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【今や我は死神なり】能力者スレ【世界の破壊者なり】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2014/07/05(土) 20:00:15.62 ID:W0jsYTmfo
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・「コテハン」は禁止の方向で!
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1402676142/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714136403/

少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 20:03:33.85 ID:zNWRbhs9O
>>1
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/05(土) 20:05:59.05 ID:1INsk9Wso
>>1>>1乙ゥ!
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 20:24:50.09 ID:gXqhxl9kO
>>1乙ェ!
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/05(土) 20:49:56.49 ID:cFNJSPWp0
>>1立て乙
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/05(土) 22:19:51.78 ID:zdx+kelZo
>>1乙です!
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 22:20:11.75 ID:XpnCIooQo
>>1乙!
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/07/05(土) 22:26:32.42 ID:4f+gnoYEo
>>1乙です〜
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/05(土) 22:27:05.88 ID:Q+j3VliTo
>>1乙の嵐!
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/05(土) 22:35:30.92 ID:3ElvPBHGo
/*>>1乙ッ*/
>>996>>999
「――っしゃ死ねェ!!」

【銃を構えていた兵士は、そのタイミングを逃しはしない。インカムで全体の状況は認識済み】
【だからこそ突然の揺れに対しての対処も準備も可能であり、相手の隙を着くことは出来た】
【正直な所、真正面から竜巻を当てられれば彼らは容易く敗北してしまう。だからこそ、そうされない為に立ちまわる必要がある】

【迷いなく引き金を引く。放たれる鉛弾は、余りにとっさの動きの為に狙いは甘い】
【それでも、何発かは相手の身体に向かって飛翔する。狙いの甘さから命中率は高くなく、急所を狙うこともできていない】
【そして、その弾丸は少女の身体の幾つかを穿つかと思われたが――、砂の壁にそれは阻まれて】

「――なるほど。脳を潰してもダメなら、両手両足叩き落しゃ良いんスね。
んじゃあ、大丈夫っす。……大した問題じゃ、無いッスね」

【己の攻撃を受けたシーナを観察し、ダメージを受けないわけではないことを確として認識】
【コジマは口元に笑みを浮かべて、そして直後に顔を引き攣らせる。両手が素早く動き、投擲用ナイフを引き抜き】
【両手を素早く動かし、兵士二人の方に銀刃が飛翔。狼が顔を創りだしたそのコンマ数秒後に狼の頭を崩して】
【崩れた牙が兵士に食い込むものの、兵士は冷静に引き金を引くことで狼を破壊。対処をする】
【腕から血を流すものの、兵士たちは顔をしかめて文句を口にする程度で、ダメージは受けているが戦闘続行は不可能ではない】

「……んー、っと。地面とか石とか分解して操作する魔術ッスかね」

【己に飛びかかる獣の頭に対して、迷いなく蹴りを叩き込むことで頭を蹴り飛ばし】
【それにナイフを投擲して、頭にトドメ。投げたナイフはからめたワイヤーを引き戻すことで対処とする】
【そして、コジマは思考する。己の取ることの出来る手段は――、どういうことか、と】

「――よーッシ。てめーら。そこのガキ人質に取れ。善人相手にゃ一番聞くだろ。なァ?」

【コジマが命ずる。そして、兵士たち3人は、シュネイに向けて全力で駈け出した】
【一人が放つ銃撃。砂の壁が崩れていく。そして、二人の男がナイフを持って駈け出した】
【この3名は、先ほどの2名よりは練度が高く見える。その戦力を、1人に振るという選択】
【2名は一斉にシュネイに跳びかかり、そのまま少女を拘束し、人質にしようとすることだろう】

「さっきから地面ばっかり動かしてるッスねー。要するに、地面以外は操れないんじゃないッスか?」

【そう言った瞬間、コジマは地面を蹴ってまた飛翔する】
【両手首から射出されるワイヤーを駆使し、空中を自在に舞うコジマ】
【撹乱するようなその動きは、シーナの周囲を回るような動作に変わっていき、女の腰から、何かが振り落とされる】
【それはタイミングに差を付けて落下し――そして、直後】

【一番先は閃光。二番目には轟音。三番目には黒煙】
【閃光弾、音響弾、煙幕弾。その三つを同時に使用して、相手の隙を作ろうとした行動】
【そして。その後に来る攻撃は――直上からの一撃。右手には斧、左手には手榴弾】
【先ず一撃。相手の左肩に向けて、全力での斧の振り下ろしが、迫っていく】
【斧で相手の左腕を切り落とし、両手落ちの状態にすることで、近接戦闘の出来ない存在にしようとしたようだ】
【そして、追い打つように叩きこむのは、手榴弾を握った左手。頭の割れ目、砂の充満するそこに、手榴弾をねじ込もうとした】
【容赦はない。このような手段でなんども人を殺してきたのだろう事が分かる手際】

【だが、超近接状態でのこの攻撃は、相手にとっても攻撃の機会となるだろう】
【コジマの耐久力はそう高くない。コジマの攻撃時の隙に対して攻撃を合わせることが出来れば、逆にコジマに大ダメージを与えることも可能となるだろう】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/05(土) 22:37:32.56 ID:zdx+kelZo
>>前1000

【ジャージで剣を掴まれた、かなりの早さだったはずだが】
【そして掴まれた剣で左手の剣は止められる】
【さすがカノッサ機関、一筋縄ではいかない、という事らしい】

「ほんと、あんたには演説者がお似合いだな……」

【本当にぺちゃくちゃとよく喋る、その全てが人を不愉快にさせるというのだからこれまた恐れ入る】
【此方の戯言だって効きやしない、どうしたものか】

【さて、状況を分析してみると相手は両手が塞がっている】
【そして剣を受け止めて身動きが取れない状態】
【今がチャンスだ、と自由な足右足で男の股の間――――つまり急所を思い切り蹴り上げようとする】
【当たれば当然痛い、しばらく悶え苦しむ事になるだろう】
【地面を転がって苦しむにせよ、苦しんでいる間にタイマーを奪い取るだろう】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/05(土) 22:37:33.50 ID:4xMs87AJ0
>>前991

……賭け、だな……外せば目も当てられないが、当てればでかく帰ってくる……正に今回『当てる』事が出来た……
それを考えるなら……重ね重ね、本当に僥倖だよ……ありがたい幸運に、支えられての事だ……
あぁいや、運頼みだったと揶揄するつもりじゃ、無いけどな……上手く織り込んで、ちゃんと『作戦』として昇華させての手はずだったんだからな……

【グラスの中の液体を軽く傾けて、トライデントもしみじみと述懐しながら頷く】
【とかく最上のリターンを得る為に、雷の国国軍と、協力した能力者たちは、危険な戦いに打って出て、そして勝利した】
【賭けたものに相応しいだけの成果が帰ってきた――――その事を、トライデントは幸運だと口にする】

――――なるほど。それがあんたにとっての『悪』であり、あんたの目指す『正義』か…………

【返答を聞きたい訳ではないと前置きしてはいたが、トライデントはじっとセリーナの言葉に耳を傾け、そして小さく頷く】
【そして、話の勢いをつける為の景気付けだろうか。グラスの中のスミノフアイスを一気に傾け切ると、再びグラスに注ぎながら、トライデントは口を開く】

――――『悪』なんてのは、極論してしまえば、「自分の立場から見た『敵』を攻撃する為の、大義名分を得る為のレッテル」だ……
今の世界に幸せを得ている者なら、それを壊そうとする者は『悪』だろうし、今の世界を変えたいと思う者なら、それを守ろうとする者を『悪』と見るだろう……
『正義』なんてのは、その対立概念に……我に大義名分を与える為の、口実に過ぎない……『悪』があって、初めて『正義』と言うのは成立するものだからな……
――――――――なんて、こんな答えは誰も納得できないだろう。もっと確かな、普遍的な定義を欲しがる。どうしても人はそうなるんだ……

【『悪』とは、立脚する立場における『敵』でしかなく、『正義』とはそれと対比としての『我』でしかない】
【だが、それで終わらずに、より普遍的な定義をしなければならないのだと、トライデントは言う】

……俺の思う『悪』は……要するに「罪なき人を、咎無き人を、謂われなき人を苦しめる」事だ……
どうだ? ……こう考えれば、こう定義付けをすれば……恐らく、多くの人間を「然り」と言わせる事が出来るだろう……?
っ、はぁ……つまりは、そうした行いに手を出した人間が、即ち『悪人』なんだ……そして俺は、そうした人間を悉く戮する事を、目的としている……
――――1人の人間が殺された時、『被害者』は殺された1人の人間だけだと思うか?
そうじゃない……そうじゃ、っふぅ……ないんだ……殺された人間に関係する人間たち……その人間関係の全てが、被害者と言ってしまって良い……
……『悪』とはそれだけの…………許されざる存在だ…………!

【――――早くも顔を赤らめながら、トライデントは滔々とそう語る。どうやら、事前に本人が口にしていた「アルコールに弱い」と言うのは、本当の事らしい】
【炭酸系で、いくら酔いが回るのが早いアルコポップとはいえ、セリーナならこの軽いアルコールを1瓶空けても、ここまでにはならないだろう】
【だがトライデントは、未だ半分程度にようやく届くか、程度の分量しか飲んでいないにもかかわらず、既に呼吸が上がり始めている】
【閑話休題――――トライデントの語る『悪』。それは「罪なき人を苦しめる行い」だと言う】
【この答えが、どれだけの他人に共感を得るのかは分からないが、少なくともトライデント1人だけの、独り善がりな真実とは、言い難いものがあるだろう】

……セリーナ。前にあんた……はぁ……「正義は、矛盾を抱えてなお、戦わなきゃいけない」と言っていたな……
だが……俺はそうは思わない。奴等は『悪』だ。『悪』とは、「罪なき人間を苦しめる事」だ……そして奴等は、『悪』である以上、罪業の存在だ……
つまり…………『悪人』を殺す事は、『悪行』じゃない……俺の、正義の為の殺しは、『悪』たりえない……矛盾など、初めから存在しないのさ……ッ

【三段論法――――正確には四段論法となってしまっているが。トライデントはそれで己のスタンスを一気に示し切る】
【「『悪』は『謂われなき蹂躙』である」「『悪』は『罪』である」「『悪』には『裁かれる謂われ』がある」だから「『悪』を裁くのは『悪ではない』」――――】
【トライデントの、『悪』に対する確信的な攻撃性は、この理論に立脚していた。だからこそ、トライデントは迷い無く力を振るえるのだろう】
【――――セリーナが以前話していた『罪』や『矛盾』を、トライデントは最初から気にしても居なかったのだ】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/05(土) 22:47:46.34 ID:1INsk9Wso
>>993-995>>997

【自慢の槍捌き、至極の尖槍。――だが、その刃はガルマという存在を傷つけるにはまだ届かない】
【フレデリックの額にも鈍く光る汗が滲む。なにせ、これで切れなかった敵など居ないのだから】

【その理由は直ぐに分かった。純粋に硬いのではなく、もっと神霊的なパワー≠フせいだろう】
【――だが避けないのならソレでいい。フレデリックが詠唱を終えるのはガルマの圧倒的攻勢の前だ】

【出現するのは5本の槍の穂先。――いや、ソレを先頭とした、無限に続くかと思われる鎖であった】
【明確に輝くそれは退魔の力を持っているのが直ぐに分かるし、真っ直ぐに狙う先も見分けられるだろう】
【五本の鎖はそれぞれガルマの両手首、両足首、そして胸部中央めがけて一挙に伸びてゆく】

【もしこれを避けねば、先ほどの槍の一撃同様表皮を軽く傷つける事となるだろう。そして――】
【接触を許した≠ネらば更なる効果が発動する。それは魔術に寄る貫通≠ニ束縛≠セ】
【接触した箇所に魔術に寄って貫通する傷を作り上げ、其処に鎖が入り込んで、地面に穂先を叩きつけ――】

【つまり五ヶ所を楔として、大地に打ち付ける術なのである。もし拘束されれば、力づくではそうそう外せないだろう】
【もっとも術の発動自体はガルマが死霊などを放つのとほぼ同時になるから、それを阻害することは出来ないが――】

  【ちなみにこの鎖、外れればそのまま天井へ向かう。どちらにしろ天井か床に突き刺さって、五点を、まるで――】
  【――そう、星のように。五芒星の頂点≠フように示して、それで彼の術は終わったように思えた】



【ここからは簡易に起きた事柄を示すことになる。『手』による脱出路の崩落、ガルマによる死霊の使役と操作】
【この間にフレデリックは槍を右手に、左手に聖書を持つのだった。ページを開けば、彼はニヤリと笑う】
【決して余裕があったわけではない。だがそれでも、槍の柄をカンッ!≠ニ地面に打ち鳴らしたなら】


…――ちと冗談が過ぎるのではないか、貴様は神なのか、それとも冥界の王気取りか?
なに、どちらでも構わんとも。貴様を殺すことに変わりは無い……だが忘れるなよ


   いいかっ、私はッ!このフレデリック・シャリエールはッ!!
   無数の信徒が神を崇め慕うゼン=カイマという都市に於いて――
    
     ―――――決して大司教≠フ名を戯れに名乗っているワケではないッ!!


――ふン、死霊だと……?貴様のかつて罵倒した弱者≠呼び出して、その程度で私を倒すだと……?
おふざけ≠熨蜉Tにしろよ戦神風情≠ェ……!神の言葉が如何に尊いか
それを今此処で証明してみせようではないか…――来るがいい亡者の霊。全て、私が直々に主の元へ送り返してくれるわ――!


【彼が始めたのはまさしく魂の浄化であった。聖書の一つ一つ、韻を踏まえて言霊としての力を持つほどに強く、文言を読み上げれば】
【彼に近づく死霊に限るが――その姿は、接近すると共に小さくなって、最後には蒸発するように姿を消すだろう】

【だがそれでも全てを消すことは出来ない。何故ならもう一つ、光の手という高威力の一撃が控えているからだ】
【これに対してのフレデリックの対策は槍をふるう事、ただそれのみ。だが、それで十分なのだ】
【致命傷さえ外せばソレでいい――頬が大きく切れて血が修道服を汚し、胴にもまた傷を負うものの】
【それでも、死霊の一部を身に受けても尚、フレデリックは左膝を付くだけで、真っ直ぐにガルマを睨み返しているのだった】


【――ゆらり、と立ち上がるフレデリック。その姿はまるで疲労困憊の様相で、隙も多く見えたが】
【其処に気を取られれば気付く≠フも遅くなるか――ソレは例の鎖≠ノよる連鎖魔術の発動≠ノついて、だ】

【鎖はガルマの身を縛ってか、或いは天井でか、五芒星の頂点を指した。ソレはボウッ、と実際に五芒星を浮かび上がらせ】
【何か門≠ナも開くように、徐々に空間を変容させてゆくのだった――まだ、何が在るかは分からないが】
【ガルマなら直感的に感じるかも知れない。其処から来る≠フは、死霊≠ニは逆の、負とは全く違ったエネルギーで在ることに。】
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/05(土) 22:54:27.77 ID:Q+j3VliTo
>>11
 世の中何が役立つかわからないものです
 それに、物を投げつけられるのには慣れていますから!

【と、男は言う、嘘か、真か】
【石を投げられてもしょうがない性格であるというのは身に染みて分かるだろうが】

 そうですか?皆さん聞きましたか?私褒められてしまいました!

【嫌味だと分かっているだろうに、誰かに語り掛けるように】
【果たして、彼の目には何が見えているのだろうか】

 とっとっと?股間を狙うとはなかなかに嫌な戦法をとりますね
 ですがご安心を!ちゃんと急所には最低限の装甲があるので!

【股間を蹴り上げれば、ガチンと金属の板を蹴り上げたような、そんな衝撃を味わうだろうか】
【しかし蹴り上げられた側も無事であるわけではない】
【片手を少し後ろに伸ばしながら剣を受け止める、そんな不安定な姿勢でさらに股間を蹴り上げられるという衝撃】
【激痛というダメージこそなかったもののふらつかせるには十分で】

【まず体制が崩れたことにより受け止めていた剣を落とし軽くその右腕を切ったことがあげられる】
【その次に、後ろに身体が揺らいだ、その時にタイマーを左手から落とす】
【すぐに体制を整えなおしたものの、どうやら拾う気は無いようだ】

【なぜか?】

 ――ああ!急がないとタイマーが落ちてしまいますよ!

【カッ、と落ちたタイマーを男は蹴り上げる、そして棒状のタイマーはそのまま宙を飛んだかと思うと地面に落下し、ゴロゴロと転がる】
【そのまま転がれば、タイマーは地面へと落ちてしまうだろうか】
【落ちてももしかしたらすぐには爆発しないかもしれない、しかし取りにいく間にこの男がまた別の事を仕出かさないか、また、その間に爆発したらどうなるのか……】
【最悪の想定は、底を尽きない】
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 22:54:34.42 ID:RLrGah10o
>>998

【思うに自然はただ在るだけなのだ、そして人はそれに価値を見出す】
【古くから脈々と続く営みその全てこそ自然によってもたらされるものだったのだから】
【或いは、この少女によってもたらされた物さえもあるのだろう】

【なによりも身体を貫いたあの「熱さ」が証明している】
【掌に伝わる温もりも同じく、陽溜りに佇む猫を思わせた】


んー……友達って程でもないだろう、会ったのは今日で二回目だもん
なんだあの姫さんはいつもは笑わないのか、……ああ、そりゃ……そうなのかもなあ

【封魔城の主たる姫は立ち位置故に笑わないのだろうか】
【それとも笑うという余裕がないのだろうか、何にせよどこか悲しくもあり】
【使命とはきっとそういう物なのだろうけど】

おっ、なんだ精霊様でも腹は減るのかちょっと待ってな携行食くらいは分けてやるよ
と言っても朱璃の口に合うかは分からないけどな、ほらチョコバーだ食べ方くらいは大丈夫だよな?
誰も取ったりしないからゆっくり食べろよ

【響く空腹の合図にくすりと喉を鳴らす】
【頷きながら胸元のポケットを弄れば銀の包みに覆われたチョコバーが現れ】
【少しだけ封を開けて朱璃へと手渡す、包みがあれば少女の温度でもそう簡単には溶けないだろう】

【満腹には足りないけれど胃袋をちょっとごまかすには丁度良い】
【飢えが少しでも補えればエルフェスはまたニコリと微笑みを浮かべ――――――】
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 23:03:53.11 ID:zNWRbhs9O
>>999,>>10
「……?」

怯んだ瞬間に突然形成される砂の壁。ともかく、これで命拾いしたのだ。
態勢を立て直すが、ふとあることを疑問に思う。
『この壁は誰が作り出したのか』ということだ。

「他に誰かいるの……?」

しかしわりと離れていた為、吹き出しの文字どころか、シーナの存在にすら気づかなかった。
ただ『味方らしき人物がいる』とは確信する。

「えっ……ちょ、ちょっと待ってよ!」

しかし安心できるのもつかの間、耐久力が低かったのかすぐに崩れ去る壁。
壁の向こうから襲いかかる2人のナイフを持った兵士。混乱と兵士が少女を襲う。

「き、来たぁ……────っ!!」

持ち前の瞬発力ですぐさま後ろに回避……するも足が何かに引っかかってしまう。
当然、後ろに大きく転倒することに。これまた大きな隙を晒してしまった。
……とはいえ、倒れながら攻撃できない、という訳でもないのだ。
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/05(土) 23:07:25.20 ID:FhLCm6fxo
前スレ>>993>>13

――――!!

【これは夢か――? 全霊の一撃がまるで通用しないなど、悪夢もいいところだ】
【防御術か、そうでないとしたら一体何なのか検討がつかない】

はっ、なるほどな。俺達がここで勝てばお前がいくら無敵を謳おうが説得力皆無ってことか
傾きすぎた天秤ってのは案外ちょっとしたことで逆転するかもしれねえぜ?

【軽口を叩きながらも頭の中では突破口を模索していた】
【フレデリックの槍もダメージになっていない。斬撃も無力――ならば】


やるしか、ねえようだな……!


【 ――奇跡を、起こす他にない 】


【それは以前の戦い。彼の最後の一撃は太陽すらも眩む輝かしい炎の一撃だった】
【一体全体どうすればあれを繰りだせるのか、それこそ奇跡が起こらなければ叶わないのかもしれない】
【それまで彼ができる足掻きは限られている、か――】

……段々驚かなくなってきてる俺もどうかしてんなァ
悪ィが譲ちゃん! ちっとばかし熱いかもしれんが我慢してくれ!

意気煌然の―――ブレイズウォール<b!!

【生成するのは巨大な炎の塊。アーシャはそれを地面に放つだろう】
【放出された炎は周囲に拡散し防壁と化す。実体のあるそれは並の物理攻撃なら難なく防ぎきれるのだが】
【この場においては気休め程度か。佳乃の周囲にも炎は展開されるだろう。そしてアーシャが彼女の元へと走ってゆく形になる】

【――端的に記せば、彼は攻撃を凌ぎきった。ただし佳乃から見えるその姿はかなりぼろぼろだったことだろう】
【深く息を彼の顔には既に疲労が見え始めている。が――】


戦うに決まってんだろ。この拳をテメエに届かせるまでくたばる訳にはいかねえ
やられっぱなしは癪に障るってもんだぜ。なあ……?


【彼の瞳は鋭き眼光を湛えていて、その身には確かな覇気を纏っていた】
【口元には野獣のような笑み――見れば彼の腕には、螺旋の槍とでも表現できるような炎の塊が携えられている】
【時間が経てば経つほどにその槍の炎は勢いを増してゆくだろう。フレデリックが発動させようとしている術が何かはわからなかったが】
【大きな技であると見た彼は、その後生まれるかもしれないガルマの隙≠、虎視眈眈と狙っていた】


/>>1乙ですッ!!
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/05(土) 23:11:00.39 ID:zdx+kelZo
>>14
「おいおい……股間まで完全防御だなんて」
「見た目からおかしいと思ってたけど、本当に人間かよ、お前は」
【急所対策まで完璧とは、まさか股間に装甲があるなどと想像つくわけないだろう】
【ともかく金属を蹴りあげてしまった足が無事であるはずもなく、衝撃で痛みが走る】
【しかし態勢は崩れたらしく、タイマーが手から落ちた】
【そして男に蹴り上げられた】
【タイマーはころころと転がる】

「本当に、道化も道化だな」

【それは自分の事も指すのか、そう吐き捨てる】
【こちらがスイッチを回収するうちに何かされないように左手の剣を投擲し、自身は駆け出してスイッチを回収しようとする】
【敵に背を向けているわけだから必然的に隙だらけの状態となる】
【投擲された剣を上手くいなす事が出来れば簡単にこの少年を攻撃する事ができるだろう】
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 23:14:43.77 ID:XpnCIooQo
>>10

「煙で姿を隠して、上から攻撃――それはもう見せて貰ったのだ!」
「ちょっと予想とは違ったが、貴様から出向いてくれるならば好都合というものよな――!」


【砂の狼により動揺を誘う作戦は】
【高い練度を見せたコジマと兵士により冷静に処理される事となったが】
【相手から自身の元に飛び込んできてくれた事は僥倖だ】
【先程同様に不可避に等しい攻撃であるが、行動パターンが似通っているならば対処のしようもある】

【閃光、煙幕により視界を奪われ】
【コジマの狙い通りに左腕が切り落とされ砂の塊になって散っていく】
【握っていた戦鎚が、その場で甲高い音を立てて転がり】
【無防備な頭部に手榴弾が叩き込まれようとした瞬間――"肩から腕が飛び出した"】


【攻撃されるまではコジマの位置を特定することは不可能だが、された"後"ならば別だ】
【大男の腕よりも細い子供のような腕で、膂力も大男と比べれば格段に落ち】
【煙幕が立ち込める中で狙いも正確とは言えないが】
【腕を切り落としたことにより油断が生じていたならば、身体を掴まれ拘束される可能性もあるだろうか】

【もし拘束に成功した場合、大男はその場で"爆発"する】
【爆薬によるものではなく、砂の中の魔翌力を膨張させ炸裂させるものであり】
【本物の爆弾のような殺傷力こそ有していないが】
【至近距離でまともに受けるような事があれば、凄まじい衝撃を受けるかもしれない】


【上記の"爆発"が成功した場合、大男はその場で砂となって散っていき】
【拘束に失敗した場合は、肩から生えた腕が空を切り頭部の手榴弾が爆散し胸までを吹き飛ばされる】
【この場合、大男は少しふらふらと蹈鞴を踏んだ後ドサリと倒れて砂塊に変わっていく】


【どちらにしても、これにより中の"本体"が露出する事となった】


【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】

【まるで不死身の怪物のようであった大男の正体がこの人物である】
【砂で構築された人形――ゴーレムという言葉が思い浮かぶだろうか】

【上記の行動が"成功"していた場合は、「どうだ」と言わんばかりに口元を吊り上げ】
【"失敗"していた場合は悔しがるように口元を歪めていることだろう】


>>16

「ええい――世話が焼けるのだ!早く逃げるなり協力するなりするがよいのだ!」


【こちらも余裕が無い。が、ただ見過ごすわけには行かない】
【正義の味方を気取るわけではないが】
【こういう状況では出来るだけ人命を尊重するようにという"爺様"からの教えもある】

【しかし、コジマと対峙している今出来ることは然程多くはない】
【兵士達の前方の地面に干渉。床を分解し、粒子状にしたものをそのまま勢いよく散布する】
【それによって砂煙を巻き起こし、視界を阻害し撹乱させようとするだろう】

【だが、出来ることはそこまでだ――少女の行動に期待するしかないのだが……】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 23:15:17.10 ID:qKKOVhD90
/乙一なのですよ!



>>15
「よく分からないけど、何時も人間とかよーかい達と話してた
…………何か、つまんなそう。だから、今度わたしが何処かに連れて行ってあげるの」

【笑みを見せた所で咎める者は居ないだろうけれど、それでも自身を殺すのが彼女なのだろう】
【妖狐も櫻の国で騒ぎを起こしている今、笑みを見せるとしたら其れに終止符が打たれたとき】

【詰まらなさそうだから何処かに連れ出すとは、家臣達からすれば迷惑極まりない話だろうが】
【精霊からして見れば、純粋な好意であるのだろう。其れこそ、善し悪しを当てはめる事が出来ない位に】
【――――近づく悪しき存在は焼き払うのだから、ある意味では有能な守女にも思えるが】



「……ちょこ、ばー?」

【今まで食べて居た者と言えば獣の肉。素手で八つ裂きにすれば生で食べたり、時には焼いて食べてみたり】
【封魔城に居座り始めればもっとマシな食事の数々はしていたけれど――――チョコバーとは初めてなのだろう】
【未知の物を警戒する様に匂いを嗅いだり、手渡されれば掌の上に乗せてじっと観察してみたり】

【――――其処から考えるに、“大丈夫では無い”のだろうか。漸く食べ方を理解したかと思えば、包みごと口の中に入れて噛んだりとして】
【まともに食べ始める事が出来たのは少し経ってからだ。其れでも青年の気遣いで在る包みを只の邪魔な物としか認識せず、中身を取り出せばそのまま食べるのだから当然手もベタベタとなって】



「ん、美味しい!えるふぇす、ちょこばーもう一個!」

【犬の様に尾なり耳なりがあれば機嫌が良いことを示す様にパタパタと振っていただろうか】
【手も口もチョコで汚した姿はやはり文明人らしさは感じられない】
【完全に満たされなければ満足しない訳でも無いのだろう。だが、チョコの味を気に入ったらしく】
【指先に付いたチョコを舐め取れば、微笑む青年に対してもう一つと強請るのだけれど】
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 23:16:42.55 ID:Raj3xKOz0
>>994-995

「―――くっ……!!」

【愛する子供達を庇いながら、逃げるように告げたが―――無情にも、扉が崩れて逃げ場は塞がれてしまう……】
【もはやこの場から出ることは出来ない。戦いの場に巻き込まれた親子は、退路を断たれてしまった。】
【―――こうなったら、もう戦うしかない。自分がどうなろうと、子供達は護らなければ―――!!】

「……大丈夫、お母さんは貴方達を絶対に護ります。
 佳乃さん。貴女の気持ちは嬉しいけれど……貴女は衣織にとってかけがえのない友達ですから。
 ―――絶対に貴方を傷つけさせはしません!

 衣織!―――絶対に、私の傍から離れないで!!」


【母の言葉に頷き、身を寄せる衣織。抗う術を持たぬ「子供」を護るのは母の務め――】
【覚悟は出来ている。子供達の為ならば、この身がどうなろうと護り切る。誰にも愛する者を傷つけさせはしない!】
【それが神だろうと、抗えぬ力を持っていようと。―――皐月は闘う!身勝手な“選定”とやらを打ち払う!】


【―――皐月の眼前に広がる光景は、一種本能的な恐怖さえ覚えるようなもので】
【どす黒い何かが渦巻く。身の毛がよだつような寒気が襲う。威圧感とはまた別の恐怖感―――なんだ、これは】
【その正体は佳乃が教えてくれた。―――何という事だ、あれは死霊≠セと―――!】
【その黒い塊は天井付近に集まると、より大きな塊となって頭上を覆う。体験したことのない恐怖が襲う―――】

【こだまする嗤い声。圧倒的な力を手に入れて、その声は天地を揺るがすかのごとく轟き、そして―――辺りを見回す。】
【咄嗟に衣織を庇うような行動を取ったのは、母の本能だろうか。―――人は恐怖を感じた時、自分の身を護ろうとする筈だが】
【皐月の場合は、それでも子供を護るらしい。この姿勢、眼前の敵にはどう映るだろうか―――】
【揺るがぬ強い意志は、全て愛する子を護る為。我が子を護る為なら、親は強固な勇気を持つのだ】


―――貴方が私の愛する娘を傷つけると言うのならッ!!

私は命に代えてでも護る!!力を振るうことしか知らない貴方に、娘を傷つけてなるものですか!!

【―――突如、嵐が吹き荒れる。否、嵐と錯覚するかの如く吹き荒れる其れは、先程まで皐月の足元で渦巻いていたつむじ風が】
【遥かにその力を増して、衣織と皐月を包むようにして渦を作ったもの。神風が、死霊や光の手を蹂躙する―――!】
【あるものは弾かれ、あるものは軌道を逸らされ、狙われた攻撃は二人を捉えられないでいる、が―――】

「―――ッ、ァァァアアアアッ……!!」
――お母さん!!


【嵐をすり抜けてきた一つの光の手が、続いて死霊が、衣織を捉えんとするまさにその時―――】
【―――皐月は身を投げ出して、二つの攻撃をその身に受けつつ、衣織を護ったのだ。】
【どす黒い感情が流れ込む。背を光が焼く。耐え難き苦痛が皐月の全身を襲い、呻き声を上げる……が】
【それでも前を向く。膝を付く事も無く、愛する娘を護るかのように立ちはだかっている!】

「―――ッ……大丈夫よ、衣織……。貴女は私が護るから……!!
“選定”か何か知らないけれど……そんな事で私の子を死なせてなるものですか!」

【立ち上がった皐月は、手を前へと翳す。すると、掌に周囲の空気が有職し、圧縮されて】
【たっぷり十秒間圧縮された其れは、やがてプラズマ化してゴルフボール大の球体となって―――次の瞬間】
【爆風と共にガルマを目掛けて放たれる!ガルマへと当たったなら、その弾丸は強烈な爆風とプラズマによる熱を伴って】
【まるで強烈な爆弾のようにガルマの左肩や左腕、もっと言えば心臓の辺りまでを吹き飛ばそうとする!】
【直線的な動き故に回避は難しくないが―――回避をしたからと言って油断をしていたら】
【もう一発同じものが、左肩を目掛けて飛来するのに気付ないかもしれない―――】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/05(土) 23:19:06.96 ID:Q+j3VliTo
>>18
 いやぁ!股間を蹴り上げられた程度で動揺することがないように鉄でできたパンツを身に着けているだけですよ!
 着心地は最悪ですがこのような場合に役に立つでしょう?

【にこにこと微笑みながらタイマーを拾いに行く少年を眺めている】
【何かしでかす様子はない】

 おっと!まさかのここで牽制の剣の投擲!用心深い!
 まさか本気でここまで警戒されているとは!いやぁ!照れるべきなのか悲しむべきなのかわかりませんねぇ!
 しかしここまで警戒心されていると少し悲しいものがありますね!
 あなたは勝ったのです!その褒章を横取りするような真似をするでしょうか!いやない!私、ゲス外道ではありませんのでね!

【あっはっはっはっは、と笑いながら剣を避ける】
【一方のスイッチは拾おうとすれば拾えるだろう、男が攻撃する様子はない】
【途中でずっこけたり、拾うのをやめない限りは……】

 道化?お褒めの言葉感謝します!皆さんももっと私の事を褒めてもいいのですよ?

【本当に、気を違えているのか侮蔑の言葉にも動じない】
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/07/05(土) 23:30:08.57 ID:W0jsYTmfo
>>12

【二人の間に立ち込めていく、塩漬けの焼けるような濃い匂いが、セリーナの胸を燻る。】
【時折パチリ、と爆ぜてはその存在を主張する肴は―――そろそろ、焼き加減も良い頃だろうか。】
【トライデントに大分、アルコールが回り始めてきたのと同時、セリーナはグリルから山漬けを取り出して、皿に盛って差し出した。】

  ……善悪の是非ではなく、善悪の概念そのものを切り分けるとすれば―――……確かに。
  トライデント君、君の言う通りだとそう感じるよ。アタシはそういう『大義名分』がなければ、銃を握らなかった。
  先に正義があったからこそ、ううん……先に悪が生まれたからこそ、そこに正義が生じて、そしてアタシは銃を手に取ったんだ。


【肯定、と受け取っていいだろう。セリーナも、誰もが納得するわけではないと判りつつも―――】
【その鋭い意見に対して、ここまでは異を唱える事無く、ただバーボンを煽り続けた。対照的に、彼女は静かに】
【顔が赤くなる事も、語調が激しくなる事も無く―――それこそ自然体で、彼の言葉の一つ一つに、耳を傾けていく筈だ。】

【尤も。悪とは何か―――彼の思うそれが正体を現したときには、セリーナもグラスを置いて、どこか遠い目をして口を開いたのだが。】


  ……なるほど、ね。
  多分、『悪』の持つ罪の重さを、君は人よりずっと―――ずっとずっと多く、理解しているんだろうね。
  何があったのか、それはアタシには知り得ない事だけれど、君の悪に対する考えはまず、的を射てるとアタシは思うよ。

  人が一人死ぬ。それは、言葉にするほど簡単な物なんかじゃ、ないもんね。
  人と人との関わりを、大きくて精巧な機械式時計に例えるなら―――たった一人の人間の存在が、歯車のひとつにも等しい。
  どれもこれもが、稼動する上で重要な役割を持つ歯車が、ある日突然、何の前触れも無く消え去ってしまう。

  ―――動きを止める事はなくとも。その時計はもう、以前と同じ様に時を刻む事が、出来なくなる。
  其れが、人の死だ。たった一つの死が、其処に関わったあらゆる人の運命を大きく、深く、変えていってしまう。
  或いは、それが生み出す社会構造すらも、劇的に―――……

  そう考えれば、悪の持つ罪は、人が断ずる度合いを大きく超越してると言い換えても問題は無い。
  罪業を犯した悪を断ずる事は、そんなに簡単に出来ることじゃ、ないんだからね。

  
【全て、彼の言霊を受け止めた上で。スミノフの代わりに、暖かいお茶を淹れながら。】
【山漬けの皿を彼に差し出して、『つまみも食べないと、直ぐに宵が回っちゃうよ。』なんていって―――そして。】


  ―――で、あればこそ。こう考える事も出来るはずだよ、トライデント君。


          "  『悪』を裁くことは―――もはや、人の処する所ではない  "

                                                ……ってね。

【飲み干したグラスに、もう一杯のバーボンを注いで、セリーナはそう口にした。】


  赦されざる存在、背負った罪の重さ、業の深さ。そんな重大な事を、人間が人間の、
  独自の裁量において裁いてしまうだなんて―――とても、危険で恐ろしい事だとは、思わないかい。
  
  ……トライデント君。アタシや君に出来ることは、『裁き』を与える、その手前までじゃないかな。
  裁くのは、人ではなくて―――法律っていう、もっと確かなものに任せるべきだと、アタシはそう思うよ。

  なにも別に、『悪』を裁く作業を法律っていう形骸化した物に押し付けよう、ってワケじゃない。
  ただ―――細かく分解していけば、悪を倒す為にアタシが使うそれは、彼等のそれと同じ、暴力に違いない。でしょう?
  大義名分が存在するから、それらがどこまでも正当化されてしまうなんて―――アタシには、とても恐ろしい事にしか思えない。

  ……正義や悪を、レッテルだと思う事も胸のうちには必要だ。
  そうやって何かしら、アタシ達が抱えてる胸の『もやもや』みたいのに、一つ一つ名前をつけていかないと
  いつかアタシ達は間違えてしまうから―――けど、そこに『力』を見出してしまうのは、きっと危険に繋がると思うよ。

  アタシにとっての全ては―――……同化しない事、にある。
  暴力を扱う以上、慎重でないと、いつかアタシも―――きっと、勘違いをしてしまうから。
  だから、アタシは疑うんだ。自分の中には、矛盾があると、信じてね。
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/05(土) 23:30:23.80 ID:3ElvPBHGo
>>16
「――ハ。まるで素人じゃねーかよォ!!」
「おとなしくしときゃ楽に殺すくらいで済ませてやっからなァ!」

【駆ける兵士は、広がらず列になって襲いかかる】
【先ほどの風について、恐らくインカムからの音である程度認識し、警戒をしていたのだろう】
【これならば、一人が倒されても後ろの一人はなんとかなる。そう思考した結果のその行動】
【最初の一人が、地面に倒れる少女に向けて跳びかかり、首に腕を絡め、意識を落とそうとするだろう】

>>19
【確かな手応え。砂の男の腕が落とされ、ついに両腕が使い物にならなくなって】
【そして、直後に内側から生えた腕。それを見て、コジマの顔が歪む。理解する、やはり中に本体が居た、と】
【コジマがとっさに行った行動は、背負った杖を軽く叩き、高い音を響かせること】

【コジマの両手両足、腰に付けられた試験管から液体が漏れだし、四肢、胴体に絡みつく】
【コジマの身体が空中で不自然に動作する。両手首、両足首に纏わり付いた水に、引きずられるような動きだ】
【それによって、コジマは相手の手から逃れようとするが、靴の踵に相手の指が係り】

「ヤバイヤバイヤバイッッス!!」

【途端に背筋に駆け抜ける悪寒。コジマの恐怖が、この後に襲いかかるだろう脅威を予測した】
【左手と右手のゆるめておいたワイヤーを全力で巻取り、相手の手からの離脱を図るコジマ】
【幸いとして、人間一人を飛翔させるに足るその動力は、相手からの離脱を可能にしたが、離脱は1秒ほど遅れてしまい】

「――置き土産――が……っは――――!!」

【左手の手榴弾を手首を使って放り投げ、こぼれ落ちていくそれを器用に脚で蹴り飛ばし】
【直後に襲い来る砂の爆発に、コジマは吹き飛ばされる。それでもワイヤーに寄る退避は比較的効果が有ったのだろう】
【意識を失うことはなく、しかし着地に失敗して3m程の高さから派手に地面にたたきつけられる結果となる】
【ぼきん。嫌な音。そして、左腕の半ばから腕があさっての方向に曲がっていた。漏れる声――しかし、女はゆっくりと立ち上がる】

「そろそろ、良いッスかねェ。私の仕事は破壊任務ッス。
あんたらぶち殺す事なんか、金の払いにゃ含まれていないんスよ。
――――テメーら!! カーニバル≠セ!!」

【直後。先程よりはるかに大きな振動が、展望台を襲っていく】
【天井の全てに罅が入り、次第に崩れていき。床も崩落していく。そして、崩落した床から、上の階に向けて銃弾が放たれる】
【階下にコジマの部下が10名ほど集結。そして、崩落した床の穴から射撃を放ち、支援を開始していた】

「さーって、部下が帰るまで私は時間稼ぎさせてもらうッスよ!」

【斧をしまい込み、背中から杖を引き抜き。地面をこん、と叩く】
【女の前に四肢と胴体にまとわりついていた液体が集い、それに向けて女は何かを放る】
【銀色の砂のような物体は、小さな針の群れだ。銀色のラメの入ったその液体は、女の意のままに動いてみせる】
【その水の形状を、細い糸のようにして己の周囲に張り巡らせ、女は引きつった笑みを浮かべて、インカムに呟き】

【幾度か続く爆発音。この建物の崩落まで、それほど長い時間は掛からないだろう事が分かるはずだ】
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/05(土) 23:34:02.20 ID:zdx+kelZo
>>22
【いくらなんでもこんなところでずっこけるなどというミスはやらかさない】
【しっかりとその手はタイマーを捉えていた、邪魔が入らなければ回収できるだろう】
【そして無事に回収した後は、男に向き直ってこう言うだろう】

「僕は警戒心が強いんでね」
「第一、敵の言う事なんて信用できるわけないだろ?」
「爆弾を仕掛けて人の命ゲームのようにして楽しんでいる時点でゲス外道にしか見えないんだけども」
「あと鉄のパンツって何だよ」
「重いだろ、体動かないだろ」

【相手はロボットか何かか?それにしては随分と感情豊かだ】

「お前には何でも褒めの言葉に聞こえるんじゃないか、おめでたいね」

【さて、この後はどうするのか】
【いや、決まっている。分かりきっている】
【この癪に障る男を、倒すだけだ】

【タイマーが偽物だったりしなければ、の話だが】
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 23:40:55.87 ID:RLrGah10o
>>20

そうだな一区切りでもついた時には連れ出してやるといい
そしたらきっとあの姫さんもお前に向けて笑ってくれるだろうさ、終われば……な

【自身を縛る姫と奔放な精霊、なんとも対比的な話】
【もしかしたならば姫はこの少女に何かを見出したからこそ匿っているのか】
【妖狐を敵とするあの姫にしかそれは知り得ない】

【妖狐……かの大妖を思い出してか心もとなさも手伝って無意識にナイフへと手を伸ばしていた】
【滑らかな手触りの柄、幾星霜を重ねた銀色はただ静かに此処に在る】


あー……もう、口の周りがベタベタだもう少し上手に食べなさい
ったく姫さんは物の食べ方も教育してないのか……余裕がないのか、まあいいや拭いてやるからこっち向け

【困惑を浮かべ仕方ないとハンカチを取り出しそうっと少女の口周りを拭き始める】
【精霊にとってはこの手の食べ物も真新しいのだろう、想像力が足りなかった】
【数秒して手も口周りも綺麗になったならば】

ええいワガママ娘め……今度は汚すなよー
あとコレをあげたのは姫さまには内緒だからな、なんか後で文句言われそうだし……
じゃないと今度会った時にやらないからなーホラ大切に食べなさい

【我儘でも応えられるならば応えよう、この程度ならば可愛い我儘だし】
【仕方なさ気に言いつつも少女の愛らしさに負けてもう一つ取り出し与える】
【今度は汚す心配もないだろう、といっても少女の学習能力に期待するしかないが】

【また汚れたら汚れたで変わらず拭くのだろうけど】
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 23:43:34.74 ID:zNWRbhs9O
>>24
「い、いやぁ!?」
「こ、こっちに来ないでっ……!!」

基本的に平常心を保っている彼女も、流石に堪えたのか悲鳴とも取れる声を上げる。

しかしながら仰向けに転びつつも、飛びかかる男に対しすかさず風圧の一撃を。
狙うは顔面〜首にかけて。

さらにその反動を利用して後転し、起き上がろうとする。
即座に2人目が来ないなら、上手く行くだろう。
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 23:44:41.67 ID:C4Pc256SO
前スレ>>993-995>>997

【ガルマに刃が届く、あと本の少し、その時、ブラックは背後からの気配を感じ取った】
【それは当然ミドナからのもの、腕を止められれば、刃も動く筈もない】
【攻撃を受け止める為に滑り込み、更に正気を失ったかのようなミドナの殺す拳が迫る!】

………………!……ガ…………ハァ……ッ…………

【両脇腹に衝撃と激痛が走る、能力の為か、肉が抉られるようなことこそ無かったが、大ダメージであることは間違いないだろう】
【内臓を痛め、骨にもひびが入ったかも知れない、吐血する様子を見れば明らかだ】


【しかし、ただダメージを受ける為に食らった訳でもない。右で持っていた軍刀こそ止められたが、まだ左がある】
【ミドナが受け止めている腕と、攻撃に使う腕、今はその4本は使えない】
【それを狙って、ブラックは攻撃の瞬間、カウンターを仕掛けるだろう、ミドナの腕が最低残り2本にならなければ届かないであろう手だ】

(頼む…………!届いてくれ………………ッ!)

【左手に持つのは注射器、主に戦場で傷を受けたとき等に使う麻酔薬だ】
【狙うはミドナの首の動脈、手足等の局部ならともかく、動脈に刺さって麻酔薬が注入されれば暫く身体を痺れさせる事が出来るだろう】
【それが成功したかどうかに関わらず、その後は直ぐに後方へ下がり距離をとるだろう】


うむぅ………………長引けば戦局は不利になるばかりか…………

【ガルマが先程飛ばした光の手が何かを掴んで戻ってくる、佳乃の言葉でそれが死霊だということを知る】
【そして真の力を見せるガルマ、きっと神を名乗れるのには十分な力だろう】

【だが決して、ガルマの瞳を見たところで決意を変えることはしない、それどころか睨み返そうとまでする程の、矢の様な眼差しを持っていた】
【諦めるのは万策尽きたとき、諦めるのは死んでからで十分だと、自分に何度も聞かせていた】

(……他の者の攻撃はあの硬い表皮に防がれ、決定打には至らなかった……ならば……!)

【死者の魂と光の手、だがブラックは回避や後退は考えない、攻めなくては勝ちはない】
【ブラックはあくまでも攻める、ガルマへと向かう事を選ぶ……!】


今、出せるだけの力、その全てを出して…………
貴様を地獄の淵へ……"斬り堕とす"ッッ!!

【ブラックは真っ向からガルマへと、軍刀を構え突撃する!但しそれは自棄ではない】
【彼の全身を蒼い焔が包んでいるのだ、そして軍刀も例外ではなく】
【焔に包まれた軍刀は巨大な矛の様になって、更にその威力を増す!】
【途中までは、その矛を盾にしながら進む、当然全てを防げる訳ではない】

【直撃こそ避けるが、腕や脚に光の手や死霊の魂を受け、傷はどんどん増えていく】
【それでも耐え切り、ガルマの前へ出たのなら、やはりその矛を振るうのだろう】

【威力は目で見て容易に理解出来る、唯防ぐだけで本当に受け止められるかはガルマの力次第か】

/凄く遅れました……申し訳ありません!
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/05(土) 23:45:44.65 ID:Q+j3VliTo
>>25
【男は、それをにこにこ眺めていた】

 敵の言うことを信じているじゃないですか!
 事実爆弾が仕掛けられていると思って行動していたでしょう?
 私を殺せば爆弾が起動する、と思っていたでしょう?
 はたして、それは本当なのかな?
 それと、パンツっていうのは比喩表現さ!正確には鉄板を仕込んでいただけなんだけどね!

【厭らしい、厭らしい笑みを浮かべながらニッカポッカのポケットに手を突っ込む】
【と、同時に、タイマーの表示が正常に戻る……残り時間、二分】
【男が何か細工していたようだ】

 ゲームは君の勝ちだ!
 でも!タイマーは止めなければ意味がない!事実今もタイマーの秒数は減っていっている!
 タイマーを解除してあげよう、だからそれを私に渡してごらん?

【事実、タイマーは今も秒数を減らしている、時間はさほどない】
【そしてタイマーを解除しよう、そういって手を差し出す男、催促するように徐々に近づく、ニセモノ、というわけではなさそうだ】
【しかし、人間の命をゲームのようにもてあそぶ男の言うこと、だと念頭に置かなければならない】
【この催促は、罠か、否か】

【残り一分三十秒】
【タイマーは液晶の数字を減らし続け、またタイマーをセットするときに押した赤いボタンは液晶のすぐ横にある】
【男は依然として手は出さない――いや、ある意味では出しているが】
【ともかく、この場、どうするかは少年に託された】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 23:57:26.77 ID:4f+gnoYEo
>>13


――――ほう、面白い。
よかろう、真正面から受け止めてやる。見せてみよ………。


【ガルマの圧倒的な力と交差して、フレデリックの策が成る。ガルマに迫ってくる五本の槍、やはり神は微動だにせずソレを受けるだろう】
【両手両足に鎖が直撃し、魔術がその体を貫く――――かに思えたが、しかし。この戦神相手に『拘束』の術式が易々と通る訳もない】
【ゴゥッ! と強烈な黄金の光を纏った両手両足には、槍が触れこそするものの、あまりの硬さに貫通≠フ術が打ち負けてしまう】
【――――そして、胸部は。同じく黄金色のオーラのようなものが槍を軽く弾いてしまって、そもそも接触すらしなかった】


我が操る戦死者≠フ霊も強制浄化してみせるか……それに、この妙な力。なるほど、流石と賞賛してやろう。
ならば――――これも当然、受けられるであろうな?


【真正面から術を受けて、鎧袖一触にしてみせたガルマだったが……しかし。彼もまた、戦神たる男の操る戦死者≠フ魂を見事に還してみせる】
【術式もまた、一度躱して見せたところで終わらない。まさしく大司教≠フ名を冠するフレデリック・シャリエールに相応しい、不屈の術が天井に蠢く!】
【……それを認めた上で、ガルマは慈愛に溢れる笑みで嗤った。更なる試練を超え、本当の力を見せてみよと――――】

【刹那、ガルマの背後で『後光』が強烈な光を発する。円の内側より更に十本の光の手≠ェ召喚され、全方位から一斉にフレデリックを襲うだろう!!】


>>17


『あ、あなた――――、ッ!!』


【こちらに駆け込み、そして佳乃を守ってみせるアーシャ。――――佳乃はその背に一瞬息を呑むが、すぐに普段の調子を取り戻し】
【自身もまた結界を強め、アーシャを死霊から守るはずだ。彼の展開した爆炎の壁が光の手を弾いて、壊して、焼き尽くして――――】
【……結果残るのは、ボロボロのアーシャと、限界ギリギリで生き残っている佳乃。緋色の鷹≠フ役割を、アーシャは見事に達成してみせた】


無様な姿よな、アーシャ=ランスキャット。
その小娘を守らなければ、そこまでの姿にはならなかったであろうに……お前ほどの強者が、本当に口惜しい。

――――その拳が、本当に我に届くと思うのか? 奇跡などが本当に、起きると思うのか?
それもわからぬというのなら致し方ない。――――朽ち果てよッ!!


【……そのアーシャへ、神は侮蔑の視線を送る。強者は強者らしく、孤高を貫いて生き延びて見せよと、その瞳は言っていた】
【拳は届かない。奇跡など起きない。ただ絶望を叩き付けんがため、ガルマの光の手≠ェ一気に数十本、伸び上がる――――】

【アーシャから見て右斜め下へ滑り込んだ手の集合は、やがて集約して一つの形となる。出来上がるのは、より巨大な光の拳=I】
【灼熱が空気を引き裂き、アッパーカットがアーシャの腹部へ打ち込まれる! ……光の手の性質をそのまま受け継いだこの拳は、】
【骨も肉も纏めて粉砕する威力と同時、鉄をも溶かす高熱を帯びている。まともに当たれば腹に風穴が開くし、掠めるだけでも危険だ――――】


/続きます!
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 23:58:52.37 ID:4f+gnoYEo
>>21


『さ、皐月さん――――ッ!!』


【必死の思いで我が子を守ってみせる皐月の姿に、佳乃は今度こそ本物の悲鳴を上げた。……瞳にはうっすらと、涙さえ見える】
【当たり前だ。佳乃はもう心から、皐月と衣織を大切な人だと思っているのだから。膝立ちの状態を保つのがやっとの自分の無力さが、何よりも呪わしい……!】


……子を守る親は、いつの世も強いか。その力、その精神――――心からの賞賛に値するぞ、女。
故に、見てみたくなったな。……貴様の自慢の娘が、貴様を目の前で惨たらしく殺されて、それでも立ち上がれるか否かを。

――――エイダ! 相手をしてやれ!!


【その姿を目の当たりにしたガルマの顔に浮かんでいるのは……侮蔑ではない。烈しくはあれど菩薩の如き慈愛が、表情には浮かんでいる】
【何よりも強さ≠至上とする男だ。母親として必死に衣織を守る皐月の姿は彼にとっても、尊ぶべきものであって】
【……けれど、やはり。神と人には決定的な価値観の違いがある。ガルマは衣織の強さ≠ェ見たいがため、皐月へ本気の殺意を向ける!!】


「パパ――――家族――――、守らなきゃ………あたしは、闘わなきゃいけないのッ!!」


【ガルマの指示によって動き出したのは、もう一人の女。ミドナ――――父親≠フために翻弄される娘の姿が、そこにある】
【流石にこの女、緋色の鷹≠背負っていただけの事はあった。父親に迫っていく空気の爆弾に対し、咄嗟に腰元から短刀を抜き放って投擲!】
【短刀は中空で皐月の放った空気塊に触れ、誘爆させて無力化してしまうだろう。左肩に飛んでいくもう一発にも、全く同じ対応がなされて】

【――――この女には六本≠フ腕がある。一度に投擲できる数は「二本」を優に超えると気づけたなら、】
【皐月の右脚に向けて投げつけられるもう一本に対応することが出来るだろう。……ミドナの半狂乱の様相は、あまりに痛々しい】


>>28


「う、ぁ、ああああッ………――――!!」


【ブラックを殴り抜いた感触がミドナの手に帰ってくる。……彼女はそれに耐え切れなくなったように、また、唸って】
【その隙が、今度こそブラックの行動を許した。投げつけられる麻酔薬が首筋に直撃し、ミドナの動きが止まる――――】


はっ、老いぼれが無茶をする! やるではないか!!
良い、やってみよ。その程度の力で……我に傷一つでも追わせられるのなら、な?


【暴力的な神の力を振り切って自らの目前へと飛び出したブラックを、ガルマは鼻を鳴らして見下した。口元には笑みが張り付いている】
【フレデリックへの対応もあり……いや違うか。単純に自らの絶対的な力への驕りから、ガルマは一切抵抗しなかった。蒼色の矛が、振り切られる!】

【――――ブラックの手には確と手応えがある筈だ。ガルマの胸部から腹部に掛けて袈裟の傷が刻まれ、鮮血が飛び散る】
【数滴、だけ。……傷は確かに負わせたはずなのに、全くと言っていいほど出血が無い! 痛みすらもないかのように、ガルマは立ち尽くしている……】


「が、ぁ、あああああああああああああッッ…………!!」


【それに絶望してしまった場合、非常に危険だ。――――麻酔を打ち込まれたはずのミドナがもう復活して、中断の右拳を振り翳す!】
【狙いは背中だ。威力は高いがとんでもなく大振りで回避は容易い……眼光は野獣の如く、とても正気には思えなかった】

【この様相は? 何故麻酔が効かなかったのか? その答えとして――――気づくだろうか。ミドナの全身に、真っ赤な呪刻≠フようなものが浮かび上がっている】
【先程、ガルマの声と同時にミドナの様子がおかしくなったことを考えれば、この呪刻は恐らく彼が――――、】


/続きます!
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/05(土) 23:59:18.22 ID:zdx+kelZo
>>29
「それとこれとは別だ、揚げ足取るなよ」

【嫌らしい、本当に嫌らしい】
【そして人の神経を逆撫でしてくる奴だ】
【まあ、別にそんな事で怒り狂う程短気ではない】
【むしろ、気は長い方だ】

「…………お前に渡したら嫌な予感しかしないけど」
「まずは止め方を教えろよ、それでどうするか決めるからさ」

【やはり、あれだけで終わるはずがないか】
【道化はどこまでも人を弄ぶ事を好むらしい】
【そしてここで「はいそうですか」と素直に渡せるほど、僕の心は純真ではない】
【まずはどうやって止めるかを一応聞くとしよう】
【可能性は限界まで、徹底的に潰しておかなければ】
【次の行動をどうするかは、その後で良いだろう】
【もちろん、男が素直に教えなければそれまでの事だが】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 23:59:38.49 ID:XpnCIooQo
>>24
【蹴り飛ばされた手榴弾を受けて、自爆寸前だったゴーレムは】
【肩に生やした砂の腕ごと破壊され相乗効果で大爆発が巻き起こる】

「なぬっ――くっ……は……!」

【爆発の寸前にゴーレムから飛び出したシーナだが】
【至近距離で巻き起こった予想を超える爆発に煽られ】
【小さな身体が後ろに向けてコロコロと転がっていった】
【数回背中で地面を舐めた後、何とか受身を取って弾かれたように立ち上がり】
【けほけほと、受けた衝撃に小さな咳を吐き出した】
【先程までの大男と違い、こちらの耐久力は見た目相応に低いようである】
【脆弱だからこそ、強靭なゴーレムの中に隠れているのかもしれないが】


「うむぅ……今日の私はびっくりしてばかりな気がするのだ!」
「あの神モドキみたいな強さじゃないが、これはこれで嫌な相手だの!」

【破壊的な力を持っているわけではないが、兎に角"上手い"】
【戦闘の技量に関しては間違いなく数歩上を行かれているだろう】
【魔術によるアドバンテージがあればこそ渡り合えているが、同条件では相手にすらなるまい】
【その油断ならぬ相手の前で本体を晒している今、一手間違えれば待つのは死である】
【額から流れた汗を、小さな舌で舐めとると――シーナは一層気を引き締め魔翌力を練り上げた】


「――!なんだ、崩れる……のだ!?」


【襲いかかる崩落の振動に、小さな身体が蹂躙される】
【膝をつき、足元を砂化させ固定することでその場で倒れ伏せることは防ぐが】
【流石に状況は理解できた――この場は、間もなく崩れ落ちると】


「ならば、さっさと貴様を片付けて家に帰るとするのだ!」


【シーナは、身体の周囲に蜷局を巻く蛇の如く砂を纏わせながら】
【脚でダン、と床を叩き魔翌力を放出――術を発動した】


【コジマの左右の地面が崩れ、大きな砂の"腕"が出現する】
【拳の部分が異様に肥大化した其れは殴打することに特化した形態】
【反応が遅れた場合は、巨大な砂の拳により殴りつけられ衝撃を受けるかもしれない】
【しかし、先ほど同様多少のタイムラグがある。冷静に見極めれば然程驚異ではないだろう】


(あんなもの、当たるはずもなかろうがの――これならどうなのだ!)


【本命は、コジマの1mほど後方。そこから"砂のナイフ"が形成され、背中を狙い射出されようとする】
【対処の容易な攻撃で意識を散らしてからの間隙を狙った攻撃だ】
【拳による攻撃が"先ほど見切られたにも関わらず工夫もなく放っている"という点を踏まえて】
【何らかの本命が存在すると察することは可能であろうか】
【もしくは、コジマの纏う液体の性能によるが叩き落とされる可能性も考えれる】


>>27

「――ああもう、面倒くさいのだ!」


【もし二人目が即座に彼女に襲いかかることがあった場合】
【その兵士に向けて頭部を狙い左方から"岩"が飛来してくるだろう】
【砂を固めてそのまま放っただけの攻撃であるが】
【単純に鈍器としての性能は高く、命中すれば相応の衝撃を受けることになろうか】
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/06(日) 00:01:56.58 ID:W92WCv33o
>>ALL


――――全員、よくぞ凌いだ。それでこそだ人間共、それでこそ、我が寵愛を受けるに相応しい………。


【全員が生き残り、そして全員が反撃してくる――――その展開に驚くことはなく。ガルマはただ、満足そうに嗤っていた】
【この神≠ヘ確かに人間を愛している。闘いに生き残れる強い人間だけを、心から。それ以外の人間はゴミ同然にしか思っていない――――】
【……きっとこの場の誰も、こんな身勝手な寵愛など欲していないというのに。ヒトは神を崇めて当然だという、どうしようもなく隔絶した価値観が、そこにはあった】


だが、まだだ。まだ我の選定≠ヘ終わらぬぞ。
たかだか二十を凌いだ程度では真なる強者足りうることは出来ぬ。どれ、次は倍受けてみるか――――?


【峻烈を宿す金色は荘厳なる響きでもって、選定の続行を告げた。ただ本物の強者を選別するために、神は理不尽な試練を投げかけ続ける】
【すっ、と右腕が上がる。筋肉の躍動、切り裂かれる風の音、たったそれだけの事すら神々しい。浮かぶ優しい笑顔には、慈悲すらも浮かんで見えた】

【闇と光が蠢き始める。五人の力で一人二十、数え切れない攻撃は各々どうにか切り抜けたものの……絶望的、としか言いようがない】
【次は倍。その言葉通り、今度は死霊と光の手がそれぞれ二十ずつ、全員に向けて鎌首を擡げた。その射出は音もなく、無慈悲に行われる】

【迫るは一人四十、二極の力が唸りを上げる。果たして、人間に、生き残る術などあるのか――――】




                          『―――――――愚かなる戦神≠諱x




【――――後方から響くその声は、この修羅場にあっても五人の耳元へ確実に届いたはずだ。不思議な重みのようなものが、そこには在った】

【刹那――――真後ろから純白の光の奔流が迸る! 光は一瞬にして部屋全域へ行き届き、五人の体さえも包み込んでいって――――】

【……そこから先、起こる変化は主に四つだ。まず天に蔓延る千にも登る死霊どもが、悲鳴を上げる暇すらなく一瞬で、一人残らず浄化≠ウれ】
【更に今しがた五人へ放たれた四十の猛威がすべて跡形もなく粉砕され、ガルマの背後の『後光』で待機していた残りの光の手≠ワでもが大量に吹き飛ばされる!】

【そして、次の変化は五人全員の体に起きるはずだ。もし光を全身に浴びたなら、体中に強力な癒し≠フ力が流れ込んでくるのがわかるだろう】
【死霊による精神汚染は完璧に除去され、今まで受けた傷も傷口が再生したりこそしないものの、出血は完全に止まり、痛みもかなり楽になるはずである】


う、ぉ、ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!?

がぁああッ、な――――なんだ、これはッ!! ち、力が!! 我が力が奪われる…………ッッ!!?


【最後の変化は、目前にいるガルマに起きた。――――部屋中に広がった力の波が一気にガルマへ収束し、その全身に叩き込まれる】
【……激痛に喘ぐその姿にはもう、神たる威厳など微塵も無い。ミドナにあるものに良く似た白銀色の呪刻≠ェ、ガルマの体中に迸っていた】
【途轍もなく巨大だった『後光』も元のサイズに縮小され、すごすごとガルマの背に戻ってくる。……先程までの絶対的な力が、ガルマからはもう感じられない!】


『皆さん――――彼奴の力は私が抑えます。今のうちに攻撃を』


【真後ろから響いて来る声の通り、これはチャンスだ。何がしかの干渉によってガルマからの攻撃も打ち消され、目の前ではあの男≠ェ苦しみもがいている】
【もし背後を振り向いたなら、そこには『幸徳井佳乃』が立っているだろう。……いや、違う。姿形は彼女のものだが、明らかに何かが違う!】
【ガルマのものに酷似した雰囲気を放つ何かが、そこにいるのだ。暴力的なまでの神聖≠ウが、この場を聖域へと塗り替えていくかのような――――】

【ただ一つ、ガルマと違うとすれば。彼女の放つ光は、ただ身を焦がす灼熱しかなかったあの男のものとは違って……包み込むような、暖かみがあった】
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/06(日) 00:01:57.15 ID:k0FanwLL0
>>23

そうだろう……割り切ってしまえば、そうなるんだ…………けど、はぁっ……そんな不確かで、逆に割り切れないこの答えは、誰も受け入れられない……
セリーナ……仮にあんたが……あんたがなぁ……あんたが「こんな世界を守るなんて、なんて極悪人だ」なんて言われて……それが間違ってない、なんて言われて……納得できるか?
それに対してあんたが「極悪人はお前の方じゃないか」なんて言いだして……そこから先は水掛け論だろう?
……だからこそ、自分の内に確かめて、ハッキリとした答えを掬い出さなきゃいけない……じゃなきゃ、戦う事なんて、とてもできない……

【定義だけでは、何も変わらない。その定義から、更なる定理を見出して、ようやく物事は上手く回り始める】
【その為に――――恐らくは、トライデントはずっと己の内に「『悪』とは何か?」「『正義』とは何か?」を、反芻し続けてきたのだろう】
【セリーナがそれを一部でも肯定したのなら、より話し易くなる。尚も酔いが回りつつ、トライデントは言葉を続ける】

あぁ……済まない
……そう、そうなんだ……人は、そうやって狂わされていく…………それに、多くの人間はそこを見落とす…………!
「『悪』に苦しめられる人間には、なんの咎も無い」……その事の真意を、多くの人間は見逃してしまう……!
ただの「巻き込まれてかわいそうな被害者」……精々が、その程度だろう……?
…………済ませられるものか、その程度で…………ッ。その程度で、咎無く苦しむ人間の、その苦しみに……一歩でも踏み込んで、行けるものかよ……ッ

【山漬けを差し出され、トライデントは軽く礼を述べながら、それをジャーキー代わりに齧っていく】
【――――前述したように、この山漬けは本格派故に、非常に強い塩味で、到底一口に食べきれるものではない】
【故に、酔いによって動作が粗暴になっている事もあり、噛み千切っていく様な粗雑な食べ方になってしまっているが】
【それでも――――やや呼吸を挟む事が多くなり、語調が怪しくなってはきているが。それでもトライデントは、己の言葉を確かに紡ぐ】

セリーナ……言わせてもらうが――――――――――――――――それは『逆』だ

【思いきりかぶりを振って、そして真っすぐにセリーナを見据え。トライデントは改まってそう口にする】
【ただ――――やはり酔いが更に一段階回っているのだろう。その動作に身体が振り回され、ふらついている】
【……完全に、酔っ払いの領域に足を踏み込んでしまっている様だ。それでもなお――――眼だけに力を込めて、言葉だけは止めない】

俺たちの使う『力』も、『いわゆる悪人』が使う『力』も、抽出して概念だけを見れば、同じものでしかない
だからこそ、なんだ……そう、そうなんだ…………だからこそ、『人間が人間を裁くべき』……なんだよ…………
逃げてはいけない…………全ては、『人間』と言う存在から発して、『人間』と言う存在に、帰されるべき問題、だからだ…………!

【スミノフアイスを、更に勢いよく傾けようとして――――流石に限界が近いと悟ってか、グラスを干すところまで行かずに戻して】
【もはや完全に『据わった眼』で、トライデントは胸の内を大きく開いていく】

……この世界に、神だの運命だの……そんなものは存在しない……! 全ては因果だ、人間の生み出した因果だ……!
……グラトンに『セードムシティ』を襲わせたのは『神』か? 奴のせいで住民が苦しみ、あるいは洗脳されたのは『運命』なのか?
……そうじゃないだろう、そうじゃ…………全ては、奴の『悪意』から始まった因果だ……!
人間以上に帰されるものなんて、存在しない……だからこそ、人間自身が、人間自身を、その『悪』を、裁かなきゃいけない……!
……人間以上の絶対者を求めるなんて、それから眼を背けての、逃げでしかない……だからこそ、俺たち自身の手で、奴等を裁いて、殺すんだ……!

【――――赤くなり切った顔は、完全に『出来あがり』の様相である。同時に、トライデントの言葉はそこに結実した】
【全ては『因果』であり、『運命』等ではない。だからこそ、人間がその責任を背負いきらなければならない】
【それがトライデントの答えであり、恐らくはセリーナの言葉と真っ向から対立するものである】
【だが――――それは大きな答えであり、トライデントの信条でもあろうが。1つだけ、抜けているパーツがあった】
【「何故、トライデントは『セードムシティ』に対して、個人的な拘りを持っていたのか」――――そこに、まだ答えが示されていない】
【そしてそこにこそ、トライデントの怒りや執着、憎しみの――――根源となるものが存在するのだろう】
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 00:05:46.68 ID:jdstzPkz0
>>26
「じゃあ、わたしが直ぐに終わらせてくる!
そしたら、多分琴音も色々行ってくれるから!」

【少女一人で妖狐に向かったところで呆気なく死ぬのがオチだ。死に対する恐怖も持たないのだから、考え様によっては強いのかもしれないが】
【――――口を拭かれれば嫌々と首を振るけれど、結局は綺麗になって】
【むすっと頬を膨らませて怒っていたけれど、新たにチョコバーを渡されれば直ぐに機嫌も戻るのだから簡単なものだ】

【「内緒」の言葉には頷くけれど、其れは果たしてキチンと言葉の意味が伝わったのかは分からない】
【まぁ……ただ、伝えるとしても楽しそうに伝えるであろうから、琴音も一つ頷いて許す事だろう】
【今度はキチンと包装を剥いで、そのまま食べ始めて】



「――――えるふぇすは、したい事とかあるの?
琴音はよーかい達と人間が友達になれるようにしたいって言った。わたしは、比べっこで遊べる友達を見つけたいの
えるふぇすは、何かあるの?」

【半分ほど食べた時だろうか。何の脈絡も無く、そんな言葉が紡がれたのだ】
【将来の夢、とでも表せば良いか。封魔城の姫は妖怪と人間の共存。精霊は契約者捜し。ならば、青年は果たして何で在ろうかと】
【……本当に、何の脈も無い問い掛けであった。青年の夢は何か、なんて】

【ただ純粋な疑問。真っ直ぐに向けられて居るからこそ、大人が向ける様な言葉とも違って】
【難しい事を話して逸らすのも手だ。きっと、精霊には分からない事なのだから】
【人間とは本当に色々居て、それぞれが異なって居て面白い。だから、青年はどんな違いを持って居るのだろうか――――と】
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/06(日) 00:08:42.68 ID:SIfD02gho
>>32
 揚げ足?揚げ足は鳥の足が好きですね!
 チキンフライを取った覚えはないのですが?

【おちょくっている、ひたすらに、ただひたすらに】
【本人は意味も分かっているだろうに】

 いやですねぇ!教えたら渡さないつもりでしょう?
 わかってるんですよ!素直に渡した方が身のためです!

【どこか声が真剣みを帯びてきた】
【時間は残り一分、そうなるとさすがに真剣になるか】
【ナレーション口調なのは変わらない、が】
【だが、どれだけ疑おうとも、どれだけ聞こうとも、この男は決して話さないだろう】
【タイマーを奪い取らないあたり、律儀というか】
【男の表情も若干焦燥を生み出している】
【もしこれが演技なら、世界で一番の役者だと称賛することすら出来るだろうか】
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/06(日) 00:16:47.29 ID:RCpbE528o
>>27>>33
【少女の放つ風圧の一撃。風という目に見えづらい攻撃を防ぐのは存外に難しいものだ】
【少女の目の前に飛びかかる男は、回避することも敵わず、のけぞり吹き飛びそうになって】

「うぶ……ッ」
「――っはだっせーなてめェ!!」

【その、被害を受けた男の背を駆け上りながら、二人目の男が少女に向かって飛び蹴りを放つ】
【仲間と言いつつ、仲間意識などそこにはない。自分のために手を組んでいるだけの集団がこの男たち】
【彼らは互いが皆自分のためだけに動いていることを理解しているが故に、仲間を踏み台にも、盾にも容易くする】
【彼らはそれを恨まない。なぜなら、己が同じ状況なら、間違いなくそうするからだ】

【が、しかし。飛びかかった男は、シーナの放った岩に狙われることとなって】
【それに対して、銃を構える後方の女が引き金を引き、岩を崩し、軌道をずらす】
【軌道のズレた岩が体に当たり、空中で耐性を崩すものの、それでも蹴りは相手の膝辺りに向けて、襲いかかっていく】

「……あーあー、だっせーなあいつら。
まあアレだ。殆どもう仕事終わってるし帰ってもいいッスよ。……いや、ぶっちゃけあんたらの相手面倒ッスし」

【そんな部下の姿を横目にしつつ、はぁ、と溜息を付く女】
【淀んだ瞳は、強者のそれとはまた違う――暗い光を宿して、少女を見据え、睨みつけた】
【己に向けて降り注ぐ岩を、慣れたステップで避けていく。己に対する脅威のみを認識し、避けているような、そんな動きだ】

【己の両側に現れた巨大な腕。それに対して、即座にコジマは――後ろへの退避を選択する】
【バックステップを取り、己への打撃を回避。そして、背後から襲いかかるナイフが、水の線に触れた直後コジマが即座に身体をひねった】

「――……これ、便利ッスね」

【脇腹を浅く裂かれるものの、水の網に絡め取られたナイフのダメージはさほど高くない】
【コジマは後ろを見る。後ろには、大きな柱――。バックステップを取りながら、コジマはその柱を背後に陣取った】
【……そして、ちょいちょい、と手まねきするような動作。明らかな挑発、明らかな誘い】

「……あーもー、厄介ッス。これだから魔術師とか能力者ってのは、嫌なんスよ。
もっと常識的に戦ってくれないっすかねー。本当、私に出来ることなんて、あんたら見たいに多くないんスから」

【杖を肩に担ぎ、かかってこいとばかりにふんぞり返る女】
【明らかな待ちの態度は、相手を迎撃するためか、それとも他の意図があるのか。背を付けた柱に水が絡みつき】
【ヤスリで何かを削るような音が、次第に響き始めていた】
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/06(日) 00:24:02.17 ID:AHeTUm5co
>>37
「…………………」

【なんだろう、滅茶苦茶腹立つ。そういった意図でやっているのだろうがむかつく】
【同時に馬鹿らしくなってきた、こいつはどこまでもこうやって屁理屈にすらなっていない言葉で返してくるのだろうか】

【だけど、あれ?】
【少し口調が真剣になってきているような】
【そしてあの顔――――――まさか、焦ってる?】
【…………つけ込むなら、ここか】

「あれ、もしかして焦ってる?」
「さっきまで余裕たっぷりだった癖に、なんでこんな焦ってるのかな?」
「あぁ、もしかして―――――もう少しで自分ごと爆破されちゃうから?」

【嫌らしくタイマーをふりふり、もちろん男に届かないように】

「それはそれは残念だったね、でもさ」
「僕は実のところ、このまま全部消えても良いと思ってるんだよね」
「僕の命も学園生の命も社員の命も、全部悪を道連れにできるなら仕方のない犠牲なんだ」

【さて、余裕たっぷりな戯言で何とか虚勢を張る】
【男のように、まるで原稿を朗読するかのように】
【さて、男はどう来る?】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 00:36:42.58 ID:4/mGjWjSo
>>36

おいおい待て、流石に気が早い
姫さんにも準備ってのがあるだろうさ、今はどこに連れ出すかの計画だけで我慢しな。
それに一人じゃアレの相手は難しい、姫さんの準備ってのは多分そういうのもしてるんだろうなあ

【思い出すのは異次元の力、愚かな自身】
【希望があるとするならば大妖を誅する力の持つ人々】
【手の中に在る、銀色の輝き―――――振るう資格があるのかは未だ判らない】

【朱璃を諌めながら瞳を細める】
【自然と呼吸が浅くなってしまうのは戦いを意識してのこと】

またお前難しい質問を……その手のは苦手なんだけど……

【居所が無さそうに顔を顰め頭を掻いた】
【青年には夢なんてものは思いつかなかった、さしたる目標もない】
【それに理由があるとするならば記憶を失ってしまったからか、想いに至る道程がなければ意味がない】

したい事、ねえ……もう少し強くなって、それで誰かの為になれるならそれでいいかな
こんな事言葉にするような物でもないけど……ホント、それくらいしか思いつかないや

【戦いしか自分は知らないからせめてその戦いを使命とする】
【小さな掌で救える物があるならば取り零さぬように確りと掴みとる】
【見下ろす手はまだまだ未熟だが、それでも竦んでいるよりはマシだから】

……ああ、もうなんか恥ずかしくなってきた
そろそろ満足したか?朱璃、だったら城に戻ろうか姫さんに見つかって怒られる前にさ

【答えはまだ曖昧なままだけどいつかは土台となると願う】
【恥ずかしさも誇りになった時にまた価値は変わっているだろう】
【はにかむように笑みを浮かべながら朱璃の機嫌を伺って、それで良いなら手を伸ばし城へと足を進めてゆく】
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 00:42:33.03 ID:u3qfkl5TO
>>38

「───あうぅ……っ!」

───態勢を崩されたとしてもその蹴りは年端も行かぬ彼女にとっては決して小さいダメージでは無い。
男の足が丁度太もも辺りを直撃する、と同時に呻き声を上げる少女。

「ぅ……ううっ……いたた……」

足を軽く押さえながら、ふらふらと立ち上がる。
かなり痛そうだが幸いにも骨は折れていない様子だ。

「こ、今度はわたしの番…………!!」

と言うと、風圧を圧縮した弾をもう一人の男に向けて撃つ。
先ほどのとは意匠が違い、衝撃が加わると周囲に風圧と小さな鎌鼬を弾き飛ばす≠ニいう性質がある。
鎌鼬1つ1つの威力は然程ではない。しかし無数となれば別だ。
弾足は風圧弾よりはやや遅い。
狙うは足元。例え外したとしても炸裂の範囲内に居れば間違いなく切り裂かれるだろう。
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 00:46:01.00 ID:V2or2+qWo
>>38>>41

("あれ"は……面倒なのだ。)
(能力は"感知"と"操作"といったところかの――)


【コジマが周囲に纏う得体の知れない液体に、砂のナイフは搦み取られ奇襲は失敗する】
【未だ全容の掴めない技だ――異能、では無いのだろうが】
【降り注ぐ瓦礫を避け、ナイフに対応してみせた姿から】
【あの液体が"そういった"能力を有したアイテムなのではないかとアタリをつける】

【それが正しいかどうかを悠長に確かめる時間などない】
【今はそうであると仮定して、その上で防御を突破する方法を考えるべきであろうか】


「ふん、見え見えの誘いだが優しい優しいシーナ様は乗ってやるのだ!」
「どうせこのまま立ち尽くしておっては――話にならぬだろうからのっ!」


【崩落までの時間はもう間もなくであろう】
【警戒して、遠間から消極的な行動を取っている暇はない】
【シーナは大男がやっていたのと同様に、足元の床を崩して河のように操作】
【自身を"輸送"し、コジマとの距離を詰めようとする】


【そして移動を始めて間もなく、シーナは一つの術を発動する】
【それはバスケットボールほどの大きさの"砂の塊"】
【直線的で、見てからでも簡単に避けられる速度であるが】
【この砂塊はコジマから1m程度の距離まで接近した時点で"破裂"する】
【とはいえ、攻撃能力は皆無に等しい。ただ"砂を撒き散らす"だけの術であるが】


「水ならば、これは嫌なのではないかの――っ!」


【至近距離で大量の砂が撒き散らされることで、液体に不純物が混ぜられる可能性があるだろうか】
【振り払う、もしくは取り除く事が可能であれば無意味な行動であるが】
【液体の弱点を確かめる意味でも、必要と判断した術であった】


【成否に問わず、シーナは"砂の河"により移動を行う】
【その腕や胴には、砂が螺旋を描くようにして蠢きながら魔力を循環させていた】


【そして――】


(この音は……もしや、柱を倒す作戦なのかの!?)


【――その途上で、コジマの立ち位置と崩落音に混ざって微かに聞こえた】
【柱を削るような……だとすれば、誘いを掛けた理由はアレを倒し自分を押しつぶすという策の為なのか】
【フードの下から動きを見逃さぬようにと睨みながら、シーナは行動を続けていく】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/06(日) 00:46:27.44 ID:SIfD02gho
>>39
【どうやらやる気をそぐような言葉遣いをしているようだ】
【男は妙に内側が読めない】

 ……

【少年の声に、ただ男はうつむきながら手をだらりと下げた】
【諦めたのか?】

【残り30秒】

【しかし、少年は気付けるだろうか】

【男がにやりと笑ったことに】

 ――ああ、残念です

【その瞬間、タイマーが0になる……!】
【ビビビビビビビビ!!!!!と耳をつんざくような大音量でタイマーが鳴る】

 ――確かにそれは爆弾が爆発するまでのタイマーです

【そして男はポケットに入れていた右手を取り出す】

 ――ですが、私はそれから信号が出て爆発するとは一言も言ってないのです

【男が顔を上げる、にこにこと、余裕綽々で】

 ああ!なんということでしょう!少年は勝負に勝って!

【取り出した手には、スイッチ】

 ――試合に負けたのです!

【カチリッ、とスイッチが押し込まれる】
【その瞬間、ゴゴォ!!!!という騒音、そして大きな揺れ】
【下では悲鳴が上がっている】

 ……逃げた方がいいですよ?
 連鎖式に爆発していきます、一気に爆発するわけではないので

【にこにこと笑う男】
【事実、一度おさまったと思えば再び爆発音、揺れ】
【連鎖式に爆発しているのも嘘ではない】

 それとも私を仕留めようといいますか?
 いいですよ?ただ、これ以降は私も戦わせていただきます

【余裕綽々、その態度のまま】

 ですが避難誘導に徹した方が余計な被害を出さないで済むと思いますけどね

【けらけらと笑う男】

【男は何も嘘をついていなかった――真実を言わなかっただけで】
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 00:47:53.23 ID:YnacEsVJo
>>30-31>>34

【成る程、やはりだ。槍での一撃が届いたのはフレデリック自身の技量もあってのこと】
【術で飛ばした程度で傷つかない、拘束できないというのは想像の内だと言い切れた】

【そしてそれを証明するようにフレデリックの表情は笑み――『馬鹿が』と呟いたのは、轟音にかき消された】
【何故か。簡単だ、十にも登る光の手≠ェその身を襲い、反撃にカテドラルの雷撃≠ェ爆ぜたからであった】
【カテドラルは退魔を誇り、雷撃をも操る宝槍。――だがそれであっても、身を防ぐにはまだ足りなかった】


… ――、――――…く、ハハッ…。つまらないことを、聞いてくれるではないか……?

なに……私がさも、あの程度で死ぬとでもいいたいような口ぶりではないか、ん?
違うか。受けて当然だと、馬鹿にしていた人間にしては中々やると、居丈高に言ってみるか?
……そらどうした、言ってみろガルマ…。
                        ――私を相手に『中々やる』と言ってみろッッ―!!!


【――爆炎の晴れたその瞬間、言葉と術式が更なる爆発≠生む。といっても、字面通りでは決して無い】
【それはエネルギーの奔流、或いは――ガルマとは方向性の異なる死霊の召喚≠セったのかもしれない】

【だが何より圧倒的に違うのは、それが明確な形状を持っていたということだろうか】
【天井に開いた五芒星の門≠ゥら飛び出すのは、手に手に武具を掴んだ鎧姿の男たちであったのだ】
【その首にはロザリオが、或いは腰にはフレデリックがそうしたように聖書が括られ】
【彼らは一斉に、物理的な攻撃力こそ持たないが、エネルギーという熱量≠ニ化して】

【――ひたすら真っ直ぐに、ただ怒涛に、そして波濤の如くガルマの頭上から降り来るのである】
【喰らえば、如何にガルマでもただでは済むまい。何せただの退魔ではなくて、生≠フ力に満ちた無数の霊達なのだから】

【彼らは、恐らく――フレデリックがかつて率いた騎士たちに違いない。ガルマが弱者≠セと言い捨てた者達に間違い有るまい】
【―ではその力がどれほどの物かを味わってみるがいい=\―これは、やはりフレデリックのセリフだった】

【――途方も無い熱、負の死霊を操るガルマに対して、正のエネルギーを充満させた英霊を操るフレデリック】
【一種の意趣返しだった。だが、それは彼にとっては最も有効な手で、有力な一撃で、同時にガルマを倒しきれない一撃≠ナもある】

【確かに、ガルマに対して正反対のエネルギーを叩きつけるのは――結果は分からないが、無駄な一手では無いはずだ】
【が、果たせるかな霊を操るほどの力は元来人間には備わっていないのだ。それも一騎当千の英霊ばかり何十何百も、とあっては】
【棒立ちになったフレデリックが、10秒もせずに術を解除してしまうのも無理はなく――それでも、隙くらいは作れるはず、と彼は思った】


【やがて、傷だらけのフレデリックのもとに更なる光の手≠ェ伸びてゆく。いや、彼だけにではないのか】
【修道服は血でべっとりと汚れていて、槍を構えて尚も立つ姿が不思議なほどで在った事は、もう記すまでも無いだろう】

【やがて迫る光、そして――そして感じるのは、何処か暖かな治癒の力。振り向けば其処には幸徳井佳乃という少女が居た】

/制限に引っかかったので分割で…!
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 00:48:03.96 ID:YnacEsVJo

【フレデリックは彼女の戦いを見たことが在る――特に覚えているのは、橋姫≠ニの戦闘の際に見せた霊的な力だ】
【その根源が今目の前にいる。そんな気がして、特に疑問を持つでもなく治癒を受け入れれば、また彼はニヤリと笑った】
【今度は面白いのでも、書いた画の通りになったのが嬉しいのでもなくて――多分それは、獲物を見つけた捕食者の笑みであって】


ちぃッ……人がようやっと10や20というところを、一斉に祓うとは見せ付けてくれる……!
だがまあいいだろう、良い機会だ――…そうだなガルマ?えぇ、おい……違うか?

……こうして戦っていると、かつてのゼン=カイマで騎士団を率いていたのを明克に思い出す。
貴様のような神を騙る男とは初めてあったが、神の敵は幾つも征討したものだ
化け物、悪魔、死霊……貴様のその顔、まさに我が主の偉大さを目の当たりにした奴らそのものよ――。

      ―――――……死ね、ガルマ。貴様の罪は星より重い、ッ―…!!


【――ゆら、と一歩踏み出せば、彼は槍を右手に持ってグん、と右腕そのものを後ろに引き】

【そして思い切り槍を投げ放つのだった。柄と刃と装飾とを合わせて20kg弱にもなるそれを】
【ガルマの胸部、ど真ん中。其処を貫かんがために投擲するのである】
【効果やらは記すまでも有るまい。超重量の槍を、思い切り投げて、刃先が胸元に迫る。それだけの話だ】

【だがそれを終えれば、如何にフレデリックでも限界が見える。血まみれでズウゥンと右足を踏み込めば】
【深い呼吸とともに口内の血を吐き捨てて、じっと前を見据えるのみ――神を騙る神の敵、その相手へ自分の槍は届いたのかと、目を向けた。】
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 00:51:06.55 ID:V2or2+qWo
>>42
/【――その途上で、コジマの立ち位置と崩落音に混ざって微かに聞こえた】×
/【――その途上で、コジマの立ち位置と崩落音に混ざって微かに聞こえた音から何かを予感する】○
/ちょっとよくわからない感じになってたので……!
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 00:56:31.00 ID:9Tl5y266o
>>30>>34

……あ? お前俺より馬鹿なんじゃねえか?

【心底不思議そうに顔を顰めて、アーシャは言葉を返すのだろう】
【ある意味この男に馬鹿≠ニ言われるのは戦いに敗れるよりも屈辱かもしれない】


あのなあ……届くと思ってるし、起きると思ってるから戦うんだろうが
だがよ、それよりもお前が一番勘違いしてることを教えてやる


【とんでもない熱量を自身の傍から感じる。攻撃の予兆を感じ取ると彼は一度深呼吸して――】


力ってもんは――――何かを守るために使ってこそだろうがッ!!!


【出現した巨大な光の拳へと、気迫と共にガントレットの甲を振り下ろす!】
【このガントレット、彼の能力の象徴とあって特別硬い。傷に負荷がかかるものの脅威は打払った】


暴力振り回すだけならガキでもできるんだぜ?
神サマだからはしゃいでもいいってことにはならねえよ
この世の中、勝った方が正義って考え方も、わからなくは無えけどよ――

……だったら俺達が勝てば問題ない、そうだろ?


【不敵に笑うアーシャ。炎の槍は既に彼の背丈の倍はあろうかというほどに成長していた】
【準備完了。凄まじい熱気をまき散らすそれを構え、彼は駆けだそうとするが――】


……神にも苦手なもんとかあんのか? まあいいや
チェックメイト≠セ――――覚悟を決めやがれ!

火竜点睛の――――――ッ!


【何が起こったのか、痛みが和らいでゆく。いやそれよりももっと重大な変化は――】
【あのガルマが、のたうちまわっているではないか。このチャンスを見逃すわけにはいかない】
【彼は転がるように前へと駆けだす。地面を叩き炎を噴出させ、ガルマへと突進してゆく】


―――――ブレイズランス<b!!!


【手に持っていた炎の槍は、いつの間にか彼の腕と同化していた】
【螺旋を描いて猛る炎を振りかぶれば、それをガルマへとすれ違いざまに叩きこもうとする】
【実体をもつが故に炎でありながら槍のごとき斬撃を与えられる不思議な性質――】
【もしも、数センチでもかの身を貫けたならば、内部から身体を焼きつくさんとそれは流れ込むはずだ】

【奇跡こそ起きなかったが――これが彼の全力の一撃。果たして届くのだろうか】
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/06(日) 00:58:38.95 ID:RCpbE528o
>>41>>42
「っは――どー……だってヤバイ! コレ絶――いって――――!!」

【蹴りを相手に叩き込んだその後、少女に詰め寄りトドメを刺そうとした、が】
【放たれた風の弾丸。それの視認が出来ず、炸裂した弾丸で地面が引き裂かれるのを見て、顔を引き攣らせ】
【全身をズタズタに切り裂かれて、男はそのまま血まみれのまま地面に崩れ落ちるのだった】

【実際は、液体の粘性を上げることで、液体に触れたものの勢いを削いだ程度の効果しか液体は発動させてはいない】
【その対応、回避、感知については、コジマの有する類まれなる危機回避能力が可能としただけの事】
【この液体は、杖によって粘性と動きを支配できる以外には、何も出来ないものであった】

「――あー、もーいい! てめーらさっさと退避。んでもって、私もそろそろ……!」

【砂での移動によって接近していくシーナ。そして、砂の塊の射出を見た瞬間に、杖を一旦手から離し、ナイフを即座に投擲】
【砂の塊の破裂の数秒後にナイフは到達し、その砂の拡散を僅かに抑えてみせる】
【液体は水ではなく、また蒸発しようとも凍らされようとも、結果的に液体に戻る、不変性を持った存在】
【粘性を持った表面に砂がまとわり付き、女の全身に砂埃が纏わりつくが、それ以上の変化は存在せず】

「……んじゃ、祭りも終わりって事で――!! コードフィナーレ<bス!!」

【そろそろ流石に追い詰められてきたことを理解したのか、再度大きく展望台が揺れた】
【直後、轟音を立ててひび割れ、崩れていく大きな柱。そして、コジマの側――要するに、シーナに向けて柱は倒れていく】
【切り倒す事はできないが、予め一方向を削っておくことで、倒れる方向を確実にする事が、先ほどから柱を削っていた理由だった】

【轟音を立てながら倒れていく、柱。それは重力に寄る加速を受けて、その超重量をこの階に叩き込もうとする】
【天井という支えを失い降り注いでいく天井の瓦礫。ぼろぼろの床は、この柱を受け止めることで、簡単に崩れていくことだろう】
【それと同時、コジマの足元から轟音が響き、コジマの身体が階下へと落下していく】

【どうやら、このまま下の階まで穴を開け、その穴を落ちることで離脱、退避を図る様子だ】
【意識を保っていた他の兵士は、他の兵士を連れて、全力での退避を開始。引き際を、この瞬間と彼らは定めていた】
【崩れていくフロア、そしてそれに紛れて逃げようとする女。何らかの一撃を加えることが出来るのは、コレで終わりと確信しているこの一瞬の隙だったろう】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 00:59:41.02 ID:IeN+kSy5O
>>30-31>>34

………………ッ……ミドナ……殿…………。

【先程から、彼女の意思に関わらず動いている様に見える】
【しかし一先ずはミドナの動きを止める事には成功した、これで気兼ね無く戦えるだろうか】


(………………!?……何だ……?この手応えは…………)
(傷は確かにある、しかしこれは一体…………完全消滅を狙うにも、それだけの力……周囲を巻き込む……、それに何より、これだけ消耗してしまってはその前に私が絶命するのが先……!)
(チャンスさえ、出来るのなら………………!)

【不死身かと疑う程に、傷とダメージが比例しない、人間どころか生物でそれがあり得るのか】
【様々な思考が頭を過るが、そうしている間に動きを止めた筈のミドナが攻撃を仕掛けてくる】

…………ぐっ……ムゥゥ………………ッ!

【すぐさま振り返り、ミドナの拳を左手で受け止める、しかしその威力はやはり凄まじい】
【恐らく左手はもう使えないだろう、バキという音が肉を通り抜けて聞こえるのがその証拠】

【しかしミドナの様子が何故おかしいのか、その瞬間に理解出来た】
【全身に浮かんでいる何か、それが原因なのか、そしてそれは恐らくガルマが仕組んだこと】
【ならば、ガルマを倒すしかない、彼の結論は結局変わりはしないだろう】

ここで待っていて下され…………絶対に救ってみせます……!


【だが状況は絶望的、体力も限界が迫っている、次はどう凌ぐべきか】
【ミドナから距離をとり、体勢を整えて、深呼吸する、そこには空気と血が混じる】
【だがそれだけでは無かった、光だ、背後から浄化の光が包み込んでいくのだ】

【力の回復を感じる、これならば まだ動ける】
【更にガルマの力が消えていくのが分かる、これならば行けるかも知れない……!】


あの世で神に赦しを乞うが良い……赦される事は無いであろうが…………
しかし今、貴様を裁くのは我々だ、判決は当然…………死刑だッッ!!!

【先程と同じく、ガルマに蒼の矛を振りかざす、その火力は前よりも強力で、前よりも全力で】
【それは唯、目の前のガルマを消す為に降り下ろされる裁きの刃!】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 01:03:57.89 ID:jdstzPkz0
>>40

【青年の答えを聞きながら、少女は月を見上げていた】
【例え大地は風に削られ、水に流されて変わろうとも月はずっと昔のままだから。何か、思う所があるのだろうか】
【古来から闇夜を照らす唯一の光。人工の光が周りにある今となっては、その事を忘れている者も多いけれど】

【――――黙っていれば、ただ見上げているだけならば絵画の一つにも見えようか】
【精霊が自然の一つに思いを馳せている様な、そんな一場面】



「えるふぇす。わたしは難しいのは、分からないけど…………でも、良いと思う
人間って、弱いから助け合うって琴音が言ってたから」

【返す思いは拙い言葉に変えて。手を差し伸べる事は悪では無い。人は愚かにも同族で殺し合うが、同時に助け合う】
【――――極端な二面性。理解出来ない概念ではあるが、理解しようとする気持ちだけはある】
【結局はまだ精霊には難しい事なのかもしれない。然れど、笑いながら頷けばその考えを肯定して見せて】


【伸ばされた手を握ったならば、そのまま城へと歩むのだけれど】
【その最中、足を止めたかと思えば青年の服を引っ張って。眠そうに瞼を擦り、負ぶう事をせがむのだろう】
【もし背に乗せてやったならば、少しした後に聞こえて来るのは小さな寝息だ。散々遊び、今になって疲れが出てきたか】
【話すだけ話し、眠くなったら眠る。何とも自由な生き方で】




【城に着いたならば、既に琴音が門の所で待機していた】
【手を繋いで歩む二人、或いは精霊を負ぶって此方に来る青年を見れば溜息を吐いて】
【だが、非難する事は無い。何せ青年が紅の少女の相手をしてやった事は理解して居るのだから】

【精霊を引き渡すなりすれば、務めを果たし終えた事になる】
【長くも無いが一言二言言葉を掛ければ琴音の方から言葉を返すだろうし、寝泊まりの場所を求めれば提供もする】
【――――時間も良い具合だ。帰ると告げるならば、無理に引き留める事も無く、土産でも持たせれば見送るのだけれど】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/07/06(日) 01:05:01.54 ID:kRzKx31Do
>>35

【―――"お客さん、お酒はそこら辺にしておきなって。"】
【目の前に居る存在が、青年・トライデントでなかったのなら、セリーナは呆れたようにそう言っただろう。】
【言葉の中身には感心させられつつも、こうなってしまっては正に「水掛け論」じゃないか―――なんて、思ったのだろう。】

【だが、今セリーナの目の前に居る彼は、共に考え、共に戦い、共に勝利を刻んだ言わば戦友だ。】
【絶対に無碍には出来まい。それに、彼の言って居ることは―――勢いはどうあれ、その大半が正しいといえる。】
【ただし、その正しさに危険が潜んでいるという忠告は、彼女は年上の人間としてしなくてはならないのだが―――果たして。】


  ―――……そうだね。きっと、完全に理解する事は出来ないと思うよ。
  巻き込まれて可愛そうな被害者……それが、普通に生きてる人間の、限界の共感だから。
  其処から先に踏み込んで、より深い位置で被害者の深層を知るには……同じ様に、傷つく必要が、あるから。

  ―――トライデント君。アタシと君は別々の人間で、正義を掲げていても立場は少々、異なってる。
  それでも、アタシは君より長く生きている身として―――"コレ"だけは、ハッキリさせておかないと、いけないと思う。


【少々もったいぶった様に、セリーナは一旦目をつぶって、そして語調と息を荒げる彼に対して―――――――――】



  ―――――――――――――――――お酒はね。愉しく飲むものだ。
 

【――――――何を言い出すかと思えば、そんな事を言ったと同時に、彼女はカウンター下から取り出した】
【いや、正確には冷凍庫から取り出した"キンッキン"に冷えた大きな『おしぼり』をバッ!!と広げると―――――。】
【素早く、熱したトライデントの頭にボサッ、と被せようとするだろう……ッ! 無論、回避は可能だが今の酔った彼に可能だろうか―――!】


  ……議論が白熱する分には、アタシは構わない。
  けどこのままじゃ、熱して可笑しくなっちゃうのは議論の方じゃなくて、君の頭のほうだ、トライデント君。
  言っている事は正しいし、今の世界を、社会を『温い』と感じるのも間違っちゃあ、いないよ。けれど、少し『熱く』なりすぎだ。

  ―――タダでさえ、内容が内容だ。お酒はもう止めにして―――……はい、これ。
  あったかいお茶だよ、意外と酔い冷ましには効くから暫くは、これを飲む事。
  まったく若い子ってのはペース配分が―――……。
  
  ……っと、近くに居たのに盛り上がっちゃったアタシの責任でもあるか、ごめんねトライデント君。
  
  ……言いたい事は分かるし、アタシだって言っちゃ悪いけど神様のことは頼りにしてない。
  運命に身を任せるつもりも無ければ、悪魔に全てを委ねる気だってさらさら、ないよ。

  ……けどね。悪意が人から生まれるからこそ、裁くのが人間じゃ、マズイんだよ。  
  だって、人間はとてもとても、不完全な生き物でしょう? 怒りに身を任せて、全てを人が断ずるようになれば
  きっと余計に争いは加速して、そして何より恐ろしいのはね、それが『止まらなくなる』ことだ……皆が、主張を止めなくなるから。

  悪意を生み出してしまうほど、人間が不完全で、未熟で、儚い生き物だからこそ、そういう感傷的な何かに左右されない
  人間ではないもっと確固たる物に、人は裁かれるべきだって、アタシは思うよ。
  
  ……そうやって、人間はルールを生んだんだから。

  ……責を逃れる為。確かに、そう思うのも不思議は無い。君の目には半ば無責任にも、見えるかもしれない。
  けど、さっきも言ったように。君自身が認める様に。人が死ぬ、と言う事は大きな影響を及ぼすんだ。
  それが罪人だろうと何だろうと、大きな影響を及ぼしてしまうんだ。望むと望まずとに関わらず、ね。

  ―――だから、そんな大きな大きな責を、誰か一人に押し付けない為に。
  断罪者の役割を、君のような……若く、希望の力を持った世代に押し付けないために。
  皆で考えて、皆で決めたルールで、裁かなくてはいけないって、アタシはそんな風に感じる、かな。

  ―――ともあれ! これじゃ、正に水掛け論だ。
  宵は勿論だけど……君がここまで熱くなるんだ、単純な話―――思想以外に、"何か"あるんでしょう。
  あの街に対して、君なりに抱えている何かが―――君を、そこまで熱くしてる。
  アタシは、そこを聞きたいな。トライデント君。
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 01:06:39.25 ID:jdstzPkz0
>>40

【青年の答えを聞きながら、少女は月を見上げていた】
【例え大地は風に削られ、水に流されて変わろうとも月はずっと昔のままだから。何か、思う所があるのだろうか】
【古来から闇夜を照らす唯一の光。人工の光が周りにある今となっては、その事を忘れている者も多いけれど】

【――――黙っていれば、ただ見上げているだけならば絵画の一つにも見えようか】
【精霊が自然の一つに思いを馳せている様な、そんな一場面】



「えるふぇす。わたしは難しいのは、分からないけど…………でも、良いと思う
人間って、弱いから助け合うって琴音が言ってたから」

【返す思いは拙い言葉に変えて。手を差し伸べる事は悪では無い。人は愚かにも同族で殺し合うが、同時に助け合う】
【――――極端な二面性。理解出来ない概念ではあるが、理解しようとする気持ちだけはある】
【結局はまだ精霊には難しい事なのかもしれない。然れど、笑いながら頷けばその考えを肯定して見せて】


【伸ばされた手を握ったならば、そのまま城へと歩むのだけれど】
【その最中、足を止めたかと思えば青年の服を引っ張って。眠そうに瞼を擦り、負ぶう事をせがむのだろう】
【もし背に乗せてやったならば、少しした後に聞こえて来るのは小さな寝息だ。散々遊び、今になって疲れが出てきたか】
【話すだけ話し、眠くなったら眠る。何とも自由な生き方で】




【城に着いたならば、既に琴音が門の所で待機していた】
【手を繋いで歩む二人、或いは精霊を負ぶって此方に来る青年を見れば溜息を吐いて】
【だが、非難する事は無い。何せ青年が紅の少女の相手をしてやった事は理解して居るのだから】

【精霊を引き渡すなりすれば、務めを果たし終えた事になる】
【長くも無いが一言二言言葉を掛ければ琴音の方から言葉を返すだろうし、寝泊まりの場所を求めれば提供もする】
【――――時間も良い具合だ。帰ると告げるならば、無理に引き留める事も無く、土産でも持たせれば見送るのだけれど】
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/06(日) 01:15:51.22 ID:AHeTUm5co
>>43
「……………………………………」

【爆発音、もはや悲鳴などは耳に入らない】
【今の状態は茫然自失、その言葉が一番相応しいだろう】

【また、また、失敗したのか?】
【なんだ、これは、一体?なんだ?どこで?何を?どこから?なぜ?】
【最初から?最初から何もかも間違っていたのか?】
【変な意地を張って、その結果がこれか?】
【僕のせいか?余計な事をしたからこうなったのか?】
【揺らぐ】【視界が、感覚が、聴覚が、景色が、ぐにゃりと歪んでいく】
【また失敗した、防げたはずなのに失敗した】
【これならとっとと殺せば良かった、有無を言わさずに心臓を突き刺せば良かった】
【何も出来ないで、結局転がされただけだった】

【――――――道化は、僕の方だった】

【踊らされていたのは僕の方だ】
【本当に】【本当に】

「――――――――本当に」
「本当に、本当に」
「本当に本当に本当に本当に本当に本当に本当に」
「――――戯言だ」

【けらけらと笑う男】
【こちらも何故か、笑みが溢れてしまう】
【人間、どうしようもない時は笑うしかないとはこういう事か】
【そうだ、これは本当にひどい戯言だ】
【もしも、スイッチを渡していたら?もしも、男を殺していたら?】
【全ての行動にたらればが生じ、激しい後悔】
【何度失敗すれば気が済む、何回同じ過ちを繰り返せば気が済む】
【どうすれば良い?どうすれば良い?】
【助けるべきか?それとも諦めて男の相手をするか?】

【――――――――何も、出来ない】
【動く事すら出来ずに、ただ立ち尽くしていた】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 01:18:55.69 ID:9lOUlTMv0
>>31


「佳乃さん!――――うろたえないで……。大丈夫、私は平気だから……!
 ふふっ……衣織を生んだ時の方が、今の何倍も痛かったでしょうよ……。お母さんってね、こんな痛みじゃ倒れないんですよ!

【――その佳乃の涙を制するかのように、平気だと伝えるように。皐月は柔らかく優しく、何時もと同じような微笑みを佳乃に向けてみせる。】
【確かに痛かったし苦しかった。けれど、大切な子供を目の前にすれば―――母親はどんな痛みだって耐えてしまうのだ】
【愛する娘が傷つかないで済むのならば、こんな痛みなんてどうってことはい。娘を産んだ時の方がよっぽど痛かった程だ!】
【他の闘う者の持つような力とはまた異質の強さ。護る者の為に身を挺す強さは、神の如き暴力を前にしてなお屈しはしない!】

【攻撃を受けて尚、倒れることなく両足でしっかりと立つ皐月。激痛に苛まれ肌を焼かれ、それでも足取りもふらつくことなく前を向き】
【ガルマに、ミドナに、凛然と立ちはだかる!何度でも、どんな攻撃でも、受け止めてみせると―――!!】

「――――!!
 ……貴女は、彼の娘ですか。―――家族だから、彼を護ろうとするのですか。
  ―――なら、貴女は分かる筈です!!家族が傷つけられる苦しみを……!!」
 
【心が乱れた状態で放たれた短刀は、皐月を捉える事は叶わない。足元を吹き荒ぶ風が狙いを狂わせて】
【難なく回避すれば、ミドナの瞳をじっと見つめて―――心に語り掛ける。】


「一つだけ、貴女に質問してみましょう。
 ―――貴女は本当にお父さんが好きですか?本当に家族を護らないといけないと思っていますか?

 多くの人を苦しめる彼を、それでも父と慕うなら―――お父さんの間違いを、娘である貴女が正してやりなさい。
 貴女のお父さんが今やっていることは、沢山の人を傷つけています。
 
 彼は、誰かの家族を沢山傷つけています。―――それがどれだけ苦しくて悲しい事かは、きっと貴方なら分かる筈ですよね?
 でも、貴女のお父さんはそれに気付いていない。大切な人が傷つく痛みを分かっていないのです!
 ―――それを気付かせられるのは、娘である貴女だけです!」


【―――「父親を護る為」に闘うミドナなら、家族を傷つけられる苦しみが分かる筈だ。】
【大切な人が傷つくのは、とても苦しい。自分が傷つくよりも苦しいくらいなのだから】
【父の為に葛藤し狂乱状態にまでなるミドナなら。その苦しみは分からない筈なんて無いから―――】
【―――だからこそ、皐月は語り掛ける。娘であるミドナが、ガルマに間違いを気付かせてやって欲しいと……】
 
 


【―――ふと、聞き覚えのある声が耳に届く。神聖さに満ちた不思議な声は、妙な存在感を持って耳に届き】
【これまた覚えのある“聖”の気が満ちて、純白の光が全てを包み込み、浄化していく―――!】

【しかも、傷が治って行く。そして、極めつけは―――目の前の強大な敵が、一気にその力を失していく!】
【威圧感が失せた。絶望的なまでの力も、今はもう全く感じられない!これは―――】

「―――お久しぶりです。佳乃さんのお母様――――

             
                     ―――天限様。」

【―――きっと“彼女”に違いない。何時か出会ったあの時と全く同じ、圧倒的な力を放つのは……「佳乃の母親」だ】


「―――娘は、佳乃さんは……私が護るッ!!」

【天限のお蔭で弱まった力。今こそ好機、娘を護る為に大いなる力を打ち払う―――!!】
【今度こそ、ありったけの力を込めて。溜めに溜めた空気の弾丸はサッカーボール大までに膨れ上がり】
【そのまま放たれれば、今度は彼の顎の辺りを目掛けて飛んでいく!!】
【勿論当たれば強烈な爆風に蹂躙されるだろうし、単純な破壊力も相当の物だ―――!】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 01:23:27.93 ID:4/mGjWjSo
>>52

――――――――……そりゃなんとも、救いのある言葉で

【少女の肯定は青年の心にストンと落ちて】
【どこか暖かさを感じるのは、少女に齎されたからなのかもしれない】

【歩き出せばやがて文句もひとつ言わず少女を背中に乗せて】
【寝息を聞いて「世話のかかるお嬢さんだ」と独り言ちる】
【月明かり、こんな夜も悪くはない】


(―――あちゃ、先に戻ってたか……)

【漸く城門が見えた時には主は意味ありげな溜息を漏らしながらそこに居た】
【怒られたならばそれも仕方なしと覚悟していたが不思議とそれは無く、まあ幸いかと】
【無邪気に寝ている少女を預ける】

朱璃か、なんだ……人間の手元で預かるならそれなりに教育してあげてな
話していて、というか一目で分かったけど悪い奴じゃないから……ってオレが言うのも変だけどさ

【城門で少女を受け渡すならば城主の背中にでもいるのだろうか】
【指差して目配せをしてひとこと、余計なお世話】

――――――で、さっきのも妖怪関連なんだろ?大丈夫ならいいけど
無理はしても無茶して身を滅ぼしたら事なんだ、なんかあったら呼べば応えるぜ

……ついでだし、コイツもお守りついでに持っておけ妖怪相手なら守ってくれるだろうからさ

【引き出したるは銀色のナイフ、9つの内の1つ】
【淡い銀を零す、この土地と同じように歴史を刻んだアーティファクト】
【退魔の因子は持つ者の気質がそれに近ければ更に強くもなるだろう】
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 01:24:42.40 ID:V2or2+qWo
>>48

「ぬぅっ――やっぱりそれを倒してくるか!」
「だけど、判っていれば怖くもなんともないのだ――!?」


【自身に向かって倒れてくる巨大な柱を、鋭く軌道を変えて避ける】
【床に叩きつけられた衝撃で、一瞬移動が止まりバランスが崩れかかるが】
【身体に纏った砂を楔のように周囲に打ち付け、衝撃を受け流し持ち堪える】

【そのままの勢いで、術式を再開……コジマに接近し追撃を仕掛けようとするも】
【次の瞬間「予想を超えた」結果がシーナに襲いかかる】
【柱が倒れた衝撃で、この階層全体が破壊され崩れ落ちていった】
【「シーナを潰す」のではなく「床を崩す」】
【その点を読み違えていたが故に、一瞬動揺が走り……思考が遅れた】


「待て――……いや、今はそれどころじゃないのだ!」
「どうせ今からじゃ間に合わぬだろうし……ここは私もさっさと逃げなくてはならん――」


【一瞬コジマを追いかけようとするが、直ぐに現状を理解して諦める】
【如何に防御能力に優れるシーナでもこの状況でそんな真似をしている余裕はない】
【瓦礫が頭に当たってしまえば死に繋がり、この高さから無策で放り出されれば助かる余地はない】

【作戦を遂行し逃げてゆくコジマ一行に、腹立たしそうに口元を歪めながらも】
【追撃することなく、纏っていた砂を操作し脱出の用意を整える】


「――今度会ったら覚えておくがよいのだ小悪党め!!」
「縛り付けて"すかーれっと"に突き出して嫌というほどカツ丼食わせてやるのだ!」


【最後に階下を覗き込み、そんな何とも言えない捨て台詞を残して】
【シーナは自身に纏っていた砂と、周囲の崩落した床などを分解し集めた砂を再構築し】
【球状の分厚いシェルターのようなものを完成させると】
【コジマか少し遅れて下に落ちていき、ボールのように跳ねながらも展望台を脱出していくのだった】


【――】


「うえぇ……これは揺れが酷すぎるのだ……」
「か、改善の余地があるのぅ……」


【無事地表まで到達した少女は】
【戦闘で負ったダメージ以外の要素でふらふらになりながらも、今宵の戦場を後にしていった】


/お疲れ様でしたー!
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/06(日) 01:36:00.32 ID:SIfD02gho
>>53
 あ、いいよその表情
 もっとアップで取ろうか!

【そういうとグッと顔を寄せる】
【左目のレンズが、容赦なく少年の表情を切り取っていく】

 言っていたことは全て本当だよ?
 爆弾も、私を殺せば爆発するのも

【容赦なく、耳元に囁きかける】

 君が勝利してもタイマーの時間表示が0になれば爆破するつもりでもあった
 だからさっさとタイマーを渡せばよかった、もしくは壊せばよかった

【しばらくするとその顔を離し、屋上の中央でゆったりと、手を広げながら回る】
【まるで最初の時のよう、違うのは】

 ご覧ください!もうじきここ一帯が火の海に沈みます!
 映像がぶれている?その理由は私の立っている建物が爆破されたからです!
 偉大なる正義の味方は悪を信じず立ち向かった!その栄誉を称えましょう!

【そして、男は、ナレーション口調で、さらに続ける】

 ――偉大な少年によってもたらされた結果を前に!


【この間、男は隙だらけである】
【いや、実際に隙かはわからない、だが、もしかしたら最後の攻撃の機会だろう】
【それをどうするかは、少年次第だ】
【まだ人がいるのか悲鳴が聞こえる、避難誘導に移るのも、この外道に加えるのも……】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/06(日) 01:39:49.20 ID:RCpbE528o
>>56
「はは――! 悪いッスけどSCARLETとかUTはド勘弁ッスよー! だって絶対殺されるじゃないっすかー!」

【相手の捨て台詞、にこちらは勝ち誇ったような捨てぜりふを残し】
【迷いなく、己の躯を重力に任せ、地面に向けてそのまま落下させていった】
【瓦礫の群れとともに落下していき、ワイヤーと粘性の液体を駆使する事で、無事に一階に着地】
【予め下に用意しておいたトラックに他の仲間と一緒に乗り込み、車を出す】

「っははは――――! これで200万ゲット!!
おらてめーら飲みに行くぞ――っしゃー!!」

【二人が脱出した、数分後には、完全に展望台は瓦礫の山となっていて】
【小悪党が、小悪党なりに。大きな仕事ではなく、小さな仕事を完遂することが出来たというのが、今宵の顛末であった】
【恐らく彼らは、今宵の報酬を糧に一晩の散財をするのだろう。そして、また戦場に現れる】

【いつか必ず付けを払うことに成るだろうと思いながら、彼らは刹那の勝利を、美酒として味わうのであった】

/*お疲れ様でしたー!*/
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 01:43:41.18 ID:u3qfkl5TO
>>42>>48
「……は、柱が……!!!」

巨大な柱が倒され、展望塔に轟音が鳴り響く。
と同時にそこの床が大きく抜けることになる。

「な、な、なにが……なにが起こってるの!?」

崩落し始める天井。強烈な震動が襲いかかる。
どさくさ紛れに逃げるコジマなんて相手にしている場合じゃない。

「と、とにかく……て、て、撤退……し、しなければ!」

片足を引きずりながら、天井がぽっかり開いた部分を目指す。
そして、そこから飛び上がることにより展望台から脱出することになる。
後は崩れ行く塔から離れ、地上へと降り立つだろう。何事もなければ。
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/06(日) 01:46:11.83 ID:k0FanwLL0
>>51

……そうなんだ。だけど……それで済ませて、浮かばれると思うか……?
……誰にも、救い得ないんだ……だからこそ、罪は「償う」事など、出来はしない……全ては『裁かれなければならない』……

【スミノフアイスの瓶をようやく空け切って、トライデントは息を弾ませながら尚も言葉を続ける事を止めはしない】
【――――完全に身体の方は、酒に飲まれてしまっているが、支離滅裂な言葉を話し始めたりしないだけ、まだマシなのだろう】
【むしろ、酒に酔いながらも自分の心中を、自分の言葉でしっかりと語れるのは、何気に凄い事なのかもしれない】

…………何だ、何を…………――――――――っボファ……!?

【フラッと顔を上げたトライデントの、丁度そこにセリーナの放ってよこした冷えタオルが覆いかぶさる】
【当然、真っ向からそれを浴びてトライデントは完全に顔を覆い尽くされてしまう】
【最初は、それを払い退けようとしていた様だが、やがてその冷えた感触が気持ち良かったのだろう。ゆっくりと顔を拭い始める辺り、どうしようもない】

…………あぁ、確かに、ふぁ……飲み過ぎた、かもな…………

【一度糸が切れてしまえば、先ほどの勢いもとどまってしまうのだろう。トライデントの表情が眠たげに眼の据わり方を変えて】
【言われるがままにゆっくりと湯のみに手を伸ばし、少しずつ啜り始めた】

…………だが、ルールを作るのも、人間だ……所詮、な…………
そこに作為が混じらないなら、それでも良い…………だけど、結局は、そうじゃない、だろう……?

【一度勢いが断たれ、言葉少なになるトライデント。故に、言葉は肝の部分に焦点を絞る】
【――――得てしてルールと言うのは、集団の中の約束事である。それは、平常時には確かに立派な指標として機能する】
【だが、それを作るのもまた、不完全さを孕んだ人間である以上、完全な解決とはならない】
【更に言えば――――恣意的なルールの作成、恣意的なルールの運用と言う問題は、表裏一体で付き物の問題だ】
【理想に近づけはするが、それでもまだ完璧ではない。だからこそ敢えて、ピュアな自分に従う――――それがトライデントが言いたかったのかもしれない】

…………セリーナ……悪いんだが、俺に『希望』などありはしない…………
俺は、そんなものに向かう事は出来ない…………話すよ、全部……あんたが言うところの、その『何か』…………

【山漬けの塩気を、お茶で流し込むと案外良い塩梅な事に気付いたのだろう。トライデントはそうやってちびちびと山漬けを尚も頬張りながら】
【再び表情に、重い雰囲気を湛えて顔を上げる。流石に背筋を伸ばす、と言うほどには行かないようだが……】

/続きます
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/06(日) 01:46:27.28 ID:k0FanwLL0
>>51

…………俺の母親は、しょうがない『売女』だった……本当の意味で、な……そうやって生きてたんだ……だから、父親は知らない……結局、一度も逢わなかった……
けど、結局知る事になった……母は、ちゃんと覚えていた……いや、狙い澄まして、いたんだな……『その事』を…………あの畜生……

【トライデントの急に語りだす、家族関係。だが、そこには確かに彼の憎悪の根源があるのだろう。母親に、今まで口にしなかった汚い罵り言葉を向けて】

……ハッキリ語られたよ。俺の父親が誰なのか……後で調べて、間違いじゃ無かった……絶望したよ、俺は…………
最悪な生まれさ…………絶対に、認めるつもりは無いが、仕方がない…………もう、それは決まった事で、変えようの無い事だ……



――――――――――――――――俺の遺伝子上の父親は、グラトン=ブルーガー=ウルバヌス…………あの、正に大悪人そのもの、悪意そのものの人間さ……

――――――――――――――――あんな奴が……あんな奴が、俺の父親なんだよ…………絶望したさ。呪われた生まれだと、本当に、絶望したさ…………



【淡々と語る、トライデントのその表情は――――酔いすら振り払う様な、押し込めるような憎悪にたぎっていた】
【セリーナに、かつて本心の一端を突かれた時の――――あの、必死に自分の内に押し殺して、漏れ出る様な表情だった】

…………俺は、奴が80の時の子供だそうだ…………俺を産んでおけば、後人生で取り入れると、それを企んで母は俺を産んだんだそうだ……ハッキリ言ってくれたよ……
……ハッ、だけど…………だけど、俺には怨む相手なんて居なかった。いや、どこぞの父親と、眼の前の母親を恨みに恨み抜いて……それでも、どうしようもなかった……
『神様』とか『運命』とか、恨もうとして、恨みに恨み抜いて……存在しない相手を恨む事の不毛さを、嫌と言うほど思い知らされて……本当に、絶望しかなかった……

【ただ淡々と語っているだけのはずなのに、言葉は多くなり、トライデントの表情もより、凶悪に歪んで行く】

そうさ……全部人間の仕業だ……人間の『業』だ…………人間が生み出した『因果』だ…………それ以外の、何物でも無い
俺が何である訳でも無い……だけど、俺の父親が奴だって言うのは、変えられない事実で……奴の呪われた血、呪われた性質を引き継いでしまったのも、事実だ……
……忌まわしい遺産だ……俺自身が、既に…………奴の…………!

【自分自身でも熱くなっているのが分かるのだろう。もう一度冷えタオルで顔を拭い、そこでようやくトライデントの言葉は止まる】
【――――グラトンを殺せるのなら、後の事などどうでも良い。あの姿勢の原因は、正にこれに尽きたのだ】
【そして――――だからこそ、トライデントはこうも悪を憎み抜き、殺し尽くす事だけに己の全てを賭けているのだろう】
【だからこそ、自分に希望など存在しないと、そう言い放っても見せるのだろう】

/すみません。明日に引き継ぎしても良いでしょうか?
/明日は、昼ごろまでならリアルタイムで行けるので……
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/06(日) 01:51:00.49 ID:AHeTUm5co
>>57
【何も聞こえない、見えない、感じない】
【ただあるのはとてつもない無力感と、虚無感】
【そしてそれはすぐに自己嫌悪へと変換される】

【僕じゃなかったら】
【もしこの場に立っていたのが僕じゃなかったら】
【そうだったら、きっともっと良い方向へ進んだはずだ】
【他人を、自分を、信じなかった結果がこれ】
【本当に何をやっているのだろう、無意味で無意義で無為な行動をしていただけ】

【―――――――でも、待て】

【目の前の男は隙だらけ】
【ならば最後に一矢報いるべきではないか?】
【どうせ今更避難したって、変わらない】
【もう何人も死んでいるだろうし、今更動いたところで何一つ変わらない】
【何が変わるというのか】

【――――――だから】
【両手に剣を召喚、剣は戯言のお陰で鉄をも容易に切り裂く状態だ】
【そして、手を広げながら歩く男の背後に足音を立てないようにして近づく】
【男がそのまま隙を晒したままならば、容易く剣は男を貫く事だろう】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/06(日) 01:51:34.81 ID:W92WCv33o
>>44 >>45


――――フン、意趣返しと言うわけか。
ああ、褒めて欲しいのなら褒めてやろう。『中々やる』―――これでいいのだろう、人間?

だがな。人の身で魂を操ろうなどと……驕りが過ぎるぞ、フレデリック・シャルエールッ!!


【フレデリックの放った術を、ガルマは他人事のように見上げる。迫り来る正≠フ死霊が自身に迫ってきても、やはり全く動じない】
【実際、その熱量はガルマの身を焼いていくだろう。だがまるで太陽からの恵みを受けるかのように神はそれを受け入れて】
【……熱と、光。そして死霊。それらを操るこの神相手では、彼の随える勇者達の力さえも、屈してしまうというのか――――、】


――――っが、クッ、あああああああッッ!! なんだ、これはッ………おのれェェッ!!!
まだだ………我は神なるぞッ!! 我は、死なぬッッ!!!


【その、フレデリックの攻勢のまさに真っ只中に、佳乃による干渉が飛び込んだ。フレデリックなら解るか、ガルマの身に巻きつく白い呪刻が】
【圧倒的、としか言いようが無い聖≠フ力が、神を単なる男へと失墜させていくさまが、ありありと眼前に浮かび上がる】

【こうなればフレデリックの術も功を奏す。絶対的な防御力を失ったガルマの体中に、死霊たちが焼き跡を刻んでいくだろう!】
【だが後に続く『カテドラル』に対しては、黄金に輝く腕が受け止める。……その形相は、必死そのもの。そういえば先も、胸部≠槍から守っていたが……】
【――――強制的に弱められたとはいえ、ガルマはまだ力の全てを失ったわけではない。後一押し、する必要があって】



>>47


『――――その通りです。神だからと言って、傲慢に力を振るって良いわけではない。
 あなたがこの子を守らなければ、私は奇跡≠起こせなかった。……届けなさい、その一撃を』


【フレデリックの攻撃に苦戦するガルマの代わりに、アーシャの言葉には『佳乃らしき誰か』が答えた】
【アーシャは奇跡を起こせなかったけれど。代わりに奇跡を起こした者が、そこにはいる。アーシャが佳乃を守らなければ、この結果にはならなかった】
【ガルマの体に刻まれた白い呪刻が、更に強く光り輝いて。燃える焔はガルマへと、一直線に飛翔していく――――!】


――――ぐ、っ、あ、ああああああああああああああッッッ!!!


【フレデリックの『カテドラル』が、ガルマの手を離れて吹き飛んだ。『後一押し』はフレデリックからアーシャへと引き継がれる!】
【迫る炎の槍にガルマは必死に体を捩ったが……掠めたその傷跡から、炎が内側に流れ込む。堕ちた戦神の絶叫がまさしく、その威力を物語っている――――】


/続きます!
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 01:53:27.92 ID:jdstzPkz0
>>55
「――――元々彼女は自然の片鱗。今は住まう場所を与えていますが……その内また気儘に旅をされるつもりです。だから、教育だとかそういったものは行いませんよ
この子にしてみれば契約するに値する信頼出来る相手を探す事が何よりの使命。ずっと拘束しておく訳にもいきません
尤も……無闇矢鱈に命を殺めるな、とはしっかり教えておきますが」

【自然とは縛り付ける事の出来ない概念。だから、紅の少女も何時の日かまた一人で生きる様にさせるのだと】
【その前に、最低限の世渡りだけは覚えさせておく程度。盗みをするな、人を無意味に傷付けるなと】
【もしかしたら、それだって余計な事なのかもしれないが――――今の世の中、其れを覚えているだけで避けられる戦闘も多い】

【精霊を負ぶったならば、青年の一言に対しての答え】
【ならば何時かまた封魔城に訪れれば会う事があるかもしれないし――――もしかしたら他の国で会う事もあるかもしれない】
【其れ等は全て不確かなこと。今宵が最初で最後の可能性だって否めないのだから】



「察しの通り、妖怪の事です。…………貴方も知っているであろう悪狐がまた里の一つを消した事、そして他の妖怪も便乗しているとの話が入りました
そして死酷ノ原に出現していた地獄の門に僅かな変化があった事。中に居るちゆりがそろそろ出てくる頃か、それとも業火に焼かれている死者達が溢れ出てくる事か――…………?」

【悪狐がまた一つ、里を滅ぼした。詳しくは伝えないが、其処もまた退魔に関する場所】
【加えるのは、青年も居た死酷ノ原についての事か。桔梗の姉であるちゆりが地獄の門から帰ってきた時、全ての反撃の準備が整え終わると残して】
【――――見えた銀のナイフには、数度目を瞬かせるけれど】



「全く、瑛月といい貴方といい頼もしい言葉をくれますね
其れも有り難く頂きますよ。――――感謝します、エルフェス」

【ナイフを一振り手にすれば、懐にでもしまうのだろう】
【実に相性の良い。琴音は退魔の力こそ優れては居るが、筋力だとかは微々たるもの】
【刀を振るう事も出来ない身としては、重宝する事は間違い無く】



「さて、この子の我が儘に付き合ってくれたお礼です。良ければ一晩泊まっていきませんか
桔梗に影響された妖怪達も居る事でしょうし、特に封魔城の近辺をこの時間に歩くのは危ないですから
勿論、無理に――とは言いませんが」

【そして、提案。今宵はこの城で一晩明かせばどうであろうかと】
【安全は保証されている場所だし、何よりも食事だとか風呂だとかも全て整っている】
【――――受け入れるか否か、其れは青年次第。言葉通り、無理に引き留める事も無いのだから】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/06(日) 01:53:33.23 ID:W92WCv33o
>>49


ふざ、けるな――――ふざけるなよッ!! この私が、こんな所で、死ぬはず、が………!!


【フレデリックとアーシャの攻撃で一気に力を削られて、ガルマは次に向かってきたブラックへと、血を吐きながら吼え立てる】
【まさしく満身創痍。普通の人間ならこの時点で死んでいただろうが、そこはやはり全ての力を失ったわけではないのだろう】
【脅威はまだ、去っていないが……今しがた叩き込んだ斬撃の切り口からも、今更になって血が噴出しているのが見えるだろうか】

【胸部≠ヨ向かう一閃。いくら神といえど、この一撃さえ、決まってしまえば――――】


「――――――やめてッ!!」


【ガキン!! と……その時、悲鳴と共に真横から飛んできた短刀が、ブラックの刀に直撃するだろうか】
【その勢いでごく僅かに威力が落ち、軌道が逸れる。胸部を外れた一閃はその真横を縦に引き裂き、大量の返り血が噴出する――――】


「やめ、て………お願い…………。

 ――――ようやく見つけた。あたしの、たったひとりの、家族なのよ……」


【割り込んできたのはミドナだった。涙を浮かべた形相で――――あの赤い呪刻の効果が切れたのか、今になって麻酔の効果が効いてきたらしく】
【この行動を終えると足元がふらついて、意識も朦朧としてしまうけれど……それでも。父の無事を願う娘の必死の嘆願は、ある意味で、どんな攻撃よりも強かった】


>>54


「………そうよ。家族だから。
 こんな、クズみたいな奴に取り憑かれちゃっててもさ――――たった一人の、家族なの。

 正、す? ――――知った風な口を利かないで!! 間違ってるのはパパだけじゃない!!
 この世界だって、きっと………ああ、闘、わなきゃ、闘わなきゃ、闘わなきゃ………ッッ!!!」


【ブラックの麻酔によって朦朧とした意識の中、ミドナは皐月の問いに答えた。……『取り憑かれている』というその言葉が、少々気になりはしたけれど】
【娘なら、父の間違いを正せと。皐月がそう説いた瞬間――――ミドナの全身に再び、赤色の呪刻が浮かび上がる!!】
【巻き上がるのは異常なまでの闘志≠セ。それがミドナの体に最後の疾走を促し……皐月の放つ空気の弾丸とガルマとの間に、彼女の体が滑り込んだ】


…………が、ぁ……おの、れ……。

「う、ぁ、パパ――――――、」


【フレデリック、アーシャ、ブラック。この三人の攻撃の時点でもうガルマに意識は殆どなくなっていた。そして最後の戦力であったミドナも、】
【父親を守って爆風に巻き込まれ、二人揃って地面に転がるだろう。……もうどう見たって、戦える状態ではない――――】


/続きます!
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/06(日) 01:55:13.26 ID:W92WCv33o
>>ALL


ぐ、ぁぁッ、ゴフッ、舐、めるなァッ、人間風情がぁあああああああッッッ………!!!


【ガルマと、ミドナ。二人はこうして倒れ伏し、戦いは終結した。……けれど。肉体の限界を迎えた男の、これは最後の怨念であったか】
【光の手を召喚してミドナを抱え上げ、血塗れのガルマが辛うじて立つ。今までの二度の選定でも例が無い――――神が、これほどまでに追い詰められたのは】


貴様――――貴様ァッ!! 我と同じ神≠セなッ!!? 何故だ……何故我の邪魔をする!?


『如何にも。私は「天限」、東方の龍神です。――――西方より懐かしい力の流れを感じたと思えば、よもやこんな事になっていようとは。
 
 あなたこそ、もはや神とも呼べぬほどに朽ち果てたその身で、今更何をすると成すというのですか。
 我々の時代は、もう数千年も前に終わったのですよ。選定≠ネどとはおこがましい……この世界にもう、私たちは必要ないのです』


【――――ガルマの咆哮が、幸徳井佳乃らしき何かの正体を告げた。衣織と皐月は既に、知った顔であるだろう】
【ガルマと相対するその女もまた……同じ神≠ナあった。幸徳井佳乃という巫女≠フ体を拠り代に、この場に『二体目の神』が舞い降りた――――】

【漆黒と金とが中空で交じり合い、透明な火花を散らす。荘厳にして神聖な二つの意思が交じり合って、圧倒的な存在感が世界を塗り替えていく】
【いま、五人は――――神と神とが対話する聖域≠フ真っ只中に。数千年も前の神話≠フ世界の上に、足跡を刻んでいるのかもしれない】


『私は、名乗りましたよ。さぁ……戦神だというのなら、決闘の場での礼儀ぐらいは弁えているでしょう。あなたも本当の名≠名乗りなさい』


き、――――貴様ッ、生ぬるい癒しの神如きが、この我を………!!


『……己が真名すら忘れるほどに朽ち果てましたか。憐れなものです。
 ――――皆さん。あれを御覧なさい』


【佳乃……否。『天限』と名乗った彼女がガルマに送る視線と言葉は、冷たく。口から漏れ出る一言一言は異常なまでの重みを帯びる】
【天限はガルマの激昂にも応じず、一同へ声を掛けて、すっと彼の胸元を指差すだろう。ブラックの斬撃で服が破れ、露出した紅蓮色の宝玉≠ェそこにある】
【あの男は憐れな存在なのだと、天限はそう告げた上で――――神を神の座から引き摺り下ろす厳然たる事実を、人間達に伝える】



『差し詰め、戦神の宝玉≠ニでも呼びましょうか。あの宝玉が、彼奴の本体です。

 ――――「ガルマ=ハド=ラジャルード」は、歴とした人間です。
 
 時の流れの中で老い衰え、あのような無様な姿しか取れなくなった神の魂≠ノよって体を乗っ取られているだけの、ただの人間なのです』



【三度もの選定≠経て……ここに来てようやく、「ガルマ=ハド=ラジャルード」という男の正体が明かされた】

【『戦神』と『ガルマ』は別の存在であったのだ。とっくの昔に衰えて、自らの名前すら思い出せなくなって、誰かに取り憑かねば世界に干渉する事も出来ない、】
【そんな憐れな、時代に取り残されたかつての戦神の魂が、ガルマという人間――――つまりは『ミドナの父親』の体を乗っ取って、身勝手な選定を行っていた】

【いわば、あの男は半神≠セ。戦神を名乗っておきながら、今までに二度も人間相手に敗北したのもそれが原因だったのだろう】
【戦神としての全盛期の力は戻っておらず、その上宿主が人間という下位の存在であるがゆえに、発揮できる力に大幅な制限が掛かっているのだ】
【――――多くの人間を見下し、虐殺した全ての元凶は、あんな無様でちっぽけな、小さな宝玉でしかなかった】


/すみません、あと一つ続きます!

67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/06(日) 01:58:04.32 ID:W92WCv33o


が、ぐゥッ………おのれ――――おのれ、おのれ!! 龍神風情が、人間風情がァァ!! よくもこの我にッッ!!
だが、だが鍵≠ウえあれば………癪だがあの男≠ニも話を付けねばならぬ――――――ああ、貴様ら、貴様らのせいでッ!!!


【己の正体を暴露されて――――己の、本当の弱点≠暴露されて。流石にもう、戦神引くしかなかった】
【ガルマが必死に右腕を天に翳す。上空に紅蓮の雷撃が渦巻く黒雲≠ェ現れ、何か――――真っ黒な甲殻に覆われた太い縄の様なモノが伸びてくるだろう】
【巨大な象≠フ鼻のようにも見えるそれは、ガルマとミドナの体を巻き上げて黒雲の中へと引き摺り込んでいく。真っ赤な鮮血を散らしながら、戦神は消えていく】

【……異常なまでの力への執着は、最後に。憤怒と共に機密≠ひとつ撒き散らした。……あの男、とは、】


許さん、許さんぞ!! 覚えておけ、神を弑逆せんとしたその大罪………必ず、後悔させてやる――――――ッッ!!!


【――――室内に響く最後の残響には、神の威厳の欠片も無い。ただ怒りに打ち震える燃えるような魂が、叫び声として場に沈着して】
【世界には静寂が戻る。ボロボロになった五人と、残されたもう一柱の神が発する厳格ながらも暖かな光の力が、その場に残るのだった】


『……人間とはこれほどまでに強く、逞しいというのに。
 人の心が無ければこの世に留まることすら出来ない.……私たちなどしょせん、その程度の存在でしかないのです。
 もう人間は、私たちの手など借りずに世を廻せる。絶対の戦神として長らく世に君臨していたあの男には、それが認めがたいのでしょう。

 ――――良く、あの荒ぶる神を相手に戦いましたね、人の子よ。
 傷は私が癒しましょう。闘争≠ヘ去りました、ここは今ひとたび、私の腕の中で休みなさい――――』


【勝利、と――――この場はそう捉えていいだろう。『天限』と名乗った神が嫋やかな声を発し、また例の光の力≠発する】
【絶対的なまでの、癒しの力。痛みも完全に消えて、傷口の再生も始まるはずである。……この神≠ニならば、まだ話も出来そうだ】

【――――ガルマという男の正体に関してでも、ミドナに関することでも。聞いてみれば何かしら、情報が得られるかもしれない……】


/ちょっと変則的ですが、もろもろの事情で戦闘は〆と致します
/眠気がやばいという方は何も聞かずに撤退、という形にしてくださってOKです!
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 02:13:27.59 ID:4/mGjWjSo
>>64

――――――うん、それならいいか

【頷きながらも、少女が自然そのものだと思い出す】
【少し話し触れ合っただけでずっと人の世に居ると錯覚してしまった】
【少女の居るべき世界は自然だというのに……】

地獄の門に溢れる死者……なんともまあ、正に地獄絵図だ

【それがこの世に現れるというのだから始末に終えない】
【もっともそれに始末をつける為にこの場で準備をしているのだから、途方もなく思える】

誰かが大切にしている日常を壊されるなんてたまったもんじゃないしな
正義だとかそういうのは語るつもりはない、結局の所はオレは自分が好きなようにやってるだけだしね。
感謝するなら色々終わってお互いが生きていた時にでもとっとけ

【肌に纏わり付く感覚、きっと沢山の人が傷つくのだろう】
【瞳が痛むのはそれを察知しての事か、本来の持ち主がどこかで哭いているのか】

【輝く銀は、しかし何も語らない】

んっ、渡りに船だなお言葉に甘えさせて貰うよ
色々とあったし少し身体を休めたい、なんだか悪いね……ただでさえ気を使ってるだろうに
余計な騒動は起こして負担にならないように気をつけるわ

【安心のある睡眠はそれだけで糧となる、それこそこんな世の中だ】
【丁度良いし続けていた鍛錬の疲労も一度精算してしまおう】
【主の言葉にコクリと頷いて、一宿の世話となるだろう】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/06(日) 02:24:10.75 ID:SIfD02gho
>>62
 どうです!皆さん!今回の催しは!
 別の意味で最高でし……!

【くるりと振り返った途端、迫る剣】
【その瞬間、さっと男は脇に避ける、だが、その剣は確かに男に当たった】
【着ているタンクトップの右の脇腹部分が、真っ赤な血に染まる】
【一瞬だけ、男のナレーションが止まる】

 ……一矢報いる、と言わんばかりの攻撃ですね!
 見ましたか!少年のこの気概!あれほどまでの事があってショックでしょうに!

【しかし、それも一瞬、すぐさましゃべりだす、男】

 ああ!しかししかし!

【その瞬間、もしすぐに離れなければ少年はまともにこの男の蹴りを腹に喰らうことになるか】
【大の大人の蹴り、それは少なくともしばらく蹲るようなもので】

 そろそろお別れのお時間のようです

【脇腹を押さえながら、言う】
【もはや爆発音にまぎれ建物の柱が砕ける音が混ざってきた、この屋上にいられるのも時間の問題】

 今回もいかがでしたでしょうか、あなたの心の渇きを潤す愉快愉悦を送ることは出来ましたでしょうか?

【そういうと屋上の淵に立つ】
【そして大きく手を広げながらこういうか】

――See you again !

【その瞬間、男が屋上から飛び降りる】
【しかし、もし下をのぞき込んでも、男の身体は見当たらないだろう】

【もはや、建物は崩壊寸前である、急いで脱出しなければ巻き込まれて死ぬ、もしくは大怪我を負うだろうか】

【――最後まで、あの男は最後まで……少年を"見て"はいなかった】
【その先の、ここにはいない誰かたちを、見ていたのだった】

//ここまでですかね
//渚君の方、お疲れ様でしたー
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 02:36:15.08 ID:jdstzPkz0
>>68
「その延長として正義があるならば、立派なものだと思いますよ
――――人の命は妖怪や人外と異なって短いもの。其れを奪わせる事など、絶対にはさせません

……構いませんよ。貴方は何も気にしないで体を休める事にだけ集中していて下さい」

【気を遣う必要は無い。その事だけを述べれば家臣を呼び出し、一室準備させるのだろう】
【それから、少しして。案内された部屋は櫻の一流の旅館にも勝るような場所】
【――――元々、客人を泊める様な場所なのだろう。煌びやかでは無いが、趣があり】

【風呂を覗けばこれまた良く、食事も上等の物が部屋まで運ばれて】
【今まで蓄積した疲れを取るには十分であろうか。櫻の国の贅沢を一晩で体験できるような場所】
【朝を迎えれば、家臣の一人が門まで案内して見送ろうとした所――――再建された天守閣から飛び出し、空に羽ばたくのは紅の翼】



【猛スピードで降下したかと思えば、軽やかな足取りで隣に着地して】
【――――言わずもがな、精霊だ。青年が立ち去ると聞いて見送りにでも来たのだろう】

『えるふぇす、ばいばい!!また今度、一緒にお散歩しようね!!
あ、後っ!ちょこばーもまた持ってきてね!!』

【ブンブンと大きく手を振れば、その場での見送り。見えなくなるまで手を振るのは健気で、何だか犬の様だけれど】
【小さく手を振り替えしてでもやれば、嬉しそうに笑いながら負けじと更に手を大きく振るのだろう】

【――――自然の小さな具現化と、封印を一身に担う者との出会い。果たして青年が何を思ったかは分からないけれど】
【偽りの無い精霊の笑みは、夜の出来事を楽しい記憶として覚えている事を伝えていて】
【……出会いは不機嫌で、別れには笑顔で。何ともまあ、変わりやすい性格ではあった】
【何にしたって、その内に手を振る姿だって見えなくなってしまう事は確かか】

/この辺りでしょうかっ!お相手、有り難う御座いましたですよー!
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/06(日) 02:39:14.96 ID:AHeTUm5co
>>69
【心臓部には、至らなかった】
【そう、結局捨て身の一撃も失敗に終わったのだ】
【蹴りをまともに喰らい、声にならない声を上げて倒れ伏す】
【後は、ただ男が屋上に飛び降りるのを見ているだけ】

「…………はっ、まい、ったな…………」

【男が飛び降りてしばらく後、フラフラと立ち上がる】
【大敗北だ、精神的にも肉体的にもやられた】
【でも、これはきっと今までの失敗の歴史にまた新たな失敗が上塗りされただけ】
【自分の諦観を増幅させるだけの、出来事】

【あの男は最後まで自分を見ていなかった】
【まるで観客にショーを披露しているよう】
【もちろんピエロは僕自身である】

「…………戯言、だ」
「……行くか……」

【崩壊も近い、避難はとっくのとうに終わっているはずだ】
【後は自分を残すのみ、とっとと逃げるとしよう】

【そうして、腹を抑えながら足早に屋上を出る】
【―――――――――こうして】

【こうして、渚の失敗の歴史は上書きされた】
【本当は防げたはずの、失敗】
【成功出来たはずの、失敗】
【―――――――――本当に、傑作だ】

/ありがとうございました!お疲れ様です!
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 02:51:51.01 ID:YnacEsVJo
>>63>>65-67

【息も荒く敵を見据えれば、其処に映るのは思った通りの――いや、少々予想を超えた世界であった】
【自分の術が多少なり効いたのならソレでいい。カテドラルの一投が次に通じるならそれで良い】

【――だが、其処から先はどうだ。ガルマという男の正体、暗雲の如き姿、宝玉】
【そして意味深長な言葉が幾つか在った。今やフレデリックは組織などの柵にはとらわれない男だが】
【それでもあの男≠ニいうワードや、最後の最後に言った『必ず後悔させてやる』という言葉が聞こえ】


……、…ふン。やれるものならやってみろと、何度言わせるのだ喧しい。
神だ、神だと何時迄も私の前で騒ぐなら、こちらから口を塞いでやるまでのことよ

だが……ちと、疲れたな。悪いが私はここらで休ませてもらうとするぞ
生憎と、奴やその娘……加賀屋の時に顔を合わせた、知り合いでこそあるが……
……人の家族に口出しや詮索をするようなタチでは無いので、な……。

ただ倒すだけだ……奴が騒ぎ、立ち上がる度に私もまた立ち上がってやろう
奴が私に一つ、詫びを入れるまでは……な。


…――そうだ。『天限』と言ったが……あの男の本来≠ヘ……強いのか。


【――と、フレデリックはそれだけを佳乃――もとい、天限へと尋ねると】
【答えを聞くなり一つだけ頷いてから槍を回収し、そしてどかりと座り込んで息を整える】
【戦いの時と違って実に寡黙。傷は、徐々に癒えようが――今ばかりは、疲労の色が濃いようだった】

【それ故に、後は治癒を待つばかり。治れば治ったで一言だけ告げて、転移の魔術で姿を消すこととなるだろうか――。】

/色々と興味があることは多いのですが……すみません、眠気がキツイので自分は此処で…!
/主催者様、他の皆様も、本当にありがとうございました!お疲れ様でしたっ!
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 02:55:23.87 ID:9lOUlTMv0
>>65-66

―――違うッ!!
間違いを正すのは家族の役目……それを貴女が目を背けてどうするのですか!

【同じように家族を愛する者だからこそ、皐月は声を荒げた。―――間違いを気付かせるべき者が目を背けてどうするのだ、と】

【―――赤い呪いの効果は分からない。けれど……最後にミドナは身を挺して自分の父を護らんとした】
【結果的に二人とも吹き飛ばす結果となり、戦闘不能に陥らせることが出来たのだが……―――】

―――貴女なら分かる筈です。大切な人が傷つけられる苦しみを……
……どうかそれを、お父さんにも教えてあげて下さい。

【―――子供達は護れた。二人が攻撃しないのならば追撃はしない。これ以上攻撃したって、ミドナを苦しめるだけだから】
【皐月はそんな事は望んでいない。愛する子供が護れたのならそれで十分、彼に止めを刺しはしない―――】
【彼だってミドナの大切な人なのだから。大切な人が傷つく苦しみは、皐月は誰よりも知っているから】
【その代わり―――間違いを気付かせて欲しいと、それだけを願って。静かに二人から手を引いて、あとは天限に任せる】


【対峙する二つの大きな力。―――尤も、片方は今は弱りかけているのだが―――二人が繰り広げる会話の内容は】
【気の遠くなるくらいの過去の事。それこそ、神話の時代の―――】

【―――そして、告げられた事実。彼は人間の身体を乗っ取った神の末路なのだ、と】
【呆れるほど永い時を経て、その力は衰え、宝玉という形でしか己を保てなくなった―――そんな存在なのだと】
【皐月は驚きを以てその情報を聞き入れた。まさか、そんな事情が隠されていようとは―――】

【正体を明らかにされた彼は、激昂と共に天へと消えてゆく。―――これで、一先ずの脅威は去ったのだろう】
【―――兎に角娘を護り切った。その安堵からかどっと疲れが押し寄せて、今更になって床に座り込んで】
【心配そうに見つめる愛娘の頭を撫でて「大丈夫!」と一言告げれば、もう一度辺りを見回して】
【残された天限を見つければ、フラッと立ち上がって声を掛ける。―――“神”の知り合いだなんて、奇妙な縁もあったものだ】

「改めて、お久しぶりです!……娘を護って頂き、本当にありがとうございました。
 
 ……その……――あの子は無事なのでしょうか。
 私にもあの子の家族を想う気持ちはよく分かりますから……」


【訊きたい事は、ミドナの話。―――彼女の想いに関しては、皐月にも少なからず思う所があったのだ。】
【訊き終えれば、あとは軽い世間話。「娘が佳乃ちゃんにお世話になってます」とか、「佳乃ちゃんの怪我は大丈夫ですか?」とか】
【娘と同じくらいに佳乃の事も気に掛けているものだから、やっぱり佳乃の事が気になるらしい】

【受けた傷も治してもらえれば、護り切った大切な娘と共にこの惨禍の舞台から無事帰ることになるのだろう――】


//少しだけ会話して撤退したという形にして頂ければ!
//それではお疲れ様でした!
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 02:59:28.42 ID:IeN+kSy5O
>>63>>65-67

【投擲された短剣が刃の軌道を変える、そしてそれをやったのは、ミドナであった】
【軍刀も限界だったのだろう、短剣を受ければ簡単に刃は折れ、床に落ちる】

【いつか彼女と話した家族、やっと見つけたそれを失いたくないという想い】
【ブラックには、それは痛いほど良く分かっていた、心の拠り所とでも呼ぶべきか】
【例え偽りの家族であっても、彼女にとってはそれだけが唯一の家族で】

【だからこそ、分かるからこそ、ブラックは彼女を諭さなければならない、それは自分の様にしたくないが為だった】


…………貴女は、私とは違います。私の様に自己満足の為に家族を愛する必要などない。
罪滅ぼしも、況してや家族を求める必要もないはずなのです……

私と違って、貴女にはもう……沢山の家族がいるはずなのですから…………
貴女の帰りを待っていてくれる人達を、忘れてはいないでしょう……?

【家族とは、もう唯単に血族の集まりだけを指す言葉ではない】
【彼女には待っている人がいる、仲間を越えて、それこそ家族のような存在が】



【やがてその耳に聞こえてくるのは、佳乃の 戦神についての話】
【全て合点がいく説明だった、つまり奴は見下している筈の人間に取り憑かなければならない訳だった、何と哀れなのだろうか】

……姿形は同じでも、それはもう貴女の父親ではない…………貴女は偽りを愛せるのですか……?


…………………………ッ……、ミドナ殿……………!

【黒雲に消えていく二人の影、結局、彼女を取り戻すには及ばず】
【任務は遂行出来た筈、勝てた筈なのに、とても喜ぶ気にはなれなかった】



…………ああ、そう言えば……貴女は確かクリスマスの時に会った……
まさかこんなところでまたお会いするとは…………そちらが娘さんですか……
……折角の再会だというのに、お見苦しいところを見せてしまいましたな…………

【そして戦闘中には気づかなかったこと、ブラックは皐月と衣織に今更ながら会釈して】
【彼女が覚えているかは分からないが、一度会ったことはあるらしかった】


【息が整ってきたところで、ブラックは佳乃に質問を始めるだろう】

…………奴、ガルマが取り憑いていると言ってましたが……、もう本当の彼女の父親の人格は無いのですか……?
それに彼女をあそこまでさせた何か、あの身体に浮き出ていたあれは一体……?

75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 03:21:28.13 ID:4/mGjWjSo
>>70

【一夜のみの休息は想像以上に贅沢な物で当の本人が気後れしてしまう程だった】
【厚意であるからには拒否はないが、慣れないものでどこかソワソワとしていたという】

【夜が過ぎれば朝が巡る、鳥の声で目を覚ませば起動していない思考でぼうっと準備をしていれば】
【家臣だろう人物が現れて後は案内されるがまま、ぼんやりとした気が抜けない】
【浮かぶ太陽に目を擦ればそこで漸く覚めて】

――――――ふあーあ……あふ……?

【欠伸ひとつ、視界の端ふと見あげれば舞う少女】
【驚く間もなくきれいに着地して、変わらずの笑みのまま】

ん、また今度な散歩でもなんでも付き合ってやるよ
ふ――――――はいはい、それもちゃんと持ってくるから姫さんと元気でな!

【夜のようにぺしぺしと頭を撫でて満足気に頷けば青年は歩き出す】
【精霊の少女に合わせて手を振り返せばその内に遠くなる】
【自然が少女のようであるならば、これから先に在る事も不思議と受け入れられるような気さえしたという】

/お疲れ様でした!
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/06(日) 03:27:57.59 ID:W92WCv33o

>>72


『――――私が解るのはあの男の正体までです。本来のガルマという人間がどうなのかは、何ともいえませんが。
 しかし……強いか弱いかでいえば、両方、というのが正しいでしょうね。

 あの「千眼千手」の力は恐らく、ガルマと言う男が元来持っていた能力を、宝玉が増幅しているのでしょうけれど。
 ……精神的には、脆弱と言わざるを得ません。彼には戦神の支配に抵抗していた様子が、まるで見られなかった……』


【フレデリックの問いに、治癒の術を発動させながら天限が答える。本来の彼は強いのか――――いかにもフレデリックらしい質問】
【対して、天限の答えは判然としない。彼女もまたあの戦神と同じで、神とはいえど全知全能と言うわけではないようだ】

【……能力の面では強く、精神の面では弱い――――】
【一同を散々苦しめたあの≪千眼千手ノ光焔華≫という力はガルマのもので、元より強いものが戦神によって更に増幅されていたと彼女は推測し】
【同時に、心の方は弱いのだと判断した。……完全に戦神に乗っ取られていたのは、彼が全く抵抗していなかったからだと】


/お疲れ様でしたー!


>>73 >>74


『皐月、衣織。……久しぶりですね。斯様な戦場に迷い込むとはとんだ不運でしたが……無事でよかった。

 さて――――二人とも。それにそちらの御仁も。
 あの女性、ミドナと言いましたか。……どうやら彼女は、あの戦神の呪いを受けていたようです。
 闘争本能≠強制的に活性化させる呪刻、といったところでしょう。あの者があそこまで拘るのは、これだけが理由ではないと思いますが』


【天限はまず皐月と衣織に声を掛けるだろう。「佳乃も無事ですよ」と、笑顔でそう付け加えた上で】
【その後はブラックの方にも向き直って、ミドナに関する話を始める。あの体に浮き出ていた妙な文様……あれは、戦神の掛けた呪いだったらしい】

【まさに闘争の権化たるあの神らしい呪いだ。闘争本能を強制的に刺激し、感情を暴走させる呪刻――――、】
【ミドナには待っている人が居る。……そんなことも忘れるほどに冷静さを失った彼女の挙措は、恐らくこれが原因だったのだろう】


『彼女自身は、無事です。けれど――――、
 ガルマという男の方は、手遅れ、かもしれません。戦神にまったく抵抗できていない所を見るに、少なくとも精神的には。

 そして……肉体的にも、です。あなた達の攻撃を受ける前から既に、あの人間の体は限界を超えていた。
 ――――あの戦神の宝玉≠ェ剥がれてしまえば、あの者は……高い確率で、死ぬと思われます』


【ミドナ自身は無事だと、天限はそう告げる。――――同時に、ガルマ=ハド=ラジャルード、父親の方はもう駄目かもしれない、とも】
【宝玉を剥がしたら死ぬ。……ミドナが呪刻に抗えず、迷いながらも戦い続けるのは、血の繋がった実の父を死なせないためだったのかもしれない】


/皐月さん&衣織ちゃんの方、お疲れ様でした!
/ブラックさんの方もまだ質問を続けても次で〆ちゃって構いませんので!

77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/06(日) 04:03:17.25 ID:IeN+kSy5O
>>76

【宝玉が無くなれば死ぬ、もしそうなれば彼女から父親を奪うことになる】
【複雑な心境だ、今のブラックにはどうすれば良いのかも分からない】

【もう大人である筈のミドナが、まるで子供の様にパパと呼ぶ姿を見て、彼は揺れている】
【険しい表情のまま、ブラックは佳乃に礼を言って】

…………ありがとう、今はその説明だけで納得します。
ええと…………佳乃殿ではなく……天限殿……でしたかな。

今日はありがとうございました、では私も、ここで失礼させて頂きます。

【軍刀の破片を拾うと、ブラックは彼女に礼と別れを伝えて】
【それからゆっくりと帰還していく、風の国は自分の家族が居る場所でもある】

【今はそれを護れた事を喜ぶべきなのだろうか、しかしその表情は未だ険しいものだった】

/ではここで!お疲れ様でした!
/ありがとうございましたー!
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/06(日) 04:22:30.00 ID:W92WCv33o
>>77


『――――私は人間ではありませんが、この子……佳乃の母親代わりのようなことをやっていました。
 故に……私如きが人の愛を語るのは烏滸がましいとは思いますが、ひとつだけ。

 あの女性は――――家族≠フ愛に餓えているように、私は感じました』


【パパなんて呼称は確かに、子供がするものだ。けれどミドナの過去を多少知っているブラックならば理由も納得できるか】
【本当の親がいない。一度本気で探し回って、見つかったのは「死んだ」という事実のみ。そこに、本当の父が生きて姿を現したのなら、】
【……それがミドナにとって、どれほど嬉しかったのか。親の逝去なんてどこにでも転がっている悲劇だけれど、彼女にはそれが何よりも、重かったのかもしれない】


>>ALL


『では、ご老人。……それに、他の皆さんも。

 衣織と皐月は知っての通り、本来、神が人に過剰に味方するのは禁忌なのですが……今度ばかりは話は別です。
 人の問題は人が、神の問題は神が処理するべき。あの戦神絡みの災厄に関しては、私も出来る限り力をお貸しします。

 ――――その代わり。出来うることなら、どうかこの子を……佳乃を、守ってやって下さい』


【すべての質問が終わると、天限は最後にそんなことを告げる。身内の恥は身内で拭う……その単純な流儀は、神の世界でも通用するらしい】
【――――今宵。あの宝玉という戦神の決定的な弱点が露呈し、かつ天限という二人目の神≠ヘ人間の味方に付いた、ということだ】


「……幸徳井さん! 皆さん!! ご無事ですか――――!?」


【――――やがて。真後ろから爆音が響いてくるのが聞こえるだろうか。ガルマによって溶解させられた入り口が爆弾で吹き飛ばされたのだ】
【軍部の人間たちと、学生服姿の少年――――リチャード・トラヴィスが場に駆け込んでくる。遅まきながらに増援が到着したということらしい】

【傷はあらかた天限によって治癒されてしまったので、救援物資は今更ではあったけれど。戦神をあれほどまでに追い詰めて撃退したのだ、】
【じきにカノッサの兵達も退いていくことだろう。サーバールームに関しても、四人が必死にガルマを引き付けてくれたお陰で殆ど被害も出ていない】

【……無辜の市民や『TRAVIS』の社員、学園生たちの安否。それに他の建物についての具体的な被害報告はまた後日上がってくるはず】
【疲労が残っているのならリチャードに言えば休めるように手配してくれるだろうし、入り口が開通した今、自由に撤退するのも勿論構わない】

【戦神の正体が明かされ、新たなる神が壇上に上がり、緋色の鷹≠フ女の叫びが木霊した。……様々な衝撃が駆け抜ける、神話のような夜を超え】
【一同は今までになく巨大な希望≠掴んだと、そう記していいはずである。人間はあの戦神に対して、勝利以上の確かなものを、掴み取ったのだ――――】


/では、これにて今回のイベントは〆とします! 後半強引になってしまって本当申し訳ないorz
/お疲れ様でした、遅くまでお付き合いありがとうございました!
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 09:26:17.21 ID:9Tl5y266o
>>63>>65-67>>78

【ついに――ついに届いた。勢いを止められずそのまま前へと転がっていったアーシャは】
【大の字になって天井を見上げるのだろう。そして、絶叫が鳴り止むのを待った】
【後は、そう――ミドナだ。彼女を連れて帰らなければ】


そいつはもうお前の父親じゃねえよ――って言っても、多分聞こえてねえだろうけど
とにかく帰るぞ。お前の友達が……鈴音がお前を待ってっからよ


【そう言って立ち上がろうとして、膝を突く。どうやら痛みはなくとも疲労は深刻らしく】
【回復を待つ間、佳乃――いや天限とガルマの会話に耳を傾ける】


(なるほど……ホンモノの神じゃあなかったってことか
 じゃあ早い話が、あの宝玉を粉々にすりゃあいいってわけだ)

生憎と俺は人の命を奪うことに抵抗が無え
ちっとミドナにゃ悪いが、お前のような悪はこの場できれいさっぱり消滅させてもらうぜ
正義の味方として、な

ておい、ここまで来て逃げんじゃ――ああクソ、マジかよ。せめてミドナだけでも置いてけってんだ


【回復してきた身体を伸ばして立ち上がる。あと、一撃】
【しかしさっさと逃げられて――悠長に休んでいたことを後悔した】
【これでは友に顔向けできない。ガントレットを解除し、頭をばりばりと掻くとその場に座り込んで……寝転んで】


腕の中で、ね。……じゃあ遠慮なく休ませてもらうぜ
膝枕とかは要らねえからよ。ちょっと寝かせてくれ……


【そう言うと本当に寝てしまうのだろう。少しすればぐぅぐぅといびきが聞こえてくるだろうか】
【――その後、すっかり傷も癒えた後、入口が吹き飛んだ音で彼は起きる】
【疲れた顔もそこそこに立ち上がると、リチャードに「腹減った。飯食いに行こうぜ」などとぬかしつつ】

【聖域と化したその場所から、彼は撤退してゆくのだろう――】

//お疲れ様でしたー!
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/07/06(日) 11:46:02.32 ID:kRzKx31Do
>>60-61
【作為的に使われてしまえば―――そう、結局、その法律という物すらも、無力になってしまう。】
【法で裁けぬ悪が居る事も、セリーナは良く知っている。そして、そんな人間を影ながら裁く存在が、居る事も。】
【だがかと言って、その全てを人が裁くようになれば次に向かう先は何処か―――そう考えると、矢張り彼女に賛同は出来なかった。】

  ……人がピュアなままで居られるのなら、人が人を裁く事も受け入れられると思うよ。
  けど……ごめんね。これは、多分アタシの心が弱いからだと思うけれど―――……。
  アタシは、『コレ』を握り続ける限り本当に幸せになれるとは、どうしても『思い込めない』んだ……。

  人を救う事は出来るかもしれないし、誰かの道しるべになることも出来るかもしれない。
  けど、何処まで行っても……その為にアタシが行使するこの"力"<相棒>は、暴力だから。
  ピュアなままで、居られなくなったら……そのときに、アタシの銃が何を喰らうのか。

  ―――後悔だけは、もうしたくない。だから、アタシは恐れ続けるんだ。
  たとえ法が不完全でも……真実の元に、人が裁かれる事を信じて。

  だから―――――――――――――――――……

【ピュアなまま、自分を貫き通せるのならば。それもまた、正しい事なのかもしれない。】
【但し、正義という大義名分を得て、人を救うという行為に勤しむ彼女ですらも、どうしてだろうか】
【矢張り『恐ろしい』と思ってしまうほど―――暴力という力の持つ闇の深さは、計り知れない。セリーナは、目を伏せた。】

【自信が無いわけではない。自分を失う事があれば、それは敗北に繋がるのだから。】
【だが、それ以上に、怒りや負の感情に呑まれる事があれば―――敗北よりもっと、最悪な結果を生みかねない。】
【例えば、自分自身が、悪意を生み出す側に回ってしまう事だって―――そう、今は別としても、今後そうなる事も、あり得るのだ。】

【―――結局、結論は出ていた。人が不完全である、という点では一致している。二人の意見は、底では一緒だ。】
【だが、その先に見据えているものが少しずつ変っているのだろう。そしてそれには、どうやら深い、深すぎる理由が有って。】
【トライデントの口から語られた衝撃の事実に対し、セリーナは息を呑んで―――そして暫くの間口を塞ぎ、グラスをじっと見つめていた。】


【ようやっと、口を開いたとき。彼女は突き放すように、こう言うだろう。】



  ――――――――――――でも、もう死んだよ。


【あっけらかんと、半ば挑むように、グラスから彼の眼に視線をあわせ、言い放った。】


  ――――――――――――この手で確かに、アタシが、アタシ自身が、殺したんだ。

  ……もう存在してない。君が恨みに恨んだ、最低最悪の血縁者は、もう存在してないんだ。

  ……"父親"を[ピーーー]事だけ考えてきて。悪意を滅ぼす事だけを目的として。
  否定に否定を重ねた君の人生の、結末がこれだ。


  ―――望みどおり、人の手で裁いてやったよ。どうだい。トライデント君。


【セリーナは、取り外した"ガン・ベルト"をカウンターにたたきつけるようにして、置いた。】


  ……良い気分なんて、しちゃ居ない筈だ。君は何も納得してない。
  それがアタシの言いたい事だ。目的が果たせた筈なら、何故君はそうも怒っているんだ。
  絶望しているんだ。それは君自身が―――……君自身を、どこかで"怖い"と、そう思っているからじゃないのかい?


  ―――忌まわしい遺産であると思うのなら、それこそ。君は君自身を客観的に見れていないじゃないか。
  そんな人間が……本当に悪意を前に、"正義である事"を保ったまま……戦い続けられると、本当にそう思うのかい。

  ……変えていかなくちゃ、いけないんじゃないかな。やり方じゃない。先ずは、君自身の為に。
  君が君を愛せるように―――変っていかなくちゃ、いけないよ。そうじゃないと、君のやり方はいつか、君を滅ぼす。

【それでもよい、と彼が言うのなら、それもまた一つの結末かもしれないが―――セリーナは、静かにそういった。】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 12:49:39.49 ID:V2or2+qWo
【どこかの町外れ】


ふぅ……最近すごく暑くなってきたなぁ……
そろそろ夏服とか、買ってきたほうがいいかも……


【じりじりと太陽が照りつける昼の街中】
【日中でも歩く者の少ない町外れの一角に建つ、小さなお店の前に一人の少年の姿があった】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【少年は頭には麦わら帽子を被り】
【手に白いアイスキャンディを持ちながら、花壇の前に積まれたレンガブロックに座っている】


でも、どういうのがいいんだろ……?
男の子らしい……カッコいいのがあればいいんだけど……うぅん


【のどかな昼下がり、少年はアイスキャンディをペロペロと舐めて身体を冷やしながら】
【燦々と輝く太陽に麦わら帽子を目深に被り直しつつも、ゆっくりと店前で平和な時間を過ごしていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物である】

【本日もマイペースに、のんびりと開店中であった】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/06(日) 13:36:41.29 ID:k0FanwLL0
>>80

……間違う事を恐れるのは、誰だってそうさ…………だからこそ、自分に問いかける……そうして、確かめるんだ……
諾々と流されてしまう己もいれば、五里霧中になってしまう己もいる……そんな中にある、信じられる答えを……確かめるんじゃ、ないか……
……最後に頼るべきは、いつだって己自身だ……他の誰かに仮託する事なんて出来ない、自分自身の、自分だけの、命なんだからな……

【大人しく間を置く事で、多少は身体もハッキリとしてきたのだろう。お茶を啜りながら、トライデントはそう答える】
【自分の振るう力が過ちでない様に、自分に確かめてこその力だと。そして、だからこその戦いであり裁きであると】
【じっと湯のみの中のお茶の水面を見つめながら、トライデントは赤みの差した顔で告げる】

――――『そう』だろう、セリーナ…………この瞬間で、俺と言う人間が、まるで違って見えたはずだ

【すっと目を細めて表情を引き締めながら、トライデントは絶句するセリーナに問いかける】
【トライデントの戦う理由、その――――トライデントの言葉を借りるなら『因果』すなわち『原因』が晒されて】
【セリーナ自身、上手く言語化出来た訳でも無いだろう衝撃が、確かに走ったはずだ】
【そしてトライデントは、既にその正体を大まかに理解しているぞ、と言う様に、真剣な――――いつもの苛立ちすら殺げ落ちた表情で見つめる】

…………おいおい、何を言うんだ…………俺は、グラトンの死を、これ以上なく喜んでるんだ……
俺にとっての、生涯の敵の……その大きな1つが、ようやく下されたんだぞ……俺がアレだけ切望してた事……まさか忘れた訳じゃないだろう……?
俺が、俺自身の手で奴を殺したいと思ってた事も、だからこそ確実を……と言っていた事も、偽らざる、俺の本心だ……

【何も納得していないはずだ――――その指摘に、トライデントは心外だと言う風に否定の言葉を向ける】
【グラトンに死の裁きを。それは確かにトライデントの求め続けてきた事であり、これを『一区切り』と捉えるに充分だと受け止めた事実である】
【要するに――――それは生涯を賭けて望んだ事の、大きな1つではあるが――――決して『ゴール』ではないと言う事なのだろう】
【――――始まりは、そこからだった。だが、いつしかそれだけでは済まなくなっていった――――】

――――――――俺を滅ぼす? ――――――――――――――――良いじゃないか。何が問題なんだ――――――――――――――――?

【コトン、と湯のみをカウンターにおいて、トライデントは真っすぐにセリーナと向き合う】
【その胸の内に秘めている暗闇は――――未だ、底知れないものだったと言う事を、セリーナは知る事になるかもしれない】

……セリーナ。なんで俺がああもくどく「『悪』とは何か?」「『正義』とは何か?」を命題に、問い続けてきたか分かるか?
俺はいつだって折に触れ、今でも自分に問いかけ続けている…………それは、必要だからだ…………
――――俺が俺である事を規定し、俺が俺である事を肯定する為に、必要だからだ…………
俺は、絶対に間違えられない…………これ以上、俺はこの呪われた命を、奴の遺産を、悪業と悲劇の燃料にさせる訳にはいかないからだ……!
…………こんな、どうしようもない命をな…………!

【直接『そう』と口にはしなかったが、恐らくそう言う事なのだろう――――何よりも、トライデントは『己自身』を憎んでいる】
【嘆き、恨み――――それに留まらず、己をすら憎む。そんな自分を肯定させる為に、この生き様を選んだのだと】
【坊主憎ければ袈裟まで憎い――――究極の『因果』の起点足るグラトンに留まらず、その連鎖の一員としての、己自身でさえも。だからせめて間違えない様に】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/06(日) 13:50:33.29 ID:W92WCv330
【ここから先は、後日談だ】

【まず、『TRAVIS』の工業地帯の被害について。中心である『トラヴィス・アロウ・コントロールセンター』を外れた外縁部に関しては】
【残念ながらそこそこの被害が確認されたようだ。……しかしそのコントロールセンター内においては、主要施設が見事防衛された】
【中枢機能を担うサーバールームが無事だったのが何より大きい。あの『後光』の熱で多少トラブルは発生していたが、復旧に時間は掛からないそうだ】

【また、社員達や学園生たちについても大半が救出された。――――これについてはあくまで、「大半」と言わねばならないけれど】
【学園生については特に優先的に避難誘導が行われたため被害も少なかったが、社員達には多くの死者が出た。特に――――】
【カノッサ機関の手先によって社員寮≠ェ爆破され、展望台≠烽ゥなり大掛かりに破壊されていたらしい。人的にも金額的にも、相当大きな被害が齎された】


【被害は決して小さくなかったものの……あのガルマ=ハド=ラジャルードの選定の危機に晒され続けていた人々にとっては、良い情報もある】
【あの男の本当の正体が白日の下に晒されたのだ。ガルマという男自体は人間であり、戦神の宝玉≠ニいう神の魂を宿した宝玉に乗っ取られた、『半神』であるのだと】
【その宝玉こそが、奴の本体――――全ての元凶たる戦神≠フ魂が位置する胸部。そこが、奴の最大の弱点だ】
【あれさえ破壊してしまえば全てが終わる。今回は逃げられてしまったが、次以降の戦いで、これは絶対に役立つ情報であろう】

【――――宝玉が砕ければ。戦神に乗っ取られていただけの、ガルマという憐れな被害者もまた、死を迎える】
【緋色の鷹≠裏切ってまで『父親』を助けんとする、とある女にまつわるその事実もまた、その裏側にひっそりと存在していたが】


【そして、もう一つ。偶然か必然か、あの場に唐突に姿を現わした『天限』というもう一柱の神≠ノついて――――】
【その後の話では、彼女は幸徳井佳乃という少女に神気≠フ力を与えている張本人であり、長らく眠りについていたが、戦神の覚醒に呼応して自らも目を覚まし】
【いまは彼女の体を拠り代に具現することが出来るのだという。そして――――あの戦神に関する騒乱に限って、人間に力を貸すとも言っている】
【彼女の正体、彼女の目的。不明に思う点は多いだろうが、確かに協力は取り付けられた。戦神の弱点を掴み、戦神に匹敵する別の神の助力も得られたのだ】

【ここから先のガルマとの戦いは、今までのようにやられっ放しでは決してない。もっと有利に、着実に、奴を追い詰められるはずだ――――】


「以上が、私どもから提示する条件になります。

 今回の事で私たちは、保安≠ニいうものの大切さを思い知りました。社員の皆さまの悲しい犠牲に報いるためにも……。
 『TRAVIS』の代表として、戦いの惨たらしさを思い知ったものとして、目を逸らすわけにはいきません。

 ――――『TRAVIS』は今後、自警団、軍、警察、そしてSCARLETを初めとする全治安維持組織へ、金銭的な支援を行っていきます。
 また、公式的でない私設組織の皆さまにおきましても申請さえして頂ければ、活動等の審査を行った後、同様の支援を行うとお約束します。

 私たちには、この程度の事しか出来ませんが――――世界の平穏のため、皆さま方のより一層のご活躍とご武運を、心よりお祈りいたします」


【そして、最後にもう一つ。以上は此度の襲撃事件の数日後、『TRAVIS』次期社長のリチャード・トラヴィスが行った公式会見での発言である】
【その言葉通り、じきに各国の正義組織へ『TRAVIS』からの出資が開始されるだろう。金銭的支援という目立たない面ではあるが、確かな力になってくれるはずだ】
【スーツを着込んだリチャードが、他の重鎮と共にカメラの前で深々と頭を下げる姿は、全世界に配信されて大きな話題になった】

【――――三度もの選定≠通じて、人々は強さ≠身に着けようとしていた。敵の弱点を探り、互いに協力し合って、一歩一歩着実に悪を追い詰めていく】
【戦神の言っていた鍵≠ノ、あの男≠ネる人物。敵の背後にもまた黒々と陰謀が渦巻いているけれど、】
【先日の戦いで四人の勇者が掴み取った手掛かり。そして、その前に神と対峙して打ち勝った精鋭たち。彼らの希望は確かに、神≠フ喉元へと伸びつつあるのだった】


/以上で『神話』イベントは全工程終了となります!
/参加者の皆様、ありがとうございましたー!!
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 14:52:55.22 ID:rbl9vLCXo

【 ホテル 】


【日曜の昼。宿泊客も大方出払い、フロントには数人の客と従業員しか残っていない】
【──そんな穏やかな光景の中、明らかに『異質』な人物がソファーに腰掛け、テレビを眺めていた】



〈今回の事で私たちは、保安≠ニいうものの大切さを思い知りました。社員の皆さまの悲しい犠牲に報いるためにも……。
 『TRAVIS』の代表として、戦いの惨たらしさを思──【ピッ=z〉


朝からこのニュースばっかりやんけ。株主でもないんやから、一回見たらええっつーの。
……つーか、お笑いやってないんかこの国。こんなけ無駄にチャンネル有んのに。


【絢爛、ではなく、派手なストライプのスーツを身に付けた、金髪にメガネの男である】
【金髪は恐らく染めた物だろう。癖の強さと相俟って、おおよそ『上品』なそれではない】
【──我が物顔でチャンネルを回しているが、見た目と、他にテレビを見る者も居ないこともあって、放置されている】


【──、と。 少し、ホテルの前、ロータリーが慌ただしくなってきた】
【どうやら、何か上客≠ェ来るらしく、ボディガードらしき者達が車から降り、周囲を見回している】
【続いて滑り込んで来る『リムジン』。ホテルの前に停車し、ボディガードによって扉が開かれて ── 】




          【    ドン <b!!   】





よっこい、しょ──っと。……ちょーっと火薬多いんちゃうか。



【──鼻を鳴らし、眉を顰めると。 派手な男は立ち上がり、『爆発』の起こったホテル前のロータリーに歩を進める】
【ホテル正面の窓が割れ、飛び散った血液混じりの硝子が彼の足元、パリパリと音を立てていた】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/07/06(日) 14:57:23.23 ID:kRzKx31Do
>>80

【『悪』を『悪』として、自らの手で裁き続ける生涯―――それは、セリーナにはとても辛く、そして長い物に思えた。】
【そんなことを続けていれば、いつかその力は自らを貪り、食い破り、そして外へと放出されて、誰かに伝染していくだろう。】
【長く、辛く、終わりの見えない修羅の道―――だが、それでも望むのならば。食い破られないよう、悪意と戦い続けなくては、いけない。】

【セリーナは違った。そうならないように、力に乗っ取られてしまわないように、過程の中に自らの正義を納めた。】
【だが―――もし、その膨れ上がり続ける悪意と戦い、そして死ぬまでそれに抗い続ける事が本当に、出来るのならば―――】
【最後まで、手を下すその瞬間まで、正義を執行する事は確かに、可能なのかもしれない。トライデントの選択は、正にそれだったのだ。】

【セリーナの、『疑う』というスタンスとは正反対の―――否定し、最初から信じないという、スタンス。】
【あくまで、彼女は彼女でいられる道を選んだのに対し―――彼は自分の生れを知って、贖罪に身を捧げる決意をした。】
【もう、グラトンの名がこれ以上広がらないよう。その力の一端である自分自身を、抑えて、そして否定して、否定し続けて、戦うという事。】


  ―――……それはもう、肯定とはいえないよ。
  君がしているのは、本当の君自身をどこまでも否定する事と同じだ。
  間違った自分、大悪人の息子である自分、忌まわしき存在の自分、それを認めて、噛み締めて……
  負の遺産だと、君自身がそう『思い込む』事は……それは、もう肯定じゃない。人間の否定だよ、トライデント君。

  血縁だけが全ての引き金になり得るわけじゃあ、ない。
  確かに、君はあの狂人の血を継いで生きてきたのかもしれないけれど―――
  其れを理由に、君が君自身を恨み続ける事は、言わばグラトンの思う壺、其れ其の物にも見えるよ。

  だって―――君は、囚われているじゃないか。グラトンの残した呪縛に。

  本当に君が、心の底からそう思っているのなら―――君は、何より自分で死を選んだ筈だ。
  死ねば、もう本当に何も残らない。けれど、君は今も生きている。恐れながら、否定しながら、生きている。
  それは何でだと思う? そんなの、聞くまでもないよね。


【じっ、と見つめた彼の瞳から―――何か、暗いものが心の中へと侵入してくる。】
【けれど、セリーナは視線を揺らがせる事無く、トライデントの事をただ、静かに見つめ続けるだろう。】


  ―――誰も、死にたくなんてないんだ。人間は生きる為に生まれてきた。
  沢山遊んで。沢山笑って。沢山泣いて。大人になって、恋をして、子供を作って。
  そうしてまた、次に誰かの幸せを生み出せるように―――自分の見てきた何かを、残す為に。

  人は皆、死なずに生きたいとそう思うんだ。誰にもそれが、赦されてるんだ。
  アタシがさっきから言ってた、アタシの護りたい『自由』って言うのは―――つまり、そういう事。
  君のその、何もかもを諦めた態度がどうして怖く見えるのか、君の言葉を聴いて今よく分かったよ。

  ―――トライデント君。君にも自由がある。けれど、君は自らそれを『放棄』してるんだ。
  だからアタシには、とても不気味に見える。歪んで見える。ハッキリ言おうか。

  
  ……"どうしようもない命"なんてモノは、存在しない。
  
  ……けど。君に、ここでアタシが何を言っても、きっと君は納得できないだろう。
  だから―――忠告として、胸の内のどこかに、置いておいてくれると、嬉しいな。

  ―――永遠に自己を否定して、生き続ける事なんて出来ないよ。
  なぜならね……生きて、生きて、生き続けた先に、誰かが、君を心の底まで、肯定するだろうから。
  そんな人間、いないって思うかもしれない。作っちゃいけないとも思うかもしれない。けど、君はまだ17歳だ。

  これからの人生は、君にとって長い。長すぎるくらいだ。だから―――想像もしてない事が、次々に起こるよ。
  そのときに君が……こんな生き方を続けていたら、絶対に後悔する事になる。断言しても良い。

  ……大切な人を、悲しませるような結果にだけは、しちゃだめだよ。


【―――セリーナは、そこで言葉を切った。それ以上は、何もいえない、とった感じで。】
【冷え切ったグラスから、残り香のアルコールが鼻腔を突いて―――二人の間に、虚しく散った。】

/置きの件、了解いたしました。引き続きよろしくお願いします。
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/06(日) 15:19:30.09 ID:8jSD998do
>>81
【少年が店の軒先に座り込んでいると、陽炎の向こうにふとそちらへと向かい来る人影が見える】
【長身に白皙、肩ほどの長さで切り揃えられた、青みがかった黒髪】
【シャツの上から七分丈のジャケットを羽織り、細身のチノパンを穿いた若い女性だ】
【腰のベルトには洋装に不釣り合いな櫻風の拵えの刀が、大小二本吊ってある】
【この茹だるような暑さにも関わらず──事実、女の額にも珠の汗が浮かんでいるが──その表情は至って涼しげだ】

失礼。店主はいるか? もし差し支えなければ、少々お話を伺いたいのだが。

【女はつかつかと店の前まで歩を進めると、膝を折って少年の目の前に屈み、堅苦しい口調で彼に問うた】
【まさか今自分が話し掛けている相手がそうだとは、露ほどにも思っていない様子である】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 16:09:54.13 ID:YnacEsVJo
【人里から少し離れた森の中】

【やや開けたその場所では、一人の大男が同じく大きな豪槍を振るっていた】
【どうやら、修練だろうか。彼は修道服を着ているが、上半身はそれを脱ぎ捨て裸の状態だ】
【筋骨隆々の肉体には傷も多く、さぞ長い時間居るのだろう。汗もびっしょりと掻いていて】

【――ズンッ!≠ニ振るった槍が樹の幹を半ばまで斬り進め、刃が止まる】

【しかし、其処からが見ものであって――彼はそのまま、全身に力を込めると】
【鋼鉄で出来ているのだろう槍の柄が思い切り"しなり"、徐々にメキメキと――】
【巨木の幹を断ち、そしておよそ30秒もすれば――周囲には巨木の倒れる轟音が響くことだろう】

……ふん。まあ、こんなものか……木を相手にするのは物足りんが
かと言ってそうそう手合わせの相手が見つかるでも無し……休憩にでもする、か…。

【やがて彼は今しがた作った切り株に腰掛けて、一息吐く。今日は日も強い夏の気候だ】
【その分、森は避暑に最適だが――彼の周りだけはなんというか、実に蒸し暑そうなのだった】
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 16:15:33.74 ID:V2or2+qWo
>>86

えっ……あっ――わ、わっ……!


【女性の姿を視界に捉えて、その存在に気づいた少年は】
【ふと、今の自分の状態を思い出して慌てた様子の声を上げた】
【アイスを食べながら"お客様"と話すなんて、商売人として許されることではない】

【急いで残りのアイスを口に含んで嚥下し、残った棒をレンガの上に置くと】
【麦わら帽子を外しながらその場から立ち上がった】


えと……お恥ずかしい姿をお見せしてしまって……ごめんなさい
ぼ、僕が<Fairy's Gift>の店長の……ジョシュア・ランドバーグです


【言葉通り、先程の姿が一店長として恥ずかしい物と認識していたのだろう】
【微かに白い肌に朱を混じらせながら、ペコリと礼儀正しくお辞儀をして】
【懐から名刺を取り出し「どうぞ……」と、彼女に差し出す】

【名刺にはジョシュアの名前と、店の名前や電話番号】
【そして「第二種一級魔工技師」という肩書きが記されていた】


それで……お話とは一体なんでしょうか……
その……もし込み入ったお話でしたら……外は暑いですし、店内にご案内しますよ?


【名刺を受け取るにせよ、しないにせよ】
【ジョシュアは女性に対しておずおずと尋ね返す】
【外で話すか、中で話すかは彼女の返答次第になろうか】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 16:31:20.16 ID:rbl9vLCXo
>>87


……た、 助けてくださいぃー 誰かァー──。

【──巨木の倒れた方から、情けない声が聴こえる】


【もし、少しだけ腰を上げてそちら方を見たなら、仰向けに倒れ込んだ男が見える】
【瞳を隠す胡散臭い黒サングラス、ワンレンの赤い長髪。──身に纏っているのは、黒のキャソック】
【服装から見て、『同業』かそれに類する者だろう。 周囲には聖書等、別世界風に言えば『基督教』の用具一式が散らばっている】


【彼は丁度、倒れてきた木の『曲がった』部分に足首を挟まれている──】
【地面と木で即席の足枷が出来ている、と言えば分かりやすいか】
【──、怪我は無さそうだが、妙な獲物が引っかかってしまった】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 16:48:04.73 ID:YnacEsVJo
>>89

……、ん…―――?

【その声に気付くのは、周りが静かだったのもあって比較的早かった】
【槍を一度置いて足を向ければ、やがて見つかるのは一人の男性】
【どうも同業らしいが――それより問題は、木の下敷きだという事実だろうか】
【大男はそれを見て『ふむ』と呟けば、倒れた巨木の下に両手を差し込み――】

――――ぬ、オオォォぉぉぉぉぉぉぉ……!!

【何のトリックも術もなく、超重量の丸太を持ち上げる―!】
【純粋に怪力なのか。それとも、その右腕が"黒鉄の義肢"である事が関係するかは分からないが】
【ともかくこれはチャンスだ、暫くの間なら木が浮くから、抜け出すことも可能な筈だった】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/06(日) 16:56:42.28 ID:8jSD998do
>>88
【こちらも立ち上がって返礼し、名刺を受け取って一瞥。懐から取り出した名刺入れに納めると】
【先程までの少年の行動については特に気にした風でもなく、「そんなに急いで食ったら、頭、痛くないか」などと一人ごちて】

これは申し訳ない。……人は見かけによらないものだとは判っていても、つい、な。
アポも取らずに押し掛けたのはこちらだ、あまり気にしないでくれ。
水の国の冒険者ギルド所属、識槻 朔夜だ。朔夜でいい。

【畏まった様子の少年に対し、鷹揚な態度で応じる】
【名乗り返したは良いものの、生憎女には名刺や身分証明書などの持ち合わせがないらしい】
【だが、もし少年がギルドに対し問い合わせてみるのならば、彼女が登録冒険者である事が判るはずだ】

義肢についての話だ。と言っても、今すぐに入り用という訳ではないよ。
加えて、些少だが素材のサンプルを用意した。こちらについても、見てもらえれば助かる。
少し長引きそうだ。もし店内で話せるのならば、その方が良いだろう……予定があるなら日を改めるが。

【どうやら商談らしいが、今日注文を行うわけではないとの事だ。商品の仕様についての下見、といったところか】
【女は少年の提案に同意し、その後に、もし先約があるのであればまた次の機会に、と付け加えた】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 16:59:05.38 ID:rbl9vLCXo
>>90


あぁっ、そこの方!
ここでひとつ現世功徳を積んでみる気は── 、ってうわぁ!

【見た目も胡散臭いが、功徳、などと発する言葉も『聖職者』にしては大概である】
【ともあれ──丸太が持ち上げられると、男は素早く足を抜き、立ち上がり】
【足元に散らばっていた聖書その他を素早く拾い集めると、大男に向き直って──】


──ふぅ。 助かりました助かりました。
矢張り持つべきは隣人!迷える子羊を救った貴方には ── 、


…、…ああ、この樹倒したの貴方ですかぁ。 感謝も半減です。


【頭を下げる──が、その拍子に、槍≠フ存在に気付いたらしい】
【あからさまに恨みがましい様子になると、ドン臭い自分を差し置いて無礼な言葉を吐いた】
【──、まあ、『半分』は感謝しているらしい。 悪意100%で批難しているのではないのだろう】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 17:07:23.08 ID:YnacEsVJo
>>92

【男が樹の下から這い出したのを見れば手を離す。ズシン、と重い音がまた響き】
【大男はそれでまた一息吐くのだった。――顔は爽やかというより、厳しかったが】

生憎と愛すべき隣人も、私を導く主にも間に合っているのでな…。

……それにしても貴様、同業の者だな。
この辺りに教会があったとは記憶していないが、森の中で散歩でも?
それとも木の倒れる音を聞いて下敷きになりに来たか……ま、なんでも構わんが

【そう言葉を返せば―こちらも言葉の全てが本意ではないのだろう】
【フッ、と小さく笑って、件の槍を拾い上げるのだった。およそ3m、20kg近そうな豪槍だ】
【もしかすると強力な聖≠フ力を宿していることも分かるかもしれない】

【また改めて男を見れば、左手薬指の指輪だとか、例の右腕が義肢なのだとか】
【或いは顔立ち――これには見覚えがあるかも知れない。ゼン=カイマ≠ニいうワードを知っていれば、だが】
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 17:10:49.90 ID:V2or2+qWo
>>91

は、はい……朔夜さん、ですね

お話は判りました……では、店内で詳しくお聞きします
その……見ての通りといいますか、特に予定はないので大丈夫ですよ


【朔夜の言葉を聞いて、その身分を疑うことなく受け入れる】
【先ほど暇を持て余した様子を見せてしまっていたせいか】
【「予定があるなら」という声に少し気恥かしそうに返しながらも】
【店の方へと身体を向けて、ゆっくりと扉を開き彼女を導こうとするだろう】


【特に何事もなかった場合は、二人で店内を進んでいくことになるだろうか】

【店の中は小洒落た外観とは違い、実用的な造りをしている】
【左右に並んだ無数の棚には、鉄などで出来た人工の腕や足が陳列されており】
【ガンパーツや、様々な種類の魔銃のサンプルもエリア毎に細かく区分されて置かれていた】

【その他には何に使うのか】
【人体模型や大きな水晶玉、妙な形の筐体なども設置されている】

【途中立ち止まることなく進んだならば】
【奥にあるカウンター席の方まで歩み、ジョシュアは椅子を引いて朔夜を誘う】
【そして、自身はカウンターの向こうへとトテトテと歩いていき、キャスター付きの椅子に腰を下ろすだろう】


【上記の行動は、最初の店内に導く動きが成立した場合であり】
【もし店内に進む前に何かがあれば、内装を見るのはもう少し後になろうか】
【また、カウンター席に進む途中で質問などが投げかけられれば】
【ジョシュアはそれに応える事だろう】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 17:24:02.86 ID:rbl9vLCXo
>>93

【彼の『顔』を見て──サングラスで瞳は見えないのだが──、男は少し、怪訝な顔】
【見覚え、ぐらいは有るのだろうが、何処かの新聞か何かで見た程度なのだろう】


……、あぁ。えぇ、どうやらその様で──。
一応、近くの村に教会≠ヘ有りますが──、『中央』の方の方なら、ご存じないでしょうねぇ。
傍流も傍流。 前任が死んで途絶えかけてたのを、数年前に私が継いだトコロです。


【『中央』と言うのはつまり、ゼン=カイマ%凾ノ代表される、一大宗教地の事だろう】
【──、つまりは、そんなところの者達からすれば歯牙にも掛けられない、田舎の教会】
【所在地が正確に記録されているかすらも危うい、というところか】


それより──まぁ助けて頂いたのは事実ですし、お疲れのご様子。
私は今から『村』に帰るところだったのですが、着いて来て頂ければ、お飲み物位は出しましょう。


【「こっちです」と──自己紹介もせずに、男は歩き始める】
【彼について行くのなら、十数分は道無き道を歩むことに成るだろう。着いて行かないのなら、彼は戻って来るのだろうが】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 17:34:44.01 ID:YnacEsVJo
>>95

成る程……わざわざそのような場所で努めを果たすとは
どうやら第一印象とは中々違った根性を持っているようだな。
……『妙な奴だ』と思ったが、撤回しよう。苦労も多かろうな、このような場所では―……。

【彼――フレデリック、と簡単に此処で名乗るのだが――彼はそう、ゼン=カイマの人間だ】
【地方の教会など時折趣く程度だし、田舎となれば見たことも無い】

【ただ、大変だろうことは察せられて、それを引き継ぐ心を持つだけでも】
【彼には随分崇高な事に思えたらしい。言葉少なに相手を労えば】
【次の提案には一つ、首肯して答えるのだった。水の一杯でも貰えるなら有難い、と付け足して――】


【――それからは暫く歩きとなるか。フレデリックは修道服をきちんと着直し】
【槍は転移の魔術を用いて何処かへとやってしまった。道中、自分から話題を提供するでもなく】
【少しばかり、空気は悪くなるかもしれないが――そういう人だと分かれば、格別思うことも無いだろうか】
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 17:47:47.19 ID:rbl9vLCXo
>>96


【 ── 獣道を通り抜けると、眼下には渓谷の村=z

【谷と言っても、それほど険しいものではない。 なだらかな稜線には草木が生い茂っている】
【十数件の家が立ち並び、中央には風車。 ──教会は、葡萄畑の傍だ】
【森に囲まれていることもあって、まさしく秘境≠ニ言って差し支えない風景だった】

【村へ降りると教会へ向かう彼に、住人が挨拶し──フレデリックにも、挨拶が飛ぶ】
【彼の言う通り、一応、『努め』は真面目に果たしているのだろう】


…、…いやはや、埃っぽくて申し訳ない。
一週間ほど、留守にしていましてねぇ。 ──、ま、この様子の村ですから。
私の『特別の仕事』は夫婦喧嘩の仲裁ぐらいで。


……じゃ、ちょっとお待ちを大司教=B


【──最後、投げた言葉を鑑みるに、名前≠ナ気付いたらしい】
【それでも全く、調子の変わった様子が無いのは、そういう性格なのだろうか】


【教会の扉を開き──入口近くのテーブルを薦めると、彼は奥へと消えてゆく】
【飲み物でも取りに行くのだろう。 テーブルと椅子は古びているが、彼の体重を支えるほどには頑丈そうだ】
【教会の内部の風景は、別段、変わった様子は無い。 ──、極めて、「普通」だ】
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/06(日) 17:56:23.77 ID:8jSD998do
>>94
【客足のないのを恥じるような少年の返答に、確かに、よくよく考えれば──と思えども口には出さない】
【招かれるがままに店内へ足を踏み入れ、内装やショーケースの中身などをしげしげと眺めつつも道中では特に何を問うでもなく】

あの水晶玉……卜占の類いをするようには見えないが、何かの魔具なのか?
……あと、あっちの……何と言うか、繭?みたいなのは、星の国や水の国の大会会場併設の訓練場で見たような気がする。
壊すばかりが能の私だが、いや。いつ見ても、こういうものは興味深い。

【静かに着席してから、微かに目を輝かせて口を開けば、そう一息に捲し立てた】
【傍目には解りづらいがこの女、子供のように知識欲の旺盛なところがあり】
【少年の専門である魔導工学にもまた、並みならぬ興味を寄せているようだった】

……ああ、失敬。それで話なんだが、ジョシュア。魔導義肢というのは、装着者に対して魔術適性を求めるものなのだろうか。
たとえばこのサンプルの持ち主──新大陸に生息する古龍種のような、魔術を受動的或いは能動的にレジストする生物であったり、
ごく偶にいるような全く魔翌力を持たない類いの生物であったり……そういうものに対して、或いはそういうものを使って、義肢を誂える事は、可能か?

【ややあってふと我に帰った女は、続けて本命の質問に入る】
【立て板に水、とばかりにつらつらと喋りながら、取り出してカウンターに置いたのは黒い何かの破片だ】
【女の言葉から恐らくは龍の鱗であろうとは推測できるが、それにしても、随分な質問ではあった】
【しかし、単純な知的好奇心の顕れ──いわゆる冷やかし──にしては、その表情は真剣極まりない】
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 17:59:41.93 ID:YnacEsVJo
>>97

(…――ほう、渓谷に少数で寄り添う形の村……そしてその司祭、か)
(どうやら慕われているようではないか。胡散臭いと少しでも思ったのは、過ちだったな――。)

【牧歌的な風景を尚も止める村に辿り着けば、彼が持つのはそんな感想だ】
【挨拶をされれば小さく笑って返す。見た目は厳つく、取っ付きにくいが】
【決して悪人ではないのだと誰にもそれで分かるはず】

なに、埃っぽいなど……荒れ果ててでも居ない限り、教会は教会だ。
平和なればこその状態と思えば、案外悪くないものよ

……あぁ、では待たせてもらおうか。…――呼び名は、何でも良いのだがな

【やがて教会に入れば進められるまま椅子にそろりと腰を下ろす】
【実に静か。教会とは得てして神聖な雰囲気と、落ち着いた空気を持つものだが】

【もう少し物理的な――人気の無さとでも言おうか。良い意味でのそれを感じ取り】
【他の椅子だとか、司祭の立つ壇だとか、天井なんかに目を走らせるが】
【特別なにもないとなれば、後はじっくりと待つばかり。目を閉じて座るその姿は】
【一見すれば寝入っているようにも見える――かも、知れなかった】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 18:11:51.78 ID:rbl9vLCXo
>>99


【教会の椅子も、壇も、天井も、総じて『古い』。 数十年前からのものだろう】
【彼が言っていた前任≠フ代から使われている、というのは、想像に難くない】


葡萄酒も一応、有るには有るのですが。
仮にも聖職者が真っ昼間から飲酒、というのは宜しくないでしょうし、ねぇ。


【暫くすれば、男が戻って来る。 手にしたコップにに入っているのは、紫色の液体】
【──彼の口ぶりと、脇の葡萄畑から察するに、『ぶどうジュース』だろうか】
【彼の前にひとつ置くと、自分の分を持ったまま、フレデリックの向かいに腰を下ろした】


……名を、名乗り忘れてましたねぇ。
私、ファン・イグナシオ=デルヴェッキオ≠ニ申します。

こんな田舎でも、色々≠ニ『フレデリックさん』のお話は聞いていますよぉ。
ま、新聞に載ってる以上は知りませんが。──最近じゃ何か『基金』を立ち上げられたり、ご活躍のご様子で。

【「色々」と言うのは、『善しも悪しも』、と言外に示しているのだろう】
【が、決して多くを知るわけでもなく、悪感情を抱いている訳でもない──】
【最後に「善し」の方を付け足したことからも、後者に関しては明白だ】
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 18:22:06.16 ID:V2or2+qWo
>>98

あ……はい。あの水晶はですね、"魔翌力計測器"になってます……
波長とか、強さとかを知りたい時に使う魔道具でして
僕の魔術で計測するのが難しい……特殊なモノを加工するときなどに使います

それと繭?……っていうのは、"魔導VRシステム"の事でしょうか?

うぅん……説明するのはちょっと難しいのですが
一般的に使われる機械式のとは違って……"幻術"を使って仮想空間を形成する装置です
昔から少しずつ作っているのですが……まだまだ完成には遠くて、お恥ずかしい品です……――


【朔夜の投げかける質問に、たどたどしい口調で答えていくが】
【今の品々を語るときの口調に、若干ながら楽しそうな声色が混ざっていたのに気づいただろうか】
【自分の仕事や作品に興味を持って貰えることは、ジョシュアにとって嬉しいことだ】
【思わず頬を緩め、柔らかく微笑みながら語っていく】


【――】


これは……――


【カウンターに置かれたモノが何であるか、ジョシュアは即座に察しがついた】
【龍鱗……特殊素材を扱う資格を持つジョシュアでも】
【両手の指で足りるほどしか見たことのない、入手、加工の両難度共に高い代物だ】
【それに朔夜の告げた通りに"古龍"の鱗となれば、紛れもなく初めて見る高位な素材であろう】

【知らず、大きな唾をゴクリと嚥下しながらも】
【ジョシュアは一度深呼吸をして気を落ち着かせた後に、返答を始めた】


――えと、ですね。
魔導義手は魔術刻印で擬似的な神経を形成して接続するものなのですが……
本人の魔術適正に関しては……問題ありません
僕が調整して……普通の腕と同じように動かせるように設定しますので

でも……ですね。"常に魔翌力を受け付けない"方となると少し難しいです
神経を魔翌力で作り出す以上、それを繋げる工程を行わないといけませんので
意識的に受け入れることの出来る方ならば……大丈夫なのですが……――


【本人の魔翌力適性、魔翌力欠乏などは問題ではないが】
【"魔翌力を弾く"、"無効化する"といった特性の生物に繋げるのには問題はあるようだ】


あと……それを"素材"にして義肢を作るということでしたら問題ありません
接続部分を別の素材にすればいいだけですから……他の義肢と同じように動かすことが出来ると思います

加工が難しくなるのは……確かですけれど――


【そして、そういった素材を使って義肢を作るという事は問題なく行えるらしい】
【これらを踏まえた上で、果たして朔夜の依頼がジョシュアに可能なものであるがどうか】
【その答えを知るために、じっと彼女の瞳を見つめながら待つだろう】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 18:29:54.90 ID:YnacEsVJo
>>100

む……それは然りだ。といっても、私は夜でも飲まないのだがな
……とすればこれはジュースか?…――ふむ、中々……。

【ゆっくりと目を開けて見れば、自身の前に在るのはコップと果汁】
【そういえば、と先ほどの風景を思い出しつつ一口飲めば】
【程よい甘みと酸味が口の中に広がって、悪くない、と零すのだった】

……フッ、やはり知られているか。大体、私は聞いた通りの人間だ
どう思うかも自由だが…――『基金』について知っているのは、ありがたいな

アレは私の妻が始めたものでな。世には孤児と云うのが実に多い
私のせいでそうなったものも一部居るのも確か……贖罪のようなものでも在る。
子供達を救い、育てるための基金だ。……ところでこのジュース、量はあるのか?

【次いで見せるのは自嘲じみた笑み。彼の聖地巡礼≠ヘ同業ならさぞ有名だろう】
【その結果は色々と――それこそ良くも悪くもあった、ということもまた同様の筈。】

【彼の腕だったその時の物だが、最後の言葉はそういう重い話ではなくて】
【もっと明瞭で、それこそ子供≠フような質問だった。貯蔵が在るのなら、という質問だ】
【一応、彼なりに理由は在るのだが――ただ聞けば、ジュースが大好きなのだ、と帰結しかねない言い回しか。】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 18:51:53.91 ID:rbl9vLCXo
>>102


『どう思う』、など、こんな田舎牧師には有りませんよ。
ニュース読んだ時も、「最近物騒だなぁ」、と、思ったぐらいで。
一応は『上』の方から呼び出しも届いてましたが、無視してましたしー。

…、…あー、失言でしたかねぇ。


【早い話、色々な『ゴタゴタ』には興味が無いし、関わるつもりも無かった、と】
【──、『政治上』はあるべき態度でないのだろうが、『職務』を務めている以上、聖職者としては問題ない】
【が、『政治上のトップ』とでも言うべき者を前にして言うべき言葉でもない、と、最後に言葉を付け足して】

【おほん、と咳を一つ払って、喉を鳴らして】
【フレデリックの言葉に、うん、うん、とわざとらしく大きく頷くと、ジュースをひと飲み】


ああ、奥様が。それはそれは。
世には乱すばかりで、治すことの出来ない者が多いですからねぇ。


【──すると、彼は立ち上がって】


えぇ、地下に樽が幾つか──。…、…ご所望なら、お譲り致しますよぉ。
貧乏教会にできる『貢献』と言えば、その程度ですしねぇ。どうぞ、ご自由に。


【「配送サービスは有りませんが」、と前置きして、地下への扉を示す】
【──彼が示す扉を開け、階段を下れば、直ぐに樽の並んだ貯蔵室≠ノ辿り着くだろう】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 19:04:05.22 ID:YnacEsVJo
>>103

……、…――いや?当時の私なら……
第三近衛騎士団≠フ長であった私ならともかく、今は違う。

それに盲目的に従うのは愚物のする事、その点貴様は
まっとうな人間で牧師だと言えるのではないか、イグナシオ?
ま、ともかくだ…――良いジュースだな、これは美味い。

【言葉を誤魔化したりする時、彼は"フッ"と笑う癖があるらしい】
【今回もそうして、イグナシオと同じように再度グラスを傾けるのだった】

……うむ。アレは優しい女でな、その上しっかりした芯を持っている。
敵わんよ、色々と……『シャリエール基金』といっても、構想は彼女のものだからな

さてそれで…――ほう、樽で?それは助かる、幾つか貰いたいものだ

私にも子供が居るのでな。全員血の繋がりは無いが、十何人か。
土産にすればきっと喜ぶだろうと思ったのだが……何、私は転移の魔術が得意だ
運ぶのに問題は有るまい。……礼はどうしたものか、金は一応、在るにはあるが…?

【そう言葉を交わしながら貯蔵室へ向かえば、確かに眼に入るのは並んだ樽】
【仄かに香る芳醇な薫りが中身を連想させる。――そして、尋ねるのはその『礼』に関してだ】

【どうやらただで受けるつもりは無いらしい。となればやはり、最初に引き合いに出るのは"金"であり】
【或いはそれを断るなら、『私にできることがあれば――』と助力を申し出るだろう】
【私的な困り事でも、教会関係でも良し、と。確かに彼は何かと力になりそうだが――?】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 19:25:47.97 ID:rbl9vLCXo
>>104


お子様ですかー。それは喜ぶこと請け合い、でしょうねぇ。
是非、奥様にもご賞味して頂ければ。──料理にも合いますよぉ。
…、…ああ、金は要りません。使い道が有りませんし。

【貯蔵室に向かう彼の後を、イグナシオはひょこひょことついて行く──】
【フレデリックの申し出は、一旦断り。 次いで『できること』を申し出られると、少し考える】
【──、この男にしては、珍しいことだ。先程から、返答は即座に返って来る傾向にあった】


……、そこまで仰られるのなら、お断りするのも失礼ですねぇ。



 【「では」、と前置きして】



 ──、 ≪ Eclipse=@≫


…、…という『名』に、心当たりは有りませんかねぇ。
何、ちょっとした「私事」ですので。無ければ無いで構いません。


【『蝕』、を表す単語──それを『名』とする者を知らないか、という質問】
【──教会に存する記録を通覧していれば、記憶の片隅には残っているかもしれないが】
【それほど、見知った&ィでもないだろう。そもそも、知らない可能性すら低くはない】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 19:38:43.91 ID:YnacEsVJo
>>105

やはり、か。まあ、元より同業……聖職相手に金というのは無粋極まる
何でも私に言えば良い。死ね殺せというの以外なら…、……う、む……?

