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男「お前らは悪魔か?妖精か?」 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/16(日) 23:44:46.29 ID:WlFgZgSO
男「やばいぞ遅刻しちまう。急げ急げ」ドタバタ

母「ああそうだ男」

男「なんだよ」

母「あたし今日から家空けるから」

男「今回は何日間だ?」

母「1週間〜3ヶ月」

男「長いな」

母「お金は自由に使っていいから」

男「了解」

母「ほれ、早く行かないと遅刻するよ」

男「そうだった…。じゃあ行ってきます」ガチャバタム

母「問題は…あの娘たちがいつ来るか」
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/16(日) 23:46:33.71 ID:WlFgZgSO
女「おっはよう!男くん!」

母「ほほほははほうひっはほ(男ならもう行ったよ)」シャコシャコ

女「おはようございます!お母さん!」

母「………」シャコシャコ

女「歯磨きされてたんですか!どうもすいません!」

母「ほいまし(ちょい待ち)」タタタ

ペッ

ガラガラガラ

ペッ

母「おはよう女ちゃん。…でも男ならもう行っちゃったよ」

女「えっ!あっ!すいませんでした!」

母「遅刻するよ。送ってこうか?」

女「いえ!大丈夫です!じゃあ、行ってきます!」

母「…ああ、そうだ、これ」カサ

女「なんですか?」

母「この手紙を…男に渡しておいて」
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/16(日) 23:47:55.87 ID:WlFgZgSO
県立噛屍魔(カシマ)高校 2‐B

キーンコーンカーンコーン

男「案外余裕だったなぁ」

女「男くんっ!」ガラッ

男「おう、女」

女「ま、間に合ったぁ…」ヘナヘナ

男「走って来たのか?」

女「うん…。これを、お母さんから預かってて」カサッ

男「お袋が?手紙?」

女「うん…。大事な手紙なんじゃないかな」

ガラッ

教師「はーい座って座ってー!しっだーうん!」

女「じゃ、またお昼!」シュタッ
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/16(日) 23:54:15.23 ID:WlFgZgSO
教師「えーっと今日はですね!転校生を、転校生を、転校生!転校生をですね!紹介します!」

生徒A「転校生?」

生徒B「つかセンセ言い過ぎだって(笑)」

男「女の子…」

転「地獄から来た、テンコと申します」

教師「はい、じゃあテンコちゃんね、あの席に座ってね」

転「いえ、あそこがいいです。彼の隣」スッ

男「え?俺?」

教師「Non!Non!一番後ろの席です!」

転「分かりました…」
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/16(日) 23:55:29.00 ID:WlFgZgSO
授業後

生徒A「テンコちゃんだっけ?可愛いよね」

生徒B「なんかもうあれじゃね?ミステリアスじゃね?」

生徒C「く、く、黒髪ロング…」ハァハァ

生徒D「でもさ、隣の俺には見向きもしないで、ずっと男の方見てたぜ」

男「俺?」

生徒D「知り合いかなんか?」

男「初対面だな、多分」

転「あの、男さん」

生徒A「さっそくだ」

男「……な、なにか」

転「この学校の案内を」

男「…いいけど、普通は隣のこいつとかに」

転「私は男さんに案内してもらいたいんです」

男「ああそうなんだ…」

生徒D「行ってきな」
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/16(日) 23:56:29.24 ID:WlFgZgSO
男「えっと、テンコちゃん?」

転「はい」

男「いくつか聞きたいんだけども」

転「どうぞ」

男「転校生のテンコって……駄洒落だよな」

転「はい」

男「本名は?」

転「長いので、テンコでいいです」

男「えっ?」

転「次の質問どうぞ」

男「…じゃ、地獄から来たってのは、君なりのジョーク?」

転「いえ」

男「マジで地獄から来たってこと?」

転「はい。アメリカから来たくせに、ヨーロッパから来ました、なんて嘘は吐けないでしょう」

男「そういうもんか」
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/16(日) 23:58:05.27 ID:WlFgZgSO
男「地獄から来たってことは、当然地獄があるってわけだ」

転「当然です」

男「さらっとしすぎててむしろ信じやすい」 

転「事実ですから」

男「じゃあ君は、悪魔か」

転「いえ、特にそういうのではないですね」

男「あ、違うんだ」

転「地獄人です。日本人、みたいな」

男「地獄人なんだ、そうなんだ」
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:00:26.08 ID:c3awUsSO
男「君は俺のことを知ってるわけ?」

転「それはもう」

男「俺は君のこと知らないけどな」

転「地獄から見てましたよ」

男「怖いな」

転「手紙は読みましたか」

男「え?手紙?」

女『大事な手紙なんじゃないかな』

男「そういえば読んでないな…」カサカサ

転「読まないとまずいですよ」

男「分かった、読もう」
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:01:19.98 ID:c3awUsSO
『男へ
あたしが留守の間、あなたには私の姪たちの面倒を見ててもらいます
あたしの姉さんの子供たちで、全部で四人います
順番にあなたのところに来ると思うので、くれぐれも粗相のないように
母より』

男「………姪?」

転「はい。私の母は、あなたの姉です」

男「でも、5年前に死んだんじゃなかったか?葬式にも出たし」

転「そうですね。まぁその辺りは特に関係ありませんし、とりあえず帰りましょう」

男「学校の案内はいいのか?」

転「すぐに慣れるでしょう」

男「……まあ俺も、頭を冷やすか」
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:02:29.23 ID:c3awUsSO
男「ただいま」ガチャ

転「ここがあなたの家ですか」

男「築15年のアパートだ」

転「いい家ですね」

男「そりゃどうも。さ、上がって上がって」

転「邪魔するぞコラぁ!」

男「えっ!?」

転「ああ、すみません。つい地獄でのくせが」

男「地獄じゃそうやって人の家に上がるのか」

転「なにか甘い物はありませんか」

男「………ジュース、買ってくるよ」

転「おかまいなく」

男「自分から言っておいて何を言うか」
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:03:23.48 ID:c3awUsSO
転「………」

転「………」ソワソワ

ピーッ

転「!?」バッ

転「………炊飯器か」

転「中身は………」パカッ

転「ただのご飯…。カレーがよかったのに」

男「炊飯器じゃカレーは作れんよ」

転「…早かったですね」

男「アパートのすぐ下に自販機があるんだよ」

転「素晴らしい」

男「じゃあ、少し早いけど、飯食うか」

転「ぜひそうしましょう」
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:04:42.76 ID:c3awUsSO
転「………」ムシャムシャ

男「………」

転「………」ガツガツ

男「………」

転「食べないんですか」モグモグ

男「いや、すごい食いっぷりだな、と」

転「地獄人は雑食なんです」バクバク

男「それは関係なくないか?」

転「特に、肉は好んで食べます」ボリボリ

男「人間ってのはだいたいそうだ。お前がうまそうに食ってるのは漬物だけどな」

転「えっベーコンかと」

男「確かに少し硬いけどさ…」
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:08:11.26 ID:c3awUsSO
男「さて、飯も食ったし」

転「もう寝るんですか」

男「その前に風呂入ろうか」

転「風呂?」

男「知らないのか。熱い水を浴びるやつだ」

転「血のシャワーのことですか?」

男「てっきり俺は、拷問ですか、とか言うんじゃねえかと」

転「どっちもどっちでしょう」

男「とにかく、風呂入って」

転「はい」

男「血は出ないからな。出たら呼べよ」

転「分かりました」
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:09:11.04 ID:c3awUsSO
男「ああ疲れた」

男「片付けるか…」カチャ

転「男さーん」ジャー

男「…なに」

転「熱い水が出ませんよ」ジャー

男「…しばらく待ってみな」

転「どのくらいですか」ジャー

男「とりあえず2分?」

転「分かりました…熱いッ!」ジャー

男「少しズレてるんだな…」

転「水は、どうやったら出るんですか…!」ジャー

男「青い方をひねって」

転「青い方……冷たいッ!」

男「ああ、バカなんだな」
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:10:09.44 ID:c3awUsSO
男「着替えはどうすんだ」

男「…………」

男「背が結構あったからな…俺のワイシャツでいいか」

転「出ました」ガチャ

男「早いって!」

転「もう熱いのも冷たいのもこりごりです」

男「タオル!タオルで体を隠して!」

転「何故に」

男「目のやり場に困るからだ」

転「ちらっ」

男「なんか勘違いしてるよな。手をかかげるって…」

転「寒いです」

男「早く体を拭いて、このワイシャツを着なさい」

転「分かりました」

男「…まったく。常識は欠けてるけど、物分かりはいいんだよなぁ」
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:11:10.23 ID:c3awUsSO
転「着ました」

男「お、似合ってるな」

転「でもまだ足元が寒いです」

男「しまった。下着がないんだった」

転「このタオルを巻けば…」

男「ズボンなら用意するから、そういうのはやめてくれ」

転「なんかすみません」

男「いやいやそんな」

転「これからあと三人分の苦労をしますよ」

男「……まあなんとか慣らすよ」
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:12:01.60 ID:c3awUsSO
男「さて、ズボンも履いたな」

転「へくちっ」

男「……ほら、ティッシュ」

転「かたじけないです」チーン

男「ちょっと詳しく話を聞きたいんだけどな」

転「どうぞどうぞ。体重以外ならなんでも答えます」

男「じゃあな…。後三人、来るんだよな?」

転「妹と妹と妹が来ます」

男「長女なのか」

転「テンコです」

男「ああ、そうだったな」

転「三人はテンコじゃないですよ」

男「そうだろうな。で、三人ともあれか、フロム地獄なのか」

転「一応は」

男「地獄の四姉妹ねぇ…」
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:13:01.45 ID:c3awUsSO
男「地獄ってなんなんだ?」

転「ずいぶんアバウトな質問をしますね」

男「難しいか」

転「いえ、説明しましょう。地獄と言うのはですね、この天井よりもずっと高い、遥か遠くにあるのです」

男「ずっと高い遥か遠くって…それは天国じゃないのか?」

転「ててて…天国!?」

男「なんだ?」

転「テンコ天国怖い…テンコ天国怖い…」

男「てんてん言うな」

転「我々地獄人にとって、天国は恐怖ですよ、恐怖」

男「そうなのか…」

転「まぁお隣の国なんですが」

男「まるで日本と某国の関係みたいだな…」
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:13:55.45 ID:c3awUsSO
転「地獄にはたくさんの人がいます…。男、女、その中間…。のべ三千万人ほどです」

男「多いんだな」

転「ただしその内の七割が、拷問を受けています…現在進行形です」

男「地獄だもんな…」

転「具体的には、まだ固まらない熱い熱いアメで体を打つとか」

男「アメとムチならぬアメのムチか」

転「爪を一枚一枚剥いでいくとか」

男「鳥肌が」

転「最近の流行りは、長時間同じ音楽を聞かせ続けるやつです」

男「精神的に参っちまうな」

転「残りの三割は、のんびり暮らしてます。この日本とそう対して変わりませんね」

男「なるほどね」
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:20:49.20 ID:c3awUsSO
転「私たちは三割の方で、ぬくぬくと平和ボケしながら育ってきました」

男「地獄で平和ボケ…」

転「しかしですね、私たちにもピンチが訪れたのです」

男「何があった」

転「父の…地獄の不動産王の父の会社が…倒産したんです」

男「そりゃ大変だな」

転「父はやむを得ず私たちを母の祖国であるこの日本に送り込み、一人で生活を立て直すことにしたのです」

男「それでここに来たのか…」

転「末の子なんてまだ小学校に入ってないのに…」

男「同情するよ…。借金とかもあるんだろ?」

転「はい…日本円にして、およそ三十万円ほど」

男「……三十万?」

転「…三十万」

男「なんとかなりそうな気がするけどな」

転「そんな簡単じゃないんですよ」

男「そ、そうか」
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 00:22:01.08 ID:c3awUsSO
今日は寝ます
やっぱパー速で一発ネタやっても、人は来ないわな
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/17(月) 03:49:25.54 ID:pZR5HwDO
VIP+でやってた?
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 08:54:18.86 ID:c3awUsSO
転「私たちはしばらくここにいますが、父の借金返済のめどは一切立っていません」

男「いつまでここにいることになるのか、分からんのだな?」

転「はい」

男「まぁ、俺としちゃ問題ないけどな」

転「それはありがたい」

男「ただ、やっぱり、まだ三人来るってのが引っ掛かってるんだよ」

転「妹たちですか。いい子ですよ」

男「どんなにいい子でも、一度に四人の面倒を見るなんて、さすがにキツいよ」

転「いえ、妹たちの面倒は私が見ます」

男「大丈夫か?」

転「昔からそうだったので。なにより、男さんに迷惑を掛けすぎちゃダメでしょう」

男「さすが長女だ。感心感心」
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 08:54:52.12 ID:Jl/8zgDO
面白いから続けr…続けてください。
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 09:01:45.45 ID:c3awUsSO
男「妹たちはいつ来るんだ?」

転「三人ともそれぞれ別々の手続きが必要になるので、同時に来ることはないでしょう」

男「手続きが必要なのか。いや、当然っちゃ当然だな」

転「次に来るのがどの子かは分からないけど、たぶんすぐに来ると思います」

男「じゃあ食い物とか用意しないとな…」

転「お手伝いしましょうか」

男「そうだな…明日は買い物に行こう」

転「なんだか夫婦みたいですね…」

男「俺は突然帰って来た嫁を迎える、実家のおばあちゃんを演じてる気分だ」
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 09:53:26.58 ID:c3awUsSO
転「他になにかありますか」

男「ない、と思う」

転「そうですか。じゃあもう寝ましょう」

男「寝ましょうったって…まだ8時前だぞ」

転「眠いんです」

男「…分かった。布団敷いてやるから、ちょっと待ってろ」

転「一緒に寝ましょう」

男「ああ………」

男「えっ?」
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 09:56:40.49 ID:c3awUsSO
転「私たちはいつも四人くっついて寝てましたから」

男「いやいや」

転「いいじゃないですか。同じ鎌の飯を食った仲ですし」

男「釜の字が違う!」

転「寝ましょう、寝ましょう」

男「分かったよ!ただし、妹が一人でも来たら、そいつと寝ろよ!」

転「誤解されちゃ困るんですか」 

男「うるさい」

転「すみません」
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 10:04:20.45 ID:c3awUsSO
転「では先に寝ます。おやすみなさい」

男「明日は休みだからな」

転「ぐーっ」

男「…寝付くの早いな。俺がいなくてもいいんじゃないか?」

転「ぐー……」

男「………」

転「くー……」

男「まぁ悪い奴じゃないし、(可愛いし、)一緒に寝るくらいなら別にいいか」モゾモゾ

男「おやすみ…」




バリーン!!
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 10:06:49.49 ID:c3awUsSO
男「…なんだ今の!」ムクッ

バッサバサ

男「………とり?」

バサバサバササ

男「……暗くてよく見えん」

転「ぐーっぐーっ」

男「ああ、夢かぁ」バタッ

?「………」

?「姉さまと…一緒に…」

?「………Fuckin'」
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 10:10:22.83 ID:c3awUsSO
翌朝

男「ふわあ……」

男「眠い……」

男「………ん?」

男「ガラスが割れてる」

男「……そういや昨日」

男「夢じゃなかったのか?」ムクッ

ガリッガリッガリッ

男「………」ヒョコ

男「げ」

?「………」ガリガリ

男(冷凍のたこ焼きを…解凍せずにそのまま食ってる)

男「まさか……」

男「テンコの妹!」
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 10:19:47.76 ID:c3awUsSO
男「おい、テンコ、テンコ!」ボソッ

転「むにゃむにゃ…」

男「起きろ、起きろ!テンコ!」ギュウウ

転「ほっぺはほふねららいれ!(ほっぺたをつねらないで!)」

男「妹が来たっぽいぞ!」

転「えっ」パチッ

男「勝手にたこ焼きを食い荒らしてる」

転「どの妹ですか」

男「起きて自分で確認しろ!」

転「はーい」ムクッ

男「窓ガラスまで破って…」

転「あっ!」

?「!」ビクッ

転「クロ!」

?「姉さま!」
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 10:28:48.26 ID:c3awUsSO
男「クロ…って言うのか」

クロ「姉さまー!」

転「…いつの間に来てたんですか」

クロ「姉さまが寝ている間に」

転「それは気付かなんだ」

クロ「まさか男の人と一緒に寝てるとは思わなかったけど」

転「あ、あれはあの人が無理矢理…」

男「な、何を言ってんだ!」

転「昨夜、あれだけ激しくされたのに…お忘れになられて?」

男「違うだろーが!お前がなんか寝ましょう寝ましょう言うから…」

転「冗談ですよ、冗談!」

男「ったく…」

クロ「最低」

男「えっ」

クロ「最悪」

転「信じちゃったみたいです」

男「いきなり好感度落とすなよ!」
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 10:40:08.98 ID:c3awUsSO
クロ「…それじゃ、姉さまは昨日着いたばかりなのね」

転「そうそう。他の二人は明日くらいには来るんじゃないですかね」

クロ「インはともかく、シロは遅くなると思うわ」

転「シロはインと一緒ですよ」

クロ「そうなの?」

転「さすがに一人じゃ無理でしょう」

クロ「姉さまが連れてくればよかったんじゃないの?」

転「ぶっちゃけ面倒」

クロ「一理あるわね」

男「長女テンコ、次女クロ、三女イン、四女シロ…か?」

転「上から順に、16歳、13歳、10歳、6歳です」

クロ「13歳から下の面倒を見るって、下手したら犯罪につながるわよね」

男「なに怖いこと言ってんだ」

クロ「まぁとにかく、よろしく」
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 11:01:53.34 ID:c3awUsSO
男「なあクロ。その背中に背負ってるのはなんだ?」

クロ「ギターよ」

男「ギター?何でそんなものを?」 

クロ「ここに来るとき、一つだけ道具の持ち込みを許可されたの。だから、これを持って来たわ」

男「道具?」 

クロ「地獄兵器よ」

男「なんだそれ」

クロ「姉さまから何も聞いてないの?」

男「地獄兵器?ってのは知らんな…」

クロ「私たち地獄人は、一人につき一つだけ、能力が与えられているの」

男「能力?」

クロ「私の能力は―」

ゾワワワワワ

男「羽が…!」

クロ「そう、『漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)』よ」

男「なんかめちゃくちゃカッコいい名前だな…」

クロ「そして、私たちはそれぞれ特定の道具を所持することで、地獄以外でも自由にこの能力を使えるようになるのよ」

男「それがギターなのか…」

クロ「いわゆる電池みたいなものね。地獄ではコンセント、ここでは電池(ギター)」

男「なるほど…。テンコも使えるのか?」

転「……はい?」

男「今完全に油断してたよな…」
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 11:08:27.93 ID:c3awUsSO
男「お前にもあるんだろ?能力が」

転「もちろんありますよ」

男「どんな能力なんだ?」

転「超能力です」

男「すごいな。見せてくれよ」

転「無理ですよ。私、道具がないですもん」

男「えっ?」

転「道具がないと、能力は使えないんです」

男「クロから聞いたよ」

クロ「姉さま、指輪、持ってきてないの?」

転「だって、危ないじゃないですか」

男「そうなのか?」

クロ「姉さまの能力『危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)』は見えない手で物を動かせるのよ」

転「防衛術って感じですよ。車が突っ込んで来たら弾き返す、バイクが突っ込んで来たら弾き返す、自転車が突っ込んで来たら弾き返す…」

男「地獄ってのはそんなに交通事故が多いのか?」
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 11:12:36.03 ID:c3awUsSO
男「じゃあ落ち着いたし、買い物行くか」

転「もう少ししてからにしましょうよ」

男「だらけてるんじゃない。ほら、さっさと行くぞ」

クロ「私は?」

男「……そうだな、お前も行くか」

クロ「あなたと姉さまを二人きりにさせるなんて、不安で気が狂いそうになるわよ」

男「あーそうですか」

転「じゃあ面倒だけど、行きましょう」

クロ「レッツ買い物、よ!」
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 11:22:03.09 ID:c3awUsSO
転「いい天気ですね…、いやホントに散歩日和って感じで…」テクテク

男「そうか?普段と変わらん気がするが」テクテク

クロ「地獄は基本的に暗いのよ」テクテク

男「あー、そういうイメージあるな」テクテク

転「なのに野菜がちゃんと育つ。不思議ですね」テクテク

クロ「農薬の量が半端じゃないけど」テクテク

転「どうしてそう…夢のないことばっかり言うかなぁ…」ピタッ

クロ「だって事実でしょ」

転「もっと子供っぽいこと言ってくださいよ」

クロ「…雀が可愛いわ」

男「子供っぽいかどうかはビミョーなとこだ…」
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 11:27:25.16 ID:c3awUsSO
男「しかしお前ら…長女と次女なんだよな?」

転「そうですが何か」

男「見た目は似てるが、中身は全く別物だな」

転「似てますかね?」

男「髪が真っ黒で長いだろ」

転「他には」

男「他には…」

男(目は、クロの方が若干鋭いな…。背丈も、テンコは大きい方だが、クロは小さい…)

クロ「胸の大きさとか」

男「ああ、確かに似てるな。小さい」

転「何だとコラ」
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 11:38:17.67 ID:c3awUsSO
男「冗談だ」

転「そうですか」

男「さぁ、着いたぞ」

転「ここですか?」

男「そうだ」

転「またまたご冗談を」

男「いや、冗談じゃないぞ」

クロ「あ、もしかして、この裏にあるのかしら?」

男「これだって。裏は駐車場だよ」

転「なん…」

クロ「…だと?」

男「え?え?」

転・クロ「でかいっ!」
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 11:53:21.54 ID:c3awUsSO
男「でかいか…?」

転「なにこれ!でかい!すっげぇ!」

クロ「こんなコンビニ、見たことないわ!」

男「コンビニじゃねーよ!」

転「違うんですか?」

クロ「肉屋?八百屋?」

男「スーパーだよ、スーパー」

転「スーパーコンビニエンスストア!?」

男「ただのスーパーだって!知らないのか!」

転「知らないです」

クロ「地獄にあるコンビニと、何が違うの?」

男「地獄にはスーパーがないのか…。まあ要するに、コンビニの拡大版だな」

転「はああ…すごい」

クロ「これ…地獄にはできないのかしら…」

男「コンビニしかないのか…そうか…」
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 12:36:24.80 ID:bOoChcAO
普通に面白いな
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/17(月) 14:15:37.82 ID:VJ31Beso
でもなんか淡々としててセリフだけっていうのが
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 15:04:29.63 ID:c3awUsSO
ウイーン

転「ほお…」

クロ「広い…」

男「入り口で立ち止まるなよ…」

転「何を買うんですか」

男「一週間分の飯だな」

クロ「四人分?」

男「俺に食わせないつもりか?五人分だよ」

クロ「じゃあ私たちはその辺を見てるわ」

男「そうしろそうしろ」

転「すごいなぁ…野菜がこんなにたきさん売ってる…」

クロ「見て姉さま。スイカが売ってるわ」

男「こんなふうにいちいち感動されたら、買い物どころじゃないからな…」
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 16:16:00.42 ID:r2RianEo
支援
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/17(月) 16:56:53.98 ID:Ed4rDVgo
これは期待
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/17(月) 17:21:57.55 ID:DxtP0L6o
>>42
  そだ  |------、`⌒ー--、
  れが  |ハ{{ }} )))ヽ、l l ハ
  が   |、{ ハリノノノノノノ)、 l l
  い   |ヽヽー、彡彡ノノノ}  に
  い   |ヾヾヾヾヾヽ彡彡}  や
  !!    /:.:.:.ヾヾヾヾヽ彡彡} l っ
\__/{ l ii | l|} ハ、ヾ} ミ彡ト
彡シ ,ェ、、、ヾ{{ヽ} l|l ィェ=リ、シ} |l
lミ{ ゙イシモ'テ、ミヽ}シィ=ラ'ァ、 }ミ}} l
ヾミ    ̄~'ィ''': |゙:ー. ̄   lノ/l | |
ヾヾ   "  : : !、  `  lイノ l| |
 >l゙、    ー、,'ソ     /.|}、 l| |
:.lヽ ヽ   ー_ ‐-‐ァ'  /::ノl ト、
:.:.:.:\ヽ     二"  /::// /:.:.l:.:.
:.:.:.:.:.::ヽ:\     /::://:.:,':.:..:l:.:.
;.;.;.;.;;.:.:.:.\`ー-- '" //:.:.:;l:.:.:.:l:.:
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 18:33:50.35 ID:c3awUsSO
これどのくらいのペースで書いていけばいいんですかね
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/17(月) 19:14:38.63 ID:VJ31Beso
サルさん食らわない程度にでいいいんでね
個人的には10分程度でも十分だとおも
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 20:32:14.37 ID:c3awUsSO
男「これと…これ……これもだな」ポイポイ

男「よし。あとは、あいつらになんか買ってやるか」

男「………」

男「どこ行った?」


転「これ…犬の餌ですよ」

クロ「すごいわ…スーパーってだけあって…」

転「ほら!文房具!コンビニの数倍ありますよ」

クロ「欲しい…スーパーが欲しいわ!」

男「こらお前ら。あんまり騒ぐんじゃあ…」

転「男さん!ヤバいですよ、ここ!」

クロ「カニが売ってるのよ!空っぽの!」

男「は?」

クロ「これよ!ほら!」

男「ズワイガニの缶詰…」

クロ「空っぽでしょ?」

男「高いからな…盗難防止だ。しかしよくまぁ、しょうもないことに気付くな」
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 20:51:51.38 ID:c3awUsSO
男「なんか好きなもん買ってやるよ」

転「ホントですか」

クロ「じゃあこのカニを…」

男「ダメ。高い」

クロ「好きなもん買ってやるよって言ったじゃない」

男「カニなら安いのでいいだろ?」

クロ「…別にカニはいらないわ」

男「何にする?」

転「じゃあ…これを…」

男「スイカ?」

クロ「姉さまはスイカを食べたことがないのよ」

転「地獄のスイカは高いんですよ…。これならいいですよね?」

男「じゃあ二人でこれ一つな」

クロ「ま、いいわ」
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 22:17:00.05 ID:c3awUsSO
続きやるか
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 22:42:04.18 ID:c3awUsSO
男「ただいまーっと」ガチャ

クロ「待って。玄関になにか置いてあるわよ」

男「回覧板だよ」

転「廻爛播…?」

男「なんだその当て字」

クロ「なんて書いてあるの?」

男「えーっと」ペラ

男「ああ、町内運動会のお知らせだ」

転「運動会ですか?」

男「毎年恒例の行事だ。近くの小学校のグランド借りて、運動会やるんだよ」

転「なるほど」

男「出てみるか?」

転「いや、面倒なので遠慮します」

クロ「私も…」

男「お前らってどうしてこう…怠惰なんだよ…」
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 22:48:42.14 ID:c3awUsSO
男「さあ、昼飯食うか」

転「何作ってくれるんですか」

クロ「私、チャーハンが食べたいわ」

男「残念ながら夏といえばそうめんだ」

転「えーっ」

クロ「えーっ」

男「文句言わない。準備できたら呼ぶから、それまで二人で遊んでなさい」

転「じゃあ私は手伝います」

男「おい、今の聞いてたのかよ?」

クロ「それなら私はギターを弾くわ」

男「わけが分からん。まぁ聞きたいけどさ」

クロ「〜♪」ギギャギャ

男「しかも下手だし…」

クロ「下手って言わないで!好きでやってるんだから!」
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 22:57:21.33 ID:c3awUsSO
男「…じゃあテンコは、シソを刻んでくれ」

転「それはつまり、私に包丁を持たせるってわけですね」

男「そのまんまだよな」

転「私は地獄にいた頃は…『剣帝』と呼ばれていたんですよ」

男「じゃあ剣帝さんよ、スイカも切っておくれ」

転「ふふふ……腕の見せどころですね」ザクザク

男「おい!おい!まな板!まな板使えよ!」

転「誰の胸がまな板だァーッ!!」

男「そんなこと言ってないって!まな板の上にシソを乗せろ!直接机の上に置くな!」

転「地獄じゃあ、野菜は放り投げて上空で切るんですよ。それよかマシじゃないですか」

男「いやいやいやいや!おかしいって!」

クロ「うーべいびーごーるーず!」ギャギャッギャッギャルン
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/17(月) 23:05:05.97 ID:c3awUsSO
男「もういいから、次はスイカを切れ!間違っても投げたりするなよ!」

転「はいはい。おーい、クロちゃん」

クロ「何?」

転「スイカ割りしましょう」

男「ちょっと待てコラ」

転「…はい」 

男「座りなさい」

転「すみません、真面目にやります」

男「お前には、料理を任せられん」

転「地獄では、上手にできたんですよ」

男「ここは日本。郷に入らば郷に従え、だ」

転「Goに入らばGoに従え、ですか」

クロ「ごーごーごーごーごー!」ギャギャギャギャギャーン

男「分かった。お前ら俺をからかってんだな?」

転「いやいやまさか」

男「もう手伝いはいいから、二人でテレビでも見てな」
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/18(火) 01:24:59.42 ID:3Tj9gEDO
しえ
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 08:54:53.89 ID:hpdOyESO
今日も今日とて書くし
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 09:25:19.01 ID:hpdOyESO
男「まったく…」ザクザクザク

『〜♪』

男「何見てるんだ…?」

男「!」

転「今夜は雨ですか」

クロ「今のままだと降りそうにないけど」

男「お天気チャンネル…誰が見るんだよ、って思ってたが」

男「お、おーい…。なんかさ、もっと楽しいの見ようぜ?」

転「いえ、天気は大事ですので…」

男「テレビから視線を外そうともしねぇ…」

クロ「今夜から明日にかけて雨だそうよ」

男「そーかい…。新聞置いとくから、飽きたらチャンネル替えろよ」

転「…明日には…来ますかね」

クロ「晴れたら…来るわね」

男「?」
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 10:10:52.47 ID:hpdOyESO
男「よし、できたぞ」

転「じゃあ食べましょうか」

クロ「食べましょう食べましょう」

男「おう。食え食え」

転「いただきまー…」

クロ「待って姉さま」

転「…す?」ピタッ

男「ん?」パタパタ

クロ「食べないの?」

男「そうめん茹でたら汗かいちゃってさ……少しこれで涼んでる」パタパタ

クロ「……貸して」パッ

男「あっ、今使って…」

クロ「涼しい?」パタパタ

男「…涼しい。ありがとな」

転「……いいなぁ」

クロ「一緒に食べましょ。せっかく三人でいるんだから」パタパタ

男「そうだな…」
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 11:08:35.75 ID:hpdOyESO
男「………」ズルズル

転「………」ズゾゾゾ

クロ「………」ズズズ

男「シソ足りるか?」

転「ふぁいひょうふれふよ(大丈夫ですよ)」モグモグ

クロ「それよりめんつゆが足りないわ…」

男「冷蔵庫に入ってるから、勝手に足していいぞ」

クロ「それじゃさっそく」ガチャ

転「夏はやっぱりそうめんですね」ズル

男「だなー。これ食ったらスイカもあるぞ」

クロ「スイカ割りはしないのね」

男「しないっつーの」ズルズル
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 12:50:21.31 ID:hpdOyESO
男「ごちそうさま」

転「ごちそうさまでした」

クロ「ごちそうさま」

男「さ、次はスイカだ」

転「もう切ってありますか?」

男「まだ冷やしてある」

転「私が切ります!私が!」

男「ダメだ!お前に包丁は渡せない!」

転「じゃあ、お願いがあるんですけど」

男「ん?」

転「ごにょごにょ」

クロ「…姉さま?」


男「ほれ」ドン

転「わー!ありがとうございます!」

クロ「ま、待って!なんで私と男は4分の1個ずつなのに、姉さまは半玉食べれるのよ!」

男「だってテンコが…」

クロ「ね、姉さま」

転「〜♪」ガブッ

クロ「あーっ!」

男「すまん…」
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 17:32:09.76 ID:hpdOyESO
転「スイカごちそうさまでした…」

男「種まで食い尽くしたのか」

クロ「姉さまのいじわる…」

転「なんか食べたら眠くなってきました…」

男「食ってすぐ寝ると、牛になるぞ」

転「え?鶏ですよ?」

男「牛だろ?」

クロ「地獄では、鶏なのよ」

男「またそれか…。まあとにかく、布団はそのままにしてあるから、寝るなら寝なさい」

転「ではそうさせてもらいます…」モゾモゾ

男「おやすみ…」

転「くかー……」

男「だから早いっつの」
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 17:40:01.66 ID:hpdOyESO
男「さて、暇になったなぁ」

クロ「そうね…」

男「また買い物にでも行くか」

クロ「何を買うの?」

男「…ほら、ここにいる間に、なんらかの娯楽が必要になるだろ?本とか買ってやろうか」

クロ「本はいらないわ」

男「何がいるんだ?」

クロ「…服。これ一着しか用意してないから」

男「ああ、服か……」

男『服大量に買う→痛い出費』

男「……!」

男『お袋の金→自由に使える』

男「よし、服な!買ってやろう!」

クロ「今、何考えてたの…?」
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 17:45:45.39 ID:hpdOyESO
男「じゃ、行くか」

クロ「姉さまは?」

男「置いてくよ。起こしたら悪いだろ」

クロ「そうね…」

ガチャ

男「やっぱ暑いなぁ。ホントに雨なんて降るのか?」

クロ「天気予報ではそう言ってたのよ」

男「天気予報って案外当てにならないんだぞ」

クロ「地獄の天気予報は正確よ」

男「なんでだ?」

クロ「雲の上だから、天気が変わったりしないのよ。いつも暗いけど」

男「…雲の上か。お前らは、生きている人間なんだよな?」

クロ「ここに存在しているんだから、当然そうでしょ」

男「だよな、そうだそうだ」
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 18:03:13.74 ID:hpdOyESO
男「着いたぞ」

クロ「わぁ大きなお店」

男(ユニクロにしようかと思ったが、一応おしゃれしたい年頃の女の子だしな…)

男「色々見てみな」

クロ「へぇ…」キョロキョロ

男「俺も新しいTシャツが…」

クロ「これにするわ」

男「……えっ?もう決めた?」

クロ「これとこれとこれ、あと、それも」

男「いやいや…。全部黒のワンピースじゃん…。今着てるやつとほぼ同じだろ」

クロ「これがいいの」

男「ひょっとして、黒色大好きなのか?だから名前も…」

クロ「本名はクロノ・ヴィーノ・トリアンテ・ラルバよ」

男「そんな複雑な名前なのか…」
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 18:26:43.92 ID:hpdOyESO
男「て言うか、日本語話せるのはなぜ?名前からして日本からはほど遠いが」

クロ「地獄人は、ほとんどの言語を幼いうちに習得するのよ」

男「超エリートじゃないか!」

クロ「ちなみに日本人的な名前にすると暗闇黒子」

男「嘘だろ」

クロ「あたりまえじゃない」

男「とにかく、これでいいんだな?同じようなのばっかりで」

クロ「ええ」

男「あ、テンコの分は?」

クロ「姉さまは…基本的におしゃれとかそういうのには無頓着だから…」

男「テキトーに選んじゃうか」

クロ「まぁ、あなたに任せるわ」
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 19:41:20.01 ID:hpdOyESO
男「よーし…。これでいいな…?」

クロ「結構買ったわね…。女の子の前だからって、見栄張っちゃダメよ」

男「買ってもらえるだけ感謝しろよ?全部で二万六千円だぞ」

クロ「ふふ…そうね。ありがとう」ニコッ

男「……あ、後でアイス買ってやるよ」

クロ「いいの?」

男「さっきのスイカの分。これで文句なしな」

クロ「ええ、もちろん」

男「………」

男(なんか、こう…いろいろと可愛いな)
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 20:48:11.80 ID:hpdOyESO
男「ほれ、アイス」

クロ「ありがと」

男「……なぁ」

クロ「なに?」ペロペロ

男「地獄って、どうなんだ?」

クロ「どうって?」

男「アイスは買えるのか?服は?スイカは?」

クロ「アイスはコンビニで買えるわ。服も、小さな服屋があるからそこで買える。スイカは、ビニールハウスに行けば…」

男「ま、田舎って感じだな」

クロ「地獄はこれで大都市なの。もっと、ホントに何もないような場所もあるわ。昔、拷問に使われてた土地とか…」

男「拷問って、今も行われてるんだろ?」

クロ「そうね。罪人は一向に減らないもの」

男「…その罪人って、どっから涌いてくるんだ?」
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 21:01:26.86 ID:hpdOyESO
クロ「…流刑、って分かる?」

男「ああ、罪人を辺鄙なところに送り込むやつだろ」

クロ「その辺鄙なところが、地獄よ」

男「えっ?えっ?流刑って、昔の話だろ?」

クロ「…今も世界中の国、いえ、正しくは死刑制度を採用してる国ね。そこでこっそり行われているわ」

男「てことは、日本もか?」

クロ「そうよ」

男「こっそり送り込まれてるのか」

クロ「私たちがここに来るのと同じように、罪人も地獄に連れていかれるわ」

男「な…」

クロ「もちろん各国の偉い人は、このことについては必ずだんまりよ。あなたは今、国家機密に触れたわね」

男「えっ?俺も消されるのか?」

クロ「そんなことはないけど」

男「びっくりさせるなよ…」

クロ「でもいつかあなたが、凶悪な事件を起こして死刑になるのだとしたら…」

男「……」

クロ「地獄に、来るかもしれないわね」
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 21:12:52.36 ID:hpdOyESO
男「……お前」

クロ「なに?怖くなってきた?」

男「なんでそんなに詳しいんだ?」

クロ「…地獄では、幼いうちからいろんなことを学ぶのよ。特に、この国を含んだ海外の事情なんかは、しっかりと教わるわ」

男「テンコがいろんな国の言葉を話せるって言ってたが、マジなのか」

クロ「私も姉さまほどじゃないけど、結構話せるわよ。特に日本語と英語と中国語とロシア語は、真剣に勉強したんだから」

男「すごいなぁ」

クロ「私たち姉妹は、かなり裕福だったから、勉強するには最適の環境にいたわ。地獄には、教育が全く行き届かない場所も多いのよ」

男「ふむ…。確か七割が拷問をする人間と受ける人間で、残りの三割がお前たちみたいな人間なんだよな」

クロ「嫌な言い方をすると、下流集団と上流集団ね…」

男「複雑なんだな」

クロ「ホントにそう思うわ」
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 21:23:40.22 ID:hpdOyESO
男「ただいまー」

クロ「姉さまは…」

転「何してたんですか、二人とも」

男「うおっ!びっくりした!」

転「なんですかその荷物…。まさか、デートですか?昨日今日知り合ったばかりの娘と、デートですか?」

男「違うっつーの。買い物に行ってたんだよ」

転「買い物なら行ったじゃないですか。そんな見え透いた嘘、私には通じませんよ」

クロ「服を買ってきたのよ」

転「服…?」ピクッ

クロ「もちろん姉さまの分もあるわ」

転「ああ、そう…」

男「………」

転「クロ!大好きですよ!」

男「待てやコラ」
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 21:32:05.10 ID:hpdOyESO
転「ひ、ひたいれふ!(い、痛いです!)」

男「さんざん言った挙げ句、クロ!大好きですよ!だとぅ?」ツネ

転「ひぶひぶ!(ギブギブ!)」

クロ「姉さまの服を選んだのは、彼なのよ」

転「へっ(えっ)」

男「そうだ」パッ

転「……く、クッキーがあったので、それでも食べましょうか」

男「ったく…。サイズとかはおおざっぱに選んだから、文句は言うなよ」

転「男さんって案外優しいんですね」

男「そりゃいつまでも、人のワイシャツとズボンでいさせるわけには……」

男「あっ」

転「どうしました?」

男「し、下着も買わなきゃまずかったか」

転「あー…年頃のあなたとしてはキツいでしょうね」

クロ「……姉さま、二人で買いに行きましょ」
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 21:43:49.17 ID:hpdOyESO
パー速って反応がないから怖いわ
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/18(火) 21:44:12.68 ID:M4jiWKMo
VIPよりかはマシだろ
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 21:52:39.45 ID:hpdOyESO
もっともかもしれんね

男「じゃああれだ。金渡すから、買いに行くなら行ってこい」

転「場所が分からないんですが」

クロ「私は分かるわ」

男「よし、じゃ、これで足りるだろ。なくすなよ」

転「行ってきます」

クロ「行ってきま…」

プルルルルルルル プルルルルルルル

クロ「…電話ね」

男「もしもし」

母『ああもしもし、男?』

男「お袋か。なに?」

母「いや、やっと連絡入れる余裕ができたから。手紙は読んだ?」

男「読んだ。テンコとクロなら、今そこにいるぞ」

母「テンコ…?ま、とにかく、確認したかっただけ。また後で連絡するわ」

男「…そっちは今、何時なんだ?」

母「深夜の二時だけど」

男「そうか…まぁいいや、じゃあ」ガチャン 

クロ「…行ってきます」
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 22:36:04.59 ID:c4bUc.AO
>73
淡々とした空気が気に入って読んでる
あんまり余計なレスつけると空気壊すかと思って抑えてたんだが

読んでてすごく居心地がいいので気に入ってます
続き楽しみにしてるので頑張ってください!
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 23:04:11.34 ID:hpdOyESO
パー速はゆっくりやれるから、すごく気が楽


男「俺もなんか眠くなって来たなぁ…」

男「あいつらが帰ってくるまで、昼寝してるか…」

男「くぁあ……」

ドンドン

男「ん?」

?「開けてください!ガスの集金です!」

男「んなバカな…」

?「じゃあ、ピザを届けに参りました!」

男「頼んでませんが」

?「………わ、私の名は」

男「?」

?「シルバ・メイズ・トリアンテ・ランバ!」

男「…三女?四女?」

?「さぁ、開けて開けて!」

男「まぁいいか、話くらいは聞いてやろう…」ガチャ
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 23:16:42.49 ID:hpdOyESO
?「さぁ出てこい四姉妹!」

男「え?」

?「あいつらは!四姉妹はどこに!?」

男「四姉妹ってか、二人しかいないぞ」

?「姉妹はどこに!?」

男「えーと、その、し、下着を買いに出かけてる」

?「留守か!」

男「まあ、そんな感じだ」

?「じゃあいいです。また来ます」

男「いや、お前誰だよ」

?「だから、シルバ・メイズ・トリアンテ・ランバだって!」

男「地獄四姉妹か?」

メイ「いや、私はやつらの…」

男「やつらの?」

メイ「メイドです……くぅ」

男「あいつらのメイド…さすが金持ち」
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 23:31:09.85 ID:hpdOyESO
男「で、そのメイドが何の用だ?」

メイ「あいつらに復讐しに来たんデスヨ!」

男「復讐?なんで?」

メイ「あいつらの暴虐な振る舞いと言ったら…長女は私に散らかった部屋の片付けをさせる」

男「ふむ」

メイ「次女は買い物に行かせる」

男「ほう」

メイ「三女は食事の準備をさせる」

男「うんうん」

メイ「挙げ句四女は、私に乗ってお馬さん遊びデスヨ!?」

男「メイドとしての仕事を全うしてるんじゃないか」

メイ「おかげで私の体はガタガタ!最悪デスヨ!」

男「四姉妹のメイドをやるのが、嫌になったわけだな?」

メイ「その通リ!」

男「そうかそうか。じゃあ今日は帰ってくれ」

メイ「また出直しますカラネ!」

男「どうぞどうぞ」バタン
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 23:46:34.74 ID:hpdOyESO
男「ぐー…ぐー…」

転「ただいま帰りました」ガチャ

クロ「さっさと帰って来たわよ」

男「ん…おかえり…」

転「いろいろ買って来ましたよ」

男「ああ、そう…」ゴロ

転「………」

クロ「あっ」

男「…なぜ後ろからくっつくんだ」

転「真似してるんです」ギュウ

男「暑い…」

転「クロ!うちわを!」

男「そーじゃないっつーの」

クロ「私も寝るわ」ギュウ

男「あっ!こら!正面はもっと暑いだろ!」

クロ「その扇風機を使えばいいじゃない」

男「そうじゃなくて…」

プルルルルルルリ プルルルルルルル

転「電話ですよ」

男「ほら、どいたどいた!」ムクッ

男「はいもしもし!」

母『おはよう男』

男「ずいぶん早起きだな…」
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/18(火) 23:57:07.28 ID:hpdOyESO
母「当たり前。私だってまだまだ若いんだから」

男「あーそうだな。36はギリギリ若いな」

母「あの娘たちは」

男「いるよ」

母「変わって」

男「長女か次女か、どっちに」

母「とりあえず長女で」

男「はいはい」

男「おいテンコ。お袋だぞ」

転「おばさま!?」タタタ

転「はい!ただいまお電話替わりました!」

母「元気そうでなによりだ」

転「それはもう!」

母「いつ来たの」

転「昨日の朝ですね」

母「思ったより早かったね。男に変なことはされてない」

転「まだ大丈夫です!まだ!」

母「そう。じゃあ、クロに変わって」

転「はいはい!」
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 00:02:49.97 ID:X8GOFoSO
母「もしもしクロ」

クロ「お久しぶりですおばさま」

母「元気?」

クロ「もちろんです」

母「そう。あなたはいつ来たの」

クロ「昨夜です」

母「ずいぶん早かったね」

クロ「はい。準備が案外すんなりと進んだので」

母「あとの二人も早く来ればいいんだけど。男に変なことはされてない」

クロ「まだ大丈夫です」

母「さすが姉妹。じゃあ、男に変わって」

クロ「分かりました」

男「また俺?」

クロ「ええ」

男「今度はなんだ?」

母「優しくしてあげてね」

男「そんな心配いらないって」

母「それならいい。じゃあ」ガチャン

男「眠いんだな。やけに早口だった」
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 00:13:08.08 ID:X8GOFoSO
転「ああおばさまとの会話が頭から離れない…」

クロ「姉さま私めまいがするわ」

男「おいおい、なんなんだよ」

転「おばさまの声を聞くだけで…なんというか…その…」

クロ「頭の中が熱くなって、溶けてしまいそうになるの…」

男「えーっ…?」

転「はっ…!男さんは、おばさまのご子息なんですね」

クロ「改めて考えてみると、そうね」

男「なんだよ急に…ご子息って…」

転「ご子息様ぁ…」ギュウ

クロ「よく見たらおばさまに似てて…素敵ね」スリスリ

男「暑さでやられたか?もう寝ろよ!」

転「はふぅ…」バタン

クロ「ふにゃあ…」トサッ

男「お袋に何のカリスマ性が…」
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 10:31:24.07 ID:viqolLA0
面白い
支援
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 15:36:04.63 ID:X8GOFoSO
男「ああそうだ。さっきさ、客が来たんだ」

転「客?誰ですか?」

クロ「妹たち?」

男「いや、お前らのとこのメイドが…」

転「ああ…メイですか」

クロ「何しに来たの?」

男「復讐がなんだと騒いでた」

転「復讐ですか…ウチのメイドが迷惑をおかけしました」

男「なんなんだよ」

クロ「ホントに、次からはもう、気付かないふりをするくらいがいいわ」

男「そ、そうか」

転「わざわざ来たってことは、当然やられる覚悟があるんでしょうね」

クロ「ちょーっとキツいお灸を据えてやった方がよさそうね…」

男「お前らの家庭の事情は知らんが、そのメイドも大変だな」
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/19(水) 15:41:40.19 ID:HeTqX2DO
お、パー速に来てたのか
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 17:16:17.60 ID:X8GOFoSO
男「夕飯までまだまだ時間があるな」

転「じゃあゲームをしましょう」

男「ゲーム?」

転「ええ。擬似デートです」

クロ「擬似デート…!」

男「なんだそれ?」

クロ「名前の通りよ。男女がペアを組んで、デートをするの。まぁ言ってしまえば、ごっこ遊びね」

男「そんなのやるのかよ」

転「地獄の学校じゃ、死者が出ますからね」

男「え?」

転「じゃあ私とクロでじゃんけんをするので、勝ったほうが恋人役ですよ」

クロ「負けたくないわ」

転「当然ですよね」

クロ「じゃんけんっ」

転「ぽんっ!」
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 17:24:22.92 ID:X8GOFoSO
転「負けた…」

クロ「じゃあ私が、恋人役ね」

男「お、俺は何をすれば?」

クロ「私を連れて、うろうろすればいいのよ」

男「それだけか?」

クロ「そして、姉さまと戦うの」

男「??」

クロ「ほら、さっそく後ろに…」

転「オドゴザアアアァァアン!!」

男「えっ!?」

転「アンダディボ…アイジデダドディイイイ!」

男「ちょ…怖いって!何を言ってんだ!」

クロ「あんなにも愛してたのに、って言ったのよ」

男「はぁ?」

クロ「このゲームは、彼女と一緒に、愛に飢えた元彼女を倒すゲームなのよ」

男「地獄の遊びってそういうことか!」
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 20:31:29.49 ID:X8GOFoSO
転「ウジャアアアアア!オドゴォオオオオオ!」

男「うお!前のめりに走って来た!」

クロ「さすが姉さま…最初から全力ね…。しかし!」

転「グロオオオオアアアア!」

クロ「久しぶりの遊びにテンションが昂ぶってるのは、私も同じよ!」

男「なんなんだよお前ら!遊びにも全力か!」

クロ「制限時間は10分間!捕まって!」

男「えっ?あ、ああ…」ガシ

クロ「外に出るわよ!漆黒を駆ける翼!」ゾワゾワゾワッ

転「飛ぶなんてひきょ…ヒギョウダアアアアア!」

男「一瞬正気に戻ったな今」

クロ「Get Set!!」バサァ

男「浮いた…!怖い!思ったより怖い!」

クロ「Go!!」ブオオオン
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 20:41:14.95 ID:X8GOFoSO
男「早い!早い早い早い!」

クロ「逃げるが勝ちよ、姉さま!」

転「………和三盆より甘いですね」ニヤリ

男「おい、おい!どこまで行くんだよ!」

クロ「姉さまの着いて来れない高さで、10分間飛び続けてるのよ」

男「お前、対決って言ったじゃないか」

クロ「そうよ」

男「これじゃ鬼ごっこと変わらないじゃないか!」

クロ「……!」

転「グロオオオオ!」

男「はっ!」

クロ「無駄よ!届かないわ!」

転「逃げるのかー!弱虫!(棒読み)」

男「……何を言ってんだあいつは」

クロ「よ、弱虫なんかじゃ、ないわよ…」ギリ

男「え?」

クロ「この高さからの体当たりよ!」ギュン

男「おい!やめろ!」

クロ「黒の流星(シューティング・ブラック)!」ギュオオオ

男「げっ」

転「ふふふ…」ニヤリ
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 20:50:10.22 ID:X8GOFoSO
男(あいつ…ちゃっかり構えてるが…まさか…)

転「男さん…捕まえ」

クロ「姉さま覚悟ーっ!」

ドゴオオオオオ

転「たるぶあらあああああ!」

クロ「ああああああっ!」ズザザザザ

男「う、うう……」フニッ

男「!…この感触は…まさか…?」

転「誰の胸がまな板だァアア!?」

男「言ってねーだろうが!」

転「内心思っただろ!思っただろォオオ!」

男「思ってねーよ!つーかキャラ変えんな!」

クロ「……羽を畳んで」シュルルル

クロ「…完敗ね」
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 21:08:19.94 ID:X8GOFoSO
男「なんか…ほんの二、三分のはずなのに、やけに疲れたな」

転「くぁああ……。眠いですね…」

クロ「私も……」

男「じゃあ、寝るか。もう今日は、何もしないだろ」

クロ「夕飯は?」

男「作るの面倒だから、出前でも取ろうか」

転「ピ、ピピピピピ」

男「電子音?」

転「ピッツァを食べましょう!ぜひ!」

男「ああ分かった。ピザな。いいよ。食べよう」

転「ありがとうございます!」

クロ「姉さま、ずっと食べたがってたのよね、ピッツァ」

男「なんでそんな発音が上手いんだよ」

クロ「勉強したからよ。さ、寝るなら寝ましょう」

転「そうですね。じゃ、男さんはここに寝てください」

男「え?ああ…」

転クロ「挟み撃ち!」

男「暑いっつーの…。ま、悪くはないか…」
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 21:20:02.40 ID:X8GOFoSO
男「ぐー…ぐー…」

転「むにゃむにゃ…」

クロ「すー…すー…」

コツン

メイ「あいつらめ…ノンキに寝てるだとぅ?」

メイ「おのれ〜!おのれ〜!」

女「あなた何してるの?」

メイ「へ?へ?私デスカ?」

女「そこは男くんの家だよ?まさか…のぞき!?」

メイ「イヤ、私は、この家にいる姉妹に用があるんデスヨ!」

女「姉妹…?男くんは一人っ子だよ。お母さんも今はいないし…」

メイ「でもいるんデスヨ!見てみればいいじゃないデスカ!」

女「じゃあ、ちょこっと」ソーッ

女「あっ!」

メイ「ネ?いたデショ?」

女「女の子が二人…しかも一緒な寝てる…」

メイ「だから言ったじゃないデスカ!」

女「う……ひっく」

メイ「エ?」

女「ひどいよ…男くん…。ずっと一緒だったのに…幼なじみだったのにぃ…!」

メイ(この娘…使えるかもしれナイ!)
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 22:05:07.45 ID:X8GOFoSO
メイ「ええと、アナタ、名前はなんて言うンデスカ?」

女「女です。くノ一って書いて…」

メイ「私はあの姉妹のメイドの、メイと言いマス…。イエ、ホントはもっと長い、由緒正しき名前なんデスガ…」

女「メイドさん?」

メイ「まぁ、…デモ起こそうとしてるんデスケド」

女「デモ?」

メイ「女サン!私と一緒に、あの姉妹を追い出しまセンカ?」

女「え?なんで?」

メイ「え?男さん?を獲られて悔しいンじゃないンデスカ?」

女「そんなこと言ってないよ。また明後日、一緒に学校に行くから、その時聞いてみるの」

メイ「あ、あれェ〜…?」

女「じゃあ私、買い物に行かなきゃいけないんです!のぞきはダメですよ!」タッタッタッ

メイ「………あれェ〜?」
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 22:39:26.39 ID:X8GOFoSO
男「ん……」

転「ぐー…」

クロ「すー…」

男「……もう6時か」

男「起きろー」ユサユサ

転「……やだ」ギュウ

男「……起きろー」ユサユサ

クロ「……いや」ギュウ

男「……悪くない。悪くないぞむしろ良い」

男「でも、起きろー!」スクッ

転「わわわ」ズテ

クロ「きゃっ」コテン

男「もう6時だぞ。ピッツァ食うんだろ?」

転「せっかく気持ち良く寝てたのに……」

クロ「あんまりよ……」

男「食べたらすぐ寝ればいいだろ?」

転「鶏になりますよ」

男「牛だって」
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 22:44:05.00 ID:rR7MO06o
>>92
転クロで転換クロスシートを思い出した俺は鉄オタ

支援
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 22:52:30.78 ID:X8GOFoSO
男「さ、好きなの選んでいいぞ!」

転「すごいたくさんありますね!」

クロ「どれにしようかしら?」

転「これにしましょう!ペペロンチーノ!」

男「それパスタな。まあ頼んでもいいけど」

クロ「これを頼みましょう、姉さま」

転「シーフードミックス…。なるほど、賢い選択ですね」

男「それでいいのか?」

クロ「ええ」

転「あと、ペペロンチーノもお願いします」

男「結局それも食うんだな。よし、じゃあ頼むか」

転「どうやって?」

男「パソコンで」

クロ「このカレー風味のポテトもおいしそうね」

転「電話じゃないんですか?」

男「パソコンでもやれるんだぞ。知らないのか」

転「すごいですね…」

男「お袋のパソコンを借りよう…」

クロ「このグラタンもおいしそうね…」
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 22:59:48.71 ID:X8GOFoSO
10分後

男「えーっと…前にお袋がやってたんだけどな…」

転「覚えてないんですか?」

男「あの時は…確か、なんとかって名前のページを見てたんだけどな…」

クロ「まったく覚えてないんじゃない…」

男「ええと、ええと」

転「貸してください」

男「ええと…」

転「宅配ピッツァで調べればいいじゃないですか」

男「そういえばそうだ」

転「ほら、ありましたよ」

男「おお!よし!これで頼める!」

クロ「…いや、待って、これ」

『以下の場所以外での宅配サービスは行っておりません』

男「……この町はダメみたいだ」

転「結局電話なんですね」
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 23:15:57.58 ID:X8GOFoSO
男「はい、注文を…」

男「えーと、シーフードミックスのLサイズとペペロンチーノのMサイズを一つずつ……。ええ、これだけでいいです」

男「はい、はい…。はい」ガチャ

転「電話じゃおとなしいんですね」

男「ピザ屋相手にハイテンションにはなれんよ」

転「後は待つだけですね」

男「そうだな」

クロ「……ねぇ」

男「んー?」

クロ「私たち…タダ飯食らいよね」

転「!」

男「別に気にしなくていいよ」

クロ「おばさまのお金だから?」

男「それもあるが、なによりも…」

転「なによりも?」
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 23:22:17.23 ID:X8GOFoSO
男「なんていうか…その…。俺は、お前らのこと、気に入ってるっていうか、まぁ、結構好きだし…」

クロ「……!」

転「気に入ってるって…物みたいな扱いですね」

男「まぁ、なんだ…。ここにいる間はさ、そういう考えは捨てとけよ。な?」

クロ「そうね。…でもまだ、後二人来るのよ」

男「それはなんとかする。お前らにも協力してもらうけどな」

クロ「分かったわ。ありがとう、男」

転「なんかいい感じじゃないですか?フラグ?」

クロ「別にそんなんじゃないわ。私たちは同居人として、慎ましくやっていかなきゃダメなのよ」

転「そういうのが結構難しいんですよ?」

クロ「姉さまにとっては、ね」

転「生意気なこと言いますね、13歳のくせに」

クロ「ふふっ」
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/19(水) 23:31:43.33 ID:X8GOFoSO
>>100まで行ったしおやすみなさい
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/20(木) 11:44:52.10 ID:z9wiItQo
しえん
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/20(木) 11:47:24.77 ID:jp0qv.SO
さみしい
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/20(木) 12:47:01.05 ID:OA1X5.SO
続き wktk
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/20(木) 14:18:37.66 ID:jp0qv.SO
ピン ポーン

男「お、来たか?」

転「私が出ます!私が!」

男「早くないか…?」

ガチャ

転「レラレラモッツァレ……あ?」

メイ「復讐ダ!」

転「…ピッツァじゃないのか」

バタン

メイ「開けてー!開けてー!」ドンドン

男「なんだ?ピザはどうしたんだ?」

転「うるさいのが一匹…まとわりついてただけです…」

メイ「ぐすっ…またハブられタ」トボトボ

クロ「不憫なやつね…」

転「私のわくわくは…わくわくはどこに…」

男「ま、ちゃんと来るからさ」

転「あいつともきっちり話をつけなきゃダメですね…」

クロ「そうね…下の二人が来るより先に地獄に帰しましょう」

男「??」
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/20(木) 15:28:18.53 ID:jp0qv.SO
ピン ポーン

転「今度こそピッツァ来ました!?」

男「ほら、財布」

転「いやっほい!」タタタタタ

男「なぁ、浮かれすぎだよな…」

クロ「そこが姉さまのいいところよ。おもいっきり楽しんで、おもいっきり喜ぶ」

男「…そうだな」


転「さぁ、食べましょう!」

男「あ、飲み物忘れてたな。下の自販機で買うか?」

転「いま食べたいすぐ食べたい!」

男「分かった分かった。じゃあなしでいいんだな?」

転「水でいいです」

男「ったく…じゃ、いただきます」

クロ「いただきます」

転「いただきまーす!」
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/20(木) 22:40:16.52 ID:jp0qv.SO
転「……」モグモグ

クロ「……」モグモグ

男「何だよ…二人して黙って…。うまいのか?」

クロ「エビ…カニ…イカ……全部おいしい…」モグモグ

男「そ、そうか、カニ食べてると無口になる現象か。テンコはどうだ?」

転「……昔」

男「むかし?」

転「一度だけ…家出をしたことが……あったんです…」モグモグ

クロ「そういえばあったわね…」モグモグ

転「そのとき…何を思ったのか…私は川の近くで…寝泊まりしてて」モグモグ

男「な、何の話だ?」

転「お腹が減ったら……川にいた小さなエビを…食べてたんです…」モグモグ

男「うわぁ…。すごいサバイバル精神…」

転「……このエビを食べてたら、思い出したんです…。ただそれだけで…」モグモグ

男「……」

クロ「…どうするのよこの変な空気」

男「とりあえず食うべ…」モグモグ
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/20(木) 23:02:36.75 ID:jp0qv.SO
転「…これ、一切れ残していいですか?」

男「なら俺が食うけど」

転「いや、とっておいてください」

男「明日食うのか?」ガチャ

転「まぁそんな感じですね」

男「じゃあもういいな?ごちそうさま」

クロ「ごちそうさま」

転「ごちそうさまでした」

男「さて、順番に風呂入っちゃえよ」

クロ「じゃ、私が先に入るわ」スッ

転「……はい」

男「?」
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/20(木) 23:23:51.50 ID:jp0qv.SO
男「さ、使った食器を洗わないとな…」カチャ

ジャー

転「……」

男「お前もテーブルの上、片付けといてくれないか?」

転「……男さん」

男「紙はこっちで、パスタの容器はプラスチックだから…」

転「男さんっ!」

男「…な、なんだよ」

転「……」ギュウ

男「え…?」

転「前、向いててください」

男「あ、ああ…」ジャア

転「……」ギュウウ

男「…どうしたんだ?」ジャアア

転「……何でもないです」

男「…そうか」ジャアア

転「もう少しだけ、こうしてていいですか」

男「……いいよ」

転「ありがとう…ございます」ギュウッ
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/20(木) 23:28:35.50 ID:jp0qv.SO
男「さ、使った食器を洗わないとな」スッ

転「……」

男「お前もテーブルの上、片付けてくれないか?」

転「……男さん」ボソッ

男「紙はゴミ箱に捨てて、パスタの容器はプラスチックだからこっちに…」

転「男さんっ!」

男「…な、なんだよ」

転「……」ギュウ

男「!」

転「…こっち、向かないでくださいね」

男「あ、ああ」

転「……」

男「…どうしたんだ?」

転「…ただ、こうしてみたくなっただけです」

男「…そうか」

転「もう少しだけ、こうしててもいいですか?」

男「…いいよ」

転「ありがとう…ございます」ギュウッ
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/20(木) 23:29:47.59 ID:jp0qv.SO
>>109はカットで
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/21(金) 01:54:06.35 ID:3urBeoDO
>>103
面白いから、頑張れ
wktk
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/21(金) 11:40:20.34 ID:PhFDb2SO
ゆっくりでいいからな
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/21(金) 20:49:22.08 ID:PhFDb2SO
男「…どうしたんだ?」

転「……」

男「言いたくない?」

転「…あんまり弱気なところは見せないでいるつもりだったんですが」

男「……」

転「不安…なんです…。本当に、また、父と一緒に暮らせる日に戻ってこれるのか…」

男「もう地獄が恋しくなったのか?」

転「いえ、ここは地獄よりずっといいところです。スーパーがあるし、大きな服屋もあるし…」

男「…気に入ってるんだな」

転「でも、それでもやっぱり、私は地獄の人間です」

男「その通りだ」

転「ここにいるのは、あくまでも都合上です。みんなで地獄にいたほうが、いいに決まってます」

転「でも、不安なんです…」

男「…不安になるのは、自分でいたいからだ」

転「?」
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/21(金) 20:51:11.55 ID:PhFDb2SO
>>113
自演みたい
ゆっくりでいいかな、でした


男「自分を変えてみろよ。ほんの少しでも。地獄に帰りたい自分を押さえて」

転「でも…」

男「ワガママは言っちゃダメだぞ。お前らのところのオヤジがなんとかするって言った以上は」

転「以上は…?」

男「お前らは信じて、ただここで待っていればいいんだ。そうだろ?」

転「……そうですね」

男「分かったなら、ほら、その、離れてくれないか?」

転「あっ…はい、すみません」パッ

男「クロが出たら、風呂入ってすっきりしろよ。今のお前はお前らしくないぞ」

転「…確かに、私らしくありませんね。でも」

男「ん?」

転「あなたが思うほど、私は浅くないんですよ」

男「…まだ出会って二日だぞ?」

転「ええ。だから、私のことを、もっとたくさん知ることになりますよ。いいところも悪いところも」

男「……そうか」
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/21(金) 21:23:56.85 ID:Cm06WkSO
おk
wktkして待つ
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/21(金) 23:58:26.00 ID:PhFDb2SO
クロ「ふー…さっぱりしたわ」

男「熱くなかったか?」

クロ「ええ。…でも、ここのシャワーは赤くないのね」

男「お前までそれを言うとは」

転「…じゃあ私、入りますね」

男「…ああ」

クロ「……」

男「さ、お前はもう寝るか?」

クロ「ねぇ」

男「ん?」

クロ「姉さま、何かあったの?」

男「…あいつなりに、色々悩んでるみたいだ」

クロ「それだけ?」

男「それだけ」

クロ「なんだ…。あなたのことだから、また姉さまの胸がまな板だとかなんだとか言ったのかと…」

男「一度も言ったことないっつーの」
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/22(土) 21:16:17.01 ID:ldQCz6SO
男「今日はなんだか疲れたよ」

クロ「私が来たから?」

男「そうだな…。やっぱり相手が二人になると、二倍疲れる」

クロ「お疲れさま」

男「どーも…」

クロ「なんだか、密度の濃い一日だった気がするわ」

男「それでいて、昼寝までしてたんだぜ」

クロ「明日は何をするの?」

男「ん…そうだな…」

クロ「どこかに連れてって」

男「どこに行きたいんだ?」

クロ「……ここにも、ライブはあるの?」

男「ライブ?」

クロ「ギターの」

男「あるにはあるが、明日見に行くってのは無理だ」

クロ「そう。いいわ。ギターを弾くって文化があるなら、それでいいの」

男「そんなに好きなのか?」

クロ「私の唯一の趣味だもの。それにこれは、他でもない、おばさまがくれたものなのよ」

男「お袋が?」

クロ「知らないの?おばさまは学生時代はギターをやってたのよ」

男「まあ昔はけっこう荒れてたらしいしな…」

クロ「そのギターを、私にくれたの」

男「へぇ…」

クロ「これは私の宝物よ」
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/22(土) 23:14:23.53 ID:ldQCz6SO
男「じゃあ明日どうするかは、テンコが風呂から出たら決めようか」

クロ「そうね」

男「それまでに考えとけよ」

クロ「どこかないかしら…」

男「…はぁ」

クロ「なに?」

男「なんか…まだ二日なのに、ホントな疲れたよ」

クロ「無理もないわ…。私たちだって、はしゃぎすぎたもの」

男「俺、一人っ子だしさ。兄弟姉妹がいないと、どうすりゃいいか分からんのよ」

クロ「それ、私たちのことを、妹として見てるってこと?」

男「むしろ父親の心境だな」

クロ「…優しくしてくれてありがとう」

男「礼なら、帰るときに言えよ。いつになるかは分かんねーけど」

クロ「そうね。なんたってまだ、二日目だものね」
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/22(土) 23:20:01.80 ID:ldQCz6SO
ダメだはかどらねぇ…
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/22(土) 23:51:21.87 ID:ongrjoSO
ガンガレ
支援age
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/23(日) 01:17:11.60 ID:IQzo0Dso
楽しみに見てるぜ
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/23(日) 22:42:46.32 ID:IPNY8sSO
録画しといた仄暗い水の底からを見た
怖くて寝れない
今日は頑張って書く
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/23(日) 23:06:52.23 ID:HM1.V2SO
鈴木光司作品は、ほんとに寒気するからね
好きだけど
支援age
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/23(日) 23:17:43.08 ID:IPNY8sSO
>>124
原作もあんな感じ?
リングは原作読んだけど…

転「出ましたよー」

男「お。じゃ、次はクロ入っちゃえよ」

クロ「ええ」テテテッ

転「男さんに聞きたいことがあるんですけど」

男「なんだ?」

転「この国の人は、髪の色を変えるんですか?」

男「そうだけど…なんで?」

転「髪の毛が茶色の人を、福屋で見たんですよ」

男「染めたら茶色にも何にでもなるぞ」

転「私も染めてみたいです」

男「えぇ?」

転「だって、黒ですよ?姉妹そろって。せめて長女の私ぐらい、その枠から外れてみたいじゃないですか」

男「ワケが分からん」

転「どうやったら染められるんですか?」

男「染色剤だよ」

転「近いうちにやってみます」

男「おいホントにやるのか?」
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/23(日) 23:28:46.09 ID:IPNY8sSO
転「先に寝ててもいいですか」

男「いいぞ。ただし今日からはクロと一緒にな」

転「そういえばそうでした。ではおやすみなさい」

男「おやすみ」

転「ああ、男さん」

男「なに?」

転「明日は映画を見に行きましょう」

男「映画?」

転「コラボTシャツが売ってたんです。よく日本の映画は面白いと聞きますよ」

男「そうだな…。まあクロと相談してみる」

転「お願いします。ではふたたびおやすみなさい」

男「ああ」

転「ぐーっ…」

男「映画ねぇ…。今、何がやってたかな…」

リチャ『ハァチィー』

男「…あれでいいや」

クロ「男ーっ」

男「なんだなんだ」

クロ「タオルがないわーっ」

男「今持ってくから」
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/23(日) 23:37:14.37 ID:HM1.V2SO
原作から、映像だと脳内補完と食い違いが出るから…リングよりは近い位かな
リングは全くのアナザーストーリーに感じた
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/23(日) 23:40:29.99 ID:IPNY8sSO
男「ほらタオル」

クロ「見ないで」

男「目ぇ閉じてるよ」

クロ「…ありがと」

男「なぁ、明日は映画を見ないか」

クロ「映画?」フキフキ

男「テンコが見たがっててさ」

クロ「そうね…。何やってるのかは知らないけど、私は別にいいわよ」ゴソゴソ

男「おおそうか。じゃあ、犬の映画を見に行こう」

クロ「…犬?」ピタッ

男「犬だけど?」

クロ「……ちょっと待ってて、今行くから」モゾモゾ

男「ああ」

クロ「犬は怖いわ」スタスタ

男「そうなのか」

クロ「首が三つあって、鳴き声も怖いわ」

男「それって…ケルなんちゃらか?」

クロ「ケルベロスよ。……名前からして怖いじゃない」

男「あのなぁ、地獄にはそういうのいるかも知れないが、こっちにはいないぜ」

クロ「そうなの?」

男「映画に出てくるのなんて、可愛い秋田犬だぞ」

クロ「アキタイヌ?犬に飽きたの?」

男「…とにかく、可愛いやつなんだ」

クロ「私より?」

男「……はい?」

クロ「冗談よ。つまんない反応ね…」
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/23(日) 23:42:34.30 ID:/2yqVMEo
テンコがたまにチンコに見えるから困る
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/23(日) 23:58:21.57 ID:IPNY8sSO
クロ「私ももう寝るわね」 

男「ああ」

クロ「姉さま…もうちょっとズレて…」

転「むにゃ……クロぉ…」

クロ「じゃあ、おやすみなさい」

男「おやすみ」

クロ「すー…」

男「…俺はまだ眠くないな」

男「……ふ」

男「可愛い顔で寝てるな、こいつら」

男「外で…涼んでくるか…」ガチャ

転「…今の聞きましたか、クロ」モゾ

クロ「起きていたの?姉さま」

転「可愛い顔で寝てるな、って言ってましたよ」

クロ「そうね」

転「よかったですね、優しくしてもらえて」

クロ「最初は少し心配だったわ。なんたって、姉さまと一緒に寝てたんだから」

転「あれは私がワガママ言ったんですよ」

クロ「姉さまらしいわ」

転「そうですかね?」

クロ「…私、彼のこと、嫌いじゃないわ」

転「当然でしょう。おばさまのご子息ですよ?」

クロ「そういえば…おばさまには会えるのかしら?」

転「タイミングよくいませんからねぇ…」

クロ「ま、いいわ。おやすみ、姉さま」

転「明日は映画ですから、早く起きなきゃダメですよ」
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 00:01:48.89 ID:tBCiccSO
>>194あるあるあr……ねーy……あるあるww
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 00:18:15.60 ID:GXbQ3ISO
>>131
誤爆か?

翌日

クロ「起きて、姉さま、起きて」ユサユサ

転「うぅ〜。せめて長女らしく…最後まで寝させて…」

クロ「何言ってるのよ…。今日は映画よ。姉さまが早く起きろって言ったんじゃない」

男「そうだぞ。ほら、起きろ起きろ」

クロ「起きて、起きて!」ユサユサ

転「うー……」ムクッ

男「やっと起きたか……ってお前ェ!」

転「何ですか…?」

男「ず…ズボンは?」

転「ああ、ここにありますよ…」ゴソゴソ

男「なんで穿いてないんだよ!寝ながら抜いだのか?」

転「だって暑いんですよ…これ…」

男「はしたない!ちゃんと穿け!」

転「分かりましたよ…そんな朝から怒鳴らなくてもいいじゃないですか…」

男「まったく…」

クロ「…下半身に反応はなしね」

男「え?」

クロ「興奮してないの?目の前で下着姿の女の子がいるのに」

男「ちーっとも興奮しないな」

転「…ムカつくのはなぜなんでしょう」
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 00:29:03.62 ID:GXbQ3ISO
男「さ、映画だ映画」

転「もう行くんですか?」

男「10時20分からだからな。行くのに30分はかかる」

クロ「朝ご飯は?」

男「向こうで食べよう。今から行けばなんとかなる」

転「やれやれですね」

クロ「行くなら行きましょう」

男「そうなんだが、その」

クロ「なに?」

男「俺だって、高校生だ。当然、勉強しなきゃいけない」

転「それは私も同じですよ」

男「本当ならこの土日は、試験勉強をしたかったんだ…。ただ、それが気になってて」

クロ「映画が終わったら、私たちがまとめて教えてあげるわ」

男「え?」

クロ「私は13歳だけど、たぶんあなたよりずっと賢いと思うわ。自惚れてるんじゃなくて」

転「そうですね…。私も、地獄で散々勉強させられたので」

男「頼もしいな…。よし!無用な心配だったな!さぁ行こう!」
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 00:33:41.39 ID:tBCiccSO
安価ミスった

井戸、落ちてくる…
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 00:50:46.10 ID:GXbQ3ISO
男「地獄にも映画館はあるのか?」

クロ「ぽつぽつあるわね。でも、海外の映画ばっかりで、地獄性の映画はほとんどないわ」

転「メイド・イン・ヘルとは、上手いこと言いますね」

男「日本の映画は?」

クロ「もちろんやってるわよ。日本はホラーがすごいわね。私、未だに怖くて一人じゃ見れないわ」

転「ホラーじゃないけど最近見たのは、ディズニー映画のダイナソーです」

男「あったあった」

クロ「映画はいいわ。見てるだけですっきりするもの」

転「そうだな」
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 22:33:11.27 ID:GXbQ3ISO
男「ほら、着いた」

転「……HAHAHA」

クロ「驚かないわよ…もう慣れたもの」

男「やっぱでかいのか…」

転「それよりも人ですよ…。何十人いるんですか」

男「じきに何百人になるぞ」

クロ「すごいのね…。地獄なんて…二十人いれば大騒ぎよ」

男「そうなのか。満員御礼にはほど遠いな」


ウイーン

男「飯は…そこで食おうか」

転「ケン○ッキー!」

クロ「フライドチキン!」

男「はしゃぎすぎだ。ほら、何頼むか決めな」

転「私が頼みます!一度やってみたいことがあるんです!」

男「分かった分かった。じゃあ俺は、和風チキンサンドとポテトな」

クロ「私は、棒のやつ、ツイスター?」

転「分っかりましたー♪」

男「……」
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 22:44:39.56 ID:GXbQ3ISO
転「カツサンドと和風チキンサンドとツイスターとポテトください」

店「はいかしこまりました」

転「あっ、あとぉ」

店「?」

転「スマイルくださいっ!」

店「………にこっ」

転「ありがとうございます!」

店「少々お待ちください」


クロ「ひどいわ…今のはひどい。店員もよく対応できたわね…」

男「だいたいスマイルくださいが通じるのは、マク○ナルドじゃないのか?」

クロ「私はたまに、姉さまの妹でいるのがたまらなく嫌になるわ」

男「つらいなぁ」

転「はい、和風チキンサンドとポテトとツイスターでーす♪」

男「ああ…」 

クロ「……」

転「どうしたんですか?二人とも」

男「いただきます…」

クロ「いただきます…」

転「?」
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 22:58:47.63 ID:GXbQ3ISO
転「……あー、おいしいですね。私、ファストフードって大好きなんですよね」

男「あんまり食いすぎると太るぞ?」

転「私は太りにくい体質なんですよ」

男「胸もか?」

転「そうそう胸なんか特に痩せて……ってオラァーッ!」

男「やれやれだぜ。冗談だっての」

クロ「もうちょっと静かに食べなさいよ…」モグモグ

男「クロはどうだ?うまいか?ツイスター」

クロ「もぐもぐ……」コクン

男「…!?」

男(ツイスターを口いっばいに頬張って…見上げてくる)

男(しかも頬っぺたに…マヨネーズと言う名の白いのが…)

男(これは……朝からとんでもないシーンを見ちまったぜ)

転「今エロいこと考えてますよ」ヒソヒソ

クロ「最悪ね。もう食べちゃったからいいけど」ヒソヒソ

男「違っ……てか早っ!」
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 23:09:59.43 ID:GXbQ3ISO
男「飯も食ったし早速見よう」

転「そうですね。で、何を観るんですか?」

クロ「ハァチィー」

転「はい?」

クロ「な、なんでもないわ…」

男「ハチだよハチ」

転「よく分からないけど、まぁいいです」


デケデン デケデン ウーウーウーウー

転「これがハチですか…?」ボソボソ

男「映画泥棒だよ…。盗撮防止の…」

クロ「しっ!始まるわよ…」



……

………
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 23:27:23.09 ID:GXbQ3ISO
男「いやァいい話だったなぁ」

クロ「そうね…。ホラーもいいけど、ああいうのも悪くないわ」

転「……ぐすっ」

男「まだ泣いてるのかよ」

クロ「そもそもどうしてハチの登場シーンで泣き出したのよ…」

転「だってぇ…ぐすっ…可愛いじゃないでずがぁ…ぐすっ」

男「分かったから泣くなって!ほら、どっか寄ってくか?」

クロ「いや、今日はもう帰りましょう」

男「いいのか?」

転「ぐすっ……インとシロが…来るはずなんで…ひっく」

男「…もう来るのかよ?」

クロ「たぶん…。それに、勉強もしなきゃいけないんでしょ」

男「そういえばそうだ」

転「明日からまた学校ですかぁ…めんどくさいなぁ…。授業のレベルが低すぎて逆についていけませんよ…」

男「余裕綽々ってか…。ちくしょー…」
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 23:44:10.56 ID:GXbQ3ISO
〜20分前・男のアパート〜

フワフワフワフワ

トサッ

?1「着いた…。ここ、だよね」

?2「ドアがいっぱいあるよ」

?1「アパートだからね。どこの部屋なのかな…?」

?2「あれ、あれ!」ピョンピョン

?1「…どうしたの、シロ」

シロ「あのお部屋、クロねえのギターがあるよ」

?1「僕には見えないよ…?」

シロ「でもあるんだよ。ほんとだよ。インねえも、こっちからなら見えるでしょ?」

イン「えーっと……あ、あった!壁にかけてある!」

シロ「はいろうはいろう!」

イン「よーし、おじゃましまーす」ガチャ

イン「あれ?」ガチャガチャ

シロ「おねえちゃん…?」

イン「開いてない…。留守なのかも…」

シロ「ええっ!?どうするの?」

イン「…帰ってくるまで待ってようか」

シロ「ここで…?」

イン「うーん……」
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/24(月) 23:52:48.83 ID:GXbQ3ISO
イン「じゃあ近くに公園があったから、遊んでよう」

シロ「わーい」テテテ

イン「一応荷物も持って行こう」ガチャ

……

〜再び映画館〜

男「帰るって言ったじゃないか!」

転「てい!やあ!」バンバン

クロ「待って!このステージのボスゾンビが倒せないの!」バンバン

男「ふらふらゲーセンに入ってった時点で、ダメだと思ったんだよなぁ…」

転「よっしゃあ!銃がレベルアップしましたよ!」シャキーン

クロ「これなら行けるわね!」バンバン

男「まだ客が少ないからいいけど…。すっげぇ目立つぞ、お前ら…」

転「行け行け行けーっ!」バンバン

クロ「胸よりも、頭の方がダメージが大きいわ!」バンバン

男「まぁ、こいつらが大丈夫って言ってるんだし、大丈夫か」
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/25(火) 00:03:16.69 ID:B2p/w2SO
〜30分後〜

男「ちゃっかり全クリしやがって…」

転「もうね、意識が引きずりこまれてましたね」

クロ「吹っ切れたのよ」

男「…ゲームの代金は俺持ちなんだからな?」ガチャ

転「ただいまー」

クロ「まだ来てないみたいね」

男「ホントに来るのか?」

クロ「だって雨が降っていないんだもの」

男「それがなんなんだ?」

クロ「インには天気を操る能力があるのよ。だから、出発前に雨が降ることを知って、一時的に止ませたのよ」

男「じゃあやっぱりもうじき来るんだろうな」

転「しかし天気を操るって…反則クラスの能力ですよね。運動会潰せるんですよ?」

クロ「あの子はそんなことしないわよ…。たぶん」

男「…改めて地獄人って不思議だなぁ」
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/25(火) 00:06:21.38 ID:B2p/w2SO
はかどんないなぁ…
もっと早い時間から始めりゃいいのかなぁ…
予定の二倍くらい遅い展開だわ
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/25(火) 00:13:08.92 ID:BH040SUo
気にするな

まったり支援
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/25(火) 00:14:51.87 ID:ysCR2QDO
俺は気にしないからそのまま頼む
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/25(火) 00:20:33.26 ID:B2p/w2SO
〜公園〜

シロ「シーソーやりたい!」

イン「じゃあやろうか」

シロ「わーい」ギッコン バッタン

イン「僕じゃもうちょっと釣り合わないね…。」

シロ「じゃあ二人でやろうよ」


女「〜♪」

女「んー?」

女「…女の子が二人でシーソーの同じとこに座ってる」

女「……」スタスタ

シロ「?」

イン「誰か来たね」

女「ねえ、君たち、シーソーやりたいの?」

シロ「うん!」

イン「でも僕とやるんじゃ釣り合わないから…」

女「じゃあ私と一緒にやる?君たち二人と私一人で」

シロ「やろうやろう!」

シロ「ありがとうお姉さん」
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/25(火) 00:30:58.52 ID:B2p/w2SO
>>147
ラストは
イン「ありがとうお姉さん」だった

シロ「わーい」

ギッコン バッタン

女「君たち、名前は何て言うの?」

イン「僕がインで、この子が妹のシロだよ」

ギッコン バッタン

女「この辺の子じゃないよねぇ…?」

シロ「あのねシロたちはね、今日からここで暮らすんだよ!」

イン「公園で暮らすんじゃないからね?」

ギッコン バッタン

女「引っ越し?知り合いの家に泊めてもらうの?」

イン「向こうのアパートに住んでる、叔母さんの家に泊めてもらうんだよ」

ギッコン バッタン

女「向こうのアパートって…あの古いアパート?」

シロ「古くてぼろぼろなの?」

イン「シロ、そういうことは言っちゃダメだよ」

ギッコン バッタン

女「そういえば昨日、男くんの家に女の子が来てたけど…まさか君たちも?」

イン「男ってたしか…叔母さんの息子さんの名前だったような…」

女「やっぱり…じゃああの子たちは、男くんの姪っ子なんだ…」

ピタ

シロ「シーソーおしまい?」

女「一緒に行こ?連れてってあげるね」

イン「僕たち、場所は知ってるよ。それともお姉さんも用事があるの?」

女「女って言うの。男くんとは仲がいいから、君たちともしばらく付き合うことになるかもね」
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/25(火) 00:48:54.48 ID:B2p/w2SO
男の姪じゃなくて、従妹だった
おやすみなさい
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/25(火) 20:45:20.90 ID:XyGkMASO
支援age
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/25(火) 23:34:58.77 ID:B2p/w2SO
ピン ポーン

男「ん…?」

クロ「私が出るわ」

ガチャ

女「あ」

クロ「……あなた、誰?」

女「男くん、いる?」

クロ「…男ー。女の子が来たわよ」

シロ「クロお姉ちゃーん!」ピョコ

クロ「え?」

男「誰だ…?って女!?」

女「おはよう男くん!」

クロ「シロ…あなた、いつ着いたのよ?」

イン「僕もいるよ」

転「何の騒ぎです?」

シロ「シャルお姉ちゃん!」

転「シロ?それに、インも」

男「…とりあえず、中入ろうか」
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/25(火) 23:44:53.42 ID:B2p/w2SO
男「まぁ、その辺に座って」

ガタガタ

男「…えーっと、女は何しに来たんだ?」

女「この子たちをここに連れてきたんだよ。公園にいたの」

男「そうかそうか…。ありがとな。わざわざ」

女「この子たちは、男くんの従妹なの?」

男「そう…だな。ま、ちょっと待ってくれ」

ガサガサ

男「プリン食うか?」

シロ「わーい!ありがとう!」

イン「ありがとうございます」

男「えーっと、君が、三女?」

イン「僕は、インって言います。イン・ヴィーノ・トリアンテ・ラルバです」

男(今、僕って…)

男「じゃあ、君が四女。末っ子だな?」

シロ「シロって言うの!よろしくねぇ」パクパク

男「そーかそーか…。テンコ、クロ、ちょっと来て」チョイチョイ

転「はいはい」

クロ「自己紹介はすんだの?」
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/25(火) 23:55:46.24 ID:B2p/w2SO
男「こいつら四人は、俺の従妹で、ワケありで家にいるんだ。だからその、特に、なんだ、俺は、ロリコンではないぞ」

女「そのくらい分かってるよ?」

男「そ、そっか。ならいいんだけどな」

女「ね、四人とも」

転クロインシロ「?」

女「男くんの幼なじみの女です。よろしくね」

転クロインシロ「はーい」

男「ふー。変な誤解されなくて、ホントによかったよ…」

女「男くーん」

男「ん?」

女「たまに、遊びに来てもいいかな…?その…昔みたいに…」

男「……そうだな。いつでも来てくれよ」

女「ありがとう男くん!」

転「いいですねぇ…青春」

イン「なんでシャル姉さんは、テンコって呼ばれてたの…?」

クロ「転校生のテンコって、自分から言ったそうよ」

シロ「じゃあこれからテンコお姉ちゃんなの?」

転「ま、そういうことで」
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/26(水) 21:45:36.44 ID:lWc9TwSO
女「じゃあ私、今日はもう帰るね!」

男「もっとゆっくりしてってもいいんだぞ?」

転「下心見え見えですよ…」

男「違うっつーの」

女「犬の散歩に行かないと。じゃあ、また明日ね!」

男「おう。明日な」

バタン

男「……さて」クルッ

男「お前らは何をやってるんだ?なんだそのスーツケース」

イン「僕が持ってきたんだよ。ここにいる間に必要なものを入れてきたんだ」

男「…必要なものを入れてきた?」

シロ「あのね、本とね、お洋服とね、本とね、歯ブラシとね、本とね…」

男「本多いな…。しかし、驚いたよ…。テンコもクロも、何も持ってこなかったからなぁ…」

クロ「わ、私はギターを持ってきたわ」

男「問題外だ」

イン「あ、そうだ。シャル姉さん…これ…」ゴソゴソ

転「ここではテンコと呼んでください…。ってそれは」

イン「姉さんの指輪だよ。これ、いるでしょ」

男「指輪?」

クロ「私でいうギターよ。能力を使うために必要な…」

男「ああ、あれか」

転「私はわざと置いてきたんですよ」

イン「そうだったの?」

転「ここで使うにはチートすぎる能力ですからね。インも、ここでは使わない方がいいですよ」

イン「さっそく使っちゃったよ」
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/26(水) 22:00:34.97 ID:lWc9TwSO
男「君の…インの能力ってのは何なんだ?」

イン「うん。僕の能力はね…」バサッ

男「傘?」

イン「『移り気な天気予報(レイニー・ブルー)』。一日につき一度だけ、天候を自由に変えることができるんだよ」

男「それで今日は晴れたのか…。すごいなぁ」

イン「シロの能力のほうがもっとすごいよ。ね?」

男「シロの?」

シロ「……これ?」ゴソッ

男「何だそれ…?小さい箱?」

クロ「シロの能力は、『溢れる記憶の泉(ディープ・イン・トゥ・ザ・ナイト)』」

男「…?」

クロ「自分の記憶を、好きなだけこの箱に保存できる能力ゆ」

男「記憶を保存する…?」

シロ「うん。シロはね、なんでも覚えてられるんだよ」

男「それって、めちゃくちゃすごいな…」

シロ「えへへ」

転「ま、私の能力のほうが物理的にはすごいんですけどね…。せっかくですから、指輪は付けておきますよ」

男「よく考えたら俺は、とんでもない爆弾を抱え込んでるんだな…。しかも四つも」

イン「まぁでも、僕たちはよっぽどのことがないかぎりは、能力を使わないよ」

シロ「シロは使ってもいいでしょ?」

イン「普通、地獄で能力を使うのにも、色んなルールがあるんだ。僕とテンコ姉さんの能力は、常時使用禁止。クロ姉さんの能力は、ギリギリ大丈夫なんだよね」

クロ「ええ。一定の規則を守ればね」

男「はぁ……」
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/26(水) 22:05:24.48 ID:lWc9TwSO
地獄の四姉妹まとめ

テンコ(シャル・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ)
16歳 長女
所持する道具 鉄製の指輪
能力:危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)
いわゆる超能力で、物体を自由に動かす(弾く)ことができる

クロ(クロノ・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ)
13歳 次女
所持する道具 ギター
能力:漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)
背中から黒い翼を生やし、自由に飛び回ることができる

イン(イン・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ)
10歳 三女
所持する道具 傘
能力:移り気な天気予報(レイニー・ブルー)
一日につき一度だけ、天候を自由に変えることができる

シロ(シロン・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ)
6歳 四女
所持する道具 子箱
能力:溢れる記憶の泉(ディープ・イン・トゥ・ザ・ナイト)
自分の好きな記憶をいくつでも保存でき、忘れないようにできる
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/26(水) 22:09:20.32 ID:lWc9TwSO
やっとここまでたどり着けたよ
ここからの流れはどうしよう
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/26(水) 23:30:52.12 ID:lWc9TwSO
人いないのかな
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/26(水) 23:34:13.31 ID:qYaQzIAo
|ω・)チラリ
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/26(水) 23:36:14.41 ID:lWc9TwSO
>>159
隠れてないで出てこいよ!
対決だ!

よかった誰もいないのかと
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/26(水) 23:38:50.66 ID:qYaQzIAo
好きなように書きなさいな
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/26(水) 23:40:16.45 ID:lWc9TwSO
今日はもうやめる
全然進まないや
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/26(水) 23:47:47.97 ID:YOgiG2SO
ありゃりゃ(´Д`)
産みの苦しみか…毎日陰ながら支援しとるよ
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/27(木) 08:15:54.94 ID:I53TezEo
ずっと見てるよ
最後までよろしく
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/27(木) 14:43:22.55 ID:yma3/oSO
戦闘展開にしてみたいがリボーン(笑)とかになりそうだからやめとくわ
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/27(木) 20:39:47.08 ID:cmkEzgDO
完結するならゆっくりでおk
>>1頑張れ
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/27(木) 21:25:39.56 ID:1FenCccP
なんて応援すればいいか考えたが・・・
応援してるよ!とだけ言っておく。
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/27(木) 23:50:02.48 ID:yma3/oSO
シロ「それでねインお姉ちゃんがね…」

イン「ち、違うよ、シロが忘れ物したから…」

クロ「でもホントによく来れたわよね…」

男「……」ガタッ

転「…どうしたんですか?」

男「なんか買ってくる。お前ら、おやつとか欲しいだろ?」

シロ「シロね、ツナが食べたいの!」

イン「僕は甘いものが欲しいな」

クロ「私も行くわ」

男「いや、一人で行くよ。こいつらにここでのルールとか教えておいてくれ」

クロ「ルールって言われても、私もまだここに来て二日目よ」

男「じゃあ分かる範囲でいいよ。地獄とは違うってことをしっかり頭に入れてもらわないとな」

クロ「分かったわ」
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 00:05:58.73 ID:ANZ49wSO
男「ふー」テクテク

男「……一人でいいって言っただろ」テクテク

転「そうやって言われると、なんとなく着いて行きたくなっちゃう性質なんですよ」

男「なぁにがタチだ…。お前はどっか不思議なやつだからなぁ」

転「そりゃ地獄人ですから」

男「いや、なんつーか、神出鬼没なトリックスターって感じだ」

転「それ、意味が全然分かりませんよ」

男「なんでもいいか…」テクテク

転「……」

男「まだ、お前と出会って三日なんだな…。どうもピンと来ないよ」

転「72時間って長いんですよ、きっと」

男「…だなぁ」

転「どうしたんですか」

男「正直、お前ら四姉妹が家に来たのが、俺にとって吉なのか凶なのか、分からんのだ…」

転「……!」
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 00:15:52.71 ID:ANZ49wSO
男「あ、いや、悪い言い方だったか…」

転「吉か凶かって…そんなの凶に決まってるでしょう」ニヤ

男「…あれ?」

転「いきなり家に、地獄から来たとか宣う従妹が四人も押し掛けてくるんですよ」

男「あ、ああ…」

転「挙げ句、父が生計を建て直すまで養ってくれ…って。凶ですよ凶。大凶ですよ」

男「いや、お前がそれを言うか?」

転「でも私にとっては、ここに来たのは大吉ですよ。きっと、妹たちも同じです」

男「そうか…?」

転「私は今、幸せですから。そこだけはちょっとやそっとじゃ揺るがないと思うんですよね」

男「…はぁ」

転「まぁずいぶん大それたこと言った気がしますが、要はね、あなたは私たちに余計な気遣いをしてくれる必要はないんです」

男「別に余計な気遣いなんてしてないぞ?」

転「無意識の内に、どっかでしてるんですよ。あなたは優しい人ですから」
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 00:33:29.45 ID:ANZ49wSO
男「俺は優しいのか…。自分じゃ分からないなぁ」

転「それでいいんです。そうやって他人に自分の優しさを見つけてもらうことで、人間は成長するんですよ。たぶん」

男「…そういうもんなのかもしれないな」

転「でもまぁ、私みたいに優しくないやつも中にはいますけど…」クルッ

男「ん?」

転「こそこそしてないで、出てきたらどうです?メイ」

メイ「…な、なんでバレたんデスカ!」

男「さっきから誰かいるとは思ってたけど、こいつだったのか」

メイ「人間にまでバレてたんデスカ?不覚!」

転「何の用です?」

メイ「も、もちろん、復讐デスヨ!復讐!」

転「復讐復讐ってそればっかり…。あなたは猿ですか…?」

バコォン

メイ「ヒッ…!」

男「工事用のコーンが吹っ飛んだ…?」

転「分かりますよね、メイ?危険な操作法…」

メイ「つ、使えないハズじゃあ…?」

転「可愛い可愛い妹が、指輪を持ってきてくれたんですよ…。さ、どうします?」

メイ「わ…ア…体が」ズズズ

男「テンコの方へ…ゆっくり引きずられてく…」

転「引き寄せる力と、弾き飛ばす力…。車も吹き飛ぶ威力が出せるんですよ?」

メイ「い…イヤ!」バタバタ

転「地獄じゃ使用できないルールですが、ここにはそんなの通じませんからねぇ…」

男「おい、テンコ!」

転「……なんて、ね」パッ

メイ「あっ…」スウッ
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 00:48:06.13 ID:ANZ49wSO
転「さっさと帰ったほうがいいですよ。復讐なら、地獄で受けましょう」

メイ「お…覚えてロ!」ダダダ

転「負け犬の遠吠えってのはあれのことですね…」

男「……今のがお前の本性か?」

転「思ったよりエグかったりしましたか?」

男「あんな…力ずくで…」

転「効果的な脅しですよ。現に、メイの体には傷一つ付いてません」

男「でも…」

転「あなた、さっき言いましたよね。ここは地獄とは違うって。そういう事なんですよ」

男「今のが、地獄じゃ普通なのか…?」

転「能力は使えませんが、あのくらい強気じゃないと、地獄で生き抜くのはちょっとキツいんです」

男「でも…お前らのいるところは安全なんじゃ?」

転「メイみたいな不良メイドがいてもいなくても、地獄そのものにさして危険なところはありません。ただ…」

男「ただ?」

転「天国のやつらは、別です」

男「天国…。地獄の隣の?」

転「ええ…。連中、私たち地獄の住人を悪魔呼ばわりして、潰しにかかったりするんです」

男「いわゆる戦争か?」

転「宗教の違いから起こる争いですか?いや、そうじゃないんです。ただ、地獄はナメられてるんですよ」

男「…?」

転「処刑や拷問を盛んに行う野蛮な地獄に比べて、天国はもっと平和で自由なんです」

男「文字どおりの天国と地獄か…」

転「天国の一部の人間は、まぁ彼らは自分たちを天使なんて呼んでるんですけど。天使は、私たち悪魔を本気で潰そうとしてるんです」
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 00:59:04.66 ID:ANZ49wSO
男「だから、なんでそんなことを?」

転「そりゃまあ、一言で言えば、差別でしょうね。地獄に住む奴らはクズだ、って。でも表向きは、世界の浄化、悪人の始末」

男「そんな…」

転「時々、天使が地獄にやってきて、私たち地獄人にさんざんひどいことをやっていくんです」

男「最悪だな、そいつら」

転「私からすれば、ずいぶんと傲慢で偽善的な天使ですね、って感じですよ。ホントに」

男「…地獄人も、やり返せばいいじゃないか」

転「無理でしょうね。地獄人を嫌う天使と、天使を嫌う地獄人じゃ、数が違いすぎます。向こうは圧倒的に多いんです」

男「……」

転「ま、ここにいる間は何の関係もありませんから。だから私は、ここが好きですよ」

男「…ムカつくな、そいつら」

転「天国も地獄も、お互いにお偉いさんが黙ってますからね。どうしようもありませんよ」

男「……」
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 01:07:33.14 ID:ANZ49wSO
男「ただいまー」ガチャ

イン「おかえりなさい」

シロ「ツナは?ツナは?」

クロ「お疲れさま」

男「……みんなで、集まって固まって。テンコも」

転「…こうですか?」グイグイ

男「……」ギュ

イン「えっ?」

シロ「わあ」

クロ「きゃっ…」

転「…ふふ」

男「ここにいる間は、俺がお前らを幸せにさせてやるからな」

イン「幸せ…?」

シロ「なぁに?」

クロ「何の話よ?」

転「まあまあ、おとなしく喜べばいいんですよ」

男「天使だとか悪魔だとか、そんなの関係なく、俺がお前らを大事にするからな…」ギュウ
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 11:34:06.61 ID:ANZ49wSO
アアキレイナヒトト
デートシテミタイヨ
カラダガダルイヨ
ウチカエッテネタイ
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 22:13:34.10 ID:MIWpOQSO
ど、どうした…
大丈夫か?
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 22:40:50.36 ID:ANZ49wSO
ハヤクオワリタイ
ヤッテランナイベイベ
ハラモヘッタヨ
メシハマダカ
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/28(金) 22:42:13.00 ID:nJF0a36o
  三           三三
      /;:"ゝ  三三  f;:二iュ  何でこんなになるまで放っておいたんだ!
三   _ゞ::.ニ!    ,..'´ ̄`ヽノン
    /.;: .:}^(     <;:::::i:::::::.::: :}:}  三三
  〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__
  ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ   ←>>1
. 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド'
  };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 22:49:57.91 ID:ANZ49wSO
お送りしましたのはB'zで
ザ・ルーズでした
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/28(金) 23:46:27.85 ID:MIWpOQSO
今日は投下なしか…
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 00:37:17.91 ID:aFsYTYSO
>>180
ちゃ、ちゃんとやるよ!
1時半からテレビやるから、それまで頑張るよ!
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 00:47:30.65 ID:aFsYTYSO
男「じゃ、昼飯作るか」スッ

シロ「なに作るの?」

男「チャーハン作るよ」

イン「チャーハンだって。よかったね、シロ」

シロ「……ツナは?」

男「え?ああ…そういえば言ってたな…」

シロ「ツナ…ツナはないの…?」ウルウル

男「えっ?えっ?」

イン「だ、ダメだよ、わがまま言ったら…」

シロ「ツナ…ツナぁ…ひっく」

男「そ、そんなに食べたいのか?」

転「また始まりましたね」

クロ「…冷蔵庫に昨日のピザがあるでしょ」

男「それで取っておいたのか?」

転「私に抜かりはありませんからね」

男「よし!」ガチャ

イン「シロ、泣いちゃダメだよ」

シロ「ふぇっ…ひっく、ツナがほしいの…」

男「ほら、ピザだ!ツナが乗ってるぞ!」

シロ「…あっ!ツナだ!」パアッ

男「今温めてやるからな」

シロ「わーい!」

転「…シロは一日に一食はツナを食べなきゃ気がすまない子なんですよ」

クロ「ツナ中毒ね。今度からは買い蓄めておいてくれる?」

男「ツナか…。まぁ、用意はできるな…」
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/29(土) 00:49:51.79 ID:bcZknA.o
   \                            /
     \     ズサー!     。・゚・ 彡    /
       \     ─=∧,,∧   ミ。・゚・。・゚・)/
         \三c(,_⊃`・ω・)⊃━ヽニニ/
 チャーハン   \             /
     作るよ!! \         /    よしバレてない
  ∧,,∧          \∧∧∧∧/   クルッ ∧,,∧
 (;`・ω・)  。・゚・⌒)  <    チ  >     ミ(・ω・´ )つ サッサ
 /   o━ヽニニフ))  < 予 ャ  >     c( U・ ゚U。彡・ 。・゚・
 しー-J          <    |  > ━ヽニニフ
──────────< 感 ハ >───────────
      ヽ        <    ン  > 野菜だけでもおいしいね
    。・゚.||       < !!!! の >          ∧,,∧
   。・゚・。||ミ      /∨∨∨∨\         (・ω・  )
  。・゚・  〆      /時は動き出す \ ̄ ̄ヽ・゚・ 。・゚/(_,   )
  ∧,,∧ ┃ラヴィ!!/。・゚・ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄  \   ̄ ̄ ̄ \、_)
 (∩゚∀゚)∩   /。・゚・。・゚・  ∧,,∧     \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 /    ノノ  /        ( ・ω・´ )っ    \ ̄| ̄| ̄
 しー-J  /  ヽニニフ━oイ    |       \
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 01:03:51.36 ID:aFsYTYSO
男「チャーハンお待ちー!」カタン

転「お、来ましたか」

イン「おいしそうだね」

シロ「わぁ…」

男「食べな食べな」

全員「いただきまーす」

転「ふむ……んむ……」パクパク

イン「おいしいおいしい」

シロ「おかわりーっ!」

クロ「おいしいわね…。ねぇ、あなた料理が好きなの?」

男「好きって言うか…できるとなかなか便利だろ?」

クロ「そうだけど…」

男「昔からお袋が忙しくてさ、俺一人で家にいることが多いんだよな。だから、一人でも食ってけるようにしないと、って」

転「生き抜くために必要な技術なんですね」

男「大げさに言えばな」

イン「姉さんたちも、料理できたらいいのにね」 

転「こ、こういうのは、長女には向いてないんですよ」

クロ「それ、私にやれってこと?」

シロ「シロも、ツナ作れるかな」

男「ツナ料理ならできるんじゃないか?」
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 01:16:41.64 ID:aFsYTYSO
男「もう全部食べちゃったか。やっぱり五人もいると違うな」

イン「じゃあ片付けよう」

シロ「シロもやるー!」

男「…あの二人は仲が良いんだな」

転「私たち四姉妹は基本的に仲が良いんですけどね」

クロ「でも確かにシロって、いっつもインにくっついてるわよね」

転「インは優しい子ですから。シロに最も信頼されてるんでしょう」

男「ふーん…」

シロ「シロもお皿洗うー!」

イン「ダメだよ。割って、ケガしちゃったら危ないでしょ」

シロ「やりたいやりたいー!」

イン「…じゃ、一枚だけだよ。僕が見てるから、絶対に割ったらダメだからね」

シロ「うん!」

男「…確かに優しくていい子だな」

転クロ『私そっくりで』

男「お前らなぁ…」
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/29(土) 05:53:59.75 ID:mJknwqYo
ほう久々にパー速を巡回してみれば面白そうなスレを見つけた
これからキッチリ見させていただくよ
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 11:19:18.58 ID:aFsYTYSO
>>186
や!光栄の極み!
ただこの展開はそろそろ保たなくなってきた
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 21:06:53.22 ID:aFsYTYSO
バトル超書きてぇ
日常飽きた
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/29(土) 21:10:01.93 ID:bcZknA.o
好きなように書きなさいな
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/29(土) 21:45:21.25 ID:mJknwqYo
書きたいように書いてくれたらいい
それで離れることはない おれはなww
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 21:48:28.43 ID:aFsYTYSO
>>190
こんなチンタラした日常風景を淡々と書き続けるなんて正直しんどい
ただ、俺がシリアス展開をやるとワケわからなくなる

なんだこの二律背反
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/29(土) 23:06:11.48 ID:Zsb9jESO
ゆっくり悩んでくれ

待つ
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 23:14:08.62 ID:aFsYTYSO
西川見たさでスマステ見てるなんて言えない














言えない
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/29(土) 23:54:24.28 ID:Zsb9jESO
なんだ西川ってTMか…
女医かと思ったわ
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/29(土) 23:58:48.92 ID:aFsYTYSO
実はスレタイの元ネタだったりする
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/30(日) 00:05:04.80 ID:1FZK6QSO
そうなのか
ちょっとぐぐってみるわ
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 00:09:42.97 ID:myXk0.SO
転「ご飯食べたら眠く…」

男「昼寝だろ。そんな気はしてたよ」

シロ「シロもお昼寝したい…」

イン「僕もここまで来るのに疲れちゃった…」

クロ「じゃあみんなで寝ましょう」

男「…布団に四人も収まるか?」

転「平気ですよ。くっついて寝ますから」

男「そうか。それならい…」

転「男さんを中心にね」

男「え?」

クロ「そういうことだから…」グイッ

男「うおっ!」ドサッ

シロ「わーい!」ピトッ

イン「僕もいいかな」ピトッ

男「くっ…」

転「男さんなんて、抱き枕みたいなものですよ」

クロ「悪く思わないでね」

男「案外悪くないかも…とか思っちゃう自分が憎い!」
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 00:21:45.95 ID:myXk0.SO
男「……」

男「よく寝るなぁこいつら…」

男「まぁ寝る子は育つって言うし、悪いことじゃないが…」

男「俺を巻き込むなよ…。動けないじゃんか…」

シロ「きぅ…」

男「ん?」

シロ「……」ギュッ

男「…可愛いなぁ」ナデナデ

イン「くしゅんっ」

男「寒いのか?扇風機止めたほうがいい?」

イン「ん…大丈夫、だよ」ギュッ

男「……やばいだろこれは」

男(これってよく考えたら、ハーレムじゃん?)

男(……俺は宇宙一の幸せ者なのかもしれない)
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 00:22:45.61 ID:myXk0.SO
男「……」

男「よく寝るなぁこいつら…」

男「まぁ寝る子は育つって言うし、悪いことじゃないが…」

男「俺を巻き込むなよ…。動けないじゃんか…」

シロ「きぅ…」

男「ん?」

シロ「……」ギュッ

男「…可愛いなぁ」ナデナデ

イン「くしゅんっ」

男「寒いのか?扇風機止めたほうがいい?」

イン「ん…大丈夫、だよ」ギュッ

男「……やばいだろこれは」

男(これってよく考えたら、ハーレムじゃん?)

男(……俺は宇宙一の幸せ者なのかもしれない)
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 00:45:53.20 ID:myXk0.SO
メイ「……」トボトボ

メイ「……うぅ」

転『車も吹き飛ぶ威力が出せるんですよ?』

メイ「あ、あんなハッタリに…」

メイ「イヤ、ホントなのカナ…?」

メイ「とにかく、私は憎きあの長女に、負けたワケで…」

メイ「悔しいデス!」

メイ「私、どうしたらいいんデショウ…」

メイ「いざとなったらコレが…」ゴソゴソ

メイ「さすがに使えまセンカ…」

メイ「……」

メイ「悔しい…」
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 01:00:40.82 ID:myXk0.SO
〜夜〜

クロ「ここが空いてるわね」パチッ

シロ「じゃあ、ここ!」パチッ

クロ「そ、そんな手が…!?」

男「何やってるんだ?あいつら」

イン「僕が持ってきたオセロだよ。二人とも暇さえあればしょっちゅうやってるんだ」

男「クロとシロだけにか?」

イン「必ずシロが勝つんだけどね…」

男「クロは弱いのか?」

イン「ううん。クロ姉さんは強いよ。でもシロは、それよりもっと強いんだ」

男「正直そんな強そうには見えないけどなぁ…」

イン「シロは僕たちの中で、一番頭がいいからね」

男「マジか?」

イン「僕とシャル姉さんとクロ姉さん、三人の知識が全部つまってるし、何よりも能力があるから」

男「記憶の保存か…」

転「ただし精神的には幼い面が強い…。まぁちょっとした教育の失敗ですね」

男「いつの間に風呂上がってたんだ?」

転「今出ました。あの子は頭がいい。でも、その知恵の使い方を知らないんです…」

イン「僕たちにもシロの膨大な知識を、何に役立てたらいいのか分からないんだ」

男「…道具じゃないんだからさ、好きにやらせておけばいいんじゃないか?」
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 01:12:31.75 ID:myXk0.SO
イン「はい、お皿」

男「手伝ってくれてありがとな。インはいい子だなぁ」

イン「そんなことないよ。僕はここにいる上で、最低限のことをしてるだけだよ」

男「それでも偉いと思うぞ。さ、風呂入っちゃいな」

イン「うん」タタタ

転「……」ジーッ

男「な、なんだよ」

転「デレますよ」

男「デレ…?」

転「あの子は一途で素直な子ですから。今みたいに誉めすぎると、すぐにあなたにデレちゃいますよ」

男「そうなのか?」

転「長女の私が言うんだから、間違いありません」

男「ふーん…。嫉妬してたりしないのか?」

転「嫉妬?はっ!笑えますねぇ!」

男「…お前は素直で一途じゃないみたいだな」

転「私をデレさせてみろ!って感じですね」

男「抱きついてきたくせに?」

転「なっ…!それを引き合いに出すなんて、卑怯ですよ!」

男「分かった分かった。ははは」
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 01:26:18.29 ID:myXk0.SO
シロ「クロお姉ちゃん、『でれ』ってなぁに?」パチッ

クロ「…また今度教えてあげるわ」パチッ

シロ「教えてよう!」パチッ

クロ「……あっ。置けない」ピタッ

シロ「わーい!また勝ったー!」


転「ああそうだ。明日からまた学校なんですよね」

男「そうだな」

転「下の三人はどうするんですか?」

男「えっ?」

転「三人とも別々の学校に行くんですか?あ、シロは学校はまだですけど」

男「そうなんじゃないのか?」

転「話、聞いてます?」

男「そういやなんにも聞いてないな…。お袋に電話してみるか」 

男「もしもし、お袋?」

母『何…』

男「ひょっとして、寝てた?」

母『…寝てた。用がないなら、切るよ』

男「あ、いや、今日でもう四人そろったんだけどさ、テン…シャル以外の三人は、学校とかどうすんだ?」

母『…シロは自宅待機で、インは近くの小学校。クロは近くの中学校』

男「はぁ…」

母『じゃあ、おやすみ』ガチャン

男「あ、ちょっ…」

プーッ プーッ プーッ

男「……えーっ」
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 01:40:16.06 ID:myXk0.SO
男「…うーむ」

転「なんかあっさり切られちゃったみたいですね」

男「寝てたらしい」

転「で、何て言ってました?」

男「クロ、インは各学校に。シロは…一人で家にいろ、だと」

転「まぁそうでしょうね。地獄でもシロは家にいましたから」

男「一人でか?」

転「メイが面倒を見てたんですよ」

男「あの造反メイドか…」

転「一応言っておきますけど、地獄は6歳までは教育を受ける必要がないんです。だから来年から、シロも学校に行けるんですよ」

男「そうなのか。…おーい、シロ」

シロ「なぁに?」テテテ

男「明日から、お前は一人で留守番しなきゃいけないことになった」

シロ「みんなお勉強するんでしょ?」

男「ああ…。大丈夫か?」

シロ「うん!」

男「あれ?意外と平気そう…」

転「どうせ、ずっと寝てるつもりなんでしょう?」

シロ「べ、勉強もするよ!」

転「まぁシロは本を読んでるだけにも能力を使いますしね…。睡眠は大事です」

男「どういうことだ?」

転「能力を使うって、疲れるんですよ。エネルギーが必要っていうか…。特に、ここにいる間は、地獄の数倍のエネルギーを消費するんで、たくさん寝たりしないとダメなんです」

男「じゃあ、お前らが昼寝ばっかりしてたのも…?」

転「いや、あれはただの怠けです」

男「なんだよ…。とにかくシロには、留守番しててもらうからな?」

シロ「まかせて!」
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/30(日) 01:54:07.66 ID:z7.x4bIo
かわいいなぁもうww
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 01:57:24.22 ID:myXk0.SO
転「学校行きたくないです…」

男「なんだよいきなり」

転「だるい…」

男「そりゃそうかも知れないけどさ」

転「ちょっとグレたいんですよね…。地獄じゃおとなしすぎたんで…」

男「グレる?」

転「髪を染める、とか」

男「そんなにやりたいのか?」

転「当たり前じゃないですか!髪の色を変えるってすごくないですか?」

男「俺にはよく分からんよ…」

転「染めるなら金がいいなァ…。金髪ロング…」

男「まぁお前なら似合いそうだよな」

転「やっぱそう思います?かっこいいですよね、ライオンっぽくて」

男「何を言いだすんだお前は…。ライオンって、たてがみかよ」

転「ライオンヘアーですよ」

男「意味が分かんねぇよ」
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 20:57:01.59 ID:myXk0.SO
民主大勝wwwwwwwwww
オワタwwwwwwwwww
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 22:33:58.68 ID:myXk0.SO
男「じゃあもう寝るか」

シロ「うん!」モゾモゾ

転「…私は一人で寝ます」

男「?」

転「布団を一枚貸してくれますか」

男「いいけど…」

クロ「姉さまどうしたの?」

転「あなたたちとくっついてると…暑いんですよ」

イン「いつも中心になってるのに?」

転「ここは地獄より気温が高いじゃないですか」

男「まぁいいよ。この布団持ってけ」

転「じゃあ、はい…」ズリズリ

シロ「廊下で寝るの?」

クロ「いいじゃない。姉さまが言ってるんだから」

イン「そうだよ。僕ももう寝なきゃ…」

転「そうだ、イン…」

イン「なに?」

転「明日の天気は?」

イン「えっと……」

男「分かるのか?」

クロ「インには天気予報ができるのよ」

イン「明日は、晴れるよ」

転「…そうですか。じゃあ、おやすみ…」

男「…?」
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 23:04:38.35 ID:myXk0.SO
シロ「くー…くー…」

イン「すー……」

クロ「ん……くー…」

男「……」モゾモゾ

男「喉乾いたな…」スッ

男「ん…?」

転「……」ボーッ

男「なんで布団の上で座ってんだ…?」

転「…寝れないんです」

男「昼寝したからか?」

転「いや、ちょっと気になることが…」

男「?」

転「メイが…」

男「ああ、やりすぎたかなって、反省してるのか?」

転「いえ、むしろその逆で…」

男「逆って…」

転「あれしきのことで彼女がめげるとは思えないんです…」

男「そんなにしつこいようには見えなかったけどな…」

転「どんなにちっぽけでも、くだらなくても、彼女を突き動かす過去は決して簡単には崩れない…」

男「んな大げさな…」

転「簡単は……バラバラにしてやっても石の下から……ミミズのようにはい出てくる……誰かさんが言ってました」

男「それディアボry」

転「彼女には、気を付けなくちゃいけません…。地獄では使えなかった能力が、ここではたやすく使える。彼女も同じなんですから…」

男「…?」

転「彼女が本気になったら、ここは戦場になります。間違いなく」
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 23:11:44.21 ID:myXk0.SO
転「簡単は…」→転「過去は…」
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 23:42:18.21 ID:myXk0.SO
男「そんなに強いのか?」

転「杞憂かもしれません。でも、厄介な能力であることは確かです」

男「お前の能力だって、十分強いんじゃないのか?」

転「ええ、一対一では最強ですよ。でも」

男「一対一では…?」

転「…やっぱいいです。もう寝ますね」

男「あ、おい!」

転「おやすみなさい」バフッ

男「……」

男「…とにかく俺も寝るか。水飲んで…」

転『彼女が本気になったら、ここは戦場になります。間違いなく』

男「…どう見ても弱そうなメイドだけどなぁ」

男「まぁ俺の知らない何かがあるんだろうな」
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/30(日) 23:58:05.79 ID:myXk0.SO
翌日・朝

男「さぁ、起きろ起きろ!」バサバサ

転「…む〜」

男「学校だぞ!学校!」

シロ「あのね、これやるとみんな起きるんだよ」

男「ん…?なんだこれ?」

シロ「紐をひっぱるんだよ。やってみて」サッ

男「なんで耳ふさぐ?」グイッ

『ワンッ!!』

男「〜っ!」

クロ「きゃっ!」

イン「わわっ!」

転「ぶ、ブザーを…!」

男「なんだ今の音…?救急車のサイレンみたいな…」

シロ「ほら、みんな起きたよ。シロたちはねぇ、この音に弱いんだよ」

イン「目覚まし…僕のカバンに入れてたのか…」

男「と、とにかく、起きたな!さ、飯食って支度しろ!」

クロ「く、ひるんだわ…」
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/31(月) 00:15:07.05 ID:oIFRjoSO
クロ「じゃあ私はもう行くわね」

男「ああ。帰りはすぐに帰ってこいよー」

クロ「分かってるわ。行ってきます」ガチャ

男「いってらっしゃい」

イン「僕ももう行くね。シロ、お留守番頼んだよ。行ってきます」

シロ「うん!」

男「いってらっしゃい」

転「あなたはまだいいんですか?」

男「女が来るから、それまで待ってよう」

転「それ、私が一緒にいても平気なんですか?邪魔になるようなら一人で先に行きますけど…」

男「別に平気だよ」

ピンポーン

女「男くーん。学校行こー!」

男「さっそく来たな。よし、行くぞ」

転「じゃあ、シロは家で大人しくしててくださいね」

シロ「うん。お弁当してるね」

男転「じゃ、行ってきます」

シロ「いってらっしゃーい!」ブンブン
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/31(月) 00:16:39.88 ID:oIFRjoSO
クロ「じゃあ私はもう行くわね」

男「ああ。帰りはすぐに帰ってこいよー」

クロ「分かってるわ。行ってきます」ガチャ

男「いってらっしゃい」

イン「僕ももう行くね。シロ、お留守番頼んだよ。行ってきます」

シロ「うん!」

男「いってらっしゃい」

転「あなたはまだいいんですか?」

男「女が来るから、それまで待ってよう」

転「それ、私が一緒にいても平気なんですか?邪魔になるようなら一人で先に行きますけど…」

男「別に平気だよ」

ピンポーン

女「男くーん。学校行こー!」

男「さっそく来たな。よし、行くぞ」

転「じゃあ、シロは家で大人しくしててくださいね」

シロ「うん。お弁当してるね」

男転「じゃ、行ってきます」

シロ「いってらっしゃーい!」ブンブン
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/31(月) 00:24:13.48 ID:Fa/yac.o
しえん
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/31(月) 00:27:54.78 ID:oIFRjoSO
転「〜♪」スタスタ

女「ねぇ、テンコちゃん、だっけ?」

転「なんですか?」

女「テンコちゃんはどうしてこの時期に、ここに来たの?」

転「それはですね、地獄にいる父が…」

女「え?地獄?」

男「じ、地獄ってのは、こいつん家のことだ。地獄みたいな親父がいて、親子ケンカして、家出して家に来たんだよ!」

女「地獄って…そんなに怖い人なの?」

男「それはもうね、ヤバイな!あれは!なぁ?」

転「そう、ですね…」コクン

男「そういうわけだ!ははは」

女「大変なんだね…」

転「男さん…私たちが親子ゲンカしたことなんて、一度もないんですよ」ボソッ

男「だけどお前…地獄のことを言うのはマズいだろ!これからも隠せよ!いいな!」ボソッ

転「…ま、いいですけどね」

女「あ、そういえば、二人は親戚なんでしょ?テンコちゃんは従妹なんだよね」

転「そうですけど」

女「あんまり似てないよね…。なんかテンコちゃんって、鼻が少し高くて、綺麗な外人さんみたい…」

転「いやァ、それほどでも…」

男「ま、まぁお袋と叔母さんはあんまり似てないしな!」

女「親戚ってそういうものかな?」

男「そう。そうなんだよ!ははは」

転「必死ですね」ボソッ
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/31(月) 00:30:14.64 ID:oIFRjoSO
男「地獄みたいな親父がいて」→男「悪魔みたいな親父がいて」
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/31(月) 00:44:51.06 ID:oIFRjoSO
県立噛屍魔高校2‐B

女「じゃあ、またお昼にね!」

男「ああ、後でな」

女「テンコちゃんもね!」

転「はい、じゃあ、また…」

ガラッ

転「やっぱりああ言う子はいいですね…。私の陰のオーラに相反する、陽のオーラに溢れてますね…」

男「そうか?」

転「男さんの彼女じゃないんですか?あの子」

男「彼女じゃなくて、幼なじみだよ」

転「彼女にしちゃったらどうです?」

男「ん…いや、今のままで十分だ」

生徒A「よう男!おはよう!」

男「ああ、おはよう」

生徒A「もうテンコちゃんとくっついてるのか…。すげぇなぁお前」

男「え?いや、こいつは俺の従妹なんだ」

生徒A「従妹…?」

男「ちょっとワケあって、今は家で暮らしてる」

生徒A「なん…だと…!」

転「どうも」

生徒A「ど、同居なんて…お父さん、お父さん、許さんぞー!」

男「そんなこと言われても…」

先生「はーいみなさんね、座って座ってくださいね!」
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/31(月) 21:47:31.98 ID:oIFRjoSO
麗しき世界が目の前に
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/31(月) 23:17:38.28 ID:oIFRjoSO
今日は書けぬやもしれぬ…
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/08/31(月) 23:30:21.84 ID:zrzIPYAO
支援

ゆっくりでいいよ
楽しみにしてる
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/01(火) 18:15:02.35 ID:DvidfJYP
了解!楽しみにしてるよ。
1にはもう俺たちが付いている
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/01(火) 22:36:06.66 ID:rRXuNQSO
〜前回までのあらすじ〜

四姉妹が無事に集合し、月曜日を迎えましたが…
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/01(火) 22:53:56.77 ID:rRXuNQSO
先生「今日はね、テストを、テストを!テストをね、やろうと思います」

生徒たち『え〜っ!』

男「え〜っ!」

転「Fack」

先生「いや〜。今日は先生出張でさ、出張なんだよ。出張。だからね、君たちには今日はテストをやってもらいます!」

生徒『はぁ〜っ?』

男「はぁ〜っ?」

転「Shit」

生徒「テストは五教科です…。全部終わったら自習を…、自習。自習!自習しててください!では!」ガラッ

生徒A「めんどくせーよー」

生徒B「チョーダリぃ」

生徒C「マジかよ…」

男「はぁ…」

転「男さんも、テストはやっぱり嫌ですか」

男「テストが好きなやつなんていないだろ…」

転「そうですよね。まぁさっさとやっちゃいますか」ガラッ

生徒A「おろ、テンコちゃんやる気だねぇ」

生徒B「あんたって頭いいの?」

転「それはもう」スタスタ

生徒C「すっげぇ自信家…」

男(実際にそうだから困る)
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/01(火) 23:06:47.39 ID:rRXuNQSO
〜10分後〜

転「○☆@∞¥×(笑)」シャカシャカ

男「お、おい!なにやらワケの分からんことを呟きながら問題を解くな!」ボソッ

転「え?なんですか?」シャカシャカ

男「もっとゆっくりやれよ!せめて人並みに…怪しまれてもいいのか?」ボソッ

転「私はあなたにそんな注意してもらいたくて席を移動してるんじゃあないんですよ…」シャカシャカ

男「そうだ!なんでわざわざ隣の子と席を取り替えたりした?」

転「…できた」シュバッ

男「はやっ!」

転「まずは英語です」ガタッ

男「?」

転「よいしょよいしょ」ペタ

男「黒板に張りつけてる…?」

転「これが英語の解答です」

生徒たち『おぉーっ!』

男「バカかお前は!戻ってこい!」
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/01(火) 23:40:03.47 ID:rRXuNQSO
転「見てくださいよ。みんな群がってますよ。私の実力に驚いたようですね」

男「そりゃそうだ。しかしあんな風に見せつけなくても…」

転「舐められたら終わりですからね」

男「性悪め。悪魔め」

転「地獄人を悪魔と呼ばないでくださいよ…。さ、次は数学ですね」

男「ったく…」

生徒F「あの…」

転「?」

生徒F「勉強…教えてくれませんか…?」

転「……」

生徒F「ダメ……?」

転「…いいですよ。座ってください」

生徒F「あ、ありがとう!」

男「なんだ、結構良い奴じゃん」

転「今さら言いますかね。それを」

男「悪魔じゃないな。やっぱり。さ、俺は自力で解いてやらぁ」

生徒たち『すげぇ』

生徒たち『完璧っぽいぞ』
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/02(水) 00:00:53.35 ID:AKIUF.SO
〜30分後〜

転「なんだ、できるんじゃないですか」

生徒F「て、テンコさんの教え方が上手だから…」

転「これで合ってますよ。全問正解。いえーい」スッ

生徒F「い、いえーい」パチッ

転「ふふふ…」

生徒F「な、なに?」

転「可愛いですねぇメガネちゃん」

生徒F「えっ……////」

男「なに誘惑してんだよ」

転「私こういう初な子って好きなんですよね…。男さんはできたんですか?」

男「まぁ、一応な」

生徒F「あ、ありがとう。あとは私一人で頑張り…ます」

転「分からなくなったらまた聞いてくださいよ」

生徒F「あ、はい…」スッ

男「…誤解されてるのかな、もしかして」

転「さぁ?まぁ私たちが親しげに喋ってるのは、確かに周りからすればちょっとおかしいですよね」

男「うぅ…なんだかなぁ…」
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/02(水) 22:34:28.50 ID:AKIUF.SO
今日も書けない…
やべぇ展開遅すぎる
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/02(水) 22:54:28.86 ID:cMewyUUo
パー速なんだしまったりいこうぜ
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/04(金) 02:28:49.24 ID:08N2Y.SO
今日は来なかったのか…

パー速だから、ゆっくりやってくれ

つ支援
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/04(金) 09:55:59.23 ID:NmlI8oI0
地獄から来た女の子って言うとどうしてもるくるくが浮かぶ

るくるくとはまた別種の面白さがあるな
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/05(土) 00:18:56.26 ID:D.Y86kSO
>>231
ごめん
るくるく大好きなんだ

転「全部終わったら何すればいいんですか?」

男「自習だよ自習」

転「て言うか、誰も真面目にやってないですよね。実質すでに自習状態?」

男「まぁな…。一日まるごとテストにした先生が悪い」

転「出ました。若者の意見」

男「うっさいな…」

転「じゃあ全部終わったら寝ます。自習なんかしてるより、そっちの方がよっぽどタメになりますからね」

男「ホントに寝ることしか考えてないんだな」

転「どうも」

男「誉めてねぇよ」
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/05(土) 00:31:42.69 ID:D.Y86kSO
転「……」カリカリカリ

男「えーっと…ここはどうやるんだったか」

転「……」カリカリカリ

男「こうか?ん?いや、違うな…」

転「……」カリカリカリ

男「くそ、間違えた。じゃあこっちか…」

転「…男さん、私に構ってほしいのは分かりますけど、もうちょっと静かにしてくれません?」

男「ああ、悪いな…。別に構ってもらいたいんじゃなくて…」

転「しーっ」

男「…分かったよ」

転「……」カリカリカリ

男「……」カリカリ

転「…ふー。少し休憩を」チラッ

転「空が綺麗ですねぇ…。結局雨は降らないみたいですし…」

男(こいつ…自分から静かにしろとか言っておいて…)
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/05(土) 00:45:14.39 ID:D.Y86kSO
転「ああ、雀が飛んでますねぇ…」

男「おい」

転「なんですか」クルッ

男「静かにしろっつったのはお前だよな」

転「ああ、はい。少し休憩するだけですから」

男「もうちょい静かに…」

転「分かりましたよ。すみませんでした」クルッ

転「……!」

男「ったく…」

転「お、男さん!」

男「なんだよ!」

転「外に、誰かが…飛んで…」

男「はぁ?誰もいないぞ」

転「え…。ホントですね…」

男「…俺がうるさくしたからか。仕返しか」

転「いや、そういうつもりは…」

男「じゃあ静かにしてくれ。お互いにな」

転「…見間違えた?いや、確かに誰かが、飛んでいた…ような」
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/05(土) 00:50:12.81 ID:QqmNsj.o
             ⊂ \       /⊃
               \\/⌒ヽ//
             ((   \( ^ω^)    ))うひょひょひょひょひょひょ
                 /|    ヘ
               //( ヽノ \\
             ⊂/   ノ>ノ    \⊃
                   レレ  スイスーイ

             彡
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/05(土) 00:53:23.28 ID:D.Y86kSO
転「まぁ気のせいと言うことで…。テストは残り二枚…」

シュッ

転「!」

転「…誰かがいる。外からこっちを…」

男「おいテンコ…マジで静かにしてくれよ…」

転「男さん、ハサミかカッター持ってます?」

男「え?持ってないけど…」

転「じゃあ一番丈夫なペンを私に貸してくれませんか」

男「…この万年筆が一番丈夫かな?あんまり使わないけど、結構したんだぞ」

転「ありがとうございます」パシッ

ガラッ

男「なんで窓開けるんだ?」

転「どこに行った…?」キョロキョロ

シュッ

転(いた…!)
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/05(土) 01:03:46.47 ID:D.Y86kSO
転「…危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)弾き飛ばせ」ビシュッ

男「え?」

?「!!」ガッ

転「頭部に命中…引き寄せろ」シュッ

?「……」ボトッ

転「やっぱ眉間に刺さった万年筆じゃ引っ張れませんか…」パシッ

男「お、おい!何したんだ今?擬音だけじゃさっぱり分からん」

転「はい、万年筆お返しします。先に少し血が付いてますが、拭けば落ちるでしょう」スッ

男「いや、だから何したのかって…」

転「ちょっと外に出てきます。すぐに戻って来ますから…」ガタ

男「あ、テンコ!」

転「窓、閉めておいてくださいね」スタスタ

男「……何なんだあいつ。外に向かって何かしたな」
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/05(土) 01:17:10.95 ID:D.Y86kSO
男「……」

男「ま、放っておくか」

〜中庭〜

転「……あなたは」

?「……」ピクピク

転「なぜここに…?」

?「…く、くけけっ。あんた、元祖魔王ヴィーノのとこの娘さんか…」ムクッ

転「口が利けるなら、話は早いですね」

?「なるほどなぁ…。どおりで能力の次元が違うわけだ…」

転「何のようで、こんなところまで来たんですか」

?「……こっちに降りてきた地獄人の始末だよ。けけ」

転「ここであなたみたいな天使といがみ合うつもりはありませんが」

?「俺ぁ誰がこっちに来たのか、それを調べる役だ…。けどまぁ、あんたたちなら手は出せねぇなぁ」

転「…来たばっかりで申し訳ないんですけど、もう帰ってくださいよ。私たちはワケありでこっちにいるんですから」

?「けけ…そうかい…。あばよ」バサッ

転「……」

ポツポツ

転「降って、来ましたか」
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/05(土) 01:26:59.14 ID:D.Y86kSO
〜教室〜

ガラッ

男「お…。何やってたんだよ」

転「ちょっと、まぁ、いろいろと」ガタ

男「……?」

転「今から寝ます。テストはもういいです」

男「まだ二枚あるじゃないか。それにお前の早さならすぐ…」

転「飽きました」

男「飽きましたって…」

転「……男さん」

男「ん?」

転「私がここに来て、何日が経つんでしたっけ」

男「まだ四日目だろ」

転「そうでした。では、おやすみなさい」ガバッ

男「ホントに寝るのか」

転「…四日目でこれか」

男「なんか言ったか?」

男「いえ、何も」
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/05(土) 01:34:39.94 ID:D.Y86kSO
昼休み

女「男くーん!ご飯食べよー!」ガラッ

男「ああ、分かった」

女「テンコちゃんは?」

男「ここ。さっきから起きないんだよな」

女「具合悪いの…?」

男「いや、なんか疲れたとか言ってたぞ」

女「大丈夫かな…」

転「心配には…及びません」ガタッ

男「起きた…」

転「ちょっと頭が痛くて…」

男「あんなシャカシャカテストやるからだ。ははは」

転「…それよりご飯…一緒に食べるんですよね…」

男「あ、ああ」

転「じゃあ、行きましょう…」フラフラ

男(マジで大丈夫か?)

女(どうしたんだろう…)
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/06(日) 00:39:48.24 ID:2dIoJESO
〜食堂〜

男「テンコ、お前何食いたい?」

転「……」ボーッ

女「て、テンコちゃん…」

転「…はい?」ハッ

男「何食べる?」

転「えっと…じゃあ、冷たいうどんで…」

男「うどんだな。女は弁当があるからいいな?」ガタッ

女「あ、うん」

転「……」

女「ね、ねぇ、テンコちゃん…。どうしたの?」

転「……いや、別に」

女「すごい疲れた顔してる…」

転「……あ、今日は、あの日なんですよ。女の子の日…」

女「なぁんだ!そっか!もう…心配しちゃったよ〜」

転「すみませんでした」

女「謝らなくていいよ。大変だよねぇ。やっぱり…」

転「……」
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/06(日) 23:24:31.88 ID:tquzJ3k0
しえんしえん

+で見てたよー。
パー速にいてくれて嬉しいよー
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/06(日) 23:27:33.20 ID:tquzJ3k0
しえんしえん

+で見てたよー。
パー速にいてくれて嬉しいよー
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/06(日) 23:57:13.37 ID:2dIoJESO
男「ほれ、うどんだぞ」コトッ

転「ありがとうございます…」ズズ

男「……」ニヤ

転「あばばばばばば!!!!」

女「て、て、テンコちゃん!?」

男「ばーっか!こんな簡単にひっかかりやがった!」

女「な、なに?」

転「箸の先にわさびが!わさびが塗られて…」

男「ぼーっとしてるからだ!」

女「ひどいよ男くん!テンコちゃんは、その…女の子の…日…で…」

男「違うんだろ。テンコ」

転「……まぁ、違うか違くないかと言われたら違います」

女「えっ?」

男「何があったのか、話してくれよ」

転「……」
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/06(日) 23:58:33.40 ID:MIemOS6o
女かわいい
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/07(月) 00:08:35.99 ID:PDJZj2SO
転「…じゃあ、まず、女さんに私の素性を明かす必要がありますかね」

男「そうだな…。そうしてくれ」

女「素性って?男くんの従妹なんじゃないの?」

男「いや、そうなんだけどさ」

転「実は私は、地獄から来た地獄人なんです」

女「じごく……?それってあの、悪い人が行く地獄?」

転「そうです」

女「へぇ…」

男「嘘じゃないんだ。こいつは地獄で暮らせなくなって、一時的にこっちで生活することになって、それで…」

女「地獄かぁ…」

男「あれ、案外信じちゃってる?」

転「で、ですね…。私たち地獄人と天使の対立の話は、前にしましたよね」

女「天使?え?」

男「…とりあえずテンコが今までしてくれた話を、まんまこいつにもしなきゃダメだな」
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/07(月) 00:16:57.23 ID:PDJZj2SO
男「地獄の四姉妹についてかくかくしかじか」

女「うんうん」

男「地獄についてかくかくしかじか」

女「うんうん」

男「天国と地獄についてかくかくしかじか」

女「うんうん」

男「これで分かったか?」

女「要するに今までのレスを読み返せってことだよね」

男「そういうことだ」

転「えーと、それじゃあ、どこから話せばいいんでしょうか」

男「お前の様子がおかしくなった辺りからだな」

転「…テストの休憩中に、外を見てたんです。ただ、なんとなく」
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/07(月) 00:42:45.19 ID:PDJZj2SO
男「見てた見てた」

転「したらなんでしょうかね、何かがちらちらと動いてたんですよ。最初は気のせいかと思ってたんですけど」

女「鳥?」

転「いや、それが、どうやら人みたいだったんです。窓の外を人が飛び回るなんて普通じゃないでしょう。ましてや隠れるようにしてるなんて」

男「ふむ…」

転「だから、攻撃してみたんです。男さんの万年筆借りて、能力でぶつけたんです」

女「リスキーなんちゃら?だっけ」

転「危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)です。万年筆を弾丸のように飛ばしたんですよ。そうしたら、うまくいきました」

男「そんなことしてたのか…」

転「そいつが誰だったのかと言いますと、天使だったんです。私たち地獄人を毛嫌いし、始末しようとしてくる連中だったんです」

女「はぁ…」

男「一体何しに来たんだ?」

転「この日本に地獄人がいる、という情報を得たそうで。あわよくば[ピーーー]つもりだったんでしょうね」

女「こ、こここ、[ピーーー]…?」

転「問題は私が、その襲撃に抵抗したことなんです」

男「え?」

転「私があの天使にダメージを与えて追い返してしまいましたから、天使勢には私たちを潰しにかかる大義名分が出来たわけです」

男「なるほど…。悪魔に襲われた、と向こうが言っちまえば、敵討ち名義でお前らに攻撃できるわけだ」

転「いくらここでも、私たちを理由なく襲うことはできませんから。私はただ『こちらを見ていただけの天使』に手を出してしまったんです」
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/07(月) 00:48:43.70 ID:PDJZj2SO
KO・RO・SUはNGなのか
タメになるわー
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2009/09/07(月) 00:52:28.78 ID:g/DksWoo
殺す。

目欄に saga っていれるとその機能は回避されるはず。
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/07(月) 00:54:42.84 ID:PDJZj2SO
転「いくら私たちを嫌う天使でも、ここで何の理由もなしに襲撃することはできません」

転「しかし、襲撃をするかのように見せかけることはできます」

転「私がまんまとそれに騙され、ウカツに攻撃をしてしまったせいで、天使勢には私たちに反撃する理由ができたわけです…」
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/07(月) 23:31:55.58 ID:PDJZj2SO
男「…で、どうすればいいんだ?」

転「あの天使は天国に一旦戻るはずです。そこで私たちをどうするか決めるはずですから…。それまではどうしようもないですね」

男「来るときに来るってことか?」

転「ええ、一度追い返した分、向こうも本気になるでしょうね」

女「そ、そしたらテンコちゃんはどうするの?」

転「……」 

男「おとなしくやられるつもりか?」

転「…まだ、分かりません。しかし、どうしてこうなったんでしょう」

男「?」

転「どうして私たちがここにいることが分かったんでしょう」

男「お前のことを偶然見つけたからじゃないのか」

転「私たちも天使も、意味もなくこっちに来ることはありません…。と、なると」

女「なると?」

転「なんらかの理由で天使がここに来ていて、私たちを偶然見つけた」

男「俺はそう思うな」

転「もしくは」

女「もしくは?」

転「私たちがここにいることを、天使に伝えた誰かがいる」

男「……誰が?」

転「おそらくは……メイ辺りじゃないかと」

男「あのメイドか…」
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/07(月) 23:52:51.80 ID:PDJZj2SO
転「メイは唯一、天使と対等にいられる地獄人ですから」

男「?」

転「とにかく、私たちを嫌うメイなら、天使を呼び出すのも分かるんです。わざわざ自分の手を汚さなくても、私たちを始末できるんですから」

男「…なぁ、ずっと気になってたんだけどさ」

転「なにがです?」

男「お前らとメイドって、そんなに仲が悪いのか?俺にはただの子供のケンカにしか見えんのだが」

転「…私は彼女が嫌いです」

女「どうして?」

転「…人を嫌うのに、理由がいるんですか」

男「不平等だ」

転「……メイは、流刑の地としての地獄で、拷問されていたんです」
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/07(月) 23:55:02.57 ID:PDJZj2SO
転「私の父は…何を思ってか彼女を解放させ、メイドとして働かせた」

男「…でも、それが、なんなんだよ」

転「…だから、拷問されてて」

男「だから見下してるのか?」

転「……!」

男「それって差別してるってことだろ。そんな理由で、お前らはいがみ合ってるのかよ」

転「そ、それは…」

男「なんだか拍子抜けしたな。お前が他人をそんなふうに見下してたなんて」

女「お、男くん…」

男「お前らの個人的な揉め事に関わるつもりはなかったが、お前の一方的な差別のせいであのメイドが苦しんでるなら、それだけは許さないぞ」

転「…あなたは聖人ですか」

男「なに?」

転「何が正しいのかなんて、たぶん誰も知らないはずですから。あなたが何と言おうと、私はあいつが大嫌いです」

男「お前…ぶん殴ってやる…!」ギリ

女「男くんっ!ダメだよ!」ガタッ
ざわざわ
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/08(火) 00:00:18.72 ID:eg3A.ioo
        (ヽ、00  ∩
      ⊂ニ、ニ⊃ ⊂ ⊃
       ,, -‐- \   | |/⌒ヽ  〇  〇
      ( ⊂ニニ   / /⌒) )
       `ー――'′ し∪  (ノ

                     (ヽ、00  ∩
                   ⊂ニ、ニ⊃ ⊂ ⊃
                    ,, -‐- \   | |/⌒ヽ  〇  〇
                   ( ⊂ニニ   / /⌒) )
                    `ー――'′ し∪  (ノ
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/08(火) 00:03:12.36 ID:0q.Sy6SO
男「拷問を受けてた醜い身分の低いやつだと?お前はそう言いたいんだろうが」

転「それの何が悪いんですか」

男「いい加減にしろよ!…差別だぞ、差別」

転「そんなものはどこにだってありますよ」

男「!」

転「差別だ差別だとあなたは言いますけど、この国だって似たような有様でしょうが」

男「…くっ」

転「在日がなんとか、中国は治安が悪くてなんとか、そんなのばっかりじゃないですか」

男「……」

転「そこに何の違いがあるんです?私のことは非難して、自分たちの周りのことは見て見ぬふりするんですか?」

男「そういうわけじゃ…」

転「差別をなくそうなんて甘ったれた考えを持ってるの、あなたぐらいなんじゃないですか」

男「俺は……」

パンッ

転「……!」

男「お、女…」

女「いい加減にしてっ!テンコちゃん!」

転「…あなたも、男さんの肩を持つんですか?」

女「差別がどうのこうのなんて、私にはよく分からないよ。でも、テンコちゃんはメイさんがどんな気持ちで生きてきたか、分かってるの?」

転「…知りたくもないですよ、そんなの」ガタッ

スタスタ

男「おいっ!テンコ!」

女「……」
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/08(火) 00:14:17.30 ID:0q.Sy6SO
男「あいつ…」

女「…座ろ、男くん」ガタ

男「ああ…」ガタ

女「ホントに、分からないの。何が正しいのかなんて。テンコちゃんの言うとおり」

男「……」

女「テンコちゃんの一方的な差別が正しいとは思わない」

男「……」

女「でも男くんの、偽善的な理屈が正しいとも思わない」

男「別に偽善的なんかじゃ…」

女「じゃあ、ホントに平等なの?」

男「…何に対して」

女「全部。周りの人だとか、文化の違いだとか」

男「……」

女「頷けないでしょ」

男「…頭では、悪いことだと分かってるんだ。でも、無意識の内に、俺も周りを差別してるんだと、思う」

女「きっとそれが普通なんだよ」

男「……でもあいつの、テンコの態度だけは許せなかったんだ」

女「…テンコちゃんは、ホントにただ単に差別してるだけなのかな」
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/08(火) 00:18:09.73 ID:0q.Sy6SO
だんだん変な話になってきたなぁ
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/08(火) 00:21:42.66 ID:U5i1Uw2o
しえんするお
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/08(火) 01:27:04.83 ID:U8lCLy.P
一変してきたね
支援!支援!
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/08(火) 09:53:46.68 ID:A3ck8nI0
面白くなってきたんじゃね
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/09(水) 16:39:11.56 ID:nhgGbqw0
ことここに至って、途端につまらなくなったな
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/09(水) 21:08:13.01 ID:Jw.fcYSO
パー速でアンチかよwwwwww
イヤなら読まなきゃよくね?
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/09(水) 22:55:27.18 ID:7Rje6YEo
そう?
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/11(金) 22:08:55.19 ID:Ud1RYYSO
風邪ひいてました
再開します
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/11(金) 22:27:36.78 ID:CC7TTwwP
完治して元気でいるなら許す!
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/11(金) 22:37:55.94 ID:Ud1RYYSO
>>266
元気だぜ

市立青柳橋中学校

クロ「……」クルクル

教師「クロさん?聞いてます?」

クロ「…はい?」

教師「この問題を解いてください。四角の三番」

クロ「…a=6」

教師「…正解」

クロ「中学校の問題なんて…」ボソッ

教師「今何か?」

クロ「いえ何も」

クロ(何とはなしに落ち着かないわね…)
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/11(金) 22:45:18.94 ID:Ud1RYYSO
六敷小学校

イン「……」ザクザク

イン「…なんだろう」

イン「…変な感じがする」

イン「……」ザクッ

イン「痛っ…」

先生「あー、切っちゃったか。彫刻刀を使うときはぼーっとしない」

イン「はい、すいません」

先生「見せてみて」スッ

イン「あ、いえ、大丈夫です…」

先生「いいからいいから…」グイ

先生「えっ?」

イン「……」

先生「傷口があるのに、血は出てない?いや、止まってる…?」

男子生徒「そんなわけねーじゃん!」

イン「そ、そうですよ。ちょっと傷が浅かったんです…」

先生「でも…」

イン「僕は大丈夫ですよ、先生」ニコッ

先生「…そうね、それならいいわ」

男子生徒(可愛いなぁ…)
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/11(金) 22:52:52.68 ID:Ud1RYYSO
男宅

シロ「ふんふんふーん♪」カキカキ

シロ「ふんふふんふーん♪」カキカキ

シロ「ふんふんふふん…」ポキッ

シロ「あっ…いろえんぴつが…」

シロ「……削らなきゃ」ガリガリガリ

シロ「……」ガリガリ

シロ「なんだろう?」
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/11(金) 22:58:34.85 ID:Ud1RYYSO
噛屍魔高校校門前

転「……」スタスタ

転「……」ピタッ

転「このままここを出てしまっていいものか…」

転「……はぁ」クルッ

転「…戻りましょう。さすがにあの態度は男さんに失礼でしたね…」スタスタ

転「……!」ゾクッ

転「…今のは」
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/11(金) 23:06:27.06 ID:Ud1RYYSO
帰り道

男「結局あいつ、どこ行っちまったんだろうな…」

女「あ、やっぱり心配なの?」

男「…だ、だってあいつ、まだこの辺りのこと詳しくないからさ…」

女「男くんはやっぱり優しいね」 

男「…お袋にもしっかり面倒見るように言われてるし」

女「素直になりなよ〜」

男「う、うるさいなぁ…」

女「照れてるんだ〜」

ヒュウウウオオオオ

男「ん?何のおと…」

女「あ、危ないっ!」

ドン

男「……」パクパク

女「ひ…人が空から降ってきた…」

ムクッ

女「起きた…」

男「な、なんだあんた…。大丈夫か?」

?「あァお構い無く。少し首にヒビが入っただけなんで…」

男「く…首にヒビぃ!?」

?「お構い無くゥ…」ゴキゴキ

女「ひっ…」

?「むっ」ダンッ

男「飛んでった…」
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/11(金) 23:15:08.70 ID:Ud1RYYSO
男「なんだったんだ?今の…」

女「わ、分からないよ…」

男「…まぁ、とにかく、帰るか」

女「そう、だね…」

男「……」スタスタ

女「……」スタスタ

男「なぁ、女…」

女「なに?」

男「…ウチにさ、四姉妹が来ただろ」

女「…うん」

男「…夢見てるみたいだ」

女「…そうかな」

男「地獄だなんだとか、ワケ分かんねぇよ、正直…」

女「私は信じてるよ」

男「…そっかぁ」
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/11(金) 23:22:56.11 ID:Ud1RYYSO
男「ただいま…」ガチャ

イン「おかえりなさい」

シロ「おかえりーっ」

男「…ふー」

クロ「ため息つきたいのはこっちよ。あなた姉さまに何したの?」

男「あー…ちょっとケンカして…」

クロ「…ケンカ?」

男「おーい。テンコぉ…」ヒョコ

転「………」ブツブツ

男「…テンコさーん」

転「…はい」クルッ

男「その…なんだ…昼は悪かったな」

転「……」

男「少し感情的になりすぎたよ。ごめんな」

転「いえ、こちらこそごめんなさい。私もひどいこと言いましたから…」

男「…それでさ、一つ聞きたいことがあるんだけど」

転「はい」

男「お前らは『四姉妹』なんだよな?」

転「…?」
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/11(金) 23:27:54.47 ID:Ud1RYYSO
クロ「あなた…何を言ってるの?」

男「五人目はいないよな?」

イン「いたらビックリだね」

シロ「シロに妹がいるの?」

男「いや、いないならいいんだ。ただ、お前らみたいな奴がいてさ…」

転「私たちみたいな奴?」

男「なんというか、雰囲気が違うっつーか」

転「…天使ですか?」

男「えっ?」

転「…いえ、考えすぎですね。視察を追い返したばかりなのに、もう来るなんてことはないでしょう…」

男「なんだかよく分からんが、変な奴だったよ。いきなり空から落ちて来たかと思えば、また飛んでって」

転「……」
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/11(金) 23:29:12.75 ID:Ud1RYYSO
男「雰囲気が違うっつーか」→男「雰囲気普通の人と違うっつーか」
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 00:11:22.56 ID:GnenXUSO
クロ「…確かに変ね。さすがに落ちたり飛んだりって、普通の人がやるには無茶があるわ」

男「だろ?しかも、首にヒビが入ったとか言って、ゴキゴキやって…」

イン「??」

男「…とにかく、よく分からないんだよ」

シロ「変な人なんだねぇ」

男「性別もよく分からなかったな…」

転「…なんかイヤな予感がしますね」

男「やっぱヤバいやつなのか?」

転「いや、さっきから外が騒がしいんですよ」

男「外…?」ガラッ

ギャアギャアギャアッ

男「うわぁあっ!」

バサバサバササッ

シロ「なになに!?」

イン「か、カラス?」

クロ「すごい数ね…」

男「し、心臓が止まるかと…」

転「……天使の視察、飛ぶ変人、大量のカラス…」ボソ
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 00:31:36.66 ID:GnenXUSO
転「これはちょっと、鍛えておいた方がいいかもしれませんね」

男「鍛える?」

転「私たちここに来てから、ちっとも運動とかしてませんから…」

男「まぁそうだな」

転「それに、能力を自由に使えるここでなら、あなたたちもレベルアップできるんじゃないですか?」

男「レベルアップ?」

クロ「能力の進化…『バイ・セカンド』のことね」

男「倍?なんだそれ?」

イン「えっと…僕たちの能力は、進化するんだ」

男「能力って、天気の能力?」

イン「僕の場合はね。テンコ姉さんの能力『危険な操作法』は、元はあんなに強力な能力じゃなかったんだ」

転「遠くの物を手元に持ってこさせる能力。それが進化して、「引き寄せる力」と「弾き飛ばす力」を操る能力になったわけです」

男「知らなんだ」

転「一応、この子たちの能力も進化するんですが…どうにも経験不足なようで。ここで少し鍛えて、全員レベルアップと行きましょうよ」

クロ「…何のために?」

転「…今後のために」

クロ「…ま、いいわ。でも鍛えるって言ったって、どうすればいいのよ」

転「ちょうどいいサンドバックがあるじゃないですか」グイッ

男「待て待て待て」
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 00:40:51.83 ID:GnenXUSO
クロ「あら本当」

シロ「い、いじめちゃダメだよ!」

転「冗談ですよ。男さん程度と本気でやり合っても、大して成果は出ないでしょう」

男「さっきからバシバシと…心が痛いよ俺は」

イン「じゃあ男さんは、僕たちに勝てると思う?」

男「お、お前までそんな…」

クロ「……」ドコ

男「…ぐっ!?」ドサァ

クロ「ほら、大したことない」

男「……お前めちゃ強いじゃん。ちょっと肘入れただけなのに」

クロ「あなたたちとは身体の作りが違うのよ」

イン「残念だけど、そういうことなんだ」
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/14(月) 00:48:20.27 ID:bkCsmYgo
                           ,r;;;;ミミミミミミヽ,,_
                         ,i':r"    + `ミ;;,
       __,、           ≡     彡        ミ;;;i
    〃ニ;;::`lヽ,,_           ≡  彡 ,,,,,、 ,,,,、、 ミ;;;!
    〈 (lll!! テ-;;;;゙fn    __,,--、_  ..   ,ゞi" ̄ フ‐! ̄~~|-ゞ, ≡
   /ヽ-〃;;;;;;;llllll7,,__/"  \三=ー"."ヾi `ー‐'、 ,ゝ--、' 〉;r'  ≡  
   >、/:::/<;;;lllメ   \ヾ、  ヽTf=ヽ  `,|  / "ii" ヽ  |ノ
  j,, ヾて)r=- | ヾ:   :ヽ;;:     | l |  l  ''t ←―→ )/イ^    ≡ あなたたちとは身体の作りが違うんです
 ,イ ヽ二)l(_,>" l|    ::\;::    | |  |  ヽ,,-‐、i'  / V
 i、ヽ--イll"/ ,, ,//,,    :;;   l //  l く> /::l"'i::lll1-=:::: ̄\
 ヾ==:"::^::;;:::/;;;;;;;;;:::::::::::::: :::::ゞ ノ/   L/〈:::t_イ::/ll|─-== ヾ
  \__::::::::/::::::::::::_;;;;;;;;;;;;;;;;;ノノ   ヘ   >(゙ )l:::l-┴ヾ、ヽ  )
      ̄~~ ̄ ̄/ :::|T==--:::::  //  / ト=-|:|-─ ( l   /
         / ::  ::l l::::::::::::::::::/ /:::::::::::/:::::(ヽ--─  / |  /
         ヽ_=--"⌒ ゙゙̄ヾ:/ /:::::::/:::::::::`<==-- ノ / /
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 00:48:29.10 ID:GnenXUSO
地獄人まとめ

・見た目は通常の人間 ただし地獄では…???
・身体能力は通常の人間以上 ただしシロのように幼い場合はそれ相応に弱い
・一人につき一つずつ、能力を持っている
・能力は経験を積むことにより、進化(成長)する 通称『バイ・セカンド』
・地獄人とはいわゆる悪魔の別称であるが、彼らはその名で呼ばれることを嫌う 彼ら自身は自らを悪だと思っていないからである
・地獄人(悪魔)と天使は敵対関係にある 決定的な違いは、天使の方が攻撃的であること…
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 00:57:50.89 ID:GnenXUSO
テンコ 16歳 本名『シャル・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ』
長女
黒髪ロングの貧乳美少女
常に怠そうな顔をしているが、実際は割りとアクティブ
金髪に憧れている
身長169cm 体重46kg
能力は『危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)』
「引き寄せる力」と「弾き飛ばす力」で、物体を自由に動かすことができる


282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 00:59:45.63 ID:fkrH/V60
しっつもーん!
テンコの能力はもう進化しないの?
能力の進化は無限?
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 01:02:29.72 ID:GnenXUSO
クロ 13歳 本名『クロノ・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ』
次女
黒髪ロングの貧乳美少女
容姿はテンコに似ているが、中身は別物
ドSらしい
身長150cm 体重36kg
能力は『漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)』
背中から黒い翼を生やし、自由に飛び回ることができる
『バイ・セカンド』は未習得
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 01:04:00.52 ID:GnenXUSO
>>282
『バイ・サード』とかやりだしたらキリがなさそうなんで、一応なしです

ちなみにこれは脳内整理のために書いてるものなので、あまり気にしないでください
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 01:08:27.64 ID:GnenXUSO
イン 10歳 本名『イン・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ』
三女
蒼星石が元ネタかもしれないボクっ娘
四姉妹で一番真面目
シロと二人でいることが多い
身長145cm 体重30kg
能力は『移り気な天気予報(レイニー・ブルー)』
一日につき一度だけ、天候を自由に変えることができる
『バイ・セカンド』は未習得
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 01:14:01.43 ID:GnenXUSO
シロ 6歳 本名『シロン・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ』
四女(末女)
やっぱり黒髪ロングの美少女
皆に愛嬌を振りまく癒しキャラ
ツナが好物で、一日に一度は食べないと気が済まない
身長132cm 体重25kg
能力は『溢れる記憶の泉(ディープ・イン・トゥ・ザ・ナイト)』
自分の好きな記憶をいくつでも保存でき、忘れないようにできる
『バイ・セカンド』は未習得
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/14(月) 01:19:11.79 ID:GnenXUSO
今日はここまでにします
話の進みが遅くてごめん
このままバトル展開にするつもりなので、イヤな人はこの辺りで見切りをつけたほうがよさそうです…
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/14(月) 01:36:01.52 ID:qpZDC.SO
面白いと思う
続き待ってる
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/14(月) 18:59:30.32 ID:ETf0WJsP
地獄の果てまで見続けてやる!
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/15(火) 23:12:15.91 ID:6hY.NESO
転「今からしばらく、みんなで鍛えましょう。目標は、『バイ・セカンド』の習得。いいですね?」

クロ「簡単に言うけど…姉さまですら習得には二年かかったんでしょ?」

転「二年の間は怠けてるほうが多かったんですよ」

クロ「怠けずにちゃんとやれば、すぐに習得できるってこと?」

転「……たぶん」

イン「たぶんなんだ…」

転「いや!習得しなくちゃあマズいかもしれないんですよ!危機感を持って訓練すれば、すぐに習得できます!」

クロ「今『危機感』って言った?」

転「えっ?」

クロ「何よ『危機感』って。危機って何のことよ」

転「あ、えっと」

クロ「姉さま…まさか私たちに黙って力を付けさせて、いざと言うときは駒にするつもり?」

転「こ、駒なんてそんな…。まぁ戦力が必要になるのは間違いありませんけど…」

クロ「戦力?相手がいるの?」

転「しまった…。喋れば喋るほどボロが出てくる…」
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/16(水) 01:49:27.86 ID:PjjJRsDO
面白いからゆっくりでいいよ〜
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/16(水) 23:05:10.24 ID:s3/WVYSO
シルバーウィークまで全然書けなさそうです
申し訳ない
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/17(木) 01:07:05.92 ID:7ZAit2sP
忙しそうですね・・・。ゆっくり待つよ
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/17(木) 23:53:34.88 ID:hs90kUSO
四姉妹の身長と体重おかしいよな…
平均とだいぶ違う気がする
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/19(土) 19:47:04.34 ID:seBpR.SO
>>1です
身長体重を修正したよ!
テンコ
身長169cm体重50kg
クロ
身長150cm体重38kg
イン
身長143cm体重31kg
シロ
身長114cm体重21kg

これなら…
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/19(土) 22:18:25.58 ID:seBpR.SO
そろそろ再開しようぜベイベ
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/19(土) 22:28:59.53 ID:seBpR.SO
クロ「相手って誰よ」

転「いやぁ、まだ具体的にいるわけじゃないんですけど」

クロ「誰よ」

転「うぅ…今後来る可能性のある天使ですよ…」

クロ「……ふぅん」バササァ

転「?」

クロ「何をしたらいいのよ」

転「えっと……じゃあクロは…その辺を飛び回っててください」

クロ「…それだけ?」

転「翼の持続力とスタミナを付けるためですよ。三時間飛んだら休憩。それを繰り返してください」

クロ「楽じゃなさそうね…分かったわ」バサバサ

男「おい…できるだけ他人に見られないようにしてくれよ」

クロ「…じゃ」バサバサァ

男「おい!聞いてたか?今の!」
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/19(土) 22:38:09.67 ID:seBpR.SO
イン「僕はどうしたらいいの?」

転「インは…そうですね…」

イン「……」

転「…何もしなくていいです」

イン「えっ?」

転「特別なことは必要ないです」

イン「いいの?」

転「ただ、日々の生活で風を意識するようにしてください」

イン「……風?」

転「歩いているときに、目の前を流れていく風を。授業中に窓から流れてくる風を。それを肌で感じるだけでいいんです」

イン「…よく分からないよ」

転「じゃあ、近くに公園に、ベンチがありますよね。あそこでじっとしていてください」

イン「公園のベンチで?」

転「無心になって、ひたすら風を感じるんです。集中力を上げれば、あなたの能力はさらに強くなるはずです」

イン「分かった。じゃあ僕は、公園にいればいいんだね」

転「あ、夜中にやるんですよ」

イン「よ、夜?」

転「寝ないで、ずっとベンチに座ってるんですよ。できますか?」

イン「キツいなぁ…。でも、やってみるよ」
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/19(土) 22:55:30.22 ID:seBpR.SO
男「インはさっそく散歩に行ったのか」

転「真面目な子ですね」

シロ「クロねえよりも、インねえよりも、シロのほうがまじめだもん」

転「そうですかねぇ。それじゃシロには、何してもらいましょうかね…」

シロ「シロもやるの…?」

転「当たり前でしょう」

男「この子にまであんなキツいことさせるのか?」

転「まさか。シロには、できるだけたくさんの本を読んでもらいます」

シロ「本?」

転「読んだ本を片っ端から暗記してください。保存できる記憶の容量の限界に挑むんです」

シロ「でもシロ、本は10冊くらいしかないよ」

転「男さん、本ってあります?」

男「え?いや、そんなにたくさんは…」

転「あればいいんです」

男「じゃあ、まぁ……あ」

転「?」

男「そうだ」
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/19(土) 23:00:57.70 ID:seBpR.SO
ピン ポーン

男「お、来たか」

転「?」

男「入っていいぞー」

女「ど、ドア開けて…」

男「……」ガチャ

ドサドサ

男「うおっ!」

女「本…持ってきたよ…」

転「こりゃすごい」

シロ「うわぁ…」

男「ありがとな。これ、借りていいか?」

女「別にいいけど、こんなにたくさん読むの?」

男「いや、こいつが読むんだ」

女「し、シロちゃんが?」

シロ「そうだよ!」

転「まぁ驚きますよね」

男「上がってけよ。冷たいお茶かなんか飲む?」

女「あ、うん」
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/19(土) 23:10:01.61 ID:seBpR.SO
女「ふー」

男「すごいなこれ…。100冊くらいあるんじゃないか?」

女「重かったよ…」

男「なんか難しそうな本も多いし…。やっぱり親父が大学の教授だからか?」

女「専門書は全部お父さんのだよ。文庫本はお母さんの。どっちもいらないやつだって」

男「うちのお袋なんて…」チラッ

『ここを狙えば!人体の急所と効果的な攻撃』

『危険な世界の歩き方』

『なにかがおかしいストリートギャング』

女「おばさん、昔から何か変なところがあるよね…」

男「はっきり言って、不良まっしぐらだったからな…」

転「おばさまは殺し屋でもやってるんですか、これ…」

シロ「喉元を狙うときは…手首を使って…」

男「ホントに読んでるし…」
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/19(土) 23:30:08.86 ID:seBpR.SO
転「さて、これで三人とも成長した能力を手に入れられるはずです」

男「…なぁ、そういえばさ、なんでお前はそういうの知ってんだ?」

転「なんとなくです」

男「いやいやそんな…」

転「私もちょっと、トレーニングしなきゃダメですね」

男「何をするんだ?」

転「そうですね……この辺に山ってあります?」

女「山…?」

男「ずっと向こうの方に行けば…小学生のころに登った山があったよな」

転「じゃあ、案内してください」

男「えっ?今から?」

転「当たり前じゃないですか。タオルと飲み物を持っていきましょう」

女「熱中症が怖いからね」
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/19(土) 23:37:37.96 ID:seBpR.SO
〜1時間後〜

男「冗談じゃねーぞ…自転車って…めちゃくちゃキツいじゃねーか…」ゼーッゼーッ

女「私もう…これ以上は…無理だよ…」ハーッハーッ

転「ここですか。でっかい山ですねぇ」

男「何すんだよ…こんなとこで…」

転「木を倒してトレーニングするんですよ」

男「木を倒す…?」

女「どうやって…?」

転「とりあえず誰にも見られない場所まで登りましょうか」

男「これはひょっとして…俺たちのトレーニングか?」

転「違いますよ?」

女「ずっと自転車こいで…今度は登山…」
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/19(土) 23:47:28.82 ID:seBpR.SO
〜45分後〜

男「これはやばい…目の前がぐらぐらしてきた…」ガクガク

女「私…今…空を飛んでるみたい…」フラフラ

転「…そろそろ保ちませんかね。じゃ、ここでいいでしょう」

男「……あーしんどー」

転「二人は休んでてください」

女「そうする…ね」

転「……」ザクザク

男「ちゃんと戻ってこいよー……」

転「もちろん」
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/20(日) 00:02:56.05 ID:Y0Ib.oSO
〜5分後〜

男「まだ足が痛い…」

女「そうだね…」

ドォオン

男「!?」

女「な、なに?今の」

男「あいつ…何やってんだよ…」ダダッ

女「あ、待って!」


ドォオン

男「…まさかホントに」ダダダ

女「……あ」ピタッ

ズズゥン

男「テンコてめーこらぁ!」

転「…もう動いても平気なんですか?」

男「平気なんですか?じゃねーよ!マジで木を倒してんのか!」

転「そりゃトレーニングですからね」

男「誇らしげに言うな!どうやったらこうなるんだよ…」

転「簡単ですよ…」ヒョイ

女「石?野球のボールみたいだね…」

転「これ見つけるの…苦労したんですよ」ヒュッ

男「投げ」

ドゴォン

男「た……って速ッ!」

転「石が手から離れる瞬間に、能力を使うんです。そうすると石は弾丸のごとくスピードで木に当たるんですよ」

女「木の幹に穴が…すごい…」
306 :コロリ [sage]:2009/09/20(日) 03:45:56.69 ID:mU2Fh0o0
どうも初めまして!
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/20(日) 22:03:25.59 ID:Y0Ib.oSO
>>306
はじめまして…
308 :コロリ [sage]:2009/09/21(月) 12:39:54.98 ID:5ze/7QM0
返事ありがとうございます!私応援してますよ!!
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/21(月) 18:00:13.14 ID:BhWkK4Uo
いろんなスレで適当にレスしてるやつだから相手にするな
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/21(月) 19:59:12.90 ID:GH2uD.SO
>>309
そうなのか
なんか変な感じかと思ったら
311 :コロリ [sage]:2009/09/22(火) 02:21:05.98 ID:3h4sBvU0
309さん適当な事言わないでください!!

310さん、信じないで?
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/22(火) 04:23:27.58 ID:mEuL0ESO
支援
このスレは荒れないように…(´人`)
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/22(火) 17:18:29.76 ID:khwHbYSO
せっかくのシルバーウィークなのに全然書けなくてごめん
一応考えてはいるんだ…
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/22(火) 22:34:37.21 ID:mEuL0ESO
ま、ゆっくりやって
つ支援
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/22(火) 22:44:56.10 ID:khwHbYSO
転「これを繰り返すことで…」ブンッ

ズドドンッ

女「き、木を二本貫通した…」

転「私は強くなれる気がするんですよ」ヒュバッ

男「一旦やめだ!ストップ!ストーップ!」

転「なんですか」

男「こんな時間に山で木を倒すなんて、物騒だ!」

転「そうですか?」

男「そもそもな、自然を壊すなんて問題外だろが!」

転「じゃあどうすればいいんです?」

男「……」チョイチョイ

転「?」


スタスタ

転「なんで戻ってるんですか?」

男「いいからいいから。ほら、あれ」

女「わぁ…」

転「……」
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/22(火) 22:51:48.84 ID:khwHbYSO
転「岩、ですか?これ…」

男「そうだ」

女「すっごい大きいね…」

男「さっき登ってくるときに見つけたんだ」

転「…なんか、圧倒的な存在感醸してますね」

男「次からは木じゃなくて、これにその石をぶつけたらどうだ?」

転「…これに?」

男「このでかい岩を砕くなんて、むちゃくちゃ難しいだろうな」

転「では……」ブンッ

ガギィン!!

転「……弾かれた」

女「目立つ傷もないみたいだね…」 

男「どうだ?」

転「…やってやろうじゃないですか。この岩を砕ききる。やりがいがあるってもんです」

男「よし、それでいい」

女「ねぇ、今日はもう帰らない…?来たばっかだけど…」
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/22(火) 23:00:14.19 ID:khwHbYSO
男「今何時だ?」

女「えっと…7時。7時40分ぐらい」

男「うーむ。でもクロとインはこいつが追い出しちゃったからな…」

転「お、追い出したなんてそんな、人聞きの悪い…」

男「まぁシロが待ってるし、帰るか」

転「私は残ります」

男「いいのか?」

転「ちょっとおこづかいくれません?その辺りでテキトーになんか食べるんで…」

男「…じゃあまぁ、任せるよ」

転「クロとインですが…二人が帰ってきたら、お金持たせてください。明日から、私含めて彼女らは帰らないで修行するつもりなので」

男「そこまでするのか?」

転「徹底的にやらないと意味がないんですよ」

男「…分かった」
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/22(火) 23:11:38.01 ID:khwHbYSO
男「…なぁ女」

女「なに?」

男「巻き込ませちゃって、悪いな」

女「まさか山登りすることになるとは思わなかったけど、別に悪いとは思ってないよ」

男「ならいいんだけどさ」

女「それに、最近の男くん、なんか格好良く見えるもん」

男「…そうか?」

女「男くんさ、中学のときずっと荒れてたでしょ」

男「やめてくれよ…思い出したくもない」

女「あの時と比べると、ずいぶん頼もしくなったよね」

男「……」

女「きっと、きっとテンコちゃんたちは、男くんに何かを与えてくれるよ」

男「何か?」

女「大切なことを教えてくれるよ。大事なものを与えてくれるよ」

男「…どーだかなぁ」
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/22(火) 23:19:35.37 ID:khwHbYSO
男「……」シャアアアアッ

女「帰りは坂道だから楽だね」シャアアアアッ

男「風が当たって涼しいな」

女「だねー…」


転「……らぁっ」ブンッ

ガギィンッ!!

転「…ヒビ一つくらい…入ってくれてもいいでしょう…」ヒュバッ

転「…うりゃっ」ブンッ

バギィン!!

転「……」ヒュバッ

転「ただ投げて、能力で弾いて、手元に引き寄せるだけなのに…」

転「…もう全身が、ガタガタですね」

転「情けない…」ブンッ

ガギィン!!!
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/22(火) 23:38:16.79 ID:khwHbYSO
男「ただいまー」ガチャ

シロ「うわーん!」ガバッ

男「どうしたどうした」

シロ「おそいよう!」

男「ああ、ちゃんと待っててくれたんだな…」ギューッ

シロ「テンコねえと女ねえは?」

男「テンコは帰らないって。女は家に帰ったよ」

シロ「帰ってこないの…?」

男「クロとインは?」

シロ「まだ…」

男「そっか…。ホントに野宿でもする気かよ…」

シロ「シロ、おなかすいた…」

男「よし、すぐになんか作ってやるからな…」

シロ「うん!」

男「大丈夫なのかよ、あいつら…」
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/22(火) 23:49:42.19 ID:khwHbYSO
男「醤油…醤油…」

シロ「……」ペラッ

男「…何を読んでるんだ?」

シロ「かがみの国のアリス…」ペラッ

男「女が持ってきたやつか…ってうお!」

シロ「なぁに?」

男「もうこんなに読んだのか?」

シロ「うん」

男「20冊はあるぞ?」

シロ「ぜんぶ読んだよ」

男「覚えたのか?」

シロ「たぶん…」

男「じゃあ、この小説の…122Pの3列目から」

シロ「……」キィィン

男「箱が光った…」

シロ「「私にはどうすることもできないんだ。」と三井が悲しげな顔を見せて言った。」

男「すごい…」

シロ「でもまだまだ、たくさんあるよ」

男「でもこのペースなら、あと一日もしないうちに全部読めるぞ?」

シロ「でもシロ…能力を使いすぎちゃって…眠いの…」ウトウト

男「…ご飯食べたら寝ようか。一緒に寝てやるよ」

シロ「うん…」
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/23(水) 00:07:18.06 ID:G444MUSO
シロ「アリスは、一歩ごとにますますふしぎに思いながら歩いていきました。」

男「……」モグモグ

シロ「……卵もきっと木になるのだろうと思いました。」

男「…シロ。食べてからにしたらどうだ?」

シロ「うん。今ちょうど一区切りおわったよ」

男「…はい、お茶」コトッ

シロ「ありがとう」

男「……」パクパク

シロ「……」モグモグ

男「…何でお前まで、こんな一生懸命になってるんだ?」

シロ「…?」

男「はっきり言って、お前みたいなまだちっこい妹を戦わせようなんて、テンコもめちゃくちゃだろ」

シロ「ちがうよ」

男「え?」

シロ「シロも、おねえちゃんたちの、役に立ちたいの」

男「…でも」

シロ「シロたちは、地獄の魔王の娘なんだって。テンコねえが言ってたよ」

男「……魔王の娘?」
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/23(水) 00:12:25.42 ID:G444MUSO
IDが4無双だ

男「どういうことだ?」

シロ「あっ……!今の、うそだよ!うそうそ!」

男「お前らのオヤジは、不動産魔王」
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/23(水) 00:14:42.63 ID:G444MUSO
IDが4無双だ

男「どういうことだ?」

シロ「あっ……!今の、うそだよ!うそうそ!」

男「お前らのオヤジは、不動産魔王なのか?」

シロ「えっ?…………うん」

男「そうなのか…ただの不動産王じゃなくて、不動産魔王なのか!」

シロ「うん、そう…!だからね、いつもおいしいご飯が食べれるんだよ!」

男「しかし大変だな。倒産ってのはつらいよな」

シロ「……」

男「どうした?」

シロ「な、なんでもないよ!」パクパク

男「?」
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/23(水) 00:22:12.35 ID:G444MUSO
男「ごちそうさま」

シロ「ごちそうさまーっ」

男「よし、じゃあ片付けるから、先に寝てなさい」

シロ「うん」タタタタ

シロ「あうっ」バフッ

男「今こけた?」

シロ「ち、違うもん!」

男「いや、こけたな!絶対こけた!」

シロ「違うもん!」

男「ははははは」

シロ「笑わないでよぅ!」

男「……ははっ」スッ

シロ「?」

男「可愛いな、お前は。やっぱりお前ら姉妹は、みんながみんな、可愛い」ナデナデ

シロ「…うん」

男「さ、明日からはまたみんな学校だからな。留守番頼むぞ」

シロ「おねえちゃんたちはいつ帰ってくるの?」

男「分からんな…。けどまぁ、寝てる間にこっそり帰ってくるよ」
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/23(水) 20:48:01.62 ID:nVlLbkSO
4無双はまだですか?
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/23(水) 22:41:13.84 ID:G444MUSO
翌日〜テンコが来てから5日目・修行開始から2日目〜

チュンチュン チチチ…

男「ん……」パチッ

シロ「すー…すー…」

男「……今何時だろ」

男「ご…5時39分…まだ一時間以上寝てられたな」ムクッ

男「シロは…起こさないでいいよな…」コソコソ


男「うはっ。思ったより寒いなぁ」

男「まだ朝早いからな…」

男「あいつら結局帰ってこなかったのか…」

男「公園にインがいるはずだから、見に行ってやるか…」スタスタ

ワンワンッ

男「ん?」

犬「ワンっ!」ガバア

男「うおっ!」

女「こらー!ひのき!やめなさーい!」

男「なんか見たことあるなと思ったら、女のとこの犬か…」

犬「ワンワンっ!」
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/23(水) 22:50:17.13 ID:G444MUSO
女「男くん大丈夫?」

男「びっくりしたけどな。こいつ、こんなにでかかったっけ?」

女「ねー。前に男くんに見せたときはもっと小さかったのに」

犬「ワンっ!」

女「ひのき。吠えちゃダメ」

犬「……」ペタン


男「こんな時間に散歩か?」スタスタ

女「犬の散歩は、早いんだよ?」スタスタ

男「この散歩してから、すぐに学校行くのか?」

女「ううん。散歩して、帰ってきたら、二度寝しちゃうんだよね…」

男「あ、だからたまに家に来るのが遅くなるんだな」

女「だって疲れちゃうんだもん。大変なんだよ」

男「そりゃそうだろうよ」

女「男くん、今日は珍しく早起きだったんだね。…公園に行くの?」

男「インがいると思うんだけど、あいつ昨日から何も食べてないはずなんだよ」

女「だ、大丈夫なの?それ」

男「だから気になって見に行くんだよ」

女「手ぶらで?」

男「……あ」
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/23(水) 23:01:47.68 ID:G444MUSO
店員「ありやとございやしたー」

男「いや、なんか、悪いな」

女「いいよ。インちゃんのためだもん。おにぎり二つで足りるかな?」

男「たぶんな。さ、早いとこ行こう。ひょっとしたらもうダウンしてるかもしれないしな」

女「うん。ほら、ひのき。おいで」


〜公園〜

女「……いない、ね」

男「おかしいな。ここで修行してるはずなのに」

女「や、やっぱりお腹が空いて、どっか行っちゃったんじゃないの?」

男「マジかよ。まずいな、それは」

バサバサバサバササ

犬「ワンっ!ワンワンっ!」

女「んー?」

クロ「…あなたたち、何してるの?」

イン「あ、男くんに、女さん」

男「……お前らこそ、何やってんだ?」

クロ「……」バサバサバサ

イン「よいしょ」スタ

男「なんか食べてたのか?」

イン「ううん。クロ姉さんと一緒に、一晩中飛んでたんだ」

男「なんでお前が?」

イン「じっとしてるだけじゃつまらなくて…。空を飛んでたほうが、風を感じやすいんだよ」

男「…まぁとにかく、ここにおにぎりがあるから、一つずつ食べない」

クロ「そうさせてもらうわ」

イン「ありがとう」
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/23(水) 23:09:46.86 ID:G444MUSO
クロ「心配して来てくれたのね」

男「そりゃ一晩帰ってこなかったんだからな」

イン「でも僕はともかく、クロ姉さんの場所は分からなかったんでしょ?どうするつもりだったの?」

男「…考えてなかった」

クロ「何よそれ…不公平じゃない」

女「ふふっ」

クロ「あなたは男の付き添い?」

女「散歩してたら偶然会ったんだよ」

クロ「散歩…?」

犬「ワンっ!」

クロ「…あら、可愛いわね」スッ

犬「くぅん…」ナデナデ

女「え?」

男「どうした?」

女「ひのきが…初対面のクロちゃんになでなでされてる!」

クロ「何か問題があった?」ナデナデ

女「普通なら怒って吠えるのに…。すごいね、クロちゃん」

クロ「そうかしら…?」ナデナデ

男「きっとクロは犬に似てるんだな」

イン「むしろネコだよね」

クロ「……」ギロ
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/23(水) 23:35:47.05 ID:G444MUSO
男「修行はどうだ?」

クロ「思ったよりは楽ね。最初はキツかったけど、慣れてしまえばこっちのものよ」

男「インは?」

イン「僕はイマイチ実感がわかないな。これがホントに修行になるのかな、って」

男「まぁ風を感じろ、なんて言われてもな」

クロ「ホントにそれが修行の内容なのね…。最初はただ飛びたいだけなのかと思ったわ」

イン「じっとしてても分からないから、飛んでみようと思ったんだ」

男「でも、実感がわかない」

イン「うん…。そういえばシロは?」

男「今はまだ寝てると思うぞ。しかしあいつはすごいな。本を見ずに、指定した一説を読みやがった」

クロ「あの子の修行って、本を読むことなの?」

男「片っ端から本を覚えろ、だって」

イン「分かりやすいね」

女「シロちゃん、私の本も読んでた」

男「昨日だけで、20冊くらい読んでたな」

女「20冊も!?」

男「さすがに疲れたのか、ぐっすり寝てたけどな」

クロ「やっぱりすごい子なのね」
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/24(木) 00:02:54.08 ID:YRxey6SO
男「じゃあ、帰るか。学校には普通に行ってもらうぞ」

クロ「私としてはいつまでも飛んでいたいけど…。いいわ。息抜きも必要ね」

男「学校が息抜きかよ…」

イン「テンコ姉さんは帰ってきてるの?」

男「あいつは自分で帰ってくるって言ってたけど…大丈夫なのか?」

クロ「姉さまの言うことだから、案外当てにならないかも知れないわね」

男「かといって見に行くには遠いし…まぁいいや。とにかく帰ろう」

女「ねぇ、男くん…」

男「ん?」

女「あれ…」

男「?」

ターン ターン

クロ「何?よく見えないわ」

イン「人が…飛び跳ねてる?」

男「この間の…」

女「飛んできた人…だよね」

クロ「…何よ、あれ。人があんなでたらめな高さで跳ねるわけないじゃない」

イン「でも…そうにしか見えないよ」

男「……いなくなった」
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/24(木) 10:38:06.30 ID:W4Qhb.SO
でたらめだな
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/24(木) 12:52:55.36 ID:545JZ0c0
犬が怖いとか言ってたのに
普通に克服してるな
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/25(金) 22:43:45.96 ID:4HZcTYSO
女「……」

男「…とりあえず、まぁ、戻ろう」

イン「う、うん…」

クロ「…何なのよ、あれ」

男(……まさかあれが天使とか?)


シロ「うわ〜ん!」

男「だからもう泣かないでくれよ…ずっと寝てると思ったんだよ…」

シロ「一人で怖かったよぉ!」

クロ「まぁ朝起きたら家に誰もいないなんて、普通思わないわよね…」

イン「シロ。泣いちゃダメだよ」ギュッ

シロ「怖かったよぅ。さみしかったよぅ」キュゥ

イン「よしよし」ナデナデ

男「…しかしテンコは結局帰ってないみたいだな」

クロ「もうあと30分もしたら学校でしょ?」

男「帰ってくるって言ったのにな…」

イン「とにかく僕たちは僕たちで支度しちゃうよ」

男「ああ、そうしてくれ」

イン「テンコ姉さんが帰ってくるかどうかは、僕にも分からないよ。でもたぶん、性格的には帰ってこない気がする」

男「性格?」

イン「一度何かに熱中しだすと、なかなかやめられなくなる」

男「ああ…」

クロ「打ち込み癖があるのよね」
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/27(日) 23:37:14.02 ID:p5ee1USO
〜40分後〜

男「帰ってこないじゃないか…」イライラ

女「男くん…早く行かないと遅れちゃうよ…」

男「くっそ〜…。しゃあねぇなぁ」

女「何なら帰ってからまた私が会いに行こうか?」

男「そんなことしなくても大丈夫だ。さっさと行こう」

女「そうだね」

男「じゃあ、留守番頼むぞ。シロ」

シロ「うん!」


転「……」シュッ

バキャア

転「…石が砕けた」

転「また新しいの探さなくちゃいけませんね…」

転「…あ」

転「学校……」

転「………」

転「サボっちゃいますか…」
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/27(日) 23:53:05.13 ID:p5ee1USO
〜夕方〜

転「さすがに一日休まずにいたんで…疲れましたよ…」

転「男さんはまだ帰ってくるには早いですし…」

転「シロは昼寝してるみたいですし…」

転「今こっそり戻って必要なものを持っていけば…」

転「まぁぶっちゃけお金なんですけどね…」

転「そ〜っと…」ソローリ

クイッ

転「…ひも?」

ワンッ!!

転「トラップか!」

シロ「はっ!今の音は…」トテテテ

シロ「テンコおねえちゃん!」

転「し…しまった」

シロ「ふふふ男にいが用意したんだよ」

転「くっ…!」

シロ「かくほーっ!」

転「Fuck…」
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/27(日) 23:55:30.12 ID:ACKw4.Qo
シロかわいい
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 00:07:01.79 ID:06xMkcSO
男「ただいま…」

ギャーギャー

男「ん?」


転「これほどかないと怒りますよ」

シロ「ほどかないもん!」

転「いいんですか?私が怒ると大変なことになりますよ?」

シロ「でもほどかな……」

転「?何黙ってるんです?」

男「…俺が怒ると大変なことになるんだぜ」

転「え……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

転(こいつはマジにやべぇぜ…!今振り向いたら私は間違いなく男さんにブッ飛ばされる…)

転(こうなったら…)クルッ

転「男さぁん…いじめないでくださいよぉ…」ウルッ

男「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァアアアアア」

転「ヤッダーバァアァァァアアアアア」

ドグシァア
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 00:20:19.36 ID:06xMkcSO
男「はい、じゃあそこ座って」

転「は、はい…」ギシ

男「今日、学校行った?」

転「行っでないでず」

男「ちゃんと行くように言わなかったっけ?」

転「ぐ、具体的にそういうセリフはありませんでしたが…」

ボゴォッ

転「痛いですッ!実際のダメージはとにかく、擬音が痛いッ!」

男「ナメてんじゃあねぇぞーッ!」

転「分かりました!もうふざけませんから!」

男「ったく…こんなんじゃもう修業は愚か、家からも出してやらんぞ」

転「そ、それは困りますよ…」

男「昨日は飯食ったのか?」

転「近くにあったラーメン屋で食べました…」

男「そうか。風呂は?」

転「入るために帰って来たんです」

男「早く入って来なさい」

転「…面目ないです」
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 00:41:33.39 ID:06xMkcSO
転「このままァ!」

転「Shakd Hip! Shake Hip!!」

転「Do you know my mind!!」

転「Do you know…」

転「my! mind! my! my!…」

男「m m m m m m m…ってうるさいわ!」

転「Shake! Shake! Shake! Shake!」

男「ShaShake!!ってもういいわ!」

転「ちょっと暴走気味なようで」

男「お前がな」

転「色々とカオスなんです」
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 01:13:17.78 ID:06xMkcSO
明日から本気出す
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/28(月) 06:52:12.74 ID:TpfNuYSO
wwktk
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 08:52:00.64 ID:06xMkcSO
今日はパソコンからやることになりました
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 08:52:13.36 ID:LefIN1o0
Shake! Shake! Shake! Shake! Sha! Sha!

これで少しは効率が良くなればいいんだけどなぁ
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 09:30:09.58 ID:LefIN1o0
クロ「…うるさいわねあの二人」

クロ「外まで声が聞こえてくるってどういうことよ…」

イン「あ、クロ姉さん」

クロ「イン」

イン「二人は何をやってるの?」

クロ「さぁ…?」

イン「歌ってるね」

クロ「ええ…」

イン「楽しそうだなぁ」

クロ「……」ガチャ

イン「あっ…た、ただいま」

男「Shake Hip! La La La La La La La!」

転「Shake Hip! Wow Wow Wow!」

クロ「いい加減にしなさい!!うるさいわよ!!」
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 10:41:00.54 ID:LefIN1o0
クロ「なんなのよ。二人で騒いで」

転「すいません」

男「なんかこいつが歌いだして…」

クロ「別に言い訳は求めてないわ」

男「すいません」

クロ「だいたい、今日は学校に行ったの?」

転「行ってません…」

クロ「じゃあ、今は何でここにいるのよ。まさか歌いに来たんじゃないわよね」

転「ひ、必要なものを取りに…」

クロ「ふざけてるの?学校には行かない、必要なものを取りに帰った先で歌って踊る」

転「いや、もしかしたらこれが最後になるかもしれないじゃないですか」

クロ「………」

イン「最後?」
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 10:59:05.74 ID:LefIN1o0
男「えっ?」

転「………」

クロ「なにあわてて口ふさいでるのよ」

イン「最後って、何が最後なの?」

転「あ、いやぁ…」

クロ「はにかみ笑いで誤魔化すんじゃないわよ」

転「きょ、今日はやけに攻撃的ですね…」

クロ「……ねぇ、いったい何を隠してるの」

転「別に隠し事は…」

クロ「…『漆黒を駆ける翼』」バササササァ

転「ちょっと待った!!タンマタンマ…」

クロ「来なさい!!」ガシッ

転「ひいっ!!」

バサバサバサバサ

転「わああああああ」

男「おい、連れてかれちまったぞ!!」

イン「うーん…。まぁ任せてみようよ」

男「ったく……なんなんだ」
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 11:05:32.86 ID:LefIN1o0
バサバサバサバサ

転「お、降ろしてください!!」

クロ「降ろすじゃなくて、落とすになるけど、それでもいいの?」

転「やっぱいいです…」

クロ「ねぇ、私はあなたの妹として、13年間やってきたわ」

転「そう…ですね」

クロ「だから、あなたのことはよく知ってるわ」

転「そう…ですか」

クロ「何を隠してるの。この期に及んでまだ隠し事してるなんて、さすがに私もキレるわよ」

転「もうキレてるじゃないですかぁ」

クロ「……落ちろ!!」パッ

転「わああああああああ」

クロ「……次はホントに落とすわよ」ガシッ

転「じ、尋問じゃないですか…」
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 11:32:23.59 ID:LefIN1o0
クロ「正直に答えて。あなた何か知ってるんでしょう」

転「……どこから話せばいいんですか」

クロ「好きなところからどうぞ」

転「………天使が三体、ここにいます」

クロ「…三体」

転「まだ私たちの所在は掴みきれてないみたいですが」

クロ「ふぅん……じゃああれはやっぱり天使だったのね」

転「あなたも見たんですか?」

クロ「ええ。昨日」

転「どんなやつでした?」

クロ「跳ねるやつよ」

転「はねる……?」

クロ「姉さまは、三体それぞれを見たの?」

転「ええ、まぁ、ホントに偶然なんですが、固まって動いてましたから」

クロ「もしかして、見つかるために動いていたんじゃないの?」

転「何のために?」

クロ「さぁ。威嚇程度の効果しかない気がするけど」

転「まとめましょうよ。ちょっと分からなくなってきました」

クロ「?」
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 11:39:19.12 ID:LefIN1o0
転「…私は昨日、三体の天使を偶然見つけた」

転「でも、偶然じゃないかもしれない…」

クロ「私も昨日、天使を一体だけ見つけた」

クロ「跳ねるやつ」

転「その…跳ねるやつってのが分からないんですよ」

クロ「跳ねるやつといったら跳ねるやつよ」

転「…跳ねてどうするんです?」

クロ「ひたすら跳ねるのよ。高さが異常だったわ」

転「……まぁ、そういうのもいるかもしれませんね」

クロ「他に何か問題がある?」

転「…クロの言うとおり、彼らが見つかるために行動していた場合です」

クロ「そんなの憶測よ」

転「でもなんか…そんな気がしてきました。天使は私が山にいたことを知っていた」

転「そして、あえて自分たちの存在を知らせた」

転「…何のために?」

クロ「ゆっくり修行している暇なんてないんだ、ってことじゃない?」

転「…まぁとにかく、三体の天使が私たちを狙っているってことですね」

クロ「そうみたいね」

転「帰りましょう。とりあえずインとシロにも伝えなきゃいけませんねぇ」
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 12:40:41.90 ID:LefIN1o0
テンコとクロの空中談議 その六時間前

フラフラ

メイ「うぅ…」

メイ「お腹が空いタ…」

メイ「あ…パン屋さん…」

メイ「お金がナイ…」

メイ「……」トボトボ

メイ「このまま、のたれ死ぬのは嫌だナァ…」

メイ「嫌だ…」

メイ「ナァ…」

メイ「……嫌だ」

メイ「死にたくナイィイイイィイイィイ!!」

おばさん「うるさいよあんた」

メイ「ヒッ……すいません」

メイ「…もう駄目カ」

メイ「結局復讐も果たせズ」

メイ「惨めに死んでいくのが関の山なんですネ」

メイ「ただひとつ、これを除いテ…」
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 12:48:31.47 ID:LefIN1o0
空き地

メイ「…吹いちゃおうカナ」

メイ「でもここで使ったら、トンでもないことになっちゃいそうで…」

メイ「……でも」

メイ「死ぬのはもっと嫌…」

メイ「助けて、もらおう…」

メイ「しょうがないんダ、これしかないんダ…」

メイ『天なる魔笛の呼び声(パイド・パイパー)』

ピイイイイイイイイイイ


ズズゥン

メイ「…来タ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

メイ「………一応、制御しきれる数にしてあるケド」

メイ「一体何体出てくるんダロウ…」

シュウウウウウウウ

メイ「!!」

?1「我々親衛隊を呼び出したのは」

?2「あなたか?」

?3「キヒヒヒヒッヒヒッヒ」

メイ「ワタシの力になってくだサイ…天使の親衛隊…」

?1「もちろん」
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 12:50:51.69 ID:LefIN1o0
メイ(シルバ・メイズ・トリアンテ・ランバ)
18歳 メイド
地獄兵器 笛
能力:天なる魔笛の呼び声(パイド・パイパー)
笛を吹くことで、天使の親衛隊を呼び出すことができる
これらの親衛隊を完全に制御しきれるかどうかは、メイの実力次第である
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 13:06:32.31 ID:LefIN1o0
メイ「ええと…あなたたちの名前は」

?1「α」

メイ「あるふぁ?」

?2「β」

?3「γ。キヒヒヒヒヒヒ」

メイ「アルファ、ベータ、ガンマ?」

α「そうだ」

メイ「えっと、それじゃア早速やることを…」

β「お前の名前は?」

メイ「エ?……天国から来た親衛隊なんだから、知ってるハズじゃないデスカ」

α「我々はあなたの直々の親衛隊ではない。偶然このニホンにいたところを、あなたの能力によって一時的に寄せられただけだ」

メイ「もともとここにいたんデスカ?何のために?」

β「地獄から来た四姉妹の始末だ」

メイ「それ…」

γ「アンタからの命令が済み次第、オレたちはさっさとそっちに戻るぜ。キヒヒヒ」

メイ「って言うか、あの、ソノ…」

α「?」

メイ「それが命令デス。四姉妹の始末…」

β「そのために俺たちを呼んだのか?」

メイ「は、ハイ…」

γ「偶然ってのは末恐ろしいネェ…キヒヒヒヒヒヒッ」


356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 13:21:57.95 ID:LefIN1o0
メイ「ワタシもあなたたちも、目的は同じってことなんデスネ?」

α「そういうことになるようだな」

メイ「それなら呼び出さなくてもよかった気が…」

β「だが、お前一人で動くよりも何倍も簡単になるだろ」

メイ「……ハイ」

γ「四姉妹の始末…容易い容易い…キヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

メイ「あなたたちは、四姉妹の場所を知っているんデスカ?」

α「あの山から力を感じ取ったのだ。確認したら、案の定長女が能力を乱用していた」

メイ「能力を乱用?」

β「岩に向かって石を投げつけてたぞ。野球選手でも目指してんのかね」

メイ「石を投げる?」

γ「まずは長女から、さっさと潰しに行くぜぇ…キヒヒヒッヒ」

メイ「!!それは駄目デス!」

γ「なぜだよォ!?場所は割れたんだから、今すぐにでも行けばいいじゃネェか!!」

α「落ち着けγ。今は彼女が我々の主だ」

メイ「…まだ、駄目なんです」

β「何でだ?」

メイ「心の準備が…できてないんです…」

γ「……臆病者かよ」

α「まぁあなたがそういうなら、我々はまだ手を出さない。指揮権はあなたにある」

β「心の準備ができたらいつでも呼べよ」
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 13:27:43.03 ID:LefIN1o0
γ「…なァ、ところでよ」

メイ「?」

γ「四姉妹なんだよな?じゃあこの五人目の気配は何だよォ?」

メイ「五人目…?ワタシ以外にデスカ?」

γ「もっと馬鹿でかい悪魔の力を感じるぜぇ」

α「…まあ、どうでもよいことだな」

メイ「……ワタシ、四姉妹、そしてもう一人悪魔が?」

γ「正確な位置までは掴めねぇが、こいつ、相当強いぜぇ。四姉妹以上だな」

メイ「一体誰が…」



?「メイ…一体どこにいるんだ?」
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/28(月) 13:50:44.83 ID:5dVROkAO
ワクワクテカテカ
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 21:48:32.21 ID:06xMkcSO
再び 男宅

転「一通り説明しましたが、天使が三体、私たちを探しています。このままのんびりしてたら早々にやられるでしょう」

クロ「と言うわけで、今日からは昨日よりも必死になって修業しなさい。いつ見つかっても平気なようにしなくちゃいけないわ」

イン「うん。それじゃ僕は先に始めてるよ」

男「今日は迎えにいかないからな。自分でちゃんと帰ってこいよ」

イン「大丈夫だよ」バタン

男「……あの傘、ホントにいるのか?」

転「さ、私も行きますか…」

男「いや、お前はちょっと待て」

転「やっぱり信用ありませんか…」

男「これ持ってけ。携帯だ」

転「ケイタイ?」

男「知らないのか。持ち運べる電話だよ」

転「パカパカしますよ?」 

男「折り畳みできるんだよ。ちょっと持ってろよ…」

転「?」

男「090の…3………」ピッポッパッ

♪チョーットハンパキッ ドーンショッパイカッ

転「わわわわっ!」ビクッ

男「いいか、何かあったらこうやって、家から電話するからな。いつでも出れるようにしとけよ」

転「は、はい」

クロ「…今の何の曲?」

男「マイケル・ジャクソンのBeat Itだよ…」
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 22:00:16.00 ID:06xMkcSO
転「じゃあ行って来ます」

男「電話シカトしたら、承知しないからな」

転「分かってますよ」バタン


男「さ……」

クロ「私も行かなきゃ」

男「そうだな」

クロ「あなたも一緒に行かない?」

男「……俺?」

クロ「一人でやるより二人でやるほうがいいわ」

男「でも、どうすりゃいいんだよ。お前は飛んでるんだろ?」

クロ「乗せてってあげる」

男「えっ?」

クロ「あ、やっぱ無し。乗せるのはギターだから、あなたは宙ぶらりんの状態ね」

男「怖ッ」
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/28(月) 22:08:11.38 ID:06xMkcSO
男「シロ…一人で大丈夫か?」

シロ「うん…」ウトウト

クロ「寝てなさい。お腹がすいたら、ここにツナを乗せて焼いたパンがあるから」

シロ「ツナ!」

男「じゃあ、行ってくるな」

シロ「行ってらっしゃーい!」

男「ツナって聞いた瞬間に元気になったな」バタン

クロ「いい意味で単純なんだよ」

男「みたいだな」

クロ「さ、行くわよ。捕まって」バサァ

男「ホントに宙ぶらりんなのか?」

クロ「大丈夫よ。ちゃんと手を掴んでれば落ちないわ。もしも落ちても、すぐに拾ってあげる」ガシ

男「怖い怖い怖い」フワフワ

クロ「男の子なんだから、このくらい耐えなさいよ」バサバササァ

男「見られないようにしろよ」

クロ「……」

男「だからなんでそこは了承しないんだ!」

クロ「Go…」バササササァ

男「うわああああ」
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/30(水) 03:30:39.06 ID:tEW6ALQP
この先が楽しみだな。wwktk支援
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/30(水) 22:03:45.22 ID:NGdIAUSO
男「落ちっ……落ちるっ…!」バタバタ

クロ「じっとしてなさいよ」

男「だって…足元ふわふわしてるんだぞ!」

クロ「当然よ。飛んでるんだから」

男「怖いーっ!」バタバタ

クロ「はぁっ…」

男「うおっ!」グラッ

クロ「あははははっ」

男「笑うなーっ!」グラグラ

クロ「だ、だってあなたが…本気で怯えてるから」

男「しゃ、シャレにならん!怖いんだよ!」グラグラ

クロ「ふふっ……」

男「危ねぇ…」



幼女「ままー、人がおそらをとんでるよ」

母「イヤねぇそんなわけないじゃ……うっそォ!?」
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/30(水) 22:16:43.12 ID:DEy.KAgo
     *      *
  *  うそです   +  
     n ∧_∧ n
 + (ヨ(* ´∀`)E)
      Y     Y    *
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/30(水) 22:20:51.72 ID:NGdIAUSO
男「昨日もこうやって飛んでたのか?」

クロ「そうよ」

男「ホントにこんなのに効果があるのかよ」

クロ「実感はないわ。でも姉さまが言うんだもの。やってみるしかないでしょ」

男「…まぁあれだけ自信満々に言ってたんだからな」

クロ「それに私も、強くなりたいの。姉さまに追い付きたいの」

男「対抗心か?」

クロ「違うわ、男。これは、尊敬よ。尊敬ゆえに、たどり着きたいの」

男「そっか…」

クロ「きっと私たちは、これから高い位に登り詰めなきゃいけなくなるわ」

男「高い位?」

クロ「でもそういった時に姉さまだけがどんどん先に進んでくのは、嫌なの」

男「一緒に行きたいんだな?」

クロ「そうよ。何て言ったって姉妹なんだから。インもシロも含んで、私たちは四人で生きるの。だから私は、強くなるのよ」

男「……ま、頑張れよ。クロ」
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/30(水) 22:36:33.02 ID:NGdIAUSO
〜一時間後〜

クロ「そろそろ休憩しましょう。あなた、結構重いのね…」

男「己が連れて来たんだろうが」

クロ「そこの空き地に降りるわよ」バササァ

男「おう」フワッ

クロ「……ふー」スト

男「まだ7時過ぎなのに、結構暗いな」

クロ「風も冷たいしね」

カサッ

男「ん?」

クロ「何?」

男「何か聞こえなかったか?」

クロ「何が?」

男「分からん。紙の音?」

クロ「聞こえなかったわ。そこにちょうどいい感じの土管があるから、座りましょう」

男「[たぬき]みたいだな」
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/30(水) 22:40:03.61 ID:NGdIAUSO
たぬき…だと?
そうかドララララーッ!えもんも駄目なのかぁ
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/30(水) 22:46:12.59 ID:NGdIAUSO
男「いやぁ寒いなぁ」

クロ「そうね」

男「よくホームレスとかがこういう空き地に寝泊まりしてるって聞くけど、とんでもない苦行だな」

クロ「好きでやってるわけじゃないんでしょ」

男「それだけ寒いってことだよ」

クロ「……くっつく?」

男「……うん?」

クロ「寒いんでしょ。くっつけば暖かくなるわよ」

男「…それ、単にお前がくっつきたいだけじゃないのか」

クロ「…!ま、まさか!私がそんなこと考えるわけないじゃない!これはあなたへの優しさよ?」

男「へーぇ。そうかそうか」ニヤニヤ

クロ「な、何よ…」

男「可愛いやつめ」

クロ「…後で落とすわよ」

男「だからその脅しは反そ…」

?「…くしゅんっ」

クロ「」

男「」
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/30(水) 23:00:13.32 ID:NGdIAUSO
クロ「な、な、何よ、今のこ、こここ、声…」

男「お、おお、落ち着け、ら、らしくないぞ、こ、こんな、ので怖がるな、なんて…」

クロ「あ、あなたの方が、よよよよっぽど怖がってるじゃないい」

男「…今、どこから音がした?」

クロ「土管の中かしら…」

男「…あー、あー、ごほん」

男「ほ、ホームレスの方ですか…?」ヒョコ

クロ「なんてストレートな…」

男「……!」

?「…ぐー…ぐー」

クロ「いた…?」

男「クロ、先に行っててくれ」

クロ「え?」

男「俺はもう帰るから、後は一人で飛んでてくれよ」

クロ「いきなり何を言いだすのよ」

男「一人でも帰れるよな?そんなに離れてないし」

クロ「ちょ、ちょっと待って。追い返してるみたいじゃない」

男「……頼む。追い返すってわけじゃないんだ。ホントに」

クロ「…よく分からないわね」バササッ

男「悪い」

クロ「まぁいいわ。夜道には気を付けてね」バサバサバサバサ

男「……」チラッ

メイ「…ぐー…ぐー…」
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/30(水) 23:07:52.64 ID:NGdIAUSO
男「…おい」

メイ「ぐー……」

男「起きろよ。なんでこんなとこで寝てんだ」

メイ「むにゃ……」

男「風邪ひくぞ…」

メイ「……すー…」

男「………」


男「一体……」

男「…何の義理があって」

男「…こんなこと」

男「しなきゃ…」

男「…いけないんだよ」

メイ「ぐー…ぐー…」

男「人の背中でよくもまぁぐっすりと寝るよな」

メイ「むにゃ…」ギュッ
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/30(水) 23:18:04.86 ID:NGdIAUSO
〜30分後〜

男「行き一時間で帰り30分ってどういうこった」

男「ただいま」ガチャ

男「…シロは」

シロ「…すぅ」

男「本読んでる途中で寝ちゃったのか…」

男「……今日もずいぶん読んだみたいだな」

男「さ、こいつはどうしようかね…」

男「とりあえず俺の部屋な放りこんどくか…」
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/30(水) 23:37:40.48 ID:NGdIAUSO
メイ「…ぐー…ぐー」

男「…ホントによく寝るなぁ」

メイ「…むにゃむにゃ」

男「さっきまで土管の中で寝てたのに…」

男「って言うかこいつ、ホームレスなのか?」

メイ「……んぅ」ゴロ

男「…こうやって見ると、こいつもテンコと大して変わらんような女の子なんだな」

男「……別に同情するわけじゃねーけど」

男「メイドなんてやらされて、さぞかし大変だろうよ」

男「…ここに来ても、世話になる相手がいなかったんだろ?」

男「辛いんだろ。お前なりに色々苦しんできて」

メイ「……」

男「ま、今夜はここでたっぷり寝ろ。あいつらも俺の部屋には入らないから」

メイ「……どうしてワタシなんかに優しくスル?」

男「…ほっとけねーよ。なんとなくだけどさ」

メイ「……そんな理由デ」

男「大人しく寝てろ。今夜だけだからな」
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/01(木) 20:09:21.53 ID:OCGlxQSO
西川の兄貴パネェ
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/03(土) 22:38:27.62 ID:DUy4AUSO
男「さて…せっかく帰って来たんだし、シロと遊んでやろうかな…」

男「いや、寝てるんだった。起こしちゃダメだよなぁ…」

男「……なんかもう眠いな」

メイ「!」ビクッ

男「バーカ。一緒に寝るか、とか言うと思ったのか」

メイ「そ、そんなコト…」

男「いいから寝てろっつーの?これ以上騒ぐと追い出すぞ」

メイ「…こ、この借りはいつか必ず返ス!」

男「はいはい」

バタン

メイ「………」

メイ「男…カ…」

メイ「四姉妹をかくまっているから、ヨホドの悪人かと思エバ…」

メイ「そうでも…ナイ…?」

メイ「……とにかく今は寝ヨウ」
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/03(土) 23:04:55.18 ID:DUy4AUSO
男「シーロっ」

男「……」

シロ「すぅ……」

男「ちゃんと布団で寝ろよ」ヒョイ

シロ「…っくしゅん」

男「風邪ひいた?」

シロ「……う」ギュッ

男「しゃーないなぁ」

男「また一緒に寝てやるかぁ」

男「…可愛いやつめ」ナデナデ

シロ「……ぐぅ」


〜その頃、テンコのいる山〜

転「うりゃあああ!三連続ッ!!」ブンブンブン

ガガガンッ

転「……ちぃ」

転「切りが…ありません…ね」フラッ

転「能力の…連続使用は…さすがに」ドサッ

転「きき……ます…ね」
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/03(土) 23:11:31.24 ID:DUy4AUSO
〜さらにその頃、近くの公園〜

イン「………」ジッ

スゥッ

イン「微風……」

ブワッ

イン「強風…!」

ゴオッ

イン「突風!!」

イン「……これが風のパターン」

イン「…僕は本当に、強くなれるのかな」

イン「一人で生きていけるように」

イン「姉さんたちの役に立てるように」

イン「…シロを守れるように」

イン「なれるの…かな」

フワッ…

イン「優しい風…。とても」
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/03(土) 23:28:18.31 ID:DUy4AUSO
クロ「ただいま」ガチャ

クロ「……」

クロ「男?いないの?」

クロ「……部屋にいるのかしら」

ガバァ

クロ「ん…」

男「こ、ここにいるぞ!」

クロ「なんだ…寝てたのね」

男「だから二階には行くな!」

クロ「……?」

シロ「う……」モゾッ

男「あ、起きた」

シロ「おなかすいた……」

男「じゃあなんか食べようか」

クロ「……」スーッ

男「おい」

クロ「な、なに?」

男「もう一度言う。二階には行くな」

クロ「わ、分かったわよ…」

シロ「?」
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/03(土) 23:53:46.87 ID:DUy4AUSO
男「シロ、何食べたい?」

シロ「ツナ!」

男「あ、うん、ツナね」

クロ「私にはないの?」

男「…何が食べたいんだ?」

クロ「ツナはいらないわ」

男「お茶漬けでも食ってな」

クロ「オチャヅケ?」

男「まぁ知らんわな」 


男「ほら、できたぞ。ツナトーストとお茶漬け」

シロ「わーい!」ハムッ

クロ「これがお茶漬け?」

男「熱いから気を付けろよ」

クロ「大丈夫よ」ズズ

クロ「熱いッ!」

男「わざとか?今わざとやったのか?」
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/04(日) 00:10:22.99 ID:HXK/r0c0
リアル遭遇ktkr
エロ展開キボンヌ
いやまじで
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/04(日) 00:28:15.41 ID:1xRtlcSO
>>379
エロはできなくはないけど、好きじゃないんだよな…
まぁ微なら

クロ「…ふむ…んむ…」モグモグ

男「うまいか?」

クロ「まっ なかなかウマインじゃあねーの〜っ」ウマイよ かなりウマイ

男「……」

クロ「でもなんかよくわかんねーけどよ………味があんまりしねーよ……このお茶漬け」

男「チガウ!チガウ!」ガチャ

男「キムチといっしょに口の中に入レルンデス!」ドンワ

クロ「なにィ〜 キムチといっしょにィ〜?」ヒョイ

クロ「まっ 外国の食い物はしょせんな〜っ 大抵地獄人と味覚が違うんだよなあ〜 こーゆーのはよぉ〜っ」パクッ

クロ「ヵンらああ〜いっ」 

クロ「こっこれはああ〜っ この味わあぁ〜っ」

クロ「サッパリとしたお茶漬けにトマトの激辛な部分がからみつくうまさだ!!」

男「ほれ、水」

クロ「……この水にリアクションは?」

男「別に気品に満ちた水とかそういうのはもういいよ」

クロ「たとえると地獄のギターを弾くお嬢様が飲むような味?」

男「いらないって」
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/04(日) 00:44:57.71 ID:1xRtlcSO
>>380
トマトの激辛な部分ってなんだよォ〜!
キムチだろーがッ!
飛びてぇ〜

男「シロはもういいのか?」

シロ「うん…」コクッ

男「眠い?さっきうるさくして起こしちゃったか?」

シロ「ねむくないよ…」ボーッ

男「……ほら。二度寝だ二度寝。」

シロ「…うん」


クロ「いくらなんでも寝すぎよ。不公平だわ」

男「そんなこと言われても…。お前も寝ればいいじゃないか」

シロ「すーっ…すーっ…」

クロ「そうじゃなくて…」

男「?」

クロ「あ、あなたと…その…寝すぎだって……」

男「!」

クロ「…言いたい…のよ」

男(……可愛い!)
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/04(日) 00:48:29.20 ID:1xRtlcSO
男「…フッ」スクッ

クロ「な」

男「うりゃっ!」ガバッ

クロ「きゃっ…ちょ、ちょっと待った…」バタバタ

男「捕まえたぞ」

クロ「降ろしてよ…」

男「ほら。膝の上に座りな」

クロ「えっ?」

男「後ろからぎゅーってしてやるよ」

クロ「べ、別にそんなのしなくても…」

男「素直になれよー。このツンデレめ」

クロ「ツンデレじゃないわよ」ギロ

男「そんな怖い顔で否定しないでおくれ」

クロ「……でもまぁ」トスッ

男「……お」

クロ「甘えてもいいって言うなら、とことん甘えさせてもらうわよ」

男「……お前、軽いんだなぁ」

クロ「空を飛ぶんだから、少しでも軽くなくちゃ」

男「そうだな…」
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/04(日) 01:00:42.91 ID:1xRtlcSO
男「あ〜なんかいいなぁこういうの」

クロ「……変なとこ触ったりしたら怒るわよ」

男「触んないよ(そもそも触るほどのもんがないしな)」

クロ「…今なんかムカついたわ」

男「あぁ暖かい…猫みたいだな…俺猫飼ったらクロって名前にするよ…」

クロ「なに言ってるのよ…猫なんて…」クルッ

クロ「ここにいるじゃない」ムギュウ

男「……あの、クロさん?」

クロ「…なぁに?」スリスリ

男「…これは、あれですか?ツンとデレのデレですか?」

クロ「ツンデレじゃないって言ってるのよ」ギロッ

男「怖い怖い…」

クロ「……」ジッ

男「……」ジッ

クロ「あなたの側にいると」

男「ん?」

クロ「いい匂いがするの」

男「そうか?」

クロ「優しい匂い。落ち着くわ。私、この匂いが大好きよ」

男「……」ギュッ

クロ「…はぁっ」スリスリ
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/04(日) 01:11:54.29 ID:1xRtlcSO
男「……」

クロ「…んっ」スリスリ

男「そ、そんなに気に入ってるのかよ」

クロ「…分かんない…のよ」

男「え?」

クロ「自分でも…どうしてやめられないのか…分かんないのよ…」

男「やっぱり猫だ。猫がマタタビで悶えるのと原理が同じなんだ」

クロ「そんなんじゃ……あっ…んぅっ……」ギュゥゥゥ

男「痛い痛い痛い」

クロ「…はぁっ…はぁっ」クタッ

男「あ、おい」 

クロ「………ねぇ、私ね」

男「今度はなんだよ」

クロ「人を好きになったことが、なかったの」

男「……?」
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/04(日) 01:27:01.24 ID:1xRtlcSO
クロ「今までに、誰かを好きになったことがないのよ」

男「…一回も?」

クロ「一回も。私は恋愛感情に疎いの。周りでそういう話があっても、どうにもピンと来なくて」

男「確かに疎いように見えるな」

クロ「……そもそも、我が家は姉妹揃って友達と言うのが少なかったわ。姉さまはあの性格で、あまり友達がいなかったし、インはシロに付きっきりで、他の子に関わる機会が少なかった」

クロ「私もそう。浮いてた。一人だった」

男「そんなふうには見えない」

クロ「でも実際にそうなのよ」

男「……」

クロ「自分の思ってること、それももやもやしたよく分からないものをこうやって人に話すのは、多分あなたが初めて」

男「そっか…」

クロ「何が言いたいのか分かる?」

男「……さぁ」

クロ「私は、あなたのことが好きなのかも知れないわ」

男「…初めて?」

クロ「そう、初めて好きになった人。あなたが」

男「どうして俺が?」

クロ「私にも分からないわね。どうしてあなたのことを好きになっているのか」

クロ「どうしてあなたには、すべてを話すことができるのか」

男「……」ギュッ

クロ「………きっとあなたには、そういう魅力があるのね」

男「…そうかもな」ナデナデ
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/04(日) 03:16:29.13 ID:/FHwTEEP
乙です。今日は色気があってよかったと思う。
メイがうぶで株が上がったと思ったら
クロの株が跳ね上がった・・・何を言ってるか(ry
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/04(日) 12:48:37.60 ID:HXK/r0c0
テンコちゃんのエロはまだですかそうですか
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/04(日) 22:42:11.50 ID:MaI6dsDO
初めて読んだが
とりあえず応援してる
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/06(火) 22:45:42.13 ID:Lv2IJASO
インフルで死にそうで
今日も無理っぽい
明日から本気出す
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/06(火) 23:39:49.10 ID:w6nN9pkP
体を大事にしてください!ww
きちんと治してからにしましょう
インフルが本気出した後でもいいじゃないですか
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/08(木) 22:25:18.23 ID:LOB4TASO
久方ぶりにやるど
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/08(木) 22:33:21.29 ID:9EwMcwoo
    ∧_∧
    (0゚・∀・) ワクワク
  oノ∧つ⊂)
  (0゚(0゚・∀・) テカテカ
  ∪(0゚∪ ∪
    と__)__)
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/08(木) 22:36:57.88 ID:LOB4TASO
〜前回までのあらすじ〜

修業→イチャイチャ→修業→イチャイチャ→tanasinn...
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/08(木) 22:45:01.76 ID:894uxMDO
よし来い
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/08(木) 22:50:30.36 ID:LOB4TASO
10時

クロ「すー…すー…」

男「ったく…人の膝の上で寝るやつがいるか…」

男「…よいしょっ」ヒョイ

クロ「ん……」

男「ここで寝なさい」ボフッ

クロ「…すー…すー」

男「……布団ちゃんとかけて」パサッ

ガチャ

男「ん?どっちが帰ってきた?」

イン「ただいま…」フラフラ

男「どうした?」
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/08(木) 23:02:43.55 ID:LOB4TASO
イン「うぅ…頭が…」

男「お、おい!血が出てるぞ!」

イン「痛い……」

男「ちょ、ちょっと待てよ」ガサガサ


イン「ありがとう…。こんなガーゼまで…」

男「だってお前…どうしたら公園で頭から血を流すはめになるんだよ…」

イン「木の枝で切ったんだよ」

男「マジかよ?よほど鋭利な木の枝に向かって全速力で当たらない限りはこんな切れ方しないぞ?」

イン「うん。それなんだけど、逆みたいで」

男「逆?」

イン「木の枝が飛んできたんだ…。僕のほうに」

男「はぁ?」

イン「……なんて言えばいいんだろう。えっと…」

男「……」

イン「…あ、そうだ。『バイ・セカンド』を習得したんだ」

男「まだ二日だぞ!?」

イン「二日だけど…それでも僕の能力は進化したんだ」

男「……で、具体的にどういう能力なんだ?」

イン「それはね…」
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/08(木) 23:12:59.24 ID:LOB4TASO
公園

男「寒いな……」

イン「ごめんね…。でもすぐに終わるから」

男「おう」

イン「それじゃいくよ…『バイ・セカンド』……そよ風」

男「?」

ソヨッ

イン「……次は」

男「待て待て待て…なんだ今のは」

イン「大丈夫。すぐに分かるから…」

男「何が大丈夫なんだよ?」

イン「『バイ・セカンド』…強風」

ビュオォッ

男「……風が!」 

イン「…よし、最後だ」

男(…まさか)

イン「『バイ・セカンド』…突風」

男「ちょっと待……」バッ

イン「!飛び出したら危な…」

ブオッッ!!!

男「うわっ!」ブワッ

ドサ

男「これが…お前の進化した能力か…」

イン「うん…。僕の『バイ・セカンド』は風を自由に操る能力みたいなんだ」

男「それで木の枝が飛んできたわけね…しかし…効いたぞ」

イン「ご…ごめんなさい」
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/08(木) 23:26:32.86 ID:LOB4TASO
男「最後の突風?あれはいつでも起こせるのか?」

イン「無風の状態からじゃできないみたいだけど…僕が風を感じれば発動できるみたい」

男「なるほどね…しかしそうか…風を操る、か…」

イン「もっと姉さんみたいな強力な能力がよかったなぁ」

男「いやいや、十分強いだろ?とりあえず突風起こせば、なんとかなる」

イン「どうして?」

男「周りにある物がびゅんびゅん飛び回ってぶつかるかもしれないだろ」

イン「でもそれだと、僕も危ない気が…」

男「それに、クロみたいに空を飛ぶやつ相手なら、正面から風をぶつけるだけで動きを押さえられる」

イン「なるほど…」

男「まぁとにかく、使い方次第なんじゃないか?」

イン「うん…。もっと修業したら、より正確に風を操れるようになるかも分からないしね…」

男「とにかく今日はもうやめとこう。クロもシロも寝てるんだし、お前も早く寝ないとな」

イン「そうだね。…ふわぁ」

男「……ほれ」スッ

イン「?」

男「おぶってやるよ」

イン「えっ?い、いいよ、大丈夫だから…」

男「いいからいいから」

イン「…じゃあ、どうせすぐ着くんだし、少しだけなら…」

男「よし、それでいいんだ」

イン「……恥ずかしいな」
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/08(木) 23:47:51.53 ID:LOB4TASO
男「ほら着いたぞ」

イン「お、降ろして…」

男「ん」スッ

イン「よいしょ」トン

男「ただいまー」ガチャ

転「おかえりなさい」ゴクゴク

イン「あっ。姉さん」

男「帰ってたんだな。あと、牛乳はコップに入れて飲めよ」

転「あーそうですね。で、何してたんです?」

男「実はこいつが…むぐっ!」

イン「ぼ、僕、『バイ・セカンド』習得したよ!」

転「……!」

男「自分の口から言いたかったわけね…」

転「で、どういう能力なんです?」

イン「風を操る能力だよ。そよ風から突風まで…」

転「……それだけですか?」

イン「…え?それだけ…だよ」

転「……ふぅん」スッ

男「お、おい、テンコ?」

転「風を操るだけですか。あなたならもっと行けると思ったんですけどね…」

イン「…そんな」

転「もう寝ます。また明日見せてくださいよ。その能力」

男「あ、おい…」

イン「……」シュン

男「…イン」
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/08(木) 23:54:45.71 ID:LOB4TASO
ダメだ頭が回らん…
今日はここまでにします
遅くてすまん

ちなみにみんなはどのキャラがお好き?
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/09(金) 00:12:06.54 ID:u3yma22o
マターリとやれば、いいんじゃない?

クロが好きだな
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/09(金) 02:01:47.84 ID:pnPWtMSO
テンコだな
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/09(金) 23:29:46.34 ID:LTo3G6SO
俺はチンコ派
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/09(金) 23:37:24.10 ID:nj9i0eso
女が好き
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/10(土) 00:55:14.09 ID:9KD.XAMP
間に合わなかったっていうレベルじゃねぇぞ・・・

クロ好きです。
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/10(土) 21:25:52.11 ID:33SNVv60
ティムコタソハァハァ
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/10(土) 23:36:18.24 ID:HQG6JESO
クロ  2
テンコ 1
女   1
チンコ 1
ティムコ 1

審査員長より
転「後ろ二人って、まさか私のことじゃありませんよね?」

クロ「入ってないよりはマシでしょ」

インシロ「………」
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/10(土) 23:57:24.38 ID:HQG6JESO
翌朝〜修業四日目〜

チュンチュン…チチチ

男「ん……」パチッ

男「…あれ。俺なんで壁にもたれかかって寝てんだ?」

男「………ああそっか」スクッ

男「…ベッドは空っぽ。帰ったんだな。あいつ」

男「ん?」カサッ

男「置き手紙か…」

『この屈辱はいつか必ず返してやる』

男「何を生意気なこと…」

バァン

クロ「男!大変よ!」

男「うおぁ!いきなり開けんな!」

クロ「インが…インがいないの!」

男「いないって…」

転『あなたならもっと行けると思ったんですけどね…』

男「…煽られたか」

クロ「?」

男「テンコは?」

クロ「まだ寝てるわ」

男「しゃあねぇ二人で行くか」

クロ「ねぇ、なんなのよ?インはどこ?」

男「公園だ。飛んでくぞ!」バタン

クロ「分かったわよ…」
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/11(日) 00:11:27.67 ID:7NVbdkSO
男「……おいおいおい」

クロ「これは………」

男「…どしゃ降りじゃん」

クロ「インがやったのね…」

男「飛べるか?」

クロ「びしょびしょになるわよ」

男「関係ない。飛べ」

クロ「やれやれ…どこのDIOよ…」バサバサァ


転「ふわぁ……」ムクッ

転「……ん」

ザァアアアアアアアア

転「……イン、ですか」

転「ちょっと言い過ぎましたかね…」

転「ま、いいか…」

転「男さんもクロもいないようですし、二度寝、二度寝…」
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/11(日) 00:23:10.26 ID:7NVbdkSO
〜公園上空〜

男「……」

クロ「……嘘でしょ」

男「これは…」


イン「あああああああッ!!」

ブオオオオッ


男「葉っぱが上がって、飛び回ってるぞ」

クロ「って言うか、何よあの能力…?まさか、インの『バイ・セカンド』なの?」

男「風を操る能力って言ってたが…ここまでできるとは…」

クロ「風の……鞭?」


イン「はぁッ!」ブオン

バキバキバキ

男「木を薙ぎ倒した…!」

クロ「止めなきゃまずいわね…。かといって普通に向かって行けば、細切れにされちゃうわ…」

男「じゃあどうすんだよ!」

クロ「全速力で突っ込む…。少々乱暴だけど…やむを得ないわ」

男「まさかまた…」

クロ「しっかり捕まってて…『黒の流星(シューティング・ブラック)』!」

ギャルルルララララ!!

イン「!?」

ドォオオオ
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/11(日) 00:34:12.50 ID:7NVbdkSO
イン「うぅ……」グッタリ

男「やりすぎたな」

クロ「やりすぎわ」

イン「……シャルねえ…さん」

男「……こいつだって」

クロ「え?」

男「あいつに…テンコに認めてもらいたくて、一生懸命なんだろ」

クロ「…きっとね」

男「よいしょ。風邪ひかない内に帰ろう」ヒョイ

イン「……」グッタリ

クロ「しかし、この雨のなか学校に行くのね。憂鬱だわ」

男「しょうがないよ。それにしても俺…」

クロ「何?」

男「最近毎日この公園に来てる」

クロ「…いいじゃない。近いんだし」


転「ここここここの思いわかって…あいらーびゅーほんとーさべいべっ」

シロ「?」
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/11(日) 00:48:33.50 ID:7NVbdkSO
イン「…へくしゅっ」

男「大丈夫か?」

イン「うん…そもそも僕が自分で降らせた雨なんだし、しょうがないよ」

男「……」ジロ

転「雨かぁ…テンション下がるわぁ……」

男「お前なぁ…舞台裏の役者じゃねーんだから」

転「?」

クロ「そういう性格なのよ…」

転「なんですかその『救えねェ』的な言い方は」

イン「テン…いや、シャル姉さん!」

転「…なんですか?」

イン「僕は…姉さんが驚くくらいに強くなる!」

転「私がホントに驚く機会なんて、年に三回くらいしかありませんよ?」

イン「それでも僕は強くなる!」

転「……ふっ」スッ

男「…!」

転「可愛い妹よ」ギュッ

イン「えっ?えっ?」 

転「いいですよ。見せてもらおうじゃないですか。私の妹であり、最も努力家であるあなたなら、きっと私を越えられる」

イン「……うん」

転「容易くはありませんよ。精神的に追い詰められたり、とことん絶望して、そして初めて目覚めるのが『バイ・セカンド』ですから」

イン「……え?」

転「あなたの能力は、まだ『バイ・セカンド』に成り切れてませんよ。ここからが本当の進化ですから」

男「マジかよ…」

クロ「たいした子ねぇ…」

転「頑張ってください。イン」
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/12(月) 11:11:07.15 ID:k.AoFBEo
(・∀・)イイ!!
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/13(火) 00:01:23.63 ID:1xocMMSO
末尾SOだったら首吊る
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/13(火) 00:13:07.02 ID:K2ILrvQo
どうしたソフトバンク?
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/13(火) 00:29:46.37 ID:1xocMMSO
>>415
そういう意味だったのか!
ありがとうPC様
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/16(金) 20:12:06.40 ID:0Yo9n.SO
さて今日は久しぶりにやりますよ
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/16(金) 20:17:19.28 ID:gioPN3go
やっちまいな!
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/16(金) 21:02:59.46 ID:0Yo9n.SO
〜前回までのあらすじ〜
誰だ!インの影が薄いなんて言ったのは!
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/16(金) 21:31:29.84 ID:0Yo9n.SO
女「男くーん?遅刻しちゃうよー」

ガチャ

転「……ちょっと待ってくれます?」

女「?」


男「ぐー……ぐーっ…」

転「男さん、男さん。女さんが来ましたよ」

男「……ん」パチッ

転「中途半端に寝ちゃいましたね」

男「…だな。ちょっと待ってろよ、女」

女「あ、うん」

転「そうだ、女さん……」


シロ「男にいちゃん眠いの?」

男「めちゃくちゃ眠いよ」

シロ「大丈夫?」

男「まぁ…体はわりかし丈夫にできてるからな…じゃ、留守番頼むぞ」ワシャワシャ

シロ「うん。早く帰って来てね」

男「おう」


女「これ以上関わるな、ってどういうこと…?」

転「言葉の通りです。私たちの存在を知っているってことはつまり、あなたも天使に狙われるかもしれませんから」

女「でも今になってそんなこと…」

転「本当はもっと早くに言うべきだったんですが…あなたの優しさを裏切る気がしたんです」

女「そんなこと…」
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/16(金) 21:42:10.38 ID:0Yo9n.SO
ガチャ

男「よし!行く……」

転「…私はこれでも、あなたの身を案じているんです」

女「分かるよ…。けど私だって、あなたたちのことを見て見ぬふりするわけにはいかないよ!」

男「……か」

男(あれ?何この雰囲気…)

転「…死ぬかもしれないんですよ?」

女「私は…私は絶対に死なな……」

転「…死なないと、それを言い切る覚悟はありますか?」

女「……」

男「えっと……テンコ?」

転「なんですか?」

男「早く…行か…ないか?」

転「……そうですね」

女「私は……」


メイ「…結局天使たちとは合流できないシ」

メイ「…いっそのこともう少しあの家にいてもよかったんジャ」

メイ「イヤ、ヤッパリ駄目だ…あの四姉妹のいる家ナンテ…」

メイ「………」

メイ「私は一体、何をムキになって、アイツらを倒そうとしてるんダロウ…」
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/16(金) 21:51:04.81 ID:0Yo9n.SO
メイ「………」

メイ「アノ屋敷に来たのは、そもそもいつだったんだッケ…」

メイ「……ソウ…確か…2年前…私の16歳の誕生日…」

メイ「………フッ」

メイ「…フフフフフ」

メイ「アハハハハハハハハ!」

メイ「考えるのも面倒ダ…」

メイ「明日ダ、明日ヤツラを潰ス…!」


転「……!」ビクッ

男「どした?」

転「…一瞬でしたが、恐ろしい力を感じました」

男「…ふぅん。あ、そうだ。前から気になってたんだけどさ、その『力を感じる』とかって何なのよ」

転「…本能?勘?とにかく、いきなりビビっと来るんですよ」

男「古っ……」

女「……」
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/16(金) 22:03:58.76 ID:0Yo9n.SO
授業中

男「なァんか最近、授業が息抜きになっちゃってんなぁ…」

男「あいつは…」

転「……」

男「…座ったまま寝てる」

教師「オイ!男!何ボーッとしてんだ!」ヒャッ

男(やばッ!命中精度100%のチョーク投げ…)

クンッ

転「……」パシッ

男「えっ…」

生徒A「…先生やべぇ!男に投げると見せかけてテンコちゃん狙いか!」

生徒B「今の変化球ならぬ変化チョーク?カクッて曲がったよね?」

生徒C「とっさに目を覚ましてキャッチしたテンコちゃんもすごいな」

教師「えっと…あれだ。二人とも授業に集中しろよ!」

教師(今…あいつに引き寄せられるようにチョークが曲がった?)

男(今…チョークから俺を守った?)

転(この反応速度なら…)

424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/16(金) 22:10:03.32 ID:0Yo9n.SO
四姉妹身長体重決定版

テンコ
身長164cm 体重44kg
クロ
身長148cm 体重32kg
イン
身長141cm 体重27kg
シロ
身長113cm 体重20kg


身長161cm 体重40kg

メイ
身長166cm 体重47kg

425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/16(金) 22:16:00.62 ID:0Yo9n.SO
クロ(学校ってホント退屈ね…)

生徒A「ねぇクロちゃん。あとで職員室に行くの、着いてきてくれない?あ、別に怒られたりはしないよ」

クロ「…なんで私が?」

生徒A「え…なんかクロちゃん、落ち着いてるし…一緒に来てくれるんじゃないかなぁ、って」

クロ「落ち着いてる?」

生徒A「物静かって言うか、おとなしいって言うか…やっぱり転校してきたばっかだから?」

クロ「私がおとなしい、か…」ニヤ

生徒A「え?」

クロ「いいわよ。着いていってあげる」

生徒A「あ、ありがとう」

クロ「…なに?」

生徒A「う、ううん。今なんか、怖い顔で笑ってたから…」

クロ「……」ニコ

生徒A「!」ドキッ
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/16(金) 22:28:00.06 ID:0Yo9n.SO
イン「……」

イン(僕の『バイ・セカンド』…)

イン(シャル姉さんの言う通り、確かにあれだけとは思えない)

イン(風を巻き起こす…これだけじゃ役に立たないよ)

イン(もっともっと、強力な能力…)

ビュオ

教師「うわ!風でプリントが!」ヒラヒラ

生徒たち『先生はドジだなぁ』ワハハハハ


イン(……この能力は、まだ成長するはずなんだ)
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/16(金) 22:29:30.75 ID:0Yo9n.SO
イン「……」

イン(僕の『バイ・セカンド』…)

イン(シャル姉さんの言う通り、確かにあれだけとは思えない)

イン(風を巻き起こす…これだけじゃ役に立たないよ)

イン(もっともっと、強力な能力…)

ビュオ

教師「うわ!風でプリントが!」ヒラヒラ

生徒たち『先生はドジだなぁ』ワハハハハ


イン(……この能力は、まだ成長するはずなんだ)
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/16(金) 22:34:52.45 ID:0Yo9n.SO
イン「……」

イン(僕の『バイ・セカンド』…)

イン(シャル姉さんの言う通り、確かにあれだけとは思えない)

イン(風を巻き起こす…これだけじゃ役に立たないよ)

イン(もっともっと、強力な能力…)

ビュオ

教師「うわ!風でプリントが!」ヒラヒラ

生徒たち『先生はドジだなぁ』ワハハハハ


イン(……この能力は、まだ成長するはずなんだ)
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/16(金) 22:59:19.89 ID:hhlWgKMo
おれら『1はドジだなぁ』ワハハハ
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/17(土) 00:14:02.74 ID:pyXG6rMo
はっはっは
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/17(土) 08:10:19.81 ID:NvYmr16o
クソワロタwwwwwwwwww
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/17(土) 20:38:27.30 ID:e/Um9QSO
よーし>>1くん今日はリベンジしちゃうゾ☆
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 21:54:49.64 ID:e/Um9QSO
ザアアアアアアアアア

転「………」

転(…あれ)

転(修行で石投げてるのはいいとして)

転(いざって時にどーすればいいんだ…?)

転(まさか石を袋に詰めて持ち歩くわけにはいかないし…)

転(……単純に体術の訓練もしなきゃ駄目ですね)

教師「えー、今日の体育は雨だから体育館でやるぞー」

生徒A「何やるんスか?」

教師「お前ら何やりたい?」

ざわざわざわ

男(もう自習でいいじゃん…)

転「……」ガタッ

教師「…君はえっと、転校生のテンコだったか?」

転「はい。今日の体育は柔道をやりましょう」

教師「柔道…?」

男(は?何言ってんだあのバカ!)

ざわ……  ざわ……

教師「よし。今日は柔道だ!決まり!早く体育館に来いよ!」

エー マジカヨー アーモウコンナアメノナカヤッテランネーヨー

男「テンコお前…なんだよ柔道って!」

転「私の実力を見せてあげましょう」

男「なんなんだよ…お前さぁ」

転「?」

男「実力を見せてあげましょう、って、フリーザみたいで気味悪いんだよ」

転「ま、似たようなもんですよ」
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 22:04:10.64 ID:e/Um9QSO
体育館

教師「じゃあまずは…」

転「組み手やりましょう。サバイバルで」

教師「おい、何を勝手に決めてんだ」

転「この授業は私が乗っ取りますよ」スッ

教師「ほう…俺とやる気か…」スッ

生徒A「おいおい…あのセンセーめちゃくちゃ怖いんだぜ…」

生徒B「誰か止めたほうがよくね?」

男「まさか能力使ったりしないよな…」

教師「お前は女の子だからな!手加減はするが…」

転「いえ。本気で来て下さい」

教師「いいのか?」

転「私が勝ったときあなたがもし手加減してたら、それを言い訳にされてしまいますから」ニヤ

教師「…この!」グオッ

生徒C「動いた!やべぇぞ!」

生徒D「て、テンコちゃんが…!」

転「……右手で肩を」スッ

男「なっ!?」

バシィン

教師「……」

転「……フッ」

教師「…負け、た」ドサ

生徒『一撃ィ!?』
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 22:15:24.67 ID:e/Um9QSO
生徒A「すげぇ…めちゃくちゃ強いじゃん…」

生徒B「何者なんだよあの子…」

男「…ん?ちょっと待て?柔道に手刀はありなのか?」

生徒C「んなこたどーでもいいだろあんだけ強いんだし」

男「……あいつの場合は柔道のルールに従う必要もないか」

転「さぁ!私の相手になってくれる人はいないんですか!」

生徒A「お前行けよ」

男「やだよ。だいたいあんなの見せ付けられた後にあいつに挑みかかるバカがいるか?」

生徒D「よし、俺が相手だ!」

生徒A「おう、バカがおるわ」

生徒D「勝たなくていいんだ…勝たなくていいんだ…」

男「?」

生徒D「押し倒して、すこしでもボディータッチできれば…」ズカズカ

男「はは…」

転(フォームはまるっきり素人、なによりも勝機ってのがないまま来ますか…)

転「まあここは軽〜く足払いでも…」

生徒D「あ、でもテンコちゃん貧乳だな…」ピタッ

転「あ゛!?」
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 22:25:30.98 ID:e/Um9QSO
男「やばい!生徒D!よけろ!」

生徒D「んあ?」

転「苦しんで[ピーーー]!」ズダンッ

生徒A「跳んだ!」

生徒B「ウッソォ!?」

転「右手に…全体重をかけて…」グルン

男「逃げろーッ!!!!」

転『我流空術・獣爪墜撃!!』

生徒D「うわ………」



クロ「あ…消しゴムが欠けた…」

クロ(まだ新品だったのに…)

クロ「姉さまが何かやったのね、なんとなく」
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 22:31:51.35 ID:DBhUBBQo
さすがおれのてんこ
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 22:42:51.36 ID:e/Um9QSO
生徒A「テンコちゃん…あんな乱暴なことするなんて…」

生徒D「腰砕けになっちゃったぜビクンビクン」

男「シャレになってねぇな…」

転「さぁ次は誰です?」

男「お前もお前だ。もうやめにし…?」グッ

転「うりゃ」ブンッ

男「ぐぼぁ!」ドザァア

転「受け身さえ取れないとは…もう一回!」ブンッ

男「うばぁっ!」ドザァア

生徒A「お、男!」

男「み、みんなを連れて…早く…」スクッ

転「まだまだ!」ブンッ

男「教しづに゛ッ!」ダァアン

生徒A「あ、ああ…」

男「き、効くゥ…!」

転「とどめぇっ!」ブゥン

男「ぐ…うりゃっ」ダァン

転「…受け身!まだまだやれるってことですね?男さん」

男「え?あ、いや、違……」

転「いいでしょう!あなたも少し鍛える必要がありますからね!」ブゥン

男「があっ…!」ドォン


生徒A「お前…漢だよ…」
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 22:52:25.35 ID:e/Um9QSO
>>437
肉でも焼いてろ

〜30分後〜

転「ふむ…私の千本一本背負いに耐えましたか」

男「なにその五十歩百歩みたいな呼び方…」

転「…男さんなら天使と戦えるかもしれませんね」

男「え゛」

転「冗談ですよ!冗談!」

男「だよなぁ!あっはっはっは」ハハハ

転「でもまぁ囮くらいなら行けますよね」

男「眼が怖いよマジだよテンコ」

教師「う…うう」

男「あ、起きた」

教師「はっ…お、お前ら二人きりで何してる!」

転「秘密の特訓を」

教師「秘密の特訓だとぅ…?」


〜以下、教師の妄想〜
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 23:02:09.92 ID:e/Um9QSO
男『はっ…はっ…テ、ンコ…』

転『ん…じっとしててくださいよ…』

男『あっ…』ビクッ

転『ふふっ……もうちょっと堪えてみたらどうです?』スッ

男『ちょっ…やめっ…』

転『顔……真っ赤ですね』

男『うぅ……いい気になるなよ…』ガバッ

転『あっ…!』

男『テンコ…可愛いよテンコ…』ナデナデ

転『そこっ…駄目…弱いんです…』

男『いいじゃんか。テンコのこんな表情なかなか見られないんだろうし…』フニッ

転『ひゃあっ…!』ビクンッ

男『うりゃうりゃ』

転『あうっ…!ふぁ…ほん、とにぃ…だめぇ…』


〜教師の妄想、終了〜

教師「けっ…けしからんぞお前ら!」バッ

教師「……いねぇ」
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/17(土) 23:03:41.97 ID:8j2dNWcP
テンコかわいいよてんこおおお!!
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 23:12:22.46 ID:e/Um9QSO
転「…とまぁこんなエロティカセブンな展開には当然なりませんので」

男「?」

転「男さん、私そろそろ山籠りやめようかと思いまして」

男「やめようったって…まだ始めて三日しかやってないじゃないか」

転「あの大きな岩を砕いたらやめます。体術の訓練をしたいので」

男「…ぶっちゃけお前、飽きたんだろ」

転「まぁそれもありますが、そろそろ意識しないといけないので」

男「何を?」

転「天使たち」

男「……」

転「山中なんかにいちゃ、向こうにいきなり攻められて終わりです。降りてきて、わざと連中に後をつけられるくらいの方が、私としてはやりやすい」

男「そういうもんか」

転「さらにもう一つ、やりたいこともあるので」

男「何?」

転「金髪にするんですよ」

男「まだ言ってたか」
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 23:33:47.49 ID:e/Um9QSO
下校時間

男「雨止まねーな…。女のクラスが終わったらさっさと帰るか」

転「ああ、そうだ…。男さんからも伝えてくれませんか」

男「ん?」

転「ただ一言『もうテンコたちには関わるな』と」

男「…どうしてだ?」

転「彼女は普通の人間です。あなたみたいな私たちの親戚ってわけでもない、ごく普通の女の子」

男「そうだな」

転「その女さんを、危ない戦いに巻き込んだりはできませんよ」

男「んー?そうかぁ?」

転「…何かあるんですか?」

男「いや。あいつにゃお前と違って何にもないよ。ただ」

転「ただ?」

男「あいつは優しいからな。だからきっとどうにでもなる」

転「…はぁ」

男「そういうとこじゃあ俺を囮にするよりよっぽど役立てるだろうな」

転「…とにかくまぁ、あれですよ。私のせいで彼女が傷つくのはイヤですから」

男「俺はいいのに?」

転「それこそ彼女が…優しいからかも知れませんね」

男「…だろ?」
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/17(土) 23:46:23.96 ID:e/Um9QSO
男「…お、来たぞ」

転「……」

女「遅くなってごめんね!」

男「いいよ、別に待ってないから…ところでさ」

女「なに?」

男「『もうテンコたちにはかか…」

転「わーーーっ!!」

女「へっ!?な、何?」ビクッ

男「…なんでもないよ。先に下行ってるな」スタスタ

女「あっ…。うん」

転「……」

女「ね、ねぇテンコちゃ」

転「女さん」

女「…なに?」

転「今朝はあんなこと言ってすいませんでした。あなたの意志を真っ向から潰すような真似して」

女「べっ…別に謝らないでいいよ…」

転「私、気付いたんです。あなたのその強い意志を、私の安っぽい心配で覆そうだなんて、許されないことなんです」

女「……」

転「私はあなたを信じます。だから、許してください」ペコッ

女「顔、上げて」

転「……」スッ

女「もう、許したっ!」ニコッ

転「…じゃ、帰りましょうか」

女「うん。行こっ」
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/18(日) 23:02:23.32 ID:EsK1wESO
♪イッツマイラーイフ ッツナウォウェィヴァー バラインゴンリィブフォーエーバー

男「女、電話鳴ってるぞ」

女「あ、うん」ピッ

転(男さんにせよ女さんにせよ曲のセンスが似合わないですね…)

女「たまご?うん。あと鮭?それから…うん、うん…ちょっと待ってね」

男「買い物?」

女「うん。スーパーに寄って今日使う材料買ってきてって…」

男「俺らも付き合うぞ?」

女「気持ちはありがたいけど…今日は雨ひどいし、早く帰った方がいいし…」

男「うーん…そうだな。じゃあそうさせてもらうよ。濡れないように帰れよ」

女「うん。また明日ね!」

ザアアアアアアア

男「お前も当然修行はやらないんだよな?」

転「え?やりますけど」

男「この大雨の中、山で?土砂崩れに巻き込まれて死んじまうぞ」

転「私たちはそんなにやわじゃありませんよ」

男「やめとけよ。マジで危ないから」

転「じゃあ今日はみんなで修行休みですね」

転(…ただでさえ時間がないって時に)

男「今、心の中で愚痴言ったろ」

転「い、言ってませんよ?」

男「この大雨もお前がインを煽ったせいなんだからな」

転「分かってますよーだ…」
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/18(日) 23:20:23.81 ID:EsK1wESO
ザアアアアアアアアア

α「四姉妹の能力は分かったか?」

β「ああ…。長女から順に」

β「『バイ・セカンド』危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)。触れずに物体を操作する能力」

β「漆黒を駆ける翼(フライ・ミィ・トゥ・ザ・ムーン)。背中から生やした黒い翼で自由に飛行する能力」

β「移り気な天気予報(レイニー・ブルー)。天候を一度だけ変える能力」
β「溢れる記憶の泉(ディープ・イン・トゥ・ザ・ナイト)。あらゆる物事を記憶できる能力」

γ「へェ…。なんかよォ、長女以外の能力ッて戦闘に不向きな感じがするなァ…」

α「だから今必死に『バイ・セカンド』を習得しようとしているんだろう」

β「今の俺らなら楽勝だな。話にならねぇよ」

α「お前の弱点はそういう自惚れや驕りにある」

β「分かってらぁ。要は抜かりなく徹底的に奴らをぶちのめしゃいいんだろ?」

γ「生かしておけ、とは言われてないもんなァ…キヒヒッヒヒヒヒ!」

α「あとは…彼女次第だな」

β「メイ、だったか?元々…いや、現在進行刑で四姉妹のメイドなんだろ?俺なんであんなのに呼び出されたのか理解できねぇよ」

γ「いや…あいつは多分めちャくちャ強いぜェ。そう思わせるだけの力を隠してる」

α「力を?」

γ「本人も引き出せてない力だがよ…多分俺たちなんかよりも、遥かに強ェ力だ」

β「ま、俺らはあいつにおとなしく従ってりゃいいんだろ?」

α「…そうだな」
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/18(日) 23:53:11.72 ID:EsK1wESO
男「ただいまー」ガチャ

男「……ん?」

クロ「……」

イン「……」

シロ「……」

男「…なんだこいつら…椅子に座って目ぇ閉じてじーっとしてる」

転「スリープモードですね」

男「えっ?そんなんあるの?」


転「ウソですよ。どれ…」ソロソロ

転「クーロちゃん♪」フニッ

クロ「きゃっ…!」ビクゥ

男「なんで胸揉んだ?」

クロ「いきなり何するのよ…。ビックリしたじゃない」

転「何してるんです?」

クロ「…今日は雨で修行ができないから、イメージトレーニングしてたの」

転「イメージトレーニング…」
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/18(日) 23:56:18.24 ID:EsK1wESO
クロ「能力の進化に必要なのは、何もひたすら能力の練習をするとか、それだけじゃないんでしょ」

転「まぁ精神的な面でも強くなる必要がありますからね」

クロ「少しは効果があればいいんだけど…」

転「寝てたら効果ありませんよ」スッ

クロ「え?」

シロ「くーっ…くーっ……」

クロ「…起きなさい、シロ」

シロ「!…ふぇ」ビクッ

クロ「ふぇ、じゃないわよ。イメージトレーニングするの。寝ちゃダメよ」

シロ「だって眠くなっちゃうんだもん…」

クロ「しっかりしなきゃ…本を読むより楽でしょう?…ところで」

イン「……」カクッ

クロ「イン!あなたもよ!」

イン「お、起きてるよ!」アタフタ

クロ「一瞬、堕ちたでしょ」

イン「や、やだなぁ僕が寝るわけないじゃないか」

クロ「まったく…」


転「…大丈夫だと思います?」

男「さぁ…」
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/19(月) 19:25:04.26 ID:V.j8cwSO
DTB二期が思いのほか面白い
こちらのメンバーの能力に対価というシステムがあってもよかった気がする
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/19(月) 21:15:29.62 ID:V.j8cwSO
クロ「ま、そういうわけだから、姉さまも座って」

転「私はいいです」

クロ「どうしてよ」

転「やってるあなたたちには分からないかも知れませんけど、見ててすっごい不気味なんですよね」

クロ「そんなの気にしてられないわ」

転「私は筋トレしてますから」

男「筋トレ?」

転「ダンベルとかあります?」

男「あるにはあるけど…」

転「それ貸してください。あと、ジャージとガムテープ?」

男「二つ目おかしくね?」


男「さて、ジャージにも着替えた、ダンベルも用意した」

転「クロたちの気が散らないように、こっち、和室でやりましょう」

男「どうすんだ?」

転「このガムテープで…ダンベルを…」ベーッ

男「……はぁ!?」

転「足の裏に固定するんです。で、そのまま…」スッ

男「おいおいまさか…」

転「よっ…」ヒョイ

男「逆立ち……もうやだこの子」
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/19(月) 21:28:58.40 ID:V.j8cwSO
転「さらにこのまま…」グイッ

男「うわぁ…」

転「腕立て…するんです」グイッグイッ

男「お前すごいなぁ…」

転「で、足は…ゆっくりと」バタバタ

男「バタ足!?」

転「どうですか。すごいでしょう」

男「やってるお前には分からないかも知れないけど、見ててすっごい不気味なんだよな」

転「そんなの気にしてられませんよ」グイッグイッ

男「向こう(地獄)じゃいつもこんなことしてんのか?」

転「たまーにやりますね」

男「はぁ…」

転「見た感じ痩せてますけど、結構筋肉質なんですよ」

男「どれ…」スッ

転「バッ…腕っ!……今は駄目だって!!」フラッ

男「うわっ!」

転「危なっ……」ドサァッ


男「ほ、本気で殴ったな今…しかも腹」

転「両手で不安定な体を必死に支えてるって言うのに…いきなり触れてくるとは…」

男「ダンベルが頭に当たらなくてよかったよ」

転「なんなら今ここでサマーソルトキックでもやってみせましょうか?」

男「すいません」
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/19(月) 21:44:31.07 ID:V.j8cwSO
〜30分後〜

転「ふっ……ふっ……」グイッグイッ

男「もう結構長いことやってるぞ…。休憩とかいらないのか?」

転「まだ平気です。長いって言っても、せいぜい一時間かそこらでしょう?」

男「いや、30分くらいだ」

転「じゃあやっぱりいりませんよ」

男「でもほら、ちょくちょく休憩入れた方がいいんだぜ」

転「大丈夫です」

男「それに、甘いもの少し摂るとかするといいらしいし」

転「暇なんですね?」

男「…ああそうだよ!暇で暇でしょうがないんだよ!」

男「さっきからめっちゃたくましいお前の姿想像してみたり」

男「お前がもっと胸あったら揺れてたのになぁとか」

男「色々考えてるけどそれでもまだまだ暇で…」

転「チェスト!」ブォン

男「うお!危ねっ!」

転「そんなに暇ならあなたも筋トレやったらいいじゃないですか!」

男「あー…うん。まぁそれでいいか」
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/19(月) 21:58:42.53 ID:V.j8cwSO
男「………」

転「…なんですかそれ」

男「きょ、強制ギブス…」ギチギチギチ

転「なんでそんなものが?」

男「分からん…。たぶん懸賞で当てたんだと思う…」

転「なんとまぁ」

男「……うぅ」ギチギチ

転「…それ、ちょっと貸してくれません?」

男「えぇ?…いいけど」ゴトッ


転「おぉ……おぉ!」スチャッ

男「初めてランドセル背負った子供みたいな顔するな」

転「これ着けてさっきの腕立てやったら多少はキツくなりますかね?」

男「いや、それ着てたら普通に動くのもままならないんじゃないか?」

転「え?」グルングルン

男「なんで腕が回る…?」

転「こんなの簡単じゃないですか?」バキッ

男「今変な音したぞ、おい!」

転「あーあ」バラバラバラ

男「なんてこったい」
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/19(月) 22:27:43.27 ID:V.j8cwSO
転「こんなものですか強制ギブスてやらは」

男「もうめちゃくちゃだなお前…」

転「私はね…もっと強くなる必要があるんですよ。能力に頼りすぎてますからね」

男「つっても十分強いじゃねーかよ」

転「まだまだ私の力なんてBですよB。せめてAまで行かないと」

男「なにそれ…」

転「力のランクです。能力の危険性、本人そのものの危険性。SからEで示されます」

男「後付けにもほどがあるぞ、おい」

転「別に難しく定義付けてるわけじゃありませんよ。曖昧なんです…」


転 能力B 本人B
クロ 能力C 本人C
イン 能力C 本人D
シロ 能力S 本人E

転「こんな感じですかね」

男「シロの能力がS?」

転「本人はEなので、実際Cいくかいかないかくらいのものですね」

男「へぇ……」

転「Aは少ないんです。Sなんて言ったらもう、べらぼうに強い能力ってことですよ?」

男「まぁなんでも覚えてられるんだもんな…」
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/21(水) 01:36:30.70 ID:Up1qlLsP
天使がいつくるかワクワク
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/22(木) 21:55:08.84 ID:/N2nPYSO
男「……」

転「ふっ…ふっ…」

男「ふわぁ…」

転「!」ギロ

男「な、なんだよ」

転「気が散るから向こう行っててください」

男「…どーせ俺は邪魔者だよ」スタスタ


クロ「……」

イン「……」

シロ「……」

男(…こいつらも真面目にやってら)

男(なんで家にいて、こんな肩身の狭い思いをしなきゃいけないんだよ…)

男「ちょっと散歩行ってくる」ガチャ

男「ふー…。あんなとこにいたら」スタスタ

男「…ロクな空気も吸えやしない」スタスタ

?「ホントだよなぁ」

男「…は?」

?「悪いが…お前には眠っていてもらうぞ…!」ブン

男「うおっ!」ガッ

?「とッさにガードしやがッたぜェ…生身の人間がよォ」

男「誰だよお前ら…!」

α「天使だ」

β「お前のところにいる悪魔たちを」

γ「ブッ潰しに来てやッたぜ…キヒヒッヒヒヒヒ!」
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/22(木) 22:08:14.36 ID:/N2nPYSO
男「ああ、お前らが…」

α「さほど驚いてないようだな」

男「あいつらがあんまりにも嫌ってるんで、てっきり化け物みたいなやつなのかと思ってたから」

β「…あ?」

男「夜になってこそこそ俺を狙ってくるようなやつだってのは、ちょっと悲しいな」

γ「……舐めるなよ、地上の雑魚!」ブン

男「おっと」ヒョイ

γ「ちィ…避けることだけはいッちョ前にしやがる…」

男「……」スッ

β「おい!γ!何ボーッとしてんだ!」

γ「え…」

バキッ

α「こいつ…」

γ「ぐあッ!」ドサ

男「てめーらが天使だろうがなんだろうが、ムカつくやつはなんだって殴るぞ俺は…」

γ「このォ!」ブンッ

男「!」フラッ

ドサァ

α「こんな路上で安っぽい喧嘩をしに来たわけじゃないんだがな…」

男「……痛くねぇ」

γ「なんだァ?」

男「なんだよ…天使ってこんなもんかよ…」スクッ

β「なんだこいつ…!?」
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/22(木) 22:21:37.87 ID:/N2nPYSO
男「あれかも…今日はテンコのサンドバックにされたから…少し打たれ強くなったのか」

γ「…この野郎ッ!」ブンブン

男「……しゃがめば当たらん」シュッ

γ(ヤバい…!蹴りが来…)

ドゴ

男「ぐっ…!」ガクン

α「γ…油断した、じゃ済まされないぞ。こいつはこっちの人間の中でも強いほうだ」

γ「みてェだな…その辺にうろうろしてる格好だけのチンピラよりかは強いなァ」

α「だが所詮は、能力の前じゃ為す術もない、丸腰の少年だ」

男「能力…!」

β「動くな」ガッ

男「おい…まさかこのまま頭吹っ飛ばしたりしねえよな?」

β「意識は飛ぶぜ…『魔幻の…」グググ

男「………!?」

β「孤高』…!」カッ

男「……あ…がっ…」ドサッ

α「四姉妹の情報を引き出すのは失敗だ…帰るぞ」

β「まさか生身の人間にこの能力を使うことになるとは思わなかったが、大したことじゃないか」

γ「こッちは大したことだ!クソが…思い切り食らッちまッたぜ…」


男「………」
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/22(木) 22:40:18.00 ID:/N2nPYSO
転「ふー…さすがに疲れてきました…ちょっと休憩でも」スッ

クロ「……」

イン「……」

シロ「……」

転「怖い怖い。あれ、男さんはいないんですか?」

クロ「……」パチ

転「クロ?」

クロ「散歩に行くって出てったわ…でも1時間以上前の話よ」

転「……遅いですね」

クロ「探しに行く?」

転「…そうしましょう」


男「………」

?『君ってなんか、怖いんだよね…』

?『ちょっと腕っぷしが強いからって調子乗ってんじゃねーぞ!』

男「………」


β「直に触れた『魔幻の孤高』のダメージは、ちょっとやそっとじゃ直らないぜ」

α「今後絡む気なんて一切起こらなくなるだろうな」

γ「俺としてはもう一度やりあッてみたいけどなァ」

β「…!」

α「どうした?」

β「あいつら…もう助けに来たのか?」

α「二人…やはり勘のいい奴らだ」
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/22(木) 22:51:21.38 ID:/N2nPYSO
転「暗いですね…ライトとかありません?」

クロ「あるわけないじゃない」バサバサ

転「…最悪、一晩かけて探すことになるかもしれませんね」

クロ「あ」ピタッ

転「あ」ピタッ

男「……」

クロ「…どうしてこんなとこに」バサバサ

転「……」ジーッ

転「打撲跡はない…となると…」

クロ「男!男!起きて!」ユサユサ

男「……」

転「大丈夫そうですか?」

クロ「気を失ってる…それにすごく汗かいてるわ…」

転「…風邪とか、そういうのじゃないですよね」

クロ「違うと思うわ…ああもう、誰が何をしたのよ…!」

転「……誰もいないうちに連れて帰りましょう」キョロキョロ

クロ「そうね」ヒョイ

男「ク、ロ…?」

クロ「!?」

転「起きましたか。話は帰ってから聞きましょう」

男「……俺、あいつらに会ったんだ」

転「誰に?」

男「て…天使…」

転「……!」
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/23(金) 08:41:11.68 ID:5ZWtN3Eo
どうなるんじゃ?
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/24(土) 13:18:52.22 ID:pNN/sMSO
これは一章かもしれん
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/25(日) 01:15:56.09 ID:dhjUjUMP
ここから戦闘に入るのかー
楽しみに待っておきます。
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/25(日) 23:23:21.91 ID:AfFWmkSO
男「……」パチッ

イン「あ、やっと起きた」

シロ「男にいだいじょうぶ?」

男「…俺、どのくらい寝てた?」

クロ「1時間くらいね。さっき運んできたときに一瞬だけ起きたみたいだけど」

男「そっか…」

クロ「はい、水」コト

男「ありがとう…」ゴクゴク

イン「一体なにがあったの?」

シロ「シロ、すっごく心配したんだよ!」

男「それが…。よく分からないんだ」

クロ「天使にやられたって言ってたじゃない」

男「それは間違いないんだけど…。でも、何をされてこうなったのか、よく覚えてないんだ」

クロ「殴られたり、蹴られたりしたわけじゃないみたいだけど?」

男「ああ。体には何にもされてない。ただ…」

クロ「ただ?」

男「頭を掴まれて、何かドロッとしたのを流された…ような気がした」

転「それってもしかすると、あれじゃないですか……」スタスタ

男「分かるのか?」

転「聞いたことがあります…。相手に直接触れることにより発動する、精神攻撃」

クロ「精神攻撃…。なるほど。それなら確かに肉体的なダメージはゼロね…」

転「あなたは精神的に崩されて、意識を失っていたんでしょう。幻覚か何かを見せられたんじゃないですか?」

男「幻覚……」
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/25(日) 23:25:23.25 ID:AfFWmkSO
シロ「インおねえちゃん、げんかくってなに?」

イン「うーん。実際にはそこに無いものを、あるように思っちゃうことかな」

シロ「??」

イン「例えば、シロが幻覚を見るとするよ。そうすると何もないお皿の上に、ケーキが乗ってるように見えてしまうんだ」

シロ「それってこわいことなの…?」

イン「お皿の上に虫がたくさん乗ってる幻覚を見させられたら怖いでしょ?」

シロ「こ、こわいね…」
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/25(日) 23:49:47.07 ID:AfFWmkSO
転「どうです?」

男「分からない…幻覚を見たのかも知れない…」

クロ「はっきりしないのね」

男「覚えてないんだ」

転「それじゃあきっと、こういう能力なんでしょうね」

転『相手の頭に触れることで、相手に幻覚を見せ、なおかつ相手からその記憶を消し去る』

男「……」

転「私のこの仮説が正しければ、なかなか厄介な能力ですね」

クロ「そう?」

転「相手は幻覚を見た記憶が残らないわけですから、何度も何度も食らうことになるかも知れません」

クロ「でも、しょせんは幻覚でしょ?その気になれば打ち消せるんじゃない?」

転「男さんが気を失うレベルですよ?」

クロ「……ねぇ、一体どんな幻覚を見たのよ」

男「だから覚えてないんだって…」

クロ「それさえ分かれば簡単なのに…」

転「どうしてです?」

クロ「見せられる幻覚をある程度予想して、それ以上の精神攻撃に耐えられるようになればいいのよ」

転「はい?幻覚なんかじゃ折れない精神を持て、ってことですか?」

クロ「そんな感じね」

転「それができれば苦労はしませんよ…」
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/25(日) 23:52:24.81 ID:AfFWmkSO
転「さ、男さんは今日はもう寝たほうがいいです。まだ疲れた顔してますよ」

男「ああ、そうだな…」

男(久しぶりにケンカなんてしようとしたからか…?)

転「おやすみなさい、男さん」

クロ「おやすみ」

イン「ゆっくり休んでね」

スタスタスタ…

男「…シロ、どうした?」

シロ「……こわい」

男「天使と戦うのが?」

シロ「…うん」

男「そうか…」ナデナデ

男「怖がるのは悪いことじゃないんだぞ」

シロ「……?」

468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/25(日) 23:54:06.55 ID:AfFWmkSO
男「今日戦って分かった。勝とうとしちゃダメなんだ」

シロ「それじゃあ、どうするの?」

男「俺は頭を押さえつけられた時点で、死んでてもおかしくなかった。で、そん時に気が付いた」

シロ「?」

男「勝つんじゃなくて、生きるんだ」

シロ「……生きる?」

男「そう。勝ち負けなんてどうでもいいから、最後まで生きてればいいんだ」

シロ「……」

男「どんなにぼろぼろにされたっていい。呼吸さえできれば、心臓さえ動いてれば、生きてればなんとかなる」

シロ「なんとかなるの?」

男「死んだら終わりだけどな。だから絶対に生きることを諦めるな」

シロ「うん…」

男「どんなに追い詰められてても、どんなに怖くても、生きなきゃって意志は捨てたらダメなんだ」

シロ「……生きるって、大事なことなの?」

男「生きるってのは、俺の中にもお前の中にもいる、得体の知れない化け物だ。」

シロ「ば、ばけもの…?」

男「それだけ頼りになるってことだよ」ナデナデ

シロ「なぁんだ…」

男「お前の中の強い意志を、化け物を飼い馴らせ。生きることだけ考えるんだ」

シロ「…うん!」
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/27(火) 18:35:17.58 ID:TOLFY.SO
一章が完結しないうちから着々とニ章の内容を考えてます
せっかくパー速でやってるんだから、1スレは使いきっちゃいたいよね
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/27(火) 21:08:40.20 ID:TOLFY.SO
男「…それじゃ、俺はもう寝るからな。お前も早く寝ろよ」

シロ「うん!」

男「おやすみ」

シロ「おやすみ!」

男「…ぐーっ…ぐーっ……」

シロ「…もうねちゃった」

シロ「…男にい」ギュ

シロ「シロは男にいのこと、だいすきだよ」

コンコン

イン「シロ。早く出ておいで」

シロ「うん」カチャ

イン「……嬉しそうな顔してるね。どうしたの?」

シロ「生きてればなんとかなるんだよ!」

イン「うん?」

シロ「なーんでもないっ!」スタタタタ

イン「…??」
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/27(火) 21:20:32.65 ID:TOLFY.SO
転「……」

クロ「…姉さま」

転「……はい?」

クロ「今…何考えてたの?」

転「私は…いえ、あなたたちも含んで」

クロ「含んで?」

転「なんだか手緩い気がするんです」

クロ「……手緩い?」

転「男さんが天使に襲撃されました。能力を使ってまでしたんです」

クロ「ええ、そうね」

転「一方で私たちは何してました?私はトレーニング、あなたたちに至っては、瞑想ですよ」

クロ「正しくはイメージトレーニングよ」

転「何にせよ…温い。温すぎる」

クロ「…どうしろって言うのよ」

転「私たちには、いまいち覚悟が足りてないみたいなんです」

クロ「どんな覚悟が?」

転「[ピーーー]覚悟が」

クロ「………そうね」

転「顔色一つ変えないあたり、あなたには躊躇いなく[ピーーー]だけの覚悟があるみたいですね」

クロ「強がってるだけよ」

転「私にはありません。いざとなったら私は、きっと躊躇する。首を飛ばすその手を止める」

クロ「そうかしら?実の姉にこんなこと言いたくないけど」

転「……」

クロ「姉さまって結構、残酷な悪魔よ」

転「……あなたに言われたくないです」
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/27(火) 21:23:56.00 ID:6ta4BGIo
メー欄にsaga入れると[ピーーー]無くなるよ
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/27(火) 21:26:07.37 ID:TOLFY.SO
忘れてた

二つとも「[ピーーー]」です
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/27(火) 21:28:25.93 ID:TOLFY.SO
あれ…
[ピーーー]です
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/27(火) 21:29:20.83 ID:TOLFY.SO
え?なんで?あれ?
殺す
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/27(火) 21:30:17.55 ID:TOLFY.SO
できたwwww
もういやだこれwwww
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/27(火) 21:35:43.59 ID:rhWLG5Mo
え?なにいってるの?次スレにも行くんでしょ?
とうぜん
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/27(火) 21:42:32.76 ID:TOLFY.SO
転「まぁ悪魔悪魔言われるのは好きじゃないんですけど、実際そうなんですよねぇ」

クロ「ふふ。そもそもそんな能力持ってるくせに、戦いたくないなんて言うほうがおかしいわ」

転「悪魔は…天使と何ら変わりのない、攻撃的な種です。能力と言う名の武器を自由に使えるかどうか。その違いしかありません」

クロ「でもここじゃ、それも通用しないわ。能力の制限はなし。使用してもお咎めはなし」

転「お咎めねぇ…。ハデにやりすぎたら、私たち地獄に帰れなくなるかもしれませんよ」

クロ「えっ……」

転「今本気で焦りましたね?当然のことでしょうが」

クロ「と、父さま一人じゃ庇いきれないの?」

転「まだ魔王をやってるころだったらその権力でなんとかなったかもしれませんけどね」

クロ「父さまが私たちのこと見放すことは?」

転「十分あり得ます。ここで能力を使ってドンパチやるなんて、よくよく考えたら重罪ですよ。重罪」

クロ「地上での能力を使用した交戦≧地獄での能力の使用?」

転「はい」

クロ「もう私…飛べないじゃない」

転「いえね、早い話が、私たちを「天使に襲撃された」ことにしちゃえばいいわけです」

クロ「正当防衛の能力使用に仕立てあげるつもり?」

転「それくらいなら父さまがなんとかしてくれるはずです」

クロ「はぁ…」
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/27(火) 21:49:42.57 ID:TOLFY.SO
転「しかぁし」

クロ「な、なによ…」

転「もしも天使サイドの説、つまり真実が父さまの耳に入ったら…」

クロ「……」

転『GO TO HELL↓↓』

転「です」

クロ「い、嫌よ拷問なんて」

転「つまりですね、私の言いたいことは、いかに鮮やかに連中を倒せるかってことなんです」

クロ「またそんなこと言って…具体的な対策があるわけじゃないんでしょ?」

転「今から考えましょう。夜通しで」

クロ「え」

転「いいですか?まず私たちは能力の使用を最低限に押さえつつ、且つ確実に連中を潰す必要が…」


テンコ姉さまの話は、およそ1時間と30分、休む間もなく続いたわ…
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/27(火) 21:57:57.42 ID:TOLFY.SO
ここまでの簡単なまとめ

転「最初の天使が、地上に降り立った私たちを調べるためにやってきました」

転「私はそれを、ウカツにも倒してしまったんです」

転「これにより悪人となった私たちのところに、復讐をしに来たメイと悪魔がやってきます」

転「私は彼らを倒さなくてはならないのですが、ネックになっていることがあるのです」

転「私たちは、地獄での能力の使用を禁止されている」

転「これはつまり、地上での使用は禁止されてないってことです。ただ…」

転「それに甘んじて能力を多用し、地上に影響を与えるのはもっての他」

転「もしも…天使に生き残られ、このことが地獄に…父さまに知られてしまったら、私たちはペナルティを科せられてしまいます」

転「これを防ぐためには、今後能力を使わないようにする。もしくは」

転「天使を倒し、今後地獄に一切の干渉をしないようにする。つまり父さまへのチクリをさせないってわけです」
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/27(火) 22:04:52.48 ID:TOLFY.SO
転「それからもう一つ。これは良心の問題なのですが…」

転「仮に天使を倒すことに成功した場合、それは私たちの一方的な攻撃になります」

転「最初に天使に手を出したのは私、復讐に来た天使を倒すのも私(たち)」

転「これで本当にいいんでしょうか?」

転「天使はまぁ、本質的に私たち悪魔を嫌い、命を狙っているのですが」

転「逆に私たちがその悪魔を倒す」

転「これはちとマズい気がします…」

転「転を殺さず、且つ合法的に彼らを追い返す方法…」

転「そんなものがありゃどんなに楽なことか…」

転「ちょっと分かりにくくなったかもしれませんが…こんな感じです」

転「地獄界のスーパーアイドル、テンコちゃんでした」
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/27(火) 22:06:06.61 ID:TOLFY.SO
転を殺さずってなんだよwwwwwwwwww
天使だよwwwwwwwwwwww
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/27(火) 22:22:25.76 ID:6ta4BGIo
俺以外に人入るのかな?
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/28(水) 02:22:25.65 ID:uofvKX2o
|ョω・`)よんだ?
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/31(土) 20:59:46.13 ID:1VPdnUSO
修行五日目

チュンチュンチチチ…

男「…はっ」ガバァ

男「今何時だ?」

5:47

男「…二度寝するかぁ」

男「ぐーっ…」



メイ「……ワタシが…やる……いや……でも……」

α「何をブツブツ言ってる?」

メイ「あ、…α!」ビクゥ

α「…βもγも、そろそろ痺れを切らす頃だ。もちろん私もな」

メイ「…分かってます…。今日、今日……」

α「今日やるのか?」

メイ「……やっぱり…」

α「どっちだ。はっきりさせろ。こっちは天使でお前は悪魔。それだけで[ピーーー]理由にはなるんだからな」

メイ「……」ビクッ

α「決めたらさっさと報告しろ。悪いがお前相手に下手に出るのはもう飽きた」

メイ「…ハイ」

スタスタスタスタ…

メイ「ふーっ…ふーっ……」ガタガタ

メイ「兄さん…助けテ…」
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sege]:2009/10/31(土) 21:01:26.42 ID:1VPdnUSO
はいはい
[ピーーー][ピーーー]
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/31(土) 21:03:38.68 ID:px5YedQo
>>486
どした?
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/10/31(土) 21:04:47.79 ID:1VPdnUSO
ああもう
殺す!
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/31(土) 21:17:46.13 ID:1VPdnUSO
俺危険過ぎワロタ

6:30

PiPiPiPiPiPiPi

男「う…」バシッ

男「ふわぁ…」

男「…今度こそ起きるか」

トントントン

男「…あれ。まだ誰も起きてないのか」

男「………修行は?」

男「おい!おい!お前ら!何たっぷり寝てんだ!修行はどーした!」

転「…ぐぅ」

クロ「……くーっ…くーっ」

男「お前らぁ…」

イン「…なにを騒いでるの?」フラフラ

男「なぁイン…こいつら、とうとう修行サボるようになっちゃったのか?」

イン「うーん…。昨日遅くまで作戦会議みたいなことしてたからかなぁ…」

男「作戦会議て…」

イン「しかもテンコ姉さんがクロ姉さんを無理やり巻き込んでたのかな、あれは」

男「はぁ…。シロは?」

イン「起こしてこようか?」

男「いや…時間そんなにないから、とりあえず俺着替えてくるよ」

イン「うん。二人はこのままでいいの?」

男「後で叩き起こす」

イン「あ、うん…。僕は止めないよ…」
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/31(土) 21:25:34.78 ID:1VPdnUSO
男「ああもう…今日は金曜日だってのに」ゴソゴソ

男「後一日頑張りゃ休みだろーが…」

男「あれ?ネクタイどこやったっけ」


イン「…新聞でも読んでようかな」スタスタ

イン「よいしょ」ガチャン

ギャアッギャアッ

イン「わぁっ!」

バサバサバサ…

イン「か、カラスか…びっくりしたなぁ…」

イン「…ん?なんか今のデシャブ…。まぁいいか」

イン「今日は…一日中晴れだね」



女「ひのき!待ってよー!」

犬「わんわんっ!」

女「ん?」

バサバサバサ

女「カラスが…あんなにたくさん…」

犬「うぅ〜っ!」

女「そんなことよりも!早く帰って支度しなきゃ…」
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/31(土) 21:44:59.12 ID:1VPdnUSO
男「さてと。時間だ。くぉらお前ら!早く起きろ!」

転「ぐーっ…ぐーっ…」

クロ「…くー…くー」

男「…もう呼び掛けだけじゃ起きないか。イン!」

イン「なに?」

男「シロの目覚ましは?」

イン「え、あれ使うの…?」

男「ちょっとだけ本気出す」

イン「分かった。シロから借りてくるね……」

男「お。それそれ」

イン「はい。シロがもう返さなくていいって」

男「?」

イン「帰るまでは使わないから、ここにいる間は自由に使っていいよ」

男「ああ、そっかそっか。ではさっそく…」

男「起きろーっ!」ブツッ

ワンッ!!!

転「うわぁっ!」

クロ「きゃあぁ!」

男「ぐぅはっ!」

イン「やった本人が一番近くで聞いてるんだよね…」

転「う、うるさいじゃないですか!」

クロ「びっくりしたわよ!心臓が止まるかと思ったわ!」

男「やかましい!お前ら修行サボってぐーすかぐーすか居眠りこきやがって!」

転「はっ…!」

男「はっ、じゃないだろ!もういいから、さっさと学校行く準備しろよ!」
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/31(土) 21:57:14.09 ID:1VPdnUSO
クロ「姉さまがあんな遅くまで付き合わせるからよ…」

転「嫌ならさっさと寝ればよかったじゃないですか」

男「どっちも悪い!さぁ時間は限られてるんだ。早くしろよ」

転「ふわぁ…」

男「これ、すっごい効くよなぁ…」

イン「目覚まし?」

男「ああ。なんかあるのか?」

イン「単純に音が大きいだけじゃなくて、僕たち悪魔が嫌がる音が出てるんだ」

男「嫌がる音?」

イン「うーん…。超音波っていうか、ほとんど耳じゃ感知できないような高い音が出てて、悪魔はみんなそれに弱いんだ」

男「へぇー」ゴソゴソ

イン「ポケットなんかに入れたら間違って紐引っ張っちゃうよ」

男「大丈夫だいじょーぶ」

イン「まぁいいけどね。僕も準備しなきゃ…」


転「あー眠ぃ…いつになく怠い…」

クロ「誰のせいよ…」

転「ぶっちゃけ昨日の作戦会議は徒労でしたね」

クロ「そうね…。もうこうなったら、流れに身を任せてみるしかないわね」

転「あー眠ぃ…」
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/31(土) 22:06:40.27 ID:1VPdnUSO
クロ「時間ないから、もう行ってくるわね」

男「ああ。気を付けろよー」

バダム

転「あ、そうだ…男さん」

男「ん?」

転「おこづかいください」サッ

男「はぁ?なにするんだよ」

転「髪ですよ。かーみ。」

男「髪?え?」

転「何度も言ってたはずですよ。私は金髪になりたいって」

男「ああ…ああ!言ってた言ってた」

転「今日染めてもらいに行きます。だからおこづかいください」

男「いくらいるんだ?」

転「さぁ」

男「……ほれ」カサ

転「わぁ壱万円」

男「いいか。髪染める以外には使っちゃダメだぞ」

転「分かってますよ」

男「ならよし。じゃあそろそろ女も来るだろうし、行くか」
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/31(土) 22:09:37.08 ID:1VPdnUSO
髪染めるのっていくらするの?
そもそも美容院でやるものなの?
女じゃないから分からないよ
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage nai]:2009/11/02(月) 01:35:33.96 ID:wyp7F0k0
家でもブリーチがあればできるだろうけど、めんどくさいと思われ。
美容室で染めてもらえばきれいに染まるんじゃない?
若い人がいくような美容室は美容師のおねいさんとの会話(恋バナって奴?)に発展思想だし。
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage nai]:2009/11/02(月) 01:36:27.93 ID:wyp7F0k0
家でもブリーチがあればできるだろうけど、めんどくさいと思われ。
美容室で染めてもらえばきれいに染まるんじゃない?
若い人がいくような美容室は美容師のおねいさんとの会話(恋バナって奴?)に発展思想だし。
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/02(月) 21:23:43.49 ID:UUgo1kSO
>>495
美容院で大丈夫なのか。ありがとう
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/02(月) 22:22:06.88 ID:UUgo1kSO
男「視聴覚室ってあるだろ?」

転「なんですか急に」

男「あそこで自殺した生徒がいるんだってな」

女「えっ?い、いつ?」

男「5年くらい前って聞いたぞ」

転「へぇ…視聴覚室で…(見たことないけど)」

女「なんで急にそんな話するの?」

男「や、そういや誰か言ってたな、って。ふと思い出したんだ」

女「怖いね…」

転「…自殺か。そんなことする人の気が知れませんね」

男「そりゃみんながみんなお前みたいに楽しいことばっか考えてダラダラ過ごしてるわけじゃないからな」

女「言い過ぎじゃ…」

転「地獄で…処刑や拷問が行われてるんです。テレビで毎日ニュースがやっててその映像がバンバン流れるんですけど…」

男「けど?」

転「死にたがってる人間は見たことがない。みんながみんな生きようと必死にもがいてる」

男「死ぬのはイヤだ!ってそんなに酷い拷問なのか」

転「まぁ私は経験ないから何とも言えませんが、きっとそうなんでしょうね」

女「もしかしたら、みんなあれなのかもね」

転「あれ?」

女「私たちは、本気で生きてないんだよ。だから簡単に死のうとできる」

転「さすが男さんとは言うことが違いますね。発言の質が違う」

男「うるっせーな…」

女「地獄の人は否応なしに生きようと思わされるんでしょ?」

転「拷問のせいで、ですよ」

女「私たちも、一度そういう目にあったほうがいいのかもね…」

男「さらっと恐ろしいこと言うなよ」
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/02(月) 22:38:06.02 ID:UUgo1kSO
男「さてと、今日一日頑張りゃ明日明後日と休みだ!」

女「それじゃ、また帰りにね」

男「ああ」

女「テンコちゃんも!」

転「私は美容院に行くんです」

女「美容院?髪切るの?」

転「切るんじゃなくて、染…」

キーンコーン カーンコーン

女「と、とにかくじゃあねっ!」タタタ

転「める…。さ、早く入らないと遅刻になっちゃいますよ」

男「だな」ガラッ
先生「二人とも遅ーいぞっ!さっさと座って!テスト返すからな」

男「この間の自習の?提出したっけ?」

転「誰かが出してくれたんですよ」

男「そっか…」

先生「次ー。男。お前は……うーん。途中からまったく手が着いてないみたいだな。ま、頑張れよ」カサッ

男「…俺的には最初の二枚は良いと思うんだけどな」


先生「次。テンコ。とりあえず君はこんな学校じゃなくて、もっともっとレベルの高いところに行くべきだったかもな」

転「男さんがいるのはこの学校だけですから」

先生「ほう…。ずいぶんと仲が良いみたいだなぁ」

転「男さんと私は別に仲良しってわけじゃあないんです。それ以上の関係なんです」

先生「それ以上?」ピクッ

男「てっ…テンコは親戚ってか従姉妹なんです!てかお前は誤解されるような言い方するな!」

転「はいはい…そーですね従姉妹でしたね」

男「ったく…」
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/02(月) 22:40:19.44 ID:UUgo1kSO
ダメだ学校パートはどうも苦手だ…
進みが遅くてごめんなさい
2ヶ月以上かけてやっと>>500です
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/03(火) 02:06:05.29 ID:e3ViaYkP
授業参観に(ry
それはともかく、初めの方に長い間があったしね
最近は投下の頻度も高くなってきてイイ感じです
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 22:13:41.71 ID:YwndJsSO
青柳橋中学校

クロ(学校ってホントに暇ね。やっと昼休み…)

生徒A「ねぇクロちゃん!」

クロ「…なに?」

生徒A「図書室に行かない?」

クロ「一人で行けばいいじゃない」

生徒A「そんな冷たいこと言わないでよ…。クロちゃんと二人きりで話がしたいの」

クロ「話?」

生徒A「いろいろ知りたいの。クロちゃんのこと」

クロ「ふぅん…。いいわ。図書室ね。行きましょう」


図書室

クロ「…全然人がいないのね」

生徒A「ここ、あんまり本置いてないし、狭いから…。でも二人で話すにはちょっといいよ?」

クロ「埃っぽいわね…」ガラッ

生徒A「誰か掃除とかしてないのかな」ガラッ
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 22:29:16.49 ID:YwndJsSO
クロ「…それで、話って?」

生徒A「あ、うん…別にたいしたことじゃないんだよ?」

クロ「あなたが呼んだんじゃない…」

生徒A「うん。みんなのいる教室じゃしづらい話で」

クロ「…とにかく言ってみないと分からないわ」

生徒A「そうだね…。じゃあ、クロちゃんってさ…」

生徒A「なんかそこら辺の連中と匂い違いますよね………」

クロ「?……匂い?」

生徒A「危険というか小悪魔系っていうか……もっとはっきり言うと…」

クロ「大金の匂いがする…とか言わないわよね」

生徒A「クロちゃんってどこかのお嬢様なんじゃない?」

クロ「…!」

生徒A「もしかしてアタリ?」

クロ「あ、いや、別にそういうわけじゃないわ…」

生徒A「クロちゃんってどこから来たの?どこのお嬢様?」

クロ「………どこからって、地獄よ」

生徒A「へ?」

クロ「私は地獄のお嬢様なの。ふふふ」

生徒A「は、は、はは…は?」

クロ「あまり私に関わらないほうがいいと思うわ」

生徒A「そ、そうみたいだね」

クロ「あなたみたいに勘がいい子は特にね」ガラッ

生徒A「あっ!クロちゃ…」

クロ「先に教室に戻ってるわ」バダム

生徒A「……地獄って、クロちゃんなりのブラックジョークなのかな?」
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 22:44:02.91 ID:YwndJsSO
六敷小学校

イン「ふー…やっと帰れる…」

先生「どう?インちゃん。学校にはもう慣れた?」

イン「あ、先生」

先生「別にそんな緊張しなくてもいいじゃない。やっぱりまだ慣れてないの?」

イン「いや、そんなことないです。友達もできたし、先生は優しいし、もうほとんど慣れました」

先生「…インちゃんってしっかりしてるのねぇ」

イン「そうですか…?」

先生「みんなは私語で私に話しかけてくるけど、インちゃんは敬語。なんだか新鮮な気分よ」

イン「こ、これはクセで、別に意味があるわけじゃ…」

先生「分かってるわよ。ふふ」


生徒X「行くぞー俺の魔球を見せてやる!」ブンッ

生徒Y「うりゃ!」カキン

ヒューン

生徒Z「あっ!おいインちゃんに当たるぞ!」


イン「え?誰か呼んだ?」クルッ

パシッ

生徒XYZ「!?」

先生「こら!掃除中に遊ぶなって言ってるでしょ!大丈夫?インちゃん」

イン「あ、はい」

先生「よくキャッチできたわね…。今私と話してたのに。すごいわ…」

イン「えっ?こ、これは、たぶん反射神経が良いんです。僕」

イン(もっと自然な小学生にならなきゃ…)
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 22:55:27.90 ID:YwndJsSO
男のアパート

シロ「ふんふんふーん♪」

シロ「ふんふふん♪ふんふん♪」

シロ「ふんふふふんふんふーん♪」

お姉さん「はぁ…」スタスタ

シロ「?」

お姉さん「…?君、こんなところで何してるの?」

シロ「シロはねぇ、お絵かきしてるの」

お姉さん「お絵かき?見てもいいかな?」

シロ「いいよ!」

お姉さん「…なんか、たくさん人がいるね。これは誰なの?」

シロ「これはね、インおねえちゃんとシャルおねえちゃんとクロおねえちゃんと男にいちゃんと女ねえちゃん!」

お姉さん「へぇ…みんな仲良しなんだね…。ここに住んでるの?」

シロ「ここは男にいちゃんのお家だけど、今はおねえちゃんたちと一緒にここにいるの」 

お姉さん「そっか…」

シロ「おねえちゃんは何してるの?」

お姉さん「私?私は…大学サボってふらふらしてたの」

シロ「だいがく?」
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 23:05:50.68 ID:YwndJsSO
お姉さん「ふふ。君には分かんないかな?」

シロ「だいがくって、お勉強するところ?」

お姉さん「あ、なんだ知ってるんだ」

シロ「男にいちゃんが、今度のテストはだいがくじゅけんにひびくんだ、って言ってたよ」

お姉さん「そうだよ。大学受験は大変だからね」

シロ「おねえちゃんはだいがくに行かないの?」

お姉さん「うん。勝手に休んでるの。ホントはいけないことなんだけどね」

シロ「どうして休んでるの?」

お姉さん「なんだろうね。つまらないの。毎日毎日同じようなことばっかりしてて、何にも楽しいことがない」

シロ「たのしいこと…」

お姉さん「君はまだ学校に通う年じゃないのかな」

シロ「うん」

お姉さん「じゃあ一人で遊んでるの?」

シロ「うん。おねえちゃんも一緒にあそぼうよ」

お姉さん「え?」

シロ「だっておねえちゃんは、だいがくに行かないんでしょ?じゃあ一緒にあそんでもだいじょうぶでしょ?」

お姉さん「うーん。そうだね。せっかくこうして会ったんだし、一緒に遊ぼっか!」

シロ「わーい!ありがとう!」ピョン

お姉さん「わっ…とと。軽いねぇ」ギュ
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 23:15:55.52 ID:YwndJsSO
お姉さん(こんなふうに女の子を抱っこするのなんて、初めてだな…)

お姉さん「シロちゃん?だよね。何して遊ぼうか?」

シロ「うーんとね。おままごとー!」

お姉さん「おままごとかー。よーし。やってみようかな」

シロ「おねえちゃんは男にいちゃんのやくだよ!」

お姉さん「え?男にいちゃんって、さっきの絵の?」

シロ「うん。でも、そんなのきにしないでいいよ」

お姉さん「あ、うん。あはは」

シロ「今日はいいてんきだねぇ」

お姉さん「ん?これ、もう始まってるの?」

シロ「そうだよ」

お姉さん「人形とかは使わないのかな?」

シロ「えっ?お人形がいるの?」

お姉さん「普通はそういうものかと思ってたんだけど…」

シロ「シロはね、ぜんぶあたまの中で考えてやるんだよ」

お姉さん「頭の中で?」

シロ「ここ…ここにつくえがあって…」スッ

お姉さん「うん」

シロ「シロはこっち。男にいちゃんはそっちに座ってるの。インおねえちゃんがシロの隣にいて、シャルおねえちゃんとクロおねえちゃんは…」スッスッ

お姉さん「え?え?…ちょっと待って、もう分かんなくなってきちゃった…」

シロ「もう一回おしえてあげようか?」

お姉さん「ごめんね?お姉ちゃんてっきり人形とかおもちゃの家具とか使うのかと思ってて…」

シロ「シロ、そんなの使ったことないよ…」

お姉さん「い、いつもこれを頭の中でやってるの?すごい…」
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 23:23:29.00 ID:YwndJsSO
シロ「男にいちゃん、今日もまたお勉強なの?」

お姉さん「うん。たくさん勉強しなきゃ、大学には入れないからね」

シロ「あのね、男にいちゃんは、入れないからな、って言うんだよ」

お姉さん「そうなの?じゃあ気を付けます。結構リアルにやるんだね…」

シロ「男にいちゃんはどうしてだいがくに行きたいの?」

お姉さん「どうしてって…」


お姉さん『どうして大学なんかに行かなきゃいけないの?』

お姉さん『私、勉強なんかもうしたくない…』

お姉さん『いい大学なんて、行けなくていいよ!』


お姉さん「…どうして?」

シロ「おねえちゃん…?」

お姉さん「…どうして私は大学に行ったの?お父さんとお母さんが言ったから?」

お姉さん「周りがそうしてるから?」

お姉さん「どうして自分の人生が、周りのせいでズレてくの?」

シロ「??」

お姉さん「どうして…ねえ、どうして?」ポロポロ
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 23:30:01.98 ID:YwndJsSO
お姉さん『ねえお母さん。今回のテスト、やっと10番以内に入れたよ』

母『そう。なら次は5番以内ね』

お姉さん『……うん』


父『いつまでもそんなくだらないことなんてやってないで、さっさと寝たらどうだ』

お姉さん『く、くだらないことなんかじゃないよ!』

父『ふん。くだらないことじゃないか。そんなもの…』


お姉さん『志望大学に合格したら、私は好きなように生きられるのかな?』

お姉さん『もっともっと勉強しなきゃ』

お姉さん『みんなよりもいい点採らなきゃ』


お姉さん「それって本当に私のためになってるの?」

シロ「おねえちゃん…おねえちゃんが言ってること、わかんないよ…」

お姉さん「ごめんねシロちゃん。始めたばっかりだけど、今日はもう遊べないんだ」

シロ「…?」
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/03(火) 23:30:51.21 ID:ahC7NBko
なんで俺大学に入ったんだろ……
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 23:39:32.28 ID:YwndJsSO
お姉さん「私ね、小説家になりたいの。小説家って、分かる?」

シロ「本をかく人?」

お姉さん「そう。中学生のときから、ずっと書いてて…。いつか自分の本を出せるようになりたくて必死に勉強もしてきた。でも」

シロ「でも?」

お姉さん「もうちょっと、のんびりやるのもいいのかな」

シロ「…のんびりするのは、いいことなんだよ?」

お姉さん「うん。そうだね、やっぱりそうなんだ。あははっ」ダキッ

シロ「おねえちゃん…」

お姉さん「ありがとうシロちゃん。君のおかげで、なんだか大事なことが分かった気がする」

シロ「シロ、なんにもしてないよ?」

お姉さん「ううん。シロちゃんに会わなかったら、きっと私はダメになってた。ホントにありがとう」

シロ「…うん」

お姉さん「また今度遊びにくるよ。そしたらおままごとの続きやろうね」

シロ「…うん!あとね、シロね、おねえちゃんの書いた本がよみたい!」

お姉さん「シロちゃん、本、読むの?えらいねぇ」ナデナデ

シロ「えへへ…」

お姉さん「よーし。それじゃあまたね。必ず遊びにくるからね」

シロ「まってるからねー!」

お姉さん「うん。約束だね、シロちゃん」
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/03(火) 23:48:15.56 ID:YwndJsSO
シロ「…おねえちゃん」

シロ「また来てね」



メイ「…やりマショウ」

α「?」

メイ「モウこれ以上待つ必要はないデス」

β「やっとかい…」

γ「何があッた?どんな心境の変化だァ?」

メイ「…もう躊躇うのは止めにシマス」

α「…まぁいい。β、γ。まずは奴らを探し出す」

β「この時間は学校だろ?」

α「学校から出てきて一人になったところを狙う。周りに一般人がいてもらっては困るからな」

γ「男がいたら、一緒に潰してやるんだけどなァ…キヒヒヒヒッ」

メイ「…もう躊躇わナイ…やるしかないンダ……」ブツブツ

α「行くぞ…!」
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/04(水) 22:35:52.44 ID:7OhZGISO
転「すーっ…すーっ…」



……

………

?『お前がもっと大きくなったら、私の跡を継ぐんだよ』

?『わたしが?』

?『お前は長女だからね』

?『ふぅん…じゃあ、わたしが王様になったら父さまはいっぱい遊んでくれるの?』

?『そうだね…。約束しよう』

?『…クロとインも、一緒だよ』

?『うん。それも約束だ。それじゃ私は忙しいから、二人と遊んであげなさい』

………

……
おい…

おい!

男「おい、テンコ!」

転「ん……」ピクッ

男「お前さ、さすがに寝すぎだって。飯食ってからずっと寝てたんだろ」

転「…寝る子は育つって言うじゃないですか」

男「よくもまぁ屁理屈ばかり…」

転「……」ボーッ

男「…どうした?」

転「子供の頃の夢を見てたんです」

男「ああ、そう。もう帰るぞ」

転「…はい」ガタッ
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/04(水) 23:00:03.60 ID:7OhZGISO
男「お前は美容院に行くんだろ。悪いけど俺はまっすぐ帰らせてもらうな」

転「どーぞどーぞ。髪染めてもらってはしゃぐ姿なんて見て欲しくありませんから」

男「見たくねぇよ」

転「そうでしょう」

女「男くん!テンコちゃん!」タタタ

男「お、よし、来たな」

転「あっ」

男「ん?」

〜ここから三倍速の世界〜

転(床に水が…これは転ぶな)

転(さて、果たして女さんはあんな短めなスカート履いて、パンチラしたりしないのか…)

転(……よし)スッ

〜三倍速の世界終わり〜

女「わっ……」ツルッ

男「おい、危な……」

転「大丈夫ですか?」ガシッ

女「あ、うん…」

男「い…あれ?俺の隣にいたのに…」

転「ギリセーですね」

女「テンコちゃんってやっぱりすごいんだね…」

男「お前そんなに早く動けんのか…」

転「普段は怠けてるだけなんですよ」

男「これなら…天使も簡単に倒せるんじゃないか?」

転「…さぁ?どうでしょうかね」
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/04(水) 23:13:52.69 ID:7OhZGISO
男「じゃあ帰るか」

女「うん。あ、テンコちゃん、ありがとね」

転「いやいやそんな。それより…」

女「?」

転「大好きな男さんの前で派手に転んで、挙げ句パンチラするなんてことがなくて、ホントによかったですよ」ボソッ

女「へっ…?」カァァ

転「まっ、ファイトですね」ポンッ

男「何やってんだ?早く行くぞって言ったろ」

転「はいはい分かってます」

女(…テンコちゃんは男くんのことどう思ってるんだろ?)


α「…そろそろだな。お前たち、それぞれ用意できたな?」(テレパシィ)

β「問題なし…のはず」(テレパシィ)

γ「おいα…交替しねェか?」(テレパシィ)

α「そんなにあの男に恨みがあるのか」(テレパシィ)

γ「ただの人間に殴られたのは初めてだからなァ…!まァお前が俺の分までやッてくれるならいいけどよ」(テレパシィ)

β「お。こっちは出てきたみたいだぜ…。さっさと潰してくるか…」(テレパシィ)

α「油断するなよ」(テレパシィ)

β「あいよ」(テレパシィ)
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/04(水) 23:26:07.73 ID:7OhZGISO
青柳橋中学校

生徒A「ねぇクロちゃん!一緒に帰るくらいいいでしょ?」

クロ「さっきからしつこいわね…」

生徒A「だってクロちゃんのこと、もっと教えてほしいんだもん!」

クロ「あなた部活は?」

生徒A「今日は休む!」

クロ「はぁ…。ねぇ、別に私は、あなたのことを嫌ってるわけじゃないの。ただ、あなたに詮索されたくないだけで…」

生徒A「そういうミステリアスなところが気になるの!」

クロ「……そう。じゃあいいわ。もう無理やり振り切って帰るから」ザワワワワ

生徒A「へっ…?は、羽?」

クロ「じゃあね。あ、この事は皆には黙っておくように」バサバサ

生徒A「え、あ、うん…ってちょっと待って!」

クロ「また月曜日にね」バサバサ

生徒A「えーっ…!何物なのクロちゃんって?」


クロ「…さすがに学校で飛ぶのはまずかったわね。降りなきゃ…」

?「おい」

クロ「…?」チラ

?「降りてこいよ。クロノ・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ」

クロ「…言われなくても降りるわよ」バサ…バサ…

?「俺が誰だか分かるな?」

クロ「天使ね」スタッ

β「お前を潰しに来たんだ」

クロ「…私のファンが増えてるみたいね」


………悪魔クロVS天使β………
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/04(水) 23:48:01.75 ID:7OhZGISO
中学校から少し離れた場所

クロ「女の子をこんな人気のないところに連れていくなんて」

β「なんなら大通りでやるか?」

クロ「いや、私もこっちの方が都合がいいわ」

β「ふふ…悪魔の四姉妹の次女クロノ。能力は漆黒の翼による飛行能力か」

クロ「詳しいのね」

β「当然だ。俺は何でも徹底的にやるタイプなんだ」

クロ「徹底的?へぇ…」バサッ

β「?」

クロ「私の『退路』を断たないで、徹底的?」バサバサ

β「!おい、まさかお前…」

クロ「私、あなたの相手をするなんて、まだ一度も言ってないわ」バサバサバサ

β「くっ!待て!」ダダダ


噛屍魔高校

男「じゃあ美容院の場所は分かったな?」

転「はい」

男「終わったらすぐ戻ってこいよ。あ、そうだ。これ」ポイッ

転「携帯ですか」パシッ

男「俺は家にいるはずだから、なんかあったら電話しろよ」

転「使わないと思いますけどね…」ゴソゴソ

男「じゃ」

転「はい」スタスタ
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 00:00:28.52 ID:NsbH3wSO
男「ふわぁ…」スタスタ

女「…ね、ねぇ。男くん」

男「ん?」ピタッ

女「男くんは、その…テンコちゃんのことどう思ってるの?」

男「…どうって言われてもなぁ」

女「ほら、男くんって基本的に優しいでしょ。でもテンコちゃんに対しては、なんかちょっと扱いが粗末なんじゃないかな、って」

男「それはあるな」

女「えっ?」

男「あいつが家にやってきて、まだ一週間だけど…」

女(そっか、まだ一週間なんだ)

男「あいつの性格はだいたい理解できた。すっげー分かりやすいもん」

女「例えば?」

男「面倒くさがり、意地悪、気まぐれ、薄情」

女「うーん…」

男「でも頭がよくて、案外優しいとこもある。やるときはやるし、人の気持ちをしっかり理解できてる」

女「そうかも…」

男「あいつは多分AB型だな」

女「あはは」

男「悪魔だけどな」

女「……悪魔って、何なんだろうね」

男「…正直よく分からん。ただ俺は、あいつらは進化した個体なんだと思う」

女「進化した個体?」

男「俺たち人間とは比べものにならない力、知力。そして精神性」

女「……」

男「悪くいえば化け物だ。あいつらは」

女「…やっぱりよく分からないよ」
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 00:07:45.73 ID:NsbH3wSO
男「…で、俺があいつをどう思ってるかって言うとだ」

女「…うん」

男「……魅力的だと思ってる」

女「ミ、ミリョクテキ…」

男「変な意味じゃないぞ。あいつからは一種のカリスマ性を感じるんだ。人を従える素質があんだろうな」

女「男くんはそれに従ってるの?」

男「無意識の内にな。よく分からんが」

女「へぇ…」

男「でも俺はさ、むしろあいつらを従えてる気になるんだ。親っていうか、なんかいろんな動物を飼ってるような気になる」

女「飼い主?」

男「慣れちまえばあいつらなんて、たまに手を噛む生意気なペットだ」

女「??」

男「ちんぷんかんぷんだよな。俺も何言ってんのかはっきりしないや。ただ…」

女「ただ?」

男「あいつらとは離れたくないな」

女「…私も」


高校の近くの道

?「なぜあいつがいない…?いつもはここを通るはずなのに」

?「一切の力を感じなかった。素通りしたわけじゃなさそうだな…」

?「別のルートか…」
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 00:20:02.49 ID:NsbH3wSO
美容院Δ(デルタ)

店員「いらっしゃいませー」

転「あの〜」

店員「予約はされていますか?」

転「予約がいるんですか?」

店員「…予約はされてないんですね?すいません…少々お待ちいただけますか?どうぞお掛けになってください」

転「いえ、立ってます」

店員「……店長(リーダー)、変な女の子が来たんですけど」

店長「変な女の子?誰よ!オカマ?」

店員「あなたじゃないんですから…なんか予約もなしにいきなり入ってきて…」

店長「あらそう!じゃあアタシが相手するわ!アンタは向こうのお客様をよろしく!」ヅカヅカ

転(…!なんか化粧したおっさん出てきた)

店長「ちょっとアンタ!予約してないんだって!」

転「初めて来たものです」

店長「まさかパッと見つけたここに入ったわけじゃないわよね!」

転「いやいや、一応人に聞いてきたんです」

店長「そいつは予約云々って言わなかったのかい!」

転「言ってたような気もします」

店長「あらそう!まぁ現に予約してないのよね!」

転「してませんよ」

店長「…アンタ、年はいくつ?「彼氏はいるの?」

転「16です。彼氏はいませんよ」

店長「それじゃ、なんで髪を切るのよ!」

転「切るんじゃなくて染めに来たんです」

店長「!そんなにキレーな黒色してんのに!」

転「私は金がいいんです!」
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 00:29:47.70 ID:NsbH3wSO
店長「まぁアンタ顔立ちは外人さんぽくてすごいキレーだから、似合いそうね!」

転「見る目があるじゃないですか」

店長「…見る目ねぇ。アタシもうここで15年やってるけど、アンタみたいな客は初めてよ」

転「15年もオカマやってんですか」

店長「仕事よ仕事!オカマは20年目!ガハハハハ!さ、座りなさい!」

転「いいんですか?」

店長「アンタ気に入ったわ!染めるだけなら特別にやったげる!だからアタシに何か芸を見せなさい!」

転「ゲイ?オカマで?」

店長「そのゲイじゃないわよ!アタシね、昔はオカマバーでバイトしてたのよ!その時から何か芸に飢えててね!アンタ何かやってみなさいよ!」

転「それじゃ一つ、やってみせましょうか」スッ

店長「アンタそんなホウキ持って、何するつもりだい?」

転「……我流棒術、百爪棍(ヒャクソウコン)」バババッ

店長「…あん?」

ビュビュビュビュビュ!!!!

店長「……なっ!」フラ

転「当ててませんよ」

店長「あ、アンタ今なにやったんだい!」ドサッ

転「ホウキで乱れ突きしただけですよ」

店長「み、見えなかった…!」

転「見えるスピードでやったら、芸じゃありませんよ。さ、染めてくれるんですよね」

店長「やってやるさね!しかしアンタ、スゴいわねぇ!」
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 00:46:03.10 ID:NsbH3wSO
男「ただいまー」ガチャ

シーン

男「あれ?誰もいないのか?」スタスタ

男「…ん?画用紙?シロが絵を描いてたのか。って、ん?」

『たすけ』

男「たすけ…てって書こうとしたのか?シロが?え?」

男「…え!?」
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 00:47:51.21 ID:NsbH3wSO
〜30分前・男がのんびり歩いてたころ・テンコが美容院に入ったころ・クロが飛んでたころ〜

シロ「お絵かきお絵かき…」グリグリ

ピンポーン

シロ「インおねえちゃん?」

ピンポーン

シロ「はーい!」タタタ

ガチャ

シロ「インおねえちゃんおかえり…」

γ「人違いだろォ…キヒヒヒヒ!」

シロ「え…?だれ…?」

転『いいですか。シロ。もしもあなたが一人のときに誰か客がやってきたら、そいつは間違いなく天使です』

シロ『もしもきたらどうすればいいの?』

転『自分がピンチであることを伝える、メッセージを残してください。そしたら箱を持って逃げる。できますか?』

シロ『う…うん!』

シロ「てんし…!」

γ「ご名答ォ〜!じゃまする」

シロ「やだ!」バタン

γ「ぜェ!?」バキッ

シロ「めっせーじと、箱…!」ダダダ

シロ「箱、はこ、あった!」ゴソゴソ

シロ「めっせーじ…この紙に『たすけて』って…」カキカキ

γ「てめェ!いきなり舐めた真似しやがッて!」ガシッ

シロ「きゃあ!」

γ「来い!」
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 00:57:44.02 ID:NsbH3wSO
〜シロとγの接触の数分後・六敷小学校〜

イン「…!」ピーン

イン「今、嫌な感じが…」

γ「勘がいいなァ!キヒヒヒヒ!」

イン「誰だ!」バッ

γ「分かってんだろォ?天使のγだ!お前らが探してた天使だぜェ!」

イン「いつの間に後ろに…」

γ「んなこたどーでもいいんだよ!イン・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ!」

イン「…悪いけど僕は君の相手はしないぞ」

γ「逃げるのか?…悪いんだけどよォ、お前の可愛い可愛い妹はこっちで預かってるぜェ」

イン「なっ…!」

γ「取り返してほしいなら、俺と戦うしかねェよ。そうだろォ?」

イン「…シロに手を出したのか…!」

γ「連れてきただけで、まだ何もしてねェぜ。キヒヒ…」

イン「黙れ!」カッ

γ「おーおー。さッすが悪魔だ。怖いねェ…」

ポツ…ポツ…

γ「!」

イン「お前を倒して、シロを取り戻す。案内しろ。僕はお前を絶対に許さない」

γ(天気を変える能力…いきなり使うとはなァ…)

ザァアアアアアア
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 01:02:49.88 ID:NsbH3wSO
〜公園〜

γ「さ、あそこだぜ…」

イン「シロ!」

シロ「あ…インおねえちゃん…!」

イン「シロ…!シロ!」ダッ

γ「キヒヒヒヒ…!」

シロ「!えっ?」

イン「…シロ?」バチャ

シロ「…なんでおねえちゃんの後ろに?」

イン「その木の後ろにいるのは…」

γ「キヒヒヒヒ!」

γ「キヒヒヒヒ!」

シロ「きゃあっ!」ガシッ

γ「そこで止まりなァ!」

イン「…え」クルッ

γ「どうした?妹は前だぜ?」

イン「…そんなバカな」

シロ「て、てんしが」

イン「γが二人いる!?」

γ『キヒヒヒヒ!』

ザァアアアアア
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 01:22:20.16 ID:NsbH3wSO
〜再び男アパート〜

男「なんてこった…!ちくしょう!どうすりゃいいんだ!」

男「!そうだ、テンコに電話を…」


〜美容院Δ〜

ピルルルルル ピルルルルル

店長「ケータイ鳴ってるわよ!アンタじゃないの?」

転「あ、ホントだ」

ピッ

転「もしもーし」

男『テンコ!大変なんだ!シロがいなくなった!たすけてって書き残してある!』

転「シロが!?」

男『なぁ、どうすりゃいい?シロはどこに連れてかれたんだ?』

転「落ち着いてください!とにかく一度外に出るなりして、シロがいそうな場所を探してみてください」

男『あ、ああ、分かった……』

ピポローロ ピリポロポン(保留)

店長「ど、どうしたのよ!」

転「…まだ時間かかりますか?」

店長「まだかかるわ!急いでるの?」

転「ちょっとまずい事態になってるみたいなんです」

店長「ならできるだけさっさとやったほうがいいわね!…辛抱よ、辛抱!」

転「はい…分かってます」

男『て、テンコ!今、外を見てきたんだけど、変なんだ!』

転「変?」

男『公園にだけ雨が降ってる!』
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 01:23:18.39 ID:NsbH3wSO
転「公園にだけ?……!」

男『ありゃ一体なんなんだ!』

転「シロはきっと、インと一緒にそこにいます!でも…これは難しい判断なんですが」

男『なんだよ!』

転「男さんはシロとインを無視して、まずはクロを探してください!」

男『クロ!?』

転「天使は同じタイミングで各々が攻撃を始めたはずです。だからクロのところにも、天使が来てるはずなんです」

男『そっちを優先させるのか!?』

転「インを信じてあげてください。そしてクロと合流したら、まず天使を倒して、急いでシロたちの元に二人で向かってください」

男『それでいいんだな!でも、お前はどうなる?』

転「じれったいですが、今は美容院から出られません。ただ、残った天使も私を探すのに時間をかけるはずです。こっちはあなたを含んで4人、向こうは2人です。負けないでください!」

男『分かった!まずはクロ、次にインとシロだな?』

転「はい」

男『また電話する!』ガチャン

転「……イン、シロ。必ず生きててください」
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 01:28:31.75 ID:NsbH3wSO
ピンポーン

女「はい」ガチャ

男「女!ケータイ貸してくれ!」

女「…えっ?」

男「必ず返すから!テンコと連絡取るために必要なんだ!」

女「い、いいけど…はい」

男「ありがとう!」ダダダ

女「お、男くん…何があったの?」


男「はぁ…はぁ…!」

男「よく考えたら、クロの居場所なんて分からないぞ…」

男「待てよ…冷静になるんだ。考えろ…考えろよ…」

男「テンコの言った通り、シロたちはあの公園にいるみたいだ…ってことは、インを学校帰りに捕まえたか、誘導したんだ…」

男「ってことはクロも、中学校へのルートのどこかにいるってことかもな…」

男「よし、もう行くしかない!待ってろよ!」
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 01:48:30.62 ID:NsbH3wSO
〜クロとβのいる路地裏〜

β「さんざん逃げ回ったかと思えば、結局ここに戻ってきたのか!」

クロ「…私が何も考えずにただ逃げてたと思ったの?」

β「?」

クロ「当然考えがあるのよ…」

β「なんだか知らんが、先手は俺がもらう!」ダッ

クロ「!」

β「魔幻の…」

クロ(触れることによって発動する、精神攻撃ね)

β「孤光(アーク)!」ブンッ

クロ「そんな攻撃!当たらないわ!」

β「…ククク」

クロ「?」

β「当てなくても能力は発動するんだ…!知らなかっただろ?」

クロ「……!」

β「直に触れれば効果は最大限に発揮される。ただ…」

β「触れなくとも、俺の能力範囲に入っていれば、効果は発動するんだよ!」

クロ「…くっ」

クロ「……」

クロ「………」

クロ「何も起こらないわよ…?」

タタタタタ

クロ「!?」バッ

男「クロ!」

クロ「男?なんでここに…」
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 01:51:25.50 ID:NsbH3wSO
男「テンコに電話して、お前のところに向かうように言われてたんだ!」

クロ「姉さまが…」

男「あいつは…俺に能力を使ってきたやつだな!」

クロ「ええ、精神攻撃の能りょ…」

クロ(…精神攻撃って……まさか?)

男「よし、クロ!まずはあいつを捕まえるぞ!」

クロ「え、ええ」タタタ

クロ(まさか…)

ドシュッ

クロ「あ……!」

男「ちっ…とっさに姿勢を低くして、当たる位置をズラしたか」

クロ「…ぐっ…!」ドサァ

男「気付くのが少し遅かったな」

クロ「やっぱり…これが能力…」

男「もう分かったみたいだな。そうだ…俺は偽者だ」

クロ「…私に幻覚を…見せた…のね?」

β「そうだ。これは幻覚。お前が今捕らえようとした俺はただの柱。本物の俺の姿は、お前の頭の中で男のものにすり変わっている」

クロ「く…右肩が…」ポタポタ

β「触れれば精神を直接傷付けることができ、触れなくとも相手に幻覚や見せたり幻聴を聞かせたりすることはできる…。便利な能力だろ?」

クロ「……でもこれで、もう食らわないわ」

β「?」

クロ「あなたに近づかなきゃいいのよね…。ならもう私の勝ちは決まったわ…」

β「なに…?」

クロ「一撃で私を倒せなかったのが、あなたの敗因ね…。見せてあげるわ。私の『バイ・セカンド』を…」ザワザワザワ
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 02:01:00.22 ID:NsbH3wSO
クロ「行くわよ…。『バイ・セカンド』」ザワザワザワ

β「…なんだこれは」

クロ「…ふふふ」バサバサバサァ

β「つ、翼が…」

β「二枚から六枚に増えた…!」

クロ「これが私の『バイ・セカンド』よ。名前はまだ決まってないの」

β「ぐ…まさか習得していたとは」

クロ「姉さまにも話してないんだから、知らなくて当然ね」

β「だがまぁ所詮、翼の数が増えただけだろ?」

クロ「…所詮?」ブォン

β「…なっ!」チッ

クロ「追い付いた?あなたの反射神経は」

β「速い…今の一瞬で肩を掠めていったのか…!」

クロ「それだけじゃないわよ。本当の能力はね…」パチン

β「…?なんだ、この感覚は…」ゾワゾワ

クロ「この能力は、六枚にした翼を触れた相手に『貸す』ことができるの」

β「翼が二枚生えた…!」

クロ「これで私の翼はあと四枚ね。まぁ使わないからいいんだけど…。さて」ジリッ

β「この翼…動かないぞ…!」

クロ「当たり前じゃない。私の翼なんだから。私の指示した通りに動くのよ」

β「指示…?」

クロ「こんなふうにね。上がれ…」

β「ぐっ…勝手に体が浮いていく…!」フワフワ

クロ「…墜ちろ」

β「やめっ……」

グシャッ
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 02:14:57.08 ID:NsbH3wSO
β「足…がぁ…」ガクガク

クロ「骨が折れたのね。でも…」

β「また…!」フワフワ

クロ「折れた、じゃ足りないわ。粉々に砕きたいの。…墜ちろ」

β「い……」グシャアッ

β「ぎゃああああああ!」

クロ「ふふっ…いい音ね…」

β「もう…や…やめろ…」

クロ「何言ってるのよ…私の躯に傷を負わせたのはあなたが初めてよ。誇りに思って…」

β「!」フワフワ

クロ「墜ちろ…!」

ダシャアン

β「がああああ!」

クロ「今度は腕が砕けたみたいね…ふふ…」

β「て、てめぇ…許さねぇぞ……」

クロ「悪態が吐けるのも今のうちよ。あなたはゆっくり苦しんで、そしてぼろぼろの布切れみたいになって死ぬの…上がれ」

β「さっきより…低い…?」フワッ

クロ「…墜ちろ」

グシャン

β「あがっ…」

クロ「今回は耐えられる痛みでしょ?でもね…これをだんだん速くしていくのよ…」
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 02:20:47.52 ID:NsbH3wSO
β「!」フワッ

クロ「lento(ゆっくりと)」

β「ぐぁっ!」ドシャア

クロ「ふふ…」

β「…また…か」フワフワ

クロ「andante(歩くくらいの速さで)」

β「ふざけっ…」ドシャア

クロ「おしゃべりしてると、舌を噛むわよ?」
β「くそ…がぁ…」フワフワ

クロ「moderate(中くらいの速さで)」

β「うぐっ…!」グジャァ

クロ「もっと…そんなんじゃちっとも物足りないわ…」

β「た、頼む…もうやめ…」フワフワ

クロ「やめるわけないじゃない…allegro(速く)」

β「あがあああ!」メギィッ

クロ「あばらが砕けたのかしら?まだまだ…」

β「いやだ…や…」

クロ「presto(急速に)」

β「かっ……!」ドゴォン

クロ「息苦しいの?肺に折れた骨が刺さったんじゃない?」

β「はっ…はっ…」

クロ「vivace(きわめて速く)」

β「もうゆるし…」

ドチャッ
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 02:29:05.22 ID:NsbH3wSO
クロ「今、なんて言ったの?」

β「は……」ガクガク

クロ「よく聞こえなかったわ。私に許して、って言わなかった?」

β「い、言った…」

クロ「今度はちゃんと聞こえるように、言ってみなさい」

β「なに…を…」

クロ「許してくださいって。ちゃんと言えたら、止めにしてあげてもいいわ」

β「!」

クロ「さぁ、言ってみて…私の目を見て、弱った子犬のように、私に救いを求めてみなさい」

β「…も、もう…許し」フワフワ

β「て」ドシャア

クロ「聞こえなかったわ」

β「き、聞く気なんてないじゃ…」フワフワ

クロ「accelerando(次第に速く)」

β「嫌だああああ!」

クロ「あははははっ!」

ドシャゴジャグシャ

β「げほっ…」バタタタッ

クロ「…さ、もう終わりにしましょうか」

β「っは……」フワフワ

男「クロ!やっと見つけた!」バッ

クロ「…」クルッ

男「……おい、お前、何やって」

クロ「今度は本物?」
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 02:43:35.26 ID:NsbH3wSO
男「おい、お前それ、天使、だよな…」

クロ「そうよ。待ってて。今とどめを刺すから」

男「と、とどめ…?もうぼろぼろじゃないか…」

クロ「でもまだ生きてるのよ。呼吸してるの。すごいわよね」

β「た、たすけて…」フワフワ

クロ「嫌よ」

β「あがっ…」

ドチャッ

クロ「…死んだ?まだよく分からないわね。徹底的、がこいつの主義なのよね。なら私も徹底的に殺さなきゃ」

β「…」フワフワ

男「おい、クロ…やめろよ…」

クロ「さよなら」

β「…」シュ

男「やめろ!」

β「…」ピタッ

クロ「…どうして止めるの?あと一回落とせば、間違いなく死ぬのに」

男「で、でも、こいつはもう動かないじゃないか…」

クロ「それがなに?」

男「ならもう、やめとけよ…殺さなくてもいいだろ…」

クロ「…見て、肩。こいつにやられたのよ」

男「そ、それだけで…」

クロ「それだけ」ギロ

男「…!」ビクッ

クロ「私がこいつを[ピーーー]のに、理由はそれだけで十分なの」
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 02:44:32.97 ID:NsbH3wSO
β「…」フワフワ

男「やめろ…やめろぉ…」

クロ「今度こそ、死になさい」

男「ダメだ、[ピーーー]な!」ガバァ

クロ「…!離して!」バタバタ

男「殺しちゃダメだ!お前、そんなことしたら、本当の悪魔になるぞ!」

クロ「私は最初から悪魔よ!今さらバカなこと言わないで!」

男「…頼む」ギュ

クロ「!」

男「頼むから、もうやめてくれ。お前は誰も殺しちゃいけないんだ…」

クロ「…離して」

男「離さない」

クロ「離して!」

男「いやだ!今お前がこいつを殺したら、俺はお前を嫌いになる!…だから、嫌だ」

クロ「…………分かったわよ」

β「…」ドサッ

男「…クロ」

クロ「…殺さない。これでいいんでしょ。これであなたは、私のこと嫌いにならないんでしょ」

男「…ああ」

クロ「………私も、温くなったのね」
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/05(木) 02:51:26.56 ID:Al81xy2P
あの時・・・とならなければいいんだが。
ところで>>1は頑張りやだな
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 02:58:50.16 ID:NsbH3wSO


……

………

クロ「ここまで、どうやって来たの」

男「…中学校までのルートを探してたら、黒い羽が点々と落ちてたんだ」

クロ「…それを辿ってここまできたのね」

男「ああ。…なぁ、さっきのは、『バイ・セカンド』なのか」

クロ「そうよ。六枚の翼を自由に貸し、私の思うままに操ることができる」

男「……名前は?」

クロ「今決めたわ。『黒き胡蝶の舞い(バタフライズ・ダーティ・エフェクト)』。舞いと言うにはずいぶんと残酷だけどね」 

男「…そうか」

クロ「…笑いなさいよ」

男「笑えないよ」

クロ「……ぐっ」フラッ

男「クロ!」ガシッ

クロ「『バイ・セカンド』には慣れてないから…精神力を使いすぎたわ…。直立することもままならないもの…」

男「…今からインのところに行かなきゃいけないんだ…。無理か?」

クロ「…私は無理よ。でも」パチン

男「!」バサァ

クロ「翼をあなたに貸してあげる…。遠距離操作じゃ複雑な飛行はできないし、休みながらだから、あまり役に立たないかもしれないわ」

男「いや、十分だ。ありがとう」
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 03:02:01.86 ID:NsbH3wSO
>>537
あの時…てなに?どういうこと?

クロ「…男」

男「ん?」

クロ「あいつ、幻覚であなたの姿を見せてきたの」

男「俺の姿を…」

クロ「幻覚だって、気付いたはずなのに…なのに私は躊躇した」

男「…俺を攻撃できなかったのか」 

クロ「できるわけないじゃない…」

男「自分でこんなこと言うのもおかしいけど、お前はどうしても許せなかったんだろ…」

クロ「何をよ」

男「俺の姿を勝手に使われたこと」

クロ「そっ、そんなわけ…」

男「違うのか?」

クロ「…違わないわよ」カァア

男「…行ってくるよ」ナデナデ

クロ「ええ…。インたちを、守ってあげてね」

男「ああ。お前はそこで休んでろよ」バサァ

クロ「……ええ」
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/05(木) 03:30:31.47 ID:Al81xy2P
>>539
βの事です。あの時とどめをさしておけば
復讐にあわなかったって展開の妄想です。
ごめんなさい。妄想予想は禁句ですよねorz
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 03:46:59.55 ID:NsbH3wSO
>>540
ぶっちゃけその展開は考えてなかった
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 07:44:06.79 ID:NsbH3wSO
クロが戦闘前にひたすら逃げ回るように飛んでいたのは、『バイ・セカンド』の力を100%引き出すためのいわゆる準備体操です
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/05(木) 07:48:24.67 ID:fx3YBQ.o
初代仮面ライダーが変身するために谷から落ちたりバイクで走ったりして
ベルトの風車に風をぶつけて変身するエネルギーを集めるような感じですね。
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/05(木) 07:50:37.62 ID:NsbH3wSO
>>543
うん
なんかたぶんそんな感じなんじゃないかな
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 17:41:43.87 ID:QdHck.SO
有栖をリクした者ですが絵師さんいますか?
ドレスの色をもうちょい濃く(藍色?)していただきたいんですが…お願いできるでしょうか
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 17:43:54.29 ID:QdHck.SO
うわあああ貼りつけ間違えた
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/07(土) 19:25:13.24 ID:V3GOOxko
>>545
まかせろ
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 21:06:44.47 ID:QdHck.SO
>>547
ちなみにこの有栖ってのはテンコのモチーフだ
だから案外スレチってわけでもない

さぁ第一章もいよいよ佳境だ
頑張るぜ
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 21:24:46.13 ID:QdHck.SO
公園

γ「キヒヒヒヒッ!どうしたァ!所詮は天気を操るだけで、力そのものはそんなもんか!」

γ「これならわざわざこいつを人質にする必要なんてなかったぜェ…」

シロ「インおねえちゃん!」

イン「はーっ…はーっ…」

イン(分身…片方は分身なんだ…!)

γ「いつまでもへばッてちャ始まらねェぞ…」ダッ

γ「くらえッ!」ダッ

イン「前後からのタックル…左右に避けなきゃ…」バッ

γ「遅ェ!」ドカッ

イン「ぐうぅっ!」ズザザザ

イン(…片方は、分身…。だから威力も低い)

イン(ただ…入れ替わりの瞬間が…見極められない!)

γ「グロッキーだな…」ブン

γ「さっさと終わらせてやるよ!」ゴッ

イン「あっ…」ドスッ

シロ「インおねえちゃーん!!」

イン「どっちかを倒せば…どっちかを…」

イン(攻撃するとき以外はシロを捕まえておく役に回っている方…それが分身だ)

イン(でも、だからと言ってシロごと攻撃することになるのはダメだ…)

イン(まだ未完全だけど…イチかバチかでやるしかない!)

イン「『バイ・セカンド』風の鞭!」ゴッ

γ「出したな!バイ・セカンド!」ヒュッ

イン(分身を解除した…!ダメだ!)

γ「当たるか!」ヒュッ

イン「くっ…」
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 21:40:08.73 ID:QdHck.SO
男「…この羽、思ったより遅いぞ…。クロがケガしてるからか?」バサバサバサ

イッツマイ(ry

男「あぁ、女のケータイか」ピッ

転『もしもし、男さんですか?』

男「どうした?」

転『クロは無事ですか?インとシロは?』

男「クロは肩をケガしただけで、あとは無事だ。インたちはまだ分からん」

転『…男さん、インたちの元に行くのはやめてください』

男「え?」

転『今、どこにいるんですか?そこに人の姿はありますか?』

男「な、なんだよいきなり!」

転『天使が…美容室のすぐ近くを通っていったんです…』

男「ば、バレなかったのか?」

転『さすがに美容院にはいまい、と思ったんでしょうかね…。ただこっちにはすぐに分かりました。殺気を剥き出しにしてましたから』

男「で、でもなんで俺がインたちを助けるのを止めるんだよ」

転『…率直に言います。天使はあなたを狙って動いてます』

男「え」

転『シロを人質にしてインを呼び寄せたのと同じように、あなたを人質に私を呼ぶつもりです』

男「根拠はないのか?」

転『私の勘は、特に嫌な勘はよく当たるんですよ!』

男「インたちはどうする!」

転『信じてあげてください』

男「…ケガしてるクロを狙ってくる可能性は?」

転『クロは天使を一人倒したんでしょう?やられる可能性を考慮して近づかないはずです』

男「嫌勘か!」

転『とにかくじっとしてるか、隠れててください!いいですね?』
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 21:57:50.02 ID:QdHck.SO
男「おい、テンコ!そもそもお前はいつ終わるんだ!」

プーップーップーッ…

男「…切れてる」

男「くそ…おとなしくしてろったって、どうすりゃいいんだ?」

男「どこか隠れる場所…隠れる場所……」

男「……?」

バァァアン

男「!?」

男「な、なんだ今の音…雷でも落ちたのか?」

男「ま、まさかインのとこから?」

男「…あー!気になる!あいつら大丈夫なのかよ!」

転『信じてあげてください』

男「…あーもう!ちっくしょう!とにかくここにいよう!誰かが来たら急いで逃げる!それでいい!」
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 21:59:07.50 ID:QdHck.SO
〜5分前、公園〜

イン「くっ…」

イン(風の鞭じゃダメだ…!あいつは倒せない!)

γ「さァて、もう一度!」ブンッ

γ『鏡からの侵略者(マン・イン・ザ・ミラー)!』

イン「また分身か…!」

γ「正しくは鏡写しの自分を出現させる能力だけどなァ!」

イン「どっちにせよ、一緒だっ!」ブォン

γ「はッ!当たらねェと…」

イン「僕を見くびるなよ!」ブォン

γ「なにッ!2発だとッ!」

イン「当たれーっ!」ゴッ

γ「ぐあっ!」バキッ

イン「よし!本体に…」

γ「てめェこそ、俺を見くびるなよ!」ブンッ

イン「かはっ…」ドサッ
イン(やっぱり…風の鞭じゃこいつは倒せないのか…!)
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 22:11:53.81 ID:QdHck.SO
イン「ま…まだだ…まだ…」ガクガク

γ「そのボロボロの体で、粋がッてんじャねェ!」

イン「まだ…負けてない…!」スッ

γ「…ガードする気か?面白ェ…」ダッ

γ『本気でいくぜ!両面破撃!』

イン(二人同時にパンチを…まずい!)

ドゴッ

イン「……」フラフラ

γ「…決まった」

イン「ま……だ…だ」ガッ

γ「倒れねェだと!?」

イン「僕は…負け…ない……!」

γ「しつこいやつだ…!もう拳も握れねェくせに」

シロ「インおねえちゃん…!」

γ「…そういやお前がいたなァ…キヒヒヒ」ジロッ

シロ「!」ビクッ

γ「先にお前を倒すとするか…キヒヒヒ!」

γ「おらァ!」ガシッ

シロ「や、はなして…!」ジタバタ

イン「…!」

γ「おとなしくしろ!すぐに楽にしてやるからよォ」ググッ

シロ「あ…う…」

イン「やめろ…」

γ「…[ピーーー]!」グッ

イン「やめろーっ!!」
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 22:29:04.70 ID:QdHck.SO
以下紛らわしいのでγ1(本体)γ2(分身)で表記

ブォオオン!!

γ2「ぐあっ!」ブアッ

シロ「きゃあ!」ドサ

γ1「…今のは…なんだ?突風…?」

γ2「く…まだ能力が使えたのか…!」フラッ
イン「シロに…手を…出すな…」ドサッ

γ2「なんだよ…やっぱ最後の一撃だッたか」

γ1「おい!離れろ!」

γ2「あ…?」

イン「…凍えろ!」ヒュオオ

γ2「…なッ!」バッ

ピキィン

γ1「今のは…」

γ2「冷気か!…ちくしョう、腕が動かせねェ!」

イン「はーっ…はーっ…」

イン(そうか…分かった)

γ1「お前はチビを抑えてろ!俺が潰す!」ダッ

イン「…焼けろ!」ブォオン

γ1「がぁっ!」ドサァ

γ2「な、なんなんださっきから!」

γ1「あ、熱ィ!熱風か!」

イン(違う…熱『風』じゃない…)

イン(この場の温度そのものが、著しく変化してるんだ…!)

イン「……これが、僕の真の『バイ・セカンド』…か…」
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 22:41:48.34 ID:QdHck.SO
γ1「てめェ!なめるなァ!」ブンッ

イン「…雨をもっと強く!」

ザアアア…ザバァアアアア!!

γ1「!雨がいきなり強く…ぐあっ」ツルッ

ドシャアアアア

イン「気温、湿度のレベルから天候を完全に操作する…しかも回数制限がない」

イン「これなら、いける…!」

γ1「ふーッ…てめェ…なかなか面白い能力を手に入れたみてェだな…」

γ2「でもまァ、この凍ッた腕でもこのチビを殺せねェことはないんだぜ?…キヒヒヒ」

シロ「う…おねえちゃん…」

イン「心配しないで…シロ。僕が必ず…君を助けるから…ね」

シロ「……うん」ドクン

イン「…来い!」フラフラ

γ1「まだ立つとはなァ…もう驚けねェよ」

イン「お前を倒すまで、シロを助けるまで、僕は絶対に負けない!」ブォッ

γ1「!」

イン「風の鞭・四連続!」ヒュヒュヒュヒュン

γ1「ぐおあッ!」バシシシシッ

イン「雨を凍らせるっ!」ピキキキ

γ1「氷柱の雨だとォ!」

ドドドドッ

γ1「がァッ!」

イン「熱風で氷柱を溶かせ!そして水を再び凍らせるっ!」

パキピキパキ

γ1「こ、凍る…!」
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 22:47:42.03 ID:QdHck.SO
イン「……!」

γ1「…?」

イン「ぐっ…」ドシャア

γ1「…止まッた?やはり体は限界かァ…キヒヒヒ!」

イン(…動かない…)

シロ「……おねえちゃん」ギュウ

γ2「ち、力をこめるな!腕が痛いだろうが!ましてやてめえら悪魔は子供でさえ馬鹿力なんだからよォ…」

シロ「おねえちゃん!おねえちゃん!」バタバタ

γ2「暴れるなッ!」

シロ「やだ!死んじゃやだよお!」バタバタ

γ2「てめェ…いい加減にしろ!」バキッ

シロ「あうっ!」

γ2「少しはおとなしく…」


やめろ…!


γ2「!」ゾクッ

イン「シロに…」

γ1「こいつ…まだ…」

イン「シロに…手を出すなぁ!」
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 23:00:17.96 ID:QdHck.SO
γ1「はッ…倒れたままの雑魚か、吠えるんじャねェ!」

イン「……落雷!」

γ1「…!?」

バァァアン

γ1「があああああ!」バリバリバリバリ

γ2「なッ!あいつ、あんなことまで…!」

イン「…これなら…お前も…倒れ…」

γ1「誰が倒れるッて…?」

イン「!」

γ1「悪いが…てめェみたいなガキにャ負けてられないんだよォ!」グググ

イン「くっ…」

シロ「……おねえちゃん、もう、ダメだよ」

イン「…シ、ロ」

シロ「おねえちゃんは動かないで…シロが、シロがなんとかするから…」

イン「む、無茶だ…シロじゃどうしようも…」

シロ「でも、おねえちゃんは死んじゃダメなの!」

イン「…!」

シロ「男にいちゃんが言ってたもん…死んだらダメだ、生きてればなんとかなる、って」

イン「男くんが…」

シロ「シロが、なんとかするから、インおねえちゃんは休んでて…おねがい…」ポロポロ

イン「…シロ」

シロ「…なに?」

イン「すぐに立てるようになれるから、少しだけ、待っててね」ニコッ

シロ「うん…!」ドクン
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 23:05:32.77 ID:QdHck.SO
イン(…見える。インの底の知れない力が…)

イン「目覚めたんだ…シロの『バイ・セカンド』が…」 

γ1「…!気を付けろ!何かやる気だ!」

γ2「何かッて…」

シロ「…『バイ・セカンド』!」カッ


γ2「ぎゃあああああああああ!!!」

イン「!?」

γ1「な…!おい!」

γ2「……」スウッ

イン「分身が消滅した…!」

γ1「あ…!?」ゾクッ

γ1(分身が消えたッてことは…そのダメージを引き受けるッてことだ…!まずい!)

γ1「……!」


4年前 交通事故で右足を骨折 

6年前 母親が他界


10年前 父親の虐待に遭う 


13年前 左手を火傷すり


γ1(これは…俺の記お…)


バリッ
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 23:15:10.13 ID:QdHck.SO
γ1「…!」

ビリビリッ

γ1「こ、この感触は…」

γ1「…当時の痛みが…蘇って…!」

γ1「あッ…がッ…あああああ!」

ビリビリビリ

γ1「やめろォおおおおおおおおおおおお!」


γ「ああああああああ!」ヨロヨロ

イン「な、なんだ…?めちゃくちゃに暴れてる…」

ドサッ

イン「シロ!」

シロ「…はっ…はっ…イン、おねえちゃん…」

イン「大丈夫…!?」

シロ「シロは、へいき…ちょっとつかれた、だけ…」

イン「こ、この能力は?」

シロ「…てんしのきおくを、のぞいたの」

イン「天使の記憶…?」

シロ「とにかくこれで、じかんが、できたよ…」

イン「…ありがとう、シロ」ヨロヨロッ

γ「がああああああああああ!」フラフラ

イン「これで終わりだ、天使!…落雷!!」カッ

ドバァァアアアアアン

γ「ぎゃああああああああああああああああ!」
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 23:28:23.79 ID:QdHck.SO
γ「キヒヒ…ちく……しょう……が」ドサッ

イン「はぁ……はぁ…」フラッ

イン「ぐっ」ドサッ

ザアアアアアアアア

イン「…シロ…」ズリズリ

イン「この雨に濡れて、風邪引いたらダメだよ…」ズリズリ

シロ「……」

イン「シロ…」ギュウ

シロ「……う」ギュッ
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 23:29:52.35 ID:QdHck.SO
男「…また雷が…!」

男「ああ、インたちはどうなったんだ?」

ザッ

男「…ん?」

α「…見つけたぞ」

男「なっ!」

α「来い!」ガシッ

男「ぐっ…離せよっ…!」

α「あの夜もここで…あれだけ酷い目に遭ったというのに…懲りないようだな…」ズズズ

男「剣…?」

α「だが、ほんの少し生き長らえただけだ!」ドスッ

男「っ!」

α「安心しろ。服を刺しただけだ。もうお前は逃げられん」ドスッドスッ

男「て、テンコを呼ぶつもりか…!」

α「お前もろとも殺してやる……!」

男「…?」

α「…γもダメだったか…」

男「インたちが勝ったのか!」  
α「γがそう簡単に破れたとは思えん…少なくとも悪魔はもう動けないはずだ」

男「…イン、シロ」

α「だが、私が長女を[ピーーー]。そして残りも[ピーーー]。悪魔などに負けてたまるか…」

男「…まずは」グッ

α「!」

男「俺が相手だ!」バリッ

α「…たかが人間が、自惚れるなよ!」
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 23:37:19.67 ID:QdHck.SO
男「ちくしょう、大事な制服がボロボロだ」

α「なんならお前の五体を切り刻んでやろうか…!」ズズズ

男「また剣が…!それがお前の能力か!」ダッ

α「逃がさんぞ!」ブンッ

男「うおぁっ!」チッ

ドサァ

α「俺の能力『剣の帝(ハート・オブ・ソード)』は全身から自由に剣を出す能力だ。指先からだろうが額からだろうが自由に剣を出すことができる…」

男「…剣…か」ニイッ

α「?」

男「これでもくらえっ」ガサッ

α「ゴミ袋!」

男「うりゃっ!」ブンブンッ

α「ちぃっ!」ズバズバン

ボトボトボト

α「…今の一瞬で通路脇に逃げ込んだか」

α「…ネズミが。すぐに捕まえてやる…」ズズズ
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/07(土) 23:45:29.33 ID:QdHck.SO
男「…逃げろ、逃げなきゃやられる!」ダダダダ

男「あいつは?」チラッ

男「…まだ追ってきてない!よし」ダダダ

男「このまま逃げ切れば…」

ズバンッ!!

男「…え?」クルッ

ギギギギギギ…

ズドォン

男「で、電柱が斬られて…」

α「外れたか…」

男「やばっ…」ダッ

α「ふん…逃げてばかりじゃ始まらんぞ!」ズパパパン

男「電柱を刻んだ…?」

α「剣で刺し貫く以外にも、お前を倒す方法はいくらでもある!」ブオン

男「電柱の輪切りが…!」

ヒュゴォッ

男「あ…危ない!えっと、とりあえず伏せるっ!」ガバッ

ドンドンッ

α「…なるほど、直感で避けたか…ただの人間にしては面白いかもな」ズズズ

男「剣を引っ込めた…?」

α「もう少しだけ生き長らえてみろ。さぁ、鬼ごっこを続けようじゃないか…」スタスタ

男「…逃げろってことか?言われなくてもそうするっての!」ダダダ
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/08(日) 00:05:17.04 ID:.AJa8cSO
クロの『バイ・セカンド』
『黒き胡蝶の舞い(バタフライズ・ダーティ・エフェクト)』
翼を6枚に増やす能力
他人に翼を「貸す」こともできる(翼はクロの意のままに動く)
使用された技は音楽の速度標語が由来

インの『バイ・セカンド』
『憂鬱な天の支配者(バニシング・ゲリラ・ストーム)』
自分の周囲300mの気温、湿度を自由に変えたり、風を自由に起こし、天候を変える能力
インが動くと気候のエリアも動く
通常の能力とは違い、回数制限はなし

シロの『バイ・セカンド』
『恐怖(幸福)の再記体験(ネガティブ(ポジティブ)・フラッシュ・バック)』
触れた相手の記憶を自由に読み取る能力
そして相手にとって恐怖(幸福も可能)の対象である記憶をそのまま呼び起こし、相手に精神的なダメージを負わせることができる


αの能力
『剣の帝(ハート・オブ・ソード)』
全身から自由に剣を出現させる能力
剣の切れ味は非常に高く、電柱や塀を簡単に切り刻むことができる
ただし剣を飛ばしたりすることはできない

βの能力
『魔幻の弧光(まげんのアーク)』
触れた相手の精神に直接ダメージを与える能力
触れなくても相手が一定の範囲内にいれば、幻覚を見せたり幻聴を聴かせたりすることができる

γの能力
『鏡からの侵略者(マン・イン・ザ・ミラー)』

鏡写しの自分を出現させる能力
出現した分身は本体と全く同じ姿、力、性格だが、意識は別々になっており、二人で違うことを考えたりすることができる
分身は一定量のダメージを受けると消滅し、その際本体は直前に分身が受けたダメージと全く同じダメージを受ける
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/08(日) 00:14:14.53 ID:.AJa8cSO
名前がなかった能力(インのシロの倍2)は後でテンコとかが名付けたってことで
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/08(日) 00:30:23.55 ID:SkE7dKoo
ほうほう
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/08(日) 01:54:30.17 ID:bMFa1KMo
リリス「結局酒場に来ました。エロオヤジは溶けてます」

マスター「エロオヤジと言うな、溶けてるんじゃなくて仕事がないだけだ」

リリス「あんなのを着せようとするなんて変態さんしかいないです」


…………

マスター「結局どうするんだ?仕事は」

リリス「うー……おなかが空いたのです」

マスター「じゃあ働k」

リリス「嫌」

マスター「ふむ…仕方ない。今日は諦めるんだな」

リリス「そんなぁ」
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/08(日) 01:55:37.19 ID:bMFa1KMo
盛大に誤爆。すまん。
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/08(日) 02:11:36.30 ID:gXKIOQQP
いろんな種類の能力があるんだなあ
ちなみにα、γ、βの能力をランク評価するとどうなるの?
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/08(日) 08:26:05.07 ID:.AJa8cSO
>>569
三人とも本体B 能力Bです
修行前の怠けテンコと同格かそれ以上ってとこですかね
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/10(火) 22:53:06.27 ID:u8oTmASO
男「やばいやばいやばい!どうすりゃいいんだ?」ダダダダ

α「……」タタタタ

男「着いてくるなーっ!」ダダダダ

α「……」タタタタ

男「俺、持久力がねーんだよ!」ダダダ

α「隙あり!」ブンッ

男「うわぁっ!」ガクッ

α「…とっさに姿勢を崩した。やはりお前、ただ者じゃないな」

男「知らねーよ!勝手にただ者じゃないとか言ってんじゃねーよ!」

α「殺して確かめてやる!」ダッ

男「あーもう…分かったよ、やってやる!」スッ

α「鉄パイプだと…!それも2本…」

男「もっと武器になりそうな物があるとこまで行きたかったけど、しゃーないか。これでやってやらぁ!」ブンブン

α「そんなもの、刻んでやる」

男「うらぁ!」ブンッ

α「…そんな大雑把な振りで当たると思っているのか」スパスパスパン

男「…刻んだな?よし、食らえ!」ブンブンブンッ

α「なっ…」

ガンガンガンッ!!

α「ぐっ」ドサッ

男「どうだ!今のは効いたろ…!」

α「わざと私に鉄パイプを刻ませて、それを2本目で打つ…」

男「いくらお前でもバラバラになった3本の鉄パイプをさらに刻むのは無理だろ?」
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/10(火) 22:54:30.22 ID:u8oTmASO
α「…だが、それだけだな」

男「?」

α「俺は全身の至るところから剣を出せる」ジャキッ

男「!」

α「もう今の鉄パイプの攻撃なんて通用しない…鬼ごっこは終わりだな」

男「やっぱりやばい…調子に乗りすぎた!」ダッ

α「逃が…」ガバッ

ドゴォン!!

α「ぐあっ!」ドザァ

男「!?」

ザッ

転「お疲れさまです男さん」

男「テンコ!」
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/10(火) 23:06:49.73 ID:u8oTmASO
男「お前…それ…」

転「あ、やっぱ似合います?」

男「金髪にしただけじゃなくて…ポニーテールまで…」

転「似合ってるって?いやぁ嬉しいなぁ」

男「…まぁいいや。お前、ずっと見てただろ」

転「えっ」

男「俺が必死に逃げてる間に、こそこそ着いて来てただろ」

転「いや、やっと見つけた、と思ったら追われてたみたいなんで」

男「着いてくるなーって言っただろ」

転「あれ、私に言ってたんですか…」

男「でもまぁ、正直助かったよ。ありがとう」

転「あなたもなかなかよくやりましたよ。あとは私に任せてください」

α「…くっ」ムクッ

転「お。至近距離からおもいっきりブチ当てたつもりなんですけどね。ずいぶんとあっさり立ち上がってくる」

α「剣を全身から出してなければ直撃してたな…」

転「しかしまぁ、剣を通して衝撃は伝わってるんですよね」

α「…そうだ」

転「なら勝てる」スッ

α「!」バッ

ドゴォ

男「すげぇ速さ…」

転「弾かず避けましたか」

α「もう二度と食らわない」

転「そりゃ無理ですね」スッ

α(また…!?)

ドゴォン
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/10(火) 23:12:34.95 ID:u8oTmASO
α「ぐうっ…」

男「え?いつの間に手元に戻って…」

転「ふふふ…」

転(…打ち込んだ石を瞬時に手元に戻す)

転(ただそれだけですが、私の場合はその速さが違う)

転(向こうが反応するより速く石を戻して再び打ち込めば、数回は連続で攻撃できる)

転(これが私の編み出した技…)

転「ヘビー・ヨーヨー!」

男「?」
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/10(火) 23:23:15.97 ID:u8oTmASO
転「さぁ、降参するなら今の内ですよ」

α「はっ…降参なんてするわけないだろう」スッ

転「…ヘビー・ヨーヨー!」

ドゴォン

α「足を…」ガクン

転「ならこのままあなたをじっくりいたぶるだけですね」スッ

α「ふん…お前が何を言おうがどんな攻撃をしようが、私は決して引きはしないぞ」

転「…なぜ?」

α「命令だからだ。あの臆病者の女が命令した。だから私はそれを全うしなくちゃならない」

転「…臆病者、か。どうやらメイは、天使にはモテるみたいですね」

α「あいつには得体の知れぬ感情がある。お前に対する怒りか?恨みか?」

転「さぁ」

α「そもそも同じ悪魔であるお前たちが啀み合う理由が分からないな」

転「そんなのとっくに忘れましたよ…」

α「…ふん」スチャ

転「まだやりますか?」

α「いや、どうせお前には勝てない。だから…」

ゾワゾワゾワ

男「剣が枝分かれした…!避けろテンコ!」

ズシャ
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/10(火) 23:33:11.10 ID:u8oTmASO
α「……なぜ避けない」

転「そっちこそ…」

α「…何の話だ?」

転「この距離からそんな何本もの剣で刺しにかかって、直撃したのはわずか2本」

α「……運が良いな」

転「手加減したんでしょう」

α「…思い出したんだ。お前を倒すのは、あの女だってことを」

転「……」

α「良くも悪くも熱心なやつみたいだな。可愛いじゃないか」

転「復讐に忙しいメイドなんて、可愛くもなんともないですよ」

α「…そうかもな」

転「さぁ、今度こそ降参したほうがいいですよ。私はこれ以上あなたと戦いたくありませんので」

α「これで私…いや、俺を刺し貫け。そうすれば終わる」ガシャ

転「…メイに伝えたいこととか、ありませんか」

α「……ない。何も」

転「そうですか。では…」スチャ

男「……」

転「さようなら天使」

ズッ
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/10(火) 23:51:16.44 ID:u8oTmASO
………

転「ふー。痛たた…」

男「だ、大丈夫か?どこ刺された?」

転「左足大腿部と腹部右下寄り…。正確には分かりませんが」

男「血が出てるぞ…」

転「私たち、体は丈夫なんですよ。このくらいの血ならすぐに止まります」

男「でも、一応止血しとかないと」ガバッ

転「何脱いでるんですか」

男「下にシャツ着てるからいいんだよ。ほら、ワイシャツ巻いとけ」

転「…ありがとうございます」マキマキ

男「いやぁしかし、あれだな。俺、いらなかったな」

転「いやいや、むやみやたらに逃げてたかと思ったら、まさかこんなひっそりした工事現場に移動してたとは思いませんでした」

男「地の利だよ、地の利」

転「かっこよかったですよ」

男「ありがとよ。で、これで天使は一通り倒したのか?」

転「インたちは?」

男「分からないけど…たぶん勝ったんじゃないか?」

転「そうですか」スッ

男「…何その手は」

転「ハイタッチ。いぇーい」

男「はいはい」スッ

パチン
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/10(火) 23:55:06.39 ID:u8oTmASO
男「……なんか、呆気ないな」

転「そうですね…。でもまだメイがいます」

男「あいつ、強いのか?」

転「地獄にいたときはぶっちゃけ弱かったです」

男「ここでは?」

転「天使を呼び出す能力は使ったみたいだし、もう脅威となるものはないはずです」

男「そっか…」

転「さっさと捜し出して、倒しちゃいま…」

男「なぁ」

転「…はい?」

男「天使も言ってたけど、なんでお前らってそんなに仲悪いんだ?」

転「……だから、理由なんて忘れたんですよ」

男「ホントか?」

転「メイが家に来てから、4年が経ちますけど」

男「4年も…」

転「何が原因でこんなに仲が悪くなったのか、覚えてないんです」

男「……」
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/11(水) 00:09:43.80 ID:k13bQgSO
転「この間言いましたよね。メイはもともと拷問を受けてて、身分が低かったって」

男「…ああ」

転「彼女の父親はいわゆるテロリストだったそうです」

男「テロリスト?」

転「王族の人間ばかりを狙ったテロリスト」

男(王族?)

転「メイは父親が捕まったときに、同時に流刑地サイドに連れていかれました。まだ小さかった彼女には、何も分からなかったそうです」

男「なんで娘のメイまで連れていかれたんだ?」

転「テロリストの娘…『危険因子』と扱われていたそうです。天使を操る能力も相まって」

男「ひどいな…」

転「で、メイは10年近く、流刑地で苦しい日々を過ごしていた」

男「そんなに長く?」

転「ええ。父がいなかったら彼女は今もいたはずです」

男「父ってお前の?」

転「はい。魔王を降りて一年、父は流刑地の管理を任されていたことがありました。その際にメイを連れ出したそうです。一体どうやったんでしょうね」

男「…ちょっと待て。ちょっと待てよ」

転「なんですか」

男「魔王って何?」

転「…ああ、言ってませんでしたか。そもそもこれ、機密事項なんですけどね」

男「機密事項…」

転「私の父、ルシファル・ヴィーノ・トリアンテは、私が6歳のときから母が死ぬまでの5年間、地獄の王である魔王だったんです」

男「地獄の王、魔王?」
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/12(木) 08:33:53.98 ID:ehGCxiMo
どうなるんじゃ?
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 12:34:52.23 ID:OZumers0
ルシファルって「ルシファー」と「ルシフェル」から来てるのかな
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 21:50:00.15 ID:Lu3dx.SO
5年前、地獄

私は魔王を辞めようと思う…。

転「…父さん、今なんて?」

父「言葉の通りだよ。私はもう魔王を辞めようと思うんだ」

転「なぜ急にそんなことを…」

父「所詮はコネと勢いで上り詰めたこの座だ。もう私がこの地獄にできることなんてないし、地獄が私に求めているものなんて何もない」

転「…こんなこと言いたくないですけど、父さんは何もしてません。歴代のように十数年かけて大業を成し遂げようとすることもなかったじゃないですか」

父「そうだね。しかし、私が何もしなかったせいで地獄は変わったか?」

転「……」

父「変わらないんだ。私が何をしても、何もしなくても、地獄はあるべき形を取るんだ」

転「ではなぜ父さんは魔王になったんです?」

父「…私の友人が、流刑地にいる。彼を含め、あそこにいる皆を助けたかったんだ」

転「ならそれを果たすために、まだやることがあるはずです」

父「いいや。私のわがままで流刑地を解放してみなさい。地獄はすぐに崩れるさ」

転「そんなこと言ったら…本当にもう」

父「私にやることなんて、何もないんだよ」
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 22:05:27.52 ID:Lu3dx.SO
転「…そんなこと、言わないでください」

父「お前は私が魔王であることを誇りに思っていたのかい?」

転「当然です」

父「そうか。私はそれと同じように、お前のようなしっかりとした娘がいて良かったと思っているよ」

転「…私は」

父「覚えていないかな。お前は昔、私にこう言ったんだ」

転『わたしが王さまになったら父さまはいっぱい遊んでくれるの?』

転「…覚えてませんよ」

父「あの頃はまだ私のことを『父さま』と呼んでいたんだ」

転「…照れくさくて言わないだけです」

父「私は魔王であることよりも、お前たちの父であることを誇りに思っている。お前もクロもインもシロも、私の誇りだ」

転「誇り…」

父「誇り高き娘たちよ。これからは自分のために生きなさい。父である私が魔王だとかなんだとか、そんなくだらないことに捕らわれちゃ駄目だ」

転「私は、自由に生きてます」

父「いや。お前は縛られているよ。周りの環境、雰囲気。それらに呑まれてしまっている」

転「そんなことはありません」

父「現にお前は、自分のことよりも私のことを気にかけているじゃないか」

転「…!」
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 22:13:33.41 ID:Lu3dx.SO
父「お前たちには才能がある。まだまだ人生の先も長い。こんなところで足止めを食らう必要はないんだ」

転「才能なんて…ありませんよ」

父「才能とは、他人に見つけだしてもらうものだからね。すぐには分からないさ」

転「でも…」

父「シャル」

転「!」ビクッ

父「お前は恐れているんだろう」

転「な、何をですか」

父「失うことさ。母さんが死んで、もうじき一年だ」

転「……」

父「ここで私が魔王としての権力を手放して、今度自分たちが今までのような生活を送ることができるのか、不安なんだろう」

転「…はい」

父「心配ない。私はお前たちの父だ。そんなものは杞憂さ。すぐに慣れる」

転「慣れ、ですか」

父「母さんは地獄での生活にすぐに慣れた。それと同じさ」

転「……」
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 22:19:00.80 ID:Lu3dx.SO
父「さぁシャル。部屋に戻っていなさい。私は魔王を辞める。もう止めないね?」

転「…父さんがそれを望みなら、私はそれで構いません」

父「ありがとう。そしてお前が私に従うのは最後だ。これからは自由に生きなさい」

転「…分かりました。それでは、失礼します」

父「ああ。そうだ…」

転「?」

父「お前は賢いよ」

転「…何のことです?」

父「きっとお前なら、本当に王になることもできるだろうね」

転「そんなつもりは毛頭ありませんよ…」

バタン
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 22:24:39.63 ID:Lu3dx.SO
クロ「姉さま」

転「クロ…今の、聞いてたんですか」

クロ「途中から、聞いてたわ」

転「…そうですか」

クロ「そろそろ、ご飯ができるって」

転「分かりました。先に食べててください」



転「……母さま」

転「…私はどうしたらいいんでしょうか」

転「……」

転「魔王…か」
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 22:33:51.42 ID:Lu3dx.SO
それから一年後(四年前)

父「今日はお前たちに、会ってもらいたい人がいるんだ」

転「?」

父「入っておいで」

メイ「……」オドオド

父「今日から家でメイドとして働く、シルバ・メイズ・トリアンテ・ランバだ」

メイ「……」ビクビク

クロ(…何におびえているのかしら)

父「シャルより2つ年上の14歳だから、みんなの姉だと思えばいいよ」

イン「新しいねえさん?」

父「そうだよ」

転「どこから来たんです?」

メイ「…!」ビクッ

父「彼女は…私が流刑地から連れてきたんだ」

転「流刑地…!」

父「だからと言って邪険に扱っちゃいけないよ。仲良くするんだ。分かったね?」

転「…はい」

メイ「よ、よろしくお願いしマス…」
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 22:44:20.04 ID:Lu3dx.SO
メイ「……」フキフキ

転「……」ジーッ

メイ「…な、なんでショウ」

転「いや、熱心だなぁと思って…」

メイ「め、メイドとして当然デスから…」

転「少しは休憩したらどうですか。外に出ちゃいましょうよ」

メイ「ワタシはいいデス…」

転「なぜ?」

メイ「仕事中の外出は禁じられているんデス」

転「いいじゃないですか、私が許します」

メイ「…じゃあ、少しダケ」


父「……思ったより仲が良くなるのが早い」

父「彼女に任せておけば、しばらくは娘たちも落ち着くだろう」

父「…デュロイよ。君の娘は実に懸命に働いてくれている」

父「君をあそこから出すことができなかったのは、非常に残念だ。この日常を親である君にぜひ見せたいのに」

父「……君は社会的には悪のテロリストだろうが、私の友人に違いないんだからな」
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 22:50:21.82 ID:Lu3dx.SO
現在

転「…あれ。ホントに、どこで仲が悪くなったんですかね」

男「なんだそりゃ」

転「…4年前じゃないのか。もうちょっと最近?」

男「知らないよ…」

転「シロなら覚えているかもしれませんね」

男「お前なぁ…理由も覚えてないくせに、よくもあんなにメイを目の敵にできるな。ましてや話の中じゃ真面目に働いてたんだろ」

転「…はい」

転「あ」

男「?」

転「思い出した…」
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/13(金) 23:01:31.47 ID:Lu3dx.SO
転「メイが写真立てを割ったんです」

男「写真?」

転「一枚しかなかった、大事な大事な母の写真を」

男「…それで仲が悪くなったのか?」

転「間違いないです」

男「詳しく覚えてないの?」

転「詳しくは…ちょっと待ってくださいね…」


メイ『ワタシの母は殺さレタ!』


転「!」

男「どうした?」

転「いえ…何でもないです」
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [ぴんなっぷっれいっでー]:2009/11/16(月) 23:17:04.60 ID:jYXYCYSO
さらに一年後(三年前)

メイ「シャル様はどちらヘ?」

クロ「たぶん散歩でもしてるんじゃないかしら」

メイ「それではお部屋の掃除ハ…」

クロ「…姉さまのことだから、やらないつもりね」

メイ「ワタシが代わりにやってもよろしいでショウカ」

クロ「そうね…姉さまの部屋、結構散らかってると思うから、お願いするわ」

メイ「かしこまりマシタ」ササッ

父「…どうして姉妹でこうも違うんだろうね」

クロ「あら、父さま…」

父「シャルにはしっかり言わないといけないな。女の子があんな風に部屋を汚くしていちゃみっともない」

クロ「…そうですね」
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/16(月) 23:23:12.04 ID:jYXYCYSO
メイ「…?」

メイ「コレは自然に散らかったと言うヨリ…」

メイ「……ワザと散らかしタ?」

メイ「まァいいカ。さっさと片付けちゃオウ」ガサガサ


転「……」ボーッ

転「あっ」

転「しまった。部屋を掃除しなきゃいけないんだった」

転「父さまは片付けにはうるさいからなぁ…早く戻らないと」タッタッタッ
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/16(月) 23:35:10.86 ID:jYXYCYSO
メイ「服がこんな二…」

メイ「……可愛い服。着てみてもいいカナ…」

メイ「だ、ダメだ、ワタシはメイドなんダカラ…」

メイ「…でも、少しくらいナラ」パサッ


ガチャッ

メイ「あわわわわわわ!」オタオタ

転「あ、メイ、いたのか。って言うかなんで服脱いでるんですか」

メイ「こ、こ、コレはその、ちょっと暑くて…」

転「…それ、着ようとしてたんですか?」

メイ「あ、え、は、すいませんデシタ!」ガバァ

転「別にいいですよ」

メイ「ヱ」
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/16(月) 23:40:23.61 ID:jYXYCYSO
転「それが着たいんじゃないんですか?」

メイ「そ、そうですケド…」

転「いいですよ、着て」

メイ「ほ、ホントに…?」

転「いつも一生懸命働いてくれてますから。好きなの着てみていいですよ」

メイ「ありがとうございマス!」

転「…にしてもメイって」

メイ「?」

転「結構胸大きいんですね…」

メイ「普通だと思いマスけど…」

転「ふつう?」ピクッ

メイ「すっ…すいません、普通じゃないデス!」

転「そうですよね」ニコ
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 20:42:24.37 ID:EHjFPYSO
メイ「ど、どうでショウ…」   
転「ま、なかなか似合うんでねーの」

メイ「ソンナなげやりに…」

転「服がいいだけにね。やっぱりキマりますよ」

メイ「ソンナにいい服なんデスカ?」

転「デフロ……ブランドって詳しいっけ?」

メイ「全然知らないデス」

転「とにかくいい服なんですよ」

メイ「…ワタシはずっとボロボロの布きれみたいな服しか着てなかったノデ、よく分かりマセンが」

転「……」

メイ「嬉しいデス」

転「ならよかった。これからは自由に着ていいですよ」

メイ「…コレも」スッ

転「!」

メイ「着てみていいデス…」

転「それは駄目!」

メイ「エっ…」ビクッ

転「あ…すいません、怒鳴ったりして…」
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 21:00:41.48 ID:EHjFPYSO
メイ「だ、駄目なら着ませんケド…」パッ

転「…それは母さまが最後に買ってくださった服なんです」

メイ「最後?」

転「あなたは母さまに会ったことがないでしょう。母さまは2年前、病気で死んだんです」

メイ「病気…」

転「その母さまが死ぬ前にくださった服なんです。ちょっと小さくなって今はもう着ませんけど…」

メイ「……母?」

転「?」 

メイ「………!」

転「どうしました?」

メイ「…思い、出シタ…!」
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 21:17:13.23 ID:EHjFPYSO
メイ「…フ、フフ」フラフラ

転「メイ?」

メイ「…そうダ、母は…」ガシッ

転「ちょ…その写真立ては…」

メイ「殺されたンダ!」ガシャァン

転「なっ…!?」

メイ「ハハハ、アハハハハ!」ガシャガシャ

転「メイ、お前!」バキッ

メイ「!」ドサァ

転「母さまの写真は!これ一枚しかないのに…」ガッ

メイ「ソンナもの、ワタシが全部壊してヤル!」

転「…ふざけるなっ!」バキィ

メイ「うッ…!」ドサッ

転「何を考えてる!?いきなり人の大事な写真を叩き割るなんて…」

メイ「…許せないンダ…人の母親を奪っておいて、自分は幸せな過去を残してイル…」

転「……何を」
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 21:31:22.38 ID:EHjFPYSO
メイ「ワタシの…ワタシの母は……」

メイ「殺さレタ!…お前たち王族に!」

転「…!?」

メイ「ワタシの苦しみがお前たちに分かるノカ?」

転「何の話を…」

メイ「とぼけるなっ!」グイッ

転「離せ…」

メイ「ワタシの目を見ロ!」

転「離せ…!」

メイ「お前たちに殺された、母の怨みが見えたカ!?」

転「離せっ!」ドスッ

メイ「かっ…」バタッ

転「はーっ……はーっ…」
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 21:48:40.08 ID:EHjFPYSO
10年前

デュロイ『いいかシルバ。よく聞け』

メイ『?』

デュロイ『直に俺を捕まえに魔王の配下たちがやってくるだろう』

メイ『お父さんをつかまえに!?』

デュロイ『そうだ。捕まれば俺は、流刑地(デッド・エリア)に送られる。そうしたらお前にはもう二度と会えない』

メイ『どうして!お父さんは悪い人なの?』

デュロイ『俺は犯罪者だ。地獄を混乱に導いた最悪の犯罪者だ』

メイ『そんなのうそだ!お父さんはいい人なんだ!』

デュロイ『いいかシルバ。お前には罪はない。俺が捕まっても、お前たちの今後は俺の友人である男に任せてある』

メイ『いやだ…いやだよお父さん』

デュロイ『俺は地獄を救うつもりだった。ヒーローになりたかった。だが俺は踏み違えたのだ。正しい道は、「見て見ぬふりをすること」だ』

メイ『わからないよ…』

デュロイ『いいか。お前はこの地獄を恨むな。恨むなら俺の愚行を恨め。俺はお前のことを愛している。だから生きてくれよ』

メイ『お父さん…やだよぉ…』ボロボロ

ディアナ『シルバ、お父さんの言う通りにしなきゃ駄目よ。私たちは地獄を恨むべきではないの。ただ静かに生きていくだけなのよ』

メイ『やだ…やだぁ!』ダッ

ディアナ『あっ…シルバ!』

デュロイ『…あの子はまだ幼すぎる。俺が悪いってこともよく分かってないんだ』

ディアナ『私はあなたのこと、責めないわ』

デュロイ『ディアナ…』

ディアナ『ありがとう、デュロイ』
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 22:02:36.91 ID:EHjFPYSO
メイ『ひっく…ひっく、うえぇ…』

?『……メイか』

メイ『あ…お兄ちゃん!』

?『また泣いてるのか。どうしたんだ?』

メイ『ひっく…あのね、お父さんがつかまっちゃうんだって…』

?『デュロイさんが?』

メイ『お父さんは、悪い人なの?』

?『……俺はあの人に世話になった身だ。だからはっきり言う。あの人は素晴らしい人だ。ただ、時代が悪すぎた』

メイ『じだい?』

?『デュロイさんは分かっていたんだ。この荒廃した地獄を救うには、世の禁忌を犯さなくてはいけないってことを』

メイ『…ひっく…でもお父さんは、悪くないんでしょ?』

?『…今は悪なんだ』

メイ『今…?』

?『天使たちに荒らされ、実質縛られている今の地獄じゃ、目に付く悪魔は皆罰する対象になる』

メイ『天使が悪いの…!?』

?『いや、悪いのは、天使に迫害されている俺たち悪魔の弱さだ』

メイ『…私たちはダメなの?』

?『……だから俺は、力を付けてこの地獄で伸し上がる。デュロイさんのような正しい悪が、善になる世界にする』

メイ『…ひっく、ひっく…』

ガサガサ

?『…!』

天使『シルバ・メイズ・グローキシリア』

メイ『!?』

天使『国家大逆罪の主犯、デュロイ・エンヴァイス・グローキシリアの娘…お前も逮捕だな』

?『な…バカな!』

メイ『た、逮捕…?』
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 22:22:09.09 ID:EHjFPYSO
天使『来い』グイッ

メイ『やだ!はなして!』

?『おい!どういうことだ!なぜ関係のないメイが捕まえられる!』

天使『関係あるだろう。こいつはデュロイの娘だ』

?『娘ではあるが、それだけだ!こいつはテロそのものには関与してない!』

天使『…「危険因子」も捕獲しろ。それが命令だ』

?『命令だと?まさか…』

天使『さぁ、来い!』

メイ『やだ…やだ!』バタバタ

?『やめろ!』バキッ

天使『ぐあっ!』ドサッ

?『メイ、逃げるぞ!ディアナさんが危ない!』

メイ『お母さんが!?』

天使『く…貴様!』

?『間に合ってくれ…!』ドンッ

天使『跳ねた…!まさかあいつ、強化型(レア・スタイル)か!?』
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 22:36:05.43 ID:EHjFPYSO
メイ『ねぇ、どうしてお母さんが危ないの!?私たちは大丈夫なんじゃないの!?』

?『…いや、違う、俺たちは騙されてたんだ』

メイ『!?』

?『天使はせいぜい、魔王の配下に紛れて動いているだけだと思っていた。実際、そう思わせていたんだ』

メイ『ち、違うの?』

?『…おそらく、魔王の思想は天使のそれなんだ。だからこんなめちゃくちゃ命令が出せる』

メイ『魔王が天使の味方なの?』

?『天使め…地獄を魔王ぐるみで崩すとは…最悪だ…!』

メイ『あっ!家が見えたよ!』

?『よし!』ギュンッ

ドサッ

メイ『……え?』

?『…ディアナさん…ディアナさん!』

メイ『お母さん…』

ディアナ『シルバ…ロキくんも…』

?『…天使にやられたんですか!?』

ディアナ『気を付けて…まだ、いる…』

?『…天使!隠れてないで出てこい!俺が相手だ!』

ディアナ『ロキくん…ダメ…天使は一人じゃ…』

チャッ

?『…な』

天使『撃て』

天使たち『撃て』カチャッ

ダダダダダダダダダンッ

メイ『お兄ちゃんっ!』

?『……』ドサァ
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 22:49:47.73 ID:EHjFPYSO
ディアナ『ロキくん…』

メイ『お兄ちゃん!お兄ちゃん!』

天使『動くな』チャッ

メイ『!』ビクッ

ディアナ『やめなさい!』

天使『…しぶといな。もう3発撃ち込んだのに』

ディアナ『この子は関係ないわ。それにデュロイはもう捕まえんでしょう』

天使『だからその周囲の悪魔は片っ端から逮捕せよと言われているのだ』

ディアナ『そんなのおかしいわ!』

天使『逆らうなら即座に殺せ、とも命令されている』カチッ

ダンッ

ディアナ『あ…』

天使『外れた。肩か』

メイ『お母さん!』ダダダ

ディアナ『シル…いえ、メイ、お父さんは捕まったわ…』

メイ『う…』

ディアナ『でも、あなたは守る…』スッ

天使『まだ立てるのか』

ディアナ『私を[ピーーー]のは構わないわ。でも、この子は死なせない』

天使『…ふん。確かにそのガキを[ピーーー]理由は見つからんな。ただし、この雪山に置き去りにするわけにもいくまい』

ディアナ『捕まえることに変わりはないのね…』

天使『ああ』

ディアナ『……いいわ。私を殺して。そしてメイを捕まえて。ただし、メイを絶対に死なせないで』

天使『それは分からないな』

ディアナ『約束しなさい!でないと…』
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 22:56:14.18 ID:EHjFPYSO
ダンッ

ディアナ『…!』ドサッ

メイ『お母さん!』

天使『分かったよ。約束してやる。その変わりお前にはガキの目の前で死んでもらうぞ』

メイ『…!』

ディアナ『…メイを死なせないって、誓いなさい…』

天使『誓うとも』

メイ『やだ…お母さん』

ディアナ『…さよなら、メイ。あなたは生きるの。生きなきゃダメ』

天使『[ピーーー]』カチャ

メイ『お母さんっ!』

ダンッ


天使『はい…デュロイとその娘シルバは捕獲、ディアナは射殺しました』

天使『ええ。分かってます。すぐに』ガチャン

天使『…さて、シルバ』

メイ『……』ガタガタ

天使『優しい母親でよかったな…』

メイ『う…』

天使『流刑地に着くまで、そこで休んでな』

メイ『…うああ』

メイ『うあああああああああああ!』

天使『…黙れよ、ガキ』ドシャ

メイ『あっ…』

天使『…寝てろ』
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 23:00:16.73 ID:EHjFPYSO
これはちょっと分かりやすくまとめる必要があるかもしれん
自分でもなんかワケ分からない
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/18(水) 23:02:09.28 ID:EHjFPYSO
これはちょっと分かりやすくまとめる必要があるかもしれん
自分でもなんかワケ分からない
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/19(木) 01:13:08.12 ID:WT.LI5so
今日見つけて一気に読んでしまった
面白い応援してるよ
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/19(木) 21:11:14.73 ID:196522SO
14年前(メイ4歳)
父であるデュロイと共に流刑地に連行
母であるディアナはこの時射殺される

天使の側についた魔王と、王族を恨むようになる

4年前(メイ14歳)
テンコたちの父であり、当時の魔王だったルシファルの権限で流刑地から解放され、メイドとして働くことに
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/19(木) 21:31:38.42 ID:196522SO
現在

転「あれからメイは、私たちを憎むようになったんです」

男「で、でもさ、当時の魔王はお前たちの親父じゃなかったんだろ?」

転「ええ。この話は父から聞きましたが、当時の父は流刑地の看守たちを束ねる役だったそうで」

男「じゃあお前の親父がメイたちを助けるつもりだったのか?」

転「そういうことになりますね。ましてや私たちは王族の人間ではないのに」

男「…その王族って何なんだよ」

転「読んで字の如く、代々魔王として生きてきた者とその一族です。一つじゃなくいくつかいますので、交代交代で魔王を務めているんですが」

男「お前たちは?」

転「父はポッと出で魔王になったので、私たちはそういうんじゃありません」

男「…じゃ、なんでお前たちの親父が魔王に?」

転「その時の王族の誰もが、魔王になろうとしなかったからです。あとはコネやら何やらで任されました」

男「なんで王族が魔王やりたがらないんだよ」

転「複雑な事情があったんじゃないですか」

男「よく分からないなぁ…」

転「それに王なんて言っても、そんなたいしたものでもないんです。ただ地獄の代表として、日々の雑務をこなす。名ばかりの威厳が虚しく響くわけですよ」

男「なるほどね」
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/19(木) 21:40:31.54 ID:196522SO
メイ「……」ピクッ

メイ「…天使が全員やられた?αもβもγも?」

メイ「……」

メイ「やっぱり最後はワタシが行かなきゃダメなのカ…」

メイ「……」

メイ「…ワタシが勝てるのカ?」

メイ「あの四姉妹に?」

メイ「…勝てナイ…勝つイメージがわかナイ…」

メイ「デモ今さら、引くワケには行かナイ…」

メイ「ノルかソルか…」

メイ「……やってヤル…」
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/19(木) 21:45:48.16 ID:196522SO
?「……」

?「近くにいるな…」



転「!」ゾクッ

男「どうした?」

転「離れてください!」ドンッ

男「うおあ!」ドシャ

転「……」バッ

男「何なんだよ…いきなり突飛ばしやがっ…」

転「逃げますよ!」ガシッ

男「はっ?」

ドヒュンッ

男「は、は、は、速い速い速いいいいい!」

転「黙っててください!」

転(刺された傷が…思ったよりスピードが出せないな…)

転「敵が来ます!」

男「!?」
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/19(木) 21:55:32.22 ID:196522SO
?「…いない」

?「逃げたのか。まだそう遠くにいるわけじゃない」

?「しかし俺の殺気に気付いてすぐに逃げ出すとは…」

?「負傷している、のか」

?「ふん…」ドンッ


クロ「……?」

クロ「人が飛んでる…」

クロ「あの時公園で見た男ね…」

クロ「……四人目!?」バサァ

クロ「逃がさないわ!」ドンッ


?「むぅ?」ヒュウウ

クロ「待ちなさい!」バサバサ

?「お前は…四姉妹の次女だったか」

クロ「私のことを知っているの…?」

?「ちょうどいい。メイがどこにいるか知っているか?」

クロ「メイ…あなた、天使なの?」

?「いいや、俺は悪魔だ。それでメイはどこにいる?」

クロ「…知らないわ」

?「ならいい」ヒュッ

クロ「!?」

?「落ちろ…」

ドゴンッ
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/19(木) 22:01:22.23 ID:196522SO
クロ「かはっ…」

ヒュウウウウ

クロ(この高さで落ちたら…マズイわね…)

クロ「漆黒を駆ける翼…」バサッ

フワッ…

クロ「ふー…」トサッ

クロ「もう限界ね。しばらく翼は使えないわ…」

クロ「四人目か…失念してた。姉さまやインとシロに、勝てるのかしら」

クロ「…それに、あのマント、見たことある気がするのよね…。なんだったかしら」
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/19(木) 22:20:45.16 ID:196522SO
転(誰だ?今になって四人目なんて…)

男「て、テンコ!ストップ!ストーップ!」

転「なんですか!」

男「どこに行くつもりなんだよ!」

転「とにかく逃げるんです」

男「戦わないのか!?」

転「戦う…?」

転(そうだ……どうして今の私には、一切の戦意がないんだ?)

男「おい…」

転(勝ち目がないと、少し気配を感じただけで、本能が悟った?)

男「テン…」

転「私が無意識に怯えるほどの相手?」ピタッ

男「…は?」

転「男さん」

男「な、何だよ」

転「私、負けるかも知れません」

男「はぁっ?まだ敵を見てないだろ?」

転「見なくても分かります。私がこれから戦う相手はそれだけ強いんです」

男「なっ…」

転「だからこそ、もう逃げるのはやめる」

男「お前、何考えてるんだ?」

転「万全の状態で相手を迎えます。少しでも勝率を上げないと」

男「だから、ワケ分かんねぇよ!」

転「ここから先、いつ死ぬか分からないような戦いをしなきゃならないってことです」

男「え…」

転「四人目はさっきの天使と比べものにならないくらい強い。さ、男さん、どこか広い所に行きましょう。武器になるものがたくさんあるところ…」
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/19(木) 22:25:48.96 ID:196522SO
なんかgdgdになってきた
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/19(木) 22:34:12.33 ID:mFrzjy6o
そうか? 面白いんだが・・続きまだ?

つか ID・・・すごいな 
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/19(木) 22:38:43.82 ID:crZck3Uo
ID腹筋支援
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 20:39:18.43 ID:Vuay/YSO
男「武器ったって…」

転「石コロでいいんです。できるだけたくさん」

男「…川原とか?」

転「じゃあそこ行きましょう!」ダッ

男「待て待て待て待て!」

転「なんですか!」

男「だいぶ弱くなってきてるけど、この雨じゃ危ないだろ」

転「…大丈夫です。たぶん」

男「あのなぁ…じゃあもしお前が、うっかり川に突き飛ばされたらどうすんだ?」

転「そんなことにはなりませんよ」

男「もしもだ。もしも。If。分かる?」

転「……じゃあ、男さんが助けに来てください」

男「救い上げろっての?」

転「…はい」コクン

男「そんな神経な顔して言われても…」

転「とにかく、やるしかないんですよ」

男「…しゃあない、行くか!」

転「はいっ!」

ダダダダダ…


?「……少し遅かったか」スッ

?「ちょろちょろと…しつこいネズミめ」

ダンッッ
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 20:51:51.75 ID:Vuay/YSO
イン「……」パチッ

イン「うっ」ズキッ

イン「…そうだ、僕は天使と戦ってて、それで…」

シロ「!」パチッ

イン「あ、シロ。起き…」

シロ「インおねえちゃ…」

イン「え?」

ヒュッ

イン「!?」サッ

ドッ

イン「上から落ちて…誰だ!?」

?「む…また降りる場所を間違えたか…」ゴキゴキ

シロ「インおねえちゃん…」

イン「シロ、こっちに!」グイッ

?「…お前らも悪魔だろう。四姉妹の下の二人か」

イン「僕たちを知ってる…まさか、天使!」ババッ

イン(ダメだ…能力は使えない…。もう戦える力なんてほとんど残ってない…!)

?「そう身構えるな…別にお前たちと戦うつもりはない」

シロ「……」ガタガタ

?「…一方的に倒すだけだ」ヒュンッ

イン「……は」

ドゴォン

イン「あっ……」ドサァ

シロ「う…けほっ」

?「それともう一つ、俺は天使じゃない。悪魔だ」

?「同じ悪魔で、しかも王族ならそのくらい気付け」ダンッ
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 21:21:57.16 ID:Vuay/YSO
メイ「…まず、四人はバラバラなのカ?」

メイ「イヤ、バラバラだろうとなかろうと、ワタシが狙うのは長女…シャルだけダ!」

メイ「……デモ、ワタシには気配を感じる力がないカラ、どこにいるのカ分からない…」

メイ「こうなったラ手当たり次第に探すシカ…」

ズオッ

メイ「ヒッ…!」

メイ(今のは、何ダ?気配とかそういうのは分からないケド、今感じたのは…)

メイ「恐ろしいケド…懐かしい…?」


?「…!」

?「やっとまともな気配が…メイは、あっちか…」

?「…いや、先にやつを倒しておくか…。加減したとは言え、どうせもうあの姉妹達(さんにん)は向かってこれはしない」

?「今度こそ、行くぞ…!」

ドンッ
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 21:39:45.32 ID:Vuay/YSO
5分前

転「ここが川原ですね」

男「雨が降ってるつっても、まぁ大して水が増えてるとか、そういうことはないみたいだな」

転「足元は結構危なっかしいみたいですけど」

男「その辺は知らんよ」

転「…さて、たぶんガチでやり合っても、さっきのやつには勝てません…。気配が尋常じゃない。あれは化け物ですよ。顔も見てませんけど」

男「なぁ…さっきから気配がなんちゃら言ってるけど。俺にはなんのことなのかさっぱり分からないんだよな」

転「そりゃまぁ一般ピーポーには分かりませんよ」

男「何なんだ?」

転「えーっとですね。私たちが能力を使うのに必要なのは、地獄兵器です」

男「その指輪だろ。あれ?そういやクロはギター持たずに飛んでるぞ?」

転「クロの地獄兵器はギターと、そのピックなんです。あの小さいやつなら持ち運べますからね」

男「なるほど」

転「で、地獄兵器を持っていると、なぜ地上(ここ)で能力を使えるようになるのか。それは…」

男「電池代わりだからだろ」

転「ああ、もう…その電池に何が詰まってるかって言ってるんですよ」

男「?」

転「それは、私たちの持つ『精神力』なんです」

男「精神力?」
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 21:47:16.59 ID:Vuay/YSO
転「そう。能力を使うためには、精神力を消費する必要があるんです」

男「コストってことか」

転「はい。精神力は誰もが持っています。それは心の強さ、意志の強さに比例して大きくなります…。修行したりしてメンタル的に強くなれば、精神力は増えるんです」

男「ふむふむ。しかしずいぶん後付けなシステムだな」

転「言う機会がなかっただけですよ…。先ほど私が言った、あなたたち通常の人間には分からない『気配』。これはつまり『感じ取られる精神力』なんです」

男「感じ取られる?」

転「目に見えないし、触れることもできない。だけど感じる不思議なもの。それが精神力であり、気配」

男「ああ、あれか、寒気と同じか」

転「ま、そんな感じですかね。私がさっきの敵に感じた気配…。あれは私の知る精神力じゃありませんでした。桁違いだ」

男「だからあんなにビビってたんだな?」

転「ビビってなんかいませんよ!賢く考えて、逃げを選んだんです!」

男「分かった、分かったよ!」
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 22:02:36.93 ID:Vuay/YSO
転「っと…こんな長ったるい説明はいいんです。私が本当にやりたいのは、迎撃する準備なんで」

男「準備?」

転「ただ単に殴り合うだけなら、あなたにでもできることです。でもそれじゃあ勝ち目はない。私たちは私たちらしく、頭を使わなきゃいけません」

男「そうだな。頭を使わなきゃな」

転「男さん、策、あります?」

男「…ねーよ。何言ってんだよ。なんで俺頼りなんだよ。だいたい俺たちはまだ向こうの姿も見てないだろうよ」

転「なら私が策を考えます」

男「だから!向こうのことを何も知らないんじゃ策なんか…」

転「いえ、一つだけ分かったことがあります」

男「あ、あるんだ」

転「敵は遠距離攻撃が得意じゃない…もしくはまったくできない」

男「な、なんで分かるんだ?」

転「単純な話です。敵は私を追い掛けてきた」

男「そりゃ追い掛けるだろ?」

転「追い掛けるってことは、距離を詰めなきゃ攻撃できないってことですよ。分かります?」

男「ああ、そっか。何十メートルも離れたとこからじゃ、どんなに強いパンチでも当たらないもんな」

転「はい。さらにツイてることがあります。私の攻撃が遠距離主体ってことです」

男「おお!」

転「修行のおかげで、能力の範囲を10メートルちょっとから倍以上に伸ばせるようになりました。もちろん威力も上がってます」

男「すげぇじゃん!じゃあ遠くから攻撃しまくれば勝て…」

転「るとは限らない。なぜならこれはあくまで可能性の話だからです」

男「そうか?もう敵が近距離攻撃しかできないってのは決まりじゃないのか?」

転「もしかしたら敵は、私を目視できれば、遠距離攻撃ができるのかもしれない。さっきまでは逃げてばかりで、会いはしませんでしたから」

男「遠距離攻撃っつってもしょせんは見なきゃダメだもんな…確かにそうだ」

転「敵の攻撃が私よりも射程が長い能力だったら…最悪です。例えば遠距離射撃とか…。私が負けるだけじゃなく、男さんも巻き添え食らっちゃいますよ」

男「うっ」
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 22:12:50.50 ID:Vuay/YSO
転「と、まぁ、二つの可能性を配慮しなくてはいけないのでした。さ、どうしますかね…」

男「…とにかく先手さえ打てればいいんじゃないか?」

転「いい線いってますよ。その通りなんです。近距離だろうが遠距離だろうが、向こうよりも先に第一撃を叩き込むことができれば、それでとりあえずはなんとかなるんです」

男「よし、それだ!先手必勝作戦だ」

転「ただやはり、不確定なことが多すぎる。近距離攻撃の能力ならともかく、遠距離だった場合。攻撃までの速度とか、そういうのを知らなきゃ満足な対策は討てない…」

男「どうすりゃいいってんだ!」

転「…あなたを使います。2VS1にするんです」

男「え?」

転「どんな手を使っても私は勝ちます。なのであなたには、第一撃を受ける囮になってもらいますよ」

転『でもまぁ囮くらいなら行けますよね』

男「…マジですか?」
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 22:29:49.95 ID:Vuay/YSO
転「いいですか?まず、敵がこの川原にやってきて、すぐさま攻撃してくるとしますよ…」

男「ああ…」

転「私は男さんをおいて、どこかに隠れてます。私が男さんと一緒にいると敵が勘違いするぐらいの、ギリギリの距離です」

男「ギリギリの距離か」

転「例えば、敵がそこから飛び出してきて、遠距離攻撃、例えば弾丸を撃ち込んできたとします」

転「私は、そこの木の幹に隠れてそれを見ています。そしたら男さんは、とにかくその弾丸を避けてください。いや、致命傷にならないなら食らってもいい」

男「よくないよくない」

転「とにかく避けて、すると敵に隙が一瞬生じる。その時私は、木の幹から一撃をぶつけるわけです。これで私VS敵において、私が先手を取ったことになります」

男「ホントに俺はただの囮なのか…」

転「次に近距離だった場合。これは簡単です。敵が男さんに攻撃する前に私が一撃打ち込む」

男「それなら俺は無傷だな!」

転「最後…これが一番厄介です。もしも敵がたまたま、私の背後から現れたら…」

男「木に隠れて攻撃できなくなる…」

転「はい。その場合、敵は間違いなく目の前にいる私を狙ってくるので、あなたは無事です。ですが不意討ちなしの私VS敵の一騎打ちでは、単純な攻撃の早さの勝負になってしまいます…」

男「ちなみにお前の攻撃速度って?」

転「弾丸とかと比べたら、幾分スローですね。しょせんは見えない手で物を投げつけるだけなので…」

男「うーむ…。やっぱ相手の能力次第なのか…」

転「それに、男さんが囮になるってのも心配です…。弾丸が来て避けられますか?」

男「普通は無理だな。でも…」

転「?」

男「避けてやるよ。弾丸だろうが針の雨だろうが。俺はお前の足手まといにはならないからな!」

転「…いいですね。覚悟してるって顔だ。じゃ、頼みますよ!」

男「よし、任せろ!」
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 22:40:49.80 ID:Vuay/YSO
男「……」

男「……」

男「……」

男「来ない!」

転(言ってもまだ始めて1分…。あのスピードならすぐに来るはずなんですが…)

転「どこから来る…?」キョロキョロ

転「右は何もない小さな公園、左は川…」

転「動きがあればすぐに分かるはず…」

転「……」

転(ま、手元には大きな石が五つ。一発でもまともに食らえば、少なくとも倒れるくらいはするはず…)

転「ここからは集中力のもんだ…」

ゾクッ

転(殺気…!男さんに合図を…)シュッ

ボチャン

男「来たか!?」


ヒュッ


転「なっ…!?」

男「上!?」

転(ヤバい…走るより落下の方が断然速い…間に合え!)

転『危険な操作法(リスキー・ハンド・ラップ)!』

ドゴンッ
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 22:51:58.62 ID:Vuay/YSO
ドザザザザザァッ

シュウウウウ…

男「び、びっくりしたぁ…」

転(よし…直撃した!)

転「ふー…ギリギリでしたけど、なんとか上手く行きましたね」

?「上手く行った。今のが?」

転「…え?」

シュウウウ…

?「…ずいぶんと手荒い歓迎だな。少し驚いた」

男「…無傷!?」

転「そんな…確かに直撃したはず…」

?「直撃はした。このマントにな」

転「……!?」
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 22:59:31.19 ID:Vuay/YSO
転「…男さん」ボソッ

男「へ?」

転「逃げてくださいっ!!」

男「逃げろったって…」

転「早くしろ!死ぬ気か!」

男「…!」ビクッ

?「そんな怖い顔で怒鳴らずとも、この人間には用がない…」ヒュッ

男「え」

トンッ

転「え?」

?「消えろ」

ズドゴォン!!!

男「速い…なんだよ今の…いや、それより…」

男「あいつ頭から突き飛ばされた…」

男「おい…おい、テンコ!」
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 23:14:21.35 ID:Vuay/YSO
転「……」

?「…おい、向こうで呼ばれてるぞ」

転「……聞こえてますよ…」

ググググ

?「…立ち上がるか」パッ

転「うりゃあ!」ブォンッ

?(…速い)

ドシャア

男「テンコ!大丈夫か?」

転「…男さんはそこから動かないで!」

男「あ、ああ…」

転「……立て」

?「…ふふ」ムクッ

転「お前の能力はなんだ?」

?「分からないか?」

転「……近距離攻撃でも遠距離攻撃でもない」

?「そうだ。そして、このマントに見覚えはないか…?」

転(濃い灰色のマントに、十字の紋様…)

転「…!?」

?「知ってるだろ。お前みたいな地獄の事情をよく理解してる奴ならな」

転「あなたは…上級天使(ネオンテーゼ)の一人…」

?「鋼鎧のロキ…と。周りはそう呼ぶ」

男「ネオンテーゼ…?」
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 23:30:15.92 ID:Vuay/YSO
転「……鋼鎧」

ロキ「そうだ…。今ので俺の能力が分かったんじゃないか?」

転「…最悪だ」

男「お、おい、テンコ…何なんだよ、そいつ…」

転「上級天使(ネオンテーゼ)…六人しかいない、王宮護衛の最高権力者…。その一人が、こいつです」

ロキ「王宮の護衛なんてしたことないがな…。それよりお前、こいつはないだろ?目上に対しての…」グオッ

転「!」

ロキ「躾けがなってないな」ドジャ

転「か……」

男「…なんだよ、あいつ、本物の化け物かよ…」

ロキ「……どうした?たった二発食らっただけで、もう限界か?」

転「……まだ、始まったばかりです」ヨロォ

ロキ「…!」

ドドッ

ロキ「ちっ…。倒れたときに手頃な武器を見つけたか…」

ドサッ

転「……どうせそれも効いてないんでしょうが」

ロキ「…その通り」スクッ

男「また無傷だ。どうして…」

転「噂はホントだったみたいですね。上級天使の中には、傷一つ付けられない鉄壁の能力を使う奴がいるって」

ロキ「鉄壁か。確かに俺に傷は付かないが、それは少し違うぞ」

転「そっちが丈夫なんじゃなくて、こっちが威力不足ってわけですか…」

ロキ「不足じゃない。お前の攻撃による威力は…」

ロキ「ゼロになる。それが俺の能力、『無敵の外装(インビンシブル・アームズ)』だ」

転「……やっぱり最悪だ」
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 23:47:33.57 ID:Vuay/YSO
転「一体あなたほどの悪魔が、どうして地上なんかに…」

ロキ「……」スッ

転「!」

ガスッ

転「くっ…」

ロキ「どうして、だと?」

転「…?」

ロキ「俺は人を探しているのだ。お前のよく知っている人物をな」

転「……まさか、メイ?」

ロキ「あいつは今も元気か?」

転「今も…?」

ロキ「メイは俺のことを覚えているのか。最後に会ったのは14年も前だ。それに俺の肉体も少し変わったからな」

転「あなたは…あなたはメイの何なんですか?」

ロキ「兄だ。義理の、だが」

転「兄…」

ロキ「さぁ、戦いを続けよう。こんなのはまだまだ前哨戦だ!」ブンッ

転「くっ」サッ

ロキ「防ぐつもりか…だが…」

シュッ

転「なっ…!」

ドサァ

男「右からの拳を…瞬時に左に変えた…すごい速さで…」

転(なんだこの速さ…。さっきの動きもそうだ…こいつは)

ロキ「ふふふ…そんなものか?」

転(無敵の能力だけじゃなく、もう一つの何かがある…!)
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/21(土) 23:55:12.32 ID:Vuay/YSO
ああそうだ…
男とテンコの距離は約10mほどあります
テンコとロキは至近距離で戦ってます
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 08:36:35.85 ID:fKawJsSO
今気付いたけど上級天使ってこれまるっきり王下七武海のパクりだよね…
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 21:52:19.32 ID:fKawJsSO
転「……」サッ

ロキ「どうした。来るのか来ないのか?」

転「……」スッ

ロキ「構えろよ…。そんな格好じゃろくな攻撃も防御も出来ないぞ」ユラッ

転(…こいつに普通の攻撃は通用しない。なら、どうすればいい?)

ロキ「…ふん」シュッ

転(後ろ!)

ガシャシャシャシャ

ロキ「小石を巻き上げ…!」

転「今だ!」ブンッ

ドゴッ

ロキ「…いい蹴りだ。だが」

ロキ「……効かんな」スタッ

転(こちらのダメージを完全に封じ込めるマントに、あのスピード…これしかない!)

ヒュッ

ロキ「?」

バギバキバキ…

ドサッ

男「木の幹を折った…?」

ザザザザザ

ロキ「落ちた葉を周囲に集める、か。何をするつもりだ?」

転「賭けに出ます。まともにあなたと戦うのはキツそうなので」

ロキ「…賭けか。どんな策だろうが、俺には通用しない!」シュッ
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 22:00:26.01 ID:fKawJsSO
転(集中しろ……!)

グオオオオッ

転(距離1m以内…今だ!)サッ

ロキ「無駄だ!直撃する寸前に避けるつもりだろ?」ガサッ

男「一瞬で背後に…ヤバイ!」

転「…後ろか!」

サッ

ロキ「なにっ!避けただと?」
ズザザザザ

ロキ「ぐうっ!」

男「…そうか。あいつのスピードに目が追い付かないから、耳を頼ることにしたんだ」

転「周囲に散らした葉を踏む音で移動した位置を知り、そっちに避ける…。限界まで集中して、こっちも素早く動かないといけませんでしたけど」

ロキ「…舐めた真似を」

転「やはりあのスピードで倒れると、ダメージを負うみたいですね。私からの攻撃は確実に防ぐが、急ブレーキによる転倒は防げない…」

ロキ「こんなもの…ダメージの内に入らない」ダンッ

男「跳んだ!また上からの攻撃か!」

転「……真・我流棒術」スッ

ロキ(さっき折った木の枝…!しまった!)

転『千爪棍!!』ヒュババババババババッ

ロキ「くっ…速い…!」

ザクザクザクザクザクッ

ロキ「ぐあああああ!」

男「やった!」
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 22:10:45.99 ID:fKawJsSO
ロキ「ぐぁ…!」ドシャ

転「これも読みが当たりましたね。上空からの飛来攻撃。この間は防御に専念することができない。マントを通してですが、今のは効いたはずです!」

ロキ「……くっ…くくくく」

転「…何か?」

ロキ「やはりお前は甘いな。俺の脳天めがけて打ち貫けば勝てたと言うのに。この程度の傷なら…」バサァ

男「…傷がない!」

転「超高速の外傷修復か?私たちよりも遥かに治りが早…」

ロキ「俺を舐めるな!」ブオンッ

転「い…」

ドコンッ

男「!」

ロキ「吹き飛べ!」グオッ

転(な、殴ったまま高速移動を…!)

ドシュンッ

バシャアアアアアン

ロキ「ふー…」ピタッ

男「か、川に落ちた…テンコ!テンコー!」

転「……」

男「気を失ってんのか?あいつあのままじゃ、沈んじまう…」

転『男さんが助けに来てください』

男「……ああ、もうっ!」

バシャン

ロキ「……」
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 22:22:03.73 ID:fKawJsSO
ゴボゴボゴボ

男(冷てっ…)

男(……テンコ!)

グイッ

転「……」

男(頭から血が…)

ザバッ

男「ぷはぁ!」

男「おい、おい!テンコ!しっかりしろ!」ペチペチ

転「…う」

男「ふー。よかっ…」

転「あ…げほっ…げほっげほっ」

ピッ

男「え?…何これ、血?」

転「男、さん…」

男「おまっ…ちょ…吐血ぅうう!?」

転「り、くに上がらないと…やつが…決ま、す…」

男「お前、今血ぃ吐いたんだぞ!まだやる気か?」

転「負けられ…ません…から」

男「このままじゃマジで死ぬぞ!」

転「負けるより…マシです…!」

男「…!」
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 22:26:48.43 ID:fKawJsSO
転「だから私は、戦いま…」

男「俺がやる」

転「!?」

男「お前は一人じゃない。二人ならきっと勝てる。だからお前は、少し休んでろ」

転「無理です、男さん!」

男「無理かどうかは俺が決める!」バシャバシャ

転「男さん!」


ロキ「…次はお前が相手か?」

男「あいつには、これ以上触れさせない…!」

ロキ「いいだろう…。来い!」

男「くらえこの野郎っ!」ブンッ

ロキ「……」ヒョイッ

男「あ、あれ?…くそっ!」ブンブンッ

ロキ「……」ヒョヒョイッ

男「当た…」

ロキ「遅い」

ドゴンッ

男「…がっ」ドサッ

ロキ「…これでもかなり手加減してやったんだがな…」

男(やべーぞ…こいつ、マジで強いじゃねーか)

男(俺じゃ勝てねえ。でも、せめて何か一つ、テンコに繋げることができれば…)

コロッ…

男(これは…蹴られた拍子にポケットから出てきたのか…)

男「………!」

男(待てよ…これなら行けるかも…!)
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 22:34:36.07 ID:fKawJsSO
バッ

ロキ「…なんだ。ちゃんと立ってくるじゃないか」

男「今のでちょっとマジになったんだよ」

ロキ「そうか…」

男「うららららららーっ!」ブンブンブンブンブンッ

ロキ「…数打てば当たると思っているのか?」ヒュヒュヒュヒュヒュッ

男「…くらえーっ!」ブンッ

ロキ「当たらないと言って…」ヒョイ

男「……かかったな!」


ワンッ!!!


ロキ「!!!」

転「…この音は」ビクッ

男「隙あり!」バッ

ロキ「なっ…」

男「…何ちゃっかり掴んでんだよ!」ギリギリ

ロキ「く…お前こそ…そのマントから手を離せ!」

男「離すか!テンコ!俺ごと吹っ飛ばせ!」

転「…はい!」ババッ

ロキ「やめっ…」

転『危険な操作法!』

ブオンッ

男「うおあ!」ガサガサガサッ

ロキ「き…貴様ぁ…!」

男「っ痛ぅ…。でもこれで、マントはもらったぞ!」
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 22:46:28.74 ID:fKawJsSO
男「俺が何をしたのか、説明する必要があるよな」

男「まず、俺があいつに蹴飛ばされたとき、ポケットからコレが出てきたんだ」

男「シロが持ってた目覚まし。俺がインからもらって、ポケットにしまっておいたやつだ!」

男「これは悪魔が嫌がる音が出る仕組みだから、もしかしたらあいつにも効くんじゃないかと思った」

男「まず俺は、あいつに向かってめちゃくちゃに殴りかかる。これは当たらなくていい。あいつが俺の攻撃を『避けてくれる』ようにしたんだ」

男「次にこの目覚ましを右手に持って、左手で紐を握る。そのまま殴りかかるように、右手をあいつに近付ける…」

男「あいつはさっきまでと同じように避けようとする。しかし…」

男「避けても目覚ましの音からは逃げられない!」

男「俺はタイミングよく紐を引っ張って、あいつの耳元で目覚ましを鳴らし…」

男「そのとき出来たわずかな隙にあいつのマントを掴んで…」

男「テンコの能力で俺ごと強引にはぎ取った!」

男「長くなったがとにかく、俺のとっさの作戦であいつのマントを奪うことに成功したわけだ」

男「後はもうどうなるか分からんっ!」



転「ナイスですよ、男さん」ヨロッ

ロキ「ちっ…まだやるのか…」

転「ここからは反撃です。後は私に任せてください!」

男「おう!」
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 23:01:04.92 ID:fKawJsSO
戦闘を効果音だけで表現するのはぶっちゃけ無理なんで
シュッ→素早い蹴り、高速移動など
ドゴンッ→殴り、蹴り炸裂、操作法炸裂など
ドゴォンッ→かなりのダメージ
スッ→構え、攻撃体勢
ダンッ→跳躍
ヒュッ→落下
ブオン→大きめのモーション
ワンッ!!!→目覚ましの音

多少は分かりやすくなればこれ幸い
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 21:44:28.50 ID:NhfTKl.o
壮大な説明乙
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/24(火) 19:36:37.50 ID:Y2rng.SO
諸事情によりしばらく書けなくなりそうです
と言っても週が明けたころには再開できるようになると思います
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/24(火) 22:53:37.53 ID:UJRCRYAO
いつまでも待ってる
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/24(火) 23:52:03.39 ID:dLin8s6P
了解しました!
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/29(日) 01:09:23.80 ID:rTpxNESO
ん?
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/29(日) 20:01:51.67 ID:4ZKWhmwo
明日に期待
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 20:00:28.85 ID:JJcu.USO
〜前回までのあらすじ〜
男「マントがなけりゃしょせんはただのスーパーマンだな!」

転「いろいろとおかしい気がしますけどね」
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/30(月) 20:08:14.72 ID:guoPGBgo
    ∧_∧
    (0゚・∀・) ワクワク
  oノ∧つ⊂)
  (0゚(0゚・∀・) テカテカ
  ∪(0゚∪ ∪
    と__)__)
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 20:18:03.41 ID:JJcu.USO
転「行きますよ!」ダッ

ロキ「ちぃっ…」

転『危険な操作法!』バッ

ロキ「大人しく当たると思うな!」ダンッ

転「…当てる!」ビッ

ロキ(…!?一発目はただ『投げた』だけ…)

ロキ「しまっ…」

ドゴンッ

ロキ「ぐお!」ズザザザ

男「やった!まともに入った!」

転「まだです!もうあと…三発!」シュッ

ロキ「ぐ…」

転「ヘヴィイイイイ・ヨーヨーッ!!」

ドゴゴゴンッ!!

ロキ「がはっ……!」

男「(ネーミングはアレだけど)強い!」

転「行ける…!」


ロキ(……)

ロキ「くくく…」

ロキ「くくくくくく」

ロキ「……舐めるなァ!」ゴッ

男「!?」

転「い、いきなり力が吹き出して…」
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 20:35:37.24 ID:JJcu.USO
ロキ「……」ムクッ

転(立ち上がった…!?あれだけのダメージを受けて…)

ロキ「…不思議か?」

転「!?」

ロキ「この尋常じゃない回復力の高さ、速度、飛び上がる高さ…」

転「やはり…何かタネがあるんですね?」

ロキ「タネなんてもんじゃない。俺のこの肉体そのものが答えなのだ」

転「……?」

ロキ「地獄じゃまことしやかに囁かれていた噂だ。知っているか?『肉体を改造された化け物』がいると」

転「肉体を…改造された…?」

ロキ「数万人に一人の確率で、生まれつき肉体に制限がかけられている事がある。この制限はいわゆる『自己防衛』のためのもの…」

男「自己防衛?何だ?」

ロキ「それでは何のための『自己防衛』なのか、分かるか?」

転「……!」

ロキ「気付いたな?周囲を超越した力の暴走を止めるためだ」

転「あなたのその異常な身体能力は…」

ロキ「制限を外して手に入れた力だ。世間は俺のような悪魔をこう呼ぶ」

ロキ「…『強化型』とな」

転「……それがあなたの正体ですか」

ロキ「正体なんて大それたモノじゃない。普段はマントの鎧があるから、力を使わないだけだ」

転「……」

ロキ「強化型としての力をフルに発揮して貴様を[ピーーー]!」
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 20:45:03.35 ID:JJcu.USO
ロキ「…潰してやる」スッ

転「とにかくやるしかない…!危険な操作…」

パッ

転「え…?」

ヒュッ

男「テンコ!横から…」

ドゴッ

転「かっ……」

ズシャア

ロキ「そんなチャチな攻撃が、ましてや狙い撃ちで当たると思っているのか?」ガシッ

転「く…」

ロキ「今のは『超速移動(ハイスピード)』。最後速度は…秒速10mだ。連続しての使用はできんがな…」ブンッ

転「…!」

ダンッ

ロキ「これは『超跳躍(ハイジャンプ)』単純に高く飛ぶことに特化している。つまり…」

ロキ「落下時の衝撃はそれだけ大きい」グッ

男「テン…」

ズドンッ!!

男「……あ」

転「……」

ロキ「頭から行ったか…」
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 20:56:14.12 ID:JJcu.USO
転「……」

ロキ「さぁ、やっと片付いたな。さて、次は…」ギロッ

男「!」

ロキ「お前だ」スッ

男「くっ…!」


転(…体が動かない)

転(これでもタフな方だと思ったんですけどね…)

転(……何も見えない)

転(……何も聞こえない)

転(雨なのか血なのか、どろどろしたものがまとわりついてて…)

転(………ここまでか)

転(…父の下で何度も何度も鍛えさせられて)

転(跡を継ぐことになるかもしれないから、なんて)

転(そんなのクロにでもやらせりゃいいじゃないですか)

転(……)

転(…私が16年ぽっちで積み上げた力なんて)

転(しょせんはこんなものだったんですか)

転(………)

転(……悔しいなぁ)

転(私にもっと力があれば)

転(私の大事な人をみんな、守れるのに)

転(…こんなワケの分からない強化型とかいうチート野郎に)

転(……みんなが殺される?)

転(……)

転(嫌だ)
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 21:04:39.26 ID:JJcu.USO
転(そんなの嫌だ)

転(クロも、インも、シロも、男さんも)

転(…誰も死んじゃいけないんだ)

転(…みんなで、生きて帰るんだ)

転(そのためには…)

転(……私が立つしかないじゃないですか…!)

転(……何のための修行だ?)

転(……あんなんじゃ力にならないのか?)

転(違う)

転(やるしかないんだ)

転(私が)

転(立ち上がって)

転(あいつを…)


ロキ「たかが人間風情だと思って、今までは[ピーーー]つもりはなかった。せいぜい動けなくして、終わらせるつもりでいた」

ロキ「……だが」

男「!」

ロキ「俺の能力を封じ込めた時点で、気が付いた。お前は徹底的に倒さなくてはならない、と」

男「…気付くのが遅いんだよ!」

ロキ「この期に及んでまだ諦めないとはな。いいだろう」スッ

ロキ「貴様を[ピーーー]!」

ダンッ
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/30(月) 21:10:06.90 ID:JJcu.USO
ピーーーじゃねぇよコラ


転(…動け)

転(…あいつを)

転(…ぶん殴ってやる!)


ロキ「死ね!」シュッ

男「…!」


ドンッ


ドシャアアア

男「……?」

ロキ「ぐ…貴様、まだ…」

転「……」フラフラ

男「テンコ!?」

転「……す」

ロキ「…!?」

転「お前を殺す!来い!最後の戦いだ!」

男「テンコ…無茶だ」

ロキ「…なんだか知らんが面白い。この死にぞこないが!」
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 21:16:56.70 ID:JJcu.USO
転「危険な(リスキー)…」スッ

ロキ(またそれか…。俺の『超速反応(ハイリアクション)』と『超速移動』の前には通じないと言うのに…)

転「操作法(ハンド・ラップ)!」

男「……え?」

シーーーン

男「…周りに、武器にする物がない…!」

ロキ「使えそうなものはすべて使ったんだな。気の毒だか、周囲の小石は使えない」

転「……」

ロキ「諦めろ」

転「ぬかせ化け物」

ロキ「…お前も十分化け物だ!」ブン

男「…!」

………

転「……」

ロキ「倒れない…!?」
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/11/30(月) 21:32:04.21 ID:JJcu.USO
転「……」スッ

ロキ「!?」

転「次はこっちの…」ガッ

ロキ「離せ…!」

転「…番だ!」グオンッ

ロキ「ぐ…」

ドシャンッ

男「……!」

ロキ「く…頭を…」

転「得意の回復でもしたらどうだ…そんな隙はやらないけど」ヒュッ

ババババババ

ドドドドドド

ロキ(この威力…ただのパンチじゃない!)

ドサッ

ロキ(『超速回復(ハイリカバー)』で、すぐにダメージを…)

転「そんな隙…」グッ

転「やらないって言ってるだろ!」

ドンッ!!

ロキ「がっ…!?」

男「な…何だよ今の」

転「はーっ…はーっ…」

男「触れずにあいつを殴った…!」

ロキ(…何だ!?何が俺を攻撃した?)

転『見えない手で物を動かす能力』

男「…まさか」
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 21:40:35.30 ID:JJcu.USO
転「まだ…まだぁ…!」スッ

ロキ(また、来る…!)

ズドッ

男「見えない手…!」

男「なんてこった!あいつの能力が…」

男「バイ・セカンドとは別の進化をしたんだ…!」

転「ああああっ!」

ドドッ!!

ロキ(全く見えない…!)

ロキ「かはぁっ…」

男「見えない手で、直接あいつを殴ってる!」

男「物を投げるとか、そんなことをせずに」

男「直に攻撃できるように…」

ロキ「見えない手…!?」

転「ぶっッッ倒れ…ろォおおおおおおおお!」ズオッ

グオオオッ

ロキ「やめ……」


ボゴォオオオン
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/30(月) 21:42:07.09 ID:myuGDqwo
ある意味バイサド

インのバイセカ導入みたいに
テンコもバイセカ入ってなかったんだ☆みたいな感じかと思ったら
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 21:56:42.48 ID:JJcu.USO
>>659
バイ・サードは出しませんって言ったのに、結局似たようなの出しちゃった
死を乗り越えたことで精神力が跳ね上がったんですよ

ロキ「……!」

ドサッ

転「……っ」

ドサッ

男「え…」

男「お、おい、テンコ!」ダッ

ロキ(だ…ダメージが…でかすぎる…早く…回復を…)

男「テンコ!しっかりしろ!テンコ!」ユサユサ

転「…男、さん」

男「テンコ……」

転「私…勝ったんですか…」

男「分かんねぇよ…。でも、お前が無事ならもう、いいんだ。十分だ。よかった……」ギュウ

転「……」

ズキン

転「ぐっ…」

男「テンコ!?」

転(安心したら…痛みが戻って…)

ロキ「……痛みが、引いてきたぞ…」

男「!」

ロキ「行ける…今度こそ、お前を倒して…」フラッ

転(まずい…もう今度こそ動けない…能力ももう使えない…!)

男「テンコ…とにかく今は逃げるしか…」


?「待テ!」
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/30(月) 21:59:32.32 ID:myuGDqwo
強さが数値化しちゃうとか、バイ・〜がステータスのひとつになるとか、毎回それで窮地を脱するとか、そういったお約束がずっと続いたり
強さのインフレで俺はバイ・フィフティフォーだ!とかならなかったらいいよ
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/30(月) 22:02:47.33 ID:guoPGBgo
俺はスーパーサイヤ人13だ!
ttp://www.geocities.jp/orehazya1/arutimetodbball/dbafkousiki/1119253260122.jpg
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 22:08:04.76 ID:JJcu.USO
ロキ「誰だ!?」

男「…この声」

転「……最悪だ」

メイ「…ヤット見つけタ……シャル」

ロキ「おい、お前はだ…」

ロキ「……メイか?」

メイ「……え?」

ロキ「俺だ…ロキだ…」

メイ「……お兄ちゃん?」

ロキ「……お前を、お前をずっと探してた」

メイ「え…え…?」ポロポロ

ロキ「……10年ぶりだな」

メイ「なんで…?どうして…?だってお兄ちゃんは、あの時死んだはずジャ…」

ロキ「…生きてた。俺は強化型だからな」

メイ「…お兄ちゃん、お兄ちゃん…」ボロボロ

ロキ「泣くな、メイ」

メイ「うわあ、うわああああ!うわああああああああん」


男「やばい…最悪だ」

転「はー…はー…」

男「やっぱり逃げるぞ、今しかない!」

転「……」フルフル

男「どうし…」

転「メイっ!!」
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 22:18:28.76 ID:JJcu.USO
メイ「…!」

転「大丈夫です、男さん…。もう立てます」スッ

男(無茶言いやがって。ガタガタじゃないかよ…)

転「何をしにここに来たんですか…。そんな感動の再開しに来たワケじゃないでしょうに」

メイ「…わ、ワタシは…」

転「……」

メイ「…シャル!お前を倒して、ワタシの復讐を完了スル!」

ロキ「メイ、お前…」

メイ「…決めたんダ…モウ、逃げないッテ…」

転「……復讐、ですか」ヨロヨロ

メイ「…!」ビクッ

転「…お前が私に、かなうわけないじゃないですか」

メイ「…な、何を…」

転「いつだって口先ばっかりで、私と戦ったことは一度もない!そんな臆病者に!私が!」

メイ「……」ガタガタ

転「負けるワケないだろう!」

男「……」

メイ「…それでも、それでも、ワタシは…」ボロボロ

メイ「倒すって決めたンダ…シャル!お前を!」

転「……なら、かかって来たらどうです?」

メイ「……」スッ
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 22:25:45.43 ID:JJcu.USO
転「人を殴ったことがあるんですか?あなた」

メイ「…ナイ」

転「そうでしょうね。あなたにそんな勇気ありませんよね」

メイ「……う」

転「…あなたの両親も、そんなちっぽけな人たちだったんですか」

ロキ「貴様ぁ…!」

メイ「お父さんとお母さんを!バカにスルなああああ!」

転「!」

バキッ

転「……できるじゃないですか」

メイ「……!?」

転「ちゃんと拳握って、私を殴れた」

メイ「う……」

転「私を倒すなら、倒してください。今が最大のチャンスですよ」

男「テンコ…」

メイ「……う」ポロ

転「…また泣くんですか?」

メイ「だって…だってぇ…」ボロボロ

転「……」

メイ「こんなの…ワタシが望んだ復讐じゃナイ…!」ボロボロ

ロキ「……」
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 22:37:33.52 ID:JJcu.USO
メイ「こんなの…ズルいよ……」ボロボロ

ロキ「……メイ、もういい、後は俺がやる!」

男「!」

メイ「…ひっく……えぐ…」ボロボロ

転「……くっ」ドサッ

男「くそっ…やっぱり逃げときゃよかったんだ…!」

転「いや…私はまだ、彼女を信じてます」

男「……何なんだよ」

転「彼女はいつまでもこんな下らないことに捕らわれていちゃダメなんだ…。復讐なんてさっさとケリ付けて、自由にならなきゃ…」

メイ「う…ひっく……ひっく」ボロボロ

男「分からねぇよ…。さんざん罵ったり、自由になれとか言ったり…お前ら何なんだよ…」

転「……それが分からないから、辛いんですよ」ポロポロ

ロキ「もういい!ここまでだ!」バッ

メイ「…お兄ちゃん!」

ロキ「……!」

メイ「ぐすっ…。完結、サセル…」スッ

ロキ「笛(地獄兵器)…!」

転「……メイ」

メイ『バイ・セカンド…』
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 22:46:25.24 ID:JJcu.USO
転「『バイ・セカンド』を…使えるのか…!?」

男「や、やばそうだぞ、テンコ!」

ロキ「メイの力…一体どれほどなのか…」

メイ『神曲(ディビーナ・コンメディア)』

ピィイイイイイイイイ…

男「笛から音が…!?」

転「一体、何を…」

ゴゴゴゴゴゴゴ

カッ!!

ロキ「ぐぁ!?…な、何だ、これはぁ…!!」

転「!」

男「あいつの足元…でかい門が…!」

メイ「ワタシの『バイ・セカンド』は…全ての天使と悪魔を操る…究極の能力…!」

転「………!」

ロキ「ぐぅぅぁあああ!メイぃいいいいい!」

メイ「お兄ちゃんは、地獄に帰って…!」

ガコン!

男「門が…!」

ロキ「ああああああああああああああああああああああああ!」

転「引きずり込まれていく…!」
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/30(月) 22:48:20.14 ID:aD2C0Hko
お兄ちゃんカワイソス(´・ω・)
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 23:01:41.66 ID:JJcu.USO
メイ「ぐ…!?」ガクン

転「!?」

メイ「精神力が…足りない……カ?」

ゴゴゴゴゴゴゴ

カッ!

カッ!

カッ!

メイ「開いた…!」

α「……」

β「……」

γ「……」

メイ「あの三人を…天国に…ぐぅっ」ガクガク

転「…メイ!やめてください!」

メイ「これは…ワタシの復讐ダ…!」

転「そんな状態で三人の天使を操るなんて無理だ!いや、出来たとしても…」

転「お前との戦いはどうなる!!」

メイ「…はーっ…はーっ……」ガクガク

ガコン!!

γ「!」

ヒュッ

メイ「一人…」ガクガク

転「メイ!メイ!聞こえてるんだろう!返事しろ!」

ガコン!

β「……ぐ」

ヒュッ

メイ「二人ぃ……」ガクガク
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/30(月) 23:02:50.49 ID:kBuKqG.o
やっとおいついた
頑張れ 
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 23:02:56.82 ID:JJcu.USO
転「それがお前の復讐!?ふざけるな!」

ギギギギィ…

メイ「天国の門…開けぇ…」ガクガク

転「私たちの敵をみんな送り返して、お前まで力尽きたら、それじゃお前は私を倒せないままじゃないか!」

メイ「ふっ…復讐…にぃ…捕らわれテタのは…お前の方…だったンダ…」

転「何を…!」

メイ「地獄で……決着…つけ、て……ヤル…」

転「ふざけるなぁ!またそうやって逃げるのか!」

ガコン!

メイ「開い…た…!最後の、一人を……」

α「……」

シュッ

メイ「………あっ…かっ…!」ビキビキ

転「!おい!メイ!嘘だ!ふざけるな!こんな、こんな形で決着が付いてたまるか!」

メイ「ワタシは…死な…ない!」ボロボロ

男「体が崩れて…!」

メイ「ワタシはまた、必ず、復讐を果たす!」ボロボロ

転「ふざけるな!逃げるな!メイ!メイ!!」
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/30(月) 23:02:57.48 ID:kBuKqG.o
やっとおいついた
頑張れ 
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 23:09:40.96 ID:JJcu.USO
メイ「………」ボロボロ

転「ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!メイ!やめろ!そんなの、許さないぞ!」

ゴゴゴゴゴゴ

メイ「………マタ、会ってミセル…、シャル」ボロボロ

転「メイーっ!!」

フシュッ

男「…消えた」

転「……う、あああ」

男「……」

転「こんな終わり方、卑怯だ!メイ!」

男「……テンコ」



こうして男と四姉妹の

メイが呼び出した三体の天使、メイを探しに現れた義兄のロキ

そして、メイ自身との戦いに

終止符が打たれた……
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 23:18:09.53 ID:JJcu.USO
男「……俺、分からねぇよ」

転「…何がですか…」

男「一体何なんだよ…!お前も、メイも…」

転「……分かりませんよ」

男「お互いに憎みあってたのに、お互い何もできずに、挙げ句、全てが0に戻った!」

転「分かりません…よ…!あんなバカの…考える、ことなんか…!」ボロボロ

男「お前らな悪魔か?妖精か?…お互いを傷つけあう悪魔か!お互いを慰めあう妖精か!」

転「分かりませんよ!」ボロボロ

男「……」

転「うわあああ…うわあああああああああああ」ボロボロ

男「…ぐす」

転「私は…メイを…メイを…許せなかった!最後まで…」ボロボロ

男「もう…遅いんだよ…」ボロボロ

転「メイ…ごめん、なさい…ごめんなさい、ごめんなさい…」ボロボロ
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 23:32:39.69 ID:JJcu.USO
ロキ メイの古くからの知り合いであり、兄代わりだった男
?歳 6人の上級悪魔(ネオンテーゼ)の一人であり、身体能力を強化された強化型(レア・スタイル)
地獄兵器 マント
能力:『バイ・セカンド』無敵の外装(インビンシブル・アームズ)
あらゆる物理攻撃の威力を[ピーーー]マント

強化型の肉体強化能力
・超跳躍(ハイジャンプ)
一度のジャンプで、数分は滞空することができ、かつ空中を飛ぶように移動するができる
ただし着地が難しいため、狙った場所から大きく逸れて落ちることが多い

・超速回復(ハイリカバー)
悪魔や天使は元々治癒能力が高いが、それをさらに高めたもの
物理的な外傷ならすぐに消えてしまい、骨折などによる痛みもすぐに引き、また骨そのものの再生スピードも早い
ただし、多量の出血を止めることができなくなった

・超速移動(ハイスピード)
悪魔や天使の元来の移動速度をさらに速くした移動法で、瞬時に10m移動することさえできる
ただし肉体的に連続使用は難しく、停止するためのブレーキがうまく効かないことがある

・超速反応(ハイリアクション)
悪魔や天使は元々反応速度が速く、テンコなどは意識を集中させることによりさらに速く反応することができる
しかし強化型は常にそのスピードで物を捉え、それに対しての超速移動を行うことができる


強化型の弱点は、長時間の戦闘を不得意とするところと、耐久力が低いというところである
ただし通常の能力を使用する上での精神力は個々によって違う
また、寿命が圧倒的に短い(通常の悪魔は60〜70だが、強化型は肉体強化を受けてから20年ほど)
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 23:34:30.48 ID:JJcu.USO
メイ(シルバ・メイズ・トリアンテ・ランバ)
18歳 メイド
身長166cm 体重47kg
地獄兵器 縦笛
能力:天なる魔笛の呼び声(パイド・パイパー)
笛を吹くことで、無数の天使(親衛隊)を呼び出すことができる
ただしメイの意志に反して行動することも多い
『バイ・セカンド』神曲(ディビーナ・コンメディア)
あらゆる天使と悪魔を支配する全能力中最強クラスの能力
ただし莫大な精神力を消費する
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/30(月) 23:50:22.64 ID:05ySgz2o
さ、ほのぼのに戻るか
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/01(火) 08:49:01.12 ID:JAuqxJMo
スレタイが出たか。これからどうなるんだろ
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/02(水) 02:30:20.40 ID:yxoxK6so
追いついたっと
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/05(土) 21:02:14.16 ID:WKDeYoSO
クロ「……う」

クロ「…今のはなに?」

クロ「……姉さまのところに行かなきゃ…」


男「……テンコ」

転「……」グッタリ

男「大丈夫かよ…」

転「…大丈夫じゃ、ない、です…」

男「引きずってでも帰りたいとこだけど、俺も動けねぇんだよ…」

ザアアアアアア

転(雨、止まないかなぁ…)
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/05(土) 21:15:33.90 ID:WKDeYoSO
フラフラ

クロ「…姉さま…どこに…?」

ワンワンッ

クロ「…?」クルッ

犬「ワンワンッ!バウッ!」

女「あ……クロちゃん!こんなところで何してるの?」

クロ「…あなたこそこんな雨の日にどうして散歩なんて」

女「普段は雨の日は行かないんだけど、今日はひのきが行きたい行きたいって吠えるから…」

犬「ワンワンッ!」

クロ「……そう」

女「クロちゃん、どうしてそんなにぼろぼろなの?」

クロ「…天使にやられたの。倒したけど」

女「天使!?」

クロ「姉さまは…大丈夫なのかしら…。インとシロは…男は…」

女「…男くんなら、携帯持ってるんじゃないかな。私の貸したから…」

クロ「!」

女「どこかに公衆電話は…」


ピリリリリリ ピリリリリリ

転「……男、さん…ケータイ、鳴ってます、よ」

男「ああ……」ピッ

男「もしもし…?」

クロ『もしもし?あなた今どこにいるの!?』

男「クロ…」
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/05(土) 21:23:51.41 ID:WKDeYoSO
男「今…河原…公園の河原にいる…っつっても分からないよな」

クロ『公園の河原?』

女『ああ、あそこ?分かるよ私』

男「女もいるのか…」

クロ『待ってて。今行くわ!』

男「……」

ピッ


クロ「場所だけ教えて!」

女「一人で平気?」

クロ「あなたにはインとシロがいる公園に行ってほしいの」

女「あの子たちもいるの?」

クロ「ええ。出来るだけ早く行ってあげてほしいの」

女「…うん。私に任せて!」
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/05(土) 21:34:54.90 ID:WKDeYoSO
男「……クロがこっちに来るってよ」

転「そう…です…か」

男「……大丈夫か?」

転「傷は一晩寝ればふさがると思います…。ただ、さっきから」

男「?」

転「視界…頭の中を囲う、もやのようなものがあって…」

男「……」

転「もう動けないです…」

男「………」


クロ「……姉さま!姉さま!」

男「…大丈夫だ。疲れが限界まで来て、気を失ってんだ」

クロ「あなたは…?」

男「所々痛むけど、平気だ」

クロ「そう…」スッ

クロ「『バイ・セカンド』…このままあなたたちを飛ばして行くわ」バサッ

男「ありがとう」
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/05(土) 21:45:09.89 ID:WKDeYoSO
ザアアアアアアア

イン「……んっ」

女「インちゃん…インちゃん…」

イン「わぁっ!て、天使か!?」バッ

ズキン

イン「ぐ…」フラ

女「インちゃん!私だよ!」ガシッ

イン「あ…女さん…」

女「もう終わったんだよ。男くんもテンコちゃんも無事みたい」

イン「…シロは!」

シロ「おねえちゃん…シロも、だいじょうぶだよ」

イン「…よかった」

女「帰ろう。私がおぶってあげる…」

犬「ワンッ!」
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/12(土) 20:43:17.99 ID:8YxO2ASO
クロ「…公園の河原…ここよね」

クロ「……あ!」

バサバサバサァ

男「…クロ」

クロ「男…姉さま…大丈夫?」

男「俺は平気だよ。でも、こいつは」

転「……」

クロ「……『バイ・セカンド』」

男「…!」バサァ

転「……」バサァ

クロ「帰りましょう。このまま飛んで行くわ…」

男「ああ、悪い」

転「……」

バサバサバサ…
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 20:49:39.06 ID:3/942QDO
一週間ぶりに
キタ━━ヽ(・∀・)ノ━(∀ ・ノ)━(・ノ )━ヽ( )ノ━( ヽ・)━(ヽ・∀)━ヽ(・∀・)ノ━ァ!!
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 20:50:35.14 ID:8YxO2ASO
ザアアアアアア

ガチャ

クロ「……」ストッ

女「クロちゃん…」

クロ「大丈夫。二人ともいるわ」

バサバサ

男「…女」

女「男くん…よかった」

男「…まずはテンコが先だ。なんとかしないと。傷だらけだし…」

クロ「……血を止めたら、あとは寝かせておけば治るわ」

男「そんな簡単に?」

クロ「全治するわけじゃないけど、なんとか動けるようにはなるわ」

女「じゃ、タオルで体拭いて…お風呂に入れたほうがいいかな?泥だらけだけど…」

男「そうしてやってくれ。…頼めるか?」

女「うん!男くんは休んでて」

男「ありがとう…」
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/12(土) 20:57:18.26 ID:8YxO2ASO
>>686
長らくお待たせしました
今日と次で一章は完結にするつもりです

女「テンコちゃん、しっかり…」ジャ-

転「……」


男「ふー…」ドサッ

クロ「大丈夫?あなた、ぼろぼろじゃない…」

男「結構殴られ蹴られしたからな」

クロ「………」ギュ

男「……」

クロ「…あなたはただの人間なんだから、こんな無茶しちゃ駄目よ」

男「……そうだな。ごめん」

クロ「……っ」ズキッ

男「おい、お前もまだ天使と戦った時の傷が…」

クロ「…インとシロ…何よりも姉さまに比べたら、こんな傷…」

男「…あの二人は?」

クロ「寝てるわ。大きな傷はないみたい」

男「そうか…」

クロ「……」

男「終わったんだ。やっと」
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/12(土) 21:07:03.61 ID:8YxO2ASO
クロ「…ええ」

男「終わって見れば…ムチャクチャな…五日間だったな」

クロ「五日?」

男「テンコが天使に遇って、お前たちの修行が始まって、五日」

クロ「…そうね」

男「なんか…二年分ぐらいの苦労とかピンチとか驚きを、一度に味わった感じだよ」

クロ「じゃあこの先二年は平和に暮らしていけるわね」

男「そーだな…でも、お前たちは…」

メイ『ワタシはまた、必ず、復讐を果たす!』

男「……いや」

女「?」

男「とにかく、お前たちが誰も欠けずに、無事に終われて良かった」

女「そうよ。私たちは、天使を倒して、生き残ったのよ!」
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/12(土) 21:18:34.88 ID:8YxO2ASO
女「クロちゃーん!テンコちゃんの着替え…」

クロ「今持ってくるわ」スッ

男「……」

転『ふざけるな!逃げるな!メイ!メイ!!』

男(あいつのあんな表情、初めて見たな…)

ザアアアアア

男(メイは、死んだのか?)


転「……」

女「よいしょ…よいしょ…」

クロ「とりあえずあなたの部屋に寝かせておくわよ」

男「…ああ」

男(……本当に、全部終わったのか?)
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 21:30:37.36 ID:8YxO2ASO
女「よいしょ」ポス

転「……」

クロ「…骨も何本か折れてるみたいだし、治るのには時間がいるわね。一日じゃ足らないかも」

女「そもそも、ホントに治るの?」

クロ「私たち悪魔は傷の治りが早いのよ。あなたたちの何十倍もね。でも…」

クロ「あの姉さまがここまでされるなんて、やっぱりあいつは強かったのね」

女「……」


男「……」

女「男くん」

男「…ん?」

女「私、ご飯とか作るよ」

男「……俺がやるよ。お前は今日は帰ったほうがいい。もう真っ暗だ」

女「でも…」

男「心配するなよ。俺は平気だ。お前の気持ちはありがたいけど」

男「俺に任せてくれないか」

女「……そっか。うん。じゃあ、今日は帰るね」

男「ああ。また明日な」

ガチャ

男(……悪い)

バタン
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 21:43:33.60 ID:8YxO2ASO
クロ「…ねぇ、どうして帰しちゃったの?」

男「俺たちの問題に、あいつを巻き込んじまったからな。あいつにはあいつの家族がいるんだし、これ以上付き合わせたら駄目だろ?」

クロ「…元々、関係なかったのよね。あなたも同じ」

男「……」

クロ「私たちがここに来たから、あなたをこんな戦いに巻き込むことになったんだから…」

男「…別に、恨んじゃいないよ」

クロ「でも……」

男「クロ」

クロ「…なに?」

男「俺も少し寝るよ。お前も休んでたほうがいい」

クロ「姉さまをあなたのベッドに寝かせちゃったわ」

男「いいよ。床で寝る」

クロ「……じゃあ、そうね。姉さまが目を覚ましたら、すぐに呼んで」

男「ああ。…おやすみ」
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/12(土) 21:50:41.18 ID:8YxO2ASO
バタン

男「……テンコ」

転「……」

男「……ごめんな」

男「俺のせいで、こんな…」

転「……」

男「…とにかく、今はゆっくり休めよ。明日は学校、休みだしさ」

転「……」

男「…金髪、似合ってると思うぞ」クシャッ

転「……」

男「……」パチッ

男「…おやすみ」
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 22:04:34.63 ID:8YxO2ASO
………

……



ゲホッゲホッ

男「……!」ガバァ

転「ごほっごほっ…」

男「テンコ…!」

転「げほっ…!」

男「……体、起こせるか?」

転「……」ブルブル

男「力が入らないのか…」スッ

転「う…」グイッ

男「…よし。体起こしてたほうが楽だろ?」サスサス

転「…ふー…ふー」

男(もう1時回ってる…飯も食わないでずっと寝ちまってたのか…)

男「……落ち着いたか?」

転「…はい」

男「…良かった。あのまま二度と起きないかと思った」
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/12(土) 22:18:24.99 ID:8YxO2ASO
転「まだ…全身が…痛みますけどね…」

男「そりゃそうだよな…」

転「それに…咳が出て喉が痛くて寒気がします…」

男「……それって、風邪か?」

転「たぶん…」

男「あの雨の中であれだけ動き回れば風邪ひいて当然か」

転「河に突き飛ばされたりしましたしね…」

男「…寝てたほうがいいな。明日は俺も学校休む。看病してやるよ」

転「…ありがとうございます」
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 22:29:54.44 ID:8YxO2ASO
………

……



…シャル

転(……?)

シャル、聞こえているんだろう?

転(……父さん?)

そうだよ。知っているだろう。「夢の通信」

転(誰の能力だったか忘れましたけどね…)

そんなことはどうでもいいんだ。要件を単刀直入に言うよ

転(なんですか…?)

帰っておいで

転(……!?)
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/12(土) 22:42:00.87 ID:8YxO2ASO
転(なぜそんなことを…父さんには借金があるのでは?)

あんな嘘を信じていたのかい?

転(嘘…?)

お前たちを日本に送ったのは、単純に地獄にいてもらいたくなかったからだ

転(なぜ、私たちに地獄にいてもらいたくなかったのですか?)

帰ってきたら、すべて説明するよ…

転(……いつ、帰ればいいんですか?)

明日の夜、迎えに行く

転(…無理です。急過ぎます。それに、私、風邪引いたんです)

風邪?一日あれば治るだろう?

転(……)

分かった。なら、明後日の夜、迎えに行こう

転(だから、急過ぎるって…)

いいね?シャル

転(……!)

それじゃあ、おやすみ

転(……明後日)
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 22:54:29.26 ID:8YxO2ASO


……

………

コンコン

ガチャ

男「…ん?」

クロ「学校、行かないの?」

男「もうそんな時間か?」

クロ「私、早く行かなきゃ…」

男「今日はこいつの看病するよ。あ、夜中に起きたんだ。風邪ひいたみたいで、また寝かせたけど」

クロ「そう。じゃあ帰りに、何か買って来たほうがいいかしら」

男「大丈夫だ。俺が全部やる」

クロ「…分かったわ。それじゃ、行ってきます」バタン


男「……」ピピピッ

男「もしもし、女?今日はテンコの看病するから、学校休むよ。…ああ、伝えといてくれるのか?じゃあ、よろしくな」

ピッ

男「……さて」

転「……」
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 23:04:03.08 ID:8YxO2ASO
男「おーい…」

男「……いや、無理に起こさないほうがいいか…」

転「……」

男「…何か食うかな」スッ

転「……男さん」ボソ

男「!な、何だよ、起きてたのか」

転「…私も何か食べたいです」

男「……おかゆ作ってやるから、ちょっと待ってろよ」

転「……はい」

転「……」

転(…いつ、伝えるべきなのか)
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 23:20:55.20 ID:8YxO2ASO
男「おかゆ出来たぞ」ガチャ

転「……」

男「どうした?難しそうな顔して」

転「男さん、実は……!?」

男「ん?」

転「…げほっ!ごほっごほっ!」

男「おい、大丈夫かよ」

転「ごほっ!ごほっごほっ」

男「ほら、背中さすってやる」サスサス

転「うー…」

男「食えるか?…おかゆ」

転「…お腹空いてるんです」

男「食った瞬間吐いたりするなよ」

転「大丈夫です。たぶん」

男「じゃ、ほら、熱いから気を付けろよ」

転「えっ」

男「えっ?」

転「食べさせてくれるんじゃないんですか?」

男「あー…そう。そうだな。一人じゃ食えないよな」
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/12(土) 23:29:08.53 ID:8YxO2ASO
転「やってみたいんですよ」

男「……それじゃ一すくい…」スクッ

転「ふーふーしてくださいね。熱いの嫌ですから」

男「分かった分かった。ふーふー…」

転「……」ワクワク

男「ほら、あーん」

転「あーん…」

男「……」ヒョイ

転「…あれ?」

男「なんかお前、歯が尖ってて怖いな…」

転「悪魔はみんなこれが普通なんですって」

男「そうなのか…じゃ、もう一回あーん」

転「あーん」

パクッ

転「……」モグモグ

男「…おいしいです」
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 23:38:51.68 ID:8YxO2ASO
>>701
最後は
男「どうだ?」

転「…おいしいです」
だった


男「もう一口食うか?」

転「…はい」

男「ほら」スッ

転「あーん」

パク

転「おいしいおいしい」モグモグ

男「なんだ。大丈夫そうだな」

転「身体の痛みさえ気にしなければ全然平気でゲフッ」

男「ちょっ…」

転「ごほっ!ごほっ!」

男「平気じゃないじゃん!」スリスリ

転(…これは、男さんに甘える大チャンスなんじゃ)

転「男さぁん…」ジッ

男「…何だよ。いきなりそんな潤んだ瞳で見るなよ」

転「手厚い看病…してくれますか?」

男「まぁほどほどに」

転(失敗か)
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/12(土) 23:48:01.49 ID:8YxO2ASO
男「風邪薬持ってくるからな」スッ

転「あ、はい…」

転(……私)

転(風邪なんてひいたの、初めてだった)

転(……風邪ひくと、男さんが優しくしてくれるのかぁ)

転(悪くないかなぁ…)


男「一応あったけど、効くのかな。これ」ガチャ

転「……」ニヤニヤ

男「うおっ。何笑ってんだ」

転「え、あ、何でもないですよ…」

男「これ飲めばたぶん治る」

転「まだ治りたくないなぁ」ボソ

男「何言ってんだよ。ほら、飲め飲め」グイグイ

転「うぅ」ゴクッ
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 21:38:40.16 ID:JlxfQoSO
男「よし、飲んだな?あとはおとなしく寝てろよ」スッ

転「……」

男「何だよ…」

転「…いえ」

バタン

転「…結局言えなかったか」


男「お、シロ。起きてたのか」

シロ「うん…」

男「どうした?」

シロ「……」フルフル

男「何なんだよ…二人して」

シロ「あっ。おねえちゃんは?」

男「上で寝てるよ。風邪ひいたみたいだ」

シロ「よかったぁ…」

男「…お前は大丈夫なのか?昨日のこと、よく知らないけど」

シロ「うん!」

男「……そっか」ナデナデ
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 21:45:31.61 ID:JlxfQoSO
男「ああ、そうだ。これ、ありがとな」スッ

シロ「?」

男「お前がくれた目覚まし。これがなかったらたぶんやられてた」

シロ「目覚まし?」

男「ま、俺の天才的アイデアが勝利を呼んだのさ」

シロ「……シロたちが帰ったあとも、ときどきつかってね」

男「……?」

シロ「…男にいちゃん、シロたちはね」

シロ「あさって、帰らなきゃいけないの」

男「あさって…!?」
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 21:54:35.25 ID:JlxfQoSO
シロ「……」

男「どうして…そんな急に」

シロ「パパがね、はやく帰っておいでって…」

男「いつ会ったんだ?」

シロ「ゆめの中…うそじゃないよ」

男「……」

シロ「……おわかれするの、やだよ」ポロ

男「…シロ」

シロ「もっといっぱい、あそんでたいの…男にいちゃんと…もっともっと…」ポロポロ

男「……」ギュウ

シロ「…ひっく……」ギュ

男「…まだ二日あるんだろ?大丈夫だよ。お前の気が済むまで、とことん遊んでやる」

シロ「でも…やだぁ…やだよぉ…」ポロポロ

男「……俺だって」

男「俺だってお前らと、もっと一緒にいたいよ…」
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 22:05:13.57 ID:JlxfQoSO
シロ「…うぅ…ひっく…」

男「……」

シロ「おとこ…にいちゃんは…」

男「…なんだ?」

シロ「シロたちのこと、すき…?」

男「……大好きだよ。お前も、インも、クロも、テンコも」

シロ「…シロも、男にいちゃんのこと、すき、だよ」

男「…ありがとう」ナデナデ

シロ「……」ギュウ

男「……あったかいな。シロ」

シロ「…うん。あったかいね」
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 22:33:10.44 ID:JlxfQoSO
シロ「あったかい…」ウトウト

男「……眠いのか?」

シロ「…うん」

男「さっきまで寝てたのに?」

シロ「だって、夜中に起きちゃったんだもん…」

男「…寝る?」

シロ「……」コクッ

男「……よいしょ」ヒョイ

シロ「わっ…」

男「ほれ」ボフッ

シロ「……ふふっ」

男「やーっと笑った」

シロ「男にいちゃん、大好きだよ」

男「ああ」
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 22:38:08.35 ID:ZXygSQDO
sien
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/14(月) 22:50:53.33 ID:JlxfQoSO
シロ「すー…すー…」

男「もう寝ちゃったよ」

シロ「……すー」

男「……あさって、か」


ガチャ

男「……」バタン

転「むぅ…うぐぅ」

男(寝呆けてんのか?)

男「テンコ…今から買い物行ってくるけど、何かほしいもの、あるか?」

転「……」パチ

転「……ないです」

男「そうか。すぐ帰ってくるからな」
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 23:09:36.01 ID:JlxfQoSO
某スーパー

男「…そういや最初にあいつらと買い物したとき」

転『なにこれ!でかい!すっげぇ!』

クロ『こんなコンビニ、見たことないわ!』

男「…あいつらに、もっといろんなとこ見せてやればよかったな」

男「こんな…ただのスーパーなんかじゃなくて……」

男「……」

男「急すぎるんだよ、あさってなんて…」


クロ「……あさって、か」

クロ「…スイカ食べたり服を買ったり」

クロ「……あれっぽっちじゃ、寂しくなるだけじゃない」
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/14(月) 23:14:53.46 ID:JlxfQoSO
イン「明日?」

生徒X「インちゃんの家って〇〇町なんでしょ?」

イン「うん」

生徒Y「回って来なかったの?」

イン「回って来る?何のこと?」

生徒Z「回覧板」


男「ただいまー」ガチャ

男「…さて、さっそく作ってみるかな」

男「焼酎…お袋がたまに飲んでるけど…あれはどこに隠してあるんだ?」

男「ここか?」ガチャ

男「こっちか?」ガチャ
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 23:25:58.37 ID:JlxfQoSO
10分後

男「あっ!こんなところに隠してたのか!」

男「ったく…後ろめたいなら飲まなきゃいいのに…」

母『お酒は二十歳になってから』

男『俺を生んだのはいくつの時だっけ』

母『…19歳。やめて、人間誰だって道を踏み損なうことがあるの。若い頃の私はちょっとおかしかっただけで』

男『分かったよ…』


男「えーっと…、熱燗にしなきゃ駄目なのか。寒いときに飲むもんだしな…」

男「よく分からんからテキトーにやっちゃえ」ピッ


シロ「……?」ピク

シロ「…あまいにおいがする……」クンクン

シロ「……くー」
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 23:27:27.25 ID:ZXygSQDO
シロたん可愛い支援
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/14(月) 23:40:08.57 ID:JlxfQoSO
男「よしっ!できたっ!」

バタバタバタ

男「テンコ!いいもの持ってきたぞ!」ガチャ

転「う…何ですか?」

男「これ、飲んでみな」スッ

転「な…何ですか、これ。なんか甘い匂いが…」

男「卵酒だよ」

転「タマゴザケ?ハウスのシャンメンと関係あるんですか?」

男「それはたまごめんだ。よく知ってるな」

転「博学なんです。コッコッコッコッコケッコー」

男「とにかく飲んでみな。ほら、熱いから気を付けろよ」

転「………」ズズズ

男「どうだ?」

転「……まづい」

男「……そうか。そうだよな。しょせんは見よう見まねだし」

転「これは新手のいじめですか?私が風邪で弱ってるからって…」

男「た、卵酒は風邪に効くんだよ!昔お袋がよく作ってくれたんだ」

転「ふーん…」ズズズ

転「まづい!そして熱い!」

男「……もう金輪際作らん」
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 23:55:37.27 ID:JlxfQoSO
転「よくもまぁこんなまづいもの飲ませようと思いましたね」

男「わ、悪い」

転「あなたは飲んだんですか?」

男「いや、飲んでない」

転「飲め!そして苦しめ」ガッ

男「やめ…がぼっ!」ゴクゴク

転「はははは!」

男「……ぐあっ!まづい!」

転「思わずまずいじゃなくてまづいと口にしちゃうでしょう!」

男「くっ………ん?」

転「はははははー」

男「おい、顔真っ赤だぞ」

転「はははははぁ?」

男「……まさか」
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/14(月) 23:56:45.08 ID:ipro1Fco
これは期待してよろしいか
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/15(火) 00:03:56.06 ID:70T8RkSO
男「……熱燗」

転「はぁい?」

男「間違いない…卵酒で……酔っぱらいやがった…!」

転「酔ってないですよ!私を酔わせたらたいしたもんっすよ!」

男「そのネタを持ってくるあたり確実に酔ってるだろ」

転「実はぐだんぐだんでべろんべろんなんですけどねぇ」

男「…み、水飲むか?」

転「水なんていらないですよ…酒が足りねぇんですよ…あとつまみも…」

男「いや…これ以上飲んだらどうなるか…」

転「私が酒なぞに呑まれるかーっ!今すぐ持ってこーい!」カーッ

男「これは…やばいことになったぞ」

転「早く!ひっぱたくぞー!」

男「どこの駄目オヤジだ!ええい、どうにでもなれ!」ダダダ
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/15(火) 00:12:57.03 ID:70T8RkSO
男「焼酎と…あとさけるチーズです…」

転「よろしい!では…」ガッ

男「なっ…!?」

転「いただきます…」ガブガブ

男「お前は本当にバカか!直に口つけて焼酎飲むやつが…」

転「おちょこないじゃないですかー!」ゴブゴブ

男「いろいろとまずいから、マジでやめろ!」

転「私は酒豪だーっ!地獄一の酒豪になるんだーっ!!」ゴクーッ

男「やめろおおおお…!」
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/15(火) 00:22:05.07 ID:70T8RkSO
男「飲みきったっ…!1リットルを…息継ぎもせずにっ…!」

転「……あー体が熱いー…」バタン

男「あ…」

転「えへへ……世界が…私を中心に回ってる…」

男「……はぁ。バカだな、お前は」

転「……バカでも、楽しければいいんです」

男「…え」

転「分かったら酒だぁ!酒が足りないんだよぉ!」

男「もうないんだっての!」
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/15(火) 00:30:21.83 ID:70T8RkSO
5分後

転「……」ポヤーッ

男「おい、どうした。昇天されたか?(地獄だけど)」

転「…熱い」

男「まぁ卵酒は発汗が目的だし…」

転「違うんです…体が火照って…ああ、もう…」

男「……はい?」

転「男さぁん…」ギュウ

男「うお…ちょっ…」

ドサァ

転「捕まえたぁ…」

男「お、おい…やめろよ酔っぱらい…」

転「もう離さないですよ…」スリスリ

男「うわっぷ…酒くせぇ…」
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/15(火) 00:38:15.05 ID:70T8RkSO
アンケート取ろうかしら
@エロ展開(微)
Aエロいらね

お好きな方をお選びください
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/15(火) 00:40:22.93 ID:vY5p6YIo
作者のお任せだなー
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/15(火) 00:44:19.29 ID:70T8RkSO
>>723
じゃあいらないか
エロ書くの難しいし、テンコはエロには向かないし
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/15(火) 00:46:51.99 ID:Z6z.vTco
うむ
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/15(火) 00:54:37.13 ID:70T8RkSO
ではおやすみなさい
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/16(水) 16:45:20.91 ID:18PtXfco
ここで終わりにするとかの発言があるでもなく

アンケート→じゃあねーの展開に吹いたわ
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/17(木) 10:39:53.90 ID:RvzjZhM0
これ、バトル路線で固定されたの?
最初のほのぼのが好きだったんだけどなぁ
まぁこれはこれでなかなか面白いけど
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/17(木) 16:30:16.17 ID:ZWWDAIDO
バトルとほのぼの、両方楽しめていいと思うけどな。
テンコ達のほのぼのでは見られなかった一面も見られる。
それに、バトル後はおいしい流れになったじゃないか。
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/17(木) 17:32:34.56 ID:6AOI7gco
おい、エロ書けよ
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/18(金) 05:26:58.03 ID:yQccvwAO
続きが気になる支援
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/19(土) 18:57:28.76 ID:9VJPHADO
エロ希望
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 17:50:15.54 ID:OfGfVGoP
エロいらねの方でー
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/20(日) 19:31:32.59 ID:tAfZdoSO
転「ふふ…ふふふふふふ…」スリスリ

男「やめろーっ!目が渦巻いてるぞ!」

転「男さァんは…誰にも…」ゴゴゴゴ

男「喰われるー…!」

転「渡さ……なァい……」フラ

男「……え?」

転「…がくっ」バタッ

男「……」

男「もう、おとなしく寝てろよ」
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 19:46:34.95 ID:tAfZdoSO
地獄

?1「ロキがやられた?」

?2「……ほう。あの鋼鎧を…興味深いのう…」

?3「………天使?」

使者「それが…天使ではなく悪魔だと言うのです」

?3「…………誰?」

使者「……シャル・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ」

?2「…聞いたことあるようなないような…年のせいかはっきりせんわい」

?1「……ああ、あれか。ルシファル・トリアンテ・ランバの娘だな」

使者「はい。しかし我々にも、なぜ王族の人間である彼女が…」

?1「どうせロキからふっかけたんだろ?あいつにゃまだ単純な青さがある。俺ら上級悪魔の中じゃ一番の新入りだしな」

?3「……報告、それだけ…?」

使者「は、はい…」

?3「帰って、いい?」

?2「わしも帰るかの…。あまり長く話なんてしてると、腰が上がらなくなっちまうわい」

使者「……で、では、お帰りはこちらから…」

ザッ ザッ ザッ  ザッ

?1「……おい、ドアボーイ」

使者「はい」

?1「ご苦労さんだったな。こういうのは初めてだろう」

使者「…いえ、非常に良い経験になりました」

?1「そうかいそうかい……じゃあな」

ドシュンッ
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 19:55:12.26 ID:tAfZdoSO
転「……はっ」パチ

男「…よぅ」

転「……私、なんでまた寝てるんですか?」ガバッ

転「あァッ!頭が…!」

男「……バーカ」ブン

転「?まく……らァッ!」ボスッ

男「…もう4時だ。そろそろイン辺りが帰ってくるな」スクッ

転「あ、あの…」

男「あ?」

転「怒ってるんですか?」

男「当然だぁ!」

転「ひぃ!」ビクッ

男「お前がのしかかってきた拍子にな…机の角に頭打ったんだよ!」

転「……はぁ」

男「めちゃくちゃ痛かったんだぞ!」

転「……」

男「……」

転「ご、ごめんなさい」

男「よろしい」
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/20(日) 19:59:04.96 ID:tAfZdoSO
転「あ、あの」

男「今度はなんだよ」

転「今思い出したんですけど、実は私…」

男「ん?」

転「……っ」

男「なんだよ。気になるだろ」

転「明日……帰らなくちゃいけないんです」

男「ああ、知ってるよ」

転「えっ」

男「夢で聞いたんだろ?シロが今朝話してくれたよ」

転「えっ」
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 20:17:17.80 ID:tAfZdoSO
男「あ、悪い…それで、なんだって?」

転「えっと…あー、とにかく、明日帰ります」

男「まだ1日あるな」

転「はい……」

男「…どうした?」

転「もっと…動揺するかと…」

男「お前が寝てる間に十分動揺したさ」

転「……泣いたりするかと」

男「いやいやさすがにそれはないって。泣くとしたら帰る直前or直後だな」

転「……何も言えなくなっちゃったじゃないですか」

男「ははは」

転「私っ…かなり悩んでたんですよ!」

男「そんなふうには見えなかったな」

転「だって…さみしいじゃないですか!」

男「……いいか、テンコ。そういう話にはタイミングがあるんだ。今はまだ早い。24時間回ってもたぶんまだ早い」

転「……」

男「あと1日待てよ。帰る前に好きなだけ聞いてやる」

転「……はぁ」ポカーン
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 20:26:14.89 ID:tAfZdoSO
男「…さ、風邪薬持ってきてやる」スタスタ

バタン

転「……」

転「えー…」


クロ「ただいま」ガチャ

男「お、早かったな」

クロ「飛んで帰って来ちゃったわ」

男「『バイ・セカンド』使えるようになったからって、さすがにまずいだろ…」

クロ「そうね……姉さまは?」

男「起きてるよ」

クロ「…ねぇ、男…実は……」

男「明日帰る、って話ならもう二度聞いた」

クロ「え」

男「…違ったか?」

クロ「あ、いや、その話よ。なんだ。聞いてたのね…」

男「……なぁ」

クロ「なに?」

男「これ…風邪薬。テンコのとこに持ってってくれ」

クロ「どうして私が?」

男「いいからいいから」

クロ「……」

スタスタスタ…
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/20(日) 20:40:30.28 ID:tAfZdoSO
ガチャ

転「……クロ」

クロ「姉さま、大丈夫?」

転「まぁ…しょせんはただの風邪ですし…」

クロ「…これ。薬」スッ

転「どうも…」ヒョイパクゴクー

クロ「…分かってるわよね。明日、帰ること」

転「あなたまでそれを言いますか」

クロ「当然よ…大事なことなんだから」

転「大事?」

クロ「天使と一悶着あったって、冷静に考えるとかなり大変なことよ。ましてや地獄でも天国でもない、この地上で」

転「…だったらなおさら帰りたくないです」

クロ「ふざけないで」

転「……」

クロ「悪い癖ね。そうやってワガママ言って」

転「ワガママじゃないです、本音です」

クロ「同じよ!……帰りたくないなんて、言わなくても分かってるわ」

転「…でも、帰らなくちゃいけないんですか」

クロ「そうよ」

転「……しゃあないか。私たちだって立場上、好き勝手できるものじゃありませんし」

クロ「…立場上、ね」
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 20:53:26.28 ID:tAfZdoSO
ガチャ

男「…お、イン」

イン「ただいま。明日…」

男「いきなりそれか。明日お前たちは帰らなきゃならない。知ってるよ」

イン「それもあるけど…そっちじゃなくて」

男「?」

イン「明日……」


クロ「あなたが戦った『四人目』…。あれ、天使じゃないそうね」

転「…悪魔です」

クロ「ただの悪魔にしては、ずいぶん大きな力を持ってたみたいだけど?」

転「……上級悪魔、知ってますよね」

クロ「ネオンテーゼ!?でも彼らは王の護衛が役目じゃ…」

転「形だけですよ。実際は強力な悪魔が6人集まっただけの集団…。その役目を果たす時が来るとしたら、きっと悪魔と天使の『最終戦争』の時だけでしょうね」

クロ「……じゃあ姉さまは、その上級悪魔を倒したの?」

転「実質負けてましたけど、追い返しはしました…。自分でも信じられないけど」

クロ「…どおりで酷いケガしてるわけだ」

転「……」

クロ(でも…上級悪魔と戦って生き残り、且つその傷を1日で治し切る…。やっぱり姉さまは、ただの悪魔じゃないわ)

転「とにかく私は、処罰を受けるんでしょうね」
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 21:24:57.55 ID:tAfZdoSO
クロ「…処罰ね」

転「…帰りたい帰りたいって、最初は散々思ってたのに」

クロ「……」

転「今になっちゃ、帰れば処罰が待っている…」

クロ「…ツイてないわね」

転「本当にそうですよ」

クロ「……」

転「やりきれないですよ」

クロ「まったくね」
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/20(日) 21:35:11.43 ID:tAfZdoSO
男「そうか、明日か…忘れてたな。お前は出たいのか?」

イン「出たいって言うか…せっかくの機会なんだし、やってみたいと思って…」

男「そうだな。もうこれっきりだしな。よし、明日は一緒に行くか」

イン「ありがとう!」
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 21:36:08.27 ID:sCYE142o
む?
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/20(日) 21:42:46.86 ID:tAfZdoSO
男「おーい、そろそろ飯だぞ」ガチャ

男「…!」

転クロ「…すー…すー……」

男「クロまで寝てんのか……起きろー」

転「………う」パチ

クロ「……っ」ブンッ

男「うおっ!」

転「ぐっすり寝てるクロをむやみに起こさないほうがいいですよ…」

男「起こすとパンチか」

転「はい。…クロ」

クロ「……」パチッ

男「なんでお前が一言声かけるだけで起きるんだよ!おかしいだろ!」

クロ「姉妹の絆よ」

男「知らねーよ」
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/20(日) 21:59:32.28 ID:tAfZdoSO
男「今日はみんなで何か食べに行こうぜ」

転「外食!」

クロ「本当に?」

男「そんなにうれしいのか」

転「私、日本の本物のお寿司食べたことないんですよね」

クロ「地獄でも食べたことないけどね」

男「まぁ、4人で相談して決めろよ」スタスタ


イン「お寿司かぁ…おいしいのかな…?」

シロ「行こう行こう!」ピョンピョン

男「あれ?姉妹ってのはもっと争うものかと…」

転「いいから早く行きますよ!ほら!財布持って!」

男(すまんお袋。勝手に寿司なんて食って。回る寿司ならセーフだよな…?)

クロ「早く!」

男「分かったよ…!」
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 22:09:47.83 ID:tAfZdoSO
回転寿司 狂繰鮪

ガーッ

店員「らっしゃい!」

男「お…結構空いてるな。平日だからか」

店員「カウンター席かテーブル席か、どちらにされますかね」

男「どっちがいい?」

転「カウンター!」

クロ「テーブル!」

イン「カウンター!」

シロ「てーぶる!」

男「……カウンター!」

クロシロ「ああっ!」


男「ほら、カウンターだと作ってるとこが見えるんだ」

シロ「ほんとだー…」

クロ「ねぇ、これ、取っていいの?」

男「ああ。どんどん取ってけ」

イン「シロ、どれが欲しい?取ってあげるよ」

シロ「……あの、赤いの!」

男「中…トロ…?」

転「食べたことないけど、なんとなく高いってのは分かります」
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 22:15:34.84 ID:tAfZdoSO
イン「高いの?」

男「え?…まぁ、高いと言えば高い。何より、初めて食う寿司がこれってのはなかなか…」

イン「じゃあ、違うのにしようか。ぬ、シロ」

シロ「うん。…あっ!あれ!」

イン「どれ?」

シロ「ツナ!ツナがのってる!」

イン「これだね。はい」コトッ

シロ「わーい!いただきまーす」

男(シロはいい子だな…経済的な意味で)

男「さて、俺は好物のエンガワでも…」

スッ

クロ「あ」

男「あ」
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/20(日) 22:24:54.08 ID:tAfZdoSO
クロ「……」プルプル

男「……」プルプル

クロ「早く離してもらえないかしら?」プルプル

男「いやいや…先に取ったのは俺ですから」プルプル

クロ「…お皿が…宙で震えるなんて…普通じゃないわね…」ブルブル

男「そうだな…お前がさっさと…離せば…事足りる…」ブルブル

ヒョイ

転「あーん……」パクッ

モグモグモグ

クロ「……」

男「……」

転「…美味」ゴクン

クロ「な…何が美味よ!返しなさいよ!」

男「だいたいお前、いつの間に5皿も食ってんだよ!」

転「ああもううるさいなぁ…好きなもの喰えって言ったじゃないですか」カチャ

男「中トロ!…やめろ!やめろー!」

パク

男「」
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 22:34:59.95 ID:tAfZdoSO
男「ちくしょおおおお!」

クロ「もう何でもいいわ。とにかく食べてやるんだから」スッ

イン「なんだろうこのした赤いやつ…魚じゃないよね…」プチプチ

シロ「たまごー♪」パクッ

転「うまいうまい」バクン

男「…まぁいいか。思い切りタラバカニ頬張ってるやつもいるけど」カチャ
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/20(日) 22:43:15.22 ID:tAfZdoSO
30分後

男「やっぱやめろ!お前ら食いすぎだ!」

転「30分も放っておいて何言ってるんですか…」

男「だってお前…4人で70皿以上って…普通じゃないだろ!」

クロ「私たち初めてだから、その普通が分からないの」

男「ああ、もうっ!」

イン「もう、食べちゃダメ?」

シロ「まだまだ食べれるのに…」

男「……」

男「あと、二皿ずつだぞ」
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 22:54:09.33 ID:tAfZdoSO
転「じゃあ私これにします」カチャカチャ

男「……!!??」

男(ウニ、大トロ…!?皿が光ってやがるっ…!)

