ─── ライフルのボルトを引く音は、通信機越しに】


>>30>>33>>34


【然して漸く真っ当な調度の空間に出れば、奇妙な一体感が蔓延していた。逸れ者たちの集うが故の、裏切りなき友誼。】
【 ─── それを醜悪と思うことは無くとも、絆され許し置くほどの生温さは、彼女たちにはなかった。何よりも、】


        『 ─── ひでえや。』


【大扉の先、繰り広げられる殄滅。加工場に威容を示す魁偉/怪異の大男を、アリアは眇めた瞳で睨視する。】
【悪逆無道でありながら、極めてインダストリアルかつシステマティックな殺し方。生温い悪意が介在しないのが却って不快だった】
【 ─── 手に握る銃を、大口径長銃身のハンドキャノン二挺に持ち変える。もはや殺意を隠す道理もないのだから】


「 ……… 、仕掛けましょう。」「 ─── カゲツは補佐に回って。」
「ミレーユ。施設の電力系統にアクセスできる?」『任しといて。やってみよう』


【やがて"食堂"の表示が近付くならば、 ── アリアは両者にそう命じる。やはり名状しがたい情念を隠せないミレーユも、また】
【手頃なアクセス端末か、或いは配電盤を探そうとするだろう。目的としては、作為的な停電が可能であるかを検証するため】
35 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/11/03(土) 18:31:00.53 ID:fwFjh18G0
>>27

≪了解。私は同行している二人と「居住エリア」に向かいます、お気を付けて≫

【切れる通信、最後の言葉。同じエリアに向かっていることには気づかず】
【なれば現地集合、という形になるのだろう。その場に行けば、ふたりの女性の後を追って】
【頭ひとつどころか三つくらい、小さな少女が最後尾にいるのがわかる。通信をしていたのは、こいつだ】


>>30>>32-33 >>ALL

【「厨房」だの「食堂」だの、見ただけでもうわかってしまった。今までの道中から鑑みれば】
【一瞬でわかってしまった――異形たちの食卓に並ぶ「肉」がどのようなものであるか】
【だから正直、行きたくないと思っていた。そしてその想像は容易に当たってしまったんだから】

…………………………。……さあ晩餐を共にしよう、愛すべき美食家たち<グルマンディーズ>、
なんて言いたげな顔して作業してんの、まァじでハラ立つんですけど。何なんですか?
ここまでわかりやすい人たち、そうそういないでしょ、ねえ、

全員殺していいですよね。ですよね? 異議を唱える人なんか、この場にいませんよねえ。

【同行する人々にかける声色はひどく据わっていた。それが当たり前の意見だと、信じて疑わない声色】
【であるなら、進む足取りはもう迷わない。まっすぐ扉に向かって歩いていく、皆と、同じように】


>>34

……。やっぱり付き合いを持つならわかりやすい人とに限りますね、話が早くて助かります。
「婦警」も、ここにいるこいつらも、全員ぶっ殺せばいい話です。……了解。

【つかつかと歩みを進めながら少女は自身の下腹に手を置く。そこから生えてくる一本の刀の柄、】
【引っ掴んだらずるりと抜き取って。その周囲にちらちら舞う花弁型の刃ごと、抜き身のまま】
【アリアの指示に従わない道理はなかった。こきこき、と首を鳴らして――「あ、この刃、触らないでくださいね」】
【「毒を仕込んであるので」――至って普遍的な声色で、ふたりと並んで進んでゆくだろう】
36 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage]:2018/11/03(土) 18:35:52.24 ID:fwFjh18G0
>>30-33
【控えめに言って地獄のような光景で有った。哀れな少年たちを食い物にする――いや、カニバディールのやっていることは家畜に対する食肉と何ら変わりなく】
【"相手が人だ"と言うだけで生じるのがこの嫌悪感だとすれば、本人達は悪趣味のつもりはないのかも知れない】


うっそでしょ……まるでこっちがグランギニョルみたいだわ。
レッドへリングってカニバディールの成れの果てだったりするんじゃない?

【だとしたら皮肉な話だ。未来の自分を自分で吹き飛ばしたことになるのだから。……そんな間の抜けた妄想でもしないと吐いてしまいそうだった】

【これは以上は文字通りにお腹一杯、と言う具合でやって来る少女】
【その後ろからついてくる少年は特に感情らしいものは浮かべていなかったが】


「料理人としての矜持は感じますね。一思いに[ピーーー]分まだしも生命への敬意は捨てていないのでしょう」

いやいやいや、関係ないでしょ!?
って言うかこのBGM何なの?食人族の祭?


【一足早く到達していた面々も概ね似たような感想を抱いてるらしく、秒で[ピーーー]と顔に書いてあるようだった】


血の臭いで頭がクラクラしそう。ねえ、アレフ。
あたしもう帰りたいんだけど、エスコートしてくださらない?


「お客様。今帰ったら遊びに来ただけで終わってしまいます。他のお客様の迷惑にならない程度に行動を起こすべきかと」
37 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 18:36:52.52 ID:a10C/xTl0
>>33>>34


―――もはや言葉も不要だな


【目の前で行われる惨劇に対して、アンゼリカは短く吐き捨てる。もはや怒りすら湧かぬ光景。】
【見ようによってはある種の芸術にもみえる光景。但しアンゼリカの背景を考えれば湧いてくるのは滅却≠フ二文字】
【そして目の前で外務八課≠ェ動き出すなら、特に声をかけることはなくその動きに連動しようとするだろう】

【パチン、パチンと羽織っている白い外套の留め具を外していく。臨戦態勢へと移行しているのであった。】
【奴らがそうであるように、自分にも慈悲はない―――間違う事はない、異端#F定。】

>>35

【先程通信していた少女を見つけるが、状況が状況だ。一度視線を合わせるように見つめるが言葉はかけない】

38 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 18:46:40.21 ID:z86tKygMo
>>34
【電力系統にもセキュリティくらいはあったが、外務八課の手際を持ってすれば何の障害にもなるまい】
【食堂に踏み込んでから、遠隔操作で好きなタイミングで電気を落とすことすら出来るだろう】

>>35
【カゲツの、抜き身の刃の如き殺意。異形どもには勿体ないだろうが、大盤振る舞いしてやる意志にかわりはないのだろう】
【きっと、誰も意義何て唱えない。良い感情を抱いている人間なんて、いない】

>>36
【レッドヘリングと一緒にされれば、きっとあの肉屋は怒り狂うだろう。あんなふざけた工場と一緒にするなと】
【傍から見れば、間違いなく同類にしか見えないことは、一応は自覚した上で、そういうはずだ】

【少年のどこかズレた感想は、ある意味では正しいのかもしれない。凄惨さは変わらないが】
【外務八課たちの行動に合わせれば、戦闘に入るのは容易なはずだ】

>>37
【まさしく、言葉は不要。それだけの外道どもである】
【滅却すべき異端、という概念をまさに絵に描いたような者たち。彼女らに合わせれば、一気に戦闘になだれ込めるはずだ】

/続きます
39 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 18:47:39.37 ID:z86tKygMo
>>ALL
【『厨房』と『大食堂』は隣り合っていた。『厨房』はかなり規模は大きいが、いたって普通の厨房だ】
【料理されているのは、まともな食事と、異様な食事と、混ざり合っていたが】

【人の気配はない。全員、『大食堂』に集まっているのだろう。『食肉加工所』の作業員たちも、集まってきたようだ】
【大扉を開けば、その先に。百鬼夜行の有様が、広がっている】


【何かのイベントホールかと見紛う、巨大な部屋。そのスペースを余すところなく使って並ぶ、長い長いテーブルの列】
【入り口、潜入者から見て遥か向こうのテーブルに、主要メンバーたちと共にテーブルにつく男。カニバディール】

【その前に並ぶ構成員たち。異形。人間。醜悪。美形。怪物。中には、まだ幼い子供たちまで。多種多様】
【警察官僚の見通しは、甘かった。スクラップズの構成員、全員がここにいた】
【目算で数えても1000以上。実際には、約3000名】


――――事前に知らせた通り、近くこのプラントは一時停止する
ここ最近の情勢のために、これ以上の稼働は難しくなった
移転準備を終えたら、一気に引っ越しだ。ガリバー、頼んだぞ

【傍らのテーブルにつく人の頭ほどのサイズのあるヤドカリのような生物に重々しい声をかける】
【ヤドカリはハサミを挙げて応じる】

そういうわけだ。今日明日で、ここの備蓄食料は全て消費するぞ!!
飲んで、食って、騒げ!! 乾杯だ!!

Yeahhhhhhhhhhh!! カンパーーーーーーーーーイ!!!∞∞∞∞∞∞∞

【カニバディールの音頭を受けて、盗賊どもは一斉に盃を掲げて叫び、酒やジュースを飲み干した】
【そこからは、ただひたすらに豪勢な食事を思い思いに貪る盗賊ども】

【天井から下がるいくつものロボットアームが、随時隣の厨房に置かれた料理を運ぶ】
【酒を飲み、肉を食らい、大いに笑う。大宴会に沸く異形どもは、まるで大家族のように和気あいあいとして】
【これまで潜入者が目にした彼らの所業と相まって、それがこの上なくおぞましいだろう】


【子供たちがはしゃぎながら、テーブルの回りを駆け回って大人たちから甘い物をわけてもらっている】
【宇宙人頭の男が、完璧なテーブルマナーでステーキを食う横で、人形のような女が荒々しく骨付き肉に食らいつく】

【首領のカニバディールは、頬に蛇の刺青をした男の生首を眼前に置き、開いた脳みその中にスプーンを突っ込んで掬って食っている】
【「やはり、蛇教徒の脳みそシャーベットは失敗だな」などと呟く】


【全てが全て人肉ではないのが、また悍ましいと言うべきか。普通に人間の食事を食らっているものも多い】
【どれも最高の味。舌鼓を打つ悪党ども。今なら隙だらけ】

【しかし。それでもやはり、悪漢の自覚。構成員全員が、手元に武器を携帯していた】


【それでも、数は多いが一人一人の練度はそう高くない。潜入者たちの実力なら、それも見抜けるだろう】
【襲撃をかけ、乱戦に持ち込めれば彼らの有利。そのはずだ】

【ともあれ、火ぶたを切るのは潜入者たちの側となるだろう】

/無双パート移行です! お願いします!
40 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/11/03(土) 19:01:30.37 ID:fwFjh18G0
>>38-39

【――――軽い軽い風切り音。羽虫の飛ぶ音から不快なノイズを除いたような音を立てて】
【少女は宙に浮かぶ、剃刀サイズの小さな刃を縦横無尽に、空間に躍らせた】
【きっとそれは、誰かの肉に深々と突き刺さって、命を奪うということはしない】
【猫のほうがもうすこし深刻な傷を与えてくれるだろう、というレベルの――ごく浅い引っ掻き傷ばかり】
【それを、不特定多数の人間に与えるのが目的だった。それだけで、彼女の扱う「毒」は広がってゆき】
【あとのこと――派手に殺してくれるのは、同行者がいくらでもやってくれるだろうと信じているから】

【――――――――――――――――――だから彼女は、】


お久しゅうございます、カニバディール。……私のこと、覚えててくださいました?


【忘れたなんて言ったら[ピーーー]。それくらいの怨念が籠った言葉が吐き捨てられたあと、】
【かつん、と硬質な音が鳴る。少女が迷彩装置を投げ捨てた音だった。白い少女はその場に顕れて】
【カニバディールが覚えているなら。確かに「花」が咲いていたはずの部位――右目から】
【涙のように、だくだくと、血を流しながら。もう片方の眼で居殺さんばかりにカニバディールを睨み付け】

【だん、と地面を踏み締めて跳躍。降り立つ先は冒涜的な品の並ぶ卓。皿の上のものを蹴散らしながら――少女は、駆けだした】
41 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/03(土) 19:05:13.52 ID:QGYZltBN0
>>35>>38>>39>>ALL

【 ──── メインフレームにバックドアを仕込むのは、神経接続にて10秒で足りた。有線専接の電波暗室もない。】
【潜入用の消音突撃銃をスカートの中に仕舞って、 ─── 代わりにミレーユは二挺の軽機関銃を取り出す。肩付けの取り外された、ショートバレルの空挺仕様】
【装弾数は100発。これだけ居るなら狙いを定める必要もない。銃身のレールに載せたレーザーサイトの電源を入れて】


「 ──── 殺りましょうか。」『殺ろう。うん。』


【最早そこに何の異存もなかった。 ──── 不快な潜入任務に尠からぬ時間を割いたが故のフラストレーションも、そこにはあった】
【銀髪の女がその場の各員へ目配せを示す。従う必要はなかったが、固まっている3人は何らかの組織的行動を取っているようだった】


「スリーカウントで照明を落として突入。Kill'Em ALL.」「見える限り、脱出口も塞いで頂戴。」『 ─── 了解。』
「 ……… そうね。成る可く、射線は塞がないで。悪いけれど、諸共に撃ち殺さぬ保証は出来ないわ。」


【佳月からの忠言に頷いて、アリアもまた言葉を返した。およそ職業軍人らしからぬ言動を吐く程度には憤懣の遣る方を探しているようだった。】
【 ─── ハンドキャノンを握ったまま、アリアがハンドサインを示す。3-2-1。三指の全て折り畳まれるが転瞬、】
【会場の照明は電源を喪失し、目に付く通用口は遮蔽されるだろうか。 ─── 闇の中を裂いて駆けてゆく体躯、2ツ】
【撃ち放たれる無数のマズルフラッシュ。馬鹿げた轟音と断続的な弾幕射撃の協奏曲。立ち塞がる異形どもを撃ち殺し断ち割って、アリアの向かうは ─── 仇敵の男へと】
42 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 19:10:58.31 ID:a10C/xTl0
>>38-41

【アンゼリカは迷彩装置ごと白い外套を脱ぎ捨てその姿を晒す。外套の下の姿それは―――】
【純白の修道服に身を包み、ミントグリーンのおさげ髪の上には犬のような動物の耳がある。つまりは教会=z

【アンゼリカは無表情のまま食堂へずかずかと入っていくと、両腕を前へと突き出す。】

異端#F定、異端#F定。神に祈る間はやらん。
私は教会・異端狩り=\――銀のアンゼリカ、貴様ら畜生共を滅却する。

―――出でよッ! 神造聖装・『滅罪の銀腕/イノセンツ・アガートラム』=\――ッ!!!


【叫びと同時にアンゼリカの両腕を銀色の魔力が包み込み、それは次第にアンゼリカの身の丈を超えるほどの大きさを持つ巨大な銀色のパワードアームとなる】
【両腕に圧倒的な威圧感を持つパワードアームが装着されたと同時、両掌から銀色の魔力の雷が迸りスクラップズへと放たれッ!】

【食器や食事を巻き上げながら放たれる銀色の雷はすさまじい轟音を持って一同に襲い掛かるだろう。】

【そんな中でも、アリアやカゲツの射線や動線には被せない。即席ながら良く陣形を保てているようだった。】
43 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/03(土) 19:12:52.21 ID:fwFjh18G0
>>39
何これ――こんな人数いるなんて聞いてないわよ!

【カニバディールと同種の悪趣味を抱えた人間がこれだけいると言うのはいよいよ世も末だ。隠れた状態じゃなければ大声で叫びたくなる】

普通のご飯と混ぜ込んでるのがまたタチ悪いのよ。
他の豚と牛と区別してないってことなんだから。


とっても不愉快よ!帰れないんだったら早く処分して、この鬼畜どもを!


「畏まりました、お客様。しかし、細々とやりましょう。私どもの能力は普通の戦闘には不向きなのですから」


【少年が、一礼をすれば、その背後に十数枚程度の扉が現れる――】
【ガチャリと音を立てれば、その扉から、少年と同じ顔をしたドレス姿の少女が、扉と同じ数だけ姿を現すのだった】


「では、行ってらっしゃいませ。"ヒルベルト無限ホテル"のお客様方」


【最初にいた一人も含め、皆が刃物や鈍器といった武器を携行し始める。スクラップズの人数と比べれば全く微々たるものだが、それでも使い所は有るだろう】
【合わせていたのか、偶然か、外務八課が照明を落とした機に乗じて、スクラップズの元へと雪崩れ込む】
【大して訓練もされていない動きだが、暗がりに乗じて武器を振り回せば十分に厄介者であるだろう】


>>41
【複数人いる、と言う以外、素人染みた動きの集団は斜線に入らないと言う指示を守れるかどうか】

「お客様方のことはお気になさらず。
当ホテルを出た後は自己責任でございますので」

【回りくどい言い回しだが、巻き添えを気にする必要はないと言う意味だろう。少年は乱痴気騒ぎに参戦する気はないらしく、元の場所から動かない】
44 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 19:45:40.57 ID:z86tKygMo
>>40
【最初に異変に気がついたのは、やはりというべきか。その臆病さゆえに鋭い、カニバディールであった】
【ほんの微かな、風を切る音。そして、三つ目の視界に映る、あの桜吹雪のような刃――――】

【異形は、その時点で誰が来たのか察した。侵入に全く気がつかなかったことへの動揺は、抑え込んだ】
【だが、その間に居並ぶ部下のうち十数名が、すでに毒に侵されて痙攣を始めていた】
【異形は、三つの目玉で彼女を静かに見上げた】

……ああまでボコボコにやられて、忘れられると思うかね? 白坂佳月……!!
見ないうちに随分変わったじゃあないか。あの樒の花はどこで無くしたんだ?
気配もまた、抜き身になったものだ。もう"Justice"は名乗れそうにない殺伐さだ

【異形の声も、すでに敵意に満ちている。その手に、二丁の大型拳銃を握りしめ】
【走りくる彼女を迎え撃とうとした、その時。灯りが落ち、暗闇が降りた】


>>41
【暗闇が下りた時。普通なら、集団はパニックに陥るだろう】
【だが、誰も一言も発しなかった。ただ武器を取り、立ち上がり、周囲の気配に神経を研ぎ澄ます】

【和やかな空気から、一瞬にして戦闘者に切り替わる速さは、たかが悪党と言えど、ここまで生き延びて来ただけはある】
【テーブルの上からは、ガリバーと呼ばれたヤドカリが飛び降りてどこかに消えた】

【言葉すらなく、許容も慈悲もなく、ただ放たれる死の弾丸。逃げ道は塞がれたが、構成員たちに逃げようという者は一人もいなかった】
【二十数名近くの異形どもが、次々に血しぶきの中に倒れる】

【そのうち、逃れ出たものが二人。宇宙人頭の男と、人形めいた女】
【二人は、それぞれ銃を構えた。宇宙人男の銃からはレーザーが、人形女の銃からはワイヤーフックが、それぞれミレーユに向かって飛ぶ】
【暗闇の中ながら、正確な狙い。だが、素直に喰らうミレーユではないだろう】


【カニバディールは、一直線に向かってくる二人の女を暗闇の中でも見える額の目で睨んで】
【二丁拳銃を構えた。右手に、『S&W M500』。左手に、『デザートイーグル』】


>>42
【修道服を確認したカニバディールは、彼女の所属をまず知る】
【その言葉、名乗り、異端狩りの宣言。教会の戦士】

教会≠ニ出会うのは初めてだが、仲良く出来るはずもないのはわかっていたよ
連中は、獣人も飼っているのか。意外と懐が広いのだな

【平然と言葉を返すカニバディール。彼女に、周囲の盗賊どもが襲い掛かろうとする】
【しかし、その前に彼女の神々しき聖なる武装が発動する方が速かった】

【手に手に凶器を握っていた悪漢どもが、雷に飲み込まれて焼け焦げながら食堂のあちこちに吹き飛んでいく】
【部屋に響き渡る轟音は、邪悪に審判を下す世界への福音】

【周辺が吹き飛ばされ、少し開けた空間。攻撃を終えた隙を狙おうと、二人の男がアンゼリカに襲い掛かる】

キエエエエエエエエ!!!=mくたばれええええええええ!!!]

【やせ細った身体を、胸部のエンジンで強化して、赤熱化した太刀で切りかかる男。主要メンバーの一人、マサツネ】
【鋭い奇声と共に青龍刀で切りかかる中華服に弁髪の男。下位構成員の一人】
【前後から襲い掛かる刃の軌道、アンゼリカなら容易く見切るか】

/続きます
45 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 19:46:07.35 ID:z86tKygMo
>>43
【まったく、世も末である。肉屋に迎合する異常者どもがこれだけいるのだ】
【至極最もな意見も、すでに戦場と化したこの場では聞く者もいないか】

【何とも奇怪な能力。数に数で対抗するという意味では理にかなっているだろう】
【照明が落ちた瞬間を狙っての少女たちの奇襲は、盗賊どもを次々に打ち倒す】
【訓練もされてないのは、スクラップズも同じ。やがて、一部の異形どもが抵抗を始める】

{ウィーン、ガガガガガ!!}

【長い鋼鉄義手にツルハシを握った筋骨隆々の男、主要メンバーの一人、オートマーダー】
【義手とツルハシを振り回して、少女たちを叩き潰そうと迫る】


>>ALL
……襲われたことは当然だ。悪事をやっている以上、やり返されることもあるだろう

【カニバディールは、向かってくるアリアとカゲツを睨んで重苦しい声を暗闇に送り出した】

だが。貴様ら、それでも正義を掲げているつもりか?
ふざけるなよ……私の手料理を。久々の馳走を。食べてもらえなかった料理の食材たちの気持ちを考えたことはあるのかあああああ!!!

殺せ!! 一人も生かして出すな!! 食い物の恨みを思い知らせてくれる!!!

【配下たちに叫ぶと、カニバディールは二丁拳銃をアリアとカゲツに乱射する】
【周囲の盗賊どもも、首領の言葉を受けて完全な臨戦態勢に移る】

【しかし、先制の強みは大きい。潜入者たちに、戦況は傾いたままだ】
【だが、数は多い。非常に多い。周囲からは、絶えず攻撃が降りかかろうとするだろう】
46 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/03(土) 19:55:56.59 ID:fwFjh18G0
>>45
【練度の低さは大差なくても、異形故の肉体的なアドバンテージから、1対1ではそれでも劣勢だろう】
【体格差も有れば尚のこと、ツルハシと義手の連携にドレスを来た少女の一人が薙ぎ倒され、壁にぶつかってひしゃげる】
【この手の、分身系能力で有るのならば、死んだ分身は、消滅しそうなものだが、死体は確かに血肉を宿したまま、その場に残存していた】


そっちこそ!これであたしは数日はお肉食べられないわよ!
あたしに食べて貰えなかったお肉の無念を理解してくれて!?


【怯んだ様子もなく、オートマーダーを複数人で取り囲んで、一斉に武器で襲い掛かる】
【何とも泥臭い戦術――ツルハシを振り回すだけでも、1人2人と死んで行く】
【先程啖呵を切った少女も、物言わなくなり、今後の食事の心配をする必要は一切なくなった】


【少女達は強くはない。浮足立った混乱が無くなれば対処は容易なのだろうが――それでも、数が多い】
【逃げるのにも、他の能力者達と戦うのにも邪魔な存在となるだろう】


「さて、では次のお客様――」


【再び少年の背後に扉が現れる――まさか無尽蔵と言うことはないのだろうが、烏合の衆でも、数の差を埋める一助にはなるだろう】
47 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 19:59:30.34 ID:a10C/xTl0
>>44

ああ、貴様の存在そのものが神への冒涜だからな。ここで土へ返してやる。
―――言い残すことはそれだけか?

【アンゼリカは騒乱の中でカニバディールを睨みつけながら返答する。】
【カニバディールの自身の身体についての挑発には一つ間を空けたあとに返答し攻撃を加えようとした瞬間】

【現れる二人の刺客、アンゼリカは身を最低限動かして攻撃を躱すがマサツネはやはり主要メンバー】
【攻撃のキレも違うのだろう、右の頬を掠り血が滴り落ちる。】
【だがそれでもアンゼリカは特に関心がないように無表情のままだ、そして】

潰れろ――――――。


【まずマサツネへ、それから中華服に弁髪の男へと自身の身の丈を超えるサイズのパワードアームの拳を高速で放つ】
【速度もさることながらその質量。まるで鉄球だ―――直撃すれば五体満足では済まないかもしれない。】
48 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/03(土) 20:02:56.93 ID:QGYZltBN0
>>44

【成る程やはり向こうも素人ではないらしい。ふン、と何処か賞賛するような笑いを、ミレーユは零して】
【然して引き絞ったトリガープルは変わらない。銃身を横付けにした馬賊撃ち(サイドショット)にて、キックバックさえ利用した弾幕射撃】
【撃ち漏らした影もまた即座に認識する。 ──── 幾分か愉しげに、頬を緩めるなら】


『 ──── やるね』


【撃ち尽くしたライトマシンガンを盾にして、飛来する光線と鉤爪を受け止める。 ─── にべもなく手放すならば】
【ゴシックロリータの袖裏から引き出されるは、サブコンパクトのスリーブガンが二挺。スケルトンスライドから煌めく金色の銃身】
【赤波長の可視光照準を対手の2人に指向させ、放たれる9mmのダブルタップ、二連続。頭部に2発、胸部に2発。頭を潰して死ぬ相手でないことも勘案した上での容赦ない連射】


>>45


「 ─── 生憎だけれど、原理主義のヴィーガンなの。」「こんな風に死人を扱うのは、どうにも胸糞が悪くって。」
「かえでの遣られた御礼は、 ……… 丁重に返させてもらうわ。覚悟なさい」


【乱れ撃たれる50口径の嵐 ─── その一つがアリアの肩口を抉り、少なからぬ血飛沫を散らす。だが、止まらず】
【構えたハンドキャノンの二つをアリアもまた周囲に乱射する。ライフル級のマグナム弾と、散弾式の対人弾頭】
【狂おしく踊り舞うような所作にて、銀狼は異形へと肉迫しようとする。牽制に投擲する硝子の投げナイフは、赤い血に満たされて】
49 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/11/03(土) 20:10:35.12 ID:fwFjh18G0
>>44-45

は? 何キレてるんですか。ていうかあなたが仰ってることの意味がまったくわからないんですけどねえ、

――――――――――――――――――――食材じゃねえだろ、人だろうが!
お前らの糧になるため生きて死んでいい人なんか、この世に一人もいやしなかった!!

【死刑判決を受けるほどの悪人であろうと、そうでなかろうと。こんな形で死んでいい人なんているはずない】
【そこらへんの価値観が絶望的なまでに違いすぎた。だから少女は異形への殺意を隠さない、覆さない】
【掲げる正義の形が、あの頃とは変わっていたとしても。人を食材呼ばわりする冒涜、許せる道理はなかった】

【放たれる二丁拳銃からの銃弾。身を捻るように跳躍して、避ける/あるいは肌を掠らせるに留め】
【踊るような軌跡で、不特定多数に向けて振り回す白銀の刃の切っ先、追従して舞い散り続ける花弁の刃】
【しかし誰かを深々と切り裂いて死に至らしめることはなく、あくまで後方にて牙を鳴らすアリアのために】
【神獣に捧げる舞踏めいて閃き続けるなら、さながら巫女のよう。だけど視線だけが殺意に満ちているなら、そうじゃない】

【――――ひゅん。何度目かの風切り音のあと、少女は体勢を低くする。そのままの姿勢で卓の上を走って】
【アリアの射線を妨害しない体勢から、放つのは低い位置からの薙ぎ払い。すれば卓上の品々をも巻き込んで】
【豪快にカニバディールの目の前に散らばせるなら――――視覚の妨害という意図もあった】
【台無しになっていく「料理」の向こう側から、白銀の煌めきが迫り――けれどやっぱり浅い傷を狙うものであり】
【故に少しばかり後退するなら容易に避けられそうでもあった。しかし、少女の後方に控えるアリアの牙から逃れられるかは――知らない】
50 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 20:23:36.31 ID:z86tKygMo
>>46
{ウィーンガシャン、殺害シマス、ゴ注意クダサイ。殺害シマス、ゴ注意クダサイ}

【無機質な声を振りまきながら、オートマーダーが暴れ狂う。しかし、少女たちの数に少しずつ押される】
【抜け目ないカニバディールは、分身かと思った少女たちが、死体として残る様を見逃さない】

(なんだ……? 分身ではないのか? だが、それにしては死への恐れが見られない……)
解体現場を見た程度で、肉が食えないとは軟弱な!! お前が食えなかった肉は、私が食うから安心しておけ!!

{ビビビ……機体限界ガ近イデス……機体限界ガ……}

【叫んだ頃には、オートマーダーがその少女を肉塊に変える。だが、その背中に刃物が突き刺さっている】
【ぐらついたところに更なる一撃。そこにまた一撃。次々に押し寄せる少女の攻撃に、オートマーダーが崩れ落ち】
【血みどろになって動かなくなった】

「なんだい、その子たち。分身じゃないの? 私、気になるなあ」

【青肌女の美鈴が、背後に棍棒を振り上げた二足歩行の豚と共に襲い掛かった】
【扉を出現させる少年を攻撃すべしと判断したのだろう。青肌女の肌を押し破って、鎖付きの鉤爪が数本飛び出す】

【これに引っかかれれば、痛みのない傷が出来るはずだ。豚男の棍棒の支援を受けて】
【鉤爪が狙うは少年。その間にも、少女たちによって盗賊たちが倒れていく。確実に他の能力者たちの支援となっていることだろう】
51 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2018/11/03(土) 20:33:18.91 ID:z86tKygMo
>>47
その割には、生まれてこの方30余年、神罰はまだ下りきっていないぞ!!
今更、遅すぎるんじゃあないのかね!!

言ってくれるな、そう簡単に私を殺せると思うなよ!!

[あああ!? てめえ、あっさり交わして挙句、無反応たあどういう了見だ!!]
[俺の攻撃なんざ歯牙にもかけねえって宣言か!! 見下してくれやがって、この!! あーあーあー、俺はどうせ――――げふぅっ!?]

マサツネさん――――ゴバアァ!!!

【カニバディールの叫びの直後、彼女の言葉の方を裏付けるかのように】
【サイドアームの必殺の一撃が、見事に二人の悪漢を捉えていた。手足がでたらめな方向に折れ曲がりながら吹き飛び】
【壁に叩きつけられて、双方動かなくなる。鮮血。血の臭い】

【この戦闘によって、さらにカニバディールのいる奥へと接近しただろう。だが、次なる刺客が襲い来る】

しねえ∞しねえ∞しねえ∞しねえ∞しねえ

【来る途中で彼女が目撃した、同じ顔でサイズ違いの女たち。ゾ=ゾ・スライム】
【五体のスライムが、粘液に塗れた突起に刃物を張り付けて、アンゼリカへと一斉に突き出してくる】
【数は多い、だが軌道は単純だ】
52 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 20:45:44.40 ID:z86tKygMo
>>48
【そう、足しに素人ではない。だが、その程度で真の玄人相手に勝てる道理もない】
【単独で多勢を薙ぎ払う、確かな技量に基づいた馬賊撃ちが、横なぐりに盗賊どもを襲う】
【ミレーユには愉しむ余裕すらある。映画さながらに飛び出す。闇の中に映える金の銃身】

【タタァン。タタァン。タタァン。タタァン。乾いた銃声が二度。四度。六度。八度。攻撃を防がれた、と二人の下位構成員が認識した時には、すでに】

がふっ!?∞あぐっ!!

【ようやく、それだけ漏らした二人は床に崩れ落ちる】
【その背後から、もう一人。剥き出しの脳みそにアンテナを刺したノーティヒアが、警棒でミレーユの首に殴りかかろうとする】

≪黄金の銃。実用性とは無関係のはずだが、何故そのような武双をしているのだろう?≫

【漏れ出る妄言は、聞く価値もなかろう】


ヴィーガン原理主義。最悪だな。所属と恨みの件がなくても、話が合わん
殺すだけ殺してその辺に放っておくよりは、よほど無駄にしていないと思うがね

……なるほど。我々如きを殺すのに外務八課、アリの巣を潰すのに戦車隊を出動するような
費用対効果を考慮しない真似を何故するのかと思っていたが。私怨というわけだ

なら、仲良く心中させてやるとしようか

【銃弾の乱射で止まるとは思っていなかったのだろう。異形は動揺するほどのこともなく】
【強力極まる銃弾の雨が、襲い掛かろうとする異形どもを粉々にするのも構わず】

【銃を握ったままの右腕を膨張させて、アリアに叩きつけようとするだろう】
53 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 20:46:27.26 ID:a10C/xTl0
>>51

ああ、だからこそこの場でそのツケを払ってもらうとする。これは決定だ肉屋。

【吹き飛ばした二人の血を払うように巨大なパワードアームを振りながら、一歩一歩確実にカニバディールへと】
【無表情で近づいていくが、その行く手を阻むようにゾ=ゾ・スライムが現れる。】
【アンゼリカは舌打ちをすると同時に両腕のパワードアームをボクサーのガードのように構える。】
【単純だがその巨大さをもってすればそれは鋼鉄の壁にも等しい―――それでも五体だ、いくつかの刃はすり抜けて肩を切り裂く。】

【傷に一瞬眼を動かすが即座に一歩後退し、右腕のパワードアームを掲げる。】


せめて―――、一瞬で。


【そしてそれを床へと思い切り叩きつける、一瞬地震のように床全体が揺れたあと】
【ゴッ!という音と共に五体のゾ=ゾ・スライムの足元から銀色の雷による柱が立ち上るだろう。】
【初撃より魔力の力が濃い、直撃すれば蒸発する可能性すらあるだろう。】
54 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 20:47:31.80 ID:z86tKygMo
>>52
/すみません、追加忘れにつき、訂正です!!
/最後の文章の後に、これを付け加えます

【しかし、血塗れの赤い硝子ナイフが、右腕を振るうカニバディールの左目に突き刺さった】
【暗闇の中に呻きが漏れ、腕の軌道は逸れる。牽制は、予想以上の効果として、異形の隙をアリアに晒した】
55 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/03(土) 20:48:48.16 ID:fwFjh18G0
>>50
【機械――?】
【少女達の死体が、異形の死体に混ざって次々と積み上がって行く】
【それでもその数に任せた暴力は一定の効果を発揮したらしい。――機械染みたその人型が動きを止めれば、少女の一人が辛うじて息があることを確かめる】


【少女達の死体は消えない。しかし――】
【オートマーダーにまだ微かでも息が有るのならば、"彼の死体は消え去ってしまう"、少女の手によって現れた扉の奥に連れ込まれて】


【次々と投入される少女達だが、一度に出せる人数には限度が有るらしい。青い肌の女――美鈴がやって来た折にも、少年の護衛は姿を見せなかった】
【その背後からは、豚の顔をしたオーク染みた男が棍棒を振り上げている】


【盗賊達を襲撃している少女達はそれに気付いていないのか、援護に行ける位置ではなかった】


「分身ではございません」
「それぞれに別の思考が有り、それぞれに別の人生を持ちます」

「先程潰れたアレフ・ワンは比較的長い付き合いでございましたが」


【少年は静かな口調で答える。無感情と言うよりも、ホテルのボーイのような事務的な対応だった】
【とは言え、少年自体も然したる戦闘力はなさそうだ。傍目から見ても動きに精彩がないのが見て取れる】


「さて、あなた方も当ホテルのお客様となっていただきましょう」
「ご安心を"部屋は空いております"」


【少年が指を鳴らす。盗賊と戦っている少女の内の二人が、明らかに朦朧とした様子となり、相手の攻撃によって叩き潰される】
【――死体が、二つ増えた】


【同時に少年の背後に扉が二つ現れ、二人を迎撃するための少女達が現れた】

「さて、些か体積が多かったようですので、二つに割れてしまいましたが」
「こちらは先程の"機械のお客様"でございます」
56 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 21:02:03.35 ID:z86tKygMo
>>49
人とは資源だ、当然だろうが!! あれほど掃いて捨てるほどいて、資源に使わない手があるか!!
そうでなくとも、お互いがお互いを糧として食らい合うのは人間だ!! 私は、少しばかり手段が直接的なだけだ!!

しかし仲が良さそうじゃあないか、さては外務八課に鞍替えしたか!!

【そう、正義と悪。絶望的な断絶。互いに譲れぬ意志のためにぶつかり合い、血の中で踊る】
【たとえ形が違っても、正義は正義。カゲツはカゲツ。そして、悪は悪。カニバディールはただ邪悪だ】

【乱射は実を結ばない。悪漢の攻撃など、そうそう当たりはしない。まして、真の戦士相手には】
【姿は優雅に、巫女の如く刃を従えて踊る。瞳は殺意に、燃え上がる怒りと共に在る】
【花弁を、そこに含まれた毒を、以前の戦いから警戒するカニバディール。しかし、アリアと二人を同時に相手取っては】

【卓上を駆ける雄姿を、止められるはずもなく。飛び散った卓上の品々が、視界を塞ぐ】
【毒を恐れ、一歩後退するカニバディール。アリアがその隙を狙うには十分のはず】


『ざけんな、クソアマ!!』「あの時の借りは返すぞ!」

【そこへ、カゲツへ襲い掛かるのはあのビル屋上で見ただろう、二つ頭に四本腕の双子】
【副首領、デュアル兄弟。それぞれに泥と砂を纏わせた腕で、彼女に殴りかかる】
57 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/03(土) 21:02:16.46 ID:QGYZltBN0
>>52

【射撃、命中、沈黙。生易しい煙を吐き出す真鍮の薬莢が床に散る。 ──── 背後からの殺気をプランクタイムに察知して】
【振り向くならば矢張りミレーユは笑っていた。当人としては、決して対手を嬲る殺戮を楽しむ性分ではなかった。されど】
【戦場に身を置き武器を握った人間の性分というものは斯くなる末路を辿るものであろう。 ──── 命の遣り取りを歓ぶ気質】


『 ─── そういうメーカーだからだよ。』


【 ─── 高く高く蹴り上げたスカートの、顕わになるニーソックスに巻かれたマチェットが、抜かれる事もなく警棒と打ち合い】
【対手の動きを止めたならば、やはり同じように二挺の射撃を喰らわせようとする。 ─── 頭部、胸部、脚部。スライドオープンまで撃ち尽くして】


「御免なさい、真っ赤な嘘なの。」「 ──── 理由なんてどうだっていいわ」
「私が死ぬのは、かえでが死ぬ時だけよ。」「 ……… ここに、あの子はいないから。」


【軌道の逸れた肉塊は、 ─── 真っ向から命中していれば、アリアの躯体を吹き飛ばすに足りただろう。】
【黒い両脚の微かに曲げられて跳躍、伸ばされた触腕を足蹴にして高く高く。天井に脚をつけて三角飛びに、更に勢威を増して】
【上空からの連続射撃と共に繰り出される、自由落下の速力を上乗せた飛膝蹴のシャイニング・ウィザード。白銀の髪が闇に煌めき】
【戦闘用サイボーグの馬鹿げた筋力と体重から放たれる運動エネルギーの暴力は生半可なライフル弾の威力さえ凌ぎ得た。 ─── 狙いは頭部/然して躱されるのであれば、】
58 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 21:09:23.21 ID:z86tKygMo
>>53
無理だな!! 逃げ足には自信があるんだ、たとえそれが神相手でもだ!!

【アリアと打ち合いながら、それでも言葉を返すのだけは忘れない。口が減らないのは異形の特性だ】
【その間にも、スライムどもが迫りくる。微かな傷を彼女に与えるが、神の使徒を前にしては、所詮は蟷螂の斧か】

【鋼鉄のガード、鉄壁の防御が致命傷を防ぎ切り。神の鉄槌が、異形どもに迫る】
【周辺の異形どもも、バランスを崩して倒れ伏す。スライムどもは、まともにそれを食らって】
【あっという間にこの世から消え去った。衝撃は、他の異形どもの妨害も封じる】
【首領の命まで、直通路が開けるはずだ】
59 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2018/11/03(土) 21:15:23.23 ID:fwFjh18G0
>>56

なんで、……………………あなただって元は人だったでしょう!?
なんでそんなことが言えるの、どうして――それとも神か、魔物になったつもりかよ!!

【ほとんど悲鳴のような声で少女は叫んだ。分かり合えないと知っていてなお嘆くのは】
【少女の本質がなんら変わっていないことを示しているようだった。正義だけを抱えるのなら】
【やはりカニバディールとは相容れることなく、叫びも届かない。分かっているのに止められなくて】

さあ、どうだと思います、ッ――――――!?

【問いかけには明確な答えを返さなかった、というよりは返せなかったと言うのが正しいか】
【乱入した二人――一体からの攻撃を対処するのに手間取った。少女の身体は細く頼りなく、】
【異能で機能を底上げしていても、大の男――それも二人がかりで為される暴力を真正面から迎え撃つには】
【あまりにも脆弱が過ぎた。故に、殴り掛かってくる腕を刀で防げども。鍔迫り合いに至るに及ばず】
【軽い躰が容易に吹っ飛ばされる。舞台みたいに踏みつけていた卓上から弾き飛ばされ】

【――――しかしなんとか、転がるようにして着地した。片方の膝を立てるようにして体勢を立て直し】
【刀を握り直して、向かう先は一体の双子。カニバディールのことはもう、アリアに任せたらしい】
【体勢の低い疾駆から、繰り出すのは容赦のない突きだった。二人のちょうど中央部分を狙って】
【点で狙う鋭い攻撃。殺傷能力が高い分、回避もまた容易になる攻撃――踏み込みと同時に放たれる】
60 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 21:26:11.09 ID:a10C/xTl0
>>58

【カニバディールの返答には答えない、もはや会話をするのすら嫌悪するかのように】
【スライム達を屠り、他の異形達も体勢を崩した―――であるならば】

【アンゼリカは自身の両掌から床に向けて魔力を噴射し、まるでペットボトルロケットのように空中へと飛び上がる。】
【空中でクルクルと回転しながらアンゼリカはカニバディールの頭上への接近を試みるだろう。】


―――果てろ、穢れた死肉。


【そしてそのままカニバディールの脳天へと両手のパワードアームを合わせた状態で叩きつけようとするだろう】
【かなり大振りなため回避も可能だろう、しかし回避をされればそのまま床にたたきつけてバランスを崩すのが狙いだ。】

>>ALL

【アリアやカゲツには「邪魔をする」と言いたげな少し申し訳なさそうな視線を向ける。】
【攻撃の成否に関わらずすぐに飛び退いて射線を開けようとするだろう。】
61 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 21:27:23.23 ID:z86tKygMo
>>55
【正確には、自分を機械と思い込んでいる狂人であった】

【血。血。赤い水たまり。どこまでも増えていく。だが、妙なことに気がつくだろうか】
【暗闇の中に倒れているはずの、異形どもの死体が妙に少ないのだ】

「あ、ちょっとオートマーダー!? 君、私達の仲間をどこにやったのさ?」
「それぞれ違う人間だってんなら、余計わかんないな。何、この特攻隊みたいな連中。君だって長い付き合いのが消えたのに、動じなさすぎじゃない?」

【あまりに事務的で虚無的な反応は、異常者の美鈴すら戸惑わせた】
【だが、他の潜入者たちに比べれば、まだ勝ちの目がある。そう判断した美鈴が襲い掛かろうとした時】

「部屋……? え、何? それ≠ェオートマーダーなわけ? 女の子に転生? あの筋肉男が? うっそお……」

【少年の能力に関わることではあるのだろう。その正体はとても見通せないが】
【倒された敵が、『お客様』として彼に使役される存在に代わってしまうというわけか】

「ふーん……でも」
「この私から、そう簡単に奪えるとは思わんことだな=v
「我々の命は軽い。ゆえに、取り返しがつく=v

【美鈴の口から洩れるのは、確かにカニバディールの声であった。同時に、美鈴と豚男が】
【元オートマーダー、彼のホテルの客となった二つに分かれた少女に、突進し、接触と同時に】
【溶け合って、一つの肉塊となった。彼の能力の正体はわからないが、その時に彼の能力に対して】
【何らかの抵抗が働くのが見えたかもしれない。ホテルに引きずられたオートマーダーを、引きずり戻そうという動き】

【美鈴と豚男、オートマーダーだった二人が溶け合って出来た肉の球は、表面にその三人の顔を浮かび上がらせ】
【少年を睨むと、すぐにカニバディールの下へ高速で跳び戻った。そのまま、カニバディールの身体に吸収される】

【カニバディール自身が生きてさえいれば、再び一つに溶け合い、また再生する。異形の生への執着が生んだ、死への抵抗】
【倒された盗賊どもの死体がないのも、そういうことだろう。もっとも、こうまでやられては再生するのに時間はかかるだろうが】


【少年に、これ以上の攻撃は降りかからない。少女たちが戦っていた盗賊たちも随分と数を減らしている】
【肉屋の下に、融合しつつあるのだろう。彼もまた、異形達の首領への道を得た】
62 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/03(土) 21:45:11.87 ID:fwFjh18G0
>>61
「転生したと言う訳ではないのです」
「彼らも別に恐怖や躊躇いがない訳ではないのでが、画一的な方が、絵になりますのでそのようにお客様方に飾り付けていられる次第で」

「申し遅れました、カニバディール様」
「私はアレフ・ヌル」


「"INF-008-01"――ホテル『レッドへリング・ヒルベルト』のスタッフでございます」



【力押しで挑めば――2対2であれば、彼らに分が有ったかも知れない】
【しかしカニバディールはオートマーダーだけではなく他の二人も、引き返させた】
【それは、ひょっとして連帯感か?一時的にでも、仲間を奪われたことに対しての――】


「なるほど、流石は噂に名高きカニバディール様」
「この不死性――それも個ではなく群体としての、不死――」

「あなた様のその"巨躯"ならばいずれカノッサの器すら収まりきらなくなることでしょう」


――今の内に、是非お越しいただきたい。


【まるで、いずれ看板役者になろうと言う若い俳優を見出したように、無感情ながらも熱を込めて少年はカニバディールに語る】
【周囲ではまだ少女達が戦っているようだが、最初は劣勢にありながらも、他の能力者達の奮戦も有ってか、趨勢は逆に傾きつつ有った】
63 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 21:45:17.06 ID:z86tKygMo
>>57
【彼もまた、戦場に生きる戦士としての一面を持つ。死と隣り合わせの状況は、スリルすらも生む】
【闇の中で、彼の美しい笑顔が盗賊どもの目に映ることもない】

≪――――なる、ほど≫

【ミレーユの答えに、間の抜けた声でそう返しながら。あっさりと警棒を止められて、隙を晒し】
【たんまりと贈られた弾丸たちに、的確に急所をぶち抜かれて、あっけなく倒れた】

【そして、ミレーユにとってはこの場最後の相手だろう。ミリタリーコートのレギオルフォンが接近する】
【両手に一本ずつ、逆手に長剣を握りしめ、独楽のように高速回転しながら、ミレーユに切りかかろうする】

〈死ね、カマ野郎!!〉

【――――禁句を思いっきり叫びながら】


……私よりよほど、「人を食ったような」女だ。ヘビの伴侶には相応しいじゃあないか

【右目と額、二つに減った目でまだアリアを睨む。鈍重な身体は、即座の反撃を許さない】
【攻撃をすら、踏み台にして。食堂の天井近くまで、高く。美しい跳躍は、闇に呑まれて】

【次々に放たれる銃弾が、首領の盾となって飛び出した者たちを穿つ】
【エレファーナが撃たれ、蜘蛛型義足の女ネグティーが撃たれ、立て続けに倒れる】

【最先端の技術の粋を集めた身体を、純粋な暴力に変化させたその一撃は】
【最後の盾となったポイゾニックの首を、断末魔すら許さずにぐちゃぐちゃに破壊し、その向こうのカニバディールの胸部にも突き刺さった】

が――――!!

【異形が呻き、後ろに吹き飛ぶ。だが、その目はまだ死んでいなかった】

/この後、皆さまに一度にお返しする形で、クライマックス行きます!
64 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 21:53:44.45 ID:z86tKygMo
>>59
元は? いいや、今も間違いなく人間だよ!! 誰がなんと言おうとな!!
このような、邪悪で醜悪なになれる生物が、人間以外にいると思うか!?

神でも悪魔でもない、私は私だ!! 全てはただの小悪党、カニバディールの所業だよ!!

【同じく、カニバディールは叫び返す。やはり根底は正義を心に秘めた少女の】
【あまりに悲痛な叫びに対して、どこまでも醜く。確かに、ここまでに堕ちたきっかけは、呪われた肉体を持った生まれでも】
【自らの意志で落ちて来た、この地獄。どうしても、相容れることはない。カゲツが苦しんでやるほどの価値も、ない、はずだ】

ふ、ふふ、勝手に肯定だと受け取っておこう!!

【返す異形の言葉は、二つ頭の最期に重なった】

『ぐげ――――』「がぐ――――」

【身体能力は上でも、技量はやはり格が違う。卓上から引きずり下ろすことは出来ても】
【所詮盗賊、そこまでだ。追撃のために、後を追おうとしたことが裏目】

【下段からの、殺意に満ちた鋭い突きが、見事にその中央を、双子が共有する弱点を、貫き】
【卓上から転落して、双子は動かなくなった】

/ラストの攻撃に繋げます!
65 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 21:59:24.98 ID:z86tKygMo
>>60
【異形もまた返さない。互いに不俱戴天であることは自明なれば】
【魔力をジェット代わりにさえする、教会の精鋭の技量に驚き役どころすら、残っておらず】

【アリアと同じく、頭上からの攻撃。致死の一撃。死が、上から降ってくる】
【カニバディールの横から、ベビーカーが進み出る。首領に代わって、オールドベビーが】
【パワードアームの直撃を食らって、ベビーカーごとただの残骸に変わる】

[ぎゃぐっ!!]

【死の叫びが響く。そのオールドベビーの残骸も、カニバディールに吸収される】
【残るは、もはや首領のみとなるだろう】

/ラストに繋げます!
66 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 22:04:38.71 ID:z86tKygMo
>>62
……抽象的な言い回しだな。わかるようで、よくわからない

アレフ・ヌル……"INF-008-01"……!?
おいおい、また随分な客が来ていたのだな……

レッドヘリングを潰した一人は私だ。今になってお礼参りにでも来たのかね?

【外部に苛烈、しかし内部の結束は強い。偏に、全員で一人の怪物がために】


……本気かね? 最近は、やけにそういった声をかけられるな
あまり八方美人が過ぎては、全員にそっぽを向かれそうだ……

いずれにせよ、この状況で言われても答えは返せん。またの機会にしてくれ

【彼の無色の熱とは裏腹に、カニバディールは気味の悪い思いを抑えきれなかった】
【少女たちの戦いも、もはや終わるはず。カニバディールが少年を恐れて、残りを引き戻したのだ】

/ラストに繋げます!
67 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 22:07:43.78 ID:z86tKygMo
>>ALL
【ミレーユに襲い掛かったレギオルフォンとの戦いが、決着した頃。それは現れる】

【盗賊どもを撃退した潜入者たち、全員がカニバディールを見るだろう】
【その身体が異様に膨張し、膨張し、この場を覆い尽くす3000人分の肉塊となって】

【一斉に、潜入者たちに襲い掛かる。あるいは手の形で、あるいは口の形で】
【食らいつき、叩きつけ、殴り掛かり、踏みつぶすために。この場を生き延び、また暗闇に戻るために】


ここで―――――死ねええええええええええ!!!!!

【カニバディールの絶叫と共に、解き放たれるこれが最後の攻撃。これを凌げば】
【能力者たちに、今宵最後の一撃を放つ機会が与えられるだろう】
68 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2018/11/03(土) 22:08:56.61 ID:mnYEspSE0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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69 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/03(土) 22:21:07.49 ID:QGYZltBN0
>>63

【射撃、命中、射撃、命中、沈黙。 ─── SAIのカスタムグロックは其れなりに愛着のある代物であったから、投棄はせず】
【袖裏のコンシールド・レイルへと格納し、然らば取るは大腿部のマチェット。それぞれの手に一振りずつ握る。そうして徐に振り上げるならば、】
【 ─── 至近にて、鎬の競り合う鈍い音。聞き捨てならぬ音階を彼は聞いていた。体躯を廻して繰り出された男の剣戟を、一太刀に受け止めて。】


      「 ──── あ゛?」「死ぬのは手間ェだが。」


【黒縁眼鏡の奥、澄み渡る紺碧の双眸が、酷く優しげに緩められ ─── 一刹那の後に殺意を充して見開かれるは、悪鬼羅刹の如し】
【空いた片手のマチェットを彼の額へと投げ付け、重ねて行使される彼の異能。虚空より生ずるは無数の黒き氷槍】
【 ─── それを対手の全身に突き刺し、凡そ手心のない惨虐な磔刑で、確実な止めを刺そうとするのだろう。恐らくは、少なからぬ私怨が籠っていた】


「食肉主義者(カニバリスト)のお墨付きを頂けるなら、」「 ─── 光栄な事、ね?」


【硝煙弾雨の繚乱たる連撃のフィナーレは対する異形の喉筋を蹴り潰した。 ─── 然して、この程度で殺せる敵とも、また思わず】
【膝先の血肉に汚れる感覚を恃みながら、直ぐ様に飛び退いて残心。まだ足りぬ。右肩の傷より生じた血溜まりが、仄暗く輝けば】


>>67


        「死なねえよ。」『 ─── 死なないわ。』


【打撃。拳撃。蹴撃。咬撃。 ─── 呑み込まれるように放たれる生々しい生命の原始的暴力。その全てを捌き切ることは能わず】
【毅然たる言明を吐き捨てつつも、両者は少なからぬ傷を負う。されど、その痛みさえも生存への希求へと変える戦士であるのなら】
【 ─── ミレーユを取り囲む空間が、刹那のうちに黒く凍結していく。シェルター状の表層は、無数の棘を現出させて肉塊に抗い】
【 ─── アリアの脚元に生じた血池から、喚び出されるは対空速射砲: 120cm Lvautomatkanon fm/1。】
【砲身も口径も炸薬も機関部も、およそ携帯火器とは比較にならぬほど長大なそのCannon≠ヘ、カニバディールの肉塊へさえ減り込んで ─── 】
【弾頭重量数百キログラムにも及ぶ炸裂焼夷徹甲弾を、分間80発の容赦ない零距離をもって放ち続け ─── 戦況を打ち破らんとするだろう】
70 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 22:22:59.98 ID:a10C/xTl0
>>67

【叩きつけたオールドベビーの残骸を振り払いながら、アンゼリカはカニバディールを見る。】
【その瞬間に膨張する肉・肉・肉、さながらこれが肉フェスだと言わんばかりの肉塊の群れが殺到する。】

【―――だが、それでもアンゼリカはその場を動かない。一歩も引かない。】


言っただろうカニバディール。ツケは払ってもらう


                         滅却


【アンゼリカは右腕の掌を肉塊へと向け、それを支えるように左手を添える。】
【そして放たれるのは銀色の魔力のエネルギー波。単純なのだが高密度の一撃は迫りくる肉塊ごと】
【奥に控えるカニバディールを貫き、焼き払わんと迫る。真っ向勝負だ。】
71 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/03(土) 22:29:48.88 ID:fwFjh18G0
>>67
「――私は自分の元になった虚構神話と直接繋がっている訳ではありません」
「強いて言えば、潰れた工場跡をホテルに改装した――と言う程度の理屈でしょうか」


【それ以上の会話は続けられなかった――これは、まずい】
【この広域的な広範囲攻撃に、烏合の衆であるところの少女達は対抗する術がない】
【戦場にいた少女達は軒並みに押し潰されてしまうことだろう】
【しかし、少年は――カニバディールより最も離れた位置にいることが奏功した】


【能力者達の内、カニバディールの広範囲攻撃へ相殺を以て対抗する者――アンゼリカが適任だった】
【その後方に移動することにより、最低限の対処で、難を逃れることに成功した】


「とは言え――ここからでは間に合いませんね」
「勧誘はまたの機会としましょう、カニバディール様。おいでの際には快適な空間をお約束しますよ」


【戦場に無数に散らばった少女達の死体――まあ、組織の誰かが掃除してくれるだろう】
【それらを一瞥すると、少年は踵を返す】
【正義感の強いメンバーもいるようだ、後で絡まれると大変そうだったから】
72 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/03(土) 22:33:10.40 ID:fwFjh18G0
>>64

人がっ――――――人をここまで、冒涜できるはず、ないでしょ!?

【血に染まった刃を双子の身体から引き抜きながら。やはり悲鳴みたいに叫ぶのは】
【そう信じていたいからにすぎなかった。「こんなもの」が人間であると思いたくなかった】
【白銀に貼り付くような赤色を振り払って床に撒き散らし、少女はふたたび向き直る。そうして――】


>>67

………………どうして、部下、自分を慕う部下でさえ!? 資源に過ぎないって言うのかよっ、

【――やはりひどく痛々しげな音階を伴って、訴えるように叫ぶなら。超重量にて齎されるカニバディールの一撃】
【少女はそれに抗う術を持たない。肉の波に飲まれるようにして、その小さな身体が、押し潰されていくように】
【完全に覆い被られる、ように、見えた。――しかして、完全なる闇に覆われたはずの、肉の向こう側から】
【真白い燐光が零れ始める。少女に覆い被さった肉を、貫くようにして、刃が「生える」】
【叶うなら――そこから切り拓いて/斬り開いていくように。圧倒的な質量の肉を、分断しようとするのだろう】

………………っはあ、はあッ……はあ、ッ、……あなたは絶対ここで、殺す、ッ――――

【――――ぎち。ぎちり。少女の右目を苛んでいた傷口から、咲く花の数が増えていた。一輪、二輪、三輪と】
【眼窩を押し広げるようにして咲き乱れ、肉を食い破って、少女の右頬を血液にて盛大に汚していく】
【彼女にとってこの花は、彼女自身の殺意がカタチになったものだった。それが増えるたび、彼女を侵食するたび】
【「殺す」ための力が強くなる。細い躰に、あり得ぬほどの力を齎す。代わりに彼女に激痛を齎し、精神を蝕んで】
【殺意を明確な力にする、それが彼女の異能の本質だった。なれば――カニバディールへの殺意は、最高潮にまで達して】
73 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 22:49:05.52 ID:z86tKygMo
>>69
【全ては流れる川のごとし。洗練された、殺しの過程。盗賊どもなど、十把一絡げ】
【切りかかるレギオルフォンも、また同様に。マチェットと打ち合う長剣の金属音。憎々し気に睨む悪党の目より】
【きっと、刃と刃の向こうで怒るミレーユの方が、遥かに苛烈だっただろう】

〈ぐ、がああああああああ!!!〉

【額にマチェットが突き刺さり、無数の氷が暗闇の中でなお暗く、その身を串刺しにし】
【絶叫は、すぐに止まる。穴だらけの悪漢は、虚空に投げ出されて。カニバディールに吸収される】


ああ、太鼓判を押してやる!! 似合いの婦婦だ、反吐が出るほどにな!!

【そう、まだ足りない。生命力は、ひたすらに強い】
【だが、今宵の終わりはもう目の前。外務八課の怒りと殺意が炸裂する】

【氷の棘が、肉を巻き込んで広がり、その巨大質量を破壊していく】
【実際の戦争もかくやとい言わんばかりの、巨大兵器に肉如きで抗う術もなし】

【あまりに圧倒的な火力は、肉の怪物を粉々に粉砕していく。焼き滅ぼし、破壊し尽くす】
【苦痛に歪むカニバディールの顔が、その向こうに露わになった】


>>70
【教会の戦士は後には引かない。それが彼女の、正義の誇りか】
【それも、確かな実力に裏打ちされてのこと。異端を滅却するその使命が、今化け物を叩き潰す】

【高密度に圧縮された魔力は、岩を穿つ水滴の一打の如く。肉塊を容易く貫通し、アリアとミレーユが開いた肉の奥へ】
【カニバディールの、右目を撃ち貫き、その周辺組織まで灰燼に帰した】


>>71
直接ではない……レッドヘリングそのものではないわけか
だが、ならばなんだ? ホテルに改装したのは何者だ? お前たちは本当に、まるで底が見えん……

【異形から返される言葉も、それが最後。無数の肉は、彼らにも迫り】
【しかし、異形に殺意をぶつける戦士たちが、それを通さなかった】

【最後の別れの言葉は、もう返答できなかった。その向こうで、カニバディールは今まさに破壊されていくところだ】
【後に、この出会いが何かをもたらすのだろうか。まだ知る者はいないだろう】

/続きます
74 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 22:49:40.50 ID:z86tKygMo
>>72
見解の相違だな!! まあ、私以外で私を人間と認める者には、ほとんど会えたことがないがね!!

【あまりに当然である。カゲツの信じるものこそが、正しい。それは、間違いないだろう】
【ただ、この肉の化け物が。この世に生まれてくる、というあまりに大きな間違いが、拭いようもなく存在しているだけなのだ】


こいつらは資源などとは思っていないとも!! 部下たちはもっと重要な、私の細胞、私の肉、私の一部だ!!
私さえ生きていれば、何度でも蘇る!! 全員で一個の私≠セ!! 誰が相手だろうと、誰一人くれてやるものか!!

【外道どもの姿すら、痛々しく感じるならば。やはりカゲツは、きっと正義とやさしさをまだ心に秘めた少女なのだ】
【だが、異形の部下たちは異形の言葉の方を肯定する。見よ、肉塊の表面に浮かぶ部下たちの顔は】
【恍惚と首領への信頼を秘めた顔は、確かにカニバディールの言葉通り。部下でありながら、肉屋自身だということ】
【群体。冒涜的な、あまりに汚れた生命の在り方】

【カニバディールは、カゲツを押しつぶした。そう確かに認識した】
【だが、その向こうから光り輝く、死すことなき正義の光は。カニバディールを真っ向から否定するかのように】
【明けない夜などないのだと、そう叫んでいるかのように。未来を、自らの意志で切り開くかのように】

【肉を切り裂いて、現れ出でる。あの日見た花を、右目から再び生やして】


は、はは……やはり、その花があった方が映えると、私は思うね……

【咲き乱れる花は、カゲツという少女の殺意と正義の表れか】
【自らにすら、痛みと汚染を課して。されど、その刃はカゲツを侵しきるよりも早く、目的を達するだろう】

【もはや額の一つ目を残すのみだったカニバディールの、その身を圧倒的な力で】
【殺意そのものの力で、両断する。カニバディールの身体が、半分以下になる】

【それをもって、全ての肉の力が抜け落ち。床に落ちた。戦いは、終わった】

/もう一つ続きます
75 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/03(土) 22:53:23.50 ID:z86tKygMo
>>ALL
【ぐらりと。施設そのものが揺らいだような感覚がするだろうか】

【次の瞬間、潜入者たちは外にいるだろう。まるで、足元から施設そのものが去ったかのように】
【去ろうとしていた、アレフ・ヌルもまた、少女たちの死体と共に外にあるはずだ】

【眼前に立つは、十数メートルはある巨大なヤドカリ。そして、その殻に残った半身で、残骸のようにしがみ付くカニバディール】


――――予定より遥かに早い引っ越しになったな
ギリギリだったが、よくやったガリバー

【戦いの開始と共に消えた巨大ヤドカリ、ガリバー。自分たちがアジトと定めた場所を】
【自身と融合させ、丸ごと移動させる能力。カニバディールが廃の国に本拠を構えた時に使った手段の簡易版だ】


……ひどいものだ。大被害だ。倒された部下たちを再生するまでに、何日かかるか
潜入に見合った成果はあったかね諸君? ろくにおもてなしも出来なくてすまないが、今回はこれでお開きにしようじゃあないか

――――私は、お前たちを忘れない。お前たちも、私を忘れるな
いずれ、どちらかがくたばるまでな

【息も絶え絶えに捨て台詞を吐いて、ヤドカリは巨大さに見合わぬ速度で走り】
【『泥の街』の向こう、ゴミ山の中に消えていった】

【少しの間をおいて、水の国警察が手配したらしい迎えが来るだろう】
【望むなら、それを利用して。望まぬなら、自らの足で。彼らは戦いの帰路につくことになるはずだ】
【残された、アレフの少女たちの遺体は、彼らの組織が掃除しに来るまで、そのままになってしまうだろうが】


【外道どものアジト探訪は、スクラップズに多大な被害を、潜入者たちにいくばくかの情報と疲労と十分な報酬を】
【そして、双方に新たな因縁を。それぞれ残して、終わりを見ることになる――――】



【彼らに報酬が振り込まれてから、しばし後。依頼主の警察官僚と、その背後にいた野党議員】
【首を切断された二人の無惨な死体が、水の国郊外で発見される。胴体の上に、首を放置された状態で】

【その生首が咥えていた紙に記されていた言葉は、潜入者たちの耳にも入るだろうか】
【『黒幕の皆さまへ』。『私が三流なら、こいつらは四流』。『末端の質の低下は考慮されたし』】

【その死も、やがては何でもないことのように処理されるのだろう】
【時は流れ続け、世界は動き続ける。戦士たちも、悪党どもも、等しく】

/これにて、今回のイベント終了とさせていただきます!!
/長時間のお付き合い、本当にありがとうございました!!
76 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/03(土) 23:02:02.50 ID:fwFjh18G0
>>74>>75

っ、………………じゃあ、なんで……自分をそんなに、粗末に、扱うの……

【眼窩を割り広げる形で苛む花をむしり取りながら、少女は膝をつく。頭が痛い。眼が痛い】
【そしてどこか、胸の奥が、ずきずきする。――いつか倒した悪のことを、思い出していた】
【カーネル=アドルフ・レルゼクム。カニバディールとはまた違った形の悪だった。けれど】
【「ひとりきり」であったこと、ただ一つ、そこだけが共通しているのが。……なんだかたまらなく、嫌だった】

【激痛に耐えきれずに刀を取り落とす。それが地に墜ちて音を立てる前に――風景が、切り替わって】
【カニバディールの残した言葉を呆然と聞きながら、少女はしばらくその場に佇むのだろう】
【花の咲き乱れた痕を、片手で押さえながら。もう片方の眼で――じ、と。消えていくのを見届けたら】


………………………………私が殺してあげなくちゃ。

【ぽつり。呟く言葉はやはり、殺意に満ち満ちて。しかしどこか寂しげな、慈しみすら含んだ――傲慢なる音色を孕む】


//おつかれさまでしたー!ありがとうございました!
77 :アンゼリカ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/03(土) 23:06:44.79 ID:a10C/xTl0
>>75

―――ッ!!おい、貴様待て―――ッ!!
クソ、まさか逃がすなんて………奴の力を侮り過ぎたのか………。


【ガリバーと呼ばれる巨大なヤドカリに捕まって逃走を図るカニバディールをみすみす逃がしてしまう。】
【大ダメージを与えることはできたが、奴の根本を叩かなければ結局イタチごっこだ。とイラつきを隠さない。】

【それからほかに居合わせたメンバーへと挨拶もほどほどにアンゼリカは再び外套をすっぽりとかぶり姿を消した。】
【黒幕≠ニやらの動向も含めて、まだ調べる必要がありそうだ。】

//お疲れ様でした!
78 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/04(日) 00:26:25.89 ID:2SUwzASu0
>>73>>75


【煙果てる彼方、2人は異形の生き延びるを知った。然して両者ともにそれなりの深手であれば、追い縋るだけのリスクは負わず】
【 ─── 焼け付いた砲身から白煙を上げる巨砲が、血溜まりを焦がしながらその中へ溶けていった。】
【残された殺意は、ただ黒々と。 ─── 「802, 803, 807より806。状況終了。負傷者1名。ヘリの手配を」インカムに呟くなら】


      「 ……… 忘れないわ。貴方を殺すまで」


【決して消し得ぬ執念にて、今ばかりはアリアは肉塊を見送る。 ──── 次は無いのだと胸裡に誓いながら】


/みなさまお疲れさまでした&ありがとうございました!!
79 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/04(日) 19:38:34.22 ID:Wi8Z748c0
【水の国・首都フルーソから少し離れた路地裏】
【人の賑わいから切り離されたその路地裏は物寂しい――筈だった】

「ぜぇ、ぜぇ……おのれっ!"黒幕"の犬共めッ!
 こんな寂れた路地裏で死に果ててたまるものかッ――!
 水の国の最高議会の議員であるこの私が、あんな捨石風情に――ッ!」

【静寂を打ち砕くのは一人の男。その男の名はイーサンと言った】
【水の国の最高議会の議員の一人にして"円卓"側に属するイーサンは息を切らしながらも走る、奔り続ける】
【彼が身に纏う上質なスーツには幾つか切り裂かれて、そこから赤色が幾つも散らされて】
【今も尚自身に迫っている死の脅威――"捨石風情"と蔑む金髪の女性に背を向けて逃げていた】


さて、はて。随分な世迷言を口にするんだね、オッサン。
人の生き死になんてのを選べるのはごく僅かなんだよ。
別にアンタが何者かなんてのはどうでも良くて。ただどうでも良くないのは―――


【"アンタが黒幕の為にならない人間って事。だから生きて帰れるなんて思うのは思い上がりも甚だしい"】

【事務的で、何処か関心さえ薄いような口振りで死刑宣告の言葉を継いだ金髪の女性とは】
【――公安五課/特別対策室所属の国家のための捨て石・エーリカ=ファーレンハイトであった】

【前髪の一部を黒く染めた金髪に、左耳に開けたトランプのマークを模したピアス】
【ダークカラーのパンツスーツ姿と手に握られたナイフが特徴的な人物であった】

【エーリカが死刑宣告の言葉を紡いだなら、彼我の距離は徐々に縮まって――気がつけば"鬼ごっこ"は】
【終わりを迎えようとしていた。それ即ち、彼女の刃圏が哀れな獲物を捉えようとしていたという事実】
【そんなところに割り込んで来るのは果たして何者か―――】

//予約です
80 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/04(日) 19:52:42.04 ID:2SUwzASu0
>>79

【灰色の晩秋を駆け抜ける清風。 ─── 月の明かりに煌めいて、一雫の蜂蜜を焦がすような、甘い薫り。】
【静的建築群の影から、ゆらり現れる一人分の体躯。しずやかに漏れる女の声は、ごく穏やかに錯誤していた】


     「 ──── あら。」


【 ─── 秋月の下に現れたのは、妙齢の女であった。身長は180cmほどだろうか。真白い足先に絡み付く黒いストラップハイヒールを含めても、幾分も背の高い女】
【甘露滴るような肩口の柔肌を、惜しげもなく晒したオフショルダーニット。肩紐に支えられて尚も、編み込みの生地が伸び切るまで収まりのつかぬ、耽美なほど熟れた胸元】
【すらりと伸びたスキニーデニムは悩ましげな腰回りから太腿までに余さず張り付き、半身を占める程しなやかに長い両脚を強調して余りある。 ─── 薄桜色の爪先。】
【薔薇色の薫りを振りまくハニーベージュのロングヘアは、夢魔にも似た軽く気怠いカールを帯び ─── 目尻の垂れて慈愛に満ちる微笑み、宿るは翡翠色の双瞳】



     「こんばんは、愛らしい鬼さん。 ……… 狩りはもう、御仕舞い?」「ふふ。」
   「とても良い声で鳴く狐さん。」「わたしにも、ひとツ、遊ばせてくださる?」



【艶やかに色付いて、ぽってりと潤う唇に、 ─── 幾分も長い手指の爪を添えながら、女は息を漏らすように、笑って】
【緩やかなフレアスリーブの袖先が、閨所に誘うように揺れていた。南海の深淵よりも尚深く昏い青緑色の視線が、静かにエーリカを見つめていた。】
81 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/04(日) 20:18:17.07 ID:Wi8Z748c0
>>80

【世の中往々にして思い通りには事は運べない】
【過去を振り返ったって、今現在だって同じ事】
【追いかける"鬼"であるエーリカにとっても、追いかけられる"狐"であるイーサンにとっても】


「―――!?一つといわず幾らでも遊ばせてやるから、私を助けろッ!
 背後から迫るあの金髪女に殺されそうなんだ!謝礼は幾らでも弾んでやる!
 水の国最高議会議員のイーサン・サンダーランドが頼んでるんだ!はやく私を助けろぉ!!」


―――……チッ、その口振り。まるで何処かのいけ好かない上司を思い出す。
狩りはこれから終らせる所だから―――邪魔するんじゃないよッ、オバサン!!


【客引きを行う娼婦の様な言葉と壷惑的な雰囲気を醸し出す妖婦の様な女性を前に】
【イーサンは自身の身分を過剰に誇示して、高圧的で命令口調の物言いで助けを求め】

【エーリカは自身の上司たる沙羅=ブラッドベリと被って見える女性に嫌悪感を露にして】
【纏わりつく視線と不快な感情を振り払うかのように、握られたナイフをイーサンの背中目掛けて投げ付ける】
【すると放たれたナイフはイーサンの背中にドスッと刺さり、その場に倒れこむのだった】


「ぐァッ!!―――……おい、助けろッ!この私の命が脅かされてるんだぞ!
 公安五課の黒幕の捨て石風情に殺されるなんて御免だ!だから早く助けろ、女ッ!
 私はまだ死にたくないッ!私はこんな所で死にたくないんぁあああああ!!!」


【背中から滲む血液。背中からじわじわ広がるのは血液に留まらず痛苦と恐怖】
【醜く歪んだその表情で紡ぐは、やはり傲慢。聞くに堪えないなんて思うエーリカは顔を顰めて】
【新たに手斧を召還し、倒れたイーサンの頭目掛けて己が得物を振り落とそうとしていた】
82 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/04(日) 20:35:10.51 ID:2SUwzASu0
>>81

【忌々しげなエーリカの表情と、死物狂いなる男の懇願の、 ──── 何方に対しても、女は特段の熱意を示さなかった】
【下がれと命じられて尚、彼女は変わらずそこに立ち続ける事を選んでいた。僅かに傾げられた腰付きは、寝台の上でくねるように】
【されど、 ─── いよいよ男の喚き散らす断末魔の一歩手前を聞けば、初めて女は緩やかな目尻を眇めた。舌打ちさえも艶やかに】



「ああ、もう ──── 喧しい」



【 ─── デニムに隠したインサイドホルスターより、引き抜かれる大口径セミオート。躊躇いなくグリップセフティを握り込めば】
【スリードットの照門が酷薄に男の頭部を捉え、それと同時に引き絞られるトリガー。1発、2発。乾いた銃声】
【振り下ろされる手斧と共に、真鍮に被甲された45口径のホローポイントは、彼の脳髄を吹き飛ばして余りあるだろうか。 ─── はあ、と喘ぐような嘆息】


  「わたしが聴きたいのは、その手の声ではないの。 ……… 解ってくれる?」


【「まあ、もう、死んじゃいましたけど。」 ─── なにか面白い冗句を口にしたかのように、くすくすと女は笑った。ひどく冷たい翡翠の煌めきは、やはり人殺しのそれ】
【大袈裟で甘ったるい吐息を零すならば、下半をニットに包まれた胸許が苦しげに揺れた。それでも、エーリカに視線を戻すなら】
【とうに視線は穏やかな物に変わっていた。我儘を向けられた慈母のような苦笑。「これでも、まだ28なんですよ?」若作りの愛嬌と呼ぶには、確かにどこか御転婆な語調】
83 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/04(日) 21:07:31.61 ID:Wi8Z748c0
>>82

【己が振り下ろす死よりも先に割込んだのは目の前の女性から放たれる死】

【それも女性には似つかわしくない得物から放たれた2つの凶弾は命を屠るには過剰で】
【イーサンは終ぞ何が起こったか理解出来ぬまま、自分が殺された事さえ理解出来ぬまま】

【前戯も行わぬままに挿入しようとする順序知らずの童貞みたいに見苦しい声で助けろと命じたから】

【それが女性の興を殺いでしまったのか。何にせよ耳元で愛を囁くように助けを請う事は叶わなかったから】
【いろんな意味で刺す事に慣れている男の最期は刺されるか挿されるかの違いでしかなかった】


(コイツっ、―――……っ!……躊躇無く殺しやがった…っ!)


【誰が殺すか。そんな事には拘泥しないけれど。目の前の女性が殺しに抵抗の無い人種であり】
【嬌声の様に甘ったるい言葉を強請る言葉と添えられた艶めかしい所作が癇に障るなら】
【エーリカは依然として警戒心を解かないままに、赤銅の眼を鋭く尖らせて。それは鋭利な刃の様に向けられる】


……おばさんのクセに何言ってんだか。もう28歳の間違いだろう?このアラサーが。
花の21歳からしたら28歳のアラサー女なんて最早おばさん予備軍だ。

それにその言動。28歳とは到底思えない。聞きたいと強請る声じゃないって理由で人を殺すなんてさ。
我侭を振舞うおばさんなんて性質が悪いし、毒婦みたいで気色悪い。――どうせ嬌声のひとつやふたつでも聞きたいんだろ?


【怪訝な視線に混じるのは多量の敵意と警戒。それは相手を近づかせない牽制の意図があって】
【けれど捻りの無い言動には若さと未熟さを感じさせて。妖艶でいて無邪気な相手にエーリカはどう映るのだろうか】
84 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/04(日) 21:33:41.14 ID:2SUwzASu0
>>83

【コンペンセイターから漏れる硝煙と、俄かに沸き立つ血肉の腥さに包まれて尚も、 ─── 彼女から薫る、甘い雌の香りは、変わらず】
【剣呑さを隠す事もないエーリカの鋭い舌鋒には、蕩けゆくアロマキャンドルのように緩やかな苦笑をもって、けして激昂には至らず受流す。】
【 ─── 無邪気と呼ぶには少なからず穢れを知り過ぎている横顔だった。曝すようにカールした睫毛が、夜露の一雫に似て瞬いて】


「狩られる生き物らしく、叫んで欲しかっただぁけ。」「死に際に理屈を捏ねられるのは、好きではなくて。」
「起こり得ることに向き合えない人は嫌いなの。」「何のために産まれてきたんでしょうね、本当に ──── 。」


【嘆かわしげな軽蔑を向ける先は物言わぬ骸と化した男であった。寂しげに窄められた唇先は口寂しさの表れだろう】
【「すっかり興も削がれちゃいましたし、 ─── 。」 ─── そうして、思い返すように頤を上げるならば、媚びるように蕩ける目尻の曖昧さは夜に愛されていたから】


「 ─── けれど、ううん」「そうねェ。 ─── ねェ、お嬢さん?」
「貴女みたいな子なら、知っているかもしれないわ。 ……… そうね。そうよね?」

    「一ツ、尋ねたい事が、あるのだけれど ──── 聞いてくれる、かしら?」


【 ─── エーリカの張り巡らす言外の拒絶など、およそ意にも介さぬように、真っ向から女は歩み寄っていく。しなやかな腰付きと両脚を、しゃなりしゃなりと揺らめかせ】
【互いの呼吸に浴し得るか否か、 ─── そんな距離感に至った所で、しなだれかかる挙措は獲物を定める女郎蜘蛛のそれ】
【音もなくゆるりと背中に腕を回し、肩口へ一本ずつ五指を沈み込ませ、くすくすと脊髄を愛撫するような嗤いは耳許へ】
【 ─── 背筋の震え上がるような、辛うじて搾り出すかのように掠れる囁きを添えながら、歪むほどに押し付けられた両胸の柔らかさが余計な抵抗を許そうとしない】
【とかく女の躯体すべてが雌の甘ったるさというものを知悉していた。シャンプーの香り、気品ある香水 ─── ならば呼吸まで甘いのは、当然の道理であるから】
85 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/04(日) 22:02:55.41 ID:Wi8Z748c0
>>84

【―――"性質が悪い"。この僅かな邂逅で彼女に抱いた感想】
【同時に思うのは、―――"この女も、己が内に理屈を飼っている"】

【つまり、只者じゃない。むしろ色んな意味で危険な人物であろう】
【少なくとも彼女の行動基準は彼女だけにしか定められない筈だから】


……結局のところ助けたかったワケじゃあ無かったのか。
趣味が悪いな、28歳児のおばさん。人の死ぬ所を眺めたかっただけか。
――――……少なくともアンタを悦ばせるために産まれたんじゃないのは確かだろうが。


【眉を顰めて、尖った口調を崩さないエーリカ――言葉と態度と言う不可視の刃で】
【目の前の女性に"口撃"を放つが、それが相手の心に刺さらないと察するのには時間を要しない】
【―――あろう事か、堂々と自身に歩み寄って豊満な肢体を存分に押し付けてきたのだから】


――――ッッ!!?……何の心算だい?この淫売毒婦ッ…!
見ず知らずの小娘に色目をくれるとはどういう了見だよ…ッ!


【雌の持つ甘い薫りは宛ら絡みつく蜘蛛の糸。足掻けば足掻くほどに絡め取られる錯覚さえ抱く】
【五感を刺激して麻痺させる危険な甘さ。それは嗅覚に始まり触覚をも食んでいく】

【背中に回された腕、少しずつエーリカの身体を味わうような指遣いだけでも堕ちていく感覚に襲われ】
【身体の隅から隅まで甘い匂いに包まれれば、女性の豊かな双丘も同じ様に自身を包み込んで飲み込んで】
【極めつけは愛撫に絡められた愛を囀る様な囁き。それら全てが脊髄を伝って全身を篭絡するには十分すぎた】


………何だよ、聞きたい事って。どうせ、この状況だから。
――――聞かない、なんて選択肢は取らせてくれないんだろう?


【同性愛者のエーリカでさえ、いやだからこそか。鼓動の高鳴りが手に取る様に解る】
【同時にこの高鳴りを目の前の女に聞かれている事が嫌で堪らない――蜘蛛の巣に捉えられた虫みたいで】
【もう、既に、この時には。この毒婦の気分一つで如何様にも汚されて犯されてしまうのだから】
86 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/04(日) 22:26:53.61 ID:2SUwzASu0
>>85

【 ─── 自身の腕中に搦め捕った少女を弄ぶのに、或いは愉悦さえ感じているのだろうか。耳許に溢れる吐息は楽しげでさえあり】
【なれば指先の嘲弄もまた意味深長であった。既にエーリカの肩を包んだ右掌は、紅く長いネイルと共に、品定めにも似て舐めるように白い首筋を撫ぜ】
【そして左腕は在ろう事か、 ─── 徐に少女の内腿へと指を添えて、這い上がる蛇に擬えるかのように、然して昇り行く先は単に腰回りであり、いずれは飽きてしまったのか】
【エーリカの口先へとそっと添えられて、やはり長い爪先が、結ばれた唇を犯すように音もなくその隙間を愛でる、ならば】


  「お話が早くて助かるわぁ。 ─── とぉっても貴女は可愛いし、成る可く非道い事は、したくないもの。」
   「貴女が正しく居てくれる限り、なあんにも怖い事はしないから。ただ、安心してほしいだけ。 ……… それじゃあ、そうねぇ」


【限りなく近づいた女の湿っぽい唇からは、粘膜の晒される淫靡なるぬめりが介在していた。 ─── ちゅ、と鳴った水音は、耳朶への口吸いだったか、単なる戯れだったか】
【絶えず耳孔へと呼気を吹き込まれたなら、唾液の残されたか否かも判然としないであろう。およそ淫婦だった。余さず堪能させていた己れの肉感を、漸く少し離したのなら】

【 ──── 一呼吸の後、ささめく短い命題。あるいはそれは少女にとって、容易にシニフィアンを示せる一節だったろうが】







    「 ─────── "アリア"という名前に」「聞き覚えは、ない?」






【なにかの情念を孕んだ、静かな声音。】
87 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/04(日) 22:56:20.08 ID:Wi8Z748c0
>>86

【撫ぜられる身体。肌を伝う指先の感触と服越しに添えられなぞられる指先の感触】
【それは宛ら愛撫に似て。まるで蛇の様に厭らしく絡め取られていく様な感覚に思わず】
【"んっ、……んぁあッッ…"なんて生娘の甘い吐息が洩れて、次第に頬が紅に染まっていく】

【出会ったばかりの、好きでもない、むしろ嫌悪さえ抱く女の指先一つで逆上せてしまう】
【そしてあろう事か自身を犯す指先は肢体に留まらず、一文字に結んだ唇をもなぞったなら】
【終ぞエーリカは弄ばれてしまっていた。女性の掌の上で踊らされるしかないエーリカは極め付けに】


―――……ンあああっッッ!!?、……っぁぁあッッ、―――っっ!!


【耳をも犯されてしまっていた。耳朶を湿らせるのは女の唇だという事を察するに時間を要した】
【吹き込まれた甘い息も、それによって曖昧模糊となった唾液も――それらはキスマークに似ていて】
【弄ばれた末に、女性の愛玩動物だとか玩具であると教え込まれた様な気分に陥っていた】


【――】


【散々弄ばれた末に離れていく女の身体。その最中に女の瞳に映るだろう】
【エーリカの瞳はもう蕩けてほぼ骨抜きにされているのに、必死にそれをひた隠そうとしている健気な姿が】

【そうして胸の感触も、体温も離れて。唾液だけが二人を繋ぐ縁となった頃合で問われるのは――】


――――……あ、りあ?(……何であの女の名前が?)
(―――……どうせ、怨恨の類かなんかだろーけど。……ヤバイ、考えが纏まらない)


【思わぬ名前に蕩けた眼はやや覚醒の色を覗かせて、けれど骨抜きにされた影響で考えが定まらない】
【―――……不意に、アリアとかえでの顔が脳裏を過ぎって。だから、エーリカが口にする言葉は】


―――……知らない。………きいたこともない。


【嘘だった。短い嘘。けれど、その嘘には既に綻びが生じていて。恍惚の表情が中途半端に醒めてたから】
【嘘を付く人間特有の定まらない視点の動きが見て取れて。――恐らく、女にはそれが解ってしまうのだろう】
88 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/04(日) 23:19:26.63 ID:2SUwzASu0
>>87

【やはり女は嗤っていた。 ─── 頭一ツは高い背丈より見下ろすように、自身の手管で貶めた少女の痴態を嘲笑うように】
【あるいは仕留めた獲物を誇るための所作であったのかもしれない。情欲の喜悦に細められた翡翠色の双眸が、目尻を蕩かしつつも冷たげに、上気した少女の顔貌を余さず映し】
【 ─── やはり口許に指を添えるならば、見せ付けるような舌舐めずりさえ晒していた。ならば未だ貪り足らぬと示しているのだろうか。懸命に恍惚へ抗うその健気さまで蹂躙してこそ意義があるのだと】
【ともあれ女はそれ以上を踏み入らなかった。 ─── 躯体を離す一刹那、はらりと淀みなく清められた、色濃い蜂蜜色の長髪が、嬲るように名残惜しく少女の肌を撫ぜて】


【 ────── 示された答えに、余さず満足したかのように、一ツ女は頷いた。ピンヒールの硬い足音が、数歩の分だけ、響けば】


      「 ──── あら、そう」


【転瞬、 ──── ごく長い右脚が風を切り、強靭なしなりの内より繰り出されるのは、俊速の蹴撃。尖った爪先が真ッ直ぐに】
【もう片脚を軸とした容赦のない必殺性を以って、エーリカの下腹へ目掛けて放たれるだろう。狙いを定める位置が違えば、一撃で他人を殺せるローキック】
【 ──── 真面に食らったとすれば、辛うじて内臓の破裂しない境界線の威力であろう。およそ真面な人間の繰り出せる類の暴力ではなかった】
【ただ夜陰に儚い煌めきを残して振り乱される長い栗色だけが女らしさを留めていた。斯様な熾烈さの中にあって、尚も変わらぬ雌の香りは、いっそ無気味で】
89 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/04(日) 23:34:28.69 ID:Wi8Z748c0
>>88

【――――何が起きたのか、それを理解するのに時間を労した】
【先ず最初に襲い掛かったのは下腹部からの激痛。次いで途切れ途切れにブツ切りになった意識】

【先程までの恍惚感は何処吹く風か。今、激痛に悶えて】
【嗜虐心をそそる様に蹲って嗚咽を漏らすエーリカの姿は間違いなく蹂躙されたものの姿】


―――……   がはぁっ!!

…   ………づぁああああッ、   あああっ、っぅぐぁっっっっ!!


【ちかちかとした光が邪魔で視界がぼやける】
【全身を苛む痛みが邪魔で身動きが取れない】

【ここに至るまでの様相はまるで飴と鞭の構図みたいに】
【バカ正直に知っている事を話せば良かったのか――否、そんな事は出来ない】

【今でこそ同盟を結んでいるが、本来は敵対関係で】
【けれど似たような痛みを抱えているから、あの銀色を愛する少女を知ったから】

【今は歯を食いしばって、痛みに耐えるほか無かった。現に、顔を見上げる余裕が出来たなら】
【何かを隠し通すかのような決意の双眸を女へと向けて――けれど、その双眸は依然として揺らめいたまま】

【現状エーリカは痛みに悶え身動きが取れない状況にあって。女がその気になれば追撃など容易いだろう】
【更なる痛みを与えるか、それとも更なる恥辱に塗れさせるのか。何れにせよエーリカの運命は女の手の内】
90 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/04(日) 23:54:53.28 ID:2SUwzASu0
>>89

【 ──── はあ、と。態とらしくも女は嘆息した。ひどく嘆かわしく、ともすれば憐れむような湿度を孕んで、哀しく揺らぐ胸元に呼吸を落とした。然して】
【見上げるエーリカを見下す翡翠色は、憐憫をくれてやろうという上澄みに、本性たる嗜虐を隠そうともしない。ならばエーリカの悲鳴こそ嬌声に等しいのだから】


    「 ……… 成る可く非道い事は、」「したくないって、言ったのに。ふふ」


【繰り返して繰り出された爪先が、断続的に少女の下腹を蹴り飛ばすだろうか。2回、3回、4回】
【 ──── それを持て余せば、今度はピンヒールの鋒を以て、少女の胸許を踏み潰そうとする。】
【肺腑の正中に少しずつ体重をかけて、 ──── 弾ける寸前まで呼吸を潰せば、辛うじて幽かに足を持ち上げ】
【ならば続くのは、その反復。額面通りの息絶える寸前まで追い詰めて、態とらしい気道の隙間を作り、後は言葉を吐くまで嬲り続ける。然して、未だ屈さぬのならば】



     「ちゃあんと教えてくれないと、」「 ─── 貴女の為に、ならないわよ?」


【 ──── エーリカの髪先を掴み上げ、引きずり上げ、力無い爪先を宙に浮かせもするだろうか。嗜虐者の愉悦に惜しげもなく濡れる双眸が、楽しげに顔貌を覗き込み】
【瞬息、女はなにか、答えを待った。 ──── ここで告げるなら、許してやる。そういう類の傲慢さ。自身が絶対の優位にある事を疑わぬ悦楽】
【そこに付け入る隙を見出せば、この狂女の蹂躙から逃れる事も、或いは。少なくとも、少女の手足を封じるものは、何もなかった】
91 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/05(月) 00:13:17.67 ID:m36rJawd0
>>90

【痛みには慣れている。けれどそれは痛みを感じない訳ではないから】
【鋭く入った蹴りに身悶えする事は当然の事で、更に呼吸困難の類には太刀打ちできない】
【服越し、肉越し、骨越しに踏まれて徐々に乗せられる重みに肺は機能不全へと陥りつつあって】
【それが止んだと思ったら、また同じ事が行われて――それでも尚、アリアの事を口にしないから】


――――――          ……っ、      ぁっ

                            ……――――っ!


【胸が軋む、胸が痛む。その痛みは内外から激しい自己主張を絶えず行って】
【その果てに別の痛みがエーリカに降り掛かる。髪を無造作に捕まれ引きづり上げられていたのだ】
【けれどその痛みは、臓腑に掛かった痛みに比べれば"まだ"耐えられるし、思考を巡らす気力も出てくる】

【瞳に映るのは優位を信じて疑わない棕櫚のような嗜虐者の喜悦】
【決して噛み付くことの無い鼠――そう信じて疑わないのだと薄れた意識は察して】
【故に、そこに付け入る隙があると考えたから―――あえて、女の関心に触れる事にした】


……教える。………おしえるから、その前に……一つ、   おしえておくれよ。
…   あん…た、と、……アリアは     どういう    かんけー なのさ?


【それを教えてくれたなら、わたしも知りうる限りの全てを教えるから――なんて事を目で訴えて】
【時間を稼ぎ、ひいては目の前の狂人の情報を掴もうと考え、あわよくば地獄の淵を渡らせる事さえ考えた】
【その為には徹底的に弱者を振舞わねばならない。恐怖に震えた小動物、痛い痛いと泣き叫ぶ処女みたいに】
92 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/05(月) 00:31:43.26 ID:NAhNBV+W0
>>91

【それで良い ─── そう言いたげに、翡翠色が優しく細められた。緩められた頬に宿るのは絶頂的サディズムのみならず、】
【正しく在ることを選んだ対手への慈愛さえも想っているようだった。小首を傾げるならば、波打つ蜜栗毛が愛撫のように揺らぎ】
【 ──── 潤いに満ちた唇が、しっとりと粘膜を開く水音をくぐもらせ、徐に開き行く。そうして、】


「 ─── 質問を質問で返されて、あまりいい気はしないものよ?」


【空いた左手より鋭く放たれるのは、容赦のないリバーブロー。飽くまでも主導権は己れにあるのだという傲慢な女王主義の顕れ】
【然して少なくとも、女は少女を見縊ってもいるようだった。その心は半ばほど折れているのだと疑わず、ならば反抗の光明など見えている筈もないのだという、慢心】


   「まあ、いいわ。」「そうねえ。どこから語ったものかしら。」
     「 ─── 昔は仲良くやっていたんだけど、」「裏切られちゃって。だから、許せないの」


【然らば、 ──── 懐かしげに女は語り出した。昔の想い人に纏わる粘ついた追憶を、そっと衆目に晒すような】
【諦めとも恥じらいと付かぬ語調の中、確かにそこには低められた消し得ぬ憎悪が宿っていた。執念に等しかった】
【 ──── 伏し目がちに、女は言葉を続けようとするのであろう。子守唄を唄う母のような面持ちでありながら、彼女は】
93 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/05(月) 00:55:10.38 ID:m36rJawd0
>>92

【"それで良い"なんて思うのは虐げられる側も同じで】
【又しても意識を吹き飛ばしかねないリバーブローに痛苦の色を濃くして】
【吐血交じりの息を吐いて、視線を落とすのならば。それは服従の色を強固なものにした】

【―――かのように思わせるのには、十分だろう】


―――……


【追憶の言葉に絡みつくのは憎悪。この女は嘗てアリアを想っていたのか】
【それが転じて憎悪と妄執へと変貌したのか――冗談じゃない】
【許せないのはこっちの台詞だ―――こんな一方通行の身勝手に振り回されたのだから】
【あまつさえ、私を弄んで犯したんだから―――有りっ丈の憎悪をぶち撒けてやる】


………   かはっ、        なぁんだ。
あんたぁ、……振られちゃったんだぁ……  くくっ、……げほっ、げほっ。


なんで振られたか、……あの銀色がソッポを向いたのか考えた事、あんのかよ?
考えた事なんて、……無いだろう?そりゃそうだ、自分の都合しか考えない性悪女は……


―――……あんたみたいな、たちの悪い身勝手な女が。
裏切られたってしょうがないじゃないか、人の心と身体を弄んで蹂躙するだけの馬鹿女に
あの銀色だってね、人を選ぶ権利があるんだ。

それにね―――痛みを与えるしか能の無い破綻者風情が、女々しいこと言うんじゃない―――っ!


          【  Hell Edge Road――!! 】


【今ならば、油断しきっている今ならば一矢報いる事ができる】
【故にエーリカは自身の能力を発動させて両手にナイフを召還させたなら】
【その刃を目の前の女に突き立てることに専心を傾ける――今ならば窮鼠猫を噛める筈だから】

【言葉と言う無限の刃に、ナイフと言う鋭利な有限の刃】
【心と身体を踏み躙られて陵辱されたのだ。ならばノシをつけて"お返し"させてもらうまで】
94 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/05(月) 01:18:19.70 ID:anbz6tgs0
>>93



       「 ───── あ、ぐッッ 」


【紡がれるCriticalな反駁に女は眉を顰めた。 ─── 然して訝しさを戦術的思考の俎上に乗せた時点で総て手遅れであった】
【突き出されたナイフの鋒が白い雪膚に突き刺されば、汪溢した筋肉の弾け行くように噴き出る鮮血。両肩の内裏より肋を擦り抜け、心臓を掠める鋭刃に】
【初めて女は驚愕に目を見開いた。 ──── 残された執着がエーリカを手放さんとしたが、叶わぬこと。ハイヒールに支えられた両脚が、躯体が、喘ぎ狂うように揺らぐ】

【数歩、女は後ずさった。エクスタシィの余韻に浸る数刹那に似て、甘くも荒い呼吸を只管に吐き出し、蜜色の栗毛を血に濡らして】
【開かれた艶やかな唇には知死期の耽美さえ宿されていた。 ─── 然して、ぎらりと凄絶な翠嵐の眼光は、炯々として絶えず】


 「アレを愛した?」「あの、あばずれを?」「わたしが?」「 ……… くふッ」「くふふッ」「あッはは、 ─── ッ。」
 「ねェもう少し面白い冗談は言えなかったのかしら。」「奪ったのよ。」「奪ったの。」「アレは、わたしから、全てを。」


【ひどく愉しむように/憎むように女は血に濡れた唇を吊り上げるなら、 ─── その両の背を食い破るかのように現出する、2本の"触腕"。その先端に怪物じみた一本の"爪"を持つ、巨木の如く赤黒い筋肉の束】
【覚束ぬ脚元を奮い立たせ、狂うようにのたうちながらもエーリカに向かう原始的な暴力は吐精の所作にも似ていた。その質量に比例せず速度は極めて機敏だったが、それでも回避は不可能でなく】
【 ─── そうしてまた、今こそがこの狂女から逃れる最後の機会だとも理解させた。血染めのように紅く長い爪先が、なにか得物の形を取るならば、続くのは何方かの息根を留めるまでの闘争であるがゆえに】
95 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/05(月) 01:36:45.49 ID:m36rJawd0
>>94

【白金の刃が肉を食み、血を啜る感触は確りと在った】
【証拠として女の目は驚愕にて開いて、漸くエーリカは女の暴力から解放された】
【その刹那に赤銅と翡翠の眼光が交われば――それ即ち、両者の対峙であった】


悪いねぇ、私は学が無いんでね。ウィットに富んだ冗談は捻り出せないんだよ。
だから面白く無かったならそりゃ残念。もっとも、アンタが面白いと思う冗談なんていう気にもなんない。


【対峙した二人。女は背中から異形の触腕を顕現させて】
【対するエーリカは体中から魔力を流出させて、それらが次第に無数の刃を形作れば】
【自身がこの場から逃げるのに十分な体勢を整えるのだった】


             ヘルエッジ・オーバーフラッド!


【地獄の淵を綱渡る――そんな逃避行だった。迫る女は弾丸の如き勢いで襲い掛かり】
【それを右にサイドステップを踏んで避けて、返す刀で無数の刃を女に向けて放ったなら】
【刃を相手への目晦ましに見立てて、全力疾走してこの場から逃げ去ろうとするのだった】

【これ以上は行き着くところまで行き着かねば決着がつかない】
【そんな予感がして、エーリカは生きる事を第一に考え一心不乱に走り去ろうとするのだ】
【それと平行して次第にコントロールを失った刃は周囲を縦横無尽に暴れ回り】
【それが却って逃亡の手助けとなるはずであろう――】
96 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/05(月) 22:39:46.54 ID:NAhNBV+W0
>>95

【鈍く鋭い白銀の颶風は粘膜質の触腕の悉くを切り刻み、 ─── うち幾つかの軌道は女の肢体を引き裂いて余りあるならば】
【一矢に報いる以上の結末であったと言えるだろうか。無数の鋒をその身に受けつつも、未だ女は本能的な闘志を翳らせないならば、真っ当な人間でない事の証左に他ならず】
【されど追い縋って殺すだけの余力も残されていないようだった。 ─── 投げ掛けるべき罵倒を歯噛みに殺して、情事を終えたような静やかな声が、去りゆく少女へと】



「 ──── フライヤ。」「フライヤ・フライクーゲル=イェルネフェルト。」

    「わたしの名前よ御嬢さん。そして、 ─── 、」
     「あの女に伝えておきなさい。わたしはお前を許さない、と。」



【 ─── 酷く情念に似た色合いの無念であった。然らばそれはやはり、嘗て宿した情愛の死骸に根差した腐肉の芳花であったのか】
【それでも真実は、ただ血溜まりの闇中に溶けていくのだろう。 ──── なにかを濡らして引きずり出すような音が、摩天楼の暗がりに消えていった】

/この辺りで〆でいかがでしょうか!
97 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/05(月) 23:12:33.92 ID:m36rJawd0
>>96

【"フライヤ・フライクーゲル=イェルネフェルト"】
【字面からしてあの銀色と同郷の人物であるのは想像に難くない】
【―――尋常ならぬ念と、名状しがたい複雑な感情を察して。それでも同情なんてしない】


はっ、覚えていたら伝えておくとするよ。

老婆心ながら言っとくけど、振られた相手に拘泥する姿ほど醜いものは無いんだ。
――――……なんて言っても聞く耳なんて持たないだろうケド。


【女の無念が背中から襲い掛かるなら、淫らな水音を添えて濡らされた耳朶の湿り気が戻ったように思えて】
【背筋がぞくりとする程に、体中を暗い感情が這い回るような錯覚に陥ったから】
【歩みを進める足はより早く。互いの姿が闇夜に溶けて消えてしまえる位に離れたくて――力の限り疾走した】


……まったく、厄介な女だよ。
―――――……うぇっ、あの女に弄ばれた感覚、昔を思い出してヤな気持ちにさせてくれやがる。

…………好きでも無いヤツとの睦み事なんて御免蒙るよ。強姦魔の魔女ババアめ。
……とりあえずアリアには伝えておくとしようか。……色々話したい事もあるしさ。

//そうですねここで〆にしましょう、お疲れ様でしたっ!
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/06(火) 22:00:46.45 ID:b4NFqK7g0
【街中――路地裏】
【見上げれば都会の慎ましい夜空に突き立つ摩天楼のシルエット、けれど見下げるのなら、地面には旧い血染みがこびりついて】
【ならば建物の隙間を風が通り抜けたっていつまでもじめっぽく血腥い気がした、――ずり、と、微かに聞こえる足音は、何か未練がましい】

――――――――――、

【――故に、誰かが訪れるのなら、佇む人影はごくごく緩慢に振り向くのだろう。華奢なシルエットをしていた。それでも身長はいくらか高く、】
【けれども男と見紛うにはいくらもその人物の視力を疑わねばならぬ体躯。――ふっくらと豊かな胸元はもとより、その身体付きは男と思うには女らしすぎるから】

【腰まで届く白銀の髪が夜に浮かび上がるなら、真っ白の肌もまたきっとよく目立つのだろう。水平線とよく似通う色の瞳は、けれど、瞼すら重たげに瞬いて】
【ニットのワンピースに厚手のストッキング。踵のすらっと長く高いショートブーツ。――街中に居ればそれなりに目を惹くだろう程度には甘やかな容姿を持て余すなら】
【きっとひどく"どうしようもない"顔をしていた。しているのだろうと思わせた。――故に、"そんな奴"に絡むような奴は、居なかったらしい、それとも】
【今宵は少し夜風が冷たいから。――そういうチンピラ風情も家で鍋でも突いているのかもしれなかった。とにかく、十七歳ほどの少女は、"だれか"に目を向け】

――――、……あれ。……こんばんはぁ。お仕事ですか? ――、――寒いですよ、今日。大変ですね――……。

【痛みにすら近しいほどの冷水に身体を沈め込むかのように晴れぬ顔を、それでも、微かに笑ますのだろう。ならば二人敵ではないと確認しなおすみたいに】
【変わらず白の手袋にくるんだ指先を唇に沿えるなら、――少しだけ何かを考えるような間。あるいはお互いに考えるだろうか。少女の眼差しが冥く見えるのは、隈のせいらしい】
【やがて緩やかな仕草で彼女は身体をそちらへ向けるのだろう。――ころり、と、地面を転げた踵の音。向き直っても、かりかり、と、ヒールで地面を擦るのならば、】

――これ、ね、ふふ、私、と――アリアさんの血なの。

【――――――――視線は愛おしげに地面を撫ぜる。"なにか"あったのかもしれなかった。そう思わせるくらいには、――、仄暗い目を、しているものだから】

/予約です!
99 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/06(火) 22:20:50.06 ID:d7Z/UF6B0
>>98

【――――身に染みるような夜風が吹く日だった】
【身の芯まで染みこむ寒さに思わず、身が震えて"だぁーっ、さっみぃ"なんて口を尖らせて】
【家路に着くところだった。仕事を終えた開放感に歩みを進める足は何処か早くて】

【だからといって暗闇が蔓延る路地裏から薫る"非日常"を看過する程嗅覚は鈍感ではなくて】
【浮き足立ったエーリカの表情は次第に険しい顔つきへと切り替わるなら――路地裏に足を踏み入れる】


―――……かえで。どうしたんだよ、その顔。寝てないの?
ひっどい顔してる。特にその眼。隈だけじゃない、深淵でも覗き込んだ様な眼しやがってさ。

もしかして―――………アリアと喧嘩でもしたのかい?取りあえずこんな寒空の下で話すのもアレだ。
私の部屋で詳しい話を聞かせてもらう。―――……嫌だって言っても聞き入れないから。
それぐらい今のかえでは酷い顔してる。数少ない親友だしさ、ほっとけない。


【その佇まい、言動―――何かがあったと察するには十分すぎて】
【険しい顔色にかえでを心配する様な感情が綯交ぜになったなら、彼女の手を取る】
【もしその手を取ったなら、力強く握り締めて、ぐいっと強引に路地裏から出ようと試みるんだった】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/06(火) 22:33:35.61 ID:b4NFqK7g0
>>99

【曖昧な表情はそれでも笑みに近しい形をしていた。ならばハイヒールにて繰り返し地面をこそげることに、彼女は何らかの意味を得ているらしい】
【こりこり音は続けど、もはや地面にしみ込んだ黒色――彼女の言葉を信じるのなら二人の血液――は剥がれてこない。それでも。あるいはそれだからこそ、繰り返して】

――寝てますよお。いつもよりは、まあ、……少しは少ない、ですけど、――。――もぅ。年頃の女の子に、何てこと、言ってるんですか?
そのストレスだけでニキビが出来ちゃうの、それっくらいに、繊細なのに。……。………………見てないですよ、なんにも……。

【寝てはいるらしかった。それでも満足に眠っているとは到底思えなかった。――それとも聞いたことがあるかもしれなかった、蛇教時代、いくらも冗談めいて囁かれていたこと】
【どうにも寝起きが悪くて、一度寝るとなかなか起きてこないだとか。急な用事があって起こそうものならひどく機嫌を損ねて怖いだとか。蛇神様の次に寝るのが好きだとか】
【なんせよくサーバントと行動を共にしたりしていたものだから。そういう軽口が出回りやすいんだった。――その結果に行方不明になったサーバントは数知れず、でも】

…………してないです。してないよ、でも、――。

【"何かがあった"のだと、仕草が伝えて。わずかに目が逸れた、――誰かにひどい引け目を感じているような目だった、それなら、多分、アリアに】
【そうしてまた自分だなんて嫌いって思っているような目もしていた。手を取られるなら、わずかに目でも丸くするだろうか。やはり小ぶりな掌は、それでも、温かく】
【幸いにも冷え切るまで"こう"していたわけではないらしい。強く握られるなら、いくらも不満気に「――痛いですよ」なんて、言うのだろうか、批難がましい目】

私の部屋で、って、……お持ち帰り、ですか? 私、――、――。

【――冗談めかそうとした言葉が、けれど途中で途切れたのは、相手の勢いに負けたからであるのだろう。ぐいと引かれるのなら、足裏に吸盤は付いていなかったらしい】
【存外簡単についてくるのだろうか、――いくらか名残惜しいように/未練がましいように数度振り返りはしたが、結局、ひどく素直な足取り】
【連れて行こうと思えばどこにでも連れて行けそうだった、その程度には相手のことを信頼しているらしくて、――】
101 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/06(火) 23:04:38.61 ID:d7Z/UF6B0
>>100

そうさ、お持ち帰りさ。今にも身投げしそうな可愛い少女のお持ち帰り。

―――っあー、そうだ。アリアには秘密にね。
人の恋人をお持ち帰りしたなんて知られた日にゃ何されるかわかったもんじゃないし。


【かえでが口にする冗談を真に受けながら、手を引いて路地裏から出たなら後は早かった】

【金色の髪と白色の髪は線を曳くように棚引いて、それらは街のネオンとは趣を異にして】
【二人の少女が夜遊びに身を投じる最中みたい。けれど、現実は違う――そんな暢気な事じゃないのだ】
【なにやら只事ならぬ出来事がかえでの身に降り掛かったと半ば確信していて】

【特に血の付いた地面に未練があるような仕草が気がかりで、一刻も早くその場から引き剥がしたかった】
【故に、二人の足取りは早く。かえでの手を握る力が少し強くなれば、それはエーリカの気持ちの表れ】
【かえでの事を大事に思ってるからこそ、微力だけどかえでの力になりたいって気持ち】


【―――】

【そうこうしてる内にエーリカの住む三階建てのアパートに到着し、階段を上れば】
【そこは最上階。3階、303号室――そこがエーリカの住む部屋だった】


……人を招くのは久しぶりかな。エト姉ぇとシロ以外の人が入るのは初めてかな。
取りあえずリビングまで上がってさ、ベッドにでも腰掛けてて。

私の部屋、ソファーなんて無いから、腰掛けられるのって椅子かベッドしかないんだ。
あっ、あと私の部屋物色しないでよね。……特に見られて困るものはないけどさ。


【ぎぃっと音を立ててドアを開けたなら先ず最初にかえでに部屋に入るよう促して】
【そうして二人部屋に入ったなら、バタンっと音を立ててドアを閉めて鍵も閉めたなら】

【かえでにベッドに腰掛けるよう促すのだった。入って突き当たりの部屋がやや広めのリビングで】
【そこに本棚に机、箪笥、テーブル、あとベッドを置いたこざっぱりした部屋。少し寂しさを感じさせる部屋】

【かえでがベッドに腰掛けたなら、エーリカも彼女の隣に腰掛けるのだろう】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/06(火) 23:22:00.03 ID:b4NFqK7g0
>>101

【――少女はいくらか目を丸くしているのだろうか、握られる手が微かに痛くて、けれど、振り払うには忍びなさ過ぎて、我慢することにする】
【文句を言うのも憚られたのは、間違いなくエーリカがひどく真剣みを帯びているからだろう。そこまでの目をしていたのかと、回想させられるくらいには】
【だけれどそれで分かる程度であれば、そもそもこんな場所で地面をこそげてなんていないはずだから。――だのに小さく笑った、アリアへの秘密ばっかり、増えていくなら】

【それはごくごく小さな日常の欠片、――沈み込んでいても、まだ深淵の底の住民になってしまったわけではないのだって、伝えるみたいに。――今はまだ、違うから】

………………エーリカさんの匂いがする。

【――――――そして、エーリカの家に招き入れられた時。少女はふと一歩立ち止まるのだろう、ぽつと呟いたのは、なんだか、ひどく、気の抜けた声音にて】
【見るのなら僅かに眉を下げるように表情を緩めていた、――誰かの家に招かれるなんて、ずいぶんと久しぶりだなんて、気づいてしまった。ただそれだけなんだけど】
【「お邪魔します」――小さな声。靴を脱ぐのかどうかはエーリカの仕草を真似することにするから、少女はそのまま招かれるのだろう。案内されるままに、ベッドに腰かけ】
【よほどはしゃぐというわけではないけれど、ごく小さな仕草で、ベッドのスプリングを微かに軋ませてみる。――、ならば少し気が紛れているらしい、いくらも柔らかな顔をして】

――物色、しないですよ。今日び部屋の中でエッチな本探すぐらいなら、スマホの中でも物色した方が、早いですし――。
それに、本人を前にして、エロ本探す度胸、あんまりないですよ? それで出てきたのが特殊性癖てんこ盛りの大規模即売会の中でも1サークルしか出してないような本だったら。
私これからどうしたらいいのか、どう付き合ったらいいのか、悩んでしまうかも、しれないですから――。

【冗談めかす声。きしきしとベッドを鳴かせるのにも飽きたらしい。であれば足先をぱたぱたやるのにもすぐに飽きてしまって】
【特記するほど特別にというわけではないけれど、それでも細い腰から続くのならばごくごく女らしいお尻を落ちつけたまま、少女は、ふと、やはり曖昧な笑みを浮かべている】
【自分から話を振る勇気はないらしかった。かといって、問い詰められたとしても惑ってしまうんだろうと思わせた。――それでも、きっと聞かれるって理解している態度、していた】

【――だからか、彼女はそこで口を噤んでしまって。あるいは何か気まずさから逃げるように、――もふ、と、勝手に、エーリカのベッド、横たわろうとするだろうか】
【腰かけたところからだから、足先はベッドから垂らしたまま。駄目と言われれば起き上がる。眠たくってしているわけでは、ないのだから】
103 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/07(水) 21:37:20.34 ID:i2T0Ak1k0
>>102

……ふぅん、今はソッチだよねぇ。…スマホは個人情報の塊だから絶っ対に見せない。
かえでにスマホを物色された日には何されるか解ったもんじゃないしぃ。

なんてね、実際に疚しいものなんてこの部屋には無いから安心して。
―――、強いていれば疚しいのは私とかえで。二人とも普通じゃない生き物だからね。
まぁ、厳密に言えば疚しいコトしそうなのは私で、疚しいコトしてんのはかえで。


【柔らかな笑みを口元に宿して出てくる言葉は、気心知れた親友同士のじゃれあい】
【疚しい事って言葉を口にしたら、思わせぶりな行動を取る――自分の慎ましい胸をぽんぽんと軽く叩いて】

【それでいて自身の上着のポケットに入れているスマホを手で確り抑えているのは】
【"見られて困るもの、あります"なんて告げてるみたいで、付け入る隙を与えていた】
【尤も、特盛の特殊性癖とか付き合い方を変えざるを得ない程のものでは無いのだけれど】


……取り敢えず部屋に上げておいてもてなしの一つもないのかーなんて言われるのも癪だし。
寝転んだままでいいから少し待ってな。ミルクティ淹れるから、それで一息つけようか。


【冗談を口にする元気はあるみたいで少し安堵したけど、それで不安の全てが払拭される事は無くて】
【言外に醸し出される困惑と気まずさに二の足を踏まざるを得ない。だから無理に聞き出すのは憚られて】

【そう思ったが早く。エーリカは立ち上がれば、リビングルームの隣にある台所のスペースまで歩いて】

【冷蔵庫からは牛乳を、調味料の入った棚からはティーバッグの箱とグラニュー糖を】
【そして食器棚からは二人分のマグカップを取り出したなら、後はぱぱっと手際よく作っていき】
【ものの数分で二人分のミルクティが完成して。それを持ってリビングへと戻ったら――】


ほら、かえで。ミルクティ。……冷えた身体も心も少しは暖まって落ち着くよ。
まぁ無理して飲むことは強要しないから、テーブルの上に置いとくね。


【人懐っこい子犬の様に笑って、"先ずは一息つけようか"――なんて意図の行動を取るんだった】
【その姿は、かえでの知るエーリカとはまた違った一面であり、普段のエーリカそのものだって察する事が出来る】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/07(水) 22:04:53.60 ID:TZSgQ2gn0
>>103

見ないですよお。――――でも、私のスマホは別に見せても、いいですよ? ……なーんにもないです。普段、使わないので……。
……あ、盗撮したアリアさんの寝顔がありました。やっぱ駄目です。アリアさんのとっておきの可愛い奴、――見せたげないです。ぅふ。

――――――疚しいことなんて、してないですよ。私は。なんにも――。

【がっちりガードされたスマホを横目に、彼女はくすくすと笑うんだろう。それからよいしょって取り出すのは自分の携帯、まだぴかぴかの、新しいやつ】
【"自分は見せてもいいですけど"だなんて揶揄うみたいに笑うのならば、自分のスマホの中身はごくごく健全であると言い張る仕草、なんならいっそ手渡しかけて――】
【――だのにその寸前でくるっと物理的にも掌を返す。やっぱ駄目でしたってことらしい。曰く、愛しい人のいっとう可愛い秘蔵の寝顔写真があるからだ、なんて、言うなら】

【どこまで本当でどこまで冗談なのかよく分からないのだけれど、――とにかく疚しくはないらしい。立ち上がる相手を、やはりそのままの姿勢で見上げれば】

言わないですよ、まあ、"昔"なら、言ったかもしれないですけど……。――お砂糖、いっぱい、入れてください、甘いのが好きだから。
そうですね、――私はこれくらいが好きかなってエーリカさんが思うくらい、入れてほしくて。……。

【昔は、――蛇教時代だったなら、なんて、ひどく自虐めいた声音。とはいえ、件の時代に、幹部であった少女が、サーバントの部屋、"こう"だなんてしないと思うけど】
【寝転んだ視界からエーリカが出ていくのなら、それからゆるりと彼女は身体を起こす。――あるいは、のそり、なんて、擬音を付けてちょうどいいような、仕草にて】
【お砂糖の希望は甚くやる気なげなものだった。量の指定すら面倒になったみたいに、それとも、自分がどんな風に見られているのか、気になるみたいに】

――――――――ありがと、ございます。

【だから彼女はテーブルの上に置かれたカップの中で揺らぐテオレ色を眺めている、――その中に詰まったあったかさと甘さ、まだ、口に含む気にはなれないらしい】
【それとも単に猫舌なのかもしれなかった。曖昧な角度に伏せた眼差しは自分の膝を眺めていて、指先は所在なさげに腿の上に放っておかれていた、なら、】

――……………………――、――。私。能力。使えなく。なっちゃ、って……、

【気遣いの温度感にやがて彼女は耐えきれなくなるのだろう、ならば、ミルクティが適温に冷めてしまう前に、漏らす言葉は】
【だけれども、いくらも小さな声だった。だからそれがこんな顔をする理由なんだと伝えるには十分だろうか、そうしてまた二人、首輪付きの飼い犬同士であるなら】
【その言葉の意味合いはいくらも重みを増して聞こえるのかもしれなかった、――牙を抜かれた番犬に何の意味があるのか、なんて?】
105 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/07(水) 22:34:37.94 ID:i2T0Ak1k0
>>104

【耳を疑う言葉――凍てついた銀狼の可愛らしい寝顔】
【……全く想像できない。それにあの銀狼の前に現れる時は大抵弱みを見せてるから】
【―――だから、見てみたい。あの凍りついた表情を溶かす可愛い秘蔵写真だってんなら】


【けれど、それを見せてくれないなら――今は諦める。それにそれは本題じゃないから】
【用件を終わらせた時にこっそり見てやろうだなんて、悪巧みを脳内で組み立てるんだった】


おーけい、おーけい、じゃあ、たぁっぷり入れてやるよ。
あまったるくて熱々なアンタ達を揶揄するくらい入れてやるからね。


【スティックシュガーの袋を開けたなら、それをミルクティの中に入れる】
【さーっ、って音が小気味良く短く響いて、水面に触れた途端に影も形も無くなって】
【眼に見えない形で溶け合って行けば―――部屋の空気を震わせるのは、消え入る様な声】


――――……、えっ?


【耳を疑う言葉――今にも泣き出しそうな少女の静かな慟哭】
【力を無くした駒など何にもならないし、何にも成れない――故にその"喪失"には】
【言葉に言い表せない重い苦しみと、言葉に言い表せる絶望感が痛いほど伝わって】

【―――ゆえに、言葉に詰まる。言葉で励ますのは易い、けれどその価値も安くて】
【言葉を選ぼうとして、言葉がスパゲッティみたいに複雑に絡んでしまえば】
【言葉と言う手段は不適格だったから―――言葉ではなく、身体で。その手段は―――】


―――、――――、


【かえでを抱きしめる。かつて、自分がかえでにしてもらった時のように】
【かえでの顔を自分の胸に埋めて、否、押し付けて。ぎゅっと強く、強く抱きしめる】
【伝えるべき言葉を用意できなかったから、身体で、行動で、伝えたい気持ちを伝えるんだった】

【"―――、それはさぞかし辛かったろう、だから今は思いの丈を全て私にぶつけなよ"って】
【"それくらいのコトしか出来ないけど、私はかえでに救われたから、今度は私の番なんだ"】

【沈痛な面持ちで、眼をきゅっと閉じて、只管にかえでを想う】
【―――、死者が死者を慮る事に何の否があるというのか。いいや、無いだろう】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/07(水) 23:08:40.68 ID:TZSgQ2gn0
>>105

【場面が場面なら、――きっと彼女はひどく揶揄う声を出したんだろう。甚く惚気のトーンで至極勿体ぶって、きゃらきゃらって笑って、そうともなれるはずだったのに】
【取り出した携帯電話は何も写さずに黒色のまま、ごくごく冥く伏せた彼女の顔を映しこむ、――そうして液晶越しに見つめ合う"自分"は、けれど、違う見た目をしているから】
【余計に泣きたくなった。今までの人生は捨てるしかなくて。神様は目の前で死んでしまった。ただ一つ世界に残った縁は、だのに、"こんなこと"で消えてしまうかもしれなくて】

【――ぎゅうと抱きしめられるのなら、その胸で泣きじゃくってしまうのだろう、その背中にぎゅうって腕を回して、服を掴んで、もう二度と離せないみたいに、それぐらいに】
【わああってあげる鳴き声はひどく子供のそれと似ているに違いなかった。おっきな眼からおっきな涙をぼたぼたって落とすなら、きっと、その服だって濡らしてしまう】
【それでもそれを気にしてあげるだけの余裕がないみたいにただ泣きじゃくるなら、抱き縋るなら、二人の体温も溶かしあって、ミルクティに落とした角砂糖より甘いのだろうか】
【とにかく。ごく寒い路地裏にて地面をこそげていたのは、"だからこそ"だったのだろう。事情が事情であるなら、恐怖が恐怖であるなら、アリアに抱き縋るのは、憚られたと見え】

――――――私。わたしっ、私っ――、私。持ってた。のっ、――、"あのとき"。――なにかいたからっ、だからっ、――そしたらっ、
――っ、だったからっ、――それに、――そ、じゃないと、っっ。――だからっ。だからぁ――っ、そしたら、
ぁりあさん、いなくてっ。あさごはん、作るの。私。しない、から……。っ。らからぁ――、アリアさん、の、おやつ、あったら、っ、たべるから、

【そうして十数分ほどはただ言葉もなく赤子みたいに泣きじゃくるのだろう。それにやがて疲れたのか、それとも、ただ溢れ出す奔流の少しを出せて、落ち着いたのか】
【変わらず涙は止まらなくて、吐息も泣きじゃくるもので、だけれど、わあわあ言うのをやめたなら、何か――おそらく事情――を、話しだすのだろう。ただ、相当不明瞭で】
【何が何だかという様子でもあった、――それでも、ぎゅうと相手の服を捕まえる指先に力がこもるなら、】

――いる。ぃる、ないと、――えぐ、っ。――、いたの、それで――ッ、それで、それでっ。――、のうりょく、っ、つかわれ、
"しらかみりんね"、取られ、て、――――――――っ! 私っ、わたし、ちがくて、――っ、"そんなの"する、つもり、なくっ、てっ、なのに、
止めようとしたのっ、でもっ、わたし、できなくてっ、――、だからっ、だから、――ッ!

【イル=ナイトウィッシュ。あるいは相手に聞かすのなら思い浮かぶ名はもう一つあるのかもしれなかった。ラサルハグェ。――いつかの宗教の、幹部が一人】
【少女と同じく生き残りでありながら、人間でない存在。――言葉から見るに、おそらく元より見知っていたのだろう。同じ立場であったなら、会話でもしたのかもしれない】
【ならば元から仲良しでは到底ありえない。態度からして、――元から相当"嫌い"だったと思わせた。不明瞭な言葉の中でも、それはきっと、伝えて、】

――――――――――――っ、ねえっ、私、ちがう、……のうのうと生きて、な、――、わすれてない……。無能、じゃ、――、

【ぎゅうっと握りすがっていた指先さえすとんと落ちてしまう、だから体重まで委ねて、今この瞬間にエーリカが身体を翻すなら、きっと、彼女は、転んで転がるのだろう】
【そしてそうなったならその時は死にたいって決めているみたいに。――「私、自分の能力、自分で、阻害してしまったの」――、すとんと平坦な声は、けれど、絶望的で】
107 :エーリカ ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/08(木) 00:02:24.69 ID:wll8gH+G0
>>106

【"なあ、神様。居るんなら答えておくれよ。いいや、今すぐ答えろっ! 
 ――アンタを信じてるこの子が泣き叫ぶ位に苦しんでる道理は何処にあるんだ…っ!"】

【"私みたいな不信心で不敬な輩がアンタを信じないことで苦しむなら、そりゃ私の自己責任】
【けど、ここまで苦しんでもアンタを信じる子に手を差し伸べないのは不義理に過ぎるだろうが"】


【胸元に染みこむのはかえでの涙――だけじゃなくて、その慟哭とやり場の無い感情】
【支離滅裂な言葉の羅列も黙って受け止めて、赤子みたいに泣くものだからその都度頭を撫でて】
【静かに受け止めて、それでいて柔らかく、優しく肯定するんだった】

【"神様なんて碌でもない。やはり人を救うのはアンタじゃないんだな"って忌み嫌う言葉と一緒に天に唾吐けば】
【尚更、より一層思う事があって――この子を離したくない。今この手を、温もりを離せばきっともう届かない】


―――ラサルハグェ、いいや、イル=ナイトウィッシュ……アイツは死んだ筈じゃないのか?

どちらにせよ、かえではアイツに利用されたってのかい?
……ちくしょう、ケバルライとの戦いの時といい、何処までも害にしかならない奴だな…っ!


【虚神でもあるイル=ナイトウィッシュに対してやり場の無い憎悪を口から吐き出して】
【エーリカの頭に上った血液も幾らか溜飲が下がる。再度、意識をかえでに向けたなら】
【糸が切れた様に身体全てを委ねられて、指先の感触が無くなったなら――更なる哀絶の音色が響く】


―――……つまり、自分で自分を拒絶したってのかい?
――――………そこまで自分を追い詰めたって壊れるのが関の山だっての、わかんないのかよっ!?

アリアだって、同じ事言うだろうケドさ、私が先んじて言ってやる。

――――、周りの奴らや亡霊共がのうのうと生きてるとか無能とか蔑んでたとしても。
アリアや私はそう思ってないっ、思ってないんだよッ!アンタだってのうのうと生きてないって思ってるんだろ?

それにねえ、能力が使えなくたって私は、いいや私たちは手のひら返す真似なんてしないっ!
変わらず"雪待かえで"を"大事な人"って想ってるから。糸の切れた人形が転がるみたいに死んでる暇なんて無いだろうがっ!


【言葉だけじゃ届いて欲しい所まで届く確証が無い】
【行動だけじゃ伝う思いは儚く、脆く。離れればそれで全て終わりだから】

【言葉と行動。この二つを併せて願うのは――脆く弱った心が壊れないで欲しいという切なる願い】
【エーリカはかえでを離さない。離したら最期、目の前で突然糸が切れたみたいに死んでしまいそうだから】
【だから、だから―――縋るように、願う。縋るように、委ねられた身体を抱き留め続ける】


……かえで自身が、自分を否定してたら。私たちだって、悲しいんだよ。
そんなんじゃ愛を謳えないだろ。かえでが辛そうにしてると、あいつも私もそれ以上に辛いんだ。
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/08(木) 00:48:10.02 ID:i38jRmdo0
>>107

【――――――ちりん、と、小さな、鈴の音が聞こえた、気がした。けれどきっと気のせいだった。それともあるいは、室内にある何かに、飾りとしてついていたのかもしれない】
【どちらにせよ確かなのは、それは決して泣きじゃくる少女を救うために舞い降りた神様の一声では決してなく、そうしてまた、そのきっかけたりうる福音でもなく】
【泣きじゃくる声にかき消されてしまうほどにごく微かな空耳、――身体がないこと、歯がゆく思った、(だけれどこの子はわたしに一度だって祈ってくれやしなかったもの)】

【――ふらふらと少女は首を揺らすのだろう。死んでない。生きていた。あれは間違いなくイル=ナイトウィッシュそのものであった、と、】
【利用されたのか、――というのには、あまり明確な返事をしなかった。おそらくされた。けれどその結果はいまだに見えず、伺えず、ゆえに、どうとも分からない】
【その中で頭を撫ぜられるのだけが快いと思えた、ひどい心中よりわずかに気を逸らすことが叶った、――だから、もっと撫ぜてほしいみたいに、ぜんぶぜんぶ、委ねてしまって】

――――――――――――――――たぶん。

【ならば、ごく自覚のない行為だったのだろう。それこそ、そうするつもりなんて、なくて――】
【だのに現実としてそうなってしまった。そしてまた、自分の異能そのもので自分の異能を封じ込めてしまったなら、それを解除するための方策も分からぬらしい】
【様々な事情により能力に不調を来たした人に処方される薬――量を誤れば途端に能力を強化、のちに暴走させる違法薬物――を飲んだところで、何も、変わらないのなら】
【そもそも能力は使えなくなってなどいない。十全に作用している。問題はその方向性がすべて異能そのものを封じ込めることに作用していること、だけ】

でも、私、どうして、みんなと一緒に死ねないの……? ねえ――、みんな、みんな、しんじゃったのに……。どうして、私、いつも、違うところに居るの……。
蛇の神様が私を呪ってないのだったら、――、わたし、これから、どうしたら、――いいの、私、だって、みんなのこと、――大事、で、でも、みんな、……。

【――それでも。いつか炎に家族全部を喰われてしまった少女は。殺すべき狼を殺し損ね、それどころか命を救われてしまった少女は。どうしても、自分の命に引け目を感じて】
【ましてやその場に居合わせ生存したわけでは、なかった。家が焼け落ちた時に彼女は別の場所に居たし、儀式の日、彼女は意識のないまま、狼に連れ去られ】

【"あれだけお仲間が死んだのに、よくのうのうと生きてられるね" 】
【また同じコト繰り返すのさ、自分だけ "生き残った" 時と同じコトをね】

【――――――そんな自分は嫌いだって思ってしまう、要らない子だって、そして誰よりも自分を必要としてくれたのは、きっと、生まれて初めて、アリアなんだって】
【分かりながらも、異能を亡くした自分の価値を勘定してしまえば、今すぐにだって消えたかった。それでも神様にもらった目があるなら、意味はあるって、聞かされても】

【ともすれば彼女が現世に留まる縁などアリアとの縁一つに収束するのだから。そしてその縁が切れるのなら、罪深い命など、容易く死ぬしかないのだから】
【正しいことだけしてきたはずなのに。善いことだけしてきたはずなのに。なのに何か叶ったのかしら。だからやっぱり、(神様なんてほんとは居ないのかもしれない)】

【(そんな風に言う子は神さま/わたしだって助けてあげられやしないのに)】

辛いの、辛いよ、――、私、子供の頃、ちっとも、ちっとも、上手にできなくって、能力なんて、ないのと、おなじで、かわらなくって……。
ないほうがいいって思ってた、――こんななら、なくってもおんなじなら、――ないほうが、いいって、ずっと、思ってたのに、
――ねえ、"あのとき"、上手に使えてたら、みんな、助けられたかも、しれないの、ママも、パパも、なのに、できなくて、
使えても、――アリアさんに、勝てなくて、なにも……できなくて……。――やっと、なにか、出来たかも、しれなかった、のに、私は、

――――自分で、駄目にして、しまったの、

【ねえそれってやっぱり**って言えてしまう気がするの】
【(だからやっぱり能力なんて要らなかったんだ)】

【故にそれが病巣であった。使えなければ誰も救えず、使えたところで何も果たさず。能力など無意味だと、彼女自身が、観測してしまったのだから】
109 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 14:10:14.74 ID:FHL/nT/Ro



                 【其れは突如として顕現する、然るに曰く、追い立てる過去の虜囚に似て】



    

        【貴方は目を覚ます、その行いに僅かばかりの矛盾はなく、微かばかりの予断はなく】




                          【けれども、──── 最早元の形ではなかった、失はれてしまった形状をどう嘆くと言うのか】
【鎮痛】【安静】【正常】【 ────────────── 】                             【残留思念】




【邂逅する二心の落とし子】【忌み子達が使う彼らだけの言語】【捨て置かれた廃村と】【捨て置かれる郷愁の辱め】【水子達が輪になって踊ろう】






                                 【 "能力者達" は異変に気付く、否、気付かざるを得なかった】
    【貴方達の瞬きの隙間、暗転する世界が終幕を迎え、再構築される次の刹那に】
                                       【 ──── 見知った世界は終わりを告げるのだから】


   【 "そこ" は最早、貴方達が最初に居た場所ではなかった】
                  【淀んだ空気、人気の無い廃墟じみた町並み、暗澹とした曇り空】
                                        【 ──── 貴方達は知っている、知らずとも、本能が告げる】





                               【──────── "ストックホルム" 】






【貴方達は強制的にその場へと移動させられた】                     【──── 本当は違う、けれどもそう信じたかった、そうであって欲しかった】
【きっとロールシャッハとかいう虚神の仕業であろう】                   【──── 認めたくなかった、認識は即ち終わりを告げる、だからこそ誤解であってほしいと】
【然るに彼を倒せば、元の場所に戻れる筈だ】                       【──── 決定的な齟齬があった、徹底的で致命的な違和感が】


                                                   【──── もし私達が "ストックホルム" へと転移したのであれば、その為の手段が必要であった】
                                【けれども、今回は違う、否応なしで行われる転移ならば、あの空間で存在できる筈がない】
                   【ならば考えられるのは一つしかないだろう、あまりにも荒唐無稽で、矛盾に満ちた】




           【──── でも、これなら、説明が付くのだから】






                                  【私達の "現実" が、ストックホルムに塗り替えられた】
110 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 14:10:26.24 ID:FHL/nT/Ro
【周囲は見渡す限りの廃墟であった、ゴーストタウンと呼ぶのに相応しい光景、旧市街も相応に廃れた土地であったが】
【この土地はそれ以上であろう、人気のない場所とは言い得て妙ではあったが、そこには最早生命の残滓すらも感じられない】
【ならば、敢えて表現するのであれば、それは "穢れた土地" と言うべき場所なのだろう、──── それではあまりにも】

【少し歩けば他の能力者達と合流出来る筈だ、どうやら有る程度の指向性を持って集められていた様で】
【位相の変化として捉えれば辻褄が合う ──── それならば】
【──── 余計にこの変容は違和感に満ちていた、何処までも続くペテンの如く】

                                                            【 "ぴちゃり" 】

【アリア、エーリカ、ギア・ボックス、かえで、ライガ、ラベンダーにレグルスは近くにいた、直ぐ合流できるだろう】
【彼らが邂逅して喜びを分かち合う事が目的ではない、彼らが側に居るという事が重要であった】
【それは神様が決めた恣意的な賽の目、意地悪な寓意に満面の悪意を込めて、丹念に織り込んだ敵意】

                                   【 "ぴちゃり" 】

【彼らは町中に居た、周囲を取り囲むのは遺棄された町並み、圧迫感すら感じさせるほどに荒涼とした空間】
【廃棄された商店街を想起させるだろうか、奥へと続く道は、それこそ未来永劫にまで繋がっている様で】
【貴方達の行動を縛る事は出来ない、前に進むも、立ち止まって話し込むも、周囲を探索するも】

            【 "ぴちゃり" 】

【不意に "貴方" は後ろを向いた、どこからか聞こえる音に惹かれるが如く、或いは、元からそんな音など無かったかもしれない】
【それは囀り、脳髄を這いずる異形達の宴、頭蓋骨の裏にこびり付いた染みがけたたましく嗤う様子】
【脳漿の咀嚼音、砕けた脳幹が滴り落ちる髄液に飲み込まれ、混濁する意識の群れと群れ ──── 】




                   【──── "異形" がいた、周囲の建物を遙か越える大きさの、黒い異形】

【ヒトガタであった、細長い手足、黒塗りの顔、身体から何か黒い粘液を垂らしながら、ゆっくりと近づく】
【黒塗りは幼子の落書きの様であった、輪郭からはみ出した黒が靄のように揺らめいては、蒸気の如く噴出して】
【その黒塗りさえもムラがあった、波打つ海面を思わせる、揺らめく黒の情景】

【与える不快感、喉元にまでこみ上げる吐き気、鼻で呼吸する事すら躊躇う臭気を、周囲へとばらまきながら】
【何よりも、生理的な "恐怖" を与える雰囲気の異形であった、それは見た目や感覚質や、その他の方便では説明できない】
【ただただ本能的な恐怖、──── それに準ずる感情を見出す、たった一つの要因】



【──── 明らかな敵であった、──── 示すには十分な程に、明確な】
111 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 14:10:39.27 ID:FHL/nT/Ro

【ミレーユ、夕月、ブラスフェミア、リゼ、マリアベル、カニバディール、アレフ=ヌル、アレフ=ゼロ、柊】
【彼らはまた別の場所に居た、周囲には何もない、──── 荒涼とした砂漠を思わせる土地】

【────、それは微睡みの中で見る景色、記憶の彼方、無限へと繋がる水平線に似て】
【1と0の狭間に、ひしめき合う無量大数、那由多ですら辿る事の出来ない永劫の旅路】



【感じる空気感は "ストックホルム" のそれであった、しかし、その場はあまりにも ──── 】
【──── 何も無い場所であった、死者の心象風景を描写するのであればその場所になるのだろうか、或いは】



【空想を一杯に詰めた箱があった、数多の思いをそこに託して、数多の願いをそこに詰め込んで、描いたのは夢見た世界】
【其れは何処までも自分の理想で、何処までも自分の希望で、然るに其れは永遠に続く理想郷の如く】
【やがて其れを開く時が来たとして、──── その中身を凝視して思う、感情に似ていた】




【──────────── 此処は "どこでもないところ"】




──── ねぇ君達は何を見てきたのかな、僕の主観で描く世界と、君達の主観で描く世界と
そこに差異はあって、そこに他意は無くて、だからこそ僕はその、見えない世界に思いを焦がれて
時にはそこで蟠りもあるのだろう、諍いもあるのだろう、──── けれども、結末を知れば随分と滑稽だ

そうだろう、分かち合えない価値を、僕らはどうして見いだせるのか、果たしてそれは疑問にすらもならず
ただ漠然とそういうものとして捉える事を、──── 理解しただなんて嘯くんだもの



【軽くパーマの掛かった茶色の髪、仕立ての良いスーツを着こなす好青年、──── 描く瞳は螺旋の如く】
【彼はまるで日常の様に存在していた、現象の様に顕現していた、それ故に、何処までも他者を軽んじて】




【 "INF-006" ──── "虚神" ロールシャッハ、──── 彼は原初から、その姿を見せた】
112 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 14:19:45.68 ID:JEbGG14D0
>>109>>111

『じゃあはい、いつものやつ』

「…………ここでするの?」

【――――人目のつかない隅っこで、彼女たちは密やかに口付けを交わしていた】
【いくらか背の高い赤い髪の少女に追い縋るように、黒髪の女が爪先立ちをして】
【一瞬だけ唇を触れ合わせる。離れていく瞬間に触れあっていた睫毛を、音もなく開いて】
【新鮮な破瓜の血の色と、体内に溜められ月に一度排出される旧い血の色。二色の赫、】
【まなざし同士が交差して、けれど片一方は居心地悪げに伏せられ、もう片方は愉しそうに歪み】

『ん、よし。これは“いってらっしゃい”のキスだから、ちゃんと帰ってきて“ただいま”のキスをしてね』

「はいはい。いつもしてるからわかってるっての……それで、アレも、やってよ」

【それきり背を向ける、赤髪の少女は厚底靴の足音を鳴らして。しかし遠くへ行くことはせず】
【その背中に言葉をかけられるのを待っていた。後方にて控える黒髪の女は、薄く唇を開いて】

【『 汝が罪の大いなるを嘆き悔いて涙せよ 』】

【――――なにかの句を呟けば、その暗赤色の瞳に青白い光が灯る。十字の印。薄く笑みの形に細められ】

『……はい。これでおっけー、おまえの“怖いと思うキモチ”、預かっておくから。
 だから存分にやってきな。――――――アレの存在を赦すな。僕のためにも、おまえのためにも』

「あったり前。やられっぱなしじゃ気が済まないもん――行ってくる。」

【それを受けた少女の顔つきが、少しだけ変わる。表情のどこかに混ざっていた、憂いや迷い】
【不安そうな色合いが――消え失せる。後に残るのは激情の赤色、眼前に蠢く悪意への敵意であり】
【であるなら――手にした銃の引鉄を引くのにも、躊躇は、しなさそうだった。そんな調子で】
【距離感を保ちながら、二人の女は静かに歩み始める。怨敵をこの手で確実に、ブチ抜くために】


【――――――、】


【世界が、書き換えられたとして。彼女らは何にも怯えることはなかった】
【だってそういう風に「仕込んで」きた。だから、赤い色、原罪の色した瞳を持つ彼女らは】

「……………………なぁーんかワケわかんないことゴチャゴチャゴチャゴチャ、
 言われて超ウッザいんですけど。そーいうこと言う前にさあ、あたしになんか、言うべきことあんでしょ?」

「謝れよ。謝ったって赦さないけど――――――――あたしのことあんなにしたの、謝れ」

【ただただ収まらぬ怒りをその色に宿して。睨み付ける、ロールシャッハを、そうして――――】


//夕月+ブ略です!よろしくおねがいしまーす
113 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 14:27:38.61 ID:qxWnDWXw0
>>109-110

【――――彼らはその時、今度ばかりは――――何も知らないままに巻き込まれたに等しかった】
【前兆として存在していた、とある事件も。それは彼らの『ヘッド』すら知らないまま、彼らは彼らの非日常を、そこで過ごすはずだったのだ】



【――――水の国の、とある緑地の奥深く】

――――お前には、いつかは言っとかなきゃならない事があったんだ、ラベンダァイス……分かるだろ?
「――――アルクさんの、事ですね――――」
……俺だってガキじゃねぇ。いつまでも引きずるつもりもない。だけどよ――――だからって、十年来の相棒が死んじまった事、ただで流せるほど、人間は出来てねぇ
……ただで、流すつもりもねぇ……
「――――――――」

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【がっしりとした体格の、左目に眼帯を当てた、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の隻眼の偉丈夫が】

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のまるで死人の様な冷たいオッドアイを持ち、体表に紋様の様な、仄かな光を放つ金色のラインが走っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、尋常ならざる量の魔力を身に秘めている、10歳くらいの少女】

1発、殴らせろ……あの時とは違う、今は――――けじめをつけさせろ。1発で、済ませてやりたいんだよ……
こちとらなぁ……割り切れないもの、モヤモヤと抱えて――――ソニアも、結局はこんな事になっちまって――――もう、やり切れねぇんだよ……!
「――――――――分かります、なんて言ったら、嘘になるんですね――――。――――私は、軽々に死にません。それに、そのけじめが必要なのも分かります
 ――――お願いします」

【穏やかな午後の雰囲気を切り裂くような、切迫した空気の中、青年と少女は相対する】
【互いに、どこか虚ろな瞳に――――片や怒りを、片や諦念を湛えて。青年は手にした棍を振るいあげる。そしてそれを、少女の顔面に横薙ぎつけようとして――――】



グッ――――!?
「――――!?」

【瞬間、彼らの世界は変質する】

「な、なんですこれは――――!」
ッ、まるで、あの時の……ラベンダー、離れるなよ!! ……まるで、これは……そうだ、エヌの奴と、会った時の――――!

【異変を知り、彼らは互いに身構えて、周辺に意識を飛ばす。今は――――彼らだけの儀式に時間を割いている余裕はない】
【どことも知れぬ、荒れ切った街並みの中。咄嗟に――――探った意識に目を向けて、そして2人は絶句する】

ッッ!! Natumaini. Ili kuingiza ngumi katika tishio mbele ya macho yangu!
       (私は願う。眼前の脅威に拳を叩き込む事を!)
「っく! ――――『サキュバス・フォース』!!」

【――――何かは分からない。だが、敵意を持ったものである事は間違いない。咄嗟に2人は、体勢を戦闘へと切り替える】
【レグルスの手から、巨大な光弾が、教会魔術に従って発射される。それは、咄嗟の牽制打であって。その時間を利用して、ラベンダーは変身する】

【背中にラベンダー色の翼膜をした、悪魔の様な翼が生えた事を除けば、素体そのままの姿だが】
【身に纏う魔力は質量を増大させており】
【翼からは、光の粒の様なものが燦々とこぼれている】

【――――何が何やら分からない。だが、言える事は1つだ――――戦わなければ生き残れない】

/レグルス&ラベンダーです。よろしくお願いしますー!
114 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 14:29:47.07 ID:TGNFsfh00
>>109-111

【女はいつの間にか見知らぬ場所に降り立っていた。(いつもは自分がやる側なのに)と苦笑する】
【何もない空間を一度見渡せば、笑みを浮かべながら空気を吸い込む。】

【そして周囲にいる能力者たち、目の前にいるロールシャッハを見ればソフトハットを外して一度礼をする。】


やあ、ロールシャッハ卿=Bごきげんはいかがかい?何やら急な呼び出しのようだけど
そして今回はどんな演目が始まるのかな?どうやら役者の数は多そうだけども。



―――私≠ヘどっち=H



【ストライプの入った赤いスーツに同じ柄のソフト帽、銀色の長髪に赤い瞳といった目立つ風貌の女性だ】
【女性は古くからの友人に訪ねるようにロールシャッハへと首を傾げる。緋色の瞳はこの中でなお輝きを放っている。】

//マリアベルでぇす、宜しくお願い致します。
115 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/10(土) 14:36:03.54 ID:JEbGG14D0
>>109-111
【一人の少年が静かに、直立していた】
【年の頃は十代前半程。幼い顔立ちと幼い背丈――男女の境目も曖昧だが、服装だけは糊のしっかりと効いたホテルの制服を纏っていた。故に"少年"と表記する】
【スッとその背後に立っていた扉から、欠伸混じりに同じ顔の少女が出て来る】
【余り動き易そうとは言えない令嬢のような格好――顔も髪型も全く同じだが、分かり易く女の格好をしているので、少女と表記する】

ふぁ…あ……、――おはよう、アレフ。
今日の朝食はまだ?ホテルのビュッフェは本当に時間が早いんだもの、あたし眠くて仕方が――――ファッ!?


な、ななな、何これどういうこと?いきなり外が殺風景に!?


「お客様――どうか落ち着いてください」
「これは虚神ロールシャッハの手管でございます」
「空間構成情報は、組織のデータベースにあるストックホルムと似ておりますが――」


待って待って待って、アンタそういう博士キャラじゃないでしょ?
くーかんこーせーとか言い出してどうしたの?


「申し訳ありません。昨夜、そういったことに詳しい"お客様"とご歓談させて頂きまして――少しばかり影響を受けてしまいました」



【やいのやいのとやり取りをしながら、その場に集まった面々を視線でなぞる】
【先のカニバディールとの一件で見たことが有る顔も何人か――】


って、カニバディールがおるー!?
何か遠くに逃げてったじゃん!?何でいきなり再会してんの!?


あー、もうわっけわかんない!
説明なさいよ、ロールシャッハ!!やくめでしょ!


【少女は癇癪を起して、ドレスの裾を行儀悪くばたつかせながら】
【現れた男――嵯峨野鳴海の皮を被った虚神に、指を突き付けて叫んだ】
116 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/10(土) 14:36:04.32 ID:aFW1iTnO0
>>111

【なにもないその空間に、黒衣纏う影もまた。貌かたちも定かでない、幾度か戦士たちに見せたあの漆黒として顕れていた】
【無に闇を滴らせ、二度と還らぬ彩を刻んだならば。或いはそんな無形を象るのかもしれない】
【けれど透る声は、感情を隠しきれてはいなかったのだろう】


……余計なことをして、余計な犠牲を出した外道が――――また何か、碌でもない企てでも思いついたの?
虚神ロールシャッハ――衒学趣味に付き合う人は、貴方を滅ぼそうとする人10人ごとにひとりいれば僥倖でしょうね。

【残影すら残さず死に絶えよと、悪意と憎悪を叫ぶかの様に。"死"が潰えたあの日を俄に蘇らせて】
【影は、黄金火揺らめかす自らの太刀を虚空より掴み取り、さざめく大気――まだそう呼ぶことができるならば、だが――に熱と剣の鋭利さを刻み込むのだろう】
【そして続けられる言葉は、あくまで、その戦う理由に基づくものだった】


……先の現象は、一体何?
世界が塗り変わる様な錯覚と、今のこの光景――――貴方が作り出したものではないの?

【世界が、これだけになったなどとは信じずに――されど否定しきる手段もまたなくて。虚実の何れを述べるのかも知れぬ、悪意の邪神に問いを投げる】
【一度世界を消し去り、取り戻してやると言うのなら、その舌を先ずは刻めばいいだろうか?そんな程度には、彼は、彼女には許しがたい“何者か”で】
【守るべきものが、すでに消え去った世界という可能性に。目を瞑ることもなく、行動を開始した】
117 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 14:37:33.02 ID:XDnSkEvG0

【そいつは其れがどんなに易しい問題か信じられなかった。口ン中に銃口を捻じ込んで、「BANG!」】
【恐ろしく矮小な穴から血が溢れ出て仕方ない。そうさ簡単な解決策だ。認識に縛られたクソッタレの世界なんてドン詰まり】
【世界が青い。深い深い、茸蒼色。何もかも莎莎くれ立つ中で、ボクの頭から何か零れ落ちていく】


>>110

【 ──── 立ち尽くす黒衣長身の女は、深層的無意識から引きずり出されたアルター・エゴのように、目を開いた】
【穢れない白皙が不安げに周囲を見回すならば、 ─── 忌々しげに舌打ちを刻む。コートの裏から引き出す自動拳銃の二挺】
【セフティの外れて撃針を蠢かせるに言葉は要らなかった。見据える敵の何たるかに、青い隻眼を細めて】

「退きなさい。」

【躊躇いなく銃口を向けるならば、 ──── 然し、対手の動向を、先ずは見極めようとするだろう。軽率な攻撃の産む結果を彼女は知っていたから】

>>111>>112


【濡羽色の黒髪。境界を錯誤したゴシック・ロリータ。色付く唇は鮮血の彩り。 ──── "彼"もまた、そこに顕るのならば】
【青い双眸が対手を捉えるに、袖先から引き抜いた二挺拳銃の乱撃を、寸刻の狼狽もなく撃ち尽くす。天使を殺すような可憐な顔貌に、ひどく凄惨な笑みを浮かべて】


「 ──── Так, Так, もう喋らなくていい。」「もう、いい。」
「殺してやるよ。殺してやる。」「世界一惨たらしく殺してやる。」

      「跪け。」「産まれ堕ちた事に、」「慈悲を請え。」


【殺意と呼ぶことさえも憚られるような黒い情念が、 ─── 彼の周り、虚しい世界を張りつめるように、凍らせていく。堪えられぬ██の機序に似て、それよりも余程に破滅を満たす、ならば】

/よろしくおねがいします!
118 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/10(土) 14:42:02.62 ID:UgSWGnMqO
>>109-111

【気が付いた時には自分たちが認識する現実は浸食されていた】
【それは音もなく布地に染み込む水のように、確かに広がりを見せて現実を塗り替えた】
【エーリカとリゼ。二人は現実が侵食される直前まで一緒にいた】
【エーリカの袖口をぎゅっと握りしめて全てに怯えた様相を呈していたリゼにとって】
【自分の事を知り、それでいて心優しい人から引き剥がされるのはこの上ない恐怖だった】

【――】

……ここは一体?アリアに、かえでまで……。
こりゃあどういう理屈で、こうなってる?……つーか、ここ見たことある。
―――ストックホルム?だとすれば、アイツかっ!


【世界が塗り替えられた。見たことある街並みはすでに色を失って】
【異界と化した現実。その権化が自身の背後で鎌首をもたげたなら―――】
【即座に戦闘態勢を取るのだった。自身の口から継ぐ言葉、それは地獄の淵を綱渡る合言葉】

Hell Edge Road/Lord ッ!!

【その瞬間、エーリカの右手にはマチェットが、左手には手投げナイフが 3 本召喚されて】
【マチェットの切っ先を向ける―――激闘の予感がした。死闘の予感がした】

【場所変わって、リゼ】

―――……ひっ!?
こわい、こわい、こわい、こわい、こわい……。
ちゃんエリ、ちゃんエリっ、何処に行ったんだよぅ、あてを一人にしないでおくれよぅ。
こんな誰も分かんない場所に置き去りにしないでっ、やだ、やだっ、やだぁっ…!


【水槽の脳を目の当たりにした日の夜。リゼは虚神であるロールシャッハに弄ばれて】
【自身を形作る過去の殆どを失って、茫然自失で、前後不覚に陥って――生きた死者に成り果てていた】
【当然目の前の男の事は覚えていない。筈なのに、体の芯から湧き上がる恐怖にガタガタ震えて蹲る】
【その姿は夕月やブラスフェミアからすれば酷く異様な光景であり、ロールシャッハからすればある種当然の光景であった】

/エーリカ&リゼです。よろしくお願いします
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 14:43:17.65 ID:HUsOZ0yN0
>>109>>110

【――――――――ひゅ、と、吐息が震えた。猫を他者に貸すときに超常現象的なやり方で投げ渡したなら、きっと、その猫はこんなふうな顔をするんだろう】
【あるいは初めて鏡を認識した瞬間の赤子。何か分からぬものを前にして、興味より好奇心より先に強張って硬くなる性質は生まれついてのものだろうから、吐息をもう一つ】
【意識して呼吸していなければ、それすら詰めて頭の中を濁らせてしまいそうだった。――三度目の吐息はいくらも深呼吸の作法に則って、深く吐いて、吸って、吐き出す】

――――――――――――――――――――アリア、さん?

【――そうしてから、少しだけ震える声にて彼女は呼ぶのだろう。それのみで充分だって分かっていた。愛しい人が自分を見つけてくれるって、信じていたから、】
【なればすぐに合流も済むだろうか。――手負いの小鹿みたいな目が見あげた、けれど限りなく安堵していた。自分を護ってくれる人。然るに自分が護るべき人であるなら】
【どうしようもなく満ちる気持ちは拙い万能感。それだけじゃ全然足りないってきっと分かりながら、――それでも、少し、笑んでみせた】

【染めない絹糸の如き毛先は腰の高さまで伸びて、さらと揺れるたび、肌のいっとう白いのまでもを一緒に映えさす、瞬くなら、瞳の青は宝石より色鮮やかで】
【あどけない指先はそれでも飾りっ気のない執事のするような白の手袋にくるまれて。ふっくら豊かな胸元と細い腰をシンプルな白いワンピースに包むのなら、】
【そのお尻のところはすらっと長いフィッシュテールのデザイン。肌をわずかにのみ透かす厚手のストッキングに、それから、編み上げのショートブーツ】
【十七歳ほどの少女、――普段はよく喋るスズランのように涼やかで甘やかな声は、けれど、現状にごく強い警戒を示すなら、しんと、甘そうに潤う唇ごと噤んでしまって】

――――、ぁ。エーリカさん。あの、えっと――、

【――それでも。あるいはまた違う見知った顔を見つけるのなら、ごくわずかに緊張も和らぐのだろうか。ぱちぱち瞬く眦を、いくらも親愛の色で蕩かせば】
【かけようとした言葉が、けれど不自然にとどまる。――もう一度吐息が詰まる、見つけ出してしまったのは、果たして、やはり、異形であるなら】

……………………ふ、ぇ。

【ぞ、と、】
【瞬きと瞬きの間に収めてしまった光景のみで充分だった。気弱な立毛筋を叱咤するまでもない、だって心もまた恐怖を覚えてしまうなら】
【あどけない顔がいくらも不快に歪むのは、――あるいは彼女自身の状況も手伝ってのことなのだろう。無意識に口と鼻とを隠してしまう指先は布地の白のまま】
【だから下らぬ話に興じるだけの時間はきっとくれないんだろうと理解させた。――その裏側にてこそり隠れて魔力を手繰る。嘆息一つ。つんと痛む目頭に、頭を振って】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 14:45:47.08 ID:HUsOZ0yN0
>>119
/かきはぐりました、待雪かえでですっよろしくお願いします
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/11/10(土) 14:47:24.49 ID:AG0NCCGD0
>>109>>110>>その他皆様

「アリアさん!!ミレーユさん!!」

【『ソレ』が発生し直ぐの事だった】
【場所の掌握、自身の置かれた環境に対する掌握】
【頭が追いつかない事が多かったが、しかしそれでも精神は磨耗していない】
【理由は最早一つしかなく、即ち相手が虚神だからである】
【この世界にあってすら非常識なその出来事も、彼らの力、彼らの能力を持ってすれば】
【なんら不思議はない、そう思ってしまっている、考えてしまえるようになった】
【故に、この白に青いラインのフルカウルのバイクに跨る青年は、現実が塗り替えられたこの状況下で自身を冷静に客観視する事ができた】

「ここは一体、この街は……スマホさん!」
『わあーってるわよライガ!今調べてるは!』

【バイクのハンドル部分に設置したスタンドから、スマホさんこと、人工知能の返答がある】
【ライガも周辺の、その廃れ滅び、死んだ街並みを、商店街の道を走行しながらつぶさに観察する】

「アリアさん!!ミレーユさん!!」

【その都度、仲間達を呼ぶ声を絶やさずに】
【見落とし等無いように……】




【だが、彼の予想とは裏腹に、そして割合と直ぐに】
【何人かの姿を補足する事ができた】

「アリアさん!!」
「ミレーユさんは?それにこの状況は一体……」

【周辺に居るであろう、仲間以外の複数名彼らを順々に見やり】
【そして、その場に居ないもう一人の仲間】
【だが、それは迎合を喜び合うほどに、安堵を得るほどに敵は長い時間を与えてはくれなかった】

//すみません、分割します
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/11/10(土) 14:47:33.23 ID:AG0NCCGD0
【 "ぴちゃり" 】

「??」

【嫌な音だった】
【思わず身を竦ませるほどに、そして同様に全身に警戒が走るほどに】

「……スマホさん、アリアさん」
『解ってる、ライガ気をつけて!』

【覚悟を決めて、自身の腰にベルトを出現させ】
【後ろを振り向いた】

「ッ!!??」
『何あれ!?デカ!!大きすぎー!!』

【振り返りそこに居たのは、異常な体長を誇る化け物】
【深遠のように真黒なヒトガタの何か】

「アリアさん、皆!!」
「下がってください!ここは、僕が……」
「スマホさん!!」
『いつでもいいわよッ!ライガやっちゃって!!』

「変身ッ!!!!」

【フルフェイスヘルメットの様な頭部に大きな緑色の複眼の部分。
全身を鎧にも似たパワードスーツの様な、黒と銀のカラーリングのアーマー】
【ヒーロー然とした、異形の戦士の姿】
【身構えて、そのヒトガタと対峙する】



//ライガ・カシワギです、よろしくお願いします
123 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 14:53:28.82 ID:Bbrz69m5o
>>109-110
【玩具屋の人形は恐怖していた。否応なしに思い知らされたから。深淵を覗き込んだ時、深淵に覗き返されていると】
【それまで、この世界を蝕む事態にろくに関わってこられなかった自分が、こうしてここにいるということは】
【自分のような木っ端など、とっくの昔に捕捉されていたということだ】

――――!!?

【どうにか、悲鳴は噛み殺す。UT事務所の自室から、突如この場に――――いや、ごまかすのは良そう】
【自分の方が塗りつぶされたのだ。虚ろな神の世界に】


【狂った町を少し歩けば、すぐに幾人かの人影を見出す。知った顔はラベンダァイスのみ。その彼女も、もう一人の男性とただならぬ気配なのを察する】
【他の面々に問い質す余裕はなかった。もう来ている。すぐそこに、この異常の側の存在が】

……いきなり呼び出されたと思ったら、また大層な歓迎だね

【生き人形、ギア・ボックス。白シャツ、青ジャケット、深緑カーゴパンツ、黒スニーカー、いつもの一張羅】
【茶髪に青い瞳、四肢の球体関節を軋ませる無機質な質感の肌。手に握るはサーベル一本、一族に伝わる忌々しい家宝】
【魂に届く臭気を堪え、原始的な恐怖を抑え、それでもカタカタと震えながらギアはサーベルを構えた】


>>111
【カニバディールは唖然としていた。たった今、ありついていた私の飯はどこへ消えた?】
【周りを見回す。即座に理解する。彼奴等だ。彼奴等の仕業だ。また動き出したのだ】

【そうでなければ、こんな出来の悪い悪夢のような光景が広がっているはずがない】
【そうでなければ、周囲にこんなになるべく見たくない面が集まっているはずがない】

【ミレーユから目を逸らす。夕月から目を逸らす。ブラスフェミアから目を逸らす。柊から目を逸らす】
【そして、アレフ/ゼロ。アレフ/ヌルと視線がぶつかる】

【もう五体は戻った肉屋は、2メートルを軽く超える身長を薄汚れた灰色の作業着とラバー地エプロンで覆い】
【黒いゴム長靴を履いて、手には人間の指がソーセージのように突き刺さった串を手にしていた】

>>115
……私が聞きたい、と言いたいところだが、原因は明白だ。そう、眼前のあいつだよ

【言いながら、ロールシャッハを睨む。額の目と、その下の両目。工場で潰された両目も、もう回復していた】
【ファニー・ゲーム・クラブで散々に見た、悪趣味な金持ちさながらの姿。されど、どこまでも底の見えない気配】

分かち合えない価値と、もう結論は出ているだろうに。ならば考えるだけ無駄だ
食らい合って、どちらかが残る。シンプルじゃあないか

だが、そんなことはいい。この場で私にとって重要なのはただ一つ
お前は、私の食事の邪魔をした

【異形は、串ごとソーセージ指を一口に食い尽くし、懐から肉切り包丁を取り出して構えた】
124 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 14:54:27.21 ID:Bbrz69m5o
>>123
/すみません、挨拶忘れてました!
/カニバディール&ギア・ボックスです! お待たせしてすみません、よろしくお願いします!
125 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 14:58:11.24 ID:FHL/nT/Ro
>>113

【右の手がレグルスの光弾を打ち消す、正確には巨大な質量で掻き消した、濛々と上がる煙がその性質を伝え】
【鈍重な動きで異形の顔がラベンダーを見上げる、そして、右手でレグルスを上からたたきつぶそうと押しつけた】
【意外に俊敏な動きであった、けれども回避は容易だ、──── しかし】



──── ひぎいいいいいいいいいいい



【金切り声のようであった、鼓膜の裏側をえぐり取る轟音に似た、合成音でありながら、何処かしら肉声に近い】
【総じて其れは不快な声色、それでも──── それでも、我々はそれを "悲鳴" と認識してしまう】
【咄嗟の声に意識を取られたならば、回避にミスが生じる可能性があった、望むとも、望まずとも】

>>117(アリア)

【左の手がアリアへと伸びる、這いずる大蛇の如く蠢いて、──── 真っ直ぐにその肉感的な身体を願って】
【けれどもその行動はあまりにも単純であった、アリアならば容易に迎撃できるだろう、しかし ──── 】


【直前に枝分かれする、左の手から分化する様に、数多の細い腕が出現し、その諸々がアリアを掴もうと殺到する】

>>118(エーリカ)>>119(かえで)

【レグルスへと攻撃した右手が "なぎ払う" その巨大な質量を以て、かえでとエーリカの身体を吹き飛ばそうと】
【そしてかえでとエーリカは見るだろう、肉薄するまでにその右手が接近したならば、その右手を構成する "物" を】
【──── 瞳の奥の漆黒、ニンゲンの持つ最も黒い部分】


【──── 瞳孔であった、無数の瞳孔が集まって、黒い右手を構成していた】

>>121-122,>>123

【アリアへと殺到する左手の一部が、変身したライガとギア・ボックスへと向かう、彼らの能力ならば対処も容易い、だろうが ──── 】


ごめんなさい、──── ごめんなさい、すいません


【どこからか声が聞こえた、断末魔を切り取って組み合わせたかの如く、何処までも歪なノイズで】
【そしてその主は、間違いなく異形であった、だからこそ、──── その対応に僅かばかりの誤差が生じるかもしれない】
126 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 14:58:21.83 ID:FHL/nT/Ro
>>112

【──── "破裂する" 空気を入れすぎた風船の様に、ロールシャッハの頭部が割れて、撒き散らされる鮮血は艶やかな紅】
【脳漿と脳髄と、その他諸々の苦楽を散らして、──── そうして描かれるのは、祭りの後に似ていた】
【地に染みた鮮血が蠢く、唇の輪郭が、奇々怪々な五文字を紡ぐ】


──── "ごめんなさい" これで良いかな、謝罪に適した言葉が何かは分からないけど、往々にしてこれが正解だろう?
すいません、申し訳ありませんでした、二度と無い様に善処します、反省しています、──── これぐらいで良いかな

僕は君のことをあんなにしたと言うけれど、今現状の君は "あんな" になっていない訳で

だとすれば、それは最早過ぎ去ったことと処理すべきさ、そうじゃないと恨みの連鎖は終わらない
汝の隣人を許したまえとは、ニンゲンも随分と慈悲深い言葉を述べるんだね

──── それとも、またもう一度、 "あんな" 風にして、そうして謝罪してあげるのが道理かな
だとすればより一層、君達の怒りというものを、理解できるかもしれないのだから


【やがて元に戻る、何処までも舐め腐った様な態度で、それでいて何処かしら音律の外れた様な真摯さで】

>>114

【顔を破裂させたロールシャッハ、鮮血が滴りマリアベルの足下へと伸びて、そこから彼の "手" が出現する】
【否、正確には骨だけになった手であった、所々にこびり付いた肉片は、まるで削ぎ落としてしまったかの如く】
【加えて、白い色には赤い色合いが残っていた、──── さながら、骨だけを強引に取り出したかの様に】


──── やぁ "深淵渡り" 奇妙な事を聞くんだね、だとすれば存外に君はロマンチストなのかもしれないね
布に落ちた染みに親しさを覚えるだなんて精神病の妄執だろう、それは君自身が一番良く理解していると思ってたんだけど
イマジナリーなフレンドを持つのは自由さ、でもね、イマジナリーをフレンドにするには、些か君は聡明が過ぎた

盲目であれば良かったのさ、何処までも、奔放な無垢さであったなら、それ相応に物事を受け入れられたのに
君を滅ぼすのは君自身の知性で、君自身の智慧が、君の世界を否定するのだから

──── ひょっとして君は僕を信じていたのかな、だとしたら、その驕りに "足下を掬われる" よ


【手に掴まれたなら、それは強力な力を持って、マリアベルの脚を砕こうとする、──── 明らかな敵意があった】

>>115

【ロールシャッハは些か奇妙な二人組を凝視した、僅かばかりの興味をそこに描いた様相で】


簡単な話だよ、"基底現実" 全体を、 "ストックホルム" で上書きした、君達の現実は最早何処にも存在しない
この場を知覚していないニンゲンは "眠り" についている、深い深い夢をみたまま、それが悪夢かは分からないけどね

この現実での僕らの戯れは、永劫でもあるし、一瞬でもある、──── だからこそ、そこに矛盾は存在しない
時間軸も現実軸も存在しなければ、後は君達の知覚だけが正気をかろうじて保証できるんだろう


>>116

【因縁の相手であった、数多の "虚神" を葬り去った "神殺し" ──── けれどもその刃は深い悲しみを秘めて】
【ロールシャッハはほくそ笑んだ、然るにそれは親しさを示す様に】


さっき言った通りさ、──── "Dream Theater" 僕の催しの一つに、この現象は存在している
今この場に於いて、君達が存在していた "現実" は消え去った、此処にあるのは虚構にして基底、真実にして虚構


──── 嗚呼勿論、僕を倒せば元に戻るよ、──── なんて保証はしないから、だってそうだろう
そんな作られた様な設定陳腐じゃないか、三文芝居の方が、余程理屈が通るもの
127 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 14:58:39.68 ID:FHL/nT/Ro
>>117(ミレーユ)

──── 汚らしい言葉は避けるべきさ、綺麗な顔が "台無し" だよ
位相の違う服飾に、道理に合わない彩りを添えて、そこまでして君は "美しく" ありたい

だとすればその爪先から精神に至るまで、何処までも美しく、なければならない



──── 今の君の精神は真っ黒さ、強姦魔と何が違うのやら


【銃弾が彼の身体を撃ち抜く、血を滴らせ、穴だらけになりながら彼は言葉を止めない】
【やがて瞬きの合間に、元の無事な身体に戻って────】

>>118

──── どうして君は "過去" に魅入られたのだろうね、僕は一つ君に問いかけをするとしよう
恐怖の根源とはそのニンゲンの歴史にある、だからこそ、その過去というものに楔を打ち込むことは容易くて

君自身が一番分かっている筈だよ、君自身の過去に、──── それだけの由縁が有ることを

>>123

僕にとっても重要な問いかけになるんだけど、君はどうして、そこまで徹底して "狂気" であろうとするのかな
それがとても理解しがたいのさ、幾つかのインシデントで、君の姿を見たんだけどね
君は存在的にはそこにあるべきではない、単純な正義の下に存在している訳じゃない

──── けれども君は僕に敵対する、その矛盾が深く僕の中に残っていたのさ

君は醜悪な異形で、本来ならばニンゲンに "恐怖" を与える存在で、ならば僕の同類項とも言えるのに



──── 偽りの狂気で描く世界は、何処までも作為的で恣意的なんだから
128 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 15:05:53.27 ID:XDnSkEvG0
>>119

        「 ──── 大丈夫よ。」「かえで。」

【 ─── 凍える落とし子に天鵞絨を重ねるような、音もなく然して確かな柔らかさと温もりが、後ろから少女を抱くだろうか】
【幾度となく抱き寄せた黒い外套の裏よりその魁偉を見上げるならば、隻眼の狼は静かに頬緩ませて、笑いかけるのだから】
【何を恐れる事もないと、布地の下に隠れた甘やかな白膚が教えていた。 ─── それを信じるかもまた、少女に委ねられていても】

>>121

「 ……… 解らない。」「ここから逃れるのが先決でしょう、けれど」
「奴を倒すだけでカタが付くとは思えない。 ……… かと言って、戦うより他に、妙手がある訳でもない」

【呼ぶ声に応じるのは、ごく無機的な最低限の返答。 ─── 情念もなく、ただ事実と推論だけを伝える文法】
【それでも背中を任せてはいた。戦うしかないのであれば、摂理に身を委ねるより他にないと】

>>125

【蘇った死体を糸繰りに弄べば斯様に動きもするだろうか。 ─── 縋るような腕先に、指先の圧力を押しやって】
【されど断ち別れるように黒腕の迫るならば、細められた隻眼が微かに見開かれた。共に迫るのは、絶望を摩り下ろした懇願】


  「 ─── なに、あれは。」


【忌々しくも呟いて、 ─── 一先ずアリアは、後方へと退く。可能であれば、腕中にかえでを抱き抱えたまま】
【共に放つのは牽制射を、数発ほど異形の両脚へと。これしきが沈黙に繋がると思えずとも、せめて】
129 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 15:14:41.58 ID:JEbGG14D0
>>117(エーノさん)

【好きな人が見たことない顔をしている。それに怯えるこころは、もう“預けて”しまったから】
【きっと彼女だって同じような顔をして、ロールシャッハを見つめるのだろう。そうして】
【絶対零度に染め上げられていく彼の周囲、その隣に、そっと並ぼうとする】

「――――エーノさん。おねがい、……一緒に“こわいの”、やっつけて」

【そしたらもう何も怖いものなんかなくなるから。……小さく、けれど、あなたなら絶対に聞き逃さない声色にて】


>>118(リゼさん)

『おや、ぁ』

【後方より。掠れたアルトの声色にて、怯え切った彼女に呼びかけるは、冒涜者】
【何かしらの術を行使している真っ最中らしい。その眸に十字の印を浮かび上がらせて】
【ふむ、と。困ったような表情で――震える背中に、近寄ろうとするだろう。叶うならそれを撫ぜようとして】

『何かされたの? ひどいね、こんな“綺麗”な子に……。それはそれとして、
 こりゃ拙い。恐怖はあいつの糧にしかならないよ、ねえあなた、……立てる?』


>>126

「なぁんだ、知ってるんだ、謝罪のコトバ。いいよ、40点くらいはあげる。1億点満点中で。
 …………言ったでしょ、謝ったって赦さないって。だからカタチだけでも謝る機会をくれてやったンだ」

「過ぎ去ったことだと、本気で、思ってる? ――あたしは今でも夢に見るよ、まだ続いてんだ、終わってなんかない。
 おまえをブチ抜いてブッ殺すまで終わらないんだよ、あたしの悪夢は、――クソみたいな現実はっ!!」

【弾け飛ぶ血肉の火花を見たって少女はもう怯えなかった。それどころではなかった】
【確かに一度、自身の死を以って終わったはずの悪夢の人生は、ロールシャッハの手によって】
【ふたたび現実のものとして甦ってしまったのだから。もう一度終わらせなきゃいけない】
【だってあたしは幸せになりたい、――――。それを叶えるためなら、引鉄を引くのに躊躇なんかしない】

【銃口が咆える。一発分だけ。正しく様子を見るだけの発砲音を鳴らしたあと――「しゅるり」】
【彼女の足首より衣擦れの音。真黒いサテンのリボン、吹き上がるように何本も、何本も天を目指して伸び上がり――】
【しかし今は、何かのカタチを編み込むことはない。ただ周囲の空間に張り巡らされて、それだけ】
130 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 15:17:27.12 ID:qxWnDWXw0
>>125

――――ッ、こいつ……何者だってんだ……!
「――――ッ、これは――――そう、多分――――私たちの心を抉ってくるもの、そういう奴です――――!」
……って事は、あのパッパラパーの糞神どもの仕込みかよ――――ッ、丁度良い、ソニアの弔い合戦だ……――――――――殺す!

【初撃を過ぎ去って、その姿をハッキリと認め。ようやくにして彼らにも、その『恐怖』の性質が染みわたる】
【一瞬、背筋に走る怖気の感覚。これは、強敵を相手にした時とは、また違う――――心胆寒からしめられる、委縮の感情】
【一見、人を模した理解不能な塊に過ぎないが――――原理こそ不明だが、常にこちらの恐怖心を刺激してくる、そういうバケモノなのだろう】

【――――ならば、問題ない。そんな恐怖心程度、今まで何回だって克服して自分たちは戦ってきた】
【己を、戦意で塗りつぶす。その術をしっかりと心得ていた彼らには。少なくとも、今この段階では――――それは問題にならなかった】

ッち! こいつ、体力馬鹿か……!
「――――――――ッ!!」

【放った光弾は、片手であっさりと握りつぶされる。効果を無力化された訳ではないようだが、単純に、質量の差がものを言うのだろう】
【牽制打でしかなかった一撃なら無理もないが。その真っ向からの防御は、嫌なものを感じさせる】

【――――その一瞬の隙を突いて、異形は腕を振り下ろしてくる。狙いはレグルス】
【勿論、レグルス自身、それを甘んじて受けてやるつもりなど、毛頭なかったのだが――――】

っく!?
「!?」

【唐突に、響き渡る耳障りな甲高い音。それはまるで、意志ある生物の悲鳴の様に2人の聴覚を切り裂いていく】
【――――最初の、一瞬の隙を更に差し込まれたのが不運だった。レグルスの離脱は間に合わない――――】

っぐぅッ!! ――――バルオー(命)・ジン(固着)・イム(怒り)・ビン(レベル2)――――『ウォークライ』!!

【叩き潰そうとする腕に対して、咄嗟に棍で受け止め、押し返すレグルス。だが、それは非常に分の悪い力比べの始まりだった】
【ただでさえの巨体が、重力を味方にして腕を振り下ろしてくるのである。押しつぶされまいと踏ん張っても、徐々に体は軋み始める】
【――――咄嗟に、筋力強化のアルベルト魔術を発動。肉体強化を以てしても――――それは、ただの悪あがきに近かった】

【――――そう。レグルス1人ならば】

「――――っぇぇええッッ!!」

【1歩身を退いたラベンダーが、その手から眩い魔力ビームを発射。異形の右腕を、そして頭部を薙ぎつけるようにして、思い切り照射した】
【一点ではなく、線で攻める――――敵の攻撃を中断させるには、その方が都合が良いと踏んだのだろう】

【レグルス魔力残量 9/11】
131 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/10(土) 15:19:17.15 ID:AG0NCCGD0
>>128

「ですよね、やっぱり……」
「背中は、守りますからね!」

【こう、アリアに対し】
【あるいは彼女に合わせたのか、短くもしっかりと返答し】
【そして変身する】

「相手は、虚神ですかねやっぱ」
「一筋縄じゃ、絶対いきませんよねコレ……」

【E-ブレード、E-ブラスターの両方を構えて】

「外務八課の前線戦闘、見せてやりますよ!」


>>125>>ギア・ボックスさん

「アリアさんッ!!」

【アリアに左手が向かう、更に確認できる様子からその左手は幾つもに分化し】
【そしてアリアを捉えんとしてきたのだ】

「させるものか!!」
『ちょっとライガ!!前!!前ー!!』

【アリアへの援護射撃を試みようとしたが、しかし腕は自分達にも伸びてきて】

「ー−ッ!!??」

【とっさに、その緑色に輝くE-bladeにて防御、カウンターでの迎撃を試みようとするも】

「ッ!!な、い、今の!?」
「そこの人聞こえました!?」

【まるでラジオのノイズの様に】
【割り込むように入り込んだ、その声】
【悲痛な、謝る悲しい声、それにより一手、反応が遅れてしまう】
【そして、同様に近くに居たギア・ボックスにも声をかけて】

「ぐうッ!!こんのッ!!」

【遅れた状態で、一歩遅れたその状態で、緊急的に飛び退いての回避を試みる】
【最も、この状況ではきわめて危険で、極めて愚かな賭けに近い行為、成功は難しいかもしれないが】

「スマホさん!!今の!!」
『解ってる!!解析するからちょっと待って!!』

【飛び退く直前、先ほどの音声、何処から発せられているのか、何名の声が混ざっているのか、あるいは一人の声か、あるいは声などそもそも存在していないのか】
【人工知能に解析にかからせるだろう】
132 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 15:20:56.08 ID:TGNFsfh00
>>126

【ロールシャッハの言葉にマリアベルは、「ぷっ」と噴き出す。それはどちらかと言えば自分に向けた】
【それから「アーッハッハッハッハッハッ!」とソフトハットを抑えながら大きく高笑いをする。】
【そして若干涙目になりながら真下に出現した手≠ヨと視線を落とす。】


いやはや、いやはや全くその通り。返す言葉もないよロールシャッハ卿=B
まぁ自分で言うのもなんだけどロマンチストってところは否定しないかな、とはいえ

これは失礼≠オたよ、確かにそうあってはいけない=Bそれは理解していたんだけどねぇ。
―――ま、書き手≠ヨ役者≠ゥらの台本の確認とでも解釈しておいてくださいな。―――ッはは。



【マリアベルは手に捕まれるより先に、手を自分の脚で思い切り踏みつけようとするだろう】
【そして、そのままの勢いをもってして目の前≠ノあるロールシャッハ≠ヨと駆けだすだろう。】
【今までの彼女ではあまり見られなかった姿。身を低くして高速でかける姿はまるで狩人のようにも見えた。】

133 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/10(土) 15:21:03.69 ID:JEbGG14D0
>>123
ぐう……また人食ってるし……あたしだってこれから朝食だったのよ!?
お肉を食べられなくなっちゃうじゃない!


【先の一件の他の"客"の記憶を共有しているのかいないのか、あの時と似たようなことを言って見せる】
【しかし現状の配置はどうやらこの場での敵ではないらいく。恨みがましそうに横目に見て唸っていた】
【代わりに少年の方が口を開く】

>>126
「ご冗談を、ロールシャッハ様」
「この現状を説明する手段は他にいくらでも有るかと」
「私どもの精神に干渉し、夢を見せていると言った方がまた納得が行きます」
「お化け屋敷の種を明かすのは今日醒めとは言え、私は今は勤務中ですので、ご容赦を」


【恭しく一礼をする】
【扉がもう一枚現れて、また同じ姿をした少女が出て来た。自分のそっくりさんには目もくれずに】


アレフー。今日は私の部屋を変えなさいな。
隣の部屋の人が煩くて眠れなかったのよ。

――って、げげっ!ロールシャッハ!!
カニバディールもいるし!何、ここ隠しステージ!?


【"一人目"と似たような反応をしながら、都合二人の少女がロールシャッハに相対する】
【この少年なりの臨戦態勢なのかも知れない】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 15:23:03.43 ID:HUsOZ0yN0
>>125

【異形のあげる金切り声に少女はやはり惑ってしまうのだろう、そうしてまた"こう"なっても自分のわがままばっかり通そうとする、無意識が嫌になる】
【それじゃあ意味がないのに。――ごく近しい夜にエーリカにかけてもらった言葉を必死に手繰り思い出す、自分は無意味だって思い込んでしまった楔を千切りたくて】
【だのにやっぱりさっぱり思い浮かばぬのなら、――漏れ出てしまいそうな弱虫の声はかろうじて押しとどめる。嗚呼だなんて、言ってる場合じゃないって、分かるのに】

【腕のひと振りは、――肉薄する一瞬はありながらも、アリアに攫われる形で彼女は回避するのだろう。刹那に取り残される毛先が危うく指先を避けた、なら】

>>126

【――だから、抱きしめられて、ぱちりと瞬き。驚くことはなかった。分かっていたから、――そうしてふっと見上げるのなら、世界中で一番、いちばん、】
【どんな怖いのだって凍らせてしまう冷たげで愛しい人。その腕の中に抱きしめられていたら、凍り付いた世界の中でも二人吐息を共有できるって、信じてるなら】

――――――、うん、

【いくらかの恐怖はその腕の中に瓦解する。ならば抱き留められる腕に連れ去られるのにも、疑いはないのだろう。もう慣れ切った出来事だった、から】
【首根っこを咥えられた子猫みたいに大人しくしている――けれどそのさなかに無数の瞳孔と目が合うのなら、わずかに強張る身体、伝えて】

――――目?

【訝しむ声が呟いた、――それはちょうどアリアの呟きに答えるようなタイミングにて。顰めた眉の仕草は、けれど、長い前髪に覆い隠し】
【怖気のするような見てくれを凝視するのは憚られて、けれど、――よく分からぬものをうっかりと二度見してしまうのに似ていた、向ける視線は、いくらも無警戒に】
135 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 15:26:46.76 ID:XDnSkEvG0
>>129

【直黒いクオリアを宿した互いの笑顔を、そっと一瞥に投げかけあうのなら、それで全てが足りていた。】
【 ─── 惜しげもなく放たれる色のない氷霧は、傍の人ひとりだけを守る間隙を産み出して、守るように】
【撃ち尽くした銃を再び懐に仕舞うなら、真白い手先が無言のうち、そっと重ねられるのだろう。 ─── 探るような左手が、愛しい人の薬指に宿る色を、撫ぜて】


     「 ──── 解った。シグレ。」


【優しい声のリソースは全てそこで使い果たしてしまうに違いなかった。 ─── 後はただ、誰よりも非道に、殺すだけだから】


>>126>>127

【ならぬことはならぬ。解っていても、彼はそうすることを選んだ。語られる稚気じみた真実は、然るに一笑に付せる筈もなく】
【それでも未だ、彼は恐怖など覚えていないようだった。何を疑うこともなければ、何を惑うこともないのだから】
【丁々発止の煽り文句を投げ返す。 ─── 対手を殺す為の方策を、孕むような内心に少しずつ、育みながら】

「は、 ─── 。」「てめえに美的感覚を評されるほど、オレは落魄れちゃいねえよ。」
「随分と人様の精神にお詳しいようだから訊かせて貰うが、 ─── てめえ、どんな風に殺されたら、一番苦しいんだ?」


【「てめえがやったコト全部やりゃいいかな。それともオレがアイツらにやったこと全部か?」】
【「痛苦なんて高尚な感情は解んねえかな。 ─── ロー・コンテクストもいいところじゃねえか、ははッ」】
【嘲笑と共に張り巡らされる霧氷は軈て黒い殺意を帯びるのであれば、 ─── 側にいる誰かを護る為の結界でもあった。リボンの防網と共に、備えられた攻性の防御】
136 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 15:34:07.91 ID:Bbrz69m5o
>>125
【ただひたすらに巨大である、という事実がどれほど絶望的か。神相手でなくとも、それくらいはわかる】
【それが、人そのものの悲鳴を上げるのだ。これほどの恐怖があろうか】

【他の能力者たちに襲い掛かる手が分裂していく様は、宿敵カニバディールを想わせて】
【こちらへ向かってくるその手を、どうにか靴底に仕込んだ『スプリングシューズ』で横っ飛びし】
【回避しようとした、その刹那。確かに声が聞こえた】

え――――?

【どうにか、跳躍には成功した。しかし、着地に失敗して無様に転んだ】
【必死に起き上がろうとしながら、異形を見る。どうしようもなく、怪物だ。敵だ。なのに、何故そんな】
【切実な声で、謝るのか】


>>131
聞こえました、確かにこの怪物から!!
なんなんだ……!! 何に謝ってるんだ!?

【叫びながら、サーベルを振り翳す。ライガから解析という言葉を聞いて、ギアは咄嗟に彼の護衛につくことにした】
【手が伸びてくるなら、即座に切りかかる姿勢をとって、ライガと異形の間に仁王立ちになる】


>>126-127
徹底して? さて、意識したことはないな。私は私のやりたいようにやっているだけだ
それが、結果的に狂気的≠ナあるというだけの話だ

やはり覗き込まれていたか。こっちから覗き込んだのはそう多くないはずだが、お前たちは随分と視界が広いな
ああ、確かにその通りだ。私は正義とは縁遠いし、醜悪な異形で、お前とも同類項だといえるだろう

だからこそ敵対する。わからないかね? お前が恐怖を貪るためにニンゲンを糧にすると、その分私の食い扶持が減るんだよ
肉食獣同士に、仲良くできる道理などあるか? 何より邪魔な競合相手だろうに

偽りの狂気とは言ってくれる。だが、そこに意志と欲望が絡む限り、作為的で恣意的でない世界の方が少ないだろう?
お前の描き出す、この世界とてそうじゃあないのかね

>>133
……あの時、オートマーダーに殺された個体とは別なのだろう? なのに記憶はあるのだな
それはすまなかった。ここを切り抜けてその気があるなら、野菜料理でも奢ってやろうか?

【軽口をたたきながら、カニバディールは少年の方に送る視線を抑えきれていない】
【あの時彼に対して感じた、得体のしれない不気味さは未だ拭えてはいなかった】

……増えるたびにその反応をされると、流石に泣けてくるな
まあいい、とっとと彼奴を退ければそれで済む

とりあえずそうだな。本格的にやり合う前に、味を見ておこう

【そういうと、カニバディールが口を大きく開けた。その奥から、先端の尖った赤黒く太い舌が伸びて】
【一直線にロールシャッハに迫る。まずはその血肉の一滴、一欠けらをもって、台無しにされた食事の代わりとすべく】
137 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/10(土) 15:37:15.31 ID:aFW1iTnO0
>>126-127

【罪・痛み・因果・過去――――そんなものは、きっとこの虚神には在り得ぬもので、】

……不確かな一瞬ゆえに、恐怖も再生も、全てを内包する可能性もまた存在する、か――――
貴方からは、それだけ聞けば十分だわ。偽りであろうと関係ない――――……遂げてしまえば、同じことでしかない……!

【向き合う兇器もまた、恐怖など元より持ち得ぬ生命であるかの様に。目的のため、進み続けることを選び取る】
【瞬足で駆け、構えと所作、攻撃の予兆を黒衣で遮りながら一閃。左胸から右肩口へ、胴を斜めに断つ壮烈な軌道であったが、技巧と同等の脅威をそこに加える】

【"時戒の宝玉"、強制励起――――対空間、対時間、威力の増大を伴わぬまま、ロールシャッハと周囲の虚空を標的に行使、】
【時の“停滞”を以て“かたち”を規定、“かたちあるものを斬る”切断概念の刃の対象に定めて斬滅せんとする。荒業であったが、今や純粋に手段といえた】

【虚構現実の滅びに基点を置く"死"には通じなかったが、小手調べには十分だろう】
【そして、空間とロールシャッハのそれぞれに、同時に干渉することにも意味はある】

【この空間が、虚神ロールシャッハの性質を投影したものである可能性――】
【不定たるを以て、何一つ定まらぬ世界を形作ったならば。この空間そのものが、かの虚神に通じうる牙を探るための素材ともなるのだろう】
【"反応として同質であるか否か"――――精神接続という制御手段ゆえの観測が、億の過程の幾つかを成さんとした】

【だがそれは同時に、恐怖の具現たるロールシャッハに己が内面を晒すということでもあった。急所となるならば、この敵手こそは活かし得る】
138 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/10(土) 15:38:18.36 ID:UgSWGnMqO
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139 :エーリカ&リゼ [sage saga]:2018/11/10(土) 15:39:06.58 ID:UgSWGnMqO
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140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 15:42:23.09 ID:UgSWGnMqO
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141 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 15:43:26.84 ID:TGNFsfh00
tes
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2018/11/10(土) 15:43:47.08 ID:UgSWGnMqO
てす
143 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 15:53:48.51 ID:FHL/nT/Ro
>>128>>130>>131>>134>>136>>(エーリカ)

【銃弾を受けた両脚は幾つか部品を落として、それが道理と言いたげに地面へと吸収されていく、不定形の存在であることは疑いの余地無く】
【それと同時に無数の不気味を伝える、今まで接してきた "虚神" 達と比べて、この存在はあまりにも "荒唐無稽" であった】
【僅かばかりの理論も理屈も無く、ただ圧迫的に情報を与えてくる様な ──── 】

【ライガは間一髪回避できるだろう、──── 本能が告げる、この手に迂闊に触れてはいけない、と】


いやだ、いやだ、いやだ、いや、いや、──── ゆるして、ゆるして、ゆる ──── もういや
もういや、いたいの、苦しいの、やめて、死んじゃう、死んじゃう、このまま、死んじゃう、──── だったら、



────────────── 殺して



【 "笑い声" 声色は嗤っているのに、その内容は悲痛、虐待死する子供の様に、あまりにも無力で、あまりにも無為な】
【何処までも悪趣味な存在であった、かき鳴らす声色は猥雑と暴言とを足してかき混ぜたが如く、聴覚を直接穢してくる】
【鼓膜にまで指を突き刺しそのまま抉り取りたくなるほどに、──── 苦痛を感じさせるものであったから】

【たった "一人の声" であった、──── 人工知能はそう解析するだろう、否、解析できるかも分からない】
【それは理屈を越えている、生半可な人工知能ならば、自死を選ぶほどに、矛盾と無駄に満ちた、空虚な文字列】
【だからこそそれは機械にも問いかける様であった、機械に対して曰く、──── "理不尽" と】

【異形はその左手を空に掲げた、──── そして、手首の先から左手が "破裂" する】
【降り注ぐのは肉片、雨の様に広範囲へ黒い靄が散らばって】
【そして、触れたならば、──── "痛み" と "傷" が襲いかかってくる、──── "鞭" 】


【その痛みは鞭に似ていた、つく傷もまた然り、まるで、懲罰の如く】


殺してよおおおおおおお殺して、殺して、もう殺して、楽にしてよおおおおお、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌嫌嫌嫌
痛いの痛いの痛い痛い痛い痛い痛い痛い、やだやだやだやだやだやだやだやだ
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して


【右腕がラベンダーの攻撃によって破損する、けれども直ぐに、破損した部位を補う様に黒い靄が広がって】
【頭部もまた一緒であった、削れた場所から再生し、その形を保ったままにする、──── そして】
【右手にゆっくりと魔力が溜まっていくのが、レグルスならばはっきりと見ることが出来るだろう】
144 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 15:54:15.34 ID:FHL/nT/Ro
>>129

──── ? 過ぎ去った事だろう、既に起きてしまった事を過去と呼ぶのであれば
それは紛れもない過去さ、君が犯された事も、君が嬲られた事も、君が殺された事も
全て全て、今とは違う前の時間軸に存在している事だもの、況や現在とは言えない

それとも君は、今もまだ "そんな昔の事" を引き摺ってるかい、だとすれば些か拍子抜けだね
ニンゲンは過去から学ぶ存在であるべきだろう、けれども、過去に責め立てられるのならば、それは最早ニンゲンでさえ無い
生きる屍と同義さ、──── 僕の定義の範囲の中に居るのなら


【銃弾がロールシャッハの身体を捉える、与える傷は肉体的には致命傷で、精神的には無傷で】
【彼は再び元の状態に戻って言葉を紡ぐ、──── あまりにも勝手な音色で】
【夕月へと攻撃はしなかった、彼は佇んだまま静かに周囲を見つめていた】


>>132

【手は脚に踏みつけられる、──── 靴底に感じるのは、嫌な感触、──── そう例えるなら】
【巨大な虫を踏んでしまったかの如く、ちらりと視線を向けたなら、足下からは緑の体液が滲んで】
【或いは靴の中にその体液が染み込んでしまったかの様に、──── そんな嫌な感触を感じるだろう】

【そして同時に別の感触も出現する、違和感、──── 靴の内部に、何かが入り込んでしまったかの如く】
【砂利が靴の中に入って、どうしても気になる、若しくは、靴のサイズが合っていない様な気がする】
【そんな感触がマリアベルを襲う、──── それでも疾走する事ができるだろうか】


──── 果たして君は本当に理解していたのかな、僕という存在の意味を


>>133

【実に奇妙な催しであった、ロールシャッハの興味を惹くほどには、それでいて何処までも理屈の上では納得しない様に】


果たして冗談だろうか、僕はそこまで陳腐な存在じゃないよ、問われた言葉に応えるのが僕の役目だもの
夢を見せるだなんてロマンチックな手法だね、でも、此処まで沢山のニンゲンが同時に同じ夢を見るのかな
それよりかは、君達を僕の胎内へと招待したと表現する方が、まだ納得できるでしょう?



──── 君は一体 "何" なんだろうね
145 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 15:54:47.79 ID:FHL/nT/Ro
>>135

君達が全て恐怖を失い、肉体の傀儡になったならば、僕が最も苦しく、惨たらしく死ぬ結果になる
けれどもそれは "君達" の死であることにも通じる、だからこそ、僕はそれを避けなければならない
つまり僕が生きようとすることと "君達" を生かそうとすることは同義なんだ、それは分かって欲しい

その上で、僕を殺そうというのであれば、──── まずは君自身が "ビビらない" 事をおすすめするよ


>>136

──── 成程ね、だから如何にも典型的な "狂気" になる訳だ、──── そうだろう
人食いの化け物だなんて、何処の民族でも謳われるステレオタイプなお伽噺に過ぎない、況や君自身の存在すらも
だとすればそれは、狂気と呼ぶにはあまりにも正統的過ぎる、些か拍子抜けな催しだもの

僕はニンゲンに害を為すつもりは無いよ、僕と "君達" とは、仲の良い隣人で居なければならないから
そういう理屈で言えば、僕は君と仲良くしてはいけない、何故なら君はニンゲンの敵である訳で
ならば余計にその立ち位置は奇妙さ、第三者的でなければ道理が通らない

──── 狂気など描いていないよ、僕はありのままを、映しているだけだもの


【ロールシャッハは右手をその舌へと伸ばす、その舌が彼の手に触れたならば、一瞬で察知するだろう】
【 "苦い" ──── どんな苦渋よりも苦く、どんな辛酸よりも辛く、それでいて、どんな劇薬よりも危ない】
【それは必然の作用にも思えた、野生動物が一噛みで、その物を捕食すべきかどうか、判断してしまう様に】

【──── 本能がざわめく、之を食べてはいけない、と】

>>137

【空間とロールシャッハと、同様に柊の刃が向かう、振り抜かれた "切断概念" ──── 蠢くは魍魎、倒すは宿願】
【而して、その両方に返ってくるのは "無" つまり、そこにあるのは "かたちではない" という結論であった】
【不定であるというのは良い読みであった、この空間そのものは、ロールシャッハという性質に限りなく近く】

【──── そしてそれそのものは、この世界とは一線を隔しているのだと】


一流の武人は恐怖を知っている、恐怖を知らない武人は、それこそ駆け出しの新米に過ぎない
それは君自身が一番分かっているだろう、君は僕に "相対すべきではない"


──── 君自身の過去が、何を恐怖と思っているのかは、明白なのだから

>>リゼ

君は過去を思い出せない、けれども、過去を思い出さなければならない、何故なら君の恐怖は過去に起因しているのだから
思い出せない過去を、どう描こう、──── 分かるだろう、どうとでも描ける、と

君は凄惨な拷問を受け続け、心に闇を負った哀れな少女でありながら、幼い頃から英才教育を受け続けた感情のない殺戮機械であり
愛する家族や友達を殺され、復讐以外に意味を持たない復讐者であり、誰からも愛されなかった孤独な存在である

君の過去には "無限の可能性" があり、その無限の可能性が、無限の恐怖を生む

──── 君は果たして、何をやらかしたのやら
146 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 16:02:27.45 ID:XDnSkEvG0
>>131>>134

【脚先の一ツも動かせぬような絶望に陥らぬことを、一先ずアリアは安堵していた。聖母と等価の慈しむ微笑みを、投げかけて】
【驚くようにまぼられる瞬きの一刹那さえも愛おしむような挙措であった。なれば振るわれる異形の腕から逃れるのは証明であり】
【 ─── それでも、互いに含んだ疑念を解かねばならぬように思えた。その威容/異様の大いなるの全容を理解するには足らずとも】


「 ……… 。」「どうしたもの、かしらね。」


【心理を解析する手段をアリアは持たない。光学素子は表情認識のエラーを検出し続けている。 ─── ライガであれば或いはと、幾ばくかの希望的観測が関の山】
【一先ずはそれを妨げられぬよう、アリアはバックアップを試みようとしていた。迫る脅威あれば、実力をもってこれを排除する】


避難所≫225


【呼び止められる声に、 ─── ふとアリアは瞥見を向ける。ひとつ頷くならば、それに従おうとしていた】

「 ─── これの存在が、ロールシャッハそのものと、源流を同じくしているならば」
「触媒たるのは、 ─── 誰かの、恐怖?」「 ……… 赦すのならば、解き放たれるのかもしれない、けれど」


>>143


【 ──── 酷い絶望の慟哭であった。聴覚を遮断したとしても不可逆的な損傷を精神に与えるような、】
【咄嗟に腕中の少女を抱き締めて、少しでもこの痛みに晒さぬように、然してそれさえも能わぬのだとすれば】
【降り注ぐ赤黒い肉片の一ツが、退いた陣地にあって尚もアリアの頬を掠めた。 ─── そうして彼女は、僅かに、膝をつく。】

        「これ、は」

【 ─── 襲い来る痛苦に歯を軋ませる。だがそれ以上に聞き覚えのある請願であった。それはまるで、】
【嘗てロールシャッハと相対した際に見せつけられた、ひとりの少女の繰り返される絶望と恐怖。だが、何故に】
147 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 16:11:01.66 ID:TGNFsfh00
>>144

【クツの中に生じる違和感、それを知覚しマリアベルはブレーキをかける。】
【そして不快そうな顔をしながら足でトントンと地面を何度も踏みつけるだろう。つっかけの靴をしっかりと履きたいように】
【「なんかした?」と無表情でロールシャッハへと向き直る。】


いや、全然だね理解していない=B貴方を描いたとされる偽書-Psychosocial-≠読んで尚ね
そもそも他者を本当≠ノ理解する事なんて叶わないだろう。当人ですら自己の深層にある意識でしか理解できないのに
誤解≠ニ推測≠フ果てを理解≠ニ呼ぶなら、私は貴方/貴女≠理解したかもしれないが。それもまた―――


そう、偽書-Psychosocial-=Bあれは本当≠ノ本当≠ネのか?それとも―――夢≠ゥ。


――――――《―――鐔�鐔�鐔� 鐚醐執鐚�=t



【ロールシャッハの問いに答えながら、マリアベルは肩を竦めそして何かを呟く。】
【それはともすれば不快なノイズのような言葉だった、それはこの世界≠ナも変わらなかった】

【唱えると同時にマリアベルの右手に黒く光りながら回転する火球が生じ、マリアベルはそれをロールシャッハへと投げつける】
【もし着弾すればその地点から巨大な火柱が上がり、近くにあるもの、いるものを焼き尽くすだろう。】
148 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 16:13:36.07 ID:JEbGG14D0
>>135(エーノさん)

【その一言だけで全部、「大丈夫」だと思えた。重なる指の感覚、愛おしい体温、すべて】
【ここにあるって、それだけわかれば十分だった。たとえ本当に、「外」の世界が滅んでいたとて】
【それを全部書き換えてしまえる気さえした。だって少女には、そういう神の残滓が、まだ残っている】

【睦み合うような会話はそこで終わっても。ひやり肌を冷やす霧に全身を優しく抱かれているだけで、十分】


>>(リゼさん)

『そぉ。とは言っても、僕あんまり力はないからなー。
 一応肩は貸すけどさ、そっから先、抱えて走るとかは無理だかんね。
 何されたんだか知らないけどまぁ……あとは上手くやんなよ』

【リゼの脇に細い腕が挿し込まれる。「よいしょ」、いくらか間の抜けた声でなんとか立ち上がらせようとして】
【しかしこいつがしてやれるのはそこまで、だけだった。何かしら発破をかけるとか、そんなことはせず】
【あくまでも自分で「あいつ」をなんとかしろ。そう宣って――一応、支え続けはするんだろう】


>>144

「――――わかってないなあ、だからあんたはダメなんだ。感情がまるで足りてない。
 “そんな昔のこと”をさっきのことみたいに思い出せるから人間なんだ、
 いつまでだって抱え続けられるから人間なんだ、怖いのも、苦しいのも、――しあわせなのも」

「ぜんぶぜんぶ、今起こったことみたいに、いつだって! 気持ちを思い出せるから、
 あたしたちは生きていけるんだ。……そんなこともわかんないあんたが、人間と共に在るだなんて」

【物理的な攻撃が一切効かなかったことには最早驚きすらしない。「そういうもの」だと理解できる】
【理解できるからこそ――否定しなければ済まなかった。共存を謳うくせに、理解も、共感も、できないならば】
【ならば死んでしまえ。それが彼女のアンサーとなる。――蠢いていたリボンが、何かの形を編み出す】

「――――――――そんなのあたしが赦さない、なんにもわかってないくせに、わかった顔してんじゃねえッ!!」

【――――蝶。極夜色、精巧に編み込まれた蝶はけれどリボンに繋がれたままで――しかし】
【もう一発の銃声が上がる。蝶の翅の尾っぽと、リボンの境目を切り裂くための銃弾が放たれて、それで】
【蝶はその銃弾に「留まる」。そうして羽搏きもしないまま、放たれた弾丸に寄り添って――ロールシャッハに肉薄し】
【着弾すると同時に初めてそこで羽搏くのだろう。「低度の魔術ならば掻き消す」異能が備わったそれが】
【ロールシャッハに効くかどうかは知らないが。ここでずうっと問答しているよりはマシだと思った】
149 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 16:19:14.65 ID:qxWnDWXw0
>>143

うっ……っ、なんだこりゃ……!?
「――――あ、頭が――――ッ」

【ラベンダーの援護により、レグルスは分の悪い力比べから解放される。力と熱を伴った腕は、魔力の補強を受けて、強く漲り】
【だが、直後――――異形の放つ声は、彼らの一瞬の安堵を、容易に奪い去っていった】

【――――脳そのものが引き攣れそうな、異常を強引に捩じり込んでくる、『何』と分類不能な異形の声】
【嗤い、嘆き、懇願、怨嗟――――何という事も出来ない。ただその感覚を受けているだけで、自身の存在が侵されていく様な、汚らわしい波動】
【吐き気が、込み上げる。レグルスとラベンダー、共に思わず頭を庇い】

――――――――負け犬が……女々しく吠え狂ってんじゃねぇッ!! 死ぬなら死ね!!
てめぇの戯言に……俺たちがどうこうすると思ったかよッ!!

【――――その苦しみを、諸共振り払うために、レグルスは絶叫する。ぐちゃぐちゃに掻き乱された頭の中身を、全てを吹き飛ばす】
【聞こうと、理解しようとするからこそ、この異形の声に引きずられていく。その先に、不毛な状況が予想されるなら、今回は逆だ】
【――――徹底して拒絶する。そしうて否定する。馬鹿の1つ覚えの様に。少なくとも、糸口は掴めるまでは――――掴むつもりが掴まれる事だけは、徹底して避ける】
【この瞬間で、レグルスは己のスタンスをそう割り切った。少なくとも自分は、徹底してこの異形の『外』に居なければならないだろう――――と】

ラベンダー! こいつは恐らく、生中な攻撃をしても無駄って奴だ!
死なねぇか、死ねねぇか、そんな事はどっちでも良いが、ともあれ普通に殺そうとしても無駄だ!
俺はこいつを引き付けて、突破口を探る――――お前、徹底的にこいつを突っつき続けろ!!
「ッ、で、でも――――――――」

【その為には、自分たちの数の優位を活かす事だ。レグルスは咄嗟に、ラベンダーに対して、後方からの火力援護に集中しろと指示を飛ばす】
【――――そこに、ラベンダーが躊躇したのは、間違いなく――――かつての、仲間の敗死が、心のどこかに引っかかっていたからだろう】
【『恐怖』を振りまくこの異形の力の為に、心のどこかが委縮していたのかもしれない】

――――ッ、じゃなかったらてめぇぶっ殺す!!
「――――ッ!!」

【その躊躇を、レグルスも理解したのだろう。乱雑で、強引な檄によって、ラベンダーの躊躇を押し流す。そんな事をしているうちに、自分たちは死ねるのだ】

「っ、ぅああああぁぁッッ!!」

【炸裂する靄。そして異形自身。その全てを巻き込むようにして、ラベンダーは、まるでバランスボールのような、巨大な魔力の塊を形成】
【自分に向かって降りかかる靄諸共、異形に叩きつけんとして、発射した――――力の作用圏は大きいが、その威力はさほどのものではない】
【要するに、巨大な豆鉄砲のようなものである。様子を探りつつ、力を温存。かつこの状況に対応するには、これがベストだと踏んだのだ】

ッ、ぐ――――ッ!!
(い、って――――くそったれ、この程度――――ッ、あれは……!?)
――――右腕注意だ!!
「ッ!!」

【真っ向から、レグルスは靄を受けに懸かる。身体に撃ち込まれる、鞭打の如き傷と痛み。だが、レグルスにとっては、覚悟を固めれば、なんて事のない苦痛だった】
【そうして、真っ向から異形と対峙して――――右腕の以上に気づく。咄嗟に、ラベンダーに注意喚起を飛ばし、そして自らも身構えた】
【――――何らかの大きなアクションの前兆。なら、それが1つの切欠だろう、と】
150 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 16:19:17.26 ID:XDnSkEvG0
>>145>>148


「言わせておけば、いけしゃあしゃあと。」「 ─── てめえ、恐怖の体現者になったつもりか?」
「所詮てめえらは神を僭しているだけだろうが。 ……… 舐めた口利きを続けるなよ、Sonofabitch.」

「 ─── テメエが一番よく解ってんだろうが。」「テメエの中に、"オレ"はいないだろ?」


【挑発めいて吐き捨てるような物言いであった。他者の認識を我が物とする虚ろの神であるなら、他ならぬミレーユの認識は、彼の中には在していないだろう、と】
【彼の抱く恐怖は手に取るように解るのだろうと、事実としてお前の中に宿るのだからと、 ─── ともすれば、それは一ツのルールの確認に等しく】
【 ──── 黒い氷霧が明白な造形を象った。表層的反応であっても、やはり彼が未だ恐怖を抱かぬ徴。儀式槍の如く豪奢な修飾の施された、】
【然して全て氷によって造られた一振りの黒い槍が、ロールシャッハへと迫る。側にいる、誰よりも何よりも信じられる誰かと、呼吸を重ねて】
151 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/10(土) 16:20:08.84 ID:JEbGG14D0
>>136
何それ…?確かにあん時、散々他の客を殺してくれたけど、あたしは殺されてないわよ。
ノーサンキューですー!ピーマンとセロリと人参が嫌いだからサラダとかニガテなのよ!

【どこか滑稽な1ページにように、少女はイー、と歯を剥いて見せる】
【もう一人も、似たような悪態を吐いているが、お互いを認識していないかのように無視し合っているようだ】


>>144
「確かに、説明がつくならそれでも良いですが」
「夢の話には敏くありませんが、集合的無意識とかそういうのが、INFオブジェクトとミームの話には重要だったと思いますので、これもその一環なのかな、と」
「"能力者"なら然程難しいことでもないでしょうし」

「しかし、だからと言ってここから出られないのは困る」
「組織への定時報告もしなければなりません。怒られてしまうので」


「私はアレフ――このホテル『レッドへリング・ヒルベルト』の従業員でございます」
「あなたも是非当ホテルにお越しを。快適な部屋をご用意しております」


【恭しく一礼をすると同時に、二人の少女が武器を手にしてロールシャッハへと襲い掛かる】



とりあえず、アンタをブチ倒さないと!/ビュッフェのスクランブルエッグは食べられないみたいね!
152 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/10(土) 16:23:35.04 ID:AG0NCCGD0
>>136

「うッですよね、やっぱり!」
『解析、開始するよーッ!!』

【間一髪の回避、それは成った様でライガの軌跡のそのスレスレを腕が通り抜けてゆく】
【風切り音、そして本能が感覚が、この身体に触れてはいけない警告を発する】
【近くのその人物、ギア・ボックスもその声は聞こえたようで】
【そして何か意図があるのか、此方を守るような位置に入ってくれて】

「……ありがとうございます」
「そこの方、僕はライガ・カシワギです、この戦いお手をお借りします」

【名前も知らないその人物に、こう名乗って】
【そしてそこに……】

『解析、結果出たよ!!え、でもこれって……』
「どうしたんですか、スマホさん!?」
『ライガ、これ見ちゃだめ!!強制終了!!!!』

【その解析行動を強制的に終了させた】
【あまりにも虚無にして空虚、圧倒的に矛盾に満ちた膨大に過ぎる情報量】
【ライガの人工知能が自死を選ばなかったのは、それがやはり普通の人工知能とは訳が違う、別格のソレであったからだろう】

『声は一人、それだけは解ったよ、後は理不尽な……ううん、大丈夫忘れて!』

【ライガとその周囲にそれだけ告げて】
【やがて……】

「何だアレ、何をしようとしてるんだ!?」
『何か凄いのが来るよ!!ライガ注意して!!』


≪────────────── 殺して ≫

「何だ!?腕が……ぐうッああああああああああああああああああああッ!!!!」
『ライガ!?ライガ!?』

【爆発し、周囲に降り注ぐ肉片、そしてその雨に打たれれば】
【ボディに走る傷と痛み、痛み、痛み、圧倒的な痛み】
【それでも、それに気がつくと、そのスマホを庇う様な姿勢になりその雨を受け続ける】
【これに対し回避の術は現状のライガには無い】

≪殺してよおおおおおおお殺して、殺して、もう殺して、楽にしてよおおおおお、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌嫌嫌嫌
痛いの痛いの痛い痛い痛い痛い痛い痛い、やだやだやだやだやだやだやだやだ
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して≫


【声もまた、同様に止む事は無く】

「スマホ、さん……」
「敵の、解析を……魔翌力、正体、此方からの電脳デバイスでの干渉の可否、なんでもいいです、アイツの情報を……手がかりを……」

【ダメージを蓄積させながら、そう支持する】
【最も、その支持に何か意味があるのか、実行可能か、それは不明だが】
【そして同時に、自身の付近にあるであろうバイクへの移動を、開始する】
153 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/10(土) 16:32:49.77 ID:aFW1iTnO0
>>144-145

【恐怖は、きっとあらゆる命にあるもので。だからこそ、不在を謳うことは過ちとなる。それは、真理だろうか】
【それを御すことが常道で、けれど、この兇器にとっては、――――――――、】

それを糧と、燃料と成り果てさせたからこそ切断者(わたし)は在る――――
私を見縊るな、ロールシャッハ……貴方が世界を穢した時点で、そんな逃げは選択肢から消えているッ……!

【次段として、さらなる力を得る術に過ぎないとでもいうのなら。それは、紛れもなく破綻者の言葉となるのだろう】
【出力増幅、代償は自己の心身へのさらなる負荷――――"焔翅剣葬"の前提たる火の力の開放を、限定的に行使する。黄金火は、今一度溢れて】
【それは“存在として同一”であるがゆえに、太刀から零れさす一欠片の焔さえも、望む性質を柊から受け継ぐことができた】
【つまりは、命としての性質さえも。数多が零れ落ち、きっと消えていく】

(……ごめん、ね――――どれだけの痛みを刻み込んでも、わたし、は……――――、)

【“守るべきものを、罪を宿しながら守らずにはあれない”。】
【己の痛みなど、消え去るもの、斬り捨てられるものの痛みに比べるべくもないと思いながら、思うからこそ止まらない、】

【そうして火の粉の一部に自らの射影たる心を宿し、一部に心なきただの命としての在り様をもたらす。燃料を失う焔のよう、瞬きの間に消え去るのだろう】
【目的は、おそらく物理法則さえもが無化されたこの空間における“存在の核”。心あらば存在しうるならば、心を宿された火の粉は残留するのだろう】
【心がなくとも遺るのなら、すべての断片は残留するはずで】

【そうして消えゆくものたちの恐怖があれば、拭い得ぬ痛みをまたひとつ刻んで。】
【ただの肉片にさえ満たずとも、“心なき命”とされた火の粉が消え去ることさえも忘却しない】
【きっとそれこそが、絶望的な愚かさなのだろう。なおも懼れず、震えず、されど捨て去ることなど許されないと、目に焼き付けながら憶えてゆく】

【勝利のために必要だからと、虚神の言葉をかなぐり捨てながら突き進む心は。今は眠るはずの、何より守りたいと願う“ひとり”をふと想った】
【それにより湧き上がる熱は、あらゆる理を滅却してさえもあの世界を取り戻せと叫ぶ意志。次の次の次の一手をと、只管に前進を自らに課して】
【反作用としてある影は、ロールシャッハに力を与え得るだろうか。或る種のつながりとも、それは呼べた】

【何ら妨害がないのなら、次なる一手は暴威ともなる。打撃となり得るかは――――未だ不定でしかなかったが。】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 16:37:50.96 ID:HUsOZ0yN0
>>143>>146

【愛しい人の腕の中にあってなお、――少女は身体を強張らせた。顰める眉と歪む表情は明確に不快を不満とを宿していた、なら】
【耳を塞いでしまう仕草は小さな子供がマイクのハウリングにそろいもそろって耳を塞ぐのとよく似ていた、嫌悪感に対しての、至極当然な防衛本能】

んぅ――、もお。やだ。これ――、きもち、わる、っ。っっ。うぅ――、あああ、もおっ――、

【ぐしゃと頭の中をかき混ぜるみたいに感じたなら、揺らす頭の仕草、せめて何か振り払おうとするように。それでも粘こいものを浴びたみたいに、こびりつくとして】
【しゃがみ込んでしまいそうになるのを辛うじて押しとどめる。ひどく細めて不快を噛み潰す顔を無理繰りに持ち上げるのなら、――ぱし、と、その眼前に左腕が爆ぜる】
【――ひうっ、と、小さく鋭く息が吸い込まれて。瞠った眼差しが刹那に虚空を捉える、――、ぴり、と、脳髄を針でつつかれるような痛み、走るなら】

――――きゃっ、――――! っ、りあ、さんっ、

【漏れ出た悲鳴は脳裏の痛みにか。それとも、庇われている現状についてか。あるいはどちらもであって、だから、】


アリアさん! アリアさんっ――、

【わずかに泣きそうな声が振り向いた、触れてしまった頬に指先を添えようとするのなら、或いは、――その痛み、自分が引き取ろうとするのだろうか】
【先の一瞬におそらく彼女は能力を行使しようとしていた。そうして何十篇目の失敗をしていた。だから泣きそうな声を出していた。――刹那に辿る必要はなくても、】
【護ってくれる人を護ってあげることが出来ないのに歯噛みするなら、――「痛いの全部、私が、もらうから、」ささめく距離感にて、そうっと、伝えて】

【(だからそうする私のために無理なんて絶対しないで、って、言葉の裏側に伝えるのだろうか。――とかく、事実"そうする"覚悟は、ある、なら)】

【――(きもちわるい)。心の中で一つ呟いて、けれど向けるのは視線であるのだろう、異形に対して、少女は、じいとまなざし、向けようとするから】
【いくらかこさえてもらった距離の生きている内に――あるいはそんなに求めるのなら、慈悲にて殺してやると宣言するみたいに、――言葉は付随せず、ただ、視る】
【魔力を込めた眼差しが異形を撫ぜるのなら、果たして何か感覚は与えるのか、それとも無痛であるのか。分からぬけれど】
155 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 16:48:00.25 ID:Bbrz69m5o
>>143
>>152
ええ、お願いします! ギア・ボックスといいます!