【Eclipse=\―その名を聞いたフレデリックの表情は実に単純だ】
【いつも通りにほとんど動かないが、明瞭に『知っている』というそれではない】
【が、ハッキリ『知らない』と言わない辺り、何処か引っかかる言葉ではあるようで】

ふむ……済まんが、具体的にどういうものかは知らん。
どこかで見たか、聞いたかはしたように思うが……

……私事とあれば深くは聞かんが、重要な事か?
それであるなら、いずれ”分かった”際には知らせに来るが……。

【結果的には『知らない』――けれども、何処かでそれが何か分かったなら、伝える】
【そういうふうな所に行き着いて、どうするかとイグナシオに尋ねかけ―。】
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 19:40:25.20 ID:EQmUCm1ao
【街中】

【通りの一角に、人だかりが出来ている。不安そうにしている者、好奇心を隠そうともしない者、様々だ】
【人だかりの向こうには、路地裏の入り口があった。警官たちがテープを張り巡らせて、野次馬を遠ざけている】

【その向こうでは、青ざめた顔の警官や鑑識らしき人物たちが動き回っていた。入り口から少し奥に入った場所】
【その場を照らす街灯の光が、路地裏の闇の奥に広がる血痕を浮かび上がらせている】
【殺人現場。それも、相当に凄惨なものであるらしい。野次馬の中にも、運悪く奥の惨状の一部を目にしてしまい、口元を抑えて人だかりを離れる者もいた】

【複数人の遺体。あるいは汚れた地面に打ち捨てられ、あるいは壁に打ち付けられ。ほぼ原形を留めないほどに破壊されていた】
【切断され、抉られ、潰され、見るも無残な有様だ。路地裏のチンピラたちらしい、と野次馬の中から囁き合う声が聞こえてくる】

クヒ……かわいそ、かわいそ、かわいそだよお
あんなにまでしなくたってさあ……フフヒヒ……

【野次馬たちの中に混じって、それを眺めている男が一人。身長の高さに対して幼く見える顔つきをした、丸顔に青い瞳の男だ】
【赤いウエスタンチェックシャツ、青いジーパンにベージュのブーツを身に着け、整えられた短めの金髪】

【幼稚さを感じさせる顔に、軽薄な笑いを浮かべて男は惨劇の跡を見物し続けている】
【その言動に感じられる不穏な色。あるいは、誰かがそれを聞きつけることもあるかもしれない】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/06(日) 19:59:13.30 ID:8jSD998do
>>101

……なるほど。いや、幻術は只でさえデリケートな分野だと聞く。
それでVRシステムを構成するなんてのは、そこらの術師なら早々に断念していても可笑しくない大業だ。
まして独力で……少なくとも、恥じるような事ではないと思うよ。私見だけどな。

通常のVRシステムに比べて、フィードバックによる神経系へのダメージなどの危険が少ない。
その分調整に時間が掛かるため、量産化については難しい……もし出来上がったものを従来品と比較するならば、こんなところだろうか。
……何にせよ、完成を楽しみにしているよ。

【途切れ途切れに説明するなか、話がVRシステムの事に及ぶと、頻りに自らの技量について謙遜する少年に対し】
【女は口の端を僅かに上げて、彼を讃えるように微笑んでみせる】
【この分野については門外漢の彼女だが、少なくとも分かりもしないものに対して無闇に世辞を述べるような事はしない】
【彼女のどこか直截に過ぎる節のある言動や、鷹揚な態度から、少年にも確かにそれが伝わった筈だ】

どこかの企業やら何やらが『新大陸』の開拓に本格的に乗り出したという話は、未だに聞かない。
確か……聞く限りでは、六王教団主導の調査隊が何度か現地を訪れた程度、との事だ。
……こちらの大陸に於いても古龍の存在はごく稀に観測されるが、やはりその素材の稀少性は折り紙付き。

そんな物を只で譲ると言われた時は、思わず耳を疑ったよ。
このサンプルを削り出す時だって相当難儀した。……流石に、貰い物を駄目にする訳にもいかないしな。

【名残惜しいが質問は一旦打ち切って、女は本格的に義手の話へと話題をシフトする】
【驚くべき事にその鱗、彼女の知人からの貰い物であるらしかった】

【今机の上にある破片はどうやら、その一部。外縁部を僅かに切り出したものらしい】
【ルーペか何かで観察してみれば、微かに爬虫類の鱗に特有の、年輪のような成長の痕が窺える】
【そこから鱗の元の形状を大まかに類推する事も、龍鱗を取り扱った事のある少年には不可能ではない筈だ】
【──恐らくは、相当に大きい。年経た成体のそれと見てまず間違いはあるまい】

有り難う。それを聞いて少し安心したよ。今回の目的は、二つあったんだ。
一つ目は、この鱗を用いて私の知り合いに義手を誂えてやりたい、というものだ。
もう一つは──私がこの先、もし戦闘や不慮の事故によって手足を失うような事になった場合、
果たして私が魔導義肢を装着する事は可能か、否かという兼ねてからの疑問について、答えを得る事だ。

……後者は勿論のこと、前者は本人の都合が合わない事には注文の付けようがない。採寸なんかも有るだろうしな。
だから、先程言ったように、どちらも今依頼するという訳ではないんだ。……冷やかしのようになってしまって、申し訳ない。

【説明を受け終えた女は、しばし思案するような素振りを見せたあと、おもむろに首を縦に振った】
【彼女の答えは、是だった。加工難易度の問題については、目の前の少年の言葉を全面的に信頼しているらしい】
【時間を取らせてしまった事について、小さく謝罪を付け加える女。兎も角も、一つ目の問題は解決された事になる】


二つ目の問題についてだが……これを見てくれ。


【女は言うが早いか、懐から小箱を取り出す。見たところ、簡単に魔術的な封印が施されているようだが】
【女が片手の人差し指と中指を立てて、小箱に向けて振り下ろすと、箱の蓋が静かに開いた】
【──魔翌力の流れに干渉し、霊的な回路ごと遮断する。以って術式を破壊し、箱を開けた。女が何を行ったのか、彼には一目瞭然だろう】

このように、私の能力は魔術と相性が悪い。体内の魔翌力と能力とが相互に干渉しあってしまうから、魔術適性の方も無いに等しい。
ただ、体内で魔翌力を循環させたり、体からただ垂れ流す程度ならば問題なく行える。
あそことあそこの棚の魔銃は無理だが、そっちのは多分、撃てる筈だ。

簡単に診てもらえば判ると思うが、意識して干渉を受け入れることも一応は可能だ。刻印と神経を繋げる際の問題はない。と、思う。

【どうやら、説明するよりも見せた方が早い、というのが女の信条らしい】
【簡単な能力の実演を終えた彼女は、いそいそとジャケットを脱ぎ始める】
【もし少年が自分の提案に応じ、そういった適性の検査を始めるとするならば、上着は邪魔だと判断してのものだろう】
//申し訳ない、遅くなりました……!
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 20:25:58.19 ID:rbl9vLCXo
>>106

【よくは知らない=Aとの答えを聞くと、イグナシオはレンズの向こうの眼を細めた】
【「そうですかぁ」、と、それでも変わらぬ様子で返すと──】


…、…いえ、結構です。
貴方が『分かった』なら、その時私も、「分かる」──、そういうモノ≠ナすよぉ。

──さ、これでフレデリックさんから『謝礼』は頂きました。どうぞ、幾つでも。


【──、彼が話す内容は、極めて『抽象的』で、意味が取りにくい】
【だが、『いい』と言っているのだから、『それでいい』のだろう】
【尤も、この語り口は逆に興味を惹くような物だったのかも知れないが──】

【さて、と。 イグナシオは言葉を切って、踵を返す】
【若干サイズの大きいキャソックが地に擦れ、埃を捲き上げ──上階からの日光が、それを照らした】


もう少し、専門的≠ネお話も伺ってはみたいのですが──。
私、これからお仕事が御座いまして。 申し訳ありませんが、失礼致します。
子羊を払わぬよう、教会に『鍵』は不要です。──どうぞ、ごゆっくり。


【そう告げ、彼は階段を上がってゆく】
【もう少し休んでいってもいいらしいが──、彼は、呼び止めねばそのまま、外出するようだ】

/すいません、お待たせしました
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 20:26:45.47 ID:V2or2+qWo
>>108

新大陸の古龍……確か、昔そういった調査があったことは知ってます
それがこの鱗なんですか……


【はぁ……と、熱い溜息が漏れる。それはネガティブな理由による物ではなく】
【希少素材を目にした職人の――"マニア"と言った方が正しいか】
【心を揺さぶり、想像を走らせたことによる結果生まれた溜息であった】

【以前の失敗がある。表面上はお客様の前ではしゃぐような真似はしていないが】
【どこか目がキラキラしているような……早く弄ってみたくてウズウズしているような】
【高価な玩具に憧れる子供の如き気配を、ジョシュアから感じるだろうか】


【しかし、いつまでも見蕩れている場合ではない】
【「コホン」と小さく態とらしい咳を一つして気持ちを切り替えると】
【朔夜の話を聞くようにと心を正した】



そうですね……実際に付ける方に来ていただかないと難しいです
採寸もそうですが……神経を繋げる時に、波長を合わせる必要がありますから……

あ、いえいえ……気にしないでください……!
えと、でもその……必要になりましたら無理はなさらず……早めに訪ねてくださると嬉しいです
出来れば患部の状態が悪化する前に……処置して差し上げたいので……


【謝罪する朔夜に「とんでもない」と言わんばかりに手を振って反応を返し】
【ジョシュアはそんな事を彼女に告げた】
【義肢の製作や取り付けは医療に属する行為ではあるものの】
【この少年は"治癒"に対しては飽く迄も"並"程度の技術しか持ち合わせていない】
【その為、患部が悪化し、壊死していたりする場合は専門の医師や治癒術師を通し】
【最悪手術で肉を切除する必要性が生じる可能性もある】
【そうならないためにも早期治療――もし義肢が必要な状況になったならば、早めに連絡を貰いたいとのことだろう】


なるほど……身体に魔翌力を"循環"させることが出来るなら……多分、問題はないと思います……

ですが異能力みたいなイレギュラー要素が関わっている場合はどうなるか、ちょっと確証は持てませんので
少し診察してみないとわからないかも……って、わ、わっ……!


【そこまで語った段階で、ジャケットを脱ぎ始める朔夜の姿を目に留めて】
【思わず顔を鬼灯のように真っ赤にして視線を逸らしてしまう】
【人体に関わっている以上、女性の肌など見慣れていそうなものだが】
【どうにもこの少年は初心な感情が抜けきっていないようだ】


ご、ごご……ごめん……なさい……お見苦しいところをおみせしました……
ではその……朔夜さん。右手を出して貰ってよろしいですか……?


【未だ恥ずかしそうに顔を少し俯けながらも、ジョシュアは朔夜にそんな事を頼む】
【理由は考えるまでもない、"診察"であろう】
【もしその通りに手を差し出してくれたならば、ジョシュアはその手の上にそっと……自分の手を重ねようとするだろう】
【その行動までが成立した場合は、少年の手から緑色の淡い光が漏れて、彼女の手を通し簡単な"干渉"が行われることになる】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 20:49:27.46 ID:YnacEsVJo
>>109

【――イグナシオの答えに、フレデリックは何事も答えなかった】

【其処に疑問が無かったか、といえば嘘だ。言い回しの妙はもちろんのこと】
【聞きなれないEclipse≠ニいう単語そのものもまた興味を引いたのもまた確か】
【だが、先に『深くは聞かない』といったばかり。深い仲でもなし――】

【結果としては何も聞かず、では――と樽を3つばかり両腕に抱えて】

あぁ、何……仕事ならそちらを優先しろ、私でもそうする。
その代わりと言ってはなんだが、ゼン=カイマに来た時は歓迎しよう

まだ更地ばかりで、大したものも用意はできないが……
我が妻の手料理やら、菓子やら……その辺りは自信を持って勧められる。
……さて、私も戻るとしようか。遅れたが『木』の件、気付かず切り倒して済まなかったな…――。

【そう言って言葉を返せば、イグナシオが教会から外に向かうのと同じようなタイミングで】
【彼の得意だという転移魔術を発動し、それっきり姿を消すのだった】
【噂によれば自他に厳しい鬼のような男だとか言うが――それにしては、最後の言葉は幾分丸いものだった】

/おかえりなさいませっ!そしてちょうどいいタイミングですので、ここらで失礼しますね
/それではお疲れ様でした&ありがとうございましたー!
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/06(日) 21:08:55.20 ID:rbl9vLCXo
>>111



【 ── 十年前、水の国の『教会』で、とある事件が起きている 】


【日曜礼拝の時刻、一般信者が数多く訪れていた教会に機関員≠ェ乱入】
【その場に居た者を無差別に殺害し、そのまま数人の信者と牧師一家を人質に取って立て籠もった】
【──程なくして到着した軍と機関員との間で戦闘が起こり、その余波で、人質は牧師の息子一人を除いて死亡】
【機関員は軍との戦闘で捕らえられ、尋問に掛けられると、『ある言葉』を吐いた後に舌を噛み切って絶命した】



 【  「  Eclipse ≠ノ命じられた 」、と 】



【フレデリックに『憶え』があったのは、その事件に関する記録を見たのかもしれないし、そうでは無かったのかも知れない】
【──その後も幾つかの事件でEclipse≠フ名は機関員の口から発されており、そちらの方を聞いたのかも知れない】
【一般的には、「機関内のフィクサー」として認識されているようだ】




【どちらにせよ、それ以上の事は分かりはしないだろう】
【若しかしたらイグナシオがフレデリックを訪ね、交流を持つことに成るかもしれないが──】
【Eclipse≠フ名が、その口から進んで発されることは二度とは無い】



ゼン=カイマの鬼も、Cloud9≠ナすか。──喜ばしいことですねぇ。



【── ただの、葡萄の匂いを漂わせる田舎牧師。 それが、ファン・イグナシオ=デルヴェッキオ≠セ。 】

/お疲れ様でした
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/06(日) 21:26:49.83 ID:8jSD998do
>>110

……そのサンプルで良ければ、進呈しようか。加工に際して事前に色々と調査する必要もあるだろうし。

【鱗を見つめる少年の目に、並々ならぬ熱がこもっているのを察してか】
【くすりと小さく笑って、女は事もなげにそう提案した。龍鱗の外縁部を削り出した、掌に収まる程度──卵大よりかはやや大きい欠片】
【これについては、好きにして良い、との事らしい】

いや、その点に関しては大丈夫だ。確か、傷口は比較的綺麗に塞がっていた筈だから。
あの野郎。それを良い事に私が何度重心のバランスが狂うからと忠告しても、面倒臭いのか何なのか全部能力で代用しやがる。
何年も音沙汰が無かったかと思えば、今になって連絡してきやがって──それだってたかだかメモ一枚に好き勝手用件並べただけ。
仮にも師事した相手に挨拶の言葉一つ無しだ。いっそ傷口が腐って死にかけてれば少しはマシに……

……あ、「早めに」ってのはひょっとして、私に義手が必要になったら、ことか? ごめん、今のは聞き流してくれ。 

【微笑ましげに少年の様子を観察していた女だったが、「義手を誂えてやりたい相手」の事に思い至ると】
【何やら、苛立ちに表情が歪んだ。只でさえ切れ長の目が更に鋭く細められ、殺気めいた色を帯び始める】
【女はカウンターを指でこつこつと叩きながら、ドスの効いた声で文句と小言を速射砲のごとく吐き出し続けていたが】
【暫くすると正気付いて、勘違いに気付き、話を元の方向に戻した】

ん?……ああ、脱がなくても良いのか。
診察するんなら邪魔になるものは少ない方が良いと思ったんだが。

【ジャケットを脱いで椅子の背凭れに引っ掛けると、ちゃら、と何やら金属質の音がする】
【どうもこの女、帯刀しているのみならず、上着の裏地にまで何か仕込んでいたらしい】
【次いでシャツに手を掛け、半ばまで捲り上げたところで、少年が赤面して顔を伏せてしまったのに気付き】

……意外と簡単なんだな。てっきりもっとこう、レントゲン写真みたいな感じだと思ってた。

【シャツを元通りに着直すと、言われるがままに右手を差し出した】
【こちらの右手に重ねられる少年の手を通じ、行われる干渉】
【これに対して女は、深呼吸を行い、平静を保つよう務める。能力の暴発など起こしてしまっては洒落にならない】

ここまでは大丈夫だな。次に、簡単な魔術を使ってみる。

【魔翌力の循環については、至って正常だ。むしろ魔翌力の量と質に限って言うならば、この女は常人よりも優れたものを持っている】
【だが、それを魔術──術式の組成から言って、微風を起こす魔術だ──に用いようとした瞬間】
【溢れる魔翌力光によって構成されんとした魔法陣が、途端に瓦解して消え失せた。体内の魔翌力循環には已然、異常はない】
【恐らくこれは身体的な問題というより、魔術を行使する際の精神集中によって生じる問題だ】
【極度の精神集中──ある種の変性意識状態下において、意図せずして異能と魔術が重ね合わせに発動され】
【相互に干渉し、打ち消しあっている、と見るのが最も妥当な判断だろう。であれば恐らく、問題はあるまい】
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/06(日) 21:54:26.26 ID:V2or2+qWo
>>113
い、いいんですか……!?……あ、いえ、その……
朔夜さんがくださるというのでしたら……是非いただきたいです……

調査も必要ですし…………僕も個人的に……すごく興味、ありますし――
【朔夜の言葉に、押さえ付けていたマニアの心が爆発し】
【一瞬眩いばかりの笑顔を共に身を乗り出すが】
【すぐに失態に気づき、姿勢を正しながらも彼女の提案に甘えた】
【最後の方は、消え入るようにぼそぼそと呟くような声色だったが――】

その、朔夜さんも勿論ですけれど……朔夜さんの"友人"の方も心配でして
健常な方に、義肢がご入用になった時の話をするのはちょっと不謹慎かもしれませんが……

ですが、安心しました……傷口を適切に処置できているなら
いつ来て頂いても大丈夫だと思います……
ご期待に添えるよう……頑張ってお仕事しますね……。


【ニコニコと淡く素朴な微笑みを浮かべながら】
【朔夜の友人(?)の為に全力を尽くすと】
【小さくガッツポーズのような仕草を見せながら意志を明らかにした】

すぅ……ふぅ……――

【大きく息を吸って、吐く――。】
【同時に、緩やかな魔力の波が手を通し朔夜の身体に伝わり】
【自身の魔力波をソナーのように走らせることで、その波長や状態をスキャンする】

はい、飽く迄も義肢と繋げる時の為の検査ですから……
お医者様とはちょっとやり方が違ってきますね

【骨格や臓器を探るわけではなく、身体を流れる魔力、生命力などの】
【不可視の波長を探査する為の術だ】
【その為、余程特殊な相手でない限りはこうして手を触れ合わせ魔力を流すだけでいい】
【時間にして十数秒か、第一段階の作業を終えると】

――え? あ……助かります。
では……朔夜さん、よろしくお願いします……

【次に何かを言う前に、朔夜が魔術を発動し始める】
【これに関しては問題ない。それどころかジョシュアとしては非常に助かる行動である】
【異能、イレギュラーな要素に起因する特殊体質】
【それを踏まえて詳細を知るには、こうして実際行使して貰った方がより詳しく知ることが出来る】


(なるほど……これなら――)


【彼女の"特異体質"は、義肢と繋げるという作業を阻害する要素にはならないだろうと】
【ジョシュアは判断し、「ありがとうございました……」】
【と告げて、優しく微笑みながらゆっくりと彼女から手を放した】

【そして、カウンター席の後ろにある棚から分厚いファイルを取り出すと】
【その中から一枚の紙を抜き取り、サラサラとペンを走らせる】
【今見た状態を記しているのだろう。もし、必要な自体が生じた場合すぐにでも対処できるようにと】


――はい……これで大丈夫です
えと、それでですね……朔夜さんのおっしゃっている方はいつ頃ご来店頂けるか分かりますか?

あ、今すぐ判らなくても……後日ご連絡をいただく形でも問題ないのですが……


【ジョシュアは、義手を作る相手の都合が判るだろうかと質問を投げかける】
【先に語った通りに、義肢を制作するには本人に来店して貰う必要がある】
【加工を始める前にまず、その人物の検査をして、製品に対するリクエストを聞かなくてはならない】
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/06(日) 22:52:11.27 ID:8jSD998do
>>114

了解。世の中何があるか分からないものだし、上手い具合に宣伝しておくよ。勿論魔銃の方もな。

……そうか。実際に問題が無かったのなら、重畳だ。
知人にはまだ事の詳細は伝えていない。あっちと連絡が付き次第、追って沙汰する。

【少年の商売人としての柔らかな物腰と、時折見せる見た目相応のあどけない振る舞いに心和ませつつ】
【女はゆっくりとジャケットを羽織りなおして、席を立つ】
【相手の都合に関しては、なんと言うべきか──知った事ではない、という風な態度であった】
【新手のサプライズプレゼントにしても、もう少しやりようはあるだろうが、まあ、それだけ気心の知れた相手という事か】

ちなみに義手の仕様だが、とにかく頑丈で、精密に動かせて、生身と遜色ない反応速度が出せれば、問題はないと思う。
奴も私と同じような、実用本位の人間だ……まあ、歳月は人を変える。詳しい事は直接聞かなければ何とも、だが。

……今日は有り難う。有意義な話が訊けた。そのサンプルは、私からの礼代わりだと思ってくれ。
じゃあな、ジョシュア。また縁が合えば、どこかで。

【折り目正しく一礼すると、椅子を元の位置に戻して、ひらひらと片手を振りつつ】
【踵を返して肩で風を切り、退店。そのまま何処かへと歩き去ってゆくのだった】

【さて。診察の結果について補足だが、先程魔術を破壊してみせた時のように、義手にまで女の異能力が浸透するような事があれば】
【恐らく魔術刻印は相応のダメージを受ける。だが意識的に能力の行使を制御できる以上、そうなる事は稀だろう】
【もっとも、一つだけ気になる点と言えば、彼女の体内には、何か瘴気のようなものが浸透した痕跡と】
【何かによって幾度となく、体内の魔翌力を『喰われた』かのような痕跡が残されていた事だ】
【もしこれについて少年が帰りしなに問うたならば、彼女は笑って「大丈夫だ」と言うだろう】
【言いつつ鯉口を切った刀からは、彼女の体内のそれと同質の瘴気──いや、妖気が色濃く漂っているはずだ】
//長時間お疲れ様でした、お付き合いいただきありがとうございました……!
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/06(日) 23:18:11.20 ID:V2or2+qWo
>>115

はい、判りました……
では、いつでもご来店お待ちしていますと伝えていただけましたら嬉しいです

初めて扱う素材ですし、緊張しますが……
きっとご満足いただけるよう、今から予習しておきますので――


【朔夜から貰った龍鱗のサンプルにそっと手を触れさせながら】
【彼女の語る"知人"がいつ来店してもいいようにと気持ちを引き締めた】
【そして、古龍の鱗を近くにあった小さな箱の中に丁寧に仕舞いこみ】
【席を立つ朔夜に合わせて自分も腰を上げて……】


なるほど……判りました。
そのタイプでしたら"装甲義肢"……でしょうか?
ご希望に添えるかはわかりませんが、近いものはご用意出来るかと思います……


【朔夜の語る内容に合ったタイプの義肢が存在するのか】
【一つの名前を出しながらも、その言葉を受け止めて】


はい、こちらこそ……有難うございました
こんな素敵な物まで頂いてしまって本当に嬉しいです……

いつか、何か別の形でお返しできたらなって思いますので
えっと……お仕事以外でも、遊びに来てくださったら……歓迎しますよ


【彼女の背中に、はにかむような年相応の笑顔を浮かべながら】
【こちらも小さく手を振りなおしてその背中を見送った】


(朔夜さん……"大丈夫"、なのかな……?)
("ああいう分野"じゃ、力になれないかもしれないけど――)


【探査を行った際に、朔夜の"身体の状態"には気づいていた】
【あえて言及することのなかった理由は、恐らく本人も気づいているだろうと察した事と】
【図らずも目的以外の事で身体を暴いてしまったようになってしまったことへの罪悪感からだ】


【店を後にする昨夜の背中に、心配するような視線を向けながらも】
【小さな店長はぎゅっと……自分の手を強く握りしめていた】

/お疲れ様でしたー!
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/07(月) 12:50:31.93 ID:grj6YbxTO
【水の国郊外】
【某交番】


──仕事ねえなぁ……。


【黒髪に青色のユニフォーム、中肉中背の男が交番の前に立っている。】
【巡回を終えて、その他の業務も適当にこなし、】
【ついにやることがなくなってしまって、自分で思わず呟いてしまった。】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/07(月) 13:45:27.37 ID:grj6YbxTO
【 ──ところ変わってファミレス】
【昼間であるにも関わらず客は少ない。】


仕事抜け出して飲むビールは最高だ。
────って以前は本当にそう感じてたんだけどなぁ……。


【青ユニフォームの男は、注文したキンキンに冷えたビールを片手に】
【仕事抜け出して──そもそも積極的に片付けなければならない仕事などないが──訪れたファミレスで】
【まるで無職のような気分に陥りながらビールを飲んでいた。】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/07(月) 19:53:42.69 ID:8EPeo/h9o
【町外れ とある店の前】


よし……これでいいかなっと……


【異世界より伝わった風習、七夕で街が盛り上がる中】
【人気が少なく、閑散とした町外れで何かの作業を行っている少年がいた】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


それにしても……向こうの世界の人って本当に色々考えるんだなぁ
笹に願い事をくっつけるなんて、ちょっとロマンチックな感じ……だよね


【どこか楽しそうに微笑みながら、店の前に飾られた小さな笹に短冊を括りつける】
【「もっとお店が繁盛しますように」と】
【少々切実な想いが綴られた願いを乗せて、笹は風に揺れてサラサラと音を立てていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】

【本日も、のんびりまったり営業中である】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/07(月) 20:26:58.58 ID:IDcE1a/Yo
>>119

【折しも、そんな願いを短冊に託した少年の前に、黒塗りのリムジンが停まった】
【屈強な男が運転席から降り立ち、カツカツと向かう先は少年――ではなく、リムジンのドア】

【開かれたドアから降り立ったのは、相手より少々年上位と思しき若者だった】
【出で立ちからして金持ち、というより貴族風の装飾がやたらと多いスーツ姿】
【プラチナブロンドの髪はキッチリとしたオカッパ頭で、如何にもお坊ちゃんというよう】

うむ、御苦労。暫くしたらまた迎えに来たまえ
さて、ここがFairy's Giftか……ん?

【店構えを眺めて顎に手を当てていた青年は、相手に気付くと怪訝な表情を浮かべた】

キミは……この店の従業員かい?
ちょうど良かった、今は営業中かな。魔銃とやらを品定めしたくてね

【一々髪をサラリとかき上げてから、若者は相手にそう尋ねた】
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/07(月) 20:37:18.54 ID:Wuebds4Qo
【酒場】

【蒸し暑い夜だ。大通りに面した店はどこも満員になる時間】
【この裏通りの安い場末のパブもそうとうな客が入って賑わっている】
【しかし、その儲け時にカウンターでは店主が困った顔をしていた】

『お客さん…いくらウチが24時間営業だからってそんなに居座られちゃ困るんですよぉ』

【カウンターに突っ伏す客の背中を揺する、空のグラス、瓶、灰皿には吸い殻が山のよう】
【腕を組んで寝ているのかゆすられても起きる気配はない。店主も強く出れないのはそこが】
【やはり場末の安酒場だからか、それともそいつが朝の九時から居る背の高い黒い髪のサングラスをかけた】
【男でレザーのジャケットにジーンズ、シャツ、ブーツは全て黒でシルバーのネックレスをつけていてオマケに】
【腰のガンベルトにリボルバーが2丁据えられていたからだろうか】
【革のガンベルトに収められたリボルバーのグリップは白い象牙のようで珍しい。良く目立っていた】

『いい加減帰って……ったく、自警団呼びますからねお客さん』

【困り果てた、店主は店の奥に引っ込んでいった。自警団にでも電話をかける為か】
【しかし男はカウンタに突っ伏したまま動かない。カウンタに空き瓶を散らかし】
【寝ていても十分な雰囲気を放つ為にこの超満員の酒場でも左右の席は空いていた】
【彼を起こすのは店主か、知り合いか、押し付けられた自警団か………?】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/07(月) 20:41:06.82 ID:KIQgfsoNo
【街中】

【通りの一角に、人だかりが出来ている。不安そうにしている者、好奇心を隠そうともしない者、様々だ】
【彼らの視線の先、口を開ける路地裏の入り口。警官たちがテープを張り巡らせて、その周囲から野次馬を遠ざけている】


【テープの向こう、路地裏の入り口を少し入ったところでは、青ざめた顔の警官や鑑識らしき人物たちが動き回っていた。入り口から少し奥に入った場所】
【その場を照らす街灯の光が、路地裏の闇の奥に広がる血痕を浮かび上がらせている】
【殺人現場。それも、相当に凄惨なものであるらしい。野次馬の中にも、運悪く奥の惨状の一部を目にしてしまい、口元を抑えて人だかりを離れる者もいた】


【複数人の遺体。あるいは汚れた地面に打ち捨てられ、あるいは壁に打ち付けられ。ほぼ原形を留めないほどに破壊されていた】
【切断され、抉られ、潰され、見るも無残な有様だ。路地裏のチンピラたちらしい、と野次馬の中から囁き合う声が聞こえてくる】

クヒ……かわいそ、かわいそ、かわいそだよお
あんなにまでしなくたってさあ……フフヒヒ……

【野次馬たちの中に混じって、それを眺めている男が一人。身長の高さに対して幼く見える顔つきをした、丸顔に青い瞳の男だ】
【赤いウエスタンチェックシャツ、青いジーパンにベージュのブーツを身に着け、整えられた短めの金髪】

【幼稚さを感じさせる顔に、軽薄な笑いを浮かべて男は惨劇の跡を見物し続けている】
【その言動に感じられる不穏な色。あるいは、誰かがそれを聞きつけることもあるかもしれない】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/07(月) 20:47:59.21 ID:8EPeo/h9o
>>120

わぁ……――って、ん?……ふぇっ……!?


【寂れた町外れには不釣合いな黒塗りのリムジン】
【遠くから見えたその車体に、「珍しいなぁ……」と視線を送っていたが】
【それがまさか自分の小さな店の前で停るとは予想もしておらず】
【突然の来訪にびっくりして、少年は思わず妙な声を出して硬直してしまった】


え……?あ、その…………


【状況に思考がついていかず、青年に話しかけられても】
【数秒の間戸惑った表情を浮かべながら、ただじっと彼の顔を眺めていたが】
【ようやく頭が再起動したのか、青年から掛けられた声の意味を認識して】
【慌てた様子で姿勢を正し、"店長"としての対応を始めた】


ご、ごめんなさい……!

本日はご来店、ありがとうございます……
えと、僕が……店長のジョシュア・ランドバーグ……です


【少年――ジョシュアは、そう名乗りながら】
【懐から名刺を取り出して、頭を下げながら手を前に出し渡そうとする】
【名刺には店と少年の名前、そして「第二種一級魔工技師」という肩書きが記されている】
【偽造でなかれば、この少年が店を経営する店長なのであろうか】


魔銃をご所望、ですね……
では、その……店内にご案内しますので、こちらへどうぞ


【もう一度小さく頭を下げた後、ふわりと柔らかく頬笑みを浮かべながら】
【扉の方までトコトコと移動して扉を開け放とうとするだろう】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/07(月) 21:02:53.46 ID:IDcE1a/Yo
>>123

おや、キミがここの店主なのかい?
これは失礼、僕とさほど変わらない歳なのに、まさか店主だなんて……

【驚いた様子で若者は名刺を受け取りしげしげと眺めてから、思い出したように自分の名刺をジョシュアへ手渡す】
【フラン・トゥールーズという名と、とある財閥のお抱え企業の取締役という職名が付されている】
【……もっとも、親から与えられたただの名ばかり職なのだが】

ジョシュア、だね。僕はフランさ、よろしく頼むよ
なるほど、今日は七夕だったのか……
僕はこういう季節事には疎いけど、どことなく風情があるね

【店の前に飾られた笹を見て、分かったようにうんうんと頷く】
【幸いにして、ジョシュアの願い事を記した短冊には気が付かなかったようだ】

【そのまま、フランはジョシュアに続き店内へと足を踏み入れる】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/07(月) 21:20:02.96 ID:8EPeo/h9o
>>124

あ……はい。
見ての通りまだまだ若輩の身で、勉強することも多いですが……
フランさんにご満足して頂けるよう……頑張りますね


【「ありがとうございます」と、フランの名刺を受け取って】
【懐の名刺入れにそっと仕舞い込むと】
【野に咲く蒲公英のような、素朴な微笑みを浮かべながらそう告げた】


はい……異世界から伝わってきた行事らしいですけれど
こうやって願い事をするのはちょっと……雰囲気があって素敵ですよね

フランさんも後でいかがですか?
その、短冊はまだ……たくさん余っていますので――


【自分の下げた短冊に視線を向けながらフランを誘う】
【もし短冊に書き込む場合は、店の中でのやり取りが終わったあとになるだろうか】


【――】


【店の中は小洒落た外観とは違い、実用的な造りをしている】
【左右に並んだ無数の棚には、鉄などで出来た人工の腕や足が陳列されており】
【ガンパーツや、様々な種類の魔銃のサンプルもエリア毎に細かく区分されて置かれていた】

【その他には何に使うのか】
【人体模型や大きな水晶玉、妙な形の筐体なども設置されている】


【ジョシュアは様々な魔銃が陳列された大きな棚の前で足を止め】
【フランの方へと振り返って】


えと、フランさんは……どのような魔銃をお求めでしょうか?

たくさん種類がありますので……
リクエストをいただけましたら、フランさんのご希望に沿う品をお探ししますし
あと、オーダーメイドも行っておりますから……
今お店にないものでも、お時間をいただけましたらご用意できるかもしれません……


【そんな質問を、彼に投げかけた】
【陳列された魔銃は古今東西様々な銃を模したデザインをしており】
【それぞれに「炎弾」「召雷」などと、名前と共に簡単な効果が記されていた】
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/07(月) 21:39:15.77 ID:KIQgfsoNo
>>122
/0時辺りまで待機してます
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/07(月) 21:42:17.45 ID:IDcE1a/Yo
>>125

本当かい? 実は僕、知ってはいても実際にやった事がなくてね
一度は、と思ってたんだ! ……っと失礼、こちらが先だね

【ジョシュアの申し出に目を輝かせて、まるで子供のような反応をするも】
【本題を忘れては困るとばかりに、すぐに意識を笹から外した】

【そして、店内へ】

へえ……こう言うと変だけれど、とても本格的なんだね
魔銃がこんなに沢山……っヒィ! 手が!!

【並べられた品の数々に、腕を組んで大仰に頷くフランだったが】
【義手を目にすると驚いた様子で飛び上がり、まじまじとそれを見つめる事数秒】

……って義手じゃないか!! 
あっ、失礼……け、結構リアルだね……間近で見ると……コホン

それで、魔銃だけど……護身用の、持ち歩ける程度の大きさのものが欲しいんだ
あと、出来れば扱いやすいものだと有難いな。銃を持つのは初めてなんだ、僕
性質としては……そうだね、殺傷力よりは、相手の動きを鈍らせる類のものがいいな

【そんな感じでお願いできるかな、とフランは尋ねる】
【人を死なせてしまう事には恐怖感が有るのだろう――ならなぜ、銃を選ぶのか】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/07(月) 21:59:02.09 ID:8EPeo/h9o
>>127

あはは……本物と間違えて頂けたなら、嬉しいです

やっぱり手の代わりに使って頂くものですし
出来る限りリアルに仕上げないと、と考えて作っていますので……


【驚くフランの様子を、どこか嬉しそうに眺めながらそんな事を語る】
【中には金属鎧のような人間離れした品もあるが】
【大半は人間や亜人の其れに近づけた見た目の義肢である】

【リアルに近づけることを目的としている以上】
【本物と間違えて貰える、というのは作品を評価して頂いているのと同義なのだ】


護身用で、扱いやすい魔銃……でしたら、僕のお店の商品で色々ご用意できますよ
僕のお店の魔銃は元々、そういったコンセプトで作っていますので――


【そう言いながら、幾つかの魔銃を棚から取り出し】
【近くに置かれていたテーブルに並べていく】


相手の方の動きを鈍らせる……という性質でしたら
この「召雷」や「泥縛」……などは如何でしょうか……?

えと、召雷は……細い電気を飛ばす術が使用できまして
泥縛は……地面に当てると、粘着質の泥を形成して踏んだ方の動きを制限できます

その他にも、光の輪で当たった場所を縛る「光輪」や
小さな氷の檻を作り出して閉じ込める……「氷牢」なども、当て嵌るでしょうか……


【などと、並べた銃の性質を一つずつ説明しながら】
【フランの反応を確かめようとするだろう】
【扱いやすさに関しての説明や、魔銃の構造などに関する説明は未だしていないが】
【まずはこういった内包する術の性質を決めてもらおうとしているのだろう】

【そして、銃を求める理由には現時点で触れることはない】
【恐らくフランと同様――殺傷を忌避する思想があるため、店で扱っている魔銃の大半は】
【直接的な攻撃翌力ではなく、こういった身を守るための護身用にと非殺傷使用で製造されている】
【その為、非力な女性などが求めることも多く疑問に感じなかったようだ】
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/07(月) 22:12:26.06 ID:IDcE1a/Yo
>>128

お、驚いたという訳ではないけど、とても精巧だね!!
これは頼もしいなぁ!! ハハ、ハハハ……

【偉ぶった振る舞いをする割に、かなりの小心者であるらしい】
【いやぁ凄いよ!!とばかりお茶を濁すように連呼しながらも】
【視線はあまり義手の方へと向けないようにしていたのだった】

へえ、召雷に泥縛、光輪、氷牢……そうだね、この中だと召雷が気になるな
もし、例えばだけれど、細い電撃で動きを止めれそうになかった場合に
一時的に出力を上げる……なんてことは、可能かな?

【先とは打って変わって真剣な表情になると、フランはジョシュアにそう尋ねる】
【勿論金の方は幾ら掛かっても構わないから――とも添えて】
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/07(月) 22:17:28.98 ID:zuLTR4xT0
>>122

【人集りを離れるのは、野次馬だけではない……不意に、一人の警官が、どこかへ駆け出していった。】
【眼の前の余りの惨劇に耐えられなくなったのだろうと、近くにいた上司は目をやる。止める様子はなかった。】
【こうした"モノ"は仕事柄良く見ているとは言え、決して慣れるものではない。……当然だろう。】

【その入れ替わり、バトンタッチのタイミングで、……一人の少年が、テープを潜って入っていった。】
【黒髪黒目、オレンジ色のパーカーに普通のジーパンと、それなりにありふれた容姿、】
【体格が少々ガッチリとしているとは言え、165cmの身長も併せて服の上から見ればそれ程目立つものでもなく、】
【……当たり前、警官の一人がその少年を制した。……しかしながら、少年がそのパーカーのポケットから何かを取り出して、】
【眼の前の人物に提示。恐らくは何かの許可証だったのだろう、その惨劇へと足を踏み入れることを、彼は認める。】


………、…………。

【そこに程度の差はあれど、慣れない、というのは、この異質な少年が見ても同じだ。】
【言葉が出ない。この場で、一体何が起きたと言うのか―――推測するのも、嫌になる程、で。】

【それから、簡易的な手袋を貰って、一人の遺体に近付き屈んでは、まずは身元の特定出来る物を探していく。】
【……眼は逸らさない。原型を留めない程に、人体が人体だと分からないまでに破壊されていたとしても、】
【瞳は必ず、身体と同じ方向を向いていた。一つ一つ丁寧に、ズボンや上着のポケットを当たって行く。】

【それが漸く終わったかという頃に、……野次馬の喧騒をかき分け耳に入ったのは、不気味な男性の声。】
【無言で両手の手袋を外し、証拠品があったのならそれを近くの警官に渡してから、少年は今度、ヒトに近づく。】


……ちょっと、そこの人、事情聴取みたいなの、してもええかな。

【―――眼があった。その声の主の元へと一歩一歩進み、適切な距離で足を止める。】
【この場で笑っている人間は、2種類のはずだ。気が狂ってしまったタイプと、……平常の笑いを見せるタイプ。】
【もちろん、今は異常なのだから、当然だと考えられるのは寧ろ前者だ。しかし彼の、その笑い方は―――、】

【とにかく彼は、異常だと分類されるタイプに間違いない、そう確信したのだろう、】
【……事情聴取という名目の、身柄の拘束にかって出る。何か証拠がある訳でもない、断られたら、それまで、であるが……。】
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/07(月) 22:28:49.40 ID:8EPeo/h9o
>>129

あ、ありがとうございます……

その、褒めていただけるのは嬉しいのですが……
そんなに言われるとちょっと照れちゃうかも……しれません


【フランの言葉を素直に受け止めて】
【「凄い」や「頼もしい」といった、あまり自分に向けられることのないワードに】
【少年は恥ずかしそうに薄く頬に朱を灯しながら、顔を俯けた】

【自信がないというか、照れ屋というか】
【こちらもこちらで色々と、難儀な性分をしているようである】


一時的に出力を上げる……はい、可能ですよ

えと、魔術回路の問題でそこまで強い電撃にはなりませんが
込める"力"を意識して強めましたら……倍、くらいの出力は出ます

ですが、力を込めすぎると……内部で"ショート"を起こして
暴発する危険性もありますので……あまりオススメは出来ない、かもしれません


【力――この場は合魔力、もしくは生命力の類を指す】
【通常時は弱いスタンガン程度の威力だが】
【出力を高めることで"強い"スタンガンに匹敵させることは出来る】
【また、暴発する危険性を考慮しなければ】
【魔銃が一発で破損する代わりに、一度だけ高出力の電撃の槍を放つことも可能である】
【先の言葉に続けて、そういった旨の説明を添えてフランに告げる】

【何にせよ、ジョシュアが言っているとおりの"護身用"だ】
【メインウェポンとして運用するには少々問題がありそうな性能ではあった】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/07(月) 22:31:35.19 ID:+NoVGMaU0

【――――七夕。織り姫と彦星が唯一会うことを許される日だなんて言われるけれど】
【今年は快晴。天の川もよく見えるのだから、彼の二人も無事に出会える事が出来た事だろう】

【山の中程――竹が沢山生い茂る場所。普段ならば獣ばかりが通りそうな其処であるけれど、今宵は一つの人影があって】
【纏うのは巫女装束。よく見れば狐の尾や耳が生えていて、妖気も漂っている。所謂、妖狐と呼ばれる存在か】
【月明かりも普段よりは強い故に、その姿を見つけ出すのは何とも容易な事だけれど】



「えへへ……今日は、良いお天気で…………良かった、です
お星様も沢山あって、綺麗で…………お二人は、ちゃんと会えたのでしょうか……」

【近くにあった岩を椅子代わりに座れば、膝の上に広げるのは何かが包まれた笹の葉】
【其れを解いてみれば何とも良い香りが辺りに漂い始め――――見れば、笹団子。其れも中々に上等な物らしい】
【香しい其れは思いの外遠くまで届くだろうし、それだって人を引き付ける要因となるかもしれない】

【側に置かれたのは場違いに小さな桶とタオル】
【仮に人の気配がしたならば、団子を食べようとした手を止めて不安げに其方へと視線を送るのだけれど】







【――――街灯も無く、月の明かりのみが光源となる夜の公園】
【無論無邪気に遊び回る子供達も居なければ井戸端会議に勤しむ者達の姿も無い】
【ただ、今宵は備え付けのベンチに一人の姿。真っ白なローブは月光を眩く跳ね返す故にその存在だって良く目立つ筈で】

【フードによって顔が隠されては居るが、座高から考えて子供と判断して間違いは無いであろう】
【加えるならば、側に黒猫がその人物の膝の上に乗ったり頭の上に乗ったりと楽しんでいる様だが】



「イリニを遊具代わりにして楽しいのですか。イリニには分からない事ですが」

【当の本人は無関心――――と言う訳でも無く。然れど抑揚の無い声は感情を掴ませない様であって】
【特に追い払う事も無く好きにさせてやれば取りだしたのは“聖書”だ】
【然れどその上に猫が乗っかってしまえば読むことも出来ず。諦めた様に漏れたのは小さな小さな溜息】

【さて、時間も時間だ。なればこの様な人物が出歩いているのはそう感心できたものでは無いが】
【――――先も記した様に、その者の姿は良く目立つ。黒猫と共に居る存在、延いては聖書だとかに興味を抱く者が居るかは分からないが】
【少なくとも、何者かが公園に入ってきたならばベンチに座っていた者も顔を上げてそちらを見るのだが】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/07(月) 22:46:41.57 ID:IDcE1a/Yo
>>131

ふむふむ……なるほどね
つまりは、僕が込められる力にも依る、と解釈して良いのかな?
けれどあまり負担は掛けられない、と……うん

【護身用ということで提示したのだ、その辺りは織り込み済みと言ったように頷く】
【それでも、破損と引換に電撃の槍を放てると言う点にはかなり驚いたようで】

電撃の槍……な、何だかとても凄まじそうだね……
一発で壊れてしまうとなると勿体無いけれど……まさに奥の手、かな

よし、じゃあ是非ともそれにしたい。ほかの細かい仕様についてはお任せするよ
費用は幾ら掛かっても構わないから、ねっ

【最後の部分だけ、やたら胸を張って】
【それから取引方法について尋ねるだろう。出来上がり次第連絡を貰えれば来れるから、と添えた】

【それから、店を出る間際】
【短冊に記した願いは「一族に勝利が訪れるように」と、ひどく曖昧な表現の願いだったが】
【それを記す間、フランの表情はいつになく真剣なものであった】

/諸事あってこの辺りで失礼しますー、駆け足気味で申し訳ないです
/細かい部分はお決めいただいて構いません。絡みの方、ありがとうございました!
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/07(月) 23:01:36.19 ID:KIQgfsoNo
>>130
【男は、惨劇の現場から一度目を逸らし、離れていく警官をやはりニヤニヤしながら見送っていた】
【彼らプロでさえ、この反応であるというのに、この男は笑いを絶やすことがない】

【しかし、直後に男の興味は入れ替わりに現れた少年に移る。それも当然、彼の姿はあまりに場違いに見えた】
【それなりの体格ながら、どう見ても一般人。でありながら、警官に通過を許可されて現場へと近づいていく】
【警官に見せた許可証らしきものまでは見えなかったが、男は目で彼を追い続けた】


【目をそらすことなく、徹底的に惨劇の跡を追っていく彼。その視線が、やがてこちらに向く】
【男は、それでも笑みを絶やさない。見つかったであろう、中身が空になった財布などの所持品を警官に渡して】
【こちらに近づく彼に、はっきりと視線を合わせた】


ウフッフ……ええ、もちろおん。事件解決に協力するのは、善良な市民としての義務ですからね!!
フフヒヒ……それで、貴方警察の人? 何がお聞きになりたんですかあ?

【この状況下でも、この態度。ゆらゆらと身体を揺らしながら、子供っぽい声と口調で問い返す】
【抵抗するような様子も見せないが、素直に従おうという風にも見えないだろう。彼は、どう反応するか】

/気づくのが遅れました、すみません……
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/07(月) 23:04:00.46 ID:8EPeo/h9o
>>133

はい……えっと、元々の出力が控えめですので
強弱の幅はあまり広くありませんが……

力の込め方次第で、初期設定の基準から調整することが出来ます


電気の槍は……下手をすると怪我をなさってしまうかもしれませんので
本当に、使わないといけない非常時に
こういう使い道もある……というくらいに留めておいていただけると幸いです


【強力ではあるが、同時にリスクも大きい】
【安全の為の術式も織り込んでいるため、手元で爆発するような事はないが】
【運が悪ければ電気が少し洩れ出て、手に火傷を負ってしまう可能性がある】
【破損することもあって、奥の手にはなるだろうが出来るならば使わないで欲しい、とのことであった】

【スペックに関する説明はこの程度であろうか】
【彼の言葉に対して「はい、わかりました……」と返事をして】
【店を後にしようとする彼の背に従って、ジョシュアも外に出る】

【そして、フランに短冊を渡して】
【書き込む彼の姿を楽しそうに眺めて、簡単に会話を交えながら】
【去っていく彼の背に手を振って見送っていった】


【――】


……一族の、勝利?
やっぱり社長さんになると……僕とは違う世界に住んでるんだなぁ

フランさんの助けになるためにも……頑張らないとね


【笹を片付けるとき、ふと目に映ったフランの願い】
【一族の勝利という、一介の職人に過ぎないジョシュアからは想像も出来ない願いを見て】
【彼の名刺に記された役職を思い出しながらも、一層やる気を燃やして作業に取り掛かるのだった】

/お疲れ様でしたー!
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/07(月) 23:20:49.49 ID:zuLTR4xT0
>>134

【明らかに警察側の自分が近付いて来たその瞬間でさえ笑っていられるとは、】
【ここまで来ると自分の勘が疑わしくなる……とは言え、攻撃の手を緩めることは決して無く、】


……ああ、……俺は、UTのヒトや。知っとるやろ、ゆないてっどとりがー。
この事件のこと、一番知ってそうやったからな、……うん、

【ああそうか、こう言うのはまず、ドラマにありがちな警察手帳をチラッと見せてからするものだ、と、】
【少年は先に警察に見せたそれと同じ様に、パーカーのポケットから取り出す……"W-Phone"だ。】
【普通に生きる人間は、ファンでもない限りその存在を知らないかもしれない……が、まあ名刺代わりとしても少年は使っている、】
【しかし彼からしてみれば、赤いスマホを見せられただけだ、……気になれば突っ込むのが良い。】


……んー……一番知ってそうやった、っちゅうのは、……
単刀直入に言うとな、……笑っとるトコ、なんよ。

こんなのみたら、普通は笑わん。笑うんやとしたら、それはちょっと狂ってもうた人や。
でも何か、何かな……見とったら、楽しそうなんよ、……どやろ。

まず、……せやな……何がおもろいんか、聞かせてくれるかいな。

【初めはオブラートに包み込んで、彼の言葉を一つ一つ聞いていくつもりだったのだが、】
【しかしながら、少年の頭脳では、そうする為の言葉を生産し続けられず、断念。】
【結局は、彼の言葉通り、単刀直入に進むことにした、……要は、その振る舞いが目立っていたと。】

【語調に敏感であるのなら、少年の言葉には既に、それなりの敵意が含まれている、】
【つまりはこの事件に関与しているのだと疑っている、そう気付く事になるはずだ。】

【……しかし少年の瞳は揺るがない。愚直なまでに真っ直ぐ、彼の裏に潜む深淵を見透さんと視線を注ぐのだろう。】

/良かですよ〜
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/07(月) 23:39:12.10 ID:KIQgfsoNo
>>136
UT……UTかあ!! 当然知ってるよお!!
いやー、あの有名な組織のメンバーに会えるなんて!!

んー? 何それ、スマホ? UT特別仕様とか?

【大げさなリアクションで驚いて見せる男、その眼は彼が取り出した"W-Phone"に注がれている】
【それに対して疑問を発しつつ、再び視線は少年へ。その間、やはり笑顔は絶やさない】


ウフヒフヒヒ……でもさあ、周り見ても野次馬根性の人ばっかりじゃなあい?
僕だけが知ってそうだなんて……自分たちに関係ない危険ってさ、人間にとってはこの上ない娯楽だもの
笑うくらいはするでしょ? え、しない? ケヒ……そっかなあ

んー……そうだね
何が面白いかっていうとさ、あそこでバラバラになってる彼らが、あんまりにも無知だったんだなあ、ってさ

【直情的なまでの少年の言動に、ますます笑いを濃くしながら男は答える】
【最初ははぐらかすように、しかし少年の敵意を敏感に感じ取れば、男もごまかそうとするのをやめて】
【こちらを射抜く彼の視線に、自らの視線をねっとりと絡みつかせることだろう】


僕さ、この辺を散歩してたんだよ。その時ね、彼らを見たんだ。皆で楽しそうに笑いながらさ、お酒なんか飲みながらさあ……フヒ
路地裏の奥の排水路から地下通路に入ってったのね。声かけるのもさ、怖いじゃない。因縁つけられたりしちゃあさ。仕方ないから、黙って見送ったわけ

普通、そういうとこって危なそうなもんじゃない? なのに、平然と踏み込んじゃってさあ……
あの奥がさ……『スクラップズ』の縄張りだって知ってりゃ、彼ら入らなかったかな? ねえ、どう思う?

【男は、口角を限界まで吊り上げ、少年に思い切り顔を近づけようとするだろう。長々とセリフを吐きながら】
【男の言動。もはや、隠すつもりもなく。この男は、口にした。この惨劇を起こした者たちの名を】
【それは同時に、この男は何故それを知っているのか、という答えを考えさせるだろう。自ずと見えてくるはずだ】
【この怪しげな男が、確かにこの事件に関与していると】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/07(月) 23:46:37.49 ID:LD3R57BSo
>>132

【夜の公園――――暖かな陽射しも微笑ましい喧騒も、すべてが闇の中に閉ざされたあとの世界】
【普通に公園に用があるなら昼か夕方にでも来ればいいのだ。それを、人気も何もない夜中にわざわざ出向いてくる人間がいるとすれば、】
【その人物が普通≠ナない可能性は大きいといえるのではないだろうか。ベンチに居座る子供だってもちろんそうだし、いま公園内に入ってきた者もまた、然り】


………うるさいわね。だからほっといてって言ってるでしょう?
これはいつものことなの。いまさら誰も心配なんかしないって何度言えば――――、


【苛ついた声を張り上げながら現れたのは、黒いロング丈のパーカーに白色のTシャツ、下は赤チェックのフレアスカートとローカットスニーカーという服装の少女だ】
【フードを被っていてやや見辛いが、白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた太眉と枝垂れるように長い睫毛が目立つ容姿で】
【前髪も顎までで揃えられたサイドの髪も、胸までの長さの後ろ髪も、そのすべてが一直線に切り揃えられた髪型をしている】
【漆で染めたように艶めく黒髪はフードの隙間から流れ出て、月光に晒されればほんの少し赤紫色を差すのだった】


ああもう、いい加減にっ……………。

…………なによ。


【――――容姿だけ見ればお嬢様然としているものの、路地裏の不良みたいなファッションと激しい言葉遣いのせいで、かなり柄の悪い印象があり】
【だが、それでいて……何といえばいいのか、立っているだけで闇を切り払っていくような神聖さ≠フようなものが、彼女からは漂っているようにも思える】
【それはそのように、様々な意味でちぐはぐな雰囲気のある少女だった。極めつけに、さっきからずっと頭に手を当てて『独り言』を呟いているという有様】

【ベンチにいる子供とは別の意味で、ついでに言えば悪い意味で、かなり目立つ人物である。少女はそのまま公園の中程まで歩んでくるけれど、】
【そこでふとベンチの人陰に気づいて、その人物が顔を上げてこちらを見たことを確認すると、少女からは無愛想な声と不機嫌そうな眼光が送られるのだろう】


/まだいらっしゃれば!
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/08(火) 00:04:14.11 ID:USIMbDep0
>>137

……せやな、コレはまあ……UTの名刺みたいなもんや、……エコやろ。
食いつくのはええけど……別に、大したもんやないから、

【少々大げさな反応には苦笑いを見せる。周りの目もあるから、だろう。】
【しかしそう興味を持たれても、それはそれで困る。他のと変わらない、】
【大したスマートフォンではないからと、早々に仕舞いこんでしまうことだろう。】

【―――と、同時、ポケットの中、片手で電源を入れ、録音アプリを立ち上げる。】
【当然、これからの会話は全て記録される事になろう……相手が知らない形で。】
【とは言っても、モゴモゴと少々の動作があった。違和感を覚えられても、仕方はない、が……、】


……まあ、分からんでもない……昔の人たちは、そういうことして楽しんどったし、……

分からん。けどな、……何かアレや……お前………
―――あ、せや、……現場、見たいんちゃう? 俺がおったら、入れる、けど……

【異常な人物であることは、確定している……しかしそれが、この事件と関係があるかどうかは別問題だ。】
【一つ一つ、単語に分割して理解していき、違和感が無いかどうかを精査する。…………、】
【……あった。『スクラップズ』の一言。現場に立ち入った、あるいは警官の話を聞いた自分でさえ、】
【その可能性は浮かび上がらなかったのだから、……程度は分からないがほぼ確定、そう見て良いだろう。】

【と、ここで言いかけた言葉を捨て少年は一つ、提案する。現場に入ってみないか……ということだ。】
【こうした人間の思考回路は理解出来ない、が、単純に、普通とは真逆の行動を取れば、案外ハマるのではないか、】
【そうした一つの賭けに出たのである。……もし承諾したなら、少年は彼の背後を取って付いていく事だろう。】

【―――その隙、心理的に油断し始めた頃を見計らって、手錠を取り出しかけようとする。当然、あわよくば両手、だ。】
【どう考えても無謀な試み、一体どうなるか。】

140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/08(火) 00:10:15.94 ID:xR0YGLTB0
>>138
【――――言葉を掛けられる事も無くただじっ、と見られるのはきっと不快であろうか】
【戸惑う様でも無く、寧ろ逆。まるで人形か何かの様に、無感情な表情を向けるのみ】
【独り言から少女へと言葉を向けた頃だろうか。漸く思い出した様に瞬きを二度三度として】



「――――イリニは特に文句も何も有りません。強いて言うならば誰も居ないところで話すのは印象を悪くするとイリニは思います
イリニは大丈夫です。不可思議な事には慣れているので、好きなだけ言って居て下さっても」

【紡がれるのは抑揚の無い声。然れどキチンと反応している辺り、生きた人間と同じ様】
【罵倒とも批判とも違う、思った事をただ淡々と述べるだけの物だ。アドバイス、と表すにしては余りにもお節介で失礼なのだが】
【其れから先、言葉が続けられる事も無く聖書へ――猫へと視線が落とされたかと思えば、す、と息を吸い込む音】



「加えるならば、貴女の様な人がこの時間に出歩くのは好ましく無いのでは。イリニが今まで担当した物では―――――いえ
兎にも角にも、“今更誰も心配しない”は間違った言葉では無いかとイリニは考えます。…………帰りが不安ならば、イリニが護衛をしますが
安心して下さい。守る事は教会の務めであり、イリニは報酬を要求したりはしません」

【頻りに聞こえる“イリニ”の単語。言葉の繋がりからして、恐らくはこの少女の名であろうか】
【制服の少女に向かって猫が一鳴きしたかと思えば、その足に頬をすり寄せて何処かへと去って行くのだろう】
【聖書に目を落としたままであったが、「悪い人では無さそうですし」と付け加えるのは正に制服の少女に抱いた印象或いは感想だろう】

【しかし、だ。彼の大会に出場を果たし、様々な討伐依頼等をこなす少女に取ってその言葉はどの様に聞こえただろうか】
【言ってしまえば、イリニと名乗る少女からすれば制服の彼女は“守る対象”なのだ。即ち、戦うだけの能力が無いと考えて居るのだろう】
【――――だが。同時に少女の纏う“神聖”にも鋭く反応していた。武に長ける少女ならば読み取れる、隙のない気配がその証左であろう】

/居りますっ!ただ、申し訳無いのですが今日は2時3時辺りが限度かと……!
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/08(火) 00:26:20.66 ID:5qhabsCJo
>>139
ふ〜ん、かっこいい名刺だねえ!! うんうん、紙の無駄遣いを減らす、そういうとこから貢献してるってことね!!
いやあ、正義組織ってすごいなあ!! 賢い!!
そ〜お? デザインもいいし、なんか性能よさそうだけどなあ……

【じろじろと、スマートフォンを眺め続ける男。彼がさっさとそれをしまい込んでもなお、それを追うようにポケットを見つめる】
【さすがに、録音を始めたことにまでは気が付かなかった。ポケットの中で手を動かすその動きを見ても、何をしているかまではわからない】
【だが、確実に何らかの行動をとったのだ、と。そこまでは、男は確信していたが、こちらもそれを表には出さない】


でしょでしょ? その辺、僕はあんまし取り繕うとしないってことだよお
今も昔も、そんなに変わんないんじゃない? 形態が違ってきた、ってだけでさ

そっか〜、まあわかんないよね
ん? 何々、見ていいの? うっはあ、得しちゃったなあ!!

【少年の提案に、男は嬉々とした様子で応じる。心底楽しんでいる、そんな様子が見て取れるはずだ】
【彼の賭けは、成功だろう。――ここまでは。男は、テープをくぐって現場に近づいていき、少年の前に立って惨劇を覗き込む】
【隙だらけの背中に、彼が手錠をかけようと近づけば。その前に、言葉が飛ぶだろう】


ところでさあ……君って、ねこやまちゃんでよかったっけ?
カニバディールのさ、首へし折ったって人

【次の瞬間、男の背中から何かが飛び出してくる。細長い何かが、うねうねとうねりながら】
【緑色で、葉らしきものが飛び出している。これは、蔦だ。植物の蔦。それが、男の背中から飛び出したのだ】

【蔦は、少年に向かって伸び、その手を絡め取り、締め付けようとするだろう。少年がやろうとしたことの意趣返しに】
【蔦の速度は速いが、力はさほどでもない。不意打ちを見切ることも出来なくはないだろうし、巻き付かれたとしても、振り払うことは可能のはずだ】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/07/08(火) 00:43:47.05 ID:WbJruhuto
>>140


…………ふん。
不可思議っていうなら、あなたの方が不可思議だと思うけれど。
そのおかしな格好もそうだし、その聖書もそう。こんな夜中に街頭も明かりもなく、そんなもの読めるの?


【本当は誰もいないわけではないのだけれど――――自分の中にもう一人いるのだ、と馬鹿正直に反論する気にもなれず、少女はただ鼻を鳴らす】
【こちらの不審な挙措を意にも介さず、ただ何も言わず投げかけられる視線をどう思ったのか、少女は一切目を逸らさず人形じみた双眸を見据えて】
【次いで純白のローブ姿に膝元の聖書を見咎めるなり、難癖を付けるかのような言葉が飛ぶ。相手が年下の子供だろうがなんだろうがお構い無しの無礼さだった】


何か、勘違いしているようだけれど。誰も心配しないというのは、する必要が無いということよ。私は、強いから。
あなたが只者でないことは何となくわかるわ。でも、余計な気は廻さなくて結構。
ちょっと人目が無いところでやりたいことがあっただけよ。どのみちすぐに立ち去るから…………、

――――待ちなさい。いま『教会』って言ったわよね。その教会っていうのはどの教会のことかしら。


【足元を通り抜けていく黒猫の姿。この少女にも動物を愛でる心はあるのか、ほんの一瞬だけ剣呑な雰囲気が揺らいだ気がしたけれど、】
【……「イリニ」の態度はある意味致命的だった。相手に弱く見られるというのは、高飛車で勝気な性格のこの少女にとって耐え難いことのひとつであった】
【イリニが単なる子供ではない、相応の実力を持っているであろうことも察した上で――――私は強い、と少女は一切躊躇わず断言する】
【機嫌を悪くしたのか、少女は棘棘しい台詞を最後に会話を打ち切って、一時はとっとと立ち去ってしまおうとするが……】

【――――彼女の口から飛び出した『教会』という単語が少女の足を止めた。何か思うところがあるのか、質問と一緒に改めて黒色の視線が向けられる】


/了解しました!
/あと細かいところですが、今回この子制服じゃなくて私服着てたり……
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/08(火) 00:47:19.88 ID:USIMbDep0
>>141

【案外予測は正しかったらしい。やはりこういう人間に対しては、真逆に考えれば良いのだと確信し、】
【そのまま彼の背を眺めながら歩く。追ってテープを潜って、様子を見て、タイミングを見計らって……、】


―――……せや。同じ様になりたいんやなかったら、………ッ!

【しかし、目論見は恐らく既にバレていたのだろう。少年は彼が言葉を発した瞬間、バックステップで距離をとった。】
【案の定、彼もまたその一人……蔦が飛び出してきたのがその証拠、少年は警官にサインで合図し、】
【まず戦力でない者はなるべく外へ、なる者でも先ずは下がっていろという旨の指示を送った。】


…………!

【……蔦の速度はともかく、その力は大したことない。少年が持つ能力なら、今の所問題は無い筈だった、】
【しかし身体が、―――思う様に動かない。素早く、蔦を回避しつつも彼に接近することを選んだのに、】
【丸で言うことを聞かない。……となれば話は全くの別、全ては彼の思うがまま、である。】

【腕や足に巻き付かれた後も、同様だ……益々身動きが取れなくなって、もう抵抗しようにも出来ない。】
【……場数のお陰もあって、不測の事態にも関わらず少年は平静を装っているが、】
【当然内心は、この上ない焦りで満ちている。……今まで自分の身体に様々な変化が起きているのは確かだが、】
【しかし力を込めたり素早い動きをしたりと、自分には必要不可欠な行動が取れない……とは、】

【これでは丸で一般人……いや、抵抗出来ない分、それよりも酷いだろうか。】
【闘志の眼差しがまだ潰えることがないと言うのは、相当なタフネスだが……、】
【焦って近くの警官に応援を要請することも思い付かない……となれば、現状は最悪、だ。】
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/08(火) 01:07:12.52 ID:5qhabsCJo
>>143
クフヒヒ……何さ何さ、聞いてた話と全然違うよお?
接近戦じゃ、とんでもない戦闘能力、って聞いてさ。結構警戒してたんだけどなあ

【警官たちは、驚いて飛びのいたがそこはプロ。少年・ねこやまの指示に従って離れ、野次馬たちを強制的に避難させた】
【さすがに、眼前の状況を見てこれ以上留まろうという者もおらず、現場はねこやまと男の一騎打ちとなる】


【が、振り向いた男は笑いながらも意外そうな様子。それもそのはず、カニバディールから再三注意を受けていた敵の一人が】
【これほどあっさりと、自分の攻撃に捉われるとは。この一撃は、牽制のつもりだったのだが】
【眼前の事実は事実。今、男は確かにねこやまを捕えていた。ならば、畳みかけるべきだろう、そう判断しららしく】


クフフクフ……これでも冷静さを失わないなんて、やっぱただもんじゃないよねえ
ますます、わっかんないなあ。なんでこうあっさりいっちゃうわけ? なんかの罠? 教えてよお、ねえねえ

……ま、いっか。ここでやれるなら、やっちゃおーっと

【植物を絡ませたまま、男はねこやまを見つめていたが、やがて右手を軽く振り】
【袖から飛び出したナイフを、手に握る。そのまま、拘束したねこやまめがけて、投擲した】


(カニバちゃんから聞いた話だと、獣になったとか……その影響かなあ)
(命の危機だと、変身ってことになっちゃうかもだけど……そんときゃ、とんずらしよっと)

【男の思考に構わず、ナイフはねこやまの首めがけて飛来していく】
【まともに食らえば、かなりのダメージとなってしまうだろう。周囲の警官たちの動きも、間に合うかどうか】

【男の視線は、ねこやまから逸らされない。攻撃の結果は――?】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/08(火) 01:09:26.39 ID:xR0YGLTB0
>>142
「――――イリニには光も闇も関係在りません。闇の中でも日中の様に全てを見る事が出来ます
貴女がイリニの事を不可思議と思うのも無理はありません。イリニは貴女達とは異なる種族ですから」

【文字列を目で追っていた事を確かめる事が出来たならば、イリニの言葉が偽りで無い事も直ぐに分かるだろう】
【然れど、少女の指摘はもっともな事だ。普通の人間ならば何か光源を用いて読む筈だが――――この少女、それらしき物は当然見当たらず】
【言葉を続けながらもペラリペラリと捲られるページ。何と無く、不躾】



「強さを過信すればやがては身を滅ぼす、とイリニは教わりました。どんなに強大であっても個の力は限られている、と
…………貴女がそう言うならば、イリニは無理にはと言いません。ですが、貴女は自ら鋭い棘を生やした花にも似ているとイリニは考えます」

【立ち去ろうとするその背中に向けて掛けた言葉が其れ。何も、少しの会話で少女を見抜ける筈は無い】
【――――ただ、自ら人から離れている様にも思えるから。そんな言葉を紡ぎ終えれば、やがては静寂に戻る…………否】
【少女からの問い掛けに対し、顔を上げた。パタリと聖書が閉じられたのは、読み終えたからでは無くその問いを向けられた事に疑問を持ったからだろう】
【何と答えるべきかと暫し思案するも、正直に答えた所で損害が出るわけでも無いと判断】



「ゼン=カイマと敵対していた教会があったのは知っていますか。貴女が何者か分からない今、イリニは名を伏せますが
――――先の教わった言葉。前者は其処のグリース様に、後者はカログリア様に教えて貰ったものです

……見たところ、貴女は櫻の国の者と判断しましたが。何故、教会を問うのですか
返答によっては、イリニ達の敵と考えなければいけません」

【挙げられた二つの名。前者は兎も角後者は少女自身も知る相手だろうか。同じ教会に所属しているならば、イリニは危険性が無いとも取れるが――――】
【イリニからすれば、別だ。ジッと向けられた視線は相手の真意を問い質すようでもあって】
【締めの言葉は中々に物騒。返答次第では敵と見なす、と。――――逆に言ってしまえば、返答次第ではある程度まで深く知る事も出来るか】
【何であれ、黒の双眸に返されるのは白の双眸。ただただ、表情をピクリとも動かさずに見つめるのみ】


/ご、ごめんなさい……制服と勘違いしてしまって本当に申し訳無いのですよ……
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/08(火) 01:39:16.74 ID:USIMbDep0
>>144

………クソ……ッ……!

【……何度も何度もこの蔦を振り払わんと身体を動かし揺らしてみるが、やはり同じ。】
【大して頑丈そうにも見えないこれを、引き千切ることも、或いはすり抜けることも出来ない。】

【……彼の疑いには、極めて妥当性があった。戦闘とは偶然の重なり合いであるとは言え、】
【カニバディールの首を折る為には、それ相応の実力が伴っていなければ不可能な業。】
【それがこんな簡単に、小手調べのレベルの攻撃に引っ掛かって、不利な状況を生み出すとは、】

【どう考えても、あり得ないのだ……しかし、やはり眼前の事実は事実、少年は動けない。】
【コレが罠かどうか、その判断を為には―――、首へ狙われたナイフの、その刃先を見れば分かる。】


―――ッ゙ッ゙!!!!!

【―――刺さった。流石の反射神経、ナイフの先端をもその視界に収め、可動域の限界まで首を逸らし、】
【特に大動脈は確実に避けたとは言え……致命傷だ。……特に治療もせずそのまま出血を許したのなら、】
【間違いなく死ぬ。……こんなリスクを負ってまで仕掛ける"罠"、一体何処にあるというのか。】

【ココで警官達が応援に駆けつけるのだろう……流石にコレは無い、と。】
【10人以上が囲み、拳銃を構え、彼の足に向け一斉に発砲……の為に、トリガーに人差し指がかかった、その瞬間。】

【―――ジジッと、電気の走る音。警官によって出来たその円の中心、僅かに聞こえ、火花が見えた、】
【と思えばそこに、一人の男が立っている……あの、飼い主。転移魔法か、そこらを使ったのだろうと推測が行くが、】


………お前ラ、だめダロ、ほら、やメやメ。……銃は、おろセ。
こいつニ、当たっタラ、どうすんダ。いいカ、こういう時ハ、………

―――そウ、こうすンだヨ。アー、ぱっくリ行ってんナ……んー痛そウだナ……

【男は警官達を制し、構えた拳銃を降ろさせる……部外者の発言にも関わらず何故か従って、】
【と言うよりは、やはり彼が放つオーラによる物なのだろう。無意識の内に、彼に従ってしまう程の。】

【彼はそのまま、瞬間移動を2回する。一度目で少年に近付き手を握り、そのままもう一回を発動させれば、】
【2人同時に、ある程度距離のある場所へと移動する……一瞬にして、一応の安全は、確保された訳だ。】


……まア、大丈夫ダロ。―――……で、お前ハ? 何してんダ?

【傷の確認を済ませれば、まあ大丈夫と一蹴り。再び瞬間移動……今度は、彼の背後を取ろうとする。】
【どちらにせよ聞く事は、"何をしているのか"……機嫌は余り、よろしくない様に見える。】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/08(火) 01:41:47.18 ID:USIMbDep0
>>146
/申し訳ない!ちょっと眠気がアレなので、
/次で締めて頂くか、明日への持ち越しをお願いしたいのですが……
/ご判断はお任せします、お願いします!
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/08(火) 01:43:23.43 ID:5qhabsCJo
>>147
/了解です、こちらもそろそろ危なかったのでありがたいです……
/駆け足になってしまいましたが、次で締めさせていただこうと思います
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/08(火) 01:50:53.18 ID:WbJruhuto
>>145


異なる種族――――? 人間じゃない、ということ?


【人間以外の何か≠ニ接することに関して、この少女の経験は豊富である。種族が違う、その言葉を聞いて少女が無意識にしたのは、】
【妖怪とか悪魔とか、そういう妖魔≠フ類であるか否かの確認だった。その時ほんの少しだけ神聖≠ネ雰囲気が強まったのを感じるかもしれない】
【敵意がないことはもちろん、何の害にもならない行動だけれど。一切宣告もなく無遠慮に行われるそれは、同じように不躾で】


これは過信とは違うわ。厳然たる事実よ。
……私は花なんかじゃない。強いて言えば、剛く鋭い刀≠チてところかしら。


【自分が強い、というその一点を少女は頑として譲らない。己に対する絶対の自信と信頼――――それが、少女の心を支えているかのように】
【鋭い棘で外界から自分を隔絶する花。少女は自らを一本の刀なんて称すけれど、気づいているのだろうか】
【触れるもの全てを傷つけるという点で、それは同義の喩えだと。枯朽の瞬間は呆気なく訪れるという点だって、あるいは】


ああ……まさかとは思ったけど、やっぱりそうなのね。
私は幸徳井佳乃。櫻出身の退魔師で――――そのグリースとカログリアの知り合いよ。
安心しなさい、あなた達と敵対する気はないわ。……少なくとも、今のところは。


【明らかに常人離れしたイリニの挙措に、身に纏った純白のローブ。そして聖書……彼女の口から滑り出す二つの名前が、疑念を確信に変えた】
【少女は自らを「幸徳井佳乃」と名乗るだろう。大会に顔を出したり各地での事件に助力したり、調べれば素性がわかる程度の知名度はある人物だ】
【――――あの性悪修道女はともかく、カログリアという友達≠ノ関わりのある組織を悪とは思いたくない。佳乃も内心ではそう考えはいたが、】
【実際、教会については『得体の知れない組織』というのが素直な感想である。返答によっては敵とみなす……それはこちらも同じだと、最後に言葉が付け加えられて】


あなた、イリニでいいのかしら?
私もそのゼン=カイマの件に少なからず関わった身として、前から気になっていたのよ。
教えなさい。教会っていうのはどういう組織で、何が目的で動いているのか。どうして連中と敵対していたのか。


【そうして、投げかけられるのはかなり根本的な疑問。教会の正体、目的、情勢、その全てを包括した聞き方である】
【この少女を信頼するかどうかも、信頼したとしてどこまで答えてやるかも、本当の事を教えるか否かも。すべてはイリニ次第だが――――】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/08(火) 01:58:14.92 ID:5qhabsCJo
>>146
あれあれ? マジに刺さっちゃった?
いや、おっかしーでしょ……。だってほら、死んじゃうでしょ、それ……

(ナイフは最後まで見てたし、行動を辞めもしなかった……え、これマジ? うっそだあ……)

【完全に決まったナイフの一刺し。にも関わらず、男の顔からはついに笑顔が消え失せていた】
【作る表情は、呆けたような驚きのもの。あのねこやまが、『スクラップズ』の宿敵の一人が、こうもあっさりと】
【何かがおかしい。それくらいは、狂人たるこの男にもわかった。だが、それを考える前に、複数の銃口がこちらを向く】

【まずは、それを見てにやり。対処法はあるらしい。ひとまずは、それを発動しようとして】
【先に動いたものがいた。電流の走る音。出現する円。突如現れた男】
【何より、警官たちを一瞬にして威圧して見せる、彼のオーラ】


(――カニバちゃんが言ってた、飼い主ってやつ……? やっべー、早まったかなこりゃ)

【と、男が冷や汗を顔に伝わせた、次の瞬間。彼は、再び瞬間移動などという芸当をやってのけた】
【男は、それにわずかながら反応した。少年を一瞬で移動させた、と同時に、次の彼の行動を予期し、後ろを振り向きつつ飛び退いたのだ】

【背後の警官にも、意識を配りつつ。目の前に瞬間移動したであろう、彼に対峙する】


――クフヒヒ。何って、正当防衛だよお。だってさ、あの子僕に手錠かけようとしたんだよ?
犯罪現場見て笑ってた、ってだけでさ。ちょっとあんまりじゃなあい?

フフヒ、まあそんな怒んないでよ。誰だか知らないけどさ……
君とやり合うのは、ごめんだな僕ぁ

【言うが早いか、男の背中からまたも蔦が伸び、瞬時に傍の建物の屋上、その柵にまで届いて絡みついた】
【蔦が収縮し、男の身体が地面から引き剥がされる。そのまま、一気に建物の屋上まで上るだろう】


クヒフヒ、まあこっちもやりすぎちゃったかなあ。でもさ、お互い様だよ、ほんとだよ?
ま、その辺は言っても仕方ない、かなあ……クヒ。そんじゃ、バイバーイ

(あーあ、カニバちゃんとパパに大目玉食らうだろうなあ……あの瞬間移動の情報だけで、許してもらえないかなあ……)

【心中でぼやきつつ、男は逃げ去った。植物の残り香をまき散らして】

/では、これで締めとさせていただきたく! お疲れ様でした!
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/08(火) 02:32:14.65 ID:xR0YGLTB0
>>149
「イリニは人では無く、悪魔でも無く、天使でも無ければ亜人でも無い曖昧な存在です
――――人は其れを過信と呼ぶ。イリニはそう思います。刀、とは人を斬り傷付ける物
例え守る為に振るったとしても、傷付ける事に変わりはありません。…………刀、とはその様な物です

斬れば斬るほどに刀は疲弊し、やがてはポッキリと折れる物だとイリニは認識しています。―――それとも、刀の如く人を傷付ける事を好むのですか」

【其れより先は紡がない。少女が譲らないのと同じく、イリニもまた譲る事は無く】
【――――だから、話は平行線。きっとそれ以上語ったところでイリニには解せない、と少女も分かるだろう】
【この話は其処で途切れる事になるだろうか。認識のズレ、という程でも無いが…………】

【冷えたような視線は元からだ。だが、どことなく強くなったのは――――少女が神聖を強めたから、でも無いのだろう】


「佳乃…………カログリア様から良き友人としてその名は聞いていました。貴女がそうでしたか
グリース様からは“面白い子”と話を聞いていましたが…………佳乃は面白い人なのですか?」

【少女の名を――佳乃の名を聞けば、少しの沈黙。まるで記憶を辿っているかの様で、その沈黙を裂いた第一声が名の反芻】
【カログリアからは友人として、グリースからは“からかい甲斐のある相手”として名を聞いていたようだが……どうにも、片方の意味は理解して居らず】
【挙げ句には少女自身に貴女は面白い人なのかと聞く始末なのである。コレもあの悪戯好きの策略、と考えるべきか】
【尤も、意味を理解していたとしてもイリニには人をからかうだけのユーモアが無いのだけれど】


「イリニの名は、イリニ=ネメスィ。教会独自の技術で作られた生命体です
さて、質問に答えますが――――その質問は、イリニとって答えるのに悩む物です
櫻の国の宗教一つでも様々な派閥がある様に、教会にも派閥の様な物が在ります。組織の存在意義も、目的も異なるのです

ですから、イリニ達の教会のみを説明する事とします。先ず、我々教会は救いを行う事が目的です
魂の救済等では無く、現世に於いての救い。機関の者達等に理不尽に殺められる者達を救う事を目的とし、其れこそが存在意義でもあります
路地裏に巣くう者達の排除、孤児達を無事に育て上げる事。そして様々な場所への介入。そして、我々の教会にとって不利益となる存在の排除
無論、其処には神の教えを広める意味もありますが、我々の教会と他の教会では恐らく解釈が異なるので省くこととします

――――我々の教会は、多くの血を流すことを良しとはしませんでした。だから、ゼン=カイマと対立したのです
その考えの筆頭が佳乃の知り合いであるグリース様と、我々の場所を治める神堂様でした」

【先ずは己の名と種族を告げて……返される答えは教会全体では無く、イリニの所属する教会についての事】
【表面を撫でる程度ではあるけれど、存在意義を理解するには十分であろう。弱き者の手助け、にも似ているか】
【カログリア献身的な其れもこの教会があってこそ、か。一人でも多く救いたい。そんな事を言って居たけれど】

【答えるだけ答えたら口を閉ざし、僅かに首を傾げた。まるで他に聞く事はあるかとでも訊ねる様で】
【仲間の友人と認識したのだから、教会に連れて行けとでも言えば連れて行くだろうし何か問えばある程度までは答えるであろう】
【ただ、何であれその前に紡がれる言葉は――――】


「佳乃に話して居たらイリニは喉が渇きました」

【そんな、間抜けな言葉。無視したところで何か害が有る訳でも無いだろうが……今までとは異なった意味合いであろう視線が、ジッと佳乃の目へと向けられて居て】

/っと、申し訳無いのですがそろそろ時間の方が……
/もし宜しければ置きレス移行或いは持ち越しの方をさせて頂ければ助かりますっ!
/持ち越しの場合、今日の午後10時半頃からお返しが可能かと……!
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/07/08(火) 02:39:19.86 ID:WbJruhut0
>>151
/了解しました、それでは持ち越しでお願いできればっ
/また時間までに返信しておきます! おやすみなさいませ〜!
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/08(火) 19:43:45.49 ID:gDT9i0+So
【夜・公園】

ん、と……ひい、ふう、みい、よ……
…――これで大丈夫……です?……あっ…!

【自販機の前、一人の少年が手元の小銭を数えていた】
【その格好は古風で、ハンチング帽にサスペンダーのシャツ姿】
【ただ何よりも目を引くのは、その腰元から伸びる白銀の尻尾なのだが】

【――その彼の手元から今、ころころと一枚の硬貨が転がり落ちた】
【小さな声からそのことは直ぐに分かるだろう。さて、硬貨の行方は――?】
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/08(火) 21:17:14.87 ID:WbJruhuto
>>151


何よ、それは――――忠告のつもり? 余計なお世話だって言っているでしょう。
私が斬るのは人に仇なす悪≠セけよ。その意思がある限り、私は決して折れたりしない。


【イリニの言葉はきっと、自分を貶めるために紡がれたものではない。それをわかっていてなお苛立ちを顕にしてしまう少女からは、拭えない幼さが垣間見えて】
【世の刀≠ヘそうかもしれない。でも自分は違う。自分だけは違う。自分は特別だ――――そんな考え。それが「過信」と表現されるのは仕方のないことだ】
【それでも少女が決して譲ろうとしないのは、単なる幼稚な意地だったのか、それとも別の理由があったのか。もしくは、その両方か――――】


そう。……あの子の紹介があるなら話も早いわね。信頼してもらえるかしら?
………あんの性悪とはいつか腹を割って話す必要があるみたいだけれど。
ええ、遠慮しなくていいのよ? もしあなたにも私が面白く見えるっていうなら正直にそう言ってみなさい。


【『良き友人』と――――それを聞いた時少しだけ、むっつりと引き締められていた面差しが緩んだことに、イリニが気づくか否か】
【もし気づいたのであれば。軽く目を逸らして、パーカーのフードから流れ出る長髪をばさりと掻き上げてみせる格好つけた挙措に、】
【ちょっとした照れのようなものが感じ取れたかもしれないけれど。……それはともかくとして、後半の台詞を聞いて再び眉根に皺が寄ったのは言うまでもない】
【腹を割って話すどころか相手の腹を掻っ捌きかねない形相。口元の引き攣ったその表情をもし本当に面白いと思っても、正直に言うのは確実に不味そうである】


ふぅん………聞く限りでは意外とマトモそうね。派閥争い云々っていうのもわからないでもないし。
でも、まがりなりにも神を信じる教会が、自分の手で生命を造り出すなんてことをしていいわけ? それも教義の違いって奴なのかしら。

――――まぁ、いいでしょう。
イリニ=ネメスィ、興味が湧いたわ。私をあなたの教会とやらに案内しなさい。まさか教会が『来るもの』を拒んだりはしないわよね?
もし名目が必要なら……そうね、適当に学生の社会科見学ってことにでもしておいてちょうだい。

それと、ちょっと見て欲しいものもあるの。これ、私の流派の方式じゃあどうにも解釈が合わないのよね。


【イリニが一応、仲間の友人として佳乃を信頼したように。佳乃の方もまた、教会の概説とそこに所属する友人の印象を合わせて、一応の信頼を抱いたようだ】
【目の前の少女が、教会によって造られた人造の生命体だというところには少しだけ、引っ掛かりを覚えたようだけれど――――いきなり発憤したりはせず】
【その代わり、興味が湧いたから連れて行け、なんて突飛すぎる命令をさも当然のように告げるのだろう。何様のつもりだと言われても仕方ない居丈高な態度で】

【そして――――ついでとばかりに、佳乃はポケットから一枚の紙を取り出す。紙面上を独特の文字や図式が埋め尽くす、設計図らしきモノだ】
【魔狼≠ネる文字だけが辛うじて読み取れるけれど、それ以上は判別不能。佳乃の持つ櫻方式の知識では解読もうまく行かなかったらしい】


………まったく、何が「曖昧な存在」よ。人形みたいなナリしてちゃっかりしてるじゃないの………。
しょうがないわね、待ってなさい。


【すべて言い終えれば、後は静かに返答を待つのだが。……唐突に注がれる視線の色が予想外すぎて、佳乃は思い切り肩透かしを食らった様子】
【はぁ、と溜息を付きはするけれど、気分を害した様子はない。教会がどんな組織であれ、この無機質な少女にも存外楽しいところがあるとわかって、安堵したのか】
【佳乃は近場の自販機まで行くと、お茶を二本買って戻ってくるだろう。「ほら、受け取りなさい」と言ってイリニの分が投げ渡される】




155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/08(火) 21:22:44.06 ID:f+6WX04bo
【路地裏】

【奇妙な程の冷気が、狭い道の奥から漏れ出している】
【そこでは壁も地面もが白く凍り付き、数人の不良が氷像の如く凍らされていた】

【冷気の根源に立つのは、灰色の髪を持つ青年】
【さして目立たぬ装いにどこか不釣合いな、豪奢な宝石の腕輪を左手首に付けている】

【その深紅の双眸は、地で震えて後ずさる若い女性へと向けられていた】

はーあ……キミも一緒に死んじゃいなよ。クソブス

【怯えた女の様子に、如何にも面倒だと言いたげにして】
【青年は虚空をなぞる様にして、その指先に冷気を集中させていく】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/08(火) 22:48:39.31 ID:RCYbqNUQO
>>154
「――――佳乃は、面白い人だとイリニは思います。イリニから見れば、佳乃は沢山の矛盾を抱えている様にも思えますから
佳乃は人を嫌うようにも見えますが、其れでも悪を下して人を守ろうとしています
ふと笑んだかと思えば、気むずかしそうにまた顔を顰める
イリニは仲間が居ても友達という物を持った事が無いので分からない事ですが、興味深い事です」

【感謝します、と礼を述べて投げ渡された其れを受け取れば。一口飲んで喉を潤し、馬鹿正直に面白いと答えるのだろう】
【滑稽だとか、そんな意味では無い。興味の対象として、面白いと述べただけだ】
【笑みもしないイリニは、文字通り感情の起伏が薄いのだろう。命令を忠実にこなす兵にさえ思える程に、言葉にも抑揚が無い】
【…………だからこそ、一般のそれよりは分かり辛くとも表情を変える少女が面白いのだ、と】



「イリニは精霊達との契約として、そしてカノッサ等と対峙する為に作られた様な存在です
神を真似て作ったような其れでは無く、更に言ってしまえば植物の交配なども新たな生命を作り出す事に変わりはありません
世界をより良くする為に作り出された物ですから、冒涜とも違う物です

――――“魔狼”が書いた魔械式の原書ですか?何故、佳乃が持って居るのかは疑問ですが…………
分かりました。理由も其れを見せる為で十分通じると思います
ですが、イリニは佳乃へ忠告します。“魔狼”は癖のある人物ですので気を付けるように、と
……百聞は一見にしかず。実際に会えば直ぐに分かる事だと思いますが…………イリニは苦手なので別な場所で待機しています
助言をするとしたら、其れを手に入れた理由を問われたときに嘘を少しも交えずに答えた方が良い事位でしょうか」

【可愛らしくも無い物言いだ。更には精霊との契約――――となれば魔力に対抗する力も人並み以上には備わっているのだろう】
【お茶を両手で抱えながら飲むのはやはり幼く、それでも紡がれる言葉は淡々としてるのだからギャップを感じさせる】
【やがて出された設計図。暫しの間眺めていたけれど、“魔械式”と呼ばれる技術を記した物だと言う】

【付け加えるのはその魔狼なる者に対しての注意事項だろうか。余り多くは話さず、然れどイリニが苦手とするのだから中々癖の激しい事が覗えよう】
【兎に角、だ。話が纏まれば立ち上がり、教会へと向かって歩み始める筈で】



【――――時が経ち、教会。信徒のみならずこの時間であっても一般の者達も多く出入りしている事から地域と広い交流を持っている事も分かるだろう】
【奇妙な事と言えば、過ぎる信徒達がイリニという小さな子供に対して皆頭を下げる事だ。本人は気にした様子も無く、マイペースに歩みを進めるのだけれど】
【……端で話して居る者達が“33機関”だとかそんな言葉が耳を通るかもしれないが…………きっと、今は意味も分からない筈で】
【やがて着くのは大聖堂。更に奥に進めば――――地下へ通じるような小さな扉があって、その前で立ち止まれば漸く振り返るのだろう】


「其れについて詳しく知りたいのであれば、この扉の向こうの人物と話せば良いとイリニは答えます
教会についても、話す権限はイリニよりも多く持って居ます。必要であれば案内してくれるか、或いはイリニが案内を担当する事になりますが
――――佳乃。くれぐれも気を付けるように、とイリニは一応の同性として忠告します」

【その扉の先に魔械式について詳しく答えてくれる者が居るのだと言うが…………】
【先までの忠告だとかを聞いていれば、何と無く不安にもなるだろうか。しかしながら、時は有限】
【この場で踵を返し、イリニに教会内を案内させても良いのだろうが…………そうすれば、その設計図からもまた遠ざかるというもの】
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/08(火) 23:34:57.88 ID:WbJruhuto
>>156


それは、褒めてるの? 貶してるの?
……確かに、私は人が嫌いよ。それでも守るのは私が強いから。強い人間は、弱い人間を守るのが義務だからよ。
それに――――人を遠ざける私に、敢えて近づいてくる奴もいる。そういう善意には善意で返さないと、その、筋が通らないでしょう。

友達だなんて、私にも未だによく分からないけれど。
相手に「友達」と思われたときにはもう、友達になっているものなのよ、きっと。


【面白い、と馬鹿正直に述べられたのなら一瞬、ギロリと圧力が強くなるが――――どうもそれは、グリースの言う「面白い」とは趣が違って】
【佳乃は少しの間きょとんとしていたが、やがて呆れたように目を細める。そこから先の台詞は、気恥ずかしいのか目を逸らしたまま紡がれるだろう】
【私は強い。だから弱い人間を守る。それは彼女の矜持であり、支えでもあるのかもしれない。何にしてもそれは、人のためでなく自分のための行為だけれど】

【……時折、そうでない者もいる。こんな自分を友達と呼んで慕ってくれる、真に守りたい人間もいる。そんな当たり前を佳乃が知ったのは比較的最近のことだ】
【友達なんて、いつの間にかなっているもの――――自信なさげな言葉ではあったが、それは幸徳井佳乃という少女の数少ない経験則だった】


ああ、そう。別に……あなたがいま幸せなら、私には関係の無いことだけれど。

――――ふん、『魔狼』ってのは人物名だったの。
今更臆したりしないわよ。私がいままで会った教会所属の人間なんて、だいたい癖のある奴ばっかりだったし。もちろん、あなたも含めてね。
ほら、わかったからとっとと案内しなさい――――。


【人の手で生命を、人間≠フカタチをしたモノを生み出す。……櫻出身だからなのか、佳乃としては微妙に受け入れがたいものがあったようだけれど】
【かといって、まだ経緯も何も知らない状態で癇癪を起こすほど馬鹿でもない。イリニが幸せならいい――――なんて発言は、あるいは心配の表れだったか】

【魔狼というのが人名だと知った佳乃が露骨に顔を顰めたのは、彼女の人嫌いを思えば至極当然の反応だっただろう】
【だが、どの道教会に行く時点で知らない人間と会うことは覚悟していたのだ。魔戒式の原書≠ネる未知をそのままにしておくのも気持ちが悪い】
【忠告も一応聞いた上で、佳乃は早く案内しろとイリニをせっつく。彼女が歩み出せば、依然不機嫌そうにその後を付いていくはずだ】


【――――そして、辿り着く教会内。制服ならともかくラフな私服で、しかも目つきの悪さから若干目立ちはするものの】
【とりあえず、被っていたフードを脱ぐぐらいには佳乃自身も場を弁えていたし、彼女の纏う神聖≠ネ雰囲気が強引に彼女を場に馴染ませていた】
【イリニを見て頭を下げる信徒達に奇妙な単語と、気になるところは多々あったけれど。いまは「あなた、ずいぶん偉い立場なのね」と呟く程度に留める】


………同性として、って何よ。なんだか不吉な予感がしてきたんだけれど………。
まぁ、いいわ。とにかく行ってくる。――――イリニ、じゃあまた後で。


【大聖堂の奥、地下室への入り口。この時点でかなり嫌な予感が佳乃の中を駆け巡っていて、イリニの言葉が更にその後を押す】
【初対面の人間と会うというシチュエーションもあって、佳乃は頭痛を堪えるようなポーズで溜息を吐いたが……すぐに覚悟を決めたようだ】
【ある種の願掛けも込めてイリニに軽い挨拶をした後、佳乃は設計図の謎へ近づくべく、扉の中へ入っていくだろう――――】
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 00:01:07.48 ID:nLlwqgQD0
>>157
【――――扉を開けてみれば。先ず目に映るのは紙、紙、紙】
【その全てに難解な言葉ど図形とが記されており、その方面に突き抜けている者からすれば宝の山であるがそうで無い者からすればただの紙くずだ】
【まあ、言ってしまえば紙だけで作られたゴミ屋敷。何処を見ても難解な其れが記された紙が捨てられているのだ】

【目線を先に向けたならば、今度は机が映るだろうか。何に使うのかさえもさっぱり分からない器具の数々】
【何千と捲って摩り切れ始めた辞書だとかも其処には広げられていて】

【今度は視線を隅へと変えたとしたら。漸く、其処には人の姿があるのだが――――あろう事か、上半身が裸だ】
【灰色の髪と双眸を持った男性。机に腰を落とし、壁に足を着ければ何ともだらしない格好だ】
【首には十字架のネックレスを掛けているけれど――――果たして其れがこの教会所属を示す物となるだろうか。否、なる筈が無いのだが】



「ッ―――……ンだよ。入る時はノックの一つでもしとけよ阿保が
急ぎの用事なら神堂かグリースに回せ。で、信徒やら一般人の送迎なら馬鹿赤髪かイリニでも回せ
俺に用事があンなら二分以内で――…………お?おいおいおいおいおい」

【あからさまに不機嫌。舌打ちを一つすれば気怠そうに立ち上がり、髪を掻けば大あくび】
【振り返り、とっとと追い返そうとしたところ、漸く少女の姿が視界に映ったという訳で】

【目を丸くして数秒の無言。品定めをするかの如くじっくりと見遣り、今度はあからさまに嬉しそうな表情をするのだ】
【女好き、なのだろう。イリニの忠告も強ち間違いで無いことは此処で分かる】
【そして、相手が同性ならばまだしも少女であると分かっているのにそのままの姿なのだから――――やはり、色々とズレている】



「何だ何だ?デートのお誘いってヤツか?
悪いな、てっきり信徒の馬鹿達かと思ってよ。お前みたいなヤツが居るならこの部屋にも花が咲いたも同然だ
と言う訳で、何のお誘いだ?今日はフリーだから何処でも付き合ってやるぜ?
――――おっと、それとももう少しロマンチックな場所で誘って欲しい感じか?
ああ、女の方が好みでも構わないぜ?一時間もすりゃ俺もボンキュッボンのそりゃ誰もが振り返るような女にだな……まあ、ちと性格も変わるが」

【数歩分の距離を空けて近づけば、カラカラと笑いながら話し掛けるのだろう】
【何というか、余りにも軽い男だ。とても設計図を知る者とは思えないが…………事実、其処等に転がっている紙だとか辞書だとかを見るに、この男が解しているのは間違い無く】
【同時に、“数歩分の距離”の意味が分かるならば。其れは尤も威力の高い打撃を撃ち込める距離。即ち、軽い調子で有りながらも同時に警戒している事が分かるだろうか】

【――――余りにも話が飛躍しすぎている。ぶん殴ろうが何しようが誰も文句は言うまい】
【だが、同時に実力を持っている事も少女ならば分かる筈なのだ。何にしたって、設計図を突きつけるなり問いを投げるなりすれば或いはまた別な反応が見られるか】
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/09(水) 00:37:04.00 ID:A2n2b17Qo
>>158

【まず、紙だらけの世界に到達した佳乃が頭痛を覚えたことを記せねばなるまい。浮かぶ情報は人によっては垂涎ものだったかもしれないけれど、】
【佳乃の持つ櫻を基準とした知識と教会のそれではきっと方式がまったく異なっているだろうし、そもそもこの少女は勉強というものが苦手なのであった】
【故に佳乃は山積する紙には目も暮れず、その合間を縫って手早く机の前へ進み出る。そこできょろきょろと、一度周囲を見渡すのだが――――】


(…………………最悪)


【――――その無情な一言が、まず少女の心に浮かんだ。上半身裸のだらしない格好にいかにもズボラそうな態度、それは佳乃の性質を考慮するまでもなく】
【一般的な女子高生の感性として、良い感情を抱く方が少数派であろう。今度こそ佳乃の性質を考慮するなら、口に出さなかっただけマシというもので】
【面倒くさそうな文言の後には好奇の視線が投げつけられる。……カウンターのように、「近づいたら殺す」と言わんばかりの視線がぶつけられるはずだった】


私は幸徳井佳乃。あなたが魔狼≠ニやらで間違いないわね。
今日はイリニ=ネメスィの紹介で来た。――――この『魔戒式の原書』とやら、鑑定してちょうだい。


【数歩分の距離を挟んで軽薄な言葉が飛んでくる。男が抜け目なくこちらを警戒していることは察せられたので、それについては文句など無い】
【むしろあと一歩でも近づいていれば、こちらから「最も威力の高い打撃」を打ち込んでいたかも知れず。男の一言一言が、佳乃にとっては精神攻撃に等しかった】
【結局……公然と信徒を小馬鹿にする態度も、デートのお誘いとかいう勘違いも、ロマンチックな場所がどうとかも、佳乃は一切何も触れないまま】
【まあ厳密には、一時間もすれば女になるとかいう部分は少し気になったけれど――――イライラを抑え付けるため、それにも敢えて突っ込むことなく】

【ただ設計図を差し出して、手短に用件だけを告げるのだった。愛想も何もない無表情だけれど、罵詈雑言を吐き捨てないだけこの少女にしては頑張った方だ】
【ちなみに、もし男が設計図を受け取る素振りを見せたなら、佳乃はそれを投げ渡すだろう。失礼極まりないが……近寄りたくないし、近寄れないので、仕方ない】
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 01:02:19.32 ID:nLlwqgQD0
>>159
「おいおい、俺は特にお前に対して何もしてねーぞ。だからンな親の敵を見る様な目で俺を見るなって。照れちまうだろ?
しかし、何だ。まぁ――――ソッチの名前で俺の事を知ってるって事は依頼か何かか?
…………悪いな。デートじゃなくて依頼の話だったら聞きたくねェ。ついさっき終わらせたばっかで今は頭働かせたくねェんだよ

イリニの紹介だろうが神様のお導きだろうが同じだ。折角だから其処等でも見学して帰っとけよ。気が変われば俺は大体此処に居るから何時でも…………――」

【同性として――――イリニの言って居た事は間違いでは無かろう。同時に、彼女が苦手だと言って居た事も理解出来ただろうか】
【百聞は一見にしかずとは言って居たが……何とも嫌な実体験だ。対して男は蔑まれる様に見られようと軽く笑って見せるのが】

【“魔狼”の名が少女の口から出た時。僅かに、顔を顰めた】
【禁句、でも無いのだろうけれどこの男からしたら面倒な依頼を持ってくる者達がその名で男を呼ぶらしく】
【手で払うような仕草をすればそのまま椅子に戻ろうとするのだが――――原書の名が零れれば、足を止めた】



「“魔戒式の原書”?…………何でお前が此を持ってンだ?
――――おい。何でお前が其れを持ってるんだ?答えによっちゃ…………」

【要求するように手を伸ばし、投げ渡されれば広げて眺め――――軽薄な笑みが、ふと消えた】
【怒り、では無い。疑いの様な視線だろうか】
【然れどイリニの紹介であると思い出せば溜息を吐いて、もう一度設計図を広げて眺めるのだろう】



「コレはな、俺達教会の一種の極秘みたいなモンだ。ま、言っちまえば俺のオリジナル設計図みたいなモンだな
“魔戒式”ってのは魔術やらを色々と精密に複合させたモンなんだよ
そしてな。鑑定するも何も、コレを作ったのは俺だ。――――で、何でお前がコレを持って居ンだ?

場合によっちゃ教えてやるし、その逆も有る。経緯次第では“創って”やる
……“魔狼”の名前を出したんだ。何も知らないで此処に立ってる訳でも無いンだろ
前言撤回だ。依頼を受けてやるにしてもやらないにしても、お前の答えで決める」

【其れでも、先程の刺々しさは消えずに居て。この原書を手に入れた経緯を問い質そうとする事だろうか】
【無論、嘘を吐いてしまったって構わない――――が。ジロリと視線を合わせられたままに上手く嘘を吐けるか、否か】
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/09(水) 01:33:40.93 ID:A2n2b17Qo
>>160


……………あのね、私だって暇じゃないの。
依頼を受ける気が無いっていうのなら話は早いわ。あなたの言うとおり、その辺りを見学して帰らせてもらうわね。


【男の態度に、佳乃の視線は厳しくなるばかりである。いくら男が軽薄な性格とはいえ、確かにまだ何もされていない段階でこれだけの敵意を向けるというのも】
【些か普通ではないというか、辛辣ではあるのだけど。佳乃にはどうにもこの手の輩にいい思い出がない、同じような手合いはいつもぶん殴って終わりだった】
【元来――――幸徳井佳乃は大人が嫌いだ。それに加えてこの軟派さとなれば相性は最悪、八つ当たりじみた態度もある意味では仕方がなく】
【そもそも他人と話すのも苦手という、この絶望的な三重苦。設計図への興味より男と話すことへの嫌悪感の方が勝って、佳乃はとっとと踵を返そうとするが、】


――――何よ。そういう顔ができるのなら最初からそうしておきなさい。

数ヶ月前から、櫻の国で空狐≠ニいう大妖が騒ぎを起こしているのは知っているかしら?
それは私が死酷ノ原≠ニいう土地で空狐との戦いに参加して、その報酬として手に入れたものよ。
なんでも、琴音……『封魔城』って城の主なんだけれど、その子と交流のある教会の女が持ってきたものとか何とか。

その教会の女っていうのが誰だかは知らないし、琴音もその原書について詳しいことは何も教えてくれなかったわ。
流石に極秘って言うだけあって、私の持ってる櫻の術式じゃあ解読できなかった――――だから、わざわざここまで来たってわけ。


【設計図を受け取った男が一転して、疑心と警戒の籠もった視線を送ってきたのを確認すれば――――たじろぐどころか、むしろ機嫌を良くしたようだ】
【まだるっこしい会話より、こういう一触即発の気配の方が佳乃は好きだった。微かに口元を吊り上げて、ようやく面白くなってきた、という顔をしてみせる】

【その後は――――男の刺々しい雰囲気を前にして完璧に嘘を付けるほど腹芸に秀でてもいないし、元より小狡い嘘など性に合わない】
【佳乃は包み隠さず経緯を伝えるだろう。『空狐』と表現はすれど『天鬼桔梗』という固有名詞を出さなかったのは……もしかすると彼女なりの配慮だったか】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 02:06:27.73 ID:nLlwqgQD0
>>161
「あァ?封魔城だァ?琴音と其処まで交流があるとすれば――――またあの馬鹿か
ケッ。知ってるも何も要請がガンガン入って来るんだよ。だけどな、俺達は櫻の国に手を回してるだけの余裕も無い

――――それで、だ。お前がコレを手に入れた経緯は分かった
因みにな、コレは誰の何処の術式を掛けようが解ける筈も無いんだよ。何にしろ何も細工してないからな
俺の身にしか分からない数式で、俺にしか理解出来ない過程しか書かれてない。カノッサだとか其処等の天才なら解けるかもしれねェけど……稀だろ」

【経緯が理解出来れば設計図を畳み。思案するかのように少しの間俯くが――――】
【要請は受けているが、手を回せるだけの余裕も無い。この男を見る限りそうでも無さそうだが…………イリニの言葉を思い出せば、強ち嘘でも無いのか】
【キョロキョロと辺りを見渡し、紙の束を退かせば其処に現れるのは一つのケースだ】

【開けば魔物の手にも思える何とも禍々しい“かぎ爪”の様な物が収められているのだが――――見た目とは裏腹に神聖に近い“浄化”の魔力が漂っていた】
【見ればかぎ爪の先からは絶えず雫が落ちている。謂わば、聖水であるのだけれど】



「――――要は、貰ったのがお前さんじゃ無くてもコレを選んだ時点で紙切れ同然って訳だ
……琴音が何も知らずにコレを報酬として出した訳でもねェだろ。ったく…………こっちにまで手間を掛けさせるってのは予想外だったけどよ

お前が貰った物に書かれてるのはコレだ。生身の人間相手ならなますの様に肉を斬って突き刺せば心臓まで簡単に届く物騒なモンだ
その上こっちの独自の技術で鍛え上げられた刃を使ってるからゴーレムに叩き付けられようが壊れもしない
尤も、コレを手に嵌めて盾代わりに使おうなんてしたら先に衝撃に骨と肉体が耐えられなくて体が壊れるけどな

……絶えずに滴るのは聖水。元々は魔族だとか魔物だとかを相手にするために創った物だからな。切れ味に加えてソッチの奴等には傷口に塩どころか焼き鏝を押しつけられるのと同じだな
使い様によっちゃただの棒に括り付ければ槍にもなるし、元々槍を使ってるなら石突きよりも強力な近接戦闘が出来る様になる訳だ

もう一つは――――イリニと会ったなら分かるだろうが、生命体を創る方法。コレは全くオススメしないがな
命を創るってのは其れだけハイリスクで、面倒な事だからな。お前が下僕が欲しくて欲しくて堪らないってなら良いのかもしれないが
…………さて。何処ぞの城の主報酬となれば断る訳にもいかねェ
望みの物が有れば創ってやるし得物を強化して欲しいなら注文を言えばどうにかしてやる。――――この爪を手にして満足した方が、俺にもお前にも悪い話では無いと思うけどな」

【そのかぎ爪を持って行くか、命を創るか、或いは何か注文をするか。出された選択は三つだ】
【まるで櫻の国の上等な刀の如く優れた刃。更に少女の神聖も合わされば効果も高まるのだろうが――――何を選ぶかは、託された様で】
【かぎ爪を選べば、仕事は終わったとばかりに退出を促すのだろう。だが、仮に他の二つを選ぶとしたら……また、流れは変わり】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/09(水) 02:44:51.97 ID:A2n2b17Qo
>>162


あれだけの大災厄を前にして……余裕が無い、ですって? 教会っていうのはそんなに人手不足なの? それとも、別の案件に係っているのかしら?
………ふん。てっきり何か術式が仕込まれているのかと思ったのに――――これ、単なるあなたの落書きだったわけ。とんだ骨折り損だったわ。


【あの空狐の為に、いったい何人が犠牲になったのか――――それを思えば、そしてイリニから受けた『教会』の意義についての説明を思い出せば】
【余裕が無い、と断じるその言葉は佳乃にとって意外なものだった。多分何かしら理由あってのことだろうと、そう思って質問してみるけれど】

【一方、自分が設計図について勘違いしていたことに気づけば少しだけ悔しそうに。いかにも『何かありそう』な見た目だったからつい先入観に囚われたのだ】
【八つ当たり気味に悪態を付いて誤魔化すと、佳乃は男の動きを追う。取り出されるケースと、収められている鉤爪――――】
【剣呑な見た目ではあったが、そこに宿る力の属性にはすぐに気づいた。滴り落ちる雫がどういうモノであるのかもまた然り、興味深そうにそちらを覗き込んで】


なるほど、ね。――――鉤爪か、悪くないじゃない。
そりゃあ、ゴーレムほどの一撃にもなると体が耐えられないのは当たり前でしょうけど、刀の一閃ぐらいは防げるわよね。
……例えば、籠手代わりとして使えるかしら?


【静かに鉤爪についての説明を聞き終えると、佳乃はそれの運用法をすぐさま自らの戦略と掛け合わせて考察し、最後は軽く笑ってみせる】
【こういうことに関する頭の回転は速いほうだ――――彼女がいま考えているのは、籠手≠ニしての使用法であった】
【佳乃の主とする武器は薙刀だが……彼女の修める『白刃龍紋流』の奥義の中には、「素手で敵に触れる」ことを条件とするものがある】
【直接嵌めるか、もしくは別の籠手に取り付ける形にするか。どちらにしても、防御力を上げると同時に素手での攻撃力を上げようという魂胆】
【……滴る聖水に関しても、それが「水」であるのなら他の使い道もあるかもしれない。そうして考えを巡らす佳乃の顔は、今日一番楽しそうなものだった】


言われなくても、そっちには興味は無いわ。生命も得物も、生憎と当てがあるし。
じゃあこの爪、貰っていくわね。もちろんあなたに気を遣うわけじゃないけれど。

そういえば――――魔狼、っていうのは仕事上の名前だったかしら?
私はさっき名乗ったわよ。あなたの名前も教えなさい。


【生命に関しては、そこまで念を押されてまで欲しがるほどの理由もないし、彼女には式神≠ニいう擬似生命を作り出す力が既にある】
【それに得物に関しても、佳乃の持つ力を非常に伝えやすく拵えられた『地幻』という専用の薙刀を既に持っている――――どちらも早急に必要なものではない】
【別にあなたの為じゃないんだから……と、なんともありがちな台詞を自覚無しに付け加えつつ、佳乃は鉤爪の入ったケースを貰っていくはずだ】
【退室を促されば素直にそれに従って、元来た道を戻っていくだろう。ただ、最後に――――居丈高な態度はともかく、名前だけ聞きたそうにしていた】
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 03:16:41.46 ID:nLlwqgQD0
>>163
「――――妖怪を相手にするのを専門にする奴等が居るのと同じ様に、俺達は悪魔を相手にしてる訳だ
其れも中々に面倒なヤツでな。お前の言う妖狐の騒ぎにも関わってると考えてるから俺達は俺達で行動してる

大和撫子と呼ばれる美人な女達を助ける事が出来たら此処も今頃美女ばかりが齷齪働く場所になってたんだろうけどな…………現実はそう甘くも無い。おう、良かったら此処で働くか?
…………冗談だ。口説きスマイルで迫ってやっても今直ぐにぶち殺してるなんて目で訴えかけてくるような女を置いてたら俺の気が休まらねェ
ましてやお前に器具を触らせてると全部壊しそうでなぁ。『私の言う事を聞かないなんて生意気!!』なんつってな」

【あの悪狐に悪魔が関与している、と。悪魔でも予測ではある様だが――――どうにも教会の者が言うと現実味を帯びるだろうか】
【要請に応えない理由の大半はその部分を占めているのだろう。悪狐に関わっているならば、教会側では其方を叩く事に回る、と】

【そんな話も、結局最後には壊してしまうのだが。女好きは繕った物では無く、やはり根っからの物】
【不謹慎だと責められても文句は言えないのだが……一人寂しく妄想しては楽しそうにしているのだから放っておいてやるのが吉か】
【然れど、少女の悪態は聞き逃さなかった。裏声で真似るようにすれば、一人笑うのだけれど】



「刀の一閃を防げるか否かはお前次第だ。ただの刀程度なら、そのかぎ爪は傷付きもしないけどな
使えるんじゃ無いか。お前の戦い方を見ていないから何とも言えねェが…………籠手代わり位なら何の問題も無いだろ。多分
だけどな、過信すれば先ずお前の手が先にぶっ壊れることだけは忘れるなよ。コレはイージスの盾でも何でも無いんだからな」

【曖昧な返答。――――というのも、確かに仕方ないかもしれないが】
【だが、少女の実力で有れば籠手の代わりに用いる事も難しくは無いであろう。実際に嵌めた時、その事を確信する筈だ】
【男としては役目を果たし、後はどうにでもしてくれと言わんばかりの態度で…………何とも、不誠実であるけど】



「――――得物は兎も角、命を創れと言えば説教の一つでもしてやろうかと思ってたぜ?
おう、持ってけ持ってけ。ンで、気を遣うならもっと笑顔を振りまけ。序でにメイド服でも着て俺の肩でも揉め。最後に添い寝で宜しく

……そっちは確かに仕事の時の名前だ。今の姿にしても、もう一つの姿にしてもな
フェルト=ハイケリュン。其れが俺の本当の名前。なんだ、俺の名前を覚えて夜な夜な恋する乙女みたく布団を抱きしめて思い出してくれンのか?

どうせそろそろイリニが待ってる頃だ。さっさと言って『魔狼はとっても素敵な男性だったわ!!』とでも報告してこい」

【最後の最後まで少女をからかえば、漸く己の名を告げるのだろう】
【――――やはり、茶化すのだけれど。カラカラと笑えばそのまま退室させて…………やがて、扉が閉められる】

【戻れば、イリニが微動だにせず立っているのが見えるだろうか。純白のローブを纏い、フードを被った者がその場に突っ立っているのはまるで霊と勘違いしてしまいそうだが】
【少女が戻ってきた事に気付けば、これまた音も無く歩み寄って。『大丈夫でしたかとイリニは問いたいのですが』なんて言葉を投げかけるのだろう】
【――――何ともまあ、信頼されない男だ。何にしたって、少女の目的は果たされたが…………】
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/09(水) 04:00:26.68 ID:A2n2b17Qo
>>164


――――あの騒ぎに、別な悪魔が関わっている?
そう………それは確かに、厄介な話ね。空狐だけでも手が付けられない程だって言うのに……。

悪いけど私、まだ学生なの。それにあなたみたいな無精な大人の下で働くなんて御免よ。
だいたい、そんな軽薄に言い寄って成功した試しがあるわけ? っていうか教会出身の人間が公然と女を口説くんじゃないわよ。
………本当、失礼な奴。あと私、そんなに不器用じゃないから。


【この少女がいままで戦った妖魔の中で圧倒的に比率が高いのは、妖怪と呼ばれる存在であるけれど――――】
【悪魔≠ニ呼ばれる存在と戦ったことが無いわけではない。むしろ過去二度戦って二度逃がした『宿敵』さえいるのだ】
【彼らの危険さは認識している。よもやあの空狐より強い相手、とは思いたくないが……そうでなくとも、裏で策謀を働かせているだけでも十分恐ろしい】

【……まぁ、それもいますぐにどうという話ではなく。むしろ厄介さで言うなら目の前の男だって相当のものだと佳乃は思う】
【自分に似せたと思しき裏声に神経を逆撫でされて、佳乃はそれこそ「ぶっ殺すわよ」と言わんばかりの眼光で男を睨むのだろう】
【失礼な奴、というのも佳乃が言えた義理ではないし、少し拗ねるように呟かれた後半部分は、機械音痴の少女には割合図星であったのだが】


わかってるわよ。元より薙刀術は「近寄られない」ことが肝要――――これは補助用。過度に頼ったりしない。
………ご忠告ありがとう。コレが私の期待に応えてくれることを祈るわ。


【鍵爪を抱え込んで、少女は少し得意げに男の言葉に反論した。この分なら爪に頼りきりの戦いをすることはないはずだ】
【男が少女の力量を間近で測る日が来るかどうかはわからないが、恐らくはうまく使ってくれるだろう】
【……嫌味じみた響きで紡がれる「ありがとう」には、実は本音も少しだけ混ぜこんでいたけれど。男がそれに気づくかどうかは微妙なところか】


あんまりふざけたこと言ってるとその口縫い合わすわよ。メイド服なんてもう絶対着な――――じゃ、じゃなくて。
知ってる? 櫻には「藁人形」って呪いの作法があるのよ。フェルト=ハイケリュン、その名前覚えておくわ。

――――それじゃあね。
あとその台詞を私が言ったとして、あの子は絶対信じないと思うわよ。そもそも口が裂けても言わないし………。


【笑顔のえの字もない形相でさらりと男に暴言を吐きかけて――ついでに失言も一つ吐きかけて――、佳乃は今度こそ踵を返した】
【藁で作った人形に名前を書いた紙を入れて云々……という作業を家に帰った佳乃がするかはさておいて。名前を覚えておくというのもまた、わかり辛い本心】
【最後に悪態を一つ残して、幸徳井佳乃は受け取った鍵爪を胸元に抱え、フェルトの元を去っていくだろう】



ただいま。一応大丈夫だったけれど………あなたも苦労してるのね。
――――さて。せっかくここまで来たことだし、良ければ教会を案内してくれないかしら?


【その後元の場所まで戻ってきて、佳乃はイリニへ何とも同情的な意見を放るだろう。半分冗談だが半分は本当だ】
【……基本的に、教会というのは佳乃にとって縁遠い場所だ。友達の家は正直教会跡といった風情だし、ゼン=カイマの大聖堂では任務中で眺める暇もなかった】
【こんな場所まで来ることは殆どない――――故に。心なしか機嫌が良くなっているようにも聞こえる声色で、佳乃はイリニへ改めて案内を頼むだろう】
【無論、イリニにも仕事や都合があるだろうし、断られればそれまでだ。無理強いする気はないのだが――――】


/こういう形にはしましたが、続けても次で〆ちゃって構いませんのでっ
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 04:06:15.62 ID:nLlwqgQD0
>>165
/申し訳無いのですが、そろそろ眠気の方が危うくなって来ちゃいまして……
/佳乃さんの方が持ち越しの方大丈夫でしたら今日の同じ時間帯にもう少し続けさせて頂き、もしご都合が悪い様でしたら後ほど此方の方で〆の方をお返しさせて頂こうかな、と思いますですっ
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/07/09(水) 04:12:34.61 ID:A2n2b17Q0
>>166
/了解しました〜
/こちらは持ち越しOKですので、今日の同じ時間に待機しておきます
/お疲れ様でした、お休みなさいです!
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 12:42:35.54 ID:zJSXQ8cM0
>>150

【息の切れ方もホンモノだ。即死には至らなかったとは言え……確実に、刺さっている。】
【これを演技……まだ罠だと思い込むのは、それはもうそちらの方が妥当性に欠ける。事実だと見て良さそうだ。】
【……しかし、その事実は矢張り怪奇で満ち溢れている、というのもまた事実で。】
【そこには何らかの原因が無ければ有り得ないはずだが―――、まあ、これは今後の課題であろう。】


まア、どうでもいイ。―――……待テ、お前、結構強イのカ?
……なラ、一発……ア、逃げタ。

【聞いておいてどうでも良いという辺り、彼の性格が少し滲み出ている気がしなくもないが、】
【……この少年を蔦で無抵抗に縛り上げ、そのままナイフを投擲するだけの余裕を作る、】
【これだけの事を成し遂げる為には、相当の運と実力が必要……男はそう捉えたらしく、】
【ならばと"やり合う"事を求めるのだろう。……結果的には、先に逃げられてしまったが。】


……ほォウ。まア、次会っタ時は……とりあえズ、戦っテもらおウ。
楽しみガまた一つ増えタ。……お前ハ、その辺ノ医者に看てもらエ。じゃあナ。

【瞬間移動を連続して行える辺り、追いかけられる能力はありそうだが、……火花は散らない。】
【次会った時の"楽しみ"にしようと、そう考えているのか。男は瀕死の少年に一瞥すると、】
【そのまま、やはり瞬間移動でその場を去ってしまう。これで警察にとっての危険因子は、全て排除された。】

【……ジリッと僅かになる音は、植物の残り香を燃やし尽くし、その代わり煙たい香りを撒き散らしたと言うが、……本当だろうか。】

【さて、少年は何だかんだ言って救われる。男が去ったのとほぼ同時、救急車のサイレンが聞こえて、】
【流れる様な応急処置が取られた後に、透かさず近くの救急病院に運ばれる……一命を取り留めた、のだ。】

【ただ、その際手術にあたった医者が、"アル事"を発見したというが……それは内密にされて、】
【と言うよりは、その医者の脳内だけに留まった事実とされた……術中に思わず口角が釣り上がってしまった訳だが、】
【マスクの中。近くにいたアシスタントからも気味悪がられる事はない……という、手術室内での小さな小さな出来事は、……ただの余談話だ。】


/おつかれさまでした〜〜
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/09(水) 13:18:57.20 ID:rjTwQpS00
【何処かの国の何処かの街】
【気がつけば"それ"はその場所にあってさも当たり前のようにおいてあった】
【気がつくものがいるのだろうか、重ねられた廃材や不法投棄されたゴミに埋もれた"それ"に】



【風が吹いたのは偶然だった】
【なびく風が偶然にも路地裏のゴミ山に吹きつけたことが】
【それはその山の均衡を崩し、埋もれて消えていく一台のコンテナが顔を見せるまでにいたった】


【埃まみれとはいえ、金属製にしては無骨さを感じずスマートでさえある近代的なデザイン】
【白を基調とし、扉を思わせるように入っているラインはライトグリーンの光を点滅させている】
【薄いプラスチック板の下にはまだ生きているであろうタッチパネル式の画面があり】

【――――ふと、か細くはあるが、ノイズ交じりにも様々な文字が移った】
【「生体反応:微弱」「内臓電力量:少」「OPEN」という文字が、消えかかりながらも確認できる】
【そして、人の全体像と明らかに動きが弱っている心臓を示すマークが、目に映るだろうか】


【見た限り、このコンテナの電源はこのコンテナ内にしかないようだ】
【太陽光といった自力で電力を得る機能はなく、外部から電力を入れてくるケーブルらしきものもない】
【誰もが見捨てていたこのゴミ山で、このコンテナはずっと眠っていたのだ】

【まるで赤子を眠らせる揺り籠のように】
【貴方は、その存在に――――――気づいてくれるのだろうか】
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 14:11:41.88 ID:zJSXQ8cM0
>>169

【ゴミの山。気味の悪い路地裏と同じく、否或いは路地裏以上に人が寄り付かない場所だ。】
【路地裏の場合は例えば、一般人からすれば近道になることもあるだろうし、】
【そうでない人間からすれば、人目に付かないことを利用した何かも出来る。……一応、用途はあるのだ。】

【しかしこの場は異なる。……何故なら単純に、そこがヒトから捨てられたモノの集積場であるからだ。】
【用途が無くなったから、人は物を捨てる。その捨てた物がゴミとなって、一箇所に集められた。】
【そこに一体どんな目的で近寄ろうとするのか……ゴミを欲する者達、か。生活に困窮している者達、か。】

【しかしそんな場所に、また一つ、偶然が舞い降りたら―――、】

【入口から、わらわらと人が入ってくる。5,6人……栄養状態は良いというよりは寧ろ、全員やたら、"強そう"で。】
【分かるだろうか、……見た目は全員荒くれ者、良からぬ連中だ。ちょっと前にどこかを襲撃してきたと言っても、何ら違和感はない。】

【……しかしそんな奴らが一体何をしに来たかといえば―――様子を見れば直ぐ分かるだろう、"ゴミ拾い"だ。】
【滾るオーラと人相をおよそ感じていたなら、少し拍子抜けするが、まあ彼らは善に生きる人間なのか。】
【人は見かけによらないと言うが……中でもその最も権化らしい権化と呼べるのが、一人の少年、で。】

【白銀の髪に紅い眼。ピアスまでして、それだけでも不良らしい身形だが、】
【派手な赤色のオーバーコートに黒色のレザーパンツ。右手の薬指にハメられた銀の指輪は、事ある毎に煌めいて、】
【"強そう"に見える一つの理由に、彼の体格があった。170cmに満たない身長だが、】
【服の上からでも見て取れる、細身ながらも引き締まった身体―――例えばB級映画の師匠っぽい人物が、】
【「あの者の歩き方は、軸がシッカリしている……」とか呟きそうな、そんな感じである。】


………あー……だりいー………ん、……お、コレまだ使えんじゃねーの………っつーか、電気ついてね?………

【暑い。金属製のゴミは、照り付ける太陽光を反射させて、図らずも少年を襲う。】
【噴き出る似合わない汗をかきながら、ゴミ山を登りながら、この一角を"どう整理するか"……展望する。】
【……ふと足元を見ると、廃材だらけの中で一つ、少々違和感のある近代的なデザイン……が目に留まって、】
【とりあえずは慎重に持ち上げようとする。生憎少年は、暑さもあって太陽光発電によって動いているのだろうと勘違いした訳だが―――?】


/よろしくです〜
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/09(水) 14:32:53.35 ID:rjTwQpS00
>>170
【たとえ電力は残り少なくとも、このコンテナはその自分の存在意義を守ってきた】
【ほんの僅かに残った電力が周囲を察知するレーダーに周り、このコンテナに近づく人間の熱を察知する】

【少年が持ち上げようとそのコンテナに触れた瞬間、「ピィーッ!!」と、なにやら警告を促すような音を発する】

【たとえ少年が手を離そうともその音は数秒間鳴り続け、やがて機械に内蔵されているであろう録音音声に切り替わる】
【ずいぶん使われなくて劣化しているのか、その音声はノイズまみれで誰のものかよく分からない】
【ただ、知的な女性を思わせる。凛とした声だった】


「――…聞こえ、――すか? わた――陸―――の、――究員です」

【何かを残そうとしている】
【何らかのメッセージを、託そうとしているのが分かる】


「もう―――助――れない、私――子を―――救い――のです」


【音質が酷いのは劣化だけではないと、このメッセージに耳を傾ければ気づくだろうか】
【なにやらこの声の後ろで、声よりも大きい何かが邪魔をしているような】
【爆発――――銃声のような】


「電――消え―前に、―開い―ー―目覚め――させて、く―――。」


【言葉の意図を読み取ることはできただろうか】
【コンテナが振り絞った最後の電力が少ないのか、終盤につれて音量が下がっている】
【見れば、電力量を示すであろうゲージが赤く点滅していた】

【この声の主が託す願いに気づけるだろうか】
【コンテナを、開けてほしい――――不明瞭な音声だが、そう聞き取れた気がする】



「わた――愛――る子で―――。どうかお願いしま―――――………」


【―――――台詞は、ここで打ち切られた】
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 14:47:32.01 ID:zJSXQ8cM0
>>171

―――ちょッ……うるせェ〜〜……

【警告音がこのゴミ山に鳴り響いた瞬間、少年は思わず手を離そうとした訳だが、】
【しかしここは類まれな運動神経が活きた、絶妙なバランス感覚で取り戻して、】
【音声が切り替われば再び画面に注目する。やはり良く聞こえず、耳にくっつけて、】


「どうしました? ……ん、それなんすか?」

……んー……なーんかなー……音は結構リアルな……、
まあ、……ああ、お前らは元に戻ってくれ、俺はちょっとコイツ弄ってみる……

【音量が音量だっただけに、来たメンバー全員が此方を見た。……内一人が、駆け上がってきて、】
【無事かどうかを聞きに来る……敬語だった。年齢は間違いなく、逆であるはずだ、が。】

【確かに聞き取れた内容は僅かだったが、そのバックグラウンドのお陰で状況の理解は出来た。】
【半分冗談話だろうなんて高をくくった内心で、あるいはそこに本当に何かあったならおもしれーななんて思った所で、】
【少年はコンテナをゆっくり開けてみるのだろう……間違いなく、一人で。】
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/09(水) 15:04:31.95 ID:rjTwQpS00
>>172
【開閉方法は難しくはないだろう】
【タッチパネルにある「OPEN」のところをタッチするだけだ】

【押せば素直にそのコンテナは開くだろう】
【ガチャンと、重々しい音が二三回鳴ったと思えば、その蓋が開く】
【まるで海賊の宝箱が開くようなそんな形で】
【気圧の差だろうか、最後にシューッとガスが抜けるような音がして、コンテナはその中身を―――】



―――――――――。


【白い、見ただけで分かる何らかの繊維で構成された清潔で柔らそうなコンテナ内壁】
【端に折りたたまれたいくつかの衣服】
【白いシャツに黒のベスト、どれもが高級感あふれる、一級品だと見ただけで分かるだろう】

【そして、圧倒的に目を引く存在】


【薄く、きめ細かい白い布に覆われて衣服一切を着ていない寝息をつく一人の子供がいた】


すぅ………――――――。


【白い髪に白い肌、瞳を閉じているので分からないが、この薄い色素から瞳はきっと綺麗な紅色だろう】
【年はいくつだろうか、ある程度成長している―――中学生か高校生程度だろうか】
【そして、丹精に整った顔立ち――――人形のようと思ってもしかたがないような顔つきだ】
【少女だろうか、少年だろうか――――分からない】


【まるで別世界のような存在だと――――錯覚するような】
【そんな子供がそこにいた】

【目覚めるのだろうか、生きてはいるようだが―――――」
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 15:22:54.63 ID:zJSXQ8cM0
>>173

(………まあ、ある程度は想像してたけどよ………一人にして良かったっつーか……)

【割りとワクワクしながら開けたコンテナの中は、先ず清潔感漂う白い内装、先程のSFチックな世界観と、良く合う。】
【それから側に置いてあった衣服は上等品。自分の着ているそれは、何年も着ているし、】
【それに傷みやすい様な戦場だとかそういう所によく赴くから、丁寧に扱っているとはいえ随分と古びてしまった。】
【……そろそろリフォームしてくれる店を探さなければならないなと思いながら、今度は"人形"に手を出す。】


…………なーんだ男……いや、………女か? まあどーでもいいんだけどさ、

【自分は17だがそれと同じくらい、しかしまあ男か女かも判別し辛い顔付きは、自分とは異なっていて、】
【"人形"だと思い込んでいるからこそ、何の躊躇いもなく白い布を剥いでいく。】
【同時に、案外丁寧に身体を起こしてやる。壁を丁度背もたれにする形で、チョコンと座らせる訳だ。】

【―――因みに、だが。その間、出来ることなら男女の判別をするのだろう。】
【方法はもちろん、細かく描写しないが……ただ、チラッと見た、とだけ言っておく。】


最近は呼吸まですんのな。結構リアル……幾らだよコレ。服付きかよ……

【それから「どうすっかなーコイツ……」と呟きながら、まず畳んである白いやつシャツをバサッと広げて、】
【「マジでコレ良いヤツだな……貰うか、」とゴミ山ならではの特権を活かして、頂いていこうとするのだろう。】
【同じことを、他の衣服についても行う。一つ一つ丁寧に精査していって、それから結局、どれも貰うことを決めた様だ。】

175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/09(水) 15:38:28.54 ID:rjTwQpS00
>>174
【"人形"はまだ、眠りについているようだ】
【呼吸の感覚は弱々しいが確かにあり、とても作り物とは思えない】
【ただ、起こしてみて首に何かが掛かっているのが見えるだろう】

【細いチェーンのようなものと薄い金属板のようなタグでできたシンプルなペンダントだ】
【そして金属板には何か文字が刻まれているのが分かるだろう】
【表には「Chris,Outroad」――――誰かの名前だろうか。「クリス・アウトロード」と読むことはできる】
【そして裏には「どうか貴方に幸せを、貴方をいつまでも愛しています」と、メッセージだろうか】

【―――――あの、録音音声が思い浮かぶかも知れない】
【といっても、もう既に電力は底を尽きたのか、もう声どころかタッチパネルすら反応しない】

【玩具にしては、手の込んだ扱いをしてるとそう思ったところで――――】
【ほんの僅かに、その子供の体が震えた】


―――――ん―――。

【僅かな喉の動き】】
【それだけじゃない、触れてみれば分かる――――皮膚の下で生きる僅かな筋肉の収縮】

【―――――目覚めたのだろうか】



――――――――おかあ――――さ……ん―――。


【生身の、声帯を使った機械ではない声を、確かに】
【確信を持ってその声を聞くことができるだろう】


【弱々しくも、生命を感じるその声とともに】
【子供はその紅い瞳を確かに――――見開いた】


―――――――だ………れ…?


【その言葉は間違いなく目の前の少年へと向けられた―――】
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 15:56:49.56 ID:zJSXQ8cM0
>>175

んー……? 人形って普通、勝手に名前決めるもんじゃねーの?
……最近はアレか、何でも決めて貰いたがるガキが増えたっつーことか……

【身体を起こす間、少年は当然首元に掛かっているそれの存在に気がついた。】
【くりす、あうとろーど……恐らくはこの子の名前らしい、最近のは既に名前がついているのかと、】
【裏にはメッセージ、先程の音声にしてもこれにしても、ちょっと子供向けには重すぎやしないかと、】
【眼の前の存在を"人形"だと捉えるのに、色々な部分で違和感が生じてしまう。だとすると本当に―――、】


お、起きた。……おはよう。誰って、………逆に、お前が誰なんだよ。
俺はねこむら、……って、今名前なんかどーでもいいよな。 
……んー、………何か食うか? っつっても、今水しか持ってねーけど。

【こういう時、一体どうすれば良いのか……少年は露骨に困った。何にせよ、初めての経験だ。】

【話すその声の出し方と言い、目覚めのその振る舞い方と言い、やはり眼の前の存在は、人間だ。】
【……だとしたら先程、自分は今生身の裸の人間を介抱したのかと、一瞬頭に過ったが、】
【しかし少々現実から離れすぎていて、全くリアルな感じが生まれない。……どこかで、まだ人形なのだと信じているのか、】

【ポケットから取り出して手渡したのは、至ってありふれた少し小さめのペットボトルの水だ。】
【買った時は冷蔵庫から出された冷えた物だったが、この暑さで既に常温かそれ以上になっていて、】
【まあ丁度、寝起きには良い温度になっているが……強引に渡したという訳でもないし、拒否するならそれでも良い。】

【それから先程は貰おうとしていた服を、一旦着せようとするのだろう、いつまでも裸だというのは、】
【一部の人間に需要はあるとしても、少なくともこの少年は認めなかった。……適当に、上と下2つを選んで、】
【こちらは少々強引に、投げる形で渡す。「飲んだら着ろ……」と、少年は空を仰いだ。】
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/09(水) 16:22:04.67 ID:rjTwQpS00
>>176
ねこ……む…ら…?


【まるで舌足らずな赤子が喋るような、そんな口調】
【小首を傾げて喋る様子からまるで本当の子供のようだ】
【そんなはずはない、その細くはあるが成長した体はどう見ても十代のそれにしか見えない】


食べ……る……?


【言われたことを繰り返すだけでやはり首を傾げている】
【そして渡されたペットボトルを見てその中にある水をまじまじと見つめている】

【だが、なんとか慣れない手つきながらもそれを開けて飲むことができた】
【よほど腹が減っているのか飲み出したらとまらずに、全てをその胃の中へ送り込んだ】
【満足そうな無邪気な笑顔】


これ……は…


【投げ渡された服を見つめて、言葉を漏らしている】
【白いシャツと黒いベストに黒のズボン】
【それはペットボトルのときとは違い、器用そうに着た】
【ついでに、コンテナに転がっている黒の靴下と革靴も器用に履いて】

【そして、全部を着て少年は満足そうに笑った】


……ん、ねこやま。できたよ


【名前を間違えたのはわざとではないと信じたい】
【服を着たよ、言うことを伝えようとしたのだろう】
【少年が振り返れば、丁寧に高級そうな服を着た彼がそこにいた】


これ、お母さんが買ったんだよ………ううん、違う。買ってくれました……だ。


【目が覚めてきたのか、少しずつ言葉が大人びてきた】
【舌足らずだと思ったが、はっきりした会話も可能のようで】
【無邪気な笑顔は変わらないが、自慢げにその服を見せてきた】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 16:56:28.92 ID:zJSXQ8cM0
>>177

おいィ……マジかよ、そのキャラは、……いや、まあ、その顔なら……
……んー……ガチ? ガチなの、それ? 止めとけ、もっとこう、……

【この表情は、手渡したペットボトルが全部飲まれたという、その呆れではなく……キャラの問題だった。】
【どう考えても、この身体でその仕草は、余りに不似合いだ。……顔が顔だけに、何とかなってはいるが、】
【とにかく普通でないと認識されるのは当然、少なくともこの少年は、そう考えている様で、】


あ、お前男? ……なら、まだ良いんだけどよ、
……で、俺は ね こ む ら 。まあ、間違えても仕方ねー名前だけどさ、
一応、ちゃんとして欲しいんだよなそこは。……わりと、マジで。

【口調から性別を判断する……女の子だったら、ちょっとどうしようかと思っていたがそれも杞憂に終わって、】
【しかし名前のミスは、シッカリ訂正された。"ねこやま"ではなく"ねこむら"……名前には誇りを持っているものの、】
【"ねこやま"と間違われたことに対する何らかの素振りはどうやら皆無だったらしい……とは、一体どういう事か。】


母さん? ……ドコ行ったんだろーな?
っつーかさ、お前多分アレだわ。何かしねーとヤバイやつ。何か覚えてねーの? 
マジの人間なら、15年か16年か、生まれてそんくらい経ってんだろーよ。

んー、っつっても、腹減ってんなら何も出来ねーか……金は、……ああ、この前の……、飯食い行くか。
……どうせ一人じゃ何も出来ねーんだろ、その調子じゃ。……行くぞ。

【SFチックな話を持ち込むのなら、彼は人類の望みを託された存在……と、そんな感じになる訳だ。】
【流石にそこまでオーバーな話でないとしても、……態々こうして大切に保管されていたという事は、】
【何らかの"目的"……それが彼自身のみで終結する物だとしても、必ずあるのだろうと少年は考えて、】

【しかしまあ、今の水を飲む素振りを見る限り、腹が減っては戦ができぬというヤツ、】
【水を飲むだけで満足するならそれはそれで良いが……自分に近い年齢のそれも男なのであれば、】
【きっと食欲も同等だろうと、ご飯に誘う……というより、付いて来ないと一人ぼっちになる。】

【一緒に来たメンバー全員に、奢ってやるから一緒に付いて来いと大声で叫び、……一人残らず全員がそれに従う、】
【10分かそこらもすれば店に到着するのだろう……店構えが黒地に金をあしらったやたら豪華な、中華料理店で、】
【内装もそれなりに豪華。先程少年が着た服と同じくらい高級そうなベストを身に纏った受付の係が、】
【「あっ……」と何かを察したのか個室、6人以上は座れる大きな丸いテーブルを案内し、そっとドアを閉める。】

「そんで、コイツは誰っすか?……男?女?」

多分男? どっちだ、……

『俺はどっちでもイケるっす……この顔なら。」
「あ、俺も俺も……この際男とか女とか関係ねーよなァ……」

……あー、お前、ココな。……で、文字は読めんの?

【荒くれで下品な連中、そんな人間に囲まれたらその内死んでしまうだろうと、自分の隣の椅子をポンポンと叩き指定、】
【それからメニューを見せる。一応フルコースを全員注文する予定だが、特別何か食べたい物があれば良いのだろう……しかし、】
【そもそも文字は読めるのかという問題。……それ程しない間に、ビクビクとしたウェイターが注文を聞きに来ることだろう。】
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/09(水) 17:15:07.89 ID:rjTwQpS00
>>178
僕は……男の子……です?
うん、分かったよ。ねこゃ……むら。

【なぜか付く疑問形】
【そして一瞬「ねこやま」と言おうとしたのを、真顔とガッツポーズ的な仕草でごまかす】

【男と言ったが一応、先ほどチラ見したので合ってるのだが、何処か言葉が通じないというか】
【なんだか、喋ることに慣れていないというか】
【とても年相応とは思えない言動だ】


お母さん、泣いてまし……た。
その後は……覚えてません……あんまり昔、分からない…です

【ポツリと、思い出すように】
【ただ、無感情なのか感情を押し殺しているのか】
【その顔は少しも揺らいではいない】

【記憶喪失なのだろうか】
【覚えてることもきっと断片的だろう】


僕を抱きしめて、箱の中に……入れました


【おそらく、そのコンテナの中にだろう】
【何の目的は分からないが、お母さんとされる人物が彼をコンテナに入れた】
【分かることは、真っ当な生き方をしていない――――という、この世界では珍しくもないことだけだ】


【ねこむらの仲間たちであろう男たちにも特に不審な表情は浮かばせていない】
【それどころか、軽く笑顔で返している始末だ】
【危機管理能力のなさが伺える】

【店の中で見せられたメニューには頭を傾げて】


……おしえて…くださ…い。ねこむら


【と、ろくに勉強もされていないようだ】
【だが、特に好き嫌いはないのか何を注文してもいいらしい】

【それどころか好奇心が強いのか店内をキョロキョロ見回す姿は、やはり子供っぽい】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 17:36:14.10 ID:zJSXQ8cM0
>>179

いや、別に"母さん"ココにいねーんだから、口調変えるのはナシ。
タメ口……って言って分かるか? 直す前に言ったヤツ。
普通は、……っつーか俺には、タメ口で良い。……丁寧に話されんの、好きじゃねーんだ。

【其処から教えていかなくてはならないのかと、少年は一つ溜息を付いて、】
【まず教えるのは、言葉の使い方だ……別に全員に丁寧語で話すのは、悪くはないがどこか素っ気ない。】
【初めはそうでも、そのうち慣れてくればタメ口になるのが普通だ。……と、簡単に伝えて、】


んー……まあ、そーだな……その内、色々思い出せば、良いんじゃねーの、
何があったか知らねーけどさ、一応、ここは安全……いや、ヤベーとこ行けばヤベーけど、
まあそういうのも、後で教えてやるわ。……とりあえず、飯だ飯、

【自分も何だかんだ言って腹が減っているのである。来たウェイターに「なるべく早く」と注文に添えれば、】
【そんなに経たない間に、まず前菜が運ばれてくるのだろう。……恐らくこの早さは、他の客が犠牲になった。】
【字やら、この世界の常識やら、そういうのは後回し。とにかく腹を満たしたいのだという少年はやはり、】
【「うめェ」と言いながらガツガツ異様な早さで平らげてしまう。……同時に注文した単品の炒飯も、直ぐに無くなり、】

【……彼も彼で、この展開に付いていかなければ、確実に取り残される。何にせよ、体格の良い男が六人だ。】
【次々に運ばれてくる料理は全て、大皿で運ばれてくる、とにかく行動の早さがなければ、何も食べられない状況さえ生まれるのだ。】

【……とは言え、最悪彼がボーっとしてしまう様だったら、この少年が取り分けてやるぐらいの措置はある。】
【しかしそれなら、その際に「もう次はこんなことしねーぞ、……じゃねーと生きてけねーからな、」と呆れてしまわれる訳だが。】
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/09(水) 17:57:18.73 ID:rjTwQpS00
>>180
タメ……ぐち……?

【頭を傾げる少年は、ねこむらの言葉を繰り返して】
【そして、「うん、分かった」と、口を開いた】


………おおー…。


【運ばれた炒飯に、思わず目を丸くする】
【綺麗に皿に盛られたそれに興味があるのか、珍しいものを見るように】
【付属のレンゲをぎゅっと握って、目を輝かせていた】
【だが、驚いている時間もない。目の前で屈強な男たちが次々と平らげている姿を見て、同じく口にした】


………パクっ

――――――――ッッ!


【その顔は、まるで今まで食べたことのないような】
【この世のものとは思えないものを食したような顔だった】
【思わず落ちそうになる頬を押さえるような仕草】


おいしい……おいしいよ!ねこむら!


【少々オーバーリアクションな気もしたが、その顔に嘘偽りは感じられない】
【まるで今までどんなものを食べてきたのか心配になる程に】
【その顔は、無邪気にも笑顔で】
【周りのみんなに勝らずとも劣らないスピードで平らげた】


次!次!欲しいよ!


【続いて運ばれる大皿にも目を輝かせている】
【気づけば、口調はこんな抜けた感じだが体格は少なくとも食べ盛りのようなものだ】
【大皿もたくさん食べて、運ばれた全ての料理を堪能し感動して】


おいし……かった……
ありがと! ねこむら!


【その腹を十分に満たして】
【笑顔でねこむらに礼の言葉を口にした】

182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 18:22:57.73 ID:zJSXQ8cM0
>>181

へー……意外と食うんだ、………

【彼の反応は意外だった。店構えや内装が豪華なだけあって、この店はそれなりに良い所、】
【当然味の保証も十分にされている訳だが、それでもこの反応は、予想の範疇を超えていて、】
【それに、味がどうかだけでなく、自分の仲間6人に引けをとらないこのペースというのも又面白く、】
【……思わず笑ってしまった。どんな口調でも顔付きでも、結局食欲は皆共通なのだと、】


……いや、別に……まだデザートも来るしって、そーいうことじゃねーよな、
まあ、アレだ、……旨かったんなら、それで良い。……んで、食った後は、勉強……だな。

【屈託の無い笑顔に、少々ぎこちない笑顔で返す。驚きを隠しきれなかった結果だ。】
【まだデザートが運ばれてくる様だが、その間にスマートフォンを取り出して、基本的な文字の一覧を表示させる。】
【言葉は話せる様だし、文法も理解しているのだから、習得は早いだろう。一つ一つ、今ある知識に当てはめれば良いだけだ。】

【少年は文字を指し示しながら発音する……教えると言っても、まあそれだけだ。】
【流石に全て不可能かもしれないが、一通り理解出来たのなら、ある程度は読むことが出来るようになる事だろう。】
【今度は店のメニューを開いて、実践。中華料理なだけに難解な文字が含まれるが、簡単な言葉だけ抽出する様にして、】

【それも終わったかという頃、デザートが運ばれてくるのだろう。……例によって杏仁豆腐、】
【とは言えココの杏仁豆腐は、そこらと違う物……これを目当てに来る客もいるという位に有名で、】
【なめらかな口どけと、生クリームだろうか、ふくよかな濃厚さ……は今まで以上に美味しいはず、】
【少年は飯とは異なり、今度このデザートは一口一口丁寧に味わっている……そうしなくてはならない、料理だからだ。】


「ごちそーっす! くっそうまかったっす!」

……うい。……やっぱココだな、マジで旨い……んで、
お前、どーすんのこれから。……帰るアテあんの?

【それも終われば、少々の余韻を残して店を出る準備をするのだろう。屈強な男たちも、あの杏仁豆腐に心を掴まれ、】
【何だかホワンとした印象になってしまった。……何も起こらない内に、このまま帰ろうと少年は考えているのだが、】
【その、いざ帰るとなった時に、彼はこれから一体どうするのか……という事が頭に過る訳だ。】

【字を知らないこの様子だと、恐らくこの世界の常識を、初めから一つ一つ叩き込まれなければならないだろうし、】
【自分と同じく学生の身分でないのなら、何か仕事して金を稼いで、……と、生計を立て無くてはならないのだ。】

【もし帰るアテ……養ってくれる誰かが居るのなら、自分が知っていれば場所を伝えるし、知らなければネットで検索するし、】
【一応帰り道は教え、最悪札を掴ませてタクシーで帰らせる位の事はしてやるつもりらしいが……どうだろうか。】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/09(水) 18:43:24.43 ID:rjTwQpS00
>>182

〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!


【続くデザートも頬張って、その甘味に思わず笑顔が漏れている】
【よほど好みの味だったのか、パクパクと皿から消えるのに数十秒と掛からなかった】
【声にならない声でおいしいと訴えているのがねこむらにも伝わるだろう】

【だが、その幸せにも終わりはやってくる】

帰る……場所?

【その質問には、少年の顔から笑みが消えた】

【夢のような幻想から引き戻される】

【気が付けばあのコンテナにいた彼にとって、この場所は何も知らない無知の世界だ】
【目の前にいるねこむらという少年の存在が、この場所に安心感を与えているといっても過言ではない】


………ない。
全部無くなったから……なにも


【あの録音の後ろで聞こえていた爆発音と銃声】
【あの場所で何が起きていたのか想像は難しくない】

【何処かも分からない、その場所で】
【口にしないが彼はきっと地獄を見ていたのか――――――と】


なにも、ない
名前と、服と、……これしか………ない


【お母さんに買ってもらった服】
【そして、首に掛けられたシンプルなペンダント】
【そこに刻まれた名前「クリス・アウトロード」】

【彼にはそれしかなかった】
【なにも、その手には持ってはいないのだ】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 19:07:48.73 ID:zJSXQ8cM0
>>183

ん〜……だろーと思った。
孤児院行ける歳じゃねーしなあ……

「あ、俺養うっす、いけるっす!」

お前はダメだ、何するか分かんねーからな、……っつーかさっさと彼女作れ。

「………、……………。」

黙んなよそこで。……はー………


【粗方の想像は付いていた、今のはどちらかと言えば現状の確認に近く、】
【それから彼自身にその現実を認識してもらう為の物………案の定、と言った所で、】
【少年は溜息を付く。養うと申し出た男もいるが、それは先程この顔ならイケると言った人物、アテになるはずもなく、】
【と言うか、長期的な目で見れば、養われること自体が彼の為にならない、……自立する必要がある。】

【しかし、じゃあ初めから働け、と言うのもそれはそれで極めて横暴だ……身体だけ一人前、】
【頭脳はそれに追い付いていないのだから、彼はどちらかと言えば小学生やその辺りとして扱う必要がある。】
【小学1年生に向かって、今日から自立した生活を送りなさいと言っても、それは確実に不可能であろう、】
【同じく彼に言っても、大方無理なことであるはずだ……ならば、少年は板挟み状態に追い込まれて、】


……俺さ。まあぶっちゃけ、GIFTとかカノッサとかその辺と……知らねーよな、
まあ、悪い奴らと戦って、そのお礼で今生きてんの、

金を儲けねーと、この世界では餓死しちまう訳だ、
……何か特技あるか? そいつを活かした仕事見つけねーとさ、何も始まんねーんだ、分かるか?

しばらくは俺んとこ来てもいーけどさ、……いつかは一人で、生活しねーと、な?

【結局の所、こう言うしか無かった。金は雨の様に降ってくる訳でも、神様がくれる訳でも何でもない、】
【自らが何らかの方法で稼ぐという動作を共にしなければ得られない……ということをまず告げて、】

【結局は一先ず、自分の所に来るかと伝える。と言ってもコレは仮住まいの様な物で、】
【ゆくゆくは出ていかせるつもりなのだろう……本当に、自分は別にいくら居てもらっても良いのだが、】
【それは彼自身の為にならないのだと。実際自分も、……と言っても彼より知識が二回りはあったが、】
【非常に似た境遇で生きてきた。……孤児院を抜けだして、学費と生活費を同時に支払う、そんな生活を送っていたのだから、】
【何を彼にしてやれば良いのかということが、自分の経験から良く分かっていた……過去を思い出しながら、少年は口を開いた。】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/09(水) 19:18:11.23 ID:rjTwQpS00
>>184
カノ……なに?
悪いやつら?

【傾げた頭で何を考えたのだろうか】
【自動的にねこむら=いい人が出来上がっている彼にはあまり詳しいこの世界の事情は分からない】
【あながち間違いでもないだろうが――――まあ、そのうち知っていくだろう】


特技………身体強いよ? すぐには壊れないし
痛いのも、我慢できると……思うよ?


【少し間違った解釈だし、何か彼の暗い過去に触れそうな特技だった】
【そもそも身体を"壊れない"なんて表現をするなんて、とてもまともじゃない】
【まあ、要するにその辺りも思い出さないといけないようだ】


ねこむらの家……?
いいの? 僕が……行っても……


【それは安心したからなのか】
【完全にねこむらを善人……自分に害を与えない人として認識している】

【ただ、そう上目遣いで聞く彼の顔は不安そうであった】
【迷惑にならないかとか、気を使っているのかもしれない】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 19:46:21.58 ID:zJSXQ8cM0
>>185

やっぱ知らねーよな、……いや、それはダメだ。
俺と同じ生き方は、……向いてねーと思う。

ここの店みてーにさ、ウェイターとか良いんじゃねーの、
注文とったり料理受け取って客に出したり、まあそんなトコだな。

……いや、ウェイターやれつってんじゃねーぞ、
闘うことは忘れて、他の仕事ってことだ、……腐るほどあっから、まあ後でな、

【自分は確かに、人、まあ時には人でないモノと闘って生計を立てている。】
【しかし同じことを彼にやらせるのは……余りに、無責任な気がした。】
【自分は優れているから何とかこなせているが、彼にはその能力が無いから出来ないとか、】
【そういう事ではなく……どちらかと言えば性格的な問題だ。適正がないと感じたのである。】

【それに、スポーツ選手が"肩を壊して……"という言う事は良くあるが、】
【本当に、最悪死に至る危険性さえもある戦闘に向かって、身体が"壊れる"と表現することはない。】
【その辺り、彼の異常性が垣間見えた。……過去に何があったのか、一々聞くことはないが、】


……じゃーここで解散だ、……行くぞ。

【一応会計を済ませて、店を出れば今日は解散だと告げる。……ゴミ拾いは、また今度ということで一致した。】
【ゴミ拾いどころではなくなったのだ。「ごちそーっす」と各々礼を告げれば、そのまま帰って行って、】

【……辺りはすっかり暗くなった夕暮れ、何かが起こりそうな空の色をしていたが、そんな事はなく、】
【無事に彼の家に辿り着く事になる。2階建てのアパート、築10年は微妙な所で、】
【……男の一人暮らしと想像するとアレだが、中はそれなりにキレイにしてある、】
【パパっと、1分掃除に割けば、客を招き入れられる程だ……この辺りは、少年の性格が出ているか、】

【ただ、狭い家だというのに、筋トレの機材がいくつか置いてあるのが……これは一部片付けなくてはならないだろうか、】


………布団ねーな……

【と、彼を自分の家に招き入れ、オーバーコートをハンガーにかけながらやっと気付く。】
【ベッドは一つ、成長期だから身体も大きくなるだろうと見込んで少し大きめのがある、】
【……寝るのは、ここに並んで、と言う事になるが……流石に嫌だということになれば、自分はその辺で寝ると言い出すのだろう。】


……ん、これどーだ、……俺も知ってる料理屋……行ったことはねーけど、
結構待遇良いみてーだぞ、ほら。

【しかしそれは、まあ小さな問題だ。重要なのは彼のこれから、近くに置いてある雑誌やら色々、求人情報を一緒に漁ってみる。】
【ふと眼に留まったのは、彼が始めに言ったウェイターの仕事だ。"Bon Appetit"という店名は、割と良く知られている。】
【給与も中々であるし、福利厚生も……と、少年は薦めてみるのだろう。もちろん、他の仕事がしてみたいというのなら、】
【この雑誌にはその他様々な職種の募集要項が載っており、あれこれ選ばなければ、一つくらいきっと見つかるはずだ。】
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/09(水) 19:58:45.93 ID:+SPpn5tvo
【どこかの町外れ】


……まったく、いい歳をした娘が「みぎゃあ!」はないじゃろう「みぎゃあ!」は
わらわの半身ならばもっと、淑女の嗜みというものを身につけて欲しいのじゃ


【錆びた街灯が淡い光を照らす町外れ】
【人で賑わう中心部とは遠く、夜の治安が危ぶまれるその場所を】
【奇妙な光る球体を浮かばせながら、独り言を呟き歩く少女の姿があった】


【身長は140cm程度だろうか。腰まで届く炎のように鮮やかな紅蓮の髪と漆黒の瞳を持ち】
【桜色の簡素な着物を身に纏い、胸元に"緋色の鷹"のワッペンをつけた少女であった】

【少女の隣にはまるで"紙"か何かで出来たような】
【真っ白でバレーボールほどの大きさをした"蛍"が周囲を照らしながら追従していた】


……まぁよい、出てきたからには勤めは果たさなくてはな
新人がいきなり欠勤続きとあっては、明日にでも除名されてもおかしくないからのぅ

久々の夜のパトロールに洒落込むとするのじゃ――


【誰に言い聞かせるでもなく、一人そんな事をブツブツと語りながら夜の街を進んでいく】
【辺りは閑散としており、近づく者がいれば互いに認識することになるだろうか】
【また、治安が悪く路地裏へ続く道も多いこの場所ならばどんな事件が起きても不思議ではない】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/09(水) 20:22:56.47 ID:1FGLhlDVo
>>187
/*まだいますかー!?*/
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/09(水) 20:24:05.99 ID:+SPpn5tvo
>>188
/おりますよー
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/09(水) 20:24:41.81 ID:1FGLhlDVo
>>189
/*すぐ書いてきます!*/
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/09(水) 20:33:04.84 ID:1FGLhlDVo
>>187
【夜の街。少女の歩むその道の横から、比較的大きな物音が聞こえただろう】
【人と人が争うことによって起こる、怒声と打撃音、発砲音。そして、それは間もなく止んだ】
【もし少女がその音のする方向を見たならば、その路地から歩みだしていく、一つの人影が認識できるはずだ】

「――一個ゲット、ってか」

【路地の暗がりから、通りに出るその影は、少女の創りだす蛍によってその姿を晒された】
【そこに居たのは、小柄な青年だった。先ず目立つのは、夜闇に煌々と輝くライムグリーンの右目だったろう】
【明らかに一般人ではあり得ないその瞳は、ライムグリーンの燐光を纏って散らしていて】
【他にも、白骨の如き白い短髪を逆立てた髪型、全身の随所に見られる裂傷、痣、ケロイド等の傷跡もまた目立つ】
【服装は動きやすさを優先したのであろう、夏向けの薄手のマウンテンパーカーにカーゴパンツ、安全靴というもの】
【腰に巻いたベルトポーチはパンパンに膨らみ、鞘に收められたナイフやホルスターに入ったリボルバーなどから物々しい雰囲気を漂わせていた】

【そして、青年の左手に握られていた卵状の物体からは、不吉で重々しい気配が放たれていて】
【青年自身からも、その禍々しい気配はうっすらと、しかし確実に漂っていた】

「おっとSCARLETか……お疲れさん」

【少女の姿を認めれば、ズボンに卵状の物体ごと左手を突っ込んで】
【血の匂いを漂わせながら、青年はにやりと皮肉げな笑みを浮かべてみせるのだった】

/*では、よろしくお願い致します!*/
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/09(水) 20:48:54.87 ID:HLMU9qcmo
【山奥】

【街からはそれ程遠くない此処の山奥というのは、鍛錬にはうってつけの場所であった】
【自然が齎す静寂、孤独、澄んだ空気。どれも己を集中力を高め、より効果的な鍛錬を可能にしてくれるものであり】
【そして今、その環境の中に身を置き汗を流す男が1人。―――青のソフト帽を深く被った、白シャツ×灰色のジレ×ジーンズのシンプルな格好を纏う茶髪の男である】
【右手には赤、左には青の全長約40cm程の巨大な装飾銃を握り締め、手の甲で額の汗を拭う。鋭く光る紺碧の双眸は、10mほど前の巨木へと向かって】

―――……ハァ、ッフゥ……。 残り10回連続ヒットさせたら戻って酒……ミスったらお預け……!!

【荒い息遣いから己に言い聞かすような言葉を飛ばせば―――真横に転がり、起き上がり際に右銃から発砲。弾丸は巨木から大きく外れて飛んだと思いきや―――】
【―――急変。「く」の字を描くようにカーブし、巨木の太い幹へと衝突する。弾丸の軌道を気にもしないで男は続けて反対へと転がり、起き上がりに左から発砲】
【今度は「く」の字とは反対に曲がれば、狙っていた巨木へと確り衝突。そして今度は後転して起き上がり際に放ち、前転して放ち、また右に、左へと転がり――――――】

……―――っふぅ、ッひぃ、はぁ、おえぇっ……あー、まずは体力不足からなんとかしなきゃなぁクソ……

【……―――10回その動きを続ければ、仰向けになって大の字で倒れこむ。嗚咽混じりの様子は、正に疲労困憊とでも言えるだろうか】
【放った弾丸、計10発。そのうち命中したのは―――10発。しかし巨木には痕は1つしか残っておらず、それはつまり―――「全て同じ箇所に命中させた」と言うことだった】

【握られた両の拳銃、その右―――つまり紅い拳銃のグリップ部には、淡く光る玉が半分剥き出しで嵌めこまれており、そこから濃厚で危険な魔翌力が放たれていて】
【勘が良ければ、そして存在を知っていれば分かるかも知れないが、コレは宝玉。―――危険すぎるほど強大な力を持つ代物である】
【そしてそれを持つ彼のシャツの右肩部には、緋色の鷹が存在感を示していた】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/09(水) 20:49:58.09 ID:+SPpn5tvo
>>191


さて、早速仕事が入ったと喜ぶべきか嘆くべきか……


【静かな町外れでは、"その音"は聴き間違えようもなく良く通る】
【耳に届いた暴力の気配に、少女は手をそっと上げ】
【上空の空間に歪みを生じさせ――】


……ん? あれは……――


【――姿を現した青年の姿に、直前の行動をキャンセルした】
【昔見た時とは随分と違って見えるが、紛れもないかつての仲間の姿であり】
【少し前に実行されたUTの降下作戦でも、輸送機に同乗していた人物だ】


【不穏な気配と共に、自身に語りかけてくる青年に対して】


――うむ、"久しぶり"じゃな谷山基樹よ
元気にしておる……ようには見えんが、無事であったならば何よりなのじゃ


【少女は、そう名を呼んで淡く微笑みながら返した】
【かつてとは姿は違うが声は然程変わっておらず】
【宙に浮かぶ蛍の"折り紙"もこの少女が誰であるかを判断する基準になるだろうか】

【あれから長い年月が経った】
【青年が少女を認識できなかったとしても不思議ではないが】
【どのような反応が返ってくるかと、少女は漆黒の瞳にその姿を映しながら待った】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/09(水) 20:53:45.05 ID:X7xDrq6Eo
【路地裏】

【ビルとビルに阻まれて、行き止まりの袋小路。数ある路地裏の終点の1つ】
【舗装はひび割れて、雑居ビルに入っている飲み屋や会社のゴミが積み上げられていた】
【燃えるゴミの青のポリバケツが幾つか並び、ビールのケース、酒の缶の袋、ダンボールの山】
【裏口のドアをてらす蛍光灯と窓明りがやけに明るく感じられ、賑やかな音が漏れていた】

いっってぇ……頭、痛ぇ…

【ポケットのマルボロを取り出してくわえ、手をかざして風を避けながらライターで火をつける】
【先が赤く燃えて、体に煙が行き渡るような気分と粘りつく味を確かめてから長く吐き出す】
【彼はそのダンボールの山から起き上がる前に一服することを選んだ】

【つばの広い黒のハットをかぶった背の高い痩せた男はサングラスをかけていて】
【白のテーラードジャケット、黒のTシャツに黒のジーンズ、ブーツと気取ったカッコをしている】
【アルコール臭い煙を吐き出し、ポケットに煙草をしまうと携帯電話を矢次に取り出して】

ここ何処だ…?あークソッ…バイク置いて…迎え…頼むか

【ニチニチと携帯をいじりながら立ち上がって、ゴミ捨て場から起き上がる】
【立ち止まって誰かと連絡した後、それから暫くして一歩2歩と裏路地に出る】
【きょろきょろと見回した後、煙草を吸ってから適当に歩き出した】

【だが、暫くしてバテる。酔っぱらいはそこら辺でまたビルの壁に背をつけてしゃがんで煙草をくわえた】
【立ち上る煙を見上げながら表通りへの出口をイメージで模索している】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/09(水) 21:05:49.04 ID:1FGLhlDVo
>>193
【少女の返答。それに対して、青年はコンマ数秒の間を置いて返答を返すこととなった】
【俄に増す右目の光量。その光の強さに応じて、青年の持つ不吉さは増していって】
【異能によって高速化された思考は、少女の声紋という検索条件を手に入れ、脳内のデータベースの検索を開始していた】
【加速された思考が導き出した結論のままに、青年は僅かに軟化した態度を見せて、口を動かした】

「この声は――、織守さん。で良いんだよな?
ま、元気かどうか聞かれりゃ微妙な所だけど、なんとかジャーナリストやってるよ」

【織守の漆黒の瞳には、白髪に、鈍色とライムグリーンのオッドアイの青年が写っていて】
【青年の濁った瞳には、少女の姿は写し込まれていなかった】
【織守が知っていた頃の青年とは、大分変わった気配を、感じるはずだ】
【与える印象は、鋭い刃と混沌とした印象だろうか。そして、強い意志の力】
【善とも悪とも付かない混沌としたそのあり方は、しかしながら――それであっても気高く正義を保っていて】

「もうjusticeはやめちまってな。SCARLETとかUTにも個人的な協力はしてるんだけど。
……まあ、互いに無事なのかは分かんないけど、生きてて良かった。今はそれで十分ってことで」

【素直に、嘗ての組織の長であるかは関係なく、嘗ての知り合いが生きていたことに、喜びを覚えた】
【穏やかな笑みは、この青年の正義に、まだ善性の部分が多く残っていた事を示すものだったろうか】
【左手でもてあそぶそれは、嘗て世界を揺るがした機関の兵器哲学者の卵=z
【路地裏に目を凝らしてみれば、簀巻きにされて地面に転がっているカノッサ機関の構成員が存在していたのが見えただろう】

「今SCARLETってんなら、良かったらアレ、持ってってくれないか?
ぶちのめす度に自警団とかSCARLETとかUT呼んでんだけどさ、調度良かったかも」

【路地裏に指を向けつつ、へへ、と声を漏らして笑う】
【ところどころに怪我は有るものの、青年に目立つ負傷は無かった筈だ。もともと傷だらけだからわからないというのも有るだろうが。】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 21:09:28.29 ID:0LSys5DhO
【夜の風の国、メインストリートにて】

【家路を急ぐ人達や、これから出掛ける人達、家族同士や恋人同士】
【様々な人が行き交い、様々な声が行き交うここは昼夜問わず活気で満ちている】
【そんな町のとあるケーキ屋、そこには一人の少女の姿があった】

【薄紫色のショートヘアーを蒼い薔薇を模したヘアピンで飾り、瞳はまるで真珠の様な色合い】
【赤い生地に黒のアーガイル柄のドレス、そして腕には緋色の鷹の腕章を付けていて】
【但し不思議なのは、その腕章を付けているのは10歳にも満たないであろう少女だということ】

うーん……どれが良いかなぁ…………?
パパ、最近元気が無いからなぁー…………ここはやっぱり………………


【ショーケースを眺めて唸る少女、暫くしてやっぱりこれだと決めて】
【それは店の一番のおすすめであ るベリーケーキ、どうやら最後の一つらしい】

【もしこのケーキが目当てならば、少女に待ったをかける事も可能だろう】
【或いは彼女の腕章が気になるならば、話を伺うことも出来る筈で】
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/09(水) 21:28:10.79 ID:+SPpn5tvo
>>195

うむ、今は訳あって"カミナ・ゲルギル"と名乗っておるがの

……何はともあれ御主が生きておって安心したのじゃ
わらわが"目覚めて"以来、未だ無事を確かめておらぬ同志が沢山おってな

今更元の組織の長と偉ぶる気もないが
せめて、御主達の顔を見たいとは思っておったのじゃ――


【目覚めて……とは、妙な表現を使っているが】
【このカミナと名乗る少女が元Justiceリーダー、貴宝院織守で間違ってはいないようだ】

【カミナは彼の言葉に安堵の表情を浮かべるが】
【次に谷山の発した声と、左手で転がされている"物体"を認識すると】
【漆黒の目が細まり、探るような意志が微かに混ざった】


――それは構わぬ。わらわの仕事じゃからな
カノッサの兵共を倒してくれたというのならば、感謝もしよう

その上で谷山よ、一つだけ問わせて貰うが……御主の身は"平気"なのかの?


【カミナは谷山を責めはしなかった】
【力を求めた結果"其処"に行き着いたことは、彼の姿を見れば明白だったからだ】
【自分の信じる正義を通す為に、カミナが眠っている間にも修羅場を潜り続けていたのだ】
【だからこそカミナは、まずは純粋に谷山の身を案じた】


無理をするな……などと言えた口ではないが

もし御主が、己の正義を為す為に何かを求めているのならば
Justiceリーダー織守ではなく、SCARLETのカミナが力を貸すのじゃ

SCARLETに協力をしているならば今更かもしれぬがの――


【「どうじゃ?」と、飾り気のない少しばかり不器用な物言いで谷山に告げた】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/09(水) 21:37:59.13 ID:UBnDQ8/go
>>192
【山奥にて響き渡る発砲音。日々を鍛錬に費やす、戦士の軌跡】
【縦横無尽に飛び回りながら巨木を見事なまでに貫く技術を、この場にて見ているものはいなかっただろう】

【その高度な技術。ぶら下げた宝玉。疲労困憊のその状況。さらには、右肩に輝く正義の証】
【見るものが見れば、絶好のチャンスともいえるだろうこの場に、その音が響いてきたのは彼が仰向けに倒れてからしばらく時間が経ってからだった】


【複数人の足音。土を踏みしだき、歩いている。もし彼がそれに気が付き、音のする方向が彼から見て下方だと】
【丁度、彼のいる位置から見下ろせる山道の方から聞こえてくるとわかったのなら。彼は、音の発生源を伺うだろうか】


【その先にいるのは、三人の男。一人は、燕尾服を着こんでシルクハットに片眼鏡を嵌めた小太りの男】
【一人はワインレッドのシャツに白スーツを身にまとい、サングラスをかけたスキンヘッドの男】

【最後の一人は、カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒ベスト、迷彩柄のズボンと黒い軍用ブーツを履いて】
【両耳と口元に鉛色のピアスをつけて、鉛色の髪をオールバックにした男】


【最後の一人には、彼も見覚えがあるかもしれない。昼の国の都市が闇に沈んだあの日、敵対した一人として】
【ピアスをした男が、他の二人の先に立って歩いている。上にいる彼には気が付いていない】

【三人の男が進む道は、山の奥へと通ずる道だ。この時間に、悪党を交えた三人組の行進】
【それを目撃したとすれば、彼はどう行動するだろうか――】

/まだいらっしゃれば、よろしければ……
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/09(水) 21:47:09.70 ID:1FGLhlDVo
>>197
「カミナ、ね。俺はどっちの名前で呼べば良い?
俺もjustice組とは殆ど会ってないな……。ロウとは前会ったけどアイツは青義同盟だしな。
ま……、俺の場合は当時から割りと個で動いてたから、justiceの繋がりって、あんまり無かったんだけど」

【今は違う名という事で、どちらの名前で呼ぶべきかを問いかけた】
【嘗ての知り合いとの交流も、それほど多くはない。皆、散り散りに成ってしまった結果だ】
【それでも、嘗てを知る男、ある意味justiceと一悶着を起こした男との交流は有った様子で】
【独立独歩、孤独に立つのは、ジャーナリストとしてフットワークを求めているからか】
【無所属のフリージャーナリストという今の身の上も、恐らく己の意志以外に縛られずに動くために敢えてその位置に居るのかもしれない】

「んー……っと。平気かと言われれば、平気じゃない。
このまま戦ってりゃ、まあ持って3,4年位だろうさ。……だから、3,4年間は前線に出ることにした。
出れなくなったら裏方として正義の味方やらせてもらうさ。これでも人生設計確りしてんだぜ? 俺。
身体言うこと聞かなくなって戦えなくなったら俺ァ教師でも目指すさ。
ジャーナリストも夢だったけど、学校の先生ってのも俺のなりたかった職業だからな」

【カミナのその問いかけに対して、青年は己の異能を解除することでその回答とした】
【落ち窪んだ右の眼窩。そこにあるべき物は無い。有るのはただ只管な空虚だけだ】
【左の袖の膨らみが消えて、哲学者の卵は地面へと落ちる。左腕にも、あるべき物はなかった】
【そして、皮膚の表面に罅が入り、砕け散り。右目の裂傷、弾痕が顕となった】
【欠けすぎた姿は、凄惨で。そして、それでも凛と立ち、笑みすら浮かべる姿は、同時に凄絶だったろうか】

【その醜い姿で語る言葉は、現実を過剰にも過小にも見ないもの。青年らしい、理性的な言動】
【3,4年で身体が言うことを効かなくなるのならば、それまでは全力で戦いぬく。それが青年の出した結論で】
【そして、動かなくなって戦えなくなれば、青年はまた次の夢に向かって歩き出すだけのこと】
【青年は恐れない。ただ見据えて、歩み続け、乗り越えるだけだ。過酷な道を――障害を】

「……んじゃ、俺も元Justiceとかそういうのナシでな。
フリージャーナリスト谷山基樹として、仲良くさせてもらう。
――そう、だな。頼める事つったら、俺が可笑しくなっちまったら止めるか殺すかしてくれって位、なんだけどさ」

【青年の肉体に俄に燐光が収束し、右目と左腕が生成される。それは、今は少なくなってしまった異能分類――アートマン】
【体組織とアートマンを融合させることで、失った肉体を補い、こうして正義を貫くことが可能となっていた】
【そして、青年がおもむろに取り出し、差し出すのは、名刺。それには、フリージャーナリストとしての青年の連絡先が記述されていた】
【名刺を差し出しながら、青年は苦笑を浮かべながら、物騒で冗談でもないような事を何気なく口にする】
【だが、青年の用いる力は、リスクと隣合わせのもの。今青年が一番求めているものは――己を止めてくれる者だったのだろう】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/09(水) 22:03:01.90 ID:HLMU9qcmo
>>198

【時間と共に穏やかになる胸の鼓動。生い茂る木立ちから漏れる月の光に気付けば、いつの間にかもう夜になっていることに気付く】
【縦横無尽に駆け巡った故に熱く火照っていた身体も段々と冷え始めており、余計に熱燗が恋しくなって想うは―――直ぐにでも帰らなきゃ、というモノだった】
【すくっと立ち上がりジーンズについた汚れを払えば能力を解除する。重厚な装飾銃は一般的な大きさのリボルバーへと変化し、宝玉はいつの間にかペンダントに装着されて】
【腰に巻きつけてある2丁拳銃専用のホルスターに両銃を仕舞えば、ようやく帰ることが出来る、と歩み始めるのだが―――その時、耳に届いた異音。自然になる音ではない】

……―――いるな。足音から察するに獣じゃねぇ、人が、2,3……いや、3だ。
(やべ……この山の持ち主とか……か? 発砲許可とか貰ってるわきゃねーだろが……!)

【巨木に身を隠しながらこっそりと顔を出し、足音の主を確認するのだが―――その瞬間、紺碧の瞳の性質が急変した。思い出すは悪夢の日、ヴェンドゥラーが沈んだ光景】
【瞳の奥に潜む意志の焔を示すが如く鋭さを増したのである。それは理性よりも先に来るモノであり、故に強烈な闘気が剥き出しになって―――三人組に向けられたのだ】
【理性が先に働いていたのなら、闘気を剥き出しにはしなかった。この男は印象とは真逆に冷静極まりない部分を持つ故に、不利な勝負を仕掛けるほど愚かではない】
【だが冷静さよりも勝る己の情熱が、彼を愚かにしたのだ。宝玉の魔翌力に混じった闘気は、彼らを強烈に威嚇するだろうが―――】

(……ッッ!? 何やってんだ俺ッッ……!! ビビって帰ってくれればオイシイが……んな訳にはいかねぇか……!?)
(姿だけはギリギリまで隠す―――気付いたなら不意打ち仕掛けるしかねぇ、床はガタガタの障害物だらけ、跳弾し放題のフィールドは俺に有利―――)
(……ま、疲れてるってことが大きなマイナスだが―――んなもんアイツ見れば、悔しさで吹っ飛ぶっつーの……!)

【起動させるは能力、Frame&Frost。―――先程のものとは違う赤青の自動拳銃が両手に握られれば、息を潜めて巨木の裏で待つ】
【気付かれるか、気づかれないか。緊張からなる胸の鼓動すら、今は五月蝿く感じた】

/いますですー!
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/09(水) 22:18:30.04 ID:+SPpn5tvo
>>199

カミナ、と呼ぶがよい。SCARLETにもこの名で登録しているのでな

今更、嘗ての仲間を集めてどうこうしようという気もないのじゃがな
やはり皆の安否だけでも知っておきたいと思っておったのじゃ

……"あれから"もう三年じゃ、難しいとは思うがの――


【あれから三年。その間動き続けていた谷山の言葉を聞いて】
【自身の目的の一つを果たすことの困難さを再認識しながらも、話を続けていく】



……そうか、それが御主の覚悟か。見事、という言葉すらも軽く見えよう
ならば、その覚悟に水を差すことはせぬ。
其処まで考えて、割り切っているならばわらわはその"正義の在り方"を認めるだけなのじゃ

もし御主が教職につくというのならば
是非ともわらわの"妹"を指導してもらいたいものなのじゃの――。


【凄惨にすぎる姿と、それ以上に自分の身体の事を"割り切った"物言いをする谷山に】
【しかし目を逸らすことはせず、その苛烈な"覚悟"を受け止めて】
【口元を上げて少し昔よりも大人らしく微笑みながらも、彼の行く末を想いそんな言葉と共に応援した】


………………


【谷山の願いに、織守はしばし名刺を受け取ることもなく黙考した】
【その後数秒経ったのちにゆっくりと手を差し出しながら】


……随分と軽く言ってくれるものなのじゃ
わらわはつい先ほど御主の顔を見れて安心したと言うたばかりなのじゃがな

そのわらわに……御主を殺せと?
そんなもの、笑えぬ冗談と切り捨ててやりたい所じゃが――


【そこまで告げて、そっと名刺に手を触れて】
【しかしまだ引いて手に取ることはせず、そっと端に指を添えたまま】


ふん――よかろう。御主の願い、しかと聞き届けたのじゃ

じゃがな、このカミナに頼んだからには"わらわ以外には殺されてくれるな"よ
正義の味方は約束を守るものと、遥か昔から決まっておるのじゃからの――


【そこまで言葉を発した後に、指に力を入れて名刺を受け取り懐に仕舞う】
【現実主義からしたならば曖昧すぎて、子供っぽいとも思えるような物言いだが】
【不器用で言い方の選べないこの少女には、精一杯の激励であった】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 22:25:33.43 ID:nLlwqgQD0
>>165
「…………大丈夫なら良かったとイリニは思います。魔狼は悪い人では無いのですが、癖が強すぎるのが難点だとイリニは考えて居ました」

【少女からすれば癖が強いでは収まらないかも知れないけれど――――同情的な言葉に頷くかのように返す所には仲間を庇う言葉なんて物は無く】
【寧ろ無感情に淡々と紡がれるのだから尚酷くも思えるだろうか】
【さて、案内をしてくれと言われれば少しだけ沈黙するのだけれど】



「分かりました。佳乃はカログリア様の友達である事も考慮して、イリニが案内を務めます。聞きたい事があれば遠慮無くイリニに聞いて下さい
――――……とは言っても、佳乃に見せる事が出来るのは一般の方々と同じ所までです」

【少女の案内役を務めると告げ、更には一般人と同じ場所までしか案内できないと言うのだが…………裏を返せば、教会関係者のみしか入れない場所があるという事】
【神社にだって関係者以外立ち入り禁止の場所があるのだから不思議な話でも無いかもしれないが、イリニは公園で少女に対し“カノッサなどと戦闘する”と言って居たのだ】
【ならば、その一般人が入れない場所とは中々に物騒である事も推測出来るだろうし――――魔狼と呼ばれた彼の“仕事”だとかからも察する事が出来よう】



「では、先に大聖堂を案内し、次に庭を、最後に時間があれば修道院を一通り案内して終えようと思います
佳乃。はぐれないようにイリニにしっかりと着いてきて下さい」

【そう言ってしまえば、先ずは今建っている場所。即ち大聖堂内の案内を始める事だろう】
【見れば所々では夜間にも関わらず老人達が穏やかに会話していたり、或いは修道女達と話す者も居たり。礼拝の無い時間はどうやら憩いの場として解放されている様で】
【或いは寂しさを紛らわせる為の場所、か】
【正面に視線を遣ればこれまた見事なステンドグラスが見えるだろうか。豪勢、というよりも厳粛なと表すのが正しいのだろうが…………説教も行われない今は、其れを感じ取る事も出来まい】

【見渡せば多くの長椅子だとかで相当な数も収容できる様。――――コレで得意げな表情でも見せればまだ愛嬌もあるのだろうが、本人はあくまで仕事の一環程度にしか捕らえて居らず】
【……途中、穏やかな笑みを浮かべた修道女が側を通れば二人へと焼きたてのパンを差し出す事となる。其れを受け取るか否かは少女の自由だが、仮に拒めば「美味しいですよ」とイリニが横から口を挟むはずで】
【実際の所、一口囓れば分かる。ジャムだとかは入って居ないけれど、香ばしく其処等のパン屋だとかよりもよっぽど旨いのだ】


【結果が何にしても、特に訊ねる事も無ければ次には庭へと案内する為に歩み始めるのだが…………】
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/09(水) 22:43:09.85 ID:1FGLhlDVo
>>201
「……ああ。俺は俺の正義を貫くだけさ。
ただ、俺の正義は今、SCARLETやUTと同じ方向を向いている。
そうしてる限りは、俺もカミナの正義や、SCARLETの正義、UTの正義を認めさせてもらう」

「――っは、いいさ。正義の味方が沢山できりゃ、それだけ未来は明るくなる。
カミナの妹だって、なんだって、きっちり指導してやるさ。割りとスパルタだけどな、俺ァ」

【青年なりの正義の貫き方。それは、己の正義に敵対するものは、全て叩き潰すのみ】
【しかし、その上で青年は同じ方向を向いている者に対しては、共に歩もうとする意志も持っていた】
【そして、カミナの妹についての言及については、強い笑顔を浮かべて、親指を立ててサムズアップして】

「俺が一番欲しいものは、俺を止めてくれるヤツなのさ。
……カミナにはひでー事言ってるのはわかってるんだけどな。
俺は俺を止められねェから、誰かが止めてくれるだけで、ホントーに有り難いんだよ」

【カミナの黙考。そして、そこから口を継いで出るその言葉を聞いて。だろうな、と青年は納得した】
【そうだ。己の所属していた組織の長は、このような者であった、と】
【その上で、青年は言う。己を止めてくれるものの存在が、今一番必要なものである、と】
【己の意を組み、そして曖昧で夢のある言葉を返すカミナに、青年は僅かに薄らとした笑みを浮かべて】

「――ありがとう。カミナ。
いやさ、そりゃもう死んでたまるかっての。死ぬの怖いしさ。
安心してくれ。俺は嘘はつくし、人も騙すが、約束は守るんだ。
俺は正義の手段は選ばないが――それでも俺は、正義の味方で、死ぬまでやってくつもりだからさ」

【静かな笑み。狂気も不吉の気配も鳴りを潜め、等身大の青年。小柄で虚弱な頑固者としての姿で】
【青年のありのままの姿で、その曖昧で子供っぽい物言いに、真っ向から向き合ってみせた】
【青年が現実を見ているのは、現実を語るのは。夢や曖昧なもののため】
【だからこそ、カミナの発言のようなものは――青年にとっては、好ましいものであったのだ】

「俺はカミナが俺の敵にならない限りは殺したりはしないけどさ。
カミナが同じ方向を向いてる限りは。俺はお前の味方だから」

【笑みを浮かべて、青年もまたカミナの力になることを、青年なりの現実的言動で約束した】
【青年の言葉からは、先ほどから幾分か棘がとれているのは、よく分かることだろう】
【足元に転がる哲学者の卵を拾い上げて、ベルトポーチの一つを開き、ひしめき合うその卵の群れに、また一つを加えていった】

「……ま、なんだ。こっからの互いの正義と無事に乾杯ってことで、コーヒーでも飲むか?」

【ベルトポーチの他の、保冷ポケットから二本の、極甘缶コーヒーを取り出して】
【カミナの方に一本を差し出して、受け取ったなら缶コーヒーで乾杯をすることだろう】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/07/09(水) 22:46:50.92 ID:UBnDQ8/go
>>200
【放たれた殺気は、宝玉の秘める強大な魔力すらも同時に乗せて。彼ら三人も闇の中の住人である】
【ピタリ、と三人の足音が停止する。彼が秘める大きな義憤、正義の心、そして強者としての闘気】

【無言のまま、三人は彼のいる方向へと顔を向ける。その存在に気づかれたか――?】


【三人の一人、小太りの男が両手を上げる。その掌に、無数の細かい穴が開いている】
【次の瞬間、細い音と共に無数の針が撃ち出された。周囲の木の枝葉を散らし、幹に突き刺さる】

【しかしながら、その攻撃は彼が動きさえしなければ、彼には当たることはないだろう】
【三人は、闘気こそ感じ取ったものの、その存在を確信したわけではなかったのだ】


「……気のせい、か?」

『さあてのう。どこに何がいよってもおかしない世界や。気にしとってもしゃあないんちゃうか、親父』

[……ひひっ、おっしゃる通りですなあぁ。しかし、先を急いだ方がよろしいかと……]

【彼が、それ以上の行動を起こさない限り、三人は再び歩を進めるだろう。闇の奥へと】
【もし、その後をつけようとするなら、そう難しいことでもないはずだ。それほど簡単に尾行できる、ということに疑問は生じるかもしれないが】

【さて、しばらく彼らが歩けば、やがてたどり着くのはポッカリと口を開けた洞窟だ】
【三人は、最後に後ろを向いて周囲を見回すと、その洞窟の中へと入っていく】



【彼らを追い、洞窟に入り。少し進めば、周囲の様子のおかしいことに気が付くだろう】
【荒れた地面は少しずつ平面へと変わり、周囲の壁にも整備された跡が。さらには、壁に明かりまでもが取り付けられ始める】

【やがて、それは明らかな人口のトンネルの姿を現すだろう】
【引き返すなら、今。おそらくここは、敵の拠点の一つだ。危険であることは、疑いようもなく】
【先に進むなら、やがて道が二つに別れた道へと出くわすだろう。彼らが、尾行を許した理由。迷路のように入り組んだ構造】

【右の道。この場まであった明かりがなくなって、暗闇に包まれ先が見通せない】
【左の道。これまでと変わらず明かりが取り付けられ、奥の方に鉄の扉が一つ】

【人の気配はおろか、音もない。この状況下、彼はどう判断を下すか――】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/09(水) 23:05:37.81 ID:A2n2b17Qo
>>202

【癖が強いというかアクが強いというか、まぁ確かに話した限りでは性格に問題こそあれ、彼が大悪人という風には見えなかったけれど】
【……イリニの意見に「そうね」とあっさり同意してしまうあたり、佳乃も鍵爪を貰っておいて大概ではあった】


ええ、お願い。
………ま、その辺は仕方ないか。ルートはあなたに任せるわ。


【あのフェルトと比べればイリニと話すことのなんと気楽なことか。依頼を快諾してくれたのなら佳乃にも是非はない】
【この『教会』の活動がかなり暗部に近い面があることはつい先ほどの出来事で十分理解していたので、ルートを限定されても特に文句は出ないはずだ】
【……「野良猫じゃないんだから迷子になったりしないわよ」という台詞だけは除いて、だけれど。何にせよ、佳乃はそのままイリニの後へ付いていくだろう――――】



(これは、また…………大したものね)


【思えばさっきは、魔狼≠ニの会話を前にして気を張っていたせいか詳しく見る暇もなかった。だがこうして改めて見渡す大聖堂の荘厳さは、】
【佳乃に軽い溜息を漏らさせるには十分であって。辺りの信者や修道女たちの姿も手伝ってか、ゼン=カイマの時とはまた違って、なんとなく優しげな雰囲気も感じられる】
【月光が豪奢なステンドグラスを抜けて佳乃へ注ぐ。その美しさを前に……あの子のところのも修理したらこのぐらいになるのかしら、なんて他愛もない考えも過ぎった】

【……そんな思考の間隙に、ふと差し出されるパン。佳乃は戸惑ってすぐには受け取れず、修道女の顔をしばらく見上げていただろうか】
【ただイリニの言葉もあって、結局は受け取ることとなる。とっさの出来事で「どうも」という短いお礼が精一杯だったけれど】
【一口、試しに囓ってみれば………やっぱりちゃんとお礼を言うべきだったかという、若干の後悔の念さえ湧いてくるのだった】


流石に修道女っていうだけはあって、親切ね。他の人達も穏やかそうだし。
………あなたもそこそこの立場みたいだし、あのぐらい愛想があった方がいいんじゃないの?


【イリニの背後から飛んでくる、そんな言葉が――――単なる照れ隠しであることには、案外簡単に気づけるかもしれない】
【ともあれ、それ以上の疑問や意見はないようだ。パンをちまちまと口に運びつつ、佳乃は引き続きイリニの後を歩いていくだろう】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/09(水) 23:07:25.44 ID:HLMU9qcmo
>>204

【巨木の影に身を潜めながら、ロウはごくりと唾を飲んだ。歩みが止まったということは、やはり闘気を感じ取ったと言うことであり―――】
【周囲の枝葉が弾けて舞えば、ぞくりと恐怖が背を貫く。動かまいと必死に身体を縮こませて、何とか姿を隠し通した】
【警戒は止んだようで、足音が先程と同じリズムで鳴り響く。ほっと胸を撫で下ろすも、まだ終わってはいない。巨木を通り過ぎ一定の距離が空いた所でロウは尾行を始めた】

(……スクラップズのアジトは各地にあるとギアが言ってた覚えがある―――折角の好機、無駄にはしねぇぜ……!)
(―――ッ、洞窟……整備された形跡。つまり此処がアジト……か? )

【尾行の先にあった洞窟はどう見てもアジト。高翌揚感と緊張感が入り混じった状態の中、彼は覚悟を決めて洞窟へと忍びこむ】
【不殺を貫くにあたって何度も無茶はしてきたのだ、ここで退くなんて―――と己に言い聞かせながら、音を立てないように慎重に歩みを進めていく】
【そして彼の前に現れるは分かれ道。危険な香りが理性に「退け」と呼びかけるが、それでも意地が許さない。退く選択肢は無く、あるのは右か左か】

(明かりが無い……ということはアジトは左か? だが扉があるんじゃあ幾らなんでもバレるし自殺行為……)
(右は何にもない可能性もあるが―――後に攻め込むことを想定すれば地形を理解しておくことは悪くねぇ。……明かりが無いのが怖いが―――)

……―――左よりは、マシか。

【最悪音を立てるが此方には灼熱弾があるし―――最低限の光ならば宝玉が放つ自然光だけで十分。足元を淡く照らすくらいならば可能なのだ】
【両のグリップを強く握り締め、彼は右の暗闇を選び歩き出した―――】
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/09(水) 23:07:42.73 ID:+SPpn5tvo
>>203

くくっ……やんちゃ盛りの娘じゃからな
御主も散々苦労するとは思うが、良い経験にはなろう

いつか御主に紹介してやろう、その時は甘い菓子でも用意して可愛がってやってくれ


【彼の仕草に、少女らしい悪戯気な笑みを浮かべながら】
【"妹(シーナ)"の事に思いを馳せながら、いつかあるかもしれない未来の話をした】
【谷山が限界まで戦い、その末に教職を目指すというのならば】
【その夢を進んで最後まで意志を貫き通せるよう】
【言葉にそんな気持ちを載せて、今一時平和の中で笑いあった】



そうか……その言葉を聞けて嬉しいぞ、谷山よ
死をも恐れぬなどと美化して宣う者もおるが
実際に死んでしまっては何にもならぬのじゃからな

少なくともここに一人、御主を失って悲しむ女がおるのじゃ
このカミナ様を悲しませぬためにも、この手を煩わせぬよう長く生きることじゃよ


【かつての仲間の死を望む者などいない】
【仲間意識で谷山を"縛り付け"、何としてでも生き延びて本懐を達せよと】
【カミナは谷山と"約束"を交わし心に刻み込んだ】


ふん、物騒なことじゃの……想像したくもないのじゃ
わらわも道を違えぬよう、努力しなくてはな――


【と、そこまで返事をした時点で谷山からコーヒーを差し出される】
【一瞬、見た目通りに幼い表情を浮かべて目をパチクリとするも】
【間もなくして意図を理解し、谷山の手からコーヒーを受け取った】


――ほう、判っておるではないか。では有り難くいただくとするかの
ならばわらわ達の正義と、今宵の出会いを祝って――


【「――乾杯」と、タブを上げたあと彼の缶と自分の缶を軽く打合せ】
【極甘コーヒーを一気に喉に通していこうとする】
【そしてカミナは「わらわはもっと甘いほうが好みかもしれんな?」などと、楽しげに笑いながら告げるだろう――。】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/09(水) 23:19:27.86 ID:1FGLhlDVo
>>207
「死ぬのは布団の上が良いなァ、俺は。
戦ってるし、戦い続けるけどさ。平穏の為に戦ってるんだから、平穏に死にてぇよ。
――ま、可愛い子悲しませるわけにゃあいけねェな。……長生きして往生してやるさ」

【己を縛り付けようとするカミナの意図は理解した】
【そして、それも良いと思うことが出来た。青年とて死にたいわけではないのだ】
【平穏の為に戦うのだから、最期は平穏の中で逝きたい。その考えは間違ったものではないだろう】
【約束は守る。それは、谷山が貫いてきたものだ。だから、きっとこの約束も、守るのだ】

「悪ィね、嘘は言えねェんだわ」

【へへ、と笑みを浮かべた上で。青年は少女にコーヒーを手渡して】
【静かに、乾杯と缶を打ち合わせる。缶を傾け、極甘の缶コーヒーを喉に流し込んでいく】
【日常的にカフェインと糖分摂取の為に飲み続けている、味も何も特別でないそれ】
【その味も、今日はどこか特別に感じられたようで】

「……んじゃ。俺はそろそろ行くわ。明日も取材なんでな。
いつでも連絡してくれ。仕事でも暇つぶしでもスイーツバイキングでも暇なら行くからよ」

【缶を手元で弄びつつ、青年はこきりと首を回して、歩みを進めていき】
【最後にそう言い残すと、ひらひらと手を振って、振り返ること無く歩み去っていくのであった】
【その足取りは、僅かに軽く。そして、迷いなく、淀みなく。一直線なものであったようだ――――】

/*このような感じで……! お疲れ様でした!*/
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/09(水) 23:29:18.14 ID:nLlwqgQD0
>>205
「――――……。イリニには、その様なモノを必要としません
イリニの仕事は施しだとかでは無いのですから。元々その様な感情だとかは備えられていないのです

佳乃こそもっと愛想を振りまくべきだとイリニは考えます。佳乃は人間なのですから、人との繋がりを大事にすべきです」

【モグモグと食べながら歩く姿は行儀が悪いけれど、態々窘める程にこの教会も厳しい訳では無さそうだ】
【愛想があった方が良い、の言葉に対しては自分には必要が無いと一蹴する。ただ戦う為に作られたのだから自分には必要のない事だ、と】
【確かに感情の起伏が薄すぎるのだ。言葉にだって抑揚が無ければ、感情を読み取る情報も無い】

【その後に連ねた言葉は純粋な感想なのだろうが、どことなく皮肉にも聞こえるだろうか】
【尤も、本人からすればアドバイスに似たものなのだが――――外見は少女よりも幼いのだから、余計なお世話にも思える】


【やがて、場所は庭へと移る事となり】
【――――庭、と言えども勿論一般住宅の其れとは比較にならない。言ってしまえば公園とも言える程の広さなのだ】
【木々が生えており、真ん中には噴水。人外の種族だろうか――幼子達が司祭の下に集まれば、何やら学び事をしている様】
【櫻で言えば寺子屋にも近い。渋々受けているのでは無く、皆楽しそうにしているのだから…………学び甲斐もあるのか】



「此処が教会の庭です。イリニ達は常に解放しており、彼処の様にどの種族に対しても平等に接し、学びたい者に対しては学を与えたりしています
――――時に、佳乃は丁度学生の頃だとイリニは思いましたが。学校、とはどの様な場所なのかイリニは疑問に思います
辞書等で調べても、得られるのは活字だけの知識。イリニは通うことが出来ないので、実際に知る事は出来ません

佳乃、学校とは面白い場所なのですか?」

【適当にぐるっと回れば、彼処では何が行われているだとか説明を加えて――――ふと、足が止まる】
【学校とは、どの様な場所であるか。抱いて居た疑問を解決できるかもしれないと思ったからだ】

【振り向けば、見上げる様にして少女に問いかけるだろうか。果たして、学校とは如何なる場所なのか】
【行く場所と言えば教会やら戦地やらとそんな場所ばかり。…………もし人間で在れば、丁度イリニだって学校に通う程の年齢であろうか】
【どの様に答えてやっても構わないのだろう。少なくとも其れを知識として吸収する事に変わりは無いのだから】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/09(水) 23:36:55.51 ID:+SPpn5tvo
>>208

"可愛い子"? ふん――とびきりの美女の間違いであろう
わらわのような絶世の美姫に身を案じられているのだ、男としては[ピーーー]まいよ


【冗談めかした口調で彼にそう返して――】


うむ、わらわもパトロールを続けなくてはならんからな
いや……その前に御主の後始末をすることが先か

この手間の借りは、そのスイーツバイキングとやらできっちり返して貰うとするのじゃ
その時まで――せいぜい、約束通り生き延びておることじゃよ


【去っていく彼の背中にそんな言葉を掛けて見送ると】
【カミナは谷山が倒して転がしていた機関兵達を】
【馬のような折り紙を作って荷物のように載せながら、最寄りの詰所に向かい歩みだした】

【振り返りはしない。きっと谷山も振り返ることはないだろうから】
【大切な仲間とまた巡り会えるよう心の中で祈りながらも、紙の馬と紅蓮の少女は夜の街に消えていった


/お疲れ様でしたー!
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/09(水) 23:39:07.61 ID:UBnDQ8/go
>>206
【洞窟の先、二又の道。選ばれたのは、右手の闇の奥】
【ロウが歩けば、宝玉の光が闇の中に通路を照らし出す。彼の意地と矜持を載せて、光は闇を裂く】

【しばらくは、何もない道が続くだろう。暗闇と冷たい壁が続く道。精神を摩耗させるような場所だ】
【やがて、何か大きなものが彼の前に姿を現す。宝玉の光に照らし出されたそれは、大型の車両だった】
【十人以上を収納できそうな荷台を持つ大型車。無骨で暗い色をしたそれが、暗闇の中に鎮座している】


【さらに、車両のあるスペースの奥には、地面にポッカリと空いた穴と、下に通じる金属の梯子がかけられていた】
【下からは、水の流れる音がする。光を向ければ、ごつごつとした地面と地面の中央を流れる小さな川が見えるはずだ】


【さて、彼が大型車両の運転席や荷台を調べれば、鍵がかかっていないことに気が付くだろう】
【これが何を意味するか、彼なら気が付くだろうか】

[やれやれ、よーやく終わったぜえぇ……あの二人もそうだが、ボックス一家の皆様は接してて疲れるったらないぜ……]

《ホッホッホ、スカーベッジはお疲れでちゅよおおおおおおおおお》

【ロウが歩いてきた道の方から、二人分の声。足音と車輪の音。ガンマンたるロウの視力は、暗闇の奥に浮かぶ姿を捉えるだろうか】
【先ほどのピアス男。そして、ベビーカーを押す大柄な人影。ベビーカーに納まっているのは、赤ん坊ではなく、赤子ほどの大きさの老人だ】
【ピンクのフリル付き乳児服に、異様に大きな頭部。毛髪の代わりに伸びた太いコードが、老人とベビーカーを接続している】
【ベビーカーを押すのは、丸みを帯びたピンクの装甲に身を包み、赤子の頭部をしていた。観察すれば、それがマインドとわかるだろうか】

【『スクラップズ』のメンバー二人が、近づいてきている。このままいけば、間違いなくロウと鉢合わせる】
【戦うか。梯子の下に逃れるか。大型車両の中に隠れる、という手もある。もし荷台に乗り込めば、中には大きな箱や荷物がいくつも積んである。隠れ場所には不自由しないはずだ】

【刻々と迫りくる二人。ロウの下す決断は――】
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/10(木) 00:01:18.21 ID:CQj5L7OCo
>>211

【どこから何が飛び出してくるか解らない。慎重に慎重に、石橋を何度も叩いて渡るように歩みを進めれば―――感じるは圧迫感。直ぐに23歩下がり光を向ければ】

……―――車、か? コイツがアイツ等の足って事かも知れねぇ。
そうならばぶっ壊しておくか―――いや、暴れたら流石に気付かれる……。

お、コイツは―――別の道だ……! 成程、下は川……ッッ―――!!
(コッチにも居るのかッッ……!?)

【光が照らしたのは無骨で大きな車。少なくとも今風のモノでは無いと思われる。小声で独り言を呟きながら考察していると、宝玉の光が新たな発見を生んだ】
【―――下へと続く道だ。蛇口から水が流れ出すような音が聞こえれば、下が川であることが予想できる。軽く覗きこめばその通り、想像より小さいが川が見えた】
【降りようかどうしようか、と悩んだも束の間、敏感になった彼の耳を二人分の声が突き刺した。直ぐ様問われる選択肢、一瞬にして思考が張り巡らされていく】
【あらゆる可能性を考え、否定し、そして膨らませていく中で―――どの選択肢が最適かを瞬時に見出し、行動】

【結果彼が取ったのは、梯子の下に逃れることだった。勿論音を立てずに慎重に―――姿を異形の者共から隠そうとするだろう】
【闘う選択肢は先ず最初に消えた。もしロウが勝利したとしても、このアジトは直ぐにもぬけの殻になるだろう。折角の情報を無駄にはしたくないし、1体2は御免だ】
【次に車の中。これは見つかった場合を考えると危険過ぎる。直ぐに逃げることが出来るかどうかを考えれば、この選択肢も消える。従って彼は梯子の下に姿を隠そうとした】

【気付くか気付かれないか、隠れたタイミングからして5分5分。梯子を急いで降りたいが、カンカンという梯子の音は回避できない。待つしか選択は無かった】


213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/10(木) 00:14:27.41 ID:V22GIGJ1o
>>209


………あっそ。
私が愛想を? 冗談でしょう。人間なら人との繋がりを大事にすべき、なんて……そんなの狭い価値観だと思わない?
この世に生まれたからには、誰だって自由に生きる権利があるのよ。


【「自分が言えた義理じゃない」と気づいたのは言ってしまった後のこと。少々バツが悪そうに目を細め、佳乃は素っ気無い返事をした】
【ふんっと鼻を鳴らし、こちらもまた愛想など不要と一蹴してみせる。愛想を振りまかないと手に入らない関係など、多分この少女は望んでいない】
【だから、そんなものなくても、自然体のままの自分に声を掛けてくれる人間との関係が――――どれだけ尊いものであるかを、知っている】
【人間だからとかそうでないからとか、そんなものに拘泥する生き方は下らないと言い切って。……イリニだって縛られる必要は無いのだと、言外に含ませる】


ここは………へぇ。教会ってだけあって、ちゃんとこういうこともやってるのね。

――――学校、か。そうね………まず言っておくけれど、私の学校生活は『普通』とはかけ離れているわよ。
だから多分、一般的には楽しい場所なんだと思う。けれどあくまで私個人の感想を言わせて貰うのなら――――つまらないわ。
勉強は難しいし頭の悪いガキ共が大勢いるし大人は私のやること成すこといちいち突っかかってくるし。
好きにやってたらいつの間にか「不良」なんてレッテルを張られてた。私なりに筋は通していたつもりなのに、結局誰にも理解されなかった。

けれど――――たまには。ごくたまには、面白いと思うこともあるかしら。
いくら突き放してもしつこく付いてくる腐れ縁の連中と話すのも、まぁ暇潰しぐらいにはなるし………。
それに………最近、後輩が出来たのよ。可愛い後輩が。その子と食べる昼食は、いつもよりずっと美味しいの。


【庭に案内された佳乃は、庭の広さや美しさよりも先に、司祭の元で楽しそうに学ぶ人外の子供達を見つけて僅かに目を見開いた】
【人間だからとかそうでないとか――――その理屈は、佳乃がそれに振り回されてきたからこそで。ゆえに目の前の光景は、少女にとって……】
【……佳乃は感心するような台詞を吐いただけでそれ以上何も言わない。けれど口元に浮かんだ小さな笑みから、何を思ったかは想像できるはずだ】

【そして、イリニから学校について問われれば。イリニが期待を込めて質問したとも思えないけれど、かといって極端に悪し様にするのも気が引けたのか】
【前置きとして、恐らくは楽しい場所なのだろうと一般論を述べて。更に自分の学校生活が普通ではないと念を押した上で、話し始めた内容は――――】

【――――はっきり言って好意的ではない。率直に表現すれば愚痴であった】
【勉強についていけないのは百パーセント自業自得だが、虐めやら何やら少なからず幼稚な確執があるのは事実だし、先生達も佳乃に好意的ではない】
【売られた喧嘩を買って勝ったら何故か自分が悪い事になっていたし、金銭目当ての恐喝を力ずくで止めて生徒指導室に呼ばれたこともある】
【やり方が暴力的すぎたのは間違いないけれど。いつの間にやら皆に遠巻きにされて、やっていることは確かに正しいはずなのにと、不満の募る毎日であった】

【だが……つまらないだけでもない、と佳乃は言うだろう。決して面白いことが何もないわけじゃない、と】
【腐れ縁の同級生の話とずいぶん大事にしているらしい後輩の話。佳乃から語られる交友関係はたったのそれだけだが――――語り口は少しだけ、明るい】
【そんな、友達≠フ話なんていうのは。別に学校だから特別というわけじゃない、どこにでも転がっているもので】
【けれど佳乃にとっての『学校』は、どうやらそういう場所らしかった――――】


あと………あー、……。
わ、我ながら何を言ってるのかわからなくなってきたわね。まあとにかく、そんな場所よ。……以上。文句ある?


