高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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◆jsQIWWnULI
2020/08/08(土) 18:47:29.24 ID:b+VIQ/E60
私は目の前にある目玉焼きにフォークを伸ばす。下に敷いてあるベーコンがカリカリに焼けていてとてもおいしそう。目玉焼きを半分に切ると、少しだけ緩い黄身が溢れる。私は真ん中に置かれているパンの籠からパンを取り、切った目玉焼きをそのパンの上に乗せる。私はこぼれないように、でも大胆にそれにかぶりつく。
「……」
私が朝ごはんと格闘していると、頬杖をついて私をずっと見ているアイさんと目が合った。私はなんだか急に恥ずかしくって、朝ごはんを食べる手を止めた。
「ど、どうしたんですか……?何か私の顔についてます……?」
私がアイさんに尋ねると、アイさんは「ふふふっ」と、少し子供っぽく笑って言った。
「ううん。ちょっと嬉しいだけだよ」
「は、はあ……?」
「ふふふっ。さあ、私のことは気にせずに食べて?」
「は、はい!」
朝食を終えると、アイさんは私をARIAカンパニーの一階部分へと連れて行った。
「藍子ちゃん。ゴンドラに乗った経験は?」
「えっと、小さい頃に一度だけネオ・ヴェネツィアに来ていたみたいで、その時に乗ったらしいんですけど、あまり覚えていなくて……」
「そっか。じゃあ、まずは私のゴンドラに乗って、どういうものなのか体験してみようか」
「はいっ!」
私はアイさんのゴンドラに乗ることになった。
アイさんの乗るゴンドラは、白を基調としたシックな船だった。また、舳先にはARIAカンパニーのイメージカラーである青でもって線が入れられている。その真ん中にはこの海と同じ色をしたガラスのようなものが埋め込まれている。
アイさんはそれに乗り込むと、オールでもって船の向きを変え、船を乗るための場所にゴンドラを付けた。
「さあ、お手をどうぞ」
アイさんは舳先に足を置きながらも、その船乗り場に軸を置いて、私に向かって手を差し伸べてくる。私は差し出されたアイさんの手を取った。瞬間、私は強烈な思い出に襲われた。
その思い出は、小さな頃、初めてネオ・ヴェネツィアでゴンドラに乗った時の記憶。もみあげから生えた二つの髪の毛の房が印象的な、とってもあたたかい手をしたウンディーネ。
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