【瞬間、彼女の身につけていた新型装備―――シンボリックウェポン、"剛毅の掌"が起動、変形。】 【通常状態ではガントレット型の装備であったそれが姿を変え、"弾"末魔の銃身に覆いかぶさるようにすると】 【ストック、狙撃スコープ、超ロング・バレルが"Colt Navy 51"のボディに追加装備として備わり―――刹那、発砲ッ!!】
【右銃は朱、『Phoenix Heart』 。全体がメタリックレッドで爛々と輝き、黒のグリップにはSCARLETの紋章がメダルで埋め込まれ―――】 【長い銃身には不死鳥の装飾が彫られ金で彩色されている。シリンダー部に刻まれた「NK」の文字は、不殺を示すNonkilling≠指していた】 【左銃は蒼、『Deep Blue Dreamer』 。全体がメタリックブルーで煌めいており、黒のグリップにはペンダントの宝玉半ば剥き出しでが埋め込まれて】 【そして長い銃身には昇り龍の装飾が彫られ銀で彩色されていた。名前は分かる通り、不殺という青く甘い夢を叶えんとする彼自身を指していた】
【そして直後、埋め込まれた宝玉が激しく輝き―――弾丸が『Deep Blue Dreamer』から放たれる。だが方向は真上、跳弾も関係なく誰にも当たらないのだが―――】 【発射直後に、彼の身体が高々と真上に舞った。それはまるで弾丸の跡を追うように、高々と上がっていく。―――理由は勿論、弾丸にあった】 【見えただろうか、放たれた弾丸の側面から半透明の巨大な腕が生え、彼の首根っこを掴んだ姿が。弾丸から生えた腕が、彼を上空へと飛ばし、そして腕が消える】
【『Deep Blue Dreamer』の銃口に集まる魔翌力の光。時間と共に増幅し、正義の光を集めて力に変える。―――必要以上に高く飛んだのは、この為だ】 【この高さから落ちれば、最悪死ぬまである。態々そのようなリスクを負ったのは、ギリギリまで魔翌力をチャージするための時間が欲しかったからである】 【宝玉の力も最大限借り、そして放たれた弾丸は―――魔翌力のブーストを受けて超加速。……否、それだけではない―――!!】
―――教えといてやる……こいつは『Twelve Six Strike』―――唯速いだけじゃねぇ。 魔翌力の超ブーストに加え、宝玉の魔翌力により俺のじっちゃんの霊を弾丸に加えた。……因みにじっちゃんの体重は100kg超。……この意味分かるか? ―――超加速の弾丸が、100kg以上の重りを乗せて垂直に降ってくるんだ。……ダリア、アンタの氷壁で耐え切れんなら……耐えてみろってんだよぉぉぉおおおおッッッ!!!
【12時から、6時の方向へ弾丸が急降下―――故に『Twelve Six Strike』。超加速に超重量の一撃はロウの中でも最高火力を誇り】 【その弾丸をあえてロウはぽっかりと空く部分ではない所を狙って落ちていった。目的は1つ。氷壁を粉砕することだけだった】 【氷壁が砕け散れば、彼女を守る氷壁が礫となって彼女自身に牙を剥く。しかしあくまで氷の礫、全身を傷付けようとも死ぬには至らない―――故に、「不殺」を遂行できる】 【あくまでも自分のプライドを貫き通した一撃だった。―――否、二撃だった。ワンテンポ遅らせて『Phoenix Heart』 から放った赤く輝く弾丸も、同じ箇所へと向かっていたのだ】 【もし1撃で砕ければ彼女に当たること無く地面にあたり唯無意味に火柱を3秒ほど立てるだけだろう。もし1撃で砕けなければ、この「灼熱弾」で砕く―――そのような算段】