【絶望的な戦いのもたらす感情の奔流が、普段とは違う手短な返答となる】
【だが、状況はやはり絶望的。あの手に触れてはならないと、本能が警告する】

【その巨体が単なる質量ではない、何かもっと恐ろしい物を秘めていると感じ取れる】


!? どうしたんです、ライガさん!! 解析結果は――――

【言葉に出来たのは、そこまでだった。その声が聞こえて来たから。余りに悲痛な、もはや言葉にも出来ようもない】
【理不尽、不条理、そんな言葉ですら足りない何かがそこにあった。こんなものが存在を許されていいのか】

【降り注ぐ苦痛≠サのものを、必死にサーベルで切り払う。ライガたちへのものも防ごうと試みるが、到底さばききれるものではない】
【ギア自身もその破片に打たれ、その苦痛に魂を蝕まれていく】

ク――――ソオォッ!!!

【サーベルで必死に異形の脚に切りかかる。刀身に塗布された聖水、ゼン=カイマで施してもらった聖属性の力】
【それでどこまで抗えるか。考える暇すらもなかった】


>>151
あの場にいた中で、殺されなかった一人なのか? お前たちはどうにも、肉を見ても見分けがつかん……
それは残念だ。ピーマンもセロリもニンジンも、きちんと調理すれば美味いというのに

【二人それぞれに投げかけられる悪態に、もはや苦笑すら浮かべて返す】
【この場の空気にはとてもそぐわない、何とも奇妙な空間だ】

>>145
……本当に口の回る神だ
確かに、私は自他ともに認める小悪党だ。ステレオタイプの怪物に過ぎないだろうさ
だが、だから何だ? それが私だ。拍子抜けとは、勝手なことをほざいてくれる。少なくとも、お前よりは地に足がついていると自負しているがね

ほう? その割には、ここに集まったメンツを見ても、お前を仲のいい隣人だと思っている奴は一人もいないように見えるがね
奇妙でもなんでもないね。ただ単に、お前が自分は人間の敵ではないと思い込んでいるだけの話だ
第三者などじゃあない。ニンゲンの敵同士、ここで争うに足る当事者だろう

なお悪い。ありのままの結果が、この面白くもない砂漠か
――――その上、この最悪の味だ。反吐が出るな

【密かに冷や汗を流しながら、舌を引っ込める。やはりこいつらは、迂闊に近づける存在ではない】
【続いて、その背に手を回す。どこから取り出したか、巨大な戦斧。柄のカートリッジには、その中に無数の稲妻を閃かせる】
【宝玉が一つ、はめ込まれていた】

出力が大きすぎるこいつを、あまり使いたくはなかったが……お前相手なら、これでも足りないくらいか

【言いながら、戦斧を盾に振り下ろす。絶大な宝玉の雷エネルギーが、カニバディールの肉すらも焼き焦がしながら】
【雷の刃となって、ロールシャッハに向かって飛んだ】

/すみません、大変遅くなりました……
156 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 16:56:51.45 ID:FHL/nT/Ro
>>146>>149>>152>>154>>155>>226(エーリカ)

【降り注ぐ肉片、視線を向けてみれば、それが明かすのはその正体 ──── 散らばっていくのは "瞳孔" ──── 】
【それはあまりにも奇怪な存在であった、見下ろす視線、数多の手、悲鳴に痛苦と、そこには何の理屈も無いみたいに】
【けれども、何処かに確かな理屈があるべきとも言えた、──── それらが指し示す一つの線を探して】

【アリア達が推察している内容は一種の正当性を得ているだろう、ロールシャッハという存在の性質】
【そして持ちうる可能性から、目の前の異形がどの様な出自を持っているかを問うことは可能だ】
【しかし、目の前の相手は何処までも論理が逸脱していた、存在すらも見出し得ない】

【ラベンダーの攻撃が異形を捉えた、大きくその身を揺らしはするが、ダメージとは言い難い】
【エーリカの一撃も同様であった、右手にダメージを与えど、直ぐさま靄が集まり、その形を作る】

【ギア・ボックスの攻撃、斬りかかった脚に刃が入り、聖水の一部が地面へと飛び散ったなら、ぐらりと異形の身体を揺るがす、まるで地面が沈んだかの如く】
【どれだけのダメージがあるのかは分からないが、聖属性の力はそれなりに有用か】
【──── 或いは、──── 何か別の要因があるのか】

【ライガの解析の内容は芳しくない、無数の文字化けの列が大量に出現し、言葉すら正しく認識できないほどに ────】
【だからこそ、推察が必要であった、その声が一人のモノ、という情報から】

【かえでの眼差しは "見た" ──── その異形を構成するのは、数多のパーツ、身体の黒を構成しているのは "瞳孔" 】
【そしてそれは "見られる" 感触に近い、或いは "見下ろされる" ──── そして、子供の落書きの様に黒塗りなのは】
【まるで、そう ──── "認識" されているから、だろうか】



──────── やっと死ねる





【右手に溜まった魔力が解放され、大規模な雨が周囲一帯に降り注ぐだろう、──── 非常に範囲が広い】
【降り注ぐのは黒い雨、先程の攻撃から考えると、触れる事に対する躊躇いが十分生まれて】
【其れは即ち回避に専念する事を決断付けさせる理由にも成り得た、果たしてそれが正道であるかどうか】




【もし触れてしまったなら、貴方は呼吸を阻害される、鼻や口で吸えていた空気が、どうしても入ってこなくなる】
【その場で "哀れに" もがいたなら、ほんの少しだけ呼吸がマシになるだろう、しかし、直ぐにまた呼吸が阻害される】
【必要なのは "憐憫" であった、他者の溜飲を下げる様な表情や言葉、振る舞いをした時だけ、呼吸が出来る】

【──── 其れは陸上でおぼれる作用に似ていた、嗜虐者達が戯れに、貴方という存在の呼吸を制限するかの如く】
157 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 16:57:00.75 ID:FHL/nT/Ro
>>147

【ロールシャッハは問いかけに応えない、けれども、靴の中に感じる "違和感" はぬぐえない、いっその事脱いで確認したなら】
【──── そう心が囁くと同時に静止するだろう、違和感は違和感のままで残しておくべきだと、言っているかの如く】
【その正体を知ることそのものが、深い恐怖へと続いていると、伝えるかの様に】


──── 事実だよ、どうしようもなく正しい真実さ、そしてアレは紛う事なき "禁書" なのだから
それでいて "偽書" だもの、全く ──── どうしようもなく、荒唐無稽な内容で
"君達" はそれを読んでしまったのだから、其れはある種の終末論に近い、──── 認識してしまえば、終わるのだから


【ロールシャッハに火球が着弾する、燃え上がる火柱が轟々とその音を轟かせ、空間を軋ませる】
【やがて火が消えたなら、そこに居る彼の姿に変質はなかった、──── 無敵である、と仮定するならば】
【マリアベルは一つの違和感を持つかもしれない、その炎の性質が、万物を焼き尽くす、というのであれば ──── 】

【──── 何故彼は、焼き尽くされもしないのか、と】

>>148

──── ふぅん、やっぱりその "感情" っていうパターンが大切なんだね、幾らか真似してみたけど難しい
今この現実に存在していない事に何の価値があるのだろう、君自身が脳内で描く作用が君自身を行動させる
それは何処までも無駄な行為だとは思わないかい、気持ちが無くても君達は生きていけるよ


──── だから僕は "水槽の脳" を作ったと言えば、良く分かるだろう


【蝶が羽ばたく、──── ロールシャッハの顔に僅かな乱れが生じた、不意にその表情に陰りが差して】
【右肩が撃ち抜かれた、滴り落ちる鮮血が地面を濡らして、彼は左手でその部位を押さえた】

>>150




──── なったつもりじゃない、正しく "恐怖の体現者" なんだよ、それ以上でもそれ以下でもなく




【続く問いかけに彼は応えなかった、端正な笑みを浮かべて、迫る槍を彼は見据えた】
【左の手を差し出したなら、槍がその場で静止する、──── くるり、と統制権が移ったかの如くその向きを変えて】
【槍は、貴方の側にいる "愛しい人" へと、真っ直ぐに放たれるだろう】




"君" は恐怖を克服できてなどいない、精神の奥底に隠しているだけなんだ
158 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 16:57:26.70 ID:FHL/nT/Ro
>>151

──── 嗚呼成程、君は相応に聡明だね、そのアプローチは方法論として間違っては居ない、けどね
前提が違うんだ、之は無意識下の話ではなくて、れっきとした意識下に於いて行われている活動だもの
けれども出発点としては当たらずとも遠からず、──── 良い線ではあると言えた

はは、そいつは中々懐かしい名前だね、あんな化け物の住処に君達は住んでいるのかい?


【駆け出す少女達の足下に出現する黒い沼、飛び越えるにはやや大きいそれが、二人の行く手を阻む】
【触れてしまったなら、脚へと "吸い込まれる" ──── 起こる作用は、 "躊躇" 】
【攻撃がロールシャッハへと触れる寸前で、その手が止まってしまう、──── そんな作用が引き起こされるだろう】

>>153

なら君は "最早" 武人でも何でもなく、唯の目的のない凶器としてしか存在し得ない訳だ
それは無機物の理論だもの、──── 君は既に、幾つかの可能性を見失っている


──── 或いは、だからこそたどり着ける境地とでも言おうか、確かに純粋な存在でいえば、君の力は協力だ




けれども、──── 本当に君がただの嵐であったなら、こんなにも苦しむ事も、無かったのに



【ロールシャッハは漠然と理解する、柊が燃やす炎とはつまり、彼女のくべる人間性に他ならず】
【それによって失う物は、彼女を彼女たらしめる全てで、それによっても尚残る物は、神の意志にしてはあまりにも無惨な】
【──── そう無惨な、操り人形も、同然で ────】

【その行く末を見守る様に、ロールシャッハは前進する柊を見据えていた】

159 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 16:57:37.22 ID:FHL/nT/Ro
>>(リゼ)

【狂乱の果てに生まれるのは "攻撃" ──── それはリゼという存在の性質をはっきりと表している様であった】
【過去を剥ぐという事は即ち、そのニンゲンの纏う外衣を剥ぎ取る事に相応しい、露わになるのは、リゼの持つ本性】
【それを蛮勇と表現するか、──── 或いは乱暴と表現するかは、ロールシャッハの知るところではない】


──── けれどもそれらは、何処までも救いでしかない、そのどれであったとしても、過去は過去さ
全て違うとしたらどうしようか、君は自分自身が過去を持って居るだなんて、思いこんでいるだけで



──── 君には過去なんて存在しないとしたら、どうする?



【櫻がロールシャッハの身体を傷つける、けれども言葉は止まらない、傷も直ぐさま再生して】



元々君に過去なんて存在せず、それらしい設定をあたかもあったかの様に付け加えられたとしたら?
君というキャラクターを作り上げる為だけに、存在しない過去をでっちあげられていたとしたら?
君の思う過去なんて都合の良いモノは存在せず、君という存在に過去なんて存在しなければ?

──── 君という存在が世界に生まれたバグだとすれば、こんなに恐ろしい事はないだろう?

>>155

【──── ロールシャッハは嗤った、カニバディールの言葉を聞いて、確かに】


良い表現だね、地に足が着いている悪党だなんて、説法よりも聞こえは良いもの、──── でもね
本当に地に足が着いているなんて、誰が言えるのだろう、 君達の住む世界が、安定してるだなんてよくもまあ戯言を
世界は不定形で、現実は虚構、それならば、地に足が着いていない僕の方が、理屈が通る

──── 知らないだけさ、何れ分かる、かつてシャーデンフロイデが述べた通りの言葉さ

"僕達" はやがて和解する、それは長い旅路の果てに再び一つになる幸福の過程なのだから
其れまでに存在する蟠りなど些細なものさ、困難は大きければ大きいほど、乗り越えた時の価値が高くなる


──── 話の途中だよ、僕の身体を舐めておきながら、僕の力は舐めないんだね


【雷の刃が首を切断する、コトリとその首が落ちたなら、徐に首なしとなった彼は拾い上げて】
【そして元の位置にぴったりと納まるように、その首を置くだろう】
160 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 17:05:18.07 ID:XDnSkEvG0
>>154

【涙ぐむ声音に目覚めさせられるように、 ─── ふとアリアは立ち上がるのだろう。未だ脚元は、時折に胡乱な揺らぎを見せても】
【抱き拉ぐ温もりの確かにそこに在る事を確かめていた。響く絶叫と齎される痛苦に歪む顔が、微かに、緩んで】


「 ……… ありがとう、」「かえで。」「でも、貴女に全て預けるのは、嫌よ」


【ならばそれは何よりの信頼を寄せる事への屡述であった。 ─── 己れの半身であるのならば、痛苦さえも分かち合って然るべき】
【愛しく想う人の事を、もはや護られるだけの幼児として見ていない他ならぬ実証。なればこそ、何もかもを任せることは、拒んで】
【ごく静やかな動きで、懐に収める硝子のナイフに掌を添えるならば、一筋の紅色が人差し指の先から零れ出る。 ─── それが血溜まりを拡げるならば】
【顕れるのは"装甲"/T-14アルマータ主力戦車、その砲塔の前面防壁のみが、昏い輝きの中から顕れる。それをもって、異形の攻撃を防がんとして】

>>156

【黒い輝きの爆ぜる刹那、 ─── 少女の体を抱くまま、アリアは姿勢を跼めるのだろう。ただ護るために/それ以上の意義はなく】
【然して黒雨の一雫が、どこかで装束に触れたのか。止まる呼吸を理解するのに、数瞬を要するなら、絞り出すように息を吐いて】

「 ──── あ、かは、ッッ 」

【それでもせめて彼女は護ろうとしていた。 ─── 求めてきたもの、手につかんだものを、決して放しやしないように】
161 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 17:09:01.55 ID:TGNFsfh00
>>157



【火柱が消えた後、君臨するロールシャッハは全く変わらぬ姿で存在している。まさに神が如く。】
【マリアベルは一度舌打ちをすると同時に「そうかい」と小さく呟いて、その場に寝転ぶ=B】
【そして頭上を見上げて不機嫌そうな顔をするだろう。】


であれば、既に確定≠オているのであればもはや何も意味はなさないわけだ。
他のお客の行動も、イスラフィール≠フ足掻きも。既に未来がそう確定されたのであれば
その時≠ェ来るまで寝転んでいた方がいいね、悪い夢≠見ているときは早く覚めるのを待つしかない。


―――目覚めた先≠ェどんな結末でもね。



【そんな事を言いながら、ふとマリアベルはいまだに違和感を放ち続けている靴の中に意識が向かう。】
【悲しいかな探求者≠フ性、好奇心の塊である彼女はそれを確認せずにはいられなかった。】

【あるいは、こんな態度をとってはいるがやはり根は律義なのだろうか。】
【マリアベルは上半身を起こすと力いっぱい靴を外した=\――――――――】

162 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 17:09:08.53 ID:JEbGG14D0
>>(リゼさん)

(……僕が誰かわからない、だと。いやまああの時は一目会っただけだったけど)
(記憶を弄られたか? あるいは――いや。「踊ってやがる」のか、かつての、シグみたいに)

【肩を貸した相手の言動が明らかにおかしいとわかるなら。じ、と目を細めて観察し】
【推測。そうして思い浮かぶのは、かつての自身の「人形」の状態】
【つらい過去を忘れた「フリ」して平気そうに振る舞っていた。彼女もそんな状態であるというなら、】

『――――リゼ。リゼって名前だったよね?
 大丈夫、落ち着いて、――受け入れていい。怖かったのも、苦しかったのも、すべて。
 無理に否定しようとしなくていい、ただ――受け入れろ。克服するのはそれからだ』

【まずはそれを直視し直すことから、やり直さなければならない。そう判断して――寄り添い続ける】


>>150(エーノさん) >>157

「そんなわけあるかっ! ココロのない人間なんて、それこそ生きた屍でしょ!?
 …………ッ、わかるわけないでしょ! あんなモン作って、それで、人間を管理して、
 そうしてできた世界が幸せであるわけない! そんな世界作るってんなら、あたしが全部――」

【思い出す、メインシステムと呼ばれた「あれ」。世界のためにそんなもの作ったなんて言うなら】
【きっと少女はそうして出来た世界なんて赦さない。であれば、それを書き換える】
【それだけの力を持っていることを――たった今確信した。効いた。羽搏きの作用で、恐怖を書き換えられる】

「――――エーノさん、今の見た!? 効いた、あれ――“シャーデンフロイデ”の攻撃!
 あれならいけるかもしれない、ねえ、だから――――ついて来て、あたしを守って、っ――――」

【で、あるなら。彼女は片手――左手の銃を一度虚空へ戻して、エーノの手を握ろうとする】
【ひとりで突っ込む愚策は持たない。ずっと一緒って言ったから、だから、敵を殺すときだって一緒】
【そのまま手を引っ張って駆けだそうとして――脚を止める。顔を強張らせる。ひ、と息を呑んで】
【――――彼の放った攻撃がまっすぐ自分に向かって来ようとするのだから。防御行動を取るには、遅すぎて――】
163 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 17:20:45.99 ID:Bbrz69m5o
>>156
【ギアはわからない。この異形の正体も、そのうちに抱える深淵も】
【サーベルに手ごたえは確かにあった。地面に足が沈み込んだかのようなバランスの崩れ】

【違和感。聖属性が虚神という認識を侵食する怪物に通用するものか?】
【この異形そのものに根差した性質の影響だろうか。生き人形にはわからない】

【ただ、無数の瞳孔が己を深淵の如く睨んでいると、そう認識出来るだけ】


――――あああ!!!

【そして、落ちてくるブラックレイン。触れてはならない、そうわかっているのにかわしきれないことの恐怖】
【雨粒をよけながら戦うことなど、出来ようものか。だが、それでもやらねばならない。共に在るものたちが、あの異形に対抗してくれると信じて】

【ボックスの能力。己の身体の中にサーベルをしまい込み、解放】
【噴水のように聖水を空中にまき散らし、降り注ぐ黒い雨を下から迎撃しようとする。少しでも、他の共闘者たちを守るように】

【ギア自身は、それでもかわしきれず。呼吸を封じられてもがき、その哀れっぽい有様ゆえに微かな呼吸――――人形故、魂の感じ取る気のせいだが――――を繰り返すことになるだろうか】
164 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 17:24:17.95 ID:XDnSkEvG0
>>157>>162

【突き出された左腕が、躊躇いなく紅い少女を庇った。 ──── 肉の食い破られ、突き裂ける、おぞましい音】
【微かに彼は瞠目していた。挑発を続けるには隙とさえ呼べる表情の変容であった。だというのに、彼は、笑う。】



「 ───……… 語るに落ちるじゃあねえか。」「確かに今、少し、怖かったよ。」
「ボクはもう、シグレを傷付けやしないって、決めてたからな。 ─── だが」



【横顔を振り向かせて彼は笑いかけた。 ─── 無垢に愛しさを囁く夜の顔貌と、何ら変わりない顔立ちで】
【引かれる手からは止め処なく血が溢れていた。ストッキングに包まれた脚先は微かに震えていた。それでも】



「この恐怖が、お前の糧になるなら、 ─── まだオレにも、遣りようは、ある。」
「行こう、シグレ。やろう。ボクとキミで、ふたり、必ず。奴を、殺す」



【穢れなく白い左腕に、音もなく紅い血が流れ落ちていく。それが薬指の先まで滴り、白銀の輝きにまで至るのであれば ─── 、】
【音もなくそこに生じるのは、儚く陰る火の粉。熾火の灰に宿る様な、血溜まりにさえ消えてしまう機序。然して、】
【 ─── 或いはそれを、嘗てロールシャッハは見たのかもしれない。昏い情念と、人ひとりの身体と生命の大半を供して、空に広げられた万華鏡を焼いた、黒い炎】
【それは単なる残滓に過ぎぬのか、或いは遺志として継がれたものであるのか、 ─── それを用いて彼は、意識か無意識かも判然とせず、なにかを試みていた。】
165 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 17:26:55.09 ID:qxWnDWXw0
>>156

(――――ヒントが、ヒントが、取っ掛かりが……何もねぇ。なんなんだこいつは……ッ!?)

【全身を襲う、皮膚を引き裂く苦痛を強引にかみ殺しながら、レグルスは観察と思考に、全力を傾ける】
【――――だが、出てくる答えは『無為』と言うものでしかない。まるで、何も思いつかないし、何らかの情報も引き出せない】
【構成された情報に、何らの一貫性も見出せないのだ。まるで、本当は意味のない暗号を「解いてみろ」と突き付けられたような気分】

【少なくとも――――それが、「何らかの形で『ヒト』を主軸にしている」事。人型であり、人間のパーツのようなものをまき散らす。そこから、それだけしか、読み取り様がない】
【そして――――肉体を傷つけられていくその苦痛に、思考はかき乱され、観察も思考もおろそかになる】
【脳に入り込んでくる、その悍ましい印象を、気合で――――そんな風に、卑近に表現するしかない精神で――――押しのけても、苦痛はそうはいかないのだ】

「(――――ダメだ。やっぱり、生中な攻撃じゃダメ――――じゃあ、生中じゃなきゃ良いという事なの――――?
  ――――そんな力押しの、馬鹿馬鹿しい話で、こいつらがどうこうなるはずがない。アナンタシェーシャならともかく――――ッ)」

【放った光弾は、やはり異形を、精々揺さぶる程度にしか意味がなかった。ラベンダーは、己もまた、レグルスとは別に、敵に対する思索を重ねる】
【どんなに攻撃しても、敵はその身体を増幅させ、元通りになってしまう。ならば、完全に消し飛ばすつもりで攻撃すると、どうなるだろうか?】
【――――そんな攻撃、自分たちに出来るものではないし、どうせ、物質的な性格から逸脱している『こいつ』なら、無からでも再生するだろう】
【何らかの、概念的な部分での手掛かりを掴まなければ、有効打は与えようがない――――今までの虚神、その全てがそうだった】
【いくつかの仮定を持ち出し、その分だけ否定される――――相手の正体に近づこうという試みは、悉くいたちごっこの様相を呈して】



【――――そうして右腕は炸裂する。事前に分かっていた事だった。だが、その効果範囲は、正に予想外で】
【その『雨』を被るのを回避できる、そんな道理は、至近距離での『見』に集中していたレグルスにも、苦戦していたラベンダーにも、存在しなかった】

っぐ、か――――――――!?
「は、ぁ――――――――ッ!」

【突如乱れ、そして呼気が止まる自らの身体に、思わず身体を仰け反らせるレグルスとラベンダー。その動作は、まるでシンクロする様に滑稽で】
【異常事態が――――そして、この敵の図に当たった状態が、引き起こされてしまった事を、悟らざるにはいられなかった】

(クソッタレ、これが詠唱が出来ねぇ!! ――――中途半端に、追い詰められる形で、勝負に行かなきゃならねぇのかよ畜生!!
 ……中途半端な酸素量、そして接近戦だと――――使えるのは精々、1分ぐらいってとこかよ……!)
「(――――今は、魔力よりも酸素が尽きる方が先かもしれない。だったら――――あがくだけあがいて、そうして――――
  ――――――――そうして――――ダメだったら、死ぬしかないんだ――――――――ッ)」

【自分の状況を理解して、一瞬、レグルスとラベンダーは視線を合わせる――――不思議と、お互いに考えている事が、伝わったような気がした】
【こうなれば、破れかぶれに突っ込むのみ――――戦士として、その心が強かったからこそ。『哀れにもがく』などという事に、体力も時間も、浪費するつもりはなかったのだ】

――――――――ッッ!!
「――――――――ッッ!!」

【声もない無声の中で、レグルスはその棍を構えて突進。今しがた炸裂したばかりの右腕狙って、突きの一撃を放つ】
【もう、考える事は本格的に放棄だ。後は、あがくだけあがいて、無理やりにでもこの状況を変えるのみ――――】
【それは、ラベンダーも同様だった。5条の魔力ビームを、異形の正中線――――身体の中心の縦のラインに沿う形で照射する】
【出し惜しみはない。とにかく状況を変えなければ――――自分たちは、ここで犬死するしかない、と】

【レグルス魔力残量 9/11】
166 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/10(土) 17:31:19.39 ID:JEbGG14D0
>>158
「いずれにせよ、一従業員たる私には難しい話です」
「そして貴方様の理屈を鵜呑みにするのは大変に危険だと伺いました」

【飛び込んだ二人の少女は勢いを殺すように蹈鞴を踏んだ】
【精神に何らかの作用が走ったのか。手にした鈍器と刃物はどちらもロールシャッハに触れることはなかった】


ふしゃー!何よこれ!相変わらずインチキなんだから!
正々堂々と戦いなさい!正々堂々と!この世界の悪党はみんなそうやって来たって聞いたわよ!


【ロールシャッハに攻撃は届かず、また他のメンバーの攻撃を見る限り、届いたところで有効打にはならないのだろう】
【少年は嘆息して、二人の少女を呼び戻す】


「お帰りください、お客様」
「無意味は観光の華ではございますが、見るべき名所はこの場には存在しないようです」


【すごすごと引き返す少女二人を前に】
【少年は一考する。シャーデンフロイデを宿しているらしい、あの少女の攻撃は通った?】
【なら何らかルールが有るのかどうか】


えーと、アレフ。帰って良い?/布団被って寝たい。


【不貞腐れたのか思考に横やりを入れる少女二人を、少年は鬱陶しがるでもなく、丁寧に扉の中へと迎え入れた】


「お帰りなさいませ、お客様――」


「さて、私は過去のレッドへリングがどのような場所だったのかを存じ上げません」
「崩れた工場の跡地は改装させて頂いてますが」
「かつて食肉工場だったなんて知られれば、気分を害するお客様もおりますので」


【ロールシャッハがここに皆を呼び出した経緯が良く分からない】
【話が進むまで、もう少し様子を見るべきか】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 17:32:44.17 ID:HUsOZ0yN0
>>156>>160

――――――――――――――――――――――――――――――ひッ、

【びくりと肩が震えた、脳のどこかが反射的に現状を嫌がったなら、無意識に足が逃げかける、思わず引いた身体が、きっとアリアにとすんとぶつかるまで】
【いくつもの瞳孔を見つめてしまうのと同時に見つめられているって気づいてしまう、――あるいは見下されている、圧倒的に強いものから、こんなにも小さな自分が】
【うんと小さな子供が恐ろしい大人を見上げるみたいに。足が竦んだ、へたり込んでしまわなかったのは、すぐ傍らに愛しい人が居るから、大事な親友が居るから、】
【――それでもからからの喉に唾を飲み込むのに十秒ほども掛けてしまう。ぎゅうっと目を閉じて頭を揺らす。その認識を散らそうと試みるかのように】

――やっ、ぁ、――、!

【深呼吸一つ。眼を開けるなら、雨が降り出さんとするその刹那。翳す指先はごく反射的なもので、同時にまたひどく脳裏が痺れるみたいに痛む、瞬間】
【けれど微かにぴしりと空間が鳴いた、みしみしと空間に罅入れるような音にて空間を侵食し往くのはごく微かな魔力の煌めき、――歯噛みする、なら、】

――――もうっ、もう! なに、してるのっ、――ッ、今出来なきゃ、意味、ないのにいっ――、ッ、
ああ、もおっ、――ばか。ばぁか――っ、――何のために生きてるのっ、アリアさんの、ためでしょ――っ。

【現る装甲と自らを抱くアリアに護られるのならば、少女は何も痛みも苦しみも負わぬのだろう。その代わりだなんて偉そうでも、確かにそこに痛苦を負う人が居るのなら】
【ぎりと歯を噛み締める音すら聞こえた、だから振り向きざまにひどく泣きそうな目をしていた。あるいは心中ではすでに泣いているのに違いなかった。それでも、】
【――きっと、だからこそ、少女は、アリアの懐より硝子刃のナイフを一つ掠め取ろうとするのだろうか。アリアが息を詰まらすほんの一瞬の、刹那のこと】

【そうして奪うなら、――ごく須臾の一瞬の逡巡。少女は自分の左腕、そればっかりはどうしようもない本能みたいに、刺青のある場所を避けた、二の腕、突き立てようと、】
【こんなに弱虫の自分は自分で頬っぺたを叩くくらいじゃ意味ないって分かってた。だからそれよりも熾烈な痛みでなにか奮い立たせようとしていた、した、なら】
【溢れる血はもはや自分のものなのかもわからないほどに赤くて。ぞっと溢れ出して白い服飾を染めるなら、かあっと脳裏を染め上げる痛みの感覚、神経を撫ぜまわり】

――駄目! アリアさんは私が護るの! エーリカさんとだって、約束したのッ、

【どきどきする痛みへ態と意識を向ける。ならば返されても困るだろうって痛んで熱い脳裏は判断して、ナイフだって放るように捨ててしまうだろうか、ごく自分勝手であるなら】
【少女の能力は彼女自身が痛みや苦しみから逃れるために細分化したものであるなら、――苦痛にて引き摺り出せるって信じた、なら、】

【――――そうっと指先がアリアのこと、撫ぜようとするだろうか。呼吸を阻害する作用を阻害するだなんていたちごっこ。自分が痛くて始めて思いだせたとすれば、】
【あるいは効いてくれるだろうか。そうして、自傷の痛みすら噛み潰して、無能だと蔑まれた言葉のままに無能を演じようとするほどに彼女が弱い子だったなら、】
【なあんにも。意味なんて、きっと、ないんだろうけれど――】
168 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/10(土) 17:35:15.65 ID:AG0NCCGD0
>>155>>156

「ギア・ボックスさん、解析結果は……全部一人による声、それ以上は不明だそうです!」
『無理よ!無理無理こんなの!!とてもじゃないけど読みきれない!読んでも意味なさそうだし!!』
「ぐああああッ」

【ギアボックスに手短になるが、その情報を伝える】
【最も情報の性質としてはあまり高くは無いだろうが】
【それでも、考察の、推理の切り口にはなるのだろうか】

『ライガ、これ無理だよ!解析不可能……』
「やっぱり、考察しか、道は無いのか……」

【考えろ、結果はそう示していた】
【一人の声、全ては一人の】

「何だと……」

【だが、考察は時間をかけられない】
【次の瞬間には、その右手の魔翌力が爆発のように開放される】
【異形の手から解き放たれたそれは、黒い雨となって降り注ぎ】

「ぐッ、ううッ、ぐはあッ!!」
『ライガ!ライガ!!』

【黒い雨に打たれれば、塞がれたかのように呼吸が阻害される、止められる】
【悶絶するかのようにのた打ち回れば、再び楽になって】
【まるで、悪戯の拷問のように雨に打たれる間続く、続き】

「ぐッううあああああッ!!ああああああああッ!!」

【せめて一時、気が狂いそうになるその苦しみから逃れようと】
【その自身の手にある緑の刃、E-bladeでその腕の先ほどの攻撃で傷ついたアーマーの部分から】
【掠めるように突き立て、自分自身を傷つけようとする】
【せめて、この苦しみから気を逸らせるように、と】
169 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 17:41:20.74 ID:Bbrz69m5o
>>159
戯言はそっちだろう。他者の恐怖なくして存在すら不確かな、貴様の如き虚ろな化け物に言われたくはないね
世界が安定していないことなど、今時そこいらの子供でも知っている。その上で、己の存在を己で定義して、そうして我々は存在しているんだ
それを、水槽に脳みそを浮かべてヘラヘラしている貴様如きが、現実は虚構だと……? 冗談は存在だけにしろ

シャーデンフロイデとやらもそうだったようだが、どこまでも上から目線なことだ。それで隣人とは笑わせてくれる
聞けば聞くほど、耳が腐るな。和解? 貴様らと一つになるのが幸福? これまでお前がやってきたことが些細だと?

ストックホルムでも言ったが、もう一度言うぞ。我々の世界では、お前の言うようなことは「独善的なイカれ野郎の妄言」と称する
何が話だ。わざわざこの場に集めておいて、延々と聞くに堪えない御高説を垂れ流しておいて。さっさと切り上げるか、今すぐ死ぬか選べ

【口は減らないが、やはり肉屋は恐れていた。宝玉まで用いた攻撃も、あっさりと修復してのけた】
【身体同然に、その力を舐められようものか。これを攻略するにはどうすればいい】

【宝玉の雷がまとわりつく戦斧を、足元の砂漠に突き立てる。苛立ち紛れであったが、この世界そのものへの彼なりの攻撃でもあった】


>>168
一人による声……これが!? なんてことだ……これほどの悲鳴が、一人の……

【ライガの言葉に絶句する。ギアも魂の中で必死に考えをまとめようとするが】
【黒い雨がそれを許さない。ライガもまたのたうち回るが、ギアも同じ。守るどころではなかった】

【虚神の前では、自分たちなど子供に弄ばれる蟻か。人形の歯を食いしばり、ギアは必死に立ち上がろうとしていた】
170 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 17:46:57.47 ID:FHL/nT/Ro
>>160>>163>>165>>167>>168>>(エーリカ)

【ギア・ボックスの認識した違和感は、微かなズレを生み出す、虚神という存在そのものが邪であると捉えるか】
【或いはこの存在そのものが "邪" であると捉えるか、二通りの判断基準を生み出して】
【それは然るに確かな思考へと連なる、考え得るその先に、確かな答えが有るように】

【かえでの行う阻害は僅かであったが効果は発揮するだろう、一時的にはアリアの能力を回復させるに至る】
【けれども、かえでが力を解いたなら、直ぐにまた呼吸の阻害が起こる、そんな道理であった】

【ギア・ボックスの手で撒き散らされる聖水、アリアの描く防壁、その全ては確かに降り注ぐ雨を浄化する】
【徹底的に "邪悪" な性質を雨は宿していた、同時に、穢れきった感触を思わせて】

【──── しかし、ギア・ボックスの聖水が地面に落ちると、大きく地面がうねった、小規模の地震を思わせるほどに】
【それは慮外の行動であったのだろう、即ち "虚神" を知っている存在からすれば、──── あまりにも】

【──── こんな "単純な" 方法で、虚神が倒せるはずがない、と思ってしまうほどに】

【レグルス達もまた、この状況を "捉えられる" 特にレグルスであれば、ギア・ボックスの行った魔力的意味を理解できる】
【だからこそ、この瞬間に於いてはレグルスとラベンダーの攻撃は無為に終わる、決して正しい結果を生み出さないのだから】
【海面に放った石の如く、異形の身体にダメージを与えられない、そこには理屈が不足していた】

【エーリカの攻撃は一方で、空を切るかの様に無機質であった、──── 攻撃としての質の違いか、それならば】



【異形は再び右の手に力を溜め始めた、行動の鈍さがその大きな弱点とも言える】
171 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/10(土) 17:49:55.45 ID:aFW1iTnO0
>>157-159

【観測の一手は無為に消えていく。数多の嘆きが、生み出した己に返り、心を苛んでいった】
【そして真に嵐であればと、憐憫めいて告げられる言葉。それは、内心を見透かすものに等しくて】

【けれど、兇器を名乗る“ひとり”は――――静かに、気負いすらないかの様に。ただ、返答の言葉を紡いだ】

……始めから終わりまで、私は私の意志でこう"在った"――――

その未来が訪れた先で、生きてくれる誰かがいたのなら。
"それで、私は救われる"――――私自身の操り人形だというなら、望むまま生き抜いたというだけの話でしょう?

…………だから

【決意を兇器に。意志を得物に。】
【肉体は、それを振うだけの道具でも構わない――――――――

この命が潰え果てたとしても――――貴方が、本当に人類の輩でありたいと願ったとしても。

必ず刀下の鬼と変えて、私たちの世界を取り戻す――――そう決めたから、そう在るだけだ……!

【増幅され続けた熱量が、主にて自身たる繰り手の後押しを受け跳ね上がった。疾駆する体躯は流麗にして、破滅的なまでに“力”に満ちる】
【初の虚構現実探訪/"巡礼の季節"、加えて先のロールシャッハ自身の言葉。手段は、もう決まっていた】

【総身を縦に割って昇る様なその軌道こそが――――溢れる業火を、ただの熱や異能とは、一線を違えたその証】

【観測されるのは常軌を逸した極大出力と、観測手段すべてを埋め尽くしかねない異常な情報量。まるで、無数の生命体であった】
【そして、それこそが真実だ。】
【"感情"を欠き、生命として、異能として、破壊の現象としてのみ存在する“人間”――――自らの存在を削りながら、燃焼する“心のない兇器”が刃となる。】
【恐怖を欠いたものしか存在しなければ、ロールシャッハは死滅する――――ならばと、自らを代償として死の軍勢を在らしめた。】
【この破綻しきった存在の氾濫を以て、ひととき、真なる嵐のみを"恐怖"は視るだろう】

【其は法則までもが柊自身から削り与えられたものでしかないゆえに、“不定”を、新たな理で規定し、穢そうとして】
【それでも異能を行使する柊自身は、感情を消しきることなどできない。よって、撃滅には、最低でも“追撃”が要求される】

【選ぶのは自分自身への"切断"の行使、仮死状態への遷移による潜在意識もろともの遮断――――】
【虚神の感覚を埋め尽くした上で自らを斯くも刻み裂くことで、擬似的に、ロールシャッハの視る世界を死滅させる】
【瞬きの間とはいえ、自分自身を心ごと[ピーーー]ことに他ならず。脳髄に刃を入れるそれは、他者になど、到底適用しようのない手段だっただろう】

【――――自己への精神干渉がなければ、頽れたくなるくらいにはきっとつらくて、】
【"守るために兇器となる"――――その理が狂気だと、誰が誹ろうと否定することなんてできなかった】
【肉体の限界もまた存在し、持続時間は決して無限ではない。その間に滅びねば、そも通じねば、徒に身を削るだけともなり得るのだろう】
172 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 17:53:50.43 ID:XDnSkEvG0
>>167>>170

【自身の庇い立てた想い人が己れの無力さを嘆くのであれば、吐息の途絶えるよりアリアには苦痛であった。】
【 ─── ましてそれが自傷に至るのであれば、ひどくどうしようもない感情を持て余したまま、黒い巨魁は震えて】
【それでも静かに触れる儚い指先の幽けき温もりは、そこから齎される一雫の麻酔に似た情念は、確かに彼女を癒したのだから】
【およそ悲しそうにアリアは微笑んだ。 ─── 喜怒哀楽の渦巻くように溺れて、息を吐いて、ただ今は愛しいから】


「 ……… ありがとう。」「かえで。」
「 ─── やれるわ、まだ。」「私は、まだ、戦える。」


【打ち捨てられた硝子の投刃は当たり前のように割れ落ちて、 ─── かえでの血と混ざり合って、ふたりの脚元に紅く広がる】
【ならば装甲のみが顕れていた防壁は、少しずつその本質を顕にしていく。砲塔を主砲を同軸機銃を、夜の闇から這い上がるように】
【搭載された機関銃の一ツが、 ──── その照準を確かに異形へと向ける、なら。「確かに殺す」という決意のもと、50口径の炸裂徹甲弾の、悲鳴を突き立てるような弾幕】
173 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 18:00:15.45 ID:FHL/nT/Ro
>>161

【確かに其れは一種の正攻法でもあった、──── その手段を取るのであればロールシャッハは干渉しない】
【けれども其れは確かな正解とはまた、言い難いのだろう、それを確定した、と認識していることそのものが】
【何よりも大きい落とし穴である可能性を、秘めているのだから】


──── "恐怖" の対抗神話とはつまり、その根源を知る事に他ならない、例え其れが、新たな恐怖の始まりであったとしても
好奇心は猫をも殺す、知的な探求心は、ニンゲンの持つ最も優れた欲求であり、最も危険な本能である、と


【靴の中には白い粉があった、マリアベルの踏み抜いた骨の一部であろうか、払ったなら直ぐに全て無くなる】
【──── しかし、再び靴を履いたなら、その違和感はまた生じる、脳裏にこびり付いているかの如く、強く】

>>162>>164

【ロールシャッハはその光景を眺めた、それは美しく、理解できない光景であった、理解できる道理もなかったが】
【己の身を用いて愛する人を護る、それこそ正しく、精神ではなく、心の作用であるのだから】


君はそう定義するんだね、──── 僕はそこに精神の作用を見出すのだけど
ニンゲンの行動原理は全て精神に基づく、であるなら、ニンゲンの根源とは精神にあり、心とはその副産物に過ぎない
現に僕は "生きている" ──── 平行線だよ、心と精神の必要さなんて、きっと互いに分からないんだから

良い催しだ、少し興味深い事例を僕は目の当たりにしている、願わくば、──── もう少しばかり楽しめるように、と

>>166

【ロールシャッハは何をするでもなく、問答を続ける、──── 殆どの攻撃を意に介さずに】
【少年の思考に一種の波紋を起こすのだろうか、その行動を、どう捉えるかによって、幾つかの可能性を生み出す】
【それを "時間稼ぎ" と表現するのか、或いは "戦意喪失" を狙っているのか、──── その両方は恐らく成功している】

【──── 或いはもっと、他に別の可能性が残っているのだろうか】


そんな風に活用されるだなんて、ニンゲンは中々変わった趣向を好む様だ、僕としては些か好ましいぐらいに
貪欲に死んだ虚飾の化け物に、更なる虚飾を重ねて、──── ニンゲンは何処までも業が深いのだから

174 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 18:00:39.48 ID:FHL/nT/Ro
>>(リゼ)

【ロールシャッハにとっての "慮外" ──── リゼを知るブラスフェミアの存在】
【ニンゲンの強さの一つとは、そのわかり合える力なのだろうか、互いが互いに向ける憐憫の情】
【それこそが大きな、彼らの関わりの一つであり、その為の方策の一つであった】

【一方でロールシャッハにはかける言葉が見つからなかった、──── 閉じこめたつもりの暗い部屋】
【そこに光明が見つかれば誰しも縋り付く、そうして現れたブラスフェミアという希望に】
【ロールシャッハが幾ら部屋を閉ざそうとしてもそれは、その光を強めるだけなのだから】

>>169

へぇ、ニンゲンを殺して食べるだけの陳腐な化け物にしては知った様な口を利くんだね
"存在していると思いこんでいるだけさ" ──── 以前にストックホルムで見たんだろう、 "虚構現実" の事を
其れを見ても尚、それだけの感想しか浮かばないのなら、君の想像力とは存外に低い様だ

妄言でも信じ込ませればそれは真実になる、信じないと耳を塞ぐ事は子供のやり方だろう?
僕はこの口を止める気はないし、死ぬ気もない、だからこそ君が殺せば良いじゃないか

そのやり方は "レッド・ヘリング" へのやり方を真似たのかな? この空間そのものが僕だなんて、それこそ冗談じゃない


【ロールシャッハはカニバディールのやり方を侮る、事実、戦斧の攻撃は成果としては出ないだろうが────】

>>171

その生き方は嫌いじゃないよ、あまりに馬鹿馬鹿しく、それでいて何処までも愚直な生き様はね
──── それぐらい荒唐無稽な方が現実は面白いんだもの、例えその先にあるのが徒花でも


【柊の選択した行動は正しく理に適っていた、彼女が歩んだ道から描く経験則と、尋常ならざる腕前とが合わさって描ききる結論】
【ロールシャッハの観測域から "恐怖" を消し去る、それはあまりにも荒唐無稽でありながら、其れを為すことの出来る技量】
【果たして規格外の存在であった、──── 神域の剣士は、正しく "神殺し" の刃を振うのだろう】

【ロールシャッハへと刃が届く、──── その身体は容易く切断され、地に墜ちる、全ての感情を刹那に殺すことで生まれた一瞬の勝機】




【而して死体は嗤う、──── 絶え間なく紡ぐ、言葉の群れ】




信じて育て続ける営みを、否定してしまうのは "可哀想" ──── なんだろう?



僕の "観測域" 全てから "恐怖を消す" ──── 良い発想だよ、確かに、存在しない "様に見える" のだから
見ている世界が違うのさ、文字通りにね、参考になったかな?



【積み上がるのは砂上の楼閣、再び顕現するロールシャッハは、斯くの如く────】
175 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 18:07:03.60 ID:JEbGG14D0
>>164(エーノさん) >>173

「ぁ、――――――――、…………、」

【空間に舞い散る鮮血が自分のものではないとわかった瞬間。確かに少女は「恐怖」した】
【大好きな人が傷付くことが何より怖い。あるいは自分が死んでしまうことより怖い、――――けれど】

【(後方にて、女が嗤っていた。金属の擦れ合うような音を立てて一層輝く瞳の印。それが、)】
【(少女の恐怖心を奪い去る。すれば彼女の調子が元に戻る。敵意に輝く赤色がロールシャッハに再び向けられ)】
【(すれば女も、暗赤色の瞳にてロールシャッハを睨む。この子のココロを縛るのは、おまえなんかじゃない)】
【(この僕だけが、この子の神様であるんだから――。そう言いたげにロールシャッハを見据えて)】

「…………ん、ぅ。エーノさん、走れる? ……無理ならあたしがちょっと頑張ってみる、だから、
 ――――――いっしょにいてね。そしたら何も、怖くないから――――」

【「勝てるよ」。繋ぐ手をぎゅっと握り締め、それだけに飽き足らず、指まできっちり絡めて】
【――まだ足りない。カラダ同士を引っ付け合う。ぎゅうと抱き締める。互いの輪郭を確認し合うなら】
【やっぱり何も怖くないと思えるのだ――そしてそのまま。舞踏するみたいにステップを踏んで】

【――――足元にてリボンが蠢く。蝶の翅。片脚に二枚ずつ、計四枚。それを以って】
【抱き合ったままに飛翔しようとするだろう。そしてそのまま、空を切り裂くようにして前進してゆく】
【途中で妨害されるのであれば――彼女はまた、羽搏くのだろう。そうしてそれを書き換える】


>>(リゼさん)

『そうだよお、リゼ。旋風の用心棒だっけ? オムが教えてくれたんだ。
 “おまえが折れない限り、私が傍に居てやる。全てを薙ぎ払って道を作ってやる”。
 ……そこまで言ってのけたそうじゃない。受け入れた上で、――吹っ飛ばしてやれば?』

【「あんななよっちい男、旋風を前にすればすぐ吹っ飛ぶでしょ」 ――冒涜者は不敵に笑って、リゼの肩を押す】
176 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/10(土) 18:07:32.98 ID:AG0NCCGD0
>>170>>169

「……ぐうッ」

【自分にダメージを与えたことで、幾分か気を紛らわし、思考する周囲を見渡す余裕が生まれる】
【見渡せば、バイクが其処にはあって】
【もはや、這う這うに近い体で乗り込んで】

「行く、ぞ……時間は、無い……から」
「誰か!!切り込みに、行く人は、一緒に……いや、そんな物好き、居ないか……」

【情報が得られないならば、乗り込んでいって得るしかない】
【乗り込み、切り込む役ならば、自分が適任か、と考え】
【一応、その場、付近の者達に接近戦を仕掛けようと思う者が居るならば、と声をかける】
【後部座席は、まだ空いている】

「今度ばかりは、死ぬかも……」

【バイクを走らせる】
【狙いは、異形の足元たどり着けたならば、そのままバイクの前輪を上げて後輪でのみ走行し】
【その前輪を叩き付ける攻撃手段を取るだろう】

「(まさか、な……いや、あるいは……)」

【途中、近くに居たギア・ボックスが聖水を地面に落とし】
【それが、まさに波紋のように地震を起こすのを見て】
【かつて八課で読んだ、虚神との戦いの記録で似たような物】
【レッド・へリングとの戦いの際の状況を思い出すも、否、まさかと頭の中でそれを否定し】
177 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 18:11:07.96 ID:qxWnDWXw0
>>170

――――――――ッ!?

【放った攻撃が無為に終わる。その分だけレグルスの中に焦りが生まれる。酸素の補給なしで肉体を酷使し続ければ、限界など意外なほどにすぐさま訪れる】
【だが、その刹那――――奇妙な感覚が響いた。どこか感じられた浄化の力――――誰か(>>163)の攻撃だろう――――そして、確かな異形の『揺れ』】

(っぐ……くそったれ、こんな時に、用意したクリスタルは……ッ!)

【咄嗟に、腰から、事前に用意したクリスタルを――――魔力的に減退して以来、それはある種の習慣と化していた――――取りだすが】
【そこにあるのは、赤・ピンク・黒――――即ち『火』・『命』・『闇』――――この戦闘自体が不意のものであったせいで、『光』を用意していなかった】
【まして、呼吸ができないせいで、声も出せず、詠唱が出来ない。これでは宝の持ち腐れだ――――己の不運を、ひたすらに呪うしかなかった】

か――――――――ッッ!!

【悔いるのも、自嘲するのも、もはや余裕にない――――咄嗟に、赤のクリスタルを引き抜くと、レグルスは異形の足元へとそれを投げつける】
【異形を中心として、辺り一面に炎がぶちまけられた。詠唱で力を引き出せない以上、それは『魔力で出来た、少し強力な火炎瓶』程度でしかない】
【ただ、炸裂系の武器は、正確に撃ち込まずとも、周辺を薙ぎ払ってくれる事に意味がある】
【まして――――この存在が『周辺の空間ごと』包みこんでしまえば――――という、ある種のひらめきが正解だったなら――――】

ぁ――――――――

【――――しかし。時間切れは容赦なくやってきた。死神の手は、遂にレグルスの心臓を捉えた。そして、握りしめる――――】
【筋肉の酸素量が、遂に限界に達したのだ。そして、直前まで激しく運動していたせいで、消耗からの進行も早く――――】
【『哀れにもがく』暇すらなく、レグルスは倒れる。そして、顔色が青く染まっていく――――筋肉が、一気にチアノーゼを起こし始める】
【もがかない以上、微かの呼吸すら、もう期待できず――――血管は、細胞は、一気に壊死の道を転がり落ちていった――――】

「――――――――ッ!!」

【そして、『打つ手がない』という意味では、ラベンダーも同様だった。自分の魔力に、破邪の力など無い。純粋な破壊の力でしかない】
【原理は――――答えに近づく事は出来ても、自分から行動を起こせなかったのだ】

「――――っく、は――――れ、レグ――――っぐ――――ッ!!」

【諦念の中、ラベンダーは思わず、苦しみに胸を抑える。それで、わずかに呼気が入ってきたが】
【それも一時の事――――レグルスの現状を視認して、思わず名前を呼ぼうとしても、その時間すら残っていなかった――――】
178 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 18:14:23.65 ID:TGNFsfh00
>>173

【革靴の中にある白い粉を払う、しかし履けばまた違和感=Bマリアベルは同じ動作を二、三回ほど繰り返せばため息を吐き出し】
【ついには靴ごと遠くへ投げ飛ばしてしまった。ここは夢の中だからどうだっていいやという投げやりさすら感じる】

【そうして休日のサラリーマンのように肘をついて寝転びながら、まるでワイドショーを無感動に眺めるように】
【事の流れを見ているだろう。】



知らぬが仏=B―――まぁ確かにそうだろうね。
ギャンブル=A酒=ASEX=Bそれを知ってしまった若者がそれによって人生を狂わしていくように
無知の知≠ニいう言葉があるように、真の叡智≠ニはまず前提として知らない℃魔ェ重要であると。


―――とはいえ、やはり私ではないな。何せ処理落ち≠キるまで認識してしまったんだ。今更振り払えない。
であればこの場にいる他の能力者。より純粋な能力者≠ノお任せするのが筋だろうし効率が良くないかい?



【マリアベルはそう答える。それはある種の驕りでもあったし、自身への諦めでもあった―――。】
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 18:20:11.96 ID:HUsOZ0yN0
>>170>>172>>お近くの方

【――――――――、はあ、と、吐息が漏れた。それは果たしてどんな意味合いであったのかを世界に知らしめる必要はなくて、ただ愛しい人に通じたらいい】
【じくじく痛む左手から流れ出る血液が指先より滴っていくのだとしても、再び呼吸を紡いで笑ってくれたなら、それだけで、もう、十分すぎるから】
【どこまでも飛んでいってしまったボールを上手に見つけられた子犬のように笑っていた。血まみれの指先が手繰るなら、アリアの指先まで、そうと撫ぜ下ろそうと、して、】

――――――――。

【恋人同士がするように絡ませ合う。そうして数秒後に放すのなら、――その左手薬指に、くるりと、マゼンタ色が、まるで指輪のように】
【綺麗な宝石も細やかな装飾もありはしないけれど、それでも、二人を証明するには多分に十分で/けれど幾らか物足りなくて、――少なくとも、】
【うっかりと手を離してしまってもアリアが息を詰まらせないための保険であるらしかった。本当のやつは、その内くれたらいいですよって仄めかすみたいに、目を細め】

…………あれ、なんか、みなさん、死んでらっしゃる。お元気、じゃなさそう、ですね――。
――どうしようかな、私、病み上がり、なんですけど――。出来なかったら、なんていうか、こう、多分に怨まれそう、というか……。
なんていうか……。

【――それで初めて、少女はすらと立つのだろう。震える怯える子犬みたいな足取りじゃなくって。よいしょ、って、きちんと、自分の意思で】
【ならば幾らかの強がりを宿してはいた。それでも、"できた"。その一点にて、めいっぱいに自分は無能じゃないって言い聞かす、痛くて、痛くて、今にも甘えてしまいたいけど】
【たらんと垂らした左手ではなく右手の指先にて自身の胸元を撫ぜあげる、――そろり、と、虚空より引きずり出されるのは、幾条ものマゼンタ色で、あるなら】
【眼前にて迫る異形、ではなく。少女はその場に居合わせる他人へと阻害の力を向けるのだろうか。とはいえ、アリアへしたことと同じことの、繰り返し】
【呼吸を阻害する作用を阻害するといういたちごっこにも似る作用。ぐると腕なり足なりどこぞへリボンを巻き付けようとするなら、それもまた、アリアへしたのと同じであり】

【――――――もしも同じに通用するなら、呼吸の確保は出来る、って、信じたい、けれど】
180 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 18:26:01.37 ID:XDnSkEvG0
>>173>>179

【「 ……… シグレにだけ、無茶はさせるもんか。」流れる血の傷痕を、凝り集まった霧氷が漸く止めるのだろう。そうして、】
【愛しげに指を繋がれて抱き上げられるのならば、 ─── 少なからず彼は驚きに身体を震わせ、それでも】
【畢竟シグレに全てを預けるのだろう。ならば青年に向けられる睨視は、二人の分に留まらず、彼もまた】


    「オレは、手間ェの中に居るんだろ。」


【援護射撃を繰り返す事はなかった。 ─── 彼の取れる方策は限られていたから。低められた声が、確かに恐怖を示しているならば】


        「 ──── だったら」「手前ェも、燃え落ちろ。」


【 ──── ミレーユの左胸から、黒い炎が生まれ出ずる。ならば炯々と畝る熱量は、朝焼けに開く冥府の花にも似るのなら】
【確かにそれは、彼の孕む"恐怖"そのものを薪としていた。然して肝要であったのは、彼の情念を灰に帰する試みに非ず】
【寧ろ止め処ない物でなくてはならなかった。 ─── 即ち、彼の感情をロールシャッハが存在のうちに取り込んでいるならば】
【それにもまた"炎"を育て、観念諸共に焼き払おうという、一つの空論。例えそれが、ミレーユ自身の躯体を焼くものだとしても】
181 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 18:31:00.45 ID:Bbrz69m5o
>>170
(少なくとも、聖属性が通用する……虚神がそうなのか、この怪物がそうなのかはわからないけど)
(少しでも、有効に働くのなら――――!!)

【ギアは、少しずつ状況を把握していた。それは肉体を持たない生き人形だからこそ】
【呼吸の阻害が、魂に影響を与えても、肉体そのものはないからこそであろうか】

【まずは思いっきり哀れっぽく、泣きそうな赦しを請うような表情でのたうち回る】
【そうしながら、体内にしまい込んでいたゼン=カイマの聖水を所かまわず撒き散らした】

【あるいは、人形の身体の隙間から霧吹きのように。あるいは水鉄砲型の玩具武器、『アシッド・ウォーター・ガン』から直接に】
【地面に。建物の壁に。異形そのものに。生き人形は、壊れた玩具さながらに、聖水をバラまいた】


>>174
く、ふふふ、お前こそ知ったような口を利く。よその世界から割り込んできた化け物風情が
文字通りの『水槽の脳』というやつか? 水に浮かんだ脳みそに電極を繋いで電流を流す
脳みそ自体は、自分が普通の人間なのだと錯覚する

確かに、人間は自分の感覚というフィルターを通してのみ、己や世界を認識できる儚い存在だろう
だが、そんなことは関係ないね。たとえ脳だろうと電極だろうと、私は私だ
その程度で自我を揺らがせるような奴は、単に己の形の認識が甘いというだけの話だ

物は言いようだな。お前から見れば、子供が耳をふさぐのと同じか
財団がお前を軽視したのもわかるというものだ。所詮、貴様など人間と変わらない、水槽の脳のように不安定な存在だ

何でも試してみるのが私のやり方でね。それに、お前を殺したいほど憎んでいるのは、私よりも他にいる
私は他人そのものは食うが、他人の獲物を横取りするのは好きじゃあない

【言いながら、カニバディールは地面に電流を流す。指向性をロールシャッハの方に向けて】
182 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/10(土) 18:47:02.37 ID:aFW1iTnO0
>>173-174

【死力を尽くし、文字通り死を間近に迎えながら放つ刃もまた無為で。】

――――――――ぅ、ぁ……!

【仮死状態から回復すれば、ロールシャッハを討つために“殺した”数多の心なき命と、自らの脳髄に入れた刃が否応なく心を荒れ狂わせる】
【ひとつ命を零すことがひどく痛むものには、どれだけの痛みだっただろう】
【一瞬だけ漏らす声と表情は、自らの一刀で灼け落ちた黒衣ではなく、橡色の瞳に】
【あまりにも色鮮やかに、ただの櫻の少女のよう、なにもかも溢しそうな、感情を溢れさせた】

……分かって……いるじゃ、ない――――――――
それでも……どちらも、譲ることなんてできなくて。

だから――――……どちらも、相手のさきに征こうとすることしかないのでしょう?
貴方が人を踏み躙り続けることを……疑う余地は。今の私は、得られていないのよ

【わずかに覗く感情は、"切断者"には、きっと不釣り合いなものでもあって、】
【弱り切った声、“それでも”止まることのない前進。躯が動いてくれないのなら――――神経(せいぎょそうち)から自分自身の動かし方を奪おうと】
【さあ、何者であるのかを取り戻せ。戦う意味を、在ることの理由を。失ってはいないだろうと――――過去と未来を己に課して、】

……ッ、――――――――!

【振り絞る意志力は、“少女”に“兇器”を取り戻す。視線を確かに、手段を見定める。距離は、一歩で刃を放てる間合いに過ぎなかった】

……、……――――、――――――――。

【白く薄明りを灯す様な刃。それは、肉体を傷つけるための攻撃ではなく。或る者には、それ以上に危険を含んだものだっただろう】
【精神接続の先を、時戒の宝玉からロールシャッハへと切り替えるための一刀、】

――――――――……ハァアアア――――――――ッッ!!

【かつてシャーデンフロイデに用いた一手に似るが、此度の目的は“伝える”ことではなく“知る”こと――――】
【つまりロールシャッハの記憶より、その所業と"視る世界"を、己が感覚として受け入れることに他ならない】
【虚構現実にて識った、虚神と繋がったがゆえに歪み、狂った者たちを忘れた訳でなく、】

【どれだけの痛苦であろうと、受け止め、越えねば守れないのならば躊躇わない。ただ、それだけの話だった】
【そしてもう一つ在る理由は――――今は、思う必要も意味もないことで。ただ、目的のために刃と成っている。叫びは、心の代わりに血を流して】
【肉体と刃は、感情を振り切る意志に担われた。故に――破滅が待とうとも、“越える”ためにこそその焔は在った】
183 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 18:52:46.73 ID:XDnSkEvG0
//今更ですが>>180は普通に>>175でした…すみません!
184 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 18:53:28.80 ID:FHL/nT/Ro
>>172>>176>>177>>179>>181

【異形に放つアリアの弾幕、ライガによる前輪の叩き付け、──── 強力ではあるが、ダメージになっているとは言い難い】
【攻撃を受けた部位から靄が集まり再生していく、物質的な攻撃に対する耐性はかなり高いのだろう】

【レグルスの放った赤のクリスタル、周囲に広がる煌々とした炎の海が、地面に広がり、廃墟までも広がっていく】
【寸刻その場にいる全員は認識するだろう、一際大きく空間自体が "揺れた" ──── 空間に対する攻撃の有用さ】
【しかし、空間に関する攻撃であったならば、アリアやエーリカの放った流れ弾が傷を付けているのも事実だろう】


【──── ならば、と思考する、一番効果的であったのは間違いなくギア・ボックスの放った聖属性の攻撃】
【次いで、レグルスの放った炎属性の攻撃もまた、効果的とも言えた、──── そして空間もその例に漏れず】


殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、

殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、


【事実、所構わず撒き散らされるギア・ボックスの聖なる攻撃が、異形の身体を大きく削り取っていく、身体を崩壊させ膝をつき、嘶くように言葉を紡ぐ】
【加えて周囲の空間もまた大きく揺らいでいた、聖水を撒き散らす行いによって、大きく状況が変容していく】


【異形もそれを察したのか、溜めた魔力を解放する、──── 再び放たれるは "黒い雨" 】
【しかし、今度はその規模は比較的小さい、魔力を溜めている間の攻撃が原因か、性質は変わらずとも、威力は確実に弱まっている】


【そして、異形は発動中は他の攻撃行動に移れない、──── 明確な隙が、そこには生じていた】
185 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 18:53:39.37 ID:FHL/nT/Ro
>>178

【徹底した無関心もまた一つの手段であるのだろう、そもそもこの交戦こそが、ロールシャッハにとっての意味合いを疑問視される】
【彼はわざわざ表舞台に立ち、能力者達と戦う必要など無かった、現に彼の与える危害とは、そこまで大きなものではない】
【茶番と表現しても差し支えなかった、だからこそ、マリアベルはこの状況を夢と想定するに迄至ったのだろうか】


僕からそれをとやかく言う権利も理由もないからね、君のしたい様にすればいいのさ "深淵渡り"
──── けれども君は探求者なのではなかったのかな、君の根源的な欲求とはつまり、知りたいと思う事だ
例え処理落ちしたとしても、その本能にあらがえない、だからこそ、君は今この場に居るのだから

一つたきつけるのであれば、この状況は、僕が想定する "最も喜ばしい状況" だよ


>>181

おや、まだ "よその世界" としか認識できていないのかな、だとすれば存外に想像力に乏しい様だ
僕の糧は恐怖である以上、想像力を持つ存在に対しては、相応の敬意を払うのだけれど ────
状況を把握できない木偶程僕にとって不必要なモノはないと、十分理解できるはずだろう?

──── ああ、なるほど、 "君" は "水槽の脳" をそう捉えて居るんだね、だとすれば
君は "君" だと思いこんでしまうのも、無理はないんだろうね ────

やはり君は現状の認識が甘い、之は鹿狩りみたいな演目じゃないのだから


【──── 電流が揺らいだ、指向性が逆流し、放ったはずの電流がカニバディールへと向かう】
【存外に荒唐無稽な行いであった、それこそ最早、何でもありな様に】

>>182

【ロールシャッハは嗤う、反動的に溢れ出る感情は、──── 精神に溢れるその彩りは、彼にとって最も好ましいモノ】
【テイスティングするワインの如く、その乱れ咲く全てに、舌鼓をうつように────】


──── 共存したいって何度も言っているんだけどね、中々理解してもらえない悲しさがあるよ


【柊はロールシャッハの記憶に "接続" するだろう、──── 彼の持つ "視点" を描く】
【そこには数多の "精神" があった、色濃く映る恐怖の色合い、そしてその他の精神も、色分けされているかの様に】



【──── 否、もう一つあった、主観世界がロールバックする、一人称から "三人称" へ、──── 映るのはFPSからTPSに変わったかの如く】


【視点が移行する、ロールシャッハの見ている世界が、自らの見ている世界と異なる事を伝えるように】





【──── 大きく一度揺らいで】       【弾ける】        【次の瞬間、柊は強制的に接続を断ち切られているだろう】
186 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 18:53:48.60 ID:FHL/nT/Ro
>>173>>175

【その精神の作用をロールシャッハは敏感に察した、生まれた恐怖心がかき消える、──── 交錯する視線、成程、貴様か、と】
【リゼの時と同様に、彼にとっての慮外であったのはその存在とも言えた、非戦闘員、非力なマッドサイエンティスト、けれども】
【その飽くなき探求心と、冒涜的な発想力とは、確かにロールシャッハに対しての牙になるのだろう】

【夕月に運ばれるミレーユ、一心同体、阿吽の呼吸で描く軌跡は、揺るがぬ二人の絆を指し示す様で、そして】
【生まれ出る黒い炎、恐怖を糧にして燃やす作用、──── 成程、それもまた効果的であった】

【──── 夕月という存在は非常に強力な力を持ちながら、非常に繊細な心の持ち主であった、 "電波通信" の失敗を思い起こさせる】

【一度ならず二度までも、と、──── "冒涜" は "恐怖" に打ち勝つのだろうか ──── 】




──── 孤独に進む暗夜の航路、右も左も分からない暗闇の中で、一條の光が見えたとしよう
ニンゲンは其れに縋り付く、それが例え冥府への道しるべであったとしても、その可能性を信奉するのだから

例えどんなにか細い光であったとしても、ね、──── そうだろう?




──── "絶望" がニンゲンを殺すんじゃない、 "希望" がニンゲンを殺すのさ



【夕月の足下に蠢くリボンが "消える" ──── 推進力を失った夕月は、このままだと落下してしまうだろう】
【ロールシャッハの描いたペテン、シャーデンフロイデの遺伝子を宿した能力であれば、彼に対して効果的であろう、という】
【──── そんな希望を、彼は蹂躙することにした】



残念だね、 "キミ一人" なら、僕を殺せたかもしれないのに



【飛翔状態からの落下、どれくらいの高さにまで上昇していたかは分からないが、落下による衝撃は決して生半可なものではないだろう】
187 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 18:54:23.02 ID:FHL/nT/Ro
>>186
/安価に>>180も追加でお願いします
188 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 19:12:15.28 ID:FHL/nT/Ro
>>(リゼ)

【──── ブラスフェミアとリゼの化学反応、ロールシャッハの想定に於いては限りなく存在し得ない可能性】
【けれども、存在しているという点でそれは確かだった、然るにロールシャッハはその点で自身の敗北を認めなければならない】
【過去を蝕んだ相手ならば、──── 復活する事も不可能であると、思っていたかった】


──── 全部吹き飛ばすとは威勢の良い言葉だね、単純な言葉ほど脆いものもないけれど
……今この状態に於いては、中々に厄介だとも言えるよ


【リゼの考えは正しかった、自らを鼓舞する事は恐怖に対する処方箋とも言えるのだから】
【けれども、放たれる雷の魔力もまた、ロールシャッハにダメージを与える、とまではいかない】
【攻撃が直撃しても尚、その場に佇む様子は、空恐ろしさすらも与えるほどに】


>>(エーリカ)

【空間へと流し込む刃の魔力、その発想に至るまでの過程は正しくもあり、間違ってもいた】
【再び大きく空間全体が揺れる、何かしらの突破口とするには十分すぎる反応だろう】
【──── けれども、完璧な回答とはまだ言えない、もう暫く魔力を流し込む必要性があった】


189 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/10(土) 19:12:27.72 ID:AG0NCCGD0
>>184>>181

「こんのッ!」
『ライガ!効いてないよ!』

【近接し、前輪を叩き付ける事には成功したが、どうにも、その攻撃は効果を出していない】
【ダメージを与えていないのだ】
【そうしている内に、周辺ではこの場の者達が全員で攻撃に当たっている】
【バイクを駆り、周辺を走行しながら、その様子を観察すれば】

「(効いている攻撃と、効いていない攻撃がある……魔翌力、と攻撃場所、それも魔翌力の性質によるもの?)」
「(だとすれば一か八かだ!)」
「スマホさん!」
『大体解るわ!よーし、やってやろうじゃない!!』

【バイクを走らせ、ギア・ボックスの直ぐ傍まで】
【そこでバイクに跨りながら】

「ギアさん!!」

【聖水を撒き散らし、空間への攻撃を実行する彼に、こう、物理的な意味でも息も絶え絶えに】

「力を、貸してください!!」
「ギアさんの能力、使わせて下さい!!」

【ベルトからスマートフォンを外し、ギア・ボックスにまるで写真を撮る様に】
【カメラを向けてそう叫んだ】

『ライガ早く!次のが来るよ!!』
「解ってます!!ギアさんも……よければこっちに乗って下さい!!」

【もし件の黒い雨が降る前、その攻撃が来る前】
【その『行動』が上手く終わったならば、即座にバイクを走らせその雨の範囲から離脱を図るだろう】
【無論、ギア・ボックスが後ろに乗るか載らないかは、彼の意思に委ねられるのだが】
190 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 19:12:57.52 ID:TGNFsfh00
>>185

【頬をぽりぽりと掻きながらロールシャッハの聞き、ふっと微笑みを零す。】
【そして再び上半身を上げて胡坐をかくと顎に手を当てて考える動作をする―――。】


やはり貴方は優しいねぇ、不作法な客にもわざわざ道を示すのかい?それこそが共存≠セと

――――――farm≠ゥ。それならば厄介だなぁ、五億年ボタン≠ヘご免だよ。



結局のところのカラクリは相互観測≠チて事かい?
私≠ヘ貴方≠ナ貴方≠ヘ私=\――故に味方≠セと。


【状況の把握はまだ追いつかないが、マリアベルは胡坐をかいたままロールシャッハへと問いかける。】

191 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 19:13:01.02 ID:qxWnDWXw0
>>184

【――――――――『弁慶の仁王立ち』というものがある】

【激しい運動から、即死に近い形で死んだ人間は、一気に死後硬直を起こす。伝説自体は眉唾だが、その内容は、現実に起こりうる事なのだ】

【――――――――通常、『縊死』した人間を蘇生できるのは、5分がタイムリミットである】

【そこから先、蘇生の確率は1分ごとに半減していくというのが、統計によって明らかになっている】

【――――――――だが、それは通常の状態においてである――――――――】

――――――――

【レグルスの身体が、微かな痙攣を見せる。肉体は、無意識の中で最後の足掻きを見せていた】

【が、それはほんの数瞬の事。酸素を失ったレグルスの身体は、急速に死へと向かう】

【――――死神に掴まれた心臓は、今まさに、握りつぶされようとしている。彼の蘇生の猶予もまた、1分ほどが限界と考えて、間違いないのだろう――――】

【そしてその1分は――――素知らぬ顔をして、あっさりと過ぎ去っていく――――あっさりと】



「は――――っか、ぁ――――――――ッ!!」

【それを見ているラベンダー自身、己の呼吸に苦しんでいるのだ。何もしてやれず、また仲間が死ぬ。今度こその『本能的恐怖』が、異形の作用を受けて、増幅させられる】
【そして何より――――中途半端な呼吸のせいで、気絶もしない状態でいる事が、想像以上の苦痛だった】
【心身共に、搾り上げられる。苦しみと恐怖が、ラベンダーの虚ろな瞳からとめどなく涙を流れ落ちさせていた】

「――――――――ッッ!!」

【破れかぶれに、形振り構わず、ラベンダーは両手に魔力を収束させると、涙の雫と共に、思い切り周囲へとぶちまけた】
【――――状況が、まるで話に聞いた『レッド・ヘリング』のそれに近いと、そう感じたのだろう】
【異形自体と共に、この空間――――突然引きずり込まれた、あるいは書き換えられた――――この空間もまた、攻撃対象なのだろう、と――――】

「ぅ、ぁ――――――――」

【――――しかし、死神の手は、とうとうラベンダーの心臓すら補足した。徐々に力を失い、ラベンダーの膝が折れる】
【半端に供給される酸素も、もう限界で――――苦痛で埋め尽くされた思考は、もう正常に働かない】

【――――意識が、遠くなっていった――――】
192 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 19:13:05.45 ID:TGNFsfh00
>>185

【頬をぽりぽりと掻きながらロールシャッハの聞き、ふっと微笑みを零す。】
【そして再び上半身を上げて胡坐をかくと顎に手を当てて考える動作をする―――。】


やはり貴方は優しいねぇ、不作法な客にもわざわざ道を示すのかい?それこそが共存≠セと

――――――farm≠ゥ。それならば厄介だなぁ、五億年ボタン≠ヘご免だよ。



結局のところのカラクリは相互観測≠チて事かい?
私≠ヘ貴方≠ナ貴方≠ヘ私=\――故に味方≠セと。


【状況の把握はまだ追いつかないが、マリアベルは胡坐をかいたままロールシャッハへと問いかける。】

193 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/10(土) 19:17:02.89 ID:aFW1iTnO0
>>185-186

……そう思うなら、せめて――――他者(だれか)が人には替えの利かないものだと、そう理解する努力ぐらいして物を言って。
踏み躙りすぎてきたのよ、貴方は――――……!

【通す刃は、確かにロールシャッハの感覚を識らせた。この空間自体を観測手段とする様で、――――けれど違和、】
【自分の視界、そのものと思えたのだ。そして、交わした言葉、ロールシャッハと共闘者たちが交わした言葉に、思う】

【"虚神"たちは、"切断者"とは別の意味で欠落者だ。幾度となく刃を交え、今なお強く蘇る、いくつもの光景が確信させて】
【此度は、如何なる存在なのか――――探る術は、絶無ではないのだろう】

【ロールシャッハの辛辣な態度は、カニバディールに対してあまりにも顕著で。その理由や、何を歓び、何を求めているのかを思う】
【そして、今の、真実を吐露する様な言葉――――――――。】


……貴方は――――"恐怖"を通じてしか、他人(ひと)を他人(ひと)と認識できないの?

それ以外は、どこまでも他者が観測する、"他者にとっての世界"でしかない……――――
だから不可分の隣人だと、そんな言葉を吐いてきたなら……、――――――――、

【この問いが、己にとって決定的な分岐線となるのか】
【未だ知り得たことは多くなく、けれど、絶対に欠かすことのできない問いを投げた】
【恐怖ではない、何らかの感情。今の柊がロールシャッハを視るのは、彼の糧となることのない、別種の彩を通じたものでしかない】
【それに対する反応もまた――――或いは、理解の一助とはなるのかもしれず。虚神の敵は、不可思議な静寂を以て返答を待つだろう】
194 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 19:18:23.71 ID:JEbGG14D0
>>180>>186

【スキマさえ生じさせないほどに抱き合っていたなら、きっと彼の炎は少女にも燃え移った】
【けれど彼女は腕の力を弱めない、むしろもっと、もっと――ひとつになりたい欲望を抑えきれぬように】
【たとえ一緒に燃え墜ちようと、きっと彼女は怖がらない。だってそんな心を抱くことは許されなかった】
【他ならぬ、彼女を創った冒涜的な、あまりに冒涜的な女によって。(――――――だけど、)】

「『あ、』」

【ぶつんと何かが途切れるような音がした。翅が消える。宙を踏むステップが乱れて、そのまま】
【軽い躰が落下し始める――ならば抱き締めていたエーノもろとも、地面に叩き付けられるのだろうか】
【実際、途中まではそうだった。けれど少女は――――そこで初めて腕の力を緩めて、】
【手放してしまった。彼の身体を、ロールシャッハの言う通り、彼ひとりならば着地もできるかもしれない】
【そう思ってしまった。だから彼女は、ひとりっきりで落っこちていくのだろう。一緒にいてって言ったのは、この子なのに――】



【―――――――――――     (47キロの身体が地面に打ち付けられる音)   、  (甲高い金属音)】



『――――――――っぐ、ゥ――あ゛、っだ……みれーゆ、ミレーユ、聞こえる?
 僕だよ僕僕、冒涜者、ァ――――いっだ、カラダ痛ァ……げほっ、これダメだ、骨とか内臓とか、ッ、
 …………シグの傷、確かに僕が“預かった”! だからあんま、なんも、……けほ、気にすんな……っ』

【――――遥か後方より。苦痛の呻きの混ざる女の声が響き渡る。見やるなら、……彼女は血塗れになっている】
【何事かと思うのは、きっと彼だけではないのだろう。……地面に墜落したはずの少女が、無傷で転がっていて】
【天を仰ぎ見ながらぱちくりと瞬いて――そうして理解するのだろう。今しがた負った傷すら、奪い去られたのだと】
【どうしてそんなこと、冒涜者がやったのかはわからない。わからないけど――そのおかげで、今のところは彼女は、無傷】
【エーノのこと、心配させたくなかったんだろうか。それとも少女が傷付き斃れるのを恐れたんだろうか、――】
【(…………………………まさかそんなこと、冒涜者が思考するはずないだろうけど。)】


>>(リゼさん)

『…………けほ、ふ、……おっけー。肩貸す必要、なくなった……ね、そんじゃー僕は休ませてもらう、
 ……なんだよもう、この戦場で一番ボロボロなの、非戦闘員の僕じゃんか……わりにあわねー、っ。』

【リゼが正しく自分を認識できたというなら。もう自分がやることなんて何もないと言いたげに】
【傷を負った冒涜者は、べしゃり――その場に崩れ落ちる。全身くまなく打撲痕を負っていた】
【いつの間に、どうしてそんな傷をこさえたんだか、リゼにはわからないかもしれないが――それでも】
【こいつはこいつなりに、何かしらの役目を果たしたらしい。……倒れ込んだ細い躰は、ぼろぼろだけど、まだ息はある】
195 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 19:22:42.97 ID:XDnSkEvG0
>>179>>184

【笑い合うのであれば最早なにを恐れる事もなかった。 ──── 左手に宿った愛しい色合いを、確かめるように撫ぜて、瞳に映し】
【次に降る黒い雨は引き出した装甲に隠れるならば避けるに足るものであった。奮い立つような嘆息を、ひとつ】



「 ──── あまり、」「呆けてはいられないわね。」


【戦車を再び血中に沈めて、 ──── 代わりに引き出すのは、二挺の"擲弾投射器"/ダネルY3グレネードランチャー。】
【ベルトリンクに接続された数十発の燃料気化焼夷弾頭を、誤射を避けつ街並みにバラ撒く。純粋な撃ち合いに理がないと見るなら】
【 ─── 余り多くの方策を取れぬのだとしても、撃ち尽くすまで乱撃は続くのだろう。信じるものがあるゆえ】


       「憐れむならば、」「 ──── 貴方の望むがままに。」


【 ──── バレルから白煙を上げる二挺を投げやりに捨てるなら、攻勢の一先ずの終了であったか。】
196 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 19:25:13.13 ID:Bbrz69m5o
>>179
――――かはっ!? これは、貴女が……?

【かえでのリボンが、一時呼吸の阻害を阻害する】
【取り戻された彼女の能力、陳腐な言い方をすれば彼女の伴侶の愛がもたらした奇跡か】

【ならば、己のすべきことは一つだ。礼を言うより行動で示せ】

>>184
【間違いなく効果はある。>>177にてレグルスの放った炎とは、自分の聖水は少々相性が悪そうだ】
【ならば、集中すべきは異形。容量の小さくなった怪物を睨む。そこへ、規模が小さいとはいえ、またも黒い雨】
【まごまごしていては、また動けなくなる。ギアは、即座に行動に移した】

わかった……今、終わらせるから……
『ウォーター・バルーン』……!!

【野球場などで飛び交う、ロケット風船。中にたっぷり聖水を詰め込んで】
【ギアの能力でその意志を正確に反映し、風船はその状態で飛ぶ。派手な音と共に、異形の周囲を旋回しつつ】
【雨のごとく聖水を降り注ぐ。悲痛な嘆願を叫ぶ異形に、応えるように】


>>189
【呼びかけられる声。生き人形が反応する。向けられるスマートフォン。疑問を差しはさむ猶予などない】

ライガさん――――わかりました!! 使ってください!!
僕の念を込めた聖水もお渡しします!!

【そういうと、ゼン=カイマの聖水を詰めた小瓶たちをライガへと渡す】
【続くライガの誘い。飛びつきたかったが、しかしギアにはこの場でただ一人、以前からの仲間が見えていた】

すみませんライガさん、ちょっと緊急事態です!! バイクはお二人だけで!!


>>191
ラベンダーさん――――!!!

【ギアは、そちらへと跳んだ。今まさに消えかかっている命へと】
【残りありったけの聖水を、まずはレグルスへとぶちまけ、黒い雨を洗い流そうとし】
【続いて、水鉄砲の中の残った聖水全てを、魔力を解き放った直後のラベンダァイスへと放つ】

【同時に、手は己の中へ。ギアは本質的に臆病な男である。だから、いろいろと備えている】
【取り出したのは、医療用の人工呼吸器。皮肉にも、以前肉塊状態のカニバディールが使っていたのと同じモデル】
【直後、彼の胸部を圧迫。蘇生作業。間に合うのか】

【この一連の行動すら、弱まったとはいえ黒い雨の中。妨害なく成功するかどうかも、五分だ】
197 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 19:30:26.75 ID:XDnSkEvG0
>>175>>186

【踏み抜いた階段の次なるを失うかのように、 ─── 降下訓練の幾ばくよりも致命的に落ち行くならば、】
【入射角としては確実に死を齎すものであるに違いなかった。だとしてもせめて、縋るように抱かれた身体が離れる瞬間に、】
【手を伸ばすならば確かに少女の肌を掴もうとするのだろう。 ─── 例えそれが着地姿勢の不全をもたらすのだとしても】


「手前ェ、 ─── 何を、抜かして、ッ」


【イカロスの哀しみを独り負うならば空に溺れるより他に方策もなく、重力加速度の無慈悲な痛打が臓腑を潰して】
【 ──── 吐き出した赤黒い喀血が宿った炎さえも消してしまう。語られる声も、嘲笑われる声も、何も聞こえぬまま】


       「 …………─── ッッッ、」


【去来する感情の過多に動けぬまま、 ─── 彼は酷い顔をしていた。「 ……… ごめん」誰に届かぬというのに呟いて】
【処理できないものを抱えたまま急激に思考ばかりは冷静に染め上がっていく。ひとつ息を吐いて、もう一度、もう一つ】
【確かなのはブラスフェミアへの感謝であるに違いないだろうか。 ──── もう少し、もう一刹那でいいから、時間を求めて】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 19:40:02.54 ID:HUsOZ0yN0
>>エーリカ

【もしもエーリカが視線を少女へ巡らすのなら、――あの日に泣きじゃくっていたあどけなさは、いくらも、潜められているのだろうか】
【左手からぼたぼたと血を垂らしているのが不穏ではあったが、痛みを呼び水に能力を引き摺り出したらしい。とはいえおそらく本調子ではないのだろうけれど、】
【――――やってみたら意外と出来たよ、みたいな、顔して、ちょっぴり得意げに笑うのだ。――ごく拙い万能感、その唇の端っこに、添えるなら】

>>196

【ぱちりと目が合う。それ以上の反応はおそらくなかった。――そしてまた気づくのなら。彼にもぐるりと巻き付けた阻害の力をたあぷり宿した、紅いリボン】
【うまく扱うのなら、他者へその力を一部流し込むようなことも出来るかもしれなかった。そうする場合、ギアの分であるはずの分は、もちろん、目減りしてしまうけれど――】

>>195

【そうしてまた、愛しい人と笑い合うのなら、それだけで世界中の世界を説明するのに事足りた。どんな場所だって、何に巻き込まれていたって、だから】
【痛みと出血とに引きずり上げられたテンションが頬っぺたまで紅潮させるに、つまり彼女はいくらかの冷静さを喪っているのだろうことも、見た目にて判断できたが】
【何せ数日もひどくふさぎ込んでいたのだから。痛みと喜びとが重なって。然るに彼女は幾分も子供ぽいところのある性格をしていたから、】

>>184

【――する、と、伸ばしたリボンを回収する。その先っぽをそれぞれ誰かの元へ残して。拒絶されるなら、彼女は無理強いは決してしないけれど】
【或いは何らかの事情で少女から誰かを補足することが叶わなければ、――不本意ながら見落としてしまうこともありうるのかもしれなかった、なんて、】
【どちらにせよ確かなのは、阻害に対する阻害を受け入れるのなら。その作用はいくらも気怠い方向性、冷たく冴える麻酔薬の彩りによく似て、あまり快いものではない、けど、】

――――――――――くふ、ふっ、

【アリアによって護られ続けた少女は結局のところ自分でナイフを突き立てた腕以外は無傷なものだから。ましてやその痛みは能力を引き摺り出すための呼び水であるのだから】
【阻害なんてしないしするはずない。――たあぷりと血を吸った手袋ごと指先を口元に添える。そこに浮かぶ笑みはどんな意味を孕んでいたのかは、誰にも伝えないけど】
【護ってもらったから/護ってもらっているから、――少女は再び魔力を篭めて、異形を見やるのだろう。けれど今度は、それそのもの、ではなく――】
【散らばされる雨。その源。水源と呼ぶにはあんまりに絶望的な源流を、――魔力であるならそのまなざしにて射殺すように。そうなれと願うように、けれど、】

【――もしも、眼差し/Kukulcanに意味があるとして。たくさんの雨粒、その全部を見殺すには、果たしてどれほどの負荷がかかるのか、なんて、】
【きっと彼女は気にしていなかった。大事な人が傷つくのにはおっきな声で喚く癖に。――あるいは無意味であるというなら、舌打ち混じりに目を逸らすのだろうけど】
199 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 19:49:13.34 ID:JEbGG14D0
>>197

エーノさ、……エーノさんっ! あ、っ、…………ッ、

【呆然と地面に転がっていたのも束の間。傷を負う彼の元に駆け寄ろうとして】
【しかし一瞬だけ、視線が自身の創造主の元へ向けられる。――彼女はまだ生きているようだった】
【だけどもう、これ以上の補助は期待できない。……ぎり、と歯噛みしては駆け寄るのを再開して】
【膝から頽れて、倒れ込む彼の顔を覗き込むように、上体を折り曲げる。赤い髪を垂らす】
【そうしてぼたぼたと涙を零していた。かたわれも、創造主も、失いつつある。ひとりになりつつある】
【その恐怖は、冒涜的なる術を以てしても――抑えることができなかった。ひ、と引き攣る声を漏らして】

あ、ぅ、ごめ、なさっ、……ごめんなさいっ、あたしが……っ、うまく、できなかっ……

【泣いたってなんにもならないとわかっていた。わかっているのに止められなくて、悔しくて、情けない】
【傷付いた身体にどう触れたらいいのかすらわからなかった。だから震える手の動きは、彼の頬を包むに留め】
【殺すと誓った敵――ロールシャッハに、無防備な背中を晒しすらして、青い瞳を覗き込む】
200 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 19:55:42.20 ID:Bbrz69m5o
>>185
よくよく、思わせぶりな言い草が好きなのだな。すでに虚構世界はこちらに浸食していると?
それとも、この世界とそちらが表裏一体か

おう、ようやく嬉しいことを言ってくれたな。自分の糧になるか否かでしか判断しないお前から、不必要と言ってもらえるとは
人間の立場からすれば、これ以上なくありがたい話だ

……あのストックホルムの光景こそがすでに、世界の現実だとでも言いたげだな
私の意識が、単なる思い込みだと? よくもまあ、口を開くたびにそんなセリフばかり出てくるものだ

それはそうだろうな、演目だとしたら退屈過ぎてあくびが出る

【言った矢先に、戻ってきた電流がカニバディールを襲う。宝玉の力は、その巨躯を容易く焼け焦がす】
【その頭部が二つに割れて、中から眼球のついた脳が飛び出した。前頭葉の中心には、三つ目の眼球が埋まったままだ】


――――お前がそうまで言うから、試しに脳だけになってみたが。やはり意識は変わらないな

【同じくらいに荒唐無稽。悪罵を投げ合う異形同士、憎悪と共に在る他のメンツと比べて何とも滑稽だ】
【脳から生えた蟹のような四本足で砂漠に立つ。本人の身長と同じくらいに高い足。脱ぎ捨てられた肉体は、電流は収まったが焦げてその場に突っ立っている】

【脳の側面から生えた肉の触手が、探るように空間にたなびく。脳信号がそのまま電気として発生し、雷光のようにきらめく】


>>197
>>199
【その脳みそだけのちっぽけな化け物が、庇い合う二人の下へと歩み寄った】

酷いと思わないか、あの神様気取り、私のことはまるで相手にしてくれないぞ
元はと言えばお前の獲物だろう。寝ている場合か。私の食事会を台無しにしてくれた時の威勢はどこへ行った

【夕月や本人の抵抗がなければ、脳の触手がミレーユへと伸びようとする】
【そのまま傷口に接続して、そこへ補填するように肉と脳内麻薬が注入されるだろう】

【苦痛を和らげ、傷口をふさぎ、傷ついた彼をまた無理やりにでも立ち上がらせようと】
201 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 20:09:22.84 ID:XDnSkEvG0
>>199


「 ──── 泣くなよ」「謝る、なよ。」
「悲しい顔は、 ─── 可愛くない。」「ボクの傷は、ボクのもの、だから」


【割れた黒縁眼鏡の奥に、 ─── 少なからず胡乱な輝きを孕みながら、知死期の声を絞るように、彼はつつやくのだろう】
【乾いた血に染まった左腕がそっと少女の頬に触れた。銀色も紅色もやはり赤黒く染まってしまうなら、それでも】
【白膚の感触は確かにそこにあった。 ─── 行使される彼の異能が、少しずつ少女の頬を冷やしていく。ならば、それは】
【いつか誰かを殺す遣り方を教えた夜と同義であるに違いなかった。片目を瞑ってよおく狙え。それでもダメならもう片方も瞑れ。ボクが助けに来てやるから】

>>200


「 ……… 言われねえでも、」「立ってやるよ。手前ェのケツは、手間ェで拭くさ」

【 ─── 与えられた応酬系の異常活性が下らないものを塗り潰していく。少なくとも痛苦なんてものは、全て全て、意識の埒外に】
【血染めのパンプスを奮わせて、 ──── 今一度、ミレーユは立ち上がるのだろう。へッ、と笑う。異形と化した男へと、不敵さを一瞥するならば】
【同じだけの重みをもって彼もまた信じていた。まだ己れは止まらないし、死なないし、戦えるのだから】
202 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 20:17:52.86 ID:JEbGG14D0
>>200

えっ何キモっ……! 何すんの、なに、やめてよっ、ひどいことしないで……

【大好きな人に何かされそうと悟るなら、最初は庇うように、伸びてくる触手を払いのけようとするけど】
【空中に浮かぶ謎の脳味噌。しかもなんか喋る。率直に申し上げて、キモい――そういう感覚、】
【どこかで感じたような気がすると、思う。それから気付く、……聞いたことのある声をしている、と】


>>201

でも、…………、……、うん。

【自身を冷やしてくれる手をきゅうと握り返す。左手。すればかつん、と指輪同士が打ち鳴らされて】
【半分こにされた箴言がひとつになる感触があった。今我ら、――――、――――知る】
【そうして彼が立ち上がるのを見守るなら、彼女も袖で乱雑に涙を拭いながら、立ち上がる】

…………ごめんね、さっき、離しちゃって。いっしょにいてねって言ったの、あたしなのに。
次からはもう、離れない、離さない――――から。……もっかい、がんばろ。

【かつ、と靴底を鳴らした。次はもうステップを間違えない。最後まで二人で踊り切る。誓うみたいに】
203 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 20:21:36.38 ID:FHL/nT/Ro
>>189>>191>>195>>196>>198>>(エーリカ)

【アリアの掃射によって燃え上がる町中、そして、放たれるのはギア・ボックスによるロケット風船】
【それは押し寄せる波によって消えていく砂浜の城に似ていた、異形の姿は削り取られ消えていく】
【夜明けと共に消失するヴァンパイアにも近い、──── 奇妙な程に幻想的な光景で】

【同時に其れはあまりにも理に適い過ぎていた、荒唐無稽を謳うグランギニョルにとっては、あまりにも陳腐な結末】
【異形を倒すのが聖なる装備だなんて、──── そんな単純な帰結に、私達が取り囲まれていたなんて】
【轟々と燃える火と合わせて、其れはまるで夜明けよりも鮮やかに、時が荒ぶ音色を奏でていた】



──────── どうして



【最後に一片、小さな意思が世界を揺らした、其れと共に、周囲の風景が消えていく】
【描かれるのは "空間的な転移" ──── 何人かは感じたことが有るはずだ、かつてロールシャッハがしたように】
【周囲の風景が変わっていく、状況をそのままに、消えていく異形を背景に、周囲が書き換わっていくだろう】

【状態はそのままであった、危篤状態のレグルスや、受けたダメージ、その他諸々は回復せずに】
【能力者達の脳裏にこびり付くのはあまりにも不浄なる、異形の存在、そして ──── 】



【 ──── 相対すべき、最後の敵】
204 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 20:21:46.02 ID:FHL/nT/Ro
>>190

知性を持つ存在でなければならないのさ、観測者は往々にして、その様に定義されなければならない
そうでなければ、──── 僕のしている催しさえ、認識されなければ全ては泡沫だもの

──── 成程、君はそう解釈したんだね、確かに、その理屈でも良かったかもしれない

でも "君" は "君" で、僕は "僕" だから、──── そこが交わる事は、ついぞ無いのさ

>>193

奇妙な話だね、僕が一体何処の誰を蹂躙したと言えるのだろう、──── 電波通信、無垢の祈り、入水願い
その全てで僕は、 "君達" が利する様に行動していたのに、君達はそれを勝手に解釈したまでさ

──── 僕の見ている世界を、君の視点ではそう捉えていたんだね、前者に関してはその通りと言おう
正確には精神なんだけど、僕にとって限りなく美しく映るのが "恐怖" である以上、そこに大きな違いはない

……後者は難しいね、その問いかけは "決定的に正しく、破滅的に間違っている"
他者じゃないよ、何処まで行っても、この世界は "僕達" のものだから

>>194>>197

──── 悪くない策だと思ったんだけどね、中々元協力相手さんは智慧が回る様だ
でも、恐怖を糧にする炎って発想は良いよ、どうしても僕を殺したいという意思が見える

──── けれど、恐怖を他者と分け合ったなら、それは恐怖を薄める事に他ならない
恐怖は孤独に、哀れに、無慈悲に、一人で対面するものだって、分かるだろう?

>>200

それが "ストックホルム" の真実だもの、虚構現実と、基底現実とが重なり合っている場所、虚構の道理が基底現実に作用する
それは如何にも出鱈目な場で、如何にも出来る場所なんだ、──── だからこそ丁度良い


──── 良い格好だよ、君はやはり、僕のシステムを、そうとしか理解できないらしい

>>(リゼ)

──── 喜びなのかな、けれどもそれが僕にとって、唯一にして最大の行動理念になるのだから
その通り、良く分かってくれたね、──── それが当たり前の作用なんだ、君達が呼吸をする様に

……でも少しばかり遅かったよ、そろそろ序幕も終わる、僕の見せる夢を、終わらせにいこう
205 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 20:21:56.03 ID:FHL/nT/Ro
>>ALL

【 ──── 空間が変異する、異形と対峙していた能力者達もまた、別の場所へと移動する、そして】
【ロールシャッハと対峙していた能力者達も、同じ場所へと合流するだろう、瞬きの隙間に起こる移動】
【各々の傷や状態はそのままに、彼らは室内に居た、薄暗い、──── そして、見覚えのある室内へと】

【 ──── "水槽の脳" ──── かつて、ストックホルムに急襲した能力者達が見た、気味の悪い光景】
【その水槽が在った室内へと、能力者達は強制的に集められた、──── その中央に佇むのは】
【全ての催しの担い手、──── "ロールシャッハ" 】


嗚呼、成程、漸く下準備が整ったという訳だね、──── 存外に君達も時間をかけるものだね
あの程度の異形を片付けるにしては随分と、 "アレ" がどうしてもと願うもんだから用意したけど、大した存在じゃないだろう
或いは深読みして回り道をしたか、──── "君達"の考えは分からないからね、時折、想像も付かない事をする

ふふ、だから僕は "君達" という存在に対して興味を持っている、それは自分自身という存在の根底にあるものだから
それ故に同時に、僕は "君達" を失うことに恐れを感じている、──── この世界を消失してしまう事の恐れだ


僕は "恐怖" した、──── だからこそ、正しきシステムを作り上げなければならないと


【周囲が映し出される、数十個ほどの水槽があり、その悉くに計器に繋がれた "脳" が浮かんでいる、──── 悪趣味な光景】
【けれども、それはあまりに無防備に晒されていた、何処までも哀れに、何処までも弱々しく、何処までも、そう、何処までも】
【見ていて気味の悪い光景であった、けれども、容易く取り除ける悪夢であった、──── そしてそれは】


【──── ロールシャッハも、認識している筈であった】


"君達" は疑問に思うだろう、どうして僕がこんな風に奥の手をさらけ出しているのか、なんて ────
そして同時にこうも思うはずだ、この "脳" は、一体誰のものであるのか、ともね




能力者だとか、権力者だとか、そんな陳腐な答えを期待なんてしていない、──── 僕が求めるのは、もっと根本的で、抜本的な答えさ









よく見てごらん、見えてくるだろう?
206 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 20:22:11.74 ID:FHL/nT/Ro


【周囲の脳が照らし出される、 "貴方" はその一つに目を向けた、健康的な色合いをした脳であった、まだ若い人間のもの】


【近くには "紙" が貼ってあった、"貴方" は凝視する、紙に書かれた文字列に、視線を向ける、そして "認識" する】


                            【  "ライガ・カシワギ" 】


【紙にはそう書かれていた、──── 否、それだけではなかった、その下に幾人かの名前も付け加えられていた】


             【 "厳島 命"、"那須 翔子" 、──── "蘆屋 道賢" 紙にはその他、十数名の名前が書かれている】


【貴方はきっと、それを理解出来ない、けれども "貴方" はそれを理解できるだろう、それらの名前群が指し示す言葉の意味を】



【 "貴女" はまた、別の紙に目を向けた、別の水槽に浮かぶ別の脳に、──── 紙に書かれるのは、別の名前】


             【 "待雪 かえで" ──── "白神 鈴音" 、 "ファラエナ" ────】


【意味のない文字列であった、けれども、 "意味" を持つ、文字列であった、貴女ではなく、 "貴女" にとって ──── 】





──── 分かってもらえたかな、この "水槽に浮かぶ脳" が、誰のものか、多分理解してもらえたと思う
君達にはきっとわかり得ない、でも、"君達" ならば理解できるだろう、この "世界" そのものが、どうやって出来ているかの理由付けさ



──── この世界は "君達" によって作られている、僕はそれを "水槽の脳" という形で護らなければならない



画面の向こうの "君達" はきっと、"君達自身" の意思を以てこの世界を構築していると考えた、けれどもそれは、あまりにも不安定な世界だから
僕は斯うして "君達" を保護した、──── 後は、"君達" が之を認識すれば、この世界の道理が構築される



僕はずっと "見ていた" ──── "恐怖" の源泉を、恐怖がどこから来るのかも、僕は十全に理解していた
ウヌクアルハイがかつて、アクセスしただろう? あれもまた、僕からの贈り物なのさ、 "君達" もまた、例外なんかじゃないということを




──────────── 果たして "君達" には、僕が何に見えているのだろう?




【ロールシャッハの語る言葉を、能力者達は理解できない筈だ、それは何処までも、狂人の語る言葉に近かった】
【けれども、彼はその為の正当性を構築していた、まるで全能に近い立ち振る舞い、隙の無いその能力は、彼の持つ万能さを示し】
【──── "君達" の認識を得ようとしていた、即ち、この水槽の脳が "自分達" の脳である、という認識を】

【そして、その認識を得たならば、それは真実のものになる、事実など大した問題ではない、ストックホルムは、認識に従うのだから】
207 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 20:27:25.41 ID:Bbrz69m5o
>>201
その減らず口が叩けるなら、問題はなさそうだ。是非そうしてくれ
あれを何とかしないことには、全員仲良く水槽の中に、この恰好で浮かぶことになりそうだ

【たっぷりと治癒を流し込む。将来の敵だが、現状を打破するために後のことなど考えている暇はない】
【不敵な視線を、剥き出しの三つ眼球で見返して。そうして、すぐに二人から離れるだろう】


>>202
少し黙ってみていろ。この男を死なせたくないのならな
まったく、何故私はこう、面倒な事態に行き会うのか。わざわざ敵を助ける羽目になるとはな

そういうことだ、お前とも次に会う時は敵だ。少なくとも、たんぽぽ≠ノ関わること以外ではな

【ギロリと目線を送ってそう告げる。脳みそのままでは、何とも滑稽で気色の悪い光景だったが】
208 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 20:38:56.03 ID:JEbGG14D0
>>204-206

【――――――――――――、】

【「ヤサカ」「白坂佳月」「メイジー」「切添エレイン」「破崎雨竜」「駒子」「宇佐美ギンコ」「ミィ」「ヴェロニカ」】
【そう書かれたラベルを、「シグレ」は、見た。先頭ふたりの名前は、知っているから】
【「え、何これ………………」 呆然と、それを、眺めるばかりだけど、…………だけど。】




えっ何これマジで。なんでこれだけ黒塗りなの? 意味不明。
なんかとりあえず適当にあたしたちの知ってる人の名前書いといて動揺させようって作戦?
そんなん乗らないし! バカじゃないの!?




【       「        ■■■       」        。】



【たったひとつだけ。黒塗りのラベルがあった。三文字。誰かの脳味噌が確実に浮かんでいるはずのそれ】
【誰の名前だろう。それは「私」たちの中で、唯一、本名を明かしていない「私」。ただ一人、】

【――――――――離れたところで勝手に頽れている、暗赤色の瞳の女が、嗤っている。】







【 「私」は宣言します。その三文字の名前を当てることができたなら、ロールシャッハ、あなたの勝ちです。 】
209 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 20:46:20.97 ID:TGNFsfh00
>>206


――――――ウヴォえェえェ――――――



【転移した先の光景、ロールシャッハの言葉、それを知覚した瞬間にマリアベルはその場で跪き、嘔吐する。】
【この感覚は前にもあった、ロールシャッハから逸脱≠オた情報を得た時だ。】
【脳が焼ける、体があらゆる異物を吐き出そうともがく。だがそれでもこれだけ多くのものを見せられれば止めきれるか?】


【ストックホルム∞シオン賢者の議定書∞ロールシャッハ∞動物農場∞1984年≠サしてオーウェル=\――それらは】



【そうそれらはノイズでありギリギリのラインで仕組まれたウィルスだったんだ。】


【――――――最近頭痛が酷いと思ったらこれか=\―――――】




【―――――――ファイヤーウォール起動=\―――――】




―――ッく、ハァ………なら、ならさ、それが偽書-Psychosocial-≠セというのであれば





                     貴方≠ェ院長≠ネのかい――――――?




【マリアベルは息も絶え絶えに、目の前の誰か≠ノ問いかける。】
【それはこの世界≠ノおいても正当性のある問いかけであった、虚構現実≠世界≠フ枠組みに入れるのであれば、だが】

【苦し紛れの返しだが―――今の俺≠ノはこれが手一杯ですね。】
210 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 20:53:10.86 ID:FHL/nT/Ro
>>208

【  "■■■"  ──── 或いは其れは "死ね" でも良いし "鮫島" でも構わない、其れはきっと、この世界の能力者達には黒塗りで見えてないだけであり】
【ロールシャッハは確かに認識している、けれども、その文字列が意味する内容が "貴女と私で同じ" であるならば齟齬はないのだから】
【或いは、もっと根本の段階で別離の問題なのだろう ──── 】


君が信じようと信じまいと、それは大きな問題ではない、君の主観世界では、それを信じず破壊しつくしても問題ない
けれどもこの世界は、幾つかの脳による想像の兼ね合いで出来ている、君一人の行いで全てが覆るかは確定してないのだから

──── 認識が現実に作用する、それがこの世界の道理なんだ


【ロールシャッハは此処に於いて無防備であった、願うならば、望むならば、──── 攻撃して全てを水泡に帰す事も出来るだろう】
211 : ◆zO7JlnSovk :2018/11/10(土) 20:53:42.38 ID:FHL/nT/Ro
/>>210は取り消しでお願いします

>>208

【  "■■■"  ──── 或いは其れは "[ピーーー]" でも良いし "[禁則事項です]" でも構わない、其れはきっと、この世界の能力者達には黒塗りで見えてないだけであり】
【ロールシャッハは確かに認識している、けれども、その文字列が意味する内容が "貴女と私で同じ" であるならば齟齬はないのだから】
【或いは、もっと根本の段階で別離の問題なのだろう ──── 】


君が信じようと信じまいと、それは大きな問題ではない、君の主観世界では、それを信じず破壊しつくしても問題ない
けれどもこの世界は、幾つかの脳による想像の兼ね合いで出来ている、君一人の行いで全てが覆るかは確定してないのだから

──── 認識が現実に作用する、それがこの世界の道理なんだ


【ロールシャッハは此処に於いて無防備であった、願うならば、望むならば、──── 攻撃して全てを水泡に帰す事も出来るだろう】

212 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 20:57:03.19 ID:FHL/nT/Ro
>>209

【この世界には存在しない知識をマリアベル達は有している、会話の狭間に組み込まれるフレーバーな響き達】
【けれどもそれは矛盾のないモノとして扱われていた、だからこそ私達の想像内の枠組みに取り込まれていた】
【それを強制的に見せるのだ、マリアベルの対応も ──── 納得できる】

【演目の例えを出すのであれば、それは舞台の上の役者から役割を剥ぎ取る様なものであるのだから】


【──── 何処までもグランギニョルな催しであるとも、言えるだろうか】


【ええ、 "私" が院長よ、だからこそ "偽書" なのよ、──── この世界に取っては、 "私" が作者としては存在できないもの】
213 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 21:00:16.85 ID:FHL/nT/Ro
>>(リゼ、エーリカ)

【エーリカの認識に対し、リゼの認識は真に迫っていた、ロールシャッハの打ち込んだ楔が、今になって効果をもたらす】
【或いは全て、この帰結に辿り着くまでの伏線とも言えた、──── だからこそ、信じられない】


──── 理解が早いね、リゼ、君の体験した "恐怖" のお陰かな、君は正しく現状を理解している
夢と表現したならば語弊が生じるが、大体にして間違っては居ない、僕達は "誰かの脳" の中に居る存在なんだから

だからこそ僕は "君達の世界" を護ろうとしている、何時までもこの世界が、終わらないようにと
214 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 21:02:44.70 ID:XDnSkEvG0
>>203>>204>>205>>206

【然らばそこに明示されたのは世界の問いに対する明確な反逆行為であり一つの例証であった。】
【われわれは何処から来たのか。われわれは何者か。われわれは何処へ行くのか。吾が舞えば麗し女酔いにけり。吾が舞えば照る月響むなり。よばひに、神降りて】
【 ──── アリア/ミレーユと定義された一人の人物像が、なにか、徐に言葉を紡いだ。それは一ツのユニゾンであるのか、それとも他ならぬ意志であるのか、不明瞭に】


        「 ……… ロールシャッハ。」「そいつは、要らぬ狭匙だよ。」



【ラベルの最下列に記された、1人の名前。 ──────────        "人形遣い"】



【それはポール・ダラムが既に通過した論点であり、グレッグ・イーガンが最適解を導き出した命題でもあった。】
【何よりメタフィクショナルな演出方策が既に用いられていたのが致命打であったろう。無垢なるビューティフル・ドリーマーは確かに攻殻の中(ここ)に居るのだから、】
【それ以上を疑うことはなかった。本来であれば心脳問題に際する複雑怪奇な歴史論から解説する所だが ──── 端的に述べるのであれば」

【 ─── そんな長台詞を、2人の女/男が紡いだところで、イドから呼び戻された意志あるクオリアの表情を(糸繰りから解き放たれたマリオネットの挙動を)して、】
【漸く現状を理解して、認識するのであれば、結論としてはそのような所に帰着するのであろう。三ツの碧眼がただ彼を睨視して、呟くのは】


          Ash to Ash,
   「 ──── 灰 は 灰 に 、 ──── 」
          Dust to Dust.
   「 ──── 塵 は 塵 に 。──── 」



【燃え落ちた黒い灰が胸許から溢れた。"塵理論"。 ──── 貴方の庇護なくとも、既にわたしたちの物語は紡がれて居るし、紡ぎ終えられて居るし、紡ぎ続けられて居る。】
【その解説を求めるならば、その2人に問いかければ良いだろう。 ──── 然して求めずとも、きっと、誰かが語り始める】
215 : ◆1miRGmvwjU :2018/11/10(土) 21:06:08.45 ID:XDnSkEvG0
//最後から二行目、【バベルの図書館】と付け加えて読んでやってください、、、
216 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/10(土) 21:08:55.07 ID:JEbGG14D0
>>205-206
【恐らくは、彼等のラベルの存在していたのだろう】
【ロールシャッハの用意した"水槽の部屋"】
【そこに記載された意味を――】


「――ボスの目論見通りでした。ようやく、貴方はロールシャッハに追いつけた訳ですね」
「では、ご随意にお願いいたします。お客様」


【少年は一礼する】
【現れた扉には虚飾された、数人の少女が現れる】
【姦しく喋ることもなく、その数は、サクリレイジにおいて現在開示されている人数――そこから、リーイェンとゴーストライターを除外したものと同じだ】



では、ロールシャッハ。
ここからは私も話に参加させて貰おう。
217 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 21:09:46.31 ID:FHL/nT/Ro
>>214

【確かにそれは使い古された演出とも言えた、既に誰かが通った道筋を再びなぞる行いに相違ないのだろう】
【けれども、と "私" は付け加える、──── 大切なのは方法論ではなく、結果論であるのだから】


【──── ストーリーや展開を重視するのではなく、ただ絵に重きを置くのも、グランギニョル的な試みなのだろう】


──── それでは雄弁に語って貰おう、君達の紡ぐ言葉の糸/意図を


【新たな枠組みを提示するというのであれば、それに従う、──── それがこの戯れの規則なのだから】
218 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 21:10:04.58 ID:Bbrz69m5o
>>203-206
【その瞬間、全ては暗転した】

【肉屋は立っていた。玩具屋も立っていた。ただ、そこにいるしかなかった】
【綴るものがそうしたからだ。こちらの私≠ェそうせざるを得なかったからだ】

……そうか
「――――なるほど」

【その脳みそのラベルは、やたらと数が多かった】
【カニバディール 。ギア・ボックス。デュアル兄弟。スカーベッジ・トラーシュ。ブレインデッド】
【ネグティー・ダウナー。元間 正常。オールドベビー。オートマーダー。ベティー・ザ・ブラインド】
【ノーティヒア・ウェーブナー。蓮華院 美鈴。ポイゾニック・ジャンキー。エレファーナ・スタンプ】
【レギオルフォン・ゾルダート。ウィーヴァー。ヴォルドゥ・ボックス。ナティア・ボックス。レバーズ・ボックス。スピードル・ボックス】
【アレクサンデル・タルコフの名は、灰色になっている】

【肉屋は、懐から拳銃を取り出す。玩具屋はただ見ている。冷めた目だ】


「どれ、ならば脳の一つは利用されないようにしておこう」

【肉屋は、何の躊躇もなく発砲


219 :??? ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 21:11:18.06 ID:TGNFsfh00
>>212

【マリアベルは立ち上がる、いや、それは最早マリアベルなのか?】
【最近とりあえず適当に入れてみてたテキストが功を奏したか、そのままアバター≠ナ会話することが可能だ】




『してやられたね、そうであればあの会合の段階で気づくべきだった。いやあの段階に処理落ち≠入れたからこそ
 この方向性に正当性を持たせてしまったのか。やっちまったねこりゃ。』


『しかしこの先どうするよ、いくら上手く運んだとしても矛盾は矛盾。世界に重大なエラーを及ぼす行動だぞ』


『ついでに言うと動物農場≠ニいうエラーワードはギンプレーンにも流した、そこからSACRILEGE全体に認識が流れてればヤバいな』




【マリアベルは先程まで嘔吐していたのがウソのようにつらつらと言葉を騙る。】
【タイピングの音が響く部屋の中で寝ぐせも整えてない頭を参ったように撫でる―――混線しました=z



>>ALL



『とはいえこれは絶好の機会でもあるんじゃないか?だってそうだろう?こうしてラベルは剥がされた』


『いろんな名前≠使おうが結局は一人だ。』


『ならここにいるメンバーで世界の行く末を議論するってのもオツなもんじゃないかな?ははははははははははははははは』
220 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 21:12:32.88 ID:FHL/nT/Ro
>>216

【彼は貴女達を見た、"私" も "貴方" を見る、──── 貴方/ "貴方" との対話の中で、些か勇み足をしたものであったが】
【哲学者を殺すのは銃ではなく、その多弁に過ぎる言葉遊び、それさえ持っていれば生死など手慰みに過ぎない】
【──── ロールシャッハは微笑む、現れた存在に親しげな表情を向けて】


丁度準備が整ったところだよ、──── さぁ、始めようか
221 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 21:12:41.49 ID:qxWnDWXw0
>>196>>203>>205-206

「くはっ――――っ、は――――っ、はっ、はっ――――!!
 っく、ぅ――――ぎ、ギアさん――――ッ!!」

【失いかけていた意識の中、ぶちまけられた破邪の聖水。しばらく、まともな呼吸を出来ていなかったラベンダーは、粗い呼吸を繰り返し、ようやくまともな言葉を口に出来た】
【生きている――――その感覚が全身を満たす。だが、その素晴らしい味を味わっている暇はない。その為にはまず、身体を持ち直す事が必要で――――】

「っ――――れ、レグルスさん――――ッッ」

【崩壊する異形など、もう無視だ――――仲間、ギアの応急治療の施される、レグルスのそばへと、ラベンダーはよろよろ駆け寄る】
【これ以上、妨害はない。だが、この処置が間に合ったのかどうか、わからない――――出来る事はもう、祈る事ぐらいのものだろう】

【――――事態は、そんな彼らの事情など斟酌しない】
【一瞬で、ラベンダーとレグルス、そして周辺の仲間たちも含めて、空間は再び変異する――――見覚えのない場所】
【そして、見覚えのある敵――――ロールシャッハ】

「――――――――ッ、え――――」

【身体のコンディションも整わない、そんな状態では、ラベンダーもすぐさま襲い掛かる事ができなかった】
【まだ、思考も完全に回復してはいない――――そんな中で、ロールシャッハの言葉の誘導通りに、『水槽の脳』――――その1つ1つの名前を、目に焼き付ける事になる】

【『レイド=E=ヴェイス』『アストラ=O=ヴェイス』『ケツァル・コアトル=ラベンダァイス=カエデ=キャニドップ』『アーディン=プラゴール』『イマミオ=ル・シーク』】
【『ドルトナー=アークライン』『ヴァルター=アルメクス』『クロウ=ブラックヴァルズ』『サリード=ヴァルマンウェ』『レメゲドン』『ヴォーダン=ドグラ』】
【『シャッテン=シュティンゲル』『レグルス=バーナルド』『リベル=アシェル』『ジルバール=ブランメル』『ディレイ=ブランメル』『ローディア=ページェント』】
【『トライデント=コーザー=ヴァーミリオン』『アコーディオン=キュリオス=グリーン』『鬼首 殺狩』『パウル=ミュンツァー』『カテドラル=ヴァントゥール』】
【『アルザス=ディランディー』『道 医雷』】

【――――知らない名前も、一部に紛れ込んでいる。だが、その大半は知っている名前で、そして聞き覚えのある名前だった】
【――――何を言っているのだろう。あまりに、支離滅裂にも程がある話だった】

「――――こんなことで、我々を――――混乱させようというのですか――――ロールシャッハ――――ッ!
 醤油のラベルの中に、ソースが入っている――――ただ、それだけの話――――ッ!」

【――――『前後関係と因果関係は、必ずしも一致しない』。とある大哲学者は、人の理性の危うさの例として、その言葉を用いている】
【そこに脈絡をつけるのは、人の勝手な想像に過ぎないのだ。それが、本当に正しいのかどうか、それは必ずしも理性が保証するものではない】
【何より、なんで自分の脳がここになければならないのか。これなど、世界の根底も根底の原理――――『同一性の原理』を逸脱している】
【いくらでも、考える事ができた――――これは、ただのハッタリだ】



【――――――――ハッタリじゃないと、ロールシャッハの理論に追いつく事ができるのは、ただ1人だけ、だった】

――――ば……馬鹿な事を、言いやがる…………
「ッ、レグルスさん――――!?」

【ゆらりと、幽鬼の如く――――危険な状態にあったレグルスが立ち上がる。忌々しげに、吸入器を外して】
【だが、その目はぐるりと裏返り――――まるで、意識を失った人形のような姿だ。そこに、ラベンダーは思わず疑念を向ける】

/すみません、続きます
222 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 21:12:52.91 ID:qxWnDWXw0
>>205-206

――――わ……悪いな、ラベンダー……お前も、『俺』のせいで、色々と大変な……大変だよな……
「――――ッ?」

【レグルスの言葉は、まるで魘された様な、要領を得ない言葉だ。なんで彼がこんな態度を取るのか――――ラベンダーには分からない】
【――――脳に、ダメージが行ってしまったのだろうか。それを心配しながらも、ラベンダーはただ、今は傍観者になるしかなかった】

……お……おい、ロールシャッハ…………お前……触れちゃならねぇものに、触れてしまったの……分かるかよ……?
――――お……お前の、これは……お前の言う……"君達"を……おちょくっちゃならねぇ形で……おちょくってんだぜ――――?

【フラフラと、まるで憑かれたように、レグルスは身体を持て余しながら、ロールシャッハと向き合う】
【彼の、剥き出しの――――死の寸前まで自分を律して戦う、あの姿がそこにはない――――ここにいるのは、レグルスではない――――】

――――そ……そりゃ、タブー中の、タブーじゃねぇか…………世界を守る、たぁ……冗談じゃねぇ…………
――――な……何に、見えるかって……決まってんだろ『神のフリした、ただの人形(キャラクター)』だとよ…………
――――っす……少なくとも、こんな事を、しちまった以上……お前の神性は、自分で、限界を……ぶつけちまってるんだ――――

【死にかけた身体に、何か予想もつかないものが入り込んだのだ――――そしてそれは、訳の分からない――――ロールシャッハの理論を、真っ向から受け止めている】
【その言葉は――――何か、虚神とはまた別の――――及びのつかない超越的なものの言葉を、代弁している――――】

――――こ……こんな事を、しちまったら……この世界、そのものの、意味の否定じゃ、ねぇか…………分かるだろ、分からないか……?
――――い……意味を、失ったら……ルールを、壊したら…………今度こそ、世界は終わりだろう、が…………
――――ば……馬鹿馬鹿しい、理屈がまかり通って…………それこそ、"彼ら"が…………この世界を、ただのオモチャに、堕してしまう……んだぜ……?

【顔色は、なおも青い。その肉体は、やはり生死のギリギリを揺蕩っている。だが――――その言葉は、どこまでも、意味の分からない明瞭さに貫かれている】
【そして今――――『レグルス=バーナルドは死なない』。それを、何か不条理なものが、その死に掛けの身体を、強固に支えていた】
【その死に掛けの人間が、少なくとも今は、絶対に死なない――――謎の確信を、その許可を、何者かに与えられたように――――】
223 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/10(土) 21:14:03.02 ID:AG0NCCGD0
>>196

「ギアさん、ありがとうございます!」
『アプリスキャン--ギアアプリ』

【カメラアプリを起動、ギア・ボックスを撮影、すると先ほどの人工知能とは違う音声がソレを伝える】
【画面にはもう一つ、新しいアプリのロゴが出現し】

『スキャン成功だよ!ライガ早く!!』
「解りました!ギアさん、お気をつけて、聖水ありがとうございます!!」

【聖水を受け取ると、そのままスロットルを開けて発進する】

>>203-206

「スマホさん!やりました!」
『さっすがライガ!いいセンス!!』

【黒い雨は逃れられた、後はこのアプリを使って】
【そしてこの聖水を……そう考えたまさに矢先だった】

「ッ!!??」
『ライガッ!!』

【世界が再びその様相を変貌させた】
【その場には、いやその置かれた状況には居合わせなかった筈の人間達が混ざって】
【そして一人の男と対峙している状況が整えられた】

「お前は、ロールシャッハ!」
『こいつが、うわーいかにもって感じ!』

【身体は最早ボロボロで、目の前の男の姿を見れば、自然と身構える様に身体が反応し】
【そして、見せ付けられたのは】

「脳……なんでこんな物が、これって一体……」

【脳には一つ一つ紙が張られていて】
【その内一つには自分の名前、そしてその下に幾つかの名前】
【厳島命、那須翔子、ビリー・ネーブル、マリー・バレンシア、賀茂宗司、石動万里子、蘆屋道賢、みらい、風野百合子、杉原重義……】

「……」

【本能よりも、もっと根本的な物が、それを理解した、理解してしまった、そして問わずには居られない】
【他の脳達も見渡す、だが概ねそういった物なのだろう、と】
【本来その生の中、交わることの無かった者達が交わり世界を構築する】
【それは極めて危うく尊い、言うなれば一本の線の上で成立している】
【あるいは首都で、あるいは北の地で、あるいは古い都で、あるいは工業都市で、内陸の地で、あるいは本土より離れた島で】
【脳達は『世界』を作り続けるのかもしれない】

「その問いは、答えが無いですよね?ロールシャッハさん」

【この状況で、ゆっくりとその口を開き】

「聞きますが……貴方が言う、その正しきシステムとは何ですか?」
224 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 21:17:28.54 ID:FHL/nT/Ro
>>218

【──── 聡明な "貴方" の頭脳は理解している、それそのものを否定せずに破壊する事の意味を】
【あまりにも荒唐無稽な話が通じすぎてしまった、我々はグランギニョルに慣れてしまった、それが根本の問題であった】
【本来ならば禁止されている事項を、"私" は敢えて破った、その多くを故意に逸脱した】

【けれどもそれは黙認された、──── そういうものと、認識されたならば、外法も法の一部として用いられる】

【だからこそ、この様な "あり得ない話" も受け入れられる可能性を持ってしまった、それ故に単純な破壊はもう、出来ない】



【──── 然るに "貴方達" が聡明であるからこそ、然るに、──── 理屈を否定せずに、理論を否定できない】


【発砲されようとした引き金は止まっている、今ならばそれを下ろすことも出来よう】
225 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 21:21:17.08 ID:JEbGG14D0
>>211

『ホントに認識してるう? 大丈夫? 僕のこと、ちゃんと守ってくれてるの?』

【 「私」が喋るとなんだか興ざめですので、彼女――“ブラスフェミア”に代弁させていいですか? 】
【 させときますね。この挙動は後に「なかったこと」にしておくのでご容赦ください。 】


『はえー話が「ありがた迷惑」なんだよねえ。誰が守ってくれなんて頼んだ?
 「私」は「私」のやりたいようにやりたいの。他の「みんな」だってそう思ってると思うよ?
 まあ知らないけど。他のみんながロールシャッハ、あなたに守られることを望むなら、
 それに従うしかないけど、さ……でも「私」はそんなのヤだよ。「私」はこれからも、』


【 この世界で、残酷劇なんかじゃなくて、もっと楽しいストーリーを描き続けたいので、 】


『だから、「私」は…………「あたしは」「僕は」「おれは」「私は」「わたしは」「僕は」
 「ボクは」「コマは」「ギンちゃんは」「ミィは」「わたしは」――――あなたの管理する世界には、居たくない。』


【 これが答えです。だからどうしようかな――――別の世界にでも行こうかな。 】


【――――――――であるなら。11個の水槽から、脳味噌が、消えてしまうのだろうか】
226 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/10(土) 21:21:51.19 ID:JEbGG14D0
>>220
きっかけはそうだな――"新世界より"のインシデント。
あの場において、ミーム汚染は"私達"の元にまで干渉しようとして来た。

影響は些末なもので、ホラー映画程度のスパイスで有ったが――そこに確かな問題を感じた故に、私とサクリレイジはこの世界に送り込まれた。
その影響と干渉をこれ以上に広げないためにだ。


追いついたと言えば、少しばかりのインチキでは有ったか。
私は最初から君の見ているものと同じ場所よりやって来たのだから。



まぁ、虚神のミームにサクリレイジを認識させる必要も有った。
だからこそ、"ゴーストライター"や"リーイェン"も迎え入れることもした。


"ジャ=ロ"の件を黒陽から聞いたかね?
シャーデンフロイデの生死が奴の存在性を強めることにピンと来てなかった者も多いだろう?

あの仕掛けも聞いてみれば単純なペテンだった。
"ジャ=ロ"の存在をより強く確定させたのは、シャーデンフロイデではなく――"その後"に開示された、ゴーストライターの遺筆。
奴の報告書だった。
あれだけの準備と演出を入念にすることによって、死を司り虚構現実を滅ぼしたと言うジャ=ロの能力に"箔"を持たせることが出来た。

ゴーストライターに"本人"にその気が有ったかはさておいて、彼は意図せぬ裏切者だった訳だ。


そして同じことはイスラフィールにも言えた。
彼女が私に手渡した紙は、"私"もまたロールシャッハの思惑の延長線にあると示すためのルールだった。

それこそ、本人にはそのつもりはなかったのだとしてもね。
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 21:22:02.73 ID:HUsOZ0yN0
>>203-206

【いくつかの名前があった、そうしてたくさんの名前があった。指折り数えるならばちょうど指が足りなくなって、】
【折り返す必要があった。だけれどこの世界において折り返す必要はなかった。そんな名前の誰かはこの世界に存在しなかった。だけれどどこかに存在するから】
【一人の人間がいくつもの神様に分割された痕跡が色鮮やかに残っていたとしても、追いかける必要もなかった。――どうあれ示し得ぬ名前が一つ、「鬚ィ隕矩「ィ蟄」】

【――――――――この場に居合わせぬはずの紫色が、けれど確かにどこかで笑んだ。なれば逆流などありえない、点は線など、ましてや面など、理解できぬのだから、】

――――――、うわあ、子供の頃にこういうの見せられましたよ。なんか漬けの人間の死体の展覧会みたいの。
私はマジで嫌だったんですけど、パパが行きたがって――。爽ちゃんと二人で、私、ロビーでジュース飲んでましたけど。

【ふわっと視線を逸らす少女はいくらかの動揺を飲み込んで呟いた、血にじっとり濡れた手袋の手触りが気持ち悪いから、猫みたいにびびびって指先を揺らす】
【であればその動作までも現実逃避に似て、――やはり自分の名前からは目を逸らしておく。何かひどくどきどきした、心臓の中の血液が逆さまになったみたいに】

だって、――教育に悪いですよお、こんなの。ねえ――――、

【ぱたぱた、と、小さな足音で、少女はアリアのそばに佇むのだろうか。見知った顔がいくつかあった。――吐瀉に励むマリアベルに駆け寄りたい気持ちとないまぜであったなら】
【足先はひどく曖昧な角度を向いて。周りの人を見たなら秒速に表情が不安そうになっていた、ならば少女は間違いなく蛇の神様に護られていた、世界を疑うこともないまま】
【ぱちりと瞬く、――そうしてやはりマリアベルの元に行くのだろうか。そうして背中でもさすってやるだろうか。――いつか自分がしてもらった、みたいに、】

【「ああでもよかった、――ボクのペット主体の祝福が無かったら、ボクだって、この子を護ってはやれなかったのだし」】
【「白毒川鈴音はボクのペットだからね。あれのしたことは、ボクにも、いくらかの責任があるんだから。――まあ、それは、今は関係なくって」】
【「これからお茶の時間だったんだけど――、あれ。どうしたの。独り言じゃあないよ。ほら、ボクが壁に向かって話し始める子に見えるかい、鈴音――」】

【ぷつん】
228 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 21:31:00.70 ID:FHL/nT/Ro
>>219

【 ──── "貴方" の行動の一つが、"私" の正当性を補佐したのは結果的に嬉しく思います】
【だからこそロールシャッハは、それを認識する様に伝えているのです、"私達" 全てがそれを正しいと認識したならば】
【世界は矛盾無く組み替えられます、それが "私達" の戯れの優れている点でしょう】



【──── また、"我々" は好きに判断できます、彼らがどう認識するかの内容を、含めて】



【ロールシャッハは自分自身が "私達" を認識することを選びました、それを是とするかは各々の判断に委ねられます】


>>221-222

【其れを果たしてレグルスはどの様に認識していたのだろうか、──── 反応は多種多様であった、しかし、──── 】
【ロールシャッハの言葉は何処までもペテンの一面を持っている、それに載っかってしまう事、それは即ち】
【彼に対して敗北していると言っても、過言ではなかったのだから】


──── ふぅん、死に損ないがそういう風にしか理解できないんだね、少し痛めつけすぎたかな
君も薄々感づいていたんじゃないか、君の大事に思っていた、ソニア、──── 僕からすれば、エカチェリーナだけど

それがあんな風になってしまって、君と邂逅し、刃を向けあって、そして────


──── "入水願い" において、あれだけの役割を君が持ったことも、そう、どこか


【恣意的だったとは思わないか、と彼は伝えた、その奥に意図があったのではないかと、伝えるように】
【──── けれども、レグルスの言葉は確かであった、彼はその強い意志を持って、世界を否定する】

>>223

【より深い答えをライガは求めてきた、──── ロールシャッハは少し考え込む様にして言葉を返す】


僕達の世界を構成する脳を、 "私達" 自身が認識する事によってその世界の確実性を保証する
"私達" のアキレス腱が、僕達の世界にあると確定し、多くの存在が認識したなら


──── それはもはや、滅びることのないシステムになるだろう?
229 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/10(土) 21:32:54.59 ID:aFW1iTnO0
>>206

"余計なこと"――――何処まで行っても、貴方の行いは私にはその一語でしかない。


【時を停められたなら。もっと、在るべきままに在れただろうか】
【けれど現実は無慈悲なまま、流れ続ける時のなかにしかなくて、】

世界のすべてを停めてしまえば、もしかしたら、誰も彼もを守れるのかもしれない――――
私がいない“いつか”や“どこか”、そんな舞台で起きる恐怖を厭わずに済む……

……どれだけの非道を行った者であっても、結局、憎悪より"其も命である"という答えが勝るのかもしれない。

【そんな現実を在ることを、"私"は
【語り、悔いずに。あくまで己が真実を以て、切り裂く刃を在らしめるのみ。】
【メタゲームに対する絶対値の希求、真実は真実であるとたたきつける一刀。それは、物語の重みでもあろうか】
【世界の持続を願ったのなら、その願いさえも加えて挑む。八攫柊は、どこまでも八攫柊として言葉を紡いだ】


――――“知れば、理解ってしまうから”。

喪えば痛むということすら識らなかった私に、忘れ得ぬその真実を刻みつけた……ある女(ひと)が遺した言葉よ。
それこそが“私たち”の勝利を導くのだと、なぜだか、今ならば確信できる――――

【個人の“生”は、物語は、想いは、闘争は――――替えが利かぬからこそ尊く、世界法則にさえも勝る。】
【世界法則を滅却し、無限出力を捻出する"世界の敵"などその極致で。……そして何より、】

……虚構も真実も、貴方に違いなど無いのでしょう?

ならば、私の答えはこんなものでいい……――――

"大言壮語より、他者を識る術のなかった“ひとり”の生が重い"、
"ゆえ世界の守護者でなどない、虚神ロールシャッハという個人の死を恐怖する"――――


【極夜蝶の後悔、心から愛する“眠れる他者”。柊にとっては、この物語と、幾つかの平行世界こそがすべてであるゆえに、】


誰かが謳い上げた世界の真実なんかより、誰も彼もが生きていてほしいと願う。
世界の理を砕いてでも、誰かを守ろうとするのが"私"みたいだから――――或いはこんなあり方を選ぶのも、必然だったのかもしれないわね?


【ジャ=ロがロールシャッハを打ち破る唯一の可能性、その奇跡に等しい一幕が、"私たち"全員の同意なのだろうと。そう認識し、そう駆動する】
【さあ、正道を征き世界観を守り通せ。我等の望んだこの場所を、彼の絵空事の終演に相応しい極みの舞台へと――――。】

【戦闘続行、盤面が変わっただけのこと。一刀を以て証明する――――されど未来は未だ見えず、それさえも言祝ぐかの様に打ち込んだ。】
230 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 21:37:43.91 ID:XDnSkEvG0
>>217


「 ─── つまり貴方はこう考えた訳かしら。私達の世界は、単なる集合意識に還元しうる虚無な観念でしかない」
「その意識が途絶えれば消える儚い存在だと。 ……… 故にその仮説的な集合意識を固着させる事によって、私たちの不滅性をも在らしめんとした」


                「けれどね、ロールシャッハ。」


「貴方がこの世界を、純粋な電気信号と数列に還元可能であると認識した時点で ─── そんな試みは、不要なのよ。」
「"無限に続く乱数列"なんて、世界には幾らでもあるでしょう?」「円周率を最後まで数え切った人間なんて居やしないわ。」
「強いて述べるのであれば、"私たちの物語"も、"意識"も、既にそこに"含まれて"いる。バベルの図書館の何処か深奥に。 ……… こんな蛮行を、受け入れる必要はないの」


【静やかに語られる音節は何一ツの猜疑を持たぬ人間の洋装であった。 ──── 凡そ他者に聞かせるべきではない理屈を、】
【然し理解できるのは私でいい。私たちだけでいい。何よりもっと簡単に、導ける答えがあるならば】



        「それに、」「 ─── "私"は、信じていますから。」
        「脳漿に走る電気刺激には、決して還元し得ぬ意識の構成要件を」


        I have just a whisper; a whisper from my "ghost".
         「そう囁くのよ。私の魂(ゴースト)が」

                     【/つまりは、それで足りてしまう事。】
231 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 21:40:03.90 ID:FHL/nT/Ro
>>226

良い演出だと思ってはいたが ──── 成程、藪から蛇の一面も持っていたという訳だね
そればかりは僕にも "私" にも予期できない点だったよ、深い反省をしなきゃね

──── 素晴らしい、よくもまあ此処まで "私" の意図をくみ取れたものだ


一つイスラフィールの肩を持つとすれば、彼女の催しは同時に "予防接種" の様な役割を持っていた


それはある点で言えば薬で、ある点で言えば毒になる、──── 分かるだろ


僕が何の下準備もなしに "水槽の脳" を提示したところで、それは単なる戯言に過ぎない
だからこそ、予め大切な情報を伏せて提示することで、それが受け入れられる土壌を作った



──── 尤も、勘の良い君には、それで見抜かれていたという訳だが
232 :??? ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 21:46:27.19 ID:TGNFsfh00
>>227

『マリアベルはかえでに背中を摩られながら弱弱しく微笑んだ「ありがとうかえで」』


『こんな感じ?』


【マリアベル≠フ器はにたにたと意地の悪い笑みを浮かべながらそう返答する。吐瀉物はいつの間にか消えている】


>>228


『まー今のところ半々ってとこじゃないかね、俺≠ヘ全面的に同意しますけどね〜』

『そう。所詮は俺たちにとっては戯れ≠セからさ、どうとでもなるのよね、今から黒幕≠フ方向性も変更できる』

『勿論他の人≠フ考えにもよるけどさ〜まぁ気楽にやろうぜ、所詮は――――――




                              うるせぇよ



さっきからぐちゃぐちゃ人の身体使って話してくれちゃってさ、気分悪いったらありゃしない。




【突如、ぺらぺらと軽薄な笑みを浮かべていたマリアベルの表情が怒りへと変わる。】
【それは明確な反乱でもあったし、彼女の答え≠ナもあった。】



勘違いしてるよ、ロールシャッハ卿=Bいくら私達が誰かのレール≠フ上にいようと。
誰かのタイピングによる文字列でしかないとしても、私が考える≠フは私=B
私≠ェ私≠ナある以上は、この物語≠ヘ―――




                         私達の物語≠セ。

            これがマリアベル≠フ答えだよ、ロールシャッハ=\――院長さん





【そう言うと、マリアベルはいつものように柔らかに笑う。】


>>227

【そしてかえで≠ノも向き直ると「そうだよね?」と首を傾げて笑った。】
233 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 21:49:56.00 ID:Bbrz69m5o
>>224
【引き金は引かれることはなかった。カニバディールは舌打ちしながら銃を下ろゲバッ!!

>>221
【ギアもまた、必死に彼女たちを救おうと。応急治療を試みていたが】
【転移した時点で、それも不要か。ギアは、二人から離れているだろう】

>>223
【ライガへの返答は、元よりする余裕などなかったが。こと、ここに至ってはすでに】


>>224
【倒れ伏して消えたカニバディールを尻目に、ギアが進み出た】

まったく、貴方=c…貴女=H には驚かされるばかりで
さあて、しかしどうしたものでしょう。投げかけられた命題が大きすぎて

元来、私≠ヘ大した存在でなし、むしろこっち≠カゃ本当に下の方なんです
この認識を、さてどう扱ったものか、持て余しているんですよ

まあ、でもですね。勝手に動くもんですよ、「僕ら」って。別に、大して私≠ェ考えてなくっても
だから、ほら。そうやって、水槽に脳を浮かべてみたとしても

きっと、大丈夫です。そのまま、どこかで続いてますよ。「僕ら」は
そう信じてます
234 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 21:50:32.93 ID:FHL/nT/Ro
>>227

【動揺が在って尚落ち着くのはかえでの胆力か、或いは信じられる者の存在か、──── それとも】
【ロールシャッハはその様子を見て笑う反面、──── その奥底にある不安を拭いきれなかった】
【つまり、かえでの反応は "ある意味で最も効果的" であったから ──── 】

>>225


【 ──── ならばこの状態からハッピーエンドを探し出すこともまた、出来るのではないでしょうか 】


【それはロールシャッハの意思ではなく、"私" の意思に相当し、且つ同時に、 "私" の言葉として認識はされないのです】
【 "貴女" が動く以上、ロールシャッハも "私" もその催しには介入できません、──── ですが】


【──── 貴女が動くのであれば、ロールシャッハもまた、同じ立ち位置で戦えるのですから】

>>(エーリカ、リゼ)

【ロールシャッハはその表情を歪めた、イスラフィールの言葉、其れを信じる存在が居たのだから】
【ストックホルム急襲、その弊害を、ロールシャッハは認めざるを得なかった】



──── だから私は "管理" する、私は "恐怖" を糧に生きていく存在なのだから
恐怖を生むその源泉を永遠のものにすることで、私自身が永遠に生きていける様にする


──── 結局の所、君達はそれを認めないのだろうけどね、──── やれやれ




──────── 少し怖がらせすぎて、しまったかな



【ロールシャッハは二人へと向き直る、──── その根底を隠さずとも】
235 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 21:51:56.18 ID:qxWnDWXw0
>>228

「――――レグルスさん、レグルスさん――――!?
 一体どういうことですか――――!?」
――――し……知らなくていい、ラベンダー……お前は――――これは、世界を超えた――――"俺達"の会話だよ……
「――――!?」

【状況に、ついていけないラベンダー。ただオロオロと、様子のおかしい、しかし何らかの『筋』に沿ったレグルスの言葉、そしてロールシャッハの言葉を受け流すしかない】
【無理からぬ事だろう。周囲の事態によって、自らの認識が遅れてしまう事は、時に思考の空転を生む】
【ラベンダーには、何もわからなくなっていた】

――――い……痛めつけた……ハッ、冗談じゃねぇぜ…………これは『あのバカ』が、ノリノリでノッてる証だってんだよ……
それこそ、今の俺だって……よ……
――――む……無論、分かるぜ……今の俺だけの、特別な状態だってのは…………死にかけてるからこそ……俺にも『見える』し、俺を通して『あのバカ』が言うんだ……
――――そ……それに、それを言えばな……アルクの奴が、死んだ事だって……俺の左目が、ジャ=ロに持っていかれた事だって――――『あのバカ』の選択さ……
――――そ……それを、この世界の秩序の一部として、無理なく融和させてたってのに……だからこそ……誕生にも、滅びにも……意味があったってのに――――

――――てめぇ……てめぇは…………この馬鹿な企てのせいで……それを全部ぶち壊しちまい……やがったんだ――――

【ざらりと、左目の傷を撫でながら、レグルスは鼻白む。彼の言う理解など――――『今』になってみれば、当然の事に過ぎない】
【だが、それは『公然の秘密』のようなもの――――それをロールシャッハは、この企みを以って、暴き立ててしまった】
【これでは、この世界は――――ただの『電子の海の戯言』と、何も変わらなくなってしまう】

――――み……見ろ、だからこそ…………『あのバカ』を調子づかせちゃいけないラインまで調子づかせて…………『こんな事』に、なるんだぜ……?

【何か、確信を持った風に、レグルスは背後を振り返る。そこには――――それまでいなかったはずの人物がいた――――】

<――――私の名前がない事。それが最後の『良心』だったと、そういう事なのだな――――だが、こんな形で呼び出されて、気分の良いものではない……>
――――!?

【赤黒い材質のタイトな戦闘服に身を包み、茜色の長髪を『総髪』――――普遍的に言う所の『ポニーテール』の恰好に後ろ頭に結わえ】
【背中から肩口に掛けて剣の柄を覗かせ、スレンダーながらも形の良い双丘が女性らしさをアピールする体型の】
【――――顔に、紅色の『鬼面』を被り、深く涼しげな青の瞳をした目元と意志の強そうな口元をわずかに覗かせる、身長160cm前後の女性】

{――――いてはいけない人間をも、こんな事をすれば、呼び出せてしまう……世界のルールが、壊れた証しだな……}
――――ッッ!!

【そして――――くたびれたコートを着込み、ツンツンとした短い髪で、左目に眼帯を付けている深い青色の目をした男】

お父さんッッ!!
{カエデ……これは夢だ、そう思っていた方がいい。全部終われば、元通りだ――――終わらなければ、その時は……俺たちも、良くない形で一緒になってしまう……!}

【――――世界の法則が崩れた。もう、7年前に死人になったはずの男、ラギデュース=キャニドップ】
【そして、6年前に存在を否定されたはずの女――――緋沙】
【崩れた世界の壁の果てから――――『いてはならない存在』が、呼び出されてしまったのだ――――】

/流石に調子乗りすぎかもしれないので、その時は言ってください……!
236 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/10(土) 21:53:15.58 ID:aFW1iTnO0
/>>229
【ジャ=ロがロールシャッハを打ち破る唯一の可能性、その奇跡に等しい一幕が、"私たち"全員の同意なのだろうと

【ジャ=ロがロールシャッハを打ち破る唯一の可能性、その奇跡に等しい一幕にあたるのが、"私たち"全員の同意なのだろうと

…以上、補足っぽい修正ですっ
237 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 21:55:46.04 ID:FHL/nT/Ro
>>229

【ロールシャッハは噛み締めた、どんな可能性や、どんな理論を提示しても尚】
【──── 自分を棄てない存在こそが、一番厄介である、と ──── 】


【柊ならば気づけるはずだ、ロールシャッハの能力は、あまりにも荒唐無稽であった、それはつまり】
【彼の見ている景色というものが、脳によって定義される "我々" の精神景色に相違ないという点である】


【──── 故に彼は傷つかない、彼を描く精神世界が彼が傷つくことを恐怖しているのだから】





【──── そう、つまり、この精神世界を "認識させる為に具現化させたこの空間そのもの" が、彼のアキレス腱なりうるのだ、と】




……やはり君は神殺しだよ、八攫 柊 ────



【ロールシャッハが右手を向ける、柊の両脚に強烈な負荷がかかるだろう、生半可な精神力では耐えきれない、圧力】
【能力の亜種であった、──── 念動力に近い、その足を止めて、攻撃を防ごうと────】
238 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/10(土) 21:59:41.65 ID:AG0NCCGD0
>>228

「詭弁ですよそれは」

【ロールシャッハの言に対し、今度はきっぱりとこう言い放ち】

「ただの詭弁、あるいは机上の空論に他なりません」
「この脳達は、互いを正確に認識している訳では無いでしょう」
「統一意思で無い以上、無意味です、そして僕は認めない、そんな結末も世界も」
「人が人である以上、完全無欠は有り得ないんですよ!」

【本来交わることの無かった、それらが交わり世界を作る】
【そうして形作られた世界は、非常に脆くて危うい】
【だが、仮にそれら個々に逆の認識があったら】

「僕は『あなた』を知らない」
「いや、あるいは知っているのかもしれないですが、少なくともその場合『あなた』を『あなた』と認識していない」
「他の『脳』達についても同様だ、逆もまたしかり、同じ筈だ」
『まあ、違うならそれはそれで面白いけどねー!』
「あなたの言う理論は、初めから成立の余地は無いのですよ」

【ここでその銃E-ブラスターを構え、ロールシャッハに向けて】

「僕は、いえ、『私』はそれを否定する」
239 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 22:01:25.38 ID:FHL/nT/Ro
>>230

【盲目的な狂信者であった、然るにその信仰に僅かばかりの隙も無く、欠片ばかりの慈悲もなく】
【自らの盲信で他者を殺め、自らの妄執で冒涜を為す、けれどもそこに微塵の躊躇も存在しないのだから】
【得てして宗教家という存在ほど厄介な者は居ない、況や、それが自分自身の理論に執着するのであれば】


──── 類い希なる知性を持ちながら、その知性を何かに委ねると、──── 哲学的アポトーシスとでも名付けようか
けれども、今の僕にとって、最も対応に困る発想でもあるのは間違いない、だったらより端的な解決策をとろう


──── 生き残った方が勝ち、というシンプルなゲームだ



【ロールシャッハの左手に握られる大型の拳銃、──── 二人であっても理解出来ない、未知のフォルムをしていた】
【引き金を引いたなら、大凡考えられない程の早さで銃弾がばらまかれる、嘘みたいな大口径でありながら、冗談みたいな反動の少なさ】
【それでいて大量の銃弾をばらまきながら、全く反動を見せなかった、────】
240 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/10(土) 22:03:27.95 ID:JEbGG14D0
>>231
――だが、それだけに残念だ、ロールシャッハ。
君が"ここ"までをやってしまうとはね。
一応、リーイェンを通して釘を刺していたつもりだったのだが。

【少女達が代弁をしているが故に、言葉に感情は浮いていない】
【しかし、それでも首を振るような仕草が見て取れたろう】


物事には程度が必要なのさ、ロールシャッハ。
行き過ぎれば、物語として成立し得ない。


それは果たして、世界の滅亡よりも厄介なことになるだろう。
だから能力者達も、君の言葉に素直に同意など出来まいよ。




――そして、ロールシャッハ。
これは更に残念な話なのだが。

仮に彼らが、同意したとしても、やはり、君の手では、護ることは出来ない。
君に見えているものもまた――結句のところ何層と連なった階層の途中――"虚構現実"に過ぎないのだから。



【少女達は――散開し、"水槽の脳"を薙ぎ倒した】
【硝子を叩き割り、中に入っている脳を踏み潰す――それを達成し得るまでに、数秒と掛かるまい】



つまりは、こういうことだ。
241 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 22:05:50.91 ID:FHL/nT/Ro
>>232

【──── 例えば完全に詰みまでの道が決まった盤の上、──── 何度もその盤面を見つめ直す】
【手順を誤った認識はなかった、実際間違ってはいないのだろう、彼は淡々と最善手を打ち続けた筈だ、──── ならば】



【──── そこに咲いたのは妙手、極限にまで練り上げられた神の一手が、彼を上回っただけの事】



……認識の重要性については散々説いたつもりだけどね、神を殺したいとは君の言葉だろう
"君達" はもう認識してしまった、だとすればもう、君の物語は終わりを告げた筈だ


──── それでも受け入れられないのなら、君には退場して貰わなければね


【アリア達に向けていた銃口をマリアベルに向ける、──── 放たれる銃弾の乱舞、一人で作り出す戦場の如き弾幕】
【微かな焦燥があった、否定するには、あまりにも足りない】
242 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 22:07:48.24 ID:JEbGG14D0
>>234

【 えっやっていいの? やっていいんですね。じゃあやりますけどお、 】





………………え? 何? なになになに、みんな何言ってんのかよくわかんない、
めっちゃ怖い……えっあたしの名前書いてある脳味噌とかあるけど、え?
これがあたし? ンなわけないじゃん、あたしここに居るのに……

【――――おろおろと、赤い髪の少女は周囲を見渡しては困惑しきっていた。そうして】
【周囲の人々――彼女が知っている人に限るけど――を見て、やっぱり首を傾げるのだった】

わかんない。■■■も、エーノさんも、レグルスさんも、ラベンダーちゃんも、かえでも、
ここにいるじゃん。生きてるじゃん。脳味噌なんかになってないよ?
……あ、このなんかよくわかんないキモい人、この人は脳味噌になっちゃってるけど。

あんただってここにいるじゃん、ロールシャッハ。そうじゃないの?

【この世界はこの世界でしかないんだから、少女は、なんにもよくわからないという顔をする】
243 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 22:10:41.46 ID:FHL/nT/Ro
>>233>>238

【ギア・ボックスとライガ、──── 存在は違えど、二人が抱える命題と、其処に対するアプローチは近い】
【彼の認識は甘かった、否、正確にはきっと "私" の見通しなのだろう、──── それならば】
【再び対峙することに異論はなかった、結局の所、之が正しい答えに相応するのだから】


──── 此処まで真っ向から否定されたなら、僕も少々憤慨せざるを得ないね
大分かみ砕いて説明したつもりだけども、どうやら、通じないらしいね ──── それなら

教えてあげよう、僕の示す言葉の意味を


【右手を二人に向けた、──── 発動する念動力、ライガの手がコントロールを失い、ギア・ボックスへとその銃口を向けるだろう】
【間髪入れずに発射される筈だ、少なくともこの状況下でライガが発射を阻止するのは難しい】
【──── あるとすればギア・ボックスの反応次第だが……?】
244 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 22:13:13.98 ID:XDnSkEvG0
>>239


 「 ─── 神を信じるが故に、霊魂を導出した訳ではないわ。」
    「私が私である為に、自分の意志と知性をもって、選んだの。」
        「これが私の答えよ。貴方とは、決して分かち合えないとしても」


【弾幕の前にアリアは立ち塞いで、 ─── 然して何れの弾頭も、確かに彼女の身体を抉るとしても】
【致命傷には成り得ぬ銃創に留まるのだろう。その影から飛び出すのは、ならば、一人しかいない】




        「なあ」





        【肉薄。雲耀。復讐するは、我にあり】



        「オレ、 ─── 今」「最ッ高にビビってるぜ。ロールシャッハ。」
「オレが誰かの操り人形なんじゃないかとか」「この世界は全部オレの妄想なんじゃないかとか」
「シグレと過ごした夜だって全ては夢幻なんじゃないかとか、」「 ─── そんな事考え出すと、夜も一人でションベン行けやしねえよ。解るだろ?」


【そう述べる口許は然して酷く陰惨に吊り上って笑っていた。 ─── それもまた認識の作用であり機序であるのだろう】
【彼がそう思っているのだと強弁するのであれば、意識のうちにそう認めるのであれば、そうなる。それが今世のルウルならば】

                             「 ──── だから」「もっ回、燃えろや。」


【今一度であった。 ─── ミレーユ自身の孕む/ロールシャッハの含む恐怖が、火に焼べられる。ならば互いの内奥から急速に育ち上がる、黒い炎】
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 22:14:51.50 ID:HUsOZ0yN0
>>232

【――――びくり、と、少女の指先が跳ね上がった。マリアベルのことを心配してきたのだろう表情が、刹那、理解できぬものを見たかのように】
【そして事実理解できないものを見てしまったのだろう。――彼女はどこまでもさっきまでと地続きであった、この場所が自分の世界ではないと疑う理屈すら知らないみたいに】
【結局彼女はどこまでもどこまでも神様に庇護されている証拠でもあった、――そういう風にできていた。誰もその過去があったと証明できないのに、それは、"あった"から】

【――だから神様だってお茶会をする、今日の紅茶もいつも通りのティーバッグ。お茶菓子はないけれど、桜色の蛇が勝手に持ってくるから、それでいい】
【――そもそも鬚ィ隕矩「ィ蟄は食物を必要としない。必要があってそうする以外に食事をしない。飲料も本来ならば必要ではないが、紅茶の時間だけは、毎日、用意する】

【「だからあ。この前言ったでしょ? "あっち"で、この前、助けた子。あれに憑いてた蛇が、うちの蛇なんだって」】
【「七百年前のことなら"同じ"だと思って朱音に聞いてみたの。そしたら、――」】

【「――ああ、いいよ、ボク、あんまり過干渉すると怒られちゃうからね。君にとっての"あちら"は故郷だから、いいけれど」】

――――――えっと、マリアベル、さん? そう、って、何が……ですか。えと――、"こんなの"、悪趣味ですけど、
……みんな、どうしちゃったんですか? あれですか? なんか、こう、錯乱みたいな……。……。あれ。私、無意識でなんか、阻害しちゃって、ますか?

【「ボクが関わっていいのは君たちのことまでだからね」】
【赤黒の瞳をした神様が嘆息する。――「お茶するのに楽しい話題の一つもなくって、どうするのよ」。ごそり取り出すのは、パイ菓子、チョコ味、チョコのかかったやつ】
【大人のリッチチョコとか書いてあった。大人びた風情の欠片もなく齧って紅茶を飲む。そうやって平和な時間を過ごすなんて、どこまでもありふれた少女みたいに】

>>234

【ええと、と、少女は惑う。けれどそれは決してありえてはいけないものを見てしまったというよりは、初めての都会、見知らぬ駅、迷ってしまったお上りさんのように】
【探せど探せど北口を見つけられないかのような、素振りだった。――そして垣間見ることがあるのならば、彼女はやはり蛇に愛されていた、どこまでも、そう決まっているから】
【然るに蛇に呪われていた女の子なんてどこにもいなかった。事情を知らぬ女の子がさっきまでそこにあったからと今はないおもちゃ箱を探してしまうみたいに、そして、】

【「それにしても、あの子は存外に強情っぱりだね。やっぱり君を喰わせておいた方が、神様として安定したかもしれなかったのに」】
【「――やめてよね。もういいじゃない。それに、気づいたの、あたしがわたしと同じに戻るのは、別に、いいけど」】

【「――――――結局、人間と和解してないんだから、もっかい祟り神を産むかもしれないじゃない?」】

【――蛇に呪われているって信じていた少女は必死になって、蛇に赦される方法を探していた。たったのそれだけのお話だった】
【それはさながら青い鳥は最初から家に居たみたいに、――堂々巡りの遠回り。それでもそろそろ家に帰り付く頃、なら】

>>242

【――銀髪を揺らす少女が困惑しきった顔で貴女を見ていた、周りの人がみんなどうかしちゃったって訴える目をしていた、奇しくも、シグレと似通った意見を抱いて】
【どうしましょうって言いたげだった。困惑していて、だけど、彼女は限りなく異常を感知していなくて、いないから】
246 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 22:15:29.72 ID:FHL/nT/Ro
>>235

【正しく荒唐無稽な話であった、丹念に論理を編む筈の存在が描くのは、論理と呼ぶには暴論に近い】
【けれどもそれは受け入れられる、──── それが理解される土壌を作り上げたのは、他ならぬ "私" なのだから】


【──── それ故にこの催し全てを、グランギニョル神話と名付けたの】


……随分と刺激的な解答だね、無論その道理も存在しうるけど、──── けどね


【他でもない "貴方" がその手段を執るとは、全く予想できませんでしたね──── 】



──── どうやら君達にも、受け入れて貰えないみたいだ


【ロールシャッハの左手に握られる銃、放たれる銃弾は、其処にいる四人を包み込む勢いで掃射される】
【最早弾幕であった、拳銃という理論を覆すほどの暴力的な道理が襲いかかる】
247 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/10(土) 22:18:02.72 ID:aFW1iTnO0
>>237


【一歩、】


【また一歩、】

……私に、その勝負を挑むのは――――――――今だからこそ分が悪いと分かるでしょう?
底が見えた邪神と、決して諦めることのない兇器――――こうして見えるのならせめて、戦いの果てに潰えてみせて。

【精神を屈させようとする圧力を、撥ね除けながら前に進む。兇器は、まるで緩みを見せず】
【理を識らず、神殺しの名を忌みも歓びもせず、より護りたいものを護るために――恐怖の影に迫り続ける】

【彼を斃すことを忌みながら、それ以上の意志力を以て滅ぼすと決める。――――それだけで。世界は、ロールシャッハを護ることを已めるのだろう】
【直前までは、そうでなかった。まさしく無謬の理のごとく、無形の邪神として君臨して】

【端的に言って――――勝負に出てしまったから、彼は斃れ得る。そう導いた何者かの可能性を消して、自分たちの闘争だとこの世界に刻んだ】
【なぜ、彼がこの勝負に出たのかは。或いは、己の“戦う理由”――生まれ落ちた理由とさえ思える、あの願いにも重なる様で】


悪いユメは、これで、お終い――――

【一切の慈悲も容赦もなく。もはや死ぬ者を、介錯するかの様に斬首の刃を抜き放つだろう】
【生存の可能性も絶無でなどないはずで。もしも、シャーデンフロイデの生を願ったほどに、ロールシャッハの生を願えたなら――――】
【精神を投影するこの世界は、きっとその生を定めるはずだ。世界を護らんとする者を、心底から憎悪することは、どこか難しかった】

【だから―――― 一抹の哀悼をも、口にすることはありえなかった】
【これは、飽く迄自分自身の意志で。この罪は、己だけのもの】
【最期にせんとするこの光景を、決して忘れぬ様にと目に焼き付けながら。赦しを求めることなき罪を、兇器は、この一撃に選び取った】
【この先があるのならそれも構わない。彼の“生”、そのすべてを刻みつけられることさえも、“人間”は望んだ】
248 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/10(土) 22:22:05.64 ID:FHL/nT/Ro
>>240

【果たして "私" の試みに最初から無理があったのだろうか、此処に至るまでの下準備にどれだけかけた事か】
【万が一の可能性を作ろうとした、億が一でも構わなかった、──── それでも成就には程遠いのなら】
【結局の所、物語は現実の延長線上には存在しないと、最初から決まっていたのでしょう】



【砕かれる脳、飛び散る髄液、──── それは確かな夢の終わりであった】



【ロールシャッハは静かに其れを見ていた、戦いの最中、彼には邪魔をすることが出来なかったから】
【結局の所、彼が見ていたのも、彼が見せていたのも、──── この世に僅かばかり現れた "我々" も】


【──── 全てを指して曰く "胡蝶の夢" であると】



──── それでももう僕は全てのカードを切った、それならば、戦い抜くしかないだろう
可能性は最早那由他の先にある、それでも、──── 賭けてみる価値はあるのだから


【散開する少女達、その足下に出現するのは、骨だけになった "手" であった】
【手は恐るべき握力で少女の足を掴もうとし、可能ならばそのまま握りつぶそうと試みる】
249 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 22:26:33.80 ID:FHL/nT/Ro
>>242

【──── 思えば、ロールシャッハにとってこの少女は何処までも "鬼札" であった】
【電波通信のインシデント、その目論見が失敗したのは、この少女の繊細さが故に】
【そして今、本能的な聡明さが、その現状を "正しく" 認識していた】

【──────── 更に先、きっと "鬼札" であるその意味を、理解するのだろうから】


僕が不定形の存在であることは、君が一番よく知っているだろう、僕は恐怖をもたらす、どんな存在にでもなれる


──── 本当に、君が一番よく知っているはずさ



【ロールシャッハが自身の右手を顔に沿わせると、その顔立ちが "変わる" 正確には、夕月にだけ、見える姿が変わる】
【それは、夕月を殺してビデオを撮ったあの "男" の顔であった、彼女の恐怖の代名詞を、彼は顕現させる】


【──── 悪趣味な催しであった、けれども──── 】
250 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 22:32:37.59 ID:TGNFsfh00
>>241


【銃口を向けられて尚、マリアベルはあっけらかんとして笑う。もはやそこには完全な個≠ェあった】


ああ、さっきまでのクソ野郎≠ムンドゥス≠ニして定義しろって事?
だからさ、違うんだよね。私≠ヘ私≠ネんだ。どっかの誰かがレールを敷いているところで変わらない
レールを敷く人≠ェ分かったからなんで私の物語が終わるのかね?


ありがとうロースシャッハ=Bロールシャッハテスト≠熈ストックホルム≠熈ジョージ・オーウェル≠熈動物農場≠


                        この世界には存在しない虚構だよ



【マリアベルは銃弾を避けようとも、弾こうともしない。銃弾はマリアベルに到達する寸前で勝手に燃え尽きた=z
【それはマリアベルの異能の力か、もしくはロールシャッハ≠フ存在そのものの―――】



だけど私はロマンチスト≠セからさ―――共に逃げないかい?



【そしてあろうことかマリアベルはロールシャッハに手を差し伸べた、結局のところ彼女は―――】


>>245

【困惑するかえでを見てマリアベルは声を上げて大笑いする。それはとても幸せそうな顔でもあった。】


アッハッハッハッハッ!いやーやっぱりかえでは可愛いね。なんか睨まれてる気もするけど………
ありがとう=B貴方は私にとっての福音≠セよ。



>>233


【―――――ふと、ギアボックスの近くに誰かがいる。】


あーあ、カニバディールの奴抗った挙句消えちまいやがった。なんか最近アイツ汚れ役ばっかじゃねーか?


【その誰か≠ヘギアボックスの背後から語り掛けてくる。振り向くことは叶わない。むしろギアは振り向かない方が良い】
251 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 22:33:41.81 ID:FHL/nT/Ro
>>244

【ロールシャッハは拳銃を棄てた、彼にとっては造作もない事だ、ある意味では彼の本質とはそこに近い】
【恐怖とは厄介である、恐怖とは何物にもなりうる、恐怖とは痛烈である、恐怖とは全てに優先される】
【矛盾無く忌憚なく、我々を、我々から、その尊厳を何処までも軽く奪い去ってしまうのだから】


──── 嗚呼、夢だよ、君が過ごした全ては、君が見ていると "錯覚" しているだけにしか過ぎない
君が愛した女性も、君が愛する少女も、ただのデータ上の存在だ、それを自覚せずに過ごしているだけなのだから
その恐怖を認識しなければならない、それを正しく受け取ったならば、今本来君は此処に立ててすらもいない


【ロールシャッハの内部から炎が燃え上がる、轟々と燃える黒い炎が周囲を描き出す】
【彼は徐に自らの胸へと腕を突き立てた、そうして取り上げるのは、燃えさかる炎の根源】
【存在するかも分からない根源、けれども、彼の能力を持ってすれば、そういうものを作り上げる事すらも可能であった】




悪いが恐怖に燃えるのは君一人でいてくれないかい? 僕は原初から、そんな心の働きなんて持っていないんだから






──────── 一人っきりでビビってろよ



【彼はその手に持った炎をミレーユに押しつけようと試みる、肉薄する距離は、何処までも互いの身体を焼いて】
252 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/10(土) 22:35:40.38 ID:AG0NCCGD0
>>243>>238

――僕らは完全無欠じゃない、原型を愛せるわけではない――

「いくら言葉を尽くしても、無理ですよ『あなた』には」
『私たちは私たちとして、僕達は僕達として既に生きてるんですもの!』

【――余の自由を余以外が定めることは何者にも出来んよ――】
【否定の意思を明確に伝え、引き金を引こうとする】
【だが、ここでロールシャッハが取ったやり方は、少々、いやかなり意外なものだった】

「なッ!?手、手が!?」
『ライガ!?ちょっとどうしたの!?』

【手がコントロールを失い、E-ブラスターの銃口が向けられる】
【向けられた先は、ギア・ボックス】

「ギアさん!!逃げて下さい!!!!」

【そう叫ぶのが精一杯の抵抗だった】
【あがいても、力を込めても止まる事は無く】
【やがて間を置かずに、その専用口径の弾丸は発射されるだろう】
253 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 22:35:43.09 ID:qxWnDWXw0
>>246

――――わ……悪いけどな、お前の論法……それを肯定していった先が……この『有様』なんだぜ……?
<だから言っただろう、痴れ者……お前の繋げた先の概念は、決して繋げては成らなかったはずの世界……!
 そして――――お前の『先』にいる"誰か"……『だからこそ、ロールシャッハは、ここで散らなければならない』……そう、なんだろう……?>
{……俺は、所詮、ただの始まりに過ぎない。そして、その役目ももう終わったんだ――――掘り返してはならないものを掘り返した、その結果が、これで――――ッ!!}

【敢えて、状況に倣った呼び方をするのなら――――『1番目』のラギデュース、『23番目』の緋沙、そして『30番目』のレグルス】
【彼らは、この世界の全てを認識した。そして、その果ての『上位世界』を認識してしまった――――それ故に、条理は捻じ曲げられ、死人は蘇る】

【――――本来ならば、それは『ただ認識しただけ』では、ありえなかっただろう】
【/したらばのラジオスレの様に】
【だが、ロールシャッハの築き上げたこの状況が、その不条理を実現させてしまっていたのだ】
【/脚本に乗ったからこそ、ラギデュースも緋沙も呼び出されたのだ。特に緋沙など、本当の意味で『いてはいけない』存在なのに】

「――――みんな、何を――――!?」
ッ、ラベンダー伏せとけ!!
<ここからの事を、認識するな、お前は認めるな、理解しようとするな!!>
{カエデッ、お前はまた、この世界の中に――――『正常』を取り戻したこの世界の中に、帰っていかなければならない。だから……!}

【それは、拳銃弾のそれではなかった。咄嗟にレグルスはラベンダーを突き飛ばし、その嵐から庇う】
【そして、本来なら一撃一撃が致命の一撃であるはずの銃弾が、雨あられとなって降り注がれた――――】

見ろよ! 周りの『みんな』は、お前の論法を真っ向から否定し、そして拒絶してやがる!!

【先ほどまでの、憑りつかれたような動きは何だったのだろう。レグルスは、完璧――――否、完璧以上の棍さばきで、銃弾を弾き防いでいく】

<ッ…………血を流せば、私は強くなる……お前の『向こう』にいる者は、知っているはずだ……! 『無光』赤:二種――――『地烈』!!>

【わざと銃弾を浴び、出血した、その血の赤を魔力に変換して、地面を走る衝撃波を放つ緋沙――――】

{――――お前の論法を肯定し、その先を行けば……お前の力は、限界にぶつかり……そして、俺たちの奥にいる『あいつ』は、自重を投げ捨てる……!}

【そして、ラギデュースは――――まるで、無敵のロボットか何かの様に、銃弾を真っ向から浴び、その全てをはじき返してしまう】

――――見やがれ、千日手だ!! こんな事の果てに、世界のどんな未来がありやがるッ!!
お前は世界的自殺をして、そして世界の意味を壊そうとしているだけだ!! それとも……今ここで、意味を失った世界に、意味を取り戻すために、死んでくれるってか!?

【窒息死した肉体とは、全く思えない動きで、レグルスは銃弾の一瞬の隙をつき、ロールシャッハへと殴り掛かった――――】
【/自重を捨ててしまえば、そしてそれが理屈として許されてしまえば、こんな形の埒ない進行が待っているだけ――――という良い例である】
254 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 22:36:10.19 ID:TGNFsfh00
>>250
『なんかおいしそうな名前になってしまいましたすみません…』

×ロースシャッハ⇒〇ロールシャッハ
255 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/10(土) 22:36:22.64 ID:JEbGG14D0
>>248
君がもし、その座まで手を届かせるとしたら――その時は、この世界が真に終焉を迎える時なのだろう。
だが、それは奇しくもゼノンのパラドックスに似ている。
永遠にたどり着けない到達点だ。

【彼等の中には、"上"を呼び出している者もいるのだろうが――それが世界真実であることなど、誰にも保証は出来ない】
【故に"水槽の脳"を破壊し、それらを潰えさせたとしても――無限の層が連なる中の1層だけを中抜きにしたに過ぎない】


――これが我々の解答だ、ロールシャッハ。
"この世界の真理に気付いた"と設定された道化の男。
最後の最後で君は脚本家から、役者になることが出来た訳だ。



求めるのならば旅立てば良い。
無限数を数えた後に亀に追いつけるのかを、試すのも良いだろう。


しかし――それはここではない。


【少女達は簡単に骨へと足を掴まれ、握り潰される。絶叫を上げて少女が転げ回るが、アレフが生み出したホテルは更なる少女達を出現させる】
【ロールシャッハは戦いに手を取られて、こちらに意識を割けないのなら――脆弱でも数こそが最適解】


連れて来たのが彼らで正解のようだ。
全てを破壊して、私は君の空想を証明しよう。
256 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 22:40:58.31 ID:Bbrz69m5o
>>243
>>252
【向けられた銃口から撃ち放たれた弾丸は、ギアを撃ち抜く】

――――平気ですよ、ライガさん
今、この場ではこちらもそれなりの自由が効きます


【倒れ伏す。起き上がる。ギアの首の横から、カニバディールの頭が生えて、歯で銃弾を止めていた】

「……元々は、私≠ヘ「私」がやりたくて、ここに来たんだ」
「ならば、この「カニバディール」なくして、この場は始まらんだろう」

お前とデュアル兄弟の物まね何て最悪だよ

【ゆっくりと向き直る。ロールシャッハを睨む。三つ目と二つ目。異形と人形】


「いやはや、この上憤慨か。まったく、やりたい放題やってくれる」
「それで、これが何の解答だ? なんというか、「強敵」すぎるよ、お前は。皮肉だってわかってるか?」

>>250
「……全くだ。だが、元々私の本分は汚れ役と言えるだろう」
「だから、群体のようなこじつけと共に、半不死にまでなったんだ」

【生えたカニバディールの首が、返答した。しかし、ギアは振り返らず、だからカニバディールも振り返れなかった】
257 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 22:46:03.86 ID:FHL/nT/Ro
>>245

【──── "貴女" は知っている、否、きっと、この状態に於いて、"貴女" だけが知っている事がある】
【それは一瞬だけ、この戦場を離れる思考であった、本質的に伝える必要のない出来事であった、けれども】
【打たれた一つの大きな楔の意味を、"貴女" はきっと知っているのだから】


【──── アリアは既にロールシャッハとの戦闘を開始していた、戦いは激しさを増して】


>>250

【燃え尽きる銃弾を見ていた、それは自分自身にベットした札が燃え尽きる作用に似ていた】
【薄く彼は微笑む、──── 役者という土俵では、マリアベルに適う筈が無かったのだから】
【或いはそれは丁寧なラブロマンスの一端として、若しくは其れは悪趣味な演劇の手法として】

【──── 確かなのは一つ、何処までも、遅すぎたから】


誰も彼もが君のようにロマンスに生きたなら、僕の存在価値もまた別の形であったのかな、それを願っていた訳ではないけど
君は変わったヒトだ、この状態で尚、僕に対してその手を向けるんだもの、──── ああもう



ニンゲンの心なんて、──── さっぱり分からないや



【彼は拒む、──── もうその手は何かを握れるほどに、十分な存在を持っていないから】
258 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 22:49:49.71 ID:JEbGG14D0
>>245

んー? んー……よくわかんないけど、なんかエー……ミレーユさんも普通にやってるしさ、
やっちゃっていいんじゃない? ロールシャッハ。今ならブッ殺せるっぽいけどお。
みんなどうしちゃったんだろうね。

【肩を竦めて困り顔。二人だけ置いてけぼり喰らっちゃったような気分。であるなら、】
【会話の内容がどこまでも、浮き上がって聞こえちゃうのも仕方のないこと、なのかもしれず――】


>>249 >>エーノさん

――――――――――――ッ、あ、っ、嫌、それいやッ、やめてよ、やだ!!
いや、いやだああ、………………エーノさん!! 助けて、こわいっ!!!

【それは本能から拭い去れない恐怖だった。自分を辱めて殺した汚らわしい男の顔。見るだけで】
【なんにもできなくなってしまうくらいに、刻み込まれた恐怖の象徴。であるなら、彼女は】
【「両目を塞いで」「好きな人の助けを待つ」――――、だって、】



【 それがこの子の設定なので、ね。 】
259 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 22:50:04.75 ID:FHL/nT/Ro
>>252>>256

【ロールシャッハは追撃を打てなかった、肉薄するミレーユに相対するのでそのリソースを多く使っていた】
【かつての彼は不定形の怪物であった、けれども、存在を限りなく説明した上で、その余白はもう存在しない】
【ならばそれは、倒しうる一人の化け物でしかなかった、──── その道理をライガ達ならば理解できるだろう】
260 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 22:50:29.50 ID:XDnSkEvG0
>>245


「 ────………… 私も、良く解らないわ。」「啓示とも呼べばいいのかしらね。衝動に、駆られて。」


【無数の銃創に溺れたアリアは、 ─── 酷い出血を脚元へ池のように零しながら、それでも確かに少女の側にいた。】
【然らば背中を預けろと命じるのに同義であったろう。仄暗い輝きが儚い色合いを孕んで、創り上げるのは】


>>242>>251


 「懐かしい観念ね。けれど何よりも貴方が"其処にいる"ことが、私にとって代え難い証明よ。」「神様も幽霊も、本当なら私は信じるつもりがなかった」
  「"貴方達の御陰"。ねえだって、そうでしょう?」「肉体なんて無くったって、私の魂は汚せやしない。貴方はただ、己れは"穢れうる"と信じているだけ」


【 ──── 呼び出される"機関砲"/GAU-8 アヴェンジャー。ガトリングガンと呼ぶにも余りに巨大なその威容は、徐に回転を始めた七ツの銃身より】
【吐き出される分間数千発の30mm焼夷徹甲弾。それは弾幕であり、運動エネルギーの暴威であり、然して確かにロールシャッハだけを狙っていたのならば】



       「それがてめえの本性か。」「 ──── そう怒るなよ。綺麗な顔が台無しだぜ?」



【 ──── 互いの炎を、そしてミレーユは"白い"氷を生じさせながら、逼迫たる異能の鍔迫り合いに】
【辛うじて彼は拮抗してみせていた。 ─── もしも白い氷にロールシャッハの触れるなら、ひどくそれは"重さ"を与え】
【そうしてまた立ち向かう黒い背中が、確かに赤髪の少女の一拍を求めてもいた。信じていた。ただ彼もまた】
261 :男の声 ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 22:50:48.52 ID:TGNFsfh00
>>256

ったく、まだ気まぐれで大昔にやった得物を使ってるからだ。
柊ちゃんも相変わらずの融通利かねぇクソ女みてぇだし、―――玩具屋はちっとはマシになったか。


まぁいいや―――上げてやったんだ、せめて醜態晒しまくって長生きしろやクソ肉屋<qャハハハハ。


【「そんじゃなー」と男の声は遠ざかっていく。それはまるで泡沫の悪夢のようだった。】
262 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 22:59:07.48 ID:XDnSkEvG0
>>258

【 ──── 目を閉じる貴女に触れるのは冷たさ/温もり。優しく髪を撫ぜて、それでも瞼を開こうとするなら、そっと指先が咎める】
【確かにそれはエーノの囁きであるに違いなかった。 ─── だが現実に彼は、己れが仇敵と交えるものを持つが故に、何故】


       「 ─── 大丈夫。ボクがいるから。だから」
        「やろう、シグレ。 ─── そのまま、目は開けないで。ボクが導く」


【であれば彼もまた、ただ信じてくれと願っていた。 ─── 瞼を開ければ、きっとその本質も、理解させてしまうだろうか】
【自身の繰操る氷像に、黒い炎の温もりを与えた、虚空に浮かぶ仮初めの腕だけがシグレを抱き締めていた。それが今は精一杯であるとしても、】
【瞑目のまま"それ"に腕を引かれて向かうのならば、 ─── 確かに彼の背中はそこにあって、嗅ぎ慣れた甘い香りも、無音なるフリルの柔らかさも、人肌の温もりも、】
【そうして繋がれる左手同士の恋人結びを許すのであれば、後はただ立ち向かうより他にないだろう。「ボクに力を貸してくれ。」 ─── そんな、酷く大雑把で/だからこそ信頼に汪溢した言葉も、添えながら】
263 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/10(土) 23:04:58.53 ID:AG0NCCGD0
>>256>>259

「ギアさん!?」
『え!?ちょっと待って、これって……』

【放たれた弾丸だったが、それはギア・ボックスの首の横から生えたカニバディールの頭部】
【それが、口で弾丸を噛み止めていた】

「なるほど、便利なものですねこの状況も」
「感心してる場合!ほらさっさと戦う!」

【見れば、ミレーユとロールシャッハがまさに戦う最中だ】
【追撃も、あるいはそれ以上の何かも無く、ロールシャッハに余裕が残されていないことを感じさせる】

「だから言ったでしょ、完全無欠じゃないって……」
『やっちゃえ!ライガ!』

【膝をたたみ、そして一気に伸ばす】
【ロールシャッハに向けて駆け出し、そして跳躍する】
【そして空中で右足を突き出し、迫る】
【全力を込めた飛び蹴りだ】

「ミレーユさん離れて!!」
「これが、僕の『私の』『俺の』『わ、たし、の』『あたしの』『私(わたくし)の』答えだああああああああああああああああッ!!!!」
264 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/10(土) 23:06:57.59 ID:Bbrz69m5o
>>261
お、前――――!!! レ、ギ……
くっそ、何て夜だ……ああ、マシになったよ。お前のおかげだクソったれ……

「……くっふはははっはははは!! 全くだ!! 何て夜だ!!」
「ええ、ええ、それこそ私の本懐。どこまでも醜く、生き足掻いて見せますとも……蛇王」

【ギアは苦虫をかみつぶしたように漏らし、カニバディールは大笑いしてギアの右手を挙げさせ左右に振り、泡沫の再会に別れを告げた】


>>259
「さあて、そろそろいいだろう? ロールシャッハ」
……もう、退場の時間だ

【ギアの身体が、ゆっくりとカニバディールの戦斧を。『彼』から下賜された品を、構えて】
【雷の力を、全開にして。その場全てを消し飛ばさんばかりの勢いで、ロールシャッハに叩きつけようとするだろう】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/10(土) 23:09:42.12 ID:HUsOZ0yN0
>>250

【――――マリアベルの仕草に、彼女はひどく驚いたらしかった。びくりと肩を跳ねさせて、けれど、その幸せそうな顔に、文句だって言えなくなるなら】
【ひどく解せぬ顔でありながら文句ひとつも言わないのだろう。ただしやはりついていけていない顔をしていた、ことがことなら説明しろと詰めたかもしれなくて】
【だけれども、――かつて確かに優しくしてもらった人が、たとえよく分からない理由によってでも悪くない顔をしているなら、いいかなって、ことに、してしまう】

――――、もう、なんの、話、ですか? 私、全然、分かんないんですけど――。
ありがとうも何も、――まあ、これっくらいの介抱なら、いつでもしますけど……。……見慣れてますし、別に。

【ぱちりと丸くなる眼差し。可愛いだなんて言われてもどこ吹く風、限りなく言われ慣れているみたいだった。そんなの知ってますよって態度を取る、それに】
【何より愛しい人の前で、他人に顔を真っ赤になんてしたら悲しませてしまうから。――うふふって笑い声、なんだかんだ脳裏で判断したみたいだった、】
【つまりなんてことなく彼女は理解する。――生きているなんてきっとそんなものだった、どこまでも自分に都合がいいフィルター越しに世界を観測するのが、命だから】

>>258

【――はて、と、少女は首をかしげる。そうしたら長い白銀の髪が雪崩れた、彼女にしてみたならば、周りの人間がみんなおかしい】
【あるいはそれこそバグめいた挙動なのかもしれない、なんて――。そうしてまた彼女はその理屈を勘違いする。自分は世界に対する色眼鏡を、ある程度自由にできるから】
【素知らぬ間に何か無意識に"阻害"してしまったかと思ってしまう。――限りなく病み上がりであるという自己への評価とともに。だから、】

そう、です、かね――――――、っ、

【転瞬に色合いをがらりと変える仕草に、少女は惑うのだろう。けれどその刹那だった、傍らに立つ人影、認知するなら】

>>257>>260

――――――わ。――うぁ。え。アリア、さん? どうし――、

【振り返りざまに、少女はあどけない顔をぐうっと歪めるのだろう。どうして気付かなかったのかすら、――見当がつかなかった。何かおかしい、何かがおかしい、誰かがおかしい】
【少女は眼を丸めてアリアへ触れるのだろう、そうして求められるなら痛みをすべてもらってしまう気だった。勝手にしなかったのは、――さっき、駄目と、言われたからか】
【そうして何かを求められるなら、限りなく従うのだろう。はたと瞬く彼女はいつも通りだった/さっきから/その前から/ずっと/、鈴の音も小鳥の囀りもどこにもないでしょう?】

【(そんなの/この世界には/始めからなかった)】

――――――――――――アリアさん、私ね、アリアさんのこと、だぁいすき――、ですよ。

【――だからか、ふとした気まぐれかもしれなかった。少女はひどくあどけなく破顔して一度アリアを抱きしめるのだろう。泣かなかった。呼びかけてくれたから】
【そうしてその声に応えたいから、――胸元から見上げてにこと笑う。そうして離れ行くなら、二人はきっと同じ香りがして。だのに何かが違くて。だけど、私たち、二人で一人だから】

【――――見つけた半分を手放そうとしないのは、彼女もまた、おんなじ、だったから】
266 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 23:15:50.56 ID:JEbGG14D0
>>262 >>ロールシャッハさん

ッ、ん、――――――――、

【他ならぬあなたにそう言われるのならば、逆らう道理はない。ぎゅうと目を瞑ったまま】
【一歩一歩、確実に踏み出して。左手を難なく貸し与える、そうして、恐る恐る目を開くなら】
【――――やっぱり怖くないと思える。冒涜的な術の介入なんてなくても、なにも、】

【だから、】


――――――――「おいでませませ」、「マックス」あーんど「カスパール」、……すぐリリースしちゃうけど。


【せっかく喚びだした銃は速攻で棄ててしまった。ぽいっと放った地面に、赤色のラインが走って】
【一ツ描くは魔法陣。そこから喚び出すものなんて、ただのひとつしか、ないんだから、】


「大魔砲召喚」、――――――――「我が愛しの鉛の悪魔、」


【 これ読んでくださってるみなさんもなんとなく声に出していただいて大丈夫ですよ。はい、せーの 】



          ―――――――――――――――――――――≪ザミエル≫ッ!!!
267 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/10(土) 23:16:50.77 ID:TGNFsfh00
>>257


【手は取られない―――それは分かり切っていた事であるし、でもあるいは。】
【マリアベルはとても悲しそうで、それでいて微笑んだ。それがきっと―――。】


                 さようなら。私の神様=B



【マリアベルが手を下すことはない。ただ言葉による別れ―――すなわち存在の消滅を認めた】
【同時に、マリアベルはロールシャッハの事を神≠ニ認識した。けれども彼女一人ではきっと―――】
268 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 23:23:00.98 ID:XDnSkEvG0
>>266

【"その名前"を呼び出すのを聞くのは、きっと彼にとっては初めての事だった。なれば静かに笑う無垢さは愛しげで】
【 ──── その砲火の放たれるを、彼もまた確かに待っていた。共にどこまでも、ボク達は、戦っていくのだから】



     「 ──── ありがとう。」



>>259



        「紅い涙を流すがいい。」



【 ──── ロールシャッハの左胸に、燃え盛る黒炎を宿した左腕を突き立てんとする。或いは臓腑を探るように掻き回すのなら】
【やがて彼はそれを見出すのだろう。"心臓"なんて卦体な象徴的臓器を、人心を解せぬ神ごときが持ち合わせるのか知らずとも】
【兎角彼はそれが存在しうるのだと信じていた。ならば掴めるに道理もあって然るべきであった。 ──── そうして】
【引き摺り出されうる"それ"を果たして何と呼称すべきか判断しかねた。何れにおいても肝要であったのは、彼がそれを握り潰し焼き払わんとするということ。然るに】

【 ─── 直接に"触れて"輪郭を確かめる事が、そこに顕然たる事実として示されるならば、エーノがそれを諒解するならば】
【脳髄にまで至る黒炎は、激情から生じたとは思えぬ精緻なる作用をもって、彼の意識の一片までも焼こうとするのだろう。認識に全ては依存するという彼の論理を、彼が彼として在った論理を、皮肉めいて蹂躙する様に】

【もしもエーノの憎悪が道理に届くのであれば、ロールシャッハは"時間"の認識を焼き払われれる。 ─── 即ち】
【量子の揺らぐにも満たぬような断末魔の瞬刻を、絶望的な痛苦と共に無限に等しく引き延ばされる感覚を味わった後、死に至るだろう】
【(それは正しく彼の行った非道であるに違いなかった。少なくとも知る限りは2人の少女に、彼が終わりなき絶望を与えたのだと、知っていたから)】
269 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 23:36:46.03 ID:FHL/nT/Ro
>>247>>253>>255>>258>>260>>263>>264>>265>>266>>267>>268>>(エーリカ、ロゼ)

【ロールシャッハは既にミレーユに肉薄されていた、然るに柊への対応手段は遅れる】
【それでも彼は言葉を絶やさない、恐怖の体現者として存在したからには、──── それを揺らいではいけないのだから】


──── 恐怖もせずに戦う事に何の意味があるんだろう、やはり君は唯の兇器に過ぎない
僕はそれを認めてはいけないんだ、それは僕という存在そのものの否定に繋がるのだから


【レグルスが肉薄する、──── その攻撃を回避する術はない、支配者気取りの神へ、その思いは十分に届くのだろう】
【ボスの声が響いた、その言葉の通り、彼は脚本家から役者へと変容した、それをどう捉えるかは分からないが】
【ロールシャッハの炎は大きく勢いを下げた、──── それはつまり、その存在の限界が近い】


【最早彼に攻撃に対応する手段は無かった、ギア・ボックスの斧、エーリカの刃、アリアの銃弾、ライガの一撃とがその身体を捉えたなら】
【ボロボロになったその身体に叩き込まれるのは夕月の弾丸、弄ばれた過去を消し去るかの如く】
【後に迫るのは柊の一閃であった、──── その意思通り、戦いに打って出た時点で勝負は付いていたのだから】




──── 最初からずっと、分かっていたのに、どうして君達は分からないのだろうとずっと考えていた
そうして伝えた後も、このざまだもの、──── 全くもってニンゲンというものは理解できない、それは変わらないよ




【崩れ落ちる身体が消えていく、朝日に溶ける初雪を思わせた、悪夢の終わりを告げる様な、そんな一瞬で】
【同時に周囲の景色も剥がれていく、ラベルを剥がされた世界が、──── 元の形に戻るように】
【目を覚ましたなら、──── 描くのは、元居た場所だと、認識できるだろうか】

【エーノの憎悪をロールシャッハは受け取った、それは彼が辿る最後の旅路、その痛覚が何処まで残るのかは疑問だが】
【──── 最後の数瞬、彼は笑った】




──────── これでいいんだろう?





【恐怖は消えていく、そうして同時に幕間の物語は晴れ、演目は終演を告げる、長い長い闇の果てに】
【残るのは確かな勝利だけであった、そうして、此処で行われた荒唐無稽な出来事を、誰がそう認識できるだろう】
【──── 私達の中には、私達だけしかいない、それは確かなのだから】

【周囲の景色が消えていく、夢から覚めた様に、辺りは元の状態へ────】



/これにてイベント "胡蝶の夢" 終了いたします、ありがとうございました!
270 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 23:37:02.45 ID:FHL/nT/Ro

















/これにてイベント "胡蝶の夢" 終了いたします、ありがとうございました!















271 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 23:37:46.73 ID:FHL/nT/Ro



















/これにて突発イベント "終わりの始まり" 開始いたします










272 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 23:38:06.03 ID:FHL/nT/Ro
>>ALL


  【──── 道理が合わない事が一つあった、荒唐無稽であれど、論理が破綻していれば、それは物語ではない】


【だからこそ一つの違和感があろう、能力者達が相対していた "異形" ──── あれはどういう仕組みであったのか】


        【ロールシャッハは "ストックホルム" に於いて、能力者達をまどわした、けれども、その異形のしたことは、ただの時間稼ぎ】



【そうであるならばその存在も、虚神に準ずるべきであった、──── しかし、その対応策は、あまりにも単純、──── ならば】








                     ──────── それって、ボクの理屈に決まってんじゃん♪
273 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/10(土) 23:38:20.52 ID:FHL/nT/Ro
>>ALL


      【気まぐれな病魔が翳す "桜色の宝玉" ──── ロールシャッハの作り出した空間が、その位相を越えて氾濫する】


【本来ならばそれは崩壊し、能力者達は元の空間に戻るはずであった、──── けれども、それが氾濫したならば】



                   【周囲の空間が落ち着きを取り戻す、──── それは、あまりにも、美しい光景】


【櫻の花弁が咲き誇っていた、川の潺、晴れ渡る青空、天上よりも遙かに荘厳で、それでいて大自然よりも麗らかで】
【病魔はそこに立っていた、──── "イル=ナイトウィッシュ" INF-009 ──── スナーク】



あはは♪ "Dream Theater" ──── 前にも使ったけどさ、ロールシャッハの能力って変なトコで便利だよねっ
きっと誰も気付いてなかったでしょ? "ストックホルム" に再現されていたのが、 "誰" の場所なのか、って

ボクもう持ってたから、そこの裏切り者から自由にした "とってもとっても大好きな子" の片鱗を




──── だからね、今から見せてあげる、この世界が終わる始まりをね




【病魔が謳う、永久に響く悪意の唄を、そうして顕現するのは "少女" ──── つまり、能力者達が戦っていた異形とは】
【現実ではなく、夢の世界に存在する "悪夢" であった、ストックホルムに於いて、在る人物の精神世界を描き、そこに出現する】
【それ故に空間全体への攻撃や、聖属性の攻撃が効果を持っていた、──── そうであるならば】




【──── 一体そこは、 "誰" の精神世界であったのか】




【顕現するのは "少女" ──── 此処にいる存在ならば、深く知っているであろう蛇に "魅入られた" 少女】
【彼女はその場に身体を持って出現するだろう、イルの直ぐ側に、──── 何の制限もなく、存在できる】



【──── 此処は "ストックホルム" 夢と現が交錯する場所】
274 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/10(土) 23:50:17.96 ID:JEbGG14D0
>>269-273










           【ザミエルを使い、マックスとカスパールを棄てたことをこれほど後悔したことはなかった。】



……………………………………………………あ?


【一瞬で全身の血が沸騰し、気体となって身体の外へ逃げていく感覚。聞き忘れるはずのない声を聞いた瞬間】
【大好きな人と手を繋いで、世界で一番怖いものをブッ飛ばして、幸せだったはずの感情が、すっぽ抜ける】
【ありとあらゆる感情が瞬時に書き換えられる。「嫌悪」「敵対」「殺意」「嫌悪」「敵対」「殺意」「嫌悪」「敵対」「殺意」】
【「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」「殺意」、】


【(――――――――――――――――――――もう会えないと思っていたから、若干の「うれしさ」と、「引け目」)】



てめェ、――――――――――――てめぇッ、どのツラ下げて出てきやがったこのクソアマ゛あッ!!!!


【なれば、愛しい人の忠言すらかなぐり捨てるほどの勢いにて牙を剥くのだろう。そして咆える。憎悪に顔を歪ませて】
275 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/10(土) 23:56:22.33 ID:XDnSkEvG0
>>269


       「 ……… 最期まで、」「いけ好かねえ奴。」


【握り潰した臓腑の感触を、きっと確かに彼は覚えていた。 ──── それが虚構であるとしても、確かに】
【泣けと命じて殺したのに、最後は笑って死んでいった。やはり彼は復讐に相応しからぬ人間であるらしい】
【そうして世界が歪むなら、もう一度あるべき姿を取り戻すなら、 ──── 然るに、それは、それでも】

>>272>>273>>274




「 ──── そォかい。」「てめえが。」


【紡がれる殺意は未だ凋落を知らず、吐き捨てるように睥睨する碧眼の、なんとこの場に似つかわしくない嘆かわしさよ。】
【「使えよ。」 ─── 一瞥もせず、愛しい人に手渡すのは、拳銃。散弾銃。短機関銃。瞬息に飽和する殺意の凝結】


「 ……… ご大層なコト言ってくれるじゃあねえか。」「生憎とボク達、全員てめえに借りがあるんだぜ。」
「貴女が、かえでを苦しめた人?」「 ──── そう。それなら、 ……… 。殺すわ、貴女を」


【 ──── 向けられる銃口は、2人分の4ツ。それでも彼らはまだ冷静であったから】
【なぜイル=ナイトウィッシュが、弱小の病魔でしかない/ウヌクアルハイの威容さえも失った対手が、ここまでの壮語を誇れるのか、心に留めたまま】
276 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/10(土) 23:57:39.08 ID:qxWnDWXw0
>>269-273

<――――それを理解できないのであれば……やはり貴様は、『駒』としても出来の悪い、ただの演出なのだ、ロールシャッハ……>

【叩き込んだ地烈の結末を見届けて、緋沙は静かに紡ぐ】
【/こうなって、なお世界と共にあり続けるために戦った。それが緋沙たちとロールシャッハの、『この視点』における最大の差で】

{――――終わったな。さあ行こう……存在しなかった『櫻の国』の、忍――――そして…………}

【ラギデュースが振り返る。その先にいるのは、緋沙と――――】

――――『道理』が見えて、あんたらと一緒に戦った時点で、おかしいとは思ったぜ…………
ロールシャッハの奴を殺すためにと、好き勝手し過ぎたか……――――そうだよな…………

【――――レグルスがいた】
【自嘲気味に笑いながら、ラギデュースと、そして緋沙と、肩を並べる】

「――――ぇ」
悪いな、ラベンダー……オヤジに、よろしく伝えといてくれよ……世界は、『正常』に返って――――そこじゃ、俺はもうただの『死人』だ……
{カエデ……俺の言葉は、これからのお前に、何の意味も齎せない……けど――――済まなかった。俺の娘にさえならなきゃ、お前は――――}
「お父さん――――ッ」
<――――行こう。私もまた、無意味な存在へと、帰らなければならない……ここは、生死を見ても、私の世界では、ないのだから……>

【――――光は覚め、世界はあるべき形に返っていく。そして――――その中で、既に死人となっていたレグルスは、彼らと共に――――】

【/流石に無茶しすぎた事の自己ペナルティ兼「チャネリングしてた事の伏線消化」です。そういう事で1つ……】
【/お祭りは、あくまで今回限りです。流石にこんな事をするたびにキャラが死んでたら――――って言う、自戒の意味も込めまして】

【――――全ては、元の形へと戻っていき――――――――――――――――――――――――――――――――そこに、忌まわしき異物が挟まった】



「――――――――ッ、あ――――!」

【――――どことも知れない場所に放り出された、ラベンダーと、レグルスの亡骸】
【何事かと、状況を確認すれば――――そこには、いるじゃないか――――レグルスが、ロールシャッハを許せないと思っていたと同じように】
【――――自らの魂が、「死んでも許すな」と繰り返してやまない、畜生じみた悪魔の姿が】

「――――ぁぁぁぁあああああああああああああッッッ!!」

【レグルスの亡骸をその辺に下ろし――――そういえば聞こえはいいが、ほとんど『投げ捨てている』――――ラベンダーは咆哮する】

【奴を許すな、絶対に許すな――――至極の苦しみの放り込み、息絶えるまで焼きつくし、そしてその死骸に鞭を打て】

【――――全身の、金色の魔力ラインが、これ以上なく輝き始める――――先ほどの夢の続きが欲しい。何がどうなっても、奴は殺す――――】
277 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/11(日) 00:02:26.07 ID:Hhl0hiUJ0
>>273


―――やぁやぁ!ジャ=ロ℃≠ニ戦った時いらいかな?あ、でもあの時の貴女≠ヘ別の人なんだっけ?
途中参加だからそのあたりの関係はよく分からないな〜


【櫻が舞う空間にいて、マリアベルは顎に指をあてて大袈裟に考えるような仕草をする。】
【それは何か別の感情を覆い隠そうとしているようにも思えて―――】

【マリアベルはしばらくすると笑顔を崩さないまま相手を見据えてそしてソフトハットを抑える。】



けど私は今ちょっとばかり気分が悪いんだ、貴女が何をするか興味はあるけども




―――今日は幕を下ろしてくれないかな?



【それはマリアベルらしからぬ発言だった、あらゆる特異事象に興味を示すマリアベルらしからぬ―――】
【病魔にとってはマリアベルの存在も含めて一蹴すべき事柄だろう。】
278 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/11(日) 00:02:50.44 ID:ZENCcDQY0
>>269-273

「やった……」
「ライガ!やるじゃん!」

【全員の攻撃が命中し、ロールシャッハはその身体を崩壊させる】
【その存在が消える世界で、これでようやくと、元の世界へと戻れる帰れる】
【恐ろしい敵であるロールシャッハは、もう居ない】
【そう、安堵に胸を撫で下ろした時だった】
【だが、そう、此処に至るまで失念していたことが一つある】
【あの化け物、異形のこと】
【そして虚神は、もう一柱存在していたことに】

「何だ此処は!?何処なんだ一体!!」
『ライガ!あれ!あれ見て!』

【目の前には、何処の国とも言えない、長閑な山野の風景が広がる】
【空は高く青く、心地よい風景】
【先程までとは打って変わった、平和そのものを体現したかのような】
【故により、恐ろしさが際立ち】

「イル・ナイトウィッシュ、それにその横の女の子は……」
『八課の資料にも載ってたでしょ!白神鈴音!多分そうよ!』

【誰かの精神を具現した世界】
【とすれば、イルの言葉から察するに此処は、鈴音の世界なのだろうか】

「アリアさん!ミレーユさん!ギアさん!」

【周辺に居るであろう仲間達に、こう声をかけて】

「何をするつもりなんだ!終わりの始まり!?一体何を……」

【イルにこう問いかけを成す】
279 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/11(日) 00:04:25.16 ID:03xRuTBD0
>>269-272
【――虚神達のインシデントは常に一繋ぎであった】
【先の強敵を倒せば次の強敵へと繋がる、連鎖の物語】
【故にロールシャッハを仕留めたならば、最期にはスナークが出て来るのは自明の道理であって】



【――しかし、ボスは既にその場に存在していなかった】
【"ルール違反"を罰したので有れば、後の仕事はこの世界の住人の仕事だから】
【ならば今は、少年と少女達が、イル=ナイトウィッシュを見ている】


「あれは、確かINF009"スナーク"――」
「と、それに付帯している病魔、でしたか」


えっ!今の終わる流れじゃなかった!?いい加減朝食食べたいんだけど。


「そしてあそこに立っているのは白神鈴音――?私どもは余り縁がなかったのですが」
「レッドへリングの記録を漁れば何か出て来ることも有るでしょう」


【周囲には激昂している――それこそロールシャッハへよりも明確な敵意を向けている者もいる】
【ならば、今動くのはお互いの邪魔になりかねないのだが】
280 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/11(日) 00:05:13.72 ID:zELAAzRJo
>>269-273
「だろうな。お前にはわかるまい。分かったところで、変わらない。ただそれだけだ。さようなら、ロールシャッハ」

お役目、ご苦労様。きっとあんたも、このために生まれて消えていくんだろうから

【一体と一匹は、その一瞬を享受する。消えていくローシシャッハに、別れの言葉を告げて】
【そして、またも場面は変わる】


「―――――」
…………

【一体と一匹は、ただ黙って見返した。それぞれの因縁を視線に込めて】

「もう今日は、戯言は十分に聞き飽きた」
面を見るのも反吐が出る

【やっと、それだけを吐き捨てた。揃って、心底辟易した表情を浮かべて】
【その傍らに現れた彼女に対しては――――複雑な思いを隠し切れずにいたけれど】
281 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/11(日) 00:09:32.90 ID:spjP8WGd0
>>269-273

【数多の決定打がたたき込まれ。最後の勝負に出たロールシャッハは、ひどく淡く潰えていった】


……恐怖を抱いても、進んでゆける――――それが“人”の強さだって、あの人たちを見ていると不意に思うわ。

今の私には、言葉にする資格なんてないけれど。……それでも、――――。

【……けれど。無為な終わりなど、許さない。その感情からも、もう目を逸らすことはない】

【人は、恐怖を忘れ去ることなんてないから。死も、シャーデンフロイデも、闇という未知への恐怖も……"虚神"たちは、在らずとも意味を失うことなんてない。】
【この想念が自己満足でも、彼らを無為だなどと笑うことは永劫ないのだろう。最期を刻んで、
【在り得た未来を願うことは、きっとない。己が罪とともに、それだけでない、“なにか”を抱いて生きるのだろう】


【けれども急転、溢れ出る魔翌力――――聞き覚えのある声に籠もる意図を、断ち切ると定め敵意を差し込む。】
【橡色の瞳は、ひどく冷厳に、その内に破壊的な熱を湛えて視線を向けた】

……今なら、誰かを斃せると都合のいい悪夢(ユメ)でも見たの?
策を弄さなければ、ジャ=ロに喰らわれていただけの"病"が――――何のためにこの場に顕れたのかしら、イル――――

【此処に到って――――つまりは、刻み墜とされたいということなのだろうか?】
【そんな憎悪さえも思わす態度。疲弊した意識も肉体も、最後の一滴まで力を振り絞らせて、あの嗤笑を消し尽くす】
【"虚神"としては、強大さという一点においてスナークは劣る。アナンタシェーシャという手段をかつて用いようとしたことは、その一つの証だろうか】
【それでも、決して生中な脅威でなど無いはずだったが】

【宝玉と、かつて"ウヌクアルハイ"にされたはずの白神鈴音。その二点にこそ、真にあの余裕の所以はあるのだろう】
【けれど、知ったことではなかった。人類種への憎悪に加え、異種たちまでもがもはや同胞でない真なる虚神――――その脅威を、捨て置く理由はどこにもない】

【まして、状況と意図が剣呑に過ぎたのだから。肉体の疲弊程度――――今より無惨になってから、考えればいい程度のものでしかなかったのだ。】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/11(日) 00:10:31.14 ID:R9uqYifU0
>>269-273

【――然るに、決着をつけるのは、因縁のある人間のための絶対的なご褒美であった。何かの影響を受けていた少女は、目の前の愛しい人の負傷の理由すら説明できず】
【ふわふわした混乱に浸された脳裏はただよく分からなさを残す、そうして幕引きを観測するのだろうか。だとしたら、――いろいろ試してみたいことがあった、】
【ちゃんと能力は元のように使えるだろうか。左腕の手当てだってしてもらわないといけない。それになにより先にアリアの傷を確認しないと】
【それからそれから、――――――――】

【――――――固まる、少女はこれ以上ないくらいに。冷凍庫で凍ってしまったペットボトルのミルクティみたいに。あまりに簡単に、あっけなく、息を引きつらせる、なら】

――――っ、あ、――ぁ。あ。ぁ――、や、あ。ぃあ。――っ、い、ゃ。

【ぞろっと血流が反対側になるような錯覚。その姿と声がすでに彼女にとっては何か恐ろしいものを意味していた、愛らしい姿も、愛らしく紡がれる声も、】
【果たして人間にとっては限りなく病であるなら。――無能と蔑まれた少女は無意識にて自分を無能に貶めてしまっていた、それこそ病に感染してしまったみたいに、】
【けれど何とか振り切ったんだった。愛しい人を護りたかったから。自分のこと親友って言ってくれた人のこと、護りたかったから。それに/何より/自分は無能じゃないって】
【演じるくせに否定する。否定するため叫ぶのに、無意識は限りなく自分を無能に据え置こうとする。限りない堂々巡りの自傷行為に似て、――、】

【――――――――(だから少女は小さく「やめて」って口にするのだろう、違うって、ただ、ひたすら、無秩序に自分を護る言葉、口の中、いくつも転がす、飴玉みたいに)】
【だから、――少女はただただ怯えて凍り付いてしまう。けれどその沈黙は、ほんの針の一撫でで容易く制御できぬ烈火になると予感させていた。なら、――】


「――――――――――――――――――――――――ひっ」

【――ならばいつかの写しだった。それによく似ていた。赤い少女が張り上げた怒声に、"少女"は、"彼女"は、強張ってしまうから】
【ごく黒い髪はありふれた人間を"演じていた"時のように肩の長さ、少しだけ長い前髪は果たして彼女の表情を隠すためなのか、それとも、世界を隠すためなのか】
【黒色と赤色のオッドアイが怯えて瞑られるなら、――怯えて伸ばす指先は、間違いなくイルへ向かうのだろう。自分より背の小さな女の子に怯えて縋るさまを、見るなら】
【或いはひどく幼い子供のようだと思わすのかもしれなかった。がたがた震える指先、今にも泣き出してしまいそうに眼が揺らぐ、その背中に隠れようとも、するだろうか、なんて、】

【甘やかなクラシカルロリータに身を包んだ少女。UTの給仕。――白神鈴音、と、誰かが呼ぶなら、きっと、彼女は、そうだと、答えるんだけれども】

【――――――それでも確かなのは、彼女がこの場に居る人々に向けた目は、限りなく恐怖の色であった。何か恐ろしいものに取り囲まれているような、素振りをして】
【そうして事実そうなのに違いなかった。――――人間によって傷ついて、蛇に果てた神様が、人間に対して抱く感情のどこに、親愛や友愛が篭るんだろう】
【いつかそんな素振りをしていたとしたなら、――それは気づいていなかっただけだって。だけれど限りない無垢の祈りだったんだって、】

【(わたしはみんなと一緒に居たかったのに)】
【(わたしをヒトじゃなくして"そこ"から追い出したのは、――、)】

【(もう一緒に居られないと悟っただいすきなひとへの気持ちを断ち切るために髪を切ったの)】
【(もう二度と大人になることのできない気持ち悪い/汚い/汚らわしい/不格好で/くだらない/――だいきらいな身体を隠すために、こんな服、選んだの)】

【ねえそれを雰囲気が変わったね、なんて、――間違いだった、なんて、――】

【(――――――――――――、誰も、誰も、だれもだれもだれもだれも、わたしに、笑ってくれないのは、どうしてなの)】

【泣きそうな顔をしていた。そうしてあるいは泣いていたかもしれなかった。怯えて泣いているように見えた。そしてまた同時に、色濃い失望、】
283 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/11(日) 00:14:58.22 ID:S+I8a85vo
>>274->>282>>(エーリカ、リゼ)

【貴女は認識できる筈だ、精神だけの存在で、ずっと ──── 漂っていたのだから】
【だからこそ、この場に顕現する事が出来た、迷い続ける旅路の果てに、果て無き放蕩の結果、やがて巡り来る様に】
【そうして祝福の場所で、斯うして巡り会う事が出来ると、彼女はずっと、願っていた】

【イルはぎゅっと、鈴音の手を握った、──── 大丈夫、ボクがいるよなんて、伝えるように】


──── ねぇ、鈴ちゃん鈴ちゃん、コレね、誰の "精神世界" か、分かるかな ──── うん、きっと分かってくれると思う
今ずっと眠ってる、鈴ちゃんの身体あるでしょ? あの身体が見てる "夢" に、アクセスしてるんだ
だからね、だからね! 今目覚めたら、鈴ちゃんは元の身体に戻れるんだ! 元の可愛い、可愛い鈴ちゃんに戻れるの!

大変だったんだよ、精神世界を旅して、沢山沢山渡って、その中で鈴ちゃんの身体が見てる夢を、見つけ出すの

可哀想に、ずっとずーっと怖い怖い夢を見てたから、ニンゲン達を使って、その怖い夢を壊してもらっちゃった♪
あはは、感謝しなくちゃね、──── まぁ、別に思ってるだけだからいいんだけどさ
沢山沢山待たせちゃってごめんね♪ これでまた、ボク達で遊べるよ♪


【イルは全てを "無視した" ありとあらゆる思いを蹂躙して、全てを雑音に書き換えて、聞こえる音色を愛しい貴女だけにして】
【そうして紡ぐのは独善的な愛であった、否──── それを愛と呼ぶのなら、何処までも誰かを傷つける事しか出来ない】
【けれどもそれは正しく愛なのだろう、愛とはつまり、何処までも歪んだ独占欲に他ならないのだから】

【そして、この "空間" そのものが、その歪んだ形を表していた、──── ロールシャッハが最初で最後に持った "悪意" の如く】

【我々は強制的に観測させられていた、この茶番の顛末を、一つの少女と一つの少女が初々しくその再会を喜ぶ場面を】
【数多の接近や攻撃は意味を為さない、在る程度まで近づいた瞬間、見えない壁に阻まれる様に、──── ならば】
【イルが無視する声を、かけ続けることしか、できないのなら──── 】

【押しつけられる幸せは毒でしかない、他者に注がれることのない愛を見て、何処の誰が喜びを持とうか、──── そして】
【イル=ナイトウィッシュはそのことを自覚していた、だからこそ、──── 】

【笑みが歪んだ、──── お前達はそこで見ていろ、と言外に伝える様に】


鈴ちゃんの欠片、ウヌクアルハイから保護してたのがあってね、だから今の鈴ちゃんにはウヌクアルハイの力が残ってるのっ
でも、蛇教も無くなって、汚染した集合的無意識も大分弱まってるし、──── 元々と比べたら、大分弱くなっちゃったけど
──── それでもね、ボクの力と合わせたら、全然まだまだ十分な位あるからさ、だからね、鈴ちゃん ────
284 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/11(日) 00:15:13.74 ID:S+I8a85vo














                 ボクと一緒に、人類を滅ぼそうよ♪












285 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/11(日) 00:22:57.64 ID:03xRuTBD0
>>275

【ほとんど目もくれず、受け取るどころか奪い取る勢いで手にしたのは、手に馴染む拳銃】
【迷いもなく銃口をイルに向けて、病的な勢いで引鉄を引こうとして、引こうと、して、】

【――――、】

…………………………。……だめ、やめて、鈴音は、銃が、怖いの……。

【「こわがらせないであげて」。震える声と共に、銃を持つ手を降ろしてしまったなら】
【そのままぼたぼたと大粒の涙を流し始める。……この期に及んで、まだ、諦めきれていなかった】
【白神鈴音を、人間の友達として、こちらに引き戻すこと。愚かしいにもほどがあった、だって】
【鈴音自身が神様として、イルのそばにいたがっていること、知っているくせに】


>>282

【最後に会ったときを思い出す。あのときだってこんな風に怯えさせてしまった】
【繰り返してしまった自分がほとほと嫌になる。死にたいとさえ思う、――受け取った拳銃、取り落として】
【やっぱりこいつは泣いていた。バカの一つ覚えみたいに。泣きたいのはよっぽど、鈴音のほうだろうに】

【(何もかもわかっているのに、)】

………………………………、…………………………りんね、ぇ…………、

【追い縋るように名前を呼ぶのになんの意味があるというのか。ありはしないとわかっていて、声が、あふれた】


>>283

あ゛、ぅう、……………………、………………………………………………

【「やめて」「離れて」「鈴音の名を呼ばないで」「鈴音に触らないで」「ふざけたこと言わないで」】
【               「鈴音に、そんなことさせないで」              】

【いくらでも言いたいことがあった。あるいはもっとシンプルに、「死ね」って言ったってよかった】
【でもなんでか全部口に出せなかった。詰まって、つっかえて、墜ちて、……膝から崩れ落ちる】
【そのまま項垂れて泣き喚き始めた。だって、わかっている。知っている。なにもかも、全部】




【イルからの誘い、鈴音がどう返答するかどうかで、銃口を向ける先が変わってしまうことも】
【そして、……………………鈴音がおそらく、どういう返答を、してしまうのかも、なんとなく】
286 : ◆zlCN2ONzFo :2018/11/11(日) 00:26:28.80 ID:ZENCcDQY0
>>283>>284

『もう何これ何なのよ!?虚神の惚気なんて見たくないわよ!』

【この事象を傍から観察する側として、一斉を挙げたのは人工知能だった】
【目にも精神衛生上も宜しくは無いだろう、その茶番は意図的にこちらを無視することで進行し】

「なるほど、此れが白神鈴音の夢、精神世界である、と」
『だから何?アイツ超カンジ悪いー!!』

【イルの嫌がらせにも程がある様な無視】
【それは、狙い通りか此方を苛立たせるにはあまりに十分で】
【だが、やがてその言葉が発されるのだ】

「人類を、白神鈴音と共に?」
「どういうことだ!!イル!!答えろ!!何を、何をしようとしているんだ!?」

【距離を詰め、見えざる壁に阻まれながらもあがき続けながら】
【悲痛な怒鳴り声で、イルに鈴音に、声を掛け続ける】

「答えろ!!答えろ!!!!」
287 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/11(日) 00:28:12.64 ID:Hhl0hiUJ0
>>283-284


【マリアベルは大きな息を吐き出すと、うんざりとした表情で項垂れる】
【それは無視されたことと言うより、目の前で行われる不可侵のラブロマンスに対してだったが】

【それは先程の自分の行動と比べても完全に同族嫌悪だった―――ともあれ】


【マリアベルは余計な手出しはしない、ただ観測者≠ニしてあるべき行動を取るのみであった。】
【どちらに転んでも―――きっとまたグランギニョルは続くのだから】
288 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/11(日) 00:34:07.76 ID:zELAAzRJo
>>283-284
――――鈴音、さん……

「……散々、あの神様気取りの相手をさせられた挙句、今度は色ボケの睦言か」
「まあ、いい。病魔は体よく我々を利用したつもりだろうが……結果的に鈴音が」

「あいつの意志で、滅ぼされるなら。私は、それはそれで構わん」

【ギアは、ただ彼女の名だけを呟いて、沈黙するしかなかった。彼女の抱えて来たものを、知っているわけではないから】
【カニバディールは、鈴音に全てを委ねた。敵でありながら、自分が認めた数少ない相手】
【彼女の手にかかって滅ぶなら。それはそれで良い。少なくとも、他の虚神に滅ぼされるよりは、よほど】

【病魔の思惑通りになるのは、業腹ではあったが。二つ首の人形と肉屋は、ただ選択の時を待った】
289 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/11(日) 00:35:12.58 ID:QKs6gfXV0
>>282>>283>>285


「 ……… 言わせておけば ─── 、」「いけしゃあしゃあと、ナマ抜かしやがって。」


【歯噛みのうちにエーノは銃爪を絞り、震えるかえでをただ抱き拉ぐばかりのアリアは、抜身のバレルに似た青い殺意を投げかけるのならば】
【愛しい人にこんな非道い懇願をさせる対手が許せずとも、 ─── 彼は、ただ銃口を下ろすしかなかった。己れの激情が何を産んだかに対する自責に、顔を歪めて】
【アリアもまた酷く複雑な表情で、空に立つ二者を見つめていた。 ──── 己れが一歩を違えていれば、彼処に命を賭していなかったと、如何して言えるだろうか?】



    「 …………─── Fuck Off.」

      「 ………… イル=ナイトウィッシュ。お前が力を得たならば、真っ先に私を殺しなさい。」
      「さもなくば、私はお前を許さない。絶対に、許さない。貴女の全てを奪って、殺してやる。」



【そうしてまた己れの無力さについて彼らは何もかもを良く諒解していたから、銃口を下げたままの忌々しげな捨て台詞は】
【誰かを慈しむ人間性と職業殺人者としての最後の拮抗であるに違いなかった。 ─── 遣り場のない感情は、ただ呟きとして】
【妥協も躊躇も狼狽もない結論に至るのであれば最早彼らは擲つべきものを擲つのだろう。それが彼らの限界であったから】
290 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/11(日) 00:35:15.50 ID:ujOqdyw/0
>>283-284

「(――――裏切り者め、裏切り者め、裏切り者め、裏切り者め、裏切り者め、裏切り者め、裏切り者め、裏切り者め、裏切り者め、裏切り者め――――――――ッッ!!)」

【何もできない状況で――――それは何となく分かった――――ラベンダーはただ、眼前の『腐れた愛欲の宣戦布告』を見ているしかできなかった】
【だが、互いに感傷は出来なくても、向こうは此方を見ているくらいは出来るのだろう】
【――――憎しみが、怨嗟が、とめどなく溢れ出てくる。恐らく、その意志は視線に乗って、『向こう側』へと伝わるだろう】
【声に出していないのは、ラベンダー最後の矜持だった。鈴音の返答次第で――――本当に『裏切り者』かは決まるのだ】

「――――――――ッ!!」

【しかし――――ただ手をこまねいて見ているだけなど、ラベンダーには耐えられない話だった】
【出来る事は、ある――――向こうが宣戦布告をしてくるならば、此方だって――――――――】



【――――先ほど放り投げた、レグルスの身体を探る。ラベンダーは知っていたのだ――――レグルスの、絶対に手を出そうとしない、『最後の切り札』の存在を】

「――――『悪の魔書』――――答えて、悪の魔書――――――――!!」

【――――旧遺物『悪の魔書』――――この世の全てと言っていい魔の力が記された魔書】
【そこに、魔力を外から注ぎ込みさえすれば、ほぼあらゆる力を、限定的ながらに扱う事ができる】

「――――殺せないあいつらを、殺せる力を――――この身も心も魂も、全部全部持って行って構わない――――ッ!
 だから、応えて――――あの畜生どもを殺せる力を、私に――――――――ッ!!」

【本を開き、そして憎しみの籠った目で、その中身を覗き込む】
【強烈な閃光に包まれて、ラベンダーの身体もまた、魔力光によって、派手に輝きだす――――『悪の魔書』は、ラベンダーの言葉に応えた】

【――――ラベンダーの左肩から、ボフッと黒い煙が噴き出し、立ち昇る――――ラベンダーには見えない、だが他の人間になら見える『煙』を】
【それもまた、光の中に溶けていき――――ラベンダーの瞳が、ぐるりぐるりと、何も映さずに四方を駆ける】

【――――ケツァル・コアトル=ラベンダァイスは生まれ変わる。ただ、イルの名を冠した敵と、裏切り者になるかもしれない少女の、目の前で――――】
291 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/11(日) 00:40:54.36 ID:spjP8WGd0
>>283-284

……させる訳が、ないでしょ――――――――返答を求める機会なんて、貴女に許すつもりはない……!

