【咲-saki-】咲「麻雀学園?」【安価】

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282 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 01:24:45.25 ID:u1QQqzIqO

選挙のあと、室長が任命され、室員の入れ替えも行われる。

原村さんは私の顔も見たくないのか、片岡さんの部屋に移された。

片岡さんの部屋は劣悪な大部屋で8人部屋だ。私はそこの平の室員。

当初、かなりエグいいじめも覚悟していたけど、私の目を見ると、誰もが目をそらした。

「ゾクッ」とするらしい。

私の仕事。それは、今までの二条さんの仕事の引き継ぎだ。

寮の一番下っ端の仕事はトイレ掃除だ。

283 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 01:26:23.77 ID:u1QQqzIqO


掃除に向かうと、個室から新子さんが出てきて目があった。

憧「いつもごくろうさん。明日も使うからキレイにしておいてね♪やっぱりウォシュレット付きはいいわよね〜」

新子さんは上機嫌だ。副寮長として、現在実質、この寮を取り仕切っているのは彼女だった。

原村さんは選挙のあと、ほとんど公の場に顔を出さなくなったらしい。

彼女にとっても、この戦いは勝利ではなかった……そういう見方は穿ちすぎだろうか?

そして大星さんは

咲「淡ちゃん」

共有便所の奥の個室で、裸で首に鎖で壁に繋がれている。

和式便器の隣に、裸で床に座っていた。

淡「はぁ……はぁ……」カタカタ

咲「待っててね、今、体洗うから」

咲「シャンプーと石鹸、私の支給品で、こっそり余ったの持ってきたの」

淡「体と髪は後でいいから、口、先にお願い」

咲「うん」
284 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 01:27:13.01 ID:u1QQqzIqO

水道からホースを繋いで、綺麗な水で大星さんの口を濯いだ。大星さんが満足するまで、何度もうがいをさせる。

それから髪と体に水をかけて、気持ちばかりのシャンプーと石鹸で髪と体を念入りに洗った後、また水で流す。

これじゃ、せっかくのキューティクルは台無しだけど、仕方ない。トイレにシャワーはないんだから。

その後、濡れ鼠の大星さんを、雑巾で拭いて乾かす。

その間、他のトイレ掃除の仕事をする。

週3回の水洗いの日はついでに床掃除も。

285 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 01:36:18.98 ID:u1QQqzIqO

理事会の査問に大星さんはかけられず、寮内で処遇が決められることになった。

寮生の自主性を尊重する真瀬さんの意向(自分の寮から懲罰者が出ると教育責任者は責任を問われる)と、長年の大星淡への恨みつらみを自らの手で晴らしたい人たちの強い希望により、そうなった。

大星さんの人権は剥奪され、罪を贖うために、極刑に処されている。

こんな事をされてしまうくらい、大星さんは多分今まで恨みを買ってきたんだ。因果報応と誰かが言った。

確かにそうだ。これまで大星さんが行ってきた、自由奔放な振る舞いは他人の自由を厳しく制限するものでもあったのだから。

負けたら払う。それまでのツケを。それだけの事。

咲「ほら、ご飯だよ淡ちゃん」

淡「んっ」

掃除を終えたあと、今日の給食を持ってくる。

淡「ごめん、食欲ない」

この1ヶ月ですっかりやせてしまった。

淡「トイレにカレーはセンスないよ、咲……うっ」

大星さんはえずいた。

咲「ご、ごめん!」

淡「はぁ、はぁ……」カチカチ

大星さんは震えて、歯を鳴らしていた。

そんな大星さんを私は、気がついたら抱きしめていた。

286 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 01:37:07.64 ID:u1QQqzIqO

こんな仕事、長く持つわけがない。この1ヶ月で衰弱しきって、かなり危険な状態なのが私にもわかる。

それにあまりにも悪趣味で、度が過ぎている。今では、大星さんを使用するのは新子さんや一部の大星さんに相当な恨みを抱いている寮生だけに限られていた。

それでも、全員1度は使用を義務付けられ、大星さんは全員のを舐めさせられた。

解放の条件は、寮生の全員の合意のみと寮内裁判で決められた。

決定に当たっては、これまで大星さんが関与した暴力沙汰、リンチ、わいせつ行為、収賄、恐喝などが過去の大星さんの部屋の同僚や仲間たちによって証言され、新子裁判長の元でこの刑が決まった。

原村さんは、裁判に欠席し、それを追認しただけ。

そしてある噂がある。大星さんをおとなしく便所の備品にさせているのは、新子さんと大星さんの間である取引がなされている、ということ。

それはつまり、私の安全保障だ。

最後まで大星さんに票を投じた私を、大星さんは身を挺して守っている。

今の新子さんがその気になれば、私にだって同じような罰を与えることだってできる。

でも、それをしないのは、大星淡の魂を踏みつけにして、従順にさせておくため。

咲「大星さん。もういいんですよ。もうっ……」

涙はとっくに枯れていたと思っていたけど、右眼の穴から血がたらっと垂れてきた。

淡「咲……もう、私、疲れたよ……そろそろ、いいかな……ごめん、私がいなくなったあと……咲が私の代わりに…」

咲「大丈夫ですよ、大星さん。言ったじゃないですか。最後まで一緒です」

淡「咲……」
287 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 01:39:10.85 ID:u1QQqzIqO

ガチャ。

咲「!」ビクッ

トイレの戸が開いた。

淡「……お迎え、きたのかな……」カタカタ

穏乃「よぉ」

咲「高鴨さん……」

淡「なんだ、シズか……どう?使ってみたくなった?私の生意気な口」

穏乃「宮永さんに用があってね」

咲「え?」

穏乃「トイレ掃除の仕事、これから私がするよ」

咲「で、でもっ!」

穏乃「時間かかってごめん。なんとか、取り付けてきたから」

そう言って高鴨さんは一枚の書類を出した。

咲「転寮届け……?じゃ、じゃあ!大星さんのこの仕事は終わり…!」

高鴨さんは悲しそうに首を振った。
288 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 01:40:30.55 ID:u1QQqzIqO

淡「そりゃそうだよ。私は負けたんだから。もう目はないって、言ったでしょ?3寮長合意はいくらシズでもひっくり返せないって」

穏乃「宮永さん。ここはあなたのいるべき場所じゃない。第2寮か第3寮。どちらかに好きな方に行くといい。赤阪先生の判付きの白紙委任だ。宮永さんの名前なら、各寮長は飲むしかない」

咲「でもっ、大星さんが…!」

穏乃「大星さんは私が看取るから。早めにしたほうがいい。憧に感づかれたら、転寮は妨害される」

淡「行ってきな……そして見せてよ!高い山の頂に咲き誇る宮永咲を」

咲「ううっ」

淡「咲。最後に。嬉しかったよ。最後まで、私のそばにいてくれて。そしてごめんね。」

289 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 01:43:38.33 ID:u1QQqzIqO

荷物もまとめず、私は第1舎の出口まで来た。

あとは託すしかない。高鴨さんに。今の私にできること。大星さんの側で一緒に倒れることじゃない。

大星さんの思いを受け継いで、目指すんだ!頂きを!それが、私の愛した人に報いる唯一の道。

この扉の先に新しい私の舞台がある。

咲「お世話になりました」ペッコリン

由子「転寮届け……本物の赤阪所長のサインなのー……どこで手に入れたのよー!」

咲「言えませんよ」

由子「これが出回るのは5年ぶりなのー。本物なら通すしかないのよー、でも私の教育方針のどこが不満だったのか教えてほしいのよー」

咲「あはは…」

由子「それじゃあ、第2舎、第3舎、好きな方に行くのー」

ふと振り返る。木造の、第1舎の建物。色々な思い出が頭をよぎる。

この寮では原村さんとの戦いだった。それももう終わり。

この時、私はそう思っていた。でも違うんだ。この物語は頂点を目指す少女達の物語。

頂きは1つしかないのだから、私たちは必ず何処かでまた出会うことになる。


和「行きましたか……咲さん。待ってますよ、私。いつまでも、いつまでも」

戦いは終わらない。生きている限り。

第1部 カン!
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 01:54:18.71 ID:+AsaNFMFo
おつ!
安易なコンテニューなし、リベンジのチャンスはあり、山場の見せ方も上手いよ
これからも期待してます!


なのでコンマ神さまもうちょっと便宜をですねあのその
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 02:00:30.64 ID:jtOvV6mQO
あわあわ買収済みの最高に胸糞エンドにならなくてよかった…
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 02:50:49.74 ID:kzQ30lEDO
数年後―そこには麻雀学園の頂点に君臨する隻眼の魔王の姿が…いたらいいなぁ(コンマ神チラッ)
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 02:58:25.57 ID:FbJ3xa1QO
コンマはクソだったが作者の話のもって行き方がうまかったな
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 03:22:24.76 ID:M5F45MjdO
おつおつー!転居先は二年がいいな
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 05:40:20.08 ID:dLx/Rrlwo
牌には愛されたけどコンマには愛されなかったよ……
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 06:22:18.37 ID:7DhRE93M0
次、コンマをとるときは私にお任せあれ!
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 09:16:23.64 ID:hLHr4lboo
咲ちゃん薄幸すぎて涙がでますよ……
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 11:00:15.01 ID:Q4a3GmZ1o
一部としちゃクソクソコンマもこれからののし上がりのいいスパイスになって完璧な仕上がり
あとは上がるだけよ(懇願)
299 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 00:28:26.99 ID:lmpz0Yobo

咲「これは……」ゴゴゴゴゴ

今まで漠然としか見えなかったオーラの流れが見える。

末原「それが雀力や。雀力5になれば、相手のオーラの流れも見え、自分のオーラのコントロールも可能になる……ほな、行くで、咲」

末原さんのオーラが指先に集まって行くのがわかる。

末原「ロンッ!3900!」ドンッ

咲「うっ」

オーラが指先から弾丸のように私の体めがけて放たれた。

末原「これが雀力や、咲。今までのあんたやったら、これを食らったら一撃で気を失っていた。満貫クラスの直撃やったら、骨は折れ肉が爆ぜる」

末原さんの放銃を、私はしっかり自分のオーラで受け止めていた。

咲「これが、雀力……」

末原「全く、驚きやな。たった半年でものにするなんて。できない生徒やと、5年かかってもまだ雀力3あたりでくすぶっとるのに」
300 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 00:29:49.46 ID:lmpz0Yobo

末原「ほな、咲。今度は私を目がけてオーラを打つんや!手加減抜きや!今のあんたの全力で来いや!」

失ったものが大きいほど、雀運はついてまわる。

あの時、私は負けた。誇りも、希望も、全て失って、逃げ出した。

屈辱の日々を思い出せ。全てはここから這い上がるために。

咲「いいんですね、末原さん。全力で打って」ボッ ボッ ボッ

末原(なんちゅう練り込まれたオーラッ!たった雀力5の小娘が、ここまでッ……!)

思い出せ。負けて土下座した。負けて小便を垂らした。負けて慰み者にされた。負けて右目を失った。負けて、大切な人を失った。

末原「おっ……おおっ……」カタカタ

咲「……」

やっと手に入れた。勝つための力。もう私は負けない。

見てて、大星さん。待ってて、おねーちゃん。今こそ、飛翔の時!


ゴッ!
301 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 00:31:31.41 ID:lmpz0Yobo

末原「ひっ……生きてる……?」

咲「嫌だなぁ、末原さん。恩人は打てませんよ。ありがとうございます。着の身着のままでここに逃げてきた私を拾ってくれて」

末原(コンクリートの壁にこんな大きな穴を……相当なポテンシャル……ウチの目に狂いはなかった……が)カタカタ

咲「レッスンはこれで終わりですよね?」

末原「あ、ああ……ウチが教えられるのはここまでや。戦うための武器は渡した。あとはあんた次第」

咲「それじゃあお世話になりました」ペッコリン

末原(教育係として、雀力は授けたが……ひょっとして私はとんでもない化物を……)カタカタ


敗北を糧に、末原恭子の元で修行を積み、雀力と自信を取り戻した!
★ステータス★
雀力 5/10 精神力 5/10 体力 5/5
302 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 00:34:08.19 ID:lmpz0Yobo

亦野「ヨォ。どうやらその様子だと、雀力を得たみたいだな」クチャクチャ

末原さんの道場を出て、部屋に戻る途中、この寮の先輩に声をかけられた。

咲(見えるっ!この人の体に纏った、雀力のオーラの流れ……)

亦野「これでお前も晴れて麻雀学園のステージに登れるって訳だ。でもその前に、先輩として礼儀を教えておかなきゃらなないか」ゴゴゴッ

咲「はっ」ビクッ

咲(釣り竿のビジョンが……あの釣り竿は危険だよ……私の直感が言っている)

亦野さんと距離を取る。これも雀力がなければわからなかった事だ。今まで私がこの学園で負け続けていたのは当然だ。
この力を知らずに、強者と戦うなんて、竹槍で現代の戦争に出かけるような行為。

尭深「やめなよセーコちゃん……今日は用があって来たのに」ズズズ

咲(いつの間に後ろにッ!)

亦野「フッ……安心しな、宮永。私たちにはひよっこをいじめる趣味はない」スッ

咲「用ってなんですか?」

亦野「長が会いたがっている。私たちは歓迎するよ。雀力を身に着けた人間は、ね」
303 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 00:37:00.45 ID:lmpz0Yobo

どこの世界もそうだ。生きるためにはどこかに属さなければならない。

第2舎は、比較的安定した秩序を保った寮だった。しっかり毎日給食は出るし、畑仕事や工場での労働などの雑事もない。それぞれが麻雀の研鑽に励み、各々の修行を積んでいる。

基本的に雀力5になるまでは、教育責任者の末原塾で修行することになるが、私は瞬く間に雀力を身に着け、卒業した。

この世界で雀力を得たら一人前。第2舎には大きな派閥は1つしかない。現寮長の荒川憩が率いる主流派グループ。ここが寮対抗戦や寮の運営などをすべて取り仕切っている。

あとは地下の雀荘を取り仕切る龍門渕グループなどはあるが、お互いに対立している様子はない。

表は荒川、裏は龍門渕。それで秩序を保っている。

雀力5になれば、当然こういう勧誘はある。選択は2つだ。主流派に属するか、一匹狼になるか。

尭深「私達と一緒に、麻雀の高みを目指すなら、付いてきて」

咲「……」ゴクッ

何かに属するのは嫌な思い出しかない。雀力も身についたし、あとは一人でもやっていけそうな気がする。

でも、群れの中にいなければ、人は生きて行けないのかもしれない。

↓1 どうしますか?
@二人に付いていく (荒川ルート)
A拒否する (龍門渕ルート)
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:37:46.66 ID:mSK2IsCQo
2
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:42:26.14 ID:J2vgC1OuO
恩ある人にしか靡かない咲さん任侠の世界に生きてんな…
306 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 00:44:38.78 ID:lmpz0Yobo
咲「ごめんなさい、私間に合ってますんで」

