幼女魔王N「小さなお城で甘えたい」 母性巫女「晴れ渡る雨の新世界」

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1 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 19:23:38.87 ID:km+JiU0Vo




古びた日記1 :宝舟の月 1の日

          とがり野の森を抜け、廃城を見つけた。
          ひどい崩れようだ。どうやら、無人になってから何百年も経っているようだ。
          この近くに こんな場所はなかったはずだが……。

          雲が重く、何か空気がよそよそしい。
          こんな夜は危険だ。今夜はここで過ごすことにしよう。
          帰ったらきっと大目玉だ。



古びた日記2 :宝舟の月 2の日 晴れ
       
          森に入り、来た道を戻ってみたが帰れない。
          いつの間にかこの廃城にたどり着いてしまう。
         
          おぞましいほどに星が綺麗だ。
          玉座の地下に部屋を見つけた。
          たくさんの傘と、開かない箱がある。
         


古びた日記3 :宝舟の月 3の日

          やはり帰れない。
          これはとがり野の神様がくださった試練なのだろう。

          この不思議な廃城を歩いて答えを探し、もしくは、時を待とう。

          一安心だ。きっと師匠も許してくださる。げんこつをもらわずに済む。
          幼馴染は、怒るだろうな。ここで見つけた傘でも持って帰ってやろう。 



古びた日記4 :湿った肉がこびりついている    



古びた日記5 :宝舟の月 4の日

          ここには生き物がいない。けれどたくさんのものがある。

          風と、水と、雲が、ゆったりとした時間のように流れて、
          昼には太陽と、夜には月と星がある。

          地平のどのくらい向こうか分からないが、空にとほうもなく大きな岩が浮いている。

          もう4日も何も食べていないのに、空腹を感じない。
          草原に寝転び、ただ呼吸を繰り返すだけで、心が満たされる。
          やはりここは、神々のおわすところなのだろうか。
        
          静かで、とても賑やかだ。
          こんなに孤独が安らかなのは、どうしてだろう。  
    

古びた日記6 :宝舟の月

          誰か見ている。



                
2 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 19:28:14.42 ID:km+JiU0Vo



※ 頭からっぽな、ほのぼのタイプのファンタジー会話劇。
 

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 22:03:26.98 ID:lGBljSfvO
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 22:32:40.13 ID:hfQ14mfmO
たておつ
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 23:26:56.78 ID:GxYHz6fg0
こっちに移動したのか
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/17(水) 08:07:19.30 ID:pvXTp2P+O
おつ
Rの方がルールとかグチグチ言う人居なくてss書きやすいんじゃないかな
7 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 07:58:40.20 ID:/BHkxV61o


幼女魔王Nの城 門前風見の原(仮)



ソヨ ソヨ ソヨ


魔ラジオ 『ザザ……こちら星天観測所……』

魔ラジオ 『遠い世界のお友だち、聞こえますか』

魔ラジオ 『こちら……ジジッ……』




記録魔 「……いかがでしょう」


猫耳蛇娘 「いかがでしょうって言われてものう」


記録魔 「風見の原……この草原にふさわしい名前ではありませんか」


猫耳蛇娘 「別にいちいち地名なんてつけんでも良いと思うんじゃけど」

猫耳蛇娘 「好きに呼べば良いんじゃね?」

猫耳蛇娘 「ゴクゴク……ぷはぁ」


記録魔 「駄目です。こういうところをきちんとしなくては」

記録魔 「そして真昼間からお酒を飲むのはやめなさい」


猫耳蛇娘 「そうじゃ、ワシも思いついた」

猫耳蛇娘 「酒飲みの草原」

猫耳蛇娘 「どうじゃ」


記録魔 「却下です」


猫耳蛇娘 「即答すんなや」


記録魔 「この私が関わる以上、ここには」

記録魔 「同盟の一員として恥ずかしくない程度の気品漂う世界になっていただきます」

記録魔 「いやさ、してみせます」


猫耳蛇娘 「まあ、頑張るが良いよ」

猫耳蛇娘 「ゴクゴクゴク……」


記録魔 「ですから……!!」


8 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 08:07:12.29 ID:/BHkxV61o


フヨヨヨヨ スイイイ

ドルンドルン パフ

トサ

ザ ザ ザ


箒少女 「ふいぃ。やっぱり空は気持ちが良いぜー」


記録魔 「ちょうど良いところに、箒少女さん」


箒少女 「あん?」


記録魔 「この草原の名前を考えました」


箒少女 「……? へえ?」


記録魔 「風見の原」

記録魔 「どうです。良い名前でしょう」


猫耳蛇娘 「ワシは酒飲みの草原で良いと思うがのう」


箒少女 「風見……酒飲み……」

箒少女 「はあ〜あ……」

箒少女 「お前ら、センスねえなあ」


9 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 08:26:41.44 ID:/BHkxV61o


記録魔 「なっ……」

記録魔 「第三大世界同盟のエリートであるこの私が、徹夜で考えたのですよ!」


箒少女 「徹夜で何やってんだよ。あの変な日記を調べるんじゃなかったのかよ」


猫耳蛇娘 「ちょっと内容が怖くて読みきらんかったらしい」


記録魔 「ちちちち、違います! 途中から先を開けなくなってしまったのです!」

記録魔 「それに、名前をつけることはとても重要な仕事なのです」

記録魔 「名前をつけることによって、そのものの存在の意味が……」


猫耳蛇娘 「ワシらのセンスにけちをつけるならば、箒少女よ……」

猫耳蛇娘 「おぬしには期待して良いんじゃろうな?」


箒少女 「おいおい愚問だぜ酒飲み猫耳ちゃん」

箒少女 「配達ギルドの制服をクレイジーに着崩す、このオレのぶっ飛んだお洒落センスを見りゃ一目瞭然だろ?」

箒少女 「スルメガムを一枚噛んでいる間にすっげえの思いついちまうぜ」


猫耳蛇娘 「もう駄目な予感しかせんのじゃが」



10 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/05/18(木) 11:50:40.95 ID:/BHkxV61o


ピリ スラ

アムン クチャ クチャ


箒少女 「さっき箒で空を飛んでたんだけどさあ」

箒少女 「やっぱりこの世界でひときわ目立つのは、あの空に浮かぶ超巨大な岩の卵みたいな、隣の世界だよな」

箒少女 「あれを活かさない手は無いぜ……」


クッチャクッチャクッチャ



猫耳蛇娘 「ぬおぉ……覚悟を超えてまっずいのう、スルメガム」


記録魔 「何でしょう。噛むたびに、鼻から胃の底を、重い吐き気が行き来するような……おえっぷ」


クチャ…… クチャ……



箒少女 「そういや、この草原には飛行船の発着場所もあるんだよなあ」

箒少女 「たくさんの世界へ開いている感じも取り入れたいところだぜ……」


クチャクチャクチャクチャ


箒少女 「うーん…………」


クチャクチャクチャ


箒少女 「…………!」

箒少女 「よっしゃ!」

箒少女 「今日の昼飯は、お肉をたっぷり使った海岸風山菜パスタにしようぜ!」


猫耳蛇娘 「何がよっしゃじゃよ。草原どこいったんじゃよ」


箒少女 「ウルトラ超でけえ岩が浮いてて超すげえ飛行船もばんばんくるすげえ草っぱらマジすげえ、で良いんじゃねえ?」


猫耳蛇娘 「ウルトラかっこ悪いし……」


11 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 12:20:06.16 ID:/BHkxV61o


記録魔 「フフン……どうせその程度だと思っていました」

記録魔 「やはり、私の考えた風見の原で決まりのようですね」


猫耳蛇娘 「それもどうかと思うがのう」


箒少女 「そもそもこういうのって、偉い奴抜きで決めるもんじゃ無いんじゃねえの?」

箒少女 「ここで暮らしちゃいるが、オレたちよそ者だぜ?」


記録魔 「その統治者が眠りこけているから、こうして私が動いているのです」

記録魔 「そして偉い者はちゃんといます」

記録魔 「私は第三大世界同盟の最優良公認ギルドの一員であるとともに」

記録魔 「盟主連を何人も輩出した盟立学院の、最優秀卒業生の証を持つ」

記録魔 「まさにエリート中のエリート、エリィート、ベストオブエリートオブエリートなのです」

記録魔 「ちなみに、これがその証」


エリートカード


箒少女 「おっ、何だそのカード。すごいキラキラしてるじゃん」


記録魔 「欲しいですか? あげません」

記録魔 「これは第三大世界同盟のエリートの中のエリートのみが持つことを許されるエリートの証」

記録魔 「持っているだけでたいていの魔物は言うことを聞き、毎ターンMP回復、疲労回復肩こり知らず」

記録魔 「投げつければ難敵一散の攻撃アイテムとなるばかりか、さらにさらに」

記録魔 「これを見せるだけで九つ星ホテルのスウィートを含めたいていの施設は顔パス、ケチで名高い樽小人の金融機関さえもわれ先にと融資を申し出……」


猫耳蛇娘 「どれどれ」


猫耳蛇娘 は エリートカードを かすめ取った!


