【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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17: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:29:33.70 ID:oj63shz20
 車に戻りエンジンキーを回すと、夏葉の顔が強張った。
 カーナビの液晶ディスプレイには次の目的地が表示されている。事務所を出発する前に設定しておいたものだ。すなわちそれは、俺が「結婚しないか」と口にする前に設定された目的地ということになる。

「……あー、行き先変えるか? この近くならショッピングモールとかあるけど」
「いいえ、行くわ。一度決めたことだもの」
 夏葉は毅然として言った。

 二番目の目的地は海辺の教会だった。かつて仕事で訪れた場所であり、夏葉が初めてウェディングドレスを着た場所でもある。仕事の内容は雑誌に使う写真の撮影で、結婚式をイメージしてのものだった。
 
 夏葉のウェディングドレス姿は鮮明に思い出せた。夏葉にとっても印象深い仕事であっただろう。あの教会に着いてしまえば、俺も夏葉も『結婚』というものを意識せずにはいられなくなる。

「出してちょうだい」
 夏葉はそう言って窓の外に目をやった。遠くを見ていた。いつのことを思い出しているのかは予想がつかなかったが、邪魔すべきでないことはわかった。
 
 俺は黙って車を発進させる。大学の敷地を抜けた。



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