堀裕子「ぴーぴーかんかん?」
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13:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:50:32.24 ID:YBAOIjLn0
ある日、俺がいつもみたいに「やりたくないなぁ」だとか「面倒だなぁ」とか
そう言う人間なら誰でも抱えたことがあるだろう、その怠惰的な気持ちを抑えながら図書館に向かう廊下を歩いていると
今はもう誰も使っていない古ぼけた教室、その中に彼女は椅子に座って片手でスプーンを握りしめてそこに居た。

こんな事を言ってしまうもなんだけれども初めは幽霊なのかもしれないのだと思えた。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:51:08.45 ID:YBAOIjLn0
せいぜい迷い込んだ野良猫がたまに顔を見せるぐらいだ。
それに教室の窓越しから見える彼女の白い肌は窓越しに射す夕日に照らされて
まるでこの世の物だと思えないぐらいの儚さだとか、綺麗さだとか、切なさだとか、そう言った物を心のどこかに感じさせていた。


15:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:52:27.43 ID:YBAOIjLn0
一分にも、五分にも、あるいは十分にも感じられるような、そんなオレンジ色の世界の中で先にはっと気づいたのは俺の方だった。
一応程度にドアをノックしてから教室の扉に手を伸ばす。
思っていたたよりも少しだけ重かったドアはガラっと軋むような鈍い音を立てて開いた。
教室の真ん中に居る彼女は、突然来訪した俺の事なんか気づいてもいないみたいに瞳を閉じている。


16:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:53:27.32 ID:YBAOIjLn0
「何してんの?」
俺が彼女に初めて話しかけた時の、乾いた喉から出た言葉はそんな言葉だったと思う。
「むむ……ちょっと待ってください! もう少しで行けそうな気がするので!」
彼女はそう言って先の割れたスプーンを握りしめていた。
これが俺らのファーストコンタクトだった。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:54:59.84 ID:YBAOIjLn0
「むむ……サイキック不調ですかね……夕日の力を借りてスプーン曲げに挑む作戦は悪くないと思えたんですが……あ、ところでどなた様でしょうか?」
「あ、えっと俺の名前はイツキ、樹木の樹って書いてイツキ」
「成程イツキさんですか! いいお名前ですね! 私の名前は堀裕子! サイキッカーです!」
「あぁ……なるほどサイキッカー……」

以下略 AAS



18:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:55:57.15 ID:YBAOIjLn0
「あっ! その顔は何言ってるんだこの美少女って顔してますね……?」
「あっ……うん」
少なからず図星だった。彼女が美少女であるかどうかはともかくとして、何言ってるんだコイツって顔をしていたのは多分出ていたんだと思う、顔に。
「ふふふ……では今からズバリとイツキさんが何故この教室のドアを開けて私に話しかけたのか、それを当てて見せましょう」
「それはイツキさんがこの『超能力同好会』に興味があったからですね! 私には分かります!」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:56:51.53 ID:YBAOIjLn0
3.五月


それから俺は色々あって半ば無理やりの形だけれど『超能力同好会』に入部した。
自信満々に答えた彼女の鼻を折る気にもなれなかったし、それに俺はこの旧校舎に一人で居すぎたせいで
以下略 AAS



20:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:02:49.34 ID:YBAOIjLn0
これは俺が彼女と知り合ってしばらく経ってから知ったことなのだけど、どうやら彼女はこの学校では割と有名人の立場に居る人間らしい。
それこそ堀裕子と聞けば、この学校の誰もが「一年の超能力少女だっけ」だとか「あぁユッコちゃんね」って思い浮かべるられるぐらいには。

まぁ確かに彼女は自称サイキッカーで成績もかなり目立つ方だし
自らを美少女と公言できる程度の顔立ちも持ち合わせてはいるからm言われてみれば確かに目立つ方ではあるのかもしれない。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:04:39.48 ID:YBAOIjLn0
「お前さ六組の堀って知ってる?」
その日は弁当を食ってたんだったか、購買で買ったパンを食ってたんだったか、別に俺が何食ってたかなんてどうでもいいんだけど、
一度さりげなく友人に聞いてみたことがある。

「なに?お前ユッコと関わりあんの?」
以下略 AAS



22:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:05:18.79 ID:YBAOIjLn0
「ん〜あ〜ユッコか〜ユッコなぁ〜あいつはあれだよな胸がでかい」
「またお前それかよ、しょうもねぇな」
「あ、あとあれだな顔が良い」
「お前ほんとそれぐらいだな」
「ん〜まぁな、でもお前にだけは忠告しとくけどよ」
以下略 AAS



23:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 23:06:16.85 ID:YBAOIjLn0
藤井のその言葉は正直、思い当たる節が無い訳では無かった。
初対面の時から既にあっちは俺の事を下の名前呼びだったし、俺の「堀さん」って呼び方も
「私の事はユッコと呼んでください!是非!」でとうに押し切られてしまっていたから。

「まぁそんぐらいなら免疫のない男子が落ちるぐらいだろ、そんなに問題か?」
以下略 AAS



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