記録魔 「ああっ!?」


猫耳蛇娘 「ほほーう、なかなか良い素材を使っとるのう」

猫耳蛇娘 「むっ、紙では無いな……」


箒少女 「記録魔って書いてある。肖像つきだ」

箒少女 「へえ、本当にエリートなんだな。子どもの妄想かと思ってた」


記録魔 「は、はやく返しなさい無礼者!」


猫耳蛇娘 「わかったわかった、焦るでないよ」

猫耳蛇娘 「ちょわっ」


猫耳蛇娘は エリートカードを 投げ捨てた!
エリートカードは 勢いを増して空へぐんぐん伸びていく! 新記録だ!



記録魔 「ぎゃあああーー!?」



12 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 12:58:55.51 ID:/BHkxV61o


※淫魔幼女のアイテムメモ




■エリートカード


 第三大世界同盟の中で傑出した人物に与えられるお守り。

 装備するとMP自然回復(大)、使用すれば攻撃アイテム(複数回使用可)の効果がある。

 同盟の息がかかる世界で、その威光は所持者に様々な幸せをもたらす。
 
 魔物を従える力を持つとも言われる。


 かつて、繁殖期の群生マタンゴの巣に足を踏み入れてしまった猫耳族の雌が

 襲いかかるマタンゴに対しこのカードをかかげたが、

 後に捜索隊が見つけたのは、苗床として生かされる無残な彼女の姿だった。

 同盟の威光も、それを理解する知能を持たないモンスターには意味が無かったのである。





13 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 13:17:26.75 ID:/BHkxV61o




猫耳蛇娘 「……うむ!」


記録魔 「ななななななななな」

記録魔 「なんてことを!!」

記録魔 「どうしてくれるんですか、なんてことを!」


猫耳蛇娘 「まあまあ、焦るでないよ」

猫耳蛇娘 「カードを投げ飛ばしたように見えるじゃろ?」

猫耳蛇娘 「残念! じつは、ちゃーんとこちらの手に……」


パ


猫耳蛇娘 「……まあ無いんじゃけどな」


記録魔 「取ってきなさい! 早く!」


猫耳蛇娘 「なぜじゃ」


記録魔 「!? なぜ!?」

記録魔 「あれがどれほど偉大なアイテムか、聞いていなかったのですか!」

記録魔 「エリートカード! あれ一つで、まさに魔王や勇者に匹敵する力を有するといっても過言ではないのですよ!」


猫耳蛇娘 「駄々っ子のようにわめき散らしおって……」

猫耳蛇娘 「愚か者」


記録魔 「!!!?」


猫耳蛇娘 「アイテムひとつないくらいで、おぬしは何もできんのかい」

猫耳蛇娘 「ならば、かつての岩のごとき精神を持ちし鋼鉄の勇者の言葉を、今こそおぬしに送ろう」

猫耳蛇娘 「コホン……」

猫耳蛇娘 「おれがこのアイテムを授かったから強くなったんじゃない」

猫耳蛇娘 「おれが強くなったから、このアイテムを貰えたのだ」


記録魔 「…………」


猫耳蛇娘 「……な?」


記録魔 「……はやく」

記録魔 「とって」

記録魔 「きなさい!!」



14 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 13:47:26.60 ID:/BHkxV61o


猫耳蛇娘 「かったい娘じゃのう」


記録魔 「人のものを盗んだあげく投げ捨てておいて」

記録魔 「さらに説教までしようとはどこまで恥知らずなんですか!」



ドルルンッ


箒少女 「おい、デコちび眼鏡天使」


記録魔 「デコ、なっ……!?」



箒少女 は 空飛ぶ箒を装備した!



箒少女 「そんな酔っ払いを相手にしてちゃあ日が暮れちまうぜ」

箒少女 「ほらよ、ケツに乗りな」


記録魔 「……けつ?」


箒少女 「オレの箒に乗せてやるってんだよ」

箒少女 「……大事な物を手に入れるなら、他人まかせじゃなく、自分で掴まねえと」

箒少女 「だろ?」


グッ


記録魔 「…………」


ドルルン ドルルン


空飛ぶ箒は うなるような重低音を響かせている……


記録魔 「……け、けっこうです」

記録魔 「私、蒸気じかけのものとは相性が……ぐえっ」


箒少女は 記録魔を 装備した!


記録魔 「ちょ、ちょっと、おろしなさい! 私は箒なんて……」


箒少女 「エリートだか何だか知らないけどさ、四六時中かたすぎんだよ」

箒少女 「だから、地名つけ遊びだとか眠いことやりだすんだ」

箒少女 「一発、空を箒でぶっ飛ばせば、憂鬱も国境も世間体も吹っ飛んじまうての」


記録魔 「い、意味が分かりませんが! ですから、おろしなさい、私はこの手の乗り物が……」


箒少女 「いくぜ!」


箒少女は 魔力を溜めた!
空飛ぶ箒の ロケットスタート!


記録魔 「きやあああーーっ!」


15 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 16:09:38.78 ID:/BHkxV61o


幼女魔王の城 中庭

物干し場




キヤアアアア



母性巫女 「あら、箒少女さんがまた飛んでる」

母性巫女 「箒がなおってうれしいのね……」


パサ ピ

パン パン


波魔法少女? 「未知の大世界接近による空気中の魔法の乱れは」

波魔法少女? 「猫耳蛇娘くんの結界のおかげでしっかり防げているようだ」

波魔法少女? 「彼女の働きはありがたいね。朝っぱらからの飲酒が帳消しになるくらいに」


母性巫女 「あはは……少し減らしてもらえるとありがたいんですけど」


波魔法少女? 「まあ、君の言うことなら聞くんじゃないかな」

波魔法少女? 「さて、今日も外の世界は大変になっているようだ」


魔動画 『……以上のギルド製のアイテムの使用には、十分注意を払うようにしてください』

魔動画 『続いて、第三大世界東大エリアの飛行船事情について』

魔動画 『現在、未知の大世界接近の影響により飛行船の運行が停止されているのは』

魔動画 『毒きのこの世界、中だるみの世界、隣の世界、桟橋の世界、虹と棘の世界……』


母性巫女 「魔動画? ……も、綺麗に映るようになりましたね」


波魔法少女? 「超濃度の魔素を利用し、非常に短い距離で情報を飛ばしているらしい」

波魔法少女? 「同盟中央からの情報は、遠ければ遠いほど遅れることになるのだろう」

波魔法少女? 「界域ごとの情報はそれぞれのハブ世界を中心に、同盟所属の周辺世界へ無差別に飛ばしているようだ」


母性巫女 「ハブ……」


波魔法少女? 「多くの他の世界と繋がりやすい世界のことを言う」


母性巫女 「飛行船の発着場が多くて、世界同士の交易の中心として多世界の種族が集まることが多い……」


波魔法少女? 「勉強は好きではないと言いながら、よく頑張っているようだ」


16 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 16:36:36.44 ID:/BHkxV61o


母性巫女 「ここに来て長いから……」

母性巫女 「でもやっぱり本だけだと、あんまり想像できませんけど」


波魔法少女? 「思い込みは控えるべきだが、想像は大事だよ」

波魔法少女? 「たしかに実際に見聞きすることが一番だとは思うがね」

波魔法少女? 「本から学ぶしかないことなど、この世にはいくらでもある。実際に目にして理解するのでは遅いときもある」

波魔法少女? 「実際に目にすることが間違っていることもある」

波魔法少女? 「さて、君はここに来て長いと言うが」

波魔法少女? 「ボクらは今日、何回朝ごはんを食べたのだろうね」


母性巫女 「?」

母性巫女 「あら、ふふふ。次のご飯、少し早めにしましょうか?」


波魔法少女? 「朝ごはんが足りなかったとか、お腹がすいたとかじゃない」

波魔法少女? 「そのままの意味さ」


母性巫女 「はあ……」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「一回だと思いますけど」


波魔法少女? 「ふむ」

波魔法少女? 「……だろうね」


母性巫女 「?」


波魔法少女? 「ごめんよ、作業を中断させてしまったようだ」

波魔法少女? 「忘れて。洗濯物干しを続けてくれたまえ」


17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/18(木) 16:42:44.56 ID:TMW0QMnoO
常に波が不穏
18 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/18(木) 17:26:18.27 ID:/BHkxV61o


…………

パチ クンッ

パン パン


母性巫女 「……ふぅ」


波魔法少女? 「お疲れさま」

波魔法少女? 「水を用意したよ」


母性巫女 「ありがとうございます」


チチチ チュンチュン

ピピピピ


母性巫女 「……良い天気」

母性巫女 「大変なことが起きているとは思えない」


波魔法少女? 「うん、本当に」


ペラ ピラ



古びた日記



母性巫女 「その日記……」


波魔法少女? 「開けるページと開けないページがころころ変わってね」

波魔法少女? 「ときには、ほら」



血まみれのページ



母性巫女 「!」


波魔法少女? 「それが一旦閉じると、次には……開けると良いが」



パタム パカ


ふるびた日記2 :宝舟の月 2の日 晴れ
        
          森に入り、来た道を戻ってみたが帰れない。
          いつの間にかこの廃城にたどり着いてしまう。

          おぞましいほどに星が綺麗だ。
          玉座の地下に部屋を見つけた。
          たくさんの傘と、開かない箱がある。



母性巫女 「読める……」


波魔法少女? 「ページ、つまり内容もその都度入れかわってね」

波魔法少女? 「解読は慎重にやっているよ」

波魔法少女? 「これは2ページ目かな。今のところ」

19 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/05/18(木) 17:52:32.87 ID:/BHkxV61o


波魔法少女? 「内容から察するに、おそらくこの日記は」

波魔法少女? 「現在の統治者である幼女魔王Nの時代よりずっと昔、玉座に主がいない空白のころ」

波魔法少女? 「この世界に迷い込み帰る方法を失った、この世界の外側の誰かが」

波魔法少女? 「この世界で過ごした日々を綴ったものだろう」

波魔法少女? 「最後のページは確定できていないので、なぜこの日記だけが」

波魔法少女? 「この世界に存在する唯一の城の、玉座の間の地下にあったのかは分からないが」


母性巫女 「ずっと昔の……」


波魔法少女? 「さて、その頃に玉座は残っていたのか」


母性巫女 「世界の主を失うと、世界の玉座もまた失われる……でしたっけ」


波魔法少女? 「その通り。まれに残る物もあるが」


母性巫女 「あの」


波魔法少女? 「何かな」


母性巫女 「世界の統治者は、死ぬことはないと書かれてありました」


波魔法少女? 「魔王マニュアルにだね」


母性巫女 「死ぬことがないのに、統治者が変わるのは……」


波魔法少女? 「そうだね」

波魔法少女? 「何せ長い稼業だ。途中で飽きて放り出したり」

波魔法少女? 「ほかの世界に隷属したり、死んでしまったり」


母性巫女 「死ぬって……」


波魔法少女? 「死ぬというより、中和されるのだよ」


母性巫女 「中和?」


波魔法少女? 「世界の統治者は魔王とか勇者とか呼ばれることがある」

波魔法少女? 「これがどういうことか分かるかな」


母性巫女 「ええと……」


波魔法少女? 「ふふふ、宿題ということにしておこうか」


20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/18(木) 18:00:23.83 ID:d/tE9dEao
更新はよ……いや嘘です
更新新スレ乙
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/18(木) 19:23:04.18 ID:4jXozPsoO
おつ
いつになったらまたイチャイチャが見れるのか…
22 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/05/18(木) 23:37:00.74 ID:/BHkxV61o


母性巫女 「あら、宿題ですか」


波魔法少女? 「気が向いたらで良いよ」

波魔法少女? 「君も、いまや途方もなく長い時間を生きる身だ」

波魔法少女? 「人間だったころと違ってね」


母性巫女 「人間だったころ」

母性巫女 「やっぱり、私はもう違うんですね……」


波魔法少女? 「身体的には、死ににくくなっただけでそんなに違いはないはずだよ」

波魔法少女? 「能力を鍛えることはできるし、衰えることもできる」

波魔法少女? 「ただし、それと同時に」

波魔法少女? 「君は彼女、幼女魔王が起きているときには、彼女の命がある限り彼女の言葉にのみ従う」

波魔法少女? 「自我のない魔王のしもべでもある」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「面白いのは……失礼」

波魔法少女? 「興味深いのはそのことではなく」

波魔法少女? 「そんな状況におかれた君が、こうしてのんびりと日々を過ごしていることなんだけれどね」


23 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/19(金) 02:37:37.34 ID:/KteMjteo


母性巫女 「……おかしいでしょうか」


波魔法少女? 「自分を殺してさらに思い通りに操る術をかけた相手に対して」

波魔法少女? 「復讐しようとか逃げ出そうとかしないのは」

波魔法少女? 「特殊だと思うよ」


母性巫女 「やっぱろちゃんと、怒るべきでしょうか……」

母性巫女 「怒ってしまって、良いのでしょうか」


波魔法少女? 「……はて。不思議な疑問だ」

波魔法少女? 「感情そのものに良し悪しなんてあるものだろうか」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「たびたび猫耳蛇娘くんが指摘する君の異常性は」

波魔法少女? 「そのあたりにあるのだろうね」


24 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/19(金) 02:41:51.46 ID:/KteMjteo


>>23 訂正ごめんなさい




母性巫女 「……おかしいでしょうか」


波魔法少女? 「自分を殺してさらに思い通りに操る術をかけた相手に対して」

波魔法少女? 「復讐しようとか逃げ出そうとかしないのは」

波魔法少女? 「特殊だと思うよ」


母性巫女 「やっぱりちゃんと、怒るべきでしょうか……」

母性巫女 「怒ってしまって、良いのでしょうか」


波魔法少女? 「……はて。不思議な疑問だ」

波魔法少女? 「感情そのものに良し悪しなんてあるものだろうか」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「たびたび猫耳蛇娘くんが指摘する君の異常性は」

波魔法少女? 「そのあたりにあるのだろうね」


母性巫女 「そうですか」


波魔法少女? 「よく分からないといった顔だね」


母性巫女 「それは……」


波魔法少女? 「自分というのは見えにくいものだが」

波魔法少女? 「君は特にそのようだ」

25 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/19(金) 09:12:06.32 ID:/KteMjteo


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「君がそんな風に悩みを口にするのは初めてだ」

波魔法少女? 「ぜひ聞かせてくれないかな。話すことで楽になるかもしれないよ」


母性巫女 「ありがとうございます。でも……」


波魔法少女? 「話したまえ」


ソヨ ソヨ ソヨ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「このお城に来てから」

母性巫女 「あの子に触ることが出来なくなって、今ではあの子の部屋に入ることも出来なくなって……」


波魔法少女? 「そうだったね」


母性巫女 「理由を考えたんです」

母性巫女 「儀式の後遺症とか、もしかしたらあの子が私を遠ざけているのかも、とか」

母性巫女 「一旦頭の中を整理しようと、私があの子のしもべになるまでのことを思い出してみたら」

母性巫女 「そうしたら、吐き気に襲われて、胸が苦しくて、余計に分からなくなって……」


波魔法少女? 「……それで?」


母性巫女 「もしかしたら私は、あの子のことを深く考えたくないんじゃないかと思ったんです」


波魔法少女? 「ふむ」

波魔法少女? 「どうしてだろうね」


母性巫女 「考えて……それで……」

母性巫女 「嫌いになってしまうのが怖くて……」



26 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/19(金) 13:59:32.77 ID:/KteMjteo


波魔法少女? 「嫌いになる、か」

波魔法少女? 「彼女が聞いたら失禁するね」


母性巫女 「あの、あの子には……」


波魔法少女? 「ああ、大丈夫。絶対に言わないよ」


母性巫女 「ありがとうございます」


波魔法少女? 「嫌いになるのが怖いとはね……」

波魔法少女? 「彼女のことを考えると、嫌いになってしまいそうなのかい」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「どうなんでしょう……」


27 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/19(金) 14:24:38.27 ID:/KteMjteo



母性巫女 「あの子なりに悩んだことも、あのままでは私はどうしようもなかったことも」

母性巫女 「分かってはいるんです」

母性巫女 「でも、そのときのことを思い出すと……」


波魔法少女? 「彼女を許せない」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「こんなこと初めてで……」

母性巫女 「年少組の子たちに胸をもみくちゃにされたときも」

母性巫女 「勇者一行の人たちに胸をもみくちゃにされても」

母性巫女 「こんなに苦しくなることは無かったのに……」


波魔法少女? 「一気に話の重さを捨ててきたね」



28 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/19(金) 15:21:33.13 ID:/KteMjteo


母性巫女 「怒っているんだと思います……」

母性巫女 「あの子のこと」

母性巫女 「あんなに可愛くて、さびしくて、まだ知らないことだらけの子なのに」


波魔法少女? 「彼女のことを怒っている……だけで終われない君のそういうところは、優しさなのだろうが」

波魔法少女? 「記録魔くんなどの目には、傲慢とか嫌味にうつるのかもしれないね」

波魔法少女? 「ボクから見ると、君は不自由そうな子だが」


母性巫女 「不自由……」


波魔法少女? 「今は眠りこけている、彼女よりもね」


29 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/19(金) 18:02:21.47 ID:/KteMjteo


波魔法少女? 「あの子に対して怒りの感情を抱くことが、悪いことのように考えているみたいだが」

波魔法少女? 「では君は、彼女に対して怒りを表したことは無いのかな」


母性巫女 「……あります」


波魔法少女? 「しかし、今回に限って、ひどく悩まされている?」


母性巫女 「はい……」


波魔法少女? 「たとえば、以前はどんなときに怒っていたのかな。彼女に対して」


母性巫女 「ええと……」


波魔法少女? 「彼女の名誉を傷つけない程度で話せるなら、それで構わないよ」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「……お風呂上がりに、髪の毛も拭かずに部屋へ行こうとしたり」

母性巫女 「よく分からない雑草を食べようとしたり」

母性巫女 「トイレのあと、手を洗わずにお菓子を食べようとしたり」

母性巫女 「パンツもはかずに足をひろげて座ったり」

母性巫女 「魔動画で見た漫画の、ひどい言葉を真似したり」

母性巫女 「お菓子を食べたあと舐めた指で、髪の毛をなでつけたり」

母性巫女 「鼻水を服で拭いたり、トイレを流し忘れたり、歯磨きをしていないのにやったって言ったり……」


波魔法少女? 「名誉を粉砕しにかかっているが」



30 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/19(金) 18:40:49.59 ID:/KteMjteo


母性巫女 「お風呂に入るのも嫌がっていたんですよ、あの子……」


波魔法少女? 「手のかかる子なのだね」

波魔法少女? 「お風呂上りに髪の毛を拭かない彼女を怒ったとき」

波魔法少女? 「君は怒っていたのかい?」


母性巫女 「?」

母性巫女 「ええ、そう思います」

母性巫女 「……やっぱり、違うんでしょうか」


波魔法少女? 「やっぱり?」


母性巫女 「私、本当は怒っていなかったんでしょうか」


波魔法少女? 「……ほう」


母性巫女 「あの子に対して怒っている、この世界に来てからの自分が本当の自分のような」

母性巫女 「それまでの私が嘘で空っぽだったような」

母性巫女 「そんな気がするんです」


波魔法少女? 「それは怖ろしいことだ」


31 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/19(金) 19:14:12.71 ID:/KteMjteo


母性巫女 「笑うべきだから笑っていた。怒るべきだから怒っていた」

母性巫女 「戦うべきだから戦っていた」

母性巫女 「そう決められているからそうしていたような」


波魔法少女? 「それが嘘で空っぽだったと思うんだね」


母性巫女 「だって、今は胸がこんなにも重い」


ムニ フニョン


波魔法少女? 「……そりゃあ、重いだろうね」


母性巫女 「この重みが嘘とは思えなくて……」


タユン ユサ


波魔法少女? 「まあ、嘘ではないのだろうね」


母性巫女 「だったら」

母性巫女 「故郷であの子と暮らしていた私が嘘だったら」

母性巫女 「あの子に対して、なんて残酷なことをしていたの……」


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「なるほどね」




32 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 00:32:18.40 ID:048Y0wHpo
更新おつ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 01:31:39.45 ID:ugWomEWEo
おつり
34 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/20(土) 14:44:27.36 ID:QlVnpPFPo


波魔法少女? 「主の意のままに動く空っぽの人形にされたかと思ったら」

波魔法少女? 「実はもとより空っぽだったなんて、むなしい話だ」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「だが、君は確かに精神的にも肉体的にも、度を越して常軌を逸しているところがあるが」

波魔法少女? 「昔から空っぽだとは思えない」


母性巫女 「そうでしょうか」

母性巫女 (おかしいことはおかしいのね……)


波魔法少女? 「まあ、ボクはこの城で暮らす君しか知らないから、無責任には言えないが」

波魔法少女? 「なんというか、途切れていないように見える」


母性巫女 「途切れて……?」


波魔法少女? 「空っぽなのは、彼女なんだよ」


母性巫女 「……あの子」


波魔法少女? 「君の知る、そして知っていた幼女魔王Nは」

波魔法少女? 「ある人物の、わずかに残ったゴミのような部分を集めて作られた」


35 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/20(土) 15:45:54.79 ID:QlVnpPFPo


母性巫女 「え……?」


波魔法少女? 「話が逸れてしまうね」

波魔法少女? 「まあ、とにかく」

波魔法少女? 「今の君を認めることによって、昔の君が否定されるわけではないと思うよ」


母性巫女 (作られた? 波さんの独特の言い回しかしら)

母性巫女 「あの……」


波魔法少女? 「うん?」


母性巫女 「あの子が作られた……って」


波魔法少女? 「あれ、話さなかったっけ?」

波魔法少女? 「興味あるかい」


母性巫女 (なんか、わざとらしい……)

母性巫女 「ええと……はい」


波魔法少女? 「ふむ……」

波魔法少女? 「しかしこれは覚悟のいる話だ」

波魔法少女? 「もちろん、ぼくにもだが」

波魔法少女? 「何よりも君に」


36 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/21(日) 22:00:26.90 ID:QxdVi+Qio


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「心が揺らいでいる君に」

波魔法少女? 「話してしまってよいものか……」


母性巫女 「そんなに大きな、あの子についての秘密を」

母性巫女 「波さんは知っているんですね」


波魔法少女? 「知っている」

波魔法少女? 「一方で……」


母性巫女 「知らない?」


波魔法少女? 「その通り」

波魔法少女? 「ボクはそういう風にできている」


母性巫女 「はあ……」


波魔法少女? 「揺らいでいる、か。そうだね」

波魔法少女? 「……母性巫女くん」


母性巫女 「はい?」


波魔法少女? 「彼女のことを話す前に」

波魔法少女? 「今はまだぼやけている、君の、自身の心の動きに対して起こる恐怖の正体を探ってみないかい」

波魔法少女? 「なぜ君が、彼女を嫌いになることを怖ろしいと思うのか」

波魔法少女? 「または、思うような人物になってしまったのか」


母性巫女 「え……」


波魔法少女? 「それによって、もしかしたら君は、彼女を嫌うことを躊躇しなくなるかもしれない」

波魔法少女? 「もしくは……」


ユラ


母性巫女 「………っ」

母性巫女 (波さんの手のひらの上に、白んだ緑色の炎が浮かんでいる)


波魔法少女? 「晴れていると同時に、雨が降っている」

波魔法少女? 「好きであると同時に、嫌っている」

波魔法少女? 「かたくやわらかく、やわらかくかたく」

波魔法少女? 「ボクはぼくであり、ぼくはボクである」

波魔法少女? 「慣れていないが、これがボクの得意な魔法だ」


母性巫女 「あら、まあ、かわいい色」


パチパチパチ


波魔法少女? 「そういうのじゃないから」


37 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/21(日) 22:15:51.70 ID:QxdVi+Qio


波魔法少女? 「いきなり火を出す技を披露して拍手をもらおうというわけじゃない」

波魔法少女? 「ボクの魔法を使えば」

波魔法少女? 「君の過去と現在を交差させることができる」

波魔法少女? 「つまり君は、君自身の過去を見ることができる」


母性巫女 「そんなことが……」


波魔法少女? 「ボクを信じてもらうことになる」

波魔法少女? 「猫の耳くんは、絶対に拒否するだろう」

波魔法少女? 「どうだい。試してみるかい?」


ユラ ユラ


母性巫女 「…………」


ユラ ユラ


母性巫女 「……お願いします」


38 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/21(日) 22:27:56.14 ID:QxdVi+Qio


波魔法少女? 「良いのかい?」

波魔法少女? 「猫耳蛇娘の言う通り、ボクは」

波魔法少女? 「敵側の者かもしれないんだよ」


母性巫女 「私は、波さんのことを敵だなんて思いませんよ」

母性巫女 「あんなにおいしそうに、ご飯を食べてくれるんだもの」


波魔法少女? 「ふわふわとした理由だね」


母性巫女 「私なりに考えいるんですよ」

母性巫女 「それで駄目だったら、しかたありません」


波魔法少女? 「しかたないか、良いね」

波魔法少女? 「結果、幼女魔王Nが不幸になるとしても?」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「ごめんよ、意地悪がすぎたね」

波魔法少女? 「では、疑問が多いであろうボクにおいしいご飯を提供してくれた君の」

波魔法少女? 「信頼にこたえよう」



39 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/22(月) 00:30:14.69 ID:TodZ0kJeo
更新乙

さて、更新はよ
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/22(月) 04:06:44.80 ID:Bl1xwiaHo
更新乙
41 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/22(月) 19:29:49.31 ID:n0/3EZrDo



波魔法少女? 「神様に対しても、ちいさな友人に対しても」

波魔法少女? 「頼みごとをするときに信を捧げるというのは、まあ必要な、儀式のようなものか」

波魔法少女? 「もちろんボクは神様なんてものではなく」

波魔法少女? 「向こう岸からの幽かな友人だが」


ユラ ユラ ユラ


波魔法少女? 「目をつむって」


母性巫女 「はい……」


波魔法少女? 「何か話すことがあれば、話して構わないよ」

波魔法少女? 「ただ、目は開けない方が良い」

波魔法少女? 「記憶というものは、まぶたの裏に焼きついているものだから」


母性巫女 「はい……」


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「では、始める」


………

ユラ ユラ ユラ

ウニョン ウニョニョニョニョ




42 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/22(月) 20:44:54.91 ID:n0/3EZrDo



