【咲-saki-】咲「麻雀学園?」【安価】

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182 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/15(月) 22:05:12.76 ID:5OyGVug/o
咲「……」

憧「ねえ咲、あんたなんか好きな食べ物ないの?次は咲のリクエストに答えちゃうわよ〜!」

咲「……ありません」

憧「ノリ悪いヤツ!もー、同じ食卓囲んでるんだから、もっと話しましょうよ。選挙の事も忘れてさあ」

新子さんは、最近妙に馴れ馴れしい。

憧「咲、もうちょっと化粧とかしたら?素材はいいんだから、もっとおしゃれしないと駄目よ。ほら、今度私のコスメ貸してあげるから」

穏乃「憧、おかわりないの!?」

憧「あんたは色気より食い気ね〜〜それより、シズあんた誰に入れるか決めた?」

穏乃「和に入れるよ。一応、ウチの部屋のリーダーなんだし」

咲「え……」

憧「シズ……?なんか変なもの食べた?どういう風の吹き回し?」

穏乃「私は、どっちなっても別にいいから」

憧「シズぅ……!信じてたわよっ!」ギューッ

穏乃「やめて、やめてよ憧」

憧「ほら、これからおかわり持ってきてあげるから。咲もおかわりいるよね!?」

新子さんはご機嫌で部屋を出ていった。
183 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/15(月) 22:07:00.85 ID:5OyGVug/o

和「意外でしたね、穏乃が私の味方になってくれるなんて」

穏乃「勘違いしないでよ?票は入れるつもりだけど、肩入れする訳じゃない。票集めとか麻雀とか頼まれてもやらないから」

和「大星さんは悲しむと思いますけど。あなたの票が得られなくて」

穏乃「もう大星さんには伝えてるよ。あっそ、だって」

和「ときに咲さん」

咲「へ?」

和「来週の寮対抗試合、出てみませんか?」

原村さんはこともなげに、そんな提案をした。

咲「どういう、つもりですか」
184 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/15(月) 22:08:38.70 ID:5OyGVug/o

和「私の選挙公約は【全員麻雀】。今での室長の推薦で決まっていたオーダー制度を廃して、全員がまんべんなく、寮対抗試合に出れるようにしたいんです!」

和「もちろん、それぞれ雀力は違う。でも、己の適したポジションで試合を積む制度を作りたい。それが、第1舎の雀力底上げにつながると、私は信じています!」

和「咲さんは、大星さんに協力している。それは、咲さんの自由。私は何も言いません」

和「でも、今の咲さんの雀力では、大星さんの力になることは残念ながら叶いません」

和「それはフェアじゃない。だから、私は咲さんに機会を与えたいんです」

和「次の寮対抗戦。次鋒で咲さんのことをオーダーしたいと思います。今まで、大将や中堅などの負担の大きなポジションばかりさせていたことの、せめてもの罪滅ぼしをさせてください」

和「他の寮も、今回は次鋒は見劣りする面々です。これなら安全に勝って、勝利を経験したことで雀力が1アップしますよ」

和「どうです、咲さん、受けてくれますか?」

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 22:08:48.05 ID:U8TlfAWEO
のどっちもようやく飴の与え方を覚えたのか
186 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/15(月) 22:10:53.36 ID:5OyGVug/o

話に嘘はなさそうだ。

でも、裏はあるはず。怪しすぎる。選挙が近いこの時期、寮対抗戦で手軽に経験を積める次鋒のポストは、寮内でくすぶっている底辺雀士の釣り餌としてはかなり魅力的なものだ。

それを、大星派の私に差し出すなんて……

次鋒で試合に出れば、勝てるかもしれない。取り戻せるかもしれないんだ。雀力を。

しかし、罠の可能性は高い。私を嵌めようともくろんでいるかも。

私は疑心暗鬼になり、じっくり頭の中で考えた…

↓1
@次鋒戦に出る
A和の提案を断る

187 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 22:26:13.07 ID:fu7Lc8XOo
1
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 22:27:02.66 ID:gH2oT9BDO
1
虎穴に入らずんば虎児を得ず
189 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/15(月) 23:20:14.76 ID:5OyGVug/o

時遡る事数日前

月のない夜だった。

穏乃「選挙、苦戦してるんでしょ?」

淡「まぁね。想像以上に和の権力の根は深い。投票日まで、1/3確保がやっとってとこ」

淡「シズは決めたの?」

穏乃「和に票いれるよ」

淡「あっそ。じゃあこれから私たちは敵同士だ」

穏乃「でも、タダで和に票をやる気はない。取引したんだ、和と」

穏乃「1票投じる代わりに、咲にチャンスを与えて欲しいって」

淡「はぁ?そんなことしてあんたになんの得があるってのさ」

穏乃「このままじゃ和の勝ち。仮に私が大星さんの味方をしたって、大きな流れは変わらない。」

穏乃「それじゃあつまらないだろ?私の大事な一票。それは誰かを活かすために使いたいんだ」

淡「フンッ。好きにすれば?あんたは何言っても言うこと聞かないでしょ」

穏乃「ああ。種は蒔いた。」

穏乃「あとはどう育つかは彼女次第。大星さん。私は待つよ。果実がゆっくり熟れるのを」

……
190 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/15(月) 23:26:17.41 ID:5OyGVug/o

原村さんは約束通り、私を次鋒で選出した。

依藤「よろしくおねがいします!」 

浅見「よろしくー!」 

咲「よろしくお願いします」ペッコリン

末原「それじゃあサイコロ回して頭も回すで〜」コロコロ

咲(圧倒的モブっ……!!モブでメンツ出来てるよ…!)

咲(何と言ってもオーラがないよ……でも、今の私には十分)

咲(ここまで4連敗……そろそろ勝って、自信つけなきゃ!)

咲(流石に、勝てる、よね…?)

↓1
コンマ10以上で勝利!
ゾロ目はプラマイゼロ
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 23:26:41.62 ID:/zmo9m0yO
はい
192 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/15(月) 23:39:33.78 ID:5OyGVug/o

咲「カン!カン!カン!三槓子嶺上開花!」

咲「あっ、それカン!」

咲「カン!からの〜〜カン!嶺上開花!」

咲「そこ、カン!追加ドロー!……ぬるりと来たよー!嶺上開花!」

咲(気持ちいい〜〜〜!今まで地獄みたいな卓ばっかりだから、ここは天国だよ〜〜!)

咲(決まるわ決まるわ……!カンのゴールドラッシュだ〜〜!)

依藤「……」

浅見「……」

末原「……」

咲「それ捨てました?カンしていいですか?他に鳴く人〜〜?末原さん、チーしなくていいですか?」

咲「それじゃあ遠慮なく、カン!」

モブ卓で咲は水を得た魚のように麻雀を楽しんだ。

勝利を経験したことで、雀力が1上がった!精神力が1上がった!体力が1回復した!

★ステータス★
雀力 3/10 精神力 1/10 体力 3/5

寮長選挙まで残り1ヶ月を切った。立候補の締切が終わり、第1舎では現寮長原村和に新人・大星淡が挑む構図が確定した。

これから2人の運命を賭けた長い1ヶ月が始まる。

To be continued…
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 23:54:12.85 ID:gH2oT9BDO
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 00:08:24.41 ID:eO80/WSzo
おつ
しずもん食えないなぁ
次回は本当に負けるとやばそう
今までも負けるとダメなの負け続けてきたけど次はマジヤバそう
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 02:33:56.97 ID:esoHFWXYO
咲さんマジで水を得た魚だなw
196 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 20:29:11.47 ID:MbOZUynfO