亦野「あ?せっかくの誘いを断るってのか?」

咲「あんまりいい思い出ないんですよ、そういうのに属するのって」

亦野「……痛い目見せないとわからないのか」

尭深「誠子ちゃん!」

亦野「うっ」

ぬるい。舐めきった上級生の喉元に、オーラを突きつけた。

咲「この場で……やりますか?」

亦野「チッ……いい気になりやがって……雀力を身に着けたばかりのひよっこが…!」

尭深「ごめんなさい。私達、無理強いする気はないんです。それが宮永さんの選択なら。これから私たちは別々の道を歩む。それだけのこと」

咲「ふーっ……話がわかって助かります」

尭深「でも勘違いしないでね……麻雀は奥が深い。一人で勝ち抜けるほど、ここは甘くないよ」

そう言って二人は目の前から消えてしまった。

これでいい。私はもう属さない。
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:54:15.48 ID:MIcPESVAo
ヒソカみたいなこと言ってるな
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:57:37.13 ID:UJmfj6Jlo
トリーズナーっすなあ
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 01:03:35.44 ID:T7oKwcQDO
闘牌って書いて異能力バトルって読むのかぁ(混乱中)
310 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 01:13:14.26 ID:lmpz0Yobo

ぱちぱち。ぱちぱち。

物陰から拍手が聞こえた。

一「お久しぶり、咲ちゃん。あの頃とは見違えるようなオーラだね」

咲「一ちゃん……最初からいたんだ」

国広一さんと私はただならぬ縁がある。彼女のボスが運営する雀荘で、私は一度麻雀を打った。

そして、負けた。その代償は右目。今はぽっかり空いた右目の穴には安物の義眼を入れている。

一「改めて、ようこそ第2舎へ。それにしても良かったの?荒川さんの誘い断って」

咲「うん……私、もうこれからは一人で生きて行こうと思って」

一「色々あったんだねー」

私がこっちに来てから、程なくして風のうわさであの人は卒園したと聞いた。

一「でも、咲ちゃん。一人だと色々大変でしょ。まず寮対抗試合に出れないから経験値も積めないしさー」

咲「そこら辺は末原さんに相談していたんですけど、雀力5あればアレに出れるって聞いたから」

一「あれ?ああ、タイトル戦ね。エントリーするんだ」

咲「はい」

雀力を身に着け、各寮の教育責任者の印可を得たものが登録し、戦うタイトルマッチ。厳しい戦いが予想されるけど、そこで勝ち続ける者がこの麻雀学園の頂点に立てる。
311 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 01:15:09.91 ID:lmpz0Yobo

一「次のタイトル戦は確か、雀聖戦だよね?頑張りなよ、咲ちゃん」

咲「ありがとう、一ちゃん」

一「そうそう、透華から、これ預かっているんだよね、渡すよ」

そう言って一さんは懐から封筒を出した。

咲「うわわっ……これっ」

封筒の中には100万円が入っていた。

咲「う、受け取れません!確か、100万円は指2本!」

一「嫌だなぁ、ただのご祝儀だよ。純粋な透華の好意さ!一人前の雀士になったら、色々お金もかかるからね、受け取っておきなよ」

咲「ほんと、タダですか?」

一「タダだよ、タダ!タイトル戦出るのもお金かかるでしょ?」

咲「ううっ……それじゃあお言葉に甘えて」

一「お金足りなくなったらウチの雀荘に遊びにきなよ。咲ちゃんは大歓迎さ……」

国広さんから100万円を受け取った!
★ステータス★
雀力 5/10 精神力 5/10 体力 5/5
所持金 100万円
312 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 01:26:33.38 ID:lmpz0Yobo

私達麻雀学園の生徒は全員参加資格のある寮対抗試合のほか、タイトル戦や順位戦での戦績でランキング付される。

上位ランカーとなると、学園側から棒給も与えられ、様々な特権も付与される。

特に麻雀学園の主要な3タイトル。雀聖、雀鬼、名人の位は尊敬され、年に一度、それらのタイトルホルダーと前年度の雀王の4名での雀王戦こそが、この学園の頂点を決める戦いだ。

末原「ほーん、で、咲はエントリー希望するんやな?」

咲「はい」

末原「雀聖戦は純粋な雀力勝負で、そこまで危険もないし、まあ登竜門にはちょうどええやろ」

末原「ほな、参加費10万円やで」

咲(お金もらっておいてよかったよー!)

末原「予選は4試合。ラス取らないようにしっかり立ち回るんやで。予選の上位3名と、前年度タイトルホルダーで決勝戦やからな。入賞したら賞金も出るで〜」

咲「はいっ!」

私は末原さんに10万円払って、タイトル戦にエントリーした。

ようやく、舞台に立てる。私は、喜びに打ち震えていた。

★ステータス★
雀力 5/10 精神力 5/10 体力 5/5
所持金 90万円
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 01:33:49.56 ID:M7Vti4W50
荒川派閥だと寮対抗戦に出られる代わりにまずは金策からだったのか
314 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 01:37:25.79 ID:lmpz0Yobo

ルールはシンプル。収支が上位の3人が予選突破。

1試合6半荘、同じメンツで1晩麻雀をする。予選は4試合で、1週間に1試合。最大合計24半荘の長丁場だ。

ただし、特別ルールがあって、1試合の最低収支の者はその時点で予選敗退。

厳しいルールだ。

咲「よろしくお願いします」ペッコリン

ゆみ「よろしく」

胡桃「よろしくお願いします」

亦野「よろしく……まさかいきなりお前と当たるとはなぁ」

咲(ううっ……みんないいオーラ発してるよぉ)

亦野「見せてやるよ、麻雀の奥深さを!」

咲(でも負けられないよっ……!信じるんだ、今までの私の歩んできた道を…!)

↓ 雀聖戦 予選D卓
コンマ 50以上で3位以上
コンマ 50未満で4位 予選敗退
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 01:38:22.54 ID:XvUbsI7EO
お任せあれ!
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 01:49:59.46 ID:3fyDicV8o
おお、勝ったぞ!
パッシブ:隻眼の魔王
パッシブ:星の遺志
位発動してそう
317 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/22(月) 01:50:45.50 ID:lmpz0Yobo

亦野「ポン!ポン!チー!」

亦野「3副露からの……ツモッ!ホンイツのみ!」

亦野(これが私の麻雀!鳴きからの速攻!)

咲「ぬるいっ!ポンポン鳴いて火力低いっ……!カンッ!」カシャ

亦野「なにッ!?」

咲「そしてリーチッ!」

胡桃(暗槓でドラを増やしてリーチ?なかなか荒い麻雀するねぇ)

ゆみ「……」

咲「そしてカン!リーチツモ三暗刻嶺上開花!これが私の麻雀だ!」

亦野「ぐっ……なかなかやるな……カンの嵐で海が時化ってやがる…!」

激闘6半荘……私はなんとか総合収支で3位を確保した。

亦野「あんた、強いんだな」

咲「先輩こそ」

亦野「よせや、結局イキっても4位で3年連続1回戦脱落……やっぱり壁は厚いなぁ」

亦野「応援してるよ、宮永さん。頑張りなよ」ギュッ

咲「はいっ!」

予選1回戦を突破した!