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「…………」


ニョン ニョン ニョン ニョン


母性巫女 「………あ」


波魔法少女? 「え?」


母性巫女 「あの、波さんに言おうと思っていたんですけど」


波魔法少女? 「何かな」


母性巫女 「服、そろそろ洗いましょうか」

母性巫女 「すっと同じ物を着ているし……ほら、白いですし」


波魔法少女? 「……うん」

波魔法少女? 「うん。ボクの服はそういうのいらないやつだからね」

波魔法少女? 「大丈夫だ。汚れるとか、綺麗になるとか、そういうことのない物だから」


ユラ ユラ ユラ


母性巫女 「そうですか……?」


波魔法少女? 「うん、大丈夫だ。ありがとう」

波魔法少女? 「……ボクなどは君のそういうところを好ましく感じるけど」

波魔法少女? 「この先ながく、記録魔くんが君と打ち解けることが無いであろう予感がさらに強まるね」

波魔法少女? 「そうだ、ボクからも言っておくことがあった」


母性巫女 「はい」


43 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/23(火) 04:46:35.82 ID:5Hoco1Iv0
いつの間にかスレ跨いでたのな、更新乙
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/23(火) 07:03:02.88 ID:7y1padlnO
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/24(水) 21:29:36.42 ID:5pYRhiWYo
続き読みたくて捩じ切れそう
更新乙
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 15:30:38.70 ID:64+1Lhx00
折角こっちに来たんだからそろそろNには酷い目にあってもらいたい
47 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/25(木) 23:04:44.99 ID:XR7kYG6Lo


波魔法少女? 「次の朝のデザートはあれが良いな」

波魔法少女? 「煮た生クリームみたいな、冷たくて甘いお菓子」


母性巫女 「あれですね」

母性巫女 「じゃあ、明日の朝はそれにしましょう」

母性巫女 「私が起きていたらですけど……」


波魔法少女? 「今日の朝かもしれない」


母性巫女 「?」


波魔法少女? 「最後の呪文詠唱に入る」

波魔法少女? 「君はこの呪文を最後まで聞くことなく、己の過去と交差することになるだろう」

波魔法少女? 「良い旅を」


キイイイイ


波魔法少女? 「……こるな、ふぁっつぇる、みらにうす」

波魔法少女? 「るい、ほいへんす、あいざっく……」

波魔法少女? 「ゴニョゴニョゴニョゴニョ……」


ニョン ニョン ニョン ニョン

ニョン ニョン ニョン……


母性巫女 「…………」



…………

……




48 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/25(木) 23:25:12.30 ID:XR7kYG6Lo


土の牢獄




…………


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……うーん」


モゾ モゾ

ムク


母性巫女 「…………」

母性巫女 「暗い。ここはいったい……」


キョロ キョロ


鉄格子


母性巫女 「……鉄格子。ここは牢屋なのかしら」

母性巫女 「波さんは過去の私と交差するって言っていたけれど……」


テク テク テク

ズボッ


母性巫女 「きゃっ!?」

母性巫女 (いきなり地面が……)


ボロ ボロ

ヒュウウウ


母性巫女 (抜けた……?)


49 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/25(木) 23:37:34.66 ID:XR7kYG6Lo


母性巫女 「…………」

母性巫女 (壁も床も、天井も土でできているみたい)

母性巫女 (よく見ると、牢屋の中も外もボロボロ……)


バゴン


母性巫女 「鉄格子が崩れた……」


ボソ ボロロ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (危ないけれど、少し歩いてみよう)


50 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/25(木) 23:43:02.24 ID:XR7kYG6Lo



テク テク テク


母性巫女 「……他にも牢屋はあるみたいだけれど」


崩れた牢屋

潰れた牢屋

すてられた牢屋


母性巫女 「どこも崩れているみたい」

母性巫女 「当然、誰もいない」


テク テク テク


母性巫女 「……ん?」



黒花の仮面



母性巫女 (黒い花飾りの仮面が落ちている)

母性巫女 「…………」


ズル……


母性巫女 「……?」

母性巫女 「どこかから、引きずるような音が聞こえる……」


51 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/25(木) 23:53:59.09 ID:XR7kYG6Lo


ズル ズル ズル


母性巫女 「…………」

母性巫女 「近づいてくる」

母性巫女 「私が歩いてきた方からだわ……」


ズル ズル ズル


??? 「…………」


ズル ズル


母性巫女 (人影)

母性巫女 (……じゃ無い。柱?)

母性巫女 (柱が動いている?)


ズル ズル ズル


??? 「…………」

棺ミミック 「…………」


棺ミミック が あらわれた!



母性巫女 「……小さな、棺」



52 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 00:00:43.08 ID:cv7yiFHuo


母性巫女 (黒くて、子どもがやっと入れるくらいの小さな棺……)


棺ミミック 「…………」


ズル ズル ズル


母性巫女 (どんどん近づいてくる。どうしたら良いの)

母性巫女 (……あの棺、中に何か入っているのかしら)



タ タ タ タ


母性巫女 「!」

母性巫女 (逆の方向から足音が近づいてくる)

母性巫女 (こっちは走っているみたい)


ダ ダ ダ ダ

ズデン


母性巫女 「…………」

母性巫女 (……転んだ?)


53 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 00:14:51.07 ID:cv7yiFHuo


ダ ダ ダ ダ ダ


??? 「はあっ、はあっ、はあっ……」

幼女魔王(妊娠) 「誰か、いるの!?」



幼女魔王(妊娠) が あらわれた!



母性巫女 「……!」

母性巫女 「N………!?」


幼女魔王(妊娠) 「えっ……」

幼女魔王(妊娠) 「誰、あなた。どこから来たの」


母性巫女 「え……」



ズル ズル ズル


棺ミミック 「…………」



幼女魔王(妊娠) 「……いけない!」

幼女魔王(妊娠) 「早くこっちに来て! あいつが来る前に!」


母性巫女 「あいつって……」

母性巫女 「あの棺?」


棺ミミック 「…………」



幼女魔王(妊娠) 「早く!」

幼女魔王(妊娠) 「そいつは死神よ!」



54 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 00:38:18.10 ID:cv7yiFHuo



母性巫女 「死神?」




デ デ デ デ


棺ミミック 「…………」


おや? 棺ミミックの様子が……


棺ミミック 「…………」


ギギ ゴゴゴゴ……



母性巫女 「棺の蓋が開いていく」


幼女魔王(妊娠) 「まずい……!」




棺ミミック 「…………」


ジャキン ジャキン ジャキン


棺ミミック 「…………」

鎌棺ミミック 「グギギギ……」


おめでとう! 棺ミミックは 鎌棺ミミックに 進化してしまった!



母性巫女 (少し開いた棺から、たくさんの長柄の鎌が出てきた!)


幼女魔王(妊娠) 「早くこっちへ! 上に逃げるわよ!」



55 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 00:43:23.65 ID:cv7yiFHuo


母性巫女 「でも…………」


幼女魔王(妊娠) 「もう!」


タ タ タ タ

ハシッ


母性巫女 「!!」

母性巫女 (Nに手を握られた)

母性巫女 「…………?」

母性巫女 「あれ、何とも無い……」


幼女魔王(妊娠) 「何してるの、早く走るわよ!」


母性巫女 「は、はい……」


タ タ タ タ タ


56 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 00:55:59.99 ID:cv7yiFHuo



タ タ タ タ タ



幼女魔王(妊娠) 「私はTの字を持つ幼女魔王」

幼女魔王(妊娠) 「卵スライムの卵を産み付けられた幼女魔王」

幼女魔王T 「幼女魔王T」

幼女魔王T 「そしてここは、幼女魔王の塔」

幼女魔王T 「進むことのない、停滞と忘失が支配するところ」



タ タ タ タ タ




57 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/26(金) 01:06:55.32 ID:Q9X4DiFIo
Nより後…
58 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 01:12:16.04 ID:cv7yiFHuo


交差波動迷宮改

幼女魔王の塔 最下層上層



タ タ タ タ タ


母性巫女 (幼女魔王の塔……)

母性巫女 (私の過去との交差はどうなっているのかしら)


幼女魔王T 「はあっ、ひいっ、おえっ、ひいっ……」


母性巫女 「あの、N……T?」


幼女魔王T 「はあっ、はあっ……何」


母性巫女 「もうさっきの棺は見えません」

母性巫女 「つらそうですし、もう走らなくて良いんじゃありませんか」


幼女魔王T 「はあっ、はあっ……そうね」

幼女魔王T 「階段までもう少しだし……」

幼女魔王T 「ふひぃ……」


母性巫女 (丸くぱんぱんに膨らんだお腹)

母性巫女 「あの、そのお腹……」


幼女魔王T 「ああ、あなた、もしかして新しく生まれた子? そうよね、見たことないもの」

幼女魔王T 「……昔、卵スライムにお尻から卵を詰め込まれたことがあるのよ」


母性巫女 「え……」

母性巫女 (意味が分からない……)

母性巫女 (私の記憶と何の関係があるのかしら)




59 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 02:14:34.65 ID:cv7yiFHuo


幼女魔王T 「私の紹介はこれで十分よね」

幼女魔王T 「それで、あなたはいったい何なの?」


母性巫女 「えっと」


幼女魔王T 「本当に新しく生まれた子?」

幼女魔王T 「私に比べて髪の毛は黒いし、背はだいぶ高いし、おっぱいは大きいし」

幼女魔王T 「もしかして、おっぱいに痺れ巨大蜂の卵と毒を詰め込まれたの?」


母性巫女 「いえ……」

母性巫女 (触れても大丈夫なこととか、気になることはあるけれど)