春「原村陣営は真屋由暉子に室長ポストを約束するらしい」ポリポリ

南浦「対木さんと接触していますけど、なかなか日本語が通じず苦労してます」

春「あと大星さん、森垣を落とすために追加で50万必要」

淡「森垣の奴、がめついわね……」

がやがや…

咲「……」

立候補が終わり、2週間が経過した。毎晩のように、大星さんは参謀たちと会合を持っている。

それが終われば、他の支持者の話を聞いたり、他の寮に出向いて選挙資金を調達している。

この選挙は大星さんにとって大きな勝負だ。負ければ2年間、勝った原村さんの下で暮らさないと行けない。

当然、次の人事で室長降格。絶対的な権力を持った原村さんの前に、負けた大星さんはありとあらゆる嫌がらせを受けるだろう。

賢いのは真屋さんや森垣さんのようにどちらにも組みせず立ち回ることだ。予想外の激しい選挙戦になったことで、彼女たちは賄賂やいろいろな便宜で多大な利益を得ている。

ただそれも弁えなければ、どちらかが勝ったあと、苦しい立場に追い込まれるかもしれない。狡猾に立ち回り、最大限の利益を得ながら勝ち馬に乗り、選挙後も寮内で有利なポジションを得ようとする。そういう寮生は多い。そういう意味で彼女たちもまた戦っている。

ただ、大星さん以上にリスクを負ってはいない。本当の意味で戦っているのは大星淡と原村和、この二人しかいないのだ。

私はその姿を美しいとさえ思う。雀士たるもの一度は頂点に憧れる。

所詮、26人の小さな集団。寮長なんて山猿のボスと冷めた目で選挙を論じる人もいる。

しかし、この集団でトップを取れない人間が、果たして麻雀の世界の険しい頂きに立てるのだろうか……

197 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 20:31:15.46 ID:MbOZUynfO

先日の寮対抗試合で勝利を収めた私だけれども、大星さんの陣営で私はただ座っているだけだった。

他の寮生との交渉は南浦さんや滝見さんの仕事、そして一番肝心な金集めは大星さんの仕事。

私はこの2週間椅子に座っているだけ。南浦さんや滝見さんからの視線も厳しくなっている。

私は大星さんのお気に入りのペット。この場で私の存在意義はそれだけだった。

雀力3では、おそらく投票後の麻雀で、大星さんが当初期待していた役割は演じられそうもない。

前みたいなことがあったし、大星さんは忙しいからもう私に経験を積む機会は与えてくれそうもない。

このまま選挙が終わって、大星さんが勝った時。私の居場所は果たしてここにあるのだろうか。

大星さんが飽きるまでは隣に座っていられるかも知れない。でも、彼女の意に沿わないならまた切られて、惨めな目に合わされる。

それだけはゴメンだった。私がこの学園に来た意味。お姉ちゃんに会うこと。お姉ちゃんともう一度、話がしたい。こんなところで躓いているようじゃ、辿り着けそうもない。

このチャンスを活かすんだ。私も、大星さんの勝利に貢献して、ポジションを掴むんだ!

みんな戦っている。私も、負けるわけにはいかない。

198 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 20:33:56.41 ID:MbOZUynfO

淡「はぁ?手伝いたい?」

二人きりになったとき、大星さんに意を決して頼み込んだ。

咲「はい」

淡「で、何を私にしてくれるの?何ができるの?」

咲「……」ゴクッ

突き放された気がした。

淡「前は私も甘かったよ。咲の面倒見ながらでも久に勝てるかもなんて思っちゃって。そのせいで咲にひどい目合わせたのは謝るよ。でも、もうここから先は私、一手のミスも出来ないんだよね」

淡「勝って勝って勝ち続けないと、金も票も集まらない。一度でも負けたら、噂が立つ」

淡「金とか便宜で買収に近いことしてるけど、結局はみんな、最後には強い人間を選ぶんだよ」

咲「でもっ……私だって……大星さんの力に、なりたいんです。なんでもします。ですから、私に、チャンス、下さい」

淡「……力になってくれるの?」

咲「はいっ!」

淡「ふーん……そこまで言うなら、まあ」

大星さんは何やら思案していた。

淡「それじゃあ咲。手伝ってよ、お金集め」

199 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 20:37:47.86 ID:MbOZUynfO

第2舎の建物は、第3舎ほど設備は整っていない。もちろん、私達の寮に比べたら、豪華な作りだけど。

ごくごく平凡な高校の寮、といった風情だ。

私は大星さんに連れられて、第2舎に来ている。

淡「雀荘あるんだよね、ここ」

咲「いいんですか!?そんなことして!規則違反じゃ」

淡「上納金払ってれば上も文句ないんでしょ。まあウチの寮の力じゃできないけど」

地下につながる階段を降りる。薄暗い照明だけが頼りだ。それはまるで深海へ通じる道。

ネオンの看板が扉の上にあった。

雀荘・海底撈月

私はここで一晩勝負する。勝てば天国、負ければ地獄。麻雀とはそういうものだ。

200 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 20:41:29.31 ID:MbOZUynfO

一「大星さん、いらっしゃい」

入り口でボーイさんが声をかけてきた。

一「あれ?見ない顔だけど。ウチ初めて?」

咲「はい」

淡「いいよね、私の紹介。それじゃ先入って打ってるから。一、説明は任せたよ」

大星さんは、ボーイさんに札束を渡し、点棒を受け取ると扉の奥へ消えていった。

咲「宮永咲です」ペコリ

一「ふーん……いいの?」

咲「はあ」

一「雀力的に……まあお客さんが遊ぶのに水差したいわけじゃないし、入場料払ってくれたら文句ないけど」

咲「入場料?」キョトン

一「ほんとに何も聞いてないんだ……一応、身分保障としてお得意さんの紹介ないと打てないんだけど、最初は卓に付くために点棒買ってもらうことになってるの」

一「1000点4万円で、25000点分。つまり、100万円。それがウチのレート。25000点1セットで販売していて、1セット購入ごとに1000点分マージンで店が貰ってるの。あとの点棒のやり取りはお客さんの自由。還元率いいから評判なんだよ、ここ」

咲(これが大星さんの、資金調達手段……)

201 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 20:43:04.91 ID:MbOZUynfO
一「で、1セット買ってくれたら紹介客なら文句なしで中通すけど」

咲「えっ」

一「今大星さんから貰ったの、100万円しかないよ」

何も聞いていなかった。お金なんて、私が持っているわけない。この学園に来てから、現金に触れる機会なんて一度もなかったし。

咲「……私、お金持ってません」

一「じゃあここで大星さん終わるの待ってる?」

でも、それじゃあ何のために私はここに連れて来られたんだろう。

私は意味を考えた。

大星さんが私に100万円を貸してここで打たせる。それはある種、大星さんのリスクだ。

私が負けた分は、結局大星さんが持たないといけない。選挙で資金繰りがカツカツの大星さんに取ってそんな馬鹿な話はないだろう。

100万貸して稼がせるにしても、滝見さんあたりにさせた方がまだ効率はいいはずだ。

私を連れてきた意味。本当の意味で、私が大星さんの力になるということは、私自身がリスクを払って、私の力で大星さんのためのお金を稼ぐ。それができなきゃ、意味がないんだ。

私が、大星さんの力になるっていうのはそういうこと。そして、それが出来れば選挙の後の見返りはしっかり用意されるだろう。

咲「あるんですよね?お金なくても打てる方法」ゴッ

一「……おすすめは、しない」

202 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 20:44:53.36 ID:MbOZUynfO
一「一応、1回目だけは胴が100万円分貸すこともできる。」

一「でも、五体満足で外に出たかったら、100万円、きっちり耳そろえて返さないといけない」

一「みたところ、お客さん初めてだよね?」

一「このレートは痺れるよ。1半荘打てばわかるさ。まるで牌を握る手が、自分の腕じゃなくなる」

一「頭で考えているのとまるで別の牌を切りはじめるんだ」

一「そうなったら止まらないよ。25000点は少なすぎる。やめときなよ、まだ君には早い」

逆効果だ。今の私は燃えている。次鋒戦で、取り戻した雀力を試したい。強い人と打ちたくて、実はあの試合のあとからずっとウズウズしていた。

もちろん、リスクは高いのは百も承知。でも、リスクなしで得られる勝利になんの価値があるの?

大星さんは戦っている。負ければ、今の立場を失うのを覚悟で、ギリギリの戦いをしている。

そんな大星さんの隣に立つために、ここで私が、リスクを恐れて大星さんの帰りを待つ?