男「な、なぁテンコ…?そういうのは食う数に制限ってのが…」

転「知りませんよ」パクパク

男「わーっ!一気に食った…!!」

クロ「静かに食べなさいよ…」パク

男「あっエンガワ!流れてたのか!」

クロ「……食べる?」

男「く、くれるのか?」

クロ「この哀れな人間にエンガワを一貫分けていただけないでしょうかクロ様」

クロ「…ってお願いできたら、あげるわ」

男「……」

男「コノ哀レナ人間ニエンガワヲ一貫分ケテイタダケナイデショウカクロ様」

クロ「棒読みは減点ね…。ワサビでも舐めてなさい」パク

男「わーーっ!!悪魔ーっ!」

クロ「悪魔よ」
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/20(日) 23:02:51.19 ID:tAfZdoSO
イン「僕は…どうしようかなぁ…。二つなんて選べないよ…」

シロ「これとこれーっ♪」ヒョヒョイッ

イン「……こうなったら、目を瞑って触れたものを食べるっ!」スッ

男「ったく…テンコもクロも…寿司を食う資格がない!それに対してシロは…」

シロ「…?」モグモグ

男「ツナに玉…。素晴らしい。天晴れ回転寿司だな」

イン「これだぁっ!」バッバッ

男「……!?」

イン「えっと…これは」

男「メロンにプリン…寿司ですらねぇや」

イン「み、みんなで少しずつ分けよう」

男「おお神よ、上の子二人と下の子二人、一体どうしてここまでの差がついたんでしょうか」
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 23:08:36.97 ID:tAfZdoSO
男「さ、食ったな?」

転「……」ジーッ

男「物欲しそうな目でカニが乗ってた皿を見るな」

転「じゃ、もういいです。ごちそうさま」

クロ「ごちそうさま」

イン「ごちそうさまでした」

シロ「ごちそーさま!」

男「……さて、レジに行くのが怖いぜ」ビクビク

転「私たち先に外出てますね」

男「お、おう…」

店員「お会計…26950円になります」

男「にまんろくせんきゅうひゃくごじゅうえん」

店員「はい…」

男「」
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 23:15:36.94 ID:tAfZdoSO
ガーッ

クロ「出てきたわ」

イン「……死神みたいな顔だね」

男「ある意味死んだよ…」

シロ「…男おにいちゃん」

男「…ん?」

シロ「おいしかったよ!」ニコッ

男「……あーなんかもう全部許せちゃうわ」

転「……」ニヤリ

男「ただしてめえは一生許さんからな、テンコ」

転「…!」ビクッ

男「まぁいい……帰るか」

転「…はい!」
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 23:24:18.95 ID:tAfZdoSO
久々に頑張ったら疲れた
次こそ第一章を完結させるつもりです…
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/20(日) 23:33:22.28 ID:MNt3pEDO
1乙!
今回も楽しかった
次回も期待
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/21(月) 20:04:19.65 ID:3IRMescP
いいイベントだったな
特にカウンターとテーブルの言い合いが面白かったww
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [クリスマス編]:2009/12/24(木) 22:34:04.50 ID:YevkskSO
男「今日はクリスマスだぞ」

転「あれ?夏って設定じゃ…?」

男「一時的に忘れろ」

転「はぁ…」

男「で、お前らは…その…欲しいものとかあるのか?」

転「プレゼントしてくれるんですか?」

男「ば、バカ!するわけないだろ!聞くだけだ!」

クロ「私、新しい服が欲しいわ」

男「どんな服?」

クロ「…真っ黒なドレス?」

男「やっぱり黒か」

イン「僕はあれが欲しいんだ」

男「あれ?」

イン「ほら…あの…ふわふわした…」

男「ふわふわ?」

イン「それで…ちっちゃくて…わんって鳴く…名前何だっけ…」

男「トイプードル?」

イン「トイプードル!それだよ!」

男「犬が欲しいのかよ」

イン「でも…僕にはシロがいるしなぁ…」

男「ペット扱い?」

イン「可愛いって意味だよ!シロはペットじゃない!」
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [クリスマス編]:2009/12/24(木) 22:38:01.79 ID:YevkskSO
男「お前は何が欲しいんだ?」

シロ「シロは…」

男「ぬいぐるみとか?」

シロ「ううん」フルフル

男「じゃあ、なんだ?」

シロ「……」チラッ

イン「…僕?」

シロ「……」コクン

イン「シロ…シロぉ!」ガバッ

シロ「おねえちゃん!」ダキッ

男「仲良すぎだろ…。さ、最後はお前だな」

転「私は…」

転「……」

転「……」

男「胸?」

転「ッシャアァア!」ブンッ

男「嘘!嘘!ゴメン!」
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [クリスマス編]:2009/12/24(木) 22:43:25.31 ID:YevkskSO
男「最後は…女!」

女「え?え?私!?」

男「ああ。何が欲しい?」

女「…欲しいって言うか、欲しかったものならあるよ」

男「なんだ?」

女「……」

男「……」

女「…出番」

男「」

転「一番最初から登場してるし、本来ならヒロインですよね…」


ちょっと遅いけどメリークリスマス
もう少しだけこの話にお付き合いしていただけたらうれしいです
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/24(木) 22:46:51.19 ID:WMG1z8Mo
最後まで付き合うぜ
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [ここから再び本編]:2009/12/24(木) 22:59:48.35 ID:YevkskSO
ガチャ

男「ただいまー…」

転「ふー…」ドサッ

男「あっ!いきなり横になるなよ!」

転「いやぁ美味しいもの食べた後って眠くなるじゃないですか」

男「うし…じゃなかった。鳥になるぞ!」

クロ「鶏でしょ」

男「大差ないだろ!」

イン「でも、僕たちも眠くなってきちゃった…」

シロ「うん……」

男「…ちゃんと歯磨けよ」

インシロ「はーい」

クロ「…あなたってインとシロには優しいわよね」

転「そーですよ。私たちにももっと優しくするべきですよ」

男「だってあの二人はいい子じゃないか。お前らと違って」

クロ「…否定は」

転「できません…」

男「……でも、お前らにも、ちゃんと優しくしてただろ?」

クロ「……そうね」

転「そうですかぁ?」

男「またそういう生意気な…」ギュウ

転「いたたた…」

男「……明日は」パッ

クロ「…?」

男「悔いのないように、かつやりすぎないように」

転「…言われなくてもそうしますよ」
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/24(木) 23:02:09.79 ID:4IdaLuUo
もっと女の出番を!!!!
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/24(木) 23:09:36.31 ID:YevkskSO
男「じゃあもう電気消すぞー」

クロ「ええ」

パチッ

シロ「おねえちゃん」モゾモゾ

イン「ん?」

シロ「あした…」

イン「うん。そうだよ」

転「二人とも早く寝てくださいよ」

シロ「うん」

イン「おやすみなさい」

クロ「……姉さま」

転「何ですか…私も早く寝たいんですけど…」

クロ「おやすみなさい」

転「…おやすみ、クロ」


男「……」

男「明日、か」

男「……おやすみ」
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/24(木) 23:21:37.56 ID:YevkskSO
翌日

男「…あー…だりぃ…」ムクッ

男「調子に乗って寿司なんか食うからか…。やっぱ肉食わなきゃ力が出ないな…」

男「さて…やってるかな」シャッ

男「……準備してんのか?ありゃ」


転「…はぁー…だるい…」ムクッ

クロ「…朝から何言ってんのよ」

転「だるいものはだるいんだからしょうがないでしょう」

クロ「自己完結してるじゃない」


イン「……」ジーッ

シロ「……」ジーッ

転「あの二人は何を見てるんですか?」

クロ「外に何かいるのかしらね」

男「…よう。おはよう」

転「おはようございまーす…」

クロ「ねぇ、あの子たち何やってるの?端から見てて不気味なんだけど…」

男「ああ…そっか。お前らには言ってなかったか」

クロ「?」
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/24(木) 23:29:05.14 ID:YevkskSO
男「覚えてるか?回覧板」

転「廻爛播…?」

クロ「あら…デジャヴ…」

男「今日は年に一度の町内運動会だ」

転「運動会…?」

男『ああ、町内運動会のお知らせだ』

転『運動会ですか?』

男『毎年恒例の行事だ。近くの小学校のグランド借りて、運動会やるんだよ』

転『なるほど』

転「あっ」

男「お前らあの時は『面倒だから出ない』とか言ってたよな」

クロ「で…出る!やってやるわ!」

転「私も出ます!すっごく怠いけど!」

男「よし」

男(俺も小学生の時以来だけどな)

イン「早く支度して、みんなで行こうよ」

男「まずは飯食って、それからだ」
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/24(木) 23:36:33.31 ID:YevkskSO
転「運動会ねぇ…」

男「地獄にもあるのか?」

転「運動好きな連中を集めてやったりしてましたけど、ぶっちゃけグダグダでしたね」

イン「グダグダかなぁ…。僕は好きだけど」

クロ「あの独特の雰囲気は嫌いじゃないわ」

シロ「シロ、初めてなんだよ」

男「そーかそーか。待ってろ。弁当作ってやる」

シロ「わーい!お弁当!」

転「……確か中学(地獄には存在しない概念だが)で、一回実際に参加してみましたけど」

男「どーだった?」

転「誰かさんのせいでめちゃくちゃにされました」

男「?」
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/24(木) 23:50:32.72 ID:YevkskSO
AM9:13 六敷小学校グラウンド

転「へー。結構いろんな人がいますね。老若男女問わず」

男「この辺じゃ一番規模がでかい行事だからな」

クロ「あら?あれ…」

男「女?」


女「いち、にい、さん、し…」グッグッ

男「よ」

女「わぁっ!びっくりした!」

男「びっくりしたのはこっちだよ」

女「男くんも出るの?」

男「こいつらと一緒にな」

女「私は毎年出てるけど…男くんは久しぶりだよね」

男「そーだな。今年も出ないつもりだったんだけど…」

『出場される方々は、チームで受付まで…』

男「チーム?」

女「うん。去年からね、3人以上のチーム単位で競うことになったんだよ。人をより多く集めるためだって」

男「へぇー。やる方も考えてるんだな」

女「あ、そうだ!男くん、私とチーム組も?みんなも一緒に」

男「え…じゃあ…」チラッ

転「…やりましょう」コク

男「…よし。ただし、チームリーダーは俺だからな」

女「うん!」
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/25(金) 00:00:58.12 ID:rHdByoSO
男「えーっと…チーム1、点呼するぞー」

転「はい?」

男「いや、お前のことじゃないよ。1番」

転「はい」

男「結局お前なんだけどな。2番」

イン「はい!」

男「最強のチームだな!」

転「私が絶好調ならね」

男「病み上がりにはキツいか?」

転「いえ、今日は女の子の日で…」

男「えっ」

転「ウソですよ」

イン「女の子の日?」

転「私たち悪魔には関係ありませんね」


チーム1 リーダー男 選手 テンコ イン
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/25(金) 00:09:03.15 ID:rHdByoSO
女「チーム2!目標は優勝です!」

クロ「もちろんよ。そのためなら手段は選ばないつもりだからね」

シロ「ゆうしょうするとなにかもらえるの?」

女「参加賞がジュースで、優勝賞品はメダルとアイスでーす!」

シロ「アイス…!」キラキラ

クロ「スイッチ入ったわね」

女「さ、行くぞー!」

チーム2 リーダー 女 選手 クロ シロ


町長「見ない顔のやつらがいるな…まぁ勝つのはわしの可愛い孫が率いる最強チームだがね…」

孫「任せてよお爺ちゃん…僕がぶっちぎりで優勝するから…」

チーム3 リーダー 町長の孫 選手 腰巾着 ヒモ
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/25(金) 00:17:12.24 ID:rHdByoSO
『第一種目は100m競争です。チーム毎に出場する選手一人を決め、テントまで集まってください』

男「本格的だなぁ…さ、どっちがやる?」

イン「どっちがって…まるで自分はやらないみたいな言い方だね…」

男「や、やるよ!俺は最初はさ、雰囲気に慣れることから…」

転「私がやります。100m走」

男「!」

転「格の違いを見せてやりますよ」

男「い、一応手加減しろよ?いきなり全力出すなよ?」

イン「姉さんにそんなこと言っても意味ないよ…やると決めたら手を抜けない性質だから…」

男「む…」


クロ「私がやるわ」

女「えっ!」

クロ「男チームは間違いなく姉さまを使うわ。対等に競えるのは私だけよ」

女「100m走に対等もなにもないんじゃ…」

クロ「たかが100m、されど100mよ」

女「はぁ…」
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/25(金) 00:18:42.72 ID:rHdByoSO
今日はここまでにします
年内に第一章は終わる…かな?
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/25(金) 00:21:32.18 ID:iuAaTMEo
しかし時間が経つのは早いなあ
8月にスレ立ってからもう12月か
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/25(金) 00:24:08.82 ID:rHdByoSO
4ヶ月かけてもスレは消費できませんね
まあこれまで気長にやってきたんですし、これからも気長にやらせていただきます
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/25(金) 10:08:17.22 ID:KX08O160
今のうちに二章?に関係してそうな伏線探してみるわ
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/25(金) 17:51:10.20 ID:D59HfSAo
>>776
見つけたぞ


転「……」

男「胸?」

転「ッシャアァア!」ブンッ

男「嘘!嘘!ゴメン!」
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/26(土) 04:02:54.83 ID:.yeq0KUP
染髪の次は整形か・・・
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/27(日) 22:24:53.37 ID:i6nTjUSO
孫「さぁ…まずは元高校短距離走記録保持者の息子!腰巾着!」

腰「オッス!」

孫「ここで1位を獲るなんて…言うまでもないか」

腰「モチのロンで!」

孫「行けっ!」


『えー…選手の紹介をします。第一レーン、イナヅマの木村』

木村「っす」ペコッ

キャー イケメーン カッコイイー!!

『第二レーン、初出場、クロ』

クロ? ドコノクロダヨー ッテカワイクネ?

『第三レーン、同じく初出場、テンコ』

テンコ? シラネー ナンカヨワソウナカオシテンナー

『第四レーン、毎年恒例運動会の覇者、町長の孫の腰巾着!』

腰「ウッス!」

男「なんかごっついな…」

女「あの人…すっごい速いよ…」

イン「頑張って、姉さん…」

シロ「……」ジーッ


『それでは行きます。位置に着いてぇー。よーい…』
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/27(日) 22:36:58.60 ID:i6nTjUSO
パンッ!!

シロ「!」ビクッ


腰「ぬああああ!」ダダダダダ

『腰巾着選手、スタートダッシュを切りました!速いです!』

木村「楽にゴールしちゃって〜」タタタタタ

クロ「……」タタタタタ

転「100m…あそこまでか…」タタタタタ

『さぁ、勝負はあっという間で…?』

木村「ちょ、待てよ!」タタタタタ

腰「ぬああああ!……?」

転「……すいすいすい〜っと」タタタタタ

『初出場テンコ選手、ものすごいスピードです!フォームはダルそうなのに!』

クロ「……あら、このままじゃ負けちゃうわ。…ちょっと本気を出そうかしらね」タタタタタ

『クロ選手もさらに加速!あっという間にテンコ選手に追い付こうとしています!』

腰「5年連続優勝の俺を舐めるなよ…ウウウウウウウウウッス!!!」ダダダダダ

『あーっと!あのフォームは伝説の…』


パァン

腰「…あ?」

『……えー、腰巾着選手、伝説のフォームを使うのが遅かったそうです。ゴールテープを切ったのは…』

転「私ですね」

クロ「私よ」

『……クロ選手!』

クロ「…よしっ」グッ

転「…ま、今のは準備体操ですから」

クロ「捨て台詞ね」
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/28(月) 17:43:24.88 ID:gaW3fsDO
続きが投下されている!
ありがたやー
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/30(水) 13:25:29.01 ID:Ph.AdkDO
1はお正月どうするの?
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/30(水) 22:20:14.55 ID:WI9O8kSO
お正月休みで、4日ぐらいまで書けません
年内の完結を期待していた人がいたらごめんなさい
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/30(水) 23:23:41.40 ID:mI3unjAP
了解した。
来年でもドンとこいだー
785 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/03(日) 12:37:33.25 ID:fw9rXASO
しかし寒いな
786 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 21:24:25.77 ID:3XLhuwSO
久しぶりに再開します
787 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 21:43:29.96 ID:3XLhuwSO
女「クロちゃんすごいよ!1位だよ!」

クロ「私も姉さまも、まだまだ本気じゃないわ」

シロ「でも、ちょっとあせってたよね!」

クロ「………」


転「はぁーっ。負けた。調子乗りすぎた…」

イン「ま、まだ大丈夫だよ!次は絶対に勝てるよ、ね?」

男「そ、そうだな!」

転「はぁーテンション下がるぅー…」


孫「……」ギリギリギリギリ

腰「……」

孫「三位ってどういうことだよ!」

腰「す、すみません…」

孫「僕の期待を、お爺ちゃんの期待を裏切るつもりか!」

腰「そ、そんなつもりは…」

『第二種目は障害物競争です。チーム毎に…』

ヒモ「次は私が行きましょう!」

孫「ヒモ…お前は僕を裏切らないよな?」

ヒモ「もちろんでございます。私の華麗なRunで貴奴らめを打ちのめして見せますよ…」

孫「よし、行ってこい!」バッ
788 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 21:52:25.98 ID:3XLhuwSO
女「私たちのほうは…」

クロ「私が二度続けて走る?」

女「それは大変だよ…」

シロ「じゃあ、シロがやりたい!」 

クロ「あなたに障害物競争は無理よ」

シロ「……」ショボーン

女「…よし!私が行く!私だって10年連続出場ってキャリアがあるんだから!」

クロ「それじゃ、任せるわよ」

女「うん!……あれ?リーダーは私だよね?」


男「向こうは女が来るだろうな…」

イン「じゃ、僕が行くよ!」

男「いーや!あいつの相手は俺がやる」

イン「どうして?」

男「テンコはだれてるし、インじゃ力の差が大きすぎる」

イン「??」

男「あいつ、基本的に運動できないんだよ。毎年やってるらしいけど…。お前ら悪魔が相手じゃ流石に可哀相だろ?」

転「要するにナメてるんですね?」

男「い、いや…ナメてはいない!たぶん!」

転「ま、私は止めませんよ」

イン「頑張ってね!」

男「おうっ!」スタスタ

転「しかし…」

イン「?」

転「女さん相手に、勝つことができるんですかね…一人の男性として」
789 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 22:04:18.76 ID:3XLhuwSO
『第二種目障害物競争、選手の紹介をします。第一レーン、裸のクサナギ!』

草「裸になって何が悪い!」

クサナギー フクヌグナー キメェ

『第二レーン、今年も変わらぬ気合いと根性!今年は成果を出せるのか?女ぁー!』

女「よーっし!行くぞー!」

『第三レーン、女ちゃんに続く現役高校生、男ぉー!』

男「うわー結構緊張するな…」

『第四レーン、今大会ではどんな美しい走りを見せてくれるのか!全日本演劇大会(?)青年の部王者、町長の孫のヒモー!』

ヒモ「フフフ…」

転「なんだあれ」

イン「早いのかな…」


『それでは行きます。位置に着いてぇー。よーい…』
790 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 22:15:38.09 ID:3XLhuwSO
パンッ!!

『さぁ、スタートダッシュを切ったのは、男選手!』

男「?普通に出たんだけどな」クルッ

女「お、男くん、早いよぉ…」ノロノロ

ヒモ「……」

男「女は相変わらず遅いのか…あのヒモってやつに限ってはポーズ決めてるだけだし…」

草「シンゴー!シンゴー!」バタバタ

男「もう知らんっ!」ダダダダダ

『男選手、なかなかのスピードです!』

ヒモ「そこまでだ!」

女「へ?」

男「ん?」ピタッ

ヒモ「ここからは私の独壇場さ!さぁさぁ行くぞー…!」ダダダダダ

男「うぉ!早い!抜かれちまう!」

ヒモ「まずはハードル!ていっ!」サッ

女「えーっ!?」

『な、なんと、前屈姿勢でハードルを跳ばずに駆けて行きます!素晴らしいフォーム!早さ!』

男「あの走り方アリなのかよ!クソッ!」タンッ

ヒモ「早さが違うわ!」ダダダ

『ものすごいスピードです!そのまま網までやってきました!どうやってくぐっていくのでしょうか!?』

ヒモ「ハハハハハ!」スッ

女「うそーっ!?」

男「なんだあいつ!?」

『なななななんとぉ!くぐり抜けずに、網の結び目だけを踏んで走っています!これなら引っ掛かって転ばない!素晴らしい!』

男「だからアリなのかよっ!」モゾモゾ
791 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 22:29:37.33 ID:3XLhuwSO
ヒモ「最後は…平均台か!ぬるいね!」バッ

『ヒモ選手、高く飛び上がった!』

男「まさか…!?」

ヒモ「ローリング平均台爆転!!」

『意味不明なネーミングだー!しかしすごいっ!平均台を爆転で進んでいます!あの狭い台に手を付け、三度爆転し…』

ヒモ「ゴー……」

女「男くーん!」

男「な、なんだよ!」

女「最後の一番高いハードルが、越えられないよー!」

ヒモ「……」ピタッ

男「……そういうときはな!這ってでも進むんだよ!」ダッ

『おーっと!?男選手!女選手の元に走ります!レースを放棄したのか!?』

男「一緒に行くぞ!ほら、せーのでジャンプだ!」

女「お、男くん…」

男「…せーのっ!」ピョン

女「わわわっ!」ピョンッ

スタッ

男「ほら!転ばなかった!まだ諦めんなよ!」

女「…うん!」
792 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 22:31:37.83 ID:3XLhuwSO
ヒモ「……これは」

『ヒモ選手、立ち止まってしまった!ゴールは目の前だぞー!』

ヒモ「なんと美しき友情!そうだ!大切なのは一人で簡単にゴールすることではない!皆で共にゴールすることなんだ!」ダッ

『!?ヒモ選手まで彼らの元に走って行く!なんだこのレースは!』

男「あんた…」

ヒモ「さぁ、一緒に行こう!」

女「ヒモさん…」

草「僕もいいかな?」

ヒモ「君はまず服を着なさい!さぁ、さぁ!友情のゴールテープを切ろう!」

『四人で一緒に走っています!これは町内運動会の歴史に残る素晴らしいレースです!』

ヒモ「さぁ、共にゴー…」

パラッ…

『ゴール!一着は男!二着は女!三着はクサナギ!ドベはヒモです!』

ヒモ「えっ」

男「あんた良い奴だな!ありがとう!」

女「また来年も、一緒に走ろうね!」

ヒモ「えっ」
793 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 22:40:00.05 ID:3XLhuwSO
男「テンコー!インー!やったぞ!1位だ!」

転「ひどい勝ち方でしたね」

イン「途中で泣きそうになった自分が悔しいよ…」

男「と、とにかく勝ったには勝った!」


女「うう…もうダメ…」

クロ「お疲れさま…。あなたあんなに張り切ってたのに、いざとなったら大したことないのね」

女「も、もうちょっと歯に衣着せてよ…」

シロ「でも、いい勝負だったよ」

クロ「あなたは無邪気でいいわね…。私なんか、見てて空しくなったわ…」


孫「ヒモーッ!貴様ドベとは何事だーッ!」ギリギリギリギリギリ

ヒモ「……も、申し訳ありません」

孫「あの勝負はなんだ!僕に対する茶番か!?」

ヒモ「け、決してそういう訳では…」

孫「勝てって言っただろー!何が友情だよ!勝てばいいんだよ!勝てば!」

ヒモ「……」

腰「ご心配ありません。次は俺の得意な種目ッス」

孫「んん?」

『第三種目は大玉転がしです。チ…』

孫「ふふ…次はうまくやれよ!」

腰「ウッス!」
794 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 22:45:33.99 ID:3XLhuwSO
男「さ、誰がやるかね」

イン「僕!僕がやるよ!」

転「ずいぶんとやる気ですね」

イン「これ以上傍観役を続けてたら、このまま空気になっちゃいそうで…」

転「それは怖い」

男「よーし!それなら行ってこいっ!」


女「大玉転がし…誰が行く?」

クロ「私はやりたくないわ…」

女「どうして?」

クロ「何というか…大きな玉をゴロゴロ転がしながら走るって、カッコ悪いわ…」

女「…確かにカッコ悪いかも」

シロ「じゃ、シロがやってもいい?」

女「シロちゃんできるの?大丈夫?」

シロ「まかせて!」

クロ(…玉に潰されたりはしないわよね)
795 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 22:54:40.94 ID:3XLhuwSO
『選手の紹介をします。第一レーン、インフルのカトリ!』

香「」(喋れない)

コチカメデイイジャン! ハツウリニエグゼヨwww

『第二レーン、初出場、イン!なお彼女のサイズに合わせて、玉は一回り小さくなっています』

イン「ま、前が見えない…!」

『第三レーン、最年少でしょうか。初出場、シロ!なお玉はさらに小さくなっています』

シロ「がんばってアイスもらうぞー!」

『第四レーン、汚名返上なるか?腰巾着!』

腰「今度こそ!勝つッ!」


『位置に着いてぇー。よーい…』

パンッ

シロ「ひゃっ!」ビクッ

イン「えっと…この玉を押しながらゴールまで行けばいいんだよね?」

腰「うららららら!」ドドドド

男「大丈夫かよ…」
796 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 23:16:15.82 ID:3XLhuwSO
『腰巾着選手、やはり早いです!』

腰「フンフンフンフン!」ゴロゴロゴロ

イン「……」

男「おい、イン!何してんだよ!」

転「黙って見ててください」

男「だってあいつ、動かな…」

転「それでいいんです。彼女の勝ちが決まりました」

男「?」

イン「…『バイ・セカンド』一部降雨」スッ

腰「フンフンフ…ん?」

ザアアアアアア

男「なんだ?あそこにだけ雨が…」

イン「…&氷結」

ピキィン

腰「足元が…!」

『腰巾着選手、動かなくなってしまった!』

クロ「なるほどね。雨を降らせて即座に凍らせる。無理やり動けなくしたわけね」

イン「さぁ、これであとはゆっくり…」

腰「ぬおおおおっ!」

バキバキッ!!

転「…氷を砕いた。当然ですね」

腰「何か分からんが、こんなことで…」ゴロッ

イン「…僕の勝利は崩れない」

腰「…うおおっ!?」ツルッ

ゴロゴロゴロ

男「玉が…氷の上を滑っていく!」
797 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 23:36:26.17 ID:3XLhuwSO
ツルーーーン

『腰巾着選手!…大玉がレーンから出てしまいました!これは…失格です!』

腰「なにィッ!?」

転「大したもんですねぇ…」
『これは予想外の流れです!しかし勝負はまだ続きます!』

男「よし、イン!あとはゆっくり…」

イン「うん。このまま行けば僕が1位だね!」コロ…

シロ「うぅ…負けないもん!」

イン「!?」

『おーっと!これまで大きな玉を動かすのに苦労していたシロ選手、ようやく動きが見えました!』

シロ「よいしょ…よいしょ……」コロ…コロ…

女「ゆっくりだけど…」

クロ「進んでるわね…」

シロ「負けないよ…アイス…もらうんだもん…!」コロコロ…

イン「……」スッ

男「おい!イン!?お前まさか、シロに勝たせるつもりかよ!」
798 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 23:38:13.31 ID:3XLhuwSO
イン「…僕は…僕は……!」

ザアアアアアアアアア

転「また雨降らしですか?」

イン「シロ…大玉に乗って!」

シロ「?」ピョンッ

イン「…氷結・軽!」

ピキィン!

シロ「…降りていい?」

イン「うん…」

転「あーあ。ありゃもうダメですね。二人でゆっくりゴールする気だ」

男「うーん…。ま、しょうがないか」

イン「……」

バキバキッ

イン「え?」

シロ「わー!氷が割れてくー!」ゴロゴロ

男「!?」

転「…ほー。シロって」

シロ「わーい!はやいはやい!」ゴロゴロ

転「純粋に、悪魔として、力が強いみたいですね」

男「えええっ!?」

イン「……」ポカーン


『シロ選手、ぶっちぎりでゴール!ここまでのんびりしたレースは初めて見ました!』

シロ「やったー!」

イン「」

男「何も言えねぇ」
799 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 23:57:08.86 ID:3XLhuwSO
シロ「勝ったよー!」ピョンピョン

女「うん…見てた見てた…」

クロ「二度続けて…複雑な試合ね…」

シロ「えへへ。アイスもらえるかな?」


イン「……」

男「えっと…その…」

イン「二位、だよ」

男「あ、ああ…」

イン「……」


孫「……もう…僕の立場なんてどうでもいいのか」

腰「そ…そんなことは…」

孫「もういいっ!次は僕直々にやってやる!」

『第四種目は玉入れです。出場選手はチーム全員なので、代表一名はテントまで集まってください』

転「ん?」

男「テント、な。テンコ、じゃないぞ」

転「玉入れ、ですか?」

男「ああ」

転「私が?玉入れ?マジで?」

男「あっ…!」

転「イン!勝てますよ!出来レースだ!私に球技?をやらせるなんて…」


クロ「玉入れはマズいわ。姉さまの一人勝ちになる…」

女「そうなの?」

クロ「なんとしてでも、止めるわよ…」
800 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! :2010/01/04(月) 23:58:26.69 ID:3XLhuwSO
今日はここまでにします…
なかなか終わらない第一章
次で運動会は終わらせるつもりです
801 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! [sage]:2010/01/05(火) 00:20:17.42 ID:RKYQH2DO
年明け一回目の更新乙です。
802 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! [sage]:2010/01/05(火) 04:07:07.09 ID:9D4xz8AP
あけおめです。
803 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! [sage]:2010/01/05(火) 14:45:18.07 ID:UsmU2xE0
大玉ころがしがよく分からん
インは足元凍らせたの?なんでそれが二人でゆっくりゴールになるの?
ってかインに砕けない氷がシロに砕けるってどういうこと?
804 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! [sage]:2010/01/05(火) 14:53:26.41 ID:9iDU36Ao
えっ
805 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! [sage]:2010/01/05(火) 18:41:34.48 ID:EJUSQUko
考えるな、感じろ!
806 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! [sage]:2010/01/09(土) 00:59:10.54 ID:Vo4f9Vwo
ちゃんと完結させてくれ
vipで終わらせてくれよ…
モチベーションを落としちゃいかんぞ
807 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! [sage]:2010/01/09(土) 01:00:30.44 ID:Vo4f9Vwo
vipのと間違えたwwwwww
808 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! [sage]:2010/01/15(金) 17:53:08.58 ID:EMQlHgDO
センター前日なのに、運動会の続きが気になってしまう…orz
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/01/18(月) 23:57:30.94 ID:LiVDREDO
VIPの方も当分終わらせる気無さそうだな
こうして未完の作品がまたひとつ増えるのであった。
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/01/19(火) 00:20:17.25 ID:UdnCWHoo
規制されてるからこっちで書くけど
絶対もう飽きてるだろ
どうせパー速移って、なんも言わずに新しいの書き始めんだろ
ホームレスの時はやりたい事あるって言ってたけど、吸血鬼なんてなんの前触れもなしに書き始めたし
吸血鬼も書く速度遅いから八日ルール近かったし、保守しててもあのスレじゃ終わらんかった
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/01/19(火) 01:01:13.13 ID:OXhpB6SO
第二章を考えてる、とか言ってなかったっけ?
なのに第一章終わる前に放置とかさすがにないだろ…
個人的にこれ面白いと思うよ
気長に待つから、頑張ってね
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/01/20(水) 00:02:35.71 ID:rd/pSkoo
__
    ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
           -=ニニニニ=-


                          /⌒ヽ   _,,-''"
                       _  ,(^ω^ ) ,-''";  ;,
                         / ,_O_,,-''"'; ', :' ;; ;,'
                     (.゙ー'''", ;,; ' ; ;;  ':  ,'
                   _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'  ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'     d⌒) ./| _ノ  __ノ
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/01/20(水) 22:53:44.92 ID:DCycFvkP
まだだ!まだ終わらんよ!
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/01/26(火) 16:30:02.64 ID:hmhqN5s0


     ______       スンスンスーン♪ 
      |  |.| ∧_∧
   ======( ・∀・)○=
     |  |..(    ノ
       ̄  人  Y
        (__)_)


    _____________
  ./
  |  最近、この>>1放置ばかりだね〜
  | 
   \   ___________  
    `V´    
    ∧_∧∧_∧ ___
   ∩・∀・ ≡ ・∀・) |.|
    `ゝ    ノ====
      |  |  | . .|.  |.|
     (___)__)    ̄


      _________
     / 
    | と言うことで僕が代わりに・・
     \   _______   
      `V´ 
      ∧_∧      ___   ドスッ!
     (    )┌─┴┴─┐
     (    つ 糸冬 了 .|
     /  /) )└─┬┬─┘
      (_)(_)   ||  -3
            `"´゛""`
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/01/26(火) 19:13:46.81 ID:LDsCz2so
■ HTML化依頼スレッド
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1246374465/
816 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 21:55:20.36 ID:jIzQ4.SO
長い間放置してしまいました
大変申し訳ありません
読んでくださる方がいらっしゃるのかどうか分かりませんが
続きをやらせていただきます
817 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/01/29(金) 21:58:53.18 ID:4uXMjL2o
パー速だからROMるけど見てるからな
818 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 21:59:51.57 ID:jIzQ4.SO
〜前回までのあらすじ〜
特攻!逆襲!運動会!
現在女チームが一点リード!
819 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 22:12:45.04 ID:jIzQ4.SO
『選手の紹介をします。チーム1、SMOP!』

キムラ「っす」

ツヨシ「どうも」

シンゴ「どーん」

ゴロウ「よし」

ナカイ「いぇーい」

『なおモリ選手は現在オートレースの…』

ソレハダマッテロ

『…失礼しました。続いてはチーム2、男チーム!』

男「っしゃあ!」

転「……」ニヤニヤ

イン「頑張るぞー!」

『チーム3、女チーム!』

女「いくよー!えい!えい!」

シロ「おーっ!」グッ

クロ「おー…」スッ

『チーム4、孫チーム!』

孫「お前たちは僕の邪魔にならないようにその辺で玉拾いでもしてろ!」

腰「は、はァ…」

ヒモ「……」

『それぞれのエリアに用意された籠に、最も多くの玉を入れたチームが勝ちです!では、よーい…』
820 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 22:24:48.39 ID:jIzQ4.SO
パァン!!

男「よし!行くぞ!」

転「…男さん。いいですか?玉は全部でいくつあります?」

男「ん?…えーっと…60…いや、もっとありそうだな」

転「能力を使えば、15秒で全部入れられます」

男「えっ」

転「…ただそれじゃあまりにもつまらないんで、少し周りの邪魔をしましょう」

イン「周りの邪魔?」

転「二人は玉入れしててくださいね」スタスタ

男「あ、おい!」

『どうしたのでしょうか!チーム2、まったく動きがありません!』

転「…『バイ・セカンド』は面倒だから…」

転「神の見えざる手(インビジブル・ハンド)!」カッ

女「えいっ!えいっ!」ポイポイ

スカスカ

女「は、入らない…」

クロ「あなた下手なのね…。いいわ。私が手本を見せてあげる」シュッ

女「あ、入りそう!」

クンッ

クロ「え」

ポトッ

シロ「…入らないよ?」

クロ「なんで玉の向きが変わるのよ!…はっ!」クルッ

転「…!」クルッ

クロ「……いいわ。姉さまの邪魔なんか、私には通用しないんだから…」

転「…生意気な妹め…。ここはボロ負けさせてやりますよ」
821 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 22:35:32.93 ID:jIzQ4.SO
女「く、クロちゃん?」

クロ「あなたたちに任せるわ!」

女「へっ?」

クロ「私は姉さまの相手をする!」ブンッ!

転「おっと!」ヒョイッ!

男「お、おい!テンコ!」

転「どんどん入れちゃってください…とうっ!」シュッ

男「待て待て待て!こっちの玉をクロの方に投げたらダメだろ!」

転「大丈夫ですって!少しクロをいじめてやるだけですから!」シュッ

クロ「私をいじめる?はっ!笑わせないで!」パシッ

転「む!キャッチするとは!」

クロ「はっ!」ブンッ

転「ほっ」ヒョイッ

男「ぶっ!」ベシッ

クロ「あ」

男「…上等だ。……かかってこいやコラァ!」ブンッ!!

転「いいですね!やっちまいましょう男さん!」

イン「ね、ねぇ…玉入れは…?」

シロ「えいっ!(ノリで投げてみた)」ブンッ

イン「わっ!」ベチ

イン「…シロまで…よーし、僕だって!」シュッ

シロ「あうっ!」ペチッ

女「わ、私も!」シュッ!!

男「当たらねーよ!」スカッ

女「むーっ!まだまだ!」ポイポイ

男「ぐえ!」ベシッ
822 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 22:52:12.52 ID:jIzQ4.SO
『チーム2と3…これはもはや玉入れではありませんが…』

『大乱戦です!』

転「ははははは!」シュシュシュシュッ!!

クロ「あっ!能力を使うなんて!卑怯よ!」

転「ならあなただって、羽を生やして避ければいいじゃないですか」

クロ「言ったわね!」バサァ!!

スカスカスカッ!!

シロ「?」

ベシベシベシッ

シロ「あう」コテッ

イン「し、シロ!いくら姉さんでも、許さないぞ!」シュッ

転「ちょ…私たちは仲…」ベチッ

転「ま…もういい!こうなりゃ最後に立ってた奴の勝ちだー!」ブンッ

イン「わぁっ!」

女「!」ベシッ

男「はっはっは!女はノーコンで、しかも避けるのも苦手か!」

女「うう…えいっ!」ポイッ!

男「ああもう!投げ方からしてダメなんだよ!」

女「だ、ダメじゃないよ!」

男「いいか?こうやって握って…」

男「投げる!」シュッ

クロ「きゃ!」バシッ

男「あ」

クロ「……」ブンッ!!

男「どぼぉっ!本気スロー!?」ドサッ

女「ありがとう男くん!戦場を制する者だけが恋を制するんだね!」ダッ
823 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 23:00:34.66 ID:jIzQ4.SO
転「貧弱、貧弱ゥ!」シュシュシュッ

シロ「わーっ!」ビシッ

イン「くっ!」ビシビシッ

転「……はっ!殺気!」

クロ「背中ががら空きよ!」ブンッ

転「ひゃっ!」

クロ「…あら?どうしたの?そんな色っぽい声出して」

転「!」

クロ「まさか姉さま、背中が弱いとか?」

転「そ、そんなワケ…」

クロ「そう。ならいいわっ!」ブンッ

転「あうっ!」ビクッ

クロ「……」ニヤリ

女「背中を狙えばいいんだね!」ブンッ

転「あうっ!」ビシッ

男「どれどれ!」ブンッ

転「あなたまで…やぁっ!」バシッ

イン「姉さんがいけないんだからね!シロに当てたりするから!」ヒュッ

シロ「そうだそうだー!」ポイッ

転「にゃああああっ!!」バシバシッ

『……』

『町内運動会史上最も奇妙な戦いです!他2チームはすでに玉入れを終了させています』

転「背中やだああああ」
824 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 23:14:33.17 ID:jIzQ4.SO
10分後

転「はーっ…はーっ…これ以上は…ちょっとマジで…」

シロ「えいっ♪」ポイッ

ビシッ

転「〜ッ!!」ゾクゾクッ

イン「し、シロ。さすがにもう止めとかないと…」

シロ「?」

転「……」ユラァ

男「!」

転「やめろってんだよおおおっ!」グアッ

クロ「いけない!姉さまが暴走したわ!」

女「暴走!」

転「『バイ・セカンド』危険な…(リスキィィィィィイイイイ)」

転「…操作法(ハンド・ラアアアアアップ)!!!」ゴッ!!

イン「た、玉が姉さんの手元に…?」

転「一斉射撃だーッ!」ブンッ

男「何いいいいいいっ!?」

ドドドドドドドドド!!!
825 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 23:17:02.99 ID:jIzQ4.SO
孫「フッ。バカ共がなにやら騒いでるが、僕たちはとっくに一抜けしてる!」

腰「!孫さん、玉が…」

孫「えっ?」

ビシッ!!!

ヒモ「か、籠が!」

ドスゥン!!

ゴロゴロゴロ

孫「せっかく入れた玉がァー!ノオオオオオ!」

ゴロウ「こっちもヤバいよキムラくん」

キムラ「ちょ、待てよ!」

ドスゥン

ナカイ「ああっ!?」

女「わ、私たちの籠も…」

クロ「支えるのよ!こぼしたら負けるわ!」

シロ「…ねえねえクロおねえちゃん」

クロ「何よ!?」

シロ「シロたち…けっきょく一個も入れてないよ」

クロ「え?」

ドスゥウン


男「俺たちは地道に入れてたからな!」

イン「僕たちの勝ちだね!」

転「はー…はー…ほぼイキかけました…」
826 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 23:31:22.04 ID:teNtFlko
てんこちゃんえろいお…ハァハァ
827 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/29(金) 23:43:23.12 ID:jIzQ4.SO
『えーっと…チーム1は玉0個、チーム2は玉15個、チーム3は玉0個、チーム4も玉0個…』

『チーム2の勝利です!』

男「勝った!」

イン「やったぁ!」

転「よ、よっしゃあ…」ピクピク

クロ「……」

シロ「お、おねえちゃん…?」

女「大丈夫!まだ二勝二敗、引き分けだよ!」

クロ「あと…何が残ってるの?」

女「えっと…」


孫「僕は勝ったんだ…なのにあの女のせいで…」

腰「で、ですが次の種目なら…」

ヒモ「そうです!あれなら下手なイカサマゴマカシは通じません!」

孫「…そうだな」


『第五種目…もとい最終種目は!400mリレーです!』

男「!」

女「こ、今年も来たかぁ…これが一番苦手なんだよね…」
828 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/30(土) 00:07:02.37 ID:XyvAcoSO
『三人チームですので、二人が100mずつ。最後の二人は200mです。走順が決まり次第確認を…』

転「…どうしますか?」

男「どうするって?」

転「順番ですよ。あと、誰が二度続けて走るのかも」

男「えい」サワッ

転「あっ!背中はダメですって…!」ビクッ

男「イン、こいつに200任せられるか?」

イン「うーん…ちょっとね…」

男「…と言うわけだから、俺がやる。いいな?」

転「分かりましたよ…」

イン「順番は?」

男「最初はイン。次はテンコ。で、最後は俺だ」

イン「最初だね?よし…」


クロ「私が最後に走るわ!華麗にゴールしてやるんだから」

シロ「おねえちゃんばっかりずるいよ!」

女「待って…リーダーは私なんだよ?」

クロ「なら、あなたが決めなさいよ!」

女「……」

女「ケンカにならないように…私が最後走ります!」

クロ「えっ」

シロ「シロは?シロは?」

女「シロちゃんは一番。クロちゃんは二番。で、私は最後!いいでしょ?」

クロ「……まぁ、別にいいけど」

女「うん。張り切って行こうね!」
829 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/30(土) 00:08:01.98 ID:XyvAcoSO
『最後の一人が200mずつ』だった
今日はここまでにします
明日のお昼頃またちょこっと書くかも分からんです
830 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/01/30(土) 00:22:59.06 ID:LRSytAAO
うぃ、まってるよ
831 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/30(土) 14:13:24.69 ID:XyvAcoSO
『…選手の紹介をします。第一レーン、チームSMOP。メンバーは第一走者から順に、マサヒロ、ゴロウ、シンゴです』

マサヒロ「う〜ぅゴックンっ!」

『第ニレーン、チーム男。メンバーは、イン、テンコ、男です』

イン「靴紐をしっかり結ばなきゃ…」

『第三レーン、チーム女。メンバーは、シロ、クロ、女です』

シロ「アイスー!」

『第四レーン、チーム孫。メンバーは、腰巾着、ヒモ男、町長の孫です』

腰「今後こそぶっちぎりだぜ」

『それでは最終種目、早速始めましょう!』

『…位置に着いて。よーい…』
832 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/30(土) 14:13:58.66 ID:XyvAcoSO
パァン!!

イン「よし、まずは確実に一位をキー…」

腰「ぬおあああああああ!」ダダダダダ

イン「…言ってる場合じゃない!」ダッ

『さぁ、まずは最初の100m!この勝負!誰が勝つんでしょうか!?』

腰「うぬおああああああああ」ダダダダダ

イン「は、早い…!」

孫「あいつだって仮にも陸上競技のプロだ!」

イン「く…」

シロ「おねえちゃん、待ってー!」タタタタタ

『さて、もうすぐ100m、前から順に腰巾着、イン、マサヒロ、シロです!』

腰「ヒモ!行け!」スッ

ヒモ「任せるんだ!」パシッ

ダダダダダ

転「……」

イン「ね、姉さん!」スッ

転「まだまだ大丈夫です。このくらい…」パシッ

ドンッ!!

ゴロウ「!」

『て…テンコ選手、物凄い早さで追い上げていきます!』
833 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/30(土) 14:20:47.01 ID:XyvAcoSO
シロ「く…クロおねえちゃん…」ヨタヨタ

クロ「…よくやったわ、シロ」パシッ

バサァ

『!く、クロ選手!背中から羽が生えました!』

クロ「この勝負、もらったわ!」ギュンッ

転「羽って…ありなんですか?」ダダダダダ

『い、一応地に足が着いてますので…』

転「あんにゃろっ…!」ダダダダダ

クロ「いくらあなたでも、飛ぶ私には追い付けないでしょ?」バサバサッ

『順位が大きく変わりました!クロ、テンコ、ヒモ、ゴロウの順です!しかし、まだ勝負は分からない!』

転「く…クロ!」

クロ「何よ!」

転「あなたは昔…男の子たちの前で転んで、思いっきりパンツ見せたことがありましたね?」

クロ「なっ…!?」ピタッ

転「再現してやりましょう!」ダダダダダ

クロ「や、やめて!クロだけに黒歴史なのよ!」

転「……」ニヤッ

クロ「……はっ!抜かれた!」

転「このまま…男さんに…」

クロ「さ、させないわっ!」ギュンッ

パシッ!!

女「…えいっ!」タタタタタ

男「くそっ!ちょっと出遅れた!」タタタタタ

『さぁ!いよいよ最後の200mです!』
834 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/31(日) 21:58:04.80 ID:6H/L3gSO
男「うおおおおっ」ダダダダッ

『男選手、速い!流石は現役男子高校生!女選手をみるみる内に抜かしていきます!』

女「ま、待ってよ〜…!」タタタタッ

男「悪い、女!なんとなく負けられないんだ!」ダダダダダ

女「うーっ…」タタタタタ

「待てーい!」

『おっと!ここで颯爽と登場したのは…』

孫「この僕だ!退けい庶民共!!」ダダダダダ

『ここまで目立った動きのなかった孫選手!凄い速さです!』

男「くっ…」ダダダダダ

男「…ん?」

孫「はーっはっはっはっはっ!!」シャーッ シャーッ

男「…おい!その靴、ローラースケートか!?」

孫「何のことか分からんなぁ!」シャーッ シャーッ

男「くそっ!卑怯だぞ!」ダダダダダ

孫「笑止!僕は町長の孫だぞ!卑怯も何も、これが僕のやり方だ!はーっはっはっはっ!」

男「…なら…腹括れよ孫!」

孫「あ?」

男「俺は…」ヌギヌギ

男「靴を脱ぐと三倍の速さで走れるようになる!」

孫「な、なにィ!?嘘だろッ!?」

男「ああ、嘘だ!シャアザクじゃあるまいし!」ポイッ

孫「うおっ!あいつの靴紐がローラースケートに絡まって…!」

孫「おぎゃああああああ!お爺ちゃんーッ!」ドザアアア

男「ちょっと卑怯だけど、これが俺のやり方だからな!」ダダダダダ
835 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/31(日) 22:25:15.20 ID:6H/L3gSO
『さぁ、現在の順位は男、孫、女、シンゴです!4人目は実質いないことになってます!』

男「残り…100m!ぶっちぎってやるぜー!」

転「…女さんとの差は、およそ40m…」

クロ「さすがに酷いわね」

イン「男くんって結構残酷なことするんだね」

シロ「女おねえちゃんかわいそう…」

男「うっ…!なんかみんなの視線が痛い…!」

男「……」クルッ

女「はー…はー…」タタタタ

男「……」

男(あんなに息荒げて…200mだもんな…そりゃキツいよな…)

男「…よし」

ドサアア

女「えっ!」ビクッ

男「うわー転んでしまったぁーこれじゃ200m走り切れないー(棒」

女「……!」
836 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/31(日) 22:26:09.57 ID:6H/L3gSO
男「このままではぁー女にーぬーかーれーてーしーま…」

女「男くんっ!」

男「うっ!?」ビクッ

女「転んでケガして、痛いのかもしれないけど」

女「諦めちゃダメだよ!」

男「!」

女「ほら、一緒に行こ!男くんに合わせて、ゆっくり走るから…」

男(ええ子やなぁ…)ブワッ

女「男くん!」サッ

男「…ああ!」ギュッ

『これはーっ!転倒した男選手の手を女選手取り、二人で共に走ります!青春です!甘くて酸っぱい青春です!』

孫「な…何が青春だ…!そんななまっちょろいもの、僕が打ち砕いてやる!」シャーッ シャーッ

転「…危険な操作法っと」グイッ

孫「うびゃああああああああ!お爺ちゃーんッ!」ドシャアアア

転「あとは、二人で仲良くゴールインか…」

女「ほ、ほら、男くん!あと少しだよ!」フラフラ

男「…分かってるよ!」

『今!二人の若き男女が美しくゴールしようとしています!』

女「…よし、二人で、ゴー…」

男「よっ」トンッ

女「へ?」フラッ

女「あうっ」ドシャッ

『お、女選手、つまずくと同時にゴールです!』

女「え?え?男くん?」オロオロ

男「一位だってよ!やったな!」

女「あ、あれっ?」
837 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/31(日) 22:39:52.97 ID:6H/L3gSO
『…と言うことで、優勝したのは女チーム!麗しき少女メンバーたちに、盛大な拍手を!』

パチパチパチパチ イエーアッ カッコカワイイヨーッ

シロ「クロおねえちゃん、『うるわしき』ってどういう意味?」

クロ「とにかく誉められてるのよ」

女「ゆ、優勝…しちゃった…」

『では、優勝賞品のメダルと、アイス一箱です!』

女「メダル…10年目にしてついに…!」ジーン

シロ「わーい!アイスだアイスだー!」ピョンピョン

クロ「ふふっ。よかったわね」


男「はー…疲れたぁ」

転「……」ニヤニヤ

男「な、何だよ」

転「ゴール寸前で女さんを突き飛ばすなんて。意外と紳士なんですね」ニヤニヤ

男「そりゃ、一緒にゴール!同着一位!なんてしたたかな真似できねーよ」

イン「転んだお芝居はどうかと思ったけどね」

男「あ、あれは恥かいただけだったな…」

転「しかしあれですね。端から見ててラブラブでしたよ、あなたたち」

男「なっ…何を言ってんだ、バカ!」
838 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/31(日) 22:54:41.97 ID:6H/L3gSO
転「仲良く手なんか繋いじゃって。嫉妬しちゃいますねぇ」

イン(全然そんな顔じゃないけどね…)

男「か、からかうな!」

転「お、噂をすれば、来ましたよ、ヒロインが」

男「!」

女「お、男くん」

男「な、何ですか!」

女「…勝たせてくれて、ありがとう」

男「な、何のことでしょう!」

女「…このメダルは、男くんからの贈り物だと思って、大事にするからね」

男「そ、それは嬉しいな!あはははは!」

イン「男くんが変になった…」

クロ「何をテンパっているのかしら」

シロ「…男おにいちゃん」

男「ははは……ん?」

シロ「シロ、お腹すいた…」

男「…じゃ、作って来た弁当食うか!」

シロ「やったー!」

男「女も…食うよな?」

女「…うん!ありがとう!」
839 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/31(日) 23:32:52.91 ID:6H/L3gSO
クロ「姉さま!それは私の唐翌揚げよ!」

転「いいや、私のです!あなたより早く箸が触れましたから!」

クロ「違うわ、私のほうが早かったわよ!」

転「私です!0.029秒早かった!」

イン「シロ、どれ食べたい?」

シロ「たまごやき!」

イン「これだね。はい、あーん」スッ

シロ「あーん♪」パクッ

女「男くん、これ、食べていい?」

男「…あ、ああ!どんどん食えよ!」

男(……改めて考えると、すっげぇハーレム)

転「男さん、10円玉貸してください!」

男「……え?10円玉?何に使うんだ?」

転「コイントスです!」

クロ「さぁ、さぁ!」

男「10円玉ね…」ゴソッ

男「…ほれ」ポイッ

転「よし、行きますよ!私は裏!」

クロ「表!」

ピシッ
840 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/31(日) 23:39:22.57 ID:6H/L3gSO
男「……」スッ

クルクルクル

転「あ、ちょ、その唐翌揚げは…」

男「ん?」パクッ

クロ「ああっ!」

パタッ

転「…やった、裏!って、もう遅い!」

男「ああ、これを賭けてたのか」モグモグ

クロ「何よ…昨日のお寿司の恨み?」

男「いやそんなつもりはないっすよ。むしろ結果オーライ?」モグモグ

転「知りませんよ」

女「はー、おいしかった…ごちそうさま!」

男「おう」

女「あ、そうだ、シロちゃん。せっかくアイスもらったんだしさ、みんなで分けようよ」

シロ「うん!」

ビリリ

男「いち、に、さん、し、ご、ろく、なな、はち、きゅう、じゅう」

イン「10本あるね」

男「俺たちは6人だから、4本余るな」

転「私が全部食べますよ」

男「ふざけんな。あ、そうだ…」
841 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/31(日) 23:53:09.85 ID:6H/L3gSO
孫「……クソッ」

孫「まさかこの僕が…優勝を逃すなんて」

孫「それもあんな、運動音痴の女と、ワケの分からん男のせいで!」

男「ワケの分からん男で悪かったな」ヌッ

孫「!?」

男「お前らにこれやるよ」スッ

腰「これは…」

ヒモ「…アイス?」

男「余っちゃってさ、一本ずつ食っていいぞ」

孫「…ば、バカにしてるのか!?」

男「いや、余らすワケにはいかないから…」

孫「……」ギリッ

町長「孫よ、どうだったかの」

孫「お爺ちゃん!」

腰「ちょ、町長!」

ヒモ「ご無沙汰しております!」

町長「そんなに固くならんでいいよ。わししょせんは町長じゃし」

孫「…お爺ちゃん、ごめん。僕、勝てなかったよ。毎年優勝してきたのに」

町長「…のう、少年」

男「あ、はい」

町長「そのアイスを一本くれないかね?」

男「じゃあ、最後の一本…」スッ

町長「ありがとう」

孫「?」

町長「孫よ、一緒に食べよう」

孫「!」
842 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/01(月) 00:04:01.55 ID:E4S5O2SO
町長「のう。お前たちも、一緒に食べよう」

腰「は…はいっ!」

ヒモ「ありがとうございます!」

孫「お、お爺ちゃん…?」

町長「ん?」

孫「怒らないの…?」

町長「わしに怒ってほしいのかの?」

孫「そ、そういうわけじゃ…」

町長「お前たちはお前たちなりに、一生懸命やったではないか」

孫「……」

町長「わしはそれが見れただけで、もう十分。優勝などどうでもよかったのじゃ」

腰「……」

ヒモ「……」

孫「……」

町長「さぁ、アイスが溶けてしまうぞ!」

孫「う、うん」バリッ


男「……ま、いいんじゃないかな」
843 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/01(月) 00:21:19.72 ID:bmA/qMDO
今回はもう終わりかな?
終わりなら乙でした
844 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/04(木) 23:14:40.94 ID:2wXK.MSO
男「……」スタスタ

女「あれ?男くんアイスは?」

男「おすそわけしてきた」

女「?」

転「そんなことするくらいなら私に…」

男「いや、もうないから」

イン「ねぇ、もう運動会は終わりなの?」

女「ううん、まだあと二回、違うチームがやるんだよ」

クロ「なんでそんなまだるっこしいことを?」

女「今回はグループを3つに分けてたからね。1グループにつき4チーム。確かに面倒だよね。一度にやればいいのに」

シロ「シロ、もう一回やりたいな」

転「えー。もういいじゃないですか。優勝したんですし」

クロ「…あら、姉さまのことだから、悔しがって再戦を申し込むかと思ったのに」

転「もうやりませんよ。だって、これ」グイッ

クロ「傷が開いたの…?」

転「やっぱりじっとしてるべきでしたねぇ」

クロ「……」

転「どうしました?」

クロ「いえ…改めて、上級悪魔とやらの恐ろしさを思い知ったわ」

クロ「そして、あなたの潜在能力の高さもね」

転「照れます」

クロ「全然そんな顔じゃないわね…」
845 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/04(木) 23:27:38.27 ID:2wXK.MSO
男「なぁ、あんまり聞きたくないけどさ、お前らが帰るのっていつ頃なんだ?」

イン「詳しくは分からないけど、明日の…朝になるんじゃないかな」

男「そもそもどうやって帰るんだ?」

イン「地獄から人間界までは一方通行なんだ。でも人間界から地獄に行くには、向こうからの『使者』がいる」

男「使者」

イン「要するに、お迎えが来るはずなんだよ」

男「迎えかぁ…。ま、とにかく今日はまだ時間ありそうだな。2時前だし」

女「え!?待って!みんな帰っちゃうの!?」

イン「うん。ここにいられるのは今日が最後」

女「そんなぁ…」

イン「しょうがないよ。ホントはもっと長くいられると思ったんだけどね」

男「はは。年下に言いくるめられてやんの」

女「だって…急すぎて…」

女(あれ…?そもそもインちゃんたちはなんで男くんの家に来たんだっけ?)

シロ「シロも、女おねえちゃんとお別れするの、さみしいよ」

女「…シロちゃん」

イン「…お父さんに直々に帰るように言われたからね。さすがにワガママ言えないよ」

転「いえ、ワガママ言いましたよ。本来なら今日の朝にはもう帰ってましたから」

イン「そうなの?」

転「そうなんです」

女「……」

女(よく考えたら、知らないことだらけだなぁ…)
846 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/04(木) 23:41:43.83 ID:2wXK.MSO
男「なぁ、せっかくなんだしさ、最後にお前らをどっかに連れてってやろうか」

クロ「『どっか』ってどこ?温泉とか?」

男「いや、温泉はさすがに無理だ。すごく行きたいけども」

クロ「じゃあ映画」

男「映画ぁ?この前『ハチ』見たばっかだろ」(※現在は公開終了しています)

転「映画と言えば、いいとこがありましたよね」

男「?」

転「ゲームセンター!」

クロ「あー…」

男「そういや行ったなぁ。お前ら二人だけがしっかり楽しんで」

転「ホントですよ」

女「なぁに?ゲームセンターに行くの?」

男「じゃあそういうことにしよう」

女「私も行きたい!」

男「とりあえずお前は家に帰って着替えろ。まさか体操服で行くわけじゃないだろ?」

女「あ、うん、そうだった」

イン「ゲームセンターだって」

シロ「…?」

男「じゃ、とりあえず一旦帰って、2時になったら家に来てくれ」

女「うん!」
847 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/04(木) 23:53:55.61 ID:2wXK.MSO
男のアパート

男「ただいま」

転「いやぁ、よくよく見たらこのアパートも結構ボロボロですね」

男「なんだとっ」

転「ほら、手すりを握った手にサビが」

男「ホントだ」

クロ「早く弁当箱洗って、着替えて行きましょ」

男「シャワー浴びたらどうだ?汗かいたろ」

転「先にシャワー浴びてこいよ(キリッ」

男「違っ…そういう意味じゃないっての!」

転「ちゃちゃっと浴びて出て来ます」

男「おう」

クロ「……」


シャワアアアアアアア

転「あー傷に水がしみる」

転「…最初はこの蛇口に苦戦しましたね…」

転「……10日かぁ…。長いのやら短いのやら…」

クロ「姉さま、着替えここに置いとくわよ」

転「あ、はい」
848 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/05(金) 00:00:03.20 ID:gdEWjASO
転「クロ、チェンジです」ガチャ

クロ「もう?」

転「傷がひりひりするんです…。一応包帯巻き直しますかね」

クロ「そうしたほうがいいわね」グイッ

転「……」

クロ「…なに?」

転「ちっぱいですね。血は争えない」

クロ「私はまだセーフよ!13歳だし!」

転「16歳はダメって言うんですか!?」

クロ「あなたはただの貧乳よ!」

転「な…」カッチーン

転「このチビ助!」

クロ「言ってなさい!」バタン

転「……反抗期ですかね」
849 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/05(金) 00:09:36.21 ID:gdEWjASO
転「……」トボトボ

男「お前なぁ、洗面所であんまり変な話しすんなよ」

転「生意気な妹相手に苦労してるんです」

男「…俺は、お前くらいの貧乳でも、まぁ、悪くない」

転「!」

転「…嬉しいこと言ってくれますね」ニヤニヤ

男「それを真に受けるお前のそのにやけ面と言ったら」

転「謀ったな!?」

シロ「??」

イン「シロは聞いちゃダメ!」サッ


シャワアアアアアアア

クロ「……」

クロ「…私の知らないところで、姉さまは一体どんな戦いをしていたのかしら」

クロ「一緒にいた男もボロボロになってたし」

クロ「私がもっと役に立てればよかったのに」

クロ「…地獄に帰ったら、もっと強くなれるように、稽古つけてもらいましょう」

クロ「…『王族護衛隊』なら、本気で強くしてくれるわよね」
850 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/05(金) 00:18:56.66 ID:gdEWjASO
また明日続きやります
851 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/05(金) 00:23:16.61 ID:kCQbNn.o
852 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/05(金) 22:40:54.56 ID:gdEWjASO
ガチャ

クロ「出たわ」

イン「シロ、おいで。一緒に入ろう」

シロ「うん」

クロ「……」チラ

クロ(…まぁこの子たちは10歳と6歳…)

クロ「比べちゃダメよね」

イン「え?」
853 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/05(金) 22:41:53.92 ID:gdEWjASO
転「あーあちぃ…」パタパタ

男「ゴロゴロするなよ。みっともないぞ!」

転「だって暑い〜…」

男「お前なぁ…仮にも…えっと…元魔王?の娘なんだろ?」

転「だから何ですか」

男「これでお姫さまなんだろ!笑っちゃうぜ」

転「いえ、違いますよ」

男「ん?」

転「私たちは王族ではありません。ただの地獄人です」

転「父は大きな力を持っていますが…王族の血は流れてないんです」

転「つまり私たちを姫だのなんだのと呼ぶのは」

転「誤りなんですよ」

男「そ、それはすまんかった」

転「分かっていただければいいんです」

男「……」

男「お前らの親父って何者なんだよ」

転「父は…」

クロ「姉さま」スタスタ

男「?」

クロ「父さまの話はしちゃいけないわ。分かってるでしょ」

転「少しくらい平気でしょう」
854 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/05(金) 23:02:01.72 ID:gdEWjASO
男「え、なに?聞いちゃマズい話なのか?」

クロ「死ぬわよ」

男「なんと」

転「平気ですって。今さら隠す必要なんてありませんし」

クロ「…まぁ、いいけど」

転「私たちの父は5年前まで、地獄における最大の権力者…魔王でした」

男「最大の権力者」

クロ「日本で言う天皇みたいなものね…いえ、どちらかと言えば政治家かしら」

転「魔王になる前は、あらゆる犯罪者たちを収容した流刑地(デッド・エリア)の監獄長?とにかくそこの一番偉い人だったんですね」

男「ほー。監獄長から魔王になったのか」

転「ちなみに魔王を辞めた後一年間は再び流刑地の監獄長でした。メイを解放したのはその時です」

男「すごい人じゃないか」

転「ちっともすごくないです。異端であるとは言えますが」

男「?」

転「魔王になれるのは三つの王族だけです。それ以外の地獄人が、たかが5年とは言えど地獄を支配するなんて、異常なんです」

クロ「支配なんて言い方しちゃダメよ」

男「三つの王族…?」

転「赤の王族、青の王族」

転「そして現在地獄を支配している黄の王族」

男「?」

転「これら三つの王族は遥か昔から地獄を支配してきたのです。今でもそれは継がれています」
855 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/05(金) 23:22:38.02 ID:gdEWjASO
男「ん?三つでやってきたのか?」

転「…三つの王族はローテーションで魔王を代えていくんです」

転「例えば、赤の王族の代表…これは長男だと決まっているんですが…それが魔王になります」

転「で、十年、ニ十年、とにかく魔王としていろいろやるわけです」

転「すると当然代替りする時が来ますね」

転「そこでローテーション。今までは赤の王族だったのが、今度は青の王族にチェンジ。次は黄の王族、となるわけです」

男「なるほど」

転「ところが、当時の青の王族に、魔王になるはずの長男がいなかったんです」

男「いなかった?」

転「生まれてきた子が女だったんですよ」

男「そりゃ大変だ」

転「で、三つの王族は悩みました。青の王族を飛ばして黄の王族にしようかと…」

転「しかし、第ニの問題。なんと、黄の王族も赤の王族も、みな女しかいなかったのです」

男「うーん…今までは男しか生まれなかったのか?」

クロ「必ず男ばかりが生まれてきたそうよ。万が一女が生まれても、次の王族にパスをすればよかったし」

転「しかし、今回は三つの王族に女しかいない。パスしようにもできないのです。さすがに老いた方々に続けざまにやらせるワケには行かず」

転「…彼らは一時的に、他の権力者を魔王にすることにしました」

男「……それがお前たちの親父か!」

クロ「ええ…」

転「でもまぁ結局…5年なんかじゃどうにもなりませんでした。現在はやむを得ず黄の王族の代表に魔王をやっていただいていますが」

転「あの方ももういい年ですからね…次の代はいよいよ決まらないかも知れません」

男「…男がいないなら女…娘たちに魔王を継がせるってのは無しなのか?」

転「今までに何度かその話も出ました。しかし、やはり女は軽く見られがちなんです。これはもう仕方ない」

男「……」

転「まぁ…彼女たちなら普通に魔王としてやってけそうなんですけどねぇ…」
856 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/05(金) 23:36:09.33 ID:gdEWjASO
クロ「…でも、三人とも、姉さまとほとんど年が変わらないわ」

転「そりゃまだ早いかも知れませんけど…あとニ三年もすれば、本格的な話になってくるんじゃないんですか」

男「魔王の跡継ぎ問題か…」

転「私は誰が継いだって、大差ないと思うんだけどなぁ」ボソッ

クロ「姉さま、あなたはどうしてそういうことを…」

転「だってホントのことじゃないですか。よっぽど大きなことでも起きない限り、地獄はこのまま変わりませんよ」

クロ「……」

男「…なんか、大変なんだな。地獄って」

転「どこだって同じですよ。きっと」

ガチャ

イン「シロ、ちゃんと髪乾かさないと…」フキフキ

シロ「わわ…」

男「お…出たな」

転「…クロ」

クロ「?」

転「あなただったら、魔王をやってみたいですか?」

クロ「…私にはあまり、そういう大きなことに対する欲がないから」

転「そうですか」
857 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/05(金) 23:50:23.64 ID:gdEWjASO
イン「男くん、シャンプー切れそうだったよ」

男「あ、ホントか?買わなきゃな」

シロ「シロがね、いっぱい使っちゃったの…」

男「どーりで自慢の髪のサラサラが増してるワケだな」

シロ「うん!」サラサラ

男「じゃあ俺もパパッとシャワー浴びるか」

転「早く出てくださいね」

クロ「ゲームセンター行くんだから」

イン「女さんもきっと待ってるよ」

シロ「まだ行かないの?」

男「分かった!分かったから!四人がかりでいろいろ言うな!」



女「…か、髪の毛拭く時間ぐらい、別によかったのに」

男「だって、こいつらがあんまり急かすもんだから…」

転「はい」ポイ

女「?」ポスッ

転「……」コクン

女「男くん…私が拭こうか…?」

男「…!ぜ、ぜひ!」

転(なんだかんだで…さすがは幼なじみですね)
858 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/05(金) 23:55:50.04 ID:gdEWjASO
すまんまた明日に引き伸ばす
そろそろ終わらせないといい加減くどいなぁ
859 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 13:57:44.16 ID:ablugUSO
男「よし!それでは皆の衆!いざ、参ろうぞ!」

女「う、うん」

イン「男くんが輝いてるよ…」

クロ「よっぽどハイテンションなのね」

男「ほら、行くぞ行くぞ!」

シロ「はぁーい!」
860 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 13:58:23.03 ID:ablugUSO
ゲームセンター

転「…こないだのと違うじゃないですか」

男「あたぼうよ!あんなの映画館のおまけだ!だがしかし!これは違うぜ本物のゲームセンターだ!」

女「久しぶりに来たなぁ…」

男「さぁ、好きなだけ遊べよ!」

イン「…このプレートは?」

クロ「それは腕に付けるの。お金を入れる代わりにそれをかざせば、ゲームができるそうよ」

イン「後払いってこと?」

クロ「そういうことね。上限は…2000円って書いてあるわ」

ピロリン ピロリン

イン「うっかり使いすぎちゃいそうで怖いなぁ」

ピロリン ピロリン

クロ「…何の音?」

シロ「手がとどかないよーっ」ピロリンピロリン

イン「シロ!その手の置き所はすごくよくない気がする…!」

シロ「え?」

クロ「降りなさい!レバーが折れちゃうわ!あとあなたのプレート、何回触れてるの!?」

シロ「うー」ストッ

クロ「……」バッ

クロ「600円!?」

シロ「?」

イン「…しょうがないから6ゲームやろう」

クロ「シロ、あなたもう勝手に動かないで」

シロ「えっ…」ガーン
861 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 14:10:41.62 ID:ablugUSO
転「男さんこれは何ですか」

男「太鼓のメイジンだよ」

転「太鼓と言うと…日本の打楽器ですね。よしやってみよう」ピロリン

男「俺が相手だ!」ピロリン

『曲を選んで…』

転「これでいいや」ドンッ

男「ちょ、もうちょっと悩めよ」

『さぁ!始まるどん!』

テレテレテテー テレテレテテー

転(あれ?どうやってやるんだろう)

男「………」ドンッ ドンドンッ

転(ああ、あの丸いのが来たらタイミングよく叩くんですね)

転「それじゃ、どん!」ブンッ

ベゴォォン!!!

転「……あれ」

男「…えっ」

転「…ず、ずいぶん脆いんですね」

男「待て待て待て!なにやってんだよぉ!」

係員「どうしました?」スタスタ

男「いやああああああああ…」

〜10分後〜

転「凹んじゃいました、太鼓も私の心も☆」

男「締めるぞこんちくしょう」

転「まぁ、厳重注意で済んでよかったですね」

男「俺は今後ここに来られねーよ。なんてこったい」
862 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 14:15:39.18 ID:ablugUSO
転「…そういえば女さんは?さっきまでそこのベンチにいたのに」

男「クロたちのところじゃないのか?」

UFOキャッチャー

クロ「…あー…取れないわね…9回やって、せっかくいいところまで動かせたのに…」

イン「あと何回やるつもりなの…?」

クロ「二回あれば取れそうなんだけど…」

シロ「さっきもそう言ってたよ…?」

クロ「あなたたちは向こうに行ってなさい!気が散るわ!」

シロ「ひ、ひどい…」

イン「女さんのところに行こう。どこにいるのかな」スタスタ

クロ「あと…何ミリの世界なのに!」イライラ


二階

シロ「あ、いた!女おねえちゃん!」

イン「何をやってるんだろう…?」
863 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 14:26:16.50 ID:ablugUSO
女「むー…」

女(これで当たれば掛け金の13.5倍が貰える…最後のチャンス…)

イン「女さん、何してるの?」

女「あ、インちゃん。これはね…」

シロ「えいっ」ポチッ

女「え?」

『ルーレットスタート!』

女「わああ!シロちゃんなんてことをっ」

シロ「?」

イン「ま、またシロが何かしちゃった?」

女「このルーレット…どこに入るか考えてたのに…シロちゃんが勝手に押しちゃったぁ…」

イン「どこを選んじゃったの?」

女「このルーレットの…4分の1の部分の赤…。ここは当たらないよ…私以外誰も張ってないし…」

シロ「ご…ごめんなさい…」

女「ううん。もういいの。13.5倍なんて、キリがなくなっちゃうもんね」

コロコロ…

イン「あ」

パンパカパーン!!

『大当たり! ×13.5 756枚ゲット!』

女「えっ…」

シロ「当たった!当たったよおねえちゃん!」

ざわ…ざわ…

女「……」ポカーン
864 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 14:48:27.83 ID:ablugUSO
黒服1「なんだあのガキ…まさかあそこで当てるなんて…」

黒服2「だが…たがが700枚800枚、数に入らないな」

?「私が出よう…」

黒服1「あっ!このゲーセンカジノのホールマスターのトメガワさん!」

トメ「フフフ…」スタスタ


女「どうしよう…すぐにやめられると思ったのに…」

イン「次は2倍…。当たったら1500枚だよ」

女「ぜ、全額はムチャだよ…!せめて300枚…」

ふざけるなっ…!

女「へっ!?」

ここまで来て逃げる気かっ…!

イン「周りの人が…!」

ざわ…ざわ…

張れっ…!全額張れ…張るんだっ…!

そうだそうだ…!

トメ「…みなさん」コツコツ

女「!?」

トメ「楽しんでおられますかな…?」

だ、誰だ貴様っ… バカっこのカジノのホールマスターだぞっ…!

トメ「お嬢さん…先ほどの当たり…額の大小はさておき…見事でした」

女(今のはシロちゃんが押しちゃっただけなんだけど…)

トメ「そこで…私と勝負していただけないか…?」

女「えっ!?」
865 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 14:56:49.37 ID:ablugUSO
おおーっ…! やれやれっ…!

女「で、でも…おじさんのチップは…?まさか今から地道に増やしてくわけじゃないよね…?」

トメ「それなら心配いらない…私のチップは…」

トメ「貴女以外の…このテーブルにいる7人のチップ…!」

女「!」

なにっ…!? トメガワ…貴様っ…!

トメ「ククク…黒服」

黒服1・2「はっ」

おいっ…離せっ…! やめろっ…!

ジャラジャラジャラジャラ

ああっ…!

黒服1「7人全員のチップです…」

黒服2「合計は…2046枚…」

女「2046…!」

ざわ…ざわ… トメガワっ…

トメ「貴様らはそこで見ていろっ…!」
866 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 15:11:39.74 ID:ablugUSO
女「ず…ずるいよおじさん!私の倍くらいあるなんて…」

トメ「なに…君ならすぐに追い付くだろう」

女「そんな…」

トメ「冗談だ…分かっている…君には特別ルールを設けよう…」

女「特別ルール…?」

トメ「このルーレットは当たった際に得る額のレートをコンピュータで決めるのだが…」

トメ「君には…三度に一度、自分のレートを好きに決めさせてやろう…!」

女「…!?」

シロ「ど、どういうこと…?」

イン「女さんは三度に一度、当たれば〇倍って言うのを、自由に決められるようになったんだ…!」

トメ「さぁ、どうする…?」

女「……」

トメガワっ…! 卑怯だぞっ…!

俺たちを無理やりゲームから降ろして…その子に有利なルールまでっ…

トメ「Fuck You」

イン「え…?」

トメ「ぶち[ピーーー]ぞ………ゴミめら……!」

ざわ…ざわ…
867 :パー速のローカルルールが変わりました [saga]:2010/02/06(土) 15:27:38.48 ID:ablugUSO
このタイミングでピー音はダメだな

トメ「ぶち殺すぞ………ゴミめら……!」

ざわ…ざわ…

トメ「貴様も…貴様も…貴様も…!今の勝負において、皆彼女に負けている…」

トメ「私はそのツケを払ってやろうと言うのだ…」

えっ…? どういうことだ…?

トメ「私が勝てば…その時点で獲得していたチップを七等分し…貴様らにくれてやろう…!」

なにっ…!? やれっ…! すぐにやれっ…!

女(この人…私を逃がさないために…!)

トメ「…君が負けたら…そのときは…」ニヤリ

女「…!」ゾクッ

トメ「さぁ、始めよう…!君の若き才能を見せてくれ…!」


クロ「…やった!取れた!取れたわ!12回目にして…ついに!」

男「お、クロ」スッ

クロ「男!見て!このぬいぐるみ!私が取ったのよ!」

男「そりゃすごいな。…で、インとシロは?女は?」

クロ「つまんない反応ね。…インたちは二階に上がって行ったわ…女さんもそこにいるんじゃないかしら」

男「二階って…スロットとかルーレットとかの…ギャンブルコーナーだぞ?」

転「ギャンブルですか。いいですね。行ってみましょう」タタタ

男「あ、おい!」

クロ「私も行くわ」スッ

男「…はぁ」
868 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 15:47:42.07 ID:ablugUSO
ざわ…ざわ…

トメ「レートは……2倍だな。変更しても構わんぞ」

女「このままで行く…」

トメ「そうか…まず私は…」

トメ「800枚…賭けよう!」

女「!」

イン「800枚…!?」

トメ「さぁ…君も決めたまえ…」

女「…100枚」

トメ「…慎重だな…まずは少しずつ稼いでいくつもりか」

トメ「…まぁいい、では、どこに賭けるか決めよう」

このルーレットは少し特殊だ

赤と黒の目が0から36個ずつ…どれを選んでもレートに差し支えがないのだ

赤、黒のどちらか一つに絞ろうがレートはそのまま

具体的な数字まで指定しようがレートはそのまま

2分の1の面積までなら、範囲も指定できるが…それでもレートはそのまま…

こんなつまらないルーレット…とお思いかも知れないが…

レートは(1.5倍)、(2倍)、(3倍)、(5倍)、(7倍)、(10倍)、(13.5倍)、(18倍)、(25倍)、(30倍)とランダムで変わる

つまりはレート次第で、簡単に巨額が手に入るかも知れないのだ…

そして女は、そのレートを自由に選択できる権利を手にしている

これは大きなアドバンテージになろう…

女「…赤」

トメ「…よろしい、ならば私は…黒に賭けよう!」

初戦でトメガワは黒を選ぶが…当たれば1600枚…外れれば0枚…

至ってシンプルなギャンブルである…

『ルーレット…スタート!』シャッ
869 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 15:57:44.59 ID:ablugUSO
シャーッ…

トメ「……」

コロコロコロ…

女「……」

コロコロ…

トメ「……」

コロンッ

女「やった!赤!」

パンパカパーン!

『当たり! ×2 200枚ゲット!』

イン「ふぅ…とりあえずあの人のチップが増えるのは阻止できたね…」

女「うん…」

トメ「さぁ、すぐに次だぞ。レートは…」

トメ「…1.5倍か。つまらんな…」

どのレートが選択されるかは、いくらランダムと言えど、だいたいは決まっている

最小ラインの(1.5倍)、(2倍)は、7割もしくはそれ以上

(3倍)、(5倍)、(7倍)は2割もしくはそれ以上

(10倍)、(13.5倍)は1割もしくはそれ以下…

そして最大ラインの(18倍)、(25倍)、(30倍)は、ある条件を満たさないと出現しないことになっている…

女のルールでも最後の三つは選択できないことにされており

その条件が満たされるのを待つしかないのだ…
870 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/10(水) 09:40:25.47 ID:05Cea.60
久々に見てみたらなんだこの賭博黙示録は
871 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/12(金) 23:06:05.92 ID:SGwKOQSO
女VSトネガワのゲーセンカジノ対決

前半戦は大きな動きもなく順調に進み

六度ルーレットが回った時点で各々のチップは

トメガワ 3248枚
女    1689枚

ほぼ倍の差がついていた

しかしこのルーレットに、2倍の差などさして影響はない

その気になればチップ全部を賭けて、2倍3倍を手に入れることはできる

ただ…

女「……」

女「このままジリジリ続けてたら…どんどん差がついちゃう…」

イン「全額賭けて逆転するしか…」

女「それはダメ!」

イン「!」ビクッ


トメ「ククク…」

トメ(リスクを恐れぬ人間などいやしない…それは無謀なことだと、本能で理解しているからだ…)

女「…次のレートは…?」

イン「……!」

トメ「…7倍!?」

女「……」

イン「女さん!チャンスだよ!」

女「…うん!でも…」

女(赤黒の二択…私はどっちを選べば…?それに、何枚賭けるかも…)

イン「…女さん、焦っちゃダメだよ」
872 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/12(金) 23:17:31.68 ID:SGwKOQSO
女「……よし」

女「…1000枚賭ける…!」

イン「!」

この状態での1000枚は大きい

外せば残りは600枚弱

しかし当てれば

+7000枚…8600枚!

女はこの巨額に賭けた

トメ「……いいだろう。こちらも額を決めた。さぁ、どちらに賭ける」

女「…赤」

トメ「なら私は黒だ」

イン「……」

シャーッ…

コロコロコロ…

イン(そういえばあの人…いくら賭けたか言ってない…)

コロコロ…

イン(いや、わざわざ告げる必要はないか…)

コロン

トメ「!」

女「やったぁ!赤!当たった!!」

イン「ってことは…」

パンパカパーン!!

『大当たり! ×7 7000枚ゲット!』

トメ「……」
873 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/12(金) 23:25:29.35 ID:SGwKOQSO
トメ「…次のレートは」

イン(…大きく差がついたのに、ほとんど気にしてない?)

トメ「ほう…5倍か…面白い」

女「5倍…でももう大丈夫…。私は4000枚賭けるわ!」

トメ「…当たれば20000枚か。大きいな。で、色は…」

女「赤っ!」

トメ「また赤か?ならこちらは黒だ」

シャーッ…

シロ「……」ジーッ

ルーレットの動きに合わせてシロの眼がぐるぐる回る

コロコロコロ

その時

フワッ

シロ「……?」

コロン…

女「……!」

トメ「黒、だな」ニヤリ

イン「外れた…!」

パンパカパーン!

『大当たり ×5

…40000枚ゲット!』

女「40000枚!?」
874 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/12(金) 23:28:21.39 ID:SGwKOQSO
カジノはどうもうまい話が作れないので、さっさと終わらせたいのですが…しかし今日はここまでです…
最近全然更新できなくてすみません
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/15(月) 19:37:19.90 ID:j2e3z2DO
ww
kk
tt
kk
876 :lain. [sage]:2010/02/15(月) 21:29:52.24 ID:???
パー速のローカルルールが変更され、
SS、やる夫系スレはニュー速VIP避難所(クリエイター)【http://ex14.vip2ch.com/news4gep/】へ移行することになりました。
(次スレを立てられるようであれば)移動はこのスレが埋まってからで構いませんので、
上記の件を把握されましたらご返答お願いします。
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/15(月) 21:32:20.55 ID:q2NdAwSO
ぐらっ…

女(どうして…?あの人は8000枚もメダルを持ってなかったはずなのに…!)

トメ「ククク…!」

イン(いったい何をしたんだ…?)

シロ「……」ヒョコ

イン「シロ!?なんでそっちに…!」

トメ「なんだ?お前は…」

シロ「……」ジッ

シロ「この人、ズルしてる!」

女・イン「!?」

トメ「おいおい…これはズルなんかじゃない」ヒョイ

シロ「わっ!」

トメ「お前が言っているのは画面のこのルーレットだろう」

シロ「ズルじゃないの?」

トメ「このルーレットなら彼女にだって使える。3連続で外した後、一度だけ使えるようになるのさ」

女「!」

トメ「当たったチップの枚数を倍にするルーレットだ。24のマスに、×1が12、×2が6、×4が6…」

トメ「私は2000枚のチップを掛け、5倍当たりの10000枚を手に入れ、さらに…」

トメ「ルーレットで×4を当てた!だから私のチップは40000枚になったのだ!」

女「そ、そんなの…」

シロ「うー…」テテテ

イン「……」

イン(だけどこのタイミングで×4を当てたのは…)

イン(偶然…なのか…?)
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/15(月) 22:15:43.68 ID:q2NdAwSO
ルーレットまとめ

・通常のルーレットと違い、どこに当たってもレートが同じ

・レートはランダムで選択され、ルーレットはその後スタート

・面積の2分の1以下ならどこを選ぼうが構わない(あまり簡単に当たりそうなものばかり選ぶのはゲームとして退屈だが)

・3連続で外した場合、一度だけ「レート付加ルーレット」を使用することができる

・レート付加ルーレット…レートと掛け金を設定し、通常ルーレットを回す前に一度だけ使用できる。
当たったチップをさらに増やすことができる(通常ルーレットで外せば当然×0)

・レート付加ルーレットのレート…×1…2/3、×2…1/6、×4…1/6

さらに特殊な機能がもう一つ…
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/15(月) 22:16:53.91 ID:q2NdAwSO
ちょっと今日はここまでにします…

明日明後日は無理なので、その次に更新する予定です
全く進行がなくてすみません
880 :lain. [sage]:2010/02/15(月) 22:45:27.70 ID:???
>>876
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/16(火) 00:05:18.14 ID:VSVWcCso
運営しつこいwwwwwwwwwwwwwwww
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/16(火) 00:21:57.87 ID:kZTZAoDO
移動するのは、此処を使い切ってからでもいいんじゃね?
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/16(火) 08:36:23.83 ID:/QSHMPso
>>876
わかった

返答が欲しかったんだろ
884 :lain. [sage]:2010/02/18(木) 19:00:24.82 ID:???
作者の方からの返答を頂きたいところです
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 21:31:49.96 ID:REGxCwSO
>>884
このスレが埋まったら、次スレはここじゃなくて、避難所に立てればいいんだね
Okay
886 :lain. [sage]:2010/02/18(木) 21:32:25.98 ID:???
よろしくお願いします。
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 21:34:42.02 ID:V15fI8Mo
速いなwwwwwwwwwwww
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 21:48:55.75 ID:REGxCwSO
真剣に焦っております
いい加減一章を終わらせんとヤバいです

10時過ぎたら再開する予定です
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 22:22:01.76 ID:REGxCwSO
女のチップ 4400枚
トメガワのチップ 40000枚

女「私の…10倍…?勝てるわけ…ないよ……」

イン「女さん…」

トメ「ククク…!」


転「行け!そこだ!もっともっと!」

男「おい、テンコ、お前それは…」

転「競馬(ダビスタ)ですよ?」

男「……」

クロ「ねぇ、女さんを見に行くんじゃないの?」

男「ああ、そうだった。よし行こう」

転「私はもうちょっとこれを…ああっ」

クロ「好きにしてなさい…」


トメ「さぁ、次のレートは1.5倍…最小レートだが、十分だろう…」

女「はぁ…はぁ…」

イン「…女さん。やろう。やらなきゃダメだ」

女「でも…」

イン「大丈夫。僕も強力する」

女「……」

トメ(ふふ…あの小娘もなかなか良さそうじゃないか…)

イン「…さぁ、賭けよう、女さん」

女「……」

女「…1000枚。黒」

トメ「…20000枚!赤だ!」

ルーレット スタート!
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 22:32:44.16 ID:REGxCwSO
シャーッ

女「……」

コロコロコロ

イン「……」

コロコロ

シロ「……」ジーッ

コロンッ

トメ「……」ニヤ

女「……!」

トメ「赤…!」

『当たり ×1.5 30000枚ゲット!』

女「っ…!?」

イン(いよいよバカにならない数になってきた…そろそろこっちも当てないと…)

トメ「これで私の手持ちは50000枚…勝負あったな」

女「う…」

男「おーい!女!」

女「!?」
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 22:32:53.05 ID:REGxCwSO
男「ここだよ、ここ」ブンブン

女「男くん…」

イン「いつの間にこんなギャラリーが…」

トメ「なんだお前は?」

男「ただの客だよ。気にしないでいいって」

トメ「……フン」

男「女ー。負けそうなのか?」

女「……」コクン

イン「こっちは3400枚、向こうは50000枚…正直言って、勝てる気がしないよ」

男「そうか、そんなに差が」

女「……」

男「まぁ、なんとかなるだろ」

女「…え?」

男「ここまで来れたんだしさ、なに、いざってときは俺がちょっとチップ出してやるよ」

トメ「それはダメだ!さぁ、続けるぞ!」

女「あ…」

男「大丈夫だって。ここで見ててやるから」

女「……うん」
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 22:41:35.53 ID:REGxCwSO
トメ「次のレートは…」

トメ「……3倍!ほう。今回はなかなか調子がいい」

イン「3倍…全部賭けても10000枚弱…」

トメ「私は10000枚賭けよう…!」

イン「く…」

女「……よし、やる」

イン「…え?」

女「2400枚賭ける!」

トメ「2400枚か…!いいだろう。残りの1000枚は保険のつもりか?」

女「私の勝手でしょ!」

トメ「そうだな…!」

イン「お、女さん!?」

女「…私、やるよ…男くんが大丈夫だって言ってくれたんだもん…」

イン「……」

トメ「どちらに賭ける?」

女「…赤」

トメ「私は黒だ…!」

ルーレット スタート!
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 22:45:09.36 ID:REGxCwSO
シャーッ

イン「……」ドキドキ

コロコロコロ

女「……」

コロコロ

男「ここからじゃ分かんねーな…どうなってんだ?」

コロン

シロ「!」

イン「!?」

女「……!」

トメ「………くく」

トメ「ククク…ククククク!」

『当たり! ×3 30000枚ゲット!』

トメ「これで私は70000枚だ!」

男「お…女…負けて…!?」
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 22:55:30.17 ID:REGxCwSO
女「うそ…また…負けた…」

トメガワのチップは70000枚
女のチップは1000枚

この圧倒的な差が埋まるはずはなく

周囲の騒々しい声もいつの間にか消えていた

誰もが勝負がついたと、そう思っていたのだ

ただ一人、彼女を除いては

トントン

トメ「ん…?誰だ?」クルッ

クロ「……」

トメ「なんだ君は。次は君が私の相手か?」

クロ「ここからだとルーレットがよく見えるわ」

トメ「…?」

クロ「シロ」

シロ「な、なに…?」

クロ「あなた、見えてたんじゃない?」

クロ「さっきの球の不自然な動き」

トメ「な、何を言って…」

シロ「…さっき、球がふわってなってた…」

トメ「!?」

シロ「…ようにみえたよ…」

クロ「……そうね。やっぱりそうよね」

トメ「な、なんのことだ!?」

クロ「……さっきからあなたずっと左ポケットに手を入れてるけど」

トメ「!」

クロ「なにが入ってるのかしら?その中…」
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 23:07:13.61 ID:REGxCwSO
男「クロのやつ、何を話してんだ…女がヤバいってのに…」


クロ「しらばっくれてんじゃないわよ!!」


男「っ!?」ビクッ


トメ「だ、だから別に何も…」

クロ「ならポケットを探らせて!何もないって確認させなさい!」

トメ「そ、それは…」

クロ「焦れったいわね、おとなしくしなさい!」バサァ!!

トメ「!?」

シロ「く、クロおねえちゃん!?」

ざわ…ざわ… なんだ?どうなってんだ?

クロ「……ポケットの中のモノを出しなさい…さもないと…」

クロ「大変なことになるわよ…」ボソッ

トメ「……!」ゾクッ

クロ「さぁ…早く…」

トメ「くっ…」ゴソッ

トメ「…これが入ってる」スッ

クロ「…車のキー。この2つのボタンは…」チャリッ

ピッ

パタパタッ

シロ「…!」

クロ「黒のマスがひっくり返ったわ。これは…」

クロ「……色を塗った磁石ね」

トメ「!!」
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 23:12:38.16 ID:REGxCwSO
クロ「こっちを押すと…」ピッ

パタパタッ

クロ「赤のマスが磁石になる。なるほどね。鉄球と磁石を使って自由に当たり外れを操っていたワケね」

トメ「く……」

クロ「回転する球がルーレットの中心に落ちていく前に賭けた側のマスを磁石に反転させる。…ルーレット自体も回っているから、案外気付かないものね」

シロ「じしゃくで…!」

クロ「なかなか大胆なイカサマをするのね。でもこれは…」ポイッ

クロ「もういらないわ」グシャッ

トメ「なっ…!」

クロ「…女さん。今までのこいつは何度かイカサマをしてたみたいよ」

女「い、イカサマ…!?」

クロ「そうよね?」

トメ「……ああ」

ざわっ…

トメガワのやつ…仕組んでやがったのかっ…! 卑怯者っ…!

トメ「だ…だまれっ!」

クロ「そうよ。皆黙りなさい。これからの彼は…」

クロ「本能を頼って、不安定なゲームを続けるだけなんだから」

トメ「ぐ…」


男「イカサマしてたのか…!?あのおっさん信じらんねぇよ!」

女「……トメガワさん」

トメ「…?」

女「続けよう。ゲーム」

トメ「……!」
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 23:18:42.69 ID:REGxCwSO
クロ「…女さん、こいつはイカサマしてたのよ。もうあなたにゲームを続ける必要はないわ。こいつは破滅したの。終わりなの」

女「ううん。まだ…」

女「まだ…私は勝ってないもの…」

トメ「……」

女「続けようよ…ね」

トメ「あ、ああ…」

女の静かな迫力に

誰もが言葉を発することができなかった…


女「トメガワさんが私にくれたルール、あるよね。レート選択」

トメ「!」

女「せっかくだから使わせてもらうね。今回のレートは」

女「13.5倍」

イン「女さんが選択できるレートの最大値…!」
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 23:29:18.16 ID:REGxCwSO
女「そして…今ので私は『三連敗』したから…」

女「レート付加ルーレットも使えるね…」

トメ「!!」

女「賭け金は残り全て。つまり1000枚…」

女「じゃあ、回すよ。レート付加ルーレット」

トメ「…ま、回せばいいさ…」

女「うん…」

クルクルクル

ここからはイカサマなしの、運の勝負

そして女は

絶望の淵からはい上がるほどの、脅威の運を手にしていた…

ピタッ

トメ「……!」

女「…4倍。運がいいなぁ、私」

イン(これで当たれば…13.5倍にさらに4倍…54倍!)

クロ「…トメガワさんって言ったかしら?」

トメ「な、なんだ」

クロ「ここで彼女が当てれば、54000枚。でもあなたの手持ちは80000枚。賭け金を26000枚以下に収めれば、敗北はあり得ないわ」

クロ「でも」

クロ「私も、女さんも、ここにいる誰も、そんなことは許さないわ。あなたは卑怯なことしたんだから、ハンデを背負わなきゃいけないわ」

トメ(イカサマしていた私の立場を利用して…!)

クロ「あなたの賭け金は26000枚以上。当てればあなたの勝ち。外せばあなたの負け。正々堂々、最後のギャンブルよ」

トメ「……ぐっ…!」
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 23:35:13.06 ID:REGxCwSO
イカサマの突破、場の空気の掌握、これらを利用したことにより、女が敗北から脱する可能性は

見事に、五分となる…!

女「いくら賭けるか、決めた?」

トメ「……30000枚だ。文句ないだろう」

女「……じゃあ、どっちに賭けるか、選んで」

トメ「……」

イカサマも何もない、勘のみの二択

トメ「…赤」

女「私は、黒…」

イン「……」

男「……」

クロ「……」


ルーレット スタート!
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 23:43:33.02 ID:REGxCwSO
女の賭け金は1000枚

レートは13.5倍にさらに4倍

当たれば54000枚

外せば0枚、ゲームは終了

トメガワの賭け金は30000枚

レートは13.5倍

当たれば405000枚、総数は455000枚にも及ぶ


しかし、ルーレットが回り出すその瞬間に、誰もが本能で感じとる

今の女には誰も勝てない…



そして女の凶悪なほどの運は

球を黒のマスに導いた



わっ…! 黒っ…! 黒だっ…!


イン「は……」ヘタッ

クロ「ほ、ホントに…当てた」

男「たかが1/2なのに…ここまで…」


女「…トメガワさん」

女「まだ、続ける?」

トメ「…お、お前とはもう…二度と、やらん…!」ガタッ

女「……ふぅん。残念だね」

トメ「お前の勝ちでいい!もうこのカジノは好きにしろっ!」スタスタ

バタン

女「……」
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 23:48:08.45 ID:REGxCwSO
クロ「…確率云々の理屈じゃなく、精神面で押し切ったわね」

シロ「す…すごい…」

女「……」フラッ

女「う」ガタ

男「お、女!?」ダッ

女「なんか…腰抜けちゃった…あはは…」

男「すげぇよ…すげぇよ、お前…!」

女「うん…ありがとう…」

イン(トメガワのイカサマをクロ姉さんが強引に破り、さらにそこからの反撃…)

イン「女さん、本当にすごかったよ…!」

女「…そっか…。やってみてよかったなぁ…」
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/18(木) 23:52:12.83 ID:REGxCwSO
ギャンブル編が終わったので、今日はここまでにします
gdgdになってしまいました
女の話が少なかったので、埋め合わせたかっただけなんです

明後日で終わる…かな…?
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/19(金) 09:21:08.92 ID:nBOSZ.U0
終わるってのは「第一部・完」的な?
期待してるぜ
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/21(日) 21:41:52.49 ID:FivdX9E0
マダー?(・∀・)っ/凵⌒☆

にしてもあれだなぁ
人減ったよなぁ
やっぱVIPのやつはでかかったな
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/21(日) 22:29:01.57 ID:ToX0kESO
すみません
今日はちょっと書く余裕がないので
明日にします
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/21(日) 23:24:23.32 ID:FSf/sO6P
了解。楽しみだ
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 17:31:04.44 ID:ILcQEMDO
>>904
そのVIPのときに見てなかった俺に産業で
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/02/22(月) 22:07:39.67 ID:nb3qpMSO
男「…まぁ、快勝したのはいいんだ。でも」

男「そのチップどーすんだ?54000枚って…」

女「うーん…私もうカジノやりたくないし…」

クロ「いいわ。私が全部使ってあげる」

女「えー…。それもなんかなぁ…」

イン「じゃあ…」ボソッ

女「……あー、それならいいかも…」

男「?」

女「…えー、先ほどのカジノに参加していた皆さん…!」

…? なんだいったい…?

女「…私のチップ、譲ります!」

イン「えっと…チップはどうやったら出るんだろう。これかな?」ポチッ

ジャラララララララ

吐き出した…! 早い者勝ちだっ…! どけっ! わーわー!

シロ「わーわーっ!」ギュウギュウ

イン「シ、シロは危ないから戻って!」

女「ちょっとやりすぎたかな…すごいことになっちゃった」

男「まぁ、テキトーに捨てるよりいいか」

クロ「……もう行きましょ。私、疲れちゃったわ」

女「じゃ、そうしよっか」

クロ「イン、シロ、とりあえず下りるわよ」スタスタ

イン「あ、うん。シロ、もうチップは諦めて!」クイッ

シロ「いっぱいあるのに…」トトト

男「……」スタスタ

男「…っと。大きな忘れ物があった」
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 22:21:56.22 ID:nb3qpMSO
男「お…いたいた…」スタスタ

男「…おい」ポン

転「……ふぁ…?」

男「…お前なぁ。ゲーセンで居眠りこくなよ…。競馬(ダビスタ)はどうしたんだ?」

転「飽きたんで、やめました」

男「あー、飽きたのか。そうかそうか」

転「何か?」

男「いや…最後なんだから、もっとしっかり楽しめばいいのにな、って思って」

転「……」

転「一人ぼっちで遊んでても楽しくないですよ」

男「……」

転「私はあなたみたいに一人遊びの達人じゃないんで」

男「達人って何だそりゃ」

転「…もう、行くんですか?」

男「ああ、女たちは下りてったよ」

転「じゃあ、そうですね。帰りましょう」スッ


男「……」スタスタ

転「……」スタスタ

男「……」スタスタ

男「……」スタスタ

男「……」スタスタ

男「…あれ?テンコ?」クルッ
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 22:45:38.59 ID:nb3qpMSO
転「……」

男「何だよ。なんかやりたいもんでもあったのか?」

転「…あれは」スッ

男「ん…?」クルッ

男「……プリクラか」

転「プリクラ?」

男「プリントクラブだよ。あの中に入って、写真を撮るんだ」

転「写真ですか」

男「いろいろいじれるんだぜ。ペンで字ぃ書いたり、キラキラに加工したり」

転「なーるほど。ちょっとやってみたいです」

男「じゃ、入るか」

パサッ

転「案外広いんですね」

男「だな。俺も久々に入ったけど、結構あるな」

転「画面がありますよ。これに私たちが映るんですか?」

男「まずは金だ。げっ、500円もすんの!?」

転「…やめます?」

男「やめませんっ!」ピロリンッ

転「…なんかいろいろ出て来ましたけど」

男「うーん…よく分からないけどいじってみよう」ピッピッ

転「……」

転「私、この10年近く自ら進んで写真を撮ってないんです」

男「藪から棒に何だ」

転「写真嫌いの私も、あなたと一緒なら喜んで撮りますよ」

男「ん?…どーいう意味だ…?」

転「いえ、深い意味はありません」
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 22:55:20.19 ID:nb3qpMSO
男「…お、なんかよく分からんまま用意できたっぽいぞ」

転「さすがですね」

男「カメラはこの四角いのだな。角度とか変えるか?」

転「私が一番美しく見える角度を…」

男「いじるのやめた。めんどくせぇや」

転「……」

男「ほら、もう撮るぞ」

転「何枚撮るんです?」

男「9枚」

転「え、9個もポーズ決まらないですよ」

男「なら棒立ちだな。はは」

3…2…

転「あっ、カウント始まった」

1…

男(ホントなら女たちも入れてワイワイ撮りたいが…)

男(二人きりってのも悪くないかな…)

パシャッ


男「ほら、急いでポーズ変えて!」

転「わわわわ」

3…2…1…パシャッ


男「はい次っ」

転「はっ!」

3…2…1…パシャッ
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 22:58:26.59 ID:nb3qpMSO
…パシャッ…パシャッ…パシャッ……

男「さぁ8枚目!」

転「う…ウインク!」パチッ

3…2…1…パシャッ


男「よしっラストだ!」

転「も、もうポーズが」ワタワタ

3…2…

転「あっ」ガッ

男「うお」フラ

ドサッ

1…

パシャッ
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 23:16:41.60 ID:nb3qpMSO
ベエッ

転「あ、出て来ましたよ」ピッ

男「どれどれ…」

転「あーあ…見てくださいよこれ。私よそ見しちゃってます」

男「俺なんて下向いてるし…」

転「あぁっ!ウインクできてないっ!両目潰ってる!」

男「気付くだろ普通!」

転「最後は…」

男「……俺の手がギリギリ写ってるだけだ」

転「ダメダメですね」

男「つーか、なんであのタイミングでこけるんだよ!お前だけならまだしも俺を巻き込むなんて…」

転「一人でポーズ決めてる写真が欲しかったんですか?」

男「……それは嫌だな」

転「じゃあこれはあなたにあげます」スッ

男「え、お前は?」

転「だって、あなたのお金じゃないですか」ペリ

男「……」

転「うりゃ」ペタ

男「ちょ!顔に貼るなー!」

転「あははは」

男「…これはお前にもやる。9×4の36枚もあんだからな」

転「でも…貼るところがないんですよね」

男「俺だったら携帯に貼るとかできるんだけどなぁ。お前の場合マジで顔に貼るか?」

転「貼りませんよ…」

男「…お、そうだ」ペリ

転「?」
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 23:17:11.99 ID:nb3qpMSO
転「まさかこの指輪に貼るとは思いませんでしたよ。はみ出てるし。左右一枚ずつしか貼れないし」

男「正直すまんかった」

転「でもここならなくしませんね」

男「…残りはどうしようか」

転「私はこの2枚で十分です」

男「いや、でも…」

転「いいんですよ。最悪、クラスの人たちに売ればいいじゃないですか」

転「謎の美少女転校生のプリクラ、1枚300円!ってね」

男「謎の美少女転校生(笑)」

転「……」

男「ま、そこまで言うなら取っておくよ。売らないからな」

転「私も、大事にします」

男「…よし、じゃあマジで戻ろう。あいつらに怒られる」

転「はいはい」シャッ
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 23:27:46.45 ID:nb3qpMSO
女「……あ、二人とも来たよ!」

男「いやぁ、待たせて悪かったな」

クロ「どうせ姉さまがずーっとゲームやってたんでしょ?」

転「違いますよ。これを見てください」スッ

クロ「ゆび……!」

イン「なにそれ…写真?」

転「プリクラですよ。男さんと二人で撮ったんです」

男「バカっ…なんで言うんだよ!こいつらが撮りたい撮りたい言いだしたらどうすんだ!」ボソッ

転「撮ればいいじゃないですか」

女「二人きりで撮ったの?」

男「あ、ああ。こいつが気になるっつーもんで…別にお前たちを仲間外れにしたとかそういうつもりは…」

女「どんなのか見たいな」

男「……」ゴソ

男「…はい」スッ

女「ありがとう」

シロ「シロにも見せてー」ピョンピョン

女「…二人とも、楽しそうな顔だね」

男「え…そうか…?こいつなんてポーズ決めるのに必死で全然そんな感じじゃなかったけどな」

転「必死って…なんかバカみたいじゃないですか」

女「……」

女(男くんとテンコちゃん、か)

女「はい。返すね」スッ

男「…もういいのか?」

女「人の写真をあんまりじろじろ見るのはいい気がしないもん」

男「このウインクとかな」ニヤ

転「できないんだからしょうがないじゃないですかっ」
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 23:39:10.68 ID:nb3qpMSO
クロ「…男」

男「ん?」

クロ「……」

クロ「何でもないわ」

男「?」

イン「もう行こう。このままじゃキリがないからね」

女「だね。これから精算もしなきゃいけないし」

男「精算か…おお恐ろしい」ブルブル

転「……」


男「予想外の手痛い出費に正直泣きそうです、お疲れさまでした」

クロ「楽しかったわよ」

イン「女さんのカジノは凄かったなぁ」

女「もう二度とやりたくないけどね…」

シロ「クロおねえちゃんがね、このぬいぐるみくれたんだよ」

転「そういえば壊れた太鼓はどうなるんでしょう」

男「…じゃ…帰るか!」
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/22(月) 23:40:04.32 ID:nb3qpMSO
今日はここまでにします
ダメだ、また終われなかった…
次こそは終わらせたいです…
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/23(火) 14:36:55.00 ID:R37hjR20
やっぱりテンコが一番かわいい
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/27(土) 23:49:01.11 ID:.6P4C6SO
男「ただいまー」ガチャ

転(…この聞き慣れたセリフもこれが最後なんでしょうね)

クロ「今何時…?」

男「もうすぐ4時だな」

シロ「シロ、おやつたべたい」

イン「飴とかチョコとか、たくさん取ったから、一緒に食べようか?」ゴソ

シロ「うん!」

男「…なーんか」

男「みんな、この家に慣れたんだな」

女「どういうこと…?」

男「いやな、最初は心配したんだ。テンコが来たときなんて」

男「こんな奴でも一応女の子だし、一緒に暮らすなんて、不安だった」

転「こんな奴って…本人の前でそれを言います?フツー」

男「でも、すぐにクロが来て、インとシロが一緒に来て、時々女も来て」

男「…お前らといられるこの家が、大好きになった」

女「……」

クロ「私もこの家が好きよ。ちょっと窮屈だけど」

イン「僕は地獄にある家より、こっちの方が少し落ち着くな」

シロ「シロも大好きー!」

男「そっか……」

女「…こんなに居心地いい家、なかなかないよ」

男「お前まで言うか?」

女「だって、ホントだもん」
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/28(日) 00:16:22.72 ID:FhbIlcSO
男「テンコ、お前はどうだ?」クルッ

転「はい?」

男「どうだろう。この家」

転「ぼろっちくないですか」

男「築15年だからな」

転「そうでしたね」

男「あれだなぁ、お前のあのセリフは衝撃的だったな」

転「何かありましたっけ?」

男「邪魔するぞオラぁ!だったか」

転「コラぁ!ですよ」

男「あれが地獄での常識みたいに言ってたけど、嘘だろ」

転「今さら気付いたんですか」

男「き、気付いてたよ!クロが窓ガラスふちやぶって入ってきた時は『あれ?やっぱこういうのが普通なのか?』って思ったけどな!」

転「そういえば…あの時はカレー食べ損ねましたね」

男「カレー?」

転「……今日食べたいです。作ってくれませんか?」

男「…別にいいけど」
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/28(日) 12:15:57.35 ID:FhbIlcSO
女「カレー作るの?」

男「ああ」

女「私も手伝おっか?」

男「そうだな…まだ少し早いから、あとで手伝ってくれるか」

女「任せて!」

転「……」

転「困ったな」

クロ「…なにが?」

転「これでカレーを食べたら」

転「もう本当に、この家でやることがなくなってしまう」

クロ「……いいことじゃない」

転「…どーですかね」


地獄

父「まったくどうして魔王をやめたあとも、仕事がやってくるんだろう」

父「ああ忙しい…明日の朝にはあの子たちに迎えをよこさなくちゃならないし」

父「他にもやることがたくさんあるな…」
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/28(日) 12:31:35.90 ID:FhbIlcSO
イン「男くん男くん」クイクイ

男「ん?」

イン「シロのカレーには、ツナを入れてあげてね」

男「ああ…そっか、ツナカレーだな。よし」

イン「それと…僕たち少しだけ寝てていい?」

男「眠くなったのか?」

イン「うん。僕もだけど、もうシロが限界みたいで」

男「……」チラ

シロ「……」ウトウト

男「いいけど、カレーできたらすぐに起こすからな」

イン「うん。大丈夫、ちゃんと起きるよ」スタスタ

男「……なぁ、クロ」

クロ「なに?」

男「インは本当に妹(シロ)思いなんだな」

クロ「そうね」

男「ちょっと、やりすぎじゃないか」

クロ「やりすぎ?」

男「シロはこれから、一人でやってけるのか?」

クロ「でも、私たちが学校に行ってる間は、ずっと一人よ」

男「…そっか」

クロ「変なこと聞くのね」
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/28(日) 13:09:57.05 ID:FhbIlcSO
転「……」

女「ねえテンコちゃん」

転「はい」

女「私には詳しいことは分からないけど」

女「何か悩んでることがあるの?」

転「…え?」

女「あ、違った…?」

転「……」

転「メイのことが気になってるんです」

女「あの、メイドさん?」

転「あいつはどうなったんでしょう」

転「死んでしまったのか」

転「それとも…」

クロ「まさか、今さら後悔してるわけじゃないわよね」

転「……」

クロ「私もそうだけど、あなたは彼女が嫌いだったんでしょ」

転「ええ、大嫌いでしたよ」

転「でも、大好きだったのかもしれません」

クロ「……よく分かんないわ、姉さまって」

転「…そうでしょうね」
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/28(日) 13:34:12.54 ID:FhbIlcSO
男「もう5時半か…」

男「今日はさっさと飯食って、さっさと寝よう」

クロ「最後なのに?」

男「何かやりたいことあるのか?」

クロ「…ないわね」

男「…まぁ一緒に寝るぐらいなら…」

クロ「じ、冗談じゃないわよ!」

転「顔真っ赤ですよ」

クロ「うるさいわね!」

男「くくっ…」

クロ「な、何よ…」

男「俺もモテモテだなぁ!はははっ」

クロ「別にモテモテなんかじゃないわよ!あなたなんか!」

男「ははははは」

クロ「ああああもう!!」
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/28(日) 14:54:59.39 ID:FhbIlcSO
男「そろそろカレーができるぞ」

女「お皿出さなきゃ」

クロ「私も手伝うわ」

転「インたちを起こしましょうか?」

男「ああ、じゃあ起こしちゃってくれ」

転「ふふふ」ニヤニヤ

男「普通に起こせよ?」

転「KOCHOKOCHOOOOOOOOOOO!!!」コチョコチョ

イン「ひゃっ!?」ビクッ

シロ「くー…くー…」

男「シロには効かないのか」

転「カレーができましたよ」

イン「…普通に起こしてよ」ムスッ

転「シロは起きませんね…」

イン「僕が起こすから、姉さんは向こうに行ってて」

転「そんなにこちょこちょが嫌でしたか」

イン「シロ、起きて…」

シロ「ん……」ギュウ

イン「……」

イン「もうちょっと寝てようかな…?」

転「イン」

イン「う、嘘だよ!?」
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/02/28(日) 15:06:58.38 ID:FhbIlcSO
シロ「……」フラフラ

男「お、ちゃんと起きたな」

シロ「……」クンクン

シロ「カレー?…」

イン「シロのはツナカレーだよ」

シロ「ツナ!」シャキッ

男「ほれ、ちゃんと座りな」コト

シロ「わぁ…!」

イン「このにんじんは…なんだろう。ペンギンかな…?くちばしみたいな出っ張りがあるけど…」

女「それ、私が切ったんだよ…」

イン「え…」

男「ちなみにどんな形に切ろうとしたんだ?」

女「星形」

男「……まぁ、食っちまえば同じだよな」

転「フォローになってませんね」
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/03(水) 00:07:40.18 ID:2vh7jwSO
こっちも書けないのか
ちょっと残念
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/05(金) 14:20:42.93 ID:tHc1bhw0
まだか
929 :1 [sage]:2010/03/06(土) 18:30:08.21 ID:LWlaS2DO
こんばんわ1だよー^^
また飽きちゃったからもう書けないんだー^^
勝手に読んでてくれたお前らざまぁwwww
またVIPに荒らしに行くときはよろしくね^^^^^^
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/06(土) 20:17:18.64 ID:Z07x4y6o
よう、ドコモ
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/06(土) 20:56:06.22 ID:5WkqAago
まだかえってこないのかなぁ
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/06(土) 21:00:40.04 ID:7d7RGQSO
まだ1週間
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/03/09(火) 13:38:36.21 ID:L4BTKSo0
まだかなまだかな
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/09(火) 20:57:55.19 ID:/AS4qcSO
せめて雑談ぐらいあってもよさそうなもんだが
全然人いないな

早く帰ってこいよー
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 20:39:35.54 ID:0Y42osSO
お待たせしました
9時ごろから再開します
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sag]:2010/03/10(水) 21:19:33.64 ID:0Y42osSO
男「カレー…ごちそうさまでしたーっ」

女「ごちそうさま!」

シロ「おいしかったよ!」

転「……」パクパクモグモグ

イン「…姉さんはまだ食べてるの?」

転「おかわりありません?」

クロ「食べ過ぎよ…。三杯目でしょ」

転「…ごちそーさまでした」

男「食器は…」

クロ「台所に持って行く。分かってるわ」

男「そ、そうか」

イン「今日は僕たちが片付けるよ」

男「お…よし。じゃあ頼むぞ!」

転「僕たちって何ですか、私も入ってるんですか?」

イン「当然だよ」

転「はぁー…どっこいしょ」

男「どこのジジイだお前は」

シロ「…て、手がとどかないよ」プルプル

イン「じゃあシロはお皿拭いて、テーブルの上に並べてね」

シロ「はーい」

転「食後の皿洗いなんて面倒なことやってられませんよ…」ジャー

クロ「そのくせエプロンはちゃっかり着けるのね…」ゴシゴシ
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 21:25:27.53 ID:0Y42osSO
女「……男くん」

男「…どした?」

女「明日、帰っちゃうんだよね。みんな」

男「……」

女「寂しいね」

男「こう言っちゃなんだけど、俺はお前の十倍くらい寂しい」

女「…そうだよね。ずっと一緒だったから」

男「でも、それだけだ」

女「え?」

男「寂しいだけだ。それだけで、これからの俺の暮らしが変わるわけじゃない」

男「明日の昼には学校で弁当食って」

男「帰って、勉強して、寝て」

男「もう少ししたら夏休みも始まるし」

男「お袋もそんぐらいには帰って来るか?」

男「とにかく、別段変わっちまうわけじゃない」

女「……」

男「あいつと一緒にロキと戦ってた時は、もう明日が来ないかも、なんて思ったけど…」

男「明日は来た。で、また、いつも通りの日々が来る」

男「あいつらも、元の暮らしに戻る」

男「ただ、それだけなんだ」

女「……」

女「男くん、本当にそう思ってる?」

男「…え?」
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 21:32:32.71 ID:0Y42osSO
女「本当に、いつもと同じ日々なの?」

男「どういう意味だよ」

女「…男くんにとってあの子たちは、どういう存在なの?」

男「そりゃあまぁ…家族みたいな…」

女「その家族がいなくなって、それを、綺麗に忘れちゃうの?」

男「……忘れるわけじゃないけど」

女「私もそうだけど、男くんはもっと」

女「大事なものを教えてもらったんじゃない?」

男「……」

女「きっとあの子たちと過ごした日々が」

女「少しずつ、男くんを変えてくれるよ」

男「俺を、変える…」

女「そうじゃなくても男くんは、この数日間で成長したもの」

男「……」


シロ「おにいちゃん…」

男「っ!?」

女「どうしたの?」

シロ「お皿、割っちゃった…」

男「…ああ、割っちゃったのか、そっか」

女「大丈夫?ケガしてない?」

シロ「指、切って…」

男「ホントだ、血が出てる…よし、救急箱持ってく…」

女「私が!私が持ってくるよ!」

男「え?あ、じゃあ…」

女「待ってて!洗面所だったよね?」スタスタ
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 21:34:54.20 ID:jGnYsWIo
きたかww おかえり
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 21:42:21.75 ID:0Y42osSO
>>939
ただいま
今日で第一章終わらせます

シロ「う…」ジッ

男「どうした?痛いのか?」

シロ「…ごめんなさい」

男「別に怒ってないぞ?」

シロ「……」ウルッ

男「…何だよ、そんな顔するなよ」

シロ「男にいちゃん…」ギュウ

男「……」

男「…いいんだ、分かってる」ワシャワシャ

女「救急箱持って来たよ!」

男「お、ありがとな。でも…」

シロ「…もう、止まっちゃった」

女「あー…悪魔は傷の治りが早いんだっけ」

シロ「……」

女「じゃあ私、割れたお皿片付けるね!」


クロ「……」ジャブジャブ

イン「……」ゴシゴシ

転(…みんな思い思いに感傷に浸ってるんですかね)

転(私も人のこと言えませんけど…)ツルッ

パリーン

転「あ」

男「テンコ!お前今ボーッとしてただろ!」

転「えっ!?私のときは怒るんですか…!」
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 21:50:52.72 ID:0Y42osSO
クロ「片付け、終わったわよ」

男「ああ、お疲れさま」

イン「手に洗剤の匂いが付いちゃった…」

男「風呂入るか?」

イン「ううん。お昼に入ったから、今日はもういいかな」

男「そっか」

転「男さん、アイスありません?」

男「ありませ〜ん。だいたい、運動会でもらったやつを食っただろ」

転「運動後のアイスと食後のアイスは別ですよ」

男「ないっつーの」

女「……男くん、私そろそろ帰…」

シロ「帰っちゃうの…?」

女「…シロちゃん」

イン「シロ…。ワガママ言っちゃダメだよ。女さんには女さんの家があるんだから」

女「…ごめんね。また明日…」

男「明日って…見送りに来るのか?」

女「うん。そのつもり。じゃあね…」スタスタ

男「ああ、じゃあな」

クロ「おやすみなさい」

転「……」

転「…お世話になりました。さようなら女さん」ボソッ
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 22:04:23.25 ID:0Y42osSO
バタン…

男「……」

男「さ、お前らどーする?まだ9時前だけど」

イン「明日の荷造りをするよ」

男「お前はちゃんとスーツケース持って来てたもんな」

男「だが!」キッ

転クロ『!』

男「どこかのマヌケは巾着袋の一つさえ持ってこなかった!」

クロ「べ、別にいいじゃない!私はギターしか持ってきてないし…」

男「せっかく買ってやった服があるだろーが。あれはどうすんだ?」

転「私のはあなたにあげます」

男「え」

転「今着てる服は来たときのと同じ服です。申し訳ありませんが、あなたが買ってくれた服は置いていきます」

男「いいのか?」

転「ええ。女装してみるもよし、残り香を堪能するもよし、自由に使ってください」

男「んなことしねーよ。…クロ、お前は?」

クロ「へ、変なことに使わないでよ…」

男「使わないっつーの。俺どんだけ変態だよ」

転「あっ!あんなところにクロの下着が!」バッ

男「!?どこだっ!」クルッ

転「バカが見るぅ〜♪やっぱり変態なんですね」

男「くそっ…騙したのか…」

男(……殺気!?)

クロ「……男、覚悟なさい」バサァ

男「ぎゃあああああああああ!……」
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 22:13:14.89 ID:0Y42osSO
イン「夜なんだから騒いだらダメだよ」

転「ホントですよね」

イン「姉さまも十分やりすぎだよ」

転「まぁ否定できませんね」


男「死ぬかと思った…」

クロ「擬似デートを思い出す逃げっぷりだったわね」

男「そんなゲームもあったな…」

クロ「…もしかしたらあの時から、あなたのことが…」

男「ん?」

クロ「な、なんでもないわ!」

転「……」ニヤニヤ


イン「よし…これで綺麗に入った…」

イン「閉まるかな…?」グググ

イン「う…あと少し…」グググ

男「どうだ?荷造りは済んだか?」

イン「これがなかなか閉まらなくて…」グググ

男「よし俺も手伝おう」スッ

男「うおおお…なかなか…キツいな…」グググ

イン「やあっ!」バタンッ

男「よし、閉まった!」

シロ「おねえちゃんおねえちゃん」

イン「ふー。どうしたの、シロ」カチャカチャッ

シロ「この本とこの本も閉まってほしいの」スッ

男「やり直し…だと…?」

イン「」
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 22:18:49.89 ID:0Y42osSO
イン「……」カチャカチャ

男「お、お疲れさま…」

イン「シロ、もうしまい忘れはなしだからね」

シロ「う、うん」

男「テレビでも見ようぜ」スタスタ

イン「そうだね」スタスタ

クロ「あ、来たわよ」

転「!」アワアワ

男「ん?何やってんだ?」

クロ「姉さまがね、あなたに手紙を書いてたの。最後だからって」

男「ウソ…あのテンコが?マジかよ…?」

クロ「ほら、姉さま」

転「……」ガタッ

転「えー…そのー…なんと言いますか、いろいろと伝えたいことがあるので…」

男「それでこの手紙を?」

転「まぁ…そんな感じです」カアア

男(テンコがデレた…!)

転「読んでください…」スッ

男「あ、ああ」

男(やべえ、緊張する…)

ピラ
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 22:26:18.01 ID:0Y42osSO
『バ カ が 見 る (笑)』

男「……」

男「えっと、お二人方、これは一体どういう意味の手紙…」

転「……ぷっ」

クロ「……くすっ」

転「あーっはっはっはっはっはっはっwwwwwwwwwwww」

クロ「ホントにwwwwwwホントにwwwwwwww引っ掛かったのねwwwwwwwwwwww」

転「これは一体wwwwwwwwww」

クロ「どういう意味の手紙wwwwwwwwwwwwww」

転「そのままのwwwwwwww意味なwwのwwwwにwwwwwwwwww」

クロ「ドッキリwwwwwwww大成功wwwwwwwwwwwwww」

男「……」

男「お前らあああああああ!俺のピュアなハートを傷つけたな!許せん!」

転「ひーっwwwwwwwwこんなにあっさりwwwwwwww引っ掛かるなんてwwwwwwwwwwww」

クロ「笑い過ぎてwwwwwwwwお腹痛いわwwwwwwwwwwww」

男「★@$♪♂∞〒〜!!!」


イン「よ、夜だから静かに……くくっ」

シロ「おねえちゃんも笑ってるよ…?」
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 22:26:22.90 ID:UEhV5qso
ついにチンコがデレたか
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 22:37:19.30 ID:x.P/88.P
>>946チンコじゃない桂だ
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 22:40:38.07 ID:0Y42osSO
転「な、何も本気でげんこつしなくてもいいじゃないですか…!」

クロ「そうよ!私なんて、ただ話に乗っかってみただけなのに!」

男「やかましい!お前らが女じゃなかったら顔面狙ってんぞ!」

転「だって…だって…まさかあんなのに騙されるなんてwwwwwwwwww」

男「……はーっ」

ゴンッ!!


転「男さん、機嫌直してくださいよ…」

男「あーあー聞こえんなぁ」ピピピ

転「とか言いながらテレビの音量上げないでください」

男「聞こえん聞こえん」

クロ「ごめんなさい…私、海より深く反省してるのよ…」

男「そんなんじゃダメだ…。地球の核ぐらい深く反省しなさい」

クロ「核より深くって……」
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 22:49:09.33 ID:0Y42osSO
シロ「…男にいちゃん」

男「ん?どうした?」

転(シロにはこの態度…)

シロ「シロ、もう眠たい…」

男「…そうだよな。もうすぐ10時だもんな。そりゃ眠いよな」

イン「僕たちもう、寝てもいいかな…?」

男「ああ…」

男「そうだ。最後なんだし、一緒に寝るか?」

転クロ『!?』

イン「いいの…?」

男「ああ。ちょっと暑いかもしんないけど」

イン「ありがとう…!」

男「たーだーしぃー!テンコ、クロ!お前たちはダメだ!」ビシィッ

転「そ、そんなの酷いですよ!」

クロ「あんまりだわ!」

男「酷い?あんまりだ?どの口がそんなことを!」ギュウ

転「ひたたたたたた…ご、ごべんばさいぃ」

クロ「ほ、ほんとに反省ひてるわ…!ごべんなさい…」

男「ったく……」パッ

男「……許してやる」

転「あなたは神です!」

クロ「輝いてるわ!」

男「うるさいなっ!さっさと寝る支度をしろっ!」

イン(やっぱり優しいなぁ)
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 22:49:18.60 ID:0Y42osSO
男「……」

ギュウギュウ

男(右腕にクロ、左腕にイン、腹部にシロ)

男(正直暑苦しくて死にそうだけど、今なら死んでもいい)

男「…で、なんでお前は枕元に座ってんだ?」

転「座ったまま寝れるからです」

男「いや、まぁ確かにこの状態じゃお前は入れないけどさ」

転「誰があなたにくっついて寝るって?私はいいんですよ。LADYですし」

男「れでぃ(苦笑)」

転「…長女ってのはね、この位置で妹たちを見てるくらいがちょうどいいんですよ」

男「……」

シロ「んぅ…」ギュ

男「…そっか」

転「いやしかし、モテモテですね男さん」

男「羨ましいか?」

転「羨ましいです」

男「あれ、冗談のつもりだったんだけどな」

転「私はモテモテから最も程遠い存在でしたから」

男「……?」
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 23:00:28.42 ID:0Y42osSO
次スレ用のテンプレもそろそろ考えた方がいいのかね?

男「何だよモテモテから程遠いって」

転「そのまんまですよ。地獄の生活で、私と親しい人間は、妹たち以外にいないんです」

男「いや、少しはいるだろ」

転「いません。ホントに」

男「が、学校はどうしてんだ?」

転「私が通ってるのは…何と言うか、エリート揃いな学校で」

男(こいつ仮にも『元魔王』の娘だもんな)

転「やっぱエリートとエリートってのは、どーもピリピリした関係にあるんですよね」

男「元々仲良しこよしでやっていける環境じゃないわけだな」

転「はい」

男「でも、マジで一人もいないの?友達」

転「いません」

男「お前ぼっちかよ」

転「うわぁその言い方は腹立つなぁ」

クロ「…いるじゃない。一人」

男「クロ。起きてたのか?」

クロ「起きてたわ」

転「一人と言うと?」

クロ「あなたと同い年で、いるじゃない」

転「……ああ、あいつですか」

男「誰だ?あからさまに嫌そうな顔してるけど」

クロ「エレカよ」

男「………誰?」
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 23:12:10.60 ID:0Y42osSO
男「エレベーターガール?」

クロ「それはエレガ…。エレカって言うのは…」チラッ

転「…現在の魔王である、黄の王の娘です」

男「!」

転「地獄の王についての話はしましたよね。赤、青、黄の王族の代表がローテーションで魔王をやっている…」

男「ああ…」

転「そして、今の三つの王族には、次期魔王になるはずの『代表』たる男がいない」

男「娘しか生まれなかったってやつだろ?」

転「エレカが、その娘です。黄の王族の娘。彼女が男だったら、紛れもなく『次期魔王』です」

男「……」

クロ「彼女はあなたの友達でしょ?」

転「友達って言うか…一方的に…」

男「なに?王の娘同士ってだけあって、親しいわけか?」

転「えっと…三つの王族のそれぞれの娘たちは、年が一つずつ違うんです」

転「黄の王族の娘のエレカが私と同い年。赤の王族の娘が一つ下、青の王族の娘が二つ下」

男「……」

転「地獄の学校は、小、中、高と分けられていません。とにかく18までが義務教育」

男「ふむふむ…」

転「学年の違う三人の娘たちが学校で交流を持つことは、ほぼありません」

男「ふむふむ…それで、そのエレカはお前と仲が良いのか?」

転「いえ、その辺りがどうもよく分からなくて」

男「ワカラナイ?」

転「なんと言うか…私が一方的に好かれている…??」

男「なんじゃそりゃ」
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 23:23:35.55 ID:0Y42osSO
クロ「あなたって、そんな風に思ってたの?」

転「いや、さすがに言い過ぎかも知れませんけど」

クロ「でも、前に王族の会談に顔を出したときは、仲良くしてたじゃない」

転「あのときは周りにお偉い方がたくさんいたからですよ…」

男「…つまりどういうことなんだよ」

転「つまり、エレカはよく分からないやつなんです」

男「……それ、お前が言うか?」

転「実際そうなんですよ。あいつは他の誰とも違う、妙なやつでして」

男「だからお前がそれを…」

転「まず、容姿端麗、文武両道、一言で言うならば天才…」

男「天才」

転「しかしまぁ、それぐらいなら結構います。エリート学校ですから」

男「じゃあなにが妙なんだよ」

転「エレカには、どうやらある能力があるらしくて」

男「能力?」

転「私たちが持つ能力のことじゃないですよ。それとは別に」

男「別に?」

転「エレカは圧倒的なカリスマ性の持ち主なんです」

男「……」

男「今、なんて?」

転「カリスマです。それもただのカリスマじゃなく、『超カリスマ』」

男「…なんのこっちゃ」

クロ「うまく言えないけど、彼女と言葉の一つ二つを交わしただけで」

クロ「誰もが彼女に惹かれていく…そういう才能を持ってるみたいなの」

男「人を惹き付ける才能。カリスマか」
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 23:28:15.67 ID:0Y42osSO
クロ「この私ですら、彼女には魅力を感じるわ。本当に」

転「……」

転「私には何だか不気味に映るんですけどね」

男「不気味?」

転「いいやつなんですよ。それは間違いないんです」

転「でも…私は彼女がちょっと怖いんですよ」

クロ「そうかしら。優しいし礼儀正しいし、それにあなたと違って凛々しくて、格好いいわ」

転「そうですよね。それは私も分かるんです。…でも…なんか…こう…」

男「……」

男「超カリスマねぇ…」

イン「……ん」モゾッ

転「…っと。こんな話はもういいです。早く寝ないと、明日起きられませんよ」

クロ「ええ、そうね…」

男「おいおい、終わりかよ。ちょっと気になるじゃないか」

転「別に寝不足になってまで話すようなことじゃないですよ」

男「でも…今聞き逃したら二度と聞けないだろ」

転「……」

転「…地獄の話ですよ。それをあなたが知って、一体何になるんです?」

男「う…」

クロ「そういうことね。悪いけど私、もう寝ちゃうわ。何なら明日の朝、少し話してあげる」

男「……」

クロ「おやすみなさい」

男「あ、ああ。おやすみ」

転「…私もたぶん…そのうち寝ます…。おやすみなさい」

男「…おやすみ」
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 23:39:27.08 ID:0Y42osSO
地獄

父「……」

父「よし…今日はここまでにしよう…」

父「明日には娘たちを迎えに行かなくてはいけないしね」

父「…そうだ。せっかくの機会なんだ。これを持っていこう」スタスタ

スッ

父「日本か…久しぶりに訪れる場所だな…」


転「……」

転(寝れない)

転(男さんたちはもうぐっすり寝てるのに)

転(……ちょっと外出て運動でもしよう)スッ

スタスタ

ガチャ

転(…暑い。夜なのに)

転「やめた…大人しく寝てよう」ガチャ

スタスタ

転(……)フミッ

転(やべ、足踏んだ…)

男「う…」ピクッ

男「……ぐぅ」

転(……)ジッ

転(明日にはお別れか)

転(……)スッ

チュ
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 23:40:28.61 ID:2E6riQDO
>>951
新しく来た人にも分かるように、
あらすじと前スレと過去ログのURLを書いとけばいいんじゃね?
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 23:47:17.88 ID:0Y42osSO
>>956
簡単にまとめとけばいいかな
あと製作速報に立てるんだよね?

翌朝

チチチ チュンチュン

男「う……」

男(…あれ。体が軽い…)

男「…!?」パチッ

男「あ、あいつらは!?くっついて寝てたはずなのに…!」ガバッ

男「…今、6時半…まさか、もう帰っちまったのか…?」

男「くそっ!まだ、さよならも何も言ってねえぞ!」

男「こんな…こんなお別れがあって…」

男「たま…るかよ…ちくしょう……」グスッ


男「……」フラフラ

男「…靴がない。そうか、もう…いないのか…」

ガチャ
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 23:51:30.52 ID:2E6riQDO
そう
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/10(水) 23:56:44.90 ID:0Y42osSO
ガチャ

〜♪

男「……?」

チャンチャカ チャンチャン チャンチャカ チャン

男「この音は…」クルッ

男「!」


転「両の腕を掲げてー…のびーをします。1、2、3、4」ノビー

クロ「1、2、3、4」ノビー

イン「2、2、3、4」ノビー

シロ「に、に、さん…し…」ヨロヨロ

男「お前ら!」バッ

転「おや?おやおや?男さんじゃないですか」ピタッ

男「何やってんだよ!」

転「何って、ラジオ体操ですけど?」

男「ラジオ体操…?」

転「夏の朝の代名詞ですよ。あなたもやります?」

チャンチャカ チャンチャン チャンチャカ

男「……」カチッ

チャ ブツッ

転「あっ」

男「…体操は終わりだ。中、入れ」

転「男さん、目元赤くなってますけど…もしかして…」

転「私たちが帰ったと思ってwwwwwwwwww泣いてたんですか?wwwwwwwwwwww」

男「テンコ!!」

転「ひっ!じょ、冗談ですよ!」
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 00:03:48.06 ID:XhLpj6SO
男「さっさと入れ、ほら」

転「……」トボトボ

クロ「姉さまが悪いわ」

イン「さすがに今のはひどいよ」

シロ「シロ、疲れた…」

バタン


男「……迎えはまだ来てないんだな?」

クロ「ええ」

男「そうか…よかった」

転「……そ、その…別にあなたを驚かそうと外にいたわけじゃないですよ」

男「もういい。気にしてない」

転「……」

イン「…でもたぶんもう、そんなに時間がないと思うよ」

男「ああ、分かってる」

イン「……」

男「お前らがここにいられるのはあと僅かだろうから」

男「最後に、お礼を言わせてくれ」

男「…ありが」

クロ「ちょっと待って」

男「…何だよ?」

クロ「先に私たちにお礼を言わせて」

男「……別にいいけど」

クロ「…じゃあ…少し待って…」スタスタ
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 00:10:47.65 ID:XhLpj6SO
クロ「……」スッ

男「それ…」

クロ「ご存知、私のギターよ。今まではお遊び程度にしか使わなかったけど」

クロ「今日は頑張って、神経にやってみるわ」

男「……ああ」

クロ「えっと、ド、レ、ミ、ファ…」

男「そこからか…」

クロ「ソ、ラ、シ、ド…」

クロ「……こほん」

ギャーンッ

男「……!」

転「1、2…」

クロ「1、2、3」


真剣な顔してギターを引くクロの目には

汗か涙か、雫が一つ浮かんでいた


男「……」


俺はその稚拙ながらも、激しいメロディに
いつの間にか、心を奪われていた
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 00:14:56.15 ID:XhLpj6SO
ギャーン

クロ「……」ピタッ

クロ「……ふぅ…」

男「……」

クロ「どうだったかしら。私のギターは…」

男「……良かった。すごく。具体的には…その…うまく言えないけど…」

クロ「無理に言葉を紡ごうとしないで。私にはその一言で十分よ」

クロ「だから私からも多くを語る気はないわ。ただ…」

クロ「大好きだったわ。ありがとう」

男「……ああ」
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 00:26:48.74 ID:XhLpj6SO
イン「…じゃあ次は、僕でいいかな」

男「お前も何かするのか?」

イン「ううん。僕はギターなんて持ってないし、引けないよ」

イン「それに、難しい話をするのはお互いに疲れちゃうから」

イン「……僕のことを、忘れないで欲しいんだ」

男「忘れるわけないだろ?」

イン「本当に?」

男「ああ」

イン「僕はシャル姉さんみたいに、男くんと一緒に戦ったわけじゃない」

イン「クロ姉さんみたいに、男くんに何かしてあげられるわけじゃない」

イン「シロみたいに、甘えてみることも、恥ずかしくてできなかった」

イン「こんな僕のことを、覚えていてくれる?」

男「…バカだな、インは」スッ

イン「!」

男「お前は、妹思いの優しい姉だ」

男「二人の姉に負けない、強い心を持ってる」

男「俺は実を言うと、四姉妹で一番強いのは、お前なんじゃないかと思ってる」

男「こんなお前のことを忘れるなんて、絶対にあり得ない」

イン「……ありがとう」

男「ああ。あと」

男「お前の思うままに生きろよ。そしてお前の思うままに[ピーーー]たら、それは幸せなことだ」

イン「そうだね…。僕は、僕の思うままに生きていくよ」

男「約束だからな」

イン「うん…!」
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 00:38:33.40 ID:XhLpj6SO
男「さ、次はどっちだ?」

シロ「……」スッ

男「…シロ」

シロ「これ、シロの箱…」

男「…ああ、そうだな」

シロ「シロの手と一緒に、持って…」

男「…こうか?」キュ

シロ「……バイ・セカンド」

シロ『幸福の再記体験(ポジティブ・フラッシュ・バック)』カッ

男「……!」


シュッ

男「…ここは…?」

シロ「ここは、シロと男おにいちゃんのすごした、『きおく』の中…」

男「記憶…?」

フワッ フワッ

男「小さな箱がいっぱい浮いてる…」

シロ「それにさわってみて…」

男「……」ピトッ

シロ『シロって言うの!よろしくね』パクパク

男「…はは」

ヒュン ヒュン

男「ずるいじゃねーか…こんなのいくつも見させられたら…」

男「涙くらい出るに…決まってんだろ…」
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 00:40:59.03 ID:63ftNMDO
メ欄に[sage saga]オススメ
「ピーー」にならないようになる
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 00:41:02.71 ID:XhLpj6SO
男「……」ポタポタ

シロ「男おにいちゃん。…シロのことも、おねえちゃんたちのことも、ずっとずっと覚えててね」

男「…インにも言っただろ。忘れない。忘れられない。忘れるわけない」

シロ「うん…ずっとだよ」

男「ああ」ギュウ

シロ「……だいすき」ギュ

男「……そうだ。シロ。いいか」

シロ「…?」

男「お前は少し、甘えん坊すぎるんだ。ダメだとは言わないが」

男「みんなにわがままばかり言って、迷惑かけちゃいけないぞ」

シロ「……うー」

男「約束だ」

シロ「…じゃあ、約束する」

男「よし、いい子だな。シロ」ナデナデ

シロ「えへへ…」
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 01:04:16.85 ID:XhLpj6SO
>>965
忘れてた\(^o^)/

男「さて…最後はテン…」

転「どーん!」ドン

男「ぐえっ!」

転「とりあえずその涙を拭いてください」

男「あ、ああ」ゴシゴシ

転「…よろしい」

男「……」

転「私から言うことは特にないです」

男「え」

転「昨日一昨日くらいならあったと思うんですけど」

転「なんだかもう、伝えたいことだらけで」

転「逆に、何も言わないことにします」

男「は、はは…お前らしいな…」

転「このプリクラもありますしね」

男「なくすなよ?」

転「……強いて言うなれば、これからのあなたには」

転「真っ直ぐ、力強く、幸せな人生を送ってほしいです」
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 01:05:48.00 ID:XhLpj6SO
男「…どうしてだ?」

転「あなたと過ごしたこの10日間と少しは」

転「地獄で退屈な日々を繰り返していた私にとって、とても心地よいものだったんです」

男「……」

転「あなたと二人で食事をして」

転「あなたと二人で勉強をして」

転「あなたと柔道なんかもやりましたし」

転「死にかけるような戦いのときさえも、あなたと一緒だった」

男「…あれはかなりきつかったけどな」


転「…私は、あなたを忘れませんよ」

転「二度と会うことはないでしょうからね」

転「だからあなたと一緒にいたときのことを幾度となく思い出し」

転「それが恋しくて仕方がなくなることもあるでしょう」

転「ですかその恋しい過去から、私は力を分けてもらうことにします」
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 01:12:09.19 ID:XhLpj6SO
転「過去は後ろにありますか?」

転「そうとは限りません」

転「あなたと過ごした過去は、いつも私の眼前にあることになるでしょう」

転「私はまだ16です。今度どんな出来事が待っているかはとても分かりませんが」

転「あなたが私を支えてください。そうすれば私はどんな困難も乗り越えられますから」

男「いくらでも支えてやるよ。お前みたいなへなちょこ、一人じゃ不安だ」

転「…約束しましたね。じゃあ私は、『私を支えると約束した』過去を頼って生きていくことにします」

男「たまには未来も見てやれよ」

転「先のことは誰にも分かりませんよ」

男「そりゃそうだけどな」

転「……」

男「……」

転「私の名前は、シャル・ヴィーノ・トリアンテ・ランバ」

転「この堅苦しい名前ではなく、『テンコ』と呼ぶのは」

転「今日まであなた以外にいない」

転「まあ、あなたのように信じられる誰かに今度出会えたら、そいつには特別に呼ばせてあげるかも知れませんけど」

男「もう転校生じゃないだろ。帰るんだから」

転「由来なんて別にどーだっていいでしょう」

男「お前が言い出したクセに」
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 01:17:36.34 ID:XhLpj6SO
転「…さて、そろそろお別れみたいですよ」

男「…え?」

転「聞こえませんか?」

男「……」

シュウウウウウ

男「外から何か聞こえる」

クロ「車が来たみたいよ」

男「車ぁ!?」

イン「人間界から地獄に行く方法は向こうから来た乗り物に乗って帰るしかないんだ」

シロ「あのね、車が空をとぶんだよ!」

男「空飛ぶ車か。よし、行こう。荷物持てよ」スタスタ

イン「うん」コロコロ

クロ「……」スッ


転「……」

転「この家も、悪くなかったですよ」

バタン
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 01:28:24.83 ID:XhLpj6SO
男「マジでリムジンみたいなのが空飛んでる」

転「すごいですよね。空飛ぶ自動車なんて、普通あり得ませんし」

男「これが地獄クオリティか」

クロ「クオリティ…」

シュウウウウウ

イン「降りてきたよ…」

男「……」

プシューッ…

バカッ

男「……誰か降りてきた!」

シロ「…パパ!」

男「パパ!?ってことはあれが…」

転「元魔王、ルシファル・ヴィーノ・トリアンテです」

スタスタ

父「…元気だったかい娘たち」

クロ「ええ、いろいろあったけど…」

父「そうか…」

男「……」

父「君が男くんだね」

男「あ、はい、そう、です」

父「緊張しなくてもいいさ。私は君の母親の、姉の、夫なんだ。一応ね」

男「は、はぁ…」

父「それに、君が思っていたよりもおとなしい外見なんじゃないかな」

男「……」

男「まぁ確かに、メガネかけた優しそうな父親、って感じはします…」

父「ありがとう」
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 01:33:21.24 ID:XhLpj6SO
娘たちよ。先に車に乗っていなさい」

イン「え…」

父「大丈夫。まだ車は出さないよ。ただ、彼と少し話がしたいんだ」

イン「…はい。シロ、おいで」ガチャ

シロ「うん…」ピョン

クロ「私たちも…」スッ

転「……」バタン


父「……」

男「……」

父「地獄についての話は聞いているかな」

男「聞きました、まだよく分からないところはあるけど」

父「…分かっているとは思うが、くれぐれも口外はしないでほしい」

男「…既に俺以外に知ってるやつが一人います」

父「ならその人にも伝えておいてくれ」

男「……分かりました」

父「……今、お母さんはいないんだったね」

男「はい」

父「これを受けとってくれるかい」スッ

男「花…?」

父「私の妻は…つまり君の叔母は、5年前に事故で亡くなった」

父「君の母親は彼女の墓を地獄に作ることを許してくれたが」

父「この花は、また別に、こっちに供えてほしい」

男「……はい」スッ
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 01:42:48.32 ID:XhLpj6SO
父「私の娘たちが世話になったようだね」

男「いや、特に苦労はしませんでした」

父「……」

父「天使との交戦からその後に至るまでの話は知っているよ」

男「!」

父「また娘たちに、後でしっかり聞くつもりだ」

男「ま、待ってくれよ!あいつらを攻めたり、罰したりするのか!?」

父「…それが規則なんだ」

男「頼む、あいつらを傷つけないでくれ。俺はしょせんただの人間だし、偉そうなこと言えないけど…」

父「そう言うと思ったよ」

男「……え?」

父「娘たちの面倒を見てくれた礼として、いくらか渡すつもりだったんだ」スッ

男「な…」

父「だが、もしも君が彼女たちを罰するのをやめろと言うのなら」

父「彼女たちへの罰は最小限に押さえる」

父「その代わり、君の生活を救うこの金は渡さない」

男「!」

父「どうする?君が選ぶんだ」

男「…決まってる」

男「あいつらへの罰を、最小限に押さえてくれ」

父「分かった。そうするよ。この金にはさよならだ」メラメラ

男「……」ホッ

父「…彼女たちに別れの挨拶はしたのかい?」

男「まぁ、一応…」

父「そうか…」

男「もう、俺からは止めません。帰るならさっさと帰ってくれ。あんまり長くいられると、またあいつらと一緒にいたくなりそうで…」
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 01:51:26.31 ID:XhLpj6SO
父「…では、お母さんによろしく頼むよ。そして、ありがとう。君には感謝している」

スタスタ

バタン

男「……」

シュウウウウウウ

転「……」ヒョコ

男「!」

転「さようなら、男さん」

男「……ああ…!」

転「……」ツー

ポタッ

男「……テンコ」

転「……」ポロポロ

男「悪魔が泣くなよ!情けないぞ!」

転「『悪魔の目にも涙』です!」ポロボロ

男「はっ……」ボロ

男「鬼の目だよ!」ボロボロ

転「私のこと…絶対に忘れないでくださいよ!」ポロポロ

男「忘れない!」ボロボロ

転「……さようなら!」

男「ああ…さよなら…!」

シュウウウウウウウウン……


男「……」ボロボロ

男「最後の最後に…あいつに泣かされるなんて…」

男「寂しいけど…嬉しいだろうが…!」
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 01:56:31.54 ID:XhLpj6SO
車内

シロ「……」ジーッ

イン「……」

クロ「…姉さま」

転「…何ですか」

クロ「あなたの泣き顔なんて、久しぶりに見たわ」

転「……ぐすっ」

転「私、男さんの前で二度も泣きました」

クロ「……そう」

転「はーっ…」

シロ「…あっ!」

イン「どうしたの。シロ…」

シロ「しょうせつかになるおねえちゃん!」

イン「?」

シロ「おねえちゃーん!」ブンブン

イン「シロ、危ないよ!それに下の人たちに空飛ぶ車がばれたら」

シロ「う…」

イン「そういえば…結局…」

イン「女さんは、お見送りに来なかったね」

クロ「あ…」
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 02:03:57.97 ID:XhLpj6SO
一時間後

女「男くんっ!みんなは!?」

男「……ひんはははほうひっはほ(みんなならもう行ったよ)」シャコシャコ

女「えー!?」

男「ほいまし(ちょい待ち)」タタタ

ペッ

ガラガラ

ペッ

男「おはよう女。みんなならもう一時間も前に帰ってったよ」

女「どうして起こしてくれなかったの!?」

男「いや、起こすったって…」

女「…ちゃんとお別れ、できなかったな…」

男「……」

男「やべえ!もうこんな時間じゃん!遅刻する!」

女「え、あ、そうだよ!早く行こう!」

男「ちょっと待ってろ!」ダダダ
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 02:07:39.47 ID:XhLpj6SO
女「………」

女「ん…?」

女「手紙だ。男くんの靴の中に…」

カサッ

『大好きでした。今までありがとう テンコ』

女「……」

女「うわぁ…見ちゃった…どうしよう、渡せばいいの?でも…」

男「よし、準備できた!行くぞ!」ダダダ

女「へっ!?あ、うん!」サッ

男「…今なんか隠さなかったか?」

女「な、なんでもないよ!」

男「…ま、いいか。さ、走ればまだまだ間に合う!」ダッ

女「え、私、走るのはちょっと…」タタタ

女「わ…」ヨロッ

女(あ、手紙が…!)


ヒラッ


978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 02:08:37.29 ID:XhLpj6SO
第一章  完
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/03/11(木) 02:11:43.81 ID:GF66cZ2o
1 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [] 2009/08/16(日) 23:44:46.29

978 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 2010/03/11(木) 02:08:37.29

なんか老けた気がする
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 02:13:18.11 ID:XhLpj6SO
第一章は終わりましたが、また明後日ちょびっとだけ後日談を書いて、それでこのスレを埋めてしまいたいと思います

次スレのタイトルはそのまんま

男「お前らは悪魔か?妖精か?」【第二章】

にするつもりです
男は出てこないのに…
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 02:14:47.87 ID:e8AJaAYo
男出ないのかよwwwwwwww
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 02:16:59.52 ID:XhLpj6SO
テンプレ用意しないとなぁ
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/11(木) 02:21:48.15 ID:CGgDx3cP
第一章完結乙!おめでとうありがとう
これからは魔界での話になってくるのか。楽しみだな楽しみだなあ
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/12(金) 23:18:23.30 ID:sYnLCUSO
夏休み…テンコたちが地獄に帰ってから約3週間後

男「はぁー…勉強…はかどらんなぁ…」

男「…しかし気付けばもう7時すぎ。飯食って寝るかぁ」ガタッ

スタスタ

男「さて…何にしようかな…」ガサガサ

男「うーん…今日もそうめんを茹でよう…」スッ

ドン!!

男「っ!?」ザラザラ

男「ああっ!そうめんが!」

ドンドン!!

男「な…何だよ…怖いな…」

ドンッ!!

男「あ、開けるよ!開けりゃいいんだろ!」

ガチャ

男「……あ」

母「……」フラフラ

男「お袋…」
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/12(金) 23:24:16.07 ID:sYnLCUSO
男「まったく……ぐでんぐでんに酔っ払って帰って来るか?普通」ジャー

母「うぅ…」

男「ほれ、水」ドン

母「……」グビグビ

母「……ふぅ」トン

母「おかわり」

男「自分で入れろっつーの…」

母「……はぁ」スタスタ

ジャー

母「……」

男「……」

母「…あの子たちは、来た?」キュッ

男「……だいぶ前に帰ってったよ」

母「……」ゴクゴク

母「…ふぅん」
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/12(金) 23:33:04.64 ID:sYnLCUSO
男「……」

母「…どうだった」

男「…何が」

母「いい子たちだったでしょ」

男「……ああ」

母「……」

男「…いろいろ大変だったけどな」

母「……そう」ガタッ

男「…ん?」

母「疲れたから…今日は寝る…」フラフラ

男「……お袋」

母「なに…」クルッ

男「……」

男「何でもない。おやすみ」

母「…おやすみ」
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/12(金) 23:40:32.70 ID:sYnLCUSO
地獄

転「……」

父「どうしたんだい。怖い顔して」

転「聞こうと思ってずっと忘れてたんですが」

転「……人間界から消えたメイたちはどこに行ったのです?」

父「ああ…それは」

父「まだ見つかっていないよ」

転「……!?」

父「彼女がどこにいるのかは分からない」

転「そんな…冗談でしょう?」

転「父さんが直々に探したわけじゃないんですよね?」

父「一流の捜索隊は用意した」

転「……それでも、見つからなかった?」

父「…そうだよ」

転「……そんなの…」

転「もう彼女が、この世界にいないみたいじゃないですか!!」

父「……」
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/12(金) 23:50:50.23 ID:sYnLCUSO
転「……」バタン

クロ「…姉さま」

転「メイは…メイの消息は…」

転「依然として、分からないままだそうです…」

クロ「……」

転「…別に、悲しいわけじゃないですよ」

クロ「分かってるわ…」

転「……でも」

転「それでも、私は…」

クロ「…先に部屋に戻ってるわ」スタスタ

転「……」

転「…メイ」
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/12(金) 23:56:53.12 ID:sYnLCUSO
ワタシを散々嫌ってたのは

お前ダロウ?

転「……!?」バッ

シーン

転「……」

転「……気のせい、か…」

転「……まったく」

転「あいつの言うとおりですね…」



父「……三体の天使、α、β、γは天国に送還」

父「…メイと上級天使のロキは…」

父「消息不明。捜索隊も、『帰ってこない』…」

父「……」

父「厄介なことにならなければいいが」
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/13(土) 00:06:27.25 ID:WPjCcISO
再び人間界

男「おい、お袋、おい……」

母「……」

男「起きろ!」

母「……」パチ

男「やーっと起きたか」

母「……」

男「明らかに不満げな顔でこっち見んなよ…もう11時だぞ」

母「あと2時間は寝れたのに…」ムクッ

男「2時間て」

母「……」スタスタ

母「…花?」ピタッ

男「ああ、それな。テンコたちの親父からもらったんだ」

母「テンコって誰…?」

男「えーっと、あー…本名はシャルだった」

母「ああ、ルシファルさんが…」

男「すごいだろ、まだ枯れないんだぜ?やっぱ地獄の花ってのは普通の花と違うのかね?」

母「そんなの知らないよ…」スタスタ
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/13(土) 00:15:48.64 ID:WPjCcISO
ジャブジャブ

母「……」キュッ

母「男」

男「何だよ」

母「…今日のご飯は私が作るから」

男「!?」

男「お、お袋が…?」

母「文句あるならやらないけど」

男「あ、いや、珍しいなぁと思って」

母「……たまには母親らしいとこ見せたいの」

男「え、じゃあ、あの、楽しみにして、ます」

母「……」

男(ヤバイ…。こういうときのお袋って、だいたいなんか怖いこと考えてる…)

母「男」

男「はいっ!?」ドキッ

母「渡したお金…」

男「え!?自由に使っていいって…」

母「…何のことだか分からないけど」

母「私が、あんたに、あんな巨額のお小遣い渡すと思う?」

男(あいつらの服に…高級回転寿司…)


男「うわああああああああああああああ!!」


BAD END
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/13(土) 00:17:35.17 ID:8ZLs5V6o
乙!おもしろかったぜ!
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/13(土) 00:17:36.27 ID:WPjCcISO
今度こそ男の話は終了です
次からは第二章、明後日新スレ立ててアドレスはっとこうと思います
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/13(土) 02:48:09.38 ID:4TlHwMQo
ごめん 最後のくだりが理解できなかった・・・だれか説明してください
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/13(土) 03:50:12.99 ID:.VG0A8IP
>>994
母「使いすぎた分のお金は男に返してもらうから」ってことだと思う
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/03/15(月) 21:40:09.29 ID:/96uxMSO
新スレたてました
男「お前らは悪魔か?妖精か?」【第二章】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1268656657/

このスレはこのまま放っておいても埋めていただいても構いません
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/15(月) 23:08:38.93 ID:a86y9QQo
埋め
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/15(月) 23:08:45.51 ID:a86y9QQo
埋め
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/15(月) 23:08:50.83 ID:a86y9QQo
埋め
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/03/15(月) 23:08:55.08 ID:a86y9QQo
埋め
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

ローカルルール変更に伴い、1000到達の報告が不要になりました。

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
今まさに彼女が出来そうな俺なわけだが… @ 2010/03/15(月) 23:12:53.12 ID:MgCBgek0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1268662373/

ふー・ふぁいたーず☆ @ 2010/03/15(月) 22:52:48.34 ID:iwLQB2wo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1268661168/

嫁宣言して60分以内に嫁AAに反対されなければ結婚避難所 @ 2010/03/15(月) 22:38:33.44 ID:hb0MnwYo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1268660313/

やる夫が陸上部で頑張るようです その9 @ 2010/03/15(月) 22:10:57.73 ID:qimmmH2o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1268658657/

男「お前らは悪魔か?妖精か?」【第二章】 @ 2010/03/15(月) 21:37:37.06 ID:/96uxMSO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1268656657/


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