To be continued…
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 01:53:11.25 ID:3fyDicV8o
おつ
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 02:18:11.51 ID:T7oKwcQDO

淡…卒園てことは生きてはいるのかな
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 03:48:26.94 ID:Sh2krmcmo
勝てる……勝てるんだ!
321 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/23(火) 00:17:15.35 ID:JXYH/WFso

一「いやー、おめでとう。1回戦突破おめでとう、咲ちゃん!」

試合場を出ると、一ちゃんが出迎えてくれた。

咲「ありがとうございます」

一「でも惜しかったねー、あそこで加治木さんの槍槓がなければ1位もあり得たよ」

惜しかった。あと一息でトップも狙えたのに。でも、昔みたいに戦えない訳じゃない。今はビジョンが見えている。

一「次の試合は1週間後だね。それまで何するの?」

咲「とりあえず修行かなぁ」

一「えぇ!?修行?そんなんじゃだめだよ、咲ちゃん」

咲「へ?」

一「たまには息抜きしないと。修行なんてしてもめったに雀力上がらないよ?」

咲「どういうことかな?」

一「雀士たるものよく遊びよく発さないと!初心者の咲ちゃんにボクが色々遊びを教えて上げるよ!」

咲「遊び……?」

一「とってもいいお店知ってるんだ。今日は祝勝会さ!パーッといこうよ、パーッと……」

勝ったあとは気分がいい。3位を勝ったと言うのもなんだけど……なんだか今日は一ちゃんに付いて言ってもいい気分だった。

322 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/23(火) 00:20:24.55 ID:JXYH/WFso

咲「ここって」

一「第3舎。来たことある?」

一ちゃんは私を第3舎につれてきた。通行券があって、一さんと一緒ならフリーパスだ。

第3舎の寮のハズレに、そのお店はあった。

一「女将さ〜ん、2人いい?」

宥「あ、一ちゃ〜ん、ようこそ〜」

【松実館】とネオンの怪しげな看板が出た店に入ると、受付の小さなカウンターに女将さんがちょこんと顔を出していた。

足元でストーブを炊いて、暖かい格好をしている。まだ季節は夏なのに……

咲「一ちゃん、一ちゃん、ここなんのお店?」

一「大人のお風呂屋さんだよ。咲ちゃんせっかく初戦突破したんだし、今日はボクの奢りさ!」

咲「ええっ!?大人の……お風呂……」

一「女将さん、この子、初めてだから。いい娘つけてあげてよ」

宥「ウチの娘みんないい娘だよ〜今は3人空いてるかなー指名料かかるけど、どうする〜?」

そう言って、女将さんは顔写真を見せた。ドレス姿で、みんな顔を手で隠している。
323 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/23(火) 00:21:31.50 ID:JXYH/WFso

咲「わ、私っ……聞いてないよ、一ちゃん!」

一「咲ちゃん、女は度胸さ。せっかく雀力手に入れたんだし、楽しみなよ」

咲「ううっ……」

宥「@いちごちゃん。お客さんついてるね〜〜この娘、うちのナンバーワンだよ〜」

宥「Aゆあんちゃん。この娘はサバサバ系だけど、テクニックすごいよ〜」

宥「Bはるちゃん。最近入った新人さんだね〜おもちはばちこりあるよ〜」

一「誰にする、咲ちゃん」

突然、こんなお店に連れてこられて心の準備はできていなかったけど……今の私なら、雀力をiPS棒に変えられる……気がする。

↓1 誰にしますか?
@いちご Aゆあん Bはる C断る(精神力-1)

324 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 00:24:59.43 ID:bdbIHHCA0
1
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 00:33:17.83 ID:h/0Qz5fDO
泡落ちしたのか春…
326 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/23(火) 01:09:48.39 ID:JXYH/WFso

咲「じゃあ……この娘で」

宥「お目が高いね〜〜いちごちゃんはウチのナンバーワンだよ〜〜」

宥「時間は60分コース、アリアリでいい?」

咲「アリアリ?」

宥「前戯あり・本番ありだよ〜ウチの標準コース〜一応女の子の嫌がる行為禁止ね〜」

一「それじゃあ、咲ちゃん、ボク終わるまで適当に外ぶらぶらしてるから。楽しんできなよ」

10分くらい、狭い待合室で待っていた。

宥「お客さん、準備できました〜どうぞこちらへ〜」

女将さんに声をかけられ、店の奥のカーテンを開けると、女の子が三つ指ついて待っていた。

いちご「ご指名ありがとうございます」

宥「それじゃあごゆっくり〜」

いちご「ほいじゃ、お部屋あっちじゃけぇ」

咲(わわっ……かわいい人だなぁ……ふわっとして、柔らかそう……)

私は店の奥に通された。

327 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/23(火) 01:13:40.42 ID:JXYH/WFso

部屋はそこそこ広くて、大きなバスタブにマット、奥にはベッドもあった。

いちご「お客さん初めてじゃろ〜ちゃちゃのんにおまかせでええかな〜」

咲「あっ……はい」

いちご「それじゃ……まず体洗おうかのぉ」ヌギヌギ

咲「ううっ」キョロキョロ

いちご「……お客さん、恥ずかしがらんで〜ほら、脱いだ脱いだ」ヌガセヌガセ

いちご「はぁ〜〜案外おっきいなぁ」

咲「あっ……私の……」

気がついたら、股の間に、おぞましい棒がついていた。無意識に発現させていたらしい。iPS棒。雀力の具現。力の象徴だ。

いちご「それじゃあ失礼して……んっ…んちゅっ…ちゅぷっちゅぷっ」

咲(いきなり口でなんて汚いよっ!)

いちご「ぷはっ……お客さん相当麻雀打てるじゃろ……久しぶりにしゃぶりごたえあるiPS棒じゃけぇ……」

いちご「んっ…れろっ、ちゅっ、ちゅぷっ、んちゅっ」

咲(うっ、なんか変な感じ……今まで、奉仕する側だったから……こうして見下ろしながら、舐めさせるのって)

いちご「ええ感じになってきたなぁ……そいじゃ、次はちゃちゃのんスペシャル……お体洗いますね」

328 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/23(火) 01:19:06.33 ID:JXYH/WFso

風呂場でシャワーを一緒に浴びたあと、マットの上に横にされた。

いちご「んっ……んっ……」ヌチュヌチュ

それから、いちごちゃんはヌルヌルのローションを自分の体に塗って、私の体に塗り込むようにこすりつけてきた。

いちご「ふぅ〜〜ふぅ〜〜〜んっ、痒いところありませんか?」

咲「大丈夫です…」

咲(うわわっ……なんだか変な気分だよ……)

いちご「……もう、こっちは準備万端じゃけぇ」ニギッ

咲「ひゃっ!」

いちご「それじゃあ失礼しますね……」

いちごちゃんは、すっかり硬くなった私のiPS棒を握り、私の上に跨った。そして、それを自分の股にあてがい……
329 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/23(火) 01:29:06.64 ID:JXYH/WFso