そんなことするくらいなら死んだほうがマシだよ。
203 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 20:51:57.57 ID:MbOZUynfO

咲「100万円貸してください。打ちます。もう腹は決まっています」

一「はぁ。言っても止まらないんだろうね。雀士って人間は……」

一「ほら、24000点。1000点分、マージンで抜いてるから。帰るとき、25000点返してね。プラス分は1000点4万円で返すから。それじゃあ、海底撈月にようこそ……」ギギギ

扉が開いた。更に階段が下へ続いている。その底から、打牌の音が、パチッ、パチッと聞こえてくる。

一「中にはお忍びで、こういうとこに顔出せない立場の人も打ってるから、お面で顔隠して。中での事は他言無用だよ」

そう言って一さんは私にひょっとこのお面を貸した。

一「一名様B卓案内しまーす!」

胸が高鳴る。勝負の前の高揚感。嫌いじゃない。

咲「よろしくお願いします」ペコリ

上家「よろしくなのよー」

対面「……」

下家「ちょー楽しみだよー!よろしくねー、あ、国広さんいいとこに。もう残り5000点しかないから、2セット追加で買うよー」

一「お買上げありがとうございます」

上家「随分景気いいみたいなのよー」

下家「いやいや、そうでもないよー。でも、ひょっとこさん、強そうだから念のためー」

仮面のせいで相手の正体はわからない。何処かで聞いたことがある声も聞こえるけれども、ここじゃ関係ない。立場を忘れ、一人の博徒として向き合う、そういうことなんだろう。

上家「それじゃあサイコロ回すのよー」コロコロ

私の長い夜が幕を開けた。

大星さんのために。何となく100万円(25000点分)くらい稼げば認めてくれそうな気がする。

↓1 1半荘目
所持点数:24000点(借金-25000点)
コンマ50以上:プラス収支 (コンマ-50)×1000点分 プラス
コンマ50未満:マイナス収支 コンマ×1000点分 マイナス

ゾロ目は上記数字の倍付け
00は一晩でプラス10倍の大勝利確定
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 20:52:54.26 ID:0GpmkkYVO
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 20:53:07.19 ID:xiSlc0s60
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 20:54:25.76 ID:tRkMOCI0o
もってなさが半端じゃねえ
207 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 21:14:02.54 ID:MbOZUynfO

1000点4万円。リーチ一つで4万円。

手が震える。

上家「ロン!なのよー。3900なのー」

咲「あっ」

東発で振込。3900ってことは……1点40円だから、ええっと、15万6000円!?

咲(私の、不用意な北切り一つで16万円弱っ…嘘っ…!)カタカタ

対面「リーチ」

咲(ダメだっ……慎重に行かないとっ…!このレートで満貫なんて振り込んだら大変っ!)

咲(せっかくの親でカン材もあるけど、ここでカンして嶺上開花できなかったら……ドラだけ増やす愚行っ‥…慎重に守るんだっ…波は必ず来るんだから!)

咲「ここはベタオリ(神を試みてはならない)!」パシッ

下家(あらら……せっかく強そうなオーラだったのにすっかり萎縮しちゃってるよー)

対面「リーヅモ裏裏」

咲(ぐっ……親被り……不運だけど仕方ない……なんとか振込は避けたと考えれば)

咲、ベタオリ!親でリーのみ相手に、圧倒的ベタオリ…!

咲「一応、カンドラ確認します。うわっ、危なかった……カンしたらドラ4だったよ……」

上家(そんなクソみたいな麻雀してたら、来る運も来ないのよー)

上家「ロンなのー12000」

上家(そしてそういうカモがここじゃ狙い目なのよー)

咲「あっ…」クラッ

咲、1半荘で溶かす……!最初の24000点……!加えて、いきなり箱割れ……マイナス2000点でフィニッシュ…!
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 21:30:17.98 ID:eO80/WSzo
こんなの咲さんじゃねいわ!
ただの一般モブよ!
209 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 21:31:55.54 ID:MbOZUynfO

一「お客さん、ちょっと裏に来て」

足りない2000点分は店が負担して払った。

1半荘終わったあと、私は雀荘の奥の事務所へ連れて行かれた。

純「で?返す宛あんのか?」

咲「あっ……あううぅ」

さっきまでの優しいボーイさんとはうって変わって、強面のお兄さんが出てきた。

純「最初によ〜、100万円分借りたよな〜?国広くんに念押されただろ、返す宛なきゃ借りるなってよぉ〜」

咲「ひっ…」

純「合計、マイナス2000点だぁ?え?結局、108万円俺達が貸してるんだぞ、あ?」

純「どこの寮だ、言えよ」

咲「……」カチカチ

腹の底から寒気がして、歯が鳴り始めた。

大星さんのためにと意気込んで、自分の雀力を過信して、結果がこれ。1半荘で、トビ。これが私。これが宮永咲。

悲しくて、涙が出てくる。惨めで、悔しくて、でも、どうしようもなくって……

一「第1舎の宮永咲さんだって」

純「1舎ぁ?あぁ?あの貧乏寮かよ、ほら、電話貸してやるから寮長呼べや、負けたんで金出してください〜ってよぉ!お?」

呼べるわけがない。原村さんに払う責任も義理もない。
210 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 21:46:29.64 ID:MbOZUynfO

一「あんまり脅しちゃだめだよ、純くん。まあ、実際返す宛あると思うよ。紹介してくれたの大星淡だし。今、D卓で打ってる。結構勝ってるみたいだねー、ま、帰るときそこから出して貰えばいいでしょ」

私のせいで、大星さんが100万円近く余分な出費を強いられる。この大事な時期に。彼女だって、ここで稼ぐには相当なコストを払っているはずだ。

一瞬の気も抜けない強者相手に100万円の浮きを確保するのが、どれだけ難しいか、容易に想像がつく。

一「じゃ、大星さん終わるまで、ここで待ってて」

咲「待ってください!」

一「ん?」

咲「大星さんは、関係ありませんから」

純「あ?」

場が凍りついたのがわかった。

純「関係ないってどういうことだコラ」

咲「私は、私の責任でお金借りて打って負けた。大星さんは関係ないです」

純「そんなことしらねーよ!俺達はお前に貸した金が返ってくるかどうかだけが問題なんだよ、あぁ!?」

咲「それに、大星さんは私の負け分は払わないと思いますよ」

それはハッタリでも何でもない。多分、本当だ。大星さんにとって、こんなところで足を引っ張る使えない女に大事なお金を払う義理はない。

純「……ふぅ。どうする、国広くん」

声を荒げていたノッポの人が静かな声で隣のボーイさんに尋ねた。

一「宮永さん、本当にそれでいいの?」

咲「え?」

一「お金で払ってくれるのが、一番お互いのためだと思ったから……純君も脅したんだけど」

一「あ、勘違いしないでね。ボク達はいいんだよ、別に。100万円はお金として返って来なくても」

一「でも、100万円、お金で払った方が宮永さんの為だと思うな〜」

一「どうする?」


@大星さんには迷惑、かけられません
Aやっぱり怖いから大星さんに頼むことにします
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 21:47:01.30 ID:scA+EDnxO
1
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 22:23:18.44 ID:qUJxpgmDO
ご主人様が絡むと意固地になる咲さん
213 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 22:23:43.32 ID:MbOZUynfO

大星さんには何があっても迷惑はかけられない。負けたけれども、これが私の矜持。

一「じゃあ、案内するよ……」

しばらく待たされたあと、事務所の奥の部屋に通された。

西洋のお屋敷の応接間のようだ。

一「とーか、連絡していた娘」

透華「あらあら、ようこそ。私、龍門渕透華と申しましてよ。この雀荘のオーナーですの。さあさあ、そちらのソファにおかけして」

咲「はい」

透華「一から話は聞きましてよ。なんでもお金が足りない、だとか」

咲「……はい」

透華「困りましたわね。そこまで高いレート設定の日ではなかったと思うのですが」

一「日によってレートが違うんだよ。25000点セットが1000万円設定の日もある」

透華「で、いくら負けたんですの?」

咲「108万円です……」

透華「まあ、たったそれだけ。おほほ、一から連絡を受けた時はどれだけ負けたのか、と心配したんですが」

透華「それくらいでしたら、お気になさらず。すぐに返済できますわ。純!レート表を」

純「はい」

強面ののっぽさんが紙を机の上に広げた。
214 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 22:38:00.97 ID:MbOZUynfO

