道明寺歌鈴「楽しいを聚めて」
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5: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 22:53:14.75 ID:FQ763ukmo

──


 仮眠から目が覚めました。はだけてしまった巫女服を直してから見渡したお正月の空は青く高く澄んでいます。拝殿の方からは喧騒と鈴の音が聞こえてきました。大晦日からお手伝いにと駆り出されてクタクタだったので、少し落ち着いたからと休ませてもらっていましたが、眠っている間にまた忙しくなったようです。ふと視線を向けた机の上にはおにぎりが置いてありました。起こさないでくれたんだ、と思いながら「いただきます」と手を合わせて手早く食べました。まだまだこれから忙しくなるというのにあんまり悠長にしているわけにはいきません。これでも私だって頼りにされていますから。
以下略 AAS



6: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 22:54:56.87 ID:FQ763ukmo

 社務所に入り、中で慌ただしそうに動く巫女さんたちに入りますと声をかけました。ほっとしたような顔をしてお礼を言われました。
 それからはあっという間に時間が過ぎました。たくさんの人がやってきてドジなんてする間もないくらい忙しく、目まぐるしいという言葉の通りでした。
 そんな繁忙も一段落した折、男性がこちらを見ているのに気付きました。お正月だというのにスーツを着ているから、ということもあったのでしょうか。非常に目立っていました。珍しいなぁ、とぼんやりその男性を見たら案の定、というべきか、やはりというべきか目が合いました。目が合って、ぺこりとお辞儀をするとはにかみながら会釈を返されました。
 と、思ったらその男性がこちらへと。『ああ、迷っていたんですね』と一人合点して、どうかしましたかと声をかけました。
以下略 AAS



7: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 22:56:17.08 ID:FQ763ukmo

「社務所ならあちらですよ?」

 拝殿は流石に分かると思ったので社務所の方を示してみましたがそうではなかったようです。やんわりと否定した後、背広のポケットを手探りでまさぐり、なにか名刺ほどの大きさの紙を取り出したと思ったらそれを私に差し出して、

以下略 AAS



8: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 22:56:55.43 ID:FQ763ukmo


「はぁ……どうしよう……」

 溜め息を吐きながら漏らした言葉はどこかに消えました。ちゃぷんとお湯を手ですくってみても考えはまとまりません。口元まで湯船に浸かって、ぶくぶくーっと息を吹いてみました。勢いよく現れた泡は見る間に水面を揺らす波紋へと変わっていきました。
以下略 AAS



9: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 22:57:58.03 ID:FQ763ukmo


「アイドルかぁ……」

 だらりと脚を伸ばして天井を見上げました。アイドルに憧れていないと言ったらそれは嘘になるのでしょう。テレビの中で歌って踊るキラキラとした姿に憧れるのは女の子ならみんな……というのは流石に言い過ぎでしょうけど、私は憧れていました。でも私はドジでのろまで。あのテレビの中や、ステージで見た女の子たちみたいに華麗に踊ることは難しいと思っていました。巫女舞でドジをしたことはないけど、きっとそれとは違う。
以下略 AAS



10: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 22:59:15.78 ID:FQ763ukmo

「……どうしよう」

 私の中の天秤はアイドルをやりたいという気持ちに傾いていました。でもどこかで『私なんかがアイドルなんて』という私もいて。さっきからずっと考えが堂々巡りしてしまいます。バタバタと脚を揺らしてみても水面みたいに私の思考に波は起こりません。

以下略 AAS



11: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 23:02:58.36 ID:FQ763ukmo


──


以下略 AAS



12: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 23:03:42.05 ID:FQ763ukmo



「あっ、おはようございます!」

以下略 AAS



13: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 23:04:26.04 ID:FQ763ukmo

「あ、そういえば……なんでスーツ姿で神社に来たんですか?」

 届いた紅茶にミルクを混ぜながら気になっていたことを尋ねました。新年の神社で浮いていたのが、紅茶へと注がれたミルクと何故か重なって見えたからでしょうか。

以下略 AAS



14: ◆u71RyimI2MeR[sage saga]
2018/01/04(木) 23:05:24.79 ID:FQ763ukmo

 そうしてお互いに落ち着いたら、彼は事務所のことや契約したら東京で活動するために転校する必要があること、その場合は事務所が所有する女子寮に住むことができることなどを説明してくれました。ふむふむと頷きながら、所々難しいところはありましたが、それを言うと分かりやすく説明してくれたので問題はありませんでした。
 その説明は私が思っていたよりもアイドルというのはキラキラしていないんだということを知らされました。それでも私にとっては今までの私の中の世界とは全く違っていて魅力的でした。

「……どうします?」
以下略 AAS



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