9: ◆JfOiQcbfj2
2018/03/15(木) 00:04:51.06 ID:LHPiSqGv0
『あ、出た出た。さっきぶりー』
携帯から聞き覚えのありすぎる暢気な声が響く。
「ちょ、ちょっと志希ちゃん!これどういうこと!?」
『ああー、その慌てっぷりだとやっぱり?』
どうやらあちら側はこちらの状況をわかっているらしい。となるとやはり仕掛け人だったかと判断した夕美は口調を荒げる。
「こ、これ志希ちゃんが仕組んだの!?ど、どうすれば──」
とにかく今は何が何でも解決法を知る必要があった。話という名の説教は明日にでもじっくりゆっくりすればいいのだ。
しかし、返ってきた答えは残念なことに夕美の希望に沿ったものではなかった。
『いやー、あたしも絶賛捕食され中っていうか?』
「……へ?」
『ん、はぁっ!』
携帯の音声から最初の声とは全く違う色のついた声と僅かな水温が聞こえてくる。
「し、志希ちゃん!?」
『にゃ、にゃは、ぁっ!は、激しいねぇ、きみ、ぃっ!』
荒い呼吸と嬌声。電話から響く音はそれに違いない。しかも夕美よりも状況は悪いという事は電話越しでも十分に察することができる。
「だ、大丈夫なの!?」
『こ、こういうのは慣れてるからねー、んんっ、あ、電話したのはこういうの聞かせたいんじゃ、あ、んっ!なく、ってぇ!』
合間合間に嬌声が入るせいで聴いている夕美までも痴情をもらいそうになる。電話越しの彼女はそのまま必死に言葉を続ける。
『この子達ね、どうやら水分を欲してるっぽくて、っ!あ、や、待って、や、ぁっ、うそ、そういうのも、あるんだ……?』
ひゅっ、と志希が息を飲む音が聞こえる。夕美が何とか言おうとしたその瞬間。
『にゃ、ああああああああぁっ!!』
「っ!?」
電話先から悲鳴に近い声が響き、夕美がそれに驚くと同時に通話が切れた。
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