爪 1万円
歯 5万円
足指 10万円
耳 30万円
手指 50万円(※右手の親指は時価)
左腕 100万円(※指5本付きは500万円)
右腕 500万円(※指5本付きは時価)
眼 500万円
性器 1000万円
心臓 1000万円

その他要相談

透華「私、雀士1人の値段は総じて約5000万円と考えておりますの」

透華「もちろん、格というものはありますわ!そりゃ、私だって、強い雀士の右手の親指などを手に入れたときは、もう、天に昇る思いっ…!」

透華「しかし、どんなへっぽこ雀士でも、一度は頂点を目指してこの学園に来たわけでしょう?」

透華「その人の人生が詰まった体の一部、というのであれば、私、等しく価値を見出しますわ」

透華「破格の値段でしてよ。学園外で値をつければ、これの1/100以下なんですから」

透華「一、見積もりを」

一「108万円返済に最適なプランは、左手小指1本+歯4本+足指2本+爪18本が一番麻雀への後遺症が少ないと思うよ」

一「でも、小指ないのが見てくれ悪いんだったら、歯を6本ほどに加えて、足指6本+爪18本ってプランが外見への負担は少ないかな。足の指減らしすぎると歩きにくくて大変だよ」

一「それとも、前の方の歯を20本抜いて、残りを爪でってのもいいかもしれない。入れ歯にしたら、そこまで目立たないと思うし、口で奉仕するとき喜ばれるかもよ?」
215 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 22:57:45.95 ID:MbOZUynfO

よくみると、部屋に標本のように、人体の一部がいくつも並べられている。

透華「あ、こちら気になります?これは7年ほど前、当時の第3舎の寮長とお互いの眼をかけて一晩打った時の戦利品ですわ〜これはお気に入りでしてよ、綺麗な蒼眼、まるでサファイア。やはり自ら狩った獲物と言うのは忘れられませんわ〜」

透華「数年前から誰も私と麻雀打ってくれなくなりましたので、ここでほそぼそと雀荘を開いておりますの。時々、このようにして前途洋々の雀士が私に会いに来てくれますわ」

透華「お金困っていたら、上記の値段で買い取りますわ!一発逆転狙いの若い娘が昔はよくここに来ましてよ。今はそこまで豪気な子も少ないですわねぇ。私の一番の思い出は、寮長になるために左腕を……」

一「とーか、話長い。それじゃあ選んでよ。どういう組み合わせで返す?」

咲(嘘だよね!?ドッキリだ、ドッキリでしょ?)ドクンドクン

透華「昔は私、とっても目立っていましたのに……今じゃ、こんな地下の屋敷暮らしですわ……寂しいですわねぇ」

一「早く選んでよ、どうするの?」

咲(でもこの人のオーラを見れば)

咲(私には分かってしまう。この話が与太話でもなんでもなくて)

咲(おそらく、体の一部を削らないと、この部屋から出しては貰えなくて)

咲(痛いのは絶対やだ!それに、体傷つけるなんて……耐えられないよ、私の今の体力じゃ)

※咲は痛みに弱めなので、上記の国広プラン実行のためには体力-5消費するのだ!

咲(しかし私の体にこんな値段が付くんだ)

この時、私の中にある悪魔的なアイディアが思いついた。

咲(もし、私の体を担保にお金借りれたら……大星さんの力になれる…かも…)

咲(だけど、もし大星さんが選挙に負けて返す宛がなくなったら……私は)

咲(どうしよう。大事な選択な気がする)

私はじっくり考えた。

↓1 先に3票得たものになります
@泣いて土下座して靴を舐めて許しを乞う(精神力-1)
A体を担保に選挙資金調達の交渉をする
B大星さんに泣きつく
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 22:59:58.42 ID:j0HS+G5to
1
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:00:35.72 ID:eO80/WSzo
2
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:00:54.50 ID:iA4kHH/Lo
2
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:01:04.99 ID:f3JVlgts0
1
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:01:09.27 ID:qUJxpgmDO
2
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:08:18.93 ID:0NifVaDo0
3が0票とか咲ちゃん忠犬過ぎィ!
222 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 23:23:43.16 ID:MbOZUynfO
咲「あのっ、お願いがあります!」

透華「はぁ」

咲「お金の返済、今はちょっと待って欲しいんです」

純「あ?」

咲「返す宛が、あります」

私は説明した。第1舎の寮長選挙のこと。大星さんが立候補していること。大星さんを支援する側に回っていること。勝てば、大星さんからの見返りがあり、確実に借金返済の目処が立つこと。

咲「私、淡ちゃんの側近ですから……!今日来たのも、資金調達のため……!そうでなければ紹介しますか?あの大星淡が、自分の行きつけの雀荘を!」

咲「今回は不運が重なり、負けてしまいましたが、返す宛はあるんです…!」

純「だけどよぉ〜〜それはあくまで大星が選挙に勝てば、だろ?負けたらパーじゃねえか」

咲「はい。おっしゃる通り…!負けたら水泡…!ですが、勝てば問題ないっ…!あと一息。あと一息、お金があれば、揺るがないっ……!大星淡の勝利……!」

透華「で、何が言いたいんですの?」

咲「私の体、担保にします。選挙資金貸して下さい、龍門渕さん」

龍門渕さんは目を丸く見開いて、私を見た。
223 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 23:33:15.79 ID:MbOZUynfO

一「馬鹿げている!とーか、騙されちゃだめだよ!確かに今第1舎で大星と現寮長の原村が選挙しているけど、大星有利の話は全く聞かない」

一「大方、資金がショートして苦し紛れに雀荘に来て、負けただけ…!」

透華「はらむら…?はらむらって、原村和のことですの?」

咲「はぁ」

透華「原村和が寮長……!きぃ〜〜〜!!!なぜ教えませんの、一!!」バシバシ

一「痛い痛いっ…!聞かれなかったから言わなかっただけだよぉ!原村が寮長になったの、2年前だしっ!第1舎のことなんて、興味ないでしょ…!」

透華「原村は別ですわ……!寮長ですと、私より目立っているじゃあありませんか……!阻止っ…!原村の寮長当選断固阻止っ……!一、立候補はどうしたらできるんですの?私が直々に出馬いたしますわ…!赤阪先生に連絡すればよくって?」

一「えぇ〜〜……」

純「とーかは、寮が違うからどうやっても無理だろ……」

透華「あら?そうですの?……宮永咲、と言いましたわね?いいですわ。あなた体を担保に、選挙資金出しましてよ!その代わり、原村の当選は阻止するんですわ!」

咲「ありがとうございます…!」
224 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/16(火) 23:36:04.36 ID:MbOZUynfO

透華「で、いくらあれば勝てますの?」

咲(会議を聞いていた話だと、あと2000万円あれば1回目の投票まで乗り切れるって。大星さんは私財を投げ売って戦うつもりらしいけど)

咲(額が大きければ担保が……)

のっぴきならない臓器や、雀士の命としての指が含まれたレート表を一瞥した。

咲(最低でも、今の自分の借金をとりあえず先送りして、大星さんから認められるために200万円は必要だろうけど)

咲(ここでりゅーもんさんにたくさん借りておけば、勝つ確率は当然上がるわけで)

咲(どうしよう……)

↓1 いくら借りますか?
200万円以上で自由安価(上限設定はあります)
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 23:39:11.41 ID:gOnrPsv50
500万
226 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/17(水) 00:03:13.19 ID:h7MTMaLKO

咲「とりあえず500万円で…」

透華「500万?それっぽっちで勝てますの……?純、去年竹井久が借りに来た時はいくらでしたっけ?」

純「7億円だったぞ」

咲「な、7億!?」

透華「もしかして、私ぼったくられたんですか?」

純「あの女ならやりかねないな」

透華「制裁っ……!今すぐ、竹井呼びつけなさいまし!一!」バシバシ

一「痛い痛いっ!ちょ、華の第3舎の寮長選挙とミソッカスの第1舎じゃ色々違うんだよ、多分…!」

透華「そうですか……それじゃあ500万円お貸ししますけど勝ってくださいね、宮永さん」

透華「選挙ポスターには龍門渕透華協賛と大きな文字で書いてくださいまし。あ、私と握手している写真でも使います?」

咲「あはは…」

透華「それで、担保の件ですが、500万円分ですか。108万円分を差っ引いて、差し引き392万円現金でお貸しする訳ですが」

透華「とりあえず、服、脱いでくださいまし」

咲「えっ……」
227 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/17(水) 00:11:07.26 ID:h7MTMaLKO