【無化される攻撃、鈴音の夢という状況。選び取るは、】

【"攻撃"ではなく"庇護"――――イル、鈴音の両者をこの場において確実に生存させ、不本意ながら比翼と認めるかの様、時戒の宝玉を再励起させる】
【必ず彼女らを害そうとする存在が、幾人もこの戦場にあるのだから。】
【どれだけ巨大な力を揮おうと、"虚神"たちを滅ぼした戦士たちを相手に、絶対の勝利はありえない】
【その理屈を以て、"停滞"を行使――――鈴音が平穏を望むなら。その力を以て増幅されることを淡く期しつつ、二者への、行動を許さぬ時の護りと成さんとした】

【非交戦状態、かつ特殊な状況なればこその一手。……それは、何処までも】
【ひどい偽善だと、自分自身に反吐が出そうな思いを抱えて――――】
【けれど"鈴音の生存"と"世界の安寧"、その2つを在らしめるために最適解と思えるそれを、躊躇おうとすることはない】
【宝玉との精神接続の不快感も、ニュートラルから"切断者"への意識の再移行も。抱えるべきものに過ぎないと、なけなしの余力を振り絞っていた】
【可能性は、どれだけ残るだろう――――けれど返答を許してイルと鈴音、両者と世界がすべて健在の可能性とは比べるべくもない】
292 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/11(日) 00:45:42.75 ID:03xRuTBD0
>>283-284
【二人は実際のところ蚊帳の外では有った】
【どちらの少女とも然したる面識はなかったので、どちらかと言えば、茫然とした様子だっただろう】
【少女の一人は指を差して呟く】


感動の再会では?

「黙っていた方が良いですよ、お客様」


【実際のところホログラムでも見せられているのに近いのか】
【他に肉薄する者達も、邪魔を出来る様子ではなかった】
【手出し出来るのであれば、多少の奥の手は有ったのだが】


「ロールシャッハの暴走は一種、虚神と言う枠をはみ出たものでした」
「比べれば、あの少女の方が正当に虚神らしいことをしていると言えるでしょう」
「しかし白神鈴音へのあの態度――」





「――果たして本物なのでしょうかね」


【ポツリと呟く懸念。イルへの敵意らしいものは感じられなかった。世界を滅ぼそうと言うその提案を聞いても尚】
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/11(日) 01:12:25.32 ID:R9uqYifU0
>>283-284

【ぎゅうと握られる手の感覚に、少女の怯え切った表情はいくらも和らぐのだろう。ずっと、――ずうと、夢を見ていた、怖い、怖い、怖い夢、ただ、ずっと、怖くて】
【だから握りしめてもらった手の感覚がひどく色鮮やかだった、――もうとっくの昔に諦めた探し物が、ふっとした時、全く心当たりのない場所から出てきたように】
【故に浮かべるのは安堵の表情――、或いは、なんて、思わせるだろうか。それを観測している他者。無視される人々。知らぬ人。よく知る人。とかく、誰かは】

【――――あるいは、少女がこの場に姿を現した瞬間、イル=ナイトウィッシュより先に、彼女へ、白神鈴音へ、誰かが、真っ先に、笑いかけて。お母さんみたいに両腕を広げて】
【こっちに戻っておいでよ、なんて、言ってくれたら。――そうしたら、そうしたら。そうしたら、どうなったんだろう、もう遅いから、ないことを語るのはフェアじゃないから】
【大事なのは夜桜より滴る夜露の一滴よりも幽かに舞い降りた少女が真っ先に抱いた感情は、】

【恐怖、だったから、】

【けれどそれは決して夕月を責める必要があると言うのではなくて。ただ少女が疲れ切っていただけ、ただ、ただ、ニュートラルに近くなっていた】
【身体を喪って。おっきな神様になって。世界中に拡がって。それを喪って。神様からも切り離されて。絶望感。無力感と。あと。なんだろう。なんだっけ、――】

【――お腹が空いたなって思った。炊き立てのご飯でおにぎりを作ると手が真っ赤になってしまうけれど、真っ白に炊き上がるご飯を無視なんてできないから】
【具はなんでも好きだった。昆布でもしゃけでも梅干しでも。オリーブオイルと鰹節とお醤油のおにぎりも好き。天かすと紫蘇とめんつゆのおにぎりも】
【お味噌汁は、――うんと細く切った大根に、卵を落としたのを食べたい気分。それからお漬物は、ぬか漬けのきゅうり、少しすっぱいのに、鰹節をかけて】


――――――――――――――――どうして誰もわたしを"そっち"に呼んでくれないの?

【――――あるいは、日常へのあこがれ。ありふれた朝ごはんで始まる一日。神様も何もなにも何もかも関係のない、ありふれた、普通の、普遍的な、暮らし】
【誰もとっておきの幸せなんて願わなかった。家の庭から油田が湧かなくってもよかった。願ったのはなんてことない普通の、人間としての、生活だった。(はずなのに)】

ねえカニバディール、やっぱりね、あのとき、わたしのこと、殺すべきだったよ――、殺して、って、言ったじゃない。

【何一つ叶わなかった。ヒトではないモノに成り果てて。一生だって誓ったはずなのに、何も残らなくて。やっと生き方を見つけた。と。思った、】
【あの子たちがいつかどこかでありふれた生活をしてくれたなら、それでいいと思えた。わたしはもうそれで良かった。自分のことは諦めた。必死に断ち切った】

――――間違いだったなら、赦さないって、わたし、言ったよ。誰も知らないなら――誰にも言わなかった奴が一人居るって、分かるでしょう?
間違いだったなら、返してよ、わたしの、全部、わたしの――、――お姫様になんてなりたくないの、お金持ちだってなりたくないの、ただの、普通の、ねえ、生きたい、

今この瞬間に返してよ――ッ、じゃないと、じゃないなら、できないなら、してくれないなら、

【****】

どうしてわたしに怒るの。わたしは、――、――、わるく、ないのに。

【泣きそうな目がカエデを見つめていた、――、ねえそんな顔をしないでほしいの。わたしは悪くないよって誰にだって抱きしめられたいの。だって、そうでしょう、】
【わたしは悪くない。悪くないの。なのにひどい目に遭ったの。だって間違いだったんだから。わたしは悪くなかったんだから。なのに、こんな目に遭ってるの】
【なのにどうしてわたしに。どうしてわたしが。わたしは可哀想なのに。可哀想な子なのに。わるくないのに。わるくないのに。わるく、ないでしょう?】

【――――――、だから、分かってくれないから、嫌い】

滅んじゃえよ、もう、

【(綺麗じゃないわたしは要らないって、知ってたけど、知ってたのに、分かってた、でも、もしかしたら、誰か、それでも、それでもって、)】
【(どうしていてくれないの。わたし待ってたよ。どうして迎えに来てくれないの。綺麗じゃないわたしだって好きって言ってよ。悪くないわたしを、抱きしめて、)】
294 : ◆zO7JlnSovk [saga !red_res]:2018/11/11(日) 01:18:56.52 ID:S+I8a85vo
>>285-293 >>エーリカ、リゼ

【──── イルの表情が固まった、大きく見開かれた瞳が一片の曇りもなく鈴音に注がれて、その瞳を注視する】
【瞬きの隙間もないほどに、息を呑む僅かな瞬間もなく、ただ純粋に、純朴に、──── その愛した少女を見つめ続けて】
【ひたすらに注ぎ続けていた、ひたすらに願い続けていた、それでも尚、貴く尊ぶ思いを重ねて】


あは♪ あはははは♪ そうだよね、そうじゃないとね♪ うん、うん! やっぱり、やっぱり! 鈴ちゃんだーいすきっ!
誰も、誰も、だーれーもっ、こんな風になっても、鈴ちゃんの心配をしてないんだよ? 鈴ちゃんの事を一番に思わないんだよ?
そんな人類に、未練なんてないよね、思いなんてないよね、──── ふふ、大丈夫だよ、大丈夫!

ボクがね、一番分かってあげる、鈴ちゃんの事、誰よりも何よりも、分かってあげられるから、さ────
鈴ちゃんの持ってる力の使い方も、正しい世界の滅ぼし方も、全部全部、教えてあげるの
だからね、──── ずっと一緒だよ、これからも、ずっとずっと、ずーっとね♪


【空間が閉じていく、泡の中に閉じこめた夢が収縮して、やがてその薄い膜ごとぱりんと割れる様に、後に残るのは最低な目覚めだけ】
【それでも確かに見た夢を覚えている様な、そんな感覚が残っている、──── そんな夜明けを思わせる、変化】
【物語の終幕を如実に伝えていた、否、伝えてしまっていた、それはもう、何処へも進めない過去の戯れに似て】

【追随する耽美な願いを話す、重ねる二つ静かに思いを馳せて、それでも足りないのだから、存在すらも溶け合わせて】
【二つで一つになってしまえたら、二つで一つを描けてしまえたら、それはどれほど幸せなことであったのだろうか】
【だけれども、しかれども、それが描くのは確かな情景であって、消えてしまう前の灯火にも似ていた】



──────── じゃあねニンゲン共、せいぜい首を洗って、待ってな




【霞み消える憧憬は夜明けに見る薄靄、少しばかりの霧を流して、灯籠の如く朧気な月を見るかの如く】
【動いてしまった歯車はもう止まらず、進み続けるその先を示す、それは終わることのない奔流に似て、絶えることのない祈りに近い】
【消える空間、瞬きの隙間に、見えた景色は最早残っておらず、──── 人々は皆、同じ場所にいた】

【 "旧市街" ──── 水の国から歩いて来れる場所、結局の所、私達が見ていたのは "夢" であったのだろうか】
【いいや違う、夢は途中で終わりを告げた、そして現実の始まりを告げた、──── 然るに "私達" は、それを観測させられた】




【──────── 世界は終わる、いとも容易く、あまりにも呆気なく】



/以上でイベント "終わりの始まり" 終了いたします、皆様本当にお疲れ様でした!
295 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/11(日) 01:21:03.89 ID:zELAAzRJo
>>294
【ならば、もう、何も言うことはない。ただ、あるがままに】

/お疲れさまでした! ありがとうございました!
296 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/11(日) 01:24:15.20 ID:Hhl0hiUJ0
>>294



【マリアベルは全てが終わればゴロンと寝転んで、大の字で空を見上げる。】
【―――世界は、滅ぶらしい。ロールシャッハも消え、もはや自分がやろうとしていた目的すら曖昧になっていた】

【「はぁーあ」とため息を吐き出せば、】




【――――――頬を一滴、暖かい液体が伝った。】


//お疲れ様でした!ありがとうございました!
297 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/11(日) 01:27:24.49 ID:03xRuTBD0
>>289>>293>>294

【――――――――――――――――比喩表現でもなんでもなしに息が止まった。】

【視界がぐるぐる回転する。鈴音が最後に放った言葉の意味、理解する前に、理解なんかしなくても】
【わかっていたことだった。それしかないと知っていた。知っているけど、けど、けど、けど、だけど、】

【           (もしあたしがイルを見て反射的に怒鳴らなかったら?)     】


………………………………っア、あ、ああ、あああぁあ、うあ、……う゛ぇえッ、っ、
うあ、ぁ…………あ、うああああああ、わ、あぁああ、…………うあぁあぁぁあああん!!!


【さっき自分で取り落としたエーノの銃を拾い上げる。正しく構えて正しく発射準備をして正しく、銃口を、】
【――――――――自分の米神に突っつけた。そして正しく、引鉄に、指をかけて、】

【                                 (47キログラムの身体が斃れる音)        】



『………………どいつもこいつも、どいつもこいつも、ボロボロの僕のこと放っておいてくれちゃってさ、
 泣くぞ! …………たくもう、……身体痛い。ミレーユ、……ミレーユいる? ちょっと、迎えに来て……』

【――――後方より女の声。全身に打撲痕をこさえて血塗れになった、冒涜者】
【未だ瞳に十字の印を輝かせて。――術を行使していた、引鉄を引くその直前に、少女の意識を奪って】
【しかしそれも限界だと悟らせた。……まなこからだくだくと血が流れ始めていた。だからその前に、って】
298 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/11(日) 01:29:38.69 ID:dW0AuEIF0
>>294



「 ──── 後悔するなよ。」「お前の幸福を踏み躙るのに、私はもう躊躇わない」


【結論を聞いた。ならば截然と女は言ってのけた。誰かに差し伸べてやる手なんて、もう残っていないから】
【 ─── 白神鈴音という少女に、女の抱いていた幾らかの憐憫と同情が、その刹那を以って最早なにも残りはせず】
【己れの為に殺すのだと言い切って憚らなかった。 ─── 所詮彼/彼女は狼でしかなく、ただ食い殺すことしか知らぬのならば】


        「ごめん、シグレ」


【 ──── 泣き噦る愛しい人の肩に、彼は貸す肩も繋ぐ手も持ち合わせていなかった。ただ伏せられた目を、割れた眼鏡が隠して】
【だってボクはキミを裏切る。キミの大切な人を、キミとボクの為だけに殺す。どんなに悲しまれたって其処だけは譲れなかった ──── ボクがボクで、ある為に】

【やがて少女が泣き止むのなら、帰路の彼は酷く余所余所しい横顔であるのだろう。瞳の中を覗き込まれるのにも怯えるなら、ああ、信じる事の何と儚い事だろうか?】

/皆さまお疲れ様でした&ありがとうございました!!!
299 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/11(日) 01:32:41.77 ID:dW0AuEIF0
>>297

【畢竟、代わりに肩を貸したのはアリアだった。 ─── ひどく何かを拒んで、あるいは恐れて、逃げるようにエーノは立ち去る】
【それは何かの暗示であるのかもしれず、然して杞憂であるのかもしれず、確かであったのは義体の信号を探知した八課のヘリが回収に来たこと】
【 ─── 思い詰めた横顔をしていた。撫で研いだナイフに己れの顔貌/願望を映すのならば、何も切れぬとわかっていても】

/つけたしで!
300 :アレフ・ゼロ/アレフ・ヌル ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2018/11/11(日) 01:35:55.32 ID:03xRuTBD0
>>293-294
【外様は、去るのみであろう】
【過去の彼女を知る者は、組織の中にも誰一人としていないのだから】
【言えることなど有るはずもなかった】


部屋に戻るわよ、アレフ。


【その顛末を見届けた時点で今回の役目は終わったのだろう】
【倒れている他の少女達を引き摺るように扉の奥へと戻しながら】
【少年もまた、扉を潜ってストックホルムから去ろうとするのだろう】


【途中、ポツリと呟いた】


「終わりの始まり――もう終わってしまうと言うことですか。このゲーム盤での遊びも」
301 :レグルス&バーナルド&ラベンダァイス ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/11(日) 01:45:40.16 ID:ujOqdyw/0
>>293-294

【ぐらり――――ぐらり、ぐらり――――引き絞られた体がよろめく】
【暴力的に、作り替えられていく身体の中身が――――認識が、入り込んでくる眼前の光景が――――『ラベンダァイス』を変えていく】

【『悪の魔書』は、願いのままにラベンダーに力を授けていく。どうしようもない憎しみを、力を変えていって】
【――――吹っ切れていなかったのだ。この期に及んで、なおも――――『人間ごっこ』を止めて、『人間である事を止めた兵器ごっこ』を、していたにすぎない】
【『悪の魔書』は、ただ――――そこに、一匙の油を差しただけだった。それだけで、己の職務は忠実に果たせるのだと、そう理解していたのだから――――】



【――――幾度目かの宣言になるが、もう1度彼女は、それを口にするだろう――――ラベンダァイスは『兵器』になる】



――――やはりあなたが生きている事は間違いでした、白神 鈴音
所詮、人類の敵に転ぶような人類は、初めから世界にとっての害悪に過ぎなかったんです
ファラエナちゃんには、私から言っておきましょう。あなたは3度目の死を、自分から選択したんだと

【光が収まって――――そこにはもう、ラベンダーの憎しみは存在しなかった。ただ、冷たく――――そして、虚ろな、今まで通りの彼女がいるだけで】
【違うのは、その言葉――――憎しみであっても、それが熱源となっていた言葉が、今まで以上に、冷え切っていた】
【――――心を捨てろ。そうすれば自ずと勝利の道は開かれる。『悪の魔書』は、全てを理解していたのだ――――】

【――――チリチリと、肩にひび割れのような黒い茨が走る。それは、束の間の幻の様に溶けていき】
【――――心に空いてしまった穴が、今はもう、清々しく感じられる――――】

――――行こう『イーグル』、踏みつぶせ『ギガンテス』、運べ『ベルセルク』――――

【全ては消え去り、因縁の地である"旧市街"に帰ってきたラベンダー。感傷など、最早無い】
【今までとは違う魔力の行使をする。自然と、身体に染みついていた。自分は、自然とそれを理解していたのだ――――】

【――――ラベンダー色をした、巨大な鷲が飛来する。ラベンダーは静かにそれに乗り上げて】
【――――土の巨人が、憂さ晴らしとばかりに地面のタイルを引きはがし、廃墟へと投げ込み】
【――――ラベンダー色の装甲をしたロボットが、レグルスの亡骸を担ぎ上げ、地面を駆ける】

【――――『力』は、どこまでも『力』として使うもの。その本当のやり方を分かれば――――もう、煩わしく振り回される必要はない】
【『力』であれ『心』であれ――――『己』は常に定位するもの。振り回されるものではないのだ――――それを、ようやく理解して】

――――レグルスさん、お疲れさまでした。後は私が殺します。大丈夫。イルも、鈴音も、私が殺す
だからもう良いです、休んでください。――――あんな猥褻物たちに、私が負ける事はない。――――「死ぬべき存在は、さっさと死ぬべきなんですから」――――

【ぞくり――――ラベンダーの瞳が、一瞬漆黒に染まったのは――――誰にも見えなかった――――】

/長らく、お疲れさまでしたー!
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/11(日) 01:57:51.37 ID:R9uqYifU0
>>294

【刹那に振り返る少女は、ひどく絶望的な目をしていた。これで、――これで、ほんとに、本当に、二度と、二度と、ぜったい、もう、叶わない、わたしのゆめ、】
【よく分からないけどそのうち勝手に大人になるって信じていた。そしたらどこかで運命のひとと出会う。そうして結婚して。きらきらの結婚式。おそろいの指輪。それから、】
【子供は三人くらいほしかった。わがままかもしれないけど。女の子と男の子。どっちも育ててみたかった。そうしていつかきっと女の子でも少女でもお姉さんでもなくなって】
【子供たちがおっきくなるころには、おばさんになっていて。みんな結婚したり、家を出たり、そしたらちょっと寂しいねって大好きなひとと笑う。久しぶりの二人きりを】
【のんびり過ごして。たまに帰って来る子供たちだってきっといつかお母さんやお父さんになって。そうやって。そうして。ねえ。なんで。なんで。わたしには。それが、ないの】

【でも、どうせ、いまだって、いまのままだって、叶わないんだ、だったら、わたしのこと、"こう"した、人間なんて、嫌いで、大嫌いで、大嫌いだから、赦さないから】
【(だから叶わぬ願いと一緒に、みんな、みんな、みんな、死んだらよかった。ひとりっぽちで死ぬなんて嫌だった。叶わないまま生きるなんて嫌だった。だって、もう、でも)】

――――――――――――――――――――。

【――――結局なんにもいい結果でなんて終わらなかった。ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ、ぜんぶ、ぜんぶ、失敗だったんだから】
【最期だってきっと失敗するの。だって。そうでしょう。だから。その時は。そのときは、――わたしと一緒に、死んで、くれるのでしょう、ねえ、違うなんて、赦さない】

イルちゃん。

【――夢見たもの全部にさようならする、こんな風な気持ちになるくらいなら、あの日、冷たいお風呂の中で、死んでしまえばよかった】





【――――――そうして取り残された世界、震える足をどうしようもできなくなって、銀髪を千々に乱して、少女は座りこんでしまうのだろう】
【ならばひどく震えていた。ただ現状を拒絶するための言葉ばかりを並べ立てて。覗き込もうとも目の焦点が合わない。それくらいに、錯乱するなら】
【いつか願ったことのはずだった。そうだっけ。もう分からなかった。――ああ、そうだった、私が願ったのは、ただ、助けてほしいだけ、赦して、ほしいだけ】
【もう誰も傷つけなくって済むように。もう誰かをわたしのせいで不幸にしなくて済むように。――だから、そうだった、世界が滅びてほしいなんて、思ったこと、】

――――――――――――――――わたし、の、

【――ひどいストレスへ対応しようとした身体が何にも悪くない身体の中身を吐き出すのだろう、とはいえしばらく食欲なんてなかったから、ろくに食べてなんてないけれど】
【背中を丸めて苦い苦い胃液を吐き出すのなら、このまま死んでしまいたかった。これ以上世界だなんて観測したくなかった。泣き叫ぶ元気もないから、ただ、ただ、消えたい】

【私のせいで世界が滅ぶのだとしたら、】

/おつかれさまでした!
303 :八攫 柊/The Slasher :2018/11/11(日) 02:30:10.83 ID:spjP8WGd0
>>293-294

【イルの嗤笑よりも、ずっと。幾人かが守ろうとして――けれど拒絶しか、返すことのできなかったあの少女の返答が心を揺さぶった】
【自分が憎まれるのは、常でしかなかった。そのはずなのに、彼らの願いも、守ろうとすることも……無意味とされたこの結末が切り刻む。】
【守ろうとしたものから敵意を向けられたことは、一度や二度じゃない。けれど……】

【こんな形で、自らの闇を――他者の憎悪として、受け取ったことがあっただろうか。ましてそれが、必死に戦った共闘者たちの願う者だったことなんて――――。】

(……ダメ、だ……こんな感情、いらない、のに……――――――――!)

【――――どれだけ、害する者たちを滅ぼし尽くしたかったと思っている?】
【――――どれだけ、理不尽たちを[ピーーー]ための暴威になることが楽な道だったと思っている?】

【それでもと、少しでも生まれる嘆きを減らすために。斬り裂きながら護るなんて、狂った理の体現になろうと足掻き続けて――――。】
【その結末が、新たな脅威の誕生を許すことで――――彼女らの“生”を肯定しようとしたことすらも無意味なら。】


……諸手を挙げて迎え入れられなければ――――何もかもを滅ぼしたいの?
ねえ、どうして……あんなに、共にあることを願う人たちがいたことも……全部、忘れて壊してしまえるの――――――――……?

【自分はどれだけ、愚かな道化だったのだろうと。これまでの命さえもが棘となって、深淵へと少女を追い落とす】
【"鈴音"を願う者たちと、彼女が……かつては、子供たちを慈しもうとしていたことと。アナンタシェーシャ経由で理解した、鈴音がかつて味わった理不尽】

【それらからしか知らないから、本当の部分で白神鈴音が理解できない。……その理由を、今もやはり己に求めた。】
【結局、わたしは"兇器"にしかなれなくて。アルクに拒絶され、わかりあうこともできなかった様に……傷つけるための道具でしかない。】
【ならば、その一点だけは譲ることができないだろう――月食のいろは、鋼を彩る黒にも似ていた。】


首を洗って待つのは貴女でしょう――――死滅するだけの未来を選んだことを、絶望しながら悔いればいい。
それ以外の未来はあげない……――――可能性すら、感情としては許したくないけれど。

終わりの終わりが訪れるまで、好きに策を弄しなさい――――……全て、諸共に刻んであげる

【乾いた微笑は、億ほど嘆きを煮詰めた様で。同時に、イル=ナイトウィッシュへのあまりにも鋭利な害意を体現していた】
【どう、出来てしまうだろうか――――?殺したくなどなくとも、決断してしまえる。それは、厭というほど理解していて】
【他者の“生”を願うことを、その意味を変えたくなんてないまま。少しだけ、己を穢して過ちを受け止めた】
【もう、月明かりすらも見えはしない。……ひどく、疲れた。兇器であることの意味を、今一度心魂に刻まねばならない――――】

【……その足掻きが、いつか絶望に到る道だとして。間近な脅威を退け、時に滅ぼすため――――そうある以外の術を、八攫柊は知らなかったから。】

/皆様、お疲れ様でした…!ありがとうございましたー!!
304 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2018/11/11(日) 21:52:48.93 ID:wQtGQGtko
【水の国のとある街角にて】

【気温もすっかり下がり、日が暮れれば息も白くなるような時期になった街中の道路を、赤いバイクで疾走していく者がいた】
【コンビニの看板を見つけてゆっくりと減速しながら近づくと、彼はバイクを入り口付近に止めて頭のヘルメットを外し店内に入る】
【飲み物コーナーで目当ての物を手に入れるとレジへ向かい注文するだろう】


すいませーん、このあったかいカフェオレと、紫芋まんくださーい

「ありがとうございましたー」


【その人物は、黒い短髪に真っ白な鉢巻き、黒と白の太極図がプリントされた白いシャツ、その上から赤色のベスト】
【手元に銀の腕時計、青いダメージジーンズにウエスタンブーツの、どこか幼い顔立ちの若者だった】

【だが、その服装には―――もしこの場にカノッサ機関員がいたならすぐに何であるかを理解し、『それが付いている状況に目を疑う』物がくっついている事がわかる】
【ベストの左腰には≪No.78≫と書かれたプレートが付いており、シャツの腕には≪No,91≫と刻印された金具と左肩には≪No,34≫と書かれたバッジ】
【そして、ジーンズには引きちぎられたような布が縫い付けられ、そこには≪No.59≫と書かれていた……そして、その全てに血痕が付着している】

【しかし店員はそんな彼を見ても全く驚く様子もない。彼はよく見る客であり、機関員でもない事を知っているという事なのだろうか】

【目的の物を買うと若者は店を出て、自分のバイクと外のゴミ入れボックスの間の地べたに座り込んで、紫芋まんをほおばり始めるだろう】


……シャバに出てもうそろそろ2年立つなぁ。ノビタ君は結局今も見つからないし
ジンジャー博士の説明を受けても今の事件の流れ全くわからないし、話題に乗り遅れるとぼくの出番が少なくなるから困るなあ

とはいえ、世界の危機だっていうのなら当然ぼくの出番がないって事はまずありえないだろうけどさあ


【あっためられたカフェオレのペットボトルの口を開けて、ぐびぐび飲み始めながら若者はなんの気もなくぼやき始める】
【ふう、と一息つくと白い息が立ち上った】
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/11(日) 23:11:53.04 ID:R9uqYifU0
【風の国――――UT酒場】
【ひどく冷える夜だった。風はうんと冷たくて、ならば、ちょっとお酒でも一杯飲んでいこうか】
【そんな時にちょうどいいお店があった。ただしその日の店番が店主か給仕かによってメニュー数が相当違うって専らの噂だった】

………………なんだっけ、――。

【――でも、お店の中には、ごく静寂。数か月前より全く顔を見なくなった店主と、そのいくらか後に姿を消した給仕と、他のメンバーもどうやら忙しい、となれば】
【真っ先に捨て置かれたのは酒場としての機能。それでも最初は常連の客たちが集まってうまくやっていたらしい。けれど気づけば一人減り、二人減り、】
【最低限の明かりに最低限の暖房。だけれど机は薄っすらほこりが積もって、椅子は机にあげっぱなし。それでも、一つだけ、人影があるなら】

【腰を撫でる長さの黒髪と真っ白な肌はお互いを引き立てる色、ならば瞳は黒色と赤色の色違いがきっとよく似合っていた。瞬く眼はぱちりと大きく】
【いくらもあどけない顔に、けれどひどく不明瞭な表情を浮かべていた。指先に揺らし弄ぶペン先、かちかちとボールペンを無意味にノックする音、時計の針と同じ間隔で】
【生成りのブラウスに深い赤色のジャンパースカート。たあっぷり詰め込んだパニエのふくらみに、フィッシュテールの布地が、ふわっと乗って】
【ふらふらさせる足先は赤いリボンの編み上げブーツ。時々高いかかとで床をかりかり虐める音もまた、ペンと、時計とに混じりこむなら】
【――見た目で見るに十六歳ほどの少女だった。それも、半年近く姿を消していた給仕であった。机に座って、なにかファイルを広げている、らしくて、】

――思い出せない。

【――――――長い嘆息一つ。ふにゃあなんて擬音が似合いそうな音にて、彼女はファイルごと机に突っ伏すのなら】
【やがてずるりと自分の下からファイルを引き摺り出してぱらぱらとめくり出す、背表紙には、レシピ試作の文字と、割合少なくないナンバリングの数字】
【はあとため息でまた突っ伏すのだけれど、――――もしも物音がするとして、彼女はすらと立ち上がってしまうのだろう、それが、店内からでも、客の訪れでも】
【そうしてファイルもボールペンも置き去りにしたままで去ってしまおうとする、――UT側からなら店外へ。店外からなら、UT内へ】
【ならば誰にも会いたくないのかもしれなかった。――それでも、どちらだとしても、訪れた"だれか"は、彼女の背中、ばっちりと見てしまうのだろうから】

【――そうして呼びかけられるのなら、立ち止まってしまうのは、なにか、感情に似て】
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/12(月) 20:58:53.05 ID:hlehS+MX0
【街中――大通り】
【ひるりと冷たい風が吹き抜けるなら、歩き行く人々の足取りも心なしか早い夜だった、季節、――にしても、心なしか冷たい風であるなら】
【それでも室内から見渡す限りわりにいい夜であるように見えた。少なくとも雲のない夜だったから、星が綺麗によく見えた。――室内からはよく見えないけれども】

――――――――――……。

【ならば通り沿い、ガラス張りのカフェにて、ぼんやり通りを見やっている人影を、誰かは見つけるのかもしれなかった。頬杖をついた、あどけない顔】
【もし誰かが店内を覗き見るとして、目が合うとするなら、微かに笑みの気配を感じさせる程度に目を細めもするなら、或いは彼女が誰であるのか、知る者もいるかもしれず】
【ここ半年ほどは至って名を聞かぬのだろう、風の国のUT。そこで給仕をやっている少女だった、――その彼女自身も、事情を知るなら、半年ほど行方を眩ませていたのだけれど】

【――――真っ黒の髪は艶やかに腰元を撫ぜる、真っ白な肌は、冬の寒さと店内の温かさに揶揄われたなら、その頬のところがわずかに赤くって】
【左が黒で右が赤のオッドアイ、――ごくあどけなさを残す顔が、ふと、店内。訪れた店員の方へ向いた、――生クリームを乗せたホットのミルクティに、ミルクレープのセット】
【ぱあと表情を輝かせたなら、くしゃくしゃのフリルであしらった長袖をいくらか手繰るのだろう。深い赤色のワンピース。生成りのレースとフリルをたくさんにあしらったなら】
【パニエをたっぷり詰め込んだスカートから伸びる足はともすれば手折れる細さであり。まして踵の高いショートブーツであるなら、どこか、転げてしまいそう、かも、】
【十六歳ほどの少女だった。あるいはケーキの前にはにかむ表情は、それよりあどけなくも見えかねなくて。然るにどこかアンバランスな様相示し】

いただきまーすっ。

【"いろんなこと"気にしないみたいな顔して、少女はやがてケーキを頬張るのだろうか。やはり窓際の席であるなら、外からも、中からも、よく見えた】
307 :@mail ◆DqFTH.xnGs [sage saga]:2018/11/12(月) 22:27:14.11 ID:HhzYycC7O

【From:ミラ・クラァケ】
【To:夕月、オムレツ】

『よ、久しぶり。なんか色々あったっぽいな』
『こっちも色々、っつぅかさ。まぁ、鈴音が目ぇ覚ましたわ』

『世界、滅ぼすってよ。いい子ちゃんするのやめるんだと』
『いつも誰かが羨ましくって、羨ましくって、自分のこと大事にしてくれねぇ世界が嫌いなんだと』
『だから、壊しちまうってさ。…………覚悟、決めてたぜあいつ』

『壊す覚悟も、自分が死ぬ覚悟も』

『あたしは、鈴音が世界を滅ぼそうとする意思は否定しない』
『もちろん、止めはするけどな。世界滅ぼされたらすげー困るし』
『次に鈴音と会う時は、きっとどっちかが死ぬ時なんだろうなって思ってる。世界か、鈴音かが』
『あたしは鈴音と戦うけど、お前ら2人がどうするかは、2人に任せる』
『まぁ、なんだ。用件はこんなとこ。ごめんな。結局、こんなことになっちまって』

 ――END――


【From:ミラ・クラァケ】
【To:“M”】

『なかなか連絡できねぇですまん。ミラだ』
『全員、鈴音の状況は知ってんな?魂のねぇあいつの体さ、実はあたしが預かってたんだが』
『昨日かな。目ぇ覚ました。んで、出てった』

『世界滅ぼすってよ。説得は…………どうなんだろうな。あたしは無理だと思う』
『もし説得してぇってヤツがいりゃ、勝手にしろ。ただ、そん時は』
『鈴音に地獄を見せる覚悟でやれ。今まで生きてきた苦しさとか、世界を滅ぼしそうになった罪悪感とか』
『そういったもん、全部全部鈴音に背負わせるんだって自覚して説得しろ』
『あいつを生かすってぇのは、…………きっと、そういうことだ』

『いやしかしすげぇよな。世界滅ぼすってぇのはよ。晴れ舞台にしたって半端ねーわ!ぎゃはは!』
『あたしはまぁ、あんま戦えるタイプじゃねーけどさ。それでも』
『せっかくのダチの舞台だから、派手な花火でもあげに行こうかと思ってる』
『一緒にきてぇってヤツがいりゃ、止めはしねーよ。むしろ、いっぱいいた方が盛り上がるんじゃねーかな』
『連絡はこんなもん。そんじゃ』

『P.S. なんか強い武器とか装備とかあったら、くれ』

 ――END――
308 :@mail ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/11/12(月) 22:38:13.10 ID:nF9XwXUN0
>>307





          「知ってる。」




【――――――――夕月のほうから。帰ってきたのは、それっきりだった】
309 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/12(月) 23:10:40.85 ID:4vkaKG1V0
>>306

【晩秋の夜風が喫茶店の静けさに吹き込んで、 ─── ドアベルの鳴る音は、いやに他人行儀だった。清潔なリノリウムを幽かに軋ませる足音】
【一人の女であった。ひどく背の高い、長い銀髪の女。凍える夜を嫌うような、然して夜よりも暗い色合いのロングコートと、フォーマルなビジネススーツ】
【憂うように儚げな白皙は室内灯の温かな色調に照らされて、無感動な明眸の輪郭を暈す。顔の右半を長い前髪に隠し、冱つる碧眼が穏やかな店内を睥睨するなら】
【幾らか剣呑な様相でレジに向かい、先払いのオーダー。聞き耳を立てるなら、クリームとチョコチップを山と盛ったアイスカプチーノに、一番大きなストロベリーパフェ】


《 ──── ユニット01。アルファ、ブラボー、レディ。射撃ドライバ接続完了。ターゲットを捕捉。ILAM照準よし》
《フェンリル了解。N開始。プランBに移行した時点でアエロー01、02と協働、終了措置を取れ。それまで発砲は禁ずる。アウト》


【(もしも少女が、その聴覚や視覚に人ならぬ可感域を有しているならば ─── 一刹那まっすぐな眩しさと、ノイズ混じりの通信が)】
【(何処からともなく窓際に向けられている事へ、気付けるのかもしれない。いずれにせよ、事実としては)】



        「隣、いいかしら?」



【玲瓏でありながら、その声は慈母に似て穏やかだった。 ─── 微かな煙草と、香水と、硝煙の匂い。】
【静やかに微笑む銀髪の女は、少女の隣に立っていた。積み上がったスイーツをトレイに乗せたまま、小首を傾げて問うのだろう。】
【 ──── 装いも振る舞いも女らしくないというのに、様相は酷く女性的であった。肌を晒さぬ白い布地は、却って胸許の肉感を強調するように、震えて】
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/12(月) 23:34:43.96 ID:hlehS+MX0
>>309

【――からり、と、ドアベルの音。悪くなく古びた音色だった。店内の温度感を邪魔しない音、なら、一人甘味を嗜む少女の声の如何に瑞々しいことか】
【ごく涼やかに美しい鈴の音の声をしていた。とはいえ、一人きりでわあわあはしゃぐ性質ではないらしいなら、少女の声を聞く機会など限られていて、】
【いつかの録音か――それともごく嫌がらせによく似た断絶越しか。お互いにごく至近距離で佇むのなら、――――きっと彼女はごくありふれた人間によく似て(だけど違う)】

【"蛇"という生き物はあまり耳が良くなかった。そうでなくとも、きっと、聞き取れなかっただろう。なんせ彼女のボディは人間基準であったなら】

――――――どうぞ。だけど、隣より、向かいがいいな。わたしの隣に座っていい"おっきい"ひとは、へびだまだけなの。今はね。

【窓際のソファ席。ちょっといくらもふかふか"しすぎる"座り心地のソファは、さらにいくらか背が低い者だった。百六十センチの少女ですら、膝がいくらか高くなるなら】
【もちろんこちらも背の低いテーブルはガラス製で、中に小物が飾れるようになっていた。この席に飾られてるのは、ごく平穏な景色をもした箱庭細工】
【咀嚼していたミルクレープを飲み込んでからであるなら、返答には数秒が要される。それからミルクティーのカップを手に、ほんの少し、啜るように飲んで、それから】
【ようやく答えが返るのだろう。カップはごく自分の近くへ置かれる。ケーキも自分の方へ寄せて。なら相手の分を置くには不足なく、ただ、少し、椅子が低すぎるか】

お姉さん、一昨日居たね。あの子は元気、――かえでちゃん。わたしはずうっと話しかけてたのに、ずっと、無視するんだもん。
それこそわたしのせいじゃないよ。あの子がわたしのことを絶対に信じようとしてくれなかったんだから。

【――唇についた洋酒入りの生クリームを舐めとる、ならば彼女は相手を認識していたらしかった。肉声とするには鈴の音はいくらも珍しくて、ただ、彼女にはよく似合う】
【元気、だなんて、ひどく他人事の声をしていた。そうして事実他人事だった。ごく特殊な縁にて少女は少女を認識していたに過ぎないなら、――それでも、ただ、】

どうして蛞蝓があの子に憑いてたのか、知ってるよ。

【あくまで危ういことをしでかす気はないらしかった。それよりも目の前のミルクレープが大事らしかった、なら】
【いくらも小さめで装飾過多であるなら握りやすさなんて考えてくれてないようなケーキ用フォークにて、断層のたびにぷつぷつ手ごたえ、ミルクレープを一口大に】

――――何のお話をしに来たの? わたしの代わりに、セリーナでも、見つけ出してきてくれる? "だいたい"は、分かってるの。
そこがどこなのかを教えたら、――ぜぇんぶ駄目にして、そこに居る人間全部殺して、セリーナを助けてきてくれるなら。

【それを頬張って、また彼女はいくらも咀嚼に時間を潰す。そうしてまたミルクティを一口飲むのだろう。――にこり。極々狡い、そうして嘘と断言できぬ、声をしていた】

【(そうしたら、世界滅ぼすなんて、やめちゃおっかなぁ)】
【(そうとでも言いたげな目をしていた。そうとしか解釈できない目をしていた。ならば、)】
311 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/13(火) 00:14:49.02 ID:Q6BfPzDi0
>>310


【促されるに特段の拒絶はなかった。肩の一ツも張ることなく、柔らかなソファに腰掛ける。少女を真正面から見据える位置】
【ガラス張りのテーブルにトレイを置くなら、序でに両肘もそこに預ける。すれば矢張り背は幾分も高く、やや見下すような碧眼】
【背凭れに身を委ねるならば、僅かに胸を張るような姿勢だった。テーブルの下で組まれる両脚は、ひどく長くも細い。】
【「覚えていてくれたの。 ─── 嬉しいわ」小首を傾げるなら、両肩に垂れる白銀が揺れた。控えめにシャンプーの香りがした】


「あら。 ──── かえでのことを知っているの?」「 ……… そうね。そうよね。かえでの信じていた神様だものね。」
「すっかり塞ぎ込んじゃって困ってるわ。お家に閉じ込めるしかなくって。今だって、予備の義体でずうっと抱き締めてるの」
「わたしのせいで世界が滅びちゃうかも、って。 ──── 馬鹿な子よね。全く、貴女のお陰よ?」


【茶飲話の温度感で、女は笑う。 ─── やや楽しげに上擦った声は、親しく或いは愛しい人の身上を語る喜びに満ちて】
【それでいて何処か悲しげでもあり、追想じみて、仄かに低められる言葉尻は冗談めかすようでいながら、消せない懸絶を示して】
【「あの子の昔話なら、是非に伺いたいところね。」ならば望む言葉さえ、真実か虚構かも判然としないのだから】



「そうして始末がついたら、どうするつもり?」「 ─── 逃げ回っても、何処まで行けるかしらね。」
「"貴女たちに明日はない"、 ……… なんて」「テロリストの声明を叶えてやらないのは、どこの国でも同じ事よ。諦めなさい」


【色素の薄い唇は然して瑞々しい膨らみを孕んでいた。プラスチックのカップに収められた、チョコソースとチップが呆れるほど盛られたカプチーノを、一口ほど】
【そうして真っ向から少女を見据える一ツの碧眼には欠片の怯懦もなかった。相手の問いには答えなかった。ボニーもクライドも死んだのだから】
【ともすれば対手の無謀さを嘲るようであった。凡そ全能の神に対して取る態度ではないに違いなかった。真白いホイップクリームと赤いイチゴを、掬い取るスプーンの温度】
【 ──── いずれにせよ、女もまた、少女を直ぐに殺すつもりはないようだった。であれば下らない狭匙でも焼きに来たのだろうか。それにしては酷く感傷的なのは】
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/13(火) 00:48:31.01 ID:QEUk06c/0
>>311

【――そうして少女は硝子の机に指を這わす。その内側にあるのはもはや季節外れである海岸線の箱庭だった。店員か誰かの趣味なのだろうか、クオリティはわりに高く】
【「他の机は違う奴なんだよ。見た?」――だなんて、笑う。「UTもこういうのがあったら楽しいかも」「だけど、――硝子張りは、寒いね」】
【ころころと鈴を転がすような指先で笑うならばひどく違和感しかなかった。だのに限りなくよく似合っていた。から】

うん、――お話したことはないけど。ちょっとだけね。そう。一緒に居てあげないの? わたしなら――、一緒に、居てほしいけど。
――あはははっ、そんなの。あの子のせいじゃないよって言ってあげて。わたしは、――わたしに非道い事した全部、壊すの、それだけだから。

【ふと伏せた目線は回想。――とは言え、あのころは、自分も良く慣れていなかったから、ひどく朧げな意識の瞬間が多かった。だから、よくは知らないのだけど】
【そうなんだとでも言うような声をしていた。それなら一緒に居てあげたらいいのにってごく他人事の声をしていた。関係ないから大丈夫だよって、言われて、】
【果たしてそれで立ち直れる子であったなら、"こう"はならなかったのだろうけど。ならばやはりこの少女はひどく他人でしかなかった、から】

――――――帰ってきたセリーナにご飯を作ってあげる。今度はお皿は洗わせない。喧嘩中なの。

【あるいは的外れなことを言っているのかもしれなかった。きっと相手は、こんなこと、聞いているのではなかった。でも】
【どうやら彼女は件の女性と喧嘩中であるらしい。そうしてそのまま、行方不明になったままであるとか、世界を滅ぼすと決めてしまったりだとか、】
【一つ溜息を吐いた、――ミルクティーを一口】

"かえでちゃん"は、七百年くらい前に、うちの蛇を助けてくれたの。"わたし"とへびさまが結婚したお知らせのお手紙を、他の神様に届けに行く途中だったの。
だけど、途中で、からからに乾いたところで、妖怪の蛞蝓に喰われそうになったの。――蛇は水の生物だからかな。へびさまは水の神様だし。そっちかも。
とにかく、"かえでちゃん"は、わたしたちの蛇を助けてくれた。――蛇を食べられなかった蛞蝓は、喉が渇いて死んじゃった。その時にね、呪ったの。呪われたの。

【――すらと話す声音はごく簡素なものだった。そうしてまた見て来たように口にするなら、そもそも、彼女は、】

――――――ふふ。へびさまが持っていたの。前のわたしのデータをね。へびさまも、わたしとおんなじ、神様だったから。……見せてもらったの。
全部じゃないよ。それに、やっぱり、今ここに居るのはわたしだから。今だってちょっとずつ忘れていってしまうの。だから――明日には、もう、覚えてないかも。

【前世の記憶だなんてオカルトの代名詞みたいなものをさも当たり前に語っているに過ぎなかった。ならばごく奇妙な血筋に生まれ運命を定められたことが、一番、失敗だったみたいに】

それで。貴女たちがセリーナを助けて来てくれたら、どうするのかって? ……、そしたら、ねえ、子供を虐める大人を、ぜーんぶ、殺してもらって――。
次は――、うーん、女の子に"非道い"ことする、男とかかな。そしたら……次は……。

【そうして彼女は話題を戻す、――ミルクティーの上で緩く蕩けたクリームを混ぜ込んで。ふうふう吹いてから一口――唇を机に備え付けの紙ナプキンで拭って、】
【実際にそうはしないけれど、指折るような温度感で数えてゆくのだろうか。なら存外に要望は多いらしかった。最後までは言い切らず、ミルクレープ、一口】
313 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2018/11/13(火) 01:24:10.85 ID:DfDLDtMH0
>>312

【大したことのない閑話にも、女は存外丁寧な答え方をした。それでも確かにあの日あの瞬間、彼女を殺すと言っていた】
【ならば何処まで辿って考えても奇妙な距離感だった。互いに殺意を抱くのに間違いはなく、それでも卑近に笑い合う】
【「あら、今でも一緒よ?」「 ─── 抱き締めているくらいなら、リモートでもどうにかなるの。」語るに可笑しな物言いで】
【ともすれば女もまた真っ当な人間ではないのだと悟らせるのかもしれない。白銀を宿す前髪の細やかな間隙より、 ─── ごく機械的な望遠レンズの収縮する、微かな呻き】


       「 ……… そんな夢物語を、神様が許してくれるといいんだけれど、ね。」


【やはり嘲るように零される言葉であった。 ──── 今や名声も聞かずになって久しい、賞金稼ぎとその同胞たち】
【それでも彼らは正義を標榜していた。もしも万事が救われたとして、今の少女と相入れる道理など在る筈もない】
【タイミングを重ねるように女もまたカプチーノを啜る。怜悧な風格をしていながら、慮外に甘党であるのだろうか。ともあれ】
【 ──── 曰く前世の逸話には、初めて聞くようであったから、幾らか興味深げに傾聴して頷き、それでも簡素な反応】
【終わってしまった話だった。今の女が向き合わねばならぬのは、より喫緊の心的課題であった。然らば続く言葉に帯びているのは苛立ちだろうか、それでも女は微笑む故に】


「そうしたら次は、貴女を呼び止めてくれた人たちを殺すといいわ。」「飛びっきり非道い遣り方で、もう未練の残らないように。」
「 ─── そうねえ。夕月ちゃんなんて、丁度いいんじゃない?」「私は会ったことがないのだけれど、 ……… 同僚が、彼女と親しくって。」


【「彼の手指の一つずつ、彼女の目の前で潰してやったりしたら、きっと絶望してくれるわ。」生クリームとストロベリーに、コーンフレークをかき混ぜながら】
【「そうして最後には彼女に彼を殺させればいいの。そうしなければ世界を滅ぼしてやる、って言って ─── 。」もう一口を舌に転がして、呑み込んで】
【公共の空間で語るに憚られるような残虐性さえ露悪的に述べるのなら、それは女の本性などではないのだろう。内心とは、そも他者に教えぬからこそ本義を果たすのだから】
【安い挑発と受け取る事もできるのかもしれない。 ─── 全て滅べと願った神に向けるには、余りにも不用心な言葉の数々だった。吹き付ける夜風は、虚しく窓硝子を揺らす】
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/13(火) 01:51:17.59 ID:QEUk06c/0
>>313

【ぱちりと瞬くのなら、今度手を伸ばすのは、何の変哲もない水だった。コップにびっしりと汗をかいた、冷たい水。飲むのなら、ころん、氷の転げる音が】
【きっと相手への返答であった。向ける目線は特別の興味を持たない、――そしておそらく相手が人間でないことに彼女は気づいていた、ヒトと違う匂いが少しでもするなら】
【煙草と香水と硝煙にはケチを付けないけれど、強いて言うなら香水以外のどれも好きではなかった。香水も、あまりに限度を超えるなら、好まないけど】

――わたしが、許すの。わたしに許せないことなら、へびさまが許してくれるから。
それに、――セリーナのこと、貴女が勝手に決めるの、おかしいんじゃない? 知り合いだったら、悪いけど――。

【ならば自分の行為はすべて自分が許すのだから。神様にお伺いを立てる必要などどこにあるだろう、そうして、もしもそれが許されぬとして】
【そしたら彼女は違う神様に赦しを乞うだけだった。もう七百年近くも前に封じられて久しい神様を、彼女は世界中で誰より、信じているのなら。いるのだから】
【故にまたセリーナのことも信じていた。――ちらと向けるまなざしがどこか気に喰わぬ色をしていたのは見間違いでもなんでもなく、】

――――――――――、どして? 

【――そうして次の刹那に瞬く色合いも、また、】

あの時一緒に居た、男のひと? ――興味ないの、"ああいう"恰好する、男のひとって、好きじゃないけど。
そう、――あいつが居なかったら、わたしも、いま、こうじゃなかったかもしれない。そしたら、世界だって、滅びなくって、良かったかもね。

【奇妙なことに彼女は自分が嫌いな要素を持たぬ人間が死ぬ意味はないと真剣に考えているらしかった。だのに世界は滅んでしまえって真面目に思っていた】
【致命的に何かが壊れてしまっているのかもしれなかった、世界は滅ぼすけど自分が好きに思うひと、好ましいひと、そんなみんなは幸せに生きたらいいって】
【ごくまっすぐに言えてしまうに違いない。(そして願わくばその世界にたった一つの悪いもの残らぬように)――、瞬き一つ、二つ、】

…………夕月ちゃんは、元気? この前ね、喧嘩をしたの。イイコなんてやめちゃえって、夕月ちゃんが言ってくれたの。
綺麗じゃないわたしなんて誰も要らない、って、――知ってたよ。でも。わたし、もう、我慢しないの。そんな風に言ったら、――泣いちゃうかな。
だけど、夕月ちゃんのせいじゃないの。他のわたしの嫌いなもの全部のせいなの。――たぶん、わたしは、へんなこと言っている、けど。

【――いくらか伺いづらいことを伺う声音にて、彼女が尋ねたのは、夕月の状況だった。だから彼女はいろんなひとと喧嘩中であるらしくって】
【如何にも夕月に言われた言葉を律儀に受け止めて実行に移した部分があるらしい。そのくせそうしたらみんなに嫌われるって分かりながら、でも、】
【我慢しないことをそれでも選んだんだって言って。――そんな風に言ったらあの赤い女の子は泣いてしまうのかしら。貴女は悪くないのにね。――なんて】

――――――……ケーキ。お代わり。

【そこで少女はふっと席を立つのだろう。見ればケーキはもうなくなっていた。荷物から財布だけを取り出して、そのまま、注文へ行く】
【数分もしないで戻って来るだろうか。今度は珈琲クリームのケーキ。上に市販の珈琲豆を模したチョコがいつか並べられていた、それと、今度は、ホットココア】
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/11/13(火) 20:30:59.11 ID:ywRBfSZi0
【街角】

【大体、俺は夜はあまり人の通らない細い路地のシャッターの前に居る。途中で買った缶ビールを開けて】
【ステッカーだらけのギターケースを開けて、なんとなく勘でチューニングして煙草に火をつける】
【テネシーローズなんて気取った名前と色をしたエレキ。アンプは重いからいっつも持ってきていない】

『オジサン、上手いね〜プロかなんか?』

【なんて通りがかった若いヤツに茶化されることもある。そりゃ、白髪交じりで髪もシャツの襟にかかるぐらい伸びてて】
【白髪交じりのアゴひげなんかちょっとはやしてて、サングラスをしてるやつが革ジャン着てそのへんでギター弾いてるなんて珍しいのか】

【別にいいだろそんなこと。弾きたいときに好きなとこで弾きゃいいじゃねえか】

ンな事ねえよ。単なる趣味。投げ銭ぐらいくれたっていいけどね。

【なんて、笑ってやったらホントにくれたんだ。ビール一本分ぐらいだけど、この世界も悪くないって思ったね】

【今日はここで誰かが来ることを待っている。俺のことを知っているやつが通りかかるのを待っている。そうでなくてもいいけど】
【これから知ってくれて、覚えてくれるやつを待っている。スウィングなジャズやブルースにのせて】

316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/13(火) 20:52:45.59 ID:xLG/SldO0
>>315

【――――ことん、と、微かな音。見れば人影が一つ、ちょうど、ギターケースの傍らに、缶珈琲を置いたところ】
【ごくありがちで何の変哲もない缶珈琲。強いて言えばミルクも砂糖も入っていないごくごく苦いのだろう無糖であるのが唯一の特徴で、】
【そうしてまた"それ"を置いたのが、そんなものは全く嗜む気すらなさそうな少女であるのが、あるいは、目立つのかもしれなくて】

――――――こういうのじゃ、駄目? 自販機で、当たっちゃったの。びっくりして、飲まないの、選んじゃって――。

【――しゃがむより怠惰に上半身だけ屈めておいた人物が顔を持ち上げるなら、腰までの長い髪がぞろぞろって雪崩れる、だのに覗く肌は雪みたいに白くって】
【ごくあどけなさを残す顔に、左が黒で右が赤のオッドアイ。厚手のコートのフェイクファーに口元を埋めこんだなら、それでも、笑んでいるのはきっと、伝わるなら】
【深い赤色のワンピースはたっぷり詰め込んだパニエでスカートをうんと膨らませて。足元は厚手の黒いストッキング。靴は赤いストラップシューズ、かかとは分厚いもの】
【十六歳程だろうか。少女だった。こんな時間に出歩くには少しばかり幼くて、だけれど、最近のご時世ではごくありふれた光景。――どちらにせよ、】

ついさっきだから、――温かいよ。毒とかも入ってないの。ただ、うんと、苦いだけ――。

【長い髪を耳にかけて笑うなら、やはり至極あどけない顔の少女だった。表情までもあどけないから、ともすれば年齢なんて信じられなくなるほどで】
【それでもわりに高い身長が彼女の年齢を辛うじて引き上げる、――これが自分の分だからというみたいに見せるのは同じく缶のホットココア。とにかくいい牛乳を使っているらしくて】
【ならばやっぱり、ブラックコーヒーは彼女には早すぎる代物らしい。――駄目と言われたら回収してゆくのだろうか、そうでもなく、処分も任せてしまうような、気配はした】
317 :@mail ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/11/13(火) 20:54:31.09 ID:yNHBQG150
【――――水の国『Crystal Labyrinth』控室】
【慣れない調子でタバコを吹かしながら、『彼』はイライラした表情で、は手元の通信端末をしきりに弄っていた】

【From:シャッテン=シュティンゲル】
【To:夕月】

『突然でごめん。悪い知らせが入ってきた』
『――――レグルスが、死んでしまったよ。ロールシャッハと、相打ちになったんだ』

『そして、ラベンダーも……どうやら、完全に『悪い方向』に、心を固めてしまったみたいだ』
『レグルスの事もそこそこに、すぐにアーディンの伝手を使って『白神 鈴音を殺す準備』に入っていったよ』
『「死なない存在を殺す方法は、私が知っている」と言ってね』

『流石に、僕の仲間たちもみんな、動揺してる。詳しい事は、落ち着いたら話そう』

【――――送信を終えて、灰ばかりになってしまったタバコを灰皿の中に放り込む】

レグルス…………奴も、輝いてた命だったのに…………

【瞑目し、空を仰いで嘆息する。アルク程親しい訳ではなかったが、それでもその死は、痛惜の一事だった】



【――――また別の控室】

【目の前のベッドで眠る、金の長髪の少女を見下ろしながら、『彼』もまた、手元の端末をしきりに操作していた】

【From:アーディン=プラゴール】
【To:カニバディール】

『2つ、要件がある』

『まず1つ、此方は悪い知らせだ。前に言っていた『8人の仲間のアテ』だが……そのうち2人が、グランギニョルの神々との戦いで、戦死してしまった』
『戦力の補充は、そう簡単に出来るものでもない。まだ継戦能力に支障が出る訳でも無いが、仲間たちの士気の低下が、流石に無視できない』
『……あいつらも、決して柔な連中ではなかったはずだが。そちらも、明日は我が身という事かもしれない。奴らと見えるなら、重々気を付けてくれ』

『もう1つ。こっちは先への展望となる話だ。櫻の国海軍から、重要人物と思しき子供を保護した。どうも、命を狙われていた様だ』
『更に、お前も知っているだろう……厳島 命が身柄を拘束された事を。どうやら、この子はその厳島から、俺を頼る様にと、メッセージを受け取っていたらしい』
『櫻の国海軍の中で、何かが起こっている。『黒幕』や『円卓』ども、或いはもっと別の策謀が動いているのかもしれない』
『宣戦布告は済ませている。『そっちの事』も、或いは聞き及んでいるかもしれないが……みだりに他言はするな。ただ、其方は胸に留めておいてもらいたい』

【送信を終えたのと、朧げな表情で少女が目を覚ましたのは、ほぼ同時だった】

「お、おい、ちゃ――――」
――――大丈夫。俺はここにいる……もう少し眠っていなさい……

【やせ我慢は、大人の必須スキルだ。少女を見守る『彼』の笑顔は、静かで温かいものだった】
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/11/13(火) 21:12:33.07 ID:ywRBfSZi0
>>316

【視界の隅に写ったブラック オン BLACKに目をやって。弾いてる手を止めた。弾いているときは次にどんな展開にしようかとか】
【このキーなら次のコード進行はどうだとか、そういうことで頭が一杯で意外とその瞬間まで周りの物事には気が付かない】
【俺は一瞬で、Cマイナーの世界から路地に帰ってきた。見上げたら少女が一人】


――本当は、別に何も要らないんだ。ただ、聞いてくれればいい


【覚えてくれてりゃいい】


毒は水色か、ワインの中と相場は決まっている。…三文芝居の中でならな。


【俺は缶コーヒーを掴んで、自分の元へ引き寄せる。温かい。熱いぐらいだ。持つもの躊躇うぐらい】


ありがとう。あんたの幸運を分けてくれて。


【自販機であたりが出ることなんてまあ、自分じゃなかなかないが周りでそう珍しいもんでもない。そんなもんだ】
【だけど当たれば嬉しい。そういうときって意外と他人に奢ってやりたくなる。なぜだろう。自分の幸福を共有したいのか】
【それとも当たっただけでもう満足してしまったのか。…ま、今回は単純に邪魔なもん体よく押し付けられただけかもしれないが…】

【邪推するのは年齢のせいかな。それとも…】


――悪いけど、流行りの曲のリクエストには答えられないよ。古いロックか、適当なジャズぐらいしか。
歌のリクエストもね。
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/13(火) 21:22:24.44 ID:xLG/SldO0
>>318

どういたしまして。――、わたしも、ありがと。良かったあ、ブラックだなんて絶対飲めないの。甘い缶コーヒーなら、飲めるんだけど――。
喫茶店のミルクコーヒーだって、グラニュー糖は四つくらい入れなくっちゃ、足りなくて。一緒にケーキとか食べるなら、それでもいいけど、そうじゃなかったら、もっと……。

【ありがとうなんて言われたら、――やはりにこりと少女は笑うのだろう。厄介払いに近しい意味合いは多分に含むが、それで誰かが喜んでくれるなら、まあ、嬉しい】
【そういう様子だった。とはいえ、それでも十全にあなたのためであるとアピールするほど嘘吐きでもないらしいなら、本音が出て来る出て来る、苦いのは苦手だからって】
【どーぞって言って笑う、ならば幾らか人懐こい性質であるらしかった。あるいは、道端で楽器を弾いているひとがいくらか物珍しいのか】

――――わたしも、最近の歌は分からないの。――半年くらい、ぜんぜん、そんな場合じゃなくって。
だけど、ロックもジャズも分からないや。……ええとね、音楽って、あんまり聴かなくて――それで……、だから……、えーと。

――なんでもいいよ。あなたが一番好きな奴で。

【ならば少女は、――よいしょ、て、しゃがみこむのだろう。相手と目線を合わせるようにして、ふわふわのスカートの裾を引き摺らないように、、けれど中も見えないように】
【お行儀よくしようとして、――けれどいくらか考えた風な間のあとに、そのまま地べたに座るのだろうか。やはり中は見えぬように気遣って、それでも、どこか、】
【そうやって地面に座ってもなんとも思っていない。或いは慣れているような様子。――最近の音楽なんて自分も分からないって言うなら、リクエストなんて、しようもない】

それか……あ、クリスマスの音楽とか? さすがに早すぎるのかな、――わたし、ギターって、したことないの。…………それ、ベース?

【――――というより、楽器というものにすら全く明るくないようだった。相手の持っている楽器がどちらかなのか、判断することも出来ないらしいなら】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2018/11/13(火) 21:34:54.55 ID:wc6WY7W1O
【路地裏────闇市】

【おおよそ非合法なものが集まる市場のひとつだった。盗品やら疚しい由来を持つ物品】
【あるいは様々な理由があって、表の市場に流せないモノたち──奴隷も含め、そういったものが】
【ひっそりと売られているような場所にそいつはいた。しわくちゃのトレンチコートに帽子を被って】
【夜だというのにサングラスをかけた…………場末のバーにでもいそうな、“探偵”のような男だった】


(Sabrina…………、Sabrina…………)
(なんて書いてあったかな、アレにはさ────あぁ、これなんかまぁまぁ似てるかな)

『こいつと、こいつをくれ。…………あと』

『神様を殺せるような銃ってのは、売ってたりするもんかい?』


【闇市の中でも銃がごちゃごちゃと売っている露天商。そんな店に男はいた。髪をわちゃわちゃとかいた後】
【少しばかり装飾が派手なリボルバーを2丁選んで。それからひとつだけおかしな質問を、店主に投げていた】
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/11/13(火) 22:16:17.37 ID:ywRBfSZi0
>>319


へぇ…いいね。俺も甘いのは好きだよ。なんか…こう。目が覚めるような気がして。パッとね。
力が湧いてくるとか…そんな感じ。

【多分世間の印象とかとは正反対なんだろうけど、そんなの知ったこっちゃない。甘いのもうまいし】
【でも飲みたくない日もある。眠たくて、起きられない日があるのと一緒で。目覚めのいい日もあるのと一緒で。】
【こんな年食ったやつが20代のガキみたいなコメントしかできないのはもはや哀れに見えるもんなのだろうか】
【まだ、言えなさそうな見た目をしていてよかったと思う。スーツを着て真面目な顔して同じレベルのやつもたくさんいるが】


そりゃあ、じゃあ俺と一緒だ。―――半年ぐらいって言うと……あれだ。受験とか?
最近の子は大変だな。俺なんて………

【と、いいかけてやめた。理由はいくつもある。そんな俺の話なんてどうでもいいし、そもそも話せるような話でもない】
【適当なことを言うのはやめよう。代わりに握っていた弦が擦れて「そうだ」と肯定するように鳴いた。】


ああそう、じゃあ……適当に、弾いて。クリスマスを呼ぼうか。


【少し頭ん中でいろいろ考えて、弾けそうなやつを思い出した。シナトラ―――あれはシナトラでいいのか?】
【カヴァーが多すぎるとよくわからなくなる。まあいい、キーを適当に探って、つま先でリズムを取りながら俺はギターを弾いた】

【Let it Snow。と繰り返して。細かいところはごまかして。3分ちょっとかそれくらいの間は、目の前の少女よりも刻まれた】
【二十何フレットと六本の弦にばかり意識が向いた。その他の細かいことも全部忘れて】

【弾いて終わってから、これはクリスマスソングだったのかって思った。】


――なんだか、余計に寒くなった気がした。雪なんてまだ降ってほしくない。バイク怖くて乗れないよ。


【俺はそう言って笑いながら、もらった缶コーヒーを手にとってプルタブを起こした】
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/13(火) 22:34:45.86 ID:xLG/SldO0
>>321

そう、なのかな。わたしね、お子様舌だから。――辛いのも、渋いのも、駄目なの。あとね、臭い奴。変な臭いのやつは、あんまり――。
お酒も、あんまり。甘いやつなら、好きだけど。苦いのは、やっぱりね。二十五歳になったらおいしいの分かるってね、言われたんだ、でも……。
まだ分からないみたい。……ふふ。海外留学。受験だなんてしないよ、大人だもん。わたしね、二十五歳だから。

【ぺたんと座ったお尻が冷たくって、少女は何度か姿勢を整える。お尻の下にスカートの布地を丁寧に挟み込んで、膝を揃えて、体育座りみたいに】
【少女は特別甘味に目覚まし効果を求めないらしかった。それでも、相手がそういうのなら、そういうこともあるのかな。――なんて、ごく曖昧な肯定をして】
【ちんまりあかんべをする、真っ赤な舌先は、甘いのがうんと好きなお子様のもの。――続く話は、冗談にしか聞こえなかった。到底酒を嗜んでいい年齢には、見えず】
【だのに自分は二十五なのだと語る/騙る。――海外留学もそれなりに"それくらい"の年齢でやるものな気がするのだけど。なんて】

【――――そうしてやがて演奏が始まるのなら、少女はお行儀よく黙り込むのだろう。あどけない顔の目をまあるくして、めいっぱいに、意識を向けて】
【目線はその指先を見ていた。どうしてその動きからその音が出て来るのかを考えているみたいな目をしていた。或いは、鏡の仕組みを理解できない子猫みたいに】
【ともすればその頭の中に音楽がいっぱい詰まっていることも不思議なのかもしれなかった。その中から、自分の言葉で選ばれた音楽がなにか特別みたいに思えるのかもしれず】
【あるいはクリスマスケーキの上に飾られたマジパンのサンタをもらう幼子みたいに――だから、】

――――わあっ、凄い、すごい! すごいね、指がいっぱい動くの、それに、いろんな音楽、覚えてるの? すごい。
ふふ。わたしも、もっと後がいいな。昔はね、雪って好きだったの。きらきらして、綺麗で、なんだか、特別みたいで――でも、雪かきしてたら、嫌になっちゃった。
もう引っ越そうかなぁ――、だったら、どこがいいと思う? 昼の国かな。今はね、夜の国にお家があるの。あそこはね、寒すぎるから。

【演奏が終わるのなら、――ぱあっと顔じゅうをきらきらにして、拍手するのだろう。一人分なら大した音は出ないけれど、それでも、ぱちぱち、夜にはよく響いて】
【雪については、――彼女もあんまり歓迎はしないらしかった。もうちょっと後でもいいよねなんて声。ならばどうにも彼女は遠くに住むらしく、でも、当たり前にここにいて】
【プルタブを開ける音を邪魔しないタイミングで尋ねた、――別になんて言われたってどこだって一回考えてみようって顔をしていた、なら】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/11/13(火) 23:08:32.33 ID:ywRBfSZi0
>>322

いつか、わかるようになるよ。…多分。…わからないかも。

【彼女同様に、俺も言うことは曖昧だ。興味が無いからかもしれないし、実際そうだからなのかもしれない】
【何を見て何を聞いて何食って何感じるかなんてホントマジで自由でしか無いから文句の言いようもない】
【それぐらいの自由は許されている。】

ああ…んん?……まぁーあれだ。俺ぐらい年を食うとわかんなくなるんだよ。わけぇやつなんてみんな一緒に見える
二十五もハタチも…そりゃ並べりゃ多少どっちが上かもわかるかもしれないけど、そうでないなら17もわからねえよ
ガキは大人っぽい、そう思えばガキっぽい大人も居るし……ああ、いや。嬢ちゃんを悪く言う訳じゃなくて
年食うと、そのへんわかんなくなるんだよ。それに、俺は目も悪いしな。

【だからサングラスを掛けている。夜にかけて余計に見えなくなるんじゃないかって言われるかもしれないけれどそのほうが】
【まだマシなんだ。街中は昼間みたいに明るい光も多いから。いつからだろう。俺の目が濁っちまったのは】


まあ……そういうもんなんだよ。次はA、次は…って偶に忘れるけどね。いちいち歩くときに、次は右足で手は左手でって
考えないのと一緒で。…音楽の神様が代わりに弾いてくれてるんだ。きっと。


【そうして俺はまた、煙草に火をつける。この街はまだ喫煙に対してうるさいやつが少なくて嬉しい。マルボロもソフトで置くような】
【店もある。気に入った。だけど、きっとしばらくしたら俺はまた別の街へ行くだろう、多分。これも、多分】


そうだな…でも、氷の国もいいよ。雪は嫌いになるけどそのかわりに、暖炉が好きになった。オーロラも見えたし。
昼の国は…暖かくていい。でも、なんだかやる気が出なくなるね、一日中暖かくて明るいと。
地の国は砂っぽくて風が強くて…でもなんだか、イイやつが多かったな。

【俺は頭の中に浮かぶ景色をそのまま口にしていった。どれも、すごく遠くに感じるし、昨日のことにも感じる】
【記憶ではなく、思い出だからだろうか。】

夜も嫌いじゃない。朝を好きになれるから。……ただ俺は何処に行くにもバイクだから。時間がかかってしょうがないよ
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/13(火) 23:28:48.83 ID:xLG/SldO0
>>323

【ふーんと少女は曖昧な言葉を吐くのだろう。あるいは吐息でしかなかった。ビールだなんて苦いばっかりでおいしさはいつまでも分からなくって】
【だけれど半年くらい全く遠い場所にいたから、もしかしたらおいしくなっているかもしれないってふっと思った。後で飲んでみようかな。お店で押し問答するのは嫌いだけど】
【こんな見た目でも売ってくれるようなごくやる気と遵法意識のない人間からしか酒は手に入れられなかった。そうでなかったら、――ああ、そうだ、店の冷蔵庫でも見てみよう】

ふうん。……わたしも、おじさんくらいのひとたちの年齢、分かんないよ。だけどね、何人か居たら分かるの。男のひとって、少しでも年上なら敬語を使うから。
あれって面白いね。女のひとはあんまりしないもの。なのに男のひとたちは、ほんの一ヶ月だけだって気にしているの。大変そうって、わたしは思うけど。

わたしもね、右と左で見えるものが違うから。

【――だなんて、ごく違法めいた飲酒の作戦を練っているのなら、最初のいくらかはごく気の抜けた声だった。相手に分からぬなら、こっちも曖昧だから、なんて】
【かといって見分け方は知っていた。だからじっと見ていると何となく分かるのって笑う、――そんな彼女はずっと年上に違いない相手に敬語なんて使わないのだから】
【やっぱりあんまり気にしないものなのかもしれない、――目については、あまり気にしていないらしい。自分も、大概、いい目はしてないもの】

音符って、ドとかソとかじゃないの? 楽器によって違うの? ……ふーん、大変そう。どうやったらAなの? 次はB?
――そだね。そっかあ、じゃあ、仲良くしておくと、きっと、いいよね。――だって、ほら、王様の前でやるときに、楽器が音を出してくれなかったら、困るでしょ?

あれは骸骨だっけ。神様、関係、ないかな――。

【そうして全く知らぬ世界について垣間見るなら、やはり目を輝かせる。そうなんだって笑って、いくらか身を乗り出す、――説明してやっても、どれだけ理解するものやら】
【だから多分そう本気に取る必要はないんだった。なんせ表情がそう真面目じゃない。まかり間違ってもFの押さえ方を学んで帰る気なんてものは、ないんだから】

氷? ――オーロラ。見たことない。暖炉はね、家にもあるよ。でっかいやつ。でも、オーロラ、見てみたいなぁ……。
昼の国はね、友達が住んでるの。だから、おすすめの街とか、聞けるかな――。ずうっと暖かいの、わたしは好きだよ。日向ぼっこできるもの。
地の国は――、――ううん。あんまり、砂っぽいのは。髪の毛、ばさばさになっちゃうから……。

【そうして教えてもらういくつかの候補。氷と昼は好感触で、ただ、地は微妙な顔をしていた。長く艶やかな髪先が艶消しブラックで絡み合うのは頗る嫌であるらしい】

バイクだと行くの大変だね。船をいーっぱい、乗り継がなくちゃ。それに寒そう、雨の時はどこかで雨宿りするの?
夜の国は、雨の日と雪の日が綺麗だよ。遠くの街明かりが、空一面にぼんやり拡がるの。とっても綺麗で――。

【――夜の国については、まあ、ある程度の範囲で満足はしているらしかった。夜景だなんて毎日見てたら飽きるものかと思っていたけど、意外と、そうでもなくって、】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2018/11/14(水) 00:17:40.81 ID:Kp/4VX1j0
>>324

さぁ、俺は敬語使わねぇから。でもまあ、自分より長くこの世界で食らいついて生きてるってことを
リスペクトするのはいいんじゃない?逆もだけど。生まれて三ヶ月のガキだって、自分と違う三ヶ月を過ごしてんだから
自分と違う生き方をしてるってだけですげーんだよ。ホントはね。多分。

――目をつぶっても見えるうちはまだ大丈夫。

【意味深な感じに言ったけど、これ以上具体的には言えないもんだから仕方なくそのまま言った。わざとらしく意味深に言って】
【相手に解釈を任せるバラードみたいな真似は好きじゃない。でも感じたままが全てで、伝わらないならまあそれは仕方ない】

…知らない。なんだっけ?和音って言って、ドとかソとか色々まとめて鳴らすんだよ。…あんま気にしないで弾いてるからなあ
弾けるからいいんだよ。…プロでもないんだし、今更勉強するのもおっくうだ。

…そんときゃ、神様に頼らないでオレがなんとかするよ。

【そう言ってもらった缶コーヒーを飲み干す。もう冷めてきて、缶は冷たい。それぐらいの季節になってしまったか】
【オレはそろそろ帰り支度を始める。ただ目的もない夜。冷え切っても弾き続けるような気力はない】

オーロラは、いつ見えるかわからないんだ。…今どき、思い通りにならないモノなんて少ないからなんだか、良いもんだよ
そういう…不器用さも含めて。あとは…そうだな。…まあ、何処だろうと、意外と気に入るものさ。

バイクも良いもんだよ。不便だけど、ちゃんとつながってるって信じられる。…世界が。

【片付け終わったら、また煙草に火をつける。煙をゆっくりと吐き出してから】


オレのことを知っている人を探しているんだけど、どうやら今夜もハズレみたいだ。
またなんとなく“懐かしい街”を探しに行くよ。―――それじゃあ、今度会う時は知っていてくれ。

さよなら、またいつか。

【いつもこうやって、たまにいる見物の人には言っている。今の所同じ街にはあまりいかないし、路上で楽器をやるやつなんて】
【いくらでもいるからそうそう覚えているやつは居ない。けれど、毎回そうやって言うのは、探しているからだろう】
【本当に探しているのは自分自身だけど、自分じゃ見つけられないから。】
【世界は多分、運命と意志でできているから。そう、信じているから】



/すみませんが明日も早いのでここらへんで〆ということにさせていただきたいと思います。お付き合いありがとうございました。
/お疲れ様でしたです!!
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/14(水) 00:35:10.35 ID:764mSuE20
>>325

――――――そっか。そうなのかな……、そうかも。あははは、目瞑ったら、何にも見えないよ。瞼の裏側しか見えないの。
それか、さっき見た、眩しい奴の残像くらい。だから、――もう、駄目かな? それとも、それでも、大丈夫? 目ぐしぐしーってやると、変なの、見えるけど。

【きゃらと笑う声はごく自然に溢れて来たような少女の笑み、目をつむったら、何ていうなら、実際に両目を閉ざして見せて。それから、右目だけ、ぱちと開ける】
【そうしていくらか遅れて両目を開くのだろう。ならばやっぱり特殊なものは何も見えなかったと見えて、――謎の模様を見るのも出来るなんて、訴えは、どうでもいい】
【言葉をごく素直に受け取ったらしかった。相手が片づけを始めるのなら、その様子も面白いらしかった、ならば眺めているのだろう、――珈琲以上の物は出さないらしいけど】

ふーん……大変そう。指がいくらあっても足りなさそうだね、わたしには、無理かな――。凄いね。

【「でも、神様は頼ってもらえたら、嬉しいよ」「きっと喜ぶもの」】
【体育座りの恰好で膝に顎を乗せるなら、やがて彼の荷物はごくコンパクトになるんだろうか。それまでを彼女は見届けて、それから、やっと立ち上がる】
【お尻のところをはたはた叩いたなら、まだいくらか砂っぽく白くなっていたけど、気にしないらしい。或いは見えないものは存在しないことにしているのかもしれなくて】

わたしね、赤いオーロラが見てみたいの。昔、テレビで見たんだ。ねえ、どれくらい待ったら、見られるのかな。――わたしがここに居るまでに、間に合う、かなぁ。
――――――――うん。ばいばい。音楽聞くの、楽しかったよ――。

【――だから彼女は、そのままの場所で見送る。空を仰ぎ見るのならこんな場所までオーロラは会いに来てやくれないもの、視界に写るのは星空ばかりで、】
【それでもなんだか満足げに見上げる。――別れの言葉の時にまだ見上げているくらいだったから、よほど綺麗と思ったのかもしれなかった】
【お月様は少しへこんだ半月。明日は多分きれいな半月。はんぶんこっきりのお月様を満足いくまで見たなら、ようやく、相手の背中に投げかける、お別れの言葉と】
【お礼の言葉。――――曲名を聞いておけばよかったって気づくのはいくらも後だった。もしかしたら忘れてしまうかもしれないけど、分かんないより、いいかと思って】

【――――――――ああでも、それこそ次に会ったら、聞けばいいのか。納得するなら、一人、どこかへ歩いていくから】

/おつかれさまでした!
327 :@mail ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/14(水) 04:19:04.74 ID:PrBckyFoo
>>307
『……連絡に感謝する。私は、当事者として事態に関わった』
『おかげで、鈴音が戻ったことの確証を得た』

『諸々、了解した。私も、その舞台には駆け付けるつもりだ』
『……覚悟も、装備も、可能な限り準備しておこう』
『隣には、あのクソ病魔もいるだろうからな』

『装備や武器は、こちらがある程度融通できる。希望があれば、言ってくれ』
『宗教都市ゼン=カイマ製の聖水を手に入れる宛ても出来た。こいつは、多少なりとも彼女らに有効なはずだ』
『この聖水を仕込んだ銃器や刃物の用意はしてある。よければ、まずはこれを融通しよう』


【肉屋からは、こんな時まで饒舌な返信。それでも、この男なりに堪えている様子は見て取れるか】
【ミラが希望するなら、肉屋のところから好きな装備をもらっていくことも出来るだろう】
328 :@mail ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2018/11/14(水) 04:31:41.86 ID:PrBckyFoo
>>317
【From:カニバディール】
【To:アーディン=プラゴール】

『……そのうち片方の死については、おそらく私も居合わせた。だが、犠牲が彼一人ではなかったとは』
『人的被害こそ、最も取り返しのつかない傷だ。いかに貴方といえども、容易に塞げるものではないことは、理解している』

『それほど頑強なメンツですら耐え切れないほど、一連のインシデントは深刻ということだろう』
『忠告に感謝する。せいぜい、生き足掻いてみるとしよう』


『後者については、初耳だ。厳島の件については耳にしていたが、事態はそこまで動いていたか』
『あの厳島のことだ、ただで転んではいまいと思っていたが、海軍が追っ手を差し向けるほどの人物を逃がしていたとはな』

『その子供にどんな秘密があるのかは知らないし、詮索する気もないが、海軍に渡してはならないことだけはよくわかった』
『これが、『黒幕』や『円卓』とも違う何かだったのなら、混沌の深さに目まいがしそうだが、泣き言を言っていられる時間すらないようだな』

『なるほど、あのやり口は見覚えがあるとは思っていたが、やはり貴方が仕立てたメッセージボード≠セったか』
『心配せずとも、後ろ暗い身だ。他言しようにもその相手がいないさ。委細承知した。こちらも、その件で何かわかれば、連絡しよう』


【異形もまた、薄暗いアジトの一室で返信を送る。奇しくも、件の事態に直接関わっている会社から購入した】
【妖怪たちが、そばで不安げな鳴き声を上げた。見上げる三頭のカマイタチ。身を震わせるタヌキ、野衾。隠者めいた表情で座る狒々】

何、案ずることはない。お前たちも私の一部だ。どう転ぼうと、お前たちだけは死なせはしないとも

【アーディンのそれに比べてあまりに醜悪だったが、同時刻に異形もまた、笑顔を配下たちに向けた】
329 :@mail ◆DqFTH.xnGs [sage saga]:2018/11/14(水) 13:19:46.84 ID:7TzArajjO
>>327

【From:ミラ・クラァケ】
【To:カニバディール】

『連絡さんきゅな、カール』
『あんたは鈴音とだいぶ長い付き合いっぽいしな、落ち込むなっつぅ方が無理か』
『まぁ、なんだ。全部終わって、世界もあたしらも無事に生き残ってたら一緒に飯でも食いに行こう』
『風の国に、うまいって噂の飯屋があるんだ。そこにでも、さ』

『武器に関してはマジで感謝する。ほんと、あんたには世話になりっぱなしだな』
『出来れば使いやすそうなやつがいいな。銃と弾、あとはナイフ』
『剣は重いしな、素人が使ってもどうにもならねぇだろ』
『あんたの都合がいい時に取りに行く。ありがとよ』
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/15(木) 23:19:07.76 ID:ilwxHtMg0
【風の国――UT、店舗内】
【冷たい風がひるりと吹き抜けたなら、地面に転がる埃の一つでも舞い上げるのだろうか。ぴゅうと吹き飛んだなら、やがて、一つ店の前に吹き溜まり】
【"酒場"としては、開店も閉店も示していなかった。そのうえで、"組織"としては、いくらかのやる気があるのかもしれなかった】
【少なくとも確かであるのは、店内にはぼんやりと微かな明かり。それから、扉に手をかけるのなら、鍵はかかっていなくて、店内はいくらも暖かい】

おいし…………、……くない。

【――ほつほつと何かが優しくに立つ音がしていた。店内にふわり充満するのはまごうことなき調理の温度と香りであり、ならば、カウンターの中、誰かいる】
【カウンターの内側に背中を委ねるのなら店内に思い切り背中を向けて。手元に揺らすのは小瓶一つ。口元に寄せるならいくらかの躊躇いの気配、口に含むのだけれど】
【むうと表情をわずかに潜めて呟くのなら、瓶を見えぬ場所でどこか置いたのか、ごとん、と、小さな音がして――】

【――――真っ黒い髪は高めのポニーテールにしてなお肩甲骨より毛先が低く、真っ白な顔は暖色系の明かりに照らされて、ぼうと赤らむように見せるのは気のせいで】
【あどけない顔の特に目立つのは色違いの瞳、左が黒く右が赤い色合い。長い髪をかき上げて結わえたなら、右の耳にだけ付けた桜を模したピアス、よく目立ち】
【振り返って何か手元探す仕草をするのなら、装いはごくシンプルな黒のパーカーであり。時々覗き見えるに、足元はふわふわ膨らんだスカートに黒のストッキング】
【また足音を聞くに、ずいぶんと底の厚い重たい靴を履いているらしかった。――そのせいか、あどけない顔の割、"少女"の頭は高い位置にあり、おそらくは、百七十近く】

……どうしよっ、かなあ、全部飲むの、やだなあ――、――コップにすればよかった。ううん……。

【何か探す仕草は継続中。その内やがて邪魔であったのかカウンターの上に"ごん"と載せるのは、ビールの小瓶であり】
【口を開けて/付けてしまったやつをどうするか悩んでいるらしいのだけれど、思い浮かばなかったし何か妙案も見つからなかったらしいなら、】
【――また物理的にも味覚的にも苦い顔をして、口を付けるんだった。――それにしても、ずいぶんと未成年じみた顔をした少女であったから、絵面で言えば、完全に、未成年飲酒】
331 :Fluff in the Dark [!nasu_res sage saga ]:2018/11/16(金) 02:49:12.83 ID:DAAVmmdHo

――続いてのニュースです。

X日昼頃、風の国孤児支援団体『たんぽぽ』で
食事の提供を受けた、あわせて20人を超える児童が、
食後に激しい腹痛やおう吐を訴えていたことが分かりました。

症状を訴えた児童は現時点であわせて24人に上り、
このうち5人が入院、うち1人が意識不明の重体となっています。

保健所は集団食中毒と見て、
食事に使用された材料と調理環境について、
立ち入り検査を行い、状況を詳しく調べています。


では次のニュース――――


【――――――――――――――――――――――――――】


[ネットニュースヘッドライン]

X月Y日
 >>UTが孤児たちに腐った飯を食わせていた? 『たんぽぽ』食中毒事件


【――――――――――――――――――――――――――】



/以下全文はこちら↓
/ttps://www.evernote.com/l/Akkt0dtAa7NLg6RjfCY-5jaB6TW8LUPIEws
/詳細はSSスレの方で
332 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 11:30:47.76 ID:vUVwKxlf0
>>106

【クローヴァーの言葉に苦笑しながら起き上がらせる。そして歓声が耳にようやく入れば「えっ」と振り向く】
【そして気が付けば二人を包み込む割れんばかりの歓声―――。】


は、はは、アハハハハハッ!やりましたね、クローヴァーさん!
俺たちの試合で観客の皆さんを愉しませることができたようですよッ!


【そう言いながら、正義は掴んだクローヴァーの手も合わせて頭上に掲げて周囲の歓声に応える。】
【そして共に入場口へと向かいながら「是非また、試合をしましょう!」と汗に滲む顔で笑いかけた。】

【―――次に会ったとき、それが試合≠ニは限らない。そしてきっとその時が二人にとってのあらゆる真価の………】

【だが今だけは、今だけは去っていく二人の背中に歓声と拍手がとめどなく響き渡っていた。】

//お疲れ様でした!
333 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 11:31:27.35 ID:vUVwKxlf0
>>332
//この投稿はミスです、すみません!
334 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 19:13:22.89 ID:vUVwKxlf0
【水の国・近代都市ミールシュタイン】


【摩天楼が立ち並ぶ近代都市の一角、高級ラウンジやクラブなどが立ち並びむしろ夜の方が賑わっている場所。】
【洒落たスーツを着こなすサラリーマンややたらとテンションの高い若者が通る中、路肩に一台の車が止まっている。】

【よく手入れのされた黒い高級車だ、後部座席にはスモークが張られており中を窺い知る事はできない。】
【その内部―――一人の人物がスマートフォンで通話をしている。】


ああ、予定通り例のブツ≠回収しにいく。デカい仕事だ俺が直接行くことにしている。
それと―――300年後の六罪王≠チて名乗るやつに会ったと言ったら叔父貴は信じるか………?っは、信じるのかよ。


【皴一つない小奇麗な黒スーツで身を包んだ赤髪、黒瞳の長身の青年。鋭い瞳からは神経質な性格が伺える。】
【赤髪の青年は足を組んで誰かと親し気に通話をしているようだ、カチカチと車のハザードは一定のリズムで刻まれている。】


まぁこの話はまたにする、それじゃ――――――――――――




                        【ドゴォォォンッ!】



【突如として、黒い高級車は爆発する―――そして轟々と焔と煙に包まれていく。】
【周囲にはその光景を撮影しようと人だかりができている、撮影してどうするのかは分からない。】


【中に乗っていた人物がどうなったのかは分からない、ただ何か≠ェ起きた事だけは確かだった。】


//こちらに宜しくお願いします〜

335 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/18(日) 19:43:35.61 ID:SycMonjK0
>>334

【ミールシュタインという都市は好きじゃない。主にそこを行き交う人々の雰囲気が原因だった】
【熱病に魘されたような若者に、すまし顔の労働者達が彼方此方に犇めいているのだから】
【それでも――そんな場所に居るのは端的に言えば仕事の関係上での事で】


―――……何時来ても忙しい場所だ。本当に落ち着かんな。
少しくらい静かにしてもよかろうに……、まぁ無理な話か。


【雑踏に紛れて喧騒に口を尖らせるのは、一人の女】
【男用の神父服の上に葬列の際の付き人用のコートという異様な着合わせと】
【装飾過多と形容するに相応しい程のアクセサリー、こげ茶色の長髪と妖しい眼光が特徴的な女】
【都市伝説で「会わせ/逢わせ屋」と呼ばれている悪魔の代理人・ファウストであった】


さて、今日の依頼人の面でも拝みに行こうか――『会わせ/逢わせ屋』として、な。


【異様な身形に注目を浴びるもそれを意に介さないファウストは不穏な匂いをかぎ取った】
【これから人の生き死にを左右する出来事が起きる――そんな直感が走った、その直後】
【背後から耳をつんざく爆発音が鳴り響いたなら、すかさず後ろを振り向いて何が起こったかを確かめる】


……やはり、な。不穏な気配の正体はアレだったか。だがアレだけならば良いが果たして―――。
そして何時見ても野次馬というのは不快千万な生き物だ。災いの残り香を進んで浴びなくてもよかろうに。


【ファウストは遠巻きに爆破された車を見遣る――】
【その視線は野次馬達への侮蔑とこれから起こるだろう出来事に対する警戒色が絡み付いていた】
336 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 19:58:01.63 ID:vUVwKxlf0
>>335

【炎は消えることなく、むしろ強さを増しているようにすら見える。】
【スモークの張られていない運転席は野次馬達から見ても良く見える。………運転手は爆発で即死していた。】

【消防や警察は一向に来る気配はない―――まるでそう仕組まれているかのように=z

【もう一度爆破された高級車を見てみれば、後部座席のドアが『空いている』。】



―――ッチ、敵≠ノ嗅ぎつかれたか?


【そして車からほど近い場所、狭い路地裏への入り口に誰かが入っていくのが見えるだろう。】
【その人物のスーツはかなり煤けて、所々破けているのが見えるかもしれない。であれば彼が後部座席の?】
【とはいえあの爆発から脱出するのは普通ではない―――。】


【「チョーやべぇ!」「人死んでね?」「てか誰か警察よべよ〜」】
【まるで角砂糖に群がる蟻のように野次馬は増えていく、無責任な発言と態度が周囲に広まっていく。】

337 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/18(日) 20:17:29.97 ID:SycMonjK0
>>336

【時間経過と共に膨らむ熱気。それは死肉に群がる蠅のように映る】
【酷く不快だった。人の生き死にを玩具にして遊ぶ愚者共の好奇を満たす声が殊更に】


―――……ちっ、これだから馬鹿共は嫌いだ。
お前たちが"その役回り"になった時に同じ事に振舞える訳などなかろうに。


【振り向いた自分が馬鹿を見るだけだった―――人影を視界に捉えなければ、そう毒づいていた】
【それに燃え盛る車、その後部座席を見遣ればドアが開いている。恐らく爆破後に開かれたのだろう】

【故に、ファウストの関心は燃え盛る車でも死んでしまった運転手や加速度的に膨れる野次馬でも無く】
【現場から遠ざかろうとする人影。あの襲撃を受けてなお生き長らえていたから、不意に好奇心が鎌首を擡げる】


………さて、はて。逃げ込んだ路地裏に何があるのか。少しだけ興味が湧いた。
どうやら"お話"するだけの時間はあるように思える。――――……好奇心で殺される猫にならねば良いな。


【炎上する車や野次馬達をよそに彼女は路地裏へと足を運ぶ――もし、路地裏に逃げ込んだ男に出くわしたなら】
【皮肉げかつ高圧的にあいさつの一つでもくれてやるのだろう――「ハロー、ミスター。今日は良いお日柄だな」、と】
338 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 20:30:28.38 ID:vUVwKxlf0
>>337

【路地裏へつながる入り口の前は異常なほどの静かさだった、まるでそれもお膳立てされたように。】
【路地裏に入って程なくすれば、目的の青年が目に入るだろう。爆発の衝撃でスーツは所々破け煤けている。】
【声をかけられれば赤髪をした青年は即座に振り返る。但しスーツから拳銃を取り出し構えながら………であるが】
【額から一筋の血を流しながら、青年は苦々しそうに女性を見る。】

ハッ、死神みたいな恰好しやがって随分と早い手際だな?―――どこのモンだ?
公安≠ゥ?それとも公安≠ノ雇われた屑どもの一派か?とりあえず答えて貰おうか?


―――やっぱりアレ≠ヘ相当に大事な物らしいな?



【赤髪の青年は荒く息を吐き出しながら、挑発的な言葉を返す。だがそれが見当はずれの問いかけだとは分かっていない】
【公安=\――アレ=\――不穏なワードが浮かび上がる。】


【ともかく赤髪の青年はかなり警戒している、不用意な発言をすれば発砲してくるだろう。】
339 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/18(日) 20:50:19.87 ID:SycMonjK0
>>338

【向けられる銃口、向けられる敵意は明白で彼女にとってありがたい指標だった】
【だが、青年が口走る言葉の数々に心当たりなど無いから怪訝な表情を浮かべる】


死神みたいとは中々に的を射た表現だ。だが間違いだ、私は死神ではない。
どうせなら悪魔と表現してもらえないだろうか。私は神に唾吐く生き物だからな。

まぁ質問には答えてやろう。お前の願いは聞き届ける程度には悪魔は寛容だから。
一つ、私は会わせ/逢わせ屋。都市伝説で人々にそう呼ばれる悪魔の代理人。

故に"公安"でも"公安"の関係者でも雇われでもない――そして、お前の言う"アレ"にも心当たりはない。

【かつん、かつん】

【靴底を鳴らして、苦しげな青年へと歩み寄る――その所作は、警戒心を逆撫でする事は間違いなくて】
【けれど心情を慮るほど、悪魔の代理人はお淑やかではないから、半月に裂いた口元は不穏と不吉を孕んで】
【目元は皮肉げに細められ、あざ笑うかのような表情になっていた。だから"誤解"を招きかねない】


【―――】
【場所変わって、表通り。車は依然として炎上し続けて、野次馬達も同じように騒ぎ立てるところに一人の男が紛れ込む】

「さてさて、"ホンボシ"は死んでないですねぇ。手間をかけさせますね、全く困りましたねェ。
 ―――公安の為にならない塵屑は生き汚い生き物みたいで……。まぁ"残業"になる前に"片付け"しちゃいましょうか」


【その男は困ったような表情を浮かべて、軽口をたたく。男の名は棕櫚――社会的死者の群れである公安五課所属の死者】
【顎に手をやり、周囲を見回すその眼は獲物を探す蛇のようにぎらついていた】


//【―――】からの下りに不都合がございましたら、その部分はカットでお願いします。
340 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 21:07:02.21 ID:vUVwKxlf0
>>339

ッチ、ああそうかい悪魔≠ウんよ………ったくなんだって俺の前にはこんな奴らばかり
まさか300年後の六罪王≠フ遣いじゃねーよな?アイツもわけわからねー野郎だったからよ。

会わせ/逢わせ屋=\――?都市伝説で聞いた事はあるが、まさか実在してたなんてな


【赤髪の青年はうんざりした様子で苦笑する、最近は自分の脳の追いつかない出来事ばかりが目の前で起きる。】
【しかしどうやら話からして目の前の女性は公安≠ナはないようだった、いや断定は決してできない。】
【「止まれ。」―――赤髪の青年は短く警告をする。そして】



                          【パンッ!!!】


【という銃声が路地裏、そして先程人だかりができていた場所へと響く。】
【赤髪の青年はファウストの右肩に向けて発砲した、爆発のダメージで標準は緩いので回避はできるだろう。】



【―――群がった野次馬達は熱気のあまり短い銃声に気づく様子はない、だが棕櫚と名乗る男はきっと聞き逃さないだろう】
【そしてその銃声が路地裏から、それも比較的表通りに近い場所から響いている事にも察しがいく。】


【ホンボシ≠フ青年、D.R.U.G.S.℃P下トラロック・ファミリーの若頭であるジョージ・トラロック】
【ジョージが今夜の取引で手に入れる物質≠ヘ公安≠ノは些か邪魔な存在であるらしい。という簡素な情報は既に手に入っているだろう】
341 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/18(日) 21:29:47.70 ID:SycMonjK0
>>340

私も同感だ。お前の口にする言葉の数々、訳が解らないものだらけだ。
悪魔なんぞよりよっぽどファンタジーな事まで耳にするとは思わなかったな。

【デッドラインを踏み越える。それはこの場における生き死にの境界線】
【踏み越えた瞬間、放たれる銃弾は拒絶の表れ――警告を無視した者への報い】


【"はっ、噛みつく事が出来る程度には元気がある様で何よりだ"】
【弾丸が放たれた瞬間に軽口を叩く彼女は臆する様子なんてなかった】


     "――――生きるため、汝自身を用意せよ――――"


【小さな声で句を紡げば、彼女の眼前に成人男性程の大きさの鏡が現れて】
【それが弾丸を防ぐ。その鏡に映された人物は――青年そのもので】
【もう一人の青年とも形容できる存在。同じ容姿の男が映し出されて】
【やがて鏡から身を乗り出して、全身が鏡から出るのも直ぐの話だった】


まずは物騒な得物をしまってもらおうか。それじゃあ話も出来やしない。
私は危害を加える気なぞ無い。単にお前に興味が湧いただけの話だ。


【―――所変わって表通り】
【騒然とする場に鋭く乾いた音が鳴り響いた――それは銃声】
【その音だけで死を連想するには十分で、野次馬達の熱はもはや狂いを含み】
【今にも暴動が起きそうなほどな熱に魘され、一段と騒ぎ立てる。その光景、もはや宴のように】


「ははぁ、自ら場所を教えてくれるなんて殊勝なお方だ。出来ればあれで死んでくれればよかったのですが
 探す手間が省けましたね―――という訳でですね、野次馬の皆々様、そこを退きやがれ。うざってぇんだよッ!」


【棕櫚は行く手を遮る野次馬達を蹴り飛ばして強引に道を開いていく。
 そしてその果てに会わせ屋と青年のいる路地裏へと足を踏み入れて――青年の前に姿を現した】
【彼女の背後、青年の眼前。奇妙な光景だった――会わせ屋、D.R.U.G.S、公安五課。三者三様の思惑が入り混じる】
342 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 21:49:16.11 ID:vUVwKxlf0
>>341

【突如出現した鏡によって弾丸は防がれる。それだけでなく鏡に映るのはジョージ自身。】
【しかもそれが鏡から這い出てこようとしている、流石に赤髪の青年も一歩足を引くが拳銃の構えは解かない】
【額から流れる血に交じって汗が零れ落ちる―――。】


クソが、やはり能力者かこのオカルト女がッッ!
断る。それに話だと?ドッペルゲンガーを出してきてる相手に悠長にお話ができるか?


単に興味が湧いただけならさっさと―――ッ!?


【イライラとした仕草で声を荒げる赤髪の青年、爆発のダメージもあってかかなり感情的になっている。】
【さらにもう数発、現れる自分自身≠煌ワめて発砲しようとトリガーに指をかけた矢先、それは現れる。】
【新たな介入者、やはりその姿は迷い込んだ堅気には見えない。】



おい、後ろの奴はアンタのお友達か?会わせ屋=c……?



【即座に新たなる来訪者に標準を合わせながら、会わせ屋≠ノ横目で視線を向ける。】
【全く別の第三勢力、つまりは公安関係者の可能性も大きいがとりあえず問いかけた。】

【―――そして警戒を表すかのようにじわりと、赤髪の青年の瞳が赤く発光していく。】
343 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/18(日) 22:12:04.86 ID:SycMonjK0
>>342

ふっ、言うに事欠いてオカルト女か。くくっ、少しだけ面白いと思わせる表現だな。


【明確な拒絶。無理もない。故に少し黙らせるかと思案に耽ろうとした矢先】
【見知らぬ人物が彼女の背後から現れた。青年の言葉は依然としてぴんと来ない】
【振り向いた先にいた黒髪の男。やはりぴんと来ない。だが厄介な気配は漂っていた】


さぁ……多分友達ではないな。
あんな不穏な男と友達になった心算はないし、まず初対面だ。


「おやおや、こいつァBINGOってところでしょうかね。"ホンボシ"がこうも簡単に見つかるとは僥倖ですよ。
 ねぇD.R.U.G.S.℃P下トラロック・ファミリーの若頭であらせられるジョージ・トラロックさん」

【"僕の身分はもうお分かりですよねぇ?まぁ99%と100%は決定的に違いますから改めて名乗りましょうか"】
【"水国公安五課/特別対策室所属、棕櫚と申します。用件はただ一つ――疾く死ねや、ゴミクズ"】

【にこやかに頼みごとをするような軽い口ぶりで死ねと宣う棕櫚、蛇の様な目は笑っていない】
【表情こそ笑みを湛えているが、目は笑いとは程遠くて冷徹に、そして冷酷に】


「何であの爆発で死んでくれなかったんですかねェ。社会のゴミはゴミらしく焼却処分されていれば良かろうなのに。
 まぁ今からサクッと殺しちゃいますんで、その場を動かないでくださいねぇ。ああ、そちらのご婦人も逆らわないでくれますか?
 じゃないと貴女も"黙らせる"ことになっちゃいますから、そんなのヤですよ、よよよっと。」


【棕櫚は疾走する。地面を強く蹴りぬいて駆け出していけばまず最初にファウストにタックルを仕掛ける】
【肉弾戦に不慣れなファウストは棕櫚の素早い動作についていけず、タックルを受けてしまい青年の方へと倒れこんでしまう】


―――……ぐぅっ!!?


【倒れこむファウストの身体は多かれ少なかれ青年の視界を遮るのなら、棕櫚は生まれた死角へと潜り込み】
【鋭い蹴りを青年の脇腹へと繰り出すのだった――その蹴りは明らかに殺しにかかる時の気配を孕んで】
344 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 22:35:48.96 ID:vUVwKxlf0
>>343

ッチ、つまりはこいつが公安≠トワケか。俺の事はとっくにご存知みてーだなクソ野郎。
流石は国の犬、いや蛇ってところか、良く鼻が利きやがるみたいだな?

水国公安五課だが特別対策室だかしらねーが俺の車とドライバーをお釈迦さまにしやがってよ。


【新たに現れた男はやはり公安の者だった、しかもかなり好戦的な雰囲気のようだ。】
【会わせ屋≠燒ハ識がないという混沌とした状況の合わさってジョージのイラつきは倍増した。】

【相手の荒い口調に合わせるように挑発し、唾を吐き出して相手に啖呵を切る。】
【そして事が始まれば無関係のファウストがタックルを受けて倒れこんでくる、それに対し一瞬反応が遅れ―――】
【ていない。まるでファウストが倒れこむことが分かっていた≠ゥのように死角を作らないように身体を一歩後退させる。】

【だが棕櫚の蹴りは予測より遥かに鋭かった、回避しきれず腹部を爪先が掠る。】


―――ッつぐッ!!クソ野郎がァァッ!!


【痛みに顔を歪めながらジョージは棕櫚目掛けて二度拳銃の引き金を引く。狙いは定まっていない。】
【しかもこの近距離だ、逆に回避しやすいだろう―――だがそれでいい】

【相手が回避行動を取れば「オイ!立てオカルト女!」とジョージは叫び、倒れこんだファウストへ手を貸そうとするだろう。】
【そしてファウストが手を取れば引き連れて路地裏の奥へと駆けだす。―――勿論、棕櫚がそれを許せばであるが】
345 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/18(日) 22:59:31.18 ID:SycMonjK0
>>344

「良いですよぉ、負け犬の遠吠えじみた叫び声っ!もぉっと鳴いてごらんなさいなっ!」
(――――はっ、手負いの野郎相手は実に良いぜ。たっぷり、たっぷり遊んでから殺してやるぜ、キヒヒッ)


【視界を遮らずとも、相手の思惑を蔑ろに出来るほどの暴力を振舞えば良いだけの話】
【現に青年の脇腹を掠めた爪先だけでも十分に相手を痛めつける事が出来るのだから】

【後は身動きが出来ない程度に痛めつけて頭を踏み抜き踏み躙り続けて殺せば良い――と考える棕櫚だが】
【追撃は叶わない。青年の放った弾丸が予想外に邪魔だったから後方に飛び退いて回避したのだった】


づっ、…あぁっッ……!!


【倒れこんだ際に身体を強く打ったのか、タックルを受けた影響は少なからず尾を引いて】
【青年の姿を映した鏡もいつの間にか形も無く消え去っていた。立ち上がろうとした際に目に留まるのは】
【差し伸べられた青年の手。その手を取ればファウストは立ち上がり、一緒に路地裏の奥へと歩みを進める】


「ああ―――もう、面倒くせぇのはナシだ。纏めてブチ殺してやる。
 手間ァかけさせんなや―――――黙って俺に殺されやがれ。塵屑風情がよォ!」


【獰猛な本性と共に棕櫚は、ファウストと青年の後ろ姿を追いかける】
【単純な追いかけっこならば棕櫚に軍配が上がるはずなのだが、そうならないのはファウストの妨害があったから】


蛇め、さっきのお返しだ。お前の行動は婦女暴行と言ってな、立派な犯罪行為だ。
だからお前自身の罪はお前自身に裁いてもらえ。―――"生きるため、汝自身を用意せよ―――ッ!"


【先ほどの鏡は棕櫚の行く手を遮る様に召還された。鏡は二人が路地裏の奥へと逃げ込むまでの時間稼ぎには十分で】
【しかし完全な足止めにならないのは鏡に魔力が通っていないから。単なる鏡、障害物としての機能しかなかった】
【だがそれで十分だった。二人の思惑はきっと叶うが、悠長な事は言ってられない状況には変わりない】
346 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 23:15:32.65 ID:vUVwKxlf0
>>345

おい、会わせ屋=\――理屈は分かるな?敵の敵はなんとやらって奴だ
正直俺たちの今状態じゃあ何とか持ち込めて五分ってところだろうが

ああ、もしアンタが一撃必殺の奥の手を隠し持ってるなら見ないからさっさと発動してくれ


【路地裏の奥へと駆けながら、ジョージはファウストへと視線を向けてそう言い放つ。】
【あの男の凶暴性は危険だ、そして公安というからにはまだ仲間が辺りに潜んでいる可能性も高い。】
【であれば、ファウストが本当にたまたま興味本位で居合わせたのならある程度の協調は可能だと考えた。】

【それをどう取るかはファウスト次第だが―――。】

【そしてジョージはスマートフォンで何かのメッセージを確認し「よし!」と声を上げる。】


朗報だ、このまま路地裏の奥を通って反対側の道に出れば俺の仲間が待っている。
そこまで走れるな?走れないならその辺のごみ箱の中にでも入ってやり過ごすことだ。


【爆発のダメージもあってか、走る速度自体はそこまで早くはないこのまま逃げられるか………】
【ジョージは再び瞳を赤く発光させながら背後へと視線を向けた―――。】
347 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/18(日) 23:37:35.58 ID:SycMonjK0
>>346

【背後で鏡の割れる音が聞こえた。どうやら蹴り破ったのだろうか】
【だが彼我の距離は決して近い訳ではないから、少しだけ会話に興じる余裕も生まれていた】


―――……無論だ。あの男は実に手強い事も私達が争っている場合でも無い事も。
今の私たちに太刀打ちできる術がない訳ではないが、如何せん私の"奥の手"を発動させるには時間が足りない。

それに私たちを追いかけるのはヤツだけじゃない筈だ。お仲間がいると考えるのが妥当だろうな。


【ファウストと青年の考えは正しい。あの場には公安五課の課員が何人も潜んでいた】
【棕櫚がターゲットたる青年を見つけた今、増援が駆けつけるのも時間の問題だった】
【何より迫る脅威は待ってくれない。棕櫚は今も二人を追跡し、殺害しようと息巻いている】
【故に、逃げるという選択肢を取るのが最善で。その為の時間稼ぎも必要だった】


だが、私は会わせ/逢わせ屋・ファウスト。ヤツを"痛い目"に"逢わせる"のも私の仕事でな。
"奥の手"ではないが、一つ考えがある。―――お前の分身を私の鏡を介して再度召還させる。
そしてそれをヤツに差し向ける。上手く行けば公安とやらのマークも外せるやもしれん。


【二人は走りながらに。ファウストは能力の対象を青年に向けて、再度能力を発動させる】
【今度は単なる鏡ではなく、青年の姿そのままの分身みたいなものが棕櫚の行く手を阻む事になる】
【もし青年がファウストの提案に乗るならば、そうなるのだろう。――ただ、決断は迫られる】
【何せ二人にとっての厄災は直ぐに肩に手を掛けるのだから。そして死に足を引っ張るのだから】
348 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/18(日) 23:52:11.46 ID:vUVwKxlf0
>>347

【ファウストの言葉にジョージは眉間の皴を和らげて少し笑う、束の間とはいえ余裕はできた。】


結局奥の手℃ゥ体はあるんだな、ったくアンタもアンタで恐ろしいぜ。
ああ、公安五課≠ニかいったか………公安℃ゥ体がとんでもねぇ連中だが
あの感じだと奴の所属するグループはかなりヤバそうだ、相手にするのは言うまでもなくリスクだな。


【走り続けながらジョージは答える。反社会組織に所属する上で公安≠ゥらは常に目を付けられる】
【しかし今までジョージが相手にしてきたのは一般の刑事に毛が生えた程度の末端だった、だが今回は違う。】
【公安でありながらあそこまでの凶暴性、戦闘能力。公安の中でも特殊な位置に違いない。】

【前線でファミリーを支えてきたからこそ芽生えた直感が危険信号を出している。】


―――つべこべ考えてる余裕はねぇな、さっさとやってくれ。
分身が死んだら俺も一緒にお陀仏、みたいな仕掛けがあるなら話は別だが。


【ジョージはそれなりに頭の回転は速い、故に二つ返事で了承した。】
【とはいえ少しだけ懸念する部分もあるし自分の分身をデコイにするというのも気分が良くはない】
349 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/19(月) 00:13:06.41 ID:8QEYHOE00
>>348

ああも凶暴な一面を見せつけられるとカノッサ機関となんら変わりがないな。
公権力を持ったカノッサ機関みたいなもの。……くくっ、性質が悪いな。

【公安と言うより、カノッサと言った方がいい。なんて思ったのはファウストだけではないみたいで】
【初めて意見が合った事にかすかに笑みを浮かべて、―――本題に踏み込むのだった】

了解した。だが先に言っておこう。分身が死んでもお前には何のダメージもない。
だが召還者たる私にフィードバックが及ぶだけの話、精神的なダメージで満足に動けなくなるだけの話だ。

本来ならばそうなる前に別の手を打っておくのだが、今はそうも言ってられん。
もしそうなったら最悪捨て置いても構わん。出会ったばかりの悪魔に掛ける情けも無いだろう。


【淡々と事実を告げるファウストは鏡を召還して、そこから青年の分身を生み出した】
【その分身を背後から迫る追跡者に差し向けて、足止めを図る。さしもの公安も寸分違う事のない分身を】
【偽物だと断じるには状況が差し迫っており、そうでなくても見分けの付かないものだから】
【デコイにするにはうってつけだろう。その対価はファウストだけが支払うのだが――青年には何の損害も無い】


「キヒヒッ、自ら殺されに来たのかよ。良い心がけだぜェ……ッ!そのどタマ踏み抜いて脳漿をブチ撒けてやらァ!
 だからそこを動くんじゃねェぞ……ッ!【瞳術・暗夜行路】……ッ!」


【分身の視界は暗闇に遮られ、動きが阻害される。その隙に付け入るは棕櫚の殺意】
【棕櫚は踏み込みながら体をひねり、相手を高く打ち上げる程の鋭い蹴りを放ち、分身を空高く吹き飛ばす】
【そうして打ち上げられた分身が地面に叩きつけられたのを見計らって、頭を何度も何度も踏み抜いて確実に命を削る】

【そうこうしている内にファウストとジョージは路地裏を抜ける寸前までに至るのだろう】
【だがその間際、ファウストの意識は朦朧とし始め、足取りが覚束なくなる――それは召還した分身が息絶えそうな証左】
【デコイ代わりの青年の分身の命がもうすぐ尽き果てようとしているのと同義だった】
350 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/19(月) 00:32:36.10 ID:4NEKvk4u0
>>349

笑いごとじゃねぇ最悪もいいところだろ………。
何だと?手前まさか自分を犠牲にってか?とてもそんな質には見えねぇ冗談はやめろ。


【ファウストの言葉にジョージの駆ける速度が緩まる、怪訝というか困惑した表情でジョージは相手を見つめる。】
【それか「ッチ」と一度舌打ちしてデコイとなった分身を見送る―――やはり気持ちの良いものではない。】

【―――そして、予想より早く分身は始末されようとしているらしい。ファウストの足取りが遅くなる。】
【「最悪捨て置いてかまわん」という先程の発言が脳内に響く―――出口はもう目の前に】


―――全く、俺はそんな任侠タイプじゃないんだがなぁ!



【ジョージは、意識の朦朧としているファウストの肩を抱えるようにして再び共に走り出すだろう。】
【マフィアは義理堅いという風潮もあるが、どうやらこの青年はその性質に該当しているらしい】

【反対側の表通りに出れば変わらず喧騒に包まれており、酔っぱらい達が大きな声を上げて彷徨っている。】
【ファウストとジョージの姿も、見ようによっては酔っぱらった女性をホストが介抱しているようにも見えるのか、あまり注目はされない】

【そしてジョージが「あれだ」と指差せば目の前にあるのは黒いSUV、ファウストが拒否しなければそのまま一緒に乗り込むだろう。】


351 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/19(月) 00:48:06.57 ID:8QEYHOE00
>>350

【ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ、……ぐちゃり】

【棕櫚の執拗な頭部への足蹴は分身の顔が潰れ、頭蓋の中身が垣間見えるまで続いて】
【"キヒヒヒッ、何だァ早漏野郎め、オメェもうイっちまったのかぁ?ゲヒャヒャヒャヒャァーッ!!"】
【下品な言葉を吐き捨てながら息絶えた分身を痛め続けていた――息絶えた余波はファウストにも及ぶ】



――――――――     ……… ぁ


【ファウストが朦朧とした意識の中で捉えた光景は黒塗りのSUV、二人にとっての死地脱出のための特急券】
【そこに乗り込むことに何の否も無く、なされるがままに乗り込んだなら。ファウストはぐったりと横たわる】

【棕櫚が分身を痛めつけている間、ほかの公安五課の課員の一人はファウストとジョージの乗り込んだSUV付近に居て】
【二人を捜索し続けていた。けれどそれはニアミスに終わり、つまるところ公安五課の魔の手を逃れる事に成功したのだ】
【だがファウストは憔悴して、疲弊しきっていた。故に魔の手から逃れたのは二人にとってこの上ない幸運であった】


………、泥臭い、やり方、……だったが。…………  生き延びた、か。
352 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/19(月) 01:03:34.74 ID:4NEKvk4u0
>>351

出せ。

おい、大丈夫か?―――大丈夫そうじゃねぇな………。
郊外に闇医者も常駐しているファミリーのセーフハウスがある、そこに行くが異論はないな?


【意識もうろうとしているファウストの肩に手を置きながら声をかけるが、果たして聞こえているか。】
【中心市街を脱出するまで注意深く周囲を見渡しながらジョージはセーフハウスへ向かうように部下に指示を出す。】

【「アンタは恩人だ。」と窓に頬杖を突きながらポツリと呟いてから助手席に手を伸ばす。】


おかげで手に入った―――この天獄物質/ヘブンズマター=B
奴の仕草を見れば余程重要なもんらしい、あのクソ公安共に一泡吹かせられるぜ。


【そして手に取るのは銀色のジェラルミンケース。ファウストなら感じられるだろうが、その内部からは不穏なオーラが出ている。】
【この世の物とは思えない異常なオーラが。―――今回は逃げおおせたがジョージはまた狙われることになるのかもしれない。】

【ともかく車はファミリーのセーフハウスへと向かう。ファウストも手厚い待遇を受け暫くは滞在できるだろう。】
353 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/19(月) 01:29:54.18 ID:8QEYHOE00
>>352


――――……ご厚意、痛み入る。


【ファウストは耳を疑った。捨て置いて構わないと言ったのに、助けの手を差し伸べ礼を告げるジョージに対して】
【少しだけ表情が緩む。悪魔的な表情から女性特有の柔らかなものへと。今ならばしおらしささえ垣間見える】

【目を閉じて、意識を沈めていこうとした矢先。異質な気配に重くなった瞼を強引にあけて】
【見遣れば不穏なオーラが出ているジェラルミンケースが目の前にあった】
【――――たとえばそれは人の手に余るような、そんな予感をさせる代物】


………"そいつ"は、何だ。………私が言うのも何だが……公安の狙いはそれだったのか?
―――――……、気が向いたらで、構わない。それが何なのか、……聞かせてくれまいか。


【―――】


「あぁー、弱いモン虐めってのは良いもんだぜ。俺の身勝手を押し通せるんだからよ、キヒヒヒッ
 今日も今日とて塵掃除終〜了っと、さて沙羅のクソババアに―――」

【"報告でも上げておくかね"―――などと上機嫌な棕櫚はこの時知る由もなかった】
【今回の取引の肝要たる物質――天獄物質/ヘブンズマター≠ニ呼ばれるそれはジョージの手に渡った事】
【そして自身が殺したと思っているジョージのようなものは、その実単なるフェイクである事】


『――――棕櫚、アナタは本当に悪い子ね。いつになったら良い子になるのやら。
 ターゲットを甚振る癖はお止めなさいと口酸っぱく言い聞かせているのに。
 まぁ良いわ。人員を引き上げてそこから撤退なさい。私たちの作戦行動は終わった』

「了解、っと。俺も残業大好きな企業戦士でも社畜でも無ぇからよ。
 仕事が終わればさっさと撤収でもしてやるよ、クソババア。――ああ、一つ言わせてくれや
 この渡世、俺よりも"悪い子"とやらは腐るほどいるだろうが。そいつらに比べりゃ俺はまだ"良い子"だぜェ?」


【この見縊りと傲慢が後に棕櫚の首を絞め、公安五課に深刻な出血を強いることになるのか】
【兎にも角にも公安五課の仕事は終わった。故にこの場から公安五課の人員は姿を消した】
354 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/19(月) 01:45:28.75 ID:4NEKvk4u0
>>353

―――さあな、実を言うと俺も雇い主/クライアント≠ゥら調達を頼まれただけでな
なんでもヒトの精神を狂わし異能を覚醒させる&ィ質らしいが、何にどう使うのは知らねぇ。

だがアンタの反応からすると相当ヤバい物らしいな、受け渡しはまだ先だ。暫くは厳重に保管するよ。


【ファウストの反応からやはり危険物なのだと再認識したジョージは、それを助手席へと戻す。】
【ジョージの持っている搔い摘んだ情報だけでも普通ではないと分かるが、わざわざ公安が狙う訳とは】

【それは現段階では分からない、この出来事が何を齎すのかも―――。】




【―――――――――】




【そして数日後、公安五課の棕櫚の元へ連絡が届く。】
【それは同じ公安部の人間、そして今回の一件の情報を公安五課へと共有した人物からだった。】

【本文は短く『旧市街』とだけ書かれていた、その意味は―――】


【、、、、to be continued】


//こんなところでしょうか、お疲れ様でした!

355 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/19(月) 21:35:37.76 ID:8QEYHOE00
>>354

―――……何だろうな、悪魔の取引めいた代物に思える。
それを用いて何かをしようとする者もそれ以上の悪魔だが。

――――――、兎にも角にも厳重に厳重を重ねても不足だろう。
悪い事は言わない。助けてもらった故の忠告だ。"ソレ"は早々に手放した方が良い。
きっと、恐らく、いいや絶対に……厄災を呼び寄せるだろうからな。


【ファウストの険しい表情、張り詰めた糸のような雰囲気は誰の目から見ても解る警戒色】
【悪魔に分類される女から見ても碌でもない代物、"天獄"とはよく言ったものだ】
【天国と地獄が同居するような言葉は、人の手に余る代物であるから――――――】
【願わくば、この場で破棄してもらいたいとさえ思うのだった。だが、そう言わないのは相手を慮っての事】


【――――】


「はっ、何だァ?『旧市街』だと――――?くくくっ、何の心算だよ、"情報提供者"。
 更なる悪巧みに加われとでも言いたいのかよ、キヒヒヒッ。まあ良いだろ、ノるかソるかは話次第だぜェ」
356 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/20(火) 00:18:59.05 ID:1uBBs4Jw0
>>355

【ファウストの尋常ならざる反応に眼を細めて聞き入るが、「はっ」と言いながらどこか悲し気な瞳で窓の外を眺める。】
【「もう失うものなんざ大してねぇよ。だったら神でも悪魔でも利用してやる。」誰に言うでもなく呟いた。】

【そして暫くすればSUVは人通りの少ない郊外へと到達し、一軒の空き家?にも見える建物の車庫へと入る。】
【ジョージは「着いたぞ」と言いながらドアを開ける、どうやらここがセーフハウスのようだった。】
【もしファウストがまだ起き上がれないのなら肩を借すだろう、自分で歩けるようなら先導して建物の中へと入っていく。】

【中は打ちっぱなしコンクリートの簡素な内装だった、リビングに値する場所は広いが最低限の家具しかない。】


さて、もう休むか?幸いベットはかなり余っているから好きに使え。シャワーもな。
―――それとも、もう少し話すか?色々≠ニ。


【部下を見張りへと下がらせると、ジョージはシンプルなソファーへと腰掛けて手を組んでファウストを見る。】
【怪しいオーラを放つジェラルミンケースはソファーの脇へと置かれている。下手に誰かに任せるより安全という事か。】
【「ここも昔はセーフハウスじゃなくて立派な詰め所だったんだがな」とジョージは乾いた笑みを浮かべた。】



【――――――――――――――――】


【―――旧市街=z

【ここは見放されたものたちの、社会からはじかれた者たちの最果ての地。】
【栄華を極める都市部の陰の部分。そんな掃きだめだ。】

【闇市≠抜けた先にある廃墟街の奥にそれはあった。】
【白いテントがいくつも並び、白衣の研究者と思われる人々やスーツを着た捜査官がせわしなく動き回っている】
【その先には―――50メートルほどのクレーターが出来ており、その中心部にはビニールハウスのようなモノが立っている。】

【そんな不穏な空間で、クレーターを眺めながら立っている人物が一人。】


―――やあ、きたかい棕櫚℃=Bご足労申し訳ないね。


【ミディアムバイオレッドの長髪をハーフアップにして、全身を黒いロングスカートタイプのスーツで包み込んだ】
【身長170cm程の金色の輪が幾つも重なった異様な瞳≠持つ長身の女性。】


【―――水国警察公安部所属=\――円卓¢、の一員―――名はイーサリアム=z



【今回の情報提供者≠ナあり、棕櫚にとっては表向きには味方≠ナあり裏においては敵≠フ存在。】
【女は自分で呼びつけておいて大して表情も変えずに謝罪した。全く気持ちは籠っていない。】

357 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/20(火) 01:49:06.38 ID:PsKzZYvY0
>>356

(―――捨て鉢な生き方だな。神や悪魔を利用しようとしても人間は逆に利用されるだけなのに。
 悪魔(わたし)を含めて奴らは決まってこう言うだろうよ――"さぁ踊れ、ニンゲン"、とな)

【青年の言葉に対して返す言葉を用意しなかった。言葉の代わりに曖昧な沈黙を以て答える】
【それは否定なのか肯定なのか―――、否、どちらでも無い。どうとでも解釈できる何かの心理テストのよう】
【悪魔の容体は依然として宜しくなくて、青年の肩を借りて建物の中へと足を運んだ】

【建物の中は簡素で何処か寒々しく思えたが、その内装は嫌いじゃなかったから】
【覚束ない足取りでソファーまで足を運べば、腰かけて、否、行儀悪く横たわって話に興じるのだった】


路地裏でも言っただろう。"色々"興味があるから"お話し"したいと、な。
横たわってのお話になることは予め謝っておく。路地裏でのダメージは未だ抜けんのだ。

―――――そうだな、単刀直入に問おうか。公安は何故"アレ"に固執している?
奴らはどちらかと言えば魔制法を推進する側である筈。能力を発現させる代物を収奪しに掛かるのは
危険因子の排除か、それとも危険因子を手中に収めて"手持ちのカード"にでもしようと言うのか。


【――――】

「いえいえ、貴女のような綺麗な女性にお呼ばれされたなら男冥利に尽きるというもの。
 故に此方から足を運ぶのは当然の事ですからお気になさらず遠慮なく呼びつけてくださいな」

(けったいな場所に呼びつけやがって―――まぁ良い。たっぷり"唄って"貰うぜェ、"情報提供者")

【旧市街の闇市を抜けた先の廃墟街。道を踏み外した人間の集まる肥溜めに似つかわしくない佇まいの人間】
【それらはまるでミールシュタインを行き交う人種と呼んでも過言ではないから、場違いの理屈の匂いを嗅ぎ取る】
【だからか、理を屈するであろう"何か"の気配に舌なめずりをする棕櫚であった。その姿、蛇のように悍ましい】


「先日は情報提供をしていただき誠にありがとうございます。お蔭でチンピラ風情の悪巧みを潰す事が出来ましたよ。
 奴らが取引しようとしていた"アレ"は一介のチンピラ風情が持ってて良いものでは御座いませんしね、くくっ」

「――――――と、まぁ挨拶はここまでに。何故に旧市街に呼んだのです?ミス・イーサリアム」
358 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/20(火) 02:25:21.42 ID:1uBBs4Jw0
>>357

【ジョージは「そうかい」と答えると立ち上がってキッチンへと向かう。】
【途中にかかっていたブランケットをファウストへと投げながら、湯を沸かす。ほんのりと温かさが室内に充満する】
【この青年、ジョージは先程からの対応を見るに存外面倒見が良さそうであった。】

ッは、そうだったな。あの時は色々キレてて忘れてたぜ。
紅茶か?コーヒーか?それとも緑茶か?インスタントだがそれなりにはあるぜ。

―――さっきも言った通り俺も雇い主/クライアント≠ゥら依頼を受けただけだから詳しくは知らん。
だが話の流れから考察するに後者だろうな。それに天獄物質/ヘブンズマター≠ェ最も影響を及ぼすのは精神≠轤オい。
異能の発現はその副産物と聞いている。公安≠フ連中は情報操作や洗脳で世論を動かす、それ故精神汚染を及ぼす物質は回収しときたいんじゃないか?

研究し、あわよくば―――集団洗脳装置なんかに使うのかもな。


【「多くの人間の夢の中に同じ顔の男が現れるって話を知ってるか?」ジョージはポットから上がる湯気を眺めながら話す】
【とはいえあくまでそれは少ない情報でジョージが考察したに過ぎない、もっと別の用途≠ェある可能性もある。】

【しかし流石にD.R.U.G.S.≠フ傘下の一員だけあってそれなりの情報を有しているようであった。】




【――――――――――――――――】



「そうか、では今後も遠慮なく呼ばせてもらおう。」
「嗚呼、呼び出した要件についてはいくつかあるがまずは認識の間違いを正そう。」


【相手の社交辞令も真顔で受け止めて答える、まるで安いAIのように淡々とした口調だ。】
【イーサリアムはスーツのポケットに手を入れるとそこから取り出したスマートフォンを棕櫚へ投げつける】

【そこには、荒い解像度ながらSUVに乗り込むジョージとファウストの姿があった。】


「―――街頭監視用ドローンの画像だ、ジョージ・トラロックは生きている≠諱Bイレギュラーも一緒だ。」
「そして此処≠ゥら持ち出された天獄物質/ヘブンズマター≠燻闥に収めている。」

「狐、いや悪魔にでもつままれたかな?………まぁ気にすることはない、結局のところ彼には手に余る代物だ」



【慰めるでもなく、非難するでもなくイーサリアムは淡々と真実だけを告げる。】
【―――そう、奴はまだ生きているのだ。そして此処≠ゥら持ち出されたという物質も手にして。】
【此処=\――つまりは、】

【イーサリアムはそれだけ言うと再びクレーターへと視線を落とす。何を考えているかはよく分からない。】

359 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/20(火) 23:16:05.06 ID:pD07sEEk0
>>358

【キッチンに向かうジョージから手渡されるブランケット。それをキャッチしたなら】
【葬儀の際の付き人用のコートを脱ぎ捨てて、ブランケットに包まるのだった】
【そして飲み物の要求は、紅茶。ダージリンでもアールグレイでも構わない様子だった】


精神が一番影響を受け、副次的に能力が発現する。想像するだに恐ろしいな。

理性の歯止めのきかない獣に重火器を持たせて野放しにするようなもの。
能力者排斥の機運が高まっているのに能力者の危険性を過大誇張するなどナンセンスだ。
煽り立てるにしては遅すぎる。手綱を握って手駒にするには危うすぎる。

となれば公安の都合の良い思想に染めるための洗脳装置、か。
それに同じ顔の男――夢男、ディスマン。知っている。何だったかな――何かの創作の話。
その創作の主人公はディスマンの出現を機に追い詰められて、その過程で自分の母親の顔がディスマンと同じになるという話だったな。声や身体は母親そのものなのに。
そしてディスマンと遭遇した場合、現実世界で”赤いもの”を身につけたくなるともあった。

私が知っているのはここまでだ。だが公安と天獄物質、それにディスマンに何の関係があるというのだ?洗脳された人間から見た他人は皆一様にディスマンになるとでも?


【―――】

「はぁ……、認識の間違い、と来ましたか。くくっ、それはいったい何の事やら―――」

【投げつけられたスマホを軽やかに受け取り、画面に映し出された正しい現実に眉を顰める】
【”なんだァ、こりゃあ。ジョージ・トラロックはあの時脳漿散らすまで踏みにじって殺しただろうがよ”】
【瞳に映し出される光景は、ファウストとジョージの逃避行が相成った事の証明】
【同時に自身がターゲットを殺し損ね、出し抜かれたという事実】


「―――――、クカカッ、一杯喰わされたぜ、クソ共がよ…っ!
 で、イーサリアムさんよ。天獄物質がパクられたというのにすまし顔なのはどういう理屈だよ」
「取られても何ら問題ない、どうせ手元に戻ってくるみたいな振る舞いに至る理屈は、そこのクレーターと何か関係あるのか?」
「だとすりゃあ奴らは正真正銘いつ爆発するか解らねェ爆弾を抱えてるという事になる。同時にそれを追いかけ回した俺も爆発に巻き込まれる羽目に陥る所だったと言う訳か」


「――――、ミス・イーサリアム。何故に俺に情報を流した?クレーターが出来るほど危険物を追いかけ回させた理由は何だ。手が出る前に答えてもらおうじゃねえか」


【にこやかな棕櫚の目つきや雰囲気は一変して。はじめからそんなの無かったような変貌】
【剣呑な眼光、不敬な態度。正しくチンピラの様相を呈した棕櫚は問いを投げかける】
【返答如何では―――目の前の機械的な女性も手にかけて壊す心つもりであった】
360 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/21(水) 02:49:31.93 ID:87So5xaL0
>>359

流石アンタ自身が都市伝説的な存在だけあって詳しいな。

夢男はあくまで例え話だ、ようは刷り込み≠ネんだよ特定のイメージを植え付ける行為。
それによる世論の操作。夢男とやらも夢の中で危害を加えてきたという話はそれほどないにも関わらず
大衆の中では恐怖の対象として認識されているだろ?

―――例えば、実在するにせよしないにせよ大衆の意識の中にある特定の敵≠刷り込む。
そしてあたかも世の中にあふれる理不尽や苦しみがすべてその敵≠ェ原因だと誤認させる。
大衆はその敵≠ヨの怒りと憎悪に駆り立てられる、そして強く反応した者には副産物である異能/ギフト≠ェ授けられるとする。


あとは―――闘争≠セ。


【沸いた湯をコップに注ぎながら、淡々とジョージは話す。酷い冗談であり妄想のような話だった。】
【だが今の世の異常な流れを見ればそういった事も起こりうるかもしれなかった。】
【そこには能力者排斥とはまた違った、闘争≠生み出そうとする流れがあるような】

【闘争=\――という言葉に反応してかジェラルミンケースから湧き出る不穏なオーラが少し揺らいだ=z



【――――――――――――――――】


「餅は餅屋。私個人は戦闘力に乏しくてね、君の暴≠頼りにしたわけさ」

「まぁもう一つはテストだよ、あのインシデント自体がね。」
「結果的にイレギュラーが紛れ込み、君との争いがあり、そして流れ≠ェ生まれた。」
「これは歓迎すべき事だろう、天獄物質≠ヘキーポイントではあるがマストではない。」

「我々円卓≠ノとってのマストは違うだろう?―――」


【「それとも君にとってのポイントはまた別なのかな」と横目で棕櫚を見つめながら問いかける。】
【それは意図のない問いかけかもしれないし、腹を探るためのカマかけかもしれなかった。】
【そしてクレーターについて聞かれれば再び視線は眼下へと落ちる。】


「残念ながら、ここにあるのは残滓≠フみだ。プリズム化したものはジョージ・トラロックに渡った。」


「理由、それは―――君が力の権化≠セからさ。」「だがここでその暴力性≠発揮するのは控えてくれ、反応≠キる。」



【ここで初めてイーサリアムと名乗る女は表情を変える、といっても眼を細めて棕櫚をにらむ程度だが。】
【だがその忠告が届く前にクレーターの中心にあるビニールハウスのようなものから極彩色の光の柱≠ェ立ち上がる。】

【そしてそれはまるで蚯蚓のようにウネウネと動き出す、まるで何かを探しているかのように。】
361 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/21(水) 23:57:23.58 ID:t3vKkZJC0
>>360


"刷り込み"に"闘争"、か。成程。確かにそれらに重きを置くならば
――――精神汚染を齎す"天獄物質"はこの上ない代物だ。

くくっ、"天獄"とはよく言ったものだ。理不尽や苦しみを"敵"と見做すように誘導されて
その果てに己を突き通す力を手にして、理不尽と苦しみに抗い続ける。

―――――いっそのこと、無邪気で良かろうなのにな。
抗う術など知らなければ地の獄へ通ずる事などありはしないのに。


―――――詰まる所、お前の依頼主は"闘争"による"騒乱"を望むというのか。
それは悲しみが積み重なる。喪う痛みを抱えてどうしようもない現実に心折られる者も増える。
悪魔の代理人としては願ったりだ。………私個人としては苦虫を噛む様な心地だが。


【不遜な態度をとった末に一瞬だけ顔をのぞかせるファウスト個人の感情】
【それを差し出されるであろう紅茶と共に飲み込んで、悪魔みたいな振る舞いを取り戻す】
【恐らくファウスト――否、『リセルシア』個人としては悲しみが広がる事は望んでいないのだろう】


【――――】


「はっ、あの時の俺は火付け役とでも言ったところか。
 "天獄物質"を持ち逃げしたあの馬鹿を追いかけまわす事で"天獄物質"が目覚めた。
 ――――目覚めさせる事に意義があるのなら、アレの有無は問わないという事か」

「その意味じゃアレが手元にあるかどうかの有無は重要ではない。
 むしろ目覚めさせて"暴力"に反応させるのが狙いなら、そりゃ確かに違うな。
 俺が履き違えてたと言うだけの話だな、―――ああ実に滑稽だ」

【イーサリアムの落とす視線の先。棕櫚が見遣る視線の向こう側】
【それは天獄物質の作用によるものであろうクレーター。あの物質の持つ力とでも言うべきか】
【悪態をつきながらも何処か冷静に立ち振る舞う棕櫚は依然として暴力の匂いをちらつかせていたから】
【この場において爆弾に対しての起爆剤となる"暴力性"を咎められるのも当然の話だった】


「反応って何が――――……って、ンだアレはよう。俺の"暴力性"にでも反応しやがったのか
 光の柱――、いいやさながら"旧約聖書"の"塩の柱"みてェだな。罪人でも探して煽り立てようとでもしてんのか。」

「 ――――……、ああ悪ィ。イーサリアムさんよ、アンタはあの光の柱や天獄物質に詳しいようだから
 そこら辺の説明を頼むぜ。俺がアレの理屈を一から解き明かすのも乙なもんだが何分時間が足りないからよ」
362 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/22(木) 00:45:22.92 ID:psvwnGUQ0
>>361

何が幸せかなんか分かりはしないさ、今の世界ではな。
やりがい≠竄辯生きがい≠ネんてものを見失った連中ばかりの世の中じゃ
どこかの誰かさんに操られてた方が楽で単純で気持ちいのかもしれねぇな。

―――扇動≠ネんてなるべくしてされてんだよ。
人間は発展しすぎた、知りすぎちまったのさ。知ってしまえば欲望に抗えない。


どうだろうな。あくまで俺が話したのは天獄物質≠フ用途の一面に過ぎない。
弾道兵器と同じさ持っている事≠ノ意味がありそれだけで相手に突きつける刃になる。

きっと奴ら≠ヘ交渉のピースとして使うつもりだろう。この国を内部から食い破るためにな。


【「意外だな」とジョージは一瞬垣間見えたファウスト、否「リセルシア」の感情に眼を細める】
【だがそれも一瞬、まるで泡沫の夢のようだった。ジョージは苦笑しながらコーヒーを口へと運ぶ。】
【久しぶりだった、こんなに人と話すのは―――。】



【――――――――――――――――】



「まぁそうだね、物事には筋書きが必要なのさ自信を納得させうるストーリーがね。」
「とはいえ君を焚きつけて利用した事には変わりない。すまなかったよ棕櫚氏。」

「―――アレ≠ヘ存外性悪でね、闘争が大好物なんだよ。」
「正確には闘争の因子≠ニでも言おうか、精神の中に潜む凶暴性、悪意、敵意。そんなものを好む」
「そして感情を増幅させ、時には力≠燉^える。そしてさらなる闘争≠発生させんとする。」

「であれば、内面的にも能力的にも高い暴≠持つ君が好まれるのも当然と言えるだろう。」


【極彩色の光の柱はウネウネと蠢いたあと二人の立つ地点へと一瞬で伸びてくる。】
【そして、まるで舐めまわすように棕櫚の周囲をグルグルと回り始める。―――まるで生き物だ。】

【もし極彩色の光に触れれば、全身を莫大な力が駆け巡り血が湧きたつような感覚が到来するだろう。】


「だが、闘争なんてものは円卓/私たち≠ヘ既にやろうと思えば起こせる立場だ。」
「だからソレ≠ノは違う役割をしてもらおうと思ってね。」
363 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/22(木) 23:33:03.15 ID:dg8Qq7Q/o
【水の国・旧市街】

【 ──── 彼女達は寝床に居た、二人でずっと暮らしていたあの部屋、変わらぬ日々に変わらぬ悦楽を貪って】
【然るにそれは泥酔の作用に似て、或いは酩酊の心地に近く、加えて言えば肉欲に満ちた様相でもあった】
【けれども確かなのは、それが遙かに遠く、それでいてあり得ないほどに近く、何処までも歪でありながら、正常位だと伝えて】




【彼女は目を覚ます、夜更けと呼ぶに相応しい時間帯、──── 最も、二人の間に時間なんて特に意味合いを為さないのだけれど】
【ベッドの上に上半身を起こす、寝ぼけ眼の瞳をこすったなら、いつでも跳ねてるアホ毛が一本、くりくりと揺れて】
【一回だけ大きなあくびをした、──── 十分に寝てはいるんだけどなぁ、って思いながら】



……んっしょ、そろそろ休憩終ーわりっ、いっつもいちゃいちゃしっぱなしだと、お話が進まないもんねっ
ボクの悪いトコなんだけどね、楽しい時間を何時までも、何時までも伸ばしちゃうんだから
ねぇね、鈴ちゃん、起きてる? 起きてるならって……ああ、 "そうだった" ────




──── 今のままじゃ喋れないもんね、大丈夫♪ 直ぐに外すよ♪




【彼女は下着姿であった、正確には秘所を覆う下着を一枚身につけて、他にその豊満な身体を隠そうともせず】
【申し訳程度にシーツで胸元を隠しながら、側に寝ころぶ彼女へと言葉を向ける、そして ──── 】



【彼女はきっと、答えられない、口元に付けた "口枷" ──── 穴の空いた真ん丸のボール、頭の後ろで縛った口枷】
【少女らしい可憐な口元に一杯の艶を滲ませたなら、悪戯っ子のように、彼女はその指先でボールギャグをずらして】
【手慰みの様に目元を覆っていたアイマスクも外してしまう、──── 黒布の下の貴女の顔を見たいから】



【それでもベッドの淵、──── 付けたままの手錠は変わらず、上方で貴女の自由を奪っているだろう】
364 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/22(木) 23:40:38.52 ID:dg8Qq7Q/o



【彼女は待っていた、水の国のとある喫茶店、窓際が見える席にて静かに佇みながら】



【 "その名前" を検索する者が居たならば、そのデータベースは察知する、アクセスしてきた人物を機械的に抽出し、分類分けする】
【それはある意味浪費で良かった、此方側からその人物の端末にアクセスを返し、秘密裏に傀儡とかしたプログラムを忍ばせる】
【そうしてそれは糸を張った蜘蛛の様に、その人物の人となりを端末から推察していく】

【検索した履歴、良く閲覧するページ、普段使用するソフト、打ち込んだ文章やメモから、その人物をファイリングし】


【──── そうして、見つけ出す、 "その名前" に相応しい人物を】


【彼女は思う、それはある意味で冒涜であると、 "その名前" にそぐわない乱暴な手段だ、偉大なる兄弟の方がまだ弁えている】
【けれども、と彼女は思う、形振り構わない手段こそが、形振り構わない相手に対する唯一の突破口であると】
【その様にして彼女は "コンタクトを取った" ──── "Justice" に興味を示した人物へと、此方からメッセージを送って】



【曰く、この場所で待つと、日時と、場所とを添えて ────】



【貴方は目にするだろう、指定された席に座る、彼女の姿を】



【紫苑混じりのプラチナブロンドの長髪を、シニヨンでセミロングの長さにまで纏めて】
【胸元の膨らんだ、袖の無い白のハピットシャツの上から、素肌を透けさせる黒のレースのカーディガンを羽織る】
【シャツのフリルの上には黒いリボンタイを垂らして、ミニ丈のフレアスカートから黒いストッキングを覗かせる】

【紫苑色の双眸に理知的な眼鏡を掛けた姿は、瀟洒な貴婦人を思わせるだろうか】
【両手を包む白い手袋、袖口から覗く素肌の白と溶け合う様に、微笑む様子に神々しさが塗れて】
【彼女は目の前の相手に対して、恭しく礼をするだろう】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/22(木) 23:50:40.47 ID:tKU4J2810
>>363

【ついと伸びる銀糸が枕元の明かりに煌めいた、なら】

【――――――珍しい、と、思うのかもしれない。すりと外されたアイマスクの下、色違いの眼が一寸遅れに開かれるのなら。起きていた、と、伝えるには十分で】
【少女はいつもよく眠っていた。何にもしなくても眠たくなるらしかった。そのくせ夜更かし癖があって、放っておくと、朝に近い時間まで起きている。それで、夕まで眠る】
【ならば行き過ぎた昼夜逆転の作用に似て、――神様二人に時間などという人間の決めた概念が関係ないのは通りであった、それでも、やっぱり、星空はきらきら綺麗】

――――――、起きてるの。

【言葉も視界も解放されるのなら、少女は、ちりと髪の毛がベッドに擦れる音を聞かせて、相手へ振り返るのだろうか。あどけない顔、真っ白の肌、惜しげもなく晒し】
【だから彼女もほぼ裸体に等しい恰好であるのだろう。雪のように真っ新な肌、どんなに下卑た男が触れようとも穢せぬ白は、かえって彼女がそう願うようであるなら、】
【あるいはそうしないことを恐れるかのように自分の身体の手入れは欠かさなかった。身体中できらと薄く光瞬く術式の羅列は、だから、見るたびにわずかに眼差しを濁らせて】

ねえね、イルちゃん、これも、――。

【――とかく彼女は甘える声をしていた。寝床で母親に頭のてっぺんを舐めてほしい時の子猫のような声をしていた、かちゃと鳴らすのは、頭上の手枷であり】
【しかして無抵抗の証明でもあった。駄目と言われたら大人しく従う声をしていた。なにせ外せと狂犬病の子犬みたいに跳ねッ廻って手の付けられない在り様ではないのだし】
【わずかに足元を擦り合わせる仕草を見るに、少し寒いのかもしれない。――ただどうあれ確かであるのは、彼女はおそらくすでにまっとうな思考回路を取り戻していて、】
【いつかの頃のように病的なものはひとまず鳴りを潜めているのだろう。そうして時々気まぐれに外へ出て、そして最後にここへ戻って来ていた。外猫みたいに、遊んでばっかり】

【――――そんな振る舞い、どう見るかは、相手に委ねられていた。彼女は無抵抗だった。愛しい貴女から離れる気はないと言う顔をして、(それでもどこか冥い目をしていた)】
366 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/22(木) 23:56:13.31 ID:dg8Qq7Q/o
>>365

【擽ったそうに瞬きをする、愛しい貴女を見つめる素振りは、まるで太陽を見て目を細める様子に似ていて】
【そうして彼女は静かに笑った、その名残惜しい日々を永遠にまで伸ばす様で、──── そして】
【顔を落とした、呼吸と吐息が重なる距離にまで顔を近づけて、彼女は言う】


あはは、だぁめ、ダメだよ、鈴ちゃん、だって手を自由にさせちゃったら、鈴ちゃん止まらないでしょ?
ついさっきまでずっと、ずっとしてたんだもん、ボクだって疲れちゃうんだよ、──── そりゃぁ
鈴ちゃんが可愛らしくおねだりしてくれてるんだし、いくらでも答えてあげたいって思うけどね

朝も昼も晩もなく、ずっとっていうのは、──── 流石のボクも困っちゃって
ふふ、それだけ "溜まってた" んだよね、ごめんね、ずっと、ずっと、待たせちゃってて
だから、これはボクからのお礼なんだ、少しはお話したいなぁなんて、思ってたから


【そう言って彼女はちょこんと横に腰掛けて、ぴりっと張った布地を枕元に寄せた】



──── どう、ずっと淋しかったよね
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/23(金) 00:11:22.47 ID:vPjkyZlQ0
>>366

【――――ふっと近づく距離感、瞬きすれば睫毛同士が絡むみたいに擽り合って、二人、吐き出す息と吸い込む息を相互に共有しあうなら】
【あるいは触れ合わずとも体温の気配を分かち合うんだろうか、蛇らしくもなければ神様らしくもない三十六度五分の体温。真っ新なままなら、やっぱりちょっとだけ、寒い】
【だから手を外してもらえないと理解った時に、少女は「じゃあ、――お布団かけて」なんて、わざと"ひどい"お願いをするんだった。抱っこしてって言わないのは、】
【言うことを聞いてくれないことへのほんのちょっとの仕返しのつもりであるのに違いなかった。ぷ。と拗ねたふりの表情、逸らした眼差し、けれど、戻るから】

――――――――――、すこしだけ。

【――ほんのわずかに目を細めて、答えはごく呟きのトーンにて伝えられる。だから多分きっとほんとは"すごく"寂しかったのかもしれない、なんて】
【眠るときのテディベアも酔っぱらうと同じ話ばっかりし始めるお客のおじさんもお買い物に行くといつもフルーツを一つオマケしてくれるお店のひとも、】
【なんにもない日々はだってずいぶんと久しぶりのことだったから。ことだったなら。――ましてや、イルとお話することすら、ほとんどできやしなかったなら】

イルちゃんは、――寂し、かった? ……わたしが、居なくて。

【あどけない輪郭線から続く首筋がいやにか細かった。ぐうっと浮き出た鎖骨のライン。薄っぺらな胸元。あばらぼね。へこんだおなか。おへそ】
【投げ出した両足はもとより、伸ばした両腕までもが全部おんなじ真っ白をしていた。ロット違いのパーツなんて一つも紛れてない、一から十まで神様謹製の仕上がり】
【なにかすこしだけ物悲しいみたいに、横へ座るイルへと少女は身体を近づけるのだろうか。抱き着き甘えることはやっぱり出来ないけど、――――】
368 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2018/11/23(金) 00:15:38.99 ID:DHP2Bc4ho
>>364


「お、お客様、他のお客様のご迷惑となりますので―――傘の開いたままの入店はちょっと……!」

はいはい、わかったよ
店の中じゃぶつかってめんどくさいよね。ほら、よっと!


【そいつは、喫茶店に入ってもなお、手元の和傘を開きくるくる回したまま現れた】
【回る傘の上には立ったまま落ちることなく和傘の回転にそって回り続ける酒瓶―――、とさらにその瓶口の上で独楽が回っているという】
【非常にアンバランスな芸を披露しながら現れた―――すさまじいバランス感覚の持ち主なのだろう】

【そして店内でひょい、とその和傘を跳ね上げると同時、乗っていた瓶と独楽は空中へと舞う】
【瓶が割れるところを連想した店員や客がわっ、と声を上げるのもお構いなしに、そいつは空中で分かたれた瓶と独楽を】
【瓶は右足の甲で受け止め、独楽はとっさに右手で握った『扇子』の骨で回転させたまま受け止めるだろう】


(……いやまったく、びっくりしたかな。ホントーの事を言うとさ)


【それも、考え事をしながら、だ】
【左手で器用に和傘を閉じる腰の紐の輪に巻きつけ、右足の甲で受け止めた罅一つない酒瓶を空いた手に持ち替えながら】
【今なお回転を続ける独楽を扇子の上で回したまま、彼は指定されたその席を見る】

【どこかで見覚えがある、その紫苑色の長い髪を見て彼は―――くすり、と笑みをこぼす】


(―――……5年は過ぎたよな。少なくともぼくが出所してから1年はとうに過ぎてる。
あれから長い時間が過ぎた、……当然彼女は大人になってる。だが……おやまあ、まったくこんな事ってある?

……『彼女』が大人になったらきっとこうだろうなあ、っていうぼくの想像通りそのものな
大人の色気ムンムンなレディそのものだ。まいったね―――ピッタリ過ぎてどう反応していいかちょっと困るじゃないの)


【清楚な立ち振る舞いと、それにマッチした理知的な眼鏡】
【かっこいいな、と細い声で呟いたのち彼は扇子と回る独楽を手にしたままその席に座るだろう】


やあやあ。時間通りだよねえ
その眼鏡センスいいね?なんだかカッコよく見えるよ。理知的な印象にぴったりマッチしてるじゃん

本日はお忙しい中このような前科者のためにお時間を割いてくれてありがとう
こうしてお会いできて光栄だよ。ええと?水の国のお偉い政治家の方で……ちらと雑誌やテレビで見た名前はそう。"イスラフィール"さんだったねえ


お近づきになれてうれしいよ。―――イ、ス、ラ、フィ、ィ、ル、さぁん?


【その人物は、黒い短髪に真っ白な鉢巻き、黒と白の太極図がプリントされた白いシャツ、その上から赤色のベスト】
【手元に銀の腕時計、青いダメージジーンズにウエスタンブーツの、どこか幼い顔立ちの若者だった】

【だが、その服装には―――もしこの場にカノッサ機関員がいたならすぐに何であるかを理解し、『それが付いている状況に目を疑う』物がくっついている事がわかる】
【ベストの左腰には≪No.78≫と書かれたプレートが付いており、シャツの腕には≪No,91≫と刻印された金具と左肩には≪No,34≫と書かれたバッジ】
【そして、ジーンズには引きちぎられたような布が縫い付けられ、そこには≪No.59≫と書かれていた……そして、その全てに血痕が付着している】

【あどけない顔立ちの若者は、ニコニコと―――どこか含みのある口調で会釈と挨拶を交わしながら、相手の返事を待つだろう】
369 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/23(金) 00:17:13.49 ID:OdxIiTw+o
>>367

【睦み合うには風情が足りない、舐り合うには趣が足りない、それなら然と語り合うのだろう、それを確かに喜びながら】
【しょうがないなぁなんて良いながらお布団をかけて、それ以外はきっと仲の良い姉妹の様に映るけども】
【反発する感触すらも愛おしく思うほどには、今の彼女は上機嫌でもあったから】


さぁ、どうかな、そんな昔のこと、ボクはもう覚えてないや、鈴ちゃんが居なかった過去なんて
──── ボクの中では、もうずっと、ずーっと昔の事なんだから、わかるでしょ
今の楽しい時間に押しつぶされて、過去なんて、もうとっくに見えなくなっちゃったもん

だからボクは今のままで良いんだ、何処に鈴ちゃんが行ったって、必ず返ってくるって
悪戯っ子な放蕩娘に世話を焼きながら、それでもずっと待っている時間も
その貴さが分かったボクに、もう無理な事なんてないんだよ?


【お伽噺の様に伝えるのは、甘い甘い媚びの言葉、舌先から溶けていく魔法の音色】
370 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/23(金) 00:27:11.05 ID:OdxIiTw+o
>>368

【彼女は貴方を見て微笑んだ、冗談みたいに長い睫毛が琥珀色の涙を透かして、透明な色彩を描く瞼に染みる】
【やがてそれは過ぎ去った光の名残が如く、僅かばかりの煌めきをその一瞬に押し留めた】
【指先が指し示す、彼女の座る席の向かい側、貴方が席に着けるように、そこは開いてた】


──── 此方こそ光栄ですわ、貴方様のお噂は耳にしていたものですから
ふふ、力が有り余っているご様子ですのね、掲げる数字は持てあました力の行く先でしょうか
それが虚勢に終わらないのも貴方様の持つ力の印とも、また言えるのでしょう

──── "ナンバーズハンター" 市井では貴方様をこう呼ばれる方も増えてきましたわ
正しき希望の象徴なのです、私とすれば心よりその活動に賞賛を加えましょう、そして
我が "Justice" の名に興味を抱いて下さり、感謝の念を此処に示しますわ


【流麗な旋律であった、潺よりも心地よく、夜露よりも鮮やかに、それでいて囀りよりも麗らかに彼女の声は響く】
【聞いたことのある響きなのだろう、──── 記憶の彼方、遠くの憧憬に、それでも確かに重なる思い出とのハーモニー】
【レンズ越しに見せる紫苑色の瞳、理知的な女性の風貌でありながら、少女然とした瞳が貴方を見つめて】


お呼びだてした理由も存じ上げておられるのでしょう? ──── でしたら、話が早いと思いますわ
私はシステム "モダンタイムス" を通じて、貴方様の端末にアクセスをしておりました、そう、我が組織の名前を検索した貴方様を
そうして、貴方様の検索履歴や端末情報から、貴方様の情報を描き、そして此方からコンタクトを取ったのです



──── そして、見るアダルトサイトには気をつけてくださいまし、悪質なサイトもちらほら見受けられましたわ



【悪戯っ子のように、くすりと笑って ────】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/23(金) 00:38:35.17 ID:vPjkyZlQ0
>>369

【ふわっとお布団にくるまれるのなら、けれどやっぱり少女はまなざしを細める、抱っこしてくれてよかったのに、なんて、言わなかったくせに、今更アピールしてくる】
【ならばそれもいくらかの変化なのかもしれなかった。――いつもいつでもではないけれど、彼女はよく我儘をするようになった。大それたことをするってことは、ないけれど】
【なんでもない日にダイニングテーブルに飾るテーブルブーケの真ん中で色付くガーベラの花びらみたいな。そんな、ごく、日常を彩る程度の、わがまま】

【――――くしゃくしゃに脱ぎ捨てられたお洋服が視界の端に映った。たくさんのフリルとレースで飾ったクラシカルロリータ。家から持ち出してきたのだと言って】
【――――かつての家に帰っているらしかった。だけどそこに住まうでもない。洋服を取って来てはまた帰って来ていた。それ以外の物は何も持ってこなかった】
【――――投げ出したままの携帯電話は、いつか充電が切れたまま放っておかれていた。電源を入れるのが怖いのかもしれなかった。彼女の私物は、たったの、それだけ】

――――、ねえ、ね。イルちゃんは、わたしの、どこが好き?

【だから彼女はくすと笑う。ごく悪戯めく表情だって。留守の間だってこっそり仕掛けた隠しカメラで見ていたのよって言うみたいな仕草をしていた、――嘘と言いきれないけど】
【腕を動かせないままでそちらへ身体を傾けるのなら、やっぱりかちゃりと音がする。鈴の音が傾げた向きで尋ねるのだろうか、細めた目、吐息がちの声音、甘やかに】
【餓えた蝶々が甘やかな蜜に溺れたがるみたいに投げかける刹那、――ならばやっぱり睦まじく語らうベッドの温度、特別な二人にしか許されない声にて、咲かすから】
372 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/23(金) 00:46:20.57 ID:OdxIiTw+o
>>371

【風前に灯した蛍火は、微風が靡いただけで揺らぐ、──── きっと二人の関係も、それ程に淡く儚い】
【だからこそ、彼女は描く、その脳裏に何時までも、二掴みの幸せを残しておきたいから】
【──── 友禅に落とした飛沫の末路、鮮やかに咲いた一瞬を、何処までも響かせて】


ボクが撫でると擽ったそうに笑うトコ、ボクが呼んだら直ぐに返事くれるトコ、ボクが触れると可愛らしく啼くトコ
ボクをぎゅっと抱きしめてびくびく震えるトコ、ボクに抱きしめられてきゅぅって揺れるトコ、ボクに甘えておねだりするトコ
ボクの事を誰よりも大好きなトコ、ボクの事をずっとずっと大切にしてくれるトコ、──── ボクのお嫁さんなトコ

どこが好きどころじゃないよ、鈴ちゃんで、嫌いなトコなんて、ボクにはもう無いんだ
ボクは君の全てが好きなんだ、君が君自身で嫌ってるトコも、ボクにとっては、掛け替えのない大切なトコだもん
──── こんなにも好きで溢れて、こんなにも好きが溢れて、胸がいっぱい、いっぱいになって


──── ボクは何時までも、君と居たいなんて思っちゃうんだ


【微睡みの中で見る夢に似ていた、何時までも覚めない、──── 柔らかい悪夢の様な】
373 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2018/11/23(金) 00:50:42.79 ID:DHP2Bc4ho
>>370

【手元の扇子の上で器用に独楽を回し続ける若者。説明によると「今のぼくの食い扶持のためのお稽古」なのだそうだ】
【彼は出所後、芸で稼いでいるのだろうか?そういえば過去のデータでは『噺家』などもやっていたと残っていたはずだ】

【そして、続けたまま彼はナンバーを親指でさしながらやや得意げに語る】


ハハハ、これはねえ機関の連中を馬鹿にしてるのさ
叩きのめして象徴のナンバーを奪い取られたあげく、それを自分以外の人間がこれみよがしに掲げてたらめちゃくちゃムカつくだろう?
もちろんぼくがナンバーズになってるわけじゃないぞ、そいつに勝ったという事を見せつけてるの―――人呼んで"ナンバーハンター"ドラって所

でもって、 "Justice"に興味を示すも何もさ。―――そもそもぼくは昔っからjusticeの一員なんだよね
ただし、ぼくはjusticeメンバーいちの"ワル"として名が広まったクチなんだけどさ。"クソ猫"とか言われたっけ


【当然不名誉な話なのだが、彼は気にも留める様子もなく、空いた左手で頬杖を付きながらペラペラと喋り始めるだろう】
【発音も流暢だ。元々喋りこそが彼の商売道具なのだというのがわかる。平時も、非常時も。】
【何の気もなく独楽を回し続けながら、彼は女性の言葉に相槌を打ち始めるだろう】


そりゃ、ノビタ君も未だ生死不明だしさ。せめて残りの昔の仲間がどうしてるかをネットで調べときたかったんだ
貰った"W-Phone"のネットワークとか、普通のネット上の目撃情報とか、さ―――
ジンジャー博士からは朔夜さんや織守さんの生存報告は受けたけど、ほかのメンツは過去ちりぢりになってそれっきりだ、し―――


【と、何の気もなく喋っていると突如差し込まれた言葉に、ぶっ!?と吹き出しながら、手元の扇子と独楽を取り落とした!】
【独楽はがらんごろん、と大きな音を立ててテーブルに落ちたのを即座に拾って、ドラはここで数年でも珍しいほどに滑舌怪しく叫ぶだろう】



―――…なんっで!!見てるアダルトサイトの内容とか好みまで検索できてるんだ!?
アクセスってか完全にハッキングしてないそれ!?そんなことまで知られてたのぼく!?丸裸じゃないの!!末恐ろしい事してくれるねえ!!


【流石に想定外の内容が飛び込み大きく動揺を見せるドラ。日ごろ乱さない"呼吸"すら、2秒間だけ乱れを見せた】
【びっくりだな……などと呟きながら、彼はひとまず気持ちを落ち着けるべくメニューに手を伸ばし注文を考えながらイスラフィールの話に耳を傾けるだろう】
374 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/23(金) 01:05:57.62 ID:OdxIiTw+o
>>373

【立て板に水、淀みなくつらつらと流れる言葉にイスラフィールは相づちを返す、慈悲深き聖母の様相を見せて】
【ドラの言葉は穢れのない結晶に似ていた、看板に偽りなし、紡ぐ言葉の徒然に彼女は些か驚いた様子で】
【口元に手を当てて微笑む、笑う仕草一つとっても、洗練された振る舞いを感じさせる】


──── 成程ですわ、それはそれは、大層実力に自信があるのでしょう、そうでなければそれ程までに誇示できませんもの
力を見せつけること、即ち相応の力の持ち主という事ですわ、一政治家としては羨ましい限りですの
しかし、ナンバーズとはそれぞれが一騎当千の強者とお聞きしております、激しい戦いを乗り越えてきたのでしょうね

──── お話が早い、ええ、かつてのjusticeは、その中心人物である織守が表舞台から退いたと同時に活動を縮小しましたわ
一説に依ると対ネル・ナハトやR.I.P.で受けた傷が原因とも噂されていましたが、──── その真偽は定かではなく

確かなのは、取って代わるように "セリーナ・ザ・キッド" を中心とした "UNITED TRIGGER" が正義組織の急先鋒として活動しだしたと
けれども、今の時勢はそれに真っ向から反抗するように、対能力者の風向きが悪くなっておりまして


【きょとん、と彼女はその大きな瞳を向けた、あわてふためくドラの姿を見つめて】



あら、これから行動を共にする予定の相手が "異常性癖" の持ち主でしたら、些か尻込みするでしょう?
私も淑女の端くれですもの、なるべく大切な殿方の願いは叶えたいと思っております、──── 而して
斯様なコスチュームや、アブノーマルなプレイ内容は……そうですわ、私の想定を越えておりまして



【困りましたわなんて言って溜息一つ、頬に付いた掌が淡い】
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/23(金) 01:09:04.34 ID:vPjkyZlQ0
>>372

【――――ならば、或いは、伝わるのかもしれない。彼女はどこかに躊躇いと未練とを残していた。何に。――世界と人間に、或いは、ヒトとして生きていた自分に】
【だから冥い目をしているのに違いなかった。――けれどそれは不貞の証明ではなくて、どうしようもない仕組みにも似ていた。何より人間に執着して生まれた神様だから】
【人間との関係の中で発生した祟りより生まれ落ちた神様だったから。――伝えられる言葉にかすかに震えた吐息は笑みの色をしている。していた】

――ね。イルちゃん。わたしね、神様のやり方、まだよく分からないの。

【我儘な神様は捧げられる"好き"に満足したらしかった。ともすれば氾濫にも似て並べられる"好き"に、ころころって笑う吐息、二人のキスの香りがするから】
【真っ白な頬っぺたをあどけなく笑ませるなら、やっぱり子供みたいな顔をしていた。そうしてきっとそれで合っていた。お母さんに褒められて嬉しい三歳児みたい】
【自分の嫌いなところを好きと言われるのはまだあまり慣れていないようで。だから少しだけ珍妙な表情をするのだけど、――それももう我慢しないって決めたなら、気楽な気がして】
【だってもう我慢しない。嫌いなものを嫌いって言う。だから自分の身体も嫌い。自分の身体を嫌いなものにした人間も嫌い。嫌い。全部嫌い。全部が嫌い。世界も嫌い。嫌い】

【(だけどやっぱりどこかで全部好きなんだろう/なのかもしれなかった。それはまだ見つかっていない"あるはず"の原子記号の性質を想像するみたいに、)】

だから、あのね……、

【「おしえてほしいな」】

【囁く吐息でおねだりする、だってふわふわのお布団にくるまれたなら本当に眠ってしまいそうだった。それよりも、――二人、夜を語らっていたいから】
【腕が自由だったなら、もっといろんなことだって出来たかもしれないけど。駄目って言われてしまったのだから諦めていた。そして特別な不満はなかった。けど】
【まどろみの中で羊毛フェルトを突かず捏ねるような語らいよりも、今宵は、もう少しだけ目が覚めているときにしか出来ないお話、――かみさまのやりかた、だなんて、】
【――だって教えてくれるって言ったのだもの。少し前までの感覚が思い出せないのは自分も一緒だった。自分がもっとうんと大きな神様だった時のこと、もう、よく、分からない、なら】
376 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/11/23(金) 01:18:50.27 ID:OdxIiTw+o
>>375

【──── 彼女は知っている、目の前の少女が持つ神性、それは最早かつてのそれではない事を】
【 "ウヌクアルハイ" ──── ジャ=ロによって破壊されたその水面から救い出された欠片、それを僅かに宿しているだけだから】
【ロールシャッハの目論見に乗ること、──── その結果がどうなるかは、分かっていたのだけれど】



【それでも彼女は伝えなければならない、鳥が我が子に飛ぶ手段を伝えるように、ゆっくりと】



大切なのは "認識" する事なんだ、鈴ちゃん、──── "ウヌクアルハイ" としての力は、そこにあるから
だからね、鈴ちゃんが "こうなる" って世界を認識するの、──── えっと、要するにね
例えば今、鈴ちゃんの両手は動かないでしょ、でもね、 "動く" って認識してごらん

──── そうしたら、そんな枷、なくなっちゃうんだから



【彼女の言葉通り、鈴音がそう認識したならば、貴女の自由を奪う枷は消えてしまうだろう】
【現在のウヌクアルハイの持つ力とは即ち、認識による物質主義的な介入である、──── つまり】
【不完全な全能性こそがその全てであった、願いは叶う、けれども、とてもささやかな形で】

【イルは不都合な真実を隠した、鈴音が願えば現実が改変される、しかし、それは決して大きな結果には成り得ない】
【ウヌクアルハイは輪廻の変えても、結果を変えることは出来ない、──── そう道理が決まっているのだから】
377 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2018/11/23(金) 01:41:33.44 ID:DHP2Bc4ho
>>374

【ひゅう、と、彼は軽薄さを隠さず―――否、むしろわざと『そうして見せる』かのように、含みを込めたリアクションを返しながら】


―――よく御存じで。ほんっとによく知ってるんだねえイスラフィールさん
いかにも、武力的にも思想的にも危険な奴らに対抗する爆弾じみた武力集団の集まりさ
ぼくを始めとしたクセの強いメンツも何人か含まれてたのに、よくあんなに統率取れたよ織守さんはさ

……その都度、必要以上に傷ついたりして……まっすぐ過ぎて不器用な人だった


【織守の記憶を思い出した時だけは、初めて憂いを込めた目で喫茶店の窓の外を見上げる】
【すでに行動のあちこちから問題性が見え隠れしていたが、戦った仲間の事だけは本心から、慕っていたのかもしれない】
【そう思わせるくらいに、その時だけは声色に遊びが消えていた】


退いた理由も広まってるんだね。事実、生存が確認されたとき、彼女は何年も眠ったように休養を取ってたみたいだ
今は名を変えて別の正義組織で一戦士としてのみ振舞い今も世界のどこかで戦っている……とかなんとか言われたけど

……目をつぶれば、いろんな奴と肩を並べて戦った記憶がふ、と浮かび上がるよ今でも
いけすかない奴とかもいたけどその後がわからない皆の事は、―――……とくにどっかの誰かさんとか……そりゃまあ心配しちゃうに決まってるよね


【もうあからさま過ぎる提示も含めながらドラは一転して再び悪戯っぽいニヤニヤ笑いを取り戻しながら言葉を続ける】
【続いて聞かされた"UNITED TRIGGER"に対して言及すると、ドラはそうそう!とパチンと指を鳴らしながら陽気に反応を返してくる】


ぼくが服役中に立ち上がった新しい正義組織だったねそれ!ジンジャー博士は今そっちに肩入れしたって言ってた
そこのセリーナさんって人の事聞かされて、活躍の記録を見た時からぼくもすっごく興味深かったんだ!あぁまったく会えなかったのが残念だよ
ほんっとに、一度お目にかかってちょっと交友を深められなかったのが残念だ……ほんっと、ぼくが興味を持つ要素しかないくらいの人だそうで……

でも、その人はいつぞやに囚われて、そっちの組織も下火になっちゃってるって話だったね
ジンジャー博士も草の根をかき分けてでも探しぬいて、意地でも奪い返そうと今まさに行動中みたいだけど


【はぁ〜、とため息をついて、現在不在のセリーナなる正義の徒の安否を―――真面目に、かどうかはわからないが】
【彼も今まさに心配しているようだ。「計画が実行段階になりしだいぼくも助太刀に行くかなあ」とか呟いている】

【で、アダルトサイトうんぬんに関しての続きだが】


異常じゃないし!いたってノーマルな性癖だし!バニーガールも!ミニスカ教師モノも!
ピ〇ャ先生とか篠塚〇二先生とかの薄い本で見たキャラクターのコスチュームとか来てる女優モノも!
大きなおっぱいに埋もれるのが大好きなのは!どノーマルだし!!!

……ああでも、やっぱりこれ系でぼくの一番好きなのを描いてくれるのはフク〇ーダ先生だよなぁ


【具体的すぎてだいぶメタ入ってる発言まで交じり始めたあたりだいぶテンパっているようだ、各所から怒られるぞ】
【後〇クダーダ作品が好きなドラはドラはドラでも潮吹あわび版のほうのドラだろうが】
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/11/23(金) 01:48:26.27 ID:vPjkyZlQ0
>>376

【そうして救いあげられる瞬間に、彼女はたった一つ神様をぎゅうっと抱きしめていた。もっと立派な神様を連れて来たなら、あるいは、何か変わったのだろうか、なんて】
【もしもそうだったとしても、たぶん、彼女はこの神様を選んだんだろう。――真っ白い蛇の神様。この少女を現世に生み出した神様。あるいは全部の元凶】
【今だって一緒に居るのをイルなら分かるのかもしれない、――二人で一つの神様というにはあんまりに歪で。互いが互いに贖罪を願う関係性、依存関係、それこそ病に似て?】

――――――――、できた、

【――やがて少女はイルの言葉に従うのだろう。寝転んだまま振り返り見上げた視線、だけれどすぐにどこかが辛くなって、また、ころんって寝転がって】
【よく分からないような、うまく出来ないような、曖昧な吐息をいくつか重ね。それでもやがては"できる"、真っ白な腕を指先までもまっすぐ天井に伸ばすなら】
【初めて自分の両手に気づいた赤ちゃんみたい――それとも、あるいは、初めて寝返りをした赤ちゃんみたい。もしかしたら、初めて立ち上がった赤ちゃんかもしれないけど】
【とにかく何か一つ新しい概念に気づいたときの、きらきらした目。するのだろうか。――クリスマスの朝に枕元のプレゼントを見つけた瞬間の子供みたいに、笑む仕草】

【――――指先をぱあって広げて眺めていた。けれどやはり彼女は赤ちゃんでないからすぐに飽きてしまう、なら、伸ばした指先は、するりイルの腰元抱きしめようとして】
【寝転んだまま抱きしめるなら、あるいは手慰み、手遊び、それとも揶揄うみたいに。――そのすらって伸びる尾っぽ、そうっと擽るみたいに、撫ぜようとも、するから】
【やっぱりずいぶんと"慣れて"いた。手が自由ならいろんなことが出来てしまうんだから。――、姉妹にはありえない距離感、太もものあたりを吐息で擽って、見上げ】

ね。ね。ほかには? 

【そのまなざしがひどくきらきらって輝いていた。ずうっと自分が何者であるのか分からなくて。蛇だと分かって。自分は神様だったのだと認識して】
【だけれども、奇跡を起こしたことなんて結局なかった、から。――神様としての自分の作用を確かめるのなら、それは、やっぱり、初めて歩いた赤ちゃんと、よく似ている】
【似ていて当然なのだとも言えた。――――子供がしきりに十三回目の高い高いだっておねだりするみたいに、ぱあっと、向ける目、イルの隠し事なんて気づかないから】

【足元をぱたぱたってやっているなら、楽しくって仕方ないみたいだった。どんなことだって試してみたい。ましてや、――愛しいお嫁さんとなら、なんだって、してみたい】
379 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/24(土) 02:11:25.25 ID:0TyYZMTC0
>>362

誰かに操られる生き方なぞ死んでいるのと同じだ。
見えない糸/意図で操られて踊らされるのは楽で苦しむことなど無いのだろう。

――――……、そんなものは人間ではないがな。
自ら選択し酸いも甘いも味わって。時には愚かさに身を委ねてもいい。
それこそが人間だろうが。間違ってもすべてを委ねる行為を是とするのは人形でしかない。

【ジョージの言葉のとおり、操られて生きるのは楽なのだろう】
【だがそんなものは生きているとは言わない。死んでいるのと何が違うというのか】
【欲望に抗えないのが人間であったとしても、抗い続ける意思を見せるのもまた人間である筈だから】

――――……済まないな、つい感情的になってしまったか。
話を戻そう。"アレ"を持っているだけで意味があると言ったな。

正しいのかもしれないが、付け加えた方がよい言葉もある。
――――持っているだけで"アレ"の力に踊らされ、その身を滅ぼすぞ。
スイッチを押さぬ限り本懐を果たせぬ兵器ではなく、其処にあるだけで全てに厄災を振りまく。
そんな予感がする、いいや、これはもう確信にも近い。スイッチなど飾りだ。

この国を内側から食い破る―――だけじゃない。全てを喰い散らかされるぞ。
外も内も無く、コインの表も裏も無く、ハレもケも無い。皆一様に襲われるだろうよ。
突きつける刃は相手だけじゃない。自身にも向いていることを自覚した方がいい。

【憂う悪魔の代理人。欲望に呑まれて滅ぶ光景は悪魔の好物である筈なのに】
【そうではないのはきっと悪魔らしからぬ在り方で。ひどく人間臭いものだった】
【そしてその心配の矛先はジョージに向けられて。それに気が付いたとき彼と同じような苦笑がこぼれた】

【――――】

「いいや謝る必要は無ェよ。そうする必要があるのなら俺だってそうする。
 自分の都合を押し通すのに他人を慮る必要がどこにある?己の理屈を通すのなら当然の話だろ」

「にしてもアレが好むのは性悪説だな。あるいは原罪論か。どちらにせよ人に潜む悪性をこそ肯定して全力で後押しする。
 人の性質など所詮そういうものだと言わんばかりだな。くひひっ、俺はそういうの大好きだぜ?」


【極彩色の光は身体に巻き付く蛇のよう―――人の昏い感情と欲望の光が齎すのは】
【絶頂やら羽化登仙やらの言葉が似合う精神の高ぶり。暴力を友とする棕櫚にとっては】
【どんな酒よりも心地よく酩酊させてくれる劇薬であったから――、自制しようとも抑えきれない】


「きひっ、きひひひひっ、ンだこれはァ…?超気持ちいいぜェ…っ!たまんねぇなァ!!
 くくっ、くひひひひっ、ヒャアーハハハハハハッ!!今なら全てを壊せる気がするぜェ!」

「残滓ですらこれだ、これを濃縮した天獄物質ならばクソ共が勝手に共食いして身を滅ぼすだろうよ!
 ――――ぅあああ、たまんねえなァ。今ある秩序何ざぶち壊しに出来るだろうなぁ!」

【"ああ、悪ィ悪ィ。あんたの思い描く違う役割とは何だよ、話のついでに聞かせてくれや"】
【酩酊にも似た浮遊感から口にするのは迂闊な言葉、何の思考も廻らない反射的な言葉――それはあの残滓に当てられた証左】

//大変お待たせしてしまい申し訳ございません…っ!
380 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/11/24(土) 12:55:10.68 ID:9Mzdg0gM0
【新楼市――光の国行政区『NU Style』 繁華街にて】

【日中や問わず賑わっているこの街だが、今日は(今日も)込んでいる】
【ただでさえ狭い道は、渋滞し、クラクションが遠吠えして。人とすれ違うのも肩をこすりつけ合うぐらいに】
【道路に出た露天商や屋台がブランド品のコピー物や異国の料理を売っている。看板が所狭しと】
【ビルの壁にはホログラムでできたCM媒体が強制的に情報を我々に押し付けていた】


『やめろっ!!人の店をなんだと思ってるんだ!!』


【その中で、ルーローハンとかいう甘辛い肉の丼ぶり屋とDNA鑑定と占いをしてくれる店の間にある】
【中古のスマートフォンや時計なんかを売っている店が騒がしい。いつも人の多いこの道が】
【だんだんと近づくにつれ、空いていく。つまりは――良くないことがおきている証拠だった】


<違法に当社の製品を販売している容疑があります。条例243条に則って捜査させていただきます>
<ご協力いただけない場合はそれなりの対応をさせていただきますが?>


【機械音声じみた声。その場にはオーウェルの私兵組織、この街の警備というなの監視を行っているテクノドッグスが居た】
【真っ黒な戦闘服にわざとらしい黒のコート。装備品、真っ黒なガスマスクとヘルメットで一切の姿を隠し、2人のテクノドッグス兵が店主にライフルを向けていた】


<よろしいですか。隊長>

ん?ああ、やってくれ。

【テクノドッグスの一人が声を掛ける。その後ろには後ろ手に手を組んで、退屈そうにしている男が居た】
【金髪の痩せこけた不健康そうな男。テクノドックスのタクティカルスーツを着ていて、背中にはメカメカしいバックパックを背負っていた】
【バックパックのサイドには折り畳まれたロボットアームが、腰には拳銃と、警棒のようなものをぶら下げていた】

【隊長の一言で、テクノドックスはライフルのストックを用いて、店のショーケースを割り、並べられた商品を薙いで行った】
【一人がライフルのコッキングレバーを引く。チャンバーを確認し戻して、セーフティを外し、フルオートを確認すると引き金に手をかける】


そもそも、こんなところで商売するのが――美しくない。文化文化と言うが。なら、秩序も文化だ。人類の作りし、尤も崇高な美学だ。
――おい、殺すんじゃないぞ。市民を守るのが我々の使命だからな。


HAHAHAHAHAHAHA!!!!!


【銃声と金髪の男の高笑いが響く、この騒がしい街で】
381 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 15:37:09.48 ID:9Ibued5T0
>>380


―――ちょっと貴方達、一体何をしているんですか!?


【銃声と金髪の男の高笑いに割って入るように、凛とした声が響く。その声のする方向には】
【全身を新品の黒いスーツで包んで、黒い長髪は後ろで結んだ碧の瞳の身長170cm程の中性的な容姿の若い女性】
【人ごみの中から這い出て来て、目の前で起きている事が信じられないといった表情をしている。】

【そしてまずは店主の安否を確かめようと店の方へと走り寄るだろう、この街≠ノついて良く知らないようであった】

//まだいらっしゃいますでしょうか…
382 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 15:57:55.33 ID:9Ibued5T0
>>379

嗚呼、その通りだ。俺もそんな世界で生きていくなんざまっぴらごめんだね。
ならいっそ―――世界がぶっ壊れちまえばいいとすら思うぜ。

だがその死者の世界≠ノ向かっているのが今の世界だろ?既にこの世界は死に向かっているんだよ


【ジョージはどこか達観した様子でそう答える。そしてその陰には危険な思想も垣間見えた。】
【かといって本当に何かをしでかすほど理性を失っているようには見えないが、、、】


―――アンタがそこまで言うならそうなんだろうな。
まぁ、安心しろよ。俺自身がこれを使ってどうこうなんざ考えちゃいねぇ。あくまでビジネスだ。
俺は指定された手順に沿ってこれ≠依頼主に届けるだけさ、その後≠ノついては依頼主の事情だ。

だがまぁ、その忠告は依頼主にも伝えておくぜ。悪魔≠ェ血相変えて言ってたってな。


【そう言うとジョージは乾いた笑いを零す。笑ってはいるがファウストの忠告は響いているだろう。】
【しかし、ジョージの言うクライアント≠ェその忠告をどう受け取るかは分からない―――。】



【――――――――――――――――】



「そう言ってもらえると助かる。そしてやはり君は適任≠セったようだな。」
「とはいえあまりにも相性が良すぎる≠ニも言える。分かっているとは思うが気を付けてくれよ。」


【高揚する棕櫚に若干冷ややかな眼を向けながら、イーサリアムは忠告する。相手が聞くとは思えないが】
【そして極彩色の光は暫くすれば霧のように消える。所詮は残滓でしかないという事か】
【しかし、棕櫚の身体、そして精神には暫くの間異常な高揚が続くだろう。まさに闘争のためのドラッグのようだ】
【―――そう、闘争≠フための。】



「――――――神殺し≠セよ。」



【ごく簡潔にイーサリアムは答える。口元にはうっすらと笑みすら浮かべて。】
【棕櫚の放った言葉の数々にはどこか納得したように頷いて―――】


//いえいえ大丈夫ですよ!
383 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/11/24(土) 16:44:50.65 ID:9Mzdg0gM0
>>381

【直ぐに反応したのは兵士の方だった。走り寄ってきた女性を静止させる無言の圧力を銃口を向けることで示した】
【口を開いたのは隊長と呼ばれる金髪の男だ。顔をそちらに向け、痩せこけた頬に不自然な笑みをたたえた】


――秩序を守っている。市民の尊厳と権利を守っている。我々はその番人だ。れっきとした法律に基づいて。

【男ははっきりと、けだるげに開いた目を女に向けてそう言った。そして笑いかけながら】


我々やその他の者の権利のために、正義は、執行されなければならない。徹底的に。―そうは思わないか?ウン?

わかっている。ああわかっているよ。言うなよ。キャンキャン吠えるなよ。腑抜けた衆愚的な白痴で愚鈍な、リベラル的な
つまらない、学校で教えられるショッパい正義論や民主主義に犯された倫理観を感情的に言われるのは嫌いなんだ。

【そして男は相手の反論を拒むかのようにわざとらしく笑いながら、吐き捨てるようにそのセリフを吐いた】

この街の、法律に基づいて、何の、問題もなく。正義を行っている。さあ、わかったなら、失せろ。

【小さな子どもに諭すかのように、押し付けるような高圧的な態度で言い切って、金髪の男は目線を店主に戻した】

――店主、今回は警告だけで済ませてやる。
384 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 17:00:59.19 ID:9Ibued5T0
>>383


これが秩序<b!?どうみても越権行為じゃないか!それで法の番人とは良く言える!


【女性は眼に怒りをこめて金髪の男を睨みつける。非常に顔に出るタイプのようであった。】
【よく見ればまだ若い。恐らく十代後半そこそこといった年齢だろうか。スーツ姿は様にはなっているが】


思わないね。俺はあんたらみたいに勘違いした正義を振りかざす連中が大嫌いだ。

あんたらの―――ッ!


【さらなる反論を口にしようとして、相手の言葉に歯を食いしばる。怒りの籠った視線だけが相手をみる。】


―――これが何の問題もない行為、だと………?
オイ、アンタ達所属と名を名乗れ、全員だ。この件は俺の上に報告させてもらうぞ。


俺は水国警察刑事局異能犯罪対策係≠フ真諦院 正義だ。アンタらの正義を俺は認めない。


【真諦院という女性は所属と名を明かす、本当は正規所属ではなくインターン生なのだが…】
【ともかく金髪の男性の言う通り何も知らない青臭さが出ている。名前も合わせればひどく滑稽に映るかもしれない。】
385 :真諦院 ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 17:01:52.77 ID:9Ibued5T0
>>384

//名前ミス…真諦院です。
386 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/11/24(土) 17:26:02.56 ID:9Mzdg0gM0
>>384


―――――警察?


【金髪の男はその言葉をきいて、もう一度女に目をやった。そして】


HAHAHAHAHAHAHA!!!こいつは傑作だ。正義で、警察ときたか。笑わせてくれる。
おい、見ろよ!!水の国の、警察が、俺達に、正義を、認めないと仰ってやがる!!

クククッっ…笑ったついでに、一つ教えてはくれないか?此処が、どこだか。


【男は高笑いをして、わざとらしく、手を広げ、周りにアピールするように話しかけた】
【遠巻きに、眺めている行き交う市民も不安げな視線を送っていた。そう、皆。多分この場では】
【真諦院と名乗る警官以外は知っていたからかもしれない】


そう、水の国のNEURONG、シティだ。――ああ、みなまで言うな。そんなこと、当たり前だとでも言うんだろ。
だが、不正解だ。この場所は―――光の国のニューロンシティ、だ。…わかったか?HAHAHAHAHA!!!

相互協定で水の国警察の捜査権限は認められている。だが、逮捕権限は国際指名手配ならびに特殊な条件下のみだ。
こちらの行政区はもちろん、光の国の警察が主体だ。そして、そこから、正式に治安維持を委託されているのが我々―――

―――テクノドッグスだ。


【彼は自信満々に、その不健康で不気味な笑いを浮かべ、爆発するような嫌味な高笑いする。そして、相手に諭すかのように】
【静かに言葉を放ち、相手に訴える。どちらが正しいかを効果的に。演説するかのように】
【彼は上着の内側にしまっていた、自身のIDを取り出して、彼女に見せるだろう】


テクノドッグス社、警備部、統括部長。ラース・マグヌセンだ。IDを照合してくれても構わない。
―――そして…警察というものはまずはじめに、IDを提示する必要があるんじゃなかったのか?ん?

いったい…君は若いようだが。学校では口の利き方すら習わなかったのか?

今の所、君は、正義の執行者に、意義を申し立てる、何者かに過ぎない。いくら、正義と名乗ってもなあ。自称では何の意味もない。
独りよがりな正義を野放しするのも、また、秩序に障害だ。……此処で、我々が排除することだってできる。

【ラースが、軽く手を上げると、テクノドッグス兵はライフルを構え直した。それをみて、周りの市民たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった】
【それだけで、このテクノドッグスというのが、本当に、脅しではなく、やりかねない奴らだという証拠になることだろう】

387 :真諦院 ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 17:56:04.92 ID:9Ibued5T0
>>386

―――ック、何がおかしい!いや、名前については散々弄られて生きてきたが………
そうだ、俺はアンタらの正義とやらは認めない。警察という肩書を盾にするつもりはないが
アンタらの悪行を正すだけの―――何?


【此処がどこかだという質問に対し、おもわず周囲を見渡してしまう―――そうではない。】
【そして思考が追い付く、研修という名目で調査にきたこの街の仕組み≠。】
【相手の素性が知れれば眼を見開き動揺する。感情のままに出てきたのが完全に仇となった。】


(テクノドックス。こいつらが噂に聞くオーウェル社の―――。)

ッぐ………失礼、致しました統括部長………殿。そちらの立場も知らずこのような………真似を…


【相手に完全に論破され、顔を青白く染めながら真諦院は俯き頬を汗が伝う。】
【そして相手の言葉に乗って、卸したてのような綺麗な警察手帳を相手へと差し出す。】
【そこには確かに真諦院の言った肩書があった。だがその後に()で(インターン)と書かれている。】
【つまりは学生、恐らく警察に連なる学校ではあるだろうが。であればこの弁えない青臭さも納得がいくだろう。】

【ラースの視線に合わせることもできず、拳を強く握って耐えている。】


―――ですが、こんな事は間違っています………


【真諦院は絞りだすように小声でそういった。どうやらまだ反抗心は残っているらしかった】
388 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/11/24(土) 18:48:16.35 ID:9Mzdg0gM0
>>387


―――ハッ!!勉強はしているようだな。だがそれだけじゃ、何の意味もない。
違わないか?いくら銃の使い方を知っていても、引き金を引けなきゃ意味がない。そうだろう?


【ラースはわざとらしく、俯いた顔を下から覗き込む。 ハッ!と吐き捨てると、次に警察手帳をまじまじと眺める】


ほぉ?疑っていたわけじゃない。だが、驚いた。こりゃ驚いたよ!
――おい、銃をおろせ。勇敢なる"未来の”警察官に失礼だろう。

これはどうも。熱意ある水の国警官がこの街にもいらっしゃると知り、我々も一安心ですよ。
その、熱心さを我々にではなく、秩序のために行使していただきたいものですな。


HAHAHAHAHAHAHA!!!!!!


【わざとらしく、仰々しく、茶化すような敬礼をし、そして笑った。見世物にするかのように彼は嘲る】


―――間違っている?一体どこの、何が、どう、間違っているのかね。説明してもらいたいね。その根拠を。
戯言は聞きたくない。正義だの倫理観だの、そういう、裏付けもない、感情論は聞きたくないと言っただろ。根拠だ。

我々は法的に権限を委託され、行為も権限も証拠がある。正当な手続きをもって、捜査を行っている。この露天商を疑った
根拠を示すことができる。行為についても法的な解釈から逸脱していないと説明できる。すべて、正しい。

我々は秩序と権利を守るためにすべきことしている。正義だ!!君の好きな!!正義の側に立っている!!
行為も、信念も!!すべて!!断固とした意義を持っている!なら!!どこが間違っているか言ってみろ!!

一体どこのどの部分が!!間違っていると!!理論的に客観的に!!正しく、説いてみろ!!
根拠も無く、正義を、邪魔するのか!?独善的なエゴで正義に歯向かうのか!それは何かわかるか!?

悪だ!!君は正義の名を騙りながら、悪となんら変わらない!!そうだろう!!

【そらす目線を追って、ラースは吠える。高圧的な態度で、怒鳴りつけるように顔を赤くして吠えた】
【詭弁暴論のたぐいには変わらない。しかし、論理的な事実の積み重ねと器用な捻じ曲げ、そして相手の感情を動揺させるような】
【激昂と芝居がかった口調で、彼女を追い詰めようとした】

【もちろん、歪んだ法解釈、行き過ぎた越権行為は存在する。その法律も、オーウェル側に都合に合わせて意図的に制定されたものだ】
【だが悪法もまた法なり。ラースの言う通り、グレーの範囲内で彼らはおさめている。それに彼らを咎める人はだれも居ない。】
【―――力こそ正義であった。】



[Fuck OFF]


【傍観者の誰かが、ポケットなかで中指を立てた】



/この先、助けが介入するパターンとこのままパワハラ続行パターンがあるのですが如何しましょう
/もちろん、好き勝手やっていただいて構いませんので!バッチコイなので!宜しくおねがいします!
389 :真諦院 ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 19:15:57.04 ID:Ij6O9M4F0
>>388


【喉がカラカラに乾く、ラースの言葉がまるで爆音の音楽のように頭に響き渡る。】
【俯いたまま顔を上げることはできない。既に血色を失った顔は焦点を失いただただ相手の言葉を受けるのみ】

【心臓の鼓動が早くなり胸は苦しくなる―――既に思考回路は失われつつあった。】

【―――それでも、自分の心≠セけは屈してはいけないと、そう思って顔を上げる。】


それでも―――それでも、こんな暴力的なやり方は正しくはないと思います
これでは市民の皆さんも恐怖を感じてしまいます、それは市民の権利と尊厳を守る℃魔ナはない………かと


若輩者の戯言ですが………わ、私は見過ごす事ができません。貴方に何を言われても。


【真諦院は震える声で、相手の視線と合わせられないでいながらそう答える。】
【それはあまりにも頑固だったし、周囲で見ている人々ももしかすれば呆れるかもしれない返答】

【「やはり子供だな」―――そう思わせる言葉だった。】


//流れはお任せします!流したい方向に流してくださいませ!
390 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/11/24(土) 19:49:10.72 ID:9Mzdg0gM0
>>389


ハッ!!"ないと思います”?俺の言ったことが聞こえなかったのか?
戯言ではなく、根拠を持って説明しろと言ったんだ。

答えに詰まって、それでもまだ、文句をいうか。でもでも、だって?まさにガキと女の言い草だな
ガキで、女のお前には。ぴったりだ。
お前の、信念も、正義も、言葉に出来ない、その程度の熱意だってことだ。


HAHAHAHAHAHA!!!!


【完全に勝ち誇った、マウントの上からの攻撃だった。威圧的な嫌がらせのような決めつけと精神攻撃】
【トラウマを植え付けるような高笑いをして、満足げにまた、不気味な笑みを浮かべていた】


ああそうだ、こうしよう。ミス・真諦院。この店主を連行しろ。


【ラースは目を細め、店主をみやった。店主はその場から一歩も動けずただ立ち尽くしていたが】
【急に「連行」という言葉を振られ、目を丸くし、ラースと、真諦院とテクノドッグス兵を見回して、震えていた】


「そ、そんな…」


貴方には嫌疑がかけられている。じっくり取り調べをし正義と、秩序に貢献していただきたい。
なあに、刑務所までは行きませんよ。……博愛主義というものを学んでいただきますが。

…ミス・真諦院も、箔がつくぞ。同期に一歩リードだ。花を持たせてあげよう。
手錠はあるか。貸してやったっていい。…利口になれ。チャンスは、無駄には、できない。


【そしてラースは小声で耳打ちした。】

――コレは君の為を思っているんだ。もし、できないなら。

…店主を殺す。

聴取中に店主は動揺し、懐から拳銃を取り出したため、"仕方なく”発砲した。
――誰も、疑わない。誰も、声を上げない。君の声は、届かない。――さあ、やるんだ。


【ラースは笑っている。店主は真正面に真諦院を見つめ、「助けてくれ」と必死に訴えた】


「いやだ。いきたくない。センターに行って誰も帰ってこない。嫌だ。助けてくれ――――」


/了解です!ありがとうございます!全力でがんばります!!
391 :真諦院 ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 20:24:22.77 ID:9Ibued5T0
>>390


―――ッ!俺の正義はッ!!


【相手の言葉に再び怒りが沸騰したのかキッと睨みつけて何かを口にしようとするが】
【「え?―――」次に相手から発せられる言葉にまるで時が止まったように膠着する。】

【既にラースを含めテクノドックスの振舞は真諦院の許容を超えていた。】
【だが一方で相手は法に則って行っている。いくらそれが都合よく捻じ曲げられたものであっても】
【故にここで反抗すればそれは完全に秩序に反する行いとなってしまう。】

【自身の中の正義、そして秩序。どちらも重んじている真諦院にとっては拷問のような指示であった。】


【周囲の音がなくなり、目の前が揺らぐ―――自身の荒い息遣いと鼓動だけが聞こえてくる】



【どうすれば―――どうすれば―――】


【少女は知る、この世界においては信条と秩序の両方を維持するのは難しい。特に後者は容易く捻じ曲げられる。】



【お父様、すみません。貴方のような警察官にはなれそうにない。】



―――断る。



【真諦院は短くそういった、店主の前に立ってラース達テクノドックスを睨みつけながら。】
392 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/11/24(土) 21:09:05.18 ID:9Mzdg0gM0

>>391


[よく言った。]


【遠巻きに眺めていた。<それ>は、その場から離れ、人混みへと消えた―――】
【もちろん、この言葉も姿も真諦院には関係のない話だ。背景の中のひとり。存在しない言葉】


<―――システム障害発生。ネットワークエラー。再起動まで45秒>


何だと?――奴らか?それもと人形遣いか…クソッ!!


【テクノドッグス兵のどちらかが、機械音声のような声で急に沈黙を打ち破った】
【ラースは見るからに狼狽した。あれほど、驕っていた彼が今はあたりを見回し、拳銃を取り出した】

【そして、刹那。その場に、転がる金属音。缶ジュースのようなそれから、真っ白な煙が吹き出した】

―――スモークだっ!!サーチしろ!!

<システム障害。ノイズで視認不可>

クソッ!!


【もはや一瞬で誰も何も把握できなくなった。そして、真諦院の腕は不意に誰かに引かれることになる】
【そして、その場にはいない全く違う人物の声がした】


『さ、逃げましょ。』


【声は柔らかい。そして、その手は温かい。だがその手はずいぶんと力強くて、まるで担ぎ上げようとしているようで】
【というか担ぎ上げるぐらいの勢いで手を引かれた。バイクでひったくりのように拉致でもされているんじゃないかと言うぐらいのパワーとスピード】
【スモークは幾重にも張り巡らされていて、しばらく真っ白で、咳き込むしかできないだろう。担がれなたら、まるでバイクに乗っているかと言うぐらいの】
【スピードで―――白煙の切れ目から、飛び出す。どこかの路地を走っていた。】

【長い銀髪が揺れていた】
393 :真諦院 ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 21:28:53.74 ID:9Ibued5T0
>>392


―――――――――ッ!?


【腹をくくり、このままテクノドックスとの交戦もやむなしと思っていた矢先スモークが展開される。】
【ラースと同様に瞬時に周囲の警戒をするが、まるで何も見えない。】
【そして不意に引かれる腕、というより身体全体と言うべきだろうか。真諦院は驚愕の表情を浮かべる】
【―――白煙の切れ目から半ば転がるように飛び出せば、手の主の方を見る。】


ッげほ、ごほ………ち、ちょっと待ってください!
あの店の人を置いていけません!このままでは奴らに殺されてしましますッ!


―――そもそも貴方は一体ッ!?


【咳き込みながら真諦院は後ろを振り返る、この期に及んでも他人の心配をしているのであった。】
【そしてあろうことか白煙の中へ引き返そうとする。とは言っても力的にそれは叶わないだろうが。】

【そして、少しヤケになりながら当然と言えば当然の質問を相手に投げかけた。】
394 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/11/24(土) 21:58:40.82 ID:9Mzdg0gM0
>>393


【スモークはその場だけでなく、逃走ルートも考えられていたようで、幾つもの場所に張り巡らされ】
【手を引く人物はそれをうまく利用して、間をぬって走った。】

【後ろで、銃声が幾つも聞こえた】

――それは、できません。それに彼らが店主を殺害する可能性は15%といったところでしょう。
彼が店主を殺害するケースは、精々、八つ当たりです。ラースは激情型ですが計算高い男です。
貴方が戻った場合、むしろ店主が殺害されるリスクは向上します。ラースはそういう人物です。

そもそも、店主も逃げ出していることでしょう。この街で生きるならばそれぐらいは誰しもできます。

【そのとおりで、一連のことはラースの余興でしか無い。それに、いくらテクノドッグスといえど正義を名乗っている以上】
【警官である真諦院を襲うことは表向きは不可能であるし、事実を改ざんするのも手間がいくらかかかる。】

現在、我々の味方が、テクノドックスを襲撃し、時間を稼いでいます。ただ、貴女を救出するだけでは
貴女が、我々との関わりを疑われてします。ですから、偶然、ラースを狙った我々の襲撃と遭遇し
貴女はその隙を狙って脱出した。――貴女にとって不名誉かもしれませんが、ご容赦ください。

私はゾーイ。人類を幸福にするためにつくられたアンドロイドです。そして、黒幕を倒すMチームでもあり
明日を探す、チンザノ・ロッソでもあります。今は、"カスバ"の一員でもあります。


【問いかけは質の悪い検索エンジンかのような曖昧な回答。長い銀髪は腰ほどにもある。】
【アンドロイドと名乗ったが、どう見ても人間の女性にしか見えないことだろう。表情が乏しいことと声の抑揚が無いこと以外は】
【むしろ、整いに整えられすぎた容姿が逆に嘘くさく見えるだろうか。理想の女優とモデルをかけ合わせたかのような女だった】
395 :真諦院 ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 22:12:09.48 ID:9Ibued5T0
>>394


【煙幕を抜けてまた煙幕―――そのたびに咳き込みながらなんとか真諦院はバランスを整える】


―――そう、なんですか?よく分かりませんがむしろ戻る方が皆が危険になると。
であれば従います。あの店主さんもどこかに上手く逃げている事を祈って。

お礼がまだでした、俺は真諦院 正義と言います。危ない所を助けて頂いてありがとうございます。


【説得力のある相手の返答に異を唱える事はなく一度大きく頷いて従うだろう。】
【最後に一度だけ店主の無事を祈るように煙幕の向こうを見てからあとは前だけを見て走る。】


そんな………こういってはなんですが何故俺のためにそんな事を…ッ?

黒幕=HMチーム=Hチンザノ・ロッソ=Hカスバ=H―――全然分かりませんッ!
………ですが貴方達は味方であるとは分かりました。このままどこへ向かうんです?


【アンドロイドと言われてまじまじと相手を見るが、それらしい点はまるで見当たらない。】
【そして語られるワードについては全く知らず、いくつもの?を頭上に浮かべながら困惑する。】
【ともかく分かっている事、というより信じられることはゾーイが味方であるという点だけだった。】
396 :ファウスト ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/24(土) 22:58:49.55 ID:0TyYZMTC0
>>382

ペシミストめ―――、と言いたい所だが私もそういう生き物だから強く非難することは出来んな。
だが死に向かっていたとしてもそれを黙って受け入れる訳でもないんだろう?


【この場にいる大人は悲観主義者しか居ないが、決して自棄になった訳ではない】
【二人とも感情を覗かせながらも理性的であったから、少しだけ心地良いと思った】
【故に、目元を皮肉気に緩ませて、人の悪い笑みを浮かべながら紅茶を口にする】


悪魔が念を押して忠告する事は滅多にない。だから忠告が無駄にならない事を祈るばかりだ。
………この場で憂いたところで何にもなりはしないがな。単なるお節介だ。


【コップを近くにあるテーブルに置いたなら、瞼を閉じ気怠さと弛緩した緊張感から来る眠気に身を委ね】
【時間経過と共に眠りに落ちるのだろう。その姿は無防備で、その寝顔は悪魔とは思えない程にお淑やか】
【出会ったばかりの男に晒す無防備は蛮勇か、それとも信頼の証なのか。未だ解らない】


【―――】


「んだよ、その冷ややかな眼は?もしかして誘ってんのかァ?嬲って欲しい位には欲求不満なのかよ。
 きひひひっ、――――悪ィな。頭では理解してんだが精神に歯止めが利かねェ。
 ああ、……この身で実感したからこそ言える。コイツぁ、まさしく闘争の為の代物だわ」

「そこらへんに転がってる有象無象とか聖人君子気取りの糞共も天獄物質にかかれば化けの皮がはがれるだろうさ
 そうなりゃ彼方此方で闘争と言う名の乱痴気騒ぎの乱交だなァ、キヒヒヒヒッ!」


【毒気に充てられて抑えられぬ感情に振り回される棕櫚の顔は愉悦と嗜虐で醜く歪んでいたけれど】
【"神殺し"という抽象的かつパラノイアが口にするような単語が荒ぶる感情を沈める一石となった】


「へぇ、"神殺し"と来たかよ。――――くひひ、何時から公安、いいや俺達"円卓"は妄執に取りつかれた集団になっちまったんだ?
 抽象的に過ぎるからよ、もちっと詳しく話してくれねえか。神を殺す理屈に興味があるんだよ。」


【荒ぶる精神状態にあって、さりげなく円卓派を取り繕えるのは棕櫚個人の能力の高さ故か】
【そうして問うは―――神殺し。何を神に据え、どんな理屈を用いて殺すのか、好奇心が鎌首を擡げ始める】
397 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/11/24(土) 23:04:43.69 ID:9Mzdg0gM0
>>395


どうか、貴女には真実を追って欲しいのです。詳しく説明できるほどの時間はありません。
ですが、もうすぐ、この街は――大きな暴動が発生します。だから、人々を救って欲しいのです。
貴女のような、正義を持った人が、この街には――この世界には必要なのです。

だからどうか、人々を救ってください。そして、真実を追って。辿り着いてください。
そして…ごめんなさい。こうするしかなかったのです。我々が、巨大な悪と戦うためには
我々は悪魔とも時として手を結ばなければならないのです。


【どれだけ走っただろう。新楼市名物の入り組んだ路地と高層ビル群。一つ道を挟めばもはや違う顔】
【追ってくることもなく、路地の終わり。また別のストリートはさも別の街かのような顔をしていた】

【あれほど走ったのに、ゾーイは息一つあげることなく、冷静に話していた。その内容の殆どを理解するのは難しいだろう】
【ただ、ゾーイは今度は手を握って、強く握って。訴えるような真っ直ぐな目で、見つめてきた】


正義が、この世界には正義が必要なのです。世界は終わりに向かっている。ですが、世界は―――貴女にも変えられる。
追ってください―――真実を。

もうここまでくれば、大丈夫でしょう。どうか――また会えることを願っています。


【早口に、相手の理解も返事も待たずにアンドロイドはまくしたてた】
【そして、名残惜しそうに、手を放し、目を追ったまま、人混みの中へと消えていくだろう】
【まるで、幻のような一瞬の出来事に違いない。そこにはいつもの街並みがあるのだから―――】



/急な展開かもしれませんが中の人が限界なのでここらで締めにさせていただきます!
/お付き合いありがとうございました!!!
398 :ジョージ ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 23:26:55.61 ID:9Ibued5T0
>>396

………ま、似た者同士って事で仲良くやろうや死神さんよ。
勿論だ。無様に諦める事なんざ死んでからすればいい。今を生きるなら最後まで抗うまでだ。

安心しろ、忠告を無駄にはしねぇさ。とこでアンタはこれから―――ッチ


【ジョージもコーヒーを飲み干し、テーブルに置きながらその闘志の残った瞳で天井を見上げる。】
【そして今後について話そうとした矢先、既にファウストは眠りについている。】
【あまりの無防備さ加減に苛立ちを覚えながら、ジョージは部屋の明かりを消してバルコニーへ出る。】

【そしてスマートフォンでどこかへと電話をかける。涼しい風が吹き抜けカーテンを揺らす。】


よう大佐=Bアンタのお目当てのモンは手に入れたぜ。ああ、やはり公安が嗅ぎつけていたがな。
予定通り昼≠経由してそっちに届けるで構わないな?こちらの手筈は付けてある。


―――期待してるぜ?氷の国軍≠ウんよ?


【それがファウストに聞こえているかは分からない、だが既に歯車は回り始めてしまっていた。】



【―――――――――】



「残念ながらそういった欲求には疎くてね、故に私が天獄物質≠フ担当となったわけだが」
「気を付けるといい、それは中毒性のある代物だいくら君とは言え飲まれないとは言い切れない。」


【冷ややかな視線は変えずに答える。どうやらイーサリアムのこの機械的さがこの任務の担当となった経緯のようだが】
【棕櫚が言うようにそうしたものすら超越して深層の本能を呼び覚ますのが天獄物質≠セ。】
【であればこのイーサリアムという女が何かしらの処置を施している可能性はある。】

「比喩だよ。」
「Deus Ex Machina℃ミ―――通称DEM℃ミ。ふざけた名前だろう?鉄の国の新興軍事企業さ」

「とはいえその勢いはいささか神がかって≠「てね鉄の国はおろか氷の国の兵器市場すら独占しようとしている」
「その勢いもさることながらどうにもきな臭い。我々の円卓≠ノ対して近い将来邪魔になるだろう。」

「故に、その自社の火力を持って吹き飛んでもらおうというわけだ。できれば鉄の国自体にもダメージがいけば嬉しい。」

「どうだい?単純なゲームだろう?駒≠ヘ放たれた、あとはレールを敷くだけさ。」


【先程イーサリアムが手渡したスマートフォンの検索機能を使えば件の企業の情報が出るだろう。】
【確かにこの数年で一気に利益を上げているようだった。関連企業にはゼネコンや医療器具メーカーもある】
【それだけでどうやった≠ゥは察しがつくわけだが………。あとはロゴマークにも目が行くだろう。】

【黒いピラミッドの中心に大きな瞳≠フエンブレム―――どこか不気味な印象を与える】
399 :真諦院 ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/24(土) 23:38:04.78 ID:9Ibued5T0
>>397

―――暴動ッ!?一体この街で何が起きているんです!?
それに俺の正義なんて、困っている店の人一人すらまともに救えないのに。

いや、駄目ですね諦めては。分かりました、きっと真実にたどり着きます。


【走り続け、走り続け、ゾーイと変わってゼェゼェと息を切らしながらも必死でついていく。】
【「悪魔」という単語にどこか不安を覚えながらも、ゾーイの視線に応えるように大きく頷き答える。】

【ある少女/鵺≠ニ出会った日からもう諦めることはやめていた。そして目の前には自分を助けてくれた人の願いがある。】
【であれば―――真諦院の進むべき道は決まっていた。】


俺も!また会いたいです!本当にありがとうございました、このお礼はかならず!