母性巫女 (とにかくこのN……Tは、私のことを知らないのね)

母性巫女 「私は、母性巫女です」


幼女魔王T 「ええっ!?」


ビクン


母性巫女 「!?」


幼女魔王T 「嘘……母性巫女!? い、いえ、まさか、そんなわけないわよね」

幼女魔王T 「ここに来られるはずが無いもの」

幼女魔王T 「でも、たしかにその姿は……」


ジロ ジロ


母性巫女 (本当に、どうなっているのかしら)


幼女魔王T 「黒い髪、おっぱい、優しい目、おっぱい、おっぱい……話に聞く母性巫女そのもの……」

幼女魔王T 「どうしてここに……」


母性巫女 「あの……」


幼女魔王T 「K!」


母性巫女 「えっ?」


幼女魔王T 「ここにいる以上、あなたはきっと幼女魔王よ」

幼女魔王T 「あなたは、幼女魔王K!」


母性巫女 「えー……?」


60 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 02:28:42.33 ID:cv7yiFHuo


母性巫女 「あの、私は……」


幼女魔王T 「やめて!」


母性巫女 「!」


幼女魔王T 「私はあんまり難しいことを考えることがあんまり、あんまりなの! 私なんだから知ってるでしょ!」

幼女魔王T 「だからややこしいことになったら困るの」

幼女魔王T 「あなたは幼女魔王K!」


母性巫女 「ええ……」

母性巫女 (でもこの感じ、この子はNそのもの……のような気がする)

母性巫女 「じゃあ、分かりました。Kで良いですから」


幼女魔王T 「うん」

幼女魔王T 「それであなた、どうしてこんなところにいたの」


母性巫女 「こんなところって」

母性巫女 「ここはどんなところなんですか?」

母性巫女 「それにあの棺はいったい……」


幼女魔王T 「ここは塔の、捨てられた最下層の上層」


母性巫女 「捨てられた?」


幼女魔王T 「昔は使われていたのだけど」

幼女魔王T 「あの棺の死神がやってきて暴れまわるようになってから」

幼女魔王T 「誰も住めなくなってしまったの」


母性巫女 「はあ……」

母性巫女 「あの、そもそもこの塔はいったい、何のためにあるんですか」


幼女魔王T 「?」

幼女魔王T 「何のためも何も、これが無きゃ私は生きていけないじゃない」

幼女魔王T 「幼女魔王の塔は、幼女魔王の塔よ」



61 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 02:37:31.03 ID:cv7yiFHuo


母性巫女 「うーん……」


幼女魔王T 「あなた、私の中でも相当アレなようね。良いわ、続きは上で話しましょう」


母性巫女 「上……」


幼女魔王T 「あの棺の死神は、ここより上の層には上がってこないの」

幼女魔王T 「今のところは、だけど」


ザ ザ ザ 


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 (物騒なところなのね)


幼女魔王T 「急ぎましょう」

幼女魔王T 「そろそろ幼女魔王会議が始まるわ」


母性巫女 (幼女魔王会議……)

母性巫女 (私の過去とはいつ交差できるのかしら)


ザ ザ ザ



62 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 02:46:53.54 ID:cv7yiFHuo


幼女魔王の塔 最下層上層

階段前




ザ ザ


幼女魔王T 「……うっ」


ドサ


母性巫女 「N!? どうしたんですか!」


幼女魔王T 「Tよ……」

幼女魔王T 「分かんない……お腹が……」

幼女魔王T 「ううっ!!」


ガク ガクン


母性巫女 (Nがお腹を押さえて苦しんでいる……)

母性巫女 (抱えていこう)

母性巫女 「N……」


幼女魔王T 「ひぎぃいっ!!!?」


ビクンッ


母性巫女 「!?」


幼女魔王T 「お、お腹……中で……」

幼女魔王T 「ほへひぇっ!?」


グニョン

ビクンッ


母性巫女 (ぱんぱんに膨らんだNのお腹が……)


幼女魔王T 「んぎゅっ……ふぎゅううううぅぅ……っ!?」


ボコン モコモコ

モ゛モ゛モ゛モ゛

グニョン グニョン グニョン


母性巫女 (別の生き物みたいに波うちだした!)


63 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 03:10:39.49 ID:cv7yiFHuo


ドクン プチュヂュヂュ

ギュルルル ブキュ ブキュ


母性巫女 「Nのお腹から、変な音が……」


卵スライム(幼生)17の 出産液!
幼女魔王Tの胃袋で 媚薬効果のある液を 勢いよく撒き散らした!


幼女魔王T 「ふぅ゛ッッッ!?」

幼女魔王T 「……ンっひぇ!? ……ぉ、へっ……ほぉぇ………」

幼女魔王T 「んぉっ、ぉお……ぇええぇへぇへぇへへへ……」


ビクンッ ピクンッ ピクンッ

グニョグニョグニョグニョグニョ


母性巫女 (Nがヨダレを垂らして、力なく笑いだした)

母性巫女 (お腹は勢いを増して歪んでいく)

母性巫女 「N、N!」


幼女魔王T 「ひひぃぃ……おにゃかの壁……こひゅっ……、こひゅっひゃ嫌らぁ……」

幼女魔王T 「はっひぇえ………ひひぇええ……ひゃへ、ひゃへ、んへ、へ、ひぇ、んへえぇえええええッッ……ッッ」


ビグンッ

ビクビクビクビクビク


幼女魔王T 「ッッ! 〜〜〜〜〜……ッ!」

幼女魔王T 「ッ! ッ! ッ!」


ビクンッ ビクンッ ビクンッ


母性巫女 「ぐったりしたまま、今度は痙攣……!」


幼女魔王T 「カヒュッ……!!」

幼女魔王T 「は……ぁ……」


ブヂュ


幼女魔王T 「ほぇ゛っ……」


プヂュゥウウウウ プヂュジュ ジュピュ

ギュルルルル

ゴニュニュニュ グニョングニョングニョン


幼女魔王T 「ひゃっへええ゛ええ゛え……まひゃ、まひゃあああ……」

幼女魔王T 「知らひゃ……こんにゃ……」

幼女魔王T 「ッ!! 〜〜〜〜〜ッッッ!」


ビクンッ ビクンッ ビクンッ

64 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 03:25:44.34 ID:cv7yiFHuo


母性巫女 「…………!」


スリュ


母性巫女の 脱がすこうげき!
幼女魔王Tのスパッツを はぎとった!


幼女魔王T 「はあきゅっ……ふひっ、ふひひぃい……」


母性巫女 「しかたありません。ここで出してください、お腹の中のもの!」


幼女魔王T 「はぴゅ? ひっひぇ……」


母性巫女 「このままだと苦しいままですよ。棺が来たら私が何とかします」

母性巫女 「だから……」





幼女魔王T 「くっひゅ……ひぅ……ぅ……」


ニョゴゴ グニュ ニュ……


母性巫女 (手をそえたら、Nのお腹のうねりがおさまった)

母性巫女 「落ち着いて……怖くありませんから……」


幼女魔王T 「ふっ……ふっ……」


母性巫女 「力を抜いて………そう」

母性巫女 「少しずつ、焦らず、ゆっくりゆっくり、押し出していきましょうね……」


幼女魔王T 「うぅうぅ……」


ギュ


母性巫女 (私の手を握ってきた)

母性巫女 (……平気だわ。吐き気も眩暈もしない)


幼女魔王T 「あぅ……あぅ……」


母性巫女 (顔、涙と鼻水でぐしゃぐしゃ……)

母性巫女 「大丈夫。大丈夫ですからね」

母性巫女 「さあ……」


ボロッ


母性巫女 「!?」


幼女魔王T 「ぁ……」


母性巫女 (私の手を握るNの手が、乾いた土みたいに崩れた……)


65 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 03:34:43.57 ID:cv7yiFHuo


母性巫女 「N……」


幼女魔王T 「……ぁ……ぁあ」


モギュギョギョ


幼女魔王T 「ふげぎゅっ!?」

幼女魔王T 「モギュゴッ……ろ゛ぇお゛お゛……」


ゴギュギュギュギュギュ


母性巫女 「!」

母性巫女 (上がってくる!?)


幼女魔王T 「おぇ゛っ……」



幼女魔王Tの 出産!
卵スライム(幼生)5〜9 が現れた!



母性巫女 「ひっ……」


ズボッ


母性巫女 「!?」

母性巫女 (また地面が崩れる!)