私は部屋の中で裸にされ、龍門渕さんに品定めをされた。

透華「出ているところは出ていませんわねぇ」

透華「もうちょっと脂肪分を取ったほうがよろしくってよ」

透華「指はキレイですわね〜〜でも、爪は少し栄養不足……鉄分足りてますか?」

透華「処女じゃないのですね。うーん、判断に悩みますわねぇ」

透華「顔立ちは整ってますわね」

透華「雀力は3ですか。まだまだ右の親指の価値は上がりそうですけれどもねぇ」

透華「歯並び見せて。あーん……きちんと28本生えそろってますわね。親知らずは抜いてしまったんですか?」

透華「体は若いだけあって健康ですわね」

透華「眼は……ん?……似てますわね、昔、打ったあの方に……懐かしい……」

透華「よろしくってよ!右眼1個担保に、500万円!詳細は、一に任せますわ!」

透華「選挙に勝てばゆっくり返済してくださいまし。でも、負ければ……その日に私のところに来て眼玉をくり抜いて欲しいんですの」

透華「もし来てくれないと、同じ寮の方々に多大な迷惑がかかることになりますわ。それじゃあおやすみなさいまし〜」

一「今の話、脅しじゃないよ。透華は普段こんなボケボケだけど、麻雀打たせたら大変なんだから」

一「第1舎への食料の供給止めるくらい訳ないよ」

一「隠れていても他の寮生にボコボコにリンチされてボク達のとこに引きずり出される結果になると思う」

一「それじゃあこの契約書にサインしてよ。命拾いしたね、宮永さん。」

純「目玉一個はきついな〜〜と言うか、ほんとそれっぽっちで勝てるの?俺なら1億借りたぜ」

一「1億円だと担保が大変でしょ。人体模型は置き場に困るし……」

リスクを最小限にして、ベネフィットを得る。賢い選択を自分ではしたと思う。

それが正しい選択であったかどうか、それがわかるのは選挙が終わったあとなのだ。

228 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/17(水) 00:20:27.85 ID:h7MTMaLKO

春「392万円……すごい」ポリポリ

淡「これで大分、楽になったよ、ありがとね、咲」ポンポン

南浦「予定より資金調達量が増えたことで、大星さんの負担が軽くなりましたね。これで政策について、寮生に個別で訴える機会も増やせます」

私が稼いだ392万円は評判になった。

参謀たちからの評価も上がり、大星さんも私を褒めてくれた。

大丈夫。多分、これで勝てば、私にも美味しい蜜が回ってくれる……

でも負ければ……私は……ゾクッ

選挙前日。不安で寝れなかった。大星さんの支持は浸透している。私の努力もあって、なんとか原村さんんと拮抗するくらいの票は集めきった。

でも、2/3の確保には至っていない。ここは開票後の麻雀で決着がつく。大星さんが勝って、強さを寮生達にアピールできれば、次の投票で決まるかもしれない。

一方、そこで負けたら……世論は一気に原村有利に傾く。そうなれば、雪崩を打ったように支持が離れ、次の投票では……

泣いても笑っても明日。あとの私の仕事は大星さんに1票投じるだけだ。

To be continued…
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:39:19.99 ID:UlUrdjBDO
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:41:04.66 ID:mln74G+wo
ま、眼の一つ妥当なとこかね
おつ
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 09:24:55.73 ID:zqEzAcftO
咲さんまだ靴下脱いでないだろ、これ
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 12:51:19.07 ID:tpI25h+d0
目玉くり抜いてもショック死しないように体力回復したいわね
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 13:03:54.52 ID:eUbEY06DO
義眼の咲さんもありだな
賭博師っぽくてかっこいい!
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 13:13:10.42 ID:fsyyraUCo
もう取られる前提で草
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 14:41:55.83 ID:UlUrdjBDO
まぁ別に右眼が無くても麻雀は打てるし
236 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/17(水) 23:29:06.98 ID:znexhjHTo
寮長選挙当日

由子「それじゃあ寮生は1人1票、所定の投票用紙に候補者の名前を書いてこの箱に入れるのよー」

教育責任者立会のもと、投票が始まる。

完全記名投票。全員が投票した直後に、真瀬さんが誰が誰に投票したか、一人ずつ読み上げていく。

由子「二条泉は大星淡なのー」

由子「片岡優希は原村和なのー」

……

一票入るごとに、ざわめきが起きる。今日は寮生にとって、原村和か大星淡、どちらかを選びどちらかを捨てる、踏み絵の日。

もしこの日、投票で勝敗が決するなら、負けた方に票を入れた人は明日からどんな顔をして次の寮長の下で暮らさないといけないのだろう。

由子「宮永咲は大星淡なのー」

和「……」

由子「26票全て有効、原村和13票、大星淡13票なのー、同数、よって1週間後再投票なのよー」

237 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/17(水) 23:30:16.72 ID:znexhjHTo
一層ざわめきが大きくなる。

今日で決まらないのは既定路線。それでも、苦戦が予想された大星さんが、原村和と同数まで票を伸ばした事は、寮生達にも予想外のことだった。

南浦「真屋さんを落とせたのが大きいです。2年間の独裁で、潜在的にアンチ原村の寮生は多数を占めている。ただ、原村の強さを知っている寮生はなかなか大星さんの側にはつきにくい」

南浦「そこに、真屋さんが大星さんへの支持を表明したから、原村圧勝ムードがなくなり、票数は伸びた」

南浦「ここで、大星さんが、原村を麻雀で下せば、一気に時勢は変わる」

淡「いくよ、春」

春「わかった」ポリポリ

投票後の1半荘のエキシビションマッチ。どちらがより寮長にふさわしいか、力を示す場。

和「行きましょうか、憧」

憧「勝つわよ、和。絶対」

どちらもナンバー2をオヒキに、勝負の卓に座る。ふたりともわかっている。この麻雀は勝負のすべてを決めかねない。
238 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/17(水) 23:37:07.08 ID:znexhjHTo

どれだけお金を使って買収しても、結局、自分たちの船の舵取りは、一番強い人に任せたいという寮生の根底に流れる思想は変えられない。

大星さんが勝てばそれでよし。でも負ければ……ここまでの選挙戦で、大星さんは私財のほぼすべてをこの勝負に投じている。一方、原村陣営はさほどお金は使っていないようだ。

新子さんを中心に、支持固めをしていたようだけれど、さほど熱心に買収はしていなかったらしい。

卓につく、原村さんの顔には余裕があった。ひょっとして、最初からこの麻雀は受けるつもりだったんじゃ。

嫌な予感がする。原村さんが、その気になれば。寮長としての権力や、巨大な資金力を背景に選挙戦を戦えば、大星さんは1/3の票を集められるかどうか、という戦いになったはずだ。

麻雀をせずに1回目の投票で勝負を決する事も目指せた。でも、それをしなかった。

ということは、自信があるんだ。麻雀で、大星さんに勝つ。いや。むしろ、麻雀で勝って、どっちが強いか天下に知らしめ、さらに2年間、強固な独裁体制を敷くために。

泉「大星さんVS原村和。同じ寮同士でガチンコで麻雀する機会なんてあらへんし……実際、どっちが強いんやろ」

水村「純粋な雀力は5分ってところか。勝敗を分けるのは、おヒキの力かぁ?」

文堂「とすれば、原村サイドに分がありますね。新子さんは、原村さんがまだヒラの寮生だった頃から彼女を支えていたらしい。一方、滝見さんが大星さんを支援し始めたのは、2年前から」

上柿「絆の力の差ってわけですかい」

咲(頑張って……!大星さん)

私の運命も、ここで決まる。勝てばすべてが上手く回り始めるはずだ。でも大星さんが負けたら。

右目を失う。それに、原村さんの下で2年間、いじめられて試合に出る機会さえ与えられず、不遇をかこつしかなくなる。

239 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/17(水) 23:38:06.68 ID:znexhjHTo