宥「お疲れ様でした〜〜お連れさん、お店の外で待ってますよ」

咲「……」ポケー

一「どうだった、咲ちゃん」

溶けるような時間。女の子の、中があんなに気持ちがいいなんて。知らなかったよ。

体の上で腰を振られて、程なくしてフィニッシュに導かれた。その後、体をまたシャワーで洗い流して、ベッドの上で2回戦。

今度は私がいちごちゃんの上に乗り、腰を振った。

一「ちゃちゃのん、数の子天井って評判だよ!ボクはシたことないけど、純くんは月1で指名してるって。元アイドルをバックから犯すのが最高なんだってさー」

咲「アイドル?」

一「知らないの?ちゃちゃのん、この学園に来る前は結構有名な麻雀アイドルだったんだよ。麻雀の修行ってことでこの学園に来てね……ま、どの世界にも上には上がいるってことでさ」

一「ボク達の雀荘で負けたら文字通り体で払ってもらう事になるんだけど、それ以外のところで借金したらだいたい宥さんのお店で働くことになるかなぁ」

一「標準コースは60分5万円。割りとリーズナブルだけど、指名料2万だから、そこそこ高級だと思うなー。でも、このお店、色々オプションあるからね。お金払えば何でもできちゃう。咲ちゃん、頑張って稼ぎなよ!次は自分のお金で、ね……」

夢見心地だった。あれが女の子の体……これは別次元の快楽だ。

弱かった頃は犯されるのが当たり前だった。体を使って、強い人に媚を売って、可愛がってもらう。

でも今は違う。私が犯す側だ。私が強者だ。私が支配する側なんだ!

いちごちゃんもあんなに可愛いのに、お金を稼ぐ為に体を売っている。昔は結構強かったんだろう。でも、もうその面影はない。

雀力は微塵も感じなかった。這い上がれないほどの枷を背負わされ、死ぬまで牌も握れず、金主のために体を売らされる……それが、彼女の結末だった……


女の子を抱いて精神力が1アップした!
★ステータス★
雀力 5/10 精神力 6/10 体力 5/5
所持金 90万円
330 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/23(火) 01:39:45.93 ID:JXYH/WFso

1回戦突破し、一さんの奢りで宥さんのお風呂で楽しんだ後……

私は悶々とした日々を過ごした。

気がつけば、iSP棒が勃っている。

手頃な相手で発散したいけれども、相手がいないので我慢の日々だ……

修行に集中なんてできやしない。

次の試合。また勝ち抜いたら、一さんに言って連れて行って貰おう。

そう心に決めて、布団の中で一日中いちごちゃんとの事を思い出しながら過ごしていた……

2回戦。

美穂子「よろしくお願いします」

船Q「よろしく」メガネクイッ

灼「よろしく……お互いベストを尽くしたいと思…」

咲(対面の片目のおねーちゃんは要注意……なかなかいいオーラ出してるね)

咲(眼鏡でいかにもデータ麻雀してきそうな上家も侮れないよ!)

咲(下家はグローブ!?www??ボーリングのオーラを纏っているけどこれはひょっとしてギャグかな?)

咲(負けられないっ…!全員ゴッ倒す!)

↓ 雀聖戦 予選2回戦
コンマ 50以上で3位以上
コンマ 50未満で4位 予選敗退
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 01:41:06.75 ID:i9kqGXq+O
332 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/23(火) 01:44:43.21 ID:JXYH/WFso
To be continued…
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 02:06:04.38 ID:h/0Qz5fDO

一体何があって春は泡堕ちしたんだ…
個人的な理由それとも第1舎の内部で何か変化があったのか?
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 02:19:05.43 ID:+RFFQ7gdo
乙 これは運が向いて来たな……
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 02:31:49.01 ID:bdbIHHCA0

この調子で賞金貰えるよう頑張ってほしいな
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/23(火) 08:06:32.15 ID:MMWztLHUo
コンマ運上がりすぎてて後が怖い
337 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 20:55:36.46 ID:rTTSRawXO

船Q(宮永咲……第1舎から第2舎へ転寮した異色のキャリアやな)

船Q(寮対抗戦は3回しか出場経験がなく、1勝2敗)

船Q(その後わずか半年で雀聖戦の予選に出場できるまで雀力を身に着け)

船Q(1回戦では辛くも3着をもぎ取った)

船Q(注目すべきはその脅威のカンの割合……そして、カンをした時の嶺上開花の率は50%を超えている)

咲「カン!嶺上開花だよ!」パタッ

船Q(しかし、カンをする割にカンドラが乗りませんなぁ。制約にしては軽すぎる気もするけど)

咲「今日も絶好調〜!カンのノリがいいよ〜!」

船Q(せっかくやし、今日はデータ取りに徹させてもらうで……)

咲「カンカンカンカンカンカン!気持ちいい〜〜!」

美穂子「……ツモ。6000・3000です」

咲(一着は対面のおねーさんか……昔ならボコボコにされていたんだろうけど、今はそうは行かないよ!)

予選2回戦の収支は2位でフィニッシュした!

……

船Q「要チェックやな……宮永咲。すでに福路美穂子と互角に打ち合うレベルか」

灼「偶然だと思……雀力は大きな開きがある」

船Q「見かけの雀力だけに囚われていたら足元掬われるで。強能力持ちは侮れん。それにまだ伸びしろもありそうや」

灼「ボスに報告する?」

船Q「ああ。すでに【データ】は手に入れた」

……
338 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 20:56:45.10 ID:rTTSRawXO

一「すごいね、咲ちゃん!2位だよ、2位!」

咲「えへへ〜」

一「このまま行けば本卓出場もあり得るよ!初出場で雀聖戦本卓につくのは、荒川憩以来の快挙じゃない!?」

咲「荒川さんって確か」

一「第2舎の寮長だよ。学園ランキング2位のトップランカー。そして現・雀聖位タイトル保持者!」

咲「強いの?」

一「スピード・パワー・テクニック、全てが1流の麻雀打ちさ。学園内でも数々の才能を発掘して雀力開花のサポートをしたり、上層部からの信頼も厚いよ」

咲「能力は何なんですか?」

一「咲ちゃんもう荒川とやる気満々だねー……荒川憩は表で打つときは能力使わないんじゃないかな……素で打って雀聖、それが荒川憩。衣の遊び相手だし、とーかも一目置いてるよ」

そう遠くない将来。このままいけば最短で2試合後。私はこの学園の頂点に最も近い女と卓を囲むことができる。こんなに早くチャンスが来るなんて。震えが止まらない。

一「そんなことより咲ちゃん。今夜はどうする?」

咲「ううぅ……行きたいです」モジモジ

勝利したあとから、昂りが収まらない。1週間お預けを食らった分、発散したくてたまらなかった。

339 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 21:01:42.37 ID:zELW2gJoo

宥「いらっしゃい〜〜あっ、今週も来てくれたんだ〜」

咲「勝った自分へのご褒美です……今日はいちごちゃん来てますか?」

宥「ちゃちゃのんお店出てるよ〜」

咲「うーん、他には?」

宥「今日はこの娘達がいるよ〜」

@いちご 10万円
Aゆあん 5万円
Bはる 5万円

咲「代わり映えしないね。あとお金取るんですか!?」

宥「当たり前だのクラッカーだよ〜指名するたびに値段上がってくシステムだから要注意〜もちろん指名するたびに好感度も上がるよ〜」

咲「ううぅ、聞いてないよぉ」

宥「じゃあ帰る?」

咲「もう、宥さん意地悪!」

↓1
誰を指名しますか? 所持金90万円

340 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 21:03:22.02 ID:NeieS+ero
はる
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 21:15:32.65 ID:tFjO+Ci20
ここで、はるるか...
さて、どうなるか
342 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 21:22:40.83 ID:rTTSRawXO