―――正義=Bか。


【ゾーイが急ぎ足で立ち去る寸前に大きく手を振って声をかけてから、自分も雑踏の中に紛れる。】
【そして自身の掌をもう一度見つめて問いかける―――正義≠ニは。】


//お疲れ様でした!ありがとうございました!
400 :棕櫚 ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/25(日) 22:02:17.36 ID:977H7B8H0
>>398

「かはっ、イーサリアムさんよ。アンタ機械か何かなのか?
 人の形をしてるくせに内面は人ならざる者。まるで俺に似ているなァ。
 人の形をした"鬼"である俺と人の形をした"機械的"なアンタ――良い付き合いになりそうだ」


【棕櫚の語る"鬼"とは人に数えられない人間のこと。角を生やして金棒を持つような生き物ではない】
【そんな人に数えられない"鬼"の語る言葉は、人の様に思える――だから歪だった】

【そうこうしている内に語れられる神の名――それはDEM社という企業組織の名】
【――――語りを聞くに素性が怪しく企業規模も大きい故に障害となると危惧される存在】
【手渡されたスマホで検索を掛ければ出てくる企業情報に社章。特に社章には不穏な気配が漂っていたから】


(願ったり叶ったりじゃねえかよ、きひひっ。円卓の馬鹿共を吹き飛ばす爆弾にしちゃ上等だ)
(イーサリアムぅ……、てめえの鉄仮面が音を立てて砕け散る様を拝む日が楽しみだぜェ)


「成程、自国はおろか他国の兵器市場まで独占しようってか。大それたことを考えるな。
 だがそれが夢想に留まらないと判断しているからこその"神殺し"だろう。」

「良いぜェ、そのゲームにノッた。単純明快で愉快痛快な遊びじゃねえかよ。
 俺たち"円卓"にちょっかいを掛ければ火傷じゃ済まないって事を破滅を以て教えてやるぜ、きひひっ」


【ほくそ笑む。表向きは円卓に仇名す愚か者に対して、裏ではイーサリアムも含めた円卓への嘲笑として】
【だが簡単に事が運ぶとは思えない。何より先ほど目を引いた不気味な社章に込められた理屈がどう牙を向くのか】
【今現在の棕櫚には皆目見当もつかなかった。なのに自信気に嘯くのは毒気に当てられての事か】
401 :イーサリアム ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/25(日) 22:24:56.15 ID:km1iR2Mh0
>>400

「感情をマスキング≠オているだけさ、とはいえ造られた存在≠ニしては機械と同じか」
「人の皮を被った。という意味では確かにそうだね。」

「嗚呼、我が国の市場に侵攻してこないまでも他国の軍備を増強されていくのは面白くないからね。」

「しかしまずはジョージ・トラロック≠セ、恐らくは暫く潜伏した後国外へ出るだろう。」
「であれば我々公安≠ニしても動きが取りにくくなる。―――だから犬≠使うとするよ」

「野良犬≠フ相手は野良犬≠ノやらせるのが一番だ、尤も片方は私がリードを握っているがね。」


【棕櫚の語る鬼≠ニいう言葉には、一度彼の全身を眺めて眼を細めてから頷く。】
【そして野良犬≠ニはすなわちトラロック・ファミリー≠ニ同じ………組織が衰退してから】
【公安の配下として荒事代行をしているファミリーもあるという噂は聞いた事があるかもしれない。】


「さて、共有事項はこんなところさ。引き続き君はこの国に巣食う塵≠掃除して回ってくれ。」
「何かあれば連絡する―――。」


                 「質問はあるかい?」


【棕櫚の手からスマートフォンを回収しながら、相変わらず淡々とした言葉で会合を締めくくろうとする。】
【互いの腹の底は見えない―――故にこれは円卓≠ニ黒幕≠フゲームでもあった。】
402 :棕櫚 ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/25(日) 22:47:17.18 ID:977H7B8H0
>>401

「成程な。野良犬には野良犬をぶつけて始末させるってか。理に適ってらァな。
 ジョージ・トラロックの方は野良犬に任せるとして、あの野郎と一緒にいた女
 ――――アイツも始末しなきゃな。たっぷりノシを付けて礼をしてやらねえとなァ」

「それにこっちにも掃除に適した"精神安定剤/トランキライザー"を擁しているんだ。
 手の付けられねえ狂犬であるなら是非とも精神安定剤の使用を勧めるぜ、円卓の爺共の御謹製だからよ」

【自身に恥をかかせたのはジョージ・トラロックだけではなく隣にいた女も同じ】
【会わせ/逢わせ屋・ファウストも同様に殺す。だからこそ塵掃除には賛同した】
【自身が忌み嫌う精神安定剤/トランキライザー、ノインと呼ばれるものとは別個体の精神安定剤を用いてでも】


「了解したぜ、イーサリアムさんよ。確かにアンタじゃ塵掃除には不向きだ。
 何より塵掃除をするレディは使用人だとかで充分だろ。少なくともアンタの領分じゃねえよ。
 ここは俺が気ィ利かせて綺麗に掃除してやっからよ、珈琲でも啜って待ってるんだな」


【こぼれるのは不敵な笑み。犬歯をのぞかせ不吉を孕ませる笑みはひどく獰猛で】
【周りのものすべてに厄災を振りまくような気配があった――それは天獄物質の様に】
【それでいて言葉は気の利く男を装い、剰えレディファーストを気取る紳士だった】


「ああ、最後に一つ質問だ――――てめぇの造り主は何を思いてめぇ人擬きをしたんだァ?
 機械の様な人間は気味が悪いんだよ。模倣しか出来ねえ機械なら機械らしく振舞えや、趣味が悪ィんだよ」


【棕櫚の言葉は、イーサリアムそのものを問いただすものだった。それは人の数ならぬ身に対して】
【己と形を違えど同じ人の数ならぬ身だからこそ、人でなしに成り果てた理屈を探るのだった】
【故に"円卓"も"黒幕"も関係ない脱線した戯言で、同時に"円卓"と"黒幕"の腹の探り合いであった】
403 :イーサリアム ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/11/25(日) 23:12:40.25 ID:km1iR2Mh0
>>402

「あのイレギュラーか、確かに始末は必要だろう。とはいえあまり突きすぎても何か出るか分からないがな」
「彼女については君の裁量に任せるとしよう。一応こちらでも網は張っておく。」

「精神安定剤/トランキライザー≠ゥ、私も噂程度には聞いているよ。都合によってはこちらの掃除にも利用させてもらおう。」


「そうだな、私には私の役割がある。それをただ適切に行うだけさ。」


【棕櫚の紳士を気取る言葉には一瞬眼を細めるが、大して気にしていないようにスーツにスマホを仕舞う。】
【そしてヒールを鳴らしながら棕櫚と背中を合わせるように歩き出すと、最後に投げかけられた言葉に顔だけを向ける。】
【まるで人形のような仕草だった。】


「私は最適化された人だよ、今後の世界は円卓≠ノよって巨大なシステムとなる。」
「そのシステムを運行するものは最適≠ナなければならない。そうだろう―――?」


【それだけ言うとイーサリアムは棕櫚を残して立ち去る。つまりは巨大なシステムを管理するために人を捨てたと】
【それは結局のところ、黒幕≠ェ思い描く世界と大差がないように思えた―――。】

//こんなところでしょうか!長期間ありがとうございました!
404 :棕櫚 ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/11/25(日) 23:25:09.01 ID:977H7B8H0
>>403

「……クソ忌々しい9番目/ノインみたいな口振りは止めろや。
 "ヒトオニ"である俺以上に人間離れしてやがる。―――精々故障しないように自愛しとけや」


【人の形をしているくせに人で在る事を放棄している振る舞いは棕櫚の琴線に触れて】
【蔑みとも嘲りともつかない怒りの色を滲ませて―――気付く。最早、人ではないのだと】
【だが人で無ければ、機械にもなりきれない歪には僅かばかりに憐憫を抱くのだった】


「お互い役目を果たすとしようかね―――その果てに何が待ってたとしても恨みっこなしだ。
 俺達は俺達の理屈でしか動けない生き物だからよ。その理屈は決して曲げられねェんだから」


【イーサリアムが去ったのを確認してから棕櫚も旧市街を去る】
【黒幕も円卓も描く先が似ているならば、自身がどちら側なのかという線引きが曖昧に感ぜられて】
【妙な苛立ちを覚えつつも、心の何処かでは納得している自分も居たのだった】

//こちらこそ長時間ありがとうございました!&お疲れ様でした!
405 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/01(土) 19:07:09.87 ID:9Bc3EDBv0
ーー水の国・繁華街ーー

【金曜、土曜、所謂週末の繁華街とは何処であっても、こと大仰に繁盛するものであるが】
【この日も例外に漏れず、人がごった返している】
【もう年の瀬も聖夜も近くなった、寒々とした夜に】
【各店の電光看板だけは、辺りを明るく昼間の様に照らし】
【その灯りの中を、物見遊山の観光客、ナイトワークの人々、スーツ姿の酔っ払い、粋がる輩、あるいは何らかのワケありの人々が行き交うのだ】

「杉原!!走れ!!」
「了解です、軍曹!」
「まさか、こんな場所まで……此処じゃ戦うに戦えないないぞ!」

【その、まさに雑踏の中を、1人の小柄な少女と対象的な大柄の若い男が走り抜けて行く】
【周囲には目もくれず、時折人にぶつかりながらも】
【対してその2人を、何ともクラシカルなスーツにコートの集団が追いかけている】

「……」
「……」

【一様にクラシカルなロングコート、一様に高山帽を目深に被り、その目は見えず】
【無言のまま集団は男と少女を追いかけていた】




【この場に居合わせ、あるいは介入するのは誰だろうか、其れもまた、運命の要素なのかも知れない】



//まったりと置いておきまする
406 :@mail ◆auPC5auEAk [sage saga]:2018/12/01(土) 19:37:43.30 ID:+BIGaGVt0
【――――水の国 緑地】
【風に吹かれながら、『彼女』は虚ろな表情で、手元の通信端末を操作し、その画面の光を受けとめていた】

【From:ラベンダァイス】
【To:夕月、カニバディール】

『既にご存知でしょう。白神 鈴音は、本格的に私たち人類の敵となりました』
『アレは不死身です。どうあっても殺す事の出来ない存在の様です。が、本当の不滅など、この世界に存在するはずがありません』

『――――不死身のアレを殺す『試み』を、私は1つ、用意しました』
『1回限りの方法です。通用するかは分かりません。ですが、もしも成功すれば、不死身だろうが不滅だろうが、無限に再生しようが、関係ありません』
『『魔海』の伝手まで使って確保した、1度限りの手段です。アレを1度殺し、再生するまでの間に、上手く『これ』を作用させれば』
『――――この世界に存在する事そのものが、出来なくなるでしょう。『ウヌクアルハイ』と共に』

『――――グランギニョルの虚神どもの為に、私たちは2人も仲間を失いました。そして、他にも亡くなられた戦士がいると聞きます』
『これは弔い合戦でもあります。「裏切り者に明日は無い」――――悪党のルールでしょうが、私たちでもそれは変わらないという事を、精々思い知らせてやりましょう』

【送信を終えて、吹き抜ける風を満身に浴びる――――赤青のオッドアイのはずのその瞳は、深い漆黒に染まり切っていた】

――――生きてはならないものが、未だ生きているなんて。だから世界はおかしくなる。『私たちが、綺麗にしなければ』――――

【――――強烈な力を浴びて薙ぎ倒された周辺の草木が、この空間を歪な広場と成さしめていた】
【そして、転がる緑の残骸が、黒く萎れ、崩れていく――――少女の左肩に、黒い茨の様なものが、ジワジワと纏わりついていた――――】
407 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/12/01(土) 19:47:19.04 ID:Dxa+XJvM0
>>405

『――――すんません。うちのモンが通るんで、ちょいと待ってください。』

【不運というのは、一度にやってくるものかもしれない。その繁華街の歩道に】
【人だかりができている。どうやら誰かがその通行を止めているようだった】

【高級レストランから、車道の路肩に止めた高級車――その間の歩道を】
【スーツを着た男女数人が――誰も彼も据わった目をして居た――が礼儀正しくも】
【有無を言わせない圧を放しながら人の波を一寸ばかり止めていた】

【待っている通行人は芸能人か政治家でも通るんじゃないかとスマホを取り出す人もいれば】
【迷惑そうにわざとらしく腕時計を見る人も居た。何にせよ、その数秒が命取りの二人からすれば】

【危機的な状況に間違いはない。――だが、この繁華街、迂回できそうな路地も見当たらなければ】
【車道は勢いよく車が行き交っている。強行突破するにもちょうどタイミング悪く】

【レストランのドアがドアボーイの手によって開かれたところだった。そして、見るからに警備は厳しくなる】

408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(大分県) :2018/12/01(土) 20:05:08.31 ID:9Bc3EDBv0
>>407

「なっ!?」
「なんじゃこりゃああああああああああああ!!杉原あああああああああああああああ!!」

【最悪の、まこと最低のタイミングであった】
【異様なのはその目の座った男女のスーツ達】
【人集りを作り、尚も通行を無理くりに止めながら、高級レストランから続く遮断の道は切れるところは無く】
【レストランのドアボーイが、まさにそのドアを開けるタイミングで、警戒と緊張は最高潮となり】

「軍曹!来ました!!」
「止む終えない……杉原、一度ここで交戦、人が流れたら逃げるぞ!!あ、銃はダメだぞ!」

【見れば少女と男性の目前にクラシカルなコートと高山帽の集団が迫る】
【少女はモッズコートの腰の部分から一対の小太刀を二振り抜き、男性は格闘戦の構えを】

「……」
「……」

「問答無用ってか、流石海軍さんだ、全く何処の金持ちの馬鹿なボンボンの仕業だよコンチクショー!!!!退けよ!!!!」


【人集りは、まさに店から出るであろう、その人物に注目しているのだろうか、成れば幸いだが】
【キャスケット帽の刀を構える少女は、あらん限りの怒りを込めて、そのレストランからの人物にこう怒鳴りつける様に叫んだ】

//よろしくお願いします
409 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/12/01(土) 20:28:24.23 ID:Dxa+XJvM0
>>408

「本日はどうもありがとうございました。ええ、どうぞ宜しくお願い致します。」


【レストランからまずはその店のオーナーらしい人物が、そしてスーツを着た初老の】
【貫禄男が出てくる。そして、店の中にいるであろうVIPに何度も挨拶をしていた】


それでは、失礼致します。


【カツ、カツと、ヒールを鳴らして出てくるのはこれまたスーツを着た人物だったが、若い女だった】
【長い黒髪は櫻の国特有の手入れの行き届いたものであり、白い肌に薄く化粧をしただけだったがその品格は】
【十分なものであった。目は切れ長で、洒落っ気のない銀縁のメガネをしていた。――腰には朱色の鞘の刀】


【ちょうど、レストランをその女が出た時に、怒鳴り声を聞いた。切れ長の目でそれを一瞥する。その眼光はまるで】
【腰に据えた刀と同じような斬れ味を含んでいたが、それに気がつくような余裕は今は少女には無いだろう】



「テメェらッッッ!!!何処の組のもんだッッ!!!」


【警備の一人――一番がタイが良くて、強面の男が叫ぶ。周りの喧騒を物ともしない大声】

【少女が小太刀を抜いた瞬間に、警備らの目の色が変わる。あるものは懐からピストルを抜き、あるものはアタッシェケースに】
【隠していたSMGを取り出し、あるものは握りしめた刀の濃い口を切った。誰も、ここが繁華街のど真ん中だとか気にしていないようだった】

【VIPの女は飄々と立って、その行く末を見ていた。スーツの胸元には四菱の金色のバッチがツケられている。警備も皆そうだ】


―――富嶽会と、知っての御用ですか。それとも……おや、どうやら、違うみたいですかね。
410 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/01(土) 21:00:49.64 ID:9Bc3EDBv0
>>409

「ふ、富嶽会!!??」
「最悪ですね、タイミングが、悪過ぎる……」

【レストランから出て来たのは、貫禄を此れでもかとばかりに体現した、初老の男性と】
【そして、まだ若くそして研ぎ澄まされた銘刀の様な、そんな斬れ味にも似た眼を持つ女性だった】
【胸に輝くエンブレムは、その所属を明確に示し】
【やがて、少女が抜刀したらばガタイも顔も飛び抜けた強面の男が怒鳴り声を上げた】
【それをスイッチとしてか、周囲の構成員達が一斉に己の獲物を引き抜き】

「す、す、杉原!!」
「マズいです、この状況では……双方は相手に出来ない」

【あまりの事態に顔を引きつらせ、わなわなと震えすら走らせる少女と、冷静に冷淡に、コートに高山帽の集団と、武装した富嶽会構成員を睨みつける男性】

「……」
「…………」

【その内に高山帽の1人が、先頭の高山帽に何か耳打ちする様にして】

「……」
「……」

【やがて高山帽の集団は、富嶽会と少女と男性をそれぞれ一度だけ見据え、身を翻して駆け抜けるようにその場から立ち去ってしまう】

「た、たた、助かった……のか?杉原」
「ええ、海軍は退けられました、何とか、ですが」

【残るは、と2人は武装を取り出して正に臨戦態勢の富嶽会を見て】
【故事は言う、前門の虎後門の狼と】

「は、はははー、お、お騒がせしましたー、お、お勤めご苦労様ですー」
「あ、どうもすみません……じゃあこれでー」

【この騒ぎの渦中の少女は刀を仕舞い、何事も無かったような顔で、男性と共にその場から立ち去ろうとする】
【最も、この場から立ち去るには武装構成員の間を突っ切って進んだ挙句、車とその女性の前に出なければならないのだが】
411 :@mail ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/01(土) 21:41:06.77 ID:K+rfxWbS0
>>406

【――――返信。】

「わかった」
「ラベンダーちゃんの決意は否定しない」
「こんなこと言うのもヘンなんだけど、がんばって。悔いの残らないように」

    「だけどごめんね、あたしまだ諦めてない。」

「……最後に決めるのは鈴音だから。あの子がまた帰ってきたいって言うなら」
「あたしはおかえりって言ってあげるつもり。迎えるつもり。だから、」
「あたしまだ最後だと思ってない。本当に、最後の最後まで――あたしは待ってる」

【――ラベンダーにとっては、ふざけてる、どころの話ではないとわかっているけれど】
【彼女は、「夕月」は確かにそう返信した。その証人として――「カニバディール」】
【彼もこの文面を読むことになるだろう。……特に何も考えず、一斉返信しちゃったから】
412 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/12/01(土) 21:43:03.32 ID:Dxa+XJvM0
>>410

【戦いに身を置く者ならわかるだろう。彼らの持つ殺気の尋常ではないことに】
【むしろ、コレほどまでの殺気を出せるほうが稀有だろう。ヤクザという商売はそういった】
【雰囲気も、役者と同様に必要なのだ。ただ、彼らのそれは偽物ではなく実力に基づいた本物だ】


「あん?テメェ、ヤッパ抜いといて何抜かしとんじゃ、コラ。」


【もちろん、そんなことで納得するはずもない大男が更に威圧する。周りも、何かあったらすぐに】
【襲いかかる準備は出来てると言わんばかりの視線。もはやあれだけいた他の人も誰も居ない】
【レストランの店主だけが、ちゃっかりドアを閉めて隙間から、心配そうに一部始終を眺めていた】


―――待ちなさい。


【切れ長の目の女は毅然とした態度で、歩み寄り、睨みを利かせる大男の横に立った】
【大男は抜け目ない、素早い動作でサッと、その場をその女に譲った。】
【しかし、周りの護衛は、護衛対象が危険人物(疑い)の前にいるとのことで、さらに警戒を強めた】


貴方方、櫻の人でしょう?――水の国で、しかも海軍とどういうご関係かしら。
軍に追われるような事をしでかすなんて、興味があるわ。

【目ざとく、会話を拾ってきた女は、ニコリともせずに話す。】


貴方方を追っていたのは……はて、海軍は『ナカノ』の学校じゃないのかしら。
どちらにせよ、軍人は臭さが抜けないのよ。バレバレもいいとこね。
413 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/01(土) 22:19:43.37 ID:9Bc3EDBv0
>>412

「ひえぇぇー!す、杉原ー!!」
「……軍曹」

【彼らの殺気、覇気は十分過ぎる程にこの2人には伝わっていた】
【話には聞きし暴力団組織、構成員とて並みの極道では無い】
【彼らもまた、鉄火場を幾度も経験した歴戦の猛者である】
【大男に威圧されれば、少女は気圧され腰を抜かした様になり】
【その少女を守る様に、男性が前に出た】

「お、お風呂か!?お風呂に沈める気か!?わ、私あんまりマニアックなのは出来ないぞ!……だからご勘弁をー!本当すみません!!悪気は何も無かったんですー!!」


【男に凄まれれば、少女はより涙交じりにこう言い訳して】
【男性は男を睨みつけ、半身を切り、いざ触発と成りかけたその時に】

「もうダメだー!私はお風呂に杉原はタコ部屋にー!」
「ちょっと黙って下さい軍曹」
「誰ですか?富嶽会の幹部様とお見受けしましたが、この護衛数、まさか若頭程度では御座いますまい」

【大男の横に立ったのは先程レストランから出て来た女性】
【凛としたその空気は、近くではより強く感じ取れる】
【強者揃いの富嶽会の中にあって、その女性は一際異彩で、そして何より一際強者と見えた】

「ん?ナカノ?……なるほど、櫻の者か?」
「此方の事情にある程度察しのある方の様ですね、軍曹ここは……」
「ああ解っている、こうなっては話す他無いな」

【先程までタコ部屋がお風呂がと喚き散らして居た少女だが、その女性の言葉を聞くにすくりと立ち上がり】

「『ナカノ』はむしろ我々の方だな、櫻国国防陸軍情報部所属、風野百合子軍曹、こっちは杉原重義兵長だ」
「御察しの通り、彼らは魔導海軍陸戦隊員の……成れの果てです」

【こう、女性に名乗りそして伝えた】
【寒風が一陣吹き荒び、先程の人集りも無く、此方を見続けるのは構成員とレストランの店主のみ】

「話そう、だが、そのあまりおおっぴらに話せる話ではないからな、場所を変えるか人払いを願いたいのだが……」

【訝しげに気まずげに、こう百合子と名乗った少女は周囲を見渡して】
414 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/12/01(土) 22:48:08.79 ID:Dxa+XJvM0
>>413

「ああ?テメエら、ゴタゴタと…」

いいですから、下がっていなさい。

「…しかし……いえ、失礼しやした」


【大男は二人に向い、眉間にシワを寄せまたその得意技である恫喝をしようとしたが】
【一瞥もくれぬ、若い女の静かな一言で一瞬でその身を引いた。それだけで上下関係や忠誠心】
【そういったものがわかることだろう。大男の身長が二回り小さくなったように見えるようだった】


これは失礼。所詮、ヤクザの粗忽者故、とんだ御無礼を。
このような場ですので、手短に名乗らせていただきます。

【その女は、静かに頭を下げた。】

改めまして、櫻の国で任侠やらせてもらっています富嶽会にて二代目会長として仕切らせてもらっています。
姓は霧崎、名を舞衣と申します。其処にいるのが、うちの若い衆です。どうぞ、良しなに。

【霧崎はその身分を静かに、礼儀正しく明かす。もしその代紋がなく、このような場でなかったら櫻の国の理想と呼ばれる】
【大和撫子と呼ぶに相応しい礼儀と品性を兼ね備えていた。礼儀に厳しいのは現代では旧家の金持ちとヤクザぐらいのものだが】
【彼女はその両方を持ち合わせているのだから幼少の頃より礼儀作法に始まり華道から茶道、それと極道が叩き込まれていた】

そして………おや、魔導海軍…。
いいでしょう。では、其処のレストランで。…オーナー、よろしくて?

【霧崎は、魔導海軍というワードに何かを感じたのか、少し考え、くすりと笑った】
【そして、先程出てきたレストランに目を向ける。オーナーにはもちろん「はい」か「イエス」しかいわせない目線を送る】

【あれほどまでに強固だった封鎖は、海が割れるように開かれ、今度は強固な護衛付きの道となった】
【レストランは高級という言葉だけでは価値が足りないのではないかと言うぐらいの趣を擁しており】
【人払いされたのか、客はおらず、少数の従業員と、富嶽会の構成員だけであった】
415 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/01(土) 23:14:45.96 ID:7JqufjfB0
>>414

「……」
「ご丁寧に、どうも、まさか会長殿とは……」

【先程大男の構成員を一瞥の下に下がらせた度量、加えこの器量】
【さらには礼儀作法、その所作も相まって、完全に陸軍軍人二人は圧倒されっぱなしであった】
【身からも、その一節一節からも醸し出されるその品格は、名家良家の令嬢もかくや】
【桃桜の公家も天野原の武家すらも、到底足元には及ぶまいと】

【やがて】


――レストラン店内――

「す、すす杉原、そのースーツかドレスは?」
「軍曹、用意はございません、ですがこの場合止む無しでしょう」

【元より、この店内で食事をしていた霧崎は良しとして】
【この二人は完全に私服姿、それもかなりカジュアルなそれで】
【店内の装飾、気品とは間逆を行く異様な光景】
【加え、霧崎の気を利かせた人払いの為か、店内には三人の他は従業員達と構成員のみ】

「え、ええーっとだな、その改めて先程は……すいませんでした」

【この場の奇妙な緊張を払うためか、百合子が先んじてこう頭を下げて】

「それと、話だが……結論から先に述べるならば、魔道海軍は良からぬ事を企んで、実行に移そうとしている」
「……」

【やはり緊張は取れないか、こうぎこちなさを残しつつも、霧崎に告げた】

「だが、魔道海軍にもその良からぬ事に反発する勢力が残っていてだな、その一派が頼ったのが我々陸軍で」
「それで我々が派遣されてきたのだが……」

【あー、とここで言葉を切りながら】
【真正面に座ってしまったためか、より霧崎の流麗さに当てられて、少々顔が赤い】

「魔道海軍に興味を示したということは、霧崎会長は何か知っているのか?」
「あるいは、あの放送を見た、とか?」

【先だって水国国営放送から流された声明放送、魔道海軍司令長官が映像において発言した言葉】
【水国に入り込んだ海軍からの脱走兵を捕縛したとの内容、その『脱走兵』が水国のテロリストの能力者たちと手を組んでいたとの話】
【そして最後は、まるで『魔法制限法』を『黒幕』を賛美するかのような言葉で締めくくられていた】
416 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/12/01(土) 23:51:10.42 ID:Dxa+XJvM0
>>415

いえ、とんだ若輩者でございますから。よく言われます。

【そうは言っているもの、もしほかのチンピラが同じセリフを言ったのなら】
【多分、その組ごと今頃何処かの海に沈んでいたことだろう。その点については】
【令嬢の顔ではなく、会長と疑う余地のない顔を見ることになっていたかもしれない】

…此処は、会員制ですから。特にドレスコートは無いのでしょう?ねえ、オーナー。

『ええ、はいまあその。本来は……いえ、なんでもございません。霧崎様がおっしゃるなら
すべて、おっしゃる通りです。ハイ。ええ』

【このレストランを開くに当たって多分、多くのメニューを試食したであろう恰幅のよいオーナーは】
【流れ出る汗をしきりにハンカチで拭いながらしどろもどろ話した】


ああ、もしよろしければ。なんでも、持ってこさせますから。いいでしょ?オーナー。
私にはなにか…コーヒーでも淹れてくださいな。

『ええはい、その先代よりお世話になっております故…霧崎様がおっしゃるなら。仰るとおりに。』

では。…それではオーナー。込み入った話をしますので。何かあれば呼びますから。

『ええはい、その、もとよりそのつもりです。触らぬ神に…ええ、その、なんでもございません。ハイ』

【霧崎は気づかないのか気づいているがほっといているのか。飼いならされたオーナーは逃げるように去っていき】

なるほど…陸軍と海軍というのは仲が悪いというのが世の通説と伺っていますが。そうも言ってられない状況だったか
それともそんなしょうもない見栄の張り合いは歯牙にもかけないスマートな方々のようですね。貴方方は。


【霧崎は深窓の令嬢の如く、細長い指先で、細かい絵柄のついた白磁のカップでコーヒーを飲んだ】
【ただその背後には先程の大男と、ケミカルブルーの頭髪のサブマシンガンを抱えた女が控えている】


一つは、その放送を見ました。母国の時事ぐらいはもちろん。それにもうひとつは、魔導海軍所属の厳島命と
私の知り合いの、ある探偵が水の国の『特区』に関する一件で、協力体制にあったからです。
現在私は、探偵のその一件を引き継いだものですから。少々、調査の方を。
417 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/02(日) 00:29:46.40 ID:sDiU6pEe0
>>416

「いえ、とんだご無礼を……お詫び申し上げます」

【霧崎にこう一言の侘びを告げるのは、この場でも比較的に落ち着いている様子の杉原であった】
【如何に令嬢然としていても、相手は極道】
【面子を重んじ礼儀を重視する世界、下手な失礼無礼は身の安全にかかわる話だ】

「……」
「……お気遣いに感謝いたします」

【哀れにも見えるオーナーの姿を目の端に捉えつつ】
【しかしながら、一高級店の代表すらも平身低頭せざる終えない相手】
【その姿に改めて凄みを感じつつも、向き直り】

「あ、ああ、その私達の事は気にしないでくれ」
「ええ、どうにもこういったお店は慣れない物で、我々もコーヒーを二つ頂けますか?」

【本来ならばフルコースの最後に出される口直しの物であろう】
【無論、相応に品も良い筈だ】
【霧崎と同じく、コーヒーを二つ注文し】
【その注文も、オーナーがあたふたと受ける事になるのだろうか、気まずさを残しつつ】

「まあ上は色々お互い思う所はあるようだな、国防陸軍は海軍からは魔能という点では遅れを取っている状況だし」
「我々はそもそも下っ端ですし、最も現状は仰る通り、そんな事を言っていられる状況では御座いませんが」

【やはり令嬢の如く、上品にカップを手にしコーヒーに口をつけて】
【男性からすれば、この上なくたまらない女性に見えるだろう】

「厳島中尉か……なるほど探偵というと……」

【ここで少女がタブレットを取り出して】
【その画面をスワイプしながら】

「チンザノ・ロッソ、か?確かに対黒幕の関係性を持っているな、チームMだったか?でも斜線が引いてあるって事は、亡くなってる?」

【ぐっとタブレットの内容を睨む様に見ながら】
【一方で杉原は、背後のサブマシンガンを構えた女性と、霧崎を交互に見ながら】

「なるほど、それほど理解がお深いご様子でしたらお話は早く済みます」
「魔導海軍連合艦隊司令長官、土御門晴峰元帥が病に倒れられ、代理として蘆屋道賢海軍大将が司令長官として就任いたしました」
「しかし蘆屋司令長官は、土御門方の研究していた魔導イージス艦の研究に着目、これを奪い我が物とするために、呪いを持って土御門元帥を病床に落としこみ、自らが司令長官の座に座ったのです」
「魔導イージス艦の技術は、ともすればこの世界の制海権を、軍事バランスを崩壊させる物、加えその研究は非道を尽くした物」
「故に、土御門元帥はこの研究を永久に凍結、封印させようとしていました」
「この国に潜入した海軍諜報部、厳島中尉がそれに気付き調査を開始したその直ぐ後でした、彼ら諜報部の身柄が拘束されたのです」

【ここで、タブレットを睨んでいた少女が、そのタブレットを指して】

「こうなる事を予見したのか、厳島中尉は本国の我々土御門派の将校や陸軍宛に、ある文書を送っていた」
「この国で何処の誰と関わり、何があったのか何を得たのか、彼の行動の全てが記載された文書それが『い号文書』だ」

【故に、チンザノ・ロッソの名前が出た、と】
418 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2018/12/02(日) 01:39:51.72 ID:9twZ21X50
>>417

あら、お気になさらずとも。美味しいんですよ、ここのラーメン。

【どう見ても、ラーメンなんぞ出てくるわけもない店だが、霧崎は良いようにつかっているのか】
【自分がメニューだと言わんばかりか、それともあまりにも良くしてくれるのが当たり前という】
【令嬢っぷりからかそんなことをさらりと言ってのけた】

旧態依然した組織というものはそんなものかもしれませんね。
まあ、ヤクザなどという時代錯誤も甚だしい、我々が言えたものじゃないかもしれませんが。

【コーヒーカップを置き、一つ咳払いをすると】

それで、厳島中尉と協力体制に有った貴方方が今度は現長官派に狙われていると。
…いくら、厳島中尉一派を逆賊と吊し上げていても、陸軍である貴方方まで槍玉に挙げるわけにはいかない
だからあんな姑息な刺客を送り込むような真似をして、内々で処理しようとした…というところですかね。


そしてこちらとしても“黒幕”についてご存知なら、説明を省かせていただきますが。ご存知である通り
探偵はチームMの一員として“反黒幕”の活動をしており、厳島中尉と協力体制に有ったようです。
そして、ご推察のとおり、探偵はすでに死亡しています。チームMはもはや主要メンバーは活動が困難な状況にあります。
次の一手――いえ、最後の奥の手を計画中ですが、これは大きな賭けと言えますね。
できれば厳島中尉のお力添えが必要だったのですが…このような事態に。


【「それと…」と話し終えたあとに、霧崎は】

杉…原さんでよろしかったですか?先程からなにか気にされていまうが、私の顔に何かついていて?

【なんて、霧崎は社交界で鍛えた、決して下品でも嫌味でもない繊細な微笑を浮かべた】
【ただ、後ろにいる青髪の女は勘が鋭いのか、ものすごい剣幕のガンを飛ばしてくるだろう。口パクでなにか汚い言葉を言いながら】


/すみませんがこれにて今夜は御暇しなければならず…しかも2,3日は時間がとれそうにないものでして
/置きに移行するか、こちらでそのまま凍結か置き気味進行にするかなどおまかせしますので宜しくおねがいします
/お疲れ様でした!
419 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/02(日) 01:50:47.03 ID:8SgpjHbS0
>>418
//了解致しました、では置きに移行という事で、置きスレにお返事書かせて頂きます
//本日はありがとうございました、お休みなさいませ
420 : ◆zO7JlnSovk [saga]:2018/12/03(月) 22:53:30.20 ID:/dtKDlDCo
置きレス>>39

【背筋がしずと揺れた、──── 身体の芯から沸き上がってくる感覚を、両の手でぎゅっと押し留める様に】
【息を吐いて身震いして、とろんと蕩けた目尻を濡らし、──── そうしてもう一度、貴女の手に委ねてしまって】



ぅ……ん、──── ぁは、 消えるよ、全部、ぜーんぶ、消えちゃうんだからっ



【でも、それは同時に実現もしない、虚神として力を持たせる根源は、集合的無意識に刻み込まれた】
【蛇という存在に対する無意識的な恐怖、──── 或いはサーペント・カルトに関するいざこざに関して描かれたルーツ】
【けれどもそれは最早風化しつつあった、力という観点で見れば、それはずっとずっと弱まっていて】

【或いは同時に全能者のパラドクスがあった、人類を滅ぼしてしまったら、その事象は "認識" されない】
【イルの目線はそう伝えていた、──── 貴女には力がある、けれどもそれは、尺度という値でしかなく】
【言ってしまえば張り子の虎と同じように、行使するには難しいものであったから】




──── キライだよ、キライ、キライ、大キライ、──── ねぇ、どうして好きになれるんだろう、ボクは分かんないよ
誰よりも何よりも、何処までも、──── キライでキライで仕方なくて、全部全部消えちゃえば良いって、ボクは思ってて



鈴ちゃんは、ボクを選んでくれたんでしょ、──── だったら、ボクの願いに、従ってくれるよね



【瞳を向けた、──── 真っ直ぐのぞき込んで、最後の一瞬まで目を逸らさない様にして】
【脅迫に近い、告白には程遠い、それでも、──── 貴女という存在に、心の底から訴えかける様に】




                 【──── 裏切らないで、って、親友に約束する女学生みたいに】
421 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2018/12/05(水) 02:42:50.51 ID:7L7u+7Ry0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/09(日) 03:27:01.49 ID:QmFymuZd0
【街中――噴水広場】
【ごく夜深い時刻だった、見上げるのなら太陽はいくらか遠くて、けれど、そろそろ疲れたように月が傾き始めている】
【真っ黒の夜空にぽつぽつと浮かぶ綿埃のような雲の隙間から覗くのは冬らしい満点の星空で、――、ちら、と、流れ星の流れる刹那まで、きっとよく見えるのは】
【見える限り建物の明かりがほとんど消え果てた時刻であるからなのだろう、――ならば、とっくにライトアップも水の吹きあげるのもやめた噴水の淵】
【一つ人影が座り込んでいるのがよく目立って。ましてやそれが年若い女、――というにもいくらも少女であるのなら、余計異質に目立つ、のかもしれなくて】

――――――、……。

【――ぴゅうと風の吹き抜ける風の音と、遠くにかすかに聞こえるクラクション。それ以外はごく静かな夜であるなら、少女もまた倣うように沈黙を重ね】
【けれどその手元が見える距離まで近づくのなら、その手に持つのは真っ暗なままの画面の携帯電話であるらしく。ひどく華奢な指先、何度も電源ボタンに触れるけど】
【どうやら/どうにも電源が入らない様子だった――ならば、どうやら充電が切れているらしい。ふっと溜息一つ、ごそとしまい込むなら、もう一度、ため息一つ】

――――電源、入んないや……。

【そのまま後ろの冷水に落っこちてしまいそうに夜空を見上げる刹那、ちいちゃく呟く声、ぽつ、と、わずかに声を出しづらい時の声音】
【また溜息をついていた、――そろと流れる視線、傾げる首の仕草に、腰まで届く黒髪までも真似するみたいに、揺れたなら】

【――――――ころ、と、そのまま噴水の淵に寝転ぶのだろうか。ならば緩く瞼すら下ろしてしまう、どうにも、そのまま、その場で眠ってしまいたいみたいに、】

【腰まで届く黒髪はごく丁寧に手入れされた艶めきを孕んでいた、雪より白いような肌と、顔はいくらもあどけなさを残すもの、開けるなら瞳は左右で色違いの黒赤色】
【華奢な身体をすっぽり隠すみたいに腰丈のポンチョコートは深い黒色のもの、厚い布地のジャンパースカートも黒色で、ただ、シャツとスカートより溢れるフリルは白く】
【爪先の丸い底の厚くて踵の高い靴は赤いなら、どうにも色合いを三つしか持たない。年頃は十六ほどであるなら、やはり、悪い子にしても行き過ぎた時間帯】

………………………………。冷たい、

【噴水の淵は石造りの椅子仕立て。そこに少女はいくらかの間、ほっぺたをくっつけていたのだけど。――。批難がましい声は、どうにも、鈴の音とよく似て、涼やかで】
【かえって冬の夜に聞くには冷たすぎるような気もした。――――それでも何か目的があるみたいに、或いは何か自棄っぱちにも似て、少女はそのままであるなら】

/いくらかの間のんびり募集しておりますっ
423 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/09(日) 21:21:39.35 ID:qz00o0On0
>>422

【コツコツと、一定のテンポで革靴の足音が聞こえてくる。】
【そしてそれは貴女を見つければさらにテンポが速くなり、次第に駆け寄る気配を感じるかもしれない。】


あ、あのっ!大丈夫………ですか?
何かお困りなら―――って、よく見たら随分若いね君。こんな時間に何をしているんだい?


【そして足音の主は焦ったような声色で話しかけた後、少女の姿を見て少し怪訝そうに言う。】
【その人物は全身を新品の黒いスーツで包んで、黒い長髪は後ろで結んだ碧の瞳の身長170cm程の中性的な容姿の若い女性だ】

【恐らくそれほど年齢は変わらないだろうが、スーツの女性は少女の肩に手を置こうとするだろう。】


何かあったなら力になるよ、だから起きて。こんな所で寝てたら風邪ひくし最悪凍死の危険もある。


【スーツの女性は当然の事を当然のように言った―――。】

//まだ大丈夫でしょうか?
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/09(日) 21:45:12.72 ID:GAwwW8v+0
>>423

【こつこつと足音が聞こえてなお、――少女はその場から動く気はないようだった。であれば、とりあえず、保護されたくない家出少女では、ないらしい】
【寒さのあまりにどうでもよくなっちゃったみたいな沈黙重ねて、横むきに寝転ぶ姿勢のまま、やがてゆるり開ける眼は右目だけの赤いウィンク、じとりと見上げるなら】

歳見て態度変えたでしょ。

【――どうにも人間味ない声でしゃべる少女だった。とはいえよほど合成音声のたぐいというよりか、明確に肉声であるのに、どこまでも、どこまでも、鈴の音とよく似る声】
【赤い眼差し一つが瞬きするなら、続けて左の目――こちらは黒色――も開けて、それから少女は身体を起こすのだろう。――ぞろ、と、衣擦れの音、それもどこか冷たげに】

…………携帯の、充電が切れてて。しばらく放っておいたから、――、もし、今、点くなら、見ようと思ったの。

【なれば相手が彼女の肩に手を置くのは、そうして彼女が縦になってからであるのだろう。ごく華奢な肩のラインに、真っ黒く長い毛先がもったりと引っ掛かって】
【けだるげな首の仕草に全部がすとんっと腰元まで落ちていって、勢いに任せてかすかに跳ね上がる。それも落ち着いてしまうなら、良く手入れされた艶めきが鮮やかに】
【淵にぴったり添えていた頬っぺたをしきりに手で擦るのならやはりどうしたって冷たかったらしかった。――相手の言葉にはいくらか怪訝な目が向くのは】
【一番最初の言葉が理由なのかもしれなかった、なんて。――とはいえ、よほど嫌そうで今すぐにも悲鳴を上げて助けを求めるような仕草では、少なくともないのだから、】

――別に、見ても、きっとなんにも変わらないけど。

【――――相手のごく当然な言葉には、明確な返答をしなかった。誰も誰であっても自分の力にはなれぬと信じているのか、それとも風邪も凍死も怖くない超人体質なのか】
【冬の雀みたいに着ぶくれの少女だった。真っ白な頬っぺたはよく見れば寒さに赤らんでいて、だから、やっぱり、このまま置いておけば、凍死はともかく、風邪くらいは、引きそうな】

/だいじょーぶです!気づくの遅くなってしまってすみません!
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/09(日) 22:00:05.30 ID:GAwwW8v+0
>>423>>424
/すみません、10分しないで戻ると思いますが、次少し遅れてしまうかもしれないです、申し訳ないです!
426 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/09(日) 22:02:04.84 ID:qz00o0On0
>>424

【赤いウィンクで見上げられれば、スーツの女性も少しムッとしたように眉を曲げるが】
【すぐにため息を吐いて肩を竦めてから少女の隣に腰掛けようとするだろう。拒否されればしない。】

そりゃそうでしょ、君ぐらいの歳がこの時間に出歩くのは良くないし。
それにこんな所で寝てて痴漢にでもあったら大変だからさ、君みたいな容姿なら特に。

ちなみに俺は警察(※インターン)だから見回りさ、ちゃんと理由がある。


【少女のまるで人形のような容姿に鈴の音のような声、それにどこか引き寄せられるものを感じる。】
【だが咳ばらいを一つして切り替えれば口から出てくる言葉はどこか生活指導じみたものばかり。】

【そして自分の身分を明かしながらスーツの内ポケットから警察手帳を取り出す。】
【名は真諦院 正義=B役職は水の国警察刑事局異能犯罪対策係(インターン) ≠ニ書かれている。】
【インターンと言う事は結局のところは学生なのだろう。】


携帯が?それなら家に帰っても見れるじゃないか。
まぁ一応俺が持ってる携帯用モバイルバッテリーを使ってみる?どんな機種でも対応できる優れものだよ


【少し得意げな表情をしながら真諦院はジャケットのポケットから今度は平たいバッテリーを取り出す。】
【最近発売されたばかりの商品で、バッテリーの上に端末を置けばどんなタイプでも充電できるらしい………】
【真諦院は微笑みながらそれを差し出す、冬の寒さに彼女の頬も赤くなっていく。】
427 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/09(日) 22:02:37.73 ID:qz00o0On0
>>425
//了解でございます!
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/09(日) 22:19:10.53 ID:GAwwW8v+0
>>246

――――もう、二十五歳の、大人なのに? 大人だからね、いいんだよ、夜遊びしても。お酒だって飲んでいいの。
痴漢のひとが来ても追っ払うから大丈夫だよ。………………。……おまわりさん? わたしより、子供みたいなのに。……。

【いくらか拗ねたような声をしていたから、彼女自身、大人びた姿でないのはとっくに承知しているらしかった。――そのうえで、子供扱いは気に喰わないらしい】
【大人だからこんな時間に遊んでいてもいいし、お酒だって飲んでもいい。誇るように言うのならずいぶんと子供ぽかったし、どうにも彼女は素面に見えた】
【そうしてどうでもいい余談として、――おそらく煙草は嫌いらしかった。大人らしさを誇るために吸ってみる気はなく、そして多分。ブラックで珈琲が飲めないタイプ】
【――痴漢なんて怖くないって答えるのなら、彼女もまた"おんなじ"ことするのだから、失礼な話だった。――相手のこと、ずいぶん年下みたいだって、勝手に言って】

インターンって、なんだっけ。……。……ああ、あー、学校のやつ。――――だっけ。
学生さんなの? ふーん、こんな時間に、何してるの? だめだよ、悪い大人に捕まっちゃうの。それに、痴漢とかだっているし、寒いし――。

【ぱちくり瞬き。――そうしてなんとなく理解したなら、相手を学生と決めつけて、やれ夜遊びは駄目だとか悪い大人がいるとか寒いとか、さっき自分が言われたことばかり】
【つまりは彼女も分かっていてやっていたのかもしれなかった。どこか冥い目をしていたのなら、自傷としての夜遊びなのかもしれなかった。――相手とはきっと違う理由にて】

……一人じゃないと、見る気がしなくて。それ、わたしのやつで、使える? わたしね、あんまり使わないから、あんまり新しいやつじゃなくて――。

【そしてどうにも家だとみる気がしないと言っているらしかった。或いは、――なにか見たくない理由を探しているような。何か気まずさを孕んだ、仕草と声して】
【相手がモバイルバッテリーを貸してくれると言うのなら、――少女はコンマ数秒の思考の後、ふわふわのスカートの上、ぺそんっと携帯電話、引き摺り出す】
【――――――結構割と旧い機種であるのだろう、保護フィルムには傷もついていなくて。ましてや液晶が割れているということもなくて、丁寧に使っていることは分かる、けど――】

/お待たせしましたっ戻りました!
429 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/09(日) 22:36:11.68 ID:qz00o0On0
>>428

―――え、25歳?ええと………それは………し、失礼しましたぁ………。
てっきり10代中盤かと、いえ、でも、やっぱり夜の公園は物騒ですからね。

一応もう18で学校を出る年です、はい。何か色々と勘違いをしてしまって申し訳ないです。


【相手の実際の年齢を聞けば、少し固まって間が空いた後ぼそぼそと呟いて俯く。】
【そこからはなんとも歯切れの悪い様子で、さらにいきなり敬語へと変わっている。なんとも移り身の早い】
【相手に弄られながらへこへこと頭を下げて上目遣いに申し訳なさそうな視線を向ける。完全に立場は逆転した。】

あ、はい。今年で卒業なので進路を決めることもかねて水の国警察に所属させて頂いていまして。
その一環で深夜の見回りをしているんです。最近は何かと物騒ですから―――。

一応それなりに腕に自信はあるので、たいていの犯罪者は例え能力者でも負けません!


【なぜか胸の前でガッツポーズをしながら、半ば勢いも混じった宣言をする。どこか暑苦しい。】
【立場は逆転したが、相手が何か困っている様子なのは変わらない。そのまま居座るだろう。】

何か見たくない・見られたくない記録でも残ってるんですか?
それなら俺は覗かないのでちょっと起動してみてください、多分いけると思うので多分………。

それでも駄目なら明日一緒にメーカーに持って行ってみましょう。

【真諦院は身体ごと相手に背を向けるようにしながらそう答える。】
【だが彼女の言った通り中々に優秀なモバイルバッテリーのようで、何か特殊≠ネ事が起きていない限りは充電が即座にされるだろう。】
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/09(日) 22:48:02.08 ID:GAwwW8v+0
>>429

――――――いいよ。みんな、わたしのこと、子供だと思うもの。だからお店でお酒とかも、あんまり、飲めなくて。

【――――途端に態度を変える相手の様子を見て、少女は数秒程目を丸くするのだろうか。ぱちぱちと瞬きして、それから、揶揄うように破顔する】
【子供扱いされるのは過度であれば不機嫌にもなるけれど、どうせいつものことだから。それよりもあっさりと掌を返した相手が面白いって言うみたいに、笑うなら】
【やはりこんな顔ではまっとうな店では酒ももらえないらしい。というよりも、こんな顔した子に当たり前に酒を出そうものなら、今時はその方がまずいんだけど】

――――――――――――――――――――――――――――。水の国の警察?
……そう、そっか、そうだよね、最近は、物騒だし、……。……わたし、しばらく、遠くに"お出かけ"してたから、よく、分からないけど……。
そうなんだ、……、……。

【だけれどそんなどうしたって子供っぽいからかいの表情は、長続きしないのだろう。色違いの眼を見開く一瞬、続く沈黙は数秒にもなって】
【訝るように尋ね返す声の刹那から、なんだか彼女の様子はおかしくなる。あどけない顔の眉をぐうっと潜めて、――さっき見せてもらったものにも、そう書いてあったはずだけど】
【どうにも読みやすくそして見慣れぬインターンの文字列に意識を取られてしまっていたらしかった。それが今更ながらに理解が追い付いたらしい、何なら途端によそよそしくなり】
【――水の国の警察と聞けば、どうしたって黒幕の文字が思い浮かんでしまった。その件で自分の顔は割れていた。そんなの今更気にすることでもないかもしれないのに、】

…………誰にも言わないで、いきなり、遠くへ行っていたから。

【けれど学生であると言うのなら、"違う"かもしれない。それを祈るのなら、少女はいくらか態度を戻しもするだろうか】
【もし言及されたところで、「――悪い事してなくても、緊張しちゃうでしょ」って、言い訳する。特別に疚しいことはなさそうだった。――本当に?(嘘吐き)】
【――故にどうしてもあまり見たくない気持ちになってしまうのは、長期旅行の前に炊飯器の中身を棄てなかったこと、帰ってきてから気づいたみたいに、開けたくないみたいに】

【――――それでもやはり最新技術か。少女が嫌々ながらに充電したというのに、携帯電話はもう待っていましたとばかりに充電を開始するから、だから、電源だって入ってしまって】
【「あぁ……」って低い呻き声は絶望によく似て。――。ならば、メーカーに行く必要はなさそうだ、と、どうにも相手に伝えるのだろう】
431 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/09(日) 23:02:21.92 ID:qz00o0On0
>>430

いえその………お若く見えるのはいい事だと思います。まぁお酒もトラブルの元になったりしますし
飲まないなら飲まないでいいのではないでしょうか。

あ、すみません。急に警察とか言われたら驚きますよね?今は魔法制≠ネんていういきすぎた法案もありますし
でもそんなに身構えないでください、職務質問とかではなく単純にお困りな様子でしたので。


【相手の反応にどこかしまったという表情をして、両手を振りながら弁明する。】
【とはいっても真諦院の思っている理由とは別の理由で相手は沈黙したのだが―――それは知る由はない】
【演技かもしれないが、どうやら目の前の人物は何も知らない≠謔、であった。公安でもないただの警察官だ】
【ただ警察と言う肩書がある以上信用に足るかどうかは相手次第だが。】


ええと―――自分探しの旅って奴ですか?
しかし誰にも言わないでとなったら確かに心配の連絡がたくさん入っているかもしれませんね。

―――心の準備がまだなら無理して見る必要はないと思いますけど………。
俺も苦手な相手からのメールとかちゃんと見れないタイプです。ハハハハ


【だがそれでも警察を志すだけあって相手の変化を感じ取ったのか】
【横目でちらりと振り返りながら適当な冗談で間を持たせつつ相手を気遣うような言葉を告げる。】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/09(日) 23:17:15.11 ID:GAwwW8v+0
>>431

行き過ぎた…………。……そう、だと、思うけど。――、職務質問でも、大丈夫なの。わたし、――、UTの給仕さん、だから。

【お若く見えるのは、――そんな言葉に彼女は目を細めていたから、やはりなにかコンプレックスでもあるのかもしれなかった。とはいえ、相手には関係のないことであり】
【――ただ、続く相手の言葉に。またぱちくり瞬くのだから、ずいぶんと表情が変わりやすいし、分かりやすい。行き過ぎている。自分もそう思う。――それだけで、】
【彼女自身もまた能力者なのだと伝えるのだろうか。――ならば、やはり、黒幕側ではない? 疑る気持ちはそれでも薄皮一枚、内側へ潜めて】
【だから続く言葉は何か牽制としての意味合いを持っているのかもしれなかった。それでいて、しばらくとんと名前を聞かぬ組織の名前で、あるなら?】

――そう、かな、……そう、かも。自分探しの旅、……、――――うん、そう、かな。……ぜんぶ、急に、……嫌になって。
だけどね、――、何か、は、見つかったの。でも……、そんな"わたし"は、きっと、みんな、嫌いだから。……。見つからない方が、良かったのかも。

【「わたし以外のみんなにとっては」】

【――――ひどく自嘲めく声、なにか嘲るように/自分をばかにするみたいに笑うなら、その吐息はきっと白く立ち昇る】
【数秒の考えの後に、少女は相手の言葉を肯定していた。自分を探しの旅に出て、見つけたものは、誰からも歓迎されぬ自分であったのだ、と、】
【しかしそれでいて彼女自身は"そんな"自分に納得しているのだと。――だからひどく悲しげでもあった、から】

………………。じゃあ、電池だけ、もらうね。見るのは、後で……。……。苦手なひと……。学校の、先生、とか?

【――だから相手の言葉に甘えることにする。それでも気が向いたときにすぐにみられるように、電池はもらっていく、なんて】
【続く呟きは、「わたし、学校って、行ったことなくって……」――なんて、】
433 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/09(日) 23:34:26.54 ID:qz00o0On0
>>432

えっ、UTってあの?―――これは、なんというかあの、色々と失礼を重ねてしまいまして。
少し前まで何度も世界を救われた組織のメンバーの方だったとは。

最近は名前を聞かなくなりましたが、それでいいんだと思います。
ずっと誰かに傷つく役回りを押し付けるのは良くないですし、本来ならば警察などがもっとしっかりしていれば…

だから貴女達が守った世界を少しでも良くできるように俺も頑張ります…!


【UTという名前を聞いて、一度目を見開いてから一度深々と頭を下げて非礼を詫びる。】
【そして相手の「遠くへ行っていた」という言葉と合わせてどこか勝手に解釈し、なぜか勝手にやる気になる。】
【本当に色々と無知な子供のようであった。世界の裏でどんな事が起きているのかあまり知らないような―――。】


貴女はもう少し休まれてもいいんですよ、今まで素晴らしい事をされてきたんですから
―――ええと、そんな事はないと思いますけど………貴女が見つけた答えならみんなきっとわかってくれるのでは?

なんか知ったような口ばかりで申し訳にですが、貴女を思う人はたくさんいると思いますよ。
俺も会ってまだ少しですけど貴女の力になりたいと思いましたから。まぁ俺なんかができる事は少ないですが

だから―――そんな顔はしないでください。もし誰かに拒絶されても俺が貴女と貴女の見つけたものをを守りますよ。


【「だから貴女のしたいようにしてください!」と湿っぽくなってきた雰囲気を大きくした声量で誤魔化す。】
【非常に不器用であまり本質を分かっていないようであったが、相手を思いやる気持ちだけは本当のようだった。】

【「今からでも学校遅くないですよ!一緒に夜間とか探しますか!あとバッテリーはごともう差し上げますよ!」】

【そして勢い余ってとばかりに続けざまに言葉を紡ぐ、非常に暑苦しい。鬱陶しいと感じてもおかしくない】
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/09(日) 23:52:52.01 ID:GAwwW8v+0
>>433

――――――――あっ、いや……、えと……、……――あの、えっと……、その、でも、わたし、お料理作る、だけで、……、その、
"みんな"みたいなことは、しなくて……。お料理を作るのだって、わたし、ずっと、居なくて――。だから、

――"そういうの"は、セリーナや、他のみんなに言ってあげてほしいの、――――――ね。

【相手が深々と頭を下げるなら、彼女はひどく狼狽えたように。曖昧な位置でまごつく両手は、どうにもさっきの相手の写しのような。――やがて指先は曖昧に垂れ】
【――自分はどこまでいっても給仕なのだと。お仕事なんてお料理を作ること。以上。あとはまあ、お掃除をしたりも、するけれど――みんなのように戦うわけじゃなく】
【だからそんな言葉を貰うとしたら自分ではなく他のひとなのだと。――ただ一つ相手が知ってさえいれば、"UTの給仕"と言えば、】
【UTの店舗を使って月に二週間ほど、孤児や何らかの理由でまっとうな食事にありつけぬ子供たちに対して無償で食事を振る舞う慈善事業、"たんぽぽ"の発案者であり、】
【ただし"たんぽぽ"については、ごく直近のニュースを騒がせた名前でもあった。集団食中毒を出したのだと言う。そしてその時に、発案者たる少女は長く留守の最中であった】

そうだったとしても、……わたし、ずっと、居なかったの。半年くらい、かな、……。もう全部、嫌になって。何もかも、嫌になって。……。だから、
――だから、駄目だよ。ほんとは、そんな風にしたらいけなかったの。……。でも、嫌になっちゃった。……。疲れていたのかも、しれない、けど――。
――――ううん、そんなこと、あんまり、ないみたい。だけどね、――分かってたんだ、綺麗じゃないわたしなんて誰も要らないって。でも、ちょっとだけ、

ほんのちょっとだけ、期待してたの、かな、――ばかみたいに、

【ふらふら首を揺らす仕草。自分のしたことがどれだけ素晴らしいのだと誰かが言ってくれるのだとしても、きっと彼女は上手に受け止められない自分を分かっているし、】
【行方をくらましていたことにどうしようもない罪悪感を抱いてもいるらしい。かといって、今思うに、回避できる道筋はなかったのだとも、きっと、理解している】
【――どうあれ現状として、相手の言うような状況にはなっていないらしいのだ。夜空を仰ぐのなら、――さっきより雲が増えていた。かすかに喉が震える、刹那に】

――――――――ふふっ。ありがとう。……学校だって、小学校から、行ったことないし。バッテリーは、……高いやつ、でしょ?

【その声量が、たとえ何か湿っぽさを誤魔化すためだったのだとしても。少女には何かしらの効果があったらしかった。へに、と、脱力した笑み】
【そんな最初っからでも教えてもらえるのかな。小さな呟き。――バッテリーは高いやつでしょ、って、だから、今借りられたら、それで充分なんだって、】
【――鬱陶しいとは、思っていないらしかった。それよりむしろどこか羨むような目すらしていた。――――自分にはないものだから】
435 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/10(月) 00:15:57.02 ID:x/0bf2rq0
>>434

それでも凄い事じゃないですか、おいしい料理を作って誰かを癒すのは戦うより大事な時もあります。
貴女がいたから。UTの皆さんもつらい戦いを乗り越えてきたって事もあるはずです。

分かりました、貴女と貴女の大切な仲間にいつかきっと胸を張れるような自分になったらお礼を言いに…

―――そういえば、まだお名前聞いてませんでしたね。俺は真諦院 正義(しんたいいん せいぎ)です。


【真諦院は相手が狼狽しても首を横に振って、そして微笑んでから相手を肯定する。】
【そしてUTの給仕、それからつながる「たんぽぽ」についてニュースで見聞きはしていたが】
【さすがに何か大きな事情があるのだと察したのか、話題には出さない。そうして】
【話題を変えるように改めて自分の名前を名乗った―――。】

俺も色々と重なって嫌になって、自暴自棄になった時はありました。それも最近です。
貴女の抱える悩みと比較するのはおこがましいかもしれないけど………

でもある人と出会って、元気づけてもらって、それから前向きにやっていこうって
その人みたいに隣で困ってる人、悩んでる人の力に少しでもなれればって思えるようになりました。

―――だから、俺の助けじゃダメでしょうか?貴女が抱える問題は分からないけど少しでも一緒に考えるぐらいはできます。
良かったら友達になりましょう。俺は絶対に最後まで貴女を守りますから………


【相手の悩みの深層は分からない、事実それは真諦院が想定するレベルをはるかに上回っている事態なのだから】
【だが幸か不幸か、何も知らない真諦院にとって相手は尊敬する正義の先輩であり、寄り添うべき隣人だった】
【本当に勢いで言っているだけだが、相手をじっと見つめる。覚悟だけは本物のようだった。】

いえ、まだまだ間に合いますよ。何か勉強したい事とかありますか?―――料理とか?
ええ………今月の生活費を削って買ったものですが………また電池がきれて機会を失ってもあれですし
―――じゃあしばらくお貸しするって事でどうでしょうか?色々と決心がついて見れたら返却してください
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/10(月) 00:35:48.21 ID:1VxOogIp0
>>435

【――――いくらか言葉に詰まるような間があった。色違いの眼をなんとも瞬かせて、なにか言葉を探すようにあちらへ、こちらへ、「あ」とか「う」とか小さな呻き】
【否定しようとしながら、けれど否定するのは失礼だと分かりながら、かといって受け入れるには気恥ずかしいような、だけれどまったくおんなじ言葉、たとえば、】
【たとえば、――、もう長らく会えていない"リーダー"に言われてしまったなら、その瞬間に子供みたいに泣いてしまいそうな。辛うじて耐えられているような、複雑な】

……――、……鈴音。白神、鈴音、……、白い神様の、鈴の、音って、書いて――――。

【しらかみりんね。――相手も漢字を使う名前であるのなら、字面も添えて。ふわふわのスカートの布地の上、指先で、記してみる】
【なにも痕は残りやしないけど、きっと相手にも分かるだろうか。――ごく何か複雑な顔をしていた。ゆえにこそ、おっきな声で言い切れる相手に、時々押し負けるんだと伝えて】
【――相手の気遣いにも気づいているのかもしれなかった。そのうえで何にも言えないのは、やっぱり、長い間、"逃げ"ていたからに、違いなく】

――――――――。

【――――――――ぱちり、瞬き。驚いたかんばせが、けど、やがて柔らかく解けるのに、時間はあまり、かからなくって、】
【ふらっと足を揺らす仕草があった。二人の距離はごく友人同士のような近さだった。そうして向ける表情も、きっと、そんな色合いによく似ていて】
【だけれど少女はいっとき返事をしなかった。足をふらふら揺らして、勉強したいことについては「ぜんぶ」と答える。「お料理も」なんて、あどけなく笑い】
【「算数も国語も全部やりたいの。普通の子が教わること、ぜんぶ」――――――――、なら彼女は"普通の子"でなかったと伝えるには十分で、】

…………わたし、ね、今まで我慢してたことがあったの。それをね、もう、我慢しないって、決めたの。嫌なこと、……嫌だって言うし、そういうの、"する"って。
――わたしが。わたしがね、ここで我慢したら、終わるんだよ。こんなこと。わたしが我慢して、嫌だったこと、誰にも言わないで。そしたら、終わり。――――だけど。

わたし、もう、イイコなんてやめるって決めちゃった。だからみんなに喧嘩売ったの。……だから、わたしと友達になったら、一緒に、怒られちゃうかもしれないよ。

それに、わたし、弱虫だから――、そんな風に借りたら、もしかしたら、返せないかも。

【ふらりと揺らした足の仕草で、高いかかとが石畳を転がった。黒板に爪を立てる瞬間の躊躇いに似る温度感、少しだけ居心地の悪いような沈黙を満たしたら】
【やがて少女はそんな風に言うのだろう。限りなく現実を誤魔化す言葉でもあった。それどころではなかった。だけど、――きっと、そんなに、間違いではない言葉】
【友達になったら一緒に怒られるかもしれない、も、もしかしたら返せないかもしれない、も、本当だった。まして後者については、――"返す自分だって居なくなるかもしれない"】

【――――困ったように笑っていた。勢いから来るものであっても覚悟が本当であるなら。だけれどその覚悟が本当であればあるだけ、自分の存在は相手を傷つけてしまうから】
437 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/10(月) 00:55:47.63 ID:x/0bf2rq0
>>436

―――鈴音。いい名前ですね。なんというか名は体を表すって本当なんだなって思いました。
じゃあ鈴音さんって呼んでもいいですか?俺の事も正義って呼び捨てでいいので。

全部≠ナすか、よし分かりました!じゃあ俺の使ってた教科書とかを今度持ってきますよ
それでまずは俺と一緒に色々見てみましょう、そして中でも興味が出たものをもっと調べていきましょう。
そしていつかは―――学校、入りましょうよ。


【「大船にのったつもりでいてください!」と無い胸を張りながらにっこりと笑顔を作る。】
【尤も真諦院の得意科目は体育であるが、それ以外もそれなりには優秀なのである程度は教えられるだろう。】
【「逆に料理は教えてくださいね」とどこか恥ずかしそうに笑いかける。】


うん。我慢しなくていいですよ、だって今まではずっと我慢してきたんでしょ?
ならそれを一度ぶちまけてしまうのも、選択としてはありだと思いますよきっと。
―――喧嘩、ですか。

鈴音さんはきっと優しい人だと思います。けどみんなと喧嘩しないといけないと言うのなら
俺は―――一緒に怒られますよ。そうした方がきっと後で¥ホい話にできるんじゃないですか?

だから―――黙っていなくなったりはしないでくださいね。


【一瞬、とても悲しそうな顔をしながらもそれでも真諦院は一緒に怒られると決めた。】
【それはきっと事の本質を知っても変わらない。何かより良い方法は探すかもしれないが】
【もはや決めた事を覆すような事はしない。そういう性格だった―――「大丈夫!」】

【何に対してなのかは分からないが、最後にそう言うと右手の親指を立てて笑いながらサムズアップした。】
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/10(月) 01:19:19.69 ID:1VxOogIp0
>>437

【「――――――――わたしも、呼び捨てでいいよ」】
【はにかむような声で彼女は答えるのだろう。とはいえ無理にとは決して言わないのだけど。――それになんだか、どこか、気恥ずかしい気がして】

え、――、ほんと? ……でも、学校とか、忙しいんじゃ、……、それに、わたし、大人――なのに。年下の子、に、――そんな。
――――えう、……――、ぁ。……。えと――、――、……。…………うん、

【一瞬ぱぁと表情が輝いたように見えるのは、きっと、気のせいではないんだろう。学校で使うような教科書だなんて、ほんとに、見たことなくって】
【近頃はインターネットのオークションでとか言う手もあるらしいのだけど。彼女はどうにもそのあたりには不慣れだから。――だから、嬉しい、って、目が煌めき】
【かといって大人である自分が、成人もしていない相手に小学校の勉強を教えてもらうのは恥ずかしいのかもしれなかった。それとも、或いは、純粋に申し訳ないというような】
【それでも、――最終的には押し切られる形で、彼女は頷くのだろう。であれば、いつかそんなこともあるのかもしれない、世界が終わらなくて、そして、彼女が、生きているなら】

【――――お料理を教えることについても、頷くんだろう。得意なことなんてそれくらいだから】

……本当はね、喧嘩なんてものじゃないの。もっと、非道いの。非道くて。わがままで。……。だから、みんなに、嫌いだって言われても、仕方ない。
分かってるの、……分かってるんだよ。だけど。……だけど、ね、我慢したまま、そのまま、――納得できないまま、いるの、絶対、嫌で。

………………――わたしなんかね、優しくないよ。

【――だって納得できない世界で生きるくらいなら、世界ごと滅んでしまえって思ってしまった。自分だけ死ぬなんて嫌だった。ある意味では無理心中に似ていた】
【少女が歯を食いしばってでも"我慢"すれば、何も変わらずに世界は流れてゆく。我慢しないと決めてなお、世界はこんなにも変わらずに流れてゆくのに】
【ふらふらと首を揺らす。優しくなんてない。――――だから、】

…………貴女の方が、……正義の方が、きっと、うんと、優しい子だね。羨ましいの、……わたし、ちっとも、優しい子じゃ、ないから。

【一緒に怒られてくれるって言葉も。黙って居なくなったりしないでなんて言葉も。――大丈夫って言葉と、元気のいいサムズアップも】
【困ったみたいな顔をする。それでいてどこか泣きそうな顔だった。だのにどこかで嬉しいような顔をしていた。ならば続く言葉は限りない本音であるのだから】
439 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/10(月) 01:23:53.01 ID:x/0bf2rq0
//すみません鈴音さんの方、ちょっと明日早いので本日はここまででもよろしいでしょうか?
//明日も遅くなりそうですが返信はしたいと思いますので!
440 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/11(火) 00:51:48.72 ID:KC1mAzj00
>>438

じ、じゃあ鈴音≠チて呼ばせてもらいますね…。
いえいえ、俺が貴女の力になりたいから申し出てる話ですし全然気にしないでください。

―――だから、約束≠ナすよ?

【微笑みながら真諦院は念を押す、それはまるで鈴音が背負っている物の大きさを感じ取ったかのようで】
【それでいて純粋にそうしたいという強い意志も感じられた。だから対等に約束≠オた。あくまで口約束だが】

【それでも、言葉にすることに何かしらの意味があると願っているから―――。】


そう………なんですか、―――でも俺ももう貴女を守ると決めたので。
だけどそれが鈴音≠ノとって良くない事だと感じたらもしかしたら話合わせてもらうかもしれません。
けど、鈴音を守る事だけは絶対に約束します。絶対に………。

だからもう少し自分を大切に思ってください。俺はそうじゃないと悲しい気持ちになります。


【きっと彼女は他者に対しての慈しみの心があると思ったから、だからそう言った。】
【出会ったばかりでどうすればいいのかは分からないけれど、きっと貴女は自分で自分を苦しめているような気がしたから。】
【だから何度だって言った「大丈夫」だと。】

もし本当にそう思うなら―――優しく≠ネりたいのなら
これも学校と同じですよ、今からでも全然遅くない。いつからだって人は何かを始められますよ。


//す、すみません遅くなりました…そしてヘロヘロなので次の返信はまた明日になります。申し訳ないです…
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/11(火) 00:54:44.04 ID:rw7ECONu0
>>440
/はい了解しました!昨日は本スレの方に気づくの遅くなってしまってすみませんでした……。
/この後お返ししておきます、おつかれさまですっ
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/11(火) 17:46:29.11 ID:rw7ECONu0
>>440

――――うん、約束、……、約束。

【なれば二人交わす約束にはいくらかの物悲しさが孕まれているのかもしれなかった。少女は何か叶わぬ誓いを立てているような目をどこかしていたし、】
【あるいは相手の前向きさが眩しくて目を逸らすみたいに、目を細めてもいた。だのに確かであるのは、彼女はそれでもどこか嬉しそう、――であり】
【押し切られたから嫌々契ったという風では全くなかったのだ。――だって、そうじゃないと、続く仕草すら説明できないのだから】

【――そうっと小指を伸ばしてみる。何にも証拠の残らぬ口約束ですら白い吐息で煌めくのだから、二人の指先までも絡めるのなら、もう少し、世界に確度を感じられる気がして】

【もしその意味が伝わって、そう契るのなら、少女は気弱そうに笑うだろうか。それでもひどく嬉しそうに眦を綻ばせて】

……………………変なの。わたしたち、さっき会ったばっかりなの。そんなわたしのこと、気にしなくっても、貴女の人生、なにもかわらなくって。
……んーん、むしろ、きっと、良くなるよ。――、わたしを守るなんて言ったせいで、――うんと、悪い人生になるかも、しれないよ?

わたし、――自分のこと、大切に、してるよ。いまは。……ヤなこと、ヤだって言うし、我慢だってしないの、――やめちゃったの。
それでね、夜中に、ハンバーガー作って食べちゃうし、――――、……。正義は、ほんとに、優しいね。……。

【だのに、続く言葉は苦笑を添えて告げられる、ほんのこれっぽちの邂逅の間にそう決めてしまって、それを貫こうとする、相手の様子に】
【やっぱり羨ましいし眩しいし嬉しい反面で、――それでもやはりどこかに褪めた色合い、宿してしまうなら。わたしのことなんて気にしなくってもいいんだよ、なんて、】
【約束までしたくせに今更だった。自分と関わることで相手の人生は悪くなるかもしれない。今となってはそういうたぐいの縁起の悪さを自分は持つのだと】
【――それでもいいって言ってくれる何かを求めてもいた。それでも、だからといって、もう遅いって言う諦念も宿していた。自分を大切にしてほしい、と言われたところで】
【そうしていると言ったところで、本当のところで正しく"自分を大切に思う"方法だなんて、知らない/知っていたところで理解していない、みたいな――――】

そう、かな――。――だって、わたし、悪い子だよ? みんなが思うような、いい子なんかじゃないよ。――、ほんとに、そうなの。
――たんぽぽを始めたのだって、優しかったからじゃないの。……わたしもね、むかし、お家がなくて。お母さんもお父さんも、死んじゃって。……路地裏に棲んでて。
ずうっとね、思っていたの。どうして誰も助けてくれないんだろうって。――――――わたしは、そのときの"私"に、何か、してあげたくて……。

【いつだって何か始められるって信じるには、少女はいくらも後ろ向き過ぎた。――何年か続けてきた"たんぽぽ"ですら、気高い理想なんてものは、一ツもなく】
【なにせ自分の家の亡い子だったから。もう十何年も前になるいつかの、今日みたいに寒い夜に、震えて春を待っていた自分に、手を差し伸べたかったから】

そのあとに、――いろいろなことがあって。助けてくれたひとも居たし、きっかけになる言葉をくれたひとも居たし、……やっていいよって、言ってくれた、ひとも居て。
だから、してるの。……わたしの、わがまま。"あの子"たちがご飯を食べているのを見ると、わたしの中の"私"も喜ぶ気がした、……、あの子たちが、生きているの、見ていたら。
なにか……、わたしのなかの、"だれか"の、気が済む気がしたの。……。……それで、あの子たちが、いつか、大人になって、くれたら――。

【二十五歳だと名乗った少女は、、始めに相手が思ったように、齢十六ほどにしか見えない子供であった。慣れてるって言って笑った唇は、何か、諦めに浸された色をしていた】
【――なら、彼女は大人になれないのかもしれなかった。もう二度とこのまま変われないのかもしれなかった。だけれどそれはあまりに"おかしな"出来事であり、】
【――――ただ、こんな世界であるのなら、ありうることなのかもしれなかった/そしてきっとありうることなのだった。だとしても、彼女が直截にそうだと言ったわけでは、ないのだけれど】
443 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/12(水) 00:32:41.11 ID:PGnimlnA0
>>442

あ、なんか懐かしいですね―――じゃあ。


【「ゆーびきりげーんまん」】
【それこそ子供のように頬を緩ませながら正義は差し出された小指に自分の指を絡ませる。】
【そしてテンポよく言葉を紡いで、ゆらゆらと指を揺らす。その間だけは世界は静止しているようだった。】
【しばらくすればそのまま小指だけでなく手全体を握手のように絡ませて、笑う】

いいえ、ここで貴女と出会ってそれでいて貴女に向き合わなければきっと後悔する。
だから………ありがとう=Bこの先に何があってもきっと良かったと言えると思います。
―――こうして鈴音≠ニ出会えたから。


って、夜中にハンバーガー食べたら次の日胃がもたれません?


【そういうと、握手していない方の手を口に当ててクスクスと笑う。】
【色々と気取っているようにも見えるがこうしてみれば年相応の少女のようであった。】
【それでいて一度結ばれた縁は必ず守るというのが正義の生き方でもあるようだった。】

【特に鈴音≠ヘどこか寂しそうだったから―――少し前までの自分を、今でも心の奥にある自分と似ているようで】

――――――そう、か。
じゃあやっぱり鈴音≠ヘ優しい人ですね。痛み≠知っていて、他者にそれを味合わせたくないから
だから手を差し伸べたんですよね?ならそれは優しい事だと、俺は思いますけれど。

………また、やりませんか?俺も手伝いますよ。特にこれからは寒くなる時期ですし。
例えばこの公園で炊き出しとか、暖かいごはんが欲しい人はきっといますよ。

【「なんて、いきなり色々欲張りすぎですよね」と苦笑しながら少し顔を俯く。】
【鈴音の話を聞いて、自分の無力さ、相手の抱える問題の大きさを感じ気持ちが後ろに向きそうになる。】
【けれどそれはもうしない事にしたから―――だからそれでも正義は微笑んだ、相手の手を一層握りしめながら。】

【そして相手の手を取ったまま立ち上がり、鈴音もそのまま立ち上がらせようとするだろう。】

//本日も遅くなりました…!
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/12(水) 00:56:19.10 ID:mchj2yR90
>>443

【ごく懐かしい音階。小さい頃に母としたような、柔らかな声音にて、二人は契るのだろうか。ふたり小さな声で歌って、――それから、】
【その両手をぎゅうっと握手の要領で包み込まれるなら、少女はぱちくりと目を丸くする。――少し/結構/それなりに冷えているらしかった、寒そうなのは、嘘でなく】
【それでもどこか楽しげで、寒いから帰らなくちゃって言い出さないのは、――きっと相手と出会ったからなのだと伝えるのだろうか、柔らかな雰囲気がそれを後押しするよう】

【――だから、繋がれた手を、やがて少女もきゅうっと握り返すのだろう。そんなに力強くはなくて。けれど、剥がれてしまいようにか弱くも、なくて】

やっぱり、――――――変なの。お回りさんになりたいひとって、みんな、そうなの――? ……、わたし、最近ね、警察って、なんだか嫌なことばかりで……。
……、あ、とね、悪い事をしたわけじゃなくって。その、なんていうか、――……。――いろいろと。……だから、ごめんね、さっきの、……。

"そういう"警察のひとなのかなって、ちょっとだけ、思っちゃったんだ。……。――ごめんなさい。

【ならば、やがて伝える言葉は、あるいは償いにも似るのかもしれなかった。最初に、相手の名乗りに対して珍妙な顔をしたのは、それが理由だったのだ、と、】
【本当であれば伝えるつもりがなかった言葉なのだと思わせた。それでも伝えることにしたのは、きっと、相手への償いで、そうして、信用の証、――のつもりで】
【けれどひどい話でもあった。相手がきっと目指してきた、今も目指している、なにかを。少女は疑っていたのだと、まっすぐに信用できないのだと、伝えるのならば】

【――ほんの少しだけ視線を下げていた。気分を損ねるかもしれないって分かっていた。それでも、――、それでも、それが見せるべき誠意であるかのよう】
【(夜中にハンバーガーを食べることで胃がもたれるんじゃないかって言葉にはよく分からない顔をしてもいた。胃もたれなんてものは無縁なのかもしれない、なんて、余談)】

――違うの、違うの……、そんなに、綺麗な気持ちじゃ、なくって。……。……違うの。私が言ってもらいたかったみたいに、「おいで」って言って、
私がしてもらいたかったみたいに、暖かいお部屋で、ご飯を作ってもらって……。私がしてほしかったみたいに。私が……。わたしは、私のためにしか、してないのに、
みんなが思うみたいにいい子じゃないのに……………………。

【ずり、と、小さな音。お行儀悪くも、彼女が足を座っているところに持ち上げた音だった。さながら体育座りのように、身体を、ちぢ込めようとするなら】

…………駄目だよ。今、わたしがやったら、いろんなひとに、迷惑をかけちゃう、……。わたしが居ない間のことだったからって、わたし関係ないですって、言えないもの、
……――――――っ、あ、

【視線をうんと下げてしまう。少女の顔と名前と件の花の名前が合致している人間はきっとごく多かった。そしてその名前に、食中毒という単語が紐づいている人間も、きっと】
【ましてや、まだ最近過ぎる出来事だった。だから、なんにも関係ない場所で、お店が使えないからって、そういうことをするわけには、――、(だけど、きっと、ほんとは、)】
【なにか諦めようと努めるように笑って少女は顔を伏せる。そうしてぎゅうっと体育座りを完成させようとした、瞬間なのだろう。ぐいと腕を惹かれるのなら、】

【――――目を真ん丸にして、少女もつられて立ち上がる。百六十センチの身長に靴の底を足すのなら、彼女の身長も、ほぼ百七十に近しいほどあるけれど】

………………――――――正義だって、警察のひと、怒られちゃうよ。……おまわりさん、なれなくなっちゃうかも、しれないよ。

【少女にしては大きい背丈の癖に、彼女はずうっと地面ばかり見て生きてきたに違いなかった。握りしめられた手は、気づけば、相手の体温に近しい暖かさになって、いたから】

/わーごめんなさい!今度はこちらが返せて次で限界かもしれないです……
445 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/12(水) 01:50:12.60 ID:PGnimlnA0
>>444

う〜ん、どうなんですかね。でも少なくても俺のお父様は素晴らしい警察官でしたよ
―――そうなんですか、確かに警察と言っても自らが罪を犯す人はいますし全てが健全ではないかもしれません

だからこそ俺は警察を目指すんです、そしていつかは警視総監≠ノなって変えて見せますよ組織を


【意外にも、正義は警察についてあまり良い印象を持たない鈴音をすんなりと受け入れた。】
【純粋なようだがある程度現実を理解はしているようだった。だからこそ夢を持ってそれを実現させるために】
【前を向こうとしているのかもしれなかった―――だから少し申し訳なさそうな、悲しそうな眼をしながら相手を見つめる。】
【その奥にはかなり強い意志が秘められているようにも思えた。】

分かりました。それならそれで良いと思います。だけど
それによって救われた人もきっとたくさんいたという事だけは忘れないでください。
そしてこれからも貴女の助けを、存在を必要としている人もきっといるはずですよ。

―――大丈夫、俺が守りますから。鈴音の事を。

【そしてグイっと相手を立ち上がらせれば、目線は大体同じくらいだ。「意外と大きいんですね」と笑う。】
【―――一歩、一歩と後退していく。次第に結んだ手もギリギリになりそしていつかは解ける。】
【二人の間には1歩分の距離が空いた。だがそれは大きな距離のようにも思えた。】

本当に正しい事≠ヘきっと警察だからとか、力を持っているとか、変身できるからとか
そうじゃないと思います。誰かを助けたいという気持ちこそが正義≠ネんだと―――だから

一歩前に進める時がきたら声をかけてください。一緒にまたはじめましょうこれからのたんぽぽ≠

【「あ、勿論、警察官にはなりますからね!」と最後に取ってつけたように言うと恥ずかしそうに笑う】
【強制はしなかった、ただ待つのだろうずっと。その時が来るまで。】

【「とりあえず次は学校の勉強をしなきゃですね、都合が良い時にここに連絡ください」】
【そう言うとスーツのポケットから小さいメモ帳とペンを取り出すと自分の連絡先を書き綴る】

【それを相手に差し出して、次の約束へとつなげようとする。受け取ってしまえばきっとこいつはしつこい。】

//了解です!いつも来るの遅くてすみません…まったり宜しくお願いしますね!

446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/12(水) 01:54:25.37 ID:mchj2yR90
>>445
/ごめんなさい、お返事確認はしたのですが、こちらのお返事は明日に引き継がせてくださいっ
/もしかしたら朝にお返しできるかもですが、おそらくは夜のお返しになります、お待たせしてしまう形になってしまってすみませんっ
/今日のところはひとまずおつかれさまでした……
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/12(水) 23:01:30.08 ID:nzuhPZQm0
>>445

【――相手の言葉に、少女はぱちりを眼を瞬かせるのだろう。そうしてぎゅんとテンションが下がるのだから、ずいぶんと分かりやすかった】
【きっと相手にとってその父親は誇りなのだろうと伝わるから、――。ましてや相手が警察を目指す理由もそれによるのだと知れば、余計に、肩を落として】

――――そう、なんだ、えと、……ごめん、なさい。……。……あの、

【なれば少女はいくらも気まずくなってしまったみたいに視線を落とすし少しの間落としているのだろう、――、――そんな沈黙のあと、何か、決心がついたかのよう】
【少女は視線を上げる、そうして相手を見つめて、「――――曽根上ミチカってひとには、気を付けて」。ぽつ、と、ごく小さな声に告げるのは、なにか、忠告であるのか】
【おそらくその人物が彼女にとって怖い警察の人間であるのだろうと思わせたし、それも、本当は伝えるつもりではなかったのだろう。そんな顔を、していたのだだから】

そうだとしても、……――わたしは、したいこと、しただけで。本当に"そう"してほしかったのは、ずっと昔の、わたしで……。
みんなが褒めてくれるような立派な志なんてなくって。――みんなが裏切られたって思ってるわたしのほうが、ずっと、うんと、本当の、わたしで……。
――だけど、だけど、ね、……。少しだけ、思うの、……その。いつか。――――いつか、ね、もし、誰かが、わたしみたいなこと、初めてくれたら、

お花の種、風でどこまでも飛んでいくみたいに、――、そうしたら、それは、きっと、すごく、嬉しくて。……――!
――――どんな悪いひとだって、まずはご飯からだって教えてくれたひとが居たの。だから……、わたし一人だけのわがままじゃないってちょっとだけ思えたの。

だから、……、だから、他のひとが、誰かが、そうやって言ってくれたら、わたし、すごく、――――――っ、

【だから、言葉の始めはごく重たい声をしていた。熱を出した日に母親に家じゅうの毛布を掛けられるみたいに重たすぎる気持ちにて発せられる声であるなら、】
【やっぱりこれは自分のための行為であると、ましてやもう過ぎ去った過去の救われたかった自分に対する救いなのだと。そんなきらきらした綺麗な気持ちから出はしないのだと、】
【――――けれどいつか声はわずかなきらめきを帯びていた、自分のしていたこと、わがままであっても、正しいなら、意味があるなら、何かになるなら、】
【そうしてまたどこかで誰かがあの子たちを助けようとしてくれるなら。――そしたら、だって、それも、彼女にとっては、嬉しいことであるのだろうから、】
【揃う視線の高さ。守るとまっすぐに言い切られてしまえば、少女は目を真ん丸にするのだろう。――――――、】

………………――――――うれしい、ありがとう。

【誰より早く綻んだ桜のひとひらみたいにはにかむのだろうか、周りを見渡そうと一人ぼっちの不安を宿して、それでも、春を感じたから綻んだ、喜びは隠しきれなくて】
【――だからきっとなれるよなんてはにかみ囁くのは神様からの祝福であるのに違いなかった。そうだと明かしていなくても。たとえ人間だったとしても、同じこと、願うと思う】

っ、あ、待って、わたしの、……。……わたしの、見ないと、わかんな――――。

【やがて渡される連絡先に、彼女はいくらか狼狽えた顔をする。おそらくは自分のも教えようとして、――、そのくせ、確かめないと分からないらしい】
【そうして幸いにも携帯電話には起動に十分なだけの電池が溜まっていた。最新機種様様って感じ。だから、あとは少女が電源を入れるなら、きっと立ち上がる】
【――ちょっと待ってね、なんて、小さく呟いて。指先は電源ボタンを長押しするんだろう。やがて出て来るロゴはありふれた会社のもの。起動時のバイブレーション。それから、】

/たいへんおまたせしました!
448 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/14(金) 01:59:52.38 ID:Wo6YcSJd0
>>447

えっ、ああいえ良いんですよ!気にしないでください。
さっきも言いましたけど警察の中に良くない部分だってあるのは俺も知ってますし
鈴音にどんな事があったのか分からないですけど、少しでも印象が変わるように俺が頑張らないとですね。

【そう言うとグッと拳を胸の高さに上げて笑う。真諦院がどこまで警察の闇≠知っているのかは分からない】
【ただ人間の組織である以上はどこかしらで腐敗は起こるし、場合によっては良くない印象を与えてしまう事も理解していた。】
【だからこそ、警察の人間として鈴音に少しでも認めて貰えばと、そう思った。】

【「―――曽根上ミチカ=cですか、分かりました。」何を分かっているのか分からないがそう答えた。】


人間みんなそんなものですよ、特に今の世の中みんなが何かに追われて生きている。
だからこそ俺はそんな中で人を助けて、そして笑顔になってほしい。―――だから。

―――始めますよ、俺が。
勿論適当にはできませんからしっかりと準備をしてからですけど。近いうちに必ず。


【「だから料理ちゃんと教えてくださいよ?」と少し悪戯っぽい表情で笑いかける。】
【鈴音がはにかめばそれがとても幸福な事だと、そう言わんばかりに自分もさらに笑った。】
【神でも人でも―――貴女がが笑顔になったから。】


えっあ、携帯つけちゃっていいんですかっ!?


【あれだけ躊躇していたのに、そんな思いが頭をよぎり驚いた表情と共に膠着する。】
【もしやいらぬことをしてしまったかと不安が募っていく、電源が立ち上がるのがひどく長い時間に感じた。】


//とりあえず返信だけしておきます!また明日以降お手すきのタイミングで大丈夫です〜



449 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/14(金) 19:57:06.51 ID:d+FlfVTD0
【深夜:繁華街――から枝分かれして、けれどそう深く潜り込んでいかないうちにあるような】
【言ってしまえばだいぶ下品なネオンの立ち並ぶ通り。風俗店であるとか、その紹介所であるとか】
【そういうのばかり並ぶ道であるなら、「そういう」用途に使う宿屋さんだっていくらでもあって】
【ご休憩とご宿泊。ふたつのメニューが並べられた看板が、びかびかする電球に照らされていて、――】

――――――――〜〜〜〜、〜〜〜〜〜〜♪

【その出入り口からひとりだけ出てきた。本来ならふたりで出入りするようなその場所でひとりきりだと言うなら】
【一仕事終えた、「そういう」商売の人なんだろうとは思うだろうが。それに似合った顔とカラダをした女だった】
【――けれど何か、ひどく異質な部分が目立つのだ。機嫌のよさげな鼻歌は、流行曲のメロディーをなぞるのに】

【仕事終わりの商売女に似合う、安っぽいニオイがする黒髪ショートボブ、もみあげだけがやたら長くて銀色】
【そういう奇抜な髪型に目を瞑れる程度には、「残り香」があった。ホテル備え付けの低品質なシャンプーでは消せない】
【鉄錆と脂と、あとは何かしらの腥さ。ゴキゲンたっぷりにひょこひょこ揺れる髪先から零すように匂わせて】

【服装だって何だか妙だった。前をきっちり閉めて着込む、ファーが揺れるフード付きのモッズコート。そりゃあまあ、】
【この季節に着るなら何らおかしなものではないのだが――問題は下半身だった、長い裾から伸びる脚】
【まっしろい素肌を、爪先までまるまる晒していた。タイツやストッキングのたぐいはおろか、靴下も、靴すら履いてない】
【裸足でぺたぺたコンクリートの地面を踏み締めるなら、さぞかし寒かろうに。けれど震えのひとつも見せてない】
【吐く息ばっかり白いから、この世界は確実に冬になったってわからせるのに。防寒具の類はコートしかなさそうで】

……………………あ、今のお星さまカナ? んーん、よくわかんないや……ただの飛行機だったかもぉ。

【けれど浮かべる表情は限りなく楽しそうに笑んでいた。どこかあどけなさすら見せる顔立ち、しかし確実に処女の気配はなく】
【菫色の瞳が無遠慮な照明に照らされるのにはひどく慣れているようだった。あは、と笑い声を零すなら、白い息に変換され】
【それを突っ切るようにスキップ。したかと思えばぴたりと止まってまた天を仰いで――きゃはは、とまた笑って】
【およそ素面の人間がするような動作はしていなかった。酒か薬か、知らないけれど、何かしらに酔っているらしい】
【そう、きっと、何かしら。未だ髪先から零れ落ちていく異臭の源がきっとそうさせたのだと、思わせる程度には――】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/14(金) 22:52:29.93 ID:IOGAgNdA0
>>448

【――――――――――わたしは"曽根上ミチカ"に子供たちを人質に取られて脅されたのだと、言えたら、どれだけ楽だっただろうか】
【だけれど、言えぬ理由はあまりない気もした。だのにどうしてか憚られる気がした。どうして? ――相手を信じていないわけではないのに、なぜか】
【どこかで聞いているんじゃないか。――そんな風に思ってしまうのは、相手への不信/不審ではなくて。"曽根上ミチカ"への不信。信じられやしないのだから】

――――――――――――――、うん、がんばって、

【――だから少しだけ気弱そうに笑うのだ、相手のことを心底応援していた。応援しているのに、それでもどこか、なぜか、少しだけ、寂しいような、悲しいような、目をして】
【ならば彼女にとって"曽根上ミチカ"という存在がどれだけ恐怖であるのか伝えるのだろうか、――少なくとも、"よほど"の理由があったのだと言いたげな、顔をするから】

やっぱり、――凄いね、そんな風に、わたしも、思えたら……。――――――だって、わたし、いつも、自分のことに精一杯で。今だって……。……今だって。
今だって……――、わたしは、わたしのためのことばっかりで。なのにそれだってうまく行かなくて。うまく、出来なくて……。――みんなが、羨ましいの。

わたしは――わたしは、いろんなこと、終わらせないと、自分のこと、納得だって出来ないのに。みんなは……、……。

【(わたしを殺せばお終いなんだから)】

【俯いて見開いた目、だのに眉は目いっぱいに顰めるのなら、きっと、涙を堪えていた。色違いの眼差しをかすかに震わせて、だから、やっぱり、そう出来るのが羨ましい】
【そんな風にいい子でいられたら、そんな風にいい子で生まれられたなら。きっと全部良くなっていた、って、思ってしまいそうになる。無いものばかり羨んで生きて来たから】
【わたしにもそれがあったなら。わたしもそんな風に育っていたなら。――仮定ばっかり並べてしまう頭の中に嫌気がさして首を揺らすなら、ちら、と、何か、落ちて気がして、】

【――――は、と、上げた視線。やはり見開いたままの瞳が涙に潤んでいた。長い睫毛にごく小さな涙粒が実っていた。かすかな明かりにきらり煌めくなら、宝石より幽かでも】
【ほんの一瞬、瞬きより短い須臾に色濃い悲しみから驚きを経て、それから、それから。今日初めて見せるほどの喜びへ、朝日が照るより瞬間に、綻んで】

――――ほんと、に!? ほんとにっ……――、! ――――……っ、わたし、ね、わたしねっ、あのね、"たんぽぽ"、お願いしてた、ひとが、いて……。
――っヤサカさん、ていうの、それから、っ、夕月ちゃんと、つがるちゃんと、――それで、だから、だから、えっと、
お料理、――っ、なんでも、教える、わたしも、すごく上手じゃ、ないけど、――、

【かつん、と、小さな足音は。物理的にも、それから精神的にも、二人の距離を縮める音がするのかもしれなかった。ぱっと鮮やかな声、相手の両手を、挟むように捕まえようと】
【叶うのなら、顔の距離すらうんと近くなってしまうんだった。なら、紡がれる言葉はどうにも不明瞭で散らかっていた、曰く、彼女が留守の間、店を預かっていたひとたち】
【――急な春に花たちが慌てて着飾るみたいにわあわあ言っていた、――お料理についても教われそうだった。真っ白な頬に朱すら差す笑みを浮かべて、】

うん、いいの、今じゃないと、わたし、きっと、点けたくなくなっちゃうから……。――。

【だから相手がきっかけになったのだと。――それなら充電器はこのまま持って帰れそうなのだった。そうしてやがて元気に点る明かりを見下ろし、】
【――それでも彼女はいくつかの通知をそのまま消していた。だけれど、電源を入れられたなら、きっと後で見られるんだった。大丈夫だと思わせた。なら】
【――――少しの間の後、相手の連絡先へ、彼女の端末から着信があるのだろう。「こうすればいいよね」なんて。――口頭で伝えるより、きっと、分かりやすいから】

/大変おまたせしましたっ
451 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/15(土) 01:29:12.12 ID:eJd7gyhy0
>>450

【鈴音が悲しそうに笑えば、何かを察してか真諦院もどこか寂し気な瞳で答える。】
【少し気まずい間のような―――だが互いを思いあっての事であればそれほど苦でもない間だった。】

【涙をこらえるように眉を顰める姿を見れば、微笑みながら首をゆっくりと振る。】


いえ、俺だって自分のためにやってるんですよ。誰かが笑顔だと自分が嬉しいからやってるだけなんです。

―――ええ、俺は本気ですよ!だから今度その人たちの事も紹介してください。
鈴音の作る料理を教えてください。俺が出来ない事を貴女はたくさん知っているはずですから。

だから―――約束≠ナす。必ず。


【それは何度目の約束だろうか、まるでそれを重ねなければ不安なのだと言っているような】
【あるいは真諦院から見ると鈴音はそれほど儚げで掴んでおかないといけないと感じさせるのかもしれない。】

【捕まえられる両手と近づけられる顔に一瞬驚きながらも、それでも鈴音が笑顔になってくれるのならそれでよかった。】
【相手の紡ぐ断片、断片の言葉にうんうんと頷きながら自分もつい顔が笑顔になる。】


そうですか、でもこれでいつでも連絡が取れますね。
何かあったらすぐ連絡してください、すぐに駆け付けますし日ごろの雑談の話し相手ぐらいにもなりますよ。


【相手から着信のあったスマートフォンを片手で振りながらウィンクする。】
【こうして簡単に繋がれる世の中だからこそ良くない事も起こるけど、けどそれでも寂しさが少しでも和らぐなら】
【今のこのつながりを大切にしようと、寒い冬の夜に胸が熱くなる―――。】

【「冷えてきましたね、家まで送りますよ」と、白い息を吐き出しながら相手のオッドアイを見つめた。】


//こちらも安定の遅さで申し訳ありません。続きはまた明日になります…
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/15(土) 22:30:33.72 ID:Qn0REzc90
>>451

【わたしにとってはどうしようもない事柄を、なんともないって言いきれるひとたちが羨ましかった。そのひとたちによって、わたしも、"なんともなく"されてしまう】
【わたしがこんなにも悩んでいるのに、それをなんともないって、なんでもないって、言いきってしまえるようなひとたちが、わたしごと、どこかに蹴っ飛ばしてしまうから】
【そうやってお終いになる。だけどきっと世界はそんなふうに繰り返してきたんだと思う。――――。だから、】

――――――、

【――やはり瞠った眼差しからぽつり涙が一つ落ちて、それから、そのまま、一つ、頷く。どうすればいいのか分からなかった、どうしたらいいのかも分からなかった】
【迷子の子供より絶望的な目をしている、――のかもしれなかった。いつかそのひとたちのことを紹介するのも、料理を教えるのも約束する。ただ、】
【自分が誰かより何かを知っている/分かっているというのはまだよく理解できていない気もした。――ならば相手の言葉に甘える形にも似ていた、その前向きさがただずっと羨ましくて】
【年上なのになんて思ってしまう。年上なのにこんなに子供っぽくて。年上なのに何にもできないで。年上なのに。年上なのに。年上、なのに、】

【(ほんとに約束を果たせる気なんて、たぶん、ほとんど、していなくって、)】
【(だってきっとわたしは、)】

【だから、】

……うん、だけど、あんまり、いつもは、見ていないから……。――その、気づかなかったら、――ごめんなさい。普段あんまり、使わなくって。――。
――――……ううん、だいじょうぶ。ごめんね、――ありがとう。お家、ここから、結構遠いの。わたし、いつも、転移の魔術で、移動しているから。
送ってもらってたら、朝になっちゃうから。……。正義は、どこへ帰るの? 遠いなら、わたしが、送るよ――。――。

【だからせめて大人ぶるのかもしれなかった。家が遠いと言うのは半ば嘘で、けれど、普段魔術を移動手段として用いているのは本当で、だから】
【こちらこそ送っていくよ、なんて。少しだけ大人ぶった顔をしてみたところで、今宵はいくらも手遅れじみていた。ともすれば年下の貴女よりもずうと子供ぽい性質であり】
【だのにときどき憧れるように大人ぶる――さっきの涙は何か間違いだったみたいに、もう、隠してしまっていたから。送ってほしいと言うなら、彼女はきっと、本当に、】

/おまたせしましたっ
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/12/16(日) 09:59:18.78 ID:DaX2BYSiO
>>449

【ごみ箱のすぐ脇で、誰かが手足を投げ出して居る】
【骸のようだったそれが、風に流れる歌声にぴくりと頭をもたげて】

るせぇ……。こんな時間に歌ってるヤツぁ、誰だぁ……?

【目隠しに下げていたワークキャップをずらすと、もっさり伸びたアッシュグレーの髪が揺れて。その奥に濁ったアーモンドの目が覗く】
【軍払い下げのモッズコートだけではこの時期心許なく、思い出したようにくしゃみを1つ】
【寝ている間もしっかり抱えていた酒瓶をひとつ呷れば、透明な滴が唇から零れる。髭のない細い顎を一拭い】

よぉねぇちゃん、いま上がりかい。
あったかそうでいいなぁ

【上から下まで無遠慮な眼差しがじろじろと彼女を撫で上げ、片方の口角を釣り上げる】
【境遇か足元か、どちらを皮肉ったものだろう。かかか、と掠れた嗤いと共に】


//まだよろしければ……
//ただレスは短いものしか打てませんので、不都合あれば退きます
454 : ◆S6ROLCWdjI :2018/12/16(日) 12:54:37.31 ID:h0vU23Ry0
>>453
//いるにはいるのですがすみません、よりにもよって投下後に体調を崩してしまい……
//少しお時間いただけるなら必ずレス返しますが、ご都合いかがでしょうか。。
//文の長さについては全く問題ありません!
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2018/12/16(日) 13:35:20.18 ID:DaX2BYSiO
>>454
//ありがとうございます。健康第一ですので、お体を治すことを優先してください
//そのうえでお相手頂けるなら幸いです。お返しは何時でも構いませんので
//私の方は平日は20時〜1時、休日は12時〜2時の間は安定してお返し出来ると思います
//年末の忙しい時期にすみません、お大事になさってください
456 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/16(日) 20:58:52.77 ID:jwno09470
>>452

【零れ落ちる涙の理由は分からない、だけども悲壮な決意のようなものが感じられた。】
【そっと右手の人差し指で零れる涙を掬おうとしながら、言葉は発さずただ相手に対して微笑みかけた】
【ただ、今が少しでも安らいでいてくれたらと―――そんな小さな望みだった。】

ああ、そうなんですね!まぁ携帯の画面の見過ぎは良くなって言われますし。
何かあった時でいいので、たまに連絡をくださればそれでいいです。

―――て、転移魔術≠ナすか凄いですね………分かりました。
俺はここから近い学校の寮暮らしです、それに近くにバイクを止めているから大丈夫です。

【そう言いながら広場の入り口の方へと指をさす。警察にインターンしているとはいえまだ学生】
【学校の寮に住んでいるのだった。学校の寮というものがどんなものか鈴音が知っているかは分からないが】
【そして相手に視線を戻せば、少し名残惜しそうな顔をしながら再び笑った。】


―――じゃあ、また。今度はお互いに色々教えあえるような機会を作れればと思います。
寒くなってきたのでそれまで元気でいてくださいね?


//すみません、安定の遅くなりました………
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/16(日) 23:50:24.26 ID:37v1HPcF0
>>456

【――そうして触れるなら、きっとその頬っぺたはよく冷えてしまっていた。冬の寒さに中てられて、それから、きっと、身体中に悲しさを満たしたなら】
【悲しいって感情はきっと温度を持たないから。涙を拭われて微笑まれる瞬間に伏せる視線は、何か少しだけ拗ねた子供のような色をするから、やはり二十五には見えなくて】
【それよりずうっと幼く見えたし、きっと本当はそれくらい幼いのかもしれなかった、いつかの日に致命的に転んだままの足を引き摺ってここまで歩いてきた、みたいに】

――何かあった時って言ったら、なんだか、悪いことみたい。……。……何かいいことがあったら、連絡するね。
流れ星が見られたとか、なにか、そういう――。――"なにか"。頑張って、探して、みるから……。

【だからへにゃと笑う、何かだなんて言いかた、なんだか、悪いことが起こるみたいだ、なんて。だけど結局はおんなじ言葉を使う、それでも、いいこと、って、付け加えるなら】
【ごく曖昧な笑いを見ているなら、きっと、そんないいとこ/こと探し、きっと彼女はうんと下手で、めいっぱい探して歩いても、ほとんど見つけられないんだろうなって、伝えるけど】
【それでもやるって言うのなら頑張ってみるんだろうとも思わせた、――その結果に伝える"いいこと"が、面白い形をした石ころとかだって、それが精いっぱいだとして】

学校の寮、……、そうなんだ、じゃあ、――いいのかな、えっと……。……。あっ、みんなでご飯、食べるとこ!

【ぱちりと瞬き。――であれば、やはり彼女は学校の寮ってもののイメージが湧かないらしい、湧いたとして、部屋がなんかいっぱいある……くらいしか、思いついていなさそう】
【そうしてしばらく言葉が曖昧になるのなら記憶をひたすらに辿ったらしい、――そのうちに出て来るイメージ図に何らかの知識の偏りと不足を伺わせて、それでも、】
【きっとその瞬間ひどく嬉しそうな顔をしていたから、――彼女はきっと誰かとご飯を食べるのが好きなんだった】

そっか、そうなんだあ、――、……。――わたしは、大丈夫。風邪とか全然引かないの、その……ばかだから。
だから、正義は風邪引かないようにね、――、――――――またね。

【寮のイメージが完全にみんなでご飯を食べる感じになったなら、少女はふわふわ楽しそうにしばらく笑っているのだろうか、けれどそれもやがて落ち着くのなら、】
【自分はあまり風邪とかは引かないからと。だから相手の方が気を付けて、なんて。そんな風に言い合うのなら、やがて雰囲気はお別れの瞬間に近づいて】
【別れの言葉を言うべき場面で、少女は刹那に躊躇ったように見えた。――――けれどそれは一瞬のことで、次の刹那には、少女も何か名残惜しいように笑って、手を振るから】

【("ばいばい"って言って終わりにしてしまうには、それこそ、"名残惜しく"思えてしまって、)】
【(そんなのきっと神様にはふさわしくない感情の仕草、それでも、――――それでも、)】

【故に少女はふつりと世界から脱落するように姿を消すのだろう。残すのは桜の煌めき一条だけ、借りていたモバイルバッテリーも返して、なら、なんにも残らないように見えて】
【携帯端末の中にはきちんと少女の連絡先が。鳴らすのならいくらかの呼び出し音の後に聞こえるのは、やはり、鈴の音で。メールとか送っても少し返事は遅いけど、きちんと、返るから】

【――――――――――少なくとも今は。そうしてまた、少しの間は、確実に】

/おつかれさまでした、でしょうか!
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) :2018/12/18(火) 21:02:46.25 ID:QeQzmAy40
【それはこの世界からすれば果てしなく矮小で、ほんの一瞬にも満たない微かな叫び】
【砂の国南部。常に吹き荒れる強風によって人が暮らすには適さない未開の土地にて、その反応は確認された】
【極めて膨大なエネルギー反応が砂漠の真ん中から発せられたのだ。砂の国は調査隊を派遣せんとしたが、やはり強風に阻まれて調査は難航した】
【そして、エネルギー反応の正体を突き止められぬまま、未解決事案として処理されるに至った】



【数ヶ月後、砂の国砂漠地帯において】

はぁっ……はぁっ……

【夜の砂漠地帯は気温が極めて低く、十分な装備無しには踏破することの叶わない極限の土地】
【星々の天蓋が見守る流砂世界の中にぽつりと一人、人型の何かが歩を進めている】
【ボサボサとして長い、鋼のような銀の髪をした少年が、殆ど裸に近い格好で砂漠を彷徨っていた】

(うごけない……すすめない……いたい……どうして……)

【虚ろな瞳で少年は行く。手足には擦り傷が幾つもあり、少なくとも健康な状態では無い】
【放っておけばどこかで膝を折るのは確実。だが、こんな砂漠の真ん中で誰かが通りかかるものだろうか】
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2018/12/19(水) 10:57:15.59 ID:fkhKR38sO
>>458

【本当にそれは偶然だった。少年にとってそれは幸運であったかもしれないし】
【もしかすると不幸の始まりだったのかもしれない。だが今はそんなことどうだっていい】
【肝心なのは、誰が通るとも分からない砂漠のどこかから──爆音のロックンロールが聞こえてきたことだった】

【星屑を蹴散らすくらいのギターに、夜帳を引き裂きそうなヴォーカルの叫び】
【それに紛れて聞こえてくるバイクのエンジン音は──確実に、少年の方へと近づいてきていた】

【そしてそいつは遂に姿を現した。砂漠用にチューンされたバイクに乗ったそいつは】
【痩せた躰にトレンチコートを合わせてた。夜なのにかけたサングラスに意味があるのかは分からない】
【手入れは適当にしかしていなさそうな黒い髪は、砂でじゃりじゃり。そいつは少年に近づくと】
【ロックの音量を下げてから、バイクを一度止めた。会話が出来る数メートルの距離】


『…………シュワルツェネッガーにしては、随分とひょろひょろだな』
『座標の計算でも間違えたのか?…………まぁいい』


【積み荷の中から埃臭い毛布を取り出し、少年に放る。髑髏を見かけることが珍しくないとはいえ】
【目の前で死なれるのは目覚めが悪い。ついでに水の入った皮袋も一緒に投げてやった】
【温めてやれば、と思ったのは皮袋が少年の足元に落ちてからだった】

/もしまだ大丈夫なようであれば……
460 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/19(水) 20:31:40.09 ID:iufLAuBu0
>>453

【くるり振り返るならやたら長い銀髪部分だけが軌跡を描いて閃く。やはり笑っていた】
【そうしながらゆーっくり、爪先立ちでターンするように体の向きも直して】
【この寒々しいのにゴミ箱の隣で寝ている男の姿がよほど面白かったらしい。腹を抱えて笑うけど】
【自分だって素足なくせに。――ひとしきり笑い終えたら、ふ、と息を吐いて】

そ、アガリアガリ! オジサンと違って一仕事終えたばっかなのヨ、
えらいでしょ? えらいよねえ――でもギンちゃんのえらさはそれだけに留まらないんだナー!

早い話がまだ「足りない」の。ねえオジサン、ギンちゃんのこと買わない?

【「ホ別」 ――白い息に添えて立てる手指は二本。それがこの女の一晩の値段らしく】
【足りない、と言うけれど具体的に何が足りていないのかは言わなかった。懐がまだ寒いのか、】
【あるいは未だ身体の疼きが収まらないか、それとも、――。いずれにせよ女は明確に男を誘うのだった】

//大変お待たせしました、今からでも大丈夫でしたらお願いします!
//私は平日は日付変わるころくらいまではいられるかなって感じです!
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) :2018/12/19(水) 21:28:55.52 ID:NMWEL6mO0
>>459
【鼓膜を震わせる轟音が、砂塵の彼方から迫ってくる。人か、怪物か、はたまたどちらでも無い何者かか】
【マッドマックスばりのロッキンなサウンドが星々の瞬きすら吹き飛ばす。少年の目の前には厳ついバイクと、もっと厳つい乗り手】
【力が抜け、砂に膝をつきながら少年は長い髪の隙間から男を見やる】

しゅ……しゅわる……つぇねっが……?

【男の言葉の意味は理解出来ていないようだ。発音が出来る辺り、それが人名であると言うことを解釈できていない】
【だが、放られた毛布で体を包み、皮袋にゆっくりと手を伸ばす辺り、知性は有しているようだ】
【水を口に含み、嚥下し、深く白い息を吐く。夜の砂漠に冷や水は合わないが、命を繋ぐ分には十分だ】

あ……おまえ……は?

【左腕を真っ直ぐに伸ばし、男を指差しながら問いかける。目の前に現れた人物が一体何者なのか】
【少なくとも今の彼には、豪快な音と共に現れた不明存在でしかなかった】

/遅くなって申し訳ありません……
/本日は返す時間が取れなさそうなので、よろしければ置きに移行させていただいて良いでしょうか?
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2018/12/19(水) 22:07:45.00 ID:i+tWECYEO
>>461

【言葉が返ってくる。そいつの口元が緩んだような感じがした。積み荷に手を伸ばし】
【くしゃくしゃに丸まった帽子を取り出す。ボルサリーノ、だとかそんな小洒落た名称がついていたが】
【こんな場所じゃ、そんな名前を気にする奴なんていやしない。しわを伸ばして帽子を被る】

【お前は。その言葉にどう返答するか悩んだ。なんて答えたものか】
【コートのポケットからタバコを取り出し、火をつける。目の前の少年が嫌煙家じゃなければいいが】


『…………しがない探偵だ。ちょっとした探し物の最中だったんだが』
『その帰り道に偶然あんたを見つけたんだ』

『あんたこそ、そんなところで何してる』
『部下の反乱で氷の星に飛ばされた、って風には見えないが』


【タバコの煙と一緒に、そいつは少年に近付いていく。手に持っているのは味気ないパサついた携帯食】
【食うか、とそれを差し出す。その時、またそいつは口元を緩めた】
【思い出し笑いのようなものだった。路地裏だろうと砂漠だろうと、こんな時に食うモノの味はよく知っていた】

/こちらこそ遅くなってしまい申し訳ないです
/置きでの対応、了解しました!中々返信時間が安定しないとは思いますが、それでもよければお願いします
463 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2018/12/22(土) 22:17:20.64 ID:RnTgWpId0
>>457

ええ、きっと何か≠ヘ見つかるはずです。俺も一緒に探しますから。

そうです、寮は学校の仲間がみんなで暮らすところですよ!一緒にご飯は食べたり食べなかったりですが
それでも誰かと一緒にごはんを食べるのは楽しいですよね、だから鈴音も今度一緒にどこかで食事をしましょう。


【冷えた肌を温めるように相手の頬を撫でながら微笑む、相手が年上な事は忘れてしまったようで】
【そもそも年齢がどうとかは関係ないのかもしれなかった。ただ相手の心身が少しでも温まればと―――】
【相手がへにゃりと笑って、それから食堂に対して大きな反応を示せば同じように笑って食事へと誘う】
【いつしか約束はたくさんになっていた、そうすれば繋ぎとめられるかのように。】

【別れる瞬間、どこか躊躇うような相手の仕草に少し苦笑しながらも相手を見つめて。】


鍛えてますので風なんかには負けませんよ!だから鈴音も勝てなくていいですから負けないでください。

―――じゃあ、また。


【相手が去った後、手に残ったモバイルバッテリーを眺めながら帰路へと向かう。】
【不思議な出会いだった。願わくば再び会える日を………】


//大変遅くなり申し訳ありませんでした………お疲れ様でした!
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/23(日) 10:26:54.16 ID:rEfzCKSWO
>>460

誰がおじさんだ。勝手に無職って決めつけんじゃねーよ

【箸が転げても可笑しい年頃、なんて遥かに通り過ぎて居るから。見た目もこんなんだし、彼女からすればそう呼ばれても仕方ない】
【とはいえ仕事がないのはご名答。憮然と、濁った半眼でアルコール混じりの唾を飲み下す】
【明確な誘い。彼女の隠そうともしない色香もまた無視出来ないものだが。がりがりと帽子の上から頭をかいて】

高っ。お前貧乏人相手にふっかけすぎじゃねぇ?
寧ろお前が金貸してくれよ。そしたらその金で買ってやらあ

【明らかに狙いを間違えていると言いたそうに、呆れた面持ち】
【素足の向こうの肢体は魅力的だが、素寒貧になって久しい】
【このうえ空っぽな懐を攫われるなど】
【爪先で怠惰に脛を掻き、逆に金の無心をする姿は実に惨め】


//連絡なく大変遅れて申し訳ありません……
//今日中は何時でもお返しできると思いますが、不都合あれば切って頂いて構いませんので……
465 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/23(日) 18:33:37.70 ID:/RQmQuMO0
>>464

え、オジサンじゃないの? じゃあオニーサンって呼んであげよっかあ。
……やだあ、別に相場通りだヨ? もっと高い人は、もっとすごいし――

ギンちゃんが貸したお金で買われてもイミないじゃん! あはは!
ヘンなオニーサンだなあ、こんなトコで寝てるし――ねえ、

【男の話を聞くたび笑う。ぱかっと開けた口を手で隠すことすらしないで】
【ちらちら覗く八重歯が、もともと童顔であるこの女をさらに幼く見せる】
【加えて仕草まで子供じみているのなら、抱かせるイメージとはひどくアンバランスに】

オニーサン、なんでこんなトコで寝てたの?
いまどきホームレスだってもっとマシな寝床選ぶよ、せめて屋根のあるトコとか。

【「そゆトコ行けない事情でもあるの?」 愉快そうな面は変わらず、じ、と目を細めながら】

//いえいえこちらこそ遅れましたので、、、よろしくお願いします!
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/23(日) 19:38:32.87 ID:nUcBv274O
>>465

笑い過ぎなお前。まあお前くらい面(ツラ)よけりゃ他当たっても稼げんだろ。知らんけど

【どう見ても歳下っぽい相手に正論でのされ笑われる】
【可愛らしい無邪気さも男からすれば夏の蚊のように手で払われ】
【口では勝てなさそうなので仕方なく酒に逃げる。弱い大人】

あん、そりゃ酒呑むために決まって――
そいやここ何処だよ、っげほ

【瓶を傾け続けつつ見渡す目。噎せながら中身を干す】
【泥酔者にはよくある話。この酒もどこから持ってきたのやら】
【ゴミ箱に手をかけ、壁に背をずるずる立ち上がる。上背は彼女より少し上か】

なぁ、表通りってどっちだっけか

【こっち? こっち? と左右を指差す】
【足取りも記憶も怪しいが意識はまだマシな方か】

//ありがとうございます、改めてよろしくお願いします
467 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/23(日) 19:52:49.58 ID:/RQmQuMO0
>>466

他にヒトいるならそりゃーすぐそっち行くけどお。
いないじゃん! 今。だからオニーサンにたかろうとしてんのお、
ほんっとにお金持ってなかったのは予想外だったけど、あはは。

【ぺた、ぺた、と足音が近寄る。そのまま接近を許すなら】
【泥酔した男を支えられる位置まで。顔をじっくり覗き込めるほどの近さまで】
【なんの遠慮もなく寄ってくる。そうして、彼の脇に自身の腕を滑り込ませようとして】

お酒飲むにしたってもっとあったかいトコとかさあ、
せめて座れる場所行けばいいじゃん! 公園のベンチとかさ!
そーいうトコで飲んでるヒトよく見るよお、あはは、そーいうのはキライ?

……………………表通りに行っても大丈夫なヒトなの? オニーサン。

【支えるように、と言うよりは甘えて縋るみたいに抱き付くのだ】
【そうしてぴたりと身体を合わせるのなら――やはりどこか、異臭がする】
【スーパーで買える特売の肉、汁が大量に滴るパックのヤツ、そのラップを剥がした瞬間みたいな】
【血と脂と、肉の腥さが――安っぽいシャンプーの匂いの隙間から、零れてくるから】
【やはりコイツは何かしら「よくない」と。気付けるだろうか、酩酊した男でも】
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/23(日) 22:40:10.77 ID:Q24pZzXe0
【街中――――大通り】
【あちらもこちらもそちらも、――とかく見渡す限りのどこまでもがひどく浮かれていた、街中。通りに設置されたスピーカーからはエンドレスのクリスマスソングが流れて】
【通りを往く人達の顔を見れば、どんなクリスマスを過ごすのかはだいたい分かった。好きなひとと素敵な時間を過ごすか、そうでなく仕事と嫌な時間を過ごすか、それとも、】
【細分化すればいくらでも細かく出来そうな表情の中で、ただ、だいたいはその二つに分けられた。だから、――或いは、その少女は少し"行き過ぎて"いたから】

――――――――――――――、

【まるでその日は誰か知らない聖人の誕生日というイメージよりも、何か大事なひとの命日であるかのような、むしろ大事なひとが明日死ぬのだと分かっているかのような、】
【冥い冥い顔にて歩いている少女が一人居た。――。ふわふわのマフラーに顔の下半分を埋めこむようにして、その毛足に細かな白い吐息の粒を実らせて】
【時折、道沿いの店屋のショーウィンドウを見遣っては、ただでさえ陰鬱そうな色した目を誤差の範囲に細めていくから、そのうち目を閉じてしまいそうなくらい】
【――けれど大通りの人込みの中ではそうもいかないのなら、少女はやがて細道に足先を向けるのだろう。やがて路地裏と呼ばれるべき暗さへ変わる、細道へ】

【腰まで届く長い黒髪と対照的な透き通る白の肌、あどけなさを多分に残す顔の、その瞳は左右で色合いが違っていた。黒と赤色の一対であるなら、いくらかよく目立ち】
【ふわふわのマフラーは大層長いものであるのかくしゃりと丸められて少なくとも口元を隠すには役立っていた。厚手のピーコートは、いくらも飾りっ気の多いもの】
【その裾から溢れるのはたっぷりのパニエを詰め込んだスカートであるから、――黒いコートに赤いスカート。フリルは生成り色で、黒い厚手のタイツに、靴は、赤いかかとの高いもの】
【――――十六歳ほどであったろうか、今頃の子ならありふれた夜更かしの時間でも、そんな細道に入り込むのは、やっぱり、少し、行きすぎているなら】

【あるいは。その顔に見覚えのある人間も多いのかもしれなかった。風の国UT――最近とんと名を聞かなくなった正義組織――にて行われていたボランティア、の発案人】
【そしてまたそう思いだすのなら、――そのボランティアが最近食中毒を出したこと。その時に発案人たる少女は長い不在であったこと。そうしてニュースにて取り上げられていたこと】
【(もしもそこまで思い出す人物であるのなら、或いは、その顔の陰鬱さをいくらか理解するのかもしれなかった。そうでなくても、やはり顔は、冥いけど――)】

――――――――――――――せめて雪でも、降ったらいいのに。

【――室外機から溢れる冷風に満たされた路地裏に立ち止まるなら、ふっと見上げる視線は満点に瞬く星空を見ているから、なにか、どこか、救いがない】
【呟き声は鈴の音の声色、吐き出される吐息はいやに真っ白で。――――――今すぐ世界だって滅んでしまえばいいのになんて言い放ってしまえそうな、目すら、していた】
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2018/12/24(月) 12:21:35.69 ID:zxLyilP30
>>468
/こちらお返事できるの夜からになりますが、夜までのんびりお待ちしておりますっ
470 :キリル ◆sl9mHre1Jc [sage saga ]:2018/12/25(火) 16:58:41.95 ID:68gVGefHo
【繁華街――占い小屋】

【派手な装いに身を包んだ年増の店主がくぶす水煙草の香りが濃密に漂う、幌布の中】
【きらきらとした怪しい飾り物には溢れていたが、有り体な水晶玉だとかは存在しない】
【瑪瑙の楕円の石や動物の角、等々、アミニズムめく教えに基づいた原初的な占具が並ぶ】

【紫の布が敷かれた机を挟んで、客が一人。派手でないだけが店主と違うような衣装の男】
【椅子に背を預け、怠惰に伸ばす手の黒爪が時折瑪瑙玉を弾いては落とし、の繰り返し】
【その内机上に何もなくなれば、退屈そうに上体を倒し腕を伸ばす。他の小物も転げ落ちて】

……営業妨害? 別にいいだろう。こんな日に占い小屋に駆け込むのなんて、大概碌でもない
上手く行ってる連中はわざわざ足を運びやしないよ。なら何を聞かされるか想像はつくだろ、

【店主に小言を叩かれ、思い出したように発せられる低い声が、この痩身を男と判別する】
【胸下に届く灰色のワンレングスの毛先を緩く巻き、対照的に鋭く吊った群青の瞳の青年】
【心臓を曝け出すように胸元が開いた以外はごく単純な黒無地の衣、履物は銀のミュール】

【机上に伸びたまま無愛想にそう論じれば、眼前に広がった毛束をふっと吹き落として】
【詰まるところはこの男もそんな碌でもない客の一人であるのだが、店主の方も退屈は然り】
【仕方無しとシーシャ片手に、最近逃げられた男の話をし始め――青年もまたかとばかり、これ見よがしな欠伸を一つ】

/ブランクご容赦ください。本日中、取り下げるまで置きます
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga ]:2018/12/25(火) 19:06:27.97 ID:68gVGefHo
/>>470 取り下げます
472 :Epilogue : Fluff in the Hollow [sage saga ]:2018/12/26(水) 19:41:39.81 ID:DWiEOG3lo


【その、星の澄み渡る凍夜】


【ガス灯が照らす冷たい石畳を、痩せた裸足が踏む】


【褪せた襤褸に身を包んだ少年が、】
【人通りの端の端を、とぼとぼと往く】




【――漁れるごみはもう無かった】
【この一帯は既に縄張りが決まっていた】
【“先住民”にはおろか、猫や鴉にさえ負けた】




【寒さを通り越して掠れる意識の端を】
【いつか頬張ったような気がする、クリームシチューの匂いが】
【豊かな幻として鼻先に過ぎって――すぐに、夢のように消えた】




【当て処の無い歩みはついに止まった】
【素足の裏から、痛みのような冷たさが骨を刺す】




【全てを諦めてその場に蹲ろうとしたとき】
【ふと、目を遣った先に――何か見覚えのある看板が見えた】


【文字は読めなかったが、】
【その引き金と翼の意匠は憶えていた】



【――――――――――――――】

/↓
473 :Epilogue : Fluff in the Hollow [sage saga ]:2018/12/26(水) 19:42:29.98 ID:DWiEOG3lo
(続>>472)


【その酒場は、今日もよく暖められ】
【緩やかに大人びた喧噪が満ちていた】


【夜も更け、勘定をする客がぽつぽつと出始める頃】


【からん、と】
【古びたドアベルが慎ましく揺れ、】
【年季のある木扉が、大儀そうに開いた】


【吹き込む冷気に頬を撫でられた女給仕が、】
【反射的に口を開きながら、入り口へ目を向けた】
【が、一見、そこには何もいないように見えた】

【目線がいつもよりずっと下に向いてようやく、気付いた】



【ぼろきれを纏った少年が、】
【ぼうと口を開いて中を見ていた】



【給仕は眉を潜めた】

【ここはどう見たって一から十まで大人の場所】
【子どもにはまだ早すぎる――】

【そう言ってやろうとして、近付いたとき】
【その細い裸足と、痩せこけた頬に気付いて】


【開きかけていた口を、思わず萎らすように閉ざした】



【――――――――――――――】

/↓
474 :Epilogue : Fluff in the Hollow [sage saga ]:2018/12/26(水) 19:46:11.36 ID:DWiEOG3lo
(続473)

【とりあえず出してやった酒のつまみたちを】
【その少年は、野良犬のように“ばくばく”とやった】

【女給仕は眉根を寄せて、鼻息をついた】


「――参ったねえ。
 うちは金を払えるやつを助けるのが仕事なんだ。

 こういうのは“貴宝院さん”とこに行ってもらわないと……」


【ウィスキーを舐めていた酔客が茶化す】
【「誰との子だよ?」】
【「あんた以外の誰か」】

【それから、カウンターに並んだ赤ら顔たちに向けて言った】

「――あんたたち、どうせヒマなんだろう。
 誰かこの子を『ひまわり』に連れてってやってくれないかい?」

【誰も答えなかった】
【めいめいグラスを一口やり、わざとらしく美味そうに唸った】

「こぉの……――
 訊いたあたしがバカだったね。

 あたしが行ってやれればいいんだけどさあ、
 この時期だ、呑んべえと子どもの面倒は一緒には見られ――」

【そこまで言いかけて、ちら、と何かに気付いた】
【カウンターの端で突っ伏している若者だった】

【給仕は大股で歩んでいって、その頭を引っぱたいた】
【「おい起きなリッキー! こら! プー太郎!」】


【若者はびくりと跳ね起きた】
【半開きの目で辺りをきょろきょろやって】
【仁王立ちする給仕と目が合って、目をしばたたいた】

「――あんた、この子を『ひまわり』に連れてってやんな」

「え? 誰? なんでおれが……」

「あのね、何遍言わすんだい。
 うちは“炊き出し”やってんじゃないんだよ。
 そろそろ“ツケ”の利子分ぐらいは働いて払ってもらうよ」

【彼は何か言い淀みながら渋った。すると、】


「――それともなんだ、
 『人食い肉屋』の退治にでも行ってくれるかい?」

 
「……分かったよお。
 バーボンのツケぐらいで殺さないでくれよお……」


【泣きそうな顔で観念して、そうすることになった】


【――――――――――――――】
/↓
475 :Epilogue : Fluff in the Hollow [sage saga ]:2018/12/26(水) 19:48:56.83 ID:DWiEOG3lo
(続>>474)

【――湖の畔に佇む、その櫻風式の素朴な建屋は】
【辺りが深い闇夜に沈んだ最中でさえ、】
【粛々と世の篝火たろうとするように、仄かな窓明かりを灯していた】


【痩せた少年を連れた若者は、厚い木の門扉を叩いた】

【ぎ……、と重々しく戸が開かれ】
【作務衣を纏った職員が姿を覗かせる】
【彼らを見ると、静かに頷いて、中へ招き入れた】




【入り口を入った二人の目が、】
【そこに飾られた大きな白いオブジェへ釘付けにされた】


【大輪の向日葵――】
【周囲を守護する牙持つ獣の像――】


【――それが『紙』であると気付くのに数拍かかった】
【いったいどれほどの巨大な紙を、】
【どれだけの精度で折り畳めば、こうも威容の代物へ化けるのか】

【神域の職人でなければ成せないであろう、精緻な紙細工だった】


「――折られたのは、もう何年も昔になりますけどね。
 今でも立派なものでしょう。まるで褪せてもいない。

 道を究めた者が織った紙には、神が宿ると言われています」


【二人の呆けた眼差しに、職員は優しく語った】


【進むと、職人技に交じり、】
【見るだけで幼い手つきが目に浮かぶような、】
【小さな折り紙細工たちが、ぽつぽつと並んでいた】


【若者はそれを見て、】
【ここが紛うことなく孤児保護施設であることを思い出した】




【営利の正義によって救えるものがあれば、】
【非営利の正義によってしか救えないものもあった】



【貴宝院財閥傘下の、非営利団体『ひまわり』】
【世の動乱に揺られず、今宵も粛々と陽を灯していた】


【――――――――――――】

【――――――――】

【――――】
/↓
476 :Epilogue : Fluff in the Hollow [sage saga ]:2018/12/26(水) 19:51:08.01 ID:DWiEOG3lo
(続>>475)



【(――ずっと前からそうだった)】



【(そういうことになっている)】







【 じじ…… ジ――…… 】




【 ヴヴ……ン―― ヴヴヴ――…… 】




      【 ざざ…… ザ―― 】









【 ――――(ぷつっ) 】






 ――――――――――――――――



 ―――――――――――



 ――――

477 :Epilogue : Fluff in the Hollow [sage saga ]:2018/12/26(水) 19:52:06.76 ID:DWiEOG3lo



( ――憶えていてもいいですし )



( “理解”してもいいですよ )





( 矛盾は無いんです )









( 誰にも分かりませんから )




( あなたと あなた以外の )

( どっちが狂っているのか なんて )






/ File : ZERO
/ (2.0)

/『Fluff in the Hollow』

/End.
478 : ◆3inMmyYQUs [sage saga ]:2018/12/26(水) 19:53:50.19 ID:DWiEOG3lo
/置きスレの方での〆かつ、
/ほんのり参加者全体向けのレスでした。
/長々と一人芝居を失礼いたしました。
479 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/26(水) 20:18:00.47 ID:CflRp1pb0

――水国軍港、駆逐艦『雷』――


ひたっ、ひたっ、ひたっ……。


【冷たい鋼鉄の艦内】
【やはり硬質な床は、人の足音をよく響かせて】
【誰かが近づく度に、はっと顔を上げる】
【隻眼の目には、相も変わらず牢獄と化した兵員室の、不清潔で無機質な暗い壁や床が写り】
【施錠され見張りをつけられ、格子を取り付けられたドアの向こうには見張りの海兵が待機し】
【同じ部屋の少尉は、今は『尋問』として連れて行かれている】

ひたっ、ひたっ、ひたっ……。


【髭も不精で、顔には幾つもの殴打の痕を残した厳島中尉は、ゆっくりと体を起こし】
【その度に激痛が走るのか、くぐもった声を漏らし】
【唯一と言える格子から差し込む光を、ぼうっと睨んで】

ひたっ、ひたっ、ひたっ……。

【今日で何日目か、ああ、また尋問か、等と取り留めのない考えとも言えない散文が、頭に浮かんでは消え浮かんでは消え】
【アーディン、カニバディール、つがる、夕月、ディミーア、リオシア、文月……残して来た仲間達の顔が闇の中に浮かんでは消え】
【最後に、カンナの顔が浮かび、苦痛めいた声にならない声で、頭を抱える】




――ああ、誰か来た……面会か、尋問か、あるいは両方か――


480 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/26(水) 20:54:52.68 ID:DWiEOG3lo
>>479



  【「――――――嘘吐き」】



【アーディン=プラゴールが言った】


  【「――――――嘘吐き」】


【カニバディールが言った】

【銀ヶ峰つがるが言った】

【夕月が言った】



     【「――――――嘘吐き」】



【ディミーア・エルドワルが言った】

【リオシア・ステロヴァニエが言った】

【和泉文月が言った】





【 「嘘つき」 】



【黒野カンナが言った】


/↓
481 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/26(水) 20:59:28.05 ID:DWiEOG3lo
>>479



(――――もしもし?)



【誰かが言っている】



(――か? もしもし?)



【誰かに語りかけている】



(――ってば。おーい)


(もしもーし――)



【どこか遠くのようで】
【存外に近い】


(――尉――)

(――――島――ヰ――)


【すぐ目の前で反響している】

【それは白い】
【それは水兵の装いをしている】

【女。三つ編み。丸い眼鏡】


――あのう。

厳島中尉?
聞こえてますか?


【ミチカ・ソネーウェは彼の瞳をじっと覗き込んだ】
【その網膜にある細胞の核の蠢きを観察するかのように】

【兵員室という名の獄中】
【始まってから既にどれだけの時が刻まれていただろう】
【女は真円に近い瞳を何度か瞬いて、厳島命の姿をそこに映していた】
482 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2018/12/26(水) 21:14:34.33 ID:eumWo4YD0
【少年は水の国において幾つかの情報を手に入れた、この世界には複数の国が出来ていること、今世界は変革の時を迎えていること】
【人間社会における常識や、幾何かの知識を図書館と呼ばれるに入り浸り、メモリに叩き込んだ】
【そして、次なる国を目指す。風の国、UNITED TRIGGERの本拠地である酒場へ向けて、少年は旅立った】


【数日後。少年はとある街を訪れていた。平穏で、小鳥の鳴き声が響く静かな朝の街を、銀髪をポニーテールに纏めた少年が行く】
【ファーのついたカーキのコートにジーンズ、右は太腿まで、左は脛までのアシンメトリーなブーツを履いた十代後半の見た目】
【赤い双眸は真っ直ぐにある一点を見つめている。UNITED TRIGGERの、その看板】

……間違いない

【酒場の前に仁王立ち。看板を見上げる殆ど不審者。少年はぽつりと呟くと、どうしたものかと店の中を覗き始める】
【営業中かどうかすらわからない。いっそのこと、入店してしまおうか】

ふむ……行こう
お邪魔します

【人の家を訪ねる時はお邪魔しますと言う。そう学んだ彼は、律儀にも酒場だと言うのにお邪魔しますと言って入店した】
483 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/26(水) 21:22:57.36 ID:CflRp1pb0
>>480>>481

「アー、ディン?」
「何故、ここに?」
「違う、俺は、俺は嘘なんて……」

「カニバディール!?つがる!?夕月!?」
「ディミーア!?リオシア!?教官!?」

「違う!!俺は、俺は決して嘘なんて!!嘘なんて……」


――いや、そもそも嘘とは何だ?本当とは?

「カ、カンナ……カンナ!!」
「違う、違う……俺は、俺は、僕は……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」


【白昼の夢なのか】
【はたまた極限状態が見せた幻覚か】
【頭を抱え、掻き毟り、あらん限りの声で絶叫する姿は、気が触れた様に見えるだろうか】
【思い浮かべた次々の顔に、いる筈の無い存在達に、同一の口調で誹られ、精神の限界は早くも迫り】



――声、呼ぶ声がする



「ッ!?」

【はたと、その汗に塗れ、目を見開いて充血させた】
【そのやつれた顔は正気を取り戻すように、声のした前方格子越しを見据える】
【ありふれた、少なくとも軍艦内では特段珍しくも無い水兵服】
【だが、問題はその中身、着用者であった】

「お、まえは……」
「貴様は……曽根上……ミチカ……」

【どうして、どうして】
【この疑問だけが頭を巡った】
【曽根上もまさか、先ほどと同じ幻覚なのか、装いは少なくとも婦警のそれではなく】
【何より先ほどの幻とは異なり、自らを非難していない、では、一体……】

「何故、何故、貴様がここに……」

【ひょうひょうと鳴るような渇きを覚える喉から、ようやく搾り出した声だった】
【ミチカの相も変わらない、その真円の瞳の中には、みすぼらしい今の自らの姿が映されて】
484 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/26(水) 21:31:18.76 ID:JAfJnHtW0
>>482

――――――――――あの、

【扉をくぐろうとする少年の背中にかけられる声。若い女のものであり】
【振り返るなら、平均よりちょっと高めの身長をした、やはり若い女がそこに立っているのだ】

【すこしオーバーサイズの白いダウンコート、その下に黒いニットのワンピース】
【脚はからし色のカラータイツでばっちり覆って、そう寒くはなさそう。だけれども】
【その先っぽにある、真っ赤な靴――ロッキンホースと呼ばれる形状の厚底靴は】
【図書館で得た知識の中に紛れているかは知らない。……身長が高く見えるのは、これのせいらしい】

UTのお客さん? なんか困りごとがあって来た? ならダメだよ、いや、ダメじゃないんだけど……
……最近、誰も来ないから。ここの人。だから助けてくれる人、誰も、いない。
だからヨソあたったほうがいいと思うな、ヨソっつってもドコがいいのかはよく知らないんだけど……

【その靴と同じような色合いの、毛先がハネる髪の毛。きんと尖ったまつげ、揺れる瞳】
【全部が全部痛々しいほど赤色をしたそいつは、惑うような声でそう言うけれど】
【はっきり帰れとは言わなかった。なら、そこまで言える立場であるわけではないらしい】

【――けれどそいつが言う通り、店の中は閉店状態。埃こそ辛うじて積もっていないが、人はいそうに、なかった】


//日付変わるくらいで落ちちゃうのですが、よろしければ……
485 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/26(水) 21:31:36.37 ID:DWiEOG3lo
>>483


――ああ、良かった。
聞こえてましたね。


【紙の上に引いた一本の線のような声】
【瞳が緩やかに細められた。無垢の笑み】
【を形取った何か】


――心配で見に来たんですよ。
ご飯ちゃんと食べてるかなあって。


【冷たい金属の扉を隔てて】
【長年の友人に相対するような緩やかな抑揚】

【その音響は確固として空気を伝播する】
【揺らがず、震えず、それが現実だと教え諭すように】
486 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2018/12/26(水) 21:46:47.53 ID:eumWo4YD0
>>484
【高音。女性の声で間違いない。振り向けばやはり、ここの店員らしき女性が立っていた】
【頭からつま先まで、値の張りそうな服を着ている。これは何と言ったか、確かゴシック≠ニ言った気がする】

いや、俺は客じゃない。客……じゃない筈だ
チンザノ・ロッソと言う男に紹介されてここに来た。ひとまず此処に行けば良いと
だが、誰もいないのか?では、どうしようか?

【どうしようか等と言う答えようの無い問いを投げかける。実際、どうすれば良いか彼にはわからない】
【雰囲気を感じ取る限り、彼女の言う通り人気は全く無く、ほぼ閉店状態なのだろう】

ヨソ、と言われても、どこもわからない
どうしよう……?

【少年は、最早ドン詰まりと言う状況だった】
487 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/26(水) 21:48:23.34 ID:CflRp1pb0
>>485

「貴様は、幻じゃないとはな……」
「とんでもない皮肉だ」

【半ば自らを嘲笑するかののうな、そんな口調だった】
【それでも、その平坦で奥行きも感情も無いような声は、確かにその場に曽根上ミチカが存在していることを証明しており】
【その笑みを湛える顔は、忘れもしない、あの日カンナを連れ去った時のそのままの顔で】

「食事?……最悪だな、この艦では、まるでまともな物を食した記憶が無い」

【鼻で笑うように、そう答えながら】
【だがよろよろと立ち上がり、格子の近くに移動し、可能ならば顔をずっと近づけながら】

「そんな心配をするような者ではあるまい、もう一度聞く何をしに来た?」
「俺を暗殺でもしに来たか?」

【かつて『動物園』との戦闘により傷つけられた右目】
【眼帯に保護された其処ではなく、健常な左目はミチカを睨みつけ離さずに】
【ミチカの声だけが、周囲の空気を震わせるように妙な反響と共に聞こえる中で】
【その言葉に、淡々と、だがふつふつとした静かなる怒りを湛えながら答えていく】

「何故ここに居る?曽根上ミチカ、何が目的だ?」
488 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/26(水) 21:56:12.46 ID:JAfJnHtW0
>>486

ロッソ……? 知らない人。そっか、誰かに言われてここに来たんだ。
でも困ったネ、その人もここの現況知らないみたい……。んー……
……どうしよっかって言われても、……んん。ホントにどーしよ、……

……あんた何しにここに来たの? 何しにって言うか、何がしたくてって言うか。
それによるかな、たとえば悪い人に追っかけられてて、やっつけてほしいとかなら
他ンところ、思い当たらなくもないけど……。……その様子だとそうでもないみたい?

【困られるなら同じく困る。けれど見捨てようという気はないらしく、靴底をざりざり言わせて】
【眉根を寄せて考え込む仕草を見せた。そして呟くなら、少年の様子を頭から足まで】
【じーっと見つめて――問いかける。何の理由でここまで来たのか、と】

それにしても、……ひとまずここに来ればいいってめちゃくちゃ雑だな。
UTってもともとそーいう機関だったっけ? よく知らないけど……
……おなか空いてるとかお金がないとか住む場所がないとかそーいうの?

【「そーいうのだったら難しいねえ」。やはり帰れとは言わないあたり、そう意地悪ではないらしい】
489 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/26(水) 22:05:21.08 ID:DWiEOG3lo

【瞋恚を低く煮え渡らせるその声に】
【しかし女は、ただ数回、瞬きだけを返した】


――元気そうで良かったです。


【石の転げるような声】
【何故と問われれば、女はまた平然と】


物騒なこと言いますねえ。

わたしはただ、お互いのことを、
もっと理解しあおうって思っただけですよ。
せっかくこうして、



【 (ぷつっ) 】



“おともだち”になれたんですから。


【ミチカ・ソネーウェは中にいる】
【陰惨な兵員室の床の上、】
【粗末なパイプ椅子に腰掛けて】


【完全な左右対称の顔面を】
【彼の真正面から相対させ】
【ほとんど直線に等しい弧を口元に浮かべている】


【不敵というよりは無機】
【相手の敵意がまるで見えていないように】
490 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/26(水) 22:05:54.60 ID:DWiEOG3lo
/安価抜けてました、失礼しました>>487
491 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/26(水) 22:20:10.34 ID:CflRp1pb0
>>489

「この姿が元気に見えるならば、一層黒幕の常識を疑わねばならんな……」

【皮肉なのかあるいは、本心からなのか】
【少なくとも呆れと嘲笑を込めた唸り交じりの返答を打ち返すも、恐らく曽根上ミチカには届くことは無いのだろう】
【いつだって、そしてあの時だってそうだった】
【何を考えているのか解らない瞳で、口元と口調だけは優しく】

「理解、今更何を言っている」
「我々が、いや少なくとも俺は、貴様らと理解しあう気など無い!」
「黒幕が、貴様らと交わる未来など永劫に有り得ない!」
「貴様にはッ――ッ!?」

【曽根上の、そのいつも通りとも言える様な表面上平和な言葉に】
【まさに反吐の出る思いで答えるも、それは次のミチカの行動によって上手く遮られる事となる】

「曽根上、貴様……どうやって?」

【ミチカは次の言葉を紡ぐ時には、どういった訳か兵員室の中へと移動していた】
【施錠され、格子に遮られた扉を隔てていたというのに】

「お友達になれた……まさか!?」
「司令長官と、蘆屋道賢と接触したというのか!?既に?!」
「取引を交わしたのか!?黒幕は!?」

【自らは粗末なベッドに、曽根上は申し訳程度のパイプ椅子にそれぞれ座り対面する形となった】
【だが、次に紡がれた言葉には、その身を乗り出して】
【一方の曽根上は先ほどと全く変わらず、淡々と平静に、そして全く感情を読み取れない無機質な表情で】
492 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2018/12/26(水) 22:22:03.67 ID:eumWo4YD0
>>488
そうか。知らないか。なら、仕方ない
お前にもわからないか……ふぅむ、どうしようか……

【顎に手を当て考え始める。ひとまずここを訪れれば何か道が拓けると言うことで来たが、それが全て無意味になった】

何をしに、そうだな。何をしに来たんだろう
しいて言うなら、俺は何をすれば良いのかを知る為にここに来た。俺には今、何も無い
空腹ではない。また、金銭もある程度は保有している。だが、何をすれば良いのかがわからない
だから、俺はここを訪れた

【極めて抽象的な答えだった。詰まる所、彼には目的と言う物が存在していない】
【人間性が記憶の積み重ねで形作られると言うのなら、彼にはその人間性と言うものが発生していない】
【だからこそ、どこか拠り所を求めてここへ来たのだ】
493 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/26(水) 22:38:51.69 ID:DWiEOG3lo
>>491

【女はその身を一ミクロンも揺らさない】
【世の初めからそこに在ったかのように】
【ただ口元の弧を、少しだけ深めた】


――取引?

ちがいますよ。
わたしたちは、お互いに仕え合うんです。

それが“ともだち”ですから。
それが、本当の世界ですから。


【すう――、と】

【いつからだろうか】
【女の存在に同期するかのように、】
【周囲の雑音が徐々に凪いで、白く、無機へ】


――今のあなたなら、
理解できるんじゃないですか。

見えすぎると、大事なものも見えなくなるんです。


【チクタク、チクタク……】
【どこか遠くの時を刻む音だけが空気を擦る】


だから誰も理解しないんですよ。

この世界は、
みんな嘘つきだらけです。


あなたのお友達も、みんな。


【女の瞳が日没のように細まる】
【在りし日のノスタルジーか、慈しみの色に似て】
494 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/26(水) 22:43:49.87 ID:JAfJnHtW0
>>492

えー? そんなあ、自分探ししに来ましたみたいなノリで来るモンなの、ここ……。
いちばん困るヤツじゃんそれ、お金はあるけどココロがないみたいな。
ンーなコト言われてもなあ、人生相談に乗れって言われるのも困るしい……

【意地悪はしない代わりに困っているのは隠さない。あからさまに眉をハの字にして】
【でもやっぱり困るだけ。帰れと言わないし呆れて帰ることもしないから】
【寒空の舌でうんうん唸るだけ唸って、……やがて白い息を吐くのだろう】
【「寒くない? 中入っていいよ」 ずかずか足音を鳴らして少年に近付いたかと思いきや】
【脇を通って、誰もいない店内に入る。電気をつける。空調を利かせて、厨房に入って】
【どうやらこいつはこの店内の勝手を多少知っているらしかった。コンロの点火音】
【湯を沸かしているようだった。「珈琲と紅茶どっちがいい?」 その程度は、出来るらしい】

そこらへん――適当な椅子座ってて。そんで、んーと、……名前かな。
名前教えてよ、とりあえずそっから。んでもって……人生相談? はーもう。
ホント困ったなー、何から聞けばいいんだろ……今まで何して過ごしてたの?

【そのうちに、あたたかい飲み物でも持って戻ってくるのだろう。当然のように対面に座り込んで】
495 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2018/12/26(水) 22:55:08.79 ID:eumWo4YD0
>>494
いいのか?では、失礼する

【招かれるままに店内へと入る。初めは外と同じ凍るような冷気だったが、次第に温みが包んでいく】
【彼にとって多少の暑さ、寒さは不平不満の材料にはなり得なかったが、それでも、温もりは体の硬直を解す】

珈琲と言うものを頂きたい。先日存在を知った。興味深い
マーカス。現在の個体名はそう登録されている。今の所、消去の予定は無い
何をして過ごしていた?俺は砂漠で起動し、件のチンザノ・ロッソと言う男に出会った
それから、水の国へ向かい、ここへ来た。それ以前は……無い。砂漠で起動したことが、人間で言う誕生に近い

【それ以前は無いと彼は言った。言葉通り受け取るならば、彼は自分が生まれたばかりの存在だと言っている】
【事実、彼の肉体が形成されたのはほんの一月少し前だ。人間らしく動き始めたのはここ最近の話】
496 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/26(水) 22:57:42.11 ID:CflRp1pb0
>>493

「仕え合う、だと……」
「取引でもなく、友達?まさか、まさか本当に、仲間になったというのか!?海軍と黒幕は……」

【僅かに、ごく僅かにミチカの口元の表情だけが変化して】
【一筋だけ、いやな汗が頬を伝い】
【そして、いつの間の事であったか波が引くように周囲の音は消え失せていて】
【世界には、まるで二人しか存在しないような】
【或いは、この狭く不清潔な兵員室のみが世界全てであるかのように】

「大事なもの、だと?」
「何を言っている?一体何を……俺はお前達の行いを見てきた、お前達のやり方を、それに弄ばれる者達を見た……」
「これ以上に、これ以上に何があるというんだ!?答えろ曽根上ミチカ!!」

【理由の説明できない震えが、身体を襲う】
【恐怖、自分は曽根上を恐れているのだと理解するのに時間を要した】
【強い言葉とは裏腹であった、何処かで時を刻む機械時計の音だけが、静かに聞こえる】

――チクタク、チクタク……。

「何だと?嘘をついているのはお前達ではないのか?」
「カミスシティの人々の笑顔の様に、作り物の幸福を謡い、意思を管理し」
「其れこそが最たる嘘ではないのか!?」
「俺も、俺の仲間達も、決して、決して嘘吐き等ではない!!」
「悲しみも怒りも、考えも、全て本物だ、本物だ!!」

――チクタク、チクタク、チクタク、チクタク

【時計の針の音だけが、外部より聞こえる唯一の音である中】
【ミチカの言葉に、声を荒らげながら、そう答えた】
【肩で息をし、それはまるで自分に言い聞かせるかのように】
【嫌な汗は変わらずに滴りて】

「お前は、お前は……今度は俺か、俺とも『友達』になろうと言うのか?」

【ぐったりと項垂れながら、今度は打って変わって大人しくベッドに腰掛けてこう訊いて】
497 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/26(水) 23:11:26.71 ID:JAfJnHtW0
>>495

【言われた通りに珈琲を持ってくる。ドリップのやつ。……少しだけ迷って】
【砂糖とミルクも一緒に持ってきた。「苦かったらそれ足して飲んで」と告げて】
【そう言うこいつは当たり前のようにカフェオレを飲んでいた。座るなり、脚を組んで】

……コタイメイ? 登録? 消去? なにそれ、ロボじゃん。あんたロボ?
砂漠で、起動――やっぱロボだ! やだーめっちゃめんどくさいじゃん!
誕生ってマジかー、昔話とかなんにもない系じゃん……えー、どうしよ……

【テーブルに肘をつく。掌の上に頬を乗せる。そういうの、行儀が悪い行為だと】
【少年が図書館で読んだ本には書いてあっただろうか。ならば諌めても悪くはない】
【どちらにせよこいつは上品と呼べるたぐいの人種ではなかった、口調もどこか荒いし――】

……んーじゃあ、水の国。ここに来る前行ったんでしょ?
そこでなんかこう――見たり聞いたりしなかったの、ていうか何しに水の国行ったん?
あそこ人多いでしょ、あたしも住んでるけどすごく都会で――そーいうトコでさあ、
こう……面白い? 興味を……惹かれる? ようなモノ、なんか見たりしなかったワケ?

【――頭もたぶんそんなによくない。よくないなりに、何かしらひっかかるものはないか】
【探り探り訊いてみる。水の国の話――こいつはそこに住んでるらしい、が】
498 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/26(水) 23:25:20.73 ID:DWiEOG3lo
>>496

【――全ては本物だ、という叫びが】

【慟哭が、嘶きが、静謐を揺らした】
【震えが無音の残響となって拡散した】


【女だけが無言だったし不変だった】
【風にざわめく森の中に建った墓碑のように】



【――虚しい余韻が遙かまで伝播してから】
【やがて女の唇が音も無く開かれた】


【「――じゃあ、」】



――じゃあ、あなたはなんで
そんなに哀しそうな顔をしてるんですか。



【ミチカの鏡面じみた双眸に】
【厳島命の姿が克明に映る】



――全部、何もかも、
みんなが望んでいたことですよ。

本当はみんな、
決めたくなんかないんです。
選びたくなんかないんです。

何も。


そうしたって
しあわせにはなれないこと
本当はみんな、ずっと前から知ってたのに。


【「――なのに嘘をつくから」】



【声がうっすら溶ける】
【一度引いた囁きが、さざ波のように再び還って言う】


――あなたはもう、
十分がんばったじゃないですか。

もう、いいんじゃないですか?


【――もう戦う理由などどこにも無いのではないか】
【押し寄せる白波が彼の心へ緩やかに迫る】
【そのまま波濤の彼方へ引きずるように】
499 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2018/12/26(水) 23:28:19.23 ID:eumWo4YD0
>>497
【運ばれてきた珈琲を口に含み、その苦さに一抹の疑問を覚える。これは果たして美味なのだろうか?と】
【だが、不味いとは言い切れない。極めて不可思議な味覚と嗅覚への刺激だ。興味深いと記録した】

ロボ?機械と言うことだろうか。それは違う。俺はれっきとした生命だ
疑念を抱いているなら、実際に確かめると良い

【コートの袖を引っ張り、手首の辺りを見せる。肌の質感、色、共に人間のそれだった】
【疑いがあるなら触っても良い。脈拍も、体温も存在するのだから】

あぁ、水の国には行った。理由は、ロッソにそう言われたからだ
水の国に行ってみると良いと。だから、俺は水の国へ行った。確かに人間の数は多い
興味を惹かれる物と言われると選択に困るが、一つ言うのならば図書館だ
様々な情報を記録することが出来た。あのように過去の情報を蓄積する場所を設けているとは、興味深い

【一口、珈琲を啜り、彼はふぅと息をついた】
500 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/26(水) 23:39:20.28 ID:JAfJnHtW0
>>499

えー? うん……あ、ホントだ。触っていい? ……ほんと、脈がある。
たしかにイキモノっぽいけどお……なんて言うイキモノなの。
少なくとも起動とか消去とかいう用語使うイキモノはあたし、知らないなあ。

【珈琲を飲んでふしぎな顔をする少年を見てちょっと笑いながら】
【特に躊躇もなく指先を伸ばして、肌に触れる。人間の感触がする】
【したら、ちょっと目を伏せて――冗談っぽく訊いてみた。その時少女は少しばかり、】
【本当に少しばかりだけど、きっと図書館の本には載っていなかった表情を浮かべる】
【悲しみの色をどこか、僅かに滲ませたような。けれど形状としては笑み、そんな感じの】

図書館かあ……。そりゃまあ、知識欲があるならつまんなくはないだろうけどさ、
こう……何か見て、きれいだなーって思ったり、楽しそうだなーって感じたりとか。
そーいうのはなかった? ないならないでまーいいけど、……そーだねえ、

過去の情報見て楽しかったんなら、今と、これから先の情報もいっぱい仕入れれば?
テレビつければニュースやってるし、テレビだけじゃなくても新聞とか、ネットとか、
媒体はいろいろあるでしょ。……そーいうのでこう、なに? 世界を知る? みたいな。
そーいうのが性にあってそうな気はするな、あんたに、……マーカスに。

【「たとえば、……、」 そこまで言って、口を噤んでしまった。唇を噛んで】
【こんなこと言うこいつ自身はニュースをそんなに見てないのかもしれなかった】
【それとも何か、――悲しいニュースでも思い出してしまったのか。言いはしないけど】
501 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/26(水) 23:48:42.62 ID:CflRp1pb0
>>498

【悲しい、虚しい慟哭の叫びは】
【やはりと呼ぶべきか、曽根上を動かすには到底至らない】
【曽根上は微動だにせず、淡々と次の言葉を紡ぐだけであった】
【ただ不変に不偏で、その場に居る】

「――ッ!?」

【曽根上の言葉の中、丸の瞳に映り込む自分自身の顔と対面する】
【今にも泣き出しそうな、酷い顔だった】
【それは正に、曽根上の指摘を肯定するものに他ならず】

「それでも、それでも――」
「幸せに成れなかったとしても、それでも……」
「人は自らの意思と思想で、決定しなければ……」

【うわ言の様に、そして最後は殆ど言葉にならない様な言葉で】
【驚く程に未熟で未完成な反論を成そうとするも】

「皆が、自ら選んだこと?」
「ジルベールもアーディンも、ディミーアも夕月もつがるも……」
「本当は、この世界の在り方を、望んで等は居なかった?」

【がっくりと肩を落とし】
【有体な姿勢だが、俯いて視線を外して】
【まるでそう、嗚咽も無く静かに泣いているかのように……】

「俺は、僕は……」
「もういいのか?もう……世界の全てにとって不要な存在なのか……」
「僕はもう、戦う必要は、何処にも無いのか?」
502 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2018/12/26(水) 23:55:35.49 ID:eumWo4YD0
>>500
生き物。わからない。俺は頭脳体と言う存在でしかない。種としての名は無いのだと思う

【少女の表情の意味は理解出来なかった。それが悲哀を意味する物なのだと、直感的に受け取れなかったのだ】
【だが、少女の雰囲気が一瞬だけ変化したことには気付いていた。彼の中に疑問が一つ】

綺麗。楽しい。それは内面的な感情の働きだろうか
どうだろう。水の国にいた最中に、そのような変化を検知することは無かったように思える

これから先の情報。なるほど、現在の状況を知ることで、自ずと先が見えてくると言うことか
それは考えもしなかった。参考にさせてもらう。であれば、早速世界を知りに行かなければ

【彼はいきなり椅子から腰を上げ、どこかへ行く準備をする。彼女の一言で何かのスイッチが入ったのだろう】

たとえば?どうかしたのか?
お前は何故その表情をする?少なくとも、ロッソに教えられた笑顔と言った表情とはかけ離れたものに見える
503 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2018/12/27(木) 00:07:58.40 ID:GFcr8/gV0
>>502

ずのーたい、……やっぱりよくわかんないなあ。なんにもわかんない。
わかんないなら――その答えを探す旅にでも出てみれば?
本当に、自分探し。自分が誰の手によってどうして生まれてきたのか、
そーいうのを探すの。……悪くはないんじゃない?

【「たぶん、きっと」。言いながらやっぱり笑みはするけれど、どこか浮かないから】
【立ち上がった少年を見上げて、それから問われることに対しては――何も言えず】
【誤魔化すようにまた笑っていた。「どうもしないよ」、言っては見るものの】

――――――、そーいうときもあるの。
悲しいことがあっても、笑って――なんとなく何もかも誤魔化しちゃいたいとき。
そーいうずるい表情もするんだよ、人間、……そーいうもんだからさ。

【「いつかそのうちわかるよ」。少年が去る準備をするのなら、少女は片付けの準備に入る】
【そういうそれっぽいこと言って誤魔化すのが人間。誤解を与えそうではあった、けど】
【それ以上のことは問われてもあんまり、答えないのだろう。――代わりに】

…………そーだネ、調べもの。ネット使ってやりたいって思うなら、
はいこれ、あげる。Uターンさせることになるけど――水の国の、ネカフェのクーポン。
あたしそこの経営者の身内なんだ、だからこーいうの持ってて、……だからあげる。
ドリンクバーとかあるよ、珈琲以外のものでも飲めるし、いざとなれば宿代わりに使えるし、
それなりに、まあ――楽しいんじゃない? それにあたしその店の近くに居るし。
何かあったらそこらへん探してよ、多分あたし、いるから――――ああそう、

あたし名乗ってなかったや。夕月っての、夕方の月って書いてユヅキって読むの――

【空になったカップを持って厨房に入る前に、ポケットから差し出すクーポン券】
【そこには水の国の住所が書いてあって、簡単な地図も書いてあって――繁華街、駅前】
【そのへんに居るから呼べったって割と無理はありそうだった。だけど、きちんと手渡すから】

【「いってらっしゃい」。カウンター越しにカップを洗いながら見送る顔は、やっぱり笑っていた】


//いいお時間になりましたのでここらへんで……。ありがとうございました!
504 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/27(木) 00:14:24.01 ID:PQMBqOL3o
>>501


【 “ それでも―― ” 】

【 “ ――それでも―― ” 】


【虚しく反芻するその譫言に】
【そっと制止する母のような声がひとつ、被せられる】



――――――嘘つき。



【す――、と】
【微かに空気と摩擦して落とされた言葉は】



     【「――――嘘吐き」】


 【「――――嘘吐き」】   【「――嘘吐き」】


        【 「嘘つき」 】



【遠くて近いような過去と】
【融け合い、重なり、響く】




/↓
505 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/27(木) 00:15:24.14 ID:PQMBqOL3o
>>501


――もう自分に嘘をつかなくていいんです。
あなたはありのままが一番きれいなんですから。


【チク タク チク タク……】
【始まりのための終わりを告げるように】



――大丈夫です。
あなたなら理解できますよ。

本当のあなたは、とても強いんですから。


【蜃気楼の奥から語りかける声。畳みかける】
【揺らぐ。厳島命の固有振動と同期するように】














――最期まで理解できなかった、
“あの人”みたいにはならないでください。


【――ぽつり、儚く零した】

【「あなたに間違ったことを吹き込んだ、】
【 何にもできない、ゼロの人――」】


【――遠い夕焼けの海が、夜に沈む】
506 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/27(木) 00:27:06.03 ID:7i8alsEG0
>>504>>505

「ひッ……」
「違う、ちがう!チガウ!!」

【幾つもの声が折り重なる】
【嘘つき、そう自分を非難する幾重もの声】
【それは先程の幻覚と重なり、永劫に責め立てる声で】

「僕は、嘘なんて……」

【最早、子供の様な口調だった】
【涙は頬を伝い続け】
【言葉は言葉に、思考は思考にならなかった】

「僕は……強い……」

【だが、其処に】
【一滴の甘露の如く、注がれるのは】
【ミチカの優しい、それは優しい温もりの様な言葉だった】
【涙だけが溢れる、虚ろな瞳を向ければ】

「あの、人?」
「カンナ……黒野カンナ!!」

【ゆるりとウェーブのかかった髪、真っ直ぐで綺麗な瞳】
【何処までも悪を憎み、何処までも正義を貫こうとした女性】
【忘れるはずが無い、忘れる筈など無い】
【カンナの姿と共に、幾分、瞳は生の色を取り戻し】

「黒野カンナを、カンナを何処へやった!?」
「最期と言ったか!?カンナをどうした!?」

【搾り出すような怒声と共に、こう問い詰めた】
507 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/27(木) 00:52:54.46 ID:PQMBqOL3o
>>506

【たった今まで、】
【慈しみ深い弧を描いていた口元が】

【その瞬間】
【すう――、と氷点下まで冷えた】


――余計なことは思い出さなくていいんですよ。

そのひとつきりの眼で
わたしのことだけ見てれば――


【 “ ――みシ ” 】

【静寂の中にひとつ、】
【何かに罅が入るような歪みの音が混じった】


【その白磁の顔色こそ変わらなかったが】
【声の波だけが幽かに重く、低く変じた】


【燃え上がるように繰り返されるその名が】
【耳朶に届くのさえ忌むかのように、小さく頸を傾げ】

【永い、永い、】
【空間を万力で締めるような無言を】
【数呼吸の間に幾重にも詰め込んでから】


【ようやく、言った】









――死にましたよ。


【真空の声】
【透徹した無価値の残響】

/↓
508 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/27(木) 00:53:51.42 ID:PQMBqOL3o
>>506

【今までで最も、にべもなく】
【いったい何時の話をしてるのか、とでも告げだしそうな】
【生命にはおよそ出し得ないほど抑揚の欠いた音が拡がった】



――あなたが考えるべきなのは、
そんなつまらないことじゃないんですよ――


【ミチカ・ソネーウェは厳島命の隣に座している】
【手を伸ばしている。彼の顔へ目掛けて。ひどく緩慢に】

【その傷へ触れるかのように】
【――あるいは傷口の中へ入り込まんとするかのように】
509 : ◆zlCN2ONzFo :2018/12/27(木) 01:11:56.17 ID:Ajvoge5X0
>>507>>508

【その名前を出した瞬間、誰の目にも明らかな程に、曽根上ミチカな表情は凍った】
【否、もしかしたら表情は変化が無かったのかも知れない】

「余計だと、貴様らが攫ったのだろう!」
「私だけを!?何を言っーー!?」

【空間が裂けたような、或いは空気に皹が入ったとも】
【そんな感覚を受ける】
【まるで、こちらの言を遮るかのように】
【そして、長い長い沈黙の果て、その事実は冷たく告げられる】

「死んだ、だと?」
「嘘だ……ーー」



「嘘だ嘘だ!!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!」


【狂ったように、決して認める事も】
【そして受け入れる事の出来ない事を】
【かき消すかのように、?き消したいのかのように】
【幼子の様に喚いては、頭を抑え時に顔を上げ、多量の涙を流しながら】
【そう、悲鳴の如く叫ぶ】

「つまらない!?カンナを、カンナを殺したのは貴様らだろうが!カンナの死がつまらないと言うのか!?」

【隻眼となった目は再び死に絶え、両の目からは涙を止め処なく溢れさせ】
【横に座るミチカを責めるも】

「ーーッ」
「なに、を、何を、する!?」

【顔に手が伸びる】
【少なくとも、振り払う様な事も避ける様な事も無さそうだ】
510 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2018/12/27(木) 19:23:49.78 ID:FBG/1OFZ0
>>503
/ロールありがとうございました!また機会があればよろしくお願いしますー
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/29(土) 20:12:04.67 ID:Kfs+jbdH0
【街中――――大通り】
【クリスマスも終わって、街中はついに年末ムードに満ち満ちていた。行き交う人々の足取りも寒さのせいか、何かしらの焦りのせいか、心なしか早く】
【ならば目立ってしまう人影もあるというもの、――――、俯いて歩く一人。どうにも前方不注意であるなら、さっきから何度も誰かとぶつかりかけて、けれど改善しない】
【あるいはそんな気すらないようだった。――だって、俯いた目線はぴくりと持ち上がることもなかったし、足取りは両足の靴底に百人分のガムを踏みつけたように、重たくて】

【腰まで届く黒髪がそれでも街明かりに艶めくのならかえって皮肉めく仕草で毛先が揺れて。少し長めの前髪が俯いた視線を覆い隠し】
【ごく真っ白い肌の顔を覗く瞬間があるのなら、あどけなさの残る顔に不釣り合いに冥い表情が満ちていた、特に目立つのは左右で色の違う瞳で、黒と赤の色違い】
【ぞろり長い腰丈までの黒いポンチョコートに胸元にフリルをあしらったボルドーのブラウス、腰元を絞るコルセットから濃灰色の全円スカートが広がって】
【黒色のタイツで包むなら華奢すぎるくらいの両足がひどく目立っていた。ヒールの高いショートブーツが陰鬱げにアスファルトを擦る音は、けれど、雑踏に紛れてしまうのなら】
【十六歳ほどの少女であった。そうして知るのであればUTの給仕として活動していた少女でもあった。――どすん、と、誰かと肩がぶつかって、ふらり揺れるシルエットが】
【ふっと交差点に差し掛かったのはそんなタイミング。ふらりと小さく首を揺らすなら、ほとんど周りも見ていないものだから。であれば赤信号に気づくはずもなくって、】

――――――――――――――っ、

【――ならば、最も人通りの多いような時間に、劈くようなクラクションも響くのだろうか。悲鳴によく似た引き攣る吐息、ぎくりと身体を強張らせ】
【その目の前を車種なんて分かるはずない車がきゅんと空気を裂く音引き連れて、通り過ぎて。その余波に揺れた毛先が翻り艶めくなら】
【見開かれた眼の明度差がかすかに潤むのを行き交う車のライトがあんまりに無遠慮な明るさで刹那刹那に照らし行くのだから、】

もう、嫌、――――――。

【歩道と車道の狭間にて呟く声を誰が聞くでもないのかもしれないけれど。――ごく高く澄んだ鈴によく似た声が呟いて】
【翻る足取りは、さっきよりもずっと乱暴さと自棄ぱちを孕んで、強引に人込みの中に紛れ込もうとするのだから。それこそ誰とぶつかっても構わない足取り、足音ばかり鋭いのなら】
【あるいは誰かを押しやり退かすようなこともあるのかもしれなかった。――――ひどく怒っているみたいに荒く荒れた吐息がしゃくりあげる涙のせいとは、よく見なければ、きっと気づかないけど】
512 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/12/30(日) 00:03:09.98 ID:Cp+IYbyZ0
>>511

――何が嫌だって言うんだよ。人に仇為す悪神風情が感傷に浸りやがって。
なぁ、"ウヌクアルハイ"、いいや、"白神鈴音"って呼べばいいかい?


【師走の街に蔓延る雑踏に紛れていた一つの足音が鈴の音に引き留められる】
【鈴の音の出所に意識を向けた先にあったのは怨敵とも評するべき少女の人型】
【癇癪めいた強引な足取りはいかなる理由があったのか察する余地こそ無いけれど】
【荒ぶる御霊と形容するには聊か大仰に過ぎる。年頃の少女にしか映らない筈なのに】


ここはテメェみたいな悪神が紛れていい場所じゃないんだよ。
人類すべてを滅ぼすって宣った相方に寄り添ってるクセに人肌が恋しくなるとは随分と都合の良い生き物だな。


【鈴音の向かい側から現れた女性は出合頭に憎悪をぶつけるのだった】

【その女性は灰色を基調としたパンツスーツ姿にステンカラーコートを羽織っていて】
【前髪の一部を黒く染めた金髪と左耳に開けたトランプのマークを模したピアスが特徴的だった】
【名はエーリカ=ファーレンハイト。外務八課所属の首輪付きの犬であり、先日のインシデントに関与していた人物】
【彼女も師走の慌ただしさに急かされて街中の雑踏に紛れていたのだが、鈴の音がそれを許さなかった】

【怨敵と認識する少女を目の当たりにしたのなら、もう彼女の憎悪は歯止めが利かない】
【鋭利な刃の様に尖った眼光、触れる全てを切り裂くような雰囲気を一人の少女に向ける姿は異質そのもの】
【相手の回答次第では街中であるにも関わらず刃傷沙汰では済まされない惨状を引き起こしかねなかった】

//おまたせしましたっ!
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/30(日) 00:22:59.29 ID:PQuVZCNk0
>>512

【逃げ出すみたいに/まさに逃げ出すために振り返った瞬間に、少女は彼女を視界に収めるのだろう。だけれどやはりその瞬間に彼女は相手の隣を抜けようとして、】
【――けれど叶わずに足を止めるのだろうか。その名前で呼ばれることに、それから、"自分"の名前呼ばれて。ひどく強張っていた表情は何の感情を宿していたのか知れずとも】
【――――だからきっとその時点ですでに泣いていた。色違いの瞳からはぼとりぼとりと大粒の涙が落ちていた。ならば伝えるのだろうか、神様にしてはひどく弱気であると】
【だってヒトだとしたって、あんまりに、あんまりに、弱り切った顔をしていた。その薄い胸元をぐっと押したらそれだけで倒れこんで頭を車に轢きつぶされそうな顔をしていた、なら?】

だれ………………?

【う、なんて、小さな声が漏れた。だけれど数秒後には気付いたみたいだった。だから少女は余計に表情を歪めるのだろうか、ぐうっと歪めるのなら、】
【ひどく気の弱い女の子のような顔をしていた。或いは迷子になってしまった子供みたいな顔をしていた。そんなはずなかった。そんなはずはない。ないのに、あってはいけないのに】

――――っ、うるさいなあっ、――、わたしのこと、なんか、なんにも――知らないくせに、っ……、

【ざわりとひとごみがざわめいていた。――といってもまだごく近しい範囲のみの話だ。前も見ずに車道に飛び出しかけた少女へ向いていた視線が元からあったなら】
【その姿を何かで知っていた誰かが居たのかもしれない。或いは、単純に心配している誰かが居るのかもしれない。そうしてまた、そんな彼女へ声を掛けた相手の、刺々しい空気感】
【あるいは彼女が口にした単語、――ウヌクアルハイだなんて名前を世間の人間が聞いたのだなんて、件のカルトに関連して以外にあり得ないのだ。だから、】

――――――――――"あの時"は怖がってたじゃない。

【――色違いの瞳が恨みがましく睨みつけていた。そうしてその背後で信号が青色に変わるから、たくさんのひとは、彼女ら二人を避けて、足早に向こうへ向かうのだろう】
【急いでいるのかもしれなかった。それとも何か嫌な予感を覚えたのかもしれなかった。二人だけが何か取り残されたみたいで、――】
514 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/12/30(日) 01:07:25.32 ID:Cp+IYbyZ0
>>513

【雑踏犇めく街中にいてなお凛と透き通る声。なのに消え入るような弱い声で】
【その理由を平生の彼女ならば察せた筈なのだ。しかし赤銅の瞳に映す景色を曇らせるのは憎悪】
【大事な人を傷つけた事による憎悪、何かを穢された時のような荒ぶる激情】
【双方恨みがましく、そして剣呑な視線を交わし、赤銅と異色の相貌は重ね続けられる】


そうさ、何にも知らないさ、知るはずもないだろうが。
世界を滅ぼす心算のクソ女の何を知れって言うんだ。
そのくせ今しがたの心情も背景も知って慮ってくれってか。


             虫の良い話だなっ―――ウヌクアルハイっ!
         確かにあの時は怯えてたけど、今も同じとは限らないだろがッ!


【気弱な少女の振る舞いは直ぐに刺々しいモノに変わっていたから、それが彼女の逆さ鱗を撫ぜる】
【抑えていた感情は加速度的に肥大化して。早くも感情に振り回されつつあって、だから少女の胸元に手が伸びる】
【睨みつける双眸。刃物の様にギラリとして、けれど白銀の煌めきなんてない昏い輝きのそれを携えながら】
【吐き捨てる劇場と憎悪に心を委ねて少女の胸元に手を伸ばす。そしたら彼女は少女の胸元をグイッと掴んで吠えるのだろう】

【少女が彼女の振舞おうとする暴力を為すが儘に受け入れるのならばの話。伸ばされる手を振り払うことも決して出来ない訳ではないから】
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/30(日) 01:35:04.83 ID:PQuVZCNk0
>>514

【ならば小さく唸る声は手負いの獣の威嚇に似ているのかもしれなかった。これ以上近寄ったら噛みつくぞと言いながら、全ての足が折れている獣みたいな、目をしていた】
【故に睨みあう視線はどうしたって彼女が押し負けるのだろう。だってぼろぼろ泣きじゃくる目で睨まれても怖いはずないのだ。どれだけ吠えてももう動けやしないのだから】
【あとはのんびりお茶でも飲んで待っているだけで勝手に押し潰れてしまうのだろうと誰にだって予感させた。ついでにお饅頭だって食べてよかった。のんびり楽しんだなら、】
【ちょっと軽くお皿でも片付けて。それで思い出したみたいに様子を見に行ったなら。もうそこで息絶えているって確信できるくらいに、ぎりぎりの場所にきっと立つ、顔色をして】

――――――わたしに、へびさまに、優しくしてくれない世界に、仕返しして、なにがわるいの!?
それに、――生きてるじゃない! みんな! みんな! わたしの嫌いな奴も! そうじゃないひとも! ――生きてるのに、曽根上ミチカだって、生きてるのに!
なのにロッソさんが死んで、――カルラだって、"あんなふう"になって、――――――っ、

【ぐうっと胸元を掴むのなら、少女の身体が強張るの、感じるのだろうか。きゅうっと吐息が詰まるような一瞬、――――、】

わたしに嫌われるようなことばっかりして、なのにイイコでいろっていう、お前たちの方が、よっぽど虫がいいでしょ?
わたしに非道いことをした奴が当たり前に生きていて、――、わたしばっかりが我慢する世界なら、わたしは、要らない。

【ぎりと表情を歪ませて吐き捨てるのなら、――潜めた鈴の音はごく抜き身の刃みたいに鋭く冴える。その距離で見るのなら/そうでなくても、やはり彼女はひどくあどけなく】
【まだ制服を着て学校に通っていてもおかしくないような見た目をしていた。だけれど彼女は二十五歳の女性であった。――そんな風に見えるはずもなかったし、】
【まして八課に所属する相手なら、いくらかを探ることも出来たのだろう。ならば少女はもう何年も全く同じ姿のままだった。少なくとも、数年前にUTのCMに出演させられt】
【――――UTのCMに出演したころからは、なにひとつ変わっていないのだ。だからきっと大人になれないんだった。そしてきっと大人になりたいんだった。だって、】

――――――――――うるさいな。じゃあもう黙っててよ。

【――色違いの瞳はひどくひどく淀んでいたし濁っていた。そんな風な態度を取られることは心底嫌で仕方ないらしかった。だから、きっと、伝えてしまうのは、】
【だけれどまさかそんなはずはなかった。あってはいけなかった。でもそうであるとしか思えない気もした。そうであると考えた方がいろんなこと、簡単に、繋がる気がして、】

【――――ぎゅうっと細い指先が、エーリカの手首、掴もうとするのだろうか。そうすればねじり上げるみたいにして、その腕、無理やり離させようとするはずで】
【細い指先のわりに存外力が強かった。そうだとしても、決して抗えぬ腕力ではなかった。――離してしまうのなら、また歩き出すのだけど、やはり、追いつける速度であるから】
516 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/12/30(日) 02:07:50.07 ID:Cp+IYbyZ0
>>515

知るか、知るか、知るかよっ!御託並べてんなッ!テメェの事情なんざ知ったことかッ!
今しがた並べ立てた有象無象の連中がどうなったって知ったこっちゃないんだよッ!


【少女に近しい奴らに不幸が降り注ごうが彼女には関係のない話で】
【それ処か、自分が世界の中心とでも言いたげな物言いが鼻について我慢ならなかった】
【世界の全てが自分に傅かなければ気が済まないのか――――とでも言いたげに鋭く尖らせた眼光に言葉を絡めて】


随分と極端な自己中だな。テメェに害意を振りまいた連中と私を一緒くたにすんな。
そんな身勝手な理屈で世界が滅ぼされるんなら幾つあっても足りない、だったら私もおんなじ様な屁理屈を振舞ってやるさ。

自分ばかりが嫌な思いをして他の奴らが自分に良い思いをするのは当然だろうが。
この世の不利益はすべて当人の能力不足が原因なんだから、呪うなら己の愚かさを呪って自死しやがれよ。
身勝手を振舞ってテメェに害を為す連中の理屈のほうがよっぽど納得できるし理解できる。


         【"だから黙るのはお前の方だよ、クソガキ/ウヌクアルハイ"】


【瞳を重ねた。覗き込む色は濁りを見せていて。けれど慮る気は無い。掴まれた手首の痛みもそれを助長したから】
【痛みに顔をしかめて、存外に力強い指先に引き剝がされそうになるのを拒んで、抗って。先刻よりもぎゅっと力任せに掴み続ける】
【くすぶる憎悪は未だ鎮まることを知らないから。ならば互いに感情をぶつけあうしかない】
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/30(日) 02:51:40.41 ID:PQuVZCNk0
>>516

【ならば重なる視線はそうなのだと言う何よりの答えなのだろう。今まで恵まれなかったと思えば思うだけ、それ以上に"何か"取り返さなければ、命に納得できやしなくて】
【だから優しくしてほしかった。神様になってしまったのは自分のせいじゃなかった。そのことをずっと知らなかった。ずっと自分がナニカであることは感じていたのに】
【果たして自分が"何"であるのかはずっと知らなかった。ずっと不安だった。だけれどずっとあった憧れだけを抱きしめて生きてきた。のに。なのに】

【――――手首を捻り上げた指先がぱっと離れるのなら、けれど、次の瞬間にはその胸元を掴んでいるのだろう。ちょうど自分がされているみたいに、けれど、】
【彼女の背丈は相手よりも大きな百六十センチであった。まして高い靴の踵も含めるのなら、百七十にも届こうかという背丈であり、思い切り、引き摺り上げるようにしようとするなら】
【篭められる力はさっきよりも強くなるのだから、――けれどそれは決して人外めいた力であるというわけではなく、ならばきっと表情が証明していた、ひどく、ひどく、――、】

――――――――――――今すぐ謝れよ、でないと今までの人生全部後悔させて殺す。

【見開かれた色違いの眼はどうしようもないぐらいに怒り狂っていた。だのに相手の身体をぐうっと自分に引き寄せる仕草の中に香るのはラベンダーのシャンプーの香りであり、】
【それに落ち着くことはないとしても、呼吸をするのなら、その服もまた甘い洗剤の香りがしていた。なのに顔ばかりが何もかもを祟った神様の目をしていた。赦せぬことを言われた人の目】
【せめて何かそれが優しさであるかのように耳元に囁く声がきっと少女の人生の中で一番悍ましい声音であったのを誰が確かめてくれるわけでもなかった。けれど】

【――もしその首元を掴んでいたなら。そのまま引き摺り上げていたのなら。地面に投げ捨てるような乱雑さにて振り払おうとするのだ。――――車道側でないのが、せめて良心みたいに】

――ッ、お父さんも、お母さんも、悪くなかった、悪くなかったのに、殺された、譯懆干/繧上◆縺だってわるくなかった、――っ、わたし、だって、っっ、
へびさまだって、わるくない、わたしたちいがいの全部が悪いのに――あんなこと、すきなひととしかしたくないのに、

縺ゅ?譎りェー縺句勧縺代※縺上l縺溘↑繧臥・樊ァ倥↓縺ェ繧薙※縺ェ繧峨★縺ォ貂医s縺?縺ョ縺ォ

【ぎりと噛み締めた歯列の音がなにか地雷を踏みつけた音であるのに疑いようもなかった。ならば彼女の大事なひとはたくさん死んでしまっているのだと分からせた、】
【父親も母親も**も死んだ。それに対して少女はどこが悪いのかを見つけ出せもしなかった。だからそんな言葉を許せるはずもなかった。信じた神様にも、悪いとこなんて、何もなかった】
【だから許さない。だからわたしとその大事なひとを傷つけた世界が悪い。――、泣きじゃくる涙が顎から垂れるなら、ぞろり焼け爛れるように真っ赤に煌めくから、やはり悍ましく】
【なにかから助けてほしかったのだと言う。その時に助けてもらえていたなら。そうしたら。――けれど語る言葉はひどく軋んだ不協和音でしかない、から】

ロッソさんと繝吶う繧シを会わせてあげなくちゃいけなかったのに……。カル繝ゥだってもうすぐお誕生日だったのに……。
黒幕さえいなければ二人とも縺薙s縺ェ縺薙→にならなくて良かったのに……。

【――あんまりに怒っていた。周りを往く人が遠巻きに見ていた。(警察呼んだ方がいいんじゃない)なんて声すら聞こえて来て、それでも少女に聞こえるはずはないから】
【それとも相手に魔力を感じることが出来るのなら。ごわりと膨れ上がるのは間違いなく彼女の魔力の香りだった。澄み渡る清水の香り。たった今湧き上がったばかりの水の香り】
【目の前の相手を殺せばこの気持ちが少しでも収まると"理解"するなら、その瞬間に間違いなく殺そうとするだろうと伝える声をしていた。それでいて、ひどく絶望しきった声でも、あったなら】
518 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/12/30(日) 22:53:41.32 ID:Cp+IYbyZ0
>>517

【胸倉を掴む立場のエーリカはいつの間にか胸倉を掴まれる立場へと切り替わり】
【力任せに引き寄せられて、引きずられて、振り回される―――そうして乱雑に地面に放り投げだされる】
【その刹那に紡がれた呪詛の言葉は確かな力が宿っていて、かといって頭に血が上りきった彼女は決して聞き入れない】
【謝る理由などありはしない。謝罪の言葉を口にしたところで納得しないだろうから。だから―――】


誰が謝るもんか!テメェに垂れる首なんてただの一つだって無いんだよ―――――……づう、ぁあっ!!


【地面に転がり込んだエーリカの顔には軽い擦り傷が出来て、そこからひりひりした痛みが自身を苛むけれど】
【形振り構ってられるほど冷静じゃなかったから、即座に立ち上がって赤銅の瞳に殺意を孕ませて射殺す様な眼光を向ける】
【少女から垂れ流される呪詛の言葉は子供の身勝手な言動に似て。自分に都合の悪いすべてを呪う様な自分勝手に腸が煮えくり返る】


――――………さっきから聞いてりゃ毒にしかならない戯言ばかりを垂れ流しやがって……。
テメェの言葉の一つ一つが不愉快、だから私は何度でもテメェを否定してやる。悪いのはテメェら自身だよ、ウヌクアルハイと白神鈴音。

 
         ――――――殺してやる。百の肉片に引き裂いて地獄の淵に叩き落してやる!


【"そうすればお前の心配する奴らの事も考える必要もなくなるんだから。お前達が死ねば世は事もなしなんだから!"】
【向けられた殺意に香る澄んだ清水。12月の寒空、それも自然を潰して作られた都会の真ん中には香らない筈のものは】
【エーリカに警戒心を抱かせる。故に自身も魔力を迸らせる。清水の香りに対するは血生臭い鉄の香り。ヘルエッジ・ロード】

【この場に神はいるけれど、二人を救ってくれる天使なんていないから。二つの殺意の出所は絶望と嚇怒に拠るものだから】
【最早、止まれない。二人とも今の自分を突き動かす気持ちを静めるには殺すしかないって理解してしまっているから】
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/31(月) 01:57:57.86 ID:P+zlh3ng0
>>518

【そんなはずはなかった。もしも相手が謝罪のための言葉を発していたなら、少女は簡単に怒りを収めて、きっと相手に興味など失くしたのだから】
【怒った神様の取り扱い方など簡単なのだから。まして彼女の場合、その精神性は、自らは不遇を強いられてきたのだと。被害を押し付けられてきたのだと】
【そう思ってそう信じてそう生きる以外に自分を護る方策すら知らぬような少女であるのなら。だって彼女がずうっと要求してきたのは謝罪と憐憫と同情に等しい】
【何より自分のいのちに納得できるだけの理屈が欲しいだけなのだから。怒りと殺意とに靡くはずもなく、まして、怒る神様の取扱説明書にそのようなことはきっと書いてない】
【ましてや人間用の心理学の本にもおそらく書いていないと思うのだけれど。――――だけれどそんな神様やヒトのための理屈を使ってやる必要も、ないのかもしれない、だって、】

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。


【いきてるくせに】


【――気づけば彼女はごく無表情であった。遠くで横断歩道の音だけがして、二人を中心にして出来た空白があって。だったらそこに居るもの、相手にしか証言出来ないから】
【真っ白い肌は本当に白いだろうか。オパールのような遊色効果を持つ黒色の鱗ではあるまいか。ぎらぎら舞い散る赤色は力ずくに犯された血の滲む粘膜と同じ色をしていたから】
【だからきっとその瞳だって滴る血の色であるのだろう。そうしてまた対の眼は死体から滴り落ちる腐汁の色をしているのだろう。ところで覚えているだろうか】
【神様にアクセスした日のこと。覚えているなら今すぐ忘れた方がいいかもしれなかった。だって神様もその日のことを覚えているんだから】
【あの日よりずうっと小さく小さく切り出された少女の神様を何度もその名で呼んでしまったのだから。蜜姫かえでがせっかく小さく切り出し/てくれ/たのに】


 【/そもそもわたしたちが居なかったら蜜姫かえでちゃんはとっくに死んでいた女の子なのに?】
 【/わたしたちがどこにも存在しなかったら蜜姫かえでちゃんはどんなに遅くても十四歳までに死んでしまう女の子だったのに?】


【転瞬、】

【――――ごぎ、り、と。ひどく鈍い音、相手の耳元に届くのだろう。そうでなくとも、他の誰にだって届く音だった。だって、ひどく物理的な音であったから】
【ならば続くのは何かごく硬いもののひび割れるような音。それから、最後に、――どうと吹き上がる水の音。それも並大抵でないなら、水道管の破裂と気づくのに何秒ほどだろう】
【ただすぐに気づいたところで、間欠泉みたいに吹き出す水はちょうど二人の間であったから、――――ならば、一瞬ちらりと過るのは】
【人影であった。ごく鮮やかな紫色の髪と、少女と同じ真っ黒色な髪の少女二人分の。(水飛沫による視界の断絶)】


【――だから、次の瞬間、そこに少女は居ないのだろう。ならば残るのはごうごう吹き上がる水道管よりの水だけであり。――周りから、悲鳴の声が聞こえてくる、けど】
【付随する言葉は「冷たい」とか「何これ」とかであるのだから、少女が標的すら見失ったわけではないらしかった。であればあの二人組が"なにか"したのは明白であり、】
【だけれど少しもすれば違和感にも気づくだろうか。――。誰かがエーリカに駆け寄って声を掛けてくれるのだろうか、けれど、その話を聞くのなら】

【いきなり大きな音がして、直後に地面が裂けて、水が噴き出た。たまたまその時に近くを歩いていたのがエーリカだった。――そんな風な話、するのだから】
【少女に投げ捨てられた際の傷すらも、水の勢いによろめいたときの傷。――そういうことになっているのだろう。だってその話を聞く限り、それ以外はありえなかった】
【それでもそうじゃないこと、貴女はきっと覚えているから。――。】

【諢帙@縺ヲ谺イ縺励>繧医??縺溘□縺昴l縺?縺代↑縺ョ】

/おつかれさまでした!
520 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2018/12/31(月) 10:47:47.41 ID:dU3wr3zk0
>>519

【―――今、何を口走った?お前達が居なければあの子がとうの昔に死んでいただと?】

【寒々しい無表情に着色される彩なんて無くて。けれど激情から滲む嚇怒には驚愕という名の不純物が混じるなら】
【二人しかいないような空白の空間にいる感覚に陥る――そこでは口にする言葉なんて一つも無くて、でも。そう、でも】
【人ならざる配色は少女の本当を曝け出していたのか、それとも単なる一面でしかなかったのか。何方にせよ言葉にできない言葉を色で示したのだ】


【―――】


【意識を手放したつもりは無かった。油断に身を窶した訳でもなかった。でも、気が付いた時には少女の姿は消えていた】
【代わりに在ったのは二人の感情の代わりに爆ぜる水道管の破裂音。激流を伴い我が物顔で噴き出す水の暴力】
【胡乱な意識であったとしても、破裂の際の非日常の異音は直ぐに気付ける筈なのに。でもそれを理解するのに少々の時間を要した】


                 ――――待てッ!■■■■、■■■■■■■ッ!


【なぜ自分が二人分の名を口にしてしまったのか。だってエーリカと少女を分かつ間欠泉の先に二つの人影を見てしまったから】
【紫色の少女に黒色の少女。さっきまで一人しか居なかった筈なのに。―――鈍る思考は牛歩の如き速さでしか物事を辿ることが出来ないけれど】
【多分、きっと、いいや絶対に。自分は間違いを犯してしまったのだろう。そんな事彼女には知る由も無かった。結果だけ見れば悪手を取り続けたのだろう】

【遮る間欠泉に手を伸ばそうとして、呼び止められる。駆け寄った人の言葉に彼女は訝しむ。……認識の食い違いが生じていたから】
【曰く、突然大きな音がして地面が裂けて水が噴出した。そんな場に運悪く居たのがエーリカであると】


………


【少女に放り投げ出された時の擦過傷もこの突発的なアクシデントによるものだと定義づけられたけど】
【彼女はそうじゃないと理解しているゆえに。記憶の奥底に追いやった足音の恐怖が再び産声を上げるような錯覚に襲われて】
【顔が青ざめる。―――呆然として立ち竦む。兎にも角にも自身が刃を突き立てようとする神様はひどく人間臭くて、故に質が悪いと理解させるのだった】

//お疲れ様でしたっ!
521 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/31(月) 18:11:22.35 ID:UuE0Ygk5o
>>509



――わたしたちは嘘をつきませんよ。



【時化のように波立った空気が】
【ただ一枚の透明な言葉で凪いだ】


【「――あの深い影の奥の、】
【 丸いテーブルに座った人たちとは違って」】


【軍人の頬を流れる、止め処ない、脆い涙液】
【濡らされる顔の傷口を、女の無機な指先が触れた】

【途端、時が遡流するように】
【損傷が修復していくだろう】



あなたを縛る過去なんて、
必要無いじゃないですか。



【鏡のような眼差しが、厳島の瞳孔と接続する】


【鼓動も無く、瞬きも無く】
【二つの真円の鏡面が】
【真正面に凝然と】


【女の眼に映り込んだ厳島の姿】
【を映した彼の瞳孔】
【を反射した女の瞳】


【(自己)】

【(他者)】

【(自己)】

【(他者)】

【(自己)】


【連なる無限の奥行き】

【融ける】
【崩れる】

【境界の夢幻】



【チク タク チク タク……】


/↓
522 : ◆3inMmyYQUs [saga ]:2018/12/31(月) 18:12:08.69 ID:UuE0Ygk5o
(続>>521)


【乱反射する時流】
【秩序亡き重力下】



( ――もう、時間は無いんです )


【不定形の音響が】
【遠のき、囁く】



( はやく思い出してくださいね )





( ――あなたが本当に護らないといけないもの )




【 ヴヴ…… ―― 】


     【 じ……じジ―― 】


 【 ヴ――…… ン―― 】






   【 (ぷつっ) 】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2018/12/31(月) 21:10:58.12 ID:P+zlh3ng0
【街中――川沿いの道】
【すっかり暗くなったなら暮れも深まると言うもの、ましてやあと数時間と半分で歳も変わると言うなら、いろんな場所、どことなく浮ついて】
【駅前の大広場では街が主催の年越しイベントをやっているらしい。最近流行りの何とかとか言う歌手が特別ゲストに来るらしい。――空に会場の音が微かに混ざって】
【会場で買って来たと思しきわたあめで口の周りどころか睫毛までべたべたにする子供が歌う声、もういくつ寝ると、なんて、】

――――――――――――――、

【――けれどそんなの来てほしくないような。そもそも明日なんて、未来なんて、一秒だって望ましくないような。"だれか"の眼前、わたあめの匂いと、親子の嬌声、通り過ぎ】
【そろと顔を上げるのなら、真っ暗の中に落ちていた"かたまり"、死にかけた捨て犬みたいな塊が、だれか人間の体育座りだったと気づけるけれど、すでに親子は歩きぬけていたから】
【真っ白の顔に宿る表情の仄暗さを見るのなら、何か嫌な予感の一つでも二つでもするのかもしれないけれど、――数秒の後に、その傍らに誰か立つのだから】

……。……いーよ、お祭りなんて行っても、楽しくないもん。――それに、前みたいなひとに襲われたら、困るし……。……。
……――へびさまだけ行って来たら、わたし、この辺で、待ってるから……。何かおいしいものあるかもしれないの、……ひきがえる? ないと思うよ、多分……。

【スカートの裾を直して座り直す、――といっても、暮れだというのに微かにちらつく街燈の下であるなら、お尻の下はうんと硬い煉瓦敷きであって、息も、うんと白くて、】
【腰まで届く長さの黒髪をそのままに流しているなら、くしゃりと跳ね上がった毛先が三日月の明かりで白く照らされる。真っ白な肌は、それ以上に何か陰鬱を孕んで止まず】
【あどけなさを残す顔には不釣り合いな表情をそれでも曖昧に笑ませた頬は寒さに赤らむから、造形のあどけなさをより一層際立てて、それでも何か冥いから】
【胸元にフリルと背中に編み上げのリボンをあしらった黒いシャツにハイウェストの黒いスカート、背面バッスルから溢れて覗くフリルまで、全部が黒いものばかり】
【スカートからひらり垂れるリボン飾りの尾っぽまで黒いのだから、タイツと編み上げのロングブーツが黒いのも当然なんだろう、――まだ十六歳ほどの少女。であって。】

だから、へびさまは行っておいでよ。ひきがえるの屋台、あるかもしれないし。

【――――膝を抱えた少女の眼前、佇むのはうんと大きな背の男だった。肌と右眼以外すべて真っ黒にした少女とよく似て、その瞳以外の全部を真っ白で統一する男】
【おそらく身長二メートルはあるのなら色合いも含めてきっと遠くからでもよく目立っていた。――感情薄く、それでも必死に少女を駅の方のイベントに誘っているらしい、けど、】
524 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/01(火) 11:14:20.18 ID:yxZ5I6MR0
>>521>>522

「違う!待て!待ってくれ!待って……」
「僕は、僕は過去になんて……違う!そんな事は、そんな事は!」

【ミチカの瞳に映る自分の姿】
【酷い顔だった、泣き?る子供同然の】
【親に縋る子供其の物の】

「えんたくが、うそ、ちが、ちがう、かんな、かん、な……」

【曖昧になる、自己と他者、自分とミチカ、内と外】
【ミチカの触れた先から、時間の逆流の様に、殴打の痕が傷が消えて行く】

「僕が……本当に守るべき、物?」


ーーチク タク チク タク

「思い出す?守る物?」

ーーぷつっ





「ーーッ!?」

【気が付けば、粗末なベッドと無機質な天井】
【頬に目尻に、多量の涙を流して】
【身を起こせば、泣いている事に気がついて】

「カンナ……これは、夢?」

【思わず、頬に触れれば、すっかりと痛みも痕も消えた殴打痕に気付く】

「曽根上ミチカ……黒幕……」
「カンナ、やはり、君は……」
「俺は、俺達は嘘なんてついていない……嘘なんて!!!!」

【ギリリと歯噛みし、キッと虚空を睨み、まるで言い聞かせるかの様に、悲鳴の様に、そう吠えた】


//ありがとうございました!
//お疲れ様です!

525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!蒼_res ]:2019/01/01(火) 18:06:04.39 ID:xSIX+xnF0

臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。

水の国東部、星の国共同特別行政区『ニューロンシティ』において、31日より発生していた
オールドスクール市民によるデモ隊とNUStyle市民のデモ隊による衝突が過激化していることに対し
シティ両統括行政は記者会見を行いました。

行政府は『非常事態宣言』発令し、市民の安全の確保と
いち早い暴動の集結を目指すと会見で述べられました。

当市は旧市街と新市街との経済的格差が問題となっていました。
星の国や諸外国から出稼ぎに来た労働者の多くは新市街にのみ居住権を認められているものの
人口密度は急激に増加し、地価や物価の増加、治安や環境の悪化が問題となり
盗品など不当なビジネスや薬物汚染、反企業テロ活動など諸問題に対し
現地警察を委託されているテクノドッグスによる厳しい監視が余儀なくされています。

また旧来の姿を残す旧市街は新市街の治安悪化に対する自警団の設立や水の国政府に対する嫌異能的政策など
星の国寄りの政治に対しデモが活発に行われるなど過激な市民活動が行われていました。それにより先日には
過激な自警団がごみ収集作業で業務中であった移民男性に不当な暴力をくわえるといった事件も発生し
移民排斥の気運が高まっていました。

テクノドックス社はこの非常事態に対し「早急な秩序の回復に努める」とコメントしています。
現在は何時も通りの市民の生活も行われていますが突発的な戦闘や破壊行為が発生しており
注意を呼びかけています。

以上、ヘッドラインニュースでした。


526 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/01(火) 22:03:58.01 ID:eVZPmAKG0
【水の国・フルーソ】
【新たな年を祝う者達の活気で賑わう街。人々の濁流に流され、揉みくちゃにされながら辺りを見回す少年が一人】

こっ……これは

【今までに無い程大勢の人間を目にし、これは何事かと驚愕する。正月と言う行事は知っているが、それを理由に盛り上がる人々の心の機微までは推し量れない】
【その為、迂闊にも外出した少年を待ち受けていたのは右も左も、天も地もわからなくなる程の群衆だった】

どう言う……

【口を開こうにも、誰かに問いかけようにも、視界の構成要素は目まぐるしく変化していく】
【時間の流れが止めどない物のように、群衆の流れも一秒一秒変化する。それを完璧に把握しようなど出来る筈も無い】

ことなんだ……!?

【流されてゆく少年の脚が地から浮き、地に足が着き、また浮き上がる。最早川に流されるより海で遭難しているかのよう】
【自由意思など通用しない人海の中で、彼にとっての舟板となる存在が流れてくるのをただ待っている】
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/02(水) 00:27:47.47 ID:JwQlZRWD0
【街中――――人気のない通り】
【元旦の浮かれ気分も夜の寒さに中てられて沈みゆく時間だった、もう少し下手すれば雪でも降ってきそうな空模様と、寒さにて】
【大通りの人気を嫌がった人間が逃げ込んでくるような裏路地に小さく漏れる声、「――――――えっ」なんて、なにか、ごく呆然とするような、】
【次いで聞こえるのは"ごしょん"なんて音であるのだろう。喩えるのなら、そう、あのやけに柔らかいペットボトル、中途半端に飲んであるのを、落としたような、――】

――――――え、ちょっ、――ちょ、え、待っ、たなくても、いいですけど!? え、いや、ちょっと、待っ、――――はっ? 初詣? 初詣ですかこれ?
え……初詣って普通こっちから行くんじゃ。……神様から来る初詣ってレア過ぎないですか? 去年一年いい子だったからかな――。いや……。――ちょっと!

【――ならばそこに佇むのは、何かひどく呆然とした少女であるのだろう。ならばやけにべこべこやらかいペットボトルを落としたのも彼女であるらしい、足元に転がるから】
【なにかめちゃくちゃに奇妙なものを見たらしかった。だからか頻りにきょろきょろと辺りに視線を巡らせて、刹那、――いやいや、なんて呟いて、走り出すなら】
【ペットボトルは当然のように置き去りだった。――。真っ白い髪先がひるり翻って揺らぐ、或いはいくらか前より少女を見ている誰かなら、状況を分かりもするだろうか】

【まず先に通りを歩いていたのは銀髪の少女だった。ペットボトルのお水を飲みながらの行儀が悪いうろつき、ちょうど、ボトルのキャップを閉めて、さあ鞄にしまおうなんて瞬間】
【暗がりの細道から人影が一つ出てきたのにびっくりして立ち止まる。――――、それが知り合いだったか、何かだったか。ペットボトルを落として、先ほどの状況になるのなら】
【細道から出て来て、白髪少女より十数秒も早く脱兎で逃げ出したのは髪の黒い少女だった、――真っ白い肌に、左右で色違いの瞳。ふわふわしたスカートとピンヒールの癖に、早い】
【――――銀髪の方も、別に遅くはないし、むしろ早い方なのだろうけど。呆然としていた時間のせいか、どうにも、逃げられてしまいそうであって。真っ青の眼差し、瞬かせ】

【まっすぐな通りをしばらく行って、道なりに曲がる。そうしたら真っ黒い毛先の少女は目についた細道に飛び込んで隠れてしまうのだろうし、】
【或いは誰か捕まえてくれたりするのなら、追いかける少女だって追いつけそうだった。それとも逃げるのを手伝ってやってもいいのかもしれなかった。――なんて、】
【――どちらにせよ、突発的に発生した切羽詰まった鬼ごっこ、は、目立ちすぎていたから。なんせ二人とも高いかかとの靴であったから、静かな通りに反響しすぎていて】

/日付変わるくらいまでのんびりお待ちしておりますっ
528 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/03(木) 23:08:27.97 ID:heZoOBK90
【頭上には幾千の星々、眼下には冷たいコンクリート、冬の大気に晒され冷え切った街が眠る午前二時】
【此処は水の国首都フルーソ。常に群衆ひしめくこの街にも、眠りに包まれる時がある】
【だが、その少年は帳の奥で歩みを止めない。白い呼吸を吐きながら、冷えた体をそれでも動かす】
【少し前にもこんなことがあった。星々の天蓋に見守られ、砂の揺り籠の内でもがくだけの、冷たい時間】

「おい兄ちゃん!ここは俺達の縄張りだぜ?」
「勝手に通ろうなんて筋が通らねぇよなぁ!?」

【騒々しい。耳にガンガンと響く声が二つ。暗闇の中でしか自己を確立出来ない弱者達】
【胸倉を掴まれる。首を絞めあげられ、呼吸が乱れていく。喉の奥に鈍痛。確実な障害と認識した】


─────────────────────

「いてぇ……畜生いてぇっ!……」

【数分程して、路地裏に響くのは裂傷を負った破落戸の苦しみ悶える声】
【急所は外され、見る者が見れば行動不能程度で済むように調節されているのがわかるだろう。だが、凶悪な傷ではある】

……さむ

【はぁ、と白い息を吐く。少年は、返り血を気にする様子も見せず、ふらふらと路地裏を行く】
529 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/03(木) 23:19:33.83 ID:L6P1N8nI0
>>528

【少年の行く先―――路地裏の道を塞ぐように、いつしかそれは立っていた。】
【まるで幽鬼のようでもあり、それでいて天からの使者かのような奇妙な雰囲気を纏った者だった。】
【ソレは笑った、まるで少年を見つけるためにここにいたとでも言うかのように。】


やぁ―――君は誰だい?
私は………マリアベル=\――星を見る者/スターゲイザー≠ウ。


【ソレは】
【ストライプの入った赤いスーツに同じ柄のソフト帽、銀色の長髪に赤い瞳といった目立つ風貌の女性だった。】

【女性は問いかける。どこか淀んだ隈の深いある眼で少年を品定めするように見つめながら。】
530 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/03(木) 23:27:20.88 ID:heZoOBK90
>>529
【視界の先に何かがいる。そう気付いた時には、既に鼓膜が震わされ、音声情報へと脳で変換されていた】
【銀色の髪に、赤い瞳の女。少年の姿もまた、鋼のような銀髪に、夕焼けのような緋い瞳。ポニーテールに纏めた髪が、冬風に揺れる】

スターゲイザー……?それは、仕事か……?
俺はマーカス。今はそう名乗っている。お前は……マリアベル、と呼べばいいか?

【まるで、それ程親交の深い訳でも無い隣人に出会ったかのように、淡々と表情を変えることなく対応する】
【金属のように冷たい言葉を、冷ややかな空気に乗せて飛ばす。飛燕のように、流れ矢のように】

【星を見る者が見つめる先、少年が果たして星であるかは、未だ誰にもわからない】
531 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/03(木) 23:36:30.00 ID:L6P1N8nI0
>>530

【類似した容姿でいて決定的に存在としては異なる二人は邂逅した。】
【少年の言葉にマリアベルは「ふふッ」と笑みを零しながら一歩、一歩少年へと近づく。】
【カツン、カツンと革靴が冷たいコンクリートを叩く音だけが響く。】


何、大した意味はないよ。ただ私はそう言う存在だということさ。
マーカスかいい名前だね。今はというと前は別の名前があったのかな………?

それはそうとルーカス、こんな薄暗い路地を歩き回ってどうしたんだい?何か探し物かな?


【ルーカスのすぐ近くまで接近しながらマリアベルは矢継ぎ早に質問を投げかける。】
【自分自身もこんな路地裏にいる時点でおかしいのだが、そんな事を棚に上げて微笑む。】

【そして拒否されなければルーカスの肩に手を置いて囁く。】


【「―――良ければ力になるよ―――」】
532 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/03(木) 23:48:01.86 ID:heZoOBK90
>>531
【一歩、また一歩とマリアベルが近づく度に、少年の瞼がパチリと閉じる】
【表情に変動は齎されない。ただ、瞼だけが機械的に閉じられ、そして開く。反射と言っても差し支えない】
【そんな反射を見せる程度には、彼は目の前の女に違和感を抱いていた。常人ならざる何かの気配を】

そう言う存在?であるならば、仕方がない
俺にはこの名前しか無い。設定された初めの名前がこれだ

……マーカスだ。探し物……?俺は……そうだ、人を探している

【人。UNITED TRIGGERの人。待ち人が来ないのならば、此方から探しに行けば良い】
【自分には道が無いのだから、道を示す為の道具が必要だ。そして、今それはUNITED TRIGGERと言う名をしている】

力……?お前は、何でも出来るのか?

【懐疑的な瞳を向けながら、少年の瞼がまたパチリと落ちる】
533 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/04(金) 00:06:35.58 ID:2SaCKcVf0
>>532

【マーカスの純粋無垢な反応に愉し気に笑いかけながら小さく何度も頷く。】
【どこか濁りを感じさせる赤い瞳はその深淵からマーカスを見つめ続ける。】
【それは惑星の最期に訪れるブラックホールのような深い、深い闇を含んでいるようにも感じられた】


設定―――?キミはロボットか何かという事かな?
ああごめんごめん、最近人の名前をちゃんと覚えられなくってさ。

よろしくマーカス。人探しか、それに路地裏はあまり適していないんじゃないかな?


【「だって私以外ロクに人影もないじゃない」と辺りを見渡す。】
【確かに周囲は静寂に包まれていた。静かすぎるほどに人の気配もまるで感じられない。】

【マーカスの問いかけにマリアベルの口はまるで三日月のように歪む。】


いや、何でもは難しい。けどある程度であれば協力できるよ
それが外宇宙≠ノ関する事だとしてもね、いやむしろ其方が専門と言うべきか。


【少年の問いかけに頷きながら答える。】
【何でもは難しいが、ある程度なら―――漠然とした応えであった。】
534 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/04(金) 00:07:37.29 ID:2SaCKcVf0
//マーカスさんの方、本日はこのあたりでしょうか!
535 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/04(金) 00:20:27.13 ID:HYr44D+F0
>>533
以前も同じことを聞かれた。だが、俺は機械では無い
路地裏は適していない……そう言うもの、か?


【言われた通り、周囲には特にこれと言った人影は無い。先程の破落戸達もいつの間にか逃げ仰せてしまった】
【よくよく考えれば、奴らに話を聞けば良かったのだが。はっきり言って話の通じる相手では無かった】


外宇宙……?それは一体何だ?俺の情報には……


【その時だった。脳裏に歪なイメージが過る。軋む神経、ひび割れる残響、一秒にも満たない電撃が脳を揺さぶる】
【外宇宙。そして、相手からの妙な気配。全く異質な物に思えて、何故か自身と同類にも思える】
【否、そもそも何故自分はそれを感じ取れたのか。誰からも、どこからも得た事の無い情報の筈だ。それなのに何故】


お前……一体何者だ?
いや、そうじゃない。一体何だ=H何処から来た?


【余りにも抽象的な問い。だが、今の彼にはこれしか問いかける術が無かった】
【荒唐無稽すぎる。今、目の前にいる存在が一体何なのか、目で見えてはいても理解が出来ないのだ】

/この辺りで凍結していただけると助かります……!本日はありがとうございました!
536 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/04(金) 00:36:51.41 ID:2SaCKcVf0
>>535

これは失敬、設定だなんて言うからさついそう勘違いしてしまう人もいると思うよ
ああ適していないねぇ、人探しはもっと大通りでやるか自警団とかの詰め所を訪ねるべきさ


【芝居がかったように肩を竦めてみせながらマリアベルはアドバイスをする。】
【異質な雰囲気に反してマリアベルのそのアドバイスは至極真っ当であった。】
【そして相手が自分の放った言葉に反応すれば、それを待っていたかのようにより一層瞳を細める。】

【周囲の暗闇が一層深まったような気がした。】


文字通りさ、この世界の外側にある宇宙。観測外の存在。外来種≠フ棲む世界。

私には半分その外宇宙≠フ怪物の血が流れている。けれども生まれ育ったのはこの世界さ。
確かに存在としては異質かもしれないがこの世界においてそんな存在は別に珍しくもない。

―――けれども君が望むのなら。


【―――そっと、語りかける。】
【それは深淵からの誘いであった。熱にうなされた日に見る悪夢であった。】



―――見てみるかい星の悪夢≠―――。


//了解致しました!お手すきのタイミングでお返しください!
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/04(金) 16:33:49.03 ID:JOpqEtbso
【路地裏】

「おとといきやがれくそ野郎」
「喧嘩売る相手選べってんだ」

【路地裏に若者の罵声が響いた。彼ら二人の前には軍服姿の男が倒れていた】
【身なりはお世辞にも良いとは言えず、かなり殴られたのかそこら中に砂埃がついていた】
【倒れ伏した男は右手に白旗を持ってぱたぱたと振っていた】

「けっ」

【若者が男の腹部を軽く蹴り上げると「うぐぅ」といううめき声があがる】
【その一撃で満足したのか、二人はその場を立ち去った。残ったのは倒れ伏した中年の男だけだった】

//予約です
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/04(金) 16:43:25.46 ID:8jbRRpHBo
>>537

【流れ込むは白磁の風、雪代と呼ぶには淡すぎる冷たさを含んで、単に其れを天津と表現する様に】
【気配を感じるだろう、歩む足取りは聞こえなくとも、そこに誰かが居ることははっきりと感じ取れて】
【彼女は気づいて、そっと蹲る、両手で抱えた両膝に一杯の好奇心を乗せたなら】


ねぇおじさま、そんな所で寝ていては風邪をひいてしまうわ、近頃めっきり寒くなってしまったのだから
それともおじさまは行く当てなく、凍死するのを願っているのかしら、─── だとすれば提案よ
手伝ってくださらない? 私の研究に、世にも偉大な世紀の発明のてだすけをする気は?


【軽くウェーブのかかった金色の長髪、大きな碧眼はまだその幼さをはっきりと伝える様に】
【それでいて、背中を開いた丈の短いエプロンドレスに、包まれた胸元は大きく膨らんでみせて、少女らしからぬ様相を示す】
【頭の上に乗せた黒いリボンはウサギの耳を模していて、喋る度にふわふわと揺れる】

【縞々のニーソックスに黒いパンプス、お伽噺から抜け出してきた様な可憐な少女であった】
【年相応のふわふわとした響きと、何処か背伸びをした言葉の彩りと、写し鏡に託したなら】
【彼女はそんな風に述べて、返答を待つ、そして──────】



────── もし行き倒れだったら、研究材料にしてしまおうかしら
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/04(金) 16:55:52.91 ID:JOpqEtbso
>>538

【誰かが来た気配を感じ取ったのか、ぱたぱたと振っていた白旗が止まる】
【少女の言葉にはしばらく沈黙。何かを考えているようでもあった】

……こんなおっさん捕まえて、“世にも偉大な世紀の発明”の手伝いとか、阿呆の言うことそのままじゃねえか
悪いが金ならねえぞ。さっきのやつらに取られちまった。詐欺や美人局なら他をあたってくれよな

【突っ伏していた顔が動き、少女の方に向く。荒れた肌に無精髭、冴えない中年の顔だった】

んだよ、まだガキじゃねえか。最近、ガキと縁があるな
発明ってなんだ、冬休みの自由課題か? 材料探しならそのへんの店にでも行けよな

【相手にどこか子供のような部分を見つけると、小馬鹿にしたような笑みを浮かべ】
【のそのそと身体を起こして持っていた白旗をそのへんに放り投げる。腰に装着した本に絡みついた鎖が軋んだ音をたてる】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/04(金) 17:05:46.86 ID:8jbRRpHBo
>>539

【返事をする貴方を見て大きくぱちくり、瞬く大きな瞳の水面には、映る表情鮮やかに、色とりどりの世界を思う】
【緩む頰は掌の熱で溶けてしまう、柔らかな新雪を思わせた、触れる事を躊躇うくらいに繊細な細工で】
【華奢な体躯であった、細い絹糸を手繰り寄せて、漸く人の形を作ったかの様に、──────】

【少女は口を尖らせる、膨らんだほっぺたが怒りを示し、両手でふんずと腰を抑えて】


あら失礼よ、淑女に向かってガキだなんて紳士の名折れ、あまりに無作法でしょう?
それに肌ツヤも悪いわ、大方お肌の手入れもしてないし、もう! 髭ぐらいちゃんと剃りなさいよ
人の第一印象は身嗜みから、容姿の乱れは心の乱れ、そうは思わないかしら?


【その理論でいけば、目の前の少女はかなり奇妙奇天烈な洋装ではあるのだが、割愛】


そーれーに! 冬休みの自由課題ってどうゆうことかしら、冗談にしては三流以下ね
私は “錬金術師“ よ、眩い真理の探究者、─── この世の全ての不思議を、解き明かすの


アリス=ファンタジア、どうぞお見知り置きを


【そう言って短いスカートの裾を掴んで、恭しく礼をする、演劇の一幕に似た光景で】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/04(金) 17:16:57.70 ID:JOpqEtbso
>>540

【怒り出した少女に向かって、男は下卑た笑みを浮かべた】

おいおい、こんなところでぶっ倒れてるおっさんに向かって、まさか身嗜みにケチつけるやつがいるたぁな
容姿の乱れが心の乱れってんなら、俺の心とやらは乱れまくってんじゃねえの?
そんなものがあるとすればだがな、ケケケ

【壁を背にして座る男の視線が少女の全身を無遠慮に見つめる】
【その視線が胸で止まり、「確かにそこはガキじゃねえな」などと言い放つ】

こりゃご丁寧にどうも。俺はアルベルト・エスカパル。職業は自警団
で、錬金術だって? 俺ぁ錬金術は苦手でね……ついでに学者様ってのもどうにも肌に合わねえ
ま、そんなこたぁいい。お師匠様か何かから課題でも出てるのか? 大変だねえ

【男の指先が手持ち無沙汰そうに、首元の銀色の弾丸を摘まみ上げる。表面には複雑な幾何学模様と微かな魔翌力】
【錬金術師と名乗った少女だったが、まだ“誰かの弟子”扱いだ。一人前だとまだ認めていなかった】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/04(金) 17:26:22.12 ID:8jbRRpHBo
>>541

【視線に気づいて彼女は思わず自身の身体を抱く、瞳に浮かぶは僅かばかりの怯えと、それを搔き消す強い意志】
【粘着質の視線は心地よいものではなかった、一つ深い呼吸をして心を落ち着ける】
【────── 不思議な相手であった、善と悪奇妙なコントラストの狭間に巣くう、慈悲深き魍魎に似た】


随分な物言いね、大人ならもっと思慮分別を持つべきではないかしら? 自警団 ────── ね
民の為に戦ってくださるのは感謝しているけれど、それは傲慢の免罪符にはならないわ
兎に角その視線やめてもらえませんか、……ちょっとやです


【掴み所がないと思った、僅かばかりの逡巡を射止めて、彼女は紡ぐ】


師匠は居ないわ、私は一人前の錬金術師だもの、ふふ、そうでしょう、普通の人はそうは思わないもの
皆が皆驚きと疑いを持って私を見るけれど、それは私の障害にはならないのだから
お分かりかしらおじさま、────── そう、私はとびっきり優秀なの


【なんて言って得意そうに微笑んだなら、視線が揺らめいて首元の弾丸に辿り着く】
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/04(金) 17:34:40.06 ID:JOpqEtbso
>>542

大人だからって思慮分別なんか持っちゃいねえさ……と、思ってんのは俺だけかね?
俺の周りは俺を含めてそんなに分別のつくやつはいないんだがなぁ。クズにはクズが寄ってくるってだけか
いやしかし、そんなでかいもんぶら下げてんのに男の視線に耐えられないんじゃ、この先大変そうじゃねえか、ケケケ

【下品な笑い声をあげる男だったが、視線は銀色の弾丸に移された。少女の要求を飲んだのかは分からないが】

とびっきり優秀、ね。そりゃあ結構なこった
で、そのとびっきり優秀な錬金術師様は何をお造りになるんで?
不老不死の石とか、卑金属を貴金属に変える石とか、名前を言っちゃいけないあのひとの顔面溶かす石とか作るのか?