憧「まさか、あんたが和に牙向くなんてね。2年前、室長に抜擢してあげた恩を忘れたんだ?」

淡「なってくれって頼まれたから、あの時は引き受けただけ。私はあんたみたいに誰かの腰巾着で終わるつもり、ないから」

憧「相変わらず生意気な奴!」

淡「和〜〜今すぐ、その余裕な仏頂面、引剥してやるからな!」

和「……それでは、親決めのサイコロを。大星さん、どうぞ」

サイコロが回った。歓声が起きる。親は、大星さん。泣いても笑っても1半荘。ここで大星淡、原村和、どちらの格が上か、はっきりする。

↓1
コンマ
50以上:淡勝利
50未満:淡敗北

数字が大きければ大きいほど大勝
数字が小さければ小さいほど大敗
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 23:38:23.20 ID:IhlwnkdJO
はい
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 23:38:34.55 ID:cI/nfnaZo
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 23:46:10.72 ID:UlUrdjBDO
うん…知ってたよ(諦め)
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 23:51:35.38 ID:gNG+AEfYo
割と疫病神宮永咲
244 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 00:04:11.52 ID:8rS3Kwjco

淡「ダブルリーチッ!」バシッ

泉「出よった……!これが、大星淡の必殺ッ!」

東発、いきなりのリーチ。あの原村さん相手でも、大星さんの麻雀は通用するッ!

憧「チッ……」トン

和「……」トン

春「……」トン

淡「カン!……そしてツモッ!ダブリーヅモ裏4!6000オール!」

咲・泉「うおおおおっ!!!」

歓声が沸き上がる。派手な和了だ。大星さんに投票した人たちは声を上げ、原村さんに投票した人たちはため息をついた。

泉「これが大星さんの能力っ!絶対安全圏&ダブリー、そしてカン裏もろのせ!防御型高火力スタイル!決まっていくぅー!」

淡「止められないみたいだね、和」

和「……」

淡「それじゃあ、1本場、行くよっ!見せてやる、麻雀学園100年生の実力っ!」

245 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 00:13:23.63 ID:8rS3Kwjco

淡「ダブルリーチっ!」バシッ

和「……まるで成長していない」ボソッ

淡「あ?」

和「いえ、なんでもありません」

淡「カン!」

和「……」

淡「からのぉ〜〜ツ…モ…」

大星さんの表情が固まった。小さなざわめきが起きる。

大星さんは最後の山の直前でカンをした直後は必ず和了る。これまで、大事な試合は必ずそうしてきた。

それが、崩れた。

和「和了牌でないのなら、捨てて下さい」

淡「……」トン

大星さんの手が震えていた。

和「ロン。8000」

会場は、静まりかえっていた。

私は見た。原村さんの後ろに、天使がいるのを。
246 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 00:15:33.74 ID:8rS3Kwjco

憧「あれれ〜〜大星さん、得意のダブリーはどうしたの〜?」

東2局。大星さんのダブリーは不発。

和「こちらにツキが回ってきたみたいです。リーチ」バシッ

泉「絶対安全圏、までも……!」

ざわめきは大きくなる。

和「ツモ。ダブリー一発、ドラ3です。裏は残念!なしでした。役無しドラ3良形、リーチですね」

淡「うそ……」

和「能力に頼りすぎですよ、大星さん。あなたが今まで戦ってきた相手はそれで良かったのかもしれませんけど」

和「2年前、あなたを室長に抜擢したのは、光るものがあったからです」

和「その不敵な態度、強さへの飽くなき執念。私は買っていました」

和「2年後、強くなったあなたと、この卓で命を削る勝負をしたかった」

和「残念でなりません。もう少し、食べごたえがあると思っていたんですが」

和「ロン。18000!ダブリー頼りの麻雀は、捨て牌読みも苦しいときの立ち回りも何も育たない」

和「ですから、こうしてそれが通用しない相手には、手も足も出ない……」

和「麻雀は奥が深いです。一つの能力のみで頂点に立てるほど、甘くありませんよ?」
247 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 00:32:18.42 ID:8rS3Kwjco

雌雄は決した。原村さんの圧勝。格付けは済んだ。

原村派の面々が、歓喜に包まれている。大星さんに投票した人たちは一人、またひとりと静かに会場をあとにする。

最後の方は見ていられない。原村さんによる一方的な蹂躙。

試合が終わり、原村さんが席をたっても、大星さんはうなだれてそこから一歩も動けなくなっていた。

春「……っ、先、帰ります」

一緒に打っていた滝見さんは顔を赤くしていた。

咲「大星さん……」

淡「一人にして……お願いだから……」

大星さんの全てを賭けた勝負。それは終わったんだ。
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 00:37:44.30 ID:+Vrr4uL9o
コンマ神に何したらこんなに嫌われるですかね……
249 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 00:49:48.98 ID:8rS3Kwjco

次の日、大星さんの作戦会議室。

南浦「真屋さんが、原村さんの部屋を訪ねたそうです。1回目の投票行動に関して、新子さんは不問に付すと、明言していて……昨日大星さんに投票してくれた人たちと話し合いを持とうにも、私ではのれんに腕押し」

春「……」ポリポリ

南浦「明日から新子さんと交渉しましょうか?」

淡「……」

南浦「大星さん!……負け方、というのも大切です。あと1週間時間はありますから、なんとか良い形を……例えば、原村さんを全会一致で選出する、という華を持たせるとか……」

春「……報復は、ある」ポリポリ

南浦「それはわかってますって!だから、それを最小限にしようと……滝見さん、さっきから大事な話しているのに、もの食べるのやめろ」

春「……」ポリポリ

南浦「クソっ…!」

淡「数絵、春、咲。ここまでありがとう」ペコリ

そう言って大星さんは立ち上がって私たちに深く頭を下げた。

淡「3人共、早く和のところに挨拶に行った方がいい。選挙は、あと私一人で頑張るから、さ」

春「言われなくてもそうする」ガタッ

滝見さんが席を立った。

南浦「…‥それでは、失礼します」

南浦さんも立ち上がり、部屋をあとにした。

これで大星さんの逆転の目はなくなった。いや、もうあの試合に負けた時に、そんなものはなかったんだ。

250 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 00:52:01.52 ID:8rS3Kwjco

ここまで大星さんを支えた二人を待つのは過酷な運命。勝てば官軍、負ければ賊軍。

それでも降伏は早いに越したことはない。大星さんに見切りをつけた二人は、原村さんがたっぷり利用するはずだ。

明日には、二人の口から大星さんの悪口や裏話が寮生の間に伝わることになるだろう。

大星淡の権力は、もうない。それを決定づけるために。徹底的に利用されるはずだ。

次の選挙の結果は悲惨なことになる。誰も、大星さんに票は入れないだろう。

そこから先の大星さんの運命は……

淡「咲も行きなよ。まだ、咲には目があるんだから」

でも、右目まで担保に大星さんに賭けたのに!私は、私は……

↓1 先に3票の方
@最後まで一緒です
A今までお世話になりました

251 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 00:52:47.09 ID:1wFThaZBo
1
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 00:55:01.49 ID:74DR5MtDO
1
右眼くらいくれてやる
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 00:57:01.30 ID:qIY5hoz10
1
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 00:57:29.99 ID:LiEKs1gA0
1
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 01:03:42.87 ID:+Vrr4uL9o
まあそうよね
256 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 01:21:29.47 ID:8rS3Kwjco