咲「このはるちゃんって娘、おもち大きいなぁ」

宥「でしょ〜?最近新しく入った娘なんだけど、私の一押しだよ〜」

咲「じゃ、この娘で」

宥「はーい、それじゃあ呼ばれるまで待っててねー」

……待合室……

咲(まだ緊張するなあ)ウズウズ

咲(暇だし、おいてある漫画でも読んでよっと)

咲(うわわっ、ウシジマくん(コンビニ版)置いてあるよ!なんか嫌な気分だな〜)ペラペラ

咲(これ読んでると闇金とか消費者金融からお金借りちゃだめだって再認識できるよ〜)ペラペラ

宥「それじゃあ少しお待ち下さい〜」

咲(わわっ、別のお客さん入ってきたよぉ!知らん振り知らん振り)ペラペラ

久「あら?咲じゃない。何やってんのこんなとこで」

咲「あっ……竹井さん……」
343 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 21:24:38.39 ID:rTTSRawXO

咲(待合室で知り合いに合うとか最高に気まずいよー!それに、前ボロボロに負けて、エグいお仕置きされちゃったし……)カタカタ

久「聞いてるわよー!雀聖戦、勝ってるんだって?」

咲「はい(小声)」

久「やっぱ光るもの持ってるのねー」

咲「竹井さんは雀聖戦の調子どうなんですか?」

久「私?面倒くさいからエントリーしてないわよ」

咲「面倒くさい?」

久「荒川憩に勝つのが。私、一応第3舎の寮長やってるから、荒川と打つなら絶対勝たなきゃならないのよねー、雀聖戦で荒川に勝つには仕込みも入れて半年は研究しないと。でも、そんな暇ない訳」

咲「竹井さんでも勝てないんだー……」

久「むっ」

咲「わわわっ、ごめんなさい!荒川さんと白黒付けるの怖くて逃げたなんて誰も思ってませんから!」

344 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 21:29:56.73 ID:po1lQrsQo
言うようになったなコイツww
345 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 21:35:31.84 ID:rTTSRawXO

久「そうそう、はる指名したのあなたなの?」

咲「ええ。おもち大きいですよねー」

久「分かってるわねぇ、そそるわよ、あの娘は。まだ開発し甲斐あるし。今日も私、春抱きたくて来たのに先に指名されたって聞いてがっくりきたわ。それがまさか咲とは!」

咲「私のあとでいいんですか?」

久「いやよぉ、仕方ないから揺杏で我慢したわ。揺杏にテクニック仕込んだの私だから。今度、遊びに来たとき指名しなさいよ!サービスするよう言っとくわ」

咲「竹井さん仕込みですかー……」

久「何よ、露骨にテンション下がってるじゃない」

咲「そんなことないですよ!」アワアワ

久「咲もここで働くことになったら色々教えてあげるわよー!私、ここの常連なの」

咲「縁起でもないこと言わないでくださいよ!もう今の私は、昔とは違うんですから」

久「ふーん」ニヤニヤ

宥「はるご指名のお客様、おまたせしました。どうぞこちらへ」

咲「じゃ、行ってきます」

久「いい夜過ごすのよ〜」
346 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 21:49:54.98 ID:rTTSRawXO

春「不束者ですが、よろしくお願いします」ペッコリ

咲「よろよろのよろ……ってあれ?」

カーテンの奥で三つ指をついて頭を下げている女の子に見覚えがあった。

春「あっ……」

咲「滝見さん…」

昔の話だ。私たちは一時期、同じ寮にいた。一緒に、あの人を支え、あの過酷な選挙を戦っていた。


春「……」

とりあえず一緒に部屋まで入ったけど。

咲「……」

気まずい。気まずすぎる。

選挙で負けが決まったとき、滝見さんは真っ先にあの人を見捨てて原村さんの陣営に乗り換えた。

その後何があったのかは私はよく知らないけど。こんなところで働いているとは相当苦労しているのだろう。

やはり負けた側に相応の報復はあったのだ。

春「……」

滝見さんは呆然と立ったまま、嬢としての仕事をすっかり忘れている。

私もどう接していいのかわからない。仮にも一度は同じチームメイトだったのに。方や雀聖戦2回戦突破の期待のルーキー、方やお水で体を切り売り。

世の中は残酷だ。

咲(そして後先考えず120分コースを指名してしまった私の気分たるや!)

咲「チェンジとかできない…かな?」

咲(今からでもちゃちゃんのんで!)

春「できない。どうしても、というなら黒服呼ぶ」

咲「……」

↓1 どうしますか?
@普通に奉仕させる
Aあのあと何があったか、はるるの話を120分間聞く
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 21:50:29.40 ID:yp07PhIUo
2
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 21:52:36.10 ID:h0T4frrxo
せっかく五万も払ったんだから挿入しながら喋って
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 22:04:03.98 ID:+U6roFQyO
120分フルにトークで使う意味…
350 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 22:14:21.47 ID:rTTSRawXO

春「とりあえず、体洗う?」

咲「ふー……なんだか今日はそういう気分じゃないな」

春「ごめんなさい」

咲「いいのいいの、たった5万だし!私、お金も結構余裕あるよ〜」

春「……」

咲「それより色々話聞かせてよ。私がいなくなったあとの第1舎の事」

〜〜〜

春「あの人には本当に悪いことをしてしまった」

滝見さんの話は懺悔から始まった。

春「色々お世話にもなっていたのに。でも、そうしなければ、次は私の番。そういう恐怖に屈してしまった」

春「まだ宮永さんがいた頃。あの人が責を受けていた頃は、私も、南浦さんも……いや、他の寮生達も皆普通の暮らしを送れていた」

春「あの人一人に十字架を背負わせていたから」

春「でも、あの人が星になったあと」

そこで滝見さんは俯いた。

春「私達の地獄が始まった」
351 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 22:19:39.16 ID:rTTSRawXO
それからぽつり、ぽつりと滝見さんは120分かけて言葉を紡いだ。

春「独裁を誰も止められなかった」

春「そして掲げたスローガンは、打倒第2舎。そのための雀卓などの設備投資金の財源として、寮生は雀力のランクに応じて月当たりの上納金が設定された」

春「私や南浦さんは、雀力A+ランクに設定され、月あたり100万円以上の上納金の義務を課せられた」

春「Cランクでも月10万円。寮生たちは阿鼻叫喚に陥った」

春「そこで副寮長はいった。一人当たり1000万円の融資をした上で、第3舎の雀荘を紹介する。そこで金を稼ぎなさい、と」

春「私も、黒糖貯金がつきかけたとき、賭けに出ざるを得なかった。上納金が払えなかった場合、トイチの新子銀行からお金を借りないといけない」

春「座して死を待つよりは……でも、麻雀の神様は、自分の首も回らなくなって金借りて打つ雀士には微笑まない」

春「身をもってわかった。私のこの学園での運命。自分の限界。」

春「今は、借金を返済するため、ここで働いている。時々、お客さんが黒糖を分けてくれたりする。それで十分幸せ……」ポリポリ

春「たくさん話したから今日はもう終わり。次来るときは黒糖をお土産に持ってきてくれると嬉しい」ポリポリ

滝見さんのオーラは往時の輝きはなく、豊満なボディとは裏腹に、消えかけのろうそくのように薄くなっていた。

春「第1舎は今蠱毒の壺の渦中。血を流した分だけ強くなる。気をつけた方がいい。原村和はまだ諦めていない」

何を?