【意外と興味があるのか、仕事について尋ねる。聞き方は素人丸出しという感じだったが】
【少女の視線に気がつくと男は弾丸を少し、少女の方へと差し出した。首と鎖で繋がったままなので見辛いかもしれない】
544 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/04(金) 17:45:09.98 ID:3Nwmixre0
置きスレ>>524

【その投げ出した袋を、『白い影』が拾う。手を伸ばしてしゃがみ、一つなら一つ、2つなら2つ】
【5つも買ったならそれをすべて、一つ一つ白い影は丁寧に白い指先で拾い上げる】


持てるかい、お嬢さん。貴女のでしょう?


【白い影は微笑んだ。白い髪、白い肌、まつ毛も白い。着ているスーツからシャツから靴先まで】
【持っている傘は幾何学な四辺形の集合体の変わったデザインだがそれも白で】
【肩から革ベルトでかけているアンティークの一眼レフカメラ以外はすべて白で統一していた】

【中性的な容姿と声で、背もそれほど高くなく華奢な体躯ではあるがその白い影は『彼』であった】

ヒールの女性が持って良いのはシャネルのクラッチバッグだけ、歩いて良いのは自動車の後部座席のドアから
レストランの入口までと決まっているものさ。…迎えの車でも探そうか?

それとも――――

―――世界を終わらせるかい?――――――


/よろしければお付き合いお願いしたく思います!!
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/04(金) 17:49:39.39 ID:8jbRRpHBo
>>543

【むすっとしながらも、心の奥底に引っかかるものを感じていた、─── 目の前の男に対して】
【粗野で乱雑な言葉遣い、悪い大人の見本のような、そんな相手ではあったが】
【どこか憎めない雰囲気を宿していた、彼はまるで、意図的にそう振舞っているような】


不思議ね、自警団ならもっと真面目一辺倒な人を集めてると思ってたけど、おじさまの様な方もいらして
ワイルドと呼ぶべきかしら、下品な発言はおじさまの品位を落とすのだから避けた方が良いわ

……胸はいいでしょ、胸は、私だって好きでおっきくなったんじゃないんだし……


【少し頰を赤らめて返事、少しずれた感性の持ち主であるのは伺えるだろう】


何を、と言われると難しいわね、─── ある意味で何でも作れるし、ある意味では何も作れないわ
私の錬金術は分解と再構築、何かを崩して何かを作るのが基本だから
荒唐無稽なものは作れないわ、─── 作る気がない、っていうのが本音かしら

……弾丸のアクセサリーなんて変わってるわね、それに、少し魔翌力も帯びてるようだし……


【身を乗り出す、顔をぐいっと近づけたなら、人形の様に整った表情がすぐ側で弾ける】
【少女らしい香りと、手入れの行き届いた髪の毛、前屈みになったなら、より強調される谷間】
【好奇心の強い子なのだろう、それでいて、あまりにも無防備で】
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/04(金) 18:03:41.87 ID:JOpqEtbso
>>545

はっ、とっくの昔に地に落ちきった品位なんぞを気にする必要あるか?

【少女の忠告を男はあっさりと笑い飛ばす。心の底からそんなものには拘っていないと言わんばかりに】

ま、俺みたいなクズが自警団にいるのを不思議に思う気持ちも分かる
だがな、意外と多いんだよ。教師や警察、そういう真面目な連中が集まりそうなところにはな
権利と権限を振りかざして、他人を自分の思うように動かそうっていうクズ野郎どもがな

【「覚えとけよ、お嬢ちゃん」──そう言って男はまた視線を動かした】
【前屈みになり余計に強調される胸元。ごく自然に、ありふれた行動として彼の目線はそこで固定されていた】
【そしてこれまた自然なことのように“これは指突っ込むべきだろ”とか思うのだった】

なんだかよく分からねえな。結局、どんなもの作るんだ?
ちなみにこいつもちょっとしたマジックアイテムだ
表面に彫ってあるのは、そうだな……『世界を変えるおまじない』ってところかな

【弾丸を少女に見えやすいように掲げながら、もう片方の手が盗人のようにそっと動く】
【人差し指を立てて、谷間が露出していればそこに、露出していなければ強調された胸に、指を押し込むのだった】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/04(金) 18:16:15.38 ID:8jbRRpHBo
>>546

【その返答を、彼女は少しだけ悲しそうな表情をして聞いていた、永訣の朝に見た微睡みの様に】
【白昼夢から覚めたなら、目尻に残る涙の痕、理由さえ忘れてしまうみたいに】
【アウトローのアルベルトに対して、彼女は複雑な印象を持っていた、それは混沌と呼ぶのが相応しいようで】


より丁寧に説明したなら、万物を一度最小の構成要素に分解し、別の形に組み立てる、といった所かしら
具体的にこれ、と言うのは難しいわ、そうね、一つ言えるとしたら
私が願うものはなんでも作れる、といっても過言では無いわ

─── あら、素敵な響きね! 世界を変えるだなんて、不思議も不思議、──────


【その言葉に目をキラキラと輝かせた刹那、アルベルトの指が胸元へと触れる】
【露出はしていない、御伽噺に出てくるようなエプロンドレス、フリルを一杯につけた服飾】
【滑らかな布地に包めれた甘美な感触、弾力性と、柔軟性とを、潤沢に含んで】


っ ─── きゃぁっ!? な、何するのおじさま! えっち! へんたい!


【爆竹に驚いた子供みたいに、彼女は慌てて飛びのいて、尻餅をぺたんとついて】
【そのまま、トンビ座りで抗議の言葉を述べる、些か言葉のレベルが下がったみたい】
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/04(金) 18:28:42.94 ID:JOpqEtbso
>>547

【少女が飛び退き、男は指を差し出した姿勢のまま。顔には悪戯が成功した笑み】

はははは! お前、びびりすぎだろぉ!
そんな無防備に胸突き出してりゃ、突いたり揉んだりぐらいするっつうの
とびっきり優秀な錬金術師様はそっちの方はまだまだ甘ちゃんらしいな

【下品な悪戯に満足した男は指先で銀の弾丸をぷらぷらと揺らす】

さて、世界を変えるってのが素敵かどうかは知らねえが、な?
変わっちまった世界とやらが、本当に良いもんかどうかなんて、誰も、“何も”保証してくれねえからな

【どこか意味深なことを言って弾丸を手放す】

で、アリスだっけ?
お前、この世界に起きてるあれこれについて、何か知らねえのか?
錬金術師様ってのは好奇心旺盛だろうからな。事件とかにも首突っ込んでそうだが

【現在、世界に騒動を起こしている事象がいくつかある。少女がそれらについて知らないかと、男は尋ねた】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/04(金) 18:35:21.50 ID:8jbRRpHBo
>>548

【唇の端が震えていた、真っ赤に染まった頰色の、耳にまで広がる紅潮がいじらしい】


ビックリです! 淑女に向かってなんという事を! おじさまは破廉恥ね!
もう近づきません、絶対にです、ぜーったい、私はここからおじさまに近づかないんですから!
お分かりかしら? ふん、自業自得よ、自業自得!


【やいのやいのと少し離れたところから抗議の声をあげる、飛ばす非難声明は、何処かホンキートンクな響きで】


……素敵じゃない、世界が変わるって事は、新しい不思議が生まれるって事でしょう?
私はそれを探求して、広大な知識の湖を満たすの、それが幸せですもの

─── 実は最近こっちの方に帰ってきたばかりだから、事件とか詳しくは知らないわ
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/04(金) 18:44:08.72 ID:JOpqEtbso
>>549

ふーん、そうかい。そりゃタイミング悪いな
今、世間じゃ何やらよく分かんねえ事件がひっきりなしに起きてて大変らしいぜ
どれもこれもカノッサ機関じゃないんだとよ。カノッサが悪事をするって常識も、もう古いのかねえ

【そう言う男はまるで他人事のようだった。実際、ここ最近の事件にはほとんど関係性を持っていなかった】
【またしても弾丸を指でいじり始める。これが男の癖らしい。目は何か大事なものを見るような色合いがあった】
【視線が上がり、嫌な笑みを浮かべる。腰を上げて「よっこいしょ」なんて言って立ち上がる】

お前から近づかないってんなら、俺から近づけばいいよなぁ?
ほーら、破廉恥なおじさんがお嬢ちゃんを追いかけちまうぞー

【なんて言いながらじりじりと距離を詰める。バカっぽい】
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/04(金) 19:14:41.71 ID:8jbRRpHBo
>>550

【カノッサ機関、と彼女は口の中で紡ぐ、─── 幸か不幸かこれまで大きくそれと触れ合った事はなかった】
【けれども、その存在がもたらす災厄を、そして広める混迷を知らないわけでは無かったから】
【弾丸を見つめるアルベルトの目、その深奥に秘められた意味合いを、読み取ることが出来るのだろうか】


おじさまは自警団員ですものね、そういう時こそ腕の見せ所でしょう?
カノッサ機関でなくとも多くの邪な企みをする御仁が多いのなら、休むところなしといった感じかしら


【立ち上がったアルベルトを見て、ぴょんと飛びのく、ぐるる、だなんて威嚇してみせて】


近づかないで欲しいわ! 私の様な清らかな娘に対する態度かしら!
もう、心配して損したわ! 倒れてるのだから何か手助けになるかなと思ったけど!
助けた相手がこんな方だなんて思っても見なかったわ!


【やいのやいの言葉を投げかける、ある意味仲の良い親子に見えなくもない】
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/04(金) 20:07:25.78 ID:JOpqEtbso
>>551

おいおい、あれで助けるつもりだったのか?
研究材料にするとか何とか、物騒なこと言ってたじゃねえか

【逃げ回るアリスを笑いながら追い回す。仲の良い親子に見えるといいなぁ。見えないとただの変質者になってしまう】
【それはそれで間違ってないのだが。ともあれ、ある程度追い回したら満足したのか、ぴたっと動きを止める】

ま、確かに世間様が騒がしいときが繁忙期だな、俺らは
つっても、俺は見てのとおりの不良自警団なんでね、やばいことには首突っ込まないようにしてるのさ
昔いただろ? 『Justice』だとかなんだとかさ。今なら『UNITED TRRIGER』か?
ああいう連中がボランティアでヤバい奴らをぶちのめしてくれるんだ。そういう大物は、あいつらにでも任せるよ

俺みたいな雑魚は、この世界の隅っこでいてもいなくても同じような小悪党と戦って
誰にも知られずにくたばったりするのがお似合いってね、ケケケ

【自嘲めいた内容を下品な笑みと共に、しかしそれが当然だとアルベルトは話す】
【そこには嘲りも誇りもなく、“生まれれば死ぬ”と同程度にそれが当たり前だとする考えがあった】
【アルベルトは自身をその程度にしか評価していなかった】
553 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/04(金) 22:35:50.17 ID:HYr44D+F0
>>536
【路地裏の薄暗闇が、深淵に通じる大穴のように、光を吸い込む迷宮のように深まった】
【それと同時に、マリアベルの紡ぐ言葉の一つ一つが金切声のように耳に響く。構成要素の全てが、脳髄を焦がさんと迫って来る】


外宇宙……外来種……つまり、この星の生き物では無い、と言うことか?
見たことも、聞いたことも無い。もし本当にお前がこの星では無い世界を知っていると言うのなら……


【元より、彼はあらゆる情報を貪欲に吸収するよう作られている。その判断を下すのは至極当然だった】
【だが、脳裏の奥で延々と「それに触れてはならない」と何かが叫ぶ感覚がした。自分では無い何者かが、危険を察知し自分を守るかのように】
【体内に入ったウイルスを排除する抗体のように、彼の中の何かが叫んでいた】


……わかった。お前が悪夢を見せるなら、喜んで見てみよう


【そうして、彼は遥か星々の酔夢へと手を伸ばす。指先で触れれば神経を焦がす。腕を伸ばせば網膜が焼きつく】
【そんな感覚を、知らなければならない】
554 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/04(金) 23:03:11.14 ID:qfaumNDM0
>>553

【少年の返答にマリアベルは嬉しそうに笑う。それは本当に純粋な笑みのように思えた。】
【「これで条件≠ヘ整った」そう言うと右手を相手に見せつけるように出して、そして―――。】


                    【パチン=z


                 【―――星の悪夢=\――】


【マリアベルが指を鳴らすと、周囲の空間がぐにゃりと歪んでそして波≠ェ押し寄せる。】
【それに抗い逃れるか、それとも身を任せるかは少年の自由だ。もし身を任せるのなら】


【―――】
【――――――】
【――――――――――――】



【いつの間にか、周囲は果てしない泥濘になっている。まるで海がたった今干上がったような場所だった。】
【先程までいた路地裏は跡形もない、恐らくは別の場所≠セった。】
【空を見上げればそこには満天に輝く星々と真っ赤に輝く赤い月≠ェ見える。ここは星間の岸辺なのか―――。】

【マリアベルの姿は見えない。】
555 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/04(金) 23:13:26.17 ID:hlHz4cLE0
>>544

【ばさりと落とされた紙袋。拾い上げたのは白い影で】
【その指先から先を見れば少女に負けず劣らずの真っ白い"男"】

……そりゃ、一個だけだし、入ってるのだって服や装飾品だもの、持てるけど……
私のって言われると……確かに私のお金で買ったけど……

【少女はちらり、と男の手の中の紙袋を一瞥し】

……急に買った事に白けちゃったから欲しかったらあげますよ?
こんなに紳士な人だもの、この中身を素敵な女(ひと)にあげたらきっと喜ばれると思いますよ?

それに、私みたいな小娘口説いても何の得もないと思いますけど
【だから車も要らなくてよ?なんて少女は大人ぶって笑ってみせて】

でもこうして大人の女性らしく扱われるのも悪くないものですし、貴方が望むなら──
【少女はどことなく蠱惑的な笑みを浮かべて男をからかおうとする、が彼の一言に笑みを消して凍りついたようになる】

世界を……ですか?


────間に合ってます

他の方がいずれそうする、という事を知っていますので
【……なんてね、と少女はにっこりと笑って】


556 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/04(金) 23:21:06.34 ID:HYr44D+F0
>>554
【指を弾き、乾いた音の残響が消える時、視界の奥から死と絶望が這い上がり、鎌首をもたげる】
【気付いた時にはもう遅い。全神経を尖らせ、その異常を観測するが良い。識りて恐れよ。其は外なる理】
【軋み、唸り、捻じくれる奔流に意識を呑まれぬよう歯を食いしばり、その先にある大地に降り立つ】


赤い……月、か?
ここは……海?


【何処までも続く干潟の如き光景。ゆっくりと立ち上がると、泥濘に少し足が沈む】
【見上げた星々は、心地良い輝きとはとても言えたものではない。まるで、凝縮した悪意に塗装を施した偽りの星】


マリアベル、何処に行った?いるなら、答えろ


【周囲を見渡しながら、ひとまずは前方へ向けて歩み始める。どちらを向いても同じ光景なのだから、目標など存在しない】
557 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/04(金) 23:31:26.07 ID:qfaumNDM0
>>556


【返答はなく、気配もない。だがわざわざ招いておいて自分は来ていないなどと言う質ではないだろう。】
【泥濘の大地を歩いていけばそこかしこに魚か、はたまた別の生物のものだろうか腐敗した肉片や死骸が転がっている。】
【それれは食い荒らされたようにも見えたし、激しい波に飲まれて損壊したようにも見える。】


【――――――】


【しばらく歩けばいつしか小高い丘のような物が眼前に現れるだろう。】
【そしてその頂上には、淡い光を放つ石柱/オベリスク≠ェ三本立っているのが見える。】

【静寂の中、それは手招きをするように光を発し続けている。】
558 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/04(金) 23:37:50.60 ID:HYr44D+F0
>>557
【声も、姿も見えはしない。仕方がないのだから、ただひたすらに歩み続ける】
【途中、幾つかの生物らしき亡骸を発見する。近寄って眺めてみるが、やはり腐乱した亡骸に変わりはない】


これは……?


【辿り着いた先にそびえ立つ三本の石柱。明らかに人工物らしき雰囲気を醸し出しつつ、蠱惑的に光を放つ】
【ゆっくりと近づき、まじまじと眺めてみる。光っているところ以外にこれと言った特徴は無い。ように見える】


これは何だ?マリアベル


【恐らく何処かにいる。そう考えてなるだけ大声で問いかける】
559 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/04(金) 23:52:47.14 ID:qfaumNDM0
>>558

《外宇宙の神を讃える祭壇のようなものさ、良く見れば異界≠フ言語が刻まれているだろう。》


【返答が来る、それはこの空間全体に反響するような声だった。】
【そしてマリアベルの言うように石柱をよく見れば何らかの言語が刻まれているのが分かる。】
【だがそれはおよそ新世界には存在しない言語であった。故に何が書かれているのかは知る由もない。】

【響く声は続く、まるでこの異界の水先案内人とでも言うかのように―――。】


《しかし気を付けるといい、ソレにあまり近づきすぎればやってくる=t


【その言葉と同時に、少年の背後に水滴≠ェ落ちる。】
【しかしそれは水滴と言うにはあまりにも大きすぎた、パァンという音と共に泥濘がはじける。】

【それと同時―――少年の頭上に大きな気配≠感じるだろう。】
560 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/04(金) 23:57:20.24 ID:3Nwmixre0
>>555

【彼は色をどこかにおいてきたかのような白さで、声色も例えるなら白か透明だ】
【ただ不思議なのは彼は傘を持っている。見上げても振りそうにはないだろうし】
【天気予報でもそんな事を言っていなかった。ある国の古い時代は傘を持ち歩くのが】
【一種のお洒落で、雨が降ってもささないものとしてたらしいが…】

よかった。急に落としたりするから、何か良くないことでもあったのか
悲しいことでもあったのかと思ったんだ。

【彼は本当に安堵したような声色で息を吐き、そして微笑みは崩さなかった】

それはだめだよ。それは君が買ったものだ。道すがらに見ず知らずの男に渡して良いものじゃない。
君が選んだものなら、きっとそれは素敵なものだろうから。もし人に渡すのなら君の大切な人に渡すといい。

…口説くだなんて。僕は――世界を少しでも幸福にしたいだけなんだ。
だから、困っている人にはできることをする。悲しんでいる人がいたら精一杯。それだけさ。

【彼は彼女の蠱惑的な笑みに困惑したように照れて笑った。そして、また微笑を浮かべ、言葉を紡ぐ】
【なんだが壮大な事を言っているが、浮世離れしたこの人が言うと何だが相まって逆に現実味を帯びているような】

―――そうなのかい?…どうやら、別の因果が干渉しているみたいだね。『僕の居た未来とは』。
ふふっ、やはり。この時代は面白い。この時代に来てよかった。

もしかしたら、君の知る誰かの手によって、世界は終りを迎えるかもしれない。でも、それはいつだろう。…僕の時計にはあまり、時間は残されていない。

お嬢さん。その終わりは一体どんな終わりか、知っているかい?君はどんな終わりが良い?この世界にふさわしい結末。
お嬢さん。貴女はどれぐらいの時間を生きて、どれだけの人と交わり、どれだけの物語を紡いできただろう。…お嬢さん。その物語の終わりは――
―――僕はね、ハッピーエンドがふさわしいと思うんだ。

【まるで物語の導入のような語り口、白い不思議な彼は、まるでアリスの白ウサギ。どこかへの導き手のようだ】
561 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/05(土) 00:06:13.53 ID:V5kH1qxe0
>>559
【淡々とした返答。やはりこの空間の何処かに存在しているかと耳を澄ます】
【だが、声は空間のあらゆる方向から響いている。マリアベルが何処にいるのかを判別するには材料が少ない】


祭壇……神を祀る為のもの、か……
言語らしき物は確認した。だが、今まで調べたどの言語とも違うものだ。何と書いてある?


【背後に落ちた水滴の音に振り返る。だが、其処には何者も存在しない】
【続いて上空に気配を感じ取る。直感的に後方へ飛び退り、先程まで立っていた場所の上空を見つめる】


やってくる?何者が?
今此処に来ている奴か?


【片腕に能力を発現し、鋼鉄の獣の爪が如く変貌させる。既に臨戦態勢に入っていた】
562 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 00:21:41.83 ID:WEKlGDzm0
>>561


《永劫なるムンドゥス=\――私たちがいる世界でそう発音≠キべき存在を讃えているのさ。》
《そしてその祭壇の守り主が来たというわけさ―――彼らは神の分霊大いなる異種族/オーバーロード=t


【頭上を見上げれば、水滴を落とした主がそこに存在していた。】
【全身は白、姿は蜥蜴のようにも人間のようにも鯨のようにも見える10m程の四足の異形。】
【それは全身から水を滴らせながら、赤い月を背にするように虚空から降り立つ、三つの石柱の中心へと。】

【それの頭部はまるで幾つもの大蛇が住む穴倉のように無数の触手が生えており、顔面と思われる場所は良く見えない。】


             【―――星海の悪魔=\――モビィ・ディック=\――】



《さぁ見せておくれよ君の可能性を、性能を―――ソレはキミの敵≠セ。》


【声は響き続ける。】
【そして目の前の白い異形は、頭部を振り上げるとそこに生える無数の触手を振り下ろす。】
【ギュルンッ!と一瞬にして触手たちは伸び、まるで得物に群がる大蛇のように少年へと殺到するだろう。】

【スピードは速い。だが直線での攻撃だ。】
【下が泥濘だという事を考慮しても回避することはそう難しくないはずだ。】
563 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/05(土) 00:36:05.15 ID:V5kH1qxe0
>>562
ムンドゥス……?宇宙、か?


【そう呟いた瞬間、眼前に巨大な影が現れる。伝承に語られる白鯨の如きその巨躯は、ただそれだけで脅威となる】
【地球上の生物の融合に見えてしかし、あらゆる既存の生命体と一線を画すその姿】
【惑星外の怪物と言われても納得がいく。そして、これが夢泡沫の出来事では無いことは自らが一番理解している】


危ないな


【攻撃を目視し、直撃を食らえば危険と判断すると素早く左へ回避する】
【空中で一回転し、泥濘に脚を突き刺すようにしながら停止。怪物の巨躯を見やると、近接では効果が薄いと判断し攻撃方法を変更する】


敵、であるならば仕方がない。排除する他は無い


【怪物へ向け右手を翳すと、熱が集束し三つの光弾が出現する。命を下すかのように腕を振るうと、光弾が怪物の頭部へ向けて放たれた】
564 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/05(土) 00:39:54.53 ID:3vDpZoHE0

>>560

【真っ白な男。その声も何処か『白』というのが似合う声で】
【対する少女も言うなれば『白』というのが何処か似合いそうな声をしていた。『白』は『白』でも雪の白。冷たくも何処か暖かさのある雪のようで】
【その雪のような声に不意に蒼い影がふっと掛かる】
【男が「何か良くない事や悲しい事があったのかと」と発した時、漏れた小さな声がはじめで】
【それからは少し悲しげな青を含んだ声色だけが続いて】

……良くない事……急に気分が白けてつまらなくなっちゃった事、かな……

素敵、だったら良いんですけど……それにもし渡すにしても大切な人なんか私にはいないし……

……貴方は優しい人なんですね
困っている人に優しくしたい、なんて

──そうだ、困っているのを助けたいなら一つ答えて欲しいんですけど

……貴方は一人でも出来る楽しい事って何が考え付きますか?
【思い付いた事手当たり次第にやってるんですけどどうもつまらない事ばっかりで、と少女は苦笑を浮かべて】

【そうして話が世界の末路へと及んだのならば少女は少し真面目な顔付きになって】

貴方のいた未来……この時代に来て……?
可笑しな人だなぁ、まるで未来人みたいに……小説じゃああるまいし

でも、何の因果が干渉しているのかっていうのは……そう、ですね
『虚神』と呼ばれる異世界からの神様が何枚か噛んでる……みたいですけど
【詳しくは分からないんですよね、私も、なんて少女はため息を吐いて】

でも、貴方の未来にそれが観測されてなかったのならばそれなんだと思います

いつ、終わるのかは明確には分かりません
けれども世界はもしかしたら終わるかもしれない
世界に絶望した一柱の神様の怒りで
でも、具体的なやり方は聞いてないんです……話してくれなかったから

──私は、そこまで永くは生きていない
たったの十七年と数ヵ月、それだけです
そこまで他人と関わっては来なかったかもしれないけれど──それでも、他人はふとした事で裏切るんだって理解するくらいには関わってきたつもりです
けれども、私だって物語を終えるならハッピーエンドが良い


──ほんとうは、ひとりぼっちで、しにたくなんか、ないの

【少女はぽつん、と呟いて】


565 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 00:50:47.28 ID:WEKlGDzm0
>>563

【少年が放った光弾はズガンッ!という大きな音を立てて異形の頭部へと命中する。】
【頭部から煙を上げて一瞬よろけてから再び異形は少年へと顔面を向ける、そうの顔面にある二つの眼は潰れており】
【代わりに額と思われる場所に若干飛び出し気味の大きな眼が存在していた。】

【グジュグジュと光弾が命中した箇所は蠢きながら、黒い体液を垂れ流す。】


『――――――ッッ!!!』


【そして異形は声にならないような、超音波の雄たけびを上げる。】
【直後に泥濘の大地が捲れ上がりまるで波のように少年へと押し寄せるだろう。】
【腐敗した生物の残骸を巻き上げながら迫るそれは先程と同じく直線ながら、今度は面での攻撃だった。】



【――――――】


さてさて、そんなものではないだろう?私が見立てた君の力は………きっと。


【少年と怪物が戦う場所から少し離れた上空。】
【語り掛けるようでいて独り言のようにも聞こえる言葉をマリアベルは放ち、笑った。】


//本日はどのあたりまで致しますか!

566 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/05(土) 01:03:21.78 ID:V5kH1qxe0
>>565
【着弾。命中はしたが、致命傷になったかと言えばそうとは言い難い。良くて牽制程度か】
【あるべき場所に眼球は無く、代わりに肥大化した奇怪な眼球がやけに気味悪さを醸し出す】


っ!?耳が……!


【鼓膜が破ける程の雄たけび。聴覚が一時的に封鎖され、両の手も耳を抑える為に塞がれた】
【そして、視界を覆い尽くすのは津波の如く押し寄せる大地。腐敗と泥、死の奔流が少年を飲み込んでいく】


(足を取られる……このままでは身動きが取れなくなるな)
(どうにかして……抜け出す……)


【泥の波に覆われ、徐々に少年の姿が見えなくなっていく。完全に飲まれたかに見えた、その時だった】
【泥波がパンケーキのように膨らみ、そして爆ぜる。其処には少々服が焼け焦げ、じりじりと肌の焦げる少年が立っていた】
【自身の周囲に光弾を発生させ、それを炸裂させることで自身ごと泥を弾き出したのだ。捨て身だが、手段が限られる場所では致し方ない】


お前が見立てた……?何が目的で、こんなことをする。お前とて此奴らの同族なんだろう?


【次いで光弾を一発、二発と怪物へ向けて放つ。ダメージを負った状態で追撃を食らわない為の、やや精度の低い攻撃だった】

/あと少しで終わりそうな気配がしますが出来ればこの辺りで凍結お願いしたく……
/明日の夜またお付き合いいただけると幸いです。ありがとうございました!
567 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 01:05:30.93 ID:WEKlGDzm0
>>566
//了解です!明日の朝に返信させて頂きます!
568 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/05(土) 01:06:30.37 ID:YMAnzZ2M0
>>564

【青年は微笑みながらうなずく。】

誰にだって、いるんだ。気付けばいい。例えば駅前のハンバーガーショップ
彼処で今日レジを売っている女性なんてどうだろう。祝日に僕らのために働いてくれる
それだけで十分、僕らにとって欠かせない人々だと、思わないかい?

【屈託のない笑み。彼の発する言葉は突拍子もない事かもしれないが】
【道行く人に声をかけることのできる彼からすればそれぐらいのサプライズは容易なことなのかもしれない】

うーん、そうだね。街に出て、歩くのは一人でもできるね。写真を取るのも僕は好きだ。これも一人でできる。
ふらりと路地に入って、誰かとすれ違って。そこで暮らしている息遣いを永遠のものにする。…日常は尊い。そう思うんだ。

そしてカフェに入ったりしてカウンターについて、見知らぬ老人のチェスの相手をするんだ。そして、聞く。
彼の生まれ故郷の話や、友人の話や、愛する人の出会いや、別れの話を。……そしたら、あれ?もう、一人じゃない。
一生分の時間をほんの数時間で疑似体験できるなんてそれは、タイムマシンみたいなものじゃないか。

【彼は少し話がそれてしまったことを照れくさそうに笑った】

…神様か。…いないものだと思っていたけれど。…いいや、まだこの時代には居たのかもしれないな。
もし、その神様に見放された世界が僕の居た世界だとするなら。
それは終わりの世界ではなく『始まりを奪われた世界』というべきが正しいだろう。それは―――300年後の話だ。

お嬢さん。悲しまないで。悲しむなら、その悲しみは取っておいて。本当の終わりの、ハッピーエンドを迎えたあとの
映画のエンドロールのときの寂しさまで取っておいてほしい。

この時代はまだ、幸福がある、希望がある。自由がある。誰かが居る。ひとりじゃない。だから―――終わりにしよう。
幸福なまどろみのように。幸せのまま、僕はこの世界を終わらせようと思うんだ。
569 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/05(土) 01:53:08.02 ID:3vDpZoHE0

>>568

ハンバーガーショップの店員さん……?
確かにそういう人達だって欠かせない人達だとは思うけど……
そういう『大切』って意味だったんだ……てっきりもっと具体的な意味で言ったのかと……
【でも何かそんな事したら怪しまれそうだなぁ、と少女は苦笑して】
【相手の屈託のない笑みに、この人は人を信じて止まない人なんだろうなぁ、と思案する】

街に出て歩く……うん、基本ですね
写真……写真かー……確かに写真はやった事なかったな……使い捨てでも良さそうなら後で買ってみよう……
それで……うーん……?
【カフェに……ちぇ、す?と少女は困惑したような表情になって】

ちぇすをおじいちゃんとして……?お話……?
【本当に一人じゃ出来ないやつですねえ、と少女はため息を吐いて】

……神様はいます、多分ですけれども
それも俗に考えられる全知全能の神様ではないのですけれども
悪い神様なのかもしれませんけれども
『始まりを奪われた世界』……300年後……?
【なんというか突拍子のない話だな、と少女は呟いて】

……死ぬ事そのものは悲しくはないんです
でも、一人ぼっちで寂しいのは辛いから
それでも一人でいなきゃいけないから
"誰か"がいても、私の隣には"誰も"いないから

……幸せなまま終わりに?


──貴方は、何者なんですか?
【悲しげな瞳をしていた彼女】
【その金色が不意に大きく見開かれ】

【──しん】

【零度をも下回る冷たい声色で少女は尋ねる】
【もしや彼もまた信ずるに値しない所属の者なのではと】

570 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/05(土) 02:15:13.80 ID:YMAnzZ2M0
>>569

どうして?大切だと思うならそれで十分じゃないか
小さな世界でいるよりも大きほうが良いと僕は思う。だから僕は
その通りにしているんだ。大は小を兼ねるっていうじゃないか

この世界はまだ沢山の人がいる。なら、一人でいる必要はないよ
こうやって、僕は君に話しかけることができたのだから。

【きっと彼にとっては孤独は無縁のことなんだろう。不意に入ったカフェで】
【常連の客の話し相手も、適当な道行く人に声をかけることも造作もないのなら】
【この世に人がいる限り彼は孤独ではないんだろうから】

…そうか。見てみたいな。神様。どんな姿をしているのかな。
そして聞いてみたい。どうして『僕の居た未来を見捨ててしまったのか』を。

【その時だけ、彼は少しだけ目を開いて、深刻な表情で言葉を吐いた】
【だけどすぐにもとの微笑を浮かべる】

僕が神様だったら、幸せな未来を作ることができたかもしれない。
だけど、僕にできることは幸せのまま終わりを迎えることぐらいだ。

―――僕は『ワールドエンド』。300年後から来た、カノッサ機関の六罪王の一人だ。

…よければ、君の名前を教えてほしいな。
571 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/01/05(土) 02:58:03.68 ID:3vDpZoHE0

>>570

大きい世界……ですか
確かに、そうかもしれません
"世界"にはまだたくさんの人がいる……いる、けど……
……その中でどれだけの人が私の隣にいてくれるんだろう
【少女は拳を握り締める】
【結局、彼女は誰かに側にいて欲しかったのだった。それも厄介な事に自分だけの愛が欲しかったのだった】
【一人が大勢にばら蒔く愛の一つじゃなくて一人が真っ直ぐな想いで自分だけにくれる愛が欲しくて】
【だから彼女は大勢の中に居たって孤独なのだった】

……案外、普通の姿をしているのかもしれませんね
私達が気付かない内に接していたり、なんかして
見捨てた、ですか……そうだったとしたらきっと神様が気に入らない何かがあったのかもしれませんね
明確には分かりませんが
【少女はそう言って何処か遠い目をしていた、が】
【男が所属を告げると緊迫した面持ちになって】

……機関、の……一員……
そんな人が神様だったらなんて……考えたくもないな
でも……300年後、か……『どっち』とか……そういう問題じゃない……よね……

……うん、それでもカノッサ機関で世界を終わらせたい人物ならば"敵"になる、か

──参ったなぁ、助言貰った手前どう対処すれば良いんだろう?

でも、まあ、とりあえず、は──
【抵抗はさせて頂戴?と少女が告げた瞬間彼女の真横に直径1cm程の氷柱が生成され、彼へと向けて飛ばして】


/すみません!この辺りで凍結で大丈夫でしょうか?

572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/05(土) 03:02:56.22 ID:YMAnzZ2Mo
>>571
/お先に凍結了解しました!
/そしたらば置きの方にレスさせていただきます
/お疲れ様でした!!
573 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 11:16:01.84 ID:WEKlGDzm0
>>566

ハハ―――確かに私はその怪物と同種の血は流れてはいるけど、別に同族ってワケじゃない
だけど私の目的には彼らの死と血肉が必要なのさ、だから私はどちらかと言えば彼らの敵だ


《―――鐔�鐔�鐔� 鐚醐執鐚�=t


【少年の問いかけに女は応えると、その立場を表明するように詠唱する。】
【それは異界≠フ言語だった、石柱に刻まれた文字と同じように少年らの世界では聞き取れない言葉】
【そして外界≠フ言葉によって生み出されるのは同じく外の理=\――】
【マリアベルの右手に黒く光りながら回転する火球が発生し、それを徐に異形へと投げつける。】

【着弾、それと同時に巨大な黒い火柱が発生し異形の半身を焼き払う。】



『―――ッッ』


【そしてそれに合わせるようにマーカスの放った光弾が異形の胴体へと着弾する。】
【しかし半身を焼かれ、光弾によって胴体にダメージを受けて尚異形は動きを止めることはない。】

【泥濘を踏みしめながらマーカスへと高速で駆け出し、そしてその獰猛な牙の生えた口で噛みつこうとするだろう。】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/05(土) 19:04:31.22 ID:4CdocOg4O
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575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2019/01/05(土) 19:16:40.81 ID:4CdocOg4O
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576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/01/05(土) 19:23:09.62 ID:T3ioI9jao
【どこかの公園
 「剣術の稽古」と言えばそれまでだが、そもそもどうして少女が真剣を持ち出しているのであろう。それは少女のみが知ることである。】

さあ、今日も、やりますよ! 稽古! 最強の剣士になるためには、三が日も休んでいられませんからね。

【少女は、おおよそこの近代では珍しい和装だった。緑青(ろくしょう)色の着流し、赤色の帯。その上から藍色の羽織を着ていた。
 桜の國の特殊な技法で染められたらしい羽織だった。着流しは単衣(ひとえ)で安物に見える。だが羽織の方は、なかなかに高級なようである。雨のような深い色の藍色が、沈みゆく夕日の赤色を受けて、奥行きのある色合いを発していた。】

【はつらつそうな印象の少女だった。切れ長のとび色の瞳に、黒縁の眼鏡。どうやら近眼のようで、時折目を細めている。眼鏡の度が合っていないのだった。
 彼女いわく「最強の剣士になるための稽古」に邪魔になるのか、髪の毛は後ろでまとめてしまっている。
 それこそ今風に言うと、「ポニーテール」ということになるだろう。濡れ羽色の髪だった。汗をかいているのか、その髪はわずかに湿っている。】

さあ行きますよ。 えいやあっ!

【さて、この───着流しに、羽織りに、眼鏡の少女。その腰間(ようかん)に、一振りの刀を帯びていた。これが文章冒頭で示した「真剣」のことである。
 反りの浅い、おおよそ二尺七寸(102cm)ほどの刃渡りの刀が腰にあった。茶の下げ緒で結んでいる。黒塗りがわずかに剥がれた鞘に収められていて、少なくとも飾りではないようである。
 その刀を少女は引き抜いた。腰を捻り、回転の力を利用した抜き方だった。夕日に磨き抜かれた刀身が光る。
 曇り一つない刀身だった。抜きの太刀筋は見事なもので、なるほど若いながらも様になっている……かもしれない。(ここら辺の評価は、見る人の委ねられる)。
 少女は抜き打ちの稽古をするつもりらしかった。引き抜いた刀を、そのまま腰を捻って、回転の力を乗じて後方に回す。切っ先が大きく円弧を描く軌道だった。
 しかしそこで大きな音がした。ちょうど少女が、めいいっぱい腕を回して、切っ先が後方に流れたときのことだ。まるで硬いものに金属を撃ち抜けたような音だった。】

あっ、あれれっ

【しまったと思った。自分の背後に立っていた大きな木。その太い枝に、刀身の中ほどで切り込んでいる。背後にたち枯れた木が立っていることを、少女は失念していたのである。
 しかも面倒なことに刃筋が狂っていた。普通に切り込んでいたのなら、鋭い切れ味は木を切り落としていただろう。(あるいはすぐに外せたはずだ。)
 ところが中途半端な角度で切り込んだため、面倒なめり込み方をしている。おまけに木は枯れて固くなっているため、なんとも抜きにくいことこの上なかった。
 無理やり取ろうとすれば、刀の方が曲がってしまうかもしれない。刀とは鋳型にはめ込む剣を異なり、切れ味が高く攻撃翌力が高いが、その分繊細なのである。】

し、しまった。どうしよう。
くっ! くく……!! ぬ、抜けない!

【少女は両手で柄を持ち、片方の足を木にかけて、体重を乗せて引き抜こうとした。しかし、びくともしない。
 そもそも剣士志望であるため鍛えてはいるが、それでも悲しいかな年相応の少女の筋力しかないのである。顔を真っ赤にして必死に抜こうとしているが、なんとも現実は無情だった。やんぬるかな。】




/絡み待ちですん
577 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 20:09:07.04 ID:WEKlGDzm0
>>576

あ、あの〜お困りですか………どうみてもお困りですね。


【そんな少女の背後から、どこか遠慮がちに声がかかる。】
【同じ年ごろの少女の声であった。顔を真っ赤にしている和服の少女に「大丈夫かな…」なんて呟く。】

【ぽんぽんと肩を叩いて相手を振り向かせようとするだろう。】


宜しければ刀、抜くのをお手伝いしますけど………
でもここは公園なのであまり刃物を振り回すのは遠慮してくださいね?


【振り向けば苦笑しがちに声の主は立っている。】
【全身を新品の黒いスーツで包んで、黒い長髪は後ろで結んだ碧い瞳の身長170cm程の中性的な容姿の若い女性だ】

【その若い女性の背後にはエンジンを吹かしたままの黒いバイクが止めてある。恐らく彼女のものであろう。】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/01/05(土) 20:42:49.67 ID:T3ioI9jao
>>577

くくくくくっ……! は、はい!?

【こうして文字にすると普通に返答したように見える。だがここの「はい」は裏声である。力んでいるがゆえ仕方がないが、はたから聞くととても恥ずかしいだろう。赤面ものである。もっともこのとき少女は違う意味で顔を真っ赤にしていたので、羞恥が分かりにくいが。
 というわけで少女は振り返った。肩を叩かれたからだ。その少女の二つの肩は上下していて。言うまでもなく、息が上がっているからである。】

はぁ……はぁ……あ、どうもこんばんは

【その少女は、女性を見るとぺこりと頭を下げた。真剣を振り回す見かけによらず(?)礼儀正しい。濡れ烏色の髪がふわりと揺れた。柔らかそうな髪質だった。】

いやいや! とんでもない。困ってなんかないですよ。私はこれでも、

【「最強の剣士を目指してますからね。自分の始末は自分でやります!」と続く。この「」内のとき少女は、再びはまり込んだ刀を格闘しようとしていた。
 しかし結果は目の見えていた。おそらく眺めている女性の苦笑が終わる頃には、少女はしゃがみこんで荒い息を整えている。彼女の刀はそんな持ち主をあざ笑うかのように、刃を食い込ませたままそこにあった。】

お願いします。いやなに、構わないのですよ。別段、最強の剣士を目指しているからと言って、人に頼ってはいけないなんてことはないのですから。例えば昔いたとある剣豪は人からものを借りるときに……ブツブツ

【と言うだろう。最終的には諦めた。黒縁の眼鏡はずれて、この寒いのに額には玉の汗が浮かんでいる。
 少女はへたりこんだまま、ここで初めて自分に話しかけた女性を落ち着いて見ることができた。少女は小柄な方だ。必然的に女性を見るときに、見上げるような形になる。今はかがんでいるため、よりそれが顕著だった。
 目を細める。誰かを見るとき目を細めるのは、視力の悪い少女の癖の一つだった。そうして、落ちかかった眼鏡をずりあげた。
 目の前には、黒いスーツの女性。自分と同じくらいの年齢だろうか。あるいは着ている服が正装だったため、少女は自分より目の前の女性の方が大人びて見えた。明るい青い目を見ても、同じことを思う。落ち着いた印象で、綺麗な人だなと思った。
 近眼の目は次に、女性からバイクを見ていた。そして少女は言った。】

わ! なにこれ、かっこいい! 

【立ち上がる。そのままバイクを見ようとするだろう。もしも女性が止めなければ、回り込んでバイクに近づくはずだ。
 目が星になっていた。とてもわかりにくい表現だが、ようするに羨望しているのである。「かっこいい」と少女は言った、その言葉に尽きる。
 どうにも少女はこういうメカに弱い。それは当人が機械音痴だからである。人は自分にないものに憧れるのは、いつの時代もいつの世も真理であり。
 だがバイクに興味を引かれながらも、自分の刀を視界外に置くことはしない。これは目の前の女性を警戒しているのではなく、一振りの剣で命のやり取りをする剣客の職業病のようなものなのかもしれない。】


//よろしくお願いします!
579 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 20:58:05.84 ID:WEKlGDzm0
>>578

えっああどうもこんばんは………。
さ、最強の剣士ですか。それは素晴らしいものを目指されているとは思いますが。

―――あっはいとりあえず手伝いますよ。


【(凄く忙しない人だな―――)そんな風に思っているがとりあえず手伝う事にした。】
【汗を滲ませる相手にそっとポケットから出したハンカチを差し出しながら交代するように刀を握る。】
【んぐっ!と力を込めて引いてみるが、あまり動く様子はない。】
【そんなこんなで暫く刀と格闘した後、額に汗を滲ませながら息を切らせてその場にへたり込む。】


っはぁっ!かなり強くめり込んでしまってますね、俺も力に自信がある方なんですが
仕方ないのでそこにあるバイクを使って引き抜きましょう、ええとロープロープ………


【そう言いながら、スーツの女性もバイクへと近づいてくる。】
【バイクにはサイドカーがついており、そこには何故か業務用の大鍋だったり包丁だったり調理器具が入っている。】

【「あはは、ちょっと炊き出しの準備をしてまして…」と苦笑しながらごそごそとバイクからロープを取り出す。】
【これを使って木から刀を引き抜こうという事だろうか―――】

//よろしくです!
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/01/05(土) 21:24:05.73 ID:T3ioI9jao
>>579

【的を射ている。】
【まさしくその通りだった。とても忙しないのである。女性がそう感じたのは、ごく自然であろう。
 むしろそう感じない方がおかしい。それくらい今の少女は、忙しなかった。あるいは落ち着きがない。】

いや、どうも何から何まですいません。……いや! いやいや! この上ハンカチまで借りるなんてことはできません。
え? 汗? なに大丈夫。こんなものはね、洗い流してしまえば……

【少女は水場に向かった。描写を省いていたが、ちょうど刀がめり込んだ木の向こうには小さな水道場が存在している。
 水道をひねって水を出すと、着流しにかからないように器用に頭を突き出して髪と顔を豪快に洗った。まるで動物が水浴びしているかのようだ。後頭部から水道の水が流れ、そのまま顎先まで伝って落ちてゆく。
 余談だがこのとき気温は8度ほどである。少女は大きなくしゃみをした。その音に、すぐそばで羽を休めていたらしい野鳥が数羽、飛び去った。】

ふう。これでいいんですよこれで。それで、この手ぬぐいで拭けば……あれ? あれっ、無い。……しまったそうだった。昨日模擬戦をしたときに、落としたんだった……
す、すいませんやっぱりハンカチ借りていいですか。

【なんともばつが悪そうにハンカチを借りようとするだろう。借りれたら髪の水を拭うはずだ。汗を拭くのではなくただの水なので、結局のところ衛生的といえば衛生的であるが。
 さて、その少女は女性が刀を引き抜こうとする場面を、真剣な様子で見ていた。自分も手を握って、一緒に力を込めているつもりである。】

……ねえ、だめでしょう。いやはや困った困った。剣士が刀がなかったら、商売上がったりじゃないですか。……ねえ? 
え、ロープ? そんなものどこに……。お、おお……! すげ……すごい! ここ開くのですか!

【そもそもサイドカーという概念があまり少女にはなかった。いや、あまり、ではない。完全になかったのであろう。中の調理器具や大鍋をいちいち感心しながら眺めていた。】

なるほど。頭がいい! そのロープでぐるぐる巻きにして、二人で引っ張ろうということですね

【少女はぱちりと指を鳴らした。女性の用意の良さと手際に感心した様子である。
 刀は(少なくとも少女よりは膂力のあるであろう)女性が動かしたことによって、先ほどより外れやすくなっている。(女性の行動にもよるが)確定行動で外すことはできるはずだ。】
581 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/05(土) 21:26:28.77 ID:V5kH1qxe0
>>573
【マリアベルの言葉が果たして真実か虚偽か。猿芝居を演じている可能性も否めない】
【だが、それを探るのは今じゃない。今何よりも優先すべきなのは目の前の害敵を一刻も早く処分することだ】


同族殺しか……?それは、禁忌なのではないのか?


【同族を殺めること。それは生命の根本に反している。増えて、潰えるのが生命であり、同族を殺すのは人間くらいだ】
【仮にマリアベルが同族殺しを良しとするなら、むしろ人間らしいと言えるかもしれないが】


回避すべき……だな


【高速で迫る異形を目にして彼は素早く回避行動に移る。しかし、泥濘に足を取られ一瞬だけ動きが鈍る】
【異形の牙は彼の脹脛を捉え、豆腐を刺すように易々と食い込み、彼の体を宙に浮かせる】
【右足を異形に噛みつかれ、逆さまにぶら下がった状態になった彼はどうにかして牙を外さんともがく】


(鈍い電撃のような感覚……痛みか……肌の冷える痛みとはまた違う)
(どうする?どうする?どうする?どうすれば良い?この状況に対する答えは何がある?)


【刃のように硬化させた五指で異形の頭を切り裂かんと腕を振る。彼の脚からは鮮血が滝のように流れていた】

/もし同時進行が難しい場合は置きに移行していただいても構いません……!
582 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 21:40:01.36 ID:WEKlGDzm0
>>580

(―――元気な人だなぁ。)


【水道場でくしゃみをする少女を眺めながらそう心の中で思った。】


【――――――】
【――――――――――――】


ええ、このまま放置するのも危険ですしなんとか引き抜かないと。
二人で行ってもいいですが、ここはバイクにロープを括り付けて引き抜きましょう!


【「少し離れていてください」と少女を下がらせると、ロープで刀とバイクを繋ぎ】
【勢いよく引き抜かれないようにゆっくりとアクセルを入れて引っ張るだろう、すると】

【数秒もしないうちに刀は木から引き抜かれ、カランと地面に落ちる。】


これで良し、ですね。次は周りのものに注意して稽古してくださいね?
ところで自己紹介がまだでしたね―――俺は真諦院 正義/しんたいいん せいぎ≠チて言います!

貴女のお名前は?


【刀が引き抜かれたのを確認すると真諦院と名乗る少女はバイクのエンジンを切り。】
【地面に落ちた刀を拾い上げて相手に差し出しながら名乗った。】


583 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 21:50:07.60 ID:WEKlGDzm0
>>581

さぁねぇ、まぁどちらにせよ今の宇宙の理も、外の宇宙の理も興味はないよ。
私が作り出すのは―――新しい宇宙≠ネんだからさ。ってあらら


【虚空に浮遊したまま愉快そうに眺めていたマリアベルだが、マーカスが牙で貫かれれば顔を顰める】
【直後にマーカスが放った五指によって異形の顔面と、頭部に生える触手がいくらか切り裂かれ黒い体液が流れる】

【だが依然として異形の顎の力は強力であり、さらには頭部に残った触手が体中に巻き付こうとするだろう。】
【生臭い匂いが吹きかかる―――。】


さて、どうするマーカス。
キミの中にある力がさらに解き放たれるのか、それともここで力尽きる運命なのか。

悪夢を望んだのはキミだけれど、夢から醒めるかい―――?


【マリアベルの声だけが響く、そして彼女の全身を魔力が駆け巡り上昇していく。】
【異形は一瞬そこに気を取られ巨大な額の眼もマーカスから外れる、それは明確に隙とも考えられた。】
【但し、依然として牙の力が弱まったわけではない。】

//いえいえ問題ありませんよ!
584 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/05(土) 22:14:49.01 ID:V5kH1qxe0
>>583
【黒い液体が服と身体を湿らせる。不快感すら気にならない程に、彼の状況は切迫していた】
【マリアベルの声が脳内で反響する。内容を理解する暇も無い。傷口を絞める力は未だ衰えず、右足の感覚は消えていく】


夢から……?これが夢だと……?ここで死ねば、きっと本当に死ぬんだろう?
目が……見えないな……


【徐々に視界が霞がかっていく。腕の力が抜け、意識は暗闇の彼方へ招かれる。腕はダラリと垂れ、彼の動きが停止する】
【既に彼は死んだも同然。それは誰が見ても明らかだった。多少残っている呼吸も、三十分もすれば絶えることだろう】
【マリアベルの期待通りに彼が動くことは無かった。ただ、それだけの単純な物語だ。それで終わりの短編だ】



【その筈だった】



ぐっ……あぁっ……ガァッ……!


【彼の身体が癲癇の発作のように跳ねる。喉を掻き毟り、呻きを上げ、彼の瞳は徐々に赤みを増していく】
【隙を見せた異形の顔を見つめたその表情は、最早人の物とは思えない鬼の形相。もし視認出来るならば、瞳の中に映った文字が読めることだろう】
【───MODE:ASSAULT───と】


アァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!


【軋みを上げる右腕を尋常ならざる勢いで異形の頭へと振り払う。明らかに先程の彼とは一線を画す一撃だった】
585 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 22:22:46.48 ID:A7bicaDQ0
>>584

さぁて、それはキミの認識℃汨諱\――って聞こえてないか。


【意識を失ったマーカスを見て、肩を竦めながら上昇させた魔力を右腕に集めようと―――】
【そうした瞬間に、変化≠ヘ起きた。】


【―――ぐしゃり―――。】

【異形の頭部はマーカス?の放った一撃によって半分が粉砕され、血肉が飛び散る。】
【マーカスの脚に食らいついていた牙も力を失い引き抜かれる。】
【異形はよろよろと後退しながら、かろうじて残っている眼球でマーカスを睨みつけ、そして】

【再び頭部の触手と腕と、牙を持ってマーカスに食らいつこうとするだろう。酷く単調な攻撃だった。】


【―――クスクス=\――笑い声が漏れた】
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/01/05(土) 22:23:59.72 ID:T3ioI9jao
>>582

ほ、放置!? とんでもない。命に代えてでも引き抜きますよ。ええ、引き抜いてやりますとも。

【その通りだった。女性曰く「元気な人」は元気に言った。
 少女はもう引っ張る気まんまんで、女性が刀を結んでいるときに、屈伸をはじめとした準備運動を行なっていた。】

さあ、引っ張りますよう! 三人寄れば文殊の知恵といいますからね。二人寄れば刀だって引き抜けるはず……。え? さが、下がる?

【そこで少女は背後につんのめってしまった。バイクのアクセルを吹かせた音と、そのときに生じた土煙をもろに浴びてしまったからである。せっかく洗った髪がまた汚れてしまった。
 だがそんなことは少しも気にもとめていない。ようやく刀が外れたからだ。】

お、おお……! やった! やったあ!
いや、ありがとうございます。はい、気をつけます。

【ようやく戻った刀を女性から受けとると、風車のようにくるくると回して背中の鞘に納める。ぱちりと鍔元と鞘口が接触する音がした。手慣れたものだった。】

あ、はい。真諦院さんですね! どうぞよろしく。俺は……じゃなかった一人称が写っちゃった。ええっと、私は、浜崎 夜(はまさき よる)です。
あ、待って待って! 苗字で呼ぶなんて、水臭い。「夜」と呼んでください。一緒に刀を抜きあった仲じゃないですか。というわけで、よろしくおねがします。正義さん

【そう言ってから少女……浜崎 夜は目の前の女性……真諦院 正義に挨拶をした。ぺこりと頭を下げる。
 夜は彼女のことを「正義」と下の名前で呼んだ。つまりそれが、浜崎 夜という一人の人間の性格を、よく表している。
 人懐っこいのである。そのくせ、決して図々しくずかずか相手の領分に踏み込むようなことはしない。事実として夜の「正義さん」という言葉には、明るさを感じるが、馴れ馴れしさはなかった。夜がただの「馴れ馴れしい人間」だったら、臆面もなく真諦院からハンカチを借りて汗を拭いただろうし、きっと「一緒に」ロープを引こうと提案していないだろうから。
 さてその夜は、真諦院の差し出した手を握り、握手のためにぶんぶん振りながら言った。】

いやいや、どうぞよろしく。ちなみに特技は刀の目利きです。業物を見分けたり、目釘のかたちだけを見てから拵えを当てたりできます。
あと、剣術の流派にも詳しいですよ。有名なのはだいたい頭に入ってます。

【まだぶんぶん振っている。】

好きなものは桜の国の和菓子。嫌いなものはトマトです。なぜなら私の中の人が嫌いな食べ物だから。
あと苦手なものはお酒と遠距離武器。……えっとあとは……

【まだ振っている。】

……ん? 真諦院……? 

【その手が止まった。】

……ちょっと待ってくださいよ。真諦院って。どっかで…

【どうやら手を離すと言うことを忘れているようだった。腕を振った反動でメガネが下がるのもかまわず、夜は思考に耽ろうとするだろう。】
【筆者がここで注釈すると、このとき夜は古くからある異能持ちの名家「真諦院家」のことを思い出そうとしていた。あまり頭の出来が良く無いので、こうして思い出せずにいるのである。】
【果たして真諦院家が夜と関係があるかと言うと、おそらく直接的な関係はない。ただその有名さから、風の噂で聞いたことがあるらしかった。】


//wikiの設定読みました! 「真諦院家」というのがなんか有名そうだったんでロールにぶっこんでみたんですが、まずかったらその部分(【その手が止まった。】から下)は無しで知らなかったという程でお願いします!
587 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/05(土) 22:36:07.05 ID:V5kH1qxe0
>>585
【飛び散った肉片が顔を濡らそうと意に介さない。今の彼にそんな理性は残されていなかった】
【瞳孔の開き切った瞳で異形を睨みつける。顎が外れると、異形を蹴る反動で体勢を整え、泥濘の大地へ着地する】
【腰を低く下ろし、両の脚を折った体勢は人と言うよりは獣。そして、彼の背が膨れ上がったかと思えば、二対の翼が現出する】


フゥゥゥゥゥゥゥゥ……


【排熱の如く息を吐き出すと、食らいつかんとした異形の攻撃を高速で回避する。鋼色をした翼により飛翔】
【やや滞空した後、異形の頭部へ向かって流星を思わせる勢いで急降下攻撃を仕掛ける。硬化させた爪により、一撃の下に引き裂こうと】
【絶対的な殺意を以て異形の殲滅を試みた】
588 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 22:38:18.68 ID:A7bicaDQ0
>>586


浜崎 夜=\――いい名前ですね。これから、どうぞよろしく。
ええそれじゃあ夜≠ウんと。ちなみに歳はおいつくなんですか?俺は18です。


【言葉を返しながら、土煙で汚れてしまった髪をハンカチで拭いてあげようとする。】
【そしてぶんぶんと振られるもう一つの手、苦笑いしながら肩が揺れ動く。】

【まぁ確実に悪い人ではない、そう思った―――。】


へぇ、貴女自身の腕前もかなりのものみたいですしご実家が剣術をされていて?
―――な、中の人?トマトは俺も苦手ですね………。


【ぶんぶんと振られる腕がいい加減に痛くなってきたが、抵抗せず相手の言葉を聞く。】
【(しかし良くお喋りになる人だな〜)と嫌味ではなく率直にそう思った。】

【そして自分の名前について話題が振られれば少し眼を伏せながら答える。】


ああ、ええと………はい、一応昔は異能の家系としてそれなりに有名でした
俺は生まれも育ちも水の国≠ネんですが、血筋の源流は櫻の国≠セったと思います。

だからもしかすると聞いた事があるのかもしれませんね、まぁ今は全然ですから………


【どこか寂し気にそう答えた後、それを誤魔化すように苦笑した。】
【もし思い出せるのなら、真諦院家≠ェ今は没落したとまで言われているのも思い出すかもしれない。】

//折角なので乗らせていただきました〜
589 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 22:45:29.51 ID:A7bicaDQ0
>>587


【一撃だった。】
【攻撃が空を切りバランスを崩した瞬間、変異したマーカスの流星の如き一撃が異形を切り裂いた。】
【頭部も、眼球も、そしてその奥の胴体まで一気に切り裂かれた巨大な異形は力なくその場に崩れ落ちた。】

【大きな振動と飛び散る泥濘、後に残るのは静けさだけ―――の筈だった。】


―――素晴らしい、キミはとんでもない怪物だったワケだ。


【マリアベルが飛来する。異形の亡骸の傍へと。】
【そしてケラケラと愉快そうに笑いながらスーツから何か宝石のような、卵≠フような物体を取り出して】

【それを異形の残骸へと押し付けると―――まるで小さなブラックホールのようにその卵≠ヘ異形を飲み込んだ=z
【後には何も残らなかった、ただ黒い体液の血だまりとマーカスへと微笑みかけるマリアベルのみ。】
590 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/05(土) 22:56:07.79 ID:V5kH1qxe0
>>589
【異形が砕け散り、破片が彼の頭上へと喝采の様に降り注ぐ。黒き雨に濡れた髪は、世界の様なモノクロを彩る】
【静けさの中で背に携えた翼が宙に溶けるように消滅し、彼はガクリと泥濘に膝をつく】
【片足の傷は未だ塞がらず、問題無く歩行するには治療が必要となるだろう】


怪物……?怪物は……倒れたのか……?
いや、倒した……?倒したのか……今、ここで


【彼の認知は朦朧としているようだった。そして、マリアベルの行動を霞む視界で捉える】


それは……消えたのか?それとも、死んだのか?
体力の限界だ。活動を……一時停止……する……


【問いかけを残したまま、彼は泥濘に力無く倒れ伏してしまう。後をどうするかは、マリアベルの自由だ】
591 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 23:06:39.65 ID:A7bicaDQ0
>>590

ああ、死んだよ。キミが殺したんだ。
―――まぁ色々とまた今度話すとしよう。私もキミとはいい関係を築きたいからね。


【泥濘の大地に倒れ伏した少年にそう答えると、卵≠スーツにしまい込み。】
【来た時と同じように右手を掲げて―――そして。】


             【――――――パチン=\――――】


【いつしかそこは最初に出会った路地裏だった。】
【だが状況は違う。少年は倒れておりマリアベルはそれを見下ろしている。】
【マリアベルは、笑った。】


【―――】
【――――――】
【――――――――――――】


【そしてマーカスは最寄りの能力者向けの病院に運ばれているだろう。】
【様々な能力者がいるので別段マーカスについてもあれこれ調べられず治療のみがされている。】
【医療費も既に支払い済みであった。】


【―――病室の窓≠ノは、何故だか海洋生物の触手が這った痕のようなものがついていた―――】


//お疲れ様でした!

592 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/05(土) 23:10:10.97 ID:V5kH1qxe0
>>591
//お疲れ様でした!長々とお付き合いしていただき本当にありがとうございます
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/01/05(土) 23:20:10.49 ID:T3ioI9jao
>>588

あ、失礼。歳は私も18ですよ! ただ、もう少し若くみられることも多いんですけど。

【なで肩と低身長のせいであった。
 だいたい二つほど下にみられる。つまり、外見的にはそれくらいなのだ。夜はこのロール初頭に真諦院のことを「大人びている」と形容したが、これは「(自分と比べて)大人びている」と言うことである。】

ご実家が剣術を……さあ、どうなんでしょうね。いや、私は孤児(みなしご)なんですよ。つまり実家はないんです。
まあ強いて言うなら、私そのものが実家みたいなもんですよ。移動する実家です。ですから剣術も、完全に我流でして。つまり、浜崎流ですよ。あ、すいません。

【夜はばつが悪そうに笑った。ここで笑ったのは、真諦院が髪の汚れを拭いてくれたからである。出自に関して、笑みでごまかしたのではない。
 というより誤魔化そうとすらしていなかった。実にあっけらかんとしている。孤児であることを別にどうとも思っていないようだった。】

あ、そうそう! 思い出した。

【夜はぽんと手を叩いた。この段階でようやく真諦院の手を離したことになる。】

真諦院家! そうそう、それですよ。いや、思い出した思い出した。有名な、能力者の家系じゃないですか。
そうでしょう。私は桜の国の出身なんですよ。まあ、この格好見たらわかると思いますけど。

【そこで夜は両手を広げて、くるりと回った。自分の着物を真諦院に見せているつもりらしかった。
 これまでなんとも忙しなく動いていた。そのため胸元や裾が若干着崩れていたものの(意外にも夜は同年代と比べて大きな胸を持っている。そのため着物の袷(あわせ)の部分が目立った)、概ねよく着こなしていると言えるだろう。なるほど桜の国の人間である。】

あ、待ってください。だんだん思い出してきた。……全然? とんでもない。だって正義さんは、私を助けてくれたじゃないですか!

【つまりそれがどう相手の家系の隆盛に関わるかと言うと、おそらく何も関わらない。
 夜が思い出した「没落」という全体規模の話を、真諦院正義という個人の話に落とし込んでしまうのが、浜崎夜の思考体系である。呆れるほどの天真爛漫さであった。
 この飛び抜けた明るさがなければ、そもそも自分の出自を何の感慨もなく話したりはできないはずである。】

と言うことは、正義さんも「能力者」ってことですよね? ……あれ、どうしてそんなに、寂しそうな顔をしているんです?

【相手の表情を覗き込むようにしながら言うだろう。そのときちょうど夜の羽織が下がり、裏地が見えた。
 外套でいうと内ポケットがある位置に、あまり夜に似つかわしくない化け物の刺繍……牙と角を生やし、ぎろりと睨みつける「鬼」の紋様が施されているのが、一瞬だが確認できるはずである。】
594 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/05(土) 23:35:38.90 ID:A7bicaDQ0
>>593

ああ、同い年ですか!なんだか色々嬉しいですね!
―――孤児、これは………失礼しました。って移動する実家って………。
つまりは各地を色々と回られながら剣術の修行をされているってことですかね?


【ハンカチで髪を拭き終えれば「いえいえ」と笑いながらスーツのポケットに丁寧にしまい込む。】
【出自に関して謝りはしたが、相手の様子を見て態度を改める。】
【同い年と言う事もあってなんだか親近感が湧いたし、快闊とした態度はとても好印象だった。】

【夜が自分の家系の事を思い出せば少し恥ずかしそうに頬を掻く】


ああいえ、まぁ俺の実家はご察しの通り色々と大変でして
でもなんだか夜さんと話しているとそんな事で落ち込んでる場合じゃあないですね!

もっと、もっと皆を助けられるように精進しますね!

ええ俺も能力者≠ナす―――、っと変わった刺繍ですね、お洒落ですけど。


【相手に勇気づけられ(夜は意図していないと思うが)嬉しそうに笑う。】
【そして相手の質問に答えた際にちらりと見えた刺繍が目に留まり、何の気なしにそれについて問いかけた。】
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/01/06(日) 00:06:31.81 ID:8UnPQ2mjo
>>594

そうそう。そういうことです。桜の国風に言うと、浪人なわけですよ。これはとても楽しいことですよ。刀一振りで、諸国を旅できるんですから。つまり、自由! これはとても、いいことです。
いやいや! 遊んでばかりじゃありませんよ。ちゃんと修行もしてます。剣士以外、それこそ、能力者たちともよく模擬戦をしたりしてますよ。まあ、戦績は……あまりいい方じゃありませんけど。

【もっともそう楽なことばかりではない。それこそ刀が木に食い込んでしまいかもしれないし、諸国漫遊していたらそう言う場合でも、一人で処理しなければならない。
 つまり今回のこの出会いは、夜にとってはかなり幸運だったということになる。あるいはそういう「偶然の出会い」も、彼女いわく浪人の醍醐味なのかもしれなかった。】

そうそう、大変……確かええと、没落。……じゃなかった、結構、落ち着いてきたそうじゃないですか。
いや、そうです。頑張ってください。……って、私も頑張らないと。そうだ、二人で頑張りましょうよ!二人で。私もまだ、一度も人を斬ったことないんです。それくらい未熟だから、よく他の剣士に笑われます。……って、何を言ってるんだろう、私。とにかく、一緒に頑張りましょう。

【あまり上手く言えていないが、夜なりに言葉を改めた。】

え、これですか。さすが正義さん、趣味がいい。そうでしょう。

【そこで夜はもう一度くるりと回った。今度は羽織を見せているつもりらしい。
 背中には良く見ればわかるが、雨模様があった。藍色に同じように藍色で、山水とそこに降る雨が刺繍されているのである。】

中もすごいんですよ。これねえ、裏地にも模様があるんです。高い羽織の特徴なんですよ。古着屋で安く、手に入れたんですよね。

【夜は羽織を脱いだ。早く見せたくていそいそと脱いだので、わずかにその下に着ていた着流しにしわが寄っていた。】

ねえ、いいでしょう。

【羽織の裏地は、晴れ模様が刺繍されていた。
 桜の国のどこかの一風景を切り取ったらしく、湖と滝。そしてそこから登ろうとする一匹の鯉が、橙の糸で刺繍された太陽の下に描かれている。ちょうど先ほど見えた鬼の姿はどこにもなかった。】

へえ、やっぱり、能力者なんですか。
どんな能力なんです? 私は無能力者だから、こう、不思議な力とか魔法とか、憧れちゃうなあ。
……ね、ね、ちょっと見せてくださいよ。いいじゃないですか! 誰にも言いませんから!

【夜自身は「鬼」が消えたことには気づいていないらしかった。それはつまり、彼女が保有する「異能」の類ではないということである。
 夜を見れば、目を輝かせて真諦院の周りをちょろちょろしていた。まるで懐いている子犬のようだった。とても嘘をついていたりだとか、酔狂を演じている風でもない。
 何より、単純に夜は真諦院の能力を見たがっているだけであった。
 そしてもし真諦院が思い出せば───そう。一瞬だが確かに鬼はいた。いたのである。見間違いではなかった。夜に似つかわしくない、その凶悪そうな表情が、確かにそこにあった。
 過去形である。】
596 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/06(日) 00:23:16.89 ID:g3a1ARot0
>>595

なるほど、浪人ですか。確かに腕一本で世界をっていうのは中々やりがいがありそうですね!
それが出来ているという事はそれなりに腕も自信があるのでは?謙遜されていますけど。

水の国≠ナは天下一武道会≠ネんて大会も開かれてたりしますので、今度出られては?


【刀一本で諸国を、それに感心したように正義はうんうんと頷いて見せる。】
【自分と同い年でもこんな人もいるのだと世界の広さを改めて思い知らされたのだった。】


ははは、まあ気にしないで下さいよ。
そうですね―――あまり人を傷つけるのは良くないですので、誰かを助けるために頑張りましょう!

―――あれ?ええ………そうですね。


【鬼の姿はない―――。】
【不思議な事もあるものだが、自分の見間違いかもしれないからととりあえず流すことにした。】
【ただ単純に鬼がなくとも見事な刺繍であった。】


能力をですか?まぁいいですけどあんまり人前でバンバン出すものでもないんですけどね………


―――《正義聖鎖/ジャスティス・ジェイル=t


【正義がそう言いながら右手を前に出すと、夜の足元の空間から急に鎖が飛び出す。】
【それはふわふわと所在なさげに空中で踊ってから正義が手を下げるのと同時に消滅した。】

【「まぁ、こんな感じです」と正義はどこか気恥ずかしそうに言った。】

597 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/06(日) 00:24:49.63 ID:g3a1ARot0
>>595
//夜も更けてきましたが、凍結致しますか?
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2019/01/06(日) 01:04:12.18 ID:8UnPQ2mjo
>>596

いやいや、謙遜なんてとんでもない。そもそも私は結構……強いですよ?
大会ですか。へえ、いいですねそれ。楽しそう!

【笑わないようにしようとしていたようだが、笑みがこぼれる。あまり褒められ慣れていないようだった。
 もっとも自分で自分のことを「強い」と言ってしまうあたり、まだまだ未熟なことがわかるはずである。】

ん? どうかしましたか?

【きょとんとして夜は言った。
 そもそもやはり、彼女は鬼を見ていないようである。これが能力なら、今この場でタネを明かすところであるが。
 ひょっとしたら鬼は「その先」にいるのかもしれなかった。少女も知らない、もう一つ向こうの世界へ。】

わ! なにこれ、すごい! 鎖? 

【そうして夜は、真諦院の能力を見た。
 鎖。突如自身の足元から現れ、ふわふわと漂うその鎖に、夜は目を見張った。おおよそ科学では説目のつかない現象に、夜は目をかが痩せていた。
 ぴょんぴょん飛び跳ねて、鎖に触れようとするだろう。下げ緒と刀の柄がぶつかり、かちかちと小さな音を立てていた。
 けれども触れることはできなかった。まさしく指先が鎖に触ろうとしたそのときに、ふっとそれは消えてしまったからだ。】

いや、さすがは能力者。目の保養になりました。

【再び夜はぺこりと頭を下げる。どことなく古風な物言いで、節々に「桜の国」の訛りが見て取れた。若い少女には似つかわしくもないかもしれない。】

そうだ。お礼に……といっては何ですけど。私の能力。……いや、能力じゃないな。
剣の腕も見せましょう。なに、別にいいんですよ。見せたところで、減るもんじゃあないですからね。

【そこで夜は、ゆっくりと腰を下ろす。「息吹」という特殊な呼吸法で、丹田に気を溜めた。
 真諦院が止める間も無く、夜は短い気合いとともに腰の剣を一閃させるだろう。先ほど外したばかりの、たち枯れた木に。
 刃は妙な音を立てて止まった。】

……あ、あれ?

【これがまずかった。抜き打ちをひきもどそうにも、びくともしない。どうやら今度は先ほどせっかく抜いたその切り口に、正確に入り込んでしまったらしいのだ。
 もともとあった刃形のくぼみに正確に入り込んでしまったため、摩擦で止まってしまったのだ。】

あ、あれっ。
おかしいなこんなはずじゃ。……ぬ、抜けない! あれっ。あれれっ。いや、正義さん違うんですよ。この刀は業物ですから、普通はもっとすぱっと斬れるはずなんですけど。
いや変だな。……あ! ちょっと待ってくださいやり直すから。いやいや! 私だってかっこいいところ見せたいじゃないですか。そうだ、今のなし! なしね!
くっ……くくっ……!

【結局抜けないだろう。
 再び真諦院に刀を外してもらうよう頼むはずだ。これでは二度手間だが、夜に悪気はない。】

ま、待って! 正義さん見てないで手伝ってくださいよ!

【……多分。】


//明日これるか分からないので、こんな感じで。乙でしたー!とても楽しかったです!
//俺っ娘はやっぱ・・・最高やな!
599 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/06(日) 01:15:17.13 ID:g3a1ARot0
>>598

おや、それは是非今度手合わせして頂きたいですね!
―――いえ、ちょっとした見間違いです。

まあ俺の能力なんてそれほど大したものじゃないですよ、世の中にはもっと凄い人たちがいる。
それこそ貴女のように無能力者でも能力者以上に凄まじい力を持った人たちが。


【能力を発動した余韻の残る右手をぐっと握り絞めながら正義はそう微笑んだ。】
【「だからもっとお互い頑張りましょう!」と確認するようにそう言い放つ。】

【そうして相手が剣を見せてくれるというので数歩下がって見守るが―――】

【直後に先程の木に突き刺さった刀を見て、夜を見て、もう一度刀を見てからジト目で夜を見る。】


―――ハァ、しょうがないですね………。


【ため息を吐きながら、突き刺さった肩を引き抜こうとする夜へと歩み寄っていく。】
【何はともあれ、良い夜だった―――】


//お疲れ様でした!ありがとうございました!
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/07(月) 16:44:39.38 ID:1mfjLf3Ho
>>552

【アリスは大きく肩で息をする、やがてぺたんと座り込んで、ぐいっと顔を上げるだろう】
【透き通った水面を思わせる瞳、やがてその湖畔から雫が溢れる様に涙が溢れて】
【彼女はゴシゴシと掌で拭う、いじらしい動作の中に、強い心の芯を宿して】


……ま、万が一よ、万が一、万が一おじさまが行き倒れだったなら、それこそ貴重だもの
それ以外の場合はきっちりお助けしたわ、ええ、間違いなく、……
まぁひょっとしたら、ひょっとすると、手間賃がわりにすこーし、改造したかもしれないけど

ねぇ、おじさま、腕が三本だと便利だと思わない? 両手が一杯でも物が持てるし
それに、戦う時だって、三本目の腕で思う存分リードできるわ!


【ばつが悪そうにそーっと視線を逸らして、何かしら言いたげな理屈を飲み込む】
【さらっと物騒な事を言ってるあたり、やはり錬金術師にまともな人間性が無いのか】
【アルベルトの自嘲的な発言を、アリスは静かに聞いていた、そして紡ぐ】


不思議ね、だとすればおじ様が自警団に入っている事そのものが、矛盾でしょう?
大なり小なり自警団に入る人には、何かしら “守りたいもの” があるはずよ
そうでなければやっていけないわ、この世界に於いて、危険と隣り合わせである事は変わりないもの

それともおじ様が破滅主義者で、行き過ぎた自殺願望故に、その場に身を置いているのなら
きっと、─── その場合は自警団にはいられないでしょう、士気に関わるもの


……それとも、おじ様が飛びっきり有能なら話は別でしょうけど


【まがいなりにも錬金術師と言うだけはあって、それなりに筋の通って理屈を紡ぐだろう】
【いかがかしら、と言う横顔は不思議そうと呼ぶのが正しい表現であった】
【その一方で形の良い眉がくすんでいた、同情心と呼ぶに近い】
601 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/07(月) 17:27:05.42 ID:uH7lHMQV0

ーー櫻国、静ヶ崎鎮守府、将官専用食堂ーー

【外部からの光は遮断され、代わりに室内のシャンデリア照明が優雅に優美に、その空間を演出する】
【決して広くは無いが、使う者も限られる場所】
【通常は将官以上の高官の食事会か、或いはゲストを招いての外交的な晩餐会の場に用いられる場所だが】
【テーブルにはクロスがかけられ、精密な彫りの紫檀の椅子は艶やかに】
【軍楽隊による演奏は、今日はどう言ったわけか控えられ】
【その部屋には、司令長官蘆屋道賢と向かいに座す主賓、そして給仕の者以外は人払いがなされている】
【グラスには上質な白ワインが其々注がれ】
【前菜の毛蟹とアボカドのタルタルは、見目も鮮やかに】

「本日は、急なる晩餐の場にお越しくださり、恐悦至極に存じます」
「さて、何分、司厨長の作とは言え軍内の料理人、洗練されたる方のお口に合いますれば、此れ幸いに御座います」

【料理を目の前に、ナイフとフォークを取りつつ、こう目の前の主賓へと言葉をかける】

602 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/07(月) 17:33:13.58 ID:3LH7YWNr0
【水の国 特別行政区―「NUStyle」】

【ひしめく高層ビル。大通りは今日もコンクリート片が飛び、放水車が市民を押し流した】
【横倒しにされたパトカーはゴムタイヤのススだらけの煙を吐いて燃え上がりその横を】
【黒い戦闘服に、わざとらしい黒のコートを羽織った、赤い目のガスマスクの兵士――テクノドックスの】
【横隊が小銃を手に歩いていた。ガソリンとグリセリンの瓶詰めのカクテルが何処からか――燃え上がる街】


―――モタモタするなよ、さっさと済ませろ。


【そう気だるげな声を上げたのは金髪に蒼眼の男性。一見は整った容姿だが、病的な白い肌、くまのついた目つき】
【陰気な薄い唇が不気味な印象を付加させていた。彼は黒の戦闘服を着ていて、必要最小限の装備を整えていた】
【その装備やワッペンのロゴからこのあたりの治安維持組織であるテクノドックス社の人間であることは間違いない】

【彼は通り沿いにある喫茶店のテラスの席で、表に椅子を向けて座り、白い白磁のソーサーでエスプレッソを飲んでいた】

【その目の前で、テクノドックスの兵士がライフルの銃床でデモ隊の市民を殴りつけた。】
【テクノドックス兵は3名。どれも同じ見た目で区別はつかない。市民は4名。後ろ手に腕を縛られ、銃口を突きつけられている】


とっとと、その壁際に並ばせろ。トーシロの反乱分子風情が。私がコレを飲み終わる迄に『処理』するんだ。


【金髪の隊長然とした男はさも興味が無いように振る舞い、コーヒーを啜った】


『――――クソ、早くしないと。』

『でもどうする?俺たちだけで…無理だ。』


【そのとおりの影で二人の市民がその様子を見ていた。何処にでもいるような二人の若者。バンダナで顔を隠し】
【彼らもデモ隊の一員だったがその武装は手にした自動拳銃だけだった】
603 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 17:42:43.08 ID:1mfjLf3Ho
>>601

【静寂と静謐と、ただ溢れるばかりの無音とが、後奏の代わりに響くのだろう、それは即ち】
【貴方の眼前に佇む妖が、如何なる謀りを張り巡らせているのか、と辿る事さえも出来ない様に】
【シャンデリアも輝きが足りない、彼女を照らし出すには何もかもが不足していた】

【ある意味で言えば、それ程までに目の前の女は均整の取れた美しさを誇示していた証明であり、そして】
【───────── 同時に示すのは、それがあまりにも深い闇であるという調べ】

【長い櫻色の髪、同系色の狐耳と、背中に広がる大きな九つの狐の尻尾】
【胸元を大きく露出した赤い派手な着物、大きくスリットを入れてまるでミニスカートの様に纏う】
【さらけ出した素足に申し訳程度の足袋を履いた、青い瞳の少女】



あらん、道賢ちゃんったら粋な計らいをしてくれるのね、そうよ妾の食事に人は要らないんですもの
んーでぇもぉ、これだけじゃ足りないわん、心配りしてくれるのは嬉しいけど、配り方を間違えてるの
妲己ちゃんのだぁい好きな食べモノは、こんな物じゃないもの


【彼女の狐尾が揺れたなら、給仕の者に異変が起こる、────── 顔に出現する、狐の面】
【顔をすっぽりと覆う面が出現し、給仕の顔に吸い付くのだろう、しばし彼は悶絶する】
【やがて、意に背く形で彼はテーブルの元へと近づいてくる、────── そして】

【徐に手を伸ばし、妲己の側にあるナイフを掴むだろう】

【彼はそれを自らの腹部に突き刺す、くぐもった声が漏れ、滴り落ちる血液がクロスを穢す】
【そうして彼はナイフを腹部から抜いたなら、それを妲己の元へと差し出して】
【艶やかな唇から火の粉に似た舌が漏れる、煌めく粘液を纏って、彼女の舌がナイフを這う】

【銀光の上を赤が拭い去ったなら、染み込む紅もまた無情、呼吸の隙間に消えていく】


────── 妾は肉食よん、覚えておくのね、道賢ちゃん
604 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/07(月) 18:08:43.68 ID:uH7lHMQV0
>>603

【まるでそう、不均整の均整であった】
【音の無い晩餐は、料理が運ばれると共に進行するも、何も、何も足りなかった】
【眼前の人物、将軍家奥方公妲己、彼女を飾り演出するには、何もかもが見劣りして見え】
【決して安価ではあり得ない、酒食も調度品も照明も、全てが燻んで見える程に】

「それは、それは……何と私とした事が、歓待の何たるかを見誤るとは……とんだ失礼をば、お許し下さい」

【恭しく立礼し、頭を深く下げて】
【男たればその情欲を、嫌でも掻き立てられる佇まい、上品な顔立ちは勿論、豊満な胸部と青い瞳、そしてそれらを引き立てる専用に誂えたであろう着物】

「大好きな、食べ物ですか?果たして、其れは如何なる?」

【ちらりと上目を上げて、その姿を見れば、其処には尾を出現させたる妲己が】

「ーーッ!???うううッ!?ぐ、ぐあっああ、あ、あッ!」

【次には、その場に不釣り合いな悶絶が響く】
【狐の面が顔に現れ、途端に苦しみだしたのだ】
【横目にて、何が始まるのやらと、愉しそうに道賢は眺め】
【海兵では無い、給仕とは言え将官や高官を相手にするのだ、やはり彼もまた大尉の士官階級だが、その苦しみ様はその尊厳も威厳も、教え込まれた全ての所作も台無しとする程に】
【やがて、テーブルのナイフを自ら手にして、割腹して見せるのだ、その場で自ら、周囲を鮮血に染め上げて】

「成る程、此れは私めも迂闊な事でした……良く記憶しておきます、さすればワインは赤が宜しいですな、そして、この肉はローストか、或いは些か粗野では御座いますがステーキにでも致しますか?」

【愉しい、愉快な物が見れた、そんな口元で、横目に物言わぬ肉塊と化した給仕を眺めつつ、そう血脂に濡れたナイフを舐め上げる妲己に聞いて】
605 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 18:10:14.22 ID:1mfjLf3Ho
>>602

【時は鮮やかかつ悠然に、そして変わらずの風情を保ったままに】
【吹き抜いた僅か一陣、風の行方を誰も知らず、並び立った兵士達には何も揺らがず】
【その違和感は彼らの感情を乱すのだろうか、或いは、─── 風の前の塵に同じ】

【 “桜の花弁” であった、市民へと突き付けた銃口へ花弁が触れたなら、その銃口が切り落とされる事だろう】
【兵士達の目の前へと、歩み寄る小柄な人影】

【染めたての茶色い長髪を、紅細工の簪でポニーテールに結って】
【紅いキャミソール状の半襦袢の上から、長い白羽織を着こなす】
【黒いニーソにブーツ、黒曜石色の瞳をした少女であった】

【白木と黒木の鞘に包まれた太刀を二本、左の腰に添えている】


治安維持してくれはるんは有り難い事どす、せやけど、これはあまりにも行き過ぎやあらへん?
デモ隊やさかい何してもええとはうちは思わへん、この人らのやる事はあんまり正しいとは言えへんけど
────── それでも銃突き付けはって鎮圧するんは、あまりにもやり過ぎどす


【聞き慣れない音律であった、桜の訛り、文明化されていない雅の証】
【それはこの街に於いても、この場に於いても異質であった、白染に浮いた纐纈、或いはその果て】
【彼女は兵士たちの前に立ち尽くす、その姿は、カフェテラスの男からも、武装市民からもよく見えた】
606 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 18:21:11.30 ID:1mfjLf3Ho
>>604

【彼女は完全に慮外に在る、その思考も、志向も、嗜好も、全てが隠り世へと置いてきた】
【ならばその行く末に容易に付き添う道賢さえも、狂人と呼んで差し支えないのだろう】
【狂者達の饗宴、巻き込まれた贄の冥福を祈ると共に、その不運を誰が嘆こうか】


ふふ、良いわん、啓蒙して差し上げる、妾と同席できるのはきっと、ダーリン以外なら道賢ちゃんぐらいだもの
後はそうねぇ、馬酔木の頭領かしらん、それでも数える程度だけどね
お肉を一番美味しく食べる方法は、手を加えない事よん、塩の一滴、火の一振りかけただけで、それは劣化するの

或いは、それはある種、ニンゲン達の持つ、一つの贖罪だと思うわん

ニンゲン達はね、調理する事によって自分達に言い聞かせてるの、此れは食材だって
命ある家畜を殺し、その肉を食べる、その行いを肯定化する為に、調理という過程を取るのん
ええ、違うわ、違うのよ、ローストもステーキも、痩せた自己保身よん


【震える給仕の手が腹部へと伸びる、素手が腹を割いて、その中へと伸びたなら】
【ぬぽうりとした音を滴らせて、一繋ぎの腸を彼は差し出した】
【妲己が指先で摘む、びくん、と跳ねる給仕の動きは、死の舞踏よりも鮮やかに】


女の子も生が好きなの、紳士の嗜みとして知っておく事ねん


【────── 暫し彼女は食らう、獣の如く、或いは女神のごとく】

【少しして再び静寂が戻るだろう、話をするには丁度良い】
607 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/07(月) 18:33:37.70 ID:3LH7YWNr0
>>605

【優雅な花弁はこの灰色の煤とドブ臭い街には逆に異質で】
【ホログラフィックの完全な創作物になれた市民からすれば異能の花びらも】
【本物と大差ないと思えるほどの美しい色を帯びていた】

――――ッッ!!HAHAHA!!――犬どもッッ!!A種兵装に切り替えろ!!

展開ッッ!!パターン配置36。優先目標変更ッッ!!その異能者だッッ!!


【突然の乱入者にその場の人間たちは――テクノドックス兵を除いて――全員驚いた】
【だが、一番反応が早かったのはコーヒーを飲んでいた金髪の男だ】
【目を開き、声高に笑うとすぐに兵に指示を出した。】

【そして、その男は跳ね上がるように立ち上がると腰のホルスターの拳銃を抜いた】


【BAM!!BAM!!BAM!!】


【一切の躊躇のない動きで乱入者と連行していた市民に向かって連射、すべての弾を吐き出した】
【その間にテクノドックスの兵士は散開し、『狩りの』準備をすることだろう】

【ある者は花弁に切り落とされた銃を投げ捨て、背負っていた大剣―片刃の直剣―を抜いた】
【それは不気味な高音を放っていた。刃は熱く熱されたようにオレンジ色を帯びている】

【ある者は折りたたんでいたライオットシールドを展開する。スイッチを握り込むと青白いプラズマの光が飛び交い】
【それはまるでSF映画に出てくるデフレクターのような様相になる。】

【そしてある者はその後ろに隠れ、ライフルを構え直すのであった】


我々は貴様のような未開の異能者を排除し、新秩序を構成するためにある。退け、雌豚。
―――喜べ、猟犬。久しぶりに、面白い狩りが出来るぞ。
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/07(月) 18:54:59.08 ID:0wgPIAikO
>>607

【彼女の出現は完全なる虚、その点に関して僅かばかりの異論は無かった、けれども】
【誤算があったとすればその頭、兵士を束ねる指揮官は1線級であった】
【乱射される銃弾、腰の一刀を抜き放ち剣閃が瞬く】

【彼女が右手に降り抜いたなら、追随する花弁が銃弾を切り伏せる、能力の概要を理解するだろう】
【刃の性質を宿した花弁の展開、並びに操作、単純且つ強力な能力であった】
【花弁は彼女の周囲を旋回しながら、彼女は視線を展開する兵士達へ向ける】


秩序をお題目に掲げる人にまともな人はおらへん、うちは今まで見てきたんはそんな真実どす
力を以て誰かを支配しようだなんて、子どものやらはる事どす、せやさかいに
―――― そんな玩具しまわはった方が、ええどす


【不気味な大剣、近未来の様なシールド、そしてライフル、対する少女が持つのは刀】
【季節錯誤の桜が描く、時代錯誤の少女の雅、それでも結んだ口元誇らしく】
【微かに微笑んだ、やはり戦いは、高翌揚すると】

【刻む一音、高速の歩行術、間合いを埋めるのに時間はいらない、右手に持った刀を握り直すと】
【大剣を持つ男の前で急停止、弧を描く様にその身を大きく捻る】
【放たれる一閃、男の腹部を深く切り裂くような軌跡で、刃が迫る】

【あまりにも大きい体格差、見上げる瞳に強い意志を秘めて】
609 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/07(月) 19:17:04.10 ID:oU8opDxV0
>>606

【まさに狂宴、まさに人外の極地】
【その行く末には、やはり贄の山が築かれるのだろう】

「はて、手を加えぬこと……?」

【妲己の食への啓蒙、教授が始まる】
【これは彼女の真理への一端、彼女の深層の一部へ至るとも言える考えの一片】

「これはまた、妲己様は深遠なる哲学をお持ちだ」
「調理が等しく贖罪と保身とは……素晴らしい、何たる深き思慮であらせられるか」

【心底の感動の様に、妲己の披露したるそれを聴き入り】
【啓蒙に心よりの感嘆を漏らし】
【やがて、もう長くはないであろう、その給仕が自らの腹に手を入れ、腸を取り出せば】

「これはこれは、粋なる事を、何分、女性の扱いはどうにも下手な様で、ええ、記憶しましょう」

【カカと笑いすら浮かべて答える、美食礼賛ここに極まれり、と】
【やがて静寂が戻れば】

「幾つか、お耳に入れたき事が御座います」

【椅子に座り、ワイングラスを弄びながら】

「水国にて、黒幕と接触致しました」
「彼らと友として盟約を結び、証として『大和』を無期限無償貸与致します」

【黒幕と結んだ盟約、彼らは此方の行動へは一切の干渉をしない事を約束してくれ】
【そして彼らへの友好と、そして水国にとっては喉元に打ち込まれたある種の楔として】
【決戦級魔導戦艦『大和』を贈る、と言うのだ】
610 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/07(月) 19:31:22.05 ID:3LH7YWNr0
>>608

【金髪の男は異能者がまずテクノドックス兵に狙いを定めたことを確かめると】
【手にしていた拳銃の弾倉を排出し、次弾を装填しつつ状況を思案していた】

――俺だ。この座標に今すぐ応援をよこせ。異能者だ。

【まずは電話機ですぐに増援を呼ぶ。わざわざ互角の勝負なんていう“異能者”みたいな】
【マネはするはずはない。しかし、電話の向こうのヤツはこう言っていた】

『そちらに向かえる要員は現在ブロック543に展開中。現着には時間を要します』

…チッ!さっさとしろ。“俺”の装備の転送準備もな。

【場所はストリート。この街特有の高層ビルの密集で視界は悪い。】
【この女が単独犯なんていうイカれたやつでないことを想定して敵の増援も対策しなくちゃならない】
【ストリートの到るところは親会社/オーウェルのカメラが見ている。だが、不利には変わらない】

……愉しませてくれるなァッッ!!HAHAHAHA!!

【男は高笑いをして、この騒動のドサクサで逃げおおせようとした捕まった市民に向けて乱射した―――】


【ライフル兵は異能者に向け、ライフルを連射したがその高速移動にはついていけず、ビル壁に穴を穿つだけ】
【そしてシールド兵とともに、その横合いに移動し、囲い、有利な位置に移動し始める】

【そして大剣を持つ猟犬はその大ぶりの剣を自らの前で地面に突き刺した。】
【剣はアスファルトに簡単に突き刺さり、ガッチリと固定されたそれはその一太刀の前に立ち憚った】
【そのような扱いをしても威力耐久性に問題ないという自信がなければ出来ない行動だろう】

【赤いレンズの黒のガスマスクによって覆われた兵士からは一切の意思や感情は感じ取れない】
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/07(月) 20:10:10.15 ID:o4y0gEG3o
>>600

【物騒な内容にも関わらずアルベルトは破顔していた】

はっはっは、そりゃいい!
だが、頭の方もいじんなきゃだめだな。人間の脳は三本目の腕を動かすようにできてねえからなぁ

【自身の頭を指でとんとんと叩く】
【そして次の瞬間には不気味な笑みを浮かべていた】

何がいいって、三本目の腕がありゃ“化け物”みたいだからなぁ
俺みたいな人間未満のやつは見た目も化け物に寄せた方がいいかもなぁ?
……なんてな、ケケケ

【その後、アルベルトはアリスの主張に黙って耳を傾けていた】
【彼女が言い終えると、どこか興味深そうな顔となり口を開く】

なるほどな。優等生らしい考えだぜ。間違っちゃいねえよ
胸を突つかせてもらった礼もあるしな、ちょっとぐらいは真面目に答えてやるよ

一番大事なのは、組織ってのはそんなにきっちりできてねえってことさ
俺の目的が何であれ、破滅主義者であろうとも、必要なときに真面目ぶってれば所属していられる。そんなもんだ

俺が自警団にいる最大の理由、それはな……

【アルベルトの手が腰のベルトに固定された回転式拳銃を引き抜く。口元には下卑た笑み】

──『合法的に人を殺せる』からだよ
最高だぜ? 自分以外の誰かを、誰に責められることもなくぶっ殺せるってのはよぉ
それどころか殺せば[ピーーー]ほど給料がもらえて周りに褒められるんだ、こんなに最高なこたぁねえよ!
むかつくやつらだって適当な理由をつけて殺しちまえる。死人に口なしってな、死んだやつは主張もできねえ

ま、俺みたいな真正のクズ野郎が所属するには、ちょっとした手伝いも必要なんだけどな
そういう奇特なやつも自警団にはいるんだよ。世の中、腐ってるよなぁ?

【アルベルトの“真面目な答え”は自警団にはあるまじき内容だった】
【それをこの男は全く悪びれる様子もなく言ってのける。そういう人間だった】
612 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 22:11:07.43 ID:0wgPIAikO
>>609

【 ―――― それは宛ら獣の檻が如く、撒き散らされた赤は追憶に似て、若しくは淫らな遊女の様に】
【余りにも理想とかけ離れた姿であった、白いクロスを穢す血の鮮やかさと、そこに佇む彼女と】
【口元の血を拭いもせず彼女は見つめる、猫の様に目を細めて、窮鼠を見やるかの如く】


ふぅん、黒幕ねぇ、―――― 妾にはとんと、見当も付かないけどん
道賢ちゃんがそう判断するって事は、それ相応の基準があるのでしょぅ? だったら妾に言う事は無くて
了解したわん、最も、妾の奸計に『大和』を使う謀りは無かったから良いのだけど


【でもね、と彼女は両の手で頭を支える、恋人の語らいに耳を傾ける様に、蜜月の行方を探すみたいに】
【猫撫で声と嬌声と、睦言詰まれば其れは房中、然れど密室の企みに似て】
【擽ったそうに目を細める、愛らしい童女よりも更に可憐に、何処か有り余る妖艶を胸に認めて】


妾は退屈が嫌いよん、道賢ちゃんの判断がどうであれ、妾の玩具を一つ減らしてしまったの
例えそれが匣の底で、眠るだけであってもね、あるとないとじゃ大違いよん
分かるでしょぅ? 空いた隙間を埋めるのには全然足りないもの

―――― 妾の退屈を埋める代償を、道賢ちゃんは持ってるのかしらん
613 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 22:20:59.38 ID:0wgPIAikO
>>610

【振り抜く一瞬、彼女は見た、突き立てられた大剣を、其れは紛れもない盾としての運用】
【一閃は止められない、振り抜くという一心に振り切ったからこそ、その速度を実現出来るのだから】
【達人の剣術は、裏を返せば達人であるという事の執着に過ぎず、時として身を滅ぼす、と ―――― 】

【 ―――― そう、並の達人であれば】


そないな愚鈍な刃で、桜の流れは止まりまへん、花弁掴まえるには全然足りへんもの
鋼よりも硬く、童よりも柔く、和泉の剣術に型はあらへんさかいに


【右手の刀を "放る" 天空に伸びる剣閃が、空高く翳されたなら、其れは翻る飛燕に似て】
【地面を蹴り、大剣へと飛び込み、そして大剣をも蹴る、空中へとその身を落として】
【空中に放った刀を再び握る、―――― 天翔る隼の作法】

【落下と合わせた振り下ろし、突き刺された大剣を乗り越え、背中から切り伏せようと】
【着地したなら花弁が市民へと向けられた銃弾を防ぐ、間一髪、大きく吐いた息が攻防を告げて】
【妙技と反比例し表情は浮かない、一人で全てを相手するには文字通り手が足りず】
614 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 22:29:25.61 ID:0wgPIAikO
>>611

【その答えはあまりにも残酷で、流石のアリスも息を呑んだ、―――― 絶句、その言葉が何よりも相応しく】
【事実二の句が告げなかった、人間の善性を信じ、勧善懲悪を信じる彼女にとって】
【アルベルトという存在そのものが理解とは程遠い場所にあった、それでいて、理解できるとも思えない程】


っ……そんな、そんなっ……!! ―――― 失望したわ、元々、あまり期待してた訳じゃ、ないけど
少なくとも自警団って事は、正義を信奉して、悪を憎んで、それでそれで……
弱者を護る、そういう存在だって思ってたのに……っ

―――― そうね、私が間違っていたわ、おじ様は本当にただの最低な屑ってこと
合法的に人間を殺せるですって、いい歳して、やってる事はそこいらのチンピラと変わらないじゃない
最低よ、さいってい! ……ほんとにほんとに、最低よ、あなた


【彼女は苛烈に言葉を放つ、泣き言の様に夜に響く、路地裏に反響するのがあまりにも虚しく】
【それは何処か失望と、同時に悲しかったのかもしれない、何処か信じていた部分があったから】
【くるりと踵を返す、―――― 今にもそこから走り去ってしまいそうで】
615 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/07(月) 22:54:02.87 ID:3LH7YWNr0
>>613

【大剣を持つテクノドッグス兵はただ見上げるしか出来ない。尤もそれはたとえで、兵士は見上げるような真似は必要なく】
【他の兵士と付近にある監視カメラの映像と視界をリンクさせているため見上げずとも動きを追うことは出来る】
【ただパワーに勝ったとしてもその速度に追いつくことは出来ない。犬はガラ空きの背中を見せる。】


<アルファダウン。任務続行不可>


―――チッ、クソが。…チャーリィ!!<AAG>を使え。


<了解>


【ライフル兵は腰に下げたグレネードを抜いた。セーフティピンを抜き、軽く付近に投擲する】
【すると白煙がそれから吹き出される。単なる目くらましのスモークグレネードか。】
【いや、そんなもので煙に巻けると思うほどテクノドッグスも素人ではない】


【AAG――対能力者用グレネードはその煙幕に異能を吸収するナノマシンを含んでいる。正確に言えば】
【能力や魔法が持つ魔力を不安定にし分散させるジャマーと言っていい。能力者の能力を封じるほどの威力はないが】
【対外に放出された魔法や能力の威力の減衰。または能力者本人の一時的な魔力の抑制等の効果が期待できる】
【特に魔法使い、遠距離攻撃系、物質召喚系に対しては効果的であるが自己強化系や近距離攻撃には効果は薄い】


――今だッッ!!チャージ/突撃 しろッッ!!


【立ち込める煙の中、シールド兵はシールドで身を隠しながらの体当たりをしかけてくるだろう。】
【武装鎮圧では最もよくみる光景だ。だがよく見るということはそれだけ効果的ということだ】


備えろ、射撃用意。背後を取られるなよ!!

【その後ろには距離を開けてライフル兵が控えている。同じ技は二度効かないと言わんばかりに金髪の男は指示を飛ばす】
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2019/01/07(月) 23:10:35.27 ID:o4y0gEG3o
>>614

【少女の失望の叫びを男は静かに聞いていた】
【彼女の声に応えたのは、哄笑だった】

くっ、うひゃははははははっ!!
そうさぁ、俺ぁ最低の屑。そのへんのチンピラと何にも変わんねえのさ!
今更気づいたのかよ。全く、とびっきり優秀な錬金術師様は鈍くっていけねえや

【それは自嘲か、それとも僅かにでも少女の期待を裏切った悲哀を含んだものだったか】
【いや、そのいずれもなかった。むしろその逆。この男は心底から喜んでいたのだ】
【少女の悲しみを喜んでいたのか──それさえも違っていた】

いやぁ、“いい反応”しやがる
そうだよなぁ、お前の言うとおり俺は正真正銘のクズ野郎なんだから、そう呼んでくれなきゃあな
最近はどうにもこうにもイイコちゃんが多すぎて嫌になるぜ。クズはクズってきっちり罵らなきゃダメだろうが、なぁ!?

うひゃひゃ……ひゃーはっはっはっはっはっ!!

【少女の泣き言をかき消すように笑い声が路地裏に響いていた】
【最低。屑。チンピラ。少女の失望の乗った罵倒をこの男は喜んでいたのだ】
【それは最早、“そうでなくてはおかしい”という考えさえ現れていた】

ま、これで一つ賢くなったな
世の中、正義を信奉して悪を憎むような殉教者はそんなにいねえのさ
どいつもこいつも自分が良けりゃそれでいってわけよ。ケケケ

【男は最後まで笑い続けていた。何一つとして、少女の悲哀を癒す言葉はなかった】
【立ち去ろうとしていたとしても、引き止めさえしなかったのだ】

//乙です!
617 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 23:16:36.88 ID:1mfjLf3Ho
>>615

【視界の端に映る白煙、看破するのに時間はいらない、魔導海軍に協力する見返りに兵器についての知識を持った】
【吹き上がる雲間にも乱れを見せない、彼女の周囲に桜が展開する、吹き上げるは桜吹雪】
【─── 単純な技だ、大量の桜を操作し風を起こす事で、煙を払おうとする、だが、──────】


っ────── どうして、桜が……!!


【煙に含まれたナノマシンの効力、桜一つ一つが纏う力は微弱だ、それ故に煙が効果的に作用する】
【花弁は地面へと落ちて、煙が彼女を包む、動揺は一瞬、直ぐに立て直す、けれども】
【一刹那の戦いに於いて直ぐは永劫に近しい、彼女の困惑は間違いなく一手遅れた】


くっ……!! かはっ……!!


【シールド兵の突撃、咄嗟に両手で身を庇うがそれでは足りず】
【後方へと弾き飛ばされる、煙から抜け出すも、両腕に響く痛み、決して軽くはない】
【横顔に苦悶を浮かべながらも口元は果敢に、真一文字に結んだ頰に意思を携えて】
618 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/07(月) 23:21:18.73 ID:oU8opDxV0
>>612

【堪らなく怪しく堪らなく残虐で】
【そして堪らなくエロティックな、猫の瞳だった】
【その瞳孔をきゅうと、細めたらば】

「無論です妲己様」
「他にもお耳に入れたきお話と、そしてお気に召すか新たな玩具をヨシビより授かって御座います」

【その瞳に映るのは、鮮血の赤か或いは身に纏う軍服の白か】
【恭しくもそう告げて】

「先だってヨシビより、平民の身柄を預けられました」
「名を善知鳥と言う、三人の親子です」
「年頃の娘に父と母、剣術の道場を営んでいたらしいのですが……無数の低級妖怪と共に身柄を贈られました」
「幾つか利用案は上がったのですが、いかにせん、折角の贈り物故、妲己様にこそ愉しんで頂こうかと思いまして」
「その身柄、未だ手を着けずに工廟に設えた独房へと幽閉しております」

【先だっての三頭会談の後】
【ヨシビ商会より贈られた親子、これを妲己へと献上し一時の愉悦とせんと】

「そして、これは間近な事ではありますが……」
「水国にて駆逐艦『雷』が沈められました」
「水国にて捕縛、幽閉していた土御門派の諜報員達を幽閉していた艦であった故に、恐らくその仲間達の仕業かと」

【この部分は幾分か声を潜めながら】
【血濡れのテーブルと床を目に映しながら】
619 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 23:21:25.60 ID:1mfjLf3Ho
>>616

【去り際にアリスは考える、どうして貴方はこうなってしまったのか、って】
【理由を求めたかった、理由を見つけたかった、そこに理があってほしくて、理が無くてはならなかった】
【彼女の描く世界とは、彼女の好きな世界とは、不思議と奇妙に満ちた世界でなくてはならない】

【────── だからあってはならなかった、そんな最低な人間など、理解できなかった、から】

【無垢な少女の世界に落ちた一滴の染み、けれどもその雪景色を取り繕う術を知らず】
【故に抱える悪意も多く、────── 同時にそれを拭う術さえ知らないのだから】
【アリスは惑う、御伽噺を蹂躙するリアリストの存在に、────── やがて】


/お疲れ様でした!
620 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 23:32:01.91 ID:1mfjLf3Ho
>>618

【彼女は一音一句聞き漏らさず道賢の言葉を聞く、開いた両眼を瞬きもせず、長い睫毛を微風に捧げて】
【ふぅん、と零したなら艶かしい肢体が揺れて、その豊満な肉体を持て余すかの様に抱いた】
【それもまた作られた様に、愛玩される為に、寵愛される為に、愛撫される為に】

【それでもなお物足りない疼きを胸に秘めたまま、ヒトの形を成している様にも、彼女は見えた】


悪くない供物ねん、一時の戯れには十分かしらん、─── あゝ、それでも一時よ
足りないわん、平民の身体を幾ら貪っても、この身体の億劫さには満ち足りないのん
妾は賢い子よ、だから考えるの、ヒトで足りなければ、クニを食えば良い、って

妾は女狐、─── ご存知かしらん、それはね傾城の異名よ、そして傾国の代名詞でもあって
そして軈ては傾世になるの、あの子もきっと、そうだったし、そうなるの
まぁ良いわん、寸暇には十分な玩具になるでしょうから


【くちくかん、と彼女は繰り返した、異国の言葉でも口にする様に、或いはただ真似するみたいに】
【興味の色が見えた、─── それは餌を前にした猛獣の如く、そして】
【獲物を目にした遊女が如く、剰えその腕すらも、夢想する様】


ねーぇ、道賢ちゃん、妾はそういう玩具には詳しくないの、本当よ、本当
だからね、聞いてあげるわん、答えなさいな、その駆逐艦ってゆうのはね
そんなに簡単に沈んでしまうものなのかしら

────── 童の手慰めで沈む、そんな不埒なものなのかしらん
621 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/07(月) 23:47:35.52 ID:oU8opDxV0
>>620

【まるでそれは、蜜時の寝室の如く】
【豊満で、誰もが抱きたいと欲を抱くような身体を思わしげに揺らせば】
【それは何とも、甘美な絵に見えて】

「傾国の美女、九尾の狐……素晴らしき異名で御座います」
「あの子?とは……いえすみません、なるほど、その通りかと、須らく世は傾くでしょう、この先、須らく……」
「是非に、あの玩具ご活用下さいませ……そして愉悦の方を我等に示し下さいませ」

【妲己にとっては、悠久の時のほんの一時の手慰みにすらならないのだろう】
【ここに、非情にして悲運なる善知鳥親子の命運と身柄は、妲己に委ねられ】
【恭しき姿勢を崩さぬまま、そして声も乱さぬまま、答えてゆく】

「駆逐艦は、軍艦の中では装甲も薄く、最も落し易い物ですが」
「それでも軍艦です、人の手で容易く落とせる物では御座いません」
「何より、その艦は恐らくは水の国の特務機関の者ですが……」


――たった二人の者の手により、沈められたのです


「かの国の能力者の実力、中々に愉しめるものと、存じ上げます」

【この部分で顔を上げて、ニイと口元を引きつらせた笑みを浮かべ】
【まるでそう、遊女に見せられ遊郭へと足を踏み入れた男の様に】
622 :イル ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/07(月) 23:52:12.82 ID:1mfjLf3Ho
本スレ>>569

【花盗人は許されるのは、その美しさに敬意を払ったから、それならば穢してしまう事は許されるのだろうか】
【繊細に組み上げられた可憐という名の楼閣、鈴音の美しさとはそれに過ぎた、陽炎よりも儚く、泡沫よりも尊い】
【だから壊してしまいたくなる、貴女を抱き締める、キミを摑まえる、その首を、その指で、砕いて、棄てたい】

【破滅的な願望が、破戒的な展望を苛め、それでもと、逆接的に積み重なっていく】
【深い愛が湧き出てくる、この一瞬を愛しているからこそ、この一瞬が絶頂である事に絶望するなら】
【それならいっそ、────── その瞬間のまま、キミを、キミだけを、殺してしまいたい】


好きって絶望だよね、─── 鈴ちゃん、ボク思うんだ、こんなにも誰かを好きになる事って無かったから
好きっていうのがどういうものか、よく分からなかったんだ、でもね、でも
今なら分かるよ、心の底から一杯に湧き出てくるこの感情こそが、愛なんだって

キミの真っ白な皮膚を割いて、その中の赤い色が見たい、不揃いの瞳をくり抜いて、お揃いの眼窩を舐りたい
可憐な指先を一つ一つ、割り箸の様に折ってしまって、キミが泣き噦る姿を眺めたい
キミの綺麗な内臓を、細いお腹の中から全部出して、壁一面に貼り付けたい


【坂道を転がり落ちる様に、歯止めの利かない心があった、パラノイアの描く理想郷の様に】
【そこにはただ執念があった、そこにはただ妄執があった、取り憑かれたのは私と貴方】
【だからそれ故に、けれどもそれが為に、貴方は私を、私は貴方を[ピーーー]未来しか見えない】

【それこそが正しく、真に死に至る病なのだろう、人は希望が無いから死ぬのではなく】
【これ以上高みに昇る事を知らないからこそ死んでしまう、死に魅入られてしまう】
【完成はお終いだから、崩してまた組み立てよう、ボク達の物語は終わってしまう、だから】







────── ボクと、キミと、世界の終わり






【二つの関係にこれ以上語る術を持たない、破滅の行く先を私は知らず、また、述べる事は出来ないから】
【彼女はきっと貴方を[ピーーー]、けれどもきっと、貴方は死なない、それは何処までも喜ばしく、悲劇的だから】
【無音と久遠の狭間に永劫が残る、無限の中にも濃度があって、より濃い無限が現実を侵食する】

【彼女はその不条理を認識していない、だから不条理であった】
623 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/08(火) 00:09:34.60 ID:zLadS0pq0
>>617

【その姿を見て、金髪の男は笑った。傲慢な高圧的な愉悦の笑みで】

こうでなくちゃなァ、狩りは。――逃すなァッッ!!


【シールドで弾いたその後ろからライフル兵が銃口を向ける。猟犬の連携は】
【流石にプロフェッショナルといったところで、それに金髪の男の指示と、最新の兵器も合わされば】
【能力者を相手に不足はない。対能力者を掲げるだけはある】

【スモークの効果が残っているうちに片付けようとスピーディに猟犬は噛みつかんとしてくるだろう】
【放ったライフル弾の射撃は自身らも煙幕の影響下に有ったこともあり命中率は期待はできないが】
【その間にシールド兵は腰に下げた警棒を片手に握り、もう一度突貫をしかけようと接近するだろう】


貴様らのような豚にはそのへんの道端で死ぬのがお似合いだ。さあ、這いずり回れ!!死にたくなけりゃな
…と、言っても。もう少しすれば増援も来る。貴様の顔は覚えた。もうこの街から生きて出ることはないだろうなァ
私が出るまでもない。この街は我々が封鎖してある。そのツラは全域に手配してやる。テクノドッグス全員がお前を追う。


薄汚れた裏路地の街頭にその首を吊るしてやる。…気に入らんかもしれんが…この街じゃ『我々が正義だ』

HAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!
624 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/08(火) 00:09:51.21 ID:qOEUaoKPo
>>621

【為政者は残酷でなければならない、残忍で残虐であるからこそ、為政者であるのだと】
【それこそが支配する者に相応しい資質なのだろう、逆説的に言えばそうでなければ、為政者足り得ない】
【生半可な嗜虐者はより残忍な嗜虐者に喰われる、世界を勝ち抜くのはより残虐な嗜虐者であるのだから】

【故に彼女は為政者足り得た、彼女は手を抜かない、思うが侭に我儘を振るい、そしてそれを理解している】


道賢ちゃん、退屈凌ぎに聞いてあげるわん、妾はその玩具をどうすると考えてるでしょう
真剣に考えなくても良いわん、でも適当はダメよ、そんなんじゃ退屈は殺せないもの
教えてくださらない、道賢ちゃんの考えを、道賢ちゃんが好きにできる玩具を貰ったらどうするかって

妾達に与えられた最も優れたものは想像力よん、想像力の及ぶ範囲なら妾達は何でも出来るの
想像力の赴く侭に他者を蹂躙して、嬲って、辱めて、甚振って責めるの
────── 妾はとてもとても、気になるの、道賢ちゃんならどういう風に、遊ぶのかって


【それは明らかに試している様であった、道賢の中に潜む残虐さを覗く様に】
【或いは、その想像力というものを吐き出させる様に、脳に宿す全ての知識を振り絞って】
【その最後の一滴までも搾り取って、────── 彼女の退屈を殺す様に、と】


そうよねん、きっとそうじゃなきゃ可笑しいもの、そうでなきゃ理屈が通らないわ
沈められなきゃ、能力者の手によって、しかもたった二人よん、二人、ねぇ、そうでしょん
お金と時間と手間とをかけた結晶が、能力によって滅びるの

惨めよねん、そうとってもとっても、惨めよ、どういう気持ちになるの、道賢ちゃん
泣いてしまいたいのじゃなくて、喚き散らしてしまいたくなるのじゃなくて
胸一杯の悔しさと苦しさとを、────── 発散したいのじゃなくて

そして、ね、妾の身体はその為にあるのよん


【彼女は両腕でお腹を抱いて、その豊満な胸を持ち上げる、細い腕ににるには、零れ落ちそうな膨らみ】
【大きくはだけた着物の胸元、現に絹が捲れ、鮮やかな染色の隙間から尊き肌が見えて】
【上気する様に頰を赤らめた、媚態が露わな姿を塗りたくって】
625 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/08(火) 00:27:50.77 ID:qOEUaoKPo
>>623

【金髪の男の言葉は最もであった、此処に来て彼女は強く察する、此れは紛れも無い狩りであると】
【能力者を殺す為の兵器に、連携、何千何万回と訓練したのだろう、見事であるとさえ言ってしまいたくなる程に】
【武術の教官として思う部分もあった、指揮官だけでは無い、兵士達は生徒としても一級品であったのだろう】

【 ────── そう、だからこそ、だからこそ、彼女は思った】


……きっと出来た筈どす、これだけ見事な連携が出来て、これだけ見事な装備があらはるんやから
それを世界を守る為に使う事も、きっと、きっと……!!


【ライフル弾が頰を掠めた、横顔にはしる鮮血、視界にはんく既にシールド兵が突貫を狙う】
【意識は確かに彼らに向いていた、けれども、溢れる感情を止められなかった、どうしても、言いたい】
【右の手に刀を握る、自分がその刃を振るうのは何の為か】


それなのに貴方達は、その力をこんな事に使わはる、弱い人らを傷つけ、正しく無い事に使う!
うちは悔しい、ほんとに、ほんとに悔しい、─── どうして貴方達も、それを受け入れはったんや
家族が居て、守る人もおって、それだけ力があるのに、する事と言えば弱い者いじめや

────── ほんと呆れ果てて言葉もでぇへん、アンタらが正義言うんやったら


うちがその正義、真っ二つにしはります


【疾走、前方から突貫を仕掛けるシールド兵へ真っ向から向かう、プラズマのシールドは、触れる事さえ躊躇う】
【寸刻の間を置かず互いの距離は零に迫る、────── 彼女は右手の刃をすれ違い様に振り抜くだろう】
【光を鋒が滑る、流星の行く先をそっと先端が指し示すが如く、刃の先に薄い己が勝機を掴む様に】

【彼女は “プラズマを切り裂く” シールド兵が盾で刃を受けたなら、盾を切り裂き腹部に一閃を加えるだろう】
【そして走り抜ける、振り抜いた右の手に刃を真っ直ぐ向け、シールド兵を置き去りにしようとしながら】
【遅れた風が彼女の長い髪を靡かせる、────── 茶色の鮮やかな色合いをしたそれは】


────── “黒髪乱れて修羅となりて” ──────


【瞳と同じく漆黒に染まっていた、無明の闇、それよりも深く黒い、暗澹の慟哭】
【深い後悔を思わせた、その髪の色には禍々しき妖気と、それでいて痛々しき痛苦とかが混在して】
【それは嘆きであって、痛切であった、────── 超一流に画家が描く曲線は、時に心を惑わせる様に】
626 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/08(火) 00:30:41.07 ID:LhhxBkuJ0
>>624

【誰よりも残酷であり、誰よりも残忍であり】
【そして何よりも強欲たる存在、それが為政者であると】
【古来よりの常であり、またそうでなくば為政者足り得ない】
【そうでない者は、もはや只の暗君に過ぎないのだから……】

「そうですな……私が奥方公でありましたら……」
「先ず娘を犯しますな、犯すだけではない、侵す事も忘れずに」
「それも両親の目の前で、両親は死なぬ程度に痛めつけながら、最も……」

――事前に牢から開放する演技をし、実際に外の光を見せてからの方がより良いでしょうか、希望から絶望へと、一転する瞬間にこそ愉悦が生じます故に

【暫し考えるそぶりを見せながら、妲己に答える】
【口元は何処までも冷酷に、残忍に歪んで】
【まるで、楽しい遊びを思いついたように……】
【最もこの答えとて、正解ではないのかも知れないが】

「泣きたい、悔しい……いえ、奥方公、少々異なります」
「喚き散らす、これは近しい感情です、そう発散したいのです」
「堪らなく、堪らなく、あの国を落したくて落したくて、堪らなくなっているのです」
「胸が高鳴り、均衡の思考が、そう保てなくなるほどに」
「あの国の能力者とやらを嬲り、そして片端から手中に収めたく」
「沈む船を眺めながら、この情欲が抑えられずにいるのです、そうあの時から」

【豊満な胸を持ち上げ、誘うように】
【誘う様に、もはや道賢の顔は平素の淡々とした感情のない顔ではない】
【目は悪鬼のように爛々と輝き、口元は歪んだように吊り上り】
【恭しく、着物が肌蹴かかり、肌を仄かに朱に染めた妲己の手をとると】

「ええ、そう発散したいのです、そうでなければ、気が狂う程に……」
「よろしいのですか?将軍様は?」

【妲己の顔を見つつ、その姿勢は一向に崩さずに】
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/08(火) 00:36:29.48 ID:EZ2FlRFD0
>>622

【か細く震える吐息は、殻を破る前に外敵に卵を抉り取られた雛の断末魔にきっとよく似ていた。ヒトから孵った神様は、結局、生まれたことすら知らなかったから】
【知って初めて生まれ落ちた。――そうして見渡した世界はなんて恐ろしくて悍ましいのだろう。存在を否定されて、当たり前であるはずのことすら、認めないと言い捨てられる】
【生まれたことすら冷たい土の下。いのちに納得できる現実はなくて。しあわせなんてありっこないって皆が言うのなら。それでも好きって言えるほど馬鹿にもなれないなら】

【――間違えたのはやっぱりわたしたちじゃない】
【わたしたちを受け入れてしあわせにしてくれなかった世界なんだって。当たり前を当たり前に剥奪していって謝りもしない世界なんだって】
【(そんな世界の責任を取って死にたくなんてないの、誰の間違いもこの命で以って清算なんてしてやらない)】

【ならば、やがて言葉を発する余裕すらなくすのだろう。呼吸で喉を詰まらせて、そのまま吐き出せない回数が増えてゆく、開いて萎んで色褪せていく鬱金香の花みたいに】
【けれどどれだけ待っても膨らむ子房などありはしなくて、一つ漏れる吐息が歓喜であるのは絶望であるのかも釈然としないのだろう。ただ一つ確かであるのは】
【色違いの眼差しはずうっとイルを見つめていた。それしか知らない赤子みたいに。だって生まれたことさえ知らずに卵膜すら破ろうとしなかった蛇の子を取り上げたのは、貴女なら】

【――だからきっとどんなことだってしてよかった。よく聞くけれど、人間の心臓は本当に握りこぶしと同じ大きさなのかしら。足の裏と胃袋は同じ大きさって、本当かしら?】
【人体模型みたいに身体の半分だけ皮を剥いだって良かった。昔のひとが信じたみたいに鼻から脳味噌を掻き出しても良かった。指先から全身をみじん切りにしたって、良くて】
【うなじのところからようく研いだ包丁を突き刺して、べろみたいに口のところから出してみせたってよかった。世界に存在する死に方を表す単語をすべて確かめてみるのさえ】
【ならばやはり確かなのは、少女は今までの中で、そんな風に誰かに看取られることは一度だってなかったのだということ。ならばいつしか全部に嬉しさを孕むようになるから】
【ひとりぼっちで死ぬのは怖かった。冷たい路地裏で死ぬのもベッドの中で身体の中が蕩けるみたいに衰弱するのもぜんぶぜんぶぜんぶいつも怖くてしかたがなかった、のに、】
【だから余計に憧れたんだった。当たり前に大人になること。自分の子供が居て。孫も居るかもしれない。そうしてだいすきなひとたちに見守られて死ぬこと、当たり前のこと】
【なのに叶わないの。わたしには叶わないの。――――叶わないのだと思っていた。信じていた。ついこの間までは真実だった。けれど今では、今なら、今となっては、】

【(ねえだってこんなにわたしのことだけ考えてくれる子が最期までを過ごしてくれる。目覚めたら笑いかけてくれる。なら、――なら、)】


【目を開けると遠い水面が眩く揺らいでいた。ごぽりと泡が立ち昇るから、往かなくちゃいけないと思う。――けれど、往かれないから】
【"みんな"が往くべき場所へ往くのをただ見ている。ただ見ている。ただ見ている。ただ見ている。ただ見ている。ただ見ている。ただ見ている。ただ見ている。ただ見ている】
【ただ、ずーっと。ずっと。ずっと。ずっと。――――――――――――――ずっと。見ているだけ。だって、あぶくを数える以外に、なにも、かみさまは赦してくれない】

/おつかれさまでした!
628 :妲己 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/08(火) 01:08:21.66 ID:qOEUaoKPo
>>626

【果実の皮を剥く様に、彼女は貴方の殻を剥ごうとする、知性と理性で取り繕ったその下の素顔を】
【指を突き立てて、伸びた爪を突き刺す、豊満な果実は果汁を滴らせ、指先を妖しく濡らす】
【道賢が見せる表情、────── 彼女はそっとほくそ笑んだ、それが最初から、見たかった、から】


そうよん、それでこそ相応しいわん、妾の睦言を受け止めるのは、そんな益荒男じゃなきゃダメなのん
その感触を忘れないで欲しいわ、脳髄の奥深くまで掻き毟って、喘ぐ様に思考を搾り出して
そうして零れ落ちた貴方を、一滴残らず啜り取ってあげるもの

疼くでしょう、────── 心の底から
渇くでしょう、────── 腹の底から
滾るでしょう、────── 男の底から

思う存分、心ゆくまで、悦楽を快楽を愛楽を、舐って含んで貪って、睦み合うの


【手を取られたなら、するりと握り返す、絹糸の様な質感、天鵞絨よりも鮮やかに貴方の柔肌を通って】
【身を乗り出した、テーブルの上の食器が落ちる、割れて砕けた音が狂想曲に似て】
【淫らな肉体を、満たされぬ肢体を、物足りない雌蕊が絡みつく宿り木を探して】


男と女が居て、絡み合わない事が失礼よん、ねぇ、殿様の奥方の意味を知っているかしら
その国で一番、良い女ということなの、分かるかしら道賢ちゃん
貴方は今、その相手に誘われているのよん、光栄な事でしょう、男冥利に尽きるのだから

見せつけて、貴方のオトコノコを、妾をあんあと啼かせて、搾り取らせて欲しいわ
貴方の怒りを、猛りを、誇りを、その一滴すらも残さず、飲み込んであげるの


────── いい子いい子、してあげるわん


【両手はすっと伸びて、彼女はテーブルの上にぺたりと座り込んで、貴方をそっと抱き寄せようとしながら】
【そのまま胸元へ貴方を受け入れたなら、頭を撫でようとするのだろう、母が我が子を、姉が弟を、そうする様に】
【倒錯する現実こそが、背徳的な常識を飲み込んで、迸る道義をも喰らい尽くすのだから】
629 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/08(火) 01:20:33.32 ID:zLadS0pq0
>>625


――貴様にはわかるまい。能力を持たぬ者の気持ちなどな。
貴様ら能力者は――存在が既に悪なのだよ。

【金髪の男は立ったまま、くまのある疲れ切ったその目を細め、能力者に向けた】
【その先でテクノドッグス兵が追い立てる。シールドと刃がぶつかり合い、プラズマが散乱する】
【刃の零れた鉄と反応しスパークする。深く切り込まれた事によってシールドは切断される】
【片手に装備していたそれは腹部への一撃を避けるものの左腕を切断した。】

【退けられたシールド兵の先は闇雲に撃つライフル兵。その弾丸の雨を縫うぐらいは今の彼女には】
【容易いことだろう。明鏡止水というのだろうか。極東古来の精神が無機質な暴力をするりと翻す】

【懐に潜り込む頃には、あたりに立ち込めていた白煙は晴れて、そのかわりに赤い霧が四散することだろう】

【部下が倒されたとて、金髪の男は立っていた。通りは血に染まっていたとて。】

生まれ持った暴力装置。それが貴様らの正体だ。いくら正義のフリをしたとて、能力を持たぬものは皆…怯えている。
いくら優しい顔をしていても、抜身のナイフを持った人間を目の前に、恐怖心を抱かずにいられるだろうか?

答えは、ノー…だ。だから我々は対抗しうる手段を、武力を、力を手にした。
そして、本当の平等な世界を求めた。自由な世界…能力者の居ない世界だ。

【男は笑っていた。投げやりな微笑。そして、ふと目つきは鋭くなる】

…我々は所詮、犬だ。

街の中を駆け回る、血なまぐさい粗野な野良犬だ。

狼になりぞこなった、プライドもなにもない、殺しだけが取り柄の猟犬だ。

それでもなお、新しい秩序の一助になると盲信し、命令を遂行するアホ丸出しの忠犬だ。


これは、戦争だ。
私は、待ち望んていた。


【がさり、と物音。それはきっと彼女の背後からだろう。】

【その物音は腕ごと切り落としたシールド兵だそいつは立ち上がり、警棒を残った手で握りしめ立ち上がっていた】
【腕は切断されていたが出血は思うほど少ない。だがわずかながらポツポツと鮮血がアスファルトを濡らしていた】

【そして―――大剣を抱えた兵士が立っていた。確かに、手応えはあった筈だった】

勉強になったな?うん?踏み込みが足りなかったんじゃないか?HAHAHAHAHA!!
テクノドッグス兵は、戦い続ける。次はしっかり真っ二つにでもするんだな!!…正義ごと、か?

HAHAHAHA!!

630 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/08(火) 01:29:50.43 ID:LhhxBkuJ0
>>628

【そは良く熟した果実のように】
【そして、妖艶なる淑女は、安堵したかのように】
【そして満足したかのように微笑んで】

「そうでしたか……」
「これが、この感情が、この感情こそが……」

【そして、道賢もまた、何かを得たときのように】
【ともすれば、新しい玩具を手に入れた子供のように】
【満足げな、満たされたような笑みを浮かべ】
【やがて、その誘いへと向かうのだ】

「とても、とても素敵なことであります」
「あまりにも、あまりにも……この身に余る光栄……」

【それはまるで、夢幻の風景の如く】

「是非に、今宵は……この身に余る光栄を、栄華を、貪りたく」

【絡む、絡む】
【それは、渇望に似て】
【それは、渇きを癒す泉に似て】
【それは、悦の極みを体現するこの世の果てに似て】

「……妲己様……」

【もはや、そこに言葉は無く】
【甘く、甘露の如き、あるいは懐かしきとも言える抱擁を受けるのみ】
【暖かく柔らかな、その皮膚の上で】
【背徳と悦楽の現実が、ゆっくりと織り交ざり、そして夜が更ける】


//お疲れ様でした!
//ありがとうございました!
631 :イスラフィール ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/08(火) 01:43:06.86 ID:qOEUaoKPo
置きレス>>582

【それ故に、イルの存在によってグランギニョルが幕を下ろすのも当然の流れと言えた】
【互いが納得したのはその結論であった、多少の齟齬があれど結論は一つだろう】
【最後にイルが攻勢に出るのも納得できよう、そしてそれに未来がないことも】


むぅ、そういうものでしょうか、────── ああ、いえ、別に私は否定している訳ではありませんわ
ですが、こう消極的に何もしない事や、無視するのは私の性質に反します
月並みな言い方ですが性格です、それで押し通すのも些か乱暴ではございますが

少なくとも私が正義を以て行動する以上、ロールシャッハの描いたビジョンにはなりませんわ
それだけは確信しています、虚神達は確かに強大な力を持っていましたわ
けれども、誰も彼も、その一柱として、心を理解出来た存在はいなかったのですから


【僅かに膨らんだ頬、理知的な表層の下に浮かぶのは、ヒールを脱いだ若葉の面影、乳白色の思い出】
【無垢な色した杜若、取り繕う姿は石楠花で、それでも隠せぬ白百合の思いに、秘め事重ねる水仙模様】
【暫しと眺める乙女の作法に、束ねた髪留め徒らに、清廉な横顔が微かに緩まる】

【こほん、と咳払いをしたなら、後にはもう令嬢の振る舞いを見せて、余所行きの白粉を塗りたくる】
【引いた紅跡鮮やかに、一回二回と舌で舐る、─── 恥じらいがその姿をひた隠しにして】
【漸く見せた隙、完全無欠の美しさなどなく、彼女もまたヒトの子であると思わせるには十分に】
632 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/08(火) 13:29:36.97 ID:qOEUaoKPo
>>629

【目眩く硝煙の殺陣、神楽でも描く様に彼女は舞う、一筋も乱れの無い動きは演舞に似て】
【手に持つ刀は風を形にしたかの如く、取り留めも無く寄る辺も無く、微風よりも可憐に動く】
【けれども踏み込むその後に、残るのは血で花開く蓮華の模様、彼岸に刻む月華一刀、佇む様相鳳仙花】

【弾丸の雨を潜り抜け、一刀の元に斬り伏せる、────── 彼女の眼前に聳えるは、金髪の男のみ】


────── 詭弁どす、そうやって能力者を排除した後に平等な世界が来はるって?
そんな事ないでしょう、アンタみたいな人種は、その中でも何か違う粗を探さはる
拒絶する事でしか平等を作れへん人間が、その他大勢を受け入れるなんて出来ひんさかい

真に平等を作りたかったら許容する事どす、違いを受け入れ共存する、それこそが平等でしょう
その気概も覚悟もない人らが、拒絶ってゆう、短絡的な手段を選択しはる
拗ねた子供と何が違うんやろか、────── 力を持つ分余計始末が悪い


【怜悧な言葉であった、返り血に濡れた頰が紅い、取り繕っても肩で呼吸をするのを止められない】
【たかが三人、けれども、その百倍は居ようかという軍勢を相手取った気分であった、統率の取れた集団の恐ろしさ】
【しかし、真に恐ろしいのは、その頭、────── 集団を指揮するこの男こそが、並々ならぬ統率力を保持しており、そして】

【尚且つ狂っている、────── それが何よりも恐ろしかった】


っ……そこまで分かってはるんやったら、どうして飼われたままでいはるんでしょう
猟犬は時に繋ぐ鎖すらも噛み切らはる、────── それだけ気高い誇りを持ってるさかいに
結局アンタは放棄してるだけどす、それっぽい論理に酔って、自分で考える事を

────── 戦争がしたかったら一人でどうとでも、民を巻き込まんといて欲しいどす


【物音に振り返る、表情に浮かぶは驚愕、手応えはあった、常人であるならば戦闘行動など不可能だ】
【金髪の男が耳障りな声を放つ、唇を真一文字に結ぶ、覚悟を決めなければならない】
【小さく息を吐いた、継戦時間はあとどれ位か、悟られぬ様に】
633 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/08(火) 18:30:32.68 ID:zLadS0pq0
>>632

この街のヒズミは多様性によって生み出された。それが現実だ。貴様の言い分は
窓外から眺める世界だけで平和を論じた哲学者と同じだ。――夢物語だよ。

私に言わせれば貴様の考えも独善的な理想論で正義を騙ってるとしか思えん。
―――わかっただろう?これはどちらも正義だからこそ『戦争』なんだ。

見ろ、この世界を。力を持つ者たちは決して争いを否定しない。
ヒトは愚かだ。貴様も我々も。

【テクノドッグス兵の大剣が甲高い金属音を震わせる。高周波ブレードはその振動を利用し】
【分子レベルで構造を破壊する。特に金属などの結合の強いものに対する威力は絶大だ】
【もちろん生物に対しても―医療用メスに使われるぐらいなのだから】

【またしても猟犬は蘇って襲いかかる。2名は前後左右に展開し、別方向から包囲するように襲いかかる】
【しかし手負いのシールド兵の突撃なのは対処は容易だろう。大剣を持つ兵士の攻撃も回避はできるはずだ】

【だがどれにしろ、この金髪の男にスキを見せることになってしまうかもしれない】
【奴がどれほどの力量を隠しているかは今だ、明かされていないのだから】


我々は企業だ。需要があるから供給する。ただそれだけのこと
最新のスマートフォン、高速なネットワークインフラ、強力な警備システム、新しい国家と秩序

笑えるなぁ、貴様が守る民と、我々が守っている民は…同じ人々だ。

【男は高圧的な笑みで笑っていた。彼の握りしめるコンバットナイフは大ぶりで、よく手入れされている】
【それでいて使い込まれていた。テクノドッグス社、警備部 隊長 ラース・マグヌセンとは彼のことだった】

―――――――

――――

――


【喧騒に紛れて近づくのはバイクのエンジン音だ。加速する回転速度はまるで減速を知らないかのように】
【ボリュームを上げて距離感を近づけていく。】
634 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/09(水) 12:19:23.64 ID:A/wRwhspo
>>633

【瞬きの隙間に彼女は滑り込む、五月雨は形に濡れず、凩は掌を擦り抜ける、降り頻る雨の作用】
【肉薄する大剣使いへと、下から上へ斬りあげる軌跡、低く唸った鼓動が弾けて、煥発する才気の裏付けとした】
【乱れる黒髪一条、振り向く際に宿るは無双、天下の並ぶに立つ者が無い旋律を、偏に達人と呼ぶのだから】

【高周波ブレードを真っ向から叩き斬るだろう、螺旋を描く様に、返す刀で身体を回転、突進するシールド兵を正眼に捉え】
【両脚は張り詰めた弦の如く、染まった黒髪の隙間から覗く世界は如何に見えるのか】
【伸ばした左腕を定め、彼女は突きを放つ、獲物に喰らい尽くす猟犬よりも更に疾い、豪風、吹き荒ぶ嵐をその一刀に宿す様に】


────── 和泉の太刀に斬れぬもんなんてあらへん、覚えておく事やね


【攻撃の成否に関わらず刀を下ろし、小首を傾げラースを見やる、陶磁器の如き柔肌に、刀から垂れた鮮血が滲んで】
【巫山の雨、濡れた曲輪の夜伽に似ていた、雅やかな装いの中に、背伸びした少女の彩りを交えて】
【憂いと愁いに浸りながら、それでもしとりと頰に滴らせる、櫻の剣筋が魅せるは友禅よりも鮮やかな模様】

【しかし、ラースなら看過出来るだろう、彼女が振るう “黒髪の異能” が正体を】
【右の太刀が嘶いた、果てしない慟哭にも思えるそれは、高周波ブレードが響かせる金属音に良く似ていた】
【更に、彼女が相対した大剣使いの高周波ブレードからは震動が “奪われていた” ────── ならば】

【彼女は高周波ブレードの性質を奪い、自らの刃に宿したのだろう、それならば、大剣を穿てぬ道理など無い】


────── っ……!! 大丈夫、まだ、いけるさかい……


【僅かに身動ぎする、呼吸の質感が変わった、左腕が力無くたらん、と垂れた、────── 羽織の袖から溢れる手】
【火傷や裂傷が見えた、まるで、プラズマや震動に身を捩らせたかの如く】
【どうやらその術もまた、何の対価も無しに行えるものでは無いようだ】


よう分かりました、正義と正義が相容れないなんて十分以上に知ってはるし
……言われんでも理解してはるよ、アンタもうちも、力でどうこうする事でしか証明でけへん
せやから、うちは絶対に負ける訳にはいかへんの、うちは証明せなあかんから

────── うちのやり方が正しいって、少なくとも守るべき相手に銃口を向けて作られる秩序なんか
認められる訳ない、認める訳にはいかないって、────── そう示さはる


何年正義の味方やってると思わはって? 守る年季が違うどす


【刀を真っ直ぐ男へと向ける、────── 口元が確かに笑っている様に見えた】
635 :?????? ◆auPC5auEAk :2019/01/10(木) 16:29:18.87 ID:0Y+99OOs0
【風の国 運動公園】
【小規模な陸上競技のコートに、異様な熱気を孕んだ一団が集っていた】

――――諸君らには、『平穏な日常』という言葉の空虚さが、既に身に染みて分かっている事だろう!
今の世界、そんなものは砂上の楼閣――――明日にも引っ繰りかえされかねない、そんな脆いものでしかない!
ブレイザーシティ、セードムシティ、アルターリ……ここ数年だけで、例示は枚挙にいとまが無いではないか!!

【先頭に立つ男の怒号に、集った会衆――――と言っても、100人にも満たない少人数だが――――は、同じく声を張り上げる】
【既にその集会は佳境を迎えており、彼らの政治主張は、当然の事として一同の共通認識となっていた】

――――我らの日常を、我らの世界をッ、我らの手に取り戻す!!
それが人民の求める『力』! 人民の求める『平和』! そして人民の求める『宝』であるッ!!
求めるが良い! 当然のものを、当然としてッ!!

【そして、そんな民衆の先頭に立って『演説』をぶっている男は――――】

【前ボタンが開いたままのライトブラウンのスーツとスラックス、真っ白なYシャツにマリンブルーのネクタイを締めており】
【褐色の肌をした、スキンヘッドで鼻筋の通った顔立ちに、琥珀色のレンズのサングラスを掛けている】
【がっしりとした筋肉質の体格の映える、身長170p前後の男性】

【時折に交える身振り手振りを、その言葉の後押しとして、集まった面々の胸中へと、叩き込んでいる――――正に、場の支配者だった】

我々は、無法な能力者の専横を許しはしないッ!
水の国に続いて『魔能制限法』を制定するのは、この風の国であらねばならないのだ!

……暴力の行使は、法で規制される。人権の蹂躙は、法で規制される――――それがなぜ、異能だけは野放しであらねばならない?
今まで、誰もが胸に抱えてきた問いだろう。それを、今こそ口に出さなければならない、そして――――

【ただ、勢いのままに走るのではなく、時折の抑揚で熱狂を引き込む――――熱意は、野放しにするのではなく、制御しなければならないのだ】
【彼は、それをよく心得ているのろう――――静かな調子に、観衆達も自然と引き込まれて行き――――】

――――正しい世界を迎えるのだ!!

【決められた一言で、彼らの熱気は最高潮に達した――――『魔能制限法』を支持する支持者たちの集会。それは成功と言ってしまって構わないだろう】

【――――そうした会衆を取り囲むように、まばらに――――全身を黒い衣装に身を包み、更に目出しの三角頭巾をかぶる、ある種異様な男たちが、周囲を警戒していた】

636 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/10(木) 16:43:50.67 ID:Qb1yfqJcO
>>635

【声援は熱狂と興奮の坩堝に溶けて、混じり合うのは一種の狂騒、ならば奏でられるのは何処までも協奏】
【演説家として稀有の才能を持つのだろう、他者を焚き付けるその点に関して言えば、彼の技術は一等であった】
【────── そう、技術に関していえば、であるのだが】


ねーぇ、何時まで待たすんですかっ、演説なんてちゃちゃっと終わらせて直ぐ私のトコ来てくれるゆーてたのにっ
何時までたっても帰ってこないし! 折角作った夕ご飯もとっくの昔に冷めちゃいました!
もうぷんぷんですよ、ぷんぷん! この前買ってもらったバッグじゃもう足りないんですから!

ほらほら分かったらとっとと店仕舞いです、店仕舞い! お仕事よりもぉ、私を優先するって言ってたでしょ?



【長いピンクの髪と、ぴょこんと大きな白いリボン、まるで狐耳のように髪の毛を彩る】
【ウエディングドレスを基調とした服装は、上半身はピタリと張り付いて、豊満な胸元を露わにする】
【パニエで膨らませた下半身のロングスカート、機能性の為の前開きから白いサイハイソックスを覗かせて】

【白いパンプスと腰には薔薇でできたブーケ、檸檬色の瞳をした少女が男の側に突然出現した】
【男には見覚えのない少女であろう、けれども、彼女はさも当然の様に身体を傍に寄せひっつこうと迫る】
【紡がれる言葉は恋人気取り、一体なんの騒ぎだと言わんばかりに】

【─── しかし、その一方で彼女の危険性をも察するだろう 】

【女性的な見た目と服装と、紡ぐ言葉と容姿とが暗に告げる、─── 愛人に違いないと 】
【意図してかせずか、イレギュラーな彼女の存在は熱狂していた聴衆に、飛びっきりの冷水を投げかけない】
637 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/10(木) 17:00:32.57 ID:0Y+99OOs0
>>636

っ…………ふぅ、っ…………後は任せる。集まった衆には、案内と、飲み物の配布を――――ッ!?

【締めの一言を繰り出し、熱狂冷めやらぬ会衆たちを見渡しながら、演説の男性は引き絞られていた呼気を緩め、汗を拭っていた】
【大勢の環視の中で、ひたすらに声を張り続ける『演説』という行為は、肉体的にも、精神的にも消耗する】
【事を済ませると、相好が崩れ切らない内に、そばに控えていたらしいスタッフに後を引き継ぎ、そのまま脇へと退いていこうとした――――】

【――――見知らぬ少女が、不意に身を寄せてきたのは、不運にも、そうして掃けようとしていた、正にそのタイミングだった】

なっ……な、なんだね君は……ッ
ッ――――っく、『黒装隊』、何をしている!! この女をつまみ出せ!!

【不意を突かれて、男性も一瞬面食らい、言葉に詰まっていた。疲弊したそのタイミングでは、無理からぬ事だったかもしれない】
【だが、戸惑いながらもどう対応したものかと思案して――――数秒、その顔に戦慄が走った】
【この状況は良くない、まだ熱気の中にいる観衆も、一部は訝しげな色に染まり始めている――――慌てて男性は、再び声を張り上げた】

【――――会場の警護を担当していたと思しき、前進黒ずくめの男たちが数人、素早く駆け寄ってくる】
【サングラスの男性に寄りそう少女を取り囲み、その身柄を確保して引き離そうと、無理やりその身体に手を掛けようとして】

――――ただのファンなら、まだ頭が痛いだけで済むがな……ッ

【当の本人も、突き放すように少女を押し出しながら、その瞳に厳しい光を湛えていた】
【――――ただの追っかけの類ではなく、この状況をご破算にしようとしている匂いを、感じ取ったのだろう――――】
638 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/10(木) 17:15:43.83 ID:Qb1yfqJcO
>>637

【その言葉を聞いて彼女は驚愕の表情をする、演技派女優も裸足で逃げ去る、眉の角度から手の位置まで完璧に】
【崩れ落ちそうになる瞬間に、駆け寄ってきた男達に手を取られる、それすらも計算づくと言わんばかりに】
【事実、それは映画のワンシーンが如く、檸檬色に浮かべる雫の涙すらも、鮮やかに映る】


っ────── ひどい、ひどいわダーリン! あんなにもベッドの上ではハニーと呼んでくれたのに
いいえ、ハニーなんて言葉じゃ足りません、思いつく限りの美辞麗句で私を飾ってくださって
嗚呼、それが今ではあの女です、羞恥と屈辱の汚泥に私を引き摺り込むのです

ベッド以外では私は用無しなんですね、────── 最初から分かっています、身分違いの恋と
でも、たとえ妾であったとしても、重ね合った過去に、交わした愛に嘘はないんです
────── その証拠もキチンと、残っていますしっ


【まるで決壊したダムのようにあれよあれよと流れ出す、ドロドロとした昼ドラ模様、地上波放送も躊躇うレベル】
【ディレクターズカットも届かない、聴衆が熱狂から冷めるには十分すぎるほどの醜聞】
【視線が交錯する、彼と彼女、その二人にしか分からぬ一瞬】



【────── 舌をぺろりと出した、女狐よりもタチが悪い】
639 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/10(木) 17:38:34.14 ID:0Y+99OOs0
>>638

「……っ、先生……?」

【取り押さえに掛かった黒ずくめの男の1人が、不安げに男性の顔を見上げる】
【ここで抵抗するというのが、おおよそ全員の予想だった――――それを裏切られた事に、張り詰めた心が弛緩してしまい】
【――――その隙間に、疑念が異物の様に、挟まってしまったのだろう】

【会衆たちも、ざわざわとしたどよめきに、その性質を変えつつある。熱気は、徐々にあらぬ方向に向かい始めていた】

(ッ、この女――――さては、能力者……或いはその一派か……ッ!)

【視線が交差した瞬間、男性の口元が忌々しげに引きつった――――周囲の誰にも分からない、その瞬間のコンタクト】
【このままでは、押し切られる――――それを、瞬時に悟ったのだろう。そして、そうした意味で、彼女の優勢が揺らぐ事のないものになりつつある事を】

【取り押さえられた少女を前にして、思わず固まるサングラスの男性――――構図は、正に完璧だった】
【それまでの威厳、権威――――そうしたものが崩れ去る、スキャンダラス極まりない光景。それがそこに完成した――――はずだった】

――――ほぉ、面白い事を言う――――女狐め!!

【数秒の沈黙、その交差――――その中で、男性は必死に、状況をどう挽回するかを思索していたのだろう】
【或いは、パニックに陥りかけた思考を、必死に宥めていたのかもしれないが――――どちらにせよ、同じ事だった】
【このまま力づくで取り押さえ、連行したままでは、この状況の示唆する『スキャンダル』は確定してしまう。ならば、それは悪手】

【――――自分にとって、最も最善のフォロー。それはもう1度魅せてしまう事だった。完全なアドリブになるが、仕方がない】
【つまりは、この少女の言動が、ただのでたらめである事を証明――――否、証明付けなくても良い。『印象』づけてしまえば、それで良いのだ――――】

――――だが、抜かった様だな。勢い任せのその演技……走り過ぎて、綻びを生んでいるぞ、そうだろう!?
話が変わっているではないか……愛を以って私を迎えるのか、それとも私の不貞をなじるのか。まるで演じたような、見事な切り替えじゃないか、そうだろう『能力者』!
不貞の輩に、よくも堂々と身を預けてくれたものだ……『魔能制限法』を食い止めようと必死なのだろうが、そのわざとらしさはガン……破綻を招いたな!!

【演技ならではの、流れの不自然な流麗さ――――悪びれもせずに、堂々と男性はそれを指摘する】
【同時に――――大衆の憎むレッテル、それを言葉のチョイスの中で、さりげなく少女へと塗布しようとしていた。思考を誘導し――――「この女を憎め」と】
【『能力者』『魔能制限法』――――大衆たちが目の敵にしている概念と、眼前の少女を結び付けていく。そうして、善悪の判別を交代させようとしたのだ】

……何せ、私をこの場で、直接殺す訳にはいかないのだからな――――そうすれば、私は殉教者、英雄だ……そうなる事は、望んでいないのだろう?
だからこそ狙うは失脚――――だが、真実はそんな事では小揺るぎもしないッ、恥を知れッ!!

【同時に――――『能力者』のレッテル貼りにおいて、不利になるだろう点――――「だったら何故実力行使しないのか」の点も、男性は流れで片づける】
【彼女の真実が能力者であろうがなかろうが、そこは関係ない。ただ「使わない理由がある」と、これもそう思わせれば良い――――緊迫した空気が、流れ始めた】
640 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/10(木) 17:59:24.24 ID:Qb1yfqJcO
>>639

【取り押さえられる少女、か細い首筋が屈辱で震える様に、涙色に濡らした言葉がいじらしく響く】
【見るもの全ての胸をきゅうと締め付ける、ひたむきに男に尽し棄てられる、そんな弱い女の代表であった】
【同時にそれは能力がない為虐げられる、弱い立場の聴衆の気持ちにも繋がるのだろうか】

【────── しかし、男は笑った、窮地に追い詰められて尚、凄絶に】

【上手い持っていき方であった、極限の状態に置かれても尚、流れの粗を見つけ出す】
【加えて能力の行使にも楔を打つ、演説家としては一枚も二枚も上手だろう】


……そうね、そこまでして私との関係性を無かったことにしたい、と、ダーリンはそう言ってるのね
分かっているわ、今出てこられるのは不味いって、そんな事私も分かってる、分かってるけど
────── でも、今日だけは、貴方に帰ってきて欲しかった、その気持ちは分かるでしょう

私達が初めて出会った記念日、前を向き続ける貴方に惹かれて、その光を少しでも浴びていたい、と
卑しくも私は思ってしまったのです、────── 身分も地位も、何もかもが違いました
でも、でも、そこには確かに愛がありました、少なくとも私は、愛と信じていました


【しおらしく表情を曇らせる、可憐な頬に儚さを乗せて、健気な思いをスパイスにする】
【コントラストであった、彼女を能力者と断じ、切り捨てようとする彼と】
【────── それでも淑やかに尽くそうとする彼女との】

【前述した様に、魔制法に反対する人々は言ってしまえば被差別側の集団である】
【弾劾する者とされる者、そこにあるのは論理の正統性ではなく、より感情的な部分ではないだろうか】
641 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/10(木) 19:31:22.80 ID:0Y+99OOs0
>>640

――――ならば聞こう。なに、簡単な事だ……お前の言う事が真実であったならな……お前の言う『愛』の形はなんなのだ?
その様に、甲斐甲斐しくしおらしく、儚い愛を謳う割に――――随分と甘ったれた仕草で、私にすり寄ってきたではないか!
――――お前の感情には核(コア)が無い。あるのはただ、状況に迎合した言動だけだ……その胸の内に、何を想っている……ッ!?

【この問答、正解はない――――少なくとも『正解』を提示できる性質のものではない】
【先ほどまでとは比べ物にならない、静かで、重たい言葉のやり取りの中、それでも男性は、先ほどと大差ないだけの疲弊を、その表情に見せていた】
【只管に、思考を重ねる。そして、少女の言葉に、反撃の為の取っ掛かりを探し続ける。だが、それに拘泥して間を空ければ、雰囲気は染められる】
【墓穴を掘れば、この感情戦、負けるのは自分の方なのだ――――こんな神経戦の綱渡り、疲弊しないはずがない】

【ならば、ただそこを突くしかないだろう――――少女の語る、愛の形の不定形さ。それを『企みの証拠』と、連続して男性は糾弾する】
【無論、強弁なのは否めない。実際には、強く、そして不安を内に抱えた感情は、型通りの姿に収まるものではない】
【ただ、感情を答えとするしかない――――大事なのは、そのギリギリのラインを、見誤らない事だ】

――――もういい、次には再び私の『不貞』をなじり、そして今度は『証拠』を声高に謳い、そして切羽詰まれば再び『愛』に回帰するのだろう!!
そのような戯言にいつまでも付き合ってられん――――『黒装隊』、その女をつまみ出せ!!

【そして男性は、どうやらそのタイミングが今だと判断したようだった。この先、少女の取る手段はお見通しだと、『予言』して見せて】
【そして、その結果を見せない内に、先ほど渋った強硬手段を実行する――――今度こそ、周りの三角頭巾の全身黒ずくめたちは、少女を引きずり出そうとするのだろう】

――――――――ただし、解き放ちはするな……確保しておけ、少し、確かめねばならん事がある……ッ!

【――――周囲に聞かれぬ、ささやかな声で、男性はそう付言した。もしも排除に成功しても、少女は幾許か、取り押さえられたままになるのだろう――――】

(――――流石に、これだけでは不十分か……――――もう少し、感情を煽っておく必要があるな……!)

【同時に、男性は再び弁士として観衆達に向かう。その顔には、緊迫と疑念とが、やはり綯い交ぜになって張り付いていた】
【それを払拭するのは、結局は感情――――ならば、それを煽り立ててやる事が、再度必要だと考えたようだ】

――――我々の向かう道には敵が多い。今見てもらった通りだ……それは仕方のない事だ……虐げられていた者たちが立てば、反発は大きい……
そして、直接抑えても、もう抑えが効かないとなれば……こうして、搦め手を用いて突き崩そうとしてくるものだ……
――――諸君、罠に掛かるな。我らの目指す道は、正しく、明るい、聡明な未来だ……ッ
……もしも私に、私の横に立つのに相応しい人が出来たのなら、その時には、皆に胸を張って、報告しよう――――
だが――――私は諸君の怒りの代弁者なのだ。その使命ある限り、だ――――――――私は止まらないッッ!!

【語り掛け、畳み掛け、そして拳を握りしめて断言する。数分の短いパフォーマンスだったが、男性は最後に、聴衆に最後のアピールを済ませた】
【――――若干お手盛りの気は否めないが、それでも大衆に、再び火は付く。『力』『平和』『宝』『未来』――――そんな叫びが方々から響いて】
【――――だが同時に、埋火の様に、染まり切らずに首をかしげる顔も、ポツポツと。それらを残して、今度こそ男性も身を退こうと――――】

/ただいま戻りましたー!
642 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/10(木) 19:52:49.80 ID:Qb1yfqJcO
>>641

【夕闇と光の隙間、朧に溶けた感傷の中に彼女は確かに微笑んでみせた、諦念をも含んだ静かな笑みで】
【夫に傅く細君を思わせる、感情を趣の下に伏せて、それでも静かについて行く様に】
【そうして彼女は視線を傾けた、貴方へと注ぐその一滴を】


────── 愛に形なんてありませんよ、心の底から好きな相手が心の底から憎い相手にもなります
こんなにも貴方が憎いのに、こんなにも貴方に好かれたい、それもまた一つです
善にも悪にも振り切ります、その振れ幅の大きさこそ、愛が見せる一つの表情なんです


【彼女は抵抗せずに摘み出される、後は手筈通りに確保されたままになるだろう】
【最終的には男の言説に載せられて、大衆は盛り上がりを取り戻す、────── 内側にかすかな違和感を秘めて】

【兎に角状況は一旦収束するだろう、次の舞台がために】
643 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/10(木) 20:09:36.77 ID:0Y+99OOs0
>>642

【――――1時間後、一行は公民館の貸し会議室に集結していた】
【入り口には『貸し切り 『導人会』御一行様』と札を掲げ。部屋の内部では、男性と、『黒装隊』の人員が7人ほど】
【――――椅子に座らせた少女を、ぐるりと取り囲んでいた。目出しの三角頭巾の為に、その表情は分からない】
【そうした面々が連なって、ただ他の要素が排除されてしまうと、場に漂う威圧感は、尋常なものではなくなる――――】

――――あぁ、そうだ。とんだ邪魔が入った。……今回の集会は、成功とは言い難いな、すまない……
だが、人集めに上手くいかなかった事が、一方で上手く行ったかもしれない。あぁ、傷も小さくて済みそうだよ……
――――分かっている。乱入した不埒者の後処理も、こちらで済ませる……この程度の事で破綻させて、たまるものか……
そうだ、『導人長老会』には、そう伝えておいてくれ……――――あぁ、また連絡しよう……

【ピリピリした空気の中、弁士だった男性は携帯端末でどこかと連絡を取り合っていた】
【横目に、少女を気にしながらも、その張り詰めた緊張感は、この場においてなお健在だった】
【そうして、通話が一区切りつくと――――男性は改めて、少女の前に立つ】

――――さて、だ…………
……まず、名前くらいは聞かせてもらおうか。お前――――何者だ?

【じっと、琥珀色のサングラスの奥から覗き込みながら、男性は少女に尋問する】
【褐色の肌と、がっしりとした肉体が相まって、その様は静かな迫力に満ちている。否――――それだけではない、男性自身の気迫の様なものが、そこには表れていた】

……意図して、我々の集会を破壊しようとした訳は……まぁ、聞かずとも大体の予想は付く
だが、それはそれとして、幾つか知っておかなければならない事はあるのでな……

【完全に、それは『取り調べ』の様相だった。人数の有利を頼みにして――――それだけではないのかもしれないが――――男性は、少女に、静かに畳み掛ける】
【先に、言葉の戦いを挑んできたのは、少女の方だ――――なら、ここからは形勢逆転だ、とでも言いたいのだろう】
644 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/10(木) 20:28:35.77 ID:Qb1yfqJcO
>>643

【彼女はと言えば鼻歌の一つでも唄いながら、手鏡で髪の乱れを整えている、随分と落ち着いた様子で】
【男の言葉を聞いても暫し動作を続けて、満足したのかむんぎゅ、と胸の膨らみの中にしまう】
【ニコニコと微笑む様子は底が知れない、同時に考え無しの敵対者でも無い様子で】


いやーさっきは自分で言うのもなんですけど、迫真の演技でしたね、さっすが私と言うべきです!
放送する媒体を選んでいたら主演女優賞待ったなしなんですけど、取り囲む皆さんの華の無さと来たら!
まぁ、白熱の弁論があったので良しとしましょう、そうでしょう、ダーリン?

────── でもダメですよぅ、愛とか何とか語らせたら女の子に適う道理が無いんですから
そこはもうハッキリ私に名前を聞いちゃえば良かったんです
そしたら私バタンキューでしたよ、相応に口答えはしちゃいますけど


【言葉の勝負なら対等だと言いたげに、彼女は臆せず答えるだろう】


何者だと言われたら難しぃですけど、物見遊山の一般人じゃダメですか?
ふらーっと通りかかったら何やら面白い催しをしてて、それじゃ少し引っ掻き回しちゃいますかと!
あら、それとも、私が敵対組織の刺客か何かだと思っちゃいましたか?

────── まさかまさか、私は単なる良妻賢母ですよ、ほら可愛い花嫁衣裳でしょ?


【ぱたんと手袋に包まれた両手を合わせて微笑む、大きなリボンがふりふりと揺れる】
645 :?????? ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/10(木) 21:01:35.22 ID:0Y+99OOs0
>>644

――――この期に及んで、よくもまぁ、白々しい……

【渋面を作りながら、男性はサングラスの眉間を突いて、位置を調整する】
【一息つくための、切り替えの動作なのだろう。ここはもう、リアルタイムで聴衆を気にする場面ではないのだ】

……そんな事をすれば、私の方の滑稽さも相まって、あの場の全てが茶番劇になってしまうではないか……
少なくとも、あの場の聴衆たちにとっては、私の名前――――ガゼル=イヴン=カーリマンは、相応に通った名前なのだぞ……
仮に、お前が答えられないとしても、それではただの愉快犯、与太者となってしまって、猶更あの空気を醸成するのは難しくなる……
――――劇的に、先に進む材料は必要なのだよ。敵を前にした一団、という意味でな……

【確かに、単純にやり込めてしまうだけを考えれば、それが無難な選択だっただろう。だが、それをやってしまうと、後のフォローが却って大変になると】
【男性――――ガゼルはそう主張する。差された水を、油と成すために、必要な事でもあったのだ、と】
【無論、それは相手に逆手に取られる危険もあった訳だが――――そこは、もう出たとこ勝負だったのだろう】

「貴様、我らの邪魔をしてよくもいけしゃあしゃあと!!」
止めろ! 無秩序な暴力は何も生まん!!
「っく…………申し訳ありません」
――――暴力にも、暴力の振るい方というものがある……覚えておけ

【飄々とした少女の言葉に、『黒装隊』の1人が、殴り掛からんばかりの勢いで肩につかみかかる】
【それを、ガゼルは制して――――じっと、厳しい視線で少女を真っ向から睨みつけた】

……そんな馬鹿馬鹿しい、どうでも良い与太は聞いていない。『俺』は、お前の名前を聞いているんだ……
それとも……たかだか名前を名乗った名乗らないで、無駄な時間と『行程』を、挟むつもりかな……?

【噛んで含めるような、生徒を叱る教師の様な、ガゼルの言葉。それに付随して、1人の『黒装隊』の兵士が、そばの荷物から何かを取り出した】
【それは、日曜大工なんかで使うような、ハンマー――――ガゼルの言葉に呼応して、準備に入っているのだろう】

……この場合、別に組織である必要はない。お前自身の反発でも、何だったら真相は、何でもなくても構わないんだ……分かるか?
必要なのは、ただ『我々が邪魔された』事、そして『その実行犯であるお前が確保された』事……それだけだ。なるべく互いの為になる妥協点を探したいものだがな……
……我らの拠点に連れ帰れば、それを目撃された時に面倒、畢竟ここに落ち着いたが、ここでも事を荒立て過ぎれば――――『後始末』が面倒だ……

【ガゼルの言葉は、割合分かりやすい含みを持って、少女に訴えかけている】
【最低限の事実から、色々とストーリーを組み上げる事は可能だと。そしてその為に、彼女に『死人に口なし』を強いる事も、選択肢であると】
【尤も、それも彼らにとっては『最善手』ではないという事も事実――――『互い』の命運が、少女の態度如何に掛かっているという、取引の形に見せかけた脅しだった】

だが、色々と話してくれた方が、我々の後始末としてもやりやすい……お前だって『最悪の結末』を招きたくはないだろう……?

【声は荒立てない。それは、最低限にとどめるからこそ、劇的な効果をもたらす――――ガゼルは、そこのところをよく理解しているのだろう】
【低く、静かに轟く様に、少女に損得の所を説く。ともあれ真意を話せ。それ以外に興味はない。それが理解できないなら――――『消す』と】
646 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/10(木) 21:25:31.34 ID:Qb1yfqJcO
>>645

【ああ、なるほど、と目をぱちくり、ぽんと手を打ったならそれは考えもしなかったと言いたげに】
【微笑む様子は無辜の市民を思わせる、言葉の温度差を敢えて生む目的があるのかは分からずとも】
【愛らしい様子の中に幾許かの不審を与えるだろうか、彼女は滔々と続ける】


ダーリンのゆう通りですよぉ、暴力反対ですっ、女の子に手あげちゃいけないんですから
ふふ、そういうの役得ですよね、役得、ダーリン達みたいな傑物なら兎も角、ふつーの人は弱いです
そうです、私みたいに可愛くて可憐な女の子にはとびっきり弱いんですから、使わせてもらわないと

あれま、そういう事だったんですね、私てっきり根掘り葉掘り私の人となりを聞いてるものかと!
名前が聞きたいならもっとロマンチックに聞いて下さらないと、女の子の名前にはそれなりの価値があるんですから
でーも、今日は特別です、ダーリンに迷惑かけちゃったお詫びに名乗って差し上げましょう

────── ティナ、ティナ "蜜月" ヴァレンタイン、どうぞお見知りおきを!


【ふわふわと紡ぐ言葉に反して周囲の空気は冷え切っていく、取り出されるハンマーにティナも目を真ん丸にして】
【暴力反対ですーっと言いながら手をふりふり、やん、なんて言って頭を抱えたり】
【それでいて口先だけは達者に、言葉を紡ぐ】


またまたぁ、私をないないして済むような話では無いのはもうちゃんと分かってるでしょ、ダーリン
少なくとも、絶対無敵清廉潔白なダーリンの名前を保持するには、私みたいなおじゃま虫はきちんと証明しなきゃいけないですよ
ちょーっと小銭稼ぎが好きなジャーナリストが調べた結果、人騒がせな女が居なくなってるとか、それも醜聞でしょうに

死人に口なしですけど、死人はどうとでも語れるんです

たんだぁ、私としてもまた死んじゃうのはやだなぁ、っていうか、避けたいとゆうかぁ
私はダーリンの事、結構良く知ってるんですよ、雄弁家としても革命家としても
気になっちゃうのは、それだけのスキルを持ちながらなーんで反能力者の立場なのかなぁってとこだったり
647 :ガゼル=イヴン=カーリマン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/10(木) 22:01:48.24 ID:0Y+99OOs0
>>646

「……はぁ」

【1人の黒装兵が、その様子に思わずため息を漏らす。彼女の言葉は、どこまで本気なのか分かりづらい】
【その飄々としたやり取りに、ついつい呆れが顔を覗かせたのだろう。覆面も相まって、『誰』が漏らしたため息なのかは、うやむやになってしまっているが――――】

……私は暴力を、必ずしも否定はしないがな。要は、必要性の問題だ……
しかし、お前の言う事も尤もだな。人は人に対して干渉するに、何らかの武器が、有利の材料がなければならない。幸い、俺は口はよく回る方なのでな……

【居丈高に聞き出そうとしても無駄という事なのだろう。ガゼルは軽く調子を合わせていた】
【尤も、それは傍流、軽い流れに過ぎない。いわば「インタビューの間の雑談」と言ったところだろうか】

――――物事には順序があり、筋立てがある。お前の人となりを聞くのも、必要とあらばそうするよ……
だが、何よりも必要なのは名前だ……その先は、名前無しに成立はしない。それは仕方のない事だ

【こうしてわざわざ場を用意したからには、彼らも色々と聞き出そうとしている事があるのだろう】
【だが、それにしても最初のステップというものは存在するのだ。でなければ、それ以降の事など、何も聞き出せはしないはずで】
【要は、情報を聞き出すための前振り――――無論、個人を特定するという意味でも、名前は大事だが――――そう言う意図で、名前を聞いていたのだろう】

【そうして、幾らかのやり取りの末に、少女――――ティナは名前を名乗って】

――――それだ。まさにそれだよ
結局、同じ事を俺もお前も言っている……死人に口なしだが、死人が出ている事実は、如何様にでも脚色できる……
だから、死者というのは困った存在であり、大いに利用価値のある存在でもあり……そして、最後の手段なのだよ……
それにお前は、醜聞を期待して、あの集会に乱入したんだろう? 結局、同じ過程でも、行き着く先が違う事など、珍しくも無い――――正に、鏡写しというものだな……

【この場で事を荒立てたくはないが、やむなく行使する事も有り得る――――そう結論付けるその思考は、ティナの説くところと同じ道筋をたどっている】
【後は、単純に選択の差なのだろう。今回の一件、どうやら彼らにとっては相当に困った出来事であるらしかった】

――――おかしいかな、俺が『魔能制限法』を推進する事が?

【ティナの言葉に、ガゼルはこれ見よがしに左の袖をまくる。そこには――――機械仕掛けのブレスレットが嵌っていた】
【そこには、異能の行使を抑制する術式の彫り込まれた魔石と、リミッターの様なもの――――要するに、彼もまた、能力者なのだろう】

勿論、求める事だ……このままでは、俺もまた、世間からの白い眼は避けられん。だからこそ、多少歪なりとも、共存の道を作らなければならない……
――――それに、今この話題を避けては、政治の世界に踏み出す事もできまい……彼らは体のいいスケープゴートだ……
同時に。――――上手い妥協点を見つけ出せれば、彼らを犯罪者予備軍扱いする世間の風も変えられる……そうすれば、彼らも俺を支持してくれるだろうよ……
今の状況は俺に……いや、私にとって、この上なく有利な状況というべきものなのだ……ッ

【要するに、今の動乱、鳴動を収束させるには、一番の近道がそれだと、ガゼルは判断したのだろう】
【『能力者』をやり玉に挙げて、民衆の支持を得る。同時に、能力者にも共存の道を用意する。それらをまとめ上げれば――――彼らは、実績を伴った政治結社と成り上がる】
【そしてそれが――――能力者である自分自身の、求める未来でもあるのだと】

【――――能力者でありながら、他の能力者を規制する形で、『上』の立場に行く事になるのは、指摘すべきかどうか、微妙なところだろう】
648 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/10(木) 23:19:45.16 ID:Px2ViEv2o

【忙しない年の瀬も遠のき、行政機関が祭事に託けた一頻りの休暇を終えてから、 ─── 幾らかの日時が過ぎていた。やはり白日は低く昇る】
【届くのは一通の書簡であろう。ごく格式ばった丁重な達筆だった。送り主として記されているのは四字から成る名前だけであった】
【開封の痕跡はなかった。そういったアナクロニズムへの信頼が、斯様な古色蒼然とした連絡手段の理由であるらしかった。】
【開けばやはり、ごく簡素な招待状であった。 ─── 住所と日時だけが、白地に染め抜くような筆致の墨色をもって、記されていた。】
【いずれにせよ、その日その場所に足を運ぶかどうかが肝要であった。首都の郊外に位置する、櫻国の文化色が色濃い閑静な軒並みの、一ツ。】


「 ……… お久しぶりですな。」「 ─── こんな場所にまで、御足労どうも有難う御座います。」
「おれのような公務員の幾らか礼を欠いた嘆願にも、応えて頂けるのは幸いなことです。」


【どうやらそこは彼のセーフハウスであるらしかった。軒先にて出迎えたのは、中肉中背の壮年。冬の陽射しさえ眩しがるように、やはり気怠げに笑っていた】
【質素な着流しの立姿であった。来客を迎える格好には相応しくなかった。 ─── 軒先の名札に刻まれた名前は彼のものではない。何れにせよ、「どうぞお上りください。」】
【玄関先で靴を脱ぐ作法に興を削がれなければ、やや見窄らしい外観に反して、存外に建て付けも良好であった。一踏みごとに軋んで、香り立つ畳の質量。程なくして、来客間へと導かれるなら】


「まあ、茶飲話でも致しましょう。」「 ─── 余り、急きながらする議題でも御座いません。」


【箪笥と、卓袱台と、座布団と。上座の向こう側に開け放たれた障子の先には、真正面の小さな枯山水の庭を望んでいた。】
【湯呑と、玉露と、水羊羹と。「お口に合うか、分かりませんが。」申し訳ないように笑う彼の表情は、変わらず酷く印象が薄かった】

/よやくです
649 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/01/10(木) 23:22:44.75 ID:q6kUD4kKo
【新楼市】

【連日、あらゆる騒動が起きるこの魔都とも言うべき場所は、世界で起きる騒動の影響を多大に受けている】
【つい10日ほど前にも、統括行政府による非常事態宣言は発令されたばかりだ】

【現地警察としての役割を委託されたテクノドッグスの治安維持活動≠ヘ苛烈を極め】
【デモ隊に放水を浴びせた、反乱分子と認定するや銃口を向けられるなど、市民の間では悪評が広がる】

【事態を見かねた水の国の警察官や、櫻の国出身と思われる異能者との衝突が起きた、さらには急速に行方不明者が増加した】
【などという不穏な噂もあり、この都市を包む暗いムードを加速させていた】


【そんな危うい状況を、さらに後押しするように。シティの目と鼻の先の海域で異様な事態が発生していた】
【水と星、それぞれの国で分かたれた経済水域の境目。いわゆる緊張地帯のど真ん中に】
【突如として、巨大な黒い箱が出現したのだ。海中から湧き出すように、一瞬にして】

【しばし静止していたその箱は、やがて複雑に展開し、水上に鎮座する無骨な要塞の姿を現した】
【シティの港湾からは、距離はかなり離れている。それでも、はっきりとその姿が見えるほどの巨大であった】


【明らかな示威行為。調査のために派遣されたヘリは、要塞の正面に開けた航空機の発着場と思しきエリアで】
【集結している、1000人以上はいようかというそいつらを観測した】


【ttps://www.youtube.com/watch?v=_kZ4SHVKlRA】

【完璧に統制された一体感の踊りであった。身長2メートルは軽く超えているだろう、額に第三の眼球を持つ醜悪な大男を先頭に】
【手に手に銃火器や刃物や鈍器を握り、それらが互いに触れないギリギリのスペースを保って】
【4桁に達する数の異形や人間が、まったくの無表情で一心不乱に舞っている】
【ヘリの乗員は知る由もなかったが、その中にはニューロンシティでここ最近行方不明になった者たちも多く含まれていた】

【滑稽であると同時に威圧的な、何とも奇妙な光景だった。踊りの最後に、全員が一斉に空中のヘリへ向けて武器を掲げ】
【確かに、パイロットと乗員を睨みつけた。恐怖にかられたパイロットは、慌てて機首をシティへと返した】


【ただでさえ緊張の最中にある新楼市に、降って湧いた災難】
【その原因たる奇怪建造物と異形どもに、もし誰かが何らかの手段で接近したとしても、それへの妨害はどういうわけか行われないだろう】
650 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/10(木) 23:32:00.45 ID:J5Z2Ta8So
>>648

【小春日和の作用にも似て、彼女が踏み込んだなら、冬特有の透き通った空気が清廉さを増して】
【呼吸の度に震える風は清涼を遥かに超えて、天上の宴にも近い心地をそっと靡かせる】
【靴を脱ぐ作法にも戸惑いを見せない、これぐらいは最高議会議員の面目躍如と言った所か】


まさか、他の誰でもございません、外務八課の課長様直々の招待ですもの、赴かない理由がありませんわ
しかし、誠に見事なお住まいでいらして、櫻の趣を深く感じさせる上品な彩りです
箪笥も卓袱台も、そのどれもが一級品ですわ、今時これ程良い品を手に入れるのも大変でしょう

特に櫻の製品は日に日に値上がりの一方で、国内の需要はより一層過熱していくばかりですもの
私もこの間家具を新調しようと思ったのですが、────── ええ、出入りの業者様が苦笑いでしたわ
「それだけ買うなら櫻で家建てた方が安い」と──────


【紫苑混じりのプラチナブロンドの長髪を、シニヨンでセミロングの長さにまで纏めて】
【胸元の膨らんだ、袖の無い白のハピットシャツの上から、素肌を透けさせる黒のレースのカーディガンを羽織る】
【シャツのフリルの上には黒いリボンタイを垂らして、ミニ丈のフレアスカートから黒いストッキングを覗かせる】

【紫苑色の双眸に理知的な眼鏡を掛けた姿は、瀟洒な貴婦人を思わせるだろうか】
【両手を包む白い手袋、袖口から覗く素肌の白と溶け合う様に、微笑む様子に神々しさが塗れて】
【彼女は器用に両脚を折りたたみ座布団へと座る、携えた微笑みに狂いはない】


あら、可愛らしい洋杯ですわ、えっと確か、────── そうそうYUNOMI、とそう呼んだ筈です
後藤様は櫻の生まれでいらして? その装いもとても似合ってらっしゃいますわ
それに、良い香りが致しますわ、指先にまで染み渡る様な、そんな香りが


【若干イントネーションがおかしいものがあったが、彼女は気にせず湯呑みへと手を伸ばして】
【手袋越しのその温もりへ目を真ん丸と、ふぅふぅ、とおっかなびっくり何度か息を吐いて】
【漸く一口飲んだなら、ほっこりと頬を緩めるのだろう、この仕草はきっと、万国共通だから】
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/10(木) 23:35:34.46 ID:VvXyJHFO0
【――――どこまでもどこまでも冷たい冬の夜の真ん中だった】
【春はうんと遠くにあって、秋には決して戻れない。夏を待ちわびるなど夢のまた夢で、けれど、今すぐだって暖かな場所で眠りたい】
【空を見上げる限り真っ黒い雲が覆い隠していた。幽かな月明りすらない暗がりは、それでも、なにか、救いに似るようにすら思えてしまう夜は確かにあるのだから】

――――――――――、

【街中、広場のような場所だった。それでも大道芸人が一人で精一杯だろう広さの場所に、けれどぐるりと取り囲むよな電燈の並びが誰かの拘りを見せつけて】
【ならばその真ん中に佇む人影より伸びる影は分裂症患者の戸惑いみたいに、惑ってやまぬのだろう。――――――少女であった、そうしてまた、彼女は神様でもあった】

【――腰まで届く真っ黒な髪は無惨なまでによく手入れされた艶を孕むもの、真っ暗な夜の中、街燈の明かりにすら、宝石のような天使の艶めきを宿し】
【世界中のどんな白を集めて混ぜたって敵わぬような白い肌は、それでも寒さにぼおっとばら色を帯びていたから、女神の石像でないのは、嫌というほど伝え】
【あどけない顔にはめ込まれた瞳は、人形師が間違えてしまったみたいに左右で違う色をしていた。――黒色と赤色の眼差しは、けれど、どこか絶望的に】
【フリルとレースで飾り立てた黒のブラウス。手首のところで袖をぎゅうと窄めたリボンは指先の白を飾るより隠してしまいそうなほど、編み上げの背中はへし折れそうなほど】
【ならばかえって冬毛のすずめみたいに膨らむスカートが映えるのだろう。たっぷりのパニエを重ねているのを見せるまでなく証明する赤いスカート、之もまた淵をフリルに飾るなら】
【手折れそうに細い脚は黒色のタイツに隠しこんで。かかとのしゅんと高いパンプスは、けれど、微動だにせぬなら、足音の一つも立てず】
【十六歳ほどの少女だった。――暗がりに溶け込むような痩躯を隠すのは腰丈のケープで。それでも前面を開け放つのは、なにか、自罰的な儀式にも似る風合い】

――、

【あんまりに仄暗い目をしていた。そうして空を見上げるなら、どこまでも暗雲に絶望しているようだった。そのくせ、きっと、満点の星であったなら、世界なんて滅ぼしてしまうんだ】
【"そういう"目をしていた。――。ならば、誰かが近づこうとも、彼女は視線の一つすらくれてやらない。或いは敵意を振りかざすなら、その限りではないのだろうけれど】
【そうでない限り、ごく近くに近づいてなお、彼女は自分から言葉を発そうとはしないのだ。――。こんなに寒い冬の夜でも、暖かいココアが飲みたいなんて誰かに言える人生を歩んでこなかったのだろうから】

/よやくのやつですっ
652 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/10(木) 23:53:06.87 ID:Px2ViEv2o
>>650

【「この辺りは地価も安くて ─── 前の持ち主が放っておいたものを、伝手を辿ってリストアした訳です。」他愛もない世間話の距離感。】
【やはり薄笑いばかり浮かべている男ではあった。それでもイスラフィールの耽美な洋装は、浅葱色の室温に截然と浮かび上がってやまない。】
【どのような賞賛を口にしても、多くは本意であるとは捉えられ難いのが、この男の欠点であった。静かに焚かれる石油ストオブの、郷愁に満ちた香りがした】


「産まれはこの国ですが、父母のルーツは櫻でしてね。水系二世という訳です。」
「色々と苦労もありましたが、手前ェの出自は気に入っていますよ。どちらの空気も良く吸い分ける事ができた」


【問われれば躊躇いなく彼は言葉を綴った。 ─── 極力に音を立てぬのは彼なりの作法であったろうか】
【熱く煎じられた深みある苦味は唇を潤すに十分なものだった。重くも透き通る深紫の茶菓子を、黒文字に刺して口に運ぶなら】
【やはり淑やかな小豆の甘味であった。 ──── 一息をつけば、一握の沈黙。徐に、彼は口を開くのだろう】


「 ……… 出来る事であれば、こうして貴女様と緩やかに言葉を交わし続けるのは、吝かでないのですが。」
「仕事の話を切り出さねばならないのが心苦しい所です。」「 ───………… そうですね。何から話していきましょうかな。」


【「手始めは ─── "彼女たち"についてが、相応しいでしょうか。」なればその代名詞が誰を指すのかは明白だった。】
【だが存外に緩やかな語調であった。一手を違えれば世界が滅びうる状況であることは、然してこの男にとっては些事であるように】
653 :イスラフィール ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 00:05:01.91 ID:jxmitPmno
>>652

【和室に正座して佇んだなら、洋装でありながらも深い調和を醸し出す、シノワズリとは言い得て妙で、異なる文化圏が此処に交差する】
【例えて言うのであれば、違うアプローチから捉えた美の感触が、同じ箇所で萌芽した様相に近い】
【浮世絵から着想を得たゴッホの筆致に似て、描き出される緩やかな曲線が、形のない侘びに溶ける】


それも一つ後藤様の強みなのでしょう、俯瞰的な視野と多角的な思考の源泉を垣間見た気がしましたわ
水は形の無いその名同様、多くの多様性を受け入れてきた国ですわ、─── 他方、櫻は違います
混血を是とはせず独自の文化を育みました、故にその文化も風流かつ独特

吸い分けるとは素晴らしい表現ですわ、ふふ、今度講演する際の参考にさせていただきます
あらまぁ、いけませんわ、後藤様と話していてはついつい喋りすぎてしまいますの
女を雄弁に喋らせるだなんて罪な殿方ですわ、ええ、全くもう

【潤う口元の所作、睦まじく交わす言葉も愛聴を囁いて、枯れた庭に響くは流麗】
【しかして、するりと入る言葉の変遷、彼女は微かに瞑目する、記憶の蓋をゆっくりと抉じ開けて】
【さながら急須から落とす様に、ゆるりと言葉を響かせる】


この国の治安を預かる人間にとっては頭の痛い事情でしょう、強大な力を持ちながらも人類に敵対する
それでいて決して思慮深いとは言えない発言や行動の数々、童の火遊び程質が悪いものは御座いません
更に厄介なのが、私達は対症療法しか出来ないという点ですわ

今現状、彼女達が動くことによって初めて、私達は対応に向かうことが出来るのです
つまり、此方から攻勢に回ることは能わず、向こうの動きを待たなければなりません
────── 気がついたら手遅れとは、全く無い可能性では無いのですから
654 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/11(金) 00:10:53.26 ID:3Zk31RTho
>>651

【黒い摩天楼の天辺より吹き降ろす寒風は世界の総てがお前を嫌っていると豪語して憚らない。 ─── 夜を照らす無慈悲な月さえ無いのなら】
【小走りな脚取りが公園の入口で立ち止まった。微かに息を切らしていた。見回すように頤の先を動かして、そうして、結局は】


      「 ──── あ、ッ」


【恐らくそれは女だった。幾らか背丈の高い女だった。夜の愛しさを余さず流し込んで、腰にまで伸びる長い黒髪 ─── 乾いた冷たさに靡く】
【円く大きな青い双瞳は驚愕と諦観の碧色を同じ比率で煌めかせていた。それでも夜陰にあって尚も映えて、輝く事だけは止めなかった】
【態とらしいくらいのゴシック・ロリータが彼女の好みであるようだった。フリルに彩られた膝丈のスカートから、手折れんばかりに伸びる純白のストッキング。あどけないローファー】
【儚く透き通る白皙には人らしい血の気さえ帯びていた。 ──── 切り揃えられた前髪より、か細い眉根が愁嘆に揺れていた。瞬き一ツの沈黙を踏み越えて、鮮やかな唇が紡ぐのは、言葉。】


   「 …………… 。」「探したよ。」


【乾いた黒に何もかもを踏み躙られた姿の少女へと、 ──── 彼女は、静かな音階を投げかけた。なにを探したのか。どうして探したのか。】
【それを語ろうとはしなかった。或いは少女なら知っているのかもしれない。彼女は女ではなかった。彼が向けているのは憐れむような視線でしかなかった】
【 ──── 当て所なく、遣る瀬なく、空を仰いでみるのだろう。何も見えはしなかった。携えたパールホワイトのハンドバッグに記されたブランド名に意味なんて無かった】
655 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 00:20:03.28 ID:jxmitPmno
>>649

【────── 不思議の探求者、と彼女は自分の事をそう形容していた、時と場合によっては】
【たまに真理の探究者としたりもしたが、あんまり大きな違いはない、探求が大事なのだ、探究の時もあるけど】
【兎に角、彼女は不思議が好きであった、不思議に魅せられていた、────── ならば】


……不思議というより、不気味という方が正しいかもしれないわね


【あまりの光景に彼女は思わずそう呟いた、呟かずにはいられなかった、そしてその判断は大方正しい】
【異形達は認識するだろう、空中にゆらゆらと揺れる赤い絨毯、と】
【その上にちょこんと座った少女の姿とを】

【軽くウェーブのかかった金色の長髪、大きな碧眼はまだその幼さをはっきりと伝える様に】
【それでいて、背中を開いた丈の短いエプロンドレスに、包まれた胸元は大きく膨らんでみせて、少女らしからぬふくらみ】
【頭の上に乗せた黒いリボンはウサギの耳を模していて、喋る度にふわふわと揺れる】

【縞々のニーソックスに黒いパンプス、お伽噺から抜け出してきた様な可憐な少女であった】


御機嫌よう、素敵な催しね、楽しい歌声に誘われてつい訪れてしまったわ
飛び入りの参加者はお嫌い? 舞踏会は誰の為にも開かれているのが、世の常でしょう
取り敢えず個々の支配人にお会いしたいわ、呼んでくださらない?


【彼女はちょこんと絨毯から降りて、適当な場所に着地するだろう】
【そうして手頃な相手に尋ねる、責任者出てこいと】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/11(金) 00:25:22.71 ID:SRxbEAXk0
>>654

【――さあと冷たい夜風ばかりが何もかも無遠慮だった。その癖に分厚い雲はただのひとかけらも吹き飛ばしてくれやしないのだから、やはり少しだって優しくない】
【あんまりに風に煽られるなら、そのまま凍り付いてしまいそうな痩躯でもあった。――揺らぐケープとスカートのシルエットは、枯れ尾花よりいくらか華やかでも】
【そこに佇むのは幽霊では決してないのだから、当然なのかもしれない。――幽霊よりよほど性質が悪いモノであるのだから。塩を振りかけたとて、嫌な顔をするだけなのだろう】

…………。

【だから当然と言わんばかりの沈黙が彼女が寄越した沈黙だった。ならばやはり当然のように彼女が彼女でないことを知っているらしかった】
【それでも何か他者への礼儀を学んだことがないわけではないみたいに、空を仰いでいた視線を微かに落とすのだろう。――光の角度のせいで、眼の半分までを睫毛の影に沈めて】
【ため息でも吐くような温度感で少女は数度瞬きを重ねるのだろう。――――、それから実際に漏らす吐息は、けれど、或いは以外なまでに当たり前に、白いから】

……どうして? ――前みたいに、また、殺しに来たの? だったら――、――もう、帰って、

【そこからさらにたっぷり十数秒を沈黙して、――見つめ合うにしては、あんまりに疲れ切った目をしていた。思いつめすぎて底をぶち抜いてしまったかのような色であり】
【そしてきっとおそらくはそうなのだろう。ここ数週間の話だけではなく。人生全部の話として。――。それでも紡ぐ声音ばかりが嫌に透き通り美しい鈴の音であるのだから、】
【よく見れば顔もごくあどけなく可愛らしいものであった。親しい友人とカフェでケーキを食べるのがきっとよく似合う造形をしていた。――しかし、今では、錆びついたように】
【世界と絶望と現実とが彼女を錆びつかせてしまったのだろう。それでも決して腐らぬ神様のおまじないでこさえられてしまったから、今ですら、桜の夜露のような様だけが変わらず】

【――だからこそ彼女もきっと絶望しているのだろうから、】

【言葉は責めるほど熾烈ではないけれど、それでも何かの不満を表明していた。――きっと彼女が云っていること、彼にも、意味は通じるのだろうけど】
【ましてここ数日の出来事として、あの薄藤の少女も、この神様と出会ったと言っていた。――それについては「あの人めっちゃ足早いんですけど」「ヒールでしたよ!?」】
【――なんて言葉の通り、しばらく鬼ごっこをした後、逃げられたということだったのだけど。「陸上選手とかなるべきでしたね」――十七歳のアドバイスはどうでもいいけど】

夕月ちゃん、げんき?

【――――――だからこそ彼女もふっと思い出したような声で、そう、尋ねるんだから】
657 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/11(金) 00:38:27.48 ID:3Zk31RTho
>>653

【与えられる賞賛へ気恥ずかしげに後藤は苦笑した。 ─── 気恥ずかしげに振る舞うという事でさえ、小慣れた彼の社交辞令であるのだろう】
【淀みなく続けて綴られる言葉に無精髭を頷かせた。その先を悩ましく幾度か撫ぜていた。後ろに結われた薄い霜髪が揺れた】
【垂れた雫を掬い上げるように返答を綴る。深い嘆息を交えていた。何につけても哀愁を滲ませるのは彼の悪癖であるのだろうか】


「仰る通りですな。現状の我々に可能であるのは希望的推論とそれに基づいた脆弱な事後処理に過ぎない。 ……… 難儀な話です。」

「ですが、 ─── イスラフィールさん。 ……… ある種、彼女たちは一面において、既に我々の脅威ではない。そうも思っているんですよ。」
「無論ながら世界の終わりを演ずるだけの力が、今の彼女らに残されていないというのは、一ツの理由ではあります。」
「であればこそあの場において、白神鈴音を明白に我々と敵対させ、破壊者としてのウヌクアルハイへ信仰を取り戻そうとしたのではないか。 ……… 然し、それ以上に」


【 ─── されど、その内容は突飛さすら内含していた。確度の低い証明は、彼の部下から提言された仮説であった】
【そうしてまたそこで思考を留めはしなかったのが彼であった。 ─── 惜しむように、湯呑の凹凸をなぞる指先が、数秒】


  されど舞台は続く。     
「The show must go on. 」「この世は舞台、人々は皆な役者。 ……… シェークスピアでしたかな。馬鹿馬鹿しい言い回しではありますが」
「現在進行形で綴られる神話としての体裁を取る以上、この物語を真に終わらせるのは、彼女たちの役割ではない。そうは考えられませんか」
「であれば残るのは更にミクロな問題です。個人としてのハッピーエンドか或いはバッドエンドか。その答えを導出するのは、立ち会う連中の役割ですよ。」
「 ……… もっとも今し方の拗れ具合では、たとえ幾らかおれが助言したとして、悲劇に終わりそうなものですがね。動機の矛盾する殺し合いほど不毛なものはない。」


【「おれが懸念するのであれば、"その先"の問題ですよ。」 ─── 焦茶色の瞳を、鳶色と形容する事も出来たろうか。玉露の底を、覗き込む】
658 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/01/11(金) 00:44:53.95 ID:E28tqAKqo
>>655
【彼女のつぶやきが聞こえていたら、異形の巨漢は返しただろう。「私の目にはお前こそ不可思議に見える」と】
【浮かぶ絨毯の上に座す、その現実離れした姿すら可憐な少女】

【流石に、このような形での介入は想定外だったか、異形達の間に一瞬、さざなみのようにざわめきが走る】
【だが、先頭の三つ目が軽く手を掲げると、即座にそれは静まった】


【ふわりと舞い降りる彼女に、すぐに襲い掛かろうというものは誰もいない】
【魅力的かつ手弱女――――少なくとも外見上はそう見える――――そんな相手を前にして】
【首領の精神に接続しているからこその、薄ら寒いほどの統率力であった】


【声をかけられた、人形のように奇怪に整った顔つきに白いドレスを纏った女が反応する】

「いいえ、歓迎する。見せつけるためにやってるって、ボスも言ってたし。飛び入りくらいは想定済み」

【責任者を呼ばれれば、自身の背後を指し示しながら「呼ばなくても、こっちに来てるよ」と無感情に告げた】


【配下たちの間を抜けて、ゆらりとその巨躯が彼女の前に立つ。身長差は恐らく、圧倒的であろう】
【だがそんな少女を相手にこの人数でも、異形は警戒は怠らない】
【束になってかかっても負ける時は負ける。相手が女子供だろうが老人だろうが、秘めたる力には関係がない】

【それをわかっているから、異形はここまで生き延びてこられたのだ】

――――見覚えがあるな。確か、第四回の大会に参加していた
アリス=ファンタジアとかいう……錬金術師、だったかね?

私が、ここの責任者だ。カニバディールという。以後、お見知りおきを
確か大会での名乗りでは、真理の探究者と称していた記憶があるが……ここに来たのも、その探求の一環かね?

【三つの視線が無遠慮に、じっとりと彼女に向けられた】
659 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 00:50:18.67 ID:jxmitPmno
>>657

【イスラフィールは読み解く、目の前の後藤という男は大局を見ている、否、─── 大局すらも看過している、と】
【つい最近似たような理論家に出会った、しかし、アプローチは互いに異なる】
【積み重ねたロジックの萌芽が黒陽だとすれば、狂気的な発想を武器にするのが後藤であろう】

【─── 切れすぎる、とは言葉の綾か、それよりも尚、見せる鋒は鋭利】


結局例の二つは “経過” に過ぎないと、後藤様はそう主張したいのですね
彼女達に残されているのは破滅的な終幕のみ、とそこに立ち会った者達との幾許かで多少は前後するでしょうが
けれどもそれは大局的に世界を揺るがす事はない、ただのありふれたバッドエンドの形でしょう

その先の論述が気になる所ですが、聞いてばかりも些か悪いですわ
少しばかり補足を致しましょう、私と、また別の協力者との会話の中身に触れる事ですが
三人寄れば文殊の知恵、─── 強力すぎる三つの矢である事に疑いの余地はありませんが


【後藤の言葉を聞く前にそこに至るまでの道筋を補完する、挿し花一つ加えれば再び盆に季節は咲く】


この段階でイル=ナイトウィッシュが世界に宣戦布告すること、それそのものに脅威はありませんわ
幾ら彼女が個として突出した力を持とうと、この世界の存在性を揺らがす程のものではありません
他方白神 鈴音もまた同じです、彼女達は確かに神様かもしれませんが、得体の知れない神ほど容易いものはないのですから

けれども、私達は神を相手取りすぎました、─── 特に虚ろと名のつく存在には、散々と振り回されて

幾ら可能性が低くとも、彼女達は何かしらを起こしかねない
そして、私達はそんな何もかもを受け入れてしまう可能性を持っている

────── 私達が危惧しているのは、存外その点であったりしますわ
660 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 00:59:05.03 ID:jxmitPmno
>>658

【白いドレスの女にぺこりと頭を下げる、おばあちゃんの家にお使いをする孫娘みたいに】
【そうして現れた巨躯を彼女は見上げる、首の角度が急すぎて痛くなるぐらいに】
【事実痛かったのだろう、数歩とてとてと後ろに下がって、漸く全貌を視界に入れたなら】

【短いエプロンドレスの裾を握って恭しく礼をする、奇妙に洗練された動作であった】


ふふ、覚えてもらえていたなら光栄よ、その通り、私はアリス、どうぞよろしくおじさま
そうね、私だけ名前を知られているのはあまり心地よい気分では無いわ、素敵な三つ目のおじさま
カニバディールと言うのね、素敵なお名前よ、森の中にいる狼さんみたいに腹ペコなのかしら

残念だけど私を食べる事はオススメしないわ、自分で言うのもなんだけど、食べるとこそんなに無いし
第一勿体無いわ、こんなにも可憐で聡明な少女を食べてしまうなんて、世界の損失だもの
お分かりかしら、ええ、是非とも紳士的なお付き合いをよろしくお願いするわ


【得意げに微笑む、正確にはドヤ顔にちかい、やや自信過剰な様子】


覚えていてくれたのかしら! それは嬉しいわ、ええ、とっても!
人の記憶にに残るだなんてこれ以上の幸せは無いわ、誰かにとっての特別であったならより素敵よ
その通りよ、こんな楽しげな事をされているんですもの、私が来ない道理がないわ!

早速聞かせてもらおうかしら、おじさま達はこの場所で、何故こんな事をしているのかしら?


【表情に浮かべるは満面の笑み、小動物のようにぴょんぴょんmと跳ねて】
661 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/11(金) 01:03:42.68 ID:eU8uW7fXo
>>656

【ならば交わされるのは溜息の応酬だった。 ─── 毅然として結ばれた、男としては潤いに満ち満ちた唇が、なにか拒絶のように息を吐く】
【それもまた白かった。彼の表情もまた白かった。世界すべてが白くあればよかった。光あれと命じられるのならばそれ以上のことはなかった】
【次に交わすのは視線であったろうか。微かに澱んだ碧眼だった。それでも炯々と輝いていた。世界を亡ぼすのだと駄々を捏ねる、幼気ながらも凄絶な横顔に絆されはしなかった。】


  「 ……… 生憎とボクたちは、無駄が嫌いでね。」「事更に弾薬費と事後処理費の無駄遣いをする積もりはない。」
  「更に言うならボクがここに来たのはボク個人の個人的な動機からだ。」「利益相反行為にも成りうるから、まあ、オフレコで頼むよ」


【それでも己れの盟友が犯した不法と無礼については、俯きがちな視線をもって、申し訳の程度は立てていた。白状するのは彼の本心だった】
【斯様な酸素の濃度にあって、どこまでも深刻な面持ちを白々しい嘘の仮面として扱えるほど、彼は器用ではなかった。 ─── 拠んどころないローファーの爪先が、石ころを蹴飛ばす】
【彼の属する組織として、彼の信じる正義として、何らかの暴威を振るいはしない。そう彼は約束した。それは確かに事実であるようだった。然して】
【 ─── 彼のごく個人的な動機より、少女に敵意を向けることまで有り得ないとは、述べていなかった。故にこそ、凡そ下らないことを思い出すような声音と、それの意味する所には】
【直ぐに彼は双眸を瞠して、 ──── 忌々しげに少女を睨め付けるのだろう。いっとう深い嘆息からは、仄かに煙草の臭いがした】


「 ─── お前さあ。」「 ……… どの口で、そんな台詞を吐くつもりだよ。」「腹立つな。」
「まあ、 ……… いいや。あの子が、キミを助けたいって言うから、ボクもそうしてやる。」

「死にそうなほど落ち込んでたよ。」「 ─── 絶対に鈴音ちゃんを助けるって言い聞かせて、宥め賺して、ようやく少しマシになった。」


【「とりあえず、飲めよ。」 ─── やはり諦観であった。対手の好い加減さを責めてもどうにもならぬと彼はよく知っていた。ハンドバッグから投げて寄越される、スチール缶のホットココア】
【「毒なんて入ってないから好きにしな。」対して彼はこの寒い中で缶ビールを取り出していた。小気味好い酵母の炭酸が弾けて、どこへともなく麦芽の香りが消えてゆく】
662 :@mail ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/01/11(金) 01:16:58.89 ID:E28tqAKqo
>>660
【お辞儀をされた人形のような女は、何とも微妙な表情をする】
【この状況下で、わざわざ自分のような相手にお辞儀をするなどと。どこかズレているように思った】
【この奇怪な盗賊どもが言うのは、流石に違うだろうが】

【カニバディールも、また似たような思いを抱える。かつて上流階級の残虐なクラブで働いていた経験からわかった】
【あの見てくれだけは着飾った異常者たちの誰も、この動作の洗練には叶わないだろう、と】

敵だろうと味方だろうと、挨拶は大事だからな。礼には礼を返す。ある程度は、だが
ああ、常に腹を空かせているんだ。名前でも見た目でも、わかってもらえるだろう?

ふむ……確かに量は少ないが、質はこれまで見た中でも屈指の上物のようだがね
……冗談だ。明確な敵ならいざ知らず、この状況ではな。私は怪物だが、それなりに理性の持ち合わせはある

その頭脳がどれほど明晰なのかは知らないが、確かにあの大会での腕前を見るに
相当の技能を持っているようだ。それをただ消費するのは、確かに勿体ない

【自信家ではある。だが、それは確かな実力に裏打ちされている。異形はそう悟った】

あれは見事な戦いぶりだった。結果こそ敗退だったが、見ごたえのある試合だったよ
私の特別になったとして、喜んでくれる相手など世界に数えるほどしかいないだろうがね

……本当に、これを見て探求のために来たのか。新アジトの初めての客としては面白い
だが我々の方は、その好奇心を満足させられるほど面白いことをしているわけじゃあないぞ?

これは、要は嫌がらせだ。あの混沌を煮詰めたような街を牛耳る、『テクノドッグス』の連中に向けた
お前たちの治安維持能力とやらを、我々にも届かせて見せろ、とな

つまりは、喧嘩を売っている。薄汚い盗賊が、権力の尖兵相手に突っかかっているわけだ
この世界では実にありふれた事態だろう?

【アリスから一度視線を外し、彼方に見えるニューロンシティの灯りを眺めながら異形はそう語った】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/11(金) 01:21:30.91 ID:SRxbEAXk0
>>661

【けれどまたきっと伝えるものもあるのだろう。――きっと彼女はごくごく矮小な個人的な納得のために、そのためだけに、ここまで来て、なおも、神様として振る舞うのだと】
【この表情のままで泣きじゃくり助けてほしいのと訴えたらなら、少なくとも誰かは助けてくれそうな顔をしていた。それだけ追い詰められた人間の目をしていた、それでも】
【自分だけが変わることで、あるいは自分だけが我慢することで何かを終わらせることは決してないと、それだけはしないと、俯いた顔の角度が訴えていた、なら、】

――――そう、なら、いいけど。……。

【――別に、彼女は誰かに彼のことを告げ口する気などないようだった。それ以上に、告げ口してやろうと思ったとて、その相手はきっとどこにもいないのだろうから】
【伴侶たる病魔に告げたところで無価値で無意味だとその程度は理解しているらしい。――優しさというにはいくらもどうでもいいと思っているらしい、口ぶり通りだろうか】
【そうして睨まれるのは当然のことだった。ついでにその頬を打ち据えても許されるはずだった。自暴自棄にも似た曖昧な笑み、それでも肌の白と歯の白は微かに色合いが違うみたいに】

――、あのとき、助けてもらってたら、何か、――変わったのかな。――――、わたし、ね、――わたしたちなら、わたしたちの嫌な世界、全部、きっと、変えてしまえるって。
そしたら、夕月ちゃん、しないって。――。えらいね。わたしは。そんなにイイコじゃないから、そんなの、――したくない。

【やけっぱちにも聞こえる言葉は、けれどその実なにも悔やんではいなかった。悔やんでいるふりをしているだけに違いなかった。――それでも微かに未練は残す色をしていた】
【そしたら今までのいのちの中の全部に満ち満ちていた不条理はたちまち晴れ渡ったのだろうか。もう一度瞬きして空を見上げたら、細い三日月が空に見えるものなのかしら】
【"それ"はきっと、かみさまふたりの会話の一部を思い返しているのだろう。――ならば少女は気弱ぶるだけなのだと、お人形さんみたいな顔は擬態であるのだと、】
【――――そうしてきっとその振る舞いはきっと処世術なのだろう。サーペント・カルトより押収された資料には彼女の人生に何があったのかのいくらかを記していた、なら、】

じゃ、助けてよ。今すぐ。

【――ごしょん。そんな音で落ちたのは、放られたスチールのホットココアに間違いなかった。泣き笑いによく似る表情は、やはりどこまでも自棄に似て、】
【世界を滅ぼすつもりなんてもしかしたら最初からないのかもしれなかった。その場の勢いなのかもしれなかった。お母さんなんて嫌いだって叫んじゃった幼子みたいに、】
【いつかアリアと話した時も彼女は世界を滅ぼしたくて仕方ない悪神の振る舞いはしなかったのだから。――――いくらも遅れて、屈むなら、それでようやく缶を拾い上げて】
【少しだけ凹んでしまった淵を指先で撫でてから、開けるのだろう。――、「毒が入ってても、べつに、いいから」――どうせ死ねないのだから】
664 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 01:26:30.70 ID:jxmitPmno
>>662

【借りてきた子猫の様に、カニバディールの冗談に仰天といった表情をして】
【冗談と分かるとほっと胸をひと撫で、ころころと表情が変わる万華鏡の様に】
【褒められると微笑む、本当に嬉しそうな表情は、見てる者さえ笑顔にしてしまう程】


それは大変ね、私なんか直ぐにお腹いっぱいになっちゃって、逆に困っているわ
もう少ししっかりと食べないと身長も大きくならないのだけど、─── ね、いくら淑女と言っても
やっぱりそれ相応のスタイルには憧れを持つの、先程のお姉様も見事だったわ!

ありがとう、でもあれは私の錬金術のほんの少しの姿でしかないわ
惜しむらくは私の想像以上に相手が達者だったことね、でも、次は負けないわ、そうでしょう?
おじさまもそうだとは思わないかしら! ねぇね


【ゆっさゆっさとカニバディールの腕を揺すったりする、頬に浮かべているのはちょっとした意地】


テクノドッグス、ね ─── そんな組織があるのかしら、確か……ニューロンシティといった筈よ
私はああいう雑多な街並みは好きじゃないけど、おじさまもそうなのかしら
行ったことも無いからどんな町かさえ分からないのだけれど、──────

おじさまが喧嘩を売るくらいですもの、相応に嫌な方々が居るんでしょう?
それにしても不思議ね、こええほどの技術力を持っているのに、おじさま方は盗賊だなんて
もっと他の道を選んだりはしないのかしら?
665 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/11(金) 01:37:29.94 ID:eU8uW7fXo
>>659


【押し黙ったまま、後藤は彼女の論理に傾聴していた。 ─── ストーブの上で熱せられた薬缶が、遠くで笛の音を立てているのさえ】
【今や微塵も重要ではなかった。「 ……… 有難い要約ですな。そういうことになります。」今一度、彼は肯定した】
【恃みうる識者が1人でないことは彼にとっても喜ばしい事であった。長広舌に乾いた口を潤すように、水位を降ろす、緑茶の色合い。】


「"スナーク狩り"の結末は、おれも知っていますよ。」「果たしてプージャムと出会ってしまったか、一行は忽然たる失踪を遂げる。」
「そして彼女が司るのは不条理だ。この物語の文法に則って記述すれば、その不条理は条理と成るでしょう。」
「問答も理屈も無用のうちにおれたちを消すだけの力を、彼女らは手に入れるかもしれない。 ……… もう少し、敷衍して考えてみましょうか」

「舞台はその内部に物語という合理的空間 ─── 即ち擬似的な現実を想定するからこそ、非現実的な行為が奇異で特殊な物であり得る。」
「無論われわれの生きるこの世界がそうであるとおれは言いません。 ……… ロールシャッハの一件は部下から伺いましたしね。」
「彼の取った手法の矛先はわれわれに向けられていたようであり、然して本質はそうでなかった。 ─── 例えば、サクリレイジのボスさん。おれが思うに、彼は恐らく典型例だ」



【極めて晦渋な言い回しをしていた。 ─── 舞台から物語が剥奪される事の脅威を、彼もまた認識してはいるようだった】
【世界に共通の文法として蔓延した現実を放逐すればルールのないゲームが始まるに疑いはなかった。そして少なくとも後藤たちは、ルールのある世界を生きていた。】
【彼は言葉を続ける。心なしか、その口角は笑むようであった。 ─── 微かに降ろされた瞼は、純粋であるがゆえに悪意にさえ似通っていた。そして恐らく、彼はそれに無自覚だった】


「ねえ、イスラフィールさん。こうは思いませんか。」「 ──── 真の意味で悪辣だった神など、この神話には存在してこなかったのではないか。」


「鵺と呼ばれた少女は己れが神であるという自覚さえ無かった。スナークはその出自故に人間を憎悪し、われわれへの復讐を誓った。」
「レッド・へリングやアナンタシェーシャ、シャーデンフロイデは生理的欲求を満たしていたに過ぎず、ウヌクアルハイは自覚さえ疑わしく」
「ジャ=ロとエカチェリーナは己れの理想の為、ロールシャッハは己れの大義の為 ─── 彼らの動機は何れも極めて、いっそ人間的でさえある。」

「悪辣と即興の神話を僭するには何れも片手落ちではないかと問うてるんですよ。 ……… われわれが"理解できてしまう"悪意で全てが終わるならば、余りにも手緩い話ではないでしょうか。」
666 : ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/01/11(金) 01:46:34.85 ID:E28tqAKqo
>>664
【掃き溜めに鶴といったところか。凶悪な盗賊どものアジトに、このような少女が舞い降りるとは】
【悪趣味な冗談――――肉質に対する感想自体は本気だったが――――にも驚いては見せてもすぐに笑顔に切り替えて】

【こちらの美辞麗句も素直に受け取って喜ぶ。残念ながらそれを見て笑顔になるほど、異形どもはまともではなかったが】
【それでも、すでにペースを握られている気さえした。だが同時に。これは『黒幕』の敵を増やすチャンスともなるやもしれない】

見たところ、まだ身長の伸びしろはあるように思うが、食えないものを無理に詰め込むのは逆効果だからな
聞いたかヴァーニア、身内以外から褒められるのは久しぶりだろう

「照れるね」

【相変わらず美しいが凝り固まった表情で、仕草だけは照れくさそうにポリポリと頬をかく人形女を尻目に】
【異形は、アリスに取られた腕が揺さぶられるがままになっていた】

(またこうも簡単に懐に……いかんな、イスラフィールとの一件以来、感覚が鈍ったか……?)

だろうな。公の場で手の内全てをさらけ出すほど迂闊な者は、あの中にはいないだろうからな
相手のサリード=ヴァルマンウェといえば、魔海を活動範囲にするほどの腕利きの冒険者という話だ
あれは。相手が悪かったと言うべきだろうさ

……ああ、次があるなら十分に勝算はあるだろう。こうして探求を続けているのなら、錬金術の腕も大会の時のままじゃあないだろうからな

【出会いからこっち、何とも毒気を抜かれる雰囲気が形成されていた。居並ぶ配下たちも、どうにも手持無沙汰な様子だ】


そう、そのニューロンシティだよ。そこで警察の真似事をやっている武装集団がテクノドッグスだ
あの街の政府から治安維持を任されているという話だが……やっていることは、我々盗賊とそう変わらん

私としては、居心地自体は悪くないと思うがね。息苦しいのは確かだが
良く知らないのなら、不用意に立ち入らないことを勧めよう。テクノドッグスの件を別にしても、治安は良くない


ああそうだとも、飛び切り嫌な奴らがいる

――――似たようなことは、何度か言われたよ。だが、私にはこれ以外に道がないんだ
己の意志で一度踏み込んで、随分多く悪事を働いて、この通り配下も大勢抱えた
立ち止まることは、我々の精神の死だ。恐らくお前はこの先も、決して探求を止めることはないだろう?

方向性はまるで違うが、我々も似たようなものでね

【そう言いつつ、視線はアリスから逸れた。己の言っていることの愚かしさを知っているがゆえに】
667 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 01:49:52.86 ID:jxmitPmno
>>665

【不条理を条理として認めてしまえば、即ちそれは物語の敗北に等しい、我々の世界からあるべき道理が消えてしまう】
【矛盾と合理の隙間をか細く通り抜ける様に、その可能性が残っている事、それそのものが悩みのタネであった】
【私達は虚神に勝利している、ミクロな視点でいえば、けれどもマクロな視点で言えば】


────── 私達は虚神との対峙を通じ、非現実をも受け入れてしまったと、後藤様は仰るのですね
それは自ずと感化される様に、狂気が伝播するのと同じく、無意識のうちに、ええ、無意識の内に
だとすれば今までのインシデントが全て、ここに至るまでの伏線であるかもしれない、とそう読まれるのでしょうか

些か大仰に過ぎるとも思いますが、─── けれども無視出来ないのも事実ですわ
しかし、後藤様の話を聞くたびに私は自らの発想の矮小さを恥じるのです
流石は我が国の誇る特務機関ですわ、頭ばかり大きな議員連中に見習ってほしい程に


【事実そうであった、後藤の論は何処までも狂気的に過ぎる、深淵に立つだけではまだ足りない】
【肩まで浸かった者だけが見出す理外の論理でもあった、論理を否定し合理を棄てた、その上でのロジック】
【続く理論は興味深い話であった、グランギニョルの名、それそのものへフォーカスを当てて】


面白い観点ですわ、確かに、それぞれの虚神達には行動の理屈があります、ええ、それも理解できてしまうものが
言ってしまえばそれは物語の悪役の様です、道理があり、そこに則った悪辣を標榜するのでしたら
現実世界の殺人鬼や能力者の方が、よっぽど悪辣でしょうね、更に言えば ──────


【イスラフィールは微笑んだ、静謐なる和室で、静寂に抱かれて】


────── 政治家の方が、それらよりよっぽど悪辣で悪質ですもの
668 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 02:02:33.41 ID:jxmitPmno
>>666

【天真爛漫を絵に描いたように、鮮やかな原色の少女は確かに極彩色の空間に対する反逆とも言えた】
【けれども、その色合いが妙に調和しているのは、彼女の持つ明度の高い輝きが故に】
【黒が塗り潰す様に、あまりにも濃度が高い輝きは、その他大勢の色を飲み込んでいく】


ヴァーニア、お姉様はヴァーニアと言うのね、素敵な響きよ、声に出すと自然に流れていくもの
探求の中で一つ見つけたものがあるわ、おじさま、─── 名前というものが持つ、素晴らしい力のお話
私達は普段名前で呼び合うわ、それはお互い同士じゃなくて、物に対しても名前で呼ぶの、コップやテーブルみたいにね

口に出すだけじゃ無いわ、私達は頭の中で無意識にそれらの名前を呼んでいるの、呼ばずにはいられないのね
だから私は、自分が見つけたものや、素敵なものには必ず名前を付ける事にしてるの
さっきの絨毯はね、ムシュフシュというの、可愛い名前でしょ?