咲「最後まで一緒です、大星さん」

淡「咲ぃ〜〜」ポロポロ

大星さんは泣いた。私の胸の中で、大粒の涙をこぼした。


咲「あっ……」

それからどちらともなく、キスして、ベッドで……

大星さんのiPS棒は小さく、可愛らしい大きさにしぼんでいた。

iPS棒は雀力の象徴。文字通り、すべてを賭けた戦いに破れ、大星さんの魔力に近い雀力はすっかり失われていた。

多分、もう二度と取り戻せない。私みたいな未熟者は何度負けても立ち上がれるけど

一度、完成した後に、激しく壊れてしまっては、もう元には戻らないだろう。

淡「ごめんね、咲」

咲「んっ、いいの。あむっ」

大星さんのを口に含む。柔らかくて、ぶよぶよしている。

咲「ちゅっ、んっ、んぷっ、ぬちゅっぬちゅっ」

唾液でたっぷり濡らしながら、舌で扱くと少しだけ硬くなった。

淡「んっ、咲……もう」

咲「いいよ、淡ちゃん」クチュッ

股を広げ、淡ちゃんのを手で導く。これが最後。多分、もう二度と、大星さんのiPS棒は……

淡「咲ぃ〜〜ありがとっ、うううぅ〜〜」ヘコヘコ

咲「あっ……ああっ……」

情けないくらい、力なのない腰振り。あれだけ逞しかった淡ちゃんの、私のご主人様はもう、私をイかせることもできない。

淡「あぁ〜〜」ピュッピュ

程なくして淡ちゃんは私の中で果てた。

淡「ごめんねっ、ごめんねっ……私のせいで、咲まで」

咲「いいの、いいの。よしよし、よしよし」

抱き合いながら、私たちはお互いの傷を舐めあった。

夜空で星がまた一つ流れ落ちた。かつては煌めく一等星。でも暗闇の中に消えたあと、誰も夜空の星が1つ消えた事に気付かなかった。

To be continued…
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 01:24:16.49 ID:58NsfYbho
目なんてないんだよなぁ...
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 01:27:05.90 ID:+Vrr4uL9o

>>257
だれうま
もう悲惨な未来しか見えないんだよなぁ
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 01:44:26.42 ID:74DR5MtDO

地獄の底から頂点に登り詰め咲き誇るそんな宮永咲を私は見たいのだよ(狂熱)
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 06:25:15.82 ID:qNvztzxbo
盲目キャラは大抵強キャラだし
いっそもう一つの眼も取っちゃって無明逆流れちゃんになれば
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 10:22:27.94 ID:2DLhWnYIO
262 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 22:53:51.23 ID:D/XDJAZ7O

泉「あぁ〜〜!どないしよ!うち、大星さんに票入れてまった……これで終わりやわ、ウチの人生!」

大星支持派の悲鳴がそこかしこで聞こえたのもつかの間。

新子さんが、時期室長に真屋さんを内定させたと発表、真屋さんも原村さんへの忠誠を誓う声明を出したことで、流れは決定的になった。

最初の投票後2日間で原村さんは、私と大星さん以外の全寮生から支持を得た。

憧「和は次期寮長として、腐敗のはびこる第1舎を改革する所存」

憧「今回の選挙戦を機に、第1舎の膿を出し切ります!これはそういう選挙!」

大星派が原村さんに挨拶に行くと必ず求められるもの。

@次回投票の確約A大星淡が関与した規律違反の証拠B原村和への忠誠

すでに、滝見さんと南浦さんは証拠の提供と供述を競うように行っていると聞く。

選挙後、大星さんは理事会で査問される公算だ。すべての規律違反が立証されれば卒園もあり得るらしい。

263 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 23:02:08.75 ID:D/XDJAZ7O
泉「あー、ウチも入寮したての頃、殴る蹴るの暴行加えられたからな、それ証言させてもらいましたわ」

泉「やっぱり原村さんの方が優しいな〜〜ウチのようなあとから来た人も、優しく受け入れてくれたで」

泉「なあ、咲。意地張っとる場合ちゃうで」

泉「昨日の原村寮長の演説、あんたと大星以外の寮生全員来とったよ」

泉「その中で言うてたわ、原村さん。ベストは全員の支持を得て寮長になること。それが敵わない自分の至らなさを恥じていますって。なんて謙虚なんや〜〜!」

二条さんのこの行動は誰も責められない。南浦さんや滝見さんの行動も、私は責めたくない。

彼女たちは、大星さんの負けが決まるまで、精一杯彼女を支えていた。

負けてしまったら、それを受け入れて前に進まなくちゃいけない。

それは、大星さんも同じ。
264 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 23:03:36.17 ID:D/XDJAZ7O

次の投票までの期間、大星さんはほとんど第1舎を空けていた。

淡「なんとか話つけてくるから。私と咲の転寮の件」

大星さんは片っ端から外部の有力者たちと会っている。

そんな大星さんは寮内で裏切り者のレッテルを貼られていた。

選挙はすでに盤外戦。原村さんも抜かりなく、2回目の投票前日には大星さんの転寮防止に関して寮長会議で荒川憩と竹井久の合意を取り付けたらしい。

大星さんはもう逃げられない。他の寮長としても、選挙で大敗してすべての権限を失った雀士の亡命を受け入れることは、次期寮長との今後の関係を考えたらできないのだろう。

もう大星さんの戦いは詰んでいる。あとは原村さんにしゃぶり尽くされるだけだ。

反抗した報復は見せしめとして徹底的に行われるだろう。

もう二度とここの寮生は原村さんに逆らえなくなるくらい、徹底的に。

大星さんのことばかり気にしていられない。私も、負けたんだ。

大星さんの女としていい思いしてきた、その代償は払わされるだろう。それに最後まで大星派に残り続けたのだから、私もしっかり見せしめにされる。

もう二度と、試合には出してもらえないだろうし、ありとあらゆるイジメを受けるだろう。

その時守ってくれるご主人様はもういない。

陰鬱な気持ちで講堂へ一人、向かう。
265 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 23:13:47.73 ID:D/XDJAZ7O

「咲さん」

廊下で原村さんとばったり出くわした。

咲「失礼します」ペコリ

合わせる顔なんてない。私は、原村さんの敵。そして負けたんだ。

和「これから投票ですが、どちらの名前書くか決めましたか?」

咲「どっちでもいいでしょ。どうせ原村さんの勝ちだよ」

和「咲さん。龍門渕さんのところで負けたらしいじゃないですか」

右目がズキンと疼いた。この目で見る光も今日が最後。

和「目は……しんどいですよね、これから先、不便しますよ」

和ちゃんには関係ない!そう怒鳴りたかったけど、涙をこらえるので精一杯だった。

和「咲さん。私の話を聞いてよく考えてください」

和「この投票が終わったあと、私は支持者のために働かないといけません。それが選挙で選ばれた者の務め。最初の仕事は規律を示すことです」

和「負けた側は粛清しなければいけません。そうでなければ、溜飲が下がらない……私も、群れの長として力を示さなければならない」

声がでない。足の震えは止まらなかった。
266 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 23:15:54.18 ID:D/XDJAZ7O

和「でもっ、それは私の望むところじゃないんです!」

和「覚えていますか?私の選挙公約は、【全員麻雀】。今までのいがみ合う風習を廃して、全員が一丸となって高みを目指す体制をつくりたいんです!」

和「……今、この時間。憧が大星さんの説得にあたっています」

咲「えっ……」

和「大星さんと咲さんから1票ずつ貰えば、私は全会一致で寮長に選ばれます。それが理想じゃありませんか?」

和「他の支持者の手前、大星さんには室長のポストは与えられませんが、私としては正直、室長を続けてほしいと思っているくらいです。彼女ほど雀力が高い雀士は大切です」

和「大星さんには、副室長か寮対抗試合対策本部次席のポストを…と思っています」

和「悪い話じゃない。開票のあと、壇上で私と大星さんは握手し、和解を演出します。そうすれば、大星さんとしても、この選挙が終わったあとの、いろいろな禊もなく、また楽しく寮生活を送れると思いますよ?」

和「その時、咲さんにも協力して欲しいんです。咲さんのポテンシャルは、私が誰よりも評価しています。たくさん試合に出て、第1舎のために勝利をもたらす女神になって欲しい」

和「よく考えてください。咲さん。上のことが成る為には、咲さんが私の名前を書いて投じる事が前提です」

和「ここ数日、大星さんとの交渉は憧にまかせていましたが、手応え的には9割がた……大星さんも私の名前を書くと思います」

和「開票の時点で、大星さんの名前を書いているのが、咲さんだけ、ということになれば、馬鹿を見ますよ?」

和「あと右目の件です。投票終わったら、私の部屋に来てください。500万円でしたよね?それくらいでしたら、なんとか私が工面します」

和「咲さん。原村和に清き一票を」ペコリ
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:18:07.05 ID:GwqThch7O
孕村さん交渉上手になってる
268 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 23:18:15.16 ID:D/XDJAZ7O

私は呆然と、講堂へ向かう原村さんの後ろ姿を見つめていた。

原村さんに票を入れれば、過酷なリンチはなく、麻雀の試合も出られ、右目も失わなくていい。

一方、大星さんに票を入れたら……何も得られず、右目を失う。

大星さんが原村さんに票を入れるとは彼女の性格を考えると信じがたいけど、彼女が選挙後に失うものの大きさを考えたらありえない話じゃない。

理事会で査問されれば、厳罰は必至だ。それを回避して、今までのように、とは行かないけれども、そこそこの寮生活は送れる。それに、大星さんのことだ。再起を狙うかもしれない。

再起するためには、ここを生き残らないと行けない。理事会で厳罰に処されたら、その道も断たれる。

私が大星さんだったら。泥水を啜ってでも、どんな屈辱を受けても、再び立ち上がる道を選ぶかもしれない。

その判断を大星さんがした時、大星さんに私だけが票を投じることの意味。

私だけが一人、原村さんにノーを突きつけるという、最悪な結果に陥りかねない。

事前に大星さんの話を聞きたい!

私は講堂に駆けつけた。

大星さんは腕を組んで後ろに座って目をつむっていた。憔悴しており、いつものふわふわの髪の毛は、へたっていた。

由子「それでは投票を始めるのよー一人ひとり並んでこの箱に名前を書いた紙を入れるのー」

ざわめきの中で、寮生たちは「原村和」と自分の名前が書かれた紙を箱に入れる。

裏切りは許されない。

大星さんは私に、目も合わせず、紙を箱に入れた。彼女の行動には、注目が集まっていた。

ここで私が話しかけられる空気じゃない。

由子「全員投票したー?」

咲「わわっ、ま、まだです……」

由子「はやくするのー!」


手が震える。どっちらの名前を書くか。
生き残るためには原村さん。
それでも、ここまで信じて尽くした大星さんを裏切るような行為を
私の中の譲れない部分が許してくれるだろうか?

↓1 先に3票得た方
どちらの名前を書きますか?
@大星淡 Ending
A原村和 To be continued...
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:19:12.37 ID:Sr37UUUmO

コンティニューありなら1
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:21:26.21 ID:LiEKs1gA0
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:22:06.01 ID:qNvztzxbo
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:22:15.60 ID:74DR5MtDO
ここまできたら1で



コンティニューあったらいいなぁ
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:22:23.79 ID:abIF7ije0
1って言いたいところだけど2で
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:25:53.13 ID:qNvztzxbo
ただ勝った負けたをして、その結果無意味に人が死んだりする。その方がいい。
その方が博打の本質である理不尽な死、その淵に近づける。それが博打の本質だ。
てアカギが言ってた
275 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 23:39:10.44 ID:D/XDJAZ7O

由子「開票するのよー」

由子「二条泉は原村和なのー」

由子「滝見春は原村和なのー」

由子「真屋由暉子は原村和なのー」

原村さんの名前が読み上げられていく。10人読み終わり、全員原村さん。

和「文堂星夏は原村和なのー」

18人目の票が読み上げられ、原村さんの当選が確定すると、拍手が沸き起こった。

まだ私も大星さんの票も読み上げられていない。

負けたんだ。私の心の中で何かが閉じていく音がした。

由子「宮永咲はーー」

会場が水を打ったように静まり返った。

私は私の信じたものに殉じる。それでいい。その結果、どんな苦難が待っていようが、譲れない部分ってのはあるよー!

由子「大星淡!」

会場にどよめきが起きた。
276 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/18(木) 23:52:47.69 ID:D/XDJAZ7O

大星さんの眉が、ピクリと動いた。

皆、私の顔を見る。ある人は怪訝な顔で、ある人は心配そうに、またある人は憤り、ある人は嘲り笑う。

大星さんが原村さんに投じてもいい。これが私の選択だ。

原村さんの顔は見えない。でも、最後にしてやったりだ。思い通りにならない人間もいるんだよ!

由子「静粛に、静粛に」

由子「開票続けるのよー」

由子「大星淡は」

会場がかたずを飲んで、二の句を待った。

由子「大星淡なのー」

大星さんは目をつむって腕を組んだままだ。でも、口が笑っていた。

そうだ。彼女は大星淡。誰よりも負けず嫌いで、曲げられない女。

負けたらそこで死んでもいい。それが雀士だ。頂点に立てないのなら、せめて真っ直ぐ、死のう……!

277 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 23:58:22.43 ID:+Vrr4uL9o
もちろん咲さんはBAD ENDだけど孕村さん的にもBADやなあ
欲しい女結局手に入らないんだもん
278 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 00:07:17.02 ID:O54SgiC7O

透華「選挙、負けたらしいですわね」

咲「はい」

透華「ということは、原村が寮長っ……!制裁っ…!と、言いたいところですが」

透華「聞きましてよ。最後に原村の顔に泥を塗ったとかなんとか。おっほっほ、それは愉快ですわ!」

透華「あなたの票が読み上げられた時の原村和、ふぁみれすに入ったら隣の客がワキガだったときのような顔と伝え聞いておりますわ!」

透華「で、実際はどんな顔でしたの?どういう選挙でしたの?おきかせ下さいまし」

咲「ひどいんですよ、原村さん。最後の大星さんの説得の下りは全くの嘘。大星さん、最後まで新子さんとは顔も合わせなかったって」

咲「で、結局、500万円を餌に、私を屈服させて、アレをしゃぶらせようとしてたって」

咲「べーっ、って感じだよ、原村さんの、しゃぶるくらいなら死んだほうがマシ」

透華「おーっほっほ、痛快、愉快ですわっ!原村の思い通りにならないと、スカッとしますわね〜」

一「とーかも散々辛酸舐めさせられてきたからねぇ」

咲「りゅーもんさん、何かあったんですか?昔」

透華「そりゃ、もう、彼女が入園してきた時からのライバルですの、私達!あの頃は私もまだ表舞台にいましたから、そりゃ色々ありましたわ。通算では私が勝ってますのに、美味しい場面でことごとく…!」

純「役者が違うんだろー」

一「違うのは胸のサイズもだけどね」

透華「制裁っ…!一、制裁ですわ…!それは一線超えてましてよ!」バシバシ

咲「あはは」

一「笑いごとじゃないよぉ〜〜痛い痛いっ!」

選挙の話。りゅーもんさんと原村さんの過去。それで小一時間私たちは盛り上がった。
279 : ◆TZolALn9r2 [saga]:2018/01/19(金) 00:12:51.36 ID:O54SgiC7O

透華「あら?もう時間ですの?せっかく第1舎からいらしたんですから、もう少しゆっくりしていけばいいものを」

咲「美味しい紅茶、ありがとうございました。そろそろ門限もありますし」

一「じゃあね、咲ちゃん。達者で」

純「頑張れよ〜」

咲「そうそう、りゅーもんさん。大事なもの忘れていました」

透華「なんですの?」

やっぱり震えるなぁ。

手が、柔らかいところに触れるとこらえがたい激痛が走る。

骨の硬い部分に指を滑らせるように、眼球の周りに付着した肉を剥がし、奥をつまむようにして、引っ張った。

ぼちゃっと右目が抜ける音がした。

咲「500万円、返せそうもありません。私の右目で勘弁してください。」

血が滴り落ちる。右目が真っ暗だ。左目から、涙が洪水のように溢れ出ていた。

透華「受け取りましたわ。咲。これは私のコレクションの中でもとびっきりの思い出になりましてよ。一、簡単な手当をして、第1舎へ案内を」

一「無茶するなぁ。ほら、きれいなガーゼ突っ込んでおくから。あと、こまめに取り替えなよ、バイキン着いたら大変。」グリグリ

国広さんは慣れた手つきで、ガーゼを丸めて私の目に突っ込んで、眼帯をくれた。それでも血が滲んで来るのがわかる。

りゅーもんさんは宝石でも愛でるみたいに、血だらけの私の右目をうっとり見つめていた。

私の禊は終わった。あとは大星さんの番だ。

280 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 01:05:37.96 ID:kzQ30lEDO
結局原村はクサレ外道なんだな
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 01:07:41.11 ID:gHH9IxYEO
かっこいいな咲さん
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