最後に思わせぶりな事を、滝見さんは呟いた。

352 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 22:36:30.94 ID:NeieS+ero
孕村さんラスボスか何か?
353 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 22:38:26.23 ID:rTTSRawXO
2時間かけて得られた情報はそれだけ。意味があったのか、なかったのかが分かるのは遠い未来のことだ。

複雑な気分。かつて、私達を迫害した連中は、今地獄に喘いでいる。

私はそこから逃げ出して、環境に恵まれ、輝くスポットライトの下に座っている。

雀聖戦 予選 3回戦

まこ「よろしくのぉ」

玄「よろしくお願いします!」

由子「よろしくなのよー」

咲「ゲーッ!オメーは!」

由子「なんて目で見るのよー!まるで道端に散らばった生ゴミ袋の中身を見るような目なのー!」

咲「職員も出ていいんですか?」

由子「特に制限ないのよー!第1舎はみんな優秀だから教えることなくて暇だから私も趣味の麻雀を楽しんでるのー!文句は言わないでほしいのよー!」

まこ「あんたここまで2位-1位じゃろ……大人気ない。もし雀聖戦本卓に出ることになったらコトじゃぞ」

由子「あとは適当に負けておくから大丈夫なのよー」

咲(見せてやるんだ。このひとに、今の私の実力を!)

★ステータス★
雀力 5/10 精神力 6/10 体力 5/5
所持金 85万円

↓ 雀聖戦 予選3回戦
コンマ 50以上で3位以上
コンマ 50未満で4位 予選敗退
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 22:40:08.01 ID:P1BnmV2/o
はい
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 22:40:46.55 ID:h0T4frrxo
ほい
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 22:41:21.85 ID:+U6roFQyO
今の私の実力()
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 22:43:08.86 ID:NeieS+ero
1舎の記憶かな?
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 22:49:46.64 ID:lC6rt3/DO
懐かしいなこの感じ
359 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 22:52:58.90 ID:rTTSRawXO

咲「カン!嶺上は……乗らず!」

玄「!!」

咲「カン!来い来い来いっ!嶺上……開花ならず!」パシッ

玄「わっ、それロンです」

咲「えっ、張ってたんだ……タンヤオドラ3かーちょっと痛いなー」

玄「ドラ3じゃなくてドラ9ですよ」

咲「ええっ!?」

まこ「カンドラもろ乗りじゃけぇ……」

由子「なのよー」

咲「ううっ…カン!」パシッ

咲(今日は嶺上牌の機嫌が良くないよー……花が咲かない……寒い……)カタカタ

由子「リーチツモ!カンドラ・カンウラ乗って合わせてドラ7!ドラ祭りなのよー!

まこ「ばっかもーん!リーチのあとに無意味なカンする奴がおるか!」ボコー

咲「うわわっ、ごめんなさい!」

ボコボコにされて、予選敗退となってしまった……
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 23:14:21.55 ID:ROpd0tVN0
うーん、幸薄いな咲ちゃんや
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 23:16:12.30 ID:htpFtwnVO
まぁ、咲さんちょっと調子乗っていたし、ちょうどいいんじゃないか?
362 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 23:44:48.01 ID:rTTSRawXO
咲「とは言っても、あの頃と違って負けて失うものはあまりないから気楽だよ……悔しいけど」

負けたあとは一ちゃんのお出迎えもない。薄情なヤツ。

一人ぼっちで部屋へ帰る途中……私はこの寮で初めて出会った。

まず背筋がゾワッとして、後ろを振り返った。

怪物。こんな気味の悪いオーラ、見たことない。

憩「試合見てましたよーぅ、咲ちゃん。ナイスファイトやなー!」パチパチパチ

咲「あっ……ああっ……」カタカタ

私は一度、この人と寮対抗戦で戦った事がある。あのときは惜しくも負けた。

否!相手にさえされていなかったのだ!雀力を身に着けてわかる境地がある。

麻雀学園学内ランキング2位。現・雀聖位は伊達じゃない。

オーラの色もさることながら、量に底が見えないのだ。

荒川憩がいる空間に、すべてを飲み込むような、深い深い穴がぽっかり空いているようにも見える。
363 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 23:46:17.00 ID:rTTSRawXO

憩「結果だけ見れば惨敗やけどー、惜しかったですよーぅ。私には見えてますよーぅ」

憩「少しのタイミングの違い。僅かな事象の揺らぎ。そして、まだ磨かれてすらいない咲ちゃんの、圧倒的なポテンシャル!」

憩「それに初めてのタイトル戦でここまで来るのってのも相当やでー!大体1回戦敗退やからなー!自信持ってー」

そう言いながら、荒川さんは距離を詰めてきた。

動悸が止まらない。

憩「ほな、今回の咲ちゃんの頑張りを祝って、一席設けようと思うんやけどー、これから暇ー?」

咲「あっ……あうっ」カタカタ

憩「決定ー!ほな行きましょー!レストラン予約しとるねん」

断ろうと思ったけど、声が出なかった。それくらい圧倒的なオーラ。深い底なし沼に足を取られてしまったように、私は連れて行かれた……

364 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 23:50:01.31 ID:rTTSRawXO

第2舎は給食用の食堂の他に、現金で利用できる特別なレストランがある。

外から一流のコックを雇っているらしい。

今日は貸し切りだった。

私と、荒川さん二人きり。てっきり、荒川さんの派閥の連中に囲まれて、プレッシャーをかけられるんじゃないかと覚悟してたけど。

憩「あくまで一人で戦いたいんやろー?ウチも昔そうやったからよーわかるでー!」

前菜に手をつけながら、荒川さんはそんな事を言った。

咲「はい。わかってくれて助かります」

そう。ここに来た最初、亦野さんに勧誘されたっけ。それを断ったから、何か制裁があるのではないかと構えていたけど、ほっとした。

そして食事が始まると、あの不気味で真っ暗なオーラは引っ込んで、和やかな雰囲気になっていた。

憩「別にあんたに仲間になれーとかいうつもりは全くないですよーぅ。むしろ、敵であって欲しいとさえ思ってますよーぅ」

咲「え?」

365 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 23:51:58.54 ID:rTTSRawXO

憩「今では寮長なんて引き受けちゃったからー、色々しがらみ出来て、さもウチがサル山のボスみたいになってしもうてるけどー」

憩「ウチら、ただ戦いたいだけやねん。強い相手と戦いたい。その結果、取り巻きは増えるわ、面倒な仕事も増えたりするわ、よーやってられないことも多いですよーぅ」

咲「その口ぶりからすると、あまり寮長にはなりたくなかったんですか?」

憩「そうですよーぅ!ウチがなったのは6年くらい前やけどー、龍門渕さんがやめる言いはって、他に誰も引き受けなかったからウチにお鉢が回って来たんですよーぅ」

咲「あれ?選挙は?」

憩「誰も立候補せんからやむなくウチが続けとりますーぅ!咲ちゃん、次の寮長とかどうやろ?」

咲「あはは……」

原村さんとはまた違ったタイプだ。堅苦しい感じがしない。泰然自若としていて、言葉の節々に余裕がある。これが真の強者。我々の長。

366 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/24(水) 23:57:50.04 ID:zELW2gJoo

