193:名無しNIPPER[sage]
2018/05/01(火) 03:01:08.32 ID:7Yc7+KCDO
 乙 
194: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/02(水) 19:25:38.48 ID:WBIQqYWr0
 身体が嘘のように軽い。眩暈もすっかり収まった。 
 数日ぶりの外は暗く、冷え込んでいた。 
 家の周りを一周だけ走った後、共同井戸の水を汲み上げて飲んだ。 
 身体中の眠気が吹き飛んでいく。 
  
195: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/10(木) 21:32:17.97 ID:IVh+ZABj0
 声が降ってきた。 
 屋根の上に魔女が座っている。 
 荷物は何も持たず、どこか散歩へ出かけるような姿だ。 
 険しい鉄門街道を通るに相応しい恰好ではない。 
  
196: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/11(金) 00:09:06.13 ID:QmyZmny70
 空気が熱く、乾いていた。喉がひりひり痛む。 
 竹筒の水はもう半分まで減っている。日照りが強く、歩くだけでも水分が汗となって流れ落ちる。 
 鉄門街道という険しい山道ならなおさらだ。 
  
 額にじっとり滲んだ汗を拭い、勇者は溜息を吐いた。休みたい。 
197: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/11(金) 00:17:32.41 ID:QmyZmny70
 勇者「おい、あれ……人が住んでるんじゃないか?」 
  
 崖の下に、集落が見えた。 
 煙突のような形をした、筒状の家が連なって建っている。 
 どれも漆喰で塗り固められた、原始的な家屋だった。 
198: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/11(金) 00:19:04.86 ID:QmyZmny70
 二人は慎重に崖を降り、ハザラ族の集落へ足を踏み入れた。 
 ハザラ族の家は崖上から見るよりも、予想以上に大きかった。 
 バルフの町でよく見かけた、祆教の拝火殿に似ている。 
 一回の小窓から中を覗くと吹き抜けになっており、螺旋状の階段が上まで続いていた。 
  
199: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/11(金) 00:20:02.16 ID:QmyZmny70
 急な螺旋階段を上り、三階の客室に案内された。 
 がらんとした殺風景な部屋に、寝具と思しき毛布が二つ敷いてある。 
  
 奥の壁には、四角い小窓がひとつ。 
 窓と言っても穴を開けただけなので、冷たい風はもちろん吹き込むし、雨の日に立てば身体が濡れてしまう。 
200: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/11(金) 00:20:52.18 ID:QmyZmny70
 宿屋の主人「今日は良い風が吹いている。お前ら、オラの合図に合わせるんだぞ」 
  
 三人は牛に踏まれた麦の山を囲んで立った。 
 俄かに、木々がざわざわと揺れはじめた。砂塵が舞い上がる。川面が波打つ。 
 ごう、と一際強い風が吹き荒れた。その時だった。 
201:名無しNIPPER[sage]
2018/05/11(金) 01:41:35.77 ID:YgGgMHCDO
 乙 
 待ってた 
202: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/12(土) 19:29:28.05 ID:Qg3um/TT0
 宿屋の主人「このくらいで良いだろう。おめぇら、休んでいいぞ。オラは他の仕事がある。陽が沈んだら帰る」 
  
 二人が去った後、主人はその場にしゃがみ込んで選別した麦の状態を見た。 
 本当に良質な麦か確かめるためだ。すると、麦山の奥から姿を表した影がある。 
 蒼い絹服に身を包んだ上級官員だ。 
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