高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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7: ◆jsQIWWnULI
2020/08/08(土) 18:39:33.36 ID:b+VIQ/E60
高森藍子「そのあたたかな手に」


前略

火星について初めての朝です。

待ちに待った、新しい生活の幕開けです。

「……ん……」

さっきまで黒だったはずの視界が白に塗りつぶされている。まぶたを閉じているはずなのに、そんなことはお構いなしに私のことをまぶしい日差しが私の目の中に飛び込む。

「ズルいですよ……そんなの……」

私は太陽に文句を垂れながら重い重い眼を開ける。見慣れない天井。私は今、アクアにいる。そして、ARIAカンパニーの三階部分にいる。私は起き上がって外の景色を眺めた。丸形の窓ガラスから、あんなに遠く離れている太陽の光を反射して、キラキラと輝く海面が見える。そのずっと奥には、見慣れない水平線。それはどこまでも続いていて、遠くの方になるにつれて空との境界線があいまいになり、まるで空と海が溶け合っているように見える。

「……写真、写真」

私はこの風景を写真に収めようとベッドから降りようとした。それと同時に声。

「にゅ!」

「はわ!?」

私がベッドから降りようとした瞬間、いつの間にか部屋にやって来た猫さん、つまり、アリア社長が何か布を持ちながら立っているのに気が付いた。

「おはようございます、アリア社長。どうしたんですか?そんなところに……」

私がアリア社長に尋ねると、アリア社長は私の言葉を理解して、手に持っていた布を渡してきた。火星猫はマンホームの猫と違い、人間並みの知能を持っているらしい。さすがにしゃべることは出来ないみたいだけど、人間の話していることを理解しているのだそうだ。

「これ、なんです?社長?」

昨日知った話だけれど、水先案内人は青い瞳の猫をアクアマリンの瞳と呼んでいるらしい。アクアマリンは昔から海の女神として航海のお守りとしていたそうだ。そんな伝統がこのネオ・ヴェネチアでも続いており、水先案内人を経営する人たちは、アリア社長のような瞳の青い猫をお店の象徴にして安全を祈願している。

そんな話など全く知らなかった私だけれど、アリア社長のことを「アリア社長」と呼ぶことに早くも慣れてしまった。「社長」の響きも何だか可愛らしく思える。


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