憩「でも、一応寮長として寮生活や麻雀指導には乗りますよーぅ。咲ちゃん、次はどういうプラン考えとるん?ひょっとして寮対抗戦出たい?」

咲「そりゃ、まあ……」

憩「あんなんやめとき、やめとき!雀力の使用もかなり制限されとるし、予算獲得のため渋々持ち周りで執行部中心にやっとるだけやからー。あと新入りさんの練習の場やねー」

憩「RPGでいうとレベル50になってから始まりの街近くの平原でスライムプチプチ潰すようなもんで、大して経験値にもならへんわ」

咲「え?」

憩「つまり、あんな点のやり取りしても痺れんのですよーぅ!それは雀聖戦にも言えるでぇー」

咲「……」

憩「負けたら破滅……そんな勝負をウチら求めとるねん。窒息寸前まで、水の張った洗面器に顔突っ込んで……そこから吸う空気は何より美味いんや……今はどうやってその空気を吸うための勝負をするか、そんなことばかり考えている」

憩「強くなると、そんな勝負誰も引き受けてくれなくなって退屈になりますよーぅ」

咲「なんでそんな話を、私に」

憩「強くなったらウチとそういう勝負をして欲しい。それだけですよーぅ。で、話を咲ちゃんの今後の成長プランのことやけど」

憩「次のタイトル戦は雀鬼戦やから、出るとええんちゃうかなー」
367 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/25(木) 00:00:33.93 ID:gUCTYm7To

咲「でも勝てますかね。雀聖戦で結構経験値はつめたと思うんですけど、成長した実感がなくて」

憩「……せやなぁ、雀力5じゃあちと雀鬼戦戦い抜くのしんどいかもな」

咲「はぁ」

憩「それでもし、よかったら、の話なんやけど」

そう言って荒川さんはテーブルの上に、小さなカプセルをおいた。

憩「コンマ1-50で雀力1アップ、コンマ51-99で雀力2アップっていう世にも珍しいオクスリや」

憩「雀力6あればまあまあ互角に戦えるし、雀力7あればすでにトップランカーに片足突っ込んでいるといっても過言じゃないで」

憩「雀力7なら、よっぽど不運じゃなければ雀鬼戦で好成績納められると思いますよーぅ」

憩「これ、飲んでみますかー?」
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:02:02.21 ID:ZBcoie2zo
レベルアッパーみたいだね
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:03:42.96 ID:b/nHR2ySo
んで?
精神と体力いくつ持ってかれるの?(ビクビク
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:04:14.88 ID:7eJ2r1kDO
んで見返りはなんだよ
371 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/25(木) 00:14:41.09 ID:gUCTYm7To

咲「ど、ドーピング!?今、厳しいんですよ!荒川さん、まずいですよ!」

憩「バレへん、ベレへんって。まず麻雀学園に薬物検査の概念はないでぇー!ウチが入寮したての頃は、ヒロポン打ってガン牌しながらみんな徹夜で麻雀打ってたしー」

咲「それにしてもほんと、これ飲むだけで麻雀強くなるんですか!?」

憩「ロン・オブ・モチ!ですよーぅ!」

咲「……」

机の上のカプセルは、一見ただの風邪薬にも見える。ただ、目を凝らすと、念が込められているのが視える。確かにこれはただの薬じゃない。

荒川さんが、寮生の能力開花に何らかの関与をしているという噂を思い出した。信憑性はありそうだ。

咲「リスクは?」

憩「1/10の確率で、大怪我しますーぅ!雀力-1、体力-4。ほぼ瀕死の大怪我ですよーぅ!せっかく手にした力も失う。」

咲「そういうことは先に言ってくださいよ!」

憩「どうする、咲ちゃん。飲む?飲まない?」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:16:46.10 ID:b/nHR2ySo
ゾロ目で死ぬんか、よし今までゾロとか出た事ないし飲むか
373 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/25(木) 00:17:35.66 ID:eEPfGRFpO

ハイリスク・ハイリターン……確かにこのまま漫然とタイトル戦を続けても、雀力を1上げるのには時間がかかるだろう。

それくらい、雀力を1つ上げるというのは大変なことだ。

でも、もしハズレを引いたら……再起不能な程の重症を負う。せっかく末原さんに鍛えてもらった雀力を失うんだ。

咲「で、見返りはなんですか?お金?荒川派の尖兵となって戦う?それとも体ですか?一晩相手しろってことですか!」

憩「お金は困っとらんし、戦うならウチが自分でやるから結構ですよーぅ!それに、そんな貧相な体でよく胸張って体が見返りなんて言えますよーぅ!

憩「見返り言うたら……強い娘増えたら嬉しいやん、寮長として。それだけやでぇ」

裏はなさそうだ。

私は、目の前のカプセルを見て、慎重に考えた……

↓1 飲む?飲まない?
先に3票。

飲まない場合、誘惑を振り切る強い心判定により精神力1アップ!
飲む場合、決定した安価のコンマで判定。

コンマ1-50 雀力1アップ!精神力1アップ!
コンマ51-98 雀力2アップ!精神力2アップ!

コンマゾロ目 雀力-1 体力-4 入院
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:19:20.26 ID:ZBcoie2zo
ゾロ目なんて出ねえし飲んじゃえ
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:20:30.67 ID:qM3447DA0
飲もう
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:21:55.67 ID:1blaNxvKo
ハハッ ここで逝くかどうか 飲もうかね
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:22:28.50 ID:7eJ2r1kDO
1
虎穴に入らずんば虎児を得ず
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 00:30:12.06 ID:b/nHR2ySo
>>376
あっっっぶねぇ
379 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/25(木) 00:39:12.63 ID:eEPfGRFpO

何かを手に入れるためには差し出さなければならない。

安全で長い道を行くか、短くても危険な道を行くか。それだけのこと。

私は頂点を目指している。おねーちゃんに会うために。原村さんと決着をつけるために。大星さんの魂に報いるために!

どっちも頂点につながる道なら、私は近道を選ぶよ。

カプセルを飲んだ。

咲「おっ……おおっ!!」ピキピキ

体中の筋肉が躍動するのがわかる。古い細胞が、どんどん死に、新しくて力強い細胞に入れ替わっていく。

頭がスッキリする。時間がゆっくり流れたみたいに、錆びついた車輪に油をさしたように、頭がよく回る感覚。

今まで私は眠っていたんじゃないか。そんな気分。

世界がこんなに鮮やかだったなんて。体の奥の泉からとめどなくあふれるオーラを抑える事が難しい。

憩「見違えるようやな、咲ちゃん」

咲「これが……私……」

目の前の、荒川さんがはっきり見える。あれだけ不気味で、触れることさえできなかったオーラも、今でははっきり直視できる。

私の奥の眠れる雀力を叩き起こした!頂点が近づいた。あとは勝つだけだ。

★ステータス★
雀力 7/10 精神力 8/10 体力 5/5
所持金 85万円

To be continued…
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 01:02:25.46 ID:v+C52xIYo
おつおつー
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/25(木) 01:06:39.41 ID:b/nHR2ySo
おつー
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