27: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:16:43.26 ID:Qezuh/qr0
  
 「蘭子ちゃん、本当にありがとう。私、勇気出たよ」 
 「うむっ。荒野に心寂しく思う時は、この魔王が力を蓄えていると知れ!」 
 「ふふっ……うん。まずは私達のLive、大成功させようね!」 
 「当然至極っ! ふんす!」 
28: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:17:11.52 ID:Qezuh/qr0
  
  
  ところが。 
  事態は、思いもしない方向へと転がっていきます。 
  
29: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:17:46.98 ID:Qezuh/qr0
  
  翌朝、フロントに届け物があると言われました。 
  
 「……手紙?」 
  
30: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:18:16.93 ID:Qezuh/qr0
  
 「くん、くんくんっ、ふがふが……」 
  
 「くんくんくん……! ふすすっ! はすはすはすはす……っ!」 
  
31: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:18:51.44 ID:Qezuh/qr0
  
  
  中にあったのは、乱暴に折り畳まれた一枚の便箋と、一枚のポラロイド写真。 
  便箋には、殴り書きでこうありました―― 
  
32: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:19:35.93 ID:Qezuh/qr0
  
  
 P「………………なるほど」 
  
 美穂「ど、どどどどっどうしましょうっ私っ、い、一体何がなんだか……!」 
33: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:20:02.55 ID:Qezuh/qr0
  
  
  雨吹山の狸一族は、鏡山の小日向一族と長年の仇敵だったといいます。 
  
  私の代ともなればそれほど激しく憎み合ってはいなかったみたいだけど、それでも化け合戦を行うことは時たまあって。 
34: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:20:51.49 ID:Qezuh/qr0
  
  時刻が正午を回る頃、私達はみんなで指定の場所を訪れました。 
  藤崎八幡宮の裏手は川沿いの細道で、人通りは全くありませんでした。 
  
  そんな道路のど真ん中に、座敷がありました。 
35: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:21:24.81 ID:Qezuh/qr0
  
 「な、何をしたんですか!?」 
 「安心しい。寝とるだけたい」 
 「でも、だからってこんなこと、どうして!!」 
  
36: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:22:02.12 ID:Qezuh/qr0
  
  だんっ、と叩き付けるようにグラスを置いて狸が気勢を上げます。 
  
 「そもそも小日向は俺(おい)らの長年の怨敵! こげんする理由は元より有り余っとる!」 
  
37: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:22:57.64 ID:Qezuh/qr0
  
  口を開いたのは、檻の近くにじっと座っていた狸。 
  化けていてもすごく小柄で、長い白髪のせいで目も口も見えませんでした。 
  多分、この中では長老格です。 
  
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