【と――――どうやらその辺りで、知らず知らず語りに熱が入っていたことに気づいた様子。佳乃は少し恥ずかしそうに視線を外して】
【伺うように一度ちらりとそちらを見れば、誰も何も言っていないのに難癖を吹っかける。幸徳井佳乃という人間は、どこまでもそういう少女なのだった】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/10(木) 00:26:30.50 ID:d4xyW6ogo
>>212
[――んん? おいオールドベビー、今なんか音がしなかったかあぁ……?]

《……ママは、何も聞いてまちぇんよおおおおお……》

【ピアス男が、梯子を降りるわずかな音を聞きつけ、老人の方がそれを受けて周囲に視線を巡らせる】
【しかし、その時にはすでにロウの姿は地下へと消えていた。異形どもは、彼の存在に気が付かない】

【と、ピアス男の方が軍用ブーツで踏み出し、ゆっくりと梯子をかけられた穴の方に近づく。穴のそこを、鉛色の瞳で覗き込み――】


[……気のせいか。さっきの山ん中でのことといい、どーも疲れてんのかねえぇ……]
[とはいえ、念のためだ。オールドベビー、下をパトロールしてるオートマーダーと正常に、もう一度全体を念入りに見て回るように伝えとけ]
[俺らは、予定通り物資を運び出す。急がねえと、また他の地下通路利用者の皆様に鉢合わせちまうからなあぁ]

《ホッホッホ、了解でちゅよおおおおおおお》

【ピアス男は踵を返して車へと向かう。その声、話す内容は下に隠れる彼にも聞こえているはずだ】
【やがて、車のエンジン音が反響し、走り去っていく音が聞こえる。ひとまずの脅威は去ったことだろう】


【梯子の下の彼が取れる選択肢は、いかほどか。まずは、今からが降りた道】
【左右に深く長く伸びた広大な地下通路というべき道だ。地面を観察すれば、人の足跡や車のタイヤの跡らしき形跡が見て取れるはず】
【それも、数日、数週間で出来るものではない。何年も使われていたような跡】

【この道を左右どちらかに進むという選択肢。彼の方向感覚が確かなら、右は山向こうの方角。左は山を下りて街に通ずる方角のはずだ】


【今一つは、梯子を上って再び先の道を進むという選択肢。走り去った大型車両のタイヤ痕は、くっきりと残っているはず】
【奥へと続くのは、やはり暗闇だ。敵の後を追うか。それとも、敵の言葉から地下通路なるものの存在を探るか。ロウの判断は如何に】
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 00:43:53.58 ID:DJiI2Gzf0
>>213
「好き勝手にしていたら不良と呼ばれても仕方ない事だとイリニは思いますが。ですが……世間では無く、イリニという個体から見れば佳乃は正しいと思います
イリニは学校を知りません。ですが、学校以上の教育をされた事だけは明言出来ます
其処から導き出す答えとしては、佳乃の生き方の方が楽しいのでは無いかとイリニは判断しました

そして――――佳乃の言葉から学校が楽しい場所だとも理解出来ました。佳乃は並以上に分かり易いので、イリニには助かります」

【学校とは規律に縛られる場所。其れに従わず好きにしていたならば不良呼ばわりも仕方ない事では無いのだろうか。――――その、言葉の後に】
【だが少女の生き方こそが正しい在り方である。そう続けられたのだ】
【ご機嫌取りだとかでは無いし、大体にしてイリニにそれ程思慮があるとも思えない。自分の“学び”と相対して考えて導き出しただけの事】

【少女が人並み以上に分かり易いとは語弊があるのかもしれないが、少なくともその口調だとか僅かに口角が上がる時だとかに感情を読み取っているのだろう】
【常に笑みで接してくる者達よりもよっぽど素直で助かる、とは。褒め言葉か否かは分からないのだけれど】
【愚痴めいた言葉の数々に対しても少女の性格の一端として読み取ったのだろう。澄まし顔でありながら、意外と順応性が高いのか】



「佳乃。イリニは比べる事が出来る体験も無いので文句もありません。佳乃が楽しそうに話していたのでそれで何となく伝わりました
――――だから、学校を楽しんで下さい。また縁が会った時、佳乃に学校の事をもう一度聞きます」

【取り敢えず楽しそうな場所である事は分かった、と。少女に取って詰まらないと述べたのにも関わらずそんな言葉を放ったのは――――照れ隠しを聞いた時にだろうか】
【根から嫌っている訳でも無い。ならば、そのまま楽しむ事が出来れば息災であると】
【――――チラリ、と子供達に視線を向ければ手を振られて。振り返す事も無いが代わりに小さく頭を下げれば更に大きく手を振られ…………司教に窘められる事となるのだが】
【子供からすれば冷たい性格に見える筈なのだけれど……其れなりに懐かれては居るのか】

【そのまま歩みを進めれば、最後の目的地である修道院へと着いた事だろう】
【玄関を通り、中を見れば何と広い事か。豪勢では無いけれど、天井だって相当高く】
【何かの報告書らしき物を持ってきた者に対し「後にして下さい」とだけ残せば奥へと佳乃を案内して】

【応接間に行こうとしたその時――――ピタリと足が止められた】



「佳乃……予定を変える事をイリニは提案します。このまま佳乃を教会の入口まで連れ戻し、其処で別れるのが一番“安全”だと思います
グリース様や神堂様ならまだしも、魔狼にもう一度会うこととなったら厄介です。もしかすれば、今度は先の比では無い程に
――――というわけで、佳乃。今から出口まで案内します」

【ソファーに座っているのは先のフェルトだと言うけれど――――何処か妙。と言うよりも可笑しな話なのだ】
【何しろ、ソファーに座って新聞を読んでいるのは女なのだから。イリニとは正反対に漆黒のローブを纏っては居るけれど、出る所は出て凹むところは凹んでいるそのスタイル】
【――――未だ二人の存在に気付く事無くのんびりと一人で新聞を読み耽る姿は先程の喧しい男とは異なり、写真に撮れば良い物が撮れそうだが…………イリニが厄介な人物だと言うのだから間違いは無い】

【踵を返し、そのまま修道院を出て行くように促すが――――さて、どうするかは少女次第だ】
【何にしたって、そろそろ夜も深まる頃合いではあるが……】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/10(木) 00:45:05.98 ID:CQj5L7OCo
>>214

【バレないように耐え忍ぶ間ほど心臓に悪い時間はないのかも知れない。それだけロウの身体が硬直し、汗が大量に流れ、そして心臓は大きく跳ねていたのである】
【二人の会話が教えてくれるのは、兎に角助かったらしいと言うことだった。梯子をゆっくりと降りて溜息が溢れる。しかし此処でも勿論油断は出来ないようだ―――】
【―――下にもパトロールをしているらしい人物がいる、との先程の発言が大きな不安としてロウに伸し掛かっている故に、油断など出来る筈もない】

ふぅ……で、こっちが下りだろ……? どうするよ……?

【ロウの中では地下通路を進むことはどうやら決定事項らしいが、問題はどっちかである。―――右か左か。つまり上か下かだ】
【長く考えこむ時間も無い故に2,3秒で直ぐ様決断を下す。……下。怖気づいたからではなく、ちゃんとした理由があっての決断である】
【下は恐らく退路という前提をすれば、そして次攻めこむ時にこの退路から侵入することが出来れば奇襲の成功確率はグンと上昇するのではないか】

【次を見越した考え故の選択。退路確保と同時に新たな侵入経路の確保が出来れば好ましい、という期待から―――街の方角に向かって歩み始めた】

……もし想定通りなら―――2つの侵入口から同時に攻めるか……
いや、洞窟から先に行って敵を誘き出して……下から侵入して背後を取る―――これだな。

さーて、吉と出るか凶と出るか……今日の水瓶座の運勢は確か1位だぜ、頼むよマジでよォ……

【祈りと共に歩みを進める。―――1歩1歩進みながら、思い浮かべるは様々な可能性。このパターンにはこの対応、あのパターンならあの対応……と、想定に想定を重ねる】
【アジトに侵入する大胆さを持ちながら、リスクを出来るだけ入念にケアし想定する慎重さ。不殺という無理を通しながら生き永らえる秘訣が彼の動きに、言葉に見えた】
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/10(木) 01:19:22.12 ID:V22GIGJ1o
>>215


う、うっさい。好き勝手って言っても自分から喧嘩吹っかけたりはしてないんだから。……極力は。
まあ、こんな話で参考になったのなら良いけれど。――――それはそうと、私が分かり易いってのはどういう意味かしらね。


【やむを得ず規律を破ることこそあれ、普段から好き好んで場を荒らしているわけではない――――と佳乃は主張するけれど、微妙に自信はなさげだった】
【イリニの表情は相変わらず読み辛いものがあったが、別に嘘を付く理由も無いはず。彼女の言葉を聞けば適当にお茶を濁しておくのだろう】
【果たしてイリニの受けた教育は、どんなものであったのか。……少しは想像できるだけに咄嗟に言葉が出てこず。結果として、じとりと半目の視線が送られる】


楽しそう、に見えたかしら、私は。
……ふん。次会った時に答えが変わっているかどうかは保障できないわよ。
あと、今日は私が話してやったんだから次はあなたの話を聞かせなさい。別につまらない話でもいいから。そうじゃないと釣り合いが取れないわ――――。


【自分の表情に自覚はなかったのか、佳乃は少し不思議そうに言葉を漏らした。悲しんでいるでも喜んでいるでもなく、視線は暫時ぼんやりと中空をさ迷って】
【次に話すとき、その内容が変わっているかどうかはわからない。それは単に意地を張ったという訳ではなく、佳乃にだって本当にわからなかったのだ】
【それから、黒曜石のような双眸はじろりとイリニの方を向く。……本当は魔狼を紹介してもらったり教会を案内してもらったり、借りなら佳乃のほうが多いけれど】
【何を思ったのか、佳乃は有無を言わせない調子でそっちの話も聞かせろと言うのだろう。どういう意図なのかはさておき……視線は、すぐに逸らされる】

【――――逸れた視線は自然と、子供達の方に飛んだ。彼らとイリニのやり取りを、佳乃は何も言うことなく見守るのだろう】
【その後も黙ってイリニに促されるまま進む。やがて到着した修道院、玄関を通り抜けた先の構造は広大で、佳乃は思わず歩きながら天井を見上げて、】


っ、と………。なによ、いきなり止まらないでくれるかしら。

藪から棒に、ずいぶん剣呑ね。魔狼って、この先にフェルトがいるの? まあ、確かにあいつと話すのは体力を使うけれど。
でも、そこに座ってるのは――――えっ、ちょっと。まさかアレがそうだっていうの………?
………仕方ないわね。そこまで言うなら断る理由も無いわ。行きましょう。


【応接間へ向かう途中で止まったイリニの体にぶつかりそうになり、佳乃は慌てて蹈鞴を踏む。抗議の視線がイリニへ投げられるが――――】
【彼女の提案を聞けば流石に態度も変わる。安全≠ニいうのが命のという意味なのか貞操のという意味なのか、いまいち判別は出来なかったけれど】
【とりあえず状況確認ということで、こっそりソファーの人物を伺う。……女性。最初は戸惑う佳乃であったが、先程の彼の言葉を連想するのに時間は掛からず】

【……修道院の中もフェルトも、正直に言えば少し気にはなる。気にはなるのだが――――いまは、仰々しいイリニの言葉が好奇心に勝ったか】
【佳乃は軽く溜息をついてイリニに従うだろう。……ただ、完全に気配を消していたわけではないし、そもそも佳乃は目立つ】
【向こうがこちらに気づいてアクションを起こす可能性も無いではない。その場合、また展開も違ってくることになるだろうか………】
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/10(木) 01:25:06.58 ID:d4xyW6ogo
>>216
【彼の選択は、地下通路。先ほどとは違い、淡い光が指している。宝玉の放つそれと併せれば、進むのに不自由はないだろう】

【即断即決。彼が選ぶは、街側。退路という選択肢。同時に、未来さえ見据えた行動】
【いつ用心し、いつ大胆となるか。この見極め、その決断は、この世界で生きる者に必要不可欠な要素】
【彼はそれを備えている。であるからこそ、この機会を得ているのだろう】


【街の方角へと進めば、やがて下に通じる川が流れ込む先が見えてくるはず】
【コンクリートの壁や地面、鉄柵などが見て取れる。その中を走る汚水。下水道だ】

【ロウが通ってきた通路は、下水道を左下あたりに見る形で伸びる通路に繋がっているだろう】
【ロウがそこに降り立てば。彼の眼前に広がる光景】

【梯子。扉。暗闇に続く道。今までと似たようなものが、下水道の周辺に無数に見て取れるのだ】
【風が吹き込んでくる場所や、隙間の向こうに大きな空間が広がっている場所も見える】
【地下通路。ロウの頭脳をもってすれば、気が付くだろうか。これは、『スクラップズ』のアジトではない】


【長きにわたって、多くの闇の住人達が利用してきた、悪意の交差点。密輸・誘拐・暗殺。あらゆることに使用されてきたのだろう、痕跡】
【『スクラップズ』は、その一部を占拠して自分たちの都合のいい形で利用しているに過ぎなかったのだ】
【ピアス男の、他の地下利用者、という言葉も、これで納得できるだろうか。もはや、地下のダンジョンとすらいえるだろうものだ】


――だから、わからねえんだよ!! とにかく、急いで逃げてきたから!! どのあたりにいるのか……クソ!!

【男の声がした。そちらへと目を向ければ、耳にあてた携帯端末に何事かまくしたてている若い男が見えるだろう】
【伸ばした黒髪に黒服。いかにもチンピラといった顔立ち。ロウが見ればわかるはず。この男は、一般人とさほど変わりない】

だから、逃げるのにここを利用するなんて反対したんだ!! ふざけんなよ、この間も路地裏にグチャグチャの死体が捨てられただろ!?
カノッサの盗賊の仕業だとか、言われてたじゃねえか!! このまま、こんなとこにいたら……

――わかった。わかったよ。悪かった。……ああ、パイプが天井に張り巡らされてる……
右側の奥の梯子だな、わかった……。ああ梯子が見えたぞ、あれか
この上に……ああ。これなら何とかなりそうだ。ああ。後で会おう

【男は携帯端末の通話を切り、青ざめた顔で辺りを見回しつつ移動し始める】
【運悪く、ここに逃げ込む羽目になったそこらの犯罪者らしい。電話からの仲間の指示に従って、脱出を試みているようだ】

【相手は一人。後をつけて街に繋がる退路を確保するもよし。捕えて話を聞く手もある】
【若い男が梯子にたどり着くには、しばし時間が空くだろう。判断の時間は、与えられるはずだ】
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/10(木) 01:47:26.88 ID:CQj5L7OCo
>>218

【―――違う。想定と違う。この地下通路は―――スクラップズのモノではない。眼前に広がる異様な光景がロウにそう語りかけてくる】
【同時に先程の男の言葉が蘇り、そして噛み合った。「他の地下通路利用者の皆様に鉢合わせしちまう」―――という言葉がこの光景に嵌るピースだった】
【進むごとに血の匂いが濃くなるのを感じる。進むごとに光に潜む影を、闇を感じる。自分が知らない地獄が此処にあるのだろうかと―――背筋に恐怖が通った】

(何だよこの場所……くそ、嫌な空気がそこら中に漂ってやがる……。 こんな迷路のような場所で道順覚えるってのもしんどいぜ……ッッ!!)

【そのような心情は彼をより敏感にさせ、故に突然響いた男の声への反応も速かった。宝玉を腕で覆って少しでも光を消す。暗い周りに自分を溶け込まさんとしゃがむ】
【男の言葉を一字一句逃さぬように聞き耳を立て、そして男の痕を付けるだろう。此処は敵のテリトリー、無駄なアクションを取ることは避けたい】
【男は犯罪者らしいのだが、この状況では捕まえるなど出来やしない。強すぎる正義感は愚策の元だと、先程も反省したばかりだからだ】

(右側の……奥の梯子……俺の位置じゃまだ見えねぇが、兎に角後ろに付いていくしか……)
(―――アイツが梯子を登ってから30秒……いや1分は空けたいが……下から危ないやつが来たんなら直ぐ様逃げるしか無いよな……)

【紺碧の瞳が、男の動きを見逃すまいと細まる。そして男とある程度の距離を空けて、その後を歩むだろう】


220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 01:52:02.10 ID:DJiI2Gzf0
>>217
「佳乃、先程の言葉に返しますがイリニの事を知ったところで楽しい事は何も無いと思います。佳乃の友達を深く知った様が佳乃の為でもあり――――
ですが、与えられた物には最低限相応のお返しをする様にとイリニは教えられました。だから、機会が有ればイリニの話を聞かせます」

【カツカツと足音を響かせながら帰路を辿ってる最中に自分の事を話せとの言葉に回答】
【また縁があれば、その時にでも。――――そう加える。確約が出来ないのは戦地に身を投じるから】
【明日死んでも可笑しくない身なのだ。そして約束は必ず果たせと教えられたから――――“機会が有れば”と答えたのだろう】

【さあ、漸く修道院の出口。此処から出て、教会からも出れば後はそれぞれが何時も通りの日常へと戻る筈だったのだが…………】
【壁に背を預け、新聞を広げて居るのは――――さて?先と同じ新聞で、漆黒のローブ】
【横を通り過ぎた訳でも無いのに、二人よりも早くその場に居るとはどう言う訳か。転移だとか、その辺りの魔術でも用いたのだろうけれど】



『あら、私と話すのはそんなに体力を使う事だったかしら?
酷いわねぇ…………。イリニ、後ずさりしなくても何も取って食べたりはしないわよ

――――さて、佳乃。もう片方の私がズボラな性格で迷惑を掛けたわね
お詫びに何かしてあげましょうか?そうねぇ……ほら、膝枕だとか頭を撫でて欲しいだとか貴女位の年頃の子なら恥ずかしくても言い難い事が幾らでもあるんじゃ無いかしら
貴女みたいな子ならほっぺたにキスでも一緒にお風呂でも何でも構わないわよ?ふふ――なーんて言った所で、貴女の反応は大体分かっているのだけれど』

【新聞を折りたためばあろう事か宙へと放り投げ。…………床へと落ちる寸前、其れは忽然と姿を消した】
【髪を掻き上げればクスリと笑んで見せ、近付き。対してイリニはその歩数分だけ後ろに下がる何て珍風景】
【先程の男とは性格が大きく変わるけれど――――本質は似たようなモノ、否、更に質が悪い】

【触れる事は無くても少女の直ぐ側まで近寄ればその造形をじっくりと眺める様なのだから居心地が悪くも感じられるだろうか】
【然れど本人はお構いなしだ。例え悪態を吐かれようが楽しそうに笑って見せるのだから何とも――…………】



『どうせイリニの事だから最後に此処に来ると思って居たのよね。さっき渡しそびれた物が有ったから待っていたのよ
――――仮にも生物を傷付ける為の道具。血で濡れてしまうのは仕方ない事でしょう?
そして幾ら頑丈だと言ってもずっと使い続けて居れば細かい傷も出来てしまうから…………使い終わったらコレに入れて日光なり月光なり“自然の光”を浴びせなさいな
一晩もすれば新品同様に戻っているはずよ

――…………あ、でも。これは設計原書とは無関係だから…………そうね、渡すとしたら私も何か報酬を貰ったって良いわよね?
じゃあ……佳乃が上目遣いで“フェルトおねーさん”と呼んでくれたら渡しましょうか』

【一通りそんな事をして満足すれば、取りだしたのは大きな水晶らしき物だ。実際には、水を魔力で固めた物とでも表せば良いか】
【どうやら先程のかぎ爪を使用した後、その中に突っ込んで光りでも浴びせておけば先のかぎ爪に限り血は綺麗に無くなり細かな傷も全て直ると言う物らしい】
【謂わば、メンテナンス用具とでも解釈すれば良い】

【――――少女に手渡される、その寸前。ひょいと自分の手元に戻せば何か考える様に頬に指を当てて……良いことを思いついたと言わんばかりの笑顔】
【少女の性格を知っているからこそ、この意地悪な提案なのだろう。『別に無くても普通に使えるのだけど』と言うが……効果を全部述べた後に言うのだからいやらしい】
【若しかすればぶんどる事も出来るかもしれないし、交渉次第では何もせずとも手に入る。――――が、今は周りにはイリニと魔狼以外誰も居ない事を補足しよう】
【……男性の時もそうだが、女性の時であっても相変わらず少女の相性は悪いか】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/10(木) 02:26:42.23 ID:d4xyW6ogo
>>219
【積み重ねられた、悪意の証。今なお、ここは蠢き続けている】
【『スクラップズ』の介入すら、一要素に過ぎないとばかりに。地下通路は暗闇の中にその姿を浮かび上がらせていた】

【壁に染みついた血痕らしきもの。饐えた臭い。路地裏の地下版、といったところか】
【いや、より闇に近いという点では、路地裏以上ともいえるかもしれない。ロウのような正義を胸に秘めた人間には、この上なく居心地の悪い場所だろう】


【警戒に意識を割り振ったロウに、男が気が付くはずもなく。そのまま、梯子を上って上の空間へと姿を消した】
【下からの気配や音はない。ロウはそのまま、距離を空けての追尾に成功するはずだ】

【梯子の先は、丸い形で薄く光が漏れている。そこに手をついて持ち上げれば、ロウはそこから出られるだろう】
【出た先は、路地裏の一角。出た場所は、マンホールの蓋だった。マンホールに偽装した、地下通路の入り口だ】
【すぐそばには、ゴミ捨て場らしきスペースと焼却炉がある。これが、一種の目印なのだろうか】

【おそらく、このような入口があちこちにあることは察せられるはず。神出鬼没に各地に出現する『スクラップズ』、その謎の一端がここに明かされた】


ヒィッ――――!!!!!

【ロウが地上に出た少し後だろうか。聞こえてくる、悲鳴。先ほどの男のものだ】
【ロウの位置からは死角。路地裏ならば隠れてその先を伺う場所には事欠かないだろうし、仕掛けることも出来るはずだ】

【声の主、先ほどの男は、路地裏の袋小路に追い詰められていた】
【彼の前に存在するもの。それは、いったい何と表現すべきか。一言で言えば、肉塊であった】


【人間の上半身をさらに半分にしたほどの大きさ。角ばった顔つきに短めの黒髪】
【顔面、首、露出した右腕、その全てに広範囲にわたって残る凄惨な火傷の跡】
【胸部には、襤褸切れのような黒い布をしっかりと巻きつけている。左腕は、根元から消失していた】

【その下、胸部から下の部分の肉体は存在しなかった。まるで胸像のような姿】
【体内に繋がる形で伸びた、甲殻類のそれを思わせる太く長い四本の足が、肉塊を支えている】
【黒い布の隙間から覗くのは、肋骨の一部と赤い肉に包まれた脊髄。尻尾のようにゆらゆらと不気味に揺れ動く】

【額に面積一杯を埋める黒い瞳の単眼。両目は、右が青、左が黒の義眼。口元には、マスク型の人工呼吸器が装着されている】


【異形。山中から地下通路までで彼が目撃しただろう者たちすら、霞むほどの】
【続いて、その肉塊から発せられる声音には、ロウは聞き覚えがあるだろうか】


〈カヒュー……それで、あくまでただ迷い込んだだけだと。そういうわけだな……?〉

ほ、本当だ……嘘じゃない、信じてくれよ……!!

【肉塊が、男に顔を近づける。甲殻類の足が、奇怪な足音を立てる】
【一つ目でじっくりと男を睨む、その肉塊の声。あの重苦しい声音。聞き覚えがあるだろうか】

【ロウほどの実力者ならば、肉塊から殺気は発せられていないことはわかるはずだ。肉塊は、言葉に反して男に危害を加えようとはしていない】
【男を観察して本当にただのチンピラだということはわかっているのだろう。それでも、念のために尋問しているといったところか】


【おそらくは、これが今宵最後の選択肢。危険を承知で介入するか、泳がせてさらなる情報を得るか。ロウは、どう動くだろうか――?】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/10(木) 02:34:19.90 ID:V22GIGJ1o
>>220


――――別に、楽しむ為に聞こうって訳じゃないわよ。
ふん、最初から素直に頷いておきなさい。……楽しみにしてる、とは言わないけれど、約束は忘れないから。


【ぷいと顔を逸らして、佳乃はイリニの返事を確と受け止めた。機会が有れば――――曖昧な言葉だけれど、べつにそれで十分だ】
【時折温い学校生活に飽き飽きして、戦地へ身を躍らす性があるのは佳乃も同じ。死ぬ気は絶対に無いし、実際に生き残ってきたが、万が一が無いとは言えない】
【まして……佳乃の通う学校の、『レイリスフィード』という看板にだって、もしかすると悪の手が迫っているのかもしれない情勢なのだから】
【楽しむ為に聞きたいわけではない。だから楽しみにしているとは言えない。ただ小さく、ちゃんと覚えておく、と。佳乃はそれだけ伝えるのだろう】

【――――場面は戻って修道院へ。イリニの後について出口へ戻ろうと、黒髪を靡かせて振り返った佳乃の前に、】
【それは、居た。いつの間にやら存在していた。……どうにか動揺が顔に出るのは押し止めるものの、黒色の双眸は微かに見開かれていて】


な………ちょっと、イリニ。コイツが魔狼=H フェルト=ハイケリュンなの?
っていうか――――ちっ、近寄らないで! 何なのその気持ち悪い態度は!?


【ずさささ、と佳乃もまたイリニと一緒になって後ずさっていく。ちらりと隣の少女を垣間見て是非を問うけれど……背中に走る悪寒が既に答えになっていた】
【こちらに寄ってくる女性の体躯、じろじろと体を眺めるその視線に、佳乃は思い切り顔を青くする。気持ち悪い、と正面切って罵倒するのも予想通りだったか】
【つい先程までの男の魔狼とのギャップもあって、佳乃の頭の中で「キモイキモイキモイ」と今どきの女子高生みたいな安直な言葉がぐるぐる回っているのだった】


全く……いちいち人を驚かさないと用事も済ませられないわけ?
ソレの性質はわかったわ。じゃあさっさとこっちに投げて寄越して。それで終わりに――――、

………ふぇ、フェルト、おねえ………?
こ、こ、コイツ――――この私がっ!! そんなキモい台詞を吐くわけないでしょうがっ!!!


【はぁー、と大きく大きく溜息を吐いて、「やっぱり体力使うわ」と愚痴を一つ。佳乃はじろりとフェルトを睨みつけつつ水晶の説明を聞く】
【その性質をあらかた理解すると右手を差し出し、投げ渡すよう指示を出すのだけれど。――――更なる要求の方は、佳乃の理解の範疇を超えていた】
【呆然と言葉を反芻した結果、図らずもフェルトの目的が達成されかけたが……ぷっつん、と、決して強度に優れてはいない少女の堪忍袋の尾がそこで千切れる】

【……思い返せば以前、グリースに会った時もこんな展開だった気もするけれど。ともあれ佳乃は顔を羞恥と激怒で真っ赤にして突撃する!】
【水晶を奪うのが目的なのは間違いない。一直線の単調な進撃ではあるが、その速度は佳乃の実力を示すように、かなり素早いものであっただろうか】


(目にもの見せてやるわ――――『六花』っ!!)


【右手が水晶に伸びる。……とはいえ、まさかそれだけで奪えるとも思っておらず。自身の突進はあくまで囮であった】
【佳乃が接近したと同時、例の神聖≠ネ雰囲気の塊のような力の流動が、彼女のパーカーのポケットから感じられたかもしれない】
【刹那――――まるでベタな手品みたいに、そこから一羽の鳥≠ェ飛び出す! ……鳩ではなく鷲というあたりが、なんとも佳乃らしい】

【両の鉤爪を開き、鷲は佳乃よりも更に素早く突撃。試みがすべて成功すれば、水晶を文字通り鷲掴みにして佳乃の下に戻ってくるはずだ】
【例えフェルトが転移の術で逃げたにしても、この式神≠使った急襲を読めなければ、同じように水晶を奪われてしまう可能性もあるか――――?】
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/10(木) 02:55:52.90 ID:CQj5L7OCo
>>221

【―――光と云うものは、此程までに安心を生み出すのか。安堵しながら地上に出れば、直ぐ様肺いっぱいに夜の空気を取り込んだ】
【路地裏の空気だ、上手いはずも無いが―――地下通路の淀んだモノに比べれば数倍マシな筈だったのだが、違った。寧ろ先程よりも淀んでいるのだ】
【そのことに気が付くと同時に響く男の悲鳴。先程の犯罪者の声であり、隠れながらひょっこりと顔を出して確認すれば―――】


                    ――――――カニバディィィィィルッ!!!!


【また、愚策を取った。―――理性よりも本能が、使命感が、正義の心が、マーシャル・T・ロウとしての意地が―――勝った結果が、これだった】
【考えるより先に吠えていた。闘気が放たれ、餓狼の如き眼光を肉塊に向けていた。自分の知っている姿ではないが、単眼と纏う雰囲気だけで分かる】
【宿敵、カニバディール。倒さねばならぬ巨悪の一人。ヴェンドゥラーを化け物の巣に変えた張本人―――】

【ロウが姿を現し、両の銃口が彼へと向く。彼の背後に焔が浮かび上がって見える程の濃厚な闘気と、視線に篭った意志と覚悟。冷静さを退ける情熱がそこに示されていた】

……そいつは犯罪者だ。偶々尾行してたらよォ、テメェに辿り着いたわけだ……なぁ、カニバディール

【アジトを調べていました、などと言える筈もなく―――間髪入れずに零したのは根っからの嘘。しかし嘘はついてみたものの、付く必要は無いのかもしれない】
【何故なら―――この場で彼を倒せばいいのだから。今此処で倒してやる―――と言わんばかりのオーラがロウから嫌というほど溢れていた】
【さて、カニバディールはコレにどう応えるか。闘う気は無いと流すのか。だがもし逃げようとするならば―――いとも簡単に成功するだろう】

【方法は簡単だ。逃げるギリギリまで先程の犯罪者の男を盾にすればいいのだから。正確に言えば「攻撃するならコイツを[ピーーー]」と一言零すだけでいいのだ】
【―――不殺。ロウを語るにはこの言葉なしには出来ないだろう。彼の行動原理を示す言葉でもあるならば、それを逆手に取ってコントロールすることも出来る】
【不殺の信念と云うものは、闘いの場においては足枷にしかならない。そのことを彼に再度思い知らせることにもなる、最も優れた手段であると言えるかも知れない】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 03:07:53.08 ID:DJiI2Gzf0
>>222
「佳乃。やはりイリニは魔狼が苦手です。どっちの姿も苦手です」

【全てを事務的にこなす者も苦手だと言って後ずさるのだ。――――助け船すら出すことも出来ず】
【それぞれの一挙一動を巻き込まれない様に眺めているだけで】



『あら……残念。もう少しで呼んで貰えそうだったのに。お兄さんと呼ばせた方が良かったのかしら
それにしても、まぁ――――大会の映像を見ていた時から思って居たけれど、結構好戦的なのね?
真っ赤にしてる姿も可愛らしいけれど、そんな乱暴な振る舞いをしていたら危ないわよ』

【クツクツと笑う様は何処までも楽しそうに。水晶越しに歪む表情を眺めれば目を細めて】
【少女の其れ等に対し、反撃でも回避でも無く――――水晶を落とすという選択。“思って居たけれど”その言葉が示すのは、テレビ越しにでも少女の戦いを見ていたのだろう】
【よいしょ、の一言と共に何とか鷲を避けると同時、器用に足の甲と脛とで水晶を受け止め】

【そんな乱暴な振る舞いと言うけれど、そうさせたのは他の誰でも無いこの女自身なのだが……本人は至って涼しい表情】
【床に置けば爪先で軽く押して、少女の足元へと転がす事だろう】



『全く――――怪我をしたら危ないじゃ無い。こっちの私は余り体術だとか得意じゃ無いのよ?
それにコレは繊細な物なんだから…………あら。佳乃を水浸しにして楽しむと言う手もあったわね。惜しいことをしたわ

――――さて、これで佳乃への仕事は本当のお終いね。また何かあれば来なさいな』

【背伸びを一つしたならばコレで正真正銘全て終えたとだけ残して。笑みと共に別れの言葉を告げればその姿も消えてしまうのだけれど】
【――――漸くイリニが動いたかと思えば、床に転がる水晶を拾い上げて少女へと手渡す事だろう。言葉が何も無いのは何時も通りにも見えるが…………緊張がまだ続いていたからとも思える】
【何にせよ、脅威らしき何かは去った。溜息を吐けば「こっちです」と言葉を発し、其れに着いていけばやっと教会の外に居る事になるだろうか】



「魔狼が迷惑を掛けました、とイリニは謝ります
…………佳乃。イリニはそろそろ時間なので案内も話す事も出来ませんが……帰りは大丈夫、なのですよね
ならば、イリニは安心できます。次に会う事が出来るのは何時かイリニには分かりませんが――――それまで元気で居て下さい

佳乃。イリニは貴女が敵で無くて良かったと思います。――――カログリア様にも、佳乃が教会を訪れた事を報告しておきます。きっと、喜びますから」

【その言葉を最後に、今宵の別れとなるだろうか。イリニの言う“時間”とはとどのつまりそう言う事だ。決して穏便なものでもない】
【佳乃が何か帰り際に言葉を投げてやるならば、きっと最後まで聞くはずで】

【――――去るとき、もし振り返るなりしたならば。先の子供の様に手を振るイリニの姿が見えるだろうか】
【友人、と言うには奇妙な存在ではあるけれど……あの無表情で無感情な少女が手を振る程には打ち解けた…………そんな、夜】

/最後駆け足で申し訳無いのです……!コレをこちら側の〆とさせて頂きますっ!
/連日お付き合い頂き、本当に有り難う御座いましたっ!とても楽しかったのです!
/お疲れ様でありましたですよー!
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/10(木) 03:20:54.16 ID:d4xyW6ogo
>>223
【――その声は、路地裏を闇を打ち払うがごとく響いた】

【一人の男が、一人のガンマンが、そのうちに秘める熱い想いが、そうさせた】
【その咆哮は、違うことなくその先にいる怪物の耳へと届く。犯罪者の男は、呆けた様子で彼を見やり】

【肉塊は、ゆっくりと彼へと向き直る。その単眼が、彼をじっとりと見つめた】


【炎を背にしているかのような彼の姿を、己へと向けられる銃口を、肉塊は、カニバディールは見る】
【そのまま、何も言葉を発することなく。襤褸切れの中へと手を突き入れる】

【引き出されたのは、大型の拳銃。相当な威力があるだろう。それを、己の後ろに蹲る犯罪者の男へと向けた】
【男が小さく悲鳴を上げ。震え始める。ロウの掲げる不殺を知っているからこその戦法】
【単眼の視線をロウから外さないまま。肉塊が、言葉を発した】


〈――この火傷はな。UTのミハエル・ガーナランドという男と……お前もよく知っているだろう、貴宝院 織守にやられたんだ〉
〈セードムシティの事件での話だ。さすがの私も、あの時ばかりは死ぬかと思ったよ……お前は、あの場にいたのかね?〉

〈全身を焼かれて、このざまだ……まったく、ひどいことをしてくれるよ〉

【男に銃を向けたまま、カニバディールは語る。まるで、世間話でもするかのような気軽な口調だ】
【しかし、肉塊が纏う悪意とドス黒い気配は、見る間に高まっていく。その向く先は、まぎれもなくロウだ】


〈だが、この喉は……呼吸器なしでは、ろくに活動も出来ないこの有様は……お前の銃弾によるものだ。ロウ〉
〈おかげで、もともとの口ではろくに食事も出来ない……あらゆる肉を取り込んだが、この傷を癒すことは出来なかった〉
〈これをどうにかするには――〉

【カニバディールは、銃の狙いを男から外すと。眼前のロウへと向けた】

〈お前だ。お前の肉が、お前の命が必要だ〉
〈この男には、感謝しなければな……お前をこの場に、呼び寄せてくれたのだから〉


【カニバディールが、一歩踏み出す。その足音に弾かれたように、犯罪者の男は逃げていった】
【それには目もくれない。単眼が見つめるのは、ロウの瞳だけだ】

〈お前の肉が欲しい。お前の心臓が欲しい。お前の命が欲しい〉
〈よこせ――お前を私によこせ、マーシャル・T・ロウ――――!!!〉

【カニバディールもまた、愚策を取った。犯罪者の男を人質にせず。あろうことか、ガンマンたるロウに銃を用いて】
【戦闘を挑んだのだ。悪意の叫びと共に、カニバディールはロウの胴体を狙って発砲するだろう】

【この肉塊にとっても、ロウは宿敵。彼が想定にない形で眼前に現れたという事実が、カニバディールから理性的判断を失わせた】
【しかし、それでも肉塊の首が蠢き、そこから肉の触手を空中へ伸ばして、次の攻撃に備えようともしている】
【ロウ相手に、銃のみで挑もうとはしていない。銃撃に対処するロウに、肉触手で攻撃するつもりか】

【降ってわいた、因縁の激突。果たして、その行方は――】
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/10(木) 03:24:34.41 ID:CQj5L7OCo
>>225
/すみません置きレス移動お願い出来ませんでしょうか……?
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/10(木) 03:45:41.20 ID:d4xyW6ogo
>>226
/反応遅れましてが、置きレス移行了解です
/長引かせてしまって、申し訳ないです……
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/10(木) 04:13:22.10 ID:V22GIGJ1o
>>224

【右手は予定通り空を切って、次の本命――――下から上に飛翔する鷲に対し、水晶を上から下に落とすというのは実に有効だった】
【鷲は狙いを外してしまい、戸惑うように佳乃の元へ戻ってくる。……任務失敗の報酬は青筋立った相貌】
【肩口に止まった彼がすぅっと消えていくまで、ずっとしょんぼりしていたように見えるのは、気のせいだったか】


こ、こんの………私のことを知ってておちょくってたわけね………!!
怒らせたのはどこの誰よ、この――――性悪!! ド変態!!!


【フェルト自身の実力もあるだろうし、その上実はこちらの手の内が知られていたとあっては、まあ避けられても仕方がない】
【冷静に考えれば予期できた可能性で、過度に怒ることも悔しがることもないはずなのだけれど――――佳乃の性格を考えれば、それもまた仕方がなく】
【結局最後まで好き勝手からかわれた上、フェルトはさっき『お前の戦い方を見ていない』とか言っていたはずである。まんまと騙されたことも含めて怒り心頭の様子】
【フェルトの言うとおり好戦的で、プライドが高い少女だ。性悪と罵ってはみたものの、女と続けるべきか男と続けるべきかわからなくて、それがまた癇に障った】


あのね、舐めないで。私もあの子もちゃんと手加減してたわよ。あなたがよっぽどのヘボじゃない限り怪我なんか万に一つも無かったわ!
…………ったく、あー、もうっ。どこまでも口の減らない奴…………。


【どうにも幸徳井佳乃は、こういうタイプの人間に弱い――――ここまで怒らされてもきっちり手加減する程度の分別はあるだけに、余計にだ】
【戯れ言に翻弄されて苛立ち紛れに頭を掻きつつ、佳乃はフェルトが消え去る最後の瞬間まで怒りの眼光を彼女に突き刺し続けるのだった】
【イリニから水晶を受け取ると、最後今日一番大きな溜息をついて。鉤爪入りのケースと合わせて小脇に抱え、二人は教会の外へと向かっていく――――】


別にあなたを責める気はないわ。アレに管理責任を問うほど私も酷じゃないわよ………。
あと、余計な心配も不要よ。さっきは偶然、たまたま、避けられちゃったけれど、私の実力はあんなものじゃない――――。
ちょうど機嫌も悪いところだし、チンピラだろうが悪魔だろうが出会い次第ブッ飛ばしてやるわよ。

………ふん、好きにしなさい。それと………ついでにあの子によろしく言っておいて。私は元気だからって。
次会うのがいつになるかは私もわからないけれど、さっきの約束、忘れないこと。そして必ず果たすこと。破ったら許さないわよ。


【……よっぽど急襲を凌がれたのが悔しかったのか。佳乃は威勢のいい言葉をぶつくさ並べて自らを誇示する。意外と根に持つタイプなのかもしれず】
【ただ、佳乃がしっかり『根に持った』のはそれだけではない。例の約束、次会ったときはイリニにも話をしてもらうというソレを、佳乃はもう一度念を押して】
【必ず果たしなさい。必ず、果たせる状態で居なさい、と。あなたも元気でいて、なんて真正面からでは言い辛いので、そういう体裁で覆い隠したのだ】
【でも、佳乃を分かり易いと言ったイリニなら。そろそろこの少女の分かり辛い配慮を見抜くのも簡単だっただろうか?】


それじゃあ、またいつか、どこかで会いましょう――――イリニ。


【――――佳乃はフードを被り直して表情を完全に覆い隠した後、ぽつりとそんな事を呟いて、そのまま去っていくだろう】
【途中で一度首だけで振り返って、彼女の手の動きが表すものに気付いたなら。絶対に気付かれないよう薄く薄く笑って、右手を上げて返事代わりにした】

【奇妙な出会いに始まって、波乱の出会いに終わったこの日】
【暑くて寝苦しいだけが取り柄の夏の夜に、思い返すあの少女の冷たい声色は、不思議と心地がよかった――――】


/三日間お疲れさまでした! こちらこそ楽しませていただきましたー!
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/10(木) 16:48:28.04 ID:sGuVBrVIo
【夜・公園】

ん、と……ひい、ふう、みい、よ……
…――これで大丈夫……です?……あっ…!

【自販機の前、一人の少年が手元の小銭を数えていた】
【その格好は古風で、ハンチング帽にサスペンダーのシャツ姿】
【ただ何よりも目を引くのは、その腰元から伸びる白銀の尻尾なのだが】

【――その彼の手元から今、ころころと一枚の硬貨が転がり落ちた】
【小さな声からそのことは直ぐに分かるだろう。さて、硬貨の行方は――?】

/投下文再利用ですが、よろしければっ。
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 19:35:49.81 ID:CRkvzXr3O
【風の国のメインストリート、時刻は7時を過ぎたところ】

【家路を急ぐ人達や、これから出掛ける人達、家族同士や恋人同士】
【様々な人が行き交い、様々な声が行き交うここは昼夜問わず活気で満ちている】
【そんな町のとあるケーキ屋、そこには一人の少女の姿があった】

【薄紫色のショートヘアーを蒼い薔薇を模したヘアピンで飾り、瞳はまるで真珠の様な色合い】
【フリルの装飾が目立つ赤と黒のアーガイル柄のドレス、そしてその腕には緋色の鷹の腕章】
【但し不思議なのは、その腕章を付けているのは10歳にも満たないであろう少女だということ】

うーん……どれが良いかなぁ…………?
パパ、最近元気が無いからなぁー…………ここはやっぱり………………


【ショーケースを眺めて唸る少女、暫くしてやっぱりこれだと決めて】
【それは店の一番のおすすめであるベリーケーキ、どうやら最後の一つらしい】

【もしこのケーキが目当てならば、少女に待ったをかける事も可能だろう】
【或いは彼女の腕章が気になるならば、話を伺うことも出来る筈で】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/10(木) 20:14:20.88 ID:evM+hAl+o
【どこかの町外れ】


さて……今日も夜のパトロールに勤しむとするのじゃ
今宵も平和であれば良いのだがな――


【錆びた街灯が淡い光を照らす町外れ】
【人で賑わう中心部とは遠く、夜の治安が危ぶまれるその場所を】
【奇妙な光る球体を浮かばせながら、独り言を呟き歩く少女の姿があった】


【身長は140cm程度だろうか。腰まで届く炎のように鮮やかな紅蓮の髪と漆黒の瞳を持ち】
【桜色の簡素な着物を身に纏い、胸元に"緋色の鷹"のワッペンをつけた少女であった】

【少女の隣にはまるで"紙"か何かで出来たような】
【真っ白でバレーボールほどの大きさをした"蛍"が周囲を照らしながら追従していた】


――しかし、本当に不便な身体になったものじゃな
休暇届などはいつ出せばいいのやら……ここは一つ、幾つかメモ書きでも残しておくべきかの



【誰に言い聞かせるでもなく、一人そんな事をブツブツと語りながら夜の街を進んでいく】
【辺りは閑散としており、近づく者がいれば互いに認識することになるだろうか】
【また、治安が悪く路地裏へ続く道も多いこの場所ならば、何か事件が起きても不思議ではないかもしれない】
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/10(木) 20:48:46.37 ID:R6LLRyofo
【路地裏】

【ビルとビルに阻まれて、行き止まりの袋小路。数ある路地裏の終点の1つ】
【舗装はひび割れて、雑居ビルに入っている飲み屋や会社のゴミが積み上げられていた】
【燃えるゴミの青のポリバケツが幾つか並び、ビールのケース、酒の缶の袋、ダンボールの山】
【裏口のドアをてらす蛍光灯と窓明りがやけに明るく感じられ、賑やかな音が漏れていた】

いっってぇ……頭、痛ぇ…

【ポケットのマルボロを取り出してくわえ、手をかざして風を避けながらライターで火をつける】
【先が赤く燃えて、体に煙が行き渡るような気分と粘りつく味を確かめてから長く吐き出す】
【彼はそのダンボールの山から起き上がる前に一服することを選んだ】

【つばの広い黒のハットをかぶった背の高い痩せた男はサングラスをかけていて】
【白のテーラードジャケット、黒のTシャツに黒のジーンズ、ブーツと気取ったカッコをしている】
【アルコール臭い煙を吐き出し、ポケットに煙草をしまうと携帯電話を矢次に取り出して】

ここ何処だ…?あークソッ…バイク置いて…迎え…頼むか

【ニチニチと携帯をいじりながら立ち上がって、ゴミ捨て場から起き上がる】
【立ち止まって誰かと連絡した後、それから暫くして一歩2歩と裏路地に出る】
【きょろきょろと見回した後、煙草を吸ってから適当に歩き出した】

【だが、暫くしてバテる。酔っぱらいはそこら辺でまたビルの壁に背をつけてしゃがんで煙草をくわえた】
【立ち上る煙を見上げながら表通りへの出口をイメージで模索している】
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/10(木) 20:54:44.32 ID:csWw6eGRo
【路地裏の少し奥まったところ】
【殺人、薬物、誘拐、強姦、ありとあらゆる犯罪の巣食う影の路地】
【表の路地とは忌避感という線引きだけで二つの世界は隔てられている】

【そんな、影の路地にて、二人の人物が相対していた】

「どうしても売らないっていうのか!」

【片方は、もう一人の胸ぐらをつかみあげる小汚い服装の背の高い男】

 売らないとは言っていない、対価を支払えと言っているだけだ

【もう片方は、胸ぐらをつかみあげられているまた背の高い人物、ローブを深く着込んでおり、その顔や体つきは分からない】

「それは次来た時に払うと言っているだろう!?」
 どうだか……

【どうやら二人は何かを取引しているらしい、しかし、対価が足りないと言ってローブの男は取引に応じていないようだ】

 ……金がないなら止めればいいだろう?
「馬鹿を抜かすな!"アレ"がない生活なんて考えられるわけがないだろ!」

【そういう胸ぐらをつかみあげている男は鼻息を荒くしつつ吼える】
【しかし、別に薬物の禁断症状が出ているというわけでもないし暴力も振るっていない】
【いたって正常な判断ができているといえる、もっとも裏路地の住民というだけで正常であっても常識とは限らないが】

 だったら金を払えと言っているだけだ、人を殺せと言っているわけでもない
「くそ!足元みやがって!」
 足元?すり切れて小汚い靴しか履いてないじゃないか

【煽るローブの男を忌々しく睨む小汚い男】
【今にも、喧嘩でもおきそうな雰囲気だが……】

【それでなくとも、先ほどまでの小汚い男の声は狭い路地裏ではよく響く】
【密売人を探す正義組織のものの耳にも、殺人に飢えた者の耳にも、しっかりと、よく届くだろう】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 21:02:27.92 ID:m8a+7ssT0
>>230
//まだいらっしゃいますかー?
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 21:15:20.73 ID:CRkvzXr3O
>>234
/居ますです!
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 21:37:51.51 ID:m8a+7ssT0
>>230

【最近は一気に夏めいてきた。蝉だってそろそろ鳴き始める頃で、これから本格的に暑くなっていくのだろう】
【日中の気温も汗ばむくらいに高くなってきたけれど、流石日が暮れると涼しい風が通り過ぎる……そんな初夏の夜】

【家路を急ぐ人や呑んで帰る人……十人十色の目的を持った人々が行きかう商店街は、日が暮れても賑わいを失わない】
【―――そんな商店街の通りを、道行く人々に紛れて一人の女性が歩いていた。】

【上質の絹糸のような鳶色の長髪は時折吹く風にさらりと靡いている。頭には白いキャスケットが被られ】
【目じりの下がったの垂れ目、深いブラウンの瞳は優しく澄み、口元の笑窪が整った目鼻立ちの顔にアクセントを加える】
【薄い桃色のふわりとしたサテン地のプルオーバー、大きく膨らんだ胸元には首から掛かったペンダントが乗り】
【白いロングスカートの下からはちらりと足首が覗き、足元には白いパンプス。踵がコツコツと舗装を鳴らす】


【そんな彼女はあるケーキ屋の前で立ち止まる。ライトアップされたショーケースには可愛らしい菓子の数々が並び】
【店から出ていく客がドアを開けたなら、何とも美味しそうなふわりと甘い香りのする空気が一緒に広がる。】
【何時も行くところとは違うお店。寄り道して偶然発見したそのケーキ屋に気の赴くままにふらりと足を進めたのだが】
【これがなかなか美味しそう。お勧めというベリーケーキも、甘い物好きの彼女にはたまらなく魅力的に映るのだった―――】

(ああ……偶然立ち寄ったけれど、これは正解だったかも!とっても美味しそうなベリーケーキ―――)

―――あ。

【これにしよう!と目を輝かせながらおすすめのケーキに決めたその瞬間、ほとんど同じタイミングで】
【―――隣に居る小さな少女も同じ物を選んだことに気付くのに、そう時間は掛からなかった。】

……えーっと……被っちゃいましたね。えへへ……
どうぞ!私は他のでも大丈夫ですから、ね?

【気まずそうにこめかみの辺りを掻いて苦笑いを向ける。……自分の娘より小さいような子供に、我が儘を言うなんてとても出来ない】
【出来ない、のだけれど。―――やっぱり残念そうにしている辺り、食べたかった訳ではないと言えば嘘になるか……】

//では宜しくお願いします!
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 22:22:11.45 ID:CRkvzXr3O
>>236

(うん!やっぱりこれだよね!帰ったら喜ぶかなぁ…………)

【うーんうーんと迷いながらも、目をキラキラと輝かせてショーケースを眺める少女】
【まるで並んでいるのが宝石か何かに見えているかのよう、ベリーケーキはルビーだろうか】

【だが、ふと我に還って隣を見れば、同じものを選びたがっている女性がそこには居て】

……あ…………その………………

ごめんなさい!被っちゃって……私が他のものにするから お姉さんは遠慮しないで…………
じゃ、じゃあ私は隣のチョコレートケーキ買うから……!お姉さんはこれを……………… ……?

【慌てて別のケーキを選ぶ少女、自分よりも女性にベリーケーキを渡そうとして】
【こうして近くで見てみると、服も上質なもので、靴もピカピカ、まるでお人形みたいで】
【とても恵まれた家庭で育っていることがそこから伺え、敬語ではないものの言葉も幼い割にはっきりとしていて、性格もお嬢様のイメージに強い高飛車というわけでもなさそうだ】

【遠慮せずにこれを選んでと伝える前、少女は何かに気付いたみたいに女性の顔を少しじっと見つめ始めて】
【一体何なのかと思えば、少女は意外な質問をするだろう】

……あの、お姉さん、初対面の人にこんなことを聞くのも変だと思うかも知れないけど…………
お姉さんってもしかしてだけど…………苗字は"神谷"だったりする…………?

【そんな質問、当然少女が言った通り初対面の筈なのだが】
【やっぱり不思議に思われるだろうか、苗字をただ伺うなら兎も角、指定して聞いているのだから】
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/10(木) 22:24:33.77 ID:sniaVwRm0
【櫻の国、交易道付近の深山】


……? もしもし、 ……っ―――――
ええ、私の番号で間違いないわ。……尤も、こんな風に出来るとは知らなかったけれど。

情報の解読? ただ単に倉を開くだけじゃなく。
それで、内容は―――――、………っ、
……全部洗い終わったのね。そう……結局、集積されてたなかには見つからなかった……か。

それじゃ、あの約束の品だけを私の処に。……ちょうど櫻に帰って来てるから、普通に送ってくれても直ぐに受け取れると思う。……じゃ、またね。

【深い森、登れば抜けて広がる夜闇に灯る影ひとつ。透る声、期待めいた煌めきを仄かに覘かせて】
【声の源たるひとのかたちが見えるだろうか。地表 露頭の石灰岩の上、永き時に梳られたその灰白色の、滑らかな横長の自然な長方形に座す姿がある】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。 】

【夜天の下で休息を取るのは、そんな形容のできる人影だった。受けた陰陽 (0/1) 式の連絡を手動で切れば、一段落ついてしまった、との吐息ひとつ 零して】

(……このまま、普通のやり方で捜し続けても成果は十全に望めないか。となれば、多少相性の悪い捜し方でも……、……っ――――)

【路地裏の情景に再びトリップしかける意識を胸中で留める。   】

【トクン、と一瞬でひどく早まる心音を聞いた気がした。僅かに顔を顰めれば痕を押さえる様に右の二の腕に軽く触れて、穏やかなはずの静寂に安息を求める様に目を瞑り】
【再び宿す/露にされる双眸に黒曜の彩は透徹して、天球の如き透明な深みの橡色。憂いよりも目的意識が勝る。――――ただ、無性に“静寂でない”ものの燈が欲しかった。 】

【祭囃子は未だ遠く。けれどそこにあるのが薄い帷が保つ微かな静けさならば、それを破るだけでも状況は転がるのだろう】
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/10(木) 22:36:27.59 ID:9YOSLdbn0
【街中――児童公園、ドームのような遊具の中】
【ふくふくと肥えたお月様がぴかぴかと光っていた、そうして、寂しい公園の中を照らし出し】
【子供が居ないという寂しさを少しでも明るくするように、街灯と一緒に照らしている――そんな、光景】

…………。

【その公園の中央には大きな木が植えられていた、立派に聳える木の名前は、きっと、みんな考えたことがないのだろうけれど】
【なんだかんだ子供たちと仲良くしているらしい、低いところに出てる枝なんて――いっぱい踏まれたように、つるつるとしていて】
【昼間なら木登りする子供たち、なんて光景も見られたのかもしれない。そしたらさぞかし微笑ましい光景だろう、まあ、今は、】

……よい、……――っ、

【――その一番低い枝に足を掛けて、登ってみようと試みる少女が一人、そこに居るだけだった】

【くるんと毛先の巻いた癖毛、金色の髪にピンク色の染料を塗したような不思議な色合い、毛先に行くほど濃くなって】
【あどけない顔付きに似合わない何かに拗ねたように不機嫌な勿忘草色の瞳、それは、視線の先をじっと見つめ】
【袖だけが透ける素材で出来たロングのワンピース、踝ぐらいまでをゆうに隠してしまう長さは、いかにも木登りには不似合いなそれ】
【一生懸命かけてみる足元はヒールのないパンプスで――、新たな枝を踏みつけて、ぐっと体を持ち上げさせた】

…………――駄目だな、出来なくなってるじゃあないか。昔はもっと出来たはずなのだが……。

【地面から一メートルぐらいの場所で立ち往生する、次はどこの枝を取ったらいいのか分からないみたいに、手は迷って】
【溜息がてら呟いた声は掠れた音色、古書をぱらりと捲ったときのような、どこか少女らしくないそれ】

……――きゃっ!?

【もう一度溜息、登れないなら降りるか――とでも思ったのだろう、足先が先ほど登ったばかりの枝を捉え】
【よいしょと体重を掛けたところで、ふと。油断でもしていたのだろう、つるり、滑る足は虚空を蹴り上げて】
【そうなると後は落ちるしかない。距離にして一メートル、そのうちにお尻から落ちる音が、どすんと響いて――】

【――何が苛立たしいのか、すごい形相で舌打ちする少女が居るのだった。この光景を誰かが見たなら、どう――思うのか】
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/10(木) 22:43:58.94 ID:f2/YYlw/o
【 街中/橋 】


【通りから一つ奥に入った筋──人通りの多くはない静かな道の途中、浅めの川が流れている】
【そこに架かったコンクリート製の橋。手摺に凭れるようにして、水面を見つめる1人の人物】



 ……、…… 。


【黒のショートカットに、黒の瞳。入院着のような、ゆったりとした服装を身に纏った少女だ】
【腰に巻いたベルトのホルスターには、二丁の拳銃が差し込まれている】



「はいよー、竿竹竿竹ェッ!俺は元鉄道マンにして陽気な竿竹屋(アルバイト)ビリー!!
 竿竹屋っつてもよーォ、詐欺まがいの商売はしねーぜッ!! 良心的な価格だッ!! 」


【──その橋に向かって、猛然と走り込んで来たのは竿竹満載のリアカーを引き、法被を羽織った黒人】
【やたらとノリの良さそうな見た目に違わぬノリの良さで、砂煙を巻き上げながら彼女の横に差し掛かると──】



  【 ドンッ=@】  ──、えっ。



「 はいよ竿竹竿竹ェッ──! ……ん? 」   【 どぽーん=@】



「……、気のせいだな!!」



【──誰かがその光景を見ていたなら、『竿竹屋が少女を川に突き落として走り去った』のが分かっただろう】
【竿竹屋のビリーはとんでもない速度で走り去って行く。一方、川に落ちた少女はどうなったのか──】

/今からだと途中で持ち越しになるかもしれませんが、宜しければ
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/10(木) 22:57:05.57 ID:f1ZwHx9wo
>>239
「はっはっは、傑作傑作!」

【そこに、高笑いをする女の声が】
【振り返れば分かるだろう、そこには紅蓮のスーツを着た女がいる】
【燃え盛る炎を思わせる艷やかな赤い髪】
【スーツ越しからでも分かるだろうか、豊満な胸と充分なスタイル】
【表情はサングラスをかけているため、窺い知る事は出来ないが愉快そうな様子を見る限り、機嫌が悪いというわけではないようだ】
【赤、とにかく朱、闇夜の底だろうと照らしてしまいそうなくらいの紅色】
【それは木から落ちた少女の背後に、唐突に突然にさもそれが当然かのように必然のように、佇んでいた】

「よぅ、お嬢さん」
「猿も木から落ちるってのはこの事か?まあ、見ていて面白かったから良いけどな」

【けけけ、と意地悪そうな、しかしどこか子供のような心底楽しそうな笑みを浮かべながら少女に歩み寄っていく】

「さて、怖い顔したお嬢さん」
「なんでこんな時間にこんなとこでこんな事をしたのか、面白そうだから教えてくれねえか?」

【男勝りな口調で、馴れ馴れしくも少女に手を差し伸べる】
【この手を素直に取るか、はたまた先ほどの口調から信用出来ないと見限って振り払うも自由だ】
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 23:04:41.06 ID:VKDI5ths0
【とある酒場】

【―――酒場と言ったが、この場所が必ずしも酒を飲む場であるとは限らない……、】
【と言うのは誰もが理解してくれる所だと思う。酒気が混じった人間は、一体何をしだすのか、という話。】
【賭け事だったり、或いは突拍子も無く起こる喧嘩だったり、ただ単に、大声で歌を叫ぶだけだったり……、】

【……今日のそれは、どうやら腕相撲らしい。顔色もすっかり赤み帯びてきた連中が、】
【ここぞとばかりに、「男のプライド」なるものを引っ提げて闘う訳だ。……単純な争いだが、中々、盛り上がっている。】

【今日この場で初めて開催された腕相撲大会であるのだが、そのレベルはそれなりに高い、】
【と言うのは出場している男達の体格を見れば分かる。……相応に鍛えなければ成り得ない身体で。】
【……しかしその中で一人、目立つ人物が居る―――彼らの一線を画すと言うよりは、寧ろその逆、】
【小柄……本来なら普通か、寧ろ良い体格をしているのだが、彼らの中に混じれば小さく見えてしまう、】
【……少年とそう呼ぶに相応しい人物が居た。赤いオーバーコートに、白銀の髪……そういう意味でも、少々目立っていたが。】

【あの中に交じるだけの勇気があるのなら、さぞかし良い勝負をするのだろう……とまあそう見える訳だが、】
【実際蓋を開けてみると、……連勝連勝、それも表情に余裕を残しての優勝と、かなりの実力者だった。】

【……一人ひとりのそれは大したこと無いが、しかし全員の掛け金を合わせるとそれなりの額になる、】
【少なくとも今夜の飲み代は、これでチャラになる……と、表情からも見て取れる通り、今日は中々に気前が良い訳だ。】

【―――もう一人、例えばもし自分の隣に誰かが座るのなら、その人の分も奢ってやろう、なんて考えているのだが、】
【どうだろうか。席は7割方埋まっているという状況で、大会も終わってしまったから比較的静かになった、】
【少年の隣に意図的に座りに行くことも出来るだろうし、或いは入店して目に留まった最初の席が……ということもあるだろう。】

【とりあえずとマスターにビールを頼む。グイッと一気に半分近く飲んで、……おっさんのそれ、プハーッと息を吐きだした。】


/よやくですー
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/10(木) 23:08:47.08 ID:9YOSLdbn0
>>241

【完全なる自業自得だった、自分で木に登ってみようとして、自分で落ちて、だのに、誰かに向かって怒っている】
【いらいらと舌打ちを繰り返すのだから少女の性格もよろしくない。「ああもう」と呟いて、セミロングへアをかき上げたところで】
【ふと飛んで来る笑い声と言葉。じとりと見つめる(睨みつける)視線は、それだけで人を殺せそうなほどに怨怨としたもので】

【だけれど、百四十二センチという身長のせいもあってかあんまり怖くないのだった。手足なんて棒きれのように細いし】
【背後に唐突に現れた女よりもずっと女らしくない、棒と板で出来たような――そんな、ちっぽけな少女は】

悪いが猿に生まれた覚えは無いよ、生まれたときから人間だったつもりでね……申し訳ないのだけれど。
猿が見たかったら動物園にお行きな、そしたらゴリラでもチンパンでも見られるだろうよ、毛むくじゃらのね。

【――最初から喧嘩を売るような口ぶりと声音で返すのだった、「私は心底苛立っています」というのを、最大限にアピールするそれ】
【でも表面上は繕ってみせたりするのだ、余裕顔でスカートの裾を数度叩いてみたりして、白布についた砂埃を叩き落とし】

別段理由があるわけでもなし。なんでもないよ、寧ろ理由があったなら教えて欲しいくらいだもの、私は知らんね。
見苦しいところを見せて悪いね、じゃあ、私はこれで帰るか――ら゛……、

【つんとお澄まし顔、何にもなかったよと顔を洗う猫みたい、「さてと」なんて風に、ふと立ち上がろうとする仕草】
【けれどそれが途中でぎくりと止まったのは誰の悪戯だったろうか。“素直になれ”という神様の声が聞こえたような一瞬】
【――立ち上がれないようなのだった。となると、足でも挫いたか。まさか折れたりだなんてことはないだろうけれど――】

つ……、……。

【少女にしてみればまた気に食わないことが一つ増えてしまった現状。忌々しげに睨み付ける足は右足で、眉は盛大に潜められ】
【試しに動かしてみるのすら痛いらしいのだった。――それなら、威嚇するだけで動けない子猫。噛みだなんてするわけもないなら】
【なんてことなく無力に等しい存在。どうするにも、きっと、赤髪の少女に委ねられるはずで――ただ、まだ、手は取らなかった】
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/10(木) 23:13:40.79 ID:vaG0UleS0
>>240

【ビリーという男が少女を落としたのと同時期にこの場所に歩いてきた男がいる】
【金髪を少々伸ばしている】
【白衣を羽織り、白衣の下にスーツを着ている】
【左腕にカノッサ機関の逆五芒星がある、もっともしっかりと隠しているが】
【右腕に通常のよりも一回り大きいブレスレットをつけている】

 ふむ、あそこまで早く走れるのはどうしたらよいのだろうかね

【ビリーが大声で竿竹屋の宣伝が彼のところまで聞こえてその様子を見に来たところである】
【そのときに彼は話しかけるのでもなくただ興味で見に来たらビリーのとんでもない速度の走りを見て見入っていた】
【そしてビリーが見ええなくなったところで彼は橋へと移動していく】

 さて、なにやらビリーといった彼が誰かをこの川に落としてしまったかね?
 はっきりしたことは言えぬがなにやら落ちるようなものが見えたしな

【ビリーが気づかずに落とした少女のことを彼はぼやけながらも見えていたのだ】
【案外近いところにいたらしく、だからビリーの宣伝が聞こえたが】
【さて、彼は橋の隅のところへと移動して川を覗き込んでみるが夜のせいかよく少女が見えない】
【困ったなという表情を作り彼は一つ声を作った】

 おーい、ここに落ちた人よこの声が聞こえているかね?
 聞こえているのであれば返事をしてくれんか

【彼の問いかけてる声に川に落ちた少女はどのような反応を示してくるだろうか?】
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 23:15:06.53 ID:m8a+7ssT0
>>237

【親と子程も年が離れているのに、その少女と同じように目を輝かせる。他人が見れば、きっと「似ているなぁ」なんて思われるのだろう】
【その恍惚にも似たような表情から、ケーキが好きな事もきっと窺えよう。―――女の子は何時まで経っても甘い物には目がないもの。】
【子供を持った今だって、自分が子供の頃と同じようにケーキは大好き。行きつけの店は顔なじみの常連になる程だ】
【こうして美味しそうなケーキを目の前にすると少女時代に戻ってしまう。ほら、今だって子供のようにケーキに見とれている―――】

【しかし、そのケーキを買おうとすれば――――其処には同じ物を買おうとする少女が居た訳で。】
【こうなってくると少女ではいられない。大人として当然、自分の娘より小さい少女にケーキを譲ろうとするのだが……】

(―――まあ、良く出来た女の子!私や衣織があの位の頃は、まだまだ我が儘盛りだったというのに……)

【―――その少女は、本当に良く出来た子だった。まだこんなに幼いのに、遠慮して誰かに譲るという事をちゃんとできるのだから】
【親の躾が良いのだろうか。小さな体によく似合う可愛らしくて良い服や汚れの一つもない靴からも、育ちの良さが伺える】

……あなたは本当に偉いのですね。ふふっ―――うん、やっぱりこのケーキはあなたに譲ります!
いいのですよ、私はどんなケーキでも大好きですから!
―――ん?…………

【こんなに幼いのに、人の気持ちを想って遠慮する優しさを備えている。きっと心から優しい少女なのだろう……】】
【―――でも、だからこそ好きなケーキを選ばせてあげたい。この優しい少女には、ちゃんと望んだものを手に入れて欲しい】
【今度は嫌々ではなく、自ら望んで笑顔で譲る。彼女のその笑顔を見れば、今度こそ遠慮しなくて良いと思ってくれるだろうか】
【……と、そんな風に感心していると―――今度は自分の顔をじぃっと見つめて、それから少し気になる言葉を放つのだった。】

―――?
……え、ええ……私は神谷ですが……あなたと何処かでお会いしましたっけ。
どうしてそれを?

【当然、訝しげに訊き返す。恐らく会った事の無い筈の少女が一方的に名前を知っているなんて、不思議に思うのも無理はないだろう】
【勿論少女の人となりを疑っている訳ではない。とても良い子であることは分かったのだし、妙な事でもないとは思うが】
【……気にならないと言えば嘘になる。どうしてこの少女は自分の事を知っているのだろうか―――】
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/10(木) 23:24:00.95 ID:f2/YYlw/o
>>244

【──川に近づけば、ばしゃばしゃと水を跳ね飛ばす音が聞こえるだろう】
【どうも、気を失ったとか、そういう事はないらしい】


…、… けほっ! けほ!! ──、は、はい。聞こえます。


【事実、少女から返事が帰ってきた】
【彼女からも暗くてよくは見えないのだろうが、男の方を向いている様だ──が】


──、あの、すいません。
そこから、『上がれる場所』、とか、……見えませんか。


【川の流れも緩いし、深さも丁度、彼女の胸元まで浸かる程度では有るのだが】
【視界が悪く、『上陸地点』が見えない。──と言うよりも、両岸が高く、生身では上がれない】
【真っ当な手段で救助しようと思えば、少々面倒な状況だった】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/10(木) 23:29:32.83 ID:f1ZwHx9wo
>>243
「人間だって猿から進化したって言うじゃねえか、存外間違っていないかもしれないぜ?」
「動物園?あぁ、毎日毎日飽きもせずに殺し合ったり騒ぎ合ったりするこの人間社会の事か?」

【喧嘩を売っているような少女の口ぶりにケラケラと笑って盛大にそれを無視して、言葉を返す】
【それでも余裕を見せようと取り繕う少女の姿が滑稽でますます可笑しくなったのか、その笑いは止まらない】

「理由もなく木登りか、本能的な物から来たのかもなぁ?やっぱり猿の遺伝子が入っていたりして?」

【からかうような口調、もちろん当然相手の神経を逆撫でする事など知っていながら続けるのだから質が悪い】


【さて、しばらく様子を眺めていたが立ち上がる気配はない】
【成る程成る程、さっきので足を痛めたかと女は笑いながらもサングラス越しにそれを見抜く】

「何だよ、立ち上がれねえのか?」
「ったくもう、しょうがない奴だなぁ……ほらよっと」

【それでも尚手を取らない少女、そんな強情さにはぁとため息一つ】
【そして差し出した手は、少女の首根っこへと移動する】
【何も抵抗しなければぐいっと襟首を掴まれて少女は乱暴に立たされる事になるだろう】
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/10(木) 23:29:50.96 ID:NfyEY6pI0
/>>238は一応未だ募集中ですー
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/10(木) 23:36:32.99 ID:R6LLRyofo
>>243

【店のドアに取り付けられた、ベルの音なんて全く聞こえやしない】
【グアっとその気圧差で酒気帯びた喧騒が外へ少しでて、代わりに退屈な】
【外の空気が入り込む。だが店の全体の空気が入れ替わるほどじゃない】
【要はよほどドアに注意してなければ開閉のことなんて誰も気がつきゃしないのだ】

【そいつが入店したことに客が気がついたのはベルがなったからじゃなく、背が高くて】
【夜でもサングラスだからでもなくて、葬式みたいに黒いスーツに黒いネクタイだからでもなくて】
【アホみたいに酒を飲んでギャンブルやってサッパリスられる常連のいいカモだからだ】

……よぉーオッサン。…腕相撲?んなのやるかよ、俺は筋力と体力はからっきしだ
残念だったな。…賭けならトランプ2セット用意しな

【絡んできた客をあしらってカウンタの適当な席につく。そこはその隣の席なのだが男は気にしない】
【ポケットから煙草の箱とライターをカウンタに投げ出せば店主は灰皿を置く】

ギネスを1パイント。ぬるいまま。

【当たり前だろという口調。座る前に高さのあるカウンタチェアに軽々足を乗せて編上げのブーツの紐を結び直した】
【彼は既に酒臭い。見た目からは酔ったような風は感じられない。少しすればその酒臭さを煙草の煙で上書きする】
【店主は泡の吹きこぼれそうなグラスをカウンタに置く。黒い色の液体は焼きたてのパンのような香りだ】

ワインだってバーボンだって常温で飲むんだ。ビールだってそうあるべきさ…

【彼はそうやってボヤいてから、火の付けたたばこを灰皿にキープしてビールを飲み干す】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/10(木) 23:37:15.91 ID:R6LLRyofo
>>249

安価訂正>>242さん宛です
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/10(木) 23:42:32.06 ID:9YOSLdbn0
>>247

【結局、少女はまだまだ子供なのだった。それがさらに怒っているというなら、冷静な思考などするわけもなく】
【見てくれだけで言えば中学生ぐらいだろうか。華奢なこと、小柄なこと、それを含めてしまえば、それ以下にも見えかねず】
【そんなのがぴーぴー喚いてるんだと思うと滑稽ですらある。絶対的に大人である彼女に向かって、ただ、反抗したいだけの子供のような】

おや、動物園を知らんのかね。猿だの虎だのが居るのだよ。もしかして行ったこともないかね? 可哀想に。
誰だって小さい頃に親とでも行くものだと思っていた。ああ悪かったね、行ったことがないんじゃあ、分からなくともね……。

【――挑発されて皮肉を返す。売り言葉になんとやら、どうやら……この二人の相性、とってもじゃないけれど、“良い”とは言えずに】
【「私の知っている動物園は違うがなあ」なんて言葉で締めくくられる、はー、なんてわざとらしく吐いた溜息が、言葉を彩り】
【足が痛いだろうにそんなところは忘れないのだった。だったら早く立ち上がってみろ、だなんて思うかもしれないけれど――】

だとしたら子供のうちの何割かは猿だろうね。……ま、ガキなんてものは猿と大して変わらないのだが。
キーキーキーキー喚くことしか知らないのだもの……ああ、もしかしてキミもかしらん?

【おやあ、なんて表情が歪んだ。不機嫌とか苛立ちの中に、明らかに煽りの色合いが混じりこんで、紡ぐ言葉は】
【自分が圧倒的に不利な状況をわかっているはずだのに、これなのだ。命知らずの馬鹿なのか、それとも、よほど自分に自信があるのか――】

【(答えは簡単、短気なのだった。思い通りにならないと怒るタイプの短気、それを拗らせた結果の、少女がこれ)】

――ぐっ……ぅ、……――なんだい、苦しいのだけれど。

【そんな彼女の表情が変わる、ぐっと掴まれて、無理やり立たされて。一瞬驚いた目をしたのが、違和感として印象的で】
【でも立たされてしまえば元のように睨んでくるのだ。何も怖くなんてありませんよなんて風に、じとり/ぎろりと】
【そっと伸ばされた手が女の手を払おうとした、重いものを何にも知らないような華奢な指だ、不健康に真っ白で、神経質に爪が短くて】
【右足を地面に付けることも出来ずに浮かせたまま。出来のいい案山子みたい、それ以上でもそれ以下でもなくて、少女は】

【――感謝の言葉なんてありはしない。自分はきっと歩けないくせに、なんでも自分で出来るような顔を、するのだった】
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/10(木) 23:54:32.41 ID:vaG0UleS0
>>246

【少女の応答してくる声が彼には聞こえてくる】

 ふむ、聞こえているかそれはよかったな。

【少女が気を失っておらずひとまずほっと一安心する】
【聞こえなかったら自分が飛び込んでいこうかとそう思っていたがそれもしなくてすんだようだ】

 ふむ、ここから上がれるところか?
 ……特に見当たらんな。

【彼はひとまず少女に言われたとおりに上がれる場所を探してみるがいかんせん暗くよく見えない】
【だめだなとそのように思いどうやったら少女を川から助け出す方法を考え込む】

 ………ふむ、少しだけ待つといい、なにすぐに準備は終わらせるさ

【そのように少女に言ってから彼は橋から走り出して近くの岸にたどり着く】
【そして、自分の白衣の中から魔法陣がかかれた紙を取り出して岸に押し付ける、そしてその紙に魔力を流し込めば】
【一つ雷撃のような閃光がほとばしり岸の一部分を形変わらせていく、その変わった姿は梯子であった】
 
 よーし、おーい少女よ子の声が聞こえている方向に来てはくれまいか?
 そこに梯子を作ったからな
 ……暗くて見えない場合も規定しておくべきか

【そんな声が聞こえてその場所に向かって泳いでいくのならそこには梯子が見えるはずだ】
【暗くて見えないと言えば彼が持っているであろう懐中電灯で光らせて場所を示してくれる】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/10(木) 23:56:57.89 ID:VKDI5ths0
>>249

……ん、………

【少年がこの店に来るのは初めて、だからこそこうして腕相撲大会なるものが開かれた訳だが、】
【その振る舞いから彼がココの常連なのだろうことは、直ぐに分かった。……流石にカモだとは思わなかったが、】

【既に一杯引っ掛けてきたのか、しかしまだ酔っているようには見られない男は、自分の隣に。】
【年下に奢られるというのはアレなのかもしれないが、彼は今日ラッキーデイだ、】
【それだからか、何故か彼の顔を眺めていると面白くて、ついニヤッと顔を歪めてしまう……見られただろうか。】

【パンの香りが隣の席から漂ってくる。そんな物をいつ注文したのかとチラッと覗けば、……黒いビールだろうか、】
【……アルコールが入ってあってただ酔えたら酒は良いと考える少年には、初めて見るもので、】


………それ、旨いの? 常温の、……ぬるいやつ。
俺はキンキンに冷えてる奴じゃねーと、……何か飲んでる気しねーからさ、

……そんで、俺トランプ持ってんだけどさ、………やる?
ポーカーとか、そんなんしか出来ねーけど。あ、別に腕相撲でもいいぜ………

【聞かずにはいられなかった。その泡だった黒い液体は、本当に美味しいのかと。】
【加えて、その温度、ビールといえば凍るのではないかと思うぐらい冷やして、】
【それから一気に飲んで喉越しを楽しむと、そういうのが一般的で、自分もそうして飲んでいる……しかし、常温とは。】

【まあそれだけでは話の種には少々不十分だからと、提案したのはポーカーとかその辺りの賭け事、】
【もちろん一旦断ったがこの少年とならやって良い、というのなら腕相撲でも良さそうだろう、】
【と言っても、その時の表情は丸で獲物を鋭く睨むライオンのそれ、】
【どちらも丸で負ける気はしない……少々苛つく位、自信に満ち溢れていた物だった。】
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/10(木) 23:59:45.46 ID:f1ZwHx9wo
>>251
「やれやれ、この状態であたしにそこまでの口が聞けるとは大したもんだ」

【痛いなら少しは素直になれば良いものを、と思うのだが】
【しかしやはり可笑しい、強がる少女の姿が滑稽だ】
【なのでやはり、ニヤニヤとした表情は変わらなかった】

「ま、あたしは心が広いからな。別にその程度の雑言なんて気にも留めねえよ」

【どの口が言うか、この女もまた、気に入らなければすぐにキレだすタイプだというのに】
【しかし、相手はまだ子供】
【これくらいは無礼講、まあ大目に見てやるとしよう】

「お、お?立てる?右足地面についてないけど立てる?また倒れねえか?」

【ただ、やっぱりむっとしたのか煽るように自らの手を払った少女を煽るように喋る】
【ちょっとした報復。女からすればこんなの可愛いうち、可愛すぎて萌え死ぬくらいには可愛いもの】

「で、虚勢張ってるのは良いけど大丈夫なのか?」
「どうせ歩けやしないだろ、その状態じゃ」

【しかし本当に滑稽、何がそこまで少女に虚勢を張らせるのか】
【相変わらずの表情で女は尋ねる】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 00:02:29.47 ID:oZ8oGCWqO
>>245

【どうしても名残惜しそうな表情だった少女、彼女も女性と同じようにケーキが好きで、普段はこの店には小さいものを買いに来ていた】
【そして今は父親の為にあれこれ選んでいたのだ、当然と言えば当然の反応なのかも知れない】


え、偉い……かな…………、そうなのかな…………?…………え?くれるの……? あ、いやダメだよ……!これはお姉さんが………………

……………………うん、ありがとうお姉さんっ!!

【だが女性が笑顔で譲ってくれると言ってくれたのなら、暫く悩んで、それから女性に笑顔でお礼をするだろう】
【その顔は喜びと、本の少しだけ申し訳なくて照れ臭そうだった、ほんのりと紅くなっている頬、それも色白な肌なら特にそれが女性に伝わるかも知れない】

【そこから自然な流れで女性の顔を見つめるのだろう、そして今の質問に至る】

やっぱりそうなんだ……!初めまして、えっと…………皐月さんだったかな……?
パパからね、話を聞いてたんだ。それでもしかしたら会えるかもって特徴も聞いてたの。
この前パパがお仕事行った時と、もっと前のクリスマスの二度会ったって言ってた。

……あ、私の名前はエリア、姓はレッドライン、エリア・レッドライン。
それでパパがブラック・レッドラインっていうの、もうお爺さんだけど偉いんだよ!
それでこの前パパが皐月さん達の名前を知ったって…………お姉さんも子供が居るんだよね?

【先日の事件を皐月は知っているだろうし、何よりその場にも居たから分かるだろう】
【年老いた軍人もそこには居て、それよりもっと前のクリスマスに彼に会った事を覚えているならば、その時話していた娘が今、目の前に居るというのも分かるはず】

【但し少女はその老人、ブラックとは余り似ていない、面影は無いが思い出せるだろうか】
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/11(金) 00:08:44.65 ID:5PiBuylvo
>>252


あっ、──はい、分かりました。

(…、…このまま帰ったら、朔夜さんに迷惑かな。)
(取り敢えず、あのビリーとか言う竿竹屋見つけて──クリーニング代出させよう。)

【少しだけ待て、と言われると、礼を告げてその場で待機】
【心中では竿竹屋への復讐を誓いつつ、生暖かい梅雨の風を肌に感じていると──】


……わっ!

【突如、走った閃光。 一抹の警戒心と共にそちらを見遣ると、岸に梯子が出来ている】
【彼の声に従って、懐中電灯の明かりも頼りにしながら水をかき分けてそちらへ向かい】
【──身軽な方なのだろう。水を吸った服を着ながらも、苦もなく梯子を登って上に上がってゆき】


っと。 ……すいません、ありがとうございました。
何にもお礼は出来ないんですけど──。


【ずぶ濡れの姿で、ぺこり、と頭を下げる──その拍子に、長い睫毛の端から水滴が零れた】
【それにしても、身体にぴったりと服が張り付いてしまっており、まぁ淑女としては目も当てられない有り様だ】
【──生地が存外に厚いので、透けたりと云った事のないのが唯一の救いだろうか】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/11(金) 00:11:10.54 ID:y2hVyJFR0
>>254

そうかい、なら良かった。

【――浮かべたのはつんと澄まし顔、けれどよく見れば分かったろう。前髪の影でちらりと煌く、汗の粒】
【よく見ればただでさえ白い肌は余計に蒼褪めているようにも見えたから……やっぱり、足の負傷はよっぽどのものらしい】
【流石に折れていないだろうというのは二度目になるのだが。じゃあ歩けるかと言えば、それはきっと、違っていて】

【けっなんて風に言葉を返すけれど、本来ならば女に感謝すべき立場だ。襲い掛かられたなら、抵抗なんて出来やしない】
【それを誰より分かっているのは少女自身のはずなのだが――何がそんなに気に食わなかったのか、それは、きっと説明してくれなくて】

ぐ……うるさいのだけれど。少しぐらい黙れないのかい、黙ってたら死ぬ類の生き物だったのかね?
だとしたら悪いことをした、死ねとまで言うつもりはないのだよ、しばらく黙っててもらえないかい。

【ロングスカートの影で足がびくびくと地面につけられて……すぐに、そっと離された、そんな仕草があって】
【結局ほんの爪先だけを触れさせるので落ち着いた。立てたはいいが、これじゃあどうにもならない様子、じとりと視線だけが睨みつけ】
【つまりそれって――そういうことである。口と目ばっかりが元気なまま、ただ、一歩も歩けないなら、どうしようもない間】

………………うるさいのだよ。

【――ここでやっと視線が逸れた。ついとそっぽを向いて、歯を噛み締めるようにするなら、どうやら、悔しいらしいのだ】
【ようやくぼそりと一言返したのは、「じゃ」と帰ることの出来ない証明でもあって、どうしようもならないというお手上げでもある】
【だからと言って送ってだなんて頼めない、なんとか這うようにして帰るしかない――そんな現状を、睨みつけるような、視線】

【(大人、というものが苦手だった。好意的な大人でも、好意的じゃない大人でも、ほぼ全部の大人を苦手に思う)】
【(優しくされたら疑うし、優しくされなかったら“やっぱり”と思う、どうしてかひねくれてしまった心は、天邪鬼)】
【(素直に頼ることなんて彼女からは出来なかった。もしも女が大人の余裕を見せてくれるというなら、――場は、変わるかもしれないが)】
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 00:23:45.57 ID:yf5VWrWco
>>253

……これが、本来の姿なのさ。あるべき飲み方ってのはこう。
冷やしてると味も香りもあったもんじゃない。それなら、消毒アルコールでも
飲んでる方が経済的だ。…馬鹿げてる。ピルスナーなら冷やすのもわかる

けどスタウトを冷やすのは…馬鹿げてるね。……泡を作るときは冷やすほうが良いけど
泡を飲みに来てるのか旨い酒を飲みに来てるのか考えてみるべきだ
まあ…いいさ。…ただ言えることは、旨い。…それでいいじゃんか

【色々と話したが最終的には好きにすればいいと簡単に片付けてしまう】
【ビールを飲んでたばこを大きく吸い込んで吐き出した。どちらも美味そうに飲む】
【ハイペースに次を頼む。次もビールだ。つまみもなくてもペースは早い】

……いや、別に……ギャンブルは暫く休みだ。……ツキが逃げる
小物に幾つも賭けてたら、デカいのを逃す。…最近は、そんな感じでね
世の中ってやつは思うほど、誰だって、自分の思うように行かないんだ
……そもそも、腕相撲なんて賭け事じゃないよ。あれは腕っ節だろ

【サングラスの男はひらりと賭け事はやはり回避して。ニィと笑いながら煙草をくわえる】
【まるで興味がないようなこの男。だが話しぶりではもっとデカいギャンブルをしているような】
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/11(金) 00:29:37.36 ID:7yrhRQH8o
>>276
「………………ぷっ」
「くっ、あははははは!結局歩けねえじゃねえか!あー、おかしい!」

【睨む少女を尻目に、とうとう大爆笑に至ってしまった】
【一歩も動けずに、大口を叩いている姿のあまりの滑稽さにとうとう笑い袋が爆発してしまったらしい】

「別に黙っても良いけど、その場合はお前に何かしらの悪戯をする事になるぜ?」
「だって何もしないのはつまんねーもん!」

【つまらないのは嫌い、まるで子供のように頬を膨らませ、それ相応の声真似で】
【もちろん相手をからかうための演技である事には間違いないが】

「――――――うん、で、だ」

【笑うのを唐突に止めて、突然真顔になる】

「もういい年だろ、ガキなのには代わりねえが素直に人に頼る事くらい覚えろ」
「ほら、送ってやるぜ?」

【背を向け、「おぶってやる、つーかおんぶされろ」と言わんばかりに】
【少女が素直に応じれば、ちゃんと少女の家まで送っていくのだろう】

/すいません、眠気がヤバイので〆られる状態にしました
/持ち越しももちろんオーケーなのでご自由に!
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/11(金) 00:40:12.51 ID:7yrhRQH8o
/ごめんなさい>>257でした…
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/11(金) 00:44:27.05 ID:y2hVyJFR0
>>259

【笑われたなら彼女の表情は険しくなる、よくもまあ――こんなにあどけない顔で、そんな表情が出来るものだと】
【苦虫を三十匹ぐらい一片に噛み千切ったような顔。気に食わない気に食わないって、裏の思考は嫌でも読めるぐらいに】

………………。

【黙り込んでしまったのだった、貝が口を硬く閉ざすみたいに、ほんのちょっぴりの隙間も見せずに、口を閉じてしまって】
【貝ならそのうちちらちらと舌でも出すだろうが、彼女はきっとそうも行かない。むっつりと、黙るのが精一杯みたいに】
【というより――どうしたらいいのかもよく分かっていなかったのかも知れない。ただ闇雲に怒って、その後は?】

【(だって、もう何年も人と関わらない道を選んできた少女だもの。“ごく普通の道”なんて、踏み外してしまった)】
【(誰が悪かったのかももう分からない。誰も悪くなかったと思う。だのに、この結果は――“気に食わない”から)】

嫌だ。そんなことされるほど落ちぶれちゃいないもの、……。

【――そっぽを向いていた視線がじろりと戻ってくる、そうして、女の体を一度上から下まで睨みつけて――検分するかのよう】
【そうして出した結論はやっぱりというべきかそんなものだ。イヤだって、ただの小さな子供みたいに我侭をして、また黙りこむ】
【ぷいっと今度こそ完璧にそっぽを向いてしまうのだった。そうして、つーんとどこか、歩こうとして――】

――あ、ぐっ……、!

【痛いものが痛いのには変わらない。蹲ってしまうなら、その背中は余計に小さく見えるよう、ただ強がるだけの、か細さが目だって】
【悔しいのと気に食わないのがぐちゃぐちゃになって泣きそうになるけど泣けもしない。さて、そんな背中に投げる言葉派――】

【(無理にでも背負うならそれはそれで抵抗しない。気に食わない顔はするけれど、家の近くまでは教えてくれるはずで)】
【(直接家は教えてくれないけれど、ある程度まで送ってやることは出来るはずだった。相変わらず、かわいげはなかったけれど)】
【(そしてそのまま放っておくなら、気付いたら居なくなっているはずだった。這うみたいにして、のろのろと帰って行くから)】
【(放っておいても、優しくしてやっても、どちらにせよ帰宅するのだけは変わらない。道中が変わるだけで、そしてそれは相手次第)】

【大人ってやっぱり苦手なのだった。頼っても頼らなくても気に食わない。ちょうど、思春期に差し掛かったようでもあって】
【何もかもが気に食わない。現状も、周囲も、いろんなことが。不満だらけなのに、それをぶちまける相手は居なくて、ただただ、】
【――例えば木から落ちて噴出させたりするのが精一杯。助けてくれそうな相手にも噛み付いて、そうやって、不器用な様子】


【――――そうしてしばらくの時間が経って。少女の姿は自室にあった、どうやってたどり着いたのかは不明でも】
【本だらけの部屋。本ばかりがある部屋。ベッドに座る大きなテディ・ベアは、ワインレッド色の毛を生やした、“ただ一人の家族”】
【愚痴るように話しかける姿を見るのは誰も居ない、ただそうして夜を更かして――そのうち、部屋の電気も消えた】

/すいません、久しぶりなのでここで切っていただけたら……申し訳無いです
/絡みありがとうございましたっ、おつかれさまでした!
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 00:44:52.98 ID:oZhqSqK90
>>258

……へー……まあ、飲んでみねーとなぁ………

【このサングラス男は中々酒に詳しいらしいことが、嫌という程分かった。】
【最終的な所は、旨ければそれで良いと何とも横暴な結論だった訳だが、】
【ここまで言われてしまったのなら、一度試さなくてはならない……、】
【「これとおんなじの」と指し示してマスターに注文する。注ぐだけだから、時間はかからず、】


これが、………? 
………まだ分かんねえな俺には………

【自分はまだガキなのだと改めて痛感した……そう、言わざるを得ない。】
【何が良いのか、全く持って分からなかった。確かにビールそのものの味や香りは、】
【此方の方が伝わってくるが……露骨に首を傾げて、もう一口飲んでみるが、やはり同じ。】

【初めに頼んだ、冷えたビールの方が余程旨いと感じた。……まあ結局は、彼の言う通り、】
【旨ければそれで良いのだろうが、……"大人の味"が分からなかったのは、少し悔しかった。】


………なんだ、つまんねーの。……ここで勝っちまったら、ダメなのか?
ふーん。じゃあさ、その話してよ、トランプは仕舞うから、さ。
……こんなとこの賭け事に付き合ってられねー程、デカいギャンブルしてんだろ、
ちょっとだけ、……サワリでいいから……な?

腕相撲は……賭けじゃねーけど、金は動く、実際俺、今日結構儲けたしな、
こいつらでけーだけで、身体の使い方全然知らねーからさ、良いカモ……
―――……って、聞こえてねーよな、今の……

【断られたのなら、無理強いはしない。しかしその代わりに、彼の話すその「デカいの」とは何の事なのか、】
【恐らくは、今日初めてこうして出会った人間に対して、そうやすやすと話せるものではないはずだから、】
【簡単に、概略だけでも良いから……と、その話を要求するのだろう。……その辺りは、完全に好奇心によるもの、】
【それだからかどうかは分からないが、一瞬だけ、彼の瞳は、少年らしい輝き方をした。】
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/11(金) 00:47:25.39 ID:EW5aE6Wo0
>>256

【服が水を吸って重いはづだろうに少女はそれを苦もなく梯子を上ってきた】
【身軽なのだなとそのように思っていると少女が梯子を上りきった】

 いやはや、災難だったな少女よ無事で何よりだ
 ……なに、気にすることはないお礼はその気持ちだけ取っておくとしよう

【少女が何にもお礼できないといっても彼は特に気にすることもなく笑って言葉を返す】
【そんな話し合いをしている途中で梯子の方へと移動して再び紙を取り出して梯子へと押し付ければ】
【魔力を紙に入れ閃光がほとばしり岸は再び元に戻った】

 さてさて、いつまでもそのままでは冷えるだろう
 ほら、これでも使って体を拭いておきなさいよ

【白衣からタオルを取り出してそのように少女に対して言う】
【そのタオルは特にぬれてもおらず、まるで新品のようなものであった】
【その新品なタオルを少女が受け取るも受け取らないのも自由だ】
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/11(金) 00:55:11.57 ID:5PiBuylvo
>>263

【すいません、ともう一度礼を告げながら、タオルを受け取り、頭を拭く】
【──髪型には無頓着な方だが、この時ばかりは、短めで良かった】
【耳元から首筋に掛けて、こしこしと髪を擦りながらそんな事を思う】


……、それ=A魔術ですか?


【ふと──彼が使う魔術のようなものが気になった】
【媒介にしているらしい紙の力なのか、彼自身の魔術に依るものなのか】
【単純な問の中には、そこまで問いたいのであろう、疑問の色が感じられる】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 01:02:18.98 ID:JcRBeEAo0
>>235
【頬をほんのり赤く染めて、ぱあっと笑顔になる少女。その嬉しそうな表情を見れば、やっぱり譲ってあげて良かったって心の底から思えて】
【こっちだって元気を分けて貰ったみたいに、にこりと笑顔になる。心からの笑顔は、向けられた人も笑顔にする力があるのだ】

いえいえ、どういたしまして!
ふふっ……ケーキなんかより、貴女がそうやって笑ってくれた方が何倍も嬉しいです!

―――本当に偉いですよ。誰かの気持ちを分かって譲ってあげるなんて、大人でもなかなか出来ない事ですから!
ケーキは譲ってあげます。だけど……―――どうか、その譲ってあげる優しさは忘れないようにして下さいな。
―――なーんて、あなたは言われなくても分かっていますよね!


【ちゃんとお礼を忘れないのだって、大人でもなかなか出来ない事。それをこの幼い少女がきっちりとできるのだから、大したもの】
【まだまだ小さいというのに優しさと礼儀を兼ね備えている。―――この少女は将来、素敵な女性になるに違いない】
【娘を持つ母親として、この少女の未来を想ってみる。きっとこの少女なら誰かを幸せにできる力があるのだろうなぁ、なんて……】
【そんな訳で、皐月はベリーケーキの代わりにミルフィーユを注文する。これだって皐月のお気に入り、文句は無い】

【――それから、お話は自分の名前の事に移る。唐突に自分の名前を告げられたものだから、ビックリしたように目を丸くして】
【けれど、続く言葉を聞けば「ああ!」なんて得心したような声と共に、納得の表情を浮かべるだろう。―――彼女は、依然あった老人の娘ということらしい】

そっかそっか、あなたがあの方の娘さんですか!
道理で私の事を知っている訳だ……えへへ、初めて会う筈なのに名前を呼ばれてびっくりしちゃいました!
えーっと……エリアちゃん、ですね。よーし、覚えましたよ!
改めて、初めまして!

ええ、私にも子供がいるんです。エリアちゃんより少しだけ年上の女の子ですよ!
ふふっ、エリアちゃんは私達の事をよく知っているんですね。なんだか不思議な感じです!

【―――憶えている。クリスマスの日に出会ってプレゼントのことを相談した老人……彼の娘が、今目の前に居る少女という事らしい】
【そういえば、あの老人も大切な娘がいると言っていた。―――成程、この少女は彼から目一杯愛情を受けて育ったのだろう】
【ならば、この優しさも頷ける。こうやって誰かの事を思い遣れる優しさは、彼女の父親であるブラックから受け継いだに違いない―――】

【……似ていないということに関しては、今のところあまり気にならなかった。父親に似ない子供なんてそう珍しい事ではないだろうし】
【仮に血が繋がっていないとしても大した問題ではない。これだけ愛情を受けて育っているのなら、実の父親でなくても関係ない】
【それよりも、もっと気になることが一つだけ。―――彼女が身に着けている腕章のことだ】

エリアちゃん、ちょっとだけ尋ねてもいいですか?
その腕章もお父さんの物ですか?……それとも、エリアちゃんの物?
あ、ごめんなさい!少し気になっただけで変なこと聞いちゃって……
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/11(金) 01:25:00.62 ID:EW5aE6Wo0
>>264

 ほう、そこに目をつけてきたかね

【自分のタオルで頭を拭いている少女からの疑問に対してどこかうれしそうに答える】
【彼はカノッサに所属する人物だが聞かれれば普通に答えるそういう性格の人間だ】

 ああ、そうだともこれは魔術だ私の研究の副産物のね
 そしてこの魔術は理論上は魔力を持つものだれでも使える
 まあ、このよく魔力を通す紙がなければ移動時とか使い物にならないが

【実際に紙をも取り出して説明していく彼の顔には少しばかりの笑みがあった】
【自分の研究成果が誰かに聞かれるそのようなことは自分の達成感とは別の喜びを与えてくれる】
【そんな風に上機嫌になりながらも彼の説明は続いていった】

 とはいってもこの魔術の重要なものはこの魔方陣だよ
 この魔方陣は色々な術式の組み合わせでできている、ひとつの術式の組み立てを間違えてしまうと、この魔方陣はおじゃんだ
 まあ、この魔方陣の組み立てができるのなら魔力を持つものならだれでも使うことが可能だろうね

【と、そこまで一気に解説してから彼は白衣からミネラルウォーターをとりだして飲む】
【ここまで一気に解説したのだから喉が渇く、とはいっても後悔などはないようだが】

 さて、ここまで解説してきたが何か質問があるかね?
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 01:25:50.20 ID:yf5VWrWco
>>262

……つまりは、ビールが好きか冷たいもんが好きかっていう違いなんだ
こっちになれると…普通の安物は薄くてたまんない

【ニィと笑い、ビールを飲み干す。相当な許容量があるのかザルなのか】
【とは言え薄いのは薄いのでいいんだけどねと言うのはやはりそこらの酒飲みよりも】
【酒飲みだからだろう。この一日だけでもトータルでも彼は少年よりも圧倒的に飲んでいるはずだ】

【彼は次にウィスキーを注文した。銘柄は言わないが水割りでと珍しい言い方をする】
【ロックだと味がばらつく、どうせ直ぐ飲むのだから冷たさなんて気にするなと言うだろう】

生憎、俺は勝利の女神には愛されてないみたいで…こっちからラヴコールしないと振り向いてくれないんだ
……別に…仕事の話さ。よくあるやつだ。命をBETしてカノッサだとかUTだとかに拳銃撃って、二束三文もらうって
そんなようなもんさ。……まあ、俺は傭兵でもないし、正義も悪も興味ないから……上手くやるのさ
その……上手くやるのには女神のほほえみが重要なんだ。銃を撃つより、撃たないほうがよっぽど難しい
だからやるんだ。…誰もやらないから

【正義でも悪でもないのにそれに混ざりこんでいて、カネ目当てなのに武器は使わない】
【非常に難解な謎かけだが、はぐらかしているわけではなく本人にも説明ができないのかもしれない】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/11(金) 01:39:34.07 ID:5PiBuylvo
>>266

【──滔々と話す彼に対し、まるで生徒のように熱心に話に聞き入る彼女】
【髪を吹いていた手は、半ば止まり。 質問があるか、との問に、暫し考え込めば】


──じゃあ、私にも使えますか?


【「魔翌力は少しだけ使えます」、と、言葉を付け足す】
【本人からすれば、『その紙を寄越せ』と言っている積もりはないのだが、同視されても仕方ない】
【 ──興味を抱いた目を見れば、その事までも容易に分かるかも知れないが】


例えば、火≠使ったり──。
……そこまで色々、組み合わせを憶えられるとは思えないんですけど。


【彼女の言を聞くに、憶えられて「一属性」、それも「単純」な物だろうが──】
【…、…尤も、彼が彼女に『教授する』か否かも、不透明な物だが】
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 01:47:19.28 ID:oZhqSqK90
>>267

……それ、大丈夫なのか、………
いや、結構似てる……っつーか全く同じなんだけどさ、やってるコト、
命賭けて金貰ってる……アレだろ、防衛とかした時もらえる報酬。
けどさ、俺は正義側にしか付かねーんだ、……俺自身、悪じゃねーしな。

……やべーよそれ、正義にも悪にも喧嘩売ってるっつーことだろ?
女神も呆れてんじゃねーの? どっちなんだおめーは……って。

【酒が入れば、少々饒舌になるし、言いたいことは理性を介さず話すようになる、】
【少年は露骨に心配し始めた。……していることは同じだが、そのやり方、】
【正義側にも悪側にもついて、とにかく金を稼いでいる……少年は、そう言っている様にしか聞こえず、】
【だとすればどちらからも狙われ得る危険な状況にあるのではないか……、そういう懸念である。】


まーその、……止めねーけどさ、……死ぬなよ、一応。
何か酔い覚めちまった、……俺もう帰るからさ、……おやすみ。

……ああ、そうそう、その席、今日のラッキーシートだからさ、
飲み代タダな……うん、じゃーまた。

【と、そんな真面目な話をしていれば次第に酔いも覚めてしまって、】
【これからもう一度……という気もなれず、少年はもう帰ってしまうのだという。】
【思い出した様に口にするのは、ラッキーシート……始めに考えていたそれ、】
【ポケットから、先程巻き上げた物も含まれているだろうくしゃくしゃの札を数枚取り出して、】
【帰りのタクシー代もあるぐらい、割と多めの金額を彼の眼の前のテーブルにドンとおいて、】
【それから別に自分の分も払って、……じゃーなと、後ろ姿手を振って帰って行くのだろう。】

【……帰り道、途中で「あ、」と気付いたのは、……奢らない方が良かったか、と言う事。】
【彼の言葉を適用するのなら、ラッキーシートは隣の隣の席に座っていたヤツにすれば良かった、】
【こんな下らない事で彼の運を使ってしまっては、ホンモノの戦闘でマズい目にあうのではないかと、】
【まあそんな事を考えはしたが、かといって今更取りに帰るのもバカバカしい……と、】
【少年は向きを変えることなく、そのまま。街灯と街灯の狭間に生まれる闇の中に、自身の身体を溶かしていった―――。】


/では明日もあるのでこのあたりで! お疲れ様でした〜
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 01:49:43.71 ID:yf5VWrWco
>>269
/お疲れ様でしたー!
/誠に勝手ながら此方も眠気がすごくなってきましたので
/レスは明日の夜にさせていただきますので、一旦失礼させて頂きます
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/11(金) 01:59:03.14 ID:EW5aE6Wo0
>>268

 ふふははは、この魔術を教えてほしいか
 その疑問たいしてはYESと答えようか、言ったはずだぞこの魔術は魔力があればだれでも使える
 しかも魔力の燃費は軽いのだ

【「私にも仕えますか?」その言葉を聞いたとき彼の心で何かが震えた】
【その心はなんだろうか面白そうだからかという疑問をよそに少女の疑問に回答する】
【彼はこの魔術に関しては思い入れがあるが特に秘密にしようとは考えてはいない、だがこの質問に関しては予想外であった】

 いいだろう――この魔術を君に教えよう

【至極あっさりに少女に対してこの魔術を教授することにYESとそう答えた】
【何の打算も計算もなくただただあっさりと受けてしまった、それに対して疑いも出てくるか】

 ああ、だがその前に聞いておこう
 なぜ君はこの魔術を教えてほしいと思ったのかね?、なに単なる興味だこの答えでも教えることは撤回せんさ

【彼が教える前に聞く疑問、これに答えるのは何でもいい力がほしいとか強くなりたいとかそんな単純なものでもいい】
【少なくとも彼の発言どおりどのような答えでも彼は少女に対して魔術をおしえるだろう】

 それとだ、君の名前を聞いておきたい、ああその前に自分の名前を先に言うのが礼儀だね
 ――私の名前はソロモンとある組織のしがない研究者だ

【そのように自分の名前を言ってから少女に視線を合わせて彼女の発言をまつ】
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 02:08:54.04 ID:oZ8oGCWqO
>>265

えへへ……褒められるって 知らない人からだとこんなにくすぐったいのかな…………
それじゃあ今度会うときは、このケーキはお姉さんにあげるからね!

【そう言ってまた笑顔を見せる、今度は雑じり気のない、とても子供らしい笑顔だ】
【皐月がミルフィーユを注文したのなら、エリアもそれに続いてベリーケーキを頼む】
【身体をゆらゆらと揺らしながらケーキがやって来るのを待っている彼女の様子を見れば、やっぱりまだまだ子供なんだと感じさせるだろう】

【さて、話は皐月の名字と名前を言い当てたところへと移っていく】
【"パパ"についての事を話している時のエリアは、何処か誇らし気にも見えて】

うん!話に聞いてた通りの美人さんだったからすぐに判っちゃった。
初めまして皐月さん、よろしくね!

私より年上かぁ、いつか会ってみたいな…………そしたら友達に、なってくれるかな……?
……あ、でもでも知ってるのは名前だけだよ、だからいっぱい話を聞きたいなぁーって…………

【そう言ってまた目を輝かせ始めるエリア、彼女にしてみれば母親は新鮮に感じるだろう、父親しか居ない家庭ならば そう思うのも当然だろうか】
【興味津々といった様子で皐月を見るエリア、真珠の様な瞳はとても純粋で】

【やがて皐月から尋ねられる事があった、エリアの服装からは浮いているであろう腕章の事】
【そちらへ目をやると、指で軽く摘まんで皐月に見せる】

これ……?これはその…………机に置いてあったからつい…………
す、すぐに帰って返すつもりなんだけど……やっぱり付けてみたくて………………

【子供らしいと言えば子供らしいのか、背伸びしたいと言うのが付けてきた理由らしく】
【一人でケーキ屋に来れる位なのだから家は近いのだろう、一度は付けてみたかったのだろう】

/すみません、眠気が来てしまいまして……
/明日に持ち越しか置きレスをお願いできますでしょうか?
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/11(金) 02:10:10.38 ID:5PiBuylvo
>>271

【──あっさりと承諾する彼に、少女は驚いたように眼を見開いた】
【一つには、『教えて貰う』という所まで頭が回っていなかったこと】
【もう一つには、余りにもあっさりと彼が『研究』の一部を開示したことが、その理由か】


……。 私≠ェ何者か、知らないといけないから──です。
私は、その為なら ── 、……


【 「何でも利用する」 ──か、その後に、途切れた言葉は】
【少しだけの逡巡の後に、彼の質問に対して放たれた解答は、抽象的なものだ】
【それでも、何か『強い意志』が言葉からは感じられる ──かも、知れない】


── 私の名前は、初≠ナす。


【途切れた言葉の、その先は心に秘めて。彼女は自分の名≠名乗った】
【何時の間にか降ろされた手の中では、タオルがぎゅっと握りしめられている】
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 02:13:37.81 ID:JcRBeEAo0
>>272
//了解です!此方は明日の9時ごろには返せると思いますのでお好きな時間にお返し頂ければ!
//それでは一旦お疲れ様でした!おやすみなさい!
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 02:16:08.06 ID:oZ8oGCWqO
>>274
/ありがとうございます、ではその時間にまた!
/お疲れ様でしたー!
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/11(金) 02:27:37.50 ID:EW5aE6Wo0
>>273

【何者かを知りたい少女――初≠フ答えに彼は笑みを深く深くしていった】
【その少女の強い意志はきっちりと彼に届いていた】

 くははは、これは久しぶりであるよ、君みたいな強い意思で知りたがる存在は!
 いやはや、どうやら今日の私はついているよ君みたいな存在に出会えてのだからね

【そのように喜びの感情を抑えられずに少女の前で笑う彼】
【周りから見れば十分に不審者に見えてしまうがそのようなことは気にせずに】

 くく、ああ今から教えたいといいたいところだがもう時間も遅い
 私しばらくここにとどまろう、魔術の教導についてだがこの場所に来るといいそこで私まっているよ
 それではいい夢を

【そのように言ってから彼は自分の所在地である場所が記された地図を渡す】
【この地図は水に強い素材で作られているだから水を気にする必要はない】
【その後に彼は自分のとまっている場所へと帰っていくだろう】

【後日、初が地図どおりの場所へと向かえばこの男は約束どおり魔術を教えるだろう】

/と、そろそろ眠気がすごいのでここで〆させてもらいますね
/お疲れ様でした
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/11(金) 02:31:58.90 ID:5PiBuylvo
>>276
/では、キリがいいのでこれで
/お疲れ様でした
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 20:16:41.81 ID:QLMTNKfao
【森の中】


――――っ!


【微かな虫の声と、獣の息遣いが薄らと響く夜の森林】
【その中の一角……木々が離れ広場のように開けた場所で動く人影があった】

【身長は140cm程度であろうか。長く伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳を持ち】
【桜色の簡素なデザインの着物に身を包んだ少女である】
【着物の背、肩甲骨付近に開いた細いスリットから三角形の"翼"のような物体が生えていた】

【少女は手に刃を潰した長剣を握り、太い樹に何度も何度も打ち込みを行っている】
【利き足を軸に回転を加えて、全体重を一撃に載せる】
【卓越した技術による斬撃ではなく、ただ非力を補うためにと考えられているような動きだ】
【真っ当な剣術家から見れば子供の遊びのようにも映るかもしれない】


……ふぅ。やはり、身体が大きくなると感覚も違ってくるものじゃな
今のうちに具合を確かめておかねばならんのじゃ――


【その動きをただ続けること十数分。少女は額に浮かんだ汗を拭って近くの切り株に座る】
【鉄の長剣を脇の地面に突き立てて、小さな水筒に口をつけて中の茶を一気に喉に通していった】

【もし、この修練の様子を見掛ける事があったら興味を示すこともあるだろうか】
【また、近くで物音などが立てばこの少女が反応する可能性がある】


【――】



【ところかわって、町外れ】


うーん……やっぱり新しい物が作れたら、面白そうだよね……
アクセサリー……もっと可愛いのとか格好いいのとか作れたら需要ある、のかな?


【賑やかな中心部から離れ、閑散とした雰囲気の漂う町外れ】
【その一角に建つ小さなお店の前で、花壇のレンガブロックに座りながら本を読む少年がいた】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【少年の読んでいる本の表紙が目に留まったならば】
【それがネックレスやブレスレットといったアクセサリーの作り方が記されているモノだと察することが出来るだろうか】

【少年はペラペラとページを捲りながら】
【一人ああでもないこうでもないと呟いて、ランタンのボンヤリとした灯りの下夜の時間を過ごしていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物である】


【本日もまったりと開店中であった】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/11(金) 20:58:21.82 ID:cEwU1rEf0
>>278
/まだおりますか?
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 21:07:21.34 ID:QLMTNKfao
>>279
/おりますですよー!
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 21:09:35.13 ID:JcRBeEAo0
>>272

ありがとう!ふふっ、楽しみに待ってますね!
(……本当に優しい子。ブラックさんもこんな娘さんを持てて幸せでしょうね―――)

【エリアの顔にぱあっと広がる明るい笑みを見れば、なんだか此方の心も明るくなったような気がして。返すように皐月も柔らかい微笑みを向けて】
【言葉を返すと同時にそっと手を伸ばせば、優しくエリアの頭を撫でる。その手つきが本当に慣れているのは、彼女が母親であるからなのだろう――】
【エリアの持つ純粋さや子供らしさ、笑顔……色んな所が自分の娘によく似ている気がして、皐月は何だか我が子を見ているような微笑ましい気分になるのだった。】

【皐月も注文を終え、エリアの横でケーキを待つ。こうして二人で並んでいるとまるで親子みたい……】
【小さな体を揺らして楽しそうに待つエリアの姿は衣織と同じ。そういえば、ケーキを買ってあげるって言ったらあんな風に楽しそうにしていたっけ】
【自分によく似て娘も甘い物好き。ケーキをお店に一緒に連れて行って食べたり、仕事帰りに家に買って帰ったり……その度に、本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれる】
【この子、エリアもそうなのだろう。――大好きな人と一緒に食べるケーキは、きっと誰だってとびきりの笑顔にさせるから】


えへへ……美人かぁ……もう、嬉しいことを言ってくれますね♪お世辞だとしても、ありがとう!

【それがたとえ娘より小さな少女からだとしても、美人と言われれば嬉しいもの。】
【子供も産んで40歳も目前になった今でも、美人と言われれば嬉しさと恥ずかしさが入り混じったような笑顔を見せて、言葉を弾ませる】

【純粋な瞳で見つめられれば、此方も目を合わせて微笑みを返す。広い海のように深く澄んだ瞳は、エリアとはまた違うもの。】
【血の繋がった最愛の子を育て続ける、母としての包容力を持つ。エリアには、そんな皐月の事が新鮮に感じたのだろうか―――】

【母親とは何時だって我が子の味方。何処に居ても、何をしていても、何よりも大切に想うのが娘の事で】
【娘の為なら何でも出来る。世界中でただ一人、どんな時でも娘を受け容れて優しく抱いてあげられる。―――それが、母親だ】


そっかそっか、付けてみたかったか―――うんうん、気持ちはよく分かります!格好良いですもんね♪
……でも、黙って持って行っちゃ駄目ですよ?ちゃんとお父さんに言わなきゃ、ね!
きっと言ったら分かってくれますよ。だから、ちゃんと「貸して下さい」って言いましょう!
ふふっ……人の物は黙って持って行かないって、お姉さんと約束です!

【腕章の事を尋ねれば、何とも子供らしい微笑ましい答えが返って来た。なんでも、少しだけ付けてみたかったという事らしくて】
【……親の格好良い姿に憧れたのだろうか。自分も付けてみたいと思う子供心は、同じように子供を持つ親としてはよく分かる……】
【いつだったか、衣織も小さい頃エリアと同じように実験の時に着ている自分の白衣を、どこからか引っ張り出して着ていた。】
【訳を尋ねれば、「一回着てみたかった!」って答えが返ってきたっけ。―――きっとエリアも衣織も同じ気持ちなんだろうなぁ、って】

【でも、誰かの物を黙って持って行くのは良くない。それが親の物だとしても、だ。―――だから、一つだけお約束。】
【帰ったらちゃんと借りたことを言うように、って。優しくて賢いエリアならきっと分かってくれる筈―――】

【――此処からは、約束してくれたらのお話】

―――はい、約束です!
ふふっ……よし!じゃあ、ちゃんと約束してくれたエリアちゃんにはご褒美です!
どれか一つ、好きなケーキを買ってあげましょう。さ、遠慮なく好きな物を選んでくださいな!

【頷いてくれたなら、皐月からご褒美。――約束の指切りの後、どれか一つ好きなケーキを買ってあげると笑顔で告げて】
【好きな物を選べば、注文にそれも追加するだろう。――これが素性も分からない他人なら不審に思うかもしれないが】
【笑顔で告げる皐月を見れば、裏≠ネんて無い事も分かってくれる筈―――】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/11(金) 21:09:50.19 ID:cEwU1rEf0
>>280
/では、失礼しますー

>>278

【――――漆黒の森の中、突如、樹上に陣取っていたらしい鳥たちが、ギャーギャーと鳴き声を上げて枝を飛び立つ】
【それとほぼ同時に、木々の間から草をかき分けて、1つの足音が近づいてくる】

「――――ハァ、ハァ……ッ、ハァッ……!」

【暗い森の中、ほとんど全力で、時折背後を振り返りながら走っているのは、1人のリュックサックを背負った男性】
【実に分かりやすい『追われる者』の図。程なくしてそれを『追う者』もまた、姿を表した】

――――――――ッ!!
「……っ、はぁ……ッ!」

【頭上に、何かがきらめく。月明かりを反射して、何かが空高く跳躍する】
【月を背後にした、その細長い人型のシルエットは、そのまま放物線を描く自然落下の勢いで、逃げる男性に飛びかかり、そして押し倒した】

「なぁっ……ぐ、ぁ!」

【押し倒された拍子に、男性の背負っていたリュックサックが弾き飛ばされ――――その口から、貴金属のアクセサリーや、何やら分からぬ工具の様なものが顔を覗かせる】
【そして、そんな男性を押し倒し、地面に押さえつけている人物は、傍から見る限り、まるきり恐ろしい追跡者であった】

……はぁ、っ……いい加減、ここまでです。あなたを官憲に引き渡します
……これ以上無駄な抵抗をするというのなら、逃げられない様にその足を……多少損傷させますよ?

【黒い身体に幾筋かの光線のラインが入った、細く歪んだ人型】
【右手は肘から先が光の剣となり、左手は肥大・硬質化し、爪のついた盾の様な形になる】
【何らかの機械の様な頭部には、ラベンダー色の髪が、束ねられたように幾筋かに分かれ、風もなくはためいている】

【その声音こそ、怜悧な印象を感じさせる、少女の声であったが、その姿はまるきり異形の怪物である】
【どうやら盗賊らしい男を取り押さえているその異形は、右手の光の刃を、男の太腿に軽く宛がっている】
【言動を注意深く拾っていかなければ、どちらが悪人なのか、分かったものではないだろう】

【――――この一連の騒動がすぐそばで起こっている事に、紅蓮の髪の少女はどう対応するのだろうか?】
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 21:31:32.89 ID:QLMTNKfao
>>282

ふむ……――――


【静かな森に響き渡る騒音。こちらに向かってくる其れに対して】
【少女は短く声を洩らした後、突き立てていた剣を右手で抜き取り】
【背の翼を数度調子を確かめるようにして動かしながら立ち上がった】

【そして、間もなくして目の前で繰り広げられる捕り物】
【一見したならば、異形が男を襲っているようにも窺えるが】
【聞こえた少女の言葉が真実であるならば】
【男のリュックから零れ落ちた物達は盗品で、少女はそれを捕まえようとしているのか】

【兎角、現段階での情報は少なく判断することは難しい】
【数瞬……異形の少女と男に視線を送った後、赤髪の少女は口を開いた】


……まったく人が静かに修練に勤しんでおるというのに、随分と騒がしい事じゃな

そこの女、わらわはSCARLET所属のカミナなのじゃ
一言二言でいい、事情を簡単に説明するがよい――その次第によっては助勢出来るやもしれんのでな


【剣をいつでも繰り出せるようにと、腕を垂れ下げるようにして構えながら】
【胸元に緋色の鷹のワッペンをつけた赤髪の少女――カミナ・ゲルギルは異形にそう問うた】
【女と呼んだのは、声から判断したものだろう】


(む……――?)



【その一方で、その異形に対して何か……記憶の端に引っかかる感覚があった】
【長い眠りの後だ、未だ記憶は混濁した部分が多くすぐには思い出せないが……どこかで――】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/11(金) 21:48:53.85 ID:cEwU1rEf0
>>283

「がっ……く、糞ッ! っ、は……!?」
…………ッ、誰です!?

【取り押さえられている男と、取り押さえている異形。共に、第三者の声に視線を向ける】
【この様な暗がりの森の中で、自分たち以外の誰かがいる事など、想像もしていなかったのだろう】

――――っ、『SCARLET』……それじゃあ……!
……『UNITED TRIGGER』所属の、ケツァル・コアトル=ラベンダァイス=カエデ=キャニドップです。丁度良かった……
……この男は、恐らく複数の店を襲っている窃盗犯です……ガードを依頼されていた店に侵入したので、追跡して取り押さえました……
あなた達の手で、逮捕と送致を、お願いします……

【紅蓮の髪の少女――――カミナの名乗りを受けて、その素性を知り、異形も軽く驚いた様子だったが】
【間をおかずにそれを確かめると、ごつく硬質化している左手を軽く翳し、その腕の中から、1つの通信端末を生える様に取り出す】
【『ワンド』のモチーフが象られている『W-Phone』。『UNITED TRIGGER』のメンバーが所有するそれが、彼女――――ラベンダァイスにとっての身分証所代わりなのだろう】
【それを示しながら、倒れている男の事について手短に説明するラベンダァイス】
【どうもこの窃盗犯、不運にも『UNITED TRIGGER』の警護する宝石店か何かに盗みに入り、こんな逃走劇を演じる事になってしまったらしい】
【更に逃げた先に居たのが『SCARLET』の一員とあっては――――悪運、ここに尽きたのだろう】

【――――ラベンダァイスの名乗りは、カミナの記憶の断片に、何かを呼び覚ますのだろうか?】

「くそう! 後一歩のところだったってのに!!」

【そんな2人のやり取りなど眼中にないとばかりに、男は吼える】
【男の立場から言えば、このままお縄になるのもまっぴらごめんなのだろう。例え無意味だとしても、あがけるだけあがきたいらしく】
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 22:09:21.30 ID:QLMTNKfao
>>284

ラベン……ダァイス……――キャニドロップ、か


【少女、ラベンダァイスの名を聞いたカミナは】
【自分の額に、剣を持ってない方の手の指でそっと触れさせて記憶を探る】

【この名前には覚えがある……そうだ、"キャニドロップ"】
【かつてJusticeの仲間として共に戦い、そして――――た、ラギデュース・キャニドロップだ】
【彼の連れていた娘が確か――】


そうか……わらわは本当に、寝惚けておるようじゃな……
全く、性質が悪い。度し難いほどにの――


【そこまで思い出した瞬間に、カミナは溜め息とともに自嘲気味な声で独り言を洩らし】
【構えていた剣を男の方へと向けて"異能"を発現した】

【カミナの頭上の空間が歪み、巨大な紙が出現する】
【紙は見えない手で動かされているかのように、ひとりでにパタパタと折られていき】
【数秒と経たぬ間に紙飛行機のような形状へと姿を変えて、男の顔のすぐ隣に突撃槍の如き勢いを伴って刺さった】
【理由は説明するまでもなく、男を脅す事と……ラベンダァイスに"異能を見せる"事だ】


この男の身柄、確かに預かるのじゃ――UNITED TRIGGERのラベンダァイスよ
そして"久しぶり"じゃな……長く時間が過ぎた、御主はわらわの事など覚えておらぬかもしれぬが――


【世界に幾つともない"折り紙"と出現させ操る異能と、それを駆る正義の味方】
【昔と殆ど変わらぬ少女めいた声で、カミナは彼女に"久しぶり"だと言葉を掛けた】
【そこに浮かぶ表情は、安堵と……――】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 22:10:37.40 ID:QLMTNKfao
>>285
/名前間違ってたすみませぬ……!
/キャニドロップ× キャニドップ○
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/11(金) 22:21:11.74 ID:99j+zLIw0
【櫻の国、交易道付近の深山】


……? もしもし、 ……っ―――――
ええ、私の番号で間違いないわ。……尤も、こんな風に出来るとは知らなかったけれど。

情報の解読? ただ単に倉を開くだけじゃなく。
それで、内容は―――――、………っ、
……全部洗い終わったのね。そう……結局、集積されてたなかには見つからなかった……か。

それじゃ、あの約束の品だけを私の処に。……ちょうど櫻に帰って来てるから、普通に送ってくれても直ぐに受け取れると思う。……じゃ、またね。

【深い森、登れば抜けて広がる夜闇に灯る影ひとつ。透る声、不意の連絡に驚きと期待めいた煌めきを仄かに覘かせて】
【目を向ければ声の源たるひとのかたちが見えるだろうか。地表、露頭の石灰岩の上、永き時に梳られたその灰白色の、滑らかな横長の自然な長方形に座す姿がある】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。 】

【夜天の下で休息を取るのは、そんな形容のできる人影だった。受けた陰陽 (0/1) 式の連絡を手動で切れば、一段落ついてしまった、との吐息ひとつ 零して】

(……このまま、普通のやり方で捜し続けても成果は十全に望めないか。となれば、多少相性の悪い捜し方でも……、……っ――――)

【路地裏の情景に再びトリップしかける意識を胸中で留める。   】

【トクン、と一瞬でひどく早まる心音を聞いた気がした。僅かに顔を顰めれば痕を押さえる様に右の二の腕に軽く触れて、穏やかなはずの静寂に安息を求める様に目を瞑り】
【再び宿す/露にされる双眸に黒曜の彩は透徹して、天球の如き透明な深みの橡色を浮かび上がらせる。憂いよりも目的意識が勝る。――――ただ、今は、無性に“静寂でない”ものの燈が欲しかった。 】

【祭囃子は未だ遠く。けれどそこにあるのが薄い帷が保つ微かな静けさならば、それを破るだけでも状況は転がるのだろう】
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/11(金) 22:28:29.97 ID:cEwU1rEf0
>>285

…………?

【何かを思い出す様なカミナの仕草に、ラベンダァイスは訝しげに――――と言いながら、今の異形の姿には表情が無いのだが――――視線を向ける】
【自分の名前に、何を思い出すのか。思い出す事など、何かあったのか――――?】
【その目立つ紅蓮の髪に、見覚えは無い。どこかで逢った事がある様な覚えは無いのだが】
【男を取り押さえたまま、意識をカミナへと向けるラベンダァイスだが――――】

――――――――っ、あ…………あぁ…………ッ!?

【――――虚空に出現し、一人でに織り込まれていく折り紙】

「なっ――――っひぅッ!?」

【形を成した物が力を持ち、敵を討つその異能】

……これは、<ネル・ナハト>の……あの時の…………そんな、そんな事って…………!

【――――確かに見た事がある。あれは、遥か4年前――――この世界に目覚めて間も無かった頃の、<ネル・ナハト>との最終決戦の場において】
【この力を振るう人物は、その時確かに味方だった。まるでその異能が如く、ラベンダァイスの記憶領域に、虚空から像を成す様に思い出されていく】
【そして何より、この言葉使い――――それは、あの決戦の時だけに留まらない。何度となく聞いた――――頼れる『リーダー』の声だ】

――――――――……………………織守、さん…………?

【ラベンダァイスには、そうとしか見えなかった】
【――――閃光を放って、その異形の姿を変じさせ、元の姿へと戻るラベンダァイス】

【ラベンダー色の肩ほどまで伸びた髪で、赤と青のどこか虚ろなオッドアイを持ち、額に大きな傷跡が残っている】
【白いワンピースの上から、明らかに身の丈に合っていないボロボロのコートを着込んだ、10歳くらいの少女】

【虚ろな眼や、額の傷跡、そしてラギデュースの着ていた物と思しきボロボロのコートこそ、かつての姿とは違うが】
【そこに居るのは、恐らくは――――カミナの記憶の中の少女の面影を、濃く残した姿だっただろう】

【かつて、父と共に――――正確には自分は正規メンバーではなかったが、一緒に戦いぬいた、正義の旗を掲げる組織『Justice』】
【そこでみんなを率いてリーダーとして戦い続けた櫻の国の女性――――貴宝院 織守】
【名乗りや姿こそ違うが、あの声で、あの異能で「久しぶり」と語りかけてくる。ラベンダァイスには、他に考えられなかった】

「……クッ!!」
あッ、ぅあッ!!

【――――そんな放心状態に、取り押さえられていた男は最後のチャンスと踏んでか、元の姿となったラベンダァイスを跳ねあげる】
【体躯を元通りに戻してしまったラベンダァイスには、それを抑えつける力も発揮できずに、横へと転がされた】

「……こうなりゃ賭けだ! お前ら能力者相手に、勝つ必要なんて無い……逃げられりゃ、チャンスはまだあるんだ……!」

【そこから素早く立ち上がった男は、懐から小さな笛を取り出すと、勢いよく息を吹き込む】
【だが、普通ならば甲高い音を出しそうなその笛からは、何の音も聞こえてこない――――否、人間には聞こえないだけだ】
【そんな音を出す笛――――知識があれば、何を男が狙っているのか、あるいは理解できるかもしれない】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 22:28:43.27 ID:rkeAcu8YO
>>281

…………あっ、うぅっ………………
……うん!神様に誓って絶対だからね!

【頭を撫でられたならその口からはくすぐったそうな声が漏れて】
【初めて味わった母親の感触、父親とはまた違う暖かさがそこにはあった】
【エリアは母親の顔も、声も、名前すらも教えられていなかった。今の父親であるブラックがそうしたことの意図は本人にしか分からぬ事だが、父親が愛してくれているから望むものはなく、また迷惑になると思った為に エリアもそれ以上聞こうとはしないのだが】
【それでも心の何処かには憧れが存在し、今日母親に触れてみて 改めてそれは強くなっていた】


お世辞なんかじゃないよ!私も大きくなったら皐月さんみたいになりたいな♪

【彼女の様に強く優しく、そうなりたいと望むエリアの姿は、親の背中を見て育つ子供そのもの】
【父親であるブラックの様に勇敢に戦うことも確かに強さだが、それとはまた違う、優しさという名の強さが 皐月の持つ強さの形だろう】


どうしても付けてみたくって………………ごめんなさい。
…………うん、約束する、それじゃあ 指切りげんまんだね。

【深く頷いてから小指を差し出して皐月に、もう勝手に持ち出さないという約束を交わすだろう】
【皐月の大人の指よりもずっと小さいエリアの白い指、それはまるで小枝か何かのよう】


【「指切った」と笑顔で約束したのなら、エリアには予想外の、嬉しいご褒美が待っていた】

ケーキ……?皐月さんが?良いの?本当に良いの!?
ありがとう!皐月さん大好きっ!

【本当に良いのと確かめたのなら、皐月に抱きついたりしてみせて喜びと感謝を伝えて】
【それからしばらくの間ショーケースを覗き込むだろう、そうして選んだケーキは苺のクリームを使ったショートケーキ、上には飾りつけとして赤い薔薇の花弁が添えられている】
【値段としても余り高いわけではない標準の値段だ、皐月が了解してくれるのならそれにするだろう】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sagesaga]:2014/07/11(金) 22:36:04.34 ID:XIriGE6ao

【 森 】


【街道からは幾分か逸れた森の中──獣道を抜ければ、軽く開いた場所に出る】
【近くには葡萄≠ェ名物の村があるとの事で、そこを目指す者が通ることは珍しくないが】
【どちらにせよ、静謐の中にある場所。 そこに、一人の少女が立っていた】


(…、…魔法陣を、組んで。 ──魔力≠、集中。)
(イメージは、魔法陣が組んでくれる。 集中して、魔力を ── 。)


【黒のショートカットに、黒の瞳。入院着のような、ゆったりとした服装を身に纏った少女】
【腰に巻いたベルトのホルスターには、二丁の拳銃が差し込まれている】


「──、いやはや、助かるよぉ初クン。 ギルドから甘藷を運んで来て貰った序でに、火まで起こして貰えるなんてねぇ。
 この辺りでは化石燃料が貴重なんだ。後で、焼き芋を分けてあげましょう。」


【その隣に立っているのは、神父か牧師か、兎に角聖職者風の男だ】
【瞳を隠す胡散臭い黒サングラス、ワンレンの赤い長髪。──身に纏っているのは、黒のキャソック】


【空き地の中央に置かれた落ち葉の山の上には、魔法陣の書かれた札=z
【数秒すると──ぼうっ、と、音を立てて、札から炎が数メートル立ち上がった】
【『焚き火』をするには些か大きな炎だ。 ──、二人の顔が、赤色に照らされている】



「…、…うっわー、あはは。 これは山火事になるねぇ。……いや、森火事かぁ。
 ちょっと、早く止めて止めて。大きすぎ ──」


……いや、その。 ──止め方はまだ、よく ……。


「あはは。 それは結構洒落にならないねぇ ── 水っ!! 誰か水ぅ!!」



【──鬼気迫った表情の二人が焚き火の周りであたふたあたふた】
【このままでは神父の言う通り、大家事になりかねない状況だった。──ぱちぱちと、炎の音が辺りに響く】

/早めに落ちるかもしれませんが、よろしければ
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 22:54:19.55 ID:QLMTNKfao
>>288

……訳あって、今はカミナと名乗らせて貰っているがの

そうか……御主は今、UTの世話になっておるのじゃな
無事なようで本当に良かったのじゃ、そして……すまなかったと、謝らせて欲しい


【異形から戻ったその姿は、カミナの記憶にある少女の其れであった】
【謝罪の言葉は考えるまでもない――姿を消し、組織を潰してしまったことに対しての物だ】
【状況が状況なだけに小さく簡単な謝罪、しかし声に確かな意志を込めて頭を下げた】

【本当ならば、そのまま彼女と会話を続けたかったのだが――】


――っ、旧交を温めるにはちと場が悪すぎたかの……!
小物らしい諦めの悪さじゃが、少しは空気の読み方を覚えるがよいわ!


【――ラベンダァイスを押し退け立ち上がる男の姿に、それも叶わなくなる】
【失態だ。男を拘束し、無力化してから語り始めるべきだった】
【そうすればラベンダァイスが動揺し、変身を解く事はなかっただろう】
【二つの意味を込めて小さく舌打ちをしながら、不愉快そうに男を睨みつけて先ほど飛ばした紙飛行機を呼び戻す】


(これは……――)


【音のしない笛――否、"人間には聞こえない"笛だろう】
【一般的に犬笛と呼ばれる、獣の可聴域にのみ届く音を鳴らす道具】
【その類であると察した瞬間、カミナは左右の空間を歪ませ新たな紙を出現させ】
【同時に袖口から小さな"折り鶴"を飛ばし、木々の間に潜ませた】


"敵襲"に備えよ、ラベンダァイス―――っ!


【カミナはそう叫ぶと、剣を両手で握り、まるで引き摺る様な刀身を下に降ろす奇妙な構えを見せながら】
【背の翼稼働させ"飛翔"の特性を発動、1.5m程度の高さに身体を浮かばせつつ男との距離を高速で詰めようとする】

【もし接近に成功した場合、カミナは飛翔の加速の勢いを乗せながら】
【鉄剣で思い切り男の胸を打ち据えようとする】
【剣は刃を潰しているため切れ味はないが、鉄の塊であるため鈍器としての威力はある】
【直撃した場合、相応の衝撃を与えることになろうか】
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/11(金) 23:11:47.69 ID:JcRBeEAo0
>>289

【初めて触れた「母親」という立場の人の姿。それはきっと、エリアにとって特別な想いを持って受け止められたのだろう】
【自分の母親の顔はおろか名前すらも知らない。この世に生を受けたのなら必ず居る筈の人の事を、何も知らない。】
【―――ならば母親の暖かさも知り得ないのだろうし、憧れるのも無理はあるまい。尤も、彼女の母親の事なんて知る由も無いのだが……】

私みたいに、ですか?ふふっ……目標にされるなら、私もしっかりとしないといけませんね!
―――大丈夫、優しい貴女ならきっと素敵な人になれます。私が保証します!
他の人の気持ちをちゃんと分かってあげられる人になって下さいね。それが私からの、一番大切なお願いです!

【暫く撫でてあげて、ようやく手を離すと今度は微笑みを向ける。我が子に向けるのと同じ、何処までも優しい其れ】
【自分がエリアの目標になれるような立派な人間であるかは分からない。けれど、この少女は間違いなく自分のようになりたいと思ってくれているから】
【目標になる人として、たった一つだけアドバイスとお願い。―――他の人の気持ちが分かる人間になって欲しい、と。】
【皐月の優しさの原点は其処にある。人の気持ち……痛みや苦しみの辛い気持ち、はたまた喜びや感謝の気持ちが分かるようになれば、きっと優しくなれる筈】
【何も難しい事ではない。「もしこの人が自分だったら」って考えてみるだけでも良いのだ。―――そうすればどうされたいか、どうされたくないかが分かるもの】



【小さな手と少し大きな手。サイズの違う二つの手が小指で交わされれば、きっと約束も破らないようにしてくれる筈】
【笑顔で約束を交わせば、ご褒美を告げる。「本当ですよ!ちゃんと約束してくれたましたから、ね!」って微笑んで見せれば】
【エリアはその小さな体で皐月にギュッと抱き付く。大好きなんて言われれば皐月も思わず嬉しそうな笑顔を零して、抱き付くエリアの頭をもう一度撫でて】
【それからショーケースを熱心に覗き込むエリアを眺めるのだった。我が子を見守る母親のように、穏やかな微笑みを口元に湛えて―――】
【余程嬉しかったのだろう、エリアの可愛らしい顔には無邪気な笑みが満ちている。―――そんな子供の姿を見れば、皐月だって笑顔になるもの】

【エリアはショートケーキに決めたようだ。勿論皐月は断る事なんて無くて、快諾すればそのまま注文を付け加えるだろう】
【完成まで少しだけ時間が空く。ちょっぴりだけなら何かお話をする時間もあるだろうが―――】


【――――暫くすれば、ケーキは二人に渡される。白い紙の箱、ずっしりとした其れはエリアにとって嬉しい重さに違いない】
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/11(金) 23:17:10.40 ID:cEwU1rEf0
>>291

……カミナ、さん……
……はい、縁あって、今は『UNITED TRIGGER』の一員として……――――っ、そ、その……

【故あっての名乗りと言われて、ラベンダァイスはカミナの名を反芻する】
【深く自分に問いかける様な、思い出す時の仕草。「度し難いほどに寝ぼけている」と言う先ほどの言葉】
【何か、のっぴきならない事態が織守に起こっていて、以前とは違う行動を行っているのだろうと、なんとなく察しがついた】
【――――恨む気持ちこそ無いが、『Justice』が失われた時は、何故なのだと答えの無い問いをずっと発し続けていた】
【思い出された当時の心境と、今のカミナの言葉から思われる事情との間で、ラベンダァイスはどう言葉を返すべきか、分からなかった】

「うるせぇ!!
 …………ともあれ、逃げなければ……ちゃんと、届いたか!?」

【大人しく捕縛されるつもりなど、更々無いのだろう。悪態をつきながら、男は闇の先へと視線を向けて】
【やがて、小さな唸り声と息使い、そして草をかき分けて走ってくる複数の足音が近づいてくる】

「…………よっしゃ、来たぜ! どうやら、上手く聞こえたらしいな……! もしもの時の備えって奴だ……!」
<ウゥッ!!>
<ガァォッ!!>

【茂みから飛び出してきたのは、4匹の犬――――なのか狼なのか。ともあれそうした、真獣類の四足肉食動物だ】
【――――恐らく、男は急を要する事態の時に、この森に逃げ込む事を決めていたのだろう。その為の伏兵と言って良い】
【確かに、逃げ道を確保するだけなら、十分な戦力と言えるだろう。相手が能力者であっても、逃げおおせる確率を多少上げる役には立つはずだ】

くっ…………『サキュバス・フォース』!!

【振り払われたラベンダァイスだが、カミナの言葉にすぐに表情を固めると、再び閃光を発してその姿を変える】

【背中にラベンダー色の翼膜をした、悪魔の様な翼が生えた事を除けば、素体そのままの姿だが】
【身に纏う魔力は質量を増大させており】
【翼からは、光の粒の様なものが燦々とこぼれている】

【この場合、必要なのは手数となる。それを意識して、ラベンダァイスはこの形態をとったのだろう】

<ウゥゥ……>
「チッ……止まらなくていい、一気に……………………なぁっ、ぐ、ぁ!!」
<ガァァァァアッ!!>
っ、この……ッ!!

【主を追い詰める2人の人間を品定めする様に、獣たちは展開しながらゆっくりと隙を窺っていたが、カミナの突撃が合図になって、二手に分かれて飛びかかる】
【2匹はカミナを左右から。2匹はラベンダァイスの正面と側面から飛びかかる。その爪と牙で、喰らいついて組み伏せようと言うのだろう】
【男の方は、獣の襲撃開始を合図に背を向けようと言う魂胆だったようだが、カミナに突き倒されて再び転倒してしまう】
【その衝撃は、思ったよりも大きなものだった様で、絶息した様子で蹲っていた】
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/11(金) 23:17:43.69 ID:LBJJMrKHo
【表通り】


【コンビニのすぐ近くで何やら一騒動起きているようだった】
【その原因は二人の人物にある。ひとりは服装からして明らかに警官だ】
【彼はもうひとりの服を掴み、「抵抗するな」「観念しろ」、などと叫んでいることだろうか】

【――もうひとり、警官から逃げまいとしている人物は10代半ば程の少年だった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年だ】


くそっ、離せよ――


【大の大人と力比べして勝てるはずもないが――そこそこ力があるのか、拮抗していて】
【何故こんなことになっているのか、それは少年の手を見れば明らかだろう】
【そこにはパンが二つ、握りしめられている。……万引きしたところを捕まえられたと想像するのは容易か】

【たまに起きるような光景だろう。すぐに事態は収拾するはずだ】
【ただ、少年から漏れ始めた黒い魔翌力が不穏な予感を漂わせつつある、が――】

【ちなみにこの時間だが人通りはまばらだ。故に彼らはかなり目立つ存在であることだろう】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/11(金) 23:24:18.97 ID:TCYOzwARo
【宗教都市ゼン=カイマ――仮設訓練場】
【再興も一段落ついたこの都市の中、この場所にたどり着くには簡単なやり方がある】
【『大司教は何処に居るのか』と信者に尋ねるのだ。来れば、雄叫びがまず聞こえるはずで】


 ――――っ―ォ オオオアァァァァァァッ ――!!


【ズン―ッ! 巨躯の男が、たっぷりの砂袋を載せたタックルマシーンに突っ込む音だ】
【丸太と重り。簡素な作りの器具はやがて軋みながらもズルズルと推し進められ】
【やがて訓練場の端で柵に当たってようやく止まる。男の方も、一息吐いて身を起こし】

……ふむ、悪くはない。しばらく休息を取って鈍ったかと思ったが
この分であれば直ぐにそれも超えられそうだな……。

仕事は多いが……ま、良いだろう。次は…――。

【――彼の髪は長く、艶やかな黒。グラディエーターサンダルを履いていて】
【服らしい服は腰布だけで、上半身は完全に裸なのだった】

【身長は180cmと少し――上腕二頭筋、三角筋、グッと迫り出した僧帽筋】
【加えて腹筋は見事に割れていて、目を引くのははち切れんばかりの大胸筋か】
【その全てが見事に引き締まっていて、その上でうっすらと脂肪の付いた健康的な肉体だ】
【己を何処までもいじめ続けなければこうは成れない――ただ、特筆すべきはもうひとつ】

【それは彼の右腕だ。左足首から先もそうなのだが、黒鉄の義肢が其処には在った】
【つまり片腕ばかりは"健康"では居られなかったわけだが、その鈍い輝きも逞しさを増す要因となっている】


【さて、そんな彼は額の汗を拭ってからタックルマシーンを再度押して元の位置に戻すと】
【次はどうしようか、と其処らに置かれた即席の器具へと目を向けるのだった】

【ちなみにこの訓練場は野ざらしで、足元は砂。柵で区切られたグラウンドだ】
【入り口付近の棚には彼の持ち物が大事そうに置かれている。豪奢なマントに銀のロザリオ】
【そして重々しい聖書と、その上には結婚指輪。――他には今のところ、元騎士が数人居るくらいか】

/すみませんが、予約なのです…。
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/11(金) 23:28:46.87 ID:99j+zLIw0
/>>287は未だ募集中だったりしますー
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/11(金) 23:39:18.84 ID:QLMTNKfao
>>293

やはり、獣を呼ぶ笛であったか……
――じゃが、畜生程度で止められると思ったのならば目論見が甘いのぅ!


【打ち据えた瞬間に、翼折り紙の特性"加速"を発動】
【"飛翔"と合わせ、背後に向かって推進しながら即座に二歩程度の距離をとった】
【空を飛べることを前提とした一撃翌離脱の剣技であるが】

【しかし、相手は一人ではない。下がった瞬間に二匹の獣が左右から挟み込むように迫る】
【後退した距離は獣の脚力により瞬く間に詰まり、その爪牙が痩身に突き立てられようと――】


貴様の獣と"わらわの獣"――どちらの牙が勝るか、試してみるかの?


                <貴宝院流不切正方形一枚折り・狼頭>


【――瞬間、左右に追従させていた紙達が形を成す】
【それは大人を丸呑み出来るような巨大な"狼の頭"。神気を内包した事によって立体感と硬度を得て】
【強靭な顎と無数の牙を"特性"として宿した折り紙であった】

【左右に形成された計2体の狼頭は、その巨大な顎を開き向かってくる獣にそれぞれ食らいつこうとする】

【もし成功したならば】
【口内に並ぶ鋭い牙と強靭な顎を以て獣の身体を引き千切ろうとするだろう】
【しかし、獣がこの攻撃を回避することに成功した場合は】
【この小さな術師の体に牙を届かせることが叶うかもしれない――】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/12(土) 00:11:56.49 ID:Z6QBcyUP0
>>297

<ガァッ!!>

【恐らく、この為にある程度の『仕込み』を行っていたのだろう。全くの躊躇なく、獣はカミナに喰らいつこうとする】
【敵を攻撃し、足止めをする事を、ちゃんと男の笛で命令されていたらしい】

<ギャォォゥ!?>

【だが――――本来なら『逃げる男の為の時間稼ぎ』なのだ。それは単純に、敵に遮二無二突っかかっていく事がメインとなる】
【そんな状況で。ましてや跳びかかったその瞬間を狙われて。繰り出された『狼頭』を回避できるはずもない】
【噛みつくはずが、逆に噛みつかれて。カミナを襲った2匹の獣は、呆気なく弾き飛ばされてしまう】
【何とか振りほどこうともがく獣だが、『狼頭』の力によっては、そのまま抑え込んでしまえるだろう】

――――うあああああぁぁぁぁッッ!!
<ギャァッッ!!>

【一方、ラベンダァイスを狙った2匹も、跳びかかるのは同じで、それが通じない相手であるという点も、変わらない】
【魔力を、様々な形に変換して撃ち出す事に長けているこの形態なら、こうした雑魚散らしは慣れたものだ】
【跳びかかってくる所に合わせて電撃を撃ち出し、この2匹も呆気なくスタンしてしまう】
【身体をひくつかせながら、地面を転がる獣2匹。これも到底すぐには立ち上がれないだろう】

「……ば、かな…………!!」

【よろよろと立ち上がろうとする男だが、既に万策は尽きている】
【何より、カミナの剣を受けたダメージが、ほとんど退いていない――――諦めるつもりは無いのだろうが、もはや逃走は事実上不可能だ】

……ふぅ、織守さ……じゃなくて、カミナさん。この男の事、重ねてお願いします
「うぁ!? な、なんだ…………!?」

【そんな男のコンディションを見てとったラベンダァイスは、もう焦る事もないだろうと、背中の翼から『フェアリー・ダスト』を男に浴びせかける】
【持続性の目くらましを喰らって、男は今度こそ行動不能に陥る。後はカミナ次第だろう】

…………カミナさん。『Justice』はなくなっても、それは無駄じゃ無かったと、私は思います…………
……今年の1月の終わりに、シオンさんに逢いました。無事……とは言い難いですけど、元気でしたよ?

【元の姿に戻り、ラベンダァイスはカミナに語る。先ほどの謝罪の言葉への、ラベンダァイスなりの返答なのだろう】
【――――かつての仲間も、その一部は今も生きている。それは、『Justice』があったればこそ】
【それは、確かに意味があったのだと、そう伝える様に】
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/12(土) 00:47:25.85 ID:fCqBaPsxO
>>292

本当?なら皐月さんみたいになれるように頑張るね!

【皐月からの願いも快く引き受ける、誰かをちゃんと理解出来る人間になると そう誓う】
【自分もいつか、皐月のように誰かを優しく撫でてあげたり、愛してあげたりする日が来るのだろうか】
【そんな想像もしてみたけれど やっぱりそれは未来の事、どうも上手く想像は出来なかった】



【約束の時に皐月が見せた笑顔、それは見ているエリアも嬉しくさせる効果があったようで】
【やはり笑顔には笑顔で返していた、そしてケーキを待っている間は皐月のその笑顔を何度か思い出したりもしていて、それだけ暖かくて優しくて印象に残った顔だったのだ】

【そしてケーキを待っている間には、きっと皐月にどんなケーキが好きかという質問をしたり、女の子らしい話題を振って、もっと皐月の事を知ろうとするだろう】
【きっとその時間はエリアにとってはとても楽く、心に残る宝石となるはずだ】


【やがてあっという間にケーキが出来上がったのなら、大きな箱に小さな箱を受け取る】
【ベリーケーキを受け取る時には父親の喜ぶ顔を思い浮かべて、ショートケーキを受け取る時には皐月への感謝で、それぞれ頭は一杯になった】

…………それじゃあ、あんまり遅くなるとパパ達も心配するから、今日はもう帰るね。
本当に、ありがとうございました!

【ケーキ箱の入った袋を片手に、エリアは皐月の方へ向き直り改めてお礼を言うだろう】
【深々と頭を下げて、ありがとうと伝えたなら、ケーキ代を払って店を出る】
【夜にはきっと、この出会いを父親に沢山話すことだろう】

/長引くといけないのでこんな具合で……!
/ありがとうございましたー!
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/12(土) 00:47:30.03 ID:sLQsoNn+o
>>298

――ふん、こんなモノかの。
わらわの足止めするならば、これの三倍は持ってくることじゃな――!


【食らいつかせたまま、事が終わるまでは維持させる】
【最初は噛み殺そうかとも考えたが、動きを抑えることに成功しているならばその必要もない】
【巨大な狼の頭達は、犬がお座りでもするかのようにスっと地面に着いて主人に従った】

【そして、ラベンダァイスの様子は――折り鶴との視覚共有で確認していたが】
【問題なく対処出来ているようだ。カミナは翼を羽ばたかせながら地上に足をつき】
【鉄剣を片手で引き摺るように持ったまま男の方へと近づく】


すまぬな、ラベンダァイスよ。余計な手間を取らせてしまったのじゃ

うむ、この男の身柄はSCARLETが確かに預かろう
逃れようもない証拠がある以上、相応の罰を与えることが出来よう――


【現行犯に加えて、盗品も近くに散らばっており】
【SCARLET隊員に対して攻撃を行ったことで公務執行妨害も加わるだろうか】
【カミナは、近くに浮翌遊させていたままの紙飛行機を分解し】
【細く紐のように裂くことで、紙のロープを作り出すとそれで男を縛り付けようとする】
【折り紙とも呼べないような代物ではあるが、神気が加わることで荒縄のような強度を付与することが出来る】


――


【ラベンダァイスの言葉を聞いて、カミナはすぐに返事をすることが出来なかった】
【頭に浮かぶ様々な感情を処理することが出来ず】
【ただ数秒、時が止まったかのように声を発さず彼女の目を見つめて】


――……そうか。"ありがとう"、ラベンダァイスよ
それを聞けただけでも、わらわは……救われた気がするのじゃ


【志半ばで突然姿を消したリーダー。それによって起こった組織の瓦解】
【自分の夢を信じて着いてきてくれた者がいた。Justiceを頼りに集まってきてくれた者がいた】
【貴宝院織守は、それらの期待を全て裏切ったのだ】
【だからカミナは、"恨まれている"と思っていた。憎まれ、失望されたと思っていたのだ】
【自分の掲げた正義に意味はあったのかと、誰かを傷つけ徒に場をかき回しただけなのではないかと】
【そんな事すら、頭の中を何度も過ぎっては消えていった】

【かつてのメンバーを探している理由は】
【安否確かめるという事が主目的ではあるが、自分に向けられるべき当然の感情を受け止める"ケジメ"の一面も存在した】

【だから、彼女の言葉は強くカミナに刻まれた】
【無駄ではなかったのだ――戦い続けたあの遠き日々は。それを口にして貰えただけで、心に火が灯ったような気がした】


……して、ラベンダァイスよ。御主はどうなのじゃ?
UNITED TRIGGERでは上手くやれておるのかの?

辛い事や、力が必要なことがあれば何時でも遠慮なくいうがよいぞ
その時はJusticeリーダーではなく、同じく正義の名の元戦う仲間――SCARLETのカミナとして駆けつけるのじゃ


【カミナは、かつて戦場で浮かべていたような不敵な笑みを浮かべながら彼女に告げる】
【その声はどこか優しく、まるで妹を思い遣る姉のような――そんな響きに聞こえることもあるだろうか】
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/12(土) 00:47:32.06 ID:yFRYca8Ro
>>287

―――……いや、参ったなあ。麓からは低そうに見えたんだけど
登ってみると中々……お見せの一つもないし、櫻ってのはホント……おや

【ふと、そんな若い男の声が聞こえ、ついで姿が山の下方から覗く】
【髪は柔らかな金色。180cmほどの背丈だが線は細く、服もまた】
【胸元を開けた白いシャツとジーンズという、実にラフなものであった】

【――旅行者、だろうか。着の身着のままでやって来ました、なんて具合だが】
【どうも言葉を聞くに、夜の登山をしてみたら意外と高かった、ということらしい】

……どうも、お嬢さん。いい夜だね、櫻の国ってのは夜が静かで羨ましいよ
そりゃ街に行けば別だろうけど……、…というかさっき、誰かと話してた?

なんかこう、話し声みたいなのが聞こえた気がするんだけど……君、一人でしょ?

【…――で、それだけならどうだっていいのだが、声をかけるとなれば話は別か】
【一見すれば何処かの世間知らずな貴公子という具合。穏やかそうな男性だ】
【雰囲気も朗らかで、持ち物は――どうやら小脇に抱えたスケッチブックくらい。絵かき、か―?】
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/12(土) 01:12:13.37 ID:Z6QBcyUP0
>>300

<……フォゥゥゥゥ……>
「あ、ぐぁ…………ッ」

【よろよろと起き上がる獣たちは、低く唸りながら、距離をとる様に一団に固まる】
【――――笛で制御されているとはいえ、流石に手ごわい相手であると言う事を理解したらしく、これ以上の戦闘は避けたいと言う意図が見えた】
【男の方も、問題なく捕縛され、これ以上の抵抗は叶わない――――これでようやく、事態は終息したと見て、構わないだろう】

……いえ、元々は、私から始まっていた事ですから……
……こっちこそ、面倒な引き継ぎの形になってしまって……どうか、よろしくお願いします……

【そもそも、事件に最初に遭遇したのはラベンダァイスの方であり、手間を掛けさせたのはラベンダァイスの方とも言えるだろう】
【そして、これからの処遇をカミナに託す形になる。元々はそれがカミナの仕事とはいえ、面倒な行きがかりになってしまった】
【なんとも、謙虚とも言い難い、妙なやりきれなさを感じてしまうのも、無理は無かった】

……もったいないです。そんな、お礼なんて……私には…………

【そもそも、ラベンダァイス自身はメンバーと言う訳ではない。非常に近しい立場で戦ってこそいたが】
【そんな自分に、そもそも織守をどうこう言えるはずもないと、ラベンダァイスは思ったのだろう】
【先ほどの一言は、そんな立場を超えて。『Justice』の庇護のもとにあった1人としての、言葉だったのかもしれない】

(……でも、それが……織守さんの……カミナさんの、助けになったのなら…………)

【――――ふと、自分とカミナを繋ぐゆかりとなっていた『父』の事を、ラベンダァイスは思い出す】
【仲間として、そして恩に報いる為に、共に戦いたい――――父は、いつもそう口にしていた】
【自分も、思えばそうした縁に感じ入るものがあったからこそ、今でも正義を背負う組織の一員として日々を過ごしている】
【ならば――――自分の言葉はそうした意味でも、無駄ではない、悪いものでも無いと、そう思えて】

…………はい。リーダーのセリーナさんは、とても親切で明るい人ですし、今は櫻の国に居を借りています……
…………『父』も、昔の仲間たちも、今はいませんが……それでも、今は恵まれています……そう思えます
カミナさんこそ、『W-Phone』の通信も、使えるんですよね?
……何かあったら、声を掛けてください。今でも、せっかく通じ合える距離に居たんです。今度は、お手伝いとしてじゃなくて、仲間として……
この力が役に立つのなら、いつでも助力させてもらいますから……

【『UNITED TRIGGER』にあっても、ラベンダァイスは息災らしい。むしろ、少したくましくなったのかもしれない】
【先ほどの様に、1人で戦う事にも、もうある程度慣れているらしく、れっきとした一員として、振る舞えているのだろう】
【――――ラギデュースやレイドの事を思い出してか、その一瞬だけ表情に陰が差し、瞳の虚ろな色も濃くなっていたが】
【それでも。意外な程に近くにいたカミナに対して、遠慮なく声を掛けて欲しいと、ラベンダァイスも返す】
【――――てらいなくそう言ってしまえるほどに、ラベンダァイスはカミナの頼れる姿に、信頼を置いているのだろう】

/すみません、今日はそろそろ限界です……持ち越すかどうか、其方にお任せします
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/12(土) 01:15:54.79 ID:sLQsoNn+o
>>302
/では、こちら次のレス返して〆ますねー!
/後からお返事頂く形で大丈夫です、おやすみなさい!
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/12(土) 01:19:44.23 ID:Z6QBcyUP0
>>303
/すみません! ではお先に失礼しますー
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/12(土) 01:52:18.58 ID:CsY6RnmY0
>>301

……、―――――――?

ええ、こんばんは。夏祭りは……この近くだと未だ先みたいね。

……ああ、その事か。聞こえてたのね……ええ、私の声で間違いないわ。

【振り返り、目が合って姿かたちや雰囲気、朗らかな声を意識する。……街から街へと渡る旅人、そんな印象。少なくとも、荒れ野や山々をゆくことに慣れたひとには見えず】
【だから、だろうか。街のひとに語るよう、ただ人としての声で伝える】

……いうなれば“電話”よ。
0を陰に、1を陽に。それぞれ対応させた上で、術の標的として0/1式で電話番号を設定、術を実行――――
そんな風にして私の番号に、遠くから掛けて来た人が居たみたい。

……真面目なのか、研究好きなのか。……まあ、幽霊とかじゃないから心配ないわ。別に、私も狂ってもいないのだし。

【若干冗談めかした声。結びに至るまでに、会話の正体は観えていたか】
【明らかに電波の通じない未開の地。山頂付近の高所―――そこで少女に言伝たそれは、呪術めいた方式による遠隔の“通話”】
【言霊を記号に。呪詛を言葉の行き交わす通信の“場”に。すれば、それもまた叶うのだろうか。受けた彼女自身は然程気にも留めていなかった様子だが、そう多くある筈もない術と思想で】

【先程の話し声が聞こえていたならば、或る程度は、話の内容に多少は推測も付くだろう】
【――――“少女は、何かを捜し求めている”。それは一定の技量を有する術師―――若しくは集団―――との協調を要する探索であり、慣れきった受け答えから窺えることだが、定期的に連絡を取りあう程度にはこの関わりは長い。】
【それでも、今は未だ達成には至らない模様で。情報の可能性にすら喜色を覗かせる程の希求ならば、そこに“目的”への緊急性や少なからぬ意味があるともいえた】

【そんな状況の一方で橡色が映すのは、やはりというか、どうしてもというか――――どうにもアウトドア派には見えない男性】
【……それを言うなら、彼女だってそう強靭な体には見えないのだが。考えは、生きもののように流れゆく様で】

……あまり、こんな場所に慣れてる様には見えないけれど。
画の題か何かでも探しに来たの?
綺麗なものならあると思うけど、あまり奥に行くのはおすすめ出来ないかしらね……。

【控え目な視線、であるのに端的な言葉。続いて述べた、夜の山ならば当然の警句。】
【返答は適当に少量を伝えるのでも、芸術的に述べてみせるのでも。どちらでも、彼女には構わないのだろう】
【ほんの少しの慮るいろを湛える瞳と、その上から流れ、浮かびながら重なりゆく微かな疑問。穏やかな空気のまま、言葉にして】
【何れそこから話題を選ぶのは彼か。どこか遠くを見る様な双眸は、僅かに温かな灯を点した邂逅のときのままだった】

【――――どう見えたとしてもそれはそれ。興味の対象に、彼は話を運べるはずで】
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/12(土) 01:56:41.17 ID:sLQsoNn+o
>>302

そうか……御主が安心して暮らせているならばよかったのじゃ

UTのセリーナとは以前一度顔を合わせただけじゃが
それでも正義の長としての、確固とした気骨が感じられる人物じゃった
あの者の元ならば心配はなかろうな……――


【彼女の言葉を聞いて、ホッとしたような安堵の表情を浮かべる】
【恵まれている――そう自分で言えるだけの境遇ならば、心配はいらないだろう】
【先ほど異形の姿から戻ったラベンダァイスの格好を見て】
【その虚ろな目や傷跡などから彼女の境遇を案じる気持ちもあったのだが】
【それも霧散し、ふっと……自然と笑みが零れた】


うむ、当然じゃ……今度は対等な仲間として、共に力を合わせて戦おう

御主はしばらく見ぬ内に、随分と頼り甲斐がある娘になったようじゃしの
わらわも遠慮なく声を掛けさせてもらうことにするのじゃ――


【一瞬浮かんだ彼女の陰。いなくなってしまった「父と昔の仲間」の存在】
【慰めの言葉や、労りの言葉が口から滑りだしそうになるが】
【カミナはラベンダァイスとは明るく、前向きな感情のまま接しようと考え言葉を飲み込んだ】
【口元を上げて浮かべた笑みを一層強く、彼女を自分が信を置ける一人の戦士と認めるようにそう告げて】
【もし拒まれることがなかったならば、剣を鞘に収めて右手をそっと差し出し握手を求めるだろう】


では……また何かあっては面倒じゃしな
名残惜しいが、そろそろわらわは行かせてもらうのじゃ

次に会った時は戦場か……そうではない平和な時分に会えたならば、一緒に甘いものでも食べに行こうかの?
考えてみれば、御主とはまだ腹を割って話をしたことも無かった気がするのでな
ゆっくりと語らう機会があるならば、その時は改めて互いを知り合っていきたいのじゃ――


【「――仲間として、の」と最後に続けた後】
【狼頭の折り紙に男の裾を噛み付かせて、もう片方の狼頭折り紙の上にポイッと放らせると】
【ラベンダァイスに小さく手を振って森を後にしていった】

【その足取りは、以前よりも少し軽く。薄く纏っていた暗い空気も和らいでいる】
【カミナの背がラベンダァイスの視界から消える頃まで、カミナの顔には柔らかい穏やかな微笑みが浮かんでいた――】


/お疲れ様でしたー!
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/12(土) 02:18:40.09 ID:yFRYca8Ro
>>305

あぁ、夏祭り……アレは良いんだ。ボク、お祭りみたいなの苦手でさ
人混みに居ると疲れるし、座れないし、何より暑いからね。

……で、その……術式?それを使えるって事は、君は魔術師とか?
そうじゃないにしてもずいぶん便利そうだね。携帯、持ち歩かなくて良いしさ
幽霊が居たらそれはそれで面白いけど……ま、それは置いとこうか

――さっきの声さ、内容もちょっと聞こえたんだけど、探しもの?
倉≠ニか、情報≠ニか……っていうかキミ、どういう人?

【中々、どうして――無礼というか、あけすけというか。良く言えば友好的なのだが】
【多弁かつ自他の領域を問わずに踏み入るタイプの話し方をする人物らしい】

【相手の身分、立場。侍とも貴女とも思えず、研究職にも芸術職にも思えない】
【そんなような言葉を付け足して――『どういう人』なのかと、そう尋ねね】

あぁ、うん。僕は風景画なんかを描いててね、山や谷によく行くんだ
大体そういう場所からの眺めってのはいい感じでさ……今夜は外れかな

……此処の奥、熊でも?それならそれで是非見てみたいんだけど……
こういう時、剣術の一つでも遣えたらと思うよね。サムライ≠チてほら、強いだろ?

【対する彼はやはり絵かきで間違いないらしい。ぺらぺらとスケッチブックを捲ってみせれば】
【其処にはなんてことのない木の絵や、芸者の横顔。或いは茅葺屋根に棲む小鳥やら】
【櫻の風景を写実的に、それも相当上手に描いているのが見て取れて】

【そんな彼に、何か複雑なことを教えて、詳細を知っているか――というのも微妙だが】
【外の世界の人間に聞くのも、悪くないかもしれない。友好的な雰囲気もあって、そう思わせる所があるような男だった】
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/12(土) 03:56:43.18 ID:Tfsj4aZT0
>307

ふぅん……そんな人も居るのね。私は意外と好き―――というか、人の賑わいが好きなのかしらね。
座る場所がなくてもいい、歩き続けでもたぶん楽しい。……そんな風に今は感じてる。同意は別に求めないけど。


……、……――― 確かに便利な力だったわね。“魔術師なら”、気付けば使えるんだと思う。
だけどそっちは私じゃないわ。電話に受けて、言葉にしただけ。……本当にそれだけの知識があれば、少しはいろんな作業も楽になると思うけど。

【……ごく普通の携帯端末。この世界の標準的な流通品を取り出せば、僅かに苦笑めいて軽く微笑うのだろう。雰囲気はそれでも崩れないまま、“祭り”への思いから穏やかな時を受け継いで】
【こうも語ろうとする自分に気付く。珍しいが、言葉を交わすこと自体はやはり楽しくて】
【理由―――彼が話しやすい相手だったこともあるが、また別の理由を胸の内で自覚する。……今宵までの遠出した歩みは、心の箍を少しばかり外したのか。】


熊……も出るけれど、崖が危ないほうが大きいわね。
自分から危険に関わりたいの? ……可笑しな人。怪我じゃ済まないこともあるのに……。――――

【そして捜し物や己の正体を問われたが、今直ぐに自らについて語りはせず。熊――危険に自ら跳び込もうとする様な言葉重ねる彼に、重ねる警句で応える様な、軽く睨め付ける様な視線を向けるだろうか】
【……たぶん効果はない。だから、とそれで仕舞いにする溜め息。 ひとつ、思索に添えて】
【此処までの彼を回想/ゆるやかな時を感じさせる声、姿。どこか、浮世離れした所があった。……それは、己とは違うものを見続けた“道”の末の結論の様な気がして――――微かな可能性に賭けてみたくなる/紡ぐ言葉、】



……八攫 柊(やつか しゅう)。何度か水の国の大会に出たけれど、あなたは余り興味がないのかな。
魔術じゃなく刀の扱いで、世の中を“壊す”流れを変えようとした――――

【八攫 柊=B第一回水の国天下一武道会優勝、その他諸々の数えきれぬ戦歴―――カノッサ機関の敵として、世を乱すものを断つ“力”のひとつとして戦いを重ねた剣士】
【続く言葉はその本質か。手札はひとつ、“残り”にひとつ、】

……“こういう人”と答えるのには、あとの手持ちの言葉は拙いものばかりだけど。……ひとつ、質問をしてみても構わない?

「何をしている人なのか」―――――現在(いま)の私の答えには、一応はなる筈だから。

【肯としたならば続けるのだろう。……少女が彼へと問いかける声は、何処か以上に切迫したものを帯びるのか】
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/12(土) 03:57:09.28 ID:Tfsj4aZT0
>>307 (続き)

……重傷を負った人を癒す術(すべ)、その “例外なく” 確実な手段に心当たりはある?

麻薬組織の薬品サンプルの集積情報や蒐集物、私の手の届く技術や術にも手立てはなかった――――……それ位、深い手傷を負った人が居るの。
私は、それを治療出来る手段を捜して幾つもの国を渡り歩いてた。
……その先々で必要があれば、必要なだけ斬り込んで触れて、拾い集めてから覚えたわ。

“もしかしたら”――――そんな程度の朧げな希望しか、今のところは手に入っていないけれど……。


【麻薬組織。類型の闇。それだけでなく術者など、“明るい”方面にも治療法を求めて――――戦い続け、己のやり方で捜したが見付からない解決策、】
【事実については端的に。現状については少しばかりを、偽りのない言葉でけれど希望を棄てぬよう紡いでゆくだろう】

【求める、願うその相好を崩さない。迷いなど要らずに。けれど、そうあらんと瞬く前の一瞬に、垂れさがった眉が見えるのだろう】
【追い詰められたいろが視えるだろうか。黒曜の如き滑らかな表面に、瞳から覗く掻き瑕がある。】
【それは、寂れの様に見えるかもしれない。映す翳りかもしれない。歩もうとするひとりの少女の姿。彼が識らずとも責める筈もないし、強固な外殻は揺れを殺して―――、】

【……それでも諦めきれないからこそ、この様に彼に尋ねようとする。……どんな答えが紡がれるとして、聞き逃さない様に向き合いながら。】


/置きへの移行、そろそろでしょうか…っ!?
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/12(土) 04:57:49.07 ID:yFRYca8Ro
>>308-309

同意はしないよ、理解はするけどさ。人混みが好きか嫌いかなんて
人それぞれで丁度良いんだ。僕は苦手でキミは好き、だろ?

……にしてもそっか、崖かぁ…。生憎今日は明かりもないし
下手に足を踏み外してそのまま永遠にお休みなんて洒落にならない……。
熊なら、良い経験になるんだけど。ほら、熊の掌って珍味だしさ

それにことわざで虎穴に入らずんば虎児を得ず=c…なんてのもあるだろ?
僕のインスピレーションの泉が、熊との対決にあるかも知れないんだから。

…――ま、そうは言ってもお察しの通り僕に戦う力は無い……増してや熊とはね。
キミと違って、さ。――八攫 柊=c…知ってるよ、大会の事は特に。
いくら僕が外に出ない人間だからって、有る意味じゃ世界一有名な人を知らない、なんてことは無いのさ

正直、憧れるよ。僕が出来るのは絵を描いて、彫刻を彫って、粘土をこねて……
……あぁボク、芸術なら何でも人並み以上に出来るんだ。音楽以外はね

で、そんなボクと違ってキミは自分の力で何かを変えようとしたわけだろう?
それも……いくつだか知らないけど、僕よりまず十歳は年下なのにだ。
……っとゴメンゴメン、名乗り遅れたね。僕はアンドレイ……アンドレイ・ニキシビリチャチ=\―…。

【――その名前、聞き覚えがあるかないかは少女次第だ。】

【もし芸術に少しでも造詣があれば、新進気鋭の天才芸術家だという噂も知っているかもしれないし】
【一方でUTやSCARLET、自警団――その辺りとつながりがあり】
【かつ、一部の人間と特定の内容について放したことがあればまた別、かも知れず】

【それはともかくとして、彼は一つ頷いたのだった。『質問しても良いか』という言葉に、首肯して】

/続きます
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/12(土) 04:59:20.54 ID:yFRYca8Ro

僕の知り合いに……何人か居るよ、傷を治すっていう点で言えば、優秀なのが。

一人は薬学者の娘で……彼女の父親が天才でさ、その才能と蓄積を受け継いでるんだ
だからその手傷を負った人の症状次第じゃ、和らげたり治したり出来るかもしれない
勿論、多少の時間と薬の素材なんかも要るだろうから手間はかかるし、確実じゃない。


……もう少し頼れるのは、やっぱり教会≠フ治癒魔術≠カゃないかな

僕の知るかぎりじゃ二人……ゼン=カイマって知ってるかい?
彼処の大司教…――も悪くはないけど、その奥さんか
でなきゃ所属は違うけどグリースっていう修道女の腕が良かった、って記憶してる

前者はまあ、見るからに優しげでその都市の中じゃエリートの部類に入る感じだね
後者のグリースってのは、性格は適当だし普段も何処に居るんだか知らないけど
でも一人で土地の浄化≠しちゃうような才能が在ってさ。
ゼン=カイマの『ヴァルゴ』……知ってる?彼女、あれに乗って都市そのものを浄めたんだ

オマケに言えば、二人共天使だ≠ネんて噂もあってね?
もし時間と行動範囲に余裕が有るのなら、彼女たちを探しても良いかもしれない。
最近は放浪の薬師がいるなんて話も聞くし……その手傷を負ったの、友達?


【『う〜ん』としばらく悩んだ後の答えが、これだった。――収穫としては、悪くない】
【単純な芸術家一人に聞いたにしては、中々当てになりそうな論評で】

【特に信頼できそうなのは、教会に属するという二人だろうか】
【グリース、そしてヴァルゴというワードは、かつての『ゼン=カイマ騒動』を知っていれば】
【もしかすると頭の片隅から掘り出せる事案かも知れない】

【――ともかく、彼が知るのはその程度。彼自身は、治療の術など持っておらず】
【『どうかな』と肩をすくめて尋ねかけるくらいだった。】


/ですね!こんな時間までお付き合い頂いちゃって申し訳ないのです
/次からは置きレスの方に返してくだされば、随時お返事します故……!

/ともあれ時間も時間ですし、今の所は済みませんが失礼したく思います
/それでは、また…!一旦お疲れ様でした&おやすみなさいませっ!
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/12(土) 05:38:33.71 ID:Hg9/mEGc0
>>310-311
/了解です…! 遅くまで本当お疲れ様でした、ありがとうございましたっ……!
/それじゃ、今夜(?)はお休みなさい。時間が空き次第、お返しさせて頂きます…!
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/12(土) 12:02:22.80 ID:Z6QBcyUP0
>>306

あ……セリーナさんとは、会った事があったんですか……!
私も、あの人だったら、リーダーとして信頼できます。強くて、優しい人です……

【ラベンダァイスから見たセリーナの姿も、カミナの印象とそう離れてはいない様だった】
【精神的な強さと、快活でかつ細やかな心配りをしてくれる人柄。そして、保有する高い戦闘能力】
【リーダーとして、やはり信頼のおける人物。組織を率いて行くだけの力を、存分に発揮していると】
【そんなリーダーの元に居るからこそ、ラベンダァイスも望むままに安心して力を振るう事が出来た】

えぇ。待ってます……そして、こちらこそ。よろしくお願いします……

【今日のこの邂逅で、思いがけず旧交を温める事が出来た。ラベンダァイスも、その虚ろな瞳のまま、ふっと力を抜いた笑みを浮かべて】
【互いの助力を確認する様に、差し出されたその手を握り返す】
【まるで子供のその外見に、静かに宿る力強さを滲ませて。ラベンダァイスも1人の戦士として、今ここに居た】

……はい、その男の事は、お願いします……
――――それまでお元気で、カミナさん……私も、頑張ります……!
どうなるかは分かりませんけど……次に会う時を、私も楽しみにしてますから……!

【男を確保するカミナの姿に、ラベンダァイスも一応の自分の役割が終わった事を確認して】
【カミナの背中に再会を期す言葉を掛けて、立ち去って行くその背中を見送って】
【――――懐かしい仲間と会えた。知れずラベンダァイスの表情は、笑顔でカミナを見送っていた】

…………私も、そろそろ店に戻って、あの男を引き渡した事を伝えなきゃ…………
――――『ユニコーン・フォース』!!

【カミナを見送り、ラベンダァイスも帰路につかなければと、夕闇をフッと見上げると、変身の閃光を身体から発した】

【一本の角を持った、白馬】
【たてがみは、少女の髪と同じ、ラベンダー色】

【逞しい筋肉に身体を包んだ白馬は、一度だけいななくと、闇の中へと駆け去っていく】
【――――全てを、月だけが見下ろしていた】

/遅くなりましたが、乙でしたー!
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/12(土) 12:20:51.87 ID:DOIyACLu0
>>299

【まだまだ小さいエリア。皐月のように子供が出来て母親という立場になるのは、恐らくまだ先のお話なのだろうが】
【きっと彼女なら素敵な女性になるに違いない。笑顔が素敵で、人の気持ちを分かってあげられて、とても優しい―――そんな女性。】
【いつか彼女が誰かの傍にいるようになった時は、その優しさを注いであげて欲しい。―――それが、愛するという事だから】

【心からの笑顔を贈れば、笑顔が返ってくる。人間とは不思議なもので、誰かに笑顔を向けられれば伝染するように笑顔になる】
【それはきっと、笑顔と一緒に心も伝わるから。感謝の心、嬉しい心、暖かい心……そんなものが、笑顔のなかに詰まっているから】
【そうやって周りにいるみんなが笑顔になれたら、それはとても素敵な事だと思う。】

【これは個人的な意見だけれど、人間は笑顔でいる時が一番素敵な顔をしていると思う。】
【人間の顔は十人十色。みんな違う顔をしているのは当たり前。……だけど、どんな顔だって心から笑えば素敵に見える気がする】
【笑顔は嬉しい時や楽しい時、幸せな時になるもの。―――そんな感情が滲み出るからこそ、笑顔は素敵に見えるのかもしれない】


【ケーキを待つ、少しじれったい時間。】
【すっかり仲良くなったエリアとちょっとしたお話に興じれば、暇な時間も魔法が掛かったみたいにたちまち楽しい時間に早変わり】
【好きなケーキを訊かれたりなんて少女らしい可愛らしい質問が投げかけられれば、皐月も微笑みと共に応えて】
【逆に皐月からも好きな食べ物やらとりとめのない事を訊いて……そんな風にしてお喋りをすれば、楽しい時間はあっという間に過ぎて】

【やがてケーキも完成。出来上がったミルフィーユを受け取ると、お財布を取り出して自分の分とエリアのショートケーキのお代を支払う】

はい、どういたしまして!もう暗いですから、気を付けて帰って下さいね!
ではまたお会いしましょう!ふふっ、今度は衣織も連れてこようかしら……

【くるりと向き直ったエリア。その小さな体をぺこりと屈ませて礼儀正しくお礼をするのを見れば、本当によく出来た子だって改めて感心して】
【もう一度彼女の頭を撫でてあげれば、今日は此処でお別れ。一人で家に帰る彼女を、小さく手を振って見送れば】
【自分も愛する娘が待つ我が家へと、娘へのお土産を携えて帰路に就くのだった―――】

//少し遅くなってしまいましたが、此方こそ有難う御座いました!
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/12(土) 12:45:01.02 ID:lC19oCgP0
【照りつける太陽を眺めながら、考えてみる】
【こうやって、かつての自分はこれを眺めていただろうか】

「………暑い……ってこういうことなのかな」

【それを目覚める前の自分が覚えているかというと、どうも自信がない】
【文献で知っている程度、ということなのだろう】
【自分が目覚める前は、この日の光が拝めない場所にいたということか】

「うん、そういうことなのかな……?」

【肩に届く程度に伸びた白色の癖毛】
【宝石を思わせる紅色の瞳】
【細く線の細い華奢な女性的な身体をした少年】
【白のカッターシャツに黒のベストを身に纏っている】
【両腕には「盾」を思わせる赤い刺青が入っおり 】
【首には何らかのタグのようなペンダントがついている】

【ぐっと、体を伸ばして太陽を一瞥する】

【かつての自分がどんな存在かわからないけれど、それでも】
【こうやって目覚めたのなら、今を生きようと思う】

【そうやって彼は、最近知った路地裏に入り込んで―――――」


『おい、あんた。どうしたんだ?こんな場所に来て…』
「え、いや、……その、家に……帰りたくて……」

【タイミングが悪かったのか、運が悪かったのか】
【そこにいたのは、不良の集団だ】

【5人ほど、全員が少年を取り囲むように】

『ちょーっと こっちにきてもらえるかな? 面白いものがあるんだがよ…?』
「面白いもの? な、なんですか?」

【少女と見間違うような華奢な少年】
【怪しい男たちに連れ去られる姿を、誰か見ただろうか】
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/12(土) 20:04:11.22 ID:SzKATwKOo
/>>290で再投下します
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/12(土) 20:52:19.03 ID:vfgyH7KgO
>>295

相変わらずだな、団長…………いや、フレデリックか。
よっ!久し振りだなフレデリック。

【そんな声が入り口付近から聞こえてくるだろうか、声の主を確かめようとそちらに視線を向けたのならば、そこに立つのは紛れもない嘗ての仲間の姿が】

【シルバーブロンドの長髪を前髪も集めて一本結びにし、瞳は海の様なターコイズブルー】
【十字の模様が刻まれた金のボタンの白い修道服を着用し、靴は厚底の黒いブーツ】
【歳や身長は彼と近いであろう男が、そこには立っていた】

【人指し指と中指を額からフレデリックを指すように振ると、ゆっくりと彼の元へ歩み寄る】
【そこでまず銀髪の彼、エルヴェツィオが気になるのはフレデリックの腕と、それから脚】

代わりの手足もどうやら手に入ったみたいだな、元気そうで何よりだ。
俺も退院したから来たんだがよ、どうも余り情報は入って来なくてさ。
ゼン=カイマで何かあったらしいんだが…………一体何があったんだ……?

【彼はきっと知らないのだ、フレデリックの持ち物にある指輪の事を】
【だからフレデリックに訊ねる、何かあったとは、やはり此処ゼン=カイマの大司教が結婚したというニュースなのだろうが……】


【ここからはその話の後の会話になるだろう、フレデリックの様子を見て彼はこう言う】

…………ところで、俺も退院してきたばかりだから、ちょいと身体が鈍っててな。
アンタが良ければリハビリに付き合ってくれねぇか……?デコイ相手じゃないハードなヤツをよ。

【つまりは模擬戦を所望しているのだろう、彼も武器を出さない辺り、能力無しの肉弾戦を】
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/12(土) 21:28:04.86 ID:J+FC4v4go
>>317

ん…、む……?……おぉ、エルヴェツィオではないか
この地を取り戻す為の決戦以来だが……息災だったようだな?
あの時は驚いたぞ。なにせ、人の身で物理的にヴァルゴを動かそうとしたのだからな

【ふぅ、と汗を拭った折にかかる声。見れば、かつての部下であり】
【同時に良き友であるエルヴェツィオが立っていて、僅かにその顔が綻んだ】

【――何となくだが、語り口もその表情も、前よりも柔らかな、そんな気がするかもしれない】
【その理由は直ぐに分かるのだが――まずは『久しいな』と言葉を返し】

……あぁ、やはり手足は無いと不便でな。上等なのを作って貰った

しかし、何だ……知らんのか?結婚したのだ、私とマリアが。
式も先日上げて…――其処に私の荷物が見えるだろう。有るぞ、指輪も。
カランコエの子供達も今や家族……子持ちだよ、この私がな

【案外、さっくりとそう伝えるのだった。堅物で近寄りがたい彼が、結婚し―】
【―それもエルヴェツィオからすれば同僚の彼女と――オマケに子供まで居ると言うのだ】
【勿論、血こそ繋がっていない。それでも、彼と子供というのは中々線で繋がらないワードだろうか】

【他にも突如として完成した教会の話だとか、「シャリエール基金」だとか】
【何かと今のゼン=カイマについて言葉を続けて――やがて、その後――】


……ほう?私は一向に構わんが、また病院送りになっても知らんぞ
カテドラル、魔術、そして能力……全て無しでも、私は私に自信を持っている…――

――――それを良く知った上での言葉だと、そう思っていいのだな?
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/12(土) 21:41:43.46 ID:utIwgf/go
【表通り】


【コンビニのすぐ近くで何やら一騒動起きているようだった】
【その原因は二人の人物にある。ひとりは服装からして明らかに警官だ】
【彼はもうひとりの服を掴み、「抵抗するな」「観念しろ」、などと叫んでいることだろうか】

【――もうひとり、警官から逃げまいとしている人物は10代半ば程の少年だった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年だ】


くそっ、離せよ――


【大の大人と力比べして勝てるはずもないが――そこそこ力があるのか、拮抗していて】
【何故こんなことになっているのか、それは少年の手を見れば明らかだろう】
【そこにはパンが二つ、握りしめられている。……万引きしたところを捕まえられたと想像するのは容易か】

【たまに起きるような光景だろう。すぐに事態は収拾するはずだ】
【ただ、少年から漏れ始めた黒い魔翌力が不穏な予感を漂わせつつある、が――】

【ちなみにこの時間だが人通りはまばらだ。故に彼らはかなり目立つ存在であることだろう】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/12(土) 22:16:56.23 ID:vfgyH7KgO
>>318

ああ……そのお陰で筋が切れちまったが…………見ての通り完全に回復した。
ほら、この通りしっかりと動かせるぜ、しかし前より細身になったかもな。

【そう言って腕を振ったり曲げたりしてみせてる、成程確かに回復したようで】
【また自分の事だけではない、フレデリックの変化も友であるが故に伝わる】
【以前よりも一層態度が変わったと思えた、それは当然良い方へと】

【しかしその理由は予想もしなかったことだった、きっとそれを聞いた彼の反応は……】

結婚……?誰が………………って、え…………?
…………いや、いやいや何言ってんだよ!いつの間にジョークまで言うようになってるなんてな!
ホント昔と変わった……………………マジなのか……?

…………っ〜〜〜〜!!何だよチクショー!俺の知らないところで結婚してるなんてよ!
しかもマリアとなんて、ありえねェ〜〜よォ〜〜!!

【本当に信じられないという顔だ、堅物なフレデリックがまさか結婚するとは、と】
【しかも相手はあのマリア、彼は思わず声を荒げる】
【……まあその後には「とにかく、おめでとう」という祝福の言葉もちゃんと伝えるだろう】


【その後、色々な話をフレデリックから聞いたのなら、いよいよ模擬戦の申し出へ】

よし、なら良い。病院送りなんかにはならねぇ自信もある。
俺の能力はお前の能力の弱点となるものだ、そしてお前のカテドラルはしなやかさで斬る俺のレイピアを余裕で崩せるだろう。
だからこそ同等な組み手を望む、準備は出来ている。

【修道服、そしてシャツすらも脱ぎ去れば、そこにはベッドで横になっていたとは思えぬ身体】
【それを見れば手加減など必要ないということが理解出来るだろう】
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/12(土) 22:19:44.91 ID:4yOk4AJso
>>290
/まだいらっしゃいますか?
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/12(土) 22:34:10.65 ID:J+FC4v4go
>>320

フッ……まあ、それが正常な反応だろうな。
私とて予想しても居なかった。自分が結婚し、子供を持つなどとは…。

……それと一応言っておくが、告白はマリアからだ
勿論、受けたのは私だが…――祝福の言葉は素直に受け取っておこうか
エルヴェツィオ、今度ウチに来い。共に彼女の料理でも食べて、話すことも多かろう

【――なんともまあ、人とはこうも変わるものだろうか】
【以前の騎士団長としての彼が、人を食事に誘うことなど考えられなかったが】
【或いは、子供たちの影響かもしれない。厳しい顔には、何処か明るさも見て取れた】

【そこから暫く話が続き――やがてエルヴェツィオが『準備は出来ている』と告げれば】
【フレデリックは首をコキリ、と鳴らして、何歩か距離を取るように後退し】

ふン……良かろう、エルヴェツィオ。確かに病み上がりの無鉄砲ではないようだ
なればこそ全力でその申し出、受けてやろうではないか……ゴングは、要るまい…――?

【そう言葉を返したなら、スッと上体を屈めて、左肩を前面に押し出す体勢――】
【つまりタックル≠フ構えを取る。グッ―と膨らむ筋繊維は、ギリギリと音を立てそうな程で】

【やがて数秒。フレデリックがそのまま真っ直ぐに突っ込む形で戦いの火蓋は切って落とされる】
【推定衝撃は瞬間的に数百kgにもなるだろうか――直撃だけは絶対に避けねばならない】
【だが、威力の反面軌道は読みやすく隙も多い一撃。小手調べと、そういうつもりなのだろう】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/12(土) 22:41:37.44 ID:SzKATwKOo
>>321
/大分遅れましたが、居ますよー
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/12(土) 22:44:34.84 ID:4yOk4AJso
>>323
/ではすぐに文章書いてきます、お願いします!
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/12(土) 23:00:34.43 ID:4yOk4AJso
>>290
「おー、なんだなんだ、野焼き、いや森焼きかぁ?」
「ちょっと常夜さん、こんなところまで僕を連れてきて一体何のつもりですか」
「あたしの事は蓮と呼べって言っただろ。何だか面白そうだから連れて来た事に文句でもあるか?」

【森を歩く二つの人影】
【一つは赤色、もう一つは、白色】
【真っ赤なスーツを着た高身長の女は、面白そうだと灰色の服を着た少年を引っ張りながら炎の方に向かって歩く】
【彼を引っ張る赤色――――常夜 蓮は頬を緩ませ口角を上げ、サングラス越しからも分かるような紅い眼光をギロリと光らせながら笑っていた】
【引っ張られる白色――――渚 詩音はため息をつき、諦観に満ちた顔で渋々とそれに付いていく】
【燃え上がる火柱が、彼の真っ白い肌を朱く照らし、彼の肌はオレンジ色に輝く】

「よぅ、あんたら面白そうな事やってるじゃねえか」

【そして火柱が上がっている現場に到着、女は笑いながらあたふたしている二人へと話しかける】
【少年は物凄く申し訳なさそうに二人を見て、変な事をしませんようにと願うばかりであった】
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/12(土) 23:08:43.55 ID:SzKATwKOo
>>325


「いやー、そうそう。 ちょっとばかり、芋を焼こうと思ってね。楽しそうでしょう?
 ──、って、そんな筈は無いよねぇ。 面白そうに見えるコレ?面白そうに?
 私の耳、遂に腐りだしたのかなぁ、あははは。」


【現れた二人組に神父は向き直ると──乾いた笑いと共に、そんな言葉】
【彼の後方では更に火の勢いが強くなっている。 中々シュールな光景だ】


…み、…水取って来ます!


【一方、少女は暫し絶句した後、広場の外へ走ってゆく】

【──広場を囲む樹木の隙間から、微かに見える『屋根』】
【近くに村でもあるのだろう。 そこに水を取りに行くようだが──さて、間に合うのだろうか】


/複数キャラ使うときは「」と『』みたいに使い分けると、どっちが話してるのか分かりやすいかも
/個人の好みではありますが
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/12(土) 23:17:22.04 ID:vfgyH7KgO
>>322

ああ、話したい事は山ほどある、暇が出来たらそうさせて貰う。
ま、今はこれぐらいにしておくか、それじゃあ…………

【フレデリックとの話もしばらくしたなら区切りをつけて終わらせる】
【そしてフレデリックに合わせてエルヴェツィオも距離をとる、やがて互いに近過ぎず、遠過ぎずといった間合いになったのならば】
【エルヴェツィオも腕を中段に持っていき、構えを見せた】

そうこなくっちゃあな、お前が相手だ、手加減しないぐらいが調度良いだろう。
…………必要ないな……動けばそれが、開始の合図だ。

【先に動いたのはフレデリック、彼の突進は先程の鍛練を見れば威力は容易に想像出来る】
【流石のエルヴェツィオであっても、今は正面から力比べなどという無謀な事はしない】
【エルヴェツィオがとる行動は実に単純、それはステップ、ボクサー等の格闘家ならば最も基本的な防御テクニックだろう】
【フレデリックを中心にするように、半円を描くような動きで回避する、そしてこれで彼の左側面に位置取った】

【そこからフレデリックへカウンターとして、右足を使い横に薙ぎ払うような蹴りを繰り出す】
【タックルの姿勢のままならば脚が一番に届くのは頭の辺り、元に戻すのなら胸の辺りか】
【何れにせよ、フレデリックならば読めてもおかしくない攻撃だ、動きも狙いも単純だ】
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/12(土) 23:24:01.28 ID:4yOk4AJso
>>326
「あぁ、愉快痛快だぜ」
「しっかしまあ、たかだか焼き芋でどうしてこんな事になったかねぇ……」
『貴方達呑気すぎやしませんかね、僕も水取ってきますから』

【呑気に笑いながら神父と思わしき男と話している】
【後方では容赦なく活き活きと炎が燃え盛り、周囲を呑み込まんとしている】
【そんな二人の姿に苦言を呈しながら少年は、少女の向かった方へ駆ける。どうやら少女を手伝うつもりのらしい】

「さーって、どうすっかねぇ。かるーく消化でもするかぁ?」

【少年を見送った女は伸びをしながらそう言うと、いつの間にやら大剣が握られているのが分かるだろう】
【まるで先ほどから握っていたかのように、当たり前のように自然に大剣を握っていた女】

「さーって、始めようか!」

【そう言えば大剣に水の膜のようなものが纏われるのが分かるだろう】
【これはもう誰が見ても明々白々に分かるだろう、能力を使ったのである】
【女は燃え盛る炎に臆する事なく炎に接近し、大剣を横薙ぎに振るうだろう】
【振るわれた大剣は、水の膜から水流を垂れ流して炎を消化しようとするだろう】
/これで大丈夫ですかね?
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/12(土) 23:28:31.14 ID:J+FC4v4go
>>327

【突撃の直後、エルヴェツィオが半円の動きで回避するのが視界の隅に映る】
【当然の行動だ――避けるなら右が左、そして自分の勢いがあるうちは】
【回るコマに手を触れるように、むしろ危険な行為。必然的に攻撃のタイミングは】


――ここだッ……!…――ッ、中々良い返しをするじゃあないか…!!
だがまだまだ…――此処からがようやく本番と云うものッ――!


【――じぃん、と振り向きざまに攻撃を受け止めた左腕にしびれが走る】

【フレデリックは砂が抉れるほどに踏み込んで突進を止めれば、左に反転】
【即座に攻撃を、腕で受けることで止めたのだった。そして直後】
【左腕で足を振り払うようにしながら、義肢の右腕を真っ直ぐにエルヴェツィオへと繰り出した】

【これはいわゆる掌底≠セ。狙うは彼のみぞおち辺りで、えぐり込むような一撃】
【喰らえば暫く呼吸すらも苦しくなることは必定だろうし、何より彼の攻撃は全てが重い】

【防御はそれこそ容易いが、幾らか後退することになるだろうか】
【或いは、回避も防御もしないで受ければ吹っ飛ばされることはまず間違いない】
【――だがこれで両腕が上がったことになる。その分、胴の守りは甘かった】
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/12(土) 23:32:49.27 ID:SzKATwKOo
>>328


【彼女の大剣から放たれた『水流』。 ──しゅう、と音を立てて、一気に火は弱まる】
【元々、『火種』は大きくなかったのだろう、意外にもあっさり、炎は消え去った】


「──、あぁ、成程。 能力者≠ゥぁ。
 何はともあれ、お陰で子羊は救われ…、…あーあー、芋がべちょべちょだ。」


【──神父が燃え残りの落ち葉から取り出した芋は、見るも無残な状態だ】
【それでも皮を剥くと、一口齧り。「君もどうだい」、と、半分に割ったそれを女性に差し出す】


…、…えっ、と──消えたんですか。
すいません、私のミスで。 有難うございます。

【少女の方は、何時の間にか戻って来ている】
【水を取りに行かんとする瞬間、後方で『消火音』が聞こえたので戻って来たのだろう】
【少年も、彼女を追いかける必要はなくなった筈だ】

/バッチグーです
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/12(土) 23:42:47.57 ID:4yOk4AJso
>>330
「おっ、なんだ呆気無い。そんなにデカイ火種じゃなかったんだな」

【フッと大剣はまた、何も無かったかのように消えるだろう】
【そして、女の方もまるで最初から大剣など持っていなかったかのようで】

「ご明察、ってとこだな。さっきのアイツも一応能力者だぜ?」

【笑みを浮かべながら女は答える】
【差し出された芋を「お、貰おう」と受け取り、頬張る】

『なんだよ、消えたのかよ……』
『最初からやれば良いのに……』

【軽く息を切らしながら、少年の方も戻ってきた】
【手があるなら最初からその手を打てば良いのに、骨折り損だと少年は不満そうだ】

「お、戻ってきたかー」
「どうだ、芋食う?」
『いりません』

【戻ってきた少年を見て女は食べかけの芋を差し出すが、即答で断られた】
【少年からすれば間接キスにあたってしまうので、冗談ではないのだろう】
【女は口を尖らせ、芋を食べ進める】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/12(土) 23:57:18.29 ID:SzKATwKOo
>>331

【少年も能力者だ、と聞いて、神父は「へぇ」と一言】
【──、能力者だからといって、珍しがるような人物ではないようだ】


「……えー、何だい。若しかして間接キスとか気にしてる?
 いやぁー、初心だねぇ。 私も昔はあったよ、そういう頃。初クンもそういうの気にする年頃かな?」

……じゃあ、私もう帰ります。

「あー、いやいや待ちなさい。 今からじゃあ森を抜けるには暗すぎる。」


【ぽい、と少年に自らの食べかけの芋を投げ──神父は、両手を上げて少女を制止】
【少年からすれば、男のならいい、という訳でも無いのだろうが】


「──さあ、あなたがただけで人里離れた所へ行って、しばらく休むがよい=v

「…、…と言う訳には行かないけどねぇ、私居るし。
 初クンと、それからそっちの二人も、今から帰るには遅いでしょう。
 どうだい。 そこの村の教会なら、幾つかベッドを貸せる。」


【彼の言う通り、夜も更けてきた──森は鬱蒼としており、闇に包まれていれば尚更だ】
【提案に乗るのなら、神父は三人をすぐそこの村の中、自らの教会へ連れて行くのだろう】
【──尤も、無理強いをするわけでもないだろうが】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 00:20:03.11 ID:3I51SEGPO
>>329

……っ、そっちこそ、見事な反応だな……ッ!!
来いッ!全て受け止めてやる……!

【フレデリックの一瞬の判断と反応力、流石は第三近衛騎士団の団長であったことはある】
【これならば寧ろ、手を抜く事こそ失礼というもの、フレデリックが全力ならば、此方も全力で応えるのが彼に対しての敬意というものか】

【ガードの直後に来るフレデリックからの反撃、義肢の腕による一撃】
【咄嗟に両手をフレデリックの腕と自身の鳩尾の間に滑り込ませる】
【結果、幾らかダメージは抑えられたものの それは決して軽くはない】
【よろけそうな身体を、戻した右足を突き刺すような勢いで地面に叩き付けどうにか踏ん張る】

ッ…………!そっちの腕も調子良さそうだな………………ッ!!

【そうフレデリックに対して呟くと、今度は此方の番だと次の行動に出た】
【四肢に力を込める、先程の攻撃を耐えきったからこそ反撃出来る間合いだ】

【今度は逆にフレデリックの鳩尾を狙っている、右の拳によるストレートパンチだ】
【鋭く研ぎ澄まされたそれをまともに食らえば、後退するのはパンチに押されてだろう、思い一撃だ】
【だが拳を構えている時点でエルヴェツィオの狙いを読むことが出来るならば防御も間に合うか】
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/13(日) 00:35:21.50 ID:Li7JrPvQo
>>333

【こちらが鳩尾を狙ったならば、その反撃もまた鳩尾へ】
【『見事』という呟きが、エルヴェツィオへの素直な賞賛として届くだろうか】

無論ッ!腕の良い技師に頼んだのだ、良くなくては困るというものよ!

【――だが、攻撃自体は通さない。今度の攻撃を受けるのは右腕だ】
【黒鉄の義肢で鳩尾へのカウンターを受け止めて、僅かに身を揺らがすものの】
【ニヤリと笑って左手を拳にすれば、それを後ろに引いたなら――】


…――私が守りに入ると思うか…?だとすれば……

    お前の負けだ、我が友――エルヴェツィオ・サルヴァドーリッ!!


【ジャリッ!と足下の砂を踏み込んで、むしろ一歩前へと進み出る―!】
【そのまま相手の攻撃とほぼ同タイミングになるだろう一撃は、左のストレート】

【狙う先は、エルヴェツィオの頬だ。その横っ面を、思いっきり殴り抜ける一撃ッ!】
【喰らえばさぞ重い一撃になるだろうことは、丸太のような彼の腕からも】
【そして鍛えあげられた肉体の、その勢いも込められている事を考えれば容易く予想出来るハズ】

【だが一方でこれは守りを捨てた行動でもある。反撃、となれば確実に食らわせることも出来るだろう】
【これをどう受けるかはエルヴェツィオ次第だ――フレデリックは、止まる気は無いようだった】
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/13(日) 00:36:34.73 ID:ZCe50/7xo
>>332
『そりゃ気にします、この人と間接キスなんてしてしまった暁にはさらに玩具にされそうですし』
「おーおー、手厳しいねぇ。素直じゃねえの」

【神父が投げた芋を受け取り、それを口にする】
【まあ、不味くはない味だ】

「お、さんせーい。もう遅いし、もちろん良いよなしーたん?」
『駄目と言ったところでどうせ聞かないんでしょ……ていうかしーたんってなんですか』

【諦め気味に少年は神父に乗る】
【まあ、こんな真っ暗闇の上に森の中、危険であるのは明白で】
【そして何よりも女が乗っているのだから、少年もそれに頷くしかないのである】
【女が絶大な権力を持っている事は、もう相手方にも想像がつくだろうか】
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/13(日) 00:47:07.42 ID:Jsyny82eo
>>335

【──少女も神父の提案に乗り、一行は、彼の先導で村へ向かうことになる】
【途上、名乗ることには神父の名がファン・イグナシオ=デルヴェッキオ=z
【少女の方は初≠ニいう名らしい】

【緑豊かな村を進めば、葡萄畑の傍に立つ教会が見えてくるだろう】
【隣には教会と繋がった『別棟』が存在しているが──イグナシオは先ず、教会の扉を開いた】


「別棟は、巡礼者のための宿泊施設でね。……ま、誰がこんなトコ巡礼するんだって話だけどさ。
 好きな部屋を使うといい。布団は近所のおかみさんに洗って貰ったばかりだから、黴臭くは無いよ。」


「…、…あー、一応主がおわします場所だから、男女は別室、ってコトで。」


【教会の中は、まぁ、『ごく普通の礼拝堂』といった所か】
【小規模ながらも講壇が設置されており、十字架、信者用の机も並んでいる】


──。 ……本当に神父さんだったんですね。


【初は中々に無礼な言葉を吐くと、周囲を見回す】
【──何もなければ、このまま各自別棟に移って就寝、となるだろうか】
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/13(日) 01:07:40.70 ID:ZCe50/7xo
>>336
【―――道中、名前を名乗られたのでこちらも名乗り返した】
【女は"常夜 蓮" 少年は"渚 詩音"と】

「ほー、良い村じゃねえか」

【辺りを見回して、常夜は言う】
【緑に囲まれた新鮮な空気、都会にはない素朴さが心に響いたらしい】

【さらに進めば、いよいよ教会が見えてきた】

「へー、ほー、まあ普通だな」
『そんな子供みたいに目を輝かせといて何言ってるんですか』

【常夜はサングラスからでも分かるくらいに目を輝かせていた】
【渚はそれを窘め、初の無礼な言葉にどう反応すれば良いか分からず、取り敢えず戯言として聞かなかった事に】

【さて、特に何もやる事がないので就寝だ】
【渚は自分の部屋に一人で行こうとするが、一株の不安が胸中にあった】

【―――――翌朝、矢張りというか何というか、その予感は的中してしまったらしく】
【目覚めれば隣に常夜が寝ており、「やっぱりな」と嘆息したそうな】

/これで〆ですかね…?
/ありがとうございました!
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/13(日) 01:09:23.30 ID:Jsyny82eo
>>337
/キリがいいので挨拶だけで、お疲れ様でした
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 01:11:17.61 ID:3I51SEGPO
>>334

【止められた、フレデリックがニヤリと笑ったならエルヴェツィオも歯を見せて笑って】
【それは受け止められる事を知っていたかのよう、それはフレデリックに対する信頼から来るものでもあった】


……思わねぇさ、お前なら絶対に攻めると知ってる……!
何年一緒に戦ってきたと思ってやがる? ……フレデリック・シャリエールッ!!


【フレデリックからのストレートは、きっとエルヴェツィオの頬をしっかりと捉え、強力な一撃を叩き込むだろう】
【ダメージは言うに及ばす、飛び散る汗と共に一瞬で赤く腫れ上がる頬を見れば与えたダメージは容易に理解出来ることだろう】

【しかしそれで終わらせるほど、相手を楽に勝たせるほど彼は甘くはない】
【彼に残された左腕、フレデリックの拳が頬に到達する寸前にエルヴェツィオはその腕を動かした】
【最後の最後にフレデリックの頬目掛けてのカウンターパンチ、当たるかどうかは分からないが、避ける事が出来たのならエルヴェツィオはその場に倒れ込んでフレデリックが勝つだろうし、当たったとしたら 立っていられるかどうかが勝敗を分けるだろう】
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/13(日) 01:27:50.42 ID:Li7JrPvQo
>>339

【左腕に感じる確かな重みに、フレデリックの笑みは自然と大きなものになる】
【だが直後にその顔は歪む――理由は単純だ、エルヴェツィオの拳が――】
【丁度、いわゆるクロス・カウンター≠ニなってその頬を打つのだから】

【――フレデリックは、車で表せばトラックやダンプの類になる】
【とてつもない重さと最高速を誇るものの、小回りが効かないのだ】

【回避できなかったのはそこに要因がある。だが逆に、避けられないのは分かっていたこと】
【だからこそ、強烈なカウンターを食らってもフレデリックはただ倒れなどせず】
【ふら、ふらと揺らぎながら――やがてドスッ、と膝を付くに留まって】


ぁ……か、ふっ……フフフッ……!
流石は元第三近衛騎士団の長を、代理とはいえ努め上げた男…。

……見事な一撃だ、エルヴェツィオ……久々に身に沁みたぞ
世の中には戦神と呼ばれる男も居るが、ヤツに優るとも劣らん…いや――
私の行動を知った上での選択をする心持ちを見れば、貴様の方が遥かに上か…。


【『ともあれ――』とフレデリックの言葉は続いた。膝は暫く、付いたままだ】
【自分から突っ込んだところに同じような衝撃が加わったのだから】
【恐らく脳震盪でも起こしかけているに違いない。心配は要らないが、勝利は最早難しく】
【しかしそれを悔やまない――そんな潔く明るい顔が、エルヴェツィオには見えることだろう】
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 02:10:24.85 ID:3I51SEGPO
>>340

【膝を付くフレデリック、それとほぼ同じタイミングでエルヴェツィオも同様に膝を砂で汚す】
【息もかなり上がっていて、体力も使い果たしたようだ、暫くは彼も動かない】


……ハッ……ハッ……ハッ……ヘヘヘッ…………
リハビリにしちゃあ飛ばしすぎたかもな……、まあ良い勝負だったと思うぜ。

……フレデリック、お前の拳も効いたぜ……?
例えどんな奴より優れていても、お前には及ばねぇさ……況してや今のお前にはマリアや子供達、護るものがあるだろう。
俺はとうの昔に無くなっちまったからな……今はお前達ぐらいだ。

【そう言うエルヴェツィオの言葉からは、やはり仲間を想う心が伝わるだろう】
【彼も変わった、聖地巡礼の前と、今とでは、顔付きも意志の強さも 】

【そして勝負は引き分けという形で終了となるだろうか、滴り落ちる汗が疲労を物語っている】
【これ以上続けるのは不可能、大人しく休むことを選ぶだろう】
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/13(日) 02:31:51.52 ID:Li7JrPvQo
>>341

【ニッ、と笑って、フレデリックは砂地に腰を下ろすのだった】
【僅かな時間の勝負だったが、ドッと汗が吹き出す】
【どれほど緊迫した戦いだったかは、それを思えば分かろうもので】

フッ……その通りだ、私には護るモノがある。
実に重く、大変だが……護りがいのあるモノが沢山、な

……そう言うなエルヴェツィオ、護るべき物は自然と出来る。
私とて、父も母も亡いようなもの。……お前、今後の事はどうするつもりだ?
ゼン=カイマに残っても、既に騎士団は無い。日々祈りを捧げて
子供達を教え導き、都市の再興に尽力する……勿論、それも良いだろうが…――。

【強く仲間を思う気持ち、言葉の一つひとつを取ってみても彼は変わった】
【聖地巡礼――大きな惨禍を招いたが、エルヴェツィオのような男が、それで生まれたのなら】
【それはそれで悪くもなかったのか、とフレデリックは思う。――そして、言葉を続け】

お前には人を想う心が有る。剣の腕も、恐らく其処らの戦士では敵うまい
騎士としての誇りを内に秘め、ささやかながら術式への心得もある

……それを、何処かで活かすという道もあるのではないか?
無論、此処に留まるというのなら歓迎しよう。互いの全てを知った友は得難いものだ
だが果たしてお前のような才能を、此処で眠らせるのもどうかと、そう思う気持ちも在る――。

【――と、そこで一つ、言葉を区切るのだった。うまく言葉が見付からない、そんな具合か】
【外に出て新たな道を探す。こればっかりは――他人が決めるものでは無いから、難しい】

/っとすみませんが、そろそろロールの凍結をお願いしたく…!
/明日は戻るのがかなり遅いので、月曜以降で都合の良い日など有りますでしょうか?
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 02:50:11.54 ID:3I51SEGPO
>>342
/了解しましたー、月曜は8時頃から、火曜は9時頃からは空いてるかと思います!
/もしそちらが忙しいようでしたら置きレスでも構いませんので!
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/13(日) 02:55:19.32 ID:Li7JrPvQo
>>343
/ありがとうございます、でしたら月曜8時頃再開でお願いしたく思います。
/その時間になりましたら舞台裏で呼びかけさせてもらいますので…!

/それではすみませんが、お先に失礼致します!一旦、お疲れさまでしたっ!
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 03:02:00.81 ID:3I51SEGPO
>>344
/お疲れ様でした!お返事は後程返しますので!
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/13(日) 18:53:08.57 ID:nibypctIo
【路地裏】


……むぅ、逃げられたのじゃ
小物の分際で逃げ足だけは立派なやつじゃの


【陰惨とした空気と、血や廃棄物の混ざった異臭が漂う夜の路地裏】
【そんな中に不釣合いな、小柄な少女が一人きょろきょろと周囲に視線を送っていた】

【身長は140cm程度であろうか。長く伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳を持ち】
【桜色の簡素なデザインの着物に身を包んだ少女である】
【胸元には"SCARLET"の所属であることを示す緋色の鷹を模したワッペンが取り付けられていた】


仕方ない……ここには長居もしたくはないしな
明るくなってから改めて探しに来るとするのじゃ――


【少女は面倒くさそうに一度髪を掻き上げる仕草をして、身を翻しその場を後にしておこうとする】

【表通りに戻る途上で何かを見かける、もしくは擦れ違うような事があれば少女が反応することもあるだろうか】
【また、もし近くで物音や事件などが発生した場合も何らかのアクションを返すかもしれない】


【――】



【ところかわって、町外れ】


うーん……やっぱり新しい物が作れたら、面白そうだよね……
アクセサリー……もっと可愛いのとか格好いいのとか作れたら需要ある、のかな?


【賑やかな中心部から離れ、閑散とした雰囲気の漂う町外れ】
【その一角に建つ小さなお店の前で、花壇のレンガブロックに座りながら本を読む少年がいた】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【少年の読んでいる本の表紙が目に留まったならば】
【それがネックレスやブレスレットといったアクセサリーの作り方が記されているモノだと察することが出来るだろうか】

【少年はペラペラとページを捲りながら】
【一人ああでもないこうでもないと呟いて、ランタンのボンヤリとした灯りの下夜の時間を過ごしていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物である】


【本日もまったりと開店中であった】
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/13(日) 20:51:13.33 ID:nibypctIo
>>346
/もうしばらく置いときます!
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 21:03:51.01 ID:qnurx3oS0
【風の国 総合病院付近】

【風の国の中でも最大級の総合病院に面したこの大通りは、かなり交通量が多い事で知られている。】
【色んな色の、色んな車種の車が、みな中々のスピードで走り抜けるのだ……甲斐あって、渋滞は出来にくい、】
【しかし、不意に男性が放つアナウンスがあれば話は別で―――どの車も、丸で一斉に言う事を聞くのだから面白い。】

【一方その救急車は、その辺の映画のカーチェイスよりも凄まじいテクニックで、救急入口まで走る。】
【―――救急車のサイレンの音が、徐々に近づいて大きくなる。】
【待機していた職員達がチームワークと手際良く担架を降ろし、やはり物凄い勢いで中へ入って行く……。】

【……と、通報があってから、急患に治療が施されるまでにかかる時間が極めて短いのは、恐らくそうした理由だ。】
【病院を今まさに出ようとするこの少年が助かったのも、結局はその場に居合わせた全員のお陰な訳で。】
【……だからこそ、彼の信念がより一層強くなった。生と死にまた足を突っ込んでしまったのは、少々アレなのだが、】

【グレー色のシンプルなパーカーに、ポケットが沢山ついた茶色のバギーパンツ。黒目黒髪の、ありふれた見た目、】
【ただ一つ注目する点があるとすれば、それは首に巻かれた包帯だ、その厚さから大した事が無いのは分かるが、】
【まあ怪我したんだろうなと、近くに病院があるのだから、治療してもらったその帰りなのだなと、】
【そうした事を色々と、通りすがる人から思われてしまうことだろう。……まあ別に、それはどうでも良いのだが、】

【さて少年は、大通りから一本入った道、一気に都会の喧騒は聞こえなくなり、明るさも極端になくなる、……路地裏に入った。】
【病み上がりというと少し違うが、まあ怪我が治った帰りなのだから、もちろん特別何かをしにきたという訳ではなく、】
【ただ単に、帰る道としてここが最短経路だったという、それだけの理由。だからこそ、……少々、早歩きだった。】

/よやっくですー
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/13(日) 21:20:51.55 ID:Jsyny82eo
>>346


 ── SCARET=B


【その場に背を向けた彼女に、路地裏の奥から声がかかった】


…、…の、構成員、とお見受けする。
申し訳ないが、この『カス』を預かっては頂けないか。
オフにいきなり襲われた所だ。 持ち帰っては後処理が面倒で敵わん。


【身に纏っているのは水国高級ブランド『エスカレード』の3ピース。襟元には金狼≠フバッヂ】
【怜悧な印象を与える碧の右眼。左眼は眼帯に覆われている。癖のある銀髪をした三十路の男】


【しゅる、しゅる、と地面と絹が擦れる音は、彼が引きずっている気を失った機関員≠フ立てるものだ】
【彼の言を信じるならば、『戦闘』の結果なのだろう、幾分かの負傷が見て取れたが、重傷でもない】
【──、彼女の探していた『小物』が、この男か否かは、定かでないが】

/まだいらっしゃいますでしょうか
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/13(日) 21:20:55.76 ID:xG8sIa4jo
>>348
【きしり】 

「さて――――」

【ぎしり】

「――――行くッスか」

【きしり】

【何かが軋むような音響が極々小さく響き。小さなつぶやきが、風に乗って消えた。唐突。少年の真上から殺気が迫っただろう】
【頭上から迫り、脳天を叩き割ろうとしていたのは――双斧。鈍色の分厚い刃の手斧は、容赦なく殺意の元に青年を狙いすましており】
【青年の身体能力や、警戒にも寄るが――並≠ナあれば、必至の死を避けられないだろう、練度の一撃では有った】

【青年が落下する殺意に気がついたならば、それが女である事はわかったかもしれない】
【口を覆う布で顔は半分以上隠されており、後ろに纏めたプラチナブロンドの頭髪とエメラルドグリーンの瞳だけがかろうじて個人を判別させる基準で】
【服装は、防弾防刃繊維のカットソー、下はホットパンツに防弾防刃繊維のタイツと音の漏れづらい地下足袋のような靴】
【腰には大量のナイフと、金属製の試験管のようなもの。その試験管は両手首と足首にも一本づつ。そして背には一本の音叉のような形の杖が背負われていて】

「仕事ッスからねぇ――」

【当たろうが当たるまいが、女は空中で体制を変え、映画のワイヤーアクションのような動きで青年から5m程離れた場所へ位置取る】
【警戒を怠らないのは、女の臆病さと、経験。そして、相手の強さを良く知っているが故】
【と言っても、この女のような小物を――相手は覚えていない可能性は、十二分にあり得ることだろう】

【重心を下げ、目を細めた女は、両手の斧をくるりと回して】
【相手が当たったならば相手の状態を確認、当たっていないのならば後ろに引く体制へと移り変わるのであった】

/*よろしくお願い致します!*/
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/13(日) 21:35:14.24 ID:WLB+E6KOo
【路地裏】


……………………、


【宵闇に沈んだ隘路のただ中に、少女がひとりうずくまっていた】
【雪のような肌には疵一つ無く、肩口で揃えた白髪はまるで天蚕糸を束ねたよう。双眸すらごく薄い蒼に染まるのみで、およそ色素というものが抜け落ちた外見だ】
【純白の一言に尽きる外見は暗い路地裏とは対照的ではあるが、あまりにも白すぎるその容姿は、もはや無色透明なすら見えるほど】
【一度発見さえできれば浮き世離れした風体は目立つだろうけれど、まずもって発見するのが難しい。そんな、ひどく存在感に欠ける少女である】

【………ただ、身形自体は小綺麗で、路地に踏み入るような人種には見えない】
【肩に垂れ下がるサイドの髪は丁寧な三つ編みに結われ、黒いレースリボンで留められており】
【服装も空色のフリルワンピースにグラディエーターサンダルという可愛らしいもの。路地に入ってしばらく経つのか、少々汚れてはいるけれど】


「――――――――クソッ、また見失った! あのガキ、すばしっこい…………!」

「なんかの能力か………!? とにかく探せ! 見つけちまえば報酬は俺たちのもんだ!」


【そんな少女がなぜこんな場所で、室外機やダストボックスの隙間に埋もれるように膝を抱えて、茫洋と地面を眺めているのか――――】
【遠くから反響してくる複数の男たちの声と足音が、その答えとなっている。少女は何者かの集団に追い回されているようだ】
【男たちを観察すれば、全員が体のどこかに身につけている金十字≠フエンブレムから、彼らの所属している組織が特定できるかもしれない】

【――――さて。少女の現在地は、表通りからかろうじて見える程度の深みである】
【どちらにしても存在感の希薄さのせいで見つけ辛くはあるけれど、表側からでも裏側からでも、誰かが現れる可能性は等しくあり得るのだろう】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 21:43:15.95 ID:qnurx3oS0
>>350

【歩調を緩める事はなかった。明らかに不審な何かがこの耳に届こうとも、動じない。】
【あるいは、聞こえていない"振り"でもするかの様だった。……流石に頭上から来たのは意外だったが、】
【その女性には彼女固有の経験がある様に、この少年にも経験がある……実は半分以上、失われているが、】
【しかしこの不意打ちを回避するには、それだけで十分だった。サマーソルトの要領で"何か"を弾くか、】
【出来なければ出来ないと判断したその瞬間に距離を取ることを判断し、少々大きめのバックステップ、】
【どちらにせよ彼女の手には、彼女が望む感触は伝わってこなかった筈だ……しかし想定内、だろうか。】


―――……誰や。

【放った言葉は極めてシンプルだった。……と言うのも、月明かりを通して見える彼女の姿、】
【防弾防刃を全身兎に角着こなし、それから替えのナイフが大量、良く分からないが他にも何かが手首足首に備わっていて、】
【準備万端、……その"準備"を怠らない所を見る限り、相当な実力者……かなりの経験を積んでいると見たのだ。】
【生憎髪と瞳だけが露わとなっているだけでは誰と認識することが出来ず、……否、理由は必ずと言って良い程異なる筈だが、】
【とにかく此方も戦闘準備に入らなくてはならないということは確かだった、彼女と同じ、少し構えて、】


………狙ったん? 俺今、結構やばい状況なんやけど。

【微かに笑った。……何の意味を含めているのかどうかは分からないが、しかし彼女の瞳を見て離さないのは事実、】
【少年は必ず相手の出方を窺う。……自分からは何をする事もない、その代わり彼女の行動を知覚出来る限り全てを、】
【逐一暗記し、その次一瞬の行動をあらゆる可能性から導き出す……今もこうして、リアルタイムでそれが行われている。】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/13(日) 21:44:22.47 ID:nibypctIo
>>349

――――


【突如として掛けられた声に少女は振り返った】
【そして数瞬の間、男の姿を視界に入れて様子を窺った】
【場所が場所だ、最大限に警戒して損はない】
【彼から掛けられた言葉とその内容を吟味し、警戒心を残したまま】


……うむ、確かにわらわはSCARLETの隊員なのじゃ
御主の事情は理解した、協力感謝するぞ


【ゆっくりとした足取りで男に向かって歩を進めていく】
【好意的とも呼べる声とは裏腹に】
【目には一挙手一投足を見逃さぬとばかりの鋭い光を宿しながら】

【もし何事のなかった場合は、彼から数歩の距離まで近づいてそっと右手を差し出すだろう】
【機関員の搬送を承るという意思の表れだ。手で受け取るというわけではないが】
【近くの地面に放るなり、こちらに渡す挙動があった場合"其れ"に向けて次のレスに行動を起こす】

【何らかの語らいをする場合は、あと幾ばくかの時間が必要だろうか】
【上記のやり取りが穏便に済めば、それも可能になるかもしれない】

/発見遅れました、よろしくお願いします!
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/13(日) 21:54:54.26 ID:Jsyny82eo
>>353

【──少女の『警戒心』に、男の『右眼』も鋭敏に反応する】
【敵意の種を愉しむような色。 決して、正義に燃える士≠フ持つものではない】


…、…心配無用。 SCARET≠ニ事を構える様な真似はせん。
水国軍少佐、『ロロケルム・ランガスター』だ。 尤も、証明しろ、と言われれば骨が折れるが。


【どさり、と、彼によって投げられた男は音を立てて、少女の近くに落ちる】
【彼の衣服には『機関の紋章』。機関員で有ることには間違いないだろうが、それほど『上級』でも無さそうだ】


── 最近は雑魚が騒がしくて困るな。
『対機関連合』と『Justice』が表舞台から去ってからは、尚更だ。
その分、君達『SCARET』の活動には大きな意義がある。


【少女の鋭い視線を受けながら、懐に手を伸ばし──】
【取り出したのは、単なる『タバコ』だ。 「一服しても?」と、彼女に伺いを立て、軽く笑みを浮かべた】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/13(日) 21:59:28.32 ID:xG8sIa4jo
>>352
(――やっぱり、なあ――。そうだろうと思ったんだよなァ。
……こりゃもー、本気で行くしか無いッスか。金の為に――ね)

【弾かれる感覚。空中で体制が崩れ、両手首から発射されているワイヤーを引き戻す動作】
【右腕のアンカーを外し、空中で錐揉み回転。そして、左手のワイヤーを引き戻し、移動】
【両方のアンカーを外す事で空中で自由になり、回転しながら地面へと着地。衝撃を殺す】

「……どうでも良くないッスか。どーせ死ぬんスから」

【少年の問いかけを受けた女の返答は、挑発でも何でも無く、単純な殺意を表すだけの言葉だった】
【しかし、女には敵意も戦意も無い。有るのは殺意。敵意が無くとも、戦意が無くとも。殺すことは出来る。此処に居たのはそういう女だった】
【女を観察すれば、確かに一定以上の練度を誇ることは明らかだと分かるものだ。だがしかし、どこと無く泥臭い、何かが足りない】
【所謂二流だとか三流だとか。そういう、一級には決してなれない――そんな類の存在であることを認識できるかもしれない】

「――ヤバイならやりやすいスね。死んでもらうッスよ。金のために――ッス」

【そして、少年が負傷している事を知った上で、容赦なくそこを狙うことが出来る人間】
【要するに、女は武人ではなかった。女は戦士ではなかった。だが、女は殺人者としての一定以上の適性は持ち合わせていた】
【地面を蹴る。なんてことはない、前方への加速。右手の斧を振りかぶる。きしり、と何かが軋む音――投擲される手斧。狙いは胴体】
【そして、その斧の後ろを追うようにして地面を蹴り、左手の斧を首筋へと叩き込もうとする】
【投擲された斧と女の間には、キラリと光る極細の線のようなものがある。この暗闇では、視認するのも困難であるかもしれないが】

【胴体と首筋を狙う、容赦無いそれは殺害を意識したもの。必殺技などいらない、殺す攻撃が当たれば死ぬのだと。そう言わんばかりの殺法≠フ群れ】
【少年の観察の結果は定かではないが、この女が殺しの経験が多い事だけは間違いなく理解できただろう】
【そして、それらの動作のどれもが洗練されているが、どこと無く精彩を欠いたもの。青年が一流≠ナあれば、防ぐことも回避する事も不可能ではない攻撃だったろう】

「……B。3、30。OK」

【ぼそりと、接近しながら呟いた言葉。それは単なるアルファベットと数字の群れ】
【だがしかし、何らかの意図を持った言葉だったのだろう。女は弱くはない。だが少年の相手をして十二分に渡り合うレベルではないかもしれない】
【そして、そうなのであれば。この準備万端な女が、何の準備もしないとうことは決してあり得ないだろうことに、気がつくかもしれない】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/13(日) 21:59:31.81 ID:WVfMOhGdo
【とある街中にて】
【休日のこの時間帯ということで人が多いのはいつものこと】
【だけど今日はそんな人々がとある一定の場所にわらわらと募っている、まるで光に寄せられた虫の様に】

悪は罰せられる運命なのです!とご師匠様が言っておられました!

【その群衆の中心から声が発せられる度に群衆は手持ちの携帯で写真を撮ったり、怪訝そうな視線を送っている】
【どうやらこの声の主が群衆を寄せ付けている張本人なのだろう】

分かりましたか?人の物を取っちゃう事はイケない事なんです!分かったらごめんなさいしてください!

【群衆に囲まれているのは魔法少女の様な物凄く悪目立ちする服に身を包んだツインテールの少女】
【背中に縫い付けられた羽とツインテールをまとめている巨大なリボンが話すたびに上下に揺れ動いていた】
【騒動の発端はどうやら万引き犯を捕まえたことらしいが、正直それよりインパクトが強く群衆の目はすべて彼女に向けられている】

さぁて…これからいったいどうしましょう。
私にはこの世界のことがよくわからないので――――

【万引き犯も少女と一緒に居るのが小恥ずかしいのかすぐに謝るが、少女は解放することを良しとしない】
【どう対処するか――は知っているのだが、この状態で携帯を出して通報だなんて魔法少女らしからない事はしたくないのだ】

357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/13(日) 22:16:09.13 ID:nibypctIo
>>354

……そうならば、よいのじゃがな
わらわとて、無意味に力を振るうことは好まぬのじゃ

別に疑いはせぬよ、ロロケルム・ランガスター。
わらわの名はカミナ・ゲルギル。SCARLET隊員として、確かにその男は預かったのじゃ


【未だ友好的と呼ぶには浅いが、明確な敵意には至っていない】
【男の瞳からある種の"異常"を感じ取ったが故に、ある程度の距離を保ったままだが】
【現段階ではこちらから攻撃を仕掛けることも、会話を切ることもしなかった】


         【<貴宝院流不切正方形一枚折り・やっこ>】


【足元に転がった機関員に対して、カミナは術を発動する】
【少女の右方の空間が歪み、巨大な紙のようなものが出現……】
【まるで見えない手に触れられているかのように、空中でパタパタと折られ始める】

【数秒と経たぬ内に、正方形だった紙は何かを模した形状へと姿を変えた】
【それは一般的に"やっこさん"などと呼ばれる折り紙であった】

【人間の上半身をモチーフにしたその折り紙は、神気を込められることで特性を得て】
【短い袖のようになった腕部からしゅるり……と細長い紙の腕を出現させて】
【機関員の体をロープで簀巻きにするようにしてぐるぐると拘束し、伸ばした腕を引き戻すことで手元に寄せて肩に抱え上げた】

【非常に特異な能力である。櫻の国にはこのような術の使い手が見られるようだが――】


――いつの世もそれは変わるまい。

Justiceが健在であった頃も、UTとSCARLETが剣を掲げている今も大した違いはないのじゃ
カノッサ機関は未だ勢力を保っておるし、知らぬ間に次々と新たなテロリスト共が暴れ出しおる

無論、SCARLETとして最大限努力はするが、根本的な解決を成すにはまだまだ難しそうじゃよ
目先の問題を片付けて回るので精一杯なのじゃ――


【まるで当時を知るかのような口調で、彼の言葉にそう返事をして】
【「好きにするがよい」、と喫煙に関しては特に問題なく許可を出した】
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/13(日) 22:19:34.00 ID:G1flGvXCo
>>351

【カツカツと路地裏の裏側≠ゥら歩いてくる者が居た】


─────お困りっすか?


【ヒーローが誰かを助ける時、飄々とそんな言葉を投げかけてくれるはず】
【だが、その声は窮地に陥った少女ではなく、路地裏を駆け回る男たちの一人に向けてのものだった】


 【スチールグレーの髪と頬の黒斑が特徴的な十代中盤に見える中性的な顔立ちの人物】
 【大きめのワイシャツとジーンズの上から羽織を腕を通さず改造してマントの様に着用している】


お兄さん方、何か探しものでも?
モノ探しにはちょっとした定評があるんで、力になれるかもしれないっすよ!


【へへッ!と得意げな表情で親指を自分に突き立てる彼=Bどうやら、事情を察していない単なるお人好しの様で、】
【男たちのエンブレムを見てもその組織に結びつかない世間知らずでもあると推測される。男たちはそんな彼をどう扱うだろうか──】

//まだ居らっしゃるだろうか……!
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 22:27:13.47 ID:qnurx3oS0
>>355

……殺し屋なん? 俺には縁のない人やと思うけど……
人違いやないん? "ね こ や ま" やで、俺の名前……
……まあ、色々言うても、そっちは殺した後考えればええんやろうし、……な。


【斧は弾かれた、となればその衝撃が彼女に渡る筈だが、ワイヤーの強引な力のお陰でバランスは保たれ、】
【……恐らく、そこまで計算済みだったのだろう。近接戦が出来る事を知っていたのなら、】
【自分の事を知っている人間か、それともその関係者か―――金のために、というのなら後者の可能性が高そうだが。】

【くっちゃべっていれば彼女は仕掛けてくる。何重にも仕込まれた、しかしたった一度の攻撃。】
【投擲された斧は身体を逸らす事で回避、その瞬間、やはりワイヤーらしき線を見て、】
【それから彼女の足の速さを見る。……狙いは当然だろうか、自分の首元で、】
【更に彼女からも一線の銀の煌きが走る……何も無ければ分からなかったかも知れないが、】
【先程彼女がワイヤーを使用して距離を取っていた事から、彼女の思惑を発想するに至った、左手でグイッと強引に掴んで、】
【右手で彼女が斧を持つ腕を捉える、力比べなら勝てると見たのだろうが、その行方は分からない。】

【しかしどちらにせよ、少年は一瞬顔を歪ませた―――恐らくは、首の傷、まだ痛むのだろう。】
【それなりの事ならポーカーフェイスとして済ませるということまで彼の事を知っているのなら、その痛み程度まで推測出来る筈で、】
【少年にとって今は"ヤバイ"状況であると言うのは……どうやら、嘘ではないらしいと分かる。】

【―――恐らく、少年は一流だ。努力は当たり前の世界、それでも今までこうして生き残ってきたのは、】
【単なる偶然の重なりと言う訳ではないのだろう。そこには必ず、一流と呼ぶに相応しいセンスがある筈で、】
【しかしコンディションが最悪となれば、話は別だろう……今まさに、こうして下克上が起きようとしているのだから。】


…………、―――。

【少年は尚も、何も仕掛けない……と言うよりは、回避に徹するだけの余裕しか無いのだろう。"出来ない"のだ。】
【彼女の行動を一つ残らず良く見続け、隙が生まれたのならそこに漬け込んで、逃げるしか無い、】
【……全身を使って戦う少年にとっては、それしか出来なかった。ジッと我慢するしかなかった。】
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/13(日) 22:36:14.64 ID:Jsyny82eo
>>357

【煙草を掴んだ手を軽く上げて礼を示すと、ライターで火をつける】
【煙を吸い込んで──、夜の空に吐き出すと、「ほう」と声を出した】


…、…面白い術だ。 櫻の出かな、『ゲルギル』君。


【「ゲルギル」のところに、妙なアクセントが掛かった】
【──苗字が櫻のそれには聞こえない、と言いたいのだろう】
【尤も、それが貴宝院流≠ナあることも知らないし、想像でしかない邪推なのだが】


あぁ、私の知己も同じ様な事を言っていた──。
彼に言わせれば、その「目先の問題」を解決することが肝要、との事だったが。
森島という男だ。 …、…ご存知かな、ゲルギル君。


【──わざわざ、『知己』の個人名を挙げたのは違和感≠ェ有ったからかも知れない】
【まるで、「当時」を知るかのようなカミナの口調】
【何の確信があるわけでも無いが、訊いても損はないだろう、と】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/13(日) 22:41:33.90 ID:xG8sIa4jo
>>359
【実際の所は、前者。そして――後者でもある。かつて敗北したとはいえ、女にねこやまを襲う理由はなかった】
【そも、一度敗北した人間に再度挑むなど、この女の思考からは先ず行われない選択だ】
【復讐だとか、リベンジだとか。そんな生きることに不必要な、金にもならないプライドからなる行動など、不要なのだ】
【だが、理由ができた。それは、金。金がかかったならば、再度挑むことも考慮に入る。一度負けているのだから、負けた要素を潰して、確実に準備を重ねれば良い】
【そして、準備を重ねた上で――女は、ここにいて、ここに再戦を挑む結果となっていた】

【回避された斧。それを、腕の巧みな動きとワイヤー裁きで操作。軌道が上に跳ね上がる。斧を避けられることは考慮の上で】
【――避けられる事を予想した上での、投擲。そして、その狙いは――未だ分からず】
【掴まれたワイヤー。しかし、振動などによって操作されるそれ。そして、極細かつ滑りやすいその繊維は、掴まれる手のひらを滑って巻き取られていく】
【右手で囚われる左腕。女は鍛えてはいるものの、それ以上でも以下でもない。唯の女の腕力が、一流にたやすく叶うはずは無く】
【こうして捉えられた女。だがしかし――捉えるということは、捉えられるという事と同義。背後から銀刃が迫っていた】

「ハッ……」

【このまま女を捉えていれば、少年の背から斧が迫り、突き刺さることとなる】
【最初の予定では、斧を回避された後で、背後からの斧と正面からの斧による、一人での挟み打ちを想定した行動】
【しかし、捉えられた結果として前からの斧の攻撃は機能せず。しかしながら、背後からの斧は膠着するだろう状況を動かすのには十分な行動だ】

【捉えられた左腕。そのグローブの手首からワイヤーつきのアンカーが射出される】
【この至近距離では細かい制御はさほど出来ない。だが、ある程度の方向程度は決められて】
【右腕からのワイヤーが遠心力を帯びた軌道を描き、青年の首に巻き付こうとする事だろう】

「……ジャイアント・キリング。できそーッスね」

【そして、同時に相手の股間へと膝蹴りに寄る金的。少年が男であれば弱点である事の間違いない場所】
【普段着であることからファールカップなどもつけていない事を予測し、容赦なく右膝が相手の股間を叩き潰そうとする】
【死線を超え続けてきたからこそ可能だろう、状況に対する素早い行動の取捨選択】
【攻撃のどれもが、一流のそれには程遠いもの。だが、その行動の選択の速さと、迷いの無さに関して、女の経験が力となっていた】
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/13(日) 22:47:52.29 ID:WLB+E6KOo
>>358


「――――あん? 何だテメェは………?」


【仲間と手分けして路地を駆け回っていた男のひとりが、新たに現れた少年の言葉に振り返ってみせるだろう】
【じろり、と少年を上から下まで眺める視線は剣呑だ。鬱陶しいと言わんばかりの表情から色濃い警戒が伝わってくるだろうか】


「…………フン。まぁ、こんな場末に平気な顔して踏み込んでるんだ、素人ってこたぁねえか。
 俺達は………いや、俺はとあるガキ≠探してる。十代前半か中盤ぐらいの女だ。ちぃと………そう、親御さんから頼まれちまってな。
 で、その定評とやらは何だ。話だけは聞いてやるが、俺達も暇じゃないんでな。早くしろ」


【男は最初こそ、明らかに邪魔そうに少年を見やっていたものの、何か思いついたような表情を浮かべた後で考えを変えた】
【『俺達』ではなく『俺』と捜し主を自分一人に絞った上で、簡潔に事情が明かされるだろうか。最後に嘘八百の理由を付け加えつつ】
【どうみてもそちらを舐めきった態度。少年の力量を見込んで、という訳ではなさそうだ。役に立てばそれでよし、もし役に立たなければ――――、】

【………少年は気付いていないようだが、相手はかなり大きな『テロ組織』の一員である】
【下手な言動をすれば非常に不味いことになってしまうだろう。彼らの探す少女≠フいる位置はまだ遠いが、少年はどう動く――――?】


/気付くの遅れてすみません、よろしくです!
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 22:48:52.26 ID:Td3bPXQWO
>>342

そうだな…………平和ってのは悪くない、いや、良いに決まってる。
寧ろ、その為に今まで戦ってきたんだ、此処もまたきっと元通りになる。
そしたら………………ん…………?

【言葉の途中だが、フレデリックの「それも良いだろうが」から続く台詞がそれを遮る】
【今まで寝ているだけで、出来たのは祈りを捧げる程度だったエルヴェツィオ、ようやく傷も癒え これから本格的に復興を手伝う事が出来ると意気込んでいたところで、フレデリックからの提案を受けた】

【突然の事ではあるが自然と驚きはしなかった、フレデリックの真剣な眼差しがそうさせたのか】

………………活かす…………か…………
……なら、悪いがの提案は却下しておく。

まだやるべき事が此処には多く残ってる、それに、例え第三近衛騎士団が解散しても、まだお前達への友としての繋がりがあるだろ……?
お前達が心配でおちおち外界なんぞに出掛けてられねェよ。
…………それでもまだそれで良いのかと聞くようなら、こうしよう………………

俺のやるべき事、全部終わったらお前のそれ、考えといてやるよ。
……だからまだ、今はその時じゃない。それに俺を活かしてくれたのは、俺をここまで成長させたのは、他の何処でもない、此処だ。

…………だから今は、ここに居るよ……構わないか……?

【それがエルヴェツィオの答え、やるべき事が全て終わったのなら、その時に歩み出すと】
【騎士団があったからこそ今の自分が居る、それは紛れもない真実だから】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/13(日) 22:52:54.61 ID:nibypctIo
>>360

まぁの。珍しいが、向こうの国では多少は知られた"術"なのじゃ
今はこの国の家に名を置いておるが故、もう何年も足は運んでおらんがな――


【"妹(シーナ)"は兎も角"自分(カミナ)"は櫻の国に踏み入っておらず】
【今は獣人僧グー・ゲルギルの家の養子として籍を置いている】
【決定的な真実こそ語ってはいないものの、嘘も告げてはいなかった】


……森島、か。わらわの知っている男と同じかは知らぬが
もしあやつならばきっとそう言うじゃろうな

しかし、目先の問題だけでは解決にも繋がらんのじゃ
正義を掲げた組織は、身勝手なテロリスト共が活動出来ぬ程に強い"抑止力"にならねばいかん

個々が人知を外れた異能を発現するこの世界では、限りなく難しいことやもしれんが……そうなる必要が、ある


【意志一つで人を殺し、街を破壊するだけの"異能"を持つ人間が無数にいる世界】
【警察機関がまともに機能していないように、それらを縛り付ける"正義"を確立する事は難しい】
【彼らと渡り合える人材は限られており、牢や錠で拘束することも困難なのだ】

【それでも、何時かはそれを成し遂げねばならないと】
【カミナは漆黒の瞳に強く鋭い鋼の如き意志を宿らせながら、ロロケルムの言葉に応えた】

【そして、森島という名前に関して"知己"であるような反応が返った】
【特異な術に、過去を知るような言葉、そして森島という名への反応……そこから、"推測"することは出来るだろうか】
【もし答えに辿り着き、訊ねたとしても素直に答える可能性は低そうではあるが――】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 23:05:55.34 ID:qnurx3oS0
>>361

【風が切られる音を、少年は聞き逃さない……背後に迫り来る刃を、彼は耳で知覚し捉える。】
【背に腹は変えられない、首の痛みはある程度覚悟し、蹴打で斧の勢いを殺す、相殺を企むのだろう、】
【……同時、やはり首から発せられる激痛が全身を走る。……慣れない痛みに少年は再び顔を歪ませ、】

【しかしそうこうしている内に彼女のワイヤーが襲い掛かる―――もし至近距離が保たれているのなら、】
【少年は彼女に備わっている大量のナイフの内一本を抜き取る形で盗み、】
【首を絞められ、或いは斬られる前に、そのワイヤーごと切ろうとするのだろう、】
【極めて細いのだからそう出来ると見た、しかしもし切れなければやはり掴むだけで阻止するぐらいしかなく、】


―――……ガぁ゙……ッ゙……!

【……と、兎に角ワイヤーの処理に困った。故に、彼女の膝蹴り等対処出来る筈もなく、】
【そのまま金的を許す。首の痛みとは比較にならないそれは、普通であれば気絶の可能性さえあるが、】
【……耐えた。と言ってもかなりギリギリのライン、少年の表情と言い立ち振舞いと言い、】
【今のこのまま行けば、"ジャイアント・キリング"―――どうやら出来そうだった。】

【彼女を視界の中に留めておくことは変えず、しかし少年はその場に屈んでしまう。】
【恐らくは先程の金的が効いているのだろう―――しかし、と同時ナイフを捨て、変わりに、】
【近くにあったバールのようなものを手に取る。……少年が得意としている蹴打、あるいは殴打という行動は全て、】
【やはり全身を使う。全身の力を結集させて、与える衝撃を最大にまで引き上げているのだから、】
【この状況でそれは不可能に近い。……しかし武器を使えば、ある程度は抵抗できる、……この選択肢しか無かった。】

【何とかという所で立ち上がって、振りかざして彼女を殴る。狙いは同じく首元、】
【簡単な衝撃でも鍛えていなければ簡単に気絶させる事が出来る部位、……やはり、相手の無効化が思惑だった、】
【しかしその武器を使って闘うと言うのは、全く持って初心者に近い……"一流"とは、程遠い動きだ、】
【回避も余裕であるし、その上、カウンターを食らわせる事だって、十分に可能だっただろう。】
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/13(日) 23:12:51.12 ID:Jsyny82eo
>>364

【森島と知己だ、との回答を得ると、ふむ、とロロケルムは唸った】
【──、頭の中でピースが埋まってゆく。この少女が、誰≠ネのか】
【だが、直接会ったことのある訳でもないし、『暴く』実利も彼にはない】


同感だ。 個々の力ではなく、組織がカウンター≠与えられる状況を整備すべきだろう。
そしてその足掛かりとしては、大物を狩る能力を示すための『実績』が必要だ。
──、本来ならば我々が担うべき立場ではあるが、な。


【ふぅ、と彼が口から出した白い煙は、『螺旋』を描いて上空へ立ち上る】
【一瞬だけ、彼の口元が白煙に覆い隠されて、 次に現れた口元は、笑みを浮かべていた】


…、…君が自ら、『抑止力』となる気は無いかな?


【──くくっ、と、喉の奥で鳴った笑いは、答えを予想しているかのようだった】
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/13(日) 23:15:04.14 ID:G1flGvXCo
>>362

ふむふむ、十代前半。大体俺とおんなじくらいっすねー。


【嘘で取り繕ってはいるものの、ずいぶんと粗暴な言葉遣いで命令してくる男に対して】
【ふむふむ、と頷きながら、すべて聞き終われば、ニコニコと表情を崩さず、「オッケーっす」!と返す】


ま、見てるっすよ!驚いたならば、拍手喝采!


【そう言うと、彼は腰に手をやり抜刀の構え=Bだが、その腰には刀など携えていないが──】


──シルバー・シャドウ=B


【そう呟き、刀を引き抜くポーズをすると、彼の周囲に無数の鋼色の雀≠ェ出現】
【路地裏の各地に向けて散っていく。────これが、彼の言うモノ探しの定評というヤツだろう】
【雀達はそのサイズと素早い機動性と数で路地裏の周囲を隅々まで調べ始め────】

【その内の一匹が。既に男の探す少女≠ニ思われる人物の位置を特定していた、だが────】


ふ───。どんなもんっす?これだけの数で探せば近くにいる人間の一人や二人、簡単に見つかるっすよ!


【彼は、男にすぐその事を知らせようとしなかった、そして】



『チュン』

【少女を見つけた雀の一匹は、彼女にコンタクトを試みる────】
【そう、彼は呑気なお人好しではなく、路地裏のきな臭さを感じ取り、事の解決を図ろうとしていたのだ────】


【だが、誤算があった……】


【『チュンチュン、チチチ……!(お嬢さんをたくさんの男たちが探してるっす!何をやらかしたんすか!助けがいるっすか!?)』】
【上記の様な事を言ってくるが、彼女にはその言葉(鳴き声)は届かないだろう。そう、よく考えたら彼が飛ばした雀は人語を話せなかった!】


(あ、やばいっす!よく考えたら話しかけても意味が無いっすよ!……こうなったら彼女が野生動物に話しかける系の寂しい女の子である事を願うっす!)


【えっ、それはどうだろうか……】

368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/13(日) 23:21:57.54 ID:xG8sIa4jo
>>365
「――ち、器用ッスね」

【己の操作が甘かったつもりは無い。単純に、相手の技量が己より高かっただけのこと】
【地面に落ちる斧。柄の穴に差し込んでおいたアンカーを操作で引き抜き、斧のワイヤーは回収を行う】
【そして、そのコンマ数秒の間において、ねこやまはナイフを引き抜き、ワイヤーを切ろうとする】
【きしり、と軋むワイヤー。人間一人をぶら下げるだけの強度を持つそれは、そう簡単に切れることはない】

【だが、とっさの判断で発射されたワイヤーの操作は甘く、ナイフが割り込むことで緩み、首の拘束は不可能となった】
【それを理解した瞬間に、コジマはワイヤーの回収を選択。両手のグローブのワイヤーは失われず温存されるという結果】
【ここでねこやまがワイヤーを斬るのではなく、至近のコジマを突き刺すなどしていれば、状況は変わったかもしれない】
【そして、恐らくそれが女と少年を分ける部分なのだろう。即ち、容赦があるかないかだ】

【女は良心の呵責を感じない。手負いの敵に全力で食らいつく事をためらわない】
【窮鼠猫を噛む。追い詰められているのは、ねこやまであったかもしれないが。何時窮鼠となっても可笑しくはない相手が目の前の敵】
【だからこそ、容赦はない。殺す相手に、手加減をする理由も、必要も存在しないのだから】

「ッラァ!!」

【膝蹴りが相手の股間にめり込んだ。金的は成功。男が男である限り、そこが弱点でないものは先ず居ない】
【相手が屈むと同時に、女は一歩バックステップで距離を取り、手の中の斧を握り直し、体制を整えた】
【ここで畳み掛ければ隙が生まれる。一瞬の判断での超近接戦闘でヒートアップした頭で、戦い続けるのは馬鹿の所業】
【だからこそ、敢えて隙を狙わない。隙を好機と喰らいつけば、逆に食らいつかれかねないのが、殺し合いだから】

「ぐ……ッ! ――もっかいッ!!」

【己に向かって振りぬかれるバール。首筋を狙うそれを、女は右腕を割りこませることで防御して】
【ぎしりと骨が軋み、確実に罅が入った事が分かるその苦痛に歯噛みしつつ、女は左足を後ろに送り、右足で地面を蹴り飛ばす】
【嘗ての相手の異能を見る限り、四肢を狙うのは余り良い判断とは言えない。結果として、女の行動は単純】
【もう一回、相手の股間へと金的を叩き込むのだ。同じ箇所や弱点を執拗に狙い続けるのは、女の常套手段】
【効いた攻撃箇所に、更に攻撃を重ねることでダメ押しを駆けるのが、この女の意図だった】

(――たしか、獣人化するんスよね……。だったらその前に殺さなきゃ、殺されるッス。
……今なら、殺れる――――!)

【迫り来る膝。その一撃は単純で、とっさに放たれるもの。回避も防御も不可能ではないものだろう】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/13(日) 23:29:44.52 ID:nibypctIo
>>366

――国軍は、動ける……ならばとうの昔に動いておろうな
御主達も目先の問題、"国防"以上に手が回らぬということか

SCARLETやUNITED TRIGGERも
かつてのJusticeと同等か……それ以上の実績を重ねておるが
やはり"結果"として抑止力足り得る偉業を成し遂げねば、次の一歩は踏み出せぬか


【口から洩れる奇妙な軌跡を描く煙に、多少視線をやりながらも】
【ロロケルムの立場と正義組織の現状を思考し】
【その想像することすら難しい道の険しさに、小さく息を吐いた】


……頭が二つも三つもあっては立ちいかぬじゃろうよ

船頭多くして船山に登る――今はセリーナ・ザ・キッドという大きな光が輝いておる
わらわがその立場を望んだところで、無用に場をかき乱すだけなのじゃ

わらわは"SCARLETのカミナ"。
未だ無名の新人隊員に過ぎぬよ……担ぎ上げるならば他を当たるがよい


【ロロケルムの言葉に、若干の間を置いた後にそう答えた】
【このカミナという少女は飽く迄もSCARLETの一隊員であり、"その立場で"出来る限りの協力をする】
【それが今の少女の答えのようだ。"かつてのような"立ち位置を望んではいない】
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/13(日) 23:34:40.74 ID:WLB+E6KOo
>>367


「へぇ、お前も能力者≠ゥ――――面白え。
 ………で? 近くにそれらしいヤツはいたか?」


【刀を持たない奇妙な抜刀から、鋼色の雀が周囲へ飛び交う――――男はその光景を目の当たりにしても驚くことはなかった】
【むしろ感心したように、少年の能力≠下卑た笑みで見つめているだろう。コイツ、意外と使えるかも………などと】
【その言動から、男もまた何らかの能力を有していることが推察できた。少年が敢えて報告を遅らせたことにはまだ気付いていない様子だが】
【もしバレれば、最悪の場合仲間全員で袋叩きなんてことも考えられる。少年は少年で、結果を急く男の追求をどうにか逃れねばならない………】


…………………?


【――――そして一方、発見されてしまった少女の方は。月白色の瞳で追跡者≠捉えた瞬間、素早く立ち上がって身構える】
【その反応の素早さからして荒事慣れはしているようだけれど………それが粗暴な男ではなく雀だとわかると、きょとんとして小さく首を傾げる】
【とてもじゃないが、ちゅんちゅんと鳴く彼(?)の必死の呼びかけを理解できているようには見えない。万事休す、か】


すずめさん…………。


【……意外と、そうでもないかもしれない。少女はこんな状況だというのに大きな双眸を目の前の雀に釘付けにして】
【あまつさえ、そっと手を伸ばして背中を撫でようとするだろう。……彼女が寂しい系の女の子かどうかはともかく、雀に強い興味を抱いたのは間違いない】
【この分なら、雀が移動すれば少女はその後をついて行くかもしれず――――うまくすれば、誘導することも可能か】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/13(日) 23:42:03.87 ID:Jsyny82eo
>>369


……さて、何の事かな。


【矢張り、思った通りの解答。 ──であったかどうかは、定かでないが】
【ロロケルムは首を下げると、悪びれもせずに、地に向かって冷たい笑みを浮かべた】
【──数瞬の後、「成程」と呟けば、カミナに向き直って】


では、『SCARETの新人隊員』にひとつ、面白い獲物≠教授しよう。
尤も、いつ『動く』かは判然としないが──。


…、…起きろ、下衆=B


【彼は歩みを、『気を失った機関員』に進めると──火の着いたタバコ≠、額に押し当てようとする】
【カミナがそれを望まないのなら、別の方法で『目覚めさせる』事も可能だろうが──】
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/13(日) 23:50:14.72 ID:qnurx3oS0
>>368

【ワイヤーは切れない、それでも危険性が無くなったのは、正直に言って偶々。】
【ここまで初めから戦闘を操れないのは、これが初めてなのかも知れない……運だけが彼を生かせる要因だ。】
【逆に彼を殺す要因なら、それ以上にある事は言うまでもない。もしかすると、】
【防刃仕様となっている以外の部位を斬り付ければ、ある程度状況は変わったのかもしれないが、】
【やはりそうだった。……こんな状況でさえ、相手を死に至らしめる事が出来ず、】
【ただ防衛に徹するのみ。……その結果この状況が生まれたのだろうが、しかし彼は止めず。】


………グァ゙……ッ゙………

【ダメージを与えたとはいえ、バールはやはり防がれた。ならば襲い来るカウンター、少年はどうすることも出来なかった、】
【金的を2度、そのまま許してしまう―――同じ箇所を連続でとなれば、痛みは増幅する……、】
【少年は蹴られた衝撃でそのまま体勢を崩して尻もちを付き、……そのまま地面に仰向けとなる形で倒れ、】
【顔を見れば分かるが、どうやら気絶しているらしかった。……息はあるが、ピクリとも動かない。】

【静寂が生まれる。……彼女が想定した、獣人化とやらも、この気絶している様を見る限り無さそう、】
【だとすれば、ジャイアント・キリングは遂行される―――もしも、一瞬の間も置かず、息も付かず、彼の首を刈ったのなら。】

【彼女の背後、不意に生まれ飛び散る火花……ヒトの気配に気付き彼女が振り向いたのなら、】
【そこにはねこやまより一回り二回りなんて程度ではない、屈強な男が佇んでおり、】
【見た目だけではない。その男から感じられるオーラは、彼女と同じく只者ではないと感じられるか。】


………n、んン……ア、お前、今こいつ、殺そウとしてる、よナ?
なラ、……そうだナ、俺を殺しテからに、しロ。……そーカ、このまま帰ルか、どっちかだナ。

大体だナお前、こいつに金的やり過ぎなんだヨ。子供できねエ体になったら、どーすルつもりダ。
すげェいてェんだゾ、金的。……ああ、そーダ。……同じ痛ミ、味わっテみるカ?

【もしも殺そうとしていたのなら、寸前で止めてみせるだろうし、そうでないのなら彼は口を開くだけ、】
【しかしこの男は、既に戦闘不能となってしまった少年と違い、……彼女と同じく良心の呵責は無さそう、】
【と言うのは"痛みを味わせる"という言葉から見て取れるだろう。―――受けて立つか、そのまま逃げるか。】
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/13(日) 23:57:01.90 ID:G1flGvXCo



も……って事はお兄さんも能力者っすか!
てことは周りのお兄さんたちも?ひゃー!大掛かりっすね!

(はー、ちょいとマズイっすね……)


【シルバー・シャドウ≠ヘ少女だけを探していた訳ではない、男たちの戦力・位置・脱出経路】
【路地裏の付近を飛び回りながら、様々な情報を彼に向けて飛ばし続けている────】

【男たちの一人ひとりが能力者ならば、彼らは路地裏のチンピラたちとは訳が違う、】
【きな臭いとは思っていたが、彼は想像以上に大きなコトに首を突っ込んでしまったのだと気づいた】


…………。

(ただのチンピラ程度なら最悪力ずくで解決する予定だったっすが……)


【彼は、軽く息を吐き──。ニコりと微笑むとジェスチャーでコッチだ、と男に合図を送り、歩き出す】
【男は、最初に、俺たち≠ナはなく俺≠ニ言っていた。つまり、男の叫んでいた報酬≠ニやらを独り占めしようとしていたのではないか】
【そう推測して、先ほどとうってかわり、こっそりと少女の方へと案内する感の良いガキ≠演じてみせているのだ、】

【感付かれなければ、彼が男を誘導する先は、少女の場所ではなく、男をすぐに仲間を呼べない袋小路である】



【- 雀パート -】

(よし、シルバー3が接触に成功したっす!……ま、事情は分からないっすが)
(大の男たちが、寄ってたかって、女の子を追い回す事が正しいコトのハズがないっす、助けるが漢っす!)

【鋼色の雀は少女の撫でる手を気持ちよさそうに受け入れ、スリスリと体をすり寄せて懐いてみせる】
【『チュン』と鳴くとテクテクと歩き出す。他の鋼色の雀達が周囲を把握し、男たちのいない安全な方向へ】





374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/13(日) 23:57:18.17 ID:nibypctIo
>>371

―――それ以上寄るでないロロケルムよ
悪いが、御主にはまだわらわの傍を許せるほどの信を置いていないのでな


【機関員は今、カミナの隣にある"やっこ折り紙"の肩に担がれている状態だ】
【ロロケルムが煙草の火を押し付けようとするならば、カミナの目の前まで近づく必要がある】
【その動きと、言葉に対して警戒のレベルを一段階上げたカミナは】
【制止するように手を差し出し、一歩大きく後ろに下がった】


【理由はカミナの言う通り、ロロケルムという人物に対する信用の薄さである】
【不穏な言動を取りながら近づこうとする彼に対して】
【無警戒に接近を許すほど平和ボケはしていない】
【漠然とした物言いではなく、はっきりと行動の理由を説明していたならば、別の答えもあったかもしれないが】


【だが、後ろに下がった際に追従するようにして動いた折り紙は大きく揺れる】
【その衝撃によって、機関の男が目を覚ますことも考えられるだろうか】


(こやつは――"敵"か?それとも"味方"か)
(ただの"愉快犯"にも見えるが……得体がしれんのじゃ)


【眉を微かに顰め、少しばかり目を釣り上げながらロロケルムの意図を探ろうとする】
【何かあればすぐにでも体を動かせるように、ザリ……と強く足裏で地面を踏みしめた】
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/13(日) 23:57:25.93 ID:G1flGvXCo
>>373>>370に向けたレスです!

376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/14(月) 00:07:09.81 ID:cpknBzjCo
>>372
【――蹴りは命中する。かつて己を追い詰めたものが、手負いとはいえここまで有利に戦えるとは余りにも予想外で】
【奇跡のような展開に、女の背筋はぶるりと震えた。口元には、隠し切れない歪んだ笑み】
【地面に転がる少年に対して、一歩。また一歩と歩み寄り、斧をゆっくりと振り上げた】

【強者を屠る。それも、嘗て己を下した者をこの手で肉塊にすることが出来る】
【弱者の立場から、強者を狩る事に喜びを感じる女としては、最高の快楽とも言える状況がそこにあった】
【ましてや、殺した上で金が貰える、実績にもなる。それは、最弱最悪最低の女として、余りにも最高な状況だった】

「――ハ、これで暫く遊んで暮らせるッスね。感謝するッスよ、ねこやまサン。
だから、とっととおっ死んでくれッス。生かすと目覚めが悪いんで――ッ!?」

【斧を振り下ろそうとしたその瞬間。女はとっさに振り向き、少年の上を飛び越えて全力で後ろに飛んでみせた】
【顔に浮かぶのは、怯え。恐怖とも言えるそれは、相手が強者である事を理解している結果】
【弱者ゆえの生存の勘が理解する。これは、己と同じくらいには、確実に容赦をしない類の存在だということを】

「悪いスけど、私ゃ女でキンタマついてないから金的の痛みとかしらねーんスよ。
それに、すげーいてぇからやるんじゃないすか。防がない奴が悪いッス。わたしゃ悪くないッス。仕事をしただけッスから。
ただ、まー……。おにーさんの相手するのはちょっと骨が折れそうッスし――。帰してくれるなら今日は家に帰るッスよ。
これだけ痛みつけりゃ、満額とは言わないまでも多少は臨時収入になるンで」

【へらり、と悪びれない様子でよく回る口を動かす女。自分は痛くないから知らないという一種の開き直りは女の性格の悪さを良く表す】
【女は斧を腰にしまい込み、足元の斧を拾い上げ、また同じくホルダーに装着する】
【こきりと首を回し、両手の指を鳴らした後に、女は右手の指をぱちん、と鳴らした】

「……んじゃ、また今度=v

【その動作と言葉の瞬間。ビルの上から何かが放られた。後ろを向いて駆け出す女】
【エンジンの駆動音。そして、炸裂する轟音と閃光。放られたのは閃光手榴弾だったのだろう】
【夜闇を引き裂くその閃光手榴弾の光が止めば、そこにはもはや女の痕跡はない。この引き際は、間違っては居なかったろう】
【少なくとも、男と戦えば、女は無事では済まなかったはず。だからこそ、女は引いたのだから】

【しかし、女の依頼は恐らく殺害。殺せなかったのならば、また女が襲いかかることが有るのだろう】
【それがいつになるのかは分からないが――、女が生きている限り。そしてねこやまが生きている限り。その脅威は、続くだろう】

/*お疲れ様でした! なんだかごめんなさい……*/
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/14(月) 00:19:47.19 ID:R5uMPZJwo
>>374


──結構。 今の衝撃で『目覚めた』。


【存外素直にカミナの制止に従って足を止めると、そう言って彼は頷いた】
【タバコに口を付け、薄っすらと瞳を開けた『機関員』に左目を向け──】



「Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse
 Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse
 Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse
 Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse
 Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse
 Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse
 Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse∞Eclipse>氛氈v



【──眼を覚ました機関員が只管に呟き始めたのは、耳慣れない単語=z
【がくがくと全身を痙攣させ、白目を剥き、それでも汗ひとつ流さずに、只管に呟き続ける】
【明らかに、『正常』ではない。 意識が戻っているにも関わらず、意思≠ェ無いかの様な──】


……、Eclipse≠ニ云う名は、二十年以上前から確認されている。
水国軍の記録によれば、機関内の『斡旋人』の様な存在、との事だ。
彼の計画を実行した機関員は決まって、捕縛された後に発狂≠オている。

その男も先ほど、追い詰めた所で発狂し始めた。
──眠らせ給え、そのまま放置すれば舌を噛んで死ぬだろう。


【口から吐いた白い煙を指の上で『螺旋』状に回転させながら、彼は何となしに言い放った】
【──カミナから見れば、『敵』でもないが、『味方』とも言いがたい人間性が窺い知れる】


……Eclipse≠フ名を、憶えておきたまえ。
奴による発狂者の『認知件数』はここ最近、異常に跳ね上がっている。
近々、必ず何か≠ェ起きるだろう。 君達はそれを狩って、『実績』を創れば良い。


【そう告げると──彼は、カミナに背を向ける】
【獲物を提示する、彼の態度。 或いはカミナの予感通り、『企み』を感じるかもしれない】
【──路地裏には只管、Eclipse≠ニ言う名の呟きが響きわたっていた】
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/14(月) 00:21:29.43 ID:1J0EHwuco
>>373


「まぁな。あの子がそれだけ重要ってこったろうぜ。………ああ、親御さんにとっちゃあ、な?」


【これだけの数の能力者を動員して、たったひとりの女の子を追いかけ回す――――事情を推察するなら二つに一つだ】
【即ち、少女が何もしてない場合と、何かをしてしまった場合。彼女に罪があるかどうかという部分で話も変わってくるけれど】
【少なくともひとつ確かなのは、彼らにとってあの少女が重要であるということだ。親御さん、というのはこの場合、彼らの母体の組織のことに他ならない】

【――――その上で、少年の推測は正しかった。この男は仲間を出し抜いて、少女を捕らえることで得られる報酬を独占しようとしている】
【それだけのリスクを背負ってなお欲するほどの報酬。多額の金か、もしくはそれに相当する高価な物品か】
【もし少年が、雀を通じて他の男たちの声を聞けるのなら……『鍵』という単語が、少女の代名詞としてしきりに飛び交っていることに、気づけるだろう】


「それより、場所がわかったならとっとと案内しろ。
 ………へへ、裏切り上等騙し討ち上等。マリオン様の下に付いたのは正解だったぜ」


【少年が自警団なりSCARLET≠ネりの正義組織に所属しているか、もしくは目の前の男の所属する組織と繋がっていれば】
【その単語の意味も理解できたかもしれないけれど――――ともかく。男はまだ騙されていることに気づかず、少年について行くはずである】



ふふ…………。


【………なお少女の方はというと、すり寄ってくる雀の可愛らしさに人形のような無表情を少しばかり緩め】
【薄くだが、確かに笑顔を浮かべて、呑気にその後を追う。……後は少年が男をどうにかやり過ごして撤退すれば、改めて少女と話もできるか】
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/14(月) 00:28:18.47 ID:rrCW9QHO0
>>376


まア、そりゃそうだナ。……防ぎきれェけどナ、あの手数の後ハ。
……お、おイ、オレの相手もしてくれヨ。……ummm……つまんねェな、こいつモ。

―――そうだナ。また今度ダ。……ア、次は、こいつじゃなくて俺ナ。……俺が先ナ。

【逃走経路を事前に確保しているのなら、中々この女は、むしろ自分に似ているのかも知れないと感心した表情、】
【しかし戦闘の"お誘い"を断られるのは堪えるらしく、……次は自分と闘ってくれと丸で子供の様な口振りで言う。】
【出現するその仕方も、或いは彼の純粋な強さも、ねこやまを殺害する上で、彼という存在ははかなり厄介そうだ、】
【また一つ、乗り越えるべき課題が出来たという事だろう、……これもまた、彼女ならこなして行けるだろうか。】

【彼女の痕跡が丸で無くなった様に、―――閃光弾の効力が無くなる頃には、男も、それから少年も居ない、】
【誰もいなくなった………だから、空中で散った火花がやがて落ちて、暫く地面で淡い光を放つ、それだけだった。】


/お疲れ様でした〜〜
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/14(月) 00:38:19.80 ID:icWruHV2o
>>377

――――っ!


【口を開けた機関員が放った謎の言葉】
【毒物投与でもされたかのような異常な挙動にカミナは】
【薄く空気を吐きながら折り紙から身を離し、拘束する紙の腕に神気を送り力を強めた】
【「これは何だ――」と、ロロケルムに問い質す前に、彼の口から答えが聞かされる】


Eclipse……聞き覚えのない名じゃが、随分と悪趣味な事だけは判ったのじゃ
異能か、洗脳か……いずれにしても、真っ当な手段は取っておるまいな


【Eclipse……過去にも聞いたことのないその名であるが】
【この異常事態を見れば其れが強ち嘘とも言い切れない】

【カミナは折り紙を操作し】
【紙の腕の先端を男の口に突っ込み、首を強く締め上げて気絶させようとする】
【何度か経験があるのか、窒息死しないだけの加減を弁えた迅速な処置であった】


……成程、のぅ。確かに捨て置ける話ではあるまいな
判ったのじゃ、情報ネットワークを通して組織にその名を伝えておこう


【ロロケルムの情報に対して、警戒していた割に素直な反応を返す】
【だが、信用したわけではないだろう。その背中に向ける目は、矢でもいるかのように鋭かった】


――最後に聞かせろ、ロロケルム・ランガスター。御主はわらわ達に"何をさせようと"している?

今の情報が嘘と切り捨てるような真似はせぬが
まさか言葉通り、わらわ達の活動を純粋に支援しておるなどととても信じられんのじゃ

この返答次第では――貴様の背にわらわの剣が突き立つと思うがいい
出来るならば国軍とは、懇意の仲でいたいのじゃがな


【カミナは手元に紙を生成し、腕部に装着するようにして三角形の"紙の剣"を作りながらそう問うた】
【まさか"企み"の全てを語るような事はするまいが、断片でも知る必要があると感じている】

【まだロロケルムを"敵"と認識しているわけではないが】
【彼が"裏で"張り巡らせている思考によっては、ここで事を構えることも視野に入れていた】
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 00:41:42.61 ID:wDOs0zZoo
>>378

【彼が頭を垂れるのは、この世でたった一人のとある男のみ──】
【故に彼は何処にも所属せず、『鍵』という単語にも心辺りは無かった──】

【だが、──】


(兄貴≠セったら、堂々と立ちまわって見せたんだろうけど……俺にはコレが限界……)


【──何も知らない、彼だが。寄ってたかって少女を利用しようとしている事は良く分かった】

【カツン。と、たどり着いた先は、路地裏の袋小路。モノ一つ無い。当然、少女が隠れている様子も無い】
【たどり着いたこの場所を見れば、男も騙された事に気づくかもしれないが、男がものを言う前に彼はグルンと振り返りる】


てめぇらよぉ……。


【彼の振り返りざま、男に向かって鋭利な物をが襲いかかる。それは、短刀!先ほど、シルバー・シャドウ≠放った時】
【確かに剣を持っていなかった。腰にも、何処にも無かったはずの短刀を、何処からともなく取り出し抜刀する様子も見せず!】
【その手に出現させ、切りかかってきたのだ!彼の能力≠ヘ雀をばら撒くだけのものではなかった!】


大の男が寄ってたかって、恥ずかしいぜ!


382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/14(月) 00:57:58.33 ID:R5uMPZJwo
>>380


【──掴んでいた煙草を地に落とし、踏みつけて火を消して】
【スーツの襟を両手で整え、路地裏の匂いと埃を払い落とす】
【衣服の黒が夜闇に混じって、いやに彼の銀髪が目立つ。 ──押し殺した笑いが、喉で響いて】


── 、 何=@なら、納得するかな?


水の国の治安を守る軍人らしく、『市民を守ってくれ』とでも言ってみようか。
それとも、『Eclipse≠ノ恨みが有るから倒して欲しい』とでも、告げてみるか。
そうでなければ、『何も考えていない、単なる愉快犯だ』と言えばいいのだろうか。


【かつり。 彼の歩が、一歩前へと進む】



……何、私に出来ないこと≠、君達にして貰おう、と言うだけだ。



【──Eclipse≠ノついての情報も、対応策も、彼の方が先行しているのは確かだ】
【しかし彼は敢えて、『餌を撒いて』いる。 自分で軍を動かせばいいものを、だ】
【それは何故なのか。 ──、彼の解答≠ヘ、それを暗示しているのかも知れない、が】



【その事を問いただす前に──彼の姿は、路地裏の闇に消えてゆくだろう】
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/14(月) 01:04:25.10 ID:1J0EHwuco
>>381

【男も流石に、大きな組織の一員だ。――――自分が誘導されている方向がおかしいことに、途中で気づいてはいた】
【この男は人を騙す人間だ。だから逆に、騙されることにも人一倍敏感である。少年は所詮いきなり現れた闖入者、警戒は十分にしていた】


「が、ッ――――――!!?」


【それでも――――振り向き様に襲い来た斬撃に対処し切れなかったのは、短刀≠フ存在を想定していなかったからだ】
【襲ってくるにしても素手か先程の雀か。そう考えていたからこそ、咄嗟に右腕を構えて防御してしまったのは不味かった――――】
【少年の手には肉を裂く感覚が伝わったはずだ。深手は手首に刻まれた、動脈が傷ついたのか大量の出血が路地を濡らしていく!】


「―――――こっ、の! クソガキがァ!! 無駄な時間取らせやがって………!!
 俺を、俺達『GIFT』を舐めて、ただで済むと思うなよぉっ!!!」


【……しかし。確かに早急な措置が必要な傷で、長期戦が不可能になったのは間違いない。だが、今すぐ行動不能になる程の一撃にもならなかった】
【男は激怒して少年に叫び、空いた左腕を翳す――――次の瞬間、散らばった血液が氷結≠オ、三本の細い血の槍となって少年の腹部へ迫る!】
【これこそが……この男が、能力者至上主義を掲げるテロ組織・『GIFT』に所属できている所以でもある、固有の能力であるのだろう】

【幸い、攻撃の速度はそこまで早くなく、槍の強度も低い。対処は難しくないのだが……問題はむしろ、男がいま叫んだという点にある】
【――――少年がまだ雀を展開しているなら、周囲にいる五人ほどの仲間が声を聞きつけてこちらに近づいてくるのがわかるだろうか】

【撤退するか、それとも戦うか。それは少年の力量次第であり、意思次第であるけれど――――】



っ…………?
わたし、じゃない。……誰かが、追われてる……?


【その選択の如何に関わらず、雀に誘導されていた少女もこの騒ぎを察知して、途中で足を止めてしまうだろう】
【……自分のせいで、その誰か≠ェ追われているのかもしれないと。その事に気づいたのか、少女は道を引き返そうとさえする】
【この行動を止めるか、あるいは戦力≠ニみてこのまま少年の下へ行ってもらうか。それもまた、自由であった】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 01:16:18.92 ID:/8ju/Pgzo
>>363

【フレデリックは砂地に腰を下ろしたまま、エルヴェツィオの返答を待っていた】
【やがて言葉を聞けば何も言わずに耳を傾け目を向けて、じっとそれを受け入れる】
【最後に――『構わないか』と聞かれれば、目を閉じ小さく笑みを浮かべ】

お前もつくづく奇特な奴よ……だが、それでこそ我が騎士団の一員だった男。

……このゼン=カイマには、何もかもが足りていない
食料、物資、人員、当然ながら金銭もまた然り……何も無いぞ、エルヴェツィオ。
そんな場所でも尚留まりたいと言うのなら、私には追い出す理由もない

むしろ……貴様のような友が側に居てくれるなら、それは幸福という物だ
死して眠るための分までお前の土地を用意しよう。そして、共にこの都市を蘇らせようではないか
我ら信徒の想いが、如何に堅固で確たるものか……世界に見せ付けてやろうじゃないか

【まだ足元もおぼつかない様子だが、そう言ってゆらりと立ち上がると歩み寄れば】
【フレデリックは、その左手を彼の方へと差し伸べるのだった】

【掴めば、それが答えとなるだろう。あの厳しく石くれのようだったフレデリックは】
【陽光を背に受け、砂に身を汚しつつ――しかし、エルヴェツィオに笑いかけていた】
【『早くしないと置いて行くぞ』なんて冗談めかして言うのも変化。大きく不器用な手が、彼に差し伸べられていた】

/ちょっとだけ余裕が出来たので1レスだけお返ししますねっ!
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/14(月) 01:16:19.44 ID:icWruHV2o
>>382

――……やはり御主は信用ならんのじゃ

まあよい、今はせいぜいその手の上で望むように踊ってやろう
その先で……貴様の企みが我々に取って害があるモノと判ったならば、相応の覚悟はしておくがいい


【ロロケルムの事は最後まで信用できる人物として認識出来なかった】
【はっきりと語ることのできない"裏"があると、こうも判りやすく示しているのだ】
【Eclipseとやらの事などは恐らく、ただのでまかせではあるまいが】
【正義の組織がEclipseを打倒し、名を上げることでロロケルム……もしくは国軍がどのような利益を得るのか】
【情報が足りず、その先を想像することもできない今】
【カミナはただ、ロロケルムの背に懐疑の視線を向けていた】


【――】


"私に出来ないこと"――か
ふん、わらわは勿体ぶった言い回しは好かんのじゃ

何やらまた、面倒なことに巻き込まれた気がするのじゃ――


【闇に消えていくロロケルムを見送った後、カミナはそう一人ごちり】
【浅く息を吐き、警戒心で昂ぶった感情を鎮めながら】
【折り紙を操作して拘束した機関兵を運んでいった】


(ロロケルムがわらわだけに接触する、ということはあるまい)
(裏を探るようにと通達しておく必要もあるかもしれんな)

(奴が何を企んでおるかは知れぬが――国軍が敵に回らぬようにとだけ祈っておくのじゃ)


【もう一度、彼の去っていった場所へと視線を向けた後】
【カミナは鮮やかな紅蓮の髪を翻して、表通りの方へと姿を消していった】


/お疲れ様でしたー!
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/14(月) 01:17:25.10 ID:R5uMPZJwo
>>385
/お疲れ様でした
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 01:38:58.55 ID:wDOs0zZoo
>>383


ふッ……。『GIFT』か。なるほど、新聞はきちんと読んでおくべきだったっすね。


【『GIFT』───なるほど。名前は聞いたことがある。浮世離れした彼でも名前を知るレベルの組織である】
【そんなビッグネームの計画に首を突っ込んでしまった。そう知ると、何故か彼は不敵に笑いを見せた】


──へッ。大した組織だが、その名前を出して俺をビビらせようってのが超ダサイぜ。
こういう時は、高々と、己の名前を名乗るのが格好良いんだぜ!

──俺は全てを回す黒き魔術師が眷属……銀玖雀ッ!銀玖雀・T・シルバーウィングだッ!


【彼──もとい、銀孔雀(シルバー・ウィング)≠ヘ名乗ると同時に、その身に振りかかる血の槍を一撃の元、薙ぎ払った!】
【脆い攻撃とはいえ、短刀でのこの威力。彼の見た目からは想像出来ないものである。これも能力───?否!】


不意打ちしか脳がねぇ、ガキだと思ったら当てはハズレだぜッ、俺は人間じゃねぇからなぁ!
喰らいなッ。光刃閃──『金糸雀=iカナリア)』ァっ!


【さらに短刀を振るうと放たれるのは、黄金色に輝く『鋼糸』である。光刃線などと大げさな名前だが、拘束技である】
【放つと同時に、その場を離れようと銀玖雀は走りだす】

【各個撃破するつもりだったが、仲間を呼んだならある意味都合が良い、予定変更し、彼を『鋼糸』によって拘束し】
【この場にとどまらせて男の仲間をこの場に引きつけ、自分はすたこらさっさという見栄を切った割にはセコイ作戦であった!】

【『金糸雀=iカナリア)』はまるで生き物の様に男に襲いかかる。その狙いは、足。そしてさらに叫ばせないための口だ】
【口を狙わせたのは、男の拘束に成功、失敗に関わらず、この場から既に銀孔雀が逃げ出した事を仲間に知らせさせないためだ】


【-雀パート-】

【彼女を誘導していた雀は、すう──と光の粒子となって消えていった】
【ある程度の誘導に成功した安心のに加え、戦闘が始まり、雀を維持できなかった事が理由だ】
【故に、これ以上の誘導は出来ず、彼女の意思≠ノ委ねられることになるだろう】

【銀玖雀は既に彼女を逃がす事に成功したと考えて雀を引っ込めた】
【だが、彼女があえて道を引き返すというのならば、銀玖雀と道が交差する事になるだろうか──】
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 01:57:38.68 ID:wDOs0zZoo
>>387
//ごめんなさい。眠気が結構来ていて次のレスするのが難しいかもしれません。
//持ち越し or 締めでよろしいでしょうか。締めの場合、返レスは明日返します。
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/14(月) 02:05:29.62 ID:1J0EHwuco
>>387


「はっ、何が黒き魔術師だ! ごっこ遊びはお家でやってろクソガキ――――!!」


【血の槍が破壊されたことには、チッと舌打ちが一つ飛ぶものの。男はまだ余裕の表情で彼を――――銀孔雀を見据えている】
【手首の出血は激しく、男自身はもう長く戦えないけれど。ついさっきまで騙そうとしていた仲間を平然と呼び寄せる狡猾さが男にはあった】
【抜けた血の分顔は青くなっているが、投げつけられる言葉は依然として激しい。自分の勝利を確信している、そんな様子で――――】


「いいぜ、俺とやろうってんなら遊んでやるよ! クククッ、仲間が来るまでもなく倒しちまうかもしれねぇがな………。
 覚悟しろ、俺は氷≠操る能力者! 名前は――――――グモガッッ!!!?」


【……そんな風に大物ぶっているから、目の前で大見得を切った相手が、まさか自分と同じぐらい狡い手を使ってくるとは思わなかったのだろう】
【自らの能力を告げ、銀孔雀の言うとおり名乗りを上げていざ勝負……と格好つけたところで、見事に不意を付かれてしまった】
【血液を凍らせて作った血の壁が『鋼糸』を阻まんとするが、かろうじて防げたのは足だけ。拘束こそされなかったものの糸が絡んで男は派手に転倒、】
【更に口を塞がれて声も上げられなくなる。相手は負傷しているし時間稼ぎには十分だ、あとはこの隙に銀孔雀が逃げおおせるのみ】



「おい、そこのお前!! 止まっ、」


【――――その先には、二つの不幸が待ち受けていた。ひとつは銀孔雀が逃げようとしたまさにそのルートを使って、仲間の一人がやってきていたこと】
【身体強化系の能力なのか誰よりも早くやって来たその男は、目の前の少年とその奥で倒れている仲間の姿とを一瞥して、即座に銀孔雀を敵と認識】
【大きく腕を振り被って走り出し、彼に襲い掛かろうとした、のだったが――――】

【二つ目の不幸は、その男に降りかかった。――――突如として真横の脇道から、真っ白な少女が飛び込んで来るのが見えたはずだ!】
【その矮躯は獣じみた速度で男へ迫り、めぎっ≠ニいう嫌な音。硝子細工のように細い足がおよそ信じがたい筋力を発揮し、深々と男の脇に突き刺さった】


…………だいじょう、ぶ?


【完全に不意打ちだったこともあり、男に抵抗の余地はなかった。壁際まで吹き飛ばされて頭を打ち、そのまま気絶する】
【その場には透明な少女がひとり、残されて。頭から血を流して呻く男を無表情で一瞥した後、色素の抜け落ちた双眸が銀孔雀を見やった】

【……後ろで口を塞がれた男が必死に何か言わんとしているところを見るに、この少女が彼らの探し人で間違いなさそうだ】
【他の仲間が到着するにはまだ時間が掛かりそうだ。今のうちに表通りへ出て、安全な場所へ移動するのが得策であろう――――】
【どこか落ち着ける場所に移動したなら、少女とも落ち着いて話が出来るはずだ】
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/14(月) 02:07:18.21 ID:1J0EHwuco
>>388
/おぉう見てなかった……
/こちらとしては持ち越しでも〆でも構いません、そちらにお任せいたしますです!
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 02:11:06.50 ID:wDOs0zZoo
>>390
//了解です。では話が広がりそうですし、折角なんで持ち越しでお願いします!
//明日戻り次第、返させていただきますので、よろしくお願いします。オヤスミなさい。
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/14(月) 13:24:38.70 ID:28OpBorj0
【いらっしゃいませーと、形式的ではない挨拶が店内に聞こえる】
【のんびりとした平日の午後、街中に存在するおしゃれなカフェはこんな時間でもなかなかの盛況であった】

「えっと……合い席になるかも…ですか?」

【そういえば、周りを見渡せば客はかなりいる】
【見ればここで一杯飲むだけでなく、仕事をしている人間もいる】
【客の回転率はあまりよくない気がするが、それほどゆっくりできるのが、この店のよさだろう】

「えぇ、いいですよ」

【そういってその少年はまだ合い席にはなっていないテーブル席に座る】

【肩に届く程度に伸びた白色の癖毛】
【宝石を思わせる紅色の瞳】
【細く線の細い華奢な女性的な身体をした少年】
【白のカッターシャツに黒のベストを身に纏っている】
【両腕には「盾」を思わせる赤い刺青が入っおり】
【首には何らかのタグのようなペンダントがついている】

「えっと……コーヒーで、」

【そういって、少年は店内の様子を周りを見渡している】
【店員の動きを、客の様子を】

【少年の視線には注目しなければ、気づかないかもしない】


【そして、店内はより客は多くなる】
【新たな客は、合い席になっている少年の席につくだろう】
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/14(月) 21:10:45.64 ID:uezf/0eaO
>>384

【フレデリックが笑みを浮かべれば、エルヴェツィオもまた フッ、と笑ってみせて】
【何も無いと言われたのなら、尚更此処に居たくなる、それが今の彼だ】

……良いんだ、何もないからこそ此方が良い。
此処は故郷だ、俺が居る理由はそれだけで十分だろう……?
そう、ゼン=カイマは俺だけの故郷じゃない、此処が帰る場所なのは他の奴も同じだ。

帰って来れる場所は此処だけなんだ、なら早く元に戻してやらなくちゃあな、それが俺達の今やるべきことだ。
そうだな、見せてやろうぜ…………世界だけじゃなく、神も驚かせる程の想いの強さをよ。
となれば……こんな所で尻餅ついているわけにもいかねぇな………………

【差し伸べられた左手、エルヴェツィオの答えは既に出ている】

【「重いぞ?」と一言口にすれば、力強く手を握って立ち上がる】
【何にせよ、汗と砂で汚れたまま復興を手伝う訳もない】
【先ずは汚れを洗い流し、腹ごしらえでもしてから初めて仕事に取り掛かるのだろう】
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 21:45:10.21 ID:/8ju/Pgzo
>>393

神をも驚かせるほどの想いの強さ、か……成る程…。
確かに、世界中の人々を、というよりも余程やりがいがありそうだ
その神を信ずる我らであればこその目標……あぁ、やろう…――!

【『私を誰だと思っている』と引き上げざまに返し、共に立てば手を握る】
【互いの思いと信頼を確かめ合うように、とても力強く――だった】

【そこからは――身を清め、まずフレデリックの執務室に向かうことだろう】
【と言っても、其処は小屋だ。二人してテーブルを挟んで向かい合い、簡単に食事を取り】
【途中、フレデリックの言う子ども――孤児だった子の何人かが遊びに来たりもする筈だ】

【その時の彼の反応も案外見もの。何時もの顰めっ面のまま振り回されるのである】
【が、子ども達も流石に優しい母を持つだけあって純粋で素直。エルヴェツィオにも懐くことだろう】


【――後は、折を見て復興の手伝いに二人して向かうことになるはずだ】
【今日だけでなく、これからもこれは変わらない。長く大変な道のりだろうが――】
【日々、その眼で。その腕で、立ち直りつつ在る都市を、人を識るというのは】
【何事にも代えがたい、彼の収穫となるだろう。――ゼン=カイマ復興の日は、近い―。】

/と、キリが良さそうなのでこの辺りで…!
/数日に渡りお付き合い頂き、ありがとうございました―!
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 21:48:53.63 ID:wDOs0zZoo
>>389


これからゾロゾロやってくるってのに堂々と戦う奴は居ないっすよ!


【名を名乗ることすら許されなかった哀れな氷使いの男を尻目に中指を立てて捨て台詞を吐きながらその場を脱出】
【少女は助けたはず、後は自分が逃げ出すだけである、だが、彼は油断してた、まさかこんなに早く追っ手が来るとは】


さあ───てっ。後はすたこらさっさでミッションコンプリー────……。


【視線を前に戻した時、目の前には男の仲間。だが、次の瞬間には吹っ飛んでいた】


……ッ!!

(くッ、まずいっすね……後ろの奴も拘束に失敗したし、すぐに置いついて来る……!)
(だけど、この道を変えると連中の包囲網に突っ込むこ)って、あれ────?


【瞬時に思考を巡らせて打開策を考え始めたが、回答を導き出す前に目の前の人物は追ってから少女に置き換わっていた】
【こちらに心配の声をかける彼女に、「いやぁ、何処の何方が存じませんが、敵の敵は間違いなく味方に違いない。いやぁ、助かりました。ありがとうっす」、などと】
【ほがらかな表情で礼を言わんと少女に近づこうとした次の瞬間には────】


Oh!Noooooooooooooooooooooッ!


【両手を頬に押し付けぶ叫ぶ彼の表情は某叫び様に変わり果てていて────】
【雀脳みそが出来事に連続に処理が追い付いていない!目の前にする事こそ初めてだが、彼の脳にはしっかりと焼き付いている紛れも無い少女=z
【『オーノズラ……なんでこっちに居るズラ……。反対側に逃したはずっすよ……。』と漏らしながら、力の抜けそうになりつつも、ガクンと項垂れながらグルグルと頭を回して一時停止】


……………………はッ!考えてる暇なんかよく考えたらねぇっす!こっちっす!!


【ようやく正気に戻るや彼は表通りに向けて駆け出した。雀達が導き出した安全ルートへと、彼女の手を引こうとしながら、誘導する】


396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/14(月) 22:07:34.13 ID:1J0EHwuco
>>395


おぅ…………のう?


【自分が今何をしたのか、銀孔雀の叫びがどういう意味合いのものであったのか、少女は何も理解していないかのように】
【「ずら………?」とさらに疑問を付け加えて首を傾げる。何を考えているのかさっぱり読めない無表情からは、敵意も好意も感じらなかった】
【自分の代わりに襲われた銀孔雀を助けるためにここに来た……はずなのだけれど、こう態度が曖昧ではいまいち判然とせず――――】


あっ、うん。わかったよ…………。


【だが、流石に状況が緊迫していることぐらいは分かっていたらしい。彼の声と手を引く力に逆らおうとはせず、少女は一緒に走り出すだろう】
【……ちなみに。路地を走っている最中、少女は逃走を図らんとする銀孔雀の意図を理解しても、終始手を引かれるままであった】
【明らかに路地の地形に慣れていないのだ。男たちから逃げているうち、路地裏に追い込まれてしまった――――といったところだろうか?】

【ともあれ、もう周囲に敵の気配はない。あの男たちがこちらを見失っているうちに遠くへ移動してしまえば、まず見つかることもないだろう】
【少女もとりあえず、銀孔雀に抵抗する素振りはない。彼の導く場所へ大人しく付いていくはずだ】
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 22:22:23.48 ID:wDOs0zZoo
>>396



【彼女の手を引きながら、逆の手を振りながら「撤収!撤収〜!」と鋼色の雀が一匹、また一匹と集まり吸い込まれていく】
【表通りに出た彼は、どこか逃げる当てがあるのか、彼女の手を引きながら走り続け、とある看板の出ている店に駆け込むのであった】


【-喫茶 GEAR TOWN-】


【バタン!と扉を締めると店内に音が響き渡った。だが、それを咎める者は誰もいない】
【木造のレトロな雰囲気の喫茶店──……だろうか?閑古鳥が鳴いたその店には】
【客どころか店員の一人すら見当たらなかったが、扉は開いていてホコリ一つ無い事から誰かが管理しているのは間違いなかった】

【その店名に相応しく、カリカリと歯車の回る音がする、天井に無数の歯車が見せるこの店はまるで時計塔の内部の様だった】


…………はぁああああっ。ここに来れば安心っす。


【彼は案内させるのを待つことも無く、適当な2人席に腰を掛けて大きく息を吐くのであった────】


398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/14(月) 22:43:10.69 ID:1J0EHwuco

>>397

【銀孔雀に手を引かれて走りながら、少女の視線は集まってくる雀達の方へ向くのだろう】
【一羽二羽と連続して集まる銀色の翼を目の当たりに、見開かれた瞳には微かな熱が宿る。……やっぱり雀が好きなのか】
【そのまま表通りに飛び出せば、若干ながら少女が溜息を漏らしたのが聞き取れるだろうか。安堵の証、だったのかもしれない】


あっ………わたし知ってるよ。ヤシオリから聞いたの。
ここが、『喫茶店』っていうところなんだね………。


【手を引かれるまま飛び込んだ、『GEAR TOWN』の看板の奥。今度は微かではなく明らかに、少女の目が輝いているのが見て取れるはずである】
【ヤシオリ、というのは友達の名か何かか。その人物から教わって知識だけはあったようだけれど……どうやら、喫茶店に入ったことがなかったらしい】
【故に、店内に誰もいないことを疑問にすら思わず。少女はただ物珍しそうにきょろきょろと周囲を見渡して、少し楽しげに笑う】


ねぇ、『喫茶店』ってお茶とかお菓子とかが出てくるんだよね?
上でぐるぐる回っているのはなぁに? どういう意味があるの?


【導かれるまま銀孔雀の真向かいに腰掛けても、少女の好奇心はまったく止まることはなかった】
【ひとりならそれで終わりだったろうが……いま目の前には、銀孔雀という格好の相手がいて。矢継ぎ早に質問が投げかけられるだろう】
【……何はともあれ、危機は去ったのだ。ゆっくり答えてやる時間はあるし、逆にそちらから質問をする時間だっていくらでもあるはずで】
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 23:06:38.73 ID:wDOs0zZoo
>>398


喫茶店、来た事無いっすか?
今どき珍しいギャルっすね!


【ギャルて。】


お茶ならもうじきに来るっすよ。
それにしても大変だったっすね、なぁに礼なら要らねぇっす!


                  ギンクジャク
俺っちの名前はお節介焼きの銀玖雀・T・シルバーウィング
か弱い乙女を護るのは男として当然の事っすからね!


【銀玖雀はチュンチュン(擬音)と謙遜しながらも格好を付けて顎に手を当てるなどしているが。確かに彼女を助けるために動きまわったりはしていたが】
【最初のコンタクトで意思の疎通が出来なかった時点で、彼女は彼の奮闘を知る由もないはずで】
【というか、どちらかというと初コンタクトの時点では助けられた様な感じにも見える】


しっかし、なんでまたあんな連中に追い回されたんすか?
数が多いからチンピラと思えば能力者集団ででマジびっくりしたっすよ!……おっ来たっす。


【彼は何かが来たと言うが、人のいる気配は居ないのだが────】
【キリキリと音がする。それは天井で回っている歯車とはまた別のもので、音と共に天井から現れたのは】
【天井から操り糸に吊るされたメイド服の機械人形がキリキリと音を立てながらカタリ。と注文もしないのに二人分のコーヒーを置いた】

【────とんでもないホラーである。閑古鳥が鳴くのも当然と言える初見殺しだった。常人であればまず逃げ出すだろう】
【初喫茶店がこんな店で悪影響は無いのだろうか。ちなみに、コーヒーはブラック。ミルクと砂糖はテーブルの脇である】



400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/14(月) 23:08:30.89 ID:dA/DP6C90
【路地裏――――少し奥まで入り込んだその場所】
【辺りに転がっているのは数人の男女の姿。然れど、呻きながらも皆息をしており】
【よく見れば出血も無く。更にはその者達全員が機関に所属する事を示す逆五芒星を手の甲に彫っている事が分かるか】


「――――一件落着、でありますか。少し手間取ったでありますが、大きな怪我を負う事も無く終えられて良かったであります
…………連絡も済んだ事でありますから、もう少しで自警団の方々が引き取りに来ると思うのですが……」

【その場に立つのは、軍服に身を包んだ少女だ。腰には軍刀を提げ、片目は眼帯で覆われ】
【藍色の髪を纏めるように被ったのは制帽。一切の乱れを見られない其れは、少女の気質を表している様であり】
【――――自警団の所属を示す腕章。そして、其処に着けられたバッヂ。この少女が紛れも無く正義の徒である事を示すのだが】


「最近はカノッサの動きも目立つようになって来たでありますね……。あまり気を抜く事も出来ないでありますよ……」

【呟き共に漏らされた溜息は現状を憂うが故か】
【路地裏となれば悪事を働く者も多いだろうし――――逆に、其れを阻止しようと見回りをする者も多い】
【だからこそ、この現場をそのどちらが目撃をしたって可笑しくは無い話であって】







【静まりかえった森の中。――――その中にひっそりと存在する教会】
【外装は蔦が這っていたりと如何にも打ち捨てられた様に思えるけれど】
【…………中から漏れる仄かな光と、澄んだ声で紡がれる賛美歌とが確かに未だ人が住んでいる事を告げていて】

【扉を開けたならば、先ず目に映るのは割れたステンドグラスとまだ破壊される前のラグナ―ルを描いた美しい絵画であろうか】
【並べられた長椅子には少しの埃も積もっていない事からしっかりと管理されているのだと察する事も出来よう】
【説教台へと視線を移したなら、其処には一人の女性が居て】
【銀の髪は鋭く思え、同じ色の瞳は何処か冷たくも見えるか。修道着に身を包むその姿を見れば、彼女が唯一この教会を管理している者であると知れて】


「――――教会に何かご用、でしょうか…………?
何かお手伝いが必要でしたら、力をお貸し致しますが―――?」

【賛美歌も変わった頃。来訪者の存在に気付いたならば、其方を見遣って】
【教会に何用かと問うけれど…………その口調は、決して責めたり疑うような其れでは無く】
【寧ろ、優しく問う様な言葉。ただ物珍しく見えたから訪れただけ。或いは旅で疲れたら宿を探し居て――――そんな言葉であっても、女性は歓迎するのだが】
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/14(月) 23:10:59.85 ID:/8ju/Pgzo
【港町――路地裏】


――――勝ったァ〜〜!!!また勝ちましたっ、海賊!!
 パルヴィ・シルッカ・パルシネンッッ!!!これで7連勝だァ〜!!
 冴え渡るカットラス捌きッ!軽やかな身のこなしッ!海の上で会いたくない女ナンバーワンだァ〜〜!!!

ちェッ、仮にもうら若き乙女に使う文句か、っての……!
まあいいさ、この調子でもう一稼ぎさせてもらいたい所だけど……。


【それは所謂、裏の闘技場――路地裏の奥、広場の中央をフェンスで囲った即席の会場】
【其処で一人の女性が賞賛と喝采と、そして罵声を浴びて居た。聞くに、七連勝中の海賊らしいが】

【格好も海賊そのものだ。鼠色のコートに合わせたハット、手にはカットラスという曲刀を持ち】
【地黒の肌――顔に付いた血を拭うその姿は、やや小柄ながらも相応の威圧感が在った】
【ニヤリと笑った表情は如何にもあらくれという感じだったし、周囲に向ける瞳は獰猛で】


―――さあっ、さあさあッ!!このとんでもない女海賊を張っ倒す気概の有る奴ァ居ないのかッ!?
 掛け金は一人10万ッ!勝てばそいつも含めて今までの分を総取りだァ〜!!!
 シルッカ嬢の前に貯まった分も合わせりゃ――勝てばざっと200万ッ!!200万が思いのままだァ―!!!


【と、周囲の観客に声が掛かるのであった。金と、ほんの小さな名誉――勝てばそれが貰えるらしい】
【フェンスは飛び越えれば入れる高さ。挑戦権など、武器使用も許可された此処に入るという意志――】
【それさえあれば構わないなんていう程度の、熱狂した空気が周囲に満ち満ちていた】

【――或いはその一時間か、とにかくほとぼりも冷める頃には、人気の失せ始める中に】
【例の女海賊が木箱に腰掛けて札束を数える姿を見ることも出来るかも知れなかった】

/戦闘or日常はお任せな感じな上、持ち越し上等の時間ですがよろしければ〜
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/14(月) 23:37:56.17 ID:1J0EHwuco
>>399


うん、来るのは初めてだよ。これって珍しいの?
話には聞いてたから、前から来たかったの。こんな風になるとは思ってなかったけど………。


【小さくて高い、そしてか細い声が事実と疑問を同時に告げる。自分が珍しい部類の人間だという自覚すらないようだ】
【テロ組織の人間に襲われて通りすがりの少年に助けられるなんて、とうてい予期していなかった展開だけれど。結果として喫茶店に来れたのは嬉しかったようである】
【……なお。最後に「ギャルってなぁに?」という質問が付け加えられたのは言うまでもなかった】


あっ……そっか。さっきの雀さん、あなたのお友達だったんだね。
ううん、こういうときは『お礼』を言うものだって教わったから、言わせて。
――――ありがとう。それと、巻き込んじゃってごめんなさい。

ギン、クジャク? 孔雀……あっ、図鑑で読んだことある。なんだか綺麗なお名前だね。
えっと――――わたしは、イクス・ヴェーラだよ。


【自分のことに関してはかなり無頓着な少女だったが、ついさっき見た雀が彼に集まって消えていく光景は忘れていなかった】
【それを能力ではなく、お友達だと判断するあたりがまた独特だけれど。自分が彼に助けられたことは遅まきながらに察して、軽く頭を下げるのだろう】
【そして――――少年の名前を小さく笑いながら賞賛しつつ、自分は『イクス』と名乗り返すのだった】


――――わぁ、すごい! 『喫茶店』ってこういう場所なんだね!

わたしにも、よくわからない。みんなわたしのことを『鍵』って呼んで、追いかけてくるの。
『GIFT』ってひとたちと………それから、『カノッサ機関』? っていうひとたちが、わたしを欲しがってるんだって。


【……キリキリと、不気味な音とともに運ばれてくるコーヒー。普通なら驚くところを、とことん無知な少女である】
【機会仕掛けのメイドに目を輝かせて、少女の中の喫茶店像に何か致命的な語弊が生まれた気がするけれど……】

【とりあえず、本題だ。自分が追われている理由についてだが、イクスは軽く首を傾げて答える。どうも自分でも理由は分からないらしいけれど、】
【『GIFT』と、そして『カノッサ機関』――――あまりに軽い口調で紡がれたその二つの組織が、イクスを追っているらしい】
【確かに、目を離すとどこぞへ溶けて消えてしまいそうな、人間としてあまりに異質すぎる雰囲気からして、『普通』ではないのは確かだが】


この黒い飲み物はなぁに? なんだかいい匂いがする………。
……………、……ぅぇ……。にがい……………。


【ミルクや砂糖を入れるという発想どころか、そもそもコーヒーも知らなかったようで。イクスはそのまま口を付けて微かに面持ちを歪める】
【……この惚けた挙措からは想像しづらいものの、先ほど男を一撃で熨した身体能力もある。この少女に何かしらの価値≠ェあるのは間違いない】
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/15(火) 00:13:42.19 ID:xaQyft7bo
>>402

【ギャルって何かって────『マジ眩いギャルって事っす!』。す、凄い。何も解決していない上に用語が一つ増えた】


イクスちゃんすか、よろしくっす。巻き込んだって?なぁに、気にする必要は無いっす。
嵐の中に飛び込み、可愛い女の子を護るってのは男の中で一種のステイタス。
所謂ジャスティスナイト!!兄貴に自慢できるっす!!ヒャッホォオオウ!!


【謙遜というより、ガチで嬉しそう。兄貴とやらに自慢できるのがそんなに嬉しいのか】


ああ、コーヒーも飲んだことが無いっすねー?

苦いのが嫌なら、砂糖さんとミルクを入れまくると良いっす。


【浮世離れした自分以上に浮世離れして見えるが、コーヒーを苦そうにしている彼女を見て苦笑すると】
【脇に置いてある砂糖とミルクの封を明けて自分のコーヒーに入れて見せる】


カノッサ機関まで………………まあ、何にせよ、この店に居れば一先ず安心っす。
ここは機械いじりオタクのマスターが引きこもる為に全自動化した後ろ向きにアクティブな店なんすよ。
誰も居ないのに強盗一つ入らないのは、この店を襲ったが最後恐るべきセキュリティによってミンチよりヒデェ事になるってもっぱらの噂っす。


【噂は噂であるが──これではもはやシェルター代わりに逃げ込むものが居る程度である】
【だが、たまに出て来るマスターのオムライスが絶品だと危険物件マニアの中で評判だとか】


【ニコニコと話していた彼は、コーヒーを飲んでふうと一息を付くと何か思うのか、テーブルに肘を当てながら窓の外を眺める】

404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/15(火) 00:38:44.86 ID:P3lg99/no
>>403


そう、なの? 銀孔雀は元気だね………。
あなたにはお兄さんがいるんだ。どんなひとなの?


【……その何の解決にもならない答えを「まじ眩いぎゃる、だね」と真面目に復唱してしまうあたり、このままだとこの少女の常識がどんどん歪んでいきそうだけれど】
【男が女を守る、というシチュエーションにもやはりピンとこないらしい。はしゃぐ銀孔雀を眺める目は冷たくはないが暖かくもなく】
【ただ、気になったことには突っ込まずにはいられないタチのよう。『兄貴』という単語が出るや否や瞳にまた熱が籠もった】


うん、わかった。これでいい?
……………うん。甘いけど、おいしいよ、『コーヒー』。


【走る苦みにちいさく舌を出していたイクスだが、銀孔雀に作法を教わってからの行動は早かった。というかむしろ、ちょっと早すぎた】
【「入れまくるといい」という言葉を真に受けて、どばどばと砂糖とミルクを思うさまぶち込みまくるさまは逆に圧巻ですらあり】
【黒より白の配分の方が多くなってしまったコーヒーに口を付けて、イクスは笑う。『コーヒーは甘いもの』と言う間違った常識がまたひとつ、生まれてしまった……】


――――へぇ、このお店にも『マスター』がいるんだ。わたしといっしょ。
わたしもね、マスターから『自分を狙う人間は殺せ』って命令されてるの。
ここでは自分でやらなくても、悪い人を勝手に殺してくれるんだね。羨ましいなぁ………。


【そんな、何気ない会話の中に――――「殺せ」なんていう不協和音がごく自然に混じってくる】
【銀孔雀のいうのは『店主』という意味でのマスターだけれど、イクスが言っているのはたぶん違うのだろう】
【命令されてる、という言葉の響きからしておそらく、こう解釈するのが正しい――――『御主人様(マスター)』、と】

【イクスは感心したように息を吐いて店内を見回し、深呼吸して漂ってくる木の匂いを吸う。色素のない少女の体は、そのまま背景と同化してしまいそうで】
【その透き通る矮躯は、次に銀孔雀の視線に釣られて窓の外へ向くのだろう。月白色の瞳が少しばかり不思議そうに彼の横顔を流し見る】
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/15(火) 01:24:04.36 ID:xaQyft7bo
>>404


────兄貴っすか!


【いきなり前のめりである。熱のこもった彼女の瞳以上の熱い瞳が既に彼に取っての兄貴≠猛烈に語っている】


教えて差し上げよう!俺の魂の兄貴!世紀の漆黒の大魔術師、リっロード・ザ・マジシャンをッ!
この荒んだ世界も兄貴にとっては、最高のアミューズメントパーク!狂った世界で愉快に笑うその姿は
華麗でありながら、敵を射抜くその瞳は鋭い刃!追いつく事が叶わぬ夢と知りつつも俺にとっての目標、永遠の憧れッ!
奇術師としての恐るべき技能は、自らの異能すらも凌駕し、その奇術×異能のコラボレーションは全ての者を現実と幻想の間に誘う!

真必殺のダークネス・カーニバル=ナイトメア・チェイン・スネークは全ての敵を翻弄!抗う術はないっす!

今日なんか、俺なんかじゃなくて兄貴がこの場に居たのなら、隠れる事無く、威風堂々とGIFTの連中を中央突破!華麗に舞いながら、全ての敵を蹴散らしたに違いないっす!


【熱い口調の早口で全てを言い切るといやぁ、紹介できなくて残念だ、自慢気に首を振った】
【リっロード・ザ・マジシャン……一体何者なんだ……。間違いなくそんな奴はこの世界に存在しない】

────。

【熱く語っていた銀玖雀だったが、何気ないその食い違い≠ノ言葉を詰まらせた】


…………イクスちゃん、君は。


【銀玖雀は能力者としてまだ半年程度。兄貴≠ニ共に、各地を旅してきていたが、強力な異能を備えつつもその精神はまだ半人前】
【故に少女一人救って、得意気にお祭り気分になってみせたが、この世界の闇≠ヘそんなに浅いものではない────】
【路地裏に女の子が居て、連れだして一時的に助けて見せて。それでハッピーエンドに迎えるならば、彼の兄貴≠ヘこの世界を楽しんでは居ないのだ────】


いや、何でもないっす。


【ニコリと笑う。兄貴≠セったら話は違ったかもしれない。だが、半人前の彼はこれ以上先に踏み込む勇気はまだ*ウかった】
【『お菓子好きっすか、あるっすよ』と言いながら、パンパンと手を叩くと、再びキリキリという音とともに機械人形が現れてバームクーヘンを置いていく】
【客の動きに連動して動作するギミックハウスの様なもので、様々な趣向があるらしい。────これ以上、今の彼にはここから先を進む力は無いだろう】
【路地裏で追われる少女を連れだして、楽しくお茶をする────これが今の彼の限界である。───果たして物語の次の扉を開く日は来ることだろうか】
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/15(火) 02:00:29.09 ID:P3lg99/no
>>405


わ、わ………、リっロード・ザ・マジシャン………?
なんだかよくわからないけど、かっこいいひとなんだね。私もお話してみたいな……。

ねぇ、銀孔雀。わたしには『マスター』はいるけど、家族はいないの。
そんなすごいお兄さんがいるのって、どんな気分なの? やっぱり毎日楽しい?


【興味本位で聞いてはみたものの、流石にイクスもまさかここまで白熱した答えが返ってくるとは思っても見なかった様子】
【銀孔雀の勢いに押されて思わず仰け反りつつも、その心酔っぷりはちゃんと伝わったようである。はー、と熱に浮かされた声が漏れて】
【表情を見る限り、大魔術師とか奇術師とか、細かい部分は理解していないようだが……銀孔雀の瞳の熱は、イクスの瞳にも燃え移ったようだった】

【――――家族はいない。こんな世界じゃあどこにでも転がっているような不幸を、たぶんこの少女は不幸とすら認識していないのだろう】
【本日幾度目か、紡がれるのはまたも素朴な疑問であった。家族がいるってどんな感じなの、と、たったそれだけの】


……………? なぁに?
命令には従う………それがふつう、だよね?


【何か変なことを言ったか、と。世界と隔絶した少女は世界と隔絶した価値観を持ち得て、それを当然の常識として行動している】
【それが――――元から持っていたものなのか、『マスター』なる人物によって植え付けられたものなのか、それはわからないけれど】
【イクスはただ首を傾げるだけでなく、銀孔雀の瞳を真っ向から見据えて、自分のなかの当然≠もう一度復唱してみせる】
【……無表情ではあるけれど、それはまるで不安がっているように。自分の常識を疑う心を、まったく持っていないわけではないのか――――】


わぁ、ありがとう。このわっかみたいなのがお菓子なの?
……ふふっ、このお店、面白いね。『コーヒー』はおいしいし、お菓子も出してくれるし、悪い人も殺してくれるし。


【存在も色も表情も、何もかもが希薄な少女は――――手を叩かれてやってきた、その機械人形によく似ていたか】
【それでも、運ばれてきたバームクーヘンに釘付けになるところだけみれば、普通の少女に見えなくもなかったかもしれない】
【けれど……言葉にはやはり、不協和音が混じる。見えないソレはそれはどこまでも付きまとう。ただ、それでもひとつ幸いといえるのは、】


ね、銀孔雀。わたしは『マスター』のところに戻らなくっちゃいけないから、ずっとはいられないけど……。
銀孔雀はここ、よく来るの? ……りっロード? ってひととも会ってみたいし、わたし――――また、ここに来てもいいかな?


【その『マスター』とやらの意図がどうだかはわからないが、彼女の行動にはある程度自由が保障されている、という点か】
【自分に許されたなけなしの自由を使って、イクスはこの店が気に入ったと、またここに来たいと、そう言うのだった】

【……彼女の安全を考えれば悪い話ではない。これも命令なのか、イクスは二つの巨悪≠ノ狙われているにも関わらず単独行動をしていたのだ】
【シェルター代わりとして使えるほどセキュリティが整ったここなら、咄嗟に駆け込むにはいい場所だろうし。……何より、本人もここにいるのは楽しいよう】
【それにここに来れば、銀孔雀やその兄・リロードともまた会えるのではと。言葉にはそういう期待も籠もっているだろうか】

【――――別に、ここは銀孔雀の店ではない。本当は許可を取る必要なんかないのだけれど、】
【命令しなければ動かない、人形のような少女には、きっとこれが精一杯の言葉。ひたすらに純真なその視線に、銀孔雀はどう応えるか――――】
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/15(火) 02:59:46.85 ID:xaQyft7bo
>>406
…………イクスちゃんの『マスター』は家族じゃないっすか?


【銀玖雀にとっての兄貴≠ヘ『マスター』でもある。だが、家族でもある。故に、銀玖雀には家族が居る、その楽しさを知っている】
【だが、彼女にとっての『マスター』は家族では無い。だが、それは彼女にとって当然の事で、同情して遠慮するのは少し違う気がした】
【だから、銀玖雀は彼女の素朴な質問に対して笑顔で答えてみせる】


楽しいっすよ、兄貴と居ると毎日がパレードっす!
普通……そうっすよね。命令には従う。
俺も、兄貴が言うことなら何でも従うと思うっす、だって俺は、兄貴の事が大好きっすから…………ね。


【不安げに問いかける彼女に対して、何も答えないなんて事は出来ない、だが、虚言も履けない不器用さ】
【『イクスちゃんは、『マスター』は好きっすか────?』次に口にしたのは、彼の素朴な疑問であった】
【無条件で誰かに従う何てことは彼には考えられない、それが彼の普通≠セ、イクスは『マスター』をどう思っているのだろうか】


…………。


何度でも来ると良いよ、たまに出てくるここのマスターも喜ぶっす、無愛想だけどメチャクチャ旨いオムライスを作ってくれるすっよ。
兄貴も姉さんも良く来るっす。それにこんな店だからおかしな連中も良く来るけど暴力沙汰は封印されてるから面白可笑しく遊べるっす。

────勿論、俺も来るっすよ!

──ちなみにここの精算システムは謎で口で注文するとお金を取られるっすけど、ギミックを駆使して手に入れた食べ物は無料なんすよ。


【どうやって稼いでいるのだろうか……。この喫茶店も、まだまだ謎が深そうだ────次に来る機会があればそれもまた明かされるのだろうか】
【そして、彼を見つめるその純粋な眼差しにニコリと微笑むと、銀玖雀は立ち上がり】


俺もそろそろ帰らなくちゃいけないっす。
今日はバタバタしてたし、次に会う時はもっと楽しく遊べたら良いっすね。

……じゃあ、イクスちゃん先に失礼するっす、次に合う時までさよならっす。──その時はもっと色んな話が出来たら良いっすね。


【それは友人≠ニしての言葉であり、次に会う時までに能力者としての更なる高みを目指す彼の決意の言葉でもあった】
【彼女を足がかりに闇≠フ中に踏み込むためではない。もっと純粋に、この世界を楽しみたいと思ったからだ】
【彼女から見え隠れする闇≠許容できる懐が自分あれば、もっと──目を背ける事無く真っ直ぐに話が出来るんじゃないか、と】

【銀玖雀は変える前にもう一度振り返り、最後に手を振るとカランカランと扉の音が店内に鳴り響くだろう】
【彼は未だ能力者として未知数。この先、彼は何処へ向かう事になるのだろうか────────】


//お疲れ様でした!
//申し訳ない、最後かなり遅くなってしまいました
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/15(火) 03:55:11.00 ID:P3lg99/no
>>407

【『御主人様』は、家族ではないのか。その問いに対してイクスは微かに目を見開いたのみで、それ以上の反応はないのだろう】
【けれどそれは、答えるのを拒絶したわけではない。考えているのだ……考えて考えて、簡単には答えが出なかっただけ、だった】


そうだよね、命令に従うのは、ふつうのことで…………。

…………マスターは、わたしのことは見てない。あのひとはわたしを使って、何かをしようとしてる。
わたしがマスターに従うのは、わたしがそういうモノ≠セから。……昔のことはよく覚えてないけど、それだけは覚えてる。
優しいし、悪い人じゃないんだよ? でも………銀孔雀のいう家族≠ニは、ちょっと、違う気がする………。


【命令に従うのは普通。銀孔雀の言葉にイクスは少しだけ明るい表情を浮かべたけれど――――】
【後半の台詞を聞くと、ただでさえか細い声はさらに窄まって、あっという間に聞き取れなくなってしまうだろう】

【――――嫌いではない。けれど、銀孔雀にとっての兄のような存在でもない。それが、銀孔雀のふたつめの問いに対するイクスの答えだった】
【『マスター』なる人物は、イクスを大事に思って優しくしている。だがそれは……イクス・ヴェーラという一個人を真に思ってのことではない、のかもしれず】
【思えばこの少女には、GIFTとカノッサ機関という二つの組織が追うほどの巨大な価値≠ェあるのだ。もし、それを何処よりも早く手に入れたとすれば】
【引き替えに金を手にするでも、他のモノを要求するでも。立ち回り次第で大きな利潤が得られるのは間違いない】

【『マスター』が見ているのはイクスの利用価値――――本当にそうだとすれば。イクスが、人形のように薄弱であっても確かに感情を持っているこの少女が】
【その人物に対して特別好意的なものを抱いていなくても、おかしくはない。それでも命令に従うのは――――自分がそういうモノだからだと、彼女は言う】
【……まるで、自分は『道具』だとでも告げるように。これは、よく覚えていないという昔≠ニやらに、何かがあったのかもしれない】



――――本当? よかった………。
ふふ、じゃあ楽しみにしてるね。こっちの『マスター』とお兄さんのリっロードと……その、お姉さんっていうひとにも会えるかな?
もちろん、銀孔雀にも。――――あっ、そうだ、次はあの雀さんたちも呼んでね?


【……いつの間にやら、少女はずいぶんと銀孔雀に心を開いた様子だった。了承の言を受け取ったならほっとしたように淡い笑みを浮かべて】
【先ほど運ばれてきたバームクーヘンを白いコーヒーと一緒に口に運びながら、儚く消えそうに薄く、けれど心から楽しそうに空想する】
【次ここに来たときはどんな出会いがあるだろう。次みんなと会ったときはどんなにたくさんのことを知れるだろう……と】
【――――そんな物語を中空に描いて漂う視線だけは、人形とは明らかに違う。こうして、彼女のこころに触れていなければわからないほどわずかでも、】
【そこには暖もりがあった。透明に滲む蒼色があった。その奥にあるちいさな世界を楽しむ≠アとができるかどうかは――――銀孔雀の今後次第、か】


あ、もう行っちゃうの? …………わかった、寂しいけど仕方ないね。
わたし、きょうは銀孔雀とお話できて楽しかったよ。だから、次会うときはもっとたくさんお話して、わたしにもっといっぱい楽しいこと教えてほしいな。

――――ばいばい、銀孔雀! きっとまた会おうね!


【そうして席を立った銀孔雀を、イクスは残念そうに見送るのだろう。決して無理に引き留めたりはしなかったけれど、】
【その代わり、彼の瞳を真正面からじぃっと見つめて、何度も再会を願った。純真の少女はにこりと笑い、「ありがとう」ともう一度告げて】
【手を振る彼へ自身もまたちいさく手を振り返して、イクスは最後の最後まで、その背を見つめ続けているはずだ――――】

【……その後しばらく経って、コーヒーとバームクーヘンをすべて食べ終わったのなら】
【イクスは律儀に機械仕掛けのメイド達にもお礼を告げて、『GEAR TOWN』の看板を内側からくぐり抜けた】
【銀孔雀によって助けられたひとつの魂は、いまはまだ『マスター』の命令に縛られて、言われたとおりの帰路を歩んでいく】

【でも、もしかしたら。いつか、彼女が自らの足で帰路を定めて帰って行く未来も、あり得るのだろうか――――】


/お疲れさまでしたー!
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/15(火) 19:02:56.27 ID:idlYddfXo
【公園】


……さて、これでよいのかの?
やはり文明の利器というものは慣れんのじゃ


【古い街灯がチカチカと明かりを照らしている夜の公園】
【その一角に備え付けられたベンチに座る、一人の少女がいた】

【身長は140cm程であろうか】
【腰まで届く炎のように鮮やかな紅蓮の髪と漆黒の瞳を持ち】
【簡素なデザインの桜色の着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"のワッペンを付けている】
【傍らには、茶色の鞘に収まった剣が無造作に立て掛けられていた】

【少女は何やら携帯端末のようなものを弄っており】
【どこか面倒くさそうな表情を浮かべながら、たどたどしい調子で液晶画面に指を当てていた】


わらわは電話とネットワークだけ使えればいいのだが
最近の機械は無駄に多機能で、何が何やらわからんのぅ……

しかし貰ったからには最大限有効活用せねばな……うぅむ――


【少女はああでもないこうでもないと独り言を呟きながら、試行錯誤を続けていた】

【近くを通りかかることがあれば、そんな少女の姿が目に留まるだろうか】
【また、近くで何か物音などがあればそれに反応するかもしれない】

/22:00くらいまで置いときます!
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/15(火) 20:37:58.03 ID:3ABXFJMIo
>>409
【少女の腰掛けるベンチの上で、頼りなげに明滅を繰り返す街灯】
【その明かりが不意に途絶えて、公園の一角は夜の闇に包まれる】

【もしも少女がそれを不審に思って辺りを警戒したのなら、ベンチの後方に、ぼんやりとした人の気配を感じられるだろう】
【音もなく忽然と、「それ」は少女に忍び寄りつつあった。少女がその繊手で触れようと思えば、そうできる程の近くにまで】

【──くすり。一体何が可笑しいのか、気配の主は微かに喉を鳴らして笑った】
//いらっしゃいましたらー
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/15(火) 20:52:31.71 ID:idlYddfXo
>>410

――――?

(……街灯の故障、にしてはちと急すぎるのじゃ)
(となれば――)


【突然訪れた闇、唯一の光源は携帯端末から洩れる微かな其れだけであろうか】
【少女は端末をその場に置き、剣に右手を添えて周囲に意識を張り巡らせて気配を探り】


…………人の背を取ったのじゃ。
如何なる理由があれど、正当防衛として受け止めるがよい――!


【間もなくして薄らと感じる何者かの気配。そして、笑い声】
【この暗闇が人為的ものであると判断した少女は、その曖昧な情報を頼りに大体の位置を予測】
【素早く腰を上げ、右足を軸に振り返りながら剣を抜き放ち】
【何者か目掛けて鋭く横薙ぎに振り払おうとするだろう】

【技術は特筆するほどの物ではないが】
【突然の攻撃に意表を突かれたならば命中する確率もあろうか】
【また、剣は刃を落としてあるので切れ味はないが、鈍器としての威力はそれなりに高い】
【直撃したならば相応の衝撃を受けることになるだろうか】
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/15(火) 21:16:10.97 ID:3ABXFJMIo
>>411
【忍び寄る何者か目掛け、一瞬の躊躇もなく薙ぎ払った剣は、しかし鼻先を掠めて空を切る】
【咄嗟に後退して身を躱したのだ──迅い。まるで前以て少女の行動を読んでいたかのようでさえある】
【間違いなく、素人ではない。それなり以上の使い手だ。しかし……だというのにも関わらず】
【その人影からは一切、敵意や殺気といったものが感じられなかった】


【或いは、少女は思い出すかもしれない。そう言えば数年前、身近にこんな悪癖を持つ女が居た、と】
【かの城の廊下の曲がり角、或いは夜中の森の中で、忽然と姿を現すあの女に驚かされた者は少なくない】
【主な被害者は、あの白い聖職者の少女────】


っく、ふふふふ……ああ、判ってるよ。ご忠告有り難う。
こういうの、嫌いだったもんな。お前は。

【ややあって再び点いた街灯が、気配の主を照らし出した。そこに佇んでいたのは、長身の女】
【上は白地のプリントTシャツの上から臙脂色のジャケットを引っ掛け、下はベージュのチノとショートブーツに、腰の二刀】
【白皙。どこか中性的な、凛とした面立ち。青みがかった黒髪は肩程の長さで無造作に切り揃えられている】
【女はホラー映画めいた悪趣味な登場をしておきながら、害意はないと示すように両手を上げて、漏れ出る笑い声を懸命に噛み殺していた】
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/15(火) 21:36:36.98 ID:idlYddfXo
>>412

――――っ!


【相手が敵であれば、剣を振り抜いた直後に次の動作に移行する】
【背に紙の翼を広げて飛び退りながら術を行使する】
【そう――頭の中で練っていたプランが、その人物の声を聞いた瞬間に凍結した】

【其処に居たのは、かつて立場の関係ない"友人"として触れ合った数少ない女性】
【少女は剣を振ったままの状態で止めて、約二秒程度女に視線を送った後】
【気持ちを落ち着かせるように大きく息を吐いて姿勢を正した】


……あまり、悪趣味な真似をするでないわ

今のわらわは前にも増して"怖がり"なのでな
驚いて心臓が止まってしまったらどう責任を取るつもりだったのじゃ馬鹿者め――


【剣を鞘に収め、腰を浮かし半身だけ振り返る姿勢から】
【背筋を伸ばしてしっかりと立ち上がり、彼女の方へと身体を向けた】
【そして、どう感情を表していいのかわからないような】
【何とも微妙な表情を浮かべながら女へとそう告げる】

【"怖がり"――とは、以前常に纏っていた"織守"がいない事を指しているのだろう】
【隠していた紅蓮の髪を衆目に晒しているのはそういった理由があるのか】

【だが、それは今は特に指摘することでもないだろう】
【少女は笑いを噛み[ピーーー]"友人"の姿を見て、ようやく接し方を"思い出した"のか――】


じゃがまあ……元気にしておるようで安心したのじゃ
久しぶりじゃな――朔夜よ


【――ふっ、と……以前より少し大人びた笑みを浮かべながら彼女の名を呼んだ】
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/15(火) 21:47:21.28 ID:sNyhxyj7o
【水の国・とあるシガーバー】
【通りから階段を降りて入店すれば、うっすら漂う甘い葉巻の香りと】
【そして控えめなジャズの音楽が貴方を迎え入れることだろう】

【さて、何処かモダンな雰囲気の漂うその店内、カウンター席は空いているが】
【ソファの置かれたテーブル席は二人の壮年の男に専有されていた】

【一人はクリーム色のスーツを着た、一見してマフィア風の人物だ】
【サングラスを掛け、あごひげを蓄え、金や銀の指輪やらを身につけて】
【その上でブランデーをロックで――という、まあ如何にもな格好であり】

【もう一方の人物は、日焼けした肌を麻服で包み、赤のスカーフをした人物だ】
【髪は灰色に染まりかけ、無精髭が目立つ。寡黙そうで、海の男と言った様子】
【彼が飲むのはバーボン。ストレートでグイ、と行くさまは男らしくも有る】

『…――そういうわけだ、この間のアレは結構いい値段になった
 出来ればもうちょいと売りさばきたい所だが、在庫は有るのか?
 確かお前の船で一週間ばかり掛かるんだろう、アソコは。』

「なんてこと無い……ウチの連中は優秀だ。輸送船≠用意するさ
 もちろん、その分の報酬は確実に増えるがな……
 こっちも大変なんだ、自警団やSCARLETの目を掻い潜るのは…。」

【――と、二人して何やら密談の様子だった。如何せん、他に客も無し】
【店内に居ればこの会話は必然的に聞こえてしまうだろう】

【それに反応して、豪胆に話しかけるも良し。或いは店主に酒を頼むも良し】
【彼らの間のテーブルには札束すら積んであったから、目を引くのは確かであろうが】
【此処に来る人物がどういう立場かによって全ては変わる事となるだろう、か】
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/15(火) 22:07:01.55 ID:3ABXFJMIo
>>413

私を誰だと思ってる。心肺蘇生のやり方程度は心得てるさ。
まあ、あいつの人工呼吸じゃなきゃ嫌だってんなら話は別だけど。

【「お姫様を起こすのは王子様のキスだって、相場が決まってるもんな」】
【複雑な表情の少女に対し、然して悪びれた様子もなくそんな軽口を叩く女】
【返答を待たずベンチの背凭れに手を掛けて、ひょいと身軽に乗り越える。何年経っても相も変わらず、自由奔放な振る舞いだ】

……珍しくその格好で出歩いてるもんだから、最初は目を疑ったよ。他人の空似かと思った。

ああ。久し振り、香美那────背、伸びたな。まだ私が勝ってるけど。

【女に──朔夜にとってもまた、少女は数少ない、掛け替えの利かない友人だった】
【悪戯っぽい微笑と、柔らかな態度。それから、どこまでも減らない憎まれ口がその証左だ】
【常は鋭く涼しげな声色が、彼女の名前を呼ぶ時だけ、どことなく楽しげに弾む】

……知らない仲じゃなし、立ち話も何だとは思わないか?

【小首を傾げつつそう問えば、朔夜は我先にと深くベンチに腰掛け、背凭れに身体を預けた】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/15(火) 22:27:31.17 ID:idlYddfXo
>>415

まぁ……これにはちょっとした理由があるのじゃ
話せば長く、はならんか。わらわ自身もまだよく状況を理解出来ておらんのでな

あと背のことは言うでない。……これでも、少しは気にしているのじゃからの


【背の事を指摘されて、少しだけふてくされたような表情を見せる】
【それは、常に"正義"たらんとするこの少女――カミナにしては珍しい事だ】
【まるで年頃の少女のような幼さ……それだけ、気を許している証拠であろうか】

【返事を待たずベンチに座る朔夜を止めることはなく】
【「それもそうじゃのな」と短く返して】
【再び剣を脇に立て掛け、肩を並べるようにしてカミナもまたベンチに腰を下ろした】


さて……何から話すべきかの?
御主に会いたいとは思っておったが、いざ顔を合わせるとどうも言葉が出てこないのじゃ
会って早々仕事の話……というのは色気のないことじゃしな――


【見上げるようにして朔夜に顔を向けながらそんなことを口にする】
【手入れされた紅髪が、その仕草に合わせて小さく揺れてサラサラと風に靡いた】

【「うぅむ……」と小さく唸って言葉に詰まるカミナ】
【様々な話題の切り出し方が頭の中を過ぎっているようだが、どうも納得いくものが浮かばないようだ】
【聞きたいこと、知りたいことは未だ無数にあるが】
【その大半は"友人"と交わすには少しばかり不適切なものであった】

【いつまでも悩んでいる、という訳ではあるまいが】
【朔夜から話題が振られることがあれば、それに反応することになるだろうか】
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/15(火) 22:51:34.47 ID:sNyhxyj7o
/>>414は0時ごろまで待機しております
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/15(火) 23:08:40.24 ID:3ABXFJMIo
>>416

何はともあれ、あまり変わりないようで良かった……らしくないだろうが、私だって心配してたんだぞ?
夜行≠ニの戦い以来、あまり思わしくないようだったからさ。

【そもそも、身の丈170cmはあるこの女を追い越せというのは、世の女性方の大半にとってはまず無理な話のだが、さておき】
【武士の情けと言うべきか。どうにもならない身体的特徴についてはこれ以上言及せず】
【ここは素直に、互いの無事を喜ぶ言葉を述べておく朔夜。──知らず、その口から深い安堵の溜め息が零れた】

【ベンチに腰掛ければ、昔懐かしむような目をして、ぼんやりと夜空の月を眺める彼女だったが】
【問いを投げられれば、緩くそちらに首だけを振り向かせて】


そうだな。言おう言おうと思っていた事は数あれど、こうも急だと何を喋った物やら。
私達の仕事の話、となると……まあ、まず血腥い話になるのは確実だもんなあ。ほんと、ムードも何も……。

……ん、仕事? って事はお前、まだ。


【手櫛で軽く掻き上げれば、街灯の明かりを弾いて青く煌めく黒髪】
【こちらも何やら思案顔だ。上手い言葉が中々思い浮かばないのか、眉間に薄く皺が寄っている】

【暫くそうしていた朔夜だったが、何か重大そうな話題をさらりと流してしまっていた事に漸く勘づいたのか】
【思い出したように問いを返した。言葉足らずだが、要は「まだ正義の味方をやっているのか?」という質問らしい】
【お互いに再三色気がないだの何だのと言っておきながら、結局最初はこういう話になる辺り、彼女らしい】
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/15(火) 23:14:51.52 ID:GQ7nyeN30
【――――櫻の国。その、森の奥地】
【小さな祠が在るだけで、後は何も無い詰まらぬ場所。その祠だって、ずっと前に人々から忘れ去られたのだから荒れていると記しても何ら可笑しくは無い】
【然れど、今宵は其処に一匹の妖怪の姿。狐の耳と尾を生やし、巫女装束を纏ったその者は…………妖怪に詳しい者ならば妖狐、と知れるだろうか】

【櫻の国で暴れている妖狐に瓜二つだけれど、その表情からして気性が荒いわけでも無い事が分かる筈】
【何よりも、瞼を閉じて願掛けをする様な姿は決して悪狐の其れでは無く】


「――――……もう、ずっと来れませんでしたが…………まだ残って居てくれて、良かった……です…………」

【小さな吐息。祈りも終わったのか、慈しむ様に小さな祠を掌で撫でてやれば余韻に浸る様に側に座るのだけれど】
【―――少し離れた木の上。其処にも、一人存在していた。矢を番えた弓を手にして、キリキリと目一杯に弦を引き絞る様は正に狩人】

【近場に野兎や鹿が居る訳でも無い。ともなれば――――必然的に、狙いは一つだけだ】
【恐らくは悪狐に似た少女を討って名を馳せようと考えたのだろう。震える指先は緊張の証。生唾を飲み込んだならば目測で少女の細首を狙って】
【…………身に迫る危機も分からず、未だに過去を懐かしむ様に祠に寄り添う少女】

【狩人はどうやら気配を殺す事が下手な様で、遠くからでも所謂“殺意”を感じ取れるが――――】
【その場面を目撃した者がどの様な行動を取るのかは、自由であって】








【――――魔物達の咆哮。其れが幾つも響き渡る草原】
【数匹の魔物と対峙しているのは一人の子供だ。手には一振りの刀を持ち、側には事切れた数体の魔物達】
【この子供一人で行ったのであろう。どれもが致命となる部位を斬られ、貫かれ。其れだけを見れば腕が立つ者だと直ぐにでも分かるのだが】


「――――…………く、ぅ…………」

【流れる汗。命のやり取りをする何て激しい運動をしている最中だから、という訳でも無く――――】
【子供の纏う和装にジワリと染み出る朱の液体。コレが原因であろう】
【幾ら刃を扱う能力に長けていようと、所詮はまだ子供なのだ。体力が追いつかず、ましてや集中力だって続かない】
【負った傷は死に至る程で無いにしても動きを大きく制限するには十分であって】

【だから、魔物達は得物が倒れるのを今か今かと待ち焦がれているのだろう】
【直接手を下さずとも、後数分もすれば勝手に崩れ落ちる事は明白。すべき事と言えば仲間を殺したこの者を如何に苦しめ、食い殺すかを考えるだけだ】
【――――バランスを崩し、揺れた小さな身体。その瞬間を、逃すことは無かった】

【それぞれの爪、牙を柔らかな身体に突き立て様として――――…………】
【もし、誰かが訪れたならば目撃するのはそんな場面。無くなろうとする一つの命に干渉しようとするならばまだ間に合うはずで】
【魔物達は目の前の存在にしか意識を向けて居ない。故、一気に蹴散らそうとも或いは子供のみを救って魔物達を威嚇しようとも】
【其れは全て自由な筈だ。何にせよ、時間は残されていない。決断をするならばこの瞬間である事は間違い無いのだけれど―――――】
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/15(火) 23:46:28.66 ID:idlYddfXo
>>418

そうか……そうであろうな――すまぬな、朔夜よ
わらわが突然いなくなってしまって、きっと多くの者に心配をかけたのじゃ

あれからもう三年か……わらわにとってはつい昨日の出来事のようなものじゃが
かつての仲間たちの無事は、早めに確かめておきたいのじゃよ――


【櫻が夜行との決戦――その時起こった"ある出来事"】
【その影響で自分が瀕死の重傷を負った場面……までは鮮明に思い出せている】
【だがその先は未だ、夢に見たボヤけた記憶を探るような曖昧な欠片しか拾えていなかった】

【少しずつ、水が染み込むようにして記憶は戻ってきているものの】
【今以上に取り戻すにはまだまだ時間か、何らかの外的要因が必要となるだろう】
【そう考えてはいるが、それ以外にも考えるべき問題は無数にあり】
【結局自分のことは後回しにせざるを得なくなっているのが現状であった】


ん? うむ――当然であろう!
このわらわが、悪党共の蛮行を黙って見ておるとでも思ったのか?

今のわらわは、カミナ……SCARLETの新米隊員カミナ・ゲルギルなのじゃ!
訳あってこの名を……というよりも、今はこれが本名なのじゃがな――兎に角、わらわを呼ぶときは"カミナ"と呼ぶがいい

まぁ、御主の場合は特に呼び名を変える必要もないじゃろうがの


【正義の味方を続けているのか?という意図の質問に対して、愚問とばかりに胸を張って答える】
【胸元に貼り付けられた"緋色の鷹"のワッペン】
【SCARLETの所属を意味する其れには見覚えはあるだろうか】
【そして、「貴宝院」ではなく「ゲルギル」という姓を名乗っているのには如何なる理由があるのか】
【この三年の間に、この少女にも色々な面倒くさそうな事情が降り掛かっているようである】


わらわとしては御主の方こそ、何をしておるのか気になるところじゃよ

どうにも御主は昔から、色々な意味で"危なっかしい"というか
目を離せばどこかで刃を抜いていそうな女じゃからな……流石のわらわには想像もつかんのじゃ

くくっ……なに、御主が辻斬りの大罪人になっていればわらわが優しく介錯してやるからの?
安心して正直に語り聞かせるがよいぞ――


【少しばかり意地の悪そうな笑みを浮かべながら、彼女の近況を聞き返す】
【内心では、自分とあまり変わらないような近況であろうとは考えているが――】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 00:41:15.78 ID:bMVZZcU3o
【風の国・UNITED TRIGGER前】

【一人の女性がそこに佇んでいた。髪は真紅、服はといえば】
【もう少し濃い色合いのジャケットを羽織っていて、下に目を移せば】
【白のホットパンツを着用し、黒のオーバーニーソックスとブラウンのブーツ】

【――とまあ、非常にラフな格好だ。ジャケットの下はいわゆるチューブトップであり】
【引き締まった腰回りだの、豊かな胸元だのも強調されたものだった】

……そろそろ時間のハズだな…。

【店内の時計をちらと見てそう呟き、肩に掛けた荷物袋の紐を引っ張った】
【一見すれば何処かに旅でも行くかのような、そんな雰囲気だった】
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/16(水) 00:53:42.56 ID:DbpsnTM2o
>>420

……気に病む必要はないさ。私とお前の仲だろう?

まあ、そんな事だろうと思ったよ。予想通りで安心した。
そりゃあ、GIFTだのカノッサだのが我が物顔でのさばってる今の世の中じゃ、良い気はしないよな。お前も私も。

ふうん。何だかよく判らないけど、判った。
文字にすれば色々違うんだろうが──響きは同じだし、特に問題はないよ。

【特に気にする風でもなく謝罪を流して、概ね記憶にある通りの、カミナの堂々たる振る舞いに苦笑いで返す】
【最近の事情に疎い朔夜でも、その胸元の緋色の鷹が何を意味する物かは判る。天下のSCARLETの紋章に相違ない】
【苗字が変わった事については、複雑な事情があるのだろうと深く突っ込む事はせず】
【「随分と貫禄ある新米隊員も居たもんだな。もう少し初々しくしたらどうだ」などと、茶化すようにしてそれとなく話題を逸らした】

え、私? ……失礼な奴だな、人をシリアルキラーか何かみたいに。こう見えて最低限の分別くらいはあるんだぜ。
そりゃあ殺った数だけで言えば、そこらの殺人犯が裸足で逃げ出すくらいは……。

……あ、ごめん嘘。今の無しで。至って品行方正でした。
路地裏うろついたり戦場ほっつき歩いたりとかしてません。ま、マジで。

【悪い笑みを浮かべて何やら物騒な事を言い出したカミナから、思いっきり目を反らし】
【胡麻を擂るように揉み手しつつ、わざとらしく強張った表情を作り、棒読みで命乞い】


まあ、冗談はこの位にしとこう。概ねお前と変わらないよ。人だの獣だの龍だの古代兵器だのを叩き斬るような仕事をやってる。
斥候や前衛としては勿論、死霊だとかの魔術師がいなきゃどうにもならないような相手も私ならどうにかなるってんで、
向こうじゃそこそこ重宝されてるよ。「Bluebird」だっけ? 今はあすこの冒険者ギルドに居るんだ。

……勿論、悪党絡みのいざこざに顔を出してない訳じゃない。
六罪王にGIFTに……一番最近だと、機関のナンバーズとやり合ったか。
私設の盗賊団を率いる、腹に一物抱えたような奴だった。私と戦ったのは首領じゃなく副首領だが、どちらも油断ならない敵だ。


【それからややあって、「ギルド連盟に所属している」と朔夜は返す。それが何の為であるかは想像に難くない】

【Justiceの一員であり、かの城の調査、攻略依頼をギルドから請け負った内の一人でもある自分ならば、資格としては十分】
【依頼をこなし続ける事でギルドに対し貢献すれば、決してにべもなく城を立ち退かされる事はあるまい】
【もしかすれば、貴宝院 織守の代理という形で、正式に管理を委任される事もあるやも知れない──それ以上は元より、望むべくもない事】

【大方、そんなところだろう。主の帰りを待つ忠犬めいた、らしくなく殊勝な行動であった】
【その一方で依頼遂行の傍ら、世の諍いに度々顔を出してはいるようだ】
【今しがた話題に挙がった、かの盗賊団──「スクラップズ」の面々については、カミナも覚えがあるだろうか】
//お待たせいたしました……!
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/16(水) 00:56:37.55 ID:QDZNbzzlo
>>422
/そろそろ時間厳しいんで、持ち越しよろしいでしょうか!
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 01:04:19.25 ID:o0ogT73t0
>>421

【――さいきん、彼女はどうにも調子が悪そうだった。せっかく頼んで入れてもらったバイトの予定、当日の朝になってから】
【やれおなかが痛いだのあたまが痛いだの、そんな言い訳すらなしに具合が悪いだとか言って、出てこないことが急に増え】
【やっと出てくるようになったのはここ二〜三日の話、何があったのかなんて一言も言わないまま、けど元気もないまま、そこに居て】

【(家に来てくれるという話になったとき。不自然なぐらいに喜んだことが、或いは、印象に残っているかもしれなかった)】

…………ベイゼ、おまたせ。

【そのうちにその姿は店の中から出てくる、お仕事上がりの気の抜けた顔、薄らと疲れているように見えたが、月明かりのせいかも】
【夏用のロングワンピースは少しだけ薄い布地が肌を透かしているような、そうでないような、少しだけ悪戯っぽく揺れて】
【ちょっとしたボレロを羽織って肩を隠す、きゅうと縮めた肩の仕草、身体の前でちいさな鞄を持つ、その手がふらりと揺れて】

行こ。

【今日もなんとなく上の空だった。ミスが増えるわけでもないけど、何か粗相をするわけでもないけど、ただ、口数だけが減っていて】
【それがこんな場面でも現れている様子、長い髪の毛を一度耳元へかきあげて、「それでいい?」と尋ねる声がりんと震え】
【肯定を返してやれば手を差し伸べる、繋げということだろう。まだ何かがあるというなら、その姿勢のままで律儀に待ち】
【ベイゼの準備が整うまで、きちんと待って――繋いだ手はしっとりと暖かい。具合が悪いといい続けた割りには、やつれてもいないものだった】

【――そうして手を繋いだなら、視界がぐるんと暗転する。それは一瞬のことだけれど――見えるのは、魔力の煌く色だけ】
【慣れてないとバランスを崩したりするかもしれない。でも手を繋ぐ少女はすらっと立って支えるから、転びこそしないはず】

“きょうね”、“だれもいないんだ”。“おしごとなの”、“だから”、“ふたりきり”。

【夜の世界から夜の世界へ飛べば、驚きというものは少ない。ただ、ふと弱くなる風と、少しだけひんやり冴える空気と】
【眼前には森の中に佇む、黒色だけで構成された館。ぽつぽつと置かれた明かりは、不思議に紫色を灯す、ランプだけ】
【森との間にある庭にはたくさんの薔薇が植えられていて。この時期だ、花は咲いていないが――照り葉に赤葉、ぎざぎざの葉っぱ】
【うさぎでも放牧するように柵で囲われたスペースもある、――まあ、そんな光景より、気になるものは、違うのかもしれないけれど】
【ついと先に扉へ向かう背中から飛んで来る声は、まるで「そう決めた」みたい、誰かに言い聞かせるみたいに、強迫観念染みて強く】

ゆっくりして行ってね、あんまり、おもしろいもの……ないかもしれないけど。

【大きな扉に古びた鍵を差込ながら振り返る、少しだけ疲れた眼で――笑ったなら、手元で「がちゃん」と鍵の開く音がした】

【(親友相手に隠し事をしようとしたのが間違いだったのかもしれない。不自然だった、いろいろなことが。でも、隠そうとしていて】
【(今はまだ――それを言える気持ちではないのだろう。そのうちにぽろっと言ってしまえるかもしれない、まだそれは、未来のことだった)】
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 01:31:11.08 ID:bMVZZcU3o
>>424

ん……おう、お疲れさん。…、……だな、行こうぜ
人の家に行くって経験無いから結構楽しみにしてたんだぜ?

【――ニッ、と笑ってみせる。何処か不調で、心ここにあらず】
【そんな様子の少女を慰めるとまでは行かないまでも、元気付けるような表情だった】
【ここ最近の事は聞いていたし、その事が気にかかって居たのは事実】
【出来ればその原因を突き止めて、一方で純粋に楽しみでもあり――】

【そんな事を内心に抱えながら、ベイゼは鈴音の手を取って】
【転移の際にはぐらりとするものの倒れこまないのは流石、というところか】

【その直前に聞こえた言葉が気にはなったが――そこにツッコミを入れる程】
【ベイゼというのは無遠慮な人間でもない。ふと顔を上げて周りを見れば、景色は様変わりしていて】

――………へぇ、スゲェ家だな…。お伽話にでも出てきそうなお屋敷じゃねェか
これで薔薇が咲いたりしたら、それを"幻想的"っつーンだろうな…。

面白いものが無いなんて、ンなこと無いぜ?俺、もう楽しんでるしな
そんじゃ……お邪魔します、っと…――。

【言葉をかけながら、鈴音に従う形で屋敷の方へと向かう】
【鍵が開けば、早速その館に入ろうとし――その姿は、何となく子どものように楽しげで】
【一方で何となく夜の明るさとでも言おうか、抑えたものが分かるかもしれない】
【それこそがベイゼなりの配慮のようなものなのだが――ともあれ、今はベイゼから何を言うでも無くて。】
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/16(水) 01:40:24.42 ID:DbpsnTM2o
>>423
//申し訳ない、若干眠気が……了解いたしました。今夜はこの辺りで持ち越しという事で……。
//お疲れ様でした、ごゆっくりお休みなさいませー
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 01:57:13.48 ID:o0ogT73t0
>>425

【ずっと元気がない。でも、今宵のことを純粋に喜んでいたし、そう言う話になって以降は楽しみにしていたようだった】
【そのどっちもが本当のことで嘘じゃない。それを隠そうとするのだって、きっと、楽しみなことを駄目にしたくなくて】

【――どこか遠くでふくろうや虫の鳴く声がする。ぼうぼう、ちりちり、葉っぱの擦れるかさかさとした音、たくさん重なれば】
【自然の中であるのをよく分かるよう。街中で暮らすのとは違った――しんと静かで、自然に近い、セカンドライフとして憧れそうな光景】
【紫色の光を灯すランプにはらはらと蛾が纏わり付いていた。そんなところも自然風、……嫌いなひとにとっては、耐え難いものだろうが】

家の中も真っ黒なんだよ、ちょっとびっくりするかも……、……わたしが来てからのものは、そうでもないんだけど、ね……。
……せっかくなら春か、秋が良かったね。そしたら薔薇もみんな咲いてたのに、……。

…………それなら、良かった。ほんとに、ゆっくりして行ってね。だれも、いないから――……。

【がちゃんと重たい音で開いた扉、ごつい木の扉は見た目通りに重たいのだろう、慣れてはいるようだが、よいしょと開けて】
【先に入って、と示すのだろう。入ったなら――煌々とまでは明るくない部屋、目に悪くない程度に薄暗い室内が出迎えて】
【先に言ったように壁紙も床も家具も全部が黒い室内だった。天井を見上げれば吊られたシャンデリア、周りを見れば、扉がいくつか】

靴は脱いでも脱がなくてもいいよ、……客間はこっちなの、――荷物、持とうか?
どうしよう、置いてきちゃってもいいよ――、ううん、わたし部屋に行くから、そのついでに置いてきちゃうね。……だいじょうぶ?

【ぎいと扉を閉めれば室内の香り、ふんわりと甘いのが分かるだろう、それは、彼女が身にまとう可愛らしさとよく似て】
【彼女の家なのだって分かるよう、同じ香り――本人はもう少し石鹸の香りとか、シャンプーの香りとか、するのだけれど――】
【自分は靴を脱いでスリッパに履き替えながら。もう一組出してそう尋ねる、それから、すらりと立って】

【(なんだか嬉しげだった。大切な友達を家に呼べたこと、――或いはそれ以上、にも、見えたのかもしれない)】

【あっちと指差しながら言葉はすでに次のものに変わっている、つまり、ベイゼの抱える荷物をどうしようかと】
【このままだと空き部屋に運ばれてしまう。それでいいというなら手渡してやればいいだろう、どちらにせよ、】
【自分の荷物を置いてくるという名目で一度彼女は席を外そうとする。ベイゼを客間に通そうとしてから、になるけれど】
【寒いこの国らしく暖炉のある部屋だ。相変わらず全部が全部黒いけれど――ソファに座る一メートルもあるようなぬいぐるみだけがいろを持つ】

【(耳や腕を切り落としてから繋げた痕跡のあるテディベアだ。彼女はそれを見つけると、抱き上げて、小脇に抱えてから)】
【(預けてくれるというならベイゼの荷物も抱えて。そのまま部屋から出て行く、はずだろう。ぱたぱたとスリッパの足音が遠くなって――)】

【――こそり、と。部屋の隅っこに置かれたソファの下で、何かが“さっ”と動いたような、そんな気がした】
【気がしたのだが、それは敵意も何も持たない気配。それなら、無視してたくさんあるソファに座るというのも、選択肢だが――?】
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 02:17:45.50 ID:bMVZZcU3o
>>427

家の中まで……?そりゃまた……なんつーか、作った奴も物好きだな
こういう場所だから、逆にそれが悪くないようにも……ん?

……何言ってんだ、それじゃまた春か秋に来りゃ良いだけだろ?
幸か不幸か俺は暇人なんだぜ。何時だって邪魔しに来てやるよ

【――その後に続く鈴音の言葉に、なんとなくベイゼも察するモノがあったが】
【やはり口には出さない。明るく笑ってみせれば家に足を踏み入れて】
【本当に一面真っ黒なのと、いわゆる"人の家の匂い"なんて言うのを感じ取る】

【生まれてこの方、ベイゼはまっとうな人の住居に行った試しが無い】
【研究所、ホテル、何処かの組織の一室を間借りしたり】

【そんなことばかりだったのもあって、純粋に楽しそうで、好奇心がくすぐられるらしい】
【少女の質問――荷物を預けるかどうかというそれに、生返事で答えると】
【取り敢えず、その荷物を手渡すことだろう。別段重いわけでもない】
【下着の替えやら、タオルやら、歯ブラシやら――そういうものが入っているくらいなのだ】

【ともかく、『靴はそのままで良い』『荷物は任せる』そんな返事をすれば】
【テディベアに目をやって、シャンデリアや真っ黒で染められた家具を眺め】

……―――ん?

【ふと、そんな視界の隅に動くもの。ソファの下はより暗く、黒いものの】
【鈴音も居ない、それに彼女の誰も居ないと言っていたのだから気になるのも当然で】
【件のソファに近づけばそっと身をかがめて、床に手をつきながら覗き込み――。】
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 02:37:33.56 ID:o0ogT73t0
>>428

【「黒色が好きだったのかなあ」なんて声がした、それは――つまり、ここまで黒い理由を、彼女は知らないという意味で】
【客間の扉をきいと押し開けると、座って座って、だなんて。身振りで言うのだろう、たくさんあるソファ、どれに座ったってよくて】
【座れば上等なソファだと言うのも伝わるはず、なんとも絶妙に座り心地がいいのだ、――きっと、高い。それが分かるぐらいには】

……そっか、……そうだね、――、……ベイゼ、また来てくれる?

【――ほんの一瞬だけきょとんとしてしまった瞳が瞬いた、それから変わる表情は、ほんの少しだけ、寂しさを滲ませる、不思議なもの】】
【でも――頷いてやればきっとすぐに喜ぶのに違いがないのだった。お泊まりじゃなくてもいい、お茶を飲むだけでも、それだけだって】
【とっても喜ぶはずだと言うのが伝わっている、だろうか。彼女の、寂しがりやなところが特に喜んでいるような、そんな感覚で】

【玄関はいくらか生活している気配があった、それは例えばコート掛けにかかったままのコートだったり、鍵掛けだったり】
【でも客間となると。普段使っていないのだろう、しんと静まっていて……でも、不思議と居心地の悪い静けさではないはずで】
【渡された荷物を受け取ると。片手にでっかいぬいぐるみ、片手にベイゼの荷物、「じゃあ置いてくるね」なんて言い残して】
【苦心しながら扉を開けて出て行った。そうして場面は移ろう、ベイゼがソファの下を覗き込む頃合に――その結果は】

【――まず、きらりと煌いた赤いものが見えたはずだった。宝石のような艶めきは、ほんの天井からの明かりを捕まえて、光り】
【それからばっちりと目が合う。ぱっちりと円らな瞳が一対、じいと、はじめて見る彼女を見つめて、数度瞬きを繰り返し】
【ただ隠れてか眠ってかいたところに誰かが来た、というのが正しいところなのだろう。そうして、闇に潜む“彼女”】
【のしのしと自信げにソファから出てくる姿は、或いは、予想しているよりもずっと、ずっと、大きい――かもしれない】

【(いつかに話したことがあっただろう。二メートルもある大きな蜥蜴がペットなのだという、あの話。それを思い出せたなら)】
【(ぺったんと足音で出てきたのがそのペットだと、繋がるはず。だって、まさに、二メートルもある大蜥蜴なのだ)】

【――――サラマンダーの子供なのだと“彼”は言った。だから、本当は、大蜥蜴なんて言うのは失礼なのかもしれないけど】
【まんまると円らな瞳、ちょっぴりさらさらしそうな背中、ぽってりと白いおなか、ぞろーっと長い尻尾のうねり、額の赤い宝石】
【「こんにちは」だなんて言うことはないけれど、人懐こい子なのだろう、その頭をベイゼの足に擦り付けようと――挨拶めいて、そうしようとした】
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 02:51:56.16 ID:bMVZZcU3o
>>429

……―――なんだ、来ちゃダメなのか?

【ニッ、と笑いかける。鈴音の言葉への返事はそれだけだったが】
【言葉としても表情としても、それで十分すぎるくらいだろう】

【やがて少女が一度客間を離れれば、ソファの下を覗き込むことになるのだが】
【最初は何か害虫でも居るのかと思っていたらしい。光る赤が見えたなら】
【少し意外そうな声を漏らして、そっと目を細めるが――その必要は無いらしい】

……ぉ、おう……何…、サラマンダー、か……?
確かペットとして飼ってるとか言ってた気がするけど……

…、……スゲェサイズだな…。苦手なやつが見たら失神するんじゃねーか?
ん……よしよし、お前、名前はなんて云うんだ?
って言っても分かんねーか。…――結構可愛いじゃねェか、お前

【最初、のそりとその姿が這い出た時こそ驚いたが】
【運が良かったのはかつての話を直ぐに思い出せたこと。ペットなのだ、とわかれば】

【恐る恐る近付いて――向こうから人懐こく足に擦り寄る様子を見て】
【ふとベイゼはその手を伸ばし、そろりとサラマンダーの頭を撫でようとするだろう】
【蜥蜴の飼い方や可愛がり方は分からない。マナーとしてどうなのかは、分からないが】

【大きさと姿の割に愛らしい動作のこの生き物が、ベイゼは気に入ったらしい】
【ソファに座って柔らかさを味わうより、彼女と戯れ合う方を選びとり】
【頭を撫でようとした後は、その背の鱗に触れようとしたり】
【或いは鋭い爪が有るのだろう手を取ろうとしたりと、結構な楽しみようを見せるのだった】
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 03:18:45.35 ID:o0ogT73t0
>>430

【――ひどく安心したように笑ったのだった、或いは照れたようにも見えたかもしれないし、はにかむようにも見えたし】
【とにかく、それなり以上に心を動かしたらしかった。笑顔をひとつ置いて、その姿は消えて――さて、残されたのは“ふたりだけ”】

【すりすりと頭を擦り付けた、じんわりと暖かい体温は――火属性を持つのを思わせるようで、冬には取っておきの湯たんぽになりそう】
【この時期だと鬱陶しいようにも思えるが、この国、太陽が昇らない関係で涼しいのだ。それなら、夏だって抱っこするのは苦でもなく】
【甘えるように足首の辺りを歯も立てずに噛もうとしてくるのはちょっと悪い癖かもしれなかったのだが、悪意はない。悪戯でもないなら】
【いかに飼い主が甘やかしてきたのか――いや、かわいがって育ててきたのか、それが、きっと分かるようなのだった】

【そうして撫でてみた頭や背中はさらさらとした乾いた手触り、鱗のちょっぴりとげとげした感じ、精一杯に感じさせて】
【でも頭の――額に埋まる赤い宝石を触るとちょっと嫌そうにするのだった。あんまりしつこくすると、黒煙を吐きかけるというのは記しておいて】
【そうでなければ、手を取られたり、足を取られたり、或いは尻尾を持ち上げられるかもしれないし――どれにも、快く対応してくれる】

【そしてしばらく戯れればもう仲良くなったようにも思えるだろう。ずいぶんと人懐こい子だ、鳴きもしないし、言葉も喋れないけれど】
【そうして少女が戻ってくるまで待つ程度ならあっさりと潰れてしまうだろう、きっと、彼女はそんなつもりでなかったはずだが――】

ごめんねベイゼ、待たせちゃった――どうしよ、リビングの方がいいかな? 普段使ってるお部屋だから、ちょっといろいろあるんだけど。
ここって何にもないでしょ、ソファと暖炉しかないし……おもしろくないかなって思うの、……ここがいいなら、それでいいんだけど――。

…………あ――コモンってば、ここに居たの? お布団に居ないから、どこ行ったかと思っちゃった……。

【そしてきぃと扉が控えめに開いたのは。十数分後のことになる、「ごめんね」と待たせたことへの非礼を詫びれば、後ろ手に扉を閉め】
【この大蜥蜴はコモンというらしい。そういえば、そんなことを前にも言っていたような――記憶は、どうにも曖昧なのだけれど】
【手に持っているのは銀のお盆、そこにはティーカップとティーポット、それと些細なお菓子を載せて――それを机に、置いて】

ベイゼ、大丈夫だった? 怖かったりしない? ……悪い子じゃないんだよ。
ごめんね、その子、扉とか開けちゃうの。……普段は家の中で自由にさせてるんだ。

【「ベイゼに遊んでもらったの?」なんて言葉がコモンに向けられる、そんな彼女を見上げるなら、ふたりの仲はいいらしい】
【お盆の上のティーセットを広げないなら、さっきの言葉がある。“リビングに移動するのか、どうするのか”。その答えを待って】
【客間よりは生活感がある場所らしい。この部屋は、きっかりと何にもないから――くつろぐには、少々気難しいのかも】
【でも答えはベイゼの好みに任せられる。移動するというなら、彼女はもう一度お盆を手に取るし、ここがいいと言うなら、お茶会の準備をするし】

【移動するというならもちろんコモンも一緒。「おいで」って声を掛けるのだろう、ちなみにその際、彼女の我侭を許してやるなら――】
【するすると器用にその身体を登って、ぴったりと抱きつくようにしながら移動したがるのだ。それなら、普段の暮らしも見えるよう】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 03:45:41.81 ID:bMVZZcU3o
>>431

【鱗と皮の乾いた感触、ほのかに感じる熱い体温と生命力】
【不思議と触れていて飽きないような所がある。ベイゼはそんな様子で接していた】
【『お手』のようにして遊んでみたり、時たま黒煙を吹かれたり】
【――普段なら絶対に、例え犬猫相手でも見せないだろう姿がそこには有るのだが】

【残念ながらそれほど親しむ姿を鈴音が見ることは叶うか、どうか】

【というのも彼女が入ってきた時には、ベイゼはソファに腰掛けていたからである】
【なんとなく上の空で室内を眺めていて、足首にはサラマンダーが――】
【――コモンが甘噛とはいえ、齧り付いていたのだから、可笑しいが】

…――ん、あぁいや……別に待ってなんかねーよ
人の家って結構楽しいぜ、見てるだけでも。…コイツも居たしさ

んじゃ、そのリビングの方に行こうぜ?
俺、ソッチの方も見てみたいし……ここじゃちょっと広すぎるしな
あとコイツの事は気にすんなよ、結構面白い奴だと、っ…!…と、思うぜ…?

【言葉の最後がちょっと途切れたのは、部屋を移ろうかと移動の折】
【その背にするりと登るコモンの動きと重さとに驚いたからだった】

【2mもある大蜥蜴なのだ。幸いにして、ベイゼは普通の女性より余程力持ちだし】
【ジャケット姿だから爪なんかも怖くないが、それでもやはり驚くものは驚いた、というわけだ】
【結局、登ったのならそのまま好きにさせて――むしろ頭なんかを改めて撫でて】

【リビングに移るのはそんなことがあってからになるだろうか】

【ベイゼからすれば、この家に住む者達の関係が何となく見えてくる一幕だったし】
【鈴音からすれば、ベイゼの新しい一面が見えたかもしれない。爬虫類好きというのも】
【それはそれで中々珍しい上、可愛がる姿も目撃できていれば――まあ、"収穫"とも言えそうだった】

/っとすみませんがこの辺りで一度凍結をお願いしたく!
/明日は夕方まででしたら昼間はずっと居るので、その辺りか
/でなければ木曜以降に改めて再開させて頂きたいなーと思うのですが、どうでしょう…?
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 03:47:39.75 ID:o0ogT73t0
>>432
/了解ですー、その予定で大丈夫だと思いますっ
/今夜中にレスは返しておきますので、お先におやすみになってくださいな!
/今日のところは一先ずお疲れ様でしたっ、また明日よろしくおねがいしますー
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 03:53:03.19 ID:bMVZZcU3o
>>433
/ありがとうございます、ではまた明日、ということでっ!
/お言葉に甘えて失礼しますね。一旦、お疲れ様でしたー!
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 04:15:03.05 ID:o0ogT73t0
>>432

【ふかふかなのにしっかりと身体を受け止めてくれる上等のソファと、ぽかぽか暖かで可愛らしいサラマンダーの子供】
【その二つがあれば、なんだかこの家というのが分かるようだった。なんとなく居心地が良くて、そんな、様子の欠片】
【少女が普段どんな場所で暮らしているのかが少しずつ明らかになっていく、その過程で、隠し事も――いつか、見えるのかも】

【彼女にしてみればいつも通りの景色、普段そうして咬まれているのは自分だったり、彼だったりするから、少し不思議だが】
【ベイゼが快く構っていてくれていたなら安心する。ふわと表情を柔らかくして、その様子を見たのだった】

他にも兎とかが居るんだよ、後で見せてあげるね――、蛙も居るの、寄生虫の子たちも居るし……。
だからね、ひとりでもひとりじゃない感じがするの。昔はね、お留守番とか、苦手だったけど――……。

【「だいじょうぶになったんだ」】
【もう一度銀のトレイを持ち上げて言う、ひとつ頷いたのは移動することへの了承、その目は、少しだけ遠くを見るように振れて】
【にっこりと笑って振り返って見せたところでコモンがその身体をよじ登るのを見ることになる、一瞬だけ慌てたような素振りが見え】
【でも手には銀のトレイ。どうしようもなく、ベイゼが嫌がる素振りも見せないなら、「……ごめんね」って紡ぐだけにトドメ】

……ベイゼ、こういう子好き? 蛇とか、だいじょうぶだったりするの?
うちね、こんなところでしょう。森の中で、街から離れてて、……だからね、蛇とか、虫とか、いっぱい出るの。

それでもいいなら、……だいじょうぶなら、また、遊びに来て欲しいな。いつでもいいんだよ、ほんとうに、いつでも。

【そうして廊下に出る、相変わらず黒いだけのその場所は、ぽつぽつと壁に付けられたランプと窓から差す月明かりだけが照らし】
【振り返ればコモンに尾っぽまでぐるぐるに巻かれたベイゼの姿、それを見れば、そんなのを尋ねるなんて、愚問みたいに思えたけど】
【また来て欲しい。何度でも来て欲しい。そんな意思表示なのだった、くるりと身体を返して、数歩後ろ歩きしてまで――告げて】

【――そのうちに彼女はひとつ扉を開ける、今度の部屋は、客間と比べればずいぶんとごちゃっとした印象の――生活感のある部屋】
【暖炉があるのは変わらないが、本棚や、テレビや、机にソファ。棚に飾られた硝子の小物、ソフビの指人形だとか】
【印象的なのはまたもぬいぐるみだ。床に転がっていたりソファに座っていたり、今度は一般的なサイズのそれが、ころころと】
【あちらこちらで住人のように居座っていて――彼らも、また、耳や胴体に切り落とした痕のある、ぬいぐるみなのだけれど】

普段使ってるのはこのお部屋なの、だからね、ベイゼも好きにしてくれると嬉しいな――。

【ソファの前に置かれた机にトレイを置く、そうして、一式を広げ。座って、とまた示すのだろう。このソファもまた、上等のもの】
【というより――家具の全部がなんとなく上等っぽいのである。違和感なのは、黒くないもの――ソフビの指人形とか、そんな】
【恐らく彼女が来てから増えたのだろうもの、調和しているようで浮いているようで、ただ、これがこの家なのだと言ってしまえば簡単で】

あ……、この子がマーロン、お水をあげるとふくふくって膨らむんだよ。

【そんな彼女の顔の前をふと浮びながら通りすがっていく丸があった、それを彼女はふわと捕まえて、よしよしと撫でてやるなら】
【それも生き物らしい。――そうして見れば、どうにも子供にストローで膨らませられた蛙のような見た目、というよりもそのもの】
【でも何らかの被害に遭ったわけじゃなくてそう言う生き物らしいのだった。そして、その子もまた、ペットのうちの一匹であって】

【――そんな説明が終わる頃だろうか。ベイゼ登り(仮)をしていたコモンがするすると降りだすのだろう、その仕草はよく慣れていて】
【それからソファの方にぺたぺたと歩いていって、ソファの傍に置かれた袋を小突く。“備長炭”とか書かれた、その袋――】
【(彼女はそれをおやつに齧るのが好きなのだった。つまり、お茶会《ガールズトーク》に混ざるつもりであるらしく)】 
【(わたしにもおかしを。とそんな我侭をしているというわけ。がさがさとした音が、部屋の中に響くのだけれど)】

【まあ――とにかく、客人であるベイゼはゆっくり座るのがいいだろう。蛙はふわふわ、蜥蜴はがさがさ、好き勝手する中で】
【或いはわざと言うことを聞かずに好き勝手してしまうのも選択肢かもしれない。他人の家というのは、だいたいは楽しいものだから】
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 13:14:59.70 ID:bMVZZcU3o
>>435

ん……まあ、流石にゲテモノ、っつーのか?
あんまりデカい奴はダメだけど、大体のは嫌いじゃないぜ
コイツみたいに結構可愛いトコ有るし……蛇って、格好いいしな

……ところで、まさか寝てる間にムカデやらクモやら
とんでもないのがベッドに入ってくるなんてこと……無い、よな?

【ベイゼの答えはといえばそんな、少しおっかなびっくりな様子のもの】
【蛇もいい、虫も大丈夫。ただ流石によっぽどのものは無理だなんて云う程度】

【それはつまり、何時だって来るという物と取ってなんの問題も無い言い回しで】
【やがて扉が開いてリビングらしい場所に入れば、またキョロキョロと周囲に目を向ける】
【小奇麗な調度品、それと程よく調和した生活感、暖炉や――そしてぬいぐるみ】

【これもまたベイゼの無知からくるものだが、ぬいぐるみとはああも継ぎ接ぎの多いものだろうか】
【そも、買ったことも貰ったことも無い彼女からすれば何とも言えないが】
【何か少し歪なような、そんな感触があった。――座って、と声が掛かれば腰を下ろし】

カエル……、…水で膨らんで浮いてるカエル……。
…、……――お前の家ってさ、多分普通の家の何十倍も面白いンじゃねーかな

んで、お前もお前でまたお茶目っつーか……サラマンダーは炭、喰うんだな

【不思議な蛙――マーロンに目を奪われ、ようやく降りたコモンはと言えば】
【これまた炭を食べるという、普通のペットらしからぬ行動で魅せつけてくれる】
【その両者から目を離すのは難しいが――なんとか、グッと堪えて鈴音に向き直れば】

【『角砂糖二つな』と声をかけて、言われるがままソファに身をあずけるのだった】
【室内の人形や、ふわりと浮く蛙を見たり、つついたり。大分リラックスした様子であった】
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 13:45:26.72 ID:o0ogT73t0
>>436

――わたしも蛇、好き。かわいくて恰好いいの……ぐるぐるって、巻きつかれるのも好き。
ねえ、ベイゼは腕に蛇巻いたことある? わたしね、あるんだよ。少しだけ暖かくてね、すべすべしてて、……。

…………だいじょうぶだよ、そんな子は居ないよ。たまにね、コモンがベッドに入ってくるぐらい。
でも最近は一緒に寝てるんだ、暖かいからね、ちょうど気持ちいいんだよ……、……この国、寒いでしょ。
やっと暖かくなってきたんだよ、冬なんか、もうね、ほんとうに寒くって――わたしね、寒いの苦手だから。

【ぱぁと表情が綻んだ、蛇っていいよね!だなんて、ほんの一瞬、どんな言葉でも取り繕えないぐらいの態度を見せて】
【始めて蛇を腕に巻いた日のどきどきを思い出しているのだろう、目がずいぶんときらきらしていたが――ふと、素に戻る】
【それから苦笑気味に笑えば、大丈夫だって返事する。入ってくるのはコモンぐらいだって、だから大丈夫だと、そう言って】
【だからさっきも“お布団に居ないから”だなんて言ったのだろう、――抱き枕なのか湯たんぽなのか、これじゃよく分からないけど】

【――正しいぬいぐるみというのはもちろん継ぎも接ぎもない姿だ、こんな……ゾンビめいた様子、子供が喜ぶ代物ではなくて】
【けれど、ソファに座っていた子をよいしょと隅っこに寄せる手つきは優しいなら。大事にしているのだろう、と、それが分かって】

一度だけどこまで大きくなるかってやってみたことがあるの、そしたらね、こんな……、こんなになっちゃって。
……おもしろいかな。ベイゼがそう言ってくれるなら、……なんか、うれしいな。

【ヘリウムの適度に抜けた風船を捕まえていたみたいな仕草、それをふわっと放してやれば、自由気ままな蛙は飛んでいって】
【“こんな”と手で記すのはだいぶ大きい。「そのうち元に戻るんだよ」なんて付け足して、現状のちっちゃなサイズを説明して】
【――ふときょとんとして見せたのだった。でも次の瞬間には笑っているから――やっぱり、来てもらってよかったって、思う】

【それからあとのこと。彼女もソファに腰を下ろしたなら、紅茶を注いで、言われたとおりに角砂糖を落として】
【持ってきたお菓子はクッキーと――最中と言うミスマッチ。「貰ったのがたくさんあるの」とは言うのだが、――まあ、不味くはない】
【そしてかしかしと袋を引っ掻くコモンに対して「もう」だとか言いながら立ち上がって、袋の中から一本の炭を、取り出して……】

あ、ベイゼがあげてみる? 

【だなんて言うのだった。動物園の餌やり体験みたい、サラマンダーにおやつをあげる体験――たぶん、大分めずらしいそれ】
【やりたいと言うなら炭が手渡されるのだろう。そうすれば、あとは、心なしかきらきらした目でコモンが見上げてきて――】

【(“じゃく”とか“ばき”とか、そんな豪快な音で食べるらしいのだ。嬉しそうに/楽しそうに食べるなら、音のせいもあって)】
【(大分“何かをやった”という感じがあるかもしれず。まあ――餌付けとかが好きなら、結構楽しい、と思えるかもしれなくて)】
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 14:19:16.83 ID:bMVZZcU3o
>>437

腕に?……いや、流石に見たことくらいしか無ェけど……
……でも、結構楽しそうだな。鱗がつやつやしてて触り心地も良さそうだし
サラマンダーだの蛙だのはいるけど、蛇はここのペットには居ねェのか?

……ん、そりゃ良かった。じゃあ安心してここに来れるな
今夜も……まあ、随分大きな抱きまくらがついてきそうではあるけどよォ……

【ちら、とコモンを横目に見ながらも、その表情は楽しげだった】
【どちらかと言えばベイゼは暑がりだから、より暖かな彼女は困るのだけれど】
【案外、先ほど抱きつかれたのが悪くなかったらしい。何処か期待するような色も見え】

こんな=c…ってまた、随分デカいじゃねえか……

……面白いぜ。そりゃもう、きっと誰が来たって同じこと云うだろって位にはな?
セリーナなんかはきっと特に…――ぁ、そういや、どうだ?
あの能天気には会ったのか。なんか嫌なことされたりとか……。

【――なんて、話題も少しズラしてみる。仕事に身が入っていなかったこと】
【それを思い出して、それとなく探ってみようと云うわけだ】

【もっともそれが本懐ではない。だから、淹れてもらった紅茶も静かに貰うし】
【クッキーや最中も、何ら不平なく口にする事だろう】
【そして当然のように『美味い』と言って、鈴音へと笑いかけるのだ】
【その表情が好奇心へ変わるのは、きっと彼女には直ぐに分かってしまうはずで】

…――ちょ、っ…!このっ…結構グイグイ行きやがるな、こいつ……!

【いざ炭やりととなればそんな反応。なにせ、他の生き物とはわけが違う】
【手の内の炭が豪快に食べ進められるのを見れば、しかし楽しげにして】
【全てなくなってしまえば、まだ感覚の残る手を眺めたり――コモンの頭を、擦るように撫でてみて。】
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/16(水) 15:00:25.53 ID:o0ogT73t0
>>438

蛇はね、森にたくさん居るよ。あんまり出て来てはくれないけど……たまに、お庭にいたりするの。
いきなりだからびっくりしちゃうみたい、みんなすぐに逃げちゃう――……お話出来たら、いいのにな。

……、ふふ、そうだね、おっきな抱き枕……。

【お話がしたいなんて大分ファンタジー、そんなことを自然に思うのも、いつか蛇とは深い関係にあったからこそ】
【あの白蛇が特別だったのだとは分かっているつもりだけれど――もう話すことも出来ない今が、少しだけ、寂しくて……】
【――大きな抱き枕、というのには大して異論もないみたいだった。大型犬なんかと寝るのとはちょっと違う、新しい添い寝の姿】

あ……うん、会ったよ。ちょっとね、お話したの。何が出来るのかとか……何が得意かとか、そんな……。
……――嫌なことはされてない、よ。ちょっぴり……、びっくりしたこととか、あったけど――だいじょうぶ。

【――はじめの何日かは楽しげだったのだ、お料理を作るのも、お客さんにお酒を出すのも、くだらない話をするのも】
【でもそれがある日いきなり出てこなくなって。おなかが痛い、あたまが痛い、具合が悪い、調子が悪い、それだけ繰り返して】
【やっと出てきたと思ったら少しだけとは言え、いっつも上の空で――今日は、ベイゼが家に来てくれるというので、はりきっていたが】
【例えばセリーナに嫌なことをされたからとかではない様子だった。客の軽口がダメージになって腐ったわけでもないみたい、それなら、】
【UTとその店に悪い点はないらしい。――悪いのはきっと彼女の側、何かがあって、どうにかなって、どこかが崩れてしまった】

セリーナって不思議なひとだね、子供みたいなところがあるのに、ちゃんと大人で。悪戯好きだけど、嫌な感じじゃなくて……。
みんなのこと気にしてるっていうのが良く分かるの。だから、……、……わたし、

【豪快に食べられていく炭、その音を聞きながら――ぽつぽつと紡いでいく言葉、ほんのりと目を細めて、思い出すように】
【とってもいいひとだと言う評価。それを改めて思いながら、……ふと、申し訳がないというように、余計に目を細めて黙りこむ】
【たぶん心配させただろう。迷惑も掛けただろうし――、ほんの一口の紅茶を飲んで、唇を潤すみたいに、一瞬の間】

…………、……――、ごめんね、明日から、ちゃんとするね。

【――何かを言おうとしたように見えたのだけれど。そんな様子はふっと流れてしまう、水に浮かべた笹の小船みたいに】
【ぎこちなく笑ってみせて謝罪とする。もう休まないし手も抜かない、それを、口約束ではあるけれど、――そっと、誓って】

【そうして少女は何かを黙った、きっとぜんぶ知っているコモンは喋れない、マーロンだって、ぷかぷかと浮んでいるだけ――】
【撫でられて嬉しそうにするコモンと、ぷつりと黙り込んでしまう少女。左手の指輪に触れる指は、もどかしいように掻いて】
【ほんの一瞬視線が窓の外を見つめる――そうして数秒、ベイゼとコモンが仲良しにしている音を、聞いていたのだけれど】

あ……、ベイゼ、おなか空いてる? おなか空いてるなら何か作るよ、あんまり、豪華なものとかは作れないけど……。

【本当にふと思いついたのか、それとも話題を変えたかったのか。それは分からないけれど、尋ねたのは、今宵の食事の話】
【クッキーを出しておいてなんだけれど。どうしようかって、目線が尋ねた】
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/16(水) 18:25:38.99 ID:l8S5OMSNO
【 ──『水の国で最も栄える町』】
【『フルーソへ、ようこそ!』】



──嫌な国名だな……。



【看板の前に立つその男は、暑そうな黒いレインコートをまとっていた。】
【フードを被り、加えて手には黒い傘。傘を持つ手すら、ゴム手袋に覆われている。】
【嘲笑ぎみに、低い声質で小さく呟けば、快晴の空を見上げる。】



国名は嫌いだが、良い場所だ。天気が良い。そんなじめじめしてないし。
……良い国にたどり着いた。雨が降る前に住む場所を探さないと大変なことになるな……。
この分だと当分雨は降らないだろうけど……、──とりあえず適当にたべものでも買おうか……。



【見てるこっちが暑くなる身なり加えて不審者のようにも感じられる男は、】
【あまりにも手に馴染んだ傘を杖代わりに道をすすむ。】
【──彼の歩む先は、自然と人が割れた。通報する声がするのもチラホラ……。】
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/16(水) 20:15:38.85 ID:QDZNbzzlo
>>422

……朔夜の場合、どこまでが冗談やら判らんのが怖いところじゃのぅ


【態とらしい態度を取る朔夜に、何とも微妙な表情を浮かべた】
【そこらの殺人犯が裸足で逃げ出すというのは恐らく真実そうであろうから】
【カミナ自身目の前の友人はそういった分別は弁えていると思っているが】
【空白の年月が長いだけに、"可能性"が無いとは言い切れないのだから】


冒険者ギルドか……随分と懐かしい響きな気もするのじゃ
確かに、悪霊だのを相手にするならば御主の"力"は重宝されような

むぅ……何やらわらわの知らぬ所で上手くやっておるようで
良かったというべきか、つまらぬと難癖をつけるべきか悩むところなのじゃが――


【朔夜の語る今までの近況、そこから意図を汲み取ることは難しくなかった】
【彼女らしくないと言い切るには余りにも殊勝すぎるその行動に、すぐには反応できなかった】
【思わず軽口めいた声が先に洩れて、しかしそれ以上彼女を茶化す気にはなれず】
【少し顔を逸らして、何やらもごもごと口の中で声を溶かした後】


――……「ありがとう」、「待たせてすまなかった」。
生憎と、わらわは不器用な性分なのでな……これ以上に掛けてやれる言葉は知らんのじゃ


【結局のところ漏れ出たのはそんな簡単で飾り気のない台詞であった】
【ずっと自分の帰りを信じて、城を守っていてくれたのだ】
【もっと掛けてあげるべき言葉は幾らでもあるはずなのに、紅蓮の少女はただそうとだけ告げた】

【しかし、朔夜ならば感じ取れるだろうか】
【この短い二つの言葉に、多くの感情が混ざり合っていることを――】
【カミナは自分の顔を見られないように、数秒の間ぷいっと顔を背ける】

【堂々としているように見えて、知る者は少ないがプライベートでは恥ずかしがりな一面もある】
【自身の髪に負けじと赤く染まった頬など、"親友"に見られたくはなかったのだ】


【――】


……それにしても、ナンバーズに六罪王とは随分と手広く戦場を渡っているようじゃな
その盗賊団とやらにはわらわも覚えがあるのじゃ……確か"スクラップズ"とか言うておったかの?

そこの頭領とは二度ほど刃を交わし……それでも仕留めきれなかったのじゃ
生き汚いというか、人間を辞めた肉の化物のような男じゃったな――恐ろしい男よ。次会うたら脳を抉り出してやるのじゃ


【やや間をおいて、"顔色"も落ち着いたら逸していた顔を朔夜の方へと戻した】
【スクラップズ。その名前は情報ネットワークにも記されており、頭領であるカニバディールとは因縁もある】
【何やら殺気を撒き散らしながら物騒な言葉を吐いているところから、その関係も窺えるものだろうか】
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/16(水) 22:02:35.97 ID:T67oC5Cro
【とある国の繁華街にて】
【日が落ちてもなお蒸し暑い熱気が漂う街中をポケットに手を突っ込みながら辺りを見回している人物がいる】
【何かいい事でもあったのか―――大変機嫌よさそうに歩きながら妙な歌まで歌い続けているほどだ】


―――……オラは死んじまっただぁ〜……オラは死んじまっただぁ〜♪っと……しかし歌っておいてなんなんだが
地味に縁起悪すぎるわなこの歌。もっといい歌のチョイスが良かったかもしれねーわ


【その人物はフードを目元まで被った灰色のパーカーを肩から羽織った、ボタンだけ赤い黒の短シャツに両手に白いバンテージを巻いていた】
【腰に数年前に流行った銀色の髑髏を模したチェーンアクセのついた青色のダメージジーンズに新品の赤茶色の革靴を履いた人物】
【フードのせいで顔が見え辛いものの……その口元からでも明確に今彼が満面の笑みを浮かべている事を想像できそうだ】

【彼はふと、首から下げているその一眼レフのカメラを手に取りながら再び辺りを見回して呟く】


さぁーて、何か騒ぎだか事件だか起きてねえかなぁーっと……事件のあるところ正義の味方有りって言葉があるくれーだしなぁ
へへっ、うまく接触すりゃあ現状のパワーバランス的なのがしっかりと見えてくる事だろーな

どっかで都合よく殴り合いでも発生してねェかなーっと……


【呟く内容の方が一番縁起でもない、というかこんな言動の方がよっぽど目に付く】
【事件が起きるより前にむしろ彼が職務質問されそうな状態だが、もしも事件らしき物を目撃すれば彼は足早にその場に駆けていくだろう】
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/16(水) 23:21:40.28 ID:DbpsnTM2o
>>441
【こと対人関係において、朔夜ほど「上手くやる」という言葉と無縁な人間はそう居ない】
【何せ傲岸不遜という言葉が服を着て歩いているような女だ。苛烈な気性に大きな態度、人を睨み殺せそうな鋭い目付き】
【己の歩く所が己の道だと言わんばかりに肩で風切り、思った事は歯に衣着せず口に出す。下手に有能な分余計に性質が悪い】


そうだな。最初は外様だってんでやっかみも有ったが、遮二無二やってたら今じゃ多少は評価されてきたらしい。


【当然周りからは並ならぬ反感を受けたであろうに、それをやっかみの一言で済ませてしまう辺りが、やはり彼女らしかった】
【どんな過酷な依頼も平然と請け負って、何事も無かったような顔で、一定の成果を持ち帰る】
【きっとそんなような事を繰り返して、周囲の信頼を少しずつ勝ち得ていったのだろう。かつてのJusticeでそうしたように】


知ってるよ。それで……その言葉だけで十分だ。
私は単に、やりたい事をやれるだけやっただけ。元から礼なんざ期待してなかったさ。


【対する朔夜の返事もまた、随分と素っ気ないものだ】
【忠義を尽くして待ち続けた相手に向ける言葉にしては、あまりにも淡白に過ぎる】
【だが、言葉とは裏腹に、蒼い人でなしは知っていた。その二言に籠められた様々な想いを。少女の胸の裡を、知っていた】
【そして自分がそうであるのと同様に、きっと目の前の少女もまた、自分の想いを正しく理解してくれたのだと感じていた】


────「おかえり」


【だから、カミナが顔を背けたほんの数秒間だけ、「ああ、自分は報われたのだ」と──本当に、ほんとうに幸せそうに微笑んで】
【ただ一筋頬を伝った涙を拭うと、その耳元に唇を寄せて、たった一言、囁いた】

【閑話、休題】


それほどでもないさ。現にその六罪王絡みの事件だって、私の知らない所で解決してたし。
私と戦った魔術師の爺さんがそうだと思ったら、実はそいつが使役してる妖精──
もとい、女悪魔が真の六罪王だったって聞いた時なんか、吃驚して腰抜かしたよ。

ああ……お前が二度仕損じるか。あの首領、一介の盗賊団の頭って感じじゃあないとは思ったが……。
案の定、か。私もあの副首領どもには苦戦させられた。
刺し違えるような形で深手を負わせはしたが、仕留める寸前で手下の奴らが邪魔に入ってな。

足元掬われないように気を付けろよ。ああいう手合いは厄介だ。こっちを[ピーーー]為なら手段を選ばない。
単純な力量だけで言えば議員だの六罪王だのには及ばないかも知れんが、それだって次会う時にはどうなっているやら。


【先程の余韻もどこへやら。仕事の話に戻れば、朔夜はいつもの鉄面皮でカミナへと忠告する】
【戦場で相見えた副首領、デュアル兄弟のみならず、首領、カニバディールに対しても、彼女は尋常ならざる警戒心を抱いていた】
【交戦はおろか、直接会ってすらいない相手にこうも危機感を抱くのは──やはり、蛇の道は蛇という事だろう】
//遅ればせながら、只今戻りました!
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/16(水) 23:50:58.25 ID:QDZNbzzlo
>>443

――――っ!


【耳元で囁かれた「おかえり」の一言】
【放たれた声と耳朶を擽る吐息に、カミナは顔を逸したまま身体を一度震わせる】
【涙を流すことはなかった、が……それに近い状態ではあるだろう】
【浮かべていた表情は泣き笑いのような、とても人には"見せたくない"と思うものであった】


(……馬鹿者め、そんな声で言われては堪えるのが難しいではないか――)


【互いに言葉は少なく――しかし、それで分かり合える確かな絆】
【知らぬ間に時は流れ、世界は様変わりしてしまったが……それでも変わらず有り続けたものがあったのだと】

【少女はそれを実感し、大切なものを仕舞い込むように手をそっと……己の胸の上に重ねた】

【――】

ふむ……その辺りの事件についてはわらわはまだよくは知らんが
カノッサの大幹部が関わっておるならば、調べておかねばならんじゃろうな

SCARLETの資料と情報ネットワークには目を通したが、まだまだ歯抜けのように判らぬことが多いのじゃ


【かの六罪王を中心とした事件――ガイスト・ウォレン及びリリアとの戦い】
【どうやらカミナはそれには関わっていなかったようだ】
【新米隊員と言っているだけあって、活動を再開したのは最近になってからなのだろうか】
【どうにも情報が足りていない様子であった】


生き残る……という点を考えたならば、あれ程の者はそうはおるまい

崩れた肉塊に成り果ててもなお、わらわから逃げ延びる執念と生命力
それに手段を選ばぬ残虐性が加われば、かの一団だけでも無視できぬ驚異となろう

今まで二度は、奴が単独で挑んできたから振り払うことは出来たが
組織的に向かってこられたならば、今のわらわでは厳しいやもしれんな……御主も、くれぐれも無理な深追いはするでないぞ


【カノッサ機関員、スクラップズ頭領カニバディール】
【二度の対峙を経てその驚異はカミナの胸に刻み込まれていた】
【恐らく、かの機関員と指揮する組織を単独で打倒することは極めて難しいだろうと】
【そう判断して、朔夜に忠告を投げかけて……】


あっ……――


【と、そこまで話した時点でカミナは何かに気づいたのか】
【小さく声を洩らした後に、右手人差し指を己の眉間付近に押し当てて何やら可愛らしい唸り声のようなものを上げた】


――……結局、血生臭い話になってしまったではないか。
まったく、わらわ達らしいといえばそうであるが……難しいものじゃの


【その行動の理由は"そういうこと"らしい】
【カミナとしては普通の友人同士のように接したかったらしいが】
【知らず知らずにこのような話に移行するあたり、職業病とでも言うべきであろうか】
【少し申し訳なさそうな表情を浮かべながら、カミナは小さく「すまんの?」と朔夜に謝りの言葉を告げた】

/また1時くらいが限界なので、それを過ぎたら持ち越しでお願いします!
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/17(木) 01:17:56.87 ID:hJzmKXWlo
>>444

……敵はスクラップズだけじゃない。在野の殺し屋なんかへの依頼や、同盟組織との共同作戦。
奴らはありとあらゆる手を使って、私達に……全ての敵に、報復するだろう。あれは嘗められたまま終わるタマじゃない。
私が奴なら間違いなくそうする。戦場で真正面から挑むよりも、奇襲なり暗殺なりの搦め手を使った方が楽だからだ。

ああ、判ってる。だから、私も────

【彼ら相手にたった一人で先走る事の無謀さは、朔夜自身重々承知しているのだろう】
【単独での尾行や闇討ちは彼女の得意分野だが、敵がそれを想定した罠を張っていないという保証はない】
【それ故に、特に反発するでもなく頷いて、カミナの忠告を受け入れると】
【只ならぬ表情で何事か口走りかけて、ふと押し黙った】

【脱力して溜め息を一つ吐くと、何とも言えない苦笑いを浮かべる朔夜。ぽりぽりと困ったように頬を掻いて】

……あー、まあ、うん。良いんじゃないか。こればっかりは性分だし、どうしようもないだろう。
あいつが居ればまた違ったのかも知らんけど、それはそれで違った意味で剣呑な空気になりそうだしなあ。

っていうか、逆にさ。私とお前が会って早々、スイーツだのファッションだのの
年頃の女子がするような話するってのも、何と言うか……柄じゃないんじゃない?
それはまあ、私だって甘い物は嫌いじゃないし、良さげなケーキ屋さんの十件や二十件くらいは知ってるけれども……。

【この職業病めいた悪癖については、朔夜はもう数年前から開き直ってしまっているらしく】
【どこか遠い目をして、これが自分達にとっての「普通」なのだろうと他人事のように呟いた】
【そんな訳だから、特に気分を害するような事もない。「お互い様さ」と謝罪に応じつつ】

【それとなく、カミナの好きそうな話題へと話を持ってゆく。食い物には何かとうるさい朔夜だけに、この情報は大分信頼できそうだ】
/把握いたしました。それでは、今日はこの辺りで。
/中々上手いこと進められず、申し訳ありません……お疲れ様でしたー。
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/17(木) 16:57:29.05 ID:k7IY8H/PO
/>>440で待ってみます
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/17(木) 19:37:51.84 ID:5LDD9mhno
>>445

……たまにはな、わらわもそういう"らしい"話をしてみたかったのじゃ
いい歳をした娘達が集まってすることが、誰を倒すだのだけというのも寂しいものじゃろう

まぁ、これがわらわ達らしいと言えばそうなのだろうけどの
やれやれ……今まで歩んできた道を後悔などはしないが、思い返せば何とも色気のないことよな


【仕方のないことだろう。カミナも青春の大半を戦いに費やしてきたのだ】
【今更、同じ年頃の町娘のように振舞うことも難しい】
【自らの正義を掲げて立ち上がった事を悔いはしないが】
【たまにふと……そういう道もあったのではないかと、頭をよぎる事もあった】


ふむ……折角の再会がこんな寂れた公園というのも味気ないからの?
わらわもこの辺りを見るのは"三年ぶり"でよく判らんので丁度いいのじゃ

朔夜のオススメの店を紹介するがよい――わらわの舌を満足させられるとびきりの場所を、な


【「口に合わなければ……わかっておるよな?」などと】
【どこか楽しそうにくくく……と含んだように笑いながら、剣を手に取ってベンチから立ち上がる】
【そして――】


…………じゃから、ほれ。早くわらわをエスコートするがよい
もう夜も遅い……ぐずぐずしておったら、店が閉まってしまうのじゃ――


【――そっと、もう片方の手を朔夜に差し出した。意図は、説明しなくても簡単に理解出来るだろう】
【カミナは"朔夜が手を取るまで"待って、それに応えてくれたならば】
【小さく力を加えて手を引き、そのまま街の方へとゆっくりと歩いていこうとする】

【何とも不器用な"甘え方"であった】
【数少ない、自分の弱みを見せられる……心を許した相手にのみ見せる子供らしさ】
【大人びた口調を使い、"正義"として精一杯に強く振舞おうとする少女は】
【言葉少なく、しかしその行動に沢山の感情を乗せる】
【親友と手を繋ぐことが出来たならば、カミナはふっと……一際優しく、嬉しそうに彼女に微笑みかけるだろう】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/17(木) 19:56:38.20 ID:UDgjOrh+o
>>439

……なるほど……ったくセリーナの野郎、ホント中身はオッサンだからな
鈴音みたいなのと話したら何かするとは……ん?

あぁ、まあ……不思議な奴ってのは俺もそう思うよ、アイツはさ。
バカだかアホだか分からねー事やってるくせに、結構周りを見てるし
自然とこう……人が付いてく感じの魅力みたいな物を持ってる、っつーのか

【話が移って返事が来れば、それに対するベイゼの言葉はそんなふうだ】
【馬鹿にしている――の、だが、何処かには確実に違う意味合いの有る反応】
【鈴音からしたらそれがどう映るのか分からないが、表情は穏やかで】

……ま、自分を犠牲にしすぎて潰れちまうようなトコもあるからやっぱ馬鹿だ
そんな奴だからお前も色々大変だろうけどさ…、なあ鈴音……何か、あったのか?

【――この質問に答えるかどうかは、それこそ少女の気持ち次第だ】
【答えず、その後の鈴音の質問――『食事はどうする』というそれへの】
【ベイゼの返事を待つのもまた有りだろう。そうなれば、静かに『もらうよ』と返事があるし】

【一方で、語ると云うのならベイゼ・べケンプフェンはそれをしっかりと聞き届ける】
【それこそコモンとじゃれ合っていた時とは違って、真剣な表情で、だ】
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/17(木) 20:59:32.44 ID:bYMGJM4u0
>>448
/すいません、出先で捕まっちゃってちょっと帰るのが遅れそうです……
/出かける予定がないっていっておいてすいません! なんでしたら、置きにしていただけたら……
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/17(木) 21:04:52.20 ID:UDgjOrh+o
>>449
/了解です!むしろ自分こそ何度となくご迷惑を掛けてしまっていますし
/気になさらないでもらえると、と思います。

/一応自分は明日なんかも時間は空いているので
/お互い、返せる時間にこちらの方で続けていくというのでどうでしょう?
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/17(木) 21:16:30.77 ID:qDkiJWfGo
【表通り】


【コンビニのすぐ近くで何やら一騒動起きているようだった】
【その原因は二人の人物にある。ひとりは服装からして明らかに警官だ】
【彼はもうひとりの服を掴み、「抵抗するな」「観念しろ」、などと叫んでいることだろうか】

【――もうひとり、警官から逃げまいとしている人物は10代半ば程の少年だった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年だ】


くそっ、離せよ――


【大の大人と力比べして勝てるはずもないが――そこそこ力があるのか、拮抗していて】
【何故こんなことになっているのか、それは少年の手を見れば明らかだろう】
【そこにはパンが二つ、握りしめられている。……万引きしたところを捕まえられたと想像するのは容易か】

【たまに起きるような光景だろう。すぐに事態は収拾するはずだ】
【ただ、少年から漏れ始めた黒い魔翌力が不穏な予感を漂わせつつある、が――】

【ちなみにこの時間だが人通りはまばらだ。故に彼らはかなり目立つ存在であることだろう】






【ところ変わって、公園】

【そこはそこそこの広さの児童公園だった。とはいえ時間が時間なだけに、児童の姿なんて無くて――】


ひーまーだー!


【――いや、あった。不満を爆発させたような大声は、まさしく子供のものだった】

【明るいグレーの髪を右側でサイドテールにして、赤い瞳を持ち】
【小学校高学年程の背丈で、シャツの上にデニム生地のサロペットスカートを着ている】
【そしてなぜか、ベルトポーチを貫通させるような形でマレット(木琴演奏に使うバチ)を携帯した】
【そんな――活発そうな女の子は、退屈そうにキィキィとブランコを揺らしていることだろう】


せっかく、お家、抜け出したのに、遊び相手いなきゃ、つまんない!
あー、アウリス、暇だー。暇すぎるー。爆発しそうー


【たどたどしい口調、この歳にしては言語能力が低い方だろうか】
【それよりもこんな時間にひとり夜の公園に居る方がよっぽど問題かもしれない】
【保護者らしき人もいなければ、先程のひとりごとからしてどうやら家からこっそり出てきたようで】
【まだまだ遊び盛り、とはいえ褒められたことではないはずだった】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/17(木) 23:06:40.01 ID:hJzmKXWlo
>>447


……ああ。もうそんなに経ったのか。あちこち飛び回ってると、どうも月日の感覚がボケてくるな。


【朔夜は目を細めて微笑みつつ、どこか感慨深げに一人ごちる】
【Justiceの前身──対ネル・ナハト連合に成り行きで加わってからと言うもの、語り尽くせぬ程に色々な事があった】
【滅多に過去を顧みない彼女がそんな仕種を見せるのは、それだけ多くの物を、かの組織から与えられた事の証だろうか】

【「私にもまた数多くの道があった。しかし後悔はない。お前たちと共に歩んだこの道こそが、最善の選択肢だった」】
【涼やかな微笑が、無言の内にそう告げて──カミナの言葉に同意する】


まあ、それもそうだろう。只でさえ雰囲気も何もないってのに、この季節じゃ暑いわ羽虫も多いわで余計にだ。
さて……この時間にまだ開いていて、お前に勧められるような所となると……そう幾つもは無い。急ごう。


【「さあ? 知らない。外した試しがないから」と自信満々に請け合って、朔夜もまた立ち上がり】
【善は急げ、と言ったか言わないかの内に、ひょいとカミナの手を取って】
【ほんの束の間目を合わせて笑い会えば、言葉とは裏腹に少女を急かすような事もなく、歩調を合わせてゆっくりと歩き出す】

【この少し歳の離れた親友が、時折自分に甘えてくるのを、朔夜は内心、好ましく思っていた】
【戦う為に生を享け、そうあるべく育ったような自分とは違い、この正義の味方≠ヘ年相応の少女なのだ】
【──なるべくならば、無用な重圧からは解き放たれていて欲しい。せめて、自分と共にいる時だけでも】

──あ、カイ? 私だけど。どうせ店番やらされてるんだろ。今から二人、何とかならない? 出来るよな? というか、しろ。

【その思いが昂じてか、カミナを甘やかし過ぎるきらいが、朔夜には有った】
【友達思いというか妹思いというか、何と言うか──彼女の為ならば、少々の無理は通してしまうのだ】
【所変わって、とある喫茶店。木造の扉を開ければ、照明をやや抑え目にした、モダンな内装が趣ある店内】
【店主が余程の凝り性なのだろうか、カウンター席近くには年代物の蓄音機が置かれ、掠れたジャズの音色を奏でている】


「いらっしゃいま……ああ、君か。いらっしゃい」
邪魔するぞ。私のは適当に見繕ってくれ。酒はいい。カミナ、お前はどうする?


【カウンターの向こうにはウェイターと思しき長身の男が一人、気怠げにグラスを磨いていた】
【ドアベルの音を耳に留めた彼は、満面の営業スマイルを浮かべてこちらに一礼しかけるが】
【朔夜の姿を認めるとそれを止めて、ひらひらと軽く手を振った。応じて片手を挙げる朔夜】
【自身は早々に注文を付けてしまって、カウンター席にカミナを招きつつ問いかける】
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/17(木) 23:37:46.02 ID:5LDD9mhno
>>452


ふふっ……なんじゃ、随分と自信があるようではないか
ならばそれがただの虚勢でないことを、是非とも証明してもらなわなくてはの――


【朔夜にそんな声を返しながら、繋いだ手に少しだけ力を込める】

【――実際のところ、カミナの精神は未だ余裕があるものではなかった】
【訳もわからないうちに眠りにつき、起きた時には築き上げた組織が崩れ去っていた】
【夢現のようにポツポツと浮かび上がる覚えのない記憶に翻弄され】
【様変わりしてしまった世界の中で、ただ自分の"芯"に存在する正義のままに彷徨い歩いていたのだ】

【今までに再会した仲間との触れ合いである程度の安定は取り戻せていたが】
【それでも16歳の――眠っていた時間を除くならば13歳の小娘が立つには未だ、精神的支柱と呼べるモノが足りなかった】

【朔夜に気づかれないようにそっと、彼女の顔を見上げる】
【一瞬だけ、手を通して微かな震えが走ったことが伝わるだろうか】
【もし朔夜がそれに気づき、カミナの方に視線を向けたとしてもきっと浮かべている表情はいつも通りのもの】
【気になって訊ねたとしても「なんのことじゃ?」と恍けることだろう】

【その時、一瞬だけ浮かべていた表情と……そこの乗っていた感情を知るのは少女だけであった】


【――】


ほほう、なかなかに洒落た店ではないか!
うむうむ……やはり大人の魅力に溢れるわらわには、こういう店がピッタリじゃな!


【何やらぺったん娘が内装を見て妙なことを口走っているが、これもいつものことである】
【誘われるままにカウンター席の椅子に腰を下ろし】
【朔夜の問いかけに「うぅむ……」と、数秒悩む様子を見せて】


そう言われてもの。初めてきた店じゃから、何がよいのかさっぱりなのじゃ

見た所、朔夜の馴染みの店のようじゃしな……ここは一つ、御主にお任せしようかの
くくっ……さっきの言葉、忘れたとはいわせぬぞ? 御主の采配で見事わらわを満足させてみるがよい――


【メニュー表をパタンと置いて、朔夜にニヤニヤとした笑みと共に告げた】
【どうやら自分の注文は朔夜の判断に委ねるようだ】
【とはいえ、これもじゃれあいのようなもの。"外した"としても酷いことにはならないだろう】
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/18(金) 00:25:49.92 ID:5BJv3qj+0
>>448

【セリーナのことについてはほんのりと苦笑した、いちおうはお世話になった(ている)ひと、オッサン扱いしてしまうのも、】
【どうにも気が引けるなら、こんな反応になる。困ったように笑って――どうとも名言せずに、終わらせるのだろう】
【でも、その間際――ふと、「素敵なひとだって、思うよ」なんて呟くようにして告げるのだった。嘘なんかじゃない、本当の言葉】

【曖昧ににこにことしていた。けれどそれはすぐに終わることになる、どうしてかって――触れられたくない場所に、触れられて】
【ぴくりと顔が強張るのだ、今にも泣きそう/不安そうな顔をして、口をへの字にして、数秒ばかしむっつりと黙り込んでしまう】
【それは或いは無視して返事を待っているように見えたかもしれない、だから、「もらうよ」だなんていわれれば、少しだけ慌てたようにして】
【「そ、そう、」なんて口には出すのだ。そうして、立ち上がって、部屋から出て行こうとして――ふと、足が止まる】

…………、……、――あのね、ベイゼ、

【取っ手に手を掛けたところで仕草は止まる、曖昧に力を篭めたドアノブ、ふと力が抜けたのか、かしゃんと元に戻る音がして】
【スリッパの足が行ってしまおうか悩むように揺れる、ふらふらと、――でも、振り切るだけの力は、そこにはなかった】

【言ったら迷惑を掛けるんじゃないかと思った。それに、“そういう”目で見られるのは、嫌だって気持ちもあった】
【前のままでいたい。前のままなんかじゃいられない。その間に立たされて、本当は泣きたいのに上手に泣くのも出来なくて】

【(毎日コモンと眠っていたのは寒いからじゃなくて、そうでもないと駄目になりそうだったから)】
【(ぬいぐるみを家中に並べてみたのは散らかっているのじゃなくて、そうでもないと寂しくておかしくなりそうだったから)】
【(ひとりぼっちの毎日にはこの家じゃあ広すぎる。ほんの隙間に居るんじゃないかと思ってしまって、どうしようもなく苦しい)】

セシルが、……、……――セシルが、いなくなっちゃったの。何日か前に、気付いたら、ぷつんって、
どこにも居なくてっ、探したの、いっぱいさがしたの、でも、どこにもっ、居なくって……、っ。
どこに居るのかも、生きてるのかどうかも、もう分からないのっ……、わたし、ひとりぼっちで、おいてかれて――……。

【向けたままの背中が小さく縮こまる、言いたくなかったのに隠すのは難しくて、まして、一番の友達の前で隠し通すのは】
【そんなに嘘が上手じゃないって分かっていた。自分が寂しがりなのも知っていた。それなら、ずっと、泣いてしまいたかった】
【――ふわと振り返る顔は今すぐに泣き出しそうに歪んで、「どうしたらいいの」と聞くように、じっとベイゼを見つめて】

わたし、まってるの、まってるけど、でも、――。

【ぽよぽよと浮んできたマーロンがそのおでこに“ぽよん”と跳ね返る、それはまるで慰める様子にも似て、でも、止まらない】
【落ちた炭の破片までぺろぺろと食べていたコモンもいつの間にかじっと見つめている、「こわいよ」と続く、言葉の形を】
【ぎゅうと胸の前で握り締める左手は、ただその大部分に意味合いはなく、ただ、指輪に縋るだけの、幼子みたいな我侭だった】

【(ただひとつだけ残ったのがそれだった。誓いの形と、ほんの少しだけの黄緑色。それ以外は、ぜんぶ、どこかへ行ってしまった)】
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/18(金) 01:01:49.13 ID:tJNRZz/5o
>>453

「光栄だね。マスターが聞いたらきっと喜ぶよ」

……まあ、立地が悪いせいで年中閑古鳥が鳴いてるがな。カイ、鏡はあるか。
「あるけど朔夜ちゃん、何に使うんだい?」
なに、少しばかり連れに現実という物をだな。
「またまた。立派なレディじゃない」
心にもない事を──口説くつもりなら止めとけ。私のだ。

【そんなカミナに対し、にこやかに笑いかけるウェイター。一方朔夜はいつもの毒舌を全開に、さらりと少女と彼の言葉を切り捨てた】
【矢継ぎ早にウェイターと言葉の応酬をする傍ら、ちらと思案顔のカミナへと目を遣って】
【メニューをざっと一読すると、注文は任せるというカミナの言葉に、待ってました、とばかりに勝ち気な笑みを浮かべ】


あいあい姫君、仰せのままに。

ロングアイランドアイスティーにマスターお手製ボンボン・ショコラ、あとフルーツケーキ。
「しれっと凄いの注文してるけど朔夜ちゃん、それお茶じゃないから。何、潰してお持ち帰りする気?」
酔いが回れば少しは静かになるだろうと思って──ごめん、一つ目は流石に冗談だ。ミルクティーで頼む。
「だろうね。ちょい待ち……アッサムで良いよね?」 おう。


【つらつらと注文を述べれば、ウェイターから打てば響くような返事が返る】
【それから数分もしない内に、チョコレートとフルーツケーキが皿に盛られて、ミルクティーと共にカウンターの上へと置かれた】

【フルーツケーキはスポンジにクリームと果物を挟んだタイプではなく、俗に言うパウンドケーキのようなもの】
【しっとりした生地には刻んだ洋酒漬けのフルーツが練り込まれており、見た目こそやや地味なものの、味わいは濃厚だ】
【チョコレートの方はどうも、様々な風味のガナッシュを薄くチョコでコーティングした物らしい】
【朔夜の前に置かれたのは、ベリーソースの掛かったシンプルなチーズケーキと──絢爛豪華なフルーツパフェ】

【後者に関しては明らかに、彼女の食べそうなものではない】
【ウェイターに対して何らかの符丁のようなものを使い、外した際の保険として仕込んでおいた、と見るのが妥当だろう】
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/18(金) 17:25:18.89 ID:e+mi7Z0HO
【 ──『水の国で最も栄える町』】
【『フルーソへ、ようこそ!』】



──嫌な国名だな……。



【看板の前に立つその男は、暑そうな黒いレインコートをまとっていた。】
【フードを被り、加えて手には黒い傘。傘を持つ手すら、ゴム手袋に覆われている。】
【嘲笑ぎみに、低い声質で小さく呟けば、快晴の空を見上げる。】



国名は嫌いだが、良い場所だ。天気が良い。そんなじめじめしてないし。
……良い国にたどり着いた。雨が降る前に住む場所を探さないと大変なことになるな……。
この分だと当分雨は降らないだろうけど……、──とりあえず適当にたべものでも買おうか……。



【見てるこっちが暑くなる身なり加えて不審者のようにも感じられる男は、】
【あまりにも手に馴染んだ傘を杖代わりに道をすすむ。】
【──彼の歩む先は、自然と人が割れた。通報する声がするのもチラホラ……。】

/使い回しですが……
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/18(金) 19:26:42.59 ID:5igiuQjEo
>>455

……何やらお主、ドサクサに紛れて妙なことを口走らなかったか?
まあよい、わらわは寛大だからあえて突っ込まないでおいてやるのじゃ――


【朔夜とウェイターの会話の中でさらりと言われたワードに】
【何とも名状し難い顔を見せながらも、あえて深く掘り下げることはなかった】

【深い意味のない冗談であることは理解しているが】
【口にした瞬間、衝動的にハリセンを生み出して】
【頭を叩こうかという考えが過ぎったのは少女だけが知る秘密である】


【兎にも角にも、オーダーは間もなくして終了し】
【軽い雑談などを交わしながらも出来上がりを待つ】
【そして、運ばれてきたフルーツケーキにチョコレート、そしてミルクティーに】
【「ほう……見た目は悪くないのじゃ」などと言いながら目に微かに喜色を浮かばせて】
【合掌し食前の挨拶を簡単に済ませると、早速フォークでケーキの端を切って口に運んだ】


――――ふむ、珍しい味なのじゃ。
あまり口にしたことはないが……確か、酒漬けの類じゃったかの?

そうじゃの……絶品、と呼べるほどではないが
これならばギリギリ合格点をくれてやらんでもないぞ?


【一見渋い評価のようにも聞こえるが、食べる手は止まっていない】
【もぐもぐと口を動かしながら次々とケーキを減らしていく様から】
【カミナが満足している事が伝わるだろうか】
【好きな物を食べていれば自然と頬も綻ぶもの。表情を見れば一目瞭然ではあるのだが】


それにしても……御主のそれはなんじゃ?
何ともまぁ、随分と似合わないものを頼んだものじゃの

いやまぁ、どういうつもりかは分からんでもないのじゃがな
いつもは冷静ぶっている朔夜が、そんなパフェを美味そうに食う様もちょっと面白そうな気もするのじゃ――


【朔夜と、その前に置かれた豪華なパフェを交互に眺めて】
【何とも楽しそうな表情で笑みを浮かべながら、彼女がどうするものかと眺めていた】
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/18(金) 20:18:38.06 ID:nLy90zdxo
【閑散とした道】

―――……っぐ、この重さでバランスを取らなければならないとなると体幹に来るな……
というか重さよりも落ちないようにするのが……いやそれよりも―――汗が辛い……!!

【大通りから少し外れた閑散とした道に、異様な人影があった。2mを超える影が亀のようにのろのろと―――それもハァハァと荒い息遣いを零しながら歩んでいたのだ】
【やがてその奇妙な人影が進むにつれてその姿の詳細が見えてくるが―――薄藍のインバネスに和服の姿をした中背の侍が、肩に米袋を、3,4,いや6乗せて歩む姿】
【右肩に乗せた米袋は確かに6段。大きさを見るに10kg袋なのだから、10×6で60kgだろうか。それだけでも十分な重さなのだが―――問題は重さではなかった】

―――……っうぉおおっ……!? っぐ……危うくずり落とす所だったぞ……!!

【6袋積み重なった米袋は相当な高さであり、60kgの重量を乗せながら米袋タワーを落とさないようにバランスを取り歩かなければならない。このバランスが大変なのだ】
【加えて蒸し暑くなったこの頃もあり、額からは大粒の汗が流れて目を通り視界が妨げられる。それでも何とか落とさずにいるのだが―――彼の眼前にあるは最大の難所】

っふぅ………遂に来たぞ―――最も厳しいであろうこの長い坂が……
1つでも玄米袋を落としたなら最初からやり直し……タイム3分切れなくてもやり直し―――!!

【ギンと眼光を鋭くさせて息を大きく吐けば、己に厳しい試練を付け加える男。米袋ではなく正確に言うと玄米袋らしいが、そもそも一気に6袋も買って何に使うのだろうか】
【兎に角この男の、大量の汗を垂らして玄米袋タワーを背負い歩む姿は―――否が応でも目立つのだろう。それがわかっているからこそ、大通りを避けたのでもあるのだが】
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/18(金) 20:49:13.61 ID:9J+gRdgao
【交差点】

【巨大な広告に世界有数の企業の本社が立ち並ぶダウンタウン】
【動脈のように入り組んだ4車線の道路を行き来する自動車も人も世界最大級】
【そこの巨大なスクランブル交差点で1台の現金輸送車が横転し、エンジンルームから黒煙を吐き出していた】
【回りには数台のタクシーやセダン、バンが乗り捨てられていて、輸送車を3名の人間が取り囲んでいた】
【彼らは皆服装は黒のスーツで、マスクで顔を隠し、銃で武装していた】

――――…今、クルマを向かわせた。後ろ開けて用意しとけ
『ロッソ。無線ではGメン以外にも要請回してるらしい。SCARLETなら厄介だぞ』
知るか。やるしかねえだろ。俺とシークが時間稼ぐ。DJ、準備しろ

【右手に黒いリボルバーを左手に銀のリボルバーを握った男が声をかける】
【黒の目出し帽をかぶっている。そこから見える目は白眼は赤く、瞳は黒い】
【スーツに身を包み、白のシャツに黒の細いネクタイ、体躯は長く細い】

【パトカーは何台も居るが交差点を封鎖するので手一杯のようだ。無線が繰り返される】

<本部。交差点の保持完了。指示通り応援を待ちます。…はい、確証はありませんがそのようです>
<各位、相手は指名手配犯チンザノ・ロッソと思われる。対応は能力者に一任の命令―――>

【野次馬やマスコミを押さえながら巡査は無線で更新する。関係者は通せとの命令を受領した】
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/18(金) 21:30:07.19 ID:tJNRZz/5o
>>457


「そうだね。香り付けにラムを少々」
アルコールは飛んでるからお子様でもご安心だ。
焼き上がりにもう一度ラム酒を塗って暫く寝かせておく、というようなレシピも有るが、私はあまり好かない。

どうにか及第か──まあ、口に合ったようで何よりだよ。


【口では兎や角言いながらも、随分なペースでケーキを食べ進めてゆくカミナを横目に見やれば】
【ふ、と朔夜は得意気に鼻を鳴らして、同じく「いただきます」と胸の前で両手を合わせた】
【チーズケーキを口に運び、ゆっくりとしたペースで味わえば、ミルクティーで口の中をさっぱりとさせて】
【パフェには全く手を付ける様子がないい。それどころか、視界に入れようとすらしない】


いや、まあ……万が一にも私がお前の好みを外すような事はないとは思っていたんだが。
……何事にも絶対という事はないし、ほら……

……これ、私が食べるの?
「朔夜ちゃんが頼んだんでしょう」
────クリーム、多くないか?
「そりゃ、パフェだからねえ」
私ってさ……こういうの、喜んで食べるようなキャラだと思う?
「ノーコメントで」


【どうもこの女、自分が選んだメニューがカミナのお気に召した場合】
【このパフェは自分で平らげなければならないのだという事を、すっかり失念していたらしい】
【朔夜は決してこういう少女然としたデザートが嫌いな訳ではないが、かと言って然程好きな訳でもない上に】
【こういう物は自分には似合わないと、強く思い込んでいるような節があるようで】
【食べようと思えば食べられない事もないが、やはり精神的には何となく抵抗があるらしく──何やら、珍しく狼狽した様子である】
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/18(金) 21:53:50.15 ID:5igiuQjEo
>>460

くくくっ……冗談じゃよ。無理に食えとはいわぬさ

じゃが、わらわも全て平らげろと言われては難しいのでな
お主も少しは手伝うがよい……ほれ――


【今まで何度と見たこともない狼狽する様子に、カミナは悪戯が成功した子供のように笑みを深めて】
【パフェに添えられたフルーツの一つにフォークを突き刺すと】
【それを朔夜の方へ向けて差し出した】


――わらわのような美姫に手ずから食わせて貰えるならば、少しは食欲も湧こう
遠慮することはない、ちょっとした役得とでも思っておくがよいぞ


【その顔を眺めながら、そんな言葉を続ける】
【行動の理由は説明するまでもないだろう。"もっと追い込んでやろう"という】
【友人へのスキンシップのようなものである】
【恋人にするような"甘さ"ではなく、親友に対する"気安さ"。普段見せないカミナの行動の大半はそこに起因していた】


【この行動の成否に問わず、食事を終えるまで穏やかな時間が流れていくことになるだろうか】
【途中に何らかの重要な会話がなかった場合は】
【次の場面はこのスィーツたちを片付けた後になるかもしれない】
【その場合は、カミナは空になった皿の前で優雅に食後のミルクティーを飲んでいることだろう】

【もし、途中で何らかの重要な話題などが発生した場合はまだ食事は続き】
【先ほどの場面の続きからその会話に入っていくことになるだろう】
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/18(金) 22:00:56.97 ID:GyWDAAzDo

【 水の国/街中 】


【── 立ち並ぶのは石造りの建物。舗装は石畳。 中世風をコンセプトとして造成された通り】
【常に人通りの多い此処に、多くの観光客で混み合った有名なカフェがある】


…、…買うなら属性弾の方がいいけど、その分値段も張る。
なら、通常弾で手数を増やした方が──。 ……でもそれじゃ、能力者≠ノは効果が薄い。


【──その雰囲気≠ノそぐわない事を、ぶつぶつと呟いている人物が1人、野外の席に座っていた】


【黒のショートカットに、黒の瞳。 黒のシャツに黒のミニスカート、同色の膝丈までのソックス】
【兎に角、黒ずくめの少女だ。──腰に巻いたベルトのホルスターには、二丁の拳銃が差し込まれている】


残弾は60発。 ……どちらにしても、買うしか無いんだけど。
──もういっそ、『電磁発射式』にした方が総コストで考えると安上がりなのかな。
いや、でもやっぱり、殺傷能力≠フ問題は付き纏うし。 ……魔術を有効に使えば、或いは──。


【まぁ、銃弾≠竄辯殺傷能力≠竄轣A呟きの内容は物騒極まりない】
【加えてテーブル上に銃弾を幾つか並べているので、ウェイトレスも怯えた様子で注文も聞けない状態だ】
【──、店内も野外も、席は非常に混み合っている。 新たな客は彼女と『相席』か──】




【 ──同。店内。】


「…、…練り込みが甘い。焼き目の方は付け過ぎだ。チョコの甘味は強すぎる。
 ザッハトルテは『チョコレートケーキの王』だが、此れでは外面ばかり飾り立てた愚帝に過ぎんな。」


【身に纏っているのは水国高級ブランド『エスカレード』の3ピース。襟元には金狼≠フバッヂ】
【怜悧な印象を与える碧の右眼。左眼は眼帯に覆われている。癖のある銀髪をした三十路の男】


【──運ばれて来るスイーツにいちいち文句をつけ、違う意味でウェイトレスを怯えさせる彼と、相席になるしか無さそうだ】
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/18(金) 22:22:03.48 ID:knNlAN8Bo
>>462
【同時刻、同店にて】
【レイリスフィード学園の制服を着た白い肌、どこか大人の女性を思わせるような顔立ち】
【だが、着ているの制服は男性用。男装しているともとれるが、感想は少年を見た者の自由だ】
【カフェは相変わらず非常に混雑しており、どうも相席をしなければ座れそうにない状態だ】
【そして、やっと相席が出来そうな席を見つけた―――――否、やっぱり出来そうになさそう】

【いやいやいやいや、なんで白昼堂々と銃弾を並べてるんだよ】
【どう見ても危険人物、その状態の異常性に本人は気付いているのだろうか】
【どちらにせよ、辺りを見回しても空席はない】
【――――冗談だろ?】
【なんか危険な事を口走ってるし、こんな人と相席をしなければならないのか?】
【くそ、こうなったらやってやる。虎穴に入らずんば虎児を得ず、多少の危険を恐れては席になど座れないのだ】
【いや、なんかおかしい気がする。まあ戯言だ】

【立ち尽くしていた少年は意を決したかのように、女性の元へ】
【どこか吹っ切れたような、毅然とした表情で】
【まるでそこにある"異常"など気にも留めないかのような虚勢を張り、堂々と女性にこう言うだろう】

「―――――すいません、相席よろしいですか?」
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/18(金) 22:30:00.65 ID:knNlAN8Bo
/>>463は破棄でお願いしますー
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/18(金) 22:30:08.91 ID:GyWDAAzDo
>>463
/折角絡んで頂いたのにごめんなさい
/そういう訳で、>>462はまだ募集中です
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/18(金) 22:37:29.84 ID:0JDLYx44o
【風の国、そこには『UNITED TRIGGER』という看板を持つ酒場がある】
【正確には事務所であって、その機能の中の一つに酒場があるだけなのだが、別に今重要なのはそこではない】

【話を戻そう、その店内は今も客が杯を交わしあい、或る者は笑い或る者は泣き、或る者は職場の愚痴を吐く】
【そんな様々な感情のたまり場、混沌の坩堝、そんな酒場の片隅、一つ蟠る影がある】
【それはよくよく見れば丸くなっている犬だろうか、灰色の毛並の犬である】
【右前脚には包帯、額にはゴーグル、首には青いスカーフ】
【その瞳は細く開かれており、奥から覗くのはラピスラズリのような色】

【犬は酒場をじっと眺めていた】
【おそらく、酒場に入るものがいれば気付くだろうし、入ってきたものも犬にすぐに気付くだろう】
【それが襲撃者だろうと、酒を飲みに来た人であろうと、UTメンバーだろうと】

【ただ、少なくとも最近まではUTという場所に犬などいなかった】
【ブリーダーでも始めたのかと考えるのも、UTの創設者の金に目がない人柄を考えれば、たどり着く一つの答えではあるだろうが……】
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/18(金) 22:55:20.07 ID:nLy90zdxo
>>462

―――……おいおい、こんな所で物騒な言葉ぶっ放すのはよしなさいっての……っと。
そもそもガンマンに必要なのは道具よりも技術よりも「目」だぜ? 周りを見通す視界の広さをまずは身に付けなきゃ。
少なくとも―――……今嬢ちゃんが周りから浮いてるってことを自覚できる程度にはね。

【男は知ったようなフウに言葉を飛ばせば、どさり。確認も取らずに空いた席に腰を下ろし、被っていた青いソフト帽の鍔を軽く指で弾き上げた】
【半袖の白シャツに灰色のジレ、群青のジーンズと比較的にシンプルな格好だからこそ、その帽子と―――シャツに右肩に縫い付けられた「緋色の鷹」が存在感を示す】
【緋色の鷹のマークといえばSCARLET。つまりこの男ある程度は戦闘に慣れているらしい。武器に怯えない様からも、その点は十分に分かるだろうか―――】
【そして彼の腰には彼女と同じく二丁拳銃用のホルスターが装着され、そこには赤と青のリボルバーが収まっていた。発言からも分かる通り、ガンマンなのだろう】

あー、でも費用ってのは俺には分かんねェ問題だよなぁ……―――ほら、俺一応能力者だし。
……つーか物騒な嬢ちゃんは何だ、何で能力者とかと闘う気満々なの? SCARLETやUTや自警団でも無い限りさ、そんな事に気ィ張る必要なくねーか?

【馴れ馴れしく彼女の独り言に入ってきたと思えば、見せ付けるかのように能力を起動する男。何も握られていない筈の両手に、赤と青の自動拳銃が具現化し握られた】
【ホルスターに収まったリボルバーとは別の拳銃らしかったが、見せたのも束の間、直ぐに能力は閉じられて拳銃は消える。分かる通り、男は能力者だった】

【続けて問いかけたのは彼女が闘う理由だったが、いきなり失礼な言葉と共に入ってきた男に言う道理もない、と断っても文句は言えないだろうし―――】
【そもそもお前は何なのだと逆に問いかけても良い。兎に角この男について今分かることと言えば、ガンマンであることとSCARLETであること、能力者であることと―――】
【―――首からぶら下げている砂色の玉のペンダントからは、怪しげで芳醇な魔翌力を振りまいていることくらいだった】

/まだいるのであれば……
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/18(金) 23:03:08.27 ID:tJNRZz/5o
>>461
【対して、朔夜。浮かべた笑みを引き攣らせ、この世の終わりだとばかりに顔を覆って溜め息を溢す】
【いよいよもって進退極まった朔夜は、指の隙間から恨めしげな視線をカミナに向けると】


「羨ましいね、朔夜ちゃん。これを断ったとあっちゃ、世の男どもが黙ってないよ」
ええいうるさい黙ってろ。……態々済まないな、カミナ。嬉しくて涙が出そうだ。


【未だに躊躇いながらも観念して口を開け、豪華なパフェを有り難く少女に食べさせて貰うのであった】
【その後は朔夜が吹っ切れて仲睦まじく(?)パフェの食べさせ合いに発展したり】
【にやつきながら冗談半分に「パフェのお代わり、作ろうか?」と尋ねるウェイターを、彼女が恐ろしい目付きで黙らせたり】
【とまあ、色々とありはしたのだが、然して重要な事でもないため割愛させていただく】


「しかし、ホントに友達とか居たんだねえ君。随分と急だったもんだから、俺はまたてっきり仕事の話かと」
……仕事か。あながち外れでもないけど、そこら辺は後でな。カミナ、一応紹介しとく。
このひょろいのはカイ。私の昔からの仕事仲間で、フリーランスの能力者だ。何でも屋をやってる。
「遅ればせながら、初めまして。朔夜ちゃんがいつもお世話になってます」

先に支払いは済ませとくけど、カミナ。お前、この後はどうする?


【食後。空になった皿を片付けつつ、朔夜はミルクティーを楽しむカミナに、簡単にウェイターの素性を紹介する】
【彼はそれに応じてカミナへと軽く会釈すると、二人がここを訪れた時と同じように、気怠そうに皿洗いを始めた】
【懐から財布を取り出しつつ、朔夜はそんな問いを投げ掛ける。ここですべき事が特に何も無いのなら、店を出る流れになろうか】
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/18(金) 23:09:03.71 ID:GyWDAAzDo
>>467

【──話しかけられると、少女は目線を上げ、着席した男を認めた】
【その目を見ればお世辞にも『大歓迎』という物ではないと分かるだろう。訝んだ風だ】


……、アンタ誰よ。
そもそも、私ガンマンじゃないし──。 ……そのマーク、SCARLET≠フ人?


【と、馴れ馴れしさを嫌うような言葉を吐きつつも、彼女は銃弾を片付け始める】
【彼の言うこと自体は──少なくとも、浮いているということは──正しいと感じたのだろう】
【十数秒もすれば、テーブルの上はすっかり綺麗になった】


……。 カノッサ機関≠フ人間と戦うのよ。
SCARLET≠フ人なら、何か情報持ってないかしら。それなりの謝礼は払うわ。


【──と、そんな事をいきなりぶつける辺り、彼女も彼女で礼儀も何もない少女である】
【注文を聞きに寄って来たウェイトレスに「ザッハトルテください」、と告げ、にこりともせずに頬杖をついた】
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/18(金) 23:24:09.10 ID:5igiuQjEo
>>468

ふふっ、そうじゃろうそうじゃろう……わらわの優しさに存分に感謝するがいい
ほれ、もっと大きく口を開けねばクリームまみれになってしまうぞ?


【などと、終始楽しそうな顔をしながら騒々しい時間は過ぎていった】
【そうしている内に、長いようで短い食事の時間は終わり】
【ミルクティーの残りを飲み干したカミナは、コト……と小さく音を立ててカップをソーサーに置いた】


うむ、何でも屋のカイか……仕事を頼む事になるかどうかは知らぬが
朔夜の仲間であれば、わらわが覚えておいても損はなかろうな

わらわは朔夜の友人のカミナ・ゲルギルなのじゃ
見ての通り"SCARLET"の一員として働いておる。何か困ったことがあれば、遠慮なく声をかけるとよいぞ


【会釈するカイにこちらも小さく頭を下げて返し】
【自分の胸元に括りつけられた"緋色の鷹"のワッペンを指先でトントンと叩きながら自己紹介をした】


【――】


そうじゃな……わらわはそろそろ"家"に帰らなくてはならん
気づけば随分と長居してしまったからの、"爺様"をあまり心配させる訳にはいかんのじゃ

名残惜しいが……今宵はここまでとするかの?


【朔夜の問い掛けに対して、カミナはそう返事をした】
【「爺様」……過去、Justice時代にはそれに該当するような人物はいなかったはずだが】
【ゲルギルという姓を名乗っていることと関係があるのだろうか】

【何にしても、どうやら帰る家と待っている人物がいるようである】
【カミナは一足先に店から出て、会計を終えて出てくる朔夜を夜空の下で待っている】
【もし、家まで着いてくるということなどがないならば】
【今日は連絡先などを伝え合って、ここで別れることになろうか】
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/18(金) 23:30:01.76 ID:nLy90zdxo
>>469

YES,YES,YES. UTのガンマンがセリーナなら、SCARLETのガンマンはこのマーシャル・T・ロウよ。
大会とかご存知無い―――ようだな。俺出てたんだぜ、水の国の大会。

【訝しげな彼女にも引け目を感じることなく、ニヤリと微笑みを零せば自分を親指で指差せば自己紹介をする男】
【大会出場者でもあり、SCARLETにも所属する。言葉だけなら結構スゴイ男なのだが、この態度といいヘラヘラした表情といい、そんな凄さは一切感じさせないのである】
【だが、彼女が彼の質問に対する答えを零したと同時に―――紺碧の双眸が強き光を湛え、隠していた鋭さを現した。言葉にも微かに、重さが乗る】

……命の危険は勿論承知の上なんだろうが―――更に聞かせてくれ、何故カノッサと闘うのかを。
―――謝礼なんか要らねぇからよ、そこんとこ聞かせてくれや。それさえ聞かせて貰えれば情報なんざくれてやる。

……―――あ、絶品チーズケーキ1つ。

【ゆっくりとソフト帽を外し、軽く頭を振り茶髪を靡かせてから―――真剣な表情を彼女へとぶつけて、更に理由を問うだろう】
【聞かせてくれという言葉には、「中途半端なモンだったら教えねぇよ」という言葉が隠れていることが良く分かる。彼もにこりともせずに注文を告げれば、黙って返答を待った】
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/18(金) 23:37:11.83 ID:+X/Bojzc0
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/18(金) 23:46:53.42 ID:GyWDAAzDo
>>471


マーシャル・T・ロウ、ね。 私は初=B
…… 大会の事なら、聞いたことぐらいはある。


【「出るぐらいなら誰でも出来るらしいけど。」──そう、付け加えた言葉に悪気はない】
【悪気はないのだが、嫌味に取られかねない言葉ではある。少し抜けた、彼女の性格だろう】
【少なくとも、ロウがどの辺りまで勝ち進んだのか、といったことは知らないようだ】


── 戦う理由=@?


【── 彼が真剣な表情で問いかけると、彼女は頬杖を解き、膝の上に手を置く】
【それから少し、逡巡した様子で自分の太ももに目を落とし。 その後、視線を彼に戻した】


アイツ等が──、私の『過去』を持ってるからよ。


【そう、話を切り出し、自らの『過去』についての顛末を、ぽつぽつと話し始める】

【二年より前の記憶が無いこと】
【カノッサ機関に「とある人物の妹」という記憶を植え付けられ、『利用』されていたところを、能力者達に助けられたこと】
【──自らの過去を知るために、自分を利用していた機関員≠ニ、そのとある人物≠探していること】

【彼女が話を終える頃には──両者の前に、ケーキと珈琲が並んでいることだろう】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/19(土) 00:06:41.91 ID:cGGV320Fo
>>473

……いやいや確かにそうなんだけどさぁ、度胸居るぞアレ。瞬殺されたら目も当てられねぇしそもそも俺は強制的に出させられたんだし……
―――でも3位は一応頑張った方だろ、なぁ……まぁ納得はしてないけどさ。

【彼女の言葉に誤りはない。確かに出ようと思えば誰でも出られるのだが―――それでも出場者が殺到しない理由は、恐らく彼女も理解しているだろう】
【彼が言葉にした通りの内容に加え、格闘技の試合などに比べ余りにもルールに守られなさすぎる。殺しとリングアウトは負け、それ以外は武器も能力も魔法も自由】
【路地裏の喧嘩自慢が出たのなら、それはもう病院に長い間お世話になること間違いなしだろう。それ程のリスクを誰もが理解しているから、大会の人数は絞られるのだ】

【その大会でこの男は3位だったのだが、どうも納得の行く成績ではなかったらしい(その理由が勝手にライバル視してるセリーナが優勝しているからなのは言わないが)】

―――……済まないが、恐らく最近手に入れた情報の中で嬢ちゃんの「過去」に繋がる話はねェ。ちょっと待て、いま「W-Phone」辿ってるから……
あー、上から簡単に情報ピックアップしてくと――――――ウチの新人隊員がロロケルム……ってのに接触。GIFTとカノッサが探してる「鍵の少女」について。
あとはヴェンドゥラーを滅ぼしたカノッサの実力者カニバディールの情報……くらいかな。

―――どれか詳しく聞きたいのある? ……と言っても最初の2つは俺も詳しくないし、「W-phone」の掲示板にある文読むだけだけど。

【彼女の理由を聞けば、それに対する感想も問い詰めもなく―――少しの沈黙を噛み締めてから、SCARLETの情報について話し始めた。】
【ロウは「W-phone」という携帯らしきものを取り出し、軽く弄ると何個か情報をピックアップして言葉にした。この「W-phone」にSCARLETに集まった情報が詰まっているようだった】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/19(土) 00:18:24.13 ID:X/aXgCYoo
>>474


【沈黙の後、取り出された「W-phone」を、彼女は不思議そうに見つめる】
【──ロウの言葉を聞く内に、それがデータベースへのアクセス≠行うものと理解したのだろう】
【納得したような表情を作って、珈琲に口を付けた】


 ……ロロケルム=H


【と。 ──彼の読み上げた文章の中に、引っかかる名前があったのか】
【カップを置き、考えこむような表情を見せると、更に言葉を続ける】


それって若しかして、『ロロケルム・ランガスター』のこと?
……、そうなら、私を『保護』してた人物よ。

でも──、アイツが、SCARLET≠ノ協力を求めるなんて、考えにくいわ。


【何故、という部分は抜かして、彼女は最初の話題に関して更なる情報を求める】
【彼女が疑念を抱いた理由を訊くなら、その後の方がいいだろうか】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/19(土) 00:32:42.20 ID:alE+Tkzdo
>>470
【いち早く席を立つカミナへ朔夜はふと何事か言いかけたが、返事を受けてゆっくりと立ち上がると】
【少女の「家」の事については何も問わずに、淡く笑った。何やら、安心したような表情だった】
【郷里を離れ、自らが率いたJusticeを失った今のカミナに、しかし、まだ帰るべき家がある事に】
【──その帰りを待つ家族が、いてくれる事に】

そうだな。今日はこの辺でお開きにしておこうか。

「えっ。朔夜ちゃん、お持ち帰りは」 そのネタ、いつまで引っ張る気だよ。斬るぞ。「アッハイ」

【店を出るカミナの後ろから、「今日はお前にツケとくから」「そりゃないよ!」等と】
【何やらまた下手な漫才じみた掛け合いが聞こえてくる。ウェイターも、朔夜も、こんなやり取りには慣れているのか】
【特にトラブルが起きるような事もなく、暫くして扉を潜り、彼女はカミナの前に現れた】

とりあえず、これ。奴の名刺と私の連絡先。何かあったら何時でも呼んでくれ。すぐに駆け付ける。
……ああ、奴じゃなくて私の方だぞ。この私を差し置いてあんなうどの大木なんか呼んだら、グレて辻斬りになるからな、私。

じゃあ、またな。……おやすみ、カミナ。

【朔夜が差し出した紙片には、彼女の現在の住所と、携帯の電話番号、アドレスなどが記載されている】
【おまけの名刺も大体同じようなものだ。去り際、冗談ともつかない物騒な台詞をしれっと吐くと】
【朔夜はひらひらと手を振って、カミナを見送る。彼女は名残惜しげに、その姿が夜闇の中に消えるまでずっと】
【通りから、少女の背中を見つめていた】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/19(土) 00:35:06.47 ID:cGGV320Fo
>>475

【自分は「ロロケルム」という男は知らないが、どうやら彼女とは関係があるらしい。画面へと注がれていた双眸を上げ、彼女を見つめたが】
【流し読みをしていたロロケルムに関する文を今度はじっくり読み込まんと再度視線を画面へと送り、そして音読した】

水国軍少佐"ロロケルム・ランガスター"と接触、その際に捕縛したカノッサ機関員が発狂し自害するという異常な行動を取ったらしい。
ロロケルムが言うには"Eclipse"という機関の斡旋人に関わった者がそのような口封じの処置が施されていて、
上記のような反応を見せた機関員が最近になって異常に増加している―――と。

ロロケルム自身も何か腹に一物抱えてるっぽくて、「自分に出来ないことを俺達にやらせたい」とのこと……と。
もし接触することがあったならば、それとなく情報を探っておいてほしい―――だとよ。

【文面からロロケルムに抱いた感想といえば「怪しい」と言うことに尽きない。彼女の反応を伺っても、どうやら一筋縄ではいかない男のようだった】
【保護―――という部分にも気になったが、それよりも先ず言わなければならない事があった】

―――今度は俺が言わなくちゃな。謝礼は出すからロロケルムの情報くれね? 
そうだな―――銃と弾の費用で困ってるんだろ、それ全部払うってんじゃ足りねぇか?
……ああ、一人暮らしのSCARLETって異常に金貯まるんだよ。そんくらい屁でもねェから……あ、こんなこと言ったらもっと要求されそうだな、しまった……!

【「情報を探っておいて欲しい」と言われたのだから、ここで聞くのは当然だった。ロロケルム本人ではないが、情報を集められるなら文句はない】
【彼女がそうしたように―――礼儀としても、謝礼を出すというステップを進むのは当然だと言わんばかりで】
【ついでにお勘定もまとめて払う、と注文した品が書かれた紙を自分の方に引き寄せた】
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/19(土) 00:49:07.70 ID:YURJloono
>>476

分かっておるよ……きっとわらわが窮地に陥った時、最初に助けを呼ぶならば御主になろう
――その時は遠慮なく頼らせてもらうぞ、朔夜よ


【彼女の声に柔らかな微笑みと共に応えて、肩にコツンと軽く拳を当てる】
【そこにあるのは、揺るぎようもない確かな信頼であった】
【多くの戦場を共に駆け抜け、語らいあった親友の顔をもう一度じっと見た後……紙片を受け取り背を向けた】


うむ、また会おう――おやすみ、我が友よ。
次に会える時を楽しみにして待っておるのじゃ……


【手をひらひらと振りながら、カミナは夜の街へと消えていく】
【最初は惜しむようにゆっくりと、離れるにつれて次第に早く。少女の姿はすぐに見えなくなってしまうだろう】

【数少ない"親友"と呼べる相手との再会】
【今夜の出会いは、カミナが抱えていた精神的負荷を大きく減らすことに成功した】
【その証拠に――】


「おい、シー……じゃなくて、カミナ。今日は随分と機嫌が良さそうじゃねえか」
「なんつぅか、昔の恋人にでも会えたのか?」


ん?……ふふ、幾ら爺様でもこれは秘密なのじゃ――


【――カミナの顔は今日という日が終わるまで、ずっと嬉しそうに笑っていたのだから】


/長時間お疲れ様でしたー!
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/19(土) 00:50:57.67 ID:X/aXgCYoo
>>477

【──彼が読み上げる情報を聞くにつれて、彼女の眉間には軽い皺が寄る】
【意外、と言うよりは、『疑念』の度がより深まった、という風だ】
【ロロケルムの情報を求める彼に、一つ頷くと。 唇を軽く湿らせる】


ロロケルム・ランガスター>氛汾g元は、貴方の言った通りよ。
元々は異世界人だけど、数年前の機関との戦争で一暴れして、軍に入ったらしいわ。
……、確か、スカウトした人は今、政治家か何かだったはず。


【政治家の名は判然としないが、数年で『佐官』に上り詰めているのは、その人物の後援故だろう】
【──ここまでの話を聞く限り、彼女がおかしい≠ニ感じる事情は見受けられないが】


── 「自分に出来ないことを貴方達にやらせたい」、って、言ったのよね?

でも、ロロケルムが、こと『掃討』に関して「自分には出来ない」なんて言う事は、絶対にない。
自分でそこまでの情報を掴んでるのなら──絶対に、独り占め≠オようとする筈。


【「戦争が大好きだから」── 初はザッハトルテにフォークを入れながら、ロロケルムのパーソナリティ≠そう話す】
【ロロケルムにとって、それこそ闘争≠ヘザッハトルテ≠ネのだろう。 甘美で、柔らかな口当たり。】
【彼が『獲物』を他人に譲ることは絶対に無い、と、そう言いたいらしい】


……Eclipse>氛氈B


【ならば、彼に出来ないこと≠ニは、何を指すのか──】
【『報酬』の話に反応を見せないほど、初の当惑の度は深いようだ】
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/19(土) 01:14:24.48 ID:cGGV320Fo
>>479

【コーヒーを啜りながら、真剣な表情で彼女の話に耳を傾ける。文面と彼女の反応から、このロロケルムと言う人物の厄介さは嫌でも分かる】
【恐らく―――策士。故にもしロウが彼と接触することになった場合、特に少しでも多くの情報を持っておくに越したことはないのだ】

水国軍少佐……―――SCARLETのバックである軍にいると考えると仲間≠ニ考えるのが常識……だが。
怪しい、怪しいぜ……何をやらせたいのか分かんねぇが、確かにそう言っていたようだが……。"Eclipse"ってのに関する情報も名前しか無いし……

ロロケルムは果たして仲間か敵か。まずそこから怪しいんだよなぁ……―――兎に角言えるのは、俺はコイツを好きにはなれねぇ……ってことだ。

【ワシャワシャと髪を片手で掻き毟れば、うーんと悩む仕草を見せるロウ。そこから絞り出した言葉は「好きにはなれない」と言うものだった】
【「だって俺戦争嫌いだし」という言葉をボソリと続ければ、ようやく彼も目の前のチーズケーキを口に運んだ】

嬢ちゃんを「保護」してたらしいロロケルムが何しでかすのやら……うーん……戦争大好きでSCARLETの力を借りたいってんならまぁ闘いなんだろうけどさ
―――闘えって言われらどんな闘いでも行くほど俺達は犬じゃねーぞ。命賭けてんだ、意味がある闘いしかしねーよ。

―――……つか謝礼の話はスルーですかい。このロウにーさんがお金の悩みを解決してやろうってんのに無視すんなら無しにしちゃうぜ?

【謝礼の話には飛びつくだろうと思っていたのだが、予想を裏切られた。だからか少し不機嫌そうなフリをして、そんなことを言ってみるのだが】


481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/19(土) 01:29:49.04 ID:X/aXgCYoo
>>480


【──何にしろ、二人で会話しているだけでは此れ以上の考えも出て来ない】
【結果として、初は只管、悩みつつザッハトルテをもきゅもきゅと食べ続ける事になるが】


 ……ん。


【ケーキを噛みつつ、軽く唸ると、──ロウの方に引き寄せられた伝票を自分の方に引き寄せた】
【手首を捻って紙を一瞥すると、懐から札を取り出し、伝票と共に彼の方へと突き返す】


ふぁなふぁひ ──、ん。 …、…貴方に奢って貰う義理は無いわ。
こんな事、少し調べれば分かることだし、貴方からも情報は貰った。
他人に意味もなくお金を貰うほど、恥知らずなつもりもない。


【「無しにしていいわよ」──珈琲の残りを啜りながら、彼女はそう言った】
【素直なのか、嫌味なのか。 兎に角、ロウの『フリ』を額面通りに受け取った風の彼女だ】
【──、どちらにせよ、謝礼を受け取るつもりはないらしい】
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/19(土) 01:52:56.42 ID:cGGV320Fo
>>481

【ロウも同じように悩みつつチーズケーキを貪るしか無かった。糖分は頭の回転を早めてくれるとも聞いたからか、それ頼みで一気に口に放り込み咀嚼する】
【口に詰まったチーズケーキを喉へと送り込んでいる間に、伝票が持っていかれてしまった。飲み込んでからそのことに気付くと、不思議そうな顔を浮かべたが】
【彼女が「恥知らずなつもりもない」と言えば、「ふーん」と零してコーヒーを飲み干す。表情に微かに見えるは、満足】
【決して無駄な出費を避けられたことによるものではなく、彼女のプライドに好評価を持ったからであることだけは理解して欲しい】

……ほーん、今時の女子にも嬢ちゃんみたいな子がいるとはねぇ。 20代前半までは「奢って貰って当然」みたいな子ばっかだと思ってたぜ。
まぁ嬢ちゃんを「恥知らず」にさせるわけにはいかねぇし、しゃーなく受け取ることにしますか……

【少し悩む仕草を見せたがロウは札を受け取る。正直「少女からお金を受け取る20代中盤の男」という図は情けないと思うので避けたかったが仕方がない】
【恥ずかしそうに周りを少しだけ気にする様子を見せてから受け取ったのを彼女は見ていただろうか―――】

……―――あ、えーと……もしロロケルムに会うことがあれば、嬢ちゃんの名前出して良いか?
「保護者」だったんだろ、ソイツ……って言ってもまだ名前聞いてねぇな。俺は―――最初に言ったから良いとして。
嬢ちゃんの名前、最後に教えてくれや―――あ、もしかして名前も……「本当の名前」も覚えてないとか? まぁ今ある名前でいいんだけども。

【がたん、と立ち上がりながら尋ねるは名前と確認。名前を答えなくても答えても、このやりとりをすれば彼は勘定をして店を出て行くだろう―――】

483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/19(土) 02:06:21.64 ID:X/aXgCYoo
>>482

【何故か──彼女からすれば、だが──こそこそと金を受け取るロウ】
【それを見て彼女は、「口だけで実はお金がないのかな」と、思ったとか、思わないとか】
【ロウの発言が妙に言い訳がましく聞こえたのだろう。災難である】


……別にいいけど、特に反応もしないと思う。
私とロロケルムが話したことなんて、ほぼ無いし。


【どうやら──単純な保護者と被保護者≠フ関係でも、無かったようだ】
【だが、それを説明することもない。 彼女は空いた皿に手を合わせると、ロウより先に立ち上がる】


── 、さっきも言ったけど、初≠諱B

これが、私の『名前』。
頭には何も付かないし、本当の名前かどうかも知らないけど。
……でも、私の『名前』。 ──じゃあね、ロウ。

【名前≠ニ言う割には、『苗字』も無く──彼女自身、それが本当なのか、嘘なのか分からない】
【それでも、何処か無意識の確信≠ナもあるかの様に告げると、軽く手を挙げて、別れの合図】
【──それから、彼女の姿はカフェテラスの外、雑踏に紛れて消えていった】


/この辺りでしょうか、お疲れ様でした
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/19(土) 02:21:57.55 ID:cGGV320Fo
>>483

―――あ、すまん聞き逃してた……チーズケーキにわくわくしてたからってことで許してくれ。
若しくは文字数少なすぎて名前だと認識出来なかった―――ってことで。そんで、初、ね……初。おっしもう忘れない。

次会うときはあれだ、奢らせろや―――俺もこう見えてプライド高えんだ、ホント。
名前忘れたお詫び……ってんなら、理由付きだ。そんじゃ次奢るまでに死ぬなよ―――初。

【あちゃあ。そんなリアクションをオーバー気味に見せてから言葉を飛ばすと、帽子をひらひらと振って「別れの合図」への返事とする】
【―――その後帽子を深く被り直して、カランカランとベルの音を鳴り響かせるカフェの扉を開けて出て行った】

【未だ騒がしい都会の夜を歩みながらも、脳内ではロロケルムの策略で膨らんでいた。予想しても無意味だろうが、つい思考を深めてしまう】
【―――戦争は嫌いだ。正確に言うと、人の死が嫌いだ。人を傷つける仕事をしている癖にこのような考えの自分もなんだかなぁ、と無駄な思考にたまに逸れたりしながらも】
【更にそこから逸れて「チーズケーキ思ったより微妙だったなぁ」などと考えながらも、ロウはゆったりとした足取りで夜の闇に消えた】

/ありがとうございましたー!

485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/19(土) 10:06:15.83 ID:MGhFjgHg0
【照りつける太陽を眺めながら、考えてみる】
【こうやって、かつての自分はこれを眺めていただろうか】

「………暑い……ってこういうことなのかな」

【それを目覚める前の自分が覚えているかというと、どうも自信がない】
【文献で知っている程度、ということなのだろう】
【自分が目覚める前は、この日の光が拝めない場所にいたということか】

「うん、そういうことなのかな……?」

【肩に届く程度に伸びた白色の癖毛】
【宝石を思わせる紅色の瞳】
【細く線の細い華奢な女性的な身体をした少年】
【白のカッターシャツに黒のベストを身に纏っている】
【両腕には「盾」を思わせる赤い刺青が入っおり 】
【首には何らかのタグのようなペンダントがついている】

【ぐっと、体を伸ばして太陽を一瞥する】

【かつての自分がどんな存在かわからないけれど、それでも】
【こうやって目覚めたのなら、今を生きようと思う】

【そうやって彼は、最近知った路地裏に入り込んで―――――」


『おい、あんた。どうしたんだ?こんな場所に来て…』
「え、いや、……その、家に……帰りたくて……」

【タイミングが悪かったのか、運が悪かったのか】
【そこにいたのは、不良の集団だ】

【5人ほど、全員が少年を取り囲むように】

『ちょーっと こっちにきてもらえるかな? 面白いものがあるんだがよ…?』
「面白いもの? な、なんですか?」

【少女と見間違うような華奢な少年】
【怪しい男たちに連れ去られる姿を、誰か見ただろうか】
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/19(土) 21:28:17.29 ID:O6UdSZ1f0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――夜の国 銭湯 大浴場】

【普段は人入りもまばらなこの場所で今、1人の人影が湯船に身を沈めていた】

……………………

【身体にしっかりとバスタオルを巻きつけて、縁に身体を寄りかからせながら天井を仰いでいる】
【漆黒のボブカットと、幼さを残しながらも憂いを帯びた様な瞳をした、身長160cm前後の中性的な青年】

【バスタオルを湯船に入れる事が、どうやら禁止されてはいない様で、湯の中から覗くだけでも分かるその華奢な体躯を包んでいた】

……………………

【微かに湯気が立ち上る中にあって、青年は疲れ果てた様な表情で、ただ天井を見つめながら脱力している】
【入浴者の眼を楽しませる為の、壁の絵や文章にはまるで意識を向けずに、ただじっと置物の様に動かず】

…………もう、ダメなのかな…………

【眉を潜める様にゆっくりと眼を閉じながら、誰もいない空間でポツリと独白を零す】
【公共の空間でたった1人、取り残された様にその身を癒していた】



【――――所変わって、水の国 オフィス街】

【激しく燃え上がるミニビルから、なるべく遠くへと逃げようとする群衆、逆に近寄っていく野次馬で、一角がパニックに見舞われている】
【そんな光景のそばで、そうした動きとは全く趣を異にする幾人かのグループがいた】

……この通り、全部燃えてしまいますわ。消防隊が到着まで約4分ほど……ですが、恐らく延焼対策が精一杯で、あのビルは全焼確実でしょう……
その様に、しっかりと燃やさせていただきました。その旨、報告はよろしくお願いしますわ……では、お疲れ様……

【白を基調とした修道服でほぼその全身を覆い隠し、ケープの付いた帽子の中に、明るい空色の髪が覗く】
【手には、頭部に幾つかの小さな鈴と、銀でメッキされたと思しき翼の装飾が施されている細長い杖を携えている】
【豊満と表現されるだろう胸部が目立つ、身長160cm前後の女性】
【そばにいた2人の男と何事かの会話を交わすと、彼らはその場から離れていき、女性も別方向へとその場から歩を進めて去る】

……無駄ですわ。人の手でこの炎、御せるはずがありません。燃やされるものは、燃やされるべくして燃やされるのです……

【混乱の中でもマイペースを維持しながら、燃え盛るビルを背に女性は歩み去っていく】
【その歩調に合わせて、胸元で金十字を象ったネックレスがリズミカルに揺れていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/19(土) 21:34:23.95 ID:4c/+inUT0
【―――水の国のとある街、人通りの多い商店街の大通り】
【仕事も終わる時間という事もあってか道行く人々の足取りは心なしか軽い。或る人の顔は楽しげに綻び、或る人は千鳥足で顔を赤らめ】
【十人十色の表情が行き交う中で、ふわりと夜風が大通りを吹き抜ける。真夏も近いこの頃だが、夜風は涼しく心地良い】
【空を見上げれば、紺碧の夜空が広がる。天の川を見るのは少し遅いけれど、今日も瞬き煌めく星空は十分に綺麗】

【そんな商店街の大通りを、道行く人々の波に紛れて歩くのは一人の女性。】
【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を時折吹く風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【マリンブルーの瞳は優しく澄み、口元の笑窪が整った目鼻立ちの顔にアクセントを加える】
【腰までの丈の白いレースチュニックは季節に合わせて涼しげな半袖、そこからすらっと伸びる手首は白魚のよう】
【チュニックのレース地の下から薄らと覗くシャツの桜色は、白色主体のコーディネートに可愛さのアクセント】
【オーソドックスな紺色のジーンズはスキニーな感じで、すらりと長い脚のシルエットを際立たせる】
【足元は白いヒール付きのサンダル。大きく膨らんだ胸元に掛かるロザリオは、いつも通り彼女の動きに合わせて揺れる。】
【左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく。―――外見はこんな感じ。】

―――えーっと……此処がこの建物で、あっちがあのお店で……
……あれ、違う?――――

【そんな彼女は数歩歩いてはキョロキョロ、また数歩歩いてキョロキョロ……その繰り返し】
【手には地図を持ち、頻繁にそれを見ては首を傾げている。「おかしいですね……」なんて呟きも漏れて】
【一目で道に迷ったと判る様子。何処が目的地かは分からないが、確実に今のままでは辿り着けそうになさそう】

【とうとう途方に暮れた彼女は道の真ん中で立ち止まる。そんな彼女の姿は商店街の中ではよく目立つ筈で】
【声を掛けくれる人がいるとすれば、困った人を助けてくれる優しい人か、そうでなければナンパの類か……あるいは、そのどれでもないかもしれない】
【さて。この見るからに困り果てた女性に、声を掛ける人間はいるのだろうか―――】
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/19(土) 21:53:19.58 ID:X/aXgCYoo
>>487

【──道に迷った風の彼女に、後ろから男の声がかけられる】


…、…そこの迷える子羊さん。
都会の人っていうのは、他人を見てないようで見てる物で。
そして、ことこういうトコロに於いて『迷う』ってのは、8つ目の大罪≠轤オい。


──、分かりやすく言えば、変な奴に絡まれるかも知れないよ≠チて事だけどね


【瞳を隠す胡散臭い黒サングラス、ワンレンの赤い長髪。──身に纏っているのは、黒のキャソック】
【恐らく『聖職者』だろうか。 それにしては、十字架も、聖書も持っている様子はないのだが】

【「見せてみなさい」と、指すのは彼女が手に持った地図】
【──、この状況下は十分、『変なやつ』に絡まれている状況に当たるのだろうが、彼は気にしていないようだ】
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/19(土) 22:25:29.48 ID:4c/+inUT0
>>488

【聞き慣れぬ声、けれどそれは間違いなく自分に向けられた物。怪訝な表情と共に振り向けば】
【其処に立っていたのはやはり見慣れぬ男。自分の記憶さえ間違っていなければ、彼に会ったことは一度も無い筈だが】
【妙に馴れ馴れしいのは何故?彼への疑問はますます深まるばかりだが、無碍に無視するのも気が咎める】
【何より彼は聖職者のようだ。―――聖職者という者は彼女にとっては最も身近な人物であるから】
【気を許したという訳ではないけれど、いつもと同じような微笑みを顔に湛えて彼に応える――】

―――まあ。私が子羊で御座いますか?
ふふっ、ご心配をお掛けしたのなら申し訳御座いませんでした。
何分大都会には慣れていないもので、人混みは苦手なので御座いますよー……

主人に服を贈ろうと思いまして、手芸店を探しているので御座いますが……迷ってしまいました。
あ、えーっと……服を贈りたいのなら洋服店ではないのかと思われるかもしれませんが……
主人は体が大きくて、既製品ではサイズが合わないので御座います。ですので、私が手作りしようかと……えへへ。

【「貴方こそ変な人ではないのか」とは言わずに笑顔で会話する辺り、誰にでも笑顔で応じる彼女の性格も伺えるか】
【……尤も、こんな性格だからこそ悪賢い者に付け入られてしまう危険性もある気がするのだが……】

【この笑顔の女性、どうも人を疑うという事をしないらしい。】
【言われるがままに地図を差し出せば、「此処なので御座いますが……」と少し大きめの手芸・裁縫用品店を指して】
【分かりますか?と尋ねる。……道順はそう難しくはない。この商店街の大通りを真っ直ぐ歩いて三つめの角を曲がれば、其処が目的地】
【一つ大きな問題を挙げるとすれば、つい先程まで彼女は全く逆方向を歩いていたということか。相当方向音痴らしい――】

【案内がてら一緒に歩くのか。道だけ教えて別れるか。それは彼次第なのだけれど……】
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/19(土) 22:34:08.16 ID:O6UdSZ1f0
/>>486取り消しでー
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/19(土) 22:39:11.55 ID:X/aXgCYoo
>>489


……あぁ、これじゃあ私が怪しいみたいだ。

【──最初に向けられた怪訝な表情を見て、そのことに気付いたのか】
【或いは、幾分かの釈明をする必要に迫られた、と言う事か、ふむ、と唸って軽く首を傾げ】


 神ってのは、世界をあまねくご覧になっているらしいからね。

こんなしがない牧師でも、偶には人助けをしないと辺獄送りにされるかも知れません。
私が神に救って貰う為、私は貴女をお助けするのです。=@……って、コトで。


【「ま、単なる親切と受け取ってくださいな。」──にへら、と笑って、牧師は言葉を切り、地図を見る】
【手芸店、と繰り返し、手作りするのだ、との言葉には、それはそれは、と返しつつ、道順を頭に載せる】


うん。──此処なら、すぐ其処だ。
折角だから、私が案内しましょう。 …、…あー、ミセス・──。


【──どうやら、彼が目的地まで連れて行くようだ】
【言葉に詰まったのは、彼女の名を聞いていないことに気付いたからか】
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/19(土) 22:54:45.69 ID:fyhSlKt00
【月の光すら差し込まない分厚い雲に覆われた夜】
【――――“呪われた館”と忌み嫌われた場所でその惨劇は起きていた】

【古めかしい大きな扉を開けて中に入って見れば、先ず目に映るのは原形すら留めない程に破壊された骸の数々。当然、死臭だって吐き気を催すほどには強烈であって】
【次には、其処の骸の上に立つ少女に気付くだろうか。金色の髪に紅い双眸。纏うのは、朱色のドレス】
【何よりも特筆すべきは濃厚な“瘴気”であろうか。魔族が放つ其れ――――即ち、この少女は悪魔と呼ばれる存在に違いなく】


「全てが無意味に紡がれていたお話ね。詰まらないお話には興味無いの。在り来たりなお話ならページを捲る事自体が無意味な事だもの
――――今日が貴方達の命日。誰も花を添えてくれないけれど。今日が貴方達の死んでしまった日。誰も死んだ事に気付きもしないけれど」

【クツリ、と楽しそうに笑んだならば最後に一瞥だけして…………その時に、新たな来訪者の姿に気付いたのだろう】
【轟、と音を立てれば突如燃え上がる遺体達。数分の時間も経ずに、其処に転がるのは骸骨だけとなって】


「ねぇ、アナタはどう思うかしら。ただ意味も無く生きているだけの人生って詰まらないと思わない?」

【もし扉を開けたままならば突如閉まるだろうし――――開けようとするならば、まるで外から誰かが押さえているかの様にビクともしない】
【小首を傾げた少女の問い掛けに返すのも良し、義憤に駆られて有無を言わさず襲いかかるのも良し。どんな反応を示しても、物語は其れに合った様に進展する事だけは変わりは無いのだから】







【満月の夜――――人々からその存在を忘れ去られ、ただ朽ち行くだけの遺跡】
【嘗ては祈りを捧げるのであっただろうその場所も今となっては誰一人として訪れる事は無くなった……が】
【今宵は、無礼にも其処に座る女が居た。金色の髪に、同じ色の双眸。何よりも特筆すべきは背に生やした純白の翼】

【在りし日の其処を思い、思慮に耽っている訳でも無い様。ただ単純に単純に月光浴を楽しんでいるのか】



「――――今日は星も月も良く見える良い夜だ。風も心地良いし…………ボクだって偶にはこんな夜も、ね」

【漏らした言葉は誰に向けた物でも無い。ただ、何と無く慈しむ様に己の座る台座を掌で撫で】
【バサリ、と一度羽ばたかせた翼。純白の羽が月光を浴び銀色となって風に舞い】

【辺りに人気は無い。だからこそ、この女の存在も相対的に目立つというもの】
【もし、女の存在に気付いて近寄ったならば――――「ボクに何かご用かな」なんて言葉と共に、緩んだ笑みを向けるのだけれど】

493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/19(土) 23:08:52.30 ID:4c/+inUT0
>>491

【自分の姿は案外自分ではおかしいとは思わないもの。彼女の怪訝な表情で漸く自身が怪しいと気付いたらしく】
【軽く釈明を入れる辺り、根っからの不審者ではないようだ。……まあ、それでもまだ不審ではないと言えば嘘になるが】
【なにせ彼女の性格だ。こんなに不審な人物でも警戒しきってしまうことは無いらしい―――】


まあ、牧師様で御座いましたか!私の主人も似たような事をやっております。偶然で御座いますね!
そういう事なら貴方を信じましょう。ふふっ―――本当に親切なお方なのですね♪

では、少し頼らせて頂きますね。本当に困ってしまっていたもので……貴方のお蔭で助かりました!

【―――神を信じ、信仰に基づいて人を助ける。そんな彼の事は、同じく神を信じる彼女にとっては信用するに値したらしく】
【彼女の笑顔からも僅かに残っていた不審さとぎこちなさが消える。このまま彼に頼ろうということらしい―――】

【そんなこんなで、一緒に同行することになった二人。並んで目的地まで足を進めようと……その前に】
【自己紹介が未だだった。彼が名前に詰まる様子を見れば、優しい微笑みと共に自分の名前を告げる―――】

―――マリア・シャリエールで御座います。どうぞマリアと及び下さいな!
ふふっ……迷える子羊が「マリア」だなんて、変な冗談みたいで御座いますね♪
……貴方は?

【……迷える聖母≠ニいうのも可笑しな話。尤も名前が同じだけで、彼女が聖母であるなんてことは無いのだが】
【(……ただ、十数人の子供達の母≠ナはあった。随分若いけれど、既に子持ちらしい。……まあ、これには理由があるのだが)】

【お返しとばかりに其方の名前も尋ねる。そうして自己紹介を終えたなら、漸く二人は目的地へと進みだすのだろう――】
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/19(土) 23:12:47.09 ID:JHxopT5Eo
【季節は夏、夜の中にある街は人工的な明かりに照らされていた】
【肌に纏わり付くような湿度はこの先も続くのだろう、そう思うだけで気が滅入る】
【路地裏の一角に佇む人影は小さな溜息を洩らしながら淡い淡い月を見ていた】


この湿気……カラッと晴れてるならまだ良いのに
これだから夏はキライなんだ、とっとと冬になっちまえばそんな悩みともおさらばだってのに

【新雪か無垢の白色をした髪、伸びた後ろ髪は注連縄のように結んで揺れる】
【齢にして二十代程、宿す瞳は赤と紫白の異色というのに纏う雰囲気に険しさはなくどこか幼ささえ感じさせる】
【防刃ベストやアタッチメントの多いズボンはやはりというか近接戦闘を意識してのものだが今日に限ってはオフなのかそれらしい装備はなく】
【ただあるとするならば彼がいつも持ち歩く銀色のナイフ、「退魔」を宿すそれだけは肌身から離さずに腰に掛けられている】


暦の上ではまだまだ先……ああ、もういっそ夜の国にでも移住しちまいたい

【体重を壁に預けながら気怠そうに呟いて髪を掻き上げる】
【指の間には微かな抵抗、それも湿度の為どうやらこの季節はあの手この手で自分を不快にさせたいらしい】
【ただ恨みをぶつけようにも相手は自然、そもそも敵うというか相手にする時点で間違っている】


あー……もういいや!どうせなんもねーだろうし今日はもう帰る!帰ってシャワー浴びて!
んでもってクーラーつけまくって毛布くるまって寝る!寝るったら寝る!

【だからこそ不快感は募るばかりで】
【しょうもない、ここにいても暑いだけだならば家にでも戻って冷房の利いた部屋にいた方が良い】
【腰を上げさて歩き出そうと一歩二歩と進んだ所で、事は始まるのだろう――――――――】


……っていうのになんだよこのタイミングは、日ごろの行いは良い筈なんだけど?
ったく誰だよこのナンバー……悪戯電話か、もしそうなら憂さ晴らしでもしてやろう……にひひひ

【予想だにしない着信音に「なんだろう?」と首を傾げ携帯を取り出す】
【表示される番号はやはりというか知らないナンバー、取るべきか取らざるべきかという悩みも一蹴に】
【訝しげな表情を浮かべつつも通話のボタンを押し暫く無言で相手を伺う、警戒とほんの少しの本能に訴えるような嫌な予感がそうさせたのだろう】
【或いはそれは現実となるのか……それを知る人間は一人しかおらず】

/予約であります!
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/19(土) 23:16:10.79 ID:TOoQBmTto
>>492
「さあな、僕は無為に日々を過ごしてるけど。何とも思わない」

【少女は、嗤う】
【僕は、答える】

【一人でに閉じた館の扉。それが開く事はなく】
【少女の前に立っていた、白のTシャツとジーンズ姿。シャツと同じくらい白い肌で、女性然として顔立ちは暗い中でも分かるだろうか】

【―――――そもそも、何故こうなったのか】
【そんなの分からない。強いて言うならば、気付いたらこの館の前に立っていて、何だか入らないといけないような気がしたから】
【入ってみれば、何とも戯言めいた光景である】
【どうやらとんでもない場所に迷い込んでしまったらしいが、後悔先に立たず、だ】

【果たして、僕はどうなってしまうのか。平穏に事が終われば万々歳なのだが、明らかにそんな雰囲気ではない】
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/19(土) 23:17:20.16 ID:0atm9ZBso
【路地裏】

【じめりとしてむんと熱気の帯びたダクトの風が路地裏に充満している】
【裸電球のまばらな明かりだけが路地裏の光源で降りたシャッタの落書きを照らす】

【雑居ビルの赤錆びた非常階段から何かが転がり落ちてきた。1つは黒いボストンバッグ。もう一つは人だ】
【階段を滑り落ちて、カバンは半分空いた口から中身が出ている。それは大量の紙幣。アスファルトに張り付く】
【転げ落ちたのは背の高い男だ。階段にしがみつくように俯せで右手にガッチリと黒いリボルバー式拳銃を握っている】

痛っ……てぇ…クソッタレ

【ゴロンと仰向けになって腕で目をこする。真っ赤な白眼に黒い瞳は疲れきっていた】
【汚れた黒いスーツ、白いシャツには乾いた赤い痕が幾つもついていた。ネクタイもよれている】

【胸ポケットから紙巻きのマルボロを取り出して一本くわえる。オイルライターを取りこぼして、階段を落ちていった】

ああ……クソッタレ。クソッタレだ

【火のついていない煙草をくわえたまま仰向けに倒れていた。それだけできな臭いのだが今回はそれを裏付ける理由もある】
【ニュースを見ていたなら昨日、某所にて現金輸送車が襲われたことがそれなりに報道されていたはずだ】
【まあその程度なら珍しくはあれどもっと重大で凶悪な事件は起きている。気にしない人も多いが記憶には新しい】
【その主犯かつ強盗の件数なら第一位の指名手配犯というのがここで伸びている男だった】
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/19(土) 23:27:10.47 ID:X/aXgCYoo
>>493


【『主人』との偶然の一致に、ほぅ、と声を出して、驚いた風を見せる】
【──後の自己紹介は歩きながらの方が早い、と判断したのだろう。彼女よりも先に、歩を進め】
【迷えるマリア、という言葉の響きが気に入ったのか、軽く笑い声を上げると──】


 …… シャリエール=@?


【立ち止まって、振り向く。 幾ばくか『意外』な色と共に、彼女の苗字を繰り返した】


…、…あぁ、成程。 偶然って言うのは、こう──、困ったな。
神が仕組んだ話だとすれば、意外と私は天上から見られているらしい。


ハハッ。 ──私は、ファン・イグナシオ=デルヴェッキオと申す者でしてね。


【「フレデリックさんにはこの間、お世話に。」】

【──若しかしたら、マリアには聞き覚えのある名前かもしれない】
【彼の夫、フレデリック・シャリエール≠ェ少し前、『葡萄ジュース』を持ち帰ったことがあった筈だ】
【その時、彼からその名を聞いたかも知れない。 或いは、その後定期的に送られてくる『葡萄』の送り主】


【どうやら、既に細いながらも縁≠ェ有ったようだ。 ──だからと言って、だが】
【彼からすれば、『上の方の人の妻』という事になる。 マリアは一応、礼儀を尽くすべき相手だ】
【苦笑いを浮かべて自己紹介をすると、彼は再び、手芸店に向けての歩みを再開するだろう】
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/19(土) 23:35:55.54 ID:fyhSlKt00
>>495
「例えるなら――――何も考えないで過ごす事は死んでいる事と同じだとは思わない?
死んだ人は何も考えることが出来ないのだもの。私の足元で眠っているこの人達と同じよ?

生きている時も死んでいる時も同じ…………それなら、もう死んでいると言い表しても可笑しくない事だと思うのだけれど」

【数多くの死線を潜り抜けた者ならば其れは不穏な因子として。そうで無い者ならば――――其れは、死の気配として】
【何はともあれ、その少女から感じ取れる事は決して穏やかなものでは無い】

【――――それもそうだ。足元には数多くの骨。ひび割れた大腿骨だとかが生生しく】
【辺りを彩るのは鮮血。未だ乾かず、ゆっくりと壁を這い落ちて居るのだから…………“事”が起きてからそう時間が経っていない事も間接的に知る事が出来よう】
【見掛けこそただの少女たる少女が其れを行ったとはにわかに信じ難い事ではあるが――――今正にこの場に居る事が、現実であると告げていて】



「人間の命なんて100も生きればとても長生きをしたと周りから尊敬されるのでしょう?
私からすれば生まれてから百年後の事何て、もうずうっと昔の事だから覚えていないけれど――――……

人間は脆いものね。簡単に死んでしまうからこそ、たった百年の歳月も長く感じるのだもの
……さて、悪魔の住む怖い怖い館にようこそいらっしゃい人間さん?
ふふ――尤も、私は此処の主では無くただ気紛れに訪れただけだから紅茶の在処も何も分からないけれど」

【然れど、攻撃をしてくる何て事は無い。――――悪魔と言えども一概に人間を殺しに掛かる存在では無いのか】
【クツリ、クツリ。楽しそうに笑ったならば足元の頭蓋骨を一つ拾い上げて】

【前頭骨を撫でるのは細い指。双眸の失せた虚ろに差し込まれるのは二本の指】
【――――「ご用は何かしら」なんて。悪魔たる少女は笑みを向けるのだけれど】
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/19(土) 23:39:49.97 ID:euwk6Ecf0
>>496
うーむ、どうしたものか。
【突如響く男の声】
【酒に焼かれた喉から吐き出されるしゃがれた声は40代…いや50代だろうか】
【酷く怜悧で愉悦を含んだ声は周囲の気温を下げるには十分で】
金と傷だらけの男…ついでにリボルバーつきか。
どっちに手を伸ばしてみようか…。

【男が視線を上げれば、熱帯夜を冷たく見下す月と】
【黒ひげを生やした異様な風態の男が眼にはいるだろう】
【腹は多少出てるが太い腕や胸板が肥満ではないことを示す巨躯】
【そして黒く長く延びた髪や髭はぼさぼさで野暮ったい印象を与える半面、鋭くギラギラと光る眼】
【腰には大型の自動拳銃と弾装を入れたホルスター、全身に多数の装飾品の形を隠れ蓑とした魔具を装備】
【タトゥーだらけの肌にじかに来た黒革のコートの背には、四つの国の国旗をかかげた塔の絵】
【額には剣でつけられたような痛々しい傷跡がのこっている】

どっちを選んだほうが<おもしれぇ>かな。
【その表情は上空で見下すお月さまのように冷たいにやけ面】

ああ!こういうときは…天の神様の言うとおり。
【いきなり男は右手で銃の形を作ると…】

鉄砲撃って――
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/19(土) 23:49:00.11 ID:V4SYeX+Eo
>>494
【彼に電話を寄越した相手は、奇しくも同じ路地裏の空の下で、物憂げに月を見上げていた】
【白磁の膚。肩程の高さで切り揃えられた、青みがかった黒髪。藍染の紬を着流し、腰には二刀、素足に雪駄】

……路地裏なんぞ使うんじゃあ無かったな。厭なものに出会した。

夜分遅くに失礼する。森島 初の保護者だ。病院で彼女と共闘したという、エルフェスで間違いないな?
ついては、詳しくその時の状況など、話してもらえれば有り難い。今から私の指定する場所に来い。至急。

【鬱陶しげな溜め息と独り言は、きっと通話相手にも聞こえたろう。通話が始まった事に気付くのが遅れでもしたのか】
【さりとて特にそれを取り繕うでもなく、浪人めいた風体の女は早々に話を切り出す】
【ともすれば高圧的にも聞こえる、端的に過ぎる語調。氷を思わせる冷ややかな声色】
【どれを取っても、女の態度はまるで尋問のそれだった。──堅気の人間に出せる気迫ではない】

【彼女が指定するのは、大通りに面したとある喫茶店。人目は多く、何かあれば直ぐに自警団が駆け付けるような場所だ】
【罠を張って待ち構えるには、あまりにもリスクが大きい。誘い出して騙し討ちにするとか、そういった類いの事は無さそうだ】
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/19(土) 23:57:44.29 ID:TOoQBmTto
>>498
「何だよ、僕の生き方を知っているなんて君はエスパーか?」
「確かに、そうかもな。到底生きてるとは言えない。生きた屍ってやつかな」

【自嘲するような声色で言う】
【それはまさに僕の事を指しているではないか。今まで無意味に流されるまま生きているのだから】

「しかし、随分と凄惨な光景だ」
「こんばんは、悪魔さん」
「人生でどれだけ長く生きたって言うけどさ、それってどれだけ長くこの世界にしがみついていたとも言えると思うんだ」

【少年は、この惨状を見て臆するわけでも、義憤に駆られて怒りに身を任せるでもなかった】
【ただ普通に、当たり前のように少女と会話を交わす】
【もちろん、半分程は虚勢である】
【不穏な雰囲気はもちろん感じ取れる。だが実害があるわけではない。今のところは】
「用なんてないよ。迷いこんでしまっただけだから」
「人生とはサイコロのように、選択肢が6つくらいしかない。そうは思わないかな?」

【嗤う悪魔の少女を尻目に、キョロキョロと辺りを見回してみる】
【――――――うん、しかし、これは、なるほど】
【皆、死んでますな】
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/19(土) 23:59:49.22 ID:4c/+inUT0
>>497

【袖振り合うも多生の縁と言うが、袖が触れるどころか街中で会話するとなればもっと縁は強かったらしい。】
【自分の名前を訊けば、彼は驚いたような声を上げて振り向く。何だか意外だとでも言いたげな……そんな表情で。】

……?  ―――どうかしましたか?

【急に振り向くものだから、彼女は少し驚きと疑問が混じったような声で彼に問いかける。……と、すぐに彼から答えは返って来て】
【どうして彼がそんな声を上げたかと言えば―――以前に夫と会っていたということらしい。ああ成程、そういうことか―――】

―――ああ、あのぶどうジュースの!
……あんなに沢山頂いて、本当に有難う御座います。子供達も喜んでおります!

私もよく料理に使わせて頂いております。香りが良いものですから、本当に重宝します……
機会があれば私の作った洋なしのぶどうジュース煮を御馳走しましょう。自分で言うのも何ですが、結構自信作なのですよ♪
頂きっぱなしと言うのも申し訳ないので、今度是非ゼン=カイマにお越し下さいな!まだ何にもありませんが、精一杯おもてなし致しますよ!


【―――彼の名前を訊けば、マリアもピンと来た。彼の名前は聞いたことがある……そういえば夫が彼の名前を口にしていたような】
【大量のぶどうジュースを持って帰って来た時、誰からこんなに沢山貰ったのかと尋ねた折。……その贈り主の名前が、彼の名前だ】

【あのぶどうジュースは本当に重宝している。そのまま飲むもよし、デザートに使うもよし、料理の隠し味にもよし……】
【何分大量にあるものだから、十数人いる子供にも十分な量だ。その贈り主が目の前に居る彼だとは―――感謝の心で一杯だ】
【深々とお辞儀をして感謝の言葉を贈る。その姿が上辺だけの物では無いというのは、彼女の表情を見れば分かる筈】

【―――立場的には「大司教の妻」だから彼よりも上かもしれない。しかし、彼女はそんな上下関係なんて微塵も感じさせない雰囲気で】
【過度な謙遜も無く、過度な傲慢も無く。どんな人にだって平等に等身大の柔らかい笑顔で接する姿が其処にはあった。】

【こうして会話をすれば、彼女の人となりが少しは理解出来ただろうか。―――まあ、少なくとも過度に畏まる必要のある人物ではないのは分かるだろう】


【歩き続ける二人。彼女の事をもっと訊くも良し、夫の事を訊くも良し―――】
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 00:02:54.58 ID:ueTjMWeuo
>>500

――――――――っ!……?

【驚愕とそれに対する困惑】
【通話越しに聞こえる声は確かに冷ややかな物を感じたがそれでも身体を強ばらせる程ではない】
【そんな反応は本来の自分ではあり得ない、なればこそ困惑が浮かぶというもの】

【返事さえも数拍忘れ、急いで意識を引き戻す】

間違いないけど……随分とまあ、いやなんでもないよ
ああ、どうせ暇だしいいぜ向かってやる―――――――……ったく何なんだか

【電話の主に心当たりはあったので別段疑うでもない】
【あの時の少女の保護者からの電話、そうただそれだけなのだがどこか不安を覚える】
【状況からして罠などではないのは保証されている……それこそ何がなんだか、分からない】

……ま、説明くらいだから直ぐに終わるだろ
タイミングがズレたのは生憎だけど、とにかく終わらせて戻ってシャワーだ

【歩き出す、ふと零す言葉は自分でも驚く程の不安を消そうとする強がり】
【何が出るやら、さながら断頭台に向かう罪人の気持ち……そんな気持ちを無視するように歩みは確かに】
【数十分程で指定された喫茶店は見えてきてしまう】

――――――……さて、何が出てくるやら

【悟られぬようにと息を飲んでからん、とドアを押しのく】
【店内に入れば電話の主の姿を探し視界を右往左往と、そして姿を見つけたならば向かう】
【途中すれ違う店員に朗らかな表情を浮かべながらアイスコーヒーを頼み、対面の席に腰を降ろすのだろう】

【喉元につまるような何かを感じながら……】
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/20(日) 00:06:25.71 ID:dSCJhoHu0
【今年もまた夏の季節がやってきて、例年通りの暑さをいつものように浴びせていた】
【夜であれば暑さは軽減されているがそれでもなおこの暑さに変わりはない】
【昼の国、この国には夜がないそれはつまりこの暑さが軽減されないということで――】

 …………暑いものだな

【そのように一つ路地裏で愚痴をこぼす人影、このような暑い時期に戦闘服を着用してゴーグルをつけている】
【そして、その戦闘服の袖口にはカノッサ機関の逆五芒星が刻まれている】
【路地裏であればある程度は影もある軽減されるが暑いものは暑い、さらに戦闘服も着ていればその暑さは倍になる】

 まあいい……さっさと終わる

【暑いのはたしかだ、だがそれだけのことであり彼にはそのような暑さを我慢できる忍耐力もある】
【そんなことで、さっさと終わらせるために彼はサプレッサー付きのスナイパーライフルを取り出した】
【取り出したスナイパーライフルのスコープを覗けば標的がリーダーを務める集団が見えた】

 ………………

【静かに、静かに、標的がライフルの標準に合うのを息を殺して待つ】
【そして標準が合い、ライフル引き金を――引く】
【発射音は少しの音しか立てずに、しかし標的の眉間を――貫いた】

 ………よし

【眉間を貫いたことを確認すれば、彼はスナイパーライフルを近くのゴミ箱へと投げ捨てて、走り出す】
【しかし、こちらに気がついた何人かが銃を発砲、銃声が路地裏にかん高く響いた】
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/20(日) 00:14:00.32 ID:G2Z4p/at0
>>501
「しがみついた?いえ――――どれ程死ぬのが怖かったか、じゃないかしら
無駄に生き延び、無駄に延命して。死ぬと分かっていても命乞い。何故かしらね、何故かしら
そして死ぬ間際に感じるのはやっと苦痛から解放される安堵。…………ふふ、漸く其処で死ぬ事の良さを知るのだから皮肉ね

力を付けるのは支配する快楽を得る為?いえ、自分が死なないため
そうして人間達はどんどん強力な武器を開発していき、結局は戦争で自分の死を早めるだけでした――――……なんて、面白いお話しよね」

【人の生死には興味が無い。例え其れが己が手を下したものだったとしても――――所詮は戯れに過ぎない事】
【長く生きる事は様々な事を経験する事。故に、この悪魔は退屈を持て余したのだろう】
【人が何度も転生して、何度も死ぬだけの時を生きているのだから思いつく限りの事は全て体験した】

【死も喜びも、漏らすこと無く。だから、イレギュラーたる存在を探しているのだろう】
【詰まらぬ生き方に刺激を与える事が出来る者。或いは物】
【清い心を持つ者、逆に悪しき心を持つ者。この世で活躍暗躍する者達の全ての話を端から眺めるのが、唯一の楽しみでもあって】



「そう、貴方の考える選択肢は随分と少ないのね
――――私に殺しに掛かる。逃げる。話す――…………挙げれば挙げるほどキリが無いだけの選択肢が与えられているのよ。だって、此処は本の上に綴られた文字では無いのだもの
貴方が自由に話を動かせる、そんな空間。だけど、其れを選択肢として使用できるかはその人の力量次第

例えば自分より強い人に向かって“戦う”なんて選択肢を選んだ所で、その先の結果はもう見えているのだものね
なら、必然的に答えも決まってくるの。そう考えれば、ある意味では予定調和の世界だとか全ては必然だとか定説した人間の考えも分からない事では無いけれど」

【光が差さない場所。其れが殊更悪魔を悪魔たらしめる】
【――――死臭。咽せるような瘴気。理が歪にねじ曲がっているかのような、その場所】
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/20(日) 00:23:27.45 ID:1an7XmE0o
>>502


【──優位劣位で居丈高になる人物には見えていなかったが、彼女の態度は助かる】
【イグナシオ自身、余り「へりくだる」のは得意でない。 見た目通りの、胡乱な田舎牧師だ】


──お子さんは、確か『孤児』だったかな。
私も似たようなモンでね。 もう少し、良い物を送りたくはあったんですが。
田舎ですから、私の村にあるのは葡萄畑ぐらいで。


【「子供が喜んでくれるなら良かった」──そう、サングラスの位置を直しながら応える】
【一つ目の角をすぎ、二つ目の角を過ぎる。 確か、曲がるのは次、だったか】


ゼン=カイマですか。 ──かれこれ十年以上、訪れてませんねぇ。神学生の頃だ。
その頃、私はスラウロットの方で学んでいたんですが、昼の国の日差しが強くて難儀だった。
……その頃から少し、眼≠ェ弱かったもので。

──あぁ。 フレデリックさんからも誘われましたし、是非。


【暫し、懐かしげに述懐した後。 彼はマリアの提案に乗り気な風で、そう答えた】
【「料理用に葡萄酒でも持ちましょう。」と、口元に笑みを浮かべて──】
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/07/20(日) 00:27:13.37 ID:RXnGU7hKo

【見える。確かに見える。その背中には『canossa 』の文字が。】
【シンボルとも呼べるべきそのマークは、二つの黒い丸と笑みを浮かべる歯形の影が差し、】
【所謂『ドクロ型』にアレンジされている。】


――――――カーーーーーーーッハッハッハッ!!!


【既に手に終えない喧騒へ発展していた。】
【小麦色の髪を覆うように海賊帽子を被り、黒いエポーレット、ひらひらしたジャボと呼ばれるワイシャツ、】
【――――そして背中にはドクロにアレンジされた『canossa』のマーク。】
【海賊のような風貌の男は――たった今テラスへ突っ込んだ自動車のフロントガラスへ腰を下ろし、高笑いを上げる。】

【車の中にいる運転手は地だらけでハンドルに突っ伏しており、】
【喫茶店のテラスには車に撥ね飛ばされた客が数人転がっている。】

【曰、『通常運転』であった車は、遮る『何か』に当たった途端、突然『暴走』しだした。】
【途中、何人もの歩行者を引き殺しながら、そのままテラスへ突っ込んだ。】
【野次馬に思われた海賊風な男は、歩行者を確認し爆笑、】
【運転席を確認して爆笑、テラスで殺された人間を見て爆笑。最後にボンネットに登って高笑いをあげているらしい。】


/確実に凍結、持ち越し、置きレス移行のどれかになりそうですがよろしければ……
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 00:37:59.02 ID:0XMJgi9to
>>499

選ぶなら、ライターを拾ってくれ。アンチスモーカーってワケじゃないだろ

【指に煙草を挟んで、男は目を上に向けたままぶっきらぼうにそう言い放った】
【神なんか蹴飛ばして神様の言う通りよりも俺の言葉を聞きなと言いたげなように】

…今、俺の会いたくねえ順番を教えてやろう。第一は金を取ってやった麻薬カルテルの人間
アイツラは直ぐに撃つか、クソッタレなリンチの後撃つ。次に賞金稼ぎ。急所を狙わずに直ぐ撃つから嫌いだ
次は政府関係…裁判は長いから嫌いだ。次は民間人。相手にするのががメンドイ。同じ理由でイカれた奴もだ

【火のついていない煙草を指に挟んだまま男はそんな話を続ける】

鉄砲撃ってなんてもう今日は懲り懲りだ。…あいつら、応援が回らなかったからって無茶な総攻撃してきやがった
…マリアが俺に惚れてなかったら今頃、かすり傷じゃなくてタイプライターでミンチになってたところだ

【ニィと冗談交じりに男は笑う】

それで…俺の嫌いな奴に当てはまってないなら、アンタは誰だ。…コミュニケーションぐらい円滑に行こうぜ…?
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/20(日) 00:46:11.58 ID:WkI1NdKqo
>>505
「うん、まったくだ。死にたくないから力を付けたは良いものの、それが結局最終的に巡り巡って自分に返ってくるんだから。何とも皮肉で滑稽な笑い話だね」
「長生きはしたくないな。さっさと死にたい。僕にとって、死は解放で―――――解放でしかないけど。だからと言って好き勝手に殺されるつもりもない」

【我ながらに呆れ返ってしまうくらい、何がしたいのか分からない自分勝手な理屈だ】
【こんな時、あの"紅色"はなんて答えるのだろう】
【在り来りの、王道が大好きな彼女なら、なんて答えたろうか】

「僕の持論だけど、人間は限られた選択肢の中から一つを、絶えず選んで生きているんだ。それは無意識のうちに行われてて、気づく事はない」
「選択肢が無限に感じるなんてのは、それに伴う錯覚でしかない」

【なら、自分はどうか?】
【何かを選んで今まで生きてきただろうか、否】

「だけど、例外が存在する」
「それは"選ばない"という選択肢。道が6つしかなかったとしても、"選ばない事を選ぶ"事はできる」

【そうだ、僕はずっとそうだった】
【選ばない。何も選ばずに何となく、生きてきた】
【それにしても悪魔とこうして議論をする事になるとは】
【――――中々どうして、傑作じゃねえか】
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/20(日) 00:53:25.55 ID:VxRotnqD0
>>506

【露骨に気分を害するような態度を取らない限り、マリアはどんな人物とも穏やかな笑顔と共に話す。】
【と言っても、慇懃無礼という訳ではない。丁寧な口調なのに、不思議と堅い印象は与えない――】
【だからこそ彼も変に畏まらずに喋ることが出来る筈。その方がマリアにとっても良い……】

―――いいえ、あの子達はもう孤児では御座いませんよ。
だって、私がおりますもの!ううん……私だけでは御座いません、主人や街の方々……本当に多くの方と共に育っておりますから!
孤℃凾セなんて、そんな言葉はあの子達には当て嵌まりません。もう一人では御座いませんもの!

ぶどうジュースは本当に有難う御座いました。もう少し良い物だなんてそんな、あれも十二分に良い物で御座いましたよ!

【そんな彼女も、孤児という言葉には少しだけ強く反応する。怒っている訳ではないけれど、少し語気を強めて】
【彼女にとっては子供達は実の子同然。誰が何と言おうと子供達を独りにはさせないと、強く心に決めていて】
【だからこそ彼女は子供達を孤児と呼ばれるのを嫌う。あの子達は孤独なんかじゃない、私がいるんだ、って―――】


―――まあ、いらした事がおありでしたか!ふふっ、日差しは確かに強い場所で御座いますものね。
加えて今は日陰になるような場所も無くなってしまって……主人が街を再建してはいるのですが、まだまだで御座います。
そんな何もなくなった場所で御座いますが……私や子供達はいつでもおりますので!

【―――彼も知る所かもしれないが、ゼン=カイマは壊滅した。今は復興の途上にあるが、まだまだそれも始まったばかりで】
【あるものと言えば子供達とマリアの住む建物と、いち早く再建した建物が数軒と、今やゼン=カイマの象徴となった機兵くらい】
【そんな何もない場所だけれど、また機会があれば訪れて欲しい。きっとマリアが出迎えるだろうから】
【その時は、葡萄酒で料理を作って差し上げよう。自慢ではないが、毎日子供達と夫に食事を作っているだけあってマリアの料理の腕前はなかなかのものだ―――】

【目的の店はもうすぐ其処。間もなく到着となるだろうが、店内まで付き添うのか、それとも案内だけで終わるのか】
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/20(日) 01:05:19.61 ID:G2Z4p/at0
>>509
「そうね、だけど――――選ばないことは何もしない事とは違うのよ。“選べ無い”事も多々有るの
例えば……全てが相手に委ねられている時、かしら」

【抗う術を持って居なければ、後は、対峙した物の為すがままだ】
【生きるも死ぬも手綱はその人物が握っている事に違いは無く――――然れど、それに抗うだけの力を持つのが人間だ】
【人とは弱い種族でありながら古来より強大な存在を討伐してきた。…………なれば、本当に弱者の烙印を押すのは正しい事なのか】

【――――人が持つ理論やら理屈等の可能性を超す力を理解して居るからこそ、楽しんでいるのだろう】
【……敵対関係では無いけれど、友人であるカノッサの者達も又常人達よりも遙かに面白い者達】
【クツリ。少女はまた、一人嗤い】



「――――貴方は貴方らしく生きれば良いわ。何にしたって人は不老不死では無く、辿り着く結末は皆同じ所なのだから」

【手にしていた頭蓋骨を床に置いたならば、周りに展開されるのは転移陣か】
【――――気紛れな悪魔の姿も数秒と経たぬ内に掻き消える事となろう】
【まるで幻か何かの様だったけれど、飛散した肉片だとかが先までの出来事は現実であると静かに告げていて】

/申し訳無いですが、この辺りで失礼致します……お疲れ様でありましたっ!
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/20(日) 01:15:39.00 ID:1an7XmE0o
>>510


【彼等は孤児≠ナはない。 ──そう、熱心に語るマリア】
【一種の『隣人愛』の到達点か。 …、…否、そこまで難しく考える必要も無いか】
【単に、彼女が『家族』として子供達へ真摯に向き合っている、と云う話だろう】


 ──。 成程。


【ただ、こくり、と首肯を返す。 弱った瞳で応えるには、眩しすぎる愛≠セ】
【普段は何を考えているのか分からない表情も、この時だけは『敬意』から、幾分引き締まる】


それではまた、告解が立て込まない時期にでも──。
…、…あぁ、此処だ。 私が地図を逆さに読んでいなければ、此処で正しい筈。

【と。 ── 彼の足が、店の前で止まった】
【いかな方向音痴といえども、ここから迷うことはないだろう。 彼は振り向くと、軽く一礼して】


では、私はこの辺りで。
本当なら、淑女の荷物をお持ちしたいところだけど、ね。
──、こんな田舎牧師でも、意外と用事が立て込んでまして。 いやはや、この世は生きにくい。


【「さっさと雲の上にでも行きたいモンです。」──、冗談っぽく付け足すと、ご主人に宜しく、と告げて】
【最後に彼女の言葉を聞いたなら、踵を返して、雑踏に消えてゆくだろうか──】
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/20(日) 01:16:33.16 ID:UqaLlRGY0
>>508
ほう…しゃべる気力があるたぁ驚いた。
【ふいに掛けられた言葉、指の動きが止まり――ライターを指す】
【銃声は屹立する男の口からも、両者の銃からも発せられることはなかった】

ふむ、麻薬カルテルは俺も嫌いだ。あいつらのがめつさにはへどが出る。
次に賞金稼ぎ。奇遇だな俺も狙われてる。
政府関係は…まぁ、どうでもいい。敵だ。好き嫌いなく[ピーーー]さ。
で、民間人?…は言わなくても分かんだろ。お前の民間人のイメージを逆に聞きたい。

最後にいかれた奴だが…ボケは来てるが、俺は正気だ。
【両手を広げて、大げさにアピ−ル】
【その、にやつく口元にも、ぎょろりとした眼にも、べったりと狂気という名の泥土が張り付いている】

さて、俺が誰か…だが…そんなこと、どうだっていいじゃないか。
名前ならラスラドーラだ強盗犯どの。

【ふいに指にはめた指輪の一つが光る】
【明らかに魔翌力の輝き、しかし男に敵意はなく】

そういや、ライターだったか。
【指先にともる炎】
【いつの間にか懐から取り出しくわえこんだ自分の煙草に火をつけ一服した後】

ほれよ。
【ライターを火を消した右手で拾い、男の煙草の先に炎が当たるように付ける】
【やけに厭味ったらしい行為】
【本人はいたって平静といった面構え】
【どうやら、相当めんどくさい人物らしい】

怪我した体じゃ、煙も楽しめないだろ?
なんだったら、手助けしてやってもいいぜ?
【厭味ったらしい口調でしゃべりかけるラスラドーラ】
【その体のどこにも医療目的のものはない】
【むしろ逆なものばかりで…】




514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/20(日) 01:19:22.51 ID:WkI1NdKqo
>>511
「あぁ、それもあったな」

【選べない状況。強制的に自分の運命が決まってしまうような、そんな状況】
【当然、それを甘受しようとする人間などいないだろう。僕は味わった事などないけど】

「僕らしく、ね」
「やれやれ、無理難題を押し付けてくれちゃって」

【はて、ところで先ほどから少女の姿が揺らいでいるのは気のせいだろうか】
【僕はおかしくなったのか?いや、至って正常だ。証拠に意識もはっきりしてる】

【――――気づけば、少女は蜃気楼のように消えていた】
【だが、夢ではなかったはず。周囲の惨状は消えていないのだから】

「やれやれ……本当に戯言だったな」
「別れの挨拶の一つも無しなんて、さ」

【はぁ、と溜息をついて踵を返す】
【扉は開いてくれた。ちゃんと】
【帰ろう、家へ】
/ありがとうございました!
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 01:37:56.18 ID:0XMJgi9to
>>513

俺の場合、金を散々盗ってやったからだ。ガメつさなら俺のほうが上だな…

……俺らみたいに外れることもなく生きてる真っ当な奴らさ。民間人ってのは
マジョリティだ。俺みたいにピストルがないと表も歩けないような奴とは違う

ところがだ、ウェルウェルウェル…俺みたいな弱い奴には相手がどんなヤツか
知ってるのと知らないのとじゃ、大違いなのさ。銃を向けて話すのと撃鉄を起こしてから銃を向けて
話すぐらい違うんだ……名前なんて何だっていい。俺だって
自分で適当につけたさ。…チンザノ・ロッソじゃなけりゃコルヴォロッソだったかもしれない

【男がライターをかざしてきても煙草を避けて、無理やりライターを奪う】
【元々自分のなのだから当たり前とも言えるが嫌味には嫌味で重ねて返す】
【男は赤マルの癖のある匂いを吐き出して、喉に来るニコチンのキックで目が醒めるような気がした】

楽しくて吸ってるんじゃない。生きたいから吸ってるのさ…ライフイズスモーキングだ
……アンタの手助けに、そこのグリーンバックスが使えるのなら。乗りたいね

【グリーンバックスはボストンバッグに詰まったものの別名だ。金というシンプルな取引なら応じるというらしい】
【尤もそちらがどんなものを出すかによる。イエスオアノーを考えるのはこれからだ】
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/20(日) 01:52:25.17 ID:VxRotnqD0
>>512

【そう、あの子供達は孤児ではない。血は繋がっていないけれど、切っても切れない絆があるれっきとした親子≠セから】
【こればかりは神も何も関係ない。ただ母として子供達の幸せを最大限に願い、愛を送る……それだけだ。本当に、それだけなのだ。】
【誰かに褒められる為でもなく、子供達を育てることで利益が出る訳でもなく。それなのにこれだけ子供達を想う、ただ一つの理由があるとすれば】
【―――彼女が母≠ナあるから。この一言に尽きるのだろう―――】


【やがて、二人は目的地に辿り着く。店の目の前まで来たなら、もうここから迷うことは無い筈】
【一礼する彼に、マリアは深々とお辞儀をする。彼のお蔭で此処まで辿り着いたのだから、感謝の心は伝えたくて】
【そうやって一礼して顔を上げると、今度は微笑みと共に言葉を紡ぐ。「ありがとう」の一言を、彼に贈る――】

此処で御座いますね。……ああ、本当!此処が捜していたお店で御座います!

―――本当に有難う御座いました。貴方のお蔭で助かりました……!

いえいえ、荷物ぐらいは殿方のお手を借りずとも私も持てますよ。ふふっ……こう見えて私、結構力持ちなのですよ!
ともあれ御用事なら私に構わずお急ぎ下さいな。

今日こうしてお会いできたのも何かの御縁で御座います。それでは、またお会いしましょう!

【力持ちというのは見栄ではない。彼女の身体は細身ながら柔軟な筋肉で覆われ、同じような体格の一般女性よりはるかに強い】
【それこそ、荷物の一つや二つを持つくらいなら造作もないくらい。……なぜ彼女はそんなに力持ちなのかと言うと】
【―――彼女は元第三近衛騎士団の精鋭だからだ。尤も、彼女は自分からその事を口にしないから知る由もないだろうが―――】

【最後に夫に宜しくと言う言葉に笑顔で頷けば、雑踏に消えゆく彼の背中を暫し見送って】
【愛する夫の為の手作りのシャツを作る為に、彼女も店内へ消えていくのだった―――】


【(余談、帰りは迷うことは無く、夫に教えて貰った転移魔法でゼン=カイマまでひとっ飛びだった。)】
【(因みに行きも転移魔法を使っていたのだが、まだまだ精度が甘くばっちり目的地に転移するのは難しいらしい。)】
【(帰りは土地勘のあるゼン=カイマだから何処に転移しても自力で帰れるのだが、行きは土地勘のない商店街だったからああやって迷っていたらしい……)】

//ここで〆という事で、お付き合いいただき有難うございました!
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/20(日) 01:54:27.49 ID:1an7XmE0o
>>516
/キリがいいので此方もこれで、お疲れ様でした
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/20(日) 02:02:06.15 ID:/ZyUW94io
>>503
【大衆向けのカフェ&バーを謳うこの店は、特に凝った物は出さないが品揃えは豊富だ】
【酒に肴に茶に茶請け、ちょっとした軽食なども取り扱っている。立地の助けもあってか、夜が更けても客足はそれなりに多い】
【当然、店内もそれ相応に賑やかなのだが──鷹揚に青年を手招く女が座る窓際の席と、その付近だけは違った】

遅かったじゃないか。待ち兼ねたぞ。
……まあ、先ずは急に呼び付けた非礼を詫びよう。申し遅れたが、識槻 朔夜だ。
現在の所属はギルド連盟、水の国冒険者ギルド「blue bird」。

【というのも、何故だか彼女の周囲だけ、異様に空席が多いのだ】
【この場所に全くそぐわない、まるで聖域じみた静けさ。気のせいか、周囲の喧騒が、何処か遠くの事のように感じられる】
【卓上には湯気立つ紅茶とスコーン。暫くすればアイスコーヒーも運ばれてきて、ことり、と青年の前に置かれるだろうか】
【女は何故か──そう、何故か怪訝そうな顔をして、探るように彼を一瞥すると、手短に名乗りを済ませる】

【冒険者ギルド? いや、確かこの女の所属は──■■■■■】
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/20(日) 02:17:29.06 ID:UqaLlRGY0
>>515

【男の行動に目を細めながら、愉快そうに表情を歪める】
【そして吐き出される紫煙、銘柄は直訳で『最も光があたる部分』】
【この皆に平等に暗い路地裏ではいささか不釣り合い】

案外、ずれたことを言うな…ロッソ。
【取り合えず共通した部分をぬきだし、相手に問う】

俺の正体についてのことじゃ無いし、民間人のことでもない」。
金のことさロッソ…奪って生きる『俺やお前』にんなもの必要ないだろ。
欲しいものがありゃ奪う。それができるなら傷つこうが死のうが『強者』さ。

金は要らんよ。欲しけりゃ俺もあんたの治癒が終わったらカルテルでも銀行でも好きなところに乗り込むさ。

【思わぬ幸運…ラスラドーラはあまり金に興味がないらしい】
【圧倒的な余裕、それは魔術と能力を併せ持つ『強者』故か――それとも価値観も道徳も壊れきった『狂者』ゆえか】

あ、でもよ、まぁ、その、借り作りたくないとかだったらもらっとこうかね。
いや、まぁ俺は別に欲しくねぇよ。俺は別に…でもまぁ、多少応急手当てしたくらいじゃ、この量は持つのはきついだろうしな。

【しかし横目で見たボストンバックから目を離せない姿は『強者』でも『狂者』でもなく滑稽な道化だ】
【矢継ぎ早に出る言い訳も見苦しい】

まぁ、手当のほうが先か…出てこいマリーノ。
【突如、男の情報の空間がゆがみ異形の魚類が姿を現す】
【怪魚、ダンクレオステウスに似た大型マインド】
【その分厚い頭の装甲の側面が展開、中から石炭を燃やしたような煙を吐き出す管が現れる】
【管は自在に触手のようにうねり、人工呼吸器に似た先端をロッソの口にはめ込もうとする】

なぁに、さっきの煙草と一緒だ。
よぉーーーーーーーーーーーーーーーーく吸えよ。

【もしロッソがその煙を吸えば全身に力がみなぎる感覚を得るかもしれない】
【それは煙状のマインドのエネルギーが全身の細胞を活性化させ、自然治癒力など体の各生命維持機能を活発にしている証拠】

俺はこれでよく若返ってるぜ。

【煙の力は細胞に『若さ』取り戻させる】
【現に目の前の男…ラスラドーラも見た目や筋肉をこれで維持し、見た目の倍以上長生きしている】
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 02:28:13.20 ID:ueTjMWeuo
>>518

急な話なんだ誰が悪いってでもないだろうさ、いいよ別に

【置かれるコーヒーにミルクとガムシロップを注いで混ぜる】
【この場の雰囲気に飲まれない為の精一杯の抵抗、黒は溶けてゆく】

【おかしい、この場というかこの女性の周りだけ異様だった】
【人は意識してか無意識か避けているようだ、対面の窓の向こうはそれこそ別世界】
【あちらが日常ならばこちらは戦場、誇張表現ではない今は腰に掛けたナイフさえも心許ない】


識槻 朔夜……さん、ね……

【ギルドに所属しているから持てる雰囲気などではない】
【明確な意識、その類が何であるかは不明であるが……どうやら自分に対してらしい】
【とすれば思い浮かぶのは病院での森島 初を発端とする出来事か、身内に被害があればこうなるのも頷ける】

【身辺警護でも適当に頼めなどとよくもまああの時の自分は言った物だ】
【これほどの人間か近くにいるならば追加の戦力など邪魔なだけだろう、埒外とはこの事だ】

(一番恐ろしいのは……こっちを良く思ってない相手に出来事を1から10まで説明しなきゃならないってことだよなあ)

【薄らと険しさを浮かべながらコーヒーで喉を潤す、それでも足りない】
【息を吸う4秒数え、切り出す】


で、あの病院での出来事だろ?
大体はあのメモで書いた通りだけど……それじゃ足りないんだよな?

【■■■■■の情報は知らない】
【ただ何かがどこかで蠢くような感覚だけは確かにある、違和感】
【呼ばれた意味を確認しながら散逸しそうな意識を一纏めに束ねる、視線は自然とまた鋭くなっていた】
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/20(日) 03:09:43.33 ID:/ZyUW94io
>>520
【確かに、朔夜の彼を睨めつける視線は鋭くはあったが】
【その仕種はどうやら、敵愾心などといった負の感情から来るものではないようだ】
【ならば、何の為に? 思い切って問えば、或いは答えが返ってくるかも知れないが──さておき】


ああ。概要は把握している。……だが、私はあの場に居合わせていた訳ではない。
より詳しく当時の状況を知る為には、当事者を当たるべきだと考えるのが普通だ。
襲撃を受けた当人である初は勿論だが、第三者であるお前にも訊いた方がより鮮明に状況を把握できるだろう。そういう訳だ。

……今回の襲撃は、私にも予想外の出来事だった。機関は既にあの娘を放棄したものだとばかり考えていたからな。


【軽く唇を湿らす程度にカップを傾ければ、朔夜は小さく首肯して】
【今後の対策の為にも、襲撃の際の状況を正確に把握しておきたいのだと告げ、笑った】
【無論のこと初にも同じ事を問うてはいるのだろうが、それでも物足りないらしい。周到な事だ】
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 03:10:29.19 ID:0XMJgi9to
>>519
/すみません、眠気がマックスで落ちかけてました
/今からレス致しますが今夜はそこで中断という形でお願いできますでしょうか
/適当なところで締めていただくかまた夜に続けるかお任せいたしますので
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/20(日) 03:20:55.12 ID:UqaLlRGY0
>>522

/こちらこそレスが遅くなって済みません
/分かりました。すみません夜来れるかちょっと微妙なので、申し訳ないんですが締めの方向で…
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 03:42:43.80 ID:ueTjMWeuo
>>521

理屈ね……構わないけど、参考にするかしないかはそっちの判断か

【返すようにこちらも頷く、要するに情報を多角的に捉えたいという事】
【拒絶する理由もない、なによりそれで初という人間が持つ苦悩が解けるキッカケにでもなれば重畳】
【古い本を読み解くようにあの日の事を思い出す……コーヒで潤し数秒、口を開き語り始める】

始まりは……病院の異変に気がついた事、いざ入ってみたら患者も医者も皆が皆眠り姫
だけどその中で一人目覚めてた人間がいた……まあアンタの知ってる人間なんだけどさ。
初から情報を得て相手は二人、しかも番号付きってんで共闘する流れになった――――――――

【導入部は語る必要もないか、また一息入れる】
【しかし、彼女が言った「放棄」という言葉……初という少女の背景は相当の物が渦巻いているのか】
【人差し指は規則正しく机を叩く】

敵の名はシャムウィクティ兄弟……片方はなんとか無力化して捉えたけどもう片方は逃がしちまった
……んで情報でも引き出せたらよかったんだけどあの兄弟何言ってるかさっぱりでさ、やれ「ホメロス」だの「ガルアチア」だの何のこっちゃと
それでも断片的には聞き取れた、どうやら奴らも誰かの掌の上だったニュアンスだったぜ

「ロロケルム・ランガスター」やら「ティムール・ロマノフ」やら
んでいざ核心に迫るって時に「バーン!」

【掌は銃の形に、こめかみに指先を当てて態とらしく声を大きく】

遥か遠方からの狙撃でアールウィン・シャムウィクティは死亡、初はストレスでダウン
後はまあ……オレが後始末した通りだよ、大体はこんな感じだけど――――――――ホントに参考になるのかねこんな穴食いだらけの情報が

【後の事の顛末は朔夜自身も知っての通りだ】
【思い返せば謎は更に深まる、例えるならば底なし沼だ沈んだ物を求めようにもただただ形はなく深みへ沈むだけ】
【手応えを感じられないのは同じ理由なのだろう】

で、ご満足いただけたでしょうか識槻お嬢様?
―――――……まあ、あの時はオレもいたらない所はあったけど、何もそこまで睨まなくていいだろうに

【一先ずはここまでと、先から気になっていた視線について問う】
【剣呑な雰囲気である彼女だが場所を選ばない人間ではないと信じてのある意味冒険】
【吉と出るか凶と出るかさえも曖昧な綱渡りだが果たして……】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/07/20(日) 07:55:43.78 ID:RXnGU7hKo
>>507
/早朝から恐れ入りますがもう一度これで募集させて頂きます
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 11:02:21.24 ID:0XMJgi9to
>>519

それがずれてないのさ。…いい言葉が在る。バイブルは読むか?
エゼキエル書、25章……っとまて、手帳に書いてあるんだ

【そう言って男は上着の内ポケットから黒い薄っぺらな手帳を取り出した】
【几帳面にスケジューリングしているわけではなく、思いついたことを書き留めるものらしい】

……エゼキエル書25章17節。心正しき者の歩む道は、心悪しき者のよこしまな利己と暴虐によって行く手を阻まれる。
愛と善意の名において暗黒の谷で弱き者を導く者は幸いなり。なぜなら、彼こそは真に兄弟を守り、迷い子達を救う者なり。
よって我は怒りに満ちた懲罰と大いなる復讐をもって、我が兄弟を毒し、滅ぼそうとする汝に制裁を下す者なり。
しかして我が汝に復讐をする時に汝は我が主である事を知るだろう

………まあ、いいさ…これは。……もっとシンプルに話すなら、カネはシンプルでパフォーマンスが良い
前に機関のやつにも言った。お前らは、パンを食うためにいちいちパン屋を襲撃するのか?ってさ
…軍人とドロボウはリアリストなんだ。それが俺の答えだ

【男はガタンとよろめきながらも立ち上がると、煙草を指に挟んで】

いや…ハハッ……俺はコイツでいい…。注射だとか、病院は苦手でな…怖がりなのさ
欲しけりゃ持ってっていい……ハハッ…どうせ金だ…ナンバは控えられてる…使えないカネさ

【カツン、カツンと肩を壁にこすりつけるように歩きながら去っていった】
【ニィと笑いを残したカネはその通り、本物だが使えば足がつくシロモノだ。コイツも単なるバカじゃないということだろうか】


/すみません。遅くなってしまったので此方の締めはこのような形で…
/レスはお任せします。お疲れ様でしたー!
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/20(日) 12:13:01.57 ID:UqaLlRGY0
>>526
/乙カレー!そしておはようございますOTL
/すいません、返レスの時間がないのでここで切らしていただきます。
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 17:01:59.07 ID:/ZyUW94io
>>524
【ゆるりと紅茶を楽しみつつ、朔夜はエルフェスの話に耳を傾ける】
【ナンバーズ二人との戦闘に決着を付け、片割れを捉えたものの──そう。そこまでは、彼女も知る通り】
【しかしエルフェスがある名前を口にした瞬間に、何やら渋面を浮かべて】

「ロロケルム・ランガスター」……手放した、か。そこら辺は多分、私にも関わりのある話だよ。
私が奴から──水の国の国軍中佐、ロロケルム・ランガスターから初を引き取ったのは、少し前の事だ。
より厳密に言うならば、奴が初を始末しようとした所に割って入ったら、成り行き上そういう事になった。

初は森島 京という男を誘き寄せる為に用意された餌だ。
機関は彼女の過去を抹消して偽りの記憶を植え付け、彼女を「生き別れの兄を探す妹」に仕立てあげた。胸糞の悪い話だよ。
森島は私とロロケルム共通の友人であり、かつての「対機関連合」の構成員だった。現在の消息は不明。

【淡々とした口調で、語りだすのは己が初の保護者となるに至るまでの経緯】
【話題が少女の過去のことに及べば、然して面白くもなさそうに鼻を鳴らして「奴等らしい不快な遣り口だ」と吐き捨ててから】
【黙りこんでしばしの間思案を巡らすと、おもむろに口を開き】

取り敢えず参考にはなったよ。私は最近の事情に疎くてな。……何にせよ真相は分からず仕舞い。
詳しく探るなら、ロロケルムかその「ティムール・ロマノフ」なる人物に接触する他ない、という訳か。

【そう結論付けて、残りのスコーンを口の中に放り込んだ】
【結局のところ、肝心な事は闇の中。過去に執着するあの少女が我を失うほどに取り乱すのも無理はない】
【何とも味気ない結果ではあるが、しかし今後の方針は定まった。少女の事については、何を話したところでもうこれ以上は望めまい】

十分だ。あの場にお前が居合わせた事については、望外の幸いだった。
直接戦闘でなく暗殺に長けた相手とは言え、ナンバーズが二人。あの娘には少々荷が勝つ。

お前の働きには礼を言いこそすれ、責める道理はない。ただ──お前が少しばかり知り合いに似ていてな。
奇遇な事に、そいつの名前もエルフェスというんだ。対機関連合の構成員。教えた事の呑み込みが早い、小器用な奴だった。

【「それ」が今の少年について吉であるのか、凶であるのかは定かでないが】
【朔夜のエルフェスに対する評価は、それなりに高いようだった。それ故、急な質問に対しても気分を害した様子もなく】
【むしろ上機嫌に──と言っても、相変わらずの仏頂面だが──返答する】
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 17:50:48.03 ID:ueTjMWeuo
>>528

機関が関わっている以上は覚悟してたけどホント碌でもない……

【渋い顔を浮かべる、言葉は吐き捨てるように】
【自分の人生をいいように操られた初という少女、精神的な不安は察するには余りある】
【積み上げてきた過去を葬られ代わりに偽りを植え付ける、自分の状況よりも質が悪い】

大した情報でもないけどね、役に立ったなら幸いだ。
ああ、そうそうオレの方からちょっとだけ頼みたい事があるんだけど……

もしロロケルムやらティムールやらと出会う過程で……そのなんて表現すりゃいいか、女っぽい男……まあオカマ?かな
そういう感じの人間と遭遇したら教えて欲しい、病院での戦闘でさソイツがオレの頭に語りかけてきたんだ
助言してもらって助かったっちゃあ助かったけどな、……そう、お礼くらいは言いたいなって―――――――

【やはりというか渦中にある人物であったその二人、所在さえ自分には分からないが彼女にとっては別なのだろう】
【そして彼女が深淵に臨むのであればあの時に語りかけてきた何者かと出会うかもしれない】
【何が目的かも分からない、故に何者か……掌の上に居てそのままでいる程自分は素直ではない】

【休息に流し込むコーヒーは氷が融けていて少し薄くなっていた】
【薄れる、或いは飽和……】


――――――――……ああ、なんだ存外物事ってのは早く進む物なんだな司教さん……

【ざわつく、その感覚は確かになる】
【机の上に視線を落として数秒、大きく息を吐いて覚悟を決めたように彼女を見やる】
【この人は自分の昔を知っているのだ、と】

遠回しな言い方は勘弁してくれ、それこそ不安になっちまう……
そっちも理解してるだろう察しの通りオレは記憶を失ってる、さて……こういう状況で先ずなにから言えばいいのか見当もつかないな
そう、だな……アンタはオレとどんな関係だった?不愉快にさせるかもしれないけど、聞かせて欲しい……

【この感覚は小説を捲る感覚に似ている】
【先の展開への希望と不安、現れる物が果たして何を齎すのか】
【不安げな表情、逃げ出さぬようにと頬を噛み痛みで制す】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 18:57:34.90 ID:/ZyUW94io
>>529
【「請け負った。が、確約は出来ないな」──エルフェスの頼みについて、朔夜はそのように返答した】
【彼の言う何者かが敵で、その目的が自身のそれと競合するならば、エルフェスに連絡するまでもなく】
【己の手で始末を付ける事も、場合によっては有り得る、と】


……同僚、同居人、或いは弟子。そういう事になるんだろう。こちとら師匠なんて柄でもないがな。

私はかつて対機関連合と同盟関係にあった組織、Justiceの構成員だ。
そしてお前はJusticeの本拠地であるギルド預かりの水の国の遺跡、風霊統主の城をねぐらにしていた。
さわり程度にだが、私はお前に刀の扱い方を教えた。


【落ち着き払った素振りのまま、朔夜は昔を懐かしむように目を細め、どこか遠くを見るようにして】
【相変わらずの事務的な口調で、自分の知る限りの少年の過去を話し始めた】
【彼が自分を忘れた事を嘆き悲しんだり、かつての彼を思い出す事を拒んだりする様子はない】
【良きにしろ悪きにしろ、特別な間柄、という訳ではないのだろう。だが】

刀の扱いや体捌きのみならず、お前は私が冗談半分に見せてやった様々な技術に適性を見せた。
それが中々面白いんで、指導に本腰を入れようかと思ったその矢先に、お前は消息を絶った。
何故お前が記憶を失ったかは知らない。どうすれば取り戻せるのかも。

【その口振りから、少なくとも弟子として、同僚としては、彼を高く評価していたのだろう事は窺い知れた】

──しかし、私の見る限りでは、過去のお前と今のお前は、記憶の有無以外は然程変わっていないように見える。

だからそう身構える必要はない。思い出そうが出すまいが、お前はお前だ。
その腕は義手か? 以前は能力で代用が利くからと頑として着けずにいたものだが、どうやら少しは成長したらしいな。

【紅茶を飲み干し、皿を空にしてしまうと、朔夜は店員を呼び出して伝票を受け取る】
【どうやら、まとめてエルフェスの分の支払いも済ませてしまうつもりらしい】
【記憶を失った彼に何ら気兼ねする事なく、言いたい事を気が済むまで言い終えると】
【彼女は、「飲み終えたら付いてこい」──とだけ言い残して席を立った】
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 19:14:55.01 ID:ueTjMWeuo
>>530

【その返答に「然り」と頷く】
【感覚的にだが彼女はそういう人だと分かってのこと】


…………なんとも、まあ

【ぽろぽろと雨垂れのように溢れる在りし日の出来事】
【今の自分からは想像も出来ない、途方もない話に呆けつつも頷く】

そっか、そこまで変わってないか……朗報だ
うん、良かったよ……なんて言えばいいかも分からないけど、間違いじゃなかったんだ

【少なくとも今までは昔の自分は他人だった】
【それは融け合うように、なんの不具合もなく交じり合う感覚】
【恐れはなく……漸く自分の在り方に確からしさを得られた】

驚いた義手の事まで知ってるんだ
一応は付けてるけど粗製乱造品だぜ、強度はあるけどただそれだけ
成長って……まあ、嬉しいけどさ―――――――

【衣服に隠れた義手の存在を知っている】
【何やらそれに関しても世話になっていたのか、申し訳なくもありぼんやりと掌を見つめる】
【席を立つ姿に慌てながら先程より薄くなったコーヒを飲み干して自分も立ち上がり小さな声で礼を言いつつその背中を追う】

【どこに行くのか、そういった不安は不思議と無かった】
【自分はここまで他人を信用しやすい人間だっただろうかと首を傾げながらも】
【表情はどこか朗らかだったという】
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/20(日) 20:21:41.93 ID:/ZyUW94io
>>531
【支払いを済ませた朔夜は、足早に店を出て路地裏へと歩みを進めた】
【この辺りには土地勘があるのか、迷路のように入り組んだ薄暗い道を、何の躊躇いもなく抜けて行く】
【歩調を合わせることはおろか、後ろを付いてくるのだろうエルフェスを振り返りさえしない】

──少しばかり近道を使うが、問題なく付いて来られるな?

【彼女は歩幅を大きく取って、肩で風を切り、堂々と歩く】
【路地を抜ければ、そこは町外れ。見渡せば、少し先に広々とした草原が見えた】
【唐突に振り返った彼女は、何かをエルフェスに放って寄越す。見れば、それは硬質ゴムでできた演習用のナイフだ】


男子三日会わざれば刮目して見よなどと俗に言うが、お前の場合、その眼と義手以外にいまいち変化が見えないんでな。
剣を交えてこそ判るものもあるだろう。そう思って、河岸を変えさせてもらった次第だ。

眼以外の本物を使えば致命傷になる部位なら、首、胴体、腋、大腿、どこでも良い。
そのナイフを使って、相手より先に有効打を打ち込む。それがこの模擬戦の勝利条件だ。
相手を殺さないよう手加減が利くものなら、それ以外の何を使おうが構わない。


【「異論は無いな? 無いなら──始めよう。私を刮目させてみせろ」】
【そう告げて不遜な笑みを浮かべる朔夜の手にもまた、エルフェスに投げ渡したものと同じ演習用ナイフがある】
【彼女は草原まで歩くと彼に向き直り、ナイフを左の逆手に持ち替え、左足を半歩前に出して半身を切った】
【こちらから攻めてくる様子はない。先手は譲る、という事か】
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/20(日) 20:58:23.32 ID:T9o3y1sgo
【閑散とした道】

―――……っぐ、この重さでバランスを取らなければならないとなると体幹に来るな……
というか重さよりも落ちないようにするのが……いやそれよりも―――汗が辛い……!!

【大通りから少し外れた閑散とした道に、異様な人影があった。2mを超える影が亀のようにのろのろと―――それもハァハァと荒い息遣いを零しながら歩んでいたのだ】
【やがてその奇妙な人影が進むにつれてその姿の詳細が見えてくるが―――薄藍の着物に身を包む中背の侍が、肩に米袋を、3,4,いや6乗せて歩む姿】
【右肩に乗せた米袋は確かに6段。大きさを見るに10kg袋なのだから、10×6で60kgだろうか。それだけでも十分な重さなのだが―――問題は重さではなかった】

―――……っうぉおおっ……!? っぐ……危うくずり落とす所だったぞ……!!

【6袋積み重なった米袋は相当な高さであり、60kgの重量を乗せながら米袋タワーを落とさないようにバランスを取り歩かなければならない。このバランスが大変なのだ】
【加えて蒸し暑くなったこの頃もあり、額からは大粒の汗が流れて目を通り視界が妨げられる。それでも何とか落とさずにいるのだが―――彼の眼前にあるは最大の難所】

っふぅ………遂に来たぞ―――最も厳しいであろうこの長い坂が……
1つでも玄米袋を落としたなら最初からやり直し……タイム3分切れなくてもやり直し―――!!

【ギンと眼光を鋭くさせて息を大きく吐けば、己に厳しい試練を付け加える男。米袋ではなく正確に言うと玄米袋らしいが、そもそも一気に6袋も買って何に使うのだろうか】
【兎に角この男の、大量の汗を垂らして玄米袋タワーを背負い歩む姿は―――否が応でも目立つのだろう。それがわかっているからこそ、大通りを避けたのでもあるのだが】
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/20(日) 21:12:46.02 ID:iSbzmp6Wo
>>533
「あっは――、重そーだねぇ、おにーさん!」

【かんさんとした道を歩む男の背に、あっけらかんとした声が投げかけられた】
【無邪気そのものと言えるようなその声、しかし振り返ることが難しいだろう男にその声の主を視認することは難しいのかもしれない】
【そして、んー、と何かを考えているかのような声を漏らしつつ、足音が男へと近づいて】

「アレだね!? 修行ってヤツだね! ――いやー、熱いね! おねーさんそういうの好きだよー!」

【男の言動から、何らかの修行か何かかと予測したのだろう】
【男の傍らに移動し、一緒に歩きながらグッとサムズアップしてみせる存在は、女だった】
【横目に見れば、男ほどではないが、女としては比較的長身であることが見て取れるはずだ】
【女としての性的魅力を保ちつつ、鍛えられたことがひと目で見て取れる鍛えぬかれ引き締まったその体躯】
【褐色の肌を惜しげも無く魅せつけるような、ホットパンツにチューブトップという格好は、痴女か娼婦か】
【惜しげも無く晒した肌には、無数の縫合後や裂傷などが見えるが、その傷を女は包み隠す様子は欠片もなくて】
【腰から提げた刀。そして全身から漂う硝煙と血肉の香り。死臭を纏った女が、朗らかにそこに立っていた】

「……いやー、凄いねぇそれ。うりうり」

【60kgの米袋の群れを、指先だぐいぐいとつつこうとする女】
【悪気はなさそうだが、案外力が強い女のつつきは、指一本で米袋のバランスを崩せる程度の威力は保持しているのだった】
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/07/20(日) 21:20:46.21 ID:RXnGU7hKo

【見える。確かに見える。その背中には『canossa 』の文字が。】
【シンボルとも呼べるべきそのマークは、二つの黒い丸と笑みを浮かべる歯形の影が差し、】
【所謂『ドクロ型』にアレンジされている。】


――――――カーーーーーーーッハッハッハッ!!!


【既に手に終えない喧騒へ発展していた。】
【小麦色の髪を覆うように海賊帽子を被り、黒いエポーレット、ひらひらしたジャボと呼ばれるワイシャツ、】
【――――そして背中にはドクロにアレンジされた『canossa』のマーク。】
【海賊のような風貌の男は――たった今テラスへ突っ込んだ自動車のフロントガラスへ腰を下ろし、高笑いを上げる。】

【車の中にいる運転手は地だらけでハンドルに突っ伏しており、】
【喫茶店のテラスには車に撥ね飛ばされた客が数人転がっている。】

【曰、『通常運転』であった車は、遮る『何か』に当たった途端、突然『暴走』しだした。】
【途中、何人もの歩行者を引き殺しながら、そのままテラスへ突っ込んだ。】
【野次馬に思われた海賊風な男は、歩行者を確認し爆笑、】
【運転席を確認して爆笑、テラスで殺された人間を見て爆笑。最後にボンネットに登って高笑いをあげているらしい。】


【分かる人には分かるかもしれない――――】
【この男、カノッサのNo.8に位置する男。】

【冠する二つ名は――――『 船長 -キャプテン-』】


/書き直しで再投下させて頂きます。
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/20(日) 21:43:40.03 ID:T9o3y1sgo
>>534

【―――話しかけられて嫌な予感がした。しかしながらやることは1つ、目の前にある急勾配の坂を突き進むだけだと無視して足を進める】
【無視するということは失礼かもしれないが、今の自分を見て話しかける方が悪いとやや開き直り―――荒い息遣いで1歩ずつ坂を攻略するのだが―――】
【汗で霞む視界に入り込んだのは、親指を立てる女性の姿だった。余り色香に慣れていないこの男だが、今の切羽詰まる状況ではそんなことなど気にもならない】
【問いにはぶんぶんと必死に頷きながら「もう勘弁してくれ」と濡羽色の双眸で懇願するしか無かった。しかしそれでもこの女は収まらず、ついに米袋に手を出してきたのだ】

――――――うぉおおおおおっっ!? …………っぐ、うっ!! っく〜〜〜〜……ッッ!!

【―――玄米袋タワーの崩落。想定外の力により右肩から6袋全てがずり落ち、コンクリートの道路へとずしゃあと音を立てた】
【幸い袋は破れていないようだが―――先程男が零した言葉通り、やり直し。「やってしまった」と言う顔を浮かべたが、直ぐにその顔は女へと注がれ、そして睨んだ】

ッハァ、はぁ、はぁ……あのなぁ、この状況で話しかける奴がいるか? もしかして酔っているのかではあるまいな……。
頼むから一人にしてくれ、また邪魔されてはいつまでたってもこの坂を越えられん……―――む……。

―――……成程、指で突かれた程度で崩してしまったと不覚に思ったが……よくよく思えば相当な力だった。その理由も今分かったよ、ハァ……。

【汗を滴らせながら濡羽色の双眸を鋭くして彼女へと向ける。息を整わせながら、要は「空気を読め」と言う不満を彼女へとぶつける】
【しかしながら、良く見ればこの女―――生半な鍛え方をしていない。格好はどうかと思うが、放つ香りや肌に残る疵が彼女の人生の一部を示しているかのようだった】
【一突きでバランスを崩す程の力を指で成し遂げた理由は、彼女を見て直ぐに分かった。男は大きく溜息をついてみせた】
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/20(日) 21:54:06.40 ID:1kBMDpM+o
>>535
【惨劇。世界中のどこででも、いつ何時起きてもおかしくない出来事が、今ここで起こっている】
【陸上で暴れる海賊。何とも常識外れだが、その背に掲げられた『canossa』を見れば、常識など通用しないことも当然と言えるだろう】

【一瞬にしていくつもの命を奪い去り、車の上で呵々大笑するその男に、世界の闇たるカノッサ機関のナンバーズに】
【接近していく人影が一つ。かしゃかしゃ、と鳴る乾いた足音。それは、人間ではなかった。一人でに動く、人形であった】


……こう、ちょっと前だったら、義憤に満ちた叫びとか、青臭いセリフとか、吐いてたと思うんだけど……
助けてもらったし、助けを求めようと、思っていたんだけどな……

【ぶつぶつと何事か呟く人形。見た目だけなら、普通の青年にも見える】
【少し長めの茶髪に細面、丸い目に青い瞳。中肉中背の身体。その肌は人と異なる質感、人形である証】
【白いシャツの上に羽織った青いジャケット、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー。そして、服の下からでもわかる、四肢の球体関節】

【そんな姿の人形が一体、幽鬼の如き足取りで惨劇の舞台へと入り込んでいく】


――やっぱり、殺したい。カールみたいに。あいつらみたいに。お前みたいに、殺したい

【一定の距離を保って立ち止まると、人形は右手を自分の胸に充てる。その手が胸の中へとめり込む】
【引き出された手に握られていたのは、ちゃちな拳銃が一丁。銃口に取り付けられているボクシンググローブ】
【人形の指が引き金を引くと、グローブが勢いよく飛び出した。ワイヤーで銃口に繋がれたグローブが、車の上で笑う『 船長 -キャプテン-』に向かっていく】

【狙いは男の腹部。見切れない速度ではないが、見た目に反してこのグローブ、まともに食らえば成人男性の殴打程度の衝撃は受ける】
【突如現れた乱入者に、ナンバーズたる男はどう対処するだろうか】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/20(日) 22:01:34.92 ID:iSbzmp6Wo
>>536
「あっははー、いやー、派手だなー!!」

【眼前で崩れ落ちていく玄米袋の山。それを見て、あははと気楽に高笑いを響かせる女】
【微塵の悪気も感じては居ない様子の女。女としては、単純にやりたいように振舞っているだけなのだろう】
【多かれ少なかれ、この世に存在している破綻した人間特有の気配というものを、この女は漂わせていた】

「えー、邪魔された位で登れなくなるんだー? 寧ろ私なんかハードル高ければ高いほど燃えるし萌えるんだけどねー!
さてさておにーさん、もっかい挑戦しよ! 疲れたならちょっと私ヤッてみてもいいけど!」

【こきりこきりと手指を鳴らす女の首から下は、まるでフランケンシュタインかと思わせるほどの縫合痕まみれで】
【しかしながら、一挙一動に混ざるしな≠ネどが、その傷すらも個性に終わらせてしまうような雰囲気もまとっている】
【この手の鍛えた戦士でしかも女ともあれば、女である事を否定する者も少なくないが。女はその対極に存在している様子だった】
【ピンク色の長髪をばさりと掻きあげて、足元の玄米袋を拾い上げ、一箇所に集めていく女】

「ちょっと挑戦してみるかな。まあ筋力とかたかが知れてるんだけど――」

【優れたボディバランスで、玄米袋を担いでいく女。鍛えているとは言え、女の体躯でこれを担げる時点で、練度は窺い知れるか】
【ぐ、と脚を踏みしめる。左足に銀色の光がまとわり付き――地面を蹴った瞬間。空中に玄米袋が残り、女が数m先に移動していた】
【地面に落下する玄米袋の群れ。そして、急停止して後ろを振り向き、んあー!と女は叫び声を上げていた】

「ズルしたら袋置いてっちゃったしー!!」

【左足から光が消えていき、僅かな魔力の残滓が空間には感じられていた】
【言動からわかるだろう。この女、間違いなく破天荒なタイプ、マトモではないタイプであった】
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/20(日) 22:20:28.82 ID:T9o3y1sgo
>>538

いや、「派手だなー」じゃなくてだな……少しぐらい悪びれる様子を見せたらどうだ……。
そ、そう急かないでくれ……流石に5kmも運んでいると流石に辛い―――……ってオイ、勝手に担ぐなッ。

―――も、持ち上げる位なら大丈夫かも知れないが、そこから歩くとなると難しいぞ……? 
ベンチプレスで60kgを持ち上げるのとは全く訳が違うんだ、筋力ではなく体幹なんだ。
更にいかにブレなく歩むか、という歩法も問われる。単純に体力や筋力に優れているからと言ってできる技では―――

【黒髪をわしゃわしゃと掻き毟り困ったような顔つきで、あっけらかんとしている彼女に言葉を飛ばす。こういうタイプの人物には振り回されざるを得ない】
【10kgの玄米袋を簡単に担ぎ積む重ねていく彼女の姿に少しの驚きを見せるが、「難しいのはここからだ」という指摘を飛ばす】
【重さが辛いのではなく、バランスを取るのが辛い―――そういう修行なのだ。そう言いかけた所で目に飛び込んできたのは、目にも止まらぬ速さで移動する彼女の姿だった】

……―――ッッ、なんだそりゃ……! ……というかッ、君は何者だッ!?

【しかし、玄米袋はその動きについていっては居なかった。微かに感じる魔翌力の香りから、肉体だけで成せる技ではないことが分かったが―――その行動は彼を仰天させた】
【超マイペースというか何というか。男は目を丸くしてぱちくりさせるしかすることが無かった】



540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/07/20(日) 22:21:11.67 ID:RXnGU7hKo
>>537


ヒァーーーーーーッハッハッハッハッ!!!!─────

───────げふゥッ!!


【彼は、『まさかカノッサたる自分に拳を向ける人間などいるはずがない』と考えている。】
【カノッサの脅威はこの世界に知れ渡っているはすだ。ならば自分の横暴も『普通の奴なら』目を瞑るしかない──はずだ。】
【傲慢で我儘で、気まぐれな我を押し通すことが大好きな彼は、現場に普通でない奴がいることを知らない。】

【──一桁ナンバーの彼は、対応らしい対応をせず、腹部に攻撃を受けてしまった。】
【前述の通り、彼は油断していた。車を操ってから、現に攻撃を受ける今の今まで。】
【転がり落ちるように、人形がいる場所とは反対側の地面に落ちる。】


いッでェ‥‥何が起きた?


【無論、すぐに立ち上がる。辺りをきょろきょろと見回して、拳銃を此方に向ける人形を見つけると‥‥】
【その目付きは、厳しいものへと変貌して行く。】
【──適当に転がる死体を、八つ当たりのようにぶん殴って。】



───てめェかァ?
人がせっかく愉快な気分で笑ってるところに水差しやがって‥‥
依然と俺様にそいつ(拳銃)向けてるっつーことは、ぶッ殺されてェってことで間違いねェな?


──アーーートマンッッ!!!!

『 幽霊船 』-ゴーーーーーストシィィィップ!!!!!!!


【相手に見えるかはわからない。だが確かに彼の背後にアートマンが出現する。】
【 そのフォルムは──銀色の頭部でドクロのように陥没した瞳。】
【外見的にエッジと似た色彩の装飾が施され、右の腕の先は鋭いサーベルを模している。】


ぶッころォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!


【アートマンが自動車に触れる。自動車が独りでにバックしたかと思えば、】
【真っ先に人形へ向かっていき。】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/20(日) 22:22:52.21 ID:dSCJhoHu0
【今年もまた夏の季節がやってきて、例年通りの暑さをいつものように浴びせていた】
【夜であれば暑さは軽減されているがそれでもなおこの暑さに変わりはない】
【昼の国、この国には夜がないそれはつまりこの暑さが軽減されないということで――】

…………暑いものだな

【そのように一つ路地裏で愚痴をこぼす人影、このような暑い時期に戦闘服を着用してゴーグルをつけている】
【そして、その戦闘服の袖口にはカノッサ機関の逆五芒星が刻まれている】
【路地裏であればある程度は影もある軽減されるが暑いものは暑い、さらに戦闘服も着ていればその暑さは倍になる】

まあいい……さっさと終わる

【暑いのはたしかだ、だがそれだけのことであり彼にはそのような暑さを我慢できる忍耐力もある】
【そんなことで、さっさと終わらせるために彼はサプレッサー付きのスナイパーライフルを取り出した】
【取り出したスナイパーライフルのスコープを覗けば標的がリーダーを務める集団が見えた】

………………

【静かに、静かに、標的がライフルの標準に合うのを息を殺して待つ】
【そして標準が合い、ライフル引き金を――引く】
【発射音は少しの音しか立てずに、しかし標的の眉間を――貫いた】

………よし

【眉間を貫いたことを確認すれば、彼はスナイパーライフルを近くのゴミ箱へと投げ捨てて、走り出す】
【しかし、こちらに気がついた何人かが銃を発砲、銃声が路地裏にかん高く響いた】
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/20(日) 22:33:37.87 ID:iSbzmp6Wo
>>539
「いや、悪いことしてるかもしんないけど、私は悪いとは思ってないし?
ってゆーか、こんな見た目でしおらしかったらそれはそれでキャラじゃないし! えーっとぉわたしぃ〜とか似合わないでしょ? ねー?」

【へらへらと笑う姿は、子供のような純粋さすら感じさせかねない程満面の笑みで】
【笑顔を浮かべながらも、上手くバランスを取る姿は、女のある程度の強さを証明するものだろうか】
【女の加速。置き去りにされた玄米袋が地面に落下し、重たい音を響かせて】
【後ろを向きながら露骨に悔しそうな表情をして、女は首を傾げていて】

「あーもー! 流石にあれあのまま歩いて持ってくのは無理だし! 凄いねおにーさん! アレ歩いて坂登るの私にゃ無理!」

【女なりに、己の実力というものはよく理解しているようで】
【鍛えている事は間違いないものの、流石に筋力の面では明らかに男にアドバンテージがある】
【元々パワーファイターという訳でもない女は、体幹は十分であっても、それを運ぶほどの筋力が前提として存在していなかったようだ】

「あ、これ? ちょっとしたカラクリなんだけどさー。ま、呪文唱えても魔法使えないから、予め仕込んどいたの使ってるだけだけどね。
んで、私はズィズィー・F・クックス。ちっちゃな会社の社長やってるよー」

【腕組みしながら朗らかに笑みを浮かべる女】
【社長と宣う割には、どう見ても経営者向きではない。だが女の雰囲気から見れば、職種は予想できるだろう】
【そう、その手の職種であれば、力こそが一番の宣伝文句となるのは、間違いない】
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/20(日) 22:39:56.30 ID:SRfChH6jO
>>532

【変わった事といえば身長と瞳と髪型、それにかつての能力】
【その力は根本から消えたのかエルフェスの身体から鱗片さえも感じられない、必然か義手を使うようになったのも頷ける話】

【彼女の歩みは障害さえも無いように颯爽としていた】
【追従する自分を振り返りはしない、むしろそれくらいの方が好感が持てた何よりこの程度のことは造作もない】
【薄く輝く瞳はそれだけの恩恵を齎している】



(草原─────……ははん、成る程ね)

【広がる視界、彼女の目的は容易に理解出来て放られたナイフも躊躇いなく受け取る】
【人差し指でなぞるが刃の持つ本来の輝きはない、ゴム製のそれは要するにこれから何をするかを如実に示していた】

【頷き返す代わりに鋒を示して軽く振る】


極めて了解、まあなんとなしこんな風になる予感はしてた精々胸を借りるよ─────

【構えを見やり息を整える、意識を戦闘へとシフト吐き出す息は細く細くこよりのように】
【ブーツの爪先は規則正しく地面を鳴らす、コンコンコン……構えは無いまま】
【唐突に音は消える、即ち攻撃の合図だ一歩目からトップスピードへ地面を滑るように接近し】

─────っし!!

【右手に順手に構えたナイフを右から左に彼女の胴を薙ぐよう振り抜く】
【数瞬遅れ、左足を支点に速度を殺しつつ勢いを乗せ身体を回転……】
【遠心力を加えた右足の蹴りを朔夜の胸部に合わせ飛ばそうと試みる】

【刃物の扱い、身体の扱い共に衰えはない】
【目的の為に最適化された個は瞬間瞬間に最大の性能を発揮せんと迫る】
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2014/07/20(日) 22:40:57.72 ID:1kBMDpM+o
>>540
【初撃は見事に命中。海賊を車の上から叩き落とすことに成功する。しかし、人形の表情は引き締まったまま】
【この人形とて、知っているのだ。カノッサ機関の構成員が油断出来る相手ではないということは】
【今の一撃は、相手が周りを見ていなかったからに過ぎない。つまり、彼が自分を敵として認識したであろう、今となっては――】

――――そうだ、僕がやった
水を差したのはお前の方だ。人が暗い気持ちで歩いていれば、こんな騒ぎを起こして……
おかげで、殺したくて仕方なくなってしまったよ。同じ言葉を返す。こんなところで派手に暴れて、それはつまり殺されたいってことだな?


【人形の青い瞳は濁り、眼前で怒りの声を上げる海賊を視界に捉える】
【その背後に出現するのは、アートマン。数ある能力の中でも、具現化した力として現れるもの】
【本人の性質を色濃く投影した、名前の通り海の亡霊とでもいうべき姿のそれにを前にして、人形は拳銃を握ったまま、再び右手を胸部に当てる】

サーベルか。僕も持ってるよ

【めり込んだ手が、拳銃の代わりに胸部から引きずり出したものは、一本のサーベルだった】
【わずかに聖の気配を放ちながら、ドス黒いものも漂わせているような、奇怪な一振り】
【柄や持ち手には、鮫肌のようなゴツゴツとした装飾が施されている。それを素手で握っているにも関わらず、人形の掌には傷一つついていなかった】


――――!!!

【サーベルを構えた人形に、アートマンが操作した自動車が突っ込んでくる。事故を起こしたのも、この能力によるものか】
【咄嗟に飛びのこうとするが、身体を車体にひっかけられて派手にその身を吹き飛ばされる。地面に叩きつけられ、転がる】

がは――――!!
ぐ、ぅ……!!

【人形の身体でも苦痛は感じるらしく、表情を歪めながらも人形は立ち上がる。身体の一部にヒビが入り、破片がパラパラと落ちる】
【それでも、人形は行動を止めない。乾いた足音と共に踏み出し、そのまま駆けだす】
【海賊とアートマン、二つの敵を注視しながら。彼に接近することに成功したなら、真正面から彼に斬りかかろうとするだろう】

【狙うは、海賊自身の右腕。上段から振り下ろす単純な軌道。しかし、接近速度や剣速はそれなりのものだ】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/20(日) 22:55:01.10 ID:T9o3y1sgo
>>542

キャラじゃないからって好き勝手していいとは……ああもういい、言ってもどうせ無駄だろうッ。
―――ハァ……というかもし今の落下の衝撃で袋が破けていたらどうするつもりだ、全く……。
まぁ担いで立てるだけでも凄いことなのだが……―――というか……その、暑いからと言って女子(おなご)が肌を出し過ぎるのは良くないぞ。
傷も見せるものではなく隠すものだろう。見せていると周りを威嚇してしまわないか?

【ドサリと落ちる音を聞いて、焦った表情で直ぐ様袋が破けているかチェックをする男。幸い穴は空いていなかったらしく安堵の表情が零れたが、遅れて溜息も零れる】
【引き締まった身体が見せかけで無いことも、彼が言うように持ち上げることが出来た時点で分かった。普通なら持ち上げられたとしても立つ前に崩れるだろうからだ】
【改めてその鍛えられた体躯を見るが、自分には少々刺激が強い格好だ、とようやく認識した。肌を出すのは良くない、と旧い考えかも知れないが忠告を飛ばし目を逸らした】

……―――いや、呪文すら出来ない俺にとってはそれでも賞賛に値するよ。……―――社長? 
そんな風には見えないが……なんだ、怪しい会社臭いな。 ああ、俺は中邑瑛月と言う者で……今はSCARLETに身を置く侍だ。
長着の右肩部分にシンボルマークがあるだろう? それでSCARLETの証明になる筈だ。

【社長―――というワードに食いつきながらも、彼も自己紹介をする。緋鞘の刀に白鞘の短刀という大小拵えを左腰に佩く彼の右肩には、確かに「緋色の鷹」があった】
【―――SCARLET。短く纏めればカノッサやGIFTなどと闘う精鋭部隊と言えようか。鍛えた身体は着物に隠れて見えないが、纏う老獪な雰囲気だけでも実力は分かるだろう】

546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/20(日) 23:04:55.03 ID:iSbzmp6Wo
>>545
「傷が勲章なのは男だけじゃないって思ってるんだよね私!
ここもここもここも、あそこもそこも全部、強くなるためについた傷なんだから、寧ろ誇らしいくらいだし?
それに、エロい目で見られるのはそんなに嫌じゃないし、ってか私エロいの好きだし!」

【男のその問いかけには、あははと寧ろ豊満な体躯をアピールするように胸を張ってみせる】
【傷は隠す。その考えとは全く違う考えを女は持っていて、己の勲章なのだから見せないでどうするのかと返答した】
【全身の傷の全てがどのような傷なのかを把握しているようで、全身の傷を次から次へと指差していき】
【目を逸らす男の視界に割り込み、しなを作って身体を魅せつけて。悪戯げに笑みを浮かべ、軽く赤い舌をちろりと出すのだった】

「あははー、いやねなんでも屋みたいなもんだから、ちょっとUTとかSCARLETとかにもよくお世話になってるよ。
でも、私の会社はあくまで利益優先。金さえくれればUTにもSCARLETにもGIFTにもカノッサにも尻尾振っちゃうしねー!
あ、でも気に食わないヤツからは仕事受けないし、つまんないのも嫌だけどね!
にしてもSCARLETだしお侍サンだし、見た限りめっぽう強そーだね。私、努力家とか大好きだし! ま、瑛月サン、よろしくねー!」

【緋色の鷹。それを前にして、如何わしい仕事である事をあっけらかんに認める女】
【その上で、友人のように相手に接する事ができる女の精神構造は、マイペースにすぎるだろうか】
【相手に差し出す傷だらけの右手。それに触れれば、強い力で握りしめられてブンブンと満面の笑みで上下に腕を振られることだろう】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/07/20(日) 23:12:24.64 ID:RXnGU7hKo
>>544



ああああああ???? 俺様が、殺されるゥゥゥ!?
ンなアホな話があるわけねェだろ??
俺様は世界で一番偉い、そして尚且つフリーダムッッ!! 百歩譲って仮定だとしても俺様が殺されるなんていう下らない例えを出したてめェは極刑に値するッ!!! 実際に殺そうッてつもりで口にしてンならそれ以上の罰だッ!



【彼の中の前提では自分は何をしても許される人間で、】
【その根拠となる地位も力も自分にはあると過信している。】
【例えるならば、彼にとっては自身含むカノッサが弱肉強食の強者で、】
【それ以外はすべて弱者であり、劣等生物】
【自分等には弱者を気まぐれに[ピーーー]『権利』が】
【弱者には強者の気まぐれに絶対従わなければならないという『義務』があると。】

【車は相手にダメージを与えたあと、すぐに適当な壁に突っ込んで急停止してしまった。】


【──彼は動かない。能力を発動している最中は動けないのだ。】
【彼の能力は、物体を操作すること。先程までは自動車を操作した。そして今は──】

【男は小さく笑みを浮かべた。人形の攻撃を嘲笑うかのように。】
【人形の斬りつけを防ぐように、『先程殴った死体』が起き上がる。】
【──結果はすんでのところで彼の二の腕に無視できないほどの斬り傷が与えられた。】
【それでも、切断までに至らなかったのは操作された死体によるものが大きいのだろう。】


────づああああああ!!!
傷ッ!傷ッ! ざけんな糞が! 俺様にッ! 傷をッ!!


【能力が解かれれば、死体が剣にもたれ掛かるように%|れる。】
【能力が解かれた後、『幽霊船』がサーベルを模した隻腕で相手を攻撃しようとする。】
【剣での対処はもしかしたら死体によって支障を来すかもしれないが──】
【アートマンの攻撃は隙が大きく、成人男性のそれと大差ないスピードだ。】


548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/20(日) 23:27:33.90 ID:T9o3y1sgo
>>546

……俺とは真逆の考え方だな。「傷は己の不覚が生んだものであり恥」であると言うのが我が唯刃流の思想。
ああ、気を悪くしたら済まない。確かに勇敢や努力の証明でもあるかも知れないが……俺にはそのような思想が染み付いているのだ。

というか別にその……え、エロい目などしていない、断じてしていないぞッ……!! 「エロいのが好き」なんて女性が言うものじゃない、は、はしたないッ!
女性と言うものはだな、もっとお淑やかに―――だなぁッ! 少なくともそのような豊満な……いやその、まぁ、見せびらかすというのはすべきでは無いぞ……!!

【フン、鼻を鳴らして腕を組めば瑛月は冷静に言葉を紡ぐ。―――彼自身が言ったように、彼女とは真逆の言葉だった】
【確かに彼女の言うこともわかるが、と言う言葉も残しつつも、瑛月は『傷=恥』の概念が強く残っていると語った。語るその表情は凛として、目には清冽な光を湛えていた】
【―――しかしその引き締まった顔も、彼女が身体をくねらせれば簡単に崩れ落ちた。頬に含羞の色を浮かべて狼狽する様子が嫌でも分かる程で】
【明らかに女慣れしていないというか、そういうものとは大きく離れたストイックな生活を送っていたのだろうと思える反応だった】

―――あー、ごほん。まぁ……利益を求めるのは人の性、SCARLETがいるにも関わらず「カノッサにも尻尾を振る」と言うことはどうかと思うが良いとして。
何でも屋……ということはやはり如何わしい……いや、カノッサやGIFTでも受けると言っている時点で如何わしいのは確定か。

あ、ああ……宜しく頼む。お世話になるかは解らないが……。 その……何でも屋というのは良くわからないのだが、実際にはどういうことをしているというか。
じゃあ最近やった大きな仕事とかについて教えて貰えないだろうか……えーと、クックス殿?

【赤面して新たな不覚を見せたことを隠すように「ごほん」と咳をしてから、差し出された右手を女性慣れしていないせいか恐る恐る受け取る】
【しかし「何でも屋」といっても、その規模と範囲がイマイチぴんとこない。ここまでフレンドリーにこられたのならついでに聞いてやれ、と瑛月は疑問を口にした】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/20(日) 23:39:52.03 ID:1kBMDpM+o
>>547
ハハッ、フリーダムなのはその通りみたいだけど、世界で一番偉いなんて言ったら、機関の上の人に怒られるんじゃない?
いいや、死ぬね。お前は殺される。僕が極刑なら、お前は万死に値するよ

【傍若無人そのものと言えるだろう、彼の認識。しかしながら、それを口にするだけの力が、機関員としての立場が】
【海賊にはある、というのも紛れもない事実だ。人形も、それはわかっている。その上でなお、人形は口にした】
【海賊もまた、殺され得る人間だと。自分たちと変わりなく、その喉元に刃は届くのだと】


(避けない……? 対処法がある、ってことか……なら、それを見極める――)

【サーベルでの正面からの斬撃、にも関わらず海賊は動かない。何らかの対策があることは明らかだ】
【現状、攻撃を止めるのは愚策、と判断。壁に衝突する車を背後に、人形は斬りかかる】

【迎えたのは、笑み。そして、起き上がる死体。先ほど海賊がそれを殴ったことを思い出す、と同時サーベルの刃が届く】
【物体操作。その能力にたどり着いた時、サーベルを通じて感じる手応え。直後、海賊の怒声】


ハハ……やっぱり、殺せば死ぬ人間じゃ――――!!

【虚勢を張りつつ、笑いかけようとした人形のサーベルに、倒れかかった死体が突き刺さる。人間一人分の重さがそこに集約し】
【そこへ、『幽霊船』の一撃。サーベル上の隻腕に、人形の身体が貫かれる】
【声なき悲鳴を上げて、人形が一時動きを停止する。しかし、その瞳はまだ死んでいない】

【もがき破片を散らしながら、人形は二本の刃をそれぞれ死体と自分の身体から抜こうと抗う】
【もう少しすれば、その状態から解放されるだろう。だが、それまでは隙だらけの的となる――】
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/20(日) 23:45:46.40 ID:iSbzmp6Wo
>>548
「あー、私の場合はさ。これ殆ど手術跡だからねー。
覚悟決めて身体ばっさばっさ切り刻んで強くなったんだから、不覚とかじゃないし? 寧ろ覚悟の証明なんだからもっと魅せつけないとってね!!
だってさー、エロい目で見てくるって事はそれだけ私が魅力的って事でしょ? だったらそりゃもー嬉しいに決まってんじゃん!
それに、私とか友達も皆ロクな育ちじゃないし? 今更おしとやかって言われても困るだけだしー」

【うりうりと相手に身を寄せる女。所謂尻軽女というのだろうか。だが、それなりに理由があってこのような振る舞いをしている節もあって】
【女の言動は、どこまでもポジティブで、肯定に満ち溢れたもの。女の言動からある程度出自は予測できるかもしれないが】
【その過程で、このような人間性を醸成できる人間はそうそう居ないのかもしれない】
【そして、その傷の全ては手術痕で。不覚でもなんでもなく、文字通りの強くなるための傷であったようだ】
【男とは違う形でのストイック極まりないあり方は、己の躯を切り刻む事すら厭わない精神性を生み出していた】

「いやー私腹芸とか嘘とか得意じゃないし? それに瑛月みたいな人と戦うのはそれはそれで楽しいしね。
えーっと、でかい仕事ていってもGIFTの友達にちょっと部隊貸してきたりとかさー。
政治家の人の護衛とか、逆にちょっと誘拐してみたりとか? あと警察の手伝いで警備に人送ったりとかね。
基本私はお金の味方なの。だから、瑛月もお金を払ってくれれば味方にも敵にもなるわけ。
ある意味、私は中立主義だよ。お金は善でも悪でもないからね。私達は単なる刃物とか銃器みたいなものだもん」

【手を握りしめて、ぶんぶんと上下にふる女。女の手は、刃物をよく握ることが分かる程度に固くなっていた】
【このキャラであるのにも関わらず、やはり確りと鍛えている事が手に触れればわかる筈だ】
【そして、相手の問いかけには嘘を一つも含むこと無く、色々な仕事について語っていく】
【反社会的なものも、それ以外も。文字通り、なんだってやるのが、この女の会社である様子だった】
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/21(月) 00:08:06.77 ID:F4mg9f93o
>>543
【深く、静かに呼吸を練りつつ、朔夜は眼前のエルフェスを値踏みするように見据えた】
【瞬く間に詰まる彼我の距離。対手の速さに何ら動ずる事なく、薙ぎ払われるナイフに対し】
【僅かに前進し、体の前に構えた左手を振るった。ナイフ持つ相手の右前腕部に自らの左前腕を叩き付け、受け止める】

(速い。……が、やや振りが大きい)

【刹那の拮抗。逆手に構えた彼女のナイフは、もしそれが演習用のものでなければ】
【エルフェスの右前腕から肘関節の内側、二の腕に掛けてを、浅くだが手首の返しで切り裂ける位置にある】
【朔夜は「悪手だ」と言いたげに、ナイフの腹で彼の腕を軽く叩けば】


っ───らァ!


【続く右の回し蹴りに対し腰を据えて重心を落とし、体を左回りに捻りつつ右足で一歩踏み込み】
【その勢いを乗せて、自分の右肩から背中にかけてをエルフェスの左半身に叩き付けにかかった。動作としてはいわゆる鉄山靠に近い】
【踏み込んで蹴りの打点を逸らし、その威力を削ぎつつの体当たり。攻防が一体となった一手である】

【この一撃を放ったとほぼ同時に、彼の回し蹴りが朔夜の胸──ではなく、その軌道上に割り込んだ右二の腕の辺りを捉え】
【彼女の身体がぐらりと揺らいだ。勢いを削ぎ、身を固め、二重に防備を巡らしても、疾走の勢いを乗せて放たれた蹴りはやはり重い】
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/21(月) 00:08:34.23 ID:7Ir20x+Ko
>>550

む……それは失礼した。己の身体を改造してまで強くなる必要があった、というわけか……ああもう寄るな、寄るなぁッ!!
分かったッ、魅力的だから1歩距離を置いてくれ……というか今の俺は汗臭いだろうから余計に……。

【軽く頭を下げて謝るが、謝りながらも頭の中では「そのような事が必要な環境だったのか?」などとの思考に包まれていた】
【改造―――大きなリスクも背負うことになるが、手っ取り早く強くなる方法の1つでもあるだろう。しかし気軽に己の身体を改造できるとは思えない。幾らこの女でも、だ】
【碌な育ちじゃ無いとの言葉が、生まれた環境が壮絶なのか―――などと男の想像を更にかき立てる】
【なのにこんなに明るいのかと考えれば、この超マイペースとも付き合いやすくなる。あと汗臭いのは確かだが、やはり恥ずかしい方が上回るようだった】

……―――成程。SCARLETにとっては中々扱いが難しそうだが……良い事を聞いた。困った時の武器として使わせて貰いたい。なのでだな……
……その、電話番号とアドレスを教えて欲しいのだが良いだろうか。人を守るには清いだけでは駄目だ。清濁織り交ぜることも必要だ―――と言うことか。

ふむ、クックス殿も相当鍛えられているようだな……実力は信頼できる、と言えるだろう。

【顎に手を当てて考えこむ仕草をして数秒、微笑みを見せて零した言葉は「是非使わせて貰いたい」というものだった】
【上層部は反対するだろうから、本当に困った時にその存在を上層部に出そう。そうすれば受け入れざるをえない―――などと思考を深めて出した結論だった】
【女性ならではの肌の柔らかさの中に、確りとした戦士の固さが混じっている。良い手だ、というのがまず抱いた感想だった。しかしそういった固さなら―――】
【この男も負けてはいないのだろう。20年近く剣だけを振り続けた人生。魔法にも能力もなく、ただ只管に磨いた剣術。その歴史が彼の手にもきっと現れていたのだろう】
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/07/21(月) 00:17:43.43 ID:djQZdeUlo
>>549



──かはッかはッかははははッ。
ばーーーーかめッ!! 俺様も機関のやつらも同等だッ!
なぜなら俺様達がひとつの化け物だからなッ! 頭を幾つも持つヒュドラに過ぎねーッ!!

──────ころーーーーーーすッ!!!!


【未だに彼からすればふざけている内容のざれ言を口にする相手に、】
【乏しいボキャブラリーから再度[ピーーー]という言葉を索引して。】
【──突き刺さるサーベル。男は笑みを浮かべた。】
【しかし、相手は尚も動いている。──どうやらこの程度では死なないらしい。】

【死体はずるずると引き剥がれていくだろう。】
【アートマンのサーベルも、刺さったままでは此方からもこれ以上は動けないのだ。】


【──しかしこのままではいずれ均衡が崩れる。】
【その時に不利になるのは自分だ。】
【故に彼は、アートマンの姿を消した。同時に、その場からすぐに離れた。】


───けッ時間切れだ。てめェを[ピーーー]のはお預けしといてやる。
次あったときは迷わず[ピーーー]から覚えておけや。


【──距離を十分にとって、上記を口にする。】
【適当に止まっている車に飛び乗って、自身の能力を使い操作し、その場から離れていくのだった。】


/すいません、この辺で‥‥
/久々の戦闘楽しかったです! 至らぬ部分があって申し訳ない。
/また絡んでくれたら嬉しいです! お疲れさまでした
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/21(月) 00:23:32.23 ID:NPWNLS2Ho
>>552
「あはは、もーそういうの見てると逆にからかいたくなってくるんだけどなー。
うーん、本当に汗臭い? ちょーっと確認確認……っと。……うん、寧ろ努力の香りって感じでおねーさん的にはグッド!」

【相手のその反応を見れば見るほど、目元にはキラキラと悪戯っ気のある笑顔が浮かび上がる】
【その気まぐれな様子と、相手をからかう挙動は猫という表現が一番ふさわしいものだったろう】
【相手の汗臭い、という言い訳に対して、女の取った行動は相手に顔を近づけて、すんすんと鼻を鳴らすというもの】
【そして、身を寄せて身を離せば、満面の笑みでサムズアップ。この女は基本的に努力家が好きなのだ】

「私は人を殺すけど。私自身は別に人殺しが好きってわけじゃないし?
私はあくまで道具な訳、私が殺すんじゃなくて私に依頼した人が私を『使って』殺すわけだしさ。
守るのも殺すのも、私に理由はなくて私に依頼する人に理由はあるわけさ。
というわけで、おねーさんの連絡先はこれね。会社名とかは秘密なんだけど、電話くれればすぐ出るからさ?」

【女なりの、善悪の完成を口にした上で。女は己の連絡先を相手に渡す】
【瑛月の己に対する評価には、誇らしげに笑みを浮かべて。ぐぐ、と軽く屈伸してみせる】

「んじゃ、おねーさんはそろそろお仕事の時間だから!
また今度、如何わしい遊びでもしにいこっかー! じゃーねー瑛月!」

【言葉を言い残すと同時、女は地面を左脚で蹴り、跳躍】
【数m程跳躍した上で、宙返りをすると――空を蹴って¢フ制変更。垂直跳びからの横移動で、家屋の屋根に飛び乗って】
【後ろ手にひらひらと手を振ると、女はすさまじい速度で走り去っていくのであった】

/*お疲れ様でしたーッ!*/
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/21(月) 00:42:31.60 ID:PVuUshbgo
>>553
ヒュドラ、か……!! 確かに、近いかもしれないな……
でも、ヒュドラは最後には斃されたぞ……!!

【それでも、人形は彼にとっての戯言を止めない。幾度も死を宣告してくる海賊に、未だ抵抗の意志を示す】
【アートマンと、笑みを浴びせてくる海賊、双方に対峙しつつ、人形はまだ動くのをやめない】

【その甲斐あって、どうにか均衡が崩れつつある、まさにその時。海賊の方が戦闘態勢を解いた】


うぐっ……!!
――そうか。なら、次会う時を楽しみにしてるよ……
次は、『逃がさない』……

【彼のセリフに、最後まで挑発的な言動で返して。人形は、去っていく海賊を見送るだろう】
【その後は、駆けつけてくる警察や自警団に話を通すべく、この場に残る。未だ、その瞳に殺意の残滓を秘めたまま】

/了解です、お疲れ様でした!!
/こちらこそ、拙い部分が多く、申し訳ないです。こちらこそ、次の機会を楽しみにしています!
/ありがとうございました
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/21(月) 00:42:55.92 ID:7Ir20x+Ko
>>554

……ホント、勘弁してくれ。というか嗅ぐな嗅ぐな……!!
努力の香り……というのもよく分からないが、まぁ闘いに備えて身体を鍛えるのも仕事だからな……と言うことで、離れろ。

【満面の笑みで親指を立ててくる彼女から瑛月は1歩離れて、あからさまに嫌そうな溜息をわざと零した】
【努力をしているつもりはない。唯、怖いから。身体を、武を鍛えていないと不安で不安でしょうがないのだ】
【剣を振っている時。身体を鍛えている時。足捌きを確認している時。イメージトレーニングをしている時。この時だけが彼に安心を齎してくれる】
【唯刃流を学んで20年近く。もしそんな彼が路上の不良に打ちのめされたとしたら―――そんな現実には、耐えられない。瑛月の自我は崩壊してしまうかも知れない】
【つまり臆病だからこそ、彼は武を更に磨き更なる高みへと向かっているのだ。ただ不安を消すための行為を、彼は努力だと認識していなかった】

……成程。もしかすれば―――カノッサやGIFTの輩から「俺を殺せ」との依頼があるかもしれんな。
特にGIFTは―――無能力者の俺を毛嫌いしているから余計に。……変なことを言って済まない。いつか頼りにする時が来るだろうが、その時は宜しく頼む。

【連絡先を受け取れば、不穏なことを口にして微かに笑う。その時は彼女と彼が闘わなければならないのだろう。彼女が「お金」で動く以上、その可能性は避けられない】
【宜しく頼むと瑛月が零し、彼女がそれに対し別れの言葉で応えれば―――彼女が大きく跳ね、屋根へと飛び乗った。自分には到底出来ないアクロバティックな動きだ】
【これも改造の力か―――? などと驚愕しているうちに、彼女の姿はもうない。どれだけ速いんだ。そう思って瑛月は感嘆の溜息を漏らした】

【視線を地面に横たわる米袋へと移す。―――ある程度休憩はした、ここからは一気に駆け上がる。などと気合を入れ―――瑛月はまた大量の汗をかくことになるのだった】

/ありがとうございましたー!


557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/21(月) 01:17:44.48 ID:bsypRnBsO
>>551

(─────コイツ、やっぱりというか!かなりの使い手っ!!)

【叩きつけられたナイフの腹は指導の意味か、この合間にそれだけの判断をしかつ行動で示すなど余程慣れていなければできまい】
【薄々とは感付いてはいたが彼女、朔夜という人種は近接においては比類なき存在か】


…………っち!まだまだぁ!!

【だかしかし力を示されそれで終わるような矜恃など持ち合わせていない、衝撃に揺らぐ身体を半ば地面に打ち付けるように右足で保ってみせる】

【再起、この距離においての一歩は生死の境を意味する】
【重心定かではない人間、崩すならば……左足を彼女の右やや後方へ踏み出す】
【その同時、右手のナイフを彼女の眼前に突くがそれはフェイント、霞を掛けるに過ぎない何より彼女は達人だ工夫を凝らす必要性がある】

(合気の技……このタイミングなら……!)

【突き出す刃はするりと下がる、踏み込んだ足へ身体を寄せつつそれを軸に時計周りに回転次いで空いている左手で彼女の右腕ないし肩を掴み弧を描くように引き寄せつつ重力に従い地面に降ろす】
【入り身投げに近い体術の流れ、成功したならば揺さぶる程度では済みはしない】
【瓦解したのであるなら逸れながらも対面の形、優位であるのは確りと地に足がある自分─────相手の脇を擦り抜けるよう低くした姿勢になり、右横腹へと刃を降ろす】
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/21(月) 20:20:46.00 ID:22a3w9fno
【表通り】


【コンビニのすぐ近くで何やら一騒動起きているようだった】
【その原因は二人の人物にある。ひとりは服装からして明らかに警官だ】
【彼はもうひとりの服を掴み、「抵抗するな」「観念しろ」、などと叫んでいることだろうか】

【――もうひとり、警官から逃げまいとしている人物は10代半ば程の少年だった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年だ】


くそっ、離せよ――


【大の大人と力比べして勝てるはずもないが――そこそこ力があるのか、拮抗していて】
【何故こんなことになっているのか、それは少年の手を見れば明らかだろう】
【そこにはパンが二つ、握りしめられている。……万引きしたところを捕まえられたと想像するのは容易か】

【たまに起きるような光景だろう。すぐに事態は収拾するはずだ】
【ただ、少年から漏れ始めた黒い魔翌力が不穏な予感を漂わせつつある、が――】

【ちなみにこの時間だが人通りはまばらだ。故に彼らはかなり目立つ存在であることだろう】






【ところ変わって、公園】

【そこはそこそこの広さの児童公園だった。とはいえ時間が時間なだけに、児童の姿なんて無くて――】


ひーまーだー!


【――いや、あった。不満を爆発させたような大声は、まさしく子供のものだった】

【明るいグレーの髪を右側でサイドテールにして、赤い瞳を持ち】
【小学校高学年程の背丈で、シャツの上にデニム生地のサロペットスカートを着ている】
【そしてなぜか、ベルトポーチを貫通させるような形でマレット(木琴演奏に使うバチ)を携帯した】
【そんな――活発そうな女の子は、退屈そうにキィキィとブランコを揺らしていることだろう】


せっかく、お家、抜け出したのに、遊び相手いなきゃ、つまんない!
あー、アウリス、暇だー。暇すぎるー。爆発しそうー


【たどたどしい口調、この歳にしては言語能力が低い方だろうか】
【それよりもこんな時間にひとり夜の公園に居る方がよっぽど問題かもしれない】
【保護者らしき人もいなければ、先程のひとりごとからしてどうやら家からこっそり出てきたようで】
【まだまだ遊び盛り、とはいえ褒められたことではないはずだった】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/21(月) 20:57:55.42 ID:U8kQSQGL0
【今年もまた夏の季節がやってきて、例年通りの暑さをいつものように浴びせていた】
【夜であれば暑さは軽減されているがそれでもなおこの暑さに変わりはない】
【昼の国、この国には夜がないそれはつまりこの暑さが軽減されないということで――】

…………暑いものだな

【そのように一つ路地裏で愚痴をこぼす人影、このような暑い時期に戦闘服を着用してゴーグルをつけている】
【そして、その戦闘服の袖口にはカノッサ機関の逆五芒星が刻まれている】
【路地裏であればある程度は影もある軽減されるが暑いものは暑い、さらに戦闘服も着ていればその暑さは倍になる】

まあいい……さっさと終わる

【暑いのはたしかだ、だがそれだけのことであり彼にはそのような暑さを我慢できる忍耐力もある】
【そんなことで、さっさと終わらせるために彼はサプレッサー付きのスナイパーライフルを取り出した】
【取り出したスナイパーライフルのスコープを覗けば標的がリーダーを務める集団が見えた】

………………

【静かに、静かに、標的がライフルの標準に合うのを息を殺して待つ】
【そして標準が合い、ライフル引き金を――引く】
【発射音は少しの音しか立てずに、しかし標的の眉間を――貫いた】

………よし

【眉間を貫いたことを確認すれば、彼はスナイパーライフルを近くのゴミ箱へと投げ捨てて、走り出す】
【しかし、こちらに気がついた何人かが銃を発砲、銃声が路地裏にかん高く響いた】
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/22(火) 19:50:29.26 ID:6RWTvH0uo

【 路地裏 】



……キミは自分の身体で何処が、一番の『自慢』だい?


「あ、貴方、な、何を 言って ── 」     答えたまえ 



【 街頭に照らされて、2つの影が伸びている 】



──、その醜悪なリングで締め付けられた『左薬指』か? 哀れにも穴を開けられた『右耳朶』か?
それとも、科学色素を沈着させた『顔の皮』かな? 『眼球』?『乳房』?『大腸』?『頭髪』?
僕にも仕事がある。キミに長くかかずらっている暇はない。さぁ、答えたまえ! キミの『随一』は何処だ?


「や、い、ぃ、嫌 ──!!」



【── 叫び声を上げ、這って逃げる女を歩いて追うのは高身長の男】
【舞台衣装染みた『青磁色』のナポレオンジャケットと、同色のスラックス。シャツドレスには千紫万紅が踊る】
【清げな面立ちに薔薇色の唇。 ──服装と相俟って、役者にでも間違われそうな、耽美的な雰囲気が感じられた】


やれやれ──。 ……僕は紳士的に尋ねているというのに、とんだ『アバズレ』だ。
仕方がない。 取り敢えず、心臓≠ナも頂こうか。 一番、“確かな”部位だ。


【彼の手には、一振りの『メス』。──夜闇の中でも光を鋭敏に反射し、確かにその銀は牙を?いていた】
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/22(火) 20:55:16.57 ID:SEp0Oiu1o
>>560
\*まだおりますかー?*\
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/22(火) 20:58:13.12 ID:6RWTvH0uo
>>561
/はい、おりますー
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/22(火) 21:09:01.61 ID:SEp0Oiu1o
>>560
「――私は全身かな! とうーっ!」

【唐突。あっけらかんと異様に明るい、良く響くアルトボイスが路地を震わせた】
【気の抜ける掛け声。それに対して強く響くのは、風切り音。そして、影は女と男の間に割り込んだ】
【ず、ど、ん。鈍く重い音は、影の落下する速度が尋常ではなかったことの証左であったのだろう】
【膝で上手く衝撃を吸収した影は、ゆらりとその長身の身体を街灯というスポットライトによって、衆目に晒すこととなった】

「や、や。いい夜だよねー、オニーサン、おねーさん?
言っとくけど、私はもうつま先から頭の天辺まで自信満々のオートクチュール!
どこが自慢って言われたらそりゃもう、全部に決まってるでしょ? ね?」

【ひらひらと男に手を振り、後ろの女には白い歯を見せて満面の笑みを向け】
【蛍光灯の無機質な光に、手術痕だらけの豊満な肢体を、惜しげも無くさらけ出していた】
【乱れた髪に右手を入れ、ばさりとかきあげる。ともすれば売女とも取られかねないショッキングピンクの長髪は、しかしながら女には似合うもの】
【服装はホットパンツに上半身はビキニという、もはや痴女か『あばずれ』としか思えないような服装で】
【それだけなら、頭の悪い売女かなにかと思われるだろうが、女からは隠し切れない血肉と硝煙の臭いがまとわりついていて】
【全身の縫合痕と、腰に提げた太刀。そして、爛々と活発に輝く銀色の瞳が、女が堅気ではないことを如実に物語っているのだった】

「さて、おねーさん。何円出す?
お金如何によっちゃー、ちょっとお仕事受けてあげても良いかなーって思ってるんだけど?」

【後ろの女に微笑みかけながら、女は唐突に問いかけた】
【この女、正義の味方でも善意の第三者でもない。単に、金と戦の臭いを嗅ぎつけて、此処に現れただけ】
【金払いによっては、この女は容易く追い詰められた女を見捨てることだろう】
/*ではよろしくお願いします!*/
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/22(火) 21:16:59.46 ID:KFb7yuk70
/>>559はまだ募集しております
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/22(火) 21:20:50.62 ID:6RWTvH0uo
>>563

【──男の歩みがあと数歩で、女に届こうかという時】
【上方からの『声』と『落下物』──、彼は、軽く鼻を鳴らして後方へ一つ、二つと大きくステップを踏んだ】
【結果、『這う女』と『女』、『男』の間には、等間隔に十分な距離が開くことになる】


「な…、…何よ、アンタ!! た、助けてくれるの!?
 ──わ、分かった、私の全財産、百万なら出すから!! 助け──」


    二百万=B


【── 男は右手に握ったメスを立て、隣に左手を一本】


…、…仮に、僕の好み≠ノ合わずとも──裏で捌けば、心臓はそれぐらいになる。
僕には金が余っていてね。 どうだい、セクシーガール。
二百万で手を打たないかな。


【晴れやか。 この状況に見合わない、まるで昼のカフェテラスで商談をしているかのような笑顔】
【絶望の色を顔に貼り付けた女とは対照的に、男は大げさに両手を広げると──そのまま、そちらへ歩み寄る】
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/22(火) 21:32:57.71 ID:SEp0Oiu1o
>>565
【ヘラヘラと笑う女。だがしかし、この女の肉体には緊張が満ちている。それは恐怖からくるものではない】
【この女の肉体から、力が抜けることがないだけのこと。全力こそ、渾身こそが女の日常。故に、常在戦場など知らずとも、常に女は臨戦態勢にあった】
【フレンドリーで軽い外面と、どこまでもストイックで力に満ち溢れたその内面のアンバランスさは、アンバランスで在り続けるというバランスを保っていて】

「――お、百……二百万。いいねー、金払いいい人は好きだよおねーさん!
じゃあ、それで手を打とう。判断が早いのが私の美徳でさ。んじゃ、もーあとは煮るなり焼くなりお好きな様に!」

【女から提示された報酬に首を縦に振ろうとしたが、直後に男から提示された報酬に女は満面の笑みを返す】
【ニコニコと笑みを浮かべながら、女は男に道を譲る。もし男が女に不意打しても、女は対応がとれるだろう】
【少なくとも、その程度の力は、練度はあり。そして、その程度の体制は、常に整っていたのだから】

「あ、でもさー。よく考えると、目とか肝臓半分とか肺一個とか、腎臓一個とかさー。
取っても死なないでも済む部位って有るんだよねー。でさ、それ足したら200万超えないかな?
ね、ね。おねーさん? どうする?=v

【男に道を譲りつつ、女はボンヤリと考えるようにしながら独り言のような言葉を紡いでいく】
【それは、女に対しての究極の選択となるだろう。かたや命を奪われる、かたや命は助かっても人としてマトモな人生は歩めなくなる】
【死ぬのと、死ぬより辛いかもしれない生を生きる事。どっちを選ぶかの選択を、最後に女は何の気なしに、投げかけてみて】

【楽しそうに、女は這う女と男の間で、死線を彷徨わせているのであった】
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/22(火) 21:44:06.11 ID:6RWTvH0uo
>>566


フフフッ。 助かるよ、セクシーガール。 非常に分かりやすい理屈だ。
僕は労せずして心臓≠手に入れられる、キミは労せずして金≠手に入れられる。
資本主義の到達点こそが今夜だ。 金で命は簡単に売買される──、否、歴史≠ェ。

【──滔々と語り口を続けながら、彼は女の脇を通りぬけ、『標的』の傍へと辿り着いた】
【顔を彼女に近づけ、ん、と機嫌の良さそうな声を出し──、手のひらで、メスを遊ばせる】


「…、か。…肝臓? 肺? そんな、冗談──、私、な、何も── 」

【唇をわなわな、と震わせた女は──それでも、問い≠ノ反応して】
【やがて、決意したようにぎゅっ、と瞳を閉じると ──】


「──分かったから!! 内臓でも、何でも!! 払う!!」


【彼女の全財産と、「二百万」。 結果として、商談≠ヘ『男』の不利に傾いた】
【男は、立ち上がり──その言葉に、ゆっくりと笑みを浮かべて、もう一度、機嫌良さ気な声を出す】
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/22(火) 21:46:38.32 ID:QUlbXAX2o
/>>566>>567
/乱入よろしいですかっ!?
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/22(火) 21:56:38.67 ID:SEp0Oiu1o
>>567
【女はふんふんと鼻歌を歌いながら、這う女と男の行く末を楽しそうに見守っていて】
【これで這う女が金を払わなければこれで終わりで200万円、これで払うなら男と戦うが300万円が手に入る】
【女としては、標的の女が金を払ってくれるのが、一番望ましい展開だ。金は何より――そのほうが楽しい≠ゥらだ】

【聞き耳を立てる。標的の女が狩られるだけではなく、己の意志で道を選ぶ事を待ち望む】
【そして、悲痛とも言える女の決断が、女の耳朶を叩いた瞬間。壁に寄っていた女の背後から、ひび割れる音が響き渡った】

「はいよー! 毎度ありー! んじゃ、おにーさん死んでねOK!?」

【直後。壁についていた女の右手を支点に、壁に亀裂が入り込み。そして、その破片を女が手で触れた】
【瞬間だった。砕けたコンクリートの破片が、弾丸となって男の右手へと飛翔したのは】
【銃弾にも匹敵する速度。そして、フルメタルジャケットにも匹敵する強度の結界を、そのいしくれは纏っていた】
【女は、足元のぼろぼろの腐りかけた角材を拾い上げる。それを左手で握りしめれば――直後、銀光がうっすらと角材に纏わり付いた】

「――よ、っと。死なないでねー!っと!」

【背後にした壁を左足で蹴る。響くのは轟音、消えるのは女、現れたのは這う女の傍らに】
【しゃがみこむ動作から、掬うように女の首根っこを右手で掴むと、そのまま女の背後、男から離れた方へと女を発射≠キる】
【発射した女は、結界に覆われている為、地面にどのように命中しようと、致命傷を負うことは早々無いだろう】

「じゃ、ちょっとじゃれ合おっか! 死んでもお互い恨みっこなしって事でいーかなー?」

【左手に握った角材をぶんぶんと振り回しながら、イキイキとした様子で女は男に問いかける】
【爛々と輝く瞳、撒き散らされる魔力。この女、紛れも無くこの状況を、この瞬間を。最大限に楽しんで居るのであった】
【立ち姿は隙だらけに見えるかもしれない、無造作なもの。だが、その無造作なのは表向きだけだと見えるだろう】
【軽く、薄っぺらに見える女の言動と一緒だ。その外面の奥には、底知れない何かが眠っているのかもしれない】
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/22(火) 21:57:06.79 ID:6RWTvH0uo
>>568
/あー、すいません
/ちょっとこの時間から複数だと明日が厳しいので…
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/22(火) 21:57:09.40 ID:SEp0Oiu1o
>>568
/*私はかまいませんが、あまり遅くまでは絡めないのデス……*/
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/22(火) 22:00:03.48 ID:QUlbXAX2o
/そうですか…すいません、取り下げますね
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/22(火) 22:10:50.09 ID:6RWTvH0uo
>>569


【「ちょっと」──その言葉を言い終わらぬ内に、女は吹き飛ばされ、路地裏の入口の方へ】
【厄日か、厄年か。 どちらにせよ、碌な未来が待っていない女は、そのまま気を失った】


──、フフッ。 状況が変わった来たね。 個人的には── 、

【一方、男。 一言笑うと、コンクリが放たれた瞬間には既に、動作を開始していた】
【相手の行動を予測して、避ける程度の『練度』は、此方も有るらしい──が】
【流石に、狙いたるメス≠射線から引き離すのは間に合わず、銀の刃が宙を舞い、地に落ちる】





       キ ミ の 方 が 興 味 を 惹 か れ る な 。



       【      「 ≪ Ruffian ≫ 」        】



【──、彼の口がその『名』を呟いた瞬間、その背骨に沿うように漆黒の棒状物体≠ェ出現する】
【表面のそこかしこには間断なく『波紋』の様な動きが見られ、まるで生きている≠ゥの様な錯覚】
【と。 ──ぐにゃり≠ニ一度、大きく『物体』が曲がり、八本の触手≠ェ飛び出す──!!】


いいとも、キミこそ僕のコレクション≠ニなっても文句は無しだ!!
──『あばずれ』は後回しッ!! 全身≠ェ“オートクチュール”とは、大変に興味深い「表現」ッ!!
さぁ、見せたまえ!! キミの『一点もの』たる所以を!! ──真坂、人は皆違うから≠ニは言うまい、セクシーガールッ!!


【女と同様、彼も瞳を爛々≠ニさせている。 ──本能的に分かるだろう、『同じ人種』だ】
【──言から見るに、恐らく彼は、どちらにせよ不意打ち≠する積もりだったのだろう】


【彼の叫びと同時──女へ向けて、四本=A先端の尖った触手が、上下左右から襲い来る】
【質量はまるで『金属』。 その疾さも、銃弾ほどまでは届かないが、人の肢体並にはある──】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/22(火) 22:24:55.84 ID:SEp0Oiu1o
>>573
【一瞬の攻防。その一瞬で、三人の立ち位置は完全に変わっていた】
【女がホットパンツの右足の付け根を、つつ、となぞる。そして、一瞬だけ意識は路地の奥、女を射出した先に向けられて】
【その直後に、もはや女の思考から、『金づる』の存在は消えてなくなった。これから先意識に有るのは――楽しそうな、おもちゃ≠セけだ】

「あ、は」

【女は、破顔した】
【己の視界を埋めるような、八本の触手を視界に認めたからだ】
【左腕に握る角材が、きしりと音を立てた。吹き上がる銀光。女の笑みは、好意のそれから攻撃のそれへと、笑いの本質へと立ち戻った】
【そこにいたのは、もはや人ではない。一匹の獣、牙を研ぎ、知性と技術を身につけた――魔獣が、そこに立っていた】

「――あっは。触手でおねーさんに何するつもりだいおにーさん!
ま、言葉で語るよりキミを殺すほうがよく分かるだろーし、死んでちょーだいな!!」

【己に迫り来る触手。その上から来る触手に、棒を振りぬく女。棒は容易くその先端に貫かれた】
【だが、それ以上触手は突き抜けない。そして、棒も破壊されはしない。棒がぐるりと回転する、身体のバランスを活かした挙動。三つの触手は空を切った】
【触手を棒で抑えながら、女はその触手の上を取り、そして――空を蹴った。圧倒的加速、迫るのは左膝。そして、相手の顔面へと迫るその膝蹴りは――二段目の加速≠した】

「ハッハァ――!!」

【通常の人には成せない異様な挙動、そしてその人には成せない挙動を完全に支配してみせる、その練度】
【夜闇に銀光が光る。女の右足が空を蹴る度に、女の左足が地面を蹴る度に、女の右腕が物を射出する度に、女の左腕が物を振るう度に】
【女の神経系と血管は、まるでイルミネーションのように、銀色の光を辺りに散らす】

【迫るのは膝。唯の膝蹴りよりも遥かに速く重い一撃。顔面へと真っ向から向かうその一撃は、当たれば確実にダメージとなるだろう】
【女の機動は変幻自在。ここで迎撃するのも良いだろうが、女の笑みは、まだ奥を決して見せていないことを示していただろう】
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/22(火) 22:32:31.91 ID:TEAingC/o
【とある国の繁華街にて】
【日が落ちてもなお蒸し暑い熱気が漂う街中をポケットに手を突っ込みながら辺りを見回している人物がいる】
【何かいい事でもあったのか―――大変機嫌よさそうに歩きながら妙な歌まで歌い続けているほどだ】


―――……オラは死んじまっただぁ〜……オラは死んじまっただぁ〜♪っと……しかし歌っておいてなんなんだが
地味に縁起悪すぎるわなこの歌。もっといい歌のチョイスが良かったかもしれねーわ


【その人物はフードを目元まで被った灰色のパーカーを肩から羽織った、ボタンだけ赤い黒の短シャツに両手に白いバンテージを巻いていた】
【腰に数年前に流行った銀色の髑髏を模したチェーンアクセのついた青色のダメージジーンズに新品の赤茶色の革靴を履いた人物】
【フードのせいで顔が見え辛いものの……その口元からでも明確に今彼が満面の笑みを浮かべている事を想像できそうだ】

【彼はふと、首から下げているその一眼レフのカメラを手に取りながら再び辺りを見回して呟く】


さぁーて、何か騒ぎだか事件だか起きてねえかなぁーっと……事件のあるところ正義の味方有りって言葉があるくれーだしなぁ
へへっ、うまく接触すりゃあ現状のパワーバランス的なのがしっかりと見えてくる事だろーな

どっかで都合よく殴り合いでも発生してねェかなーっと……


【呟く内容の方が一番縁起でもない、というかこんな言動の方がよっぽど目に付く】
【事件が起きるより前にむしろ彼が職務質問されそうな状態だが、もしも事件らしき物を目撃すれば彼は足早にその場に駆けていくだろう】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/22(火) 22:45:11.35 ID:6RWTvH0uo
>>574

【『避けられた』と認めても、彼は若干腰を落とし、迎撃¢ヤ勢を取っただけ】
【気障に右手で髪を掻き上げ ──口元が三日月のように釣り上がり、眼は満月のように見開かれる】


決まっているだろう、──キミを愛≠キるのさ!!
さぁ、『何処』だ!! キミの最も崇高たる部位≠ヘッ!!


【──足場となった一の触手と、空を切った三の触手】
【計四本の『触手』は加速する彼女の背を追う軌道を描いて帰還≠ケんとするも、追いつけない】
【男の『手元』に残った触手は四。 その内、『三本』は彼の真下、地面に突き刺さり── 】


 【 ──ガキィン=I!】


【女の膝蹴りは、確かに『顔面』に直撃する──が、クリーンヒット≠オた感触は得られないだろう】
【ダメージは通っている。 が、間に『何か』が挟まっているかのような──】


…、…ゲホっ!! ──ははははっ!!
素晴らしい『スピード』ッ!! だが、それでは「オート・クチュール」には成り得ない!!
キミはまだ、総て≠出していないな!! そんな物では、僕の ≪ Ruffian ≫ を!!


【──触手の一本を分解。液状≠ノなった黒色物質が、彼の後頭部から前面へ伝い、急造の『フェイスガード』を築いていた】
【顎から黒液が垂れ落ちる。 吹き飛ばされなかったのは、『足元の三本』が支えていたためだろう】



── この 白樺 公暁=@と、『コンチェルト』を奏でるにはッ!!


【鼻が折れたのか、血を出しつつ、白樺は笑み──やっと追いつきつつ有る攻撃の四本≠、背から強襲させる】
【先ほどと同様に、四方から。 後方からなら直撃すると考えたのか、それとも──】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/22(火) 22:56:57.71 ID:SEp0Oiu1o
>>576
【甲高い音。膝を受け止めるのは、男が生み出した即興のフェイスガード】
【ぎしぎしと膝とフェイスガードが嫌な音を立て。膝でフェイスガードを弾き、空中で体制を整える女】

「――そろそろ、熱くなってきたかな?」

【女の肌は上気し、ほんのりと汗をその表面に浮かべさせていた。褐色の肌は、艶めき始めていて】
【その時点で、すでに女は右腕を振りかぶっていた。背後から迫る攻撃の四本は認識していた、だが逃げることはない。直撃は恐れない】
【満面の笑み。女の右腕に、路地裏を染め上げる閃光が瞬いた。そして、直後に起こるのは――】

「――――Scream Aim Fire=I!」

【――砲弾の射出、そのものだ】
【女の右腕に結界が生成。そして、予め仕込まれていた術式通りに、女の肉体を引きずりながら――男の顔面へと、拳を振りぬいたのである】
【加速の術式は銃弾並の速度を生成する、そして結界の術式は砲弾の強度を与える。即ち、その拳は拳サイズの砲撃と同義と言える一撃】
【女の結論は一つ。上にも、下にも、後ろにも逃げやしない。前を突き抜けることで、女は文字通りの血路を開くこととしたのである】

「拳で顔面ドラムにしてあげる――!!」

【その威力は、先程の蹴りとはもはや別次元とも言えるもの。狙いは胴体】
【人体に対して放つには、些か以上に過剰な戦力。それを躊躇いなしに振るうのは、振るっても良い相手と判断したからに他ならない筈】
【男が防御に全力を割くか、回避に全力を裂かなければ無傷で済ませるのは困難であるかもしれない。女と同じく、奥の手でも隠していない限りは、だが】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/22(火) 23:15:05.45 ID:6RWTvH0uo
>>577

【触手は伸縮しているにも拘らず、外見だけで見れば、男の背の棒状物体≠フ体積は変動していない】
【恐らくは『超高密度』、かつ、『超質量』の能力による物体≠操る。 それが、彼の『≪ Ruffian ≫』──】



 …… 。  ── 、 少し、がっかりだ。



【そして、それは──仮令、『触手が地に刺さっていても』、同様だ】

【地に刺さった三本の触手が『急速伸長』──そして、彼の身体を跳ね上げることで大跳躍=z
【彼女の『砲撃』は、宙に舞った彼を捕らえ損ね、既に用済み≠ニなった三本の触手を吹き飛ばした】
【路地裏の夜闇、『月』を覆い被す様に彼の身体は空中で大きく開かれ── 】


…、…狙うなら、『地面』だった。 セクシーガール。
地を割り、後方からの刃を防ぎ、前方の僕を吹き飛ばす。 後はスピード勝負で首を獲れた筈。
キミはの力≠ヘ大した物だが、些か『直線的』にすぎるね。


【──そして、後方から彼女に襲いかかるのは、残存した四本の触手=z
【回避に成功した以上、あとは、それで彼女を狩る≠フみ ── 、】



── 、……が。 今日の所は『引き分け』で手を打とう。


【すたん、と。 白樺は彼女の後方に着地するだろう。 触手は遮られなければ、彼女の寸前で停止する筈だ】
【──、先程よりも、一気に平静≠取り戻した風の彼。 何の積もりかは分からないが、戦闘を続行する意思はないらしい】
【最も、彼女が続行を希望するのであればその限りではないのだろうが── 】
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/22(火) 23:25:04.42 ID:SEp0Oiu1o
>>578
【女の超速の打撃。しかしながら、それは男を捉えること無く空振りをした】
【女に突き刺さるだろう、その触手。そして、女はそれを覚悟していたからこそ】

「は? ――いやいやいや、刺せよ。
なんで刺さないんだか、馬鹿じゃねーの。殺せたのに? なぁ?」

【男に背を向けたまま、女の声が響く。女の身体が、ぎしりと軋みを上げた】
【声に笑みは無い。そして、女の――全身≠フ血管と神経が、光を放ち始めた】
【左手を右腰の太刀へと伸ばす。そして、引きぬいた。どう見てもナマクラ、三流品の弱い道具。しかしそれは、至高の素材で作り上げられている】
【ゆっくりと振り返る。その瞳は、銀色の輝きを帯びていた】

「――――オートクチュール=B見たいんだっけ?」

【女の体にしては、大きすぎるそれを右手で小枝のように振るって。女は地面に振り下ろした】
【轟音を立てて爆砕する大地。切っ先は、地面に未だ触れていない】

「直線でも勝てるくらい、考えなくても勝てるくらい、勝とうとすれば勝てるぐらい。
それくらい、強くなりたい。――やっぱ世界は広いねェ。……んじゃ、また今度。作りなおしたら≠ヒー。萎えたから帰るよ。じゃー」

【刀を腰に収めると、ひらひらと手を振って、女は歩き去っていく】
【路地の出口には、女を待つ人影。車に乗り込む音、走り去っていくエンジン音】
【今宵の戦いは、不完全燃焼で終わりを告げる結果となるのだった――】

/*お疲れ様です。なんだかごめんなさい……*/
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/22(火) 23:54:42.44 ID:6RWTvH0uo
>>579


【──彼女の問いを受けて、白樺は大げさに手を広げ、首を傾げた】
【同時に、能力を解除。 触手と『黒色体』は雲散霧消し、地に液体として落ちていた物も同様だ】


──、未完成品≠フ部品など、僕は欲しくはない。
求めるのは、『最高級品』の真髄=B それでこそ、『コレクション』する価値がある。
キミはまだ、蒐める程には「完成し切っていない」。 …、…だが!
強さ℃ゥ体はこの僕、カノッサ機関ナンバーズ=A白樺公暁が ──、


【── そこまで話した所で、後方、大地が爆砕する】
【『見ていなかった』。 その事に鮮烈な後悔の念が湧き立ち、彼は悲壮の表情で振り返る】
【見れば、女は既に歩き去り始め、 ──粉砕された、コンクリート】


……、これは、実に良い=B
良い、が──魔翌力か? 能力か?…、…先程の『銀色の光』……?
成程、オートクチュール=B 僕が回避、或いは防御するなら──、あぁ、情報が足りない!何か落ちてはいない物か!!


【ざくり、足を踏み出し──四つん這いとなって、粉砕地点を五感で感じる】
【服が汚れるのも構わず、路地裏の土に顔をつける異常者>氛氈Aその光景が、暫くの間見られた】


/お疲れ様でした
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/24(木) 16:32:55.25 ID:/xMWTZGTo
ごみ溜めに鈴音の顔写真晒されてるぞwwwwww
http://imgur.com/HTKH542.jpg
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/24(木) 16:49:08.70 ID:/xMWTZGT0
ふぁぼったー消えなくて残念ですね鈴音さん^^

シナとかチョンのこと考える時間なんて無駄でしかないので、その分嫁について考えますね
@Vento_Kaze/脱皮したてのVento 2012-09-18 13:10:44
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/24(木) 18:45:43.45 ID:E+2LGUjqo

 【路地裏】

 ここはどこだ?
 奴等の計画を叩き潰して家に帰ろうとしたら
 どこか分からん、どっかの路地裏みたいだが


 【黒いソフト帽を被った、赤い髪の男が周囲を見渡している】
 【派手目なライダースジャケットは、濡れている様に見える】


 どうやら、天気まで違うらしい、さっきまで小雨が降っていたんだがな

 /はじめまして、よろしくお願いします
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/24(木) 19:09:13.19 ID:PalzSXfdO
もっと周り見たら?
585 :" ◆inRYh.mu.I [sage]:2014/07/24(木) 19:16:02.92 ID:E+2LGUjqo

 しかし、ここが何処なのか、とりあえず調べてみる必要がありそうだ

 【男は見るからに怪しい】

 とりあえず、路地裏から出てみるか、人に会ったら聞けばいいしな

 【男は路地裏から出るために、歩き出した】

 /アドバイスありがとうございます
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/24(木) 19:30:51.46 ID:E+2LGUjqo

 【街中】

 どうやら、見たところ平和そうだが
 なにかとても大きな力が、色々動いているように感じるな

 【男は警戒を少し緩めた】

 (もしかすると、ここは異世界という可能性があるな)
 (いや、考えすぎかとは言えんしなぁ)

 見たことが無い大きな建物がある、少なくとも俺の家の近くではないようだ

 /今から少し席を外します、それとトリップ間違えて付けてしまいすみません
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/24(木) 20:02:24.79 ID:E+2LGUjqo

 >>586

 しかし、大きな力をいろんな所から感じるのはどういうことだ?
 (この力の大きさは一般人の持っている大きさじゃないぞ!?)

 【男はこの世界のいたるところから感じる力の大きさに驚いている】

 /戻ってきました
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/24(木) 20:35:01.87 ID:ZZ/jBSZ3O
遊ぶにしても過去ログとかもう少し読んでから来なよ
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/24(木) 20:44:02.72 ID:E+2LGUjqo
すみません、もうROMってます
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 10:48:19.74 ID:TVi70vCnO
>>587


【彼のもとに一人の男が現れる。──その風貌は、不審きわまりない。】
【黒いレインコートに真っ黒な日傘、尚且つ長身で、>>587を見下ろすように立っている。】

───……どうかいたしました?
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/25(金) 10:58:42.49 ID:TIiUWHDwo
>>590

いや、気づいたらこの辺にいたんでね
ここは一体どこなのか、教えてくれる人を探していたんだが
あんた、教えてくれるかい?

【男は、見るからに不審な男に対して特に警戒はしていない】

おっと、自己紹介が遅れた、俺の前は黒須春斗だ、よろしく

 【春斗は握手をしようと、手を差し伸べた】
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 11:03:37.85 ID:TVi70vCnO
>>591


ここは──水の国、フルーソですよ?
──黒須くん、私は──『アンブレラ』と申します。

【春斗が異世界人とは思わずに、当然のように答える。】
【包帯で素肌の見えない隻手で握手に応じればこちらも自己紹介をして】
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/25(金) 11:11:32.70 ID:TIiUWHDwo
 >>592

 (水の国、フルーソ、どちらも聞いたことの無い言葉だ)
 (ということは、もしかして、異世界の可能性がさらに上がってやがる)

 どうやら、俺は記憶喪失のようでな、自分の事はよく分かるんだが
 世界情勢とか、常識ってやつが分からなくてな。
 アンブレラさんよぉ、あんたが良ければでいいんだが、そういうのを教えてくれやしないか
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 11:21:20.50 ID:TVi70vCnO
>>593

──記憶喪失? それは大変ですね……。

世界情勢と言えば……日夜機関が紙面を騒がしている、くらいでしょうか。
少しでもなにかを思い出してくれれば幸いですが……

【彼自身田舎者なので、詳しいことは分からない。】
【相手のことを異世界人とは思っておらず、本物の記憶喪失だと思っているため、】
【「機関といえばまあ名前だけでも思い出すだろう」と 。】
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/25(金) 11:30:42.96 ID:TIiUWHDwo
 >>594

 日夜機関……まったく分からん
 どういう機関なんだ?

 (外見は多少不審だとは思ったが、話を聞く限り信頼してもよさそうだな)
 (だが、やはり俺が異世界人だということは語らない方がよさそうだ)
 (アンブレラさんがそうとは限らないが、どこかに奴等のような存在がいないとも限らん)
 (あいつが託してくれた強化スーツや、俺の肉体の秘密を知られ悪用されんとも限らんしな)
 (……それに、ここが異世界じゃなかったら、俺すっごい恥ずかしいもん)

 【春斗は自身の情報は出来るだけ出さず、世界の情報を集めようと考えた】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 11:37:30.03 ID:TVi70vCnO
>>595

あー、……カノッサ機関という組織があり、通称機関と呼ばれていて……
頻繁に機関が悪さをして新聞に載っているということです。

【春斗が記憶喪失と嘘をついたのは、春斗にとって都合のいいことになったのかもしれない。】
【彼は記憶喪失という言葉をうのみにして、「彼のことは聞いても無意味だろう」と考え】
【善意で、彼にとって必要な情報を、彼の意思に促されるまま語る。】

──もしあれなら、近場の宿まで案内しましょうか?
ひとまず落ち着いた方が、安心できるでしょう。

597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/25(金) 11:45:25.75 ID:TIiUWHDwo
 >>596

 すまん、気遣いはとてもありがたいが、金銭の類がまったく無い
 宿に行っても、多分泊まれんのだ…・・・
 それに野宿は慣れている、問題はない!

 (俺の肉体は改造されているからな、睡眠は食事は本当に最小限でいいからな)
 (しかし、俺の予想は当たっていたようだな)
 (この世界にも奴等のような存在がいる)
 (もしや、俺はこの世界に、機関とやらと戦うために呼ばれたのか?)

 【春斗は宿に向かうことを断った】
 【一先ず、春斗は何故この世界に呼ばれたのか、真面目に考え始めた】
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 11:53:14.60 ID:TVi70vCnO
>>597

【考え込む姿、それが、悩んでいる≠謔、にも感じられて。】

──── 目の前で右も左もわからず困っている人を、見過ごす訳には行きませんよ。
お金なら少しくらいなら渡します、困ったときに便りにする場所も教えますよ。ついてきてください。

【──もし春斗がついてくるようなら、彼の有する必要最低限の知識を教えるだろう。】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/25(金) 12:02:46.62 ID:TIiUWHDwo
 >>598

 そこまで言われちまうと断れないな。
 じゃあ、ついて行かせてもらうぜ。

 (現状、アンブレラさん以外にこの世界での知り合いはゼロ!!)
 (帰る手段を見つけるまでには、この件は必ず、助けるしかねぇな)

 とりあえず、何か困ったことっていうか、荒事とかの力仕事なんかなら力になれる
 そういうのに、巻き込まれたら、全然遠慮せずに力を貸すぜ!!

 【春斗はアンブレラを完全に信用し、ついていった】

 /お疲れ様でした
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 12:10:39.83 ID:VTsL4aylO
>>599

【春斗を宿屋までつれていく間、知りうる限りの情報を彼に伝えるだろう】
【便りにすべきは自警団、あるいは警察。】
【路地裏には立ち入らないこと、そして本当に困ったときは】
【酒場でもなんでも、人が集まる場所で、誰にでもいいから助けを請うこと。】
【そうすれば、誰かしら助けてくれる、そういう寛容な人物が、この街には溢れているということを──】


お疲れさまでした。
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/25(金) 12:11:52.71 ID:BIQDPez90
――――――……?

【長い、永い夢を見ていた気がする】
【ここ最近、不思議と頭がボーっとすることが多くなった】
【頭が痛くなって、何時間かして目が覚める】

【「ずつう」という病気みたいだが、この感覚は真新しい】
【まるで、たとえ記憶が失ったとしてもその自分が経験したことがないような】


ここは、どこだろ…………


【そして決まって眠る前とは違う場所にいる】
【「むゆうびょう」とかいう症状に近いのかも知れない】
【とりあえず、周りを見渡してみた―――――】


―――――――ッッ!!




【路地裏と言われる場所】
【闇の世界の入り口ともいえる場所で、一人の少年が目を覚ました】

【肩に届く程度に伸びた白色の癖毛】
【宝石を思わせる紅色の瞳】
【細く線の細い華奢な女性的な身体をした少年】
【白のカッターシャツに黒のベストを身に纏っている】
【腕には「盾」を思わせる赤い刺青が入っおり】
【首には何らかのタグのようなペンダントがついている】

【その人形と見間違えるような人物はその周囲の状況とは、まるで不釣合いだった】


【決して、埃と影の道というわけではなく―――――。】


う、うわああああああああああああアアアアッッ!


【――――真っ赤な鮮血に染まった死体に囲まれていたのだから。】

【死体は、よくいる不良の類だろう】
【反社会的でありながら、犯罪者の組織に入れない中途半端者だろうが】
【その胸―――、心臓があろう場所には大きく穴が穿たれていた】


【叫び声をあげる少年の両腕は赤く染まっていて】
【座った状態で後ずさりをして、震えている】
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/25(金) 13:34:56.48 ID:TIiUWHDwo

 >>601

 何なんだ一体!?

 【そこに、一人の人型が現われた】
 【その声から、男であると思われる】
 【しかし、その姿は異形であった】

 (状況だけで見ると、この少年のようだが)
 (やっぱ、路地裏なんか、来るんじゃなかったか?)

 おい、少年……何があって、こうなったのか教えてくれないか?

 (あの時の俺みたいな状態かも知れない、そんな時は助けてやらないとな)

 【異形は、優しい声で少年に質問した】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/25(金) 14:03:08.52 ID:BIQDPez90
>>602
あ、ああああああああああ……


【赤、赤、赤】
【自分の腕にべっとりとついたその色が何なのか】
【絶叫とともに吹き飛びそうになる意識がその液体を理解させる】


ぼ、僕は……何を……!


【思わず立ち上がって、壁にもたれかかって話しかけてきた声のほうを見た】
【声は、男性のものだが……人ではないのか――――そんなことはいい】
【重要なことは、見られた】

【この血だらけの姿を―――――他人に】


何も、してない……んです! こ、来ないで…!


【その血まみれの手を男性に向けた】
【右腕をまっすぐ伸ばして、左手でその右手の手首を持って支える】

【一種の攻撃態勢にも見える、その姿勢を】



【声は裏返って、視線が安定しない】
【混乱した彼はもう話が通じないようだ】


なにも、覚えてないんです…! だから、僕は…!


【何も、覚えていない】
【気が動転しているのかとぼけているのか】
【決してこの辺りは治安はよくない――――子供だからって油断はできないが……?】
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/25(金) 14:14:35.48 ID:TIiUWHDwo

 >>604

 大丈夫だ、俺は人間だからさ、ほら。

 【異形は口元の部位を外し、頭を……いや、正確にはヘルメットを取った】
 【そこからは、赤い髪の男の顔が現われた】

 安心しろ、何もとって食おう、って訳じゃないんだから。

 (状況証拠なら、間違いなく、この少年が犯人だ)
 (だが、記憶喪失らしいな、少年が本当のことを言っているのなら…・・・だけど)

 えーと、俺の名前は黒須春斗、一応お前の味方をしたいかな。

 【春斗は、友好の印に手を差し伸べた、握手をするために】
 【しかし、春斗は一応警戒だけはしておいた】
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/25(金) 14:33:50.35 ID:BIQDPez90
>>604

はぁ……はぁ……ほ、本当……です、か?


【呼吸は荒く、まだ落ち着きは取り戻せていないが】
【ある程度の簡単な会話は大丈夫かも知れない】


っ………、は、はい。クリス……クリス・アウトロードです……


【一種の攻撃態勢に見えるその手を

【差し出された、その手をじっと見つめた後】
【じっとその手を見つめて、手についた血を服でふき取り恐る恐る手を握り返した】


えっと……ぼ、僕は……気がついたら、ここにいて…
そして……この人たちが……


【その言葉は自信なさげではあるが、嘘をついてるような口調ではなかった】
【きっと、本当に覚えていないのだろうか】

【そして「この人たち」という言葉から、この死体である不良は少年にとって見知らぬ人物なのだろう】
【男性にとっても知らない人物かもしれない】
【知っていたとしても、街中にどこでもいる不良たちだ】


信じてください――――! ぼ、僕は――――!


【よく見れば、不良の手にはバットや鉄パイプなど安価で手入る武器のようなものが握られている】
【人数にして5人、そして生きているのは見たところ丸腰の少年一人】


【誰が、どうやって殺したのだろうか―――――】
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/25(金) 14:43:08.87 ID:TIiUWHDwo

 >>605

 クリス・アウトロード……うん、いい名だ。

 (クリス君の周囲の死体、数から5人か……いや、奴等ならもっととんでもない手法で……)
 (いや、さすがに考えすぎか、奴等はこの世界にいるとは思えないし、てか、こいつら凶器っぽい物持ってやがる!!)

 【春斗は現状考えられる全てのパターンを考えた……がまったく分からなかった】

 とりあえず、場所変えよう、さすがにこんな所にいたら怪しまれるからさ

 【春斗は場所を変えようと提案した、ついていけば、春斗は必ずクリスの味方になるだろう】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/25(金) 15:04:33.04 ID:BIQDPez90
>>606
は、はい……わかりました……


【人目につくところはとりあえず避けるべきだろう】
【まずはクリスの腕の血を落とす必要がある】
【手軽に水道が使える近くの公園に二人は向かっていくだろう】

【幸い、人に見られることなく公園へいくことができた】


最近、頭痛がひどいんです………頭がズキズキするやつが……
今は大丈夫なんですけど、さっきも頭痛から目が覚めたら……あそこにいて


【冷たい水道水がクリスの腕から血を流していく】
【汚らしい赤色は落ちていき、彼の持つ白く柔らかそうな肌が見える】


――――――……僕が、殺したのかな


【綺麗になった両腕を見て、クリスはつぶやいた】
【そのきめ細かい肌を見つめて、そう思ったか】


【その凶器を持った人間を前にして、無傷である自分を改めて理解したのだ】


巻き込まれた――――わけでもないです……きっと

【ただ、偶然居合わせた】
【その可能性も、彼は自分で否定した】


僕の爪に引っかかってるの……僕のものじゃないです


【爪の間に挟まっている小さな肉片】
【自分が無傷である以上、あるはずのないものだ】
【クリスは、目線を落としてそう呟いた】


どう、思いますか――――?


【まるで、怯える子供のように】
【答えを求めるように、問いかけてきた】
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage saga]:2014/07/25(金) 15:20:46.19 ID:TIiUWHDwo

 >>607

 (いかん、ここで正直に分からんとか言えない)
 (とりあえず、思いついたのひたすらあげていくか)

 正直、俺にはクリス君が殺したようには思えないなぁ。

 【春斗はその理由を語りだした】

 まず一つ目、もしクリス君が犯人だとしたら、あの場で俺を殺しにいった方が、
 結果的にだが、目撃者がいなくなるので正しい判断だ。
 しかも、俺を殺せるタイミングならいくらでもあったわけだしな。

 (これは、事実俺が戦ってきた奴等の取ってきた行動だから、合ってるか分からんがな)

 二つ目に、君の発言を全て信用した場合だが、気を失っていて、気づいたら周りで人が死んでいた訳だ。
 つまり、やろうと思えば……例えば催眠術の類とかで操って殺った……とかできるんだよ。

 (これも、奴等がよく多用した手段だ)

 そして三つ目だが、状況証拠でしかないが、胸に穴を空けるための筋力が、多分足りないと思う。
 だから、君がやったようには思えないって訳さ。
 まぁ、全部何の根拠も無いんだけどね

 【春斗はそう言うと、苦笑いした】

 /すみません、少し席を外さないといけない用事があるので離脱します。乙です!
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/25(金) 15:33:31.42 ID:BIQDPez90
>>608

そ、そうですよ……ね。そうですよね…!


【春斗の言葉に、思わず笑顔になるクリス】
【そうだ、そのとおりだ。彼に言うとおりだ】

【確かに自分が5人の不良を無傷で[ピーーー]人間なら、目撃者を消そうとする筈】
【この世界は能力者で溢れ返っている。きっと催眠術を扱う存在だっている筈】
【自分は人を殺める技術なんて、持ってない筈】

【そんな言葉を何回も、何回も繰り返して】
【クリスは呼吸を整えた】


ありがとう、ございます―――――春斗さん


【その顔はもう落ち着きを取り戻して、もう大丈夫そうだ】
【そして、ぺこりとその頭を下げた】


僕、とても安心しました―――――。本当に、ありがとうございます


【そういって、クリスは帰路に着こうとするだろう】
【その後姿は誰が見ても、大丈夫と感じる】




【―――――――マダ、タリナイ】

……………?


【そんな声を、少年は聞いた気がした】


/でしたらこの辺りで〆です!乙でしたー! 

610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 20:54:35.42 ID:Q8AQP9jGo
【路地裏】


……本当にいつ来ても辛気臭い場所じゃのぅ


【陰惨な気配が常に漂う夜の路地裏を、一人歩く少女がいた】

【身長は140cm程度であろうか】
【炎のように鮮やかな紅蓮の髪と漆黒の瞳を持ち】
【桜色をした簡素な着物に身を包んだ幼げな容姿の少女であった】
【胸元には"緋色の鷹"を模したワッペンを付け、腰には茶色の鞘に収められた剣が下げられている】


世界がどう変わろうとも、この場所だけはどうにもならん気すらするのじゃ
もっと警備を強化するように要請でもしてみるべきかの?


【少女は何やら独り言をブツブツと呟きながら歩を進めていた】
【その肩付近にはバレーボール程のサイズの白い"虫のような物体"が浮かんでおり】
【その虫の尾付近が蛍のように淡い光を放ち、周囲を薄く照らしている】


【もしこの少女を見掛けることがあったならば】
【その"所属"や場所に似合わぬ容姿から目に付くこともあるかもしれない】
【また、この路地裏ではどんな事件が起こっても不思議ではない。何かしらの事態が発生した場合少女は反応するだろう】


【――】


【ところかわって、町外れ】


――♪ ――〜♪


【中心部から離れた、人気の少ない静かな町外れ】
【そこの一角に建てられた小さな店の前で、箒を片手に歌う少年の姿があった】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【歌の内容は、大海原を巡る探検家の勇ましい冒険譚】
【周辺住人に考慮してか控えめな声ではあるが】
【高いボーイソプラノで歌われる其れは、近くを通りかかることがあれば耳にすることもあるかもしれない】


――……ふぅ。うぅん、最近練習してないからちょっと下手になったかも……
最近は時間も出来てきたし、久しぶりに……ステージで歌わせてもらおうかなぁ


【間もなくして歌は終わり、続けていた掃除を切り上げて箒を店の壁前に立てかけた】
【そして歌と掃除で疲れた体を労わるように、花壇に積まれたレンガブロックの上にゆっくりと腰を下ろした】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物である】

【本日もまったりと営業中であった】
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 21:52:05.35 ID:Q8AQP9jGo
>>610
/もうしばらく置いときます!
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 22:19:26.63 ID:oqPpw5Uio
>>610

【少女が歩みを進めていれば、路地裏の奥から小さく騒ぎ声のようなものが聞こえてくるはずだ】
【それは、少女がその方向へ近づこうがそうでなかろうが段々と大きくなる。路地裏で屯する、不良やチンピラの声らしいが】


「  S  3  !  !    W i n d  S h o c k ! ! ! 」


【辛気臭い雰囲気を切り裂くようにその中で特に大きな声が響いたかと思えば、少女の前方の横道から大量の不良達が「伸びた状態で」吹っ飛んでくるだろう】
【更に少しの時間をおいて、不良が吐き出されてきた横道から一人の男が顔を出すだろう】
【紫色の大きな魔女帽子、同色で縁に金色の刺繍が施されたローブ、木製の大きな杖】
【どうやらローブの下には現代的な洋服を着ているらしいが、その姿はまるで、おとぎ話の魔法使いの様】

「―――……ハッ、このライラ=フェルンストレームに喧嘩吹っかけるたー良い根性してんじゃねーか」

【不良のくせによ、などと付け加えて山のように積み上がった不良たちを見下げるその男。顔は侮蔑を込めた笑みであった】

【さて、まだその男は少女に気付いていないらしいが、少女の瞳にはこの男の行動はどう映るであろうか】
【どうやら不良達を吹き飛ばしたのはこの男らしい。しかし、"緋色の鷹"を掲げる少女の前にこれは、ちょっと場所が悪かった気もするが】

/まだ大丈夫ですかね? よろしければおねがいします!
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 22:39:48.23 ID:Q8AQP9jGo
>>612

――む?……まったく、本当に暇をしない場所なのじゃ
もっと静かに夜を過ごせぬものかの


【耳に届いた喧騒。微かに聞こえただけでも暴力の気配が感じられる其れに】
【眉根を顰めながら片手で一度髪を掻くような仕草をして】
【歩く速度を上げて現場の方へと向かっていった】


【――】


【やがて、少女は現場の付近まで到着する】
【音の聞こえた横道の方へと進んでいこうとするも――その瞬間に不良達が飛んできたことで】
【必然的に少女の足はその場で止まることとなった】
【間もなくしてそれを為したであろう犯人……魔法使い風の男が姿を現し】



――そこの喧しい男。そうじゃ、ライラとやら……御主じゃよ

わらわはSCARLETのカミナ・ゲルギル。
こんな場所じゃ……御主が悪いと見ただけで決め付けてやる気もないがな
目の前で見せつけられては事情聴取の一つもせねばらなんのじゃ


【聞く手間が省けたとばかりに彼の名を呼び】
【物怖じせぬ様子で、不良を踏みつけないようにしながら近づいていこうとする】
【途中で、片手の指で胸元の"緋色の鷹"のワッペンをトントンと叩いて見せ】
【己の所属と名を明かしながら、特に妨害されなかった場合は三歩程度の距離まで近づくことだろうか】

【どうやら、一方的にライラを悪いと断ずる様子ではない】
【場所が場所なだけに、それに加えて彼の言葉から正当防衛という可能性が高いと判断しているようだ】
【敵対的な行動を取らない限りは、物騒なことにはならないだろう】
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 23:00:46.54 ID:oqPpw5Uio
>>613
「……この……、クソコスプレ野郎が……」

「だーれがコスプレ野郎だハゲ。れっきとした"魔法使い"にふざけた口叩いてんじゃねーぞ……っと?」

【積み上がった不良の1人、スキンヘッドの男の言葉も(若干「魔法使い」が強調されたが)軽くいなし】
【帰ろうと大通りへと歩き出そうとした男……ライラだったが、その声で漸く気がついた少女の存在】
【今まで不良達をボコしていたからか、見た瞬間こそ「げっ」とでも言いたげな表情だったが、それは直ぐに消え去り】
【彼女が指で示したワッペンを見てか、それとも此方が悪だと勘違いされなかったことからか。残ったのは不敵な笑みだった】

「なーに、ちょっと路地裏歩いてたらアイツらがイチャモンつけてきたから、無視しようとしたんだ。したらアイツらが殴りかかってきたワケよ。
 ま、この大魔法使いライラ=フェルンストレームに勝てる奴は居ねーけどな!」

【……勝手に自供を始めたライラだったが、どうやら本当に正当防衛のようで。少し過剰な自己紹介も入っているが】
【因みにライラの脳内辞書に「過剰防衛」の文字はないらしい】

「……それにしても、"SCARLET"か。…………こんなチミっ子がな……」

【次いで男が気にしだしたのは彼女の所属。"SCARLET"といえば、世間的にも有名な組織であり、ライラもよく知ってはいるが】
【気になったのは「この少女が」SCARLETに入っているという事実であった。男の口の悪さも相まって、かなり失礼である】

/すいません、風呂入ってきます!
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/25(金) 23:20:59.38 ID:epxnbW5ZO
【とある丘の朝方】

「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…」

【時間は朝方。まだ空には太陽が完全には昇っておらず、薄い光が世界を照らしていて、肌で感じたそよ風は若干冷たく耳で聴いた小鳥のさえずりは1日の始まりを教えてくれていた】
【そしてその光に照らされる丘が一つ。青い草原に覆われた地面に小さな木々、そしてその地面の上を軽い足取りで走る1人の少女がそこにいた】

【少女の名前は星坂春花。見た目からして年齢は16〜17のどちらかだろう。黒とピンクのスウェットに紺色のジャージといった如何にも動きやすそうな服装をしている春花は山吹色の髪色にサイドテールといった髪型をしていた】

「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ……ふぅ…」
「よっと…おぉ、いい天気〜」

【朝一のランニングを終えると春花は軽く飛び跳ね、丘の上から昇ってくる太陽を眺め始めた】
【これが春花の日課である。朝一に丘の上でランニング、それが終われば昇ってくる太陽を眺める。毎朝春花はこれを飽きずに繰り返していた】
【何故このようなことをするのか、それは春花にしか分からない。ただ一つ言えることがあるとすれば_】

「よしっ!これで今日も美味しくお肉が食べられる〜」

【勿論、これ以外にも理由はある。だが、これも一つの立派な理由だと覚えておいてほしい】
【春花は朝日に照らされた自身の額の汗を、あらかじめ用意しておいた淡い水色のタオルで拭うとふぅと一息した】
【そして手に取ったタオルを近くの木に掛けると春花は自身の右拳を太陽へと向けた】

「……はああぁっ!!」

【力の篭った声をだすと次の瞬間、太陽へと向けた右拳がどこからともなく現れた炎により瞬く間に包まれていった】
【太陽の如く燃え盛る自身の右拳を、ゆっくりと顔へと近付けていく。そして春花は何処か優しく表情をしながらフッとその炎へと吐息をかけた】

「偶には、春花以外の能力者とも会ってみたいな…。な〜んて!こんなとこ誰かに見られたら大問題だよ!」

「でも…一回くらいは練習試合っていうのしてみたいな…」

【吐息をかけだよ炎はいつの間にか消え、春花は辺りを見回すと、木に掛けたタオルを首に掛けその場を立ち去ろうとした】


/こんな時間ですが、募集します!
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/25(金) 23:22:06.30 ID:Q8AQP9jGo
>>614

まぁ……そんなところではないかと思ったのじゃ
そんな目立つ格好で歩いておれば、難癖の一つも付けられようモノじゃろうがな


(しかし、大魔法使い……のぅ。どうにもそのフレーズは聞くと頭が痛くなるのじゃ――)


【不良が言った「コスプレ野郎」という表現にはある程度共感できた】
【魔法使いの正装を一概に悪いとは言わないが、こうも荒んだ場所であれば話は別だ】
【往々にして目に付く"異物"は排斥されるものである】

【その途中でカミナは脳裏に一瞬、自分の"妹"がする普段の言動を過ぎらせたが】
【頭を軽く振って思考を目の前の状況に戻した】


ふん。見た目で侮っておるようでは"大魔法使い"様とやらも大したことないのぅ?
足元を掬われぬうちに、その癖は直しておくことを勧めるのじゃ


【彼の侮るようにも思える言い草に対して】
【カミナは言われ慣れたと言わんばかりに手をひらひらと振って受け流す】
【口の悪さに対して特に機嫌を損ねた様子は見受けられないのは幸いであっただろうか】

【……よく見ていたならば、言われた瞬間】
【少し眉をピクリと動かしていたのに気づけるかもしれないが――】


取り敢えず、何時までも遊んでおるわけには行くまいよ
そやつらにどれだけ仲間がいるかもわからぬしな……余計な面倒に巻き込まれぬ内にさっさと表に出るのじゃ


【簡単な事情聴取は終わった。ならば次は状況を悪化させず収めることだ】
【カミナは、ライラに背を向けて「ほれ、早く来ぬか」と一声かけて歩き出す】
【言葉からして「ついてこい」という意味だろう】
【SCARLETの仕事の一環として市民の護衛というものもある。……見た目からすると逆にも見えるが、職務を全うしようとしているようだ】

【もしついてこなかった場合は、足を止めてライラの方へと振り向くだろう】
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/26(土) 00:04:57.03 ID:3vU23yJso
>>615
【春花が短い休憩を終え、一度太陽に向けて燃え盛る拳を繰り出してから、帰路に就かんとしたその時だ】
【彼女の正面から、ひゅう、と掠れた口笛の音が響いた。見ればそこには紅蓮の長髪をポニーテールに結い上げた、妙齢の女】

先客かい。……見てたよ? ちっこい成りして、中々どうしてやるじゃない。
「し、ししょー! ちょっと待って下さいよう! いきなりペースアップとか貴方、一体何を……!」

【かなりの長身に、引き締まった、しかし女性らしい体型。デニムのショートパンツに黒いタンクトップといった軽装に】
【上から一枚、丈の短い薄手のジャケットを羽織っている。勝ち気な笑みを浮かべる彼女の背後からは】
【少し遅れて──この暑い季節だというのに──ロングコートをだぶつかせながら、少年とも少女ともつかない小柄な人影が駆けてきて】
【春花の姿を見付けると、ぺこりとかしこまったお辞儀をした。一方、女は勝ち気に笑って】


ちょっと、ちょーっと待った。あんた今、何つった?
あたしの聞き違いじゃなきゃ、その、練習試合がどう──とか。


【立ち去ろうとする春花に向けて問い掛けつつ、その歩みを遮るようにして真正面に回ると】
【浮かべた笑みを一層深めて、練習試合のお誘いを持ち掛ける】
【その背後ではコートの人影が、「またいつもの癖ですか……」と深い溜め息を吐いた】
/途中で切る事になるかと思いますが、まだいらっしゃれば
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 00:06:42.55 ID:cKHwdOcto
>>616
「ヘイヘイ、直しておきますよーっと。
 こんなちびっ子に"カノッサ機関ハンター"がまた逮捕されちゃ敵わねーからな。

 ―――あー、それもそーだな。ちょうど今――――――」

【カミナの反応が薄いのを良い事に、また正義の盾に向かってそんな言葉を吐くライラ。つまり、彼女の眉の動きなど見ていなかったのだろう】
【しかしライラは、更に奇妙な事を口にする。"カノッサ機関ハンター"。悪の権化として名を轟かせるその組織を狩る者、直訳しなくともそんな感じだろうか】
【何かとてつもなく胡散臭い肩書である。その言葉を放って当たり前のような顔のライラを見る限り、それは嘘ではないらしいが】
【とりあえず、大魔法使いでカノッサ機関ハンター。それがライラという男であった】


【さて、カミナの誘導に対して抵抗する様子もなく付いていくライラ。しかし何かを口に出そうとした瞬間】

「―――おいゴルァァァァッ!!! 俺のダチぶっ倒したのはテメェらかゴルァっ!」

【なんて、強い怒声が響いてくるだろう。再び路地裏奥を見れば、そこには大刀を持った一人の屈強な不良の姿】
【どうやら先ほどライラが倒した不良達のリーダーらしい。鼻息が荒く、直ぐにでもこちらへと襲い掛かってきそうな雰囲気を纏っている】

【対してライラは冷や汗である。先ほど不良達を吹き飛ばした魔法を使えば直ぐにでも勝てそうなものだが、「やべー……」と小声で呟いていたり】
【その内ライラは、カミナへと小声で話しかける。軽く絶望的な表情で】

「……俺、丁度魔翌力が切れてんだよ……」

【意訳すれば、SCARLETのお姉さん助けてくださいということだろう。不良のヘッドが出てくる前、言いかけていたのもコレだ】
【そうこうしている内に、そのヘッドはカミナとライラに向けて走り、勢い良くその刀を振り下ろすだろう。その太刀筋は二流以下のそれだが、パワーはそれなりにあるようで】
【加えてその脚力も強い。そのまま逃げるのは、難しい物が有るが――――――?】

/すいません、遅れました……
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/26(土) 00:27:54.64 ID:cugdOtg3o
>>618

ふむ……ちと遅かったかの?
まったく、喧しい奴は一人で十分だというに……面倒事が増えたのじゃ


【去ろうとした矢先に現れた一際屈強な不良の姿に対して】
【カミナは面倒くさそうに髪を掻き上げる仕草を取って】
【肩付近で浮かせていた"虫のような物体"をコンコン、と指で叩いた】


雑兵相手に調子に乗って魔力を使い果たす大魔法使い、のぅ。
まあ何も言うまいよ。御主自身が一番"よく判って"おることじゃろうしな


【ライラから告げられた言葉に対して、表情に呆れたような色を混ぜながらも】
【それ以上余計な声を重ねることもなく彼に対して左手を差し出した】


――目を瞑って黙ってわらわの手を掴んでおるがよい

ちと揺れるかもしれんが、わらわのような美姫の手を握れるのじゃ……
役得の代価とでも思っておくがよいわ


【そうとだけ告げると、カミナは浮かんでいた虫のような物体に"力"を封入し】
【太刀を片手に襲いかかってくる不良のリーダーに対して"打ち放った"】

【"虫"は弾かれたように不良の顔面へと向かっていき】
【一定距離まで近づいた瞬間に大きな炸裂音と共に周囲に閃光を撒き散らす】
【「蛍折り紙」。特性は「発光」と「炸裂」】
【夜間周囲を照らす灯りの役目と、非常時の閃光弾としての用途を持つ補助型折り紙であった】


【蛍折り紙を放った瞬間にカミナの着物の背、肩甲骨付近の細い切れ目から白い"翼"が出現する】
【折り鶴の其れを肥大化させたような紙の翼を一度打ち振るわせると】
【閃光が辺りを覆うと同時に「特性」を発動し、高速で空に飛び上がっていこうとする】

【その際にライラが手を掴んでいれば、そのまま引き上げて一緒に飛翔しようとし】
【もし躊躇っていた場合は首根っこを掴んで"持っていこう"とする】

【妨害などをされず、二人で空を飛ぶことになったならば】
【凄まじい加速の衝撃と浮遊感を味わうことになるだろうか】

【上記の行動が成功した場合、数分の飛行の後に近くの公園にまで移動することになるかもしれない】
【逆に何らかの理由で飛翔による撤退が失敗した場合は、その場に留まり戦闘することになろうか】
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 00:56:06.55 ID:cKHwdOcto
>>619

【カミナの鋭い指摘にハハハ、と乾いた笑いを出す事しか出来ないライラ】
【ライラ自身認めたくはなかったが、不良相手に躍起になって魔法を撃ちまくり、魔翌力切れになったのは事実である】

【次いで差し出される彼女の手に、ライラは一瞬躊躇った。まさか、彼女が手を引いて走って逃げる訳ではないだろう】
【どう考えてもあのヘッドから走って逃れるのは不可能であるし、例え彼女にそんなに脚力があろうと自分には無く、完全にお荷物になるのだから】
【だが、彼女のまるで当然だと言わんばかりの言葉に、策の無いライラは結局は甘えることになるのだった】

「―――んなぁ!?  ……っ目があああぁぁぁぁ……!!」
「……うおぉぉぉぉぉ!?」

【そして肝心のヘッドの方であるが、カミナのいきなりの行動に対処するなど到底不可能なことであり】
【そのホタルのような折り紙が放つ眩い……というより失明でもしそうな勢いの閃光をモロに浴び、苦悶に満ちた叫びを上げその場に崩れ落ちるのだった】

【同じく叫ぶのはライラの方である。目を瞑ったお陰でヘッドのようになるのは避けられたが、流石に突然の急上昇には目を開けずにはいられない】
【見れば、カミナの背中から翼が生えていた。……いや、翼型の紙、というべきか。兎も角、飛んでいるのは事実であり】
【先ほど自分が「チミっ子」だと評したその少女の能力に、驚かざるをえないのであった】


「……やっぱすげーんだな、SCARLETって。ヴェンドゥラーで見たロウってヤツも強かったけどよ。
 アンタ……カミナだったか。カミナも、カノッサとかと戦ったりしてんのか?」

【数分後、すいませんでした、と大人げなく1回謝った後にライラはそうカミナに尋ねる】
【口に出すのは彼女と同じ組織に所属する人物の名だろう。ライラが言う通り、ライラはその不殺の銃士を1回見たことが有った】
【少女とはいえ、SCARLET隊員。各地の戦いに身を投じているのだろうかと思いながら】
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 01:20:50.77 ID:cugdOtg3o
>>620

【公園に辿りつけばカミナは握っていた手を離し】
【紙の翼を畳んで着物の中に収納して、飛翔中に付着した塵を手で軽く払った】
【そして、近くにあるベンチに足を揃えてゆっくりと腰を下ろし】
【「ご苦労じゃったな」と一声かけて自分の隣を手でポンポンと叩く仕草を見せた】


くくっ……ようやくわらわの偉大さが判ったかの、大魔法使い様よ?

なに、謝る必要はないのじゃ。
人助けはSCARLETの仕事じゃからな、当然のことをしたまでのことよ
これに懲りたら、少しは節制を心掛けることじゃよ


【チビッ子と侮っていた人物が殊勝に謝る姿を見て】
【少しばかり芽生えていた不快感も晴れて、含んだような頬笑みを浮かべた】


ロウ……ああ、マーシャル・T・ロウか。

あの時はよく判らん男だとしか思っておらんかったが
よくよく調べてみれば随分と大物なのじゃな、あやつは――いずれ"挨拶"せねばのぅ


【ライラの口から語られた人物の名に何やら思うところがあるのか】
【挨拶、という部分に若干強調するようなアクセントを交えながら一人呟く】
【そして、次いで放たれた質問に対しては】


無論、カノッサ機関も……今はGIFTとやらも暴れまわっておるから大忙しなのじゃ
わらわはまだ新人隊員ゆえ、大きな戦場には一度しか出向いておらんがの――


【肯定。まだ幼く小さく見える少女も「正義」の為に力を振るう戦士のようであった】
【カミナは上記の言葉に続けて――】


――それで……"も"、ということは御主も奴らと戦っておるのかの。
ライラは何処かの組織に属しておるのか? SCARLETの名簿では見覚えのない名じゃったが


【彼の言葉の内、気になった点を抜き出して質問を返した】
【同じ敵を狙うならば協力体制を取ることも可能ではないかという考えを含んだ質問だ】
【未だライラの力量も、人格もよく判っていないが】
【今は少しでも世界の悪に対抗する力が必要であるとカミナは考えていた】
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/26(土) 01:33:16.82 ID:cchBppWVO
>>617

【毎朝何時もようにランニングをし、何時ものように太陽を眺め、何時ものように家へと戻り、何時ものように大好物の肉を食べる。そしてきっと今日の朝も何事も無くその”何時も”で終わるんだろうと、そう思っていた】
【しかし、その思いはすぐ正面から聴こえる若干掠れた音をした口笛により弱々しく吹く微風と共に何処か遠くへと飛んで行った】

あ…………。

【口笛が聴こえた正面。よく見ればそこには、紅蓮の髪色をした長い髪をポニーテールに結び上げた妙齢_春花より目上であろう女性がそこにいた】

えっ?あっ、いや…はい!

【女性の服装は春花と同じくどちかと言えば”動きやすい”服装で、しかし、春花よりも引き締まったその肉体は服装など関係なしに”動きやすい”引き締まった肉体だった。だが決して男性の様な肉体では無く、寧ろ女性らしい美しい肉体をしていて、思わず春花は見惚れてしまった】
【何故か勝ち誇った顔をしている女性の後ろからはこれまた不思議なことに、この暑さだというのにロングコートを着た少女とも少年とも見える小さな人物がやって来た】

うえええっ!?み、見てたんですか!?
うわああああーーー!誰にも見られないと思ってたのにーーーーーーーー!!

【女性の言葉を聞き思わず頭を抱えて地面へと座り込んでしまう。もうお終いだ、きっとこれから自分は見世物として一生を過ごすんだ。と勝手に思い込んだ春花。
しかし、その勝手な思い込みは自身の目の前へと回り込み尚、深い笑みを浮かべた女性からの誘いにより見事に崩れ去った】

もしかして…貴女も能力者なんですか!?
春花、自分以外の能力者と会うの初めてで、うわあ〜…なんか感動っ。

…ってえええええ!?れ、練習試合ですか!?

【女性からの誘い、練習試合の誘いを聞いた春花はやっと女性も自身と同じ能力者だということに気付いた】
【そう気付けば話は早い。春花自身が待っていた練習試合をする機会が今やって来たのだ。勿論、この誘いを断る理由などない】

そんなの…勿論…受けて立つに決まってるじゃないですか!!
だって初めて会った能力者ですよ!手合わせくらいしてみたいじゃないですか!
王道ですよ!王道っ!!

【余程自分以外の能力者と出会えたのが嬉しかったのか、はたまたこれから手合わせできることが嬉しかったのかもしくは、その両方かは分からないが、兎に角嬉しそうに満面の笑みを浮かべる春花】
【あまりの興奮により、春花の足元からは微量な炎が吹き出し始めた。どうやら春花は準備万端のようだ】

//遅れてすいません!!まだ、いらっしゃいましたらっ。
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 01:45:54.31 ID:cKHwdOcto
>>621

【自分より年下の女の子に上から目線でそう言われると、否が応でも言い返したくなる負けず嫌いのライラだが】
【今日に限っては完全に此方に非があるのだし、そういうわけにも行かず】
【ベンチに腰掛けると持っていた杖に頭を載せ、非難の声の代わりに声にならない小さな唸り声を上げるのだった】


「そうそう、俺も調べてみたんだが、組織でリーダーやってたらしいな。一緒に戦ってた奴がそんな奴とは思わななかったけどよ。
 そんな奴が居るなんて、SCARLETもデケー組織なんだな―――……?」

【改めて、組織と言うものの強大さを思う。カミナが強調した"挨拶"の意図は分からず仕舞いだが】
【続くカミナの答え、やはり戦っているというそれに、やっぱりな、と返すライラ。あの「折り紙」の能力から、ある程度予想はついていたが】
【彼女が言う通り、敵はカノッサ機関だけではない。「GIFT」も強力な能力者を擁す凶悪な集団だと聞いている】
【悪の組織が複数あるのだ、忙しくないはずはない―――ライラは密かに、彼女の疲れを労うのだった】


「……俺か? いや、俺は組織には所属してねー。1人で"カノッサ機関ハンター"やってんだ。
 特に追ってんのはカノッサNo,29のカニバディールと、ソイツがボスの「スクラップズ」とか言う盗賊団……。アイツだけは俺が倒す……ってな」

【カミナの質問には軽く首を振り、フリーであることを明かす。先ほどの胡散臭い肩書がまた出てきたが】
【その次、ライラが特に追いかけているというカノッサ機関のナンバーズの話では、柔らかかったライラの笑みに、真剣味が加わるだろう】
【……只の酔狂な奴ではない。本気でそのナンバーズを追いかけているのだとカミナには伝わるだろうか】
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 02:15:08.33 ID:cugdOtg3o
>>623

SCARLETは元より、大半が国に選ばれたエリートらしいからのぅ
"元組織のリーダー"が団員として加わっておっても不思議ではなかろうよ

何せ、世界中の軍と警察が協力して設立された特殊部隊じゃ
規模という点で見たならば、過去に正義を掲げた組織の中でも指折りじゃろうな


【「わらわはメンバーにスカウトされたクチじゃし、詳しくは知らんがの」】
【と、最後の言葉を付け足して締めくくる】
【SCARLETや、UNITED TRIGGERは間違いなく巨悪に対抗しうる強力な組織である】
【しかし、それらの力があっても未だにテロリストに対する抑止力とは言うには厳しい状況だ】
【各地の戦場に姿を見せてきたライラならば、二つの正義の組織の目指す"平和"の遠さも理解出来るだろうか】


か、カノッサ機関ハンター……のぅ。
やっておることはこの上なく判りやすいが、何とも言い難い名前じゃな


【カノッサ機関ハンター……初めて聞く肩書きであった】
【もう少し前から戦場に出ていたならばライラの噂を耳にしたかもしれないが】
【今は簡単な資料と情報ネットワークに目を通した程度で】
【未だライラの重ねてきたハンターとしての実績などは知らず、その名に少々胡散くさげな視線を向けるも】


――まぁ、御主の名付けのセンスは兎も角として
御主も軽々しい気持ちで戦っているわけではなさそうじゃな。

半端な気持ちで足を踏み入れておるのならば、即刻叩き出してやろうと思うておったが
その顔を見れば御主がどんな気持ちで力を振るっておるのか、少しは判るというものよな――


【ライラの真剣味を帯びた様子を見て、その認識を改めた】
【ふっ……と口元に薄く笑みを浮かべた後に、指を中空に翳して小さくパチンと打ち鳴らした】

【すると目の前の空間が微かに歪み、無から紙が出現してふわりとカミナの手に舞い落ちる】
【そして、懐から細いペンを取り出してサラサラと何やら数字を書き込んで差し出す】


……わらわもカニバディールとは因縁があるのじゃ
SCARLET隊員ではない御主に、情報ネットワークのアクセス権を渡すわけにはいかんが
奴らに関しての情報があったならば、わらわが個人的に伝えてやろう

その代わりに、御主も奴らの尻尾を掴めたならば情報を渡して欲しいのじゃ
奴らに関してのことだけではなく、別の悪党共のことでもよい
わらわを介して正義組織の皆に情報を伝える事も出来るのでな――まぁ、ちと連絡がつかなくなる時もあろうがな


【紙にはカミナの電話番号とメールアドレスが記されている。つまりは、情報交換をしようということだ】
【承諾が得られたならば、後日から情報ネットワークにある"スクラップズ"や】
【望めば他の敵対勢力に関する情報もカミナを介して得ることが出来るようになるかもしれない】

【また、逆にライラから情報を流しカミナを通して正義組織の皆の伝えることも可能になろうか】
【……カミナが"入れ替わっている"時は出来なくなるが】
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 02:49:47.86 ID:cKHwdOcto
>>624

「……なるほどなー……」

【と、真面目に聞いていたのかいなかったのか分からないような相槌を打つライラ。勿論、話こそ真面目に聞いていたのだが】
【少し気になったのは、カミナ自身である。この少女、容姿はまだ年端もいかない少女だがかなり詳しいようで】
【もしかすると……などと考えると、ライラの放った「ちびっ子」とやらがカミナに与える影響の予想以上の大きさがライラにも理解できてくる】
【……閑話休題】


「……。

 分かってくれて助かるぜ。……アイツらは賢くて、んでもって強ぇ。軽く考えてると、直ぐ死んじまうからな。
 ……アイツに肉を喰わせるわけには、もう行かねーんだ」

【その名については、正直ライラにとっても予想通りの反応であった。いつもどおりのそれなのだからしょうがない】
【兎に角、カミナは取り敢えずは自分を認めてくれたようで。フーっとため息を付きながらも、加えて宿敵に掛ける想いを話したライラ】

【パチンと鳴らした指、空間の歪みから取り出される紙を見て小さくおお、と漏らしたライラ】
【紙を操る能力……詳しいことは分からないが、カミナに秘められた力をそう予想する。先ほどのホタル、翼もそうだが、強力なそれであることは間違いなく】
【その後差し出された電話番号とメールアドレスにはサンキューと言いつつ懐にしまい、コチラも取り出したメモ帳に自分の物を書いて手渡すだろう】
【情報共有にも、ライラは快諾する】

「あぁ、勿論。お互い頑張ろうぜ。

 ―――……もうこんな時間か。じゃ、俺はもう行くぜ。色々ありがとな、カミナ」

【もうどっぷりと夜が更けた空。時計を見ながらそう呟いて、感謝を口にしながら軽く手を降ってライラは去っていくだろう】
【一つの小さなコネクション。それは、フリーのライラにとってはとても太いそれであり。言い方こそ軽けれど、感謝の度合いとしては最高であったりする】
【後日、何方かから何方かへ情報が送られるかは、また別の話】

/ここらで〆ましょうかね、ロールお疲れ様でした!
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 02:59:07.26 ID:cugdOtg3o
>>625
/お疲れ様でしたー!
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/26(土) 04:56:49.20 ID:Prp/+Tjc0
声なき声に
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/26(土) 09:02:40.25 ID:HOqwEfAyo

【公園】

 この世界にも、奴等のような存在がいる……
 早めにスーツの修理出来る人を探さないとといけないなぁ。

 【ソフト帽を被った赤い髪の男が、ベンチで考え事をしている】

 そもそも、こいつの修理が出来る人間が、この世界にいるかどうかも分からんのだがな、

 (ここは異世界ではある、それは間違いない、昨日の段階で不審な出来事がいくつも起こっているようだしな。)
 (この世界の技術力がどの程度の物かも、来たばっかりの俺には分からないしなぁ……)

 たとえいたとしても、機関だったか、そういうのの協力者って可能性もあるしなぁ……

 【男は大きな溜息をした】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/26(土) 11:49:17.53 ID:HOqwEfAyo
/もう少し置いときます
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/26(土) 14:53:39.02 ID:HOqwEfAyo
/とりあえず、用事入ったので席ぬけますね
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 16:10:07.11 ID:e2+uyrVwO


「わーーー」『キャーー』


【水の国 フルーソ 】
【黒いレインコートに身を纏った不審な男がいる。】
【彼は――彼の住むアパートを彩る花壇に、ホースで水を与えているところであった。】
【気まぐれに水を飛沫に変えれば、そこには虹がかかって。】
【雨の降り続ける街に住んでいたにも関わらず、彼は虹と言うものをみたことがなかった――、年甲斐もなく思わずみいってしまう。】

【面白半分に現れた同じアパートに住む子供が、ホースの水を遮る。】
【――いつのまにか、子供らに水をかせて遊んでいた。】
【花壇には中途半端にしか水はかけられておらず、ホースの水あたり構わず撒き散らされている。】
【人通りが少ない道とはいえ、人が通れば被害を被るかもしれない。】
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/26(土) 19:19:39.95 ID:HYfy6cvF0
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――風の国 公園】

……もう、時間もない。手段もない…………
所詮、夢物語に縋るのは、間違いだったって言う事か…………?

【黒いコートをしっかりと着込み、魔術師である事を如実に表す黒のハットを被った】
【手には、頭部に青い石が嵌めこまれて先端を鋭く尖らされている、細い金属製の杖を握り締めている】
【漆黒のボブカットと、幼さを残しながらも憂いを帯びた様な瞳をした、身長160cm前後の中性的な青年が】
【ベンチに深く腰掛け、右手で頭を抱えながら、こわばった表情で溜息をつく】
【爽やかな風の吹くこの場所であっても、季節のせいかどんよりと重く生ぬるい風が吹き抜ける】
【垂れこめる夜の帳に散らされかかっている、わずかな陽光の残滓が、尚更重苦しい雰囲気を醸し出していた】

――――散れッ! 今手前は、それどころじゃないんだ……!

【ふと眼を上げた所に目に付いたのは、側へと寄ってきて、手を差し出してくる薄汚い服装の男――――物乞いだろう】
【一瞬眼を怒らせると、左手に持った杖を振るって、その袖口をすっぱりと切り裂いて、乞食を退散させる】
【――――有尖無刃器に近い形状の杖で、よれた袖口を切ってしまうのは、並大抵の事ではないのだが】
【この青年にとって、そんな事はどうでも良い様で。再び俯きながら頭を抱え出していた】



【――――所変わって、水の国 路地裏】

……生きてく為には、仕方がなかった、か? だがまぁ、どの道お前にもう生きていく道は無かったんだな

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年が】
【刃物で刺し殺されたと思しき、恰幅の良い男の死体と、胴体に拳大の風穴が空いている、みすぼらしい少年の死体を見下ろしながら、立ち尽くしている】
【少年の手には、血の付いたナイフが握り締められており、恐らくそばの男を刺したのはそのナイフで間違いないのだろう】

……お前は俺が裁いたんだ。もしも次の機会があるのなら、その時には悪に手を染める事の無い様に、肝に銘じるんだな……

【そう言い残すと、2つの死体に背を向けて歩き始める青年。真新しい死体から、ゆるゆると血が地面に流れ出し、広がっていった】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/26(土) 19:52:45.81 ID:HOqwEfAyo
 >>632

 【水の国 路地裏】

 おいおい、人殺しですかー赤い髪のお兄さん

 【黒いソフト帽を被った赤い髪の男が、青年が向かう方向に現われた】

 (また路地裏かよ!!しかも今日は朝から昼までずっと公園のベンチにいて、時間無駄にしちまったしよ)

634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/26(土) 20:06:59.91 ID:HYfy6cvF0
>>633

…………だからどうした?
お前は俺に何が言いたいんだ……?

【その場を立ち去ろうとした青年の眼前に、赤い髪の男が現われる】
【そのまま無視して通り過ぎても構わないかと判断していたが、流石に相手から声を掛けられてはそう言う体を通す訳にもいかず】
【立ち止まり、逆に男に対して青年は問い返した】

……ガキの方を殺したのは俺だ。そっちの男の方は俺じゃない。そこのガキがやった事だ

【チラリ、と視線を後ろに向けて、先ほどの2つの死体を再度確認する青年】
【男を刺したと思しき刃物は、少年の手に強く握り締められている。2人の血を浴びて、そのナイフも大変な事になっていた】

……言っておくが、死体漁りなんてやろうと思わない事だな。ガキの方は勝手にすれば良いが、どうせ大したものは持っていないだろう……
男の方はただの被害者だ。そこから剥ぎをやろうと言うのなら……俺が許さん。あのガキの二の舞になってもらうまでだ……

【右手をコキコキと鳴らしながら、事もなげに青年は口にする】
【どうも、自分が殺した少年の方には、なんら興味は持ち合わせていない様で、ただ死体の男の方にだけ注意を添える】
【男を殺した少年を、それ故に殺したと言う事なのだろうが、さもそれを当然の様に振る舞っている青年も、ただの一般人と言う訳ではないのだろう】
【――――同時に、あっさりと人殺しをしてのけるだけの力を持っている事も、事実として考えられる】
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/26(土) 20:17:15.50 ID:HOqwEfAyo
 >>634

 そう喧嘩腰になるなよ、ただ話が聞きたくてな……
 死体漁りなんて下衆なまねしねーよ。
 ただ、ガキを殺した、どうして殺したんだ。

 【敵意のような物をぶつけらけれても帽子の男はひるまない】
 【男にとって、こんなことは良くあることだった】
 【ただ、子供を殺した、その行為に疑問を持った】

 (ガキを殺したか……普段の俺なら、何も言わずにぶん殴ってただろうな)

 金目当て、そんな下衆い事って訳じゃないんだろう?

 (この世界には能力者がいる、故に俺の常識は通用しねぇ可能性がある)

 【すぐに戦闘体勢を取れるよう警戒しながら、帽子の男は問う】

 場合によっちゃ、助けになれるかも知れねぇしよ。
 俺の名は黒須春斗、あんたは?
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/26(土) 20:29:49.69 ID:HYfy6cvF0
>>635

……人殺しと言う『悪行』に手を出したからだ。俺はそれを裁いただけに過ぎん
……権限がどうの、と言う話に答えるつもりは無いぞ。それが俺にとっての正義だと言う、それだけの話だ……

【謂わば、青年は自分自身の信条の故に下手人である少年を、私的に裁いた、と言う事になる】
【そこに、何らかの確信じみたものを持っているのだろう。青年に物怖じする様な様子は、相変わらず一切存在しない】

……そこのガキの強盗殺人は、恐らく常習化しているものだ。もう何人も殺してきたんだろう……
人間を、しかも大人を一突きで殺すなど、こんな子供にそう簡単に出来るものじゃない
おまけに、ガキの掌を見てみると良い。ナイフの底を押さえながら、体重を掛けた『跡』がくっきり残っている
これは、殺しのやり方を多少なりとも分かっている人間のやり方だ……
怨恨だと言うのなら、もっと死体を派手に損壊させている……金目の物目当ての殺人と言うのは、ほとんど間違いないだろう……

【状況柄なのか、あるいは普段からそうなのか。青年は顰め面のままで、状況から読みとれる少年の素性を口にする】
【普段から、人殺しに手を染めている人間なのだろうと、そこまでアタリをつけて】
【そこまで確信を抱いているからこそ、青年は少年を『裁いた』と言うのだろう】

…………櫻の国の人間か
……トライデント=コーザー=ヴァーミリオン。それが俺の名だ

【ポツリ、男――――春斗の名を口にしつつ、青年は自らの名を名乗る】
【青年――――トライデントは、この事に関して、余り多くを語る気も無い様で、そこで言葉を区切った】
【それは、後ろめたくて隠そうとするものではなく、単純に面倒に巻き込まれる事を疎んでの物なのだろう】
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/26(土) 20:41:06.53 ID:HOqwEfAyo
 >>634

 そうか、引き止めてすまなかったな。

 (私刑って奴か……まぁ俺も元いた世界で考えればそれなんだよなぁ)

 トライデント、あんたのやったことは世間じゃ褒められたものじゃねぇ。
 だけどよ、俺はあんたの魂?って言うのか、それの中に確かに強い光を感じる。
 すくなくとも俺は、あんたの味方って奴だよ。

 【春斗は何の根拠も無く、トライデントを信用した】

 それとよ、この辺に腕のいい機械技師を知らねぇか?
 ちょいと、大事な物が壊れちまってな……
 知ってたら教えてくれるとありがてぇ。

 (ん……櫻の国って、また俺の知らない単語かよ)

 そうそう、ついでに言っておくが俺は櫻の国って所の出身じゃねぇぞ。

 【春斗はトライデントに、今日の朝からずっと考えていた事を尋ねた】
 【もし、知っていて教えれば、春斗は都合のいいタイミングであれば、必ず助けに来るだろう】
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/26(土) 20:56:19.43 ID:HYfy6cvF0
>>637

…………ん

【どうやら春斗は引き下がるらしい様子を見せて、トライデントはただ小さく頷く】
【無論、それはただ言葉の上だけでの事なので、まだ取るべき態度を完全に決めるには至らないのだが】

…………珍しいな。こう言う場面で首を突っ込んでくる連中は、大抵が糾弾してくる連中ばかりと言うのに……
そっちがそう言うなら、こっちからも別に危害を加える理由は無い……
まぁ、あんたが何かの罪業を背負っている人間じゃなければ、の話だがな……今はそんな事分からないし、少なくともその時じゃない……

【ほ――――と、軽く口を突き出して驚く仕草を見せながら、トライデントはそう答える】
【世間一般に褒められた行為ではない、と言うのは確かにその通りで、青年にもその自覚は存在する】
【だがだからと言って、青年は己の信条を譲るつもりはさらさらなく。だからこそ声を掛けてきた春斗を警戒していたのだが】
【春とが口を出さなければ、そしていわゆる『悪人』で無ければ、トライデントも敵対はしないのだろう】

……悪いが、そういう人脈は良く知らない……それに関しては、俺の手には余る話だな……

【機械技師、と聞いて微かに考え込む仕草を見せるトライデントだが、そう時間は掛からずに「知らない」と返事する】
【――――余り人付き合いの良い男にも思えないトライデントなら、あるいはそれも無理からぬ事なのかもしれないが】

……ん? ほぉ……珍しい。明らかに櫻系の名前なのに、櫻の出身ではないのか……
そう言う類の奴は、滅多にいないと聞いてたんだがな……

【春斗が『ついで』と言って口にしたその内容に、トライデントは興味深げに頷いた】
【櫻の国には、他の世界とは明らかに一線を画す、独特の文化が根付いている。それは生活様式から建築・美術に関するまで、様々だ】
【『黒須 春斗』と言う名前も、聞けば一発で櫻の国の人間だと判断できるくらいに、櫻の国のそれは特有で分かりやすいものなのだが】
【それが櫻の国出身で無いとは珍しいと、トライデントは感じ入っているのだろう】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/26(土) 21:06:41.22 ID:HOqwEfAyo

 >>638

 あー、何て言うかな……俺が元々いた場所で、似たようなことやってたからな。

 (改造兵士、例え人としての心を失ったとしても、殺したのは事実だからな)

 知らないならかまわんよ、頭の片隅にでも置いといてくれ。
 見つけて、俺に会ったら教えてくれりゃそれでいいしよ。

 【自分の名が珍しいと聞いて春斗は納得した】

 (まぁ、そりゃ異世界人だしな、そうほいほいいるもんじゃないだろ)

 まぁ、珍獣見たいなもんだとでも思ってくれりゃいいよ。
 じゃ、俺は行くわ、お前も早くどっか行ったほうがいいぞー。

 【春斗はトライデントに背を向けて街中に歩いていった。】

 /ちょっと、用事入ったので。乙でした!!
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/26(土) 21:19:12.83 ID:HYfy6cvF0
>>639

…………そうか。それが『いわゆる正義』に裏打ちされた殺しである事を祈るよ
(櫻の名前で櫻の生まれじゃないと言う事は……時折存在する異世界人だろうからな……俺からは、確かめようもない……)

【トライデントは、人を殺す事を悪とは言わない。ただしそれは、相手が『いわゆる悪』である場合だけだ】
【口には出さなかったが、トライデントはこの時、春斗の素性を異世界人だろうとアタリをつけていて】
【だからこそ、真偽のつかないその憶測に拘泥する事はなく、ただそっと言葉を添えるだけに留めたのだろう】

……分かった。そうさせてもらおう……

【人脈には乏しいトライデントだが、その事を頭の片隅に留めておくくらいなら良いだろうと頷いて】
【さほど自分から積極的に動く事は無いかもしれないが、その時になれば思い出すだろう】

……仮にも人だ。珍獣扱いなんてしないさ。それに、前例がない訳でも無い……

【――――実物に会ったのは初めてだが。と、トライデントは胸中に続きの言葉を秘める】
【それを自ら口に出さないと言う事は、こちらから追及をする事でも無いのだろうと、そう判断したのだろう】
【もしもそれ故に行くあてが無い、等の問題に直面しているのなら、それを自ら口にするはずで】
【それをしないと言う事は、単純に首を突っ込む必要もないのだろうと考えたのだ】

…………勿論、いつまでもこんな所に居るつもりもないさ
あの男の亡骸も、早く回収させてやらなければならないしな……

【春斗の背を見送ると、程なくトライデントも雑踏の中に消えていく】
【途中、公安の人間に対して、公衆電話から2つの死体について簡潔に連絡を入れる事は忘れずに】
【――――やや不思議な邂逅こそあったものの、ほとんどいつもと変わらない、トライデントにとって当たり前の夜が暮れていく――――】

/乙でしたー!
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 21:35:47.64 ID:uod96UbXo
【酒場】

【裏路地を足の長い、サングラスをかけた男が片手でつばの広い黒のハットを押さえながら走っている】
【曲がり角で軽く滑り水色のゴミ箱を引っ倒し転んだ。黒の量の多い髪、とんがったような鼻で不健康な肌色】
【黒の編み上げブーツにスーツ時のトラウザーパンツをサスペンダーで吊り、濃紺のシャツに水色のネクタイを締めている】

【後から追ってきた2人の男は格好でチンピラとひと目で分かる男たちだ。彼らはそいつにピストルを向ける】
【サングラスの男はゴミ箱の蓋を投げつけて慌てて走りだす。ぶつかり、よろめいてチンピラの銃弾は明後日の方向へ】

くっそ…特にシツコイなぁ!こいつらは

【行き止まりの小路に迷い込んで見回した後一か八か男はビルの裏口のドアをガチャガチャ回す】
【先ほどの男たちが近づいていたギリギリで鍵のかかっていないドアに飛び込んだ】
【そこは町の人間の集まる小さな安酒場の勝手口だったようで裏の倉庫を抜けた後、裏口から店内に出る】
【賑わう店内の声の音と熱気の圧を感じる間もなく男は驚いている店主の口を手で塞ぎ】

ちょ、ちょ、ちょ…言いたことは後にしてくれ、急いでんだ、ちょっと失礼!

【男は慌ててカウンタを乗り越えて内側に入り込んでそこに隠れた】

【それから程なくしてチンピラ二人組みが現れてキョロキョロと何かを探しているようだった】
【暫くして彼らがいなくなると、サングラスの男はカウンタからひょいと首を出してキョロキョロとした後】

いやぁ、助かった……マジで…いやぁ…ハハハ…………ビール頂ける?

【訝しげな顔をした店主を苦笑いで交わし、カウンタから出たら煙草を取り出して火を付けた】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 21:38:08.52 ID:cugdOtg3o
【町外れ】


――♪ ――〜♪


【中心部から離れた、人気の少ない静かな町外れ】
【そこの一角に建てられた小さな店の前で、箒を片手に歌う少年の姿があった】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【歌の内容は、大海原を巡る探検家の勇ましい冒険譚】
【周辺住人に考慮してか控えめな声ではあるが】
【高いボーイソプラノで歌われる其れは、近くを通りかかることがあれば耳にすることもあるかもしれない】


――……ふぅ。うぅん、最近練習してないからちょっと下手になったかも……
最近は時間も出来てきたし、久しぶりに……ステージで歌わせてもらおうかなぁ


【間もなくして歌は終わり、続けていた掃除を切り上げて箒を店の壁前に立てかけた】
【そして歌と掃除で疲れた体を労わるように、花壇に積まれたレンガブロックの上にゆっくりと腰を下ろした】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物である】

【本日もまったりと営業中であった】
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/26(土) 22:33:22.12 ID:mNkJPZdt0
>>642

【こつりと小さな足音がした、けれどそれは、響いてくる歌声を阻害するようなものでは、決してなくって】
【いっそ可愛らしい音で叩かれる太鼓の音色にも似ているみたい、――やがて、遠くからひっそりと見えてくる姿は】
【聞こえてきた歌声にぱちくりと瞳を瞬かせて首を傾げていた、いつも通りの癖なのだけれど、少しだけ態度としてはよろしくない】

……――こんばんは、

【そうして歌の切れ目に控えめに割り込んでくる声は、世界中の鈴の音の中から一番いい音色を選び出したよう、りんと涼やかで】
【肩に斜めに提げた鞄のストラップを両手でぎゅっと握る、ちょっぴり緊張がちに笑う唇、ちらりと真っ白な歯が窺えて――】

【墨を煮詰めたように黒い髪、左右を取って三つ編みに編んでから真ん中で纏めたハーフアップ、桜の髪飾りを添えて】
【黒と赤のオッドアイは蛇の目のようなまん丸さ、真っ白な顔によく映える、鮮やかな色合いをしているのがよく目立って】
【フリルで飾った生成りのワイシャツに赤のふわふわとしたボリューミィなミニスカート、掛けた鞄はふっくらと膨らんでいて】
【ちょっぴりゴシック調に燭台なんて柄をあしらったタイツにショートブーツ、それが引っ込み思案なように足元で揺れる】

あの……、……義肢、とかは要らないんだけど。なんか作ってくれたりするって聞いてっ、……。
――その、家では持て余してて。ずっと放置しておくのはかわいそうだし、でもわたし、そういうのできないし……。

…………だから、何かして貰えたらいいなって思って。持って来てみたの、えっと……、……だいじょうぶ、ですか?

【――百六十センチの身長、それでもいくらか低く見えるのは、なんだか態度の問題のよう、少しだけおっかなびっくりした色合い】
【お客さん……と言い切ってしまうよりか、準お客さんといった様子。義肢や魔銃目当てじゃない、でも、その技術に用事があるのは確か】
【黒目がちな眼が揺れて少年を見る、そうしたと思えば、不意にその瞳はぱちくりとして――あ、なんて声が漏れた】

……お、店のひと、だよね?

【(よく見てみたら、なんだか職人だって聞いて思い浮かべるようなイメージとの乖離、眼前の彼は幼すぎて)】
【(もっと髭とか生えてて片目とかないイメージ。それなら、違うのかもなんて慌ててしまう、そうっと口元に手を当て――)】

【――元から不安げだったのを余計に強くして返事を待つのだろう。違ったら下げようと準備しているような頭の揺らぎ、夜に溶けて】
【耳元できらきらと煌くのは片方だけのピアス、――宝玉の欠片なんてものをあしらった、特別製のそれが、星のように瞬いていた】

/まだいらっしゃったら……
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/26(土) 22:36:43.95 ID:IonsfuHDo
【公園】

―――……っ痛ぇええええええッ!!! 

【響く絶叫。時間を考えれば些か迷惑かも知れないが、その声量からは相当の痛みが想像されるだろうか】
【夜の公園、その中央には2人の男。先程声を荒らげていた、青のソフト帽が特徴の、白シャツ×灰色のジレ×ジーンズのシンプルな格好をした男は地に伏していた】
【その腰には二丁拳銃用のホルスターが巻かれ、そして赤と青のリボルバーが収まっている。所謂「ガンマン」であることは外見からも分かるだろうか】

【そしてもう一方の男は、薄藍の夏着物を着て腰に大小の刀を佩いており―――所謂「侍」とか「武士」などと呼ばれる格好をしていた】
【一見対極な二人だが共通点もあり、それは「どちらも右肩部分に緋色の鷹の紋章を付けている」ということだった】

【左膝を抱えながら地面を転がるソフト帽の男を、和服の男は見下ろす。一見喧嘩に見えなくもない光景だが、決してこの二人に因縁がある訳でもない】

「中段蹴りだと勘違いしたなロウ殿。判断し切るのが早過ぎるから見誤った……ということだ」

―――……ッ〜〜〜〜〜、いやいやいや今さ瑛月テメェ本気出したろ!? 
腿の上がり具合とか完全に中段蹴りのフォームなのに何で下段に飛んでくるんだよッ!?

「これを上手く捌ければ上等だと思って少々本気で行かせて貰ったのは確かだ。因みに俺は……上中下段全て途中まで同じフォームで蹴ることが出来る」

いやいやいやいやいや、今日近接戦の捌き方教えといていきなり本気っすかセンセイよォ……冗談キツイっすわぁ……

【和服の男が放ったローキックが、見事にソフト帽の男の左膝やや上の部分に入った―――これが絶叫の原因であった】
【膝やや上の部分というのは筋肉にあまり覆われておらず、ローキックを入れるには最適の箇所。そこにキレイに入ったのだから、悶絶もする訳である】
【膝を抱えたままロウと呼ばれたソフト帽の男が、瑛月と呼ばれた和服の男を涙目で睨みつけ文句を飛ばした。会話の内容から、どうやらコレは「鍛錬」らしかったが……】
【痛そうな表情を浮かべる男に、未だファイティングポーズを取ったままの和服の男。―――先程も言った通り、一見喧嘩に見えなくもないのである】

/置きレス行き濃厚ですが良ければ……
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/26(土) 22:52:11.42 ID:GB8ga2pPo
>>644
【影と言うのはいわゆる光の通じない場所に当たる】
【同時に目というのは光をとらえて脳で像を結び付ける】

 ……

【つまり、影から二人を見ている存在は、目では非常にとらえにくいということだ】
【僅かに、時折街頭の光がカメラのレンズに反射する以外、その存在はうまく隠れきっていたといえるだろう】
【存在感も希薄で、呼吸をしていないような静寂】

 ……

【まるで公園にいつもあるような噴水、もしくは銅像】
【そんな気にも留めないような、そこにあるのが当然だといわんばかり】
【存在してないわけではない、だがそれを感じ取る盲点に存在する】

 ……ふふ

【そして、絶叫の声に沿って僅かな笑い声】
【それはもし聞こえるというのであれば男の声であると言うのがわかるだろうか】
【もしこの笑い声が聞こえるか、もしくは存在感を感じる能力が高ければ、この影から覗いている存在に気付けるだろう】

【ただこの段階で一つ言えるのは、この存在は確実に不審者の類であるということ】
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 22:52:35.96 ID:cugdOtg3o
>>643

え……あっ――


【こんばんは、と声を掛けられて女性の存在にようやくと気づいた少年は】
【彼女の方へと視線を送って2秒程度静止した後】
【慌てた様子で立ち上がり、手で服の皺などを簡単に整えて】


――そ、その……ごめんなさい……!
こんばんは、本日はお越しいただき……有難うございます


【ペコペコと深く礼儀正しく頭を下げながら向き合った】
【150cm少々の身長であるため女性より一回り小さく】
【見上げるようにして二色のオッドアイと自身の碧眼の視線を合わせる】


えっと……僕もその、何でも作れるというわけではありませんけれど
僕の技術で可能な範囲でしたら……最大限リクエストにお応えしたいと思います

僕から紹介状を出して……他の職人の方に依頼することも出来ますし
あまり複雑で……難しすぎる要望でない限りは――大丈夫じゃないかな、と


【女性から持ち掛けられた要望だが、現時点では曖昧でそういった判断をすることは難しい】
【しかし、少年の放った言葉が本当であるならば】
【よほど無理な注文でない限りは要望に応えることが可能である、ということは伝わるだろうか】


あ、は、はい……申し遅れました
僕はこの<Fairy's Gift>の店長の……ジョシュア・ランドバーグといいます

あの、詳しく話をお聞きしたいので……店内の方へご足労頂いてよろしいでしょうか……?


【先述の自己紹介に合わせて、少年……ジョシュアは懐から名刺を取り出して女性に渡そうとする】
【名刺には店名や少年の名前と電話番号、そして「第二種一級魔工技師」という肩書きが記されていた】

【そして、名刺を渡す行動の成否に問わず、ジョシュアは店の扉を開け放ち】
【ふわりと穏やかな頬笑みを浮かべながら「どうぞ」と声をかけて中へと案内していこうとするだろう】
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/26(土) 23:10:09.19 ID:mNkJPZdt0
>>646

【ぺこぺこと頭なんて下げられると、萎縮してしまう部分があった。釣られたように下げる頭の仕草、水飲み鳥のよう】
【そのたびにさらさらと揺れる髪はよく手入れされているのだろう、ほんの少しも絡まる素振りもなく、元の位置に戻って行って】

えっと……、あんまり難しいものって分からないの、わたし、……職人さん、とかよく知らないし……。
あの、――何が出来るのかとかも。よく分からなくて……、だから、えっと、とりあえず見てもらって。

……何が出来るのかって、考えてもらうのがいいのかな……、……たぶん、そのほうがいいかなって……――。

【――御伽噺のような彼の洋服を見てると、ほんのりと後悔するのだった。もう少し、かわいい服を着てくれば良かったか、なんて】
【そうすれば御伽噺みたいな空間に出来たかもなんて思う、けれど、それは、ほんの少しの雑多な考えごとで……どうでもいいことで】
【いたく申し訳なさげにそんなことを言うのだった。何にもよく分からないから、とりあえず、――彼に任せようと思っていること】

あ……、えっと、わたしね、りんね。鈴音・シュトラウス……。

【名乗られて名刺を差し出される、――そんなことは始めてだったなら、少しばかし戸惑ったようにしてから、そっと名刺を受け取り】
【ふわあと吐息がちに見つめてみたりする。始めてもらった名刺だもの、……書かれている肩書きの重さは、残念ながらよく分からなかったけれど】
【とりあえず店の中にという話になればこくりと頷いて、「だいじょうぶ」なんて返すのだった、それから、こっそりと後ろをついていって】

【――店の中に入れば、ひどく興味津々という様子で店の中を見たりするのだろう。特に、綺麗なものには視線を惹かれやすく】
【細かいものなんかもじっと見つめてしまう。変わったものも見つめるし、――まあ、大体のものなら興味深げに見つめるのだ】
【けれどそれはいつまでも、ということでもない。どこか椅子を勧められるなら座るだろうし、そうすれば――場面は、次に移ろう】
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/26(土) 23:10:29.63 ID:IonsfuHDo
>>645

【未だに痛がるロウに嫌気がさしたような顔を見せながらも、瑛月は起き上がるように手を差し伸べる】
【ロウもその手を受取れば、「よっこいしょ」と声を出して立ち上がりローキックを受けた箇所を何度も擦る】

「……そんなに痛かったか」
<テメー今度は俺がぶち込んでやろうかオイ>

【立ち上がってからも再度瑛月をロウは睨みつけるも、続けて言葉を吐き。そして―――】

<―――……でさ、流石に今日はこれで終いだろ?>
「……―――そうだな、何せ『いる』からな」

<「おい」>

【二人の首が全く一緒のタイミングで、同じ方向にぐるりと向いた。その先は先程微かに声を漏らした影】
【その様子からどうやら声のする前から勘付いていたらしく、そして「おい」と声も同時に飛ばされた】
【ガンマンであるロウの紺碧の双眸は力強い光を湛えて。侍である瑛月の濡羽色の双眸は刃の如き鋭さを見せて―――2つの眼光が「影」へと注がれた】





649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/26(土) 23:22:29.60 ID:GB8ga2pPo
>>648
【おい、とかけられた言葉に、影の人物は、確かに】

 ……さすが、と言うべきですかね?

【"笑った"】

 いやはや、さすがですね
 戦闘において名を立てた二人、二つ並び立つ"正義"の門番
 そのお二人の前ではそう私のようなものでは隠れて居てもすぐに見つかるでしょう

【くすくすとおかしそうに、合間合間に小さく笑いながら陰から告げる】
【その人を射ぬきそうなほど鋭く、強い視線に一切の緊張も何も感じていないようで】
【愚鈍、馬鹿――あるいはそれなりの実力者】

 なに、しがないあなたたちのファンでございます
 通りすがりであなたたちが喧嘩……いえ、訓練と言うべきでしょうかね?
 それをしているのを見て物陰からうかがっていたのであります
 ふふ、なんとも素晴らしい景色でした

【その男は、ロウ、そして瑛月の前に現れぬままに話を進める】
【称賛、それには裏もなく、素直な賛美といえる】
【皮肉った様子もなく、純粋に居合わせてうれしいと、そういわんばかりで】
【もしこれに裏があるならこの男は自分を隠すことにかなり優れていると言わざるを得ない】

【だが、自称ファンはいずれにせよ不審者であることには変わりなく】
【この言葉を全てありのまま受け取っていいのかは、謎である】
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/26(土) 23:23:12.76 ID:RtRLY7av0
【とある都市。其処に存在する本屋】
【深夜帯まで営業しているその店は常に一定の客が出入りしているのだけれど】
【今宵の舞台は其の店の角。小難しい古文書だとかが所狭しと並べられた場所で】


「…………困りました。イリニの背ではあの本にまで届きません
ですが、寝ている店主を起こす事も気が退けます。踏み台でもあるならば、イリニは助かるのですが」

【純白のローブを纏った少女が一人、足を震わせながら背伸びをしていた】
【どうやら本棚の一番上に収められた『精霊ノ存在』と書かれた分厚い本を取り出そうとしている様だが……如何せん、頭数個分も及ばず】
【困ったと言いながらその声は全く以て無感動なのだから、少し可笑しくも思えるかも知れないけれど――――少女一人でこの事態を解決できる術が無い事だけは確かな様】
【もう一度背伸びをして手に取ろうと頑張るのだから、もしこの現場を見た者が居るとすれば危なっかしい印象を与える事だろうか】






【――――櫻の国。その、森の奥地】
【小さな祠が在るだけで、後は何も無い詰まらぬ場所。その祠だって、ずっと前に人々から忘れ去られたのだから荒れていると記しても何ら可笑しくは無い】
【然れど、今宵は其処に一匹の妖怪の姿。狐の耳と尾を生やし、巫女装束を纏ったその者は…………妖怪に詳しい者ならば妖狐、と知れるだろうか】

【櫻の国で暴れている妖狐に瓜二つだけれど、その表情からして気性が荒いわけでも無い事が分かる筈】
【何よりも、瞼を閉じて願掛けをする様な姿は決して悪狐の其れでは無く】


「――――……もう、ずっと来れませんでしたが…………まだ残って居てくれて、良かった……です…………」

【小さな吐息。祈りも終わったのか、慈しむ様に小さな祠を掌で撫でてやれば余韻に浸る様に側に座るのだけれど】
【―――少し離れた木の上。其処にも、一人存在していた。矢を番えた弓を手にして、キリキリと目一杯に弦を引き絞る様は正に狩人】

【近場に野兎や鹿が居る訳でも無い。ともなれば――――必然的に、狙いは一つだけだ】
【恐らくは悪狐に似た少女を討って名を馳せようと考えたのだろう。震える指先は緊張の証。生唾を飲み込んだならば目測で少女の細首を狙って】
【…………身に迫る危機も分からず、未だに過去を懐かしむ様に祠に寄り添う少女】

【狩人はどうやら気配を殺す事が下手な様で、遠くからでも所謂“殺意”を感じ取れるが――――】
【その場面を目撃した者がどの様な行動を取るのかは、自由であって】


/翌日の持ち越しは厳しいですが、もし宜しければー
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/26(土) 23:26:58.10 ID:cugdOtg3o
>>647

はい、鈴音さんですね……よろしくお願いします
では、その……ご案内しますので、僕の後についてきてください


【そう告げて鈴音の反応を窺った後に】
【ジョシュアは一歩先の位置に立ち、鈴音を店内へと案内していった】

【店の中は小洒落た外観とは違い、実用的な造りをしている】
【左右に並んだ無数の棚には、鉄などで出来た人工の腕や足が陳列されており】
【ガンパーツや、様々な種類の魔銃のサンプルもエリア毎に細かく区分されて置かれていた】

【その他には何に使うのか】
【人体模型や大きな水晶玉、妙な形の筐体なども設置されている】

【店の奥側に備え付けられたカウンター席まで歩を進めると】
【手前側に設置された座席の一つを引いて「こちらにお掛けください」と鈴音を誘う】

【そして鈴音が座るのを確認した後に】
【ジョシュアはカウンターの向こう側にトコトコと歩いていき】
【キャスター付きの椅子を引いて、自分も同様に腰を下ろしていった】


えっと……では早速、ご注文をお聞きしたいのですが
まずは鈴音さんが加工して貰いたい……という素材は何か伺ってもよろしいでしょうか……?


【ジョシュアがまず確認したことはこれであった】
【何をどう作るにしても、その素材の特性を見てからではないと判断することは出来ない】
【鈴音の方へと、自然な微笑みを浮かべたまま視線を送り】
【何が出てくるのだろうか、と少しワクワクした気持ちを胸に宿しながらも彼女の答えを待った】

652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/26(土) 23:43:07.76 ID:mNkJPZdt0
>>651

【――人工の腕や足、夜中の廃病院なんかに転がしておけば恐ろしいだろうそれを、ただ、少女は興味深げに見つめ】
【ただその代わりに銃のパーツとなるとおっかなびっくりになるのだった。ちょっと腰が引けているというか――そんな態度】
【人体模型は大丈夫。水晶球は興味津々、変な形の筐体もたっぷり眺めて……となると、】
【銃が苦手らしいというのが察せたのかもしれない。けれど、それは、今はあんまり関係のないことで――】

……えっとね、そんなに凄いもの、じゃないと思うんだ、たぶん……、……でも、あの、
“わたしのとっても大切なひと”のものだから――、どうにか、してあげたいって、ずっと思ってたの。

【案内された椅子にそっと座る、そうするとしゃんと伸びた背筋は、今度は身長をいくらか大きくも見せるよう】
【そうしながら鞄のストラップをまた握る、そうしてお尻の側にあった鞄を、身体の前にやって。かちりとボタンを開き】
【えっと……だなんていいながら取り出したのは布で出来た小さなポーチだ、可愛らしい和柄の布、手作りしたようなそれ】

【ぱちりとボタンを外すと、口を広げて、さらりと中身を手に移し。それから机に置くものは――僅かに白く濁る、薄ぺらいもの】
【よく見れば鱗らしいことに気付くのは容易いだろう、けれど、そうだとしたら……相当大きな生き物から取れたものらしい、とも】
【指を除いた掌ほどの大きさがある鱗。乳白色に透き通らない、けれど、表面にウォーターオパールのような美しい煌きが僅かに浮き】
【光の角度によってきらきらと――そう、本当に、オパールのような煌きを持つのだ。よほど、強い煌きというわけでもないのだが】

わたしの……わたしの、ご先祖様の鱗なの。死んじゃって……、それで、鱗とかがたくさんあって……。
……あの、どうにか――できるかな、わたしじゃ、どうするのも思い浮かばなくて、きっと、出来ないしと――思って。

【それともう一つ目立つ特性。周囲の魔力を集めて、水属性に変換するというそれ、これまた一枚ずつでは微かなものだったのだけれど】
【それなら確かにおもしろい性質、ただの動物のものじゃないと裏付けるような――というよりご先祖だと彼女は言ったが――】
【机の上に散らしたのは一二三四と来て五枚。そのうちの一枚をおず、とジョシュアに寄せるように差し出して――】
【どうにかしてやりたいのだと言う気持ちがよく窺える目で見つめるのだった、不安げだが、僅かに期待もしているような】

出来れば……えっと、一緒に居られるようなものが、いい――。

【――“うきうき”というか、“わくわく”というか、しているのは確かだった。これでどうにか出来るんじゃないかと、期待する目】
【とにかく――その五枚の鱗は彼が気の済むまで見つめたりしたって誰も怒らないだろう。その間、彼女は姿勢をしゃんとさせて待っているはずだった】
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/26(土) 23:43:20.35 ID:IonsfuHDo
>>649

【尖った視線にも動じずに影の人物が賛美の言葉を並び立てる様子を見て―――2人の男が取ったのは警戒】
【左手で鞘を握り、鯉口を切るのは瑛月。両手を軽く揺り動かしてから膝を軽く沈ませたのはロウ。瞬時に分かったのだ―――この男、只者ではないと】
【更にロウが警戒を深めたと同時に、彼が身に付けていたペンダント、その砂色の玉から濃厚な魔翌力が漂った。何とも不穏な魔翌力なのは、それが宝玉だからである】

「本当にファンだって言うならよぉ、隠れたりせずに堂々と見に来ていいんだぜ?」
「つーかどこが素晴らしいんだよ、俺ボコボコにされてただろうーが……」

<俺達はSCARLET……故に怪しい者には敏感なのだ。もしファンだとしてももう鍛錬は終わった>
<……というかそもそも俺達は芸能人でも何でもないのだから、兎に角帰ってはくれないか>

【瑛月が言う通り2人は敏感であり、そう簡単に油断を解いたりするほど平和ボケしている訳ではない】
【カノッサやGIFTなどの悪党を相手にしているのだから、不意打ちに騙し打ちなどは想定済みで―――故に、少しでも怪しさを感じさせたのなら警戒は安易に解かない】
【否これはSCARLETに限らず、闘いを生活にしている者ならば「慎重さ」というモノは兼ね備えているだろうと思われる】

「じゃあアンタは俺達の名前を知っている訳だ。オーケー?」
「でもアンタだけこっちの名前を知ってるっつーのも不公平だ……とは思わねーかい?」

【もし瑛月の言葉に従って帰らなければ、ロウが更に口を開いてこう語りかけるだろう。要約すれば「お前の名前を教えろ」と言うことだった】
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 00:03:24.51 ID:xJLI7yn0o
>>652

――鈴音さんの、ご先祖様の鱗……ですか?


【ジョシュアは、見たこともないような美しい鱗と鈴音の顔を見比べた】
【目の前の女性はどう見ても人間以外の何者でもないように見えた】
【しかし、この巨大な鱗は人間……ウロコを持つ亜人であっても持ち得ないものだろう】

【数瞬、美しい鱗の持ち主への興味と】
【鈴音の常道から外れているであろう素性に興味を持ったが】
【今は店主と客としての立場であり、それを追求する場面ではないという理性が勝り】
【口に出かけた質問を「コホン」、と小さな咳に乗せて追い出すと】


一緒にいられるようなモノ……でしたら
一般的な加工方法としましては"アクセサリー"類になる……でしょうか?

指輪、ネックレス……イヤリングにブレスレット
特殊な処理を挟まないのでしたら……僕の方でも加工出来ると思います。

あとは……鱗を中に入れて魔術的な処理を施した"お守り"も作れますよ
こちらでしたら……鱗自体を保護することも出来ますし
特殊な力を引き出すことも、先ほど話したアクセサリーよりも容易になります……ちょっと、飾り気は無くなっちゃいますが


【「一緒にいられるもの」と聞いて真っ先に思い浮かんだのは、やはりそういった類の物であった】
【ジョシュアは引き出しから紙を取り出し、カウンター席の脇に置かれていたペンを手に取ると】
【先ほど話したアクセサリーやお守りなどの簡単な予想図をスケッチにして現し、鈴音の方へと差し出した】

【鱗を宝石のように取り付けて加工した幾つかのアクセサリー】
【そして、刻印の刻まれた小さな包み。中に鱗が入っている事が矢印付きで補足されている】
【無論、これが正式な完成予想図というわけではないだろう】
【どのような形に仕上げるか聞いた上で、お客様のリクエストに従ってデザインを決定するのだ】

【同時に、棚からアクセサリーなどのカタログも取り出して席の上に置く】
【もし"何に"加工するかを決めて、それがこういった類のモノであったならば】
【上記のようにデザインを考える際の参考にして欲しいということだろう】

【「いかがでしょうか?」と、おずおずした様子で鈴音に訊ねて、ジョシュアはその反応を待った】
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/27(日) 00:14:17.08 ID:haZCRMaPo
>>653
【その様子に、気配に鋭敏なら気付くだろう――男がさらに笑みを浮かべたことを】

 ああ、いいですね、その警戒の様子
 見世物ではない本物の稽古と言うのはなかなかに緊迫して洒落っ気が抜け落ちて……
 私としてはそれで満足なのですが……

 ですが……まだ帰れないのですよ、レンズの向こう側の方々が満足していないのでね

【くつくつくつ、そう笑いながら男は出てくる】
【紺色のニッカポッカに藍色のジャージ上着、いわゆる創作でよく出てくる映画の監督と言わんばかりの姿】
【だが、そんなことは些末だ、彼の外見を説明するうえで何の特徴にもなりえない】

【一番特徴的なのは男の左目、それは人間のものではなくカメラのレンズであるということ】
【左耳に関してもまるでヘッドセットのような物体がくっついており、そこから延びるマイクが男の口元にあった】
【何より、彼の首から下げられているネックレス……それは銅でできた逆さ五芒星のネックレス】

 ああ、失礼失礼、私としたことが自己紹介を忘れるとは!

【男は、仰々しく手を広げ、まるで道化のようににこにことした笑み】
【敵意も害意も一切ない――カノッサ機関の所属だというのに】

 私は、No,《ノーナンバー》、ネクターという名前を持つ愚かな男でございます
 以後、お見知りおきください

【そして、仰々しく礼をする、まるで演劇が終わった舞台役者のように】
【それは騎士のよう、あるいは王侯のように気品にあふれた動きであった】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/27(日) 00:26:06.33 ID:r+i7PCs20
>>654

……うん、だからね、とっても大切な蛇(ひと)なの……――。

【彼の言葉にほんの少し声音が変わる、この鱗の持ち主を思い出したような、追憶は、けれど、ほんの一瞬のこと】
【でも――彼に差し出したのとは違う鱗を手にとって、優しく指で撫でる仕草は。本当に大切に思っていたのだろうと、よく分かって】
【だから……どうにかしてあげたかったというのもよく分かるのだ。死んでしまったけれど、もう居ないけれど、せめて――】

【――彼女の容姿を見る限りは、真っ先に疑うべきは頭だっただろう。その身体のどこにも、それらしい特徴はなく】
【強いて言えば瞳がまん丸なのが蛇に似てはいたが。そんなの個性の一言で片付く、それなら、――それでも】
【こんな世界だもの。完全な与太と信じてしまうには少し足りない、――ほんのりと不思議な、言葉だった】

アクセサリ……、うん、それがいいな。あんまり……武器とかだと、使わないもの、わたし……、こわがりだから。
……あ、でも、御守もいいな……、…………、……えっと、――どっちもって、駄目かな……?

【「首飾りとか髪飾りがいいな」って呟いた、そんな言葉は、耳も指も塞がっているから、というところから来て】
【手首だといつの間にか落としたりしていそうで不安になる、だから――首か髪か、そんなところを飾りたいと希望して】
【彼の言葉にふらふらと揺れる思考、むうと考えながら彼がスケッチするのを見ていたけれど――差し出されても、答えは決まらない】

【受け取った紙を両手に持って首を傾げる、それからぐうと前髪の向こう側で眉を潜めて――やっと出した答えは、これだ】
【ちらりと窺うような視線をやって。今度はちょんと可愛らしいような素振りで首を傾げるのだ、そうして、尋ねて】

【(――どんなに名前のない、弱い、今にも消えちゃいそうだって、“彼”は神様だった。綺麗な、真っ白い蛇の神様)】
【(だったら御守も素敵だと思う、なんだか神様っぽくていいなって――だから、ほんのりとしてみた我侭、声は少しだけ小さかった)】

…………かたちはね、お花がいい、桜のお花……そうでなければ、――蛇、とか……。

【――それから置かれるカタログ、お店で貰うぺらい奴とは違った、もっと大掛かりなそれ。一瞬押されたように吐息を吐いたが】
【すぐに気を取り直して手を伸ばす、――ぺらぺらと頁を捲る表情は、きっと、とっても真剣なもので……しばらく黙りこんでしまうから】

【彼の提示した選択肢は彼女にとって間違いでなかった証拠。しばらく好きに悩ませてあげるのがいいだろうけれど――もちろん、】
【それは話しかけちゃいけないというわけでもなくって。何かもっと相談を、ということになれば、彼女もそれに応じるはずだった】
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/27(日) 00:41:01.38 ID:8V7CIeYoo
>>655

「レンズ? テメェ何言って―――ッッ……!!」

【ロウの声が急に止まった。理由は言わずもがな、姿を現した相手の左眼を見て思わず狼狽えたからである】
【警戒の色を見せていた二人の雰囲気が完全に闘気へと姿を変えたのは、左眼と―――そのネックレスが原因だった】
【2人が右肩に付けた緋色の鷹がSCARLETを示すように、ネックレスの逆五芒星はカノッサの所属を示す紋章】

<……よくものこのこと姿を現せたものだな。 しかも「ノーナンバー」ということはつまり……―――>
「『ナンバーズ』でもねェってことだわな……。おいおい、一応聞くが……1人で俺達2人を相手にする気か? そうなら逃げた方が得策じゃねーの?」

「アンタより立場が上のナンバーズ相手にタイマンで渡り合ってる俺だぜ? No.29のカニバディールやNo.12のダリア・レオンフィールド……逃しちゃいるが負けてはねぇ」
<―――……舐めてかかるなよロウ殿。そもそも出来るなら戦場以外での戦闘は避けろと言われているだろう……もし逃げられても深追いはするな>

【上品さすら感じさせるその言動、行動に感じるは余裕。1対2の状況に加えロウと瑛月は通常構成員より格上とされるナンバーズとも互角に戦っている―――】
【一見ネクター側からするとかなり厳しい状況に思えるのだが、この男からは焦りなどは一切感じない。勝算が十分にあるのか、若しくはそもそも闘う気が無いのか】
【瑛月は一層警戒を強め、そしてロウも余裕を醸し出す言動を放つがそれは見せかけ。裏では疑念が強め―――つまり有利に見えても、警戒を解くことはなかった】
【―――来るなら来い、そう言わんばかりの表情に雰囲気、体勢。自ら無策に攻め入ることはなく、あくまで対応のスタイルを取るが……果たして来るのかどうか】

658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 00:52:33.67 ID:xJLI7yn0o
>>656

あ、はい……えと、五枚あるみたいですし、幾つか作る形でも大丈夫ですよ?

御守りは一つを中に封入するだけでいいですし……
アクセサリーの方も、よほど沢山使わない限りは問題ない……と思います


【鈴音の出した「どっちも」という要望は受け入れられた】
【複数枚あった事が幸いしたのだろう。5枚もあれば、使い方にもよるが3つ4つと仕上げることも可能である】
【望むならば御守りに加えて、首飾りと髪飾りを両方用意することも出来るかもしれない】


お花に蛇……ですか――デザインを合わせることは勿論ですけれど
その……御守りの刺繍をそういったものにすることも出来ますよ
折角幾つか作るのですし……両方を取り入れてみるのもいいかもしれませんね

あと……ですね。あまり複雑な物になりますと、別の細工職人の方に協力していただく必要が生じますので
ちょっと割高になっちゃうかも……です。


【どうせならばどちらも取り入れてみてはどうか、というのがジョシュアの意見であった】
【御守りとアクセサリー、それぞれに花と蛇など好きなコンセプトを詰め込んで】
【そうしてしまえば取捨選択で悩む必要もなくなる】
【――ただ、最後の忠告通り……複雑すぎるデザインになると追加料金が発生してしまうようだが】


あ……えと、僕、お茶をお出ししますね――。
鈴音さんは……お気になさらずゆっくりと考えていてくださいね


【悩む様子の鈴音対して嫌な顔をしたりなどはせず】
【蒲公英のような素朴な笑みを向けて、小さく頭を下げた後椅子から立ち上がって奥に歩いていく】
【望むままに考えてくれて構わないということだろう】
【また、席を立つ際に新しい紙とペンを机の上に置いていっている】
【カタログの中の気に入ったナンバーを記すのも、自分で考えたデザインを描いてみるのも自由であろう】


【――】


【それから数分ほどもすれば、ジョシュアは再び鈴音のところに戻ってくる】
【手にはトレイを持っており、上には二つのカップと何かが盛られた大きな皿が載っており】
【ジョシュアは慣れた手つきで、音を立てずにゆっくりとそれらを机の上に移していった】


【カップの中身はよく冷えたハーブティー。シンプルだがすっきりとした味わいをしている】
【そして、皿の上に乗っているのはお茶請けとして用意された様々な色の"マフィン"】
【プレーンに、チョコレートに、黄色がかっているのはバナナであろうか】


あの……拙い出来で申し訳ありませんが、よろしければどうぞ――


【少し緊張したような雰囲気が混ざっているのは、手作りだからであろうか】
【出来の方は、やはり店売りされているプロのものと比べれば一ランクほど落ちる代物になっているが】
【少年の纏う雰囲気のように、素朴で如何にも手作りといった仕上がりであった】
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/27(日) 01:05:54.78 ID:haZCRMaPo
>>657
 いやですねぇ、私は世界征服だとか、人殺しが好きだとか……そういうわけではないのですよ
 命令されれば逆らえない一般構成員、ですけど、ね?

【笑顔のまま告げる男は自分がただの一般構成員だと、明確にしていた】

 まあ、《No. 》なんて名乗るのは私だけですし私が勝手に名乗ってるだけですけどね?

【皮肉だろうか、否定の意義のNoと数字と言う意味の《No. 》】
【まるでナンバーズを否定しているような、つまり現カノッサを否定しているような】

 とにかく!私は観客の皆様を満足させねばなりません!
 ナンバーズとて、ただの生き物、負けるときはあるでしょう!
 だから、私が勝てる可能性も、一応あるのでしょう!

【くつくつくつと笑っている、道化師、道化師という言葉しか似あわない】
【しかしその途端、ぎゅっと左耳から延びるマイクの頭を右手で握り、マイクに音声が入らないようにする】

 ……まあ、私としてはあなた方とは戦いたくないのですが

【張り付けた笑顔、その口から紡がれる無感情の声】
【先ほどまでの声の様子は一切ない、道化師から、まるで人形のように】
【しかし次の瞬間にはその様子は消え去り、マイクから手を放し、笑顔でけらけらと話し始める】

 ああ!申し訳ありません!まさかの音響器具が故障するとは!
 ですが問題ありません!すっかり直してしまいました!

【そういうと肩をすくめ、二人を見据える】

 ……ですが、普通に殺しあうだけじゃ愉快ではない
 なのでルールを決めましょう、単純明快、面白おかしいルールを!
 瑛月は『流離の侍』、ロウは『賞金稼ぎのガンマン』
 そして私は『とある国のお姫様を誘拐した悪辣な貴族』!

【その瞬間、ガタガタガタガタ!と周囲が、いや、空間自体が軋む】
【何が起こるかはわからない、だが何かが起こる事だけは確かだった】
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/27(日) 01:20:37.28 ID:r+i7PCs20
>>658

【ふわと一瞬向けた表情があった、「その発想はなかった」とでも言うような――ぱちくり、まんまるの瞳が瞬いて】

……ほんとはもっとたくさんあるんだよ、でも、……欲張りは、だめだよね。

【ふと油断すると欲張りになっちゃいそうな自分が照れくさくてほんのりとはにかんだ、髪をかきあげたかった仕草は、ただ、空を掻いて】
【この五枚を使い切るのだって多い、そんな思考をもう一度きちんとして、我侭はもう言わないようにしようって、考え直す】
【でも――考えれば考えるほどにいろいろ浮んでしまうから難しい、そんなところ――優柔不断めいて、決まらないから】

桜の花が好きなの、だからね、そういうデザインだったら嬉しいなって……、もちろん、蛇も好き。
だから……、……そっか、両方って言うのも……、……ううん……、じゃあ、じゃあね……、えっと――――。

――あ……、お金。……お金……、そっか……、

【意識の大半をデザインへと奪われながら笑むのが不思議と怠惰で似合う気がした、真っ白な肌、差し出した鱗みたいに透き通る色】
【柔らかい頬っぺたに頬杖をつけばその白さが歪む、そんな指に煌くのは銀の指輪で、薬指に嵌められているなら――つまり】

【(お金。もちろん持って来ていたのだが、この瞬間ばかりはすっかりと意識から抜けていた。始めて聞く単語みたいに、呟いて)】
【(あんまり無駄遣いはしたくない。そう考えるなら、ふにゃーっといくらか気が抜ける、考えすぎていた息抜きをするみたいに)】

【それから生返事で頷いて、その意識は本に落ちた。没頭という言葉がきっととてもよく似合ったろう、ぷつりと黙り込んで】
【時折置いていってくれた紙にメモ書きが増えていく、ころんとした丸文字で頁数、それと、ちょっぴり拙いデザイン案と】
【――それがとっても楽しそうだった、というのは余談だった。一人の世界に耽る、それも、だいすきなひとをどうにかするという、】
【そんな非日常。どうせ一緒に居るならかわいいデザインがいい、素敵なものがいい、それなら、凝ってしまうのも、まあ仕方ないか】

――――あ……ありがとう、いただきます……。

【そうして、彼が戻って来たとき。それはちょうど彼女が椅子の背もたれに最大限に体重を預けて吐息を吐いた、その瞬間で】
【だから彼が出してくれるお茶やお菓子にもすぐ気付く、にこり、笑ってみせた顔はあどけなく解けて、冷たいハーブティーに早速手を伸ばし】
【こくりと飲んで、美味しいというように目を細めた。二口三口と続けて飲むなら、それは気に入ったという宣言と同じで】

いろいろ考えてみたの、この頁のこれとか、これとか、かわいいなって……、あんまり派手じゃないほうが、好きだから――。

【それから話は本題に移る、メモ書きを参考に開いた頁、二つ見せるのはどちらもネックレスの分類】
【片方は半円にカットした宝石を銀で捕えたようなデザイン、銀の部分には、桜の花や、桜の花弁をかたちであしらっていて】
【もう片方は銀の板で皮を挟みこんだ――そうして一番上の銀を柄に切り抜いたデザイン、中の皮の色合いが見えるようになっていて】
【一つ目は鱗という時点で少しだけデザインが変わる、ぷっくりした可愛らしさは期待できないし――でも、不可能ではなく】
【二つ目は対したデザイン変更もなしに出来そう、ただ、鱗の繊細な湾曲を捉えるのは、難しそうでもあって】
【どちらにせよ銀細工であるのは変わらない、のだけれど――決めかねると言う風に、ううん、だなんて唸りこんでしまう】

【――ちなみに、メモ書きのほうには一つ目に対しては宝石を押さえる銀の部分をウロボロスのような、そんな、蛇に取り替えてみたものと】
【二つ目に対しては桜っぽくて蛇っぽいデザインを考えてみたものがあって。でもよく分からないと言う風に、「?」が書き添えられていた】
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/27(日) 01:25:28.86 ID:8V7CIeYoo
>>659

「観客……って俺等の事を指してるのか? 映画監督気取りやがってよ……」
「勝利っつーのはなぁ、まぐれで来るもんじゃねぇ……的確な分析、判断、戦略―――その積み重ねで始めて得られるモンだってんだッッ!!」

<同感だ―――自ら不利な状況で挑む愚か者に、しかもカノッサに負けるわけにはいかない……!!>

【ロウが両手に銃を具現化する。ホルスターにリボルバーは刺さったままだが、手には赤青の自動拳銃が握られた】
【しゃらりと金属の擦れる音がして、瑛月が緋色の鞘から白銀の刀身を抜く。彼の闘争心を、そのまま表しているかのように鋭利に】
【刀を軽く右に倒し、脇を締め肘を曲げて刀(両拳)を身体に引きつける瑛月。そして瑛月と2,3m距離を取って下がり銃口をネクターに向けるロウ】
【遠距離と近距離、役目を確りとわけるようなフォーメーション。油断は一切していない証拠でもある。それ程このネクターという男に不気味なものを感じたということでもある】

「何がルールだこの野郎、闘いは遊びじゃねーんだぜ……!」
<相手のペースに飲まれるなよロウ殿……お前はいつも通り撹乱させて居ればよい。数の利は此方にある―――ッッ……!!>

「―――〜〜〜ッッ!? 地震……なわけねぇッッ、コイツの能力だ……!! こっちもブチ込むぜぇぇぇええッッ!!」

【周囲が揺れる、軋む。明らかにネクターが仕掛けたのだろう。ロウは間髪入れず、右の赤い銃から真っ直ぐ銃弾を放ち―――彼の右肩を射抜かんとした】
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/27(日) 01:44:11.20 ID:haZCRMaPo
>>661
【この状況で取るべきだったのは何だったのか】
【だが一つ言えるのは、目の前の男の笑みが深くなったというだけだ】

 ……『 It's Show Time ! 』

【その瞬間、巨大な巨大な、音が鳴ると同時に地面が一際揺れる】
【それと閃光……一瞬目がくらむことは避けられないし、避けたとしても避けるために目を瞑らなければならないだろう】

【そして視界が戻った時、周囲の様子は様変わりしているだろう】

 あなたたちの勝利条件はただ一つ

【まるで高貴な、悪く言えば成金趣味の貴族の邸宅の広い一室と言えるだろう】
【周囲には鉄鎧を付けた兵士たち、その一番奥に金色の悪趣味な鎧を付けたネクター】
【付け髭にまるで下種のような笑みを浮かべている】
【そしてその肩に抱いているのは……】

「助けてー!」

【ピンクのドレスを着た、ティアラを付けた幼い、かわいらしい女の子】
【涙を浮かべながら瑛月とロウに手を伸ばしている】

 この少女の救出です、正義の味方様?
 あのままやりあっていればあの公園は無残なありさまでしょうし、ちょっと細工をさせていただきました

【どこか中世的な雰囲気を残す邸宅、その一室でネクターは右肩を払う】
【見れば銃弾が当たったような跡、ロウの銃弾は確かにとらえていたのだ、捕えていたのだが……】

 それでは、始めましょう……"はてさて、正義の味方二人は、非道なる貴族からお姫様を取り返すことはできるのでしょうか!?"

【その途端、ネクターの様子ががらりと変わる】
【まるで道化師から、本物の悪辣な貴族に変わったように】

『おのれ!無作法者の癖に我が金の鎧に傷をつけやがったな!衛兵!やってしまえ!』
「キャー!気を付けて!瑛月様!ロウ様!」

【まるで激怒しているかのように顔を真っ赤にしながらマントを翻し兵士たちに命令を下すネクター】
【さらに悲鳴を上げる少女……なんという茶番劇だろう】

【だが、事実周囲にいた兵士たちはその手の槍を、剣を、棍棒を、武器を振り上げ瑛月とロウに遅い掛かる!】
【この兵士たちを倒さなければネクターの元には行けないだろう】

【ただ、一つ言えるのは】
【二人に比べてこの兵士たちは格段に弱い、人数がいようとまとめて薙ぎ払えるほどには】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 01:46:44.67 ID:xJLI7yn0o
>>660

あ……はい、どういたしまして……です
えと……もっと気の利いたものをお出し出来ればよかったのですが……


【恐縮したような言葉遣いではあるが】
【自分の淹れたハーブティーを美味しそうに口にしてくれている姿に】
【少年は嬉しそうに頬を綻ばせていた】


これは……――


【鈴音が見せてくれた二つのネックレスの要望】
【桜の花を多く取り込んだデザインと、鱗を魅せる事に適したデザイン】
【彼女の話に耳を傾けて、カタログのページとメモ書きに記された鈴音のデッサンに目を通すと】
【ジョシュアの方も少し、考えた後】


――はい……これでしたら僕の方で加工出来るかと

その……蛇の細工に少し時間が掛かってしまいますので
完成するまでしばらくお待ち頂くことになってしまうと思いますけれど……


【そう、結論を出して鈴音に伝えた】
【二つ目のデザインに関してはまだ少し詳細を考える必要もあるだろうが】
【それでも鈴音の要望に応えるのはそう難しい事ではなさそうであった】
【注文を確定したならばきっと、鈴音の理想に近いアクセサリーが完成することだろう】


あの、これでよろしいでしょうか……まだ追加のご注文などがあればお聞きしますよ?

ただのネックレスじゃなくて……魔術式を組み込むことも出来ますし……
この鱗からは感じる"特別な力"を引き出すことも、可能ですので


【デザインに関しての決定か否か、そして"オプション"は必要かという質問だ】
【ここは"マジックショップ"。そういった類の"特性"を付与することが出来るようだ】
【この場合は鱗に秘められた水の力を引きだす、もしくは水気を設定された形で顕現するといったものだろうか】
【そういった方面への要望があれば、無茶なものでない限りは聞き届けることだろう】
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/27(日) 02:09:20.62 ID:8V7CIeYoo
>>662

【視界が一瞬白に染まる。白を挟んで見えた世界は、まるで別の次元にワープしたかのような、全くの別物で―――】

「……は、ハァッ!?」
<―――これは……どういう……!?>

【思わず2人で視線を合わせて、疑問を口から吐き出した。確かにネクターは先程ルールを定めよう、などと言った】
【―――本当に、その通りになっていた。『とある国のお姫様を誘拐した悪辣な貴族』が目の前にいるのだから。そしてその顔は紛れも無くネクターなのだ】
【相手のペースに飲まれるなと瑛月が告げた束の間、相手の「世界」の飲み込まれていた―――と云うわけである】

【ネクターは言う―――姫様を救い出せと。相手の言う通りにするのは少々嫌なのだが、此処は相手の世界―――闇雲に暴れるよりは、言うことを聞くほうが良いか】
【目の前で、リアルタイムで始まった茶番―――2人の動揺はまだ収まってはいなかったが、兎に角兵士が襲いかかってきたのだから―――対応せねばならない】

<ロウ殿ッ……兵士自体は―――っはッ! 疾ッ……!! 分かる通り全く大した事は無い……!! 一気に本体を叩くぞ―――!!>
「おうッ、こんな隙だらけなら……オラァッ!! セイッ……!! さっき教わった捌きで十分処理出来る……ぜっ!!」

【流麗な動きで兵士の攻撃を避け、次々と躱し際に斬撃を叩き込んでいく瑛月。ロウも負けじと先程教わった捌きで攻撃を躱し、銃で殴りつけたり膝を叩き込んだりして行く】
【―――まるでこちらも予め作られた演出であるのように、簡単に倒されていく兵士。向かってきた兵士は全員床に突っ伏すことになった】
【しかし彼らは劇に付き合おうとはしない。劇ならば倒した所で決めポーズでも取って一言洒落た台詞でも言うのだろうが、彼らは間髪入れずにネクターの所へと向かう】
【もしネクターに次の策が無ければ、瑛月がそのままネクターの鎧と鎧の間―――所謂関節部に突きを差し込もうとするが……果たして次の策はあるのだろうか】


665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/27(日) 02:09:53.19 ID:r+i7PCs20
>>663

【「おいしい」って笑って伝える言葉、それが嘘じゃないのは、きっと、真っ直ぐに伝わるのだろう】
【だってまずいものをぱくぱく進んで食べたり飲んだりするひとなんて滅多に居ないはず、そんな酔狂なひとは】
【少なくとも少女はそうじゃないし、だからバナナ味のを喜んで食べるし、とりあえず――お気に召したようだった】

ふわ……良かったぁ、あんまりね、お金って使いたくないの……でも、放っておくのもヤだったし……。
でも――しばらくもやしだね、もやしと、鶏むね肉と……、……まあね、いいんだ、別に――ふふ、

【――どうやらさらにお金が掛かるんじゃないらしいと分かると一安心、机に転がしていた一枚を、手にとって】
【くるくる回すのは手慰みみたい、両手で持ってほんの少し、撓ませてみたり――鱗が集めた魔力を、指先に乗せてみたり】
【きらきらするその煌きをふうと吹き散らせば苦笑気味に笑う、倹約しなきゃ、って呟いて。時間については――「だいじょうぶ」と答えた】

あ――、髪飾りのこと忘れてた、…………ううん、でも、いいや。もっと時間掛かっちゃうし……、
……また欲しくなったら来るね、うん、そうする。――いっぱい考えたら、疲れちゃった。

こういうの考えるの難しいね、出来るひとって、羨ましいな――……。

【それから。よろしいかと聞かれて返した言葉、――聞いてみたなら、どうやら抜けている部分もあるらしいと知れて】
【すっかり、だなんて呟く、でも存外あっさりと諦めたのは――首飾りの方で二つ決めたからだろう、結局、総数自体は変わらない】
【また、だなんて言ってお終い。それから、転がしていたペンを取って。御守の刺繍案、すらすらと描いてみるのだけれど】
【これまた納得いかなかったのか首を傾げながら「?」と書き添える。それから、マフィンの欠片をもぐもぐと食べて――】

魔術式……? う、ううんと……――。

【新しいことを聞かれて困るのだった。考えてませんでしたとどんな言葉より素直にあらわす態度、ぎくりとしたようにすら見え】

えっと……、……よく分からないから、……どっちがいいかな。

【――そうして困ったように笑ってごまかす。少なくとも自分より詳しいだろう彼に、助けを求めて】
【よっぽど値段の上乗せでもない限りは言われたとおりに頷くはずだった、よく分からないという、言葉通りに】

【魔力を集め水属性に変質させるのもそうだが、全体的に強く水属性を持っているようだった。そしてそれは、】
【不思議にも彼女が右耳にだけ付けるピアス、そこに嵌められた宝玉の欠片の持つ魔力ととてもよく似通って――】
【さらに彼女自身の持つ気配にも似てくるのだから不思議。それら全てが、――彼女がこの鱗の持ち主の子孫だって、証明するみたいに】
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/27(日) 02:25:43.79 ID:haZCRMaPo
>>664
『くそっ!高い給料払ってやってるのに役立たずのクソ共だ!』

【ゲス外道のテンプレート、オンパレード】
【兵士が倒されるたびに『悪辣な貴族』は耳にするのも耐え難い罵声を浴びせる】
【それが兵士の士気を下げているということに気付かないのは、また駄目貴族のテンプレートか】
【顔が真っ赤という点において、怒り心頭なのだろう『悪辣な貴族』は】

「キャー!瑛月様!ロウ様!」
『姫、あんなやつら、我がすぐさまかたずけて見せますぞ……』

【一方で悲鳴のような、黄色い歓声を上げるお姫さま、兵士が倒されたことで心の余裕が出てきたのだろうか】
【それを見た『悪辣な貴族』は表情を緩めひきつりかけの笑いかけながら姫の口をふさぐ】
【そして姫から目を離した途端、『悪辣な貴族』の表情は激怒と憎悪で真っ赤になっていた】

【そして、自身の鎧の間に突き立てられようとする刀はガキッ、という鈍い音とともに受け止められる】
【それはごてごてに装飾された、何ともまあ重そうな、見栄っ張りの剣】
【刀の刃がこぼれないように、器用に受け止めているあたり、彼は真剣に勝負はしていない】
【別のところで、真剣なのだろうが……】

『掛かってこい瑛月!ロウ!この我が貴様らの事を直々に踏み潰してやる!』

【剣を持っているにもかかわらず踏み潰すというあたり、馬鹿馬鹿しい】
【そして受け止めていた刀を跳ね上げ大振りで振り上げ、瑛月を斬ろうとする】
【正直に言えば避けるも受け止めるも余裕な一撃だ、わざわざ大振りにしているあたり剣を握ったことがない放蕩貴族と言うべきか】
【なんにせよ、彼が右肩に抱き留めている姫を傷つけないようにさえすれば、どのような攻撃だって届くに違いない】

【だが、本来両手で持つべきそれを左手一本で扱っている】
【また装飾用の重い戦闘用ではない剣で一応は戦闘できるあたり、中の人……ネクターの技量はそこらへんの人間と同じでは無いようだ】
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 02:34:02.64 ID:xJLI7yn0o
>>665

は、はい……その、いつでもいらしてくださいね?

でも……作れるようになると面白いですよ……?
自分で考えて、勉強して一つの物を完成させる……達成感、といいますか
そういうのが……うぅん、あんまり上手く言葉に出来なくてごめんなさい……


【鈴音の言葉に対して、職人として物作りの面白さを伝えようと試みるも】
【少年の語彙力では想いを伝えることは難しく】
【しどろもどろのまま、少しだけ落ち込んだような様子で諦めた】
【見かけ通りというべきか、店長なのに内向的でコミュニケーションが苦手なようであった】


あの、ですね……最初に見せていただいたネックレスを先にお作りしまして
もう一つの首飾りと、御守りのデザインは後日……完成案を見せていただく形でも大丈夫ですよ?

僕としても……出来るだけ、鈴音さんの理想通りに作って差し上げたいですし……


【今この場で考えつかない場合は、そういう形式でも構わないらしい】
【完成が更に遅れることにはなるだろうが、妥協案で決めるよりも納得のいく形になるかもしれない】


あ、ごめんなさい……急に言われても、よくわからないですよね

えと、折角こんな素敵な鱗なのですし……
最大限に力を使えるようにしてみるのも、面白いかなって思いまして……


【困った様子の鈴音に、ジョシュアは申し訳なさそうな表情を浮かべる】
【専門的な知識を持たない相手に、突然こんなことを告げてもわからないだろうと】
【自分の失態に気づき、恥ずかしげに自分の頭を小さく掻く仕草を見せて】


……例えば、ですね。この鱗からは水気を感じますので
身につけることで水の力を"増幅"したり、特性を何らかの形で引き出す……
霧を出したり、水の壁を作ったり……綺麗な飲み水を生み出す、なんてことも出来ると思います


【オプション……マジックアイテムとして作成した場合の"特性"について簡単に語る】
【つまりは水気に纏わる簡単な現象を起こす力を付与することが出来るのだろう】
【それに続けて「5000ほど……上乗せになっちゃいますけれど」、と追加料金についても付け足して締めくくった】
【代金の事も有り、現状よくわからないような事だ。断ってしまうのも十分に考えられるだろう】
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/27(日) 02:48:43.26 ID:8V7CIeYoo
>>666

【正義の使者が活躍し、姫はその光景に歓声を上げ、悪党は歯軋りを見せ憤慨する。まさしく映画や舞台のテンプレート的なシーンだと言えた】
【言い方を悪くすれば単純な展開だが、そんなトントン拍子な展開に気持ちよくなっている男が居た。―――そう、マーシャル・T・ロウである】

「なぁ瑛月……俺さ、大分気持よくなってんだけどよ……此処はなんかそれっぽい言葉とか決めポーズとかしてみねぇか?」
<……は? 何を言っているんだお前は……そのような油断が―――>

「いやいやいや、こう言う時の『ノリ』っていうのは士気を上げるしツキも来るんだよ……!! んじゃ、やるからな―――!!>

【悪党が「掛かって来い」と吠える。ロウはソフト帽を人差し指でピンと弾きソフト帽を飛ばすキザな仕草をすれば、茶髪を露わにして―――そして一言】

「安心しな、姫様―――俺は唯の賞金稼ぎじゃあ無い……マーシャル・T・ロウ。人呼んで不殺の弾丸芸術家(アーチスト)」
「麗しい姫を危険な目に合わせた罰を―――今此処で受けてもらおうか!!」

【瑛月も切っ先をネクターに向けて、そしてロウがしたようにキメ顔をしながら―――即興で適当に考えた言葉を、それっぽく言い放った】

<…………お、俺はその―――あー、ネクター……一国の姫を誘拐する悪辣な貴族め……!! 我が刃が貴様の悪事を、そして貴様を斬る……!!>
<―――こ、これで良いのか……!?>

【少し恥ずかしそうにしながらも、瑛月は直ぐに流水の動きを見せ―――そして狙うは関節部。更に細かく指摘するならば、姫を抱える右肘部分の甲冑のスキマ】
【そこに剣を突き刺そうとするだろうが―――その狙いは「姫様をネクターから離れさせる事」だった】
【瑛月のイメージはこうだ。ネクターの肘に剣を突き刺すことで右腕から姫様が離れ―――そして落ちる姫様をロウがスライディングキャッチ】

<これで終わりだ、悪の貴族ネクター!!> 「待ってろよ姫様、このマーシャル・T・ロウが抱きとめてやるぜッ!」

【数年つるんでいるパートナーだからこそ、この即興のコンビネーションが出来る。ロウと瑛月は一瞬アイコンタクトを取れば、プランを実行した】
【瑛月が突きを放つ。ロウはスライディングキャッチに備えんと低い姿勢で走り出す。果たして劇のようにすんなり行くのかどうか―――!?】
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/27(日) 03:09:17.80 ID:r+i7PCs20
>>667

うん……、おもしろいものとか見つけたらまた来るね、あんまり、そういう機会ないかもだけど……。
でもまた来るよ、素敵なお店だもん、お茶も、お菓子も、おいしいし……――ねえ、あとで、飾ってあるもの見てもいい――?

……分かる気はするの、でもね、わたしには出来る気がしないっていうのかな……、すっごくね、難しそう。
でもね、それでもいいかなって思うの、だって、こうやって二人で考えるの――楽しいな、って、

一人だけで作ったらそれまでだもん、でも、二人だったら……わたしには思いつかないこと、言ってくれたりする。

【――今回のこれは遺品めいたもの、“そう”なったから手に入れただけで、彼女の普段はごく平和じみた、戦いとは遠い暮らし】
【それなら珍しい素材なんて見つける機会ははるか遠いもの、……でも、だからって、二度と来ないとも思わなかった】
【それこそ新しいアクセサリが欲しくなるかもしれない、本来のこの店の品揃え、義肢とかに用事が出来るかもしれないし――】
【何よりお店自体に興味を持った。飾ってあるものとか、おもしろそうだから――後で見せてなんて、そっとお願いして】

【彼が苦心して伝えようとした言葉、もしかしたら違うかもしれないけれど、彼女が受け取ったのは、こんな形だった】
【おもしろいのだろうことは分かっていた、例えば魔術のお勉強、一生懸命やって、出来なかったことが出来るようになる瞬間】
【ぱああと花が咲くような気持ちはよく分かる。まだまだ魔術なんて素人だけれど、――きっと同じようなものだって、考えて】
【――後ろ向きなんだか前向きなんだかは少し曖昧だったけれど。ものづくりに興味がないわけでは、ないのだろう】

うぅん……、でも、あなたのほうがきっと上手に考えられると思う。
だからね、細かいところは調整してもらって……、……直したいところとかあったら、それでも良くて……。

【言われてまた悩む、今ので通してしまうか、後まで悩むか。――結局出した答えは、彼に任せる、とそんなものだ】
【思い入れは強いようだが、「絶対にこれじゃないと」というほどに強いこだわりはないらしい。大筋は、紙に描いたものでいいと】
【手に持ってにらめっこしていたさっきのメモ書きを机に落とす、大体こんな感じ。後は職人である彼の手で、と――】

【そして特性についての話を聞く、ぱちくりと瞳を瞬かせたり、こくこくと頷いたり、そんな反応は、けれど真剣なもので】
【聞けばどうやら宝玉の力と被ってしまっているところが多いように思えた、他にも、水を出すのは――自分の異能で賄えて】
【水属性に対する特化。それが彼女の割り振り、宝玉の欠片があって尚、厨振りと言い切るには足りないけれど――】
【(さらに言うとこれで深さのある水に触れなかったりするのだからおかしな話だけれど。水が苦手な水属性――なんて)】

ううんと、それなら、……それなら、蛇と仲良くなりたい、えっと、蛇の鱗だし……、……、
とっても綺麗な蛇の神様だったの、山楝蛇の神様で……、他の子と仲良くしてるの見てた、羨ましかったの――。
わたしも仲良くしたいって思ってた、だってみんな逃げちゃうの、わたしじゃ駄目で、あの蛇(ひと)じゃないと、駄目で……。
……だめ、かな、無理かな……、やっぱり、水の力とかじゃないと……?

【――だから、彼の言うような水の力にはあんまり惹かれなかった。今で十分に出来る、それなら、断ってしまうようにも】
【でも。そのうちに紡がれる言葉は違っていて、でも、きっと彼の想定していなかった方向を欲しがる、我侭する、お願いする】
【山楝蛇と仲良くしたいなんてことが彼女のお願いだ。「お話とか出来なくてもいいから」なんて、しどろもどろして】
【斜め上な我侭だって自覚していれば俯いてしまう、不安げに右耳のピアスをいじくって――小さく唸ってから、彼を見つめた】

【――もちろん無理だって言われたらそこで意見は引っ込める。そういうことが出来るか出来ないかというのも、彼女には分からないから】
【無理にやれだなんて言える立場じゃない。ただ、あの神様がしていたみたいに、仲良く出来たら――いいなって、思うのだ】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/27(日) 03:12:48.25 ID:haZCRMaPo
>>668
【ノリに乗ってきた様子にネクターは内心で拍手を送った】
【だが、それを表に出すことはしないだろう、今の彼は『悪辣な貴族』なのだから】

「ロウ様ー!助けてー!」
『貴様ら……この我を侮辱しおってぇええ!』
『姫は我と結ばれるのだ!貴様らのようなゴロツキに渡すような姫ではない!』
「いや!いやよ!助けて!助けてー!」

【『悪辣な貴族』は姫を右脇に抱え込み、姫は必死に抜け出そうとする】
【しかしか弱い女子の腕では抜け出すこともできない】
【下劣な笑みを浮かべている『悪辣な貴族』が何を考えているか、それは容易に想像できるだろう】
【……あまりにも想像しやすいともいえるだろうか】

『貴様が?この我を?斬る?ぬかしよる!その刃で何がなせ……!』

【そして、まるで愚弄するような言葉を吐くことで剣の振りが遅くなり……右肘に深く深くその刃は刺さる】

『ぐ、うおおおおおおおお!!』

【と、悲痛そうな叫び声をあげながら右腕に抱えていた姫を高く高く放り投げる】
【非常に受け止めやすいそれは、よほどのミスをしなければお姫様抱っこで姫をキャッチできるだろう】
【一方の『悪辣な貴族』は普通突き刺しの攻撃を受けたら刺さるだけだろう】
【だがしかし、『悪辣な貴族』は吹き飛び壁に激突する、もうもうと煙が立ち上がる】
【この後ろに吹き飛ぶ際にしっかりと肘から刃は抜けている】
【なんともまあ、都合がいいといえば都合がいい】
【しかし王道とはどんな時代でも一定以上の需要はあるものだ……今この場には関係ないが】

【ともあれ、二人のコンビネーションはうまく決まった……!だが!】

『ぐ、ぬぬぬ、おのれ……!生きては返さんぞおお!』

【そういうとぼろぼろになりながらも立ち上がり飾ってあった奇妙な紫の水晶玉を手に取る!】

『この魔導の宝玉で貴様らを……!ぬぐ?』

【そして一瞬宝玉の強い魔力がロウたちに向く……が、次の瞬間、まるで焦ったように『悪辣な貴族』は水晶を叩き始める】
【なお、実際はこの宝玉、強い力を秘めたガラス玉である、そんなそこらへんに宝玉が転がっているわけでもないし、本物ならこうは叩かない】

【そして次の瞬間】

『ぐがあああAAAAAAAAAAAA!!!!!』

【『悪辣な貴族』が紫色の魔力に覆われその肉体が変質する!】
【まるで宝玉が男を取り込むように……】
【そして魔力が晴れたとき、『悪辣な貴族』は世にも醜い巨大な『Monster』と成り果てていた!】
【そして『Monster』は真っ赤な目でぎらぎらとロウたちを睨み付け、その巨大な腕をロウたちに振り下ろす!】
【潰されたらたまったものではない!この暴走する『Monster』にどう対処するのか!】

【なお、紫色の宝玉(偽)は『Monster』の額に埋まっている】
【どう見ても弱点である、また巨大化や暴走はどうあがいても敗北するというある種のテンプレート、決まり事、鉄則がある】
【それを踏襲しての、なのだろう】
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/27(日) 03:30:41.49 ID:8V7CIeYoo
>>670

「無理やり好きな女を掻っ攫うような外道にこそ、姫様は渡せねぇなァッ!!」

【白銀の刃が肘に刺さり、何故か貴族は吹き飛び、そして姫は綺麗な放物線を描いてスライディングするロウの腕の中に収まった】
【タイミングもばっちりであり、此処が本当に舞台なら沢山の拍手でも貰っていたのではないかと言うほどである】

【しかしながら「見せ場」はこれだけではない。立ち昇る煙と未だ荒々しい声を上げるネクターが、まだエンディングではないと言う事を示すのである】
【手にとった水晶玉を宝玉と語るネクター。しかしロウには分かる。普段からペンダントとして宝玉を身に付けているからこそ、宝玉の魔翌力には敏感であり】
【ネクターの持つ其れが宝玉とは違うと言う事を、瞬時に悟った。しかしながら今は演技、ロウ自身も其れが宝玉だと仮定して動き、台詞を飛ばした】

「哀れネクター、宝玉を飼い慣らすには強靭な精神が必要なのだが―――どうやら貴様には早すぎた代物らしいな」
「ならばこの俺が『幽幻の宝玉』の力で―――化け物と化した貴様を葬らん!」

「―――唸れ、我が宝玉―――!! そして放て、弾丸憑依Icarus !!!」

【ペンダントが淡い光を放ち、ロウは姫を抱えながらも右の銃口を化け物へと放つ。しかし放った弾丸は足元へと向かっているのだが―――】
【―――軌道が、急変する。「ノ」の字を描くかのように急上昇、急加速した弾丸が向かう先は勿論―――額の宝玉】
【因みにこの間、瑛月は……やけにオーバーな舞台俳優気取りのロウを棒立ちで見守るしか無かった。入り込む隙間が無いののだ】

672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 03:39:40.60 ID:xJLI7yn0o
>>669

あはは……その、そう言って貰えるとすごく嬉しいです……。
いつでもいらしてくださいね……か、歓迎しますから……

は、はい、店の中の物は自由に見て頂いて大丈夫ですよ?
安全装置もついていますし、ちょっとくらいなら触っても大丈夫ですので……


【鈴音から発せられた自分の店を褒める言葉に】
【はにかんだような笑みを浮かべながら、嬉しそうに薄く頬に朱を宿す】
【小さいながらも、様々な人の協力を得てようやくと持つことが出来た店だ】
【作品同様に自分の子供のような存在である<Fairy's Gift>を評価されて、嫌な気持ちになるはずもなかった】


そうですね……誰かと何かを考えて作るのは、楽しいです
僕もよく……他の工房の方と協力して作品を仕上げることがあるのですが……
意見を出し合って、徐々に完成させていくのは本当に……仕事をしててよかったな、って思えます

あと、ですね。こういう難しいことでなくても、お料理とかでもいいかもしれませんよ……?
僕もまだまだ人に誇れるような腕じゃないですけれど……新しいお菓子とか作れるようになるとすごく楽しいですし

……誰かに美味しいって言って食べていただけると、ちょっと……幸せな気持ちになれるんです


【制作物のハードルを細工から料理にまで落とす】
【極めるとなればどちらも等しく険しいものだが、身近な範囲で収めるならば】
【金属加工よりも数段以上楽に取り掛かることも可能であろうか】
【ジョシュアは、本当に楽しそうな様子で自分の経験を交えて言葉を紡いでいった】

【そして、鈴音の言葉……「二人だったら」のフレーズのところから】
【誰か大切な人がいるのかな?といった考えが過ぎるも】
【これも今尋ねるようなことではないだろう、と口に出して告げることはなかった】


はい、判りました……では、これを元に僕の方で調整したいと思います

えと、完成した後……気に入らない点などがありましたら
無料で修正しますので……お気軽に言ってくださると幸いです……。


【鈴音の言葉を承諾する】
【デザインに関しては、注文内容から曖昧な部分を補完したものになるだろう】
【不備があった場合、後で言えばサービスで直すことも可能なようであった】


蛇と仲良く……ですか? ええと、そういった要望は初めてですが……うぅん


【予想外の要望に、ジョシュアは鱗の一つを手に取りながら】
【しばしの間考えるような様子を見せ……】


蛇の神様でしたら……本来の気質を呼び起こすような形にすれば
同族を惹き付ける特性を持たせることも可能……かも、しれません

前例がないので少し実験しないといけませんが……きっと、そう難しくはならないんじゃないかなって……思います


【彼女の要望に対して、そんな答えを出した】
【本来の気質を呼び起こす……つまりは、蛇の神が生前持っていた"気"を復元するのだろう】
【同族、しかも神族の気を纏うことが出来れば、親交を深める……もしくは従えることも可能になろうか】
【確証はできないが、そういった形で特性を付与すれば可能ではないかと、鈴音に告げる】

【この提案に関しての答えを貰えたならば、依頼内容の確認はこれで終わりになろうか――】
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/27(日) 03:42:28.95 ID:haZCRMaPo
>>671
【巨大化した『Monster』に言葉は通じない】
【ただ、むやみやたらに周囲のものを破壊するだけだ】
【貴重な壺(偽)、神に捧げられた剣(見た目だけ)、今は亡き画家の描いた貴重な絵(贋作)】
【姫は怯えながらロウの胸にギュッと掴まる】
【いたいけな少女がどれほどの恐怖を味わったか、それがよくわかる】

『GUGYARUAAAAAAAAAAA!!!!』

【そしてついに、瑛月、そしてロウをその拳がつぶそうとした次の瞬間!】

【パキィン……!と額の宝玉(ガラス玉)が割れる!】
【その瞬間苦しげな断末魔を上げる『Monster』!】
【最後にロウに抱えられた姫に手を伸ばす、が、姫はその手をぱちんと、弱々しいながらも確固たる意志を持って弾いた】
【そして『Monster』地面にばたりと倒れ、動かなくなった……】

「ありがとうございます!瑛月様!ロウ様!」

【そして涙で潤んだ表情で瑛月とロウを見上げる王女様】
【さぞ怖かったのだろう、体が震えている】

「このお礼、いったいどうすればいいのか……」

【そして王女さまは考え込む、いったいどうやって助けてもらった恩を返せばいいのかと】

【例え瑛月が棒立ちだろうと、進むものは進むものである】
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/27(日) 03:56:32.66 ID:8V7CIeYoo
>>673

「―――……ま、こんなもんだぜ」

【銃口から微かに吹き出る煙をフッとわざとらしく吹いてみせる。彼なりの決めポーズなのだろう】
【台詞が言い終わるのを待っていたかのように、バタリとモンスターが倒れる。―――……決まった。などとロウは内心思っているのだろう】

<……で、終わったのか? ネクターの言う通り姫を助けたのだが―――>
「―――ん、お礼? んなもんは要らねーよ……強いて言えば、姫様が笑顔になってくれることが一番のお礼さ……」

<……おい、話を聞けタコ>

「……〜〜〜〜ッッ痛ぇええええええッッ!! お前ここでそれはねェわ空気読めよちょっとはぁああああッ!!」

【自分だけが置いて行かれる展開に、未だ調子に乗るロウ。キメ顔を姫様に作りすかした言葉を投げかけるその姿にも苛つき―――】
【最初にローキックをぶつけた部分に、再度右の爪先をめり込ませた。 響く絶叫は先程までのよく出来た流れを台無しにするだろうか】
【いや、オチとしてはいいのでは無いか―――などとも思う。兎に角姫は助けた。ネクターの言う通りならば、これで勝利条件を満たしたが……?】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/27(日) 04:09:03.96 ID:r+i7PCs20
>>672

――じゃあ後で見ていくね、いろいろ気になるの、あれとか……。

【見ていっていいとなれば嬉しそうだった、あれと言って指すのはよく分からない筐体、何に使うんだろうって】
【考えてもやっぱり分からないなら、後で説明して欲しい……なんて顔をしていた、(それっぽく話してやれば、喜ぶはずで)】
【他にも水晶玉とかも気になる、リアルな義手とかも気になるし、――つまり、なんだって気になるわけなんだけれど】

お料理は得意だよ、最近ね、いろんなひとに食べてもらうことも増えたの、バイトをね、始めて……。
やっぱり喜んで貰えたら嬉しいもん。わたしが作ったもので、喜んでもらえるなら……いろいろ練習してきて良かったなって思うの。
今まで頑張ってきた時間を褒めてもらうのと同じだもの、いっぱい失敗したけど、無駄じゃなかったんだって……。

……さっきのマフィン、美味しかったよ。わたしはね、甘いもの作るのって結構苦手なの、だって……。
――お砂糖、とか、バター、とか、……おそろしいほど使うでしょ? だからね、うわあって思っちゃって……。
いっつもあんまり甘くないの作っちゃうの。分かってるんだけどね、……難しいの。

【――お料理で例えたのは正解だったのかもしれない、それなら分かるとばかり、ふわっと表情は解けていって】
【同じ感じなのかなあと思う。レシピを覚えて、作ってみて、失敗するかもしれないけれど、それは決して無駄なんかじゃなくて】
【いつか上手に作れる日のための練習。そうやって積み重ねて、上手に作れたなら、褒めてもらえることもあって――】
【――こうやってひとを褒めることだってある、自分は苦手だってくしゃり、笑って見せて――にがあくなる表情は】
【女の子らしく怖気づいてしまうのだと言う。箱一つとかとんでもない、いろんな意味で高くなる――と】

うん、……お願いします。……きっといいものにしてあげてね、……――ふふ、なーんて。

【それから少しだけ姿勢を正して言う、ちょっぴりプレッシャーを掛けるような言葉は、ただ、大丈夫だと信じているみたいにほどけて】
【「楽しみにしてるね」って言葉を付け足した、それからハーブティーを一口飲んで、ふうとひとつ吐息を吐き】

……やっぱり無理かな、変なこと言ってるのは分かるの、こんなこと言うの、きっとわたしだけだろうなって――、

【前髪の向こう側で眉がしゅんと下がっていた、長くて多い睫毛も気持ち下がりがちになって、数度の瞬き】
【そうやって彼が鱗を持っている、その手を見つめていた。待っているのは長い時間に思えたけれど、きっと、そうでもなくって】

わあ、……ほんとう? ほんとうに、できるの? じゃあ、わたし、それがいい――!
“これ”で足りないなら持って来るよ、まだあるの、――。

【――彼の返事を聞けば、しゅんぼりとしていたのがぱあっと明るくなる、姿勢すら前傾して、のめりこむような仕草】
【じゃあそれがいいだなんて即決、この五枚じゃ実験するのに足りないというならもっと持って来るとまで告げて、】
【本当に嬉しくて仕方ないというように目をきらきらきらきらさせていた、それこそお星様が落っこちそうなぐらい、輝かせて】

【とりあえずこれで注文には問題無いらしい。アクセサリのデザインは細部はお任せで、付与する特性は蛇と仲良くしたい、という願望】
【後はお金だとか、受け取りの時期だとか、そういった話になるだろうか。彼女は座っていてもそわそわしている様子だったが、】
【そういった話になるなら少しぐらいは落ち着くはずだった。初めみたいに、手を膝に置いて――】
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/27(日) 04:09:22.44 ID:haZCRMaPo
>>674
【その様子に、ふふふと姫は笑い、軽くロウの頬にキスをするだろう】

【と、同時に、再び空間が軋む……】

 いやぁ!なんとも馬鹿馬鹿しいまでに素晴らしい劇でしたでしょうか!
 ここまでの喜劇を私は見たことがありません、皆様はいかがでしょう?

【喜色満面の、傷一つないネクターが部屋の中心に立って謳う】

 彼らの勝利を祝いましょう!そして同時に、この演目は終幕です

【そして、彼がそういった途端再び閃光、目を開けばさっきまでいた公園】
【周囲に一切被害はない……あってたまるかという状況でもあるのだが】

【と、同時にロウは抱えていた姫がグッと重くなる、まるで人間が死んだときのように】
【死んだ人間は、革袋の中に血と肉を詰め込んだ状態だ】
【その抱え込んだ姫を見てみれば、まるで眠っているようだ、ほほえみながら目を閉じている】
【顔色は白と言うわけでもなく、仄かに赤い、だが、どうしてこうも重たく、冷たいのか】

 いやぁ!素晴らしい演技でしたよ!
 特にロウさんは役者でも食っていけるんじゃないのでしょうか?

【素直な賞賛、思えばこの男が嘘をついたことはない】
【称賛の裏で貶すことも、勝利条件を破ることも、何一つしていない】
【そう、"嘘"は何一つとも】

 やはり王道は一定以上の支持を受けることができますね
 もっとも、ここまでごてごての王道は今のご時世ありふれてないでしょうけどね

【くすくすと笑いながら左目のレンズを決してロウたちから離さない男】
【聞くことは、いろいろあるだろう】
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/27(日) 04:15:23.67 ID:8V7CIeYoo
>>676
/す、すみません流石にもう時間的にしんどいので返信は置きレスにします……
/ここまでありがとうございました、凄い面白かったです!
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/27(日) 04:22:02.98 ID:haZCRMaPo
>>677
//了解しました!ゆっくりでどうぞ!
//それではおやすみなさいませ!
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 04:35:22.05 ID:xJLI7yn0o
>>675

きっとですね……僕のしている仕事もそれと変わらないんです
勉強して、練習して……時には失敗して……
そうやって作り上げたものを誰かに手に取ってもらって、認めて貰う
形は違っても、そういう事はどれも同じなんじゃないかなって……僕は思います


いつか機会があったら……鈴音さんのお料理も食べてみたいですね
あ、えと、変な意味とかじゃなくて……ですね。
僕、料理について語れる友達とか少ないから……鈴音さんみたいな人と仲良く出来たらなって思うんです……


【「お客様にこんなことを言うのは失礼かもですが……」と、後半は自信なさげに締め括る】
【浮かぶ感情は、無垢な子供を思わせるような、純粋に友好的な想い】
【見た目からしてもそうだが、こんな仕事をしている割には随分と幼く映るかもしれない】


ほ、本当に出来る……とは、まだ言い切れませんけれど
僕の予想が正しければ大丈夫……だと思います

新しい術式を考えなくちゃなので……少し期間は頂くことになりますが
その……精一杯頑張りますので、期待して待っていてくださると嬉しいです……。


【身を乗り出し、目をキラキラとさせた鈴音の様子に】
【気弱な少年はプレッシャーを感じて少し自信なさげな言葉で濁すも】
【それもすぐにお客様の期待に応えなくてはという】
【職人としての気持ちに切り替わっていき、最後は鈴音に対してそう告げた】
【きっと、完成させてなるべく鈴音の望む通りの特性を生み出してくることだろう】


では、あとは――――


【そこまで話を終えると、ジョシュアは近くの棚から一枚の紙を取り出し】
【それにスケッチした時と同様にサラサラとペンを走らせていった】
【カタログに記されたナンバーと、スケッチに振り分けた番号を記載し】
【ネックレス2つに、特性の付与を含めた代金を計算すると……】


――えと、これだけになります。
代金のお支払いは後払いで……商品のお受け渡しの際にいただきます

期間は、そうですね……一週間後以降でしたらいつでも大丈夫だと思います……。
術式の開発が難航してしまいましたら……もう少しお時間を頂くことになるかもしれませんが……


【鈴音の方に、「25000」という数字が記入された請求書が差し出された】
【特殊素材を使ったオーダーメイドの魔道具を2つ、と考えたならば破格といってもいい値段であるが】
【街で売られているような一般的なアクセサリーと比較すると、少々ばかり高くも映るかもしれない】
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/27(日) 04:54:09.05 ID:r+i7PCs20
>>579

【そっかあと彼女は一つ呟いた、やることは違っていても本質は変わらないのだと、そう合点がいったように】
【それならちょっとできるかもなんて思ってしまうのが少しだけ子供っぽい、でも――手先は器用なほうだから】
【手芸屋で売っているようなアクセキットぐらいなら――まあ、やってみるのも、悪くないように思えた】

それならね、UTって分かるかな……あそこでお仕事してるから、食べに来てくれたら……。
……あ、でも、遠い、よね。……それなら……うん、いつか機会があったら。

【料理が食べたいといわれればふわと一瞬だけ間が空く、でもすぐに笑って――続く言葉は、或いは宣伝めいたものだ】
【どうやらあの有名な――正義組織。の、運営している店で働いているらしいのだった、それなら、さっき言ったバイトとは】
【つまりそこでお料理作っているよということで――……まあ、それなら、存外簡単に食べることも出来るのかもしれないけれど】
【――いつか機会があれば、なんて言葉はどちらかと言えば望み薄。でも彼女は、本当にいつかがあるような言い方をするのだった】

【やっぱり思っている職人像と違うと思うのだった、でも自分だって子供ぽいところがあるなら、彼にそうだなんていえなくて】
【寧ろ堅物みたいな職人さんより話しやすくていいと思う程度だ、あんまり――こわいひとは、苦手なものだから】

うん、待ってる――、楽しみにしてる、すっごい楽しみにしてる!

わあ……ずっと羨ましかったの、あのひとが蛇と遊んでるの見て……わたしもしたいなあって、
できたらいいのになあって、ずっと思ってた――でも出来なかったの、だってみんな逃げちゃって、逃げちゃうから……。

【――なんだかもう有頂天、すっごいにこにこしちゃっているのを見れば、どれだけ楽しみにしているかって、すぐに伝わって】
【それにしたってこの口ぶりだと先祖と一緒に過ごしていたようなのだが。まあ――先祖が蛇と言う時点で、なんでもありな感じ】
【そんなことより嬉しそうにしているほうが強く目に映るのだろう、――でもそれも、続く話題には流石にいくらかきりっとして、】

――え、こんなに安くっていいの? ネックレスが二つ……でしょ、……ほんとに?

【――それが、すぐに「はてな」と言う様子で崩れるのだった、本当にこれでいいのか、何か間違いじゃないのかって】
【きょとんとした眼が何度か請求書と彼を見て。――もう少し高価いものだと思っていたのだろう、なんせ、】
【ただのちょっとしたアクセサリを買うのだって宝石によっては何万もする、綺麗なのを欲しいと思えば、それは余計に】
【それが――宝石ではないし、持込だとしても――思っていたよりずっと安いから、びっくりしてしまった様子】

…………うん、じゃあ一週間したら電話するね、急いでないから、時間が掛かっちゃっても大丈夫だし……。
――ほんとにこの値段でいいの? ……あ、じゃあ、余った鱗は全部あげる……、好きに使って欲しいな、

【そんなぽかんとした様子で続く話には対応するのだ、まあ、いつだっていいよと、きっとそんな意味合いで】
【値段についてはまだまだ納得行かないようだったが――ふと思いついたのは、残りの鱗を全部置いていくと、そんな提案】
【ネックレス二つとなれば大体半分は残るだろう、それを好きにしていいと、――それですら安いように思えるのだけれど】
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 05:20:48.93 ID:xJLI7yn0o
>>680

ゆーてぃー……っていうとあのUNITED TRIGGERですか……?

あ、そ、その……ごめんなさい……
なんていうか、イメージとちょっと違うというか……危ないんじゃないかなって思ったり……とか
そうですね……いつか機会がありましたら、お店に行ってみたいなって思います……


【まさか戦闘要員として働いているわけではあるまいが】
【それでも世界を救う為に日夜戦う"正義の味方"と関わりがあるとは予想外であった】
【ジョシュアは存外驚いた様子で、少々失礼ともとれる言い回しで返事をした】


は、はい……僕の場合は作り方がちょっと"特殊"ですし……
今回の場合は素材を持ってきて頂いているので、材料代もあまりかからないんですよ

これでも赤字覚悟ってわけじゃないので……安心してくださいね?


【実際のところ、代金に関して客から逆に心配されることはよくあることであった】
【大半がオーダーメイドで、更に魔術式の付与まで行っているのだ】
【まともに考えたならば有り得ないような金額で仕事をすることが多い為】
【喜ぶよりも店の経営を心配してしまう人は珍しくない】

【それにも幾つかの秘密もあり、ジョシュアの良心的な問題も関わっているのだが】
【これについて、今の時点で語られることはないだろう】


え、こんな貴重な物を……本当ですか……?
えと、すごく嬉しいです。鈴音さん、ありがとうございます――


【蛇神の鱗、考えるまでもなく希少な素材を譲り受けられると聞いて】
【ジョシュアの職人としての……いや、"マニア"としての心が燻られることとなり】
【パァ……と、向日葵のように嬉しそうな笑みを浮かべて、頭を下げ感謝の言葉を鈴音に向けた】

【何はともあれ、これにて契約は無事終了である】
【先程会話を交わしたように、店内の見学をするならば】
【ジョシュアはそれに従い、質問などをされれば律儀に説明をしてくことだろう】
【それが終わって、鈴音が店を後にするときにはきっと】
【満面の笑みで手を振りながら「またのご来店を、お待ちしております……」と、彼女の背中を見送っていく】
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/27(日) 05:36:57.08 ID:r+i7PCs20
>>681

あ、えっと……、UTのやってるお店のほうで、お料理作ったり、お客さんとお話したり、してるの――。
友達にね、誘われたんだ。ほんとはそんなとこ似合わないって、思ってるんだけど……、ね。

ん……危ないかもしれないけど、どこにも居られないより、ずっといいって思うから。

【彼の言葉にはちょっぴり苦笑する、やっぱり似合わないかな、なんて小さな声が呟いて】
【なんだか――今頃になっても自分がそこに所属しているって不思議だった、こんな自分でもいいのだろうかって】
【――ほんの少しだけ自嘲気味に呟いた言葉があった。でも悲痛でないのは、直後にふああとあくびなんてしてしまったから】
【店内に時計を探す視線、もし見つけ出したなら……もうこんな時間かって、眠いわけだって、ぐしりと目を擦って】

そうなの? ……それなら、いいんだけど……。

【でも。彼がそう言うならそうなんだろう、そこは自分の突っ込めることじゃないし、――彼の方針に口を出すなんて、とても】
【だから、彼女はちょっぴり納得行かないようではあったが、頷いて。無理繰りにでも納得してみせるのだろう、そっかあ、なんて声】
【ちょっぴりジト目みたいになっていたけど放置でいいだろう。まあるい瞳、こうやって細めると――綺麗に、半月型(デフォルメ)】

……うん、いいの。ちゃんと使えるひとが持ってたほうがきっといいもの。
作ってくれるお礼もそうだし、安いのもそうだし、……大切に使ってあげてね。

【でもそんな表情は長続きしない、すぐににこりと笑って、持ってきた五枚は、全部がお嫁入り】
【まあ、そのうちのいくらかは自分のところに戻ってくるのだけれど――大部分は、彼のものとなって】
【好きに使ってやれば彼女も、この鱗も喜ぶことだろう。――そうして会話を終えれば、彼女は残ったハーブティーを最後に飲み干し】

…………ねえ、ねえ、これなあに? 何に使うの――?

【――だなんて風、質問攻めにしながら店内を見て回るのだった。やっぱり興味深いのは筐体と、水晶玉と】
【義手におっかなびっくり触れてみたり、銃のパーツを突っついてみたり、そんな時間を過ごすのは数十分ほど】
【そのうち気が済めば、お願いします――ありがとう――そんな言葉を置いて、彼女は帰っていくのだろう】

【そのあとのこと。きっかり一週間で掛かってくる電話、だいじょうぶかどうかを聞いて――その日でなくとも、大丈夫と答えれば】
【前よりもいくらかゴシックな服装の彼女が受け取りに来たのだと言う、やっぱりひどく嬉しそうに――そんな、後日談】

/おつかれさまでした! ありがとうございましたー!
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 05:40:09.66 ID:xJLI7yn0o
>>682
/早朝までお疲れ様でしたー!
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 08:58:55.67 ID:YEqQUvBdo

 【公園】

 結構、この世界って物騒なんだな……

 【ベンチに座っている、ソフト帽にライダースジャケットの男は呟いた】

 って、そんな事言ってる場合じゃないな……
 宿はチェックアウトしたし、今日の寝床と金稼げる場所探さないとなぁ。

 (このままだとニート一直線って……元の世界の奴が見たらどんな顔されるんだろうなぁ……)

 【どうやら、彼は仕事が出来る場所を探しているようだ】

 (大抵のことは出来るから、いっそのこと木材さえあれば、屋台作って屋台するのも手だな)

 とりあえず、履歴書なくても雇ってもらえるところ探さないとなぁ。
 屋台作戦は其の後でいいだろ。
 じゃあ、行きますか!!

 【男はそういうと、ベンチから立ち上がり歩き出そうとした】
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 12:04:10.31 ID:YEqQUvBdo

 【街中】

 (やばい、冷静に考えれば、木材を入手するっていうのが難しすぎる)
 (お金は無いから買えないし、森とかに行って切り倒そうにも……森がどこにあるか分からん)
 (そもそも、森の木を勝手に切り倒すのはまずいだろうしなぁ)

 切り倒すだけなら道具は要らないんだけどなぁ……

 【黒いソフト帽を被ったライダースジャケットの男は溜息をついた】

 よさげなバイトも見つからないしよぉ……
 人がいるって聞いたし酒場にでも……と思ったが、常識的に考えれば、人が増えるのはよるだしなぁ。

 【男は仕事を探しているようだ】
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 14:41:20.08 ID:YEqQUvBdo
 【公園】

 やっぱ、この時間は酒場もやってねぇみたいだな。
 このまま、何もしないってのもなぁ……
 しかたねぇ、体がなまらないように、訓練でもしておくか。

 (まぁ、正確に言えば体動かしたくてたまらねぇだけなんだけどな)

 【黒いソフト帽を被った、ライダースジャケットの男がそう呟くと】
 【突如として、拳を虚空に向かって放ち始めた】
 【周囲には風を切る音が響く、遊んでいた子供達が男に注目したが、親が見てはいけないと叱った】

 (そんな事気にしないんだけどなぁ……)

 足技も交えてっと。

 【次に拳だけでなく、蹴りも交えてのコンビネーションが始まる】
 【その姿は、雄雄しく気高い獅子のようであった……見るものが見れば、強い悲しみも見えただろうが】
 【その動きには、見てはいけないと言った親達も目を奪われた】

 ギャラリーも増えだしたな……

 (まぁ、気にしないけどな……)
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/27(日) 16:38:48.60 ID:gfUP5zWWo
【―――――水の国 公園】

「暑い………もう駄目だ………」

【高々と太陽が辺りを照り付ける真っ昼間】
【気温は猛暑。季節の中でもかなり気温が高い方】
【暑すぎるためか普段賑わうはずの子どもたちの姿は多く見られない】
【そこに覚束ない足取りでフラフラと一人の人物が】
【日焼けをしていない真っ白な肌に、汗によって艷やかに輝く黒髪に】
【切れ長の目、細い体躯と女性的な容姿】
【半袖のTシャツに短パンと、夏らしい格好をした少年だ】

「死ぬ、無理………」

【向かった先は、丁度日陰の部分にあるベンチ】
【やはり足取りは安定しない。フラフラと、時折躓きそうになりながらやっとの思いで辿り着く】
【少年は崩れ落ちるようにしてその場に座った】

「熱射病か熱中症か脱水症か…そのどれかに当たったな…」

【息を切らし、項垂れながら呟く】
【かなり限界のところまで来ている】
【暑い、というよりは最早熱い】
【ここで何故か、ふと常夜さんの言葉が再生される】

――――――『なんでこんなあっちぃんだろなぁ。なあしーたん?』


【いや、僕に質問されても】
【あまりにクリティカル】
【それは、僕が聞きたい】
【神様に聞きたい】

「神様、あなたは馬鹿ですか…?」

【届くはずもない無意味な事を一人ごちる】
【これが戯言だったら良いのに】
【その言葉も、猛暑の中で消えていくだけであった】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2014/07/27(日) 17:08:55.04 ID:59lcL22rO
>>684
初心者みたいだから1つアドバイスするけど()にどれだけ文章を入れても相手は反応し辛いよ
だったら台詞増やすか【】の文章を増やした方が良いかもね
今まで過去ログを見ると展開とか文章の書き方とか結構参考になるよ
>>687の人のも地の文が絡みにくい
見たところラノベか何かに影響されてるのかもしれないけどこれはSSじゃないし相手と文章をやり取りする事を第一に考えた方が良いね
前にも注意したけど
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 17:41:57.63 ID:YEqQUvBdo

 【公園】

 トレーニングもある程度やったし、酒場のほうに行ってみるかぁ。
 あっ、お金ないから何も頼めない……どうすりゃいいんだよ俺!!

 【公園の奥深く、人は余り子に無いような場所】
 【そこで大声を出している男がいた】
 【黒いソフト帽を被り、ライダースジャケットを着た男】
 【どうやら、お金がないようである】

 大声なんて出すもんじゃないね。
 あー、飯は後一週間ぐらい食べなくてもいい、寝床も天井さえあればかまわねぇ。
 仕事も悪事でなければ、どんな重労働でも問題なし。
 ただなぁ、履歴書の問題がなぁ……

 【そんなことを言っている男は溜息をついた】

 金がねぇと、こいつの修理もできねぇしよぉ…・・・

 【男は左腕につけている、腕時計のようなものをコツコツと叩きながら言った】

 土地もねぇから、あっちでのやり方も通用しねぇしよぉ。

 【その背中には、なんというか……哀愁が漂っていた】

 誰でもいいから、助けてくんねぇかなぁ……

 />>688さん、アドバイスありがとうございます!!
  できるだけ反応しやすい文章を書けるように努力します!
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 18:24:38.02 ID:xJLI7yn0o
>>689

……おいおい、溜め息なんざついてどうしたんだい兄ちゃんよ


【そんな男に、何処からともなく声がかけられた】
【発生源は左方。気配を察する術に長けていれば、足音もなく近づいてくる存在に気付く事もできるだろうか】

【2mを超えるであろう大柄な身体を僧衣のような紺色の民族衣装で身を包み】
【露出した肌に生やすは黄褐色と黒の縞を描く体毛】
【左手に螺旋の金属飾りのついた長い木杖を携えたその者は】

【虎の頭部をし、ふらりと尻尾を揺らす獣人であった】
【二足歩行の虎が服を着たような姿を言えばわかり易いであろうか】


なんつうか……お前さんの声、聞こえちまったんだがよ
昼間っから日光浴楽しんでる……ってな具合じゃあねえやな

どうだい、俺にちょいと話を聞かせちゃくれねえかよ?


【虎人は自分の耳を指差す仕草を見せながら、老人のような声で男に告げた】
【獣顔のため表情や年齢などは判りづらいが、恐らく高翌齢の男性なのであろう】

【肉球のついたふにふにの足で芝生を踏みしめながら】
【虎人は阻止されなかった場合、彼の近くまで寄っていこうとする】
【声色や気配には敵対するような色は混ざっていないが】
【非常に威圧的な容姿をしているため、警戒心を与えることもあるかもしれない】
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 18:36:12.28 ID:YEqQUvBdo

 >>690

 いやね職が無い、家も無いおまけに金もまったく無い。
 そんなピンチなんですよ。

 【男は近づいてきた虎人の方に顔を向けた】

 (獣人の類ですかーー!!)

 酒場とかの人が集まる場所に行こうにも、金が無いから店の方に迷惑だ。
 しかも、ある事情で履歴書の類を書くことが出来ないんすよ。

 【男は始めて獣人と出会っい驚いた】
 【だが失礼にならないように、それを顔に出さないようにした】
 【その上で自分の状態を自分が異世界人であることを隠して話した】

 おっと、自己紹介が遅れた、俺の名前は黒須 春斗って言うんだ。
 あんたは?

 【春斗は自らの名を語り、獣人に名を尋ねた】
 【その様子から見るに、まったくと言っていいほど、春斗は警戒していない】
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 18:59:47.87 ID:xJLI7yn0o
>>691

なるほどなぁ……大体事情はわかったぜ
旅人か、元犯罪者か……"あっちの世界"から迷い人ってえ線もあるが


【春斗の話を聞いて、思いつく素性をポツポツと呟く】
【その最中、獣特有の金色の瞳で彼の表情を窺うようにして見やる】
【恐らく、並べた言葉に対する反応で"後暗い人間"でないかどうかを確かめているのだろう】


ん?……ああ、俺はグー、グー・ゲルギルってんだ
判りやすくいやぁ巡回牧師をやってる物好きな爺さんっつぅところか?


【聖職者にしては随分と物々しい風貌ではあるが】
【衣装や装備からその類の職についている人間であると察することも出来るだろうか】


そんで春斗よぉ、お前さんがいいってんなら俺から紹介してやってもいいぜ?
これでもこのへんじゃあそれなりに顔も利くんでな

家がねえってなら住み込みの仕事にも心当たりはあるんでな
……まぁ、俺の信用の問題もあるんで、ちょいとお前さんの話を聞かせて貰わなきゃあならねえが


【グーは春斗に対してそんな言葉を投げかけた】
【話……というのは春斗が危険でないかを確かめるためのものだろう】
【自分の縁のある職場にあまり危険な人物を放り込むわけには行かないからである】
【そういった意図を汲み取ることは、出来るだろうか】


/文章消えて遅れました、申し訳ない!

693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 19:10:47.93 ID:YEqQUvBdo
>>692さん、すみません、ちょっと風呂入れと家族に言われたので行ってきます。
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 19:29:13.04 ID:YEqQUvBdo

 >>692

 あっちの世界……なるほどな。
 この世界には異世界人が俺以外にもいたのか。
 グーさんよぉ、あんたの予想通り、俺は異世界人だ。

 【春斗はこの世界で始めて自身が異世界人だと語った】
 【そして、グー・ゲルギルに自身のこれまでを語りだした】

 あー、何て言うかな……今から俺がする話を問答無用で事実だと考えてくれ。
 こう言っとかないと、無茶苦茶だと思われるぐらい、御伽噺かなんかに限りなく近い話になる。

 【自身の経験を語る際に一番最初に言うべきことを言った後で】

 まず、俺は改造兵士だ……
 俺の世界の、秘密結社……とでも言えばいいのか知らんが
 Government of nightmare戦団
 通称GN戦団と呼ばれる奴等に拉致され、改造された。
 ここまでで何か質問は?

 【春斗は忌々しい記憶を思い出しながら、質問した】

 /風呂上がってきたので、再開しますね。
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 19:43:11.99 ID:xJLI7yn0o
>>694

まぁ、そんなこったろうとは思ったぜ
向こう側の世界から迷い込んでくる人間はそれなりにはいるぜ?

街を見て思わなかったかい? お前さんの世界と似たような技術があるってよ
あっちの世界から持ってこられた知識ってのが浸透する程度にゃあ、いるってこったよ


【一見して古いファンタジー風の世界ではあるが】
【車や携帯電話などの向こうの世界で見られる文明があちこちに混ざっている雑多な世界】
【恐らくこれらは、春斗のように世界を渡ってきた人間の影響が強いだろう】

【そして「世界を行き来する手段が確立されてるって訳じゃねえがな」と、最後に付け足す】
【春斗がそうであったように、偶発的に世界を渡ってしまうことがあっても】
【狙って互いの世界を繋げる手段というものは非常に難しいようだ】


改造兵士ねぇ……いや、信じるぜ春斗
正直いやぁな、俺もそういう奴らと会ったことはあるんでな

――世界は違ってもよ、同じ人間なんだ。
狂った野郎の考えつくところなんざどれも同じって事だわな


【意外にも、春斗の語る素性を疑うこともなく信じる】
【その理由は、こちらにも"似たような話"が存在しているからだ】
【語る言葉には、春斗を始めとした被害者を想い】
【其れを為した外道達に対する強い怒りのようなものを感じ取ることが出来るだろうか】
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 19:54:41.10 ID:YEqQUvBdo

 >>695

 なるほどね、あっさり信用してくれるのか。
 あっちでは考えられんことだ、嬉しいぜ。
 まぁ、帰るのは諦めてたし問題ないよ

 【あっさりと受け入れられたことを春斗は嬉しく思った】

 ま、そこからの話なんだが、脳改造ってやつをされる前に奇跡的に俺は逃げ出せたんだ。
 そして、俺の友人が、俺の為にこいつを作ってくれたんだ。
 
 【そういうと、左腕の腕時計のようなものを指差した】

 こいつは俺の武器となる強化スーツ装着装置である、ディメンドだ。
 まぁ、こいつを使って、GN戦団と戦ってたわけだ。
 でも、その多くのスーツが壊れてるんだけどな。

 【空戦型なのに飛行するための機能が壊れてるという、例を挙げた上で】

 そして、俺は奴等に勝ったんだ……こいつを作ってくれた友人の死って重い物があったんだけどな。
 改造兵士にされた、被害者を殺していったことでな。

 【自身の戦いを思い出しながら語った】
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 20:04:29.05 ID:xJLI7yn0o
>>696

そりゃあまぁ……何とも随分と波乱に満ちた人生送ってんだなぁ


【彼の語る過去話に対してそうとだけ返した】
【他に言うことが思い浮かばなかった、というのが本当のところではあるが】
【向こうの世界のことも、彼の語る組織についてもよく知らないグーでは】
【現状気の利いた言葉が思い浮かぶことはなかった】


そんで、何やかんやあってこっちに落ちてきたってえ所か?
話してえなら、其の辺も詳しく聞かせてくれても構わねえがよ


【グーが知りたかったのは、彼の素性だけであり】
【実際のところ過去話については全て聞かせる必要はないだろう】
【だが、語りたいと思うならばそれを拒絶する様子もない】
【その辺りの判断は春斗の自由であろう】
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 20:16:41.39 ID:YEqQUvBdo

 >>697

 まぁ聞いてもその辺は面白くないだろうし、語るつもりはねぇよ。
 それで、俺はあんたの目で見て、話を聞いて。
 どう思ったんだ、信用に足る人間?、それとも胡散臭い奴?

 【春斗にとって、明日が、未来がかかっている、真面目な話で聞いた】

 おっと、一応言っておくが、改造兵士になっちまった俺は、飯も睡眠もほとんどいらねぇから。
 その辺りは理解したうえで決めてくれ。

 【自身の特異性を語っておこう、同情なんかで嘘をつかれるのは嫌だからか】
 【春斗はそう考え、語った】

 仕事の方も、どんな重労働でもかまわねぇしよ。

 【そう言うと、春斗はニカッと笑った】
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 20:28:41.33 ID:xJLI7yn0o
>>698

……そうさなぁ、信用出来ると言い切れやしねえが
少なくとも悪い奴じゃあねえってのは、よく判ったぜ

ってなわけで、取り敢えずは合格だわな
最終的な判断は職場の人間に見て貰わなきゃあならねえが、紹介する分にゃあ問題ねえよ


【彼の言葉に対して穏やかな、微笑むような声色でそう返した】
【虎の頭であるため表情の変化が判りづらく】
【口元が少し上がっているか、程度にしか認識できないであろうが】


……ふぅむ。何がいいかね
そういう身体してんなら、工事現場やら炭鉱なんてのにも向いてそうだが
身分を確かにしてえなら冒険者ギルドもありかもしれねえな

あと、頭使う仕事がしてえなら、図書館やら孤児院も紹介出来るぜ?
住み込みでやれるとなりゃあそこまで自由度は高くねえが……お前さんはどうしたいんだい


【グーは幾つかの選択肢を提示する】
【パッと思いつく限りで、紹介できる職場についての名前を出して彼の反応を窺った】
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 20:40:10.71 ID:YEqQUvBdo

 >>699

 頭使う仕事ってのは出来ればさけてぇな、俺はバカの類だからな。
 冒険者ギルドか、力仕事かって所だろう。

 【子供は好きなんだけどねと付け加えた上で語る】

 冒険者のほうで頼む、人脈がそっちの方が広く出来そうだ。
 この世界の味方は多い方いい、あっちでは味方のいない戦いが長かった物でね。

 【笑顔のままで春斗は語る】
 【すると、急に真面目な顔に春斗はなった】

 そうだ、腕のいい機械技師に知り合いはいないか?
 ダチの形見のこいつの修理がしたいんだ。

 【春斗は自身の左腕にあるディメンドを指差した】

 金に関しては、後でどうにかする。
 知っているなら教えてくれ、頼む!!
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 20:52:42.19 ID:xJLI7yn0o
>>700

おうよ、判ったぜ! 冒険者ギルドは……そうだな
あそこは"緩ぃ"からよ、春斗もやっていきやすいかもしれねえな

ギルドについての説明は俺がしたほうがいいかい?
あっちで聞かせて貰ってもいいかもしれねえがよ


【緩い、とは恐らく職場の空気や雰囲気といったものだろう】
【それに付け加えて、グーは職場についての説明がいるかと問いかける】
【"冒険者ギルド"は珍しい、というよりも少々特殊な職である】
【最低限の知識は備えていた方がいいのではないか、という想いがあるのだろう】


機械技師か……心当たりがないこともねえが
冒険者ギルドに行くなら、連盟に話を通して職人筋を探したほうがいいかもしれねえな

異世界の技術となりゃあ、完全に直すのは難しいかもしれねえが
やらねえよりはマシな結果になるだろうぜ


【ギルド連盟……冒険者ギルドの大元、各種ギルドの取り纏めだ】
【そこに問い合わせれば機械技師を探すことも可能であろうとグーは説明する】
【異世界の、それも非常に特殊な技術が使われているとなれば少々難しかもしれないが
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 21:04:58.78 ID:YEqQUvBdo

 >>701

 助かる、ギルドの説明か、教えてはくれるならありがたい、俺の世界には無かったんでな。
 正直、俺としては、予習してからじゃないと、理解できん可能性もある。

 【自身の頭の悪さを理由に教えてもらえることに感謝する】
 【"冒険者"とか"ギルド"なんて物は彼にとっては、まったく知らないのだから】

 特殊な技術であることは間違いない、この技術は俺の世界でも、失われたロストテクノロジーになるからな。
 まぁ、空戦型にもかかわらず飛べないなんてのは、なんとかなると思うが。

 【春斗にとっては、なんてありがたいことだろうか】
 【生まれてから一度も神の存在を信じたことの無かった春斗はこの時、始めて神の存在を信じ、感謝した】

 とりあえず、この礼はいつかする、ピンチの時に俺に会ったら、その時助ける。
 ありがとう。

 【感謝の意思を示すため、春斗はお辞儀をした】
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 21:18:29.38 ID:xJLI7yn0o
>>702

ギルドってのは、簡単に言えば組合みてえなもんだな
相互扶助だの情報収集だのを目的として、それぞれに集まって出来たモンだ

その中でも冒険者ギルドは……なんつぅか、"適当"な組織でな

元々は未開の地やら遺跡やらの探索をしていた集団なんだが……
時代の流れかね、いつの間にやら需要が無くなってきてな
手の空いた人員を使って他のギルドの厄介事やら、何でも抱え込んでるうちに雑多な組織になっちまった

今の"冒険者"ってのは言ってみりゃ「何でも屋」だな
モンスターの退治やら、ダンジョンの攻略……傭兵紛いのことから犬の散歩まである
どこからともなく舞い込んでくる依頼をこなしていくのが主な仕事になるぜ


【ギルド連盟と冒険者ギルドに関しての簡単な説明をする】
【言ってみれば、ゲームなどによくある"ギルド"と同様に考えていいだろう】
【先程"緩い"といっていたのはこういった理由からくるものだろうか】


となりゃあ……単純に直すと考えるよりも、"魔翌力"を介すのがいいかもしれねえな
そのロストテクノロジーとやらに対応できる技師がいりゃあそれが一番だが――


【"魔翌力"。この世界特有の力であった】
【春斗は実際に見たことがあるだろうか、常識を捻じ曲げ、現象を発現させるその技術を】
【まともに直すことが出来ないと判断した場合、そうした道もあるではないかとグーは語った】


おう、頼りにしてるぜ? へへ……俺も歳だからよ、いつくたばってもおかしかねえ
どっかでぶっ倒れてたら担いでいってくれや


【彼に礼に対してそう返事をすると】
【「さて、んじゃあそろそろ行くかい?」と春斗に声を掛けて】
【了承を得られたならば近くのギルド支部まで彼を連れていこうとするだろう】
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/27(日) 21:29:42.48 ID:YEqQUvBdo

 >>703

 なるほど、似たようなことを、俺あっちでやってたからなんとかなるな。

 【元いた世界、そこでやっていた何でも屋を思い出す】
 【あの日々はとても楽しかった】

 魔翌力…・・・なるほど、そんな物もあるのか、代置手段があるならなんとかなるかもしれないな。
 スーツの展開自体は出来るわけだし、なんとかなる。

 【魔翌力という、代置手段を使えばなんとかなるかもしれない】
 【そんな希望が、春斗の心を埋め尽くした】

 じゃ、ついていきますぜ、ギルドって奴によ。

 【了承し、春斗はグーの後についていくことを決めた】

 /乙でしたー!
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/27(日) 21:32:58.87 ID:xJLI7yn0o
>>704
/はい。お疲れ様でしたー!
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/28(月) 12:46:22.57 ID:7oxyLfoO0
【その広告を見たのは偶然だった】
【喫茶店のバイトも終わり、帰りに道の道中でたまたま見かけた看板】
【この近くにあるとある学園の看板だ】


レイリスフィード学園……?


【名前はどこかで聞いたことがある、自由な校風で名の通った名門校】
【無能力者寄りではあるものの、能力者に門を開いている学校らしい】
【学校というものに前から興味があった】

【友達というものや、学業というものがどんなものなのか】
【この目で体験したいという感情が少しずつ沸いてきていたのだ】



【というのが、数日前の出来事だった】


……で、ここはどこなんだろう?


【ここは水の国、アトラヴェル】
【中心部から離れた、小高い丘の上の学校】
【レイリスフィード学園の中だった】

【確かに興味はあった】
【行ってみたいという感情はあった】
【たまたまバイトの休みが入った】
【きっと他人と比べて少しばかり多い好奇心と行動力があった】


【その結果が、彼に学校の塀を乗り越えさせたのだった】


広いな……ここは、中庭か何かか?


【学校の敷地内ではあるだろう】
【均等に植えられた木々のある庭園がそこにあった】

【肩に届く程度に伸びた白色の癖毛】
【宝石を思わせる紅色の瞳】
【細く線の細い華奢な女性的な身体をした少年】
【白のカッターシャツに黒のベストを身に纏っている】
【両腕には「盾」を思わせる赤い刺青が入っおり】
【首には何らかのタグのようなペンダントがついている】


【そんな制服も着ていない明らかに生徒でない人物】
【見かければ、とても目立つだろう】


とにかく……ここは移動しようかな…


【そして少年は小走りで、その庭園を進んでいく】
【まあ、目立つのも無理はないだろう…】
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/07/28(月) 14:45:13.35 ID:HARE2IdAO
縺溘▲縺溘▲縺溘シwwwww
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/28(月) 20:36:55.53 ID:TOV6jUl/o
【港】

【海岸沿いに工業地帯が広がる、鉄の港】
【大型のクレーンやタンカーが数多く見られ】
【無骨な鉄筋の建造群を青白い灯火が照らしている】

【その中の一部、海を望む開けた場所】
【がらんどうの荷置き場にて――】

……ああ、勿論だとも。構わないよ、やりたいように動いてくれ
なあに、君達の出来うる失敗なんて、大したことには成り得ない
だから安心していい。僕のような立場では、そうはいかないからね

【何者かと通話しているその人物は】
【黒豹柄のスーツに身を包む、筋肉質な大柄の男】
【金髪をオールバックにし、サングラスを掛けている】

【やがて声は途切れ、男は薄っぺらい携帯を胸ポケットへ仕舞い込む】
【そこから煙草を取り出して、海を眺めつつ一服し始めるのだった】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/29(火) 11:24:03.61 ID:0b+L+5r+o

 【ギルド支部内】

 さぁて、今日のお仕事は何をしようかなーと……

 【入ってきたのは、黒いソフト帽にライダースジャケットの男】
 【どうやら彼は仕事をしに来たらしい】

 そろそろ、こっちの世界でも戦闘を経験するべきかな?
 まぁ、基準は分からんし、スーツもまだ修理してないしなぁ……

 【男はどうやら戦いたいらしい】
 【しかし、武装は壊れているようだ】

 はぁ、誰か仕事に付き合ってくれねぇかな……
 でもよぉ、初対面の奴にいきなり……仕事手伝ってくれーなんて言えないしよぉ……

 【一緒に仕事をしてくれる者を探しているようだ】
 【手伝ったり、おススメの仕事を紹介すれば、彼はその分の礼はするだろう】
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/29(火) 11:41:36.25 ID:FBhwzCiv0
>>706
/再募集です!
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/29(火) 12:02:47.71 ID:0b+L+5r+o
>>709
/少し抜けます
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/29(火) 12:42:56.86 ID:0b+L+5r+o
/戻ってきたので、再募集
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/29(火) 19:26:06.99 ID:/9SmYVHeo
>>706

【その少年の行為は一般的に見て、不法侵入という認識で間違いない】
【おそらく単なる興味本位で、悪気はないのだろうけれど。……少年にとって幸いだったのは、彼も知っての通りこの学園の校風が自由なものであったことだ】
【確かに周囲の生徒の大半は制服を着用しているが、制服に関する規約は緩い。私服姿でもそこまで目立つことはなかったはずである】


………………え、

【ただし――――同時に少年にとって不幸なことがひとつ。狙っていたわけではない、本当にたまたまの出来事であるが】
【少年が高い塀を乗り越えて学内に進入し、庭園を進んでいくさまを、バッチリ目撃してしまった生徒がいた】

【こちらも「少年」と称するのがもっとも適した身なりだ(高校生なのだから当たり前だが)。だがそちらと違って、彼の方に目立った特徴はない】
【背丈は平均的。黒いブレザーにスラックスという学校指定の制服を少々着崩しており、赤いネクタイと背格好から高等部二年生であることが推察できる】
【瞳の色は黒。ワックスで前髪を上げた茶髪は、毛の根本を見る限り元々の黒髪を染料で染めていることが伺えて】

【……総じて、いかにも今時の高校生といった風情の、どこにでもいそうな少年であった】


え、えっと………………。


【強いて特異な点を上げるとすれば――――肩口に「生徒会役員」を示す腕章をつけていることだろうか】
【その生徒は唖然といった様子でそちらを伺っている。突然の出来事に対応を決めかねているようだが、】
【――――生徒会役員という地位も鑑みて、通報されるおそれがないでもない。どうにか口を封じるのが吉、かもしれないが……?】


/もしまだいらっしゃいましたらー!
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/30(水) 15:49:07.53 ID:A07nCOM1o

 【路地裏】

 【昼間でも薄暗い路地裏】
 【不良や犯罪の多くがここに集まる場所でもある】
 
 あら、洞窟を歩いていたら、路地裏に……
 何者かが、私を転移させたってことかしら?

 【そんな場所に緑色の髪のロングヘアーにフード付きのパーカーを着た女がいた】

 裏切り者であり、私達の組織を壊滅させた男を仕留めなくちゃいけないのだけど……

 【女は物騒なことを口走りながら、タブレット端末のような物を取り出した】

 どうやら、あの男はこの辺りにいるようねぇ。
 適当に話を聞けばどこにいるか分かるでしょ。

 【女が発している気は殺気や悪意と言ったような物が交じり合ったような物である】
 【精神力が弱く、また感受性の強い者であれば、すぐさま気絶してもおかしくない】
 【それの凄まじさは、まるで大蛇に飲み込まれていると錯覚してしまいかねないほどだ】

 さぁて、それじゃ探しますかねぇ、獲物をさ……
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/30(水) 20:44:37.66 ID:eehSdx59o
【どこかの町外れ】


……ふむ、夜になれば少しは涼しくなるものじゃな


【人気の無い夜の街外れを一人で歩く少女がいた】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【腰には茶色の鞘に収まった剣を下げており】
【肩付近にはバスケットボールほどの大きさの、淡く光る白い"虫"のような物体が浮かんでいた】


しかし、昼間の茹だるような暑さはどうにかならんものかのぅ
わらわもあれじゃ……クールビズ? とやらを考えてみるべきかの


【少女は何やら独り言を呟きながら夜の巡回をしていた】

【知識のあるものが見れば、少女の付けているワッペンから】
【彼女が"SCARLET"の所属であることを察せられるだろうか】

【また、人気がなく治安も良好とは言えない夜の町外れだ】
【路地裏に通じる道も多く、何時事件などが発生してもおかしくはないかもしれない】


/1時を過ぎたら持ち越しになります!
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/30(水) 22:15:39.86 ID:A07nCOM1o
 >>715

 おいおい、女の子がこんな時間にこんな場所にいちゃ危ないぜ。

 【黒いソフト帽にライダースジャケットを着た男が少女の後ろから声をかける】

 家出って訳じゃなさそうだがどうした?

 【男は親切心からか、穏やかな声で問う】

 おっと、人身売買と間違われちゃたまんねぇからよ。
 名乗らせてもらうぜ、俺の名前は黒須 春斗。
 異世界人で、今は冒険者ギルドの一員だ。

 【男――春斗からは、歴戦の勇者のような風格、そして純粋に子供を心配するような雰囲気】
 【そういったものがあふれている】

 何か困ってるなら手助けするぜ。

 【春斗はそう言うと、見るものを安心させるかのような笑顔を向けた】
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/30(水) 22:33:45.26 ID:eehSdx59o
>>716

…………ん?

(――さて……何者かの?)


【背中から掛けられた声に対して】
【少女は一瞬警戒心を表すようにして剣に手をかける】
【相手の出方次第で何時でも抜刀し対処出来るよう、気を引き締めながら】


【――】


ふむふむ、なるほどのぅ……春斗とやら、御主の話はよぉくわかったのじゃ
確かに、わらわのような美しい娘がこんな夜更けに出歩いておれば心配の一つもしようものよな


【くっくっ、と少しばかり含んだような笑みを零しながら彼に言葉を返した】
【演技が並外れて達者ならば兎も角、そうでないならば目の前の男はただの"善人"であろう】
【少女は信用の証と言わんばかりにそっと、剣の柄に添えていた手を離した】


申し遅れたの……わらわはSCARLET隊員のカミナ・ゲルギルじゃ

SCARLET、というても向こうの住人にはピンと来ぬかもしれんが
まぁ、警察組織の一種と思って貰うのが一番判りやすいかの?


【少女――カミナは春斗の名乗りに少し遅れて自己紹介をし、胸元のワッペンを指先でトントンと叩く仕草を見せた】
【SCARLET……現在活動している"正義"を掲げる組織の一つだ】
【日が浅いならばまだ知らない可能性もあるが、ギルドなどで情報収集をしていたならばその名に聞き覚えもあるかもしれない】


しかし……参ったな。困ったことと言われても今は特にないのじゃ
強いて言うならば最近は暑くて堪らぬことと、悪党どもが次から次へと湧いて出てくることかの?


【彼の言葉に対して、"困ったこと"と聞いて思い浮かんだ内容を口にするが】
【まさか、夏を吹き飛ばす訳にもいかないだろう】
【別の切り口で何か訊いてみるのもいいかもしれない】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/30(水) 22:58:23.99 ID:A07nCOM1o

 >>717

 SCARLET自体は始めて聞いたが、理解は出来た。

 【少女――カミナの言葉を聞き納得する】

 悪党どもかぁ、夜は基本暇してるから、俺もパトロールしてるけど。
 やっぱり、こっちの世界もそういう奴は多いみたいだな。
 こっちに来てから六日目だが、数人捕まえて警察に連れて行っといたが。
 やっぱ、人っていうのは世界が違ってもあまり変わらないんだな。

 【その言葉からは、何か悲しみのようなものが漂ってくる】
 【悲しい雰囲気を漂わせていたが、笑顔になり語る】

 しかし、この暑さかぁ、強化スーツに冷凍ガスが出せるのはあるけどなぁ。
 そういうのは違うんだろうしなぁ。

 【そういうと春斗は、真面目に考え始める】
 【その様子から、本当に力になりたい事がよく分かるだろう】

 まぁ、俺は肉体改造されてるからさ、気候については結構適応してるんだけどな。
 暑さなら60℃、寒さなら−20℃までなら快適だしな。
 暑いって言うのもさ、実は俺よく分からなくなってきてる節があるんだよ……

 【なんだか、結構洒落になってない様な事を言っている】

 とりあえずさ、何か手伝えることがあって、その時俺にあったら言ってくれよ。
 特に荒事であれば力になれると思うぜ。
 俺は大体夜になったらさ、この辺をパトロールしてるからさ。

 【笑顔で自身が助けになることを語る】
 【その様子はまるで、穢れを知らぬ赤子のようで、闇の底で足掻き続ける戦士のようだった】
 【とりあえず、嘘ではないだろう】
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/30(水) 23:11:25.38 ID:A07nCOM1o
/すみません、ちょっと用事入りました、乙です
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/30(水) 23:15:22.48 ID:eehSdx59o
>>718>>719

魔術に"能力"……確か、これはあちらの世界にはないと聞いたことがあるのじゃ

世界の理を捻じ曲げ、人を超えた超常の力を振るう事が出来るとあらば
それを我欲の為に行使する者は後を絶たんというものなんじゃ

御主の世界がどうであったかは、少しばかり聞き齧った程度ではあるが……
その常識に囚われておっては不覚を取るかも知れぬからの、気を付けておくがよい


【春斗の"あまり変わらない"という点や、これまでの発言から】
【未だこの世界に対する知識が不足しているように感じたカミナは】
【彼に向かってそう忠告めいた言葉を投げかけた】

【能力――人を超えた力。実際に目にしたことはあるだろうか】


まぁ……暑さをどうこうしろなどと無理は言うまいよ
まさかその冷凍ガスとやらを浴びせて貰うわけにもいかぬしな


【彼の肉体改造の説明に関しては理解しているかどうにも怪しい反応だ】
【サイボーグや強化人間は珍しくないため疑う様子はないが】
【構造に関して理解しているか、となれば否なのだろう】


うぅむ……ちと立場が逆な気がするのじゃが、まあよいか
ここは御主の顔を立てて甘えさせてもらうとするかの。

今はどこも人手不足なのじゃ、手を貸してくれると言うならば拒む理由もないしのぅ


【彼の申し出に対して、そう応えて】


ならば、わらわはパトロールを続けるのでこの辺りで失礼するのじゃ
御主もどこで寝泊まりしておるかは知らんが、無理はせずに早めに宿に帰るがよいぞ


【最後に別れの挨拶をして、その場から去っていった】


/お疲れ様でしたー!
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/31(木) 15:08:20.71 ID:HWbS/kAIo

 【ギルド支部内】


 さぁて、今日のお仕事は何をしようかなーと……


 【入ってきたのは、黒いソフト帽にライダースジャケットの男】
 【どうやら彼は仕事をしに来たらしい】


 そろそろ、こっちの世界でも戦闘を経験するべきかな?
 まぁ、基準は分からんし、スーツもまだ修理してないしなぁ……


 【男はどうやら戦いたいらしい】
 【しかし、武装は壊れているようだ】


 いっそのこと、模擬戦でもいいんだけどなぁ。
 でも初対面の人にいきなり頼み込むのもなぁ……
 どうしよ、本当にさ……


 【男はうなだれている、まるでリストラされたサラリーマンのように】


 でも、どうにかしないとなぁ、この世界の強さの基準的なものを、
 早めに作っとかないと、俺が対応できないことかどうか、判断できなくなるしな。


 【先程まで項垂れていたのが嘘のように、覇気のような物を漂わせ、男は気合を入れた】



 【場所は変わって町外れ】


 もしかして、これって欠陥品かもしれないわね……

 【中心部から離れ、昼間でも人のいない辺り】
 【そんな場所に、一人の女がいた】


 【身長およそ150cm、美しい緑色の髪のロングヘアー】
 【右手にタブレット端末のような物、左手には日傘】
 【フード付きのパーカーを着た、そんな女が】


 どうして、瞬時に地図を作るのはいいわ、ナイスよ!!
 でもねぇ、縮尺大きいから、どこか分からないじゃない!!


 【どうやら、女は右手の物の仕様に文句があるらしい】
 【我々にわかりやすく例えると】
 【日本地図を渡されて特定の場所に行け】
 【そう言っているのに等しい状態である】


 あー、イライラするわー
 その辺歩いてる一般人をコロコロしたくなっちゃうわー

 【なんだか物騒なことを口走りながら女は歩いていく】
 【恐ろしいほどの狂気を漂わせながら】
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/31(木) 18:47:32.69 ID:HWbS/kAIo
>>721再募集
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/31(木) 19:20:11.86 ID:Zamzt9b6o
【とある町外れ】


うぅん……最近本当に暑いなぁ……
そろそろ思い切ってエアコンとか……買ってもいい頃かも……


【中心部から離れ、人通りの少ない"昼"の町外れ】
【その一角に建つ小さなお店の前で座っている一人の少年がいた】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


【少年は、花壇の前に積まれたレンガブロックに腰掛けて】
【青いソーダ味のアイスキャンディーをチロチロと舐めながら】
【アイスを持つ反対の手でハンカチを握り、一筋流れ落ちた汗をそっと拭った】


海とかプールもいいかな……
でも、一人で行くのもちょっと寂しいような……水着も買わなきゃ、だしなぁ……


【最近続いている酷い猛暑に、少々意識をうつらうつらとさせて】
【少年は店先でぼんやりとしながらも、夏の日を過ごしていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】


【本日もマイペースに営業中であった】
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/31(木) 20:06:08.61 ID:qv+p/AaJo
>>721
/まだいらっしゃいますでしょうか?
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/31(木) 20:10:35.66 ID:HWbS/kAIo
>>724
はい
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/31(木) 20:15:04.59 ID:qv+p/AaJo
>>721

【うなだれたり気合いを入れたり、次々に面相を変える男。だが彼に話しかける者は、残念ながらいなかったようだ】
【……少なくとも、このギルド支部内に限っては、だが。ぎぃっという扉の軋む音が、新しい来客がやってきたことを示していた】


――――うーい、邪魔するぜー。


【低く唸るような、それでいて気の抜けた声色。室内に入ってきたのは、一見すると鳶職のような風貌の男だった】

【上背は百九十センチはあるだろうか、筋肉質で縦にも横にも大きな体格。濃い褐色肌は日焼けというより生来のものにも見える】
【黒いタンクトップにぶかぶかのズボンをポーチや無線の付いたベルトで腰穿きした、無精丸出しの格好もあって、見てくれだけだと人を威圧する感もある】
【しかし、若干垂れ気味の銀色の双眸はいかにも適当そうに窄められ、手入れされていないボサボサの黒髪からは無精な性格が伺えて】
【ピアスなどの派手な装飾もつけておらず、首にドッグタグが下がっている程度。なんというか、物々しさよりだらしなさが前面に出ている人物だ】


さて、進捗状況はどうかなっと………。
姉ちゃん、例の魔獣退治の件はどうなった? 希望者は集まったか?


【暑くて脱いだのだろうか、左肩に真っ白なジャケットを引っ掛けたその男は、悠々自適に受付まで行ってなにやら話し込み始める】
【語調もまた間延びしたもので、一見すると隙だらけだが――――身の丈ほどもある巨大なケースを背負っているのだけは、かなり異質だった】
【よく見れば、腰元のポーチには緋色の鷹≠フ紋章が縫いつけられている。その意味を知っていれば、この男の強さ≠推し量れるかもしれない】

【……さて、どうやらこのギルドに依頼の確認をしに来たらしい男だが。そちらに掛かり切りなっていて、今まさに気合いを入れ直したそちらには気づいていない】
【思い切って男に模擬戦を持ちかけてみるのもいいし、『魔獣退治』なるワードに反応するでもいい。選択は自由であって――――】


/では、よろしくお願いします!
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/31(木) 20:26:38.85 ID:HWbS/kAIo

 >>726

 あの鷹の紋章はもしかして、あの娘の同業者か?


 【先程入ってきた男の胸元の紋章を見て昨日であった少女を思い出す】


 って魔獣退治って言ったよな……おし!!


 【男の語った魔獣退治、そして胸元の紋章】
 【この二つから、今自分のもっとも欲している人物だと判断する】


 すまねぇ、その退治するっていう魔獣だけどさ……
 どれぐらいの強さなんだ?
 その度合いによっちゃ参加したいんだけどよ。


 【すぐさま、男に瞬時に近づき問う】
 【その顔はハンターのそれであり】
 【男が漂わせている気配は、百戦錬磨の英雄のそれと酷似していた】
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/31(木) 20:54:45.64 ID:qv+p/AaJo
>>727


あー、ダメか。
どうしたもんかね………ん?


【男と受付嬢の表情の変遷を見る限り、どうやら男の用事の結果は芳しくなかったらしい】
【ぼりぼりとダルそうに頭を掻いていた男であったが――――直接ギルドまで足を運んだのは正解だった、と男は微かに笑う】
【……耳ざとく会話を聞き取って近寄ってきた、新たな人物。振り返って最初に感じたのは、ただならぬ風格だったが】


へぇ………兄ちゃん、なかなか強そうじゃねえか。こりゃ、渡りに船って奴だな。

数は一体、『エムルガード』っつー恐竜みたいな魔獣だ。本来はもっと南の方の生き物なんだが、研究用の個体が逃げ出しちまったらしい。
バカみてぇな脚力と火を噴く魔術を使うってんで、そこそこ強いは強いが……ドラゴンみたいに空が飛べる訳でもねぇ。
サイズも小さいし、一人でもギリギリどうにかなるレベルだと思うぜ? もちろんあんたが相応に強けりゃ、だがな。

あぁ、ちなみにこりゃあ自警団からの正式な依頼だからな。
コイツが街道を塞いでるってんで問題になってたんだが、ウチは今ちょっと人手が足りなくてよ。
危険だが報酬はそれなりに出る……どうだ、受けるか?


【その雰囲気に一歩もたじろがず、むしろ面白そうに笑ってみせるあたり、この男も相応に場数を踏んでいることが伺えるかもしれない】
【男は受付嬢との会話を打ち切ってそちらに向き直ると、依頼内容を語って聞かせるだろう。ごくありふれた魔獣退治の依頼である】
【『エムルガード』は体長二メートル〜三メートル程度の中型魔獣。大ざっぱに、四人で戦えば安全という程度の難易度か】

【次いで、男は報酬額についても伝えるだろう。確かに通常依頼より割高だ、一人で戦うとなればかなりの収入になる】
【――――もちろん、相応の危険は伴うが。男はすべて説明し追えると、試すような瞳でそちらを射抜いて静かに待っているだろう】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/31(木) 21:09:09.12 ID:HWbS/kAIo

 >>728

 なるほど、恐竜ねぇ……

 【男の話を聞き判断する】

 二メートル〜三メートルかぁ……
 なんとかなるな、その依頼受けるぜ!!

 【とてもいい笑顔をしながら、右手でサムズアップする】
 【すると、何かを思い出したかのように語る】


 おっと、すまねぇ自己紹介が遅れたな
 俺の名前は黒須 春斗、一応異世界人だ。


 【友好の証を示すためか右手を差し出し握手の姿勢をみせる】
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/31(木) 21:10:32.81 ID:Zamzt9b6o
>>723
/もうしばらく置いておきます!
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/31(木) 21:36:50.61 ID:qv+p/AaJo
>>729


おぉ………なんだ、威勢いいな兄ちゃん! 気に入ったぜ!
今日誰も依頼を受けてないようなら、俺が直接出向くつもりだったんでな。
現地には俺も付き沿わせて貰う。よろしくな!


【――――受けてくれるかな、と期待はしていたが。予想外に快活な返答を寄越されて、彼はかなり機嫌を良くしたようだ】
【子供のような笑顔が男を迎え入れるだろう。だるそうだった表情にこうして活力が注入されてみれば、なかなか頼りがいがありそうにも見えた】


へー、異世界人か! 実際に会ったのは初めてだぜ。
俺はアサド=アル=アーデル、砂の国自警団出身のSCARLET隊員だ。
お前さんの実力、現地でじっくり見せてくれよ?

んじゃ春斗、外に馬車を用意してある。早速出動と行こうぜ!


【アサドと名乗った彼は、どうやら自警団員とSCARLETの隊員の兼職のようだった。この依頼も彼直々のものなのかもしれない】
【実はこの男、そこそこの有名人だったりするのだが――――それはさておき。春斗の右手を躊躇いなく握り返して、アサドは悪戯っぽい顔を浮かべて】
【やはり何の躊躇いもなく呼び捨てで春斗を呼ぶと、先陣切って支部の出口へ歩いていくだろう】


【……さて。春斗がそのまま馬車に乗れば、三十分ほどの移動時間を経て、舞台は街の郊外へ移る】
【東側の街道を数キロほど進んだ先の一角で馬車は停止した。そこからもう、鉛色の鱗に覆われた魔獣の背中が見えるはずだ――――】


「グ、ルルルルルル…………」


【少し遠くで、壊された馬車の残骸らしきものが散らばっていて、ソレ≠ェうずくまっている辺りからわずかに血の臭いが漂ってくる】
【……ここまでの道中、アサドは行商の馬車が壊された程度で人的被害が出ていないことを説明したはずだ。幸いにもそれは人間のものではない】
【グロテスクな音を立てて、巨大な顎が喰らっているのは、狼だった。新しい、そして招かれざる捕食者が、今この場に君臨していた】


………あいつが『エムルガード』だ。
俺は後方から支援する。最初の一手は、お前さんに任せるぜ。


【『エムルガード』……アサドは『恐竜のよう』と言っていたが、まさしくその通りの風貌だった】
【尻尾まで含めた全長は四、五メートルほど。顔面部と後ろ足が極端に肥大したアンバランスな外見が特徴的だ】
【……現在地から魔獣との距離は数十メートルほど。相手はまだこちらに気づいていない、先手を取るチャンスではあるが――――?】
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/31(木) 21:38:38.85 ID:HWbS/kAIo
/>>731すみません、ちょっと抜けます、すぐ戻ってくるんで
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/31(木) 22:06:20.83 ID:HWbS/kAIo
 >>731

 先手って言われてもなぁ……遠距離武装は無いしなぁ。
 取りあえず、纏いますか!!

 【春斗はそういうと、突如両手を前に突き出た】
 【次に両手を腰の右側に持っていく】
 【そして、左腕を手の甲の方ほ『エルムガード』に向けるようにしながら力瘤を作るようにする】
 【最後に右手を左腕の腕時計のようなものに添え、春斗は叫ぶ】

 粒……結!!

 【すると、突如として春斗の全身を光が包む】
 【そして、光が消えた其処にいたのは、人型の異形】
 【いや、強化スーツを身に纏った春斗である】
 【ここまでの一連の動作、まるで子供達が憧れる変身ヒーローである】


 アサドさん、俺いまから、突っ込むんで援護お願いします!!
 /戻りました
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/31(木) 22:28:58.26 ID:qv+p/AaJo
>>733


ぬ……………ぬおおおお!! なんだそれお前カッコイイな!!
これが異世界の技術って奴なのか!? ………っと、わ、悪い悪い。
んじゃ、俺も準備すっかね!


【敵≠前にして光を纏い、新たな姿へと変身した春斗――――変身ヒーローというロマンはたぶん、こちらの世界でも共通だ】
【……かといって、実年齢が二十代後半のアサドがここまで興奮するのは、流石にちょっと幼稚とも言えたが】
【見かけによらず子供のような男であったが、仕事を忘れたのは一瞬だけ。慌てて気を取り直すと、アサドもまた得物≠構えた】

【背負っていたケースから円筒状の物体が取り出される。白と黒で彩られた鈍重な金属のカタマリ、のように見えるそれは――――】
【先端部から蒸気を発し、バレル≠ェ伸び上がる。折り曲げた柄は銃把≠ニなって、接合部の根本からトリガーが覗いた】
【最後に、側面部のモニターに『Al-Hadi(アル・ハーディ)』という刻印が浮かび上がる。姿を現したのは、身の丈ほどもある巨大なランチャーだ】


了解だ! ――――奴さんもコッチに気づいたみてぇだ、気をつけろよ!!

「グ、ルルル………ァアアアアァアーーーーーー!!!!」


【アサドは右脇に抱えるようにしてその銃砲、『アルハーディ』を構えると、春斗の言葉に深く頷いて中腰になり、スコープを覗き込む】
【――――こちらの準備が整うのと、エルムガードが振り向くのが同時だった。黄色い眼の中の縦に裂けた瞳孔が、凶暴にこちらを見やって】

【がぱり、と開いた口元に炎の魔力が収束する。何が来るかはもう自明だろう、轟音と共に灼熱のブレスが春斗へ襲いかかる――――!】

【放射状に広がる爆炎は、直撃すればそのまま丸焦げになってしまう威力がある。とはいえ互いに距離もあるため速度は無く、対処は難しくない】
【なお、アサドはこれを更に後退することで回避する。そして――――ドゴン、という爆音と共に魔弾≠ェ飛来し、魔獣の胴体で爆発した】


今だ、行け! ………死ぬんじゃねーぞ!!


【……どうも鱗は炎の耐性が強いらしい。アサドの攻撃自体はあまり効果はなかったが、少なからず体勢が崩れたのが見て取れるだろう】
【ブレスさえどうにか凌げれば、この隙を付いてエルムガードへ攻撃を叩き込めるはずだ】
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/31(木) 22:30:22.10 ID:qv+p/AaJo
>>734
/「エルムガード」ではなく「エムルガード」です、誤字失礼しました……
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/31(木) 22:38:09.23 ID:HWbS/kAIo

 >>734

 炎の息ってことか、まずは上からっと。


 【そう言うと春斗は跳ぶ、ブレスは多少かすったが、問題ない】
 【強化スーツは熱にも強いのだ】

 バーストインッパクットッ!!

 【その掛け声と共に頭部に蹴りを入れようとする】
 【その狙いは脳震盪である、上手くいけば平衡感覚ほ狂わせ立つことさえできないだろう】
 【蹴りの威力自体も凄まじく、コンクリートの塊を砕くことぐらいは容易いだろう】
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/31(木) 22:56:55.21 ID:qv+p/AaJo
>>736


ひゅー、やるじゃねーか!


【やっぱり変身ヒーローに憧れでもあるのだろうか、ブレスにもびくともしないスーツにアサドから賞賛の野次が飛んだ】
【流石に二つ返事で依頼を受けただけのことはある――――とアサドは思ったが、エムルガードの方も一筋縄では行かなかった】


「ギ、ッ………グォオォオ!!」


【砲撃による支援もあって、春斗の蹴りは額に直撃する。のだが、少し呻いたところを見るに効いていない訳ではないにせよ、打点の皮膚は裂けてすらいない】
【春斗の足には異様に硬い♀エ触が返ってくるはずだ。春斗の世界には「パキケファロサウルス」という恐竜が知られているかもしれないが、それと同じ――――】
【このエムルガード、とんでもない石頭だ! 脚力とブレスだけでなく、肥大化した頭部による頭突きもこの魔獣の持ち味なのかもしれず】


「ォ――――――ォオオオオオオオオ!!!」


【裂けるような咆哮と共に、エムルガードが動いた。その体がぐっと沈んだかと思えば、ベギリ≠ニいう音がその足下から響く】
【頭と同じく肥大化した後ろ足。限界までバネを溜めた強靱すぎる脚力に、地盤が耐えきれずに砕け散ったのだ】
【――――暫時、破砕音を引き連れた跳躍。鉛色の体躯が一瞬で躍動し、巨大な顎を押し開いて春斗の右肩へ噛みつこうとするだろう!】

【がぱりと開いた顎の中にはサメのように鋭い歯がびっしり並んでいる。掠めるだけでも切り傷になりそうで】
【そもそも、体重三百キロを超す巨躯の高速突進が直撃すれば、いくら強化スーツ越しとはいえ危険な威力になるはずだ】
【……ただし、動き自体は一直線の単調なもの。初動を読めれば回避はそこまで難しくないか】
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/07/31(木) 23:08:46.16 ID:HWbS/kAIo

 >>737


 ゲッ!!まだ耐えるのかよ!!


 【頭部への蹴りが致命傷になる……そう思っていたようだがあまり効果が無い】

 仕方が無い、こうなったらこうだ!!

 【しかもそのまま噛み付きに来るだろうそれを見て、春斗はすぐに次の動きに入る】
 【エムルガードの噛み付いてくる頭部、それを蹴り足場として回避する】


 ならば、タイプチェンジってな!!


 【その言葉と共にまたも光に包まれる】
 【光が晴れると同時に現われたのはまた別の姿】


 今度は内側から焼かれていきな!!
 ラァイトニングッバスタァァァァ!!

 【その言葉と共に拳を足に向かって放つ】
 【よく見れば、腕に雷光が見えただろう】
 【先程より一撃の威力は劣るだろう、だがしかし雷が体を内側から焼くのだ】
 【足に放たれたそれの目的は、足の骨をへし折り立てなくすることである】

 /すみません、用事が入りました、とにかく乙でした!
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/07/31(木) 23:45:36.56 ID:qv+p/AaJo
>>738


「グ、ガアアアアアアアアッッ!!」


【強靱な脚力を生かした、この距離での高速突進。それを読まれてあっさり回避されたとあっては、人間であれば動揺の一つもあっただろう】
【けれど所詮、相手は獣だ。当たらなければ当たるまで攻撃するまで、躊躇いも容赦もないその行動原理は……しかし、逆に扱いやすい】


――――炎が効かなきゃ実弾はどうだ!!


【春斗の体が再び光に包まれ、そしてエムルガードが次撃に移ろうというその時、横合いから水色の魔弾≠ェ飛来するだろう】
【炎≠ニ氷≠フ熱を司る属性を切り替えての砲撃がアサドという男のスタイルだ。先ほどの爆破弾は効かなかったが、】
【ならばと、今度は魔力で生成した氷による実弾射撃が行われる――――これは正解だった。大威力に右足を撃ち抜かれたエムルガードは大きく体勢を崩す】


「グ、ギィッ、ガァアアァアアア………………!!!


【――――今度も、ほぼ直撃とみて言いはずだ。雷撃を纏った春斗の拳は、アサドが狙ったのとは逆の左足に叩き込まれた】
【打撃自体は分厚い筋肉に阻まれ、骨を砕くまでには至らなかった。だが流し込まれた雷撃が有効なダメージになっているのは、この悲鳴から察せられるだろう】
【春斗の読み通り、内部への攻撃は普通に通るようだ。……そして、両脚には春斗の打撃とアサドの氷弾によって痣が残っている】
【どうやら頭部以外の部位であれば、打撃もそこそこ有効であるらしい――――】


げっ――――なんつー脚してんだアイツ!
爬虫類じゃなくてカエルかバッタだろあれじゃあ!?


【……もっとも、その情報を次の攻撃に生かせるかどうかは、春斗がこの攻撃を処理できるかどうかに掛かっているが】
【アサドの声色が驚愕に染まる――――怪我を負った両足で地面を砕いたと思えば、エルムガードはあの巨体で数十メートルも真上に跳躍した!】
【先ほどの突進も驚異的だったが、これがこの生物の全力か。そして大きく開いた口に、再び炎の魔力が集まっていって、】


「ガ、ァアア、ァアアアアッッ!!!」


【今度はブレスではない。口内で球状に成形された炎は隕石じみた炎弾≠ニなり、地上にいる春斗へ連続で射出される!!】
【炎弾の数は五発、一発の大きさは直径四十センチ程度。炎を一カ所に凝縮した分威力は高まっており、コンクリート壁程度なら易々破壊する威力がある】
【重力も手伝って速度もかなり速く、また狙いもそこそこ正確だ。今までにない強烈な攻撃だが、春斗は凌げるか――――?】


/ひとまずお疲れさまでした!
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/01(金) 18:32:34.43 ID:oCoLHGCIo

 >>739

 さぁて、避けるのは無理だな、どうすっか……


 【何故避けられないのか、それは春斗の現在の強化スーツに理由がある】
 【電撃付加という、攻撃翌力特化とでもいいこれは重いのだ】
 【最初の姿ならば、回避はたやすかっただろう】
 【しかし、タイプチェンジには、多少であるが硬直時間が発生する】
 【故に春斗は使えないのだ】


 炎弾は避けれても、落ちてくるあれも対処する必要があるんだよなぁ……


 そうだ、避けれないなら……受け止めればいいじゃないか!!


 【何か思いついたような声色で言うと】
 【春斗は腰を低くし、力をこめる】
 【仮面で顔は見えないが、仮面の下で恐らく彼は笑っている】


 ラァイトォニングゥゥウォォォォル!!


 【春斗の叫びと共に周囲を雷が覆う】
 【雷の壁は炎弾を受け止め、そして……炎弾は消滅した】
 【そのままカウンターを狙う】


 さっきのあれは効いたみたいだからなぁ!!
 もう一発くらいやがれぇ!!
 ラァイトニングゥバスタァァァァ!!!!

 【ライトニングバスターをアッパーカットの形で、カウンターとして放つ】
 【狙うのは腹、大抵の生物はその中に臓器がある】
 【雷で臓器を焼き尽くす、それが決まれば致命傷だろう】
 【また、多くの生物の腹はやわらかいことが多い、今までよりもエムルガードが受ける痛みは大きいだろう】
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/01(金) 19:09:49.01 ID:9/fRfZnko
>>740

【放たれる炎弾の雨、幸いその範囲内にいるのは春斗だけだ。炎弾に照準を合わせ、アサドの銃砲に魔力が集まっていくが――――】
【春斗の顔つきを見てそれも止める。かえって邪魔になると思ったのだ。そこまで強力な魔獣でないとはいえ、巨大なバケモノへ向かう彼の姿に隙は無かった】


「ギィ、ッッッ…………!!!」

………なに?


【ゴシャッ!! という重たい音。いかな魔獣であっても、何の力もなく空中で移動することは出来ない】
【……そう、確かに移動≠ヘできない。だが体勢を変えることぐらいは可能だ。そしてその発想に至るだけの知能がこの<Gムルガードにはあった】
【遠方でアサドが不審感を顕にしたのがわかっただろうか。――――本来エムルガードとは、ここまでの知能を持った生物ではない】


「ガァ、ア! ア、ァアアアア…………」


【二発目の必殺技、雷の拳を避ける手立てはエムルガードには無い。紫電が迸り、打撃と雷は胴体≠ノ叩き込まれるするだろう】
【エムルガードが思わぬ回避動作を取ったせいで直撃とはならなかったが、先程のダメージもある。痛切な呻きが確実に弱ってきていることを告げていて】

【……片やアサドはというと。体重三百キロ超の生物が数十メートル上から降ってくるという、その莫大な衝撃へ、】
【真正面からカウンターを合わせた春斗の体の強さに驚愕を覚えていたのだが。ここまで殆どノーダメージのまま来ているが、このまま行けば――――】


! ――――春斗、気をつけろ!!

「オ――――ォオオオオオオオオオオオオオオオオ――――――――!!!!!」


【――――大音声の咆哮が、甘い考えを断ち切った。春斗の攻撃で怯んだエムルガードがいきなり距離を取ったかと思うと、突如その体に炎≠ェ灯る!】
【何か様子がおかしい。そう思った次の瞬間にはエムルガードはまた大口を開き、最初と同じく灼熱のブレスを放つだろう】
【だが……出力が段違いだ。濃密な魔力で編まれた炎は熱も衝撃も威力を大きく増し、範囲もまた放射状に肥大化させて、前方百二十度ほどを埋め尽くす!】

【いったい何が発動したのか、ここに来ていきなり強くなったように見えるエムルガードだったが――――】
【炎に包まれるその皮膚が、少しずつ炭化しているのがわかるだろうか。強すぎる力が自分をも害している、『暴走状態』というのが一番適切であろう】
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/01(金) 19:58:01.97 ID:zXrtlVGyo
【路地裏】


……まったく、余計な手間を取らせおってからに
喧嘩を売るなら相手を選ぶことじゃな


【陰惨な気配と、血やゴミの混ざり合った腐臭が漂う路地裏の一角で】
【地面に倒れた無数の男達と、それらを冷めた目で見やる一人の少女がいた】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【右手には刃を潰した鉄製の剣を握りしめており】
【肩付近にはバスケットボールほどの大きさの、淡く光る白い"虫"のような物体が浮かんでいた】


貴様らのようなチンピラをいちいち逮捕しておってはキリがない
今回は見逃してやるが……次はないと思っておくがよいぞ


【倒れた男の一人に剣先を突きつけて、幼いながらもドスを利かせた声でそう告げた後】
【長い髪を残光のように靡かせながら、その場を後にしていこうと踵を返した】


【ここは日常的に凄惨な事件が起こる路地裏。今この場で何が起こっても不思議ではなく】
【また、この場面を見かけたならば何らかの形で興味を持つこともあるだろうか】
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/01(金) 19:59:19.59 ID:oCoLHGCIo
 >>741

 チッ!!これでトドメって訳にはいかないか……


 【必殺技を二種類使用させられる戦いなど、元の世界でもほとんど無かった】
 【それは、この世界の強さの基準が、元々いた世界とは違うという事を示している】


 打撃は効き目が薄い、斬撃は出来ない……
 炎に強く、内側からの攻撃は効きやすい……
 こいつの強さは、奴等の幹部クラスってことか


 【冷静にエムルガードの戦力分析をしていると――】


 気をつけろって、ハッ!!


 【アサドの言葉を聞きエムルガードの攻撃を理解する】


 さっきとは威力が段違いってか!?


 【判断が速かったおかげか、それとも運が良かったのか】
 【エムルガードのブレスはかすった程度だった……】
 【そうかすっただけだ】


 何!?表面装甲が少し解けてやがる!!


 【かすっただけでこのダメージ、直撃していればどうなっていたことか……】


 なるほど、暴走ってやつか、表面の炭化までしちまうなんてよ。
 お前も苦しいんだな、ならばその苦しみできるだけ速く消してやる!!
 リミッター解除!!出力120%だ!!
 もってくれよ、俺の体!!


 【強化スーツのリミッターを解除し、出力を一時的にではあるが、限界を超えさせる】
 【その状態を維持できるのは、長く見積もって一分だけである】
 【なぜなら、それ以上はスーツが耐えられず、また春斗の肉体自体が耐えられないのだ】


 こいつを使うのは、最終決戦以来だな……
 いくぞ!!


 【春斗は天高く飛び上がる】
 【そのまま蹴りの体制に入る】
 【右足からはまぶしく見えるほどの放電現象を起こしながら】


 アサドさん!!これで倒せなかったら、後頼みますよ!!

 ラァイトニングッブレイカァァァァァァ!!


 【春斗の姿はその時、雷その物に見えたであろう】
 【それほどの放電が巻き起こっており】
 【エムルガードもひとたまりも無いだろう】
 【狙うのは頭部であり、脳を焼き尽くすことを目的としている】
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/01(金) 20:11:34.36 ID:xd5nJpXho
【音が聞こえてくる。悪臭と闇が支配する路地裏、その汚れきった壁に反響して、何かの音が】
【カラカラカラ。カラカラカラ。乾いた音に、金属が軋むような音。これは、車輪の回転音だ】

【何人もの男たちが倒れ伏すその場所に、音の発生源が滑り込んでくる。立ち去ろうとしていた少女が振り向いたとしたら】
【その姿が、目に入るだろう。それは、ベビーカーだった。ピンク色でフリルがついた、巨大な電動ベビーカー】
【押す者はいない。ベビーカーただ一つが、車輪を転がして動いているのだ】


【上についた日よけ用のシェードで、ベビーカーの中身はまだ見えないだろう】
【地面の男たちの間をすり抜けて、ベビーカーは路地裏の壁の一つにぶつかって、乾いた音と共に静止した】

【路地裏は、何が起こってもおかしくない場所だ。それでも、これは異様と言えるのではないか】
【ベビーカーからは何の音もしない。この状況に、緋色の鷹を、世界の盾たる証を掲げた少女は、どう対処するだろうか――】
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/01(金) 20:12:42.95 ID:xd5nJpXho
/すみません、レス番号を忘れてました……
/>>744は、>>742に対してです。よろしければ、お願いいたします
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/01(金) 20:24:32.05 ID:9/fRfZnko
>>743

【――――エムルガードの戦力を分析する春斗の呟きを、照準をズラさないままに耳聡く聞き取っている男が一人】
【異世界人というのは、偶然迷い込んだ一般人≠フことを示すのだと、アサドはこの瞬間までそう思っていたのだが、認識を改めざるを得ない】
【銀の双眸が今までに無い真剣さで窄められた。黒須春斗という男の予想を超える戦闘能力を目の当たりに――――すかさず引き金を引く】


「ォ、ォォォ――――グ、ガァ、ッ!!!?」


【ブレスを回避されたエムルガードは、元々ダメージが蓄積していた上、この意図しない暴走状態で流石に消耗が激しかったのだろう】
【炎を吐き終えると暫時その場に立ち尽くす。裂けた瞳孔には狂乱と渦巻く闘志が燃え上がったままだったものの、飛び上がる春斗を追撃するには至らず】
【……さらにその瞬間、エムルガードの体がいきなり回転≠キる。地面から突如突き出た氷柱≠ェ下から顎をカチ上げたのだ】

【あの硬い頭蓋に直接攻撃したのでは足りないかもしれない。そう判断したアサドのアシストにより、春斗がついさっき狙おうとした腹部≠フ側が今度こそ露出】
【――――雷轟が迸る! 天高くから襲い来る稲妻じみた蹴撃は魔獣の喉元へと突き刺さり、その鱗を一気に食い破るだろう】
【鮮血が散って、そして揮発する。のたうつ莫大な量の雷撃はエムルガードの全身へ駆け巡って、体内の炎を生み出す器官へ着火≠オ、】



「ガ、ァ、――――――アァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」



【――――爆発! 春斗の真の必殺≠ヘ意図通り脳髄を消し炭に変えるどころか、エムルガードの体を丸々吹き飛ばす――――!!】


【……やがて爆炎と土煙が晴れたなら、真っ黒に焦げ付いた現場には跡形すら残っていないはずだ。横から見ていたアサドも確実に、葬り去ったと断言できる】
【任務完了、だ――――蒸気を噴出してバレルが収納され、アサドは『アルハーディ』をケースの中に仕舞い込むと、春斗へ近寄っていくだろう】


ふー、どうやら終わったみてぇだな。お疲れさん! 春斗、怪我はねぇか?
……にしてもよ、流石に驚いたぜ。あの変身と形態変化、ありゃ異世界の技術か?


【最初に飛び出すのは労いの言葉と心配だ。エムルガードから直撃と呼べるダメージは一度も貰っていなかったはずだから、安心はしているのだが】
【それに、純粋な興味が続く。異世界の力、それもあそこまで強大なものに触れた経験は、この男にも無いようだった】
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/01(金) 20:39:38.58 ID:zXrtlVGyo
>>745
/すみません、ちょっと席を外しておりました!
/今から書きますので少々お待ちを……!
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/01(金) 20:49:51.84 ID:oCoLHGCIo

 >>746


 ふぅー、なんとか勝てたかー
 こっちの世界の脅威度を変更した方がよさそうだなぁ……

 【爆風が晴れたそこから、春斗は歩いてきた】
 【光に包まれると、スーツを纏う前の姿が現われる】


 ナイスアシストでしたよ、アサドさん。
 こっちはケガらしい怪我は無いです

 【満面の笑みを向け、サムズアップをする】


 あぁ、あれですか……
 確かにあれは俺の世界の技術です、そして俺の世界でももはや再現できない技術でもあります。

 【そう言う春斗の顔は真面目な顔であった】
 【そこからは、何か大きな秘密を感じさせる、それに関わると何か大きな悪意に出会う可能性も高まるだろう】
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/01(金) 20:58:14.44 ID:zXrtlVGyo
>>744

――……む?


【何かの音がした。この路地裏にして大凡場違いと思えるような、奇妙な音であった】
【少女はそれに反応し、その場で足を止めてゆっくりと振り返る】
【瞳に微かな緊張と、確かな警戒心を刻みながら――】


あれは……乳母車、かの? 何故こんな場所に……


(捨て子……とみるには少しばかり"異様"じゃの)
(中には何が入っておるか……やれやれ、見つけたからには放ってもおけまいよな)


【少女は、ベビーカーの挙動を見逃さぬようにと眼光を鋭くしながらも】
【空気中に"力"を放出――瞬間、少女の上方の空間が撓むようにして歪みを持ち、白く巨大な何かが出現した】

【それは"紙"。2m四方にも及ぶ紙が無から滲み出る様にして姿を現し】
【紙は空中で見えない手に操られるかのようにパタパタとひとりでに折られ始める】
【そして――時間にして数秒程度でその「折り紙」は完成した】


              【貴宝院流不切正方形一枚折り・大折り鶴】


【その折り紙は巨大な"折り鶴"であった】
【三角形の広く大きな翼を持ち、長い首と尖った嘴を持つ偽りの鳥は】
【手で小さく合図を送った術者の意思を汲み取り、翼を羽ばたかせ高速でベビーカー向けて飛翔した】

【狙いはベビーカーの中程。刃のように研ぎ澄まされた左翼を薙ぐようにしてぶち当てようとする軌道だ】
【しかし、もしベビーカーが何の反応も示さない……もしくは敵対行動や迎撃のような挙動を取らなかった場合は】 
【命中する直前でピタ……と動きを止める】

【攻撃する動作を見せることで、相手の反応を確かめようとする一手であった】   
【正体不明の、得体がしれないベビーカー。果たして、その中に秘められたモノは――】  
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/01(金) 21:14:15.46 ID:9/fRfZnko
>>748


……あのエムルガード、どうも野生のままって感じじゃなかった。例の、研究所の連中が何かしら弄くってたのかもしれねぇな。
それを殆ど無傷で倒しちまうんだから、お前さんも大したもんだぜ。正直予想以上で驚いてるとこだ!


【光と共に常態へ戻った春斗を軽く手を挙げて迎え入れつつ、アサドは陽気だった相貌を僅かに曇らせて呟く】
【エムルガードは研究所から逃げ出したものだというのが依頼の概要だったが――――そちらもどうやら放っておけない事案になりそうだ】
【とはいえそれは、自警団員でありSCARLET隊員であるアサドの問題だ。春斗に向ける賞賛は本心からのもので、表情にも笑顔が戻る】


へー、曰くつきってことか。カッコいいのに勿体ねぇなぁ……。

……ま、お前が今いるのはそっちの世界≠カゃなくてこっちの世界≠ネんだ。そう重く考える必要もねぇんじゃねえか?。
それに――――俺も一応『正義の味方』ってヤツなんでな。今回は助けてもらっちまったし、困ったことがあったらなんでも言ってくれよ。


【惚けているのか本心なのか、真面目な顔で返ってきた答えにアサドが漏らしたのは非常に子供じみた台詞だったが……】
【春斗の表情と台詞から、彼は確かに争乱の臭いを嗅ぎ取っていた。深刻になり過ぎない程度の声色で、どこか元気付けるような言葉を贈って】
【――――自警団とSCARLETという二つの組織に所属するアサド・アル=アーデルという男は、客観的にも主観的にも、確かに『正義の味方』だった】
【にやりと不敵に笑う表情は、群れを守る獅子を思わせる風格がある。秘密の香りにも悪意の気配にも、一切たじろいだ様子は見せないだろう】


さて――――何はともあれ、任務はこれで終了だ! 帰ろうぜ、春斗!
エムルガードが予定外に危険だったこともあるし、ギルドに戻ったら追加報酬も申請しとくからよ!


【その辺りで話を区切ると、アサドは何やら金貨≠フ紋章が描かれた携帯端末の様なものを取り出して馬車を呼び戻すだろう】
【少し離れた位置で待機させていたようで、迎えが来るのに時間は掛からないはずだ。春斗に他に用事がなければ、そのままギルドに戻ることになるだろうか】
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/01(金) 21:29:34.25 ID:oCoLHGCIo

 >>750

 あぁ、野生のアレってあそこまで強くないんですか……
 まぁ、元いた世界ではそれなりの実力者だったんでね。

 【アサドの言葉に野生であのレベルの奴がゴロゴロしているわけではないことに安堵する】
 【賞賛の言葉には、いやらしく聞こえないようにそれなりの対応で答えた】


 曰く付きって訳じゃないんすよ、ただ作ってくれたダチが死んじまってねぇ。
 世界でも五本の指に入る天才って奴だったんで、再現不可能なんすよ。
 スーツのデザインや能力が変わったのは、別のスーツに着替えてるからですし。

 正直、スーツの多くがぶっ壊れてるんですよ……


 【壊れていると言ったその顔は、苦笑いしている】


 じゃあ、また何かあったら言って下さい。
 俺基本的には、夜路地裏をパトロールしてるんで!!


 【そう言うと春斗は、またサムズアップする】


 さぁーて、帰ったらある程度直せる人を探さないとなぁー

/お疲れ様でしたー
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/01(金) 21:47:14.19 ID:xd5nJpXho
>>749
【世界の盾たる少女の視線が、ベビーカーへと注がれる。その警戒心を前にしても、つぶやきが壁に反響しても】
【ベビーカーは何の反応を示さない。沈黙している。今のところは】

【そこへ、鋭さを増した眼光と共に解放される彼女の力。空間を押しのけて現れる折り紙=z
【わずか数秒で完成。彼女を正義の使徒たらしめる、神秘の能力。路地裏においてそれは、文字通りの掃き溜めの鶴の如く】

【折り鶴が、澱んだ空気を掻き分けて飛ぶ。羽ばたく音、直後、空中を疾走】
【紙とは思えぬ、いや、紙であるが故の鋭さか。その翼は軌道上の全てを両断するかのように見えた】
【その翼が、ベビーカーの中央辺りを薙ぎ払おうと迫ってくる。それでも、ベビーカーは動かない――いや】


【折り鶴が動きを止めるか、止めないか、ほどのタイミングで。ベビーカーの側面から、何かが飛び出した】
【それは、機械だった。触手のような姿で、先端は人間の手のような姿をした、金属のアームだった】
【ベビーカーをかばうように動き、翼の軌道に立ち塞がるだろう。翼が命中すれば、甲高い音と共にアームの表面に傷が刻まれる】


――ホッホッホッホッホ。ママ、しくじっちゃいまちたああああああ

ママアアアアアアアアアアアアアアア

【ベビーカーのシェードがひとりでに上がった。露わになった、ベビーカーの中。収まっていたのは、赤子ではなかった】
【それは、老人だった。赤子ほどの大きさしかない老人。ピンク色のフリル付き乳児服に身を包み、頭部のみが異様に大きい】
【毛髪はなく、髪の代わりに太いコードがいくつも頭から伸びて、それが老人とベビーカーを接続していた】
【しわだらけの顔に浮かぶ笑み。醜悪、かつ邪悪。しわがれた声で紡がれる、赤ちゃん言葉。いずれも不気味きわまる】


【さらに、ベビーカーの後ろにゆらりと出現したもの。大きな身体を、ピンク色の装甲で包んだ人の形をした何か】
【マインド。彼女ならば、そう気が付くだろうか。具現化された能力の一つの形】
【大柄な男の身体。四肢は、関節部がくびれてその前後が大きく膨らんだ芋虫のようなフォルム】
【何よりも、その頭部。泣きわめく赤ん坊の顔だった。大人の身体に赤子の頭。ちょうど、ベビーカーの中にいる老人と真逆だ】



「ひっひっひ……。あっさりと釣り出されちまいましたかあぁ。ま、仕方ないですかねえぇ」
「不意打ちで片付くほど、甘い相手じゃないのはわかりきってましたし……。なあぁ、オールドベビー」

ホッホッホ、この女の子、怖い怖いでちゅよおおおおおおお
ちっとも油断したりしまちぇんよおおおおおおおおおお

【そこへ、さらに歩み寄る男が一人。黒く分厚い軍用ブーツで、汚れた地面を踏みつけて】
【路地裏の奥の闇から現れたのは、くすんだ鉛色の髪をオールバックにした、彫りの深い顔立ちの男だった】
【髪と同じく、くすんだ鉛色の瞳。カーキ色のジャケットの上に、ポケットがいくつもついた黒のベスト。迷彩柄のズボンと軍用ブーツ】
【両耳と口元には鉛色のピアスが付けられており、舌の外周にもびっしりと同色のピアスが並んでいる】

【先の老人にも劣らぬ、下卑た笑み。その纏う汚れた気配。一目見てわかるだろう。この男たちは、闇の中の住人だ】


「ひぃひひひひ……。不躾に失礼。初めまして。あんたが、貴宝院 織守さんですなあぁ? あたくしぁ、卑しいゴミ漁りのスカーベッジ・トラーシュ、ってぇもんです」
「『スクラップズ』の首領代理、っていやあわかっていただけますかねえぇ?」
「あんたが台無しにしちまいやがった、うちのボスの肉体。あんたの肉で、賠償してもらいにきやした」


【言うや否や、ピアス男・スカーベッジがベストのポケットに手を突っ込み、何かを投げつける。釘だ。錆びたくぎが二本】
【少女の両腕へ向かって、一本ずつ。先端を向けて飛来する。同時に、ベビーカーの老人・オールドベビーとそのマインドは車輪の音と共に後退し】
【スカーベッジの横に並んだ。まずは牽制と共に、戦闘態勢を立て直したらしい。突如、闇の中での悪漢どもとの邂逅】
【因縁の敵の手下どもを相手に、彼女はどう対処するか――】

/こちらも遅れまして、申し訳ありません……
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/01(金) 21:58:51.56 ID:9/fRfZnko
>>751


まー、お前さんの強さなら心配はいらんかも知れんが……。
俺の経験上、世の中にはアレよりもっと凶悪な魔獣もいるからな。一応気をつけとけよ?


【跳躍力に咬合力、防御力に魔法力。エムルガードという魔獣も中型とはいえかなり厄介な部類である】
【その上何かしらの改造を受けていた強化個体を、結果としてほぼ一人で退けてみせた春斗の言葉には説得力があった】
【ただ、実力はどうあれ、この世界での経験値は確実にアサドの方が上だ。その忠告、というより情報提供には真剣味が籠もっていて】


ふーん、そうなのか。
相当スゲェ奴だったんだな。しかもそれだけスゴい上にロマンがわかるってのも中々……。

いや、とにかくだ。こっちの世界にも面白い能力者≠ェ多いからな。探せば整備してくれる奴はいるかも知れんぜ?


【一瞬、薮蛇だったかと鼻白みはしたものの……春斗の口調がそこまで暗いものでないとわかると、慌てて謝ったりはしなかった】
【彼の友人の逝去には触れず、その技術力のほうに感嘆してみせる。……「生きてたら俺にも作って欲しかったな」とか余計な呟きが飛び出したのはさておき】
【自警団側の技術力もそこそこあるのだが、民間には公的団体を遥かに超える技術を持つ者も珍しくない。そういう能力者を探してみるのも悪くないだろう】
【まあ、治安維持が仕事のアサドの立場だと、そういう輩は面白い≠ナはなく厄介≠ナあることが多いのだが……それを敢えて言葉にすることはなかった】


おいおい、夜の路地裏は………って、これも釈迦に説法って奴か。
わかったよ、頼りにしてる。ただあの辺にゃ、魔獣よりタチの悪い犯罪者どももいるからな。重ねるようだが気をつけろよ?

――――なんにしても、お前さんみたいな奴が協力してくれるなら心強いってもんだ。またよろしく頼むぜ、春斗!


【魔獣とは別方向で凶悪な人間が、路地裏という場所には犇いているのだが――――アサドは結局、春斗の実力を信頼することにしたようだ】
【満面の笑みと共に話題を切り替えると、アサドはサムズアップにサムズアップで返して、春斗を馬車に誘うとそのままギルドへ戻っていくのだった】

【……そして、春斗に報酬が手渡された後日。非合法な研究に手を染めていた遺伝子研究所の一派が検挙されたというニュースが新聞の片隅に載ることとなる】
【そこには春斗の見知ったあの男が、SCARLET麾下特務部隊『ヘイダル』部隊長≠ネる大仰な肩書きと共に付記されていることだろう――――】


/お疲れ様でしたー!
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/08/01(金) 21:59:13.35 ID:FEu+di9do
【水の国 川付近】

【水の国。そう言われるだけあってこの川を流れる水は良く澄んでおり、底の様子までくっきりと見える程である】
【昼ならば子供達が涼みに訪れるのではあるが、今は夜。幾ら日が沈むのが遅い季節になったとは言え、辺りは大分暗くなっており子供達などいる筈もない】
【―――しかしながら、ジャブジャブと聞こえる不自然な音。水の流れる音とは違う、まるで何かを洗っているような―――そんな音だった】

―――流石に夜の川は冷たいな……涼むなら近くに佇んでいるだけで十分なくらいだ。
其れにしても、流石に5kgはかき集め過ぎたか。全部しっかり洗うとなると、もう少し掛かるな……。

【薄藍の夏着物に身を纏う、腰に大小の刀を携えた黒髪の侍が―――大きな笊に沢山の野草を入れて洗う姿。そんな姿がぽつんとそこに居たのである】
【スギナ、ドクダミ、ユキノシタ……様々な野草がごちゃ混ぜで山盛りになった其れを、男は言葉を零しながら丁寧に洗っており】
【男は着物の袖を捲って、太くはないが樹の幹のように締まった両腕を晒していたのだが―――】
【その腕に纏わりつくが如く刻まれた大小様々の傷跡が示すは、彼が通った数々の修羅場を示しているかのようでもあった】

……っぐ、冷たいにも程がある……早い所済まさなければ……!

【身を捩る程の冷たさに堪えながら野草を洗い続けるのだが―――果たしてこの男、何故このような作業をしているのだろうか?】
【夜中に一人、川に佇み―――じゃぶじゃぶと音を鳴らす。もしこんな姿を見かけたのなら、普通であればさぞかし怪しいと思うだろうが―――】


755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/01(金) 22:18:46.02 ID:zXrtlVGyo
>>752

【折り鶴の翼による斬撃と、現れた"アーム"が衝突し金属めいた音が鳴る】
【翼をぶつけた折り鶴は錐揉みするような軌道を取りながらベビーカーの横を通過し】
【数秒前進した後、上空に向かい飛び上がって――5m程の位置で停止する】


【そして現れるは赤ん坊のような姿をした奇怪な老人とそのマインド】
【少女は老人の不気味さと、現れたマインドの姿を見て敵対存在と認識し】
【右手に持った剣の柄に左手を添え、担ぐような姿勢で構えた】


貴宝院 織守……はて、どこの女神の名じゃったかのぅ?
わらわはSCARLETのカミナ……カミナ・ゲルギルじゃ――女の名を間違えるなど、無礼極まる男よな


【新たに現れたピアスの男……その口から呼ばれた名に、しかし"別の名"を出して恍けたような口調で返す】
【スクラップズの頭領による情報が正確ならば、目の前の少女が件の人物で間違いはあるまいが】
【しかして"敵"相手に素直に応えてやるほど実直な性格はしていないようであった】

【言葉を返した瞬間に飛来するは二本の"釘"】
【それを自身の目と――"上空"からの視点で確認したカミナは】
【スっと小さく息を吐きながら、身体全体を回転させるようにしながら、その場で鉄剣を振り回した】

【鈍い金属音と共に一本の釘を弾き飛ばし】
【もう一本は体の位置をずらす事によって軌道上から自身を逃がし、着物の端を掠らせる様にして回避する】
【洗練された体捌きではないが、牽制程度の攻撃に対処できる程度の技量は有しているようであった】


(二対一……今のわらわでは、ちと手間が掛かるやもしれぬが――)


【対峙している正体不明のマインド使いに、"釘使い"】
【情報が少なく、また数の上での劣勢に加えて以前より力を落としているという事実もある】
【明らかに不利な状況だ。逃げの一手を取るべきか――否】


悪党を相手に尻尾を巻いて逃げるなど、わらわの矜持が許さんのじゃ

――悪名高きスクラップズの一党よ
その"言い掛かり"については知りはせぬが、貴様らの起こした悪行はわらわの耳にも届いておる
"世界の盾"の前にのこのこと姿を現したからには――首の一つも置いていく覚悟は出来ておろうな!


【カミナは路地裏に己の啖呵を響かせると、同時に左右の空間を歪ませ"紙"を生み出し折り始める】
【そして、着物の背に刻まれた細いスリットから】
【先程の折り鶴にも似た三角形の"翼"を出現させると、動きを確かめるように一度バサリ……と羽ばたいて見せた】


【明らかな戦闘態勢――術の仕様上先手を譲ることになるが、これを見てどのような反応を示すだろうか】
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/01(金) 22:48:24.76 ID:xd5nJpXho
>>755
【折り鶴とアームが接触。こちらは傷を受けたが、あちらは無傷。多少、軌道を乱しはしたものの】
【上空で未だ静止している。少女の意志を正確に反映して戦場を駆ける折り紙。少女に並ぶ脅威だ】

【とはいえ、今は眼前の相手。鉄剣を携えた正義の戦士】
【自分たちの異形を見ても、動揺の欠片も見せずに凛と立つその姿。対するは、ゴミ溜めから湧き出た悪漢ども】


「はいぃ? いやいや、そのご立派な折り紙の力は、さすがに間違えようが――ああ、なるほど」
「ゲルギル……今はそう名乗っておられると。ボスから聞きましたぜ。もう一人のお嬢さんはお元気なんですかあぁ? ひっひっひ……」

【訝しむような表情は、彼女の今の名を聞くとすぐにいやらしい笑みへと戻る】
【首領から、彼女らが同じ身体に宿っているらしいことは聞いている。実際に、首領が彼女と戦って得た情報】
【敵には一切の容赦のない相手とも聞いていたが、眼前の少女を見ればそれが誇張のない事実だとわかるというものだ】


【投げつけた釘は、見事に防御と回避で退けられる。体捌きを見るに、正面切っての戦闘が専門、とは見えなかったが】
【それでも、やはり正義を名乗るだけの実力は確かに見て取れた】
【人数の利がこちらにあっても、果たしてどこまで太刀打ちできるか。警戒と悪意が異形の悪党どもの内側で膨れ上がっていく】

「それは重畳。あたくしらとしても、あんたにあっさり逃げられてしまっては、立つ瀬がありませんからねえぇ」
「ひぃっひっひっひ!! 言いがかりとは言ってくださいますなあぁ!! 言っておきますが、ボスはとことん根に持つタイプですぜ」
「そうでなくても、元Justiceの皆さんには、何度も煮え湯を飲まされてますからねえぇ」

「きっちりお返ししておかなくっちゃあ、あたくしらが舐められる。今後の悪事に支障が出ちまいます」
「ねぇ、ゲルギルさん。あんたほどのお方の首があれば、ぐっと活動しやすくなるんです」
「首の一つでいいってんなら、こいつを差し上げますから。あんたの首を、代わりにくださいよおぉ」


【言いながら、ピアス男が指を鳴らす。すると、路地裏の片隅にあったゴミ箱の蓋が吹き飛び、中から何かが浮かび上がってきた】
【それは、人間の生首だった。生首が、宙に浮いているのだ。ゴツゴツとしたいかつい風貌。くすんだ鉛色の瞳】
【太い鼻筋には、縦に並ぶ形で三本のボルトが刺さっている。 毛髪のない頭部には、頭頂部に向かって曲がった鉄の角が何本も生えている】
【首の断面はすり鉢状になっており、首周りには、鈍い光沢を放つ首輪が嵌っている】


【第三の異形が現れる、と同時にカミナの啖呵と、広げられる純白の翼】
【向こうも、戦闘態勢を整えた。異形どもの鉛色に瞳が、悪意にぎらついた】

「ブレインデッド、オールドベビー!! ぶち殺せ!!」 

『り、り、了解した』
ホッホッホ、わかりまちたよおおおおおおお
ママアアアアアアアア


【ピアス男が、二人の手下に叫ぶ。と、新たに現れた異形、生首男・ブレインデッドが瞳を怪しく光らせる】
【と、路地裏の地面に散らばるガラス片や小石、木片などがふわりと空中に浮かび上がる。生首男の異能】

【そこへ、ベビーカーの老人が動く。ベビーカーから飛び出したアームで、背後の自身のマインドを掴みあげると】
【鈍器のように、空中で横殴りに振るったのだ。生首男に浮かべられた物体が、それに打たれる形でカミナに向かって飛んでいく】

【さながら、ゴミの散弾銃。一つ一つの威力は低いが、攻撃範囲は広い】
【ピアス男は、手下たちの背後で攻撃の行方を見ている。自身は、不測の事態への待機要員のつもりらしい】

【迫りくる即席の弾丸群。向こう側に控える異形ども。生首本体の戦闘能力は見るからに低く、おそらくはサポート要員だろう】
【接近戦に臨むか、紙をもって迎え撃つか、はたまた別の戦闘を展開するか。六つの鉛色の瞳は、彼女から逸らされることはなかった】
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/01(金) 23:28:22.65 ID:zXrtlVGyo
>>756

阿呆が――貴様ら三下悪党風情がわらわと吊り合おうものか
交渉するつもりならば、せめて六罪王の首でも引っ張ってくるがよいわ


(――まだ増えおるか……厄介じゃの)
(じゃがここで奴らの勢力を削ることが出来たならば――)


【新たに参戦した生首――此れもただの亡霊などではあるまい】
【異能を秘めた三体の怪物たちを前に、今の自分がどれだけ立ち回れるものかと思考が過ぎらせながら】
【上空の"折り鶴"を通した俯瞰視点と自分の視界を照らし合わせ】
【敵の一挙手一投足を見逃さぬようにと、意識を集中した】


【スクラップズ達の攻撃が開始される】
【生首――ブレインデッドにより浮遊した無数のゴミ達が、老人――オールドベビーにより"打ち放たれる"】
【単純とも言える攻撃だが、散弾銃のように広がる面の攻撃を回避することは背の"翼"を使っても困難であろう】
【また、見た目通りに耐久力の低いカミナにとっては直撃を喰らえば相応のダメージとして通ってしまう】


              【貴宝院流不切正方形一枚折り・亀甲/四ツ子蛙】


【ゴミの散弾と同時に、カミナの左右で展開されていた折り紙は完成した】
【それは大きな亀の甲羅のような姿をした"盾"のようなモノと】
【四匹の蛙が口を合わせてくっついた、奇妙な姿をした折り紙であった】


【飛来するゴミ群に対しカミナは、翼を背に向けて畳み亀甲折り紙を前面に押し出し防御する】
【ボコボコと鈍い音を立てながら亀甲折り紙の表面に当たり】
【その内受けきれず摺り抜けてきたガラス片がカミナの右足を切り裂き、鮮血を散らした】
【また、浮かせていた蛙折り紙にも木片が命中し、くっついた四匹の内一匹が潰れて吹き飛んでいった】


――っ!……図に乗るでないわ、下郎どもがっ!!


【鋭い痛みを歯を食いしばりながら耐えつつも、畳んでいた翼を大きく展開し】
【一度強く羽ばたかせることで"特性"を発動――その場でふわ……と己の身体を浮遊させる】

【そして同時に、三匹となった連なる蛙の折り紙をスクラップズ達へと向かわせた】
【速度は大したことはなく、また表面上は攻撃的にも見えない間抜けな姿の折り紙であるが】
【ある程度の距離まで接近する、または何らかの攻撃を放たれることで特性を発動する】

【四ツ子蛙――特性は"分離"と"粘着"。上記の条件を満たした時点でくっついていた蛙が分離し】
【三方に散らばりながらも、口から長い粘着質の舌を伸ばしてそれぞれの身体に纏わりつかせようとするだろう】


(奴ら一人一人の対応能力はどの程度のものか――貴様らの手札、余さず晒すがよい)
(わざわざあのような手を使ってきたということは……予想が当たっておればいいがの――)


【そしてカミナは剣を構えながら、先の攻撃により所々の破損した亀甲折り紙を傍に浮かせて追従させつつ】
【翼折り紙の特性"飛翔"・"加速"を発動――スクラップズに向けて接近を開始した】
【攪乱に合わせて、宙に浮かびながらの近接戦闘を仕掛けるつもりであろうか】
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/01(金) 23:48:08.96 ID:DF42RVkBo
【昼の国、宗教都市として周知されているゼン=カイマ】
【歴史を辿ればごく最近に大きな戦いがあり、そしてその名残として巨大な機兵の姿が残る】
【夏の蒸すような気候の中で古から在り続ける機兵は黙し語らない】

【誰が何を目的として彼らを作り上げたかそれさえも分からない】
【今はただ静寂に都市を見守るよう鎮座する】


――――――――……きれい

【「彼」の姿を熱の篭った視線で見つめる姿がひとつ】
【所々が煤けている魔翌力の名残のある錆びれたような色合いのフードローブ、その隙間から流れる髪の色は錆色でどこか痛々しい】
【浮かぶ瞳の色も同じくして、注ぐ視線は例えるならば恋に恋する少女のよう】
【普段の彼女の刺々しさを魔術師の姿を知る者がいたならそれこそ雪でも降るのではないかと思うだろう】
【その想いの対象はやはり機兵であり―――――――】


……遅くなったけど、貴方の欠片で作った物を見せに来たわ
いい腕、これだけの制作物なら満足してくれるかしら?……本当は、戦いの為の道具にはしたくないんだけどね
でも、今の時代にはどうしても必要だから……許して欲しかったり

【ふと見れば女性の手には機兵の配色と似た銃が抱えられている】
【眩いばかりの銀色を宿した「コンデター」と呼ばれる銃がモデルの魔銃】
【少しの鑑定眼があるならば銃は機兵の分かれた装甲から創りだされたと分かるだろう】


問いかけても応えがないのは分かってるけど
あーあ……もし貴方と話せたならどんなに有益なんだろうなあ……古の生き証人
人には気が遠くなるような時を経てその中で一体何を見てきたのか、知れたなら……

【親愛と悲哀、瞳に宿るのは複雑な感情】
【そうっと銃を撫でる掌は魔術師本来の甘いまでの優しさを現す】
【そうしてからゆっくりと歩き始め巨人の足元へと足を進める、届かない物に縋るように】

【流れる瘴気じみた魔翌力は一際強くなったという】
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/02(土) 00:19:56.02 ID:chp27ZJWo
>>757
「ひっひっひ!! こいつぁ手厳しい!! ま、あたくしらは盗賊だ。交渉は本業じゃあありませんからねえぇ」
「しかし、六罪王の首となれば……今度は、そっちの首が足りないんじゃないですかあぁ? ひひひ……」

【カミナと同じく、異形どももまた思考を張り巡らせる。相手は、その名も高き貴宝院 織守】
【カミナ・ゲルギルとして立つ今も、その実力が健在であることは、カニバディールの有様を見れば明らかだ】

【さすがに、折り鶴を通して自分たちが監視されているとは知る由もないが。それでも、油断は決してしない】


【先手はスクラップズ。対するは、カミナの折り紙。まず立ち塞がるは、巨大な紙の盾】
【多少は攻撃が通り、赤い花を路地裏の黒の中に咲かせることには成功したものの。大部分はその紙に弾き返される】

「おお怖……女神とかおっしゃってましたが、どう見ても女傑ですぜ……」

ホッホッホ、サン・オブ・ベビーちゃん、あの子怖いでちゅねえええええええ
ママアアアアアアアアアアアアアアア

『と、と、とんでもない女だ……』

【挑発の意味を込めた嘲り半分の畏れを示す言葉は、その直後、硬直した】
【空中に浮かび上がる彼女の姿は、もはや神々しいとさえ思えるほど。そこへ、間髪入れずに向かってくる蛙の折り紙たち】

【スカーベッジが舌打ちし、オールドベビーに手で合図する。オールドベビーはそれを受けて、マインドをアームで抱え上げ】
【再び、マインドを振るって蛙に叩きつける。警戒はしていた。距離を置き、次に起きることに備えてはいた】
【問題は、その程度で対処しきれる相手ではなかったということ】


「ううおぉ!!? なんだこりゃあぁ!?」

あばばばばばば!! とれないでちゅ、うっとうしいでちゅよおおおおおおお!!

『ぬ、ぬ、ぬぬ!!』

【三つ子に減らした蛙たちが、空中で分離して向かってくる。伸ばされた粘着性の舌が、異形どもに絡みつく】
【スカーベッジは、悪態をつきながら右腕を掲げる。その肘から先が、ガラス片のブレードとなって顕現した】
【ゴミと身体を一体化させる異能。先の錆び釘も、本来はこうして融合するためのものだったのだろう】
【それをもって、舌を切り離そうとする。だが、粘性を帯びたそれに阻まれ、すぐには切り込めない】


【オールドベビーは、マインドをすり抜けられる形でベビーカーごと舌に捉えられた】
【アームを引き戻し、マインドとアームを持って舌を引き剥がそうとしている】
【老人本体は、ベビーカーとマインドに頼り切りだ。今は隙だらけと言える】


【ブレインデッドは、その小ささゆえに全身を拘束されたに等しい状況となる】
【その首輪の周囲から、丸い仕込み刃が飛び出して舌に攻撃を仕掛けようとする】
【しかし、やはり生首だけの状態では、そう簡単には逃れられない】


【そこへ、向かってくるカミナ。路地裏に差し込むわずかな光を鉄剣が反射する】
【向かってくる彼女を視界に入れて、盗賊どもは焦燥を顔に浮かべる】

「ええクソ――!!」

【反応したのは、スカーベッジ。右腕をブレードにしたまま、一時舌への対処を中断し】
【右足に体重を預けて片足立ちになる。そして、左足の靴底をカミナへと向けた】
【その左足が、筒状の物体に変形した。筒状のゴミとの融合による、即席砲台だ】

【そこから、埃やクズ鉄、生ごみまで混ぜ込まれた、ゴミの球が撃ち出されるだろう】
【向かってくるカミナへの苦し紛れの反撃。命中しても、先ほどの攻撃どのダメージはないだろう】

【オールドベビーとブレインデッドは、舌への対処を最優先している。スカーベッジと違って、この二人は】
【動きを制限された状態では、まともに戦えないのだ。カミナがこの二人に向かえば、一太刀浴びせられることは確実】
【スカーベッジも、攻撃を放った直後なら、狙う隙は十分にあるだろう】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/02(土) 00:48:06.46 ID:Ide4h9/00
>>758
/まだいらっしゃいますか?
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/02(土) 00:52:39.93 ID:WTIXtrFpo
>>759

(指揮官を討ちたい所じゃが、流石にそう上手くはいかぬか)
(マインド使いか生首か……この二択となれば――)


【蛙折り紙は奇襲性と妨害能力には長けるが、耐久力、攻撃力共に然程高いものではない】
【粘着質という便利な特性を持つものの】
【オールドベビーのマインドの力や、ブレインデッドの刃物に対処されれば数秒と保ちはしない】
【スカーベッジに向かった蛙に至っては、切り込まれれば舌は千切れ飛び】
【耐久力を超えたダメージを受けたことで、内包された神気を失い……ただの紙となって消えていった】
【他の蛙も同様に、舌を切られた時点で無力化されることだろう】


【カミナが飛翔しながらも、その様子を"視界"に捉え成果を確認する】
【結果は上々――攪乱は成功したといってもいい部類であろうか】
【だが、スカーベッジは流石指揮官というべきか、対処が早く的確であった】

【それを見たカミナは、即座に頭を潰す方針を切り捨てて"手足"を狙うよう心に決めて――】


塵の塊如きにくれてやるには惜しい代物じゃが――特別サービスなのじゃ!


【――飛来するゴミの砲弾に対して、追従させていた亀甲折り紙を前面に押し出し】
【怪我をした方と反対の足裏で、折り紙の背を強く蹴ってぶつけるように叩き飛ばした】

【中空で衝突する二つの"弾"。衝撃を逃がしにくい空中では、盾があろうと砲弾を受け止める事は難しい】
【故にカミナが選択したのは折り紙を犠牲にした相殺であった】
【これによって、亀甲折り紙は限界を超えた負荷により破壊され散らばっていった】


まずは一つ……貴様の首を頂くとしようかの――っ!!


【翼折り紙の特性"加速"により、勢い乗せたままカミナは"ブレインデッド"に接近を図る】
【正確には分からないが"無数に物を浮かばせる"類の能力は】
【最初の一撃が有効であったように、カミナが苦手とする異能であった】
【だからこそまずは、最も厄介であろう"数の暴力"を止めようと攻撃対象を選択した】

【接近に成功したならば、空中で翼による微細な軌道操作を行いながら】
【身体に回転を加えつつ体重と勢いを載せて鉄剣を横薙ぎに叩きつけようとするだろう】

【刃を潰してあるため切断武器ではなく鉄製の鈍器のようなモノではあるが】
【直撃した場合相応の衝撃が走ることになるだろうか】

【また、上記の行動の成否に問わず】
【カミナは自身に追従させるようにして上方に一枚の大きな紙を出現させ折り始める】
【完成させるまでのタイムラグという大きな弱点があるこの術――隙あらば新たに作っていく必要があった】


/すみません、そろそろ時間が限界です!
/持ち越しとかは大丈夫でしょうか?置きレスでも対応できます!
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/02(土) 00:57:26.14 ID:chp27ZJWo
>>761
/了解しました!
/明日と明後日は、帰りが22時〜22時半以降になってしまうと思いますが
/それでも大丈夫でしたら、持越しという形でお願いしたく思います
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/02(土) 00:58:58.61 ID:WTIXtrFpo
>>762
/はい、その時間で大丈夫です!
/では、今夜またよろしくお願いしますね!
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/02(土) 01:01:02.43 ID:chp27ZJWo
>>763
/了解しました! いったんお疲れ様でした〜
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/02(土) 21:03:39.09 ID:eFj7s5lIo
【表通り】

【夜も深まってきた時間帯とはいえ、通りにはまだ人足が多かった。空には雲もなく、街灯の灯りに負けじと月光が道行きを照らしている】
【なので、あまり誉められたものではないのは事実だが、たとえば年頃の少女が外を出歩いていても比較的安全といえただろう】
【……そしていま、そんな絶好のロケーションを完璧に無視して、わざわざ人気のない通りの外れを散歩している少女がいた】


『…………………ふむ』


【大通りの方へ視線をやって、感心したような素振りで歩いているのは、背格好や顔つきからして恐らく女子高生だと思われる少女だ】
【黒いロング丈のパーカーに白色のTシャツ、下は赤チェックのフレアスカートとローカットスニーカーという今時の若者らしい服装をしている】
【だが彼女の相貌は、白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉と枝垂れるように長い睫毛が目立つもので】
【漆で染めたような黒髪は、前髪も顎のラインで揃えられたサイドの髪も、胸までの長さの後ろ髪も、そのすべてが一直線に切り揃えられている】
【そんな櫻の国の匂いを強く感じさせる淑やかな容姿は、若向けのファッションとのギャップもあって彼女を殊更に目立たせていた】


『西洋風の街というのも、なかなか風情があるものですね………』


【――――だが、真に彼女を目立たせているのは、そんなものではない】
【異質すぎる、存在感。立っているだけで周囲一体を聖域へ書き換えてしまうような、強大な神聖≠ウのようなものが、その全身から滲んでいた】
【それは決して容姿や挙措に対する比喩表現ではなく、近寄れば明確に肌で感じられる実体だ。それは異能≠ニ呼べるものでもあるし、】
【もっと端的に称せば――――少女が人外≠フ気配を漂わせていると言ってもいいだろう】

【裏通りや、いわゆる路地裏と呼ばれる場所と近いわけではない。けれど賑わい溢れる大通りにも交わらない。そんな間隙に、いま少女はいる】
【それが無用な騒ぎを起こさない為の措置なのは明らかだ。幸い、いまのところは誰にも見つかっていないようだが……】
【しかし、この異常な雰囲気である。偶然誰かに見つかる可能性は、低くはないかもしれない】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/02(土) 21:24:33.90 ID:O+BWiLCDo
【広場】

『うぐぁああああ!!腕がッ!腕がァァ!!』

【噴水の在る、その街の石畳の広場にて悲痛な声が上がる】
【1人の剣士が手首から血を滴らせていた。噴水のようにとは行かないジワリと、ただ止めどなく】
【刀は石畳に転がっている。刃はその自らの血で濡れていた。………それを彼奴は拾い上げる】

試しだ、試合だのと曰いながらも真剣を抜けば斬られるに決まっとるだろうが
……今の剣士は全く持って、微温い。剣も、腱も―――仕舞いだ

【そう言って振り下ろす、刃は石畳に当たり砕けた】

【鋭い、侮蔑の目で腕を斬られてもがく剣士を見下ろすのは黒髪を七三になでつけた男】
【病的に白い肌にとがったような耳をしている。スーツ地のスラックスに革靴。白いシャツにベスト】
【ネイビーのネクタイを締めているが、腰のベルトには朱の柄巻きの刀を1つ差している】

散れっ!試合は仕舞いだ。顛末は見ての通りだ、医者でも警らでも坊主でも呼べ
文句があるなら1人ずつ出てこい。…5分間待っている

【単なる剣士の練習だと囲んで見物していた市民たちは蜘蛛の子を散らすように去っていった】
【ポケットから取り出した金時計、蓋には家紋のように逆さ五芒星が彫られていた】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/02(土) 22:29:30.07 ID:r9iGbVge0
【世界はもうすっかり盛夏。うだるような暑さとはきっとこの事を言うのだろう、少し外に出れば汗も噴き出すくらいの日差しが降り注ぎ】
【テレビをつければあの都市が最高気温を更新したとかこの都市が猛暑で熱中症続出だとか、そんなニュースが飽きるくらい毎日流れる……】

【そんな夏の朝の空の下、今日もとある家の前の庭では小さな子供達が熱さにも負けずに元気に駆け回る。いつもと変わらない日常風景――】
【――けれど、一つだけいつもと違う事。子供達のうち一人、赤髪の少女だけリュックサックを背負って家の前で誰かを待っている……】
【少女の隣には母親と思しき女性も一緒に立っている。柔らかく微笑みを湛えつつ少女と何やらお話している様子を見れば、母娘の仲の良さも伺えようか】

「――――朝早くからお手伝いしてくれてありがとう、お蔭で助かりましたよ!お皿、上手に洗えるようになりましたね!……さて。
 そろそろお迎えに来てくれる頃ですね。楽しみですか?」

うん、今日はいっぱい遊ぶの!えっとね、おみやげもちゃんと買ってくるからね!

「ふふっ……ありがとう。でも、お土産は旅先の楽しいお話で十分ですよ。いっぱい楽しんできてくださいな!
 (……それでも優しいティアは皆にお土産を買ってくるのでしょうけど。――――あなたは本当に良い子ですものね。)」

【女性はマリンブルーの瞳を持ち、ブロンドの長髪は絹糸のように美しくさらりと風に靡く。右の目元の泣きぼくろが整った顔にアクセントを加え】
【身に纏うのは薄手の白い生地のゆったりとした半袖シャツ。レース地のロングスカートは風にふわりと揺れる。足元は可愛らしいパンプス】
【横には洗濯物の入った籠。子供服ばかりが大量に入っていて、その数は人数にして十数人分だろうか。兎に角結構な量】
【首元に掛かった十字架のネックレスは少し以前の物とはデザインが違う。以前持っていた物は友人と交換したとか】

【子供の方も母親と同じマリンブルーの澄んだ瞳。麦わら帽子の下から伸びるポニーテールにした鮮やかな赤髪は夏の日差しに映えて】
【きっとよく外で遊ぶからなのだろう、肌は小麦色に日焼けをしている。少し動けばTシャツの袖が少し捲れて、日焼け跡もはっきりと見えようか】
【穿いているのは半ズボン、というよりホットパンツに近い感じ。元々傷んだデニムのジーンズだったものを母親が仕立て直したなんて裏話もあったり】
【背にはお気に入りの大きな白いリュックサック。これからお出かけするのだろうという事が容易に判る出で立ち】



【―――さて、話は数日前の事。手違いが無ければ、とある教会にもうお馴染みとなりつつある封筒が届いた筈】
【但し中身はいつもと違う。いつもの綺麗な字とは違う、たどたどしさの残る字。子供が一生懸命書いたのだろうという事が文面を見るだけでも分かるような】

『グリースさんへ。いっぱいがんばって、約束通り100人助けました!好きな所、いっしょに行きましょう!
 もし良ければ海に行きたいです!グリースさんと一緒に海で遊ぶのを楽しみにしています。よろしくおねがいします!
 
 P.S.水着もわすれないで下さいね!海に行くのに水着わすれちゃったら台無しですよー!わたしもおかあさんに新しい水着を買ってもらいました!』



【―――果たして待ち人は来るのか。少女は今か今かと目を輝かせて待っている……】

//予約です、すみません!
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/02(土) 22:59:59.99 ID:o2p5jxeC0
>>767
「あー……うん。ま、神堂には適当に言っておいてよ。――――大丈夫、そんな揉め事だって早々起きそうに無いんだからさ
それにボクが居なくたってイリニ達が居れば大丈夫だろうから…………じゃ、後は頼んだよ」

【その少し上空。純白の翼を生やした女が通信機代わりの水晶を片手に話しながら羽ばたけば、少しずつ高度を下げていって】
【言葉を途切れさせた時とその家の前に足を着けた時とは殆ど同じタイミングであろうか】
【バサリ、と最後に一度だけ翼を大きくはためかせれば辺りを抜けるのは突風だけれど――――今日日の天候が天候故に心地よくも感じられるか】

【余程楽しみにして居たのであろう少女へと歩み寄れば小さく笑い、続けて視線を移すのは彼女の母親で有り己の友人であるマリア】
【「久しぶり」なんて言葉と共に浮かべるその表情は今までと変わりは無く】



「ん――ティアも久しぶりだね。少し、背伸びた?
百人助けたみたいだし、偉い偉い。手紙読んだから来たけど…………海、だったね。今日みたいな天気なら丁度良さそうだ」

【――――とは言え。今日は以前のように遊びに来た訳では無く、寧ろその逆で遊びに連れて行く為に来たのだ】
【百人助けたら。その約束を少女が果たしたのだから、次は己が約束を果たす番だ、と】
【可能であれば少女の頭を撫でつつも、次に言葉を向けるのはその保護者たる彼女】



「そういう訳で、ティアの願い通り海に連れて行くけど…………構わないよね、マリア
ふふ。まあ、今のキミの様子を見る限り嬉しそうに送り出してくれそうだけどさ
…………さて。ティアさえ良ければ早速行こっか?」

【海に行くことは把握しているが、何時もと変わらない姿。即ち、修道着であるのだが――――】
【荷物は全てポータルにでも入れられているのだろう。「どうしよっか」――その言葉をティアに投げかけたのは、忘れ物が無いかだとかそんな意味が含まれて居て】
【特に無いならば手を繋ぐだろうし、母親と少しの別れの挨拶をするだとか何かを取って来るだとかがあるならば、もう少しその場で待つのだけれど】

/お願いしますですよー!
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/02(土) 23:05:08.07 ID:8+IoDLNro
>>765
/まだいらっしゃいますでしょうか?
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/02(土) 23:05:44.14 ID:chp27ZJWo
>>761
【蛙折り紙の粘性による妨害は、異形どもの行動を確実に阻害した】
【反撃はスカーベッジの砲撃のみ。それ以降は、拘束を振り解くことに意識と時間を完全に持っていかれる】

【だが、カミナほどの実力者にとっては、それだけの隙で十分であったはずだ】
【オールドベビーが、マインドで舌を引き剥がし。スカーベッジが舌を千切り飛ばして蛙を消滅せしめた時】
【二人に遅れて未だもがいていたブレインデッドに、カミナはすでに接近していた】


「(ゴミ球と相殺――質量はそれなりに込めたってのに、あれが紙の耐久力かよ……)」
「ブレインデッド、そっちいったぞ!!」

『ぬ、ぐ、ぐぐ、ぐ……!!』

【亀甲折り紙の防御、いや迎撃と呼ぶべきか。カミナに蹴り出されてゴミ球に正面から突っ込んだ折り紙の一撃】
【亀甲折り紙が砕け散るのと共に、ゴミ球も元の細かいゴミに戻って、路地裏の地面にまき散らされるだろう】


【これに前後して、ようやくブレインデッドが仕込み刃によって舌の拘束から逃れるに至った】
【だが、時すでに遅し。攻撃対象に選ばれた自身へと迫る、翼持つ戦士】
【瞬く間に懐に飛び込まれ、能力を発動しようと試みるも、それよりも早く。刃を潰した鉄剣が、ブレインデッドの頬辺りに叩き込まれた】

『ぐが――――!!!』

【苦痛に顔を歪めながら、ブレインデッドが吹き飛ばされる。空中を回転しながら飛んでいき】
【鈍い音を立てて壁に激突。そのまま、路地裏の地面へと叩きつけられた。ごろりと転がったその有様は、本物の死体の生首の如く】
【そのまま、ピクリとも動かなくなる。完全に気を失っているようだ】


「こんの、紙女ああああああああああああああ!!!」

ホッホッホ、あの子調子乗りすぎでちゅねえええええええええ
ママアアアアアアアアアアアア

【攻撃を終えたであろうカミナへ、残った二人が攻撃を仕掛ける】
【スカーベッジが、右腕のブレードでカミナに袈裟懸けに斬りかかろうとする。大振りな動作だ。見切るのは難しくないだろう】

【本命は、その背後から迫りくるオールドベビーのマインド、『サン・オブ・ベビー』だ】
【ベビーカーから離れ、その図体に見合わぬ速度でカミナへと走り寄ろうとする】
【スカーベッジの攻撃に少し遅れる形で、マインドがカミナにつかみかかろうとしてくるだろう】

【もしそれを許すことになれば、その小柄な身体に全体重をかけてマインドが押しつぶしを仕掛けてくることになる】
【さながら、抱き上げると石と化して人間を押し潰す伝承上の妖怪のごとき手口だ】


【これらの攻撃を凌げば、カミナに戦局は大きく傾くだろう。これまでの戦闘からも察せられるだろうが】
【異形どもは、戦士ではない。能力を持った盗賊であり、凶器を携えた人殺しに過ぎない】
【だからこそ、多くの場合集団で戦闘に臨み、連携をもって生粋の戦士たちに相対してきたのだ】

【ブレインデッドが撃破され、戦力を減じた状態から相手にこれ以上の余裕を許さないための、拙速の二段攻撃】
【果たして、カミナにこの程度の戦法が通じるか、それは賭けの領域であった】
【一気に】
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/02(土) 23:24:34.34 ID:chp27ZJWo
>>770
/すみません、最後の一文は消し忘れです。無視してくださって大丈夫です
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/02(土) 23:39:23.73 ID:WTIXtrFpo
>>770

【狙い通り、厄介なサポート能力を有するブレインデッドを倒すことに成功するも】
【現在カミナとスクラップズ達の距離は近く】
【翼の加速能力を使っても、その攻撃範囲から逃れるには時間が足りない】


ふん――外道如きが一丁前に仲間の心配とは、笑えるものじゃな!
心配せずとも、貴様らもすぐ同じように叩き伏せてくれるわ!!


【啖呵を切るも言葉ほどの余裕は無い】
【上空に待機させている折り鶴の特性"感覚共有"により】
【俯瞰視点から状況を見ることが出来ているため、後方から襲いかかるマインドの存在には気づいている】
【しかし、スカーベッジの攻撃への対処に加えて、そのマインドから完全に逃れることは不可能だ】
【一瞬の取捨選択で、カミナは何を"切り捨てる"かを判断し――】


――――っ!


【――ギィン、と甲高い音と共にスカーベッジのブレードに鉄剣の刀身を合わせて防御する】
【だが、小柄で体重が軽いカミナが大人の男とまともに刃を打ち合わせて拮抗出来るはずもなく】
【空中で大きく体勢を崩して、衝撃に口の端を歪めながらも僅かに後退する事となった】

【そして、体勢が崩れ回避もままならないカミナにマインド<サン・オブ・ベビー>が襲いかかる】
【空中制動を加えてその手から逃れることは――不可能だ】
【カミナは、自分の着物をマインドに差し出すようにして"掴ませて"、その瞬間……場に無数の紙吹雪が吹き荒れた】


【紙吹雪の元は、身に纏っていた"桜色の着物"。小さな花弁型の紙が数十と周囲に舞い飛んでいく】
【花弁の端は剃刀のように研ぎ澄まされており、まともに喰らえば無数の小さな傷を刻まれることになるだろうか】

【<サン・オブ・ベビー>への対処のために犠牲にしたものは、防具である着物とそれに付随していた翼】
【これによってカミナは防御力、機動力ともに大きく減衰させることとなった】


【着物の下に纏っていた純白のローブ姿となったカミナは】
【転がるようにしてその場から素早く後退し】


                   【<貴宝院流不切正方形一枚折り・恐竜(小)>】


【上方で生成していた折り紙が同時に完成する】
【何かを模した紙に神気が注入され、薄っぺらな身体がボコボコと立体的に生まれ変わる】
【恐竜折り紙……ラプトルと呼ばれる其れにも似た小型の肉食恐竜を模したモノであった】
【特性は"鉤爪"と"強靭な顎"。紙の足先に鋭く長い光の爪と、口の中には牙が生え揃う】


【恐竜折り紙は術者の指示を待つこともなく素早い動作で跳躍し、オールドベビーのベビーカーに襲いかかった】
【接近に成功したならば、大きな口でベビーカーの端に噛み付き渾身の力で振り回そうとするだろう】

【カミナは新たに自分の左方に一枚の紙を出現させ、折り始める】
【後退したとはいえ、翼の助けもなく非力な身体で苦し紛れに下がっただけに過ぎない】
【互いの距離は未だ近く、その危険性を理解しているカミナはチッ……と、小さく舌打ちをして敵の動向を窺っていた】
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/02(土) 23:41:58.95 ID:r9iGbVge0
>>768

【巻き起こる風に合わせてマリアの絹のような長髪と長いスカートがふわりと揺れるのを合図に、待ち人はやって来た】
【今となってはもう見慣れた純白の翼。朝日に映えた白い其れは、地上からでも判別できる程だったとか】

【そんなこんなで地上に舞い降りたグリース。小さく笑い掛けられればティアも待っていましたとばかりに満面の笑みを返して】
【次いで声を掛けられたマリアは小さくにこりと笑う。結婚式後初めて会うことになるのだが、元気そうな様子を見れて嬉しかったのだろう】
【「お久しぶり」と返すその一声も心なしか弾む。嬉しそうに表情も緩み、何とも幸せそうな様子。】
【幸せの原因は……左手の薬指を見れば大凡は察することが出来るか】


えへへ、ちょっぴり大きくなったんだよ!去年よりも大人になった!
えっとね、好ききらいしないでいっぱい食べると大きくなるんだよ!だからティアはね、なんでも食べるの!

【グリースに頭を撫でられると、にぱっと人懐っこい笑顔を向けるティア。もうすっかりグリースにも懐いたようで】
【きっと彼女の気さくで自由な性格が少女を懐かせたのだろう。ティアはグリースの事をお姉さんのように思っているみたい】

【初めて会った時より心なしか大きくなったティア。と言っても身長が伸びたのを指摘されて喜ぶあたり、まだまだ子供な事には変わりはないのだけれど】
【約束通りたとえ小さな人助けでも100人助けたり、事ある毎に母親を手伝ったり、優しさはしっかりとその小さな体の中に育っているようだ】
【そんなティアの事を、きっとマリアは目を細めて見守っているのだろう。優しい子に育ってくれて嬉しい、って―――】


【さて、グリースに改めて問われればマリアは笑顔で応える。】
【―――他ならぬグリースの事だ、万が一の事も起こるまい。彼女の事は夫と同じくらい誰よりも信頼しているし】
【彼女なら間違いなく我が子の事をしっかりと見てくれると確信できる。だから、止めない筈なんて無い】

「ええ、勿論ですとも!貴女が一緒に居てくれるなら万が一の事も起こらないでしょうし……
 ふふっ……こんなに子が目を輝かせていて、嬉しくない親がいるものですか!
 それではグリース、ティアを頼みましたよ。 さ、行ってらっしゃい!」

いってきます!じゃあグリースさん、行こ!

【忘れ物なんてある筈がない。あんまり楽しみにしていたものだから、前日に3回も忘れ物が無いか点検してしまったくらいだから】
【ぎゅっとグリースの手がティアの小さな右手と繋がったなら、振り返って母親に「いってきます!」と元気な声と共に手を振って】
【マリアが小さく手を振り返して送り出したなら、足取りも軽く楽しい旅の始まり―――】

【さて、海と一口に言っても何処の海なのだろうか。それはグリースにお任せという事か】
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/08/02(土) 23:48:36.69 ID:eFj7s5lI0
>>769
/反応遅れちゃって申し訳ない、まだおりますよ!
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 00:07:01.77 ID:Pixu2Tzw0
>>773
「そっかそっか。それじゃ、ティアも直ぐにマリアみたいな綺麗な人になっちゃうねー。でも、もし夜更かしとかしてたら白髪が一杯生えちゃうから気を付けなよ?

好き嫌い、か…………其れは良い事だよ、うん。いや、ボクも好き嫌いがある訳じゃ……無い、けど」

【何処か歯切れの悪い言葉は暗に好き嫌いがありますと示している様なモノだ】
【ポリポリと頬を掻いて自分を誤魔化していれば、ふと友人の指輪が目に留まったのだろう】
【――――出席はしなかったが、小耳には挟んだ。笑みが漏れるのは、友の幸せを自分の幸せと変換できるから】

【色々とあったけれど、幸せを掴めたのだから良い。これからは其れを更に享受すれば良い、と】



「其処まで信用して貰えるなんて光栄だね。まあ、こう見えてもボクだってこっちの教会では其れなりの実力のつもりさ
小さなお姫様一人、怪我無く楽しませる事くらいお茶の子さいさいってね」

【ウィンク一つと共に軽口。――――其れでも、実際に戦闘能力はそれなりなのだから万が一があったとしてもティアに傷を負わせる事無く逃げる事は出来るのだろう】
【小さな力での握り替えし。其れが少女の了承の合図だと悟って】

【――――海に行きたいと書かれて居た時、先ず浮かんだのは多くの人が訪れる海水浴場だ】
【だが、その考えも直ぐに失せ、変わりとしてまた別な場所が思い浮かんだ】
【此処からは遠いけれど、思い出の場所の一つでもある所。今時の楽しいアトラクションがある訳でも無く、少女が楽しめるかは分からないが…………それでも、連れて行きたい場所】



「じゃ、行ってくるよ
……ティア、高い所は平気?此処から歩いて行くにはちょっと遠いからね、失礼するよ……っと」

【歩けばどれ程掛かるか分からない。まして、折角の行事なのだ。少女を急かす何て真似もしたくは無い】
【だから、一度向き合って背後から抱えるように抱き上げたかと思えば――――翼が、大きく動かされて】

【羽ばたく毎に上がる高度。たった数回の其れで辺りの家の屋根よりも遙かに高い場所へと舞い上がり、更に数回羽ばたけば最早人なんて米粒に見える程の高度】
【地面からの照り返しも無く、翼が風を起こすのだから灼熱の其れだって今や殆ど関係の無い話】
【飛ぶスピードだって中々に早いのだ。寧ろ少し涼しく感じる程だろうか】

【飛行機だとかヘリコプターだとか、そんな狭い箱に閉ざされた訳でも無く開放感に溢れた飛翔】
【「怖くない?」と問うのは今更かも知れないけれど――――その腕は、しっかりと少女を抱えていて】
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/03(日) 00:17:18.31 ID:msuu95oSo
>>772
「ひぃっひ、そっちこそ本当に正義の味方ですかい、その言い草!!」
「他の元Justiceの皆さんもそうだったようですが、正義か悪かってだけで、本質はあたくしらと変わらないんじゃあねえですか?」

【表面上は、こちらも叫び返して見せるが、余裕がないのはこちらも同じ】
【相手に、背後からの攻撃が見られているとも知らず、とにかく一撃を加えようと】
【その目論見自体は、成功した。斬り付けたブレードに伝わる手応え。小柄なカミナを力で押すことは容易かった】

【だが、続く『サン・オブ・ベビー』の掴みかかりには、返し技が待っていた】


オギャアアアアアアアア!!? イタイヨ、ママアアアアアアア!!!
あああああああ!!! ひどいでちゅ、こんなにかわいい『サン・オブ・ベビー』ちゃんにひどいでちゅよおおおおおお

「うおあ――――!!! いってええええええええええ!!!」

【彼女の着物が、無数の紙片を場に吹き散らす。路地裏の中に舞い散る紙吹雪は、幻想的とすら思える光景】
【しかし、実際は白雪ではなく、一つ一つが刃。マインドと、その背後のスカーベッジが切り刻まれていく】
【マインドの装甲に無数の傷跡が刻み込まれ、スカーベッジの鮮血が辺りにまき散らされる】

【動けるのは、オールドベビーのみ。翼と着物を失った今なら、攻撃の好機ともとれる】
【電動ベビーカーを起動させ、カミナの下へと接近しようとした、瞬間。それが現れた】


【紙が、神気で満たされて、その姿を変形させていく。顕現するは、恐竜。太古の支配者】
【あまりに鋭い爪、全てをかみ砕く顎と鋭い牙。さらには、恐ろしく素早いその動き】

あっ――あばばばばばばばあああああああああああああ!!!

ママアアアアアアアアァァァァァ……――――

【オールドベビーが目を見開いた、その直後にはベビーカーがその口に食いつかれていた】
【ベビーカーが振り回され、頭部からのコードでつながれたオールドベビーも絶叫と共に空中で跳ね回る】
【恐竜折り紙が、口を離す時が来れば、その時にはオールドベビーはベビーカーともども行動不能に陥っているだろう】
【それに伴って、『サン・オブ・ベビー』が薄れて消えていく。術者が意識を失い、マインドもコントロールを失ったのだろう】


「(なんてこった……この女相手に俺一人……。多少消耗してるとはいえ、あの恐竜もまだ健在……)」
「(まずい……これは、非常にまずい……!! 片方に対処したら、もう片方にやられる!!)」

【後退したカミナを前に、しかし冷や汗を流しているのは残されたスカーベッジだ】
【手下たちを倒され、背後には恐竜折り紙。眼前のカミナは次の折り紙を準備し始めている】
【どちらに対応しても、不利。万事休すか。スカーベッジは一瞬の逡巡の後、決断した】


【鉛色の瞳でカミナを睨み、軍用ブーツで地面を蹴ると、跳躍したのだ】
【と同時に、先ほどの攻撃と同じように左足を即席砲台に変え、ベビーカーに食らいつく恐竜折り紙へと一発、ゴミ球を撃ち出す】
【その勢いを持って、スカーベッジの身体がやや斜め前方へと押し出される。右腕のブレードを突き出し、切っ先をカミナへ】

【空中での、後方の恐竜に対する砲撃。その勢いを利用し、前方のカミナへの刺突】
【双方を攻撃する、即席戦術。当然、無茶な動き故に精度は低い。回避行動をとれば、簡単にかわせるはず】
【防御の手段も、あるだろう。それでも、背後に意識を裂きながら攻撃するほか選択肢がなかった】

【恐らくは、この攻撃が最後の悪あがきになるか。それでも、スカーベッジの鉛色の瞳は、未だに】
【爛々と悪意に輝きながら、カミナを睨みつけていた】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/03(日) 00:38:23.10 ID:8JlSgMdFo
>>776

ぬっ……――!?


(これは……間に合うか――――)


【マインド使い、オールドベビーを倒すことに成功するも】
【息をつく暇もなく繰り出されるは、スカーベッジの同時攻撃であった】
【恐竜折り紙は、未だベビーカーを咥えたままで咄嗟の行動に移れず】
【胴体にゴミ弾が直撃――その衝撃により後方に吹き飛んでいった】


【一方カミナだが、機動力の要であった翼を失い】
【それに加えて、右足には最初の攻撃で受けた怪我が残り未だ血を流している】
【痛みにある程度慣れがあるとはいえ、何時も通りに動けるはずもなく】
【スカーベッジの刺突攻撃に対して回避をするという選択肢を取ることが出来なかった】


なっ……めるなぁぁぁぁぁ――――っ!



               【貴宝院流不切正方形一枚折り・槍飛行機】


【完成した折り紙は先端が突撃槍のように膨らんだ"紙飛行機"】
【しかし、スカーベッジの刺突は既に目前まで迫ったタイミングだ】
【本来、加速をつけて突撃させる折り紙であるが故に、力を発揮するには時間も距離も絶望的に足りず】
【出来たことは、ただ横合いから槍飛行機の先端を突き出し】
【スカーベッジのブレードの腹を叩こうとし、機動を逸らさせようと試みる事だけだった】

【上記の行動が成功した場合、何らかの追加要素がなければ】
【刺突の軌道が逸れてカミナの肩を切り裂き鮮血を散らせる動きとなるだろうか】
【その場合は、カミナは裂帛の気合と共に切られた反対の腕で鉄剣を振るいスカーベッジの胴を強打しようとする】

【術者としては見苦しいとも言える、泥臭いインファイト】
【これまで蓄積されたダメージにより、カミナは確実に追い詰められている】
【この苦し紛れの対処を突破された場合、この紅蓮の少女は窮地に陥ることになるだろう】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 00:39:51.94 ID:XraqAay60
>>775

【遠まわしに綺麗な人なんて言われて、マリアは少し照れながら嬉しそうにはにかむ。綺麗と言われて嬉しくない女性なんていない訳で】
【次いで思いを馳せるのはティアの未来。―――ティアは将来どんな大人になるのだろうか。今はまだあどけない子供の顔だけれど】
【素敵な女性になっているのだろうか。……グリースと会話するティアを眺めながら、願わくば優しくて内面が素敵な人間になって欲しいと思う】

【いつものように軽妙な言葉が返って来れば、マリアも「何を今さら」と小さく笑う。笑顔の裏にはきっと信頼も覗いて居た筈で】
【信用や信頼というのは一朝一夕では築けない。―――つまりマリアにとってグリースはそれだけ特別な存在であるということに他ならない】


え、高いところ?海に行くんじゃないの?―――わぁ!?

【母親に見送られて、グリースの手を握り返す。―――と、突然グリースが背後に回ったかと思えば体がグイッと持ち上げられて】
【「わぁっ!?」と素っ頓狂な声を上げれば、さらにビックリする出来事。抱き抱えられたグリースもろともふわりと体が浮いて】
【突然の出来事に慌てるうちに、高度はどんどん上昇していく。あっという間に見送る母親の姿も小さくなって行き、地面もすっかり遠くなって】
【そんなくらいの高度になって、漸く上から声が掛かってくる。……こんな高くなってから聞いても遅いよ。】

ちょ、ちょっとこわいかも……でもきもちいいよ!
本当に鳥になったみたい……

グリースさん、うでは疲れない?……は、はなさないでね!落としちゃダメだよ!?

【正直怖い。グリースが抱いてくれていると分かっていても怖い。でも――――楽しい。味わったことのないスリルが、とても心地良い】
【風が気持ちいい。全身に風を受けるなんて体験はそうそうないが、これ程に心地の良い物なのだろうか―――】
【下を見れば肝が冷えるが、落ちる事はない。……たぶん。……きっと。】


【飛行機さえ乗った事のない少女の、初めての飛翔体験。旅の始まりは少女の記憶に鮮明に刻み込まれたに違いない】
【目的地まではあとどれくらいなのだろう。ちょっぴり怖いけど楽しい空の旅は続く―――】
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 00:41:19.74 ID:TC3X41XBo
>>765

【闇の先にふと浮かぶ紫白の光】
【それは人魂のように何時現れたかも分からないままゆらりゆらりと惑い揺蕩う】
【この世にありながらも不確かな物】

「――――――――身の隠し方、いえこの場合は忍ばせ方でしょうか」

【そしてやはり唐突に声は響く】
【かつかつ、と足音が近づけば人魂の正体が瞳の輝きだと分かるだろう】
【街灯の下、白日に晒される姿は白亜】


「表舞台へと出る事を良しとしない……路地裏と大通りの丁度境界に在るのはその為ですか?」

【其れの声色に抑揚はなく平坦だった】
【腰まで伸びる髪は絹糸の如き艶やかさを宿す白】
【服装さえも、肩が覗く白のワンピース……病的までの白は潔癖を思わせるか】

「…………異能、埒外……貴方は……何者ですか?」
「凡そ……そう、その気配は人とは思えない……神域とでも云えばいいのでしょうか」
「それだけの力を持ちながら姿は年頃の少女のまま……不思議です、私はあなたに興味があります」

「あなた……何者ですか?」

【ゆらり指先を向ける】
【彼女の瞳、片方だけの紫白の其れは好機に揺れていた】
【少女から溢れる神聖を受けながらも畏怖し怯えるでもなく、ただ純然たる興味を示し其の名を問うた】

/もしよろしければよろしくお願いします!
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/03(日) 01:03:06.64 ID:msuu95oSo
>>777
【ゴミ球が恐竜折り紙に命中して吹き飛ぶ、と同時に口から解放されたであろうオールドベビーのベビーカーも】
【空中に投げ出され、地面に叩きつけられて派手な音を立てて転がるだろう】
【コードに繋がった状態のオールドベビーも共に地面に放り出され、そのまま動かなくなる。完全に行動不能だ】


【スカーベッジは背後の攻撃の成果を見ないまま、落下し始めていた】
【最初の攻撃が功を奏し、カミナは回避行動をとらない。ならば、どうするか。あの正義の使徒が、行動を辞めるはずもない】

「ひっひ――――そのセリフ、そのままお返しいたしますよおおおおぉぉぉ!!!」

【双方の咆哮と、刃が空中で交錯する。新たに折られた紙飛行機が、迎撃の一刺しとなって悪漢に迫る】
【まず、硬質な音が路地裏に響くだろう。カミナの紙飛行機が見事にその役割を果たし、スカーベッジのブレードを弾いた音だ】
【追加要素は、存在しない。ブレードを伝わってくる肉を裂く感触。捉えたのは、肩。致命傷には至らない】

【そこへ横合いから振るわれる、渾身の一撃――】


「げがあっ――――!!!!!」

【紙吹雪で全身に刻まれた傷と、口から鮮血を吐き出しつつ、スカーベッジの身体が吹き飛んだ】
【鉄剣は完全にスカーベッジの胴を捉え、強かに打ち据えた。路地裏の壁に激突。さらに落下して、地面に叩きつけられる】
【痙攣しながら、スカーベッジが仰向けに転がる。まだ意識はあるようだが、これ以上の戦闘は不可能だろう】

【三人がかりでも、この有様。正義の長を務め、今なお世界の盾として立ち続ける少女の確かな実力】
【盗賊風情が、かなうはずもなく。ここに勝敗は決した。後は、カミナが応援を呼ぶなりして、この盗賊たちも終わりを迎えることだろう――】


【――その時、路地裏の奥から幽かな気配がした】
【異形どもが倒れ伏す今、この場の誰でもない気配が】
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 01:10:23.00 ID:Pixu2Tzw0
>>778
【転移の術式だとかを使えば瞬き一つ分の間に移動出来たのだろう。まして、戦闘で無いこの場ならば高位の物に昇華させるだけの時間もある】
【けれど、其れをしなかったのは“味”が無いからだろう。初めての旅、ならば例え面倒であっても其処に至る経緯までの全てを経験とさせたいから】
【一から順に体験させ、やがて十の数字を見せたいなんて些細な思い。問いに対しての答えが返ってきたならば満足そうに笑って】


「大丈夫だって、離さない離さない。ボクをしんよーしなさいって

嫌な事も何もね、これぐらい高い所で飛んでたら全部忘れるんだよ。――――ま、夜だったら尚更良いんだけどね
星も綺麗で下を見ればみんなが生活してる家の明かりが見える。そんな中、自由気ままに飛べるのはボクだけでその時だけは特別な存在になれる……ってね
――――ほら、彼処。折角の海なら、キミを連れてきたかった場所なんだよね」

【相手が相手ならば、手を離し落下中に宙でもう一度受け止める何て意地悪でもするのだろうけれど、少女相手には其れを行わず】
【ただ、純粋にこの空を満喫させるのだろう。翼人だとかが我が物顔で飛び交う空の隅を同じ様に飛んで】
【――――やがて先に見えるは何処までも広がる青の海。この時間でも砂浜には誰も居らず、謂わば隠れスポットとでも表すべき場所か】

【今日は波も穏やかだ。防波堤だとか設けられていないにも関わらず其れなのだから絶好の海水浴日和】
【歩けば右折左折して余計な時間を食う道だって、空を通ればただただ直線に進めば良いだけ。その砂浜に足を着けるのだって時間は掛からず】
【砂を舞い上がらせないようにゆっくりと砂浜に降り立ったならば少女を優しく降ろす事だろう】



「とうちゃーく、っと。此処、人が居なくてねー……ごちゃごちゃして無くて良いんだけど、海の家だとかも無い場所なんだよね
さて、此処で問題。何故ボクはこの場所を選んだでしょうか
答える事が出来るのは一回だけだよ?制限時間は60秒!それじゃ、スタート!!」

【人が余り踏み入れる事が無く、故に“穢れ”の少ない場所なのだ。ただただ美しく、人工が一切混じらない自然だけで形成された空間】
【砂浜に座ったならば、少女を見上げる様にしての唐突な問いが紡がれて。意地悪な笑みはヒントも何も出すつもりが無い事を示すのだろう】
【出鱈目に答えようが、分からないと答えようが。其れ等は全て、少女に託された事であり】
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/03(日) 01:13:55.87 ID:DU3eayO2o
>>779

【街灯と月光で照らされる街の遠景を、感嘆……というよりはどこか微笑ましそうに、優しい瞳で見つめていた少女】
【……目の前に突如輝く瞳が現れても、それは続けられた。出現に気づけなかったのだろうか、とにかく声が響くと同時、視線はそちらに向いて】


「忍ぶ、などという高尚なものではありませんよ。これはただ、距離を置いているだけです」


【否。どのタイミングでかはわからないが、少女はそちらに気づいていた。その上で、一切驚くことも警戒する事も無かった】
【さも当然のように、全てわかっていたかのように――――すらすらと返答するだろう。謙遜じみた台詞には苦笑いが附属している】
【その些細な表情の変化一つ取っても、大仰な威厳が隠し切れない。自分でこれ≠隠せるのなら、きっと彼女は『距離を置く』必要もない】


「――――人に誰何を問う時は、まず自分が名乗るものではないのですか?
 あなたの方こそ、どこか、尋常でないものを感じますが」


【純白を纏う女とは対照的に、少女の容姿は黒色に占められている。漆色の髪と黒曜石のような瞳は櫻の血によるものだ】
【だがその黒≠ノは、邪や闇といったイメージが一切無い。感じるのは圧倒的な光と聖の雰囲気で、印象としては白≠ニ称するのが適格だ】
【白を纏った黒――――矛盾しているが故に神々しさすら覚えるその視線が、彼女の問いに少しだけ窄められて、見透かすように女を俯瞰した】

【特に大きな感情の変化は見られない。この台詞は怒っているわけでも咎めているわけでもなく、単に初対面の相手を警戒しているだけなのだろう】
【だから、これも意図してのことではない。自分でも隠せないほどの圧倒的な威光を纏っているが故の偶然に過ぎないのだが……】
【――――ほんの少しの警戒だけで、普通の人間なら思わず平伏して懺悔に走ってしまいかねない強いプレッシャーが、勝手に顕現していた】
            ・・・
【とはいえ、本人は決して敵対する気はない。女がこの重圧に竦まず、正直に身元を明かしてくれさえすれば、好意的な対応をしてくれるはずである】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 01:17:55.84 ID:8JlSgMdFo
>>780

くっ……は――――!


【肩に走る焼けるような痛みと、新たに流れ出る鮮血の感覚に】
【カミナは眉を顰めながらも鉄剣を振り切り、その確かな手応えを感じながらも重い息を吐きだした】

【辛くも、これで賊は全て打ち倒したことになる】
【以前より各地で悪名を轟かせていたスクラップズの構成員達だ】
【ここで捕縛することが出来たならば、今後の正義組織の活動もさぞ円滑になることだろう】

【カミナは肩と足に、生み出した紙を巻きつけて即席の包帯のようにしながらも】
【剣を地面に突き立て、杖のようにしてふらふらと立ち上がり】
【先程吹き飛ばされた恐竜折り紙を呼び寄せて、彼らを拘束せんと動き出そうとするが――】



…………やれやれ、女一人に大層な出迎えじゃな

其処に居る者、姿を現すがよい
何人来ようが、SCARLETは……正義は貴様ら悪党などに屈しはせんのじゃ


【――新たに現れた気配。この状況だ、友好的な相手である可能性は限りなく低いだろう】
【隣に浮かばせた槍飛行機に身体を凭れかけさせながらも】
【路地裏の奥へと声を掛けて、鋭い視線を闇へと向けていた】

【応急処置で出血だけ抑えてはいるものの、負傷は決して軽くない】
【カミナは自分の残り戦力を冷静に分析しながらも、其処から現れるであろう者に対して強い警戒心を傾ける】

【連続戦闘となれば、今以上の苦戦は免れないが……果たして――】
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 01:34:37.68 ID:TC3X41XBo
>>782

「これは、失礼いたしました……私の名は白妙と申します」
「そうですね、貴方が仰るとおり部類としましては……付喪神の類に近いのでしょうか?」
「ただそれでさえ貴方の前には霞むでしょう……」

【然り、とでも云うように白妙と名乗る女性は頷いた】
【少女の持つ威光に平伏すでもなくただただ徒然と、さながら数式の入力されたコンピュータのように】
【求められたので与えたというだけ、ならば付喪神の部類というのも頷けようか】

【元より道具は求められた効果を引き出す為の物なのだから】

「私はただ在るだけですが貴方の其れは……とても大きく感じます」
「並みの計器ならば針が振りきれる程の、一体どれだけの刻を重ねたのか見当さえもつきません」

【少女の姿を見て浮かぶイメージは陰陽だ】
【互いに相克する白と黒の螺旋、理に最も近い概念のひとつ】
【ならば少女の持つ巨大さは必然なのだろう……惹かれてしまうのも無理は無い、そう示すように白妙は溜息を恍惚混じりの其れを漏らす】
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/03(日) 01:44:30.41 ID:msuu95oSo
>>783
【ブレインデッドとオールドベビーは、未だに意識を失っている】
【スカーベッジも、うめき声を上げ続けるばかりで、動かない。カミナが吐き出した息が、収束の合図】

【彼女が、応急手当を施してまでなお、悪を捕えるべく立ち上がっても。賊どもが動くことはない】
【恐竜折り紙が呼び寄せられ、カミナが奥の気配に声をかけても、なお――】


[――SCARLETの方、ですか]

【青年らしき声。と同時に、かしゃり、かしゃり、と乾いた音。闇の中から、それが姿を現した】
【気配の正体は、一体の人形だった。青年の姿をした人形が、ひとりでに歩いている】

【少し長めの茶髪と丸い目。どこか濁ったような青い瞳。中肉中背の体格に、面長な顔】
【白いシャツの上に青いジャケットを羽織り、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【その右手には、柄と持ち手の部分にまで鮫肌のような刺々しい装飾が施された、サーベルを一本握っていた】

【その人形を見てスカーベッジが目を見開いたが、人形の方は彼に目を向けなかった】


[……僕に、貴女への敵意はありません]

【それ以上、カミナに近づくことなく、青年人形が左手をゆっくりと上げる。その手が、人形の腹部に触れると】
【手が、腹の中にめり込んだ。取り出された手には、携帯端末。カミナには、見覚えがあるだろうか】
【W-Phone、と呼ばれる、正義組織の間で使われている携帯端末だ。つまり、この青年もその一員ということか】

【カミナが行動を起こさなければ、人形はW-Phoneでどこかへ電話をかけ、この場所を伝えて応援と救護の要請を行うだろう】


[……UT所属の、ギア・ボックスと言うものです。初めまして]

【凝り固まったような無表情のまま、人形は名乗った。乾いた声音】
【そのまま、ゆらりと振り向くと。倒れ伏すスカーベッジに歩み寄ろうとする。カミナが、止めることがなければ】
【人形は、手にしたサーベルでスカーベッジの足を切り裂くだろう。鮮血と苦鳴が、路地裏に咲く】

[……もうすぐで、応援、来ますから。貴女は、傷、大丈夫ですか?]

【やはり、何の感情も見せない顔で、人形はカミナを振り返った】
【正義組織の一員というには、どうも妙な気配がするかもしれない。無理矢理に、感情を押し殺して動いているような】


【それゆえか。背後のスカーベッジが、サーベルによる一閃の成否にかかわらず】
【ゆっくり、ゆっくりと左手を掲げ始めているのには、人形は気が付いていない――】
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 01:50:39.30 ID:XraqAay60
>>781

【子供心にも空を飛ぶ体験は何物にも代え難い物となった。当然だ、こんな経験をすることなんて滅多に無いのだから】
【体に感じる風、いつもよりうんと近い空、何とも言い難い浮遊感……その全てが何よりも新鮮で、楽しくて、嬉しくて】
【背中から抱いている今の姿勢ではティアの表情は窺えないだろうが、今のティアは間違いなく心から無邪気な笑顔を浮かべていた―――】

……いいなぁ、わたしも自分で飛べるようになれたらいいのに。
あのね、ティアは走るのは速いんだよ!でも飛ぶことは出来ないかなぁ……
どうしたら飛べるのかな……

【子供故か、まだ嫌な事とか悩みとか色々抱える事も無い。だからあんまりグリースの言うことはよく分からないけれど】
【空を飛べるのは純粋に羨ましかった。自分もグリースと同じように飛べたらどれだけ良いだろうか、なんて思ってみたりして】
【そんな羨ましさも、海が見えてくれば吹っ飛んでしまう。遠くに見える水平線や紺碧の海を見れば、「わぁ……!」と感嘆の声を上げて】
【そうして心ゆくまで大空を満喫できたなら、漸く砂浜に着地する。優しく降ろしてくれるところがグリースらしい……】

【―――砂浜に足を踏み出す。足に感じる柔らかい砂の感覚、打ち寄せる波の音……その全てが自然のままで】
【生まれて初めて見る、本物の海。その景観にしばし心を奪われていると、突然横からグリースに声を掛けられる】
【……本当に突然だった。急に問題を出されて、しかも時間制限つきとなれば慌てるに決まっているわけで……】

えっ!?あっ、えっと、その……えーっと……うー……
……

【結果、唸りつつ考え込んでしまう。突然出された問い掛けにも真面目に応じて考え込む辺りは純真な彼女らしいか】
【……そうして30秒ほど考えただろうか。頭をひねった結果、行き着いた答えは……】

……グリースさんが、ここがお気に入りの場所だから……?

あのね、だれもいないって事はグリースさんしか知らないって事でしょ?
誰も知らないのにグリースさんは知ってるって事は、グリースさんはここがお気に入りってことじゃないかなって……
……ちがう?

【少女なりに頑張って推理した結果らしい。彼女の頭ではこれが限界なのだ……】
【小さく首を傾げて、グリースの返答を待つ。さて、正解は……?】
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 02:04:06.42 ID:8JlSgMdFo
>>785


…………ほう、それは有り難い事じゃな。助かるのじゃ

わらわはSCARLET隊員のカミナ・ゲルギル
傷は……そうじゃな。この程度は掠り傷に過ぎぬよ、心配いらん


【ギアの行動を止めることはなく、彼の言葉に対してそうとだけ返した】
【信用しているかどうかは……微妙であろうか】
【未だ眼光は鋭く、声質は硬い。何よりもその場から動かずギアに近づこうとしていない】

【W-Phoneによる通話を阻止していないということは】
【最低限、敵として認識しているわけではなさそうだが】
【それでも彼から放たれる奇妙な雰囲気が、今一歩近寄りがたい要因となっていた】


――――。



【カミナは、無言で左手に持った剣を上げてギアの方へと切っ先を向ける】
【それに応じるようにして、カミナの傍まで戻ってきていた恐竜折り紙が意志を汲み取り】
【強靭な脚力で地を蹴り、鋭い動作で前方へと長く跳躍をした】


【突然の行動だ。ギアからすれば自身に攻撃されたと勘違いするかもしれないが】
【しかし、阻止されなかった場合は恐竜折り紙はギアの身体を越えてその向こうに跳んでいく】
【……狙いは、何らかの行動を起こそうとしているスカーベッジであった】


【もし、この行動を起こす前にスカーベッジが何らかの"攻撃"を繰り出していた場合】
【恐竜折り紙はギアを跳ね飛ばすようにしてその間に立ち塞がり、自らを盾にして守ろうとするだろう】

【それ以外の意図を持つ動きをした場合は】
【スカーベッジの身体を踏みつけようとし、拘束を図るだろうか】
【跳躍から着地、踏みつけまである程度時間が掛かることになり】
【それが攪乱や逃走を図る類の動きであった場合、空振り、若しくは見失う可能性が高い】
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/03(日) 02:08:30.36 ID:DU3eayO2o
>>784


「白妙、ですね。あなたからは、生命ではない、概念に近いものを感じましたが……なるほど確かに、これは付喪に近い感触です。
 ――――私は、天限と申します。そのように恐縮せずとも構わないのですよ」


【女が自称する名前と存在を反芻して、少女は視線を上に泳がせた。機械的な態度を崩さない相手の様子を鑑みて、警戒は必要ないと思ったか】
【……彼女のいう感触≠ニいうのが如何なる意味で、どうやってそれを探知して、女の中に何を見たのかはわからないけれど、とにかく納得したようだ】
【少女は「天限」と名乗り返し、小さく微笑んでみせるだろう。相変わらず神聖な雰囲気はそのままだったが、締め上げるような厳粛さは消えたはずである】


「………………、」


【そうして名乗った後、天限は微かに逡巡するような素振りを見せた。言おうか言うまいか迷っている、といった風情だったけれど】
【白妙は名前を告げ、そして自分が何であるかを告げてくれた。結局はその義を通す形で、自らが何であるかを教えることにしたようだ】


「私は……人間から神≠ニ呼ばれる存在です。人の世とは隔絶した力を持っていることは否定しません。

 ……けれど、とうの昔に力を失っています。いまや人間だろうと付喪だろうと、私を崇め奉る義務などありません」


【――――自らを神≠ネどと名乗る者は、大抵の場合において、悪意ある僭称か精神的な問題を抱えているかのどちらかだ】
【けれどこの少女に限って、一定以上の真実味があることは、彼女の放つこの威光が……そして誠意に満ちた表情が、保障している】
【その上で、天限は謙遜混じりに目を伏せるだろう。神にしては随分と殊勝というか、腰の低い態度だ。しかも謙遜のようで謙遜になっていない】

【彼女の言うとうの昔≠ニいうのはいったい、どれほど前のことのなのか】
【全身から漏れ出すこの力ですら圧倒的だというのに、過去には更に強大な力を持っていたのか】

【神だからと言って特別な敬意を払う必要はない、と彼女は言ったつもりなのだろうけれど、逆にその存在の深遠さを強調する結果となった】
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 02:09:46.55 ID:Pixu2Tzw0
>>786
【少女の答えを聞けば小さく笑って見せたのだろう。即ち、其れも又正解だと言外で紡ぐよう】
【確かに、答えでは在るのだが――――根本では無かった。気紛れに砂を一掴みすれば指の間から流し落として】
【ふと辺りを見渡すのは、曾てを思い出しているかのだろうか。今となっては大分昔の事にも思える日】

【サラリ、サラリと拳から全ての砂が落ちきった頃、「おいで」なんて言って少女を自分の横にでも座らせるのだろう】
【そんな事をすれば、ゴロンとだらしなく自分は仰向けに寝て。何時かの夜の様だ】
【汚れる事も気にせず、ただ気儘に振る舞う自分。――――あの時は、綺麗な月が浮かんだ夜だったけれど】



「うん、半分は正解って所かな。それじゃ、もう半分の正解を教えるよ
――――……此処はね、マリアと。キミのお母さんと会った場所。尤も、その日はこう天気が良い日じゃ無かった…………と言うか
天気は良かったけど、夜だったんだよね」

【初めて会ったのが戦闘を行ったあの場所。そして、二度目に会ったのが――――この場所】
【彼女の肩を砕き、そして其れを癒やした場所。お気に入りであり、同時に思い出の場所なのだろう】
【考えれば不思議な話なのだ。死神たる自分がこの様に居るなど――――敵が、友となっているなど】

【だが、嫌で無い。嫌いで無い。友である事を隠して生きなければいけなかった日。其れが救われた日】
【手を空に伸ばし、太陽を遮ったならばふと笑んで】



「此処でキミのお母さんに会ったから、巡り巡ってキミ達に会うことも出来たって訳だね
――――そんな場所だから、キミを連れてきたかった。元々お気に入りの場所だったけど、その事があってもっとお気に入りの場所になったから
だから、ね」

【――――敵では無く友としてマリアと会った場所に、ティナを連れてきたかったのだと】
【穢れの無い場所。人工物が並ぶ世界とは離された場所。…………思い出の場所、と表すに相応しく】

【あの日の様に―あの日の代わりに―少女の頭を撫でてやれば目を細くするのだろう】
【不思議な話だ。敵であった者の子を、こうして連れて来るなんて。否、当然の事か――――友の子なのだから】
【「気に入ってくれたかな」本当にただ自然しか無い場所。そんな所だけど、少女に取ってはどの様な場所に思えるのか】
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/03(日) 02:24:47.55 ID:msuu95oSo
>>787
[……お役に立てたなら、幸いです]
[ゲルギルさん、ですね。無事なら、よかったです。でも、救護の人に手当は受けた方がいいでしょう]

【服の下からでもわかる、四肢の球体関節を動かして。人形・ギアは、連絡とサーベルの斬撃を滞りなく遂行するだろう】
【カミナがギアに近づこうとしないことも、意に介していない様子。あるいは、自身の状態を自覚しているが故か】


[――……!!?]

【しかしさすがに、カミナが自身に切っ先を向けた時には、それを合図に恐竜折り紙が動き出した時には】
【不意を突かれたように、口をわずかに開く。そこへ、恐竜折り紙の跳躍。思わず、両腕でガードしようとして、そこで気が付く】
【背後の気配。振り返った時には、スカーベッジの行動はすでにその効力を発揮していた】


【左手から伸びる、錆び色のワイヤー。片方の端が、地面に崩れ落ちたままのブレインデッドに巻き付き、スカーベッジの手元へ引き寄せる】
【もう片方の端は、オールドベビーのベビーカーへ。今度は、スカーベッジがベビーカーの下へ引き寄せられていく】
【地面を這いずってスカーベッジが移動した、その直後。何もいなくなった地面を、恐竜折り紙が踏みつけることになるだろうか】

【スカーベッジは、そのままベビーカーにたどり着き、痛む身体に鞭打ってベビーカーを引き起こす】
【ブレインデッドとオールドベビーをその中に放り込み、自身はベビーカの背後にしがみついて、ベビーカーの持ち手辺りにあるボタンを押した】


「ひっひっひ……逃げ足は、盗賊の基本技能です、ぜ……づぁ……」
「ゲルギルさん、路地裏に入る時はあたくしらの手の者にお気を付けなさいよ……」

「……ギアの旦那。あたくしに入れた一太刀は、高いもんにつきますぜ……ぐ……」

【捨て台詞の途中で、すでにベビーカーの車輪は回転を始めていた】
【スカーベッジの最後の呻き声と共に、ベビーカーは高速で走り出し、路地裏の闇の奥へと消えていく】

【ギアが飛び出し、その後を追おうとするが、ベビーカーが路地裏の迷宮の奥へとすでに走り去った後だった】


[――すみません。みすみす逃がしてしまうとは……]

【戻ってきたギアが、カミナに深々と頭を下げる。先ほどと違って、その声音は。カミナへの謝罪と共に、悔しさと憎悪が感じ取れるかもしれない】
【スカーベッジの言葉からして、浅からぬ因縁があることは確かであろう】

【しばらくすれば、ギアが呼んだ自警団の応援と救護がやってくるだろう】
【カミナが話しかけることがあれば、ギアは返答するだろう。何らかの問答があるやもしれないが】
【ひとまずは、今宵の戦いはここで収束だろうか――不穏な残り香を、路地裏に散らしつつ】
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 02:42:00.24 ID:TC3X41XBo
>>788

「天限……さま、ですね」
「いいえ、私は元よりこのような喋り方ですので……なのでこのままでお願いいたします」

【飽くまで機械に徹するか与えられた個性が此れなのか】
【崩れない表情はどこまでも、それこそ氷の彫刻の如く崩れはせず】

【ふと気がつけば皮膚を這いまわるような感覚、つまりは厳粛さは消えていた】


「ほう……神、ですか……なんとも、埒外はそれ故の事でしたか」
「力無き神……その状態で力を失っているなどと冗談を仰る……、人の身には其の威光は重いです」

【彼女の持つ重圧は物云う物質である白妙だからこそ耐えられる物】
【人が正対したのならば平伏し、崇めるのは摂理と思える程……それ即ち威光と呼ぶ】

「――――――名から察するに、櫻の方面の一柱でしょうか?」
「しかし、それなら……何故この土地に天限様はいらっしゃるのですか?何か、使命でも?」

【名の響きは遥か櫻の物だったと告げる】
【ならば何故天限と名乗る少女はこの土地に権現しているのか】
【どうにも人間臭い神を開かれた片目で見つめ、問う……或いは歴史の裏で起こりえる何かを悟ってか】
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 02:43:43.73 ID:8JlSgMdFo
>>790

――追っても、無駄か。本当に逃げ足だけは達者なことなのじゃ

よいぞ、幾らでも差し向けてくるがよいわ
……その度、貴様らの手足は減っていくことじゃろうからな――


【見事、と称してもいい程に鮮やかな一瞬の逃走劇】
【その余りにも無駄のない手馴れた動きに、カミナは一瞬で止められぬと悟り】
【恐竜折り紙に追撃させることもなく、その背を憎々しげに睨みながら見送った】


【――】


構わぬよ、半端な所で留めておったわらわにも非はあるのでな

カニバディールの生き汚さで見て学んでおくべきじゃったな
今度は手足の骨を余さず折って転がしてやるとしようか…………


【ギアの謝罪に対して責めることはなく】
【むしろ自分の手が温かったと反省するような言葉を口にする】
【そして、こちらの声色にも浅からぬ因縁の気配が漂っている】
【向ける感情に差異はあれど、共通の敵と称しても間違いではなかろうか】

【何にせよ、因縁は残るが今宵の戦いはこれにて終わりを告げた】
【肩と足から続く鋭い痛みに若干表情を顰めながらも、億劫そうな動きで紙飛行機の上に飛び移ると】
【その上に寝そべるような姿勢で身体を載せて、同時に恐竜折り紙の構成を解除……ただの紙となって路地裏の闇に散っていった】


ギア・ボックスとやら……御主からは奴らのことも含めて色々と話を聞きたいところじゃが
今宵はもう身体を休めたいのでな……また機会があれば、その時にじっくりと伺うとするのじゃ


【彼に対して気怠げな声色で「後は任せたぞ」と告げると】
【紙飛行機をふわふわと浮かばせて、路地裏を後にしていく】
【疲労や痛み以上に出血によるダメージが大きい。くらくらとする思考を何とか制御しながらも】
【少しばかり危なっかしい飛行で、カミナは家路についていく】


/お疲れ様でしたー!
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/03(日) 02:53:28.31 ID:msuu95oSo
>>792
【カミナの最後の言葉には、下卑た笑みだけが返ってくる】
【望むところだ、ということか。傷だらけの敗走にも関わらず、その悪意は死んでいない】
【闇の奥へ溶けていく異形ども。これが、今宵の一戦の決着となった】


[……足を切った程度では、止まらない。認識を、改めておきます]
[カニバディール……あいつとも会ったことがあるんですね……]

【ギアもまた、反省を口の端に上らせつつ。共通する因縁の存在を、ギアも感じ取っていた】
【自身の宿敵が、各地にばらまいた悪意の種。過激ともとれるカミナの言葉には反応せずに】
【ただ、己の敵への殺意を人形は内側で膨れ上がらせていった】


[あ、救護は――いえ、そうですか。わかりました]
[ええ、次にお会い出来たら、知っていることを詳しくお話ししますよ……]

[お気をつけて帰ってください、ゲルギルさん……]

【彼女の言葉に、頷きを一つ返して。紙飛行機に乗って去っていく姿を見送ることだろう】
【ふらつく紙飛行機に僅かばかり危うさを覚えもしたが、今は自分のやるべきことがある】
【去りゆくカミナから視線を切ると、ギアは駆け付けた自警団らと合流するだろう――】

/ありがとうございました!!
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 03:08:36.15 ID:XraqAay60
>>789

【当たらずとも遠からずか、当たってはいるけれど当たっていないと言うべきか。そう言いたげな表情をグリースが見せたから】
【核心を聞きたいけれどなかなか答えてくれない、じれったい時間。グリースは何か懐かしそうな表情をして見せて】
【砂時計みたいに、掴んだ手からさらりと抜けたのを合図に、彼女はティアを呼び寄せる。呼びかけに応じたティアはそっと寄り添うように横に座って】
【グリースは徐に寝転がると、漸く口を開く。紡がれるのは嘗ての思い出……】

―――

【もう随分と昔の話のようだ。本当に色々あった……】
【初めての邂逅は敵としての対峙、激闘を繰り広げた末にマリアは肩を負傷。……そして、戦いを通じて何か通じるものを感じて】
【二回目は知り合いとしての遭遇。敵対した人間同士なのに、旧来の友のように語り合って、傷も癒して貰って……あの時から、グリースは敵でありながら敵でなくなって】
【余計なしがらみなんて全部脱ぎ捨てて、初めて友として出会えた。―――そして今に至るのだ。】
【尤も、二回目の邂逅から今に至るまででも数えきれないくらいに様々な事があったけれど……】

【兎に角此処はグリースにとっても、マリアにとっても思い出深い場所。……ティアは初めて来るから、そんな事は知る由も無かったが】

……そっか。ここはおかあさんとグリースさんの思い出の場所なんだ……
―――なんだかふしぎな気分。だって、おかあさんがここでグリースさんと出会わなかったら、私もこうやってグリースさんとは会えなかったかもしれないし……

【珍しく感慨にふけるティア。此処が、自分の大好きな二人が出会った場所なのだと思うと不思議な気分】
【自分の知らない時間に母とグリースが交わした、特別な時間。夜空の下で交わった縁に思いを馳せて】
【ふと見せた、少し大人びた表情。「とても気に入った!」と告げたのは、きっと言葉では言い表せない縁を感じたから】

【そしてもう一度グリースの方を向けば、頭を撫でられつつ満面の笑みでグリースに言葉を紡ぐ―――】

……じゃあ、今度はわたしとグリースさんの思い出も作りたいな!
ここにあるたくさんの思い出の中に、わたしとの思い出も入れたらいいなーって……

ね、せっかく海に来たんだから泳ごうよ!水着、ちゃんと持ってきた?
今日はいっぱい遊んでいっぱい思い出作るんだからね!

【此処にはグリースとマリアの思い出がある。―――じゃあ、今度はティアとグリースの思い出を作りたい。】
【グリースの積み重なった沢山の思い出の中に、自分との思い出も作りたい。……自分も此処を思い出の場所にしたい】
【だから、今日いっぱい遊ぼう。グリースと楽しい思い出を作ろう……】



【リュックサックを下ろすと、中から水着を取り出す。マリアに買って貰ったばかりの真新しいもの】
【流石にまだビキニを着る訳にもいかず、桜色のワンピース型の可愛らしい物。お気に入りのようだ……】

【横に居るのはグリースだけ、周りには誰もいない。そんな状況だから着替えるのを躊躇う必要が無くて】
【丁寧に脱いだ服を畳んでから水着に着替えれば、グリースを海に引き連れようとするだろう……】
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/03(日) 03:14:34.16 ID:DU3eayO2o
>>791

【あくまで慇懃な態度を崩そうとしない白妙に、天限は「そうですか」とだけ言ってそれ以上追求はしなかった】
【ただ、彼女の怜悧な面差しを正面から見据えるのみ。神だからなのか、それとも性格上の問題なのか、度量は広いらしい】


『冗談ではないのですが………まぁ、詮無きことですね。
 確かにどれだけ努力しても、神という位≠サのものを落とし込むことは出来ませんでしたが………。
 ふふ、現代の人間はなかなか強かですよ? 曲がりなりにも神を相手に、普通の友人のように接してくれた者もいるのです』


【力を失っているというその言葉に本当に偽りはなかったのだが、これは白妙が悪いわけは決してないだろう】
【この莫大な神聖さを前にして力が無いなど、とんだ戯言だ。……あるいは全盛期の天限が、これだけの力でも「無いに等しい」と言える程だったのか】

【それを詮無きこととあっさり切り捨てた精神性も含めて、突っ込み所は多かったけれど――――唐突に、心からの笑顔が、話の中に割り込んだ】
【……自らの威光を受けてなお、特別扱いせず接してくれる者もいるのだと。考えようによっては、その人間は相当の不届き者なのかもしれないけれど、】
【天限はなぜだか、それが心底嬉しいようだった。神と言っても色々なものが在るが、この神は人間に友好的な部類のようだ】


『ええ、そうです。……私の本体≠ヘ、未だ櫻の地にあります。
 いまはこの子の体を借りて――――巫女≠フ体を依代にして、意識だけを顕現させているのです。

 ……使命、ですか。最初は、目覚めたのが久方ぶりだった故、人の世を見て回るだけのつもりだったのですが……。
 確かに、いまの私には使命があります。なんとしても、身内の不祥は止めねばなりません』


【櫻を発祥とする神の一柱、という白妙の推測を天限は肯定した。同時に、この櫻の少女が天限という神の真の姿ではないことも】
【わかりやすいよう言い直しはしたものの、「この子」なんて親しげな呼び方からして、この体の本来の持ち主に肩入れしていることが伺えた】
【そして、目的については――――唐突に威厳を増した眼差しから察せられるとおり、道楽の類ではないようだ】
【厳密には、最初は道楽だったものの、思わぬ身内≠フ出現によって動かざるを得なくなった、というところである】

【……神である天限の身内というのが、同じ神を指しているのは明白だ】
【そして連日報道されている通り、ここ数ヶ月ほど戦神≠名乗る男が世間を騒がせているけれど――――】
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 03:37:31.33 ID:Pixu2Tzw0
>>794
「ま、そういう訳。キミとボクとが繋がりを持つ事になった由縁の場所とも表せるのかな
――――一つの事が巡り巡って何かを生むなんて珍しい話でも無いんだ。ボクにとって大切な場所の一つ」

【強さを求めて作られた存在とは時に残酷だ。老いとは力を失う事。其れを消されれば他の者達と共に老いる事は無い】
【ただ時の流れに残されるだけ。だからこそ、大切な物を作っていきたい。自分という存在を確立するために、消えてしまわない様に】
【五日はこの少女も大人になるのだろう。だが、自分はこのままだから――――良くて、少し歳を経る程度】

【暗い考えはこの場に合わない。その思考を振り払うのと、泳ごうと誘われるのは同じタイミング】
【「はいはい」の言葉を苦笑いと共に告げたならばポータルから鮮やかな蒼色のビキニを取りだして其れを着るのだろう】
【色白の肌は太陽によって見栄え、そのスタイルも中々に目立つ物ではあったが…………ナンパを目的にした男だとかが居ないのだから悠々と砂浜を歩けるもので】



「一杯遊んで、ねぇ…………それならさっきは空を飛んだし、次は水で色々と遊んでみよっか」

【空に居た時は余り感じなかったが、やはり暑いのだ。そんな中、海の冷たさは実に心地よく】
【足首まで入れてみれば其れだけで十分涼む様な気分になるが――――本番はこれからだ】

【取り出したるは恐水鳥の瞳。水流を操る事を可能とする其れは今この場所にはピッタリの物だ】
【海が“ざわついた”かと思えば次の瞬間――――二人を包むようにして大きな水柱が吹き上がる事だろう】
【攻撃目的の物では無いのだから内蔵を揺るがすような衝撃だとかは無く、それ所か優しく包むように頂まで運ぶのだ】

【下から上に向かって流れる――――そんな奇妙な体験をするのだけれど、まるで無重力にも似た感覚がまた新鮮か】
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 03:50:17.55 ID:TC3X41XBo
>>795

「――――――――……」

【確かに人という種は強かだ、人の為に創られたであろう自分だからこそ人の強かさ業というのは理解出来る】
【コクリと頷いて、数秒視線を地面に伏せた……思想する機械と云えど何かに執着する事はあるのだろう】
【細めた視線の先には在るのは、やはり人という種族に他ならない】

「神、という意識体を憑依出来る性能を持つ人間……その依代たる少女にも相応の力があるのですね」
「でなければ神降しなどという儀に耐えられる筈もありません、でなければ余程の例外か……」

【櫻の少女、彼女本来の意識はこの会話を知覚出来ているのか】
【目の前の相手が相手であるだけに興味はつきない、元より欠けたピースは埋めたくなるものだ】

【その欠落が人々が忘れてしまうであろう物であればあるほどに】

「世を見て回る……ふふっ、私と似たような事をしているのですね……」
「私もそうです、といってもただ巡るがままに世界を見つめ記録するだけ……お話に加われない部外者でしかないのは悲しいですが」
「そう創られたのだから仕方ない……」

【不意に視線に混じるのは微かな憧れ】
【神であり、それ故に自由である天限への羨望と嫉妬】
【しかしその感情さえも人間の人格をシミュレートした物に過ぎない、その真偽は白妙にさえ分からない】

「身内……?と言いますとまた別の一柱、ですか……」
「にわかには信じがたいですが、いや――――――最近、そのような事件もありましたね」
「戦神、でしょうか……なんとも冗談だと思っていましたが、天限様を見る限りではそうでもないのですね」

【事実をただ当て嵌めたならば其の先に連なる事象もまた事実】
【「戦神」という単語、それを含む戦い……コクリ頷けば合点がいった事を現す】
【遠くを見やるのは、出来事の途方もなさに当てられてか……幾星霜を重ねたかも分からないシステムとて天限を取り巻く事件】
【その大きさには驚きさえあったようだ】
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 04:16:52.59 ID:XraqAay60
>>796

【ティアは子供だから、あまり難しいことはよく分からない。グリースの言った事だって的確に意図を汲み取ることは出来なかっただろうが】
【「物事は繋がっていて、巡り巡って様々な事を引き起こす。」―――なんとなくだけれど、言っていることは分かる気がした。】
【……きっと、全てを理解できるのはまだ先の事だろうが。】

【間違いなくティアは成長するだろう。今だって数か月会わなかっただけでも背が伸びたと感じ取れるほどに成長したし】
【マリアだって老いてゆくだろう。かつて鎬を削ったフレデリックだって同じだ。……それなのに、グリースだけは変わらない】
【流れていく時に取り残されそうで、取り残されないように繋がりを作りたくて、大切な物を作る……】 
【兵器としての本質と、人間としての心。二つの本質に挟まれた苦悩を、ティアはまだ知らない―――】


【さて、話は楽しい海水浴へと移る。】

【折角こんな綺麗な砂浜に来たのだ、泳がないなんて勿体無い。先に水着に着替えたティアは、グリースが着替え終わるのを待つ】
【――やがてグリースは水着に着替え終わる。殆どいつも修道服を着ているから、修道服以外の格好は何だか新鮮】

【……仕方ないと言えば仕方ないが、このスタイルの差よ。幼児体型のティアとスタイルも良いグリースが並べば、その差は歴然】
【幸いなのは、ティアがまだスタイル云々を気にする年頃じゃないということか。……まあ10歳なら将来性もあるだろうし、成長している人の方が少ないし……】

【グリースも水着に着替えたのを見計らうと、ティアは姉にじゃれる妹のように手を引っ張って海へと向かう。】
【―――足に触れた水の感触が心地良い。照りつける太陽の暑さも、海の中じゃ良いアクセント】
【早速破顔一笑、大はしゃぎで水をばしゃばしゃやっていたティアだが……もっと凄いことが待っていた】

―――ふわぁ!
何これ、すごいよ!グリースさん、わたしたち浮いてるみたい!


【唐突に水柱が吹き上がれば、二人は水流に体ごと上へと持ち上げられた!】
【まるで宙に浮くような不思議な感覚に、ティアはもう大はしゃぎ。高く持ち上がった水柱の上でグリースに抱き付いたりして】
【それから「もっともっと!」と子供のようにせがむ。……いやまあ、実際子供なのだけど】
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 04:21:07.55 ID:Pixu2Tzw0
>>798
/申し訳無いです、そろそろ眠気が危ういので持ち越しをお願い致したく……恐らく今日の同じ時間に来れると思うのでありますが……
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/03(日) 04:32:25.38 ID:DU3eayO2o
>>797


『ええ。先も述べましたが、この子のような存在は、櫻では巫女≠ニ呼ばれています。
 ……力もそうですが、高いのは親和性の方でしょうか。
 もう数百年も前の話になりますが、この子はかつて私が力を貸し与えた人間の子孫なのです』


【普通の人間相手ならば、ここまで込み入った話を打ち明けることはなかっただろう。相手が多少なりとも自分に近い存在だったが故か】
【……それとも、彼女が目を伏せた先に見ていたのが人間だと、どのようにしてか理解したが故か】
【場所によって別の呼ばれ方をすることはあれど、巫女というのは元来、神に仕える使命を帯びた人間を指す】
【天限と特別な親和性を持ったこの少女――――彼女と彼女の属する家系もまた、天限に仕える為の体質と力、そして使命を持って生まれたのかもしれない】


『…………そう。そうして歴史を観測して、蒐集していくのがあなたの宿命ですか。
 その気持ちは、私にも理解できます。私は人が好きですが、深く関わることは決して許されない。それが時折寂しくなることもあります。

 しかし、創られたとは奇妙なお話ですね。付喪というのは大概、偶発的に生まれるものですが――――あなたは、人に望まれて生まれたのですか』


【憧れの視線に投げ返すのは、白妙と、そして自分への憐憫だ。神という絶対者である天限だが――――】
【人と積極的に関わることを、何らかの理由で禁じているよう。持ち得ている力の割に、存外いろいろなものに縛られているらしい】
【付喪に近い存在とはいえ、人を超越しているのはお互い同じ。そうして、相似する相手へ向けた暖かな同情の視線は――――ふと疑問にすり替わった】
【創られた、という単語が引っかかったのだろう。厳粛という程でもないが、真剣で重みのある言葉が白妙へ掛けられる】


『彼奴が何らかの要因で目覚めて、その力の波動のせいで私も眠りから覚めたのです。
 強大な力を持つ神がその力を振るえば、人の理は簡単に乱れてしまう。私たちは積極的に世へ関わるべきではない。

 力には、責任が伴う――――それをあの者は解っていないようです。
 互いに力を失っているとはいえ、あちらは戦の神で私は癒しの神。一筋縄では行きませんが……必ず止めねばなりません』


【神などという存在がお伽噺の中に封じ込められて久しいこの現代に、二柱の神が同時に存在しているというのは、考えてみれば奇跡に近い】
【実際の経緯は、まず戦神が目覚め、その力の影響を受けて天限が目覚めた、というものらしいけれど、異常事態には変わりなく】
【傲慢なる戦神は人間を軽んじて戦いを挑み、癒し神は人間を守るため、人間に協力して彼を止めようとしている。……確かに途方もない話だ】

【……そうして、神の都合で勝手に戦いに巻き込まれる人間は、たまったものではない】
【それを理解しているが故、天限の表情には戦神への怒りと人間への罪悪感の両方が浮かんでいるのだろう】


『しかし、現代の人間はなかなか頼もしいですね。力も心も、輝かしいものを備えていますよ。
 ――――白妙、あなたが視てきた人間はどうでしたか?』


【神でも、空気を読むと言うことがあるのか。重苦しい雰囲気を払拭しようとするように、天限は人間を賞賛して笑った】
【それは嘘偽りのない事実だ。一度は天限の手助けがあったとはいえ、戦神は過去三度、人間の手によって退けられている】
【天限は人間を認めていて、人間を愛している――――けれど、白妙の方はどうなのか。天限が聞きたいのはきっと、そこだろう】
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 04:39:31.81 ID:XraqAay60
>>799
//反応が遅れました、申し訳ないです……持ち越し了解です!
//ただ、明日は遅くても1時までしか起きられないのです……月曜日に伸びる可能性があるのですが、大丈夫でしょうか……?
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 12:02:39.40 ID:8JlSgMdFo
【とある町外れ】


うぅん……最近本当に暑いなぁ……
そろそろ思い切ってエアコンとか……買ってもいい頃かも……


【中心部から離れ、人通りの少ない"昼"の町外れ】
【その一角に建つ小さなお店の前で座っている一人の少年がいた】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


【少年は、花壇の前に積まれたレンガブロックに腰掛けて】
【青いソーダ味のアイスキャンディーをチロチロと舐めながら】
【アイスを持つ反対の手でハンカチを握り、一筋流れ落ちた汗をそっと拭った】


海とかプールもいいかな……
でも、一人で行くのもちょっと寂しいような……水着も買わなきゃ、だしなぁ……


【最近続いている酷い猛暑に、少々意識をうつらうつらとさせて】
【少年は店先でぼんやりとしながらも、夏の日を過ごしていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】


【本日もマイペースに営業中であった】
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/03(日) 12:28:12.76 ID:Bx98pCNGo
>>802
【燦々と降り注ぐ日光は酷暑を演出していて。道を行き交う人々の顔も、暑さに辟易として見える】
【その中で、汗だくになりながらも表情だけは涼しげという不自然な様子の男が、道を歩んでいた】
【背丈は大凡165cm、恐らく165もないだろう小柄な体躯。ミリタリー系の服装とベルトポーチが、日常から外れた気配を感じさせる】
【それだけならば、物々しい唯の小柄な青年にすぎない。だがしかし、異様な輝きを持つライムグリーンの右目が】
【そして、ハリネズミか何かのように入念に整髪料を用いて逆立てられた白骨の如き白い短髪が。彼の印象を強めていただろう】
【どこと無く不吉な気配を纏った青年は、全身から滝のような汗を流している】
【それでも、表情だけは涼しげに、顎から垂れた汗をベルトポーチから取り出したタオルで拭い去って】

「……あ゛ー……、暑い……。おかしいだろーがよォ……。
どっか、涼めるところとかは――……っと」

【表情だけは涼し気なのは、異能で神経系に干渉し、熱を感じさせていないからであった】
【だが、それでも溢れる汗は不快であるし、喉の乾く感覚もまた不愉快なものである】
【すでにベルトポーチに常備してあるMAX COFFEEは品切れ。コンビニを探すも気まぐれに町外れに来てしまったせいで見当たらず】
【路地にカフェか何かでもないかとさまよっていたところ、このようなところにたどり着くこととなっていて】
【ふと、視界には何かの店のようなもの。気になり歩みを進めれば、ぼんやりとする少年と、小さな店がそこにあった】
【目を細めて、看板を眺め。その店が扱うものが何かを理解した。そして、青年は少年へと目線をずらし、口元に笑みを浮かべ】

「義肢に魔銃、ねえ。もし良かったら、中見せてもらえねぇかな。
あと近くに自販機かなんかねーか? もー暑くて暑くてよ、喉からっからなんだわ」

【その物々しい外見や、傷だらけの肉体に反して案外フランクな態度で、青年は少年に話しかける】
【不吉な気配や、妙な気配を感じるかもしれないが、青年自体は悪意も害意も敵意も。持っていても、少年に向けてはいなかった】
【少なくとも、この青年が少年を害するという事は、先ず無かったといえることだろう】
【義肢に興味を持っている様子ではあるが、少年から見た限りではこの青年は傷が多くはあっても五体満足に見えるかもしれない】

/*もしよろしければ!*/
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 12:46:42.83 ID:8JlSgMdFo
>>803

あ…………わわっ……〜〜〜っ!


【こんな暑い中、店に訪れる物好きな客がいると思っていなかった少年は】
【声を掛けられて、自分のだらけた様子を思い出し】
【残ったアイスを慌てて自分の口の中に放り込んで】
【その冷たさに頭がキンとなって、涙目で額を手で抑えるという何とも忙しい動きを見せた後】


ご、ごめんなさい……お待たせしました

えと、はい……大丈夫ですよ。是非見ていってください
よろしければ……中で冷たいお茶もお出し出来ますので――


【少年は服の微かな乱れを直しながら立ち上がり】
【素朴さを感じさせる頬笑みを浮かべながら、青年に対してペコリと頭を下げた】

【自動販売機を案内するのではなく、中で冷たい飲み物を出すつもりのようだ】
【もし、特に反対するような事がなかったならば】
【少年は店の扉に方へとトコトコと歩を進めて、扉をゆっくりと開けて中へと誘うことだろう】
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/03(日) 12:48:42.62 ID:Bx98pCNGo
>>804
「お? まー、なんだ。落ち着け……」
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/03(日) 12:49:10.84 ID:Bx98pCNGo
>>805
/*途中投稿デス……*/
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/03(日) 12:56:54.56 ID:Bx98pCNGo
>>804
「おうおう……ま、なんだ。落ち着け。な?」

【己が話しかけた直後に、少年が慌てた様でアイスを放り込み、頭痛で悶える図を見てしまい】
【少年の気弱そうな印象から、自分の顔か態度が悪かったかと一瞬思案しつつも、なんとも言えない表情を浮かべて】
【左手の指から、極々小さなノイズを少年に向かって放射しておく。触れれば即座に頭痛が消えることはないが、頭痛は和らぐはずである】

「いやいや、全然待ってねーから大丈夫だって。
茶も出してもらえるとか超有り難いしな。んじゃ、お邪魔させてもらうよ」

【少年の微笑みに対して、青年はもはや癖のようになっている、どこか斜に構えたような笑みを浮かべる】
【丁寧な態度に、若いのに随分しっかりしているな、と思考を巡らせた】
【少なくとも、己が同じ年の頃は。いや、今であってもこういう振る舞いは得意ではなかったと思い出して】
【少年の歓迎を受けて、青年はアスファルトで熱せられた靴底を地面から引き剥がし、店の中へと歩みを進めた】

「お邪魔します……と」

【少年の後に続いて扉の中に入ると、青年はすかさずキョロキョロと店内を見回し始めるだろう】
【右目からは、明らかに人のそれではないライムグリーンの燐光が、不吉な気配と共に僅かに散っていて】
【興味津々で店内を見回すその姿からは、好奇心の強さというものを感じられるだろう】
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 13:09:45.57 ID:8JlSgMdFo
>>807

そ、そう言っていただけると幸いです……
では、その……ご案内しますので、僕の後に付いて来てください


(あれ……? ちょっと痛くなくなったような……)


【青年に対して、もう一度腰を曲げて丁寧なお辞儀をした後】
【彼の前に立って、小さく控えめな歩幅でテクテクと扉を潜り店内へと進んでいった】
【先程青年から放たれたノイズに関しては、気づいていない】
【魔翌力的なモノであれば、青年が気を利かせてくれたのだと判ったかもしれないが】
【少年はただ、どうしてだろう? と小さく首を傾げるだけであった】


【店の中は小洒落た外観とは違い、実用的な造りをしている】
【左右に並んだ無数の棚には、鉄などで出来た人工の腕や足が陳列されており】
【ガンパーツや、様々な種類の魔銃のサンプルもエリア毎に細かく区分されて置かれていた】

【その他には何に使うのか】
【人体模型や大きな水晶玉、妙な形の筐体なども設置されている】
【張り紙してあったアクセサリーは展示していないようであるが、概ね看板通りといったところだろうか】
【また、日差しがないだけ外よりはマシだが、冷房がないのか店内もそれなりの蒸し暑さであった】


えと……気になったものがありましたら、お気軽に声を掛けて下されば嬉しいです
棚に置いてあるものは……手に取って頂いても構いませんので、ゆっくり見ていってくださいね


【奥に向かってゆっくりと歩みながら、青年にそう声をかける】
【先程の言葉から、目的があって訪れたわけではなく】
【興味を持って足を踏み入れた類の客であると判断しているのだろう】
【少しだけ振り返って優しげな笑みを浮かべながら、質問があれば応えられるように意識を整えていた】

【もし、何も質問などがなかった場合は】
【そのままゆったりとした足取りで奥のカウンター席まで進むことになる】
【そうでなかった場合は、向かう途中で脚を止めて何らかのやり取りをすることになるだろうか】
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/03(日) 13:30:14.40 ID:Bx98pCNGo
>>808
「――へぇ、見やすいな。
……銃は有るし、まずは腕。かねえ」

【店内に入ると同時に、店の中をひと通り見回して己に必要なものと合致するものを見定めていく】
【そして、優先順位を付けた結果として義手を第一に、そしてその時点に魔銃を据えた様子】
【外よりはマシとはいえ、それでも辛い蒸し暑さに辟易としつつも、迷うこと無く青年は義手の方へと近寄って行き】
【目についた、精巧な作りの義手に手を伸ばして、持ち上げる】

「……ほー。……あ、義手とかどういう素材使うのが一般的なんだ?
昔使ってたのは金属製だったんだけどさ。やっぱり見てると金属製の奴割と目立つし」

【義手に左手を触れさせ、手でその表面をなぞっていく青年】
【なぞる軌跡には、僅かにライムグリーンのノイズが残り、そして霧散して消えていった】
【そうしつつ、青年は少年の方に向けて、義手についての取り留めもない質問を投げかけた】

「なんつーか左腕無いんでな、ちょっとどんなもんか気になったんだが。
これはかなり細かい動きが出来そうだけど、戦いには向かなさそうだよな。
戦いに向くやつって言うと、こういうゴツイやつになるのか?」

【見た目や雰囲気通り、青年はどうやら戦いに従事する類の人間のようで】
【義手の群れを次々と視線を動かしながら見比べていき、戦闘用と思わしき義手に、目線を固定した】
【しかしながら、そこまで良い反応を見せる様子でもない。青年が義手に何を求めているのかが、義手のセレクトに関係するのだろうが】
/*スイマセン遅れました!*/
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 13:51:18.93 ID:8JlSgMdFo
>>809

義手の素材……ですか?

僕の作品だと、金属にシリコンや人工皮膚をつける義肢が多いですね
その、これみたいな装甲義手ですと全体が金属になりますけれど……


【素材に関する質問に対して、少年は近くにあった義手を手に取って】
【表面をなぞりながら簡単な説明をする】
【一つは遠めに見れば本物と見間違うような精巧な義手で】
【もう一つは黒い装甲に覆われたガントレットのような腕であった】

【どうやら目的に応じて使う素材も変わってくるようである】


そうですね……人間らしい感覚……例えば痛覚や触覚を再現しますと
その分神経伝達速度が遅くなって、精密動作が難しくなりますし

逆に動きを円滑に……命令の伝達速度を向上させようとすれば
"無駄"を省かなくてはいけなくなります……戦闘に運用なさるのでしたら、強度も必要になりますしね
内部容量や……魔工義手ですと、術式の相性も関わってきて……難しい問題です

……全部が完璧な義肢を作れる方もいらっしゃるらしいですけれど
僕の技術だとどうしても、何かを"切り捨てない"と中途半端な出来になっちゃうんです


【先ほど手に取った内、表面を人間らしく作った義手を棚に戻して】
【残った黒い装甲義手……青年が言ったような無骨な金属製の其れを手の甲でコンコンと叩きながらそう告げた】


あの……もしよろしければ、左腕をお作りしましょうか……?
僕の作品に……興味を持っていただけたのならですが……


【少年は、おずおずとした様子で青年を見上げながらそんな言葉を投げかける】
【腕の欠損というものは、義肢職人の端くれとしては放っておくには忍びない状態だ】
【強い口調ではなく、気が向いたらどうだろうか? といった訊き方ではあるが――――】
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/03(日) 14:39:27.32 ID:tmFT+o/HO
>>810
/すいません
/休養ですぐにでなければならず、レスを返せません
/今日返せるかわからず、平日はまずレスできないので、今回のロールはなかったことにしていただければと思います
/突然申し訳ないです、すいません
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/03(日) 16:54:38.12 ID:TC3X41XBo
>>800

「祖先からならば親和性の高さも頷けます……」

【神をその身に降ろす、その性能を家系として受け継がせた】
【悠久を生きる人などいないがされどその血に刻み遺す事は人には出来る】
【その使命とでも云うべき二重螺旋は、今世に於いてついに必要とされた……目の前の少女がその証】

「私自身私の来歴は不明なのです天限様、いつから稼働しているのか誰が私を形作ったのか……」
「この使命は果たして本当に命じられた物なのかさえ分かりません、全てが認知外の事なのです」

「或いは私は不完全な状態で起動させられたのかもしれませんが、まあ……何と言いますかそれこそ神のみぞ知る、ですね」

【白妙の行動理念の大本たる「何か」は欠落していた】
【この世にある物ならばその根本には目的がある、人であるなら種を繁栄させる事、物品など言うに及ばず】
【本来在るべき物が無い、仕方ないと割り切れる問題ではないのは承知している風であるがしかしどんな状況だろうと意識というのは連続する物だ】

【望もうと望まなかろうと続いてしまう物を人は使命というのだから】


「―――――――いえ、神の戦いは人の戦いでもありますので天限様がそういった表情をする必要はないと私は思います」

【事象を書き留める装置である白妙はそれ故に感情の機微を感じ取るのに秀でているのだろう】
【天限の浮かべる表情、その罪悪を受けて呟く】

「人間は戦わなければならない、喩え相手が神に類するものであろうと……です」
「この世に堕ちたからにはそれこそが義務であり権利、そしてそれは万物に等しく割り振られている」
「天限様が神だとしても、人の個人個人の義務権利はその個人にしか払えない物です……それは天限様も等しく、なのですが」

「遠巻きながら天限様の使命を応援させていただきます、祈る事は得意なのです」

【都合よく解釈したならば励ましのように聞こえるか】
【されど忘れるなかれ所詮白妙は機械の側に近しい存在だ、ただ事実を述べただけに違いなく】
【――――――それでも言葉に何かを求めるならば、それは受け取り手が好きなように判断して良いのだろう】


「――――――――……難しい質問ですね、神に問われているとまるで叱られているような気さえしますが……」
「まあ、良い機会でしょうし……お話するのも流れというものです、それに今言わなければ次は無いかもしれませんから」

【恐らく自分の想いを言ってしまえば天限は侮蔑の視線を向けるだろう】
【しかしそれでも、告げるべき事はある】

「人は愚かな存在です、自らを滅ぼすであろう戦いをやめることが出来ない」
「戦い、ただ貪るように惑星を消費してやがて後には何も残らない……在るとすれば視えるとすれば全て枯れ果てた荒涼の大地だけ」
「過去から未来を予測する事はそう難しい事ではないのはきっと天限様もご存知でしょう、だから私は恐ろしいのです……」

「人という種の業が、いつか世界を全て焼きつくすのではないか」
「そして最期に何も残らないとしたならば人という種にその歴史に一体何の意味があったのだろうか……と」

【瞳を閉じれば響く阿鼻叫喚と怨嗟、泥沼のような生き死にの繰り返し】
【地獄があるとするならばそれは表皮の裏側、直ぐ近くに存在しているに違いない】
【或いは癒やしの神たる天限には理解出来るだろうか、癒やしの対極にその根源に在るのは「戦い」だ】

【憂いを帯びた瞳は失望の現れだった】

/すいません寝落ちしてしまいました!
/再開していただいて大丈夫でしょうか?
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/03(日) 18:56:27.00 ID:ESr2TzWXo

【路地裏】


 これで、三人目かぁ……
 噂は流れてるみたいだけどさぁ、だぁれもあいつ自体を見たわけじゃないのよねぇ……


 【フード付きのパーカーを着た、緑色の髪のショートヘアーの女がいた】
 【彼女自身は、このような、犯罪者や、悪人が集まりやすい場所にいるような人間に見えない】
 【彼女の両手が赤く染まっていなければ……の話だが】


 私の情報が流れないように、念入りにこの世界からあなたの命を消してあげる。


 【女は満面の笑みを浮かべながら、男の死体に向かって緑色の液体を右手から放つ】
 【グツグツと煮立った液体のように遺体は溶けて消えてゆく】


 あいつを消せたら、私の目的は達成できるの
 だから、あいつを知ってる奴を探してどこにいるか聞き出さないとねぇ……


 【女は強力な殺気を出しながら笑う】
 【もはやそれは、人間の物ではなく、化け物のそれであった】


 【もし、彼女を見つけた者が強者でなければ逃げたほうがいい】
 【彼女は命を奪うことを、たやすく行おうとするからだ】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/03(日) 19:19:31.90 ID:DU3eayO2o
>>812

【人は数百年の時をかけ、血の交わりの果てに神をも降ろす器を作り出した。その努力のお陰で、天限は俗世と関わることが出来る】
【それは喜ぶべきものでもあるが、同時に悲しむべきものでもある。より血を強く濃くしていくその過程には、得てして不幸が付きまとうものだ】
【……数百年も前の話とはいえ、天限が未だ複雑な心境を拭い切れていないのが、少女の表情から見て取れた】


『そう………自らの根元たるものを、あなたは失ってしまったのですね。
 これは、余計なお世話かもしれませんが………なぜやるのか、どうしてやるのかもわからない使命に従って生きるのは、辛くはないのですか?』


【天限の瞳がすっと窄められる。白妙の全身を俯瞰しているのか、それとももっと巨大な枠組みを見据えているのか――――】
【彼女の表情は動かないけれど、もしかすると神たる彼女ならば、それを見つける千里眼を持っているのかもしれない】
【だが――――例え天限がすべてを見通す力で白妙の過去を暴いたとしても、彼女がそれを口にすることはきっとないのだろう】

【存在の根元、存在の原点などというものは、その存在の今≠フあり方を大きく揺るがす。それを彼女が知らないはずはないし、】
【みだりに力を振るうことを避け、現世と深く関わらないよう自らに厳命する天限が、神としての智慧を理由もなく開陳するはずがないのだ】
【……そして、何より。お節介とわかっていて白妙に心配の言葉を掛けるような、慈愛溢れる、もっと簡単に称せば優しい#゙女が、そんなことをするはずがない】


『ふふ、白妙。あなたは冷たいのですね。……いえ、私が甘いだけかもしれませんけれど。
 ですが、人に戦いが必要なのは理解しています。私の司る癒しのみが世を支配すれば、人は堕落し進化を止めてしまうでしょう。
 癒しも闘争も、人はどちらも持っている。どちらも持っているからこそ人は人足りうる。
 ………そして戦神は、その天秤を闘争の側に傾けようとしている。秩序の番人たる神が自ら天秤に干渉するなど、あってはならないことです。

 お気遣い感謝します、白妙――――私は、手を貸すだけです。
 あなたの言うとおり、畢竟、人の世は人が守るべき。だからあの者を打ち倒すのも、最後はきっと人でなければならないのでしょう』


【白妙の言葉を、天限が都合良く解釈したかどうかはわからない。けれど彼女の冷たい声色を、なぜか天限は嬉しそうに受け止めた】
【世界のバランスを保つのが神だと彼女は言う。そしてもう一柱の神は自らそれを放棄して、人のあり方を変えようとしていると】
【――――少し、表情から重みが消えたような気がした。彼女の中の人を信じる想いを、白妙の言葉が意図せず励起したのかもしれない】


/すみません続きます……
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/03(日) 19:20:27.18 ID:DU3eayO2o

『……………………、』


【白妙から見て、人間という存在はどう見えるのか――――彼女は純粋にそれが知りたかっただけだ】
【天限は「叱っているつもりはありませんよ」と苦笑い気味に告げた後、白妙の告白を静かに聞き遂げるだろう】


『……………私にもそれは、よくわかります。
 遙か太古、かの戦神が全盛だった時代がありました――――あの者が力を得るということは、それだけ人という種全体の闘争心が強かった時代ということです。
 あの頃は、それは酷いものでした。一日のうちに国が作られては滅び、敵のすべてを消し去るまで決して武器を手放さない。
 人間というものはなんと愚かなのだと、あの時ほど痛感したことはありません。

 ですが時代が下れば、人は変わりました。愚かな戦いはすべて消えることはありませんでしたが、彼らは学びました。
 ………おかしな話だと思うでしょうが、この子は私を母と慕ってくれています。そして私も、この子を我が子同然に愛している。
 大局を見れば、人は愚かしい業を帯びています。ですがそれだけが彼らではないと、私は思っていますよ。

 もし人がまた、世を焼き自らを滅ぼす時が来るとしても、彼らは今度こそ自らの意志で踏み止まることができると、私は信じています。
 ――――何より、そのようなことはこの私が許しません。例え我が命燃え尽きようと、私はこの世界と、この世に遍くすべての生命に殉じます』


【天限という神が歩んできた幾星霜の歴史の中。沈痛に伏せた彼女の瞳の中には、僅かだが白妙と同質のモノが浮かんでいる】
【癒しの神たる彼女ですら、人に失望した時があった――――繰り返される地獄絵図を、その目で直接観測してきたが故に】
【けれどいまは、そうは思っていないようだ。人が変われば、神が変わることだって在る。まして天限は全知全能の絶対神ではないのだ】
【神だとか人だとか以前に、天限というひとつの個は、長い歴史の果てにあってなお、人間への愛を失うことはなかったのだろう】

【……胸元に置かれた手のひらの温もりは、依代たる少女へ向けられたもの。所詮ひとときの交わりでも、確かに紡いだ絆があった】
【世界と生命のために死ぬ、と断言するそれは、神としての使命であると同時に、きっと天限個人の意志でもあるのだろう】


『それに、何も残らないなどということはないと思いますよ?
 積み重ねた歴史は、それがどんなものであれ価値があると、私は考えます。
 どれほど醜く、どれほど薄汚れていても、それは命が在ったという証なのですから。
 人が死しても、星が死しても――――私やあなたが、それを覚えているではありませんか』


【――――そして最後に、笑顔と共に付け加えられた言葉は、人に向けたものではなく。白妙という彼女個人に向けたものだ】


/遅くなってしまって&長くなってしまって申し訳ないですorz
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/03(日) 22:09:36.64 ID:rBtLxyHr0
【街外れ――大きな自然公園、その林のエリア】
【名前もよく分からない木がたくさん生えていた、空に浮ぶ半分ぎりのお月様を隠すようにして】
【足元に敷き詰められたウッドチップはふかふかで心地よく、夏の夜のぬるい風も、この中だと少しだけ涼しくて】

…………ふわぁ、

【どこかの木で蝉が鳴いている、そんなシチュエーションにふと交じり合う声、“感嘆”するようなそれは】
【こんな林の中だと少しだけ不思議な響き、誰かが居るのは確かなのだろう、それは或いは声なんかよりも】
【ゆったりと煙るように漂う水の魔力、滝の傍に佇んだときのようにしっとりとしたそれが、舞ってくるのが証明になるかもしれなくて】

【――ぎざぎざに差し込んでくる光に煌くのは艶やかな黒髪の色、真っ白な肌と対極の色合いが、夜によく映えて】
【黒色と赤色のオッドアイは喜色を満面に湛えて。耳元できらり輝く片方だけのピアスは、ほっぺたに月白色を反射させ】
【軍服めいたデザインで作られたワンピース、きっかりした胸元と、ふわふわとしたスカートと、温度差のある黒の色合いで】
【ぺたんとした胸元に乗っかっているのは桜と蛇の柄をあしらったペンダント。時折月光に煌いて、存在を主張して】
【薄手のタイツと革靴の足元は少しだけこんな場に不釣合いだったが。本物の森でないだけ、いくらかましと言えるよう】
【少女――だった。穴ぼこだらけの月光の中だと少しだけ姿は不明瞭になるけれど、長い髪と華奢な身体と、きっと間違いでなく】

わあ、ほんとうだ――本当に、逃げない。……お話したら分かるのかな? 分からないかな……分からないよね、
それもお願いしてみたらよかったかな――、……ううん、でも、逃げちゃわないでいてくれるだけで――いいや。

【そしてそんな彼女は何にもないはずの木々の間に座り込んでいて。右手で地面を掻くような仕草、十分に怪しいそれを】
【訝しく思って見つめるなら。見出すのは一匹の蛇――だった。黒い身体に赤い模様のある蛇、そんなに大きくない個体】
【よしよしっと撫でては楽しげにしている姿。きゃらきゃらと笑うのは、子猫と戯れるような態度で――ちょっとだけ、不思議】

【(その彼女の周囲で魔力が待っていた。それが先に記した水の気配を濃厚に漂わせて、そのついでのように辺りを照らす)】
【(簡易式の明かりのつもりなのだろう、淡い桜色と、鮮やかな紫色と、くちゃっと混ぜた、二色の色合いが煌いて)】
【(余計に彼女の姿を林の中で目立たせているに、違いないのだった)】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 22:17:34.13 ID:Pixu2Tzw0
>>798

【その瞳は元々戦闘に使う事が多い物だ。それ故に、こうして遊びだとかに使うのは簡単な事】
【相手の裏を掻く様な工夫だとかをしなくても良いのだから。水を自在に――――までは行かずとも、少なくとも其れに近い形で操る事は出来る】
【其処等では体験できないようなとっておき、とでも表そうか】

【景色が良く、それでいて常に海水が肌を這うのだから暑くも無く】
【加えて独特の浮遊感も混ざれば本当に此処が海であるのかと疑いたくもなる程で】



「ほら、あんまりはしゃいでると沈んで行っちゃうから気を付けなよ?
沈んだとしてもどうにでも出来るんだけどね……っと」

【其れから更に水流は勢いを増したり、かと思えば急に弱くなったり。そんな事を屡々】
【波乗りにも近い感覚だけれどボードも何も無いのだからやはり大きく異なってもいて】

【――――其れからどれ位経っただろうか。漸く水柱も収まれば再び穏やかな海に足を着く事となろう】
【外界の騒がしさが此処には微塵も入り込むことが無い】
【――……時間としても、中々に良い具合に進んでいっただろうか。太陽の日照りもまたこの時期の趣があって】
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/08/03(日) 23:17:55.27 ID:bZsmXCh7O
>>814

「辛い……、どうでしょうね私も大概分裂していますから」
「価値観さえも不安定でして何とも言えません、一先ずですが稼働には問題無いので気にしてはいませんが……」
「先のことまでは分かりませんのでどうなるやら、といったところでしょうか」


【自問自答してみても答えが出ないことはある】
【どうしようもないならばそのまま放っておくしかない、今の状況が保たれているなら是非もないのだから】


「装置に感情は付随しません、冷たい暖かいは無いと思いますが……どうなのでしょうか」
「なんにせよ物語が異常なく閉じる事を祈っております」

【しかしながら自分は冷たいのだろう】
【事実を述べればその大半は残酷なものだ、ならば人にとってそれを突きつける自分は冷たいと表現されて然り】
【小さく頷く、仕方ないことだから】


「…………私は生命に生産性を求めます、繁栄を求めます」
「形として残る事を願います、荒涼の地にそれは恐らくありません」
「記憶として残ったとしても、それは永遠に続く空白に過ぎません……」

【吹く風に暖かさなどない何もない大地に一人立つ姿を思い浮かべる】
【人の姿なく、ただひたすらに空虚が支配した惑星】
【喩え過去を記憶した自分がいようとそこに価値など感じられない】

【天限と白妙と、違いがあるとすれば其処にある】
【希望を見出した者と失意しかない者、袂を分かつには十分過ぎる理由】

/遅くなってしまい申し訳ありません!
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 23:31:28.42 ID:XraqAay60
>>817

【アリギエの瞳。グリースが戦いに於いて駆使する水を操る其れだが、今は本当に平和な遊びに使われて】
【戦いの為に使う力だって、使い方によればこうして少女をとびきりの笑顔にさせることも出来るのだ。】
【どんな力も誰かを幸せにするために使えるなら、それはとっても素敵な事だと思わないだろうか――】


【ふわりふわりと宙に浮く小さな体。未知の感覚に、高所からの景色に、冷たい水の心地良さに、子供の心は踊り】
【あどけない顔は笑顔で満ちていた。グリースに向けられるのは、そんな楽しくて嬉しい感情ばかり】
【戦いの中で向けられる殺意や害意を知るグリースに、純粋で無邪気な少女の感情はどう映るのだろうか】
【こうやって一緒に遊んで笑顔になる子供の姿を、どう感じるのだろうか―――】


しずまないもん、ティアは泳ぐの得意なんだよ!―――うわっ!?
……あははははは!いま水の流れがギューンってなったよ!泳がなくても前に進むみたい!

【―――それからも、ティアは沢山遊んでもらった。体全体で波に乗るような不思議な体験をしてみたり】
【波にさらわれる心配も無いのだから、安心して速くなったり遅くなったりする波に身を任せたり。】
【グリースの様々な工夫が施される毎に、ティアは大はしゃぎでグリースに笑顔を向ける。――何だか歳の離れたお姉さんみたい】

【楽しい時間とはあっという間に過ぎるもの。気がつけば結構な時間が過ぎていて】
【漸く水柱を収めて水面に戻れば、ティアは何か思いついたように唐突にグリースに言葉を掛ける――】

―――グリースさんグリースさん、ここから浜まで競争しよ!
ティアは泳ぐのが得意なのって、嘘じゃないんだよ!じゃあ行くよ、よーい―――スタート!

【――唐突に吹っかけた浜までの水泳勝負。丁度50m程の距離を、どちらが早く着くかという事らしいが】
【子供と侮るなかれ、これがなかなか速い。あっけにとられていたらすぐにおいて行かれるかも―――?】


【さて、勝負の行方はどうあれ浜に着いたらお昼ご飯。出掛ける前にマリアと一緒に作ったお弁当がリュックサックの中にあるのだが】
【何故か弁当箱は二つ。―――そう、もう一つはグリースの分。】

えーっと、グリースさん!わたし、おかあさんと一緒にお弁当作ったの!
グリースさんの分も作ったんだけど……一緒に食べよう?

【中身はサンドウィッチ。ハムとトマトとレタスが挟まったオーソドックスなものだけれど】
【パンが少し不恰好な所を見るに、ティアが一生懸命作った跡も窺えるか。勿論味はマリアも手伝ったこともあり十分に美味しいけれど―――】
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/03(日) 23:52:29.13 ID:Pixu2Tzw0
>>819
【競争、と聞けばキョトンとした表情を見せるのだけれど。直ぐにその意図を読み取ったのだろう、ニヤリと笑えば了承して】
【さて、いざ競泳が始まれば思いの外速度がある少女に驚くも本気で抜こうとはしないであろう】
【一定の距離を保つようにして後ろに着くのだが、やはり力を出さねば置いて行かれそうになるのも事実】

【結果としては、少女の数秒後に女が着く形となるだろうか。ふぅ、と一度深呼吸をすれば体の酸素を入れ替える様で】


「いやぁ、ティアは本当に早いねー……テッキリ置いて行かれるかと思ったよ
着いていくだけでも結構疲れたしさ」

【カラカラと明るく笑えば、遅れて海から出てくるのだろう】
【体に付いた砂を海水で落としていれば少女からの誘い。――――時間としても、丁度良いか】
【何せ瞳を使うのは中々に体力を消費して、且つ此処に来るまで少女を抱きながら飛んでいたのだ。腹の空き具合だって良い頃】



「へぇ……これは美味しそうだね。――――ふふ、態々ボクの分も作ってくれる何てティアは優しいな
それじゃ、遠慮無く……頂きまーす、っと」

【自分の分も作ってくれたとなれば嬉しくない筈が無く。喜んだ様子を見せれば正面に座る様にしてその弁当箱を開くのだろう】
【例え僅かに不格好であったとしても其れが尚更少女の心を伝えてくれるのだ】
【一つ摘んで食べれば「美味しい」と伝えて。そう時間も経たない内に、次々と無くなっていくのだけれど――――】
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/04(月) 00:03:08.17 ID:XagFLqPlo
>>818


『…………そうですか。ではきっと、まだそれ≠ノ至る時ではない、ということなのでしょう。
 神だからといって偉そうに高説を述べる気はありませんし、私がこんなことを言うのは自家撞着も甚だしいですが――――、

 たまには少しだけ我儘に興じて、視る以上のことをしてみるのも、悪くはないと思いますよ』

【自らの価値観も感情も、安定して定着しない。それは生まれた瞬間からの定めだったのか、はたまた長い年月の果てに歪んでしまったのか】
【軽く嘆息して、天限が柔和に笑いかけながら白妙に言ったのは、本人の称するとおり『神からのお告げ』なんて大仰なものではない】
【長年の時を生きた者としての、ちょっとした進言程度のもの。……とうてい神らしからぬ悪戯っぽい表情が、そこには浮かんでいる】


『………あなたは人に、失望しているではありませんか。単なる観測結果に、感想を抱いているではありませんか。
 それはあなたが、すでに装置≠フ枠を越え始めている証左ではないのですか?
 冷たいのも暖かいのも、それは個性です。私のような甘い考えの者からすれば、あなたのそういう現実的なところは素敵ですよ』


【先程白妙に言っていた「冷たい」という言葉。彼女はそれを何故か楽しそうに言っていたけれど、】
【天限が白妙に向ける表情は依然として明るい。あれも決して侮蔑の表現ではなく、むしろ白妙の個性≠ノ触れられたと彼女は喜んでいるよう】
【天限はあくまで、白妙を装置などではなく一個人としてみなしていた。それは果たして彼女の願望に過ぎないのか、少しでも真を捉えているのか――――】


『私は生命に存在を求めます。それが世界に刻みつける七色の輝きを信じます。
 目に見える形など残らずとも、目に見えないカタチは永遠に消えないものだと、私は思っていますから。
 ……ふふ、私たちは似ているようで違いますね。けれど私はそれが嬉しい。あなたという個≠認識できることが嬉しいのです。
 だから、あなたのお考えをいまこの場でねじ曲げられるとは思いませんし、そんなことをする気もありませんが、

 たとえ始まりが付喪でも装置でも、永い年月を重ねれば本物の神≠ノだって匹敵できる。
 白妙。もしもすべてが終わったとき、あなたがその空白のなかに孤独を感じることがあったのなら――――、
 目に見える何かが欲しいと心から願うのなら、それを創るのはあなたです。
 あなたが、あなた自身の手で、その空白に新しい色をお付けなさい』


【すべての生命に等しく価値を見い出す――――その果てなき母性こそが癒し神・天限だというのなら、たぶん彼女は本当の意味で誰かと袂を分かつ≠アとはない】
【白妙の求めるものを真っ向から否定する信念を強い口調で言葉にしながらも、彼女が白妙に向けるのはあくまで親愛だった】

【そして、締めくくるのは途方もない話。すべてが終焉を迎えて、もしそれが不満だったのなら――――あなたが神≠ニなればいい、などと】
【神としてすべてをやり直し、自らの手で新しい歴史を作り出せと。そんな馬鹿げた台詞さえ、天限は平気で述べる】
【これが冗談の類なのか、それとも本気で言っているのかは、どこまでも深く、そして暖かな黒を称える双眸から判断するしかない】
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 00:24:18.02 ID:kk92ztAl0
>>820

【ただでさえ普通の人間に比べて飛躍的に身体能力の高いグリースの事だ、きっと本気を出せばあっという間にティアも抜けただろうが】
【敢えてそうせず後ろに付く辺りに、グリースの優しさが垣間見える。尤もティアはそんな事は全然気づいていないのだけれど……】
【やがてグリースより先に浜に辿り着くことが出来たなら、ティアはピョンピョン飛び跳ねて勝ったことを無邪気に喜んでみせる。】
【お世辞を知らない少女は、グリースの言葉だって真に受けて笑顔を向ける。大好きなお姉さんに認めて貰えた気がして、何だかうれしくて】
【ドヤ顔で無い胸を張る姿を見れば、まだまだ子供だなぁなんて思われるだろうか―――】

えへへ……はやいでしょ?みんなを助けるためには運動も出来ないといけないもんね!
もっともっと運動できるようになって、いっぱい人助けするんだ。だって、グリースさんとの約束だもん!

【―――こんな時でも、グリースとの約束は忘れていない。100人助けたらそれで終わりにするのではなくて、もっともっと沢山の人を救おうと】
【小さな少女は大きな志を胸に秘めて強くなる。親代わりの二人に魔術を教えて貰ったり、沢山運動して自分を鍛えたり……】

【水中とは知らない内に体力を使うもの。ずっと水中に居たのなら丁度腹も減ってくる頃合いだろうから】
【丁度作って来たお弁当を開けて、二人で仲良く並んで座って食べる。―――こういうお弁当は、一人で食べるより誰かと一緒に食べた方が美味しく感じるもの】
【それが大好きな人と一緒なら尚の事。この浜辺で食べるサンドウィッチは、いつもの二倍美味しい気がする―――】

よかった、おいしいって言ってもらえて……
わたしね、いつもおかあさんと朝ご飯作るお手伝いもするの。だからね、お料理も得意なんだよ!
私の作った料理で大好きなグリースさんが笑ってくれるなら、とってもうれしいな!

【手作りの料理を食べて、大好きな人が笑顔になってくれる。美味しいって言って幸せになってくれる。それはとっても嬉しいことで】
【そんなグリースの喜ぶ姿や食べる姿を見れば、作った本人も笑顔になることが出来る―――】

【ティアも一口、また一口と自分で作ったサンドウィッチを口いっぱいに頬張る。横から見れば何だか子リスみたい?】
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 00:42:27.57 ID:z7G2Ub600
>>822
「――――そうだね。じゃあ、前はマリアのカレーを食べさせて貰ったから何時かキミとマットが作ったカレーでも食べに行こうかな
期待してるからね?それと…………あんまり詰め込んで喉に詰まらせないでよ?」

【お世辞で無く美味しいのだから。少女が一生懸命作った物ならばきっと何でも美味しいのだろうと考えて】
【――――そんな事を話しながらも、一口また一口と頬張れば無くなるのは直ぐの事だ】
【気付いた頃には自分の弁当箱の中身は空となっていて、其処からも気に入った事が分かるであろう】

【何時か食べに行くかも知れないなんて、そんな言葉】
【無邪気さを見てだろう。何が可笑しい訳でも無いのだけれど、小さな笑みが零れるのは仕方ない事だ】
【ティアが食べ終わる衣見計らって、共に弁当箱を片付けるであろうか】
【彼女も頑張っているのだから、自分も頑張らねば――――なんて思いながらふと辺りを見渡せば太陽も後は少しずつ落ち始める頃だろうか】


【休むついでに談笑でもしてもう少し過ごせば、辺りも綺麗なオレンジ色に染まり始めるか】
【海の上には光を遮る物が一切ないのだから、これまた美しく。ただ、一色の色に染め上げられる】
【自然特有の明度によって色分けされているその光景は、他の何処でも見る事が出来ないと思わせる程で】



「…………夜も良いけど、この時間もやっぱり良いね
――――さて、ティア。満足出来たかな?」

【彼女との思い出が夜ならば、少女との思いではこの時間】
【海を操って遊んだり競争したり、共に昼食を食べたり談笑したりと色々過ごしたけれど――――少女は満足出来ただろうか、何て】
【時間は無限では無く、有限だからこそ大切にしたくなる。帰るべき刻だって、もう直ぐに迫ってきている様でもあるのだが】
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 00:49:06.88 ID:kk92ztAl0
>>823
//もうすぐ〆という所で申し訳ありませんが、前もって述べた通りそろそろ落ちなければいけなくなってしまいました……凍結お願いします!
//明日は9時半ごろには返せていると思いますので!
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/08/04(月) 00:50:49.93 ID:ClfYjcbTO
>>821

「我儘などと……神の身たる者からそのような台詞が零れるとは思いもよりませんでした」
「何を考えておいでなのか……失礼ですが甚だ理解し難いです」

【天限の言葉がこの場で完結する戯れならばなんら問題はない】
【だが、彼女の仕草は違うと云っている】
【困惑してしまうのも無理はない】


「感情をシミュレートしているだけに過ぎません、あり得ませんそのような事は」
「人の身体として運用し易いよう作り上げた仮初めです……」

【自分の言葉に嘘は無い、付け入る要素が無いことも承知している】
【エラーは存在しない、余地などない】


「あり得ません─────」
「しかし……興味深い、一考の価値はあるのかもしれません」
「…………戯れでしかありませんが、この邂逅に価値を与えられるかもしれません」

「ならば、何一つ矛盾はありません……」

【途方もない話だ、しかし幾星霜を重ねた事は間違いない】
【自分は神ではない創造は出来ない、ただ物語を編纂するだけ】
【その鎖は断ち切る事など出来ない……が、未知を可能性を生み出すことは可能かもしれない】


「いいでしょう、ではそのように試行してみましょう」
「生憎と今は予知出来ませんが時は流れる物、答えも自ずと導き出せることでしょう」

【挑戦だ、神の語る出来事など自分の身には起きない】
【ならばその時こそ自分の正当性を示す事になろう、我の普遍性に乱れはないと証明出来よう】

「─────後悔しても私は責任を取りませんので、貴方に言うのも恐れ多いですが……」
「悪しからず、それでは息災を天限様……今宵は閉じることといたしましょう」
「またいつか、私の正当性が証明された時に─────」

【白亜は毅然として告げる】
【神と人の戦いではない、装置と神の戦い……可能性を見出すか否かの問いにどれほどの時が必要かも分からない】

【白き姿はやがてその場より去りゆく】
【決別ではないがそれに似た意味を持つ、白妙は振り向きさえしない】
【エラーは存在しない、ならば証明すればよい─────】

【寄り添う者のない背中はそう語るかのように、夜に消えるのだった】
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/04(月) 01:44:07.69 ID:XagFLqPlo
>>825


『……無理もありません。我ながらずいぶん面妖な思考だと思います。
 誤解して欲しくないのは、我儘というのは決して、使命を放棄するということではありません。秩序の力に対する責任を投げ出すことでもありません。

 強いて言えば――――世界を観測し、世界を保つ為には、世界そのものを識る必要があるということでしょうか。
 ただ愚直に使命だけを追うのでは視えないモノがあって、私にはそれを探す自由≠ェあるのだと気づいたのは、比較的最近ですよ。
 それは使命にとって絶対必要ではないけれど、己が己自身の意思で知りたいと渇望するもの。あなたには、そういうものはありませんか?
 
 私の言う我儘とは、自らの意思で行動するということです。そしてそれは、結果として使命を果たす上でも利となるものだと、私は思います。
 ……まぁ私の場合は、人を愛するあまり人に近づきすぎている自覚もありますので、あまり偉そうなことは言えませんが……』


【白妙の困惑を察知して、天限は苦笑い――苦さより楽しさのほうが上回っていたけれど――を浮かべて軽く小首を傾げてみせた】
【これはきっと、天限があくまで神の中の一柱に過ぎないがゆえに、強大ではあれど全知全能でないがゆえに至った結論なのだろう】
【――――神にも人と同じ意思≠ェある。やるべきことを忘れず、その上で自らの欲望により行動することこそが、天限のいう『我儘』の定義】
【いまこうして白妙と話していることだって、その我儘の範疇だ。本当に、随分と……彼女は神の領域を逸脱した考えを持っている】


『えぇ、存分に考え、そして悩みなさい。機械と人との最大の違いは、悩む≠ニいう行為を成せることなのですから。
 幸いにも、あなたには時間があるのでしょう? いますぐ答えを出す必要はありません。ゆっくりと、時間をかけて模索することです。

 ただ、少なくとも――――私は今宵、ここであなたと邂逅した偶然に、大きな価値を見出していますよ。
 感謝している、と言い換えても良いでしょう。たいへん有意義な時間を過ごさせて頂きました。……ありがとう』


【先程も言っていたとおり、天限もいまこの場で白妙という在り方を揺るがせられるとは思わないし、その気だってない。彼女はそこまで傲慢ではない】
【悩み考えろと、彼女は母なる慈愛をもってそう云うだけだ。……あなた「には」時間があるという嫌に限定的な台詞には、恣意的なものもあったけれど】

【――――そして、天限が告げるのは感謝の言葉だ。それだけに留まらず、淑やかな動作で頭まで下げてみせるのだから驚きで】
【人を愛するあまり人に近づいている、という言葉に嘘はなかった。厳かで暖かな神聖に目を瞑れば、そこにいるのは優しく微笑む母≠フ姿が在る――――】


/続きますっ
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/04(月) 01:44:51.31 ID:XagFLqPlo


『――――ふふ、うふふふっ! 神たる私に挑むおつもりですか? 闘争は嫌いなのですけれど、これは面白い戦いになりそうですね。
 いいでしょう、ではせいぜい祈りなさい。装置のくせに、人のように祈る≠フはお得意なのでしょう?

 あなたを取り巻くこの世界は、あなたが思う以上に混沌に満ちています。それにまったく影響されず、あくまでも装置のままでいられるか。
 私という個≠ェ続く限り、最期まで見守らせて頂きましょう。私の思う変革が、あなたに加護をもたらすか否かを』


【黒と白の大いなる相克が、人間じみて茶目っ気たっぷりに歪んだ。仮にも癒し神があっさり闘争を受け入れてしまうのもまた、我儘とやらの賜物なのか】
【いかにも神らしい他者を見下した態度も、余りに今更すぎて一発で冗談だとわかってしまうだろう。天限は心底楽しそうに、薄く笑って】
【永劫に渡って世界を見据えてきた者としての箴言。そして天限という個人の誓約。輝かしい黒色から美しい紫白へと、それらがまとめて投げつけられた】


『さようなら、白妙。楽しかったですよ。
 次に会うのは結果が出てから……だなんて、寂しいことは言わせませんよ?
 ふふ、今度はこんな堅苦しい話はやめて、器だけとは言え娘子らしく、姦しい世間話に興じるのも良いかもしれませんね。

 ご縁があればいつでも、またお会いしましょう。白妙、あなたの前途に幸多からんことを』


【去りゆく彼女を、天限は止めはしない。暖かな視線で白亜の輪郭を眺めながら、冗談めかしてそんな言葉を掛けるのだろう】
【――――決着が付く遠い未来の話ではなく、もっと近い未来の展望を。ひどく一方的ではあるが、しかし彼女に向ける友愛の情は本心だ】

【白妙の気配が完全に消失すれば、天限もまた表にも裏にも染まらぬ中庸の道を往く】
【人知れず、人を見守る。愛すべきものたちが作り上げた街並みを眺める瞳は、最初よりずっと、幸せそうだった――――】


/二日間ありがとうございましたー!
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/04(月) 19:38:51.59 ID:0oJVjQXL0
【橙に光る夕空が眩しい日暮れ時。昼の暑さが未だ残る蒸し暑い街、その一角】
【そこでは明らかに……いや、「常人が見れば」少なくとも「普通」ではない光景が広がっていた】
【三人だった。そのうち一人は何やら重厚なバッグを手放し、ゴミのように路地に転がっている。胸のやや右には半径数mmの小さな穴がかっぽりと空き、流れ出る血液が黒いスーツを赤色に濡らす。胸元には緋の鷲のバッジが鈍く光っていた】
【一人は随所の切り傷から血を流しながらも、左手で路地に転がっていた重厚なバッグを掴み取りつつにじにじと後退している。右手に銃を構えているが既に弾切れらしく、それを握った手は頼りない。倒れている男と同じく、スーツに緋の鷲のバッジを胸につけていた】
【さて。もう一人は……夕明かりに照らされ鈍い銀色の光を放つ鎧に身を包み、赤黒いマントを風にたなびかせて静かに立っていた】
【その佇まいたるやまさしく騎士。フルフェイスの鎧から漏れる赤い眼光が、銃を構えた男をしっかりと、冷徹に見据える】
【彼が右手に持つのは刺突直剣と呼ばれる、斬撃と刺突を両立可能な武器】
【そして、彼が銃を構えた男に向けて突き出している左手には……なんとも形容し難い、円形に形成された漆黒のオーラ】
【彼の足元には六発の銃弾が転がり、目の前の男の無力を体現していた】
【この状況から見るに、彼は間違いなく……「善い」立場の人間ではないことが、明らかに伺えた】

「貴公らを長く相手にする時間はない……早々に終わらせるとしよう」

【兜のせいか、低くくぐもった声で呟く。左手のオーラを消し、右手の剣を地面と垂直に構えれば、夕焼けに照らされた鈍い金属光が男を捉えた】

『っ……ば……化け物めっ!………ぅっ……悪魔の、手先が……』

【男は必死に逃げようとするも、ああ、なんたる悲劇か!力が入らず、立ち上がるのもままならない。既に傷付いた身体はもう、逃げる余力すら残されていないと言うのか。口から出た罵詈雑言は恐ろしく空虚に、滑稽に響く】
【それと同時に、彼は男に歩み寄る。ゆっくりと、しかし確実に近付いてくる足音。鎧の出す独特の金属音が路地に響き、男にとってそれはまさしく不吉に奏でられる自分への葬送行進曲だと錯覚した】

「まったく良く出来た駒よな……善だ、悪だなどと……所詮そんなものは、自分に都合のいい考えに過ぎないと言うのに」

『……黙れ……カノッサ……風情が……き、……貴様らに……生きる……価値など』

【息も絶え絶えな男の虚しい抵抗に構わず彼は歩みを進める。】
【そしてついに無慈悲の行進は止まった。今こそ彼という死神による処刑執行がなされる。剣が男の心臓に突き付けられ、男は恐怖に顔を歪めた】

「それは此方の台詞だ、貴公」

【ズブリとした嫌な音、続く男の野太い断末魔。心臓を貫かれた男はその悲鳴を最後にぐったりと力なく倒れ、そのまま帰らぬ人となった】
【鎧の男の方はというと、手慣れた手つきで血の滴る刃を鞘へと仕舞い、重厚なバッグを拾い上げ、鎧の汚れを落としていた。残りの後始末はゴミ処理係が勝手にやるのだろう】
【周囲を確認したのち、彼は疲れたように物言わぬ死体に背を向けた】

「……やはり汚れ仕事は、気分が悪い」

【一言だけ、溜息のように呟いて歩き出す。彼の兜に刻まれた「No.3」の乱雑な刻印が、夕明かりに怪しく光っていた】
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/04(月) 20:52:14.11 ID:1mpqX1Y0o
【広場】

『うぐぁああああ!!腕がッ!腕がァァ!!』

【噴水の在る、その街の石畳の広場にて悲痛な声が上がる】
【1人の剣士が手首から血を滴らせていた。噴水のようにとは行かないジワリと、ただ止めどなく】
【刀は石畳に転がっている。刃はその自らの血で濡れていた。………それを彼奴は拾い上げる】

試しだ、試合だのと曰いながらも真剣を抜けば斬られるに決まっとるだろうが
……今の剣士は全く持って、微温い。剣も、腱も―――仕舞いだ

【そう言って刀を叩きつける。刃は石畳に当たり砕けた】

【朱塗りの鬼のような木製の面を付け、整髪料で髪型を七三で固めた男は】
【病的に白い肌にとがったような耳をしている。スーツ地のスラックスに革靴。白いシャツにベスト】
【ネイビーのネクタイを締めているが、腰のベルトには朱の柄巻きの刀を1つ差している】

散れっ!試合は仕舞いだ。顛末は見ての通りだ、医者でも警らでも坊主でも呼べ
文句があるなら1人ずつ出てこい。…5分間待っている

【単なる剣士の練習だと囲んで見物していた市民たちは蜘蛛の子を散らすように去っていった】
【ポケットから取り出した金時計、蓋には家紋のように逆さ五芒星が彫られていた】
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 21:02:29.23 ID:t3rlKzZm0
>>628

【断末魔も事切れれば、辺りは静寂が支配する事になるだろうか――少し前はそこに3人も居た筈なのに、ヤケに静かになった。】
【太陽は確かに沈んで行く。全ての影はその長さを増し、やがて闇、暗黒へと変貌を遂げる。】
【無力な男が突き出す左手に付き纏っていた漆黒のオーラも、恐らくその意味合いは同じで、】
【彼自身から発せられるオーラも含めれば、この光景を見た誰もが分かる事だろう―――この騎士こそが諸悪の根源、二人を殺した犯人なのだと。】


……せやなあ。生きる価値無いとは言わんけど……ちょっとこれは、酷いなあ。

【全てが闇に支配されんとしたその刹那――新たな因子が、この路地裏に姿を現す。】
【少しばかり奇妙に思える口調の、しかしながらそのシルエットは少年だった。160cm半ばの身長、声も加味すればその確信は更に強まるのだろう。】
【やがて露わになるのは、半袖になるまでに捲くられたオレンジのパーカーとジーパン、黒い目と黒い髪、やはり少年らしい顔付きの、容姿。】
【元々大した距離でも無いのだから、ゆっくりとしたテンポで足音を刻んでいっても、彼の元へ辿り着くのにそう時間は掛からない。――瞬間、ピタッ、と止まって。】


ご丁寧に、……3番の人なんやな? ……その、悪いけどな、こんなん見せられて、そのまま帰る訳には、イカンのや。
色々話聞かなアカンから、着いて来てな。……せやないと、痛い目、合うで。

【男達の話、それから兜に刻まれた『3』の数字を見つければ、少年は眼の前の彼がカノッサの一員である事を確認する。】
【事情聴取だ、状況から見て明らかに犯人だとはいえ、決め付けて処罰を与えるのはこの国の法とは異なる。】
【手錠も何もかける素振りは見せず、ただ「着いて来い」とそれだけ言って背を見せる―――余りに無防備な姿、であった。】


/まだいらっしゃいましたら〜!
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 21:04:41.06 ID:kk92ztAl0
>>823

グリースさんが食べに来るなら、とびきり美味しいの作らなくちゃ……がんばる!
あのね、お料理はおかあさんとわたしのたんとうなの。みんなのぶんもわたしが作るんだよ!
おとうさんも「おいしい」ってほめてくれるんだ。いっぱい笑ってなでてくれるの、だいすきなの!

【……頬張りながら喋るもんだから、何を言っているのかよく分からない。一生懸命にかじる姿はやっぱりリスみたい】
【――やがて口いっぱいのサンドウィッチを飲みこむと、グリースの言葉にこくりと頷きながら応える。】
【グリースがふと零した笑顔。それに呼応するようにニッと子供っぽく笑って】
【そうやって笑いかける少女の姿は、なんだか歳の離れた妹のよう。屈託のない笑顔にはありったけの親しみが込められている―――】

【因みに、彼女の父親であるグリースもよく知っているあの人が笑顔で褒めてくれるというのは本当だ。】
【想像はし難いかもしれないが。―――今や彼は家族を護る、優しくて強い父親なのだ。】

らいひょうぶ!ひぃあはえ、ひふもいっはいはへうはらへーひなんらよ!
(大丈夫!ティアはね、いつもいっぱい食べるからへーきなんだよ!)
――ゴクン
いっぱい食べてグリースさんみたいに大きくなるもん!
でね、大きくなったらね、今度はグリースさんと一緒に誰かを助けるの。それがわたしの夢なんだ!
だからね、これからもいっぱいがんばる。いっぱいいっぱいがんばって、もっとたくさんの人を助けるの。
あと……グリースさんみたいな水着が似合う人にもなりたい。ちょっとうらやましい、かも……えへへ。
―――グリースさん、見ててね。わたしがんばるから!

【お弁当箱を一緒に片付けながら告げるのは、ティアの大きな夢。何時か大きくなったらグリースと一緒に誰かを助けたいという夢。】
【その夢は叶うのか。叶ったとして何歳の時なのか。それは分からないけれど―――この小さな少女が夢に向かって進み続ける事だけは間違いない。】
【……因みに、もう一つの夢はグリースみたいなスタイル抜群の綺麗なお姉さんになる事なのだが―――まあ、ティアの体がどう成長するかは神のみぞ知るか】

【―――楽しい時間はあっという間に過ぎる。もう辺りの景色も一面鮮やかな橙色に染められて】
【夕日が美しい浜辺を彩る景色はまさに絶景。ティアも「わぁ……」なんて感嘆の声を漏らしてしばし見入っていた】

うん、いっぱい遊べてとっても楽しかった!あれすごかったね、あの水がぐわーってなるやつ!
えーっと……グリースさん、きょうはおつきあいいただきありがとうございました!

【一日浜辺で遊んで、ただでさえ日焼けしていたティアはさらに色黒くなっていた。着替えの為に水着を脱げば、日焼け跡がくっきり残るくらい】
【その幼い顔に浮かぶ満面の笑みをみれば、それだけでもきっと大満足したことが伝わるに違いない】
【肌がこんなになるまで遊んで、満足していないなんて答えが返ってくるはずがない。グリースに問われれば元気よく「うん!」と頷いて】 
【恐らく母に「お礼をする時はこう言いなさい」と教わったのだろう、たどたどしくお辞儀をしながらお礼をする。子供が言えば何だか微笑ましいか】



【……しかし、暫くすればあんなに元気だったティアも元気がなくなる。急に口数も減って大人しくなるのだが】
【―――心配はいらない、その原因はティアの顔を見れば分かる筈だ。見れば目も虚ろになって半開き状態で、うつらうつらとし始めて】
【もう眠いのだろう。当然だ、この前10歳になったばかりの少女が一日中海で遊んだとなれば、疲れでもう眠くなる頃合いに違いない】
【そのまま放っておけば、きっと電池が切れたように寝てしまうに違いない。さて、グリースはこの眠り姫とどうやって帰るか―――】
832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/04(月) 21:43:14.08 ID:gDJ36xcg0
>>829

【潮が引くように聴衆が去り、血腥い静寂だけが残された憩いの場】
【そこに、毅然たる足取りで割って入る者の姿があった】

【凛々しいダブルブレザーの上に、いかずちの息吹を吐くワイヴァーンの刺繍が入ったマントを羽織り】
【二つ結びの琥珀色の長髪に、魔女じみた三角帽子を被った碧い眼の少女が、広場へと現れたのだ】

【濁世のたしなみか、彼女は腰に細長く尖った決闘向けの両刃剣――レイピアを差している】
【柄頭の高さは脇の下ほどまであり、そうしようと思えばいつでも抜けるよう、用心している様子が伺えた】

ふん、名誉なき決闘ほど見ていて苛立たしいことは無いわね。
剣というのは、こうも安く、そして賤しいものであってはいけないのに――。

【少女は剣士の方を一瞥すると、「さあ一人で逃げなさい、もののふでしょうが」と、少し呆れたように声をかけるだろう】
【そして、対峙した狼藉者=\―仮面の機関員を、冷たい瞳で睨んだ】

……名乗りが遅れたわね。私はロザリンド・ルーゼンホルト。水国伯爵家、ルーゼンホルト家が長子。
この勝負、あの敗兵が逃げおおせるだけの時間を懸けて……引き受けるわ。

【ルーゼンホルト。それは、水の国に領地を持つ伝統ある貴族の家名である】
【もし事情通であれば、かつては電撃を操る実戦魔術師を多数輩出し、軍に強い影響力を持つ血筋であったこと】
【しかしながら現在は凋落し、財産の面でも権威の面でも見る影もない一門であることを、耳に挟んだことがあるかもしれない】

【――没落貴族の酔狂、そこに隠れる意志は確かでないが】
【今この場に、《死合》の火蓋が切られようとしていることだけは、確かであった】

/まだいらっしゃいますか?
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/08/04(月) 21:45:57.88 ID:0oJVjQXL0
>>830
【今まさに夕日は傾きを増し、這い上がる暗黒の闇が夜の訪れを予感させる】
【独特の金属音を立て、歩みを進める彼であったが……ふとかかる少年の声に歩みを止めた】
【妙だ。しっかりと周囲の確認をした上でわざわざこの路地に二人を追い詰めたのだ。人がいるはずはない。】
【しかし彼は冷静だった。これを自らの視認範囲のミスとして受け入れたのみで、目の前の少年に対する態度はいささか「淡白」であった】

「誠に済まないが……警察ごっこに付き合う時間は無いものでな。……他でやるが良い」

【ついてこいと背を向けた少年の後ろ姿を冷ややかに見つめ、言い放つ】
【それは敬語であった。しかし……なんと敬意のこもらぬ口調であろうか!騎士然とした態度ではあるものの、その一挙手一投足にはまるで「感情」がこもらず……かえって馬鹿にしているかのようにも捉えられた】
【彼はそのまま、少年の指し示す方向とは全くの逆に歩いて行こうとする。あくまで取り合わないつもりだ】
【もちろんこの暴挙を目の前の少年が許すはずもないのだろう。しかしそれを考慮に入れたとしても、なんという余裕!嘲笑しているかのごとく去りゆく背中には一片の迷いや不安なく、むしろ不気味なものさえ感じられる】

「さらばだ」

【特有の金属音が路地に響く。逃げようともせず、また止まることもなく。普段の歩調で奏でられる音は、ただただ単調であった】
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 22:06:21.77 ID:z7G2Ub600
>>831
「ボクと一緒に、ね…………まあ、考えておくよ
それとね、スタイルの良さの秘訣は好き嫌いをしないで早寝早起きをする事。其れさえきちんと守っていればキミだって直ぐに大きくなれるさ」

【血で以てしか人を守る事を主とするのがこの女の仕事。“一緒に”とは即ち――――】
【仮にマリアが良しとしても、この女は拒むのだろう。人助けの方法なんて数多く有って、態々この道を選ぶ必要は無いと】
【殺す事はその者を背負う事。百人守っても一人の善人を殺せば悪者扱い。そんな日陰を歩かず、少女は日向を歩むべきだと】

【――――今は難しい話をする必要は無い。ただただ、少女の夢を聞いてやれば良いのだ】
【自分の生活とは真逆のアドバイスをするが……それもまた少女を思ってなのだろう。体型に影響するかは分からないが、少なくとも健康では居られる筈だ】



「どーいたしまして。楽しんで貰えたなら良かったよ
さて…………ティアもそろそろ眠そうだね。遅くなってマリアを心配させるのも悪いし、そろそろ帰ろっか」

【何も無い場所ではあったが……楽しんで貰えたならば幸いと告げて】
【遊びと言えども体力を消費する事に違いは無い。少女の歳となれば尚の事だ】
【何時も通りの修道着を纏い、抱いてやればそのまま来た時と同じく飛翔。然れどその速度は遅く、心地よい温かさも合わさって少女を睡りへと誘う事だろう】



【やがて着くのは彼女の家――――即ち、友人の家であって】
【二度三度のノック。それで出てきたならば、腕の中で眠っているであろう少女を引き渡す事だろう】
【その間際、少女の頭でも一度撫でてやって】

【時間としても丁度良い。引き渡しも無事に終わり、特に何も無ければ話もそこそこに再度空を飛んで何処かに去る事となるのだが――――?】
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 22:07:09.47 ID:t3rlKzZm0
>>633

【少年は振り返った。言葉通り、彼は自分とは逆の方へ歩を進める――そのまま許す訳には、当然行かない。】
【だが、彼が余裕を見せていたというのなら、それは少年も同じ――指をパキパキと鳴らしながら、軽いストレッチでもしていたのだから。】


……なんや、俺がガキやから、まともに付き合ってくれんの?
ええわ、……一応俺、その辺の奴とは、―――こういう意味で、ちょっと違うんや……ッ!

【――なんて事は言うまでもないのだろう。二人の死体を見た所で、何も思わない訳ではないがまだ我を保っている、】
【その犯人が目の前にいるというのに、逃げる所か寧ろ着いて来いだなんて言ってみせる……異常な行動だった。】

【その余裕を、尚も維持してこそ騎士―――少年は二人の間に空いた隙間を、一気に駆け抜け接近する。】
【そのまま、寸前で跳躍し……体の軸を回転。2回転目か、3回転目ぐらいした後に放たれるのは……"蹴り"だ。】
【男の身長を考慮した跳躍だったのだから、狙いは余りにも的確……兜、特に首の辺りを狙っていた。】

【脚を捕まれでもしない限り、少年は少し距離を取って相手の様子を窺う。攻撃後の反応を、一挙一動間違いなく見るのだ。】
【少なくともこの少年は、闘いと言うものに慣れている……特にこうした、言ってしまえば殺し合いに慣れている……、】
【そう見えたのなら極めて鋭い。単純に蹴打の練度の高さが高いから、と言うのもそれは確かにそうなのだが、その他、】
【やはり彼と同じく纏っているオーラだとかそう言う、上手く表現し得ない部分が……この少年にはあって。】

836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/04(月) 22:33:53.60 ID:1mpqX1Y0o
>>832

【金時計に眼をやっているとその視界に影が過ぎり面を
上げる】
【中世洋風に魔術師の童女。この男とは真逆と言える人間が居る】

弁明をするならば、『剣士の魂を見たい』だの『模擬戦で力を見たい』だの言い出したのは
そこで腱を斬られた『元』剣士の方だ。竹刀でも竹光でも持てば良かろうものの、彼奴が先に
真剣を構えたのだから、此処が『戦場』になっただけだ。

【金時計の蓋を閉じ、ポケットに仕舞った。鬼の面の男はつらつらと述べる】
【嘘か真かは今となっては証言する者は居ない。何方でも構わないことだろう】

戦場、ならば名乗りをしているうちに死する。…そうでない時代は10世紀は前に終わった
…しかし、ここは今はまだ『戦場』ではない。……そちらの文化を踏襲させていただく
吾は戦馬 在恒 (いくさば ありつね)。門地、家、共に捨て、カノッサ機関に仕える身で在る。

……伯爵。…公家か。何処の国も同じだ。名前は変われど、ものは一緒だ。力ある者は貴族を名乗らん。
力はとうに失せて、それでも誇示したいものが、権力に名をつける……そして、討たれて名札が移る。

【刀を抜く様子はない。静かに名乗り…やはり機関の人間であった。名前を聞かない当たり新入りか、雑魚かその辺りか】
【貴族という立場を冷笑しつつも左手は鞘を握り、親指は鍔にかけている。気は抜けていない様であった】


/反応が遅れましたがおります
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/08/04(月) 22:34:29.74 ID:0oJVjQXL0
>>835
【後ろで少年の足音が聞こえる。激しい土を蹴るリズム、走ってこちらへ向かってくるのだろう】
【彼はなおのこと「異常」を感じていた。普通の神経をしていればこんな光景、ましてやカノッサが絡む事件など、無視するかもみ消すであるだろうのに】
【しかしそんな疑念を胸の内にしまい、突如歩みを止め、振り向く。】

「向かって来るか……仕方が無い」

【嘆息のようにつぶやき、跳躍した彼に向けてただ、「左手」を向けた】
【そこから攻撃が繰り出されるわけでもなく、蹴りはそのまま彼の左手へと直撃する。しかし、少年はそこに妙な手応え━━━━もとい「足ごたえ」を感じるだろう】
【攻撃は、当たっていなかった。彼の身体は以前変わりなくそこにあった。確実に蹴りは彼の左手を打ったというのに】

「……もう一度だけ言おう。私は貴公に取り合っている暇はない」

【フルフェイスの兜から、赤い眼光が覗き少年を捉える。ただ冷徹に放たれたその言葉は、氷のように冷たかった】
【地面へと着地したであろう少年へと身体を向ける。日は完全に暮れたようだ。夜風にはためく赤黒いマントの内側には、不吉な「逆五芒星」が刻まれていた】

「この後に及んでまだ、私を害そうとするならば好きにしろ。……出来れば……の話だが」

【挑発的な台詞と共に、彼はしっかりと少年を見据え、対峙する。その姿たるや、決闘へ挑まんとする騎士のようであった】
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 22:52:22.26 ID:t3rlKzZm0
>>837

【左手――寸前で守られてしまった。だが、片手で受け止められる程、自分の蹴りは甘くない……客観的な評価だ。】
【どんなに上手く受け止めたとしても、骨折は必至。最悪、バラバラになって再起不能さえ有り得る……筈が、】

【強烈な違和感。当たりはしたのに、その衝撃が彼自身に伝わっていないというか……何か、満足出来ない足ごたえ。】
【彼のその反応を見ると、違和感は確信へと変わる……丸で、放った蹴りが無に帰した様な、そんな感じ。】
【現に彼は、痛みに悶える姿を見せるどころか、平然としている。害したければ好きにせよ、なんて余裕さえ見せる。】


……分かっとらんなあ。俺は、これが仕事なんやで。
お前を邪魔する……カノッサを、邪魔する……暇なんや俺は。付き合ってな……―――ッ!!

【良く分からない。今のは何だったのか……少なくとも、彼の左手は危険。蹴りを放った所で、それは無駄に終わる。】
【ならば次は、右手を試してみるのだ……、変則的な動き、今度は中段回し蹴りで彼の胴体を打とうとする。】
【当然、鎧で守られているのなら大したダメージは生み出せないのは、その通り……だがこの攻撃は、彼の能力を暴く為の物、】
【端からダメージなんて期待していないのだから関係ない。右手も同様に、同じ能力を発動出来るのなら、違うことを考えなくてはならないが……。】

【しかしながら少年は、どちらにせよ"余裕"の表情を崩さない。左手で自慢の蹴りが食い止められた時も、】
【「出来るのなら、」と挑発された瞬間も、丸で変わらないのだ……僅かに笑みを浮かべ、】
【赤い眼光から目を逸らすどころか、寧ろ貫き通さんとする勢いで睨む。恐怖に怯える素振りなど一切見せず、劣勢を感じさせなかった。】

839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/04(月) 23:11:07.38 ID:gDJ36xcg0
>>836

――美学≠持たずに戦う者は、確かに責め苛まれてしかるべきだわ。
それでも私は、貴族の務めとして彼の権利を守るだけよ。
軽率な愚か者であろうと、眼をかけている範囲にいた限りはね。

そして何より――あなたたち『機関』の狼藉を見過ごすわけにはいかない。
戦場にするつもりなら、私は筋を切るだけでは済ませないわよ。あいにく刺突剣は手加減もできないもの。

【少女の口から溢れる言葉は、その時代錯誤も甚だしい信念を端的に表現する】
【――誇りにかけて正義を行い、流血をも厭わず、白黒が判然としない世界を自らの物差しで切り開く】
【澄み渡る高潔さの中には、若さ故の情熱と狭量さが見え隠れしていた】

こちらこそ、名乗るほどの余力も無い相手に負けるつもりは無いわね。
あなたが、私が父祖から受け継いだもの以上に誇るべき力を持つと言うのなら、それを私に見せてごらんなさい?

【マント同様に、ワイヴァーンを象った装飾が施されたレイピアを鞘から抜き、切っ先を前へと向け】
【右足に対して左足が直角になる、サイドステップや回り込みの歩法に適した特有の構えを取ると】
【ロザリンドは左手を挑発的に振り、相手の出方を伺うだろう】

/こちらももう落ちられたかと思って反応遅れました、ごめんなさい。絡みよろしくお願いします!
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 23:16:27.83 ID:kk92ztAl0
>>831

【――純粋で無垢な少女は、まだこの世界の暗い部分を知らない。グリースの歩いて来た血塗られた道も知らない。】
【だからグリースにも瞳を輝かせて夢を語る。けれど―――きっとこの少女は誰かを傷つける道を選ぶことはないのだろう。】
【誰かを笑顔にする為に頑張る道を選ぶ。それは即ち、グリースとは別の道を進むということに他ならなくて】
【……でも、きっとそれで良いのだろう。】
【人の命の重さや血を浴びる覚悟の重さを知っているグリースだからこそ、この道を進まぬようにと願うのだろう。】
【純粋な少女は、そのまま純粋な心を持って育っていけばいい。―――人を殺す覚悟など、ティアにはして欲しくない。】

【「早寝早起きをする、好き嫌いはしない。」と、グリースのアドバイス。ティアは正直に受け止めて真剣に頷いてたりして】
【これもティアに健康でいて欲しいと願うからこそなのだろう。他愛のないアドバイスの中にもグリースの優しさがちらりと覗く】
【……それでスタイルが良くなるのかは分からないが、健康でいる事も体型維持の秘訣には間違いない】


【さて、日も落ちればもう帰る時間。また行きと同じようにグリースに抱えられるが、今度ははしゃぐ事も無く】
【暖かい胸の中で眠りに落ちれば静かなもの。飛行中もスースーと寝息を立てるのが聞こえるか】

―――……んぅ……、……あ、おうちについた……

あ、おかーさん。ただいまー!

「お帰りなさい。まあ、真っ黒に日焼けして!ふふっ、沢山遊んでもらったのですね♪楽しかったですか?」

うん、楽しかった!あのね、水がぎゅーんってなってね、ティアもグリースさんもういたの!
それからねー、きょうそうしたりおべんとうたべたり……―――…………


【次に少女が目を開ける時はもう家の前。まだまどろむ目を擦って、一度大きく欠伸をして】
【玄関に立つマリアを見つければ、とことこと駆け寄って抱き付く。グリースに撫でられた後、無事に母親に抱き抱えられたら今日一日の思い出を目を輝かせて報告して】
【マリアも嬉しそうにする娘を見て穏やかな笑顔を見せる。こうして見れば本当に血の繋がった母娘のようで、子供とマリアの絆の深さも窺い知れるか】

【――母に抱かれて安心したのか、報告途中でもう一度眠りに落ちてしまうのも子供らしい所】
【無事に娘を受け取ったマリアは、改めてグリースに向かって礼を言う。親しき中にも礼儀あり、一日娘の面倒を見てくれたお礼はしっかりとしたいから】

「グリース、今日は一日ありがとうございました。ティアも本当に喜んでいたみたいで……きっといい思い出になったと思いますよ!
 ふふっ、元気な子でしょう?元気がなくなると、こんな風にすぐに眠ってしまうのですが……
 良ければまた遊んでやって下さいな、きっとこの子も喜ぶと思います。あと、今度は私も一緒に……。実は少しティアが羨ましかったのです。私も海、行きたかったなぁ……

 ―――もう行くのですね。またお暇があれば遊びに来て下さいな。結婚式の話とか、色々お話したい事もありますし……
 では、また会いましょう。どうかお元気で!」

【積もる話はあるが、それはまた今度。グリースが帰るというのなら其れを止める事も無く】
【最後に笑顔を交わせば、いつものように頭を撫でられるのだろうか。子供を抱いた母親が撫でられるというのもなかなか可笑しな感じだけれど】
【そうして別れの挨拶を済ませば、ティアを抱きながらグリースが去って行くのを見送る―――】
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/08/04(月) 23:24:21.09 ID:0oJVjQXL0
>>838
「……ならば仕方ない。いくらでも打ってこい……心折れるまで」

【少年はなおも、攻撃を続行する。彼自身も攻撃態勢に入り、少年の攻撃を良く分析する。】
【少年の攻撃を見るに、「能力」らしきものは見当たらなかった。無能力者か?……それはありえない。何か持っているはずだ……】
【少年の能力がわからない以上、こちらから仕掛けるわけにはいかない。最も彼は最初から、攻める気など無かったわけだが】
【少年が何やら妙な動きをする。「来る!」強靭な足から繰り出されたのは強烈な回し蹴り!胴への一撃を狙ったそれは、彼の身体をいともたやすく吹き飛ばし……】
【……という事は無かった。その足はしっかりと、右手で完全に「止められて」いた。まるでその衝撃ごと奪われたかのように】
【彼は両手でこの正体不明の能力を行使できる……それが明確となった】

「……貴公は強い闘争心に溢れている。私など到底及ばぬ、底知れぬ好奇心と興奮の念が貴公には見える」

【右手を突き出したまま、彼は独り言のように呟く。少年の足を離し、そのまま言葉を続ける】

「だがその闘争心ゆえ、自分の程を見誤る……「大盾」の名は見栄ではない」

【少年から距離を取り、再び対峙の姿勢へ。少年を見据える目は相変わらず冷ややかで、何処か空虚な】

「しかし大盾はまたいかなる物も受け止め、それ以上の事は何もせぬ。どうした。終わりか?貴公の限界を見せてみろ」

【挑発的な台詞とともに、少年へと言葉をかけた。そこに楽しんでいる風は全くなく、挑むならば全力━━━━そうした、妙に真摯な態度がそこにあった】
【暑さは消えた。夜風が冷たく吹きすさび、月明かりは静かに二人を照らしていた】

842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/04(月) 23:26:45.17 ID:0oJVjQXL0
>>838
/すみません、今日はもう眠くなってしまったのでこのロールは明日に持ち越しでよろしいでしょうか?
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 23:29:23.77 ID:t3rlKzZm0
>>841
/分かりました、返信は後ほどしておきますー。
/明日はもう少し早い時間からおりますので、
/暇が出来ましたら再開しましょう、ではおやすみなさい〜
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/04(月) 23:31:11.68 ID:0oJVjQXL0
>>843
/了解しました、よい夢を
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/04(月) 23:33:34.61 ID:z7G2Ub600
>>840
「何、お礼を言われる事でもないよ。ボクはただ約束を果たしただけだからね
…………それだけ活発に遊んでくれたんだ。連れて行ったボクとしても、嬉しい事だしさ」

【自分が好きで行った事なのだから礼を言う必要も無いのだと告げれば笑って見せて】
【疲れからか、眠ってしまった少女を見ればまた別な意味が含まれた表情を覗かせるだろうか】
【ふう、と息を吐いて空を見上げれば美しく輝く星々。実に良い夜で――――】



「んー?何だ、言ってくれれば一緒に連れて行ったのに。まっ、キミと行くのはまた機会があった時にでも、ね
……嗚呼、結婚式については是非聞いておきたいもんね。キミからも、団長サマからもさ
――――それじゃ、また何時か。元気でね」

【其れは何時もと同じ光景だ。友人の頭を撫でてやれば満足そうに笑い、別れの合図ともなる】
【バサリ、と大きく羽ばたいた翼。一人で飛ぶともなれば、その力だって中々のもので――――直ぐに女の姿も遙か頭上に見える事となるだろう】
【その場から最後に手を振れば、宙返りを一つ。己の帰るべき場所へと方向を定めればその姿だってやがて見えなくなるのだ】

【何時かの日と変わり無く。敵で無く、友としてあの海辺で会った日と変わり無い白銀の翼は今宵も月に照らし出されていた事だろう――――】


/っと、この辺りでしょうか!
/3日間、お相手有り難う御座いましたですよー!
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/04(月) 23:43:20.22 ID:1mpqX1Y0o
>>839

刀を魂などと置き換えた、侍共とは吾は違う。戦場でのみ意味を成す武人だ
この世に弾かれた吾は、鬼と成りて、機関であろうと何であろうと『戦場』を手に入れる
……取り残された矜持を持つ者というのは、同じことだな。伯爵殿

【面を触り、また冷笑する。彼女とは違い、現代に則した服装をした男】
【だがしかし、また彼も時代錯誤の価値観や何かを持ち合わせている1人だ】

……抜くか。…宜しい。ならばここはもう、『戰場』だ
名も全ても捨てて、有るは戦場唯一つ。常在戦場唯在るのみ…!

【足を開き、撞木に構える。古流剣術の基本に則した構え。右手を軽く柄に添える】
【そして、一歩、一歩とにじり寄る。その動作は焦らすように、焦らすようにゆっくりで『待ち』】
【相手の様子、技量をまずは確かめようとしている様子であった】

【相手がかの国の古流まで精通しているかわからないがそれは居合術の構えだった】
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/04(月) 23:48:12.10 ID:1mpqX1Y0o
>>839
/すみません!次レスは少し遅れます
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/05(火) 00:13:03.26 ID:S7A8HbMX0
>>846

【1mに及ぶ刃渡りを持つレイピアを前にして、仮面の男は迂闊に踏み込んでこない】
【この分では、勇み足で踏み込んできた所に突き返しでもって応じる、という簡単な勝ち筋は取らせてくれないに違いない】
【両脚の間を狭く取り、素早い前後移動を心得る。睨み合いには限界があるが、こちらも微温い立ち回りはできない】

(生まれる時代を間違えたのは、お互い様かしら……)
(武功と軍勢で権威を保つ家柄。不安定な力を伝統として継承し続けるいびつな血筋)
(それを盛り立てようとするなら、擾乱の時代を求める以外に道は無いのかもしれない)
(……いや……、それでも私は――)

そう。 ――ならばこの戦場、私の独擅場に変えてみせましょう。

【溜めた息を吐くと、一気に彼我の距離を埋めるべくロザリンドは深く踏み込む】
【そしてレイピアで腹を腰だめに突く……と見せかけて、刃を下に向け、蠍が尾をもたげるように剣を掲げた姿勢を取った】

【――次の瞬間、雷が降りかかるように、相手の頭上から『刺突』が放たれる】
【打ち下ろしの勢いが乗って大いに貫通力を高めた刃は、間違って肋の間や喉に入れば深手にもなるだろうか】
【とはいえ、まだ単純なやり口。対処し反撃に転じる手段はいくらでも有る】
【何より、二人はまだお互いが隠し持つ札≠、何一つとして見せてはいないのだから――】
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/05(火) 00:20:21.20 ID:e07aOa850
>>841

―――………ッ…………

【少年の表情が、初めて崩れた。"マズい"、……マズいのだ。攻撃が丸で通らない……それは恐らく、彼の能力による。】
【衝撃を無効化出来るというのなら、蹴るだとか殴るだとか、そういう接近戦しか出来ない自分には為す術なし。】
【――当然だ、彼は強者という強者が集うカノッサ機関の、それもNo.3。少なくとも、上から三番目に位置するのだ、】
【こんな攻撃でダメージを喰らうはずは無い……況してや、"大盾"……防御力に特化している能力を持っているというのなら、尚更。】

【右手左手、合わせて10回しか護れないといった、その能力が消耗性を帯びるという線も無くはないが……辿り着く前に、剣で裂かれよう。】
【ならば、穴を見つけるしか無い。……彼の能力の、穴……自分の蹴りが、護られぬままその鎧へと通ずる方法を―――。】


……なかなか、やなあ。せやけど俺、自分に対する評価は、ちゃんとしとるつもりやで。
闘争心もあるし、客観的に自分も見れる……せやないと、今まで切り抜けてこれんかったはずや。

強いんや、俺は。言うてみたら、最強……敵が、おらんかった訳やな。
お前も同じや。お前の心折れるまで、俺はいくらで打ったるで……その為に、毎日トレーニングしとるんやから―――ッ!!

【距離を取られたというのなら、少年は少々の弁舌だ。パーカーのポケットに両手を突っ込んで、くるくるとその場を周りながら。】
【声量は少し、大きくなったか……気付けるか気付けないかで言えば、まあ大半が前者に回る、それくらいの変化だ、】
【だがもう一つ、その弁舌の中に異音が混じったのに、彼は果たして気付けただろうか―――カチッ、と、まあ良く聞く音なのだが。】

【話は、丸で聞くに堪えない内容だった。俺は強い、いくらでも打ってやる……"脳筋"。――そう評するのが最も適切だろう。】
【身体を鍛えに鍛え上げ、イメージとしては大きなハンマーで何も考えずに叩き潰す、強行突破と言うか、強引に勝ちに行く手段だ。】
【確かに、パーカーから覗く肘から先の腕には、しなやかな筋肉が付いている。完全に嘘ではないらしいのだ、が――。】

【少し話が終われば、少年は全く同じ要領で彼に肉薄する。一瞬、一瞬の出来事――そして放つ。首を捉えた、回転蹴り――、】
【言葉通りだった。……彼との位置関係も、身体の動かし方も、微塵にズレる事もない、怖ろしい程に一致していた。】

【しかしその刹那、聞こえる音は、聞こえる筈の無い音――発砲音、だ。つまり単純に、銃のトリガーが、引かれたことになる。】
【流石に1人が紛れ込むミスはあっても、これ以上は有り得ないだろうし、そもそも人の気配が、この少年を除き皆無。】

【―――当然だ、銃を撃ったのは、紛れも無い少年なのだから。途中カチッとした異音は、ポケットの中に入っていた拳銃、】
【そのセイフティを外す音。跳躍し蹴りを放つ直前に取り出し、彼を目掛けて発砲……狙いは左足、"右手では捉え辛い部位"だ。】
【これが一先ず、咄嗟に即興で思いついた作戦。鎧なのだから拳銃は効かないだろうが……穴でも凹みでも出来れば、御の字、で――。】


850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 00:40:16.67 ID:nmzYNdnvo
>>848

【斬る刀の攻撃ポイントは線で表すことが出来るだろう】
【刺突剣であるレイピアの言わば線でなく、点。勿論、線で斬ることも在るだろうが】
【刀相手には分が悪いだろう。弾かれれば、剣自体にダメージが残ることになる】
【点での攻撃の利点は攻撃点の予測がつきづらいところだろうか。けれども、それも腕の範囲内に限られる】
【そう、分析してる面の男は一撃目では抜かず、二撃目が入る前に斬る。と考えをまとめていた】

いくさばには何も無い。無念無想であろうか

【突き…しかし、予想とは違う突きだ。しかし大きな問題はない動線は縦に動いただけで横はある】
【男はザッと踏み出した左足に合わせ、体を向かって左に反らし上空からの刺突を避ける】
【そして、その横の体勢のまま刀をグッと地面と水平にして引き、鞘の先…こじりで相手のみぞおち目掛けて突いた】
【当たれば外傷は無くとも目が眩むような衝撃と激痛が走るだろう】
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/05(火) 01:05:30.56 ID:S7A8HbMX0
>>850

【元よりレイピア同士の決闘では、横軸の移動で致命打を躱す動きを繰り返すことになる】
【相手が横軸の斬撃を差し込める刀であれば、尚更そうなる事であろう。一発目を外すのは織り込み済みだ】

「戦いの中に在りたい」というエゴがあなたにそうさせるんじゃない。
……無我の境地だなんて、悟ったようなこと言わせないわ。

【突き出した剣を手首の回転で裏返し、表刃を右に向けて胴へと走る鞘に応じる】
【重心が手元に寄った剣は、思いの外小さな力で廻り、敵の手業を受け流しうるのだ】
【現に、この瞬間も――鞘を刀身の横っ腹で受け、その軌道を右手側に逸らして見せた】
【反撃を凌ぐと、彼女は剣をまっすぐ前に伸ばした姿勢に転じ、二歩ほど退く。攻めのみではない、鮮やかな手際だった】

私は、大いなるルーゼンホルトの主でありたいという私だけの望みを貫き通す。
――――爆ぜろ! 《リフト・ボルト》!!

【彼女がそう唱えると、刃先が超自然的な白光を帯び、男の背後でチリチリと激しい摩擦音が聞こえた】

【――刹那、剣と敵の背後を結ぶようにして、一筋の電光が走る】
【戦馬が無策に深追いしようとした場合、ロザリンドの迎撃を待つまでもなく、背後から稲妻の一撃が彼を打ち据えるだろう】
【見かけほどの威力は無いが、火傷と僅かな間の麻痺がその身を苛むことになる】
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 01:46:17.08 ID:nmzYNdnvo
>>851

武人故の宿命だ。敵斬らずして、吾は無し。また、斬られずして吾は成し
戰場が無いのなら、吾々は居ないほうが良い

【流された刀の鞘はつつと降りて左に振れるが、彼もまたその勢いを利用して】
【再度追撃を試みる。今度は左足を引き、軸にして体を180度回転させ反対側に向き直ると】
【鞘ごと刀の柄頭でまたみぞおち目掛けて突きを狙う。しかしこれは相手が退いたことで空振りに終わった】

【しかし、そこでもまだ追撃は終わらない。相手が打ってこないのを見るとそのまま鞘を引いて刀を抜き】
【足を開いて、腰を落とし、低い姿勢から横一文字に左から右へ、彼女に脇を狙って斬りつけた】

……チィッッッ!!後ろかっっ!!―――『狩人(かりゅう)』ッッ!!

【刀を返し、両手で握り、全身をバネのように使い、飛び跳ね、一回転するように回る】
【刀は下から上へ斜めに逆袈裟に斬り上げる。無策では無いが男は深追いをしていた】
【そして、無駄かと思えるような男の一撃。彼女の雷撃を斬りつけた】

【きっと、見慣れたような閃光が彼に直撃するだろう。だが、冷静に見れたらば少しばかりそれは少ないように思えるだろう】
【避雷針のように、抵抗のようにその刀は魔術的なものを断ち切る術が備わっていた】
【しかし、今現在はその力はほんの一部しか発動していない。 彼は立ち膝を突いて、火傷と麻痺を負っていた】

…フッ…くくくっ……無念無想は吾の意思ではない…っ!

【攻撃は確かに喰らっている。ただ、冷静に見れたいたら違和感があるはずだ。面で見えないが何処か余裕があるようにも見える】
【もし、ただチャンスと思い突いてきたらば、彼の刀も突きを正面から食らわせてくるだろう】
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/05(火) 01:54:20.77 ID:S7A8HbMX0
>>852
/すみません、朝がちょっと早いので、一旦ロールを停止して頂いてもよいでしょうか……?
/明日(日付的にはきょう)の午後三時ぐらいには返信して、ロールにも復帰できると思います
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 02:05:35.99 ID:nmzYNdnvo
>>853
/わかりました。私も多分夕方過ぎぐらいには返信できると思いますので
/また明日、よろしくお願いします!
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/05(火) 14:41:08.19 ID:t4U2LCnPo
【路地裏】


 これで、三人目かぁ……
 噂は流れてるみたいだけどさぁ、だぁれもあいつ自体を見たわけじゃないのよねぇ……


 【フード付きのパーカーを着た、緑色の髪のショートヘアーの女がいた】
 【彼女自身は、このような、犯罪者や、悪人が集まりやすい場所にいるような人間に見えない】
 【彼女の両手が赤く染まっていなければ……の話だが】


 私の情報が流れないように、念入りにこの世界からあなたの命を消してあげる。


 【女は満面の笑みを浮かべながら、男の死体に向かって緑色の液体を右手から放つ】
 【グツグツと煮立った液体のように遺体は溶けて消えてゆく】


 あいつを消せたら、私の目的は達成できるの
 だから、あいつを知ってる奴を探してどこにいるか聞き出さないとねぇ……


 【女は強力な殺気を出しながら笑う】
 【もはやそれは、人間の物ではなく、化け物のそれであった】


 【もし、彼女を見つけた者が強者でなければ逃げたほうがいい】
 【彼女は命を奪うことを、たやすく行おうとするからだ】
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/05(火) 15:59:09.13 ID:hMBxq9nt0
>>845

【こうして頭を撫でて貰うのも何度目だろうか。自分の方が年上の筈なのに、何故かグリースの手は心地良い】
【此方も何時ものように柔らかく微笑むと、これがお別れの合図。上空へと舞い上がる友の姿を見上げて】
【手を振ってくれるのが見えたから、マリアも下界からグリースによく見えるように大きく手を振る。】
【そうして友の姿を見送れば、やがてその姿は満点の星空の中に消えて見えなくなって】
【そういえば、あの時もこんな風に見送ったっけ。星空を見上げながら、忘れ得ない思い出をふと想い返して】
【―――小さく微笑んだのは、あの時と違ってこうやって大切な友と何処までも平和にいつでも会える幸せを感じたから。】
【そんな風に過去を思い出しながら星空を暫く眺めた後、マリアはティアを抱いて愛する家族待つ温かい家の中へと戻って行った――】

//遅れ馳せながら、此方こそお付き合いいただき有難うございました!
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/05(火) 16:17:00.19 ID:S7A8HbMX0
>>852

【突剣を電流の導線≠ニ化して、ルーゼンホルト流の使い手は多彩な技を放つ】
【『命令』に近い僅かな詠唱で呪文を起動できるのも、剣によって、魔術に指向性を持たせる工程を簡略化しているからだ】
【剣術と異能の融合 それ自体は珍しい事でも無い、が――】
『――『魔道具』でも何でも無い鋼の塊を、こうも容易く術と親和させるのは、中々あることではない】

あなたの云う『戰場』とやらがこの場に収まってくれるなら、私にとっては十分ね。
どうせ、警官を呼んでも被害が増すだけだもの。

……ッ、引き受けた痛みは、全部私が持って帰るわよ。

【低い姿勢で迫る戦馬の刀を避けきるのは難しいと見ると――少女は、左手側に足を運び】
【切っ先が浅く右脇腹を裂く程度に傷を抑えながら、敵の出方を伺う】

(刀身に電流を流した? ……、いえ、それならば手から身体を焼かれているはず)
(稲妻を形作る魔術式をかき乱されたのだとしたら、いまさらだけれど厄介な相手ね)

【追撃の好機、と思いそうになる心を、術が入ったにしては余りに小さな手応えが諫めた】
【見るに、背後から放たれた電撃を斬り裂き=\―、いかなる原理か、威力を減衰させたらしい】

【単に手練なのはわかっていたが、それ以上に不気味な男だ】
【――絵図に見る悪魔≠フ如く尖った耳と、尽きること無い憤怒を浮かべた『鬼面』を見比べて、少女は気を引き締める】

はっ。自分の望み以外のために剣を執るなんて、それはそれは滑稽なものだわ。

纏え、《ライトニング・ヘリックス》……。

【――唱えた瞬間、レイピアを取り巻くようにして、螺旋状の持続的な放電が発生】
【刀身を『補強』するようにして、鍔より先を覆い尽くす。完璧に制御されたそれは、本人を感電させることもない】

【近付いた途端に戦馬は立膝から伸び上がり、起立の勢いと共に『喉元』を穿ってくるだろう】
【それを見越したロザリンドは、相手の頭上を抑えるように――額へ向けて、鋭い突き込みを放つはずだ】
【少し身を逸らした程度では、稲妻のらせんが身を焦がす。果敢な攻勢に、いかにして対処するか?】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/05(火) 16:17:00.19 ID:S7A8HbMX0
>>852

【突剣を電流の導線≠ニ化して、ルーゼンホルト流の使い手は多彩な技を放つ】
【『命令』に近い僅かな詠唱で呪文を起動できるのも、剣によって、魔術に指向性を持たせる工程を簡略化しているからだ】
【剣術と異能の融合 それ自体は珍しい事でも無い、が――】
『――『魔道具』でも何でも無い鋼の塊を、こうも容易く術と親和させるのは、中々あることではない】

あなたの云う『戰場』とやらがこの場に収まってくれるなら、私にとっては十分ね。
どうせ、警官を呼んでも被害が増すだけだもの。

……ッ、引き受けた痛みは、全部私が持って帰るわよ。

【低い姿勢で迫る戦馬の刀を避けきるのは難しいと見ると――少女は、左手側に足を運び】
【切っ先が浅く右脇腹を裂く程度に傷を抑えながら、敵の出方を伺う】

(刀身に電流を流した? ……、いえ、それならば手から身体を焼かれているはず)
(稲妻を形作る魔術式をかき乱されたのだとしたら、いまさらだけれど厄介な相手ね)

【追撃の好機、と思いそうになる心を、術が入ったにしては余りに小さな手応えが諫めた】
【見るに、背後から放たれた電撃を斬り裂き=\―、いかなる原理か、威力を減衰させたらしい】

【単に手練なのはわかっていたが、それ以上に不気味な男だ】
【――絵図に見る悪魔≠フ如く尖った耳と、尽きること無い憤怒を浮かべた『鬼面』を見比べて、少女は気を引き締める】

はっ。自分の望み以外のために剣を執るなんて、それはそれは滑稽なものだわ。

纏え、《ライトニング・ヘリックス》……。

【――唱えた瞬間、レイピアを取り巻くようにして、螺旋状の持続的な放電が発生】
【刀身を『補強』するようにして、鍔より先を覆い尽くす。完璧に制御されたそれは、本人を感電させることもない】

【近付いた途端に戦馬は立膝から伸び上がり、起立の勢いと共に『喉元』を穿ってくるだろう】
【それを見越したロザリンドは、相手の頭上を抑えるように――額へ向けて、鋭い突き込みを放つはずだ】
【少し身を逸らした程度では、稲妻のらせんが身を焦がす。果敢な攻勢に、いかにして対処するか?】
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 20:45:31.33 ID:nmzYNdnvo
>>857

彼奴が抜かなければ、此処は戦場にはならなかった。同じく、そなたが抜かなければ
我も不躾な戰場など求めはしない。……夜な夜な狗を斬る様な辻斬と間違われては困る
吾とて、何を成し、何を為さんとする意思は在る。……くくっ…まあ、いいだろう
諸君らは悪と見なしたものを斬れば良いのだろう。戰場に在るのは唯一つ、矜持でも善悪でもないッッ!!

【電撃を浴び痺れているにも関わらず、彼は朗々と述べる。機関員で在ることには間違いない】
【ただモラルというべきか、何かしらの理念理想がそれこそ正しく存在しているようにも思われる】
【単なる刀を持った殺人鬼、狂気にまみれた能力者とも違う。戦乱の世からそのまま連れてきた様な風格】
【何かを成さんとする明確な哲学が彼の言動、太刀筋からもありありと伺われた】

望まずとも手に入れるものも在る。望まずとも失うものも有るように……
…だが、戰場に有るは1つッ!…敵を斬るのみ!!――――『鍵廻し』ッ!!

【相手の動きに合わせて前に倒れるように重心をふらりとさせると、片足を地面につき】
【剣を左下から、右上へ逆袈裟に片手で切り上げて、レイピアと接触し雷撃が散る】
【閃光を飛び散らせながらも男は面で歯を力強く噛み締めつつ内から外へ腕を捻り上げ】
【相手の剣を巻き取るようにして外に弾き飛ばそうと試みた】

【相手が術式を唱えなければ突きの攻撃に出た。しかし、それを見逃さなかった男は回避の技に切り替えた】
【しかし、電撃のダメージと麻痺は、刀が少しばかり軽減させたとはいえ直ぐ様反撃をする余裕を奪っていた】

チィぃ…これ1つではやはり………ッ!……いや、だがっ!

【男は片手で面を押さえながら呻く。攻撃のチャンスだがまだ何かあるかもしれない】
【証拠に、魔翌力や呪術に敏感な者ならば、彼の面から『瘴気』の様な禍々しいオーラが一瞬だけ感じられるだろう】


/遅れましてすみません! 本日もよろしくお願いします
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/05(火) 21:02:01.98 ID:c9VjPFkdo
【路地裏】

【この世界において表≠ニ裏≠ェどれほどはっきりと隔絶しているかは、今時子供でも知っていることだ】
【夜とは言え月明かりも街灯に煌々と照らされる表通りと、一分の光も無い真っ暗闇に覆われた路地裏では、根付いている理が違う】

【――――ゴツッ、というごく小さな音は、前頭骨に銃口が突きつけられた音だ】
【後は目の前の人差し指が少し動くだけで、自分は死神に地獄へ連れていかれるだろう。それを改めて実感し、彼は顔面を真っ青にした】
【路地裏の一角に今、二人の人間がいる。銃を突きつけられている男と突きつけている男、すなわち強者と弱者のわかりやすい構図】


よォ、兄弟。オマエに十秒だけ時間をやろう。

「ヒ、ヒッ…………!」


【――――弱者は、まだ少年と言っていいぐらいの年齢である。派手な金髪にピアスだらけの顔、学生崩れのチンピラといった風情で】
【一方の強者は――――こちらもまだ若い。鮮やかな橙色の髪に、長い前髪の隙間から泥のように濁った青色の瞳を覗かせた、いかにも気性の荒そうな男だ】
【外見の方もライダースジャケットにダメージジーンズ、シルバーアクセサリーをいくつも身につけた服装で、まるで粗暴さの権化のよう】
【どちらも似たような、いかにも素行の悪そうな外見をしているが、両者の間に決定的な格の違い≠ェ存在するのは誰の目にも明らかだ】


オレが十数える間に、ソレを売りつけた奴の情報をすべて吐け。いいか、オマエが知ってることすべてだ。
コッチの方でも多少調べはついてるんでなァ………浅薄な嘘はすぐにわかる。正直に、オレの欲しい言葉だけを、言え。

「は、はっ、ハイ………言います、言いますから…………ッ、」


【少年はすでに満身創痍の様相を呈している。両肘両膝の間接を撃ち抜かれて満足に体を動かすことも出来ず、無防備に壁にもたれかかった状態】
【それでもその道のプロなら、この程度の脅迫に屈することもなかっただろう。だが少年は顔中を涙で濡らし、情けなく声を震わせている】
【……更正の余地がまったくない、というわけではなさそうで。そんな子供相手に、男は一切の容赦も見せずカウントを開始した】

【十、九、八……と、数字が下る。少年の口から次々に固有名詞が漏れ出す。声が小さくてやや聞き取りづらいものの】
【「売人」とか「ヒュドラ」とか、断片的に聞こえるのはそんな単語。「GIFT」に逆らう気はないから助けて、などと許しを乞う声も聞こえて、】
【――――直後に響くのは銃声と、絶叫。命乞いなど許した覚えはない、と言わんばかりの凄絶な狂笑が、男の表情には浮かんでいる】

【ここは路地裏だ。例え何が起きようが、誰がどんな目的で現れようが、それは全く不自然なことではないが、】
【ただ、ひとつだけ確かなのは。歌うように楽しげに響くカウントの声は、もうすぐゼロを告げるということだ】
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/05(火) 21:07:55.03 ID:ncnZ4TwP0
>>849
【少年の表情が、崩れる。しかし彼は自分の優位にほくそ笑むわけでもなく、また相手を嘲笑するでもなく、ただ冷ややかな目で少年を見つめるのみだった】

「「最強」……か。確かに自らを見るのは大切だが……所詮は井戸で縮こまった蛙に過ぎない」

【高圧的に、静かな口調で言う。彼が高圧的なのはここに限った事ではなく、何時もの事だ】
【目の前の少年は回り始める。少年は大声量で弁舌を行った。その内容は恐ろしいほど力強く、単純で、「何も考えていない」……少なくとも彼にはそう感じた】
【彼は冷静だった。もちろんその弁舌の中でさえ、奇妙な「音」を聞き逃すことはなかった……しかしながら、それが何の音かまではわからなかった。】
【少年の話はヒートアップする。先ほどの音と言い、正体不明なものがある以上は……「油断」ならない。】
【彼は少年に向けて、ただ右腕を向けた。手の平を垂直に構え、念を込める。普通よりエネルギーは使うが、仕方ない】

「『事象の地平面(シュバルツシルト)』」

【腕から立ち上るオーラと共に現れたのは「盾」。漆黒で邪悪な気配漂う円形のそれは、盾としか形容できなかった】
【半径70cmほどの円形の大盾は彼の身体の大半を覆い隠し、どのような肉薄だろうと受け止められる】
【「来る!」少年は跳んだ。全く同じ動き、全く同じ感覚で。それはさながら兵隊行進の寸分違わぬ機械めいた挙動にも思えた】
【━━━━━━━が。しかし。突如響く銃声。弾かれる銃弾。攻撃を受け切り、消滅する盾。彼が目の前の状況を理解する前に、少年の蹴りは彼の首へと激突する】

「ヌゥ……!」

【衝撃により数メートル程飛ばされるも、受け身を取ったのち態勢を直す。幸い骨は折れなかったが、結構なダメージだ】
【少年は気付いただろうか、彼の鎧に施された数々の装飾。目立たぬが美しいそれは、かつて装飾用として使われていたものの証】
【すなわち、防具としての強靭性は「使い物にならず」━━━━━━どちらかと言えば、「自分の姿を隠す」目的で使われているのだろうか?】
【ともあれ、強靭性が無いとは言え金属は金属。少年の蹴りは軽減され、幸いにも彼の頚椎は砕けずに済んだ】

【ここへ来て彼は、目の前の状況を理解する。銃だ!目の前の少年は、銃を取り出したのだ】
【彼は少年の不意打ちに憤慨もせず、また少年の魂胆が破れたことに嫌味な笑いを上げるでもなく、何も変わりなく、ただ少年を真っ直ぐに見据えていた】

「……このニーベルンゲン・シュバルツシルトに一撃を加えるとは……なるほど、自らを「最強」と言う自信も頷ける」

【鎧の汚れを落とし、首を抑えつつ彼は言葉を続ける】

「銃を利用した不意打ちと多段攻撃の両立……。……瞬時にそれを思いつく知恵、そしてそれに足る絶対的自信……見事なものだ」

「しかし━━━━━━━そんなトリックをわざわざ使うということは、逆に貴公が正攻法では私にダメージを与えられない証明ということ」

【少年の方を見透かすようにジッと見る。少年が銃を出した以上、彼はそれをずっと警戒するだろう】


/昨日の続きです。もしいらっしゃれば
862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/05(火) 21:17:49.46 ID:VUSWRpQIo
>>860
【男のカウントがゼロを数えるその前に。響く声が有った。近づく存在が有った】

「三、二、一――――てか?」

【唐突だった。かちゃりとした、金属のぶつかり合う音】
【発砲音、そしてマズルフラッシュが暗い夜の闇を喰らい尽くし、路地裏を赤く染め上げた】
【そして、赤い光が止めば、次に路地裏を染め上げるのはネオンライトのようなあまりにも不自然すぎる色彩のライムグリーン】
【空を引き裂いて、緑色の閃光が空中に三本の線を引き、駆け抜ける。目標は、銃を構えるGIFTの男】
【閃光が命中すれば、暫くの間指先≠ノ力が入らなくなることだろう。まるで、脳の命令が遮断されているかのように、だ】

「よォ――マリオン。奇遇だな、運がいいのか悪いのか、分からねェが」

【空から降り注ぐのは、小さな鉛弾。そう、散弾だ。一発目のそれは、恐らく威嚇射撃だったのだろう】
【男が振り向けば、そこにはニヒルに笑う一人の青年が立っている。男に比べて、かなり小柄で細身な青年だ】
【背の丈は大凡160cmちょっとと言ったところだろう。だが、小柄な体躯からは強い意志と悪意と敵意と狂気が発散され、男に向けられていた】
【夜闇を歪めて具現するライムグリーンの燐光は、右目と左腕から放たれていて。右手には大型のリボルバー、タウルスジャッジ】
【散弾を放つことが特徴であるその拳銃の銃口は、ブレること無く男に向けられていた】
【全身から発露する、狂気と不吉の気配。異能がもたらす異質の光を身にまとい、一人の正義≠ェそこに居た】

「――さて、アレだ。アポなしなんだがよォ――――」

【青年は、悪意や敵意を覆い隠すこと無く。しかし、殺意を向けることはなく】
【淡々と、青年は己の口から、相手の耳朶に己の考えを言葉として、送信した】

「――――取材させてくれないか。GIFTの糞野郎さんよォ」

【内容は――取材の申し込み】
【そして、後ろに居る少年に対して、目配せをする。速く逃げろ、そう伝えようとしていた】

/*もしよろしければ!*/
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 21:20:24.32 ID:guACq9ngo
>>860

【もはや命など望むべくもない、そんな少年の顔が―――突如銃を持つ男から見て左の方向へと撥ね飛ばされていく】
【その弾丸が少年を貫き命を奪うよりも早く―――また別の"暴力"が少年の体を打ち抜き、地面へと跳ねて砂利に痛めつけられていくだろう】
【そうなった原因、元凶は男のすぐ隣に現れていた―――】


―――……ふふんふふん、オラは死んじまっただぁ〜……オラァは死んじまっただぁ〜……♪
オラは死んじまっただぁ〜……オラは死んじまっただぁ〜♪っと……歌ってみたはいいが縁起でもねぇなこの歌


【その人物はフードを目元まで被った灰色のパーカーを肩から羽織った、ボタンだけ赤い黒の短シャツに両手に白いバンテージを巻いていた】
【腰に数年前に流行った銀色の髑髏を模したチェーンアクセのついた青色のダメージジーンズに新品の赤茶色の革靴を履いた人物】
【顔はよく見えないが体格と低い声色から男性なのは把握できるが、口元に笑みを浮かべており、妙に機嫌がよさそうだ】

【その人物は首から下げていた一眼レフのカメラを手に取ると、ピクピクと弱々しく動いている少年のひしゃげた顔面にレンズを向けながら】


よお悪いなぁー今や潰れあんまんみてーな面のお前さん、今ちょっと力のねえ弱いガキを一人くらいぶん殴りたい気分だったんだわ……
なにせさっき博打で大当たり当てちまってよールーレットの『00』あるだろ?余興にアレに大穴張ったらマジで当てちまってなぁ!信じられるか!?
長げぇ事生きてるがこんな奇跡ってそうそうねぇよなオイ!ご機嫌すぎて足元がおぼつかねぇから気分転換に人の一人や二人殴って置きたくてなぁ!

治療費は払ってやるよー、ポケットマネーはいくらでもあるからなあ!……ァハハハハハ


【ついつい堂々と高笑いを浮かべそうになった所で、フードの男はようやく少年を射殺しようとした男の存在に気が付いたらしく】
【チワ!などとご機嫌そうに手を振ってくる……なんだこの男は】
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 21:22:34.44 ID:guACq9ngo
/失礼、お邪魔なようでしたら退散いたします!
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/05(火) 21:25:37.25 ID:c9VjPFkdo
>>862 >>623
/こちらとしては複数でも大丈夫ですが、いかがでしょうか?
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/05(火) 21:26:31.87 ID:VUSWRpQIo
>>864>>865
/*ちょっと気力的に複数厳しいかもです……*/
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 21:27:22.92 ID:guACq9ngo
/では今日の所は退散いたします
/またの機会にでも!
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/05(火) 21:28:36.49 ID:VUSWRpQIo
>>867
/*すいません、また宜しくお願い致しますね*/
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/05(火) 21:29:36.55 ID:S7A8HbMX0
>>859

【迸る電流の中に、鋼と鋼がぶつかり合って生まれた火花が弾ける】
【打ち合いに強い《ライトニング・ヘリックス》だが、刃の接触面で電流が斬られて≠オまい、思うような効果が出ない】
【レイピアは戦馬の目論見通りに跳ね上げられ、抑え込みの突きは不発で終わってしまった】
【もし相手が『万全』であったならば、その隙に首を刈られていたやもしれない――】

そう……ならせめて、後悔しないうちに本気を出しておきなさい。
隠し技を抱えた相手に勝ったところで、それを誇ることは出来ないもの――、!

【それでもロザリンドは、持ち味であり欠点でもある傲岸不遜さを失わなかった】
【男が呻いている間に態勢を立て直すと、横滑りするようにステップを踏んで面にかかった手の側に回りこみ】
【躊躇いひとつなく、隠された顔の側面へと剣を突き付けようとするだろう】

――らせんよ、弾けろ!!

【最善の場合であれば、ぎりぎり剣先が当たらない程度の間合いで――レイピアに纏わせた電流を、不意に解き放つ】
【刃の周りに蟠っていた稲妻が、獲物に襲い掛かる蛇めいて伸びた。 何が起きても対応できるように、剣自体はまっすぐ構えられたままだ】
【瘴気を放つ木面を看過はできない。 これで顔面ごと炭にでもなってくれれば、重畳と言った所だが――】
【定形の詠唱は無いとはいえ十分な予備動作を伴う攻撃であり、どう対応されてもおかしくはない】
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/08/05(火) 21:49:55.35 ID:zzT7EbH/o
【聖徒】

いい夜空だな。

【公園にはフード付きトレーナーに短パンの、背の低い少年がいる。】
【ブランコに腰がけて、空を眺めているようすだ。】
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/05(火) 21:54:06.61 ID:c9VjPFkdo
>>862

【刹那――――たん、と軽やかに男の体が真後ろへ飛んだ。もちろん、突如襲い来た銃弾を見て避けたわけではない】
【その前の段階、微かな男≠フ気配を察知た瞬間に咄嗟に体を動かしたのだ。振り向くことすらしないその挙動からは卓越した戦闘技術が伺えた】
【……しかし、結果としては。銃弾こそ当たらなかったものの、男と少年との間には距離が開く】


クッ、ハハハハハハッッ!!! ――――そうだな、ずいぶん奇遇だな谷山クンよォ。
どっかの誰かに取材してきた帰りか? それともオマエ、毎日パトロールでもしてんのか?
「無辜の民間人が悪者の手に掛かるのは放っておけない! 俺が助けなきゃ!」なぁーんてよォ………。


【胸元に金十字を垂らしたその男は自らの名前を呼ばれて、ぎょろりと目を剥いた。あまりに狂気じみた顔貌、少年が短い悲鳴を上げたのも無理はない】
【引き裂くように笑って、マリオン・リヴァーズは谷山基樹に声を掛ける。気さくでおちゃらけて、狂喜と侮蔑に満ちた声色】
【――――目の前の男が、マリオンが演ったような青々しい台詞を吐く男ではないことはとうに知っている。濁った青は楽しんではいても油断してはいなかった】


他ならぬオマエの頼みだ、受けてやりたいのは山々なんだが………。
悪ィな、今はオレがコイツに取材≠オてたとこなんだ。人様のネタパクろうってんなら、それなりの歓迎をさせて貰うぜ?


【マリオンは谷山へわざとらしい言葉を投げつけながら、拳銃を構えた右手をそちらへ向ける】
【サイレンサーが取り付けられている以外は、見た感じどこにでもあるポピュラーな拳銃だ。威力面では谷山の構えるそれには遠く及ばないだろう】
【あるいは尋問用として、わざと小威力の拳銃を携行していたのか。だとすればマリオンにとって、この出会いは「運が悪い」ものなのかもしれないが――――】

【……マリオンは珍しく、感情任せに自分から仕掛けようとはしなかった。いつでも発砲できる構えのまま、谷山を嘲笑う】
【その奥ではもぞもぞと、少年が必死に逃げようとしているが……膝間接を破壊された今の状態では、彼が自力で安全圏まで行くのには時間がかかりそうだ】


/>>867 了解しました、また機会がありましたら絡みませう!
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/08/05(火) 22:03:39.18 ID:e07aOa850
>>861

―――………ッ!!!

【突如浮かび上がる盾らしき、何か。予想だにしなかった出来事が起きたのだから、一旦行動をストップするのも、アリはアリだが――。】
【やはり勢い、と言うの物がある。思い付いた作戦を即座に実行する……、その勢いが、非論理的に見えて想像以上に重要。】
【少年はそれを良く知っていた。故に、変えない……蹴打と発砲のコンビネーション。どこかの師範が見ていれば憤慨するであろうその異質な行動を、】
【しかし少年は躊躇うこと無くやってみせる。蹴りの一つ一つの練度は極めて高いが、しかし型破りなスタイル……だからこの攻撃が、彼に通じたのかも知れない―――。】


……ほー。なるほどなあ……無敵やないんやな。
なら、俺にも勝ち目がある……そういう事や。ええこと教えてもろたな〜……、

――なんや、今の話、信じとるん。……んな訳無いやろ、「最強」とか口が裂けても言えんわ……言うたけど。

ああ、俺な、その正攻法って奴、むしろ苦手なんや。……蹴るだけやったら、つまらんやろ―――ッ!!!

【声を紡ぎながら注目するのは、やはり彼の一挙一動……自分は無敵でないという事が暴かれたのだから、】
【今度は相手から攻撃を仕掛けてくる、という可能性を見ていたのだ……だが、それも杞憂に終わる。】
【攻撃の際に生まれるもっと決定的な隙を探しているのだろうか? それとも、何か他にあるのか……、】

【そのタイミングで気付いたのは、彼の鎧について。蹴った瞬間にも少し違和感があったが、眼で見て確信に至る。】
【殴る蹴るを好む自分には、鎧という存在は余りに実用的で無さ過ぎて、それに対する知識は乏しいが、】
【施された美しい装飾は、明らかに不要ではないかという事……その先は、まだ見えないのだが。】

【――少年は不意に、銃をポイッと捨てた。一発しか撃っていないのだから弾は恐らくまだ入っている筈だが……、】
【拳銃は彼から4,5m程離れた位置で止まる。わざわざ取りに行かなければならない、それ程の距離がある――、】
【余りに不自然な行動。銃については放棄したのだろうと単純に見るのが恐くなるが……少年は、ニイッと笑って。】

【少年は再度一気に駆け抜ける――同じく今度は中段回し蹴り。胴体を狙って打つ……普通に護るのなら、右手の位置だ。】
【そしてもし右手で護ったのなら、今度は大きく、大きく体を捻ってハイキック。全く同じ首の辺りを狙っている……左手の位置になるだろう。】
【ここまでは、想像通り。手は2つのあるのだから、2回攻撃が阻まれるのは至極当然……しかし、3回連続になればどうだろうか?】
【今度は腹筋を使って勢い良く身体を起こす――そのまま、金属製の兜など物ともせず頭突きだ。防げなかったのなら脳震盪が起きる、その位はあったか。】

【当然、この衝撃は少年にも行く。態々こんな攻撃を仕掛けたのだから、ある程度頭突きにも自信があったのだろうが、ゼロではない。】
【もし攻撃後の隙を狙っていたというのなら、このタイミングが正にその時、であろう……距離感と言い、カウンターが極めて仕掛けやすかった。】


/遅れました申し訳ないです!
/今晩もよろしくお願いします〜!
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/05(火) 22:12:03.61 ID:VUSWRpQIo
>>871
「――チ。膝か。
……まーいい、動くなよ。売人のてめーはどうせお縄だ。
違うのは――GIFTがお前を捉えるか、俺がお前を捉えるか。それだけだ」

【引く男によって、地面に転がる少年を認識。膝を破壊されている事を理解した】
【逃走には時間が掛かる。ならば、どうするか。逃走させずに、守れば良い。それだけのこと】
【一歩を踏み出す。足に纏わりつくノイズ。足音が、一際強く路地裏に響き渡った。強く、強くだ】

「取材は毎日。パトロールはネタ探し。
んでもって、気に食わねぇ俺の敵はぶっ潰す。それ以上でも以下でもねェわなァ――。
てめェがこんなかび臭い場所で雑魚相手にイキってんのと大差ねェよ。テメェも言ったろうが、俺もテメェも大差ないってなァ」

【右目の燐光が、強まっていく。路地裏は、ライムグリーンの光に染め上げられつつ有った】
【足音の反響音から、谷山は路地裏の構造を認識。また、この周囲に伏兵やトラップが無いかどうかの確認を行う】
【物理的なトラップや伏兵であれば、足音を用いたソナーによってこの路地裏周りであれば暴かれることとなるだろう】
【視覚ではなく、音響を用いた周辺探査。それは、恐らく嘗てマリオンと戦った経験から編み出した、対策≠セったのだろう】
【相手の挑発に返答するのは、極めて冷淡。冷め切った言葉。相手の挑発は、それらしすぎて激昂するまでもなかった】

「知ってるか。尋問とか拷問は、取材じゃねぇ。
……そーだな。んじゃ、もーちょっと価値をお前さんにベットさせてもらうか。
ま、これがお前の得になるかは分からねぇが――――」

【銃を構えたまま、谷山は口元に歪んだ笑みを浮かべる】
【互いに油断も隙もなく。そして、悪意と狂気にあふれたその場で、板挟みとなる少年は何を思うのか】
【谷山は、相手のその言動に対して、更なる提案を、言葉を連ねていく。GIFTとの接触に、目的が有るのだろう】

「――――GIFTに俺を入れるつもりは無いか? マリオン・リヴァーズ」

【何を考えているのか。何をするつもりなのか】
【正義の味方≠ヘ。世間の敵=A悪≠ノ対して――与する意志を表明したのだ】
【ライムグリーンと鈍色の瞳に淀みはない。冗談を言わないわけではないが、この場で冗談を言うタイプではない】
【そして、考えなしな行動をするタイプではない。ようするに、この言葉は真実であって。その真実を持って、正義は悪に歩み寄った】
【意図を。――マリオンは、理解できるだろうか】
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 22:31:56.38 ID:nmzYNdnvo
>>869

【面を押さえ、呻く彼には一瞬の躊躇いが合った。このような場所で】
【面の持つ力を開放させるのは良心の呵責が在るのだ。しかし、退くわけには行かない】

…退いてなるものか。腰抜けの先祖のようにッ!!

―――――常在戦場ッ!いでよッ!赤蜘蛛!!

【彼は膝立ちで、顔を俯けたまま叫ぶ】
【そうすると、彼の面はその朱の塗りが溶け出すように赤黒い瘴気を吐き出す】
【ソレは彼の背後に溜まり、何かを形作る。腕である。形は確かに人の腕であるが赤い金属か鱗で】
【覆われているように硬い。それがまるで千手観音のように彼の背後から4本伸びている。鬼の腕が備わる】

【鬼の腕は横に飛び込んできた相手のレイピアを突きよりも先に防御を取る。男の顔の前で三本の腕が壁のように組み】
【そのレイピアの突きを受ける。金属の音がなる。電撃はその腕の一本一本に分散して流れる。まるで彼の背にこびりついた】
【その腕の根本、赤い瘴気の塊が電撃を吸収したかのように彼の体には落ちることはない。しかし、何らのダメージは受けたようで】

アアアアアッッッ!!クッ…!!

【その叫びかけた声を押し殺し、攻撃を耐える。耐えるだけではない。鬼の腕は残るは1つ。それは攻撃翌用で】
【レイピアをつく相手に向かって、拳を固めて、脇腹を狙って殴りつけてきた】
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/05(火) 22:35:28.14 ID:ncnZ4TwP0
>>872
「……」

【彼はあくまで仕掛けなかった。相手を恐れて様子見していたわけではない。ただ仕掛ける必要も無い……その辺のチンピラと同類の、見る必要も無い有象無象だと判断し、適当にあしらっていた】
【しかし……目の前の少年は見事、自分への攻撃をしてのけた。ここから導き出される答えは何か?彼は少年を、「相手するに値する」敵だと、ここへ来て始めて認知した】

「……ならば見せてやろう。二度も傷を負ったとあれば「大盾」の名がすたる」

【少年は走り来、肉薄せんとする。しかし彼は一定の距離……つまり後退しながらそれを受けた。右からの中段蹴りを受け、後退。大きな挙動ゆえ、左からの蹴りもたやすく受け止める。】
【そして、少年の頭が後ろへ。彼は反応できず、頭突きは彼の頭に…………】
【当たらなかった。その攻撃は、左手でしっかりと、確実に受け止められていた。衝撃すらもまるごとに。漆黒のオーラが消える。】
【「一撃で消える」が、「何度でも」防御できる……それも瞬間的、連続的に。彼の能力のそれが明るみに出た。】

【そして少年の振りの大きさからして、彼はこの隙を見逃さなかった。右手を剣に。そして鞘から剣を引き抜き、肩から袈裟斬りにせんとする】
【しかし刺突直剣はいわば細身の剣。つまり斬撃によるダメージはあまり期待できない。それに彼は剣を使うとはいえ、とりたてて特別な技術があるわけでもなかった】
【まともに当たったとしても、死に至る事はないだろう】

876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/05(火) 22:54:01.01 ID:c9VjPFkdo
>>873


「ひ、ヒィィ…………ッ、」


【――――まぁ、彼の正体については語るまでもなく、そして語る価値もない】
【最初は稼げる商売を見つけたぐらいの認識だったのが、知らず踏み込んではいけない領域に踏み込んでいた。それだけの、愚かな子供】


おいおい、イキってるとは酷い言い草じゃねェか。オレとしちゃあ飽き飽きしてるところなんだぜ?
こういう半端者の相手は特につまらん仕事だ。せめて無様に泣き喚いてくれりゃあ退屈しのぎぐらいにはなるんだが………。
「ヒュドラ」がお手軽なクスリだからか、関わってる連中もそいつみてェなザコばっかでよォ。イヤになるぜまったく。

そんなわけで、ちょうど刺激が足りないと思ってたところだ。
ひひっ、オマエはオレを楽しませてくれんだろ、谷山ァァ――――、


【些か以上に芝居掛かった挙措で、マリオンは親しい友人相手にするように谷山へ愚痴を零し始める】
【時折右手の射線がズレたり目を閉じてみせたり、いかにも隙だらけの格好。……誘っている、と察するのは簡単なはずだ】
【そしてその傍ら、谷山の能力≠ェ何らかの形で発動したことを彼もまた察している。強く反響する足音の意味もまた、同様】

【――――路地の上方、建物の屋上に屈強な男が二人待機している。見張りであると同時に万が一の時のための要員であるのだろう】
【そして今がまさにその「万が一の時」だ。彼らは気配を殺しつつ、それぞれ拳銃を抜いて谷山を狙っていた。距離的にも十分射程圏内で】
【ただし……彼らは自分たちの位置が知られていることには気づいておらず、またマリオンもそれを伝えようとしない。そこに油断がないとは、言えない】


――――――ひひっ、ひゃァはははははははははははははははははッッッ!!!!
やっぱりオマエは最ッ高に面白いなァオイ!! こんなザコどもをチマチマ脅してるだけじゃあこの気分は味わえねェッ!!
あぁ、言っとくがオレは少しも意外じゃねェぜ?
オマエならこのぐらいのことはやってくれると心から信じてたからなぁ、谷山クンよォォォォ!!!


【そして、その言葉≠フ後――――先んじたのは「ぎゃあ!」という短い悲鳴だ。消音器に吸われた小さな銃声が天高く響き渡る】
【正義≠ェ悪≠ノ与しようとするその瞬間を見た、そのどちらにもならない少年は、マリオンが興奮のあまり放った凶弾を右肩に食らって倒れ込んだ】
【傷の痛みに気を取られて、少年は二人が何を言っているのか理解できない様子。……いや、少し違うか】
【蠢く不吉の気配と、狂い咲く哄笑。少しでも理解しようものなら自分の中の何かが壊れる気がして……彼は痛覚に集中する以外、何も出来なかった】


ひひ、ひひひッ………前から散々言ってたよな、入る気があれば歓迎するってよォ。  
いいぜ、オマエにその気があるならオレがスカウトしてやるよ。上の方に掛け合ってやってもいい。
………だがその前に、志望動機≠チてヤツを聞かせて貰おうか?


【一方、目を血走らせて嗤うだけ嗤い終えたマリオンは、子供のような好奇心に溢れた瞳を谷山へ向ける】
【――――谷山の真意が何処にあるのか、マリオンにも正確に読み切れているとは言えない。だが彼は、敢えてこの提案を歓迎する】
【それは単に面白がっているのか、裏で策を巡らせているのか。それはともかく……ここで理由が問われるのは当然の帰結だろう】
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/05(火) 23:03:25.18 ID:S7A8HbMX0
>>874

なに、4つ腕? うぐっ――、……。

【堅牢に装甲された悪鬼の手。 それは、ロザリンドの用心を正面から打ち崩して余りあるものだった】
【刃先が弾かれた「カキン」という音を聞いて咄嗟に手を引くが――、間に合わず】
【少女の脇腹に鋼の拳骨が叩き付けられると、その身体は途轍もない衝撃力によって大きく吹き飛ばされた】

(嘘っ、掌に血が……急所に食らったら、もしくは内臓に全部入ったら、とてもじゃないけど耐え切れない……わね……)

【けほっ、と口元を抑えながら喘ぐと、唇と左手の境目から新鮮な血糊が溢れだす】
【刃傷とは丸っきり違う、鈍く内側に響く痛みで、幼い目元には涙が浮かんだ】

【だがロザリンドから闘志が失せた様子は無い。帽子を目深に被り直すと、立ち上がってレイピアを構え直す】
【そして戦馬と再び対峙し、しばし黙考する――先ほど彼は自分の剣技を止め、電撃をも背後へ受け流したようだが】
【苦悶≠ヤりから推察するに、何の損害も与えられなかったわけではないらしい。少なくとも稲妻は効いている】
【であるなら、愚直に接近戦を続けるよりも『術師』として相手取るのが良い状況か――なにせ、手数と膂力に大きく差を明けられてしまったのだから】

不甲斐ない血筋、ね……同情するわ。 だけれど手加減はしないわよ。
――薙ぎ払え、《ブランチング・ボルト》!

【接近を阻むように切っ先を上げた構えを取りながら、詠唱。例によって刃から電撃が炸裂する】
【しかし今度は、ひとつの目標に直進するのではなく――細く枝分かれ≠オながら、戦馬の方へと向かっていく】
【そこからは、腕の全てを防御に使わせて、隙を作りつつ効率的にダメージを与えようという魂胆を伺うことができた】
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/05(火) 23:04:31.89 ID:e07aOa850
>>875


……な……ッ………―――!!

【3段の連続技。右手と左手で合わせて2回、攻撃を守れるのだから、残る1回は必中する――少年はそう確信していた、】
【だからこその行動。こんな隙の大きな技、出せる筈がない……だが、結果は見るまでもなく失敗。頭突きを、完全に受け止められてしまっていた。】
【その後のカウンターが怖ろしいのは、最早無意識的に理解している……しかし体勢が体勢、どうする事も出来ず、袈裟斬りをそのままに受ける。】

【オレンジ色のパーカーから、滲みだす鮮血――幸い彼の剣術はそこまでの実力がある訳ではなく、傷はそう深くはなかったが、】
【ダメージには変わりない。粗暴に少年はパーカーを脱ぎ捨て、再び構えるのだろう……しかし痛みに歪む表情が見られないのは、流石、か。】


………お気に入りやったんやで、このパーカー。……お、こういう傷、結構カッコええやん……バッテンになるのも、アリやな。

【悲しそうに呟いたのは、今脱ぎ捨てた服についてのみ。大事にしていたのだろうが、こうも斬られてしまえば、どうしようもない。】
【その後、露わとなった自分の肉体を見、斜めに刻まれた傷に気付けば……「カッコいい」なんて評価する、】
【確かに武士が衣服を脱いだ時に、大きな傷があると箔が付いたりする事もあるが……このタイミングでこんな発言をする辺り、どこか抜けていて、】

【と言うのも、……いつの間にか、少年の表情は戻っていた……"余裕"。先程の交わりで、得た情報が2つあったのだ。】
【一つは、当然といえば当然だが、彼にも回避という手段が有るのだという事。より接近するかその他工夫をして、潰さなくてはならない。】
【そしてもう一つは、彼の剣術。今先程の隙は、極めて大きかった……しかしそう大した事無い傷なのだから、そこまでの実力は無いという事、】
【もちろん油断出来る訳ではないが、しかしこれなら"攻撃を受けつつ"……という戦略を立てる事が可能。以上の2点、今後を大きく左右するのだろう、】

【ならばと今度はより肉薄し、彼へ一打を加えんと襲い掛かる――ローキック、ミドルキック、ハイキックと流れる様に連続的に蹴り技を進め、】
【最後にその体の勢いを活かして打つのはアッパー。状況によるが、何もなければ確かに彼の顎を捉えていた。】
【ただこの最後の殴打、少し違う……威力が、かなり増幅しているのだ。その原因は、彼の右手……鎧と接触した時になる音が、異常。】
【丸で金属と金属が衝突した際になる様な……甲高い金属音。つまりは彼の右手、硬化している……金属化している……そう見るべきだろう。】

【全部で4つの攻撃は、どれも速度を重視している分威力が少々乏しい。それに、アッパーはやはり隙の多い類、カウンターも狙いやすい事だろう。】
【だが、……少年の瞳は、それでも良いと物語っていた。スタミナには自信がある、持久戦に上手く持ち込めば勝てる……密かにそう考えているらしく。】
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/05(火) 23:16:29.43 ID:VUSWRpQIo
>>876
「ああ、確かにありゃ便利なクスリだ。……ま、哲学者の卵よりは多少精神衛生上使いやすいな。
いやはや、レイリスフィード大学も面白いもんを作ったもんだなァ。クソみてェだ。
んでよ。なんで俺がてめェ楽しませなきゃならねェんだよ、ふざけてんじゃねぇぞ?」

【己に対しての狙いが、足音による探査によって看破できた。己を狙うのは銃口三つであることを理解】
【谷山の左腕から発露するノイズが僅かに増し、神経系が強化。思考と神経伝達、五感が加速していく】
【表向き、その変化はそう変わらないものだ。なにせ、攻撃力が上がるわけでも、姿が変わるわけでもない。ただ、速くなるだけだ。己の内面、ソフトウェアが】
【そんな地味ながらも大きな変化を自己の中に起こしながら、谷山は相手の軽口に軽口を返し続ける】
【相手がこのようなタイプであることは、先の戦いで知った。親しく話している相手を一秒後に殺せるタイプの人間である事をだ】
【それが分かっていれば、怖くはない。大切なのは、恐れることではなく、警戒すること。谷山は、一貫して警戒を崩さず在り続けていた】

【己の提案。GIFTに己を入れろという、突拍子もないだろうその話題】
【哄笑を響かせる男。恐らく谷山は、この男でなければこのようなことを言いはしなかっただろう】
【全く信用ならない目の前の相手。だが、この男だからこそ′ネの提案に、食いついてくる。そんな確信にも似た感覚を、あれ以来持ち続けていたのだ】

「おーおー、それはどーも。
俺も信じてたぜ? 多分てめェなら乗ってくれる、ってなァ」

【哄笑とともに返される、予想通りに己の言葉に乗ってくれる返答。谷山の口元が、歪さを増した】
【目の前で響く銃声。飛び散る鮮血、響くうめき声。そして、己にすがるように目線を向ける少年と、目線が合って】

「――こいつの銃小口径だから当たってもそうそう死なねェよ。
生きてたら病院連れてって警察に突き出してやるから安心しとけ」

【安心できない言葉を、さも当然のようにその視線に返す。少年の瞳は、絶望に染まったことだろう】
【谷山にとって大切なのは、善行をすることではない。己の正しさに従って行動する事こそが最優先される】
【だからこそ、谷山は正義のためなら善行でも悪行でもしてみせる。善悪と正義は、青年にとって別種のものであるからだ】

「――志望動機ね。そーだな、一言で言えばバランス取るためだよ。
俺はジャーナリストで、んでもってフリーだ。俺がフリーなのは、善にも悪にも寄らない為だ。
暫くUTとかSCARLETの側に居て、てめーらの敵やってたけどよォ。……てめェら側からも物事見ねぇと平等な視点を持てねぇだろ?
だからGIFT視点からGIFTってものを見ようと思った。それだけだ。――んで、これで十分か?」

【マリオンの問いかけに対して、淡々と。そして淀みなくなぜ≠ノ対するこうだから≠返していく】
【谷山基樹はフリージャーナリストだ。フリーというのは、自由であるということ、中立であるという事】
【UTとSCARLETとは利害が一致していたから組んでいた。だが、中立であるためには、当然ながらGIFTやカノッサの側にも立つ必要がある】
【常にUTやSCARLETの側に居れば、やはり思想は偏っていく。だからこそ、悪の側から悪を見つめる必要があった。だから、ココに谷山は居る】

【血走った目を見据える、淀んだ正義の瞳。射抜く視線に、欺瞞は無い】
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/05(火) 23:45:21.83 ID:ncnZ4TwP0
>>878
【一閃は見事命中。少年の胸は裂けたが、あろうことか……少年はピンピンとおどけている。胸を裂かれているというのにこのような態度……紛れもなく「狂人」。彼にはそう見えた】
【そして少年に浮かぶ余裕の表情。遠距離で避けられたため、接近戦を挑もうという魂胆だろうか】
【確かにその考えは間違っていない。接近した方がより細かな狙いが付けやすいだろうし、ガードの意表を突いた攻撃もできるだろう】
【それは普通の斬り合いにおいても同じ。実際、盾というのは持久力が関係している。あっけなく弾かれたりもするものだ】

「貴公の今までの攻撃の渦。見事な持久力、見上げたものだ……」

【彼は少年の目を見て、呟く】

「連撃で盾を崩そうというのは確かにいい考えだ……だが」

「それに対して私が何の策も弄していないとでも思うのか」

【少年は肉薄する。この勢い、予測するに何発もの攻撃を再び浴びせるつもりだろう】
【彼は再び後退する。ローキックを避け、ミドルキックの勢いを左手の盾で消しいなす。ハイキックは兜を掠り、そのまま勢いを失った】
【そして、瞬間的に高められる気。彼は集中力を極限に高める。そして直後飛んでくるアッパーを……「つかんだ」】

【通常、普通ならアッパーを掴むなど不可能。ましてや強化されたアッパーだ。】
【しかし……彼の能力は所謂「障壁」……衝撃や攻撃力の関係なく、何だろうと遮断されてしまう】
【だからアッパーは勢いを失い、少年の拳は彼の手の内に握られたというわけだ】

【手首をキリキリと締め上げる。それほどでもないが訓練された柔術の腕は、彼が騎士であった名残か】
【彼は少年をいわばとらえた状態にする。アッパーの予備動作もあって隙だらけの少年の頭に向けて、彼は、少年に向けて拳を構えた】
【漆黒のオーラが纏われる。それは盾を形成していた歪んだ障壁の素……その盾はあらゆる衝撃を受け止めていた。が……「攻撃に使うとどうなるのか」】

【普通、物を殴ればこちらにもダメージが来る。作用反作用の法則に則った物理的に当たり前の事だ】
【しかしこの障壁は、それを破壊する。こちらへの反作用は全て、あちらへの作用として「受け流される」……】

【つまり、通常の二倍の威力のパンチが、少年に向けて放たれたのだ】
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 23:51:18.41 ID:zYOs/cdqo
>>880
/掴んだ、は確定描写になっちゃいますよー
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/05(火) 23:55:44.96 ID:c9VjPFkdo
>>879


ハッ、精神依存も肉体依存も最高峰のアレが言うに事欠いて使いやすい≠チてか。相変わらず言うなァオマエ。
その哲学者の卵ってのも話には聞いてるが、ひひっ……オマエにそれだけ言わせる代物だ、なかなか面白そうだなァ?

………オイオイ谷山ァ、「ヒュドラ」を作ったのがレイリス大だってのはまだ不確定情報だぜ。
中立≠謳うジャーナリスト様が悪を断定しちまっていいのか?
まぁ、オマエに楽しませる気があろうが無かろうが、オマエの存在そのものをオレが楽しませて貰ってるのは事実だからなァ。
オレにも誠意ってのはある。ひひっ、オマエが世間様から誹りを受けないよう、オレが近々それを確定情報にしてやっから安心して待ってな。


【前回の戦いでも見せつけられた、谷山基樹の狂気の中枢――――そこにこの男が興味を持つのはある意味必然だった】
【濁った青が燐光を放つ右目へ吸い寄せられる。その奥にある何かを見定めるように、マリオンはいとも容易く深淵を覗き込む】
【……口ではレイリス大が悪とは限らない、などと言っていても、本心ではマリオンも確信を得ているのだろう】
【この男の中にある誠意≠ニやらが一体どんな何色をしているのかはさておき……マリオンがレイリス大への攻撃をやめる気は一切無いようだ】

【――――励ましているようで冷たく突き放す谷山の言葉に、少年は喚き散らす一歩手前まで感情を高ぶらせたものの】
【「まァ、今後まともに歩けるとは限らんがな」とマリオンが追い打ちを掛けたことでいとも容易く押し黙る。焦燥の中で、彼は後遺症の可能性すら失念していた】
【絶望……まさしく彼の胸中はそれ一色だ。だが幸い、平時なら更に徹底的に打ちのめそうとするであろうマリオンも、今はもっと重要な話に気を取られている――――】


………ひひッ、ははははははははッ……!! 谷山オマエさぁ、友達いねェだろ?
今まで何回正義≠フ連中と肩並べて戦った? そいつらに一切仲間意識は覚えなかったのか?
オマエが何とも思わなくても、そいつらはオマエのことを仲間だと思ったかもしれねェんだぜ?
いくらオマエが中立気取っても、「GIFTと手を組んだ」って事実がある時点で、そいつらはオマエを敵と見做すだろうよ。

悪≠ヘいつ裏切るかわからない。かといって、いつ正義≠ノ背中を刺されるかもわからない。
中立ってのは敵を作らないってことじゃねェ、すべてを敵に回すってことだ。当然わかってんだよなァ――――谷山基樹。


【谷山の理由をすべて聞き終えて、マリオンの狂気が一気に白熱する――――が、谷山の意志が自身の狂気をとうに呑み込んでいることを、彼は自覚していた】
【殊更に煽り立てるような台詞ではあるが、言葉の節々には感心が覗いていることだろう。こんな下衆に誉められても名誉が高まるどころか地に落ちるだけだが、】
【それでも、相当な珍事であることに間違いはない。どのような形であれマリオンが他人を認める≠アとなど、かつてなかったことだ――――】

【――――正義≠フ側に未練はないのか、とマリオンは問う。友達は、仲間は、いなかったのかと】
【正義にも悪にもならないのなら、味方はいない。たった一人で自分の正義に殉じて生きて、そして誰にも看取られず死ぬしかない】
【そんな台詞を、マリオンは吐くが――――彼の胸にはすでに期待≠ニ確信≠ェある。故にこれは、通過儀礼としての最終確認だった】
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/05(火) 23:56:24.75 ID:nmzYNdnvo
>>877

糞ッ、今の状態では満足に赤蜘蛛も出すことが出来んとは…

【刀を軽く振って、立ち上がると彼は体を軽く落とし相手を向く】
【距離を取られては圧倒的に不利である。しかし、だからといってスべきことは1つ】

戰場に有るは唯一つッ!敵を斬り裂くのみッッ!!

【彼は奔る。刀を両手に構えて、正面に来た電撃を裂き、四方八方の雷撃は腕が弾く】
【彼の奔る跡には赤黒い瘴気が尾を引いて、ぐんぐんと迫っていく】
【その様子は阿修羅の如き。いや、顔が1つであることを除けば阿修羅そのものである】
【はたまた、面の顔と、その下の素顔を入れるなら阿修羅とほぼ同義であろうか】

【剣や面の異能を軽減する能力は、それを用いる人間が狂奔にかられて戦場を跋扈する為にある】
【戦場を単純に、そして冷酷にする悪鬼の力であるのは間違いない】

…捨てた流派の技を用いるのは気に入らんが…!――――『秋水』ッッ!!

【目の前から突撃する彼は刀を横に体を捩りながら引き、相手の目の前まで来るとソレを一文字に斬る】
【しかし、それはフェイントでその回転を利用して半回転し、相手の横を半身ですり抜ける】
【回転失わずして、片足を軸にまた回転すると相手の斜め後ろに彼は付け込む】

――――秋水は二度刺す……ッッ!!………止めろっ!赤蜘蛛!!…チィッッ!

【背後をとった彼が刀を振り上げた瞬間、声を上げ、構えを解く】
【彼の背についた4つの腕が拳を固めて殴りかからんとしたところで男は相手から離れる】
【赤い腕が空振りの拳を振り、うぞうぞと所在なくうごめいていた】

ほんの気の揺らぎで意思を離れるとは…糞ッ!危険過ぎる

【男は距離をとったまま、刀を納め、腕も霧状になって四散して消えた】

……本意では無いが、吾は退く。まだ、死するわけにはいかないのだ
…いずれ、また会うだろうか。吾は望まぬが…ならば、戰場で

【面を軽く手で直しながら男は一礼もすることなく踵を返しその場から去って行くことだろう】
【大いに不可解な点があることだろう。だが、戦場に行けば再戦は容易であろうと思われる…】


/眠くなってきましたので落ちてしまう前にこの辺りでシメにさせていただきます
/お付き合いいただいてありがとうございましたー!
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/08/06(水) 00:02:50.44 ID:gAsesgS00
>>881
/失礼しました、以後気を付けます
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/06(水) 00:14:47.33 ID:jmI2as0Bo
>>882
「まだ身体崩壊しないだけマシだマシ。要するに唯の凶悪な麻薬だろ、ヒュドラは?
中毒性で脳を弄くるくらいなら俺の方で多少の対応はできる。まだあっちの方がコントロールしやすいってもんだ。
――あと、俺の鼻は効くんだよ。……てめェが暴くまでもねぇよ。それは俺が暴く。
真実を追うのが俺の仕事だ。GIFTだろうがUTだろうがカノッサだろうがSCARLETだろうが俺の敵は俺の敵だ。
俺は真実を示すだけだ。それが悪かどうかを判断するのは――世論ってもんだろ」

【己の右目を見据えるマリオン。それをじろりと見る、人のそれではないアートマン体の瞳】
【狂気の卵。哲学者の卵が生み出した、悪意と狂気を源泉とする力。そも、谷山の出自自体が、狂気から来たもの】
【だからこそ、狂気や悪意には馴染みやすい。その深淵の奥の意志が、マリオンを除き返していた】
【もはや妄執。信念と言うには存在意義と密接に絡みあいすぎている、もはや谷山基樹という存在と切っても切れない、正義という概念】
【正しさと真実の信奉者は、狂気的な正気を持って、狂気的な悪党を真っ向から見据え返す】

【足元で喚く少年。それに対して、左腕を振るう】
【ノイズの燐光が降り注ぐ。それは、次第に少年の意識を刈り取り、痛覚を麻痺させて。穏やかな眠りをもたらすことだろう】
【マリオンがどうでも良いと判断するならば、谷山はこの少年をUTかSCARLETに引き渡すつもりだった】

「俺は連中にいっつも言ってたぜ? 同じ方向を向いている限り≠ヘ味方≠セってな。
だけどよ、俺は一回も。あいつらを友達≠ニか仲間≠ニか言ったことは無いんだ。……連中が、どう思っていたとしてもだ。
連中の正義と俺の正義は違う。そして、お前らの正義も俺の正義とは違う。俺の正義は、俺だけのものだ。
――全てが敵? 知るかよ。だったら全部敵に回しても生き延びるだけだ、認めさせるだけだ。
俺は正義の味方≠セ。そして、俺が味方≠キるのは俺の正義≠セ。――俺の仲間は、俺の味方は。俺だけでいい」

【谷山は、狂っていることを自覚している人間だ。狂気に、長く触れ続けてきた。悪意にも同じように】
【だが、その中でも正気を失わず、善意を砕かれなかった。結果として、正気と狂気、善意と悪意が同じ分量存在する事となった】
【両極端が両方あるからこその、中立、ニュートラル。危うい天秤の上にあるその中立的意志は、何時狂気や悪意の側に転がるか分からないもの】
【そして、その危ういバランスの上で――谷山は己の正義を誇らしげに掲げる。迷いなく、淀みなく】
【誰に後ろ指をさされようと。狂っていると言われようと。誰が敵になろうとも。こう言えるのだ】

「――俺が正義≠セ。だから文句は言わせねぇ。
俺をGIFTに入れろ。――――マリオン」

【相手の確認に対して。谷山は一歩踏み込み、その確認に確定を返す】
【誇らしげに正義を掲げながら、谷山は悪意の沼に、その一歩を沈み込ませる選択をした】
【敵を作ることに恐れはない。味方を失うことに恐れはない。恐れるのは、己の正しさに背を向けることだけ】
【だからこそ、正しさに突き動かされた。己の意志を絶対の基準とした上での、この蛮行を。ためらわずに、選択したのだ】
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/06(水) 00:17:02.82 ID:Y1AknXKu0
>>880

【――脳震盪を起こしたのは、少年の方だった。力比べであれば相応の闘いが出来たのかも知れないが、】
【手首を掴まれるとなれば、話は別……ならばとサマーソルトを仕掛けようとするが、】
【そもそもアッパーを護られるという事自体が予想だにしなかった事。反応が少し遅れ……、】
【結果的には、少年がその体勢を作ろうとしていた頃には、彼の殴打が接近し――、】

【……吹っ飛んだ。上半身を見れば分かる通り筋肉質な身体をしているとは言え、少年は少年。】
【通常の威力ともなれば、尚更。壁が無ければどこまでも飛んで行くのではないかという位――、】
【薄汚れた壁に頭を激突し、そのままズルズルと落ちる。呼吸はあるが、顔は俯いたまま、】
【――暫くそうなのだから、勝負は決した様に見えた。……がしかし、不意に少年の額から、血が零れ……、】


……なん、や今の……めっちゃ強、い………めっ、ちゃ強いやん……どうやっ、たん?……能力?
んー、相性悪いみた、いやな、……やっぱコ、レ使お……ホンマは手、と足だけで、決着付けた、かったんやけど………

【ヨロヨロと身体の軸を保てず、息を詰まらせながら、……しかし少年は立ち上がる。首を2回、ポキ、ポキと言わせて。】
【打ち付けた壁は、丁度先ほど捨てた銃の位置に極めて近かった。当然、そこまで予測していたという訳では無いが……、】
【その辺りの運も含めて、或いはこの異常なタフネスを考慮すれば、この少年は間違いなく「狂人」。そう表現するしか無い。】

【その狂人は、彼の脳天に銃口を傾け、再びニイッと笑ってみせる。自分は今までハンデ戦をしていたのだ……なんて、戯言。】
【とは言え、軽い脳震盪を起こしてロクに頭も働かなければ、現状を打開し得る良い案なんて思い付くはずもなく……、】

【少年はダンッ、と地面を蹴り上げれば接近――速度は落ちたが、それでも未だその辺のアスリートよりも速い――、】
【跳躍し、先ずは脳天目掛けて一発。同時、軸を回転させ首を狙って蹴る――着地すればそのままボディで腹を殴り、ゼロ距離に近い状態でもう一つ発砲。】
【どれも、先程に比べれば目に見えて遅いし、弱い。回避は容易だ。しかし、今度は手だけではなく足にも金属化が施され、威力のカバーが成されており、】
【かつこの、トリガーを引くだけで出来る攻撃と言うのが、彼の一連の流れを、複雑化させている――のだ。】

【全て終われば、少年は再びフラフラとした状態で距離を取ろうとする、】
【銃口は彼に向けたまま保っているが、しかし少年の様子も、もう見れば分かるだろう――結局は、"無理していた"のだと言う事。】
【確かに、このタフネスは異常、狂人と呼ぶに相応しい、相応しいが……彼が結局は無敵でないのと同じように、】
【少年のスタミナも、無尽蔵でないと言う事。爪楊枝の先でチョンと突いてやれば、直ぐにバタッと倒れてしまいそうな――、】
【そんな状態をしているようにも見えた。】

887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/06(水) 00:33:47.36 ID:6di2dURb0
>>883

(無理やり突破してくるなんて……それに速いっ、――人間業じゃない=I!)

【雷撃を振り払いながら、機先を制して一刺しを入れるために突き出したレイピアの『圏域』の外へ回りこむ戦馬】
【これまでとは比べ者にならない、鬼神の如き立ち回りにロザリンドは翻弄される】
【前に踏み込みながら身を翻し、少しでも間合いを握ろうとするも、スピードが段違いだ】
【殺人独楽と化した敵対者を前にして、ロザリンドは半ばやけっぱちに、球状に圧縮された指向性も何もないプラズマ=\―『球電』を左手に握ったが――】


【――幸いにしてか、それが解き放たれることは無かった】


【じっとりと額に脂汗を滲ませた少女の眼前には、遠ざかっていく男の――、二本腕の影だけが残る】
【何かの間違いとしか思えない状況。 いつ前言をかなぐり捨てて襲いかかって来てもいいように、剣の先を見据え続けるが】
【数十秒ほどしてそれが杞憂だとわかると、ロザリンドは傷口を抑えながらその場に膝をついた】

くっ、思ったより堪えてる……これじゃあ情けをかけられたのと同じじゃない。
イクサバ・アリツネ、次は勝ち逃げなんて許さないわよ……今度は、私の名誉に、かけて……。

【事実上の敗北。その事実が、肉の痛み以上に少女のささくれたプライドを苦しめる】
【――次に出会う時は、必ず打ち負かす。彼の剣の犠牲になるかもしれない者のために。そして、何より自分自身のために】
【そんな誓いが、ロザリンドの胸の中では激しく燃え上がっていた。しかし、今は追いすがることすら叶わない――】
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/06(水) 00:41:31.88 ID:gAsesgS00
>>886
【彼のパンチをまともに受け、少年はフラフラと頼りない状態になる】
【それでもなお立ち上がり、銃を拾おうとしている……この異常に異常を重ねた光景に、ついに彼は口を出した方】

「やめろ。貴公はもう立ち上がれる状態では無いはずだ。私はそんな者と戦いたくは無い」

【よろよろとおぼつかない足取りでこちらに銃口を向け、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる少年を哀れみを含んだ眼で見据え、言葉を続ける】

「何と言う戦闘への執念深さ……もはや貴公には、戦闘しか頭にないと言うのか」

【再び構え直す。……来る。後退しつつ防御する姿勢に変わりはないが、銃弾だけはかわすという選択肢はない。脳天めがけた銃撃にかまっている隙に、キックが頭に直撃する。】

「ヌゥッ……グ……」

【クリーンヒットではないにしろ、なんという衝撃。こと能力上、衝撃に慣れていない彼には激しい目眩が襲った】

「チッ!」

【腹へのパンチを朦朧とした意識の中、回避する。しかし、その後の攻撃を見れば━━━━気付けば、銃口がこちらを向いていた】

「!」

【その時には遅い。銃弾は装飾鎧を貫通し、彼の右肩を破壊した】

「ッ……グゥ……」

【右腕がブラリと垂れ下がる。関節をやられてしまった。これで使えるのは、「左手」のみだった】
【しかし彼も負けてはいない。彼の攻撃が終わる。この時彼は、初めて「攻めた」。左手で刺突直剣を抜き、一突き━━━━狙いは少年の、左腕。利き腕を失ってなお、勢い良くその一撃は繰り出された】

「ウラァアアアッ!」
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/06(水) 00:57:39.56 ID:JGwZUUs8o
>>885

【―――― 自らの正義のためならば自らがどう変貌しようと構わない。ただ偏に、正義を遂行するのみ】
【一切の躊躇が感じられないその強烈な意思と、そこに付随する悪意と狂気を、マリオンは敏感に感じ取っていた。恐らくは、この世の誰よりも】
【マリオンは谷山基樹という、仇敵とも同類ともつかない存在に完全に興味を持っていかれたようだ。最早ザコ≠ネど眼中に無い】
【成すすべもなく気絶させられた少年を一顧だにせず、ただ――――嗤う。卵もヒュドラも投与せず、しかしそれに匹敵する狂気を、己の内側から沸き立たせて】


ッ、ハ――――いいぜ。今更すぎる台詞だが、オレはオマエが気に入った。
ようこそ、正義狂いのキチガイ野郎。今からオマエはGIFTの同志で、オレの味方で、オレの敵だ。


【その答えが返ってくるとマリオンはわかっていた。それでも一瞬返答が遅れたのは、あるいは谷山基樹の発する意思に、気圧されたからだったのか】
【狂い切った表情からはもう、それを伺い知ることは出来ない。彼は中空に三発発砲するなり銃を下ろし、谷山をこちら≠ヨ迎え入れるのだろう】
【……その小さな銃声が何らかの合図だったのか。上にいる二人が戸惑いながらも命令に従い、どこぞへと撤退していく】


だがオマエを推挙するっつっても、オマエの正義≠ェ連中の正義≠ニ噛み合ってた期間が、ちと長すぎる――――。
いきなりGIFTに入りたいなんて宣っても、いくらオレの紹介があろうが無理だろう。
オマエが刺客差し向けられておっ死ぬのは別に構わんが、それでオレの信頼が失われるのも困るしな。

――――っつーわけで、オマエにはとりあえず、オレの『外部協力者』っつー立場をくれてやる。
ソイツを受け取れ。ひひっ、仮とはいえGIFTメンバーとして、オレがオマエにお誂え向きな仕事を回してやるよ。


【とはいえ、谷山基樹というフリージャーナリストの正義≠ニしての実績は、GIFTのみならずカノッサ機関やその他の組織にも伝わってしまっている】
【喫緊で言えばマリオンの、つまりはGIFTの作戦を妨害したばかりなのだ。いきなりメンバーに入れたいなどと言っても反発されるのは明白】
【……マリオンから二つ、何かが谷山へ向けて放り投げられる。ひとつはごくシンプルなPHSらしきもの、これは連絡手段ということだろう】
【もう一つは――――マリオンの胸に下がっているのと同じ十字架。ただし彼のように金色はしておらず、くすんだ灰色をした鉄十字≠ナあるだろうか】

【それを身に付けた瞬間、谷山は非公式のGIFT構成員……表向き、マリオンの『外部協力者』という仮初の立場を得ることになる】
【以後は定期的に、今渡したPHSへ仕事≠フ斡旋が届くはずだ。もちろん谷山の正義≠考えれば、それを受ける義務など無いのだが】
【――――ただし中には、過激な活動で民間人に危害を加える能力者排斥団体や、その他GIFTの邪魔となる組織の襲撃など、】
【悪≠ェ悪≠間引くという内容のものもある。……というか、マリオンが優先的に「そういう仕事」を選んで嫌がらせのように谷山へ送ってくるはずだ】

【谷山はマリオンに都合よく利用される可能性がある。だがそれでも、自らの正義を貫く自由は保障される。これはそういう契約だ】
【例えば送られてきた仕事≠フ情報を正義側へリークするのも、マリオン以外のGIFT構成員から狙われるリスクを背負えるなら自由だし】
【逆に仕事の内容が自分の正義に合致すると思うのなら、敢えて受けてしまってもいい。何にしてもGIFTとしての視点≠、谷山は得られるはずだ】


ひひひッ、ひゃはははははははははははははははッッ!!! こりゃあマジで面白いことになってきたぜオイ!
                                ・ ・
まさかオレが直接ソイツを渡すような奴が、この世に二人も居るとはなァ!!


【谷山がそれを否定しようが否定しまいが、マリオンは高らかに嗤い声を上げるだろう。心底愉しげで心底狂った、谷山には御馴染みの哄笑】
【この契約はGIFTにとってリスクの大きなものだが――――この狂った男にとって、GIFTという組織への奉仕心はそう大きくないのかも知れず】

【――――谷山以外にも、この鉄十字≠受け取って、マリオンの『外部協力者』となった者がいる】
【興奮しすぎて思わず漏らしたのか、それとも意図的に谷山へ伝えたのか、そんな情報が不意に、彼へと齎されるのだろう】
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/06(水) 01:11:54.94 ID:Y1AknXKu0
>>888

……俺も、………ほ、……ホンマは、嫌な、んや。誰だっ、てそう、やろ、……
せ、やけど、退、けん。……お前が、まだ、そ……そ、の剣を、……そうい、う風に使う、んや、ったら。
痛いのな、んか、いくらで、も耐え、たる……キツ、いのも、いくらで、も耐えたる、わ……

【もう息も絶え絶え。何もしなくても、この少年は勝手に倒れてしまう事だろう。】
【拳はもう使えない――ならば、後彼に訴えかけられる手段はもう、言葉しか残されていないのだろう。】

【戦闘にしか頭にないと言うのは――当たらずといえども遠からず、だ。】
【この少年は、何もなければ闘いなど好まない。痛く感じる事も辛く感じる事も、大嫌いなのだ。】
【しかし、単純に、眼の前の男がその剣をカノッサの為に振り続けるというのなら――少年は、決して退かない。】
【意識がある内は、必ず。そんな異常なまでに確固たる信念を持っているこの少年は……最早、狂人の類ではないか。】

【蹴りと銃弾一発……最後の足掻きにしては、十分だろう。ただ、この少年は、単に男を傷つける為に攻撃を仕掛けたのではない、】
【そんな理由なら、……とうの昔に止めている。やはり、結局の所少年の要求は一つ、剣の扱い方を変えるという事――、】
【自分が与えた痛みと共に、"自分の存在"、それが少しでも刻まれたのならそれで良い。……本当に、それで良いのだ。】

【"懇親"の一打を加えたのなら、もう余力は残されていない。少年の腕――硬化の効果が残っていたのか、勢いがあった割には貫通は防がれたが、】
【どちらにせよ有効な一手であった事には変わりない。……しかし少年はそれを、歯を食いしばって耐えるだけ。】


……俺のま、負けや、負け………後銃弾3発、適当、に打って、俺は、終わりや……
………ま……また、お前と、は闘い、たい……今度は、負け、へんか、らな………

【血が噴き出る左腕を抑えながら、ヨロヨロと距離を取って、……それからゆっくりと、銃口を構える。】
【残りは3発……人差し指でトリガーを引く位しか、もう出来ないのだろう。】
【――本当に適当だった。バン、バン、バン、とリズムも乱れた銃声が響けば、ドサッと人の倒れる音。】

【小さな拳銃だが、僅かに反動は有る――それに負けて、倒れたのだ。もう意識は、吹っ飛んでしまったという事。】
【完全な敗北だ、……しかしながら少年の表情は、何故か満足そう。独りよがりの"やりきった"、なのだろうが――、】
【最後まで狂人だった。やがて小雨でも降り出して、少年の血液が滲んで流れる。艶やかな黒髪も、すっかり濡れてしまった――。】

891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/06(水) 01:16:58.31 ID:jmI2as0Bo
>>889
「てめェに気に入られてもまっっったく、嬉しくねえよ。これがまだ美人のねーちゃんとかなら考えたところだがな。
……ま、よろしく。ゲスでクズな小物野郎。同士でも仲間でもないが、暫くは味方だ。利害が一致する限りはな」

【マリオンの同意。もはや、互いに互いがそうするという事が分かっていた結果の予定調和のようなそのやりとり】
【軽口を叩き。谷山基樹は、しばしの間――GIFTの味方≠ニなる事を、宣言した】
【祝砲が空にむかって放たれて、待機していた二人が消えていく。そして、僅かに息を浅く吐く、緊張が緩む。警戒は緩まないが】

「まァな。てめェとも、ダブルともやり合ってるし、他にも幾つか妨害かましてるし。
そりゃ、俺がGIFTのお偉いさんなら、何言ってんだこいつ、頭おかしいんじゃねーのって思うこと間違いなしだしな。
『外部協力者』。――良いねェ、悪くない。逆にこういうほうが、俺らしい≠チてもんだろ」

【マリオンの語ることは、よく分かる。己であっても、GIFTの正式メンバーに即座に入れるとは思っていない】
【ただ、それでも。こうして外部協力者としてでも、GIFTとの繋がりを作ることが出来たのならば、それで目的はある程度達成できていた】
【左腕が伸びる。鉄十字がは、吸い込まれるようにその手のひらに収まって。手にぶつかった衝撃で、ポリゴンとノイズが、僅かに飛び散った】
【そして、同じく左手を動かし、PHSも手の中に。そして、ノイズが一瞬纏わりつく。それによって、発信機などがあれば、即座に無効化されたことだろう】
【信用も信頼もしていない。だからこそ、目の前の男から渡されるものに、何一つ油断をすることは、できなかった】

【皮肉げに笑う。どこにも己の居場所はない事を、改めて確認することが出来たというように】
【どこにも永住できない、どこにも属せない。それは、フリー≠ナある限り自由≠ナある限り代償としてつきまとうもの】
【だから、それでいい。手に握る、『外部協力者』の証を己のベルトポーチに滑り込ませた】

【恐らく谷山は仕事を受けるだろう。そして、それを正義へリークすることもあるだろう】
【谷山は中立だ。GIFTの味方をしながら、GIFTの敵をするくらいの事を、躊躇う理由はない。躊躇う必要はない】
【それは、他の組織に対しても同じこと。仲間に見えても、それは単純に同じ方向を向いている結果、そう見えているだけで】
【どこにいても、なにをしていても。この男が、『組織の一員』になることは恐らく無い。どこまで行っても、孤独な孤軍奮闘を続けるだけだ】

「――二人、か。聞いていいか? 一人目≠ノついてよォ。
……あとうるせェ。てめェの声は耳障りなんだよ。一回笑えなくしてやろォか。あァ?」

【マリオンの高笑いに目を細めつつ。一人目が居るという情報を不意に受け取り】
【当然、その言葉を追求しないはずがない。未知を暴くことこそが、この青年の狂気と歪みの源泉といえる要素の一つなのだから】
【目を眇め、ノイズを僅かに散らし。相手の言動だけではなく、目線や体臭、瞬きの感覚などから少しでも、情報を得ようとする】
【人と接する中で作り上げた、微細なデータから統計を組み上げる、異能の使い道。戦いには直接役立つものではない】
【だが、戦うものではない谷山にとっては、こういう使い方こそが、異能の最もふさわしい使い道であると言えたろう】
【相手からこれから漏らされる情報は、僅かにでも聞き逃すことはない。一言であろうと、吐息一つであろうと。取りこぼすことは、決して無い】
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/06(水) 01:38:28.32 ID:gAsesgS00
>>890
「……貴公に一つ教えてやる」

【息も絶え絶えな彼の言葉から何を感じ取ったのか、言葉を紡ぐ】
【その眼は今までと変わらず空虚で感情なく、ただジッと少年を見つめていた】

「争いとはくだらない意見の食い違いだ。善など悪など、所詮ひとつの主張に過ぎぬ……」
「それを正当化し、善だとかまけて他人を殺そうとするのは……それはもはや立派な「悪」……真の「闇」ではないか」

【飛んでくる蹴りと銃弾を、左手で防ぐ。右肩から血が吹き出た。それをマントで隠し、止血する。赤黒いマントは、地の色と恐ろしいほどに同化していて】

「……闇の善がある限り、私は悪で居続けよう」

【放たれた三発の銃弾は、ただ立っている彼の横をすり抜けていく。少年はそのまま、反動で倒れてしまった】
【既に倒れた彼から、背を向ける。それは少年の思うところとは、悲しいかな「真逆」……】
【小雨に打たれながら、彼は最後に振り返り、意識の無いであろう少年へと声をかける】

「その狂気じみた執念……どうせ何も言わずとも来るのだろう?……私は貴公の挑戦を待とう……さらばだ」

【赤黒いマントを雨に濡らし、歩き出す。すっかり遅くなってしまった】
【風に吹かれて、マントがはためく。その内側では、象徴的なカノッサの五芒星が大きく刻まれていた。まるで彼の生き様を表すかのように】


/ここらで終了ですね。二日間の長い間、遅くまでお疲れ様でした!
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/06(水) 02:00:26.64 ID:JGwZUUs8o
>>891


ひひっ、こちらこそよろしくなァ、谷山クゥン。せいぜいオレの為に骨の髄まで利用されてくれや。
……ックク、確かにオマエのパーソナリティじゃオンナも出来ねえわな。なんならソッチも斡旋してやろうか、えェ?


【マリオンは安らいだ顔で笑った。……この男の安らいだ顔などそうそう見られるものではない。だが見て嬉しいものでは絶対にない。多分わざとやっている】
【それに安らいだといっても、それが心を許したわけではないのは最早言うまでもなく。最初からお互い、利用し利用されあう関係。それ以上でも以下でもない】
【大抵の相手なら神経を逆撫でされる下卑た台詞も、谷山相手では世間話のように響く。狂気と狂気が相殺し合って、逆に普通のように見えるから不思議だ】

【谷山の能力でPHSと鉄十字が収納されていく光景を、そして谷山が一定以上の警戒を持ち続けている事実を、マリオンはむしろ満足げに見届けるだろう】
【意外にも発信機等の余計な器具は検出されないはずだ。本人の弁の通り、この男にも誠意はある――――と思うかどうかは谷山次第である】


オイオイ、そう怒るなよ谷山クゥン。さっきからオレを笑わせてんのはオマエだぜ? オマエの顔が面白いのが悪ィんだよ。
あんまり言うと傷ついちゃうぜオレ? アイツに関する情報も教えてやんねェぞ?

……まぁ、アイツとの契約内容のひとつに「自分の正体を誰にも告げない」ってのがあっから、どのみち詳しいことは言えねェが。
ククッ、他ならぬオレとオマエの仲だ。ヒントぐらいはくれてやるよ。そうだな………。


【自らの台詞に谷山が乗ってきたことを見計らって、マリオンは笑顔の種類を変えた。――――谷山には見慣れた、口の裂けるような狂笑】
【目の前の男に嫌がらせをするのが生き甲斐であるかのように、腹立たしい挙措でおどけてみせる一幕もあったけれども……】
【それに谷山が激怒しようがそうでなかろうがお構い無しに、マリオンは情報を話し始めるだろう。元々この事は谷山に伝える気だったようだ】

【……流石に相手もGIFTのエージェントだ、殆どが狂気の内に覆い隠されていて、異能をもってしても完璧に意図を読み取ることはできないだろうが、】
【少なくともマリオンの言葉に嘘が無いこと。そしてマリオンが、言外にコレを伝えるのが面白くて堪らないと思っているのが、伝わってくるだろうか】


――――そいつはオマエとよく似てる。
そいつがオレの協力者になったのは、オマエと同じような理由だ。正義にも悪にもならない、自分の目的のためだ。

――――そいつは中立≠セ。それもオマエ並に性質の悪い中立だ。
自分の目的の為ならSCARLETだろうがカノッサ機関だろうが神サマだろうが見境なしに利用して、邪魔だと判断すれば潰す。そういう奴だ。

――――そいつの役割は、情報提供だ。
コッチから情報を融通する代わりに、ヤツの立ち位置≠利用して各方面の情報を集めてもらってる。いわば『情報屋』だな。

――――最後にそいつは、『レイリスフィード』の関係者だ。
オレの方でも、アイツがどれぐらいの情報を持ってるのかは把握しきれねェが……。
ククッ……アイツは案外、一連の事件の中心≠ノ一番近い場所にいるのかもしれねェぜ?





894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/08/06(水) 02:01:10.26 ID:Y1AknXKu0
>>892

…………、………。

【呼吸するのが精一杯、倒れた人間は何も語らない。彼が放った言葉も、解釈し飲み込まれる事はない。】
【少年の血液が混じった雨と一緒になって溶けて、排水溝へ流れ結局は何処かに行ってしまうのだろう。】

【しかし彼は確かに、少年の言葉に反応した。恐らくそれは、その辺のチンピラが言うバカげた話ではなく、】
【……もっと他の、何か。思慮の内に含めても良い、再考すべき、そんな一理が僅かにあったと捉えたからの筈で――、】

【その狂気じみた執念が行き着く先は、案外単純だ。仲間を増やす……丸で幼稚な、小学生が考えそうな事。】
【少年だから、若気の至りでこういう事が出来るのだろうと考えるのも、まあそれはそれで良いのかも知れない、】

【―――だが、確実にターゲットは絞られてしまったのだ。執念を用いて、この少年は必ず立ち上がり、】
【そして再び、文字通りの鉄拳を食らわせる事になる筈だ……ならば、再び二人が邂逅するのも、そう遠くない日の事かも知れない。】


/二日間お疲れ様でした!またお願いします〜!

895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/06(水) 02:13:08.52 ID:jmI2as0Bo
>>893
/*すいません、眠すぎて頭回らなくなってきたので今晩に持ち越ししてもよろしいでしょうか?*/
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/08/06(水) 02:16:38.76 ID:JGwZUUs8o
>>895
/了解しました、明日はちょうど一日空いてる(はず)なのでいつでもお返しできるかと!
/ひとまずお疲れ様でした、お休みなさいませ〜!
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/08/06(水) 08:22:23.87 ID:HMGCYaKh0
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898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/06(水) 15:36:46.87 ID:fOQtrPJxo
【路地裏】


 これで、三人目かぁ……
 噂は流れてるみたいだけどさぁ、だぁれもあいつ自体を見たわけじゃないのよねぇ……


 【フード付きのパーカーを着た、緑色の髪のショートヘアーの女がいた】
 【彼女自身は、このような、犯罪者や、悪人が集まりやすい場所にいるような人間に見えない】
 【彼女の両手が赤く染まっていなければ……の話だが】


 私の情報が流れないように、念入りにこの世界からあなたの命を消してあげる。


 【女は満面の笑みを浮かべながら、男の死体に向かって緑色の液体を右手から放つ】
 【グツグツと煮立った液体のように遺体は溶けて消えてゆく】


 あいつを消せたら、私の目的は達成できるの
 だから、あいつを知ってる奴を探してどこにいるか聞き出さないとねぇ……


 【女は強力な殺気を出しながら笑う】
 【もはやそれは、人間の物ではなく、化け物のそれであった】


 【どうやら、彼女は人を探しているようだ……】
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 20:11:59.04 ID:HRAe3WAno
【路地裏】


【――狭い道を一人の少女が歩いていた】
【パールブルーの長髪に同色の瞳、腰の大きな青色のリボンが特徴の、青みがかった白いワンピースを身に纏い】
【動きやすそうなサンダルと小さなひまわりの飾りがアクセントの麦わら帽を着用した、】
【そんな――温厚そうな顔つきの少女だ】

【路地裏と言えば危険地帯。誰もがそう連想する場所だが、彼女は単身で歩を進めている】
【手には懐中電灯があった。時折それで廃屋を覗き込んだり、物音にびくっとしてみたり】
【そんな風にしている所を見れば、単に近道などで踏み込んだわけでは無さそうである】
【ならば、何故なのか。それはきっとまだ、彼女しか知りえないこと】


【彼女は来た道と、目の前の三方向をさっと懐中電灯で照らすだろう】
【そこに何かが居るとするならば、果たして何を照らすことになるのだろうか】





【所変わって、また別の路地裏】


【夏――ただでさえ暑いのに陰鬱な空気の路地裏は酷くじめじめしていた】
【場所によってはその辺に捨て置かれたゴミが腐り悪臭を放ってもいる】
【できることならば、近づきたくはない場所だろう】


……40……41……


【だが、そこにはひとつの影があった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた、そんな――暗い顔の少年だ】

【10代半ばに見える彼が行っているのは、いわゆる筋トレというやつだった】
【ごくごく普通の腕立て伏せ。顔は汗でびっしょりになっていて】


……45……っ、よんじゅう――

――はぁっ、はぁ……あー、もうこれくらいでいいや。暑いし


【中途半端な回数だが、そこで限界が来たらしく地面に寝転がってしまう】
【大きく呼吸を繰り返す本人は、気にしている様子はないが――汚い】
【もしこの場所に誰かが来るとすれば、少年はどのように映るのだろうか】
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/08/06(水) 20:24:11.29 ID:jmI2as0Bo
>>893
「っは。構わねェよ。テメェが俺を利用するなら、俺もテメェを利用するだけだろォがよ。
ハ。俺が女どうこうでなびくタイプじゃねーのは分かるだろォが。……あ、不能じゃねーぞ?」

【相手の安らいだ顔が、心の底から不愉快に感じられた。やはり、根底では敵であるのだ】
【同類だからこそなのだろう。だからこそ、決して相容れない。それは、互いに恐らく感じているだろうことだ】
【それでも、このように手を組むことが出来るのは、互いの持ちうる狡猾さ、計算高さから来るものだろう】
【相容れないものであっても、利用するという前提のもとに手を組むことが出来る。それが、青年で。恐らく、男だった】

(――何を仕込んでくるかは分からねぇな。
……ま、このぶっつけで仕込んできたらヤバかったけど、何もなくて良かったってしとくか。)

【己の受け取った鉄十字とPHSに仕込みがないことを確認】
【その上で、安心は出来ないと未だに警戒を続けている。信頼も信用も、していない】
【これは、ある意味では相手が決して信頼も信用も出来ない人間であるという、信頼と信用をしていることと同義なのだろう】
【必ず何かをしてくると、そう思っているのだから。信頼出来ないという信頼を、青年は男に抱いていた】

「――――はァ。なるほどねェ。……正体以外はべらべらと喋ってくれてありがとよォ。
……役立たせてもらうさ。てめェの提示した情報を、なァ。
――――さて。俺ァコイツを持ってかせてもらう。じゃ、仕事の斡旋はPHSへ。――仕事以外の話は情報提供以外聞く気ねーから」

【マリオンから提示された、恐らく話せる限りの情報。そして、それに嘘がないことを理解】
【レイリスフィードに関して、もう少し掘り下げる必要があるだろうと、谷山は理解した】
【足元の少年を抱え上げて、肩に担ぎ上げる。華奢な肉体が、軋みを上げた。肉体のバランスを取って、負荷を最小限に抑えこむ】

「じゃーな、マリオン・リヴァーズ。暫くは味方だ」

【そう言い残すと、青年は振り返ること無く歩み去っていく】
【だが、二度と会わないわけではないだろう。――なにせ、これから先、この青年はGIFTの協力者≠ニなるのだから――】

/*明日から予定があるので、ここらへんで! お疲れ様でした!*/
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 20:27:30.69 ID:HRAe3WAno
>>899
/上の方描写が抜けていました…
/懐中電灯の他に、スケッチブック≠ニショルダーバッグを持っていますです
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 20:42:09.46 ID:D8V02w9eo
>>899

【──、正面を照らした一瞬、彼女の眼には『人影』が映るだろう】
【長身。 シルエットだけを見るのなら、男性≠ニ分かるか】
【『彼』は向かって右を向いていた身体を彼女の方向に向けると、大げさに手を広げ──】


……おや、可愛らしいレディ。こんな時間に出歩いてはいけないな。
キミを狙う獣≠ヘ、キミのデッド・スポットで牙を研いでいるものさ。


【もし、光を当てたなら──その姿が浮かび上がる】

【舞台衣装染みた『石灰色』のナポレオンジャケットと、同色のスラックス。シャツドレスには千紫万紅が踊る】
【清げな面立ちに薔薇色の唇。 ──服装と相俟って、役者にでも間違われそうな、耽美的な雰囲気が感じられた】
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 20:56:47.84 ID:HRAe3WAno
>>902


……!


【光が、何かを映し出した。視界に入った存在に、彼女は一瞬ぎょっとするのだろう】
【そして自分が今目にしているものをまじまじを見つめる】
【……役者、あるいは劇団員のような恰好だ。ひどくこの場所にそぐわない】

【こういう人はほとんどの場合、特殊な思考を持っていることが多い】
【それを意識してか、警戒を滲ませた表情のまま彼女は、スケッチブック≠めくり】


『返す言葉も無いです…。けど、ちょっと探しもの(?)をしているだけですから。
 もう少しすれば帰りますよ。だから大丈夫です。

 …あなたがその「獣」でなければの話ですけどねっ。』


【ほんの数秒ほど続いた行為は文章を書く≠アと】
【そして書いたものをそちらへと向けるのだから――意図を察することができるかもしれない】
【つまり彼女は声を出せないようだった。夜だが特殊なペンにより文字自体が発光するため、読めない、ということはないだろう】
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 21:10:48.25 ID:D8V02w9eo
>>903

【何も話さず、何やらごそごそとスケッチブックを捲る彼女】
【──少し怪訝な顔をしたが、書き始めたところですぐに、『察した』様だ】


なるほど、話せないのか。…、…あぁ、警戒させてしまったかな?
心配せずとも、僕はヒト≠セ。 蒙昧たる獣ではないさ。
尤も、この時勢。 『一般人も獣に見える』と言うのならそれも、致し方ないことだろう。
クアデロン・ルティアーニ≠ェ著書、『社会の到達点』、357ページで述べている通りだ。


【よく話す。 彼が挙げた名前は、学者か誰かが書いた本の名前だろうか】
【鼻にかかった声と、話すたびに大袈裟な身振り手振り。 ──見た目と相まって、確かに怪しい】
【が、彼の言を信じるのならば『悪者』では無いようで── 】


……ところで。


探しもの≠ニ云うのは、どの様なものかな?
僕に手伝える類の物なら、手を貸そうじゃないか。 なに、遠慮はしなくてもいいよ、レディ?


【別世界風に言うなら、英語圏のネイティブがするような発音で言葉を切ると、足を彼女の方へと進める】
【五歩先程まで接近すれば──形の良い唇を上げて、右手を胸に当て、礼をした】
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/06(水) 21:16:51.73 ID:JGwZUUs8o
>>900

【谷山の心底不愉快そうな悪態を、マリオンは潮風でも浴びるように気分良さげに受け取りつつ、腹の内では別の計算を巡らせている】
【――――コイツは良くも悪くもトチ狂った劇薬≠セと。使い方を誤れば危険極まりないが、うまく使えば存分に状況をかき回すことが出来る】
【自らが毒に犯されるリスクをあっさりと背負い込める歪んだ精神。それはマリオンだけではなく、谷山にもあるモノの筈だ】


おうおう、わかってんじゃねェか。
せいぜいその警戒心を忘れないこった――――オレとしても、簡単に潰れられちゃあ退屈なんでな。
ピエロは最後まで滑稽に踊るのが仕事だ、勝手に退場すんじゃねェぞ。


【マリオンとしては、その劇薬をここで暴発させる気は無かったのだろう。だからこそ敢えて何も仕掛けず、この場限りとはいえ信頼≠勝ち取る事を選んだ】
【この男は、利用できる。将来がどうなるかはこれから詰めていくとして、盤面をかき乱す暴れ駒として少なくともしばらくは使いようがある】
【谷山がチャチな釣り餌に騙された間抜けな小魚だろうと、敢えて釣られて捕食者の喉元に喰らいつこうとする殺人魚だろうと、ここで逃す手はない――――】


あぁ、せっかくタダで情報くれてやったんだ、期待に応えて面白おかしく引っかき回してくれよ?
……そうだ、そのPHS、そっちからも連絡は取れるからよォ。もしオレに頼みごと≠ェあれば気軽に言ってくれや。
情報提供でもなんでも請け負ってやるよ。……たァだし、無料サービスは今回でオシマイだ。ひひっ、貸した分はきっちり返してもらうぜェ?

――――あばよ、谷山基樹。オレの手の上で踊り狂ってる間は手を貸してやるよ。


【わざわざ情報を提供したのもこの男なりの意図あってのことなのだろう。谷山がその意図通りに動く義理はないが、抜け出すのも簡単ではない】
【連絡すれば助けてやる、なんて親しげな言葉の裏に、この男がどんな狡猾な罠を仕込んでいるのかは今のところわからないが】
【――――谷山が少年を担ぎ上げたのを咎めなかったのは、今日限りのサービスのようなもの。この男へに安易に貸し≠作るのは、確実に危険だ】

【狂笑を貼り付けたまますべて言い終わると、マリオンは恣意的に谷山を一睨みして、彼と同じく振り返りもせず路地の奥へ消えていくだろう】
【愉しげな捨て台詞と共に、狂気に満ちた会合は終わる――――濁った青色の奥では既に、混沌とした策謀が組み上がりつつあるのだった】


/お疲れさまでしたー!
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 21:31:08.92 ID:HRAe3WAno
>>904

【納得する彼の言葉にこくりと相槌を打つ。どうやら話せないことで間違いないらしい】
【さて――見るからに怪しい、いや妖しいこの男。妖しくはあるが、どうやら悪党の類ではないようで】
【それを彼女が信じたのかどうかはわからないが、少なくとも突っぱねるような素振りはなく】


『えーと、探し物というか、探し幽霊というか…これを探しているのですが…。』


【ぺらり、男が読み終えたタイミングで彼女はスケッチブックのページをめくるだろう】
【そこには簡単な依頼書が貼り付けられているはずだ。内容は、というと】


【 ※ 調査依頼 ※

 最近目撃情報が多く寄せられている黒い幽霊(もしくは影)のようなものの調査をお願いします。
 目撃情報が最も多い地域は○○のコンビニエンスストアの裏手です。
 なお、この幽霊と接触した人の中には魔術による攻撃を受けたという情報もあります。
 実害は無かったようですが、調査される際は十分に注意してください。

                                                        フルーソ警察 】


【――らしい】
【こんな誰の興味も引かなさそうな調査依頼を引き受けるのだから、彼女もよほどの物好きなのかもしれない】
【依頼書の横には小さく、「ではお願いしてもいいですか」と、そう付け加えられていることだろうか】


【手伝うか、否か。男がどちらを選んだとしても変わらない事象がある】
【視線を落とせば、もしかするとそれに気付く可能性もあるだろう】
【少女のすぐ後ろ、足下に潜む、確かな輪郭を持った、黒い何かの存在を――】
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 21:45:44.23 ID:D8V02w9eo
>>906

【彼女が提示した『調査依頼』に目を通し──軽く右眉を上げる】
【幽霊、が実在するかは定かでないが、おかしなもの≠フ原因はこの世に溢れている】
【さもありなん、と納得し、気障に前髪を掻き上げ──】


ああ、任せたまえ。──、僕自身、その霊≠ノ少し、興味が湧いた。
…、…果たして、霊に『実体』はあるのだろうか。 ──、フフッ。


【──少し、『着眼点』がおかしいのが気になるが、協力をする意思はあるようだ】
【彼女のスケッチブックに合わせて、少し落としていた腰を上げると ──】


さて。


 其処に居るのは ── 、  一体何処の悪戯っ子だ ?


【笑みを浮かべたまま、彼女の右肩に左手を掛け──自分の方へと、引き寄せようとする】
【彼女がそれに従わなくとも、重要なのは『攻撃』。 ポケットから右手でメス≠取り出すと】
【黒い『何か』をけん制するように、その脇、直撃しないように、地面に投げつける】
908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/08/06(水) 22:04:06.28 ID:M4/n908To

暑さに耐えられそうもないゾウ

【くるくるとした黒い天然パーマに、色白の肌。】
【赤いフードつきトレーナーに、茶色のハーフパンツ。】
【年相応──否、それよりも背の低い青年である。】

【人気の少ない公園で、夜空を見上げている。】
【──無造作に、手に持つ空き缶を公園の外──街灯に照らされた道路へ放った。】
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 22:17:45.50 ID:HRAe3WAno
>>907

【これは偏見だが――勉学に秀でた人ほど幽霊などの非科学的な存在を信じていないイメージがあった】
【だから一笑に付してそれで終わりかと思ったのだが、意外にも興味を湧かせたらしい】
【少しずれた着眼点に、彼女は言葉を返そうとして――】

【そこで不意を突かれたような表情になるのだろう。バランスを崩しそうになりながらも、少女は前へ】
【入れ替わるように、投擲されたメスが彼女の足元の何か≠ヨと向かってゆく】
【カッ、とメスが地面に突き立つと同時にそれは廃屋へと駆け出してゆく】

【闇に紛れて視認し辛いが、大きさはざっと大人の靴程度だろうか。細長いしっぽも、確認できるかもしれない】
【相当に素早いこともわかるはずだ。特に何もなければ、それは崩れた壁の穴を通り廃屋の中へと逃げてゆく】


『今のが幽霊でしょうか。何だか思っていたよりも小さ


【彼女が紡いでゆく文字を、至近距離の今ならば追えるだろう。しかしそれは途中で途切れることとなる】
【代わりに伸ばされるのは彼女の指だ。それは正しく、男の背後に向けられていることだろう】
【振り返ったならそこには――煙を集めて固めたような影が、立っているはずだ】

【今度の存在も、また黒い。しかし異なるのはその大きさだ】
【長身である男よりも、その影はなお高い。そして覆いかぶさるようにして佇んでいるのだ】
【言ってしまえばそれだけなのだが、にたりと笑みを浮かべる様は酷く不気味かもしれず――】
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 22:37:55.87 ID:D8V02w9eo
>>909


…、…コンビニの裏手=@── 、そして、今の『リトル・シャドウ』。
成程。 フフぅー、……案外、幽霊≠ナはないのかも知れない、『スケッチブック・レデ── 、ん。

【 ──男の瞳は、廃屋へ逃げてゆく『何か』を見逃さなかった】
【少女の文字は、彼の認識を追認する。 『逃げた』ということは、『意思』がある】
【コンビニの裏手にも、意思≠持って出現していた、と言う事だ】
【彼が考えたのは、案外、『残飯狙いの生物』 、か ──と 】


 …… 何だ。 見る限り、『実体』が無いじゃあないか。


【──少女の指差す方向を振り向けば、其処には煙の巨体=z
【笑みを浮かべるそれに、彼はがっかりしたような表情を浮かべると、ジャケットに手を掛け──】


……レディ、キミは廃屋の『影』を追いたまえ!
解が僕の『ニューロン』の導き出した通りなら、そちらが本命=I


──、 端役は、僕で十分ッ!!


【不気味さ、と言えば負けていない言動と表情と共に──ジャケットを、巨体の顔に投げつける】
【顔面まで届くことはないかもしれないが、彼の姿≠ェ『巨体の視界』から暫し、消えるだろう】
【と、同時に男は身を低くして、巨体の足元≠ヨ。 そのまま脇を転がり、『後方』を取ろうとする】

【尤も──、巨体に視覚≠フ概念がなければ、無駄な真似だ。 彼の動きは筒抜け、飛んで火に入る夏の虫、か】
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/06(水) 22:39:16.66 ID:bQxfHTxz0
【――郊外にある森、その中にある大きな泉の、その畔】
【蜜柑の房のようにぽってりとした半月が空から照らす、そよぐ風にさざめく水面は、きらきらと宝石のように煌いて】
【どこかで聞こえてくるのはふくろうの声、それと、獣が吠える声が――まるで別世界からの音のよう、微かに聞こえ】

…………ん、ぅ、――。

【ごく普遍的に自然な森。そんな誰もが想像するよな景色は、ただ、数十分ほど前に壊れていた。というよりも、壊されていた】
【なぜなら、そこには魔力由来の煌きが暴力的なほどに踊っていて、縦横無尽にあれじゃない、これじゃない、かたちを作らされて】
【心得のある者が見れば魔術の練習だとも気付けるだろうが、そうでなければ――何をしているのかも分からないような、光景で】

【――桜色の絵の具と紫色の絵の具をぐちゃらと混ぜたような色合い、それが彼女の持つ魔力の色、そして今宵森を照らす色】
【水と、風と。異なる属性を宿して踊る煌きは、遠くからでも窺えて――獣は逃げる変わりに、人はおびき寄せるのかも】

【ふわっと魔力が躍らせた風に髪が踊る、艶やかに純粋な黒色は、ただこの場では桜色と紫色に蹂躙されるよう、照らされて】
【黒色と赤色の丸い眼にもその色が映り込む。耳元に飾られた片方だけのピアスは、――それらには染まらない、月白色で】
【胸元に提げた桜をモチーフにした首飾り、ひるりと翻るワンピースの裾は、レースとスパンコールの色合いで飾られて】
【胸と腰とを大きなリボンで飾ったデザイン、しっとりと黒色に沈む布地が、その真っ白な肌をよく映えさせ】
【ころんっとしたショートブーツの足元がほんの少しだけ湿った地面に跡を付ける、歩いてきた跡、佇む跡、たくさんの足跡を】

はっ……、

【――そんな光景がふと壊れたのはいつ頃だったか。音を上げるように切羽詰った吐息が一つ鳴いて、そうなれば、】
【瞬くような早さで組み立てられたモノが壊れていく、崩壊してはきらりきらりと舞い上がる魔力の欠片は、まるで冬の細雪のような】

【地面に降り積もっては消えていく魔力の煌き、その中で荒く息をする少女の姿は。――誰かが来れば、きっと、すぐに見つかるのだった】
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 23:01:25.00 ID:HRAe3WAno
>>910

【投げつけられたジャケット。巨体に実体が無ければその存在をかき消してしまうのだろうが――】
【ジャケットは地面に落ちなかった=Bつまり、巨体にかぶさったのである】
【しかし巨体は置物のようにぴくりとも動こうとしない。簡単に背後へと回れるだろう】

【――男が巨体に対し何らかの行動を起こそうとした瞬間に、ようやく巨体は動き始める】
【反応が鈍すぎることこの上ない。動きはしっかりと目で追えるはずだ】

【影の下部が広がり、巨体の身長が縮む。人間でいうところのキックだろうか】
【突くように四方に伸びたそれは狙いがめちゃくちゃだが、運が悪ければ当たってしまうかもしれない】
【実体はあるが、直撃してもそこまで痛くはないだろう。この巨体は相当に弱い】



【少女はといえば、男の指示通り小さな影を追って廃屋へと入ってゆく】
【しばらくすれば廃屋の窓や開いたドアの向こうから蒼い光が見えるかもしれないが――】
【声無き彼女の行動は、ほとんどわからない。入って確かめるしかないだろう】
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 23:08:06.19 ID:HRAe3WAno
>>912
/すみません追記です
/下三行のどこかに、【それきり何の動きも感じられなくなるだろう】
/を補完してください…
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/08/06(水) 23:09:03.19 ID:QTXn98AFo
>>911
【ぞわりとした感覚が背筋を撫でた】
【逃げなければならない、しかし見に行かなければならない】
【野生の本能と理性、その二つの矛盾する思いが足を石膏像のようにした】

 ……

【ついさっきすれ違った熊は酷く怯えていた、蛇はひたすらに自らの巣穴へとその鎌首をするりと差し込んだ】
【しかし、だからと言ってこれを見逃せるわけでもない】
【一応正義組織に属するモノとして、危険というものへ対処するのもまた仕事】

 ……

【ついてない、そう思いながら安っぽい油の匂いを漂わせるカンテラ、カランカチャンと鳴らしつつ、歩みを進める】
【あちらの方向は湖畔だったか、自然的でまた人間の感性に照らし合わせれば美しいともいわれる光景が待っているものだと、その影は思っていた】

【先ほどまで、木々にまぎれかすかに見えていた不思議な色合いの光はもう洩れてはいない】
【そしてその中、荒い息を吐く少女】
【先ほどの光は魔法か、ならばカノッサなどがこの地にある何かを狙って送り込んできたのか】
【そう思考するも、すぐに途切れた、足元を見やれば足跡、これをわざわざ残すようなものを単独で送り込むだろうか】

【全ては憶測、確かめるしかあるまいとガサリと音を鳴らし茂みから出てくる影】

 ……そこの童女、何をしている?

【若くも、年老いてもいないような声、その声は少女に問いかけるもの】
【月に照らされた姿は深く深く深緑色のローブを着込んでいて】
【袖も裾もずいぶん余っているらしく、袖の先はぶらぶらと揺れ、裾の先は地面を引きずっている】
【先述の通り、子供よりかは体は大きいが、大人とすれば非常に体格が小さい】

【その存在は、カンテラを少女に向ける】
【小虫はその光にたかり、羽を僅かに焦がしては離れていく、まるで先ほどの事など何もなかったかのように】
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 23:16:13.53 ID:D8V02w9eo
>>912


【後方に回り、すかさず攻撃に移ろうとした時点で、巨体はようやく動きを始める】
【──、いきなり攻撃をしなかったのは力量≠測る意図もあったのだが、それにしても、だ】
【試しに『蹴り』を待って、それをわざと、防御態勢で『受けて』みるが──】


…、… レイト<b! & ォオーーー 、── ライト=@!!
フッハッハァ!! 成程ッ!! キミの方には『意思』が無いようだッ!!


【『遅く』、『軽い』。 妙なテンションで放たれた叫びは、そう言いたいのだろう】
【──矢張り、『実害がない』、と。 先程の依頼書に書かれていたのは、確かなようだ】
【彼は能力≠発動させ、右手に『黒色物質』を纏わせると ──】


≪Ruffian≫ ッ!! ……、キミは其処で大人しく!して居たまえッ!!


【右手を突き出し、巨体の『胴』の辺りへ放つ──もし阻害されなければ、触手の様に巻きつき】
【巨体をその場に縛り付ける#、だ。 強度は相当に高く、巨体の力では脱出は困難かもしれない】

【もし、一連の動作が成功すれば──彼はジャケットを拾い上げ、廃屋に入ろうとするだろう】
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/06(水) 23:30:22.95 ID:bQxfHTxz0
>>914

【時刻はこんな夜更けだ、当然、月は高くにあって、星が煌いて、辺りは暗くって。明るさなんて、ないはずなのに】
【それが例えば角灯や懐中電灯程度の明かりだったなら。動物たちはここまで怯えなかっただろうし、驚かせることもなかったはず】

【(街中とかでやるよりはいいだろうと思っていた、ひとに見られると、――なんだか恥ずかしいような気がして)】
【(動物のことは。怖がらせてしまうかもっていう心はあんまりなかったように思う。ちょっとなら大丈夫って、慢心)】

【短く荒かった吐息はそのうち、ひとつひとつが長く深いものになる。そうして深呼吸をして、落ち着こうとしているような】
【気だるげに閉じられていた眼がゆっくりと空を見上げる、――ちょうど天の川が見えているのだけれど、少女の瞳にそれは映らず】
【――なんてことなく、魔力の光に晒されていたからだった。目が焼けて、星がきれいに見えない――溜息がちに、視線を下ろせば】
【ちょうど、そのタイミングだ。がさりと聞こえてくる音、(それこそ熊か何かと思って、僅かに身構える気配があった)】

…………魔術の練習、してたの。今日なら、“せんせい”が居るから……。

【けれど――現れたのは布の塊のようなモノ、喋るなら中身はヒトだろうと検討をつけて、返す言葉は少しだけ鋭い声音】
【鈴とよく似た声だ。りんと涼やかで、よく響いて、夜を清らかにしながら抜けていくような――そんな錯覚がするぐらいに】
【まあるい目がほんの僅かだけ伏せられて相手を見やる、カンテラの明かりに、ほんの少しだけ眩しそうに身体を揺らして】

ごきげんよう、……あなたはだれ? ……わたしに、何か用事?

【――空っぽの両手を不安げに胸元に添えると、左手の薬指にあるリングが煌いた、指先は、胸元のリボンをきゅっと摘んで】
【自分がしていたことは認めながら、そんなに大それたことをやっていた自覚はない。だからこそ、とぼけるような言葉を返す】
【魔力の明るさと辺りの暗さは彼女の瞳を焼いて盲目的にしてしまった。今もまだ――瞳を細めがちなのは、よく見えていないからなのだろう】

【きらりと魔力の欠片、最後のひとつが地面に落ちて、やがてそっと消えてなくなっていくなら】
【空間はきっと元通りの正常/清浄を取り戻す。自然的で、ひとの手の加わらない美しさ、水面に浮く月影など宝物のよう】
【あっという間に場の支配権は自然に戻り、ふたつある影は取り残されてしまったような錯覚、この、月明かりの中に】

【(その少女の身体からは澄んだ水のような気配がした、それが、どこか人外的というか、不思議な感じを少女に与えて)】
【(蛇めいて艶めく瞳がローブ姿の相手を改めてじっとりと眺める、そうして――相手の言葉を、待つのだった)】
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/06(水) 23:51:27.95 ID:HRAe3WAno
>>915

【影と黒色物質。黒と黒、同じ色のそれらはしかし混ざり合うことはなく】
【巨体を縛り付けるはず――だった】

【結果から述べると巨体は消滅した。原因は巻きついた触手だろう】
【非常に脆いのか、それとも別の要因か、ともかく力が加わった瞬間に四散したのだ】
【――四散した影は確かな魔翌力≠伴いつつ、まさしく煙のようにして廃屋へと流れてゆくだろう】


【屋内に入ったのならば、先に少女が入ったのにもかかわらず酷く静かに感じられるだろう】
【前に道はなく、左手に部屋がある。本来扉があったであろう場所の向こうには、】
【明かりが付けっ放しの懐中電灯が落ちているはずだ】

【部屋に入ったのならば少女を見つけられるだろう。ただし――壁に固定された状態の彼女を、だ】
【ぴくりとも動けないように首、腕、脚、銅の全てを、やはり黒い影のようなもので縫い付けるように拘束されている】
【もし男がその道に精通しているならば、この影≠ヘ魔術のようなものであると推測できるかもしれない】

【だが、ゆっくりと考えている暇は無さそうだった。何故なら、急に少女が苦しみ始めるのである】
【拘束から逃れようと首を動かし、酸素を求めるように口を開ける。表情には苦悶が滲み始め、血の気が無くなってゆく】
【おそらく首を絞められているのだろう。明確な害意≠ェ、この魔術のようなものからは見てとれる】

【なぜか苦しみながらも彼女は指を指していた。指先は隣の部屋に向けられているようだが――如何せん暗い】
【加えて「キキッ」という鳴き声が足元から聞こえてくるだろう。懐中電灯の明かりに一瞬だけ写ったその姿は、まさしくネズミだ】
【相当大きい種なのか大人の靴ほどのサイズはあり、壁の穴へと走ってゆくだろう。こちらは対して気にしなくともよさそうだが――】

【さて、この状況、男はどのように対処するのだろうか――】
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/08/07(木) 00:01:31.86 ID:+VzcxwB4o
>>916
【その、少し鋭い声を受けてその影は返す】

 魔術の練習か

【そんなそっけない声、別に詮索しているわけでもないのに深く突っ込むわけでもない】
【今は、と注釈がつくのは確かだが】

 ご機嫌よう、か、人に誰か尋ねるときは自分から、と言うのは人間の常識だと聞いたことがあるけどな

【どこか嫌味のような発言だ】
【だが、本人の口調は一切嫌味っぽくはない、純粋に聞いたことがあるからという理由で言っているようだ】

 誰かと聞かれればUTの一団員だが
 ……用事は簡単にいうとパトロールしていたら不審な光を見つけたから見に来ただけだ

【もしカノッサが怪しい魔術でも使用していたのなら一大事だからな、と述べるローブの存在】
【なるほど、確かに合理的だ】

【ふと、周囲に残っていた光の残滓が全て溶け消えるのを感じる】
【しばらくすればここにも動物が戻ってくるだろう】
【一応聞きたいことはあるが、相手の出方をうかがわなければどうしようもない】
【少女はどこか人らしくない気配を感じる、人間でも同じだが突如として暴れだしたら対処はしなければならないだろう】
【ただ、それが少し面倒なだけ】
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/07(木) 00:14:22.09 ID:+ajfcKz8o
>>917


【── 足元に落ちていた電灯を拾い上げ、部屋に入る】
【見れば、『貼り付け』にされた彼女。 男は眉を顰めると、右手から『黒色物質』を首元へ放つ】
【狙いは気道を圧迫する影。先ほどと同じような耐久力なら、息は確保出来るはずだが──】


…、…やれやれ。
誰だか知らないが、随分と無粋≠ネ真似をするじゃあないか。
──、が。 その『無粋さ』もまた、ヒトの『崇高たる点』だ。
シークレット・マンorウーマン! ……キミの 『部位』 にも、少し、興味が湧いてきたよ。


【どちらにせよ、術者≠倒さねば、根本的な解決にはならない】
【──足元を這いまわり、壁に消える畜生は無視。動物に出来る真似ではない】
【恐らく『敵』は、彼女が指差す隣の部屋=B 暗くて見えないが──ならば】



≪   ラフィ =@ッ  ── 、── !!!



【──声と共に、両手をクロスさせ】
【彼の『背』に出現したのは、黒色物質≠フ塊。 次いで、六本の『触手』が伸びる】
【隣部屋の方を向くと、更に触手は樹の枝≠フ様に枝分かれし、網状を作り──】



             アン<b ──!!  ≫


【彼が両腕を大きく広げると──その網目≠ゥら、次々に『黒色弾』が隣の部屋へ向けて放たれる】
【強度は廃屋の壁を撃ちぬくには十分。 人体に当たれば、貫通はしないが突き刺さり、流血させる程度】
【壁の向こうに居るであろう『何か』い向けて、数十発の弾丸が襲い来る──】

【――見えないのなら、数で攻める=B詰まりは、そういうことだろう】
【先に仕掛けてきたのは向こう。 ならば、死んでも文句なし──そんな表情を彼は浮かべていた】
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/07(木) 00:22:36.52 ID:NDFM6Hcf0
>>918

【「そう」と少女は頷いて返した、“せんせい”とやらはどこにも見えないのだが、――なんて思っていれば】
【虚空に向かって伸ばした手が手招きみたいな仕草をする、そうすると……夜に真っ黒な木々の中から飛び出す影が】
【――ばさりと少女の手に舞い下りるのだった。大きな翼、鮮やかな紫色の羽色、そう、大きな、鳥】

……わたしはわたし、りんね……鈴音・シュトラウス。……所属とかは、ないの。

【少女はその鳥に「どうだった」とか、「上手になった?」とか、話し掛けていたようだが――】
【相手に名乗れと言われた気がするなら存外素直に名乗るのだった。その名は、櫻と、異国と、混ぜたような音階】
【どこにも所属していないという。でも――そう、相手が“UT”の構成員なら、彼女を見たことがあってもおかしくはないのだ】

【なぜって。酒場の手伝いをしているのだった、店員さんみたいにして、お金も貰って、お料理を作ったり、お酒を用意したり】
【つい最近から酒場で仕事をするようになった少女。それが彼女で、――会えば挨拶くらいはしてくれる子だから、或いは、】
【一言二言ぐらいなら会話をしていたっておかしくはないはず。でも、もちろん、会話したことがなくったって、おかしくはない】

UT……? ……わたしね、UTでお手伝いしてるよ、でも、会ったことは……――、
ない、かな……? ……ごめんなさい、顔が見えないから分からないの。

【見せてくれたらいいんだけど、と吐息がちな声がする。そうやって言ったのは、自分はそこでお手伝いしてるというそれで】
【お話したことあったっけ。申し訳なさげにそう尋ねるのだった、緩やかに首をかしげると、さらりと長い髪が流れて揺れて――】

……この子がわたしの、“せんせい”。わたしのお友達なの、……ちょっと、変な子だけど、悪い子じゃないよ。

【それから。手に止まるその鳥を紹介するのだった、曰く魔術の“せんせい”で、“お友達”で、――それを真顔で言うから】
【そろそろ不審者感も極まってくるだろう、そんな頃合だ。彼女が、その鳥に「ねえ」なんて話し掛けて――鳥が、それに応えるのは】

【まず風が吹いた。紫色を僅かに帯びる風、それが、先に彼女がぶちまけていた魔力の纏っていた風属性と同じだとは】
【気付いてもいいし気づかなくてもいいし――それより見るべきは風がイキモノのようにその鳥に纏わること、風の繭のよう】
【すると。いつの間にだろう、少女の腕に掴まっていたはずの鳥は消えて、変わりに細腕に腰掛ける――少女、の姿】

【鮮やかに眩い紫色の髪。それは膝を通り越すほどまであって、同じ色で眼窩に嵌まる瞳は、何でも面白いという風に見つめ】
【これまた紫色のドレスはどこから現れたのか、ふわあっとそれこそ魔法みたいに広がって――腕から降りたときに、足音はしなかった】

「そう、上手になった。もっと練習すればいい、ボクが教えてあげるからね」

【にこりっとした笑いを少女に向ける、なんとなしに頭をさらっと撫でて、そうしたなら、紫の少女は体を相手へと翻し】
【「ごめんねえ、ボク忙しいから、もう行かなくっちゃあ」だなんて。軽く笑いながら言うのだから信憑性などない、嘘みたいに】
【でもだからって引き止められるつもりなんてないようだった。「じゃあ」と紡ぐ声は宣言で、誰にも変えられない、決まったこと】

【――はじめに現れたときにそうしたみたいに、また風がその姿を包んで、瞬きがひとつ、ふたつ、みっつは掛からない】
【気付けばそこにもうその姿はないから。風みたいに現れて風みたいに消えた姿、その痕跡は、もうどこにもなかった】
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/07(木) 00:44:04.01 ID:Lu61IsLZo
>>919

【迫る黒色物質に少女は目を瞑る。次の瞬間、先ほどまでの苦痛が嘘のように無くなった】
【続けて展開されるは黒色の弾幕――隣の部屋へと集中砲火されるそれに容赦はなく】
【隣の部屋の壁や家具を粉々にしてゆくのだろう】

【……やがて最後の弾が撃ち終えられたならば、砂埃が朦々と立ち込めてくるのだろう】
【それほどまでに凄まじい攻撃だったらしい。少しすると――砂埃に紛れて影が姿を現した】


【無数の風穴が空いた影は――外で四散した巨体とよく似ていた】
【そいつは最後に不敵な笑みを浮かべると、その場に崩れて消滅してしまうだろう】
【つまりハズレ、なのだろうか。真実は不明だ。ただ影が居た場所に親指ほどのトンガリ帽子≠セけが残されていて】

【やがてどうやって抜け出したのか、少女が男の隣に立つだろう。そして男の袖を引いて注意を引こうとする】
【手にはスケッチブック。彼へと向けられたページには、やはり文章が記されていて】


『あなたが入ってきた途端にあわてて隣の部屋へと逃げて行ったのでもしかしたらと思ったのですが…
 一体何だったのでしょうか…。ともかく助けていただいてありがとうございました。
 私ひとりだとどうなっていたことか…。

 でも、多分ですけど依頼されていた幽霊はさっきのみたいですね。
 トンガリ帽子は貰って行ってもいいですか? 報告と一緒に提出しようと思います。』


【幽霊の正体。それはわからず仕舞いだったが、その実態を掴むことはできた】
【ひとえに男のお陰である。少女は彼に深く礼をした後、廃屋から出ようとするだろう】


/すみません、もうすぐ〆ですが持ち越しお願いします…
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/07(木) 00:46:49.50 ID:+ajfcKz8o
>>921
/了解です。
/明日というか、今日にでも此方側の〆の文を置いておくので、どうぞお休みください。
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/08/07(木) 00:47:38.03 ID:+VzcxwB4o
>>920
【鳥、一瞬だけちらりと視線を向ける】
【名のある魔術師は鳥などを使役すると聞いたことがある、おそらくこの鳥もそのたぐいか何かだろうか】

 リンネ・シュトラウス……、リンネ?

【どこかで聞いたような、そう首をひねるローブの存在】
【カンテラがからりと揺れて火が一瞬だけ揺らぐ】
【この人物が知らない、または覚えていないのもまた当然といえる、なぜなら……】

 ああ、酒場で手伝いしているあの子か
 すまないね、人の顔を覚えることがどうにも苦手で
 あのセリーナが雇った人材だ、一応信用に値するだろう

【そういうとパサリとフードを外す……その下にあるのは犬の頭で】
【灰色の短い毛並にラピスラズリのような色合いの瞳、隠れているがちらっと青いスカーフ】
【額にゴーグルをつけた、犬の頭が】

 ……アゾット、エーゼットオーティーエイチでAzothという
 普段は元弾薬庫か酒場の隅にいるから、リンネが知らなくてもおかしくない

【この前から酒場の隅にはしょっちゅう犬がいた、青いスカーフを付け、ゴーグルをかけ、右前脚に包帯を巻いた、灰色の犬が】
【だが、ほとんど寝そべって丸くなっており、喋る気配も歩く気配も見せなかった、若干毛並がぼさっとしてる犬】
【だから挨拶をかわすことなんてなくて、交わしても鈴音が一方的に声をかけただけだろう】

 で、その鳥が師匠と……

【そして次の瞬間、変貌した鳥……いや、紫の少女に犬は軽く目を張る】
【だが、その紫の少女は鈴音に声をかけ、そのまま消えてしまった】

 ……なんだったんだ?

【犬がそう呟くのも、無理ない話であった】
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/07(木) 01:07:01.85 ID:NDFM6Hcf0
>>923

【ふわあと吐息が零れた、相手が見せた顔は――人間と違っていたし、それよりも見覚えがあったから】
【セリーナに言われたことがあった、スカーフをした犬をキッチンに入れるなと、それを覚えていた、最初の頃】
【犬が居るらしいと聞いていたし動物好きなら探していたし、はじめて見たときは、きっと、きゃあきゃあと頭でも撫でられて】
【その後もたびたび話し掛けてきたり、あまったお肉をただ焼いただけのものを持ってきたり――なんて、あったのかも】

Azoth……あぞっと。わあ、本当に喋るんだ……、喋ってくれないからね、お姉ちゃんが嘘吐いたのかなって――

――思ってたんだよ、でも本当なんだ。本当に喋る……、……わあ、不思議、……。

【――彼女は彼よりも新参だった、まだまだ来たばかりで、酒場の隅っこで転がる犬を不思議そうに眺めたりして】
【でもセリーナの言う喋る犬とは違うのかなとも思っていた。だって彼は喋らないし、歩かないし、――ただの犬みたいだし】
【だから今になってちゃんと理解する、彼は歩いたり喋ったりする新手の犬なのだと。きらきらした瞳が、彼を見つめて――】

うん、……ちょっと不思議でしょ、でも、いい子なんだよ……わたしも、何度も助けてもらってるし。
この間もね、――助けてもらっちゃった、ふふ。……ごめんね、ずっと忙しいみたいなの、だから、たまにしか来てくれなくて――。

【それから、彼女のことに話題が移れば。というよりも彼が呟くのを見れば、少しだけ困った風に表情を笑わせて】
【地面に落としていった紫色の羽根をついと拾い上げる、それから、ひらひらとまるで扇子でするように扇いだりして】
【助けてもらった、というところで寂しげに笑ったのが不思議だった。何か悲しいことでもあったみたいに、――でもそれは一瞬だけ】
【えいと拾った羽根を放り投げる、――風もないのにどこまでも上空まで舞って行く羽根は、そのうちに見えなくなった】

……ねえ、わたし、そんなに不審だったかな。あんまり、目立たないようにしてたつもりだったんだけど……。
こんなとこひとが来ないって思ってたの、だのに見つかっちゃうし……。……なんだろ、もっと奥でやればいいのかなあ。

家でやるとね、ペットがびっくりするから……、だから、ここならいいかなって――。

【それから、何に憚るのかひそめく声が尋ねる、内緒話するトーンで紡ぐのは、つまり自分がどれだけ変だったかって】
【やっぱり自覚がないのだった。まして家だとペットを驚かせるだなんて、――野生動物を驚かせたくせに、言う】

【(ああも魔力をぶちまけるのは大体どこでやっても目立つと思うのだけれど)】
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/08/07(木) 01:28:10.20 ID:+VzcxwB4o
>>924
【例え撫でられようと肉をもらおうと喋りかけられようと】
【この犬は頑なに沈黙を保ってきた、ただラピスラズリの瞳で見返すだけで】
【しかし気にすることはない、この犬が酒場で話したことは数える限り二回しかないのだから】
【だが、現実として今は喋っているのだ】

 まあ喋って歩き、そして器用な以外は普通の犬だがな……

【輝く視線を浴びせられ、どこか申し訳なさそうにいう犬】
【本人――この使用方法があっているかはわからないが一応本人と言おう――は、ただの犬だと】
【もっともそれが事実かはまた別の話だが】

 たまにでも会いに来てくれるあたり、まだ良心的じゃないか

【その悲しそうな、寂しげな表情は、人の感情の起伏に敏い犬と言う種族ならすぐにわかるもので】
【でも、そこを問いかけることはない、それを問いかけるには――遠い】

 ……あのな、無理にでも気づく
 死んでる森じゃないんだから野生動物だっている、彼らは敏感だ、あんなに光っていたらすぐに逃げる

【遠くからでも見えるほどにまぶしかった、そうため息をつきながら返す】
【まるで繁華街のネオンのようだ、とも】
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/07(木) 01:41:02.19 ID:NDFM6Hcf0
>>925

【それでも彼女は気にしたことがなかった、だって、犬って普通は喋るものじゃないから】
【喋ると聞いていたからおかしいなあとは思ったけれど、それだけだ。気分もあるだろうと、そう考えて】
【(インコだって喋らないときは喋らない。そういうものだと思っていた、適当だけれど、それが楽といえば楽で)】

普通の犬は喋らないよ、だって、それが普通だもん……、……いつから喋るの?
どうやって言葉、覚えたの? 本とかで覚えるのかな――ふふ、

【ただの犬とは思わなかった、だって、ただの犬って言うものは喋らないのだから。答えは、ごくごく簡単なもので】
【本で言葉を覚える犬、なんてものを想像したら微笑ましくてつい笑ってしまう。そうすると、顔のあどけなさがよく目立つ】
【これで。これで、UTの酒場で客に奢られてお酒を飲んでいたりするのだから――どうしたもんかと思うのだけれど】

【いちおう。いちおう、成人はしているらしいのだった。というより、成人してから一年なんて過ぎているわけで――まあ】

…………うん、そうだよね、忙しいのに来てくれるんだもんね……、たいへん、だよね。

――でも、本当は退屈なんだよ。だけれどね、一緒に暮らしてる子が居て、その子が帰ってこないと怒るんだって――。

【問いかけられないならその悲しみは流れて消える、ただ、そっと寂しげに納得してみせる表情だけが、そこに残って】
【でも。くすりと笑うとこっそり教えてくれることがあった。一度聞かせてもらったのだと言う、秘密ゴトみたいに、彼にも教えて】
【お姫様なのだと彼女は言っていた。聞いた限りでは時分もそうだって思う、お姫様みたいな子、――会ったことは、ないけれど】

……――そっかあ。

【それから、ふわーっと吐息が零れる、きょとんとした顔は、どれぐらい理解したのかは怪しいものなのだけれど】
【視線が掌に落ちる、観察するようにじっとりと見つめると――滲み出すように、じわじわと。先と同じ魔力が溢れ出し】
【桜色/紫色。でも今となっては分かる、その紫色が、さっきの鳥/少女が持つ気配と同じであること、同じ魔力であること】
【(だとしたら、少女は他人の魔力を持っていることになる。それが少しだけ不思議なのだった、ふたり分の魔力なんて――珍しい)】

どうしよう、びっくりさせちゃったかな……。

【掌に浮かべた魔力の色。指先で引っ張るようにすれば伸びて、くにゃりと曲げれば曲がって、まるで質のいい粘土のような挙動をする】
【そうして練り上げていくのはお花の形だ。八重咲きの桜にも似た、ふわふわ、ぽんぽん、まあるいお花のかたち】
【彼女はそれをAzothの頭に乗っけてやろうとするのだろう。耳に立てかけるように、そうっと、添えるようにして】

【それが叶うなら、少女は一瞬だけ嬉しげに笑う、笑って――すぐに、しょんぼりと眉を伏せるのだ】
【じわじわと後悔めいた感情が忍び寄ってくる、ひどいことをしたんだって、――最後のほうなんて、泣きそうにすら見えた】
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/08/07(木) 01:58:45.32 ID:+VzcxwB4o
>>926
 ずいぶん小さいころ、親から教わった
 「人間の言葉は覚えておいて損はない」って、猫の言葉や鳥の言葉とか、いろいろな言葉も教えてもらいたかったんだがな……

【本を読んで覚える、というわけではなさそうだ】
【もっとも、ある程度の知識があれば本を読んで覚えられるのだろうが……0から覚えるとなると不可能にも近い】

【そんな純粋なことを聞いてくる少女、でも酒場で働いているとなれば一応成人の部類なのだろう】
【分別のある大人か、年だけ取った子供かは別においておいて】

 一緒に暮らしている相手か……

【そういうと、犬はわずかな間目を閉じる】
【なにか引っかかることでもあったのだろうか、だが再び開いた眼の中にはその疑問を解消する種はあまりなく】
【精々、何か昔を思っていた程度しか感じられない】

 ……

【そして、あの紫の少女と目の前の少女はどこかつながっているのだろうか】
【そうすれば、あの寂しげな様子にも説明がつくのだが、そう犬は思いつつ、目の前の少女の魔力の光に目をすっと細める】

 びっくりはさせただろうな
 彼らは強力な魔法にあらがう術を持っていない
 目の前で突然、ナイフが突きつけられたら驚くようにな

【例え手品に使うような刺さらない仕掛けのナイフだとしても、と犬は言う】
【あの時感じた悪寒、魔力というのはそういう悍ましさも兼ね備えている】
【それを大量に放出するということも、また周辺に無差別にナイフのようなものを見せびらかしているもので】

【そんなことを言っている内に、魔力は花となる、そしてきょとんとした様子のまま花をそっと頭に添えられる】

 ……森じゃなくてUTの地下基地の方ならどうなんだ?

【そして、泣きそうな表情を見せる少女に、犬は問いかける】
【森じゃなくてUT地下の設備なら音も光も漏れずに済むだろうに、と】
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/07(木) 02:13:11.99 ID:NDFM6Hcf0
>>927

【親から教わったという答え、それはそれで興味深かった。だって、親――きっと犬だろう――も喋れたということ】
【その光景を見てみたいだなんて思ってしまう、きっとかわいらしい気がして……そっと、脳裏に浮かべてみる】

【――どうだろう。彼女はヒトとは違うひと、それなら、人間らしく決め付けるのは、彼女には辛い話なのかもしれない】
【大人と見るには子供っぽくて、でも、子供と言い切るには大人っぽくて。ぐちゃぐちゃに絡まる、年齢の糸は】
【きっと彼女にも分からないまま。それでも――昔よりはずっと“まし”なのだ、これでも、大人になれた】

うん、……いいなあ、一緒に暮らせたら、もっといろいろ教えてもらえるのに……。
……本に書いてない魔術とかをたくさん知ってるの、でも、わたしには難しくて出来ないことばっかり……。

――とっても魔術が上手なんだよ、あんまり見せてくれないけど……。

【こくりと頷く、そうして彼の思案に返すのだ、一緒に暮らせたらいいのになんて願望、そっと囁いて、夜に溶かし】
【それはいかにも向上心のように聞こえて、その実、違う。“さびしい”のだと知れたかもしれない、彼女は、寂しがっていると】
【左手の指輪も何の役にも立たない。ただ時折来てくれるのを待って、いつでも、去っていくのを見送って――】

あー……、……。

【あっさりと肯定されてしまう、それどころか、もうちょっと深くまで責められている気がして、余計にどうしようもない】
【どうしたって自分が悪かったって思いしる、というより、自分だって銃が怖くて、玩具の銃だって怖くって、それなら、】
【おんなじような気持ちじゃないかと思う。――ぺたんと顔を覆った両手、真っ白な指先は、すらっとして、まるで蛇のよう】

……川とかの近くの方がやりやすいって思うの、水がいっぱいあるところのほうが……、だから……、
――……今度からは、そうしてみる。お姉ちゃんに借りてもいいか、聞いてみる……。

【そんな指の隙間からちらっと覗いた瞳。最初の頃は言い訳するとい一緒にふらふらと振れて、ただ、そのうちに、しゅんと沈む】
【頼んでみるとのことだった。お姉ちゃん、というのは――まあ、セリーナのことで。そう呼ぶように言われていて、】
【あのセリーナのことだからきっと快く貸してくれるだろう。それがせめて救いになって――】
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/08/07(木) 02:28:08.90 ID:+VzcxwB4o
>>928
【しかし、それを語るときの彼は幸福と言う言葉とはかけ離れた様子でもあったと、追記しておこう】
【不幸そうと言うわけでもない、だが幸せではなさそうだった】

【犬は、そんなことには気づけぬまま、人より多少変わった人間と認識している】
【そもそも、変わり者の巣窟のような場所にいて変わり者だと認識するには相手がよほど変人でないと難しいものだ】
【そういった点から、この少女は一応一般的な常識を兼ね備えているようには思える】

 気軽に一緒に暮らそうなんて言えれば楽なんだろうな
 でもそうできないから悩んでいる……あったことのないお姫様とあの鳥

【そこに疎外感と嫉妬を感じているのではないか、という言葉は、そっと飲み込まれた】
【告げられなかった言葉の代わりに、犬は「単純に解決できたらいいのにな」と続けた】

 まあまだまだ若いんだ、今のうちに失敗できてよかったと考えればいい

 ……ああいう魔力は人をおびき寄せる、しかもあの魔力の光に物怖じしない頭がどこか飛んでる奴が
 私はパトロールと言う名目だったから来たがな……

【はぁ、とため息をつく、ああいう地からのようなものを発散すればいやがおうにも人を引き付ける】
【善人だろうが、悪人だろうが】
【その後誘拐でもされれば事態はもう自分だけで収まる話ではなくなるからだ】

【そういう親切心からの忠告か、はたまた純粋に迷惑に思っているのか、おそらくそのどちらもなのだろう……】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/07(木) 02:51:35.03 ID:NDFM6Hcf0
>>929

【犬が感情の機微に敏感なみたいに、子供というのも大概敏感なものだ。彼女は、子供ではない(ということになっている)のだが】
【ふと温度差があるように思えた、それなら、ふっと言葉を噤んで――……黙る。けれど、あまり露骨になりすぎないように】
【だから――このままその話は終わるのだろう。昔のことを聞き出すには、まだ、それが許される距離じゃないから】

それならいいのに……でも無理だよ、来てくれない。分かってるの、だからね、しょうがない。
たまに来てくれるだけで十分だよね、……だって、本当はわたしたち、関係無いんだもん。

……何年か前にね、助けてくれたんだよ。それからずっと助けてもらいっぱなし、……――いい子なんだよ、とっても。

【嫉妬。しているのかもしれなかった、見たこともない誰かに、あの子の庇護を独り占めしている、だれかに】
【それが自分だったら良かったのにとふと思いそうになることがある。そんな思考を締め出すのは、簡単だけれど】
【ぎゅっと握り締めた手で紫色が煌く、――それだけで十分だってもう一度言い聞かせる。生かしてくれた、それだけで】

……ちょっとぐらいなら、わたしだって戦えるんだよ。怖がりだし、そんなに強くないし、だめだめだけど――、

――……ううん、次から気をつけるね。お姉ちゃんに聞いてみて、大丈夫って言われたら、UTでやる。

【――ふと、反論めいたことをしてしまったのは何でだったか。なんだか虫の居所が悪かったのかもしれない、ほんの、少しだけ】
【だからすぐに気付けて撤回する、(それにしたって、駄目駄目だといいながらも戦えるというのは、少しだけ矛盾していたけど)】
【力がないわけじゃない。もっと強くなるために魔術の練習なんてしている、――でも、どうして、していたのだったか】

【(褒められたかったって、それだけだったように思える。“彼女”は褒めてくれる、でも、欲しいのはその手じゃない)】
【(でも。せめて褒めてくれるその手が欲しかった。だから、練習を続ける。ただそれだけの、不純な動機)】

【――そんな彼女の背後でふとがさりと音がする、風か、獣か。ぴくりと揺れた肩は、ふっと、意識を褪めさせて】
【それから、ワンピースのポケットから取り出すもの。古びた金の鎖の懐中時計、軋む音で蓋を開けたなら】

……ごめんね、わたし、そろそろ帰らなくっちゃ。ペットを家に置いてきてるの、――。
ばいばい、アゾット。また、UTで――、……気をつけて、帰ってね?

【現在時刻を確認して帰宅すると決定。文字盤から上げた視線は、彼を少しだけ申し訳なさげに見つめて――】
【ぱちんと閉じた蓋、懐中時計を元のポケットに押し込みながら。何にもなければもう帰るのだろう、会話を終わりに向けて】
【ばいばい、と手を振る仕草、最後に、彼の頭をふと撫でようとするのだけれど――大人びた彼には失礼かと、その手を止めて】

【きらりと少女の足元から舞い上がる魔力の煌き、妖精のようにくるくると身体を包んで――ふつん、と】

【消える姿は、転移魔術によるものだった。最後に残すのは、魔力の残滓――花弁みたいにひらひらと舞散る、それだけ】

/眠気がひどくなってきたので、この辺りでっ、おつかれさまでした!
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/08/07(木) 03:13:12.25 ID:+VzcxwB4o
>>930
 しょうがない……その言葉が切り捨てるものを直視してはいけない、と言っておく

【鼻から息を吐きつつ、告げる言葉】
【可能性を切って捨てれば、その先にあるものも、自身の望んだものもすべてありえない、起こりえたかもしれない事象となる】
【それをやめろとは言わない、ただ、それを直視すれば……心に大きなひびが入る、それを思っての発言】

 本当ならいいんだがな……まあ、気を付けてくれよ?

【小さく、声を紡ぎながら、何に気を付けるかは明言しないまま】
【聞いても答えてはくれないだろうか】
【魔力を放出し動物を驚かせることか、誘拐されることか、彼女の内面の脆弱性を指しているのか】
【それをとらえるのは、一介のヒトの心でしかない】

 ……ああ、私は大丈夫だ、それよりリンネの方が……

【と、言葉を紡ぐ前に、ふわりと魔力のきらめきが彼女を包んで】
【先ほどの鳥が風の繭なら、これは花の繭か、どちらにせよ、その場に彼女の姿はなくて】

 ……狐にでも化かされた、とか

【どこか蛇を連想させる少女、狐と言うにはまたおかしな話】
【だが、またどこか信じられないような光景ばかりを見た彼の感想としては、まだ現実を見据えているものではあるのかもしれない】

//はい、おつかれさまでしたー
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/07(木) 10:04:44.02 ID:jG6ngIsLo
【路地裏】


 これで、七人目かぁ……
 噂は流れてるみたいだけどさぁ、だぁれもあいつ自体を見たわけじゃないのよねぇ……


 【フード付きのパーカーを着た、緑色の髪のショートヘアーの女がいた】
 【彼女自身は、このような、犯罪者や、悪人が集まりやすい場所にいるような人間に見えない】
 【彼女の両手が赤く染まっていなければ……の話だが】


 私の情報が流れないように、念入りにこの世界からあなたの命を消してあげる。


 【女は満面の笑みを浮かべながら、男の死体に向かって緑色の液体を右手から放つ】
 【グツグツと煮立った液体のように遺体は溶けて消えてゆく】


 あいつを消せたら、私の目的は達成できるの
 だから、あいつを知ってる奴を探してどこにいるか聞き出さないとねぇ……


 【女は強力な殺気を出しながら笑う】
 【もはやそれは、人間の物ではなく、化け物のそれであった】


 【どうやら、彼女は人を探しているようだ……】
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/07(木) 14:58:53.11 ID:jG6ngIsLo
/>>932再募集です
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/07(木) 14:59:03.61 ID:+ajfcKz8o
>>921


…、…やれやれ。 得体の知れない相手は苦手だよ。
全く。 此処まで働いて収穫≠ェ無いとは ──、と。

【消え去った影を見て、一言。 質量の減少した黒色物質を消滅させ、悩ましげに頭に手を当てる】
【──、収穫≠ニ言える物なら、手掛かりになりそうな帽子が有るのだが】


ん。 ──そうだな、其れはキミが持って行きたまえ。
僕には余り、興味の湧かないシロモノだ。それに、礼には及ばないさ。


嗚呼、後 ──。


【 「帰るのなら、来た道を戻るといい。」 】


【──彼女が、笑顔の彼の指示に従ったのか否かは、定かでないが】
【もし、その言通りに来た道を戻ったのなら、別段何も、『異変』は無いだろう】
【だが、三叉路の『正面』。 男の居た方向へ足を進めるのなら、── 】


 …… 『声帯』 。    じゅるり=@。


【耳≠奪われ、気絶した男が転がっている。】
【今宵の此処に、『マトモ』な者は、皮肉にも──声を発せない彼女しか居なかったのかも知れない】


/では、これで此方の方は〆させて頂きます。お疲れ様でした!
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/07(木) 16:34:34.84 ID:jG6ngIsLo
/>>932再募集です
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/07(木) 19:19:34.91 ID:Lu61IsLZo
>>934

【帽子を持って行ってもいいと聞けば、少女は頭を下げるのだろう】
【指示には首を傾げてみせる。来た道を戻る――その必要性を全く感じられなくて】
【拒否する理由もなくこくりと頷くけれど、その表情は、あまり納得していないようだった】

【目的も果たしたことだし、もうここにいる理由はない】
【彼女はスケッチブックをバッグに仕舞うと、男へともう一度お辞儀をして】
【最後に笑顔を添えると、そこから去ってゆくだろう――】


【――帰り道。三叉路へと差し掛かった折。ふと、男の言葉を思い出した】
【わざわざあんな忠告じみた指示を出したのだ。きっと今日通らなかった道のどちらかに、何かあるのだと予想して】
【好奇心から足は正面≠フ道へと運ばれる。数十秒ほど歩いたところで――彼女はそれに出くわすのだろう】

【―――声無き悲鳴が木霊したのは、言うまでもないことであった】




【……これは、余談】
【人生において知らなくてもいいことは沢山ある。これもきっとそのひとつ】

【狭い場所から別れた二人を見つめる眼があった。それは靴ほどの大きさで長い尾を持つ――黒いネズミのものだった】
【先ほどまで二人の周りをうろちょろとしていたネズミは、心なしか少し残念そうな顔をしていることだろう】
【やがて視界から二人が消えると、短く鳴き声を響かせて、自身の身体を影≠ナ覆ってゆくはずだ】

【そして完全に闇と同化してしまえば――その姿は跡形もなく、どこかへと消え失せる】
【そう、このネズミこそ二人を襲った張本人だったのだ。男が廃屋でこのネズミを見逃してしまうのも無理はないだろう】
【ネズミが魔術を行使するなど、誰が想像できようか】

【これはきっと知らなくとも良いことだ。しかし世界には――】
【たくさんの不思議が転がっていると感じさせるには十分な出来事、だったのかもしれない】

/お疲れ様でしたっ!
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/07(木) 19:26:07.90 ID:lwdjOD3ao
【森の中】

……やれやれ。仕方がないとはいえ、本当に生傷の絶えん仕事なのじゃ
傷跡が残らなければよいのじゃがな


【人気もなく静まり返った夜の森の中】
【その一角、木々が離れた開けた場所で大きな切り株に座る少女がいた】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペンを付けており】
【傍には茶色の鞘に収まった剣を立てかけていた】

【もし、この少女の姿を見かけることになったならば】
【その周囲にある"奇妙な物体"も目に留まることになるだろうか】
【それは、"人の形をした折り紙"であった】
【精巧に人体を再現したものではなく、所謂「やっこさん」などと呼ばれるヒトガタである】
【体高は170cmにも届こうかというその折り紙は、少女の方へと短い腕を差し出して、淡い光のようなものを少女に向けて放っていた】
【見るものがいれば、"癒しの力"であると察することも可能であろうか】


久しぶりにゆっくりと温泉にでも浸かって来たいものじゃな
折角、気兼ねなくこの身で湯を味わえるようになったのじゃ……一度は行っておかねばな


【などと誰に聞かせるでもなく呟き、少しばかりリラックスした様子で息を吐いていた】

【もし誰かが近くを通りかかることがあったならば、この奇妙な光景が目に留まることもあるだろうか】
【また、静かな森であるため音はよく響く。近くで何かがあれば少女が反応するかもしれない】


【――】


【ところかわって、"昼"の町外れ】

うーん……やっぱりいい音だなぁ……

【中心部から外れた閑散とした雰囲気の漂う町外れ】
【その一角に建つ小さなお店の前に一人の少年の姿があった】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【少年の前にあるのは風に揺られてチリンチリン……と、綺麗な音を鳴らす"風鈴"】
【看板の下に吊られた其れは、どこか清涼感を与えてくれる気がした】


エアコンはまだ買えないけど……気分くらいは涼しくならないとね
ふふ、デザインもちょっと可愛いし……飾りとしても結構いいかも……


【ほんわかとした笑みを浮かべながら、指先で軽く弾いて音を鳴らす】
【表面に描かれた赤い金魚の絵がふらふらと揺れて、夏の日を彩っていた】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】

【本日もまったりと営業中であった】

/1時で持ち越しになります!
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/07(木) 20:51:50.91 ID:bGeAu0Nk0
>>937
/まだいらっしゃいますか?
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/07(木) 21:00:28.48 ID:lwdjOD3ao
>>938
/おりますよー
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/07(木) 21:20:21.27 ID:bGeAu0Nk0
>>937 >>939

【切り株の周りに広って、暗き森を照らす薄明かり】
【それに惹かれてやってくるのは、何も羽虫や野ネズミの類だけではない】
【――もし足音に気付けば、あなたはそこに、一人の少女が訪れようとしていることに気付くだろう】

【凛々しいダブルブレザーの上に、いかずちの息吹を吐くワイヴァーンの刺繍が入ったマントを羽織り】
【二つ結びの琥珀色の長髪に、魔女じみた三角帽子を被った碧い眼の少女だ。背丈は、160cmにちょっと届かないくらいか】
【小柄な少女の和装とは対照的な洋物だが、彼女もまた、古風な装束で身を固めていると分かる】

【そして彼女は、濁世のたしなみか、腰に細長く尖った決闘向けの両刃剣――レイピアを差している】
【だが抜き放とうと用心しているようには見えず、その様子……特に足取りからは、かなり疲弊していることが伺えた】

(不気味な人形ね……でも、治癒の術が張られているのは確かだわ)
(あのワッペンが偽物じゃなかったら、信用できそう……)

【木陰を縫って少しずつ着物の少女の方へ近づいて行く「魔女」は、その胸元に正義の印≠認めると】
【余計な警戒心を見せるのをやめて、ゆっくりと目の前に歩み出ようとする】

こんばんは、初めまして……えっと、通りすがりでこんなことを頼むのはどうかと思うのだけれど……
そのお人形さん、あとで少しばかり貸していただけないかしら?

【口元に左手を当てて申し訳無さそうに言う「魔女」からは、微かな血の匂いが漂っていて】
【その『源』を眼でたどれば、衣装の右脇腹部分が大きく裂け、その下に包帯が巻かれていることが分かるかもしれない】

/では、よろしくおねがいします!
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/07(木) 21:37:42.90 ID:P6AW8Gnwo
【酒場】

【蒸し暑い夜から逃げるように客達はこの酒場に集まる】
【そのせいで更に店内は蒸し暑くなるのだがアルコールの入った客には関係ない】
【不意に勢い良く入り口のドアが押し開かれる。冷たい空気と共に1人の男が店内に飛び込んでくる】

【古い型のサングラスをかけた背の高いやせた男。黒いスーツ地のスラックスに青いシャツ、濃紺のネクタイにスーツベスト】
【慌てた様子で汗をかきながらグラス片手にフラフラする客を押しのけてカウンターに一直線に走って行く】

ヘイ、ヘイ…マスター!…ああ、その…一旦、ちょっと失礼!…いつも通りにしてくれりゃいいからさ

【そう言って男はひょいとカウンターを乗り越えてその下に身をかがめる。それから直ぐに二人組みのチンピラが現れて】
【店内を見渡した後、店主に詰め寄る。『さっきの男は何処だ』とか『アイツを捕まえりゃ金が入るんだよ』と話し声が漏れる】
【店主は店の奥へ通じる扉を指さして『裏口から逃げた』とぶっきらぼうに答えると二人組みは店主を押しのけて出て行った】

…いやぁ、はは…悪いね、いつも。………ま、その…ビールもらおうかな。…ああ、失礼

【カウンターから這い出てきた男は苦笑いをしながらカウンタによりかかり、ポケットから取り出した煙草に火を付けた】
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/07(木) 21:38:53.47 ID:lwdjOD3ao
>>940

…………ふむ。


【紅蓮の少女は、視界に現れた彼女を少し目を細めながら観察する】
【その動作や声色などに敵意や害意が存在しないかと鋭い目線で探りを入れて】
【発された言葉を数秒かけてじっくりと吟味した後】


――夜の森は物騒じゃからな、迷って獣にでも襲われたのかの?
よいぞ、ちと妙な動きをさせるが……黙って受け入れるなり目を閉じて耐えるなりするがいい


【小さく息を吐きながら、彼女に対してそう答えを出した】
【紅蓮の少女が手をゆっくりと上げて、"対象"を指差しヒトガタに思念を送ると】
【ヒトガタの短い腕が帯を解いたようにシュルシュル……と細長く伸びて、患部に巻き付いていこうとする】

【素材は見たまま"紙"、であろうか】
【どういう原理で動いているのか、滑らかで生物のような動作だ】
【もし何の抵抗もなくこの行為を受け入れたならば、ゆっくりとだが痛みが和らぎ傷口が治癒していくだろう】


……その様子じゃと、手負いのまま随分と歩いてきたのではないか?
"得物"をそこに置くのならば、しばしわらわの隣に座らせてやってもよいぞ

傷を癒して去るにしても、その様では途中で行き倒れるのが関の山じゃろうからな


【そして、妙に偉そうな……高圧的な様子の口調で彼女に対してそんな言葉を投げかける】
【少々刺があるようにも聞こえるかもしれないが、内容は親切心から来ているものであった】

【大きな切り株は、少女二人を載せても十分すぎるほどのスペースが存在している】
【もし、彼女がこの提案を受け入れるならば】
【紅蓮の少女は少し体を横にずらして、自分の隣を小さくポンポンと叩く仕草を見せるだろうか】
【近づく場合は伸びたヒトガタの腕が撓む為、踏まないように少々注意が必要かもしれないが】
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/07(木) 22:13:16.42 ID:bGeAu0Nk0
>>942

ええ。油断していたもので、深くはないけれど手傷を。
いいところで治癒の術者が見つかって助かった。恩に着るわ。

【――と、淀みなくつらつら述べる「魔女」であったが】
【彼女から漂う血の匂いは、かなり古い≠烽フだ。獣と格闘して、ずっと森の中に居たとは考えにくい】
【伺える傷が熊の爪や猪の牙によるものと比べればだいぶ浅いこともあり、疑わしく思っても無理はないだろう】

……近くで見てみたら意外と可愛いものね、このお人形さん。
骨が入っているみたいに動くのには、ちょっと驚いたけど……。

【「んっ」と小さく声を上げるだけで、彼女は腕の巻き付きを受け入れる】
【この手の人物が有する東洋趣味・珍品好きを擽ったのか、人形への評価は遠目に見ていた時とは一転していたが】
【ビジュアル以上に、その動きの精緻さが「魔女」の眼を丸くさせていた】

【人形師と呼ばれる魔術師は彼女も何度か見たことがあるが、それは凡そゴーレム使いか、さもなくば屍術師に与えられる称号だ】
【天然にしろ人工にしろ、そういう手合が行使する「人形」には関節と駆動系が備わっている】
【この奇妙な平面の物体がいかなる方法で高度に操作されているのかは、考えても見当がつかなかった】

あら、小さいのに随分とお利口さんね……、とは言えお互い初対面、警戒するのも当然かしら。
せっかくのお誘いだし、傷が治るまで側に居てあげる。 ――寂しいなら、添い寝までしてもいいわよ?

【幾らか余裕――素、とも言う――が出てきたのか、偉そうな口ぶりには自分も高慢に答えるだろう】
【それでも少女の誘いには応じて、彼女はレイピアを鞘ごとその場に置く】

【マント同様にワイヴァーンの意匠が凝らされ、十字鍔を翼に、ナックルガードを尾に見立てたそれは】
【さながら、飛竜の顎門から発される息吹を刀身によって表現しているかのような、芸術的な代物だった】
【何か魔術的な加工が施されている形跡はないが、相当に値の張るものであることは間違いない】
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/07(木) 22:37:19.18 ID:lwdjOD3ao
>>943

ほう……わらわの"芸術"の素晴らしさが判るとは、悪くない目をしておるな

じゃが、あまり手荒に扱ってはくれるなよ
見ての通りすぐに破れてしまう代物なのでな?


【自身の作り出した"作品"を評価する言葉に、若干ながら嬉しそうな声色が混ざる】
【ヒトガタは簡易的に人体の形状を模しただけのモノで、立体感が薄い】
【腕に至っては手で摘んで引き裂くことすら可能なほどにまでペラペラである】

【一般的な人形のような部品の組み合わせで稼働するような其れではあるまい】
【恐らくは異能、術の類であろうか。櫻の国の術を知っていれば"式神"に似ていると察することも出来るかもしれない】


……思った以上に余裕があるようで、幸いというべきか面倒というべきか。

ぬかせ……生憎と添い寝をする相手は間に合っておるからの
わらわを魅了するならば、あと二回りは身体を大きくしてもこもこの体毛を生やしてくるがいい
さすれば愛でてやることを考えてやらんでもないぞ?


【彼女の軽口とも取れる言葉に、ふん、と小生意気そうな表情を浮かべながら返す】
【添い寝の相手は大きな獣かなにかであろうか】
【大凡少女に求めるには難易度が高すぎるであろう要求であった】


さて……まずは何を語るにしても名を知らねば始まらんな

わらわはカミナ、カミナ・ゲルギルじゃ
見ての通りかは知らんが、SCARLETの新米隊員といったところかの


【こほん、と小さく態とらしい咳払いをし場を仕切り直すと】
【まずは紅蓮の少女――カミナは自身の名と所属を明かす】


御主の名も教えるがよい。
その立派な誂えを見るに、何処ぞの騎士様のようにも見えるがの


【カミナは、少女の名を尋ねると同時に】
【彼女の得物やマントに記された見覚えのない形状の装飾に興味を示す】
【個人の趣味にしては豪奢に思えるその様に、何処かの自分の知らない組織に属した人間ではないか予想しているようだ】
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/07(木) 23:05:00.89 ID:bGeAu0Nk0
>>944

ふっ、どうして私が愛でられなきゃいけないのよ。……まぁ良いわ。

【伸びきった人形の腕を引きちぎらないよう気を付けながら、切り株に腰掛ける】
【冗談を長々と引きずるつもりは、彼女にもないのだろう】
【少女が咳払いすると、合わせるようにリボンタイをまっすぐに直した】

立派なのは確かね。だけれど、騎士なんてもんじゃないわよ。
私の名前は、ロザリンド・ルーゼンホルト――水国伯爵家、ルーゼンホルト家が長子。
あなたが気にしているケープと剣にあしわられた翼竜は、当家の家紋のモチーフよ。驚いたかしら?

【名乗りを促されると、「魔女」は待ってましたとばかりにその名を告げた】
【だが、水の国の歴史や、或いは戦史に通じていなければ、ルーゼンホルトなどという家名は聞いたこともない者が大半だろう】
【それもそのはず――この一族は一世紀も前には既に没落し、今や本家以外は爵位を失った遠い昔の軍事貴族だ】
【まして相手は水の国以外の出身と見える。ロザリンドの自信とは裏腹に、微妙な反応が帰ってくる可能性が高い】

そういうあなたは、カミナ・ゲルギル……。櫻の姓にしてもあまり聞いたことが無いわね。
かなり荒々しい響きだけれど、遠方から来たのかしら?
しかも「あの」SCARLETに身を置き、奇妙な紙の術を使う――さて、どこから尋ねてみるところかしら。

【ロザリンドの装いと出自が凡そ一致している一方で、カミナの素性を質そうとするのは難しい】
【眼を見張るような紅蓮の髪、東方の装束と秘術、あまり聞いたことのない苗字――】
【あれこれと考えを巡らせてはみるものの、提示された諸要素がぴったりと一つの線で繋がらない】
【この小さな身体に、どれだけ数奇な経歴が刻まれているのだろうと、ロザリンドは首を傾げるばかりだった】
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/07(木) 23:36:48.30 ID:lwdjOD3ao
>>945

ルーゼンホルト……ふむ、聞かぬ名じゃな。
まぁ、元よりこの国の貴族の名などわらわは覚えておらぬがのぅ――。


【「それにしても貴族様か……色々と納得がいったのじゃ」と、締めくくる】
【納得がいった、とは装いの他に口調などのことも含めた発言であろうか】
【ロザリンドが高貴な身分を持つ少女であると知った上でも態度は変わらず】
【先程同様の調子で彼女に応えていった】


……じゃろうな。わらわの名はこの国の者の養子になって変わっておる
国の名が混ざりあえば多少判りづらくもなろうよ


【カミナ・ゲルギル――最初の"カミナ"に関しては漢字で表すことが出来るが】
【姓、ゲルギルはそれこそ奇妙な当て字にでもしない限りは存在しない名であろう】
【東方の血にしては異質な赤髪に、珍しい術。幼い童女のような容姿にもかかわらず"SCARLET"の所属】
【見た目からその過去を、素性を察することは恐ろしく困難であった】


尋ねてもよいが、答えられるかは知らぬぞ。
わらわは……そうじゃな、"みすてりあす"な女じゃからな。訊かれても話せぬことの方が多いのじゃ

それに、わらわばかりが聞かれるのも癪じゃし、何でもかんでも尋ねられても困る
御主の質問に応える対価は……そうじゃな。ロザリンドよ、御主の"秘密"1つと交換ということでどうじゃ?


【カミナが鮮やかな髪を軽く掻き上げるような仕草を見せながらも】
【少々ばかり意地の悪そうな、試すような表情を浮かべながら彼女にそう返事をした】
【知りたいならば相応の対価を……先に素性を喋らせておいて、あんまりな提案ではあるが】
【そういう条件でならば幾らか話すつもりはあるようであった】
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/08(金) 00:11:19.81 ID:dDxltlN/0
>>946

あなたはあなたで随分おしゃまというか、おじんくさい≠よね。じゃなーっ、のじゃーっ、て。
櫻の方では、騎士……サムライ、だったか……の家に生まれた娘が、こんな風に話すって聞いたわよ。

それがはるばる、大陸まで養子に出されたとはね。苦労もあったでしょうに。

【実のところ、家が凋落しきってから生まれた子であるロザリンドは、きらびやかな社交界と縁がない】
【だから、特徴的な語り口のカミナについて、これが「本物」なのだろうかと邪推してしまう】

【幼いながらに余裕ある佇まいと、揺らぐことのない意志で輝く瞳――】
【貴族の理想像のようなこの少女をそばで観ていると、愛おしいような、慕わしいような、何ともいえない気持ちがした】

私の秘密……うーむ、困ったわね。たった16年の人生で、隠し通してきた事なんて有ったかしら。
そうね。交換条件が交換条件だし、身の上話の続きでよくて?

約束するから、まずカミナの話を聞かせて欲しいわ。
此方は名乗るついでにいつものクセで、自分が何者かちょっと話してしまったものね。

【いきなり悪戯めいた表情を突き付けてくるカミナに、ロザリンドはきょとんとして】
【それから少し考えると、ませた子供を見る時のように微笑ましげな表情になり、自分から出せるものを提示した】
【貴族である、という以上の自己の実情。ただし、どこまで話すかは相手を見て決める、という意図を言外に含ませている】
【――とは言え、その聞かれてもいない内から喋り出す性情からすると、話の「食い逃げ」をされることは無いだろうが】
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/08(金) 00:35:25.69 ID:0qxKH0NSo
>>947

サムライ……これまた何とも色気のない例えを持ち出してきたものじゃな

わらわを見たらほれ、そんな可愛げのないものではなく他に浮かばんかの?
姫君とか、御主と同じ貴族のお嬢様とかな……わらわにピッタリであろう


【ロザリンドの予想に対して、カミナは少々ばかり微妙な表情を見せた後に】
【指先で赤髪の端をくるくると巻き取る仕草をしながら、上目遣いに彼女を見やりながらそんな事を口にする】
【どうにもこの少女は、自分の"容姿"に自信があるようである】
【果たして、本当に「そういった身分」であるかを察することは未だ難しそうではあるが】


くくっ……そう大層な秘密は求めておらぬからそれでよいぞ
あまり勘ぐって、貴族様のいらぬ騒動に巻き込まれるのもゴメンじゃしな

まぁ、互いを知るための余興のようなものじゃ
肩の力を抜いて、世間話の一つと思ってゆるりと話すがよいぞ


【含んだような、独特な笑い方をしながらそう告げる】
【"秘密"、といってもロザリンドの深くまで探るつもりはないようだ】
【飽く迄も、休息中の会話のテーマのようなものだろう】
【カミナが口にしたように、少しばかり捻くれてはいるが自己紹介のようなものであった】


むっ……まずはわらわの話か。
そうじゃのぅ、何を語ってよいものか――……御主も興味を持っておったようじゃし、あれでいいかの?


【其処まで言葉を紡いだ瞬間、カミナの頭上2mほどの位置の空間が突然じわり……と歪む】
【そして空間から滲み出るようにして大きな平面の物体が"生まれだした"】

【それは1.5m四方ほどの大きさをした白い"紙"であった】
【紙は空中で見えない手で触れられているかのようにパタパタとひとりでに折られ始め】
【数秒と経った頃には一つの形をして顕現していた】

                  
                【<貴宝院流不切正方形一枚折り・鶴>】


【それは"折り鶴"。人一人を軽々と載せられるようなサイズの其れは】
【長く薄い翼を羽ばたかせると、空を切りながら二人の前まで飛翔しふよふよと浮かんでみせた】


これがわらわの力――「カミオリ術」なのじゃ
どうじゃ? 御主の秘密を知る対価としては十分すぎる出し物じゃと思うが


【無から紙を生成し、"折る"ことで特性を付与し自在に操る特異な術】
【先程から癒しの力を放っている"ヒトガタ"もこれで生成したのだろう】
【カミナは自身の誇る術を若干ドヤ顔気味に披露しながら、「次は御主の番じゃぞ?」と彼女の話を促した】
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/08(金) 01:08:49.28 ID:dDxltlN/0
>>948

【二人の頭上に突如として現れた「紙」が瞬く間に「鳥」となる】
【それだけなら手品の一言で片付けることができるが、折られた鳥は、その姿通りに翼をはためかせ、飛んで見せた】
【いま自分に腕を巻きつけている人形が、まさしく「人の形」に相応しい動きをするように】

なんてこと……これは確かに「芸術」ね。
しかもただのオブジェじゃない。作られた形、込められた意味通りに動く。術式のプログラム化は私もしているけれど、柔軟性が段違いだわ。
或いは、言霊=\―最も単純だけれど、強力な魔術のかたち。命じたとおりに事象を操る、あれにも似ている……。

【――驚嘆し、そして感激したのだろう。ロザリンドは魔術や呪術に造詣が深いつもりだが、こういうものは見たことがない】
【カミナの方と浮遊する鶴の方とを交互に見遣りながら、あれこれとコメントする姿には】
【飄然と澄ました常態からは計り知れない、歳相応の好奇心が滲み出ていた】

……ごめんなさい、まくし立ててしまって。でもそれだけすごいのよ。いま以上に誇りなさい。
このお人形さんだけじゃなくて、紙で見立てられれば何でも作れるなんてね。なかなか有ることじゃないわ。
「キホーイン流」って言うのかしら。櫻にも、こんなにすごい秘術を伝える家が――あっ。

【興奮しながら、なおも言葉を紡ぎ続けるロザリンド】
【だがある事に思い至ると、まるでヘソクリを見つけた時のように悪い顔をしながら、唇を結んだ】
【『憶測』であるため確証はないが、カミナが大きな反応をすれば――】

【ただし、今のロザリンドの立場は「語り手」に変わろうとしている】
【その辺りを突っつけば――こんな素晴らしいものを見せた後でもあるし、甘んじて話題を変えるだろう】
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/08(金) 01:10:14.71 ID:dDxltlN/0
/すいません、事前に仰っていた一時になってしまいましたね……レスが遅くて申し訳ないです
/自分はあした終日家にいますので、ロールを再開できる時間を教えて頂きたいです
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/08(金) 01:15:56.26 ID:0qxKH0NSo
>>950
/いえいえ、お気になさらずです!持ち越しはこちらの事情に付き合って頂いているわけですし
/19:00頃には帰宅しますので、その辺りの時間帯には返レスできるかと!
/では、またよろしくお願いします。おやすみなさーい
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/08(金) 01:50:57.96 ID:dDxltlN/0
/次スレです!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1407430196/
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/08(金) 17:46:17.10 ID:CPd0tHRIo
【路地裏】


 これで、七人目かぁ……
 噂は流れてるみたいだけどさぁ、だぁれもあいつ自体を見たわけじゃないのよねぇ……


 【フード付きのパーカーを着た、緑色の髪のショートヘアーの女がいた】
 【彼女自身は、このような、犯罪者や、悪人が集まりやすい場所にいるような人間に見えない】
 【彼女の両手が赤く染まっていなければ……の話だが】


 私の情報が流れないように、念入りにこの世界からあなたの命を消してあげる。


 【女は満面の笑みを浮かべながら、男の死体に向かって緑色の液体を右手から放つ】
 【グツグツと煮立った液体のように遺体は溶けて消えてゆく】


 あいつを消せたら、私の目的は達成できるの
 だから、あいつを知ってる奴を探してどこにいるか聞き出さないとねぇ……


 【女は強力な殺気を出しながら笑う】
 【もはやそれは、人間の物ではなく、化け物のそれであった】


 【どうやら、彼女は人を探しているようだ……】
 【故に彼女は今、周囲の状態に敏感だ、誰かいればすぐに気づくだろう】



 【また別の路地裏】


 最近、行方不明者が増えているみたいだな……
 奴らはこの世界に存在しないしぁ……

 【黒いソフト帽を被ったライダースジャケットの男が溜息をついた】

 【彼はどうやら、行方不明者が増えた原因を探しているようだ】

 正直俺が動くのは間違っているかもしれないんだよなぁ……
 警察みたいな組織の所属じゃないわけだしよぉ……

 【男は路地裏を歩く、自分への危害はどうでもいい】
 【男は周囲を警戒しているようだ】

 でも、やれることはやらないとな!!
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/08(金) 19:21:00.65 ID:0qxKH0NSo
>>950

……ほほう、その格好を見た時から"術師"の類じゃとは思っておったが
随分とまた饒舌に語るものじゃな

じゃがこれは、御主の想像とはちと違う代物やもしれんの
「カミオリ術」は、"無から紙を生み出す事の出来る"わらわ達の血統にのみ伝えられる術
謂わば血に宿る異能を自在に操る為の手段じゃ。

御主がどのような術を扱うかは知らぬが、参考にしようとは思わぬことじゃな


【ロザリンドの興味津々な様子に、表情の変化は薄いも声色を少しばかり弾ませながら言葉を返す】

【"紙を生み出す術"ではなく"紙を生み出す異能を扱うための術"】
【字面では似ているように見えるが、前提条件からして全く違う非常に珍しい形式の術であった】
【特定の異能を持っていることが条件となってくるため、使い手は非常に限られてくるようである】


――……ふむ。まさかこれだけを見て思い至るとはな
ロザリンドよ、御主は思った以上に知識を蓄えておるようじゃな

じゃが、わらわの"秘密"は一先ずここまでじゃ
くくっ……先を知りたくば相応の対価を支払ってからにするがよいぞ
それがわらわの気を引く内容ならば……少しはこの口も軽くなるやもしれんな


【ロザリンドが術の正体に感づいた様子を見せると】
【カミナは目をパチクリとしたあと、感心するような声でそう洩らした】
【知っているのが異常というわけではないが、限定的すぎて国内でも余り名が知られていない術である】
【魔女のような格好をした――実際に"魔女"なのであろうが】
【彼女の知識の広さを一欠片ながらも察すると、カミナは素直に相手を認め――しかし、直接的に口にすることはなかった】

【自分のターンを終了させて】
【期待するような、焦らすような様子で少しばかり楽しげに口元を吊り上げ】
【彼女がどのような話をしてくれるだろうかと、横から顔を見上げながら口が開くのを待っていた】
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/08(金) 20:23:27.80 ID:dDxltlN/0
>>954

や、それほどでもないわ。単に祖先の日記や蔵書に、東方の家系に伝わる秘術や兵法の記述がちらほら有ったってだけ。
「カミオリ術」の名を直接聞いたことは今まで一度もないし。
ほら、当て推量を自信たっぷりに言ってみると脈があるかも知れない――って、経験則に従った結果よ。

【カミナが声音を変えて評価してくれたのが嬉しいのか、ロザリンドはにこりとウィンクして見せる】
【半ばはったり≠フつもりで出した話が間違ってもいなかった。ということは、彼女はやはり稀な血族に連なるのだろうか】
【訊ける所まで聞いてみたいとも思ったが――、一方的に喋らせるのは不公平だ】

さて、自分で仕掛けた罠にハマったわね……。
あれだけの技を先に見せられたら、釣り合うような話はおいそれと用意できないもの。
私の魔術を見てもらってもいいけれど、派手なのだと山火事≠ェ怖いし……

……ええい、悩んでも仕方ない。とりあえず約束通りに喋ってみるわね。

【まるで決闘に向かう時のように帽子をかぶり直し、息を整え】
【話を頭の中でまとめると、ロザリンドは自分が置かれた状況を滔々と語りだした】

――さっきから「貴族のお嬢様」だなんて言ってもらっているけれど、本当はそんなにご大層な立場じゃないの。
私が、ではなく、ルーゼンホルトという家自体が。

あなたの所と同じように、ルーゼンホルト家も魔術の扱いに適した体質を継承する血脈だった。
ところが、女の人しかそれを受け継がなくてね……しかも悪いことに戦闘に特化した才能だから、とにかく古い社会で居所作りに苦労したのよ。
戦乱の時代のうちは、力で誤魔化していくことが出来たけれど、一度国がまとまると政治の殴り合いに弱くて。
血もどんどん薄まっていき、100年も前――私のひいおばあさまの代には、ルーゼンホルト家は没落していたわ。

だけれどこの一世紀の間、誰も豪奢な衣装やあの剣のような遺産を必要以上に売り払おうとはしなかった。
資本家になる才能が無いと確信していたのも理由の一つだろうけれど――それ以上に、歴史への誇りがあったからだと私は信じているわ。

【始めは悔しさが滲んでいた口ぶりは、いつの間にか熱っぽい長広舌に変わっている】
【彼女が背負うものは、先祖の名。もはや時代遅れのガラクタだとしても、投げ捨てることを許せなかった宝物】

……だからこそ、先祖返りみたいに術師としての能力を備えて生まれてきたからには、この家をもう一度盛り立てていきたいの。
私は本気よ。軍や公安へのコネはもう擦り切れて久しいけれど、
――だったらこの手でカノッサやGIFTに膺懲を下し、ルーゼンホルトの名を天下に轟かせて見せるわ。

【その決意表明を区切りに、数十秒ぶりに口を噤んだロザリンドは、自分がいつの間にか握りこぶしを作っていることに気付いた】
【人にとってはつまらない話だろうに、だいぶ熱くなってしまったらしい――】
【ちょっとだけ恥ずかしそうに眼をきゅっと瞑って、深く息を吐き、少女はカミナの反応を待った】
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/08(金) 20:28:09.11 ID:RG77q+bWo

【 路地裏 】



【 ──ごつん 】

【    ──ごつん     】



【路地裏には、『何か』を壁に打ち付けるような音が響き続ける】


……はーぁ、暇で暇で仕方ないワ。
『次』はまだかしらねェ。 こんな雑魚ばっか狩っても、全然楽しくナイナイナイのヨ。
ねェ、貴方はどう思うかしら。 ──、あァ、今、ちょっと意識飛んでタ?♪


【マゼンタのシャツに白いネクタイ、金の長髪に銀縁眼鏡、黒のクォーターパンツに黄のハイソックス】
【――と、ヴィヴィッドな色の目立つ趣味の悪い服装をした、中性的な相貌の男≠ナある】
【右腕の派手な腕章には、『Timy-XCIII』―― 93≠意味する文字が記されていた】


…、…まぁダ、話さない気かしラ。
個人的に長く保つ男は好きヨ。良いわ、死ぬまで一緒に居てあげル。 


【彼が掴んで壁に打ち付けているのは、男の頭部>氛汳jは既に気を失いかけていた】
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/08/08(金) 20:54:18.85 ID:F5z3mak4o
>>956
/まだ大丈夫ですかね?
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/08(金) 20:55:26.66 ID:0qxKH0NSo
>>955

むっ……するとわらわはまんまと嵌められたという事かの?

ふん、このカミナ様を策に掛けるとは生意気なことをしおるのじゃ
こうなっては……生半可な話では許してやれぬかもしれんのぅ?


【そう言いながらも、悪い気はしていない語調である】
【自身に特に害が無かったこともあってか、気にするような事とも考えていないようだ】
【ただの戯れあい、会話のスパイスのようなものと捉えて彼女の話に耳を傾けた――】


【――】


(なるほど――名を聞かぬはずじゃな……)


【語られる内容は"よくある"転落劇】
【時代の流れに乗れず没落していった古い貴族の話であった】
【異世界の知識が取り入れられることにより近代化も進み、古い風習が置き去りにされていく昨今】
【貴族のような特権階級自体、今は余り見かけることも少なくなってきていた】

【そんな世の中で、目の前の少女は自身の力で、血に宿る才で家を復興したいという】
【熱の篭った語りや仕草から、その決意が生半可な物ではない事はカミナにも伝わってきていた】
【ロザリンドの語った決意表明をしかと聞き入れて、数秒の間吟味し……】


……参ったの、これではわらわの方が釣り合わぬではないか
その歳で、お家の為に其処まで心血を注げるとは立派なモノじゃよ

じゃが――

【……そんな言葉を、洩らした】
【今度は実に判りやすい形で彼女の覚悟を、決意をカミナは認めた】
【認めた上で――続けて声を乗せる】


――じゃがな、女一人で幾ら息巻こうが現実的ではないのぅ
御主の力がどの程度の代物かは知らぬが
この世界は一振りの剣や術の一つで変えられる程優しく出来てはおらん
具体的な策もなしにただ力を振るった所で、名を上げることは難しかろうよ

……わらわに言われずとも、そんな事は重々承知の上であろうがの。


【カミナの口から紡がれた声は、厳しい現実を突き付けるようなものであった】
【どういった意図でこの言葉を紡いだのか、何を考えているのか】
【遊びのような秘密の交換を一旦切って、カミナはじっと彼女の目を見つめながら反応を待った】
【"何か"を期待するように、"何か"を確かめるように――】
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/08(金) 20:56:55.22 ID:RG77q+bWo
>>957
/はい、おりますよ
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/08/08(金) 21:11:23.57 ID:F5z3mak4o
>>956
【――――――――こつ。こつ。こつ】


【ごつん、ごつん、と何かをぶつけるような音が響く路地裏に、もう一つの音、ハイヒールがコンクリートを打つ音が響く】
【直後、ゆらりと人影が一つ揺れたと思えば男の背後に女は現れていて】
【真っ赤なスーツに真っ赤な肩まで伸びた髪、そして吊り目という目つきの悪さをサングラスで隠している】
【赤、朱、紅、とにかく目立つ赤色の格好をした女。そんな彼女は男にこう問いかける】

よう、こんなところで何してんだ?随分と穏やかじゃねぇなぁ…

【やはり荒っぽい口調。だが男は果たして気づけるだろうか】
【女が尋常ではない――いわば、修羅場をくぐり抜けてきたような――――そんな雰囲気を】

【返答次第では、さらにその雰囲気を増大させるだろう】
/では、よろしくお願いします!
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/08(金) 21:20:15.76 ID:B5LyqE5Wo
【路地裏】


【夏――ただでさえ暑いのに陰鬱な空気の路地裏は酷くじめじめしていた】
【場所によってはその辺に捨て置かれたゴミが腐り悪臭を放ってもいる】
【できることならば、近づきたくはない場所だろう】


……40……41……


【だが、そこにはひとつの影があった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた、そんな――暗い顔の少年だ】

【10代半ばに見える彼が行っているのは、いわゆる筋トレというやつだった】
【ごくごく普通の腕立て伏せ。顔は汗でびっしょりになっていて】


……45……っ、よんじゅう――

――はぁっ、はぁ……あー、もうこれくらいでいいや。暑いし


【中途半端な回数だが、そこで限界が来たらしく地面に寝転がってしまう】
【大きく呼吸を繰り返す本人は、気にしている様子はないが――汚い】
【もしこの場所に誰かが来るとすれば、少年はどのように映るのだろうか】
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/08(金) 21:21:38.20 ID:RG77q+bWo
>>960

【背後に現れた女。 ──その方向を一瞥もせず、男の頭を手放すと】
【掌を軽く振って、臭いをかぐ。「血で汚れちゃったわネ。」と、不満げに呟き】


…、…あラ。ちょっとだけ楽しそうな子ネ。
でもダメヨ。そんなに剥き出しの『雰囲気』出しちゃア、男にはモテないワ。


【──振り向く彼。93≠フ文字が女にも見えるだろう】
【それがどの様な意味を持つかは、推して測るべし、と云う所だが──】


見て分かんなイ? ──、悪さ≠オてンのヨ。


【にやり。 三日月の様に口角を釣り上げ、一足進め。ぐぃ、と顔を、彼女の顔の至近距離に近づけた】
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/08(金) 21:34:16.03 ID:dDxltlN/0
>>958

……ええ、カミナの言うとおりよ。
今みたいに散漫に悪党を追い立てるるのには限界がある。
現に、今の私にはこの傷をじっくり治すだけの持ち合わせすら無いわ。

【服の替えはあるのにね、と自嘲気味に零しながら、ロザリンドは式神の上から腹の傷に触れる】
【疼くような痛みは、今やわずか。癒しの術の効き目は十二分にあるらしい】
【――しかし、これからも傷を負うたびにカミナのように親切な人物に巡り会えるとは限らない】
【それどころか、満足な戦いをできないまま、悪漢に全てを奪われる末路だってあり得る】

もちろん「貴族は指揮する立場でなければ」なんて、甘えたことをほざきたいから一人でいるわけではないの。
だけれど、軍の魔術部隊や、他に相応な組織力を持つ所からラブコールを受けるのはまだ無理よ。
私自身が――まだ、自分への信頼と釣り合うだけの成果をあげられていないんだもの。

【ずっと強気に振る舞っていたロザリンドの碧い瞳が、明らかな弱みを垣間見せた】
【彼女は確かに自らの力を誇っている。だからこそ、それを証明しないまま、誰かに必要とされたくないのだ】
【矜持――それはこの少女の力の源泉だが、同時に大いなる重荷でもあった】

カミナ、私はきっと怖いのよ。一人で何もできないってことが。
それが論理的に正しいことだとしても……自分だけで何も成し遂げていないうちに、「家」以外の何処かへ所属してしまうのが恐ろしいの。
わかっていても、割り切りたくないのよ。 ――おかしな話よね。

【カミナの品定めするような視線を感じて、ロザリンドは俯く】
【……年下の娘に詰問されてようやく、冷静に自分の気持ちを分析できるとは、いやはや情けない】
【これでは、彼女が注いでくる期待めいたものにも到底答えられないだろう】
【ただそれでも後には引きたくなくて、少女は頭を垂れながらも、二回りほど低いところにあるカミナの眼を見つめていた】
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/08/08(金) 21:35:22.47 ID:F5z3mak4o
>>962
はん、あんたは"男"じゃなくて"オカマ"だろうが
まあ、あたしの雰囲気を感じ取った事は褒めてやるよ

【口角を嫌味たっぷりにつり上げ、女はニヤニヤとサングラス越しに男を見つめ返す】
【そして見える"93"の数字。これは果たして何の意味を持つものだろうか、女はそれをふと疑問に思う】

"93"ねぇ……何かのナンバーかこりゃ?
だとしたらカノッサ機関のナンバーズかい?お前は?

【サングラスを外し、目つきの悪さと真紅の射抜くような鋭い視線が相まって、それはまるで蛇睨みのよう】
【女は自身の推測を口に出し、男に確認する】
【当たるにせよ外れるにせよ、男が悪さをしているのは間違いないらしいようで】

ほーん…あ、そ
――――で、あたしをどうするつもりかな?

【至近距離に迫った男に動じる事も臆する事もせず、あくまで大胆で豪胆に、むしろ女も面白そうに口角をつり上げて笑ってみせる】
【その顔はどこか挑戦的なもの、挑発しているようにも思える】
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/08(金) 21:43:45.98 ID:RG77q+bWo
>>964

【ナンバーズか、との問には、「見りゃ分かるでショ」と軽く返し】
【──、と。寄せていた顔を引っ込めると、両掌を挙げて見せて】


── べっつにィー?


こんなトコで出会った、ソコソコ相手にすんノ面倒臭そうな奴と戦う気は無いワ。
アタシ、戦うのは好きだケド、『戦闘狂』じゃないモノ。……ソ・レ・よ・り。


【地に突っ伏した男の首根っこを掴み上げると、自分の体の前に掻き抱いて】
【ぐりぐり、と指先でこめかみを圧迫すると、男はうめき声を上げる】


アンタ、効率的な『拷問』の仕方とか知らないかしラ?
さっきからやってるんダケド、意外と根気強いのよネ。 ──、ホラ、アンタどこの回し者ヨ。


【そう言って、膝蹴りを男に一つ。 彼の方から『戦闘』に持ち込む気はないらしいが──】
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/08/08(金) 22:01:48.44 ID:F5z3mak4o
>>965
へぇ、カノッサか……
……へへっ、ビンゴってとこだな

【女自身が今現在追っている組織の一つ、カノッサ機関。その構成員である目の前に男】
【女はさぞ嬉しそうに笑う。だが、それは顔だけの話であって目は一切笑ってなどいないのだが】

おいおいおいおいおい、つまりあたしが強すぎるから戦いたくないって事だろ?
いやー、人気者は辛いねぇ、"人類最強"なんつってさぁ!

【面倒臭そうという男の言葉を都合良く解釈。それは絶対たる自信の現れか】
【この女は自らを"最強"と自称、自負している。それほどまでに自らに圧倒的な自信を持っているのだ】

んー?知ってるぜぇ?あたしは何だって知ってる
教えてやろうか?あぁ、いやいや、返答はいらん。強制的に教えてやるよ

【効率的な"拷問"など、いくらでもこの女は知っている】
【そしてそれを強制的に教えてやろうと言うのだ、但し――――――】

―――――――お前の身体でなぁッ!!!

【――――刹那、女は左脚を軸にくるりと身体を回転させて、素早く回し蹴りを放つ】
【鍛え抜かれた脚力、しかもハイヒールなのでその威力は言うまでもなく凶悪だ】
【喰らえば、数メートル程男は吹き飛ばされる事になるだろう】
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/08(金) 22:04:04.75 ID:0qxKH0NSo
>>963

……ふむ、それは残念じゃの。悪くない人材じゃと思うたのだが
御主があえて茨の道を歩むというのならば、無理に手を引くわけにも行かぬよな――


【大方予想は出来ていただろうが、カミナはロザリンドをスカウトするつもりだったようだ】
【各国の軍や警察組織が結託し作り上げた超国家部隊――SCARLET】
【これに所属するならば、組織としての恩恵と……何よりも各所への強力な"コネ"が手に入る】
【貴族としての大成を求める彼女にとって、よい道ではないかと考えていたのだが、望まぬ道を強制することも出来ない】

【カミナはロザリンドの夢を応援してやりたかった】
【果て無き道を一人突き進もうとする様が"妹"とあまりにも重なって見えたから】
【苦しみ足掻き、幾度も柔肌を傷つけながら歩みを進めるであろう事が目に浮かぶようであったから】

【紅蓮の少女は「――残念じゃの」。と締め括り、頭を振って小さく息を吐いた】


御主の言う通り、世の中判っておっても選べぬ事はある

効率的で綺麗に均された道が必ずしも正しいとは限らぬものじゃからな
その矜持で貫いた果てにだけ、見えてくる光景もあるじゃろう――


【カミナは、掌を開いて天に翳すような仕草を取った】
【すると、その手に乗るようにして小さく空間が歪み一枚の紙が姿を現し】
【先程同様に見えざる手で操られるようにパタパタと、形を変えていき――やがて一体の"ヒトガタ"が姿を現した】

【サイズはロザリンドを癒している其れとは比べ物にならないほど矮小で、10cmもないだろう】
【少女がそれに"神気"を灯すと、ヒトガタの表面に黒い染みが浮かんでいき……文字として刻まれた】


――気持ちに区切りがついたならば、何時でも"SCARLET"の門戸を叩くがいいぞ
わらわが推薦してやれば幾つかの面倒な手続きも省略できるじゃろうからな

それに……組織に属さずとも、背負う重荷を軽くする方法はある
例えばそうじゃな……誰とは言わんがふと森で出会った知人に頼ってみるなども、面白いかもしれんぞ?


【くっくっ、と独特の含んだような笑い声を小さくあげながら】
【カミナは小さなヒトガタをふわふわと浮かばせながらロザリンドの手の方へと飛ばす】
【そこに記されているのは、カミナの"電話番号"と"メールアドレス"だ】
【意図に関しては……敢えて、記すまでもないだろう。どうやらこうして関わろうとする程度には、気に入られているようであった】
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/08(金) 22:14:40.31 ID:RG77q+bWo
>>966


……ふゥ。アタシよりも頭おかしいわネ、アンタ。
そういう生き方してる、ト ──

【──回し蹴りの予備動作を認識すると、彼は男を背負い上げつつ身を低くする】
【結果として、回し蹴りが捉えるのは拷問されていた男=B 彼は数メートル吹き飛び、壁に打ち付けられた】


 いつか、 バケモン≠ノ出会って、半身 喰 い 千 切 ら れ る わヨ。


【「アタシのことじゃないわヨ♪」──、そう、付け加えつつ、伏せた身体から俊敏に横へ飛ぶ】
【この時点で、両者の距離は数メートル。 先程の蹴りが掠ったのか、切れた頬から伝う血を、べろりと彼は舐めて】


──ドラスティック≠ヘ、『ハレとケ』の間に生まれるのヨ!!
アンタみたいな脳筋には、理解できないでしょうけどネェ!!

【話しつつ立ち上がり、懐から取り出したのは二つの鎖=z
【紫色≠フ光を帯びたそれを──、両手に持ちつつ振り回し、相手の出方を見計らう】
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/08(金) 22:37:33.50 ID:U7zJPFTZ0
【街中――カフェ、店内のケーキケースの前】
【大通りに面した道は街灯に照らされる明るさ、ちっとも不安なんて抱かないぐらいの、眩さで】
【道と店内を分ける大きなガラスのドアから乱反射して入ってくる光が店内を――足元をチラチラと照らす、生き物みたいに】

そうねえ、またたび入りのケーキってないのかしら。あなたってばとっても喜びそう、好きでしょう? そういうの。
……あら、嫌なの? びっくりだわ、あなたのことだから好きだと思ったのに。残念ね、ペットショップまで探すつもりだったのよ。

…………――あら、切れちゃった。

【膝に添えていた手がひらりと解かれる、整えるようにスカートの布地を撫でる手には、指出しの手袋が嵌められていて】
【くすくす笑いで切れた携帯を見つめればスカートのポケットに押し込む、それから、空っぽになった両手は胸元で組まれ】

何にしてあげようかしら、そうね、あの子が好きそうなもの……。

【――濃い藍色の髪、赤と黒であしらった髪飾りはちょっぴりゴツいというか派手というか、その色合いによく目立って】
【髪と同じ色をした瞳が瞬く、――ちょっぴり日焼けした肌は、髪の長い大人しげな印象を薄めて、ただ、快活には見えなくて】
【黒を基調にしたワンピース、おなかのところが破れたようなデザインだけれど、きちんと当ててある布は、おなかを見せることはなく】
【傷口のように真っ赤な布地を覗かせて――足元は底の厚いブーツ、少し高い身長と合わせると、女性としては高めになって】

分かんないわ、味見していこうかしら――。

【――そんな女はふとケーキケースから視線を逸らすと、そう独り言めいて、足を向けるのはカフェのほう】
【ケーキケースの中のケーキはもちろんカフェで食べられて、他にも軽食があって、飲み物も一揃いはあって】
【そんなお店。一部の雑誌なんかで美味しいと有名になっている店らしいけれど、――だから、なのかもしれないけれど】

【こんな時間にしては混んでいる店内。紺色の彼女は運よく空いた席にストレートで通してもらえたようなのだけれど】
【もし誰かが訪れるなら。相席、という可能性がずいぶんと大きいような状況で。それなら、店員が案内する席といえば】
【店の隅っこ、窓際にある、4人掛けの席――(紺色の女が案内された、その席である)】
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/08(金) 22:41:48.86 ID:dDxltlN/0
>>967

【カミナの真摯な想いを鑑みると、わがままなを押し通すことに気が咎めないでもない】
【詳しくは分からないが、彼女はロザリンドよりずっと多くの経験を、戦場で重ねてきた人物だ】
【その意見には重みがある。素直に受け容れるのが、双方にとって正解なのではないか、と】

【――しかし、こうして抱えた想いは、認めてもらった後に撤回するほど軽くはない】
【不思議な力を帯びた紙人形を受け取り、その「文面」を読むと、ロザリンドは迷いなく澄んだ笑みを浮かべた】

……ありがと。でも、矢文か狼煙で連絡しろって言われるかと思って、内心びくびくしてたわよ。

いずれ、一仕事果たしたら――その時はSCARLETを訪ねるかもしれない。
「悪くない」人材ではなく、考えうる「最高」の人物としてね。

【琥珀色をした髪の房をさらりと撫でる気取った仕草と共に告げる言葉に、他意はない】
【彼女にとってそれは冗談でも何でもなく、いずれ成されるべきことだった】

それまではカミナのことを……ええ、『盟友』として頼らせてもらうわ。
だからあなたも、必要なときに私を呼びつけることができることを覚えておいてね。

【そこまで言ってから、何秒か逡巡を挟んだのち――】

……あ、あと………私のことは、「ローザ」って呼んでもいいわよ。
ロザリンドってちょっと言いにくいでしょ。

【わずかばかり、頬を赤らめつつ――自分を愛称で呼ぶことを提案するだろう】
【方向性は違えど、彼女もカミナに対して大いに気を許しているようだった】
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/08/08(金) 22:56:14.19 ID:F5z3mak4o
>>968
チッ……外したか。盾にするなんて卑怯な真似しやがって
まあ頑丈って言うくらいなんだからまさかあれ程度で死にやしないだろ。邪魔だし寧ろ好都合ってとこだな

【吐き捨てるように女は言う。だが特に男に対して謝罪の言葉や反省の態度は塵ほどにも見られず】
【寧ろ"邪魔だ"と一蹴り。彼の耐久力を信じて、女はこれ以上彼について思考する事をやめる】

その化け物ですら凌駕してやるよ、逆にあたしがそいつの半身を食い千切ってやろうじゃねえか!なんつってな

【男の様子を見れば、紫色の光を帯びた二つの鎖を手に持っている】
【振り回されるそれに当たらないよう、少しだけ後方に下がる】

はん、鎖とは何とも悪趣味じゃねえか。さすが拷問大好きな事だけあるな

【女はそれでも余裕綽々。口角を上げて笑っている】
【それはどこか、楽しんでいるようにも見えて】

ふん。それじゃあ戦う前に自己紹介と参ろうぜ

あたしは――――ある所では《赤い閃光》!ある所では砂漠の鷹《デザートイーグル》!ある所では死の赤色《デッド・レッド》!あるところでは奇跡の親戚《ジャイアント・キリング》!
その正体は――――人類最強の請負人こと、"常夜 蓮"だ!
改めまして初めまして!――――"あたしの敵"―――――以後、よろしくさせて貰うからな!

【これは名乗り。これは明確なる宣戦布告】
【目の前の男を、カノッサを"敵"と認めた蓮は高々と声を上げ、宣言する】
【「――――お前はあたしの敵」と】

【そして、いつの間にやらその右手に長さ2m程の太刀を握っているのが分かるだろうか】
【真っ赤な、紅蓮の刀身をしたまるで芸術品のようにも思えるそれを携え、そして―――】

―――――――行くぜぇ!!

【女は刹那の間にして駆け出していた】【男の眼前目掛けて】【しかし、その鎖に充分警戒しながら】
【まずは小手調べ――――肉薄に成功すれば横一文字に真っ直ぐ一閃するだろう】
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/08(金) 23:07:25.85 ID:0qxKH0NSo
>>970

昔は術で連絡を取ったものじゃが、組織でやっていくには文明の利器も必要なのでの
諸事情で繋がらぬ時もあるが……まぁ、メールを連絡を寄越してくれればその内目も通せるじゃろう


では……大いに期待させてもらおうか、ロザリンド・ルーゼンホルト

今は何処も畏も人手が足らんのでな
御主のような確固とした気概を持った人材は喉から手が出るほど欲しいのじゃ


【この言葉に嘘がないことはカミナの目や声質から察することが出来るだろうか】
【彼女の言葉に期待を込めて、しかと胸の内で受け止めて仕舞い込んだ】


【――】


――……ぷっ、くくくっ……!
なんじゃ、少しは可愛げのある顔も出来るではないか……!


【顔を赤くして恥ずかしげに語るロザリンドを見て、カミナは何とも愉快げに笑う】
【馬鹿にした調子ではなく、どことなくフレンドリーな雰囲気を漂わせるような】
【そんな笑みを数秒の間浮かべた後に】


……判ったぞ"ローザ"。御主の力が欲しい時は遠慮なく声を掛けるのじゃ
SCARLETとしてではなく、一人の"盟友"として御主の手腕を頼らせて貰うことにしようか


【その提案を快く受け止めていくのだった】
【最初に放っていた警戒心はどこへやら、カミナは童女のようにコロコロと笑いながら】
【片手で彼女の肩を軽くトントンと叩こうとする】


……さて、身体の具合はどうじゃ?
疲れが残っておるならばもう少し付き添ってやってもいいがの――


【告げる声は、今宵の別れを左右する内容の其れであった】
【話し始めてそれなりに時間が経ち、もう深夜といっても差し支えのない刻であろう】
【夜の森は獣や魔物などが活性化し、危険である。いつまでも滞在し続けるわけにも行かなかった】

【もしここを去るならば、カミナは巻きつけていた"ヒトガタ"の腕を外し、ローザを森の出口まで送っていこうとするだろう】
【もう少しばかりここに留まるならば、あえて其れを止めるようなこともしない】
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/08(金) 23:13:34.05 ID:RG77q+bWo
>>971

【「こっちは自己紹介する気ないワヨ。」と、つれない一言──】
【名を覚えられては付け狙われる、と云う打算的な思考からだ。彼女は『執念深い』人物に見受けられる】


……えらい物干し竿≠ヒェ。
そういうのデ、『超近接距離』に持ち込んじゃうとォ──


【──横一文字。 軌道を認識したなら、鎖を一本離し、両手で一本の鎖≠ノ持ち直す】
【「ギリギリ」というタイミングで刀の軌道上に鎖を持ってきて、防御=z
【丁度、鎖と刀の鍔迫り合い──表現はおかしいが──という形になろうか】


     とってもいい、支点≠ノなるのヨねェ♪


【──言葉と同時、彼は軽業師の様に、蓮の刀の威力を利用して『飛び上がる』】
【鎖を握ったまま、刀との接触点を支点としてくるり、と一回転。 丁度、刀を飛び越した′`になろうか】

【もし、一連の動作が成功したなら──着地の流れそのままに、蓮の脇へ蹴りを叩き込もうとする】
【最も、何処かで動作を阻害することも可能だが──】


/最長でも30分以上かかる様なら、分量少し減らした方がいいかもです。
/こっちもそちらの分量に合わせるので、どうぞ楽な分量で返してください。
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/08/08(金) 23:27:10.22 ID:F5z3mak4o
>>973
ちっ、つれない野郎だ…
名前も名乗れないんじゃ女からモテないぜ?

【鎖と刀の鍔競り合い―――実に奇妙だが、そう表現するしかないこの状態】
【尚も軽口を叩く。それは果たして相手を舐めているのか、それとも何か打算があっての事なのか】
【と、ここで男は刀との接触点と支点にして飛び上がった】
【それはさながら軽業師や曲芸師のよう。流れるような一連の動作にはどこか美しさも感じられて】

ぐっ……
へへっ、良いねぇ、面白くなってきたぜ

【脇への蹴りをまとも喰らう。これで苦悶の表情を晒す事になるかと言えばまったくそうではなく、むしろ笑っている】
【蓮はこの男を強者と判断した。戦いを楽しむ節がある彼女は、それを喜んでいるのだ】

さぁて、それじゃあお返しだ…!

【脇腹の痛みを気にする事もなく、肉薄している状態の軽く男に軽く足払いをかけようとする】
【それが成功し、男の態勢が崩れるならば蓮は袈裟斬りに刀を振るうだろう】
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/08/08(金) 23:27:56.75 ID:F5z3mak4o
/っとと、書き忘れ…
/申し訳ありません、自己紹介のところを考えていたら大分時間がかかってしまいました…
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/08(金) 23:38:00.14 ID:dDxltlN/0
>>972

ふん、「少しは」が余計ね。
私はいつでも良くできた、可愛らしい顔をしているはずよ?

【いつもの調子に戻りながらも、ローザは内心、温かな気持ちでいた】
【高慢で強気な振る舞い、そしてストイックさのせいで、彼女には友人と呼べる人物が少ない】
【だけれども、カミナは「友」としての自分を受け容れてくれた】
【正直、それがどんな意味を持っていくのかは未だ分からないが――掛け値なしに喜ばしく思っているのも、確かだ】

……だいぶ良くなってきたわね。元から近道を辿っているだけだったから、長居する気は無かったのよ。
でも、今日は――街の灯が見えるところまで、エスコートしてもらおうかしら。

【肩を叩かれても、響くような痛みは感じられなかった。この調子ならすぐにでも動けそうだ】
【ただ大事を取ってカミナに先導してもらうことを、ローザは選ぶ】
【――或いは、ほとんど初めての友人と、もう少しだけ長い時間を共に過ごしたかったのかもしれない】

【立ち上がり、今まで自分の傷を治してくれていた人形の背中を労うようにさすると】
【レイピアを拾い上げて再び腰に佩き、カミナと共に、先ほどとは打って変わった確かな足取りで歩き出そうとするだろう】
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/08(金) 23:44:19.59 ID:RG77q+bWo
>>974

【蹴りを叩き込んだ勢いそのままに、上段から鎖を叩きつけようとするが】
【──、思ったよりも、相手の『耐久力』が高い。行動を中止し、一度、距離を取ろうとするが】


うッ ──、 っはァ!? 


【同時に放たれた足蹴りに引っかかり、態勢を崩す】
【結果として回避は不完全に終わり、袈裟斬りは決まりきらないまでも、右肩を深々と切り裂いた】


…、…だぁー、もウ!! これだから『面倒』なのヨ!!
いいワ、次の『接触』で決めるワ!! フィジカルお化け相手に長々とやってられないってのヨ!!


──≪Electrocutionist≫ッ!!


【──が、距離を取る動作は継続】
【再び両者の距離は数メートルに広がる。 一方は肩部に裂傷、一方は腹部に打撲──No.93≠ェ些か不利か】
【現に、右手をだらりと下げ、左手一本で鎖を持っている彼。 だがまだ、『勝機』はある、と踏んでいるようだ】

【と、彼が『能力名』を叫ぶと──鎖が、電気≠帯びる。 能力=Aということだろうか】


/いえいえ、此方こそキツい言い方でゴメンなさい。
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/08/09(土) 00:01:58.49 ID:dzxBfZiNo
>>977
あー……いってぇ……

【足払いからの袈裟斬りは見事に成功。男はその距離を開いていく】
【蓮は蹴りを喰らった脇腹を片手でさする。どうやらかなり効いたらしい】

誰がフィジカルお化けだこら!
っと―――――なるほど、そういう能力ね

【男が何かを叫んだ後、鎖は電気を帯びる】
【つまりはそういう能力か、まだ何かあるかもしれないが、少なくとも最低でもそれだけは分かった】

そっちがその気なら、こっちも見せてやるよ!

―――炎よ、全てを焼き尽くすが如く炎獄よ、顕現せよ!!―――

【蓮もまた、能力の全てを出し切ってはいなかった】
【紅蓮の刀は、灼熱の炎を纏う】【空気が焼き焦げるような臭いがたちまち辺りに充満する】

さぁて、第二ラウンドってところかぁ?

【灼熱の刃を携えながら、"接触"の時を待つ】
【男の言う通りになるのであれば、これで勝負が決まるという事か】
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/09(土) 00:03:55.96 ID:CfbKrWuZo
>>976

そうじゃな……わらわの知る中では
十指に入る程度には愛らしかった、と云うておこうかの?

わらわ程に世界を巡っておれば、それはもう数多の美女と出会ってきておるからな
これでも随分と高く買ってやっておるのじゃぞ、ローザよ


【「――無論、一番はわらわじゃがな」などと】
【赤髪をサラッと風に靡かせながら語る口には、相変わらず容姿への自信で溢れていた】
【どこまで本気で言っているのか、冗談めかした声質が混ざっているため判りづらいであろうが】


うむ――ならば、早くこんな辛気臭い場所から立つとしようかの
わらわも人里が恋しくなってきた頃合いじゃしな


【カミナは脇に立てかけていた剣を手に取り、腰に括り付けると】
【長く座っていたせいか少しばかり億劫そうに腰を上げて立ち上がった】


ふむ、ならば丁重に送り届けてやらねばいかんのぅ

幾らか治っておるとはいえ、わらわの"癒し"は簡単な処置に過ぎぬ
いつ傷口が開いてもおかしくはないからの――


【撫でられた"ヒトガタ"は、カミナが操作したのかそういう意志が存在するのか】
【手を揃えて膝に添え、深々とお辞儀をしながらふわ……と煙のようにその場から消えていった】
【傷口に関してはカミナの言う通り、専門家が処置したような代物ではなく】
【止血や、自然回復力の向上といった簡易治療に過ぎない】
【完治させるならば後で改めて、そういった筋を頼る必要があるだろうか】


――ではお手をどうぞ、ローザ"姫"
今宵は"騎士"カミナが無事に街までお届けしましょう……とまぁ、これはちと似合わんな

どうもローザは初々しいというか、危なっかしく見えるのでな
今後のためにも、今の内にわらわで少し慣れておくがよいぞ――


【トトト……と小さな足で彼女の隣に並ぶと、気取ったような台詞を吐いたあと】
【改めて言い直して、ローザの方へとそっと片手を差し出した】
【見た目はまるで逆なのに、まるで妹にでも接するかのような過保護な態度である】

【もし、ローザが手を取ったならばカミナはそっと握り返し】
【そのまま森の道を共に歩き、街の方まで同行していくことだろう】
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/09(土) 00:15:03.23 ID:sHy6BweFo
>>978

【──炎と電気、二重の熱源で辺りの空気はさながら戦場≠フそれと化す】
【顕現した業火に男は眉を顰めると、軽く腰を落として】


(……さっきの剣撃が、今度は掠っても終わりって訳ネ。)
(となるト、一旦完全に躱すか、捨て身でこっちの電撃加えるか──、はァ。)


【思考の後、行動を開始。 まずは直線的に彼女の方へ走行し──】


── ≪Electrocutionist≫ッ!!


【──繰り出したのは、右手=B 動きは鈍く、出血も酷いが、此方も鎖と同様『電気』を纏っている】
【狙うのは蓮の顔面=B テレフォンパンチと言って差し支えない軌道のモノ──、何らかの『狙い』が有るのか、無いのか】
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/08/09(土) 00:33:36.41 ID:dzxBfZiNo
>>980
【そう―――――ここは、戦場】
【カノッサ機関No.93と、自称"人類最強"との戦い。殺し合い】
【焼き焦げた臭いが鼻をくすぐる。不思議と心地いい、何ともおかしな気分だ】
【―――――あぁ、楽しい】

【男が繰り出したのは、右手】
【鎖と同様に電気を纏っており、蓮の顔面へと迫る】
【当然喰らえば唯では済まない。だが、当然拳を繰り出した隙が生まれるはず】

【ならば、と刀を持っていない左腕で顔面をガード。電気を纏った拳を受ける事となる】

つぅっ…!

【強い電流が、電圧が流れこむのを感じる】
【激しい熱と、痛み】

【だが、これで隙は生まれたはず。蓮は刀を突き出す】
【炎の熱量は凄まじく、少し近づいただけで火傷してしまいそうな程】
【それが肌に触れれば―――――――言うまでもない、容易く皮膚など焼き尽くし、貫いてしまうだろう】
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/09(土) 00:36:19.79 ID:XY8r4OQW0
>>979

頼んだのは私だけど、それ、耳がくすぐったい……。
それに慣れろと言われても――今どきそんな変質者見たことないわよ。

【やはり、生まれがそうというだけで、高貴であることの面倒な側面はよく知らないのだろう】
【カミナの幼い手をぎこちなく握り返しながら、苦笑を浮かべる】

【背丈や見た目の印象は真逆で、どうにも不釣り合いな役どころだけれど】
【「憧憬」の想いを寄せている相手に格好良く囁かれると、何か、定義できない°C持ちが沸き上がってくるようで】
【ぴったりと手を重ねた状態なのもあり、気が気でない――】

【立派な人物とはいえ、こんな子供相手にどきまぎするのは、もしかして相当ヘンなのではないかと】
【自分に疑いを持ったローザは、雑念を振り払うようにぷるぷると首を振った】


【それはさておき、何事も無ければ、二人は林道で危ない目を見ることもなく街の手前まで辿り着くはずだ】
【流石に手練が二名。仮に獣が迂闊にも襲いかかってきたとして、「歯牙にもかけず」と言ったところだろう】

……さて、そろそろ安全圏かしらね。
屋敷まで辿り着けばちょっとばかりの蓄えがあるし、祖先の治癒魔道具も置いてある。
根治の方法には困らないわ。心配はしないでちょうだい。

私ね、誰かとこんなに気安く話せるようになったのは初めてかもしれないわ。
今日はありがとう、カミナ。そして――今度とも、よろしく。

話の続きも……また、聞かないといけないものね。それじゃあ、ごきげんよう!

【都市のほとりに至ったところでローザは、カミナに末永い付き合いを望む言葉をかけて】
【呼び止められることが無ければ、いつになく綻んだ顔つきのまま去りゆくだろう】
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/08/09(土) 00:36:25.36 ID:oX9r/fLT0
【街中――池やちょっとした林のある公園】
【満月とは違った丸いお月様が葉っぱの隙間から照らしこむ、ぎざぎざの光は、辺りを不確かに照らして】
【しゃらしゃらと葉の擦れる音はそれだけで涼しげ、夜のせいもあってか、ゆるく冷える気温は、きっと心地よく】
【けど遠くの空を見ればビルの影が見えたりする、そんな景色。昼間ならば、憩いの場として賑やかな、その場所も】

……――――、

【こんな時間になれば人通りも少ない。時折見かけるとなると、ジョギングをしている青年とか、そんなものばかりで】
【だからこそその姿は目立つのかもしれなかった、木々の陰にこっそりと隠れて、くすくすと笑い声を零すような、“だれか”】
【もし――不審がって誰かが覗き込むなら。不思議と月明かりの差し込むその場所、佇む誰かの姿は、とってもよく見えるはずだった】

【――月明かりに煌く黒髪はハイライトを背負う、天使の輪……だなんて呼ばれるそれを、まるい頭の天辺に煌かせて】
【黒色と赤色のオッドアイは丸みを帯びた、けれどちょっぴりだけ釣ったかたち。真っ白な肌の色に、それはきっとよく映えて】
【セーラー襟のワンピース。胸元にふわっと咲かせた真っ赤なリボンタイが、黒布を鮮やかに彩って】
【ぷわっと広がる裾と、そこから伸びる足。爪先のころんっとしたパンプスが、落ちた小枝やらを踏みつけていた】
【右の耳には宝玉の欠片をあしらったピアス、左手の薬指には銀色の指輪。長い睫毛で瞬けば、それが少女だと知れて――】

【彼女には何が見えているのだろう、くすくすと楽しげな声が止まらない。さながら幽霊でも見ているような、その光景は】
【けれど夜の中に目を凝らせば、すぐ傍の木――その枝の一振りがにょろりと動くのにきっと気付けるのだ、にょろり、にょろりと】
【――すっと少女の手が動いている枝に伸びる、すると、その枝は待ってたという風に、腕に絡んで行って――、】

……――、?

【ぱちくり、瞬いた瞳と首を傾げた仕草が重なる。ふと感じた違和感は、覗いている誰かに対してか、近づく誰かに対してか】
【“華奢な右腕に暗く緑がかった灰色の蛇を巻き付けたまま”、蛇に向けていた笑顔を僅かに凍らせたそれで、少女は視線を投げた】

【(ふわっと漂う魔力は彼女のものだろう。滝の傍で感じるのに似る、涼やかに細かな水の魔力)】
【(だから、辺りが少しだけ涼しく感じられた。夏の夜に、ぽっかり落ち込んだように涼しい場所、或いは異質)】
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/09(土) 00:41:38.73 ID:sHy6BweFo
>>981

【──右手が入った≠フは、彼にとっては意外だった】
【分かって打った、テレフォンパンチ。彼のプランでは、『捨て駒』──つまりは】
【右手を斬らせ、左の鎖で相手を捉える。『肉を切らせて骨を断つ』戦法だったのだ】


(…、…こ、これは──不味い、すっごく──)


 ──不ッ味いわネェーーーーーーぇええぇッ!!!


【勝負の世界には、往々にしてこういうことがある】
【──、彼の敗因もまた、『傲慢』。 自らのセンスに自信があるからこそ、技巧に凝る】
【結果、肉を切らせた≠フは蓮の方であり──】


ぐ、ぁ、ぁぁあああああああああーーーーーーーーぁぁあああッ!!!
熱ッ!! 畜生、『燃える』ッ!! ああああーーーーーあぁぁぁああぁああぁ!!!!!


【──剣は彼の肌を貫き、炎上≠ウせる】
【その場に倒れ込み、必死にころがるも、火勢が衰える気配はない──】


【── 蓮の勝利、だろうか】
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/08/09(土) 01:00:57.64 ID:dzxBfZiNo
>>984
【肉を斬らせて骨を断つ。この戦法においては、必ず相手からの攻撃を受けの態勢で臨まなければならない】
【それがどんな攻撃であろうと、最適と思ったタイミングで受け、また、最小限の被害に抑えなければならないのだ】
【自分から仕掛けての戦法など愚の骨頂。攻める時はひたすら攻める。蓮だったら、きっとそうしたはず】
【ともかく――――――これにて、勝敗は決したはずだ】

あ、これ左腕折れてるかも……まあ良いや

【左腕はだらんと垂れ下がっている。顔には出さないがかなりの激痛だ。動かす事もできなさそうなくらいに】

お前さんは強かった、ただ、相手が悪かったんだ
だから、誇って良いぜ

【転がりまわる男に、一転して柔和な笑みを浮かべて賛辞の句を送る】
【例え敵だったとしても、強者には敬意を払わなければならない。それが蓮の矜持であり、勝ち誇らない事が誇りでもある】

じゃあな、あたしの敵

【最後に止めを刺そうと、もう一度男に刀を一突きしようとするだろう】
【だが、蓮は完全に油断しきっている】
【まだ何かハプニングでも起これば、対処しきれないであろう】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/09(土) 01:01:30.41 ID:CfbKrWuZo
>>982

む? 別に誰彼構わず手を繋げというておるのではないのじゃ
御主がいずれ貴族として大成し、様々な者たちと接するならば人馴れしておく必要があるじゃろうからの

社交の場では外向けの"猫"でも被れば問題なかろうが
今後はわらわのように個人的に親しくする仲間との出会いもあるじゃろう

そんな時にツンケンとしておっては、折角の機を逃すやもしれんからの―


【こちらは特に動揺する様子もなく、自然な仕草で手を取って隣を歩いている】
【カミナから見たローザが、人との触れ合いに慣れていないように見えていたのだろうか】
【何処まで本気かは判らないが、一応考えあっての行動だったらしい】


【――】


【森で何かに襲われることもなく、二人は街までは何事もなく到着する】
【ここまで歩いた疲労と、微かに頭に過ぎり始めている眠気を払うようにカミナはうぅん……と伸びをすると】
【繋いでいた手を離し、街の門の近くで改めてローザの方へと身体を向けた】


ほう、ならばわらわはローザの初めての友達ということか
……うむ、なかなか悪くない響きなのじゃ

こちらこそ、今宵は良き出会いであった。
縁の巡り合わせがあればまた、こうして語らうとしようか――


【「――ではの。健勝であれよ」と、微笑みながら彼女に返事をすると】
【去っていく彼女の背に軽く手を振った後、カミナは踵を返し"森の方へと帰っていく"】


……うむ、少しは気も楽になってきたかの
仕事とはいえ、悪党と戦ってばかりでは肩が凝って仕方がないからのぅ……時には休息も必要よな


【この出会いが後に何かしらの影響を齎すのか、今は誰も知る由はなく】
【カミナは少しご機嫌そうな調子で独り言を呟きながら帰路についていくのだった】

/お疲れ様でしたー!
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/08/09(土) 01:05:10.86 ID:XY8r4OQW0
>>986
/絡みありがとうございましたー!
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/09(土) 01:13:52.81 ID:sHy6BweFo
>>985


【──、少しの間、男は藻掻き続けていたが、次第にその動きも止まる】
【呻き声を上げ、炎に包まれ炭化し始めた顔を上げると、其処には切っ先>氛氈z



このッ!! 『アタシ』がッ!! 死のう≠チてのヨッ!!!!
早く、早く『助け』ッ!! …、…そんな、こんな、アタシ≠ェッ!!!!
こんな所で死ぬ!? 全然、ドラスティック≠カゃないッ!!!!
まだ全然!!! Timy`sシーン≠ヘぁぁああああああああぁあああぁぁあーーーーーー──!!!!!!


あの、ォ !!!!!クソ   、、   


 【 ──彼の身体を、トドメの一撃が 貫く 】 

【最早、身体を動かす気力も消えたのか、完全に脱力した体で、死は接近してゆく】
【首もだらり、と力を無くし、── ごつん、と地面に打ち付けられて】



…、…Eclipse=c…ッ!! 裏、切、…… り 。 ── 、  ぁ



【── そのまま、絶命した】  【意味深な単語≠、置き去りに】
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/08/09(土) 01:31:35.97 ID:dzxBfZiNo
>>988
【もがき苦しみながらも、男は絶命する。最後に意味深な言葉だけを残して】

あぁ?裏切りだぁ?

【あの助けを求めた言葉は、誰に対しての言葉なのだろうか】
【蓮でなかったとすれば、それはまた別の人物】
【つまりは協力者、本来ならば危なくなった時に助けてもらうはずの約束が破られた―――そういう事、なのだろうか】
【しかし死人に口無し。今となっては男はただの炭。物言わぬ"人間だったもの"】

やれやれ、ともかくこれで一人始末っと…
おあつらえ向きじゃねぇか、火葬の手間が省けて

【炎の刀は光となって四散し、消えていった】
【そして左腕を押さえながら、踵を返す】

あー、つっかれた…病院行かねえと…
あとは、裏切りだとかの事についても調査しねぇと……あー、やる事いっぱいじゃねえか

【まだまだ終わったわけではない。カノッサとの戦いは始まったばかり】
【だが、これで一歩近づいた】
【取り敢えずは、そう思う事にしよう】

【蓮が立ち去った後の路地裏には、ただの大きな炭が残るだけ】
【だが、それも風が吹けば飛ばされ、最終的には何事もなかったかのように、元通りとなるのだろう】

/これで〆ですかね…ありがとうございました!
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/08/09(土) 01:42:05.24 ID:sHy6BweFo
>>989

【──、彼女が去ってから暫くして、満身創痍の男が立ち上がる】
【『オカマ』の方ではない。 ──、先ほど蹴り飛ばされた、男だ】


「……、助、 か 、った ──の、か。」


【ひゅう、ひゅう、と荒い息を吐きながら、這って炭≠ノ進み、オカマの死を確認する】
【途絶えそうな意識の中、先ほど聞こえた『単語』がリフレクション ──】


「…、… Ecli   、、  pse   ……。」


「伝え 、なけ、れば 。 …、… ──ティムー、ル =@は、 『アットレッツォ』 、 …… 。」


【attrezzo=@── 『走狗』 】

【──、彼が何を知り、何を知ったのか。 それは今現在、誰にも分からない】
【確かなのは、Eclipse≠ニいう存在が、大きな影のように、存在していること ──】


/お疲れ様でした!
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/08/09(土) 11:51:18.22 ID:xbqukPUzo

暑さに耐えられそうもないゾウ

【くるくるとした黒い天然パーマに、色白の肌。】
【赤いフードつきトレーナーに、茶色のハーフパンツ。】
【年相応──否、それよりも背の低い青年である。】

【人気の少ない公園で、夜空を見上げている。】
【──無造作に、手に持つ空き缶を公園の外──街灯に照らされた道路へ放った。】
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/08/09(土) 12:16:42.72 ID:NYApfCds0
【その痛みを、僕は知っている】
【脳を突き刺す痛み、大脳が横に裂けていくような激痛】
【発生していた不快感を痛みと感じたのは数分前】

【いつもどおり、バイトの帰り道のことだった】
【多くの人が様々な行き交う大通り】
【雑踏は目と耳を覆うようなほど強大で、人ごみはあまり好きではなかった】
【「少し帰り道を変えよう」、そう思うことは決して珍しい思考ではない】
【そもそも、新しいものを発見することが好きな自分にとって普段通らない道というものは非常に興味深かった】

【わき道にそれた、裏通り】
【この世界において、この手の道が決してよいものではない事は十分知っている】
【だが、まだお昼時。少し雲がかかってお日様が見えないがこんな時間に危険な連中はそうはいないはずだ】

【その決断を脳内で済ませて道なりに進んだときに、見た】


【真っ赤に血走った目に、鋭い八重歯】
【その整った顔立ちを鮮血に染めた男性を見たのだ】
【日の光に当たらない、日陰で】
【すでに真っ青な女性の首筋に噛み付いて、体液をたっぷりと口内に流し込む人物を】

【―――――本で読んだことがある】
【日の光を嫌い、人の血を飲んで生きていく生き物】

【確か――――――吸、血鬼―――――】


―――――――――。

――――――。

――――。



「な、何で……こ、こんなに……痛ッ!!!」

【そこは真っ赤だった】
【壁もアスファルトも近くを流れる用水路も】
【その場にいる―――――惨たらしい死体とたった一人の少年も】

【肩に届く程度に伸びた白色の癖毛】
【宝石を思わせる紅色の瞳】
【細く線の細い華奢な女性的な身体をした少年】
【白のカッターシャツに黒のベストを身に纏っている】
【両腕には「盾」を思わせる赤い刺青が入っおり】
【首には何らかのタグのようなペンダントがついている】

【腹部や手足を破壊された男性の遺体を前にして、座り込んでいる少年の姿がそこにあった】
【頭を押さえ、まるで痛みに耐える様に苦しむ姿は破壊衝動を抑えるかのようで】
【その凄惨たる現場を、作った張本人に見えるかもしれない―――――。】

【話しかけるのは危険かも知れない。 貴方の自由だろう―――――】
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/08/09(土) 12:58:11.09 ID:S13kLVEXO
>>992>>991と絡んでやれよ
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/09(土) 15:58:44.70 ID:J57ZxvC2o
【路地裏】


 これで、七人目かぁ……
 噂は流れてるみたいだけどさぁ、だぁれもあいつ自体を見たわけじゃないのよねぇ……


 【フード付きのパーカーを着た、緑色の髪のショートヘアーの女がいた】
 【彼女自身は、このような、犯罪者や、悪人が集まりやすい場所にいるような人間に見えない】
 【彼女の両手が赤く染まっていなければ……の話だが】


 私の情報が流れないように、念入りにこの世界からあなたの命を消してあげる。


 【女は満面の笑みを浮かべながら、男の死体に向かって緑色の液体を右手から放つ】
 【グツグツと煮立った液体のように遺体は溶けて消えてゆく】


 あいつを消せたら、私の目的は達成できるの
 だから、あいつを知ってる奴を探してどこにいるか聞き出さないとねぇ……


 【女は強力な殺気を出しながら笑う】
 【もはやそれは、人間の物ではなく、化け物のそれであった】


 【どうやら、彼女は人を探しているようだ……】
 【故に彼女は今、周囲の状態に敏感だ、誰かいればすぐに気づくだろう】



 【また別の路地裏】


 最近、行方不明者が増えているみたいだな……
 奴らはこの世界に存在しないしぁ……

 【黒いソフト帽を被ったライダースジャケットの男が溜息をついた】

 【彼はどうやら、行方不明者が増えた原因を探しているようだ】

 正直俺が動くのは間違っているかもしれないんだよなぁ……
 警察みたいな組織の所属じゃないわけだしよぉ……

 【男は路地裏を歩く、自分への危害はどうでもいい】
 【男は周囲を警戒しているようだ】

 でも、やれることはやらないとな!!
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(兵庫県) [sage]:2014/08/09(土) 18:29:41.02 ID:J57ZxvC2o
/>>994二十時まで再募集
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/09(土) 18:40:01.06 ID:tUA5YE18o
うめ
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/09(土) 18:40:17.03 ID:tUA5YE18o
うめ
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/09(土) 18:40:27.47 ID:tUA5YE18o
うめ
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/09(土) 18:40:39.74 ID:tUA5YE18o
うめ
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/08/09(土) 18:41:44.49 ID:tUA5YE18o
俺能にきてね♪
【俺能世界】俺が能力授けるからこの世界で戦え【新世界】Part41
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1406562957/
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

ローカルルール変更に伴い、1000到達の報告が不要になりました。

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
魔法科高校の劣等生 魔法師大乱交編 @ 2014/08/09(土) 18:37:52.46 ID:M3NEEacOo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407577062/

苗木「うぉぉお!!前書き死ね!クソッタレ!!」山田「!?」 @ 2014/08/09(土) 18:32:38.12 ID:EqEI1TF00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407576747/

ゲーム製作 水面下スレ @ 2014/08/09(土) 18:27:03.50 ID:jQMCUhPy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1407576413/

阿笠「うっふ〜ん」 @ 2014/08/09(土) 18:12:10.04 ID:siMOBTyDO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407575530/

【安価】八幡「GANTZ……?」【コンマ】 @ 2014/08/09(土) 17:47:08.94 ID:HBOwwvdv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407574018/

春香「台風ですね」P「あぁ」 @ 2014/08/09(土) 17:44:08.41 ID:6axy+X+fo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407573838/

【艦これ】提督「」【安価】 @ 2014/08/09(土) 17:33:28.29 ID:qwm3t69E0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407573198/

結衣「ほんと、あきらめが悪い最低最悪な女」 @ 2014/08/09(土) 17:24:12.72 ID:q94l/xQ3O
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