【同意を求めてくる、キラキラとした両目がノーと言わせない】


あら、おじ様のこともご存知なのね、ほんとに、沢山の事を知ってるのね!
ニューロンシティの事は大体分かったわ、悪い大人が多い場所って認識なら大丈夫かしら
でも不思議ね、そんなに治安が良く無いのなら、人々が暴動を起こしてもおかしく無いのに

────── 特に能力者なら、一人でも大きくバランスをくずすこともできるでしょうに

探求の事を持ち出されたら耳が痛いわ、おじさまの考えが十分伝わってくるもの
でも大切な仲間が増えれば増えるほど、その生き方は大変じゃないのかしら
どんなに立派な羽を持っていても、飛び続ける事の出来る鳥はいないわ
669 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/11(金) 02:05:30.30 ID:eU8uW7fXo
>>663

【 ─── 気に食わない女の面構えに手を上げる、決して彼は優しくなかった。斯様な真似をしたのは一度きりであり、彼の誰より愛する想い人に対してのみだった】
【そして今やそれすらも決して有り得ないのだから相違なく服従を誓っていた。 ─── 破滅的と呼ばわるより他に有りはしない少女の挙措から、何も読み取れぬほど愚かでもなかった】
【仮に彼の憎むところであり彼女の愛するところである不条理の病魔を呼び付けたところで開かれるのは戦端でしかなかったのだから如何だって構わぬ話であった。何もかも吐き捨てるような横顔の白皙は、冷たくて仕方がない】


     「 ……… 知らねえよ。」「知ってるけどさ。」


【鬱陶しげな言葉が何に対して紡がれたのかさえ截然とはしなかった。 ─── ただ少なくとも、彼は酷く白神鈴音という人間を憎んでいながら】
【それでいて単純な憎悪以上の鬱屈した情念を隠そうともしないのだった。一気に呷り飲み下したビールの空き缶を、世界のルールへ中指を立てるように放り捨てた。アルミの転げる軽い音】


        わたしは耳と目を塞ぎ、口を噤んだ人間になろうと考えた。
  「I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes.」
  「 ……… おんなじ質問、多分ボク以上に親しい人から、何十回とされたろうから、聞かねえけどさあ。」

  「 ──── キミの気持ちが解るなんて、軽率な事は言わねえよ。」「キミのやりたい事、今すぐやめろって言い方もしない。」
  「ただ、さあ。」「 ……… キミが酷い遣り方をすると、さあ。」「キミの大切な人や、ボクの愛しい人が、ひどく悲しむんだ。」

  「もう少し別の遣り方で、キミの願いって、叶えられねえのかな。」「ボクなんかは割と妥協人間だから、そう思っちゃったり、する訳。」


【徐にごく古典的なペーパーバックの一節を諳んじるのであるから余程に情緒が不安であるのだと容易に察し得た。傲慢な言葉の言葉尻は痩せ衰えるように儚くなっていった】
【少女もまたライ麦畑の捕手であろうとしたのかもしれない。然してライ麦畑で捕まえてほしかったのは誰よりも少女であるに違いなかった。少なくとも見つかったのはバナナフィッシュに過ぎず】
【故に冷たい石畳の上へ膝を抱えて蹲る彼の言葉まで冷え込んでしまうようなのだろう。 ─── ハンドバッグから取り出したベープを、酔いが回る前に咥えて、暗い空を仰ぐ】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/11(金) 02:27:21.42 ID:SRxbEAXk0
>>669

【心の奥底では確かに欲しがっていたはずの暖かなココアに、けれど彼女はなかなか口を付けようとしなかった。かきりと開けられたプルタブが、今の精一杯みたいに】
【伏したまま彼を見やる目は何か淀んでいたから、きっと過去を思い出すときの色をしていた。――あの銀髪の女性が語っていったことを思い出している、なんて、言わないけど】
【このひとをどうしたらいいのだっけ。――。そんなつもりはちっともなかったし今もないから、よく覚えていなかった。全部の関節をへし折ってしまうのだっけ?】

――――――――――そうだとしても、今まで助けてもらえなかった"わたし"に、わたしは、怨まれるの。

【――だから結局彼女は何もかもが羨ましい。少しだって救われてゆく何かが羨ましくて恨めしい。ともすれば自分ですら羨ましくて仕方がないのだ。いつかの自分すら、】
【そうしてきっと未来の自分すら。幸せだったなら恨めしい。救われるのだとしたら恨めしい。――――そして神様の自覚もない"いつか"の彼女は自分の記憶すら引きちぎってしまった】
【数年の間、彼女の記憶はほとんどが虫食いの様相だった。楽しかったり嬉しかった記憶を、祟り神である彼女は嫉妬のあまりに壊してしまっていた。ぜんぶ。ぜんぶ】
【ならばちょうど一年ほど前の出来事により、――ほんの奇跡的な偶然にて、記憶を取り戻していた。誰も知らぬ荒野の果ての出来事。世界はもしかしたら一度救われたのかもしれない】

――じゃ、わたしが、我慢したらいい? 辛いのも、悲しいのも、ぜーんぶ、我慢して。"みんな"のために我慢して……。……誰も褒めてくれないのに。
褒めてくれなかったじゃない。それでちょっと嫌になったら、――、酷いことばかり言ったじゃない。まだ足りないの? ……。

【彼が冷たい地べたに座るのなら、少女は立ったままであるのだろう。夜風に揺らぐスカートは、本来は膝下のお行儀のいいものなのだろうけれど】
【たくさんのパニエを詰め込んで膨らませたなら、膝上の長さになっていた。ふっくら膨らむスカートの豪奢さと裏腹に、その足取りは嫌になるほど華奢であったなら】
【なにかを隠すための服装なのだとは容易く知れた。――、誰が悲しいかなんてもはや関係がなかった。それよりずっと悲しかった自分が慰められるべきだと、】
【――こんなに可哀想なわたしを今すぐ抱きしめてよ。可哀想な子は慰められるべきだと。頑張った子は褒められるべきだと。そして神様は一緒に暮らすものだと】
【不遇へ必死に唱えてきたのに違いなかった。頑張ったら報われる。頑張ったら幸せになれる。頑張ったら。頑張ったら。――。頑張った、のに】

【――――――疲れ果ててしまったみたいな目をして、彼女も、また、地べたに座るのだろう。冷たい石畳に正座の足を崩して、】

わたしの願いって、なに? ……。……わたしの願いって、なんだと思う、――、

【指先を温めたいみたいに両手でココアの缶を包んでいる。開封してしまったのだから、口を付けた方が、温まれるような気がするのに】
【それでも冷たい指先を慰めていたいらしかった。真っ白な息は彼女がきっと生きているって証明するのに、けれど、十六ほどの彼女は間違いなく二十五であるのなら】
671 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/01/11(金) 02:31:32.80 ID:E28tqAKqo
>>668
【そう、原色だ。あまりにも彼女は鮮やかなのだ。だから、この場においても飲まれずに】
【逆にこちらを飲み込んでくる。それだけのポテンシャルが彼女にはある】
【ある意味では、この異形どもよりもこの上なく恐ろしい】

「……褒めるのが上手い子だな」

口に出すこと自体が力を持つ、という言霊の考え方もあるからな
名前は、その最たる例の一つだろう。お前の言う通り、普段から呼ばれ続けるものだ
そうせずにはいられない、それ自体がすでに名前の持つ力の影響を受けているとも言えそうだな

ムシュフシュ……。ああ、そうだな。愛嬌のある、いい名前じゃあないか

【動かないままの顔で、しかしついに顔を背けてまで照れるヴァーニアの横で】
【カニバディールは大真面目に頷きながら彼女の言葉を咀嚼する。事実、興味深い】
【彼女の絨毯の名前については、両目の輝きに完全に押し負けた】


彼については、大会のプロフィール程度のことしか知らないがね
ああ、その認識で問題ない。付け加えるなら、悪い大人も含めて人間の数が非常に多い
狭い範囲でひしめき合っているからな

……流石に、聡明だ。その通りだ、暴動は事実起きている。だが、テクノドッグスはそれをその度に鎮圧しているんだ
現場で指揮を取っている男を遠目で見たことがあるが、なかなかのやり手のようでな
私の見立てでは、おそらく戦争経験者だ。それも、かなりのベテランと見た。一般市民では武装していても太刀打ちできまい

……そう、能力者。その問題に繋がる。彼奴等は、水の国で流行りの『魔制法』を作っている奴らの仲間だ
能力者を規制しようというのだから、相応の対抗手段がいる。テクノドッグスはまさにその対抗手段、能力者との戦いが出来る奴らなのだろう


わかってもらえたなら嬉しいね
……もっともだ。こんな生き方が、長く続くはずはない。いずれ、滅ぼされる

だが、私と手下たちは、誇張なく一心同体なんだ。私の能力で心身ともに繋がった、一つの群体だ
最期には滅ぶ覚悟をして、それでも私と一体となる覚悟が出来る者しか、私は仲間に加えないことにしている

……それに、飛び続けることは出来なくとも、我々の飛距離は恐ろしく長い。そう自負している
672 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/11(金) 02:37:22.99 ID:eU8uW7fXo
>>667

【「貴女の示された問いかけあっての答えですよ。」 ─── 静かな微笑を交えながら、イスラフィールの要約を、彼は肯定する】
【いっそ合理主義者の手法であった。提示された仮定にそぐわぬ一般的な観念を放棄する事で、少なくとも後藤はここまで論を進めてきた】
【古くはゴーストライターと呼ばれた男との対話より、彼はその手法を疑う事はなかった。そういった方法論が現在の危機を招いているのだから、ある種の皮肉でさえあるのだろう】



「政治家の仕事とは手の内を読まれん事です。」「 ─── おれのように策謀をひけらかす人間には向いていない仕事ですな。まあ、それはいい」
「動機が解し難いからこそ、恣意的な欲求を糊塗しているからこそ、その悪意は悍ましく感じられる。 ……… それを突き詰めて行けば、何が残るとお思いですか。」


【その沈黙に後藤は言葉を止めなかった。 ─── ごく愉しげに口角を吊り上げる事をやめなかった】
【くつくつと喉を鳴らして笑う刹那すら有り得た。枯木に吹き荒ぶ冬風が、窓際の雨戸を狂おしく揺らしていた】


「より淵源的な動機を持っていた存在。何らかの目標を達することではなく、言うなれば目標を単に目標と定義し続けてきた、動機なき演出家」
「ただ己れの悪意と感興の赴くまま、子供のような純粋さと残酷さを以って、ドラマティックに物語を進める事それだけを目的とし、この神話のストーリー・テラーを務めてきた何者か。」
「無神論の神とはよく言ったものだ。最初からそいつを語る神話なんて有りはしない。そいつ自身、己れが神であるとは思っていない筈だ。その行為は紛れもなく神のそれでありながら。」

「挙げればまだ有る。次なるインシデントを"世界の終わり"と定義するならば、そのフィナーレを歌い上げるのがデウス・エクス・マキーナじゃ役者が足りない」
「物語の中で繰り返し語られ、絶えず話題の中心となりながら、一度としてその姿を舞台の上に現さない、不在のキャラクター。 ─── そして、不在であるが故に」
「今まで誰一人として、 ……… 恐らくはそれ自身さえも自覚する事のなく物語を進めてきた、誰よりも信頼すべきであり、そして誰よりも信頼してはならない語り手。」



           「グランギニョルの名を冠するには、"そいつ"が最も相応しい。」「 ……… 違いますか。」



【 ─── そうして、後藤は一度、口を噤むのだろう。その言葉は確かにイスラフィールへと向けられていた。だが同時に、決してそれだけでは在り得なかった】
673 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 02:47:06.83 ID:jxmitPmno
>>671

【けれども時に鮮やかすぎる色は、自分の手すらも染めてしまうから、美しさと同居するには危うさ】
【目の前の彼女もまた、色の舵取りを間違えたなら、容易にどんな色にでも染まってしまうから】
【奇妙な巡り合わせであった、けれども、確かに必要な組み合わせなのかもしれない】


だから私はアリス、という名前がとても気に入っているわ、不思議の国の落とし子としてぴったりでしょう?
これからも探し続けるわ、それが私の生きる道で、進む道ですもの
後はそうね、もっと素敵なレディになる為の術も、探さなくちゃいけないわ


【変な所に奇妙な価値観を持っているの様だ、照れるヴァーニアの顔をちらりと見て】
【悪戯っ子の様にほくそ笑んだり、幼い見た目と合わせてある意味傍若無人に】
【掌サイズの世界を遊び尽くす、まさに錬金術師と言うべき存在で】


─── やーな世の中ね、不思議を嫌って押し付けたりするにはあまり賢い手段とは思えないわ
おじさまはどう思うの? 私はあまり、社会というものに詳しくないから分からないの
でもね、本来は法律や決まりは、守る為にあるのでしょう、傷つける為にあるんじゃないわ


【単純な疑念であった、ねぇ、と問いかける声が少しだけ怯えている様にも思えて───】


……そう、強いのね、私には想像もつかないほど、おじさま達は強いわ
そしてとても羨ましいわ、おじさまのお友達は皆、おじさまを信頼しているんですもの
そうじゃなきゃそんな覚悟出来ないわ、私には分からないぐらいに

────── 願わくばずっと、おじさま達が飛び続けていられる様にって


【真摯な瞳が貴方を捉える、幼さは善悪を知らない、彼女はカニバディールの悪辣を知らないのだから】
【小さく欠伸が漏れた、更けた夜の重さを伝えるように】
674 : ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/11(金) 02:54:51.81 ID:GApchYyu0
>>634

【目を見張る剣戟はまるで銀幕の殺陣の如き美しさだった】
【この灰色の街には無い、鮮やかな彩りと生々しさがあった】

【それを見て、ラースは手を打った。ぱん、ぱん、ぱん。と間を開けて】
【安っぽい笑みを浮かべた皮肉と嘲笑で出来た拍手を捧げる】

素晴らしい。私は能力者は嫌いだが…それが高度な技量かつ脅威であることは
重々承知している。生半可な、クソみたいな、能力を過信した白痴とも
生ぬるいことぬかすトーシロのガキとも違う。……ま、それぐらいは認めてやろう。

―――だがもう、どれだけ生意気な口を利いたところで限界のようだな?うン?
野良犬三匹、相手取って。…まあそれが目的なんだがなァ。さっきも言ったとおり
正々堂々真っ向勝負するつもりなんてハナから毛頭ない無いんだよ。

【ラースの左腕に付けられたPDAのようなデバイスが点滅する。すると彼の周りに】
【ホログラムのような残像の光が集まり、それをまとったかと思うとその光は硬質な】
【金属の塊に変化する。――オーウェルは転送装置まで持っているようだ】

【全身に張り巡らされた金属の骨のようなものは外骨格型のパワードスーツ】
【背中には金属製のバックパックのようなものを背負い、其処からは4本のマニピュレーターのような】
【金属の腕が生えていた。多関節のそれは腕というよりかは『蛇』のようだった】

今なら、能力抑制ナノマシンもよく効きそうだ。縛り上げ、刀を叩き折り、能力を奪ってやろう。
折角だ。我々の教育プログラムも受けてもらおうか。――楽しみじゃあないか。

さあ、それまで笑うが良いさ。最後の、最後の、最期の瞬間までなァ!!

HAHAHAHAHA!!!

―――――

【笑い声をかき消す。バイクのエンジン音。ドライバーは黒のシルエット。黒のフルフェイスはミラーシールド】
【ドライバーの片手にはピストル型のグレネードランチャー。構える先は金髪のクソ野郎に向けて】

【バイクの加速とともにそれは弧を描いて発射され、弾ける。】


《―――バンッッ!!》

【青白閃光は導電性の高い付近の金属体―ラースへと流れる。ほんの一瞬の出来事だったが】


―――ッッ!!システムがッ!!

【あれだけ余裕の表情を崩さなかったラースが見るからに狼狽えた。生き生きと動いていたマニピュレーターは】
【だらりとおもちゃのように垂れ下がって動かなかった。―――その隙に。バイクは少女の元へ】


「乗ってください。」

【フルフェイスでこもっていたが、丁寧な女性の声であった】
675 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 03:02:59.37 ID:jxmitPmno
>>672

【時として劇薬は悲劇を招く、後藤の手法とはそれだけのリスクを背負う方法論だ、討論ですらそれである】
【いっそ実証的な、実務的な場面ではどれ程に危険であるのだろう、しかし、実働部隊である八課】
【その課の離職率を考えてみたならば、その有能さがはっきりと伝わるのだから】


ふふ、後藤様は今の立場がピッタリですわ、或いは『黒幕』よりもよっぽど「黒幕」ですもの
下手に悪に染まらなかったのは世界の大きな利益でしょう、知略一つで世界を左右するだなんて戦術家冥利に尽きるのではなくて?
そうですね、私みたいな意地悪な女狐は、意地悪な理論を展開すると致しましょう

それこそ動機など存在しなくなる、ただ何となく、ムカついたからで振るわれる暴力こそが悍ましい
何故ならそこに僅かばかりも一貫性がないのですから、理由のない力程悪辣なものはなくて
逆説的に言えば、虚神は皆が皆、確かな一貫性を持っていましたわ、神話体系としては、殆ど奇跡的に

────── そう、まるで、ええ、そう定められたかの如く


【加速する、後藤の理論が冴え渡る、論理は速度を上げ、どんどんと真実を露わにする】
【彼は描く絵空事を、けれどもそれは理屈の洗礼を浴び、一つの予言として現出する】
【音律が止まった、────── 静寂、いっそ永遠の様な】


────── だとすれば、後藤様の理論が、一片の狂いもなく微塵の破綻もなく正しいとすれば
原初は既に定められていたのでしょう、物語の始まりに、それは確かにあったのだと
ですが、お分かりでしょう、後藤様のロジックは正しい、この上なく、決定的に正しい、そして

“破滅的に間違っていなければなりません” それが真実だと私達が認識してしまったなら
それは即ち私達の敗北を意味すると、私は捉えます、────── 捉えざるを得ないのですから
676 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/01/11(金) 03:03:41.49 ID:E28tqAKqo
>>673
【そんな彼女の危うさをも、無意識に感じているからこそ、カニバディールは手出ししないことを選んだのかもしれない】
【容易に染まり得るし、容易にこちらを染め返し得る。十分に恐れるに足る】

なるほど、不思議の国を冒険するお伽噺そのままというわけか
確かに、他にないほど似合いの名だ。きっと驚きに満ちた旅路なのだろうな
レディになるための手段は、この場では到底望めないのは残念だがね

【怖いほどに純粋。焼き付いた印象はそれだった】
【力ある子供、と言えばその恐るべきは伝わるだろうか。良心や分別も持ち合わせているようなのは、この上なく幸いだ】
【世界は彼女の手の中にある。そう錯覚してしまいそうなほどに】


まったくだな。ひどい時代になったものだ
私は強く反対するね。私のような悪党が言うのは滑稽だが、それでもあの法律が幸福に繋がっているとは思えない

……詳しくないからこそ、核心を突くな。その通りだ。決まり事で人を殴っていては世話がない
だが、大多数の人間はそんな簡単なこともわからないのさ。それほど、不思議を恐れる人間は多いということだ
わからない、ということは、お前にとってはワクワクすることだろう? 探求というのは、わからないもののためにあるのだから

しかし、そんな冒険心を失った大人はこう考える。『わからない。だから怖い。怖いから消えて欲しい』、とな

(その恐怖の一端を担っているのは、間違いなく我々だろうがね)

【怯えを見せる彼女を、さらに脅かすような言い草だが。これも、この世界の一側面であるのは確かだ】


過分な言葉だが、ありがたく受け取っておこう
信頼を預けられる相手を、これだけ増やせたのは喜ばしいと私も思っているよ

……ありがとう。私も、お前の探求の道がどこまでも伸びていることを願っておくとする

【柄にもなく、ばつが悪い気持ちを抑えつつ。彼女は知らない。仲間たちの信頼と言えば聞こえはいいが】
【その信頼がために、強いて来た犠牲を。その底に流れる闇を。彼女は知らない】
【それを教えようと思うほど、異形どもはお人よしでもない】


……そろそろ、寝る時間かね?
677 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 03:09:46.07 ID:jxmitPmno
>>674

【彼女の凛々しい横顔が更に険しさを増した、ラースの掌の上、全ては仕組まれたイカサマの賽】
【勝機は絶望的であった、テクノドッグスの猟犬達は装備もさながら技術の高さも遥かに高く】
【─── そしてその両方をもラースは凌駕するのだ、唇の端に怯えが宿る】

【彼女はそれをかみ殺す、痛みと震えと屈辱を、全て飲み込み目の前の相手へと相対する】
【気高き頬は荒野に咲く花の如く、折れてもなお咲き続ける様に】


────── っ、だ、だれ……っ


【声が漏れた、思わぬ乱入者に彼女自身驚きを隠せなかった】
【近づくバイク、一瞬躊躇いを見せるが、直ぐにそれを搔き消す、彼女は直ぐにバイクへと乗るだろう】
678 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/11(金) 03:16:10.69 ID:jxmitPmno
>>676

【彼女は世界の汚い部分を知らない、それは同時に彼女の持つ最も大きな損害とも言えた】
【一つ二つと頷く、父の言葉を聞く娘の様に、カニバディールの言葉は耳に心地よく】
【それでいて理路整然とした響きを携えていた、彼女の中にも宿って】


哀しいわ、世界はこんなにも不思議に満ちていて、こんなにも素敵なのに、それを受け入れられない人がいるなんて
でも、私はやっぱり、不思議を追う事をやめないわ、私はこれからも探求を続けるの
だってそうでしょう、そうじゃなきゃ不思議の国が可哀想よ

能力って不思議よ、この世界は何もかも素敵な不思議と不安に満ちていて
だから私は歩むのをやめない、いえ、やめられないの
歩み続けるその道に、私は誇りを感じていたいもの


【そう言ってもう一回大きく欠伸をした、目をしばしばと何回か擦って】


─── そうね、久しぶりにはしゃぎ過ぎてしまったわ
それじゃあねおじさま、また何処かで会いましょう、その時は沢山のお土産話を持って!
夜は寝かさないわ、いっぱいいっぱい、不思議なお話をしてあげるんだから

────── またね、ごきげんよう!


【ぴょん、と絨毯に飛び乗って、彼女は去っていく、春風の様な爽やかさを残して】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
679 :スクラップズ ◆moXuJYo6C0cW [sage saga]:2019/01/11(金) 03:28:51.11 ID:E28tqAKqo
>>678
【知らないということは幸福でもあり、不幸でもある。この無知は果たしてどちらだろうか】
【少なくとも、カニバディールは彼女の探求心を知ればこそ、それを阻むことになるだろう】
【『黒幕』たちの存在を匂わせたことが、彼女の不利益になるとは考えなかった】
【この調子で探求の道をひた走れば、いずれはどこかでぶつかるだろうから】

まったく嘆かわしいことだ。お前ほどじゃあないだろうが、私も知ることは好きな方でね
その嘆きは、理解できるつもりだ

その通りだ、探求されてこその不思議の国だよ。誰にも知られないままじゃあ、不思議であることすらままならなくなるからな


誰もが、お前のような認識を持っていれば、世界はこうはならなかっただろうがな……
お前が歩みを止めない限り、何があろうとその誇りが色あせることはないだろう

【これほど雄大な心を持っていて、それでもこういうところはやはり少女である】
【アリス。ある意味では、彼女自身が最大の不思議なのかもしれない】


そうだな、是非また会おう。土産話、楽しみにしているよ
一晩中でも付き合おうじゃあないか

ああ、ごきげんよう

【飛び去る絨毯を手下たちと共に手を振って見送る。この場には似合わない、爽やかな去り際だった】
【彼女が見えなくなれば、異形どもは要塞の中へと散っていく。新たな悪だくみのために】

【翌朝。『ニューロンシティ』経済水域を一部占拠する異形どもの要塞のニュースは】
【『スクラップズ』への世間の更なる憎悪をもって取り上げられたという】

/ありがとうございました!! お疲れさまでした!
680 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/11(金) 21:20:37.78 ID:LOTOtbTDo
>>670

【理解し難いと言いたげな横顔だった。 ─── 理解なんてものは概ね願望に基付くものであるとも、誰かが言っていた】
【なれば努めて彼は踏み入ろうとしなかったのかもしれない。既に彼は一人、哀れまれるべき命を救っていた。それに心血の全てを捧げていた】
【目に映る命の何もかもを救おうとする生き方が、畢竟おのれを殺してしまうのだと、人殺しである彼はよく知っていた。であるならば】
【少女が悲しげに紡ぐ一音節ごとに青筋を引攣らせていた。 ─── ぎしり、白磁を歯噛む音がした。細められて切れ上がる眦は、悽絶に決して】


「 ─── そうかい。」「結局キミは、ボクの愛しい人が悲しむ顔を見たいし、叶う事なら殺してやりたいと。そういう事だな!」
「そんなつもりじゃあないなんて言い訳は要らねえよ。」「 ……… 少なくとも、ボクにとっては同じ意味だ。あの子にとっても。」

「責めるつもりはねえよ。」「 ……… ボクがキミの立場だったら、同じ事をしてたかもしんない。だったら好きにすれはいいだろ」
「今ここでボクをブチ殺してみるか?」「 ─── シグレの大泣きする顔が見られるぜ。どうせなら全部ブッ壊しちまえよ。なあ。」


【一通り吐き捨てて彼は嘲笑った。 ─── 愛しい人が護りたいと願ってやまない彼女を、どうしてもやはり、彼は好きになれないようだった】
【己れの哀れさを声高に叫ばれるのは忌々しいようであった。例えその半生が不遇を託つに相応しいものであったとしても嫌っていた】
【当世風の電子烟草を紅い唇に添えて、不貞腐るように吸い込むのだろう。形のない絹織のように、虚空へと消える、紫煙。】


「 ……… ボクに聞くなよ。」「本当にキミってのは、徹頭徹尾、ムカつく奴だな。」
「独りで悩んでっから頭もおかしくなるんだ。 ─── キミには、友達が沢山いるんだろ?」
「まだ一人か二人くらいは、 ……… キミの面倒臭え我儘に付き合ってくれるような奴も、いるだろうさ。そいつらに打ち明けちまえばいい」
「恋人には出来ねえ話ってのもあるだろうし ─── 気が晴れるまで話に乗ってくれるだろうよ。存外、シグレは愚痴聞きも好きだからな。」


「どうせキミが何をやったって、世界はどうにもならねえんだからさあ。」「 ─── なら、せめて。自棄っぱちでそいつらまで悲しませるのは、気が早いってもんだと、思わねえのか?」


【立ち上がりながら、 ─── 彼は向き直るのであろう。甘酸い柑橘の芳香がした。閉すように細められた白い瞼の間隙より、睥睨して】
【否と答えるならば彼からそれ以上述べるべき事はなかった。答えなど最初から有りはしなかったということなのだろう。訳もなく臓腑と髄質を震わせる夜風が、寒くて仕方ない】
681 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/11(金) 21:34:30.78 ID:LOTOtbTDo
>>675

【万雷の賞賛を受けるには、幾らか矢張り風格の足りぬ男であった。なればこそ、斯様なほど有り得てはならない議題へ言及するに相応しかった】
【底冷えるような室温に沈黙さえも冱つるようであった。 ──── 徐に続けられるイスラフィールの言葉に、彼もまた静かに頷くのは幾度目か】
【もう一口だけ彼は玉露を啜った。それで全ては終いであった。灰色の陶に淀みながら冷え行くのは、暗い色合いの緑でしかない】


「われわれが彼の、或いは彼らの掌中から逃れる手段は、 ─── 手段だけは、少なくない。しかし、望ましきものは限られる。」
「極論を言えば今ここで物語を終えれば、われわれへ関わり得る手段の全ては失われるでしょう。 ……… だが同時に、"語り得ぬ事に対しては、沈黙せざるを得ない"。」
「不条理を司るスナークが援用するには御誂え向き、相応しかろうというものですよ。不条理を不条理と認識しながら、われわれはわれわれである為の条理を再構築しなければならない。」
「 ……… まずもって興味深いのは、その相互干渉的な在り方です。これを物語と呼ぶのであれば、結末はまだ記されていないと判ずるのが適当でしょうが、 ─── それ以上に。」


【嵩ついて乾いた唇を閉ざして、彼は暫し沈黙した。それは明晰な思考の導出に似ていた。だが何かを逡巡するようでもあった。】


「おれの推論では、その神格は今なお曖昧かつ無自覚だ。 ─── なれば、ここで多くを語るべきでは、ないのかもしれませんが。」
「更に申し添えましょう。"それ"と"われわれ"は連関性を持つ一連托生であり、双方向的に影響を与え合っている"ように見え"て、両者の間には重層的決定的な懸絶がある。」
「丁度それは先のインシデントで、サクリレイジによって指摘されたように。 ……… であれば、来るべき問いに提示する理論武装も、まだ考えられるというものです。」
「推測の域を出ない事ですが、彼らに自覚がないのであれば、彼ら自身も神へ仕立て上げられる結末など望んでいない筈だ。 ─── この物語は、虚構の神話であるのだから。」
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/11(金) 22:00:20.06 ID:br0q2QRR0
>>680

【ならばやっぱり瞳はどこまでも淀んでいた。少なくともいくらかの人間にそうなのだろうと期待されているみたいに、優しさを抱きかかえて生まれてなんてこなかった】
【自分がしあわせに生きてゆけぬ世界であるなら他者がどうなっても構わないと言いたげで、けれど、同時に、同じくらい、誰もがしあわせであってほしいと願っているらしい】
【悉く考えのすべてが張り裂けてばらばらになってしまったのかもしれなかった。未だそれを従わせる方法を知らぬのかもしれなかった。そうだとしても一緒だから】

そんなこと言ってない。

【黒いタイツのみの足が石畳にたくさん触れるのは寒くて仕方がないらしかった。ゆるり膝を立ち上げたなら、少女は、そのまま抱えてしまうから】
【もらった缶は地面に置いてしまっていた。飲み口から立ち昇る煙は秒速で死につつあった。冷たい石畳の温度を余すところなく伝えてしまうアルミは愚直が過ぎても】
【きっと彼女だって同じようなものだから。そのままふさぎ込むように顔すら隠してしまうなら、ようく手入れされた黒髪の艶と、つむじの右巻きすら見せつけて、】

興味ないよ。

【そのままの恰好で首を揺らすなら、じゃりと髪の擦れる音すら聞かせるのだろう。――それくらいに静かな夜だった。どこか遠くから微かに電車の音がする】
【何もかも怨んで壊してしまいたい神様にしては大人しすぎた。けれど何もかも抱き留め護ってやりたい神様にしては破滅的すぎた】
【ならば本当は死にたいのだろう/みんなに受け入れられて生きていきたいのだろう。同じ口のままでメトロノームみたいにふらふら揺れる言葉を繰り返すのすら止められないのに】
【世界だなんて滅ぼせるはずもなかった。――。目の前の人間一人すら殺す気がないのだと言う。その癖に世界全部滅ぼしたいのだと言う。結局なんにも出来やしない、出来るはずない】

……………………。当たり前に、いきたいの。大人になりたかった。お父さんとお母さんが死んじゃうのだって、もっと後が良かった。……。
大人になったらしたいこと、たくさんあった気がするの。――――もう、忘れちゃったけど。お嫁さんだって、辞めるつもり、なかったの。でも、しょうがないから。
へびさまをしあわせにしてあげたいの。……。……できないよ。どうしたらいいのか分かんないのに。……。――いっぱい、頑張ったのに。がんばった、のに。
がんばったのに、酷いよ。黒幕も円卓も大っ嫌い。人間も嫌い。嫌い。みんな嫌い。――。セリーナに会いたい。セリーナ……。……。――。

【けっきょく彼女は未練がましさに生まれ落ちた神様であるなら、本来ならばいつまでだって自分の矮小な事情に終始するものなのだろう。そうして怨む神様でしかないなら】
【自分が神様だなんて気づかない方が良かったのかもしれない/だけど自分が何かを知らないまま生きていくことほどきっと辛いものもないのだろうから】
【泣きじゃくり縋り付くような声にて呼ぶのは長いあいだ表舞台より姿を消している"正義の味方"の名前、――】

……。カルラを、助けてあげてよ。もうすぐ十歳のお誕生日だったのに。黒幕さえ居なかったら、――、――のに、……。

【――なんでもできる万能な神様に誰より祈っていたのは彼女自身なのかもしれなかった。助けられなかった子の名前を呟いても、きっと、彼にその意味は通じないけど】
【"カルラ"なる誰かを彼女は助けてあげてほしいらしかった。もはや彼女にはどうしようもできないことであるらしかった。――手を貸すなら恩を売れるかもしれなくって、】
【けれど今更そんな風にする義理も義務も誰にもないのかもしれなかった。そうだとしても、膝を抱えたままの指先に籠る力が、なにか、証明するのなら】

なんでもできる神様になりたかった。……世界を滅ぼせる神様になったら、もう、誰にも、酷いことされないって、思ってたのに…………。

【見下ろすのなら、やはり馬鹿みたいに痩せたからだの少女一人でしかないのだろう。重ねたフリルとレースにしか隠せぬものに取り憑かれ、今にもここで息絶えそうな】
【――、それこそここで彼女を殺してみせたなら、彼はなにか優れたものになれるのかもしれなかった。けれど無意味なことだときっとみんなが分かっていた。彼女すらも】
【それでも何か期待するように流れた黒髪の隙間から除く首筋は白く細く生きていた。――生きてなんかいなかった。どっちが本当かなんて、きっと自分が一番知りたいまんまで、】
683 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/11(金) 23:49:16.26 ID:3Zk31RTho
>>682


    「そうかい。」


【短い返答だった。破綻した内心に寄り添ってやるつもりは毛頭なかった。元より彼はその手の優しさを分け与える事が苦手だった。左薬指に銀色を嵌めるようになってからも同じことだった】
【ローファーの踵が返されて、空虚に石畳を踏み付けた。綴られる少女の言葉に興味はないようだった。正確に言うのであれば、興味はないのだと自認していた】
【決して綻ぶことなく凍りついた横顔の頬には何の残滓もありはしなかった。 ─── 彼女の過去を悲しんでやれるほど、己れは愚かでも賢しくもないと、彼はよく解っていた。】
【それでも、 ──── 何処かで彼は、去りゆく足取りを留めるのだろう。呆れるほどに華奢な純白に包まれた、脚先は行先を知らぬまま。夜の闇に融ける事さえ、ごく長い濡羽色は拒んでいた】


「 ……… 残念だがボクは、キミの泣き言を聞いてやれるほど優しくないんだ。」
「とっておけよ。ボクみたいな人間の前で、そういう顔をするべきじゃない。」


【己れが非道い事をしているのだと彼はよく解っていた。己れは元より誰かを救済するに値しない人間であると彼はよく解っていた。】
【言って聞かせる理屈であることを手放しているならば長々しい説法に何の意味もなかった。 ─── 故に諌言は、ただ短く在り】
【己れでなければ彼女を救い得る光明も萌すのかもしれないと、彼はよく解っていた。知死期のように明滅する街灯は、やがて躊躇うように半端な色合いを宿して、いずれまた輝く。】




        「名前くらいは、覚えておいてやるさ。」「 ─── キミが泣いたら、シグレが悲しむ。それだけだ。」




【然らば彼に出来得る手向けは継承という遺志の葬送のみであった。 ─── いつだって彼は、遣り切れない離別に際してそうしてきた。】
【甘く終わりゆく語末は冷たくも湿っていた。どこまで冷酷に振舞おうとも、彼はどこかで斯く在らねばならない人種であると、暗示する事にさえ何の価値があるというのだろう】
【畢竟に彼の動機は、彼の愛しむ人の願いを叶える為でしかなかった。 ─── 決して振り向くことのない表情を窺い知ることは出来なかった。今に至っては如何しようもなかった。】
【救いようのない言葉だけを残して、今度こそ彼は去っていくのだろう。ゴシックロリータを纏う背にさえ、負うものばかり増えていく。誰がそれを知ることもないのだから】


/このあたりで〆でしょうか!
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 00:05:25.15 ID:2NbvB5QL0
>>663

【そもそも結局のところで未だ彼女は自分の存在を理解していなかったし納得もしていなかった。死んだと言うのに葬式の一つも挙げられたことがなかったし、】
【かといって"そう"しようとしてくれたひとのことは泣きじゃくり止めてしまった。ならば何もかもが曖昧なまま、何も何一つも終わらせてこなかった人間の末路と呼ぶには】
【あんまりに規模が大きすぎた。だけれど結局は二度と部屋から出られないまま世界なんて滅べばいいと呪詛を連ねるのと何一つ違いだなんてなかった。――ただ、少し、】
【破滅的な衝動に人生を任せすぎただけなのかもしれなかった。――。抱えた膝ごと横向きに蹴り倒したなら、そのまま化石になって、アンモナイトみたいに出土されそうなほど】

――――――――――――――――もう嫌……。

【ならば呟きはもはや彼への言葉ですらなく、ただ、内心に対するものなのだろう。頑なに閉ざした表情が伺い知れないなら、ただ、声ばかりが無惨な有様を想像させ】
【みんながみんな、大事に想うひとへの気持ちを分けてくれたならよかったのに。空ですらほんのひとかけらの月明りすらくれない夜に願うには、高望みすぎるのだとしても】
【――気づけば飲み口から立ち昇る湯気すら消えていた。だからもはやだれが飲むはずもなかった。それはもはや暖かさと甘さと優しさとを伝えてくれる概念ではないのなら、】


【けれど広場に誰も居なくなった時、置き去りにされたスチール缶の中身はないのだろう。生まれてこなければよかったと思ってしまいそうなほどに、冷たかった】

/おつかれさまでした!
685 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/12(土) 11:52:31.17 ID:Ea/MylnW0
【郊外―――空地】


【吐く息が白く、時折白い雪とも霙ともつかないものが空から降ってくる。】
【頬を赤く染めながらスーツの上から不格好に着たエプロン姿で業務用の鍋を掻きまわす。】
【旧市街≠ゥらも近いこの地区には行き場を失った孤児や浮浪者も多く存在している。】

【かなり急ごしらえで自治体に申請をして、道具と食材を集めて、なんとかそれっぽい形にした】
【運動会等でも使われるテントは風が吹きつけ、寒い。】

【―――まだ昼前だがテントの前には列ができており、少しでも早く提供できるように雑炊を器に入れる。】
【(やっぱり一人だと大変だ………)今更になって実感するが、食物を扱うので気を抜けば危険だと自分を奮い立たせる。】


【現在集まっているストリートチルドレンや浮浪者は20人程度だが、お腹が膨れた後は今後≠ノついて話さなければならない】
【半強制的に施設に入れることもできなくはないが、彼らにもどんな形であれ生活≠ェある。】
【そこと向き合って、話し合わなければならない。少しでも前向きになるように。】


【―――寒さを知るから、暖かさが分かるんだと】



【一回だけで終わるわけにもいかない、今後どうしていくかを慣れない料理で傷ついた指を眺めながら考える。】

【そして料理の提供がひと段落すれば自分のスマートフォンを眺めた。】

【あれから連絡はない、こちらからパラパラとメールはしてみたがきっとスマートフォン自体をみていないのかもしれない。】
【白い息を吐き出しながら、かじかんだ手で画面をタッチする。】


【From:正義】
【To:鈴音】
【title:こんにちは】

『鈴音へ』
『一方的にメールを送ってばかりですみません。』
『寒い日が続いていますけど、風邪など引かれていないでしょうか。』
『やっぱり一人だと色々大変ですし不慣れですね!』
『特に料理は「お姉ちゃんの料理、不味い」って6歳の子に言われてしまいました…笑』
『料理とか、運営方法とかいろいろ教えて欲しいです。』


『前も言いましたけど俺は何があっても鈴音の味方ですから。』
『俺が守ります、鈴音を。』


【空になった鍋の写真を添付する。】
【そして一瞬躊躇してから、メールを送信した。】
【あまりにも無知な内容だった。これから起きうる事を知らず、彼女の事を知らず、ある種無慈悲ですらある内容だった。】

【―――ただそれでも、彼女/正義≠ノとってはまごう事なき本心だった。】


【空の灰色は変わらない。】


//ソロールです。
686 : ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/12(土) 12:06:34.57 ID:Ea/MylnW0
【廃ビル―――屋上】


【どこかの廃ビル屋上、敗れたフェンスから除く景色は冷たく灰色だ。】
【前からそこにあったのかそれとも持ち込んだのか、赤いスーツの銀髪の女は木製の椅子に腰かけている。】

【遠くに見える都市の活気を見ながら、ただ女はそこに座っていた。】


もはや私の出る幕でも無し、縁≠フある人々で物語は紡がれるべきさ。
世界の終焉≠ゥ、それとも新しい夜明け≠ゥ。どちらにせよ不利には変わらないだろうね。

彼ら/虚神≠ニの闘いは長く続いているそうだけど、その中で多くの流れが生まれ過ぎたのさ
そしてそれに関わる人々も優れ過ぎた=B

考察、激情、対策、想定―――全てが深すぎたんだよ。

この神話はもしかしたら∞まさか≠ニいった思考を媒介にして成長しているのではないか。
であるならばその物語に関わる人々が優秀であればあるほど巨大な力を持って世界を飲み込んで―――結局これも同じことだね。


単純に、無慈悲に、幼児向けアニメのように敵をただ力で屈服させれば終わっていたのかも


全てはたられば、全ては妄想、全ては虚構。


【女は独り言を続ける。】
【それは単純に女がした考察に過ぎず、意味のないものでもあった。】

【女は楽しそうだった、銀髪を風で揺らしながら笑い虚空を眺める。】



―――虚構現実≠ヘ本当に不幸な未来≠ネのだろうか。



【それは結局、書き手≠ノ委ねられることだった。】


//連続ですみません、ソロールです
687 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/12(土) 12:50:49.22 ID:L6LzbpG0o
>>681

【耳に深いはノイズ、雑音すらも滑稽に、彼女は寸刻の轍を愉しんだ、失意と決意と、その隙間につり下がる波及】
【身に纏う雰囲気が変わった気がした、事実変わったのだろう、変えてしまったと言っても過言ではない】
【恐るべき可能性があった、けれどもそれは示唆されてしまった、ならばそれは然るべき意味合いを秘めて】


──── ゴトウ様、貴方様の推察は正しいのでしょう、ええ、いっそ、正しすぎたとも言えます
そしてそれは正しくありすぎてはいけませんわ、確かな論理に導かれてしまえば、虚構が正当性を得る
私達の間でしか伝わらない符号の様なものです、暗黙の了解が増えることは首を絞める事に他なりません

寝た子を起こすな、とは言い得て妙ですが、──── もうそれでは足りないとさえ私は思います
最早私達に出来ることは警鐘だけでしょう、覚悟する事とも言い換えられますわ
少なくとも可能性の一つとして、決定的な破局を定められた未来として、受け入れること



──── それが最後の際の際、勝敗を決するのかもしれませんわ



【彼女は席を立つ、続けられた論議は一つの帰結を選んだ、それ故に彼女達は知ってしまう】
【舞台に秘められたレトリック、最序盤で退場しておきながら、物語の最終盤で回収される伏線】
【或いはきっと、彼は見ていた、死体の振りをして、無辜を装ってほくそ笑みながら】

【去り際に一つ、彼女は今気付いたと言いたげに、──── そう紡いだ】


例えばスナークが不条理である様に、私達はそれそのものを指し示す符号を知っていますわ
ええ、大なり小なり、荒唐無稽な彼女達の一片を知る手がかりとして用いていますけど
それは正しくお誂え向きなのですわ、私達が虚神達を相手取るのに、吃驚するほど、ぴったりと

──── だとすれば、それは、破滅した現実からの、贈り物なのかもしれませんね


【彼女は消える、──── ゆっくりとその場を後にして、残すのは謎と、少しばかりの疑問と】
【その意味合いは果たして、貴方の実像に届くのだろうか】


/このあたりで一旦閉めます! お疲れ様でした!
688 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 13:35:17.39 ID:NMykxgUoo
>>687

【ただ後藤は唇を緩めていた。気怠げに唇を緩めていた。愉しげに唇を緩めていた。そうして、イスラフィールの言葉に同意を示した】
【物語を知ること、紡ぐこと、紡いだ物語について語ること。そして物語を紡ぐことについて語ること。 ─── これらの行為の間には如何なる共通項も存在しないし、】
【複数の人間の間においてはもちろん同一の個人によっても、一編の物語が同じ体験として我々の前に立ち上がることは、テキストとしてのストーリーが単一の存在であるという幻想を前提としてしかありえない。なればこそ、彼は見送った。】



「ある物語を正確に語ることが可能な場所。そんなものがもしあるとするなら ……… 。」
「それは現に進行しているその物語の中において、他にないのかもしれない。」

        テキストの外側など存在しない
         「il n'ya pas de hors texte ──── か。」「いやァ、全くデコンストラクションな物語(ナラティブ)、ですな。」



【独り取り残されたまま、消えゆくように彼は言ちた。 ──── これ以上は己れの役割ではないと、彼もまた知っていた。】
【残された羊羹を一ツ口に含んで、彼は大きく伸びをした。庭先の枯木が儚く乾反り葉を揺らして、落ちた】

/わたしからもこのあたりで!おつかれさまでした&ありがとうございました!
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 13:45:16.36 ID:KNy7E7ko0
>>685

【――――音がするのかもしれない。しないのかもしれない。バイブレーションはオンだろうか。そのどれでもよかった、ぽつり、着信を知らせて】
【ならば差出人はまごうことなく"彼女"だった。――。白神鈴音。それ以上でもそれ以外でもない文字列は、けれど、相手が登録した通りに表示されるのなら】
【それでもやっぱり彼女であることに間違いはないのだろう。――正義の送信した時刻より、いくらも遅れていたから、やっぱり、普段、携帯電話を気にしないのかもしれない】

【いつもお返事遅れてごめんなさい。風邪は引いてないです。だいじょうぶ。ありがとうございます】
【ほんとうにやってくれたんだ。ありがとうございます。お料理は、きっと、正義ならすぐに慣れると思います】
【それでも分からなかったらUTの棚に私が書いたレシピがあるので見てみてください。落書きばっかりで、見づらいと思うけど】
【それから、マニュアルみたいなものもあるから、それも、よかったら。それから、マリアって人とも、出来たら、お話してみてください】
【たんぽぽにお金を出してくれている人で、きっと助けてくれるから】

【ごめんなさい、ありがとう】

【――変に丁寧なメールを送ってくるのがいつも通りだった。それでも文字列はあんまりに無遠慮に、書いた以上の感情を伝えてはくれないから、】
【それ以上のなにも伝えやしないのだろう。画面に水玉模様が描かれてるのだとしても。それを指先が掻き混ぜてしまう光景も。――。――表情すら伝えないのだから】
【添付の画像もない無機質さだった。或いは撮って楽しいもの、なにもない場所に居るのかもしれなかった。――灰色の空を送り付けるのは、あんまりに、あんまりな、気がして】

/ちょこっとだけお返事のやつです!
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 13:54:42.15 ID:qAC+HY+0O
てす
691 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:06:09.02 ID:L6LzbpG0o



 

                 【羨望と憧れと、──── ううん、多分、それだけじゃ全然足りない】




       【原初の感情はもう潰えて、残るのは形にならない芥ばかり】             【それでも必死に掻き集めて、形にしよう】







                                                  【きみと、ボク】






         【ぼくとキミ】             【一体どちらが先にあったんだろうって】 【思う】




       【ボクはボクで、キミはキミで、でも、ボクにはぼくもあって、──── それでもキミはキミのまま】






                   【でもいいさ、──── でもいいんだ、とても、とても】







                                        【焦燥感が胸を妬く、──── 金切り声、病葉、酔歩】
692 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:06:19.91 ID:L6LzbpG0o




    【時間を極限まで引き延ばしたら、それは連続する点の集合体である事に疑いの余地はない】
    【けれども、そこで思考すべきなのは、その連続性の最小値が何処にあるのか、という点であろう】
    【つまり、ドットとドットが隣接しているのか、或いは、片方が片方と重なり合う時点で存在しているのか】

    【後者であるならば既視感の説明が付く、私達は知らず知らずのうちに、何度か一瞬を繰り返しているのだから】

    【理論の筋道を辿ってしまえば後は道理、──── ならば重なり合った時間をできる限り伸ばしてしまおう】
    【別れを引き延ばす事に繋がるから、ずっとずっと、永遠に居るには足りない、無限という一瞬に、私は生きられない】
    【無垢の祈りは無辜の祈りではない、それがどんな破綻を生むか知らずに、破綻させるのだから】




                           【酩酊】【明暗】         【夜更け】         【暗澹】      


                                       【──── むべ渾沌と人は言ふ】




    【この世に存在するのは虚構、全ては私達の感覚質が捉えた虚像の質でしかない】
    【その多寡に一喜一憂するのであれば、なんと現実とは脆いものかと思う、そしてあまりに廉価】
    【だからこそ、形あるモノを集めるのかもしれないけど、物質主義が恐ろしいなんて童も知っている】

    【理屈と理論と、重なり合うのは理、でもそれは実証され得ないルールだもの、受け入れてしまう事が切っ掛け】
    【そう、受け入れてしまったのだから、──── ええ、そう、受け入れてしまったもの、それならば】
    【招かれざる客なんて、何処にもない、何処にもいないし、何処へもいけない】
693 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:06:32.77 ID:L6LzbpG0o


   【白昼夢よりも鮮やかに、微睡みよりも鈍重に、或いは空想の産物、若しくは現実の迷い子、落とされたのは誰の首?】
   【貴方達は認識する、貴方達は認識しなければならない、今居る場所は、現実と非現実の境目、夜明け前に見た夢の名残】
   【けれども、確かに現実性を持っていた、明晰夢と呼ぶにはあまりにも、──── 現実に過ぎるのだけれども】

   【一面の荒野、時間は分からない、昼か夜か、曇った空は永遠にも近い曇天を示して、一寸先も分からないぐらいに】

   【貴方達はそこに居た、疑問はない、それをそういう道理だと理解していよう、場所など座標軸上のレトリック、平行線にスライドして】
   【矛盾は無かった、思う通りに身体は動かせる、言ってしまえば貴方達は最小単位の理であるのだから、自分の正気を自分だけは疑わない】
   【理と理の矛盾点、そこに巣くうのが法であるのだから、個人という理の器が無ければ、争いすらも生まれない】

   【 ──── 故に彼女達は居た、荒野の先、少し離れた所に、立っていた】

   【小柄ながら豊満な身体を大きく露出したホルターネックのビスチェ調の黒いビキニ】
   【同色のローライズのショーツ以外は白く肉感的な素肌を晒している少女】
   【セミロングの藍色の髪の毛にはアホ毛が一本だけ揺れて真紅の瞳を濡らす】

   【背中には巨大な悪魔羽根が揺れて彼女が人間でないことを伝えるのだろう】
   【ピッタリとお尻に張り付くショーツから飛び出した悪魔の尻尾がキュートに揺れたなら】
   【長い睫毛がこれでもかと言うぐらいに愛らしい雰囲気を創りだす】

   【 ──── "イル=ナイトウィッシュ" そして、またの名を "スナーク" 不条理の使徒、虚なる神々の一柱】

   【そして側に居る少女、──── 装いは割愛しよう、それは私が語るべき事では無く、別に語られるべき事だから】
   【けれども知っている、その少女が "白神 鈴音" という個人であって、誰かであることを、貴方達は知っている】
   【 ──── 目論見は果たされぬ、趣を果たすには、あまりにも淡く艶やかに、──── そして脆く】






                                                ねぇ



694 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:06:44.74 ID:L6LzbpG0o


     誰かを好きになった事って、ある?    ──── 好きで好きで、どうしようもなく好きで


     いつもキミの事を思って、いつもキミの事を考えて、食べるものも着るものも寝るとこも、全部全部同じにしたくて
     ボクの全てをあげても足りない、ぼくの全てを捧げてもまだ満たない、どうすれば少しでも、返せるかなんて考えちゃう
     だってボクはキミが居るだけで心の底から満たされるもの、幸福と呼ぶには言葉が足りないんだ、ずっとずっと

     溢れていく、ボクという器から、キミという感情が溢れて、気がついたらびしょびしょに濡れて

     そうしてボク達は笑いあうんだ、そうしたら少しぐらいは、繋がっていれた様に思えるもの
     でもそれは一時の慰めにもならない、寸刻の重なりよりも足りない、錯覚でしかない事が絶望的で
     絶対的に不足しているんだ、──── ボクという存在が、キミという存在を受け入れるには、足りなくて

     ──────── ボクは次々死んでいく、摩耗するみたいに、朽ち果てていくんだ

     鈴ちゃん、ボクはキミが好きだよ、心の底から、身体の端から、感情の際まで、キミを愛している
     深い愛の深さを語ったって、きっと誰にも分からない、世界という平面じゃ、ボクの愛を伝えられない
     言い続けることに意味はあるのかな、忌み語が零れて、ボクとキミの床を濡らしてしまって

     全部が全部、足りなくなってしまって、それでも、──── それでも、好きで居続けるんだから



     【イルの手が鈴音に伸びる、その華奢な首筋を、愛おしそうに撫でて】
695 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:06:58.16 ID:L6LzbpG0o





               【血飛沫が噴き出した、割かれた首筋から鮮血が撒き散らされて、辺りを真っ赤に染める】






                        ずっと、その顔が、見たかったんだぁ ──── ♪





               【糸の切れた傀儡の様に鈴音の身体が崩れ落ちる、支えを失った灯火が、一人でに姿を消す様に】
               【両腕でその華奢な体躯を受け止めたなら、──── 気に入らない人形にするみたいに、彼女は地面に叩き付ける】
               【軽い音がして、そのすらりとした四肢がねじ曲がる、赤子の扱う玩具の末路が如く】

               【彼女はその身体を踏みつける、一回二回、と ────そして意を決して】
               【思い切り可憐なその顔を踏み抜いた、鼻が潰れて歯が欠けて、零れ出るのは血と漿と】
               【眼窩からはみ出した眼球を、丹念に踏みにじる、不揃いの瞳が、罪の証しに似て】



ずっとずっとずっとずっとずっと、ずっと!! ボクは悔しかったんだ、キミという神様が、存在することが、ボクがボクが、ボクが!!
こんなにもキミの事を好きなのに、キミは神様なんだ、でも、でも、ボクは虚な神様でしかなくて、ただの惨めな病魔でしかないことが
キミが天に愛されて、神様であることが、どうしようも無く、狂おしい程に、憎くて憎くてしょうがなかった、キミが受け入れてくれなかったら

──── キミがボクのことを好きって言ってくれなかったら、ボクの事を嫌ってくれたなら、こんな事にもならなかったのに

ボクはキミが好きだ、でも、キミはだいっ嫌い、キミを愛しているけど、キミという存在を心の底から嫌悪してる
だから殺したんだ、一片の容赦も無く、微塵の躊躇も無く、ボクはボクの全身全霊を以て、キミという存在の命を止めて
でも、生き返るんでしょう? ボクは知ってるよ、キミは何度も何度も何度も! 蘇って生き返って、ボクを愛してくれる

大好きだよ、神様、──── そしたら何度でも、殺してあげる、から




                【ぞわり、と──── 空気が一変する、ざわつく周囲に破裂するのは空間、無限の荒野が、嘶いて】
                【その中心には彼女がいた、自らの手で最愛の相手を殺した、倒錯した精神の落とし子、生まれるべきで無かった水子】
                【それは定められた帰結の様に、定まった破滅の如く、──── 貴方達の前へと佇む】
696 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:07:11.96 ID:L6LzbpG0o



      【スナークは虚神であった、──── それは周知の事実であろう、そして、白神 鈴音もまた、神であった】
      【互いに神であるが、その存在の異質さは互いに違う、それは別の神話を素にした神であり、言ってしまえば並び立つ事を許されない存在】
      【神話は無数に存在しても、その神話に於いては互いに成就しない、月の見立てが国に依り変わる様に、その理解も変容する】

      【故に ──── 否定されなければならない、神が神を否定する、神が神である事を否定する、神でありながら、無神論に乗ず】


                        【そしてそれは、スナーク以外誰も行おうとはしなかった、彼らにとっての神とは、彼ら自身に他ならず】


      【それを否定することは明確な自死であるのだから、矛盾と違和感の狭間に墜滅する、陳腐で廉価な現実性の喪失】



      【けれども、他の虚神達が出来ない道理を、スナークは辿る、──── 虚なる神が構築する、新たなる神】





                         【 "虚構神" とは一つの帰結に過ぎない、あまりにも哀れな出来損ない達の】   



      ──── そういう事なんだよね、ぼく達以外、誰も誰も気付かなかったんだけど、さ
      至ってシンプルな理屈さ、神が神を否定する、そうする事が洗礼なんだ、グランギニョルに至るための
      ボク達は虚なる神々であった、けれども、グランギニョルだけが虚構であり続けたんだ

      それに、鈴ちゃんはぴったりなんだ、だって、また "生き返ってくる" んだもん♪

      そしたらまた殺せる、何回も何回も何遍だって、鈴ちゃんを殺して、殺す度にボクは高くなる
      ──── やがていつかは鈴ちゃんよりも強い、強い神様にだって、なれるんだから


                      【両手で自分の頬を誂える、歪んだ笑みが、歪んだ美しさを醸し出す】
                      【唾棄すべき美麗さ、流麗な瞳に一杯の悦楽を浮かべて、それを道理とする】
                      【同時に理解する、その存在が持つ異質さ、強力や、凶悪などという言葉では足りない】


                      【──── 畏怖であろう、全く理解のつかない存在を前にして、人は何を感じよう】  


     待たせたね、ボクはイル=ナイトウィッシュ、そしてまたの名をスナーク、その身に宿すはグランギニョル
     いくつもの虚構を越えて、無数の現実を乗り越えて、無限の自死を果てて、漸く顕現する事ができたから
     フィナーレに拍手はいらない、ただ禍々しく、ボクは君達を滅ぼすんだから


                                   ──────── "Mors Principium Est"



              【 "死は始まりに過ぎない" ──── 彼女の持つスナークとしての能力、"固執"】
              【今この瞬間、退路は断たれた、この場に存在するのは大なり小なり、虚神と関係性を持っている】
              【故に、その感情を固執させられたなら、その場から去ってしまう道理は無くなるのだから】


              【 ──── 幕間は終わる、終わりの物語が、今始まる】
697 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 14:21:59.87 ID:WAyoKTIbo
>>691-696


【百億の生と千億の死を見つめるもの。知られざる英雄たちの結末。永劫さえ潰えた探求の果て。心知らぬ神々が見た不朽たる楽園の夢。】
【 ─── 彼と彼女はそこに居た。眼前で繰り広げられるものを見た。白銀色と濡羽色。負うべきものを負ってただ立つ、修羅と羅刹。】


      
      「あら、そう。」「 ──── なら、死になさい。」
      「御託は要らねえさ。」「 ……… 精々、恨めよ。」



【色の違う碧眼の三ツが睨めながら、 ─── 何れも黒く纏う織地をはためかせた。言い捨てた。もはや何を逸らす事もなかった。】
【彼が携えるのは極めて古風かつ儀礼めいた射撃兵器であった。銃爪と回転式の矢筒とが複合され、その機械的精密さを張り詰めた弦先によって射出する、二挺の洋弓銃。】
【対して彼女もまたそれに応じていた。其々の手に握り込まれる ─── 右掌、一振りの打刀。左掌、数インチはあろう大振りのKarambit:いずれも八相に構え、静かな黒衣と共に佇む】

    

    「命じろ、シグレ。」「 ─── ボクは、いつでも殺せる。」



【 ──── 傍らへ立つであろう少女に、彼はそう囁くのだろう。ひどく低く、酷薄で、どこまでも人殺しの声だった。それが彼の本性だった】
【それは彼女も同じ事だった。 ─── 狼に至っては、言葉さえなかった。己れが護ると銘じた寵姫の、彼女は女王であり騎士であったから】
698 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 14:25:01.87 ID:EDbyZEUH0
【かしゃり。かしゃり。心がどんなに重くても、この身体の立てる足音は軽いまま。それが今は恨めしかった】
【虚神。かの存在たちによって引き起こされた、数々のインシデント。恐らく、今日この日がその終着点の一つとなろう】


【その場にあるのが当然のように、我々はここに呼び出された。いや、すでにここにいた。いつの間に、何て問いは無意味だ】
【そのうちの一人は、細面な顔をした一体の人形であった。ひとりでに歩く人形だった】

【少し長めの茶髪と肌は人のそれとは違う質感。青い瞳はガラス玉のように無機質ながら、その奥に確かな意思の光】
【白いシャツの上に青いジャケット、深緑のカーゴパンツに黒いスニーカー。それらの服を下から押し上げる球体関節】

【引き結ばれた口元は、人形の内に秘められた魂を駆け巡る、言い尽くせぬ感情を示す】
【それはこの状況そのものへの、不甲斐ない自分への、そして『自分の中にいるもう一人』への、あらゆるものへの感情だった】

(カール。身体の主導権は渡さないからな)
「(わかっている。今回ばかりは、お前が主体だ。私を上手く利用しろ)」

【外部からは見えない、人形の内側。そこには、みっしりと詰まった肉の塊があった】
【おぞましい色のそれは、人形の身体に内部から張り付き、人形に押さえ込まれるようにしてそこにあった】
【肉のあちこちに生えた眼球が、人形の隙間から外部を見通す。共にこの場に並んだ者たち。敵対者も多い。中に隠れたのは正解だった】

【次の瞬間。神の鮮血が撒き散らされた。人形は、僅かに顔を歪めた。驚愕、そして怒り】
【内部の異形は、無表情だった。あの病魔なら、このくらいやる。虚ろな神のやることに、いちいち驚いていたらキリがないと】

……自分のために、鈴音さんを殺し続ける。要はそういうことなんだな。それだけわかれば十分だ。後のことには聞く耳持たない

「この場で千切れて消えろ」

【一つの身体から二重の声が響く。腰に人形の手が添えられ、身体の中に手が沈み込み、引き抜かれた時には一本のサーベルが握られていた】
【サーベルを構える。人形と肉は今、同体となって対峙した。世界を侵す、愛という名の病と】

/カニバディールinギア・ボックスです
/主催者様、参加者の皆様、よろしくお願いします!
699 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 14:29:11.39 ID:7o2/4zDY0
>>691-696

――――
「ぇ……!?」
<これは……ッ>
{っ……時満ちた、という奴だろう――――どうやら、迎えが来たようだぞ……次の戦いの、な……}

【どことも知れぬ異様な空間に、不意に迷い込んできた4つの人影。彼らの混乱は、その場に展開される光景に、一息に鎮圧された】
【忌むべき神々との、相克の時間――――それが今、向こうの方からやってきたのだ】

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のまるで死人の様な冷たいオッドアイを持ち、体表に紋様の様な、仄かな光を放つ金色のラインが走っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、尋常ならざる量の魔力を身に秘めている、10歳くらいの少女】

【燃えるような赤い短髪に黄金色の瞳を持ち、首には緑色のスカーフを巻いた】
【長旅用の生地の厚い服の上から、胸部を覆うブレストアーマーとショルダーパッド、焦げ茶のマントを羽織り】
【腰に歩兵用の両手剣を佩き、左手に青い石の指輪を嵌めた、身長170cm前後の青年】

【白いストレートの長髪に赤く緩やかな光を纏った瞳をしている】
【白いタンクトップの上から白いジャケットを羽織り、白いハンドグローブに白いスカートを履いた】
【肌の色白さも相まって、眩いほどに白さが際立っている、身長160cm前後の少女】

【短いバイオレットの毛皮で全身を覆い、その上からフード付きのマントと半ズボンを着用している】
【左目へとめり込む様な、人相を歪ませている大きな傷跡、更に頬にも大きな傷跡の目立つ】
【ずんぐりむっくりとした体格の、尾の先が不自然に二つ裂きになっている、右目の眼光の鋭い、身長150cm前後の猫の特徴を宿した獣人】

【不意の転移に掻き乱された心情も、己の『仕事』を理解すれば、後はその場の支配者――――最初から鎮座する、一対の『神々』を見据える】

「な……なんだアレは……ッ!?」
茶番です。殺す事に意味のない事など、奴は腹の底から思い知っている。あれはただの倒錯、そして――――
<……話に聞く、ジャ=ロとか言う奴と、本質的には同じ事……なるほど、あの時、結局『アレ』がやりたかったって事、ね……>

【同士討ち――――否、スナークの言葉通りの、力を高めるための儀式。そして見るも無残な倒錯。女性2人は冷徹に、青年は絶句して、そして獣人は、平静に】
【その光景を見て、そしてその意味するところを理解し、最後に意志を固めた――――やはりこの面々、永遠に否定されなければならない、と――――】

{――――――――打ち合わせ通りだ。お前たち……分かってるな!?}
<『将を射んとすれば、まずは駒を』。あっちの、不死身の死体の方から殺すんだよ、みんな……ッ!>
「……ここは、僕の好きな世界、僕の憧れた世界だ――――お前たちの、好きにはさせない……ッ!」
――――スナーク。お前の『オモチャ』は時間切れだ、永遠に――――――――お前諸共『殺す』ために、今日のこの日を、ずっと待っていた――――ッ!
――――『サキュバス・フォース』!!

【獣人は背後へと下がり、そして3人の戦士はそれぞれに身構える。これが、恐らくは世界の命運をかけた、虚神を巡る最後の戦い】
【その中で、コートの少女――――ラベンダーは力を解放する】

【背中にラベンダー色の翼膜をした、悪魔の様な翼が生えた事を除けば、素体そのままの姿だが】
【身に纏う魔力は質量を増大させており】
【翼からは、光の粒の様なものが燦々とこぼれている】

【虚ろなはずの瞳に、あらん限りの憎しみを込めて。スナークと、白神 鈴音を、永遠にこの世界から否定するために――――】

/サリードその他の中身です。よろしくお願いしますー!
700 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 14:29:29.02 ID:dtli0ef20
>>691-696

【誰が何かを言っていようが最早なんにも興味がなかった。護りたかった人の悲鳴も】
【愛する人の声だって、今に限ってはもうどうでもいい。ゆえに、目の前で繰り広げられる】
【イルが鈴音を蹂躙する、鮮血舞い踊るその光景を目にしたところで、――今度は激昂しなかった】

もういい。

【皮切り。一言だけ。つめたい声が世界に満ちる――肯定も否定もしなかった】
【ざり、と分厚い靴の底を鳴らす。ふ、と静かな吐息の音。白く色付くのであれば】
【イルの語る歪んだ愛を拒絶したりもしない。ただ、確実に、受け入れたりもしないのは、】

【少女の中で既に、白神鈴音は蹂躙され尽くしていたから。イル=ナイトウィッシュに】
【工場で出会った最初にて、たった一言で、少女が愛した白神鈴音という存在は】
【これ以上ないってくらいにバカにされて踏み躙られて陵辱されて、ズタズタにされたから】

【だから。】

おまえが何言おうと何しようと、もう、どうでもいい。
鈴音もそう。あたしが今から「やる」ことによって、あたしのことを嫌いになって、
死にたいほど悲しくなって、どうしようもなく殺してやりたい気分になって、
それを実行に移したって――――――――もうどうでもいいんだよ。

イル=ナイトウィッシュ、おまえを殺す。
……よくも白神鈴音を、あたしの友達を、あんなにひどく殺してくれたな?

【凪いだ表情に浮かべられた双眸は限りなく熱情の焔を灯し、けれどそれで全身を焼け焦がさず】
【ただ冷たく其処にあるだけだった。赤色の髪と瞳とが、ただ鮮烈に、存在だけを示していた】
【両手には既に凶器が握られていた。鈴音が最も嫌うもの。隠しもせずに――紅い魔力光を零して】


>>697

――――――――――殺さなくていい。護ってて、あたしのこと。

【オーダーはそれだけだった。殺す役割は自分で、やりたい。だからそれだけでいいから】
【それだけで十分だと信じていた。左手薬指の銀色、輝くものに、背中をぜんぶ預ける心算】
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/12(土) 14:31:43.55 ID:gOSvupoBO
【予感があった。それが“今日”なのだという予感が。薄曇りの酷く寒い朝。ベッドから起きて、女はまずペンを手に取った】
【そして一度ペンを置き、シャワーを浴びた。いつもの日々の繰り返し。シャワーの後に選んだ服は、とびきりの一張羅】
【バーゲンで買ったものじゃなく、給料を貯めていい服屋でこの日のために誂えた逸品】
【肌触りも質感も、高級の部類に入るもの。その服にためらうことなく袖を通し──それからもう一度、ペンを手に取った】


   『ちょっと世界を救ってくる。愛しているぜ、ダーリン』


【素っ気ない仮眠室に遺してきた言葉なんて、そんな簡単なもの。誰に向けて書いたものなのかなんて】
【別に語る必要もなかった。生きて帰れたら、机に置いてきたその紙切れを握りつぶすまでで】
【もし帰れなかったらなんて──そんなことは、最近吸い始めたタバコの臭いくらい、気にするべきことじゃあなかった】



>>691-696

【幾人もの戦士たちに紛れて、その女はいた。赤い髪に赤い服。目だけが金色をした……それはまだ、女の姿だった】
【目の前で展開される鮮血のドラマに、しかし彼女は──どこか納得したような表情をしていた】
【不思議と怒りは湧かなかった。悲しみくらいはあっただろう。けれどそれは、燃え上がるようなものには程遠く】
【“何かが、腑に落ちた”。そんな感じだった。彼女達の愛を、物語のカタチを今更否定するつもりはない】
【否定するのだとすれば、それはワールド・エンド。世界の終焉そのものの否定に他ならない】


よぉ…………“イルちゃん”。随分と久しぶりじゃあねぇか
なんだぁ、その。鈴音の言う“世界を滅ぼす”ってぇのは、よぉ──
つまりは、そういうことなのか?鈴音を殺し続けて、てめぇがすげぇ神になって…………

それで、てめぇが世界を滅ぼすっつぅのがシナリオかよ


【必要なのは理解だった。は、と思わず笑いが溢れた。どこかで聞いた概念かと思えば】
【まさかこんな時に、曽根上ミチカの言葉を思い起こすことになるとは思ってもみなかった】
【銃を構える。聖水とやらで祝福された銃だった。弾丸だってそうだろう。悪しきものに効きそうな代物】
【他の能力者たちと比べると貧相な装備だった。それでも、彼女はここに来た。──約束を果たすために】

/ミラです、よろしくお願いします!
702 :ドラ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/12(土) 14:33:30.50 ID:SowzBHbuo
>>691-696

―――……おばあちゃんが言っていた。『自分に溺れる者はいずれ闇に堕ちる』
みごとなまでに己のどす黒い感情のとりこになっちゃってるねえ、そこのかわいいお嬢さん


【いつの間にか―――イルのすぐ目の前、5mほどの所にそいつはいた】

【黒い短髪に真っ白な鉢巻き、黒と白の太極図がプリントされた白いシャツ、その上から赤色のベスト】
【手元に銀の腕時計、青いダメージジーンズにウエスタンブーツの、どこか幼い顔立ちの若者だった】

【だが、その服装には―――もしこの場にカノッサ機関員がいたならすぐに何であるかを理解し、『それが付いている状況に目を疑う』物がくっついている事がわかる】
【ベストの左腰には≪No.78≫と書かれたプレートが付いており、シャツの腕には≪No,91≫と刻印された金具と左肩には≪No,34≫と書かれたバッジ】
【そして、ジーンズには引きちぎられたような布が縫い付けられ、そこには≪No.59≫と書かれていた……そして、その全てに血痕が付着している】

【トン、トン、とすでに自分の腰に巻かれたベルトを指で叩きながら彼は告げる】


ぼくはドラ。justiceのドラだ。よろしくイルちゃん
すでにぼくの仲間が何度もきみとやり合ってるようだが……ようやく本命のご登場だよ
きみに拍手はいらなくてもぼくに拍手が欲しいから今のは取り消してもらおうか

いくら生き返るからって、自分の大事な人を平気な顔で傷つける事が出来るなんて底が知れる神様じゃないの
そんなザマで……まさか本当にぼくに勝利できるつもりでいる?


【手をひらひらさせながらひとまずの挑発をイルに投げかけると】
【彼はまず右の親指でベルト中央のベルを鳴らすだろう―――この場に涼やかな金属の音色が響き渡る】

【ぐ、と両手を右腰に携えた後、左手を前に突き出してから再び脇に引く、それと同時に右手を左前に向けて突き出すだろう】
【そのまま手を大きく頭上に運び顔の右で握り拳を握り、すぐさま脇に引いた左手をベルトに運び赤いトリガーを引っ張る、するとトリガーが元の位置に戻ろうとする途中で音声が流れる】


さ、サーカス小屋をたたみなよ。ぼくがいる以上きみの末路はただ一つだ―――……変身!


『―――Set up!Rider!CAT-V!!』


【空間をなごやかな雰囲気に塗り替えていきそうな軽快なチャイム音と共にドラの体の前に四角く青い光の壁が発射される】
【発射された壁を潜り抜けるとそこには―――胸や肩、膝などが青い装甲に覆われた白いボディ、猫科の獣をモチーフにした頭部に橙色の大きな複眼を搭載したデザイン】

【猫科の獣をモチーフにした頭部に橙色の大きな複眼を搭載したデザイン―――変身完了、『シンクロライダー・キャットV』!】

【その直後、キャットVの端末に通信が入る。低めのどこか若々しい声―――】


「……距離近くないッスか?その位置だと直撃したらまずくないッスか?」

ぼくが先に仕掛けるためには―――この位置がいいのさ
それより善ちゃんはぼくが動くと同時にすぐ発進してくれよ?スピードが大事なんだスピードが

まずは……きみの大事な物から狙わせてもらおうか!!『キティ ACT1』!


【開幕と同時、キャットVは腕から赤色の鞭をしゅるりと伸ばした!狙うのは今まさに何度も痛めつけられた―――鈴音!?】
【能力で不意を突き今まさに踏みつけていた鈴音をイルから奪い取るべく、鞭で巻き付けてこちらに引き寄せようと試みる!】

/ではドラです、本日はどうぞよろしくです
703 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 14:38:24.75 ID:qAC+HY+0O
>>691-696

【―――何時だって始まりは唐突だ。見慣れた景色だって気がつけば陽炎の様に揺らめいて消えるから】
【周囲を見渡せば一面の荒野。何もない空間、視線の先に在ったのは―――怨敵と呼べるふたつの神様】
【ぺらぺらと、滔々も紡がれる言葉。そして目の前で繰り広げられるショッキング】
【最早、止まれない。お前達を殺すのは私だ―――お前達風情が愛の何たるかを語って汚すな、と魂が荒ぶる】
【前髪の一部分が黒染めされた金髪にトランプ柄のピアス、灰色のパンツスーツ姿の女性――エーリカ=ファーレンハイトはやけに静かで】
【つまるところ、嵐の前の静けさであるのは言うまでもない。現に赤銅の瞳には狂おしいほどの殺意が渦巻いていたから】


――、それがテメエらの遺言か。ぺらぺらと悦に入ったご様子でホザきやがって。
殺すだけじゃ不十分だ―――永劫、殺し続けてやる。
そして永遠に死に続けろッ!!
イル=ナイトウィッシュも白神鈴音もっ!二人仲良く地獄の淵に沈めてやる―――っ!


【右手にマチェットを召喚して柄を握ったなら、切っ先を神達に向ける。白銀に煌めく刃は彼女にとっての神殺しの為の刃】
【ただ神殺しの剣は一振りではなくて。彼女の奥の手とも言える技こそ本当の神殺しの剣だから】
【今はよく吠える駄犬のような小娘でしかない。殺しても甦るのなら―――夜が明けても死に続けてもらうほか無い】

//エーリカです。本日はよろしくお願いします
704 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 14:43:46.19 ID:dtli0ef20
>>696
【パグロームは、サーペントカルトとジャ=ロが消えた時点でこの虚神達の騒動から凡その興味を喪っていた】
【異端狩りと名乗った彼の行動理由と、INFオブジェクトの殲滅を願う組織の方針が明確に食い違い初めていたからだ】
【だからひょっとしたら場違いかも知れない】
【イル=ナイトウィッシュにも、スナークにも、白神鈴音にも然したる縁がないのだから】


【それでもボスからの指令で在るならば、一応は言うことを聞く――】
【呼ばれてないかも知れないので、道行きは自身の能力で行うことになった】
【世界から這いずるように現れる白髪黒コートの男】
【年中同じ格好だが、ようやく季節に合った装いになったと言うところだろう】


おッ邪魔しまぁぁっす?

ありゃア……丁度まな板ショーの真っ最中ってワケか?
包丁入れて金魚の首を落としたところで撮れ高稼げるのかよ。
グランギニョル劇場の隆盛の頃とは時代が違うんだがなァ?


【白神鈴音の顔を見たのは、いつだったかUTの食堂だったか】
【どんな会話をしたか、最早忘れてしまったが、当然友好的な終わりではなかったろう】
【故に彼女が死に続けることそのものに対して好意も悪意も持ってはいなかったが――】



【虚神が神を殺し続けることで、より強力な神になり、それで世界を滅ぼす?】
【理屈は分かる。筋も通る――だが、話の頭から違和感しか感じない】


実に分かり易い――観客向けの狂気だ。
突然どうした?路線変更かスナック君?出来の悪いメロドラマを見せ付けられるよりは笑えるかも知れないがなァ?
クッヒヒヒヒ!


【面白くもないのに嗤う、みたいな仕草は確かに存在する】
【そこには大抵悪意が有るものだし、事この男は悪意しか持っていないようなものだ】

// パグロームです。よろしくお願いします!
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 14:44:37.54 ID:KNy7E7ko0
>>691-696>>697

【眠れぬ夜が明けてしまったのをこんなにも怨んだ日はなかった。――、可能であればいつまでだって夜の中に居たかった。叶わぬならせめて、毛布から出たくなかった】
【けれど追い出されてしまうのだから、生まれたがらない胎児を薬にて無理やり引きずり出す出産に似ているのかもしれない。――胎盤に爪立てても追い出されてしまうのだもの】
【真っ白の胸元に慰められてなお足らぬ心のささくれの痛みを忘れる方法がないではなかった。けれど"そう"しなかったのは、何かへの――きっと自分への――決別に等しいから】

かみさま…………。……。――――ッ、

【あんなにも救ってほしかったはずの神様を目の前にして、俯くのはどのような心の仕草なのだろう。辿るだけの時間はなく、何より不条理の神様は優しくもない】
【同じく俯くように唇を噛んだ白磁を見る顔がごく似た表情をしているのに彼女自身が気づく前に、――、――。吹き出し弾け飛ぶ赤と灰白となにかの汁、血腥さに惑ったら】
【――ひゅうと引き攣る吐息の音。それから思わず足を引き摺るように後退しかけて、けれど、ほんの小さな頑張りだけが、傍らのアリアの服に指先を捕まえてもらって】

【薄藤の透き通る髪の色。長さは儀式の日よりいくらか伸びて、けれど、いつかの日には遠く及ばぬ、肩越しの毛先】
【もとより白い肌が微かに蒼褪めて、――、それでも唇を噛んで耐えるのなら、わずかに震える身体じゅうを律して睨む眼差し、ひどく鮮やかな紅紫色で】
【真っ白いワンピースはそれでもどうしたって真夏の草原より彩度の低い色合いをしていた。防寒具は最低限に、白い足先を惜しげもなく晒すのなら、それが正装である、みたいに、】
【ならば左手に刻んだ蛇すら隠さぬのだろう。――。儀式の日よりいくらも遅れて死したはずの蛇教幹部。事情を知らぬ人間にすら理解させるだろう、彼女はずっと生きていたって】
【――だからやっぱり何かとの決別のために。どんな命令がきっかけだって、彼女はきっと自分をそう定義づけたから、逃げない】

――――――ッ、あの時の、――あの時の分、まずは、かえして……もらいますよ。いっぱい泣いて疲れたの、――だから、

【眼前にて漁師の網にかかった雑魚より容易く踏み殺された少女/神様からなるべく目を逸らしたなら、睨みつけるのは、イルであるのなら】
【なにか納得する時間なんてきっともらえないのだから。――。ならば、幼子みたいにぎゅうと握りしめ続けていた女王様/愛しい騎士の服だって、手放せて】

【――(だいじょうぶ、)】
【心中に小さく呟いて、小さな小さな深呼吸をする。――彼女がこの場に居る意味も、何一つ隠さない意味も、きっと、アリアには十全に伝わっているのだから、】
【護るのも護られるのもきっと約束通りで。――――だから、やっぱり、逃げない。いろんなこと、終わらせないときっと先に進めない不器用さだって、悟り始めているのなら】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 14:48:57.29 ID:KNy7E7ko0
>>705
/待雪かえででした!ごめんなさい!
707 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/12(土) 14:49:16.22 ID:Vc78I/H+0
>>691-696

【私はロボットだ。だから人の理は知らない】
【そしてもちろん、神でも無いから神の理も知らない】

【けれど私は此処にいる。自らの意志で此処に来た。】
【それは人でない私の私の理によるものだ。】


務めは果たします。


【今日はいつもの素体ではない。】
【護衛用特殊強化素体type"Zoe" version2.0 麻季音改良型】
【頭部分はほとんど同じだ。最近気に入っている銀髪のショートにピアス】
【青の瞳。デザイナーが本気を出しすぎたせいで完璧すぎるあまりに人間離れしてしまった容姿は】
【表情が乏しいせいで人間らしくなさを際立たせてしまっている】

【今回の素体は強化金属製のボディ。さして人間と形も大きさも変わらないが】
【どうみても金属製のそれはアンドロイドの名を冠するにふさわしいだろう】
【内臓のエネルギーパックも容量出力共に大型のものを用いている。】
【どうしても関節部やら排熱用の部分の強度は不足しているが、それでも人間よりは硬い】
【センシングの強化も初瀬麻季音が行っている。彼女の技術は折り紙熨斗付きである】

【右腕のトンファー型ブレード。左腕の電磁式リフレクタ。脚部には高機動用ベアリングローラーシステム】
【その他兵装を持てるだけ持ってきた。】


護ります。


【護るために】


/ゾーイです。主催者様、参加者の皆様 よろしくおねがいします。
708 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:54:39.90 ID:L6LzbpG0o
>>700

【見知った顔があった、最初の最初、始まりのインシデントで声を掛けた相手、──── そして】
【続くインシデントで絶望を見て、そしてそれから這い上がった一握りの少女】
【彼女は笑う、──── けれどもそれはひた隠しにした、思いの名残】


アハハ、鈴ちゃんにアンタみたいな汚い友達なんていないよ、勝手に思い込んじゃってばっかみたい
冗談は顔だけにしなよ、結局アンタはいっつも、間に合わないんだから
鈴ちゃんの命も、鈴ちゃんの操も、鈴ちゃんの心だって、全部ボクのものだもん

フられた女がみっともない、いっつまでも未練ったらしくボクの女呼んでんじゃねぇよ

>>701

【悪びれた様子も無く彼女は頷いた、おや、なんてわざとらしく目を開いて、──── 開けっぴろげに笑った】


そんな感じじゃない? ボクがすることは、鈴ちゃんを心ゆくまで、心逝くまで、殺し続けるだけだしぃ
鈴ちゃんが殺される事が気持ちよくなるまで殺したら、そしたら幸せでしょ?
だってあの子死ねないんだもん、死んだら蘇るんだし、そしたらとる手段は一つだから

そのうち勝手に世界は滅びてるでしょ、丁度良いじゃん、化け物
──── アンタも少しくらいは、溜飲下がるでしょ?

>>702

【鈴音がドラの鞭に絡め取られる、それをスナークは見つめていた】


勝利できるつもりってゆーか、まさか本当にまともな戦いになるとでも思ってんの?
おめでたいのは格好だけにしてよ、なにその馬鹿丸出しの姿、バカがバカを隠したって、隠しきれないバカが表出してるしさ
あんまり笑っちゃうとさ、場がしらけるから、そんな風にしたくないけど

──── でもだーめ、愚かすぎて笑っちゃうもん

709 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:54:49.02 ID:L6LzbpG0o
>>703

いいよ、付き合ってあげても、永劫にボク達を殺してみせるんでしょう?
ダメだってぇ、もう既に分かってる筈じゃん、ニンゲンの理屈じゃ全く足りないってこと
何回殺せるだろうね、百を超えた辺りで作業になって、千を数える前に限界が来て

万を辿れずキミは力尽きて、──── 億にも満たず、ボクは笑う、ほら言った通りって
言葉は正しく使おうぜ、バカがばれちゃ、死にづらいでしょ?
【地面が "口を開けた" ──── 鞭を食いちぎる軌道で、鈴音を "飲み込む" だろう、──── そして】
【スナークの周囲の地面が隆起して、鈴音がその場に出現するはずだ】
【──── その光景を見ていた者は気付くはずだ、 "レッド・ヘリング" のそれに、近いと】




>>704

キミみたいにとち狂った感性の雑魚に見せる演目じゃないんだけどね
それでも構って貰いたくて喚き散らすのがいじらしいね、とことんニンゲン臭いやり方じゃない
ボクの演目をどれだけ愉しんでるかは、キミ以外の観客が証明してくれるから

──── 満足できなけりゃ犬の交尾でも見てセンズリこいてろよ、お似合いだよ♪

710 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:54:58.96 ID:L6LzbpG0o
>>ALL

【追憶は永久に響く、追随するはアカシアの欠片、──── 僅かばかりの慈悲も無く、一切合切を否定する】
【なるほど神にしては二流だ、病魔としても一流では無かろう、彼女はあまりにも存在性が弱い】
【だからこそ理屈も理論も理由すらも無く、ただひたすらに破滅を振りまくのだから】


──── ねーぇ、神様殺すのにそんな玩具ひっさげて、足りるとでも思ってんの?
ほんっと、破滅的に破綻した脳みその連中なんだね♪ 微塵も理解できなくて笑っちゃうね!
大丈夫、ボクってば優しいから、分かっちゃうんだ、そういうのに頼りたくなる精神もさぁ

だから、真っ向から否定してあげる、君達の全部を、君達の全てを、心の際から思いの端に至るまで、全部が全部を
夜に舞いなよ、せいぜいあがいて、もがいて、かすかな可能性に縋り付いて


そしてその全てを飲み込んで、ボクが終わりを告げるんだから



【地面が蠢く、この荒野という空間そのものが、何かしらの意味合いを告げる様に鳴動するのだろう】
【ドラの攻撃を阻んだように、生き物の如く、空間自体が意思を持っているかの様にざわついた】
【スナークは笑う、或いはイルは嗤う、つられてグランギニョルが微笑する、何処までも鮮やかに】


飾り立てるは虚飾、──── 積み重ねた屍の上に、尽きぬ欲望をかけて
幾千幾万、幾億を辿れどまだ足りず、繰り返す輪廻に魂を喰らい、その存在をも昇華しよう





            ──── ヒトは呼ぶ、我が名を ────





                      "Chemdah"       
            ──── "貪欲な虚飾の化物" ────

                     レッド・ヘリング





【地面から出現するのは数多の口、一杯に牙をはやした口が周囲に出現し、能力達を食いちぎろうと接近する】
【食いつかれたなら最後、世界の中心へ引きずり込まれる様な、強い重力を感じるだろう、或いは取り込もうとする作用に近い】
【生半可な回避を許さず、口が迫る、──── 地面だけの攻撃であるのが幸いか】
711 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 14:58:52.99 ID:L6LzbpG0o
/>>708-709に関して訂正です!
/正しくは以下になります

>>702

【鈴音がドラの鞭に絡め取られる、それをスナークは見つめていた】


勝利できるつもりってゆーか、まさか本当にまともな戦いになるとでも思ってんの?
おめでたいのは格好だけにしてよ、なにその馬鹿丸出しの姿、バカがバカを隠したって、隠しきれないバカが表出してるしさ
あんまり笑っちゃうとさ、場がしらけるから、そんな風にしたくないけど

──── でもだーめ、愚かすぎて笑っちゃうもん


【地面が "口を開けた" ──── 鞭を食いちぎる軌道で、鈴音を "飲み込む" だろう、──── そして】
【スナークの周囲の地面が隆起して、鈴音がその場に出現するはずだ】
【──── その光景を見ていた者は気付くはずだ、 "レッド・ヘリング" のそれに、近いと】

>>703

いいよ、付き合ってあげても、永劫にボク達を殺してみせるんでしょう?
ダメだってぇ、もう既に分かってる筈じゃん、ニンゲンの理屈じゃ全く足りないってこと
何回殺せるだろうね、百を超えた辺りで作業になって、千を数える前に限界が来て

万を辿れずキミは力尽きて、──── 億にも満たず、ボクは笑う、ほら言った通りって
言葉は正しく使おうぜ、バカがばれちゃ、死にづらいでしょ?
712 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 15:13:58.99 ID:dtli0ef20
>>708>>710 >>ALL

そーだネ、鈴音はあたしよりおまえを選んだ。
そこばっかは認めてあげる。あたしは、鈴音のこと、振り向かせらんなかった。

でもさあ、――――――略奪愛って燃えるでしょ?

【本当にどうだってよかった。鈴音が最早自分を必要としないことすらも】
【ただこれから肝要になるのはイルを殺せるかどうか、それだけでしかないのだから】
【であるなら――第二の武装、埋められた蝶々のチカラを出すのだって、最初から】

【少女の両足首から爆発的な勢いで噴出される黒いサテンのリボン、リボン、リボンの群れ】
【それで編み上げるのは――大きな大きな翅だった。ひとりだけ飛行するには大きすぎる】
【そんなサイズで「造った」のには意味があった。だって一人だけ、そうするわけにはいかない】

――――――――――――――エーノっ、アリアさん、……と、誰!? 隣の紫の!
あと――――ミラさんっ! 来てたんだ、だったらこっちっ、あたしここに居るよ!
ラベンダーちゃん、アーディンさん、ゾーイさんも! それから、あと、
………………誰でもいい、みんなでもいい! ていうかみんなこっち見て、来て!

逃げられない人、つかまって! あたしが飛ぶ、あとはまあ――任せとくからっ!!

【地を蹴りつけて飛翔。そして、さらに何本もリボンを地面に垂らして、広げるのなら】
【周囲にいる人々に向けて、それに捕まるよう呼びかけるのだろう。空へと逃げるために】
【それが叶ったなら。後は各々好きなタイミングで放してやる、そうして、虚飾の攻撃から逃れ】
【しかしそれから先の保証はしなかった。それだけ、彼女が周囲を信頼している証が其処に在った】

【少女自身は――――この行動に集中するため、それ以外のことはまだしない。今は、まだ】
713 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 15:14:23.88 ID:WAyoKTIbo
>>700

【瞥見に彼は、彼女の決意を理解した。 ─── 握り込む左掌の先、紅い輝きが心地よくあった。艶めかしく血を浴びるに似ていた】
【銃把の安全装置を外した。鏃の先には黒炎と白氷が出ずるのであろう。今や彼の操る所となった、灰色の異能。】


        As you wish.
       「仰せのままに。」


【静かな音階の一葉を添えて、其れきりであった。汪溢した殺意だけが、何もかも疎わしいこの世界で、何よりの本質であった】


>>705

【そうして彼女もまた、少女の意志を了解した。 ─── 己れの手で結末を付けねばならぬ運命が、十七年の人生にも有りうるのだと】
【ことに少女の抱く情念ならば、誰よりもそれをアリアは知っていた。離れゆく指先だけ、それでも切なく思うのは、消せない執着だろう】


>>708>>709



        「 ───………… 貴女たちを殺してきたのは、この方策を以っての事よ。」
       「同じ演目は二度も要らねえさ。 ……… ボクのシグレに、気安く声かけてんなよ」


【女/アリアがその黒い両脚を張り詰めさせるのは刹那の事象であった。 ─── 護るべき少女を抱き寄せようとしながら、真っ当な人間で有り得ない跳躍は、ごく密度のない空気に舞う】
【己れの立っていた脚元に投擲する、血に満たされた硝子の刃。それに連結された爆導鎖。着発信管が雷管を揺らし、爆轟によって露を払い、辺りに幾つもの血溜まりを産む】
【男/ミレーユは、自らと少女の足回りを固める ─── 言葉通りに。数秒よりも先に形成される、堅牢な氷の防壁。己れと、傍にいる己れの伴侶を守る為に。相違なく命令のままに。】
【両者共に状況を見定めているのは確かであった。即ち不条理にも召還された、滅ぼしたはずの神々が生ずるのは、一時の事であるのか ─── それとも、再び彼らは、殺さねばならぬか】
714 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 15:16:21.27 ID:7o2/4zDY0
――――みなさん――――
{考えるのは後だ、ラベンダァイス。今はただ、そう……奴らだけに集中しろ。無駄に気を飛ばせば、致命の一撃を貰いかねないぞ……!}
――――勿論です

【見知った顔、それも、特に大きな意味を持つ顔――――>>697>>698>>700に、何か言いたげに視線を飛ばすラベンダーだが】
【すぐさま、後ろの獣人――――アーディンの諫言で、無理やりに意識を引き離す。今の自分は――――『兵器』なのだから】

>>710

――――お喋りしに来たんじゃない、『病原菌』
無駄な真似しか出来ないなら、さっさと私の為に死ね――――ッ

【ドロリ、ドロリ――――誰にも分からない、ラベンダーの体内の魔力が、言いようのない変質を始める】
【無理やりに換言すれば、それは「粘性が増す」とで言えばいいのだろうか――――全身を走る光のラインが、眩く輝き始める】

{っぐ……!?}
「これは……ッ!?」
――――飛べ、『イーグル』

【空間の鳴動、そして直後に大地から襲い掛かる、異変。――――冷静に、そこに対処が出来たのはラベンダーだった】
【力を持った幻影を展開――――巨大な鷲を召喚し、3人の仲間たちを上空へと逃がす。これは、例え一撃でも喰らえば、致命傷となる、地獄からの一撃だ】

――――死ねばお前も、少しは綺麗になるだろう――――少しは、な
{っ、ラベンダァイス……!?}

【ジワジワと、その瞳のオッドアイが漆黒に染まっていく。その異常さには――――誰も気づけない】
【当然だろう。眼前の敵の大仕掛けの前に、味方の些細な違和感など、追っかけてはいられない】
【まずは、この異常――――レッド・ヘリングの名を冠したこの一撃が跋扈する状況を、どう克服するかがカギだ】

【しかし――――にも関わらず、ラベンダーは幻影を展開しながら、その左手をスナークへと向ける】
【そこから――――小さな黒い魔弾が、連続して発射された。長く尾を引く其れは、まるで茨の様に映りながら】
【その性質は――――普段のラベンダーの操る尋常なものではない。それはそのまま『死』の力。神を気取る相手には、丁度良いくらいかもしれないが――――】

――――自己増殖ができないからこそ、ウィルスは生物の定義から外れるんでしたね――――でも、私に言わせれば同じ事だ――――
だから、お前は死ね――――

【先頭に立つラベンダーの姿を、他の誰もが背後から見る。故に、その以上には気づけない――――】



「っ、これは……」
<まず、単身で飛び出していくのは危険ね……とりあえず、様子を見るよ……>
{レッド・へリングというからには――――いや、あの時のような、ミスディレクションの種が、今回はそもそも無い……どういう事だ……ッ?}

【状況に、3人の戦士たちはただ思索を重ね、そして途方に暮れるしかなかった】
715 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 15:17:40.16 ID:WAyoKTIbo
>>712

【 ─── 銀色の狼が呼びかけに応じる事はなかった。手前の膂力で始末が付くなら、その席は他の朋輩に与えるのが相応であった】
【対してエーノは躊躇いなく少女のリボンを掴むのだろう。長くは掴まなかった。 ─── 追撃に備えて、幾つかの氷壁を周囲に作る事はしていた。それも果たして何れ程有用であるかは、疑わしくも】
716 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 15:21:39.50 ID:EDbyZEUH0
>>710
【人形は冷ややかな目を足元に向ける。直後、スニーカーの靴底が炸裂】
【バネが飛び出し、人形の身体を空中へ跳ね上げた。レッド・ヘリングの牙。人形の中身は、むしろ懐かしそうに目を細めた】

【人形の身体の隙間から、いくつもの細い肉の触手が伸びる。それらが地面から湧き出た口の牙に取り付き、足場がわりにして】
【人形の身体を空中に留めた。周りを見れば、それぞれに攻撃をかわしている。ならば、遠慮はいらない。もとよりする気もなかったが】

「……もう一度ご馳走して欲しいわけか、レッド・ヘリング」

【重々しい声と共に、青く光る筒状の何かが人形の身体から、大量に撒き散らされた】
【コバルト・ボマー。カニバディールの十八番の一つ。大口を開けた地面にたらふく食らわせる】

【口の中に入り込めば、爆弾は次々に起爆し、口を中から焼き尽くさんとするだろう】
717 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 15:26:29.16 ID:dtli0ef20
>>709
人間臭くて当たり前だろうがよォ?
この場で、真っ当な人間なんぞ俺くらいしかいネェだろうが。

んで、犬の交尾なら今見てるぜェ、尻尾ブンブン振りながら腰振ってるテメェの様をよ。



【――そうこうしている内に唱えられる名前は、レッドへリングのもの】
【足元が無くなる――と言う表現に近いそれは容易に回避できるものではないだろうが】
【それでも、数多の虚神と対峙した能力者達に取っては、致命となるものではない】


再生怪人か。
お約束だな――


【虚数空間に潜り込んで避けることも出来ただろうが――さて、せっかくだから】



アレフ。先輩にアイサツでもしたらどうだァ?
得意だろ、そういう堅苦しいのが。




【宙空に扉が現れて開き――そこから伸びた手がパグロームを拾い上げる】
【顔を出したのは、無表情な執事服を着た少年。アレフ・ゼロ――レッドへリング・ヒルベルト】


「お客様。虚構から生まれど、原典に対する敬意は私にも在りますが」
「お客様。原典のコピーを原典とは呼びません。ご訂正を」
「お客様。その点に関しては私どももまた同類項ではありますが」



【同じ声で姦しく騒ぐ言葉を、全く聞き流して、男はぼんやりと思索する】
【"順序を追って認めさせる"と言うのは虚神の常套手段だった】
【だとするならば、レッドへリングの役割は文字通り、虚飾――最初にそうであったように、アドバタイズなのだろう】

【扉が宙に逆さになっているから、何人かのアレフが毀れるように落下して、レッドへリングに飲まれていく】
【全く問題はない。無限から何を引こうと無限に違いはないだから】
718 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 15:27:17.86 ID:7o2/4zDY0
>>712

――――空も海も大地も、全ては私の為にあるッ、こちらは大丈夫です!!

【本来、自らの変身形態であるはずの大鷲を、『力を持った幻影』として展開し、仲間たちを回収しながら、ラベンダーは短く答える】
【「一緒に、イルを殺そう」――――あの約束は、片時も忘れていない。こうして、共に戦場に建てる事を、今は喜ばしく思う】
【――――彼女が、鈴音を諦めていないという、その思いを正面から踏みつぶす事になるのは、後ろ髪引かれないではなかったが――――】

(裏切り者め――――いつまでも、そのバイキンの横で、狸寝入りをしていられると思うな――――ッ)

【大鷲の頭にちょこんと立ち上がりながら、ラベンダーはただ、2人の敵に怒気を滾らせていた】
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 15:28:06.60 ID:KNy7E7ko0
>>708-710

【甘やかな色した毛先の下で眉が顰められた、――、けれどそれは一つの納得でもあった。"こいつ"はいつだって誰だってそうなのだと、】
【ならばいくらか気も晴れた。自分だけが非道い言葉を浴びせかけられていただけじゃないと分かるから。かといってそれが何か救いであるかと言えば、否なのだけど、】

――――……。よく聞いてなかった。考え事してました。いろんなこと……神様のこと……私のこと。
なぁんか、ヤな奴いっぱいいる気がしてきたんですけどお。――。まあいいや。よーく考えたら、目の前に、"一番ヤな奴"居るじゃないですか――。
私の前で鈴ちゃん鈴ちゃんってミイミイ泣いたの、やーっぱり、もっと、みんなにバラしちゃえばよかった――。……。

私にはその"愛"。ちょっとよく分かんないですね。分かったとしても、アリアさんの骨、多分ちょっと硬すぎるし。私の足が折れちゃう。

【――ふ、と、刹那に彼女は遠くを見るような目をしていた。そうして事実遠くを見ていたのだろう。とはいえ現実的な遠くではない、もはや半年以上も前のこと】
【けっきょく自分は生き残ってしまったし、もう蛇にも祈らなくなっていた。その必要すらなくなって久しかった。ふわと漏らすため息、――ほら、やっぱり、大丈夫】
【能力だなんて使うまでもない。大丈夫。――ともすれ怯えてしまいそうな性根を踏みつけるくらいなら、人間の足でも叶うなら。せめて気高く、いつかの私みたいに】

骨粗鬆症なのかな、神様。――。煮干しでも食べた方がいいですね。――ね、エーリカさん?

【そうやって冗談めかすのが彼女なりの落ち着き方なのかもしれなかった。――。くすって笑ってみせた笑顔は同じでも、鮮やかすぎる紅紫色が笑むなら、少しくらいは大人びて?】


>>712

紫って……、私ですか? ひどい、"お友達"に色で呼ばれたの、初めてです、――、それに、

【くすり、】

だいじょぶですよお。ありがとうございます――、

【最初から分かってたみたいに彼女はアリアにその身体を委ねてゆくから。――。――甘いスズランの声は確かに彼女にも聞き覚えのあるものだろう。でも、どうでもいい】

>>713

【そうして少女は抱き寄せられるまま、身体を委ねるのだろう。お姫様みたいに扱われるのはもはや慣れたものであった。けれど、純粋に無垢な姫君ではありえないから】
【少しくらい乱暴だって文句言うはずもない。――、ならばそのまま二人は跳躍のままに空へ。そうして見下ろす光景にわずかに眉を顰めるのだ。――彼女はその神を知らぬもの】
【或いは必要であれば空中に魔力を固めてやるのだろう。やはり幾らも便利な異能であった。――足場くらいにはきっと十分役立つのなら、】

――アリアさん、ありがとう、

【いろんなこと。きっと全部のこと。――。死にゆくから伝えるんじゃなくて、生きたいから、伝えて】

だからね、なーんでも言ってください、私の女王様? 

【或いは生き残るために。――生き残らせるために。指示を仰いでみせた、目上に頭垂れる騎士の恭しい声をして、けれど現実は、抱きかかえられたままのお姫様なのだから】
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/12(土) 15:28:26.32 ID:gOSvupoBO
>>708-710

【ぎゃは、と確かにそいつは笑った。なるほど、酷く簡潔で完結した道理だった。そうか、と口元が綻ぶ】


…………神様にまで化け物ってぇ言われたのは初めてだなぁ、イルよぉ
ぎゃっは────そうだ。あたしは確かに化け物なんだろうさ
でも…………世界が壊れてスッキリするのはちょっと違ぇなぁ

あたしはよぉ…………ダーリンと一緒に世界を買うんだから……なぁっ!!


(こいつぁ…………!確かカールからのファイルにあった────!)
(廃工場の“レッドヘリング”…………!?あん時ぁ、工場自体が化け物だったが──)
(はン…………、空間そのものになんか妙な細工してやがんのか?それか……)
(あたしらの精神にどーにかこーにかチョッカイかけてやがってんのか…………どっちだっていい!)


【バチン──!回避が甘い。髪の一房が口の中に“持って”いかれる。その一房がばさりと赤く巨大な大蛸様の腕に変化し】
【ぶつん、とミラはその触腕を途中から“引きちぎった”。バタバタと撒き散らされるのは、ヘモシアニンを含んだ真っ青な体液】
【跳ぶ術は持たない。ビル街のど真ん中なら、コンクリートブロックを這い回っての移動くらいは出来たが】
【この荒野だとそれもない。ち、と舌打ちをするが──その表情に諦めはない】
【浮かぶのはむしろ、笑みだった。ミラは知っていた。ここに居る友人のうちの誰かくらいは】
【自分を引きずり出してくれるのだろうと。慢心にも似た信頼。だが、間違っているだなんて決して思わない】

>>712

サンキュー、夕月よぉ!お陰で助かったぜ!ぎゃははっ!
持つべきものは友、ってかぁ?!


【目の前に垂らされたリボンを躊躇なく掴む。飛翔の直後、足元でまた“口”の牙ががちりと鳴った】
【間一髪だな、とまた軽口を飛ばす。宙に逃げている最中、取り敢えず銃の照準をイルに合わせた】
【届くだろうか。多分届く。傷は負わせること、できるだろうか。多分出来る】


…………まずはあたしからも、大事な腕のお礼だ
受け取ってくれよぉ、イル────!!


【放つ。イルに向けて銃声3発。神様の祝福を受けた、昼の国の銃弾。神様の祈りが篭っているのなら】
【別の神様にだって効くはず。その別の神が、虚ろであれば尚更。そう思って撃った】
【狙いは相変わらず雑だった。胴体を狙いはしたが、空中から放ったもの。多少ブレはしても、仕方ないか】
721 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 15:34:09.80 ID:qAC+HY+0O
>>710-711

頭の悪さを露呈した所で私には何の不利益もないさ。頭悪いのは物心付いたときから自覚してるし
今更そんな言葉で煽った所で意味なんて無いんだよ―――"その時"になれば嫌でも解る。


だから――――衝撃/衝戟に備えろ、くそ病魔。


脚本家/ジャ=ロだけでなく戯作者/ロールシャッハ風情にまめ踊らされるような小物が吠え面かくなよ!


【不敬な笑みに混ざるのは言葉では語らない本当。病魔の連想した殺し方とやらは宛らドンキホーテの騎士みたいなものだろうか】
【愚直にばか正直に律儀に殺し続けるだけの無駄努力であろうか―――だったら願ったりだ。】


【ほくそ笑んだ直後、展開されるグロテスクな口、口、口。牙がビッチリ生え揃う口は暴食のあぎとに似て】
【持ち前の身のこなしの軽さがあったとしても何れは逃げ場を失い呑まれてしまうだろう――それがエーリカ一人なら】
【不意に聞こえる声、差し伸べられるリボン。それは地獄に垂れ下げられた蜘蛛の糸のように。でも心強いものだったから】
【躊躇い無く夕月(>>712)のリボンに捕まり虚飾の攻撃から何なく逃れることに成功した】


さんきゅ!名前も知らない赤い子っ!お陰で助かった!
こいつは挨拶代わりだ、くそ病魔―――"ヘルエッジ・ロード"ッ!


【手斧、マチェット、アーミーナイフ諸々合計五本、眼前に召喚したなら躊躇うこと無くイルに放つ。曰く「宣戦布告」】
【それと平行して思案する―――この空間はイルの世界そのものか、と。ならば他の虚神の力も何かしらの形で自分達に襲い掛かるのでは?と仮説を立てる】
722 :ドラ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/12(土) 15:35:14.11 ID:SowzBHbuo
>>708->>711

【イルが無邪気に吐き捨てる嘲笑もどこ吹く風、とドラは手のひらを上にあげ呆れのジェスチャーを見せながら】


笑っていられるのも今のうちさおっぱいの大きなカワイ子ちゃん!だから今のうちにうんと笑っておきな
こちらはもう笑っているよ。うふふ、大層な力をお持ちのようだけど……それがぼくに通じるかどうかは別問題だ

逆に聞きたいんだけど『神』なんて脆弱な生き物がぼくの全てを奪って勝利できると
そんなおめでたい事を本気で信じているのかい?もしそうならば―――呆れてモノも言えないねぇ
なんで横着せずちゃんとぼくに勝利する用意をして来なかったのかと……だからこの後揉まれるんだよ……


ではまずはもう一言。おばあちゃんが言っていた……『ぼくが望みさえすれば、運命は絶えずぼくに味方する』
この言葉を……10分後も必死に縋り付くべく吐いたハッタリと笑えるかい?


【びっ、と人差し指をイルに差しながらかなり不穏な思惑に混じった買い言葉を言い放ち終わると、最初に鈴音を奪い取りゆさぶる計画を始めるべく攫おうとたくらんだが……】
【その目論見は外れる。釣りあげようとする直前に鞭を食いちぎりながら鈴音の体を逆に引き寄せた】
【鞭へのダメージフィードバックは軽度のモノ、手のひらの表面が割け血が流れるのを見ながらキャットVは言葉を続ける】


おおっと!愛し方は童貞じみてるのに執着ぶりは小姑以上だねえ!奪い取るのは骨が折れそうじゃないの
ちゃんと隙を付いて奪い取りに行かないと難しそうだねえ

「失敗したんスか!?ドラさん!俺はどうする!」

もうちょい近づいて物陰で待機!合図で飛び出してちょうだい
……おっと!これはあぶない!!


【『彼』をまだ射程距離外に置いておいて助かった、今飛び出していたら地面の無数の口がこちらを食いちぎろうとしていたところ】
【ひょい、とその場で軽々と跳躍すると、共に戦う少女>>712が空中から助けに来てくれるのを見る】
【彼は空中で手を伸ばすと先ほどと同じように鞭を伸ばし―――なぜかリボンを無視して少女の腰に鞭を絡めて、縮む衝撃で彼女の方向へと一気に体を飛ばすだろう】


やあきみ!>>712助かったよ!カバーありがとね!いい子いい子してあげよう
ふむふむ、近くで見てると可愛い顔してるじゃないの、サンキューね


【至近距離まで近づくと彼はそのまま少女の腰につかまり、至近距離で空中へと逃がしてくれた少女に感謝のしるしとばかりに】
【装甲グローブに包まれた手でその頭を撫でるだろう。そしてもう片方の手でベルトの横ホルスターから、クナイのシルエットが刻印された小型のディスクを抜き取ると】
【ベルトの鈴部分を横にスライド。斜め上からぐ、と押し込んで鈴部分をかちゃりと戻し、鈴を鳴らすと―――電子音声が響くだろう】


チリリーン♪『Lynx kunai-gun Active!』


【するとベルトの中央から光の玉が飛び出し、しばらくキャットVの周りをぐるぐる回ると、彼はその中身の柄をキャッチする】
【出てきたのは柄に山猫の意匠が象られた―――忍者の持つ短刀のような武器だ。ただし、なぜか拳銃のような引き金が付いているが】
【名を『リンクスクナイガン』。今回はその引き金に指をかけている、そして攻撃が終わった所で腰から手を放ち適当な位置に着地するのだろうがその前に】


―――……まずは様子見。攻撃の防ぎ方を研究させてもらおうかな?


【空中からガンモードでの射撃を開始!狙いはイルの眉間、右肩、左膝、胴体の順】
【4発の赤色のエネルギー弾がイルめがけて飛来する!】
723 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 15:35:47.85 ID:EDbyZEUH0
>>714
【ギアもまた、ラベンダーに視線を返す。しかし、言葉はない】
【未だ、鈴音を敵とすることに苦痛を感じる自分の言葉など、彼女のノイズになるとわかっていたから】

>>720
【人形の中から、三つ目が向いた。人形の腕が、中身の能力さながらに長く伸びた】
【同体となったからこその、能力の共有。ギアの中のカニバディールは、そのままミラの身体を掴んで】
【牙の届かない空中に、引き上げようとするだろう】
724 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/12(土) 15:49:09.04 ID:Vc78I/H+0
>>710

【私は目標物の嘲笑を目的とした言動には反応しない】
【何故ならば私にとってそれは主目的ではないからだ】

【私のセンサーが向いているのは此処にいる仲間だ】
【彼らを護る為に私は此処にいる。】

―――接近注意。アラート。

【地面が揺れる。視線の先に数多の口が存在する。そのようなことが起こりうる】
【事例を私は知らないが、実際それは行われている。回避】


>>712

生憎、私の素体は重すぎます故。ご迷惑かと思われますのでご遠慮しておきます。


【折角の申し出に対し、私は礼をして詫びる。申し訳ない。】
【しかし、回避には個人の能力だけで問題はない】

【この素体のパワーと初瀬麻季音によって搭載された高機動システムは跳躍力を飛躍的に向上させている】
【高エネルギーを任意方向へむけ、センシング制御で体勢を維持する。アフターバーナーが強力な跳躍を生む】


―――――皆さん、私が護ります。

【空中での発言は今の状況の通り「地に足ついてない」(自信作)根拠のないもの】
【だけれども、私の中でとどめてはおけなかった。腰に装備したグレネードランチャーを取り出す】

【目標、怪物。距離――測定完了。味方への誤射危険性――問題なし。――発射。】

【異型に何処まで物理的な普通の爆発エネルギーが通用するかは――これから測定する】
725 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 15:54:35.83 ID:L6LzbpG0o
>>712

【地面に出現した口は呆気なく回避されるだろう、──── 空中浮遊とは相性が悪い】


へぇ、奪ってみせる気なんだ、どういう理屈でどういう理論で、そういう結論に至ったか分からないけど
それは気狂いが執着してるのと何ら変わらないよね、振られた相手にしつこく付きまとう負け犬みたいに
分裂症みたいに思い込んで、──── 哀れ哀れ、繋がれ牢で滅びましょう

負けた女がいっつまでも引き摺ってんじゃねぇよ、バラバラに引き裂いてやろうか阿婆擦れ

>>713

【跳躍するアリアの回避、口は作られた氷の防壁を貪るも、同じく空中へと逃げたなら追っては来ない】
【だが、二人は見るだろう、その口、その悉くが僅かずつ違う、──── そうまるで、それぞれ素となる口があったように】
【加えて、その全ての歯が欠けていた、劣悪な衛生状況に置かれたニンゲンの】

【──── 歯磨きすら一度もしたことがない、そんなニンゲンの口内を連想させた】   【──── 饐えた臭いが鼻腔を冒す】

>>714

え? 誰が誰の為に死ぬって? ボクがキミみたいな薄汚いボロ切れを着たドブ女の為に死ぬって?
冗談はよしてよ、百万人が百万人、キミの方が死ねっていうよ、生きてる価値なし、死んでよしってね♪
ああでも、生きたいんだね、惨めでも無残でも無様でも、それでも頑張って生きていたい、健気で健気な願いを

──── 蹂躙してあげる、そうして誰も、救われぬ様に


【空中へと回避されながら、放たれる ──── 黒い魔弾、スナークはそれを見ていたなら】
【小さく口づけが漏れた、具現化するキスマーク、魔弾に触れたなら、その軌道が地面へと変化していく】
【固執の能力、不条理の病魔が持つ、唯一にして無二の能力】
726 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 15:54:45.25 ID:L6LzbpG0o
>>716

【空中へと躍り出る人形、口からの攻撃を軽く回避したなら、爆弾が弾ける】
【口の中が連鎖的に爆発、──── 一度大きく空間全体が揺らめくだろう】
【──── 気付くはずだ、その共通項に、かつて見た地獄と、今の地獄が示す、一つの符号】

>>717

自分を真っ当だと思ってる狂人が一番質が悪いよね、間違った理論を啓蒙される程鬱陶しいことないし
ボクの閨事見たけりゃ対価を払いな、命差し出してもまだ微塵も足りないけど

──── それにまだ前戯すらしてないけど、キミにはひょっとして本番に見えた? ねぇね♪

【出現したアレフ・ゼロによる回避、成就したなら彼女に追撃はない、凪の如く静かに】


>>719

【アリアによる回避、成程、姫君を護る騎士にしては存分に役不足であろう】


──── あ、まだ生きてたんだ、のうのうと、数多のニンゲン殺して、自分だけ生き残って
それでも尚生きようとするなんて、生き汚いなぁ、──── そうでしょ?
ボク達と一緒に悪徳と悪辣を尽くしたのにまだ、正気でいるんだもん

>>720

【夕月の身を借りた回避、──── ふぅん、と冷たい目をしながら見やって】
【キスマークが具現化したなら、銃弾は地面へと軌道を逸らす、──── スナークの持つ、固執の本領発揮】


ならキミの事をなんて表現しようか、化け物でありながら、化け物であれず、ニンゲンに期待を寄せて
そうしていつかは棄てられる、化け物とニンゲンがむつみ合える程、ニンゲンは度量が広くないもんね
確かに今は良いかもしれないけどさ、十年二十年、百年二百年、その先はどうなるんだろう

化け物とニンゲンは違うのに、一緒だなんて陳腐な表現するんじゃないよ
727 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 15:54:53.79 ID:L6LzbpG0o
>>721

【──── スナークの表情が歪んだ、薄ら寒い笑い顔ではなく、純然たる怒りを以て】


はん、あんなボクに使われる雑魚共の名前出して何になるやら! 知ったような口が一番ムカつくんだよね!
そんな事ほざきながら、結局誰かの手を借りなきゃ逃げる事もできない無様なニンゲンの癖に!
いいよ、せいぜい吠えてれば良いさ、そうして終わった演目にしがみついてればいいんだから


【飛び道具に対する対応は一つ、キスマークによる軌道誘導、地面へと固執させてやれば飛び道具は意味を為さない】
【もし、それがエーリカの意思で動かすことが出来るなら、強い意志を持てば、再び動かすことも可能だろう】

>>722

ふぅん、運命が味方をするんだ、運命程度味方に付けた程度で戦えるつもりなのかなぁ
キミ達はボクの元へ命を運んできたに過ぎない、だったらそれは運命の限界じゃないの?
それとも祈ってればおばあちゃんとやらが天啓をくれるのかなぁ? 寝言は寝て言えよ

神なんて脆弱な生き物にも、キミは全てを奪われるのさ、キミが得ているもの、見ているもの全部、奪われてしまう
何故なら神は脆弱だもの、あれもこれも、キミの全部を剥ぎ取らなきゃ、不安で夜も眠れないんだ


【スナークの口元からキスマークが具現化する、"Mors Principium Est" キスマークに込められた、スナークの持つ固執の力がエネルギー弾に触れたなら】
【その軌道はことごとく地面へと墜滅する、地面へと軌道を固執させる、彼女の常套

>>724

【アフターバーナーによる跳躍、機械の身体を生かした回避は神話を超越するのだろうか】
【科学は謳う、神話の脆弱さを、意味の無い絵空事にくられた物語を、真っ向から否定しよう】
【放たれるグレネードランチャーをスナークは見やる、再び描くはキスマーク】

【だが爆発のエネルギーは大きい、地面に着弾させたなら一度大きく "空間全体" が揺れた】
728 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 15:55:06.44 ID:L6LzbpG0o
>>ALL

【──── "INF-008" レッド・ヘリング、インシデント:"信仰の工場" を生み出した虚飾の化け物】
【この空間そのものが、虚神のテリトリーであった、禍々しい雰囲気をそのままに、優位性を歪める】
【荒れ狂う波の中に押し込まれたるは純然たる化生、けれどもそれですら、序列で言えば下から数えた方が早い】

【地面に開いた口は粘性の煌めきを携えていた、吐くは汚泥、呼吸すら躊躇う臭気、撒き散らしながら貪欲に嘔吐く】
【火打ち石の如く打ち鳴らし、勝鬨の如き鈍痛を撒き散らすのだから、──── それは空間サイズに圧縮した悪夢】
【スナークはレッド・ヘリングを使役しながら、純然と嗤う、眼前の光景に未だ、満足できない様に】


──── ダメダメ♪ 理屈が優先されちゃ、道理が通っちゃうもの、可能性があるのは実現しうるから
そうでしょ、だって現実は曖昧で、想像だけが全てだし、ボクは見せよう、その有り触れない可能性を
そして顕現するんだ、有り得ない結末を、あるがままへと落とすために


【地面に出現した口、それから逃れようと能力者達が飛んだ瞬間に、──── 伸びる】
【張り詰めた空、空間に張り巡らされた天空から伸びる、大量の "手" その手が、空中へと躍り出た能力者達を捉えようとするだろう】

【貴方達は見るはずだ、その手は全て、まだ未発達の子どもの手であると、重労働で荒れた、子ども達の手】
【強い薬品に長く触れ続け指紋すら溶けた指先、無数のひび割れと皹、──── 痩せ細ってゴツゴツと角張って】
【それでも藻掻くように、何かから逃げるように、懸命に貴方達へと手を伸ばす】

【だが、足りない、数は多くともただの手だ、──── 再び回避されるのは目に見えている】


──── そう有り得ない結末を落とすんだ、分かってないなぁ、何処がレッド・ヘリングで、何が虚飾なのか見分けなきゃ
バカの一つ覚えみたいにぴょんぴょん飛んで、そんなに天に召されたいなら

いいよ、天の方から、君達を "迎え入れよう" ──── なんてね♪


【次の変節、ぐるり、と "空間が反転する" ──── まるで世界を底からひっくり返した様に、地面が頭上にあり、空が地面へと来る】
【そして飛び上がった能力者達は "足下から吸い込まれる" 様な重力を感じるだろう、足下に広がるのは "空" 文字通り、空へと落ちていく】
【加えて、空に広がるのは大量の手、落ちてくるであろう能力者達を捉えようと、その手が伸びる、そして】

【触れたなら、強く握りつぶそうとするだろう、かなりの握力であった、──── 亡者の如く】
【飛行状態で留まれる能力者達は体勢を戻したら、継続飛行は可能であった、荒唐無稽な空間の変容であったが】
【地面が "天井" に、空が "床" になると考えたなら、矛盾は生じない】
729 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 16:09:21.49 ID:NMykxgUoo
>>719

【玄色の腕と真白いブラウスの胸間に抱き締める少女の温もりをアリアは肌に浴びて疑う事がなかった。 ─── 世界で何より彼女が真実ならば】
【静かな微笑みをもって少女へと語りかけるのだろう。甘く湿ったリップノイズ。万感の思いを込めて、共に立ち向かう、一握の決意。】


  「 ……… どうか、護られて頂戴。」「私の、かえで。」



>>722

【 ─── 見るからに彼は不快そうな表情を隠そうともしなかった。軽々しくも伸ばされて乙女の髪に触る意味を相違なく憤怒していた】
【あまつさえ見知った顔だった。かつて煮え湯を飲まされた相手だった。場が場でなければ手痛い応酬をくれてやる積もりだった。然して】



    「 ───………… 見逃しといてやるよ。」



【一ツ忌々しく吐き捨てて、この場はそれで収めてやるのだろう。飽くまで彼女は己れの伴侶であると、想い人の細い腰つきを抱き寄せながら】


>>719>>728>>ALL


【 ─── エーノの左腕が、虚空に弧を描く。此れは単なる攻撃手段の一環ではないのだと彼らは解釈した。】
【指先より腥い大気に張り詰める霧氷は忌むべきものを清め冷静な思考を再開させる切欠であるかのようだった。余さず辺りにそれは満ち満ちて】
【微かに凍てつくその香を浴びた者は、確かに己れの躯体が軽くなるのを感じるだろうか。彼の操る異能。凍結を起点とした重量の操作】


  「 ……… そォかい。飽くまで"そう"するってか。笑わせやがるぜ。」
  「おまえ、 ─── 自分がまだ生きて帰れると、思っちゃあいねえだろうな。」


【 ─── 落下に際する十分な猶予を得たアリアとエーノが、かえでの創出した足掛かりを用いるのは困難な事ではなかった。】
【報告書に記されていた記憶を再生する。 ─── 悍ましい光景も然して虚飾でしかないのなら、果たして本質は何れであるのか】
【思考より早く両者は動いた。 ─── 投擲される刀と刃は、何もない荒野と、その空へ向けて。そして連弩より放たれる鏃は、病魔本人へと】
730 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 16:10:55.12 ID:dtli0ef20
>>ALL

【自分を頼ってくれた人。頼らずとも大丈夫だった人。みんながみんなそうであるから】
【だから、まずは誰も死ななかったことに安堵する。――していたらまあ、】
【知らない人(>>722)に腰をがっちり掴まれて頭を撫でられるのまでは想像してなかったから】
【ギャアと悲鳴を上げる。それだけ。それから後のことは――各々に任せるのだろう】
【着地したい人がいるならリボンを地に伸ばして、放してやる。それ以外の人は掴んだまま】


>>725

やってみろよ、てめぇも所詮自分だけの力じゃあたしたちに勝てないくせに!

【過去に滅ぼした虚神の能力を借りて。そうしてこれからも、鈴音の力を借りなきゃ世界も滅ぼせない】
【そんな「出来損ない」に負けてやる心算など毛頭なかった。笑い飛ばす。そうして中空に留まるなら】
【思い出す。知っている。「こいつ」の殺し方を。であれば銃口を手向ける先は伸ばされる手ではなく】

――――そんなにブッ飛ばされてェか、一回だけじゃ足りなかったみたいだなァ!!

【「天井」。体勢を立て直し、くるりと振り向くならば、視線を向けるのはいつだって上だけだ】
【ただ今回は――最初から鉛の悪魔を喚んではやれない。だから代わりに差し出すのは】
【銃弾。両手のものに籠められていた10発すべてを放つなら、それを中空にて融合させて】
【少女の身の丈より、何倍も何倍も大きな「剣」を作り出す。そしてその柄を、リボンでぎっちり掴んだら】
【――――重い重い風切り音。天井に向かって思い切りそれを突き立て、それから、振り抜かんと】

【その間、背に伸びる手の群れには何の対処もしない。けれどそれで十分だと知っていた】
【背中は預けたと最初に伝えた。だから、何もしなくても。信頼だけが、一撃を揺るぎなく、ブレなくさせる】
731 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 16:22:10.22 ID:7o2/4zDY0
>>725-728

――――人間たちがお前に生きろと? 冗談じゃない
それに――――思い違いも甚だしいです、『病原菌』――――生きたがりなんて言葉、人間たちに掛けてやれば良い――――ッ
私を殺すなら、好きにすると良い――――その代わり、お前も同じく――――だ――――

【逸らされた魔弾を冷ややかに見つめながら、なおもラベンダーは冷えた言葉を向ける。既に固まり切ったその心は、そう容易に昂する事はないのかもしれない】
【流れ弾とした魔弾に、地面が潰れる。死の一撃は、それでも命を持たない対象には、さほどの意味をもたらさなかった】



「っく……なるほど、これは混乱させられる……こんな化け物と、どうやって戦えば……それを、ずっと考え続けてきたんだ……」
{そういう事だ。とは言えこれは……むぅ――――}
<――――少し、本気を出さなきゃいけないかな……ラベンダーちゃん、この大鷲、あとどれくらい持つ?>
――――同時行使さえしなければ、それなりの時間持ちます。状況を変える糸口をつかむくらいなら、さほど気に掛けなくても――――ッ!?

【幻影を展開しながら、ラベンダーは中空から、如何にスナークに、そして『鈴音の死体』に迫るかを思案していた】
【同時に、幻影を身を預ける3人は、周辺に展開されたレッド・へリングの力を、どう対処するかを考える】
【状況は、大振りな、マクロの戦いになってきた。その中においては、瞬間よりも重ねられた思索が大事――――熟考し、次の一手を模索する】

【そんな心境にある中だった――――突如として、空と大地は崩壊させられる。天蓋として、全てを食いちぎる咢が覆い、足元の虚空には破滅の力を湛えた腕の群れが】

っく――――!!
{これは――――ッ!!}
<――――サリー君、アーディンの旦那を任せたよ。今は、お願いね……>
「レミー……まさか……!」

【咄嗟に、バランスを取って、両者から逃れるラベンダーの『イーグル』。とはいえ、これでは流石に長時間持たせることは難しい】
【自分1人なら何も問題はない。だが、今その背中に3人の仲間を乗せているのだ――――その中で、無茶な能力行使を繰り返す事は出来ない】

【そんな中で――――白の少女――――レミーが、意を決した様子で立ち上がる。咄嗟にしがみつくアーディンとサリードを尻目に】

<――――――――ぐぅぅぉぉああああああッッッ!!>

【バキィッ――――という破壊音。そして、彼女の顔面が崩壊する。そこにあったのは――――まるで、顔にめり込んだ巨大なラズベリーの様な、赤い複眼】
【ギロリギロリと、周辺を見渡して――――白と赤、忌まわしいモノを連想させるそのカラーリングは、忌まわしい輪郭を手に入れる】

<――――何もない所に何かがあるなら、何もない所を殺せばいい――――『神』の分際で、『神』を舐めるな――――!>

【その声は、どこから響いているのだろう。先ほどまでの、外見相応のものとは明らかに違う、地に轟くような声で、レミーは忌々し気に呟く】
【ズルズルと、その背中から、白い肉の膿の様なものが湧き出て、そこから更に、象の鼻の様な触腕が四方に延びる】
【そしてそこから――――強烈な魔力ビームが照射された。1条は天蓋へ、1条は眼下の虚空へ、そして2条は――――何もない、忌まわしき地平線へ】
732 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 16:26:42.25 ID:EDbyZEUH0
>>725-728
【観察眼が光る。空間の揺らぎは、弱点も以前と同じだと教えてくる。神はその定義を容易くは変えられないということか】

「精肉工場を気取っていた時に比べれば、遥かにマシだがな」
言ってる場合かよ!

【密かに呟く肉屋を尻目に、人形の方は眼前の状況への対応に追われる】
【世界が丸ごとひっくり返る。空に落ちるなんて馬鹿げた事態も、虚神にかかれば造作もなしか】

【何が虚飾なのか。このふざけた世界で見抜かねばならない。だが、答えは腹の中に隠した怨敵がもうくれた】

工場に穴を開けたって言ってたな、カール……! なら、ここにも!!

【人形が肉触手を一度折り曲げ、牙を蹴るように空中で再跳躍。そのまま、中身の能力を借りて四肢を限界まで伸ばす】
【サーベルを握った手で、無数の子供達の手を斬りはらう。もはや、この手に対して感傷を抱く贅沢すら許されない】
【ミラを掴めていたなら、もう片方の手はそのまま彼女を掴み続ける。彼女が空にも地面にも落ちないように、かつ攻撃を継続出来るように】

【両足は、所構わずコバルト・ボマーを蹴り回す。口へ、子供の手へ、空へ、荒野へ、この空間そのものへ】
【そのうち数個は、イル自身の方へも。起爆はもはやオート。ぶつかる端から弾け飛ぶ】
733 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 16:29:05.75 ID:qAC+HY+0O
>>728

くくっ、どうしたんだい?痛いとこ突かれて怒り心頭、怒髪天だってのか?
あっは、少しだけ親近感湧くよ。神様気取りも人間みたいに感情に身を委ねるんだってね。

それに誰かの手を借りなきゃ何も出来ないのはお前とて同じだろうが。
お前一人では何もできない。そこでくたばったフリしてる便利なクソガキが居なきゃイキりの一つも出来ないくせに。
ジャ=ロやロールシャッハには振り向くだけの理由と理屈があった。特にジャ=ロには憐れみだとか同情さえ抱く程だった。

だがテメエには何もない。ただのガキの駄々こねと何が違う?―――言ってみろッ!
かえでの言葉(>>719)じゃないけど煮干しでも咥えてみたらどうだよ、少しは落ち着くかも知れないよ。


【悪辣な言葉、蔑みに染まる瞳。そしてシュロを連想させる攻撃的で卑しい笑み。心の底から殺したいと願う相手ならば自分の中に潜む暗い悦びにだって身を委ねられる】

―――……!?うっ、ぁぁあああっ!!


【夕月のリボンにしがみ付いたまま、固執の効果で動きを阻害された刃物達の制御を取り返そうとした矢先】
【―――天地がひっくり返る。文字通り、天と地が逆さまになる。なんたる不条理か。世にも奇妙な体験であるがそれな驚愕し続けていれば】
【空から伸びる亡者の手に引っ張られ自分達もその仲間に入れられそうな気がしたから】
【新たにマチェットを五本召喚して、固執の効果で動きを阻害された刃物の制御を奪い取ったなら】
【10本の凶刃が風を切りながら亡者による足引きの手達に襲い掛かる――"私たちは死んでる暇なんか無いんだ、邪魔をするな!"って叫びと一緒に】
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/12(土) 16:31:06.01 ID:gOSvupoBO
>>723(カニバディール)

…………!その三つ目っ…………!ひょっとしてカールか!?
ったく……あんたには助けられてばっかりだなぁ!

にしたって──こりゃ、あんたが工場で見たっつぅ“レッドヘリング”の力か?
倒したんじゃなかったのかよっ…………!


【するりと夕月のリボンから手を離し、カニバディールの手の導きに従う。あまり夕月にぶら下がっていると】
【流石に夕月の行動を阻害してしまうだろうと思ったからと、カニバディールに捕まっていた方が】
【夕月の負担にならないとも思ったからだ。その判断は、恐らく正解だった】


────ッッ!!カール!悪ぃがもうちょっとあたしを捕まえとけッッ!


【天と地が反転する。空に堕ちて行く感覚。それでも、リボンなら心許無くとも──人形の腕を、しっかりと掴む】
【その腕には無数の吸盤。亜人としての能力で、彼の腕に掴み張り付いて空に引き摺り込まれまいと足掻く】


>>726(イル)

あたしのことをなんて呼ぼうが、てめぇの勝手だイル!
誰がなんて言おうと…………あたしはミラ!ミラ・クラァケだぜ!?
化け物ってぇのも、侵略者だとか人でなしとか、それもあたしのキュートなニックネームだ!

いいか────てめぇのアイデンティティに誇りをもてねぇ奴が、勝手に人の未来を語るじゃあねぇ!
あたしは、なぁ…………イルっ!てめぇほど誰かに期待を寄せきっても、絶望しきってもいねぇんだよ!
違うから“イイ”んじゃねぇか……違うからっ!“面白ぇ”んじゃねぇかよ!
てめぇは────その面白さが分からねぇのは…………それこそ、不幸ってぇやつだなぁ!


さぁて…………何が起きていやがるのか────ちょいくらタネ明かしをしてもらおうか
なにせ──こいつぁいっつも、なんだってお見通しだからなぁ…………


        ≪ Dr. FEEL────GOOD ≫ ッッ!!


【銃を持ったまま触れるのは、耳に添えた銀のイヤリング。その異能は──かつての敵のもので】
【いつか友になれたかもしれぬ者の異能/チカラ】

【イヤリングに触れた指先から魔翌力が爆ぜる。見える
きっと見える。魔道具と化し能力の一部しか顕現していなくとも】
【それでも、何かが“視える”はず。なんだってよかった。空間の限界。何処かとの境界】
【それと同時に、祈った。死者に祈るだなんて、バカバカしいとは思ったが──力を貸せ、と】
【千里を見通すあのキザったらしい優男を脳裏に思い描いた】
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 16:31:56.41 ID:KNy7E7ko0
>>725-728

【だから来たんじゃないですか】

【――――小さな声だった。愛しい人の腕の中に抱き留められて、尚、その程度の声量でしか紡げぬ、発露だった】
【そんなことを考えたら死にたくなってしまうの。だけれどもう一人だけの命じゃなくって、死ねやしないから。だっておんなじ命を分け合った人に抱き留められている】
【だから来たし、だから、やる。――。償いだなんてしおらしく少女らしい振る舞いじゃない。自分で自分の命に納得したいだけ。その結果に償いが付随するかもしれないけど】

――――――知らないですよ、うるさいなあ、もっかいミャーミャー泣いて喚いて、いいですよ? 動画撮ってあげますから――。

【抱き留める腕にわずかな身体の強張りを伝えて、――それでも生温く慈母めいた笑みを向けてやる、から、】

【――生えそろう無数の口に、やはり眉根は潜められる。呼吸を躊躇うのだとしても、人類は呼吸なしでは生きていかれぬのだから、非道い話】
【まして見上げる空より降りしきるのが指先であり、捕まえられたなら無条件に天国に行けるだなんて言うなら、ずいぶんと簡単なお話だった、修行も儀式も要らないなんて】
【だからばかばかしい。そんな簡単に救ってもらえちゃ羨ましくってしょうがない。私はめいっぱいに頑張ったし皆だってそうだったんだ。だから、】

――ふやぁっ!? うわっ、あ、――っ、っ、

【甘ったれて漏れる悲鳴も噛み潰す。それでも咄嗟に抱き縋ってしまうのは、足先すら宙に浮かばせたままであるから、――けれど、それ以上の恐怖はあり得ず】
【すべての回避はアリアに任せてしまう。自分の命すら容易く委ねてみせるのは信頼と親愛、――、貴女の愛とは違うの、だなんて、言いやしないけど】

>>729

【もちろん、なんて、彼女は小さくささめいた。その耳元に顔を埋めるようにして、――、「だからアリアさんも、私に護られて」。閨の温度感によく似て、けれど、】

あいつ、殺せるか、やってみるから。

【――ごくささめきの中で伝えたから、やっぱり、この命の全部、貴女に委ねますっていう宣誓であるのだろう。投げ出されたなら、そのまま、誰かの腕の中に消えていく定め】
【ちょうど空と地の間にこさえた足場はどちらからもいくらかの距離を保っていた。――。甘い香りがするのが嬉しかった。饐えた臭いからいくらか気を逸らすことが出来たから】


>>728

【――わずかに身を乗り出す、ならば、少女はイルへと視線を向けるのだろうか。具合の悪い機械をとりあえず再起動して直りやしないかと期待するみたいに】
【"神様"から賜った眼差し、生きていたら殺すし、生きていなくっても殺す。――ただし、やはりどうしてもその瞬間に無防備になる。何かへの回避すら任せきりであるなら】
【きっと護り通してくれるだろう。そうだとしても、――何か大きな出来事があるなら、少女だって目を逸らさずには、居られないから】
736 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/12(土) 16:38:00.23 ID:Vc78I/H+0
>>728

【ひっくり返される。認識の違和感をもってして理解する】
【この場所は既に敵の支配下にあるのだと。全てはテクスチャ】
【だから繋がり合って、世界は揺れたのだ。オブジェクトは取り残される】

【しかしこれらも、高度な道理である。と、個人は認識する。もしかするとこの認識は】
【先入観かもしれない。しかし理や繋がりは断ち切ることは難しい】

【空中で、飛び続けるような機構や装備品は有していない。姿勢制御をアフターバーナーで】

【行える程度だ。――――困った。ロボットも困る。】

【このまま空に落ちていくか。だったら、あの腕は切り落とすしかあるまい】

【ロボットは人を殺すことはプログラム上できない。しかし、空から生える手を切り落とすことは】
【何ら問題はない。そうやすやすと潰されるような安いシステムは搭載していない】
【切り刻んでレーザーで焼き尽くす準備をしつつ】


>>all

私はこの状況を理解し、打開するための方法を考える必要十分な情報を有してはおりません。
どなたか、情報の提供を求めます。

【アンドロイド然とした抑揚のない声、表情。空に落ちていく。アンドロイドは最も効率の良いものを求める】
【故にその場の関係者にそれを問うことは最善であり抵抗はなかった】



>>729

【その凍てつく香は命なきからくりの金属体には何処まで有効だろうか】
【ロボットは初めて能力というものに触れた。気のせいかもしれないが言葉では言い表せない】
【感覚がした。それが魔力というものだろうか。神の見えざる手とも言うべきか。】

737 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 16:38:02.20 ID:dtli0ef20
>>726-728
何だよ、分かってんじゃねェか――
動画のシークバーがクソ長そうでうんざりしてるとこさ。


【短く返答しながら、このレッドへリングの意味を考える】
【本人もそう言っているように、まさかこの攻撃が能力者達に有効打を与えられると考えていた訳ではないだろう】
【じゃあ、何故出したのか?と言う話になる】


【視線を開かれた扉の奥に向ける】


「――そもそも前提の話だよ」
「この場は白昼夢のように見えるが、事実夢だったとして、ここでイルと白神鈴音を倒すことに意味は有るのか?」
「認知が存在の土壌となる他の虚神達ならともかく、この二人は現実に肉体を持つ"人間"だ」
「スナークだのブージャムだのと言う以前の問題になる」


「虚神から意識の離れかけていた君が顛末を見届けるには最適だ」
「ややこしく考えずに状況を把握して欲しい。以上だ」


【扉が閉まった】
【再び、単騎で放り出された男だが、今度は天地が逆転したように――】
【"ならない"――男の視点からしてみれば、他の全てが逆さになっているように見えるが、重力は依然として、男を地面に張り付けたままだった】


あん?何だこりゃア?


【男に取って、"世界"とは自分の認める全てであった】
【ここがどういう場所であろうと、自分の認める法則以外は世界に必要ない】
【だから、他者の語る道理に従う必要などないのだ】


何処までが虚飾か、ねぇ。
いっそここにある全部が虚飾にしか見えねェがな。


【確かに好戦的で凶悪な攻勢であるのだが――その意味を考えるので有れば、そもそもイルの目的は能力者達を殲滅することではない】
【強いて言えば、この演目を"見せ付ける"ことが、目的であろう】


そう思えば中々スリルのあるアトラクションだ。
遊園地とか、仕事でしか行ったことがねェがよ。


【例えば、球状の空間に人を閉じ込めて、それがゴロゴロと転がっていれば、天地は逆になったように思えるだろう】
【しかし、それは決して世界の法則が変わった訳ではない】


【さて、手持ちの銃でドンパチやっても良いが、派手な攻撃力は持っていない】
【その手の持ち合わせのある奴はこの場にいくらでもいるだろう】
738 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 16:45:02.21 ID:7o2/4zDY0
>>736

「っ、アーディンさん……」
{……あの、機械然としたフレンド相手に、概念的な話を、どうやって理解させるという事だ……!}

【現状、余裕をもってこの場にいるのは――――少なくとも、周囲に意識を配れるくらいには――――アーディンとサリードのみだろう】
【だが、その問いかけにはどう答えれば良いのか、流石に返答に困るものだった。明らかにロボット――――或いは、別の何かかもしれないが、とにかくメカニックである】
【数式として提示するものではない以上、どう伝えれば良いのか、それが問題だった】

「この周辺はダミー! ……じゃない、改竄された攻撃ばかりだ、そこに対応しちゃダメだ!!
 数値ゼロの観測データの中に、敵の本丸はあるはずだ!!」

【咄嗟に――――サリードは、機械らしい語句へと言い換えて、それを叫ぶ】
【これで、問題なく伝われば良いのだが――――】
739 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 16:48:41.16 ID:EDbyZEUH0
>>734
「少し訳ありでね! 人形の中から失礼!」
うるさいな、知り合いと話すなら後にしろよ!

【空中で言い合いを始める辺り、付き合いは長いらしい】

「ああ、確かに倒したはずだった! だが、相手が相手で場所が場所だ、何が起きてもおかしくない!」

「了解した、王妃殿下!!」

【リボンからこちらに移った彼女を、人形の腕がしっかりと固定する。内側から補強する肉が、彼女の姿勢をブレさせない】
【吸盤の力もあれば、人形の腕は彼女のための確かな足場となるだろう】
740 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 17:02:14.96 ID:L6LzbpG0o
>>729

【刀と刃は虚空と荒野に吸い込まれていく、──── 再び揺れるは確かな証左、それは理由を持った荒唐無稽】
【確かに私達は踏破した、明かされた真実は、時として空想よりも遙かに脆い】


──── 思っちゃいないよ、だってそれは当然の事だもん、呼吸することを不思議に思っちゃうの?
ボクが生き続けるのも道理で、勝ってしまうのは簡素な理屈さ、だったら何も思うことじゃないしぃ
それともなぁに、キミ達はまだ、生きていられると、思ってるの?


【鏃が病魔の首筋を貫いた、湧き出る血が足下の手を濡らした】

>>730

へぇ、おかしな事言うよね、今ある全てがボクの力なのに、借り物だと思ってるの?
だとしたら絶望的な理解力だよね、ボクは虚神で、描くは虚構、グランギニョルの催しに、グランギニョルな演出を
その全てを手にしたなら、その全てを使ってみたい、それが脚本家のエゴでも、世界を壊すには丁度良いから


【夕月は作り出す、闇を絶つ剣を、──── 願いよりも鮮やかに、世界を貫く実弾を、空想を掻き消す砂糖菓子ではなく】
【天井へと振り抜いたなら、天井が大きく嘶いた、──── 有効であった、強く深く、その身体を震わせて】
【一瞬空間全体がぶれるほどに、夕月の一撃は効果的に作用するだろう】

>>731

アハハ、病原菌だってさ、病魔にとっては名誉な事だよね、それは旧時代の解釈でしかないけどさ
病をもたらすのが菌だなんて、ホントに言ってるの? ホントに信じてるんだとしたら滑稽極まりなくて
キミはひょっとして自分で見たことない、科学なんて妄言にその身を委ねているのかな、何の道理もないそれに

──── 常識で凝り固まった脳は哀れで無残だもの、後はもう果てるしか無くて


【魔力ビームが周囲を焼き尽くす、崩壊するような声を響かせて、空間全体が更に大きく跳ねた】
【空間自体の耐久度を遙か超えるほどに、集まった能力者達の火力が高い、──── スナークの誤算か】

>>732

【乱射される爆発が周囲を焼き尽くす、空間へのダメージもさることながら、それはスナークへも届く】
【その淫らな身体を火傷で汚していく、ついた傷は大きい、──── それでもほくそ笑んで】
741 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 17:02:24.59 ID:L6LzbpG0o
>>733

べらべらと口だけは一丁前に回るんだね、屁理屈と駄々を捏ねてるのはアンタの事でしょ?
ボクの事を何も知らないのに知った様な口で喋るほど愚かしい事ってないよね、結局アンタは無知だもの
アンタの首を叩き落として、その骨でもしゃぶったら、少しは溜飲も下がるかな、なんてね ────!


【凶刃が足下の手を斬り伏せていく、ぽろぽろと、手首が切り払われて】

>>734

──── っ、悲しい自己肯定だよね! 結局化け物であることには変わりなくて! 道化として振る舞って慰めてるだけじゃん!
違うっていうのは罪なんだ、違うっていうのは許されない、それを嫌という程知っている筈なのに!
あはは、分かってるよ、アンタのそれは勝者の理屈だもんね、自分を認めてくれる誰かがいるから、きれい事を言って

──── そういう奴が一番、ぶち殺してやりたくなるんだ!!


【舌打ち一つ、感情を露わにするのは同族故か、かつては一度、手を伸ばそうとした相手だからか】

【千里を見通す瞳は看破する、神に与えられた "目" が看過するだろう、この空間そのものの正体を】
【それは一つの生き物と言って良かった、言ってしまえば私達は既に、化け物の胃袋の中に居る状態で】
【だからこそ能力者達は周囲の壁や地面に攻撃を放っているのであった、──── だが】

【知っている筈だ、 "Dr.Feelgood" の本懐を、──── 現実の限定的な "歪曲" 】

【卓越した視力は、見えぬ物すらも見通す、──── その能力を行使し続けていたなら、見える】
【──── "突破口" すらも、鮮やかに、脳への多大なる負荷と引き換えだ、呼吸が乱れる、視界が歪む、脳が震える】

【だが、ミラは見つけ出すだろう、地面に空に、広がるのは無数の "点" この空間は化け物の身体そのもので】
【その化け物は単体ではない、無数の肉片が繋ぎ合わさり、一つになっている、そして ────】
【"Dr.Feelgood" が見つけ出したのはその隙間、本来は存在しない、肉片同士の繋がりを、暴き立てた】

【ならばその点を片っ端から突いたなら、──── この空間が崩壊するのは、"目に見えている"】

>>735

【その瞳の意味を知っていた、──── クソ野郎の残した忌々しい忘れ香、神様だって殺してしまう瞳】
【禁術って言ったろ、スナークは直ぐさまその視界から離れる、ならば追い続ければ良い】
【そう、アリアが無事で在り続けたならば、捉えることも可能だから】
742 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 17:02:33.86 ID:L6LzbpG0o
>>736

【空から生える手は切り裂かれていく、ぽとりと空に落ちて、"空に広がっていくだろう"】
【ロボットが描くのは最も効率の良い解法、──── 果たしてそれは】

>>737

【観測者として佇むパグローム、それこそが最善手と言わんばかりに、──── 事実それは正しい】
【万能者など存在しない、パラドックスの前に沈むのが道理だ、ならば必ず解法がある】
【道理に従わずパグロームは地面に立つ、些か奇妙な光景であったが、矛盾は無い】

【けれどもそれは流れに背いているだけであり、──── 根本的な解決にならないことを、理解しているはずだ】
743 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 17:02:57.12 ID:L6LzbpG0o
>>ALL

【スナークは "床" とかした空に立つ、末広がりの曇天に、立ち尽くす姿は天からの使者にも近しく】
【そして周囲を手が蠢いていた、根の国よりも未だ昏く、黄泉よりも悍ましく、憎悪の声が喚き散らす】
【雨の様に滴り落ちるは "唾液" ──── "天井" とかした地面一杯に敷き詰められた口が、白痴の如く開いて】

【悠然と手を伸ばした、──── 足下に転がる鈴音の "遺体" をそのままに、手慰みでもするような艶やかさで】

【空に敷き詰められた手が、鈴音へと群がる、まるでパン生地でも捏ねるみたいに、その骸を引き千切って】
【カサカサに乾いた指先で、瀟洒な柔肌を蹂躙する、指先だけの力で、皮膚を裂き肉を抉る、時には骨を砕きながら】
【冒涜的に捧げられた生け贄の如く、哀れ無残、その姿を辱められて ──── 】

【しかし、状況は不利であった、能力者達は既に解法を知っているのだから、空間は徐々に崩壊を初めて】
【天井がポロポロと剥がれていく、その意味合いを誰が知るのか、スナークに付いた傷も大きい】


ふぅん、まだ分かってないみたいなんだね、──── じゃあ分かるまで続けなきゃいけないなぁ
ボクの持つ力の意味合いを理解できないのは無知故に? でも、理解できない事をボクは責める訳にはいかないんだ
だって啓蒙するのも神の使命だから、頑固で哀れなキミ達を、少しでも正しく導こうと

──── その先が地獄でも、今よりはずっと幸せでしょう?


【そう、既に察しの良い者は気付いている、この空間の殺し方を、この空間の壊し方を知っている】
【だからこそ最適解を打てた、其れは何故なら一度解いた問題であるのだから】
【病魔はほくそ笑む、ならば、これはどうか、──── 応用の題を提出する、意地の悪い教師に似た】


司るは "世界線" 無限の羽ばたきの先は無限の世界、無明の夜の中から、光指す未来を探しましょう
そうして見つけた世界には、極夜を浸して、──── そうして私と、飛んでくださらない?



            ──── ヒトは呼ぶ、我が名を ────





                      "Shakah"       
            ──── "目眩く色欲の極夜蝶" ────

                    シャーデンフロイデ




【世界が暗転する、──── 張り詰めた緊張感の最中に、僅か瞬きをしてしまった、かの如く、一瞬の黒が世界を覆って】
【次に目を覚ましたなら、空間の綻びが "元に戻っていた" ──── 放った攻撃の悉くが無効化された様に】
【目の前のスナークもそうであった、無傷の状態で、その場に佇む】

【シャーデンフロイデの持つ、 "世界線移動" の能力、空間であるレッド・ヘリングへの攻撃をも、自身への攻撃と解釈し】
【受けた攻撃を無効化し、無傷である世界線へと移動するのであれば、──── それは紛う事なき悪夢】

【そして、その反動が来る。アリアの放った刃はアリアの右腕へ、エーノの放った鏃は自身の左腕へ、明確に傷を付けていた】
【夕月の振り抜いた剣は、自身の身体に返ってくるだろう、レミーの放った四つのビームは、ラベンダー達に "命中した" という世界線に書き換わる】
【ギア・ボックスは自身が放った爆発を一身に受けるだろう、エーリカも同じく、手首を切り裂いた様に、切り刻まれる】

【ミラとかえでは無事だろう、かえでへと返る瞳の作用は、不死の存在を不可逆的に殺す術なのだから、かえでに有効な道理はない】
【 ──── しかし、かえでの頼るアリアには不可避のダメージが巡る、無事追い続けられるかどうかは定かではない】

【加えて言えばゾーイとパグロームも無事であった、──── 二人は未だ、無傷のまま選択肢を持つ】
744 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/12(土) 17:04:20.99 ID:Vc78I/H+0
//すみません。ここでしばらく離席します
745 :キャットV ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/12(土) 17:17:44.96 ID:SowzBHbuo
>>729>>730

(おおっ?この反応は?)

おやっ、どうしたきみたち?なにかまずかった?いやぁゴメンゴメン!
でもマジ助かったよアハハ!サンキュー!今度ジュースおごってあげるよ!
……ほらほら!わかったら睨んでないで戦いに集中しなミレーユ君!!


【空中へ逃れる際に助けてもらった少女と、彼女に触れた事であきらかに見覚えのある人物が一人こちらにガンを飛ばしているのを知る】
【その反応で……大体の関係を察するキャットV。仮面で顔が隠れこの場の誰一人として、よからぬ顔をしていた事には気が付かない】

>>727

いや……祈る必要はもうない。ぼくはすでに未来を拓く力を手にしている
すでに味方だったから……持ってなかった必要なものはもう全部持たせてもらった
まあ落ち着きな、戦いはまだ始まったばっかり……ぼくの言ってたことは本当だったとわかるまでにはあともうしばらくだ

(なるほど、あのキスマークに振れたモノは全て特定の何かに引き寄せられるのか
飛び道具は追尾系じゃないとキツイな、ノビタ君みたいに感付かれて触れられる前に着弾させる速度がない限りは
ぼく決して銃の達人ってほどでもないしね……やはり近づいて直に攻撃を叩き込むしかないか)


【かいくぐって攻撃する飛び道具の類はない。攻撃を当てるにはやはり接近戦が有効と判断した】
【だが油断は禁物、突如自分たちのいた場所の天地が一変する―――!!】


こ、これは―――!!


【下から伸びるのは子供の手―――わかる、伸びてくるこれに捕まったら大ダメージだ】
【だがその攻撃に向かって自分の方が近づいているのだ……今の自分に飛行手段はない、少女から手を離したなら回避は不能だ】

【―――それでも、慌てそうになるこの状況でもキャットVはまだ屈しはしない】


いいや結構。ぼくの進む道はぼくが決める
そうたやすくきみの示すようには動かないさッ!―――『キティ ACT2』!!


【こちらに近づく無数の子供の手、彼は無理によけようとしなかった】
【むしろ伸びる手のひらめがけて―――至近距離に達すると同時に掴まれるよりも早く手を足場にして跳躍した!】

【その際に足に発現するのは―――踵から常に火が噴出し、己の膝を赤い鞭で巻き取った長靴のようになヴィジョン】
【接すると同時彼は―――ボン!と爆発音とともに手を足場に勢いよくイルめがけて跳躍すると】


せぇぇぇいッ!!!


【狙いは額、手元の『リンクスクナイガン』のクナイモードで横一文字に切り裂く】
【ほんの僅か当たるだけでもいい、波紋が流れたらイルの瞼を強制的に閉じにかかる効果が襲うだろう!】
746 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 17:21:41.87 ID:NMykxgUoo
>>730

【 ─── 紅い少女の背に迫るものがあれば、遮るように焼き払うのは黒い激情の炎である。嘗て彼が手にかけ、そして引き継いだ、1人の女。その異能の残滓。】
【重い炎だった。比喩ではない。壁のように重く、固く、厚い炎。それでいて何者をも分かたぬ暗い輝きは、絶えず揺れて憚らぬのだから】


    「任せといて。」


【例え聞こえぬ言葉だとしても、 ─── 言葉なき信頼に、彼は呟くのだろう。何を恐れる事もなかった。それが彼の信じた条理だった】
【少女の如何なる攻勢にも彼は追従し守護するのだろう。クロスボウを構えて飛び上がる。宙空にて重なる背中の、一刹那。】


>>735

【呼気と吐気ごとに胸許は震える。囁く少女の言葉に、何ら変わらない呼吸が答えていた。動揺も怯懦もなかった。信頼と愛情だけがあった】
【絹地のショーツを紐解くような音階が、少女の言葉を肯定する。世界の全てを救えぬのなら、せめて己れに託された全てを守るのが、銀色の騎士に定められた宿命だった】



   「 ……… ええ。」
    


【想い人を除けば誰よりも信頼する戦友の為に持ち込んだ刃物も、今となっては無為な凶器であった。であればこそ、】
【常に黒衣に携える、彼女の得物を引き抜いて露とする。 ──── 馬鹿げて重厚なマズルとスライドは、真っ当な拳銃のそれに属しようも無く】
【残酷なほど鮮明な白銀のフレームに、60口径の刻印に、冷徹な殺意を煌めかせていた。銃把を握り込む。撃鉄が起き上がる。落ちるセフティ】


>>743

【 ─── そして両者は理解する。"解き方"の手掛かりを認識する。されど続く不条理の何たるかが、黒衣に裂傷と鮮血を滲ませる。それでも、それだけの手負いで如何する筈も無かった】
【それよりも彼は、 ─── 己れではなく、己れの伴侶へと振るわれた非道に、激情を迸らせるのだろう。円い双眸が瞠されて、愛しむ人の傷痕を理解してしまう、なら】


 「 ─── シグレ、っ」


【絞り出すように悲痛な声で彼は名前を呼んだ。 ─── 凍らせた宙を蹴って、少女の傍へと向かうのだろう。】
【振るわれた剣が少女を傷付ける前に、炎の壁によってそれを阻もうとしていた。然してそれが能わぬのならば、白く凍るその指先によって、せめて零れる血だけは留めようとするのか】
【そうして傷を負ったのはアリアも等しかった。 ─── 抱きとめる少女の頬を、涙のように濡らす紅色であった。「 ……… よかった。」それでも、彼女は笑っているのだから】



  「 ……… ふざけた事、」「してくれるじゃあねえかよ。なあ!?」



【 ─── 激情のままに彼は絶叫するのだろう。そこには復讐を果たして溜飲を下げる昏い喜びなど介在しなかった。そのような感情は守れなかった自責が徹底して塗り潰すのだから】
【片手に構えたクロスボウを撃ち尽くし、 ─── スカートから引き抜く散弾銃。装填されるスラッグ弾。直ちにセカンダリへ持ち替える備え】
【そうしてまた、「 ……… かえで。」呼びかけるのはアリアだった。「 ─── 私の憎悪を、妨げてほしいの。」言葉少なにそう願うのだから彼女の取る方策は一ツであった】
【もしもその願いが相違なく遂行されるならば、 ─── アリアもまた片腕に銃を構え、慈悲も感傷も介在しない、冷徹な射撃を行うのだろう】
747 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 17:24:07.51 ID:dtli0ef20
>>740>>743 >>729

ほざいてろ、奪うしか能のないクセして――いいや違うね!
おまえはただの「イル=ナイトウィッシュ」だ、おまえが神様だなんて誰も認めない!

【手応えを掴む。そうして気丈にもまだ言葉を失わないのであれば、続く攻撃――】
【――というよりも、反動。シャーデンフロイデの能力によって引き戻される剣戟】
【ここで少女は漸く飛翔を止める。翅の動きを止めるのであれば、ゆるやかに墜ちてゆき】

――――――――――その名前出すのやめてくれる、虫唾が走ンだよ。

【代わりに羽搏くのであれば。自身にも植え付けられたその神の力に、反発する】
【リボンを操るのとは別の能力――「低級魔術の無効化」。それを、使おうとした】
【少女が放った一撃は、大きくとも結局「魔力の放出」なる単純な一撃に他ならない】
【であるなら、掻き消せぬ道理などないと。そう思ってのこと、だけど】
【さすがにこれだけ大きな魔力を一度には掻き消せなかった。小さくなった、けれど刃がその身を抉り】

【――ぐ、と呻きながらゆっくりと着地する。靴底が地面を踏み締めればその下に血溜りが満ちて、】
【けれど膝はつかない。代わりに、一歩も、微かな身動ぎさえもしなくなる。じいっとその場に佇むならば】

ふ、っ、……………………、エーノ、エーノ、聞こえる?
あたし、今から「動けなく」なるから――そばにいて、護ってて。はなれないで、――――、

【衣擦れの音。しゅるしゅる、――空間に蛇が這ってゆくように。周囲一帯にリボンが、リボンが】
【何本も何本も犇めき蠢くそれが、空間中に張り巡らされてゆく。その間少しも動けなくなるから】
【だから――自身の半身に、頼る。背中だけじゃなくて全部預ける。そうできるだけの信頼が、ある】
748 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 17:24:21.42 ID:L6LzbpG0o
>>745

──── 何言ってるんだい、もう終わってるよ、キミはまだ始まりだって信じてるんだろうけど
もう終わってるのさ、始まる前から戦いは始まっていて、──── そう、物語はもう佳境だもの
周回遅れは悲しいね、地獄で友達に聞くんだね、自分の何が間違っている、か


【クナイがスナークの額を切り裂いた、血が噴出し、波紋が流れ、瞼が閉じた、──── だが】

【その瞬間ドラの視線が暗転するだろう、寸刻の暗闇の後気づいたなら、ドラはスナークから少し離れた "床" に立っている】
【否、正確には暗闇のままであろう、何故なら、瞼を閉じさせるクナイによる攻撃を "自分が受けた" 結果へと書き換わっているのだから】
【スナークへ与えた傷が消えて、自分へと返される、予備知識が無ければ理解できまい、あまりにも不条理】

【シャーデンフロイデという言葉の意味、仕組まれたメッセージを、理解できるだろうか】
749 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 17:30:49.99 ID:7o2/4zDY0
>>740-743

――――所詮、馬鹿にされているのも分からない低脳か――――その意味するところを、これからたっぷりと教えてやる――――

【冷めた漆黒で、ラベンダーは鼻白む。まだ、神でありながらにして『世界の支配者』を気取っているのだろう】
【そういう奴には、結果を見せてやるのが一番だ――――死人の様なその瞳は、ただ冷徹に結果だけを見据えていた】

――――私は『無』から生まれたのではない。じゃあここにいる私は何ですか? ――――所詮、答えられないでしょう

【人の欲望が生み出した者である自分を、スナークの言葉を鼻で笑うための材料とする。そこに、自己憐憫の情など無い――――】



{――――ッッッ!!}

【続く、スナークのささやきに、アーディンは戦慄する。ラベンダーの、能力の同時使用など、もはや比較にならない】
【いわば――――『神格』の同時使用。それが意味するところを、アーディンは悟った。この場に、あの『箱』など無い】
【そして、力だけを引き出された形である以上、攻める本丸の『シャーデンフロイデ』は存在しない――――再び、大いなる矛盾が襲い掛かってくる】

【――――だが、事態はそれどころではない。世界線を書き換えられた以上、何か望ましくない結果が訪れる】
【その疑念は、すぐに現実のものとなった――――放たれた魔力ビームが、自分たちに返ってくる。邪神の力で放たれた、特大の一撃が――――】
【そして――――シャーデンフロイデのルール上。その結果を歪める事は出来ない――――】

っくぁぁぁぁッ!!
「な、ッ――――!!」
<っく、これは……おのれ……!>
{ぐぉぉぉッ!!}

【展開されていた幻影など、あっけなく崩壊する。中に投げ出されるラベンダーたち。更に、その身体をビームは焼いていた】
【このまま墜落すれば――――空の中、バラバラに引き裂かれる未来しか待っていない】

<……安心しろ。『神』の加護は、奴の世界の中においても、生き延びるだけの力を――――与えてやるッ!!
 ――――我が名は『アドラメレク』――――そう簡単に死なせるものか――――!!>

【咄嗟に、墜落しようとする身体を、その長い触手が確保する。直撃を受けたラベンダーの身体は、左半身を焼き払いボロボロだ】
【刹那に身を投げ出したアーディンとサリードはまだ軽傷だが、それでも――――アドラメレクの手の中、流石にそのダメージは無視できない】
【それでも――――彼女は虚空に浮遊していた。ごく当たり前の様に。先ほどまでのラベンダーの役割を、今度はアドラメレクが引き継いだのだろう】

「っぐ……アーディンさん、これは……!?」
{シャーデンフロイデ……世界を選択的に切り替える力だ――――! 要するに、ここから先、全ては奴の思い通りだ――――!
 あの時には……付け入るスキがあったから良い様なものの、この状況――――どうしたものか…………」

【状況を理解しているアーディンが、復習を兼ねて捕捉する。今、力だけを取り出している以上、その根源を見切らなければ、破る事はできないと】

<――――ならば、当初の予定通りにすればいいだろう。『白神 鈴音』を、完全に無力化してしまえばいい――――死体まで、少し急ぐぞ……!>
「っ、レミー!?」

【あっけらかんと、アドラメレクは3人を抱えたまま、空を疾る。ただ、己の力を根拠にして、当初の予定――――鈴音を完全破壊する事で、スナークを乱す、を実行しようと】
【――――意を決したように、サリードは左手に、懐から何かを――――今回の、最大の『切り札』を取り出し、そして確かめた】
750 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 17:31:14.06 ID:dtli0ef20
>>743
【レッドへリングの次はシャーデンフロイデ――道理であった】
【一匹出したのだから他も出すだろう】
【再生怪人――なんて揶揄をしたが、ある程度の真実を含んでいるのだとは思う】

一度くたばった虚神どもはその能力を、この場の面々に周知されている。
だから、顕現させること自体は難しくない。
"そうなるかも"と思わせる背景が有れば、その名を呼ぶことで、勝手にその現象を夢想してくれる。


その一方で、本家ほど凶悪でもない。
"一回倒した"ってのは事情はともあれ侮られる。
加えて前座に過ぎないって理解もそれを手伝っている。


【空に立ったまま、返し技を受ける面々を見回す】
【攻撃に及ばなかったのは大した意図が有った訳でもないが、どうやら良い方に転がったようだ】

【シャーデンフロイデのことは、報告書でしか知らないが――】


……あんま真面目に読んでねェんだよな。
あん時は何か装置で倒したんだっけか。


【レッドへリングの道理に"従わない"と言うのは、必要なプロセスでは有った】
【流されるまま戦闘したとて、最後に落ちる場所は変わることがない】
【この劇の壊し方を思索しなければならない】
【そのためには――男はようやく大儀そうに銃を持ち上げて】

【"白神鈴音の死体"の腕を撃った】
751 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 17:39:08.81 ID:EDbyZEUH0
>>740-743
【爆風が大した効果を発揮しなくとも、驚きはしない。他の者たちのように言葉を交わすこともない】
【ただひたすらに、奴の命に手を伸ばす】

【空に立つ病魔は、姿だけなら天使のようで。それがひどく忌々しかった】
【降り注ぐ唾液に顔をしかめる間も無く。鈴音が、さらなる陵辱に晒されるのに手を伸ばす間も無く】

【今までのインシデントを知ってきたからこそ、わかる。だが、それだけで済ますはずもない】
【世界線移動。体験は初めて。敵の傷は消え失せ、自分たちがそれを押し付けられる】

【ギアの身体が爆風に飲まれる、その寸前。中からあふれ出したカニバディールの肉が人形の身体を覆い、ガードした】
【肉が吹き飛び、砕け散り飛び散り、しかし人形は守り抜かれた。その青い瞳が、彼女を見る】

【病魔の傍の遺体。神になってしまった少女の。ギアは、逡巡を捨てた】
【サーベルを振り抜く。柄に仕込まれた、土属性の力。刀身に仕込まれた、聖水に乗せて。鉄砲水のように撃ち出す】

【鈴音の身体を空中に跳ね上げ、他の誰かの攻撃を届かせるために】
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/12(土) 17:41:48.65 ID:gOSvupoBO
>>741(イル)

【見える────視える。これが、≪Dr.FeelGood≫か。これが、“あいつ”の視界か】


…………そうだなぁ。確かに、こいつぁ勝者の独りよがりかもしれねぇ
綺麗事にも、ただの理想論かもしれねぇ…………でも、な。イル


【脳が今にも焼ききれそうだった。だが、視るのをやめるわけにはいかないんだ】


ジルが────あいつがあたしのこと大好きで、あたしもジルのこと大好きだってのは

それは……もう起こっちまってる現実なんだよ。世界のどっかに、そういう“愛”はあったんだ

同種だから愛せるとか、異種族だから愛せねぇとか──それは、違ぇんじゃねぇのか?


【手が震える。タチの悪いドラッグでもキメたみてぇだ】


なぁ…………そっちの方が、悲しい理屈だぜイル

てめぇは…………鈴音のこと、神様だから愛したのか?
鈴音は、てめぇのことを神様だから愛したのか?


【視界が歪む──でも、視える。まだ、視える】

【銃を構えた。ジーザス。祈り方ってこんな感じでよかったんだったか】
【この視え方は、どこか“あいつ”が力を貸してくれているように思えてならなかった】
【こんな視え方をしたのは──初めてだったような気がしたから】


違ぇ────だろう。鈴音はてめぇがイルだから愛して、よぉ
てめぇだって…………鈴音が鈴音だから、大好きになっちまったんだろう
そこに……神様だとか、虚ろだとか……、そんなの…………ぐっ、ぅ……────!

かんけぇ────く、はっ…………な、かった…………ハズ、なん……、だ…………ぜ…………っ?


【カニバディールの腕をしっかりと掴みかえす。そうでなくては、今にも崩れ落ちてしまいそうだった】
【あまりの負荷で、どぷりと鼻から青い血が溢れる。それでもミラは──口元を歪めて、笑った】


視え────たっ!…………ぐっ…………、く、そ────
なぁ…………、イル────。あたし、さぁ────


あんたのこと…………“可哀相”だなって…………ぎゃ、は──は、は…………そう、思っちまった、ぜ


【シャーデンフロイデ。その意味を彼女は理解していたんだろうか。多分、そんな余裕はなかった】
【イルや空間の綻びが消えたって、肉片同士の繋がりが消えるわけじゃあない。そう思いたい】
【銃を構える。手は相変わらず震えている。それでも──撃たないわけには、いかないじゃあないか】
【BANG、BANG、BANG。祝福を受けた銃弾を、その“繋がり”に叩き込む。あと何発だろう】
【何発だって関係がなかった。撃ち続ける。それしか今のミラには出来なかった】
【特別強い武器を持っているわけでもなければ、とびきり強い能力を持っているわけでもない】
【それでも──だからこそ。“こう”することが、今の最適解だと信じて】

【今やまた“道理”が変わったのは、なんとなく理解出来ていた。それでもミラは引き金を引き続ける】
【もし、弾丸が自分に“返って”きても──その時は、防御の手段は考えていないわけじゃなかった】
【髪の全てが、今や赤い触腕だった。1本は途中から引きちぎれ、1本は真ん中から二股に分かれているけれど】
【数は八。二股のものを二と数えるならば、九。それだけの分厚い筋肉の塊があれば】
【銃弾が自分の胴体を引き裂くことくらいは、防いでくれることを彼女は知っていた】
【あるいは──手を繋いでいるカニバディールが守ってくれるんだろうか。は、とまた笑みが溢れた】
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 17:41:55.42 ID:KNy7E7ko0
>>740-743

【ならば彼女はもはや周りを認識などしていなかった。過集中の作用に似て、少女の眼差しは、ただ一点、病魔にのみ向けられ続けて】
【逃げるなら追いかければいい。護られ続ける姫君である限り、ずうっと追いかけられる。そしたら貴女はずうっと逃げ続けるしかない】
【そうしてまたたった一人少女だけに狙われるわけじゃない獲物であるなら――いつか追いつき捉え滅ぼすのも道理だと、どこまでも追い続ける犬の狩りみたいに】

【――まして、この場に彼女を護ろうとしてくれる人は一人じゃないのだ。ならばもっと心だって強くなれた、一人ぼっちは寂しい、から、】

【(けれどそれは同時に負荷もかかり続けるってことでもあるのだろう。とはいえ狙い続けるのはイルのみであるのなら、せめてマシなのかもしれないけれど――)】

――――――っ、あ!? これ――っ、

【ぱちりと瞬きする。――瞬きしてしまう。或いは世界ごと。彼女の瞼ごと。そうしてその感覚はいつかに覚えがあった、――あの頃の私はもっと正しくて/間違えてて】
【――、ぎりと小さく歯を食いしばったのは心理の作用。だからまだ結局彼女は過去だなんて振り切れていない。追想に刹那目が眩む。なら、】

【視界の端によぎる赤色は間違いなく気付けの役割であるのだろう、】

>>746

――――――――、なんにも、よくないよ……。

【睫毛に絡んだ血潮が垂れるのなら、間違いなくそれは涙であるのだろう。薄藤の睫毛が重たく枝垂れて、ほんとうの涙を堪える様子を見せつける】
【ならばここは戦場だった。戦場にて泣きじゃくるのはよろしくない選択だときっと子供だって分かるから。――それでも泣かねばならぬ激情まで、せめて、取っておけばいい】
【だから傷口の傍らに小さな口付けを落とす、――、あとで手当てをしてあげるのは私以外には許さないって宣言するのによく似ていた、から、】

――――嫌な気持ちも、苦しいのも、痛いのも、ぜーんぶ、私が邪魔してあげます。

【――元気な人が怪我をした人に席を譲るのは当然の道理だった。だから少女はそのまま自分の足で立とうとするのだろう、せめて得意げに笑ってみせて】
【そうしたら小さく背伸びして指先がアリアの額に触れようとした。――触れるのなら、要らぬと判断される感情を"阻害"してしまう、うんざりする冷たさと共に】
【やっぱりどう間違ったって楽しい気分になれるものじゃないのだからひどい話だった――、打ち込む刹那の暖かな指先の温度にも相殺しきれぬなら】

――アリアさん、あいつ、さっき、逃げたよ。恥ずかしがり屋さんなんですかね――。見られたくないのかな。――――見られたくないですよねえ。

【結局彼女はこの現象の意味をよくは知らなかった。――あの時の彼女はなにかひどく思いつめていて、周りのことなんて、ほとんど気にしていなかったのだろうから】
【故に指示があれば従うのだろう。そうでなければ、アリアの補佐か。或いはまた誰か困っているようなら、助ける――、だなんていうと、偉そうすぎるけど】
【少なくとも"嫌いなやつ">>750を後ろからブン殴りにはいかないらしいから、十分に偉かった。そうだとしても視界に入って、ひときわ大きな舌打ちをした気がした】
754 :キャットV ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/12(土) 17:51:45.74 ID:SowzBHbuo
>>743>>748

【確かな手ごたえ、攻撃は当たった―――だが】
【額にズキリと痛みが走ると同時に突如自分の目が閉じて開かなくなった!?】


むっ!?これは―――ぼくの方の瞼が開かない!
ぼくの放った攻撃を逆に、ぼくが食らった事に書き換えるとはな!
徹頭徹尾、きみに纏わる攻撃は全て当たらなくなってしまう現実に書き換えることが出来るのか

この力があればきみだけは無敗が確定しているという訳か……けど


「―――ドラさん!!"目標"はあんたから11時の方向!!今なら届くぜ!」


【どこからともなくドラに場所を教える"声"の主が彼の代わりの目となっている―――?】
【反作用の波紋で相殺し眼を開けるようになるまでには時間がかかる、それまでは連れてきて待機させた『仲間』の指示を使う事に決めたようだ】
【レッド・ヘリングが解除され、地面に着地すると同時、今度の彼は鞭に頼ることなく……】


―――愛しの彼女はいただいた!!

「ああっ!気を付けろよドラさん!!味方側が何人かその女に攻撃してるぞ!?流れ弾に注意しろ!!」


【クナイが当たる程近づいているのだ、大体の場所も覚えていた】
【バグローム>>750の弾丸は奇跡的に自分には当たる事はなかったが、彼の弾丸が放たれた後にそのまま直に自分の手で鈴音の体を抱きとめようと試みる】
【目が見えないまま彼女を大体の位置に手探りで探しもし掴んだならそのまま彼女の胴と自分の左腕を鞭で巻き付けて運ぶ用意を始める!】

【先ほども狙っていたように、ドラは鈴音をイルから奪い取る事で弱体化を狙っているのだ、攻撃はそもそも囮だ】
【最も囮で放った攻撃が当たった結果今目が見えなくなっているのだが―――はたして本命の確保は成功するか―――?】
【なお成功した場合はギア>>751の攻撃でそのまま鈴音ごと吹き飛ばされイルから遠ざかるだろう】
755 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 17:51:52.98 ID:qAC+HY+0O
>>741

【切り払われる手首たち。生前の想いに振り向くだけの理由なんた無いし、そも知りたくもないから】
【無感情に活路を拓くだけであった。前座は引っ込めと言いたげに】

ああ言えば、こう言う。言葉の応酬は埒が開かないな。
だけどひとつだけ言わせてもらおうか――知った風な口を利く身勝手を振る舞えるのは強者の特権なんだ。
だから言葉を乱雑に広げてぶつけてテメエがどう思おうが知ったこっちゃない――!


【言葉での切り合いは平行線を辿り、終わりが見えないから。意識をこの空間、誰かの理屈で作られた世界そのものに向ける】
【微かに綻んでいるのが確認できたなら、自分達の攻撃は無駄ではないから】
【そんな折、この世界の理屈(ありかた)が変わる――極夜蝶、羽ばたき一つで世界を変えるあの理屈(シャーデンフロイデ)】
【ふと手首に痛みが走る。視線を手首に落とせば裂傷と流血で彩られたそれがあって】
【けれど狼狽えない―――これは一度経験しているから。そしてどうすれば良いかなんてのも把握してるから】


ヘルエッジ・ロード/ラピッドストリームッ!


【白神鈴音の元へ向かうサリード達の姿を見遣る。殺すべき相手はイルだけではないと再認識させてくれたから】
【かつて行った時と同じように自身の身体から魔力を垂れ流す。―――それは無差別の凶刃となり、数の暴力として産声を上げる】
【かつてと違うのは対処法を知っているということ、そして魔力が空になるまで刃の暴風が続かないということ】
【縦横無尽に刃が駆け巡る。飢えを満たして渇きを潤してと言いたげに無数の手に襲い掛かる】
【白神鈴音だった残骸にも、イルにも、そしてこの空間そのものにも牙を向く】
【見方によればサリード達の露払いにも見えるし、デスパレートな無策にも映る、だからこそエーリカは言葉に嵌める】


はっ、今度はシャーデンフロイデか!
なら次はジャ=ロ、エカチェリーナ、ロールシャッハの順で焼き増しでも御披露目してくれるのか?
―――タネ明かしされた芸なんて私みたいなバカでも見抜けるんだよ!そうじゃないなら反論してみろ!


【イルのひた隠す本当を暴く為に、言葉を乱雑に吐き出すのだった】
756 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 18:04:58.21 ID:L6LzbpG0o
>>746

【悲劇的な一瞬であろう、各々に大切な存在がその場に居るからこそ、他者の傷をも自身の痛みに転嫁して】
【放つ絶叫、──── 幸か不幸か、自責が塗りつぶした感情は、シャーデンフロイデの突破口になり得る】
【スナークは舌打ち一つ、刻むはキスマーク、 "Mors Principium Est" がねじ曲げた軌道が、弾丸を床へと歪める】

【大きく揺れる空間、空間へのダメージを無効化できない、シャーデンフロイデでも、レッド・ヘリングでも届かぬ果て】

>>747

認めようと認めまいと、それが真実さ、キミが幾ら願っても、日は東から昇り、ボクは神様で
鈴音はボクだけを愛し続ける、──── いい加減学びなよ、バカだなぁ

ほら、もう、ボロボロじゃんか


【自分の持つ力は自分が一番よく知っている、強制的に植え付けられたそれを、幾万もの後悔の果てに夕月は萌芽させる】
【自身で作った道理を、自身がねじ曲げる、因果の果てから逆流し、根本を絶つのは、あまりにも "理に適って" 】
【それが間一髪致命傷を避けさせた、薄皮一枚、極限での判断が功を奏した】

>>749

答える価値もないでしょ、それ、幾ら綺麗にしてても埃やら塵やらはどこからかやってくるし
敢えて伝えるなら、それらと同義でしょ、由縁も知らないし、由縁も知らなくて良いし、それでおしまい
文句あるなら必死に主張してみなよ、──── 私は此処から来たんだよって♪ あは♪ 聞くつもりもねーけど


【アーディンは理解しているはずだ、この空間をもシャーデンフロイデと解釈するのであれば、攻撃の術も限られる、と】
【スナークは追撃を一端止める、視界の端にその試みを映しながら】

>>750

【結局の所、空想が具現化するという状況下においては、理屈や理論ではなく、屁理屈やこじつけが力を持つのだから】
【一種の正当性と論理性とが存在さえすれば、あるかもしれないという共同的な認知がそれを増していく】
【何処までもコレは虚構神話の一ページで在り、グランギニョルな催しであるのだから】

【撃たれる "白神 鈴音" の腕、──── シャーデンフロイデは発動しない、それは明らかに不可侵の存在であるが故に】
【シャーデンフロイデを拡大解釈して、レッド・ヘリングにまで同衾する事は可能だろう、スナークに対してもまた然り】
【だが然し、白神 鈴音にまで引っ張る事はできない、そこにはあまりにも道理が欠けているのだから】
757 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 18:05:12.00 ID:L6LzbpG0o
>>751

【鈴音の身体が空中に跳ね上がるだろう、鈴音への攻撃はシャーデンフロイデが影響しない】
【偶然か必然か、ギア・ボックスは理解するはずだ、僅かに見えた、かすかな突破口を】
【スナークの判断は速い、手に出現させるは黒い大鎌、──── 腐っても彼女は病魔であるから】


汚い手でさわんじゃないよ ──── "Killer Likes Candy"


【大鎌を振り抜いたなら黒い刃が轟々と音を立て襲いかかる、近づいたなら身体の不調を引き起こす、病原体】
【ギリギリまで引き寄せて回避しようとしたならまず失敗するほどに、込められた病理は深い】

>>752

──── あは、あはは、はは、可哀想だって、可哀想、ボクが、可哀想だって?
ふざけんなよ、ボクの事を哀れんで!! そうやって見下すんだろう、所詮は化け物だと思って!
化け物であったボク達を誰が認めたんだろうね、誰も認めなかったからこそ、今あの子は死んで、ボクは居る

──── 無駄な足掻きだよ、全部、全部……っ!!


【ミラが弾丸を撃ち込む、不思議と反射は無かった、──── 其れは道理の上に生まれた新たな道理であったから】
【 "Dr.Feelgood" は理屈の範疇を超えて、新たな道理を付け加える、それはスナークですら慮外の事実】
【空間が綻びを生んだ、大きく歪んだならば、不可逆の傷が空間全体を揺らす】

>>753

【かえでは殺しうる術を持っている、けれども、それはただ凶器を持っているに過ぎない】
【事実、この空間の中に於いて、はっきりと効果を見出すのは並大抵の技では利かないだろう】
【故に、頼る、──── その判断は、限りなく正しい】
758 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 18:05:21.60 ID:L6LzbpG0o
>>754

【寸刻の交差であった、スナークの運動能力と、ドラの身体能力を比べて、見出すのは自明の理】
【ドラは鈴音を掴むだろう、そしてその手に抱き留める、──── 愛しの姫君をその手に乗せて】
【手助けするのはギア・ボックス、己の預かりしれぬ所で、ドラの計画を成功させるだろう】

>>755

【鈴音への攻撃はドラがカバーするだろう、必然、空間全体への攻撃とスナークへの攻撃になる】
【舌打ち一つ、実際問題として無差別は効果的であった、──── それもこれも、種のバレた手品】
【一度破られた道理は逆説を可能にする、そんなシンプルな理屈だろう】


──── へぇ、見抜けてるんだ、それこそが "バカ" の発言だよね
見抜けない手品は二流だよ、見抜ける手品こそが一流さ、なんでかって? 分かってるでしょ?


──── ニンゲンはいっつもそうだもの、自分の道理が通じると分かった時、落とし穴に落ちるから


【空間への刃は止められない、それ故にスナークは翼を羽ばたかせる、空中に飛び続け刃を回避するだろう】
759 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 18:05:40.64 ID:L6LzbpG0o
>>ALL

【能力者達は理解するだろう、この空間はレッド・ヘリングでありながら、シャーデンフロイデであり】
【スナークもまた、レッド・ヘリングと同一で、シャーデンフロイデを宿している、その存在そのものが "グランギニョル" であり得る】
【根本から限界に至るまで、その全てが荒唐無稽な道理に支配されているのだから】


アハハハハ!! 共に舞って、永久に踊りましょう、やがて貴方が果てるまで、やがて愛に果てるまで、──── なんてね♪
理解できたかな、理解しちゃったかな、グランギニョルという言葉の由縁を、グランギニョルという存在の理屈を
悪徳に悪辣を重ねて悪意を含んで、そうしたなら観衆は、悦んで手を叩くんだもの

嗤っちゃうよね、笑えちゃうよね、 "知っていること" が恐怖を生むんだから

──── そう "恐怖" さ、──── キミ達は知ってるでしょう? 後何柱、ボク達がいるかも、十分に

さあ積み重ねようか、演目はまだ続く、一人また一人と、観客が倒れても、舞台は未だ円熟を増して
劇は続けられなきゃならない、何時までも立ち尽くしているのは、 "興ざめ" でしょう?


【レッド・ヘリングにシャーデンフロイデが交錯する、実質的な攻撃への制限、けれどもそれはあまりにも消極的だ】
【スナークが、受け身でいる筈がなかった、パグロームが推察する様に、有効打を与えられる様な運びではない】
【ならば順繰りに示すのだろう、それが流儀だと、言わんばかりに】


キミは背ける、キミは逸らす、見えている世界を嘯いて、見えぬ偶像に縋ろう、空想の中に逃げ場があるなんて
陳腐だろう、キミが思う全ては、キミが怯える全て、怯懦に震える我が友に、飛びっきりの悪夢を



            ──── ヒトは呼ぶ、我が名を ────





                       "Kaitul"       
            ──── "不定たる醜悪の仮面" ────

                     ロールシャッハ



【ドラが持った "鈴音" が "破裂" する、──── 血飛沫と臓物とが弾け渡り、マグマの様な温度の血が襲いかかるだろう】
【それは明らかに理屈から離れていた、それならば、──── 新たな道理が生まれたのも事実】
【積み重なるはロールシャッハ、恐怖の体現者にして、その本質は不定故に】



    ──── そんなに鈴ちゃんの身体が欲しいんだったら、片っ端からどうぞっ!



【天井から落下するのは、ボロボロになった "鈴音" の死体、──── 蹂躙された後の惨たらしい、形】
【正確に言えば少し毛色が違う、スナークが殺した姿とは、そう、まるで、──── 遊び半分に殺された、みたいに】
【そして、各々の能力者に肉薄したなら爆発する、マグマの様な熱を持った血飛沫を噴出しながら、次から次へと落下してくる】

【まさに奇々怪々の恐怖コレクション、数多の亡骸を撒き散らしながら、スナークは嗤う】
【その雨の中、見るだろう、──── スナークの側に、佇む "遺体" の姿を】

【──── 同時に注意深く観察していれば、床に生えていた手の数が "減っている" ──── まるで別の何かに変わった様に】
760 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 18:25:48.13 ID:dtli0ef20
>>756>>759 >>746 >>ALL

真実が揺るぎないなら、ボロボロになったあたしなんか捨て置けばいい。
そうでしょ? ねえ、イル――神様なんだから、あたしのことなんかほっときなよ。

だけどあんたはそうしない。だったらあんたはやっぱり、あたしが居る限り、神様になれない。

【「だからあたしのこと、嫌いなんでしょ?」 ――自身の能力と、恋人の守護によって】
【彼女はまだ死に至らない。であるのなら、まだ笑える。前を向ける。――リロード】
【空っぽになった凶器に再度魔力を籠め直すならば、やはり一歩も其処から動かないまま、】

――――――エーノ! あたしを護って!
あたしは――みんなの想ったこと、「なかったこと」になんかさせないからッ!!

みんな、もう、好きなように――狙わなくたっていいよ、あたしが拾って、ブチ抜くから!!

【――――その頃には、少女が狙った「仕込み」が完成しているだろうか】
【視界、視界、世界中に張り巡らされるリボン。それらはこの場に居るありとあらゆる人々の】
【攻撃――イルの“固執”で捻じ曲げられたり、シャーデンフロイデによって撥ね返されたり】
【そうして何処にも届かなかったはずのものたちを受け止めては――意図もなく「反発」させる】
【リボンに収縮性を与え、ゴムのカタパルトのように。受け止めた傍から、あらぬ方向へと】
【弾き飛ばす。意味も意図も何も孕まず――虚飾に塗れた空間、何処でもいい、とにかくブチ抜くように】

【その間やはり、リボンの主たる少女はその場から動けないのだから。だからやはり、】
【すべてを任せた半身に、恐怖の体現たる攻撃を防ぐように。無茶なお願いだなんて思わなかった】
【全部信じてる。何も疑わない。だからこそ、こんな無茶苦茶なことだってできた、その目はひたすら真っ直ぐに】
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 18:36:39.66 ID:KNy7E7ko0
【――ざわりと心が毛羽立つような感覚があった。見下ろすのは一つの光景、今となっては単なる人間の亡骸にしか見えぬ、神様の御姿】
【蛇に祈り続けた過去では全く意にも介さなかった少女の形。信心が揺らいだから少女を赦せなかったのか、少女が現れたから信心が揺らいだのか、分からずとも】
【ちいさく吐息を詰まらせた、――、どうあれ"それ"は私が、――私たちが信じた神様であるらしい。あるのだという。信じたくなかったけど。だけど、今なら、】

【世界で一番美しい狼に救われた後であるのなら、――、その少女が蛇の神格を宿していることすら、なんだか、認めてしまえる気がして、】

――――――――――う、

【紙一重が何かを堰き止める、――――、詰まる吐息の音、】

>>756-759

【せめて動かないでいてくれたなら、と思った。ならば捕まえればいいのかと思考は続いた。ちらと見渡す中に見知った顔はいくつか、大嫌いな奴も何人か】
【全く何にも知らない人達も何人か。――。捕まえてほしいって言ったなら、誰か手伝ってくれるだろうか。抵抗するのをふんじばって持ち帰るのはお仕事だったけど】
【暴れまわる神様相手にやったことなどないのだから。――、悩むように口元に添えた指先を微かに噛んだなら、こり、と、骨の感覚。――、その先で、また道理が殖えるのなら】

え、うわ――、っ、きゃあ!? 

【――イルそのものは視殺せる。けれどそのままでは逃げられてしまうから。捕まえる方法。――、他の人達がいやに空間を攻撃している理由を彼女は知らないまま】
【ちらと視線がアリアを横目に見上げて、――、その向こう側に光景を見るのなら、やはり惑うのは年頃であるからなのか。それとも誰だって恐ろしくて当然であるのか、】
【わずかに下がる足取りの向こう側で死体が破裂するなんて酒でメジャー薬を飲み下した日の悪夢のような光景を見止めて、ならば、予想も付く/付いてしまう刹那に】

アリアさんでっかい! しゃがんで!

【ぱっと両手を開き掲げるならお手上げのポーズにも似ていた。人生終わったって感じのポーズをしていた。――それでも当然そんなわけがないなら、】
【ぱりん、と、小さく凍てつくような音で空間に張り巡らされるのは、ごく鮮やかなマゼンタ色の魔力であり、――ならば、防壁であるのだろう。雨宿りの軒下にも似て】
【負傷者よりも余力があって当然であるのなら、いくらかの大きさまで拡げてみせる、――ある程度近くに居るのなら、飛び込んでしまえる程度の全経にて、防ごうとするだろう】

【けれど爆発の威力や降りしきる死体の量によっては、堪えきれないこともあるのかもしれなかった。――。それでも、何せ"阻害"そのものの防壁であるのだから、脆くはない】

【――――そうしたなら、その瞬間彼女はひどく無防備であるのだろう、から、】
762 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 18:39:56.30 ID:WAyoKTIbo
>>747>>760


    「 ……… ああ。」「 ──── ああ!」


【 ─── ひどく、やはり、悲しげな目と声をしていた。肯定の言葉を漸く紡ぐ以上の行為に、彼は及べぬのだとしても、振り絞るのは】
【その深い信義に彼は答えるのだろう。 ─── そうあれかしと決意していた。彼女の願いを叶える為ならば、決して、決して】
【少女と彼を中心として、天蓋のように現れるのは、黒炎と白氷から成る防壁。降り注ぐ悍ましさの全てを覆い尽くし、焼き尽くし、凍て尽くす】

>>753


【ダウナー系の脳内麻薬を加水合成して自己投与するような粗雑なる遣り口を今のアリアは好まなかった。 ─── 故に、】
【余さず与えられる阻害の力ゆえ、彼女の脚元は僅かに覚束ないものとなるのだろう。壁のような巨躯が揺らぐのも、刹那のこと】
【踏み止まるのは飽くまでも何処までも執念であった。 ─── 泣き出しそうな少女にも、笑顔を作る少女にも、唇を穏やかに緩めて】

        「 ……… ごめんなさいね。」「でも、 ─── 好きなの。」


【「護って、かえで。」 ─── 諭すように女は命じた。降り注ぐものの全てより、自らと自らを守り抜く為に】
【そうして真面な感覚を取り戻した片腕にて、構えているのは二挺の巨銃であった。何を撃つべきか、見定める、一刹那。】


>>756


【銃爪の結末は一先ずの無為を見た。明からさまな程に示された兆候を2人が見逃す事はなかった。 ─── この空間は、この道理は】
【分かり易い答えは異能のキャパシタに差し迫る限界であろう。然してそれも陳腐な光明であるとも言えた。】
【気がついてみれば世界は其処に有り、その渦中にいきなり放り出された人物たちは、選択の余地無くそれを受け入れた後】
【行為することでその物語の中での役割を担わねばならなかった。彼らは彼らの道理を提示する前に、未詳の記憶もないままに】

【攻勢を続けるより、相応しかろう答えに至るまで耐える事。 ──── "そうすべき"だという両者の判断であった。例えそれが物語の条理に則っているとしても】
【 ─── 脚元に溢れる血をアリアは広げ、その両掌に氷炎の夫々を宿し、二人は備えていた。続けるべき追撃のため、或いは来たるべき迎撃のため】
763 :キャットV  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/12(土) 18:44:24.20 ID:SowzBHbuo
>>758>>759


ぐうッ!?―――あっち!!アチチチチ!!
なんだ!?この女の子の体が爆発した……!?変身しててよかった、生身で喰らってたら危なかったぞ!


【捕まえたはずの鈴音の肉体が破裂しキャットVにダメージを与えてきた……!】
【ライダーアーマーの装甲のおかげで致命傷こそ防げたものの―――中のドラはそれなりの火傷を負ってしまった】
【だがそこで終わらない、なんと次々に鈴音の死体が降り注ぎ先ほどの自分と同じように仲間たちに攻撃を仕掛けるつもりか】

【ようやくプラスとマイナス、異なる波紋で目に放たれた波紋を打ち消すと、仮面の中で目を見開いたキャットVは身軽に回避を始める!】


その血しぶきめちゃくちゃヤバいぞ!生身で喰らったら大火傷確定だ!!皆気を付けて!
善ちゃんも当たるんじゃないぞッ!!きみの出番が来るかもしれないんだから!!

「うるせー!俺だって心配はいらねえよ!!」


【戦場からほんのわずかに離れた場所―――】
【今この時もイルの攻撃を必死にかわし続けてる者がいる、先ほどからドラが通信を取っている相手だった】

【灰の短髪の上にいつも泥で汚れた頭のタオルを巻き、首には金のチェーン、腕には紅白のリストバンド】
【鍛え抜かれた上半身を包む、同じく泥で汚れたタンクトップの上に―――背中に『不退転』と描かれた赤色の真新しいジャンパーを着ている】
【ズボンは膝が白く色あせた青のジーンズで履物は便所サンダルのいかつい目つきの若者が背中に荷物を背負い、手に双眼鏡を持ちながら通信機に怒鳴っていた】


「とはいえ……マズいんじゃないッスかドラさん
こうもまともな攻撃をさせてもらえねえってなるとマジに奴にダメージを全く与えられないかもしれないッスよ」

いや、まだ勝機はある。今目を開いた結果わかったけど、さっきぼくを捕まえようとした手の数が減ってるんだよ
多分あれを出してた分のリソースを割り振って、足元にいた女の子の死体を複製してぶつけてきてるんだと思う
つまり……いくら神のごときすさまじい力があってもリソースは有限なんだと思う

―――彼女がへばってガス欠になった時が勝負だ。それまでは無駄な攻撃を極力省いて受けに徹する
今のままじゃまともに攻撃できないからね……しかしサシの勝負じゃなくて助かった、敵を知る味方のおかげでなんとか戦えてるな


【通信しながらキャットVは降り注ぐ死体をひょい、ひょいと近くの窓や電灯に鞭を伸ばし縦横無尽にかわしながら】
【イルの状態を目ざとくチェックし続ける。綻びを見せる瞬間が訪れるのを―――静かに待つ】

>>760

―――へぇ、冴えてるじゃないの!じゃあせっかくなんでこれ使っていいよ!


【味方が張り巡らせたリボンを見るなり、ベルトの横ホルスターから、ハンマーのシルエットが刻印された小型のディスクを抜き取ると】
【ベルトの鈴部分を横にスライド、斜め上からぐ、と押し込んで鈴部分をかちゃりと戻し、鈴を鳴らすと―――電子音声が響くだろう】


チリリーン♪『Tiger Breaker Active!』


【するとベルトの中央から光の玉が飛び出し、しばらくキャットVの周りをぐるぐる回ると、彼はその中身の柄をキャッチする】
【出てきたのは、片手で振り回せるほどの大きさの、虎の意匠が象られたハンマーだ、名を『タイガーブレイカー』】
【ぶん、ぶん、と振り回すとそのまま彼女>>760のリボンめがけて――】


そぉい!!


【思いっきりぶん投げた!このハンマーがどの方向に飛ぶかはリボン次第だ―――】
764 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 18:49:02.54 ID:dtli0ef20
>>756-759
【白神鈴音にシャーデンフロイデは影響していない】
【しかし、次の瞬間にはドラが確保した白神鈴音は千切れて消えて、代わりに遺体が大量に振って来ると言う悪趣味の様相】

【最初から疑問に思っていたのは、イルが殺して弄んでいるアレは本当に鈴音本人なのか、と言うところだ】
【何しろ開幕から死んでいて、一言だって喋っていない】
【殺したことが歪んだ愛だと言う察し方も有るのだろうが――果たしてそれでもこれは些かヤリ過ぎじゃあないか?】

【自分が傷付けるのならともかく――他者が傷付けるのを庇おうとすらしていない】



ケッ――成程、下から順にご紹介ってワケか。
そうやって伸ばしていれば最後には、001までたどり着くって寸法かい。


【大量に振って来る白神鈴音の死体が、一つ一つ様相が異なるなら、尚のこと疑問は膨らむ】


何かウォーリーを探せって感じだな。
愛しの彼女だってのに雑に扱い過ぎじゃねェか?
物置に仕舞い込んだゴミみたいな家具じゃあるまいしよォ。


【接近する死体の山を、爆発物を放り投げて迎撃する――】
【空間を狙ったものではないから、シャーデンフロイデに引っかかることはないだろう】
【距離は十分にあったが、それでもいくらかの熱量は降って来て、男に幾許かの火傷を負わせるが――】


現実感のねぇ痛みだ――


【そこでようやく、誰だったか――叫ぶ少女>>760の方に視線を向ける】
【そう言えばシャーデンフロイデの遺伝子を持っているだとか何とか】
【ホントに大丈夫か?と疑義を持ってはいるのだが――】


じゃあ、これを頼むわ。


【張り巡らされたリボンに向けて、コートから放り投げた対人用の爆雷を放り投げた】
【射出すれば、今降って来ている人形の山を肉薄する前に吹き飛ばすには有用であろう】
【空間に風穴を開けるだけの質量エネルギーも有るだろう】
【無論、シャーデンフロイデに引っ掛からないよう、特に目的を持って投げた訳ではない】
765 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 18:49:09.77 ID:EDbyZEUH0
>>756-759
ッッ!! 鈴音さんへの攻撃は通った……シャーデンフロイデの影響が、あそこには影響してない!!

【生き人形は、その場全員に届くように叫んだ。カニバディールがに失われたギアの声帯に代わってその声量を拡張させる】
【だが、次の瞬間にはイルの攻撃が迫る。神すら名乗った病原体、人形の身体とてその魂を侵すかもしれない。そうでなくても、中のカニバディールは危険だ】

「少なくとも貴様ほど汚くはないがね!! 落ちて避けろギア!!」
がふっ!?

【こちらへ迫る病の刃から逃れるべく、カニバディールはギアの人形の身体から出した腕を膨らませて、人形を殴り飛ばす】
【空中でもたらされた推進力。刃を回避する。だが、完全には回避しきれず。接近による病の影響がカニバディールを侵食する】

【さらに続くは、世界すら覆す悪夢をもたらした神の力。降り注ぐ鈴音たち。出来の悪い悪夢のようだ】
【カニバディールの使命はタンク。ギアもそれは承知している】

【人形と異形、二人の声が交錯して響き。破裂した遺体の爆風から、周りの能力者たちを庇おうと】
【肉の傘が夕月のリボンから炙れたものあらば、それを弾き返さんとする】


>>752
【カニバディールは行動はやめない。王妃を傷つけること罷りならぬ。返される銃弾や降り注ぐ遺体から、彼女の玉体を庇うべく】
【人形の腕からは際限なく肉が湧き出し、彼女の盾となるだろう】
766 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 18:51:27.57 ID:EDbyZEUH0
>>760
【遅れて、彼女の声を聞けば。ギアは答えを返す余裕すらなく、その賭けに乗る】
【ありったけのコバルト・ボマーを。隠し持っていた銃による射撃を】

【更には、剥がれ落ちたカニバディールの肉片までも。次々にリボンへ向けて放り込んだ】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 18:55:34.00 ID:KNy7E7ko0
>>762

【――――――わずかに伺うような仕草があった。どうにも貴女にこの力は通じすぎるのかもしれない。とはいえ、どう練習しようとも、その副作用は改善できなかったから】
【仕方ないって諦めるしかないのだけれど、それでも何か気にしてしまう幕間があるのだろう。――、命じられた言葉に嬉し気にうなずく刹那に、展開される防壁の煌めき】
【ならば女王様の命令通りに。――その身体をほんの少しだって熱がらせやしないのだろう。それが近衛の騎士の役目であろう、女王様を護らぬ騎士に意味などないもの】

【であるなら、たとえ防壁を破られるとて、自分がすべての熱量を負うのだと誓っていた。――誓っているのに、違いなかった】
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/12(土) 18:57:30.12 ID:gOSvupoBO

【反射はなかった。それが分かれば、あとは引き金を引き続けるだけだった】
【手が足りない。銃弾も足りない。なら、誰から借りようか。──誰からだってよかった】


サンキュー…………カール、よぉ────すまねぇな

もぉ────ちょっとだけ…………そうしてて貰えると……助かる、わ……!!


>>ALL

…………みんな────誰、でモっ……い、い…………っっ!

あたしの…………視界、をっ……!ぐ、…………!!


       あたしの<視界/目>を────盗、めえ…………っ!!


【神経の接続か。あるいは精神のリンクか。どのような手法であれ、誰かがミラの視界に入ったならば】
【“理解”できるはずだ。今まで見えなかった“繋ぎ目”が、空間の至る所にあるのだから】
【またひとつ、その“繋ぎ目”に銃弾が撃ち込まれる。ミラが撃ち込んだモノだった】
【撃て。撃ちまくれ。語らずとも伝わるだろう。その意図が。その意思が】

【勿論、リンクしてくる人数が増えれば増える程、ミラの脳への負荷は急増する】
【それを認識していないわけでもないだろう──耐えきるつもりだった。膨大な情報の嵐を】
769 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 18:59:43.01 ID:qAC+HY+0O
>>759

【正しくペテン。これまでに倒した虚神達の能力が今ここに集結しているのだから】
【世界線を又にかける蝶、不定/不逞の怪人、ならば無垢なる祈りより生まれた死(すくい)も、絶対に完成し得ない絶頂も出てくるのは道理で】
【その上、スナーク自身の能力もあるのだから。つまりスナークは全てを出していない。今なお余力と策略を残して嘲笑うのだ】


なんとでも言えば良いさ。その見くびりが命取りだってこと、命の代償として学ぶこったなっ!

【虚神に限らず神とは人の認識の上に成り立つものだから。落とし穴に嵌まるのはスナークとて同じはずだって反論したくなったけれど】
【もう言葉は要らない。暖簾に腕押しで気力の無駄遣いでしかないから。それよりも目の前に迫る人間大の質量爆弾が驚異だった】
【垂れ流しの魔力は打ち止めで再度ラピッドストリームを発動させることは出来ない。降り注ぐ、熱を持った血飛沫の雨に身体を濡らす】
【それでも顔だけは右腕で遮るなら、視界は血液で塞がれない。それでいて攻撃の手は止まらない。夕月の仕込みによって展開された弾力性を持つリボンのお陰で】
【行き場を無くし力無く墜落していく刃達が息を吹き返す。血の雨に紛れる無数の刃による暴風。それは白神鈴音を装った死骸にも、共に戦うもの達にも、そしてスナークという世界そのものにも無感情に刃向かうのだった】
【コントロールを離れた刃が意図せぬ結果を招く―――などという偶発に身を委ねるしかないのが歯がゆい】
【エーリカの本当の切り札はまだ切れないから。その時を待つのだった】
770 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 19:01:56.48 ID:7o2/4zDY0
>>756-759

{――――そこで、そうして笑っているがいい、イル=ナイトウィッシュ……その吠え面が、醜く歪むまで……我々はもはや止まらない……ッ
 ――――邪神よ、アレなる、異次元の侵略者、許す道理はないだろう?}
<何を、当然の事を――――お前たちが死のうとも、私が奴を蹂躙しよう……精々、頭と力を貸せ……!>

【復調していないラベンダーに変わり、一言だけ、アーディンが忌々しく鼻を鳴らす】
【もう、散々理解している事だ。こいつ相手に、言葉など、それこそ塵芥ほどの価値も持たない】
【今はただ、その情けない泣き顔を拝んでやりたいだけだ――――その為にも、ただ、戦う事だけを考えれば良い】



「っ、今度は……」
<面白い出し物だな……こんなの、牽制程の意味も持たないが――――遊ぶのが趣味なのか、あの阿婆擦れは?>

【上空の天蓋と化した大地から、今度は色とりどりの死体が降ってくる。単純にその質量だけでも脅威だが――――】
【同時に、そこに孕む危険性を、アドラメレクは読み取ったのだろう。その複眼から、大量のビームを、上空へと向けて投射する】
【落ちてくる死体は爆発する。降り注ぐ飛沫は霧散する――――埒のあかない攻防戦だが、アドラメレクに焦りの色はない】
【――――消耗戦だ、などと気にする必要も無い、という事なのだろう――――仮にも自らも『神』を名乗るだけはあるという事か】

「っ、レミー……少し、スピードアップだ!! 『天霊』!!」
<――――よし、頼んだぞ……サリード……!>

【そうこうする中で、サリードはスナークと、そのそばにある『本物』に気づいたのだろう】
【とっさに、自らの風の力をアドラメレクに付加。更にスピードを上げて、一行は接近する】

{(――――足元の腕が、減っている? そりゃ、奴単体の力の行使には、限界もあろうが……)}

【そんな中、やはり手持ち無沙汰になったアーディンが、身体を支えられながらも、周辺の情報収集に努め】
【そして――――その小さな事実を発見する。無論、道理としてはすぐに分かる事だ。ずっとスナーク1人で、全ての神格の力を使い続けられるはずがない】
【だが――――何かが、引っかかる】

――――――――ッ!!
――――よくもまだ、生きているものですね――――死んで、綺麗になったらどうなんです――――!?
{っ、ラベンダァイス……!?}

【そんな中だった――――重篤なダメージを受けて意識を失っていたラベンダーが復調する】
【そこから、まるで当然の様に、そして先ほどの続きの様に、スナークを認めると――――その左手から、黒い魔弾を発射する】
【だが――――先ほどとは様相が異なる。その威力、規模が、先の比ではない。そして、左肩から腕に絡みつく――――『黒い瘴気』】
【思わず、アーディンは目を見張った――――何度かあったラベンダーのこの異常。初めて目にしたのだから】
771 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 19:21:40.54 ID:L6LzbpG0o
>>760

【スナークは "夕月を見る" それが答えであった、この少女にもまた、スナークは "固執" している】
【口では何と言おうが、どう扱おうが、それは事実であった、──── 忌々しげな視線が、その意味を示す】
【何処までも神様を否定する存在が居るなら、神様にはなれない、何処までもシンプルな、グランギニョルのルール】


──── やっぱりアンタ、最っ高にムカつくよねっ!! 魔女に改造されてぴーぴー泣いて、喚いてた癖に!
アンタが自慢げに使ってるその力も、元はと言えば借り物でしょ? それで護って貰って強気になって
ほんっとバッカみたい、嫌い、嫌い!!! 大っ嫌い!!! アンタみたいなビッチが、一番ムカつくから!!

全部全部踏みにじってやるよ!! 気色悪い格好した相方の顔面、ぶち込もうか!


【意図した攻撃を意図せざる攻撃へと転嫁させる、──── 数多の神を越えてきた少女が見つけた理論】
【其れは而して効果的であった、事実スナークは夕月への決定的な攻撃を加えられない】
【強力であればあるほど、それは自身の身を傷つける、当然の帰結であったから】

>>761

【降りしきる死体の雨、単純量は多く、それでいて負荷は掛かり続ける、──── けれども、阻害の防壁は分厚い】
【爆発は続くだろう、だが、防壁を破るまでには行かない、結果的にかえでが護り続ける事は一種の膠着を生む】
【けれども、貴女が見れば殺せる様に、彼女もまた、新たな道理を探していた】

>>762

【ミレーユは防壁を作り出し、夕月と共に護る、──── 夕月の思惑は突破口になり得る、当然の判断だろう】
【アリアが見据えたのは光明か、若しくは光明に見せかけた罠か、いずれにせよ辿るべき道筋には遠く】
【──── 巨銃を持ったまま佇むのもまた、一種のプレッシャーをスナークへと投げかける】
772 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 19:21:50.13 ID:L6LzbpG0o
>>763

【そうスナークの攻撃は激しい、けれども、達人の放つ剣技には遠く及ばないのが実情であった】
【ドラに十分なスペースさえ与えてやれば、正しく縦横無尽に回避できるのだろう】
【回避に専念する、その判断は決定的に正しい、──── だが】

【ハンマーは夕月のリボンを通じて、空間に "穴" をあける、──── 直ぐさま周囲の空間が収縮して穴を埋めるが】
【室内全体のサイズが少し狭まった様に思えた、決して此方も有限ではない】

>>764

【その問いに答えはつかない、けれども、スナークが死体を無碍に扱い続ける事への疑問は晴れないだろう】
【幾つか仮定は立つ、しかし、その先の結論には至らない、あまりにも何もかもが足りないのだから】
【──── 放り投げる爆雷が降ってくる死体を吹き飛ばす、同時に開く空間への穴】

【それもまた、ドラの時と同じように収縮して埋めていく、室内がまた、狭くなって】

>>765-766

【リボンによる攻撃の射出、無造作に破裂する攻撃の乱舞が、周囲の空間を削っていくだろう】
【此処にはレッド・ヘリングが新たに糧とできる存在が無い、故に一方的に削られていくが定め】
【状況は少しずつ能力者達へと傾いた、──── だが】

>>768

【ミラは撃ち抜く、他の攻撃よりも効果的に空間を崩壊せしめた、──── あまりにも】
【そうあまりにも効果的に過ぎる、それほどまでに御船 千里は強力な力を持っていたのか】
【否、違う、──── 何処までも相性の問題であった、道理を覆すのは、また別の道理であるのだから】
773 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 19:21:58.50 ID:L6LzbpG0o
>>769

【そう推察がつく、推論も通る、──── それこそが、恐怖を生み出す余地であるのだから】
【スナークは翼を以て羽ばたき攻撃を回避できる、けれども空間へのダメージはそうもいかない】
【偶発は何処までも効率的に、かつ効果的に、周囲を崩壊せしめた】

>>770

【アーディンの疑問を消し去る様に、ラベンダーが黒い魔弾をスナークへと放った、けれども、それは悪手】


──── バカは死んでも直らないって、この事かな? アンタだけ周回遅れで、飛んじゃえ♪


【シャーデンフロイデの羽ばたき、スナークへと直撃した魔弾が消え去り、そこにはダメージを受ける前のスナーク】
【放った魔弾は "ラベンダーを撃ち抜く" 結果をもたらすだろう】
774 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 19:22:21.14 ID:L6LzbpG0o
>>ALL

【確かな現実を紐解くのであれば、この空間そのものはレッド・ヘリングで出来ている】
【しかし、シャーデンフロイデの手によって、レッド・ヘリングやスナークへの攻撃は世界線移動としてかき消える】
【他方、白神 鈴音の死体に突破口を見出そうとしても、ロールシャッハの力を借りた恐怖が現出する】

【けれども、間隙を縫う形で、レッド・ヘリングへのダメージは蓄積している、さしものスナークも予想外だろう】
【故に手を重ねる、──── グランギニョルの名を得ても尚、超常的な力を手にしてもまだ、勝利には遠い】
【それが決定稿であるのなら、予定調和的に、次なる神の名を呼ぶのだから】


それは終わりでは無く始まりに過ぎず、誰もが忌避し、誰もが享受する、何人たりとも我から逃れる事能わず
ただ無明の闇に沈泥し、永劫の時を、──── 苦悶の中に過ごすのだから


            ──── ヒトは呼ぶ、我が名を ────




                                            使うよ、"クソ野郎"


                     "Akzeriyyuth"       
            ──── "残酷なる幸福の死" ────

                       ジャ=ロ




【真紅の瞳が開眼する、浮かび上がるは蛇神の印、その名は "死" ──── 司るのは不可避の殺戮にして、決定的な破滅、もたらすのは圧倒的な破壊】
【かえでが扱うそれと等しい、──── 否、神格的には遙か上を行く、万物を殺戮する術である、"Kukulucan"】
【その名を謳うのであれば "Death Unlimited" 際限なく用いる死を、スナークは我儘に使う】


壱つ、──── 我が目は "仮死" を視る

          弐つ、──── 我が目は "直死" を視る

                     参つ、──── 我が目は "万死" を視る


              哀れなニンゲンに、相応の "死" を



【一つ目の蛇眼 "仮死の蛇眼" 見た者を仮死状態にし、一瞬動きを止める術であった】
【放つのはドラ、縦横無尽に動き回るその姿を捉えたなら、その無限の動きを一瞬止める事が出来るだろう】
【視線をよけなければ回避できない、知らなければ足りない、スペル】

【加えて、パグローム、ギア・ボックス、ミラ、エーリカ、アドラメレクへとその魔の手は伸びる、効果は一瞬だ、違和感よりも短い硬直】
【だが、この混戦の最中には、その一瞬の隙が命取りなのだから】

【続くは二つ目の蛇眼 "直視の蛇眼" ──── 見続ける事で対象を死に至らしめる、単純無比な能力】
【視線が伸びるのは二つ "夕月" と "かえで" ──── かえでならば気づけるはずだ、それは自身と鏡映しなのだから】
【けれども、夕月はどうであろうか、その場に留まり続ける事は、死を意味するのだから】

【そして、その二人以外の面々へ、降り注ぐのは第三の目】

【 "万死の蛇眼" ──── 死という概念の存在しない存在に死を与え殺す、厄介な眼力であった、そして】
【周囲に存在するは "白神 鈴音の死体" ──── 彼女が視たならば、全て "爆破" される】

【戦法は単純であった、空間に死体を出現させ即座に起爆する、無差別だった爆撃を指向性を持って放つ】
【一つ目の蛇眼で動きを止めた相手の側に死体を出現させたなら、回避するには相応の判断力が必要であろう】
【加えて、堅牢な防壁で護られた二人には回避を強要する、死が周囲を取り囲む】
775 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 19:41:18.40 ID:dtli0ef20
>>763ハンマー。>>764爆弾。>>766爆弾と銃弾と肉片。>>769無数の刃】
【それらすべてを、リボンが弾く。何処に向かって、なんて明確な指標は持たず】
【ただ世界を崩壊させるために、無意味に終わらせないために、片っ端から】
【吹っ飛ばしていくなら最早、世界の破壊者がどちらかなんて、わからなくもなろうもの】
【それでよかった。少なくともこの少女は、イルの創る世界の破壊者になりたがるのだから】


>>771>>774

………………ははッ、サイッコーにウケるんですけどォ、痴女にビッチ呼ばわりされんの!
いいよ、あたしにとっちゃ世界一好みの顔だし――ブチ込まれたらキスしてあげる!!