母性巫女 (Nを連れて逃げないと……)


ボロロロ


幼女魔王T 「ぉ……ぉ……」


母性巫女 「……なんてこと」

母性巫女 (Nが、崩れていく)


幼女魔王T 「…………」


ボロ ボロ


幼女魔王T 「…………」

幼女魔王Tの上半身 「…………」

幼女魔王Tの塵 「…………」


ボロロ ボロ

バララ ヒュウウウ


66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/26(金) 05:26:36.35 ID:Q9X4DiFIo
早速ひどい目に…
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/26(金) 20:15:13.12 ID:lJ9VQX9bo
ボドボドダァ!!!
68 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/26(金) 22:09:27.73 ID:cv7yiFHuo


バララ モク モク モク


母性巫女 「…………」

母性巫女 (Nが地面もろとも崩れ去った)

母性巫女 (あとには、底知れない大きな穴が空いているだけ)

母性巫女 (この場所に現実感は無いけれど、私の記憶と関係があるとも思えない)

母性巫女 (……崩れてしまったN。まさか本当のあの子じゃないわよね?)


ズズ……


母性巫女 「!」

母性巫女 「この音……」



ズル ズル ズル


鎌棺ミミック 「…………」


母性巫女 (棺……)


鎌棺ミミック 「…………」


母性巫女 (止まった。こっちの様子をうかがっているみたい)

母性巫女 (……穴を飛び越えてきたりするのかしら)


鎌棺ミミック 「…………」


ズル ズル ズル


母性巫女 「…………」

母性巫女 「引き返していく……」


ズル ズル ズル

ズ ズ


母性巫女 「……階段」

母性巫女 「のぼってみましょう」




69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 01:05:39.28 ID:7nYqkCU+0
これはあれか、俺の期待に応えてくれてありがとうっていうべきか幼女魔王AtoZってなんか強そうって言っておくべきか
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 01:48:24.56 ID:29UFDQZno
おつ!!!!!!!!
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 13:39:43.53 ID:ityvk2ZKO
幼女魔王AtoZ…
仮面ライダーAmazon的な
72 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 19:13:11.74 ID:k/+7tOQ9o


幼女魔王の塔 下層階段




ザ ザ ザ ザ


母性巫女 (……狭い。これじゃあ、すれ違うのも大変そう)

母性巫女 (どこにも明かりは無いようだけど、わりと先の方まで見通せる)

母性巫女 (ずっと赤黄まだらの冷たい土だらけだけれど)


ザ ザ ザ


母性巫女 (あんな風にNと触れ合ったのはいつ以来かしら)

母性巫女 (ずいぶん前のことに感じる……)



……シュルルル


母性巫女 「!」

母性巫女 (どこかで壁を這うような音)

母性巫女 「…………」


シイン


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……空耳かしら」



73 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 19:39:36.76 ID:k/+7tOQ9o


…………

ザ ザ ザ ザ



母性巫女 「…………」

母性巫女 (あれから、あやしい音は聞こえてこないけれど)

母性巫女 (どこまで続くのかしら、このゆるやかな上り階段)


ザ ザ ザ゙……


母性巫女 (過去の私との交差……過去の私と会える?)

母性巫女 (じゃあ、ここのどこかに過去の私がいるということ? Nは幼女魔王の塔とか言っていたけれど……)

母性巫女 (ここにいたのは変な棺とN、あとは不思議な仮面も落ちていたっけ)

母性巫女 (もしかして、下を探していたら色々見つかったのかもしれない)

母性巫女 (戻ってみるべきかしら……)

母性巫女 (あと少し歩いて何も見えてこなかったら、そうしてみましょうか)

母性巫女 (棺も、話の分かる棺かもしれないし)



ザ ザ ザ ザ

ザ ザ ザ



「…………おーい」


74 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 20:16:29.45 ID:k/+7tOQ9o


母性巫女 「え?」


クルリ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (今、うしろから男の人の声、したわよね?)


ゆるやかな下り階段が 深い闇の中へ続いている……


母性巫女 「…………」

母性巫女 (かなり遠くからだったみたいだけど)

母性巫女 (途中に部屋のようなものはなかったし……)

母性巫女 (動く棺のいた牢獄みたいな場所から、誰かが上ってきている?)



「……おーい」



母性巫女 「…………」

母性巫女 (また……。空耳じゃないのね)

母性巫女 (……さっきより、近づいているみたい)



「……………おーい」



母性巫女 (遠ざかった……)


75 :I分岐点くらい [saga sage]:2017/05/28(日) 20:23:32.40 ID:k/+7tOQ9o


「………………おーい」



母性巫女 (どうしようかしら)




>>76

男の人の呼び声に……

1.こたえる
2.こたえない



76 :I分岐点くらい [saga sage]:2017/05/28(日) 20:23:59.07 ID:k/+7tOQ9o


2


77 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 20:49:37.25 ID:k/+7tOQ9o


「………おーい」



母性巫女 「…………」

母性巫女 (行ったり来たり、何かを探しているのかしら)

母性巫女 (答えてみましょう……)


キイン


母性巫女 (…………)

母性巫女 (そういえば、故郷の森で子守役をしていたとき……)


ポワ ポワ ポワ




過去

精霊の森 精霊騎士団本部 



母性巫女(14) 『ひとりで部屋にいるときや、外に出ているとき』

母性巫女(14) 『知らない人……とくに、知らない男の人から声をかけられても』

母性巫女(14) 『すぐに返事をしたり、無闇に近づいたりしてはいけませんよ』


見習い幼女A 『どうしてでちゅか、ぼせーみこちぇんぱい』


母性巫女(14) 『悪い人だったら、悪いことをされてしまいます』

母性巫女(14) 『この森でも、あなたたちみたいにまだ小さくて可愛い女の子をさらおうとする人さらいが、何人か捕まっています』

母性巫女(14) 『とくに最近は魔王再臨の予言のせいか、外の国では悪い人たちも増えてきているそうですし……』


見習い幼女B 『母性巫女せんぱい、このまえ知らない男の人と話してたじゃん』


母性巫女(14) 『え?』


見習い幼女B 『オレ、見たもん。でっかいカゴを背負ったおっちゃんと、話してたの』


母性巫女(14) 『あ、あれは……』


78 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 21:09:37.38 ID:k/+7tOQ9o


見習い幼女C 『本当なの? 母性巫女せんぱい』


見習い幼女D 『私たちに言っていることと違うー』


母性巫女(14) 『あれは、旅の商人さんです。おいしい果物を安く売ってくれるというので、売ってもらったんです』

母性巫女(14) 『それに私はもう大人です。一人前の、精霊騎士団の戦士なんですよ』


見習い幼女G 『じゃあセンパイは、精霊酒を飲めるのかー?』


母性巫女(14) 『それは、まだ……お酒はまだ飲んじゃいけない歳だから……』


見習い幼女H 『じゃあせんぱいも子供じゃん。精霊酒は大人だけが飲めるんだぞ』

見習い幼女H 『母性巫女せんぱい嘘つきだあ。しかも知らない人と話すのは悪いって言ってるくせに話したから』

見習い幼女H 『嘘つきの極悪人じゃん!』


見習い幼女B 『うえーい、あくにーん』


見習い幼女C 『地獄に落ちろー』


見習い幼女たち 『嘘つきー』


ワア ワア



母性巫女(14) 『うう……』



見習い幼女E 『やめなさいよ、あんたたち!』



79 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 21:16:38.44 ID:k/+7tOQ9o


見習い幼女E 『母性巫女せんぱいはりっぱな大人よ!』


見習い幼女H 『なんだよー、分かるのかよー』


見習い幼女E 『分かるわよ』

見習い幼女E 『母性巫女せんぱい、ママよりおっぱい大きいもん!』


母性巫女 『え?』


見習い幼女B 『それが何だってんだよー。関係あんのかよコノヤロー』


見習い幼女E 『フフン……知ってる? 赤ちゃんはおっぱいで育てるのよ』


見習い幼女B 『えっ!?』


見習い幼女E 『大人の人は、おっぱいからミルクがでるの』


見習い幼女たち 『!?』


ザワ


見習い幼女E 『だから、いっぱいミルクの溜められるおっぱいを持っている母性巫女せんぱいは』

見習い幼女E 『すごく大人なのよ!』


見習い幼女たち 『……お、おおー』


母性巫女(14) 『あ、あの……』



見習い幼女N 『それは違うよ!』


80 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 21:28:45.51 ID:k/+7tOQ9o


見習い幼女E 『違わないわ!』


見習い幼女N 『じゃあ、謎の精霊戦士せんぱいはどうなのさ!』

見習い幼女N 『精霊酒も飲めて、何年も前から騎士団一の立派な戦士だけど』

見習い幼女N 『ボクたちと変わらない、摩擦ゼロの垂直おっぱいじゃないか!』


見習い幼女E 『!!』


見習い幼女H 『……そ』

見習い幼女H 『そーだそーだー! うちの母ちゃんもおっぱい小ちゃいぞー!』


ワア ワア


見習い幼女E 『う、うぅ……』

見習い幼女E 『うるさーい! せんぱいは立派な大人よ』

見習い幼女E 『私がそう言うんだから、そうなの!』


見習い幼女B 『うっせー、じこちゅーブスー!』


見習い幼女H 『精霊さまに呪われろー!』


見習い幼女E 『なんですってえ!』


ギャアギャア

81 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 21:54:43.80 ID:k/+7tOQ9o



