まほ「まさか、みほと入れ替わってしまうとはな……」
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13:名無しNIPPER[saga]
2018/08/31(金) 19:16:41.33 ID:33mytLdE0
 えっぐえっぐという桃の嗚咽をBGMに、改めて大洗の面々と西住まほは対峙した。

 いつもなら取り乱した桃に対し柚子が慰め役になるのだが、いまは緊急事態なので駄々をこね尽した子供の様に校庭に転がるままになっている。

まほ「交渉は決裂、か」

みほ「お姉ちゃん……本当に、戦う気なんだね」

まほ「お前が黒森峰に戻って来てくれるんなら、この学園艦を沈める必要もなくなるんだがな」

みほ「……以前の私なら、その言葉に従っていたかもしれない。けれど」

 決心するように、みほは凛とした面持ちで越えるべき敵を見据えた。

みほ「もう、逃げないよ。私は大洗の一員だから」

まほ「……そうか。では、やはりこうするしかないな!」

 短く叫び、まほはみほの背後に移動した。言葉だけ見ればそれだけのことだが、その場にいる面々にはまほが消えたようにしか映らなかった。

まほ(まずはみほの意識を奪い、安全を確保してから艦を海の藻屑に変える……)

 まほは躊躇いなく手刀をみほの首筋に打ちこむ。トランクに詰め込む前に確認したみほの戦車道力は4500。当然、手加減は抜かりない。

 その場の誰もが反応できない。彼女たちの反射神経がまほの行動を認識したのは、みほがその場に崩れ落ちた時だった。

「みぽりん!?」「西住殿!?」「そんな、西住隊長が……」

 残酷なものだな、とまほは思う。彼女たちは、彼女たちなりに愛情を持っているのだろう。

 自分の妹である西住みほへの愛情。自分達の学園艦への愛情。それは世間一般で尊いとされるものだろう。愛と勇気はいつだって魔王を倒す。

 だが、戦車道にそんなものが入り込む余地はない。機甲戦にあるのは冷たい鋼鉄と苛烈な火薬の理だけだ。

 まほはみほを小脇に抱えると、努めて無表情なまま、拳を振り上げた。2、3発も全力で殴れば学園艦は海の底に沈むはずだ。

まほ「救命ボートに走った方がいいぞ」

 その短い警告だけで、拳を振り下ろす。


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