【最大限まで歪められるイルの愛らしい顔。返すのは、どこまでも晴れ晴れしい笑顔だった】
【こんなに固執してくれるなら嬉しいことはない。そのまま――鈴音のことなど忘れてしまえ】
【心の底から願っていた。そうしてしまえば全部終わるんだから。だから、――だから、】

ひゅッ゛、〜〜〜〜〜〜っ、づ…………ッ、……げほっ、ぉ゛えっ…………、

…………………………いい、よ゛ッ、そのま゛まァ、――――あたしだけ見てろ!!

【動かない。動けないというのが正しいのだけど、仮に動けたとしても、逃げやしなかっただろう】
【世界をリボンで覆うことはやめない。それが自身の役割であると理解しているのだから】
【だから――――視線を自身に集めること。すなわち死を浴び続けること。やめないのであれば】
【黒ずんだ血反吐を吐くことも当たり前のことである。絶望的な吐息が、一緒に、零れて】

【――――――――しかし、彼女にとって、人差し指が動きさえすれば何も問題はないのだから。】

【引鉄を絞る。三発。何処にも向かない銃口から放たれた弾丸は、中空にて細剣の形を成し】
【放たれる。リボンに弾かれる。向きが変わる。リボンに弾かれる。向きが変わる。リボンに弾かれる】
【それを何度か繰り返して、繰り返して――意図なんて、尽き果てたころに。届くのだろう】
【イルの死角から、その愛らしい胴体を貫かんと。切っ先を愚直なまでにまっすぐ向けて、――飛んで行く】
【死の視線を、赤色から離さないのであれば。きっと届いてしまうのだろう、けど】
776 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 19:41:53.88 ID:EDbyZEUH0
>>771-774
「……死だと?」
……カール? ぐっ……!!

「この私に、死の力で……勝てると思うなよ……!!」

【仮死の魔眼が、ギアを捉えた。その身体が硬直する瞬間。カニバディールは、人形の身体を抜け出した】
【ミラを支え守る肉だけは、残したまま。いつもの薄汚い作業服にラバーエプロンとゴム長靴。三つ目の異形】

【その身が極度に膨張し、その肉でもって死の力を受けようとする。>>760の夕月に向いた死を受け続けようとする。当然、死ぬ。肉の表面に異形の配下の顔が浮かぶ。再生】
>>764のパグロームへ向かう仮死も。>>768のミラへのものも当然。>>770へのアドラメレクらへのものも。硬直する。配下が肉に浮かぶ。再生】

【万死の魔眼が、鈴音たちに向かうのも、可能な限り遮らんとする。間に合わないなら、破裂を肉で受ける。死。再生。死。再生】
【群体として、いくつもの命を持つカニバディールだからこそ、死の力の盾となれる。そう確信していた】

【ギアは硬直から脱した時には、破裂に巻き込まれそうになり。そこにも、カニバディールが伸びる。間に合わず、右手とサーベルが吹き飛ぶ。それでも、ミラは離さない】

【ただ、外務八課の面々に対しては肉を伸ばさない。貴様らは、あわよくばここで[ピーーー]、という異形の意思表示だ】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 19:44:20.70 ID:KNy7E7ko0
>>771-774>>All

【――――ひぐ、と、微かに吐息が震えた。降りしきる質量は人間一人分であるのなら、ましてや爆発と熱を拒み続けるのなら、疲弊が無音に忍び寄る】
【であれば彼女はいたって単純に物量的な攻撃に弱いのだろう。ひたすら数で押し続けたなら、その膝を折ってしまう。生来の彼女は、――そもそも異能を使いこなせなかった】
【たった一度の発言で全部を出し尽くしてしまって三日は寝込むほどのものを、神様の下で"ここまで"鍛えあげただけであるのなら。――小さな呻き、首を揺らす、刹那に】

                        ――――――――あっ、

【顔がかあっと赤くなる疲労に荒くなった息を整える暇もなかった。呼ばれた名に、開かれた眼差し。――、その中に宿る蛇と目が遭って、刹那、硬直、】
【ぞっと血の気が堕ちる感覚に、少女は、頭上への防壁を溶かしてしまう――次の刹那には、二人の間、遮るようにして。手向けられる死の視線を、わずかでも遮って】
【――吸い込んだ空気はごく一瞬でも、なるだけ、おっきな声を出さないといけなかった。透き通る防壁がいくら阻害そのものであっても、死すら拒めるのか、分からなかった】

――――ッ、視られちゃダメぇ――っ!

【甘やかなスズランの声も、張り裂けるのなら、無惨な奇形花であるのだろう。ならば引きちぎられて棄てられてしまう定め、――と言い切ってしまうには、切実さを帯びていた】
【だけれど彼女は蛇の聖女だと一目に分かる、それを信じなくってもいいのかもしれなかった。けれど、引き攣る喉にて叫ぶのなら、どうしようもない悲痛さを孕んで、】
【事実として彼女は真っ先にイルからの視線を遮る角度に防壁を張っていた。誰がどんな目で見られているのか分からなかった。自分のことしか分からなかった。なら】

【それでも逃げ出せなかった、――傍らの愛しい人を護ると決めていたから。けれど護られるとも誓っていたから。ならば?】

――、アリアさんっ、跳んで! 全部護るから!

【短気なお姫様がキスを強請るより情熱的に縋る先もまた決まっているのだろう。――――その向こう側で、>>775の様子、見るのなら、】

あの人も!

【たぶん同じ風に狙われているのに気づくのだろう。とはいえ、夕月についてはまた別の騎士様が居るのだから、伝えさえすれば、それで十分なのかも、しれなくて】
778 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 19:51:24.32 ID:dtli0ef20
>>771-774
【仮に、アレが偽者の白神鈴音だとするならば、神を殺して虚神としての力を得るなんて道理は通らない】
【そもそも無限に蘇生する対象を殺し続けても、神としての本質は死んでいないことになるのだが――だが、そう思わせることで、この場においては"そういうこと"にできる可能性はある】


――とは言え、俺一人でなんぼ疑ったところで多数決の認知はひっくり返らないってコトか。


【単純だが良く出来た構造だ。順繰りに呼び出される虚神達――だが、それらは恐らく脆い。本来の虚神達の持つ力と比べればほんの一端に過ぎないものだ】
【だから矢継ぎ早に繰り出してくる。綻びを暴かれない内に――】
【そして、次の順序では当然――ジャ=ロ。その力の中で最も能力者達に認知されているのは、魔眼の力であろう】
【仮死の力を用いられるのは想定の内――降り注ぐ、肉人形の爆発への対処は、多少ダメージを受けてでも――】



――お?


【しかし、待てど、ジャ=ロの力は自らに訪れることはなかった】
>>776の巨大な肉塊――音にも聞こえるカニバディールの巨漢が、文字通り身を挺してそれを受け止めようとしている】


マジかよ――ああ、でも、なるほど。そういう対抗策が有るのか。


【カニバディールは自らの不死性を根拠に】
【虚神でさえ、通せないと言う絶対性の自負がある。そして、その根拠はこれまた多くの能力者達に共通で認知されているのだ】
【奇しくも――先日有ったと言うバカ騒ぎの乱戦で、それを能力者達に再認識させたばかりだ】
779 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 19:51:42.26 ID:7o2/4zDY0
>>771-774

――――どうやら馬鹿はあなたの方だ。『死』は、今の私の力でもある――――ッ

【死の力に満ちた魔弾が、世界線移動によって自らの身に直撃する。道理であれば、それでラベンダーは、不可逆的な死を迎える――――はずだった】
【だが、直撃した死の魔力は、ラベンダーの左肩から溢れ出る、黒いオーラに同一化し、吸収されてしまう】
【どす黒い、穴でも開いているのではないかと思わされる、その瞳が、何事も無かったようにスナークを見据えていた】

{……ラベンダァイス、お前、その力……ッ!}
――――――――無用な事です。全ては全て、無用な事です。所詮生き物である以上、死なないものなど存在しない。それが事実です――――

【思わず、アーディンは呻く。その血からの正体を、悟ってしまったのだから】
【それはもう、本質からラベンダーとはかけ離れた存在の力。ある種、忌むべき存在の力であり――――それがなぜ、ラベンダーに現出しているのか、分からなかった】
【だが、当のラベンダーはそれを意に介さない。ただ、今はスナークと白神 鈴音を殺すためだけに、全てを捧げて――――】



{っ、次はジャ=ロか……!}

【そうこうするうちに、事態は次の段階へと至る。更に呼び出される、既に討伐された虚神の名前】
【使われるのは『死』の力。やはり――――力だけを選択的に抽出されたら、自分たちに打つ手はない】

{――――サリード、お前、2本の手で、5つの武器を扱えと言われたら、どうする?}
「っ、なんですアーディンさん、いきなり……!?」
{良いから答えろ、普通は出来ない。扱い切れずに破綻するか、それとも順次持ち替えるか――――それしかあるまい?}
「それはそうですけど――――ッ、……アーディンさん、まさか……」
{――――その可能性は大いにあり得る。賭けになるが、現実的だとは思わないか……!?}

【ふと、己の中の漠然とした疑念を、アーディンはサリードと共有する】
【その中で見えた、1つの可能性――――いくら何でも現状、スナークの扱う力はオーバースペックだ】
【だが、兆候ならばある。それを素直に解釈すれば――――】

<――――よし、それで行こう……!>

【そのやり取りを、アドラメレクも耳にしていたのだろう。そして、彼らの言いたい事も理解したようで――――】

<――――助かるよ、肉の男。魔海の邪神の力が、代わりに事態を開いてやる――――ッ!!>

【少しばかり、無理をする事になりそうだ――――そう思案したところに、>>776の援護防御が届く】
【それでも辛い事には変わりないが、少なくとも――――攻撃を無視することぐらいは出来そうだ】
【そしてその先には――――攻撃に専念するという、自分の仕事がある】

<――――貴様との遊びもそろそろ飽きた、終わりにさせてもらおうか――――ッ!!>

【背中の肉が更に膨張する。生えてくるのは、白い触手、触手、触手――――その先端には、一様に『口』がついている】
【まるで、ミツクリザメの飛び出し顎の如く――――そして、その口から、魔力ビームが矢鱈滅法に乱射される】
【空を穿つ、地を砕く、虚空を薙ぐ、そしてスナークと鈴音の死体を襲う――――文字通りの乱打だ】

{(――――同時行使には、限界がある……単純に、お前1人では処理しきれまい、手に余る力なのだ……ッ!!)}

【レッド・ヘリングで縛れば良い、シャーデンフロイデで書き換えれば良い、ロールシャッハで幻惑すれば良い、ジャ=ロで消し去れば良い】
【――――いつまでも、そんな事を続けられると思うな。それが、アーディンと、そしてアドラメレクの出した答えだった】
780 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 19:56:57.60 ID:qAC+HY+0O
>>774

【彼女が予想した通り。今度はジャ=ロの能力が襲い掛かる。それら彼女にとっての始まり。好感さえ抱いた死の救い】
【スナークが口にした言葉。間に挟まる侮蔑の言葉。―――ぎりっと歯ぎしりが鈍く響く】
【冒涜された気分だった。ジャ=ロとの間柄は緒戦殺し殺されの関係でしか無かったのに、出会い方が違えばと夢想した相手だったから】
【―――――彼が渇望した願いを踏みにじられた気がしてならなくて、故に頭に血が上り始める。有り体にいえば激昂していた】


―――――、薄汚ェ口であの男の願いを汚すんじゃねぇッ!!
アイツの"死"はッ、救いのためのものなんだっ!!間違っても悪意で汚していいもんじゃないんだ―――っ!


【故に魔眼にて硬直して、その隙に現れる人間爆弾のもたらす災禍に晒されようとも怒りの炎は決して消えない】
【でも爆風やそれに伴う肉の破片達はエーリカに容赦なく襲い掛かるから身体を丸めて顔を両腕でガードすることしか出来ない】
【従って、肉体のダメージは看過できなくなる領域まで到達。でも捕まっていたリボンから手を話して自由落下に身を委ねたなら】
【その先にあるのは展開されたリボンであるという確信があって。重力に身を任せる。そしたらきっとリボンが彼女を受け止めてくれるから】
【そして高い弾力性を以てエーリカを弾くなら、宙空に追いやられるから。そのついでにスナークに肉薄しようとする】
【その際に左手にマチェットを召喚して柄を握る。横薙ぎに振るう一閃を以て病魔に切りかかるのだ】
781 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 20:03:45.67 ID:dtli0ef20
>>771-774

となれば、次はエカチェリーナってか。

【エカチェリーナとの戦闘の場には、男は立ち会っていないが】
【その能力については、組織を通して伝わっている】

【完全を不完全に――不完全を完全に仕立てる能力】
【であれば、今の状況を崩すのに使用して来るのは明白。カニバディールと夕月の位置の間にまで空間を渡り、その対策の準備をする】
【エカチェリーナの対策として用意されていたものの、結局使われることのなかった擬似対抗神話を】




【イルは次から次へと、過去の虚神達を使い捨てる――当たり前だが、これらは過去に攻略されてきた相手】
【一見して派手な戦闘に見えるが、どのように組み合わせようと、能力者達を全滅はさせることは出来まい】
【――問題なのは、その先だ】


鵺の時に何が起きるかが一応問題か。
アレに関しちゃ気が付いたら死んでたって感じで、何も分かってねえしな。
782 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/12(土) 20:12:29.66 ID:Vc78I/H+0
>>768

クラァケ、さん。

【聞き覚えのある声。どうにも見覚えのない見た目。】
【そばに立つ。声。相変わらず、感情に乏しいそれ】

私はロボットなので、お借りできません。――ですが。

【電磁式リフレクタは青白い光を放って、前面に展開している】

私がお貸しすることは出来ます。

【彼女の背負った秘蔵っ子の装備、荷電粒子砲。見た目は対戦車ライフルか何かのようで】
【それは太いケーブルでゾーイの素体に繋がれている。エネルギーは其処から供給されている】

私が盾となります。ロボットはヤツを見破る術を持っていません。
ただ、ここで貴女を護ることは出来ます。

私の矛を使ってください。――初瀬麻季音から託されました。


>>776

ミスター。クラァケ、さんは預かります。ゾーイと申します。
ですから――――


「Baby、ダンスホールで踊ってきな。」


【無機質なアンドロイドの声。抑揚はないのに予想もつかないセリフは】
【何処からかのサンプリング。】


>>774

人間に死なれてはロボットは困ります。

【素っ頓狂な答えは彼女の性格ゆえで、純粋なアンサー】


【シールドを展開しながら取り出すのはグレネードランチャーで】
【こんどは弾頭を変える。スモークグレネード】
【視界なら遮ればいいというアンドロイドらしい実直な発想】

【各所にばら撒いて発射し、視界を遮れるポイントを作ろうとするだろう】


/するっと戻ってまいりました。問題なければこのレスより復帰としていただきたいです
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/12(土) 20:19:55.62 ID:gOSvupoBO
>>757>>759(イル)

【引鉄を引き続ける。一瞬硬直が起こる。イルの振るった視線のせいだろう。それでも】
【その一瞬の後には、またトリガーを引く。死なんてものは、全部カニバディール>>776に押し付けた】
【守ってくれるだろう。そんな絶対的な信頼があった。そして彼は信頼に応えてくれている】
【ならば、攻撃の手を緩めるわけにはいかなかった。鼻血の量が増える。喉の奥が鉄臭い】


哀れんじゃ──いけねぇの、かよ…………なぁっ!!

あたしは──あたしは“たまたま”…………そう、ただの偶然の……連続でっ…………!
たったそれだけの…………ふっ────ぐ、ぎ…………ぃ、いい゛い──ッッ!!

そ、う…………ただ、偶然……なん、だっ…………!あたしが、こうしていられる、の……はっ!
もしかしたら……!あたしだって…………てめぇの位置に、居たかも、しれねぇんだ!

同じ────化け物…………なんだ。それくれぇ、は……分かる、さ…………!

化け物だと…………罵られて…………っ!気持ち悪いって……謗られてっ……!!
石を投げられて…………鉛玉だって…………!!

挙句の果てには、よぉ────クソみてぇな法律だって出来やがって…………
そのせいで────“あいつ”は死んだんだ……ク、ソ…………なぁ、イル……よぉ

立ち位置が………真逆でも────おかしくは、ねぇんだ…………誰、だって
それなら────せめて、…………せめて、あたしが、さぁ…………
てめぇらの痛みとか…………分かるあたしが、さぁ…………“そう”言えねぇと

そんなの……、…………そんな世界は、


     そんな世界は…………悲し、すぎるだろう…………


【バックサウンドは常に銃声だった。気の利いたカセットテープなんてきっとこの世界じゃ砂に埋もれて】
【だから、誰かを送る音も祝福の響きも、この荒野じゃ須らく銃声だった。神の産声も、嘆きの声だって】


>>776(カニバディール)
>>782(ゾーイ)

…………ぎゃは。よぉ────ゾーイ。ステキな花束持ってんじゃあねぇか

じゃ…………そいつをばら撒いて、結婚式のライスシャワー代わりといこうじゃあねぇか
カール…………サンキュ。こないだ…………話した、ろ。アンドロイドの、ゾーイ

は────ったく、これ…………よぉ。とりあえず、…………撃っちまえば、いいの、か──?


【ふらりと頭を揺らし、青い鼻血を垂らして尚ゾーイから武器を受け取る】
【チャージが必要とあれば、待つのだろう。必要なければ、そのまままた“繋ぎ目”目掛けて引き金を絞るのだ】
【おそらく威力は先ほどの銃弾の比ではない。────現代兵器と、神の与えし異能は】
【それこそ、神のフィールドを破壊しかねない】
784 :キャットV  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/12(土) 20:21:01.96 ID:SowzBHbuo
>>771->>774

うふふ、ミレーユ君の愛しの彼女のおかげで状況は明らかにいい方向に向かってるね
いいじゃないの……実にいい、このままかき回し続け

                                               ……てっ

【ぱたん、と避け続けていたキャットVの動きが静止し、動かなくなった】
【意識が昏倒した事に気付いたのは5秒後、自分の体が倒れこんでいる事に気付いた時だ】
【ジャ=ロの能力で一時的に仮死にされ動きを封じられたのだ、初見での戦闘ゆえ警戒が遅れた―――!】


(なんだ…・・どうやら一瞬だけ意識が完全にブラックアウトしたらしい……
マズイ、これでぼくの動きを止めたのか……止まったら、マズイ、また激熱の爆弾が来る……!)

うごか、なくては……!


【キャットVが想定した通りだ。やはり至近距離に死体を出現して爆発させようとする】
【今度の一撃が直撃すれば―――命に関わる大ダメージを受けることに!】

【耳元で通信機の向こうの相手の声が響き渡る】


「ドラさん!!」

――――……来るなッ!!


【どこへ向けたかもわからない一喝と共に―――キャットVに向けて降り注いだ死体が爆裂する】
【煙が晴れたところに―――そいつはいた。まだ立ってはいた】

【灼熱の血飛沫で装甲が溶け落ち始め、関節からバチッ、バチッ、と火花が飛び散っていた】
【だがまだ生きているし、まだイルに相対していた】


なるほど……脆弱って言ったのは謝るよ、イルちゃん
残った知恵絞ってかなり理詰めで戦略を立ててるじゃないの……十分ぼくの敵たりうる力量の持ち主だ
力押ししかできない腑抜けの淫乱ボンテージちゃんという評価は取り下げることにするよ


【むしろそんな失礼な評価をしていたのか……だが生意気にもこの男、まだ戦意はそがれてない】
785 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 20:22:34.72 ID:WAyoKTIbo
>>761>>767

【結果として守り抜かれるのであれば女の表情は安堵に等しいのだろう。隻眼のみを晒す冷徹な表情であっても、然して】
【信じていたのだと誰よりも雄弁に語るのであるから矢張り彼女は少女にとっての全てに他ならなかった。 ─── 溢れる言葉は血潮より暖かく】

    「ありがとう。」


>>776

【蔓延する死の魔眼に晒されて、 ─── 少女が左薬指よりも余程に淀んだ血を吐くのであれば、決して表情は上げるべきではないのかもしれず】
【兎角もって酷い表情だった。この世の全てに絶望してゆくようで、眼前に明白な敵意を晒されている以上、辛うじてそれを堪えるような】
【 ─── 限りなく圧縮した炎熱と凍結を、止めどなくイルと少女の間にほとばしらせるのだろう。例え破られる防壁であったとしても、その奔流は殺到して】

    「 ──── 馬鹿あ、ッッ」


>>771>>774>>777


【この方向であって、完全な正答でなくとも致命的な失態ではない。 ─── そう判断する。イルの力は十全なものでないと、認識する】
【であれば続けられる攻撃は激しくこそなれど止められる事は決して無かった。少女を守るように取り囲んでいた氷壁と炎壁の、一部が】

「 ……… そんなに、」「落とし前、付けさせられてえか!?」


【その勢威を誤ったかのように零れ出て、 ─── スナークへ向かおうとするのだろう。同時にアリアの描くムーンサルトもまた、同質】
【曲がりなりにも己れが対決し葬送した神を愚弄される事は彼女もまた穏やかならぬようであった。両手の長銃より放たれる弾幕は】
【魔眼のリソースを少しでもその処理に向けさせようという姑息的手段。然してそれもまた通用するのだとすれば】
786 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 20:30:35.31 ID:L6LzbpG0o
>>775

【それもまた、病的な固執であった、互いが互いを憎まずに居られない、根本的な存在性の食い違い】
【夕月は完膚なきまでにスナークを否定する、スナークもまたその道理に従うのだから、最早わかり合うなんて出来ない】
【死が夕月を蝕む、病魔の様に刻一刻と、微塵の躊躇もせず、スナークは "貴女の滅び" を選択する】


男の趣味も悪けりゃプレイの趣味も悪いね! 汚い重なり続けながら死んじゃえ!!


ほうら、あと少し、────っ……!! ────っ……!!


【瞬間、身体が大きく跳ねた、命とギリギリまで天秤に乗せ続けた刃が、死角から彼女を撃ち抜いたなら】
【零れる鮮血、一度、二度、揺らめくも、 "未だ視線を外さず" ──── それならば】
【どちらかの限界が近づくはずだ、いっそのこと、このまま、死んでしまえば良いほどの】

>>776

【単純的な相性の問題であった、蛇眼を用いた力は非常に広範囲に届く、けれどもその深度は "浅い" 】
【点では無く面での防御、カニバディールの取った選択は、効果的な結果を生むのだろう】
【その身に刻まれる数多の死と再生と、言ってしまえばカニバディールそのものが、"死への対抗神話" とも言えた】

>>777

【死は寸刻 "阻まれる" けれども、その阻害すらも殺しかえでの身へと迫る、その有用性は誰よりも貴女が知っている】
【スナークは本能で理解している、夕月とかえでと、補佐に徹するこの二人を葬らなければならない、と】
【逃がすか、と口元から零れた、視線が追い続ける、防壁を崩し、その奥の姫君を殺そうと】

【──── けれども、徐々に離されていく、僅かばかり、足りない】
787 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 20:30:45.88 ID:L6LzbpG0o
>>778

【故に彼女が殺したのは間違いなく "白神 鈴音" である、これは決定事項として捉えるべきであろう】
【彼女がグランギニョルの力として、他の虚神の力を扱っているのもその証左だ、けれども ──── 】
【パグロームの推察通りであった、次々に繰り出される虚神の力、しかれど能力者達を圧倒するには至らない】

【──── INF-001 大仰な名まで付いた其れは、張り子の虎で終わるのだろうか】

【そしてまた一つパグロームは知見を得よう、カニバディールの効果的な方策、最小限の犠牲で最大限を死守する】
【即席の対抗神話とも言えた、──── 道理を殺すのは、何時だってそれ以上の道理なのだから】

>>779

【慮外の攻撃であった、けれども、筋は通る、──── だが、あまりにも、──── そう、通常解から外れている】
【狂気を越えて病的ですらあった、不可避の攻撃、それを受けることを前提にした戦法、と】
【事実スナークの思惑を越えていた、──── 視線の端、映るは苦悶】

【成程、一つの解釈としては正しい、しかしながら、賭けるにはリスクが高い選択肢であったと言わざるを得ない】

【確かに攻撃は "出鱈目" かもしれない、けれどもその根本には、スナークを傷つけるという意思が含まれているのなら】
【世界線が、変わった、──── 魔力ビームの乱打が捉えるは、それを放ったアドラメレク自身であろう】

>>780

──── 知った口で喋るんだね! 薄汚いニンゲン風情が、神を理解した気になるんじゃない!


【スナークへと接近する、数多の爆風を潜り抜けて、少しでもその意思を刃に乗せて届かせようと】
【スナークは大きな傷を受けていた、夕月の一撃、貫かれた傷は大きく、エーリカのマチェットが触れたならば】
【それは確かに致命傷になりうる、その一瞬であろう】

【だが、──── 】



だから言ったでしょ、神を理解した気になるんじゃない、って



【エーリカが放った刃がスナークを捉えた刹那、シャーデンフロイデが発動、エーリカの刃は自分自身を傷つける】
【けれども、その結果を越えた時、エーリカはスナークの直ぐ側まで肉薄しているはずだ】
788 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 20:30:55.11 ID:L6LzbpG0o
>>782

【視界という武器に頼る以上、視界を阻む単純な技は効果的且つ強力であった】
【ゾーイの卓越した判断は自らの窮地を救う、其れと同時に辿り着くはずだ】
【スナークの扱う絶え間ない攻撃は、それぞれに明確な弱点がある、ということに】

>>783

っ──── それは何処までも救われた奴が言うんだよ! ボク達の苦しみを分かったなんて言うなよ!
だからボクは鈴ちゃんと、鈴ちゃんの為に、世界を滅ぼすんだ、こんな世界、こんな、こんな


──── こんな悲しいだけの世界なんて、全部!!


【爆発的な衝撃と共に大きく空間が揺れた、──── つなぎ目に直撃したゾーイの託した弾丸】
【破滅的な崩壊を引き起こすのだろう、このままいけば、数分で、──── だが】

>>784

──── 下品な口利くなよ、自分基準で世界を回すニンゲンが、ボクは一番嫌いなんだから
そんだけボロボロになりながら、まだ戦えるなんて、思ってるのかなぁ?


【口だけは達者に、それでも、かなりのタフネスであろう、──── ニンゲンの持つ、技術】
【科学と魔術の結晶は、時に、──── 神にさえ届きうるのだから】

>>785

はん、落とし前つけさせられるのは "どっちだよ" ニンゲン風情が気安く喋ってるんじゃない!


【関係性が深すぎた、ただ行使するだけの彼女の力に、特別な意味合いを見つけ出したなら】
【シャーデンフロイデが羽ばたく、アリアの放った弾幕も、ミレーユからこぼれ落ちた氷と炎も】
【全てが全て自分へと返ってくる、──── 恋人に返らないのがせめてもの救いか】
789 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 20:31:07.73 ID:L6LzbpG0o
>>ALL

【スナークの身体が乱れた、夕月の一撃が彼女を貫き、深い傷が床をぬらしていく、そして】
【それは研ぎ澄まされた "無意識" の攻撃、シャーデンフロイデは羽ばたきもせず、その傷を癒やせない】
【パグロームの推察が示すように、使い捨てる虚神の力はそのどれもが "廉価" ──── 一つとして完璧では無い】

【スナーク自身もそれを理解していた、だから、"道理" を定めたのであったから】


っ……やっとここまで、降りてきたんだもん、──── ホント、厄介だよね……っ
ちょっぴり、ほんのちょっぴりだけ吃驚したよ、アンタ命を無碍にしすぎでしょ
やっぱりニンゲンって愚かだよね、もっと賢い手段使えば良いのに、だからさ ────

こんな風に、一瞬で覆るって、想像も付かないでしょ?


【パグロームの思惑を上回るのか、──── スナークはそこまできっと、思案してはいない、ただ順番通り、理屈を振う】
【真紅の瞳が強く見据える、その全てを、スナークへと仇為す、数多の軍勢を、そして】
【その果てにある勝利を、──── 追い求めるのだから】


全ては不完全にして、全ては完全に、願うのは完成と、失うのは感動と、適うのなら
永久に辿り着かぬ絶頂を、そして見果てぬ悦びを、──── 分かち合うのに理由なんてない



             ──── ヒトは呼ぶ、我が名を ────





                        "Adyeshach"       
            ──── "それは泡沫の絶頂に過ぎず" ────

                       エカチェリーナ




【絶頂の行使、辿るは自分自身へ、──── 強引に腹部から刃を振り抜き、床へと棄てるだろう】
【見下ろすは全、未だに夕月とかえでへの直視は続く、──── その一方で不特定多数への攻撃は止んだ】
【唇の端を釣り上げる、与えた傷も幾分か回復しているのだろう】

【そして、ミラが与えた崩壊も止まっていた、スナークが絶頂に至るなら、使役したレッド・ヘリングも、絶頂に至るのだから】


  ──── "Killers Like Candy"   ──── "and the Infinite Sadness"


【右手に出現するは大鎌、くるりと回転させて、床へと振り下ろすだろう、──── 波及】
【顕現する黒い刃が能力者達へと襲いかかる、単純且つ強力な質量を持った斬撃】
【加えてそれは近づいた相手に病をもたらす刃であった、近ければ近いほど、身体能力を激減させる】

【だが、病という性質を持っていた、それはつまり、──── 病まない者には利かない、と】
790 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 20:52:12.69 ID:WAyoKTIbo
//>>785>>776じゃなくて>>775でしたね…………今気づきました、お目汚し失礼しました
791 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 20:53:20.79 ID:dtli0ef20
>>785 >>786>>789

………………げほっ、うあ゛、………………、見でろッ、見ろ、見ろ、見ろ、見ろ、
あたしを、見゛ろォ、他の何も見るなッ゛、………………ぇ゛うっ、

【――――とうとう膝をつく。上体が重力に逆らえなくなって、折れ曲がり】
【ほとんど地面と平行になったら、ただ血と、何かしらを吐き続けるのみになるのだろう】
【ここまでされて動かないのは最早執念であった。あるいはもう、動く元気を殺されたか】
【あるいは――それこそ病的なまでに周囲を信頼しているのか。きっと後者だった】
【だって、イルへの攻撃を通す方法を見せつけた。そしてリボンを張り巡らせることを止めない】
【であれば、誰かが「代わりに」「やって」くれると信じてた。だから、だから、】

【津波のように押し寄せる斬撃を避ける術も持たないのであるが、――――けれど】



「 見てるよ! 」



【――――アルトの声色が響き渡る。能天気な女の声。それは少女の身体のどこかしらから】
【ざざ、と砂のように崩れる響きは、電子音に相違ないものだとわからせる。――発信機】
【魔力なんて発生させない、純粋な、誰でも買えるような機械が――彼女の身体のどこかに取り付けられているらしい】


【 「汝が罪の大いなるを嘆き悔いて涙せよ」 】


【     ぶつ  ん。   唐突に響き渡る破断の音。発信機――カメラ付きのそれ越しに】
【彼女の<創造主>が、それを「見ていた」。であるなら――彼女のすべてを握るのは、その女であり】
【そいつは少女の身体にかけられた術――「偽装」を、剥奪した。人間らしく生きてるように見せかける術】
【それが奪われたのなら、少女の身体から色彩が消える。肌の赤味も、髪の艶も、瞳の輝きも】
【呼吸も。鼓動も。生命活動を維持しているように見せかける何もかもが奪われるなら――】
【少女はただの、動く屍に成り果てる。吐き続けていた血反吐も止む。そうして、】
【死も、病も。受け付けないカラダになって――――それを周囲に見せつけた。化物である証を、】

【(だけど誰もそれを疎まないと信じていた。誰が? …………少なくとも、)】
792 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 21:01:03.25 ID:V1J+q2V50
>>787-789

【振るう刃。それは届かない。刃がスナークの命に触れるその刹那、またしても都合の良い理屈が降りかかる】
【改竄の結果、エーリカの刃は自身の身体を傷つける。スーツの内側から赤黒いシミが浮かび上がる】
【それでも、止まらない。止められない。止まってたまるものか―――と決死行の様な様相を呈していた】


         ぐぅ、づァッぁああああああっっっっっっ!!!!
死んでも、死んでもッ!私はッ!テメエ等を許さない!!同じ理屈を返してやる―――ッ!!

      偽物の神様風情が人間を理解した気になってんなァぁぁああああ!!


【だからだろうか、世界線が変わったとしても彼女はスナークに肉薄したまま】
【そして紡がれるエカチェリーナの名――――沸点はとうの昔に超えていて。あろう事か臨界点を超えたなら】
【猛りによる叫びも無い。ただただ静かに荒ぶる激情を右手に集めた魔力に変換して、手を伸ばす―――】


    ―――――――………!!?
             うっ、ぐうッ……!?


【その刹那、病魔を乗せた黒い刃が襲い掛かる――この場で最も肉薄していた彼女にそれを避ける時間は無かった】
【故に直撃。伸ばした手はスナークに届かない。すこしだけ伸ばせば届くのに、はるかに遠く感じられた】
【それほどまでに病は彼女をむしばんで。勢いに任せた近接であるが、力なく倒れていくのだった】


【でも、心はまだ折れていない。ジャ=ロとエカチェリーナを侮辱されたなら、せめて意趣返しの一つは喰らわせたいから】
793 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 21:02:49.39 ID:7o2/4zDY0
>>786-789

<ぐぅ、っご、ぉぉぉおおおッッ!!>
「レミー!!」
<――――だ、大丈夫だ……これで、一歩近づいた……そうだろう……?>
{すまん、邪神よ……だが、やはり予想通りだ……レッド・ヘリングとシャーデンフロイデの力だけは、どうあっても外す訳にはいかないのだな……
それをやれば所詮、スナークなどただのザコだ……見たか、奴の顔を。奴自身は、ただの悪魔に過ぎん……}

【世界線移動のために、返ってくる多大な一撃。さしものアドラメレクも、そのダメージには身体をのたうち回らせる】
【手が回らない、という事は無い様だが、このまま続ければ、オーバーヒートする可能性が、そこに見出せた】
【――――とは言え、それよりも先にこちらが消耗しきる可能性の方が、ずっと大きいのが懸念事項だが】

<……で、どうするのだ……ッ? 奴の消耗を突いて、更に攻撃を、重ねるのだろう……?>
{待て……他の面々の状況もある。一度、間を置こう……――――そろそろ、地に足をつけるべきか}
――――分かりました。おいで『イーグル』、もう1度――――

【状況を察して、ラベンダーは再度、大鷲を召喚する。流石に消耗したアドラメレクを初め、一同は再び『力を持った幻影』に、身体を預ける事になる】

{――――エカチェリーナ、か……}
――――後は、時間を稼ぐだけですね――――劣化版に、以前ほどの力はあり得ない――――不完全に至る時間も、早いでしょう――――
<――――それは良い、が……どうするんだ…………ッ?>
「……ここは、僕に任せて」

【次に攻撃に転じてくるのは、エカチェリーナの力――――その事実に、アーディンは表情を曇らせる】
【――――これは、ソニアの弔い合戦でもあり、いわんやレグルスとアルクの弔い合戦でもある事を思い出したのだろう】
【そんな中で行使される、病の斬撃の乱舞。その矢面に立ったのは――――サリードだった】

「――――『地霊』!! っ、ぉぉおおおッ、『地霊』、『地霊』、『地霊』!! っぐ……『人霊』!!」

【飛来する、黒い刃を、サリードは黄色の光と衝撃波で、何度でも叩き落す。時折、その身に病毒が滲み込む事があっても】
【――――人の身で『魔海』を踏破するための守り――――『人霊』の力が、致命的事態を避ける】
【一行の損害を、サリードが最小限に止めた。その間を以って、ラベンダーとアドラメレクが顔を上げる】

――――今度こそ、時です。少々――――単独行動しますよ――――『ベルセルク・フォース』

【エカチェリーナの力が行使されれば、ここからスナークの力は右肩下がりだ。つまり、ここからがチャンス】
【それを知識として知っていたラベンダーは、具体的な攻勢に出る事にした。少なくとも、現状で最大の力は、4人の中では自分だと自負して】

【ラベンダー色の装甲の様な表面に覆われた、太く、寸胴な体型の人型】
【ごつい大きな手を備えた腕には、左右にそれぞれ3枚ずつ、円盤状の刃が備えつけられている】
【機械的な頭部も相まって、まるでSF作品に出てくる宇宙服か潜水服の様な、人型のロボットの様な機械的な姿をしている】

【姿を変じたラベンダーは、イーグルの幻影から飛び出す。狙いは、スナークとの接近戦】
【スラスターを吹かし、一気に距離を詰め――――鋼鉄の右腕を叩き込もうとする】
794 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 21:05:01.41 ID:WAyoKTIbo
>>788

【応報としての自動的かつ確定的な反撃。 ─── 銃創は重なり、熱傷と凍傷を等しく浴び、尚それでも闘志は消えず】
【寧ろ愛しむ人と同等の苦痛に近付くのであれば、彼女たちにとっては幸福でさえあった。スカートの下より引き抜かれる、信管の音】


  「抜かしておけよ。」「 ──── 化物を殺すのは、何時だって人間だ。」


【黒炎による防壁を張り巡らす事によって、イルの魔眼を妨げようという彼の試みは変わらない。加えて、天高くのは投擲されるのは】
【高射砲のように炸裂する、煙幕手榴弾の幾ばくか。やはり姑息的かつ小手先の防護手段でしかなかった。然して、視線を遮る事だけが重要なら】
【濃厚な煙幕と炎壁による妨害は、少女の苦しみを漸減するに足りうるだろうか。 ─── 然して、】


>>791


     「 ──── シグレっ!!」


【もうやめてくれと叫びたくなる衝動を辛うじて諦観が押さえ込んでいた。 ─── 崩れ落ちようとする彼女に、駆け寄って】
【そうして少女の身に何が起きたのかを理解できていないようだった。それこそ死人のように狼狽し、冷たくなったその身体に、手を伸ばして】
【滑稽なほど無防備だった。 ──── それでも、少女がまだ、彼の知る"死"には至っていないのならば、彼はまだ闘えるのだから。(だとしても少女の身に何が起きたのか伝え損ねれば、どうしようもない忿怒に駆られるのだとしても)】

>>789


【そうしてアリアもまた、化物でしかないその膂力を存分に振るっていた。かえでが己れの足掛かりを作り続けてくれる限り、その軌道は決して止まらない】
【196cmの規格外義体に限界まで充填された強化人工筋肉が齎す狼の狩りは、回避に徹している限りは飛び交う黒い残像を示すばかりであろう。そうして】


   「 ……… まだ、終わらないわ。」


【傷跡より呼び出されるのは"火炎放射器"/携帯放射器1-1型。 ─── 放たれるのは、増粘剤を多分に投与されたゲル状の火炎噴流である】
【感染する前の病原に対する最も確度の高い滅却手段は焼尽であろう。それにミレーユもまた合意していた。右掌よりの白氷の出力を弱め】
【左掌より吐き出す黒炎の比重を限りなく高め、そこに宿る"異能を打ち消す"力をも重ねて、病刃を薙ぎ払おうとするのだろう。】
【あくまで其れらは迎撃に特化し、スナークへの害意を避けながら、それでいて間断なかった。 ─── 自身のパートナーが本体を狙い続けるのであれば、重ねるべきものを重ねればいい】
795 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 21:09:07.63 ID:EDbyZEUH0
>>786-789
!! ついに、この力か……!!

【ギアは、戦慄した。かつての同志の一人。エカチェリーナの力。完成させる力。終わらせる力】
【確かにオリジナルのそれほど強力なものではないかもしれない。しかし、十分すぎる脅威だ】

【その力を持って、防衛。崩壊を止め、この地獄を留める。そして、矛となるは彼女自身の力】
【黒い刃が飛んでくる。それ自体が凶器。かつ病を込めた一撃】

「か、がああぁぁあ、あ……」
カール! クソっ……!!

【幸いというべきか、人形たるギアは病には侵されない。だが、カニバディールの肉体はそれに晒される】
【先の刃と合わせて、カニバディールの肉体の不調は加速。精密動作が必要な能力も、制御しきれなくなる】

【ついに崩れかかったカニバディールに、ギアは取り付き。テレポート能力で手元に呼び戻したサーベルを振り上げた】


こんな時くらいしか、人様のためにならねえんだからよ……!! ヘタレてんじゃねえ、クソゴミ!!
「ッッッッッぐああああああああ!!!」

【ギアがサーベルを異形の肉に突き立てた。同化していたからこそ、その痛みとサーベルを通じた接続が、能力の持続を可能とする】

【ギアによって無理やり引き出されたカニバディールの能力、その肉が今度はその場の全員を】
【カニバディールの意思に反して、外務八課を含む全員を病の刃から庇う肉盾として権限させた】
【これ以降、攻撃の全ては通さない。そんな意思を込めて】
796 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 21:10:40.01 ID:dtli0ef20
>>789
【使い捨ての虚神達――しかし、やはりこれは儀式なのだ】
【仮に――もっと上手く虚神達の力を組み合わせれば、能力者達に有効打を与えることは出来たのだろう】
【だが、順繰りに名乗りを挙げて提示してくる。これ自体が手順だとでも言うように】

言うなればグランギニョル召喚の儀式ってコトか?
ウヌクアルハイの方かも知れねェがよ!


【既に性質も対策も知れ渡っている虚神を順番通りに繰り出しているだけなのだから】
【対抗策は事前に用意できる】
【男は、迫りくる斬撃に対して、別のロジックを展開する】


擬似対抗神話"ゼノンのパラドックス"――


【元来、エカチェリーナの対策として用意されたものだ】
【ロールシャッハの封じ込めによって日の目を見ることはなかったが】


虚神のデッドコピーならこの程度でも十分だろうがよ――!


【"アキレスと亀"に代表されるその性質は"永遠に結果に辿り着かない"と言うもの】
【エカチェリーナの能力の対抗として与えられたものだが――奇しくも、もう一つ適用できる事例がある】
【即ち、イルの持つ"病気"と言う能力だ】
【本来、病気に掛かると言う結果を先延ばしにしても、感染した事実は変えられない】
【しかし、イルの病魔の力は、その場限りの一時的な影響――ならば、その特性を意識せずに、襲い来る斬撃を薙ぎ払える】

【魔眼の力を防ぎ続けていたカニバディールに病気なんてものが通じるかは不明だが、その刃の露払いくらいはしておけば、また互いに利用する余地は生まれるだろう】



【そのまま自身の能力でイルの元へと接近する手も有っただろう】
【しかし――男は、ここに来てもまだ積極的な攻勢には出ていない】

【かつてサーペントカルトで見せた狂犬のような様相はなりを潜めていた】


エカチェリーナってのは捨て身の時間稼ぎだ。
いわば時間制限つきの強化だからな。


残りの手順を済ますまで、劇を止めないための、時間稼ぎ――
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 21:11:54.05 ID:KNy7E7ko0
(>>785)>>786-789

【――ぞおっとする怖気がずうっと身体の中に燻っていた。虫眼鏡で太陽光を集めるみたいに。火を噴いてこの命を燃やす瞬間、待ちわびているなら】
【せめても彼女は身体の中でも阻害の力を巡らすのだろう。今まで何度だって死ぬべき場所を乗り越えてきたから。出来るはず。出来るでしょう。――そう言い聞かせ、】
【ともすれば今そこで無惨に転がる肉塊になりつつある少女神のためであった。――蛇神と呼んでやるべきだったか。それでもだって彼女はヒトの姿を取り続けて】

【(だって身体の形なんて好きにできたはずなのに。蛇だと言われ信じてなお彼女はヒトの形であり続けたなら、やっぱり未練と憧れがどこにあるのかって、きっと、)】

――――――もおっ! いつまで視てるんですかあ、――私のファンですか!? ――うっざいなあっ、――ウザいんですけどお!

【べえって赤い舌先を見せて嘲る、だとしても彼女が不利なのは代わりなかった。――狼に全部の信頼を寄せていた、命を預けていた、だからこそ出来ることがあるのなら】
【――けれどそれが緩む刹那があるのなら、わずかに復調する吐息の兆し。ふうっと息が吸える、――物理的に一息つける。なら、真実なんて、愛しい人の甘い香りだけでいい】

【なれば瞬き一つ。開く眼差しには蛇が牙剥く睥睨が宿るのだろう。――見据えるのはイルだった、視続けたなら、殺してやれるって分かったのだから】
【そうすれば夕月への視線も、自らへの視線も、逸れるかもしれないし、――意識が逸れるというなら、他の誰にも利があって当然だろう。けれども、】

【彼女はやはり命を他者に預けていた。護ってくれると信じていた。それでも何か及ばぬというのなら、――彼女はどこまでもありふれた人類であったから】
【少し死ななすぎるだけで、病も患うのが道理であろう。――しかし、だとしても、"ある程度"は無視できる/する、――或いは、】

>>792

エーリカ、さんっ!

【――――"させる"なんて、暴力的が過ぎるだろうか。それでもひるりと溢れたリボンのひとひら、まっすぐに、まっすぐに、伸びるのなら】
【もしそのリボンに触れて受け入れるのなら、――無慈悲と言えば無慈悲な、無遠慮と言えば無遠慮な、"阻害"の力、流し込もうとするはずであり、】
【至ってテンションが下がるたぐいの冷たさを孕んでいた。麻酔薬の冷たさと無感覚にて、なにか不都合を阻害するのなら、いま、彼女が拒もうとするのは、きっと、病】

【――やっぱり酷い行為なのかもしれなかった。そうなのだとしても、その感情を眼前に居ながら吐き出しきれぬよりは、?】

>>794

――――アリアさん、たぶん、あいつ、私と、――、夕月さん、視てますっ、だから、えっと、あの! 生きてても死んでても、だめなので!
え? えっと、――、――ずうっと避けててくださいっ! がんばって!

【(ひどい話だった。何を頑張ればいいのか。移動を頑張ってほしかった。すごろくで6を出し続けろって言うような口ぶりだった。それでも、足場は、こさえるのだから)】
【けれどそれ以上に手伝えは、しないのだろう。強いて言うのならエーリカに伸ばした一条だけが行為のように見えた。だけれど、視線は、ずっと、イルへ向くのだから】
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/12(土) 21:14:14.65 ID:gOSvupoBO
>>788(イル)

…………っく、ぐ……ぅ────、…………、ハ

だから────“だから”、あたしは…………今日、ここに来た、んだよ……

この世界は…………運のねぇ奴には……、とことん冷たくって、……よぉ
ほん──っ、と…………10秒遅れで路地を曲がった……その程度のコトで、運命ってぇモンが……変わりやがる

こんな…………悲しくって──つらくって、冷たい…………そんな、世界だけど…………よぉ

そんな世界を買っちまおうってぇヤツがいて──そんな世界でも、楽しんじまおうってぇヤツもいる

ま…………あたしとジルのこと、なんだけど…………よぉ


だから────イル。……これは、意地の張り合い、…………だ
てめぇにはてめぇの理屈があったように…………あたしには、あたしの────
ゾーイにカール…………夕月には夕月の理屈があって、ここに来て、こうやって戦ってンだ

まぁ…………なんだぁ。世界を、よぉ──てめぇの目論見通り、うまく滅ぼせたら、さぁ…………
シャンパンくれぇは奢って…………、…………ぎゃ、は


あぁ…………、滅んじまった世界に…………シャンパンなんて、もうなくなっちまってるか…………は、はっ


【がくんと身体から力が抜ける。視界が暗転する。≪Dr.Feelgood≫もちょいとおネムの時間らしい】
【周囲から聞こえる音で、まだ戦いは続いていると分かる。あぁ、分かってる】
【また目を開けなきゃいけないんだ。それでもちょっと、待ってくれないか】
【あまりにも、チカラを使いすぎた。その反動なんだろう。溢れるのは、それでも歪んだ笑い声】
【カニバディールによって、斬撃や病は防がれた。それは……本当に、幸運なことだった。再びひとつ、笑みが零れて】


>>(ゾーイ)

…………ゾー、イ────ま、だ…………、あんた、なら…………戦え、る
まるで、……ぎゃ、は。……まぁ、るで…………ビョーキになっちまった、みてぇ、だぜ


【レッド・ヘリングに喰らわせた崩壊は止まった。それだけは見えた。このまままた同じ数だけの弾丸を食らわせるのは】
【流石に骨が折れるしなにより、眼を開けるのが、つらかった】
【体の方はなんとかまぁ、動かそうと思えば動かせる。問題は目だけだった。どうせ少しすれば】
【薄目を開けるくらいには回復してくれる。≪Dr.Feelgood≫の方は、ちょっと分からないが】


あたしはここで、ちょいと一旦休憩だ…………行って、戦ってこい
切り開くんだ────未来を。あたしたちの、明日を
799 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 21:16:30.49 ID:EDbyZEUH0
>>796
【ギアの強制に続いて、パグロームの疑似対抗神話がカニバディールを『サポート』する】
【結果に辿り着かない、完成の力に真っ向から反するそれが、刃の数を減らし病の進行を遅らせる】

【どこまでも伸び膨らむカニバディールの命そのものが、対抗神話としてこの場に降りる。本人は声にならぬ憎悪を叫ぶばかりであったが】
800 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/12(土) 21:17:26.53 ID:Vc78I/H+0
>>783

『祝砲』にはもってこいですか?

【それぐらいの冗談を言えるぐらいには彼女も成長していた】
【あれだけの奇人変人に囲まれればだいぶ偏った成長を見せていることだろう】

はい。「世界でもなんでも風穴開けてちったぁマシな世界」にしてください。

内部コンデンサに充電に多少の時間を要しますが私と接続している間は
私のエネルギーが切れるまで射撃を継続できます。
なお、初瀬麻季音の試作品ですのでどれぐらいの耐久性あるかはお答えできかねます。

【見るからに試作品といった見た目でマジックペンの手書きで名称が書いてあるし、塗装は無い】
【願掛けにつけたお守りは「家内安全」だ。しかも今年のではない】
【そんな不良品を押し付けてくるのは度の過ぎたお茶目だろうか】

>>788-789

【顕現する黒い刃――コレまでの攻撃からすればゾーイにしてみれば単純だった】
【迎え撃つだけ。回り込んで横合いから蹴りつける。金属製のボディと、高エネルギーで加速した】
【鉄骨のフルスイングのような回し蹴り。全力の威力を彼女は出すことが出来る】

…………ほう。

【刃の効果、煙幕弾の効果―――それらを観察し、取得していく】


>>798


クラァケ、さん。どうやら私、今なら貢献できるみたいですね。
ライフルは供給断の場合、数発は内臓のコンデンサーで発射できます。
…すぐ戻ります。

――ちょっと美味しいところを頂きます。

【足元のベアリングが唸る。アフタバーナーによる高加速。蹴る、蹴る、蹴る】
【煙幕の中をくぐり抜ける。スピードスケートのように体を傾け、細やかにスピードの先へ。目標へ】

【生きていなくて、老いなくて、患わなくて。憧れた人間じゃなくて。良かったと思わせてくれたことには感謝しよう】
【銃弾よりも速く、速く。届かぬなら届けに行く。刃よりも鋭い。それはその脚。蹴り飛ばすだけ。】

―――会いに来てやったぜ。

【ミラに習った不敵な笑み。やっと、出来るようになった】
801 :キャットV  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/12(土) 21:34:31.39 ID:SowzBHbuo
>>788>>789

うふふ……自分基準で世界を回してる駄神が何か言っているようだが……ぼくの方はそれなりにきみを気に入った
神のくせに……いい塩梅に人間臭い奴だし

別にいいじゃん?おばあちゃんが言っていた……『世界は自分を中心に回っている。そう思った方が楽しい』ってな
まだまだ楽しめそうだ、やめるわけないじゃん……戦うのをさ


【どこまでも……口が減らない、どこまで痛めつけても黙ろうとしない】
【イルにしてみれば実際、極めて腹の立つ人間かもしれない。敵からのそれはむしろ称賛に等しいとドラは受け取った】
【体が動く限り、ドラは行動を続けるだろう―――そして耳元に通信が響く】


「ドラさん!?どうして止めた!!
あの時俺が引き上げてればここまでにはならなかっただろうが!!その火傷は本当にどうすんだ!?」

うるさいな……きみを連れてきたのはここぞって時に刺す致命の一刺しのためだ
ギリギリまで隠して叩き込む予定でナビ兼とどめで連れて来たんだ……今出したら全部無意味になるでしょ
そんなことよりそろそろ配置についてよ。『切り札』も忘れずにね


【指示を飛ばし、キャットVは冷静沈着にイルを観察しながらゆらりと近づいてくる】
【エカチェリーナの力で強化された病の大鎌、近づくことで身体能力が大幅に削れていく】
【増してや、先の攻撃で大ダメージを受けたキャットVには致命の一手のはずだ、だが】

【ここでこの男はゆらり、ゆらりと―――酔っ払いのごとき動き、そう、酔拳のごとき動きを取り入れ始めた】
【身体能力で機敏に避けることなくゆっくりと気の流れに身を任せて寸分の所で躱していく―――!】

【黒い刃が遠ざかり身体能力が回復したところで、ドラが突進する―――!】


―――おおっと、足がァ〜


【だが、突然イルの目前でキャットVが―――わざとらしい台詞とともにバナナの皮でも踏んづけたかのようにすっころぶ】

【同時、イルには見えるだろうか、転んだ彼の左手から飛び出した『リンクスクナイガン』の引き金が―――手ぬぐいの切れ端のような細い布で手首と繋がっており】
【キャットVが転んだ拍子に―――イルめがけて飛んだ空中のクナイガンの引き金が引き絞られた!】
【そう、ドラが『撃つ』という意志を込めずにエネルギー弾を発射するためにだ】

【クナイガンのモードは事前にバーストモードに変更してある、まったく狙いを定めてないどころか意志を持って引き金を引いてなくても】
【ショットガンのように降り注ぐ小粒のエネルギー弾がイルめがけて降り注ぐ!】
802 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 21:35:19.21 ID:V1J+q2V50
>>787-789

【振るう刃。それは届かない。刃がスナークの命に触れるその刹那、またしても都合の良い理屈が降りかかる】
【改竄の結果、エーリカの刃は自身の身体を傷つける。スーツの内側から赤黒いシミが浮かび上がる】
【それでも、止まらない。止められない。止まってたまるものか―――と決死行の様な様相を呈していた】


         ぐぅ、づァッぁああああああっっっっっっ!!!!
死んでも、死んでもッ!私はッ!テメエ等を許さない!!同じ理屈を返してやる―――ッ!!

      偽物の神様風情が人間を理解した気になってんなァぁぁああああ!!


【だからだろうか、世界線が変わったとしても彼女はスナークに肉薄したまま】
【そして紡がれるエカチェリーナの名――――沸点はとうの昔に超えていて。あろう事か臨界点を超えたなら】
【猛りによる叫びも無い。ただただ静かに荒ぶる激情を右手に集めた魔力に変換して、手を伸ばす―――】


    ―――――――………!!?
             うっ、ぐうッ……!?


【その刹那、病魔を乗せた黒い刃が襲い掛かる――この場で最も肉薄していた彼女にそれを避ける時間は無かった】
【故に直撃。伸ばした手はスナークに届かない。すこしだけ伸ばせば届くのに、はるかに遠く感じられた】
【それほどまでに病は彼女をむしばんで。勢いに任せた近接であるが、力なく倒れていくのだった】


【でも、心はまだ折れていない。ジャ=ロとエカチェリーナを侮辱されたなら、せめて意趣返しの一つは喰らわせたいから】
803 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 21:36:55.35 ID:V1J+q2V50
//>>802は誤爆です……お目汚しすみません
804 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 21:38:37.82 ID:L6LzbpG0o
>>791

【剥がれ落ちた少女の仮面、──── スナークは嗤う、結局は二つの間にあるのは同族嫌悪だから】
【互いが互いを化け物と認めて、互いが互いを認められないからこそ、決して交わることの無い線を描く】
【文字通り "化けの皮を剥いだ" ──── ならば後に残るのは、醜い罵り合いだって】


バーレちゃった、そこまでひた隠しにしてたのに、自分の醜い姿、隠してたのに、出しちゃったね
紛う事なき化け物の姿じゃん、あれだけ言っておきながら、キミもじっと、ずっと、隠してたんじゃないか
だったらどうして否定できるのかな、化け物であることを、キミが一番否定してたんだからさ

ボクの行いは止めないよ、化け物は化け物らしく、救われない自分を呪ってな


【病を受け付けない絶対的な状態は、スナークにとっては向かい風だろう、──── けれども】
【放たれた刃の質量は残る、単純な斬檄に堕落してはいるが、それでも威力は十分にあろう】
【それを知っても尚、スナークは攻撃の手を止めなかった、そこには躊躇も無く】

>>792

【シャーデンフロイデの羽ばたきと、病魔としての一撃と、スナークはほくそ笑む、無謀な突進だと】
【けれども、その表情は一瞬にして固まった、目の前の相手は、未だ進むことを止めない】
【全ての世界線が指し示した奇跡、どの可能性の上にも、エーリカは戦いを選択していた】


──── っ……!! 単純だよ、単純なんだ、ニンゲンなんて!! 弱っちくて醜くて!! それでいて数だけは多い!!
自分の理屈で傷つけ、迫害し、挙げ句の果てに殺す!! そんなニンゲンが跋扈する世界で!!
それでもまだニンゲンの肩を持つんだね!! 哀れすぎて何も言えないや!


【言い放ったなら猛る呼吸を抑えきれなかった、──── ざわつく、どうしようも無く胸の奥が】

>>793

【的確な手腕でダメージを最小限に抑える、戦いの練度が違う、と文字通りそう言えるのだろう】
【一方で、攻勢に移るには些か判断が早いと言わざるを得ない、確かに右肩下がりに下がっていく筈だ】
【けれども同時に、そこに至るまでは絶頂に上り詰める、──── INF-004の力は、伊達じゃ無い】


──── だーめだめ、ボクに近づくには、何もかも "足りない" んだから


【互いの間に出現するは "死体" ──── 爆発の作用を持った死体を、スナークは壁代わりに出現させ】
【寸刻の内に爆破させるだろう、接近戦へと移行するには、まだスナークのリソースは尽きていない】

>>794

【自らの身を削っても尚、描き出すのは献身的な姿であった、──── スナークの蛇眼を阻むには十分な程に】


化け物に殺されるのも何時だってニンゲンだよね、殺せる力を付けてから出直しな


【病刃を阻むのはミレーユとアリアの異能、──── 合理的な手段であった、だが】
805 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 21:38:49.10 ID:L6LzbpG0o
>>795

【肉楯が巨大な大きさにまで膨れ上がる、──── 文字通り化け物じみた生命力であった】
【だが、一手遅い、既に放った刃の複数は、能力者達へと向かっているのだから】
【けれども、十分な楯になり得ることは理解できた、──── 忌々しげに舌打ち一つ】

【パグロームのサポートによって、カニバディールへのダメージは大きく軽減されるだろう】

>>796

【ならば演じられる劇の目的とは何なのか、此処に於いて残る虚神は、それぞれが規格外の性質を宿し】
【パラドックスの波に呑まれて、刃からは病の性質が消える、──── パグロームの手であっさりとなぎ払える筈だ、しかし】

>>797

【──── 寸刻、感覚が途切れるだろう "見続けていた" 感覚が消える、それはまるで、より強い意志に飲み込まれたかの如く】
【エカチェリーナで強引に引き上げた異能、然るに蛇眼の精度も高まっていた、かえでの直視を飲み込む程には】
【スナークは見続ける、──── このまま続いたなら、どちらが勝つかは火を見るよりも明らかで】

>>798

──── ふん、知った様な口ばっか利いてさ、ばっかみたい、ばかばか、ばか!!
なんでそんな風に言えるのか、全然わかんないんだけど!! なんでもっと、しっかり、憎まないんだよ!

中途半端な化け物が、一番救えないでしょ!!


【──── 言葉が大きく響いた、──── まるで幼子だ、結論には違いないけども】
806 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 21:38:58.03 ID:L6LzbpG0o
>>800

【そう単純な攻撃であった、病の性質すらも機械には届かない、まさに最悪の相性とも言えた】
【蹴りつけた一撃が、それを掻き消すだろう、そうして彼女への間合いを詰める、最善手、でも】


──── そんな乱暴な挨拶じゃ、乙女だって濡れないでしょ?

>>801

【口の減らない存在であった、それでいて実力まで宿しているから厄介に、──── スナークはそう認識する】
【事実、類い希な身体能力は刃を回避するのだろう、──── そうして、思索を孕んだ一撃を食らわせようと】


だったらボクの道理に従うべきだよね、ボクが世界を回す、その事実は変わらないんだから
キミはただのしみったれた妄想に従って、世界を回しているフリをするだけだし!
807 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 21:39:09.41 ID:L6LzbpG0o
>>ALL

【身に宿すは泡沫の絶頂、──── その先にあるのが破滅だと、スナークが知らない筈が無かった】
【強引に高めた全ての能力、必然その身に宿す虚神達の力もまた、呼応して高まるのだから】
【投資効率的には段違いに良い、けれども、状況は煮詰まりつつもあった】

【精度を高めたものの、レッド・ヘリングが作り出した空間は崩壊が近い、次にミラの大きな一撃を食らえば決壊するだろう】
【世界線を飛び越え、攻撃を無視するシャーデンフロイデもまた、夕月の作り出した結界が突破口として存在する】
【ロールシャッハの力を用いた、数多の死体達も、かえでやミレーユの作り出す防壁に阻まれて、ドラの身体能力には追いつけない】

【ジャ=ロの目を借りた蛇眼も、カニバディール自身が最悪の相性として顕現していた、それ故に】
【半ば使わされる形でスナークはエカチェリーナの力を行使した、取り得る手段の中で、最も破滅的なそれを】


……ふふ、はは、──── あはははは!! 良いね、まだ戦えるって思ってる、その精神が良いよ、嫌いじゃ無いし
諦めて死ぬのを待つだけの相手を殺しても楽しくないもん、希望を断ち切るのが、病魔のあるべき姿だから
さあ刈り取ろうか、骨の髄まで、──── キミ達にはもう、選択の余地が無いからさ

無数の世界を飲み込んで、逝く突く先は輪廻の果てへ、忘却の涙まだ深く
今宵の戯れすらも拒絶しよう、──── 時は巻き戻る、次の世界へと


              ──── ヒトは呼ぶ、我が名を ────





                       "Sheriruth"       
              ──── "拒絶する輪廻の蛇" ────

                     アナンタシェーシャ




【攻撃の質が変わった、ラベンダーへと向かう死体の爆発、それが回避されたなら、ラベンダーの周囲の時間が巻き戻る】
【今度は死体の位置が変わる、それも回避されたなら三度巻き戻って、攻撃が "命中" するまで、堂々巡りであった】
【作用はアリアとミレーユにも辿り着く、病刃は掻き消される、その端から時間が巻き戻り、別の軌道で襲いかかる】

【やがて死角から迫るのも自明の理であった、合理では不条理は打ち破れないのだから】

【同じく刃はパグロームへと再び向かう、病の性質は失った、けれども刃の性質は失わない、獲物を喰らうまで、止めない様に】
【ゾーイに関しても同じ事であった、掻き消された刃は再び別の軌道で、今度削られたならまたもう一度、受けきる限りは進まない】
【ドラに関しては更に顕著であろう、巻き戻るのは回避の場面、続く攻撃の思惑も虚しく、攻撃が何度も迫り来る】

【馬鹿げた作用の萌芽とも言えた、アナンタシェーシャはほくそ笑む、全てを飲み込むために】




【カウントダウンだとすれば、残りは二柱、──── 鵺と、グランギニョル、と】
808 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 21:53:11.38 ID:dtli0ef20
>>794

【発信機の向こう、女は面白いくらいに何も言わなかった。当然のことだったのかもしれない】
【もう巻き込まれて死にかけるのはゴメンだ。だから、当人同士でなんでもやれ、と】
【カメラから送られ続ける映像を見ながら、そいつは笑って中指を立てているに違いなかった】
【だから、――確かに此処に在る血の気を完全に喪った唇が、言葉を紡ぐ。へな、と笑って】

エーノ、   あたしのことが  こわい ?

【――触れるのであれば。あんまりに冷たい膚が、彼の指を反発することなく受け入れていく】
【息もなく、鼓動もなく。力なく見上げる眼球はからからに乾いていて瞬きもせず、でも】
【「これがほんとのあたしなの」 ――いつもの姿は嘘っぱちでしかないのだと言う。ならば】
【この問いに、首を横に振ってほしかった。だってそうじゃなきゃ救われない。自分が、ではなく】
【イルの傍らで物言わぬ存在であり続ける鈴音が。……そして、仇敵であるイルでさえも】


>>804>>807 >>ALL

……………… ハ。バレたって、 いいもん。
どーせ  みんな――この程度 の ことなんて、 どーでもいいって、  思ってくれる もん。
あたし今、 わかったよ。  みんなね、 意外と、   周りのことにキョーミ持ってない。
ニンゲンとか   バケモノとか、 カミサマとか     そいうの キョーミ持ってない。

   だって誰も、  あんたとか、   鈴音のこと、     怖がらない。

【――――、潤滑油の切れた人形みたいな動作で、彼女は笑った。そうして、】
【どこまで逃げても追いかけてくる斬撃から――逃げない。それは確かに彼女を裂くだろう】
【それを、傍に居る恋人がどこまで弾いてくれるかによって傷の大きさは変わるのだろうが】

【それでも彼女はまだ死ななかった。あるいは死ねなかった。異能のリボンが残り続けることが】
【それを証明する、であれば――――「つかって。さっき あたしがしたみたいに」】
【誰にともなく懇願するのだろう。少なくとも今の少女には、攻撃の手段が残されていないようで】
【であるのなら、本当に、出来ることなんて――黒い帯で世界を包むのを、やめないことだけだった】
809 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 22:05:27.45 ID:WAyoKTIbo
>>797>>792



        「くう、ッ」「 ──── エーリカ!」


【 ─── 吶喊を試みたのが己れの同志であり部下である事を理解すれば、叫ぶ声もあるのだろう。然して届くだけの手はなく】
【せめて次なる跳躍にて、 ─── 倒れようとするエーリカに近付こうとするのだろう。立ち上がれないのであれば、無理矢理にその首根を掴んで、遠くへ抛り捨てようとしながら】



    「 ……… 任せなさいな。」



【かえでの言葉を理解していた。ならば足取りを止めることもない。 ─── 出来の悪いジェットコースターに乗り合わせたかのような、】
【兎角ひたすらに出鱈目な機動だった。急停止、急回転、急加速。瞬間的な重力加速度は戦闘機の其れに勝るとも劣らず】
【であればこそ回避の手段としては極めて十全であった。斯様な状況下において、かえでなら然るべき方策も取り続けられると、信じていた】


>>807


【やがて迫る炎が両者の身を焼くのであろう。 ─── 浄火の炎に似ていた。その全てが焼き付いてしまう前に】
【炎を浴びた外套の一部を、アリアは己れの銃口を向ける事によって"吹き飛ばす"。自刃に似ていたとしても、そこには不屈が確かに在った】


  「 ……… だったら余程」「てめえも、人間臭えよ。」
  「よおく、よーーーく、見ておきな。」「 ……… 本物の人間様が、どういう風に真っ当であるかを、な。」


>>808


    「 ───……… 大好きだよ。」


【そう言い添えて、 ─── 彼は瞼を瞑らなかった。直ぐそばで抱き留める愛しい人の恐ろしい本質に、笑いながら】
【乾き切った唇を、そう呼べる器官が残っていなかったとしても、躊躇いなく彼は塞ぐのだろう。柔らかな口先の感触を、甘く押し付けて】
【 ─── 恋人繋ぎに絡める、白い指先が雄弁に語っていた。微塵の驚懼もそこには無かった。見せたくない仮面を被り続けてきたのは、彼も同じことであったから】
【事ここに至って彼はもはや少女の側を離れようとしないのだろう。 ─── 来る時が来たれば、邪眼を自らの身を呈して庇うのであるという、覚悟の表れ】
810 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 22:05:56.31 ID:dtli0ef20
>>804-807
【続いて襲い掛かるのはアナンターシェ】
【今までに相対して来た虚神の中でも、本質的な能力に関しては最も厄介と言える相手だったろう】
【シャーデンフロイデの能力とも似ているが、あちらはトリガーが受け身なことに対して、アナンターシェは攻撃性を持っている】


【弾いても弾いても襲い掛かって来る刃――取り分け、男は白兵戦が得意な性質ではないから、この繰り返しで致命傷は避けられても、斬撃のダメージを受けることは避けられないだろう】
【それはまずい――今こうして防御に回っている目的から外れる】

チッ――!
テメェにもくれてやる!膨らむだけ膨らんで、盾になりなァ!


【病魔を防ぐ擬似対抗神話の因子――】
【間近にいる>>799 カニバディールにそれを撃ち込んだ】
【能力が切れた瞬間に、今までに受けたダメージが一斉に襲い掛かると言うリスクのある能力だが、カニバディールの生存能力ならそれで死ぬようなことはあるまい】
【病魔の性質が防げるので有れば、斬撃のダメージを防ぐのにカニバディールほどの適任はいないだろう】

【間違っても協力などではなく、悪党同士利用し合うだけの姿ではあったのだが】


さーて、残りは二柱だ。時間も押してやがる。
さっさと出さねェと、尻すぼみになっちまうぜェ?
811 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 22:06:15.82 ID:7o2/4zDY0
>>804-807

――――勝手に言っていれば良い。先に万策尽き果てるのは、お前の方でしょう――――

【死体を視認して、ラベンダーは上空へと逃れる――――刹那、時が巻き戻る】
【既に、その性質は聞いていたし、その対処も考えていた。今度は背後へと身を退いた――――しかし、時は巻き戻る】
【何事かと、今度は大きく左側へと逸れ切った。幸いにして再配置の死体に触れる事はなかったが――――やはり、時は巻き戻る】
【――――そう言う事かと、ラベンダーは腕からチャクラムを展開。適当なタイミングで死体を爆発させ、そして腕で防御を固めた】
【鋼鉄の腕に、ダメージは軽微だ――――繰り返された時の先へ、進むためには血の代価が必要になる――――それは所詮、必要経費に過ぎない】



{ッ――――不味いかな……!?}
<どうした、アーディン……?>

【そうした光景を、少し遠めに見ていたアーディンが、ふと何かに気づき、そしてその表情に戦慄を走らせる】
【少しの間をおいて、どうにか復調してきたアドラメレクも、それに気づいたようだった】

{――――奴とて、その『泡沫』の性質は十全に知ってるはずだろう……その癖に、焦りがない事、それが気になる――――}
「っ、どういう、事です……ッ!」
{奴は、これ以上持久戦を続ける気はないだろうという事だ。そして――――度重なる、過重な神格の行使で、綻びが生まれるのではないかと考えたが――――
 …………逆だ、奴がグランギニョルにたどり着けば、それで勝負ありという事かもしれない――――ッ}

【カウントダウンというこの状況、そして『泡沫』の力を、わざわざ中途に使用した理由。それを考えると――――アーディンの脳裏に、危険信号が鳴り響く】
【スナークという神格が破綻しかかっているという風に捉えていたが、そうではなく――――この状況そのものが、破綻するのかもしれないのだ】

<――――なんだと、それでは……>
{……邪神アドラメレク。もしそれが正解であったなら……後は、頼むぞ…………恐らく、その時はお前以外の何者も、ここでは生き残りはしまい……!}
「……それを、回避する方法は――――ッ?」
{――――やはり、今の内に、『白神 鈴音』に、例の『切り札』を発動させ、永遠の無に帰するしかないだろう……ッ!
 どこまでも強くなれるんだ、などとスナークの奴が囁いていたからな……逆に言うなら、まだ必要だから後生ああやって、大事に取っといてあるんだろう……ッ!}
<――――結局、最初の狙いを思い起こしていくしかないと、そういう事か……ッ!>

【そうなれば、今度こそ白神 鈴音を損ねなければ不味い。一行の理解が、そこに一致を見た】

――――わざわざ言われるまでも無いです。いい加減――――しつこいんですよ、このガード――――ッ!!

【そうして、それぞれに接近を開始する3人を、遅いとラベンダーは鼻白んでいた】
【――――接近の一撃の成否にかかわらず、次にはもう1度、鈴音の本物の死体を狙っていた。故に、あっさりと向きを変えて】
【左腕の『死の瘴気』から、魔力ビームを発射する。人1人くらいを飲み込むほどの、大口径のビーム――――本物の鈴音までの余計な邪魔を、全て排除せんとして】
【機械的に意識を切り替えられる、その選択には無駄がなかった――――】
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/01/12(土) 22:11:52.12 ID:gOSvupoBO
>>800(ゾーイ)

そう…………だな。祝砲にはもってこいってぇ…………感じだ

ぎゃ、は────にしても。…………なんだよ、このお守りは、よぉ
せめて“世界平和”とか、よぉ…………ぎゃ、は


あぁ────ロックンロールだ。ぶちかましてこい


【その重装備を受け取る。とは言っても、二本の手じゃ支えきれないから何本か触腕のサポート付き】
【数発あれば、きっと十分だ。必要なのは後一撃か、多くて二撃といったところ。レッドヘリングは崩壊を止めたが】
【あくまでもただそれだけ。元通りになったわけじゃないらしい──それはひとつの救いだった】

【そういえば、コンデンサに充電が必要とか言っていたか。薄らと目を開ける。それだけで眩しいと感じた】
【そう、世界は眩しいんだ。薄眼を開けてはっきり分かるほどに。だから、守りたいって思えるんだ】
【だから、生きるのは楽しいんだ。きっと、そうだ】


>>805(イル)

【目を薄らと開けたまま、荷電粒子砲を操作する。引き金はまだ引かない。充電操作を済ませれば、後は】
【時間が過ぎるのを待つだけだ。幸い、口を動かすだけなら目を瞑ってたって出来る】
【口元にはやはり、笑みが浮かんでいた。どことなく嬉しそうな、楽しそうな笑みだった】


ぎゃ、は────バカって、言ってくれるんだな…………

結局…………なんだ。てめぇも、鈴音も…………だいぶ、似た者同士、なんだな…………
気に入ったヤツのこと、どうにかしたくって…………でも、それ以外のヤツは、ブッ殺したくって、よぉ

鈴音もてめぇも…………キャンディみてぇに甘いんだな
その甘っちょろさは…………、嫌いじゃあ、ねぇなぁ…………


なんで、憎まないか────そりゃあ、もしかしたら甘ちゃんのてめぇには…………分かんねぇかもしれねぇ、けどよぉ
そりゃ……あたしだって、嫌いなヤツの一人や二人はいるし……ブッ殺してやりてぇヤツだっているさ
でも……でも、よぉ。…………好きなモン以外の全部を憎んじまったら……つまんねぇ、だろ
イチとゼロ。シロとクロ。イエスとノー。…………どっちかに割り切っちまった世界なんて、それこそコンピューターで事足りらぁ

“なぁなぁ”なハイイロを楽しめるから…………この世界は面白くって、“イイ”んだよ


【諭すような声色。それでもしっかりと、砲口はレッドヘリングに向けられていた】
【穏やかに彼女は、どこかでその凶器を放つのだろう。チャージはまだ不十分。なれど】
【ミラに殺意は必要ない。燃え上がるような憎しみも、狂い惜しいほどの愛情も不要】
【好意と憐憫と同情と。それらの感情を波のような静けさの中に押し込めて、いつか引き金を引くのだろう】
813 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 22:11:58.49 ID:EDbyZEUH0
>>804-807
【そう、確かにカニバディールは化け物だ。だが、相手はそれを超越した神である】
【見よ。時を巻き戻し、位置を操り、動きの軌道を変え、不条理そのものとして現象が暴れ狂う】

【ウヌクアルハイそのものと言える、輪廻の力。これでは肉の防御も、到底全体はカバー仕切れない】
【防御はやめない。巻き戻りの遺体爆破にも、飛ぶ刃にも、肉が追いすがる】
【その上で、残る力の全てを注ぎ込んで。ギアは動いた。カニバディールの身体に両手を突き込む】

【引きずり出したのは、長大なバトルアックス。カニバディールの得物、タイタニック・ノア。柄の部分のカートリッジで光るのは、その内側で雷を閃かせる『宝玉』】

食らえ……!!!

【ギアが斧を振るえば、雷の刃が飛んで空間を遺体を焼き滅ぼして飛ぶ。防御と共に攻撃。もはや守るだけでは不利と悟って】

>>810
「ぐ、が!? ごあ、あぁああああ!!」
「人使いの、荒い……!! お前の力の方で死ぬどころだ……私でなければな!!」

【流し込まれた因子を全身に行き渡らせ、カニバディールは際限なく膨らんでいく】
【パグロームは確実に、他の参戦者もこの肉を盾にするには十分な面積となっていくだろう】
814 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 22:17:37.49 ID:7o2/4zDY0
>>808

{――――そんな事だろうとは、思っていた……おおよそは思い通りだ。さほど、驚きはしないよ……}
「アーディンさん、あの子は……?」
{――――大事な仲間だよ。そして……不憫な子だ……}

【死体と何も変わらない有様の夕月に、アーディンは静かに頷く。そして、初めて見たサリードは、思わず問いかける】
【と言っても、そのサリードの表情にも、忌避や嫌悪の感情はほとんどなかった】
【――――獣人のアーディン、そして邪神のアドラメレクに挟まっているのだ。要するに、もう慣れ切ってしまったのだろう】

{――――だが、夕月……それは怪物だからどうこうではないぞ。いや、世間一般という奴はそうかもしれないが……
 少なくとも、この辺の面々は、魂の在り方で人を見れるような奴らばかりだ……だからこそ、お前は忌避されない

 ――――――――そして、だからこそ……イルや鈴音は、この世界から排斥されるんだ。永遠にな――――}

【アーディンは付言する。幸いにして、この場には夕月をどうこうとは思わない面々ばかりだ。だが、それは聖人君子の類が多いからであって】
【そして、夕月が仲間であるからこその、特別なものなのだろう、と。ラベンダーとのやり取りを知らないアーディンは、まだ夕月が鈴音を諦めていない事など、知らなかった】

――――――――ッッ、夕月さん、それで良いんですか。 その手で、直接、イルの奴を血祭りにあげるんじゃ、無いんですか?
――――それで良いというなら、それが『一緒』の解釈で良いというなら――――『奴ら』は、私がもらいますよ――――ッ?

【わずかに、苛立ちを含んだ言葉がラベンダーから放たれる。だが、それはその姿がどうこうという言葉ではなかった――――ある意味、夕月の言う通りだ】
【それよりも、結界を張って、それで精一杯という状況の夕月に、ラベンダーは意識を向ける。この状況なら、死をあまり心配する事も無いのだろうが】
【――――イルに始末をつける約束が、有耶無耶になりそうなのが『嫌』だったのだろう】
815 :キャットV ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/12(土) 22:18:58.11 ID:SowzBHbuo
>>804->>807

うふふ……それはごめんだ
だって……今ここできみに従ったら永遠に信じてもらえないじゃないの
『ぼくが世界を回している』……その事実は絶対に覆らないってな


【ふぅー、ふぅー、と大きく呼吸を繰り返す。当然だが己の治癒能力を上げるべく波紋の呼吸は常時最大限で行っている】
【しかし当然ながらこうもダメージが大きいとその治癒が追いつかない、この勝負どちらに転んでもおかしくはない】
【だが―――突如手につないだクナイガンの手応えが消え、また自分の手に戻る、目の前の光景を見てキャットVは確信した】


(こいつ―――今度は時間を巻き戻した!?)


【落ち着いて避けたはずの攻撃が、避ける直前に戻り中のドラが困惑する】
【ゆえに、今度は病の性質を失い完全には身体能力が失われてない状態であっても避けるのを失敗した】
【右肩の肉を装甲ごとザクリと切り刻まれた―――!】


ぐうっ、うっ、があ……避けたはずの攻撃を―――時間を戻してまた当ててくるなんてな
その服装に負けず劣らずいやらしい手を使ってきたもんだな……!


(やばい、ちょっとダメージ蓄積しすぎかも……ガチでヤバ―――あれ、クナイガンは?)


【そう、巻き戻す前は手ぬぐいで巻き付け転んだ拍子に発砲させる予定だったクナイガンが手元から消えていた】
【巻き戻して再び手に戻ってしまったクナイガンが―――慌てさせたあげく攻撃を命中させてすっぽ抜けさせてしまったのだ】


【すっぽ抜けて―――クナイの切っ先が本当に偶然、右肩の付け根めがけて飛来する】

【今度は本当に策ではなく―――必死さが産んだ偶然が、本当にイルめがけて襲い掛かる!?】
816 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 22:25:20.61 ID:V1J+q2V50
>>797

【病魔が身体を巡り蝕んで。死に至る病は加速度的にエーリカの命に牙を突き立てる】
【今にも死に絶えそうな身体を受け止めたリボン。それがエーリカの命を繋ぎ止める】
【正しくはリボンに付帯する阻害の力。猛り狂う激情を強制的にクールダウンさせるだけでなく】
【病さえも無理に抑えつける―――それは麻酔の作用に似て。でもこの上ない薬であった】

―――――、……助かったよ、かえで。

【声のする方へ顔だけを傾ける。力なく笑う彼女は痛々しいけれど、目の光はまだ消えていない】
【"もう少しでアイツに手が届くんだ―――だから、目にもの見せてやる"と目でモノを語るのだった】

>>809
【誰かの声が聞こえた気がした。その人の"こういう"声色は聞いたことが無かったから新鮮だなって思えた】
【そんなのんきな事を考える自分に僅かばかり苦笑。………もう少しだけ、頑張れる気がした】


――――、……ま、だ。やれ、……ますって。
アリ、アさんは……自分の、……本懐、果たして……ください。
でも、……肩を貸、……してくれると。嬉、しい………かなって。

【"あともう少しでたどり着く……、だから出来るなら私をアイツの所まで連れてって"と目で告げて】


>>804

【ふらり、ふらり。ふらふら、ふらり】

【"麻酔"にて病の進行を阻害したエーリカの立ち上がる様は幽霊の様に朧気で】
【肩で息をして、今にも倒れそうな程に足元が覚束ない。目の焦点も何処か胡乱で】
【でも。見据える結果に至る道筋は何となく見えているから―――】


              【Hell Edge Over Flood】


【体中から魔力があふれ出る魔力を右手に集める。洪水の様に、動くことが儘ならない彼女自身に代わって】
【それは病魔たるスナークの命を奪う架け橋の様に伸びていけば、先端から刃が形成され始め、一人でに暴れまわる】
【普段ならば体中から魔力を溢れさせているのだが。今回は違って。出来る限り"右手"に魔力を集めていたから】
【先ほどの攻撃と何かしらの関係があるのだろう。故にアリアへの目配せは決して強がりでも蛮勇でもなかった】
817 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/12(土) 22:27:41.10 ID:Vc78I/H+0
>>806-807

【ロボットの思考はシンプルだ。巻き戻る間に進めればいい】
【巻き戻る時間より速く。駆け抜ければいい。私にはそれが出来る】

【刃が、何度来ようが蹴り込んで、叩いてみせよう。巻き戻る僅かな時間で】
【歩みを進めよう。駆け抜けて、皆を護ろう。全部の刃を叩き折る気概だ】

それでも、皆、私を愛してくださいます。

【オーバーヒート寸前の素体。高速な軌道は想定していないスピードに軋む】
【殴り続け、蹴り続け疾走り続け、どれだけ刃が掻い潜って切りつけようと、ロボットには関係ない】


――護ります。全員。護らせてもらいます。

【ロボットは疾走り続けた。】
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 22:35:11.29 ID:KNy7E7ko0
>>804-807

――――――――――――――、あ、っ、

【ぱちり、と、少女は瞬いた。それは不可解に相対したときみたい、耳を澄ますのなら、「あれ、」なんて、気の抜けた声すら、聞こえそうなくらいで】
【ごく気の抜けた所作で少女は自らの顔に触れる、くしりと口のあたりを拭うのなら、べったりと付着するのは鉄臭い赤色、真っ白な手のひらを塗りたくるには十分な量】
【鼻からの出血だった。その瞬間の内は。――――、濁る水音に、せめて出来たのは、服を汚さぬように顔を背けることだけであるのだろう。――血交じりの胃液、吐き戻すなら】

【――それこそまさに神格が違うのだろう。彼女はどこまで行っても人間でしかなかった。"その"魔術を使いすぎればヒトですらいられなくなるのかもしれないけれど】
【たとえそうやってヒトだなんてやめたとしても、到底イルには敵わぬのだろう。――――ヒトが神様になるなんてこと、本当なら、そんなにたくさんあってはいけないんだから】
【ならば"だれか"は全部の運の悪さを重ねてしまったのだろうか。祟り神の血を引いていたこと。冥さに親和性のあったこと。哲学者の卵がすべてを後押しして。――人間を怨んだこと】

――あ゛、っ、やあ゛――っ、――――っ、あう゛、ぅ゛、――っ、

【精度の高まった眼差しに曝されるのなら、やはり敵わぬのだろう。ましてや呑み込まれてしまうというのなら、彼女は眼すら閉ざしてしまって、】
【自分の体内への処置に刹那意識を裂くのだろう。じとり浮かぶ脂汗と冷や汗の感覚が気持ち悪かった。――それ以上に"阻害"なんて名前の麻酔の冷たさに、全部、分からなくなる】

【――だから少女は目を逸らしたままになる。――イルからは、に、なるだろうか。ならば瞳に牙剥く蛇は変わらないまま、見やるのは、空間であり】
【或いは腕ももはや単なる爆発物でしかないような死体も――それでもイルのそばにあるのだろうオリジナルには目を向けないまま――蛇の眼に捉えてしまおうとして】
【だけれど消耗は目に見えていた。少しくらい無理出来るというだけでそれ以上の奇跡を賜った身体ではなかった。――、それでも、何か、決着を付けないと納得できないから】

【――――輪廻の蛇も、彼女は知らなかった。知っていたとして、よほど優れた対応はできないのかも、しれないけれど、】

>>809

【――――或いは、アリアからすれば、彼女が唐突に血反吐を吐いたように見えるのだろうか。そして事実そうであった。射殺す眼差しに見続けられているなら】
【小さく呻いて身体を強張らせた、――秒速にて死へと引き摺りこまれているのかもしれなかった。であれば異能で以って対応しているのかもしれなかった】
【少しだけ反応が鈍い気がした。――異能に頭の容量を取られてしまうなら、彼女はどうしたって"だめ"になってしまうから。状況は変わってしまったのかもしれなくて、】

――――待ってっ、アリアさんっ、わたし――っ、あの人! 視てられないっ、――、まけちゃいます、ぜんぜんっ……。
直接やったほうが、はやいかもぉ、――、っ、駄目なんでした、っけぇ、――、ぇ゛ほっ、……。――う゛、ぅ、

あう、酔っちゃう……。

【さっきとは明らかに声音が違っていた、喉の奥に吐き気を堪えている表情をしていた。――。視線を向けても負けてしまうのだと言って。――、】
【ぎゅうと服装を捕まえていた指先に力がこもって、――。まだその程度の体力はあるらしかったが、数分後にどうであるか、分からぬなら】

もおっ……、かみさまって、わがまま、なんですね……。よく、っ、わかりました、――っ。ウヌクアルハイ様…………。

【なにか失望するような色合いが吐き捨てた、――肉塊とほとんど等しい神様なんかより、よっぽど、ひとり狼みたいに気高い人間の方が、頼れてしまうんだから】

【――――、うっかり鉢合わせてしまった瞬間の、ひどく驚いた/なにか怯えたような顔を思い出してしまうなら、やっぱり、――やっぱり、】
【世界を滅ぼす神様なんて、役者不足なのかもしれなかった。"そんな"意味では普通よりもずうっと打たれ弱いような少女に神様は盗られてしまったのなら、】

819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 22:35:19.26 ID:KNy7E7ko0
>>816

【ぽつん、と、その脳裏に届く声があるのだろう。それはまごうことなく蛇念の作用だった、――であれば、仕掛人もすぐに分かり】
【礼の言葉に小さく目礼を返していた。――けれどその顔には血がこびりついていた。手にも。拭ったと思わしき白いワンピースにも、】

――――エーリカさんには、まあ、分かんないかも、しれないですけど、私ね、ほんとに、信じてたんですよ、――神様のこと、私を、助けてくれるって……。
――でも、なんか、思ったより、普通の人なのかなって……。この前会ったんですけど、マジでビビられちゃって、めっちゃ足早いんですよ、――逃げられちゃって。

【ならばこれは内緒話のふりをした懺悔なのかもしれなかった。――結局一言も発さぬまま肉になった少女を、貴女が、どれだけ怨むのか理解しきっていなかったから】
【なにか追想に似ているのかもしれなくて、――、もっと言ってしまうのなら、同情に似ているのかもしれなかった。思ったより友達だっているみたいだったし】
【そうかと思ったら怨まれてもいるらしかった。――、希求する救いを狼より受けて、いくらか冷静になる時間を経て、いつかの聖女が抱く感情なんて、年相応の、】
820 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 22:38:51.51 ID:L6LzbpG0o
>>808

──── 死にかけのくせに喋ってんじゃねぇよ! なぁ! 何もかも悟った風に言って!
そういうのボクは一番嫌いなんだ! 哀れんだ様な口で、何も、何も分かってない癖に!
何を信じてるんだか、キミもボクも化け物に違いないだろ、その姿も、全部、全部!!

……っ──── 何だよ、何だよ、それ……!! そんな風になって、なんで、なんで……


          ──── ニンゲンを、ニンゲンなんか、信じられるんだよ……っ……!!


【言葉がこぼれ落ちた、紛れもない感情であった、少なくとも近しい存在にある、と思っていたから】
【だからこんなにも胸がざわめくのだ、と、こんなにも、憎くて憎くて、堪らないの、だと】
【──── だから、だから、貴女も、貴女も、心の底から憎んでいるって、思っていたのに】

【何で、こんなにもなって、笑えるんだろう】

>>809

【単純な身体能力の差、──── ドラとの戦いで表出したそれが、対アリアでも足を引っ張るのだろう】
【どれだけ足掻いてもかえでを殺しきれない、視界に捉え続けるには、その速度があまりにも速く】
【アナンタシェーシャの異能を持って削ることは可能だろう、互いが互いを殺しうる距離感】


ふ、はは、あはは、この場の何処に本物のニンゲン様が居るんだろうね、どいつもこいつも能力を持った、──── 化け物でしょ
ニンゲンってのはさ、もっと、もっと弱っちくて、意地汚くて、醜くて! 足を引っ張る事しか考えてない自堕落な奴等で!
こんなの全部、死んじゃえば良いって、思える相手なんだよ

>>810

【パグロームはカニバディールを犠牲に難を逃れるだろう、アナンタシェーシャは敵対者を傷つけずには居られない】
【逆説的に言えば、傷つけることさえできたならばそれでよかった、パグロームへの傷を、カニバディールが肩代わりする】
【──── そしてパグロームならば気付くだろう、攻撃性で言えば、アナンタシェーシャに勝る虚神はいない、と】

【ならば、そう、言ってしまえば、──── それで "この程度" なのだから】

>>811

【ラベンダーの一撃が鈴音へと向かう、轟々と音を立てて其れは向かうのだろう、──── けれども】
【彼女はそれを見ていた、静かに、──── そうして飲み込まれ、消失する最後の一瞬まで】
【見終えたなら、漸く、漸く、一つ小さく笑った】
821 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 22:39:02.10 ID:L6LzbpG0o
>>812

【彼女には理解できなかった、本当はきっと、理解できたのだろうけど、したくなかった】
【どうすればこんなに真っ直ぐ生きられるのか分からなかった、どう救われればこんなに優しくなれるかも】
【だからだから、全ての言葉を無視して、全ての言い分を切り捨てて、──── 真っ向から否定して】

【──── 否定して、しまいたかった】


うるさい……うるさい、うるさい!! 詭弁だよ、こんな世界、滅ぼすべきなんだ、こんな、こんな醜い灰色の世界!
全部全部殺さなきゃ、──── ボク達を責める悪い奴等は、全部、──── そうじゃなきゃ、そうじゃなきゃ……っ

──── ここまで頑張ってきた意味、っ……ないじゃん……!!


【やがてミラが放つ砲口、これ程までに穏やかな気持ちで、どうしたら世界を破壊できるのだろうか】
【一度大きく空間が揺れたなら、後は決壊するだけだ、──── その場に居る全員が、悟った】

>>813

【ギア・ボックスの判断は正しいだろう、護ってばかりではリソースが削られるだけだ、放つのはダメ押し、空間の崩壊は決定的に】
【カニバディールに刻んだダメージはどれくらいか、それでも尚生き続けるのは、それそのものが荒唐無稽とも言えるだろうに】
【逆説的に言えば、だからこそ、──── 信頼して、彼に身を託すのだろう】

>>815

【アナンタシェーシャの効果、INF-003を標榜する効果は最大級に、ドラの虚を突くのだろう】
【言ってしまえば理不尽とも言えた、知らなければ絶対的に回避は不可能、知っていても尚、致命傷を避けるのが全て】
【けれども、積み重なった合理の上に、偶然は萌芽するのだから、クナイの切っ先が、スナークへと突き刺さった】


っ……!! 何を今更っ……!! 自分が世界を動かしてるだなんて、世迷い言を!
ボク達の事何も知らない癖に、口ばっかりは偉そうに、ほんと、ほんと!! ニンゲン風情が!


【激昂する、理解できるだろう、目の前の病魔は何処までも、──── ニンゲンに近しい】

>>816

【幽鬼の如き攻撃であった、スナークは苛立つ、何処までもシャーデンフロイデの隙を突いてくる、と】
【同時に其れは執念の様にも思えた、エーリカの持つ執念が妄執が、スナークを殺さんといきり立つ】
【故に攻撃を回避するに至らない、放たれた刃が、スナークの表層に傷を付けていく】

【──── 或いは固執か、より純粋な意思を、底に宿していた】
822 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 22:39:13.76 ID:L6LzbpG0o
>>817

【本来ならばそれは届かぬ道理だったのかもしれない、ゾーイが捉える時間より大きな枠組みを、アナンタシェーシャは捉える】
【しかし、数多の能力者が示すように、スナークの行使するアナンタシェーシャは廉価に過ぎないのだから】
【起こりうる筈の無い奇跡を、ゾーイは示す、確定した現在を乗り越え、有るはずの無い明日をつかみ取る】

【ゾーイは乗り越えるだろう、──── 此処に於いて唯一、アナンタシェーシャを乗り越え、スナークに肉薄する】

>>818

【──── スナークは口角を釣り上げる、──── それは最早意地に近かった、どちらが上か、単純な力比べ】
【それでも、とどめを刺すには至らない、方法策が違うのだから、スナークは手立てを誤った】
【まず止めるべきはアリアであった、それに気付かずに】
823 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 22:39:29.63 ID:L6LzbpG0o
>>ALL

【軋む地面、──── こぼれ落ちてくる土塊は天井から降り注ぐ、天地の逆転も、最早道理として受け入れられる】
【踏みしめる空、それすらも矛盾を生じさせず、レッド・ヘリングの証明とも言えた手も、殆ど消えてしまっていた】
【最早その場に居るのはスナーク自身であった、泡沫の絶頂に酔いしれた、一つの末路】

【ミラとギアの手によって、空間が崩壊していく、──── 彼女もまた、身体中に傷を付け】


……そろそろ終わりが近いね、よくもまぁこれだけしぶとく、抵抗できるもんだよ
ニンゲンの底意地の悪さにはせいせいするね、鬱陶しい事が美徳だなんて反吐が出る
でも良い気持ちだよ、凄くね、──── キミ達は未だ、ボクに辿り着くことも、出来ないから


無垢なる祈りは信仰が如く、叶うのは現か幻か、担い手が抱く僅かな思いすら、指し示す奇跡の残照に
願う所作に狂いは無く、故に一片の違いもなく、──── 作り上げる、望むが侭に


              ──── ヒトは呼ぶ、我が名を ────





                        "Iweleth"       
              ──── "盲目たる無垢の鳥" ────

                          鵺



【かつてのインシデントで示されたその性質、願いを具現化させるという荒唐無稽なもの、──── それ故に】
【INF-002と最終盤までその名は示されなかった、此処に来て漸く、その性質を披露するというのか】
【スナークは願った、何を願った迄かは決して明かされない、──── 決して明かす由縁も無いから】

【起こるのは結果で、残るのは結末だけだ、何故なら顕現していないのは、僅か一柱となったグランギニョルだけなのだから】

【変化は急激に訪れた、轟音を響かせて、周囲の空間が崩壊していく、そして同時に、天井が、床が、壁が、中心に向かって収束していく】
【何が起きるか、何が起きているかは分からない、けれども、確実に、取り残される事が消滅を意味することは明らかであった】
【スナークが右の手を下に向けて、──── 床に穴が開いたなら、そこからスルリと、その場から抜け出す】

【同じように崩壊と併せて、周囲の床に穴が開くだろう、潜り込んだなら、──── 深い深い闇が広がって】
【暫しそのまま、無明の空間を漂い、──── やがて光が見えてくる、筈だ】
824 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 22:51:27.70 ID:dtli0ef20
>>809

【唇からは体温や鼓動だけでなく、弾力性が失われていた。きっと冷たい粘土か何かに】
【くちづけを落とした感覚だけが残るのだろう。……それでもいいって笑ってくれるから】
【冷え切って、悴みすらしない指先が絡まる。彼の体温を吸い取っていくみたいに】
【したら、ぼろぼろの身体を胸板に預ける。よろりと立ち上がる、ホンモノのゾンビの足取りで】

   ……………… ありがとお。   あたしもね、 大好き。


>>814

…………、 ……そおね。  わかってる よ。
あたしも 別に イル  許したわけじゃない  し ……。

だから、  タマシイ次第で イルも鈴音も   ここに在れるはずだった  ってこと でしょ?

【「そうはならなかった みたいだけど」。――痛いくらいに、そんなことは承知していた】
【だけど、だから――最初から何もかも許されない存在なんてこの世には存在しないのだと】
【それだけわかれば十分だった。暖色を失って青ざめる顔が、ゆるりと力を失い】

よくなーい よ。  心配 ごむよー。   あと一発 くらいなら やれるし。
その時を   ……待ってる だけ。みんなが、  ……それを作って  くれるのを。

【小さくかぶりを振った。約束を破る心算はまだないらしい。「ラベンダーちゃんは、」】
【「見たこと なかったっけかなあ。 あたしのとっとき――」 息もないのにくすくす笑っていた】


>>820

あははっ  ……死にかけじゃなくて、 もう、死んでっし。

【本当に愉快そうに笑った。少なくとも殺すと誓った相手に向けるような表情ではないはずだった】
【それでも彼女は確かに笑っていた。信じていた。人間だろうと化物だろうと神様だろうと】
【すべての、生きてるものもそうじゃないものも、全部、損ねたくないだけだった】

【斬り裂かれたカラダからは血の一滴も流れない。であるなら、今この一時だけは、この化物は】
【きっと不死身なのかもしれなかった。痛みもほとんど感じていないらしい、けれど】
【足取りは確実にふらふらと、映画の中の馬鹿げたゾンビに似て、覚束ない――だから】
【何かを踏み外して穴の底へ落下していくのも当然のことだった。そばにいてくれる人と一緒に】
【落ちてゆくのだろう。すれば、世界中に張り巡らせていたリボンも――ひらひらと尾を引いて】
825 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 22:56:19.77 ID:7o2/4zDY0
>>820-823

――――道は開きました。さぁ、行きますよ――――
「……分かった。どちらにせよ、急がなきゃならないのは本当の様だから……!」
<今こそ……白神 鈴音の死体を取り戻せ……行くぞ、お前たち……!>
{こうなると、時間が惜しい……我らに使える手は、あとこれくらいか…………ッ!}

【死の閃光が、ようやくにして道を切り開いた。それを確認して、一行は一気に突進する】
【もう、スナークの方は完全に無視だ。ともあれ、先の布石を壊しておかなければ、話にならない】
【即ち、鈴音の死体に、致命的な細工を施す事――――それこそが、自分たちの最大の仕事だと、そう認識して】



【――――相手の仕掛けが、それでもなお早かった。戦場に訪れる、大きな変化】
【恐らくは、先に回収されたのだろう鈴音の死体を追いながらも、一行は足を止めざるを得なかった】

「……鵺の力……奴が――――ッ」
<――――やはり、許す事などありえないな。何が神か……人間以上の醜悪な存在め……>

【サリードと、かろうじて人の面影をとどめているだけの魔人、アドラメレクは歯噛みする】
【自分たちの友人の死をすら、スナークは冒涜する。――――やはり、殺しておかなければ気が済まない】

【――――だが、その前に考える問題があった。この空間からの移動は、果たして意味を持つのか、と】

「……誘いの罠、なんて事は……?」
{可能性は、無くはないが……ここにいる事に、意味があると思うか?}
――――関係ありません。虎穴に入らずんば虎子を得ず、です。まだ殺してないんですから――――ッ
<ラベンダァイス――――っ、しかし……それも道理だな。奴はこのフィールドに見切りをつけた。なら、まごついている理由も無い、か……
 ――――今さらだが、強引に切り開いて、帰還しようとは……?>
{無論、思わんな……}
「僕もだ――――ここで終わる訳にはいかないよ……!」

<――――では往く、遅れるなよ――――!>

【先に、さっさと穴に飛び込んでしまったラベンダーを追いかけ、一行もまた飛び込んでいく】
【アドラメレクの言によれば――――強引に、この空間を突破して、帰還する手段もあるそうだが――――それを選択する一行ではなかった】
【その場に、初めから何もなかったように。4人は次の世界へと向けて消えていく――――】
826 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 22:56:44.27 ID:WAyoKTIbo
>>816


    「 ───………… ええ。」


【小さくアリアは首肯した。戦士たちの間に交わされる合意などそれだけで十分に足りた。掴んだ首根をそのままに振り回し】
【 ─── 凡そ暴力的にイルへと向かって投擲するのは信頼が故であった。必ず彼女は生きて帰るのだと、知っていればこそ】


>>818


   「 ─── ッッ」「かえで、 ……… !!」


【そうして酷く取り乱しかけるのだろう。 ─── 命に関わる傷ではないか、女に判別する方策はなかった。それが故に】
【せめて守り抜く為に、傷だらけの肉体へ抱き締めて、凡そ憚りはしないのだろう。真白いブラウスに血が滲むのも、構わずに】
【望むのであればキスをしてやってもよかった。 ─── 全てがどうなってしまうにせよ、彼女はただ、騎士であり女王なのだから】


>>821>>823>>824



 「 ……… それなら、てめえは、さ」「化物みたいな人間しか、見てこなかったんだろうよ。」


【ごく憐れむように彼は吐き捨てた。 ─── 安い憐れみを他者へ投げかける行為の意味を、彼は深く知っていた】
【憐れんでやるだけだった。あるいはそれは嘲笑にも似ていた。己れの過ちを悔やみながら死ねば良いだなんて、彼の口が紡ぐ事はない】


【やがて世界は崩壊する。それを定義付けたイルが消えたのであれば、その帰結は疑いようのないものだった。】
【数日前に後藤より渡された、レコーダーと音声ファイル。 ─── "グランギニョル"が顕現したのなら、これを用いろと、彼は告げていた】
【再生の為のトグルを指に掛けながら、彼/彼女は夫々の伴侶を腕に抱きつつ、光明へ向かって歩み行くのだろう。そこに待つものの正体を、知りながら/知らぬまま。】
827 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 22:59:13.01 ID:dtli0ef20
>>813
フィナーレ前にくたばるのを防いでやったんだろうが!
この程度で死ぬようなら、今まで生き残ってねェだろうがよ!


【軽口を返している間にも、物語は滞りなく進む】
【些末な差異はあれど、台本の通りに】


【さて、かつてはNEOと呼ばれていた少女――願いを叶えると言う、その性質がそのまま鵺の能力だと言うのなら、なるほど完全無欠であろう】
【だが、アナンターシェの神格をコピーしてでさえ、"この程度"の能力しか発現していない】
【多種多様な虚神の性質を受け継いでも、イルのキャパシティを超えて扱える訳ではないのだ】


【ならば、鵺の能力にも叶えられる限界は在る――問題は、それをどのように扱うかだ】


フン、やっとか――


【待ちくたびれたとばかりに、男は嘆息する】
【ボスからの指令は、事の顛末を見届けることだが――その途中で"イルを止めては行けない"とも命じられていた】
【故にそれはストレスの溜まる仕事では有ったが――】


【周囲が崩壊し始めると、男はスッと用事の無くなった空間から立ち消えた】
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/01/12(土) 23:03:58.69 ID:gOSvupoBO
>>821>>823(イル)

【ズン、と重々しく響く。それは、この小さな箱庭の世界を壊す音だった】
【崩壊が始まる。真っ先に思ったのは、つまらないということだった】
【世界を壊すのは、あまりにも呆気なくて──そう。例えこんな小さな箱庭であっても、本当に】
【拍子抜けしてしまうくらい、あっさりと壊れてしまう。は、と浮かんだ笑みはいっそ清々しく】


あぁ…………よく、頑張った。でも、…………、まだ、頑張るんだろ?

ほら────このちっぽけな幻の世界はあたしが壊しちまった
あたしと、みんなで…………ボロボロにしちまったよ
思いのほか、つまらねぇモンだぜこれは、よぉ。…………まだ、みんなでクソ映画見てた方がいいくれぇだ


なぁ、イルよぉ────てめぇはまだ、頑張るんだろ?

泣き言いうなよ……、なぁ。あたしもさぁ…………、てめぇらに世界、滅ぼされねぇよう頑張るから、よぉ

そのために今日、服だって仕立てたんだ……ほら。高かったんだぜ、このコート
普段はアウトレットで、半額とか60%オフとかの買うけどよぉ…………今回のはもう、すげぇの
だって────ダチの晴れ舞台に、安物着てくるわけにもいかねぇからよぉ…………

ぎゃ、は…………ったく。気軽にひょいひょい移動すんなってぇの
こっちは、よぉ…………だいぶ頭使った後で……、…………クソ、だるいんだから、よぉ


【近くに穴が空けば、荷電粒子砲を抱えたままゆっくりと落ちていく。誰かが近くに来てくれるのなら、そいつも一緒に】
【まるで深海を漂っているかのような感覚。あるいは宇宙。あるいは…………。チャージを始める】
【数発は撃てるといっていた。ならば、まだ余力は残されていた。漂っている間に、きっとチャージは済むのだろう】
【そして光が見えた。────それが明日の灯火か、地獄の灯かは知らないが。手を伸ばす】
【なんでそんなことをしたのかは分らないが。取り敢えず、光が見えたら手を伸ばすものだと相場が決まっていた】
829 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 23:08:13.36 ID:7o2/4zDY0
>>824

{いや……残念だが、ナチュラルボーンキラーというのは、実在するんだ……人は、絶対に、100%で手を取り合う事は出来ない……
 それが――――もう1人の『イル』。俺の友人の――――ラベンダーの、父親の仇だよ……}

【魂で語っても。そもそも初めから歪んでいる存在というのは、どうしようもない。その事を、アーディンは痛いほどに良く分かっていた】
【何故なら――――ラベンダーがイルを憎む、その理由――――それこそ、このイルに負けず劣らずの悪意を振りまき、悲劇を起こした、別の『イル』の存在だったからだ】

{――――そして俺も、この戦いが一段落ついたら、ここにいる何人かとは、再び殺し合わなきゃならなくなる……所詮、人間なんてそんなもんだ――――
 ――――レグルスの言葉だが、「誰かを愛するってのは、他の誰かを愛さないという事だ」……結局、誰かの特別である事しか、手を取り合う理由は、最後には残らない}

【忘れてはならない現実。それをアーディンは持っている。この共闘が一時的なものという事を、やはり言わなければならない】
【或いは――――夕月はともかく、他にも敵であった者はいた。そして――――この共闘は、彼らの間に絆をもたらすには、まだ足りないものなのかもしれない】

――――ならば、その道を開くのは、私の役目です。任せてください――――

【端的に、ラベンダーはそう返す。だが、そこにどこか安心したような響きが混じっていた】
【――――例え、呪わしい色に瞳を支配され、呪わしい力を全身に滾らせていたとしても】
830 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/12(土) 23:11:39.83 ID:EDbyZEUH0
>>820-823
!!! 開いた……
「かっ、は……! ようやくか……」

辿り着くことも出来ない、確かにそうだ。でも、もう目の前に来た
「……私の前で、その神の名を口にするな。不愉快だ」

【ギアが目を見開き、内蔵している命の大半を使い果たしたカニバディールが息をつく】
【カニバディールは、配下たちの再生にまた時間と栄養がいる事実も、鵺という名に感じる彼だけの感情も、今は脇に退けて。とにかく今は、先へ。未来へ】

【もはや、互いに交わす言葉もなく。ギアとカニバディールは互いに睨み合い】
【肉が収束して、再びギアの中へ戻る。サーベルを戻したギアは、バトルアックスを握りしめて、最後に残った肉片を蹴り、跳躍した】

【スナークの願いは知らずとも。最後の一柱は知らずとも。留まれば先はないことは知る】

>>827
「相変わらず口の悪い男だ……! だがその通りだ、この程度で死ぬ私じゃあない。今は感謝してやる! おかげで閉幕に遅刻せずに済みそうだ!!」

【空間の狭間に消えるパグロームへの返答を最後に、人形と異形は穴の中へと吸い込まれていく。終幕へ向かって】
831 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/12(土) 23:18:28.37 ID:Vc78I/H+0
>>822 >>823

【此処までこれるのは個人のスペックだけではない。此処にいる人達が】
【秘めた思いを沢山持っているからこそ、熱い意志があるからこそ、私を此処まで】
【導いてくれた。】

【此処にいる人達の思いにロボットは答え無くてはならない。それが存在理由。生まれた理由】
【ロボットはあと一歩までやってきた。皆の意志が此処まで届いている、と。】

【落ちていく。なにもない空間。落ちていく。】
【何が有っても、遂行し無くてはならない。私がそれが出来るのなら、躊躇はない】
【内部エネルギー出力の放出、自身に高負荷を与えれば許容範囲を超え、すべてを熱エネルギーに変換できる】

【手立てが思いつかなければ、そうしよう。】
【もし、皆の一助になるならなんだっていい。私はロボット。それが果たすべき義務】

【―――明るい。白い光。闇の先にある。】
832 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 23:20:28.40 ID:V1J+q2V50
>>819

(――――……そうかもしんないね。アイツにも大事に思う奴らがいたっぽいし)
(侮辱したら後悔させて殺してやるってマジ切れしてきたからねぇ……離せば案外わかる奴なのかもしれないな)

(でもさ、神様だって言うなら助けてって叫ぶほどに辛いとき、助けてくれたっていいと思うじゃん。
 だけどアイツは助けてくれなかった。それどころか結果的にかえで苦しめることばかりだったから割り切れない
 正直言って、同情を抱くことはないよ。でもかえでがアイツを殺さないでって言うなら―――出来るだけ希望に沿う形を取るよ)


【独り善がりで白神鈴音を殺して大事に思う人が悲しむならそれは本末転倒。例え殺し合い染みた口喧嘩をした間柄であったとしても】
【この蛇念が阻害の効果が発揮されている時に送られたのは僥倖だった。でなければ冷静に懺悔を聞く事は無かったから】

>>826

【蛇念でのやりとりに一区切りつけた後、アリアによってエーリカは投げ飛ばされる】
【人間大砲宜しく飛び出す彼女の目にはスナークしか映っていない。自分の為すべきことを果たす事しか頭にない】

【かと言って自殺志願をしている訳ではないから。生きて帰るのだ】
【大好きな人たちのために、そしていつの日か会えると信じている硝子細工の子猫の麗しの狙撃手のためにも】

                    【だから―――――、一言。"いってきます"】

>>823

【周囲が崩壊していく。音を立ててガラガラと。初めから無かったかのように。砂の城を乱暴に壊していくように】
【この場に居れば崩壊に飲まれて軈て死んでいく。だがその時にはエーリカは"その場"に居ない】
【既にアリアの手で勢いよく投げ飛ばされたから。床に空いた穴に勢いよくダイブしていたから】

【何かのリリックだったか。"無明の淵で終わりを待つ私は孤児"と。ならば終わりを告げに行く者もまた無明にとらわれる】
【時間感覚はもうマヒして。でも永劫無明を漂う心算も無いなら、只管に潜るだけ。愚直に潜るだけなのだ】
【そしたら――――無明にも終わりがあった。光のさす方へありったけの魔力を右手を伸ばす―――伸ばした手は何処に行き着くか】

【もしそれがイルの身体の何処かであるなら―――何処から出てくるかわからない力強さを以てがしっと掴むだろうか】
【掴めるか確証はないけれど。もし掴んだなら、静かに告げる】【――――― Hell Edge Road/Lord Re:Birthッ!、と】
【その技は相手の身体に自身の魔力を注ぐもの。注がれれば最期、相手の体内で彼女の刃の魔力が暴れまわり】
【身体の内側から刃が無数に犇めいて、内側から刃が突き破って死に至らしめるというものであった】
833 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/12(土) 23:22:15.75 ID:V1J+q2V50
//修正版です、、、

>>819

(――――……そうかもしんないね。アイツにも大事に思う奴らがいたっぽいし)
(侮辱したら後悔させて殺してやるってマジ切れしてきたからねぇ……離せば案外わかる奴なのかもしれないな)

(でもさ、神様だって言うなら助けてって叫ぶほどに辛いとき、助けてくれたっていいと思うじゃん。
 だけどアイツは助けてくれなかった。それどころか結果的にかえで苦しめることばかりだったから割り切れない
 正直言って、同情を抱くことはないよ。でもかえでがアイツを殺さないでって言うなら―――出来るだけ希望に沿う形を取るよ)


【独り善がりで白神鈴音を殺して大事に思う人が悲しむならそれは本末転倒。例え殺し合い染みた口喧嘩をした間柄であったとしても】
【この蛇念が阻害の効果が発揮されている時に送られたのは僥倖だった。でなければ冷静に懺悔を聞く事は無かったから】

>>826

【蛇念でのやりとりに一区切りつけた後、アリアによってエーリカは投げ飛ばされる】
【人間大砲宜しく飛び出す彼女の目にはスナークしか映っていない。自分の為すべきことを果たす事しか頭にない】

【かと言って自殺志願をしている訳ではないから。生きて帰るのだ】
【大好きな人たちのために、そしていつの日か会えると信じている硝子細工の子猫の麗しの狙撃手のためにも】

                    【だから―――――、一言。"いってきます"】

>>823

【周囲が崩壊していく。音を立ててガラガラと。初めから無かったかのように。砂の城を乱暴に壊していくように】
【この場に居れば崩壊に飲まれて軈て死んでいく。だがその時にはエーリカは"その場"に居ない】
【既にアリアの手で勢いよく投げ飛ばされたから。床に空いた穴に勢いよくダイブしていたから】

【何かのリリックだったか。"無明の淵で終わりを待つ私は孤児"と。ならば終わりを告げに行く者もまた無明にとらわれる】
【時間感覚はもうマヒして。でも永劫無明を漂う心算も無いなら、只管に潜るだけ。愚直に潜るだけなのだ】
【そしたら――――無明にも終わりがあった。光のさす方へありったけの魔力を右手を伸ばす―――伸ばした手は何処に行き着くか】
834 :キャットV  ◆UYdM4POjBM [saga]:2019/01/12(土) 23:23:24.14 ID:SowzBHbuo
>>820->>823


―――……うふふ、んじゃ教えてくれるぅ?
きみたちがどういう奴か……手とり足とりねえ……だが少なくともきみの方はぼくを2割くらいはわかったでしょ

ぼくは……『本物』だと、いい加減思い知る頃だろう……?


【仮面で顔はわからないはずだが――――なぜかイルにも想像できるかもしれない】
【そうとう厭らしいあくどさに満ちた笑みをイルに向けて、今まさに詰めに入ろうと企んでいる事を】


あ、ははぁ……逃げたな……下に


【イルが何を願ったかはわからない―――だが、確かな事がある】
【彼女が今床に穴をあけて下へと逃げ込んだ事だ―――そう、下にだ】
【出来る事ならそうなってくれればと思ってた―――下への逃走経路を使用する事を相手は選んだ!】


―――今だ善ちゃん動けッ!!確保して挟み撃ちにするぞッ!!


【イルが下に動くことで―――ドラが事前に計画していた配置にみごと追い込む形になった】
【キャットVはみずから周囲に空いた穴へと飛び込むと同時―――『下』でも動きがあるだろう】

【ドラは事前に協力者の若者―――涼宮 善太郎を使用する際にこの図式を頭に入れていた】
【完全な虚の位置からの不意打ち―――ゆえにこの空間の中ですでにドリルで掘り進ませてイルの真下にスタンバらせ不意を突く計画だった】
【だがあろうことかイルは―――自分から下へと降りて行った―――ゆえに!】


「―――くたばりやがれッ!!スナ―――――――クゥゥゥゥッ!!!!」


【イルの真下10mほどの位置で配置に向かっていた善太郎が、イルと鉢合わせる図式になるはずだ】

【ゆえに善太郎は動く、両手に握ったのは銃か、右手のはマシンガンのような大きさだが左手は拳銃並みの大きさに見える】
【下にいるならば善太郎は右手の大型銃の引き金を引く!―――この装備の名は『シールネットガン』】
【ジンジャー・ユースロット製の確保兼攻撃用のアイテム!これを持ってイルを逃がさないよう追い詰めるつもりか!?】

【このネットにもし触れてしまったとしたならば―――どんな生き物だろうとあらゆる魔力を使用した攻撃が大きく減退することになる】
【捕まったら次の一手を撃つのが難しくなるかもしれない、このネットをどうにかする事が必須かもしれない―――!】
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/12(土) 23:25:04.15 ID:KNy7E7ko0
>>820-823

【血を吐く消耗を揺さぶられるなら、少女はいくらも蒼褪めていた。――けれどそれすらも説き伏せて/組み敷いてしまうのだから、能力者だなんて、やっぱり化け物だ】
【病魔の眼差しに追いつかれなかった理屈がただ一つアリアに全部の命を委ねたことであるのなら。――結局彼女は神様に背くしか生き延びる方法なんて、なかったのかもしれなくて】
【そうしたら彼女が生きるにはどこかで神様を裏切るって運命づけられていたのかもしれなかった。そんなはずなかった。彼女はどこまでも神様のために死ぬ気だった。なら、?】

【その全部を銀狼たる女性が塗り替えてしまったのだと、――真っ新ぶった白いワンピースだって、もう、ほとんど着る必要ないのだと、答えるのに等しい瞬き、一つ】
【ならばその服だって赤色のドット模様に果てていた。その全部を染めてしまうほどの血を彼女は吐かなかったけど。純白でない、ということが、重要であるのだから】

【――――だから、世界が崩壊しようとも、惑わない。だって世界で最も美しくて強くって、誰より、――誰より私のことを大事にしてくれる人の腕の中ですから、なんて、】

【おんなじ風に誰かを愛しているはずなのに、こんなにも違うのはどうしてなんだろう、なんて、――思ってしまいそうな眼差し、もしかしたら、同情にも少し、似て】

>>826

――――――ぁはっ、だいじょぶ、ですよ――、私があんまり死なないの、――アリアさんたら、分かってる、でしょ。

【ならば、抱きかかえられたまま、身体を起こして。――愛しい子にするように、その額に、前髪ごとキスをするのだろう。唇にするには、少し、血腥すぎると思うから】
【抱き留められれば、大丈夫なのだと言う言葉を証明するみたいに、首元へ腕を回して、身体を起こす。――耳元に囁く、「今日はおいていかないですから」いつの話をしているのだか】
【だから取り乱さなくっていい。ましてや泣く必要もない。言い聞かせるように首元へ回した腕で頭を撫ぜてやる――それでも頭の奥がくらくらした】
【内側のどこかが傷つけられたのは疑う余地もなかった。――致死性かは、知らないまま。そんなの生きて帰ってから確かめればいい。だから、】

だから、そんな顔しないで、怖がりさん。泣いてしまいそうなら、あとで――慰めてあげますから。ね?

【また違った道理かもしれない場所へとアリアが踏み込むのなら――、おとぎ話みたいに読書やお茶を嗜む時間があるのかしら。どちらでもよかった、どちらだとしても、】
【何があったってきっと少女は護ろうとするのだろう。世界中で一番透き通る新雪より美しい狼のお姫様も、世界中の何からも自分を護ってくれる狼の騎士も、一緒くたに】
【それでも消耗は無視できないレベルだったから、――、吐息が引き攣るように震える。痛いのかもしれなかった。なら、護るため、自分へ向ける分、減らしてる、なんて】
【伝えてしまうのかもしれなくて。――だけれど同時に、アリアを護るのなら、抱き留められる自分も護るってことなのだから。だから、――、許して、くれるかしら、?】

>>832

ねえ、世界中で一番寂しいのって、神様かもしれないですね。――だって、ほら、高次の世界に居ては、民草と盃を交わすのも難しいじゃないですか?

【答えはそれっぽちだった。それっぽちだってきっと十分だった。――。彼女は多分神様をよく分かんないままで殺してしまいたくないらしかった、甘ったるいのだとしても】
【ならばよっぽど蛇の聖女として振る舞っていたころは気を張っていたのだろうと思わせた。ずいぶんと頑張っていたのだと思わせた。――救われたかったから、】
【――だけれど、もう、救ってもらったから。大丈夫だから。そうして見通すなら、今となっては、神様の方が哀れに見えるだなんて、ひどい、罰当たり】
836 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 23:27:00.03 ID:L6LzbpG0o



           【キミをずっと殺したいって、思っていた】            【──── この感情がどこから来るか分からない】
                                   【こんなにも愛しているのに、】          【どうしようも無く殺したかった】

       【それを愛だと思った】    【それを恋だと思った】       【それを運命だと思った】     【ううん、違う、そんな綺麗なものじゃない】


                                                                  【これは執念】    【ボクの心に宿った、最期の執念】

       【ボクは理解した、ボク自身が、キミを "殺すこと" にとらわれている】  【何故なら、キミを殺すこと】    【それが、 "ぼく" の目論見だったから】


                  【 "Bacikal" ──── "顕現する無神論の神" 】         【それは最初から仕組まれていたのかもしれない】


      【ボクが "スナーク" の主格になった時から】   【或いは鈴ちゃんを知ったときから】       【ボクの中のスナークは、こう考えていたんだから】

                                                           【 "ぼく" がキミを殺して、──── "グランギニョル" を得る】

      【だからボクはキミに "固執" する】   【ただの世間知らずのガキに "工場" を見せて】     【──── ショックを与えて】    【全ては作用】



      【そう、固執の作用】    【こんな痩せた女の子】  【ボクの趣味じゃ無いから】   【ボクの好きじゃ、ないから】     【なのに】



                    【キミもボクに "固執" する】  【スナークの厄介な所】    【──── まるで、ボクが愛されてるみたいな錯覚を得て】

                                                             【分かってないなぁ】   【分かってないよね】   【ほんと、愚か】


                   だからボクはキミを、タイセツにしようって思った。ボクの大事な大事な、トモダチだったから。



      【固執させられたんだ、ボクもキミも】   【最初から最期まで、仕組まれた関係性】     【──── スナークが力を得るための、儀式】


                                        【だから "ぼく" はキミを殺した】       【殺さなければならないから】


                                                  【それで、おしまい】   【最期の最期まで、固執に振り回されただけだから】

                                                             「――――――――――わたしを殺さないで」

             【なんでそんなに、】        【生きたがるんだろう】         【死んでも死んでも、生き返るのに】        【ねぇ】


               「――ううん、イルちゃんに、好きって言ってもらえるからだがいい」


                                       【ああ、】   【もう、────】 【くそ、】         【また、固執してる】
837 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 23:27:25.28 ID:L6LzbpG0o


   【 "ぼく" が "キミ" を殺す、それは避けられない未来、ボクがスナークである以上、その未来は避けられない】
   【何故ならボクの意思に関わらず、その思いに "固執" させられているから、──── だったら一度、殺すしか無い】
   【それで一時的にスナークは "グランギニョル" の力を得る、そして、鈴ちゃんは蘇る、"いつもの様に" "いつもの身体で"】

   【──── 散々傷ついて、汚れた身体で、蘇ってしまう、──── それがどれだけ苦しいことか、ボクには分からない】

   【だったら、戻るべき身体を、蘇るべき身体を無くしてしまえば良い、凄い力で "消し去って" ──── その因子すら異空間に消し去って】
   【それを沢山のニンゲンに観測させたなら、鈴ちゃんの "消滅" が確定する、忌々しい身体から、逃れられる】
   【でもそれは何の解決にもならない、鈴ちゃんとの約束を、何一つ果たしていないんだから】



   【だったら "願おう" ──── "身体を失った少女がそれでも生きることを願った" 様に、"身体を失った鈴ちゃんがそれでも生き返ることを"】



   【魂だけになっても、鈴ちゃんは生きられる、──── それは知っていた、だから一端、身体も消してしまおう】
   【万事は上手くいく、ボクはそれだけを願った、キミと、ボクと、世界の終わり、──── 】
   【ボクの中の "鵺" に祈ろう、結末はまだ、知らなくていいから】










838 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 23:27:55.25 ID:L6LzbpG0o
>>かみさま














                 "次、鈴ちゃんが生まれてきたなら、今度は綺麗な身体で生まれてきますように"














839 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/12(土) 23:28:09.99 ID:L6LzbpG0o
>>ALL

【闇の先は草原であった、一面の草原に、月明かりが流れ込んで、幻想的な美しさをそこに描いていた】
【お伽噺で描かれる挿絵の如く、川のせせらぎが流麗な音色を奏で、柔らかな明かりを更に強めている】
【限定的な空間の転移、前後左右も無く、──── 座標すらも飛び越えて】

【大凡先程までの地獄に似た光景とは違っていた、──── そして、能力者達は見るだろう】


【──── イル=ナイトウィッシュ、彼女はそこに居た、小高い丘の上に、能力者達を見下ろす様に】


【能力者達は理解するだろう、イルの身体に奔った傷跡を、──── 付けた傷より、何倍も多い】
【エカチェリーナの能力、その代償は描く、再び紡がれる絶頂の残り香は、朽ちていく身体の証明だから】
【それでも、見下ろして嗤う、彼女は何処までも、ニンゲンを否定するのだから】


ふふ、あはは、──── 綺麗でしょ、死に場所には丁度良いから、──── ボクじゃないよ、アンタ達の
ここまで漸く来れたよ、この手順を踏まなきゃ、グランギニョルの真の力は発揮できないもの
スナークから至り、グランギニョルに帰結する、呆れるほど順番通りで、呆れるほど効果的だから

つまり、これで世界の終わりなんだ、──── ボクが "グランギニョル" になって、この腐った世界を作り替える

不条理を認識し、虚飾を貪る、色欲に目眩めき、醜悪なるは不定、幸福と残酷とは一体に
絶頂は泡沫に過ぎねど、輪廻はそれを拒絶する、盲目なまま無垢に祈る、──── その全ては虚構の為に



              ──── ヒトは呼ぶ、我が名を ────





                        "Bacikal"       
              ──── "顕現する無神論の神" ────

                       グランギニョル





【イルは能力者の前に躍り出た、高らかに謳う、自らの描く最期の言葉を、──── それは何処までも凄絶に】
【顕現する事は無い、何故なら "彼女" は無神論者などではないから、スナークは確かに "鈴音" を殺した】
【けれども、イル=ナイトウィッシュは違う、その罪をスナークに擦り付けながら、無辜のままでいる】

【イルが求めていたのは "グランギニョル" ではなく "鵺" だったのだから】

【能力者達はきっと知らない、きっと分からないだろう、──── それでもイルは、彼らの矢面に立つことを選んだ】
【最期まで立ち続けなければならない、──── 演目の終焉に、主演が居ない道理が無いのだから】
【孤独な病魔はほくそ笑んだ、──── その奥に確かな意志を秘めて】
840 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/12(土) 23:40:19.55 ID:dtli0ef20
>>829

…………。 そおかも しんないけど

【「でもあたしは 鈴音がそうじゃなかった ことを  知ってる」。悲しげに目を細めるなら】
【イルはともかくして――鈴音は絶対にそうじゃなかったということだけ。証明しろと言うのなら】
【きっとこいつはいつまでだって言葉を並べていただろう。けど、そんな場合じゃないから】

ありがとお  ねえ ……。  ラベンダーちゃん ネ ……終わったら   パーティ。

【「そっちの 約束も、忘れちゃ ヤだよ」。任せろと言われたら、その通りに】


>>826 >>839

【――下品な厚底が柔らかな草原を踏み締める。乾ききった目をゆるりと動かし】
【率直に思ったのは、きれいだな、ってことだけ。……こんなに綺麗なのに、塗り替えてしまうのは】
【勿体ないよって思う。だからやめてほしくて、――両手の銃を取り落としてしまう】

………………ちがうでしょ。あんたは  イル = ナイトウィッシュ。
グランギニョル なんかじゃ  ないでしょ。  ……ばっかだなあ、

鈴音が  好きになったのは   イルなんだから。

【「ほかのものに 変わっちゃったら  きっと鈴音 泣いちゃうよ」】
【「あんたそれで  いいわけ? ……好きな女を   泣かせて さあ」】

【――どこまでも、少女の言い分はそれだけだった。大好きな友達を悲しませるヤツは殺す。それだけ】
841 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 23:47:43.29 ID:7o2/4zDY0
>>836-839

【――――そして一行は光の彼方、夜の草原に彼らは現れる】
【まず、状況を確認して、そして――――理解する。どうやら、ここが運命の分かれ道だという事を】

{っ、いかん急げ……!}
<サリード……あなたは鈴音の死体を探せて『殺せ』。あの馬鹿の始末は、私たちがつけよう――――>
「分かった……レミー、いや……アドラメレク、頼んだよ……!」

【スナークの――――イルの言葉が響き渡る。実態は、どんなものかは勿論知らない。ただ、その言葉が事実なら――――今の一瞬が、全てを分けるのだろう】
【ジッとその姿を睨みつけるアーディン。素早く、周囲を検分するサリード。その右手には、空色の楕円形をした『鉱石』――――最後の『切り札』がしっかりと握りしめられて】

<……行くぞ、遅れるなラベンダァイス>
――――今は、今だけは――――私はラベンダァイスじゃない――――
<……?>

【そして、背中の肉の隆起から、大量の触手を構える、複眼の魔人アドラメレクと――――】

――――やはりお前には『死』が相応しい――――レグルスさんの、アルクさんの、鵺さんの、ソニアさんの――――父の仇だ――――
死んで綺麗に消えてなくなれ――――だから、今の私は――――『イル=ディザスター』――――

【左肩――――かつて、依り代として改造されかかった時の傷が、悍ましく蠢く】
【そこから、あらゆるものを否定する、死の力が――――際限なく溢れ出てくる。その意味を、ラベンダーは悟ったのかもしれない】
【それとも――――その意識は、今は虚ろなものなのか――――ただ、己の力と有様を『イル』と――――父の仇の名、イル=ディザスターと名乗って】

だから――――行くぞ、邪神――――
<……不遜な物言いだな、道具の分際で――――だが、まぁ良い……まずは、世界のガンを焼き払う――――ッ!>

【左肩から溢れてくる、闇の力を、ラベンダーは解き放つ。人は愚か、魔人ですら貫通してのける、黒い魔力の茨を、幾筋もイルへと向けて発射して】
【同じく、アドラメレクも、白い、全てを消し去る光の乱舞を、イルへと向けて発射した――――白と黒のコントラストが、イルを否定し、殺したがっている】
【死と、呪いの因縁は、これで終わりだ――――その先にはただ、永遠の暗黒が、平等に待ち続けている――――】
842 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/12(土) 23:50:46.91 ID:WAyoKTIbo
>>835>>839>>840>>841


【焼け爛れた膚を慰撫するのは、遥かに清々しい夜の熱量であった。 ─── 欠けることのない月光が、血と硝煙に汚れた白銀色と、濡羽色をたなびかせていた。】
【彼は立ち尽くしていた。彼女も立ち尽くしていた。大樹の影に揺れる下生えはきっと誰に愛された事もなかった。青く透き通る双瞳と、蒼く光を帯びる隻眼が、傷だらけの長い影を映していた】
【微かに瞼を下ろして、長い目尻までもが細められた。 ─── 語る彼女の言葉を、決して妨げることはなかった。感傷と呼ぶには余りに、青黒い夜の色を纏う草原へ立つには、烏滸がましい】



    「 ……… よく、解ったよ。イル・ナイトウィッシュ。」「それだけで、いいさ。」

        「 ───………… さようなら。また、いつか。」
      


【掠れた声で彼は呟いた。 ─── 愛しむ人の手を嘆くように取って、それだけだった。彼女の決意に従属するのだと、言葉なく示していた】
【彼女は長い右腕を擡げて、白銀の銃口を丘に立つ影へと向けた。抱きしめる少女が望むのであれば、同じ銃把と銃爪を握らせてもよかった】
【きっとそれは弔いに準えていたのだろう。せめて安らかに眠り、二度と辛い悪夢に目覚める事のないように】
【月魄より降り注ぎ、果てを知らずに吹き抜ける涼風は、ただ無情でしかなかった。 ─── 彼は/彼女は、伴侶の意志を裏切らぬのだろう】
843 :パグローム ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/12(土) 23:57:43.38 ID:dtli0ef20
>>836-839
【耳をほじりながら、男が姿を現した】
【片手には銃を持っているが、どうにもやる気がない】
【――元よりサーペントカルトでなくなったイル=ナイトウィッシュに対して殺意を持っていた訳ではないのだ】

【だが別に感傷もない。グランギニョルだろうと、スナークだろうと、始末しなければいけないことに代わりはないのだ】

【既にエカチェリーナの効果も時間切れだろうか?】
【別に男が手を下さなくてもイルを殺したい相手は山ほどいるのだろうが】


っつーか、これで良いのかボス?
良いならもう死ぬぞ、こいつ。


【グランギニョルの打倒を標榜する彼等は――グランギニョルを引き摺り出さなければならない】
【そのために、イルの儀式に長らく付き合っていたのだが、これが望んだ結末になっているのかは、男には判然としない】



【先に聞いていた警戒すべき点は二つ、一つはスナークが再びブージャムとなって尻切れトンボに逃げること】
【もう一つは――……】


まぁ、良いさ。ここまでくりゃ俺の手なんぞ不要だろ。
好きに埒を明けてくれ。


【――イルがどんな結論を出そうが油断など出来ない】
【儀式は――最後の最後まで終わっているのだから】
【故に、男は肩を竦めて、再び空間の中に姿を消した】

【一見すれば、呆れて帰ったようにも見えるのだろうが】
844 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/12(土) 23:58:15.52 ID:7o2/4zDY0
>>840

{……一応、言っておこう……ここまで来たら、ifを追いかけるな……
 シャーデンフロイデと化していたかもしれない君を、殺さなければならなかったかもしれない――――そんな事は、考えたくはない……
 その先に、いくら追いすがったところで――――不毛な後悔しか、残らない……それが、人生というものだ――――}

【かつての過去を、思い返して言いよどんでいるのだろう。それが、具体的に『何』なのかは分からないが】
【ただ、アーディンは物憂げに首を振った。世界というのは、そういう意味ではよく出来ている。結局、全てを幸せにする事などできない】
【そこに思い馳せるのは――――「折角の『今』」を、ひたすらに壊してしまうだけの事だ、と】

――――そうでしたね。勿論です――――その為にも、『生きて』――――

【言いかけて、ラベンダーは言葉を打ち切る。生きて、今を迎えられなかったレグルスの事を、思い出したのか】
【それとも、死の使途として力を振るう今、その一言を忌語と考えたのか】
【少なくとも、ラベンダーの意識は、未来よりも『今』に向いていたのだろう――――】
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/01/12(土) 23:59:30.03 ID:gOSvupoBO
>>839

【(どうした、化け物。もうへばっちまったのかい?いつもの憎まれ口もこれじゃ形無しだね)】
【────それは、幻聴だったのか。それとも≪ミミック≫でつい思い起こしてしまった“彼”の姿だったのか】

【うるせぇ、ヒトデナシ。笑ってそう返した。(そうこなくっちゃ。そうでないと、僕だってやる気が出ない)】
【さっさと死んじまったくせに、とまた笑う。クソが、とついでに汚い言葉を口にして】


…………そうだな。てめぇの死に際も、覚悟も────全部、お見通しさ


     ≪  Dr.  Feel  Good  ≫


【チャージは終わった。ならば後は、撃ち抜くだけ】
【ぱちんと耳元で魔力が爆ぜる。視えるだろうか。視えなくったって別によかったけれど】
【それでも────何かが視えていたほうが、寂しくなかった。イルの叫びは、まだ耳の中に残っていた】

【“ここまで頑張ってきた意味、ないじゃん”────ズン。重い重い、衝撃が伝わった】
【その“意味”を無駄にしないためにも。もう、撃つしかなかった】
846 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/13(日) 00:07:55.44 ID:2/+PXiXW0
>>836-839
【知らない。何もわかっていない。人も神も案外ちっぽけで、自分のことしかわからないのだろう】
【秘めた願いも。その先の未来も。わかるのは、ただ。眼前の光景と、己のすべきことのみ】

【草原を踏みしめ、人形は立った。嘘のように穏やかな光景だった。対して、倒すべき敵はこれ以上ないほどにズタボロだった】
【だが、彼女は人を否定する。滅びたくなければ、否定し返す他ない】

……僕に出来るのは、それに抵抗するだけだ

【バトルアックスを構える。再び充填されていく、宝玉の力。異形と人形二人分の力で制御出来るギリギリ】
【振るう。雷の刃が飛ぶ。真っ直ぐに、イルに向けて】
847 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/13(日) 00:08:28.61 ID:6+PD4c7J0
>>835

そっか、そしたら。きっと、私はアイツに悪い事したんだね。
言われてみればそうかもしれないな。……蛇の目をしたクソ野郎も言ってたっけか。
神様ってのは理解されぬものだって。その理由はもう忘れたけどさ。

――――――、……今は気持ちの整理が追い付かない。けど、いつかは


>>839

……強がってんじゃないよ。身体に走る亀裂がテメエの命の終わりを告げてる。

―――――、もう終わりにしようか。
………殺すよ。一切合切の躊躇なく。無慈悲に、冷酷に。

だって、だって――――終わらせなければ、始まらないんだから。


            ――― Hell Edge Road/Lord re:birth ―――

【エーリカの右手に魔力が収束しはじめる。零れた魔力は次第に刃に代わってフライング気味にスナークへと飛んでいき】
【それと共になけなしの力を振り絞ってスナークに肉薄していけば。彼女は右手を伸ばす。そして、身体の何処かを掴もうとする】
【もし掴んだなら、そこから彼女の地獄、刃の淵を綱渡らせる魔力がスナークに流れ込んで、軈てスナークの身体を駆け巡る】
【そうなったなら、スナークの身体から刃が生える。体の内側を破って地獄の刃が再誕の産声を上げる。それも一つ二つではなく、無数に】

【注いだ魔力がなくなる時まで。死んでも死体蹴りの様に我先に刃が生まれ続けるのだ―――それがエーリカの切り札。魔力尽きぬ限り】
【内側から生える刃に命を奪われ続ける悍ましき地獄。永遠に死に続けろというのはつまりそういう事だった】
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/13(日) 00:13:41.54 ID:xGlq1Pn80
>>836-839>>842

【ぱあっと光が溢れる世界に辿りつくのなら、少女の鮮やかすぎる赤い瞳はやはり眩んでしまうのだろう。おてての冷たいラッコさんみたいに、眼を隠すなら】
【それでいて可愛らしいマスコットぶるには異質すぎる程度には顔も掌も服にも血液がこびり付いていた。それくらいのことはもはや慣れっこでしかない人生を送ってきた】
【きょろきょろ見渡すなら少しだけ我儘して、彼女は自分の足で立つのだろう。ずいぶんと久しぶりな気がした。――、油断はせずとも、いくらか、自分に魔力を廻して】

【――ならばふわふわの草は心地よかった。寝転んでお昼寝をしたなら、きっといい夢が見られる気がした。それこそ誰もが幸せに生きる世界の夢】
【誰もが幸せだなんてありえないってたった十七年の人生ですら学んでしまっていた。――そうだとしても、そんな夢、叶ったらいいなって、思っちゃうような、】

――――――、うふ、綺麗っていうか、ボロボロですけど。私たちじゃなくって……貴女が。

【目を細めるのなら、言い返す言葉すら、曖昧な音階で以って発せられる。言葉遊びに似ていた。――、なにか訝るような目をしていた、眉根が寄せられたままであった、なら、】

……、あの、神様が足らないのでは。その……えっと……。

【――傍らのアリアの服を引っ張った、背伸びするのなら、そのうんと高い位置にある耳を貸してくれの合図だった。こそりささめく、疑問符一つ、ごくちっちゃな声にて】
【知らぬ間にイルへ向かう敵意も落としてきてしまったらしかった。おそらくは、――先ほどのジェットコースターみたいな時に、ぽろって、取り落としちゃって、】

だって、あの人、――、ホントに、ミイミイ泣いてたんですよっ、嘘じゃないです、まあめちゃくちゃ態度悪かったですけど、――、私より真剣なくらいで、いろいろ、

【疲れているのかもしれなかった。だって昨日の夜はあまり寝付けないみたいだった。足をバタバタしてむーむー唸ってアリアの安眠まで邪魔したものだった】
【背伸びもほどけてしまうなら、三十センチの身長差。――。一人の訝りは、けれど、大局に逆らうにはあまりに無力であるのなら、】
【けっきょくは拙い上に寝ぼけたと疑わしきなにかを漏らすのでめいっぱいであるのだろう。――そんな風にする彼女より、よほど、眼前の神を殺したい人間は、多いのだから】

【(おんなじ神様を信じていた誼みと呼ぶには、なまっちょろい。――そんな温度であるのは、きっと、彼女が決着をつけるべき神様が、なんにも、してないから?)
849 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/13(日) 00:16:41.64 ID:Ulwdr1hQ0
>>836-839

【私は見上げていた。丘の下の草原で。足元、風でなびく草が撫でる】
【月明かり、照らされた夜露が光る。有名な油絵の星降る夜を思い出す】
【力強い感情と繊細な色合い、苦悩。美はどんなものも昇華させる】

【丘の上に立つ神は、誰よりも人間だと思った】
【人間を否定する彼女ほど、人間らしいものはない。皮肉な話かもしれない】
【だが、野望も、犠牲も、悪態も、愛も、意志も苦悩も嫉妬も。それらは人の形だ】
【どれだけ美しい人の中身も生き物である以上、臓物が詰まっているのと同じように】
【ドの美しい人の内面にも欲望や悪意は詰まっている】

【私は、ロボットである以上は人間を殺せない。】
【だからもう私は、一人の人間を見届けようと思った】

【これは憎悪で出来た、人間への讃歌だと思った】

【草原を撫でる風も、川のせせらぎも、優しく、包まれていた】
【悲哀とはこういう時に言うのだろう。】
850 :キャットV&善太郎 ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/13(日) 00:21:37.47 ID:xVXyV8uHo
>>836->>839

【合流したキャットVと善太郎は目の前の美しい光景を見ていた】
【言葉はない―――否、言葉を挟むことは失礼にすら値すると感じてしまったのかもしれない】

【ずたずたの肉体でそれでもただひたすらに願う彼女に、これ以上を挟むのはもはや無粋だと】


……決着を付けよう。イル=ナイトウィッシュ
ぼくの全身全霊を叩き込んでやる―――善ちゃん、きみも撃て

「……、おう。わかった」


―――    ≪ 召 喚 ≫  ――――


【善太郎が握る左手の小型銃―――否、銃にしては銃口が存在していない】
【彼は右手を持ち替え、W-Phoneを操作する、6の名前が載るうち上から二番目、≪エア-ドラゴン≫をタップすると引き金を引いた】

【彼の召喚によって前方に現れたのは―――青い鱗に覆われた2mほどの小型の龍だった、善太郎の合図とともに、風のエネルギーを収束する】

【同時、キャットVがベルト上部に3つ均等に並んだスイッチの一番左のスイッチを押す】
【続いて真ん中、右の順番で押すとベルトが待機音声をギュインギュイン鳴らしながらエネルギーを充填し始めている】すると電子音声が流れるだろう】


≪ONE≫≪TWO≫≪THREE≫

チリリーン♪       ≪Critical Clash!≫


【空中に跳び上がり、同時にベルトの鈴を鳴らし電子音声を鳴らすと、エネルギーが左足へと集中していく】
【跳躍により、彼は善太郎が呼び出したドラゴンの口の前にまで跳び上がる】
【善太郎が合図するとともに、ドラゴンは風のブレスを発射―――亜音速のスピードを込めて】


おりゃァ――――――――!!!!!!!


【とどめの、最大出力のキックを、吹き飛ばされた勢いを込めて】
【そのままイルの胸の中心めがけて打ち込みにかかり―――とどめを刺しに行く】
851 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/13(日) 00:34:45.36 ID:O+wxiYAmo
>>840

【温もりに触れるのは温度差、辿りきれないのも感情の果てに、然るにそれは何処までも鮮やかに】
【彼女は笑った、彼女は少しだけ悲しそうに、それでも多分に笑いが近い、ひょっとすると嘲笑かもしれず】
【──── 思いと感情のコントラストに、少しばかりの同情を込めた、少しだけ、ほんの少しだけ】


あはは、知ってるよ、鈴ちゃんがボクの事を好きになったのなんて百も承知だし、言われなくても分かってるもん、ばーか
ほんと、アンタバカだよね、ばかばかばーか、ばかすぎてもう呆れちゃうもん、ほんとに救えないよね
あのさ、分かんないの? ねぇ ──── 仕方ないから言ってあげるけど

ボクは鈴ちゃん殺したんだよ? ぶっ殺した相手を好きなままでいるって、そんな馬鹿なことないでしょ?
だからもう良いんだ、何時までも好きだの嫌いだの、馬鹿馬鹿しいし、やってること子どもみたいじゃん
ほんと最期の最期まで馬鹿丸出しだったよね、アンタ、──── だーいっきらい


【それで、それが最期、言い終わったならぷいっとそっぽを向く、アンタの相手なんかしてる暇ないし】
【それに興味も無かった、──── やっぱりアンタは嫌いだって、思ってるから、だから】
【少しだけ、もう一回、最期にちらっと振り向いたのも、多分きっと、嘘】

>>841

【イルは真っ直ぐに見据える、奇妙な宿縁の相手を、──── 冠する名前は同じく、その意味合いもまた近い】
【染まりきっていた、感情に、意思に、捉えられたその色を、彼女はどう形容すべきか知らない】
【──── ならば、ただ冷淡に笑おう、──── 病魔としては、それが相応しいから】


同感だね、ボクもそう思うよ、ぶっ殺すか殺されるかの関係性でしょ、ボク達なんて
綺麗になくなれたらいいなぁ、微塵の後悔も、僅かな躊躇も無く、まっさらに消し飛ばしてよ
おいでよ、今ならボクを、──── 殺させてあげるから

>>842

【ふん、と二人を見下ろして笑った、冷笑、──── 嘲る様な笑みは、彼女の持つ最期の意地か】
【銃口を突きつけられても尚、心は揺らがない、散々苦しめられた相手であったが、奇妙な縁もあった】
【一つ、また一つと数える、──── もう僅かかな、なんて思って】


あは、また、いつかだって、続く言葉は何かな、──── またいつか、殺してあげるよ
そうでしょ、ボクは病魔で虚神だもん、キミ達とは相容れないし、相容れる気もないし
分かったらとっとと撃ちなよ、──── 待つのは性に合わないんだ

>>843

【ジャ=ロかロールシャッハであったなら、此処で何かしらのどんでん返しでもあったのだろうか】
【けれども、目の前の病魔は、儀式一つすら終えることは出来なかった、それは能力者達にとって幸運で】
【──── パグロームにとって、サクリレイジにとっては不運であったのだろう、後に残るのは、虚構の神だけ】

【宙ぶらりんで残る関係性と共に、少しばかりの憂鬱を残そう】
852 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/13(日) 00:34:59.68 ID:O+wxiYAmo
>>845

【記憶の中の彼は笑う、──── あまりにも早い退場であった、虚ろな神も、世界の黒幕も、何もかも中途】
【然るに彼の物語は終わってしまったのだろうか、──── そうじゃない、残っている意思は確かにある】
【それが分かったなら、どれだけ、イルは羨ましく思うのだろうか、死んでも尚誰かの心に残れたら】

【──── 病魔だってニンゲンだって、化け物だって関係ない、万物が思う幸せなのだから】


…………ばーか、化け物が、知った口利くなって、アンタには絶対分からないし
ボクと違って幸せなんでしょ、精々ぶっ壊れるまでお幸せに、そん時は地獄で爆笑するから
じゃあね、化け物、──────── 大っ嫌い


>>846

【人形は刃を振う、その内心の働きを知れるほど、感じ取れるほど、彼女は心に対して敏感では無い】
【それでも、なにか伝わるものがあったのだろう、冷笑を浮かべて、笑いとばした】
【何処か愉快そうで、何処か寂しそうに、──── ちらり、と】


あはは、いいね、抵抗って言葉好きだよ、弱っちくて、最期に踏みつぶされる雑魚っぽいし
足掻いて藻掻いて抵抗して、そして呆気なく死んでくれたらさ、これ以上言うことはないから
応援してるよ、無意味な抵抗が少しばかり、世界を揺らすのを、さ


>>847

【悍ましき殺意をそこに見て、イルは嗤う、──── そうこなくっちゃ、始まらないから】
【エーリカにとって残念なのは、他のニンゲン達は真っ直ぐイルの命を奪うことを選択した点だろう】
【何処まで苛烈に責め立てようとしても、結局呆気なく死んでしまうのだから、救われない】


一切合切の躊躇無く、無慈悲に、冷酷にぶっ殺したいなら、御託は良いから殺すべきだよね
そういうトコにアンタみたいなニンゲンの弱っちいとこでてるし、ホント救えないなぁ、──── 情けなくて
でも、アンタみたいな弱っちい方が、ニンゲンらしくてボクは好きだよ、なんてね♪

>>848

【貴女には辿れない、その名残なんて今は消えてしまっているから、──── でも、"貴女"には伝えなければならない】
【それは無数の可能性、彼女の願いが萌芽するか、或いは蕾のまま消えていくか、それは世界の舵取りに任されたから】
【確かな事は一つ、彼女は祈った、僅かばかりの可能性を、──── それを成就しうる存在に向けて】

【綺麗な身体で生まれ変わったなら、神様とはもう呼べないかもしれない、──── 神様らしき力は、つくかもしれないけど】
【それ以上に神様が執念深かったら、また元通りに蘇ってしまうのかもしれなくて】
【結局の所、彼女と私は可能性を投げかけただけに過ぎず、後は委ねられているから】
853 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/13(日) 00:35:09.29 ID:O+wxiYAmo
>>849

【ロボットに理解される方が、ニンゲンに理解されるより呆気なかった、病魔という存在を、正しく汲み取ろう】
【病はニンゲンに宿れど、ロボットには宿らない、それは即ち、彼女という存在が、ニンゲンに深く寄与して】
【結局の所、誰よりもニンゲンらしいのは、誰よりもニンゲンといないと、生きていなかったから】

【──── たったこれだけのこと、たった、それだけのこと】

>>850

【真剣な眼差しを見つめた、──── 最期の最期くらい、軽口を叩けば良いのに、とも思う】
【ふぅん、だなんて不満げな顔をして二人を見やった、どうしようもないくらいに、戦士だった二人を】
【やっぱ好きになんてなれないねって、──── 小さく呟いて】


そんな真剣な目をしても、やる事には変わらないんだし、最期ぐらい饒舌に喋りなよ
そうして漸く決着が付くんだし、あーあ、最期の最期にケチが付いちゃったな
まぁいいや、そんな三枚目ぐらいが、アンタらにはお似合いだから、さ
854 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/13(日) 00:35:21.47 ID:O+wxiYAmo
>>ALL

【ラベンダーのレーザーが、アリアの銃弾が、ミラの一撃が、ギアの刃が、エーリカの刃がドラのキックが全て同時に、イルという存在を掻き消した】
【後に残るのは静寂、存在していた草原は少しずつ綻んで、元の場所へと戻っていく】
【能力者達は気付くだろう、私達は知らず知らずのうちに "旧市街" へ来ていた、相変わらず廃れた人気の無い街】

【かつてのストックホルムがそうであったように、イルの心象風景が街を塗りつぶしていたのだろうか】
【真実は定かでは無い、残ったのは、──── 泥の様に広がる虚無感と、疲労感と】
【結局、鈴音の行方は知れなかった、何処に消えたのか、生きているのかも】

【確かなことは一つ、イル=ナイトウィッシュという病魔はグランギニョルになれず消滅した】
【ただ一つ、それだけが真実、──── 誰にも覆すことの出来ない、確定した事項】
【それを悲しむ者も、弔う者もいないのだろう、彼女は最期まで、ニンゲンの敵で、あったから】

【夜は溶けていく、──── 月明かりが町中を照らし、人の営みを描き出す、そこにあるのは確かな日常】
【知らずの内に貴方達は救った、分からずの内に世界は護られた、イル=ナイトウィッシュの死は、それだけの事】
【世界を揺らす羽ばたきにも満たない、世界からは何れ忘れ去られ、そうして消えていくのだから】



【虚ろな神々は存在していた、その悉くは、──── 己の存在性の意義を求めていた】
【 "病魔" も "化物" も "極夜蝶" も "恐怖" も "死" も "絶頂" も "輪廻" も "無垢" も、──── 存在した全てが】
【やがて受け入れられる消滅していく、それはある種の自然の道理か、或いは流れか】

【虚構に彩られた神話は一つの結末を迎えた、報告書に記された脅威は消え去り、我々の基底たる現実は基盤となり】
【荒唐無稽な悪辣は姿を消すのだろうか、残虐趣味の神々が、遊び半分で命を奪うことも、無くなるのならば】
【それは確かに幸福へと向かう一歩に違いない、──── 救われる日々を、求めるのだから】



【けれども、それを確かな現実と呼ぶにはまだ淡い、現実とは地続きでは無く、水面に浮かんだ泡沫の如く】
【飛沫と共に弾けて消え去り、私達はまた、虚構の狭間を彷徨い続けなければならないのだから】
【一つの虚構は指し示す、──── 絶望的な未来を、絶対的な破滅を、不可避の未来として提示した】

【しかし、今を生きる貴方達は、未来の破滅を打ち破る、破壊的な破滅願望を可能性という希望で打ち破ったのだから】
【それは繋がり続ける一つの意思表示、──── 積み重ねる一歩一歩の論理と知識の先にこそ、望む答えがあるのだから】



【今はただ静かに祝おう、──── 世界が続くことを】



/これにてイベント "世界の終わり" 終了になります、皆様お疲れ様でした!
855 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga !red_res]:2019/01/13(日) 00:37:36.92 ID:O+wxiYAmo


「……こんにちは。あの、少し、お尋ねしたいことがあって――――。」
                                               「まあ近くによりなよ、大丈夫、とって食べたりなんてしないし」
「UNITED TRIGGERの白神鈴音――、だよ。」
                                               「ボクはね、スナークってゆうんだ、変な名前でしょ?」
                                               「だからね、イルって呼んでいいよ、鈴ちゃんにはトクベツに、本名教えてあげるんだから」

「――――――そぅしたら、隠さなくって、いいの? ばれちゃうかもしれないって――ずぅ、と、こわ、くて――、」
                                               「じゃあさ、もう十分じゃん、鈴ちゃんはもう十分、耐えたんだよ」

                                               「────『ケッコン』しようよ」    
「――――――――――――――、うん、」

                                               「────でも、あの時だけは、信じてもいいかな、なんて思って」

「――――、あのね、あのね、……聞こえてたよ。イルちゃんの声ね、いっぱい、聞いてた、」
「――他のひとの声も、聞こえてた、見てたの、でも、イルちゃんの声。すきだから。ずっと聞いてた、――――、」

「――ううん、イルちゃんに、好きって言ってもらえるからだがいい、」
                                               「えへへ、嬉しいな──、とっても、とっても、幸せだよ」

「イルちゃん、……イルちゃん、わたしの身体、ほしい、もういっかい、ほしいの、――、それでね、イルちゃんに、――、」
                                               「少しだけ待ってて、今度は、きっと大丈夫だから」

「――――――わたしのこと否定するものは要らない。――でも、――……。」
「だからね、――だから、そんな顔、しないで……。」

                                               「ボクは不完全な神様で、不完全な悪魔で、不完全な、不完全で──」
「……わたし、ね、――イルちゃん、すきだよ、不完全って、――そんなこと、いわないでほしいの、――――ヤなの、そんなの、」
          
                                               「っ……ボクも、ボクも、……好き、鈴ちゃんの事が、大好き──」


                                               「ボクはわがままで、自分勝手で、誰も、誰も、ボクのこと大切にしてくれなかったけど」



                                               「鈴ちゃんは、どんな目にあっても、どんな風になっても、ボクを信じてくれたんだ」





                「────、だからね、取り戻しに行かなきゃ、鈴ちゃんを」




                                「――――だからね、待ってる、ね、……、そうしたら、また、眠たくなるまで、お話、聞かせて――、」
856 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/13(日) 00:49:59.78 ID:qA9ZBpg10
>>844

………… わかってる。  わかってるから 大丈夫。

【その実何もわかっていなかったに違いない。こいつはまだ、ifをifだと思ってない】
【どこまでも甘ったるいことしか考えない。きれいごとだけで生きている】
【だけどそんな気持ちが馬鹿げてるものだなんて誰にも言わせたくなかった。だから】

――――――そうだよお。 だから ネ 、

【その先はもう言わなかった。誰のどんな決意だって、否定したくなかったから】


>>851>>854

ばかって 言うほうがバカなんだよ……。……、 好きだから 殺したんじゃないの?
あんたのほうが よっぽど   ………………バカ。

………………撃つタイミング、なくしちゃった  な。

【地面に取り落とした銃はそのまま。その先、ふたりを捧げることでしか喚べない悪魔は】
【結局呼べず仕舞いだった。だからきっと、約束を破ったラベンダァイスにも】
【殺すと誓った相手にも、きっと、決していい顔なんてできなくなるから】


>>842

………………。 ね、  鈴音 どこ行った のかな?
つかれちゃ った…………。 ……………………、

エーノ、ねえ、    これで本当に終わったの?

【血の通わない蒼白い肌は月光に照らされるのであれば、なおさら不気味に見えた】
【けれどそれを悍ましいと呼ぶ人は、少なくとも、ここにはいない。……それだけで十分】
【結局こいつは殺せなかった。ただ、ずっと無茶を重ねて、無茶なお願いばっかりして――】
【――それでも最後に引鉄を引けなかったのだから。どうしようもない子、だけど、彼は愛してくれると知っていて】

【――――。ほんとうに全部終わったのであれば、彼女は例の教会まで連れて行って欲しいと】
【そう願うのだろう。いつしか通信機越しにかけられていた<創造主>の術は切れており】
【生きているフリをまた、し始めていた。であるなら――深く深く刻まれた傷口から、滲むのは赤色だけだから】


//皆さま、本当におつかれさまでした!
857 :ドラ&善太郎  ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/01/13(日) 00:51:48.79 ID:xVXyV8uHo
>>853

……いいや、もういい。あまりにも喋るのが『遅すぎた』
どうせべらべら喋るんだったらもっと早くやればよかったね


【キックを打ち込んだその瞬間、イルの至近距離でそれだけ言うと】
【完全な手応えと共に敵の完全消滅を確認した】
【イル=ナイトウィッシュは……この瞬間おそらく完全に消滅したのだろう】

【顔を上げ、ベルトから鈴を外すと、四角い光が通り過ぎ元のドラの姿に戻るだろう】
【いつもの屈託ない笑みはそこにはなく、涼やかで力強い眼差しがあった―――彼は今まで存在したイル=ナイトウィッシュの最後の場所を眺めながら】


―――……きみの愛は、なかなかに醜くて……胸を打つ力強さがあった。いいものを見せてもらったな
その称賛の代わりって訳じゃないがきみのおっぱいを責め立てるのは勘弁しておいてやった。
ゆっくりおやすみ。……ぼくはもういかなくちゃならない

「………………。」

【ふ、と最後に大きく息を吹くと、ドラは事前に善太郎に用意させていた赤色のバイクに乗り込むだろう】
【そして、自分の愛車に乗り終えた善太郎は、ドラの珍しい様子に対しあえて言葉を挟むことなく彼に付き従いその場を去っていくだろう】
【ドラは発進の直前、一度だけイルがいた所に目をやった】

【振り返るのはその一度にとどめ―――ドラはそのままエンジン音も高らかに戦場から去っていくだろう】
【神話は終わった。この手で引導を渡し完結したのだ―――】

/お疲れ様でしたー!
858 : ◆KWGiwP6EW2 [sage saga]:2019/01/13(日) 00:56:01.83 ID:qA9ZBpg1o
>>851-854
【グランギニョルを倒せる形に顕現させる……それがイルの儀式を放置した理由だった】
【しかし、男が感じた当初の違和感の証明のように。イルはその儀式を完成の一歩手前で止めてしまった】
【それでも期待と警戒が同居していた】
【イルの望みがそうだとしても……今度は別の誰かが、グランギニョルの顕現を引き継ぐのではないかと】


【だが結果として……イルはそのまま消滅に至り】
【儀式もまた意味を無くす】
【グランギニョルは顕現しない代わりに消滅もすることはなく、彼等のルールを破壊するには至らなかった】


……ここでスナークか、イスラフィール辺りでも出れば盛り上がったんだろうが。
まんまと逃げ果せられたな、ボス。
ここまで徹底的に潰した以上、当分機会はないだろうぜ。

【恐らくは、遠いどこかで忸怩たる想いを抱いているだろう相手に、唾でも吐くような口調で告げると】
【さて、見知った顔もいくつかは有るのだが、挨拶など不要だろう】
【特にあの元ムリフェンとでも会話になれば別の殺し合いになりかねない】

何かすっかり蛇の憑き物が落ちた感じで結構だ。
うっかり殺せそうにフラフラしてんのを見かけない内は、手出ししないで置いてやるよ。

【鼻を鳴らして、男は今度こそその場を去っていった】

//お疲れ様でしたー!
859 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/13(日) 00:57:34.03 ID:0yK7VMcEo
>>848>>851>>856

【立ち昇る硝煙と銃声は告げゆくイルの死に際して撃ち放たれたものだった。弾丸は彼女を傷付けなかった。果てなく熱い薬莢ばかり虚しかった】
【 ─── であれば弔砲であった。綴られてきた物語を彼女たちは完遂した。ストーリーラインに描かれてきた、凡ゆる犠牲へ祈っていた】
【天蓋を包摂する幻想は自由意志の遺失と共に溶けていった。 ─── もはや誰に届く事もなくなった言葉を、ひとり、アリアは零した】


    「 ……… 映画のラストは、ハッピーエンドでなければならないと?」


【やはり彼女たちに夜は心地良かった。 ─── たとえひどく冷え込んで、温もりの燐光さえ遠く見えるのだとしても、夜は幸福だった。】
【その血塗れの掌に、エーノは/アリアは、シグレを/かえでを抱き寄せるのだろう。宛先のない独言を、遠い目をした青い双眸が、応じた】



     「 ─── 終わる事が出来れば、何だってハッピーに違いないさ。」



【「 ……… 終わったさ。」「 だかは、行こう。」所定の座標へと救難信号を設定すれば、程なくしてヘリコプターが到着するのだろう。八課に関わりのある人間が、乗り込むのなら】
【いずれフィルムは変色し、摩滅し、燃えて溶けて無くなる。 ─── 風切音にどこまでも遠く黒い街並みに、ただ悉くが忘れ去られていくのだとしても】
【彼と彼女だけは憶え続けるのだろう。生者に叶う葬礼は、その意志を留めて継ぎゆくのみと、ずっと彼は/彼女は従ってきた。もう少し見ていたかったのかもしれない。この世界の、明日を】



/皆さま長期間ありがとうございました&おつかれさまでした!!
860 :ラベンダー&サリード&レミー&アーディン ◆auPC5auEAk [saga sage]:2019/01/13(日) 00:57:58.25 ID:LInPFmkq0
>>856

{……そうか……}

【予感はする。だが、それ以上は口を挟む事ではない。少なくとも、今は――――】

――――――――ごめんなさい

【結局、機を逃してしまった夕月に、ラベンダーは何と言って良いか、分からなかった。ただ、約束を破ったのは、事実として、謝らずにはいられず】

>>851-854

――――開き直りますか。最後まで不快な――――ッ
{……見上げたものだな、神のなりそこないが……}

【熾烈な攻撃に晒される刹那、イルは確かに笑っていた。そしてそのまま――――死んでいった】
【結局、最後の最後まで、イルはそのままに――――悪辣な人格を抱えたままに、死んでいったのだろう】
【その胸中にある思いは――――この場の面々には、何も分からない。そして、知る必要も無いのだから――――】



【そして、一行は現実へと還る――――】

<っと、いけね――――――――みんな、大丈夫!?>

【全てが終わって――――最初に、慌てた様子で、アドラメレクはレミーへと戻る】
【膨れ上がった背中、そして無数に展開される触手を、慌てて体内に仕舞い込むと、複眼によってぐちゃぐちゃに潰れた顔を、元の少女のそれへと戻して】

――――思えば、傷は深いですッ――――左腹が、あのビームで焼かれましたし――――
{……サリード、白神 鈴音はどうした?}
「それが…………どこにも姿が見当たらないんだ。まさか……あの空間に置き去りになっているんじゃ……」
――――それなら、それで――――構いません。二度と、顔を見る事もないなら、それに越した事はない――――っ
{……お前たちの『備え』、結局使わず仕舞いだったな…………}
「でも……本当はその方が良いです。こんな残酷な最終手段――――使わないで済むなら、それに越した事はない……」

【現実世界へと帰還してみれば――――アーディンは別として、他の面々はボロボロだった】
【まだ、解決していない問題――――ウヌクアルハイと、白神 鈴音の決着が、残されているが、それはそれだろう】
【――――今は、遂に世界を救った事に、変わりないのだから】

――――他に、鈴音の様な――――いや――――イルの様な、何者かが、現れないとも、限りません
それは――――その時まで、備えておきましょう――――
{……そうだな。残念ながら、力が無ければこの世界、救う事などできやしない……}
「……分かりました」
<んじゃ、みんなはあたしが運んであげるから……ほら、手を出して>

【一行は旧市街を後にする。ただ、1つの戦いの終わりを、静か受け止めて】

(――――お父さん。大分時間は掛かっちゃいましたけど――――やっと、私の中の悔いに、ケリをつけられました――――)

【そして、1つの代理復讐の終わりを。静かに噛み締めた】

/お疲れさまでしたー!
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2019/01/13(日) 01:01:20.39 ID:Pu7JSa2iO
>>854

【撃った後の余韻が、嫌に耳に残っていた。まったく、とため息をつく】


お幸せに────、か。はン…………やっぱ、てめぇら似た者夫婦だぜ
鈴音にも…………おんなじこと言われたんだ。知ってるかは、わかんねぇけどよ

ったく……なんでこう…………この世界ってヤツぁ、この手の悲劇が多いかね
ま、なんだ…………精々、地獄で待ってなイルよぉ。…………次に会う時は、とびきりハッピーな物語でも駄弁ってやっから、さ


【ぎゃは、と笑う。そしてポケットからタバコを取り出して──ゆっくりと火をつけた】
【最近吸い始めたタバコだった。味にも煙たさにも、もう慣れた。ざり、と旧市街の土を踏みしめる】
【壊れたコンクリート混じりの地面。そこに感傷を抱いてもよかったが……今日はちょっと、疲れすぎた】

【それでも、今日は世界を救っただけだった。やることが終わったわけじゃあない】
【────ざり。ゆっくりとその場を去っていく。その途中】
【ほんのちょっとだけ、悪戯心ってやつが湧いてきた。どうせ驚かすんなら、顔を突き合わせているうちがいい】


>>カニバディール

【それはきっと、カニバディールやギアが後ろを向いている刹那だった】
【硝煙とタバコの香り/男の歩幅/しゃがれた声のそいつは、含み笑いをしてこう言った】


『世界は無事救えたみたいだな。じゃあ次は────未来を救わないとな、カニバディール』


【遠ざかる足音/背の高い男のシルエット/ボルサリーノハット/よれたトレンチ】
【そいつは旧市街の角を曲がっていった。きっと、よく知ったタバコの香りだけを残して】

/お疲れ様でしたー!
862 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/13(日) 01:05:59.10 ID:qA9ZBpg10
>>860

いーよいーよ。怒ってないの、不思議なんだけど、……ほんとだから。
だからネ、……今度こそ、パーティのこと考えて。あたしすっごく楽しみにしてるんだから――

【――これから先。鈴音のことでまた何かしら、敵対することになったとしても】
【それでも約束は守ってもらう、ひとつ、破ってしまったから――血の気の戻った顔で、彼女は笑っていた】

//ちょい付け足し!ありがとうございました!
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/13(日) 01:16:08.59 ID:xGlq1Pn80
>>851-854>>859

【だから結局少女は最後まで気難しいような顔をしていた。――。もはやイル=ナイトウィッシュを殺そうともしなかった。彼女が決着をつけるべき神様は違ったから】
【だからきっと最後/最期まで見ていた。何か言いたげな目だった。何も言えない目をしていた。――その目に蛇が浮かばないのがきっと答えだった、なら】
【全部終わって――なにもかもおわって、景色が塗り替わる瞬間まで、見つめていた。もはやその場に誰も居なくなったとしても、――、】

――――、――、ねえねえアリアさん、帰ったら、おてての手当て、私がやってあげますよお。……、――あ、違った。違いました、
私、怪我人でしたね。そうでした、忘れてました。多分内臓のどっかがないぞう……、やー、そんな重傷じゃないですね。もうちょい軽めの……、
だからおんぶしてくださいっ、おんぶじゃないと嫌です、おんぶじゃないとやーでーすー! 

【――ならば振り返るのは、本当に全部が終わってからであるのだろう。さっきの負傷を手上げしてあげる、なんて、えへんと胸を張る刹那に】
【けれど何か思いだしたらしい。この阻害の程度で大丈夫なら多分寝てれば治るたぐいの怪我であるだろうと理解していたから、これは、揶揄いだったし、】
【何か煮え切らないような心中を煮詰めるための振る舞いであるのに疑う余地もなかった。――ちいちゃな子みたいに両手を広げておねだり、元気な人しか出来ない仕草】
【そうやって抱き上げてもらうなら、満足するのだろう。満足して――、満足して、だけど、何か、決着はついたのかしら。内心のこと。過去のこと。――、分からないから/なら】

【――――気づけば少女は目を閉じてしまっていた。その耳元を執拗に寝息で擽っていた。だから、>>858の言葉も、眠りながら聞くのだろう】
【――"それ"でよかった。でないと彼女は彼を指差して「あいつストーカーです」とか「あいつのせいで髪切った」とか「殺されかけた」とかわめくに違いないなら】

【だから夢を見た気がする。思い出せない。――だから、まあ、いっかって】

/おつかれさまでした!ありがとうございました!
864 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/13(日) 01:24:47.29 ID:2/+PXiXW0
>>851-855
最期の最期まで、口が回る神様だ……悪いけど、死なないよ。生き汚なさなら負けない
応援はありがたく受け取っておくよ。世界が少し揺れれば、石が転がる。石が転がれば、山が崩せる。足掻いてやるさ、最期まで。お前と同じように

【神話は終わった。幕は下りた。それを見届けるのは、人間の役割だ。自分も、まだ人間だと魂に確かめながら】
【消えてなくなったイルを見送れば、後にはただ滅び失せた街。全てが虚構だったと言わんばかりに】
【結局、彼ら彼女らはその存在を世界に飲み込まれてしまった。あれほど己の存在を渇望していたのに】

【その爪痕は深く、それすらも時に流されて何でもないことになっていくのだろう】
【そのすべてに、打ち勝てたわけではないけれど。それでも。生き人形、ギア・ボックスは今はただ星空を見上げた】


「……終わればこんなものか」

【その頃には、もうカニバディールは分離している。この場の誰とも、もう話すつもりもなかった】
【また、世界は続いていく。己の邪悪も、まだ続く。奴らは世界に挑んで負けた。次は私の番だ】

【旧市街の建物の一つの上に佇むカニバディールは、眼下のギアと一度目を合わせ。そして踵を返した】
【最後に、頭上に外務八課のヘリを見つけると、懐から取り出した拳銃で苛立ち紛れに一発発砲した】

>>861
「……ああ、どうにかな。だが終わった途端に次とは、難儀なものだ。ああ、もう少し正義の味方のフリを続けてやるさ」

【鋭敏な嗅覚が、分かりすぎるくらいに伝えてきた。驚きもせず。当然に受け入れていた】
【ああ、世界は回っていく。遠ざかる足音もまた離れていく】

【振り返ることはなく、だが同じような含み笑いを漏らして。カニバディールもその場を去っていった】

/主催者様、参加者の皆様、本当にありがとうございました!
865 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/13(日) 01:30:40.40 ID:Ulwdr1hQ0
>>851-855

【病魔。そういう事かもしれない。】

【ウイルスというものはその依代無くては生きてはいけない】
【しかしその自ら持つ毒素によって共生することは出来ず】
【依代の相手を殺してしまう。そして、自らも生きる術を失ってしまう】

【それが不完全なウイルスという存在の宿命】

【不完全な悪魔はそれが必要だった】

【だけれど、その性質上、こうなってしまうのは必然だった】
【だから、抗った。だけれど、自らのためではなく、依代のために】

【他者のためにどれほどの人が自らを捧げられるだろうか】
【だけれど、これ以上の考察はやめようと思った】

【この思いも不可思議な謎も、美しい夜とともに消えてしまったのだから】
【墓を暴くような真似は無粋だ。ロボットが踏み込んでいいものではないだろう】

【敬意をもって。これで任務完了とする。】


>>ALL

皆さん。

【アンドロイドは丁寧に礼をし、その場で付き合ってくれる相手に一人ひとり挨拶をするだろう】

お疲れ様でした。

しかし―――

世界の危機はまだまだ、ありますよ。

それでは。また何処かの危機で。



/締めです。主催者様、参加者様。ありがとうございましたー
866 : ◆zqsKQfmTy2 [sage saga]:2019/01/13(日) 03:35:53.62 ID:6+PD4c7J0
>>853

それが最期に残す遺言かよ。………何処までも癇に障る。


【その通りだ。御託を並べるならば為すべきことをしてからだ】
【刃が届く前に他の奴らの攻撃の方が早い。でもこれは自分なりのグランギニョルに対する幕引きだから】
【どこまでもそれらしい態度のイルに対して冷たい口調で短い言葉を贈るのだ】


―――――、……思い出の中でじっとしていてくれ。
でも、また。私たちの世界を食むというのなら、何度でも付き合ってやる。
その始まりが来るのなら、また終わらせるだけなんだから、さ。


【八課の用意したヘリに乗り込むエーリカ。やがて飛び立っていくのなら、自分たちのいた場所を見下ろす】
【――――死に物狂いで踊ったあの場所は、あんなにもちっぽけだったのかと苦笑して】
【いつもの日常に戻るのであった。このグランギニョルを通じて得たもの失ったものは数あれど】
【一連のインシデントを生き延びたのだから。待ち人が出来たから。死んでる暇なんてないのだ、なんて感傷一つ】

//長時間ありがとうございました&お疲れさまでした!
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/13(日) 05:43:41.19 ID:gC8T1KSK0
>>885

【いつも通りに水底で泡を数えていた。"あっち"に行かないといけないんだって分かっていた。だけど行かれないから、ずうっと、ずっと、数えていた】
【だけど、――だけど、そうしていたら、地面がずるりって崩れてしまう、そんなの初めてだったから、――、――、ああわたしの身体、なくなってしまったんだって】
【誰に教えられるでもなく生き物たちがそうする本能みたいに気づいてしまう。だけれどもういいかなとも思った。――。頑張ったら幸せになれるなんて嘘だって、分かっただけだった】

【ならば崩れる先の世界は水面と空とそれから桜の木だけの。もう誰も来ない場所。すべての世界と時空と因果から切り離された、虚無より虚しいだけの場所】
【繰り返す日々を指折り数えて貴女が来るのをずっと待っている、なんてほど、わたしたち儚くないけど。すべてが嘘の世界なら、違う人にだってなれたのかしら】
【するり堕ち行くのを留める手立てなどありはしないのだから。――現世との縁を喪ってしまったのだから。輪廻より隔絶された魂は、もう二度と廻れないのだから、――、】

【――――刹那に、】

【ぎゅうって手を掴まれて惑う、――、――見上げたなら、真っ白な蛇のかみさまが泣いていた。閉ざされた檻の向こう側にめいっぱいに尾っぽを絡めて、腕を食むように】
【そうしてずるりと引き上げられる、――びしりと檻が軋む音がして。痛かったから離してほしかった。もういいよって言ってあげたくて、だけれど、言えぬ気迫で】
【――みしり、と、何度も何度も見ていたはずの檻は、思ったよりもあっけなく壊れてしまったから、嬉しいとか、悲しいとか、そんなこと、思うことすら難しくって】

【かみさまとふたりっきりでいくつかの話をした。それはきっと誰にも聞かせなくっていいお話だった。だから書かないの。わたしたちだけの内緒だから】
【確かであるのは、】【――――かみさまが、いいよ、って、言った】【もういいよって】【今まで悪かったって】【――、すまなかった、って、言って、泣いていた】
【――それだけ、だから、】【(そうして、それだけで十分であったから、)】【ずうっと結ばれていた不可視のなにか――未練――をほどかれる感覚はあんまりにあっけなくて、】


【――――――――――――――――だから、】
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/13(日) 05:44:19.26 ID:gC8T1KSK0
【――――――――――――――――だから、】

【――――、ふと目覚めるのは草原。夜と、川と、それから、お月様の光景。もう誰も居なくなった場所、もう、誰も居なくなってしまった場所】
【だからこれは夢なのだと思った。――屈んで指先で拾い上げるのは桜色の宝玉一つ。ならば、今までの"わたし"の全部、溢れさせてしまう、だって、もう要らないんだ】
【だからもう一度世界からはだあれも居なくなる。居なくなってしまう。それで終わりでもよかった。――だけれど、かみさまが、もう一回だけ、チャンスをくれたの】

――――――――――イルちゃん……。

【宝玉いっこで人間ひとり。憎らしいほどにそれ以上のことはできなくって、或いはそれすらも、かみさまと宝玉と、それから、何より大事な祈りの作用であるのなら】
【空っぽになった両手を胸に抱きしめて泣きじゃくる、――草原と川だけの世界に咲き誇っていた、きっと世界中で一番立派な桜の木。だってもう要らないんだ、貴女にあげるの】
【わたしの心に生えていた桜の木。どこにも行けない/逝けない魂を閉じ込めておく必要がなくなってしまったから、青空と水面と桜の空間が、その檻の寓意であったから】
【それからその傍らに、握り拳くらいの大きさをした、銀色の鈴。――。ぜったいに鳴らない壊れた鈴。――魔術式で構成された身体に於いての心臓、だけどこれだって要らないの】

イルちゃん、イルちゃん、イル、ちゃ、――、――、っ、

【――我慢できない涙が溢れてしまうのも宝玉のせいにしたかった。――したくなかった。だって、ねえ、まだ、お話だって物足りないの、もっとたくさんのお話、聞いてたいの】
【ねえ。あの時。貴女は何て言いかけたの。結局聞くタイミングを逃してしまってた。貴女はいつだってわたしのために何かしてくれて、――ただの一度だって返せてないの】
【なのにどうして居なくなってしまうの。――。またひとりぼっちにするの。そしたら今度は何をしたらいいの。たんぽぽのお花は枯れてしまったの、枯らされてしまったの、】
【もうなんにもおもいつかないの。生きる理由なんて見つけられないの。――――――――、吐息の奥に聞こえる鼓動が暖かくて、懐かしくて、嬉しくて、だけど、悲しくて、】

【――――――、体育座りに抱えた膝を解いたなら、知らぬ間に辺りはありふれた世界に塗りつぶされていた。――顔を上げたら目が合う、誰だっけ、知ってる顔】
【――ああ、あの日、イルと出会った日にすれ違った人。イルより先に話しかけて相手にしてくれなかった人。――。それでもなんだか心配げに覗き込まれていたから、】
【お互いびっくりしたみたいに数秒見つめ合ってしまって、――。転移の魔術式も剥がれてしまっていたから、足取りは自然と、旧市街のタワーマンションへ向かって】
【一晩くらいは勝手に眠ってしまって許してくれるだろうか。それとも許されるなら、このまま住んでしまってもいい気がした。――。ああでも、もう、嫌われちゃうのかな、なんて、】

【天井の明かりに透かす掌が、どこまでもおんなじで、どこまでも違う。神様の叶えてくれた奇跡にしてはちっぽけに見えて、だけど、世界中で一番おっきいって、知ってるから、】
【毛布にくるまって目を閉じるのなら、決して贋物じゃない本当の鼓動の音。数える。数える。数えて。――、だから結局泣いてしまう、だって、】
【いつだってこの部屋で眠るときは隣に貴女が居たのだから。――毛布をまくり上げたところに、いつか垂らしてしまったお醤油の痕だって、残っているのにね】

/おつかれさまでした!
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/13(日) 05:46:35.02 ID:gC8T1KSK0
【それから、少しだけ、あと――、とある街角。曲がり角の向こう側でひらひら誰かが手を振っていた。気になって覗きこむなら、――"あたし"が居たから、一つ瞬き】
【「えーすごい、ホントに人間に戻ってる」「まあ、いーけど。……ほら、連れてきてあげたよ、"かみさま"。可哀想な顔、してたからさあ――、」】

【「連れてってあげたら、だって、あたしたちの神様なんだし」】

【――――手渡されたのは見慣れた/手によく馴染む刀の一振り、――それからちょっと気まずそうに宿る、ごくちいちゃな霊魂。護り神様と呼ぶには少し矮小に過ぎるけど】
【――思うにカッコつけて別れたものだから、戻るに戻れずにっちもさっちもいかなくなったのだろう。奇跡が叶うことと、二人別々になることは、孕む意味合いが違うから】

【「じゃあもうバイバイね。"元通り"使えるようにしといてあげたから。それからこれが転移の魔術とー、それからー、」】
【――存外に多い"お土産"を置いていくのだって"かみさま"だった。踵を返す神様の、さらに奥に佇む人影も"かみさま"だった。――鮮やかな紫色と目が合って、瞬き】
【――――ごく悪戯ぽい笑みに手を振られて、それで、二人とも見失った。――彼女たちも異世界に棲まう神様であるなら、当たり前の離別、分かり切っていたから、】

――、もう、へびさま、そんな顔しなくっていいのに。大丈夫だよ、――、一生一緒だよ。これから先、ずっと。――百年間の続き、しようよ。

【だからせめて、もう二度と時計の針を止めずに済むように。それが全部のかみさまへのお礼になるのかしら、――そうだとよかった。そうであって、欲しかった】

/余談のやつです!改めてお疲れ様&ありがとうございました!
870 :無題 [saga !nasu_res]:2019/01/13(日) 13:38:36.53 ID:20KucZs7o


【 こつ、こつ、こつ、こつ…… 】


【深遠の淵を踏む残響】


 ――

 零から産まれた
 一つの虚しさを

 六人の王が護り
 八柱の龍が治め

 十の星が並んだ


 なら 人は幾つ



【 こつ、こつ、こつ、こつ…… 】


 ――

 誰も問わない


 その王は
 双つの三権を定めたのか
 三つの双互を誓ったのか


 その龍は
 対の双眸が向かい合ったのか
 双子を四隅に散りばめたのか


 誰も問わない


 神さえも


【 こつ、こつ、こつ、こつ…… 】
871 :無題 [saga !nasu_res]:2019/01/13(日) 13:39:24.28 ID:20KucZs7o


 ――

 僕は君を愛している

 なら愛は何を愛している?




 世界についての記述は終わった

 神は神を識らない



 これからは君の話




 僕は君を愛している


 君という
 因果の数を
 分けて解こう


【 こつ、こつ、こつ、こつ…… 】
872 :無題 [saga !nasu_res]:2019/01/13(日) 13:40:05.45 ID:20KucZs7o

 ――

 君は幾つの零から生まれた

 幾つの零が君を果てさせる



 夢幻から醒めよう

 10は1でも0でもない



 もう数え間違えない



 理解するんだ

 計劃を




 救いは
 0に在る

 ――


【 こつ、こつ、こつ、こつ…… 】





【 ……こつ 】



【 ぎい…… 】






【 ばたん 】



/ File:ZERO
/『2.0』
873 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/13(日) 14:22:48.93 ID:2/+PXiXW0
【水の国 某刑務所】

【最奥の連続殺人犯収容棟にて、こだましていた悲鳴の最後の一つが止んだ】
【制御室に拘束されて震えていた、所長以下複数の所員の下に重々しい足音が迫ってきた】

【現れたのは、身長2メートルは超えているであろう大男だった。薄汚れた灰色の作業服と黒いラバー地のエプロンに返り血が跳ねている】
【黒いゴム長靴で刑務所の床を踏みしめて、所長の前に立つ。短く切り揃えられた黒髪に角ばった顔付き。黒い瞳の両目、額に埋まった巨大な一つ目。三つの視線が所長を睨みつける】

……一方的に取引を打ち切った分は、これでチャラにしてやる。足りない養分を多少は補えたからな
死刑囚だけにしておいてやったから、一度に刑を執行したとでも言っておくがいい

【血塗れの口元で無茶なことを吐き捨てると、異形の大男は制御室を後にし、そのまま刑務所の裏門からこの場を立ち去ろうとする】
【すでに他の職員や守衛も縛り上げられ、連絡手段も断ち切られている。見咎めるとすれば、外部から訪れた者だけだろう】
874 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/13(日) 19:40:31.70 ID:mGYUpfpeO
>>873

「おいおいマジかよ杉原ドンピシャじゃん!」
「昨今の情勢を鑑みて、怪しそうな箇所は巡回する、基本ですよ軍曹」

【闇夜の収容所に悲鳴が木霊してから幾許か】
【裏手より出てきたのは、三つ目の大男】
【紛れも無く求めていた人物であり、そして今や誰もが恐れて止まぬ人物】

「カニバディール!!……ですよね?」

【先ずはキャスケット帽の少女、妙に小柄な少女がその大男に声をかけた】
【威勢が尻窄みなのは、ご愛嬌】

「探しておりました、カノッサ機関No.s、チームMカニバディール氏とお見受けします、櫻国陸軍の者です!」

【少女と反対側、カニバディールを挟み込む様に、今度は背の高い、しかしカニバディール程ではない男性が声をかけつつ姿を見せる】

「話がある、聞いてほしい!」


//よろしくお願いします
875 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/13(日) 20:01:02.20 ID:2/+PXiXW0
>>874
【キャスケット帽の少女が、声をかけてきた時。大男は素早くそちらに向き直って見構え、警戒をあらわにした】
【小柄な少女相手にそうするのは、この男が臆病者である証拠だ】

【まして、この男がしてきたことを考えれば見知らぬ相手は大抵が敵。そう考えて差し支えない】
【だが、少女の口から出た言葉を聞けば。意外そうに表情を変えた】
【挟むように現れたもう一人の男性を振り向く時は、やはり挟み打たれたことへの警戒が再び滲んではいたが】

……チームM。普段ならすぐにも強行突破を図るところだが、その名を出されては立ち止まるしかないな
櫻の陸軍とは、またホットなところがお出ましだな。虚神の一件がひと段落したばかりだというのに

如何にも、私がカニバディールだ。機関員の肩書きを振り回して、小さな悪事を重ねているゴロツキの小悪党だと覚えていてくれればいい
それで……私に何の御用かね?
876 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/13(日) 20:19:48.91 ID:mGYUpfpeO
>>875

「んっ!」

【カニバディールに身構えられれば、やはり全身に警戒が走るも、それを行動に移す事は無い】
【同様に少女も臆病と見える】

「櫻国陸軍、情報部杉原兵長です」
「同じく、風野百合子軍曹だ、海軍情報士官厳島中尉の関係者として話がしたい」

【男性が現れれば、やはり警戒の色を滲ませるカニバディールに、2人はそう名乗り】

「小悪党など、ご謙遜を……やはりある程度、こちらの事情はご存知の様子ですね、先だってアーディン氏にもお会いしました……お会いできて幸いです、カニバディールさん」
「虚神?ひと段落?あの件解決したのか!?と言うかどうにかなったのか!?」


【カニバディールの返答に、2人は二者其々の反応を見せる】
【こと偽りなく交わされた挨拶は、話をスムーズに運ばせそうで】
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/13(日) 20:32:44.94 ID:gC8T1KSK0
【街中――――広場】
【クリスマスも正月も終わって幾日か。であれば、そろそろ何となくチョコレートの香りがしてくる気のする、とある夜でも】
【通りから少し離れてしまえば静かな夜更け、ざりざりした足音は砂粒を踏みつける音で、――――、ぱあっと眩い、自販機の前】

もぉ――おてて冷たいよお。おててひんやり……。心があったかいから、仕方ないんですけどー。……うーんと。どれにしようかなぁ……。
……。……。うーーん。……。甘い奴がいいからあ、昨日いっぱい頑張ったから、まだちょこっと、眠たいし……。……。ココアと蜂蜜レモン……。

うーん……。……あっ、甘いコーヒーでも、いいなあ。……。えっ? コーヒーの会社ってスープ出してるんだあ。へー……。

【――どうやらうんうん悩んでいるのは少女であった、自動販売機の前に佇んで、その手にはお財布を握って。小さな声を漏らしながら、視線をきょろきょろ】
【しているうちにどうにもいろいろ目についてきてしまうらしい。ならば余計に悩ましいもの、うんうん唸って、――、その時点で、おそらく、三分ほどは経過していた、なんて】
【大通りのようにごった返していなくとも、人気はそれなりにあったから。誰か見ていてもおかしくなかった、独り言の激しい子が、飲み物を決めかねている、なんて風に】

【――――純白の毛先は腰まで届く長さ、きちんと眉を隠す長さの前髪に、青空とも海とも取れぬ水平線の色の眼。とろんと甘そうな垂れ目の眼はごくご機嫌そうな色】
【雪のように白い肌はそれでも寒さにほっぺたを薄紅に染めて。いくらもあどけない顔つきをしていたなら、間違いなく大人ではなく、けれど、子供とも言い切れず】
【白色のニットに赤色のロングスカート。ちらり覗く足元は薄手のタイツとショートブーツであるらしい。細いかかとを合わせたなら、身長はおそらく百七十を超えて】
【やっぱり悩む吐息ごと体温を護るようにコートの前を寄せるのなら、至って窮屈そうに豊かな胸元が揺れる、――「これにしよ」なんて声、お財布から取り出す硬貨数枚にて】

やっぱり、冬はココアですよね。うふ。蜂蜜レモンもいいし、変わり種もいいですけど、やっぱり、王道は愛されるから王道なわけで――、ひゃんっ!?

【がこんっ、――やがて購入するのは言葉通りに暖かなココアであり。もはや当たるとも思わぬルーレットの音を横目に、取り出し口から取り出して】
【薄手のドレスグローブを纏っていた。ならばほんの少しだけ苦戦するような間の傍らで、ピー、なんて、気の抜けた電子音。ぴゃあと猫みたいに肩をはねさせるなら】

えっ……、これ当たるんだあ、初知りなんですけど。……。えぇ? えーっ、えー。あ。あー。うーん。あーーーー……、あー、アリアさんの! アリアさんのにしよ、
それがいいです。ぅふ。わーい、やったあ、新年幸先がいいです。この分だと年末には宝くじで億万長者ですね、やったあ、そしたらー、そしたらー。

【――どうにも当たらぬはずのルーレットが当たったらしかった。ならばまたいくらか賑やかな独り言、もひとつごとん、音がして。全部の手続きを終えるのなら】
【当たった飲料はポッケにイン。自分の分は、かちゅりと開けて。――最寄りのベンチによいしょって座るなら、ごくご機嫌な呟き、足先ぱたぱた、お花だって飛ばしちゃいそう】
【だから、――誰か見ていたら、やっぱり、すごく賑やかな子であるのだろう。甘やかで涼やかなスズランの声をしていた。――ごく平和な幕間、事件性など、欠片もなく?】
878 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/13(日) 20:36:57.64 ID:2/+PXiXW0
>>876
【年若い少女の反応とすればあまりに見慣れたものぁったが、それでも腰を抜かさないだけ彼女も軍人であるのだろう】

情報部……厳島の縁者か……!! 捕えられたと聞いた時は、もはや再会は叶わないかと思ったが
派手に逃げ延びたらしいな。誰が手引きをしたのかは知らないが

【逃したのが、カニバディールが蛇蝎のごとく憎む外務八課だと知れば、相当に機嫌が悪くはなるだろうが】


さあて、謙遜とまでは言えないだろう。今現在、そちらの国許と軍内部を騒がせている件など、私などより遥かに巨大なものを感じるがね
なるほど、私のことを話したのは仕置きの猫又か。流石に顔が広いな

つい昨日、虚神の最後の一人との決戦があった。アーディンも参加していたよ。その戦いでスナークことイル=ナイトウィッシュは消滅した
まだ爪痕は深いが少なくともこれ以降、虚神に纏わるインシデントは起きないだろう

私がここに来たのも、あそこで「養分」を補給するためだ

【それぞれに重い声音で返しつつ、後ろの刑務所を指し示す】
【そこで何をしてきたのかは、この悪党についての噂と新鮮な返り血の痕跡を見れば予想はつくだろうか】
879 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/13(日) 21:03:57.69 ID:P4pKjr810
>>878

「ええ、先だっての駆逐艦轟沈の報道ですが、あれは彼等の救出作戦の為のものです、最も、その後に此の国の……黒幕の手に大和が渡る事となりましたがね」
「救出の作戦は『外務八課』による物だ、中尉達の身柄もそこに保護されている」
「我々はアーディン氏を始め、中尉達のこの国での協力者にコンタクトを取り情勢を広め、収集、必要とあれば身柄を保護するのが任務です、櫻国で何が起こっているか……この国に何が起ころうとしているのかを、です」

【カニバディールも、ニュースを見ていたのであろう、先だっての櫻国海軍駆逐艦轟沈事件、やはりと言うべきか厳島達の救出が目的にあったようで】
【うっかりと彼にとっての禁句となろう、その名を口にしたのは、彼と外務八課の関係性を知らないが故に、最も隠してもかのカニバディール相手だ、行く行くは知られる話なのだろうけども】

「さて、昨今の報道での各地のスクラップズの事件、こちらも中々に出来る事ではありますまい、貴方様も、また巨大な豪傑の1人です」

【報道はマメにチェックしている様子で、最近頻繁に報道されるカニバディール絡みの一連の事象も漏れなくチェックしている様だ】

「なるほど、虚神はこれで全て消滅したのですね……」
「ん?となると、鈴音、UTの白神鈴音ってのはどうなったんだ?確かそのイルに囚われて、んで途中一回死んでなかったか?」

【強大な敵達、異世界の邪神、虚神の戦いの終焉を聞く】
【カニバディールやアーディンを始めとした、彼等、能力者達の手により、この世界を脅かす事象の一つは去ったとの事だった】
【だが、報告文書でしかその事象を知らぬ2人には、やはり情報に齟齬と幾分もの伝わり難さが発生している様だ】

「養分って、うへっ……」
「いえ、まあ、何となく予想はしてましたけどね、何となく……英気を養うのは、大事ですから」

【カニバディールに関する報告と、先程の断末魔】
【青ざめた顔で、後ろの刑務所を見る2人】
880 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/13(日) 21:19:58.06 ID:2/+PXiXW0
>>879
駆逐艦の件はやはり厳島らのことに関係していたか。「黒幕」が力をつけたのは痛いが、人的損失を避けられたのは幸いだ

!!! 外務八課……奴らが……いや、失礼

【一瞬、カニバディールの巨躯から殺気が立ち上る。すぐに己を諌めて引っ込めたものの、二人には伝わるだろう。この悪党は、外務八課に対して殊更に強い敵意と嫌悪を抱いていると】
【Mの繋がりは複雑怪奇。本来なら敵対する者同士もいる。この場の三人もおそらくは、事のすべてが収まればすぐにも敵に戻る間柄だ】

人脈を繋ぎ、対抗手段とすることを目的としているわけか。責任重大のようじゃあないか。軍人というのも難儀な職業だな
ふ、ふ。私の起こした騒ぎも把握済みというわけか。お言葉はありがたく受け取っておこう

【頷きつつ、二人に品定めするような無遠慮な視線を投げる。重要な任務を任されるだけの、確かな実力者であることを確認するように】


そういうことになる。鈴音に関しては……今は不明だ。共に消滅したのか、逃れたのか……
いずれにせよ、彼奴にはもはや世界を滅ぼすほどの力は残っていないと思うがね

詳細が知りたければ、外務八課も参加していたから彼奴等に聞くといい

【鈴音に関しては、さりげなくこれ以上の他者の追求を避けようとしつつ、語る】

わかってもらえるかね。そうだとも、英気は養わなければな
イル=ナイトウィッシュとの戦いの傷が深くてね

【そう言って笑う表情の醜悪さ、アーディンのいうことが正しいとわかるだろう。この男は根っこのところが悪党で、今は単に状況によってこの立場にいるのだと】
881 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/13(日) 21:57:30.97 ID:P4pKjr810
>>880

「はい、其方の経緯もお話ししましょう……何より情報の共有が重要な局面ですから」
「海軍の狙いは、新鋭艦である魔導イージス艦を用いての世界の軍事バランスの崩壊と、掌握だ」
「黒幕とはその過程で組んだ様ですね、また秘密商社ヨシビ商会と将軍家との関連も疑われて居りますが、こちらは報告が乏しく確証がありません」

【立ち話故にか、簡単ながら説明を付け加えて】
【だが、外務八課の名をうっかりと出してしまえば】

「ひッ!」
「軍曹!……すみません、何やら因縁がお有りのご様子で……」

【立ち上がる殺気に、思わず悲鳴を小さく漏らす百合子と、構えるも、非礼を詫びる杉原】
【なるほど、チームMは決して一致団結した軍では無い、ディミーアの言葉が今になり良く解る】

「はい、この国での厳島中尉達の仲間達や協力者達、彼等と接触し、そして情報を共有する、或いは仲間を募ると言い換えても良いでしょう、其れが我々の任務です」
「海軍があの様子だからな、病床の前司令長官土御門晴峰元帥が、我々陸軍を頼ったのが始まりだな、全ての切っ掛けは、凍結された魔導イージス艦の研究、其れを今の司令長官、蘆屋道賢が見つけ出したのが始まりだ」

【品定めする様なカニバディールの視線に、説明も交えつつこう答える】
【あまり情報部の軍人には見えないだろうが、少なくとも歴とした陸軍軍人である事は確かな様で】

「なるほど、彼等の脅威が去れば、我々としては一つ安心と言えるでしょうね」
「う〜ん、そっか、なら外務八課も訪ねる必要があるからな、その時に聞いてみるか」

【虚神、そして鈴音の事に関しては、何処か質問を身を躱す様子のカニバディールに、これ以上の言及は避けた2人だった】
【何か此方にも事情があると察して】

「そ、そうだよな!す、スタミナって大事だからな!」
「気力も回復させねば、ですからね、やはり傷は深かったのですね……」

【醜悪な笑みと答えには、やはり引きつり、そのままの表情と顔色で無理矢理な笑顔で答える】
【やはり、アーディンの言う通り、善人では有り得ない、考えには大きな隔たりがある様で】
882 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/13(日) 22:30:40.37 ID:2/+PXiXW0
>>881
同感だ。チームMは秘匿性を重要視してきたが、状況は変化している
Mの関係者にも少なからぬ被害が出た以上は、出し惜しみをしてもいられないからな

魔導イージス艦、水の国に貸与されたというあれか……確かにあれほどの力を持って黒幕とも組んだとなれば
世界の軍事バランスの崩壊も掌握も、不可能ではないと思えるな

ヨシビ商会!? そうか……いや確かに、関わっていても不思議ではない。将軍家、といえば無茶な改憲を強行したと騒がれたが、あれも黒幕が関わっていたのかもな

こちらこそ、すまないね。完全な私的な感情だ。目的のためには抑えるさ

【頭を下げて見せる姿勢は無駄がなかった。異常性とのギャップがそこに見て取れるだろうか】


厳島もあのようなことになるまでは、精力的に活動していたらしいからな。協力者も少なくはあるまい
海軍の方は、もはや完全に黒幕派に掌握されたと見ていいわけか……陸軍の方は、今や櫻国でそれに対抗する数少ない勢力、と

その蘆屋道賢が、海軍を我が物とし黒幕に加担する櫻の癌というわけだな? それに凍結された計画が拾われるとは不運な……

【語りつつ、陸軍情報部への評価を上方修正する。彼らは間違いなく優秀だ。すでに事態をかなり把握しているのだろう】


ああ、大きな問題が一つ片付いたと言えるだろう
それでも、脅威が山積みなのがこの世界だがね

【彼らがそれ以上突っ込んでこなかったのは幸いだった。鈴音については、あまり語りたくなかった】
【自分もその脅威の一つだというのは棚上げにする】

そうだろう、そうだろう。何をするにもまず体力だ
相手が相手だからな、あの戦いに参加した者は相応に無茶をした

【彼らの表情には気付いたのだろう、それ以上異常性はひけらかさず、顔を引き締めた】
883 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/13(日) 23:13:06.37 ID:P4pKjr810
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884 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/13(日) 23:18:46.80 ID:P4pKjr810
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885 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/13(日) 23:36:12.61 ID:P4pKjr810
>>882

「そのお考えは何よりです、何せ局面が局面ですから……厳島中尉の協力者、取り分けチームMの皆様は恐らくかなり重要なキーパーソンとなるでしょう」

【対黒幕にして、対能力戦闘に多くの経験を持ち、そして何より知識を持つ者達、彼等との協力こそ戦う力と成り得ると】

「いえ、アレは魔導戦艦『大和』櫻国海軍の誇る決戦級戦艦ですが、違います、魔導イージス艦とは、ホムンクルスに妖怪や妖魔の魔翌力回路を核ごと取り出して移植、それを起動キーと管制、制御装置とした言わば生きた軍艦、科学技術と魔導の完全なる融合を果たした次世代の軍艦です」
「その唯一の成功作が『みらい』と言うのだが、このホムンクルスの方が脱走してな、海軍はこの国でそいつを血眼で探している、ちなみにみらいは今はアーディン達が保護している、当面は大丈夫だろう」

【補足的な説明を加えつつ、詳細を語る】
【狙うのは、世界の制海権の確保、軍事的優位に立つこと、なればこそ、或いは真っ先に危ないと言えるのは此の水の国と、氷の国かも知れない】

「ヨシビ?ヨシビ商会は妖怪や妖魔を取り扱う秘密商社ですが、関係性は明確な証拠が掴めて居らず不明です」
「……だが、先の法度の改正の件もある、十中八九噛んではいるのだろうがな、と言うか、そのヨシビがどうした?何か知ってるのか?」

【話がヨシビ商会と将軍家の事となれば、妙な反応を見せるカニバディールに、こう聞き返して】

//分割します
886 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/13(日) 23:50:50.65 ID:P4pKjr810
>>882

「はい、中尉は櫻国の内部で発生した事象を事前に知り、調査を開始していました、或いは自分が捕縛される事も予期していたのでしょう、此の国で見た事、関わった事、知り得た情報、関わった人々等全ての情報を記載した文書を陸軍に送りました」
「海軍イ号文書、私達がアーディンやカニバディールの事を知って、接触に踏み出せたのは此の文書のお陰だな」

【百合子はタブレットを見せながら、此の中にその文書の全文が収められているのだろう】

「概ねその認識で間違いありません」
「海軍にも、現司令長官に与しない鎮守府や泊地の所謂前長官派が居るには居るが、数も戦力も違い過ぎるな」

【故に今櫻国の動乱で対抗勢力となり得るのは、陸軍の他は此の国や或いは各地の能力者達だけと言えるのだろう】
【或いは、それ故に厳島達と共闘経験があり、知識を有する者達が手を貸してくれるのは、かなり有り難い話であると】

「ええ、かなり手強い敵の様でしたね、カニバディールさん程の方が、これ程消耗するとは……」
「他のチームMや、能力者も怪我を負ったのか?アーディン達も?」

【顔を引き締めるカニバディールに、話したくない様子の話題を逸らしつつも、しかし気になる部分はこう聞いて】
887 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/14(月) 00:54:46.94 ID:tKhc3Q050
>>885-886
こういう事態に対応するために、チームMは結成されたんだ。紆余曲折あったが、まだその名が生きているなら協力するに否はないさ

【巨大な敵に相対するには、個々を束ねる他ない。そが呉越同舟だとしても】

ほう……すまないな、軍事には疎いものでね
しかし、話を聞くだに想像以上に大事じゃあないか。ホムンクルス、つまりは人造の命に妖怪を殺して奪った力を埋め込んで
軍艦と融合した生物兵器にするということか? 非人道性では我々機関にも勝るとも劣らないな。科学と魔術の融合、それほどの大業の成果が兵器とは全く人は度し難い
成功作がただ一つということは、量産出来るほどではない……いや、それも研究が進めばわからないか。その成功作の流れで「みらい」とはひどい皮肉だ……

アーディンが? なるほど、海軍も一つのミスもなくとはいかなかったわけだな。肝心の核に逃げられた挙句、避難先が仕置きの猫又の膝下とは。取り返すにも到底、一筋縄ではいくまい
自我のあるものを兵器にするのは、これだからわたしは賛成出来ないね。兵器とは、どこまでも意思のないただの道具であるべきだ……

【虚神との戦いにかまけているうちに、水面下ではのれほどの事態が進んでいた。この世界の危機は留まるところを知らない】
【「みらい」が運用可能となれば、この上ない脅威。ついこの間作り上げた、ニューロンシティの水上要塞など粉々にされる。異形の背中を怖気が走る】

……「みらい」のことも話してもらったことだし、ここは答えるのが筋だろう。といっても、大したことは知らない。ただ私は、ヨシビ商会とは幾度か取引している。妖怪を戦力に加えるためにな

【カニバディールの巨体から湧き出すように、複数の妖怪が姿を現す。配下を肉体をゲートに召喚する能力】
【櫻出身の二人なら知っているだろうか。野衾。狒々。三頭の鎌鼬。櫻の国の妖怪たち。奴隷ではなく、自らの意思でカニバディールに従っているかのようにその巨体の側に立つ】

やってくるのは現場担当の平社員ばかりで、その根幹は知らない。わかっているのは、彼らが妖怪の捕獲に関してはプロフェッショナルであること
そして、彼らのトップは社員たちすら顔も見たことがなく名前すら知らされていないということだ。徹底した秘密主義……商会の根幹を探るのは至難の技だろう

恐らくは、ホムンクルスに移植する回路を手にするための妖怪の確保を担っているといったところか

【カニバディールの異形の顔に、また別種の恐れが見えた】


なるほどな。流石は厳島だ。転んでもただでは起きない。捕らえられることすら計算に入れて、保険を打っていたとは

【タブレットを見る3つの目には、厳島への賞賛と彼が敵に戻った時への恐怖が同居していた】

むしろ、その反司令長官派がまだ生きていられることが驚きだ。あるいは、あまり殺し過ぎてはまずいと捨て置かれているのかもしれないが

【状況は深刻だ。ここまで押し込まれているとは。虚神が滅んでも、休む間もないらしい】

Mに関わるもので参加したのは私を除けば、アーディンとその関係者であるUT所属のラベンダァイス、同じくUTのギア・ボックス。そしてミラ・クラァケとゾーイとかいうアンドロイドだ
後は外務八課のメンバーが四人、サクリレイジのパグローム。もう一人、変身ヒーローのような妙な男もいたな

全員がかなりの傷を負った。癒えるまでは、時間がいるだろう
888 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/14(月) 01:33:44.15 ID:ndxcIEwq0
>>887

「頼もしい限りです、中尉がこの国で活動中、皆さんを頼ったのも解ります……」

【ここにまた一つ、協力関係は成ったと言える】
【巨悪に立ち向かうための、その芽の一つが芽吹いて】

「まさにその通りですカニバディールさん」

【教養と見識のなせる物だろうか、突拍子も無い話でありながらカニバディールの認識は早かった】

「何、人間科学技術が発達する時の条件は一緒さ、戦争の時、後は欲が絡んだとき、これだけだ」

【等しく呆れた口調で百合子が答える】
【古来より戦争と三大欲求に絡む事にのみ、科学は発達してきた】
【ここに一つ足すとしたら、宗教が加わるのだろうか】
【いずれにしても、カニバディールが言う様に人の世界とは度し難い】

「幸いなことに、海軍は未だアーディン氏の所在も、そしてみらいの所在も判明しては居ないようです」
「アーディンも相当な戦力を持って警戒しているからな、確かに現状最も安全な場所の一つだろう」

【完璧に進行していた作戦の僅かな綻び】
【或いはそれが、布を破り尽くす決定打になるやも知れず】
【最も、水上要塞の戦力すらも脅かすであろう、強固な手、それが魔導イージス計画であると】
【そうなればもはや、制海権は奪われたに等しく】
【カニバディールの懸念は、実に正しかった】

「妖怪を戦力に!?」
「取引、ですか!?」

【カニバディールの話は、まさに予想の斜め上の話であった】
【アングラな繋がりであるとは言え、まさか取引相手に出会えるとは】

「ひ、ひえッ!?杉原!!」
「なるほど……野衾と狒々、それにこちらは鎌鼬ですね、よくもまあ手懐けて……」

【証拠とばかりに呼び出した『部下』の妖怪達】
【現れた瞬間は、飛び退いて驚いた百合子と冷静にそれらを観察する杉原だった】

「恐らくはその見識で合っているでしょう、証拠となる一手が欲しい所ではありますが」

【依然妖怪達に興味を示す杉原、ヨシビ商会が結びつくのは、ごく自然な流れなのかもしれない、と】

「はい、現状稼動できる戦力は全て当たっている状況です」
「我々陸軍、ごく一部の海軍、この国で手を貸してくれそうな能力者達……それでも……」

【ジリ貧であり、そして何より時間はそう多く残されては居ないだろう、と】
【先にカニバディールが懸念した魔導イージス艦の量産、これが叶ってしまえば海軍、ひいては黒幕の思うツボであると】

「ラベンダァイス!?アーディンの話に出た、あ、イ号文書にも記載があるな!」
「ミラという人物も同じく記載がありますね、ゾーイさんとは、先だってお会いした富獄会の霧崎さんがお話していたアンドロイドの方でしょうか?」
「何やら彼女達も動いている様子ですね、チンザノ・ロッソ氏の意志とか、何とか……」

【知った名前が幾つも登場し、驚愕の表情を浮かべる二人】
【予想以上に、繋がりとは強いのかも知れない、と】
【だがそれ以上に、それだけのメンバーが負傷し直ぐには動けずに居ることも、また冷たい事実なのだろうが】
889 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/14(月) 01:43:52.64 ID:fAL0YcDv0
>>677

【EMPグレネードはサージ電流を発生させ電子機器類を破壊する】
【ラースの用いる装備ともなればその対策として防護されているが】
【一時的なシステムのシャットダウンと再起動は免れない】
【したがって現在は移動などの最低限の機能しかないため】
【追うにおえないことは自身もわかっていた】

【同じく乱入者もその数秒の時間でラースを倒すことは不可能であり】
【この場から立ち去る時間を稼ぐことしか出来ないということもわかっていた】


――ゾーイと申します。


【この場では「説明は後」であるとか「名乗るほどの〜」が正解かもしれないが】
【得体の知れない乱入者は真面目に返答し、バイクのアクセルを回した】

【躊躇のない加速で戦場からは3秒で遠のき、5秒で見えなくなり。10秒でもはや別の場所だ】
【ビルの路地、高架下、メトロの支線――この街に張り巡らされた裏道をバイクはひた走る】

【この街の暗所。存在しない場所。零番地。未指定行政区。】
【湾港のそばにできた違法建築物。隙間なく建てられたビルはまるで城塞/カスバ】
【何百年も前、湾港の防御としてつくられた埋立地、砲台跡の基礎にそれは建っている】
【普通の街の続きのようなシームレス。だけれど空気はそこに入った瞬間に完全に変わる】
【そこの住人が全員、見ているかのように】

ジェットシティへようこそ。

【バイクの運転手は城塞の路地の手前で停めると、何分かぶりに口を開いた】
890 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/14(月) 02:15:25.28 ID:tKhc3Q050
>>888
こちらこそ、頼りにしている。本職の軍人の協力があるとなれば心強い

【悪の身で悪と対峙する。全く我ながら馬鹿馬鹿しい。そんな自嘲は胸の内に】

どんなに突飛な話に聞こえても、現実に起こりうるのがこの世界だ。私自身、それを思い知らされてきたよ

それは言えているな。文明の裏には、常に欲望と争いあり、だ。後は信仰や民族辺りか?

【己もまた、その度し難い業の中にいる。きっと、いつか人が滅ぶまで終わらない輪廻なのだろう】

だろうな。アーディンはそれだけの力のある男だ。情報網もさることながら、彼に協力する強者も多い
……とはいえ、虚神との戦いではアーディンの仲間のうち二人が戦死しているようだ。彼も常に無傷ではない
魔導イージス艦のことも考えれば、悠長に構えていられる余裕はなさそうだ

【言葉の端々には、アーディンへの畏敬が見て取れる。いずれ敵となるとはいえ、彼には一目置いているらしい】
【アーディンの膝下は確かに安全だ。だが、その牙城も人の繋がりによるところが大きい。人的損失が、大きく影響する】
【魔導海軍の戦力を思えば、完全な楽観視はできない。臆病ゆえの懸念がカニバディールを襲う】

ふ、ふ。すまない、驚かせたかね?
流石は櫻国の軍人だ、妖怪の知識はあるらしいな

何、根気はいるが対話を重ねれば出来ないことじゃあない。妖怪とて、意思ある存在だ

【この異形、望んで自身に従う可能性のある相手を見極めるということにかけて、天性のものがあるらしい】

ふむ……証拠を掴むとなると、現状では糸口が足りないな。私とて単なる顧客に過ぎない
深入りしようとすれば、取引を打ち切られて終わってしまうだろうな

【杉原が観察を続けても、妖怪たちは荒い反応は返さない。カニバディールの統率は確かなもののようだ】

それだけの戦力を集めても、まだ彼奴等に対抗するには足りないか……なかなかに厳しいな
時間はないが、蛮勇を奮って突撃したところで勝ち目もなし……

ああ、そのラベンダァイスで合っているだろう
あれほど精巧なアンドロイドは、そうはいまい。これも間違いないはずだ
ロッソの意思……なるほどな。チンザノ・ロッソはチームMにおいても頼もしい存在だった。惜しい男を亡くしたよ

だが、意思を継ぐものがいるなら……まだ負けではない

【遠い目をして、すぐにやめる。感傷など似合わない。ロッソに笑われる】
【しかし、やはり事態は芳しくはない。押し込まれている。じわじわと】

さて……一通りの話はわかった。それで、今後の方針はあるのかね?
この件での協力は惜しまないが、私は魔導海軍絡みについては糸口を持っていない。どう動いたものか……
891 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/14(月) 03:08:47.55 ID:ndxcIEwq0
>>890

【危うい均衡の、だが確かな盟約が交わされる】

「そうそう!人の常だね〜、全く考えるのも馬鹿馬鹿しい……」

【人が人であるが故に、あるいは人が人を超えぬ限り】
【この連鎖は終わることが無いのだろう】
【或いはそれは、黒幕の計画と行動を肯定するかのようで、そこも踏まえて百合子は考えるのを止めて】

「仲間が二人も……」
「シャッテンとヴァルター、その二人だって随分強かったぞ、あのクラスが二人ってどんだけ強かったんだよ虚神……」
「アーディンってやっぱり只者じゃなかったな……」
「彼の助力が得られたことは、改めて光栄と思うべきでしょうね」

【やはり本人も無事では済まなかった虚神との一連の戦い】
【その苛烈さを、改めて思い知る二人だった】
【そして、いずれ敵対しなければいけない定めであるのだろうが】
【カニバディールの言葉の端端からは、アーディンへの尊敬と畏怖が良く感じ取れて】

「早急に手を打たねば、なりますまい」
「最も、何かあれば直ぐに私達も駆けつけられるようにしているがな」

【アーディンの下に集った仲間達、だがカニバディールが言うとおり】
【そして当のアーディンがそう言っていた通り】
【人の手による物がその繋がりは大きく、そして人的な損失は大きな痛手となって襲い来るだろう】

「一応一通りの知識は、しかしこれはまた見事に……鎌鼬もちゃんと三匹揃って……」

【きっちりと統制の取れた妖怪達に、そして栄養状態も良いのだろう行き届いた配慮はまさに部下や仲間に対しての物で】

「いえ、ヨシビ商会、連中の暗躍を知れたのは僥倖です」
「後は、地道に情報を収集する他無いな、裏で暗躍してるって言う確証は得られたわけだし」

【これまでは、その存在すら怪しまれた暗躍結社】
【だが、こうして取引の実績のある人物が現れれば、その存在は確かの物となり】

//分割します
892 : ◆zlCN2ONzFo :2019/01/14(月) 03:09:02.94 ID:ndxcIEwq0
「アーディンが艦隊決戦には何か考えがあるみたいだな」
「そのゾーイさんと霧崎さん、そして初瀬麻季音氏が、対黒幕に何か策を考えている様子ですが、それが何であるのかは聞けず仕舞いでした」

【それぞれがそれぞれに、何か秘策を持っている様で】
【だが詳細までは明かされていない】

「そうだな、この文書に記載されている協力者と仲間達、出来うる限り彼ら全員の助力を得たいと思っている」
「そしてもう一つは、その身柄のの保護だな、情報収集はその過程で同時並行してってのが今の行動の方針だな……」

【タブレットを見せる】

【銀ヶ峰つがる:協力者、UTに身を置く、たんぽぽ関係者】
【夕月:協力者、たんぽぽ関係者、虚神との戦いにて共闘、詳細不明】
【ミラ・クラァケ:チームM、詳細不明、UT関係者?黒幕の罠にて共闘】
【和泉文月:魔導海軍戦技教官】
【リオシア・ステロヴァニエ:現地徴用兵、魔導海軍二等海兵】

「今の所接触が急がれる者達は、こんな所か?」
「叶うなら彼女達に接触したい、情報があるならば欲しい、それと……仲間になってくれそうな能力者、もし居るならば、情報を開示して誘って欲しい、一人でも多くの手が欲しいからな」

【すっと名刺大のメモ書きを手渡す】

「私と杉原の連絡先だ、何か新しい情報が入ったら教えて欲しい、或いはそうだなアーディンの下を訪ねてみるのも良いかもしれない」
「我々からもその都度、情報と必要があれば助力を行います」

【提示したのは、暫くは水面下での暗躍行動と仲間を募る行動】
【情報は何か得次第、お互いに密に連絡を取る、と】

「幸いにも現状大きな動きは無さそうです、仲間を募り戦力を整えるならば格好の状況でしょう」
「それと、アーディンもカニバディールも怪我を負っているのだろう?ならば治す事が先決だな」

【そう告げると、特にアーディンから引き止めねば、このまま真暗な闇の中へと二人は消えて行くだろう】
【動乱の静かな夜が、冷たく更けてゆくように……】


//お疲れ様でした、この辺りで〆でよろしいでしょうか?
893 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/14(月) 03:33:35.65 ID:tKhc3Q050
>>891-892
【そう、危うい均衡だ。世界は常に、ギリギリのところで保たれている】

【人の世の業であることには、頷きを返して見せながら。そろそろ、自分がこれをいうことの矛盾に耐え切れなくなって、やめた】

(シャッテン……! やはりアーディンの下にいたのだな。いかん、彼奴の肉を思い出すと、涎が出そうだ……)
全く、虚神どもに関しては本当に良くどうにかなったものだ。が、犠牲は大きい。あまりにもな
アーディンは確かな腕の持ち主だよ。その繋がりは大事にしておくといい

【この先、敵となるにしても。今、この場では同盟者。ならば助言も惜しまない】

ああ、その通りだ。戦は巧遅よりも拙速。軍人にとっては言われるまでもない基本だろうがな

鎌鼬を三頭揃えたのは、ヨシビ商会の手腕だよ。これ一つとっても、彼らの腕前はわかるだろう?

【キイキイと鳴く鎌鼬兄弟と、狒々と野衾を戻してみせる。スクラップズもまた、徐々にではあるが力を増しているのだ】

それは良かった。後は、こちらでも可能な限り調査を試みる。何かわかれば、また情報を共有しよう
(有力な取引相手を失うとしたら、惜しいがな……)

【裏社会では裏切りは常。とはいえ、ヨシビ商会は自分にとっては良き商売相手だ】
【黒幕との繋がりの可能性がある以上やむを得ないが、個人としてはこの繋がりに傷が付くのは痛手である】


錚々たるメンバーだな。それだけのメンツなら、各々確かな対策を用意してくるだろう

【詳細が伏せられているのは、共有の点ではマイナスだが今聞いた者たちの名】
【何れ劣らぬ手練れたち。彼らなら、相応の手段を用意してくることは信じられた】

ふむ……協力要請は可能だろうが、保護となるとどうだろうな。それぞれ、目的を持って動くバラバラの繋がりだ
まあそこは、私が心配しても仕方ないな。こちらは、情報収集を優先しよう

後はそうだな、このリストで未接触の者に会ったら私からもお前たちのことは伝えておこう
勧誘についても了解だ。人手はいくらあっても足りない。せいぜい、動き回るさ

【リストには知らぬ名の方が多かったが、何が繋がるかはわからない。会う可能性もあるだろう】
【考えながら、メモを受け取るとこちらからも連絡先を渡す】

諸々、了解した。互いに、足掻くとしようじゃあないか
今はわずかな猶予期間、やれることは全てやらねばな。だが、まずはお前たちの言う通り……傷を癒すとする
それではな

【闇に溶けていく二人を見送ると、カニバディールもその場を去る】
【止まることなき世界の、新たな闇の底を目指して】

/長時間ありがとうございました!
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/14(月) 17:03:21.01 ID:U5VyUD+s0
>>877
/のんびり再掲しておきますっ
895 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/01/14(月) 21:05:50.50 ID:RTC8SPsz0
【UT酒場――誰もいない、けれどわずかな照明と申し訳程度の空調がついた中】
【水の音がしていた。ちゃぷちゃぷ、小刻みな波の立つ音。――ポリバケツの中に張った水】
【それがまた、小刻みな歩幅に合わせて揺れて立てる音だった。やがてそれも、何歩目かで沈黙し】

(…………つがるんは、もちろん、返信もなにもしてくれないってのはわかってんだけど)
(ヤサカまで。連絡が来ない、既読もつかない、……もしかしてブロックされた? どうして)
(そういや真っ先にあいつが、あの騒ぎの後にた■■ぽに向かってった……なんかあったの?)

【どん、と地面に置かれる。そしたらその後はごそごそと衣擦れの音。ポケットを探っているらしく】
【現代人として当たり前のプロセスみたいにスマホを取り出す。液晶を撫ぜると青い光が沈黙して】
【薄暗い部屋の中でぼうと浮き上がって見えた。まるで人魂、あるいは鎮魂のろうそくみたいに】

【わずかな光から辿るなら。そいつ――少女の髪は痛々しいほど赤色をしていた、液晶を見る瞳も同色】
【お世辞にも余所行きとは言えないようなラフな服装。裏地がボア生地であったかいトレーナー】
【合わせるホットパンツもデニムの裏は似たような生地。投げ出す足だけ、寒々しい薄さのタイツに包まれ】
【であるなら、ブーツでも履けば少しはましだろうに――そうじゃなかった。赤い厚底靴。それで立っていて】

(………………。……鈴音も結局、……どうなったか、わかんない、し)
(ホントに一人になっちゃった。エーノ、……に言ったってどうしようもないもんな、あの人も忙しいし)
(どうしよう。どうすればいいのかな、もう、…………、……んんう)

………………ひとりでも、やるもん。とりあえず掃除、――――――

【ぶちっと乱雑にスリープボタンを押して、画面を落とす。そしたら滑り込ませるようにスマホをしまって】
【オーバーサイズの袖口で目尻を拭う。そうしたら、それを捲って背を丸めて屈みこんで――また水音】
【バケツの中に両手を突っ込む。浸しておいた雑巾を引っ掴んで、やけっぱちみたいな手つきで絞って――】

//予約のやつです
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/14(月) 21:46:56.64 ID:U5VyUD+s0
>>895

【――――――――小さな音がした。それも、うんと小さな音。喩えるのなら、ポケットに突っ込んである鍵を引き摺り出して、キーホルダーと擦れたような】
【ならば誰かがごく近くを通っていったのかもしれない。――そんなはずはなかった。誰か歩いてゆくなら、道側の窓に人影の一つ二つ、映るはず】
【であれば、もしかしたら"だれか"が居るのかもしれなかった。そうと思うのなら、なにか、様子をうかがうような気配がした。――気づいてしまえば、いやに、怪しい】

【まして今の情勢であれば。――。食中毒を出した慈善事業。結果として犯人はスクラップズという扱いになっている。――世間に於いて。けれど、違うって知っているから】
【近所のひとたちの中で一つ噂になっていた。いくらか前に、長い事姿をくらましていた給仕が戻ってきていた。けれど様子がおかしかった。――扉を閉められて】
【なんとかして開けた時には、誰も居なかった。ちみどろがそこにあった。ぬらりぬらりよく分からぬ液体に塗れた子供たちが気絶していた――なんて、そんな】
【――"嫌な"温度と共に広がりつつあった。そうして結局少女はお話の中からすらも姿をくらました。――。"あの日"結局彼女は一言もしゃべりすらしないまま】

【――――――扉のノブに掛けられたオープンとかなんとか書いてあるような看板が夜風に揺らいで、かつん、かつん、扉に当たる音が繰り返されて】
【扉の向こうに人の気配がするのは、少なくとも確かであるのだろう。様子をうかがう気配。――――"もしかして"なんて思わすには、十分すぎるくらいの、沈黙】
【深呼吸のたびに漏れる白い息の湿度は決して店内までは伝わってやくれないから。くれないなら。――やがて意を決して伸ばす手の強張りも、やはり、伝わりやしないのだから】

【――ちゃり、ちゃり、――、かちゃん、】

【鍵の音。けれど、中に居る少女からすれば、その鍵は開いているのだから。ましてや、ありふれた客であるのなら、鍵など持っていないし、真っ先にドアノブを廻すに違いない】
【――開いてたはずの鍵が閉まって、また小さな間が空いた。小さな間がたっぷり数秒の間になって。――、かちり、がちゃん。改めて鍵が開いて、沈黙、一つ、】

【(或いは。訝しんで扉のそばに寄っていたりしたら、聞こえるのかもしれなかった。ちいちゃな声だった。「――、あれ、」なんて、不思議がる、鈴の音)】
【(不思議が理解になったときの詰まらす息の音。――それからゆうっくり鍵を改めて開けて、深呼吸するような沈黙、のち、)】

【――――、誰かに会うつもり、ないのかもしれなかった。だから次にするのはじゃりと足音だった。踵返すような、――、けれど、やはり間が多かった、ものだから】
【その前に扉を開けることも十分にできるのだろう。扉の向こう側の不審者は、この場所の鍵を持っていて。誰も居ないと思っていて。訪れたのに違いないのだ、こんな時世に】
【まして関係者であるなら普通に入ってくればいいのを、入ってこられぬような"だれか"だ。――最も確かであるのは、"そいつ"は、誰かいるなら、逃げ出してしまう、後ろめたい奴であること、なら?】
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/14(月) 22:10:54.08 ID:RTC8SPsz0
>>896

【絞った雑巾を広げて、はさむタイプのモップにセットして。一応、椅子を全部机の上に置いたのを確認したら】
【まずは床の拭き掃除から。ほとんど音も立てずに作業するなら、沈黙だけがその場を支配していた】
【だから――鍵の開く音には敏感に反応する。合鍵を持っているのは兄と、白い子と、あとは】
【本当に純粋にここに所属している人だけ。心当たりがなくって、だから最初は泥棒かと思う】

………………今来たって、盗むようなものなんかないのに。

【それ以前に、無人とはいえ天下の正義組織に泥棒に入るようなやつ。よっぽどの自信家であるに違いない】
【であるならそいつの間抜け面を少しばかり拝んでおきたい気持ちがあった。それと、イライラしていたから】
【捕まえるついでに多少の八つ当たりだって、ぶつけたところで文句は言われないだろう。やりすぎないなら。――、】
【ずかずかと大股で扉のほうへ向かっていく。そうしていたらまた鍵が開かれる。逃がすものか。乱暴に腕が伸びて】

【――――ドアノブに手をかけた。その向こう。聞き間違えるはずもない声がするから、】


――――――――ま、待って、待って!!
ねえ、ちょっと、待っ…………ああもう! 待ってったら、あたしだよ、ドロボーとかじゃないからっ!

ね、待ってってば、ねえっ――――――鈴音!? 鈴音なのっ!?

【血相を変えて力任せに捻り、ばん、だかどたん、だか。大きくて乱暴な音を立てて勢いよくドアを開ける】
【「相手」がそういう音に弱いのは知っていたはずなのに。それを考える余裕もなかった。ついでに言えば】
【口をついて出る怒鳴り声だって「彼女」は苦手だろうに。それでもやっぱり、そこまで配慮は回らなくって】

【つんのめってそのまま前にずっこけそうな勢いで、ドアの向こうに上半身を投げ出す。赤い頭がぶんぶん振られ】
【必死に周囲を見渡しているのだけがはっきり見えるのだろう、これから先、何事も見逃すまいと】
【ぎちぎちに見開いた眼が忙しなくあちらこちら探していた。夜に溶けそうな色合いの、彼女のこと】
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/14(月) 22:32:04.07 ID:U5VyUD+s0
>>897

【もうきっと誰も居ないのだろうと思っていた。いろんなことがありすぎたから。みんなに迷惑をかけたくなかった。――もう遅いのだとしても】
【――だから当然に鍵はかかっているものだと思っていた。故に鍵を閉めてしまって、傾けた方向に違和感を覚えた。あれ、って、思った。はたり瞬き】
【――――喉の乾く感覚。しまっただなんて考えてももう遅かった。きっと気づかれてしまっていた。――、とりあえず閉めてしまったものを開ける、開けて、どうしよう、】

【逃げてしまえばいいんじゃないって思った。思いついてしまった。――見られる前に居なくなってしまえば、よく分からない謎の訪問者になれるんじゃないかって】
【さも妙案であるように思えたから翻す、――早足に数歩。裏路地に入って転移の魔術で逃げちゃう。それが作戦だった、のに、――】

――――――――――っ!!

【――その後ろでばたんっ!と開けられる扉の音に驚いてしまう、ひりひり緊張の中であったのと、やはり、大きな音はどうしたって苦手であったなら】
【ぴゃんっと跳ね上がる仕草は後ろにきゅうりを置かれた猫のそれであるのだろうか、びっくりのあまりに縺れる足取り、ひゃう、なんて、気の抜けた声が、やっぱり、鈴の音】
【堪えて堪えて、堪えきれなくて、――ついにバランスを崩したなら、そのまま、ずべり転んでしまうのだろう。受け身とかも録れない一番無様な転び方、平らな胸から地面にダイブ】
【――――――ふわっと一瞬遅れで翻るスカートの中身はふわっふわのパニエの集合体であるのだろう。それも、ぽすっと、平たいお尻の上に全部、積もったら】

ゆづきちゃ……、……、

【驚きか痛みにか潤んだ眼差しが振り返って瞬いた、あどけない顔の眉をうんとうんと下げてしまって、わなわな震える唇の端っこから、漏れる声は貴女を呼んで】
【間違いなく見つけ出せるだろう。だってお洋服は全面全部が砂ぼこりになってまっちろい、こんなんじゃ夜には隠れられなくて、――隠れられないから、もう、逃げない】
【怒られるって分かってる子供みたいにぎゅうっと目をつむって震えてしまうのだけど。――かくれんぼとおにごっこの失敗にしては、ずいぶんと、必死であるなら】

【迎えに来てくれると言うなら素直についてくるのだろう。来いと呼ぶならやはり素直に来るのだろう。とかく、第一声は、】

あ、あのっ、あのね、……、――、っ、あの、ね、あの、……、

【――――なかなか出てこない。真っ白い頬っぺたを強張らせていた、コンピューターがとりあえず応答なしを表示したまんまガリガリ言っているみたいな顔をして】
【タスクマネージャーだって立ち上がってこないようなフリーズをしていた、なら。――。その前にいろんなこと、言ってしまうのだってきっとできた、だって、見間違うはずない】
【真っ黒い髪に真っ白い肌に色違いの眼差し。――ごくシンプルな黒いワンピースにレース編みの付け襟。ふわふわに膨らんだスカートのラインから伸びる足はやっぱり細くて】
【羽織ったコートは背中が編み上げになってるデザインのもの。ちょうどいい高さのかかとしたパンプス。――。転んだ時にちらっと見えたガーターベルトの金具は今もう見えないけど】

あの、……、……。…………、ごめん、なさい、……。

【蚊をすりつぶしたくらいにちっちゃな声だった。きっと何もかもに謝っていた。証明するみたいに、まっしろけっけになった黒色のワンピース、はたくことだって、後回しで】
899 :文月 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/14(月) 22:39:12.91 ID:ekvAdrnqo
>>889

【彼女は、と言えばふらふらと覚束ない足取りでおっかなびっくりバイクから降りるだろう】
【そのまま近くの壁に力なく手をついたなら、着物の裾零れる指先が口元を覆う】
【先人曰く乗り物酔いである、この少女、ゾーイが描くレッドゾーンに、グロッキー】


わっ……ぷ……だめ、動かさんといて……あぁ、お慈悲を
……
待って、待ってくらはい、─── もうしばし、あぅ


【数分して漸く落ち着いたなら、ぐるりと周囲を見渡して、惚けたように口がぱっくり】
【気づいて慌てて口を閉じるも、その内心ははっきり分かるだろう、それほどまでにこの街の雰囲気は特別で】
【つい言葉が出た、目の前の相手に対しての】


─── 和泉 文月どす、助けてくれはったんは、ほんまに嬉しいけど
……うちの頭でも理解できはるぐらいには、説明もらえると助かります
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/14(月) 22:51:52.63 ID:RTC8SPsz0
>>898

【ドアを開けた、その場でへなへなへたり込む。辛うじてノブを握った手で倒れないよう体を支えて】
【けれどどうしたってお尻が地面についた。だけどそうしていたのもつかの間、相手が転んだのを見たなら】
【やっぱりへっぴり腰の具合でなんとか立ち上がって、それで、手を貸しに行く。そしたらもう】
【手を引っ張って中へ連れ込もうとするのは無意識だった。ここで逃してなるものかと、無意識に思っていたらしい】

【――ぎい、ばたん。室内に連れ込めたのなら後ろ手にドアを閉めて――鍵もかけてしまう】
【相手が転移の術式を持っているのだと、知っていようがいなかろうが。とにかくここから帰したくなくて】

………………、………………、………………、

【ぼうっとした顔をしていた。それでも目はやっぱり見開いたまま。その周囲に引き攣ったみたいな皺を寄せて】
【そうしつつも茫洋と手を動かしていた。ほっぽり出したモップを壁に立てかけて。机の上に逆さに置いていた椅子】
【引っ張り下ろして、持ってきて――座れってことらしい。そしたら自分の分も用意する。したら、そしたら、】

………………ごめん、ごめんねええ、ごめん、……なのはあ、あたしだよおぉ…………。

【ばかみたいな面を晒して、ぼだぼだいろんな水を流しながら、泣き始めてしまう。座るより先に】
【相手が転んで砂ぼこりに塗れているのも厭わずに、抱きしめにかかるのだろう。叶うのならば肩口に顔を埋め】
【そこをあまりにも無遠慮に濡らしていく。体温の生ぬるさ。あ゛ああ、という泣き声は、くぐもって聞き苦しいものだった】

【――申し訳ないと思っていたのはこいつも同じことだったのだろう。何が。■■ぽぽ、こんな風にしてしまったこと】
【それか、二か月前。怖がるとわかっていて怒鳴りつけてしまったこと。そのせいで酷な選択をさせてしまったこと】
【あるいはもっともっと前――去年の夏ごろ。喧嘩とも呼べぬくらいに一方的に、やはり、怒鳴りつけてしまったこと】
【全部全部もっと早く謝れていたなら。……ひどい後悔に心理のすべてを支配されてしまうのに】
【こうしてもう一度会えたことがどうしようもなく嬉しくて。それすらどうしようもなく、申し訳が立たないような気がして】
【いつごろ落ち着くかは知らないが、とにかくしばらくはずっと泣いて、ごめんねごめんねと繰り返すのだろう】
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/14(月) 23:21:51.69 ID:U5VyUD+s0
>>900

【縺れた足が絡んだままで地べたに伏していた。――ならやっぱり無惨だ、引き攣った唇の向こう側で、きゅう、なんて、子犬の断末魔みたいな声がする】
【へっぴり腰の夕月に迎えられるなら、こちらも負けず劣らずのへっぴり腰なのだろうか。――。助け起こされたままの手、なぜだか繋いだまま、変に緊張して】
【手を離したら怒られる気がしたんだった。――であればそのまま大人しく収容されて、鍵もかけられて。そしたら、借りて来た猫を据え置くみたいに、佇む】

……………………………………。

【ならば二人ともに沈黙を貫くのだろうか、何か手伝おうとしたらしい足先が、けれどその勇気を出しきれなくて、ただ惑う。出してもらった椅子、見下ろして、いて】
【二人分の椅子が用意されるのなら、――ゆるり座ろうとするのだろう。処刑される死刑囚が電気椅子に腰を下ろすような足取りだった。――それくらい緊張している、なら】
【中途半端な高さのところをぎゅうって抱きしめられて――――っ、びっくりと惑う、強張った身体の何倍も強張った指先が、ふるり震えて、その背中に触れる、刹那に】
【肩口が濡らされることに文句を言うはずはなかった。それ以上の文句をたくさんたくさんたくさんかけてしまった。全部自分が負うはずのものだった。――、だなんて、】
【もはや言うこともできぬのだろう。喉が詰まってしまったみたいだった。内側からいくらだって言葉が出てきそうなのに出てこなくって。窒息の寸前に、】

――――っ、ごめん、なさい、――っ、ごめんなさ、っ、ごめ゛ん、ね、――、

【――かろうじて紡がれた息がきっかけになってしまうのなら、ぼとり落ちた涙はきっとうんと大きな一粒。閉じ込めてた分が出てしまうみたいに、溢れ出るなら】
【抱き縋るみたいに抱きしめ返すのだろう。そうして洋服だってぎゅうっと掴んでしまって、同じように肩口に顔を埋めこむのなら、おんなじ涙の温度、伝えるだろうか】
【三十六度五分の体温をしていた。神様と呼ぶにはあんまりに人間じみた温度をしていた。とはいえ、ずうっと昔からおんなじだけの体温を宿していた。涙の色も変わらないから】

ゆづきちゃ、――ごめん、なさ、っ、わ゛たしっ、――、わたし、――、

【すぐに吐息がひゃぐひゃぐ言ってぶれてしまう、過呼吸みたいな吐息を繰り返して、顔を真っ赤にして、それでも涙は止まらないまま、しゃべるのだから】
【鈴の音の特異性も相まってひどく聞き取りづらくなってしまうのだろう。――。それでもきれいな声できれいなままの顔で出来る話じゃなかった、そんなはずなくて】
【ならばいっとう不明瞭になった言葉の中にいくつかの人名を見つけることもできるのだろう。――、ヤサカさんが。カルラが。つがるちゃんが。ミチカが。――、そんな連なり】
【ただし確実であるのはどう考えてもミチカ、――曽根上ミチカ――については未練があって申し訳ないはずないのだろう。であれば、新たな何か、されたのかも、しれない?】
【――なれば何か気づくのかもしれなかった。カルラは少女が彼女らに****を委ねた間もよく来ている子だった。けれど居なくなってしまったんだ。みんな。みんな。みんな】
【"彼"とだって連絡が取れない中で、彼女も何か知っているのかもしれなかった。――ぎゅうと服に縋る指先の力は制御できないくらい無遠慮で、だから、余計に、何か伝えて】
902 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/14(月) 23:22:07.26 ID:fAL0YcDv0
>>899

乱暴な運転になり、申し訳ございません。
奴らの目を掻い潜るには少々回り道をする必要がありました。

【フルフェイスは詫びる。バイクから降りるとそのフルフェイスを外した】

【銀髪のショートカット、片耳に複数あけたピアス。ダークカラーのアイメイクと】
【真っ赤なリップのカラーは“反権力”と書いてあるが如し】

【そしてそんなことよりも驚くべきはその容姿だ。この世のモデルや女優の良い部分を集めて】
【更に理想に合わせて整えたかのような完璧な姿に近いのだから】
【むしろ、それが違和感だ。これほどまでの完全は不思議と“生”といった感じがしない】

――はじめまして、和泉さん。

ご説明させて頂く前に、1つこちらから。
和泉さんは何処までご理解していて、そして、何処まで説明を求めますか?
この街のことや、テクノドッグス社のことなどについて。

テクノドッグスと戦い、そして能力者である貴女には聞く権利があります。
しかし、ある一定以上からは――義務も発生します。それだけご注意を。
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2019/01/14(月) 23:35:02.00 ID:RTC8SPsz0
>>901

【「もういいの」「もういい」「帰ってきてくれて」「ありがとう、うれしい」 ――――、】
【もっと早くに言うべきだったことがたくさん出てくるのはあまりに今更過ぎるから、それで終わってしまって】
【ならば二人しばらくわんわん泣き続けるのだろう。少しばかり埃っぽい空間の中、それも厭わずに】

【やがて――落ち着きを取り戻し、たと言ってもしゃっくりと鼻をすする音の混じる中】
【ひとつひとつ鈴音の言うことを拾い上げていくのなら、険しげな顔をして首をひねるのだろう】
【真っ赤に染まった鼻と目尻と、袖口で拭いながら――やっと椅子に腰かけて、服の裾を握るなら】

カルラ、――――ケガしたってことは知ってるの。それだけ、ヤサカから聞いた。
それから先はよく知らなくて、……ヤサカも。あいつ最近……連絡、つかなくって。
つがるん、は、…………あたしのせいだ。あたしのせいでつがるん、落ち込んじゃって……

………………ミチカ? ミチカってあの、……例の婦警? だっけ。
あいつがまた、何かしたの? …………。どうして、

【どうして鈴音ばっかり。苦々しく口にする、帰ってきてくれたのに現状、何にも解決していないことが】
【あまりにも心苦しかった。どうせならば全部、万事ハッピーエンドに収まった中でおかえりって言いたかったのに】
【また同じことが起きちゃうんじゃないかって。思うのならひどく恐ろしく――そんな考えを振り払うよう、頭を振って】

鈴音は、…………何があった、っていうか、あの……結局、どうなったの?
イル、が、いなくなったのは、わかるけど……身体が何かおかしくなったりとか、そういうのはない?

【誤魔化すにしては下手が過ぎた。強引すぎる話題の転換。そうして恐る恐る聞くのは、体のこと】
【先の戦いで「ひどい」ことになっていたのだけは見た。それが今も残っていやしないだろうか、って】
【そういうことを聞くけれど。それすら地雷なのだとしたら、……今度は逃げないということしか、保証はできないけれど】
904 :文月 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/14(月) 23:47:59.67 ID:ekvAdrnqo
>>902

【バイクから降りた女性の容姿に、彼女は思い切り見惚れてしまった、言葉を失うとはまさにこの事で】
【頬の輪郭一つに神の作為を感じてしまう、同性として羨ましいを超えたなら、そこに宿るのは畏怖に近く】
【いっそ神々しいとさえ言えた、ゾーイの言葉を聞いてようやく、我に帰る】


ふぇ……あ、はい、すいません、……っ少し、ボーッとしてました
さっきの傷も、ありますしね……と言っても大体は、能力でつかはった傷どすけど
────── 堪忍な、瑠璃、あんたのお陰でお姉はんは助かったさかいに


【腕の傷を羽織に隠しながら、彼女はそう言った、─── いつのまにか髪の色が元に戻って】


……何処まで理解していて、って言わはっても……うちは、外様やさかいに、この街の事はようしらへんけど
─── さっきみたいな横暴が許されるんは嫌どす、それだけははっきり言えます

うちは戦う事ぐらいは漸く、人並みに出来はる人間どす、─── だから
全てを求めます、うちにできることやったら、なんでも
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/14(月) 23:53:04.32 ID:U5VyUD+s0
>>903

【そうして不明瞭な言葉を漏らすなら。――ましてや、迷惑をかけてしまった人の名前を連ねるのなら。少女は余計に泣きだしてしまうのだろう、だって、だって、】
【みんなに迷惑かけて。なのに全部逃げ出して。その癖にもっとたくさんの迷惑をかけて。結局さらに逃げ出して。それで、結局、――、結局、だいすきなひとも、居なく、】
【――ぴゃあ、と、小さな声が漏れたけれど、それそのものはただの音でしかなかった。――それが余計に泣きだしてしまう第二波を予告して、だから、まだ、落ち着けない】

【かちかちと時間を数える時計もくたびれたみたいに針の先っぽをちょっとだけサボらせていた。じいっと見てても針はなかなか動かない。けれどやがて泣き疲れてくる】
【少しだけ埃っぽい空気であったなら、喉も少しだけイガイガしてしまって。鈴の音の声を濁らせるなら、何度も何度も擦ってしまった眼、まっかっかになって、腫れぼったい】

カルラ、は、――、カルラ、はっ、――っ。カルラ、ね、かるら……、は……。――。カルラ、は、

【「からっぽになっちゃった」】

……。わたしの、せいなの、……。わたしが。いっぱい、ひどいこと、――した、の、わたしが、悪くて。……。ヤサカさんは。わるくなくて……。
だってわたしがっ、――わたしが、もっと、――、もっと、やさしくて、きれいで、――いいひと、だったら、"あんな"。こと。! ――、あんな、ふうに、……。

――――――、カルラ、もうすぐ、おたんじょうび、だったのに……。………………、――、わたしの、せい……。
つがるちゃんにだって、ひどいこと、いったんだ、……、全部わたしのせいなのに、――、なのに、わたし、わたし、だけっ――、

【絶望的な目をしていた。色違いの眼がひどく濁った色で夕月を見つめて、――、堪えられないみたいに逸れてしまった。ひどく俯くなら涙は頬すら伝わず、垂直に膝に落ち】
【手の甲を伝って指先を濡らしてスカートに広がっていく。――。砂ぼこりが泥になりつつあった。びちょびちょの指先に薄ぺらい泥がまとわりついて、伝える声は】
【人間の状態を表すのに"からっぽ"だなんて言葉はあまり使わなかった。だからそれだけで何かを伝えるようだった。――ならばやはり彼のことも、少し、分かってる】
【――****を始めたのだって現実逃避だった。自分で分かってた。それでもいいって思ってた。やりたいのは自分だから。わたしの我儘にみんなが付き合ってくれてるって、】

【(だからってこんなふうになってしまうなんて思ってなくて、そんなつもりだなんてものはひとかけらもなかったの、なんて、今更過ぎる言い訳)】

【だからみんなわたしが傷つけた、】

――――――――――――――――――――――――イルちゃん…………。

【――だからひときわ大きな涙だって落ちるのだろう。ぎゅうってスカートの布地を握りしめるなら、精いっぱいで、めいっぱいで、けれど、説明せねばならぬときっと分かっている】

――、わたし、の、からだ、……、にんげんに、なれたよ、

【「イルちゃんがしてくれたの」】
【絶望的な泣き笑いの表情だった。――、地雷と呼ぶにはあんまりに静かに悲しんでいた。だからやっぱり世界には悲しい事ばっか溢れてるって、嘆いているのに、違いなくて】
906 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/15(火) 01:08:15.33 ID:m3o2PNc/0
>>904

【ゾーイと名乗る女は一切の表情無く、言葉も淡白であった】
【何を考えているか思考の読めない表情だが、蒼の瞳はまっすぐ】
【和泉を見つめ、ふいと、目線を街の方へ向け、唐突にあるき出した】

まずは医者に連れていきましょう。ここはどの行政区にも当てはまらないいわゆる
不法占拠地ですが、多くの人が住んでいます。となれば医者ももちろん居ます。

【ゾーイは勝手知ったるというように歩く。その姿はランウェイを歩くモデルのような】
【あるきかたの手本になるかのような歩調で、一切のリズムに狂いは無い。正確無比だ】

水の国の魔能制限法の成立には反能力者派閥である政治家を始めとした国家権力と
オーウェルを始めとした企業が関わっています。ですが、その“黒幕”たちやお膝元である
特区を攻め落とすことは難しい。――将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。

黒幕派のオーウェルを打倒するにはその私兵であるテクノドッグス社を倒す必要があります。
我々はこの街の特異性と市民感情を利用し、それを行う舞台を用意しました。
テクノドッグス社はこの状況を自身の支配力を強め、能力者を燻り出すいい機会だと思っているみたいですが
燻り出しているのは私達の方です。…初めから。

この街の争いは私達の反撃の狼煙の始まりなのです。

もう一つ、この世界の未来を変えるためにはオーウェルより先にタイムマシンを開発する必要があります。
その最も重要な設備をオーウェルから奪わなくてはなりません。

【つらつらと、彼女は語る。きっと分かることのほうが少ないだろうし、信じられるものも少ないだろう】
【段々と話は飛躍していくが、彼女が夢物語を言っているようにも、発狂しているようにも思えない説得力がある】

着きました。ここの3階に医者が居ますから。行きましょう。

【ならぶビルはどれも何処まで続いているかわからないぐらい高いのに、それが不安になるぐらいボロっちい】
【場所によっては竹の足場で仮押さえしてそのまま放置しているようなレベルの補修痕もある】
【なのにエレベーターはちゃんとついていて、挙げ句、内装は新築と思えるぐらい綺麗た】


/今日はここで失礼しますー
907 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2019/01/15(火) 20:55:02.71 ID:OYx7SymT0
>>905

………………………………。

【カルラが。自分が。ヤサカが、――組まなくてもわかるくらいに大柄なパズルピースの群れ】
【それらをひとつひとつ拾い上げることには特に何の抵抗もなかった、けれど、それを形にするのが恐ろしい】
【そうは思っていても、ここまで泣かれてしまうなら嫌でもわかるのだ。だから、……きゅうと一度唇を噛んでから】

違うよ……。鈴音のせいじゃない、ぜったいそんなはずない……。……とは言ってもな。
鈴音が納得できないなら「そう」はならないんだろうし……でも、あたしは、違うと思う……。

……こんな時こそアレだよ、あれ――我慢、禁止。覚えてる?
去年の夏ごろ、あたしあんたにキレたじゃん、あれやってよ……イヤなことがあったらイヤって言うの。
つらいって思うならつらいって言うの。自分の思い通りにならないのが悔しかったら、悔しいって言うの。

どうしても自分のせいじゃないって、思えなくても――お願いだからそれだけは言ってよ。
これからどうしたらいいとか、どうやったら解決できるとか、そーいうのは二の次にして――――

【「わがまま言って。あたしはそれを許すから」。言えることなんてそれくらいしか思い浮かばないから、】
【だからこそ――脳裏のスキマに描く誰かの顔に悪態のひとつでも吐きたくなっているようだった。ヤサカ。悪い男】
【こんなになった鈴音をほっぽってどこ行ったんだか。――そういえば彼は、彼女の荷物を半分持つって】
【そういう約束だってしたのに。それを反故にして姿を消している、ひどい奴だと吐き捨てるのは現実逃避に似て】

イル、………………そっか。あいつ、最後に何もせずどっか行ったと思ってたら、
…………、……そういうことだったんだ。そっか、そしたら今度こそもう、

【「絶対に自分を大切にしないとダメだね」。喜んでほしかったし、喜びたかった。だってあんなに泣いていた】
【戻りたいって返してって泣いていたのを知っているのはごく僅かな人たちだけ、そのうちにこいつも入っているのなら】
【手放しに舞い上がってパーティのひとつでもしたかったはずなのに。――ずっとずっと殺したいと願っていた相手の顔すら】
【今や、戻ってきてほしいなどと思うから――泣き止んでほしいから。だから本当にどうしようもなくて】

【結局、さっきの言葉に戻るのだ。「悲しいなら悲しいって、それだけ言って」。それくらいはきっと絶対許されるはずだから】
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/15(火) 22:18:42.68 ID:Oa4nssi00
>>907

【だからきっと子供向けのジグソーパズルだって、もっと趣向を凝らして楽しませようとしてくれているに違いなかった。それでも現実はあんまりに手ひどいから】
【えいって全部放り出して投げ散らかしたら楽になって楽しく生きられるのかしら? ――そんな風にはならないってみんな知ってしまったのだから、どうしようもない】
【たとえ神様になったって時間は止まらないし無くしたものは戻らないし、思い通りにだってならない。――。結局世界は滅ばなかった、それが答えなのだとしても】
【――そうなのだとしても、】

――――――だってっ、だって、カルラが、――――カルラが、うそつきって、……――っ、

【うそつきと云って自分の首を掻ききる子を見てしまったのなら。――瞠られた色違いの眼差しにはきっとその瞬間の赤色すら思い浮かんでいるのだろう、ひどく、ひどい目をして】
【どうしたらいいのか教えてほしかった。それとも誰かに「お前は今からこうしていろ」って命令されてしまいたかった。――それがどれだけ間違っててもいい気すら、していた】
【そうして震わした肺から漏れる吐息が贋物でないのすら悲しくなってしまいそうになる。――。涙が少しずつ乾く頬っぺたが痒くなるのが不愉快で仕方がない】
【なんて言葉を言い訳にしたらもっと泣いても許されるのだろうか。――そうでなくってもきっとこの場では許されるのだろう。きっと伝わっていて、それでも少し怖いから】

――――やだよぉ、やだぁ――、やだ……。いやだよ……。――どうして、ひどいことするの、――っ、ねえっ、どして……。……。

【――それでもやはり、相手の言うことを聞き入れてはいたのだ。へたっぴすぎていろいろと物事が雪だるまみたいなことになってしまった節はあった、としても】
【椅子の上に足を上げる仕草は到底お淑やかとは言えなかった。――それでもめいっぱいであるのを証明するみたいに、椅子の上で膝を抱えてしまうから。体育座りの恰好して】
【非道いことは全部自分にしてくれたらいいときっと心底信じていた。何回だって死ねる自分を何度だって生贄にしてほしかった。たったのそれぽちで全部が解決するのだとしたら】

【――――そうして"それ"が二度と出来ないとも気づいてしまうのなら、】

ひどいよ………………。

【何が。世界中のひどいこと全部が。――もうただ子供みたいな言葉を漏らすなら、伏せた顔の向こう側から、またすすり泣く声がするのだろう。ひどく華奢な肩が震えるたびに、】
【たっくさん積み上げたいろんな気持ち、ぼろぼろって落ちて来てしまうみたいに、泣き止めそうになかった。めいっぱいしょいこんだなら、もう丁寧におろせはしないのだとしても】
【かなしいとさびしいとつらいと、――泣きじゃくる嗚咽の中に、時々言葉が混じりこんでいた。言われた通りなのかもしれないけれど、(それでも、)】
909 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2019/01/15(火) 22:54:40.90 ID:OYx7SymT0
>>908

【椅子の上で丸くなる女の子をじいと見つめて、それから――包み込むみたいに抱き締める】
【それくらいのやり方しか知らない。わからない。ならば精いっぱいそれをやる外なくて】
【あとはせいぜい時折ぽんぽんと背中をかるーく叩いてやるくらい。背骨の感触がする。生きている感触がする】

そうだよ、ひどいんだよ、……鈴音はなにも悪くない。
みんながひどいの。だからもう、……わたしのせいって言うの、やめて。
あたし、居るよ。一緒にいる、なんもできないかもしれないけど……独りぼっちよりはマシでしょ、きっと。
あたしだけじゃないよ、他の人も探すから。……もう独りにしないから。ねえ……

【そうしていたら色んなこと後悔する。今まで一緒にいてやれなかったことだとか、もしくは】
【いつか神様になれなかったことすら悔やむのだろう。あたしは世界を変えられないって、手放した力】
【今使えるのなら誰のためにだって、いくらでも使えるのに。もし、たら、れば。考えてもどうしようもないこと】
【そういうのばっかりが浮かんできてしまうから――せめて自分が泣いてしまいそうになるのだけは、我慢する】

…………。鈴音、いま、何したい? 人間の体に戻って。
したいことしようよ、今すぐはそんな気持ちになれないだろうけど……そのうちさ。
カラオケもボウリングもダーツもビリヤードも全部やろう。全部乗せのパフェだかクレープだか食べて。
そうだ、映画も見ようよ、ミラさんとかマッキーとかゾーイさんとかも誘って――ねえ。

そーいうのさ。やりたいって思えるようになるまで……休んでていいよ。
色んなこと考えすぎて、やりすぎて、疲れちゃったんだよ。ぼーっと過ごそうよ、
ねえ聞いて、あたしピーラー無しでも野菜とか、りんごとかの皮剥けるようになったんだよ――。

【そんな時間はない、一刻だって惜しいんだよって言われても、そればっかりは言うんだろう。だって】
【旧市街で再会したあの日から、鈴音はずっと疲れ切っていた。今更それで休めって言うの、遅いとわかっていて】
【それでも今走り続けなければいけない理由にはならないはずだと信じていた。だから、鈴音が願うなら】
【こいつはりんごの一つや二つ、いくらでも剥いてあげるんだろう。うさぎの形にするのはまだ、もう少し、難しいけど】
910 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/15(火) 23:08:07.89 ID:Elv5ySPro

【冬の夜も変わらず聳える高楼の群れは、然して怜悧な大気の中にあって、一層にその高さを誇示するようであった。 ─── 水国都内、某所】
【都心駅の直ぐ側に立つ、よく名の知れた五つ星ホテル。最上階のスイートルーム。閉じられたカーテン。琥珀色の照明。ひどく湿った吐息。】
【 ─── ひとりの女が、乱れたシーツの/広いベッドの淵に座っていた。円くすべらかな曲線美を描く、ごく長くしなやかな両脚の先を、敷かれた波斯絨毯の生地に触れさせていた】
【白いシーツの節々には斑点が目に付いた。洗いたての清らかさを保った純白。透明な粘つきに濡れて、微かに陰った白さ。 ─── 羽毛を散らして、破れた枕。鮮やかに広がる、黒い赤さ。】


「 ……… はぁい、ヒフミ。」「ええ、 ─── 今終わったトコロ。まあまあ楽しめたかしら。」
「えぇ?」「 ─── いいじゃない。うふふ。」「こぉいう事でもしないと、楽しめませんもの。 ……… くす。」


【女だった。妙齢の女だった。 ─── 腰上まで伸びる艶やかな飴色の髪は、暖かな色合いの室内灯に照らされて煌めく】
【ぱたり、ぱたり。少女のように爪先をぶらつかせていた。桜貝のような桃色に彩られた拇指の先に行く宛はなかった。誰かに電話をかけていた】
【 ─── 一糸纏わぬ裸体であった。ひどく肉感に満ちた白い躰より、真新しい汗が漸く引き始めていた。幾分か乱れた横髪が、一呼吸ごとに悩ましく揺れる豊潤な胸許を、辛うじて隠すのみ】
【もはや誰も居ないというのに、見せつけるように両脚は組まれていた。掌に収まりそうなほど小さな、消音器を取り付けた一挺の拳銃を、通話の手持ち無沙汰さを誤魔化すように弄んでいた】

【その隣に転がっているのは、ややだらしのない肉体をした禿頭の男であった。中年であった。枕を被せられていた。血が滲んでいた。そうして、すでに事切れていた】
【 ──── それなりに名の通った政治家であった。それなり以上の権力を誇示しながら、然して汚職の絶えぬ男であった。誰かと会う約束があったとして、それは最早叶わぬ事だった。ならば】

/よやくです!
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/15(火) 23:22:50.29 ID:Oa4nssi00
>>909

【背中をうんと丸めて、頭を隠して。そしたら何か卵みたいに見えるのかもしれなかった。――けれど生まれてくるのは悲しさばっかり、泣きじゃくって、止まぬなら】
【だけれど抱きしめられて背中をさすられるのなら、少し落ち着くのかもしれなくて。――頭のてっぺんのところ、ぎゅっと触れさせて、背中に触れられるのに、甘えている】
【ならば彼女は最初から甘えん坊で泣き虫で寂しがりなんだって伝える仕草を繰り返すのだろうか。泣かない約束を限りなく続く未来としたって、本質までは変えられないから】

――――そんなはず、ないよっ、だって……、だって、じゃあ、どうして、

【(わたしばっかりなの)】
【口から出かかった言葉は、けれど出きれずに、無惨な死産。口元からぶらり垂れるなら未練はきっと夕焼け空の影より伸びてしまう、そういう人生をしてきてしまって】
【自分だけが不幸じゃないってそんなのよく知っていた。良くも悪くも大人になってしまった。世界中には思いもよらないようなひどい状況に置かれた子だってたくさんいて】
【――それでも、それが分かってても、わたしばっかりって思ってしまうのは。一つの神様を産み落とした誰かの哀しみの残滓なのかもしれない、刻み込まれた宿命みたいに】

【ひぐりとしゃくりあげた声が微かに持ち上がった。色違いの目がうすらと仄暗く淀んで見つめて、】

――――――――――――――ぅん……。

【ゆるり眼を閉ざすのなら、おっきな涙がぼとり落ちていく。ひとりぼっちは嫌だった。ひとりぼっちは怖いのだと知っていた。――最小限の世界の時には思いもしなかった】
【世界中には自分と、それから、姿のない神様だけ。それ以外は生きるのに関係なくて。あったとしても、目を逸らしてしまったら関係のなくなるような、狭い、狭い、広い世界】
【けれど気づけば世界はうんと広くなってしまった。広くなったのに、狭くなってしまった。――、胸元に涙を擦りつけるように頷く、その距離感じゃないと、落ち着けなくて】

…………。……ゎかんない、――わかんない、よおっ、――――だって、カルラが、――っ、なのに、ヤサカさん、だって、……、めいわく、かけて、
"ぜんぶおわったら"したかった、ことあったのに、――約束、してたのに! ――っ、ねえ、ロッソさん、だって、しんじゃったんでしょ、――、鵺ちゃん、だって、
なのにわたし知りもしないで、――目の前に居たのにカルラだって、助けられ、なくて、――――かみさまだったのに、なにも、できなくて、――、
かみさまじゃなくなったら、もっとなんにもできないよ。わたしそんな凄い子じゃないよ。つよくなくって。ずるくって。……。……。

【やりたいこと。――そんな風に聞かれたら、彼女はきっと惑ってしまうのだ。そんなもの思いつかない/思いついたとしても、とてもそんな気にはなれなくて】
【全部終わったらみんなで映画をみようって話をしていた。――みんな知らないかもしれないけれど、本当にしていたの。だけれど今となっては妄想と変わらなくなってしまった】
【なにも知らなかった。それすら人に聞かねば今だって知らなかっただろう。――神様なのだとしても、目の前で悲しむ女の子一人助けてあげることは敵わなかったし】
【――まして今となっては神様ですら、ないのだ。いつかもっと大きなものに繋がっていた感覚を、今ではもう思い出せない。――世界中に自分が居る感覚を、忘れてしまって】

【――――だけれどそれを悲しめない。嬉しかった。それに悲しんではいけなかった。だのに無力だと思ってしまうんだった。ロードキルの亡骸より無惨に引き攣れた心の欠片が、】

りんご――たべたい……。

【がらがらに痛む喉が悲しくて何か口に含みたいみたいに、ねだるのだろう。うさぎじゃないって泣きわめくはずもなかった。――それよりも今すぐ餓えて死んでしまいそうに、震えて】
912 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/15(火) 23:37:15.05 ID:Tzsc/jKM0
>>910
【あらゆる事態の渦中たる水の国、その摩天楼の上層ともなれば魔界といっても過言ではあるまい】
【優美でありながら、そのうちに闇を孕み。そこに集う者は光の世界の者ではない】

【そんな闇の光に吸い寄せられる羽虫のように。また一人の悪党がこの場所を訪れる】


【スイートルームの扉が、音もなく開けられた。およそこの豪奢な空間にはそぐわない男が、スルリと入り込んできた】
【身長2メートルを超えているであろう大男だった。薄汚れた灰色の作業服に黒いラバー地のエプロンを着用し、黒いゴム長靴を履いている】
【角ばった顔つきに短く切り揃えられた黒髪。黒い瞳の両目と額に巨大な第三の目。異形としか言いようのない男だった】

【彼女がテレビのニュースや指名手配書を見ているなら、複数の事件を起こした犯罪者としてこの顔を見たことがあるかもしれない】
【この巨体でどうやってこの場に入り込んだのか。盗賊の面目躍如といったところだろうか。音もなく扉を閉め、足音を[ピーーー]様は手馴れていた】


【そして大男は、彼女の姿を見た。そして隣で死んでいる男を見た。純白を汚す赤の痕跡を】
【次の瞬間には、袖口から飛び出した大型拳銃を右手に握り、彼女のサイレンサー付き拳銃に対抗して拮抗し】
【その美しい裸体を、艶やかな髪を、扇情的に組まれた両足を。まるで欲情を含まない、警戒心に満ちた視線で見ながら】
【ジリジリと壁沿いに摺り足で動きながら、問いかけた】

……コソ泥に入ってみれば、飛んだ場面に出くわしたな
その男、見たところ有名どころの政治家だな? プロの暗殺者といったところかね?

【銃撃を受けても、すぐには死なない自信がある。だが、この女の腹の底はきっと何も見えないほど暗い。今会ったばかりで、異形はそう確信していた】

/よろしくお願いします!
913 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2019/01/15(火) 23:46:53.20 ID:OYx7SymT0
>>911

わかってるよ。そしてあたしも全然すごくもない、強くもない、知ってるでしょ?
きっとみんなそうなの、誰もホントはすごくなくて、強くなくて、……優しくもない。
みんなきっとそんなモンだよ、だからみんな――一緒にいたがるんだよ。

【知ってるよ、あなたがただの女の子だってこと。誰に何言われてもそう言い続けてきた、こいつだから】
【みんなきっと強くなんてない、なんてこと言えるんだった。背中に流れる艶々の黒髪を撫でて、掻き分けて】
【その向こうにあるよく浮き出た背骨を上下に撫でて――。落ち着くわけないとはわかっていても】
【いくらでもそうしていようと思った。せめて、泣き止んでくれるまでは絶対に離れない。それが百年後の話になっても】
【そう決めたから、そうする。……、そして一つ目のお願い事を引き出せたなら、それはそれは嬉しそうに笑うのだ】

うん。りんご――一緒に選ぶ? あたしまだ野菜とか果物とか、目利きが上手くなくって……。
いつも適当にいくつも買ってるんだ、本当は真っ赤になってないヤツを買うのがいいんだっけ?
……それはトマトか。まあいいや、りんご――赤いの? 青いの? どっちもあった気がするなー……。

【すれば、ちょっとだけ待っててって言ってすぐ戻ってくる。籠に丸いの、赤いのと青いの、いくつかずつ】
【それからお皿とナイフ、あとフォーク。一番おいしそうに見えるやつを選んでもらって――そしたら剥き始める】
【とは言ってもまだかつら剥きはできないみたい。最初に四等分して、芯を取ってから剥いていくやり方】
【取った皮にはもう少し改善の余地がありそうな果肉がまだ残っていた、ならばこれからいくらでも、教えてくれればいい】

【――――。四等分したのをさらに半分に割って、八等分。そうしたらつまむには丁度いいサイズになるだろうか】
【お皿に盛った鈴音の分と、自分の分。さくさくフォークを刺してはいどうぞ、と差し出すなら、果汁が滴って】
【それをようやく食べてくれるなら、心配そうに、自分の分は食べないで――「……おいしい?」】
【切っただけの果実に美味いも不味いもあるものか。それでもバカまじめに訊くんだから、どうしようもない】

じゃあ、やっぱり、……やりたいこと思いつくまで、休憩しようよ。
そんな時間ないって思う? でも、焦って失敗するよかマシだと思うな――。
……、……人間に戻ってから、っていうか、アレ。この世界に戻ってきてから、ちゃんと寝てる?
眠れてないなら寝よ、ひとりで寝るの怖いなら、あたし泊まってくし――ホットミルクも淹れてあげる。
そっから、朝ご飯だって作るし――そんなのいらなくって、昼まで寝てたいならそれでも、いいし――

【きし、きし。鈴音の向かい側に置いた椅子に座って、行儀悪くも揺れながら――提案するのはやっぱり】
【まずは休もうってことばかりだった。少なくとも今、何かしてもいいことなさそうだし。いくらでも付き合うつもりはあった】
914 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/15(火) 23:57:41.30 ID:Elv5ySPro
>>912

【 ─── いっそあどけない表情で、携帯越しの談話に興じていた女の双瞳は、微かに見開かれた。深く蕩けた翡翠色は、円く瑞々しく】
【通話を終える事もなく液晶を放り出して、画面の向こうで誰か声を荒げていたが、凡そ興味の失せてしまった唇の角度だった。ぽってりと唾液に潤った紅色は、きっと口付けを終えていた】
【顔を上げて女は微笑みかけた。飴色の刹那に華やぐ端正さ。うっとりと垂れた眦は、どこか遠くのものを見るようでもあった。 ─── 向けられる銃口など意に介してもいなかった】
【そうして彼女は己れの握っていた拳銃までも抛り捨ててしまうのだろう。銃口から床に落ちたそれは安物らしい音を立てた。使い捨てる仕事の道具でしかないようだった。甘いリップノイズと共に、紡がれる言葉は】


「まあ、 ─── こんばんは。」「すこおし彼には用事があって。けれどミスタ、貴方には無くって。」
「だから、」「 ……… そんな恐ろしいものは、御仕舞いになってくださらないかしら?」「怖くて慄えてしまいそうなの、ねぇ、 ─── 。」

「こんな風に出会うのも、きいっと何かの縁に違いないの。」「どうせ過ぎ行く時間なら、愉しいものを過ごしたいとは、思わない?」


【間延びする語調は飴細工を溶かし込んだように鼓膜へと絡み付くものだった。 ─── 飴色の部屋には濃密な雌の香りが満ち満ちていた。にべもなく立ち上がる女の髪は飴色で、濡れながらも微かに波打っていた】
【「お飲み物は何が良いかしら。」引き締まった肢体の肉付きを誇示するような歩調にて、女は据え付けられた冷蔵庫へ歩み寄ろうとするのだろう。冷蔵室を覗き込むならば、無防備に高く突き出される腰付きの、艶かしさ】
【 ─── 太腿より垂れる一筋の残滓は、果たしてどのような意味合いがあったろうか。「毒なんて入れませんから、安心して頂戴?」どこか冗談めかすような言葉は何一つ冗談にさえならないのならば】
【ともあれ飲料は多分に用意されているようだった。硬水から清涼飲料水、リキュールからブランデーまで。 ─── 蒸留酒で洗い上げたような色合いの長髪でもあった。酒に焼ける醜態など、凡そ想像も付かないようなソプラノだぅた】
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/16(水) 00:17:55.95 ID:TtoXSi4a0
>>913

――――――――――――――――――、そんなの、嘘だよ…………。
夕月ちゃん、つよいよ、……。わたし以外のみんな、……、みんな、強いよ。わたしは……。……。逃げてる、ばっかりで……。
……ずっと、ちっちゃいころから、――たぶん、それ以外のこと、できなくて、――、――いっぱい。強くなろうとしたの。強く、――ならなくちゃ、て、……。
泣かないって約束したの――――――だけど、だめだよ、――やっぱり、できないよ。――こんなに泣き虫じゃ、だめなのに、

セリーナの言う通りだった。こんなわたしじゃ……何か任せられるはず、ない……。

【****を始めるって決めた時に、自分と約束したんだった。もう泣かないって。――誰かに手を差し伸べようって時に、濡れたまんまの指先じゃ、きっと滑ってしまうから】
【それに泣いてるまんまの滲んだ視界じゃ、困ってるだれか、見落としてしまうかもしれないから。――めいっぱい頑張っていたつもりだった。少しくらい頑張れたんだと、思う】
【だけど転んでしまった時に起き上がれないのなら、意味なかった。――。自分の膝の痛みばっかりが目に入って、泣いてしまって。動けなくなって。どこまでも落ちてしまって】
【――、ましてや、ストレスのほとんどは改善されていないのだから。或いはよりいっそうひどくなったものも多かった。ふとした掛け違いも、ここまでくれば膿んでしまったみたい】

【嬉しそうにするのが申し訳なかった。ちょっと待っててって言われたら大人しく待っている。――どこかに逃げてしまうための作戦ではなかったから、当然、そこにまだ居るまま】
【選んでって言われたらぱちくり瞬くのだろう。けれどそれくらいなら出来るって彼女も思えたのかもしれなかった、――、少しためらいがちな指先が、一つ、つかみあげるなら】

これ――。

【ころんとまあるい一つだった。大きさはそれほどではないけれど、ずしり重たいやつ。きれいな赤色と、それから、お尻のところまでが綺麗に色づいて】
【それを渡すなら、――じっと見ているのだろう。もしかしたらやりづらいかもしれないし、そうと言われたら、見る(実態としては凝視、が近い)のはやめるけど】
【やがて全部が切り分けられるなら、小さな声ではあったけれど、それでもなにか少しうれしそうに、「――いただきます」って、紡いで】
【しゃくり食べたなら、咀嚼の合間に尋ねられて。――数秒後に飲み込むのなら、表情が綻ぶのだろう。おいしいって、表情が何よりも伝えていた】
【――ひとつ食べたなら、急に食欲がわいたのかもしれなかった。泣きじゃくった喉に甘さと水分とが嬉しいのかもしれなかった。どちらにせよ、少女はもう一つ、二つ、手を伸ばし】
【――――そしたら二人で食べたらあっという間になくなってしまうのかも。――、――、ならば、もっと食べたかったのかもしれない。それとも、やっぱり、好きなのかもしれない】

【(わたしもしたいって言って、ナイフを借りたがるのだ。貸してもらえるなら今度選ぶのは青りんご、)】

……前は、ね。頑張ったら、寝ないでいられたの。ご飯も、食べなかったら、食べなくっても、へいきで。……。
…………お泊りしたら、"あのひと"、泣いちゃうよ。……。夕月ちゃんのこと、きっと、きっと……だいすき、だから――。

【貸してもらえたのなら、しゃりしゃりと皮をむきながらになるだろうか。――その前に手とか洗いに行ってしまうのだから、やっぱり、料理とかは、きっと好きなんだろう】
【「うさぎさんと普通のどっちがいい――」――ふと見るなら唇が少し緩んでいるようだった。(もちろん駄目と言われたなら、変わらず、椅子の上で大人しくしているんだけど)】
【――――どちらにせよ"あのひと"というからには、彼女は誰かを知っているらしかった。そうしておそらくはその関係性も】
916 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/16(水) 00:20:32.97 ID:S66deMDb0
>>914
【放り出された端末を横目で見る。がなり立てる相手の声。全くタイミングの悪い時に来てしまったようだ。電話相手には悪いことをした】
【盗みに入っておきながら、何とも明後日の方向な謝意を口には出さず。彼女の笑顔を正面から凝視した】

【蠱惑的な女性だと言えるだろう。とうの昔にまともではなくなった、この異形の目にもそう映った】
【だから余計に恐ろしい。美貌の奥に潜む刃が。銃を向けられても意にも介さず、自ら武装を捨ててみせる姿勢が】

(落下音からして、使い捨ての安物……潜入暗殺用か。政治家先生も、自分に何が起きたのかもわからないまま逝った、といったところか?)

【右目だけを器用に動かす。能力による精密動作。その右目で死体を観察する】
【この死体が即死したものか、いたぶられたのか、確認するつもりであった。少しでも、眼前の女性がどのような存在なのか探る材料にするために】


……ああ、こんばんは。それは間の悪い時に忍び込んだものだ。「用」が終わる前に邪魔翌立てする羽目にならなくめ良かったよ
怖がっているようには見えないが……そちらが先に捨てたなら、返礼は必要だな

……愉しい方がいいというのは同感だ。少なくとも、そいつと同じ目にあうよりはな

【飴。食人鬼の鋭敏な味覚が伝えてくる。彼女の声音も部屋の色も、たなびく飴色の髪も充満する香りさえも】
【全てが溶けてなお蠢く飴細工のように、ねっとりと己に絡み付いてくる感覚を、大男は舌から幻視しつつ】
【返礼として、大型拳銃を袖の中に引っ込めて見せた】


【部屋を横切る彼女を目で追う。見せつけるような歩みと突き出される腰に、異形は食欲の方を刺激されかかる】
【すぐに打ち消す。臆病な異形の感覚が伝え続けているからだ。この女は、手練れ。深い深い闇色の、飴玉のような、もっと恐ろしい何かだと】

……毒程度では、私は死なない。もらえるのなら、遠慮なくもらおう

【ハッタリ。毒で死なぬのは、己の配下の中でも毒物中毒くらいで、自分になら通用する。口に含めば、即座に毒だと看破は出来るだろうが】
【ともあれ、異形はリキュールを望み。一度飲み干して、顔色ひとつ変えず。重々しい声で名乗った】

私はカニバディールという。ケチな盗人だ
こちらも、名前くらいは聞いても構わないかね?
917 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/16(水) 00:40:49.35 ID:u6ef1XMyo
>>916

【事務的な殺し方だった。カバーに空いた穴には微かに焼け焦げた跡が残っていた。恐らくは枕に押し付けて、脳天に2発。少しずつ血の広がるシーツは乱れていたが】
【それは抵抗の痕跡と呼ぶべきではないのだろう。死刑囚に与えられる最後の晩餐に似ていた。相応に良い想いをして眠りへ入り、そのまま目覚める事は無かったらしい】
【ハニートラップしか能のない三流のスパイとは一線を画していた。熟達した、それも然るべき機関で正当な訓練を受けた経験のある、職業殺人者。 ─── 微笑みかける翡翠色の暗さ】
【嬉しいわ、と女は嗤った。たとえ銃口を向けられたまま同じ言葉を与えられても、同じように笑っているに違いなかった。融ける雪のように緩む頬は、慕情を寄せる乙女のように色付く】


「カニバディール、さん? ─── そう。ふふ。」「尤もらしい名前ですこと。素敵よ。」
「フライヤ。フライヤ・フライクーゲル=イェルネフェルト。」「フライヤで良いわ。彼もそう呼んでくれたの。今夜出会ったばかりでしたけど」


【しなをつくるような湿った声音が彼を呼んだ。 ─── 投げ渡されるのは桃色のリキュールだった。薔薇を模ったラベルが貼られていた】
【対して女はウイスキーのボトルを手に取って、また寝台の縁に座った。ベッドサイドには脱ぎ捨てられた上衣と下衣の幾らかが残されていた。黒い下着。ごく薄く小さなショーツ】
【それらを纏い直す積りは少なくとも今の彼女にはないようだった。 ──── 目に毒であるならば服を着るように告げてもよいのかもしれない。ただそれが彼女の嗜好かどうかは判然とせず】
【そうしてまた豊満な胸許の間隙より、遠く薔薇の香りがした。汗に濡れてしまった香水であるらしかった。或いは眼前の彼は、その薫りに嗅いだ覚えもあるかもしれない、が】
918 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/16(水) 01:08:56.37 ID:S66deMDb0
>>917
【見て取れるのは、あまりにも鮮やかで流麗ですらある殺しの痕跡。ただ一瞬のうちに命だけを摘み取っていったような】
【念入りに二つの死の種をそこに植え付けて。男は天国を感じながら地獄へ落ちていったのだろう】
【間違いなくプロフェッショナル。己のような我流の人殺しとはわけが違う。鍛え抜かれた練磨の技だ】

【政治家に近づいたこと、警戒を解きほぐして二人きりになったことも含めれば、彼女の能力は萬に通じていることだろう】
【ああ、その笑みの恐ろしさ。恐怖の対象となるような女性はそれこそ幾人でも見てきたが、その誰とも別種の異様】
【翡翠色の瞳も、融雪の頬も、美しく彼女を彩る全てが、こちらを覗き込む深淵のクレバスのように見えた】

よく言われる。自分で付けた名だが気に入っているよ
フライヤ、さんか。長いが良い名前じゃあないかね

この男も、今日会ったばかりにしては、随分と深入りを許したものだ
好色な政治家だとは聞いていたが、色に溺れて死んでは世話がないな

【受け止めたリキュールのラベルを横目に、彼女を観察する。相変わらず、情欲の色は三つ目にはない】
【目に毒だ、とは言わなかった。これでも、会員制猟奇クラブにいた頃に、見慣れている。あの頃会った女たちも恐ろしかったが、フライヤの足元にも及ぶまい】

【何より、裸体に怯む余裕などもうなかった。鋭敏な鼻が捉えたその香りが、異形の恐怖すらも吹き飛ばす強い感情を呼び起こしたからだ】

…………!!!
鼻が効きすぎるというのも、時には困りものだ。否が応でも、分かってしまう

その香り。覚えがあるぞ。あの女と同じ、薔薇の香りだ……!!
貴様、よもや外務八課の課員か? あのアリアとかいう女の、もう一人の愛人か何かかね?

【その巨体に満ち満ちた、憎悪と嫌悪。臆病者のこの男には珍しいほどの、強い敵意が滲んでいた】
919 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/16(水) 01:28:55.70 ID:JvpG71rHo
>>918


【 ──── 汪溢した飴色の大気が、張りつめるように揺らいだのは、刹那の事だった。ベッドサイドのグラスにウイスキーを注ぐ手が、止まり】
【そうしてごく静かに微笑んでいた彼女の明眸からも喜色が消え去る瞬間が確かに存在していた。瞬きの一常さえ引き延ばされるような、静謐】
【されどまた女は笑うのだろう。 ─── 色鮮やかな唇の端を、微笑と呼ぶには余りに情念を籠めて吊り上げさせた、哄笑の手前】
【凡そ不気味な感情の発露だった。結局のところ艶やかな裸体のまま女は笑っていた。僅かながら頤を俯かせれば、陰翳を帯びて仄かに瞼が落とされた。白磁を見せて笑わぬのは奇跡だった】
【口付けの赤い跡が残る肩口を、撼わすようにして笑っていた。 ─── ふたたび顔を上げた時、やはり彼女は微笑みを纏っているのだろう。垂れた眦の輪郭を支える翡翠色は、尚も深く】


「 ……… あら、そう。」「貴方もご存知なのね、 ─── 彼女のこと。」
「ふうん。 ……… ふふ。」「巡り合わせとは、本当に奇遇なものね。これだから、 ……… 。」


「安心して頂戴?」「あんな雌狼に抱かれるほど落ちぶれてはいないの。 ─── "これ"は、ちょっとした復讐、ですから。」
「 ─── 今の今まで、残り滓の様にわたしを忘れていた、あの女への復讐」「 ……… わたしの想い出が薄れないようにする為の、復讐よ。」


【彼の憎悪と嫌悪に、まんじりともフライヤは恐怖しなかった。 ─── どころか、かえってその距離感を押し込めるようだった。芳烈な飴と薔薇の香が、より濃密に鼻腔を擽る】
【気付けば女は彼に向かい、その身を乗り出しているのだろう。崩れて垂れ下がる蜂蜜色の長髪を、疎わしげに首を振って振り払った。寄せ上げるように垂れる胸許を抱く片腕】
【 ────── そうして徐に持ち上がるのはもう片腕であり、伸びるのはカニバディールの頬先へ向けてであった。しなだれかかるように、その頬を掌が包む、ならば。】


     「ねェ、カニバディールさん。」「 ──── きっと私たち、良い"お友達"になれるわ。」「 ……… だから。」


【「教えてくださる?」 ──── 耳朶へつつやく、声音は蜂蜜を焦がすように甘美であった】
920 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2019/01/16(水) 19:48:01.27 ID:uYUzep8m0
>>915

嘘じゃないよお、知ってる? あたしが結局神様になれなかった理由。
「あたしなんかにできっこない、ぜったい無理」って諦めたからなんだよ。ほかにもさー、
昔っから……周りにウソついて生きてたの。弱い自分を誤魔化すための、どーしようもないウソ。
そんなんばっかだったよ、だから何かに、真剣にちゃあんと向き合ったことなんかなかったし……

……今だってそうだよ、ひとりだったら怖くて怖くて何もできない。
誰かが一緒にいてくれないとあたしなんもできないよ、みんなもきっと、そんなモンだよ。

【選んでもらったりんごを剥く節々にぽつぽつ話すのだから、たどたどしい手つきはさらに危なっかしく】
【それでも黙っているのが勿体ないと思っているようだった。今まで向き合えなかった分、ちゃんと向き合いたくて】
【目を見て――するのは、包丁持ったままだからよしといたけど。それでも今までの分の空白、埋めたいから】

【果肉が削れて幾分小さくなったりんご、蜜のたっぷり入っている部分にまで刃が及ぶほどの下手は打たなかったけど】
【それでもいくらかいびつなのは隠せそうになかった。だから、貸してって言われるなら素直に貸しちゃって】
【「お手本」を見てる。そうやってやるんだ、とか口をはさみながら。どうせならうさぎがいいとか言ったりして】

前は、の話でしょ? 今は違うでしょ! ダメダメ、りんごだけじゃなくて後でちゃんとご飯食べよ。
その前にお風呂沸かして入ってもいいし――あの人? ……? 鈴音、エ……ミレーユのこと知ってるの?
あー、大丈夫だよ、泣かない泣かない! あの人があたしのこと好きなのはまあ、確かだけど、
……だからこそ知ってるはずだよ。あたしが泣いてる友達ほっぽって帰るような女じゃないってことも――

【知っている、はず。断定はしないのがこいつの悪い癖だった。けれどそれで万が一怒られるのは自分だけだから】
【どうだっていい、と言いたげな口調だった。けらけら笑っている。臆病なくせに、ヘンなところで思い切りがよくて】
【間違いないのはきっと、今日は帰るつもりがないということくらいだった。「とは言ってもご飯の材料あったかなあ」】
【「なかったらどうする、買いに行く? そっか、贅沢してどっか食べに行っちゃう? それでもいいよネ」 ――、】
【選択肢だけは簡単にぽんぽん出せるみたい。だけどその決定権は全部あなたにあげる。そういう夜にしたかった】
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/16(水) 20:55:32.08 ID:i+8nlE+/0
>>920

【微かに俯くのなら、長めの前髪は彼女の表情を誤魔化していた。それでもわずかに伺える瞳は翳りが満ちて――物理的にも――冥い色合いであるなら】
【全部諦めたから神様になれなかった。――。「そんなこと、ないのに……」なんて小さな声は空耳かと疑うほど。それでも鈴の音の声は嫌に目立ってしまうものであり】

わたしも………………。

【ごく弱い声がちいちゃく同意していた。弱虫で。嘘吐いて。その嘘を貫き通せるほど強くなくて。ならば、それが嘘だって言ってしまえる勇気、猶更なくて】
【バレたらどうしようってずっと怯えていた。いつバレたっておかしくなかった。少なくとも誰もが違和感を抱いていたの違いなかった。――育てないまま、生きてきた故、】
【それ以外のことだって。嘘だらけだった。もっと言うなら、――人間ですらないのに、ずっと、人間のフリしていた。人間の群れの中に化け物が一つ混じりこんでいたんだ】
【――――、ずうっとほしかったもの、手に入れたはずなのに。実感が持てなかった。どうしても喜びきれなかった。――――ねえ"わたしたち"の最期の言葉、なんだったかしら】

【――、しゃくりと瑞々しい林檎が切られる音。兎がいいって言われるなら、二等分から四等分から八等分。邪魔っけな芯を落として、切れ目を入れて】
【そうしたらお尻のところからよいしょって、皮の残りをはがしてしまったら、それで兎さんになる。ひょこと立ち上がる耳の角度は少しだけ控えめでも、綺麗な形】
【せっせと作って並べるなら、兎さんの小さな群れだって出来上がるから。――もちろんその前にだって食べてしまってよかった。お皿の上に円く円陣を組ませてやったら】
【皮の剥き方だって聞けば教えてくれるんだろうか、――鋏とおんなじだよとか言い出す以外は問題なかった。刃物でなく物を動かすのだと言いたいらしかった】

お風呂、――、お水、苦手なの、……。…………でも、今なら、大丈夫かな――? イルちゃんが、してくれた、から……。
……、……。あのひとに、わたし、怒られちゃった、……白い、おっきなひとも――。殺されそうに、なって。……。ミレーユ、さんは、――、ココアくれた。

【水が苦手なのだと言って、――けれど、お風呂そのものには心惹かれるものがあるらしい。今なら入れる気がする、なんて、不明瞭な答えでも】
【――それから、件の"彼"については。怒られてしまったのだという。もっというなら白い大きなひと――おそらくアリア――にも怒られたのだと、殺されかけたのだと】
【――――それでも夕月に配慮であるのか。それとも単に嬉しかったのかもしれない。暖かいココアを貰ったらしい。飲んだ頃には冷めきっていたのは伝えないまま】

ごはん……。……わたし、つくろっか、……。夕月ちゃんが良ければ、だけど……。

【――少しだけはにかむような笑み。であれば、やっぱり、林檎を切るだけだって楽しいと思ったのかもしれなかった。まだ全部楽しいって言い切るには、難しいのかもしれないけれど】
【やりたいってせめて思うもの、あるとしたなら。きっとそれはお料理なんだって、――思わせるの、なら】
922 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2019/01/16(水) 21:24:21.71 ID:uYUzep8m0
>>921

じゃあきっと、みんな、そうだよ。……たぶん。
みんな何かにウソついてんの、……あのネ、教えてあげる。夕月って名前もホントは、ウソなの。
だからみんな?つき両成敗って感じでこう……丸く……は、ならないか。なんて言ったらいいのかなー。

【自分がこさえたりんごの皮と鈴音がやった皮、つまんで見比べちゃったりして。なんで厚さが違うんだろう】
【じーっと睨みながら、不細工なほう――自分がやったほうのやつみたいに、不揃いで大まかな言葉ばっかり】
【出てくるんだけど、そうだよって肯定する声だけはやたらはっきりしていた。芯と蜜の境目だけはきちんと分けられたみたいに】

あ、そか、水……。……ホントに大丈夫? 無理しないでよ、でもどうせ入るなら――入浴剤とか入れたいネ。
…………おこられたあ? なんで。なんかあった? なのにココアくれたの? へんなの。
白くてでかい人ってアリアさんかな、……えっ。殺……? こわ……。あたしも会ったことあるけど、
やたら圧がでかくて怖いんだよネ、いや圧以外にも全体的にでかいけど……。うーん。

…………ていうか待って待って、めっちゃ切るじゃん。うさぎの群れじゃん?
りんごでお腹膨れちゃうよ、ダイエッターじゃないんだから……しかもりんごダイエットってめっちゃ古いし。
楽しい? 切るの――ハサミと同じって言われてもなー、なんかよくわかんないし……。

【そうしてぽつぽつ会話しながらしゃりしゃりつまんで、――何個目かを嚥下したあたりでさすがに手が止まる】
【けれど器用に動く鈴音の指先を眺めるのはやめないから、結局制止はしないんだった】
【こんなことを言うのは本当に変なんだけど、……スケッチブック、目いっぱいにクレヨンで絵を描く子供を見ている気分】
【つまるところ楽しそうに見えたから。止めるなんて気分もそうそう起きなくて、いつの間にか前後反対になった椅子】
【その背もたれに肘をついて、半分くらい顔を伏せて見ていた――そして、その顔が綻ぶみたいに笑ってくれるなら】

……………………。……からあげ。

【一言だけ言って、あは。噴き出してしまうんだろう。何年越しのオーダーになったんだかわからない、そんな言葉】
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/16(水) 21:44:34.92 ID:i+8nlE+/0
>>922

【――――ぱちりと瞬く瞬間があった。ただひたすら林檎を兎さんにトランスフォームさせている指先が、止まる、刹那】
【すこしだけ間を開けて、また、しゃりしゃりやりだす。――。「"鈴音"も、そうだよ」――。――曖昧な情を孕んだ声。嘘というには酷すぎた、けれど、生まれついての名じゃない】
【いつかの時に新しく付けてもらった名前だった。――だからちょっとだけ嬉しく、って言ったら、変かもしれないけど。「――みんな、そうなのかな、」ちいちゃな呟き】

【だからってだれかれ名前を偽っているなんてことないと思うんだけど。――少なくとも、この場においては、純度百パーセントの事実であるらしい、なら、】

――――入浴剤。入れたい。うんと真っ青なやつ。それか、タブレット、みたいなやつ、――。掌に乗っけて、なくなるまで、ずっと見てるの。折れないように……最後まで……。
なんにも、――ないよ。わたしが……。かみさま、だったから。たぶん、わたしのこと、嫌い――、――だと、思う。……――、そう、アリア、って、ひと。

【入浴剤――聞いたなら、刹那に漏れる表情はごくあどけないものなのだろう。UTの地下にある大浴場は結局使ったとしてもシャワーばっかりで】
【そもそも勝手に入浴剤とか入れたら怒られそうではあったけど。――あるいは誰かの部屋にくっついてるようなお風呂場を一つ借りちゃったって、きっといいんだ】
【空いた部屋なら文句言われることもないだろうし。ちゃんと片せばきっとばれないし。――温泉とかのやつより、"ザ・入浴剤"みたいなのがいいねって、ささめくなら】
【――世界を滅ぼすような神様だったからだと言って。けれどほんとは性格とか考え方の話をされていた。ならちょっとだけ狡かった。分かってる、――はずだのに、それでも】
【――――壊されてしまったお店はどうなってるのかな、って、ふっと思った。そんな沈黙に、夕月の言葉が挟まるのなら。また指先が一瞬だけ止まる、――続きが始まる】

――――――――たのしい。

【呟く声はきっといくらも嬉しそうに。それでも林檎一個分でさすがに差し止めた、あるだけの林檎を全部兎にしてしまって兎の楽園を建設してもいいよな気持ちではあったけれど】
【なにかどこか満足したみたいな顔してナイフを置いて。自分で切った兎を頭から齧っちゃう。――きゅんと酸っぱい青りんご。少しだけ和らぐ頬っぺたは、食べるのだって、大好きで】

からあげ……。……。……からあげ! ――――、からあげ。つくる。ふふ。――あはは。

【――――――ぱちくり瞬いた言葉が一瞬だけなにかを忘れていた。それでも相手の表情を見たなら、――思い出すのだ。そしたら、今度こそ、笑みが漏れてしまう刹那があって】
【なにが面白いのか、からあげって何度も口に出して笑っていた。――なにも事情を知らぬひとが見たら吹っ切って突き抜けてしまったと思われかねない言動でも、】
【二人の中ではきっと同じ夜の光景、思い浮かんでいるのなら。――泣きじゃくった真っ赤な頬っぺたに笑みを添えたら。そんな表情久しぶりな気がした。なんて】
924 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2019/01/16(水) 22:43:20.30 ID:uYUzep8m0
>>923

【「そっか」、――すべてを知ってる兄から、かじる程度には聞いていた。何度か名前が変わったってこと】
【だから、続くことばは「そうだよ」。兄だってそうだったし、自身の創造主だってそう。ついでに言うなら恋人もそう】
【本当に、名前でウソつくことは流行っているのかもしれなかった。みんなきっとそうだから、大丈夫】

青いやつねぇ……なんだっけ、ラメがぎらぎら入ってるバスボムとかいいんじゃないかな。
全部溶けたらお湯が宇宙みたいにキラキラになるの、掃除大変そうだけど……たまにはいいよネ。

……そっかなあ? あの人意外と聖書の言葉とか詳しいし、神様嫌いってわけでも……うーん?
ああ、やっぱアリアさん――白くてでかい人何人もいたら怖いよねぇ。
…………あの人ゴリラって言われてるの聞いたことあるけど、ゴリラってより怪獣っぽくない?

【「歩いてるだけでビルとかガシャガシャ崩すやつ、映画、見たことない?」 ひそやかな声で言うのは】
【ちょっと後ろめたい、本人に聞かれたら困るたぐいのことを言ってる自覚があるからだった】
【これ絶対オフレコね、って言い添えるなら、暗にアリアだってきっと許してくれるよって言いたいのかもしれなかった】

楽しいかぁ、そっか……そりゃ楽しくないと「たんぽぽ」なんかやんないよね!
うん、いっぱい作ってよ――あははは。やっと給仕さんを指名できた!

【冬だったのは覚えてる。でも何年前のだったかは覚えてない。そんな朧げな記憶でさえ消えないんだから、ぜったい】
【鮮やかに咲いた春の花だって枯れるはずもなかった。今は冬の寒さの下、土に潜って耐えてるかもしれないけど】
【暖かくなったら、そのうち絶対咲くから。だからこいつははっきりとその四文字を口にした。誰かに乱された文字列】
【はっきりと輪郭を持って、――ひとりでもそんなヤツがいる限り。そういう法則はまだ、続いているの、かも】

【――――「じゃあ鶏肉買いに行く? それと入浴剤と」 ぜんぜん違うもの、いっぺんに買おうとするなら】
【その道のりだって長くなりそうなものだった。それでもいいって思えるし、ひとりじゃないんだから――椅子から、立ち上がる】
925 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/01/16(水) 22:55:18.87 ID:S66deMDb0
>>919
【カニバディールは目ざとい。その一瞬を、ウイスキーが途切れて。彼女の仮面までも、剥がれかけた刹那を】
【普段の自分なら、恐れていただろう。彼女の根底にある闇の発露を。その恐るべき沈黙を】

【だが、己の激情が恐怖を抑え。そして彼女の抑え切れないような笑いを感じ取れば】
【そのどこまでも昏い笑いを見れば、わかった。恐らくは、彼女も自分と同じ。これは執着ともいうべき黒い思いだ】
【異形は殺気を引っ込めて、彼女がこちらに再び視線を送るまで待った。翡翠色を真っ直ぐに見つめ返して】

…………!!
……それは失礼した。知らぬこととはいえ、復讐の相手だったとはな。全く奇妙な縁だ
雌狼とは似合いの呼称だ。私が直接相見えたのは一度だけだが、まさにそんな印象だったよ

【重苦しい声で返す。その情念の凄まじさを感じ取りながら】
【飴の香り、薔薇の香り、まるで取り囲まれているかのように。気が付けば、懐に入られていた】

(……イスラフィールとアリス=ファンタジアに続いて、懐に潜られたのはこの短期間で三度目……。自己批判が必要かね……)
……嬉しいことだ。悪党をやっていると、友人はなかなか出来ないからな
とはいえ、多くは知らない。語れるのは、ここ最近外務八課が関わった事件のいくつかと……あの女が今、伴侶としている女のことだ

【今なお扇情的に蠱惑的に振る舞う彼女に、相変わらず恐れと、この先に自分たちが実現するだろう身の毛もよだつ所業への期待】
【それらを胸に踊らせながら、異形は頰を包まれたまま返した。雌狼のアキレス腱のことを】

/お待たせしました……
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/16(水) 23:06:58.97 ID:i+8nlE+/0
>>924

【べつに、名前が変わったことに引け目はなかった。それでもふっとしたときに物悲しくなってしまうことはあった。――母親の顔も父親の顔も、気づけばずいぶん朧気だった】
【お母さんやお父さんに会いたいなって思ってしまう夜を消してしまうことは未だに出来ていないから。――。それでもみんなそうなのかもって思えたら、】
【なにも解決はしないけど。してないけど。少しだけ楽になる気がした。――。「これで二十五歳でも、いい?」――。なら、なにもかも許してほしいのかもしれないのかもしれない】
【自分がずっと気に病んできたこと。名前のことも。大人になれないことも。いろんなこと。――到底二十五歳になんて見えない顔。子供のまんまの顔。それでもいいのかなって、】

バスボム……? えっ、――、――楽しそう。――でも、ほんとに、お掃除するの、大変そう。……排水溝詰まったら、セリーナ、泣いちゃう。業者さん、呼ばなきゃだから……。
でも――、ふふ、楽しそう、――掌もキラキラになる? ――やってみたい、お水、怖かったら、――夕月ちゃんだけ全部キラキラになっちゃうの! ふふふふっ……。

【――どうやら彼女はその単語を知らないらしかった。正しくは単語と単語は知ってても組み合わさった時の意味がよく分からなかったらしい】
【だけれど、会話の流れとその言葉で何となくを認識したらしい。即ち、なんかラメラメギラギラの入浴剤(タブレットタイプ)。そういう解釈をしたなら、】
【一瞬ふっと考えて――、頬っぺたを笑ませるのだ。楽しそうだって言って。だけどお掃除は本当に大変そうだって言って。――もし詰まったら、業者さんだって呼ばなくちゃ】
【そしたらセリーナ泣いちゃうねなんて言って。――とはいえ、もう長く留守にしているのだ。それっくらいはかえって"お仕置き"だって、言っちゃうみたいな声して】
【そんなにラメラメしているなら掌だって背中だってキラキラしちゃうんだろうか。――思い浮かべて、けれど実際やってみて怖くなってしまったら、見てるね、なんて、笑い声】
【一人だけキラキラになっちゃう夕月を想像でもしているらしかった。――ひどい。けれど、なんだか楽しそうでもあって】

【――――、「なら、嫌いなのは、わたしかな」】

…………ゴリラ。怪獣。……。…………。………………。…………………………。"怪獣"っぽい。ぽいかも。だって、お店だって、全部壊しちゃったの、――。

【ぱちり。ぱちり。――。それから彼女は長い沈黙を横たえた、その間に何度も何度も瞬きをしていた。――。そうして最後に漏らすのは、あの白銀を庇う言葉では、決してない】
【どうにも真面目に考えていたらしかった。確かに怪獣の方がそれっぽいって。――それにしても殺されかけたとか、店を全部壊したとか、ずいぶん不穏な話で、だけど、】
【彼女もあんまり気にしていないらしかった――、それがなんだかちょっぴり面白くって】

――――――――、たのしい。――……でも、大変だった、よ、たくさん、……。ぜんぶ、一人で。――楽しい、けど、ひどいこと、たくさん言われて。
――……、でも、……。楽しい……。……楽しかったの、かな、――わたし? お料理するの、――、楽しいと、思うの。みんなが食べてくれると、……嬉しかったの。

わたし、小さい頃、ご飯だなんて、運が良くないと、食べられなかったから……。

【――ぱち。また、瞬きする。夕月の言葉を繰り返したなら、――。彼女は"たんぽぽ"について、どうにも複雑に向き合ってきていたのかも、しれなくて、】
【お料理をするのは楽しい。けれど子供たちに酷いことを言われることだって多くて。だけどみんなが食べてくれたら嬉しい。――。――自分は小さな頃ご飯を食べられなかったから】
【であれば。彼女が見ているのは目の前の子供たちでありながら目の前の子供たちでなかったのかもしれなかった。"うそつき"。――。だから、やっぱり、そう、なんだけど、】

……、ねえ、ね、ヤサカさん、……。……来てくれない、かな、――、だめ、かな、……。

【立ち上がった夕月の仕草に、――けれど彼女は追随しなかった。無理強いの声音はしていなかった。夕月があくまで決めていい――というと、違うのだけれど、】
【駄目だと思うなら、駄目と言って。よかった。大丈夫だって思うなら。――。彼女はきっと彼だって一緒に呼びたいんだった。自分のお料理、食べたいって、言ってくれた、ひと】
927 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/16(水) 23:17:43.82 ID:u6ef1XMyo
>>925

【頬へ添えられた掌と指先は、 ─── 肌膚の擦れる幽けき音を生じて、彼の首筋へと。舐るような指遣いにて、なぞり下ろされていく】
【ごく長い爪をしていた。五指の其々を彩る、其々に色味の違うネイル。頸動脈を撫ぜる人差し指は、溢血のような黒い深紅を孕む】
【そうして真ッ直ぐに異形の瞳を覗き込む翡翠色は奥が知れなかった。深淵を覗くとは詰まる所このようなクオリアを意味していた。 ─── はァ、と漏れる粘度の高い呼吸と共に、離れて】


「かえでちゃん、よね?」「うふふ。」「全く、よく似合っているわぁ。本当に、あの女が好みそうな少女ですこと。」
「わたしも彼女には、会いに行って。」「幾らか嬲ってあげて、そのまま"持ち帰ろう"としたの、だけれど ─── 横槍が、入ってしまって。」

「手早く殺っていれば良かったわぁ。 ……… あの子が悲しく震えて、鳴き叫んで、残った命の一雫まで、」
「わたしに啜り取られる様を、送り付けてあげようと思ったのだけれど。」「あまり、色気を出すものではないわね?」


【改めてベッドの縁に座り直しながら、 ─── どこか夢見のような語調にて、緩やかに伸びやかに綴るのだろう。淫靡なほど長い両脚を組んで】
【サイドテーブルに脱ぎ捨てられたスラックスのポケットより、彼女は何かしらを引き抜いた。指間に挟んだそれを、カニバディールへと示し】


「 ……… それじゃあ、彼はご存知?」「 ─── 冷たい顔をしているけれど、存外に"彼女"は、感傷的な女の子なの。」
「大切な繋がりも、沢山あって。」「 ……… 潰していくには、事欠かないわぁ。」「とてもとても、長ぁく、楽しめそう。」


【一枚の写真だった。一人の女が映り込んでいた。ゴシックロリータを纏った、円い碧眼と長い濡羽色の女。それが然して女ではないことを、カニバディールは知っているのだろう】
【ことごとく潤みきった言葉を紡ぐ女だった。悠然と胸前に組んだ片腕は己れの豊満さを強調するようだった。「 ……… 彼も、彼女と親しいのよ。」飴色の大気を揺らす、囁き】
928 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2019/01/16(水) 23:24:49.55 ID:uYUzep8m0
>>926

【「いいよ。……実はあたしもそんくらいのトシなんだよ、これはホント」 笑う彼女も、とうていそんな年には見えず】
【厚底靴で身長を盛って化粧で背伸びして、せいぜい18かそこら。そこから永遠に成長できないから】
【だからもう開き直って、永遠の若者ムーブ決めてるだけだった。だから誰もが許されるはずだし、――】

そう、お湯に入れたらシュワシュワするの……詰まっちゃうかな!? それはヤだな、怒られんのは……
…………えっウソお、あたしだけ!? それもヤだよ、せめてなんか……足湯かなんかやってよ!

【盛大に裏切られたみたいな顔してゲラゲラ笑うから、脚も遊んで厚底がごつごつ床に当たる】
【その音すら賑やかさを後押しするみたいで楽しい。お囃子みたいって言うにはだいぶ下品だけれど】
【キラキラのお湯だって、怪獣の話だって笑って――うそ。最後は笑わなかった、「えっ店……壊……」】
【そこで現実に戻って。はたと、ふと、ひんやりした空気に我に返るなら。「……そっか」、それだけ】
【嫌いなものは嫌いって言ってってお願いしたのは自分だった。だから、少し笑って、何も言わない】

そうなの、鈴音も言われたの? あたしも散々言われたよ、ユッキーのごはん美味しくないって。
鈴音おねえちゃんのほうがずっとずっと美味しかったって――食べてもらうの大変だったんだから。

【きっとこいつが言われたのと鈴音が言われたひどいこと、意味合いは違うものなのだろう】
【こいつのは所詮、鈴音が長い時間をかけて接して、ようやく心を開いてくれた子供たちからのそれであり】
【鈴音はそうじゃないなら。まず、スプーンを手に取ってもらうこと、においを嗅いでもらうことから始めるなら】
【険しさだって全然違おうものだろうけど――それでも「またやろうね」って、確かに口にするから】

【――――――――けれど、】

……………………。……んー、あー、……ヤサカね、最近連絡つかなくって……。
どこほっつき歩いてんだか知らないけど、……んでも、そのうち戻ってくるよ。
鈴音が帰ってきてくれたんだもん、戻ってこないはずない……。……絶対伝えとくから、鈴音が待ってるって。

【言及が兄に及ぶなら、いくらか言い澱んだ。曰く、SNSは既読すらつかない、共同の塒にも帰ってこない】
【彼はいつか言っていた、危ないお仕事をしているって――。そんなことまだやってるんだろうか。わからないけれど】
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/16(水) 23:47:45.08 ID:i+8nlE+/0
>>928

【瞠った目が丸く円く夕月を見つめるのだろう。――そういえば確かにそうなのかもしれないと気づいた、二人初めて会ったのは、……えっと、何年前だっけ、分からないけど】
【その時から二人とも何にも変わってない。――そうやって気づいてしまうなら、もしかしたらそんなひといっぱいいるのかもしれないって。気づいた。――それから、もひとつ】
【"言われるまで気づかなかった""そんなこと気にしてなかった"、――、あれって、ふっと思った。――あれ?って自分の中で問いかけた、だって自分は気にしてやいなかったんだ】

…………。帰ってこない、セリーナが悪いよ。

【――ふっと目線が落ちる横顔は悲し気であるのだろう。"そういうこと"にしてしまおうとしていた。――――もしかしたらもう二度と帰らぬのかもしれないって、】
【思いたくなくても、そっと意識に忍び寄って来るような時間は経ちつつあった。――けれど今この場で無策のまま話し合っても意味ないし、きっと、喧嘩になってしまうなら】

足だって――怖いよ、だけど、……、夕月ちゃんと一緒なら、出来る、……、かも、……。しれない、……。……。……。駄目だったら、わたし、見てるね――。

【結局深さのある水は恐怖の対象なのだから。身体が駄目なら必然足だって駄目だった。それでも、――誰か一緒にいてくれたら平気になれる気、しちゃうくらいには、】
【きっと夕月の言葉をめいっぱい受け入れていたし、夕月のことを信頼していた。ぽつんぽつんと途切れがちな言葉。長考。――駄目だったら見てる。宣言。きっちりと】
【だって出来ないものは多分出来ないんだから。――ひんやりする一瞬に、けれど、ぱちと瞬き、】

………………そうなんだ。――――――――ふふっ、あはは、ひどい、……。ひどいね、誰が言ったの、そんなの……。

【やはり丸い目をしていた。――。子供たちの浴びせる言葉が"おいしくない"とか、そういうのであったと聞いて。――、――沈黙、数秒。そしたら、また、破顔する】
【失礼なって思われるかもしれなかった。だけれど、――。自分が受けたような言葉がもう出てこないのなら、それでいいかなって思えた気がした。何か意味があった気になれた】
【だから自分がなんて言われたかは言わなかった。――。笑いながらひどいねなんて。彼女のその仕草も割と"ひどい"のだけど――】

……そっ、か、……。――、ん。わか、った、――――――――、ヤサカさんに、伝えて、おいて、――、ご飯できてるよ、って、……、わたし、作るよって、

【――――ごく何か感情を飲み込む顔をしてから、曖昧に彼女は笑うのだろう。そうして何か問い詰めたくなってしまうような一瞬を誤魔化す、――、そしたら、】
【伝言を伝えておいてほしいってお願いをする。――。ご飯を作って待っているから。食べに来てって。――――彼がもう一回食べたいって思ってくれたままじゃ、終われない、って】
930 : ◆EQBB9rCCt1P5 [sage]:2019/01/16(水) 23:50:02.47 ID:S66deMDb0
>>927
【まるで、そうまるで蛇が顔から這い降りているかのような感触だった。指の動きは蛇の舌に晒されているかのように】
【彩りのネイルも、頚動脈に触れられながらではとても眺める余裕などなく。ただ紅だけが記憶に焼きつく】
【それでも、異形は見つめ返す。深淵がこちらを覗き込むなら、こちらも深淵を覗き返してやるのだと】
【それでも、彼女が離れた時にはプレッシャーからの解放を感じずに入られなかった】

すでにご存知だったかね。ああ本当に、似合いの二人だよ

ほう、それは痛快な話だ……あの蛇教の死に損ないは、外務八課の中でも特に憎んでいる相手でね
カルトの拠り所を失って、雌狼に寄りかかるようになってからは、随分脆くなったようだが。それだけ可愛がってやったなら、さぞや良い声で泣いただろうな? 見てみたかったものだ

横槍、となるとご本人が来たわけか……それはつくづく残念だ。確かに、手早く始末しておいた方が確実ではあっただろうが……
私は、いいと思うがね。色気を出すのもやり方を変えれば、美味しいところだけを楽しめるものだ

【だから、あの蛇の聖女ではもっと楽しめる。肉屋はそんな欲望を抑えられなかった】
【それも、彼女が写真を取り出せばすぐに収める。皮算用は後回しでいい】

……よく知っているとも。雌狼と共に、私と部下たちとの食事会を、盛大にぶち壊してくれた男だ
ふ、ふ。そうらしいな。濡れ仕事(ウェットワークス)が生業の割には、あちこちで繋がりがあるらしい

この男に関しては、敵に回すと少々厄介なおまけもついているがね……
こいつの伴侶は夕月という拳銃使いの女だが、その女は「冒涜者」の所有物だそうだ。名前を聞いたことはあるかね?

まあ、相手がどれだけ危険だろうと、貴女は躊躇わないだろうがな。私も、外務八課はそれだけのリスクを負っても潰したい相手だ

【異形は根っこのところが臆病である。その事実は、フライヤにとっては好ましくないだろうか】
【だが同時に、その臆病を上回って外務八課への、かえでへの、アリアへの、ミレーユへの怒りは本物だとも伝わるはずだ】
931 : ◆S6ROLCWdjI [sage]:2019/01/17(木) 00:08:38.47 ID:c65ts1QP0
>>929

【「でしょ」。少し得意げに言ってから、それでも次の瞬間、鈴音のまつげが下に向くのを見て】
【無責任に、そのうち帰ってくるよだなんて言えはしなかった。だから次の瞬間には誓うのだ】
【セリーナの手がかりを見つける。そしてもう一度鈴音と会わせる。心の中でひとり勝手に決めてしまうなら】
【――意外にもアテはあった。自身の創造主と、セリーナを攫った犯人は親しかった、確か――思い出すなら】
【何をしでかそうとしているか、きっとバレてしまう。言ってしまえば。……だからこの場では言わないって、決めておいて】

足もダメ? なら、手をつけるとか――ううん。ま、無理はしないでよ、ほんと。
しょーがないからキラキラになったげる。ヤバくなったら写真撮ってね、面白そうだし。

【代わりに面白そうな話で埋め合わせておく。全身キラキラになった写真、深夜に恋人に送り付けたら怒られるだろうか】
【そういう話をして――無理しないって思ってくれるならそれがうれしい。それでいい。それが普通なんだから、】
【今ばっかりは普通に遊んで楽しく過ごしたって誰も怒らないって信じてる。怒る人がいるなら、怒り返してやる】
【だれが言ったのって話になったらそれはもう、ほとんどの子って言って笑うから――きっと差異には気づいてない】
【それでいいのかもしれなかった。ならもう、あとは、その子たちの帰りを待つだけ――気の遠くなるような時だって、待つから】

うん。そしたらきっと秒で戻ってくるし、……大丈夫だよ。
また、絶対、たんぽぽやろうね――ヤサカも、……つがるんも。戻って来させるから。

【何度目かわからない約束だって平気で交わす。ただ、鈴音はもう普通の子に戻っちゃったから】
【いつまでも待っててなんて言えない。だから本当に早く、いろんなこと――つがるの名を出すなら、表情が陰って】
【けれどそれだってそのうちに解決すると決めた。探して、会って、話をする。……これもタスクに追加、したら】

…………ん。じゃあそろそろ、買い物行こ。鶏肉と、入浴剤と、……あとなんか要る?
お菓子。あと……いい感じの枕とかない? ここの仮眠室、前借りたけど、枕ボソボソしてるじゃん――

【――一番最初に設定したタスクに戻っちゃう。からあげのオーダー。まずはそこから初めて、数年分、埋め合わせるんだから】


//ここらへんがキリよいでしょうか、、、でしたらお疲れさまでした!
//今日はそろそろ落ちちゃいますが、なにかあれば明日以降でも続けられます〜
932 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/17(木) 00:11:44.40 ID:H8/PFFj5o
>>930

【「あら、 ──── 良ければ、ご覧になります?」枕元のスマートフォンを白い指先が囚えた。やはり耽美に投げて寄越すならば】
【液晶に映されているのは十数分の動画ファイルだった。どこかの閑静な住宅街。薄藤色の少女が悍ましい肉塊に締め上げられていた。集音器さえ慄わすような絶叫は声にならず】
【赤黒い肉塊を使役しているのは眼前の女であるようだった。 ─── 下卑た覆面の笑いがその様態を取り囲んでいた。片腕の皮を剥ぎ取り、全身の骨格を砕き、凌辱めいたキスまで味合わせ】
【 ──── 映像は銃声と共に揺らいで、レンズへと一杯に鮮血がへばり付いた所で、終わった。やはり女は笑っていた。画面の中でも、彼の眼前にあっても、変わらずに】


「夕月ちゃん。 ─── へえ。」「ええ。 ……… 彼女とも、仲良くなれるものだと、思っていたのだけれど。残念と言えば、少し残念かしら。」
「でも、いいわ。彼を吊るし上げるのには、きっと御誂え向きですもの。」「 ─── 揃えて殺してあげましょう、ね?」


【 ──── 愉悦に満ち満ちた明眸は、撓むように細められて、カニバディールへと約束を望むのだろう。贈り物を強請るいたいけな乙女の挙措に似ていた】
【彼の憎悪を解しているのかしていないのか判然としなかった。 ─── それでも元よりこの女は正気でなかった。深々と漏れる甘美な嘆息が、飴色の濃度を更に深く、粘ついて染め上げる】


「けれど、 ……… わたしはそこまで"彼ら"に興味はないの。」「あの女の居場所を奪ってやるのは、さぞや愉しいのでしょうけれど」
「逃げ場もなく追い込んだとして、この手を噛まれるような痴態は晒したくないわぁ。」「 ─── 尤も、うまく彼女を潰してあげれば、わたし"たち"が手を下すまでもないでしょう。」


【あくまでもその憎悪の対象はアリアとその個人的な交友に向けられているらしい。 ─── 彼女の属するものがどうなるかについては、さしたる感興を持たぬようだった。】
【然してまた彼女も孤独ではないことを言葉尻に匂わせていた。当て所ない指先が、ウイスキーの満たされた浅いグラスへ伸びて、一口を呷る】
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/17(木) 00:27:01.77 ID:F3yzPS2Z0
>>931

――――――――――――――、でも、大丈夫な気がするの。

【だからきっと彼女は笑んでいた。根拠がないと言えば確かになかった。――それでも、なんだか、出来る気がした。それが多分きっと一番大事なことで、】
【ならば実際その場面になったら頑張るんだろう。お風呂の淵に手をかけて五分ぐらい凝視したりしたかもしれないけど。背中が冷たくなって、ちょんと指先を伸ばして――】
【――ぴゃんっって肉球が濡れちゃって猫みたいに跳ね上がって、結局、洗面器にお湯を貰って浴びて楽しむことになるのは未来の話。ただ、キラキラになるのは一人じゃないから】
【――――そしたら二人でけらけら笑っちゃっていいんだと誰が定めたでもないけど、決まっていたから。写真、については、写真撮るの?って、少し不思議そうな顔、】

【――お風呂、即ち裸、写真、――、写真??????というので思考回路がフリーズしているらしかった。だから、まあ、別に、無視してよかったけど】

――――うん。やる。やる! ぜったいする、――、正義と約束したの。だから……ぜったい……。

【(黒幕のこと、終わらせて。それで、今度は絶対誰にも邪魔させない。傷つけてしまった子たちに謝る。――。だから、カルラを起こす方法だって、探す。見つける。ぜったいに)】
【"やる"って簡単な二文字に、けれどたっくさんの気持ちを込めて。――正義という名前は相手も知るものだろうか。何か辿るには拙いもの、けれどきっといつか繋がるから】
【そうやって続いてきた世界なんだから。――。――戻ってこさせるからって強い言葉には少し苦笑に似た温度を浮かべたけど。迷惑をかけたのだから、もちろん、手伝わないはずなくて】

んとね、あとは、レタスと――、レモンと。……からあげにレモンかけるの、嫌い? そしたら、なくってよくて。
夕月ちゃん、どんなからあげが好き? サクサクのやつと……。カリカリのやつと……。それから……。枕は……。……枕も、買って、いいのかな――。
――――そうなの。ぺったんこなの。セリーナ、たぶん、ケチったんだ。セリーナね、――――――――――――――――。

【なら買い物はやっぱりいろんなお店に行かなくちゃいけないみたいだった。添えるお野菜にレモンは嫌いならなくっていい。サクサクなのとカリカリなのもどっちも作ろうか、なんて】
【枕も買うならもっと買い物だって大変になっちゃう。今日は車で送ってもらえないから両手に持てるくらいにしなくちゃいけなくて。それでもふっと楽しくなってしまうのは】
【神様になりかけたり、なっちゃったり。名前だって後から付け直したり。それから、大人じゃないみたいなふりして、ほんとは大人だったり。――そんな共通点、分かったから、】

【――それから、きっと彼女は、ヤサカと半分こしたので、"はんぶんこ"のやり方、覚えたのかもしれなかった。ちょっと気楽になれたのかもしれなかった。なんて、】
【まだ何にも解決してないけれど。――――してないけれど、ほんのちょっとだけ、夜風が気持ちく思えた、気がした】

/おつかれさまでした!
934 : ◆EQBB9rCCt1P5 [sage]:2019/01/17(木) 00:47:43.02 ID:0OYwftHf0
>>932
【「見せていただけるのか」。肉屋は本当に自然に、嬉しそうにそう言った】
【大きな手で端末をキャッチし、逸る気持ちを抑えて動画を再生する】

……素晴らしい。私もスナッフ撮影をすることはあるが、これほどの作品は求めて未だ作れたことはない
随分と苦しんで……これは色気を出すのも仕方ない、フライヤさん

この蛇女には、私は存在自体に価値を認めていないのだが、苦しみ方だけは大いに面白い。周りの覆面諸君に会えなかったのは残念極まるな。この場面について語らいたかった

【銃弾の乱入には、少し不愉快そうにしたが。異形の顔にも、喜悦の歪みが残った。眼前と画面内、二人のフライヤと同じように】
【しばし堪能した後で、端末を彼女に投げ返す】


夕月の方もすでに把握済みか。私も彼女に関しては残念だよ。積極的に敵対しようとは思っていなかったからな
だがまあ……彼女は良い女性だが、彼女の夫がいけないのだよ。それに、伴侶に先立たれて取り残される方が気の毒だ
是非、そうしてあげよう。最期は並んで向こうに旅立つ。感動的じゃあないか

【損得勘定のソロバンを弾く。何が己の利益になるか。何が己の欲望に合致するか】
【天秤の片方に、夕月のことや冒涜者のこと、夕月が鈴音を呼び続けていたことを載せても】
【もう片方の、外務八課への憎悪や、フライヤへの恐怖はビクともしなかった。ならば、やろう。乙女の強請りに応じよう。自分は悪党なのだから】

【この異形とて、見た目通りにまともではない。飴に絡め取られても、溺れ死にはしないという自負もあった】

……なるほど。貴女の甘美な憎悪の向く先は、雌狼とその周りか
私の最大の憎悪の対象は、蛇女だ。あまり標的を広げすぎて、いらぬ傷を負うのは私も本意ではない

利害は間違いなく一致する。何せ、雌狼のヘビへの入れ込みようといったらないからな
私の食事会を台無しにした時、あの女は「私が死ぬのは、かえでが死ぬ時だけ」とまで言い切った
……きっと、望み通りにしてやれる。そうだな?

ふ、ふ。なるほど。闇は深い、というわけか

【忌々しい記憶を呼び起こしながら、しかし笑う。アリアとその周りをめちゃくちゃにするのに、彼女ほど頼れる共犯者はいない】
【その上、彼女とて一人ではない。外務八課の敵は想像より大きそうだ。ならば、それ自体が自分の利益】

【この場の出会いは、彼奴らの破滅の第一歩だ。異形はそう信じた】
935 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/17(木) 01:14:28.61 ID:il2vAOYto
>>934

【「それなりにわたしも、目を掛けていたのだけれどね。」 ─── ごく無残な死に方を遂げた彼らは、どうやら彼女の部下であったらしい。】
【深い絆とは言わずとも相応以上の信頼を寄せていたのだとも取れるのだろう。同胞を重んじる慈悲のような真っ当な感性も携える女だった】
【でなければ復讐という先ずもって人間的な行いに身を焦がす筈もないのだと逆説もできた。投げ返された端末を、華奢でさえある掌へと収めて】


「優しいのね。」「わたしであれば、離別の苦痛を心行くまで教え込むのが、最善であるとも思っていたのだけれど」
「 ……… 余り彼に拘う必要もないかしらね。」「今からでも疼いてしまうわ。彼の泣く顔、とても素敵ですから ──── 。」


【一頻り肩口を震わせて笑っていた。 ─── どこか懐かしむような恋慕の声にも似ていた。ミレーユやアリアを語る彼女の語調は】
【単なる憎悪に類していながら、然して確かに浅からぬ友誼の名残をも感じさせた。であるにせよ、所詮それは名残に過ぎぬとも、言外に語る昏い微笑みの雄弁さであった】
【 ─── 徐に彼女は立ち上がるのだろう。脱ぎ捨てていた衣服を纏い直す。雄の欲望を象ったように蠱惑的な躯体は、決して露出の多くないニットの織地に隠されて尚も、ひどく肉感に満ちて】


「あははッ、 ─── 彼女らしいわ。」「 ……… 全く、その通りね。」
「唆られるわね。彼女の悲願を叶えてしまうのは、些か癪に触るけれど ……… それでも、ああ、愉しいわ。愉しいの。」


    「 ─── では、いずれ。」「また会いましょう、肉屋さん?」


【そうして別れまでもが気紛れであった。 「いつでも連絡をくださいな。」殺された男の携帯端末を、ベッドの上に置き去り】
【確かにそこにはフライヤの連絡先が残されていた。当の彼女は煌めく夜闇を睥睨する窓際に立ち、躊躇いもなく窓を開け放つのだろう。 ─── 吹き込む30階の突風が、飴色を悉く薙ぎ払い、然してそれでも全て消す事は能わず】
【気付けば彼女は窓の淵から身を投げていた。恋い焦がれる蜂蜜色のような長い栗毛が、窓枠に眩耀の残滓を幽かに残して、下界を覗き込んだとしても、何処にも影すら見出せずに。なんとなれば彼女は、復讐に生きる魔女であるのだろうから】


/このあたりでシメでお願いします、、、!まだ何かあればそれも大丈夫です!
936 : ◆EQBB9rCCt1P5 [sage]:2019/01/17(木) 01:36:32.02 ID:0OYwftHf0
>>935
【その一言で、彼女にはどこか親近感を抱いた。己もまた、配下たちには大いに信頼を寄せ、共に歩み続けている】
【狂気と悪意をその身深くに秘めながら、一見してまともな感性までも備える。悪党とて人間であり、ゆえにこそ度し難いのだ】

【端末を投げ渡した後、肉屋は短い黙祷を画面の中の彼らに捧げた】

ふ、ふ。感傷的な悪党というのも似合わないかね
離別の苦しみは確かに最高の愉悦のスパイス足り得るが、片割れがこの世に居残ってくれるという希望を砕くのも乙なものだよ

良いね。私も彼のそんな表情は是非拝んでみたい
(なるほど、あの二人とは浅からぬ仲というわけだ。可愛さ余って、というやつか?)

【だからこそ、これほどの憎悪も湧くのだろう。己の理不尽な嫌悪とは違う、純度の高い感情が】
【名残にすぎなくとも、それがあるからこそ彼女は友人足り得る。そんな人間的な思いを深く抱えた彼女だからこそ】

【彼女が衣服を纏い直せば、今宵の別れを察して居ずまいを正した】

そうとも、きっと愉しい。その時の愉悦を考えれば、願いを叶えてしまうことも必要経費と思えるさ

ああ、またいずれ。会えて良かったよ、フライヤさん

【気まぐれには慣れていた。「そうさせてもらおう」と返す肉屋は、高所から消える彼女の去り際を平然と見送る】
【驚くには値しない。一度は、好奇心にかられて窓の下を覗き込んでみるが、夢幻のようにかき消えて】
【飴と蜂蜜と翡翠の残り香は、ビル風によってさらに深く巨躯に染み付いた】

【カニバディールは踵を返し、死んだ男の端末から彼女の連絡先を拾い、自身の連絡先をそこに送信した】
【男の端末から、彼女の連絡先を消す。こんなことをせずとも足など付くはずもないが、これが異形の気まぐれだ】

【そこからはいつもの盗賊仕事。スイートルームの金品を、あっという間に根こそぎ攫って】
【部屋のドアを開けようとして、ふと振り返る。部屋に飾られた造花を取って、死んだ男に手向けるように放る】

ご愁傷様、先生。感謝する。貴方のおかげで、思いがけず良い出会いを得た
どうか、地獄でもお元気で

【物言わぬ死体に優雅に一礼し、異形は平然とドアを開けて立ち去った】
【その巨体を見とがめた者は、誰もいはしなかった】

/了解です、こちらもこれにて締めとさせていただきます! ありがとうございました!
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/17(木) 13:46:46.20 ID:F3yzPS2Z0
【街中――】
【晴れやかな青空の広がる日だった、ぴゅうと冷たい風も今日はお昼寝でもしているらしいなら、ごく小春日和の一日であって】
【ベンチに深々腰かけたなら勝手に日向ぼっこが始まってしまうようなお日様のぬくもりが満ち満ちていた、そこに、ぽつん、人影があるなら】

あ――もぅ。がさがさ言うからって、すぐ出てくるんですねえ。駄目ですよお、出てきたところで、これ、クッキーとかですー。……いい匂いするの?
だけど残念でした、猫ちゃんゴハンは持ってなくって――。だからスンスンしちゃだめです、掘ってもクッキーとかフロランタンとかしか出てこないですからっ。
あーもおっ、膝も駄目です! 私この後はお家に帰ってカウチポテト………………。あーーっ、ソファーにしないでください、カウチキャットにならないでくださいよおー。

【――どうにも一人の癖に賑やかであると覗き込むのなら、少女が一人絡まれているようなのだった。ベンチに座ったままの姿勢と、その傍らに猫がまとわりついて】
【おんなじくベンチの上には紙袋の上からビニールの手提げに入ったケーキ屋の袋が転がしてあるのなら、どうにもその音を聞きつけた野良猫に目を付けられてしまったらしくって】
【ならばごくごく人懐っこい野良猫が膝の上に落ち着いてしまうのも仕方がないのかもしれなかった。――あーなんて言いながら大人しく枕を決め込む少女も、そう判断したのなら】

【透き通る毛先は白銀の色合いをしていた、腰ほどまですとんと落としたストレートヘアは、かえって、その肌の白さをよりいっそう引き立ててみせたなら】
【あどけなさを残す顔はいくらか優し気な微苦笑を湛えて。なれば掛けた眼鏡は黒ぶちのもの、とろんと甘い垂れ目の眼差しはいっとう深い青色をして】
【黒色のニットワンピースは袖のところにリボンを編み込んだもの。そうして足元の黒色のタイツにも、リボンが編み込まれて。投げ出したまま動けなくなった足先はショートブーツ】
【――十七つほどの少女であった。誰に向けてでもなく少しだけ困った顔をしてみせたら、指先は手持無沙汰に猫の額を撫でつけてやるなら、野良とは思えぬゴロゴロが空気を揺らし】

【両手共に白い薄手のグローブに指先を包んでいた。服飾にも手袋にも猫毛がふんだんに絡みついて問題のない人種であるらしかった。――、「もう」と口先ばっかりの反抗期】

――いいお天気ですね。もうすぐ春かな。今年はいちご狩りとか行きたいです。いちご狩り行ってー。お花見してー。菜の花のお浸しを食べなくちゃ。
猫にはあんまり関係ないですかね。デートするのに忙しいですか? 大変ですね、――うふふ。

【であれば、すっかりと腰を落ち着けてしまった猫を話し相手と定めてしまうのだって、当然あるかのように。――ならば、ごく穏やかな暖かさに欠伸が漏れるのだって、きっと、】
【だから誰かが通りがかるときに少女の目が空いている保証はなかった。ふわふわのスヌードに隠した首元から覗く胸元はひどく豊かで、投げ出した足だって、真っ直ぐ綺麗に】
【――そこらへんのベンチで猫と共に寝こけるにはいくらも甘美に耽美な柔らかさを孕んでいたのなら。それでも無邪気に緩んだ頬っぺたが限りない少女性を主張して、甘やかな陽光に、毛先が煌めく】

/のんびりおまちしておりますっ
938 : ◆Dfjr0fQBtQ :2019/01/17(木) 18:55:55.72 ID:BycAjBERO
>>906

【文月は慣れぬ足取りで着いていく、文字通り二つの意味で】


─── すいません、うちの想像をめちゃ超えてはって……えっと、嘘ついてはらへんのは、分かるけど
堪忍な、少し整理させてくれへん? うちも言いながら、考えていくさかいに

政治家だけやなくて、企業まで関わってはるんやね、それは何となく分かります、そういうのに癒着は付き物どす

ゾーイはんは、えっと、この街を使って、テクノドッグスって会社と、その上にあるオーウェルって企業を倒そうとしてはる


─── 大丈夫どす、その辺までは何となくわかりました



【ビルの多さに感嘆の声を漏らして、そして続ける】



でも、タイムマシンやなんて、─── そんなん、作れるん?
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/18(金) 19:32:59.72 ID:AcdSP+auO
【風の国/UTの酒場】

【人が居ることが珍しくなったその場所に、ふらりと男が訪れていた】
【無精髭にくしゃくしゃの黒髪。トレンチコートにボルサリーノハットを合わせたそいつは】
【誰もいないカウンターに座って、勝手に酒を飲む。なんならタバコだって吸っていた】
【酔客の喧騒はここにはない。あるのは精々、テレビの音と氷の溶ける音くらいだった】
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(宮城県) [sage saga]:2019/01/18(金) 21:12:21.47 ID:U8hI21Pq0
【路地裏に響く甲高い悲鳴。続くのは、低い含み笑い】
【表を歩く誰しもが関わらない事が吉だと言わんばかりにその悲鳴、助けを求める声を無いものとして通り過ぎて行く】
【或いは、本当に聞こえて居ないのだろうか】
【何であれ其れは痛みに喘ぐ人物にとっては関係の無い事。無駄であったとしても、何度も助けを求めるのだ。何度も、何度も】

【もし偶然にもまた別な誰かが付近を通るのならばその声が聞こえるだろうか】
【誰も助けないならば自分が助けんと乗り込んでくる輩も居るだろうか】
【後者なら、不幸な事だ】
【被害者――少女は身体の所々が欠損し、寒空のためか切断面からは湯気が上っている】
【蛞蝓の如く這って逃げようとすれば温かな血が粘液の様にその跡を汚していく】
【助けるには血を失いすぎているし、身体が欠けすぎている。これ以上苦しむ事の無い様に“慈悲”を与えてやるべきだと判断する程度には】
【恐怖に歯を鳴らし、痛みに目を見開きながらも生を望む少女には酷だが……急に身体が完治するなんて奇跡でも起きない限り、待っているのは死】

「そう逃げなければ長く苦しむ事も無いのですが……いや、困ってしまいますねぇ
“また”手元が狂って仕舞えば苦しむのは貴女ですよ?」

【その後をゆっくりと歩いて追従するのはコートを着た男性、だろうか】
【顔は包帯で覆い隠されている故に分からずとも、声は女性と比べればやや低い】
【確実に少女を仕留める腕は持っているし、それが出来る状況であるにも関わらず其れを行わないのは異常な残虐性を持ち合わせて居るからか】
【手には血の滴る小さなメスが一本。其れだけで足首や手首を綺麗に切り落としたとも考えるのは難しいが――現実にそうなのだ】
【通りすがりであれ目的を持った人物であれ、誰かがこの場に現れたならば男は其方へと顔を向けて】
【「おや、こんばんは」なんて暢気な挨拶をする事だろう。対して少女は足元まで必死に這って助けを求めようとする、が】
941 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/19(土) 01:04:39.04 ID:LWsfBmzBo
>>939

【 ─── 彼の隣で、椅子が軋んだ。冷たく揺れる空気に伝播する、柑橘色の甘い芳香。】

【女だった。若い女である。濡羽色の黒髪を腰にまで伸ばしていた。機微の一ツを見せる毎、その末梢が儚く揺れていた】
【透き通るほどの白皙には、それでも可憐しく彩られたような血の気が差していた。冬の夜風に晒されたなら、乙女の肌も赤らむものだろうか】
【ごく円い眼窩と眦をしていた。愛らしい笑顔というものを此れでもかと知り尽くした丸さだった。頻りな瞬きさえ幼気な好奇心を思わせた】
【その正中に収まるのは、矢張り円く大きく煌めいて止まぬ、碧眼。 ─── 然し、隣席の男をやたらに覗き込み、透き通った青い虹彩の奥に落とし込んでいた。そうして、やおらに呟くのは】


   「 ──── オバケ?」

【あざとく甘い声音でありながら、 ──── 限りなく間の抜けた階調だった。そうして漏れる吐息さえ甘いのだとしても、誰もいない酒場の底冷えに、溶けていくのであれば】

/まだ見ていらしたら……お返事は後日でも構いません!
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2019/01/19(土) 15:08:55.02 ID:xbDu23XKO
>>941

【覗き込まれる。昏いサングラスの色合いが、少女の青色を何トーンか落として返す】
【そいつは彼女に視線を向ける。顔の角度でそれが分かる。だってのににこりともせず】
【タバコの火だって点いたまま。禁煙だの喫煙だの、そんなものは気にするタチじゃあなかった】

【からりと氷が酒に溶ける。グラスについた水滴がカウンターテーブルに滲み】
【その間にもテレビの中のタレントは会話を続けていた。明日の天気にしょうもないゴシップ。俳優の失言に対する悪口に】
【1ヶ月くらい話題になって飽き始められた汚職へのコメント、────「ああ」と、やっとそいつは言葉を口にした】


『この国の幽霊は酒もタバコも呑むのか?』
『脚ならちゃんとあるさ。明日には誰かに撃たれて無くなっているかもしれないが』

『それにしたって────やっぱり俺は、死んだことに“なっている”のか』
『神様にはたんまりチップを弾んでやったと思ったんだが』


【そいつはちょっとだけ笑っていた。チンザノ・ロッソ。声も、容姿も、タバコの香りすら】
【“そいつ”は彼そのものだった。死人が蘇ったか。未来から流れ付きでもしたか。或いはトリック。なんだっていい】
【どんな奇跡だって、この世界に不可能はなかった。神様が実在するこの世界であれば】

/返信は不安定になるかと思いますが、それでもよろしければ。よろしくお願いします
943 :????? ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2019/01/20(日) 14:00:48.38 ID:2yT75kgP0

「なぁ、いつまで歩くんだよぉ! あたしもう腹ペコ通り越して自分の"にく"喰っちまいそうだぞ!!」

まあまあ、落ち着き給え"スタン"君。伝説の王者たるティラノサウルスが―――こんな所で弱音を吐いていいのかね?

「あァ!? なんだテメェ! 今ティラノサウルスバカにしたか!? しただろ!?」

―――いや、逆に持ち上げたつもり、だったのだが。馬鹿にする訳ないだろう、私は君を尊敬しているんだから。
……ううむ。とはいえ。 私も君ほどではないが、いい加減お腹に何か詰め込まないと……恥ずかしい音がぐうぐうと声を出しそうだ。
まったく歳を取っても、食欲だけは失せない物だね……。どこかこの辺りに、食事がとれそうな場所は―――っと、そういえば、"目的地"が、そうだったな。


【妙な組み合わせの男女が、そこに居た。男のほうは初老、白髪交じりの頭皮をオール・バックで纏めた老紳士、といった体で。】
【見る人が見ればすぐに分かるような、かなり高級な生地をふんだんに使用し、それでいて落ち着いたデザインのテーラード・スーツに身を包み。】
【グレイで揃えられた上下の服装と、中に着た紺色のセーターが相まって物腰柔らかな印象を与えるだろう。片手には革製の分厚いバッグを持ち、身なりも良い男だ。】

【そして女の方はと言えば―――これが奇妙なもので、この真冬だというのにあり得ないほど"露出"が強い恰好をしていた。】
【具体的には―――まず、上着がない。上半身で身に着けているのはぴっちりとした肌に張り付くホワイトのタンクトップ一枚、ただそれのみ。】
【足に至ってはこの季節にまさかのホットパンツ―――デニム生地で、裾部分はズタズタ。どうやら自分で、"引き千切った物"の様であり―――、何とも言えない。】

【赤みがかった茶髪のロング・ヘアをバサバサと振り乱して、やれ「にくくわせろ」「あたしは最強」だのと】
【初老の男に食って掛かっているが、男の方は冷静そのもので。扱いには慣れているのだろう、恐らくは―――"子供"の。】
【パッと見れば孫とおじいちゃん、にしてはちょっと変な組み合わせの恰好、というみょうちきりんな二人はある目的地めざし歩を進めていた。】


「だーかーら、よぉ!! さっきみかけた、あの、"ほっとどぐう"だかなんだか、アレ喰っちまえばよかっただろぉ!?」

それを言うなら、"ホット・ドッグ"だ。確かに美味しそうな露店だったがね、いやなに、目的地までもうすぐなんだ。
到着すればきっとご飯くらいは食べれるし―――それに、美味しいものは腹ペコで食べるのが、一番おいしいのだよ。"スタン"。

――――さあ、到着だ。"店主が不在"なのはともかく……噂の給仕さんには、会えるとよいのだが、ね。



【―――午後一時半。風の国、中央区に建った一軒の酒場―――兼、事務所。】
【UNITED TRIGGERと呼ばれるその場所へ、老人と少女は訪ねてきた。お腹をたっぷりと、減らし。】


/予約ロール、でございます。
944 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/20(日) 16:20:02.46 ID:QdUg2YVt0
>>938

【ゾーイが案内した病院というのはいわゆる普通の町医者で】
【内科やなんかがメインの小さな医院であった】
【白っぽい無機質な蛍光灯に照らされた少しアルコールの匂いのするそれは】
【静かで、人のいる気配はなかった】

……ピンイン/老師はいらっしゃらない御様子ですね。往診でしょうか。
―――プレトリア。老師のお戻りは居つですか?

【ゾーイは誰も居ない医院で声を掛ける。すると何処からともなく】

<院長は夕方まで外出されています。>

【スピーカーから機械音声の女声が流れる】

所謂、AIスピーカーというやつです。事務作業の殆どは“彼女”が行っています。
もう5年もすればこれぐらいの技術は何処の世界でも当たり前になることでしょう。

――プレトリア、幾つか薬を頂きますから、私の口座から引いておいてください。

<かしこまりました。ゾーイ。>

応急所為ぐらいでしたら私も可能です。どうぞ、おかけになってください。

【ゾーイは診察室にある丸イスに彼女を促す。何処から包帯などをもってきては】


先程の話の続きですが。タイムマシンは――広義の意味を取れば可能です。
多世界解釈――いえ、多元宇宙/マルチバース的に考えれば。
観測者たる人間は――都合の良い世界を選択しうる程度のことは可能なのです。

しかしそれには必要な観測がなされていなかった。そして、ついにそれを観測することが出来た。
水国核技術中央研究機構において。

簡単に言ってしまえば、鳥は航空力学を知らなくとも飛ぶことはできるということです。
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/20(日) 17:28:28.87 ID:/vjrWq20O
>>940
/まだいらっしゃったりしますか?
946 :文月 ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 17:43:29.99 ID:qtz7cofro
>>944

【瞑目して呼吸を整える、椅子に腰かけたなら花瓶に添えた一輪の水仙、すらりと伸びた背筋を空目させよう】
【些かばかりの逡巡の後、微かに辿るのはそれらしき変遷、天才少女の持つ深い知性に及ぶ程ではないが、彼女も決して愚かではなく】
【思考力そのものは常人並にあった、ゾーイの扱う単語の妙もあったのだろう、何度か頷いて言葉を返す】


“水国核技術中央研究機構” ─── 水の国が持つ奥の手、人類の用い得る最高の叡智と技術とかが集約された機関と認識してはります
だとしはったら、ゾーイはんが言ってはる鳥の喩えでうちも何となく輪郭を掴めます、一つの有り得た未来を観測しはる、それはつまり
逆説的にタイムマシンを作る事ができはる、っていう確実な証明になり得るさかいに

─── でもうちの想像が付くんわここまでどす、それから先はゾーイはんの言葉を聞きましょう


【文月は一旦言葉を置いた、続く貴方の言葉を求めて】
947 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 18:22:18.81 ID:bQqRBESt0
【水の国―――廃城=z

【暗い場所だった。】
【水の国のどこかにある、昔は城砦としても機能していた廃城。】
【灯などとうに無くなっており、冷たい壁に差し込むのはただ優し気な月明かりのみ。】
【肝試しの若者でも来はしないそんな暗い、暗い場所。】


【―――ただ、だからこそ星≠セけは良く見えた。】



城は朽ち果てようとも、ここに生きた人々の物語は消えることはない。
そこに刻み込まれた染み≠ニも言える情報は螺旋となって星へと昇り、そして―――。



【廃城の一角、図書館だったと思われる場所で一人の女が呟いている。】
【ストライプの入った赤いスーツに同じ柄のソフト帽、銀色の長髪に赤い瞳といった目立つ風貌の女性だった】

【傍らには朽ち果てた骸骨が転がっているが、女は気にする様子はなく】
【年季の入った図書の数々を開いては落とし、開いては落とす―――そこに意味はない。】


//院長先生お願いします〜
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/01/20(日) 18:28:05.63 ID:qtz7cofro
>>947

【綻びる視線の行方、瞬く星々は徒にして、咲くべき時を間違えた企みの様に】


─── 辿り着く場所に落ち着く、とでも言いましょうか
素敵な場所をご存知でいらして、やはりマリアベル様は興味深いですわ
ええ、本当に、私の記憶にない書物ばかりですもの


【紫苑混じりのプラチナブロンドの長髪を、シニヨンでセミロングの長さにまで纏めて】
【胸元の膨らんだ、袖の無い白のハピットシャツの上から、素肌を透けさせる黒のレースのカーディガンを羽織る】
【シャツのフリルの上には黒いリボンタイを垂らして、ミニ丈のフレアスカートから黒いストッキングを覗かせる】

【紫苑色の双眸に理知的な眼鏡を掛けた姿は、瀟洒な貴婦人を思わせるだろうか】
【両手を包む白い手袋、袖口から覗く素肌の白と溶け合う様に、微笑む様子に神々しさが塗れて】
【イスラフィールは言葉を向ける、親しき相手への礼儀とばかりに】
949 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 18:37:14.48 ID:bQqRBESt0
>>948

やあ、やはり君が来たかイスラフィール。
随分と久しぶりな気がするね、同じ屋根の下に住んでいるというのに。
尤も私は間借りしている分際だが―――フフ。


【―――図書に視線を落としたまま、マリアべル口元を緩めて歓迎する。】
【そうして暫くすればパタンと書物を閉じて立ち上がる。二人の間には不思議な断絶があるようだった。】
【ついてこいとも言わずにマリアベルは入ってきたばかりのイスラフィールとは別の出口へと向かう。】

【壁に手をついて一度だけ振り返る。】



残りうる可能性≠潰しにきたのかい?
荒唐無稽な御伽噺≠少しでも引き継ぐ可能性を―――?



【マリアベルは愉快そうに口元を緩ませたまま問いかける。】
【敵意も悪意も感じられなかったが、ただやはり二人の間には奇妙な感覚が流れる。】
950 :イスラフィール ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 18:54:18.65 ID:qtz7cofro
>>949

【久しぶりに開いた小説の続きに似ていた、乱舞する固有名詞に些かばかりの息苦しさを覚えて】
【けれどもそれは彼女の表情をも乱さない、─── 貞淑な妻が如く、貴方の数歩後を進む】
【微かには影の作用に近かった、けれども大部分は、愛しき淑女の慕情を映して】


貴女様がどう感じているかはわかりませんが、私は貴女様と敵対するつもりはありませんわ
そもそも私がそういう存在ではない事を、貴女様自身が一番よく知っているのではなくて?
私たちの初めての邂逅、貴女様が描いた私の実像は、ひょっとして虚像だったのでしょうか

でしたら、─── それは私にとって、深く深く辛い痛みになってしまいます
どう受け取るかはわかりません、けれども、その意味合いだけは伝わりますように、と
私も多忙な身ですから、中々お話しできなかったのは残念ですし


【仕草を何に喩えよう、彼女は僅かに瞼を伏せた、長い睫毛が重なって、それは祈りの所作に近く】
【深い信仰の果てに確かな導きが生まれる様に、慎ましく描いた輪郭が印象的な色を描いて】
【そうして貴方を真っ直ぐと見つめた、─── 儚げな横顔に白粉を託す】


────── それに私は、今の “虚神” に対して危惧を抱きませんもの
951 : ◆1miRGmvwjU :2019/01/20(日) 18:58:58.89 ID:0q3unNZU0
>>942

【幾らか長い沈黙に対しても彼女は瞬き一つしなかった。―――長い睫毛が揺れるのは愁嘆にも似ていた。而して】
【煙草と酒精にしゃがれた声を、傾げた小首の項に揺れる濡羽色の艶やかさはよく知っているようだった。息を漏らすような微笑みは、華やぐように。】


     「 ─── ははぁん。」


【万事を諒解するにも似る、あるいは悪巧むとも形容し得る、――その類の両義的な返答。真白い喉が淡く揺れるのは何ゆえか。いっそ幼気でさえあった】
【所在なさげな細い指先は検分のように彼の頬へ伸びるのだろう。絹織よりもすべらかで清い肌先。反して、その破顔はどこか、純情でなく】


     「上手くやる≠烽だね。 ……… すっかりその気にしちゃったよ。」
      「ボクのこと、覚えてる?」「仮にも命の恩人になったつもり、なんだけどなぁ。」


【溜息に乗せて綴られる透き通った乙女の声音はわざとらしいほど恩着せがましく、その響き方は企図されたものでもあった。やはり、ごく嬉し気に】
【「かま」を掛けているような、純情な疑問とも取れるような、そういう尋ね方だった。 ─── そういう尋ね方を、きっと何より得意とする人種だった】
【ごく身軽げな体躯が、ごく大胆に身を翻して、木造りのカウンターを乗り越える。まだウェイターは居るものだろうか。恐らくはそうでないのだろう】
【幾代か型落ちのテレビを映すだけの電力があるならば冷蔵庫も無事であるのかもしれない。ともあれ彼女はカウンターの裏を野放図に漁っていた】
【やがて目当てのものを見つけるようだった。 ─── トランペットを象ったボトルに満ちたウォッカ。ライムジュースはローゼス。燻銀色のシェイカー】
【およそ楽しげに微笑みながら、ボディへ注いでシェイクする。手慣れたカクテルの製法であるらしい。少なくとも彼女は給仕でないなら、柔らかな化粧に似合わぬ面の皮であるのだろう】

/こちらこそ遅れてしまってごめんなさい……よろしくお願いします
952 :イスラフィール ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 19:01:07.60 ID:qtz7cofro
/次スレです!
/https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1547978338/
953 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 19:15:31.34 ID:bQqRBESt0
>>950

―――ハハハ、そうだね。サクリエイジ≠フエージェントにもそう伝えたんだった
けれども彼らの腹はまだ君への疑念を払拭できていないようだが。
まぁそれは銀行員が1円の誤差も許さず数えるのと同じだ、彼らはそれが仕事なんだからね
とすれば、先程の可能性≠潰しに来るとすれば彼ら、か。

だが人間の実像なんてものは簡単に変質する、君もそれは承知だろう。


【「まぁ、意地悪をして悪かったよ」とクスクスと笑いながら視線を後方へと向ける。】
【図書館を出ればそこは大きな廊下だ、所々崩落の後があるが歩くのには問題はないだろう】
【そして廊下の突き当りにはまた大きな階段が現れた。】

【―――『段差が急だから気を付けて』と、マリアベルは手を差し出した。】


だろうね。私も今の虚神≠ヘ元型/アーキタイプ≠ニして利用する気は起きない。
………一応、私にも美学があるという事さ、美しく幕を下ろした物語に砂をかけるつもりはない。

そして、あの場に居合わせ観測した人々もまた終幕を認識した。
つまり大団円/グランドフィナーレを迎えたという事だ、おめでとう人類。新しい朝の始まりだ。

まぁ仮に虚神≠再び脅威足らしめるとすれば―――コインの裏表である彼ら≠セ。
これでは先程の話と些かの不合理が生まれるが、表裏一体の存在とはそういうものだ。


【落ち着いた声色でイスラフィールへと言葉を返す、階段はマリアベルが言うほど急ではなかった】


ではほかに何か心配事でも?それとも人恋しくなって逢いにきてくれたのかな?
954 :イスラフィール ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 19:25:46.38 ID:qtz7cofro
>>953

【白い手袋が貴方に沿った、取られる指先は姫君が騎士に託す願いに似て、彼女は頬を綻ばせる】
【指先に宿る感触、結晶で編んだ籠の様に、触れた瞬間から壊れそうな儚さを示して】
【彼女はまるで、貴方に委ねているが如く、その先に僅かばかりも力を入れなかった】


件の組織に属する方々は聡明に過ぎるのですわ、可能性というものを潰しても潰しても足りないと
卓越した想像力は時に自身の身すらも滅ぼします、墓荒らしの方々はあまりにも鋭過ぎたのでしょう
ええ、私は適度に愚者でありますから、──── 必要のない試みを致しませんの

一つの終止符が打たれたのなら、それを蒸し返すことは野暮でしょう
原初の物語は追滅致しました、ならばそれは、目録に加え入れて、書架に戻すべきでしょう
──── 私の願いは、むしろ貴女様の描きうる可能性に近いのです


【階段を下っていく、それは緩やかな入水に似て、爪先に感じるのは冷水の感触】


そういう事かもしれませんわ、私は人と共に在りたいと思っていますから、私と貴女様と、唐突に交わったのなら
少しでも長く、と思うのはいじらしい私の感性です、二時間ばかりのバカンスを楽しむのもよろしいでしょう
とは言ったものの、パックツアーに予定調和が描かれる様に、私もまた一つの思惑を持って

貴女様は虚神の帰結を追って、何か別の思惑を感じ取ったのでは無いでしょうか

虚神という枠組みは、存在にして、同時に高度な柔軟性を持った法とも言えますわ
そこを拠り所にして貴女様は、貴女様の探す何かを描こうとした
────── どうでしょう、些か淡い恋心のようですが
955 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 19:44:58.52 ID:bQqRBESt0
>>954

【―――階段を上っていく。】
【場所のせいもあるだろうが、時間がゆっくりと流れる感覚がする。】
【確かにこれは年頃の恋人たちが学び舎から帰宅する際に感じているものと同じなのかもしれなかった。】


そう運命づけられたのであればそれは当然ではあるだろうね。
人は大小何らかの到達点を目指して生きている、今日帰宅してから見る番組の事かもしれないし
いずれ世界を滅ぼすことかもしれない。
彼らにとってはそれがミクロの可能性まで虚神≠ニいう存在を磨り潰すという事なだけさ。

―――確かに、私も含めて些か今回の騒動は思考や行動が深淵≠ノ近づき過ぎた。
それ故ここまでの災厄を巻き起こしたとも言える。


【続くイスラフィールの言葉、自身についての追及。】
【今まではその多くの行動を読み手として動いたマリアベルにとっては些か気恥ずかしくもあった。】
【少し、困ったように笑う。】


………あまり買い被り過ぎないでおくれよ
結局はそれは叶わなかった、物語≠ェ仮に帰結しなかったとしてもきっとね。


私が求めるのは新たなる宇宙=\――それは届くはずのない願望でもある。



【気が付けば、階段を登り切り二人は外に出ていた。】
【―――そこは星見の塔だった、とはいっても今の時代の高層ビルほどの高さもないが】
【ただ先述したようにこの辺りに灯となるものはない、故に星々の瞬きは美しいものであった】
956 :イスラフィール ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 20:01:29.62 ID:qtz7cofro
>>955

【イスラフィールは息を呑んだ、星々の輝きを網膜に浸して、溢れる新鮮な色合いに心躍らせる少女が如く】
【夜空というキャンパスに無限の彩色を散りばめて、それを那由多の果てまで織り込んだなら、その一端を漸く理解できる】
【重層な煌きは天然美の極致とも思えた、瞬く一つ一つが宝石よりも稀少で、それでいて、空気よりもありふれていた】




──── ねぇ、マリアベル、届くはずのない願望だなんて、誰が決めたのかしら




【夜空を背に彼女は歩み出た、塔の欄干、華奢な背中を預けたなら、夜に抱かれる少女がそこに居て】
【彼女は流れ星の様に微笑む、霞む流星、その尾に残る墜落していく幾億光年の名残を響かせ】
【理知的な眼鏡に支えられた怜悧な眼光、それが弱まったなら、等身大の少女が居るようで】


私達は宇宙を知ってる、星を知ってる、月を知ってる、その行き方も成り立ちも、理屈も、全てを知ってる
それは願ったから、望んだから、私達はその見果てぬ可能性を果たすことができた、その夢を見ることができた
手を伸ばせば届く距離に、いつだって星はあるんです

貴女には星が見えているでしょう、遥か過去からのメッセージ、時に育まれ祈りを込めたパッセージ、貴女だけが観測する光
その輝きの虜になったのなら、──── 女の子はいつだって、求めるのです

──── ふふ、なんて、少しは元気付けられましたか?


【片目を瞑っていたずらっ子みたいに、瀟洒の仮面を外したら、深窓から飛び出したお転婆のご様子】
957 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 20:20:30.06 ID:bQqRBESt0
>>956


【マリアベルも息をのんだ、幼子のころから眺めている星々ではなく目の前の少女に】
【暫く緋色の瞳を感情と共に揺らせば、一度瞼を閉じてそれからクスクスと可笑しそうに本当に可笑しそうに笑う】
【「そうだね、そうだったね」と何度も呟いてから顔を上げる。】


―――ああ、とても元気付けられたよ。ありがとうイスラフィール。
やっぱり君に出会えて良かった、私の世界に、物語に彩りを与えてくれたのは君なのだから。



―――けれども―――



【ひとしきり笑った後、マリアベルは背を預けるイスラフィールへと近づく】
【吐息がかかりそうなほどの距離まで近づいて、耳元に口を近づけてそっと囁く。】
【緋色の瞳はどこか深淵に繋がっているような暗い影を感じさせた。】



私の願いが世界においては悪≠セったとしたら君はどうするんだい?
それでもまだ、その美しい笑顔を私に向けてくれるのかな?君の本質からすればそれは



―――…それでもと言うのなら、君には私の創る宇宙の母≠ノなってもらいたい。



【それは複数の意味合いを持った言葉であった。】
【マリアベルはそれだけ言うと耳元から顔を離し、そっとイスラフィールの髪を撫でようとするだろう。】

958 :イスラフィール ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 20:30:33.13 ID:qtz7cofro
>>957

【貴女がくれた一葉を、彼女は自分の音律で表現しようとした、押し花にするのも、花瓶に生けるのもどちらも自在】
【あるいは像って栞にでもしよう、私たちの物語が綴る二つ分の軌跡を、そこに宿す様に】
【─── 唇が揺れた、─── 最期の一瞬、けれども】




「────── ほうらやっぱり、ここにおった」




【爆音、マリアベルは振り返るだろう、その背後に新たなる存在を感じて】
【イスラフィールもまた目を開いた、夢見心地が冷めて、現実へと視線が向かう】
【そこには一つの来訪者がいた、─── 星見台に立つ、新たな人物】

【黒い短髪、朱を基調とした簡易な甲冑は、手首や太ももといった要所にのみ防具が付随し】
【それ以外は黒の襦袢であった、機能性を重視した和装は、形式だけでない本当の剣客を思わせ】
【腰には長刀と短刀を一本ずつ差していた、武士と呼ぶのが相応しい男であった】

【─── 特筆すべきはその出現の仕方、彼はたしかに “空から” 落ちてきた、高高度から落下してきた様に】
【だが、この周囲には高い建物はない、それならば─── 】
【足元に広がる深い皹、それを意に介した様子なく、男は前を見た】



「櫻の国は “桜桃” ─── “御庭番衆” 所属、ソンという」


「おいの狙いはおまんじゃ、イスラフィール、─── 恨みはないが、主の命令に背くわけにはいかんからのう」



【ソンと名乗った男は長刀を引き抜き両手でにぎった、正中線上にイスラフィールを捉えて】

959 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/20(日) 20:43:51.35 ID:XbeQyOkQ0
【マリアベルと名乗った女に導かれ、夢とも現ともわからぬ空間で戦いを繰り広げてから暫く】
【結局、あの時どのようにして怪物を撃退したのかについては謎のまま数週間が経っていた】
【体の奥、内臓の隅に微かな違和感を抱えながら、少年は未だ世界の流れとは程遠い場所で暮らしている】



【水の国───首都郊外───】
【人気の少ない路地裏を、鋼のような銀髪をポニーテールに纏めた少年が歩いていた】
【背丈は170と少し。カーキのコートとジーンズを着て、左右で丈の違うブーツを履いている。中性的な雰囲気の少年だった】

【訳も無くコンクリートの壁に備えられた室外機に飛び乗り、ビルの屋上へと登っていったり、辺りを見回すかと思えばすぐに降りたり】
【傍から見ればこれと言った意味があるとは思えない行動を繰り返す。やがて、あるビルの屋上、金属製の柵に腰をかけると、眼下に広がる街を眺める】


(結局、再び出会うことは一度も無いか。もっと、話を聞きたかったのだが)


【彼はずっと、マリアベルを探し続けていた。あの夜の出来事、星と星の狭間での夢について、更に多くの情報を手にする為に】
【そうすれば、自身の脳(メモリ)に新たな情報が刻まれるだけでなく、自身の成すべきことも見つかるかもしれない】
【手掛かりは一つとして無く、霧の中をランプ一つで歩く様な旅路でも、今の彼には最善の方法だった】
960 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 20:51:38.98 ID:bQqRBESt0
>>958


【振り返ったマリアベルは苦笑している、だがその瞳はイスラフィールに向けたものと違い】
【酷く冷たいものだった。だが今このタイミングというのは良いと言えば良かったのかもしれない。】
【そして単純な疑問を口にする。】


やぁ、どうしてここが?イスラフィールならいざ知らず招待券は出した覚えはないが
まるで星から落ちてきたかのようだけれど―――まぁどちらでもいいか。

ソン=\――ね、もしかして最近テレビに出てたりしたかな?
私はマリアベル。イスラフィールの味方、つまりこの場合君の敵と言う訳だ。



【ソンとイスラフィールの線の間に割り込むように向き直ると、ソフトハットを被り直し笑う】
【その口調と視線には相容れぬという感情が込められている。】

【そして、右手の平をソンへと向け―――】



                《―――縺ゅ>縺・∴縺� ・撰シ托シ抵シ�=t



【一切の迷いなく、人類には解読不可な音域の詠唱。】
【そしてマリアベルの両脇から現れるのは黒みを帯びた焔で造られた狼】
【二体の黒焔の狼には下半身がなく暫く浮遊したあとソンへと殺到する 】
【もし黒焔の狼が何かに触れればその瞬間に黒みを帯びた爆炎となる。だが動き自体は直線の担当な攻撃だ】
961 :イスラフィール ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 21:01:54.75 ID:qtz7cofro
>>960

【イスラフィールは無言で、マリアベルの背後に佇む、単純な戦闘力で言えば、及ぶものではないから】
【凛と佇む横顔はどこまでも気高く、それでいて纏う雰囲気を僅かばかりも乱させなかった】
【 ─── しかし、指先がマリアベルの背中に触れた、心なしか震えているのがわかる】


─── 気をつけてくださいませ、この男、大会に出ていましたわ、……それ単体が問題というよりかは
大会に出られた事自体が不気味です、大会の参加者はきちんと身分確認をさせたのですが
つまり、水の国きっての情報機関である “財団” の目をも誤魔化す技術を持っているのですわ

──── 恐らくは組織による計画です、ええ


【ソンが長刀を振り抜いた、一刀の下に狼を二匹切り抜き、爆炎へと昇華させるだろう】
【口角を釣り上げにぃ、と笑う、野生的な眼光がマリアベルを捉え、愉悦に歪む】
【よか、と口元でこぼしたなら、赤い舌が唇を濡らす】



「そうこなくちゃつまらん、ただの女を縊り殺すなんて児戯にも満たんからのう」
「おまんなら少しは楽しめそうじゃ、──── いくぞ」



【疾走、互いの距離を詰める一歩が響き、その身体を肉薄する距離まで縮めたなら】
【寸刻身体を引き脚を開く、踏みしめる両足が体重を支え、ぎしりと深く地面を包んだなら】
【吐き出す呼吸、それは唸りに似て、轟音が如く周囲を包んだ】

【上から下へ、単純に振り下ろす一閃、─── だが、その威圧が違う、並大抵の剣術とはまさしく枠組みが違う】
【言ってしまえば災害であった、刀身大の災害、破壊という概念そのものが噴出した様な一撃】
【生半可な防御ならば容易に貫いてしまう、それだけの勢いを秘めていた】
962 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 21:10:48.48 ID:qtz7cofro
>>959

【 ─── 視界の端に夜空が溢れた、貴方はそれを確認する、そして直ぐ様脳が認識するだろう、それが蝶であると】
【然して、脳は理解へのバイパスを容易には繋げなかった、季節は冬、その翅が美しさを保つには、あまりにも相応しくない】
【故に貴方の興味を惹く筈だ、それはまるで導かれる様に、貴方の視線を誘導していく】




【 それは、幻想と呼ぶにはあまりにも儚い、幻を想う事でさえ消えてしまうほどに、脆い景色に見えた 】



【腰まである蒼銀色の長髪を大きく後ろで二つに結って、赤いリボンの着いた黒いケープを羽織る】
【ケープの下には黒いチョリ、下乳から鼠径部までを大きく露出し、黒いパレオで下半身を透かす】
【中東の踊り子の様な格好をした、褐色肌の少女が、柵を背に立っていた】

【お臍の下あたりに刻み込まれた、黒い蛇のタトゥーが印象的な彼女は、目を瞑っていて】



【特筆すべきは蝶、その特徴的な翅の色は夜ににていた、瞬く鱗粉の心地を星々としたならば、それはまさしく夜空を翅に落とし込んだ様に】
【少女はその蝶を使役していた、数羽の蝶が彼女に寄り添い、徒に伸ばした指先へと降り立つ】
【彼女はその蝶をそっと口元にあてがい、翅へと接吻をするかの如く】



────── 乙女の秘密を覗き見るだなんて、はしたない方ですね



【彼女はゆっくりと瞼を開き、貴方へと視線を僅かばかりに注ぐ、黒と赤のオッドアイ、不揃いの果実が、淫靡な芳香を醸し出した】
963 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 21:25:50.38 ID:bQqRBESt0
>>962


成程ねぇ、道理で見覚えがあると思った。いやはや水の国の議員は大変だね。
ところで―――組織ってのは彼が言ったように櫻≠ノ関する連中って事かい?

魔導海軍≠竄迚スやらはニュースで見たことあるけど、やっぱり色々裏があるのかな?


【背後のイスラフィールへと横目で視線を向けながら応える。】
【マリアベルは緊張は抱いていないが、イスラフィールの様子は些か胸が痛む。】
【であれば―――と爆風が吹き付ける前方へと視線を戻した矢先】

【災害と称されるのも納得である破壊的な一撃が振り下ろされる、マリアベルは即座に判断する。】
【この狭い場所では長刀の一撃を回避するのとイスラフィールを守るのは両立しえない】
【であればと、あろうことか敵に背を向けイスラフィールを抱えて星見の塔から飛び降りる】(すみません確定します)

【だがすさまじい斬撃の余波は掠っただけでマリアベルの右肩を切り裂き、鮮血が噴き出す。】

【血を流しながらマリアベルは星見の塔の下、城砦の広い外郭の上へと着地しイスラフィールをそっと下ろす。】
【そしてソンがまだいるであろう星見の塔へと視線を上げれば再び詠唱する。】


ハハやるね。だけどいつまで愉しめるかな―――?


            《―――鐔�鐔�鐔� 鐚醐執鐚�=t



【詠唱によって生まれるのは黒く回転する火球、それを星見の塔の屋上へと投げつけた。】
【着弾すれば渦を巻く業火の柱となって屋上全体を焼き払わんと広がるだろう。】

【マリアベルの右肩から噴き出る血はスーツを濡らしていく、幸いなのは同じ緋色という事か】
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/20(日) 21:30:28.11 ID:aCrBgUORO
>>951

【何を言っているのやら。そう考えているかのように小首を傾げ、曖昧に笑う。万人に通じる、間を繋ぐ表情】
【覚えているかと言われれば、ゆっくりと瞬きふたつ。黒いサングラスの奥は何も見えない。視線の意味さえ、ミストの向こう側だった】


『…………あぁ。悪いな、神様ってやつは俺に意地悪をし足りないらしい』
『“死にかけた”──もしかしたら、“一度死んだ”かもしれない』

『今はリバイ、2度目のチャンスを貰って……ついでにタバコ休憩をした後テーブルに戻ったら』
『いつの間にかブレイクしていた。仕方なくテーブルを移動したら、右も左も知らない顔ばかり』
『新しいテーブルなら当然のことだけどな。それでもルールは分かるしカードは2枚配られる』
『誰がフィッシュかシャークかなんて、まだ3、4ハンドしかこなしてない俺には判別なんて難しいな』


【紫煙と共に吐き出す言葉。嘘はない。実際に与えられたハンドで勝負をしなきゃいけないのは本当で】
【降りるわけにもいかないひどいゲームだった。それでもベッドかレイズかコールか。何かはしなきゃいけない】
【けれど少女がカクテルを作るのは止めなかった。未成年なんざ皆酒を飲んでいる。それにこの間、神様のひとつを殺したばかり】
【ならばきっと、ちっぽけな法律違反くらいには目を瞑ってくれるんだろう。こんな酒場に雷を落とすほど、今の神は暇なんかじゃない】


『…………分かりきっていることなんて何もないさ。結局俺はプレイを続けなきゃいけない』
『ヨハンが何号室に住んでいるのか。そんなことすら忘れてしまった俺でも』


/今日は後1、2レスくらいで落ちることになるとは思いますがよろしくお願いします!
965 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 21:35:35.76 ID:qtz7cofro
>>963

【抱き抱えられるイスラフィール、その瞬間に、彼女はつむいだ】


─── ええ、恐らくは、─── 今水の国自体が混迷の状態にありますから、それを狙う勢力が居て然るべきですわ
けれども、……道理に合わない、のも事実です、─── 私の記憶が正しければ
櫻の国は “桜桃” ─── たしかに大きな国ですが、その治世はかなり平穏なものであった、と


【だとすればソン、と名乗った男は如何なる勢力であるのか、マリアベルの火球が塔へと向かう】



「ほう、よか術じゃ、─── 火力もそうじゃが、何より沢山詰まっとるのう」
「おいはそこまで良くわからんが、うちの方じゃと興味を持つ輩も多そうじゃ」

「─── ま、おいの前じゃ無意味じゃがのう」 「 “One Step Closer”」



【着弾する火球、だが、渦を巻く事なく、通常の火球として消滅するだろう、威力はそのままだ、けれども拡散しない分範囲が狭まった】
【故にソンの身を焼くまでには至らない、軽装の甲冑に僅かな焼き目が付くが、ソンは気にせず、火の側をくぐり抜け】
【そして、疾走する “空中” を、─── マリアベルと彼とを結んだ最短距離を、ただひたすらに走り抜ける】

【まさしく規格外の状況であった、あまりにも常軌を逸している】



─── わかりましたかマリアベル様、貴女様の術に宿っていた “深淵” が、彼が能力を使うと同時に単純化されています
つまり、深淵の性質を強引に、炎の術へと書き換えたのです、─── その単純化
それこそが、彼の能力であると、推察いたしますわ



【イスラフィールはマリアベルの庇護下で伝える、幾許かの便りを】
966 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/20(日) 21:39:03.86 ID:XbeQyOkQ0
>>962

なんだお前は


【極めて単調に、そして何よりもわかりやすく彼は問いかけた。視界の端から溢れ、次第にその色を鮮やかにする蝶を見やり】
【次いでそれを操る者へと視線は流れていく。見るからに淫蕩な雰囲気を纏った少女を前にしても、彼の表情は人形のよう】
【それは彼の出自が関係しているのだが、長い話は省こう。要は、性的魅力を感じる程の情動が、彼にはまだ存在していない】


秘密。俺はお前の秘密を知ってしまったのだろうか。だが、今の所俺に新たなデータは供給されていない


【夜の具現がその身を包む。魅入られれば即ち、夜に囚われ消えゆくしかないだろう】
【黒と赤のオッドアイに対し、真紅の瞳が相手を射貫くかのように放たれた】
967 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 21:48:17.01 ID:qtz7cofro
>>966

【褐色肌の少女は微かに不満気な様相を見せた、相手の見せる反応が気に入らなかったのか】
【露出の激しい格好からは幾許か想像の付く応対がある、そこに属しない相手に対して僅かばかりの興味を持って】
【指先を振るったなら蝶が消えていく、煌めく残照は、夢の潰えた後奏に似ていた】


それは此方の台詞です、先程からビルを行ったり来たり、こちらに来るかなと思っていたのですが、案の定
落ち着きのない虫みたいにぴょんぴょんとするので、ひょっとしたらノミの擬人化かなと考えていたりもしたのですが
存外に顔立ちは悪くありませんね、─── 寧ろ美形に属するでしょう

でも、その反応は好ましくありません、たしかに蛇の刺青が意味合いを喪って久しいですけど
こんな可愛いレディがこんなセクシーな格好をしているんですから、もっと照れるのが少年の決まり事でしょう?


【どちらかといえばレディというよりガールであるのだけれども、紡ぐ音律は耳に心地良い響き】
【弦楽四重奏を一つに束ねたなら、その片鱗ぐらいは伝わるのだろうか、けれどもそこに乗るリリックは中々に苛烈で】
【彼女は優雅に歩を進める、華奢な体躯であった、モデル的というよりからは踊り子的と表現すべきだろう】

【服を纏う事を想定した身体つきというよりかは、最大限の露出で身体を見せる事を想定した身体つきであった、珈琲色の肌もまた、その艶かしさを強調して】
【一方女性的な胸元の膨らみは皆無であった、南無】


可愛げのない言い方ですね、─── 見たでしょう、蝶、あれが私の能力です
968 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 21:53:03.34 ID:bQqRBESt0
>>965


成程、漁夫の利って奴だね。
―――ふむ、どうやら色々と面白い物語に繋がるようだけど、まずは目の前の彼を処理しないとね。

動けなくしてから色々と聞くとしよう。
とりあえずイスラフィールは下がっていてよ、私も久しぶりのちゃんといた戦闘だから加減できないかも。


【自身の火球を単純化され、さらに空中を走って肉薄されようとしている。】
【イスラフィールのサポート解説に参ったように首を捻って苦笑して、それから眼前の敵へと向き直る。】

【マリアベルから流れる血は全身を赤く染め上げようとしていた―――。】


君の組織にもこうした外の理≠ノ詳しい人がいるのかな?まぁ後でゆっくり聞くとするよ。



―――パワーゲームはあまり好きじゃないんだけどね。



【マリアベルはその場を動かず、突進してくるソンと来るであろう攻撃を受け止めようとするだろう。】
【生身では自殺行為―――だが気が付くだろうか、マリアベルの身体にある変化が起きている。】

【先程流した血が、全身の服を濡らした血が、光沢を帯びまるで鋼のように変化していっているのを。】
969 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/20(日) 22:02:12.61 ID:XbeQyOkQ0
>>967
【夜の残り香が視界を埋め尽くし、やがて吐く息のように宙へと消えていく。それは、夜が明けるが如く】
【やがて、再び青い空が姿を見せると彼の瞳は鋭さを幾らか失った】


ノミ。極小の昆虫の類だと記憶している。自身の体長の数倍から数十倍を飛ぶことからは、確かに共通点は見受けられる
だが、俺はノミとは身体構造が異なる。その想定は誤りだと言うべきだ


【持ち得る情報からの考察。知的生命ならば必ずと言って良い程行うことだが、こうも真面目に馬鹿らしいことを考えるのは些かナンセンスだ】
【しかし、彼は大真面目に口にしている。ナンセンスを真剣に行うのは、最早狂気的とも呼べる】


決まり事。そう言った法が人の社会には存在しているのだろうか?今まで記録したどの情報媒体にも記述されていなかったことだ
ふむ、先程の蝶はお前の能力によって出現した者、それがお前の言う秘密。そう言うことだろうか?


【物事の因果関係を確認し、その解答を問う。彼が情報を手にする上での常套手段だった】
970 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 22:04:51.90 ID:qtz7cofro
>>968

【加減が効かない、との言葉に思わずイスラフィールは苦笑する、本当にその通りだと思ってしまったから】
【記憶を読み取るイスラフィールの能力は確かに有用だろう、しかし、この様な場においては明らかに力不足であった】
【それを認識してか、彼女は後方へと下がる、生半可な攻撃であれば彼女に危害が及ぶことは無い】



「かか! そうは言うもんじゃなか、力に任せた殴り合いも、中々楽しいもんじゃからのう」
「それに、おまんの言い方は、“殴り合い” も望むところじゃと、言いたげだが!」



【瞳に映るは狂奔、叩く調べは苛烈に、それでいて響かせるのはたしかな形を持った音色であるのなら、その力量が伺える】
【まるで白鍵と黒鍵を乱雑に掻き乱しながらも、描くのは田園よりも長閑な楽曲、─── 繊細と大胆と、その両方を兼ね備えて】
【ソンはその光沢を見た、そして、その言葉の意味合いすらも読み取った、戦いに関していえば、かなりの手練れだろう】

【 ────── だが】



「刀で斬れば人は死ぬ、それは変わらん、永劫に揺らぐ事の無い事実じゃ」「おいもおまんも、それは例外じゃなか」
「それ以外は全部幻じゃ、妖に化かされてるのと変わらん」「─── おいはただ、進むだけじゃからのう」



【苛烈、一閃。爆風の如き力の本流を、強引に刃へと押しとどめる、歪む風の音色が悲鳴の様に響き、それすらも愉悦と彼は笑う】
【鳴動する地響きをそのままに、極限の視界に映すは女、ただ退くことも知らず一息に振り抜くだろう】
【彼にも彼の理があった、イスラフィールが読み解く能力の本質、単純化】

【それはマリアベルも例外ではなかった、彼の刃はそれに相対する相手をも左右する、つまり、魔術に対する付加の打ち消し】
【デバフ、と表現するのが正しかった、彼に対して発動できる効能は、たったの一つに単純化されるのだから】

971 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/20(日) 22:12:14.88 ID:0q3unNZUo
>>964

【言葉のない曖昧な答えが静かな虚空へ溶けていくことを少女は咎めなかった。 ─── 変らない微笑だった。ただ物憂げに噤んでいれば儚いだろう白皙を、】
【好奇と悪戯の色合いへ明け透けに染めているのだから、そういう刹那的な生き方を愛しているだろう少女だった。そっと蛇口より溢れて、シンクに一雫が落ちた。】
【「ふぅん。」納得するような、同意するような、 ─── 小馬鹿にするような、そのような温度の返答だった。そもフリルに溢れてやまぬ非日常的な黒紫のゴシックロリータを纏ってキッチンに立っていたのだから】
【常より遍く世界の悉くを小馬鹿にしているに違いないのだろう。マールボロの白煙が愉しげな笑顔の輪郭を曇らせても咳込む素ぶりは見せなかった。サングラスの向こう側に語りかける、独白めいた言葉。】


   「賭け事はニガテなのさ。」「どうにも遣り方が分からなくてね。いつも結局、時間だけスッてばかりで」
   「与えられた人生は、万人に平等の種銭ってものだろう。 ……… トランプへ賭けるには躊躇っちゃうよ」


【宵闇の大気温に等しいステム・グラスがカウンターの上へ提示される。 ─── シェイカーのトップを取り払う。硝子に映り込むのは誰の笑顔だろうか】
【パールホワイトの夜露がグラスへと注がれる。酸いと甘いの両義を包含したライムの香りがした。輪切なんて無粋なものは添えられていなかった。テリー・レノックスはそう雄弁に語っていたから】



  「スレッジ・ハマーだ。」「 ……… ギムレットには、早すぎるだろ?」


【 ─── 手の甲までを隠すゴスロリの袖先より、生成りと呼ぶにも嫋やかな左の指先が、彼の眼前にカクテルを差し出すのだろう。然して、薬指に収まるのは銀環だった】
【見れば彼女は存外に高い背丈をしていた。無論ながら並び立てば彼には幾ばくか見下ろされるのだとしても、無邪気にその腕へ甘えるには幾らか自律した上背であった】
【ごく大切にされているのだろうと思しき指環には、虚構ほど鮮やかに紅い宝石が収まっていた。或いは彼の瞳もまた、それに類する色を知っているのかもしれない】
972 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 22:13:32.94 ID:qtz7cofro
>>969

【瞼をぱちくり、淡々と言葉を紡ぐ少年の様子は些か奇妙で、彼女は思わずそのホンキートンクな音色に困惑した】
【彼女も相応に冷静な方ではあったが、彼の様子と比べると全くもって型取りが違うのだから】
【ええっと、と少し休符を求めた、いくらか描いたフェルマータに、漸くタクトを振るう】


まあそんな所です、……そうですね、貴方の道理に合わせて私も言葉を選びましょうか
法って程明確に規定はされてませんが、言ってしまえばマナーという表現です、マナー、わかりますか?
特定の社会に於いて通じる決まり事、と言いますか、もう少し噛み砕けば礼儀でしょうか、その辺りです

つまり、年頃の少年が、綺麗な女の子にあった場合、紅潮して照れるのがマナーという訳です

特に私の様に比類なき美しさと、それに見合う可憐な格好をしている少女に対しては殆どノータイムで行うべきです
そうする事で対応する相手が喜び、その後のコミュニケーションが円滑に進むことは間違いありません
試しにやってみましょうか、大丈夫です、お姉さんが手取り足取り教えて差し上げますから


【彼女は指先を伸ばした、丁寧に切り揃えられた爪、僅かばかりの乱れもないそのラインは彫刻を思わせて、それでいてしなやかに】
【かなうなら貴方の手を取って、そのまま自分のすぐそばまで引き寄せようとする】
【くすり、と楽し気に笑ったなら小首を傾げて、頬に触れる髪の感触を心地よく感じた】


ええ、間違いないです、この時期ですと蝶が街中に飛んでいたら目立つでしょう?
ですから迂闊に能力も使えないので、私はひっそりと秘密の楽しみに精を出していたのですが


思わぬ乱入者が迷い込んで、どうしようかと、思っていたのです
973 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/20(日) 22:26:11.78 ID:XbeQyOkQ0
>>972
【懇切丁寧な解説を聞き、それをじっくりと反芻して脳細胞に刻み込んでいく】
【話を聞く彼の表情は至って真面目なもので、冷やかしでは無いことが伝わるだろう。その特異性も】


礼儀、主に人間が社会規範に則って構築したある一定の動きか
「綺麗な女の子」に出会った場合、俺のような若年の男は照れる。と言うならばお前は「綺麗な女の子」に分類されると言うことか?
了解した。以後お前は「綺麗な女の子」に分類することとする


【ナチュラルボーン失礼。言われてそう思うようにすると言うことは、本心ではそう思っていないと言うことだ】
【そして、何かに気付いたように考え込み始める。手を取られ、彼女に引き寄せられても尚表情に変化が訪れない】


照れる、と言うのは頬を紅潮させれば良いのだろうか。だが、意識的に頬に血流を集めることは些か難しいと思われる

成程、蝶を飛ばすことを俺が邪魔してしまったのか。その場合、俺には謝罪する義務があるのだろう
申し訳なかった。俺は蝶がいても問題無いので、続けて楽しんでもらって構わない


【続けてナチュラルボーン失礼。能面のように張り付いた線の細い顔は、唇のみがプログラムをなぞるかのように動くだけ】
【人間のフリをした機械、と言っても差し支えないだろう。それにしては、よく出来た機械だが】
974 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 22:33:56.52 ID:qtz7cofro
>>973

【かちーん、と来たようで少女の顔色が曇り空、所により雷に注意】
【赤と黒がじぃっとその色合いを注ぐ、奇妙なコントラストは筆洗に隣り合った彩りが如く】
【交わる事の無い境界線をも乗り越えてしまう、禁忌に濡れるは知性の定め】


へー、言われなきゃ気づかないって感じですか、ふーん、そう、いいですけど、別に
ちなみに言っておきますけど、私は綺麗な女の子をさらに細分化した場合、かなり上位に来る綺麗さですから
貴方は今後女の子を分類する際、私という存在を最上位に位置して判断するといいと思いますよ

ええ、そうです、こいつはジャガイモ、こいつは玉ねぎ、こいつはニンジン、とここはカレー鍋の中でしょうか、ぐらい言うのがベストです
ていうか、ここまで言われなきゃ分かりませんか? 貴方一体ここまでどうして生きてきたのか、甚だ疑問なのですが
“Freak Fes” の看板娘捕まえて失礼な物言いだなんて、此処がお店なら袋叩きでしたよ


【手を取ったのはその体温を知るため、目の前の相手が機械の様とは、彼女自身も思っていたから】
【それ故に鼓動や脈拍、それらを知りたい、と思っていた、─── 半分ぐらいは】
【残り半分はどうにかしてときめかしてやろう、という乙女心、もとい下世話な思い】


難しい、でしょう? 無理じゃなければできるはずです、簡単に出来る事を礼儀とは言いません
困難を尽くして初めて結果を出すからこそ、相手に自分自身の誠意が伝わるのです
同時に顔を少し背けるのもいいでしょう、でも、視線だけは残して、直視できない、でも見たいといういじらしさが伝わればぐー

─── まぁ、別にいいですけど、気になったりはしないんですか、どんな能力、とか

975 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 22:34:19.77 ID:bQqRBESt0
>>970


ッは、小手先の技は通用しないって!?なら望むところさ
望み通り剣≠ナ相手をしてあげるよ、光栄に思うんだね櫻の豪傑―――ッ!



………―――我が聖痕に共鳴し、出でよ神造聖装・『神罰の緋輝/テスタロッサ・マルクト』<bッ!!!


【ソンのあまりに単純明快、清々しささえ感じる振舞にマリアベルも声を荒げて応じる。】
【もしくは―――思考さえもソンの異能を受けて単純化≠ウれたのかもしれない】

【そして、マリアベルの叫びと同時に彼女の額に朱く輝く紋章が浮かび上がる。】
【その力は、今までマリアベルが行使してきた旧界魔術/ロストミーム≠ナも、星の悪夢≠ニも異なる力】
【外≠ナはなく、新世界においての超越した力、その証たる聖痕=B】

【教会≠ナも数人しか持たないとされるその証と、それに応じて顕現する絶対的な神造聖装。】
【イスラフィールならばその存在を知っていたかもしれない、だがそれはすなわちマリアベルの出自も明らかにする。】
【異形の神格と、教会の聖女の間に生まれた半神としての歪な出自が。】


【―――マリアベルの額の聖痕≠フ輝きが増し、彼女の右手にはいつしか鋼と化した鮮血が集まり形を為す】
【それは剣だった、血を練り上げて作り出したような赤黒く輝く西洋剣。】



面白い生き方だね、嫌いじゃあない。
だから限界まで付き合って、見せてあげるよ私の人間≠ニしての到達点を。



【ドゴンッとマリアベルの足元が陥没する、緋色の剣から漏れ出す魔力によって。】
【漏れ出した魔力は刃を螺旋を描いて登り爆発的に増大していく。】

【そしてソンもまた、爆発的な力を長刀に纏め上げている―――即ち同じ道理】
【暴風でマリアベルのハットは吹き飛び、イスラフィールの足元へと舞っていく。】

【敵との呼吸は同じ、マリアベルも緋色の輝きを放つ一閃を振り上げる―――その余波で城砦の外郭壁は次々に剥がれていく。】
【だが、本当の闘いはきっと】
976 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 22:47:39.16 ID:qtz7cofro
>>975

【イスラフィールは息を呑んだ、“聖痕” ─── “教会” の長い歴史に於いても僅かにしか確認されていないその証】
【彼女自身も、水の国という世界最大の国、そこの政に携わる彼女であっても、目にした事は無かった、そして分類していた、古き時代の御伽噺であると】
【けれども、─── それは目の前で顕現した、魔力の萌芽、太陽を直視する事が網膜を焼く様に、その輝きに圧倒されて】



「よか太刀筋じゃ、力に使われるのじゃなく、力を使っている」「心が躍るのう! おまんがその力を手に入れるのに、どれだけの日々を得たか」
「おいにはそれがわかる、わかってしまう」「だからこそ、それを超えてしまいたくもなる!」



「さあ振るうんじゃ ───、夜明けまでは、まだ早い」



【剣と刀との鍔迫り合い、周囲の壁は剥がれ、地は唸る、暴発する二方の力が空間すらも歪ませ、悲鳴を響かせるかの如く】
【けれども、爆心地にいる二人にとっては、無音に近かった、呼吸すらも躊躇う極地に、二人は存在して】
【金属音が百手遅れて鳴り響いた、既に彼は刀を引く、急降下する燕が翻る様に、振り抜いた刃を体全体で制御する】

【続くは横一文字、腹部を真っ二つにする軌道で彼は振り抜く、大木に思い切り身体をぶつけるが如く、長刀を思いのままに】
【乱気流に突っ込む戦闘機の面持ちであった、既に後退の選択肢を捨て、一つの爆薬へとなったかの如く】
【しかし、その軌道は揺れる、──── 横一文字の刃は、寸刻に輝きを変えて】

【横薙ぎの一閃はフェイント、彼は強引に軌道を練り上げ、下から上への斬りあげへと昇華させる、そして】
【マリアベルが、横薙ぎを防御しようとしたなら、必ず、次の斬り上げへの判断が遅れるだろう、彼の異能、単純化、それの本領発揮であった】
【防御を完遂しきってからでなければ、次の防御行動には移れない、単純な理屈であった】










977 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/20(日) 22:48:27.05 ID:XbeQyOkQ0
>>974
【少女がやや苛立ち気味なのは彼にも気配を通じて理解出来た。だが、その理由はわかっていない】


また、何か失敗したのだろうか。であれば、重ねて謝罪する。申し訳ない
そうか、お前は上位に位置する。記憶した。だが、どこかで自分を高評価することは傲慢である、と読んだが
お前は傲慢な女の子なのか?


【体温、脈拍を確かめたのならば彼が人間と同じように脈を持ち、体温を伴っていることがわかるだろう】
【肌の質感も柔らか、つまり見てくれは完璧に人間と言う事だ】
【言われた通りにじっと見つめる。そう、じっとである。顔を近づけ、恐ろしい程少女の顔を見て、見て、見まくる】
【ここまで来れば最早不審者だ。そして、少女の問いにはて、と顔を離す】


確かに、照れと言うものを優先してそちらを聞いていなかった
蝶を生み出す能力、生み出してどうするんだ?それと、Freak Fesと言うのは一体どんなものだ?
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/20(日) 22:49:09.06 ID:aCrBgUORO
>>971

【温い返事を気にしている様子は然程なかった。生返事はそう珍しいものでもなかったし】
【これくらいの温度が丁度よかった。火傷もせず、かといって冷め過ぎない適温。出来ればBGMも、それくらいの感じがいい】
【けれどテレビから流れてくるのは、番組が変わって胡散臭い通販チャンネル。人生なんてこんなものだ】


『…………ダーティ・ハリーの方が好みかな。俺は』


【そんなことを言ってカクテルを手元に。(洒落たモンだな。全然、イメージにねぇや)】
【礼なんて言わない。この感想こそが礼だとすら思っているような態度だった。まだ口はつけないのは】
【ふと視界の中に、鮮やかな紅色が見えたからだ。す、と目をそらす。上から見下げているんなら】
【きっとそいつのサングラスの中に、血のような赤い目があることが分かるんだろう。瞳が黒くて】
【周りが嫌に赤い────“ROSSO”】


『指輪か…………赤。赤は、好きじゃないな』

『それで、臨時のウェイター。あんたはここに働きに来たのか?それとも、厄介事を押し付けに来たのか?』
『バーにいる探偵への依頼なんて、ロクなもんじゃあないが』
979 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 22:59:54.72 ID:qtz7cofro
>>977

【火に油を注ぐという表現では足りない、油を注いだ上でその横で可燃物を頭に巻いて油踊りをする様なものである】
【彼女はその感情を爆発させようとした、少女は激怒した、此奴だけは許さない、と】
【 ────── しかし、その情念を飲み込ませる様に、少年の顔があった】

【ふぇ、っと声が漏れた、半音だけ高い素っ頓狂な声は、スケールから離れて、不意によく抜けるメジャーセブンスの響き、慌てて数歩下がって】
【ほっぺたを真っ赤にして、顔をそらす、でも視線だけは少し残して、─── 実演してしまう】
【整った顔をした中性的な少年、彼女も相応に好ましいとは思っていた、から】


お、覚えておいてください、いきなり顔を近づけるのは、身近な関係でしか許されないんですよ
私達はパーソナルスペースを大事にしますから、そうです、私は安い女じゃありませんし
そういうのは、いいですか、そういうのはですね、家族や恋人の様な近しい相手じゃ無いと駄目です、駄目ですって、絶対!


【ぱたぱたと両手を振った、顔も一緒に合わせて、怜悧な目元は何処へやら、等身大の少女の姿がそこにあって】
【少ししてようやく落ち着くだろう、会話の続き】


まぁ……どうするんだ、と言われたら難しいですけど、私の蝶は “音” から生まれるので
日常的には、蝶を使役する事で、私は遠く離れた音を聞いたり、保存した音を聞いたいできますね

─── Freak Fesっていうのは食堂の名前です、私が働いてるレストランですね
美味しいですよ、安いですし、それに、私みたいな可愛い少女が給仕として居ますから
ファラーシャに会いにきた、と言ってもらえると、サービスしますよ


【店の場所をそう言って述べるだろう、そこまで遠く無い場所に位置して居た】
980 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 23:12:19.38 ID:bQqRBESt0
>>976

【彼女の神造聖装・『神罰の緋輝/テスタロッサ・マルクト』≠ヘ本来応用性に長ける力だ】
【だがソンの異能によって単純化され一纏めになったそれは爆発的な魔力が凝縮された爆薬のようになっていた】


ッは、難なく受けておいて良く言うよ。
―――違うよ、私のは血≠ノよって運命付けられたものでしかない。
修練の果て、もしくは神の気まぐれによって発現したものとは違う当たり前の結果
だからそんな美しい物ではないんだよ。

けど―――そう簡単に超えて貰えるものでもない、特に今夜においてはね。



【一合交えただけでその爪痕は城砦に深々と刻まれた。】
【もっと離れてとイスラフィールへと視線や言葉を向ける事は叶わない。】

【放たれる次なる一撃、横薙ぎの攻撃を緋色の剣の同じく横一閃で迎え撃とうと―――】



ッぐがぁ―――ッ!?



【フェイントには対応できなかった、自身の放った横一閃の下に潜り込むように放たれた切り上げ】
【それを受け、右腰から左肩までを切り裂かれ再び鮮血が噴き出す。】

【歯を食いしばり、苦し紛れとばかりに空ぶった横一閃の勢いをそのまま回転に用いて縦一文字にソンへ切りかかる】
【凝縮された魔力の爆薬は再び過熱し爆ぜる。】
981 : ◆7hBVMyNi/l18 [sage saga]:2019/01/20(日) 23:22:09.04 ID:XbeQyOkQ0
>>979
【少女のまるで先程とは違う行動を見て、成程これが照れるかと一人で納得する。とても、とてもズルい方法だ】
【更に言うと、彼はこれを全くの無意識で行っていた。幼さ故の罪とでも呼ぼうか。原罪と呼ぶには、些か可愛らしすぎる】


了解した。顔を近づけるのは、家族や恋人……家族……?そう言えば、俺にはそれが無いな
まぁ良い。現時点では大きな問題では無い。今は、照れると言う行動の委細を記憶する方が先だ


【まぁ良い、とは言ったが、それ程までに彼は対人関係と言う物を軽く見る性質かと言えばNOだ】


音、振動を使役することで様々な音声情報を取得、保持できると言うことか。興味深い
レストラン……大衆が金銭を払って食事を提供してもらう場所。ファラーシャはそこで働いている。成程
複数の情報を記録させてもらった。こういう時は……そうだ、ありがとう、と言うべきだ

あぁ……そうだ。俺は探すんだった。ファラーシャ、俺はもう行く。ありがとう


【唐突に、彼は地平の果てを見つめるかのような瞳を向けると、感謝の言葉を残して彼女の前から消えていった】
【身軽な動きで隣のビルへと飛び移り、また隣のビルへと。その姿は、迷い人にも重なるかもしれない】

/明日が早いのでこの辺りで離脱します。ありがとうございました!
982 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 23:22:39.85 ID:qtz7cofro
>>980

【マリアベルの視界を覆う赤、世界に血飛沫をぶち撒けたかの如く、根源的な赤は排他的な黒を飲み込み、緩やかに死する昏迷を思わせた】
【苦し紛れの一閃がソンを裂いた、噴きあげる鮮血の量、深く切り裂かれた身体が、鮮やかに咲かす押し花の様に】
【咄嗟に理解できるはずだ、道理の単純化、ならば彼もまた、単純な存在と化しているのだと】

【攻撃から直ぐに防御へは転じれない、なぜならそこにあるのは、渾身の一撃を叩き込むという単純な理屈であるから】



「っ ─── ……はは、良き痛みじゃ、こうでなければいかん」「ひりつく様な痛みがなけりゃ、戦いとは言えんからのう」
「そうは思わんか、血を流し、地べたを這いずっても、なお」「─── 勝ちたいと願う」




「おいもおまんも、単純じゃ、─── それ以外の理屈など、どうでもええ」



【振り抜いた剣尖が煌めく、夜空に託す祈りが如く、降り注ぐ彗星が描いた最期の軌跡に似て】
【彼は刃を手元へと納める、地面に翳す様に、突きの体勢であった、僅かばかりの乱れもなく、彫刻の様に地面を踏みしめ】
【破裂する呼吸、野獣の如き咆哮が響き、彼はその手で突きを放つ】

【単純化された突きはその他の道理を超える、ただひたすらに撃ち抜き、貫く、その一本に集約されているのだから】
【それ故に、あらゆる防御に対しての有利を取れた、踏み込んだ思いは託した願いに通じ、揺らめく鼓動すらも感じさせない】


983 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 23:27:59.39 ID:qtz7cofro
>>981

【流離は奔流の如く、溢れ出る言葉の群れは彼女を惑わして、付いて行く間に彼の姿は見えなくなった】
【知らない曲を躍るみたいに、取られた手がステップを伝えても、その足取りには足りないから】
【気がつけば屋上に一人、ビルからビルへと飛ぶなんて、それこそ機械の様だなんて思ったけど】


……そういえば名前、聞いてませんでしたね、変わった方、でしたけど
うーん、何か思惑があるんでしょうか、わかりません、……変な客相手にするよりどっぷりと疲れました

─── まぁでも、次来たなら、少しぐらいサービスしてあげても、いいかもしれませんね


【彼女もまたその場を後にする、二人がいた名残なんて、芥雪みたいに、朝焼けの熱量で溶けてしまう、そんな一瞬に過ぎない】
【けれども月下の下、貴方に手を取られて演じた舞踊、拙い足捌きを恥じたとしても、その事実を恥じることはしない】
【やがてそれは白無垢を来て、二つで優雅に息を合わせて、一つに昇華できたなら良かった、なんて】


/はい、お疲れ様でした!
984 : ◆1miRGmvwjU [saga]:2019/01/20(日) 23:30:30.25 ID:0q3unNZUo
>>978

【そうして彼女もまた有難い言葉を頂戴しようとは思っていない振舞いをしていた。頼まれもせず作ったカクテルの味を誰が保証できるだろうか】
【「44マグナムなんて似合わないよ。」アナタはきっとオートの方が様になる。 ─── そうも付け加えるのだから、寧ろ礼を失しているのは彼女であるのかもしれず】
【ともあれカクテルは案の他に甘かった。ウォッカとライムを1:1で割っているらしい。それでも織り込まれた上品な酒の然り気なさが、稚気じみた後味にはしていなかった】


「そーお?」「ボクは大好きだよ。とっても、大好き。 ─── アナタの目は、少し赤すぎるけれど、それでも」
「赤いって言うより、紅い方。 ……… 伝わんないかな。淀みなく流れる、血潮の色だ。」「なんとも昔から、羨ましく思えて。」


【愛想の良い媚笑を浮かべてやまぬ白い頬は、 ─── やや彼の言葉へ不満げにむくれた。それでも訂正を求めるような感情の質量ではなかった】
【続く言葉はどこか夢を彷徨うように湿っていた。あどけなく丸く開かれた眦が、幽かに蕩けて瞼を落とす。だが、それも決して長くはないのだから】



「さあね。」「 ─── ここに来たのだって理由はない。いつも休暇を潰すのに、こんな国へは来ないんだけど。手持ち無沙汰になっちゃってさ」
「なら一度くらい見ておくのも良い話かと思ってね。」「ここが、どういう場所なのか ……… 少し遅すぎた気もするけど、アナタに会えたから悪くない。」


    「何だったらアナタが依頼してくれたっていいんだよ。」「こう見えても、昔は何でも屋だったのさ。探偵と似たようなものだろう」



【直ぐにその表情は、元通りの人を喰ったような歳頃の笑いへ戻るのだろう。 ─── 言葉尻の最後まで半ば冗談粧して、それでいて半ば本心を籠めて】
【カウンターから再び身体を乗り出して、今度は彼の頬に手のひらを添えようとする。拙さを偽った誘惑に似て、どこまでもシリアスな赤眼を覗き込むように】
【ひどく柔らかく華奢な手のひらだった。誰かと指を絡めて握り合うには幾分も不安さえ感じさせた。それでも彼女はシェイカーを振れていたのだから】
【手を繋ぐ温度の愛おしさもまた知っているのだろう。呼吸の一ツごとに清くも甘い香りを纏っていた。ロリィタの隙間より垣間見える青白い鎖骨に、刻まれている陰影の色合いは、揺れる濡羽色より冗長だった】
985 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/20(日) 23:44:32.18 ID:bQqRBESt0
>>982


―――ガッハッ!よく言うよ、………君は下手すれば私より怪物だ。
だけども感謝もしている、私という存在を人≠ノ堕としたのだから。

私はちょっとばかりプライドが高くてね、人の目も気にするから全面的に同意とはいかないけれど
この場に置いては君に合わせるとしよう。


【膝に手をつき血反吐を吐きながら、マリアベルは銀髪を搔き上げて応える。】
【「できればイスラフィールにはあまり見ないでほしいけどね」と少しばかり苦笑した。】
【そして緋色の剣を腰に深々と構えると、一歩大きく踏み込む。】


けど―――この場は私が勝つ、道理は単純さ。


        ―――守りたいものを守るために刃を振るっているのだからね。



【「物語ってそういうものだろう?」とソンに向けてウィンクする。】
【そして放つのは腰を捻りながら放つ斜め一閃、防御は不可であれば正面から切り伏せるしかない。】
【外≠ゥら供給されるものも含めた全ての魔力を込めた一撃でソンを長刀ごと正面から、背後の城砦壁ごと切り裂こうとする。】
【ただ切断する≠ニいう理を極限まで高めた一撃だった。】

【だが現実とは物語のように単純にいくものでもない、ソンの突きもマリアベルに到達するだろう。】
【ぐしゃり。という音と共にマリアベルの左腕が宙を舞い、イスラフィールの前へと落ちた。】
986 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/20(日) 23:44:49.04 ID:QdUg2YVt0
>>946

マルチバースに宇宙が存在し、それを観測できるとするなら
都合よく例えば“現在の我々が過去に跳躍したかのような現在”も存在するのです。
人間原理という言葉はご存知ですか?なぜこの世界は人間にとって都合よくできているのかという話です。
人間原理よれば――都合のいい世界が存在しうるほど、世界は無数に存在している。ということです。
またこれも逆説的に人間という観測者の側面を証明することに至るのです。

我々の想定するタイムマシンは現在から過去へ跳躍し
出発した時間へ戻ることが可能です。もし、その過去で改変が
行われた場合、戻るのはその過去と地続きの未来。すなわち
出発した現在とは違うパラレルな現在へ戻ることになります。

また例え話ですが過去に戻って交通事故で死んだ人を死ななかったことにしたいとしましょう。
事故の現場を回避したとしても、また別の理由でその人は死んでしまうかもしれません。
死という要素を取り除くトリガーが何処に潜んでいるかは我々には観測できません。
そして、その要素を取り除くことに成功したとしても――理想の現在に戻れるとは限りません。

もし、タイムマシンで現在を変えるのであれば…それは現在と同じようにリテイクを重ねるしか無いのです。
トライアンドエラーが可能ということが利点でもありますが。

所詮、人間は観測者。時間移動が可能なことと未来を思い通りにすることはまた別の話。というわけです。

水国核技術中央研究機構が発見した新粒子。それが時間跳躍の鍵なのです。
その素粒子で所謂――ワームホールに近いものを生み出すことが出来ます。
なぜ過去に跳躍できるかというとその素粒子を含んだワームホールの…種みたいなものの
配列や半減期みたいなもので時間を推定し、現在に極小の過去を作り上げることで移動が可能となるのです。


【なんとも不可解奇天烈極まりない話をつらつらと、暗記してきたかのように彼女は話す】
【そんな話は世間話であるかのように手は動かし、手際よく治療も済ませ、相変わらずの無表情であった】
987 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/20(日) 23:54:05.25 ID:qtz7cofro
>>985

【 ─── イスラフィールはその瞬間を刮目した、宙に舞う左腕、迸る鮮血、そしてそれと引き換えに放たれる一撃】
【正しく道理と言えよう、既に定められた理を覆す、新たな理屈、コペルニクス的転回よりも、遥かに歪な】
【それをイスラフィールと同じようにソンも捉えた、その刃が示す意味を、伝えるその先を、─── だが】

【マリアベルの刃は虚空を切り裂く、まるで、空間から消え果てたかの様にソンの姿は消えていた】
【役目を終えたと言わんばかりに、─── 脅威はさった、けれども、それ以上にマリアベルの負った傷も深い】
【ソンの消失を目にして、イスラフィールが駆け寄ってくる、その両腕に貴方の左腕を抱いて】


っ……あ、マリアベル……様、─── 腕が、腕が……あっ……
すいません、ごめんなさい、っ……私の、私のせいで……
とにかく、腕……どうにか、どうにかしなきゃ……っ


【彼女は表情にいっぱいの困惑を浮かべて、均整のとれた横顔が台無しであった、涙でくしゃくしゃになって、頬に雫を滴らせて】
【貴方の側に辿り着いたならペタンと座り込む、両腕だ抱きしめた左腕が、彼女の服を汚して】
【それでも彼女は涙を溢れさせていた、泣きじゃくる様子は、等身大の少女みたいに】

【ぱっと、顔をあげるだろう、小動物のように不安げで、悪い夢を見た妹みたいに、貴方にすがりついて】
【それでいて、答えの出ない問いを模索するみたいに、彼女は探していた】
988 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 00:07:23.04 ID:8bTA1Budo
>>986

【ぱたぱたと文月は纏った羽織の袖を振った、古人喩えて曰く白旗、かつお手上げ、だと】
【その言葉を理解するには不勉強が過ぎる、彼女は自身の無知を恥じると共に、世界の広さを知って】
【そしてその内容を丸暗記する事にした、然るべき時に、正しい人に伝えられる様に】

【それは未来に託したもう一つのタイムマシン、いつか正しく開かれる時を待つパンドラの匣、そして同時に】
【幼子が持つ世界終了のスイッチとも言えた、一つ分の過ちが、取り返しのつかない事態を生む様に】
【一つ呼吸を整える、恙無い治療に感心しながらも、頭の中身はだいぶグロッキーであった】


とりあえず難しい話はそないな感じで……えっと、少し話を逸らしてもええどす?
先程の話の続きやねんけど、ゾーイはんらが敵対してるのは “オーウェル社” と “テクノドッグス社” って事でええんかな
うちは正直あんま詳しくないんやけど、ゾーイはんらは知ってるかもしらんから、聞いてみはるで

そのどっちかの会社、─── うん、オーウェルの方が大きいねんな、そっちの方がありそうやけど
兵器開発の部門あったりせえへんかな、専門じゃなくて、部品製造とか技術提供とかだけでもええねんけど、うん

────── ああ堪忍な、いきなり言うてビックリしはるかもしれんけど

うち今、“櫻の国” の “魔導海軍” って所で、剣術指南というか、護身術の指導というか、そういう役割をしてはって
そういう役割やさかいに、海軍のつかわはる兵器のメンテナンスとかをしてもらう際に、少しお話しさせてもらってるんよ

それで、魔導海軍に出入りしている水の国の企業の中に、─── そんな名前見た事あった気がしはります


【本国から離れた土地で活動する以上、補給や整備に他国の手を借りることは十分に考えられた、停留している国へのご恩という側面もあるだろう】
【文月は提示する、─── オーウェル社という企業が、その一端を桜に触れている可能性を】

989 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/21(月) 00:08:51.56 ID:wJU4YItj0
>>988


【ソンが立ち去れば、マリアベルは大の字に倒れ伏す。】
【切断面からはとめどなく血が流れており、いつしか緋色の剣も消えていた。】
【乱れた銀色の長髪をかき分けながら荒い息でイスラフィールを見つめて笑う。】

【「参ったね」とそんな言葉が漏れた。】



私はもっと強いもんだと思ってたけど、まだまだこの世界≠ヘ広いって事かな
相性が悪かったとはいえここまでやられるとは―――イスラフィール、これから気を付けて。

腕は………まぁとりあえず仕方ない。何か方法を考えないとなぁ。


――――――前は向けたけど、まだ宇宙/そら≠ヘ遠い場所にあるみたいだ。



【縋りつくイスラフィールに笑いかけてから、夜空を見上げ残った右手を掲げる。】
【霧は晴れた―――だが、やはりまだマリアベルには足りないものがある。】

【「とりあえずその腕腐らないようにしないと」】
【ふと思いついたような口ぶりでイスラフィールに向き直ってからそういった。軽い調子であった。】
990 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 00:23:30.17 ID:8bTA1Budo
>>989

【 ─── 聞きたいことが山ほどあった、聖痕、能力、旧世界の法、けれども、そんな疑問は貴女の前では全て消えてしまって】
【倒れ伏した貴女の側に寄り添って、止め処なく彼女は涙を流す、滴り落ちる夜露を止められなかった】
【それは祝福にも似ていた、女神が与える慈悲にも、─── 聖母と呼ぶには頼りない、そんな横顔だったけど】

【 ────── それでも貴女はまだ、私の事を母と呼んでくれるのですか? 】


…… “Lost Memory Wonderland” 私の能力で、この腕を新鮮な状態にし続けることは可能です
この腕が持つ、記憶、─── 新鮮なままの記憶を再生し続ければ、朽ちることも腐ることもないでしょう
ですが、……切断された腕を再び元に戻すまでは、できません……っ

─── マリアベル様の持つ身体的な働きでしょう、私が干渉するには、あまりにも道理が超えてしまっています
きっと、読み取ろうとしたなら、私の脳が焼き切れてしまいます、────── だから……
こんなにも近くにいるのに、貴女を抱きしめることも、できないのですから


【イスラフィールはマリアベルとの身体的な接触を、最小限にしていた、─── 手を取られた時力を入れなかったのも、逆流を防ぐために】
【だから、なんて言いたげに、貴女の腕を何度も、強く抱きしめていた、────── そして】
【やがて感情があふれ出る様に、言葉が漏れ出た】


─── ……どうして、どうして分かったのでしょう、私が今日外出することは、誰にも伝えていませんでした
マリアベル様が移動するのを知って、私もついていった、それだけですのに……
監視されていたとか、尾行されていたとかも考えにくいです、私の能力ならば看破できます

……それだけ、恐ろしい相手、──── なんでしょうか


【彼女は震えていた、幼子が誰にも頼れぬように、─── 頼る相手なんてもうどこにもいないから】




991 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/21(月) 00:42:30.91 ID:wJU4YItj0
>>990

【イスラフィールから零れ落ちる涙がマリアベルの頬に伝う。】
【不思議だな、と思った。自分の願いも行いもイスラフィールの前では泡沫のように消えてしまうから。】

【―――しからばやはり私の創造する宇宙の神霊母≠スりえるのは君しかいないのかもしれない。】


………だろうね、ありがとう。
けれどそれじゃあイスラフィールの負担が大きすぎないかい?


―――成程ね、それは本当に―――本当に残念だね。



【それは、腕が繋がらない事に対してなのかそれとも―――。】
【この様相はマリアベルと言う存在そのものを表していた。虚神ロールシャッハに過剰なまでに肩入れしたのもきっと】
【本当に孤独に震え人恋しく星々を見上げるのはきっと―――。】

【だから欲しいのだろう、自分の宇宙≠。】



さあてね、イスラフィールが分からない≠フであれば私に知るすべはないよ
ただ言えるのは、虚神≠ニ違う単純な物理的脅威≠ニいうのはそれはそれで恐ろしいという事さ

そして彼………ソンの主はひょっとしたら今も―――。



【そうして身体を起き上がらせると視線を周囲へと巡らせる。】
【そして「大丈夫、暫くは私ができる限り一緒にいるよ」と笑いかける。触れることは叶わない。】

【それはきっと―――■■■■■自身の願いでもあった。】
992 :Zoe ◆KP.vGoiAyM [sage saga]:2019/01/21(月) 00:46:09.23 ID:mQy87HJ10
>>988

【それは、それとして。急激な話の舵の切り方は見てわかるほどだが】
【相変わらずゾーイは聞いているんだかわかっているんだか、ボケッとしているのか】
【じっと真面目にみつめて居るのか、その完璧すぎる容姿であって】
【一体何を思っているかは皆目検討もつかないだろう】

はい、構いません。

…テクノドッグス社はオーウェルの子飼いですから便宜上わけているだけで
実質はオーウェル社ひとつといってもいいでしょう。

オーウェルは複合企業と言ってもコンピュータ・テクノロジーが専門です。
例えばドローンやAI、強化外骨格なども軍事転用は可能ですからそういった意味では
軍事技術に協力していてもおかしくはありませんが。私の知りうる範囲には存じ上げません。

オーウェル社は魔力と言ったものに嫌悪感を抱いています。魔力を用いる魔導海軍とはイデオロギーが相違するかと。
しかし…魔導海軍の現体制派が水の国の反能力者層と手を組んでいるならばおかしな話ではありません。
オーウェル社は“企業”です。利益につながればどんな顔でもしますから。


ともすれば、貴女は前体制派というわけなのですね?厳島氏のいらっしゃる。


【どういうわけかこの女はそのことすらもよく知っているようであった。】
993 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 00:50:10.98 ID:8bTA1Budo
>>991

【イスラフィールはゆっくりと首を振って、そしてそのまま微笑むを向けた、気丈に振る舞う様相が近い、けれども敢えていうのであれば】
【少しばかりの喜びがあった、マリアベルの様子、─── 貴女が生きていてくれたことの喜びを、彼女は示した】
【思うに正しい政治家とは、誰よりも儚い自己犠牲の賜物なのかもしれない】


私でよければ幾らでも、─── なんなら、いつでも、元の通りにすることができますわ
ええ、例え貴女様の腕がバラバラに分離しても、その一片さえあれば思うがままに
私の能力は非力ですが、無力ではございません、できることならば、なんでもいたしますわ

─── 私もです、貴女様がなくした腕の代わりを、私が果たしましょう


【二つ寄り添う影に消える、宵月が伸ばした一瞬が、交錯する僅か瞬間に溶けて果てて】
【やがて眠る夜更けの思い、重なった後の睦言を思うには、些かばかり足りないから】
【そうして混迷はふけていく、その先の解法を探して】


/こんな所でしょうか! お疲れ様でした!
994 :マリアベル ◆rZ1XhuyZ7I [ saga]:2019/01/21(月) 00:55:19.86 ID:wJU4YItj0
>>993


【―――】
【――――――】
【――――――――――――】

【同時刻】
【マリアベルの自室の奥、彼女がいつも持ち歩いている革製のトランクの内部】

【じわりと】


【そこから黒い影が伸び、輝く摩天楼犇めく水の国の街中へと溶けていった。】


//お疲れ様でした!ありがとうございました!
995 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 00:57:51.88 ID:8bTA1Budo
>>992

【ゾーイの情報通っぷりに文月は驚きを隠せなかった、子猫の様に目をしばしばさせて、少し間の抜けた表情をしめしたなら】
【照れた様に笑った、おかげさまで話が早い、なんて思って ─── 】


……なるほど、でしたら考え得る可能性は二つあらはります

一つ目は、単純な利益の場合どす、魔導海軍が “魔制法” を推進する一派、─── 現体制派まで分かってはるんやね
そこと繋がってはった場合、大量のお金が動かはります、せやったらその動きも納得できはります

─── 二つ目は、より大きな問題やと思います、イデオロギーが相違してない、その場合だとどうならはるでしょう

つまり、魔導海軍の内部には、 “魔力” を用いない兵器を扱う計画がある、そんな可能性どす

うちが属していて、一番驚異的やと思ったのは、魔力と科学の融合、その点でした


要するに魔導海軍は、現在の技術では足りないテクノロジーを、魔力を用いて実現させている
その柔軟性というか、思考の多角性というか、そういう点が何よりも厄介やと思ってはります

─── 厳島はんのこともそうどす、先手先手を打たれてるのは、うちらですから
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/01/21(月) 14:04:01.60 ID:eA9pJvUM0
>>994

【午前一時半。――世間一般では、昼時も終わるころだろうか。忙しなく働いていた厨房係が一息ついて、それから、ウェイトレスたちがお話を始める頃】
【だから――というわけでは、おそらくなかった。近頃はやれ神様だなんだとメンバーが出払っていることも多く、ましてや給仕も長い事見かけない、だとか、】
【いやいやこの前見かけただとか。なんならつい昨日見かけただとか。――どうにも最近戻ってきたらしいが、何か事情を話してくれるわけでもなく、前より愛想が悪いね、だなんて】

【――――(それでも夜に店内に明かりを灯す誰かが居ること、割合久しぶりである、というのは、おそらく誰に聞いても一致する事実であるのだろうけれど)】

【そうして二人立ち入るのならば、やはり冬の寒さ満ちる外と比べて、店内は幾分か暖められているのだろう。そのうえで、何か調理しているような湿度と香りが満ち満ちていた】
【特に空腹で踏み込むと言うのなら、調理中の何か香ばしく焼けているとか。何かがほつほつ煮えているとか。そういった音、香りは、今までの人生の食事の記憶と紐づいて】
【実際に何が出来上がりつつあるのかに関係なく食欲を刺激して仕方ないものであるのだろうから。――カウンターの向こう側、誰かがもぞり"仕事"をする気配、】

――――――――――――――――――――――――――あっ、

【――けれどしばらく誰も出てこなかった。扉に括られたベルは鳴っていたはずだった。ならばよほど気を抜いていたのか、それとも、何か夢中になっていたのか】
【"後者"だったらしいと知らせるのは、そこからさらに数十秒後ほどのことだろうか、――それとも声を掛けられるなら、今度こそ、きっと、気づいて】
【立ち上がった眼差しがぱっちりまあるい形になって瞬いていた――、――その手にはいくつかのじゃがいもが握られていたから、(とりあえずそこらへんに置いてしまって、)】

あっ……、えっと、その……。……。――お店、はしてなくて、えっと、……お台所、借りている、だけで……その……。お店はまだやっちゃだめ、って……?
えと、――――、っあ、――。

【そうして出てくる姿はやはり"本人"でありながら、鈴の声音が何かどこか曖昧な音階を連ねていた。――曰く、お台所を借りているだけで、店としてやってない、と、】
【それもやってはいけない理由があるのだと。――いくらか前に世間を賑わせたニュースがあった。この店舗で行われていた慈善事業であった"****"から食中毒が出て】
【その関係で営業中止という扱いになっていると。――その際に立案者である少女が不在だか隠れてしまったのかで全く出てこなかったことも、少なくない批難を集めていたこと】

――スタン、さま?

【――――腰までの黒髪は手櫛に纏めて一つ結び、から、折り返すような緩いお団子に纏められていた。肌の白と瞳の黒赤色は変わらぬまま】
【黒色のパーカーにふわり広がる赤色のスカート。たっぷり詰め込んだパニエが今にも零れ落ちてしまいそうなのを、黒いタイツに包んだ華奢な素足が取り繕って】
【足元はごくかかとの分厚く高い重たげなパンプス、――足音のたびに「ごん」とか「ごつん」とかいう類の靴を履いていたから、その背丈は百七十にも届くほどで】
【十六歳ほどの少女だった。指先についた白っぽい泥を黒いパーカーでぬぐってしまうのだから、作業着であるらしかった。――ぱちりとした瞬きは、最初見慣れぬ紳士を捉えていたが】
【やがて見知った顔に気づくなら、――――――ぱあとその表情が華やぐ瞬間も観測できるのだろう。ひどく嬉し気に綻ぶのなら】

【今度こそ出迎えるために、彼女はカウンターの裏側から姿を見せるのだろう。――その奥からはふつりふつり何か煮える音、それから調理の香りを孕んだ暖かな湿度】
【店屋としてやる気はないままに何か調理に励んでいたらしい。――近頃、ごく行動を共にする赤色の少女は、今はいない、ようだった】

/ごめんなさい!大層お待たせしました……
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/21(月) 14:25:05.62 ID:3Ru75ohJO
>>984

『いくらオートが便利だろうと、俺はリボルバーの方が好きだな』
『オールドファッションスタイルの方が性に合う。銃なんて撃てればいい代物だが』
『相棒となれば、刺激が強すぎない方がいい』


【だから持っている銃は旧式のものだった。Sabrinaって刻印とご丁寧な装飾までつけて】
【いつも両手に女を、ってガラじゃあない。むしろその逆。愛やロックを口にする癖に、女のことは置いてっちまうんだ】

【カクテルを含む。甘い。好みの味じゃなかったから一口で終わらせる。甘い酒に甘い言葉】
【香りも笑みもなんだって甘いなら、噎せ返りそうそうだった。カクテルグラスをカウンターに置いたそいつの頬は】
【冷たかった。人間の温度じゃない。死人にしては温い。生きかけているなんて言葉はこいつのためにあるんだろうか】
【サングラス越しに目が合う。赤は嫌いだった。自分の目の色も。だから名前に混ぜ込んだんだろうか。多分関係なかった】


『俺は嫌いだ。それこそ、血の色みたいで…………過去なんてぼんやりしたものを、この色がはっきりさせちまう』
『呪われた色さ。好きになるもんじゃない……血の色なんて…………』


【うわ言を煙と一緒に吐き出す。そう、うわ言だ。こんなものは。何もかもを曖昧にして】
【肝心なものは最後まで分からない。最初は分かっていたのかもはしれないが、それだって今となっちゃ分からなかった】
【確かなものは目の前にあることだけだ。酒場で2人が喋っている。互いの名前も知らない2人が】


『じゃあ……あんたが何でも屋だってなら。俺を生かしてくれ。……あぁ、その』
『今の俺は死んでいるわけじゃないが、生きてもいない。……分かるかな』
『富嶽会の舞衣が俺の携帯からメールを送信した。俺が死んだって内容だ。でも俺は死んじゃいない』
『けれど皆の中じゃ、俺はもう死んでしまったことになっている。ならきっと俺は死んでしまったんだろう』

『生き死にを分けるのは認識なんだ。難しいことは専門外だがそれくらいは分かる。皆が死んだと思えば、そいつは死ぬ。そいつが生きていようがどうだろうが』
『なら死んだと思われたそいつが生きていくためには、そいつが生きているって認識される必要がある』
『心の中で生きているなんて言葉があるが、それを本当にしちまうのさ。本当も何も、俺は実際生きているわけだが』
『報酬は未来。悔しいが冗談じゃない。協力してくれるか』


【段々と自分が何を言っているかも分からなくなってくる。がしがしと頭を掻く。これでも生き方を教えているつもりだが】
【うまく伝わっているのかは分からない。この手のは麻季音かゾーイの専門だ。連れてくればよかった。そういえばここはUTだ】
【なら大声で呼べば来るんだろうか。今は営業時間外か。じゃあとっくに帰っている頃合いだ。くそ】
【側から見れば酔っ払いどころか向精神薬かLSDのやり過ぎで頭がどこかにぶっ飛んでいる奴だ。それでも俺は本気だった】
998 : ◆Dfjr0fQBtQ [saga]:2019/01/21(月) 16:29:42.14 ID:8bTA1Budo


【一通の手紙が貴女へと届くだろう、“ミラ・クラァケ様” 一見しただけで高価と分かる封筒の中には、金刺繍の織られた手紙が認められて】
【貴女は最初、この文字が打たれたものであると錯覚する筈だろう、それ程までに彼女の文字列は端正で】
【それでいて読めば読むほどに、肉感的な情念を伝えてきた、それでようやく、この文字が肉筆で描かれたのだと気づく程に】

【その文面は誘いの内容であった、日時と時刻とを、時節の言葉を交えて丹念に示す】
【場所は意外にも駅前であった、水の国首都、フルーソ、そこにある大きな駅の広場にて、彼女は待つと】
【疑念を持つ筈だ、疑って当然であろう、─── 彼女の居場所と名前を、何故知っているのか、と思うべきだから】



【全ての疑問を、────── 最後の署名が解き明かした】



【水の国最高議会議員、イスラフィール、と ────── 】




【──────】



【────────────】




【待ち合わせ場所に彼女はいた、一目見てそれとわかる格好で】

【紫苑混じりのプラチナブロンドの長髪を、シニヨンでセミロングの長さにまで纏めて】
【胸元の膨らんだ、袖の無い白のハピットシャツの上から、素肌を透けさせる黒のレースのカーディガンを羽織る】
【シャツのフリルの上には黒いリボンタイを垂らして、ミニ丈のフレアスカートから黒いストッキングを覗かせる】

【紫苑色の双眸に理知的な眼鏡を掛けた姿は、瀟洒な貴婦人を思わせるだろうか】
【両手を包む白い手袋、袖口から覗く素肌の白と溶け合う様に、微笑む様子に神々しさが塗れて】

【彼女の側には一台のリムジンが止まっていた、貴女を確認したなら柔和な笑みで乗るように促すだろう】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2019/01/21(月) 17:41:10.14 ID:3Ru75ohJO
>>998

【何故、と最初は思った。水の国の議員が、何故自分を名指しで呼びつけるのかと】
【理由なんざ考えても結局は分からないままだった。ならやることは決まっていた】
【どこかで自分の異能を聞きつけ、仕事の依頼でも来ようものならそれでよし。そうでないなら用件は聞いてから決める】
【──だが、手紙の文面からして「気に入らない」というのが、イスラフィールへの第一印象だった】


…………けっ、高慢ちきな化粧くせぇババアかと思ったら、随分と腹黒そうな嬢ちゃんじゃねぇか


【そして待ち合わせ場所に彼女は来た。チンピラのような暴言こそが、イスラフィールを見た時の】
【最初の印象なのだろう。──赤いコートに赤い靴。長い髪だって赤い女、ミラ・クラァケは】
【口汚さの割には存外あっさりとリムジンに乗り込んだ。来る前にシャワーでも浴びてきたのか】
【身体に染み付いた潮騒とタバコの香りは、よほど近付かなければ分からないだろう。さらに一つ、付け加えるのなら】
【彼女はまだ、ヒトの姿だった。魔制法が限定的にでも敷かれている水の国の、それも駅前が待ち合わせ場所だったのだ】
【どこまでミラのことを知っているかは定かではないが──保身の意味合いで、今はヒトの形をとっていた】


────で?一体全体、議員様があたしにどぉいったご用件だよ
言っとくが、腹の探り合いだとかってぇのはそんなに得意じゃないんだ
そー言ったのは議事堂ん中でやってくれ。出来ればすぱっと話を終わらせてぇからよぉ


【リムジンに乗り込むや否や、いきなりミラは話を切り出した。どう見たって謀略といった類に向くタイプじゃない】
【嫌いなことは嫌いだと、はっきり口にしてしまうような人種だとこの僅か数分で分かってしまうはずだ】
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2019/01/21(月) 17:51:40.34 ID:wHHn0GHoO
>>999

【イスラフィールはミラの側に座る、─── 絵画を思わせた、生きているその一瞬一瞬が、切り取られた完成系】
【僅かばかりの穢れもないその姿は、空想でしか描けない女神の如く、高貴の中に親しみも付随させて】
【彼女は考え込む様に瞼を閉じる、そうですね、と声を響かせたら】


でしたら私も単刀直入にお聞きしましょう、すぱっとです、すぱっと、貴方様を見習って
私もまたすぱっと、お話を終わらせる事ができるように

一つの問いかけを致しますわ、それに貴方様が答えることが出来るのなら、それでおしまいですもの



では、ミラ様、正直にお答え下さいませ






〈円卓〉の王、ジルベール=デュポンは、今何処にいらっしゃいますか?





【この数ヶ月、ミラはジルベールと連絡が取れなくなっている筈だ、─── 少なくとも、目の前の議員はそれを知っている】
【だとすればそれは恣意的な問い掛けと言えた、答える術を端から奪い取った】
【彼女は一旦目を伏せた、その問いに答えられないことを知っている様に】



ええ、貴方様が答えてくださるのでしたら、私達も話が早いのです、何も探る必要がございません
ですが、きっと貴方様にも答えられない、妃である貴方様にも、王の行方は分かりません
だとすれば、私達もまた、王の在処を知らないのです、そこに付随した〈聖剣〉の行方も

それは〈円卓〉の手落ちです、────── 過不足なく



【リムジンが止まった、扉が開き、イスラフィールがまず先に降りた】
【どうぞ、と言って手を差し出した、赤い絨毯、─── 何処か宮殿の様な雰囲気を示して】
1001 :1001 :Over 1000 Thread

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