ギャアギャア


母性巫女(14) 『あ、あの、みんな落ち着いて……』



見習い幼女H 『だいたいお前気持ちわるいんだよ、良い子ぶりやがってよー』


見習い幼女E 『あなたなんて、短足でデブの乱暴者のくせに!』


見習い幼女H 『はぁー!? 何言ってんのかわかんないんですけどー!?』


見習い幼女E 『おまけに顔中ぶつぶつのブス! ぶよぶよの背中はしみだらけで汚いし、私が男だったらあなたみたいなゴミ、吐き気がして話したくもない!』


母性巫女(14) 『人にそういう言葉つかっちゃだめですよぉ……』


見習い幼女E 『せんぱいが可愛いから、うらやましくていじわるしてるだけでしょ!』

見習い幼女E 『みんな、あんたのこと嫌いなのよ! すぐに暴力ふるう馬鹿だから、面倒くさいから言わないだけで!』

見習い幼女E 『あんたがいないところで、みんなあんたの悪口言ってるんだから! この嫌われ者の汚いゲロ豚!』


見習い幼女B 『それがどうしたってんだよー! 今は、みんながそいつをゲロ豚って呼んでんのは関係ないだろー!』


見習い幼女H 『!? ………ぎぃ』

見習い幼女H 『ぶきぃいいいいいあぎゃあばばばぼぁがあ゛〜〜〜〜!!』


ワアワア


母性巫女(14) 『うぅ……』

母性巫女(14) 『……や』

母性巫女(14) 『やめなさーい……!』


母性巫女の こうげき(弱)!
時空が歪む……!
見習い幼女たちのHP が 1 になった! 


82 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 22:19:32.31 ID:k/+7tOQ9o



母性巫女(14) (かつてない手ごたえ。今の攻撃を磨いていけば、すごい技になるかもしれない)

母性巫女(14) 『コホン……とにかく、私は大人です。お酒を飲めない大人だっているんです』


見習い幼女たち 『はい、せんぱい』


母性巫女(14) 『そして、この前私とお話ししていたのは、悪くない旅の商人さんです』

母性巫女(14) 『それどころか、お金があまりなかった私に、おっぱいを揉ませたら珍しいおいしい果物を半額にしてくれると言ってくれた、善い商人さんなんです』


見習い幼女たち 『はい、せんぱい』


見習い幼女E 『……ん?』


母性巫女(14) 『だけど私も先輩として、みんなから勘違いされないように、これから気をつけます』

母性巫女(14) 『なので、みんなも知らない人、とくに知らない男の人と無闇にお話をしてはいけませんよ』


見習い幼女たち 『はい、せんぱい』



ポワ ポワ ポワ ポワ



母性巫女 (……いま思えば、善い商人じゃなかったのかもしれない)

母性巫女 (女の人は無闇に体を触らせないものだと知ったのは、魔王討伐隊に参加したときだったっけ)

母性巫女 (とにかく、あの男の人の声にこたえるのはやめましょう)

母性巫女 (……それにしても、懐かしいことを思い出しちゃったなあ)

母性巫女 (あ、もしかして、過去の私と交差するっていうのはこういうことなのかしら?)

母性巫女 (もう少し、波さんに詳しく尋ねておくべきだったかな……)



「……………………おーい」


母性巫女 「はーい?」

母性巫女 「……あ」




83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 22:24:02.03 ID:bRRAmRYZo
結局答えるんかい
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 22:41:50.24 ID:VSogsNtlo
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 22:42:35.75 ID:VSogsNtlo
いいえ選んでもループするけど小話聞ける的なあれか
86 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 22:53:51.97 ID:k/+7tOQ9o


母性巫女 「しまった……」


……ドシン


母性巫女 (下の方から、何かが落ちる音がした……)



「………………おおーい!」


ドス ドス

ドス ドス ドス ドス


母性巫女 (上ってくる)


ドス ドス ドス ドス

ドスドスドスドス


「……………おおーい」


母性巫女 (速い。どうしよう、待ってみま……)

母性巫女 「ぅぷ……!?」


ガクン


母性巫女 (何これ……)

母性巫女 (ねばっこくて、怖い……お腹のそこが重たい……)

母性巫女 (声がこっちに向けられた途端……声で攻撃されてるみたい……)


87 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 22:56:16.11 ID:k/+7tOQ9o


「…………おおーい」

「………おおーいぃ……ひひひひ」


ドスドスドスドス

ドドドドドドドド


「…フヒッ、ハヒッ」

「……おおーい……クヒッ」


ハッ ハッ ハッ ハッ

フガ フガ フガ フガ



母性巫女 (粗い息遣い、足音、声……全部が怖い)

母性巫女 (駄目……逃げ……立てない。くらくらする、視界が揺れて……逃げなきゃ)


『キャハハハハハ……』


母性巫女 「!?」


ゾクン ヘタリ


母性巫女 (ああ、今度は、よく知ってる声……)


ドドドドド


「…おおーい」


母性巫女 (そうだ、この感じ……)

母性巫女 (絶対にこたえちゃ駄目だったのね……)



ドドドドドド


「おおーい」




88 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 23:14:36.25 ID:k/+7tOQ9o


スタ

??? が現れた!



??? 「まま……!」


母性巫女 「?」

母性巫女 (子供の声……)


??? 「ま……」

幼女魔王? 「間に合った!」


母性巫女 「……N」


幼女魔王? 「ち、違う、わたし……」



???2 「おしゃべりの暇は無いわよ、A!」


スタ

???2 が現れた!



???2 「美触手……」

幼女魔王?2 「キャアァァムヒア!」


母性巫女 「Nが二人……」



シュルルルル


美触手 「……クュルルルルッ」


母性巫女 「! これは……」


幼女魔王?2 「行け、美触手!」

幼女魔王?2 「あいつを追い返して!」


美触手 「クュルルォォーー!」


シュルルルル


母性巫女 (綺麗な生き物が、声が近づいてくる闇へ猛然と突っ込んでいった……)


89 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/28(日) 23:45:09.65 ID:k/+7tOQ9o


シュルルルル


美触手の声 「クュルルルル……!」


「おおー……ブギィイイイイ!」


…………シイン




母性巫女 「…………」

母性巫女 (……闇の中で悲鳴が上がって、それきり静かになった)


幼女魔王? 「……だ」

幼女魔王A 「だいじょうぶ?」


母性巫女 「え? ええ」

母性巫女 「ありがとうございます」


ニコ


幼女魔王A 「……あ。うん……」


モジ モジ

ポッ


母性巫女 (なんだかこの子、いつものNよりさらに幼いような……)


幼女魔王?2 「……ったく。Tの様子を見に行った美触手が、変なのがいるって言うんで来てみたら」

幼女魔王?2 「なかなか、グッドタイミングだったみたいね」


母性巫女 (こっちのNは、少し頼もしい感じがする)

母性巫女 (……どうして帽子を被っているのかしら)


幼女魔王?2 「初めての子……よね? 今までとずいぶん違うのね」

幼女魔王M 「私は幼女魔王M。Mの字を持つ、モンスター使いの幼女魔王よ」

幼女魔王M 「そしてこっちは、幼女魔王A」

幼女魔王M 「Aの字を持つ、見ての通りの甘えん坊ね」


幼女魔王A 「あ……う……」


モジ モジ



90 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/29(月) 00:02:18.47 ID:xZfW1jcLo



幼女魔王A 「けが……無い?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「助けてくれて、ありがとうございます」


幼女魔王A 「わ、わたしなんて、何も……ないよ……」

幼女魔王A 「えへ、へ……」


モジ モジ


幼女魔王M 「へえ、Aがこんなに早く笑顔を見せるなんて珍しいね」

幼女魔王M 「あなた……は、きっと私なんでしょうけど、どの字を持っているの?」


母性巫女 「ええと……」


幼女魔王M 「……まさか、奴らの側じゃないでしょうね」


母性巫女 「奴ら?」


幼女魔王A 「棺の死神とか、今の、大きな悪魔とか、嫌われ者の毛玉とか……」


幼女魔王M 「…………」


母性巫女 「ち、違いますよ」

母性巫女 「……そうだ、K! K、かなあ……」


幼女魔王A 「K!?」


91 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/29(月) 00:25:17.82 ID:xZfW1jcLo


母性巫女 「あ、えっと……」


幼女魔王M 「いえ、ごめんなさい大声を出して。ちょっと驚いたものだから」

幼女魔王M 「K……Kね……」


母性巫女 「?」


幼女魔王M 「それで、何の幼女魔王でKなの?」


母性巫女 「え?」


幼女魔王M 「私はモンスターを使う幼女魔王でM」

幼女魔王M 「その子は甘えん坊の幼女魔王でA」

幼女魔王M 「あなたにもあるはずよ、私たちに無い字の由来が」


母性巫女 「ええーっと」

母性巫女 「きゅ、九官ちょ……」


幼女魔王A 「黒髪……」


母性巫女 「え……」


幼女魔王M 「なるほど」

幼女魔王M 「黒髪ね」

幼女魔王M 「たしかに私たちとの目だった違いはそこくらいのものよね」


ツル ペタン


母性巫女 「……はい」


プルン バイン



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