二宮飛鳥「美波さんにボクの歌が歌えるわけがない」
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3:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 08:53:52.03 ID:jKZID4Vr0
確かに、クラスにも活動的で社交的な人物はいた。

しかし、美波はそれ以上だ。

驕ることなく、慢心することなく、人当たりがよく、愛嬌と色気がある。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 08:54:28.50 ID:jKZID4Vr0
事務所のだだっ広い廊下に飛鳥のブーツの音が響く。

軽い運動は脳をほどよく活性化させるものであるが、それが明確な正解にたどり着けるとは限らず。

こうモヤモヤしたときは趣味である漫画に筆が乗るタイミングだ。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 08:55:23.38 ID:jKZID4Vr0
神秘的なまでに透き通った白い肌と、それを覆う黒のゴスロリ服。

歩く度にしなやかに揺れる巻き髪。

長い睫毛に縁取られた深紅の瞳。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 08:56:25.68 ID:jKZID4Vr0
それよりも、今は胸に蓄積された感情を共有したかった。

「今日の予定は空いているかい? また二人でお互いのセカイを語り合おうかと思ってね」

「魅力的な誘いではあるが、生憎、件の女神との契約がある」
以下略 AAS



7:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 08:57:01.50 ID:jKZID4Vr0
学校や街中では、アンニュイにも、不機嫌にも見える表情がデフォルトである。

しかし、蘭子の前では、格好良い『二宮飛鳥』でありたいと思っていた。

だから、感情が顔に出すぎないように、余裕を持っているような笑顔で押し込めた。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 08:59:11.19 ID:jKZID4Vr0
「……!? 蘭子、何を……!?」

「くくく……これぞ白銀の妖精より受け継がれし技である! 言の葉より深く、魂で繋がる儀式であると!」

滑らかで、柔らかくて、温かい手だった。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 09:00:46.90 ID:jKZID4Vr0
屋上に来れば少しは気分が晴れるかと思いきや、厚みと高さのある雲がそこかしこに散っていて空からの明かりを遮っていた。

初夏のぬるい風を受けながら、闇と光の境界線を眺める。

世界から取り残されたような雰囲気の中、屋上入り口の古びた扉が開く音がした。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 09:01:26.99 ID:jKZID4Vr0
「今度のライブ、一緒に頑張ろうね」

「ああ」

飛鳥は生返事をして、上着のポケットに手を入れる。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 09:02:18.00 ID:jKZID4Vr0
「歌う姿も、すごく格好良くて」

「そうか」

「この曲、とっても好きだよ。共感できる部分があるから」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 09:03:17.25 ID:jKZID4Vr0
その感情は、独占欲と、そして、恐怖だった。

自分の居場所を、アイデンティティーを奪われる恐怖。

学芸会でお姫様の役になれないからと駄々をこねる子供のようなものだ。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER
2017/07/14(金) 09:03:51.54 ID:jKZID4Vr0
世間一般的に必要とされる、求められる存在は間違いなく美波だろう。

いくらマイノリティを気取っても、社会の枠組みからは逃れられない。

日常から外れた存在だとしても、他者がいるからこそ自分が観測される。
以下略 AAS



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