森久保乃々「ええっ。もりくぼ以外、もりくぼじゃないんですけど」
1- 20
6: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:38:16.11 ID:XLADNSTB0
気づいたらもりくぼは黄緑で、背丈の低い草が地面を覆う広い場所に座っていました。
周りは木が覆っています。上を見上げると空が木々の枝葉の隙間から狭く見えます。

空は夕焼けと昼と夜が混じって、赤紫色と群青色の筋が、コーヒーにミルクを溶かしたばかりのようにまだら模様に混ざり合っていました。
大地はどこまでも草と木に覆われて、裸足の足元を風がくすぐっていきます。
以下略 AAS



7: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:38:52.21 ID:XLADNSTB0
あと、もりくぼの森にいるともりくぼは羽が生えて空が飛べます。
十分速く走った後に足に力を入れて空に飛び出します。
不思議な力を足から肩、肩甲骨のあたりに移すと、ぶわっと大きな翼が生えるんです。

もりくぼの森はとても広いですから、何処へでも飛んで行けます。
以下略 AAS



8: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:39:37.69 ID:XLADNSTB0
手のひらに花びらが降りてきました。すぅっと鼻から息を吸い込むと、鼻腔に花びらの甘く爽やかな香りが広がります。
吸った息そのままふぅっと吹きかけてやると、花びらは数百万もの花吹雪になって、もりくぼの森へと散らばって行きました。
やがて花びらが地面の草と草の間に落ちると、そこから大きな花びらを携えた花が、次々と咲き始めました。

まさに百花繚乱。そんな言葉が似合う光景でした。
以下略 AAS



9: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:40:04.67 ID:XLADNSTB0
今は大体……夕方の2つくらい手前です。藍子さんのように、量の指をカメラみたいな形にして空を覗くと、うっすらと文字が浮かびました。
これはもりくぼがポエムや絵本を書く時に使ってる文字ですから、もりくぼ以外には読むことも書くこともできません。

その文字たちは花のような、蔦のような形をしています。

以下略 AAS



10: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:40:42.39 ID:XLADNSTB0
それと同時に、空が固まって氷のように透き通る大きな透明ガラスになったのです。もりくぼは文字通り空の上にいます。
空の上にいるようで実は空じゃないんです。さっきは木と草の森でしたけど、今は氷の森なんです。

上空を見つめると群青で雲ひとつない空に、キーンと厳しい冷たい風が通り抜けました。
寒さを感じないようにするのは難しいので、代わりにもりくぼは髪を前から後ろに撫でるのです。
以下略 AAS



11: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:41:16.03 ID:XLADNSTB0
ふと時間が気になりました。そうするともりくぼの森は敏感にそれを感じ取って、景色は一点に集約されてしまいます。

あぁ、今日は短かったなぁ。そう思いながら、白と黒の扉の前にもりくぼは立っていました。

白の扉をくぐるともりくぼの森から抜けて、真っ白の世界にとどまって、銀色の痛い光が黒く世界を塗りつぶして、現実に戻って来ます。
以下略 AAS



12: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:41:44.05 ID:XLADNSTB0
扉をくぐる前に、こうやって、事務所の好きな人に会うという儀式があります。
この凛さんは森の凛さんだから、本物の凛さんではないけれど……

凛「おいで、乃々」

以下略 AAS



13: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:42:14.69 ID:XLADNSTB0
凛さんが離れて行った後、もりくぼは次に輝子さん、美玲さん、まゆさん、幸子ちゃん、小梅ちゃんに、同じことをしてもらいます。

全てが終わると、みんなは木の葉のかけらになって白い扉の周りに薄く積もります。

白い扉に手をかけました。そのままノブを回して押すと、完全な白が目の前にありました。
以下略 AAS



14: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:42:43.45 ID:XLADNSTB0
〜〜〜〜〜〜
一瞬の意識の飛びの後、森久保は頭痛とともに目を覚ましました。頭を起こそうとして机に頭をぶつけました。
手足がじりじりと痺れます。きっと同じ姿勢を保持していたからだと思います。

誰もいないことを祈りながら、もりくぼは机から顔を出しました。
以下略 AAS



15: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:43:17.07 ID:XLADNSTB0
帰り道、もりくぼは事務所で言われたことを反芻していました。

『そろそろ、本当に人と目を合わせられるようにならないとダメだぞ』

『インディヴィジュアルでテレビの撮影が入ったんだ』
以下略 AAS



16: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:43:43.21 ID:XLADNSTB0
本当に、本当に逃げ出したくなりました。
打ち合わせの時も気が気でなかったし、撮影スタッフさんとの挨拶も全くうまくできませんでした。

それを見かねたプロデューサーさんが、さっきのようなことを言ったのです。

以下略 AAS



111Res/65.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice